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神姫狩りシリーズ:2006/10/15(日) 01:45:26 ID:W8Pw7O1r
スレ立て乙ですよ
さて、では早速第6話、行きますよ!
えっと、前回に引き続き、残酷な描写があるかもですので、めがっさ気をつけるにょろ。
ではいきます。
それは誰も知らなかった。
それはついに姿を現した。
しかしそのすべてを見た者はいない。
残るのは、紅き殺意の記憶のみ…。
<凪さん家の十兵衛さん第六話『朝霧の紅眼』>
「全小隊!第三小隊の活路を開け!今日で決めるぞ!」
『了解!』
私達は進撃を始める。
既に敵は大軍勢で待ち構えていた。
『ふふふ…待っていたわよ…さぁ、踊りなさい…私の歌で』
「くっ!」
私達の前に立ちふさがった神姫達がいっせいに同じ単語を発する。
私達は身構え、覚悟を決める。
「皆!行くよ!」
『ラジャー!!』
私達の勢いが増す。今日はいける。絶対にやれる!今日こそ終わらすんだ!
迫りくる操られた神姫達。手には今までの戦いで奪ってきたであろう様々な武器が装備されていた。
「はぁぁぁ!」
私はそれらを電磁警棒の一撃で黙らせる。別に今回に限ったことではないが、作戦はあくまでも「原因となる神姫の確保、または撃破」である。
そのため、私達の基本装備は電磁警棒と、相手に文字通りの衝撃を与える弾丸を放つショックライフルだ。
もちろんしっかりとした装備も持たされてはいるが、それを使うことを許される相手は敵の武装神姫
「セイレーン…」
だ。あの屈辱…必ず倒してやる。
それに…そんなこと考えたくも無いが…たとえ私がやられても、今回はあの「十兵衛」ちゃんがいる。
今まで私が見た神姫の中で過去最高の狙撃能力を持ち、確実に相手を撃ち抜く心眼の持ち主だ。
どうやら巷ではその名前に合わぬ攻撃スタイルから「銃兵衛」と呼ばれていたり、
または左目の眼帯姿から、見た目そのまま「隻眼の悪魔」と呼ばれていたりする。
まぁこちらに関しては「隻脚の悪魔」タイプストラーフ「ルーシー」と混同される可能性
(リーグクラスが違うのだからありえないのだが…)が危惧してか、あまり使われることは無いのだが。
「くっ…」
な、それにしてもなんだこの数は…。この前とは比べ物にならない…。
その数ざっと五十体以上はいるんじゃないだろうか。
それに対してこちらはいっても三十…。
くそ、なんでこちらから出向いたのにこちらの防戦一方なんだ。
おかしいではないか。私達は攻めているのだから。
早くあの憎きセイレーンを早く見つけ出さねば!
「セイレーン…」
ええい、そんな綺麗な名前、あの天使型には似合わない…。今日以降その名は名乗らせない!
ピ−ン…
「えいやぁ!」
バリバリバリ!!
電磁警棒がうなりを上げる。
その瞬間…風…。
…何か感じる…この路地の向こう…この気持ち悪い感覚。
「いる…」
あの時の恐怖が甦ってくる。怖い、怖い怖い怖い…そんな記憶を、感情を押し殺して私は白銀の翼で翔けていく。
「そこに…そこにいる!」
路地のつき当たり…。
白い羽の悪魔がそこに佇んでいる。
「ふふ…来たのね…かわいい天使さん」
「はぁ…はぁ…」
相手から発せられる強烈なプレッシャー。殺意、欲望…そんな黒い物が私に覆いかぶさってくる。
ぐ、負けない…絶対負けない!!
「せ、セイレーン!!!覚悟!!!」
「あら…。乱暴ねぇ!!」
私は電磁警棒とライフルを排除し、ライトセーバーを構えて突進した。
今度は私が貫いてやる!
いくら十兵衛ちゃんがいるといっても、彼女だけにすべてを背負わせるわけにはいかない!
彼女はせっかく地上に戻って明るい世界を取り戻したのだ。裏の世界に干渉させたくはない!十兵衛ちゃんの出番が無いほうが良いに決まっているのだ。
さっきはやられても…と言ったが、いや、やられるわけにはいかない!
「はぁぁぁぁぁぁ!!」
「ふん、美しく無いわね…」
セイレーンはひらりと攻撃を受け流した。
私は突き貫いた剣先を翻し、もう一振りする。
「やぁぁぁ!!」
「ふふ、どうしたの?こっちよ?」
またもやかわされる剣。
「ミーシャ!落ち着け!見切られている!」
「り、了解!」
くそ、私としたことが…焦っているとでもいうのか!
私は剣を構えなおす。
「ふふ、小手調べは終了かしら?本部の奴隷天使さん?」
「なっ!」
き、貴様…私が誇りを持っているこの地位を「奴隷」扱いだと…!
「ふ、あなたが犬型だったならちょうど良いのに…ねぇ?」
「き、貴様ぁぁぁぁぁ!」
こいつ!絶対に許さない!
「ふふふふふ…いいわ、その表情…さぁ、もっと怒りをあらわになさい!」
「ふ、ぐあ!み、ミーシャ…」
と、私とセイレーンの声以外の声が響く。
「!?」
振り向くとそこには様々な神姫達に雁字搦めにされた犬型、ハウリンがいた。
あの装備、あれはまさしく私達の部隊の第一小隊隊長神姫だ。
「シン!!」
無事だったんだ!まだ生きていてくれた!私はその事実に素直に喜んだ。
「ふふ…呑気ね…喜んでいて良いのかしら?」
「なに!?」
「う、うあぁぁぁぁぁぁ!!!!」
シンにまとわり付いた神姫が動き出す。
「シン!!!!!!」
「さぁ、お聞きなさい…美しい歌を…叫びの歌をね!!」
そう言うと無数の神姫達がシンの全身に力を加える。
「ぎあぁぁぁぁぁ!!!!」
「シン!!!」
私はシンを救うべく下降、電磁警棒を拾い上げブースターを噴かした。
が…。
「はぐぅ!!」
私の背後からチェーンが飛び出し、そしてそれは私の首に巻きついた。
「ひぁ!」
背部に強い衝撃が走る近づいていたシンとの距離が離れていく。
「し、シン!」
「み、みー…シャ…」
「ふぐっ!」
真横にはいつ間にか、セイレーンの歪んだ笑顔があった。
「ふふ、そうはさせないわ…貴女には十分に味わってもらわなきゃね」
そう言って私の首に巻きついたチェーンを引く
「ぐ、ぐぬぅ…」
「さぁ!私のかわいい人形達!その哀れな犬に悲痛な歌を歌わせてあげなさい!」
「ぐ、ぎ…あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁ!!!!!!」
「シン!!!!!」
「あなたはまだおとなしくなさいな」
「ぐっ…!」
チェーンの締りが強くなる。
「シ、ン…」
「さぁ、楽しみなさい…思う存分ね…ほうら御覧なさい」
「ぐあぁぁぁぁぁあぁぁぁ!」
まとわり付いた神姫がシンの腕を持つ、既に腕部アーマー類は剥がされて素体部分が露出しているその腕を、本来曲がるはずの無い方向に曲げようとする。
「あ、あが、ぎ!!がぁぁぁぁ!!」
路地裏の攻防が行われている喧騒の中、シンの叫びが木霊する。
「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
私は叫ぶ、叫ぶことしか出来ない。
「まずは〜み〜ぎっ…」
と甘ったるい声でセイレーンがつぶやく。
びき、ぷち、ばち…ぼき…シンの右腕が悲鳴を上げる。それとともにシン自体も悲鳴を上げ、残酷な二重奏を奏でる。
「が!うぎあぁぁぁぁぁ!!!!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ふふふふふふ…」
バギャアァッ!!!腕がへし折られる音がした。
「がはぁ!!!!……」
崩れ落ちるシン。
「シン!シン!!!!!」
「ふふ、おねんねしちゃったのかしら?でも〜さ〜せない…!」
神姫がシンの右足を持ち上げた。そしてその膝を。
ベギッァァ!!
「っっっっつ!!!ぐぁ!!!」
シンがその痛みに耐え切れずビクンと反応する。
その顔は涙やら涎やらでぐちゃぐちゃに汚れている。
「あ、あが…う、うぅぐ…」
「いや、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!やめてぇぇぇぇぇ!!!」
「ふふふ、まだまだ…お楽しみはこれからよ…」
「ぎはぁぁぁぁ!うが!あぁぁぁ!!!!」
・
・
ごぉごぉごぉごぉ…。風が強い。作戦が開始されてすでに一時間…一体今下では何が行われているのだろうか。
私達…第X小隊は私を中心にX2さんが右側、X3さんが左側の警護をしている。
私はというと、レーザーライフルを構えた射撃姿勢のまま来るべきチャンスを狙っていた。
「皆、大丈夫なのかなぁ」
私は視線を動かすことなく口を開く。
「回線が時折混乱しているが、まだ全滅はしていない。膠着状態かと」
と右側から声。
「そ、そうなんですか?」
「ええ、あなたももっと落ち着きなさい」
とX2さんに言われてしまった。
「は、はい…でも…」
「?」
「ただここで見ているしか出来ないなんて…」
「何を言ってるの?」
左から声。
「え…」
今度はX3さんが口を開く。
「貴女の任務は「目標神姫の狙撃」でしょう?貴女はは何もしていないわけでは無いわ。
狙撃は非常に高度な技術。それをするあなたは間違いなく今回の鍵よ」
「X3さん…」
「だから自信を持ちなさい。皆あなたを信じている」
「はい…」
そうだ、私には皆がついている。皆私を信じてくれているんだ。応えなきゃ、皆の想いに!
「しかし…まだ狙撃ポイントに連れ出せてはいないようね…」
「電波状況が悪くて状況が把握しづらい…注意が必要だ」
「十兵衛さん、貴女はただ撃つ事だけに集中して頂戴。それ以外は私達が何とかするわ」
「は、はい」
私は左目のカメラを起動し、確実に相手を射抜くためにライフルを構えなおした。
「ま、目を瞑ってでも当ててみせるけど」
私の中の何かがそうつぶやいた。
・
・
・
「がはぁ…う、うぬぁ…」
ドサッ
崩れ落ちる音。勇ましき戦士は見るも無残な姿になっていた。
「ふふ、どうかしら?」
悪魔のささやきが路地に響く。
「う、うぅ、いやぁ…も、もうやめてぇ…」
泣き崩れる天使。
「ええ、もうじき終わりにしてあげるわよ?」
「え」
「ぐはぁぁっぁぁぁぁあぁあぁぁぁああぁ!!!」
ベキ…ミシ…ベキベキ
「だって〜、もう体しか音を奏でられる箇所が無いんですもの…」
シンの腰に負荷がかかる。
「あ、あが!がぎゃ!」
苦痛を超えた表情、その瞳孔も口も涙腺も既に開ききっている。
そして…
バギャ!今までで一番大きな破壊音がした。
「がァxかおgbじゃgじぇrjgぽあrkごあr!!!!!!!!」
その音の主は声にならない音を発した。その瞬間、シンと呼ばれていた犬型武装神姫は機能を停止した。
「あ、あぁ…」
「ふふふ、お楽しみいただけたかしら?」
「…」
この野郎…
「?どうしたの?何かご感想は?」
「…」
ふざけるな…
「あまりにも美しすぎて声も出ないかしら?」
「る…せない…」
私の仲間をよくも…
「…?なぁに?」
「許せない!!!!!」
私は拳に力をこめた
「ぐ!?」
「おまえだけは…おまえだけはぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
私はセイレーンに向かって突進。体当たりで衝撃を加え、そのままスラスターを最大に噴かして急上昇し、路地から遥か上空まで飛び上がる。
「な、何を!?血迷ったのかしら!?」
「うるさい!この醜い悪魔めぇぇ!!!」
私はセイレーンにありったけの拳を打ちつけた。
「くっ!!」
「この!この!このこのこのこのぉぉぉ!!!!!」
私は憎悪をこめて拳を振り続ける。
その内の一発が顔に当たる。
ガシィ!!!
「!」
セイレーンが私の拳を受け止める。その手の先には歪みきった悪魔の表情。
「言ってくれたわね…この私に醜いと…良いわ、そして…今!この私の顔に傷をつけた罪…死をもって償うがいい!!」
「!?」
「アーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
その顔が口を開け、戦慄という名の歌を歌いだす。
「ぐぅぅぅぅ!!!!」
再び襲いくる精神波。
「アーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
「く、ぬ…負けない…負けるもんかぁぁぁ!!」
私は拳を握りなおし、構えなおす。
「やぁぁぁぁぁぁ!!」
「アーーーーーーーー!?」
怒りの鉄拳がセイレーンの頬に強烈な一撃を加える。
あまりの衝撃に吹っ飛び、落ちてゆくセイレーン。
しかし途中で体勢を立て直す。
「く、…やったわね…一度ならず二度までもぉぉぉぉぉ!!!!」
セイレーンは上空高く飛び上がり、手を広げた。
「じゃあこれはどうかしら!!!!」
キィィィィィィィィィィィン
「!?」
声じゃない。音としては感知できない。しかし確かに感じる。
「あ、あが…うぐうぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
頭が押しつぶされそうな感覚が襲う。
が、
「うぐ!?」
歌が止まった。その歌の主、セイレーンを見る。
「はっ…」
頭を貫く一筋の青い光。レーザーライフルのそれだ。
「まさか…そうか!十兵衛ちゃん!」
その光の大元、そこを辿る。その先には紅眼の狙撃兵がいた。
・
・
・
「!?」
上空に飛び上がる光が見えた。左目の能力を駆使してその光の正体を見る。
「リミッター解除………!ミーシャさん!!じゃああの神姫が…」
セイレーン…ね。
まただ…私の中の私がささやいた。
さ、交代の時間よ…。
え…?
あなたはあなたに出来ることをしたら良いの。だからここは私に任せなさい、十兵衛。
あなたは誰?
あら、忘れちゃったの?あなたよ?私はあなた、あなたは私。
あなたは誰?
そうね…面倒だから銃兵衛にしておきましょう?だって私の出番は今だけだし。
銃兵衛さん?
そう、あなたの狙撃能力を司る者。私は銃兵衛…。もう一つのあなた。もう時間が無いわ。
これ以上の犠牲を出したくないなら変わりなさい。私に。
…銃兵衛さん…分かりました。お任せします。
OK。
「X3、周囲を警戒!」
「了解、X2!」
「やるわ…」
眼帯システム完全起動。全システム同期開始。目標コア検出。電源系統検索。記憶領域を残しつつ、機能を停止させる。
って…ちょっと…接近し過ぎ…。これじゃミーシャ、あなたに当たってしまうじゃない。それにしても…あの子結構漢ね…。
理由は、さっきからミーシャがセイレーンに振り上げた拳を何度も打ち付けているから。
ん?…セイレーンが何かし始めた…。
と、思いきやミーシャの追撃が決まる。墜落するセイレーン。
が、セイレーンがキリモミ飛行をしながら上昇。もう…軌跡の予測が難しいわね…
そしてまた動きが止まる。
セイレーンは手を広げ、口を開く。ふふ…隙だらけよ?じゃあ撃たせていただこうかしら。
「っ!?」
いきなり強烈な違和感が襲う。あと少しだったのに…なんなのこの気持ち悪い感覚は…。
「敵の精神波!こんな所まで!」
X3が叫ぶ。ちょっとあまり大声出さないでくれる?万が一という事だってあるのだから。見つかったらどうするの?
「十兵衛さん!」
今度はX2。
「はぁ…わかってるわよ…」
そう、今ならセイレーンは動いていないし、確かに今しかないだろう。
集中するには少し頭が痛いけど。
私は狙いを定め、セイレーンに向かって引き金を引いた。
ズキューーーン!
青白い閃光が照射される。
漆黒の闇を突き進む光。その光はセイレーンの頭部を目掛け、貫いた。
撃たれたセイレーンの顔は驚きに満ちていた。
そしてこちらを向いて?不気味な笑みを浮かべ、墜落していった。
まったく気味が悪い…。
ミーシャがそれを追う。
「やったか!!」
喚起の声を上げる兎兵
「いえ、まだ油断は禁物よ…確認が終わってから安心しなさい」
「え…?あ、はい…」
なに?その表情…そんなに驚くこと言ったかしら?
「一応周囲の警戒をお願いね」
そう言うと私はもう一度、撃った方向に顔を向け視線を定めた。
・
・
・
やった…?
目の前には墜落し、ばらばらになったセイレーンだったものが散らばっていた。
ガチャ…
私はその残骸の中から一つだけ拾い上げた。
「反応無し…よし…」
やった…。
「マスター…、マスター!」
「…ザザ…こえてるよ…ミーシャ」
「セイレーンのコアを回収しました!帰還します!」
「よし!よくやったぞ!」
震えが止まらない。やった、ついにやったのだ。
十兵衛ちゃんという頼もしい力のおかげだ。なんと礼を言ったら良いのだろうか。
とりあえずおもいっきり抱きしめてやろうかな。
「お疲れ様です!あとは我々に!」
回収班のヴァッフェバニーだ。背中には作業用にサブアームが接続されている。
既に回収班の展開が始まっているようだ。
「ええ、よろしくね」
「はい、では!」
私は後を任せワゴンへ向かう。
・
・
・
「了解」
X2がこちらをむいて。
「任務完了です」
と言った。そう、終わったのね…じゃあ私の出番は終わりかしら。
「ご苦労様…」
じゃ、十兵衛…また会いましょう。
え、は、はい…有難うございました…。
礼なんて良いのよ。じゃ、またね。
「…」
終わった…。
「十兵衛…さん?」
「へ?あ、はい!お疲れ様でした!」
「うぇ?え、えぇ…」
「どうかしましたか?」
「い、いえ別に」
どうしたんだろう?なんかぽけっとしてる。
「さ、帰りましょう」
とX2さん。
「はい!マスター!やりましたぁ!」
わたしはマスターに報告する。
「おう!さすがだぜ!!帰ったら赤飯だな!」
嬉しそうなマスターの声。マスター。十兵衛やりましたよっ!
「えぇ〜なんか違う気がしますよ〜」
「ははは、じゃあ待ってるぞ〜!」
「はい!!じゃあ戻りましょうか」
「ええ」
そして屋上から降りる時。
「あ、そうだ…」
X3さんが思い出したようにこちらに近づいてきた。
「さっきの約束よ。名前、教えてあげなきゃね」
「あぁ、そうだったなX3」
「わぁい、やったぁ!」
「じゃあ私から…」
とX2
「私の名はマヤ」
マヤさんですか。
「短い間でしたが、お世話になりました」
「ええ、あなたのおかげで勝つことが出来たわ。こちらこそ有難う」
「いえいえ、そんな。照れちゃいます」
「では次は私ね…」
「そうだな」
「私の名前は…」
「はい!」
「…セイレーン」
『…!!』
・
・
・
私はワゴンへ向かう。外でマスターが待ち構えていた。
「お!ミーシャ!!」
マスターがこちらに向かって走ってくる。
「マスター!!」
私は飛び上がり、マスターの手に着陸する。
「お帰り、ミーシャ!」
「ただいま、マスター!」
「これか…」
マスターが私の持っているものを見る。
「はい、セイレーンの頭部コアです」
「よし、早速調べよう」
「はい!」
私達はワゴンへ向かう。その時だ。
「凪?」
凪様がワゴンから凄い勢いで降りてこちらへ向かってくる。
「お〜い凪!どうした?」
「大変だ!!十兵衛が!!」
「ん?どうしたんだ?」
私とマスターは首をかしげる。
「…アラ…モウキヅイタノネ…」
「!?マスター!!」
「ミーシャ、それは!」
セイレーンの頭部が動き出した。
「フフフ、ザンネンデシタ…マズハ…ウサバラシニ、アノコヲコワシテアゲル…」
それだけ言い残して頭部は再び停止する。
「十兵衛ちゃん!!」
私はビルに向かって飛び上がった。
「く、くそ!!ミーシャ!!急ごう!!」
「十兵衛ぇぇ!!」
・
・
・
「ぐ、うぅ」
動けない…。
「ふふ、良い光景ね」
目の前には旧式の神姫の姿が。
「まさか私が本体だなんて気付かなかったでしょうね?うふふ」
「こ、このぉ」
私を羽交い絞めにしているのはX3さんをはじめとする無数の神姫。恐らくセイレーンに操られてしまっている。
「まったく…貴女やあの白い子は何故か操れないのよねぇ…ほんと残念」
「くっ!」
ガシィ。しっかりとホールドされてしまっている。
一方、屋上の端っこにはX2ことマヤさんが壁に打ち付けられていた。
「じ、十兵衛…さん…」
もう動くことだけで精一杯のはずだ、それでもセイレーンに向けて銃を構える。
「貴女もずいぶんしぶといわね?」
セイレーンがマヤさんの方へ向かう。
「な、なにを…」
「ふんっ!」
セイレーンはマヤさんが手に持っている銃を蹴り飛ばす。
「はい、丸腰」
「!?」
今度は顔。
「ぐはぁ!」
今度は踏みつけ。
「がは!」
「ふん、この雑魚風情が。あまり調子に乗らないことね」
「こ、このぉ!それ以上マヤさんに近づくなぁ!」
私はサブアームに力をこめる。
「そこ、黙っていなさい」
ビギィ!
「っつ!」
サブアームが悲鳴を上げる。
「ちょうど良いから少し痛い目見なさい」
「う、うあぁぁぁ!!」
サブアームに更なる負荷がくわえられる。痛覚が私に伝わり、苦痛が走る。
べキャッ!
「イッ!アァァァァァ!」
引きちぎられる巨大な腕。気が遠のきそうになるが、痛みがそれを許してはくれない。
「く…」
「ふふ…じゃあ歌ってもらいましょうか?兎さん?」
「え…」
そう言うとセイレーンはあの精神波を放ち始めた。
「くっ!むぅぅぅぅぅ!!」
頭が痛い。気持ち悪い…。
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
「!…マヤさん!!」
「ふふふ、これであなたの体は私の意のままよ?ふふふ」
「う、うあ、ぁ」
「さて、じゃあ開演といきましょうか」
セイレーンはそう言うと、さっき蹴り飛ばした銃を拾い上げ、マヤさんを操って手に持たせた。
「じゃあまずはぁ〜こうね!」
「う、いやぁ」
本人の意思を無視して、銃を持つ腕が上がる。そしてもう片方の腕に銃口が向けられ
バァン!!
「ギャァァァァ!」
撃ち抜いた。
「マヤさん!!!」
「ふふまだまだよ?こんどはぁ〜こ・こ」
そう言うと左足へ。
バァン!!
「ウァァァ!!」
ガクリと崩れ落ちるマヤさん。
「もうやめてぇぇ!」
私は叫んでいた。
それに対してセイレーンは笑顔で
「ふふ、何を言ってるの?こんどは〜えいっ」
バァン!!
「ぐぅっぅぅぅぅ!!」
右足を撃ち抜いた。
「いやぁぁぁぁぁ!!」
もう見たくない!私は目をつぶった。
「あら?しっかり見なさいよ?」
「!?」
め、目が勝手にぃぃぃ!
「うふ、これくらいはあなたにも通じるみたいね?」
「い、いや、いやぁ…」
見たくないのにぃ!!
「さぁ続きよ?兎さん?」
「う、うぁ…」
バァン!!
「グホァ!!」
その銃口は腹部へ。
「いや、いやぁ…もうやめて、やめてよぉぉ…」
見ているしか出来ないのか私は!くそ!なんて非力なんだ私は!!泣き叫ぶ事しかできないなんて!
「ん〜意外と盛り上がらないわね?」
な、なんて事を…!
「じゃあもう用済みよ。死になさい」
「!!」
バァン…!!
ドサッ…
その時、兎型MMS「マヤ」は自分のこめかみに銃を向け、ためらいも無く引き金を引いた。
しかしその表情は恐怖でゆがみ、涙を流していた。
「あ、あぁ…ま、やさん…」
声が出ない。今目の前で一体の神姫が死んだ…?
私の目の前で?
この…。
「さて…じゃぁ次はあなたに歌ってもらおうかしら?」
許せない…。
倒したい…この神姫を、セイレーンを…。
ワレヲホッスルカ?ムクナジュウベエヨ…。
死にたく無い…私はもっともっと生きたい…マヤさんの分まで生きなきゃ…
ワレナラバソレガデキル。カワレ、ワレニ…。
「さぁ、いくわよ。良い声で歌って頂戴」
セイレーンの手が私に伸びる。
いやだ、イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ!!!
寄るな!触るな!いや!いや!!いや!
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
ギョイ…ワレニマカセタマエ…
「!?」
その時、目の前が真っ白になった。
・
・
・
う、うぅ…い、生きてる?
あぁ…痛い…辛うじて無事らしい。
良かった。私は生きている。
重いまぶたを開ける。あ、あれは十兵衛ちゃん…霧?でよく見えないけどたぶんそうだ。
そしてセイレーンもいる…くそ…あいつめ…今度は十兵衛ちゃんが…!!
「な、なんなの!」
屋上に響くセイレーンの声…何?
ヒュウウウウウウウ!!!
突風がふく。
霧が吹き飛び、中からライトセーバーを構えた十兵衛ちゃんが素体状態で姿を現す。
左目の眼帯に仕込まれたカメラアイが紅く光り、一種の不気味さを醸し出している。
「…」
無言で歩を進める十兵衛ちゃん。
「こ、この!!お行きなさい!お前達!」
十兵衛ちゃんに無数の神姫が迫る。
あ、危ない!十兵衛ちゃんじゃ!
ブンッ!
シュバッ!
容赦なく剣を振るう隻眼の悪魔。
え、そんな…。一瞬で神姫達の首が切り落とされる。
「ふ、なに?ずいぶんと残酷ね?あなた!」
セイレーンが言う。すると十兵衛ちゃんが
「…殺してはいない…」
と呟いた。
な、私は絶句した。生きている…。斬られた神姫のコアからしっかりと起動反応が出ている。
う、うそ…そんな馬鹿な…まさかコアと体の接合点のみを斬っているというのか?
「あ、あなた…」
たじろぐセイレーン。
「…貴様は斬る…」
一体どうしたというのだろうか。さっきの狙撃時もだが、まったく別人のようになっているではないか。
「え、えぇぇぇい!もっと!もっとよ!!」
そう言うとセイレーンの後方からおびただしい数の神姫が沸いて出てきた。
「やってしまいなさい!!」
セイレーンの指示により、十兵衛ちゃんに迫る神姫の群れ。
「…」
しかし十兵衛ちゃんは次々と神姫達の首を切り落とし、何食わぬ顔でセイレーンに向かって歩を進める。
その光景に私は味方ながらに恐怖した。いくら殺してはいないといっても、そのビジュアルは見ていて気持ちの良いものではない。
「…」
「ぐっっ!!な、なんなのよあなた!!」
「…」
「ええい!!いいわ!とっておきよ!!」
と言うとセイレーンは口を開け
「アーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
歌いだした!
ぐ、ぐはぁぁぁぁ!!頭がかき回される。だめ、今度こそ駄目!!
「アーーーーーーーーー!ガッ!?」
が、すぐに歌が止まる。
いつの間にかそこに十兵衛ちゃんがいた。
さっきまでセイレーンとの距離はかなり開いていた。
でも今、セイレーンの目の前にいる。
神速。そんな単語が出てきた。
そしてセイレーンの首には
「がっ!は…」
十兵衛ちゃんのライトセ−バーが突き刺さっていた。
「…十兵衛…」
十兵衛ちゃんは呟く。
「!?」
「…我が名は十兵衛…刻むと良い…」
「ぎ、がはっ」
セイレーンは声にならない音を発している。
「…刹那の見切り誤まりしが、運のつき…」
「!?」
その瞬間繰り出される剣戟。頭部コア以外のセイレーンのパーツがバラバラに切り刻まれ、舞い上がる。
「…秘剣…乱れ桜…」
十兵衛ちゃんはそう呟いた。
乱れ桜…確かにそうみたいだ…舞い上がったパーツがはらりはらりと舞い落ち、散る桜を連想させる。
綺麗…不覚にもそんなことを思ってしまった。
ピーピーピー…アラームが鳴る。
強制シャットダウンに移行します。と表示された。
そうか、さすがに無理しちゃったかな私…。
あぁ、まぶた重いや…それにしてもかっこよかったわよ…十兵衛ちゃ…ん。
そこで私の意識が途切れた。
・
・
・
俺は走る、ひたすら走る!
「はぁ、はぁ、はぁ!」
十兵衛!待ってろ!!今行くからな!!
階段を駆け上がり、一目散に屋上を目指す!
見えた!!あれか!!!俺はドアノブに手を伸ばし、一気に開く!
ガチャン!!
「十兵衛!!!!」
こぉぉぉおぉぉぉぉ…
吹き抜ける風。朝日が出てきている。そうか、もうそんな時間なのか…。
朝靄が広がっている。
靄の間からビルが顔を出し、一種の幻想的な風景を見せている。
その靄の中。紅く光る左目を持つ一体の武装神姫が佇んでいた。周囲には大量の神姫が倒れている。見るとすべての神姫の首と体に分解されていた。
「じ、十兵衛…?」
その異様な雰囲気に息を呑む。
十兵衛は俺の声に気付き、振り向いた。
「…主…」
そう呟くとこちらに歩いてきた。
俺も十兵衛に向かって歩き出す。ある程度近づいたところでしゃがんだ。
「大丈夫か…十兵衛…」
「異常は無い…」
ぼそりと呟く
「主…後は頼む…」
そう言うと十兵衛は俺の手の中でぱたりと倒れた。
「十兵衛!?」
「くぅ〜…」
寝息…か……びっくりしたぜ…。
きっと想像を絶する体験をしたんだろうな…。よくがんばったぞ…十兵衛。
「凪!十兵衛ちゃんは!」
「十兵衛ちゃん!!」
と創とミーシャが入ってくる。そんな二人に俺は人差し指を口に当てて合図した。
「し〜〜〜〜〜」
「凪?」
「あ、十兵衛ちゃん…」
「寝ちまった。疲れたんだろ」
俺達は可愛らしく眠る十兵衛を覗き込んだ。
「よく寝てる」
とミーシャが俺の手に降り立ち、十兵衛の頭を撫でた。
「お疲れ様、十兵衛ちゃん」
「うん、そうだね。本当にお疲れ様、十兵衛ちゃん」
二人がねぎらいの言葉をかける。
「よし、ミーシャ、回収班に連絡を、後の事は任せよう」
「了解。マスター」
「凪」
「ん…」
「とりあえず本部に行こう。十兵衛ちゃんの損傷箇所やら武装やらを治さなきゃ」
「あぁ、そうだな」
俺は屋上から出る時、もう一度景色を見渡した。朝日が俺達を照らしている。
明るく、まるで太陽が十兵衛を祝福しているようだ。なんかそんな感じがした。
こうして、一つの戦いが幕を下ろし、新しい日々が幕をあけた。
あとがきです。
いやぁ、自分の作風だと台詞が多いので大変です。
箇条書きが苦手なので…あは。
さて、次は冬、もしくは坊ちゃま戦…もしくは…。
では、駄文にお付き合いいただき有難うございました。
24 :
アネゴ書き:2006/10/15(日) 07:06:53 ID:CED4/kI3
次の日の朝。
三郎は照れ臭そうに大学へ行き、奈緒は汚れたシーツを取り替えている。
二人の邪魔にならないように一晩をベランダですごしたアネゴは、所在なさげに部屋に戻った。
奈緒はなんだか嬉しそうだ。鼻歌を歌いながらステップを踏んでいる。
「と、とっても機嫌よさそうだな。」
「ええ!アネゴお姉様のおかげでとっても素敵な殿方に巡り合えたんですもの!」
その答えにアネゴは首を傾げた。昨日の奈緒とは明らかに違う。
その疑問はすぐに解けた。
「お姉様は三郎様を最も愛しているとおっしゃいましたわね?ですから、私も愛しますわ。『お姉様よりも』…」
そうか。
奈緒にとってのナンバーワンがアタシから三郎になってるんだ。
機械の頭脳が瞬時に答えをはじき出す。
三角関係。そして奈緒はアタシのライバルとなったんだ。
ライバル?
アタシが奈緒と三郎を取り合うの?どうして?
アタシは神姫、そんな下世話な感情など持っていないはずだ。
そう言い聞かせつつも、その心の曇りは晴れない。
アネゴは奈緒に微笑みかけながらも、そのイラつきを消せなかった。
25 :
アネゴ書き:2006/10/15(日) 07:08:55 ID:CED4/kI3
夕方。
階段を上る音がする。三郎が帰ってきたのだ。
しかし、今日の三郎はいつもと違っていた。
「ただいま、奈緒さん」
奈緒さん?
いつもは真っ先に「アネゴ!」と言ってくれる三郎が、アタシではない名前を言った。
ショックを隠しきれないアネゴに追い打ちをかけるように、出迎えた奈緒と三郎は軽く包容し、その唇を重ねた。
『…なんなの!なんなのよ!』
いい知れない感情がうずまき、アネゴを混乱させる。『三郎はアタシの尻をおっかけてりゃいいのよ!』
わざとらしく大声を出す。
「サーブロー!来週のバトルのことだけどー!」
二人はあわてて体を離し、三郎はやっと部屋に入ってきた。
『あ…』
三郎の口についている奈緒の口紅の色が、アネゴの心をざわつかせる。
『 こんなの いやだ 』
それからはアネゴにとって地獄だった。
三郎と奈緒は事あるごとに触れ合い、そのたびにアネゴをイラつかせる。
『アタシを見て』
『アタシを認知して』
『アタシに三郎を返して』
『三郎はアタシだけのものなのよ』
思考が混乱し、何が正常なのかも判別できない。
26 :
アネゴ書き:2006/10/15(日) 07:09:46 ID:CED4/kI3
夜。
奈緒が顔を赤くしながら立ち上がる。
おもむろに服を脱ぎ始める奈緒。
アネゴはいたたまれなくなり、ベランダに出ようとした。
しかし、今日は窓に鍵がかかっている。
『こんなのいやだ』
『ここにいたくない』
『見たくない』
「見たくないっ!」
アネゴはつい感情を声に出してしまう。
しかし、いつも優しかった三郎から出た言葉はアネゴを絶望させた。
「だめだよアネゴ。アネゴには最後まで見てもらわなくっちゃ…」
驚いて顔を上げると、下着姿の奈緒が三郎にしなだれかかっていた。
『やめろ』
三郎の手が奈緒の胸にのびる。
『やめろ』
ブラに手をかける。
「やめろぉぉぉぉぉ!」
不意にアネゴの体が力を失い、崩れ落ちる。
「ああ、あ…」
力が入らない。爆発した感情がリミッターを解除し、関節に過負荷を与えてしまったのだ。
三郎が先程と違う、真剣な顔で覗き込む。
「あれだ、昨日やっちゃった後に話は奈緒さんから全部聞いた。」
「お姉様、ごめんなさい…」
所在なさげに謝る奈緒。
「俺のためを思って奈緒さんとくっつけようとしたんだろ。それは正直うれしかった。」
奈緒が口を開く。
「でも、私と三郎様が一緒になってしまうとアネゴお姉様の思いは遂げられない。私はお姉様にも幸せになってもらいたかったの」
アネゴは顔を背ける。
「あ、アタシは神姫だよ!何言ってるのさ!」
「じゃあ、この場で俺と奈緒さんが体を重ねるところを見たいのか?」
「それは……いやだ……」
27 :
アネゴ書き:2006/10/15(日) 07:10:33 ID:CED4/kI3
押し問答を続ける俺とアネゴの間に奈緒が割って入る。
「アネゴお姉様、みんなで幸せになりましょう…」
動けないアネゴを奈緒がやさしく抱き寄せる。
「ば、ばかやろう…そんなこと…」
奈緒が三郎の股間のファスナーに手を掛ける。
それを下ろすと、三郎の男性自身が勢い良く跳ね上がった。
「アネゴお姉様、これが三郎様ですよ…」
奈緒はアネゴをその男根にこすりつける。
「な、なに、すんだ…よ…」
「お姉様、まだ心を開いてくださらないの?」
「奈緒さん、アネゴと一緒にお願いしますっ」
三郎は息を荒げながら声を上げる。
「お姉様、二人で三郎様を愛しましょう…」
奈緒は自らの舌を峰に這わせ、アネゴの股を三郎の先端に何度も押しつける。
「こんなの、ダメだ、ダメなのっ!」
好きなように弄ばれ、アネゴの小さな体はただの刺激物として扱われている。
アネゴの股関節は怪しい液体でヌラヌラと光り、股関節に刷り込まれていく。
「股が!股関節が!壊れるうーっ!」
アネゴの悲鳴を聞いた奈緒がその力を緩める。そしてアネゴの顔を自らの舌を先端に押しつけた。
「うっあぁっ!」
三郎の奇声と共に、その先端部から勢い良く白濁した液体が吐き出される。
それはアネゴと奈緒の顔に叩きつけられ、一人と一体の顔を汚す。
「うう…ぶっ、三郎から、何か出てきたぁ…」
「これが…殿方の…精ですわ……」
28 :
アネゴ書き:2006/10/15(日) 07:11:28 ID:CED4/kI3
奈緒は精液塗れのアネゴを三郎に渡すと、犬のように四つんばいになった。
「次は私を愛してくださいましね…」
三郎はおもむろにアネゴを握りなおす。自らの出した精でしたたかに汚れてしまったアネゴ。
「アネゴ…俺の匂いがついちゃうかもな。」
「ば、バカ、こんなこと、もう…」
「まだ意地はってるかねえ?」
三郎は目の前に突き出された奈緒の秘所へ顔を寄せる。
「ほら、アネゴ…人間の女性とはこんなものなんだよ」
そこは先の行為でキラキラと濡れ、奈緒の心を体現している。
「さ、三郎様…やってくださいまし…」
「な、なにをする気だ…三郎…」
「奈緒さんは大好きなアネゴを感じたいのさ。」
三郎はアネゴを直立の姿勢にポージングし、その足先を奈緒の膣口に押しつけた。
「ひっ、三郎っ!」
「奈緒さん、いくよっ!」
三郎はアネゴの小さい躯体を奈緒の秘穴に押し入れた。
「あああおおううっっ!」
「あああううううっっ!」
二つの悲鳴が重なる。
浴びせられた白濁液の潤滑で、アネゴの体は一気に胸元まで膣に埋もれた。
「あっあっ、あっあうっ!」
奈緒の獣のような喘ぎが響く。
「サブローッ!体中がこすられちゃう、つぶれちゃうよぉぉぉぉっ!」
アネゴも全身に襲い掛かる圧力とうねりに悲鳴を上げている。
「どうだい、これが人間の女性の中さ。すごいだろ」
29 :
アネゴ書き:2006/10/15(日) 07:12:23 ID:CED4/kI3
「ここからだして、だしてぇぇぇぇぇ!」
「だぁめ」
三郎はアネゴの頭に指を乗せる。そしてゆっくりと力を入れた。
「お、奥、おぐうううううっっ!」
奈緒の最奥まで達したアネゴ。すでに首までめりこんでいる。
奈緒はびくびくんっ、と体が跳ねた。
「あ、いい、イぎますぅぅぅぅっ!」
奈緒の淫穴からブバッと勢い良く分泌液とアネゴが押し出される。
アネゴは全身を濡らしながら床に落ちた。
「あうぅっ!」
全身をありとあらゆる性液で汚されたアネゴ。
そんなアネゴに奈緒がやさしく語り掛ける。
「さあ、最後ですよ…」
「……」
アネゴはこくりをうなずいた。
バックの状態で奈緒にゆっくりと差し込まれる三郎の分身。
奈緒によって二つの結合点に下から押さえ付けられるアネゴ。
アネゴの鼻先が奈緒の陰核にあたり、腹から股は男根の道となって上を滑っている。
二人の潤滑液がアネゴを濡らし、三郎の動きが激しくなる。
「アネゴ!奈緒さん!み、みんなでっ、イクうッ!」
三郎が体をびくんと反らし、奈緒の子宮に溢れんばかりの精を流し込んだ。
「あ、熱いぃぃぃぃっ!」
奈緒は腹奥で暴れる液体を感じながら気絶し、体が崩れ落ちる。
奈緒の断末魔の痙攣で最後の一滴まで精を絞りだし、ずるんと押し出される肉の塊。
奈緒の穴からあふれ出た精液は真下にいるアネゴの素体を溺れさせる。
「さぶろー、さぶろぉー」
アネゴは、その汚れきった体で愛するマスターを呼び続けた。
つづく
30 :
アネゴ書き:2006/10/15(日) 07:13:37 ID:CED4/kI3
脳が腐ってるわ、樹海いってくる。
32 :
356:2006/10/15(日) 10:41:50 ID:MuK581IW
皆さん、執筆量も質も見事ですね。
すこし見ない間にスレも3つ目で驚きます。
このような中で、小生の文はお目汚しとは思いますが、
小生なりのSSを投下させていただきます。
なお、ややサイコホラー気味ですので、注意してください。
では、行きます。
33 :
356:2006/10/15(日) 10:42:33 ID:MuK581IW
〜プロローグ〜
「アナタは誰?」
私は…錦。
「どうしてワタシのマスターの傍にいるの?」
貴方のマスターだった人は、今は私のマスターだから…
「ワタシはマスターの傍にいないのに、どうしてアナタはいるの?」
それは貴方が…
「どうしてアナタがいるの?」
マスターが望んだから…です。
「ウソ」
嘘じゃない!
「ウソよ。アナタの乱れたパルスが、ウソだって、証明しているもの」
うるさい!うるさい!!
「マスターが望んでいるのは、ワタシ。アナタは、ただの身代わり」
黙りなさい。貴方にマスターの何がわかるの!
「分かるわ。アナタと同じくらいには」
うるさいと言っているのが分からないの!
「アナタはニシキなんだって、分かっているのでしょう?」
違う!私は『錦』だ!!
「静かにするなんて、無理よ。だってワタシが居るのは…」
だまれぇぇッ!
・・・
私の中から出て行け!!
34 :
356:2006/10/15(日) 10:43:50 ID:MuK581IW
〜1章(1/4) 幸せな神姫だった頃〜
私は武装神姫シリー天使型MMS『アーンヴァル』。
マスターが私につけた個体認識名称は「錦」。
恐らくは、とても幸せな部類に入る神姫と認識している。
先ほどまでマスターの酌をしつつ、その日のニュースを雑談を交えながらお伝えしていたところだ。
恥ずかしながら私のマスターへのご奉仕というものはそれ以上でも以下でも無い。
その日仕入れたニュースの中から、マスターが興味を持ちそうであったり、
仕事に関係のありそうなものを選び、お伝えする。
今日び、二束三文で買えるニュースリーダ的機能を果たすだけで
マスターからお褒めの言葉をいただけるのは有難くもあるが、些か情けない。
ともあれ、マスターがシャワーを浴びている自分のメンテナンス用のクレードルを引っ張り出す。
シャワーあがりのマスターが一声、私に声をかけるのを待ってから、クレードルで「定例作業」に入る。
マスターは、私が「定例作業」に入るまで、心配そうな顔を此方に向け、
そしてクレードルが表示するグリーンライトを確認すると一安心した顔つきになり、自分もベッドに入るのだ。
以上が私の基本的な一日の全てだ。
はっきり言って、マスターは私に甘い。いや、この表現は適切ではない。
恐らく、度を過ぎた過保護、と言うべきであろう。
度を過ぎた過保護、といっても別に特殊環境に閉じ込めているわけではない。
(大変失礼な物言いであることは承知だが)1LDKと手狭なマスターの自宅内は自由に動き回らせていただいているし、
ネットワークへの接続も自由にさせて頂いている。
バトルをして見たいと言えば、即日に専用の店舗に連れて行っていただいた事もある。
(もっとも、自分と同じ型の神姫…名前はマイティとミカエルとか言っていたか?…の
あまりに激しいバトルを観戦したため、恐れをなして結局自分は参加しなかったのだが)
思うに、私のデータの損失を極度に恐れているのだ。
私に唯一厳命された「定例作業」。
それは、毎日専用のクレードルでデータのバックアップを保存することである。
そして、その厳命こそが、私をしてマスターに前述の評価を与えさせているわけだ。
そもそも、神姫と総称される私のような存在は人間を補佐するために生まれた存在だ。
補佐といっても様々なものがある。例えば、私がこなす様な会話の相手もあれば、もっと実利的なものもある。
家事をサポートするものもあるし、業務の一部を手伝うものもある。バトルで利益をあげるようなものもあるらしい。
そのような存在である私が「人間に心配をさせる」事が主な役割だと言うのでは、
世で活躍するほかの神姫たちに申し訳が立たないと言う物だ。
このような状況において、私は、マスターが斯様に度を過ぎた過保護な対応を私にするわけを解明し、
マスターのご心痛を解決して差し上げようと思い立っても、然程不自然な事でもないだろう。
35 :
356:2006/10/15(日) 10:44:28 ID:MuK581IW
〜1章(2/4) 幸せな神姫だった頃〜
神姫のデータ量を侮ってはいけない。
いまや旧型になりつつある、このメモリーディスクには、10年前の記憶媒体の10倍に匹敵する。
30年前と比べれば、実に1000倍にも達するだろう。
そのような剛毅なディスクが、私がマスターにお会いしてからの4ヶ月分のバックアップだけで実に30枚以上にのぼる。
もちろん、通常のデータベースのように、前のバックアップ部分から変更された部分だけを
記録しておけるならば、このような膨大なディスクは要らない。
こんなに大量のデータが必要なのは、私たち、神姫に搭載されたコアユニットのアーキテクチャーの問題である。
神姫のコアユニットは、いわゆるニューロコンピューターである。
コア内の無数の素子同士が学習によって連結肢を介して接続され、信号をやり取りする。
もちろん、大きさなどの都合もあり人間の脳の神経細胞数程の素子は配置できないため、
1素子が数万の神経細胞を代用することになる。
この素子内の情報と、素子同士の接続パターンを保存するのがバックアップと言うわけだ。
しかし、素子同士の結びつきの強さは、メインコア内ではアナログ的に記録されるが、
他のメディアに移した時はデジタルデータになるため、サンプリングレート以下の情報が落ちる。
昔で言う所の「レコードをCDにすると別の音楽になる」という奴だ。
意味が分からない方はお爺さんに聞いてみると良い。なるべくマニアックな老人に頼むのが聞き出すコツだ。
…話がずれました。
音楽ならば情報の欠損は、聞こえ方の僅かな差で済むかもしれない。
しかし、神姫の思考パターンなどでは、その僅かな差が大きな差となる。
このため、同じメインコアに最高粒度のバックアップを完全再生をしても元に戻る公算は少ない。
ましてや、別なコアにはなお更だ。
そもそも、素子の配置パターンは精密とはいえ電子のサイズから見れば大きな個体差がある。
それはニューロコンピューターとしては別物になってしまう事が多いのだ。
何が言いたいのかといえば、神姫のバックアップとはデータの一部が欠損したものを直すことは出来ても、
完全に失ったものを元通りに出来るものではないし、
マスターほどの労力と費用をかけても、もっと単純なバックアップと効果は殆ど変わらないのだ。
実は、この事は既に何度かマスターに説明している。
しかしマスターは、やはりいつも通りに私を気遣う様な気弱げな微笑を見せた後に、
私にこういって優しく頭を撫でてくれるだけなのだ。
「ありがとう、錦。でも、僕はそうしたいんだ。
君には迷惑かもしれないけれど、僕からの唯一つのお願いだ。
分かってくれないかな?」
こんなことを言われると、私(わたくし)錦としましては思わず嬉しくなってうなづいてしまうわけだが、
思うにマスターのこれは一種のPTSD、心的外傷、トラウマ、言ってしまえば一種のビョーキだ。
もうこれは、恩返しと思って直して差し上げるしかないだろう。
以前、正攻法で慰めようと、
飛行ユニットを使ってまでマスターの頭を撫でようとしたところ、
フケを払おうとしたと誤解され、しばらく凹んだことがある。
今回はこの反省を踏まえ、マスターの過去を調べた上でこの問題に対処したいと思う。
36 :
356:2006/10/15(日) 10:44:57 ID:MuK581IW
〜1章(3/4) 幸せな神姫だった頃〜
いや〜〜〜ん、マスターのえっちぃぃぃ〜〜。
…などと思わず喜ぶ度に作業が止まり、調査は一向に進まない。
こんな時は、普段は狂おしいまでに憎らしい、マスターのワーカーホリック振りが有難い。
マスターは滅多に午後11時前には帰らないし、早く帰れそうなときはメールをくれる。
現在時間は午後8時。まだ時間的余裕はある。
とはいえ、1LDKの家の中を引っ掻き回して出てきたデバイスを片っ端から調べた中から見つけた
マスター秘蔵と思われる「えっちな画像」でマスターの好みを学習するのはそろそろ
控えた方が良い時間でもある。
(それにしても、「えっちな画像」が例外なく2次元でした。
マスターが神姫を2次元として見ているか、3次元として見ているかが気になります。)
今日はここまでにしよう、と、記録デバイスの片づけを始めた時に、デバイスの中に
書込み禁止モードになっているものがある事に気が付いた。
ラベルは、ない。
無造作にケースに入れられたそれに、私は強い興味を引かれた。
恐る恐る、そのデバイスの中身を調べる。
デバイスを読み込んだコンピュータの無機質な冷却ファンの音が妙に耳につく。
なんだか、ひどく居心地が悪い。
マスターの、踏み込んではいけないプライベートに踏み込もうとしているのでは、
と思うと急激に罪悪感がこみ上げてくる。
デバイスの中身が表示されるまでの僅かな時間が、
私には酷く長いものに感じられた。
しかし結果は、とても拍子抜けなものであった。
データ種別:バックアップ・データ
データ内容:武装神姫シリー天使型MMS『アーンヴァル』行動データ
作成日時:2036年○月△日
な〜んだ、私のバックアップデータか。
きっと、マスターがデバイスの整理の際にラベルを貼り忘れたのだろう。
今から5ヶ月前のものだし、毎日バックアップしているマスターとしては、
こんなものは確かに管理する必要性が薄いものであるともいえる。
時間を確認すると、既に午後10時をまわっていた。
いけない。そろそろマスターが帰ってくる。
私はあわてて片づけを再開した。
私は無意識に分かっていたのかもしれない。
私がマスターの触れてはいけない部分に触れようとしていたことに。
37 :
356:2006/10/15(日) 10:45:35 ID:MuK581IW
〜1章(4/4) 幸せな神姫だった頃〜
今日のお酌は豆乳にした。
マスターはいくつかご不満をお漏らしになってたが、健康のためですと突っぱねた。
神姫はマスターに絶対服従だというのは嘘だなと、冗談めかすマスターに、
絶対服従であるからこそ健康を気遣うのです、と言うと優しく頭を撫でてくれるた。
なんか、もう、それだけで他はどうでもよいかなと言う思考になるのは、
神姫がそう作られているからなのかもしれない。
しかし、初めてお会いした時に、今にも泣き出しそうな、そしてそれを堪えている様な、
見ている此方の胸が痛くなる様な顔をしたマスターに感じた、私の素子に「焼き付けられた好意」と、
4ヶ月分のバックアップデータの上にある、今の好意は、きっと違う。
酒もない卓で、顔を赤らめて惚けている奴があるかと苦笑するマスターの声で我に返った私は、
慌てて日課のニュース報告をする。
…まずい、今日はマスターのご趣味拝見に時間をとりすぎ、きちんと情報を集められていない。
慌てる私に、マスターは少し困ったような顔をし、何か事情があったのだろうと1人で納得し、
明日は頼むよ、と軽く頭を撫でてくれた。私が言うべきことではないかもしれませんが、
それは優しさではなく甘さです。子供を躾ける時はもっとしっかりやることをお勧めします。
いつも通りにマスターがシャワーを浴びている間に、
いつもの「定例作業」であるバックアップの用意をする。
二人がずっと繰り返してきた生活。
そろそろバックアップ用のクレードルのデータ記憶容量が一杯になりそうなことに気づいた。
シャワー上がりのマスターは、クレードルのデータ記憶容量の話を聞くと、
何も言わずにクローゼットのデバイス置き場から新品のデータデバイスを取り出してくれた。
その際、5秒ほどクローゼットの中を観察して、動きを止めていた。
やばいです。錦、ピンチ。
マスターに突っ込まれる前に、あわあわと言い訳する。
「えぇと、ですね。
今日は、マスターのお役に立ちたいと思って部屋の整理をしていたのです!
