【つかまえて】悪の女とH 2【つかまえられて】

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644HP-5000:2007/02/08(木) 20:11:02 ID:4mScaUAn
6∞ ∞ ∞
四肢を打ち抜かれたウルフウーマンが、ドシャと地面に落ちる。
だが……何故黒龍は頭を狙わなかった?
捕虜にするにしても、相手は涙を持たないウルフーマン、情報を話すとも思えない。
「少しは、殺されそうになる恐怖を味わっているか?」
「戯言だな、こうすれば私が少しは反省するとでも思ったのか? ふんっ」
そう言う事か……。
だが、こいつは苦しそうでもなければ、馬鹿にした顔で見てきやがった。
「こいつ! 今直ぐに俺が止めを刺してやる!」
俺はその凛とした表情に神経を逆撫でされると、剣を振り上げる。
「落ち着いてよ青龍! 黒龍が何の考えもなしに、こんな真似する訳無いでしょ!」
「赤龍……」
無事そうな姿で立ち上がっていた赤龍が、俺の行動を言葉で制する。
俺は赤龍の何時もの怒号を聞いて冷静になり、剣を地面に下ろす。
「黒龍、すいませんでした。頭に血が上ってました」
「何よりだ、敵に対してそれだけの闘志は必要だからな」
ニッと不敵な笑みを見せる黒龍に、俺は苦笑いで返す。
「ふふっ……」
だが、俺のその行動が、ウルフウーマンに時間を与えてしまっていた……。
「きゃぁ!」
「なっ、赤龍!」
ウルフウーマンが、赤龍の後ろに移動し、両腕を背中で締め上げる。
同時に、カシャンと赤龍のダガーが地面に落ち、その喉に黒い爪が突き立てられる。
「ウルフウーマン、貴様再生能力を……」
「そうだ、ついこの前完成してな、新たにインプットしておいた」
黒龍もこれは予想外だったのだろう、ウルフウーマンの傷が完全に消えていたのだ。
赤龍の喉には爪が食い込み、今にも突き刺されそうな勢いだ。
チャキッ……。
「動くな!」
俺が軽く剣を動かすと、ウルフウーマンが直に反応した。
「妙だなウルフウーマン? 何故さっさと赤龍を殺さない?」
「…………」
俺もそう思った。そしてウルフウーマンが黙り込んだのを見て、確信を得る。
"こいつは、傷が治っても力が戻ってない"
「赤龍を人質にして逃げようって腹なんだな?」
「へぇ? そうなんだ、でも残念でした! 私は死ぬのなんて怖くないわ!」
赤龍が俺の言葉に続く。
こうすれば、図星を突かれたウルフウーマンの油断を誘えると思ったからだ。
「ふふっ。そうか、怖くないのか?」
「えっ、ちょ、ちょっと……」
「判断ミスだ青龍、こいつはそんな奴の悲鳴を聞くのが大好きだ……」
黒龍は冷静に言うが、俺はそんな場合ではない、今にも赤龍の喉が裂かれそうなんだ!
「や、やだ……止め……」
「何だ震えているではないか? ああゾクゾクする。お前はどんな声で鳴くのだ?」
グッと爪に力が入り、赤龍の喉から少しだけ血が滲み出る。
「嫌ぁぁぁぁぁぁ!」
――ドシュン。
赤い血が迸る。俺の目の前を染める。俺はそれを見て目を見開く、だが――。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……くそぉ、ついに死んだと思ったわよ」
「せ、赤龍?」
俺の横で、手で首を抑えながら、肩で息をしている赤龍がいた。
じゃあ……。今の血は……?
「矢……? 白い矢……まさか!」
ウルフウーマンの右腕に、三本の白い矢が突き刺さっていた。
コッ…コッ…コッ…コッ…。
倉庫の屋上に繋がる扉の向こうから、地面を蹴る音が聞えてくる。
それと同時に、黒龍の顔に強い笑みが見える。
「麗しきウルフウーマン。貴女もいい声で鳴いて欲しかったのですが?」
扉の闇を照らしながら、その男は笑顔で姿を現した。
645HP-5000:2007/02/08(木) 20:13:37 ID:4mScaUAn
7∞ ∞ ∞
白い髪。灰色の目。その声はとても透き通っていて、聞いた者を魅了する力を持つ。
ウルフウーマンに負けず劣らない、綺麗な白い指先。
その左手に握られた、白銀色のボウガンが、月の光に照らされて美しく光り輝く。
四龍最高の実力者にして、組織の最高決定権保持者、並びに、全ての部隊の総括指揮官。
その名は――。
「白龍、まさか貴様が出てくるとはな……これを受けるのも久し振りだ……」
ウルフウーマンが右腕に刺さった白い矢を見て、その腕を肩と水平にして上げる。
シュゥゥゥゥゥゥゥゥ!
三本の矢、その一本が白い光を放つ。
バシュゥゥゥン!
それは爆発すると、銀色の粉が夜空に舞い踊り、ゆっくりとウルフウーマンに落ちていく。
その粉はキラキラと光り輝き、ウルフウーマンを祝福しているようにも見える。
この粉こそ、彼が"銀光雪の白龍"と呼ばれる由縁だ。
それは、一つ一つが超小型爆弾であり、白龍の声に反応して一気に対象を消滅させる。
「遅くなりました黒龍」
白いスーツ姿の白龍は、黒龍と並ぶとそれは絵になる。そして、俺は興奮していた。
「おおっ、おおおおっ! おおおおおおおっ!」
最強と言われたコンビがそこに立っている、興奮しない方が変だ!
「白龍、お前また食事でもしていたのか?」
黒龍……シリアスな雰囲気を壊すようで、なんだが……。
何って言った?
「ええ、上等な白ワインが手に入りましてね。そうだ、どうです? 飲みに来ますか?」
待て! どうして地面に座り込んでいるウルフウーマンをナンパしてるんだ、あんたは!
黒龍を誘うならまだしも……嫌、それよりも本当に食事で遅れたのか?
「素敵……白龍様……」
頬を赤くしている赤龍とは裏腹に、俺は何だか悲しくなってきた。
仮にも、組織の最高権力者が"食事"で遅れたなど、聞いた事もない……。
「断る」
「それは残念」
当たり前だ! どうやったら来てくれると思うんだ! 相手は敵だ! 怪物だぞ!
「では……話して貰いますよ。言わなければ吹き飛ばします」
「……何が知りたい?」
緊張感がまた戻るのがわかる。流石にその辺は百戦錬磨の強者だ。
ウルフウーマンが素直に、それも情報を話そうとしているのが、それを物語る。
「本部の場所」
「ふざけるな」
眩しい笑顔で言った白龍に、ウルフウーマンがあっさりと言い返す。
当然だ。どこの世界に、自分の組織の場所を言う悪人が居る? それも幹部クラスだぞ?
「では仕方がありません。吹き飛んで貰います」
「残念だが、それは無理な相談だな」
「っ!? 白龍! 早く爆発させて下さい!」
ビュンと言う音がして、動けなかったはずのウルフウーマンが、反対側の倉庫の屋根に.
飛び移るのが見えると、俺は急いで白龍に叫んでいた。
「参りましたね、距離が遠すぎて無理です」
「あんたなぁ!」
笑顔で言っている場合じゃ無いんだよ! 思い切り逃げられてるじゃないか!
「ふふっ、ふふふっ。あははははははっ! 白龍! お前は本当に変な奴だな!」
「おや? いい笑顔も作れるではありませんか? その方が随分可愛らしい」
嘘だろ……?
吃驚するぐらいの笑顔だった。
あの冷徹なウルフウーマンが、腹を抱えて笑っていたのだ。
「ふんっ……今にその綺麗な顔を引き裂く、覚悟していろ」
だが、その顔はまた直に、凛とした表情と、冷たい視線を取り戻す。
そして、ウルフウーマンは闇の中へと姿を消した。
だがしかし……どうやったらあそこまで追い込んで、逃がせるんだ?
不思議でしょうがない……。
「素敵……白龍様……」
「君が赤龍ですか? どうです? 今夜食事でも、上等なワインが手に入りまして……」
俺は赤龍をナンパし始めた白龍を見て、その日が最悪の運勢だろうと決定付けた。
646HP-5000:2007/02/08(木) 20:15:26 ID:4mScaUAn
8∞ ∞ ∞
ピピピピピッ!
「熱は無いようね、打撲が少し多いけど……大丈夫ね、戦闘に支障は無いわ」
「ありがとうございます」
俺は今、本部地下にある白魔道部隊第一病棟に来ている。
ウルフウーマンとの戦闘で、体中激痛が走っていたからだ。
目の前で体温計片手に診察してくれているのは、通称"ドクター"で知られる女性医。
白魔道部隊の隊長でもある人だ。
「赤龍はどうしたの? あの子、火傷や出血もあるって聞いてたけど?」
「白龍にナンパされて、そのままくっ付いて行きました。ふぅ…」
そう説明すると、俺は今日散々な目に遭った事を思い出し、軽く溜息を付く。
そして、同時に後悔する事になる。
バキッ……。
「へぇ? 白龍に連れられて……それは、それは……」
「うっ……」
ドクターが見事に手にしていた電子体温計を、指先でへし折る。
更には掛けている細長い眼鏡が異様な光沢を放ち、綺麗な黒い瞳が見えない。
少しだけウェーブした茶色を帯びた髪が、肩の後ろで少々上下に揺れている。
そう……ドクターは人妻だ、勿論誰か旦那なのか言うまでも無い。
「青龍君、ついでにマッサージとかしてあげようか?」
「け、結構です! 俺、これで失礼します!」
ウィィィィィン。
俺は大慌てで、にこやかに言ったドクターから逃げるように、部屋から出る。
ドクターが俺を"君""ちゃん""さん"など付ける時は、相当怒っている時なんだ。
マッサージにも相当気合が入るに違いない、命に関わる。
「白龍のせいで戦闘不能になるのは御免だぜ」
「私が何です?」
俺は再び凍りつく、隣に思いっきり白龍が立っていた。
さて、どうしたものか……様子からすると、妻に会いに着たんだろうが……。
今入れば凄い事になりそうだ。と言って白龍に味方しても、ドクターに睨まれる。
ドクターに味方しても、白龍は一応上司、どちらにしろ俺には最悪な状況だ。
ウィィィィィン。
「麗しき私のドクター、今日もお前の為に眩しい笑顔を……」
ああ……何て考えている内に、白龍が中に……。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅりゅぅぅぅぅううううう!」
扉が閉まった部屋の中で、物凄いドクターの声と、ガシャガシャと轟音が鳴っている。
死んだかな……?