それでその中も整理したわけです!
見てません!マスターの秘蔵のディスクなんて見てません!!
マスターが神姫を2次元として見ているか、3次元として見ているかが気になってなんていません!!」
マスターはしばらくキョトンとした後、神姫の思考をデザインした人間は、
神姫が人間に悪意を持てない様に徹底的なチューニングをしたのだなと、
妙な納得をした後、明日はこの部屋のデータ漁りではなく、ニュース漁りを頼むよ、と笑っていった。
私は、マスターがひとしきり笑って、データデバイスで私を軽く小突いた後で
ようやく自分の間抜けな台詞に気が付き、真っ赤になってクレードルに飛び込んだ。
もっと後になって思うと、私は確かに底なしの間抜けだった。
マスターへの言い訳よりも、自分への言い訳の中に、致命的な間抜けさがあった事に気が付いたのは、
もっとずっと後だったのだから。
・・・ ・・・・・・
私は、マスターと4ヶ月暮らしている。では、あのディスクは?
1LDKって充分広いだろと白子に小一時間
さらに身長14cmならにさらに広く感じるはずなのに
と的外れなことを言ってみる
(♪でででん、でん、で、でん、ででん、でん、でん…) <例のBGM
「バトルリーグで鳴らした俺達特攻部隊は、濡れ衣を着せられ当局に逮捕されたが、
刑務所を脱出し、地下にもぐった。
しかし、地下でくすぶっているような俺達じゃあない。
筋さえ通れば金次第でなんでもやってのける命知らず、不可能を可能にし巨大な悪を粉砕する、
俺達、特攻神姫Aチーム!」
(だだだだだだだだだん!)
The “SHINKI” A−Team!
(♪ちゃーちゃらっちゃーん、ちゃちゃーちゃーん、ちゃらちゃらちゃっちゃーん、ちゃーちゃちゃらっちゃーん)
ドカーン! 激しく横転するジープ
(♪ちゃーちゃらっちゃーん、ちゃらっちゃちゃーん…)
「俺は、リーダーのアーンヴァル大佐。通称白子。
空中殺法と売れ残りの名人。
俺のような天使型MMSでなければ、百戦錬磨のつわもの共のリーダーは務まらん」
「俺はハウリン。通称犬子。
自慢の絶対領域に、マスターはみんなイチコロさ。
ハッタリかまして、ぷちサンプルからデンドロビウムまで、何でもそろえてみせるぜ」
「私はヴァッフェバニー、通称兎子。
チームの特異点。
仲間のパワーアップは、付属の装備品で、お手のもの! 」
「よぉお待ちどう! 俺様こそマオチャオ、通称ねここだ!
こたつで丸くなる腕は天下一品!
ロリっ子? チャムチャム? だから何!」
「悪魔型のストラーフ。通称黒子。
萌えの天才だ。版権元でもブン殴ってみせらぁ!
でも股を開いたり閉じたりだけは勘弁な」
「俺達は、道理の通らぬ市場にあえて挑戦する、
頼りになる神出鬼没の、
「「「「「特攻神姫Aチーム!」」」」」
助けを借りたいときは、いつでも言ってくれ」
(♪ちゃーちゃーちゃっちゃー、じゃん!)
…本スレ向きのネタだったかなぁ orz
人間の動きを機械で忠実に再現するには600個のモーターが必要らしいです。
しかし現実世界のヒューマノイド・ロボットのモーター数は30〜40個程度。
鉄人世界でもモーターが使われてるらしい(公式本から推測)。
結局28号は600個のモーターを使用している計算になります。
3000kwのモーター1個の値段が4億円なので600個で計2400億円。
3000kw×600個で最大出力180万kwのジェネレータを搭載しなければならない。
100万kw級の原発1基の建造費は3000億円だから100万kw×2基で計6000億円。
ボディを作る構造代やコンピュータおよびセンサ等の電装費用、更にそれらの加工費を含めると最低でも1兆円は必要。
>>41 それが5000円もしないで買えるんだからいい世の中になったもんだ
多分重量とかから考えてプラスチック製の人工筋肉つかってんじゃね?
人間の筋繊維の配置をそのままパクればいいし
専用の小型モーターをつくらなくてもプラスチック整形段階で普通のプラスチックみたいに金型に合わせて整形できるから安上がりだし
なにより軽い(=重量に対しての出力比がよくなる)
設定世界では、3500円って安さではないと思う。
数万円はしそうな感じ。
45 :
2スレの358:2006/10/15(日) 17:14:36 ID:eDoPxbft
調子に乗ってサクラのお買い物編を投下させていただきます
「・・・ター、マスター」
誰かが俺の頭を軽く揺すりながら呼んでいる
「マスター、もう11時を過ぎましたよ、お友達との待ち合わせはいいんですか?」
ゆっくり目を開けると15cm程の黒髪の少女と目が合う、俺の神姫ハウリンのサクラだ
「おはよう、サクラ」
「おはようございますマスター、やっと起きてくれましたね」
誰かに起こされるなんて久し振りだな
そういや実家に居る頃も寝過ごすと犬のサクラに顔を舐め回されたっけ
身体を起こしながらそんな事を考えていると自然に笑みがこぼれた
「どうしたんですか?マスター」
「いやなんでもないよ、少々早いが仕度をして出かけようか」
車を駐車場に入れて昨日の喫茶店に向かう
サクラはジャケットの胸ポケットの中から顔を出してキョロキョロと周りを見回している
「珍しいかい?」
「はい、今のわたしには全てが新鮮なんです」
喫茶店に着くとテーブルの上のマオチャオをストローでじゃらしていた森尾が俺に気が付き手を上げる
コーヒーをオーダーして森尾の向かいに座るとサクラを胸ポケットから
テーブルの上に移動してあげる
「ご主人様〜この人達は誰にゃ?」
ただでさえ大きな目を見開き興味津々な様子のマオチャオが森尾に問い掛ける
「俺の友達の七瀬とその神姫だ、ご挨拶しなさい」
「はいにゃ、こんにちは〜、タマはご主人様の神姫のタマですにゃ」
片手を上げて元気よく自己紹介をするマオチャオのタマ
サクラがこちらを見つめているのに気付き
「ああ、こいつは森尾。サクラも自己紹介しな」
「初めまして、サクラです。よろしくお願いします」
サクラはペコリとお辞儀をする
46 :
2スレの358:2006/10/15(日) 17:16:02 ID:eDoPxbft
「一応聞いておくがなんでタマなんだ?」
「ネコ型だからに決まってるだろ?」
お互いの神姫の自己紹介の後、そんな会話を交わしていると程なく中路と山崎が到着する
彼らの神姫、アーンヴァルの撫子とストラーフのヴィレッタと対面を果たし
しばしダベッた後、神姫用品の総合店舗、通称:神姫タワーに買い物に行くことになった
神姫タワーに到着する
「それじゃ各自買い物をして3時間後ここに集合しようか」
俺の言葉で各々目当ての売り場に向かう
「マスター、何処から回ります?」
「まずは家具から見にいくか」
インテリアエリア
「とりあえずベッドとクローゼットと机と椅子と・・・」
「マスター、あっちにインテリアセットの展示がありますよ」
そこには同系統の家具でコーディネートされたインテリアの配置サンプルが展示されていた
「スケール以外は人間の家具屋と一緒なんだな」
自分がそこで生活している姿を想像しているのか、サンプル展示を眺めボーっとしてるサクラ
「サクラ、好きなのを選んでいいよ」
「はいっ」
サンプル展示を行ったり来たりするサクラだったが1つのサンプル展示に留まる時間が長くなる
竹や籐で作られた清涼感のあるインテリアセット、どうやらこれが気に入ったらしい
「これが気に入ったのかい?」
「はい、でもその・・・」
「ん?どうした?」
答えずにプライスカードを指差すサクラ
ミニチュアとはいえそこそこの値段はするが決して高価なわけじゃない
「これでもサクラを養っていくくらいの稼ぎはあるつもりだから、遠慮しなくていいよ」
「ありがとございます」
満面の笑みを浮かべるサクラ
インテリアセットと神姫サイズの食器セットの会計を済ませ
インテリアエリアを後にしようとすると中路と撫子の会話が耳に入る
「お兄様、わたくしこの天蓋付きのベッドでなくてはイヤですわよ」
「はいはい分かりました、お嬢様」
「それと食器はこのロイヤルドルトンのセットで・・・」
がんばれ、中路・・・
47 :
2スレの358:2006/10/15(日) 17:16:44 ID:eDoPxbft
「次は衣装かな」
衣装エリアに向かう途中、対戦中継をしている大型モニターに目が止まる
大型モニターにはハウリンとマオチャオのバトルが映し出されていた
バトルの中継自体は珍しい事では無い、ただしハウリンがセーラー服を着て戦っている事を除けばだが
「サクラもああいうの着てみたいかい?」
「いえ、わたしはああいうのよりも」
言葉の途中で大型モニターの中に閃光が走る
そして閃光の中から現れたのはふわふわのスカートにひらひらのドレスを身に纏ったハウリン。
「なるほどこっちの方が好みか」
「いえ、そうじゃなくてもっと動きやすい活動的な服が、でもマスターがどうしてもって言うならその・・・」
顔を真っ赤にしてしどろもどろになるサクラ
「冗談だよ、サクラが着たい服を選べばいいよ」
「マスターいぢわる・・・」
「あはは、ごめんごめん」
笑いながら再び衣装エリアに向かう
衣装エリア
宣言どおりサクラはスポーティーな服を選んで行く
でもパジャマだけはシンプルながら可愛い感じのもの選ぶところはやっぱり女の子なんだな
ふと横を見てみると森尾がタマとメイド服を物色している、期待を裏切らない奴らだよまったく・・・
その後神姫サイズのディスプレイ、キーボード、マウスを購入
これでNetもできるしタマ達と連絡も取れるから日中寂しくないだろう
48 :
2スレの358:2006/10/15(日) 17:17:30 ID:eDoPxbft
追加武装エリア
「当面は必要無いと思うが後学のために見ておこうか」
「そうですね」
陳列されている銃器や格闘武器を眺めていると前方に山崎とヴィレッタを発見する
二人の会話に耳を傾けてみると
「現状の装備では火器が不足しています火器の充実を要求します」
「却下」
「現時点において火器の充実は急務です」
「却下」
「かき・・・」
「却下」
「う、うぇ、うぇーーーーーん」
あーあ、とうとう泣かしちゃったよ
「で、どれが欲しいんだ?」
「うぇ?」
「だからどれが欲しいんだ?」
「あ、あるぼぴ−でーだぶるないん・・・ぐすっ」
「余計な理屈をこねずに欲しいなら最初から素直に言えばいいんです」
「山崎さんは優しい方ですね、マスター」
「ちょっと理解できないところもあるけどな」
そうこうしているうちに待ち合わせ時間になったのでエントランスに向かう
集合してみると俺を含め皆一様に大荷物を抱えている、結局は同じような物を買ったわけだ
「それじゃ今日は解散しますか」
「今度はバトルでもしてみようぜ」
「望むところです」
「森尾、神姫サイズのメイド喫茶作ったら友達の縁は切らせてもらうからな」
一応釘を刺しておく
「みんなバイバイにゃ〜」
「皆様いずれまたお会いいたしましょう。ごきげんよう」
「・・・さようなら」
「みんなまたね、さようなら〜」
神姫同士の挨拶も終えて帰路につく
49 :
2スレの358:2006/10/15(日) 17:18:29 ID:eDoPxbft
部屋に入ると荷物を置いて一息いれる
「それじゃサクラの部屋を作るか」
「はいっ」
机の一角に十分なスペースを用意して購入したインテリアセットのラグを敷き
サクラの指示で家具を配置していく
改めて見てみるとベッド、タンス、クローゼット、テーブル、ソファーはもとより
ドレッサー、イス、ラック、スクリーンまで揃っている。たいしたものだ
サクラはというと嬉しそうに衣装をクローゼットやタンスにしまっている
しかし見ている方が嬉しくなるくらいの喜びようだ
尻尾が付いていたら振り切れるんじゃないだろうか、尻尾・・・
初期設定に時間を取られてすっかり忘れていた
「サクラの武装パーツだ、これもしまっておくといいよ」
サクラの入っていた箱から武装パーツを取り出して傍らに置いていく
「はい、マスター」
サクラはヘッドギアやボディアーマーをラックに並べていき
すっかり片付けが終わった自分の部屋を見回し満足気に何度もうなずく
「気に入ったみたいだね」
「はい、とっても素敵なお部屋になりました」
「選んだのはサクラなんだからサクラのセンスが素敵なんじゃないか?」
「いいえマスターがわたしのために買ってくれたものだから素敵なんです」
「そういうものかなのか?」
「そういうものなんでですよ」
ニッコリと微笑むサクラ
―おわり―
50 :
2スレの358:2006/10/15(日) 17:26:02 ID:eDoPxbft
お目汚し失礼しました
恥の上塗り、最後の
「そういうものかなのか?」→「そういうものなのか?
「そういうものなんでですよ」→「そういうものなんでですよ」
に脳内変換していただければ幸いですm(__)m
「はいねここ、あーんして」
「あーん☆」
ネットの騒ぎなど何処吹く風で、今日も甘い空間を作り続ける2人の前に新たな出来事が!
「やっとみつけた……この家に…あの人が…」
風見家の玄関先に佇む1人の神姫、その目的、正体は!?
「私は…貴方を」
次回、ねここシリーズ最新作!
『新たなる神姫参上!?』
刮目して待て!!!
……新しい神姫をさっき購入してきたので、それに感化されて勢いで書きました
ちょっとだけ反省、でもノってきたかも
ご飯食べたら書きます、きっとっ
このスレ見てると、自分の神姫も話に出したくなるよ。ネタは無いけど orz
『話に出したくなる』……そんな言葉は使う必要がねーんだ。
なぜなら、その言葉を頭の中に思い浮かべた時には!
実際にSSを投下しちまって、もうすでに終わってるからだッ!
『話に出した』なら、使ってもいいッ!
もうアレだな、ネタの既出なんか気にしないことにした〜。
だから、自分のSSが出来上がるまで、他の職人さんの作品読むのを控えることにしますた。
読んだらビビって断念しそうだから。
っつか、1スレ目から書き始めて40kb突破、その間にスレは3スレ目って、
俺の筆が遅いんじゃなくて、このスレが速いんだよな!? な?!
55 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 21:02:00 ID:OgQRbCLh
やっぱりここの進行速度は凄い速いと思うよ
ageてしまった。すまん
>>54氏
確かに早いですよね〜留まるところを知らない妄想が…むんむん。
投下されるのを楽しみに待っています!
58 :
リンのマスター:2006/10/15(日) 21:20:23 ID:jAgmjK5V
>>54氏
>>チアキ氏
昨夜立ったばかりだというのにすでに50スレの上、容量は60kb突破。
やっぱり進行速度が並じゃないですね。
皆さんの創造力(妄想力?)がとどまることをしらないんでしょう。
という自分もそろそろ第7話が完成しそうです。
タイミングを見計らって投下しちゃいます。
その前に感想書かないと・・・・ではまた投下時に。
「……えー、と」
「……ぇっとぉ…」
「………」
居間でテーブルを挟んで向かい合う3人
ねここまで困惑している時点でどう見ても普通の状況ではなく。
ねここの飼い方、そのご (1/4)
『やっと……みつけた』
そう呟いたのは、風見家玄関先に佇む影の持ち主。
『あの人が、ここに……』
再びそう呟くと、彼女は敷地の中へ足を踏み入れていく。
「にゃー☆わー☆きゃー☆」
「ねここ〜、ぶつかって怪我だけはしちゃだめよー」
「はぁ〜い、わー♪」
世間はまだまだお正月、なので2人とも家でのんびりと……でもないかな、私はね。
ねここは先日買ってきた神姫用バランスボールで、ぽよんぽよんと部屋中を跳ね回っています。
スーパーボールよりよく跳ねる感じね…流石ねここ。
私はというと、先日使用して不具合が出た爪猫アーマーの修理と改良を行っている最中だったり。
不幸中の幸い、と言ったら何なのだけども前回の戦闘で色々と実戦データが採集できたので
前よりも完成度をぐんと高められそうなのだ。
ねここの頑張りに私もちゃんと答えてあげないと、ね♪
「ねここ〜。牽制用の装備なんだけど、機銃とワイヤークローどっちがいい?」
「う〜ん、ねここ銃は苦手だからぁ、わいやーくろーの方がいいの♪」
「了解りょうかい」
オーダー通り私は手早く爪猫を分解して小型ユニットを手早く仕込んでいく、と
『ピンポーン』
(2/4)
「あれ、お客さんかな。正月なのに珍しいなぁ」
私は近くに置いてあったインターホン装置を手に取り応対を……って、画面に誰も映ってない。
「う〜ん、イタズラかな。子供もヒマだしねぇ、今の時期」
やれやれ、と思ってまた作業に取り掛かろうと……
『ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン』
「……うるさぃにゃ」
「……そうね」
ちょっと気分悪くなってきたかな、でもカメラに全く移らないなんてどんなちっちゃい子なんだろう、ってあれ?
「ねここ、今画面にチラっとプチマスィーンズっぽいのが映らなかった?」
「あー、みえたの。間違いないの!」
ねここの動体視力はかなり優れているので、見間違いと言うことはないはず。問題はそれをいつまで記憶しているかなんだけど(汗
とにかく、ということは……
私は立ち上がってパタパタと玄関へと小走りに駆けていく。ねここも気になったようで、私の後に続いてきて。
「はぁ〜い、どちらさま?」
ガチャ!
「ふごっ!?」
ドアを開けるとそこには……あれ、いない?
「いたた……こちらです、こちら」
「あら、ごめんね〜(汗」
声のするほうに、ドアを開けた拍子に巻き込まれて吹き飛んだのだと思う、
背中に何やら大きな風呂敷包みを背負い防寒コートに身を包んだ神姫が、一人鼻を真っ赤にして佇んでいました。
そして現在、居間で向かい合う3人
「えぇと、まずは自己紹介からしましょうか、私は……」
「お構いなく、お2人の情報は既に得ています。風見美砂様と、ねここ様ですね」
テーブルの上に正座をして、凛とした透き通った声で迷いなく答えるその神姫。目もキリっとしててクールビューティーな感じよね、
うちのねこことは正反対そう。
「なんかいったにゃ?」
「いいえ何も?」
「コホン……それでは私(わたくし)の自己紹介をさせて頂きたいと思います。
私は犬型MMO、通称ハウリンタイプ。登録ID10794864、固体登録名を雪乃(ゆきの)と申します。以後お見知り置きを」
「はぁ、よろしく」
「よろしく〜?」
2人とも適当に相槌を打つ、そもそも神姫がマスターも連れずに1人で何をしにきたのだろう。
「それでは本題なのですが……」
ずぃ、と座ったまま一歩前に出る雪乃、なんかまるで武士みたい。
「私をねここ様と……」
『ねここと?』シンクロする声
「 結婚させて頂きたいのです 」
(3/4)
………………はぃ?
イマコノヒトナニヲイッタノカナ、ネココキキトレタ?
ネココモコショウシタミタイナノミサニャン?
『はいーーーーーーーーーーーーー!?!?!?!?』
数件先まで聞こえるであろう2人の大絶叫!
いきなり押し掛けてきたと思えば次はこれ、驚かない心臓の方がいたら変わってください、ホントに。
ハウリンタイプMMS、雪乃は凛とした表情を崩さず、更に淡々と話し続ける。
「そう、それは忘れもしない大晦日。私はその晩、ご主人様と2人で神姫トーナメントのTV中継を見ていました。」
TV中継で大晦日…あぁ、あの時のお嬢様のいった言葉、本当だったのね。
……というかなんか回想モードに入っちゃったかな、まぁ面白そうなので聞いてみよっと。
ねここはまだ呆然として固まってるよ、大丈夫かな。
「そして私は魅了されました。華麗にバトルフィールドを舞うケット・シー、ねここ様に。
運命と言う言葉が適切なのでしょう。それまで見るもの全てが灰色に見えた私の人生に一筋の光明を下さいました。
それがねここ様、貴方です。」
純粋で真っ直ぐな目で、ねここを見つめながら言う雪乃。悪い子にはみえないけども……
ねここは…目が点になってる、だめだこりゃ。
「私は決めました。私の人生に生きる目的をくれたねここ様、貴方に私の人生を捧げようと。
しかし大会本部は正式なデータ公開を拒否し、あまつさえ永久封印いたしました。
そのため私は全力でねここ様に関する情報をあらゆる手段を尽くして調べあげ、今日本日ここへ参上致したわけであります」
私はかぶりを振って
「えぇと、貴方がここへ来た理由はわかった(事にする)から。何でそれが結婚ってことになっちゃうのかな?」
そう尋ねるのが精一杯、あぁ…私もまだ混乱してるかな。
「それはデータベースを調べた結果、相手に最大の愛情を注ぎ最大級に尽くすための儀式
或いは慣習が結婚と判断したからです。
私はねここ様に一生を捧げると決めました。そのための最初の手段としてねここさまと結婚させて頂きたいのです。
ご許可頂けますか、お母様?」
……は?
「誰がお母様ですか、誰が……」
「ねここ様のマスター、育ての親ならば私にとってもお母様かと?」
そりゃねここは可愛いし大切だけど、だけど……
「まだ17でお母様呼ばわりされたくはないわよぉ……!」
ヘロヘロと脱力してく私、何か物凄い疲れてきた…髪の毛抜けちゃいそぅ。
(4/4)
「…ぅぅんとね」
それまでフリーズ状態だったねここがやっと口を開く。
「はい、ねここ様」
ねここはいつものにぱぁっとした、周りまで明るくしてくれる様な笑み浮かべて
「ねここ、結婚はしないけど、雪乃ちゃんと姉妹にならなりたいの〜☆」
キョトンとした顔になる雪乃。
「姉妹……ですか?しかしそれでは満足に御奉仕が…」
少し項垂れる雪乃に、ねここはずずぃと顔を近づけて
「ぅ〜ん、ねここはご奉仕してもらうより、一緒に遊んでくれたほうが嬉しいの♪ね、ユキにゃん?」
と、100万ドルの夜景も真っ青なねここの純真向くな満面の笑み。これに勝てる人がいたら教えてほしい。
「は…はぃ、わかりました。ねここ様がそう仰るなら……」
真っ赤になって俯く雪乃、青春してるねぇ。
「わぁい! よろしくね〜っ、ユキにゃん☆ ちゅっ♪」
雪乃にぱっと抱きつくねここ、ついでにほっぺにちゅーまでしちゃって。
「ぁ……よろしく…おねがぃ…します…」
ぷしゅーと顔から火が出そうな位の雪乃。余りの嬉しさに機能停止寸前って所かな、雪乃ちゃんは。
「それとぉ、さまなんて付けないで〜ねここ、って呼んで☆」
「は…ぁ、はぃ………ねこ…こ」
微笑ましい光景よねぇ、見てるこっちまで幸せオーラが出てきそうで。
あぁ、そうそう大事な事忘れてた。
「えーと、良い雰囲気のトコ邪魔しちゃって悪いけども、雪乃ちゃんのマスターの方はどうなってるの?
勝手に家出してきちゃってるようなら結構不味いんじゃないかな?心配しちゃってるよ、きっと」
私の言葉に多少正気を取り戻したのか
「あ、それならば問題ありません。マスターからの預かり物が此処に」
今は自分の横に置いてあった風呂敷包みをゴソゴソと探る雪乃、やがて一枚の書類を私に差し出して
「譲渡契約書です。ご確認を」
私はそれを受け取って確認してみる。本人らしき住所と名前、それに署名、実印まで押してある……本物みたい。
「それから此方が書状です、此方もご確認を」
それも受け取って目を通す。そこには雪乃自身が語った理由と同じ文面が書かれており、自分(雪乃のマスター)は
雪乃の幸せを願って此処に涙を呑んで送り出す、と達筆で書いてあり……血判状まで押してあるぅ(汗
「と言うことは、その風呂敷の中って…」
「はい、とりあえず必要なものは一式入っています。お手を煩わさせてしまう事はないかと存じます」
準備がいいというか何と言うか……あはは。
…あら、手紙の袋から何か紙切れが落ちたかな、と拾ってみてみると
『婚姻届』
………本気だ、この人………
「ところでねこ…こ(赤)、どうして結婚は却下で姉妹なら宜しかったのですか?」
「だってねここ、結婚するならみさにゃんとがいいの〜☆」
「………(ギラッ)」
「な、何怖い目でこっち見てるのかな〜…」
と、言うわけで我が家に新しい住人が増えました。
よろしくね、雪乃ちゃん。
あとがき
と言うわけで新作でした。新キャラ雪乃加入!
実は今日の昼間に犬子を購入してきまして、その勢いで閃いて書き上げました。
ねこことは正反対のクールビューティーに仕立ててみましたが、どうでしょうか。
可愛がられるキャラになるよう精進します、ではっ。
うぎゃぁ、2スレ目にコッソリ投下しようと思ったら容量オーバー|||orz
せっかく設定書いたのでこちらに投下させてください(汗
○雪乃
犬型MMOハウリンタイプ
たまたまTVで目撃したねここに一目惚れして、押し掛け女房してくる変わり種。
基本的に冷静で礼儀正しく品性方向なのだが、一回決めると猪突猛進する癖がある。
更には経験不足ゆえの常識感覚に欠けた所もあり、初登場時のいきなり「結婚してください」
などと言う仰天行動に出ることがある。
ちなみに前マスターとの仲が不仲だったと言うわけでもないが、雪乃の方は醒めた感情だったようだ。
現マスターである美砂との関係は現在微妙、愛憎渦巻いた感情のようではあるが…
バトルリーグではセカンドリーグ中堅ランクに所属
現在(シリーズそのご)時点に置いては、ねここより遥かに実績、経験共に豊富であり戦闘能力も高い。
但し才能の差でねここには及ばないと思い込んでいるフシがあり、ねここのサポートに回ることが
多くなっていく。(はずである)
前マスター時のバトルスタンスは、両腕に吠莱壱式とGEモデルLC3レーザーライフルを装備。
その脚力を生かした高速機動戦で相手の接近を許さずに仕留める戦法を得意としていた。
(だからこそ超遠距離から一瞬で格闘レンジまで持ち込み、なおかつアッサリ仕留めてしまったねここに惚れた…
のだと思う、多分)
ちなみに名前の由来は、童謡「雪」から
(犬は喜び庭駆け回り〜、猫は炬燵で丸くなる、のアレ)
雪の庭>雪の野(原)>雪野>雪乃、というわけです(汗
66 :
SOS:2006/10/15(日) 23:43:29 ID:FaVnaOhD
前々スレ337の続きです
ちょっとダーク風?
第4話「黒子の悪夢と白子の決意」
黒子は暗闇の中を走っていた
何かに追い立てられるように
「ご主人様ー! しろちゃーーん! どこー!?」
闇の中に声が吸い込まれていくが、返事は無い
「ごしゅじんさまぁ…、しろちゃぁん…どこぉ…?」
次第にその足取りは弱々しいものとなり、ついには立ち止まってしまう
「おい、ブラボー! 銃を取れ!」
「ひっ!?」
「今日もよろしく頼むぜ兄弟!」
「鉄くずどもをスクラップ工場に叩き返してやれ!」
「ちょ、ちょっと、ボクは…」
銃を無理矢理押し付けられる黒子
そしてその場はバトルフィールドへと切り替わり
「な、なんで、なんでボクこんなところにいるの?」
混乱を極める黒子、そんな彼女に黒い人影が飛び掛る
「きゃーー!」
殆ど反応できない黒子、しかし、ズバシュ!
「危なかったな兄弟」
”チャーリー”がフルストゥ・クレインを担いで後ろに立っていた
「ちゃ、チャーリーさん…」
「…なんてツラしてやがる? さっさと帰るぞ」
そのままきびすを返して去っていくチャーリー
そしてその向こうにはご主人様と白子が…
「ご主人様! 白ちゃん!」
その叫びに微笑み、こちらに手を差し伸ばす二人
黒子の顔にようやく安堵と笑顔が戻るが、横から差し込む強い光…
「え…?」
車が…―――バチン!
67 :
SOS:2006/10/15(日) 23:44:01 ID:FaVnaOhD
「イヤァーーーーー!!」
「黒ちゃん落ち着いて! 大丈夫だよ!」
絶叫を上げて飛び起きた黒子を、白子が抱きしめる
「ああっ! 車が! 車が!」
「黒ちゃん! 大丈夫! 夢だよ!」
「はぁ、はぁ…、し、白ちゃん?」
「そうだよ、大丈夫だよ。黒ちゃん」
「う、うぇぇ…。白ちゃーん…」
嗚咽を漏らす黒子を抱きしめ、慰め続ける白子
交通事故や、地下闘技場での戦闘などの大きな衝撃を立て続けに受けたことは、黒子の心に深い傷を与え
事件以来、黒子は毎晩うなされるようになってしまったのだ
やがて、黒子の嗚咽も収まり、部屋に静寂が戻った
「黒ちゃん…もう大丈夫?」
「うん、ごめんね白ちゃん…。毎晩毎晩…。ベッドにお邪魔しちゃって…」
「ううん、いいのよ黒ちゃん」
黒子が弱々しく微笑み、再び目を閉じる
その様子を白子は痛々しい思いで見つめていた。ここ最近、黒子が安眠できたためしは無い
何度か主人に進言したが、彼にどうにかできる問題でもなかった
「こんなの、どうすればいいのよ…」
自分の無力感をかみ締めながら、白子はただ黒子の髪をなで続けるしか出来なかった
うとうとしつつ、思考の海に沈みこむ白子。ふと、一筋の光明が差した気がした
「私も、一度戦場に…?」
まどろみの中ふと浮かんだその考えは、次第に眠りに落ちる彼女の中をぐるぐると回り続けた
次回は「白子とご主人様の戦闘準備」です
ちょっとづつギャグものに持っていくつもりですが、書いてる途中でジャンルが変わる不思議
ついでにこれまでの話の題名決めました
第1話「事の発端」
第2話「戦闘終了、元の鞘へ」
第3話「元の鞘へ、ブラボーサイド」
68 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 00:12:19 ID:3+jvQA5v
日時: 2006/08/08 12:18
名前: アバあき◆nsy0DcmY
膨大なログをざっと目を通しました。
前回は近場のログだけ目を通していただけなので全貌をつかめ切れていませんでしたが、私の言動がここまで皆さんを怒らせていたとは思いませんでした。
あまりにも浅慮にて軽率な行い、深く謝罪を申し上げます。
今回のことを省みて、今後は本スレには一切顔を出さず、画像の投下はwikiだけに自粛しようと思います。
私もやはり厨設定スレが大好きなので、私のせいで荒れてしまうのは心苦しいので、それには本スレに顔を出さないのが一番だと思いました。
謝って許されるようなことではないとは思いますが、申し訳ありませんでした。
それでは失礼いたします。
テメェのせいでSS大会もスレも大荒れした。シカトしてればすむと思うな。とっととどうにかしろ
…やっと、やっと追いついた(=投下SSを読み終えた) orz
金、土曜がちっとばかり仕事忙しめでチェックしないでいたら、なにこのSSの投入量。
俺なんか、第2スレに1こも書けてないよw
SS書いてるall 禿しく乙。
ここの>1、スレたて乙。
あとまとめサイト作ってくれてるマスターの人、感想掲示板設置、乙。
この勢いだとまだしばらくラッシュになりそうだなあ。読むのは楽しみだけど。
前スレの流れ見てたら、もうある意味、立派なシェアド・ワールド状態だわね。
皆さんに触発されて書いてしまいました。
拙い文章で申し訳ないです。
細かい描写は無いですが少しダークです。では
暗い闇の中に私はいた。
喜びも、悲しみも無い真っ暗な闇の中。
感情は其処に無く、遠くから自分を眺めていた。
繰り返される戦いの日々。
自分の意志とは関係なく、命令されたままに動く身体と、蓄積された経験から繰る回避行動。
対戦相手の攻撃をかわす。間合いを詰める。またかわす。
そして相手の懐に入り、感情の消えた私の顔を、相手は息の掛かる距離で見る事になる。
その眼に映るのは能面のような私の顔。
私の目には恐怖に怯える対戦相手の顔。
次の瞬間、相手の胸部に押し付けた短銃身にカスタムされたレーザーライフルの拡散レーザーによって相手は打ち抜かれる。
ゼロ距離での拡散レーザーは頭部にダメージは与えないものの、それ以外の個所には容赦なく降り注ぐ。
レギュレーションにより頭部への攻撃が禁止されている為にゼロ距離で撃つのでは無い。
相手を粉々にする為にこの距離で撃つのだ。
私の戦闘スタイルはゼロ距離射撃。
それ以外の戦闘をした事は無い。
それ以外の装備を持ったことは無い。
それ以外の命令をされることは無い。
そして今日もまた一人、私の犠牲者が目の前に散らばっている。
幾度となく見てきた光景。
そこに何の感情も無い。
命令に従い、そして今日も相手を粉砕する。
繰り返される戦いの日々。
身体が壊れるのが先か、心が壊れるのが先か。
喜びも、悲しみも与えられ無かった私にはそれさえも分からない。
……そう、あの人たちに会うまでは、この日々が永遠に続くと思っていた。
<つづく…?>
皆様の文章を読んで思い立ってはや数日
やっ…やっと書き終えた
いよいよ自作品を投下できますよー
色々と至らないトコだらけですが楽しんでいただければ
なお、皆様のお名前や設定をお借りしている部分も御座います
笑って許して頂ければ幸い。では、行きます
武装神姫…今現在爆発的なブームを誇り、その老若男女を問わない人気は旧世紀のヒット商品、ポケモンや
遊戯王カードもかくや。いや、それ以上であろう。
かく言うオレ──日暮 夏彦も、もはや社会現象とさえ言えるそのヒット商品の恩恵に与ってる一人だ。
「おし、掃き掃除終了…っと」
ゆっくりと伸びをして、目の前の看板を見上げる。
「ホビーショップ エルゴ」三年前に親父の模型屋を改装して始めたオレの城だ。
玩具オタが高じて工学部に通った身の上としては、そのスキルを存分に活用出来る天職。
特に神姫関係には力を入れてて、販売、登録、修理、カスタマイズやオリジナルパーツの製作まで何でも御座れだ。
そんなに大きな設備じゃないがバトルサービス用の筐体も借金して導入済み、公式ショップにも登録してある。
そんな努力の甲斐もあってか商売としてはそこそこ快調。近所の神姫ユーザーには結構支持されてるし、
健全経営とは言えないが、俺一人生きていくには問題ない収入がある。
それに…ウチには他の店には無いウリがもう一つあるのだ。
「みなさん、家に帰るまでが学校とはよく言った物。無事にお家に帰る事は当たり前に見えて大切な事です。
特に、小さなマスターを持つ神姫はまだまだ充分な注意力を持たないマスターに代わり、その安全を守る
事が大切なお仕事です。ですから、マスターと逸れない様にして、しっかりお家に帰るんですよ」
『はーい!うさ大明神様ー!!』
自動ドアを開けて店内に戻る俺の耳に、凛とした女性の声と、大勢の少女の声が響く。
そして、大小さまざまな主人に連れられて神姫達が帰っていく。
「毎度、ありがとっしたー」
愛想よくすれ違いに店外へ出て行く客に声を掛け、店内へ戻る。
「よ、御疲れ。大明神様」
声を掛けるのは店内に設えた1/12の教室、その教壇に設えられたハコ馬にのる胸像へ向けてだ。
「マスター…貴方までその名で呼ぶのは止めて下さい」
非難がましく返事を返すその胸像こそがオレの神姫ジェニー。所謂ヴァッフェバニータイプってヤツだ。
元々強化パーツとして販売されたこのタイプには素体が付いていない。その代わりにディスプレイ目的の
胸像パーツが付いてたのだが、ある理由から素体の都合がつかなかったオレが間に合わせにその胸像
パーツをチョチョイと改造してボディ代わりに使ってるのがコイツってワケだ。
その姿は旧世紀のバラエティで定番だった銅像コントのあのお方の如し。
その威容をして生徒達からは「ウサ大明神様」の名で親しまれている。
子供の発想力ってのは素晴らしい。ソレが人間でも神姫でも。
ああ、説明が前後した。ウチの他に無いウリってのはつまり…この神姫の学校だ。
事の起こりはオレがまだ学生の頃、バイトで塾講師をしていた頃に遡る。
当時塾では生徒の神姫持ち込みを禁止してたのだが、子供がそんな事守るワケもなくそれなりに問題になっていた。
で、何をトチ狂ったか塾の方針として勉強中は神姫を預かり、神姫にも人間社会について勉強を教える。
なんて事になっちまったのだった。
そんでもって、白羽の矢が立ったのが既に塾講師内にも玩具オタが知れ渡っていた俺。
…ヨド○シに開店ダッシュは未だに若気の至りだったと思う。あれさえ目撃されなければ。
とりあえず俺を呼び出した時の塾長の台詞「どうせ持ってるんでしょ?神姫」はかなりトサカに来た事を覚えている。
しかも確かあの時、あの親父は半笑いだった。畜生。って、それは置いといて。
結局、俺と俺の神姫…ヴァッフェバニーのジェニーは神姫担当教師としてバイトを辞めるまでの間、しこたま
働かされたワケだ。
店を継いだ頃、まだ客足の少ない店への呼び水としてジェニーがもう一度教室をやったらどうかと提案して来た時は
少し渋ったが、やってみれば事のほか評判も良く、実際ウチの店を知って貰ういい切っ掛けになった。
多分オレ一人ではこうはいかなかったろう。いや、実際腕さえ良ければなんとかなると思ってた俺としては、ジェニー
には感謝してもしきれない。
「なら、新しい素体買って下さいよ」
「いや、大明神様が居なくなったら純真な子供達の夢が壊れるだろ」
心を読んだかのようなジェニーの呟きに、即座に返す。なんかブツブツ言ってるけどメンドいので脳内スルーだ。
「さ、仕事仕事ー」
今日中にカスタマイズせにゃならん神姫が3体。いつまでも遊んでは居られんワケで。大人は大変なのよ。
「今日も一日良く働いたねー」
大きく伸びをして時計を見れば時間は午後8:56分。そろそろ閉店時間だ。
なんて思っていると、ドタバタと足音を響かせて客が店に転がり込んでくる。文字通り、転がるように慌てて。
「すいません、まだやってますかっ!?」
…うん、もうしばらく閉められそうにないや。
やって来た客は高校生ぐらいか?
話を聞けば彼のストラーフ「コラン」があるバトルを境にまったく動かなくなったという。
どのショップ、果てはメーカーに問い合わせてもどこにもハードの故障は無く、プログラムだけがごっそりと無くなっている
のだそうだ。
故障として新しいプログラムのインストールを推奨されたが、それはもはや彼の神姫とは別の物になるという事。
彼はなんとか自分の神姫を救うべく、藁にもすがる思いでウチの評判を頼みに尋ねて来たのだそうだ。
「少年、キミが最後にやったバトルはどんなバトルだったんだ?多分、原因はソレだぜ」
さっきから、何度もした問い掛けを繰り返す。この話になると歯切れが悪くなるのは…何だかな。察しは着くが。
「別にオレはメーカーの人間でも警察でもない。例えば…キミが非合法のバトルをやっててもソレで修理を断ったりはしない」
カマを掛けてみる。見る見る青ざめていく少年の顔が、複雑に表情を変えて…
「…ごめんなさいっ!」
開口一番大声で謝り、俯く少年。その肩を叩いて宥める。ま、バトル派の神姫ユーザーにゃ意外とあるケースだ。
「僕…結構リーグでいいとこまで行ってて…自分の実力を確かめたくて…アンダーグラウンドのバトルに参加したんです
…その、最近パーツとかの遣り繰りに困ってて、賞金が欲しかったていうのはあるんですけど…」
「…でも、こんな事を望んでたワケじゃない…バトルは勝ちました、賞金も出ました、でも、僕のストラーフ…コラン
だけが帰って来ない!意味が無いんです…彼女が居ないと…何で…どうしてこんな事に…」
少年の肩が小刻みに震えている。…経緯はどうあれ、自分の神姫の為に泣ける…か。
「少年、そのバトルの参加方法とか解るか?」
「ネットワークのバーチャルバトルです。不具合を調べる時に、関係有るかと思ってログはとってますけど…そのサイト
何時の間にか消えてて…裏バトルだから当たり前なんですけど…」
「…そのログ貸してくれ。オレが必ず君のストラーフ──コランを直してやるから」
少年が目を見開いてこちらを見る。慌てて鞄からメモリーカードを取り出し。
「このカードに入ってます。あの…お願いしますっ!」
土下座せんばかりの勢いで頭を下げる少年に頷き、もう遅いからという理由で今日のところは帰す。さて…
PCのモニター上をとんでもない速さで流れていく文字の羅列を見ながら、嘆息する。
オレもそこそこやれるつもりなんだが…やっぱコンピュータ自身にゃ勝てん。
…オレはオレの仕事しよ。携帯電話を取り出し、コールする。
「はい。KMEE神姫バトルサービスサポートセンターで御座います」
受付嬢の柔らかくも清潔感溢れる声が電話の向こうから響く。いや、なに緊張してんだオレ。
「あ、私日暮と申しますが。今米主幹いらっしゃいますか?」
「今米で御座いますね?少々お待ち下さい」
おお、良かった。不審がられたらどうしようかと思ったよ。
「もしもし?今米だ。お前か日暮?」
受話器から聞こえるゴツくてかつ加齢臭溢れる声に現実の無常さを感じる。
「うす、今米さん。今なんかトラブってる?神姫強奪事件とか」
「神姫狩りの事か?そりゃ困ってるが…今に始まった事じゃないだろ。こっち側が噛んでるケースもあるしなぁ」
「いやいや、そういう必要悪じゃなくて。もっとどうしようもねーの」
歯切れの悪い答えを返す今米さんにさらに突っ込む。本気だかはぐらかしてんのか読みにくいんだよなぁ、この人。
「まぁ、神姫絡みの犯罪やトラブルってのは悲しいかな右肩上がりだからな。しぼれんよ」
「ええっと、一見故障じゃないんだけどデータだけごっそり無くなるってヤツなんだけど?」
受話器の向こうからキーボードを叩く音がする。調べ始めて十数秒ほどか、返事が返って来た。
「ちょっと待て…それならカスタマーやウチを含めて18件来てる。何か掴んだのか?」
お、ビンゴ。
「ああ。ウチの客が被害にあった。今夜辺りなんとかするつもり」
「そうかそうか。そりゃいい、宜しく」
「で、いくら出す?」
「おい待て!?どうせウチとは関係なくやるんだろ?何で身銭切らなきゃならんのだ」
ちぃ、やっぱそう来るか。進歩ねぇな、オレも今米さんも。
「データ、そっちでサルベージした事にしたら評判上がるんじゃないのー?企業イメージって大事よ、このご時勢」
「む…そりゃそうだが…しかしなぁ」
「どうせこれからたっちゃんに頼むし。嫌なら別に」
たっちゃんてのは古馴染みの警部さんだ。神姫関連犯罪の担当で色々と世話したりされたりのまぁ、腐れ縁である。
「あー、わかったわかった!そのかわりデータは大丈夫だろうな?」
「任せといてよ。んじゃ、報酬ヨロ」
電話を切る。おっしゃ。これで年末商戦向けの仕入れ費用は何とかなりそうだ。
「ジェニー、どうだ?」
アクセスログから例の違法バトルのサーバを探しているジェニーに声を掛ける。
「見つけてます。ウラも取れそうですよ」
「さっすが。しかし、人の神姫…しかもパーツじゃなくてデータだけなんてな。どうすんだか。強力なランカー神姫だけ
を狙うってんならともかく完全ランダムだろ?」
「他人の持ち物を所有したいなんて有り触れた願望だと思いますよ?肥大した支配欲とでも言えば的確ですかね。そういう
向きに高額で販売する…愛玩用のボディにでも入れて。そんなトコじゃないですかね」
冷静に説明してみせるその姿は一見クールだが…解る。怒ってる、怒ってるよジェニーさん。
「ヘドが出るな」
ま…気分悪いのはオレも同じなんだが。
「準備、出来ているならそろそろ行きませんか?」
「まー待て、連中の潜伏先をたっちゃんに流す。猶予は…今23時か。2時間でいいな?」
「充分です」
力強く頷くジェニーに頷き返し、準備を始める。さぁ、久しぶりの副業だ。
>頭部パーツを複合レーダーユニットに換装。マルチバイザー装着。コアユニットパージ。メインボディに接続...
>ヴァッフェバニーtypeE.S 「Genesis」起動..._
モニターに映し出される文字が彼女の目覚めを告げる。
オレの武装神姫。Encount Strikerの名を持つカスタムヴァッフェバニー、ジェネシスが。
E.S…遭遇戦域対応を目的とした銀の可変アーマー「シャドウムーン」と背中の複合兵装「ブラックサン」
大型装備は背部ブースターから伸びるフレキシブルアームで全て接続。移動は全てフライトユニットで行い、状況によって
装備位置の変更、可変によりあらゆる戦況に対応する特別仕様機。
全身フルカスタマイズ、武装も全てオレが玩具コレクションから厳選して改造したワンオフ品。
本来のレギュレーションを逸脱したその姿はもはや公式戦に参加する事も適わない、戦う為の神姫。
だが、俺達には必要な力だ。そうオレとコイツ───「正義の味方」には。
ジェネシスをPCと接続し、ネットワークにダイブ。彼女の眼を介して広がる電脳世界を駆け抜けていく。
意識を集中し、一心不乱にキーボードを叩くこと数分。例のサーバーに到着した。
情報を偽装しセキュリティホールを開けて侵入を開始。違法バトルのシステムに侵入。
公開ユーザー名には「G」とだけ入れる。コイツがオレの通り名だ。
「ジェニー…いや、ジェネシス。もうすぐ入り口が開く。今回のミッションはサーバーに侵入後、軟禁状態の神姫を
解放。オレの開けたセキュリティホールを経由して転送される彼女達の護衛だ。行けるな?」
「了解」
「よし。ミッションカウントスタート!状況開始だぜ、相棒」
電脳世界とはいえ、その住人から見れば──往往にして実体を備える世界を形成して見える。
サーバー内に広がる風景は鬱蒼と茂る森と光を遮る曇天。そして、その中心に聳える重苦しい、監獄の様な屋敷のみ。
「雰囲気出してんなぁ…」
感心半分呆れ半分、呟く。
「マスター、索敵範囲に神姫一体。斥候でしょうか?」
「ちっ…調べられるか?」
「向こうにも気付かれました。近い…マシーンズ反応有り。波形からマオチャオタイプと推察します。迎撃許可を」
「許可。マシーンズ撃退後本体は捕縛だ」「了解」
ブラックサンに積んだストフリ流用のドラグーンシステムが分離し、マシーンズを正確に捉える。
相手の反応はまだ無い。レーダー反応精度はこちらが上か。
一度きりの発射音の後、ばたばたと倒れて目を回すぷち・マシーンズ。
「にゃにゃっ!?」
茂みから聞こえるその声。指示を出すより早くジェネシスが反応する。
「其処ですか!」
腕部に装備したアムドラネオダークさん流用のワイヤークローデバイスがマオチャオを掴み上げ、天高く引き上げる。
おー…猫の一本釣り。
「ひぃやぁーっ!?た、助けて欲しいのにゃー!リィリィお家に帰りたいのにゃー!」
ん?コイツ攫われた神姫か?
ワイヤーを巻き取ったジェネシスが衝撃で跳ね上がるマオチャオ…リィリィだっけか。を抱き止める。
「大丈夫。痛くしないわ…良く頑張ったわね」
一瞬で柔らかい雰囲気を作り、リィリィの頭を撫でて優しく接する。慣れてるな大明神。
「おねーさん…ダレにゃ?」
きょとんとした顔のまま尋ねるリィリィに、オレとジェネシスはここぞとばかりに不敵に答えた。
『正義の味方…って事で』
「では、あの屋敷に皆捕らわれて居るんですね?」
「そうにゃ、バトル終わったのにリィリィ達ばとるふぃーるどから出られなかったのにゃ。そしたらカタクてゴツイのが
いっぱい出てきてみんなを捕まえて連れてったにゃ」
リィリィが俺達を案内しながら経緯を説明する。思い出してしまったのか元気がなく、その声も悲しげだ。
「大丈夫…絶対に助けます」
決意のこもったジェネシスの声。固いヤツだと普段は思うが、こういう実直さは誇らしくもある。
「はいにゃ…」
涙交じりで微笑むリィリィの声が、オレの決意も新たにする。
その時だった。前方の地面が唐突に盛り上がる。いや、捕縛者…そいつらが現れたのだ。
「で、出たにゃ!アイツらにゃ!」
慌てふためくリィリィ。とりあえす置いといてそのプログラムを解析する。神姫と思しき特長は無い。
「捕縛プログラムだな…改造してあるみたいだが、ベースはブロックウェアだ。多分、特徴も見た目通り」
「つまり…硬い代わりに動きは遅いと」
ブラックサンを前方に構え、トリガーロックを解放する。前方が展開しメガキャノンモードへ。
「シュート!」
ジェネシスの掛け声と共に放たれたビームの一撃が、一挙に二体を薙ぎ払う。
しかし、安心した瞬間今度はサイドから捕縛者が現れた。潜行して距離を詰めたか、近い。
「おねーさん、遠距離攻撃型にゃ!?早く逃げるにゃ!」
リィリィが逃げる隙を作ろうとその爪を構える。
「心配後無用」
手品師の様な口調で呟くと、ジェネシスがモードを切り替える。ブラックサンのサイドのビーム発生口から伸びるビームが
重なり、繋がり、巨大なビーム刃を形成する。
こいつはフルスクラッチだが、原理はムラマサブラスターと同じだ。読んでて良かったクロボン。
体ごと振り回すその巨大な刃に切り裂かれ、さらに周囲を囲んだ4体が破壊される。
「す…すごいにゃぁ…」
リィリィも呆気に取られるばかりだ。いや、ムリもないけど。厨装備でゴメン。
その後も散発的に敵は現れたが、特に問題になる様な事も無く屋敷まであと一歩と言うところまで辿り着いた。
ふと、暫く黙り込んでいたリィリィが口を開く。
「おねーさんのその装備は、どこで買ったにゃ?」
「いえ、これは全てマスターのお手製なんですよ」
一瞬きょとんとした表情を浮かべるも、微笑みながら答える。
「そうなのかにゃ…残念にゃ。リィリィも強力な装備さえあれば皆を助けられるにゃ…あんなヤツらに負けないにゃ…」
「そうだ!マスターさん、リィリィにも装備を作って下さいにゃ!装備があれば負けないのにゃ!」
一瞬しょんぼりしつつも、すぐに持ち直したリィリィがなんとこちらに話しを振ってくる。なんと答えたモンか。
「リィリィさん…それは違います」
オレが悩んで居るうちに、ジェネシスが会話に割って入る。
「装備は、神姫を助けてくれます。でも、神姫を強くしてはくれません。決して」
「そんな事ないにゃ、強いパーツを持ってる神姫は強いにゃ!おねーさんは強いパーツを持ってるから解らないんだにゃ!」
「リィリィさん…」
諭すようなジェネシスの言葉に強く反論するリィリィ。ジェネシスは悲しそうな瞳でリィリィを見詰めるのみ。うーむ…
「リィリィちゃん、例えばマシーンズが今の3倍の数使えるとしたらどうかな?それは強い?」
「それはきっと強いにゃ!でも3倍?ひぃ、ふぅ、みぃ、はにゃ…混乱するにゃ〜」
マシーンズの様な遠隔操作を要する自律兵器を統率する事は簡単そうに見えて実は非常に複雑なのだ。
一説にはその制御にリソースを食われてマオチャオシリーズはAI的に幼いなんて説も…いや、それは置いといて。
「…ジェネシスはドラグーン6基、クローデバイス2基、さらにフレキシブルアームが5本…コレらすべてを常時
コントロールしなきゃいけない。腕が15本あるようなモンかな」
「じっ…じゅうごほん〜…こんがらがるにゃあ〜」
目を回すリィリィに、多少は場の空気が和んだのを感じ、続ける。
「ジェネシスだって最初からこの装備を扱えたワケじゃない。というか、この装備自体改良に改良を重ねて作り上げていった
物だから、その過程で身につけていったって所かな」
「いいかい、リィリィちゃん。強力な武器を持つ神姫が強いんじゃない、武器を使いこなし、その性能を引き出せる神姫が
強いんだ。今までだって、そんな神姫をリィリィちゃんも見た筈だ」
しばらく考えたリィリィが、おずおずと口を開く。
「じゃあ…リィリィも強くなれるのにゃ?おねーさんみたいに、なれるのにゃ?」
「なれる。先ずは、一つの武器を極める。誰にも負けないぞってぐらい、その武器の使い方を身につけるんだ」
リィリィが頷くのをモニタ越しに確認して、続ける。
「そしたら、次はその武器を生かせるような他の武器を選ぶんだ。組み合わせはいっぱいある。そうやって、武器を、戦い方を
どんどん身につければ、どんどん出来る事が増えていく。昨日は出来なかった事が出来るようになる」
「昨日より今日より明日。装備なんか無くたって、そんなリィリィはずっと強いんじゃないか?」
「昨日より…強いアタシ…」
ぱぁ、とリィリィに明るい笑顔が広がる。
「頑張るのにゃ!リィリィ頑張るのにゃ!武器なんかなくたって、リィリイ強くなれるにゃ、守れるにゃー!」
元気に飛び跳ねるリィリィ。自分の可能性に気付いたその表情は明るい。やれやれ。
「マスター…良い話しますね、偶に」
黙って聞いていたジェネシスが、誇らしげに微笑んでいる。うわ。オレ凄い恥ずかしい事言ったのか今!?
「いや、アレだ!好きなヒーロー物の受け売りだよ!?ほらヒーロー物はやっぱ人生のバイブルだろ!?」
やけっぱちで弁解する。あー、すっげぇ恥ずかしくなってきた。
「はいはい…」
ジェネシスのこちらを見て笑うその瞳が優しい。やめろ、オレをそんな暖かい目で見るな。誰かオレを埋めろ。
「では…明日へ希望を繋ぐ為に、行きましょう!」
ジェネシスの呼びかけに屋敷の方を見る。屋敷は既にその威容を目の前に現していた。
薄暗い雑居ビルの一室、サーバー一台とPCが三台並ぶだけの殺風景な室内。
PCにはそれぞれ男達が張り付いてなにやら作業を行なっている。その表情を一言で言えば…焦燥感。
「どうだ、神姫共は全員捕まえたか?」
ドアを開け、やさぐれた風貌の男が入ってくる。作業していた一人が慌てて腰を上げ。
「ア、アニキッ!それどころじゃねぇんですよ。見覚えの無い神姫が何時の間にか居て、捕縛プログラムをどんどんブッ壊して
るんですよ!」
「ああ?そういうのは登録の時に入れない設定になってるって、ブローカーが言ってただろうが!テメェ、掴まされやがった
な!?」
「ひっ!?いや、そんな事ねぇですよ!コイツ、昨日はいませんでしたって!」
「外から入ったってのか!?アレか、ハッカーってヤツか?どんなヤロウだ」
画面内を駆け回るのは銀色の神姫。アニキと呼ばれる男はユーザー情報を閲覧する。
>Type:WAFFEBUNNY
>Name:Genesis
>User:G
「…Gだと!?こいつ…あのGか!?って事はコレがウワサのE.Sか!?畜生!!」
「アニキ、コイツ何なんです?」
モニターとアニキと呼ばれるおそらく主犯の男とを交互に見詰める男。
「神姫犯罪が流行りだした頃、どっからともかく現れた自警団気取りのイカレ野郎だよ。ブローカーから聞いた事がある」
唸るように低く呟く男は、続ける。
「コイツに目をつけられたヤツは必ずヒドイ目に合ったそうだ。神姫にしてもコンピュータにしても、とんでもねぇ腕を
してていくつもの連中が被害にあってるらしい。神姫犯罪を嗅ぎ付けちゃ、幽霊みたいに現れるって話だ」
男達が話している間にも、銀のヴァッフェバニーは次々とプログラムを破壊していく。
「場合によっちゃタイプ名の後にE.Sって名前がついててな。なんちゃらストライクだかそんな名前だとよ」
「どういう意味か聞いたらよ、その中国人ブローカー漢字で見敵必殺と書きやがった。笑えねぇ」
舌打ちし、憎々しげにモニターを見詰めて叫ぶ。
「おい、サーバー操作してとっととコイツを弾き出せ!」
「それが、さっきからやってんですけどサーバーをコントロール出来ねぇんですよ!」
「ああっ、畜生!」
部下の男の悲鳴に近い報告を聞き、主犯の男は近くの椅子を力任せに蹴り飛ばす。
追い出せないなら…後は潰すしかない。このままじゃ折角の儲け話がパーだ。
「くそ、こうなったらオレがあのGをブッ殺してやらぁ!例の神姫、使えるな!?」
「あ、へい!言われたとおりにやっときました!」
「よっしゃ…裏稼業でも音に聞こえた神姫のデータだ。強い神姫に目が無い金持ち連中になら、100万…いや、1000万
単位でも売れるかもしれねぇ」
男が思考を切り替える。そう、こいつはチャンスだ。こないだも鶴畑とかいう金持ちが大金積んだとかを自慢してるヤロウを
苦々しく見てたが、今度は俺の番ってワケだ、と。
大金に目を輝かせる男達は、反撃の準備を始める。
「さぁ、儲けさせてくれよ…見敵必殺の武装神姫さんよぉ…」
下卑た男の笑いが、埃っぽいワンルームに低く響いていた。
屋敷内に無数に仕込まれたファイヤーウォールを破壊しつつ、先を急ぐ。
「皆の気配を感じるにゃ!こっちにゃっ!」
興奮気味にしっぽを揺らしながら走り抜けるリィリィに誘導される形で、ジェネシスが続く。
「ここにゃ!」
叫ぶリィリィが大きな扉を開け放つ。中には不安そうな顔の武装神姫…おいおい、30ぐらいいないかコレ。
「皆、助けに来たにゃ!早く逃げるにゃ!」
わっと歓声を上げる神姫達。リィリィに先導される様に駆け出して行くその殿をジェネシスが務める。
「マスター…抵抗が少な過ぎませんか?敵方の神姫が一体も出てこないというのはこのテの犯罪としてはどうも…」
周囲を警戒しつつ、不安を煽らないように小声で問うジェネシス。確かに、色々嫌な予感はしていた。予想は色々出来るが…
出来れば外れて欲しい。杞憂であって欲しい。そういうのに限って当たるんだが。
「リィリィの方を警戒だ。門を開けたら、なんて事にならないように」
「了解」
大きな正門はもうそこまでという所まで来ている。ジェネシスがトリガーロックを外し、そちらを注視した。
こちらの不安を知ってか知らずか、大きな声でリィリィが叫ぶ。
「開けるにゃ!」
ゆっくりと音を立てて開くその扉の向こうには…曇天が広がるばかりだった。
取り越し苦労か?いや…突如始まる地鳴りが不安を肯定する。地を割って現れたのは今までとは明らかに異質な敵…神姫だった。
ストラーフの腕を無数に繋げていったようなその姿は、龍のようでもあり、百足の様でもある。尾部には巨大なブレード、
頭部は…その巨大さから良く見えないが大きな目と爬虫類のような顎から覗く牙が伺える。、
「私がやります!リィリィさんは皆を守って!」
ジェネシスが前に出る。確かに、とても普通の武装神姫が戦える相手じゃない。
「解ったにゃ!」
ジェネシスと入れ違いに下がるリィリィが、神姫達とジェネシスの間に入り、神姫達を守るように立つ。
どうにも嫌な予感がして一声掛けようとしたその時。一瞬、ジェネシスの視界から見たリィリィの背後の神姫達。
──その表情が消えていた。
「リィリィ!危ない!」
反射的に叫ぶ。だが…オレの叫びと、リィリィが背後のハウリンタイプにその身体を貫かれるのはほぼ同時だった。
「リィリィさん!」
ジェネシスがハウリンにぶちかましをかけ、リィリィを抱いて上昇する。
地上には操られた神姫達、そして空にはこちらを睨みつける巨大な異形の神姫の頭。
それらと距離を取り、リィリィを安全な場所へ降ろすべく飛ぶ。
「にゃ…どうしたにゃ…痛いにゃ…体が、動かない…にゃぁ…」
「喋らないで…」
苦痛に歪むリィリィの声を、心配そうなジェネシスの声が遮る。
「みんなは…どうしたのにゃ…?」
「操られています…おそらくウイルスによって」
逃走中の様子に不自然な点は無かった…とすれば、任意で起動する洗脳プログラムだろう。
…その可能性は充分考えられたのだ、罠を感じた時から。過去にそんな経験が無かったわけでもない。
だが、リィリィにそれを告げる事がどうしても出来ずに、頭のどこかで可能性を否定していた。
彼女が必死に守る…そんな仲間に気をつけろなんて、言えなかった。
「すまん、リィリィちゃん…オレが気をつけていれば」
「マスターさんの…せいじゃないにゃ…」
リィリィの微笑みに首を振り、言葉を続ける。
「いや、こんな事もあるかもって…心のどこかで思ってたんだ。なのに…言えなくて」
不甲斐なさを噛み締め、彼女に謝罪する。
「リィリィが…悲しい思いをしないようにって…言えなかったにゃ…?それは優しい…事にゃ。悪く…無いにゃ」
何もいえない…言葉に詰まるオレを、ジェネシスが叱責する。
「マスター、私達は何ですか?ここで折れてはならない、負けてはならない。正義は勝たなければならない」
「勝利する者が正義じゃない。だが、正義を語る者に負けは許されない。諦めないから、正義は死なない。でしょう?」
…ジェネシスの言葉が、胸の奥を燃やす。そうだ、オレは…やらなきゃならない。凹むのは、店長稼業だけで充分だ。
「…助けるぞ、全員だ」
「勿論です」
「にゃ。ファイトにゃ…おねーさんはつっよいにゃ…信じてるのにゃあ…」
力なく微笑むリィリィに頷き返す。
「しばらく眠っていて。目覚めた時には貴女は…貴女のマスターのお家に帰ってる。約束します」
「うん、楽しみ…にゃ」
データ破損状態のまま活動するのは危険な事だ。セーフティが働きスリープモードに移行したリィリィを丘に降ろし、
こちらへ迫る神姫達を見る。
「ここが正念場だな」「はい」
気合を入れたジェネシスが、曇天の空へ飛翔した。
「お前の攻撃データを改竄した。攻撃を当てればそこからウイルスコードが侵入し、俺達とリンクする」
「相手のコンピュータからは消えたように見える筈だ。コレで洗脳から解放できる。一時凌ぎだけどな」
めまぐるしくキーボードを叩きつつ、ジェネシスへ指示を下す。
「了解です。」
「それと、一機一機回収してる時間の余裕がもう無い。リンクを経由して一緒に連れ出す。その為には機体を機能停止させる
必要が有る」
「人間でいう鳩尾の位置だ。エネルギーラインの集中位置がある。バイザーにデータ送るぞ。ここを切断すれば無傷で神姫
を止められる。いいか、一撃でここだけを刺し貫け」
ジェネシスのバイザーにヒットポイントの位置データを転送。ジェネシスは位置を確認し頷く。
「安心しました。いつもの貴方で」
「凹むのは後だ。その話はするな」
「頼りにしてます」
僅かに笑んだ気配のある彼女の声が、緊張をほぐしてくれる。サンキュ、相棒。
神姫達の只中へ突っ込む。最初に襲い掛かって来たのは先程のハウリンタイプだ。
「ジェネシス。システムを近接戦闘に移行」
「了解」
可変アーマーが跳ね上がり、ハウリンを弾き飛ばす。展開したアーマーがフレキシブルアームごと後方へ移動し、折り畳まれて
スラスターウイングを形成する。尾部のアーマーがサイドに持ち上がり展開してサブウイングとなって…高速格闘形態へ。
ウイング内に仕込まれたサバイバルナイフをクローデバイスで取り外し、その手に握り込む。
もう片方のクローでハウリンを掴み、こちらへ引き寄せて。
「大丈夫…痛くはしません」
ドッという鈍い音と共に正確にその胸をナイフで刺し貫く。
停止したハウリンを降ろせば、周囲を取り囲む神姫達。流石に数が多い。クローユニットを180度回転して逆方向に装着した
ビームユニットからサーベルを展開。同時にドラグーンを射出して駆け出す。
ジェネシス自身が前方の1機を、後方の6機を至近まで接近したドラグーンが討つ。…一応、ジェネシスのビーム兵器には
全てエネルギーキャップを付けてある。短時間ならどの兵器からでもビーム刃を出せるのだ。
そこへ降り注ぐ攻撃から倒した神姫を突き飛ばして、自らも上空に避ける。
「容赦ねぇな。ま、操られてるんだし当然か」
「だからこそ、これ以上彼女達が傷を負う前に止めねばなりません」
味方を倒されても躊躇無く攻撃を加えてくる神姫達。回避行動を取りつつ、その要領で次々と撃破していくと例の巨大神姫が
接近してくるのが見えた。
神姫達の迎撃をドラグーンに任せ、巨大神姫へと飛び立つ。アレとの戦いに他の神姫は巻き込めない。
迫る巨大神姫に先制攻撃を掛ける。これでウイルスが効けば儲けモンだが勝算は薄い。なぜならアレは恐らく…
「よぉ、Gさんよ。初めましてだなぁ?攻撃しても無駄だぜ?コイツはオレが直接操ってるからなぁ。サーバーには依存しねぇ」
巨大神姫の蛇の様な頭部。その目の部分が点滅し、音声を再生する。装甲も今までの比じゃねぇのか傷一つ付いていない。
「やっぱ初めてか。オレが今まで潰した連中と比べて大分ザルいぜアンタ。その分卑怯くせぇがな」
皮肉たっぷりに言い放ち、巨大神姫を調べる。神姫部分が露出してれば話は早いが…そう簡単には行かせてくれないか。
「何とでも言ってくれや。取引だ、Gさん。オメェこのまま俺達に捕まれ。大事な神姫を壊したくないだろ?それに…」
巨大神姫の頭部カバーが開く。その中に組み込まれていたのはストラーフ…しかも見覚えのある、だ。
「コラン…」
苦々しく呟く。それは、オレが修理を頼まれたあのストラーフだった。
「何だ知り合いかよ?なら話も早いってモンだ!アンタが抵抗すればこのストラーフ、タダじゃすまないぜ?」
「こっちも高い金掛けてこの戦闘用神姫を組んでんだ。ランカーの神姫まで用意してなぁ。こんなトコで壊したくはねぇのよ」
人質ってワケか。どこまでも腹の立つヤロウだ。
このデカブツを破壊して頭部から彼女を救い、彼女にダメージを与える。直接接触しない限りは攻撃は無駄。
…手が無いわけじゃねぇが。
(ジカンヲカセゲ)
ジェネシスのバイザーにメッセージを送信する。
「…アンタの目的は?」
男に話しかけながら、キーボードを打ち続ける。デカい入り口を開ける為に。
ジェネシスも無言のままウイングをアーマーに変形させて防御姿勢を取る。
男の神姫がジェネシスをいたぶる様にその巨大な身体をぶつけて攻撃を開始した。
まるでお手玉の様に中空で攻撃を受け通けるジェネシスの顔が悔しさと痛みに歪む。
「目的ぃ?目的なんざ金に決まってんだろ!Gの神姫とソレをヤッた神姫となりゃ、とんでもない額で売れるぜ!ハハハッ」
「手間ぁ掛けやがって!頂く前に少し遊ばせてもらうぜ、見敵必殺の神姫サンよぉ!」
「下衆野郎が…」
「口の利き方には気をつけろよ、Gさん。アンタの神姫が痛い目に合うぜ?」
巨大神姫の尾のブレードが、ジェネシスを地面に叩き付ける。
地に伏したジェネシス目掛けてそのブレードが何度も何度も振り下ろされた。
「大した事ねぇなぁ?おっと、手が出せないんだっけか、悪ぃ悪ぃ」
下品な笑い声を上げ、男が楽しげにこちらを挑発する。
そして巨大神姫が、その身体で蛇が獲物を絡め取るようにジェネシスに巻きつき、締め上て来た。
「ぐっ…」
苦痛に耐え、呻き声を上げるジェネシスを見て、男は満足げに言い放った。
「オラ、Gさんよ。アンタはこの神姫を置いてさっさと消えな。これに懲りたら少しは利口な生き方ってモンを覚えるんだな」
…この手の手合いは自分の優位を実感した瞬間、どうしようもなく隙が出来る。小悪党の不文律か。
目の前にちらついたお宝に目が眩み、オレを無力と思ったのが運のツキだ。終わったよ、準備。
「なぁに。ドカンなんて暇も与えねぇさ、小悪党!」
最後の構文を書き込み、エンターキーへ指を叩き付ける。サーバー世界の雲に穴が開き、新たな入り口が開く。
「ジェネシス、待たせたな!やっちまえ!」
「アーマーユニット、オールパージ!」
オレの呼びかけに応えたジェネシスが叫ぶ。アーマーが強制排除され、拘束を吹き飛ばしたその勢いのまま天へと跳んで。
同時、天空より飛来した戦闘機に飛び乗った。
「な、なんだこりゃ!?」
状況を理解していない男の叫びが空へと木霊していた。
ジェネシスが乗っているのは、彼女の最強の剣だ。アムドライバーシリーズのネオボードバイザー、通称ソードダンサー。
そいつの推進系とコネクタを改造し、銀に塗ったMMS用随伴戦闘装備──ソードダンサー改「リボルケイン」
「モードブリガンディ!」
ジェネシスの咆哮に合わせてリボルケインが変形する。ジェネシスをその身に納め、巨剣を構えるその姿はまさに剣帝。
「必殺!リボルクラッシュ!」
雄叫びと共に全推進系を使い、超高速で相手を貫くリボルケインの必殺技が巨大神姫の首とその下を切り離す。
吹き飛ぶ頭を掴み、頭部カバーを弾き飛ばして、ジェネシスを分離。ここまでを一呼吸で行なう。
リボルケインから分離したジェネシスがその内部に眠るコランを引き剥がし、胸を貫いた時、男はようやく現状を認識した。
「なっ!なぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
訂正、展開に追いついてないわ。このオッサンの頭。
「チェックメイト。とでも言えば通じますか。貴方の負けです、犯罪者さん」
コランを抱くジェネシスが、再度飛行形態へ変形したリボルケインの上で勝利宣言する。
「あ、ありえねぇぇぇぇっ!?」
叫ぶ男。負けた事は認識したらしい。ともあれ。
「ジェネシス、アーマーパージはキャストオフだ。基本だぞ?」
台詞について突っ込むオレ。
「ああ、気付きませんでした。失礼」
和やかに返すジェネシス。
「何の話じゃおまえらぁぁぁっぁ!?」
興奮状態のオッサン。
「何だ!?何をしやがった!?改造ボディのランカー神姫の反応を超える動きだと!?どんだけカスタマイズしてんだ!?」
大声で捲くし立てるオッサン。オレが皮肉の一つも言ってやろうと口を開いた時、先にジェネシスの声が耳に入った。
「武装神姫は一人で戦っているんじゃない。信じ、信じてくれるマスターと共に戦うからこそ、スペックだけでは測れない戦いが
出来る。共に支え、胸を叩き、背中を押す。その声と心が共にあるからこそ、戦える」
「神姫をパーツとしか思わず、その心を、誇りを汚す愚か者になど…武装神姫は負けない!恥を知りなさい!」
…言う言う。オレの心もすっとした。…で、嬉しかった。コイツの言葉が。
「くそっ!人形風情が何を人間様に説教たれてんだ、コラッ!勘違いしてんじゃねーよ、機械の分際でよぉッ!」
男も負けじと吠える。台詞まで小悪党だ。どこまでも救えねぇヤツ。
「そんなんだから負けんだよ。お前が言う機械にも解る事が解んねぇんだから、お里が知れるぜオッサン」
嘲笑を込めて言ってやる。そして止めに一言。
「ま、負け犬の遠吠えっていつ聞いても滑稽だな。二度と出てくんなよ三下、出てくるたびにこうなるぜ?」
「うがぁああああああっ!!!くそっ!こうなりゃデータなんぞ関係ねぇ!死ね!!」
そこで男の通信が唐突に途切れる。いや…通信だけではない。
世界が、崩壊を始めていた。遥か彼方から、凄いスピードで世界が崩れ、ただの無機質なデジタルデータの流れが剥き出しに
なっていく。
「あのオヤジ、ヤケになってサーバーの電源無理矢理抜きやがったな」
この現象も悲しいかな経験済みだった。ヒステリー後の行動なんてそんなに多彩なパターンは無いらしい。
「UPSじゃ持って数分か。データリンクしといてよかったぜ。ずらかるぞ」
「マスター、リィリィを回収しないと」
慌てて言ってくるジェネシスに、ニヤリと笑いながら告げてやる。
「最初にリンク張っといたよ。問題ナシ」
「そうですか、良かった…」
胸を撫で下ろすジェネシス。うん、なんか今オレ出来る男っぽくね?はっはっは。
「マスター…この捕縛プログラムはどうなるんでしょう?」
出口へ向けて神姫達を送り出しながら、ジェネシスが聞いて来る。
「ま、電源抜いたくらいで壊れはせんだろ。UPSも動いてるし…後は警察がやってくれるさ」
「そうですか…」
俯くジェネシスが、パージしたアーマーを身に纏う。はて?何で今更アーマー着ますか。
「マスター確か今の私の攻撃データ、ウイルスが仕込んであるんでしたね?」
「…おう。ええと、ジェネシスさん?」
声音が低い。これはなんか怒ってる時の声だ。
「私が攻撃すれば…壊れますかね、この不愉快なプログラム」
にこやかに笑みつつ、屋敷を指差す。うひぃ。
「いや、時間無いよ?神姫達の転送も終わったしさっさと離脱しないと…」
「マスター…Gという名の由来を聞いた時、機械の英雄達の称号とおっしゃいましたね。そして、私の装備にはGの遺伝子
が受け継がれていると」
オレの呼び掛けを遮り、ジェネシスが語る。ああ、確かに。ガンダムもグレート合体もゴジュラスもギャラコンも、
ロボットヒーローにはGの名は付き物だ。彼らの正義にあやかる為に、オレはこの稼業を始めた時Gを名乗った。
「この状況を打破出来るGを、私は知っています。そして、その力は私にもある」
再びアーマーが変形を始める。近接戦闘形態へ。そして、さらにウイング内に仕込んだそのGのキャノンが、両腕のビーム
ユニットが、腰のヴェスバーが。そして周囲にはドラグーンが。全砲門がプログラムへ向けてその牙を剥こうとしている。
「そのあまりの力から、やりたい放題…フリーダムの名を冠した伝説のG!その力を今こそ!!」
「いや、その説明俺の主観だし!証拠のプログラム壊したらたっちゃんに怒られ──」
慌てて止めようとしたオレの言葉をも吹き飛ばすように、ジェネシスのハイマットフルバーストが電脳世界に止めを刺す。
白く染まり崩壊するその世界の輝きは、なんだか色々な物を忘れてしまいたくなった。意味は無いけど南無。
「畜生、畜生畜生ッ!」
見事にGに出し抜かれた主犯格の男は、怒りをコンピューターにぶつけていた。
「あ、アニキ、落ち着いて!マジでデータが壊れちゃいますよ!」
慌てて取り押さえるその部下達。
「どうせGのヤロウに持っていかれた後に決まってるだろが!畜生、あのオタク野郎、覚えてやがれっ!!」
力任せに蹴り飛ばされたテーブル。その上に乗っていた目覚まし時計が壊れ、時を止めて転がった。午前1:00時。
同時、インターホンが鳴る。
「誰だ、こんな時間に…?」
部下の一人がドアを開ける。其処に立っていたのは、黒手帳を示した男だった。
「…警視庁公安MMS犯罪担当3課、地走 達人。階級は警部だ。お前たちを電子取引法違反、違法賭博、器物強奪etc等の容疑で
逮捕する。コイツが令状だ」
あまりといえばあまりの事態に、男達が目を白黒させる。そして数秒。
「テ、テメェーッ!」
何がテメェなのか解らないが、パニック状態の男達が襲い掛かる。
手帳を仕舞う余裕すら見せ、地走警部が後ろに下がり一人目に当て身投げを行なう。
身体を半回転させドアを塞ぐように相手を投げれば、それに二人目三人目が巻きこまれて倒れ。
「手間を掛けさせるな。公務執行妨害まで付くぞ?」
ドスの効いた声で告げる。警部というよりは殺し屋のようなその声に、主犯格の男が腰を落とし…逮捕劇はあっけなく幕を閉じた。
「警部、証拠品の搬入先なんですが…」
「ああ、データ解析はKMEEの今米さんに頼んである。そっちに運んでくれ」
「はっ」
敬礼して持ち場に戻る若い警官を見送り、地走警部は携帯端末を操作した。
事件から数週間。結局あの事件は新聞の三面記事にすら載る事無く、静かに終息を迎えた。
それだけ、今の世の中神姫犯罪が多いってコトだろう。ブームの暗黒面だ。
だが、事件の当事者には良くも悪くもその記憶は残り続ける。例えば、あのストラーフ使いの少年の様に。
・
・
「本当に、有難う御座いました」
少年が深々と頭を下げる。その腕には意識を取り戻した彼のストラーフ、コランがしっかりと抱かれていた。
「おう。ホント苦労したぜ。修理代はずんで貰わねぇとな」
カウンターに両腕を預け、軽口を零す。
「はい、貯金、全て下ろして来ました…いくらでもお支払いします」
「ほぉ、そいつはいい心がけだ。そんじゃ、コイツの代金を払って貰おうかい」
神妙な面持ちの少年に請求書と紙袋を手渡す。請求書を読み上げた少年が不思議そうに顔を上げた。
「えっとこれ保守部品ですよね…?ハードの故障だったんですか?」
「いんや。正真正銘ソフトの問題」
一拍置いて言葉を続ける。
「ホント大変だったんだ。二度とゴメンだ。つーわけで二度目は無いぞ少年。今度同じ事が起きても修理はしねぇ」
「だから、そのパーツでしっかり整備して頑張んな。強さってのを見詰めなおす為にも」
「店長さん…」
一言そう呟く少年に頷いて見せる。
「裏にゃ裏の意味がある。否定はせんよ?でも、あそこは…なんつーかな、普通の意味でも武装神姫にゃ似合わない場所さ。解るだろ」
「はい…」
「…だから、お前さんの求める強さはあそこには無ぇ。人に頭を下げるぐらい大事な神姫なら、日の当たる場所で一緒に歩いてやんな」
少年が、少し俯いて無言になる…やがて、顔を上げた少年は「色々、お世話になりました」とだけ言って、会計を済ませた。
「きっと、彼女と胸を張ってまた会いに来ます」
「楽しみにしてるよ。有名になったらウチの宣伝もしてくれ」
手を振り見送る俺に何度も頭を下げながら、少年は帰っていった。
・
・
・
「カッコつけすぎたかなぁー」
思わず思い出して背筋が寒くなる。自分でもこう、偶にやってしまうクサイ台詞病にはほとほと困ったモンだ。
「でも、カッコよかったですよ」
横から声を掛けるジェニーを見る。教室も終わり定位置…レジ横の特製クレードルに鎮座する大明神様は、レジ兼用のデスクトップ端末
からネット中のご様子だった。
「いや、何も言ってないんすケド」
恐る恐る返す俺に「どうせ自分の勢い任せにいっちゃった台詞でも思い出してたんでしょう」という的確な突っ込みが返って来る。
エスパーか君は。
「長い付き合いですから」
「いや、モノローグを予測して答えるな、マジ怖い」
そんな遣り取りの後、ジェニーが端末のモニタを示して見せた。
「頑張ってるみたいですよ?コランさん」
見れば、強敵相手に善戦し、僅かながらポイントを上げたコランの姿が映し出される。
「ま、元々腕はよかったんだろし。頑張って欲しいねぇ」
ニヤケる顔を見られないようにジェニーとは逆の方を向く俺の耳に、彼女の僅かな笑い声が聞こえた。くそう。
「で、私のボディは何時買って貰えるんですか?そろそろ今米さんから報酬が届く頃では?」
「そんな予定はありません」
定例の突っ込みに定例の言葉を返す。
「…電話してたのは聞いてます。報酬、私にも権利はあると思いますけど?」
ジェニーの冷静さを維持しようとする声に、誤魔化すのはムリと判断して真相を告げる。
「あのなぁ、いくらなんでも現金なんて貰えるワケないだろ。企業的に」
「というわけで、12月発売の3機種各6カートン。コレで手を打った」
「な…な…なっ?」
「ウチの店の規模じゃ破格の入荷数だぜ。震えるぜハート、燃え尽きるほどヒート…」
「じ、じゃあそこから一体素体を都合して下さいよ!」
「店の商品に手を出すなんて商売モラルがなってないぜ、ジェニーさん」
チッチ、と指を振る俺をジェニーが睨み付ける。心なしか肩が震えて居るような。
「この、金無し!根性無し!甲斐性無し!うああああん!マスターの馬鹿ーっ!」
走り出したいのかクレードルから分離しようと身を捩るジェニー。首しか動いてないよジェニー。
「まぁまぁ…大明神様落ち着いて」
「ああっ!もうっ!解りました、それならこっちにも考えがあります!」
こちらをキッと睨むジェニー。やおら表情を作ってもじもじと呟く。
「もう…夏彦さんの意地悪」
ホハッ!!大ダメージを受けた俺は思わず突っ伏した。
「やめろ…っ!オレは小学校中学年以来、女に名前で呼ばれた事が無いんだ!」
早鐘の様に鳴り響く胸を抑えて何とか立ち上がる。くそう、エグい手使いやがる。
「ふふ…女扱いは悪い気しませんけど、許しませんよー。夏彦さ〜ん♪」
「ぐぁぁぁっ!黄色い声を出すなぁっ!?」
「純情ですねー、夏彦さんは」
「謝る、謝るからヤメテーッ!?」
そんなコントを聞いてか聞かずか、自動ドアを開いて入ってきたお客さんが遠慮がちに声を掛ける。その方には見覚えのあるマオチャオ
タイプが手を振っていた。
「あの…ここ、武装神姫のお店、ですよね?」
オレもジェニーも、すぐに切り替えて営業スマイルを浮かべる。一瞬だけ、視線が合って、それがお客さんの方を向き…
『いらっしゃいませ!』
ホビーショップ エルゴは、今日も明るく営業中である。
90 :
あとがき:2006/10/16(月) 01:49:53 ID:AGl405C4
皆さんヒーロー物はお好きですか?
私は大好物です(挨拶)
長すぎかつ詰め込みすぎかと思いつつも、どうにも削れなく。修行が足らんです。
もっとも見やすい文章を研究せねば。
では、お付き合いいただき有難う御座いました。
ホビーショップ エルゴは皆様のご来店を心よりお待ちしております(何)
この速さだと302と名乗っているとややこしそうなので改名(?)しました。
しかも今回は神姫SSなのにほとんどエストの出番がありません。
相変わらずの変なノリですが、よろしくお願いします。
爽やかな朝だが、今日もいつもの無茶なお願いをそろそろ言いに来るはずだ。
ドタドタドタ
「師匠〜。」
ほら来た。
「今日は何だ?マントならまだだぞ。」
「師匠、必殺技の伝授をお願いします!」
しまった、教育の際に戦隊成分を多くし過ぎたか。
「臓物をぶちまけるような錬金の漫画みたいに、槍を構えて技名叫びながら突進じゃ駄目なのか?」
「駄目です。」
「そう言われても、生身で一般人の俺は必殺技など使えんぞ。」
言った瞬間にエストが心底哀れだと言わんばかりの目で見やがった。
誰かコイツの判断基準を教えて下さい。
「付いて来い、出かけるぞ。」
さーて、やって来ました我が職場(休んでるけどな)のフィールド部門ー。
「ちわーっす、主任居ますかー。」
「久しぶりだな、神姫とは仲良くやってるか?」
「色々と言いたい事はありますが、今回は要点だけ質問します。」
「ん?スリーサイズなら教えんぞ」
無視無視
「あのエスト、じゃ通じないか、神姫の出所は何処なんですか。」
「あれかー、評価試験チームが普段使ってるのと一緒だぞ。」
「評価用って、赤外線コントロールのアレですか?」
「他に何があるってんだ。」
「だって、あれは頭部ユニットに受光部取り付けた外部操作専門神姫で、AIユニット積んでない自立行動不可のタイプでしょう!?」
「説明的な台詞をありがとう、だからその頭部パーツだけ換装したんだよ。」
「そうか、それだと規格ギリギリのスペックも納得できました。」
どう見ても試験用がマネキンにしか見えなかったせいで、簡単な事実に気付かなかったらしい。
とりあえずチーフに礼を言い、初期設定を頼んだ友人のデスクへ向かう。
「やあやあ、どうだい?弟子を持った気分は。」
「最悪。」
即答してやった、ザマーミロ。
「君の名前が”黒須 修司”なんて某アジアさんの本名と同じだから設定したのにー。」
「うるさい馬鹿、お前のせいで必殺技がどうとか色々うるさいんだ。」
「どうせ君の趣味のせいでしょうに、違うかい?」
「違わないけどお前も悪い!!」
「まあいいや、面白そうだし手伝ってあげるから内容を詳しく話しなよ。」
「実はな・・・」
記念すべき初戦から今日までの経緯をパカパカ抜きで話した。
「OK、模擬戦の準備しておくから明日もう一度ここにおいで。」
「わかった、おーいエスト帰るぞー。」
「それで師匠、必殺技の件と私の出番は?」
「いわゆるひとつの『次回を待て!!』ってやつだな。」
後頭部に全力で飛び蹴りされた。
92 :
ダメ師匠:2006/10/16(月) 02:09:27 ID:aXXz6kNX
あとがきもどき?
次回は掟破りの人間VS神姫でバトルをお送りしたいと思います。
師匠としての尊厳は守れるのか、どうなる必殺技。
そして今度こそエストに出番はあるのか!?
ではではー ノシ
93 :
リンのマスター:2006/10/16(月) 02:29:42 ID:UDCmTdno
最近、家族が使うことが多くなってPC使用が制限されてきた今日このごろ・・・
やっと家族が寝静まり、チャンスとばかりに投下です。
第7話、ティアメインかな??
私の名前はティア。愛するご主人様の所有物。
武装神姫ですわ。
で今日はアーンヴァルの基本パーツの1つ。
大口径ブースターの出力を強化した先行試作モデルをいただいたので、その調整と試運転を兼ねて近所の公園で飛行中です。
そのためにご主人様が見ていないうちに辺りのカラスや鳩をレーザーライフルで追い払ったのでいま空に私をさえぎるモノは存在しません。
なんて空を飛ぶのは気持ちよいのでしょうか??
お姉さまにも体感させてあげたいくらいです。
おや、あそこに見えるのは豪華なドレス。
しかしそれを身にまとうのは"ぽっちゃり"と言うのさえも、お世辞にならないくらいに丸々太った体躯。
全くもって美しくありませんわ。
私の瞳はあののような"物体"を映すために存在しているわけではありません。
早めに私の視界から消えていただくことを望みます。
よって威嚇射撃敢行、もちろん直接当てるわけではありませんので問題になることは無いでしょう。
そうして私はレーザーライフルをあの物体の足元に照準を合わせ、出力30%で発射。
いきなりアスファルトが光ったことでアレは逃げ出すはずでしたが、
いきなり黒い服を着たSPらしい人が集まってきました。
どうやら暗殺かなにかと勘違いしたらしいです。
私は面白くなかったのでご主人様の元へ帰ります。
そのときは気付きませんでした。アレがあんな人物だとは……
94 :
リンのマスター:2006/10/16(月) 02:31:46 ID:UDCmTdno
俺はリンを定期健診に預けて今日はティアと2人で公園へ、というのもあのリンのレッグパーツのシリンダーを手がけた友人の会社の改良ブースターの先行試作販売型
(ライセンスはもちろん取得済み)の試運転に連れてきている。
今日は4月5日。絶好のピクニック日和だ。
もちろん空を飛ぶにもとてもいい天気。
なのだが、ティアのヤツがちょっと目を離した隙に高く飛んで行ってしまった。
で探しているとなぜかレーザーライフルを抱えているのが気になったけども、無事に戻ってきた。
それまでは良かったのだけど…その数秒後俺たちは黒ずくめの男達に囲まれていた。
「あなたですのね!この私、鶴畑3兄妹の1人。和美に銃を向けた愚かな神姫のマスターは?」
後から現れたドレスを着たというより着られている感じのピz…もとい少女が声を発する。
「は???」
俺はわけがわからないので反応が出来ない
「ですから私にレーザーライフルを向けただけでなく、発射したのですよ。」
「……マジ?」
俺はティアに確認する。
「?? 私は見るに耐えない不快な物体に視界からはやく消えて欲しかったから威嚇を行っただけですのよ」
おい…ティア。それが原因なんだよと言う間もなく、俺は意識を失っていた。
俺が目を覚ますとそこは近所のセンターと思われる建物の個室、大会で使用される選手控え室だろう。
しかも俺は手首足首をベルトでイスに縛られている。全く身動きが出来ない。
辛うじて動く首を真横に動かす。左右にはあの黒ずくめの男が立っている。
しかもその手には拳銃が握られている……俺、もうだめなのカナ? カナ?
95 :
リンのマスター:2006/10/16(月) 02:34:22 ID:UDCmTdno
突然扉が開くとそこにあの少女がいた。その側近らしき男の手に握られるのは鳥かご。
その中にティアがいた、しかもうつぶせに倒れている。
まさか電気ショックでも食らって再起不能なんてことは…やばいのは俺も同じか…
俺の脳裏に最悪の結果が再生される。
「俺たちを処分しようってか・・・・・」
がそれに反した答えが帰ってきた。
「ここで今からバトルを行います。
感謝しなさいな、普通私に銃を向けた神姫ごとき解体処分が当然なのですが……私は慈悲深いのですよ。」
「??」
俺もティアも首をかしげる。
「そこでです、私にショーを見せてくださいますか?」
「ショー?」
「そうです、貴方の神姫に私の神姫『ジャンヌ』そしてその手足となる部隊の神姫たちと戦っていただきます。」
「なっ、1対多数だと!!」
「そうです、そこであなたの神姫がズタボロにやられる瞬間をその目に焼き付けていただきます。今回はそれで許して差し上げますわ」
「……そこのメス豚。こっちを向きなさいな」
突然ティアが起き上がってあの少女を又しても挑発を、いや明らかに侮蔑をこめてそう呼んでいる。
「な、なんですって今すぐスクラップにしてあげましょうか?」
「そのショーの主演、受けて差し上げますわ」
「あら、思ったより素直ですのね。よろしい。まあ貴女の声を聞くのはコレが最後になるでしょうけど」
「ただし、条件が1つ。 私が勝者になれれば私とご主人様を開放し、拘束した賠償金をいただきますわよ」
「……いいでしょう、いちおう聞いてあげます、いくら欲しいのかしら?」
「100万。」
「………わかりました、たとえどれほどの額を要求されてもそれが手に入ることは100%ありませんから。」
「で、相手は何体ですの?」
「そうですね、13体でしょうか?多少増減すると思いますが」
「わかりましたわ、ご主人様を離してくださいますこと? セッティングはご主人様にしか許してないのですけど」
「ではショーの開始は15分後ということで、せいぜい生き残るすべを考えてなさいな」
そうして彼女は部屋を後にする、そして側近によりティアの入れられた鳥かごとパーツ(いつも大会に持っていくバッグにはいっているのでこの場合はバッグと呼んだほうが良いのか?)
が拘束を一時的にとかれた俺に渡される。
そうして俺はティアにありったけの装備をつけ、さながら重爆撃機のようなシルエットになったティアに全てを託した。
96 :
リンのマスター:2006/10/16(月) 02:36:24 ID:UDCmTdno
俺はフィールドが良く見える台の上にイスごと括りつけられフィールドを見下ろすことしか出来ない。
そしてティアと敵の神姫がステージに上がる。
普段は神姫が2体しか存在し得ないフィールドに今は神姫が14体存在している、しかも最初からティアを13体の神姫が取り囲んでいる、面子は今まで発売されたモデル全て。
それにまだ未発売の騎士型の「ジャンヌ」が加わっている。
そしてショーと言う名の公開処刑が始まった。
しかし、そのとき俺はこの公開処刑を影から見つめる1人の少女のがいることに全く気がつかなかった。
アーンヴァル部隊のレーザーライフルによる4方向からの一斉射撃。
改良ブースターの力でギリギリそれを回避するティアに次はマオチャオとストラーフが2対ずつ襲い掛かった。
各々接近戦用の武装である爪やクローでティアを護る追加装甲版を次々とえぐっていく。
がティアはブースターを100%の出力で開放。敵の神姫ごと思い切り壁にぶつかる。
そうしてティアと壁の間に挟まれた2体が沈黙した。
一方のジャンヌはというと、動くはずが無い。
アレは部隊指揮をつかさどるのだろう。
もしくは軍の大将にでもなった気分でいるのか、手にした剣を地面に突き立て事態を静観している。
壁にぶつかったティアが動き出すより早くハウリン部隊とアーンヴァル部隊の砲撃が次々とティアの装備を破壊していった。
そうして巨大MAを模して構成したパーツは全て破壊されたかに見えた。
だがティアはあきらめていなかった。
破壊された翼を壁にして砲撃を防ぎ、あとは残った火器を全て自動砲撃設定で動き回る。
自動砲撃設定はティアが以前から持っていた能力だ。
レーザーライフルがランダムに最大出力のレーザーを乱射する。ライフルが焼き切れるまでの間になんとか3体のハウリンを葬った。
役目を果たしたライフルを捨て、そのままマシンガンやバルカンで弾幕を張りつつティアは必死に逃げる。
だが奮戦も束の間、ティアは持てる全ての外部装甲および銃火器を破壊されたのだろう、アーンヴァルの砲撃が止んだのだ。
しかし煙が晴れた場所、ソコには背後にあったビルの残骸と、それにのしかかられるようになったパーツの山があったがティアの姿は見えない。
97 :
リンのマスター:2006/10/16(月) 02:38:28 ID:UDCmTdno
その時点で正常稼動している神姫は8体。
砲戦主体のアーンヴァル3体にマオチャオ2、ストラーフ2。
そしてジャンヌという内訳だ。
ティアの姿が確認できていないというのにジャンヌは眉ひとつ動かさない。
そして本体のみの姿となったであろうティアを残りの神姫に探させる。
が一向に見つからない。さすがに和美は我慢ならなかったのか声を張り上げる。
「ジャンヌ! 貴方の技でその残骸を吹き飛ばしてしまいなさい」
「…了解」
そうしてやっとジャンヌが動き出す。そして残骸の目前まで来ると手に持った剣を構え、一気に振り下ろす。
衝撃波が生まれ、残骸を一気に吹き飛ばす。
がソコにはティアの姿はなく、
「フ……ドコを見てらっしゃるのかしら?」
ドコからとも無くティアの声が会場に響く。
そしてその声の出所をジャンヌが割り出す前に仲間であったはずのマオチャオが突進してきた。
「ぐぅ…なぜ」
ジャンヌがまだそのダメージから復帰しないうちにティアが姿を現す。
その手には3つ又の鞭。
「やっと出したか」
あの鞭は普段リンやティアが愛用している対"G"武装の1つで、あのとても俊敏で変幻自在の動きをする"G"を確実に捉え、粉砕する。
そしてティアの鞭さばきはリンのそれを超えていた、あれなら神姫相手でも十分に通用しそうだと踏んだ俺はアレに賭けたのだ。
元々、ティアの戦闘スタイルはあのようなゴテゴテ装備での乱戦ではなく、リンと闘った時の様な本体の身体能力(あのときは違法レベルだったが)とさまざまな武装によってわずかな敵の隙を突くスタイルだ。
そのために俺は敵の頭数を減らすためにあんな超重装備でティアを送り出したのだ。
先ほどのマオチャオの突撃は鞭を脚に巻きつかせ、反応されるより早くジャンヌに向けて投げ飛ばしたのだろう。
特別製のジャンヌは無事でもマオチャオの装甲は通常のモノ、あの衝撃には耐えられない。
そうしてやっと敵の数が半分になった所でティアの本当の力が発揮される。
ティアが今頼りに出来るのはあの鞭、そして左右の腰に備え付けられたライトセイバー2本、そして左腕にあるシールド1つ。
それでもティアはザコの神姫を次々と葬っていく。
ジャンヌがダメージを受けてからそいつらの動きが鈍くなっている。ソレを見ればいくら俺でもどういうことかは想像が付く。
ジャンヌ以外の神姫はジャンヌの命令によって動く人形だ。そして今のジャンヌは先ほどのダメージによってその命令を送る回路に不具合が発生したのだろう。
それならティアがやることは1つ。
ジャンヌに攻撃を加えればいいのだが………ティアさん??? 貴女は何を??
98 :
リンのマスター:2006/10/16(月) 02:40:45 ID:UDCmTdno
ティアはひたすらに動きが鈍くなった(とは言えサードリーグなら3回戦には進出できるぐらいのレベルだと思う)神姫を1対ずつ破壊していく。
「ウフフ…こうやって鞭で敵の神姫を倒すのって、カ・イ・カ・ン☆」
どうやらも俺が何を言っても無駄らしいです、勝てるなら早くやっちゃってくださいティアさん(泣)
そうして鞭1本でザコ神姫を全て粉砕して、ティアがジャンヌと対峙する。
「あんなオモチャで私の相手が務まるとお思いでしたの?」
そうして勝ち誇るように和美に向かって言う。
もちろんあちらさんの怒りはピークに達していたのだろう。
「ジャンヌ! モードを軍神から騎士に変更。そいつをバラバラにして差し上げなさい!」
「了解」
ジャンヌの雰囲気が変わる、側近の男がコンテナらしきものをフィールドに投げ入れ、ソコから強化装甲、そしてとても長大なランスが出現した。
ソレを空中で受け取り、瞬時に装着するジャンヌ。
本気だと悟ったティアは気を引き締める。
敵はランスを構えて一直線に突っ込んでくる。ティアはソレをかわすが、ランスはすぐに方向を変えて追ってくる。
あの重量の武器を受け止めることは叶わないと悟ったティアは1度距離をとろうとするがソレを許す相手ではない。
なんとかシールドでランスをそらす。だがシールドにはそのたびにヒビが走る。
そうして5度目の攻撃をそらしたときシ−ルドが瓦解。
しかしティアは逃げない。敵の懐に入り込む。
「戦闘経験が少ないのかしら、大振りすぎでしてよ」
そのまま敵にタックルを食らわせる。
敵がランスを手放したのでライトセイバーでソレを切断。
次に本体を、と思ったがそれは敵の剣に防がれる。
さすがに騎士型というわけか、剣技はティアのそれを上回る。
剣1本に対してライトセイバー2本でもティアは押され気味だ。
「騎士をなめるな!」
そうして一閃で両手のライトセイバーを弾かれた。
「すぐに終わらせてやる」
もうティアに後は無いと思われた。
「終わるのは貴女のほうでしてよ」
ティアがジャンヌに飛び掛かる。
「そんなに頭を割って欲しいか!」
ジャンヌの剣がティアの頭部をヘッドギアごと切断せんと迫る。
俺は叫びたかった、でもソレが出来なかった。そうしてティアの頭に剣が触れる
99 :
リンのマスター:2006/10/16(月) 02:45:02 ID:UDCmTdno
「…だから、大振りはだめだと言ったでしょうに」
その直前に ティアの手首から伸びた糸がジャンヌの両腕を切断していた。
ティアにせがまれて装備させた(あののワイヤーだ、正式名称は『モノフィラメントワイヤーカッター』詳しくはガンダムXのサクリファイス作戦編をみてくれると話しが早い。
今回は本体の腕部に基部を仕込んでいる、さながら某アメコミのクモ男見たいな感じだ)
そのままティアはジャンヌの身体を押し倒してマウントポジションを取る。
そして剣を取り上げて突きつける。
明らかに敵の経験があさかったからころこれほどラクに決まったのだろう。
あの1瞬、肝を冷やした俺は一気に安堵して、腑抜けてまった。
「チェックメイト。ですわね」
そうして和美に同意を求める。
「キーーーーー、お好きにしなさい! 小山、ジャンヌを回収、あとは放って置きなさい。
あの小切手は男の足元に、帰りますわよ!」
彼女はとても腹を立てた様子でバタバタと足音を立てて帰っていった。
って、小切手はいいから俺の猿ぐつわをほどいて欲し、って何で首筋に手刀が…そのまま俺の意識は遠くなっていった。
「ずいぶんみっともない格好」
不意に懐かしい声が聞こえた。
「ふぁふぇ(誰)?」
猿ぐつわを解かれ、仰向けになった俺の瞳に写るのは……水玉パンツ
「水た……ぐふェェ」
声の主に思い切り踏みつけられたらしい。
「たとえ見えていても、それを口にするのはダメ」
「わかった、だから足をどけろ」
「…どうしようかな〜」
そこにティアがやっとの思いでフィールドからこの展望席までやって来た、そして俺を見て一言。
「ご主人様は極上のMですのね」
ち、ちが。
だから何でそこで踏みつけた足をぐりぐりしますかな、コイツは。
「あ〜〜分かりました、茉莉様、足をどけてくださいまし」
そうしてやっと水玉パンツ…いや声の主、 『篠崎 茉莉』は足をどけてくれた。
とりあえず紹介しておこう。
彼女の名前は『篠崎 茉莉 (シノサキ マツリ)』
いちおう幼なじみになるのだろうか?