ウィィィィィィン。
息を呑んで聞いていた俺は、自動ドアが開いたのを見ると、ギョとした顔でそれを見る。
「は、白龍……さん? 大丈夫ですか?」
「取り合えず青龍、話があるので私の部屋に行っててください」
スーツの至る所に、メスや注射器が刺さっている姿で出てきた白龍が、笑顔で言う。
ウィィィィィィン。
そして、再び中に入って行った。
減給決定……だよなたぶん。
うん……たぶん、絶対減給だ。
647HP-5000:2007/02/08(木) 20:23:39 ID:4mScaUAn
9∞ ∞ ∞
「お前もドクターに浮気がばれて減給に? お互い頑張ろうな……」
俺は白龍の部屋、地下司令室に着くと、既に部屋にいた赤龍を哀れな目で見る。
「はぁー? 会うなり行き成り何言ってるのよあんたは?」
どうやら違うらしい……。赤龍は何の事かわからない様子でいる。
ウィィィィィン。
「これで、四龍全員揃いましたね」
そして、黒龍と共に入ってきた白龍を見て、俺は直に気を引き締める。
これが、初めて四龍全員揃って行う会議だと理解したからだ。
ピッ!
「このデータを見てください」
モニター横でリモコンを操作する白龍に言われると、俺はその内容を凝視する。
デスサイドキャッスルの活動内容及び、それを阻止した俺達の戦績を表すものだ。
「阻止率……えっ!? ご、五十パーセントにも満たないんですか!?」
赤龍が叫ぶ。敵の動きが激しくなっているのだ。だが、流石にこの戦績は酷過ぎる。
「問題ですね。俺達四龍の部隊、四つで分けても二十パーセントにも満たない」
「そうですね青龍、それも阻止出来る確率が高いのは、私達四龍が直接動いた時」
ウルフウーマンのような敵がいた場合、四龍が居ない部隊で阻止出来る確立は低くなる。
四龍に数えられる俺や赤龍でさえ遊ばれていたんだ。無理に決まってる。
「では、今度は此方のデータを見てください」
ピッ!
「あっ! 凄い!」
赤龍が最初に声を上げる。
俺も驚いて声が出なかった、先程と同じデータを現す内容がモニターに表示されている。
その阻止率、何と九十八パーセント以上。ほぼ百パーセントの内容だった。
「ほう……これはまた……白龍? このデータは?」
「格闘家部隊の戦績です」
黒龍も流石に感心した様子で、煙草の火を消しながら言う。
本来、四龍が請負う部隊は俺の重剣士、赤龍の軽剣士、黒龍の銃撃士、白龍の弓闘士。
この四つしかない、格闘家は確かにリアリスト・サイバーゲームで選べる職業だが、
その部隊が実際に存在すること事態、俺は知らなかった。
「皆さん知らないのも無理はありません、この部隊は私がまだこの組織に入った時、
四龍の制度が出来る前に存在した、第五の部隊なのです」
「第五の部隊? ですが、活動を見た事がありません」
「この部隊は戦いに自分の体を直接使うと言う理由から、既に廃止されいます」
俺は白龍の答えを聞いて、ん?と頭を捻る。体を使うのは、俺達も同じじゃないのか?
「こう言う事だ、俺や白龍の攻撃は遠距離、青龍は中距離、赤龍は近いがその気に.
なれば、ダガーを敵に向って投げ付ける事が出来る……だが」
「完全に密着状態でしか、敵にダメージを与えられない」
黒龍の言葉に、俺は気が付いて最後に付け加える。
「その通り、それが災いして部隊に入団する者が居なかったのです」
当たり前だ、相当の使い手ならともかく、相手は殆どが格闘を得意とする半獣人間。
幾ら体を武装しても、恐怖があれば対応が一歩遅れるからだ。
「少数ですが、部隊に入団した者達が存在しました。それを隊長となる筈だった男が、
当時の組織のトップに掛け合い、格闘家だけの独立部隊を作り上げたのです」
白龍以外の全員が絶句した。消える筈だった部隊を、たった一人の男が強大な組織に.
掛け合ったなど前代未聞だ。
「そして、何時の間にか彼の部隊は、私達の組織に対抗出来るまでに成長してしまい、
今では殆ど立場が逆転しています」
「立場が逆転? えっと……戦績の事ですか?」
「違うな、端的に言えば金だ。支援する側と、支援される側が反転したと言う事だ」
「正解です黒龍、情けない話ですが、今この組織の維持費は、彼の組織からの支援.
に頼っています。そこで突然ですが、青龍赤龍の二人に指令を出します」
格闘家部隊を束ねる男に会って、組織に戻るように説得してください。
これ以上大きくなると、敵の組織壊滅後、新たな敵になる危険も大きいからです。
共通の敵が消えた後、支援を打ち切られればどうなるか……わかりますね?
これから支持する場所に、格闘家部隊のアジトの場所を示す案内人が居ます。
彼の組織の合言葉になるコードネームは……。
――血溜まりのオロチ。
648HP-5000:2007/02/08(木) 20:29:03 ID:4mScaUAn
10∞ ∞ ∞
ブォォォォォ!
俺達は、白龍の指令を受けた後、何処かわからない偏狭の地へ来ていた。
周りは荒れ果てた荒野で道も悪く、車がガタガタ言ってやがる。
まったく。こんな所に住む奴は相当な変わり者だろうな……。
キィ!
「青龍様、赤龍様、目的の場所に到着しました」
「ご苦労、俺達が先に下りる。残りの奴らは後に続け」
ガチャ……。
俺は車のドアを開けながら、中に居た数人の剣士に言う。
そして外に出て直、俺は言葉を失う事になる。
「こんにちは。貴方達が青龍と赤龍ね? よろしく……ん?」
サワッ……。
俺と女の間に風が吹く。
健康的な小麦色の肌、ツインテールの栗色の髪、少し切れ長なその視線。
俺は二十二だが、少し年下だろうか、顔にあどけなさがある。
だが、その姿は大人のキャリアウーマンが着るようなスーツ姿だ。
だがしかし……可愛い……。
ハッキリ言おう、一目惚れだ、俺は速効でこの女に惚れた。
「……あの? 何か?」
「ちょっと! 青龍! 後つっかえてるわよ!」
「……っ!? あ、ああ……」
女が不思議そう首を傾げていると、後ろから赤龍の怒号が聞え、俺は直に車から降りる。
それと同時に、赤龍と並んだ俺の後ろに、部下の剣士達が一列に並ぶ。
相手の方は一人……護衛はなしだな……しかし、こんなか弱そうな子が案内役か……。
「私はALと言います。よろしくね!」
「っ……」
待て待て、何故そんなに可愛くポーズを決めて自己紹介する? 赤龍は絶句してるが、
俺は卒倒しそうだぜ……。
「あれ? 乗りが悪い人達ね?」
「そう言う問題じゃないと思うわよ……私が赤龍、よろしく」
「青龍だ……よろしく。それでALと言うのは?」
「アームレフトの略、私こう見えてもオロチ様の左腕、ちなみに戦闘要員」
待て……行き成りにこやかに言ってるんじゃねぇよ。オロチって言うと、格闘家部隊を.
束ねる男だな? で? この子が戦闘要員?
……………悪いが全然見えない。
「ところで、その後ろの人達は?」
「あ、ああ。俺の部下だ、護衛の為に一応……」
バチィン!
その瞬間、俺は何が起きたのか、さっぱりわからなかった。
わかったのは、左頬に痛みを感じたのと、何時の間にか俺が横を向いていた事。
その視線の先にいる赤龍が、口をポカンと開けていた事。
そう……俺はALのビンタを食らっていたのだ。
「オロチ様の条件聞いてました? "二人だけで来い"でしたよね?」
「あ、あんたね! だからって殴る事…」
「落ち着け赤龍……悪いのはこっちだ……」
俺はその場から移動した様子の無いALを見て、放心気味に言う。
この俺が、まったく反応出来なかった……。
「わかればいいのよ。じゃあ一応、合言葉を聞こうかな?」
「ち、血溜まりのオロチ?」
鼻頭に左手の人差しを突きつけられると、驚いた顔で赤龍が答える。
「よく出来ました! じゃあ二人だけ乗ってね」
「えっ!? ちょ……ちょっとまっ」
「うおぉ!?」
バタンッ!
ALが可愛くポーズを決めたのを見ると、俺達は行き成り高級車に押し込まれ…。
ブォォォォォォ……。
そのまま、車は走り出した。
後ろを見ると、呆然と立ち尽くす俺の部下達だけが見えた……。
649HP-5000:2007/02/08(木) 20:35:02 ID:4mScaUAn
11∞ ∞ ∞
ブォォォォ……。
「もう少しで着きますからね。ふんふんふーん……」
ALが楽しそうに、鼻歌を歌いながら車を運転している……んだか。
ここは何処だ?
猛スピードで走り出し出したかと思えば、何時の間にか、辺りがアスファルトで囲まれる.