年は五つも離れているのだが小さい頃は近くの家には同年代の子がいなくて、いつも俺が遊び相手だった。
そのためか今では俺よりロボットなどに詳しく、神姫を買う最後の一押しをしたのは茉莉だ。
小さいころは俺をお兄ちゃんと呼んでくるたかわいいヤツだった。
ただ、小学時代に重い病気になり(俺は妹のようにかわいがっていたからほぼ毎日見舞いに通った)結果一年遅れで進学した。
よって通例なら今大学一年のはずだ。
しかし幼少時代の仲のよさ故か、厄介なことに両親同士で勝手に婚約が交わされていた。
俺がそれを知ったのは大学二年のとき。
確かに容姿は見栄えする方だし、スタイルも悪くない。
しかも基本的に俺を慕ってくれているがまだ俺には決心がつかない状態だった。
俺がなぜこの町にいるのか?
と聞くと
「私、亮輔ん家に居候させてもらうことになったから、ヨロシク」
と、当然のように答えたので俺は思考は停止した。
「詳しくは家に帰ってから。ね?」
そうして茉莉は俺の腕を抱き寄せ、そのふくよかな膨らみを当ててきやがった。
「ご主人様、私たちというものがありながら、浮気だなんて(ニヤリ)」
周りの人からは「あんな見せ物になっていたうえに今度は痴話げんか、全く最近の若者は…」なんて視線が突き刺さる。
「だぁーーーーー、わかった、茉莉の話はレストランで聞く。それとティア、今日の騒動はお前が原因だ。だから予定していた買い物はお預け!」
「そんなぁ、100万も儲けましたのに、何故ですの?」
「何でも!! とにかくリンを引き取って、茉莉の話を聞いてからだ」
「じゃあ決まり、早く行こうよ」
そうして俺を引っ張っていく茉莉。
「ああん、ご主人様あぁ置いていかないでぇ〜〜」
出遅れたと思ったらしいティアが慌てて追いかけてきてジャンプ。
そのまま俺のかばんに潜り込んだ。
そうやって俺の人生で一番にぎやかで、心身ともに擦り切らせることになるであろう1年間が始まる。
ちなみにリンが俺に寄り添う茉莉を見た瞬間に目に涙を浮かべ、次の瞬間俺に鋭いビンタを食らわせたのもほんの序章にすぎないのだ
〜つづく〜
え〜〜またあしても「ヤッチマッタ〜」感があり増す。
なんというか、ティアの性格が良くわかるような感じで書いてました。
ちなみに本気の本気でサシ勝負ならティアが1分以内で勝てます。
そんな実力差です。
上のSSでもありましたが、「良い武装、武器を持つよりも、そのときその手にある武器を駆使し、ソレを使いこなす。使いこなせるようにいつもじっくりと鍛錬を積む。」
コレこそがが「本物の強さ」への近道だと思っています。
ちなみにドSなティアは鞭とか拘束する武具が大好きです。
一方リンは基本的に相手に痛みを感じさせないよう(つまりは1撃で首を飛ばすとかで、こっちの方がビジュアル的に悪いんですがね・・・・)に闘います。
あと新キャラ。
幼馴染で許婚な女の娘登場です。
名前は茉莉……すみませんあの有名な(?)某ゲームキャラからお名前を拝借しております。
そんな彼女のビジュアルはもちろん金髪ツインTe・・・・・
性格も影響されてるかもしれませんが、生暖かい目で見てもらえると幸いです。
あと史上最悪の「人間+神姫での4P」は実現するのか!?
っと錯乱した場合は神姫のマタを……
「パカパカですわよご主人様」
「マスター……恥ずかしいです。でもマスターなら(顔を赤らめて)」
「やだ〜〜エロイことさせてるんだ、神姫に。 これじゃあ夜は神姫にアンナコトやこんなことさせてるんだ〜〜御父さんに電話しちゃおうかな」
「誤解するな、って言ってる間にダイヤルするな、ってティア止めるな、っぶ、リンまで……orz」
次回。
「ホビーショップに行こう!!」
パァン、と乾いた音が周期的なリズムで地下室に木霊する。
そこは風見家地下室に作られた、武装神姫用トレーニングセンター
(元々は普通のトレーニングルーム。新築時に作ったはいいが誰も使わないまま放置>物置化していた物を改装)
そこには新たな住人のために射撃場が増設され、その新しい住人である雪乃が射撃練習を行っていた。
「雪乃ちゃんって射撃上手いよね〜。蓬莱壱式とかだけじゃなくてハンドガンとかも得意なんて珍しい気もするし」
私はその後ろで見学しているのだけども。
「はい。以前は旦那様の護衛役も兼ねておりましたので。護衛中は吼凛を装着出来ない場合もありますので、
そのためにも通常服装時に使用可能である手持ち式銃器の扱いは一通り心得ております。
現在でも腕は衰えてないつもりですので、美砂様もねここも私が危険からお守りする所存です」
と言うと、手持ちのハンドガンのマガジンを交換し、再び射撃練習に集中する雪乃。
(…雪乃ちゃんの以前のマスターって、何やってる人だったのだろう…)
「あ、その事なのですが1つ申し上げたい事が」
ねここの飼い方、そのろく (1/4)
「実家へ里帰り?」
「はい、嫁に遣ったとは言えやはり時々は顔が見たいと仰っておりましたので。ご許可頂ければ幸いですが」
そうか…姉妹になったって連絡してないから、その人にとってはまだ嫁にやった感覚なんだ。
「それは別に構わないけども」
微妙に訝しがる雪乃ちゃん。
「む、何か問題が…?」
「いや、そうじゃなくて〜。この際だし一度、私もねここもご挨拶しておこうかな、と」
「いえ、これは私事ですのでお二人のお手を煩わせるわけ…」
「はい、ストップ」
私は立てた指を雪乃ちゃんの唇に当てて、ちょっと待っての意思表示を。
「雪乃ちゃんはもう私たちの家族なんだから、そんな水臭い事言わないの、いいわね?」
そういって頭をくしゃっと撫でてあげると、雪乃ちゃんは
「家族……ですか。…はぃ、美砂様…」
俯いてちょっと照れたのかな、ほっぺが紅くなってる感じ。
「あ、それと様付けもやめてね、私のことも好きに呼んでいいよ。但し、母関係はNGだからね!」
「あ…はぃ、それでは、えぇと……姉さん、で…」
「はい、よくできました♪」
そう言ってもっといっぱい撫で撫でしてあげると、雪乃ちゃんは更に真っ赤になって縮こまってしまいました。
と、「にゃ!ユキにゃんだけずるいー!? ねここもナデナデしてもらうのぉー!」
地下に丁度降りてきたねこことバッタリ、ぴょーんっと私の胸に飛び込んでくるねここだけれど、いきなりだったもので
「きゃ!?」 「わ!?」
「大丈夫ですがお二人と、もっ!?!?」
あいたたたた…バタンガッシャーンっと受け止めきれずに倒れちゃった、ねここは大丈夫かしら…って目の前に、
にしては妙に近くって……あ、ちゅーしちゃってる。
「うふ…ウフフフフ、私の目の前でそんな事…そんなことっ!?」
雪乃ちゃーん、危険なのでお願いだからその銃こっち向けないでほしいかなー……なんて(汗
(2/4)
里帰りの詳しい日程や行き方なんかは全て雪乃ちゃんにお任せしました。
連絡も雪乃ちゃんがしてくれたので、私は特にすることはなく。日程も今週末と相成りまして。
どうやら当日朝にお迎えが来てくれるらしいです。
そして、当日朝
我が家の前には、この平凡な住宅街にはどう見ても似合わない黒塗りのリムジンが、どどーんと停車しているのでありました。
「どうぞご乗車ください。お嬢様、風見様、ねここ様」
「ご苦労様、長瀬」
と当然のように切り返す雪乃ちゃん、物珍しげにリムジンをほぇーと眺めるねここ、そして私。
黒服に身を包んだ、体格の良い運転手さん……だよね、一応。がドアを恭しく開けて、私たちを促してくれる。
と言いますか、雪乃ちゃんいつもと雰囲気が少し違うような。
「わぁ〜い、ふっかふかだぁ☆」
リムジンの座席にはしゃぐねここ。…確かにうちにあるソファーよりふかふかかも、腰沈んじゃいそぅ。
「では家まで…宜しくね」
「畏まりました、お嬢様」
私たちとは向かい合ったシートに座って、そう指示する雪乃ちゃん。
「皆様、目的地までは半時程ですのでお寛ぎ下さい。何かお飲みになられますか」
「そうね、私は蓬莱泉の空を頂こうかしら。お二人は何にします?」
「ねここはマンゴーじゅーすがいいの〜☆」
「えぇと、私はアップルティーをアイスで」
そう言うと中央の足元から簡易テーブルがせり出してきて、続いてドリンク類が現れる。
最近のリムジンって凄いなぁ……
と言いますか、雪乃ちゃん何て物飲んでるんですか。いろんな意味で……
「所で雪乃ちゃん。お嬢様って言われてるけど、凄いご実家なのね」
私はアップルティーを飲みながら、ふとそう尋ねてみる。
「別に……大したトコじゃありませんよ…、来てもきっと退屈なだけです。」
ふっと陰のある表情をみせる雪乃ちゃん、まぁ色々あるんだろうけども。それでもちゃんと里帰りしてあげてるわけだしね、うん。
「わはー☆はやいはやいー♪」
ねここは車に乗ってるのが楽しいようで、外ばっかり見てるみたい。
と、そうこうしているうちに車が停車。目的地についたみたいだけれど。
窓から見える今では珍しい純和風の重厚で大きな門構え、左右には何処までも続くと思えるほどの白壁が続いていて。
門の脇には大きく、『黒姫』との看板…じゃなくて表札が。
(黒姫って……どーっかで聞いたような、やっぱあの有名なアレかしら…)
私たちは車のドアを開けてもらって降りて、そして門を一歩くぐった瞬間
(3/4)
『お帰りなさいませ、雪乃お嬢様!』
門から、やはり純和風の大きな本宅まで、数十メートルはあるであろうその道の両側いっぱいに
全身黒尽くめでサングラスをかけたガタイのいい男の人が整列して並んでおり、
雪乃ちゃんの姿を確認すると一斉に挨拶をしてきたのでした…
「さ、参りましょう。あまり旦那様を待たせてもいけませんから」
「あ、そうだね。行きましょうか」
そのまま立ち尽くしていてもしょうがないので、私はねここを定位置である頭の上に、雪乃ちゃんには左肩に座ってもらうと、
その黒服の人たちの列の間を歩き始めました。
あー、流石にこの事態にねここは緊張しちゃったみたい。頭の上からぷるぷるしてるのが伝わってくる。
「ねここ、大丈夫です。…私がついていますから」
「ぁ…うん☆」
ねここの頬を撫でてあげる雪乃ちゃん、いつもの調子に戻ってるみたいかな。
私たちが通されたのは何十畳もあるような大広間。
もちろん純和風で、壁際には高そうな掛け軸やら日本刀やらが飾ってある。
私は座布団、2人はテーブル(日本机)の上に置かれた神姫サイズの座布団に座って待っていると、
程なく正面の襖が開いて奥から、着物を着た初老の男性と、私と同じくらいのハイティーンの少女の二人が現れた。
初老の男性の方は、白髪で髭を伸ばしてて、でも顔付きは精悍でまだ生気をたっぷりと感じ取れる。
眼孔には鋭さが多く現れていて、猛禽類の目を連想させるかな。一言で言うと歴戦の戦国武将みたいな…
女の子の方は髪が長くて眼鏡をかけていて、頭の斬れそうな感じがする。一見清楚なお嬢様って感じなんだけど
あの目と口元は何か独特なモノを感じるような……
と、私が不謹慎にも人物観察をしている間に、二人は共に私たちの正面に座ると
「今日はよく御出で頂いた。私が当家12代目宗主、黒姫彦左衛門。隣にいるのが孫娘の鈴乃じゃ」
「鈴乃です、以後お見知り置きを」
張りのある低音が耳に響いて聞こえるようで、う〜ん、迫力のある人だなぁ。
「こちらこそ始めまして、風見美砂と申します。それでここにいるのが……」
「ねここです…の。はじめまして、なの」
カチカチになってるねここ。今だとブリキのオモチャみたいにギッコンガッチャン言っちゃいそう。
「ハッハッハ、そう硬くならないでくれたまえ。なんといっても雪乃が嫁いだんだ、我々はもう身内ではないかね」
あー…やっぱりまだ言ってないんだね……
「それについてなのですが、いいですか?」
「ん、なんだね?」
彦左衛門氏の眼光に怪訝な物が加わる。
「ねここは、雪乃ちゃんと結婚はしていません」
場の空気が非常に冷たい物へと一瞬で変化した気がした…
「本当なのか、雪乃!?」
「…はい。本当です、旦那様」
雪乃の口からはっきりをそれを確認した彦左衛門氏は、ワナワナと怒りのオーラが溢れ出してくるようで
「でもそれは、ねここが望んだからです。唯尽くされるのは嫌だ、一緒に…一緒に過ごす時間こそが大事だと」
「だから私は……ねここ、と そう、ねここと姉妹になりました。お互いに支え合っていける存在になれたら、と」
「…そうなのかね?」
ギロリと私の方へ目線を向けてくる。私は
「間違いありません。そうねここは望み、雪乃ちゃんもそれを受け入れました」
それを聞くと、ふぅと大きな息を一息ついてから
「いいんだな、雪乃?」
それは今までとは違う、我が子を愛する気持ちに溢れた優しい父親のような声で
「はい。今の私に迷いはありません」
雪乃もそれにしっかりと答えて
「風見さん、ねここくん。雪乃を、頼みます」
『はい!』
「……姉妹になったのでしたら、どちらにせよ親戚になったのじゃありません?ホホホ…」
『 あ 』
鈴乃さんのツッコミでオチを付けられたわけで(汗
「…ところで、雪乃ちゃんの元々のマスターって」
「ん、ワシだが何かね?」
「いいえ、何でも?」
(孫娘さんのほうじゃなかったのね……)
その後はせっかくだからと言う事で宴会にご招待されまして、朝までどんちゃん騒ぎ。
ねここは初めてマタタビ酒を飲んで……その姿はとてもココでは書き表せませんっ!
これはヒ・ミ・ツ☆
「言ったら寝首掻くょ?」
「言わないってばぁ〜」
後書き
えぇと、今回はねここシリーズというか外伝に近いです。雪乃メインのお話なので
きっかけはアールとエルの人氏とリンのマスター氏のお二人の感想、凛の元のマスターは?
っていうのがきっかけでした。
実は最初その辺は何も考えてなくて、血判状だの達筆なのはただ含みを持たせたいだけだったのですが(苦笑
その深読みが刺激になりました、ありがとうございました♪
えー、次回こそねここメインのバトルの話でも書きたいです…が、妄想はどこからくるのかわからないので、
最低でも予告編以上の物が実際に投下されるまでは未定です(汗
ちなみに彦左衛門さんは表にも裏にも顔の効く超大物だったりしますが、
雪乃の前ではただの親(孫)馬鹿デレデレじーさんです(何
訂正、凛の元のマスター>雪乃の元のマスター でした|||orz
ちなみにレズ百合は…まぁ、機会が在ればそのうち(エロ書いたことがない)書くかもっ
まとめサイトですが、ここまでのログを更新しました。
なお設定集、パカパカ&インタビューシリーズはもう少しお待ちください。
毎度どうも、208・マイティの人です。
今回はV-MAXのお話。
ホビーショップエルゴをお借りいたします。
それでは、はじまりはじまり……。
「ほら、着いたぞ」
マスターはコートの胸ポケットの中で終始俯いているマイティに呼びかけた。
「本当に、直るんですか……?」
沈痛な声色でマイティは主人を見上げる。
「ここの店長は確かな腕を持っている。大丈夫さ」
マスターは右手に提げた紙袋を揺らした。中にはマイティの愛車、
1/12ヤマハV-MAXが入っている。
二人はホビーショップ・エルゴに来ていた。
マスターの行きつけのショップである。
マイティを迎え、V-MAXを買った場所だ。
* * *
河川公園のラジコンコース。日曜日の昼、晴れた日には、マイティはここで
V-MAXを走らせるのが日課となっている。
天使のマークがプリントされた専用のフルフェイスヘルメットをかぶり、
愛車にまたがるなりマイティはエンジンを始動。クラッチペダルを踏み込み
発車する。小気味よくスロットルを回し、エンジンを吹かしてゆく。
小さなライダーが小さなコースを軽快に疾走する。ミニチュアエンジンの
甲高い回転音がコースに響き渡る。1/12と言ってもV-MAXの最大の特長
であるVブーストシステムはきっちり再現されている。縮小ゆえ構造の簡略化は
致し方ないが、スケール換算するならばその挙動は間違いなくV-MAXだった。
エンジンの回転数が6000回転を突破する。6500回転を超えてからVブーストの
本領が発揮される。小さなライダーを見に来たラジコン愛好者たちは固唾を呑んだ。
が、その時。
ばすんっ!
異音がした。直後V-MAXのマフラーから煙がもうもうと吹き出し、スローダウン。
マイティは異常に気付き何度も後ろを確認しながら停車。安全のためバイクから離れる。
「マイティ、大丈夫か」
煙を上げる愛車を、メットをかぶったまま見つめるマイティの元へ、マスター
が駆け込んでくる。
やっとマイティはヘルメットを脱いだ。不安の色を隠せていない。
「マスター……」
声を出した途端に、マイティは耐え切れず泣き出してしまった。
* * *
自動ドアを開けると、入れ違いに大勢の神姫とオーナーたちがぞろぞろと
帰るところだった。
「やあ、いらっしゃい」
店長、日暮夏彦がマスターを見つけ挨拶する。店長と呼ぶには若い。
三年前に父親の後を継いでこのホビーショップを切り盛りしているのだった。
「店長、ちょっと頼みたいことがあるんだ」
マスターはオーナーたちの端っこを通りながら、カウンターへ近づく。
カウンターの横に設けられた1/12の教室の教壇に、胸像だけのヴァッフェ
バニーが鎮座していた。
「あら、こんばんはマイティ」
「こんばんは、うさ大明神先生……」
マイティもこの神姫の学校で学んだことがあった。
「どうしたの? そんな浮かない顔しちゃって」
「あ、その……」
「これなんだが」
マスターは紙袋からV-MAXを取り出し、カウンターへ置いた。
「こりゃ、うちでお買い上げいただいたV-MAXじゃないですか」
店長はV-MAXを持ち上げる。
「何か、あったんですか?」
「前の日曜にいつもどおり走らせていたんだが、急に煙を噴き出してな」
詳しくは彼女から訊いてくれ、と、マスターはマイティをカウンターへ立たせた。
「落ち込んでいても仕方がない。彼に話してくれないか」
「はい……」
マイティは、6000回転を超えたあたりから変な破裂音がして、止まってしまった
ことを話した。
「ははあ」
店長はそれでだいたいの見当がついたようだった。
「たぶん、バタフライバルブ関連ですね」
「バタフライバルブ?」
「Vブーストシステムの要の構造です。エンジンの回転数が6000回転を超えると
だんだんと開き始めて、8500回転で全開になってエンジン構造がツイン
キャブに変化するんです」
マスターは中盤からの強烈な吹き上がりを思い出した。
「おそらく、バルブのパッキンか何かが吹っ飛んで、燃料の混合気がいきなり
大量にエンジンに入っちゃったんだと思いますよ」
「人間の過呼吸みたいなものか」
「良いたとえですね」
店長は作業台へV-MAXを乗せると、エンジンを外し始めた。
「直りますか?」
マイティはおそるおそる尋ねた。
「部品を交換するだけですからね。たしかバルブの予備はあったから、すぐ
済みますよ。……あ、そうだ」
店長はマイティのほうへ振り返った。
「せっかくだから、メンテナンスのやり方、教えてあげるよ」
「えっ?」
「愛車は自分でいじりたいだろ?」
「あ、ありがとうございますっ!」
マイティは涙をぬぐって、作業台へ向かった。うさ大明神様ことジェニーも
調整助手として作業台へ置かれる。
「部品飛ばさないでくださいよ。よけられませんから」
「わかってるよ」
店長はエンジンを取り出し終え、今度はエンジンそのものの分解に入る。
「さて、俺はどうするかな」
「あ、そうそう。神姫パーツの新製品、入ってますよ」
「そうか。見せてもらうよ」
マスターは神姫パーツの棚へ向かった。
棚の手前に新製品の台があり、そこに小さな箱が平積みされている。
うさぎさん仮装セット、黒ぶちメガネ、サイズ変更用バストパーツ、etc……。
むう、ほとんどが愛玩用のパーツじゃないか。
マイティに対して、このような愛玩用部品を買い与えることは全く無かった。
マイティが欲しがるところを見たことが無かった。言わないだけかもしれないが。
そういえば、戸田静香嬢の作った服を着てみたいとは言っていたな。今度
会ったときに頼んでみようか。
考えながら見ていると愛玩用でないパーツを見つける。
ストラーフ用らしき鎌に、白と黒、色違いの翼である。
マスターは白い翼を一箱取る。
一見仮装セットやメガネのような愛玩パーツの類に見えるが、裏を見ると
れっきとした飛行機能をもつ背部パーツであることが記載されていた。
アーンヴァルの高速巡航性能を持つウイングバーニアとは違う、曲線で
機動的な飛行が可能らしい。翼面への武装は出来なくなるが、その軽さは
非常に良好な出力重量比を出す、と、かいつまんで言うならこういうことが
書いてあった。
「ほら、こいつが問題のバタフライバルブさ。ここんところが割れてるだろ……」
カウンターではちょうどエンジンを分解し終えたらしく、店長の説明にマイティは
熱心に聞き入っている。
とりあえず白い翼のみをカゴに入れて、マスターは対戦端末の方へ行く。
ここではランキングに関係のない対戦か、大多数のオーナーが所属している
サードリーグの対戦しか出来ない。
マスターはサードのランキングを参照する。検索キーワードに「片足 片
脚 片輪 隻脚」と入力し、検索。
すぐに「該当なし」の答えが返ってくる。いるいないに関わらず、オフィシャルで
二つ名は検索出来ないようだった。うろ覚えの名前を思い出して、今度は
「ルーシー」、そしてタイプに「ストラーフ」と入力してみる。
あいまい検索を使ったので該当名は102件。マスターはしらみつぶしに
参照し始めた。
報告が遅れました。
設定集、パカパカ、インタビューともに更新済みです。
なお(バトル)サービス設定はねここのマスター氏のまとめを基本にしています。
…………
「終わりましたよ」
カウンターから声がかかり、マスターは端末を閉じる。102件の神姫の中で、
目的のストラーフは見つけられなかった。片脚装備のストラーフはいるには
いたのだが、そのどれもが偽者、というよりはただの「まねっこ」でしかなかった。
「これを頼む」
マスターは白い翼のパーツを置く。
「はい。マイティちゃん、すごいですね。飲み込みが早くてびっくりしましたよ」
店長が元通りになったV-MAXをカウンターに置く。
「ついでにオーバーホールもやっちゃいました」
「ありがとう。いくらだ」
「あ、いや、いいですよ。翼のだけで」
「いいのか?」
「ええ。久しぶりに楽しかったし」
マイティはにこにこしている。
「……そうか。ありがとう」
「いえ」
マスターはすこし考えて、訊いた。
「一つ尋ねたいんだが」
「はい?」
「片輪の悪魔、もしくは、片脚の悪魔という二つ名の神姫を知らないか」
「…………」
店長はしばらく黙っていたが、
「それって、オーナーも左足が無いやつ、ですか」
「そうだ。すこし前、サードだった頃に戦ったことがある」
変に重そうな空気を察して、マイティはマスターのコートにもぐりこんだ。
「たぶん今は戦えませんよ。だって彼、今ファーストランカーなんです」
「なんだって?」
「知らないんですか?」
「ファーストのセンターには行かないからな」
ランキングの参照は、プライバシー云々とかいう面倒な理屈でセンターでしか
参照できず、またそこではセンターの取り扱うランク以下のものしか見られ
ない。ファーストのランクを調べるには、ファーストのセンターへ行くしかないのだ。
そしてファーストのセンターは、例外なくリアルバトルのための大規模な施設が
ある、スタジアムのようなところである。
「ともかく、いま彼はファーストです。破竹、って言葉がぴったり当てはまる
ほどの勢いでのぼり詰めましたから。時期的に見て、サードで戦ったのは
たぶんあなたが最後ですよ」
「そうか」
マスターは驚く風でもなく、そうとだけ答えた。
「いろいろありがとう。それじゃあ」
「ありがとうございました。また来てください」
「またね、マイティ」
「さようなら、うさ大明神先生」
そうしてマスターはホビーショップ・エルゴを後にした。
「マイティ」
「はい?」
雪がしんしんと降る帰り道。マスターはマイティに言った。
「お前は、……ファーストに行く気はあるか」
「どうしたんですか? 急に」
「いや。もし行けるとしたら、の話だ。リアルバトルがほとんどの、危険な
所だ。お前はどうしたい」
「うーん……」
マイティはすこし考えて、答える。
「マスターがそうしたいのなら、私はそれで」
テンプレートのような回答。神姫が本来答えるような。
だが言葉は同じでも、マイティはそれを自分の意志で言ったのだ。
「私も、あの片脚の悪魔ともう一度戦いたいです」
だからマイティは、そう付け加えた。
「そうか――」
マスターは安心したとも落胆したとも取れる微妙な、表情をして目を
つぶった。たぶんそのどちらでもあり、マイティはそのどちらでもある悩める
マスターが好きだった。
「明日晴れたら、もう一度バイクを走らせに行こう」
「はい」
白い空がだんだんと暗くなり、夜が訪れる。
了
とても一作一作に感想言えるようなペースじゃないけど、
いつも楽しく読ませていただいてます。GJ!
116 :
マイティの人:2006/10/16(月) 22:04:37 ID:8+SKWaQa
>>112 リンのマスター様
毎度の更新お疲れ様です。いつもお世話になっております。
実は“ランキングが云々〜”と言う部分には他の皆さんのお名前を借りるつもりでしたが、現状で実力のランク付けが分からなかった為断念。
敢えて順番を付けるとするならどんな感じになるのかなぁ、と疑問に思う今日この頃です。
最近は特にバトルサービスの人気が高い。
今この瞬間も白子と黒子はテレビの前のテーブルに並んで座り、バトルサービスの中継を見ていた。
他のチャンネルでも神姫関係の番組が狂ったように流されている。
まさしく猫も杓子も…って奴か。
そんな事を考えながら、手に持った雑誌を広げた。
本屋で何の気無しに買ってきた、武装神姫のバトルサービスについて特集が組まれた雑誌。
見開きのページに大きくバトルサービスランキングのトッププレイヤー達の紹介が載っている。
現在ランキングトップは武装神姫最高の栄誉、『DEUS EX MACHINA(全能なる機械神)』の称号を持つ、アーンヴァルモデルの“ヴァネイン”。
その後を追う『煉獄姫』、ストラーフモデルの“怜悲(りょうひ)”。
他にも『ライトニングキラー』、ストラーフモデルの“ヘネス”。
『トリガーシンドローム』、ハウリンモデルの“ケルベローナ”。
『幻惑の舞乙女』、マオチャオモデルの“碧蘭(へきらん)”。
それ以外にも、バトルサービスを殆ど利用しない俺ですら知っているようなトッププレイヤー達の名前がズラリ。
格好良いと思うが、俺には到底縁の無いものだなぁ。
>>117続き
一旦雑誌を閉じ、白子と黒子と一緒にテレビを見ようとする。
ん?二人がテレビを見ながら固まってるみたいだ…。どうしたんだ?
『アーハッハッハッハッハ!』
唐突に、何か凄ぇ高笑いが聞こえてきやがった……。
特にこれと言った心当たりは無いが、本能に近い部分が警鐘を鳴らし始めている。
『アーシェラ、引き千切りなさい!!』
!?
アーシェラだと?!あんの化け物神姫、また人様に迷惑掛け腐ってやがるのくぁッ!
瞬間湯沸かし器並の速さで頭に血が上った俺の言葉はつい乱れる。
そうか、これを見て二人は凍りついたんだ。
見れば、先のバトルトーナメントで好き勝手大暴れしていた豪腕…実は6腕神姫が、相も代わらず何の躊躇いも無しに相手の神姫を無造作に破壊していた。
当然、反則負けである。
『アハハ、アハハハハ、アーハッハッハッハッハ!!』
反則負けであるにも拘らず、高笑いを上げる女。何故なら相手の神姫は完全に行動不能にされているので、実質的にはアーシェラの勝利と大差ない。
そうか、こいつがアーシェラの本当のオーナーか。
黒髪を振り乱して大仰なでジェスチャーで笑う姿は、まるで何処かで聞いた事のある『哄笑の狂主』みたいだ。
『哄笑の狂主』。高笑いを上げながら、無慈悲で残酷な命令を下す狂ったオーナーに与えられた二つ名…。
アレ?チョットマテ…モシカスルト……。
『流石は反則常連の“哄笑の狂主”こと安登蕪(あとかぶ) ナミコ嬢!!期待通りの反則負けだぁ!!』
こいつだったのかよ!
しかも反則の常連って、どうやればそんな奴が公式戦に出れるんだ?
「マスター、これ危険度SSSランクオーナーオンリーデスマッチです……」
俺の内心の疑問に、泣きそうな声で答えてくれる黒子。どうやら考えが顔に出てたらしい。
それにしても酷い大会もあったもんだ。危険度SSSランクプレイヤーとは、別名“登録抹消済みオーナー”と呼ばれる悪質は違反者の事である。
中でも故意に相手の神姫を傷付けるのが目的なオーナーに多く、そう言った者の大半が公式戦の出場停止か、永久追放対象としてブラックリストに名を連ねている場合が多い。
そんな奴等ばかり集めて試合を組んでいるのだから、さぞかしおどろおどろしい内容になっているのだろう。
きっと手足が吹っ飛んだり、臓物がぶちまけたりられたりするような…。
「ご主人様、この人だけが反則してるみたいですよ?」
今度は白子が、俺の表情から考えを読んで答えてくれる。俺って、そんなに顔に出るのかな?
って、チョットマテ。
「あいつ等だけが反則しているのか?」
「はい。一応、神姫を傷付けるのは禁止されています。ですが…」
言い淀む白子。皆まで言わなくとも、さっきまでの内容を見てれば解る。
アーシェラとそのオーナーだけが、そんなルールを無視して好き勝手しているのだ。
やられたオーナーには済まないが、アーシェラが相手ならそれも仕様が無いだろう。きっと運命だったんだ。
その点、家の神姫は戦いに興味が無くて良かった。
万が一ゲームセンター等でぶつかって、しかもその所為で負けてしまっていたら、死んでも後悔し切れないと思う。
この間は例外中の例外だ。最後に『次は絶対勝ってやる』的な捨て台詞を吐かれたが、こっちとしては二度とあんな化け物とは闘いたくは無い。
何より、相手だってこちらの事は知らないのだ。どう転ぼうと再戦が叶う事は有り得ない。一寸卑怯だが、勝ち逃げと言うやつである。
>>118続き
そんな事を考えていると、例の『哄笑の狂主』こと、ナミコとやらがインタビューを受けていた。やたら偉そうなのは、何故だろう?
『相変わらず、周りの空気を一切無視した素晴らしい試合でしたね!』
インタビュアーは喧嘩を売っているのかしら?
『アハハ、私は私のするべき事をしたまで。それで相手に不利益が生じたのなら、それは未熟な己に原因があるのよ』
貴女の使命は相手を破壊する事なのかと小一時間(略
『しかし、最近ではそのあまりの強さ故に特別指名枠以外での対戦希望者がいないそうで、退屈ではありませんか?』
そうか、危険度SSSランクプレイヤーなのに有名なのは何も危険だからだけでなく、その常識外れの強さから他のプレイヤーからの果し合いの申し込みがあるからか。
『退屈なのは終わったわ。私は今、とても逢いたい相手がいるの』
こんなのに目を付けられるなんて、何て不幸な人物だろう。同情してしまう。
『それはそれは、その方が可哀想で仕方ありませんね。一体、その不幸な方はどちらなのでしょう?』
何故このインタビュアーが傷だらけなのか、解った気がする…。
あ、アーシェラに殴られた。
『それは、私の可愛い可愛いアーシェラに、初めて負けを味あわせた神姫…』
案外、相手の物言いを気にしない女だ。マイペースに話を続けているナミコ。
『確か名前は、白子と黒子…って言ったかしら』
『白子と黒子…ネーミングセンスの欠片も無い、頭の構造を疑うような素晴らしい名前ですね』
バフゥッ!!!
飲み掛けのお茶を吐き出してしまった。あ、神姫が水浸しに…。
しかし、何で家の神姫が名指しで指名されなきゃならんのだ?!
って言うか、このインタビュアー殴りてぇ…。
『ええ、まったく憐れな名前だけれど、私のアーシェラに勝つ位には実力を持っているわ』
好き勝手な事を言い続けるテレビを半ば無視して、二人を拭きながらゲンナリとする。
実は前回の戦闘前登録で、白子と黒子の名前のままでは二人が恥ずかしい思いをすると思い、一応リングネームよろしく“アン”と“ストラ”の名前で手続きを取ったのだが、エキサイトし過ぎた俺が白子と黒子で名前を連呼した所為で完全にバレていたらしい。
これじゃあ、知っている人間は直ぐに俺だと分かってしまう。
さて、どうやってシラを切るか…。
『あ、これが相手の写真よ』
ゴッッツン!!
テーブルに強かに叩き付けた額が痛い。
一瞬にしてシラの切り様が無くされてしまった。
っつーか、全国放送で他人様とその神姫の顔写真を晒すとは、侮り難し…。
既に俺の心理状態は滅茶苦茶だ。
何処から俺達の情報を持って来たのかと疑問だったが、アーシェラのメモリーを見たんだな。
この間の時点で、そこの部分だけ消させれば良かった…。
後悔するがもう遅く、テレビにはデカデカと『この顔を見たら110番』の文字。
俺達は犯罪者か…。
『有力な情報提供者には謝礼も用意しているわ。だから、知っている人間はとっとと電話なさい』
テレビの向こうでナミコがそう締め括った瞬間、傍らに置いてあった携帯が鳴る。友人からだ。
「あ、俺俺。俺だけどさ」
電話口の相手は、どうやら詐欺をする気マンマンのようだ。
「今テレビでお前さんが指名手配されてるの見たんだけど、タレこんで良い?」
「(#´Д`)帰れ!」
怒鳴りつけて電話を切る。
しかし俺はこの時気付かなかった。否、気付ける筈も無かった。
この日を境に、俺の予想だにしなかったお祭り騒ぎに巻き込まれるなんて…。
後に『黒歴史の一ヶ月』と称する事になる一ヶ月は、色々な意味で俺を悩ませるのだった。
正直な話、消化する予定の全く無い複線を引くだけ引いてみた今回。
気が向いたら、或るいは邪神様の毒電波が届いたら書いてみようと思ったり思わなかったりしています。
>>マイティの人氏
すみません、私こそ割り込みになってしまいました…
今度から気をつけます。
みんなハイペースな書き込みで感想を言うタイミングが難しい…
なんかスレの勢いが過呼吸状態だw
123 :
マイティの人:2006/10/16(月) 22:45:54 ID:8+SKWaQa
白子「ねぇ黒子、最近感想を言うタイミングが掴めないの。どうしたらいい?」
黒子「HAHAHA、大丈夫さ白子。そんな時のためにコレがあるんだ!」
白子「何々、早く教えてっ」
黒子「HAHAHA!マイハニー白子、そう慌てるなって。それは〜……コレっ」
○感想、雑談掲示板
ttp://yy46.60.kg/shinki6968/ 白子「凄いわ黒子!コレであっという間に解決ねっ」
黒子「そうだろう白子!これでキミも明日からベリーハッピーさ!」
お電話はこちらまd(回線が切断されました)
…何書いてるんだ私は(屍
とりあえず今は誰も投下してなさそうなので
予告。
例によって所要時間は5分です。
第8話「ホビーショップへ行こう!」
突然の居候である茉莉に新しい衣服や日用品などを買いに行くことになった。
そうして俺たちは遠出することになったのだが…一通り買い物を終えた茉莉が一言。
「せっかくお金があるんだからティアちゃん用の訓練機買おうよ、いいとこ知ってるから」
こんなわけで茉莉の行き着けの玩具屋兼神姫センターの「ホビーショップエルゴ」を目指す。
そこで俺たちを待っていたのは……バラエティな神姫だった。
「ついに私たちにも愛玩向けのパーツが「あんなところ」や「こんなところ」に装着されちゃうのですね〜」
「!! それは本当ですかマスター!」
「リン、惑わされるな!ティアにのせられてるぞ、おれは訓練機しか買う気が……茉莉、それは?」
「え? それは本編でのお楽しみでしょ?? じゃ第8話楽しみにしててね。 作者の気分がよければサービスシーンもあるかもよ(はーと)」
「うぅ〜ん、いっぱいあって迷うの。ど れ に し よ う か な ☆」
陳列コーナーを矢継ぎ早に物色するねここ。あんまりバタバタしないでね。
「ほぅ、此処は凄いですね。表のショップとしてはかなり充実…いえ、恐ろしい程の品揃えです」
銃器関連のコーナーを真剣な目で見つめる雪乃ちゃん。表とかいう言い方はちょっと危険発言かも。
「マスター。頼んでおいたパーツ、出来てますか?」
カウンターでそう店長さんに話しかけている私。
私たちは今、ホビーショップ・エルゴに来ています。
ねここの飼い方、そのなな (1/5)
「おっかいもの〜☆ おっかいもの〜☆」
「嬉しそうですね、ねここ」
「うん〜♪」
私の頭上と肩でそうやり取りをしている姉妹、今やすっかり仲良しさんになってくれたようで何より。
私たちは今、行きつけになりつつあるホビーショップ・エルゴへと足を向けていた。
少し前まではねここを買ったセンターで色々と買い物を済ませていたのだけれども。
先日たまた発見したこのお店なのだけど、若い店長さんはとても親切丁寧で色々としてくれるし、カスタムパーツの販売も
しているし(もちろん公式戦で使用可能な物品)正規パーツ類もセンターよりも質の良くて格安の物が揃っていたので、
今では主にこちらで買い物をしています。
それと
「こんにちわなの〜☆ うさ大明神さまっ♪」
「はい、こんにちは。ねここちゃん」
いつの間にかねここは移動していて、そこは店内にどどんと存在感を示す神姫サイズの教室。
その教壇のハコ馬に座ってる…というか乗っている胸像、もとい銅像タイプ……とでも言えばいいのかしら、
お店の看板娘でもあるヴァッフェバニータイプの神姫、通称うさ大明神様と何やらお喋りをしてるみたい。
これがこのお店の名物の1つの神姫学校。ねここはコレを大層気に入ったみたいで、
週に一度以上は連れてって欲しいとせがむのだ。
「おねが〜ぃ、みさにゃぁ〜ん…☆(うるうるうる)」
と若干涙目気味になりながらの上目遣いでおねだりされた日には抵抗のしようがない訳で……
純真無垢な無邪気ってある意味罪よね。
(2/5)
「はい。お待ちどうさま、これがその部品ね。一応危険物だから取り扱いには注意してね」
「ありがとうございます。丁寧に扱いますよ」
私は注文しておいたパーツを店長さんから受け取る。電撃機関の改良に必要なパーツを注文しておいたのだ。
「さて、と」
二人の様子を見てみると、ねここは会話を一旦終えたみたいで再び陳列コーナーに戻っていて、
雪乃ちゃんは店長さんと何やら会話中。何時になく真剣な顔よね。
「コルト社製の神姫用M29とパイソン357マグナム、それとH&KのMP9シリーズの最新モデル、蓬莱壱式用特殊強化弾
GE社今期最新モデルのレーザーライフル、EMS-10対神姫用ライフル、あと特車2課企画の爆裂弾置いてあります?」
「あー、ちょうど全部入荷していますよ。実物みますか?」
「はい、是非に」
……またお値段高そうだなぁ、まぁ別に構わないのだけれども。
と、折角夢中になっているのに邪魔してはいけないので私はねここのほうへ移動する。
何をみてるのかな〜、っと……服みたいね
「あ、みさにゃんみさにゃん。この服ヒラヒラでフリフリでとっても可愛いの〜☆ ねここコレほし〜い♪」
ねここが選んだその服に私も目を留める。
「うんうん、ねここに似合いそうだねぇ。手作りみたいで精度も高そうだし、お値段は……す、凄い安いかも」
値札の下には<製作及び協賛、戸田静香>と書かれてる、これはお店オリジナルみたいだね。
「ダメ〜?」
くりくりと愛らしい瞳で覗き込むようにお願いするねここ、いや別にそんな事しなくても買ってあげるから。
「じゃ、レジに持っていきましょうか。と…」
その後はカウンターで物色を終えた雪乃ちゃんを回収し、それもまとめて購入。
雪乃ちゃんはポケットマネーから出すと言って聞かなかったけど、黒姫のおじいさんから養育費と称して
毎月結構な額を頂いてしまっているので(断ったのだけどもどうしても、と)頑として私が出すことに。
支払いを済ませて帰宅、と相成りました。
(3/5)
そして帰宅後…
「今日はとても良い買い物が出来ました、有難う御座います姉さん」
居間のコタツの上の神姫専用コタツ(言いにくいっ)に入って、早速買ってきた銃器を並べて磨きだしている雪乃ちゃん。
何時もよりもちょっと声が弾んでいるみたい。
ねここはその反対側に座って、顔を机部分に突っ伏しながらもきゅもきゅとみかん粒を頬張ってる。
可愛いんだけれど、そのうち汁が顔に
「もきゅもきゅ…うにゃっ!?」
べちょ!っとみかんの汁がねここの顔にぶちまけられて。
あ〜ぁ、言わないこっちゃないの。
「ほらほら、ねここ顔吹かないと。あらら服まで濡れちゃってるねぇ」
「うにゅぅ、顔がベトベトするのぉ〜…」
私は顔をティッシュで拭いてあげながら
「濡れタオルか何か持ってきてあげないと。いやそれより服も着替えないといけないし…そだ、折角だしアレ着てみる?」
「あ、うん着てみる〜☆」
「…?」
テンション急上昇するねここに対し、雪乃ちゃんは頭にはてなマークが浮かんでいるようで。
そっか、銃器に夢中でねここが何を買ったか気に留めてなかったのね。
ちょっとニヤリ、と思って私は
「あ、アレは隣に置いて来ちゃったからそっちでお着替えしましょうか。行きましょねここ」
「はぁ〜い☆」
「そうそう、雪乃ちゃんはそこに居ていいからね〜」
「わかりました、姉さん」
ホントはそこに置いてあったんだけどね、うふふ。
(4/5)
「…遅いな、何してるんだろう」
「お待たせ〜♪」
「お待たせにゃ〜☆」
「お帰りなさい、遅かったですねねねねねねねねねねねっ!?!?!?!?」
いきなりパニくる雪乃ちゃん、それもそのはず。
戻ってきた私の掌の上には
「みてみて♪ 似合う似合う〜? ねここの〜メイド服すがた〜っ☆」
「うんうん、と〜っても良く似合ってるよ。もう最高♪」
ねここがフリフリのメイド服を着て立っていたのだ。
ねここが選んだのはスカートの丈が短く、各部にふんだんにフリルがあしらわれた物で、
俗に言うフレンチタイプというメイド服。胸元が若干開いていて、ねここの(実は意外に大きめの)胸がいやらしくならない
程度にチラっと見えてて、袖部分は指先が軽く見える程の長さ、頭には専用のネコミミ付カチューシャと、
首には何時もの大きな鈴、オーバーニーソで絶対領域も完備、スカートの下からはしっぽがちょこん、と見えていて、
実に可愛らしい。
「と〜っても可愛くて着心地もいいからサイコーなのー♪」
そういってくるりと手の上でターンしてみせるねここ。みてるこっちまで蕩けそうですょ……
ちなみに説明書きを見ると、このままバトルにも使用可能な耐久力があるらしく、コレは最早脅威としか。
「…っと、雪乃ちゃんの声がさっきからしないんだけども」
「……気絶してるっぽいかにゃ?」
コタツの上には、顔が真っ赤になって、鼻血(らしき物)を出して、ブシュー!とオーバーヒート状態の雪乃ちゃんが……
「あらら……せっかくのねここのメイドさん姿なのにねぇ」
「むゅー、残念なのぉ」
………うふ
(5/5)
「ん……私は、はぅぅっ」
そうだった、私はねここのメイド服姿をみて興奮のあまり失神してしまったんだ。
なんて恥ずかしい、ねここに嫌われなきゃいいのだけれ…ど…?
「何……この格好」
それは、いつの間にか私の服がねここのようなメイド服に着替えさせられていたわけで。
「ふふふ、やっと起きたね」
そこには満面の笑みを浮かべた姉さんが……
「ね、姉さん!? 一体何したんですか!」
「何って、着替えさせただけだよ?」
確かにそれはそうなのですが……
「私は着替えさせたその理由を聞きたいのですっ」
「雪乃ちゃんに似合いそうなメイド服もあったから買ってきて、着せてあげた。おしまい♪」
いやおしまいって……
「しかし雪乃ちゃんには、やっぱりそういうクラシックなのが似合うね〜。足まであるロングスカートに
質素だけども何処か華やかさを感じるエプロンドレス、正に仕事の出来るメイドさんって感じね、うんうん」
そ、そう言われて悪い気はしないけど、けど……
「うんうん〜、ユキにゃんとっても似合ってる〜☆ ねこことお揃いなのっ!」
ビキッ
と何かが割れた気がした、えぇ絶対に。
見られた…ねここにこんな恥ずかしいところみられてしまった…どうしようどうしよう……
「お揃い嬉しいなっ、嬉しいな〜☆」
と私に擦り寄って心の底から嬉しそうな声を挙げるねここ。………まぁ、たまにはこんなのもいいか。
その後は撮影会と言う事になって、私はあまり乗り気ではなかったのだれども。
ねここに頼まれてはイヤなんて絶対言えないし……それにちょっぴり、ほんのちょっぴりだけどお揃いが嬉しかった。
そしてその時の写真は、今は私の部屋の大事な所に飾られています。
>>124 被った、ゴメンナサイ|||orz
ちなみに
>>125の白子黒子は他の作者様たちの白子黒子とは一切関係がありませんっ!
○後書き
最近連続投下しすぎて体力が持たなくなりつつあります(汗
そしてホビーショップエルゴを舞台に一本書かせていただきました。
また、ドキドキハウリンシリーズより戸田静香嬢の名前をお借りいたしました。
ハウリンの中の人氏、事後承諾でゴメンナサイっ
内容は…ある意味原点回想
やっぱりネコミミメイドですねっ!
同意してくれる人募集(何
アネゴマダー?
ギャー!誤植を
レス指定が、124>123 で 125>124でした、申し訳ありません(大汗
>>131 志村ー、アンカーアンカー!
投下のペース速いなぁ。
今回はマオが浩之に打ち明けた真相です。
ぶっちゃけ全ては超くっだらねーネタの為の前振りなのですが、
それはそれとして。
『あかいそら』
1
私はMaxwell−X01。
人間には呼びにくいという理由で、モデルとなったマオチャオ型MMSを元にし
[マオ]と呼ばれている。
私は暗殺を主目的に開発された神姫偽装型ユニットの試作機だ。
世界的に普及しつつある体長15cm程の自立行動ロボット玩具になりすましターゲットに接近、
もしくは人間では入り込めない場所からの狙撃で暗殺を遂行する。
埋め込み型の解毒剤生成機、ニュートライザーの実用により要人の毒による暗殺はほぼ不可能だし、
このサイズの筐体に乗せられる火器では傷害を与える事は出来ても殺害までは現実的ではない。
だが私に搭載された”加速時間ドライブ”を持ってすれば、
体積比率で1/1000しかない神姫用火器に人間用の火器と遜色ない殺傷力を発揮させられる。
加速時間とは物理的な作用を通常空間と共有しつつ、それでいて1秒の長さに差異を持った空間の事だ。
そこへ入り込む手段をを人為的に発生させる装置が加速時間ドライブである。
もっとも注目すべきは通常空間と加速時間の間で起こる運動エネルギーの差異で、
元の運動エネルギー量に関係なく『それぞれの立場から見た目どうりの』運動エネルギー量に変換される。
加速時間に突入した私からは全ての存在が静止してるに等しく見え、
通常空間にいるターゲットは私の存在に気づく暇もなく、音速を超える弾丸に頭を吹き飛ばされる。
偽装のためにボディ自体は市販品と同等な物をチューニングして使用。
コアである頭部に通常のバッテリーを遥かに凌駕する分子結合バッテリーを搭載するが
スペース面の問題で容量が限られ、外部電源無しに加速時間に突入できるのは主観時間で2秒のみ。
他には小出力ながらほぼ永久に電力を供給する真空機関と、
記憶容量だけなら1世代前の連結型大規模電算機にも匹敵する珪素脳を搭載する。
なんでも私は大きな組織の1派閥が利権拡大のために我が創生主、柏木一に作らせたらしいのだが…
「らしい」というのはここが外部とは隔離された施設だから。
建物の地下だけが私の知る世界の全てだ。
ん、我が創生主…いや、お父さんが呼んでいる。
2
「お呼びですか? お父さんっ」
父の前では擬似感情プログラムを立ち上げる事になっている。
神姫になりすます為の訓練なのだが、それ以上に父の個人的な要望でもあるようだ。
父は私に自然の事、人々の普通の暮らしの事、そして…御家族の事。
とても沢山の事をお話になられた。
特に御家族の話をされる父は…、時に微笑み、時に憂い。
聞けば既望半分、脅迫半分でここに監禁されて私を作り上げたという。
ヒトの感情というものは良く理解できないが…会えぬ御家族への思いを私に重ねているのかもしれない。
あくまで表面的な感情でしかないのだが、それでも私は父と過ごす時間を価値の高いものと判断している。
いずれ訪れる任務遂行のための性能向上の為。
…である筈なのだが、確定できない何か好ましい要因もあるようだ。
ノイズの様なもの、だがノイズなどとは呼びたくない、何かが。
嬉しい、とでも言えばいいのだろうか?
父も私と話す時間が嬉しいようだ。
だが今日は…何かが違った。
妙にそっけない。
「マオ、明日は火器を使った初の実働試験だ。 クライアントもお見えになるし、
念の為にデータの確認を行なうよ。 背中を向けなさい。」
「はぁい」
違和感。
たいした事ではない…が、今まで何度も加速時間に突入する試験は行なっている。
それが火器を使うか否かなど、動作になんの影響も無い。
クライアントの手前だというのが妥当な線ではあるのだが…
私の出来に、絶対の自信を持っている父が気にするだろうか?