場所に着いていた。
何とか来るまでの道順は覚えているが、ここまで来るまでの物凄い荒々しい運転で……。
「うぇ……酔った……気持ち悪い……」
赤龍程ではないが、俺も少し気分が悪い……。
戦闘訓練を受けている俺達がこうなるんだ、相当酷い運転だった……。
それはさて置き、俺はさっきから不思議でしょうがない事がある。
「ふぃ……相変らずオロチ様の屋敷は広過ぎね。全然屋敷が見えないよ」
ALが流石に疲れた様子で言う。これは屋敷の中なのか? それにしては…。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
「うっ、嘘? 何あれ?」
「戦車だ、今頃気が付くなよ……」
もう何が起きても驚くまい、車の横を何度も戦車が通り過ぎているのだ。
それだけではない、なにやらミサイルを搭載した車何かも見える。
オロチと言う男は世界的軍事力でも手にする気なのか?
「AL……オロチはどんな男なんだ?」
「…………会えばわかるよ」
急にALの空気が変わる。
フロントミラーに映るその顔が、一瞬だけ怪しい笑みを見せていた。
∞ ∞ ∞
「ねえ? 青龍……白龍の話では、格闘家部隊って少数だったのよね?」
「ああ……そうは見えないな、全員が戦闘要員でないにしても……」
屋敷着いて、俺達は目を丸くしていた。
広い屋敷の中に、まるで学校でもあるのか? と言うほどの人が居るからだ。
しかも……。
「あのAL? ここには男性は居ないのかしら?」
「居ないよ? 女の子ばっかり」
「うっ、やっぱり……青龍! オロチって女好きよ! 襲われたらどうしよう!」
赤龍、お前の言い分は前者だけ納得しておこう、確かに周りは女だらけだからな。
…………本当にオロチとはどう言う男なんだ?
「ここだよ。オロチ様! 連れて来ました!」
コンコンッとALが扉を叩くと、中から"ああ、入れ"と言う声が聞こえてくる。
その声を聞いて、俺と赤龍の表情が硬くなり、緊張感が増す。
これから終に、この壮大な組織を束ねる男に会うのだ。覚悟は必要だ。
ガチャ……。
「ああんっ! だめぇ! イクゥ! 私イッちゃぅ!」
「…………………………」
取り合えず……扉を閉めてもいいだろうか?
何故? こんな時に? 嫌……それ以前に何をしてる?
何故? 扉が開いて女の喘ぎ声が聞えてくるんだ? で、ALは普通な顔してるし……。
取り合えず……扉を開けた瞬間に赤龍はその名の如く、頬をボッと真っ赤にして……。
「きゃっ!」
と顔を覆ってしまった。
裸の女がソファーに座らされているあげく、後ろから両足を抱えられるようにして、
オロチのそれを、思い切り飲み込んでいるのが見える。
「イクッ! イクイクイクイクッ! もう駄目ぇ! 許してぇぇぇぇ!」
「何してる? 座れよ?」
「ひぁ! 駄目…あぁぁぁぁ! 凄いのぉ! ああんっ! イっちゃう!」
出来るか……。
俺達の目の前で、女を抱き上げてソファーに誘ったオロチを見て、俺は心の中で呟いた。
650HP-5000:2007/02/08(木) 20:41:50 ID:4mScaUAn
12∞ ∞ ∞
白龍と同期と言うからには、年相応の顔をしていると思えば…。
黒龍白龍にしても、全盛期の奴らはどうなってるんだ? 皆、童顔なのか?
「これが白龍が提案する、今回の締結についての書類…」
ズプズプッ……。
「ひゃぁ! ああ…ああっん! あんっ!」
「成る程、俺の部隊に帰ってきて欲しいわけだ」
オロチが片手に書類を持ちながら、大理石の机に女を押し付け、後ろから入っていく。
「ああ、それで条件としては……」
ズッ! ズッ! パンパンッ……。
「んぁぁぁ! イク! もう駄目! もう…んぁぁぁ!」
オロチがゆっくり前後に動く度に、女が俺の目の前で首を振って悶えている……。
「ふ…ん、大体理解したが。にしても……あの当時は俺達に酷い扱いをしておいて、
今更帰って来いと言われてもな。ふぅー」
首を振って面倒そうな顔をするな、そして腰の動きを早めるな。
「ひぁぁ!? な、何ごれ? 凄ずぎ……あっ…あ…あ…ひゃう! あああああっ!」
パンパンと言う音が早くなるに連れ、女の尻の肉が、後ろから前へと、波打つのが見える。
更には、俺の顔に少しだけ女の唾液が飛んでくる。
「ゴクッ……す、凄い……こ、こんなになっちゃうんだ……」
赤龍? 体を丸めてまで見るものか? 恥ずかしいなら見るなよ、顔真っ赤だぞ?
さっきまで顔覆ってただろ? その様子じゃ処女か?
「ふざけるな。そう白龍に伝えておけ」
「…………………てめぇぇぇぇぇ!」
ダンッ!バサバサッと、書類を放り投げられると、俺は机を殴り、立ち上がる。
「ああ? 興奮して盛ったか? だが、これは俺のだぞ? 隣の女で我慢しとけ」
「ひっ!? 青龍まさか!」
「誰がお前みたいな性悪抱くか!」
ガッ!自分の体を抱くようにして身を引いた赤龍に言うと、俺はオロチの胸倉を掴む。
「こんなふざけた話し合いがあるか! こっちは誠意を持って来てるんだぞ!」
「放せよ木偶の坊」
黒い髪、その中に隠れた青い瞳が、一瞬赤く染まったように見える。
刃金のような切れ味を見せるその声は、俺の体を直に硬直させ…そして。
「せ、青龍!」
赤龍が心配そうに俺に駆け寄ってくる。
俺は完全にオロチの殺意の篭った気迫で、その場に両膝を付き、体中から汗が吹き出た.
のがわかる。
――息が出来なかった。
「その程度で良く青龍の名を持ってるな? 情けねぇ奴だ」
「あっ、も、もう許して……もう無理……んぁぁぁ!」
ブチュ…と言う音がして、女がまた悶え始める。
オロチが右手上げると、肩で息をしていた女の背中に添え、再び中に入っていく。
チリッという音がして、俺はその音がする方向を見る。
「ひやぁぁぁぁぁぁぁ! だべ! もうだべ! おがぎぐなじゃう! んぁぁぁぁ!」
チリチリと音がする度に、押し付けられた女の胸が、大理石の上、下、に移動させられ、
ムニムニと形を変える。
オロチの右手は、薬指と小指が鉄で出来ていた。
それが、オロチが女の中を荒々しく行き来する度に、ぶつかって音を出しているのだ。
パンパンパンパンパンパンパンッ!
「っ……きゃ、きゃぁ……あうっ…あ…ひゃ…ひゃぁぁぁぁぁああああああああ!」
女がもう絶頂に来たのだろう、オロチが女の両腕を掴んで後ろに引張ると、抑制されて.
いた胸が汗と共に弾け飛び、重力に逆らって何度も反り返る。
そして……女が達するその目前だった……。
ミシミシッ……。
「くくくっ……ふはははっ! はーははははははははははははっ!」
オロチの笑い声が高く響き、俺達はそのまま声を失った。
「イクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ! うぁぁぁぁ……」
シュゥゥゥゥゥゥゥ……。
絶頂に達した女が体を最高まで仰け反らせ、体からは所々から湯気が立ち昇っている。
女が……俺達の目の前で、怪物に変身していた……。
651HP-5000:2007/02/08(木) 20:43:42 ID:4mScaUAn
今回は此処までです。エロかった……かな? お粗末さまでした(_ _)
652名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 20:55:30 ID:Uggy/3mI
GJ!!!
653名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 21:43:45 ID:lmi1xK7O
悪じゃないけど、バンパイヤに刻印を押された女性警官が
バンパイヤハンターにボコボコにされたあげくハメられるのってどうよ?
654名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 22:28:03 ID:ca6UI+Wr
gj
655名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 22:38:03 ID:WRRSegKl
>>653
どんだけ影響受けてんのww
656名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 23:11:48 ID:6JDLzfOB
悪人ではなくて属性が『悪』のダークエルフってのはあり?
657名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 23:35:31 ID:vBISUI3c
ダークエルフは大好物だ!
658名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 23:37:28 ID:3EMKwf4o
トロウル乙
659名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 03:24:12 ID:diY6rLa1
ちょっと亀レスだけどザーラ様GJ。こんだけ悪いと龍牙との第一話の戦闘が光るね。しかし、やっぱエロいわ。彼女。
ところで、秘書のお姉さんも気になるんですがご活躍の予定は?
660620:2007/02/09(金) 12:47:06 ID:yl9uMoPZ
感想くれた方々、ありがとうございます。

>>631
本編最終話でザーラは正義側に寝返っているので(人間性は変わってませんが)、
「続き」を書くのはさすがにスレ違いになるだろうと思います。ご了承下さい。

>>659
現時点で秘書の活躍予定はないんですが、何か思いついたら書くかも知れません。
すいません。
661名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 13:40:35 ID:fmQriMeQ
別にいいんじゃない?