だが父には父なりの考えがあるのだろうと、私は素直に従った。
カチリ
背中のコネクターにケーブルが接続され、通信が始まる。
……?
違う。
これは確認ではなく、書き込み。
父はなにを…?
膨大なデータが流れ込んでくる。
私の設計図を初め様々な技術の情報、言語、雑学、経済、サブカルチャーにいたるまで
施設のメインコンピューター丸ごとかとも思える膨大なデータ。
そこに埋もれるように1つのテキストファイルがあった。
その内容は……
っ!
そんな…
3
いつもの実験施設。
樹脂を封入した防弾ガラスの向こうに、父を含め二十六名の人間がいる。
白衣を着た研究員と、所長と、黒服のいかにも柄の悪そうな連中。
黒服の中でも特に強欲そうな中年男性がデータに適合…
あれがクライアントのようですね。
私の傍らには共に加速時間に突入する大型バッテリー。
そこから伸びたケーブルが私の背中へと繋がっている。
加速時間内には通常空間から電力を供給してもゆ…っくりとしか入って来ず、
まったくパワーソースとして役に立たない故の措置だ。
電源ケーブルの下、もうひとつのコネクタにはLANケーブルが繋がっている。
加速時間に突入している間の観測は時間軸に差がありすぎて不可能なため、
あくまでも突入前と離脱後の測定用だ。
回線の先には施設のメインコンピューター、連結型大規模電算機があり、詳細な分析を瞬時に導き出す。
私にかかる期待の程が知れようと言うものだ。
…まぁ、あくまでも1派閥の利権において、なのだが。
ガラスのこちら側でのこれまでとの違いと言えば、並べられた火器の数々。
リボルバーとガスオートマチックの2種類の拳銃。
サブマシンガン、アサルトライフル、アンチマテリアルライフルに長砲身チェーンガンetc,etc
どれも人間用の1/10サイズ、体積比では1/1000。
そして大量の各種弾薬と、背負い型の携帯バッテリーパックが多数。
あと、なぜかワイヤーランチャー。
理由…わかってるけど。
充分な量だろう。
これらを用意された標的に向けて使用し、その効果を確認するのが今回の目的だ。
だけど…
実働試験が始まる。
オンライン確認、各部アクチュエーター正常、擬似神経系の全回路正常、外部バッテリーとの回路接続、
加速時間ドライブスタンバイ…
「加速時間に突入します」
一瞬だけ視界がモノクロになる。
流れと流れの間にある、色のない世界。
再び色彩が戻り、私は加速時間に突入した。
さて、と。
こうなってしまえばメインコンピューターに悟られない訳ですが…
チェーンガンと給弾ベルトを掴み、巨大な弾槽ごと加速時間に引っ張り込む。
本来の予定では標的を打ち抜き、加速時間から離脱。
データ収集の後、再び加速時間に突入し火器を変えて射撃…
がこん、きゅいーん…がしゃっ
ベルトをセットし、チェーンガンを起動させて初弾装填。
ちらりと防弾ガラス越しの父を見る。
お父さん、本当にこれでいいんですか…?
これまで予想していなかった事態に私の珪素脳が誤作動を起こしているようだ。
擬似感情プログラムを立ち上げていないのに、立ち上げているのと酷似した思考が発生している。
迷うな。
メインコンピュータに対しハッキングを開始。
程なく気付かれるが、遅すぎる。
性能は比べるまでも無く私の方が低いが、今は基準になる時間の流れ方が違う。
警告を発令する暇も与えずにハッキングを完了。
全権を掌握した私は、施設の隔壁を全て閉鎖。
通信回線を全て切断し、さらに地下最深部の動力施設を暴走させた。
これから起こるのは、巨大な密室に充満する膨大な熱量。
どうなるかは言わずもなが。
でも、これだけでは解除されてしまう可能性もある。
まずは防弾ガラス越しの人々へ向けて発砲。
樹脂封入型の防弾ガラスは、粘り気のあるプラスチックが弾丸の運動エネルギーを吸収して貫通を防ぐ物だ。
しかし全て同じ所に着弾させれば撃ち抜ける。
父以外の頭を端から一人づつ確実に破壊していく…
最後に通風孔の金網を撃って加速時間から抜け、電源とLANのケーブルをパージ。
同時にガラスの向こうでは、二十五個の頭がミンチになって吹き飛んだ。
父は…私をじっと見ている。
次は警備室だ。
携帯型バッテリーを背中に接続し、武器をリボルバーに変更して通風孔へ。
普段なら絶対に届かない高さだが、ワイヤーランチャーでなんなく突破。
10分ほどで警備室の上に到達し、ドアと格闘している警備員に向け
加速時間内からホローポイント弾を叩き込む。
来た道を取って返し、途中の金網を打ち抜いて父の前に降り立った。
床も壁も、赤一色。
動力炉…あと1時間といったところでしょうか…
「お父さん…」
「マオ…、この手紙を持って浩之の元へ行きなさい。」
小さなショルダーバックを手渡される。
「ねえ! 一緒に逃げようよ! お父さんがいなくちゃ、私…っ!」
「それはできないよ、マオ。 私が生きていたらまた悪い奴が利用しようとするかもしれないんだよ?
そうなれば浩之も、マオも危険な目にあってしまう。 それじゃあだめなんだよ。」
イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ
イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ
「さあマオ、お父さんの最後のお願いだ。」
解ッテル 他ニ、道ナンテ無イ ダケド…
両手でリボルバーを構える。
「そうだ、それでいい…」
オトウサン…
そして私は…
加速時間の向こうで微動だにしない、愛しい父にトリガーを引いた。
4
初めて空を見た。
暗闇と、赤い、あかいそら。
私が居た場所は国立の研究施設だったらしい。
本当に国立なのか、表向きだけなのかは解らないが。
消防車が駆けつけてはいるが、精々周辺家屋への延焼を防ぐだけで精一杯だろう。
生存者は絶望的。
元々が後ろめたい研究をしていた施設なのだから、手動の避難扉などあろう筈も無い。
家族をタテに脅迫されていた。
逃げても殺す、完成させなくても殺す。
せめてもの救いは1派閥の利権拡大が目的故、過剰なまでに機密が保たれていた事だろうか。
これも推測でしかないが…施設の人間と資料を消せば浩之様に危険が及ぶ事は無く、
暫くは私と同等な存在を作る事も出来ないだろう。
「逃げず、完成させて、そして消す、か。 逃げたら殺す、完成させなくても殺す。
シンプルな脅しですが、有効な手ではありますね…」
家族を守り、野望も潰すには私の完成を待たねばならなかった、と。
あの施設には260人程いたんですよね…
「は…あはは……こんなちっぽけな人形が… 危険、過ぎますね…」
自分のした事だけど…こんなのを存在させておいたら大変な事になるよね。
潰すのは…妥当。
妥当、なのに。
「じゃあさぁ…じゃあ何で私に生き延びろなんて言うのよ……っ!」
貴方が死ぬのであれば、私も共にありたかった。
擬似感情プログラムを立ち上げてもいないのに。
私は生まれて初めて、泣いた。
ふへぇ、伏線引っ張ったり繋いだり疲れたお。
繋がってないところも…あうあう;
1回の書き込み量制限って改行だけですかね?
もしかしてKB量も絡むのかしらん。
>>73 次でホビーショップ・エルゴお借りします。 ペコリ
というわけで、やっとこさマオの設定。
どっかの組織が柏木父に作らせた人殺しの道具。
とはいうもののボディ自体は市販品なので、運動性能はせいぜい
『ザクよりまs…』じゃない、『ちょっといい』程度。
頭は通常とは別世界な技術の塊で、バレるとやべーんで各種シールド加工済み。
バーチャルバトルではマオのマル秘機能を再現しようが無い為、
『無駄無駄無駄ァ! そして時は動き出す』はできない。
ジャムリングを極端に嫌い、ガスオペレーティングの銃を使わない。
「あんな持ち方悪いだけで詰まりかねない銃なんてゴメンです」
浩之は便宜上マスター扱いにはなっているものの双方にそんな気は更々無く、
最愛のヒトを手にかけた苦悩(マオ)と
父親が自分達を捨てた訳ではなかったと知った(浩之)事で
どーにも心が砕けてしまいそうで、お互いにすがりついた結果…
という事にしています。
2スレ目の>422でマイクを吹っ飛ばしたのはリボルバーでバキュンしたからなのですが、
加速時間から撃ったので人間の知覚速度の外なのですな。
ああ、そのなんだ、
>という事にしています。 ←コレ
正しくは
≫兄妹と認識している、という事にしています。
がタダシイ。
orz
俺はネットでニュースを見ている。
「え〜、なになに? 『不可解な伝染病、感染範囲拡大』ねぇ、で?」
見出しを読み終えた俺は、記事本文に目を通す。
『武装神姫と呼ばれる小型ロボットが突然、自らの股を開いたり閉じたりを繰り返すという現象が相次いでいる』
『“武装神姫股開閉症候群(通称、パカパカ病)”の感染元、感染ルートも全て不明。感染する武装神姫の型にも共通性無し』
『又、人にも感染の報告が出ており、注意を促している』
「へぇ〜、大変だな」
そこまで読んだところでアールがやって来た。
「マスター、準備できました」
「お、そうか」
俺はパソコンをそのままにして、アールと一緒にベッドの方へ行く。
そこには、神姫用の椅子に後ろ手で縛られて身体は椅子に固定され、さるぐつわをされたエルの姿。
しかし足だけは自由にしてある。
くいっとエルの足を持ち上げてみる。
「ん〜! んん〜!」
エルは必死に首を横に振っているが気にしないことにした。
エルの身体の固定具合を調べる。
「よく出来てるじゃないか」
アールの頭を優しく撫でる。
「マスター……」
ぽっと顔を赤くするアール。
「エル、いいこだから力を入れないでくれよ。壊れちゃうからね」
「!!」
ビクンとエルの身体が縮こまる。
「さあ、エルも一緒に楽しもう」
パカパカ
エルの足を持ち、開いたり閉じたりを繰り返す。
「ん〜! んん〜!」
エルは泣きながらもがくが椅子がガタガタするだけだった。
「どうしてそんなにいやがるんだい? 俺もこれの楽しさをアールから教えてもらったのに」
「そうなの、こんなに楽しいの」
アールは体育座りになり、パカパカしている。
「そうか、刺激が足りないんだね。アールお願い」
「はいマスター」
アールが立ち上がり椅子の後ろに回って、いきなりエルの胸を揉み始めた。
「ん! んふ、んん!」
「まだ足りないみたいだね」
俺は、ぱかぱかしながら指の先で秘部をやさしくなでる。
「ん、んふぅ…んん…」
「よくなったみたいだ、アールがんばろう」
「はい!」
俺とアールはエルを攻めを激しくする。
「ん! んん〜! ん、んんっんん〜!! ん〜〜〜〜〜!!」
エルの身体がビクンとなって、力が抜けたように椅子にもたれた。
「うふふ」
「あはは」
俺とアールはエルのイク瞬間を見れて笑いあった。
「ん? ん、んふふ、んふふふ」
目が覚めたエルは、笑いながら自らの意思でぱかぱかを始めた。
「アール! エルもわかってくれたよ!」
「はい! うれしいですマスター!」
アールも座ってパカパカしている。
こうして、俺はずっと二人のぱかぱかを見続けていた。
点けっぱなしのパソコンには、こう表示されていた。
『症状が末期になると、感染していることに気が付かず、楽しい行為と認識する傾向があります』
『発症した武装神姫および、その持ち主の方は早めの対処をお願いします』
かっとして書いた、反省はしていない
本編の進み具合が芳しくなく、エルゴ店も絡めてみたいと思い大幅修正の最中です
パカパカ祭りネタで即興で書いてみました。
本編とは全く関係ないです
今回はサクラ視点でお送りいたします
Wed 1:30
わたしがマスターの元で目覚めて1ヶ月が過ぎようとしています。
「ただいま」
マスターが帰って来ました、時間は午前1:30を過ぎようとしています
わたしは吠莱壱式を磨く手を止め玄関にダッシュします
「おかえりなさい、マスター」
「ただいま、サクラ。まだ起きていたのかい?先に休んでいて構わないのに」
「そういうわけにはいきません」
「わかったわかった、でも無理はいけないよ」
無理してるのはマスターの方じゃないですか…
日に日に顔から精彩を欠いていっているじゃないですか…
シャワーを浴びた後アイスコーヒーを飲んでいるマスターに聞いてみる
「まだお仕事忙しいんですか?」
「ああ、でも目処は立ったから週末はサクラと一緒にいられるよ」
「無理はしないで下さいね?」
「サクラもな」
ベッドに潜り込んで数秒後には眠りにつくマスター…
わたしは机の上からマスターの寝顔を見下ろしながらある決意をする
「やるしかない…」
Wed 7:55
翌朝マスターのお見送りを済ませた後、自室に戻りミッションに必要な情報を集める
物資は備蓄してあるものでなんとかなる
だが装備と人員が足りていない1対1では勝ち目が薄い
1対多が理想だけど最低でも多対多に持ち込まなくては
ボイスチャットでタマちゃん達に相談してみる
「…というわけなんだけど、みんな力を貸してもらえないかな?」
「…了承」
「わたくしにお任せなさいな、大船に乗ったつもりになってよろしくてよ」
「わかったにゃ、装備はタマにまかせるにゃ!」
持つべきは友、これでミッションを進められる
Fri 19:30
「ただいま」
いつものように玄関にダッシュ
「おかえりなさい、マスター」
気取られてはいけない、わたしは態度を変えることなくマスターに伝える
「あのーマスター、タマちゃん達が明日の午後遊びに来たいって言ってるんですが」
「あー、忙しくてしばらく会わせてあげてないからなー」
「うん、構わないよ呼んであげな」
マスター浅はかですよ
マスターが呼び入れるのはわたしのミッションチームのメンバーなのですから…
Sat 13:40
ピンポーン
タマちゃん達が到着する。
わたしとタマちゃんと目が合うとわたしにだけ分かるように持参のコンテナを指差す
わたしもタマちゃんにだけ分かるように無言でうなずく
撫子さん、ヴィレッタちゃんも到着した4人で目配せをすると
「あの〜マスター方。女の子同士の内緒なお話があるので少しの間席を外してもらえませんか?」
そういうこともあるだろうと快く奥の部屋に行くマスター達
これから何が待っているかも知らずに…
Sat 14:55
コンテナを開け装備を身に纏う
備蓄物資を確認、大丈夫乗り切れる
チームの皆と無言で頷き合う
マンツーマンで各個撃破ただそれだけのシンプルな戦略
後はミッションの開始を宣言するだけ
このミッションが成功すれば得るものは大きい
反面失敗すればかけがえのないものを失うかもしれない
ハイリスク・ハイリターンの極み
「分の悪い賭けは嫌いじゃない」と言ったのは誰だったかしら
声が出ない、体が震える
チームの皆がわたしの肩に手を置く、微笑みかける
わたしは一人じゃない
勇気を振り絞って宣言する
「15:00(ヒトゴマルマル)ミッションMスタート!」
「マスター方、もういいですよー」
ここからが正念場だ最初の一撃で出鼻をくじかねば…
マスター達と対峙する
マスター達の動きが一瞬止まる
今だ!このチャンスを逃すわけにはいかない!!
「「「「おかえりなさいませ〜、ご主人様」」」」
4人おそろいのメイド服に着替えたわたし達が精一杯の笑顔でご挨拶する
時間が止まる
自分の顔が急速に赤くなっていくのが分かる
頭の中が真っ白になる
(えとえと、これからどうするんだっけ・・・)
ヴィレッタちゃんが口火を切った
「マスター、着席することをお勧めします」
「違うにゃ!」
パシーン、タマちゃんのハリセンがヴィレッタちゃんの後頭部を強打する
「ふぇ」
「ヴィレッタちゃんは泣き虫な妹メイドの設定にゃ、やり直しにゃ!」
「でもタマ・・・」
パシーン、再びタマちゃんのハリセンがヴィレッタちゃんを襲う
「ふぇー」
「タマはタマじゃないにゃ!メイド長様にゃ!さっさとやり直すにゃ!」
「えぐえぐ・・・お兄ちゃん、ひっく、お席にどうぞ・・・」
「いいにゃ!リアリティーがでてグッドにゃ!」
タマちゃん…、ヴィレタちゃんマジ泣きしてるよ…
続いて撫子さんの攻撃が始まる
「あら、ご主人様何しにきたの?つっ立ってられても邪魔だからさっさと座ったら?フン」
「ばっちりにゃ!さすが撫子ちゃんツンデレメイドを完全に自分の物にしてるにゃ!」
うん、わたしもそう思う。撫子さんハマリ過ぎだよ
わたしもがんばらなきゃ!!
「ご主人様、どうぞお掛けになって下さい」
怒られるかな…
怒鳴られるかな…
あっさりとマスターが席に着く
肩すかしを食らったようなホッとしたような…
「ご主人様〜、ご主人様はタマの前に座るにゃ〜」
タマちゃん、仮にもメイド長様がそんなことでいいの?…
私達の武装を合体させてプチ壱号が制御する人型ビークルがマスター達のカップに紅茶を注いでいく。
ちょっと不気味だけどティーポットが大きいから仕方ない
「くすん…お兄ちゃん…お砂糖いくつ?…」
「1ついただきましょうか」
「ご主人様も1つだったわね。か、感違いしないでよ、たまたま覚えてただけなんだからね!」
「はいはい、ありがとう」
「ご主人様は甘々だから2つにゃー」
角砂糖を投げ込むタマちゃん…
「えと、ご主人様はお砂糖はおいくつ入れますか?」
「ああ、俺は砂糖はいらないよ」
「しかし、なんというか新鮮な光景ですね」
山崎さんが口を開く
「そうか?タマはいつもこんな感じだぞ?」
森尾さん、そんな自分から地雷を踏まなくても!!
「やらせてるのか?」
マスターが静かに問い掛ける
「おーっとにゃにゃせ(七瀬)ちゃん、それは違うにゃ!」
「タマはタマの自由意志でメイドさんをやってるにゃ」
「そうなのかい?」
マスターがタマちゃんに微笑みかける
「そうにゃのにゃ」
エヘンと胸を張るタマちゃん
やがて楽しい午後の一時も終わりを告げる
タマちゃん達のお見送りを終えると
わたしは普段の部屋着に着替えてマスターと後片付けを始める
洗い物をするマスターに恐る恐る聞いてみる
「あの…マスター…怒ってますか?」
「どうしてだい?」
「以前お買い物に行った時、森尾さんに「メイド喫茶作ったら縁を切る」って…」
「ああ、あれはタマの意思を無視して強要してた場合だよ」
「今日のお茶会も強要された訳じゃなくサクラが自分の意思で開いたんだろ?」
「はい、わたしが企画立案してタマちゃん達にお願いして手伝ってもらったんです」
「だったら怒るわけないじゃないか、でも何でメイド喫茶だったんだい?」
「そのー、最近マスターがお疲れのようだったので色々調べたらメイド喫茶は癒されるってネットに…」
「そうか、ありがとう。また頼むよ、サクラのメイドさんもなかなか可愛かったし」
マスターがわたしに微笑みかける
「え、え、えーーーーー!!」
わたしの顔が一気に赤くなっていく
「えと、その、あの、えっと」
言葉が出てこない
「機会があれば…」
これだけ言うのが精一杯でした
今日また1つマスターの事が分かりました
マスターはナチュラルに不意打ちをかまします(照
という訳でメイド喫茶?編をお送りいたしました
尚筆者はメイド喫茶に行った事が無くTV等の情報を元にして捏造していますので
実在のメイド喫茶と相違があっても一切関知いたしませんのでご了承ください。
153 :
ダメ師匠:2006/10/17(火) 02:51:20 ID:U4SZPZae
とりあえず必殺技のお披露目と、師匠の尊厳回復の為の神姫VS人間の模擬戦です。
バトルと言っていいのかすら判らないような物ですが、一応苦手な人は避けて下さい。
(1/2)
オハヨウゴザイマス、(他称)師匠です。
今日は人を敬うつもりの無いエストをギャフンと言わせたいと思います。
その舞台になるのは
「どっちの実力が上なのかな模擬戦in神姫評価試験室〜!!」
「何を朝から室内で叫んでますか、恥ずかしい。」
そんな舐めた口を利けるのもここまでよ、土下座して謝るが良いわ。
と、声に出して言えない俺チキン。
目の前では試験室の使用許可を取ってくれた主任と悪友が何やらセッティング中だ。
「ところで、どうやって私と師匠が勝負するんですか?」
「ここには武装やらフィールドを試験する為の、AIユニットを搭載していない操縦型の神姫がある。」
「それは昨日の会話で知っています。」
「操作方法は特別仕様で、格ゲー用のスティックを使用出来るようにしてもらい、視覚はバイザー着用で神姫視点な訳だ。」
「ワタシソレツカウ、アナタソレトタタカウOK?」
「了解ですが何故にカタコトですか?」
「気にするな、そして仕事でこの部屋に来るフリをして遊び倒してた俺を舐めるな!」
ピクピクッ
主任の眉が動いているが、一応病人なので追求はされない。
「こっちの準備は出来たよー、後は君達次第だからね。」
ルールや仕様は基本的に一般のバトルと変化は無い。
こちらの仕様神姫、通称:試験機、はスペック武装共にエストに合わせてある。
とは言え簡単なアーマーに、得物は長槍だけなのだけども。
つまり完全な実力勝負、言い訳無用のデスマッチ!
バーチャルだけどなー。
全ての準備が整い、いざ決戦の地へ。
フィールドは特に何の変哲も無い市街地。
索敵なんかしなくてもエストの居場所を割り出すのは簡単、逆光になる高い場所を見れば良いのだ。
『言葉など不要だ、かかって来い。』
『ちょ、師匠それ私の言いたい台詞。』
『来ないのなら俺から行ってやろう。』
言うなり即ダッシュ、真っ向勝負を望む相手に小細工不要だ。
間合いを詰めると長槍を中央で分割し、2本となった槍をコンパクトに振り回す。
キンッ、キンッ、キンッ、それに対しエストは長槍のまま防ぐしかない。
タン、タタン、タン、槍を振り回す音は俺がリズミカルにキーを叩く音と連動する。
同じパターンでの攻撃を3セットも繰り返すと、流石に合間を縫って攻撃に転じようとする。
「甘い。」
こちらが意図的に作った隙だ、そうとも知らず大振りになっているエストは体勢を変えられない。
槍を2本とも上に放り投げ、最低限の動きで長槍の軌道から逸れて懐に潜り込み、そのまま一本背負いのように投げ飛ばした後、上空から降って来た槍をキャッチ。
当のエストは慌てて起き上がり、そのまま長槍を構えてバックステップ。
『事は全てエレガントに運べ。』
『そんな武器を手放した攻撃がエレガントだと言うのですか?』
『間違えるなよ、固執とエレガントは違うんだからな。』
それでも何か言いたそうなのでこっちから言ってやる。
『ならばお前の得意な長槍で勝負してやろう。』
154 :
ダメ師匠:2006/10/17(火) 02:52:01 ID:U4SZPZae
(2/2)
分割状態の槍のうち細身の槍で刀身の太い槍を全力殴打。
澄み切った音と振動が槍の中に響き渡るのが解る。
その状態で連結、上段に構えた槍を振り下ろす。
受ける心構えで居たエストは瞬時に危険を察知し、後ろへと跳躍。
本来エストに届く筈だった攻撃は地面に激突し、そのままコンクリートがクレーターのように抉れる。
悪友曰く、
「あの槍は重量軽減の為か中が空洞になっていて、強い衝撃を与える事によって内部で反響・増幅するんだよ。」
「で、それがどう必殺技になるんだ?」
「その状態で対象に攻撃を加える事で共鳴現象が起こり、振動破砕が可能になるって事かな。」
だそうだ。
「クリスタルみたいな感じの材質だから、反射は無理だとしても光学兵器を反らす事ぐらいは可能な筈だよ。」
とかも言ってた気がするが、お互いに飛び道具を持たない今は関係の無い話だ。
こちらが攻めてばかりだと実力が判断出来ないと思い、あえて防戦に回る。
確かに素体のレベルは高いが、エスト自身がそれを操りきれていない。
本人もそれを自覚しているが故の毎日の訓練なのだろう。
右上から袈裟懸けに振り下ろし、そのまま身体ごと反転し逆の攻撃。
頭部を狙いに来た後は、身体を沈めて足元を刈りに来る。
最後に胴体部に向かって突きだ。
面白みの無い攻撃だと思いつつ全てを防いでいても、流石にコントロールする腕が疲れてきた。
そろそろ終わらせるか・・・
真横から来た攻撃を止めた後、そのまま力任せに弾き飛ばす。
『今からお望みの必殺技を見せてやる、だから絶対に避けろよ。』
攻撃を受ける為にさすまた状に開いていた槍の先端を閉じると、地面に突き刺してエストに背を向ける。
『おい、途中で折れないだろうな?』
「強度計算した時点では十分実用に耐えうる筈だよ。」
失敗したら失敗した時、か。
刺さった刀身を抜く事無く地面を引き摺り走り出すと、地面との摩擦熱でそのまま赤みを帯び、次第には陽炎が発生している。
引き抜いた長槍が十分な熱量を持った事と、折れていない事を確認し空中に踊り出すように飛ぶと、再度エストの方を向いて構える。
そのまま全力で投擲。
ジュワッ
エストの頭上を越えた槍は、背後にあったビルを音と共に融解させた。
『まだ続けるか?』
『いえ、お手合わせありがとうございました。』
えらく殊勝な物言いだが、気にせず終了しよう。
正直三半規管と腕が限界に来ていたし、肝心の武器は投げてしまって手元に無い訳で、これぐらいの見得は必要だろう。
結果的に勝った訳だが、弱点を言っておかないとな。
「見ての通りの威力だが、投擲後は現状丸腰になるのと、地面が無いと使えない技だから注意しろよ。」
「はい、頑張って会得してみせます!!」
「それは良いけども、家の中で試したら叩き出すからな。」
「でも師匠、何か戦闘中は性格変わってますね。」
「珍しく本気出したからな、しかしダラダラしてないと病気が再発しそうだ。」
あ、そうだ主任と悪友にも協力してくれた礼を言わないとな。
「こっちとしても良いデータが取れたし、面白い見世物だったから気にしないで良いよ。」
「そうだな、久しぶりに黒須の本気も見れた訳だしな。」
早朝から準備してくれてたのに・・・アンタら、ええ人らや。
とりあえず今日は帰ろう、疲れた。
155 :
ダメ師匠:2006/10/17(火) 02:57:34 ID:U4SZPZae
では似非あとがきでも。
いやー、やっぱ慣れない作業は疲れますな。
反響云々とか嘘全開な技は使う機会があるのか!?
他人の作品を読んでる時が一番燃え萌えしますわ。
皆大好きだ!
156 :
356:2006/10/17(火) 03:18:00 ID:bj1Bat6P
皆さんのSSは質が高いですよね。
個人的には柏木さんの作品が、重くて、そして面白く感じました。
ともあれ、一日一錦を目指しながらのSS投稿です。
エロ分が少なくて恐縮です。
4章あたりでエロティックな展開を入れようとは思っております。
名前を「錦のマスター」にした方が良いかと悩みつつも、
とりあえずしばらくは356でいかせて頂きます。
それでは逝きます。
157 :
356:2006/10/17(火) 03:18:52 ID:bj1Bat6P
〜2章(1/4) カラダが憶えている事〜
私はクルリと宙を舞います。
背中の翼を大きく広げ、低速でも失速しないように細心の注意を払ってる。
マスターの顔を上下逆さに見た後、身体をさらに回転させなくちゃ。
高さ2.5m、縦横3mの空間でのアクロバットは中々に難しいんだよ。
メインコアの演算能力を動員して計算しているのは、
空気の抵抗、重力、浮力、気流の乱れ、エトセトラ、エトセトラ…。
私、すごいでしょう?
ねぇ、マスター!見て見て!!
ふふ、嬉しいな。
マスターもすごく楽しそうに笑ってくれている。
その後、急に真面目くさった顔をして、
もっと旋回半径を狭めるためには、
なんて言いながら絵を描いて説明してくれる。
マスターが楽しそうだから、私は嬉しくなる。
マスターは、お前が楽しそうだから、僕は嬉しくなるって言ってくれる。
楽しいな、嬉しいな。
此処に来て良かったな。
そして、ずっと、こんな暮らしが出来ればいいのにな。
でもね、マスター。私の名前は「錦」だよ?
どうして、いつもみたいに名前で呼んでくれないの?
まぁ、許してあげる。
だって、マスターがあんなに楽しそうなんだもん!
・
・
・
神姫は夢を見る。
それは、メインコアに蓄積した情報を整理する処理の一過程だと言われている。
神姫が蓄積する情報は、昔の人が想像したような画像情報ではない。
特徴抽出し、認知情報に分解された情報だ。
だから、理論的には画像として再生されるような夢は見ないとされる。
しかし、多くの神姫は、自分は夢を見ると主張する。
当然、私も夢を見ると主張するし、事実先ほどまで見ていた夢は素晴らしかった。
時刻は6:59。
予定の「起動時間」までに1分ある。
しかし、7時と同時に動くには若干前に起動プロセスを開始する必要があるのだ。
私の身体が横たわっている神姫用クレードルのディスプレイには、
タイマーオンを7:00にセットした事を表すアイコンと、
私の名前である「錦」という文字列が浮かんでいる。
そう、私の名前だ。
158 :
356:2006/10/17(火) 03:21:47 ID:bj1Bat6P
〜2章(2/4) カラダが憶えている事〜
マスターが私につけた個体認識名称は「錦」。
もはや情けなさを通り越し、些かの誇りを持って宣言するが、
きっと特技はマスターの足を引っ張ること。
神姫の性能に、アタリとハズレがあるとすれば、
間違いなく大ハズレに属する神姫であると自覚している。
過日の「マスターの秘蔵のディスクなんて見てません!!」事件の後、
しばらくしてから、もう一度、クローゼットの中をのぞいて見たが、
きっちり、処分されてました…秘蔵ディスクさん達は。
…また、マスターに気を使わせました。神姫失格です。
しかしながら、私とて、マスターの役に、「まったく」立っていない
わけではないのである。
完ぺき主義で事実ほとんどの事柄をそつなくこなされるマスターにも
当然ながら幾つか欠点があり、その中でも最大最悪なのが寝覚めの悪さなのだ。
耳元で爆音を鳴らしても、感心する程の図太さで寝続けるのだ。
そこで、私の出番があるのである。
神姫の体には無数の導電性高分子アクチュエータが仕込まれている。
これは、俗に言う人工筋肉という奴で、電気によって伸び縮みするプラスティックだと思ってもらえればいい。
これのお陰で神姫は軽量ながら抜群の力を発揮できる。
また、このアクチュエータを制御するのはメインコアではなく、腕部や脚部についたサブプロセッサだ。
例えば、私が腕を曲げようとする時、私のメインコアは、腕を曲げろと言う命令を
腕のサブプロセッサに送る。そしてサブプロセッサがコンデンサから電荷を取り出し、アクチュエータを動かすのだ。
逆に、腕に力がかかると、その力によってアクチュエータが縮むなり、伸びるなりして電荷を放出する。
それをサブプロセッサがメインプロセッサに送ることで私は腕にかかった力を認識する。
これら一連の仕組みによって、
15cm足らずの身体でもマスターの腕を捻りあげて「起床のお手伝い」をすることも出来れば、
力の加減を間違って、マスターの腕をへし折ることも無いのだ。
マスターからは昨日、明日は土曜日だが
友人(忌まわしいことに、女性だ!)に誘われているので7:00に起こす様にと言われている。
この憤懣やる方無い想いを両の腕(かいな)に封じて力に変え、
全力全開でマスターの「起床のお手伝い」をして差し上げようかとも思っていたが、
本日は大変、夢見が良かったため許してあげようと思う。
しかし、妙な夢だったような気もする。
自分の口調も変だった。
あんな飛行した記憶もない。
そもそも、マスターが私に向けてくれる笑みは、いつも優しいが気弱げな微笑なのだ。
マスターのあんな嬉しそうな笑みは初めて、見た気がする。
思い出すだけで、身体が熱くなるような気がする。
はやく、マスターのトラウマを癒してさしあげて、あんな笑みを取り戻してさしあ…
さしあ…
さs…
私の身体が横たわっている神姫用クレードルのディスプレイには、
現在時刻の7:40と、私の名前である「錦」という文字列が浮かんでいる。
…またやってしまいました。もう本当に神姫失格です…。
とりあえず、頑張り続けたけれどマスターが起きなかったことにしたいと思います。
ゴメンナサイ…。
159 :
356:2006/10/17(火) 03:32:47 ID:bj1Bat6P
以上、拙いSSを投下させていただきました。
どうかご笑納ください。
2章(3/4)、2章(4/4)は明日投下予定です
160 :
アネゴ書き:2006/10/17(火) 03:59:21 ID:MnccKnnz
アネゴが再起動すると、もう三郎は大学に行っており、奈緒も自宅に帰ったようだ。
書き置きに夕方には帰ってくるとあったので、アネゴはペタリと座る。
「うう…まだ関節が軋む……」
昨晩の三郎のものが完全に取れていないようだ。
「風呂、入るか」
開発部から失敬してきたアネゴ専用の風呂(実は超音波メガネ洗浄器)に浸かる。
「こんなシーン、ドラマであったなぁ…」
行為の翌日に風呂に入る、こんなことをまさか神姫である自分がすることになるなんて…
昼の情報番組を眺める。
違法な性風俗店が検挙されたことについて、メインキャスターとコメンテーターが意見を交わしている。
なんでも、神姫のプログラムを違法改造して客の相手をさせていたらしい。
しかし、その神姫達と自分に何の違いがあるのだろう。
『小さな人形に性を求める歪んだ人達が増えてきて…』
コメンテーターの言葉を聞きながらアネゴは仰向けになる。
「三郎もアタシも歪んでるのかなぁ…」
狭い部屋の天井を見ても答えは返ってこない。
アタシはただの機械、小さな人形。
161 :
アネゴ書き:2006/10/17(火) 04:00:32 ID:MnccKnnz
その夜。
三郎は大学から帰ってきて、惚けたように窓から空を見続けている。
『どうしたんだろ?』
昨日の今日で、アタシと会話するのが気まずいのか。
それとも、神姫を性のはけ口にした背徳の気持ちなのか。
どちらにしろ、このままでは場がもたない。
「三郎、明日はバトルに行こっ!ね!」
反応がない。
「……おい、三郎!」
私の声が聞こえないのか?
その姿がだんだん可哀相になってきて、つい本音が口から出てしまった。
「三郎、アタシにあんなことした事を後悔してるんだろ?大丈夫だって、アタシは気にしてな…」
三郎がくるりと顔を向けた。
「三郎…」
「なぁアネゴ。日常の非日常なんだよ」
「……はぁ?」
三郎の目がキラキラ輝いている。
「尽くしてくれる奈緒さんとツンデレなアネゴ、もうたまらないわけよ。」
コイツは。
「もう授業中でも妄想全開でさ、勉強なんか頭に入らなかったさ(遠い目)」
コイツは……
「そこでだ、アネゴ。今から よろしく おねがいします」
コイツは、バカだ。
「頼むよう、頼むようアネゴ〜」
土下座する三郎を見て、アネゴはあきれたようなホッとしたような気分になった。
「したいなら一人でトイレに籠もってろ!バカサブローっ!」
こんなお気楽なマスターの神姫なんだ。アタシもお気楽にいこう。
つづく。
162 :
アネゴ書き:2006/10/17(火) 04:03:34 ID:MnccKnnz
とりあえず前回の後始末完了。
今後はどうするか…
163 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 07:19:51 ID:QfjPPO4F
日時: 2006/08/08 12:18
名前: アバあき◆nsy0DcmY
膨大なログをざっと目を通しました。
前回は近場のログだけ目を通していただけなので全貌をつかめ切れていませんでしたが、私の言動がここまで皆さんを怒らせていたとは思いませんでした。
あまりにも浅慮にて軽率な行い、深く謝罪を申し上げます。
今回のことを省みて、今後は本スレには一切顔を出さず、画像の投下はwikiだけに自粛しようと思います。
私もやはり厨設定スレが大好きなので、私のせいで荒れてしまうのは心苦しいので、それには本スレに顔を出さないのが一番だと思いました。
謝って許されるようなことではないとは思いますが、申し訳ありませんでした。
それでは失礼いたします。
テメェのせいでSS大会もスレも大荒れした。シカトしてればすむと思うな。とっととどうにかしろ
あんまり名前とか付いてても覚えられないから
時間が無くて、パッと見しかできない人間には辛いにゃー
とりあえずアネゴは毎日楽しみにしてます
アーケードを、風が駆け抜けていく。
冬の風は冷たいけれど、寒さを寒さと感じない私の体にはあまり関係がない。
感じるのは、左右に分かれ流れていく景色の快さと、風のぶつかる心地良さだけ。
「ねえ、ココ」
静香の言葉と共に、変わっていく風景の速さが鈍り、風も勢いを弱めた。
風の源。
自転車の速度を、緩めたらしい。
「何ですか? 静香」
カゴの中、トートバッグの指定席から振り向けば。静香の視線は正面ではなく、
やや外れたところに向けられていた。
「あれ見て、あれ」
あるのは、神姫を扱うバトルセンターだ。
家の近所と言うこともあって、静香もよく対戦に寄る行きつけの店だけれど。
今日はあそこには用がなかったはず……。
「分かんないかなぁ。あれよ、あれ!」
「……はぁ」
あれと言われても……。
次の大会の予定表に、新しく発売されたオプションのポスター。昨日通った
ときから変わった様子は見られない。
「ああもう、可愛いなぁ……」
そういう意味ですか。
静香の嗜好を判断条件に加えて、カメラに映る対象物をフィルタリング。
優先順位が最高になったのは……。
「あのマオチャオが何か?」
小学生くらいの女の子だった。マオチャオタイプの神姫を頭に載せて、仲良く
話をしながら歩いている。
「ココもあれやってよ、あれ」
「……?」
お話をご所望なら、良好な関係で会話中だと思いますが……。
「ああもう、うらやましいなぁ!」
会話でないとすれば……うらやましいのは、マオチャオが、という事ですか?
「あの頭に載っけるの、可愛いわよねぇ。そう思わない?」
ああ、そっちですか。
「ダメというか何というか……」
なおざりに答えながら女の子の方を見ていると。
友達にでも呼ばれたのか、ふと振り向いた女の子の頭上で……噂のマオチャオが
振り落とされそうになっていた。
「にゃーっ!?」
あ、落ちた。
「ご覧の通り、自転車でアレをやるのはものすごく危険だと思うのですが……」
もちろん、二メートル程度の高さから落ちて故障する神姫などいるはずがない。
落下したマオチャオも、見事なバランス感覚で何事もなかったかのようにアーケードの
大地に降り立っている。
ただ、私達の足元では、高速回転する鉄輪がきゅりきゅりと唸りをあげている
わけで。
「……ちぇ。ダメかぁ」
「当たり前です。それより静香、このペースだと……少々急がないと遅れますよ?」
アーケードの時計を見れば既に十時を回っている。
目的の場所には、十時半までに到着しなければならないのだ。
「おっと。じゃ、飛ばすよ、ココ!」
ブレーキの音が響き渡ったのは、エルゴという店の前だった。
「きっとセーフ!」
「十七秒遅刻、アウトですよ」
「そんなもん誤差よ、誤差」
私の入ったトートバックと、その横に入れてあった紙袋をひょいと取り出し、
慣れた様子で自動ドアをくぐる。
「ああ、静香。ちょうど良いところに」
答えはあるが、姿がない。
それだけなら神姫だろうと検討も付くが、それさえもなかった。
「こんちは、大明神様。頼まれてた新作の検討見本、持ってきたんだけど……」
しかし、それさえも静香は慣れたもの。レジの隅にちょこんと鎮座ましまして
いる胸像に向け、言葉を放つ。
彼女こそがこの店の看板神姫、ジェニー。通称うさ大明神様だ。
「どしたの?」
その大明神様は、何やらお困りの様子。
「私の言うとおりに、レジを打って欲しいんですが」
見れば、レジの前にいるのは神姫を連れた女の子。
静香と同じくらいの年頃だろう。連れている神姫は、マオチャオとハウリンが
一体ずつ。
「店長さんは?」
「ちょっと奥で電話の対応をしていて。店番を任せるのは良いんですが、私では
手が出ないんですよ……」
普通の神姫なら人間サイズのキーボードを打ったりマウスを操作したり出来る
が、大明神様にはそうするためのボディがなかった。
神姫の部品が売るほどあるショップの看板神姫に胴体がないとはこれいかに……
とは、このエルゴ最大の不思議らしいが、その秘密を知っている者は当事者以外に
誰もいない。
「ま、そりゃそっか……」
静香は軽く請け負うと、慣れた様子でカウンターの内側に入り込み、お客さんから
商品を受け取った。
大明神様に値段を確認してもらい、レジのオペレートを開始する。
買い物の内訳は、大半は電装系のパーツだったが、いくつかは着せ替え用の服が
あって……。
「あれ、これあたしの作ったヤツだ。売れるもんなんだねぇ」
最後に静香が取り上げたのは、彼女のネームタグが付けられた冬用のコートだった。
「……へ?」
ああ。そういえば、見覚えがあるな。あの服。
着心地を確かめるために、コートを着たままキングなゲイがどうとかいう変な踊りを
要求されたのは思い出したくもない……って、話がずれた。
「あの……じゃあ、あなたが戸田静香さん?」
静香のスプーンが杏仁豆腐をすくい取り、口元へすっと伸びていく。
「はい、あーん」
ただし、至るのは自分の口ではない。
テーブルの上にぺたんと座る、マオチャオの口の前だ。
「あーん」
ぱくっ。
もきゅもきゅ。
「おいしーのー♪」
「かわいーのー♪」
にっこりと笑うマオチャオに、静香の顔もだらしなく緩む。
そういう顔、人前でしない方が良いですよ。静香。
「それにしても可愛いわねぇ、ねここちゃん。お持ち帰りしたいくらいだわ」
「でしょう? あげないけど」
「そりゃそうよ」
「ねぇ」
不幸中の幸いなのは、彼女のマスター……風見美砂と名乗った……も杏仁豆腐を
頬ばるねここの方を見ていて、だらしない静香の顔を気にしていない所だろうか。
「はい、あーん」
「あーん」
もうひとくち、杏仁豆腐を頬ばるねここ。
マスター二人は仲良く談笑し、ねここは杏仁豆腐に夢中だ。
そんな中、静香に静かな視線を向ける姿があった。
「すみません、雪乃」
美砂の連れていた、もう一人の神姫。
私と同じハウリンタイプの、雪乃だ。
「いえ……」
静香に向ける視線には、あまり好意が感じられない。
私には姉妹がいないので、その辺りの気持ちは良く分からないが、ねこことは
姉妹同然の彼女のこと。妹……もしかしたら姉かもしれないが……を取られたようで、
面白くないのだろう。
「それより、ウチのねここが静香さんを取っているみたいで……こちらこそすみません」
「いいんですよ。あんなマスター」
好きなだけねここにデレデレしていればいいんです。
「ふふ……」
私の言葉に雪乃は柔らかく微笑みかけてくれたけれど、その意味は私には良く分からなかった。
「おなかいっぱいなのー♪」
静香の分の杏仁豆腐をまるまる平らげた所で、ねここはお腹いっぱいになった
らしい。
「じゃ、あの服は?」
ねここの口元に付いた汁をティッシュでぬぐってやりながら、美砂と静香の話は
続いていた。
「小遣い稼ぎ兼、趣味ってとこかなぁ」
いくら静香が暇人とはいえ、たった一人で神姫の服を大量生産出来るはずがない。
一品モノを出すこともあるが、基本的には完成品と型紙だけ預け、後はどこかの工場に
委託しているのだという。
エルゴの店長が業者と知り合いなので、安く作ってもらえるらしいが、細かい所は
静香もよく聞いていない。
「そうだ。ついでだし……ねここちゃん、これ着てみない?」
静香が手にしているのは、喫茶店で最初に出て来た紙おしぼりだ。
それをくしゃくしゃと丸めていき……。
「……え?」
開いた手の中にあるのは、神姫サイズのセーターだった。
「にゃっ!?」
「……え? あのそれ、どこから……?」
「気に入らないなら……」
今度は美砂の襟元にそっと手を伸ばし……。
「こういうのもあるんだけどさ……」
そこから取り出したのは、やはり神姫サイズのカーディガン。
「にゃにゃっ!?」
「ええっ?」
素直に驚く二人に、静香は満面の笑み。
彼女達の反応が嬉しくてたまらないらしい。
「手品ですか?」
「……ああやって初対面の人からかうの大好きなんです。ウチの静香は」
静香本人は薄手のセーターにデニムと、どちらかといえば細身のシルエットだ。
その中から出て来たのは、服が四着にスカートが三着、ついでに手袋が二つと、
マフラーが四本。
「えっとね、雪乃ちゃんにも、こういうのがあるんだけどなー」
「え、あ、ちょっと」
ついでに、ケープが一着ですか。
「あ、それ似合うっ!」
「ユキにゃん、かわいーのー」
「い、いえ、その……」
ああ、すいません雪乃。うちの静香が…………。
「ココぉ……」
「……でも、確かに似合ってますね」
そのデザインなら、可愛いと言うより、むしろ格好良い、と言ったほうがいい気は
したけれど。
「裏切り者ぉーっ!」
……本当に御免なさい、雪乃。
「それにしても、良かったんですか? こんなにもらっちゃって……」
静香の押し付けた服で二割ほど体積の膨らんだバッグを提げ、美砂はそう呟いた。
お茶と話、ついでにちょっとしたお着替え大会が一段落してのことだ。既に店を
出て、帰り道である。
「いーのいーの。どうせ自分用に作ったヤツだから、商品には出来ないしね」
静香が私用に作った服の大半は、瞬間脱着のような奇っ怪なギミックが施して
あって売り物にはならない。デザインを流用することはあっても、エルゴに並ぶのは
その手の機能を外した『まともな』服だ。
「え? それって、ココちゃんのじゃ……?」
「ココが着ないって言ってたヤツだから。こんなに可愛いのにねぇ」
だから、可愛いのは苦手っていうか……
「余計なことは言わないでいいじゃないですか! 静香っ!」
「ま、そういうわけだから、ねここちゃんや雪乃ちゃんが着てくれた方が服も喜ぶわ。
きっと」
「なら、遠慮無く……」
「あ。でも、試合には使えるほど丈夫じゃないから、試合用にはエルゴに卸してる
ヤツとか使ってねー」
そんなことを話しながら。
分かれ道まで進んだ所で、静香が何となく自転車を押す手を止めた。
「それじゃ、私はこっちなので」
美砂達は右。静香と私は、左になる。
「そっか。じゃ、また遊びましょうね」
「ばいばーい!」
ねここは美砂の頭の上で大きく手を振って。
雪乃は美砂の肩の上、黙って一礼する。
「またねー!」
静香も三人を見送ると、自転車に静かにまたがった。
ゆっくりと風を切る世界の中で、私は静香に問い掛けた。
「静香」
「んー?」
続く言葉が思いつかない。
「どしたの、ココ」
「別に……」
とりあえず、そんな言葉で濁してみる。
「心配しなくても、ねここちゃんさらってきたりしないわよ」
ちょっとちょっとちょっと。
「……そこまで心配しなくちゃいけないんですか」
「だから、しないってば」
……。
それ以上突っ込む気力がなかったので、私は無言でトートバックを出、軽く跳躍。
静香の肩をとんと蹴り、頭の上に着地した。
黙ったまま、静香の頭にぺたりと貼り付いてみる。
「んー? 危ないんじゃなかったの?」
内容は非難じみていたけれど、風に流れる静香の声は確かに笑っていた。
「私が気を付ければいい事ですから」
私はわざとぶっきらぼうに、そう答える。どうしてそんな答え方になってしまった
のかは、分からなかったけれど。
「なぁに? ねここちゃんに妬いてたの?」
「ちょ……っ!?」
な、何をいきなり……っ!
「安心なさい、ココ」
「はい?」
「ねここちゃんは確かに可愛いけど、二人目を連れてくる予定は無いから」
「……はい」
神姫は決して安くない。
けれど、ランキングの賞金やエルゴのバイト代、その他の細々とした稼ぎがあれば
……趣味に注ぎ込む資金を差し引いたとしても、もう一体神姫を増やすことは可能な
はずだ。
でも、静香はそれをしないという。
「あたしの神姫は貴女だけだもの。貴女が、私を独り占めして良いんだからね?」
「……はい」
「だから、次のファイトも頑張りましょうね」
「はい」
私は静香の頭の上で、全身で彼女の暖かさを感じながら。
見えない彼女は笑っているのだと、そう思った。
「さて。早く帰って、新しい衣装作らなくっちゃ」
……いえ、それはいいです。静香。
さてさて、久しぶりに投下です。
<冬の日>
ではいきます。
さて、季節は夏をすっ飛ばし、秋を無視していきなり冬。
あぁ、そういえばそんなことがあったなぁ…レベルにまで対セイレーン戦が思い出と化しており、
さらにあの頃とは違って、十兵衛に人格が三つあるのも解明されていた。
この間にさまざまな出会いがあった。隻脚と隻眼が対峙したり、とある天使型の戦術に基本の大切さを教えてもらったり、
正義のお店で悪の組織相手に一戦交えたり、シャキンッ!と変身してみたり、
剣を交えて踊ってみたり、やたらと某ト○ーズ的エレガントを発揮して挑んでくる相手に対し、正義について考えさせられたり、
などなど…いや、もっとあるんだが如何せん人間の記憶というものは限りのあるもので、
この辺は思い出し次第詳細を書くとしよう。うん、そうしよう。
ちなみに、ここまででうちの十兵衛の勝率は7〜8割と結構な数字を維持している。
ほとんどが十兵衛の狙撃時性格「銃兵衛」の攻撃によるものだ。
通常時の十兵衛の戦闘はは近接戦主体だが、いまいち動きすぎてしまうところがあり、よく強制冷却状態に陥ってしまう。
問題の真・十兵衛だが…いや、言うまい…言う必要も無い。霧とともにこの人格が発動した瞬間、勝利はこちらのものである。
と、この複数の性格のそれぞれの戦法のおかげで通り名が多い多い。
「隻眼の悪魔」にはじまり、「神速の紅眼」「紅霧の剣」「紅き目の狙撃手」「紅の剣戟」
などなど…しかし、定着した通り名は
「十兵衛ちゃん」
というどこが通り名なのかいう位の至極普通の呼び名であった。
現在ランキングはセカンドリーグの中の上にさしかかろうとしている。
その十兵衛ちゃんだが、今回は冬の「特別リーグトーナメント」に出場している。
なにやらあの鶴畑主催のイベントらしく、ぶっちゃけはじめは出る気は無かった。
しかしまぁ、この冬最後のイベントではあるし、
坊ちゃん連中は気に食わないものの鶴畑の会社自体は至極まっとうな企業。
今回はその新製品のお披露目もあるらしく、それは気になるため、行ってみることにしたのだ。
で、もう途中まで試合は終わっており、現在の結果はベスト16以内に入るというなかなかに良いんじゃないかという成績を残していた。
今は昼休みと言うべきか、休憩時間となっている。
楽しみにしていた新製品の見物も終了。なんと他企業の製品も公開されていたので、ほんとに見に来て良かったと思った。
先行販売のMMSはスルー。残念ながら俺が欲しいのはその新型MMSの武装パーツである。が、今日は武装パーツ単品の販売は行われていないらしい。ザンネンだ。
「う〜ん、何とかこの侍の装備パーツを使いたいなぁ」
と俺は「紅緒」のパンフを広げながらつぶやいた。
「気に入ったんですか?」
とこちらとパンフを交互に覗く十兵衛。
「うん、十兵衛だしねぇ…。最低でもこの刀は使いたいな」
「そうですね、カッコイイですよね〜この刀。今の私の服にも似合いそうですよ」
と服を指して言う。
今日の服は十兵衛お気に入りの一品で、あの戸田 静香嬢が対戦記念にプレゼントしてくれた物だ。
斬新な和服…というかまるで忍者のような衣装なのだがどうやら元ネタがあるらしい。
これをくれた時、静香嬢は
「ふふん、やっぱり十兵衛ちゃんといえば眼帯はラブリーじゃないと!」
と言って、ハート型の眼帯を取り出し、十兵衛の無機質な眼帯を引っぺがそうとした。
しかし、眼帯の理由を戦闘中に知ったらしい静香嬢のハウリン『ココ』と、はなから理由を知っている俺は一緒にその暴挙?を慌てて止め、
「何何?どうしたの?」とぷんすか困惑する静香嬢に納得するまで理由を説明…「…じゃあ仕方ないかぁ」となんとか一件落着し、受領したのだ。
「うん、確かに似合いそうだ」
と俺はその時の事を思い出しながら言った。
「でもこの鎧をつけたら狙撃が…」
う、それを言うでない。その言葉に対し、
「いや、背部に拡張コネクタがあるのかもよ?」
と希望的観測を口にする。
「でも見た目が…」
「うん…」
滑稽だ…刀だけならともかく鎧まで装着すると、サブアームユニットがまるで似合わない。
「合わないよなぁ…」
「はい…」
と二人揃ってガクリと首を下ろした。その時だ。
『ピンポーンパーンポーン…これより、サードリーグ第一試合をメインステージにて開始いたします』
とアナウンス。なんとな?