榊夫妻がいいんだし
662名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 14:07:21 ID:MG/aKBGJ
榊さんはあくまで悪側という体裁を崩してないからなぁ。
あのラストも良かったし続きより新作がいいな…
663名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 15:19:24 ID:BAD8VXBo
ザーラたまが出てくれるってだけで、全然スレ違いじゃないんで
どしどし書いてください(;´Д`)
664HP-5000:2007/02/09(金) 20:08:14 ID:mOW///Ag
たった今,前回のつづきが書き上がりましたので投下します。以降5スレほど消費予定。
今度こそ次回更新未定です(_ _)
665HP-5000:2007/02/09(金) 20:08:50 ID:mOW///Ag
13∞ ∞ ∞
「これが、今回敵が新たに生み出した有機生命体の、輸送ルートだ」
俺はモニターに映った今回の作戦内容を、目の前に並ぶ部下達に説明している。
今回の作戦内容は、敵が新たに生み出したとされる、謎の有機生命体の殲滅と、
その輸送ルートの制圧が目的だ。
「……この地区の輸送列車を今から殲滅に向う、各自抜かりなく行動してくれ」
俺は一通りの説明を済ませると、自動ドアに向って歩く。
「ああ……そうだ」
俺は言い忘れがある事に気が付き、足を止めて部下に向き直す。
だが、あまり言いたくは無い事柄だ、だから忘れていた。
しかもだ、俺の部下達が期待に満ちた表情をしてやがる。不謹慎だぞお前ら……。
「今回の任務では、オロチの女と共同戦線を張る」
「ひゃっほー!」
同時に部下達が喜んで飛び上がりやがるし……頭が痛いぜまったく。
ガチャ…。
「オロチ様、私もう逃げませんよぉ! だから牢屋に入れるの止めてくださぁい!」
「我がまま言わないの! 皆平等に受けてるんだから! 我慢しなさい!」
目の前で怪物になった女に、ALが両腕に拘束具を付け、部屋から連れ出していく。
「い、今の女はまさか……」
「ああ、デスサイドキャッスルのベアガールだ。俺が捕まえた」
あの時、オロチは"白熊は珍しいだろ?"と、呆然としている俺達に笑って言った。
オロチの奴は、敵の女を捕獲し、その捕獲した女共を自分の部下にしていたんだ。
これが、格闘家部隊が成長した理由とも言えるだろう。
そして次に、オロチはとんでもない事を提案した……。
「なっ、オロチの部隊と共同戦線を張る!? 正気ですか白龍!」
「私は何時でも正気ですよ。せっかくの彼の申し出です、断われば失礼になります」
本部に帰って報告した俺は、白龍の言葉が信じられなかった。
確かに戦力的には、相当なアップが見込めるだろう。
だが、オロチの部隊の殆どは、デスサイドキャッスルに属していた奴らばかり。
何時裏切られるとも知れない……。
「納得出来ません! それに、オロチが敵に取入ってないとも言えないんですよ!」
「確かに青龍の言う通りだな、考えても見ろ白龍。一人の男が、そんなに大勢の敵の.
女……それも半獣共を連れている。幾ら屈服させるにしても度が過ぎている」
「白龍……」
「青龍、これは彼と親睦を深める良いチャンスです。決定の変更は無しです」
黒龍の後押しを受け、俺はもう一度白龍に強い視線を送るが、答えは変わらなかった。
そして……共同戦線を始めて既に数ヶ月……俺はその度に頭が痛い……。
ピッ!
「何時も無愛想な人ね? たまには笑ったら?」
笑えるか……お前も少し前までは、平気で人を殺してたんだろうが……。
「さっさと乗れ、次の奴……」
俺が無愛想に言うと、女は皮肉の篭った顔で舌を出し、横を通り過ぎるのが見える。
俺の後ろには、戦士達が乗る輸送型の飛行機がある。それに乗って行くんだ。
オロチの格闘家部隊、通称"オロチの女"は、言うまでも無く全員が怪物。
今は綺麗な顔してやがるが、戦闘になればその本性を剥き出しにする。
ピッ!
俺がさっきからやっているのは、こいつらがオロチの部隊に属しているかの確認だ。
こいつらは全員、体の何処かにオロチへの忠誠を示す刻印がある。
それは小さな刻印で、池の中から八つの蛇が空に向って伸びている、と言うデザイン。
この池が"血溜まり"そして蛇が"オロチ"を現しているんだろうな。
「ねぇ? お兄さん今夜暇? 良かったら私と……」
「お前みたいな化け物はお断りだ」
胸元を大きく開いた女に言うと、俺は胸の刻印に機械を翳す。
ピッ……機械の反応を示すサインは赤と青だ。
この刻印はバーコード見たいな物で、青が出れば、オロチの女と言う事になる。
つまりは、オロチの奴は偽者が紛れ込まないようにしているんだ。
「むぅ……皆! この男、絶っっっ対に不能よ!」
女は俺に断わられた腹いせだろうが……。
何で男の笑い声まで聞えてくる?……今笑った奴ら、取り合えず減給だ……。
本当に……頭が痛い……。
666HP-5000:2007/02/09(金) 20:11:14 ID:mOW///Ag
14∞ ∞ ∞
ゴォォォォォォォ……。
「はいはいーい! 皆仲良くしましょうねー!」
輸送機の細長い通路の真ん中で、可愛くポーズを決めて飛び跳ねている女が見える。
通路の両サイドには、壁を背にして俺の部下と、オロチの女が交互に並んで座っている。
それにしても、俺はその光景を見て、改めて良かったと思う事もある。
「どしたの青龍? ボーっとして?」
「あ、ああ……別に何でもない……」
通路で踊っていたのは言うまでも無く、オロチの左腕、ALだ。
俺は背が高い、ALは普通だから当然、何時も俺を見上げて来る感じになる。
彼女は、初期の段階で格闘家部隊に属していた、少数の内の一人だった。
何度も言うが、俺はこの女に惚れている……化け物でなくて本当に良かった。
「あんまり皆を毛嫌いしないでね。確かに根は超の付く悪人だけど、オロチ様に皆.
恋してるから大丈夫!」
俺に向ってピースしてくれるのはいいが、流石にそれは無理だ。
それはつまり、オロチの言う事は何でも聞くと言う事、"人を殺せ"と言われれば、
容赦なく殺す奴らって事だ。
絶対に信用は出来ない……んだが。
「ねぇ? お兄さん可愛いね? 今夜空いてる?」
「は、はい! 喜んで!」
待てそこの部下A、相手は化け物だって何度言えばわかる……。
「今夜俺と熱い夜を交わさないか?」
「あら? この私と? オロチ様みたいに満足させてくれるのかしら?」
おい、そこの部下Bは口説いてんじゃねぇよ! 何考えてる!
「私ぃ、最近オロチ様が相手してくれないからぁ、下のお口が寂しいのよねぇ」
「ぶっ!」
部下C……鼻血の出し過ぎで、お前そろそろ死ぬんじゃないのか?
これがオロチに恋している奴らのやる事か? 全員唯の盛ったメスじゃねぇか!
俺の部隊が全員男だってのも災いしてるのか? お前ら、状況を考えろ!
これから敵地に乗り込むんだぞ! 何なんだこの緊張感は! 完全に壊れてるだろうが!
「此処は合コンの寄り合い所かよ……」
「気苦労耐えないみたいね! まあ! 気にしない気にしない!」
…………可愛いよなやっぱり……。
「……………え、AL、良かったら今度食事でも……」と、本来なら誘いたいが……。
俺が崩れたら部隊は総崩れ、絶対に無理だ。これが指揮官の苦悩と言うやつだな、うん。
ビー! ビー! ビー!
急にサイレンが鳴る、今までナンパしていた剣士達が一斉に表情を引き締める。
オロチの女達も、怪しい薄笑いを浮かべ、楽しそうな表情になる。
緊張が一気に高まるのが見て取れる。
「よぉし! 今日も張り切って行きましょー! ね! 青龍!」
「おう」
クルクル回転しながら腕を振り上げるALを見て、俺は背中の剣にゆっくりと手を伸.
ばした。
667HP-5000:2007/02/09(金) 20:13:48 ID:mOW///Ag
15∞ ∞ ∞
「グォォォォォォ!」
物凄い勢いで、列車から怪物が飛び出してくる。
こいつらは敵の新たな有機生命体"モウモウ"牛の頭にMチップを埋め込んだ化け物だ。
…………何故モウモウ何て可愛い名前なのかと言うと……。
「わぁ! 牛が人間みたいに変身してるね、可愛いー! 名前はモウモウちゃんで!」
と、ALが勝手に本部に通信してくれたおかげだ。
後で黒龍辺りに"ふざけているのか青龍?"と言われそうで怖い……。
しかも可愛くないだろあれは、物凄い筋肉だぞ? どうやったら可愛いと思うんだ?
バチバチバチバチッ!
「はぁぁぁ!」
「ギャァァァァァァァ!」
俺は電撃を地面に走らせ、目の前のモウモウが柱の中で消滅して行くのが見える。
もう随分と戦ったが………。
「あはははっ! 面白いの作ったじゃない! この肉を貫く感覚! 堪らないわ!」
「ゴガァァァァァァァ!」
ドシュン……と体を角で貫かれ、数体のモウモウが空中に放り投げられる。
見た所、角がある動物の半獣だろうな、鹿か…? 足は馬の蹄見たいな形してやがる。
俺の剣士達も相当なもんだが、こいつらオロチの女は流石に群を抜いている。
性格にかなり問題はあるがな……。
「危ないよ青龍!」
「っ!?」
パァァァァァァン……と俺がそれを気にしている間に、目の前に迫っていたモウモウが、
声も無く弾け飛ぶのがわかる。
「ふぅー、何でボーっとしてるかなぁ? 今は戦闘中でしょ?」
「あ、ああ……悪い」
目の前に着地したALを見て、俺は相変らず信じられない顔をしている。
この小さな細い腕で、良く怪物を木っ端微塵に出来るもんだ、と感心していたからだ。
「もう少しで全滅だからガンバロー!」
そう言うと、ALの髪を結んだ長い紐が、俺の前で靡いて行くのがわかる。
戦闘用の服なんだろう、それは輸送機でのスーツ姿ではない。
黒いノースリーブの服、お尻しか隠さないズボンは、長い足の太ももを露出している。
そして縞々模様のニーソックス。黒いブーツ。
何時もはピンクの紐で結んでいる髪を、今は紫色の紐で蝶々結びにしている。
「逆に見惚れて支障が出るんだよな……はぁ!」
バチバチバチバチッ!
俺はその姿を見て呟くと、目前に迫っていたモウモウを薙ぎ払う。
その時だった。
ドゴォォォォォォォォン!
「きゃぁぁぁぁぁ!」
「なっ、AL! 大丈夫か!」
ALの悲鳴が聞えて、頭を上げた俺は顔を強張らせる。
列車の一部が爆発していた。しかも、その前に悲鳴を上げたALが横たわっている。
「うぉぉぉぉぉぉ!」
とにかく俺は、動かないALの元に急ごうと、目の前の敵を薙ぎ倒しながら突進する。
「ほーほほほほほほほっ!」
「女の声……人型が居たのか!」
爆発した敵の列車の陰から、物凄く不快な女の高笑いが聞えてくる。
短い黒い髪、縦に金色の線が入った瞳。ボンテージを思わせる形の、蛇皮の肌。
黒革のミニスカートを穿いているが、あまり意味は無いように見える。
綺麗な顔だが、口元には長い牙が見え、それは少しだけ濡れて、毒々しい光を放つ。
「あれは……資料で見た事がある、確か名前は……」
俺はその姿を見て、倒れているALを見ながら、思考巡らせる。
そして、最悪の名前を思い出す。
――毒蛇女王、スネーククィーン。
やつの牙に噛まれたら……確実に……死ぬ。
668HP-5000:2007/02/09(金) 20:16:45 ID:mOW///Ag
16∞ ∞ ∞
「ううっ……」
「あら可愛い? 悶え苦しむ姿を見るのが楽しみだわ」
「止めろ! ALを放せ!」
俺の目の前で、スネーククィーンの牙を、後ろから首筋に刺されようとしているAL.
が見える。
俺は周りの敵を薙ぎ払い急いだが、間に合わなかった。
「少しだけ刺して、時間を長引かせてやろうかしら?」
「てめぇ! 少しでもその牙でALに触れてみろ! 首を吹っ飛ばしてやる!」
俺は剣を大きく振りかぶると、スネーククィーンの注意を何とか引こうと必死だった。
「残念でした。私は男よりも女の方が好きなのよ。甲高い悲鳴が凄くいいでしょ?」
俺の挑発などお呼びじゃないって事だな……だったら。
「その前にお前の首を飛ばしてやるぜ! うぉぉぉぉぉぉ!」
ドゴォォォォォォン!
俺はスネーククィーンだけを狙って剣を振るが、それは地面を叩き割っただけだった。
「ほーほほほほほっ! その程度の動きで笑わせないでよ!」
声がして上を見ると、眩しい太陽と、影になったスネーククィーンが見える。
「くそ、すばしっこい!」
ギリッ…俺は歯軋りを立てながら、列車の上のスネーククィーンに飛び掛ろうとする。
だが……。
ザクッ!
「ひっ……か……」
俺の目の前で、スネーククィーンの長い牙が、ALの首筋に深く突き刺され、その表情が.
恐怖で歪むのが見える。
ドサッ……。
暫く身震いしていたALが、牙を抜かれ、俺の前に落ちてくる……。
「嘘だろ……? おい! しっかりしろ!」
俺は、直にその小さな体を腕に抱き、声を掛ける。
「…………」
だが、声は無く、顔面は青くなり、その体はどんどんと震えを弱めていく。
俺の目の前で、一番死んでほしくない女が……死のうとしている。
「あら? 深く刺し過ぎたわね? 苦しむ顔が見えなくて残念だわ」
そして……その言葉を聞いた俺の頭の中で、プツと言う音がする。
「え……?」
ドゴォォォォォォン!
スネーククィーンが疑問の声を出した時、俺は今までに無いスピードを出し、スネーク.
クイーンの頭を、上から打ち落とすように殴り飛ばしていた。
ガラガラッ……。
「な、何よ今の? 貴様さっきまでとは別人……」
「黙って死ね」
「ひっ……」
真上から天井を突き破り、列車の中に突き落とされたスネーククィーンの顔が恐怖に.
歪む。
俺は列車の上から、穴の中ので身動きが取れずに仰向けになっているスネーククィーン.
を見下ろす……。
そして俺は、剣をその胸元にゆっくりと剣先を向ける。
「い、嫌……は、話せる情報なら幾らでも、だから……」
知った事か、貴様は俺の前で一番やっては行けない事をしたんだ。
俺の表情が冷たく見えているのは、貴様の表情で良くわかる。怖いか? 恐ろしいか?
その恐怖を心に刻みながら……苦しみながら……。
――死ね。
「嫌ぁぁぁぁぁ!」
剣が悲鳴と共に、スネーククィーンの心臓目掛けて飛ぶ。
もう後数センチもしない距離に、それは見える。
だが――。
チリッ……。
「っ!?」
その音が静かに辺りを包むと、同時に剣の動きが、スネーククィーンの胸元で止まる。
「おいおい……お前……俺の女に何する気だ?」
剣の刀身を掴みながら、青い目を輝かせている男が、そこに立っていた……。
669HP-5000:2007/02/09(金) 20:21:34 ID:mOW///Ag
17∞ ∞ ∞
「お前、オロチ……何の……真似だ?」
「俺の女を勝手に殺す事は許さん、そう言ったんだが?」
「ふざけるなっ! そいつのせいで、ALが死んだんだぞ!」
俺は叫び声を上げて、剣何度も動かそうとする。
だが、オロチの指が出すチリチリという音だけが鳴り、剣はビクとも動かなかった。
「うをぉぉぉぉ! だったら俺の手で首をへし折る!」
「手を出すなと……言っているのが、わからねぇか?」
また……俺の体が、その静かな声で動かなくなる。体から汗が吹き出る。恐怖が襲う。
ザッ……そして俺は、その場に膝を付くと同時に思う。
自分の部下を殺されても、化け物を優先する男……血も涙も無い……。
――この男こそ化け物だ。
「本当に情けない奴だな、この程度の殺気でもう動けないのか?」
「くっ……馬鹿野郎ぉぉぉ! そいつはALを殺したんだぞ!」
「ALを? 成る程、お前はあいつに惚れているな? だからそんなに取り乱す訳だ」
オロチは事も無げに言うと、次に吐き捨てるように言う。
「俺の可愛い女達が同じ状況になって泣きもしない癖に、良く言うな」
「っ……」
何だと……? 泣く……あんな化け物達の為に?
馬鹿げている……奴らは今まで殺戮を繰り返してきた。本来なら許されない。
死んで当然、涙なんて出るものか、何故そんな事を俺に言う?
「化け物の事など知るか! 殺せ! 俺にそいつを殺させろ!」
「…………これ以上話しても、お前には理解出来ないらしいな」
オロチは心底ガッカリした様な顔をして俺を見る。何だ……? 何が言いたい?
「さて……」
俺が手を離していた剣が、その場にガランと投げ捨てられる。
「ひっ……や、止めて! 命だけは!」
そして、オロチがスネーククィーンに手を伸ばし、その顔が再び恐怖に歪む。
「大丈夫だ、直に良くなる」
「あっ…?」
俺は目を疑う。もし俺が捕まえるなら、気絶させるなり、拘束するなりする。
だがオロチは、スネーククィーンの体を横から抱くと、その左足を自分の首に掛けた。
チュク……。
「あっ、駄目……そんな…止め…あんっ!」
オロチは右腕で肩を抱き、胸板にスネーククィーンの体を押し付けると、大きく開脚さ.
せたスカートの中に左手を入れ、掻き回す。
何度もプチュプチュと音がして、スネーククィンがもどかしそうに、体をクネらせる。
「ひっ……んぁ…すゴ…んっ…あっ……」
「邪魔だな」
ビリビリビリッ!
「ひっ……嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
スカートが裂かれ、黒いショーツが染み付いた蜜を空中に飛び散らせながら、宙を舞う。
「見ちゃ駄目ぇ……おねが、もう止め……ひっ! あっ……んっ…ああっ!」
チュクチュク、チュクチュク、と音が鳴るたびに、肌に張り付いた黒いボンテージが、
いやらしく形を変え、胸の谷間を包む黒皮から覗く白い肌が、薄っすらと赤く染まる。
「ひうっ! ああっ…うわぁっ……ダメ……ダメダメダメダメッ! もうダメぇーー!」
ズプリと二本目が入れられ、丁度スネーククィーンのピンク色の溢れる蜜を流すその上.
で、体を包むのを止めている黒いボンテージが、ピクン、ピクンと動くのが見える。
クチュクチュクチュクチュクチュクチュ………ズブッ…。
「だ、ダメ! それ以上は無…もう入らな……んっ……ああっ、あぁぁぁぁぁぁ!」
スネーククィーンが、三本目が入れられそうな自分を見て哀願するが、それは敵わない。
「ああっ! あああっ! イクッ! もうダメ! もうダメもうダメダメダベッ…っ!」
ブチュブチュブチュブチュ! ジュブュブュブュブュブュブ!
オロチの指が、凄まじい速さで女の中を掻き回し、何度も辺りに蜜が飛び散る。
「ひっ…あっ…あ…う、あ…ダベェェェェェェ! イグゥゥゥゥゥゥゥ!」
プシャァァァァァァァ……。
スネーククィーンが飛ばした霧に似た甘い蜜に、太陽の光が反射して虹が出来る。
「くくくっ……」
それを見て、オロチは楽しそうに笑みを浮かべた……。
以上です。お粗末さまでした(_ _)
670名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 20:28:58 ID:fmQriMeQ
gj 書くの早い
671名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 20:30:57 ID:Z+4bh6Ag
>>642
伊佐未依衣子
TVアニメ、ブレンパワードの登場人物。
主人公、勇の姉でクィンシィー・イッサーという別の人格を持っている。
だが、劇中ではクィンシィ人格が主人格に成り変わっているっぽい。
たびたび主人公の前に立ちふさがる強敵。ブラコン。
672名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 20:37:13 ID:mOW///Ag
>>670
dクス(真似して見た)^^;;
実を言うと、リュウ過去変も、その場で書く→投下→書く→投下でやってました^^;;;
だから誤字脱字MAX!
でも……じっくり書いてもこんなもんかぁ……連投失礼^^;;
673名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 00:01:41 ID:BAD8VXBo
ブレンは主人公のフラグクラッシュぶりがたまらんかったな。
普通『お前に花束をもらって嬉しかった』って言った相手(姉)に
『ごめん、覚えてない』なんて言いませんよ。
674名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 00:13:28 ID:YCQsz58a
>665
高笑いが似合う悪女が嬲られて感じさせられるってのがGJ。
675名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 00:43:04 ID:yuXaG5sN
>>608のオロチと

>>679のオロチは別?