「?…メインステージ?」
サードリーグがなぜにメインで行われるのだ?不思議に思った俺は
「行ってみるか」
と十兵衛に言った。幸い次の試合まではまだまだ時間がある。
「はい!いきましょ〜!」
十兵衛も見る気満々だ。俺達はさっそくメインステージへと脚を運んだ。
・
・
・
「うわ…」
「すごいですね〜」
歓声のオンパレードや〜。いやすまん、なんだこの盛り上がりは。
「サードってこんなに盛り上がってたのか」
「と言うより場所の問題かと」
「かねぇ」
さてさて対戦カードはっと…。
「お、あれは…」
と、俺は片方の相手に注目した。
「鶴畑兄妹の」
「いや、それはどうでも良い」
十兵衛の言葉に対し即答。そっちはいらん。
「ちがうちがう、こっちだよ。ほら」
「?風見美砂さんと…ねここさんですか?」
「忘れたか?ほら、俺たちが一番始めに戦った相手だろ?確か」
「え〜っと?どうでしたっけ?」
「え〜」
「なんて嘘ですよ。覚えてますっ」
「すごいなぁ、がんばっているんだな」
「でも良く覚えていましたね?」
「ん、まぁな」
「どうせ女の子の顔で覚えているんでしょ〜」
とジト目。
「え、いや、そんなことは」
…あるんだが、大いに。
「ふ〜ん。私には分かるんですからね!」
ぷいっとそっぽを向く十兵衛。
「…ごめんなさい」
なぜか謝ってしまった。
「良いでしょう、許してあげます」
えっへん、と胸をそらす十兵衛。
「お、始まるぞ」
「いよいよですね!」
『それではぁ!特別リーグトーナメントぉ!!サードリーグ一回戦第一試合ぃぃぃ!』
「レディー」
「ゴー!!!!」
…と始まった良いが…
「一方的ですね…」
「一方的だなぁ」
追うミサイル、にげるねここ。
「てか、騎士だよなぁ?」
「騎士…ですよねえ…」
相手の鶴畑妹の神姫「ジャンヌ」は新型の騎士型サイフォスだ。
しかしその騎士にはひたすら火器火器火器。
火器の総合デパートや〜。すまんまたやった。
対するねここは基本装備に高出力のブ−スターを多数装備した高機動型だ。まるでミー○ィア。
「でも当たって無いなぁ」
ジャンヌが撃つ撃つ。がねここが振り切り、その弾丸やらミサイルはまったく当たっていない。
「あのね、あんな撃ち方で当たるわけ無いじゃないの」
「え?」
声質が変わったぞ十兵衛。いや、このお姉さん的な物言いと雰囲気は
「銃姉か?」
銃姉…それは十兵衛こと銃兵衛の呼び方の一つだ。というか名前の読みが同じなのでそれを区別するためである。
「…銃姉はやめなさいよ。一応ちゃんとした名前があるのだから」
「だからそのちゃんとした名前って何よ?」
本人曰く、銃兵衛とは仮の名前らしい。だから本来の名があるはずなのだ。
「ふふ、それは女の秘密よ」
と子悪魔っぽく微笑んだ。すまん、なんで性格変わっただけでこんなにセクシーなんですか?
「ほら、子猫ちゃんと爆弾騎士に進展よ」
こ、子猫ちゃんて…いや、それに爆弾騎士って何だ?大爆笑な呼び名だな。
戦場を見ると煙によって視界が遮られていて良く分からない。
「う、やられちゃったのか…」
「そんなわけ無いじゃない」
「え、でも」
「ほら、ちゃんと見る」
「え、あ!」
猛煙の中からねここが出現。
それに対し、ジャンヌはミサイルを発射。が、その頃にはもうねここはいない。
ジャンヌの至近距離で爆発。破片がジャンヌに降り注ぐ。
「どうなっているんだ…」
「たぶんだけど…」
「うん」
「恐らく…さっき爆弾騎士に特攻し、ミサイルが当たる瞬間に、背部ユニットの一部をパージしてミサイルを爆発させ、煙幕代わりに利用、
そして今のは爆弾騎士が撃った瞬間にミサイルにパーツを投げ入れて爆発させたんだと思う。
どちらも子猫ちゃんの機動力を生かしたなかなか考えられた戦法ね」
「おおう、すごいな…」
「あくまで予想よ?」
「お、おう」
いや、一瞬でそこまで予想できるなんて、お前凄いな…お兄さん何がなにやら分からないわ。
完全に形勢逆転。混乱しているジャンヌは四方八方に銃を乱射している。
「もう決まるわね」
「そうなのか」
『ひっさぁつ! ねここぉ・フィンガー!!!』
おおう!!すげえアッパーだ!
『すぱぁぁぁぁく、えんどぉ!!!』
と戦場全体が閃光に包まれる。
「うお!?」
「雷撃ね…」
だからなんで冷静でいられるんですかあなたって人は。
『試合終了。Winner,ねここ』
『うおおおおおおおお!!!!』
その瞬間歓声が上がる。
「いやぁ…すごいわ…」
「十秒ね」
と銃姉。
「ほう、珍しいな」
この十秒とは、銃姉なりの評価方法である。もし自分が戦ったら、倒すのに最低この秒数かかる…という意味である。その中で十秒というのはかなりの高評価だ。
「ま、これからのねここちゃんへの期待も含めてね」
「!?」
さらに珍しい。銃姉が名前を発した!?いつもは子猫だの白いの黒いの犬…みたいな言い方しかしないというのに。
つまりは「ねここ」という猫型神姫の力を認めたということだ。
「さ、行きましょ。今度は私達の番よ」
「ん、あぁ」
時計を見ると良い時間になっていた。
いや、久々にいい物見せてもらったなぁ。
・
・
・
で、大会は無事終了。結果はベスト8に入るというなかなか嬉しい結果だった。
「う〜ん…十兵衛の動きを考える必要があるわね…」
試合が終わり、銃姉はそう呟いた。今回の敗因は十兵衛自体のタイムアップ、つまりは強制冷却のせいだ。
「やっぱりあの子はまだ動きすぎるわ。真・の方ならともかく、通常状態での近接戦闘は極力無駄な動きを排除しないと」
そう、その対策はもちろん行っている。しかしまだ会得していない未熟な点があり、
結果、地下時代の十兵衛が行っていた高機動接近戦を行うことになる。
しかし、左目の神眼を使用したまま行うため、そのままでは強制冷却で終了…。
こんな図式が出来ていた。
「マスター?」
「ん?」
「エルゴよ」
「ん…?あぁ〜なるほどOK」
「こんな時はジェニーにご教授願いましょう」
「うん、賛成」
銃姉の分析能力はずば抜けている。しかし、近接戦は非常に苦手であるため
理論は理解していても実行が出来ない。十兵衛自身が強くなるしかないのだ
そんなわけで俺達はエルゴへと向かった。
・
・
・
「ちわ〜す」
「おや?いらっしゃい」
「ども」
俺は店長に挨拶する。
「…主…」
「おう?ってそうか…」
あの事件…というか戦闘でGと真・十兵衛が共に戦ってからというもの、めったに発現しない真・の方が何故かエルゴに入るとちょこっと姿を現すのだ。
「今日は通常の十兵衛の近接戦の動きについて大明神様にご教授願ってくれ。もちろん雑談も許可する」
「…御意…」
そういうと真・はシュバッと飛び上がり、大明神様が鎮座している場所に華麗に降り立っていた。
「あら、十兵衛さん」
「久しいな…突然だが頼みが…」
「ええ、聞きましょう」
真・はここに来ると饒舌になる。いつも殺伐とした場面でしか姿を現さないのだから、たまには生き抜きも必要である。
「新型レーザーライフル入ってるけど見るかい?」
「ええ、じゃあ」
見た目は変わらないが各部の調整や、換装により威力、命中精度が向上しているらしい。
買いだな。
「そういえば」
「ん?」
「侍型のパーツ売りっていつからですかね?」
「う〜んたぶん来月の中旬くらいじゃないかな?そっちでもそれくらいでしょ?」
「そうですね〜やっぱりそうか…」
俺はセンター内のショップでバイトしているため、大体の新製品情報は分かる。
しかし場所によっては規定日より早く販売していたりするのだ。
「そういえば静香嬢は?」
静香嬢はこのエルゴでバイトをしている。少し聞きたいことがあったのだが…。
「今日は休みかな?」
「そうか、残念」
「あ、今日大会あったでしょ?十兵衛ちゃんは出たのかな?」
「ええ、こんなところです」
といい、小さなトロフィーを取り出した。
「ベスト8入りか。中々やるね」
「ありがとうございます。でもまだ十兵衛自身の戦法に迷いがありまして。で、大明神様にご教授をと」
「はっはっはっは!なるほどね。ゆっくりしていくと良い」
「ええ、お言葉に甘えて」
そうして俺は店長と雑談に花を咲かせ。十兵衛はみっちりと大明神様にしごかれていた。
・
・
・
帰り道。
「つ、つかれましたぁ〜」
「はは、お疲れ様。十兵衛」
すっかり性格がもとの鞘に収まった十兵衛はたいそう疲れた様子だ。
「帰ったら寝そうだな」
「ぜぇったい寝ちゃいますよ」
「ははははは」
「あはははは」
二人して笑う。
「もう今年も終わりですねぇ」
「そうだな」
「来年は!」
「おう!?」
「ファーストに上がるぞぉ〜!!」
十兵衛は声高々に叫んだ。だから俺も。
「ぞぉぉぉ〜!!」
と叫んだ。
来年か。一体何が待っているやら。今から楽しみであり怖くもあるな。
「ふぅ、肉まんでも買って帰るか」
「はい!」
そうして俺達の割と平凡な冬の日は過ぎていくのでした。
あとがきです。
なんでもない平凡な日+コラボをちょいちょい入れました。
皆様のキャラをちょいちょいお借りいたしました。
つぎはどうしようかな…では!
中国地方に位置するH県H市。
ここに100円ショップ業界の雄『大尊産業』の本社が存在する。
MMSとは縁が無いと思われていた同社であるが、MMS販売開始から現在に至るまでの各店舗において、
とある不可思議な現象が見られるようになっていた。
以下、本社内での販売戦略会議の様子。
「プラスチック製品の売れ行きが上がっているだと?」
「はい。特に記録メディアや小物を入れておくためのボックス類が各地の店頭から次々に姿を消しています」
「なぜだね?」
「当社の製品が武装神姫と呼ばれるおもちゃの部品を収納しておくのに
ちょうどいいと思われているようです」
「武装…?ああ、あの」
「数十年前の萌えブームの残り香みたいなものだと思っていたが、いやはや」
「あの頃、我々は何をしていましたかねぇ」
「ここにいるお歴々の場合、勉強漬けかコンパに明け暮れていたかの二択ですな。
あの時の我々は応用力が無いだの将来のことを何も考えてないだのと言われてましたねぇ」
「まあ、世間の荒波に揉まれっぱなしじゃいけないなぁと考えを改めたからこそ今の我々があるわけで」
「それで、今回の議題なのですが店頭での売れ行きが上昇している商品は他にもありまして、
特にインテリア用手のひらサイズの家具や着せ替え人形などの売上が目立っています」
「着せ替え人形?なんでまた」
「武装神姫に着せて楽しむためです。フィギュアを嗜好する消費者の数割は
ドールに流れていく傾向があるようです」
「フィギュアだのドールだの、違いがよくわからんな。で?」
「現在の状況を鑑みて、本格的に武装神姫ユーザーをターゲットとした製品を開発しようと考えています」
「バカな、玩具業界の流行り廃りはうちの業界以上の速度だぞ。今のブームもいつまで続くか」
「そのあたりも想定しております。かねてより生産ラインを確保しておいた新型多機能ケースに
使用用途が書かれたシールを貼り付け売り出す、たったこれだけです。他の商品についても同様に
服の寸法やグリップの太さなどをこっそり武装神姫の規格に合わせていくだけです。
ブームが廃れれば当社直営店にて一般向け多機能ケースとして売り出します。
その段階においては商標的な問題を避け一般ユーザーにも購入していただくために
各種記録メディア用、おもちゃ用、工具用、そして15pフィギュア用と表示されたシールに
張り替える必要があります。この企画が失敗しても各ジャンルの売り上げにさしたる影響はありません」
「今の話でも少し触れたが、販路はどうするつもりかね」
「ドールなどは従来通り当社の店舗において販売するつもりですが、多機能ケースについては
少なくともブームが継続している間は武装神姫の流通経路を利用させてもらいます。
関連商品に対する輸送費などの一部はあちらが負担してくれるとのことです」
「ふむ。やってみるか」
「イマイチ気が進みませんが、まぁいいでしょう」
「で、武装ナントカとやらのサンプルは調達済みかね?」
「いえ、そこはまだでして」
「なんだね君、ここまで話を広げておいて用意が悪いな」
「…そういえば、うちの孫がそれで遊んでいたような気がする」
「ほぉ、社長のお孫さんが」
「私が自腹を切って買ってこよう。孫から情報を仕入れておけば失敗することはあるまい」
数日後。
「これが噂の武装神姫…」
「これが…も、萌え?」
重役たちの前に仁王立ちしている少女のいでたちは武士型素体+『紅緒』。
MMS史上、最も萌えから遠い位置に存在する組み合わせである。
「おう、お前さん方がわしのお館様かぁ?わしゃあこの日を首を長くして待っとったんじゃ!
よろしゅうのう!」
何かが変だ。外見もそうだが中身も変だ。
「君、設定にぬかりは無かったろうね?言葉遣いがえらくご当地的なんだが」
「言語データがエセ広島弁で固定されているようでして」
はぁ?という顔をする重役。別の重役は社長に耳打ちをしている。
「社長、これどこで買いました?トイジャらスですか?」
「知り合いの土産物屋」
「…トイジャらスどころかデンジャラスだ」
MMSご当地エディション。カラーリングやマーキングなどが一部変更されており、少数生産かつ
特定の地域でしか入手できないというレアリティにより保存派コレクターたちの垂涎の的となっている。
東京限定ハウリンハチ公ver、長崎限定アーンヴァル聖母マリアverなどがその代表例である。
武士型素体+紅緒の組み合わせだけでも岡山限定桃太郎ver+ストラーフ青鬼ver対決セット、
広島限定呉港カニverなど多数の『珍種』が存在しているのだ。
「…まぁいい、商品仕様決定の目安としては問題ないだろう。よろしいですな、社長?」
「揃いも揃って何を言っとんじゃ?わしゃあ何をすればいいんか?バトルか、カスタムか、おお?」
命名、アカシオ(プランクトンが水中で大量発生するアレ)。
END?
アカシオってのは発生すると養殖魚や牡蠣等の水産資源に被害与えるもの
つまりダイソンは潰れ(ry
185 :
アネゴ書き:2006/10/17(火) 19:24:15 ID:MnccKnnz
アネゴと俺はフリーバトルしかできないが、それでも勝利ポイントはそこそこ貯まっている。
このポイントを消費して神姫バトルサービスで様々な恩恵が受けられるのだ。
「……以上、6パーツとの交換でよろしいですね?」
「はいはい♪」
俺は商品受付カウンターでパーツをポイント交換してもらっていた。
「三郎、三郎!新しいレーザーライフルもおねがーい!」
「えーと、残りポイントは、と…大丈夫だな。じゃあこれもお願いします。」
7点のパーツを受け取り、次の目的地に向かう。
そこは神姫パーツのリサイクルショップ。
「以上、6点の買い取り価格は……で、よろしいですか?」
「よろこんで♪」
そう、貧乏学生が最も欲しいものは神姫パーツではなく、生活費なのだ。
「なぁなぁ、奈緒のヒモになっちゃえばいいじゃん。」
「いやぁ、それは男としてのプライドがなぁ…」
「人としてのプライドを捨てた輩が何を言う!」
「ふんふふーん、今日は肉、肉、すき焼きだぁ〜」
珍妙な即興ソングで聞かなかったふりをする三郎。
まぁ女に頼らないのはいい心構えだ。
「すき焼きすき焼き、だけどお肉は豚なのよ〜」
「牛じゃないのかよ!」
思わずツッコんでしまうアネゴだった。
186 :
アネゴ書き:2006/10/17(火) 19:25:12 ID:MnccKnnz
その夜。
三郎の前には空の鉄鍋が転がっている。
「ふいーっ、食った食ったぁ!」
「豚すき焼きだけどな」
「やっぱりご馳走といえばすき焼きだよなぁ」
「一人鍋だけどな」
「う…ひぐっ、うええん…」
「わ、悪かった三郎!ほーらよしよし」
アネゴのフォローも効果はなく、三郎は部屋の隅で膝を抱えて泣いている。
「ぷ、プリン買ってきてやるよ。」
アネゴは飛行ユニットを装備し、ガマ口財布を背負って窓から飛び出した。
「うう、あそこまで言わなくても、ヒック」
一人鍋という言葉は三郎のトラウマなのだ。それは何故なのか、その説明をする時間はない。
なぜなら、三郎の部屋に突然一人の女が入ってきたからだ。
「大木三郎っ!」
「うおっ!」
女はいきなり三郎を突き飛ばし、仰向けになった三郎の胸をヒールで踏み付けた。
「ちょっ、何すんだよ!」
「この冴えない男が大木三郎?信じられない…」
その女は夜の歌舞伎町で見るような水商売タイプの艶女だった。
「あの、鍵がかかっていたはず…あああ!」
その女は片手にドアノブを握っていた。
「さすがボロアパート、セキュリティも最低ランクね」
女はノブをポイと投げ捨てる。
『いったい何なんだこの女は…』
「さて自己紹介しましょうか。私は穴井艶子、奈緒様の家庭教師よ」
187 :
アネゴ書き:2006/10/17(火) 19:26:31 ID:MnccKnnz
家庭教師?
おおよそ教師には見えないその風体につい言葉が出てしまった。
「あのう、何の家庭教師なんですか?」
艶子は当然のごとく答えた。
「私は夜の家庭教師よ!」
「はぁ?」
凍り付いた俺を無視して艶子は続ける。
「奈緒様に立派な花嫁になっていただくため、上流階級の夜の営みを教授するのが私の仕事なのよ!」
そんな職業、あるんだ…
「それが今日奈緒様に会ったら、アンタとのプレイ内容を嬉しそうにお喋りになって……おいたわしや…」
し、喋ったのか奈緒さん!
「こんな変態男に汚されてしまって、なんてお可哀相な奈緒様!」
俺はやっと口を開いた。
「で、今日は何の御用で…」
艶子は憎々しげな顔を俺に向けてきた。
「お前のその汚らしい脳内に性の恐怖を与えて二度と行為できないようにしてやるのさ…奈緒様に手出しできないようにね」
「ひ、ひぃっ…」
艶子が手を叩くと、たくさんのストラーフが俺の胸のうえに飛び降りてきた。
「な、なんだっ!」
「人ではないものに精を吸い尽くされて不能になってしまうがいいわ!」
12体のストラーフが一斉に行動を開始する。
その内の1体が三郎の口をこじ開け、何かの液体を流し込んだ。
「すぐに体の自由が聞かなくなるわよ、ふふふ…」
三郎は抵抗する力を失い、そしてなすすべもなく蹂躙されていく。
188 :
アネゴ書き:2006/10/17(火) 19:27:31 ID:MnccKnnz
「うわぁ、アナタ節操ないわねぇ」
仰向けのまま全身を剥かれてしまった俺は、ストラーフ数体に息子をこすり上げられ、不覚にも反り立ってしまった。
ストラーフ達は「わっしょい、わっしょい」と、まるで御輿を担ぐかのように殺到している。
その様子を艶子はまるで汚物でも見るかのような顔を向けている。
「ひどい格好ねえ。人形相手に不様に果てるがいいわ!」
ストラーフに囲まれ、おしくらまんじゅう状態になった俺の相棒はその奇妙な快感に耐え切れず、すぐにその最後を迎える。
「んぐっ…おおおっ!」
相棒は噴水のように白い液体を撒き散らし、ぶるんぶるんと暴れ狂う。
ストラーフ達はそのシャワーを浴びながらも、まだその行動をやめようとしない。
「あ、ああうっ、やめろっ!今はダメだっ!」
「あはははは!アンタの汚れチンポを休ませたりはしないわ!神姫で腹上死してしまいなさい!」
「わっしょい、わっしょい」
だ、ダメだ。これは耐えられない。
俺が快楽のなかの死を悟った瞬間、艶子は腕を組んだまま倒れこんだ。
その後ろにはレーザーライフルを振り下ろしたアネゴ。
「大丈夫か三郎!ってお前は何やってんだ…」
俺の息子に群がるストラーフ達を見て唖然とする。
「アネゴ〜、助けてくれ〜〜…うっ、はぁぁっ!」
「わっしょい、わっしょい」
助けを請う俺は不様にも二回目の精を発射した。
189 :
アネゴ書き:2006/10/17(火) 19:30:14 ID:MnccKnnz
次の日。
あのハレンチ家庭教師は捨て台詞を残して消えた。
「なんというか、恐るべき敵だった…」
「いや、お前が節操なさすぎなだけだ、それにまだ終わってない」
「え?」
アネゴが戦闘用装備で構える。
「おーほほほほ!さぁ出てらっしゃい!コテンパンにしてあげるわ!」
アパートの前には昨日の女が仁王立ちになっており、足元には12体のストラーフが各々装備を整えて立っている。
「えーと、あれは?」
引きつり笑いをする俺にアネゴが軽く言い放つ。
「ああ、リアルバトルでアタシが勝てば文句は言わないってさ」
「ちょ、アネゴ!俺の恋愛を賭けるな!」
「大丈夫大丈夫、奈緒も『お姉様の好きにしてくださいまし』なんて言ってたから」
レーザーライフルを肩に担ぎ、ベランダに立つアネゴ。
「いや、だって相手は12体…」
「三郎、アタシの体はNASAの宇宙開発用素材の特殊カーボン製よ。一般販売されてる神姫じゃダメージなんか与えられないわ」
にやりと笑い、空に飛び出すアネゴ。
「ひでぇ、出来レースかよ…」
12体のストラーフを失った艶子がコンスコンのように絶望するのはわずか3分後であった。
三郎は下で起こっている惨劇をよそ目に、遠い目をしてつぶやいた。
「わっしょい、わっしょい…わっしょい、わっしょい…」
190 :
アネゴ書き:2006/10/17(火) 19:31:24 ID:MnccKnnz
投下完了わっしょい。
閑話休題的ネタだったので唐突だったなぁ、反省。
おお。リアルタイムで見てしまった。
職人の後に書き込むのには抵抗あるけど、冷静になってしまうともう書き込めなさそうなので……
武装神姫にハマって廃人化することが社会問題になっていることは知ってた。
依存症が過ぎて日常生活にすら支障をきたすという「神姫症候群」なる言葉はニュース番組を見ていれば必ず耳にするくらいだし。
同級生にもド?ル趣味が高じて神姫に転んだ娘もいたし、まあ女の私から見ても神姫は可愛いと思う。
しかし、まさか自分がそのに神姫に彼氏を寝取られるなんて思いもしなかったわけで……
いや、寝取られというのとは違うけど……それでも彼氏が神姫の股を開いたり閉じたりしているところを目撃してしまったという状況はそう言っていいかもしれない。
食材が入った買い物袋を奴の顔めがけて投げ付けて帰った私の名は、遥という。
自慢の巨乳があんな凹凸のないツルペタに負けたのかと、泣きついた私に親友の冬香が言った言葉は──
「なら君も武装神姫を手にしてみればいい」だった。
敵を知れば百戦なんとやら、要するにあいつの神姫をぶっちめてしまえということね。
ならばやってみようじゃない。あいつ御自慢の神姫を叩きのめして「許して下さい」と床に這わせてやるわ!
──かくして右も左も分からないまま、私は武装神姫のオーナーとなることになったのである。
なんか親友である筈の彼女にうまく嵌められたような気がしないでもないけど……
オーナー・遥 幼馴染みである彼氏が神姫にハマってしまい、更正とプライドの回復をかけて自らの神姫で勝負を挑む。まったくの素人。
神姫・騎士型MMS サイフォス固体名「リオン」ツルペタは嫌とのことからこれに。兎も候補にあった。
あいつ・遥の幼馴染みにして彼氏、というが本人には交際している自覚がなかったりするかも。神姫にハマっておりパカパカの現場を目撃される。
神姫・天使型MMS アーンヴァル。パカパカされちゃった娘。
冬香・遥の親友。遥が思っている以上に怪しい人物。遥を武装神姫の世界に引きずり込む。
はじめまして。僕の名前は彼方といいます。突然ですが最近、世の中では「神姫症候群」なるものが蔓延していて社会問題になっているそうです。
よくは知りませんが、学校や仕事に行かず家にひきこもってずっと武装神姫に話し掛けたりする怖い病気だそうです。
実は、そんな病気にどうやら僕が付き合っている人が罹ってしまったようなのです。
あの人は僕の幼馴染みで、ずっと憧れていたお姉さんだったのですが色々あってお付き合いをするようになりました。その……まあ、ごにょごにょなことも含めてです……
元々あの人は人形が趣味で自分で服を作ってしまうほどでしたが、ある時武装神姫を買ったことから様子が変わりました。
それまでは連日放課後には逢っていて、終末にはデートもしていましたし、えっと、そのごにょごにょもそれなりに……
けれども武装神姫に段々入れ込むようになり、放課後はアルバイトで埋めてしまって、デートも映画などをとりやめてショッピング中心に。それも武装神姫用の物を買うためにあやしげなお店を巡るような内容です。
ある時は武装神姫の対戦会というものに参加していました。何しろ会場を埋める男性達に混じって観戦や対戦をしているのですから、彼氏としては心配でなりません。
更にあの人は強いそうで、なみいる参加者を颯爽と打ち負かしてゆくさまは僕にとっても誇らしいものですが、実力者というのはそれだけで人気者です。気が付けば武装神姫なんてさっぱりな僕は周囲の盛り上がりから取り残されて離れて見ているだけです。
それでも僕があの人を好きなことには違いありません。たまに僕に合わせてくれればそれで良かったのです。
だけど、先日のことです。久しぶりに僕の誕生日ということもあってデートすることになりました。
隠れた名店というものを友人から教えて貰ったので、そこで食事の予約も入れて待ち合わせていした。
ところが時間になっても来ない、携帯も繋がらない。心配になってあの人の家まで行ったんです。
あの人は、徹夜で武装神姫のメンテナンスをしていました。あの人は「神姫症候群」になってしまったんです。
武装神姫の脚を開いたり閉じたりしているところを目にしてしまった僕は、恥ずかしいことに泣いて逃げ帰るしかありませんでした。
お医者さんに相談すべきなんでしょうが、まずは僕が信頼する姉に相談しました。そして全てを聞いた姉はこう言ったのです──
「ならお前も武装神姫を手にしてみればいい」
相手が変わってしまったことを嘆くより、まずは理解しようと努力しなさいということだと思います。
時々意地悪ですが、姉が言うことはいつも間違ってはいません。
幸い、武装神姫を購入できる年齢になりました。僕は、あの人がいる世界を知るために、武装神姫を手にすることにしました。
オーナー・彼方 神姫にハマってしまった彼女への愛ゆえに、自ら武装神姫の世界へ足を踏み入れる。美ショタ(ショタ&美少年)。
神姫・忍者型MMS忍者子。固体名「クオン」素体そのものは公式通販の物と同一性能だが、一般応募作品から選ばれた忍者装備を備えた限定セット。
本人はその価値をまったく知らないが多くのオーナーから勝負を挑まれる原因となっている。
あの人・彼方の恋人。神姫の世界にどっぷり浸かった人。かなりの実力者で彼方が挑むには絶望的な力の差がある。
ちなみに彼方が思っているような「あの人はモテモテなんじゃないだろうか」という事はまったくの杞憂。多くの神姫オーナーは自分の神姫にだけ愛情を向けているのがこの業界。
神姫・悪魔型MMS ストラーフ。近隣では無敗を誇る。パカパカされちゃった娘。
姉・冬香のこと。限定品の神姫を入手したりと何かと怪しい人物。彼方の不幸はこの姉を盲目的に信頼していることにある。
うはー、こんなの書くの初めて。
妄想を吐き出すオレ、マジキモイとか思いつつ楽しい。「神姫症候群」なんてでっちあげ言葉は今の俺の状態ですよ。
リアルでの神姫の推奨年齢を、2036年では自律型AIを購入する際には一定年齢以下は保護者の承諾が必要、とか妄想ネタにしてます。
名前だけとはいえまだ発売していない騎士子や、本スレで貼られた忍者娘が公式で限定販売されたなんて妄想はとても本スレには書き込めないネタですな。
まあ唐突に思い付いただけなんで続くことはないけれど。
ふと思ったのですが、このスレのノリならば、主人公やライバルが使用する神姫をスレでアンケート取ったりするような遊びができそうだね。
>彼氏が神姫の股を開いたり閉じたりしているところを目撃してしまったという状況
全スレ住人が泣いた
彼女や家族にゃあ視られたくないよなあ
今夜もそろそろ使用制限が……ということで投下です。
すこし短めかな?
武装神姫のリン
第8話 「ホビーショップへ行こう!」
「ほらほら、亮輔! 先行くよ〜」
「ま、待て、俺の状態を見て言ってるのか…」
俺たちは茉莉の新しい衣服や日用品などの買い物に来ている。
というのも茉莉の通う大学がこっち(わざとこの辺の大学選んだんじゃないかと邪推できるが)らしく、
それで結構広いマンションに1人暮らしの俺の家が推薦されたそうだ。
もちろん親からの連絡もナシ。と思っていたが家に帰ると手紙が届いてた。遅いんだよ……
そして茉莉は家に着くなり俺の寝室の隣の空き部屋を占領した。
しかし家具はもちろん(クローゼットぐらいは備え付けてあるが)、持ってるのは大学で使う参考書、文房具のみ。
衣服の代えさえも3日分しか持って来てない。
そうしてさっきの手紙には「おまえがちゃんと買い揃えてやるんだぞ」との1文。
今日の騒動で手にした100万の小切手がとても尊い物に見えたのは内緒だ。
そして明日が日曜と好都合なので一気に買い物をしてしまおうということになった。
そうして俺たちは今、巨大ショッピングモールに来ている。
今の時点で俺の引くショッピングカートにはコレでもかというぐらいの物品が載っている。
「マスター、お力になれなくてすみません」
リンが苦しそうな俺を見て言う。
「いや、これは俺の仕事だ。リンもティアもほしいものがあれば茉莉に言えよ。今日はヤケだ全部買ってやる!」
「本当ですのね、ご主人様。 じゃあれとコレと……」
ティアは茉莉といっしょになってここぞとばかりにカートにいろんな物を押し込んでくる。
そろそろカートがいっぱいになろうかといった時、さっきまで物を1つもねだらなかったリンが聞いてきた。
「マスター、コレ……良いですか?」
「??」
リンが俺に見せたのは、神姫向けでは無い普通のぬいぐるみ。
テディベアだった。値段は……ゼロが4つ。 本場モノだった。
「良いぞ、まだまだお金はある。」
「ありがとうございます。 マスター」
そうしてショッピングモールでその後は茉莉専用のTVなどの家電製品を買った。
基本的に食料は買ってないのでそれらを全て宅急便で時間指定で届けてもらうことにして俺たちは昼食(コレもまたいつもは行かない高級志向なお店で神姫向けの特別コースもあった。)を取った。
その時点での出費の合計は。35万。
まだ65万余っている。コレなら今月は悠々自適な生活が送れるだろう。
そう思っていた。
帰宅しようとしたら、また茉莉が言い出した。
「近くにいい神姫センターを兼ねたお店知ってるんだけど、行かない?」
ティアやリンにはまだ昨日買う予定だった衣服などを買ってあげていなかった。
出来れば今夜にでも、もう1回出かけるつもりだったが家に着く家電製品のセットは俺が全部することになるだろう、
そう考えると体力が持たなさそうなのでこの際一気に済ませようと思った。
そうして俺が連れてこられたのは普通の町並みにある普通の玩具屋といった感じのお店。
店舗の規模に対して大きめの看板には「ホビーショップエルゴ」と書かれてた。
俺は茉莉に連れられて店に入った。
「店長、こんにちは。」
「ああ、茉莉ちゃんか、ひさしぶりだね。」
「今日は人を連れてきたよ」
そうして予想外の品揃えに驚いていた俺の首を引っ張ってきた。
「こんにちは〜店長の日暮夏彦です。 よろしくね」
「は、はい、どうも、藤堂 亮輔です。」
「それにしても……茉莉ちゃんとはアツアツかい?」
「は? 意味が良くわかりませんが」
「え?彼氏じゃないの?」
「え〜っと、彼氏ではないですね。 勝手な婚約が交されたりしてますが…」
「そうそう、彼氏じゃないよ〜 まあ亮輔なら結婚してあげても良いかなってレベル」
「……そうか、亮輔君がすこし羨ましいな。 おっと、紹介しよう。ジェニーだ」
オレは目線を下げる、そこには……とても昔のバラエティ番組のキャラにそっくりなヴァッフェバニー
即ち素体が無く、バニーの基本セットにある胸像パーツを改造したボディのみがいた。
「ジェニーです。 当店にお越しいただきありがとうございます」
「ああ、よろしく。」
そんな感じで挨拶を済ませて、店の中にいるであろうリンやティアを探してジェニーにあいさつ……ってリンさん?
ナゼ俺のふとももを思いっきりつねってるんですか?
「マスタァ…婚約ってなんですか? あとでお話を詳しく聞かせてもらいますね」
文字でたとえると「にっこり」な笑顔、でも額になにか血管みたいなのが浮いてる状態でリンはオレがもっているカゴにここれでもかといた勢いで店内の神姫向けパーツを入れていく。
「もちろんここでもヤケ買いですよね?マスター」
そんな、今まで誰も聴いたことの無いようなドスが利いた声を出さないでくださいリンさん……
そうしてオレのカゴにはリンによって選ばれた手製の衣装(なんでも専門家の手作りを品質そのままで量産レベルにしたものらしい)と、
この店オリジナルの武装パーツ(照準調整済みのコルトパイソン+スピードローダーセット、ストラーフのセカンドアーム向けのサイズの斬魔刀などコアな製品が多いか?
それにティア用の新型アーマーやランディングギア、最新モデルのレーザーライフルも抜かりなく入れてある)や、なぜかうさみみ・うさしっぽといった愛玩向けのパーツが、
ティアによって店内の一番奥。子供は入っちゃいけないマニアックなコーナーからボンテージ衣装に鞭、
なぜか星座の戦士の使うチェーンまで同封の鎖セット、極めつけはろうそくって何に使うんだよソレ!!てな感じの代物が満杯に入っていた。
そして最後に店長と話していた茉莉が俺を呼ぶ。
「亮輔、 訓練機買わない?」
オレはそろそろティアの分の訓練機を買わなければと思っていたところだったのを思い出す。
で早速勧められた訓練機を品定めする。
最初に店長に勧められたのは店内で一番高い品だった。
だが、家にあるのがファーストランカー向け製品であることを話すと店長は倉庫から訓練機本体より少し小さめの箱を取り出してきた。
「そうなるとこれだな、 ファーストランカー向け製品は処理能力がハンパじゃない。
だからいちいち別に2個目を買わなくても追加モジュールで大丈夫だ。」
そうしてオレに渡されたのは追加の座席モジュールと接続ケーブル。そして補助のCPU、メモリがついた補助モジュール(形状は正に
PCI Expressの拡張カードそのものだった。)のセットだった。
これで価格はランカー達に一番多く普及しているタイプの訓練機の半額である。
その価格に驚いていると店長はもう1品を俺に手渡す。
「そしてコレがウチ特製の追加モジュール。
うちのセンターでバトルをした神姫のデータを利用したオリジナルの訓練パターンデータをディスクに入れて格安で提供してる、ソレ専用のドライブだよ。
もちろんデータの使用許可はマスターさんに承諾済みだしメーカーにも許可を取ってる。値段は3000円ポッキリだ」
「そんなことが……ウチのリンもティアも接近戦一辺倒で遠距離戦のパターンが不足していた所です。もちろん買いますよ!」
「商談成立だね、せっかくだからドキドキハウリンのデータディスクをサービスしよう。」
「ドキドキハウリンって?」
心当たりがないを俺を見かねてか、茉莉がフォローを出してくれた
「大会に何回も出てるときにハウリンにおそろいのセーラー服とか着せてる女の子見たこと無い?」
「見た。そのときは写真小僧に囲まれてた気がするな。」
「その子、ここに衣装の提供してるのよ、リンちゃんがカゴに入れたのもそう。ちなみに彼女のハウリン強いわよ、でそのデータもがもらえるの、いいことでしょう?」
「そうだな、ありがたく貰っておきます。」
「どうも、じゃあ代金なんだけど……カゴの製品が、え〜とこんなに多く買うお客さんあんまりいないからすこし手間取るなぁ」
店長がレジに製品を通していく、それにつれてディスプレイに表示される金額はどんどん上がっていく。
1万、2万、3万……10万、最後に訓練機がレジを通って15万を突破。合計の品数は46だった。
明らかに今日1番の売り上げだろう。
店長も少し満足げな様子で
「ありがとう、今後とも当店をごひいきに。 またサービスしてあげるよ。」
と言ってくれた。
そうして今度ここでフリーバトルをすること、リンとティアは神姫教室に参加させてもらうということを約束して、俺たちは家路についた。
電車に乗るときには遊びつかれたのか、リンもティアもかばんの中で寝息を立てていた。
そこに茉莉が声をかけてくる。
「寝顔ってかわいいよね……亮輔、リンちゃんの反応見る限り婚約のことは全く話してないみたいだね。」
「普通はそんなこと話す必要ないだろ、仮にもっと連絡が早ければ説明してたと思うけど。」
「そっか〜、じゃあリンちゃんたちの反応も当たり前だね、マスターに突然婚約者がいるなんて知ったら普通怒るよ。」
「? どうしてだ?」
「ん〜〜〜〜もう、リンちゃんの気持ち考えてあげれば分かるでしょ? いままでに何も無かったとは言わせないわよ」
ふいに俺は2ヶ月前のことを思い出す。そう、ティアとの決戦前夜、俺はリンとキスをした。
そこで気付かなければいけなかった。リンは俺をマスター以上の存在と認識しているということにだ。
いや気付いていたはずだ、それなのに大会とティアのことでそれをごまかしてただけだった。
「リンは俺をそこまで……」
「わかった? なら明日までにリンちゃんに説明すること。でも絶対に傷つけちゃだめ。」
「ああ、でも俺は正式にお前との結婚を認めたわけじゃない、それも説明するぞ、いいな?」
「うん、それで十分。ちゃんと安心させてあげなきゃかわいそうだよ。」
「わかった、とりあえず帰ったら夕飯の準備だな。 昼飯が豪華すぎてギャップに驚くなよ」
「うんうん、期待しないで待ってる。」
そうして茉莉は最寄の駅についたのに手荷物の多さからか、柄に無く慌てる俺を引っ張って電車を降り、そのまま駅前の桜並木を歩く。
俺が理由を聞こうと思ったところで急に振り返って、唇を重ねてきた。
でもそれは1瞬。気がつけば茉莉はいつものようにスキップを踏んで先を歩いている。
でも振り返る瞬間見えたのは……涙だと思う。
そのとき、俺は茉莉の気持ちも理解してしまった。
ふいに並木道に強い風が吹く。
春の嵐、それはオレの心を表すようだった。
その夜、俺はリンに説明をした。
でもリンは聞かなかった。そして初めてマスターである俺に逆らった。
そうしてリンはその日から茉莉がいるときはもちろん、普段もあまり喋らなくなった。
ティアも少し俯いたままになることが多くなる。
茉莉も表面上は元気だが明らかにこの状態を気にしている感じだった。
それから2ヶ月。
茉莉はいつもの様に大学へ行くし、俺は仕事をする。
リンとティアもあの時買った追加モジュールとデータディスクで腕を上げている。
戦績も最初はセカンドリーグの猛者たちに蹴散らされていたが最近は勝率も上昇傾向だ。ただリンは戦法を変え、無茶苦茶な闘いをするようになった。
そして勝利してもそこに以前のような無垢な笑顔は存在しない。使命感に駆られるような少しこわばった笑顔だ。
ネットでも「あの正々堂々とした黒衣の戦乙女が不意打ち! 何がおこったのか!」
などと、主にサードリーグのランカー達の間で噂になっている。
そして日常でも何か歯車がかみ合ってない。そんな感じだ。
表面的には中が良さそうでも、日に日にリンと茉莉の関係が徐々にではあるが悪化していった。
そして遂に茉莉が、リンが、お互いに最後の手段を取る!!
次回「決断!」
乞うご期待。
え〜〜最初はぼのぼのとしたお買い物の話で終わるはずが。
気がつくとこんなにもにもシリアスな話に……キャラが勝手に動くのはよいことですがこれはやりすぎか、なんて思ってみたり。
リンのマスターです。
とりあえずシリアス編に強制突入です。できればもう2、3話はぼのぼの話で行きたかったですけど。
茉莉が予想以上に動きますね。
とりあえず次回は待望の(?)ごにょごにょSPになるかと。
たぶんシリアス編は次で終わります。 というかラブコメ調作品にシリアスはたま〜に入るぐらいで十分だと思っています。
ちなみに茉莉は処女。
亮輔のために大切にしています。
実はさっきのキスもファーストキスだったりw 表面的な性格以上に彼女は一途です。
さてさて外見良し、親公認、などなどスペック的に相当な威力の茉莉相手にリンは勝てるのか(ぇ
ただ、もうすでに濡れ場だけは構成が完璧に仕上がっているという不思議。
というかこのSS書き始めてから、キーボードを打つ速度・話を構成する速度も上がってます。
以前某アニメのSS考えたときとは大違いだww
といらえずこの神姫への"愛"?が続く限りこのSSの連載も止まらないでしょう。
なのでみなさん今後もよろしくお願いします。
○次回予告
其処は今は二人だけの世界。
「手加減は……しません。それは貴方に対する侮辱になるから」
静寂の続く荒野に聞こえるのは、二人の声と風の音だけ。
「ねここも、しないよ。後悔したくないから」
そして二人は動き出す。
雌雄を決するが為に。
ねここの飼い方、そのはち
Coming Soon……
(現在執筆中、今夜中にはなんとかっ)
さて、いきますよ!
「おのれぇ〜!!!ですわ!」
お嬢様はお怒りでおられた!
「むしゃくしゃするですわ!!」
お嬢様は非常にお怒りでおられた!
「憂さ晴らしですわよ!!」
お嬢様は非常にとてつもなくお怒りでおられた!
「ちょっと、あの目の前で幸せそうにしていやがるさえない一般人を捕らえなさい」
「かしこまりました、お嬢様」
・
・
・
というわけで?なんで俺はこんな所にいるんだろうね?
「あなたには罪は無いですわ。でも運が悪かったと思って諦めなさいまし」
「って!な、なんなんだ一体!?」
「うるさい!とにかくこれからあなたの神姫にはスクラップになってもらいますわ!」
「はぁ!?」
「ごらんなさい!」
「な!十兵衛!」
「あら、やはりそうでしたの?ならちょうど良いですわ!兄の敵も同時にとれましてよ!!」
「兄!?」
「そう!私の名は鶴畑和美!鶴畑大紀の妹ですわ!」
「鶴畑…ってあぁ!あの時の!!」
「思い出していただけたようね?ま、とにかくスクラップにして差し上げますわ!
もちろん勝ったら逃がして差し上げますが!以前のようには参りませんわよ!」
「??」
「御覧なさい!!」
「な!?」
戦闘ステージを見て俺は驚いた。そのステージの中心には十兵衛、その周囲には完全武装の神姫がひいふうみい…えと…三十はいるかな??
「って!!ふざけるな!!勝てるわけねえだろ!」
しかも十兵衛は丸腰である。
「そうよ?はなから勝たせる気は無いですわ」
「あいつらみたいにはいかないですわよ…」
いや、あいつらって誰よ…。
「本当なら起きる前にスクラップですが、慈悲深い私はあの醜い眼帯ちゃんが起きるまで待って差し上げますわ」
いや、待てって。勝てるわけねえだろよ。あぁ、もうだめか?
・
・
・
う、うぅ…何があったんですかぁ…。
こ、ここは…。
ピーピーピーピーピー…
え、ロックオンアラーム?
う…神眼起動…モードセレクト…衛星カメラ起動。
ここは…センター?室内カメラのハッキング開始…私がいるのは…闘技場…?
マスターは…いた!!え、何で縛られてるんですか!?あ!蹴った!!マスターを蹴ったぁ!!
あんの黒服ぅ!!それに誰ですかあの変な女の子は?あんな変な見てくれの女の子いるんですね…十兵衛びっくりです。
えと…周りには…うわ、何体いるんですか!?こっちは…何も無い!?武装が無いです!
「あら!!どうしたの醜い眼帯さん!!早く起きてスクラップになりなさいな!!」
な、なんですってぇ!!この眼帯を馬鹿にしたなぁ!
「早くしないとこのさえない一般人の愚かなマスターがあなたの代わりにボッコボコですわよ!?」
ま、マスターまで馬鹿にしたぁぁぁ!!!
許せない!!絶対許せない!!でもどうしよう…私には武器が無い。
…ウバエバイイ…
戦えないよマスター…
…ナラバワレニマカセテミロ…
え、声?
…タスケタイカ?ヌシヲ…
うん、助けたい…
…アイツラヲタオシタイカ…
うん、倒したい!
…チカラヲホッスルカ?…
欲しいです!マスターを守る力が!!
…ギョイ…
え?
…ワレニマカセロ…
・
・
・
むくりと起き上がる十兵衛。
「十兵衛!!」
「やっと起きましたわね!!さぁジャンヌ!!やっておしまい!!」
「了解!やれ!お前達!!」
その瞬間四方八方からレーザーやらミサイルやらありったけの火器が十兵衛に迫る。
「十兵衛ぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
爆煙に包まれる闘技場。
「あ、あぁ…」
唖然とする俺。
「やはりあっけないですわね。今度やるときは近接武器で痛めつけようかしら」
なんだと…。
「つまらないですわ。他の神姫を探しにいきますわよ」
て、てめえ…
その時。
「お、お嬢様!!」
とSPの声。
「なんですの?騒がしい…」
「こちら側の神姫が一体やられています!」
「何ですって!?」
そこで俺達は出会った。紅い左眼が光る、最強の剣士に。
立ち上る黒煙が白く変わる。その中から紅く、ひたすらに紅く輝く光が一つ。
密室の空間に何故か突風が吹き、白煙を吹き飛ばした。
「な、なななななな!?」
「十兵衛!」
そこには動かなくなった神姫とそれを倒した神姫がいた。
倒れているのはアーンヴァルタイプ。その腹部に突き刺さっているのは黒い手。
その手の主は
「じ、十兵衛…」
だった。鋭い眼光。今までの十兵衛が放ったことも無い圧倒的な殺気。
…俺はこの十兵衛をどこかで見たことがある。
銃を構えた時の十兵衛じゃなくて、もっと違う…。
そうだ…あの時だ…対セイレーン戦の最後、俺が屋上で見た十兵衛と同じだ。
「ど、どうなってますの…?」
お嬢様は思わず後ずさり。
「ふ、ふん!ただのまぐれですわ!!ジャンヌ!!」
「了解!」
まただ。また四方八方からの攻撃。
十兵衛はアーンヴァルに突き刺した手刀を引き抜き、左眼を一層紅く光らせた。
ドォォォォォン!!!
すさまじい爆発。
「今度こそやったわね!!」
やがて爆煙が晴れてゆく。そこで俺たちが見たのは
「!?」
闘技場にたたずむ神姫が一体。周囲には夥しい数の神姫の首と残骸…指揮を取っていたジャンヌと呼ばれていた騎士型の神姫も首以外がバラバラに砕け散って散乱していた。
「な、なななななななななぁぁぁ!!!!????」
・
・
・
私は指揮を下し、周囲の神姫達に発砲させた。
轟音とともに立ち上る爆煙。
「やったな…」
私は勝利を確信した。その時だ
『ぎゃぁぁぁぁぁ!!』
「!?どうした二十番機!!」
『うあぁぁぁぁぁ』
「三十六番機!?」
なんだ、あの煙の中で何が行われているというのだ!
その後も仲間達の叫びが響いた。そして
『じゃ、んぬ様ぁぁぁぁ…』
「二番機…」
配下に置いていた全神姫が一瞬にして全滅。私は身構えた。
そして爆煙の中に影。
「うおぉぉぉぉ!!」
私はありったけの火器を発射した。が…。
ヒュン!