676名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 00:52:14 ID:7KAi/Bna
>>674
ありがとうwwいいですよね^^
>>675
読んで行く内にわかる筈……です^^;;;(たぶん)^^
たまたま起きてましたがもう無理です^^皆様良い夜をzzzzzzz。。
677名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 01:00:30 ID:9Bc/xEr/
GJ


>>679のオロチに期待
678まとめ人:2007/02/10(土) 14:04:45 ID:sIllUqWU
悪女アンケート、1週間が経過したので中間発表をしました。
かなりぼかした表現が多いですが我慢してくださいです。
最終発表は18〜20日頃にできるよう努力します。

>8日にまとめ人向けのコメントを下さった方
誤字指摘ですが、同じ表現が何度も出ているので意図的なものだと判断し、
訂正はしませんでした。ご了解下さい。
679名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 20:55:08 ID:xDicA7ls
はいわかりました
680名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 20:57:03 ID:yuXaG5sN
>>679
礼儀正しいオロチだがや
681名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 22:28:27 ID:VvVACYuO
榊ブルー&黒百合夫妻の続編をきぼーん
何かあれはツボにはまる
682名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 23:08:47 ID:lfv7Deji
オレも榊家読みたい。
683HP-5000:2007/02/11(日) 00:00:00 ID:Ov5euBTl
前回の続きです。(でもまだ終わらない^^;;)
以降8スレ程失礼ます。(_ _)私も榊家読みたいですww
18∞ ∞ ∞
ザァァァァァ……。
雨の音が聞える……。
「どうしてだ? どうしてこうなった?」
雨が俺の体を心の底から冷やす。
俺の瞳を濡らし、頬を伝う雨が冷た過ぎて……まるで引き裂かれるように……。
俺の視線の先に、黒い石が見える……雨に濡れて泣いている……。
あの時……俺がもう少し早く駆けつけていれば……。
――ALは死ななかったんだ。
「AL! もう少しだ! だから死ぬな! AL! AL!」
白魔道部隊のヘリの中で、俺は何度も何度も名前を呼んだ。
俺の声を聞いてくれ……もう一度あの笑顔を見せてくれ……そう願いながら。
「……ち……ま……」
「AL! 何だ! 何が言いたい!」
ALが微かに唇を動かした。その小さな手を握り、俺は力を込める。
何が言いたい? 苦しそうな声……それでお前は、俺に何を伝えたい?
俺は必死にその声を聞こうと、耳をALのその小さな……青い唇にそっと近づける。
その時……俺がALから聴いた最後の言葉……それは……。
――オロチ…様…。
「あんな奴の何がいいんだ? AL……奴はあの時……」
お前の側に居なかったんだぞ? お前を殺した奴を優先したんだぞ?
何故だ……? どうして? お前が居ない……。俺はまだ……何も伝えてない。
お前に伝えたい、俺も…お前に言いたい事があった。
「だけどよ……それがALに掛ける最後の言葉になるなんて、思いたくねぇんだよ」
もう一度、笑顔になったお前に、そのお前に伝えたかったのに……なのに……。
「うわぁぁぁぁぁぁ! ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
俺はその場に膝を付いた。そして何度も何度も、ALが眠る墓石の前で、腕を振り上げ、
地面を叩いた……。
684HP-5000:2007/02/11(日) 00:01:53 ID:7KAi/Bna
もう……あの笑顔を二度と見る事は叶わない……俺は…俺は、俺は俺は俺は…俺…は。
「青龍……」
「赤龍……?」
急に後ろから声を掛けられた。俺は振り向く。赤龍が俺に傘を差し出してくれていた。
悲しそうに俺を見る。何時もの捻くれた顔が見えない。悲しい顔はもう見たくない。
俺はそのまま……その体に抱き付いて泣いた……。
「すまん赤龍……」
「ううん。いいのよ……」
暫くすると、俺は泣き止み、再びALの眠る地面を見る。黒い墓石がそこには見える。
「その……青龍、これ……」
「これは……?」
俺は不安そうに赤龍が差し出したファイルを受け取り、中を見る。
「A……L……?」
その中の資料に、笑顔でピースサインを送るALの顔写真が付いているのが見えて、俺は.
目を丸くした。
それはALがまだ、格闘家部隊に入団した時の個人資料だった。
「ごめんね…青龍、何度も彼女の事知りたいって、言ってたから…その……」
赤龍が申し訳なさそうにしている。何を困る顔をする? 俺の心の傷を抉ったからか?
安心しろ赤龍……俺はちっとも傷付いてない、お前の気遣いが逆に嬉しいんだ。
「ありがとう赤龍……だが、禁止事項だぞ……」
「うん……」
赤龍は軽く苦笑いを浮かべる"あんたが元気になるなら"そう言ってくれて嬉しかった。
「る……か……」
ルカ……顔写真の横に、ALの名前が書いてあった。ミナミノ=ルカ。ルカ……か。
いい名前だ……お前の名前を知る事が出来て嬉しいよルカ。だけどなルカ……。
「俺にも……名前があるんだよ」
お前には知って貰いたかった。青龍じゃない俺の本当の名前……。
今言う事に意味は無いんだよ……ルカ……。俺はやっぱりルカの笑顔が見たい。
そこで初めて……お前の口から"私はルカって言うのよ"そう笑顔で言われたい。
「その後で、お前に名前を教えたいんだよ……ルカァァァァァァ!」
その場で何度も泣いた、だが……それは今迄で一番大きく……悲しい叫びだった……。
ザッ……。
「貴方達は……」
「お前は……?」
墓の前に居た俺達の前に、一人の女が現れた。手には大きな花束を持っている。
此処はオロチの屋敷の敷地の中。その中にある、戦士達が眠る場所。
俺は女の顔に見覚えがあった。何時かの鹿、モウモウを楽しそうに角で貫いていた奴だ。
「何をしに来た?」
「見てわからない? お墓参りよ」
何だと……? 墓参り……? 何の為に? お前は血も涙も無い化け物だろう?
俺はそれと同時に、ルカを殺したスネーククィーンと、目の前の女を重ねていた。
「ふざけるなよ……」
「青龍?」
赤龍が震えている俺を見て、心配そうな顔をしている。目の前には女が見える。
何の冗談か、女は花束を墓石に備えると、十字を切って両手を組みだした。
「何がよ?」
暫くして女が立ち上がり、俺の言葉に反応する。
ふざけるな。お前達が殺したんだ。お前達化け物が。ルカの命を奪った……奪ったんだ!
ダンッ!
「せ、青龍! 止めなよ!」
俺は何時の間にか女の胸倉を掴み、地面に押し倒していた。
そのまま首を絞めるつもりだった。そうなのかも知れない……。
「何時も無愛想なのに、そうやって怒る事は出来たのね……でも、悲しそうね……」
だが出来なかった……雨に濡れてそうなっているのだと、そうだとばかり思っていた。
女の瞳から……涙が流れ出していた。
「俺の可愛い女達が同じ状況になって泣きもしない癖に、良く言うな」
わからない…わからない…わからない……。
「…………これ以上話しても、お前には理解出来ないらしいな」
理解出来ない……こいつは涙を流す筈はない……わからない…わからない…わからない…
――わからない。
685HP-5000:2007/02/11(日) 00:05:20 ID:VISQGebR
19∞ ∞ ∞
あの雨の日から再び数ヶ月が過ぎた。
あれからもオロチとの同盟は変わらず、俺は今もオロチの女共と行動を共にしている。
だが、変わらない事はもう一つあった。
「AL、今回の任務の内容は?」
「有機生命体を作り出す、敵の幹部の捕獲よ」
また、ALと言う名を呼ばなければならない事だ。
暫くしてオロチの新たな左腕、ALがオロチの女と共に、派遣されて来るようになった。
あの時、墓の前で泣いていた女だ……。
「くくくっ……抜かるなよ青龍、期待しているぞ?」
そして、その日は最悪だった。
あまり広いとは言えないヘリコプターの中で、俺は不快そうにオロチの顔を見ている。
何時もなら、オロチの女共が俺の部隊に派遣されて来るが、今回はその逆だ。
オロチが独自に入手した情報だった事もあるが、目的は言うもでもなく……。
「レア物だ。必ず捕獲する、必ずな……」
そしてオロチは何時ものように笑う。その笑いは何時聞いても不快な音だ……。
ドゴォォォォォォォン!
「っ!? オロチ様! 道が!」
「二つか……ALお前はそっちだ」
敵のアジトに着いて、辺りの有機生命体を掻い潜り、俺達は進んでいた。
中には今までに見たことも無いタイプの化け物が、それはウジャウジャいた。
流石は、化け物を作り出す敵のアジトだけある。
「オロチ、お前はどうして、そんなに敵を捕まえる事にこだわる?」
ALと別れ、細長い通路を走り抜けながら、俺は不意にそう訊いていた。
我ながら馬鹿な質問だ。理由なんて決まってる。こいつは唯の女好き、それだけだ。
「くくくっ……敵の半獣が全て女だからだ」
やっぱりだ。訊くんじゃなかったぜ……馬鹿野郎が。
ドゴォォォォォン!
俺が心の中で毒付いていると、オロチが扉を殴り壊しながら中に突進して行く。
俺もその後に続く。
「どうやら、こっちの道で正解だったようだな」
そのようだ、目の前に人間ではない化け物のが見える。それも……。
「良く御出でくださいましたわね! 待っていましたわ!」
「良く来たな! 俺達が此処の番人だ! 覚悟しやがれ!」
と言うか……何だ? 白いのと黒いの……が並んでる…んだが。
見れば、そいつらは犬か何かの半獣だろう。ミニのスカートは相変らずだが、容姿はウル.
フウーマンに似ていやがる。違うのは、肌の色や毛が、白いのと黒いのって事だけだ。
これで名前が……。
「私はドックレディ・シロ! ですわ!」
「俺はドックレディ・クロ! だ!」
……………流石に力が抜けたぜ。
「くくくっ……面白い奴らだな」
面白くは無いだろ、やれやれ…だか、こう見えても半獣、油断はしない。
バキィィィィィ!