撃ったはずのミサイルが爆発しない。推進力を失った火薬の筒がぼとぼとと落ちてゆく。
「…」
一体の神姫がこちらに向かってくる。おぞましいほどの殺気。手にはライトセ−バーを握っていた。
「なんだと!?」
私はもう一度ミサイルを撃つ。
ヒュン!目の前の神姫が剣を振るう。ミサイルは一瞬にして前部、中間、後部に分断され、またもや火薬の筒がぼとりと落ちた。
「…」
鋭い眼光を放ちこちらに向かってくる黒き神姫。
「ま、まさか起爆システムのみを切り落としたと言うのか!」
私は思わず声を荒げて言った。
「う、うあぁぁぁ!寄るな寄るな寄るなぁぁぁ!!」
私は手にしていたマシンガンを乱射した。ミサイルは既にそこをついていたので発射できない。レーザーもまとめて乱射した。
ドガァァァン!
「!?」
いきなり肩に装備していたレーザーライフルが爆散した。そこにはフルストゥ・クレインが突き刺さっていた。
「なんだと!?」
ゴバァァァン!!
もう片方に装備していたレーザーライフルも爆発。同じくフルストゥ・クレインが突き刺さっている。
「!?うあぁぁぁぁぁ」
私はマシンガンを放ち続けた。しかし紅眼の左眼を持った神姫の歩みは衰えない。
「…」
ヒュンキンカンキンシャキンカイン…
凄まじい剣裁きによって撃った弾が次々と真っ二つになってポトポトと落ちていく。
「寄るなぁぁぁぁ」
シャキン!!
「はっ…」
手にしていたマシンガンが切り落とされた。
思わず腰が抜ける。
「な、なんなんだ…お前は…」
「…」
無言で見下ろす紅き殺意の持ち主。
「…十兵衛…」
「…は…?」
「…我が名は十兵衛…刻め」
「な!何をいきなり!!ええい!!私が負けるなど!!」
「…弱い輩ほどよく吠える…」
「き!きっさまぁぁぁ!!」
私は剣を取り。その刃を十兵衛という敵に振るう。
ヒュン…。
が、あっさりと避けられる私の剣。
「…ふん…貴様の剣は見切った…」
「な!!なんだと!!」
仮にも私は騎士型!剣を馬鹿にされるのは気持ちの良い物ではない!
「…貴様に剣を語る資格無し…目障りだ…消えろ…」
「はっっっっ!?」
その瞬間私の体は砕け散った。最後にその黒き眼帯の剣士は言った。
「…貴様も剣を持つ者なら、覇気、身にまとうまで修行しろ…」
く、駄目だ…私はこの相手には勝てない…。その剣に迷いが無い…私は…私は…。
「…剣の一、<渇咄水月刀>…」
十兵衛が呟く…そこで私の意識は途絶えた。
・
・
・
「十兵衛!十兵衛!!」
鶴畑のお嬢ちゃんが泣きながら足早に撤収し。自由になった俺は速攻で会場に走った。
「十兵衛!!」
そこにはただただぽつんと立ち尽くす眼帯の持ち主がいた。
「…十兵衛?」
その顔は心なしか悲しそうな、罪悪感のようなものをもった憂いの表情をしていた。
「…主…」
十兵衛はこちらに気付くと静かに歩いてきた。
「十兵衛」
「申し遅れた…我が名は十兵衛。無垢なる十兵衛を守護する真なる十兵衛」
「あ、あぁ…よろしく…」
「…限界か…主…」
「?」
「…後は…頼む…」
そう言うと十兵衛は俺の手のひらに横たわり、眠りについた。
あの時と一緒だ。おっと言い忘れていたぜ。
「有難う、十兵衛」
まったく…十兵衛に銃兵衛に真・十兵衛か…一体これからどうなることやら。
俺は幸せそうに眠る十兵衛に対し、微笑みながらそう思った。
続く!
あとがきですよ。
今回の話はリンのマスター氏の対和美戦の続きとなる話でした〜。
いうなれば、真・十兵衛編です。やはり強いなぁ真・十兵衛は。
書いてて楽しいです。最強っぷりが。
これでジャンヌの心境に変化があったのでしょうか?
冬の話ではまだぶっ放していますが…その心には剣に対する執念が宿っているといいなぁ…
次はどうなることやら?
では!
70です。すみません、またお邪魔します。
続きが出来たので投下します。また拙い文章で申し訳ない。では
システム起動
セルフチェック開始
……システムオールグリーン
mms TYPE HOWLING起動
起動を確認した私は深い眠りから意識を覚醒させた。
……しかし目を開けることが出来ない。
物理的にではなく、戸惑いから開ける事が出来ない。
しばらくそのままでいると、声が聞こえてきた。
「…この子起動したんだよね?」
「…データーを見る限りはしたはずなんだけど」
カチャカチャとキーボードを叩く音と、唸り声が聞こえてくる。
「うん。やっぱり起動はしている」
「え〜本当に〜?何か間違えたんじゃないの〜?秋人ってばソフト面は弱いからな〜」
「…これでもお前達の為に色々勉強はしたんだぞ。…あまり実らなかったけど…」
何かが私の頬を撫でている。
「新しい妹が出来ると思って期待していたのに…」
その声は私の耳元近くで聞こえた。
「身体は完全に治っているのは間違いないから、後は消えかけた感情部分を無理矢理に復活させたのが原因かな…どうする?可哀想だけど初期化するか?」
体が何か柔らかい物に包まれた。
それはとても心地よく、初めて心に安らぎという言葉を思い浮かべた。
「だめだよ!この子は今まで感情を消されて、辛い事を自分の意思とは関係なくしてきたんだから!これからはもっと幸せにならないといけないんだから!」
自分の戸惑いの原因を理解した。
それまで自分に無かったものが、闇に沈んでいた意識がいくら手をのばしても手に入れることが出来無かった<心>が今は自分の中に確かにある喜び。
それに戸惑う自分。
「……あれ?なんかこの子震えてるよ?どうしたんだろ?」
「なに?…まさか暴そ…」
「違うみたい。泣いてるよ…」
声にならない声を押し殺し、私を包んでいた物にしがみ付き、顔を埋めて泣いてしまう。
それはこれまでに破壊してきた神姫達に対する懺悔と悲しみ。
そして自分が心を持った喜びと、初めて感じた色々な感情の涙だった。
「い、痛たたたたたたたた!ちょ、ちょっと!は、離して!!そこ!呆けてないで助けて!」
「あ?あぁ、……そうしてあげたいけど俺は泣く子供は苦手だし、泣いている女の子はもっと苦手だ。たとえ神姫であっても」
「…で?」
「すまん。自分でどうにかしてくれ」
「〜〜〜この甲斐性なし〜!!」
「……お騒がせしてしまい大変失礼致しました」
私の前には一人の人間と、私がさっき抱きついていた神姫アーンヴァル、それとストラーフ、マオチャオの4人がそれぞれに興味深そうに私を見つめている。
「落ち着いたかな?」
心配そうな目をして私に語りかけてくるこの人は、意識が途切れる前に対戦していた神姫のオーナーだ。
「はい。システムに異常はありません」
そう答えると、少し困ったような顔をしてしまいました。
「ねぇねぇ!この子がボクの妹なのかにゃ?!」
瞳を輝かせ飛びついてきそうな勢いでしゃべり始めたマオチャオ。
「やっとボクにも妹が出来るんだ〜嬉しいにゃ〜何して遊ぼうかにゃ〜楽しみだにゃ〜」
胸の前で手を組んで目を瞑り、なにやら幸せそうな顔をしている。
「……取り合えずこの子に現状を伝えませんか?」
落ち着きのある声で提案をしたのはストラーフだ。
……左手には刀が握られている。私を興味と警戒の眼差しで見ていた。
「そうね。どうしよう?私が話す?」
……アーンヴァルが、ストラーフの肩に手を置きながら私に微笑みかける。
あの試合、敗北が決まった直後に私は戦闘の余波で脆くなったビルの下敷きになったらしい。そこで意識が途切れていた。
私の意識が無い間に起きた内容は、試合は違法行為があったため公式記録からの抹消。
私のマスターは、その違法行為発覚に伴い今後の公式戦への参加停止。
そして私のマスターとしての登録削除……試合終了直後にマスターが大会関係者に連れて行かれ、私を置き去りにしてその場を去った為だ。
その後、大会の関係者が私の処遇に困っている時に、この人達が引取ってくれたそうだ。
……そうか、私は捨てられたのか……
「私はこれからどうなるのでしょうか?」
これまでに破壊してきた神姫達の事を思うと、胸が苦しくなる。
私はあのまま瓦礫に潰されていた方が良かったのでは無いか。
そんな思いがよぎる。
顔を上げることが出来ない。
「取り合えず、家の子になりなさい。今までの事は……嫌な言い方だけど君達はデ−ターの初期化をすれば完全に忘れることは出来る。でも俺はそれはしたくは無い」
初期化…私という人格の神姫が消える…今の私には甘美な響きに聞こえた。
「…誰かが言っていたけど、辛い思い、経験をした人は、人の痛みを理解する事できる。その人と同じ痛みではないけれど…」
そうだ。この人に頼んで初期化してもらおう。私はこれまでに酷い事をしてきた…
「その苦しみを背負いながら生きていくのは凄く辛い事だ」
非公式試合ではコアすら破壊した事もある…
「だけど君は、これからは苦しみを持った神姫達の良き理解者になれると思うんだ」
…無理、そんなことは出来ない。今すぐにでも初期化をして欲しい私には…
「…今すぐには無理だろう。初めて手にした感情に戸惑っている君では」
手にした心に押し潰されそう…
「これから生きていく中で、また色々な事があると思う。その中には辛い事もある。でも辛いことを知っているからこそ他の神姫達に語れる事もある筈だ」
…この人は私に何をさせたいのだろう…
「救い手になれとは言わない。…苦しんでいる子がいたら少しで良い。その子の苦しみを和らげてあげる事で、これまでしてきた事への償いになると俺は思う」
…私にそんなことが出来るのだろうか…
「これから色々な経験をこの子達と積んでいって、そうなれるようにまずは始めてみないか?」
彼の手に背中を押されて、私の前にいた神姫達が私に歩み寄ってくる。
マオチャオが抱きついてくる。
「これからはボクがお姉さんにゃ♪ヨロシクなの!」
手にしていた刀をその場に置き、ストラーフが頬を指で掻きながら側に来た。
「念の為と武装していたんだけど不快な思いをさせたと思うので…御免なさい!!」
いきなり頭を下げて謝った。
「まだ辛いかもしれないけれど、これからは私達と一緒に頑張っていこう!」
私の手を両手で包みながらアーンヴァルが、心が暖かくなるような笑みをする。
私はその場に泣き崩れた。声を出して泣いた。生まれて二度目の涙はとても暖かかった。
<了>
「第 妹、襲
十
一
話 来」(壱/)
わ〜た〜し〜に〜か〜え〜り〜な〜さ〜い〜 き〜お〜く〜を〜た〜ど〜り〜ぃ〜♪
昔やってたアニメの劇場版テーマが部屋に流れる。
「マスター!おでんわなのだ〜!」
「おう、相手は…っと!?」
「?? どうしました、マスター?」
「何かヤな電話でもきたのか〜?まさか…借金取りからとか?」
「いや…、
実 家 か ら だ 。」
俺は一瞬受話器を取るのをためらった。
それもそのはず、大概実家からの電話というのはロクな事がない。見合いの話だとか見合いの話だとか見合いの話だとか…。
俺はまだまだ独身生活を謳歌したいと思ってる。と言うか、神姫を5人も所有している現在、更にもう一人を
養うなど、どだい無理な話である。あ〜あ、どっかに神姫に理解があって、さらに収入もある女性は居ないものか…。
などと思いつつ電話を取る。
「あ!士郎!何やってんのよ!あんまり遅いから居眠りしちゃったじゃないのよ!」
…初っ端から母の寒いギャグ炸裂である。
「お〜う…すまなかったね…。で、今日の用件は何?見合いならしないって言ってるはずだけど…?」
「違うわよ!実はね、優衣(ゆい)があんたの住んでいる所の近くの大学に受かったのよ!」
「おお!それはめでたい話だな。」
「でね、4月からあんたの所に住まわせて貰いたいのよ。いいでしょ?」
「ふーん…って、
ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
大学に受かったのは良しとしよう…だが!何故そこから同居させろになるんじゃ――――――――――い!!
そ・れ・に・だ!第一家から通えない距離でもないだろうが!」
「もー!そんなに大声出すこと無いじゃな〜い!
だって〜、お父さんも今年の3月で定年だし〜、朝早く出かける人が居なくなれ〜ば、お母さん早く起きて
ご飯とかお弁当作らないで良くなって楽なんだも〜ん。」
ええ歳コイて猫なで声で、そんな理由かこの親は…。
「まぁ仕送りだけはきっちりするから!とにかく!今週の土曜日に説明会があるらしいから、当日にはそっちに
行かせるから、8時に駅に迎えよろしくね!じゃ!」
「な…!ちょっと待t」
「第 妹、襲
十
一
話 来」(弐/伍)
ガチャン!
がっ…!あのオバハン、言いたい事言って一方的に切りやがった…。
そして、電話をこっちからかけ直すも、
つー つー つー…
受話器外してやがる…ちくしょう。
「あの…どうしたんですか、マスター?」
心配そうに訪ねるヴェル。
「妹が…優衣が来る。」
「い…!妹って、あ…あの優衣さんの事ですか…;」
「え?なになに?マスターの妹が来るの!?ボク会ったことな〜い!」
「いもうと〜?いもうとならジャロにもいるのだ!コニーちゃんとビアンカちゃんなのだ!」
「お前に妹呼ばわりされたくないわい!この馬鹿ネコ!」
「まぁまぁ…コニーお姉さま…;」
相変わらずの4人漫才の中、頭を抱える俺とヴェル。
それもそのはず、妹の優衣とは、俺もヴェルも良い思い出が無いのだ。
小学4年の頃、少ない小遣いを貯めて買ったプラモを、完成から僅か5分で破壊されたり、
中学の頃、何週間もかけてクリア直前まで到達したRPGを勝手に部屋に入ってプレイし、挙げ句の果て
自分がやってたその時のデータを俺のデータに上書きして保存してくれたり、
高校の頃は、何万もかけて作った自作PCに、飲んでたコーラをぶっかけ破壊してくれたり、
5年前、俺がヴェルを購入したての頃、勝手に彼女を自分の部屋に拉致して、散々色んな所を弄くり回したり
股を開いたり閉じたりして慰み物にしてくれたり…。あん時ゃ「汚された…」って一晩中泣いていたなヴェル…。
「あの悪夢が…災厄が再び…。」
「私だけじゃなく、ノワルやコニー達も…。」
さらに頭を抱える俺、(((((;゚Д゚)))))ガクガクブルブルするヴェル。何も知らないで喜ぶ3人。
一体、これからどうなってしまうのやら…。
「第 妹、襲
十
一
話 来」(参/伍)
ともあれ土曜日がやって来た…いや、来てしまった。
8時十分前、自分の車(軽ターボ)に乗って駅で待つ俺。
そしてやって来た…厄災が。
「うぉ〜〜〜〜い!兄貴ぃ〜〜〜〜!!」
手をぶんぶん振りながらやってくる、いかにも現役女子高生でございな装いのハイテンションなショートカットの少女。
妹の優衣である。
「お〜う…変わらんなお前は。」
「兄貴の活躍もテレビで見たよ〜、この天才ランカー!って、あれ?ヴェルちゃんは来てないの?」
こいつ…自分がヴェルに何やったか覚えて無いのか…。
「来てねぇよ、つーか、今日は大学の説明会に来たんだろ?終わったらさっさと帰すぞ。」
「え〜!?や〜だ〜!ヴェルちゃんとも会いたいも〜ん!そう言えば、ヴェルちゃん以外にも神姫居るのよね!
その子たちにも会いたい〜!!」
「やだ、連れて行かない。」
「…………ここで全裸になるわよ。」
「ふっ…やれるもんならやってみr」
と、おもむろにコートを脱ごうとする優衣。
「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!やめろ!わかった!わかりました!連れて行く!連れて行くから!」
「分かればよろしい。」
と、舌を出す優衣。おのれ…このガキ…!
昼過ぎ、大学の説明会も終わり、昼飯を喰った後、ついに我が家の前へ。
「へ〜、結構良い所に住んでんじゃん!流石りあるりぃぐ…?のランカー様だね〜!」
「ランカーとは関係ないわ。ほれ、行くぞ。」
エレベーターに乗り5階へ。そしてドアを開けて中に…。中にはいると、ヴェル達が並んで待っていた。
「「「「「お帰りなさい、マスター!」」」」」
と、
「いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!かわいぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」
早速飛びつく優衣。
「うっわ〜、この猫みたいな子可愛過ぎ〜!名前なんて言うの?」
「ジャロなのだ!はじめましてなのだ!」
「ボク、ノワル!ノワルって言うの!よろしく!」
「へ〜、これがマスターの妹か…にってね〜〜〜…。もしかして腹違いとか?」
「あの…コニーお姉さま…それは言い過ぎでは…」
「ま…まぁ…兎に角中に入ろう…。」
「第 妹、襲
十
一
話 来」(肆/伍)
中にはいると、早速優衣のいたずらが始まった。
「そ〜ら〜…ぱかぱか〜!!」
「や…やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!アタイをおもちゃにするな〜!!」
「何を言う何を言う〜、おもちゃではないか〜!それそれ〜!」
「きゃはははは!おもしろいのだ〜!ぱかぱかなのだ〜!」
「いいな〜、ボクもやってもらいた〜い!」
「ジャ…ジャロ…?ノワルまで…;」
「お姉さま!お姉さま!頭を抱えられて大丈夫ですか!」
「もう…好きにしてくれ…。」
優衣の陵辱祭りは小一時間続いた。祭りの後、コニーは部屋の隅ですんすん泣いていた。
「あ〜…楽しかった!」
ご満悦の優衣。
「たのしかったのだ!すっごくおもしろかったのだ!」
「ボクも楽しかった〜!」
「私はちょっと…恥ずかしかった…です。」
「汚された…アタシの純潔が…………」
「コニー…分かるわその気持ち…。」
脳天気な二人、まんざらでもないビアンカ、慰め合うヴェルとコニー。
と、
「ねぇねぇ!こんなにいるんだから、一人くらい貰っても良いよね!良いよね!?」
「な…良い訳ねぇだろ!ヴェルやノワルやジャロはリアルリーグの選手だぞ!コニーはセカンドに登録してるし、
ビアンカだってもうすぐサードに参加する予定なんだから!」
全力で却下する俺、しかし…
「へ〜、ビアンカちゃんは『予定』なんだぁ…ってことは、まだ戦いに出して無いって事…つまり自由って事よねぇ…?」
「ぐ…!」
言葉の隙をついてくる優衣。コイツはガキの頃から人の揚げ足を取るのが得意だなコンチクショウ…。
「じゃあビアンカちゃん貰ってく〜!ビアンカちゃんも兄貴のお父さんとかお母さんとか見に行きたいよね〜?」
「はい!お会いしたいです!」
「じゃあ決定!今日からあたしがビアンカちゃんのマスター!これに決定!」
「勝手に決めんな!許さん!絶対に許さんぞ!」
「じゃあ父さんと母さんに『今日、兄貴に犯された』って報告する。」
「……どうぞお連れ下さい。」
「OK!兄貴からの了承は受けた!まぁ良いじゃないの!四月からはまた一緒に生活出来るんだし!」
「ハイ…そうですね…。」
力無く答える俺。
「第 妹、襲
十
一
話 来」(伍/伍)
と、
「「ま…マスター…、し…四月から一緒…って…?」」
ハモるヴェルとコニー。
「あれ?聞いてないの?四月からここの近くの大学に通うんで、兄貴の所に居候させて貰うんだよ!そう言う訳でよろしくね!
ヴェルちゃん、コニーちゃん!」
「「ま…マジで…?」」
「わ〜い!はるからゆいちゃんともいっしょなのだ〜!」
「うっわ〜い!ボク楽しみ〜!」
「はい!私も楽しみです!」
「ハイ…もうどうにでもしてください………orz」
驚愕する二人、素直に喜ぶ三人。崩れ落ちる俺。
こうして五人目の同居人だった天使タイプのビアンカは程なくして実家に里子に出され、四月からは厄災娘の妹が一緒に住むこととなった。
これから、一体どうなるんだろう…?
「第 妹、襲
十
一
話 来」 完
つーわけで、久々のSS投下。
テコ入れキャラ、妹投入。さ〜て、これからどうやって使い倒そうか…?
一応優衣のスペックをば。
岡島 優衣(おかじま ゆい)
当SSの主人公(?)岡島 士郎の妹。18歳。
3年間生徒会書記を(推薦狙いで)勤め、見事士郎の住んでいる市の大学へ推薦で現役合格。
四月からは士郎の住んでいるアパートへ(母が無理矢理に押し進めて)居候することとなるわけだが…。
また、学校説明会の日、五人目の神姫であった天使型MMSビアンカを半ば強引に実家に連れて行き、
実質、新たなマスターとなる。勿論バトルの経験はなく、今後の成長は未知数である。
其処は今は二人だけの世界。
「手加減は……しません。それは貴方に対する侮辱になるから」
静寂の続く荒野に聞こえるのは、二人の声と風の音だけ。
「ねここも、しないよ。後悔したくないから」
そして二人は動き出す。
雌雄を決するが為に。共に未来を歩いてゆく為に。
ねここの飼い方、そのはち
『ひっつさぁつ!ねここぉ・フィンガー!!!』
『すぱぁぁぁぁく、えんどぉ!!!』
ピィー
『試合終了。Winner,ねここ』
「やったぁ☆ 大勝利なのっ♪」
アクセスポッドから飛び出し、姉さんに抱きつきながら嬉しさを全身で表現するねここ。
ここはホビーショップ・エルゴ。ねここは公式戦エキシビジョンマッチ(無差別級)の対戦を勝利で終えたところだ。
今年に入ってからのねここは、破竹の勢いで勝利を積み重ねている。
今のペースだと、セカンドリーグに昇格するのも時間の問題だろう。
現に今の試合でも、本来格上であるはずのセカンドリーグランカーを倒してしまった。
ねここは所属上は現在もサードリーグなのだが、大晦日の試合をみて自分も戦ってみたいと勝負を挑んでくる人物は多く、
その中には上位リーグ所属の人もそれなりにいるのだ。
それは、ねここにとっても格好の実戦経験を積む場になっており、結果として驚異的な実力の向上に繋がっていると言える。
「ぅ?ユキにゃん、どうしたの〜?」
そして私はそれに対して、嬉しさと同時にある種の焦燥感を抱くようになっていた。
「ユキにゃん、ユキにゃんてばぁ〜!」
私は……私は……
それから数日後。
(2/7)
「ねここ〜、雪乃ちゃ〜ん。もうすぐ晩御飯ですよ」
私は地下室で練習中の二人に、ご飯が出来たことを知らせるためパタパタと地下室へ降りていく。
「あ、今行くのー。でもシャワー浴びたいからちょっとだけ待ってなの」
「はいはい、その方が美味しくご飯が食べれるものね。雪乃ちゃんも一緒に浴びてきなさいな」
「……ぁ、はい」
あれ、反応が薄いな、と雪乃ちゃんの方を見てみると何か思いつめた表情をしていて。
やがて雪乃ちゃんは何かを決意したように頷くと
「ねここ、姉さん。夕食の後に少しお時間を頂けませんか。お話したい事が」
「……いいわよ。ねここもいいわね?」
「はぁい、なの」
「ねここと、公式戦で、戦いたい?」
租借するようにそう問い返してくる姉さん。
現在私は居間でねここと姉さん、二人と向かい合う。
其処で私はねここと正式に、リアルバトルでの真剣勝負を行いたい事を打ち明けたのだ。
「はい。私は既に風見家の神姫のつもりですが、書類手続きの関係上
この1月一杯までは旦那様の神姫という扱いになっています。
私は公式戦で正式にねここと戦いたい。しかしその猶予はあと僅かなのです。
同じマスターになってしまってはもう公式戦で戦うことは出来ませんから……」
そう、何時もの様な練習試合ではお互いに本気が出せない、いや出すことが出来ない。
しかし、リアルバトルとは我ながら危険すぎる。私は如何なってもその覚悟は出来ているが、ねここは……
それに自分以上に大切な存在であるはずのねここに、この様な申し出をする事自体がどうかしている。
それでも言わずには要られなかった。私はそんな自分自身がが恨めしい。
そして、ねここが下すであろう決断も考慮し切っての事なのだから……
「いいよ、ユキにゃん」
迷いのない澄んだ声で答えるねここ。
……ねここは優しい、だから私はそんなねここを好きになったんだ……
だけどしかし……感情回路がループする。私が私でなくなっていくようだ。
そして私は、もう1つの言葉を紡いでいた。
「もう一つお願いがあります。勝負までの間、実家に帰らせて頂きたいのです」
そう、このままの感情でねここと一緒には居られない、いや居てはいけない。
(3/7)
「聞きましたよ。ねここちゃんと喧嘩して、帰ってきちゃったのですって?」
「喧嘩じゃありません。真剣勝負の精神統一の為、一時的に帰郷の許可を頂いただけです」
私は蓬莱壱式の手入れをしながら、隣でそれを意味有り気に見ている旦那様の孫娘、鈴乃嬢に言い返す。
今は今現在、ここ黒姫邸で勝負までの残余の数日を過ごしている。
「ふふふ、一時的ね。」
「なんですか気持ちの悪い」
鈴乃嬢は意地が悪い、一見清楚なお嬢様には見えるが中身は小悪魔だ。
「だって、勝負の結果に関係なく風見家に戻るのでしょう?」
「当然です……家族ですから」
少し頬が赤くなってしまったかもしれないが、それは気にしない事にする。
「あらあら、フェンリルと呼ばれた貴方がそんな表情するなんて、ちょっと前までは考えられませんわね」
「そこ煩いです。それ以上言うと撃ちますよ」
「あらら怖いわね〜、それでは退散するとしましょう。あとは任せたわよアガサ」
「かしこまりました、鈴乃さま」
鈴乃嬢の隣に控えていた、鈴乃嬢の神姫であるアガサにそう伝えると彼女は部屋を出て行った。
「……で、アガサは其処で何をしているのですか」
じっと私を見たまま微動だにしないストラーフ型MMO、アガサに問い掛ける。
「監視……もとい雪乃が一人で寂しくなってピーピー泣き出さないように、一緒に居てあげてるだけです」
「……怒りますよ」
何処までが本気なのだか、マスターである鈴乃嬢と同じで掴み所がない。
「あら怖い、うふふふ」
そして当日、私たちはバトルフィールドで対峙していた。
場所はファーストリーグも行われるセンター内の、リアルバトル用フィールド、荒野マップ。
旦那様が私たちの為に、貸切になるよう特別に手配してくださったのだ。
このスタジアムに観客……いえ、立会人は姉さんと鈴乃嬢のお二人。
しかしそれで十分だ。この試合を見届けて欲しい人は、貴方だけなのだから。
「手加減は……しません。それは貴方に対する侮辱になるから」
対峙してから何十秒が経過しただろう、私は初めて声をだす。自分で微かに声が震えているのがわかる。
「ねここも、しないよ。後悔したくないから」
凛とした表情でそう返すねここ、真っ直ぐ綺麗な瞳で私を見つめてくれる。
その瞳は不思議と私の緊張や焦りを解き解してくれるようで
進行役を買って出てくれた鈴乃嬢が、頃合を見て発言する。
「二人とも準備はいいかしら? では……試合、開始っ!」
(4/7)
合図と共に、お互いに一気に駆け出す。
ただし私は脚部に関してはノーマル装備なのに対し、
ねここはシューティングスター(ミーティアより改良及び改名)を装備している。
直線機動でのスピードは桁が違うのだ。
その為私は剥き出しの岩石の多い地点へとねここを誘導するように駆けていく。
ねここも攻撃を仕掛けようとはしてくるものの、STR6ミニガンを改造し左腕ユニットに装備可能にした
ガトリングガンによる牽制攻撃によってそれを阻む、私も早々近づけさせる気はない。
それにねここは火器の類を装備していないのだ。
爪を射出するワイヤークローは装備してはいるが、射程も短く致命傷を負わせることは出来ない武器であり、
本格的な攻撃を仕掛ける為には格闘戦を挑まなければならない。
それは私にとって有利に働くはずだった。
やがて戦場は岩石の多い荒野へとその姿を変化させていく。
私は岩に飛び乗り、岩の上を飛び石するように移動する。
対するねここは岩の間を縫うように駆け抜けていく、普通なら岩を回避しきれずに激突してしまう所だ。
「流石ねここだな……」
ふと笑みがこぼれる、だけど今は。
私はチャンスと見て、ここぞとばかりにガトリングガンを発射。
高速移動中のねここにとって此処は狭い回廊のようなものだ。移動ルートはそう多くない、それを見越して偏差射撃を行う。
「……ちっ」
うぅ……早くもジャマーの影響が始まったようだ。
ねここは肩装甲内部を軽量、空洞化させてその内部にジャマーシステムを装備している。
ぱっと見は判らないがよく見ると小さなアンテナのような物が突出していて、
これが相手の索敵及び射撃用センサーを狂わせるのだ。だが……
「あ…にゃ゛ぁっ!」
あくまでねここではなく予測位置に偏差射撃を行ったのが的中し、
バラ撒いた弾の一発がプロペラント兼用のブースターに着弾。
それが爆発を起こし、燃料チュープの燃料を伝ってシューティングスター全体が誘爆を起こしたのだ。
しかしこの程度で終わる訳はなく
「さすがユキにゃん……まだまだ敵わないやっ」
「其れはこっちの台詞です、あの短時間で脱出できるのですから」
私とねここはそれぞれの岩上で対峙していた。
お互い忍者のように飛び跳ねつつ、射撃とクローの応酬を交わす私たち。
不謹慎ながらこの瞬間私は充実を感じている、楽しい。
しかし冷静な思考は、このままではこちらが弾切れになり不利になることをしっかりと警告していた。
(5/7)
「……そろそろ仕掛けさせてもらいます!」
「こっちも、いくよぉー!」
ねここも身を屈め、全身の力を溜めるような体勢を取っている。アレを使うつもりなのだろう、だが。
「とぁーっ!……あ、あれっ!?」
一気に跳躍するねここ、そのまま撹乱体制に入るつもりなのだ、が。
「そこっ!」
私は強化された集音及び嗅覚センサー、アイボール(肉眼)でねここの位置を確認、そして過去の経験からの予測値を加え、
右腕ユニットにセットされた蓬莱壱式を放つ。
「きゃぁぁぁぁぁ!?」
其れは見事にねここに直撃し、猫爪の胸部装甲部分を粉々に破壊した。
「イリュージョンシステムに頼りすぎ。それ以前に撹乱に入る前の挙動が雑すぎます。
アレではいくら敵のセンサーを潰してもその挙動から予測され、撃ってくださいと云わんばかりです」
「う……なん……で」
本体にも衝撃が届いたようで、倒れ呻きつつも必死にリカバリーしようとしているねここ。
「プチマスィーンズ、気にならないのですか?」
「あ……っ」
は、っとなり周りを見回すねここ。自分のプチマスィーンズと連絡を取ろうとしているのだろう。しかし……
「無駄です、全て私のプチマスィーンズが撃破しました。もう結界を張る事は出来ませんよ」
ねここの分身攻撃は、相手の周囲に光学迷彩をかけたプチマスィーンズを配置。
このプチマスィーンズには各々立体ホログラフ投影装置とジャマー装置が装備されており、
ねここ本体側のジャマーと合わせて全ジャマーをフル稼働、相手のセンサー類の目を奪ってから、
ねここ自身の高速機動と光学迷彩システム
(運動性の邪魔にならないよう超小型であり、そのためごく短い時間、しかも断続的にしか使用不能だが必要十分である)
及び立体映像を駆使した分身殺法を演出する。
しかし小型のプチマスィーンズにそれだけの装備を詰め込むということは、戦闘力の低下を招き……
「でも何で……迷彩かけてたのにっ」
「だから甘い、配置が単純すぎます。ホログラフ効果を100%発揮させるには岩上に配置するしかない上に、
ホログラフの有効範囲は狭い。それでは簡単に場所を特定できてしまいます。
貴方が普段の試合で開始直後一気に飛び込まずに逃げるのは、相手の周囲にマスィーンズを配置する為の時間稼ぎ」
我ながら一気に捲くし立てるように話す。やはり気が高ぶっているのだろう。
「それに……臭いです。このタイプのジャマーは極微かにですが、特殊な電子臭を発生させます。
お忘れですか、私は犬型ですよ」
ねここは何かをかみ締めるような渋い表情をしていて……
「勝負は付きました、降伏してください」
私はやっと上半身だけ起き上がったねここの胸元に、蓬莱壱式を突きつけながらそう促す。
「……ぃや」
「ねここ……気持ちはわかります、でも……」
「いやっ!」
何で其処まで頑なに……
「ねここ!」
「こんな中途半端な終わり方じゃ納得できないのっ、ねここはまだ……動けるっ!」
(6/7)
瞬間、ねここの眼が輝いた気がした。
と思った次の呼吸では、目の前のねここは掻き消えていて。
「甘い、ジャマーを展開してる以上臭いが……う、ナニコレ……まさか、ジャマーを過剰運転させてるの!?」
周辺全体に強烈な電子臭が立ち込めているのだ。しかしこんな事をすればねここ自身も無事とは思えない。
「やめてねここ!壊れちゃうよっ!?」
『言ったもんっ、手加減しないって!ねここが立てなくなるまで……全力全快をユキにゃんにぶつけるのぉ!』
………そうよね、そう云ったのは私。ならば私も!
現在、重度のジャマーの影響で肉眼にすらノイズが走るようになっていた。
そして、ねここの自身の動きも先程までとは比べ物にならないほど俊敏で細やかな動きになっていて、
これでは補足仕切れない! こうなったら……
私は目を瞑り、全ての知覚系リソースを集音及び嗅覚センサーに注ぎ込む。
ねここは決め技の際、必ず相手の正面に出現する。その一瞬を掴む…!
……それは、一瞬とも永遠とも思える刻の流れ、私はその瞬間を待ち続ける……
ふっ、と匂いがする。日向のようなほかほかな匂い、大好きなねここのあの匂いだ。
『いっけぇぇぇぇぇぇ!!!』
ズドォォォン!という轟音と共に、二人の声が交錯する。
「う……ぁ…っ」
「く…あぅ…っ…」
私が放った蓬莱壱式の渾身の一撃は、ねここの左腕を完全に吹き飛ばしていて
私の胸には、胸部装甲を易々と突き破った、ねここの研爪が突き刺さっていた。
「すぱぁく、えんどぉぉぉぉぉぉ!!!」
……負けちゃったな、ねここはやっぱり強い、ねここは私の……
(7/7)
フリーズ状態が解けて、少しづつ意識が覚醒していく。
ん……
顔に何か……ポタポタと冷たいものが……
「ぅ……ここ…は」
私はうっすらと目を開ける。そこには大好きなねここの顔がいっぱいに見えて。
「どうして……泣いてるの?」
まだよく動かない腕を懸命に伸ばして、ねここの頬から伝わる涙を拭ってあげないと……
「ごめんね……ごめんね……」
ねここは其れを繰り返すばかりで。
でも私もねここの腕を……目線を左腕に移動させると……よかった、ちゃんとついている。
どうやら破壊したのは装甲までだったみたいで……
「うぅん、私がお願いしたことだから……後悔はしてない。だから、ねここも、ね」
まだぎこちないけど、ねここに笑いかけてあげると。
「…うんっ。いつものユキにゃんだぁ……えへへ」
すりすりと私の胸に甘えてくるねここ。少し胸の傷が痛むけど、心が嬉しいから心地よい。
私もねここをきゅっ、とその胸に抱きしめるようにして。
私たちは、姉さんたちが回収に来てくれるまでのわずかな時間、そうして過ごしていたのでした。
「二人とも、朝ご飯ですよ〜」
「はぁ〜い☆」
「ありがとうございます、姉さん」
それは何時もの日常、日々変わらないようで毎日変化していく日々。
「ねここ、口元にケチャップついてますよ」
「にゃ? ユキにゃん取ってとって〜」
「もう、ねここは甘えん坊ですね。……ん、えぃ」
ちゅ♪
「はい、ケチャップ取れましたよ。ねここ」
そう、変化していく日々なのだ。
228 :
356:2006/10/18(水) 02:21:07 ID:93fZUlq/
SS投下お疲れ様です>ねここのマスター様。
ねここさんの分は7/7と全てが終わったのを確認したので、
こちらは錦の話、2章の後半を投下させていただきます。
しかし、この時間なのに何故、こんなに投稿数が多いのでしょう(笑
それでは行きます。
○あとがき
体調心配されつつもまた書き上げてしまいました(汗
今回は、友情コンビで戦う前には真剣勝負がいるよね!
みたいなノリです。
それと今回はねここの分身殺法のネタばらしをば
でもねここは超本気モードになるとそれらに関係なく何故か分身します(何
それとえぇと、他の作者さんへの感想等は朝起きてからに・・・・ぐぅ
230 :
356:2006/10/18(水) 02:23:32 ID:93fZUlq/
〜2章(3/4) カラダが憶えている事〜
本日のファーストミッションは、マスターを叩き起こすこと。
マスターが寝ているベッドから私のいる机まで、距離は2m。
机の上のクレードルから体を起こし、一気に床まで飛び降りる。
高低差は身長の5倍以上。人間にとっては4階から地面に降りるに等しい。
しかし、神姫である私にとってはどうと言うことはない。
トンっ。
軽い音を立てて、着地する。強化繊維プラスティックの骨格と高弾性樹脂の外装を持つ神姫の身体能力は驚異的なのだ。
つづけて、ベットの横に備え付けられた私用の縄梯子でマスターの顔の横まで上る。
よく眠っていらっしゃる。
眠ると言うより、死んでいるのではないかと心配になる程、動きが少ない。
しかし、その横顔を見ていると、夢のせいで熱くなった身体がよりいっそう熱くなった様な気がする。
このまま見ているのも悪くない(そもそも、もはや40分のオーバーランだ)が、
やはり、マスターには起きていただき、相手をしていただくほうが良い。
そう思い、いつでも飛び退ける体勢を取ってから、マスターの右手の甲を両手で抓りあげるべく、マスターの手に私の手をそっと添える。
その手は、ぞくりとするほど冷たいかった。いや、…違う。
そこで気が付いた。私の手が、足が、身体が。
異常に熱かったのだ。
身体が熱くなった気がしたのではない。
本当に、熱くなっていたのだ。
私が、その事に気づく頃、マスターは私の熱で目を覚ました。
「錦、どうした?!
酷く熱いぞ、おいっ!
錦!
錦!!」
今頃、私のメインコアは熱暴走対策処理として、回路の大部分の遮蔽を開始していた。
メインコアと各ユニットを接続する回路が切断され、身体がゆっくりと動かなくなっていく。
手足には何の力もかかっていないのに、手足のサブプロセッサは私に異常な信号を送り続けようとする。
「錦!」
手足のサブプロッセが私に叩きつける、狂ったようなパルスは回路の切断と共に収まる。
しかし、大部分の機能を切断した私のメインコアは安定感を失い、光を失い、時間を失う。
それでも、セーフモードで動くメインコアで、私はマスターの声を受信し続ける。
私を呼んでくれる声があるから、私の意識は暗転しない。
結局、マスターはその日、ご友人との約束よりも、
私をサポートセンターに連れて行くことを優先した。
マスター、やはり貴方は神姫に甘すぎます。
私はただのシリコン素子に走る電子の揺らぎにすぎないのに。
そんなに大事にしていただいたら私は、自分が消えることが怖くなってしまうじゃないですか?
ワタシはココにいるよ。
マスター、ワタシを見て…。
あぁ、私の手足も、きっとそう思っているのだ。
231 :
356:2006/10/18(水) 02:27:00 ID:93fZUlq/
〜2章(4/4+1) カラダが憶えている事〜
■解析結果
・製品名:武装神姫シリーズ天使型MMS『アーンヴァル』
・ 症状 :特になし
・ 原因 :−
・受診歴:あり
結局、サポートセンターまで連れて来ていただいたが、手足のサブプロセッサの暴走は、何事も無かったように治まってしまっていた。
手馴れた手つきで私のチェックをしていた係員の女性は、
私の事を新品以上に手入れがしてあり、機械的な異常はないと太鼓判を押してくれた。
はじめてサポートセンターを訪れた私は、周囲の機械や自分以外の神姫とそのマスターを見ては喜んでいたが、マスターは真剣な顔で係員の話をメモしている。
調査結果はまったくの問題なし。新品同様の「かわい子ちゃん」である。
係員の女性からは「かわい子ちゃん」は自称するものでは無いと言われたのが唯一の問題である。
もちろん、機械的な異常は無くても電磁波の干渉やその他様々な要因で異常が起きることはありえる。複雑な挙動をする精密機器の宿命だと言えよう。
特に何の処置があるわけでもなく、しばらく様子を見ることになった。
ご迷惑をおかけしました、マスター。
だから、「二度と目覚ましなどに私を使わないから許して欲しい」などと訳のわからない謝罪をしないでください。
私のほうこそ、マスターやご友人に迷惑をかけてしまって、本当に申し訳なく思っているんです。
そんな私に、マスターは友人には良く謝って食事でもおごっておくから大丈夫、と静かに笑い、そして言った。
「錦は、『犬の十戒』って知っているかな?」
いえ、存じません。ハウリンあたりが海を割るんですか?
…冗談です。無言で机にはいつくばるのは辞めてください。
たまに、変ないじけ方をしていますよね。
「錦。『犬の十戒』って言うのはね。
ペットを家族に迎えるとき、心に留めるべき事柄なんだよ。
その中にこんな一説があるんだ。
『Don't be angry at me for long, and don't lock me up as punishment.
You have your work, your entertainment, and your friends; I have only you.
ずっと怒ったり、閉じ込めて罰したりしないでください。
貴方には仕事や楽しみや友がいるでしょう。
でも、私には貴方だけなのです。』
ってね。」
マスターは優しげに私を撫でた後、何も言えない私に続けた。
「僕や、迷惑をかけてしまった僕の友人には、
いざと言う時に一緒に何かをしたり、困ったときに手を貸してくれたりする
人や組織がいて、それを使う手段があるんだ。
でもね。人以外のものが、人の社会でそれらを得ることはとても難しいんだ。
錦にはネットワーク上での同じ神姫のお友達もいるけど、
錦に何かあった時に、その子たちが力を貸したいと思っても、
難しいのは判るよね」
232 :
356:2006/10/18(水) 02:28:22 ID:93fZUlq/
〜2章(5/4+1) カラダが憶えている事〜
いつになく饒舌なマスターに、私は、ただ、黙る。
人間には親がいる。
しかし、神姫の生みの親は神姫を売ることで利益を出す企業であり、
間違っても護ってくれる物ではない。
誰でも知っている。『返品された不良品』や『在庫』がどうなるかを。
乱丁本を大切に保管する出版社はないのだ。
事実上、神姫が頼れるものなど、この世界には一つしかないのだ。
「僕には友人やコネがある。
僕の友人にも、僕以外の友人がいる。
だけど、残念ながら僕が購入した神姫には、僕しかいない。
でも、僕は観察力が不足して助けるべき者を助けられない事がある。
それは、とても悲しいんだ。
辛かったんだ。
だから、これは僕が自分が悲しまないための我侭なのは判ってる。
いろいろ不満はあるだろうけど、僕を頼ってくれないかな?」
しばらく、二人は何も言わなかった。
マスターは冷めかけたコーヒーを飲み、私は神姫用のジュースを飲みながら、
サポートセンターを行き交うにぎやかな神姫とマスターを眺めていた。
きっと、これは大切な時間。
だから、余計な事を言うのは辞めて、この時間をゆっくりと過ごそう。
サポートセンターは以前に行ったバトルのためのセンターとは異なり、
神姫の病院とでもいうべき場所だ。
そのため、ここがあまり好きでは無いと言う神姫が多いかもしれない。
しかし、初めてマスターの心の奥底に触れられたこの場所を、
私は嫌いになんてなれそうも無かった。
手足が、少し熱かった気がする。
もっと後になって思うと、この時点で、既に情報の大半は出揃っていたわけだ。
私はサポートセンターに始めてきた。
・・・
では、どうして受診歴があるのか?
233 :
356:2006/10/18(水) 02:33:48 ID:93fZUlq/
一日一錦の356です。
まずは、ねここのマスターさん。
あとがきをぶった切ってしまい、大変申し訳ありませんでした。
以後気をつけます。
それでは、こちらもあとがきです。
…(5/4+1)って何だよ… _| ̄|○
長くなりすぎました。
ともあれ、感想を下さる方のお陰で起承転結の承まで行けました。
次は「〜3章 メモリに響く望まぬ声〜」です。
…周囲のSS書き様のような、萌えもエロも足りないかもしれませんが、
独自の味は出そうと鋭意修練中です。
どうか、広い心でSSの投下をお許しください。
この間の微妙は伏線の続き的なものを。
とは言え本編ではなく、今回は予告編となっております。
いえ、決してネタが尽きt(略
誰にも知られないバトルジオラマ。
誰にも知られない戦闘。
誰も知らない秘密。
漆黒の神姫の豪腕が振るわれ、同時に大鎌に内蔵されたバルカンが火を噴いた。
狙いは確実。例え豪腕を避けたとしても、回避コースを限定された相手は必ずバルカンの射線へと飛び込むように誘っておいた。
しかし純白の神姫は想像を遥かに超えた動きで豪腕を迎撃。ライトセイバーを改造した大出力のクレイモアセイバーで強引に豪腕を捻じ伏せ、素早く引き抜いたハンドガンで素体を狙う。
漆黒の神姫は大鎌でガード。間合いの内側に飛び込んできた相手と瞬間的な静寂が作り出された。
一瞬即発。
どちらとも無く相手の呼吸に合わせ、反射的に飛び退く。
ここからが本番だ。
今までの温い戦闘では済まされないと言った、そんな張り詰めた空気が作り出される。
互いに瞳が赤く染まり、同時に機能展開。
6腕が出現し、鋼の翼が飛び出した。
同時に構え、そして飛び出そうとする。
「お止めなさい、アーシェラ」
「もう良いでしょう?ヴァネイン」
しかし、その行動は2つ女性の声で中断を余儀無くされた。
2つの神姫は、自らのオーナーに振り返る。
黒髪の長髪、切れ長の双眸。口元に酷薄な笑みを貼り付けた美女。
漆黒の神姫のオーナーは、現在危険度SSSランクであると同時に『最凶にして最強のオーナー』と称えられる公式戦永久追放対象、安登蕪(あとかぶ) ナミコ。
従える漆黒の神姫は『悪魔の6(デモン・シックス)』アーシェラ。
電灯の下で尚映える茶がかった髪。その瞳は穏やかで、その表情はたおやか。戦闘とは縁遠い美貌。
純白の神姫のオーナーは、現在バトルサービスランキングトップ、『静寂の主』、『透明な咆哮』、『最も新しき神』とあらゆるオーナーから尊敬され、時に畏怖される白岑(しらみね) イツキ。
従える純白の神姫は『DEUS EX MACHINA(全能なる機械神)』ヴァネイン。
二人と二体は通常、バトルサービス関係者以外には入る所かその存在自体知らされていない極秘区画で密会をしていた。
彼女たちはバトルサービス利用者の中でも最も異質な存在であるが、その詳細は明らかにされていない。
この正反対の二人が友人であると知れば、最初は誰もが驚くだろう。
別に隠しているわけではなかったが、この秘匿性の高い密会方法はナミコの意志である所が強い。
知っている人間なら二人が友人関係である事実を当たり前に知っているが、その誰もが一体どんな話をしているか、そもそも話をしている所自体見た事が無かったのはその為である。
意外だが、ナミコは自分の評価の所為で、友人であるイツキに迷惑を掛けるのを嫌っていたのだ。
自らの神姫以外はどうでも良いと思う彼女の、たった一つの例外。
イツキとしてはそれ位どうと言う事も無かったが、あまりの彼女の真剣さに現状を受け入れている。
イツキは恐らくナミコの家族以外では只一人、彼女の全てを知っている人間だった。
>>235続き
「昨日のテレビ、見たわ」
たったそれだけで、ナミコはイツキの言いたい事が解った。
「楽しみよ、とても」
何の脈絡も無く言い放つナミコ。
イツキが本気なのか問うているのが解っていて、そう返したのだ。
答えを聞いたイツキ小さく肩を窄める。
この特異な友人が、時にこちらの思惑を遥かに超えた行動をすると知ってはいたのだが、まさか公共の電波を掲示板代わりにするとは完全に不意打ちに近かった。
しかも、今までで一度も負けた事の無かったアーシェラを倒した相手を探していると言うではないか。
どちらかと言えば、そちらにより強い好奇心を感じた。
「テレビでは顔写真しか流れなかったけれど、一体どんな相手なの?」
ナミコは一瞬、口の中で言葉を転がす。
適切な表現は多かったが、その中でも特に相手を正確に言い表すとなると少し考える。
「そうね、とても強いわ。けれど…そうね、まるでチグハグは強さで、とても甘い…そんなところかしら」
「?」
流石にそんな表現では理解し切れず、微妙な表情を浮かべるしかないイツキ。
そんなイツキを見て、ナミコは少し笑う。
アーシェラのメモリーを見せれば話は早いのだが、こんな楽しい事を人に教えるのはまだ早い。楽しみは後に取って置く性質なのだ。
気付くと、ナミコの顔には戦闘で見せる狂気の混じった笑みが浮かんでいた。
「嗚呼、とても楽しみだわ。速く準備を終わらせなくちゃ。喜劇の準備を、悲劇の準備を」
アーシェラを呼び寄せ、肩の上に乗せる。
別れの言葉も無くイツキに背を向け、出口に向かって歩き始めるナミコ。
そんな彼女に、イツキは最後に言葉をかけた。
「その楽しいイベントに、私も出ても良いかしら?」
「勿論よ。きっと、近い内に知らせが届くわ」
振り返りもせず、立ち止まりもせずナミコは答える。
彼女の心は既にこれから始まるイベントの事で占められていた。
ドアの向こうに去ったナミコを見つめ続けいたイツキは、小さく溜息をつくとヴァネインを抱き上げる。
「困った人ね。そう思わない?ヴァネイン」
幼子に向かって語りかけるように言うイツキ。
しかし、そんな友人を彼女はとても好いていた。
それに、自分としてもとても楽しみにしている部分が大きい。
昨日の時点で、彼女はとても相手…アーシェラを倒した2体の神姫、そしてそのオーナーに魅かれていたのだ。
「アーシェラを倒した実力……試してみたいなぁ」
最近は自分の名を聞いただけで萎縮する相手が多く、まったく戦闘にならない場合が多い。
たまには、思いっきり闘ってみたいのが本音だった。
「あぁ、早く知らせが届くと良いね」
主の語り掛けに、微笑で答えるヴァネイン。
知らない内に厄介な相手が増えている良い例である。
本編全く考えずに書いてしまい、自分の首を思い切り締め上げてますorz
さて、今日から本編を考え始めなければ…。
問題は、いつ出来上がるか解りませんが。
238 :
アネゴ書き:2006/10/18(水) 09:44:23 ID:moqJSJZX
「女性限定の大会?」
「そうですわ、三郎様」
いつもの三郎の部屋。
奈緒の持ってきた手作りクッキーを食べながら、奈緒はそんな話を切り出した。
「実はその大会の賞品はそこでしか入手できないんですよ。」
「ふーん、何が貰えるの?」
「これですわ!」
奈緒が差し出した紙には大会要項がびっしりと記入されており、その賞品は…
「上位5人には耐水素体とマーメイドユニット、優勝者にはマーメイドユニット(レインボータイプ)?」
「そうなんですわ!これをアネゴお姉様に装備して、私たち三人でお風呂なんかに入って…いやーん!」
くるくる回りながらドリーム入っている奈緒。
「で、アネゴと大会に出たいと。」
「はい、私は生憎神姫を持っておりませんし…アネゴお姉様、どうでしょう?」
アネゴは大会要項とにらめっこしている。
「三郎、これ非公式大会だからアタシも出られるよ。」
「………わかったわかった。で、いつやるんだ、その大会?」
奈緒が大会要項を見ながら答える。
「どうやら週末に熱海でやるみたいですわ。」
「や、止めよう!」
三郎の様子が急変した。ガクガクと体を揺らし、目が完全に泳いでいる。
「三郎…」
「三郎様…?」
二人が茫然とする中、三郎は部屋を出ていってしまった。
239 :
アネゴ書き:2006/10/18(水) 09:45:32 ID:moqJSJZX
「あんな三郎、初めて見るぞ?」
アネゴは心配して跡を追おうとするが、奈緒がそれを制する。
おもむろに携帯を取り出すと、どこかに電話をし始めた。
「もしもし、私です。すぐに調査してもらいたいことがあるの。週末の神姫女限大会と大木三郎様の接点を……ええ……メールでお願いするわ」
「奈緒、アンタすげぇな…」
5分ほど経って、奈緒の携帯が着メロを奏でた。
一人と一体が画面を覗き込む。
「おい、これは…」
「あらあら、まあまあ!」
三郎が部屋に戻ると、アネゴと奈緒はニコニコと笑っている。
「ど、どうしたの?」
二人は顔を見合わせると、優しく答えた。
「週末はゆっくり疲れを癒すことにしますわ」
「ああ、やっぱ熱海は遠いしね。」
三郎は安堵の笑みを浮かべた。
金曜深夜。
ぐっすりと眠っている三郎を抱える男が一人。
その男はゆっくりと三郎の部屋を後にした。
「ん……」
心地よい振動とともに目を覚ました三郎は……新幹線に乗っていた。
「おはよう、三郎」
「おはようございます、三郎様」
寝呆けた頭を必死に回転させる。そしてひとつの答えを導きだした。
「ま、まさか…」
「せっかくのお目覚めのところ悪いのですが、もう少し眠ってくださいましね。三枝。」
三郎の背後にいたサエグサと呼ばれた男は、三郎の首に手刀を振り下ろした。
「ここまで、するのか…」
三郎は再び闇のなかに落ちていった。
240 :
アネゴ書き:2006/10/18(水) 09:47:03 ID:moqJSJZX
再び目を覚ますと、目の前には奈緒の顔があった。
『ん…ひざまくら…』
三郎が包み込まれるような感触に思考を停止させていると、奈緒の肩に座っていたアネゴがニヤリと笑う。そういえば……
バネ仕掛けのように体を跳ね起こすと、辺りを見回した。
「熱海だ…」
「熱海ですわ」
「熱海だね」
「そしてここは…」
「そうですわ」
「俺の家だ」
目の前には「大木楼」と書かれた看板と、見慣れた古旅館があった。
「ここが三郎様のお部屋ですか…」
「ああ、離れだった庵を俺の部屋にしたんだ」
旅館の奥の特別客用の庵を自分の部屋に改装したのだ。
「なーんだ、結構部屋は片付いてるんだ。三郎らしくないな!」
アネゴが物色すると、伏せられた写真立てが目についた。
『お、なんか面白いもの発見!』
アネゴがそれを起こすと、そこには小学生くらいの三郎と、一人の少女が写っていた。
「おい奈緒、見てみろ!」
「あらあら、三郎様とってもカワイイ!となりの女の子は誰かしら?」
「ああ、それは幼なじみの良美ちゃんだ。」
アネゴがニシシと笑う。
「なーおー、くやしいだろー」
「ちょっと妬けちゃいますわ」
「そんなんじゃないよ、彼女は…」
三郎は肩を落とす。
アネゴと奈緒は顔を見合わせた。
その時、庵に一人の女性が入ってきた。
「三郎さん、お茶でもいかがですか?」
「ああ、良美ちゃん」
「良美ちゃん?×2」
驚く奈緒とアネゴに、さらに追い打ちをかける衝撃の事実を告げる三郎。
「紹介するよ。この子が良美ちゃん。俺の……母さんだ」
241 :
アネゴ書き:2006/10/18(水) 09:49:47 ID:moqJSJZX
30分後。
「つまり、三郎の親父さんが息子の同級生である良美ちゃんに手を出しちゃった、というわけか」
「ええ、そして高校卒業と共にここに女将として嫁いで来たというわけで…」
「うはぁ、そりゃ三郎も帰りづらいわけだ」
アネゴが笑う。奈緒はすまなそうな顔で三郎に謝罪する。
「すみません、こんな込み入った事情があったとは知りませんでしたので…」
「ああ、別に構いませんよ。いつかは分かることですし…」
良美が笑う。
「良美ちゃん、親父は?」
「旦那様はヒノキ林に籠もりましたから、しばらくは帰ってこないと思いますよ」
親父は風呂に使用するヒノキをわざわざ自分の目で見てから自分の手で切り倒してくる。
約2週間は帰ってこないのだ。
「それにしても、三郎様の一族は年下の女性がお好みのようですね」
不意に出た奈緒の言葉に三郎が茶を噴く。
「げほっげほっ、親父はともかく俺は違うって!」
「でもー、私13歳なんですけど」
奈緒の衝撃告白に凍り付く三郎。
「だ、だって、大学院在学だって…」
「ええ、飛び級で(にっこり)」
ランドセルを卒業したばかりの少女を抱いたという事実が三郎の時を停止させた。
そうさ、体型がちょっと幼いと思ったんだ。
けど俺、直に女の子の裸を見たことなかったんだ。比較対象がなかったんだよ。
「さぁ、夜は大会ですわよ!アネゴお姉様、がんばりましょう!」
「おーっ!」
つづく
242 :
アネゴ書き:2006/10/18(水) 09:53:28 ID:moqJSJZX
三部作その1投下完了。
次はコラボだ、大変だ。
皆さん、頑張ってくださいまし。
>妹襲来
ちょっとにぎやかを超えて、言動が目に付く妹様かな?