「きゃぁぁぁぁ!」
「あ、姉貴ぃぃぃ!」
……先制攻撃で不意打ちだったが。幾らなんでも、簡単に殴られ過ぎだぜ……。
シロが簡単に吹っ飛び、クロがそれを心配そうに追い掛けて行くのが見える。
「ううっ、誰にも殴られた事ありませんでしたのに……酷いですわ」
「てめぇ! 俺達、非戦闘員なんだぞ! 酷いじゃねぇか!」
嫌……そう言われても、ん? 非戦闘員だ? そうか、こいつら化け物作るしか……。
「野郎ー! もう許さん!」「出ていらっしゃい! 私の可愛い雪丸!」
二人は急に声を上げると、同時に左右対称に腕を振り上げる。て…雪丸?
ドゴォォォォォォォォン!
「っ!? う、うぉぉぉぉぉ!?」
地面が大きく砕け、それは俺の身長を遥かに越す場所に現れた。
「グォォォォォォォォォォ!」
目の前で、物凄い巨大な雪男のような化け物が、俺を見下ろしているのが見える。
おい……これの何処が、非戦闘員なんだ?
……デカ過ぎだろうが。
686HP-5000:2007/02/11(日) 00:08:25 ID:VISQGebR
20∞ ∞ ∞
「ちょっとクロ! どうして私の盾になりませんでしたの!」
「ひっ! ご、ごめんよ姉貴、あの野郎凄い早いし、俺も戦闘は苦手で……」
「駄目ですわ! 絶対に許しませんわ! 今度お仕置きですわ!」
待て……どうして急に喧嘩している?
俺は怪物が出てきて剣を構えが、二人は怪物の肩の上で、行き成り喧嘩し始めた。
二人は双子らしいが、あの大人びた顔で、あの粗相の悪さは何とかならねぇのか?
「鞭! 蝋燭! より取り見取りですわ! 覚悟していなさい!」
「ごめんって言ってるじゃないかぁ……ううっ」
あの様子だと、シロが完全に優位なんだな……哀れな奴だクロ。
「いい加減にしねぇか! 戦う気が無いなら…っ!」
「ははっ」
「ふふふっ」
俺が呆れてそれを止めようとすると、二人が同時に俺を見て、怪しい笑みを見せる。
「グォォォォォォ!」
俺が二人の喧嘩を見ている内に、怪物の巨大な腕が、真横から迫って来ていた。
やられた……。
ドゴォォォォォン!
二人のやり取りが、全て演技だと気が付いた時には、俺は壁に激突していた。
「ぐっ……しまった」
何とか剣で防いだが、情けねぇ……ダメージが大きい、足元がふらつく。
「あははははっ! 私達は騙まし討ちが大好きですの!」
「そうだぜバーカ! 姉貴を殴ったお返しだ!」
……許さねぇ、こうなったら問答無用で化け物ごと、俺の電撃を食らわせてやる。
俺は二人の面白そうな顔に殺意が芽生え、剣を大きく振りかぶる。
「待てよ青龍、今の体で勝てると思ってるのか?」
「最大出力で叩けばいい、そうすれば、あんな化け物一瞬で……」
「殺すなと、何度言わせる?」
そんな事はわかっている。だが、迷っている暇は無い。
ましてや、あんな化け物達の為に……。
チリッ…。
「黙って見てろ」
「なっ、一人でやる気なのか? 幾らお前でも無理だ!」
俺の前に歩き出したオロチは、指をチリチリと鳴らしながら、ゆっくりと怪物に向う。
だが、俺はその後姿を見た後は、不思議と止める気にはならなかった。
「くくくっ……」
ビュン…と風の音がして、オロチの姿が消える。
「え……? ど、何処ですの?」
「消えた? ど、何処だよ?」
あの二人も怪物の肩の上で、オロチの姿を探して辺りを見渡している。
だが、二人が下を見ている限り、その姿を見つける事は叶わない。
チリッ…。
その音は、怪物の更に上、遥か上空から聞えてくる。
「はははっ……ははははっ! はーはははははははははっ!」
バキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキッ!
「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
物凄い骨が折れると音と、オロチの笑いが辺りを支配する。
遥か上空から怪物の脳天を、体を真下に向け、オロチがその腕で引き裂く…。
怪物が悲鳴を無くした後でも、オロチの体は止まる事は無い……。
ドゴォォォォォォォォォォ……ン……。
最後に怪物の体が真っ二つに裂け、オロチの体が地面に激突する。
メキメキメキメキッ…と、地面が円状に陥没し、オロチの姿が粉塵と共に見えなくなる。
ザァァァァァァァ……。
同時に……左右に割れた怪物の体が、真っ赤な雨を降らせる。
それが、オロチの作った陥没した地面に降り注いで行く……。
チャプッ……。
「くくくっ……面白くも無い、弱過ぎるな……くくくっ、くくくくくっ……」
赤い雨が溜まった池の真ん中で、オロチが怪しい笑みを見せている。
俺はその時始めて見た、奴が……何故……。
――血溜まりのオロチと呼ばれているのかを。
687HP-5000:2007/02/11(日) 00:11:01 ID:VISQGebR
21∞ ∞ ∞
ザッ…。
「さて……」
「あ、あ、あ……」
「う、うぁぁ……」
またか……。
俺はシロとクロが、オロチに見下げられて、お互いを抱くように、その場に座り込んでい
るのを見て、頭を左右に振るう。
オロチはまるで儀式のように、何時もその場で、戦闘不能になった女共を抱く。
ビリビリビリッ!
「きゃぁぁぁ! 嫌ぁぁぁぁ!」
「や、止めろよ! 止め……うぁぁぁ!」
そして、二人のスカートを破り捨て、オロチは何時ものように行為を始める。
クチュクチュクチュクチュ。
「あ、ああ……駄目だ、止めろよぉ……そんな処触るなよぉ、ううっ……あうっ!」
「綺麗な小麦色の肌だなクロ?」
オロチは二人を重なり合わせるように地面に押し倒すと、シロの上でうつ伏せになってい.
る、クロの耳元で甘く囁く。
「えっ……? き、綺麗? う、嘘だ……そんな、あっ! ああっっ!」
ピチャピチャピチャピチャ……。
クロがそれを訊いて頬を赤らめると、オロチの舌がゆっくりとクロを濡らす。
その度に、クロは何度も喘ぎ、その小振りのお尻が、プルプルと震える。
「く、クロぉ…わ、私の顔にヨダレが垂れ、て、います、わ…嫌ぁ」
「あ、姉貴、ご、ごめ、あんっ! ああ! で、でも…ひぁ! オ…レ…ああっ!」
ダラダラと流れ出すクロの甘い蜜が、シロの綺麗なそこに流れ落ちる。
クロが何度も身を捩る度に、シロの胸に押し付けた、その豊満な胸が、何度も重なり合い、
二人の胸が、お互いを牽制するように、逃げては重なり、暴れる……。
「そろそろだな……」
ズッ……。
「うっ……うぁ! きゃ……あうぁぁぁぁ! くぅぅぅぅ……あっ! ヤダァ!」
クロの中に、オロチが優しく入って行く。
「うぁん! あ、ああ……優し……ひぁ! ん、ん、んんっっっ……っ!」
ズッ! ズッ! ズッ! ズッ! パンパンパンッ……。
「んぁぁぁぁぁああああ! 凄い! すごぃの! オ…レ…の中で、暴、ひぁぁぁぁあ!」
「嫌ぁ! 嫌ですわクロォ! そんなに舐めないでぇ! 嫌ぁ!」
突かれるのを早められ、クロが頭をシロの胸元に埋め、何度も喘ぎ声を上げる。
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンッ……。
「あわぁ……はぁん! だ、駄目ですわ! そんなに激しく動いたら……ひんっ!」
クロが喘ぎながら何度もシロの体を揺さ振り、シロのが綺麗な蜜を溢れさせて行く。
「クロ……お前は可愛いな」
オロチが優しく、その黒い耳を甘噛みして再び囁く。
ジュブ……ズブッ! ジュブ…ジュブ…ジュブ。
「あ、うぁ…うぁぁぁ! んぁ! あうっ……あ、ん…あっ! ひゃぁぁぁぁぁあああ!」
一度オロチは自分を先まで抜くと、そのままクロの胸を下から掴み、そのままゆっくりと、
腰を上下に使う。
「あふっ、やさしっ……うォ、オ、レ……そんな、優しく、され……た、ら……」
膝を立てた両足がブルブルと震え、クロの表情が歓喜に包まれる。
「あ、なに、かクル……クル、ウァァ、クルクルクルクルクルクルッ!」
そして、目を見開き、目頭に浮かべていた涙が流れ出す。
ドックン。
「クルゥゥゥゥゥゥゥゥッッッッ……!? ひゃぁぁぁぁああああ!っっっ……」
ブルブルブルッと、クロは全身の毛が靡かせ、そのままシロの体の上に果てる。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
「くっ……」
荒い息使いを耳元で聞いて、シロが悔しそうにオロチを睨み付ける。
「次はお前だ、どうした? 嬉しそうにしろよ?」
オロチはその視線を簡単に制すると、シロの中にゆっくりと手を伸ばして行った……。
688HP-5000:2007/02/11(日) 00:14:36 ID:VISQGebR
クチュクチュ……。
「どうした? 気持ち良くないのか?」
「はっ! 笑わせないで! この程度の愛撫で、この私が悦ぶ筈ありませんわ!」
シロと言う女、一度強い表情になってから、オロチの攻めを物ともしなかった。
気が荒いタイプだとは思ったが、ここまで耐えた奴は初めてだ。
バチィン!
「あ、姉貴!?」
「な、何をしますの!」
クロの背中越しに飛んだオロチのビンタが、シロの全身の毛をブルッと騒がせ、その体に.
密着していたクロが、驚いて顔を上げようとする。
「動くなクロ」
だが、それはオロチに背中を強く押され叶わず、再び二人とも身動きが取れなくなる。
そして、オロチがクロの上に体を重ね、シロの耳元で囁く。
「殺してやる」
恐ろしいまでの冷たい声が辺りに響く。
「あ、そんな……そ、そんな事……」
だが、何を思ったのか、シロは恐怖に顔を歪ませる事なく、その頬が赤く染まる。
グチュ!
「ひっ、きゃぁぁぁぁ!」
シロが悲鳴に近い声を上げる。オロチの指が容赦なく、荒々し動きでその中を掻き回す。
グチュグチュグチュグチュ! ジュブブブブブブブブ!
「きゃぁ! いやぁ! きゃふっ・・・・・・こ、壊れてしまいますわぁぁぁ!」
何度も首を振り、シロが今までに無い乱れを見せ、頭を抱えて何度も、クロの体を弾き飛.
ばす。
「あうっ! 姉貴ぃ駄目だ……そんなに激しく動いたら、俺の乳が摩れ、うぁ、んぁ!」
下からバィン…とシロの胸をぶつけられ、クロが頬を赤く染める。
パンパンッパンパンッパンパンッ。
何度も何度も、シロが体を仰け反らせる度に、クロの胸が中に押され、また膨らみを取り.
戻すを繰り返す。
「くくくっ……どうしたシロ? 死ぬのが怖くてそんなに悶えているのか?」
「ち、が、いま…ひぁ! ん、んんっ! イジ……きゃ、メ……て……くふっ!」
急にシロの強い口調が弱まり、オロチを愛しそうに見る。
クチュクチュクチュクチュ……。
「言ってみろ? どうして欲しい?」
「だ、からっ、あうっ! わた、し、私をぉぉぉ! メチャクチャにしてくださぁぁい!、
もう死んでしまうくらいにぃ! 私を、私を殺してぇぇぇぇぇ!」
「なっ……あ、姉貴?」
シロの抑制された心の叫びが響き、クロは驚きで声を詰まらせる。
「くくくっ! いいだろう! 死ぬほどいい気分にしてやる!」
「きゃぁ!」
オロチはそう言うと、クロとシロの位置を反転させ、今度はシロの背中を手で押え付ける。
グチュ……ズッズズ! パンパンパンパンパンパン!
「ひゃうっ! 凄、ひああぁう! 死ぬ! 死んでしまいぐっ、まずわ! 私、きゃふ!」
「嫌ぁ! 止め、姉ギ、胸だめぇぇぇ!」
凄まじいオロチの責めに、シロ狂ったようにクロの両胸を掴み、ボールを扱うようにメチ
ャクチャに動かす。
「くくくっ、クロ……せっかくだ。お前も一緒にイけ」
ズブッ……。
「うっ!? んぁ……うぁぁぁ! ひゃぁぁぁ!」
オロチがその左手で、シロの甘い蜜を流すその舌で、ヒクヒクしていたクロを掻き回す。
ズズズズズッ! パンパンパンパン! クチュクチュ! ジュブブブブブ!
「死ぬ! もうダメェ! シヌシヌシヌシヌシヌシヌシヌうっ、あっ……っ!」
「ダメな、のにっひうっ! 指だけ、で……オ…レもうっ……っ!」
二人はお互いに両手を組み合うと、同時に全身の毛がブルブル震える。
「あっ、イク、もう……あっ、あ、あ、ぁぁぁぁぁぁあああああああああっっっっ!」
シロは最後にギュウっとクロの胸を絞り上げ、そのまま重なり合って果てる。
「イクゥゥゥゥゥゥゥゥ! ああっ、あっ、うぁ、うあぁぁ、あぁぁ……」
オロチがシロからゆっくりと引き抜かれると、そこから溢れた白い液が、ドロリとシロか.
ら抜け落ち、クロの中を包み隠していく。
二人は荒い息で重なりあったまま、最後に"オロチ様"と、うわ言を呟いた……。
689HP-5000:2007/02/11(日) 00:19:49 ID:VISQGebR
22∞ ∞ ∞
俺は運命と言う言葉は信じる方だった。
こうして俺が生きているのも、仲間が死んで行くのも運命。
この世に性を受けたその瞬間から、それは揺ぎ無く動いて行く……。
そう……信じていた、この瞬間が来るまでは……。
ゴォォォォォォ……。
「くっ……何が起こった? 皆はどう…した…?」
俺は地面に伏せながら、顔を上げる。
そこには大破したヘリの残骸が炎を上げて燃えている。
そうだ、俺は今日、オロチと共にシロとクロを捕まえたんだ。そして……。
「お、オロチ様!」
「っ!?」
ドゴォォォォォォォォ……ン……。
パイロットの女が叫んだ。そして、一瞬で俺の目の前を物凄い光が走り…。
「俺は気を失っていたのか……? うっ!」
何とか体は動く……だが、体中に激痛が走る。
皆はどうした? AL…パイロットは? シロとクロは? オロチは……? 
死んだ…のか…?
俺は燃え盛るヘリを見ながら、呆然と立ち尽くしている。そして、次々に思考を巡らせる。
事故か? 嫌…あの時パイロットは何かに気が付いて叫んだ……っ!
「敵の攻撃か!」
俺はその答えを導き出すと、脳がハッキリと覚醒し、剣を構える。
ヘリの胴体に穴が見える。その壊れ方、威力は少ない……。
「小型のバズーカー砲か……」
「あったりー! 流石は青龍! いい勘してる!」
な……に?
俺はその時、意識が覚醒しなければ良かったと、心底後悔した。
「それにしてもー! これって威力弱すぎ! そう思うよね? 青龍!」(嘘だ…)
俺の前で、一人の女が、両手にトンプファーを持っている。
嫌、トンプフーにしては異様な形だ。女の腕ほどの大きさがある……。
そうだ、あれはデスサイドキャッスルのトンプファー型、特殊小型バズーカ。
それを扱えるのは、たった一人の女だけ……。
「でも! 青龍って凄い丈夫だよね? いやぁ! 感服だよ!」(夢だ…)
キャットレディ。資料で見た事がある。数年前に忽然と姿を消した、四人の幹部の一人。
黒い獣の耳、尻の上辺りから生える黒い尻尾。
「他の人達の死体が見つからないんだけど……青龍知らない?」(止めてくれ…)
太ももから下が、縞々模様の毛並み包まれ、足元まで続いている……。
獣の形をした足が、何度も華麗にステップを踏んでいる……。
「あれ? 怪我してる? 大丈夫? なーんてね!」(笑うな…)
黒い瞳の中に、キャットレディが背にしている三日月と同じ光が見える。
だが…だが…その顔は…。
小麦色の肌。栗色の髪。ツインテールを縛る紫色の紐。その声……その声!
「ル……カ?」
「あれ? どうして名前知ってるの? もしかしてストーカー?」
嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ……。
「嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
俺の目の前で、ルカが可愛くポーズを決めている。
嘘だ。そうお前の口から言ってくれ! これは悪い夢なんだと言ってくれ!
「何でだルカ! どうしてお前が!」
「クスクスッ…ダサいね、私の正体に何時までも気が付かないなんて、私の年考えれば、
一目瞭然じゃない? 馬鹿じゃないの?」
可愛い顔が急に豹変する。紫色のアイラインが、その冷たさを強調する。
その笑いが、俺が求めていた筈の笑いが、俺の胸を裂き、俺を殺していく……。
「バーカ。最初から私はオロチの目を盗んで、あいつを殺す機会を伺ってたのよ」
「な…んだと?」
最初から? じゃあ全部、嘘だったのか? 死んだのも? 俺に笑い掛けていたのも?
じゃあ……じゃあこれは、本当に現実……?
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 夢だ! 夢だぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「うるさー! さっさと死んでよね。耳に響いて不快だわ」
ルカが…俺に向ってゆっくりとトンプファーの先を向け…冷たく…笑った…。
690HP-5000:2007/02/11(日) 00:20:46 ID:VISQGebR
今回は以上です。
そろそろクライマックスかな……?(でもたぶん次では無理;;)
エロとか暴走し過ぎて2ページも使ってしまった……。
最初の悲しい描写はどう削っても3ページ使うし……ふぅ。
張ってみて初めて誤字脱字気がつくし……はぁ。
愚痴失礼しました^^ お粗末さまでした(_ _)(3pは無謀だと再認識中)
691名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 00:58:52 ID:+/4uYvVb
>>HP-5000
「物凄い」て使いすぎ
つーかホント長すぎ。もう少し容量気にしろっつーに
692名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 01:53:39 ID:q5M+47sB
妙な文句つけてるなw
693名無しさん@ピンキー
容量は次スレ立てればお終いだから気にしないでいいが……気がついたら450KB超えてるし。

HP-5000氏のペースを考えると、あと二日くらいで移行だな。
つーことでテンプレ叩き台用意しておくので、調整よろしく。

【つかまえて】悪の女とH 3【つかまえられて】

いじめが大好きな女子高生から残虐非道の悪の女幹部まで。
悪の女を捕まえたり、悪の女に捕まったり、時には悪の女とラブロマンス!
とにかく「悪の女とH」が基本コンセプトのスレです。

・創作/二次創作、どちらも歓迎。ただし実在人物はNG。
・「やられ」・「グロ」表現が多少なりともある場合は投下前に注意書きをしましょう。
  (悪の女が死んじゃう場合は下記に該当スレがありますのでそちらに投下しましょう)
・雑談や感想レスなど、書き手が投下しやすい環境を心がけましょう。


◆前スレ
 【つかまえて】悪の女とH 2【つかまえられて】
  http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1162820600/


◆関連スレ
 悪の女をつかまえて INエロゲ板
  http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1152888591/

 【戦闘】悪の女戦士を屠るスレ 3【やられ】
  http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1164572421/l50
          悪の女を屠るのがメインの場合はこちらに(やられ・グロ表現があるので注意!)


◆悪の女を捕まえてスレ まとめblog (保管庫)
 http://marrymeakujo.blog74.fc2.com/