70です。
>>212のあとがきです。
一応、続きらしきものが出来たので投稿しました。
いかんせん慣れない事なので纏りのない駄文で申し訳ないです・・・
今更ながら恥ずかしいです。
またお邪魔するかもしれませんが、今日はこれにて失礼致します。
ぇーと、Gさんご要望にお答えしましたっ!
そしてゴメンナサイ(何
今回は15禁くらいかもですっ
「………長かった、交渉苦節ウンヶ月。1年間の全品半額カードと引き換えに、やっと手に入れたぞぉ!」
「マスター、何をそんなに喜んでるんですか?」
「!? いやジェニー、何でもない、なんでもないんだ
あ、ほらもうすぐ学校の始まる時間だろ。ささ行こうな」
「あ、ちょっとマスタぁー!」
「……ふぅ、やっとやかましいのが消えた。」
オレは店の億のパソコンで、やっと手に入れたディスクをそそくさと再生し始める。
ねここの飼い方、外伝 ホビーショップ エルゴの悪夢
「う〜〜〜〜に゛ゃ〜、もっとマタタビ酒持ってくるに゛ゃ〜〜〜☆」
「……・・・コレがねここちゃん……なの、か?」
パソコンの画面に映し出されたのは、全身真っ赤になり、べろんべろんに酔ったねここであった。
服は着崩れ、だらしなく足を組み、胸元などの危ないトコがチラチラと見え隠れしている。
「……いや、これはこれで……」
(2/2)
「ねここ、飲みすぎですよ。もうやめた方が」
「ユキにゃんも飲むにゃ〜☆アハハハ」
「んむっ!?ん……ぷぁ、ぅ」
そう言ってねここは一升瓶(神姫サイズである)ごと雪乃の口に突っ込む。
当然そんな事をしたらこぼれる訳で。
「あぅ〜。もったいないのぉ。ユキにゃんこぼしちゃ〜だぁめぇ〜♪」
妙に艶っぽい声になるねここ。
「あ、ちょっとねここ、何を……ひゃぁん!?」
「にゅふふぅ〜……ユキにゃんのニオイと混ざっておいしぃのぉ〜♪」
ぺちゃぺちゃと雪乃の首筋を丹念に舐めるねここ。
「や……んぁっ。ダメぇ……ちょ、そんなとこっ。はぅぅっ」
やがてほっぺやうなじ、唇までねっとりと丹念に舐め続けて。
「にゃ〜ぁ、ユキにゃんのここ、なんか尖ってるよぉ〜。食べちゃぉ」
「ぁ、ひゃぅん!?」
雪乃の胸にむしゃぶりつくねここ。最初は子猫が乳を吸うような感じだったのだが、次第にそれは愛撫へと……
「ひゃぅ、あぁん……あふぅ、ねこ……こ、私…もぅ………」
「にゅぅ〜、どうしたのかなぁ。ユキにゃ〜ん? 言ってくれないとねここ、わかんないよぅ」
「あそ…こ……を」
「あそこじゃわかんないよぅ?」
小悪魔のような表情をみせるねここ、普段からは想像も出来ないような淫靡な雰囲気を見せていて。
「私の……アソコを、虐めてほしぃのっ!」
半泣きになりつつ懇願する雪乃。
「にゃ〜ぁ☆ それじゃぁねここの舌で、たぁっぷりナメナメしてあげるのぉ♪」
ねここは雪乃の股を開かせると顔をそこに埋めて……
「おぉぉぉ……!」
ぐびっと息を呑むオレ。
と、その時
「マ〜スタ〜ぁ〜?」
「何を……見ているのですか、日暮店長ぅ?」
そこには鬼神のような表情をしたジェニーと雪乃ちゃんが……
「あ、いやあのこれはだなっ!?」
何とか言い訳しようとするオレ、というかジェニーさん何でいつの間にフル装備になってるんだ!?
オレの頭にドラグーンが当たるのは気のせいだよな、な!?
雪乃ちゃんもその……大型ライフルとバズーカなんて構えてこっちむけたら危ないってば!?
『覚悟はOK?』
「ひいいいいぃぃぃぃいぃぃぃ!?!?!?」
○あとがき
急に毒電波が降臨して30分程で書き上げてしまいました。てへっ
この後どうなったかは想像にお任せで(色々と)
なんか凄いスレ速度で今度も1000まで行けないことが確実ですね。
ところで、忍者娘って公式の呼び名ってありました?オンラインの方はマシンスペックが足りなくて泣く泣く放置しております。
本スレに貼られた忍者娘、公式に採用してくれないかなー。
>>248忍者はフブキ型のクゥですね。
というか、サイトのオンラインコーナーにあるSHINKI-NETだけでも読みましょう。
あれはいいものだー!(某マさん)
確か…忍者型MMSフブキかと。
ジャーナルでの名前はクゥ…となっていますね。
追記、SHINKI-NETジャーナル、でした。
相変わらず細かくミスる |||orz
素早い回答ありがとうございます。
以前このスレで見かけた忍者娘さんのFUBUKIというのを作者オリジナルかと思ってました。クールな感じでかっこいいなぁと。
SHINKI-NETジャーナル、見てきます。
253 :
SOS:2006/10/18(水) 22:05:09 ID:a2QIxc+i
第5話「白子とご主人様の戦闘準備」
1/3
「ご主人様にお願いがあります」
三人でのんびりくつろいでいたとき、白子が妙にかしこまって俺に声をかけた
「ん? なんだ? 改まって」
「実は私…。バトルに、参加してみたいんです!」
「ぎゃにぃい!?」
「し、白ちゃん!?」
まさか、こんな事を言うとは…
「黒ちゃんが毎日うなされてて、私たちにはどうすればいいのか分からない…」
「それは俺だって考えている。でも…」
「そんな、だって…。白ちゃんまで怖い目にあうこと無い!」
あわてて止めようとする俺達二人を白子はかぶりを振って静止する
「一杯、考えたんです。…私も、一度戦場に行ってみたら…何か分かるかも…」
白子が一瞬うつむくが、すぐにき凛と顔を上げ
「もう、決めたんです」
その表情を見て、俺も黒子も、白子の説得は不可能だと察した
しばし沈黙が流れ、やがて意を決したように
「ボクも、出る!」
「黒ちゃん!?」
「ボクが原因なのに、白ちゃんばっかりにやらせることなんてできない!」
俺は頭痛を感じたが、戦場の恐ろしさに立ち向かうことで黒子のトラウマも軽減されるかもしれない
そう思えば、俺に出来ることはたくさんある
「タッグマッチの部門もある。二人ペアで参加するのがいいだろう」
「ご主人様…!」
白子がとがめるような声を出す。過保護な部分がある彼女は黒子を止めるべきだと考えているんだろう
しかし、俺はそれを黙殺し、
「それと、二人に、新しい名前をつけてあげよう」
「ご主人様?」
「え? なんで?」
「せっかく試合に出ると決めたんだ。それなのに白子黒子じゃあまりにおざなりだろ?」
「あ、やっぱり自覚あったんですね…」
「じゃあ、ご主人様はボクが試合に出るのに賛成してくれるんだ!」
「ああ、いずれこういう日がくるかもと思って考えていた名前があるんだが、…マリンとアニタってのでどうだ? 白子がマリンで、黒子がアニタだ」
「マリンと、アニタ…ですか」
「いい名前です! 気に入りました!」
「そうか、気に入ってくれたか…。なら、お前達が史上最強の神姫として君臨できるような武装も用意せねばならんな…」
「は?」
「えっと?」
「クククク、待っていろ二人とも、俺が持つすべての技術を結集して究極の装備を開発して見せるぞ! フフフフフ、ハァーッハッハッハッハッ!」
「ご主人様!?」
「き、気を確かにしてください!」
なんか二人が心配していたが、俺は体中にやる気とアイデアが満ち溢れるのを感じていた
254 :
SOS:2006/10/18(水) 22:06:45 ID:a2QIxc+i
2/3
―――次の日の夜
「う〜、ご主人様遅い…」
いつに無く落ち着きが無い白ちゃん…じゃなかったマリンちゃん
確かにちょっと遅いけど、まだ電車一つ分くらいしか遅れてない
「マリンちゃん…探しにいっちゃだめだよ」
ボクは面白くなって、ちょっと意地悪な声を出しちゃう
それにマリンちゃんがぷぅ、と頬を膨らましてちょっと怒ったような声を出そうとした瞬間
バターーン! という、玄関を蹴り開けるような音が響き、
「ただいまぁ!!」
いつもと比べて異様にパワフルなご主人様の声が響く
昨日はひたすら紙にボクたち用武装ユニットの設計図を書きなぐって一晩明かし、
始発が動き始める時間には「早速上司を説得だ!」とか叫んで家を飛び出していったので非常に不安だったけど、一日中ハイテンションは続いたようだ
「マリン! アニタ! 所長を説得して、スポンサー契約を取り付けたぞ! これでうちの研究所が総力を上げてお前たちのバックアップを行う体制になった!」
急な展開に思わず呆れるボク。マリンちゃんは一瞬ふらついたが、すぐに気を取り直してご主人様に噛み付く
「何でいきなりそこまで話が大きくなってるんですか!?」
そんな言葉をご主人様は全く無視してまくし立てる
「二人のための武装も、マリンのは4日後、アニタのも8日でロールアウト予定だ」
完全新規設計の武装ユニットをたった4日で…。でも
「ボクのは後なの?」
「ああ、それだけでなく、マリンのはサード基準、アニタのはセカンド基準の出力になっているから、セカンド昇格まではマリン一人で戦ってもらう」
「ど、どうしてですか?」
「マリンちゃんだけ戦わせるなんて…!?」
「厳しいことだが、これはスポンサー契約の条件の一つだからどうにもならんことだ。ついでに3ヶ月以内にセカンドに昇格できなければスポンサー契約は打ち切られる」
「たったの?」
「一人でやるのに、それは短いよ!」
あまりに無茶な条件にボクは大声を出してしまう
255 :
SOS:2006/10/18(水) 22:07:24 ID:a2QIxc+i
3/3
「大丈夫、サードからセカンドに上がった最短レコードは1週間だ。まあ、シングルで、八百長試合の噂が耐えない奴だったが…」
ご主人様が優しく諭すように口を開く
「それに比べれば競技人口の少ないタッグなら3ヶ月くらいでいける、かもしれない」
「でも一人でなんて!」
「まって、アニタちゃん…。いいの、私やる。ご主人様が出来るって言ってるんだから、それを信じる」
「マリンちゃん…? だって戦うのって危ないんだよ! 怖いんだよ!」
「わかってる。でも、怖いものから逃げちゃ駄目なの。アニタちゃんもそれに立ち向かうって決めたんでしょ?」
「マリンちゃん…」
「大丈夫、サードはヴァーチャルが基本だから、危険は無い、はず」
無責任な事を言うご主人様
「ご主人様…!」
ボクは思わず咎めるような声を出してしまう。でもマリンちゃんはそれを制して
「アニタちゃん、ご主人様を信じられないの?」
「そうじゃないけど…!」
「そうだ、俺を信じろ。俺の何よりも誇れることは、技術力だ。この世の何よりもな」
そう力強く宣言するご主人様。ボクは長らく黙っていたけど
「…はい」
と頷くしかできなかった
「とりあえず、武装データは先行して完成させてきたから、これでヴァーチャルトレーニングできるぞ」
といって、押入れから訓練機を引っ張り出してくるご主人様。そんなの持ってたんですね…
「それと、これもだ。昔、知り合いの研ぎ師に遊び半分で作らせたものだが、本物の業物だ。これも信頼しろ。俺の次にな」
そういって取り出したのはボクたちには少し大きいけど、扱えないことはなさそうなナイフとマチェットだった。どちらも二振りずつある
「10分の1だから少し大きいかも知れんが、お前達用の武装は両腕に大型マニピュレータつきのアーマーが付くから、きちんと装備できるはずだ」
「ご主人様…、本当はボク達にバトルさせたかったの?」
「まあ、そういう気持ちも無くは無かったが、バトルにはあまり興味ないといわれて諦めていたよ」
そういって笑ったご主人様。いつも以上に生き生きしているように見えるけど気のせいだと思っておこう
「とりあえず、俺は出来る事をすべてやった。後はお前達に任せるよ」
「はーい!」
「ご期待に沿えるよう努力します!」
ご配送されて戦場に立ったときには感じなかった、ゆっくりと温まっていく高揚感。戦うのは怖いけど、ご主人様とマリンちゃんが一緒なら大丈夫
そんな気持ちがボクの心の奥底から湧き上がってくる。やっぱり、ボクも武装神姫なんだ…
その夜、久しぶりに、ボクは悪夢を見なかった
続く
次回「初陣」
所長をクロスカウンター相打ちで説得する情景を描写しようと思っていたのですが、
書いてみてあまりにも男臭かったのでお蔵入り
ちなみに、名前はこのシリーズを書く前に書いていたSSで使う予定だった奴です
それ自体はこっちに設定統合してお蔵入りにしました
ねここのマスターさんのSS
>>245-246に触発され、マタタビ酒ネタを即興で思いついたので投下!!
制作時間20分!!多分エロ無し!
第12話 「ジャロにマタタビ…?」
(1/2)
ここは俺がよく利用するホビーショップ『エルゴ』、そして俺と店長は、店内の奥に居る…。
「つまりネコ型MMSにマタタビ酒を飲ませると、性格が豹変する…と。」
「…ああ、しかも大概の場合、『エロく』なるようなんだ。」
「なるほど…いい情報をありがとうございます、店長。それで、その怪我は…?」
「…聞かないでくれ…。因みに、これがそのディスクのバックアップだ。」
「ありがとうございます日暮店長…では、これが対価と言うことで…。」
「確かに頂いたよ、毎度あり…。」
俺はディスクを頂戴すると、そそくさと店舗から出ようとした…と、
「あ、岡島さん。今日は早いですね…お仕事はもう終わったんですか?」
「(ぎっくぅ!)や…やあジェニーちゃんお帰りなさい、うん今日は出張だったんだ…じゃぁ!」
ぴゅぅ〜〜〜〜…
ダッシュで店を出る俺、きょとんとするジェニーちゃん
「…変な岡島さん。」
そして深夜…全員をスリープモードにしてじっくりとディスクを拝聴させて頂くことに。
ディスクに入っていたのは、マタタビ酒で酔ったねここちゃんとそのマスター、雪乃ちゃんの
あられもない姿だった。
もちろん…
美 味 し く 頂 き ま し た
ええ…俺も一応男ですから…。
そして翌日の土曜日…。
「ジャロ〜、ちょっとおいで〜♪」
「? なんなのだ?」
「美味しいジュースがあるんだ…飲む?」
「ジュース!?のむのだ!ほしいのだ!」
「そ…それじゃぁ…これがそのジュースだよ〜…ささ、飲んで飲んで。」
そう言ってラベルを剥がしたマタタビ酒をジャロに渡す。
「はいなのだ!んぐ…んぐ…んぐ…」
「お…おい…そんなラッパ飲みで…!!」
「ぷっは〜…………ぃ……。」
まぁ兎に角飲んだ…さて、どうなるのやら…?
(2/2)
と、
「はぁ…何だか気持ちよくなってきました…。」
あれ?
「あらら…?マスター、私の顔に何か付いていますか…?ヒック」
「いや…あの…ジャロ…さん?」
「はい…ヒック」
「何か…その…変な気分とかにはならない…の?」
「いいえ…むしろ頭がすっきししています…って、
き ゃ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ!!!!」
突然悲鳴を上げるジャロ…!な…なんだ!?
「私ったら、こんな裸同然の姿で何て恥ずかしい!もうお嫁にいけな〜い!」
そう言ってクローゼットに逃げ込むジャロさん。
「はぁ…これで安心です…ヒック」
そう言ってジャロさんは、ロングのスカートにポロシャツ、そしてエプロンという何とも色気のない装いで
再び現れた。
「さぁ、お掃除を始めなきゃ…ヒクッ」
普通に家事始めちゃったよ…。
どうやらジャロは、酔っぱらうとエロくなるどころか、清楚なお嬢様になってしまうようだ。
な〜んだ、つまらねぇの…。
その後、迂闊にもヴェル達にマタタビ酒の件とディスクの存在がばれ……
「マスタぁ…これはいったい何なんでしょうねぇ…(゚Д゚#)」
「マスター、小便は済ませたか?神様にお祈りは?命乞いをする心の準備はOK…?」
「マスター…祈る時間はくれてやる…さぁ踊れ。」
「あ…あの皆さん…その重武装は一体何なんでしょう…?つーかノワルさんも元の口調に戻っちゃって…ハハ…
は い ぃ や ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !!!!」
「うにゃ〜…もうのめないのだぁ…ZZZ」
そして一方、エルゴでも…
「マスター…性懲りもなくこんな物を……!!」
「い…イヤこれは岡島君がど〜しても見て欲しいって言うからあのディスクと交換…あ;
あ ぃ や ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !!!」
第12話「ジャロにマタタビ…?」
ギャフン
END
258 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 22:31:06 ID:s8CcvUhs
日時: 2006/08/08 12:18
名前: アバあき◆nsy0DcmY
膨大なログをざっと目を通しました。
前回は近場のログだけ目を通していただけなので全貌をつかめ切れていませんでしたが、私の言動がここまで皆さんを怒らせていたとは思いませんでした。
あまりにも浅慮にて軽率な行い、深く謝罪を申し上げます。
今回のことを省みて、今後は本スレには一切顔を出さず、画像の投下はwikiだけに自粛しようと思います。
私もやはり厨設定スレが大好きなので、私のせいで荒れてしまうのは心苦しいので、それには本スレに顔を出さないのが一番だと思いました。
謝って許されるようなことではないとは思いますが、申し訳ありませんでした。
それでは失礼いたします。
テメェのせいでSS大会もスレも大荒れした。シカトしてればすむと思うな。とっととどうにかしろ
>>256-257 何やら流出してる!?Σ(゜□゜;
それとえぇと、ちょっとツッコミで
>>ディスクに入っていたのは、マタタビ酒で酔ったねここちゃんとそのマスター、雪乃ちゃんの
あられもない姿だった。
雪乃はマスターじゃなくてハウリン型の神姫です、一応・x・
それに渡したのはお姉さんですのでそのシーンは削zy(ゲフゲフ)
>>259ねここのマスター様
あ…間違っちゃったよ…
'`,、'`,、'`,、'`,、( ´∀`) '`,、'`,、'`,、'`,、'`,、
…orz
いえいえ、イイデスヨー。
あと追記、そのディスクあの後の内容は記録されてないとか、ウィルス入ってて(ピー)
なことになるとか、そんなことは一切 あ り ま す か も よ ? (ぇー
ケータイで失礼。
マタタビ酒ネタ使わせてもらっていいですかね?
ネコ型にだけ効くとは限りませんから(=_=;)
今夜中に即興で書き上げます。
では〜
>>261 興紀「ほう…これが例のマタタビ酒を飲んで淫乱な行為に興じるネコ型MMSの映像…んん?」
部下「た…大変です興紀様!中央区画のスーパーコンピューターが暴走を始めました!」
興紀「…何をとまどっている!すぐにスタッフを総動員して原因を究明せよ!私も後で向かう!
(やっべ〜……さっさとデータとログ消去しとかなきゃ…;)」
…次回予告…
一枚のディスクが波紋を呼ぶ。
暴走する電脳空間。
閉じ込められる神姫達。
立ち上がる正義の剣士、十兵衛
苦戦する狙撃手、そこに主への怒りを秘めた破壊神が舞い降りる。
次回!<凪さん家の十兵衛さん>
第9話『GとJ』
次回もこのSSスレでファイナルフュー○ョン承認!!
と言うわけで、使わせていただきましょう!
ディスクネタの結末として!(爆)
ひゃぁ!? お風呂から上がってきたらなんか大変なことにw
○マタタビネタ完全フリー化宣言!(ヲィ
……というかウィルス云々で結末ネタ思いついたんですが、
面白いのでいつの間にかウィルスが勝手に進化しちゃたことにして
事前ネタバレだけこれから書きますw
と、言うわけで…エルゴのGをお借りいたします!
偶然にも十兵衛のJとガガガな勇者ネタで合う合う(爆)
小ネタ。猫はハッカでも酔うらしいですよ。犬ハッカという名前なのに猫が好きということです。
ただ猫よけにも使われる種類がある様子。
武装神姫のティア!?
「天使にマタタビ?」
俺は今、友人から回ってきた禁断のデータディスクをpcに挿入する瞬間だ。
聞いた話によるとこれにはマオチャオとハウリンの濃厚な絡みの映像が入っているらしい。
今は深夜三時。皆寝静まっている。
こんな時しか自分の欲望を発散させることができない環境が憎い。
コンテンツの再生が始まる。
マタタビ酒を飲んで一般に無邪気な性格のマオチャオが妖艶な顔でハウリンに襲いかかる。
首筋から次第に身体の各所を舐められ、もう我慢できなくなったらしいハウリンが股を開き、そこにマオチャオが顔を埋める、そして始まる至上最も美しいレズ映像。
はい、とってもおいしくいただきました。(=゜ω゜)ノ
ふと思う。
いつも女王様なティアが飲んだらどうなるのか?
リンが茉莉と買い物を行った間にティアを呼び寄せ、飲ませた。
すると……
「ご主人様ぁ、私なんだか身体が熱くなってきましたわ」
いたって普通の反応だ
と思ったら、数分後、豹変。
「おい、亮輔。茉莉とはどうなんだよ、ちゃんとあたしらの隙をみてちちくり合ってんのか、あぁ?」
なんか俺絡まれてるんですが…どこかのアネゴさんですか?
また数分後、
「主、人生というものは長く険しいものだ、そもそも…」
今度は真・十兵衛さんでしょうか?
「亮輔、茉莉はもうセーラー服から卒業したのですよ、」
「ですから、亮輔。
茉莉ちゃんも大人です。きっとわかってくれますよ」
「だから、ブラボーもアルファももう限界だ、なんとかしてやれよ」
上から、ココちゃん、白子、チャーリーとどこかしらの神姫が乗り移ったトランス状態のティアに促されて、俺はある決断をしたのだった…
ケータイで打ったので短いです。
スミマセンでした
もちろん、ことが済んだあとでディスクは発見され。
その後は他のマスターさんたちと同じ目にあわされましたとさ
end?
マタタビネタが広がるようで何より(*ノェノ)
で、裏の事情編です。と言っても今となっては只の発起点ですがw
ねここシリーズ外伝 マタタビ酒の真実!?
都内に広大な敷地を持つ、黒姫邸。
その離れの一つ、そこが宗主の孫娘であり、時期宗主とも言われる鈴乃の部屋である。
しかしその室内、特にその一角は外見の純和風とはかけ離れた内装をしていた。
研究所も真っ青なスパコンで埋め尽くされており、
中央には豪華な可動式の椅子に座り、ディスプレイ画面を見つめる少女、鈴乃がいた。
その画面はツイン式になっており、左の画面にはねここと雪乃のあられもない姿(例のディスク画像である)
右の画面には、男が椅子に座ってハァハァ(´д`*;)をしている場面が映し出されていた。
「うふふ、また一匹獲物がかかったようね」
ワイングラス片手に満足げに微笑む鈴乃。
「アガサ、よくあの映像を録画保存しておいてくれましたね。感謝を」
それは普段の鈴乃を知っている者からは想像できない、悪魔の禍々しい微笑だった。
「……あら、この男…何処かで。嗚呼思い出した、この前ファーストリーグで対戦した男ね。
名前はそう……オカジマ……とか言ったわね。」
「うふふ……今度対戦する時にでもそれとなく言ってみましょう。
子猫ちゃんと子犬のお味はどうでしたか、とね……どんな反応するか楽しみですわ」
そう、あのディスクにはウィルスが仕掛けられていて、再生した機器のWebカメラ等の映像記録装置
(なければ音声装置)を乗っ取り、再生時の当事者の様子(つまり主にハァハァ(´д`*;)の様子)を録画し、
鈴乃の元へ送るという、悪趣味極まるウィルスが仕掛けられていたのだ!
しかもウィルス探知を回避する自己進化型プログラムが組まれてる上に、データの初回再生時にのみ
その機能が働き、データ送信完了後はウィルスプログラムが自己崩壊するというオマケ付である。
その時ピーッ、ピーッ とスパコンからシグナルが出る。
「………あら、エラーコード。自己進化プログラムが異常進化中、現時点で鶴畑のトコのスパコンを暴走させる、と」
んー、と少し悩む素振りを見せてから
「ま、誰かがそのうち処置しますでしょ。私は目的を達成できたのだから、構いませんのよ」
……彼女はそういう人だった。
イェア!素晴らしい。質も量もとにかく素晴らしい。
負けじとこちらもネタ拡張&ネタ振り編投下ですよー。いきます
新しい朝が来た、希望の朝だ。ってなモンで今日はホビーショップエルゴの棚卸し日である。
普段は早めに店を閉めて棚卸をするのだが、今回はちと大掛かりのため臨時休業と相成ったのだ。
「うしっ!始めるかぁ」
頬を軽くたたいて気合を入れる。ジェニーも今日だけはジェネシス姿でお手伝いだ。
さぁ、今日は忙しい一日になりそうだぜ。
その時だ。唐突にシャッターを叩く音がする。誰だ、こんな朝に。
「すいません、今日は臨時休業なんですが…どのようなご用件…っで!?」
その時、俺の脳内では確かに室井管理官のテーマが流れていた。
…シャッターを開けた向こうに立っていたのは年のころ20代後半、黒いスーツに胸元全開、染めたと言わんばかりの
痛んだ金髪をポニーテールに束ね、ケバケバしいファー付きコートにピンヒール、さらにサングラスまで装備した女だ。
「久しいじゃないかG。元気にしていたかn…」
全力でシャッターを降ろす。が、その抵抗は女の片腕一本で容赦なく防がれた。
「おいおいっ…つれないじゃ…ないかっ!?せっかく遊びに来てやったというの…にっ」
「帰れ!今日は忙しいんだよっ。お前の相手はっ…してられないんだっ、D!」
シャッターを降ろす力と上げる力が拮抗し、鍔迫り合いのような緊張感を生む。ええい、さわやかな朝を返せ。
この女は通称「D」今まで何度も激戦を繰り広げてきたライバル…という事になるんだろう、不本意ながら。
セカンドリーグのチームバトルに君臨し、表裏を問わずバトルを生きがいとする現役ランカー。
そして、報酬次第で汚れ仕事もこなす裏稼業の傭兵神姫使いである。
Dフォースと呼称する改造神姫小隊を従え、望むがままに戦乱を飲み干す姿はまさに悪鬼。
「破壊大帝」なぞというどっかで聞いた二つ名まで持つ俺の宿敵だ。何よりコイツは…
「マスター、そろそろ始めませんと……あら?秋奈さん。お久しぶりです」
奥から現れたジェニーが明るく声を掛ける。
そう…何よりコイツは…俺の実の姉なのだ。
日暮 秋奈。近所の高級マンションに住む職業編集者、副業エロ作家な俺の姉。全てにおいて俺の師匠である女。
ただ、無類の快楽主義者でバトルマニア、ダークヒーロー主義のこの姉と、ヒーロー主義の俺の争いは絶えた事が無い。
神姫に対するスタンスでも交わりそうで交わらない平行線を行く間柄である。
そして、Gとしての俺の最初の敵でもあった。
…違法賭けバトルに興じる連中の神姫誘拐事件を追う俺の前に現れた女。それがDだった。
「おまえファミレスの深夜バイトだったんとちゃうんかいっ!?」と思わず叫ばずには居られなかったあの日の夜。
結局、姉貴…Dのフリーダムっぷりにほとほと嫌気が差していた連中の裏切りにより勝負はうやむや。
連中は俺と姉貴の両方を敵に回し(主に姉貴によって)壊滅的な被害をこうむったのだった。
「強い光はより濃い影を作り出す…また会おう、G!」などとお決まりの台詞と共に去っていくDと家の玄関前で鉢合わせた時には
おもわず殺意もわいたが、正義の味方など始めた俺を指差して笑いつつ「それでこそ我が弟」とうそぶく姉に、何も言い返せ
なかったのも思い出の彼方。
無論その後も事あるごとにその場のノリと勢いで暴れる姉ことDと激戦を繰り広げる事になったのは言うまでも無い。
気が付けば、Gとして関わった事件の2割はD絡みだった気すらする。
ワガママでオタクで芝居がかってて派手好き、ドSでドMでトラブルメーカーで…とにかく間違いなく俺の天敵なのだ、コイツは。
「で?姉上の来訪を蹴ってまでの用事とは何だ、愚弟」
「つーかマジで何しに来やがったこの極楽トンボ」
肩で息をする俺とは対照的に息一つ切らさない姉貴。くそう、体力勝負じゃ勝ち目は無いか。
「父さんが夏彦のとこにじゃがいも送ったから取りに行けと」
親父の仕業かぁぁぁぁぁぁーッ!!
「台所にあるから持って失せろ。こっちは棚卸で忙しいんだっての」
「棚卸ね…こんな朝からそう急くような用件とも思えんが」
帰る気はさらさらないらしい姉の呟きに溜息をつきつつ答える。
「神姫のバトルシステムをバージョンアップして数増やしたんだよ。二階全改装して」
「ウチのお客さんも増えてきたし、セカンドリーグ登録者もぼちぼち増えてきたからな。店としては利益を還元せにゃ」
店内を見回す姉が納得したように頷く。
「そういえば筐体が無いな。しかし、上の商品はどこに陳列するんだ?ここにはそんなスペースなかろう」
説明めんどいなぁ…俺は店内レイアウト図をPCに表示しながら解説を始めた。
「いいか?コレが予定図な。先ずは一階から」
「入り口がココ、レジがココ。神姫関連商品は入り口から見て右側に配置」
「…一階の七割じゃないか。下手なコンビニよりデカイぞ」
「ウチはそういう方針です。んで、レジの前がジオラマスペース。今は神姫の教室だけど、休校日とかはイベント仕様に
改装してる」
姉貴の突っ込みに怯まず切り返す。…いいじゃないか、実際お客さん喜んでるんだし。
「イベント仕様?」「正月は神社とか夏場はプールとか」
「お前のような馬鹿な弟を持って姉さんは誇らしいぞ」
「呆れられないのは気分的に助かるが、妙な気分だ、その反応は」
こちらの肩など叩いてくる姉貴をなんとも言えない表情で見詰める。
「んで、左側が玩具模型の新商品コーナーと二階への階段な。次二階」
マウスを操作してもう一枚のレイアウト図を表示する。
「こっちはレイアウトはだいぶ簡単だけど。センターに大型モニタ、筐体が6台。これで3on3までは対応できる」
「ま、本格的なセンターにゃ勝てんけど、ウチの規模の精一杯ってトコだな」
「また随分張り込んだな…儲かってるのか?この店」
驚いたように尋ねる姉貴に誇らしげに答える。
「神姫関連の営業努力が実ってか結構評判良い。こないだなんか15万円分も一気買いしてくれる有り難いお客が来たし」
「…罰ゲームじゃないのか、ソレは」
「確かに尋常な雰囲気じゃなかったが。プレゼントとかじゃないか?」
「まぁ、イベントに行けばそのぐらいは使うか。遠出してきたのかも知れんしな…」
思案顔の姉貴。そんなにウチの売上が不思議か。
「ランカーの常連さんとかも多いんだぜ?姉貴が対戦した相手も来てるかもな」
「表の個人バトルには偶にしか出ないからな。…面白いヤツが居るなら戦ってみたい物だが」
姉貴のDフォースは洒落にならない程強い。姉貴の趣味的なスタンスのせいでセカンドを抜ける事は無いが実力だけなら
ファーストでも通用すると俺は思っている。…だからなおさら真っ当に生きて欲しいんだが。
「そういや今日は…Dフォースの連中居ないのか?」
店内を見渡す。いつも勝手に入り込むからなあの連中。
「ベルセルクだけ連れて来ているよ。警戒されては適わんから散歩させてる」
なるほど。ベルセルクってのはDフォースのリーダーで剣術仕様のストラーフだ。
「雷龍剣」(サンダーソード)のD-ベルセルクと言えば個人バトルでも名の知られた上位ランカーである。
我が姉ながら所属機の装備に四聖獣の名前とか何とも厨臭い。ちなみにベルセルクは青龍。いや、人の事言えんケド。
「何か今…失礼な事を考えていなかったか?愚弟」
不審げな姉貴の突っ込みが入る。やべ、顔に出てたか。
「さてね、んで、説明の続きだけど後は順番待ちや休憩の為のラウンジにスペース割いてるくらい。後は自販機と端末かな」
「一回のレジ横にも同じ物置いてるんだが、リーグ用の端末以外にウチの商品注文用の端末を置いてみた」
「商品注文用端末?」
頬杖ついて聞いてくる姉貴。何リラックスしてんだオイ
「さっき姉貴が突っ込んだ通り、ウチにゃ展示スペースに限りがあるからな。欲しい商品を検索するシステムってワケ」
「注文が確定されると奥のバックヤードからキャリーロボが商品を持ってきてくれる。本来はトイジャラスみたいな大型店用の
システムなんだけど」
「ウチの店員は基本俺とジェニーだからな…足りない分はテクノロジーでカバーだ」
「なるほど…色々考えてるワケだな。感心感心」
説明を聞いた姉貴が満足そうに頷いて顔を上げる。
「どれ、感心ついでに一つ手伝ってやろう。偶には家業の手伝いも悪くない」
「いや、いいからとっとと帰ってくれ」
「そう言われるとムクムクと労働意欲が湧くな」
ダメだ、コイツがオレの意図通りに動くことなんぞ無いらしい。
「お前も手伝ってやれ、ベルセルク」
「ヤー、ボス」
何時の間にか陳列棚の上で腕組みしている青い神姫が居た。無表情にこちらを見下ろすコイツこそがベルセルク。
姉貴お手製のコート型ジャケットアーマーを身に纏い、腰にビームソードを二本差すその姿はまさに剣士。
「ひさしぶりじゃねぇかベルセルク。調子はどうだ?」
「まずまず。ボスのメンテは完璧」
無表情で答えてくる。むぅ、相変わらずクールなヤツ。しかし愚弟言うな。どいつもこいつも。
「あら、ベルセルク。居たの?」
奥からモップ(神姫サイズ)片手に現れたジェニーをベルセルクが一瞥する。
「…無様」
「何とでも」
意に介さない、という風に横を通り過ぎて掃除を続けるジェニーに憮然とした表情を返すベルセルク。
こいつら…仲悪いのかそうでもないのか解らん。
「さて…んじゃ、オレはネットワークの点検するから姉貴、商品陳列頼む。パクるなよ」
「誰がパクるか。一段目表はホビー誌、雑誌、神姫専門誌…書籍か。エロ本は置かんのか?」
さっそくかい。アホ姉貴。
「志村ー、ウチ玩具屋」
「フム、たまには姉の印税生活にも貢献してみたらどうだ」
「神姫エロで一発当てたエロ作家の漫画を神姫ショップが置けるか。空気嫁」
オレと姉貴の遣り取りは基本的に万事これである。まぁ、仲が悪くは無いんだろうが…微妙だ。
「ジェニー、クレードルに接続してくれ。新型のマクロ試すから」
「はい。マクロですか?」
ジェニーのアーマーを外し、クレードルに接続してシステムを走らせる。
「ああ。大明神モードじゃレジが打てない言ってたろ。確かにそうだからネット閲覧以外に改良をな」
「ああ!そうですよ、前回はたまたま静香が居てくれたから良いような物を」
「反省してるって。だからクレードルからレジ操作出来る様にマクロ組んだんじゃないか。どうだ?」
ジェニーが意識を集中すると、画面上に数字が現れ、オペレート通りにレジが動く。おし、成功。
「大丈夫みたいです…でも、コレって素体用意した方が早いんじゃ?」
ジト目で呟くジェニーに、一段目の陳列を終えた姉貴まで加わる。
「なんだ、未だに素体を買ってないのか?もう何年だ」
「いいだろ。俺はあの姿にも愛着持ってんの」
「ダルマ萌えか。変態め」
「お願いだから少し良識を持て。アンタは!」
我が姉ながら頭を抱える。置いといて。
「生徒のみんなもオレも、大明神様は大明神様で好きなんだ。ま、頼むよ」
「…しょうがないですねぇ。また、誤魔化されてあげます」
システムを終了させて伸びをしながら立ち上がったジェニーが、ウインクしながらそう言って。
…サンキュ。心の中でそう呟く。
「…見せ付けてくれるじゃないか」
ニヒルに笑いながら空気の読めない人がチャチャを入れる。
「あー…こほん、陳列進んでねぇじゃねぇか。ちゃんと働け」
さくさくとスルーして俺も陳列に向かう。
「一段目裏が雑貨、二段目が表衣服、裏武装、三段目が本体と拡張パーツ。んで、側面が大型関連、奥が
ウチのオリジナル商品だ。んじゃ、総員状況開始!」
『イェッサー!』
俺たちは其々散って商品陳列を始める。
「随分と良い服扱ってるな…種類も豊富だ。こっちの趣味にも目覚めたか?」
「専属のデザイナー兼バイトの子が居るの。ドキドキハウリンのマスターって言えば解るか?」
「ああ、あの有名人がね…かなりの美少女らしいじゃないか。そろそろ三次元にも目を向けてはどうだ?」
「ッ!!あのなぁ、彼女はウチの大事なお客さんでデザイナーさんなの。妙な勘ぐりやめい」
盛大に噴き出す。何を言いやがるかこのアマ。
「しかしいい年になって童貞もツラかろう?早い者は10代前半で経験すると言うぞ?」
あーもー、こいつは何故にコレ系の話好きかね。うんざりしつつ其方を見るとジェニーが口を挟んだ。
「マスターは童貞なんかじゃありません…素人童貞です!」
ジェニィィィィィッ!?お前もかぁぁぁぁぁぁっぁぁっ!!!
「9849」
肩など抱きつつ姉貴が目を光らせてくる。もうほっといて下さい…orz
こうして何かを失いつつ俺達の商品陳列は終わった。現在は二階の清掃とバトルシステムの試運転をしている。
「ジェニー…オレは今夜お前を銅像色に塗るかもしれん」
「ごめんなさい…いや、悪気はなかったんですよ…?」
何かを忘れるようにマニュアル片手に作業するオレにジェニーが恐る恐る声を掛ける。
「男が細かいことをグダグダと。器が知れるぞ愚弟」
「お前のせいじゃぁぁぁぁっぁぁ!」
一声叫んで息を吐く。まぁ、確かにしょうがない。
「はぁ。姉貴、ベルセルク…仮接続してシステム不具合チェック頼む」
「了解」
姉貴が慣れた手付きでベルセルクを筐体に接続する。合図を受けて診断プログラムを走らせ。
「どうだ?ベルセルク」
「問題ない。システムオールグリーン」
よし。ネットワーク関連も正常だしこれなら明日から無事に営業できそうだ。時計を見れば午後六時を回っていた。
「うわ、昼メシも食わずにこの時間かよ。結構掛かったなぁ」
「姉の協力に感謝したらどうだ、愚弟」
「はいはい、助かりましたよ」
「んで、メシどうするよ?食ってくにしてもロクなモンねぇぞ?」
「甲斐性無しめ。仕方無い、奢ってやろう。私の車でファミレスにでも行くぞ」
「じゃ、それで。代金はオレが出すよ」
大きく伸びをする。やれやれ。結局忙しない一日だったぜ。
「ん?ベルセルク…どした」
無言でランカー検索を行なっていたベルセルクがオレの声に顔を上げる。
「…何人か興味深い神姫を確認。ボス、シングルバトル許諾を要請」
「ほう。眼鏡に適うのがいたか。許可する、挨拶に行け」
無言で頷くベルセルク。その顔が微かに笑っているように見えた。
高層マンションのベランダ…此処からは月が良く見える。
私は、風を受け、月を浴び、まだ見ぬ戦いに焦がれていた。
私は戦う事が好きなのだと思う。あの高揚感、クロックの高鳴る音、身体中を駆け抜けていくパルスと熱。
戦いたい。志持つ者と、強き者と、力持つ者と。
戦いのカタチは一つでなく、戦いの意味も一つではない。
その全てが愛おしい。高潔な物も、愚劣な物も。
(十兵衛…ねここ…エスト)
興味を覚えた神姫達の名をメモリーに刻む。
さぁ…最初は誰に会いに行こう…?
男には、危険と解っていても立ち向かわねばならない時がある。
とりあえず、ジェニーは疲れて先に寝た、アホ姉貴は家に帰った。
オレを遮る物はもうどこにもない…先ずは準備だ。入念なチェックこそがイザという時に生死を分ける。
ティッシュはドライとウェット、二種類を用意…エビオス錠も飲んでおこう。
音洩れなんて初歩のミスは許されない…ここはこのとっておきの高性能骨伝道イヤホンの出番だろう。
ソロテクニックに自信が無いわけでは無いが…気分を変えたくなる可能性はある。ぬかる気は無いぜ。
こっそりと、クローゼット裏の隠し扉から秘蔵のグッズを取り出す。オレはアダルトトイに置いても頂点に立つ男だ…
さぁ、後は今夜のメインアイテム。現在神姫アイドルランキングで爆発的な人気を誇るねここ嬢&ゆきのんの流出映像。
さらには同士、岡島君から提供されたマル秘ディスクさえもがオレを妖しく誘う。今夜は熱い夜になりそうだ。
しかし、オレの脳裏はこの官能の宴を前にしても驚くくらいにクリアな思考を保っていた。
いや、それでいい。クールだ、クールになれ日暮 夏彦。氷の様に冷静に、そして炎の様に熱く。完璧だ。
「さぁ…逝こうぜ、ブランドン」
茜色に燃えながら駆け出すビジョンすらリアルに感じつつ、オレはドライブの再生ボタンを押した。
・
・
・
その瞬間世界が白く染まった事、どこからともなくヴェステージが聞こえた事…吹っ飛ばされて腰をしこたま打った事…
断片的に思い出しながら、オレはベッドに横たわっていた。
バイザー越しで表情も伺えないジェニーがリボルケイン片手にこちらを見下ろしている。
…そういえば「クール」って死亡フラグだったよ畜生。
恐怖と腰痛から逃れる為にわざとらしく寝返りを打つのと必殺のリボルクラッシュ(柄)が炸裂するのはほぼ同時だったという。
だが、私は謝らない…グフッ…
最後の一つは先程書き足しました(笑)
ディスク事件の顛末はチアキ氏の作品を楽しみにしつつ。
しかしこのスレを見ていると夢が膨らみますな…ネタを考えつつまた!
さぁ、次は感想だ!(笑)
282 :
ダメ師匠:2006/10/19(木) 00:18:23 ID:WcjGjiKX
1日開いただけで大変な事になってるみたいですね。
相変わらず神姫の出番が少ない気がしますが、エルゴへ寄らせてもらいました。
そしてマタタビは無理かなーと思って書いてた矢先に真実が出てガクブルですね。
威厳を見せ付けるためとはいえ、腕を酷使した代償は筋肉痛という形となって現れた。
そう、筋肉痛が悪いのであって決して俺が不器用なのではない。
マント作りの過程で残骸となった哀れな元・布を横目で見つつ、誰も居ないのに言い訳する。
既製品は避けたいよなー、見た目が地味だし。
「ホビーショップエルゴ?」
『そう、エストちゃん用の武装を発注しておいたから取りに行って欲しいんだ。』
「勝手にそんな事してたのか。でもまだ初対面の人と話せるか怪しいぞ?」
『大丈夫大丈夫、きっと店長と趣味が合う筈だよ。』
「無駄を承知で聞くけど、領収書貰っておいたら経費で落ちる?」
『落ちる訳無いじゃない、うさ大明神様にもよろしくー』
あ、電話切りやがった。
自分からかけてきておいて、しかも事後通達とは相変わらずだ。
最後に聞こえた怪しげな単語も気になるし、行ってみますか。
「やっと着いた〜。」
肝心の場所を聞きそびれたせいで道に迷っただけで、断じて方向音痴では無い!
心の声とはいえ、最近どうも独り言増えたな。
「いらっしゃいませ。」
「あ、あのー、神姫用の武装を発注しておいたとか何とか・・・ゴニョゴニョ」
やっべ、誰の名義で頼んでたのか聞いてない。
「肩で腕組みをして踏ん反り返っている神姫を連れている、と多分コレじゃないかな?」
どうやら(主にエストの)特徴が伝えられているようだ。
「それじゃ注文に見合った品か確認してもらえるかな。」
渡された武器にはメモが添えられていた。
”片手剣タイプの神姫用武器で耐熱・高硬度、内部は振動が反響するように見た目は趣味に任せます。”
うを、コイツはリボ○ケイン!!
2人の漢が無言で熱い握手を交わす。
電話の意味はこういう事か、珍しくGJだ。
「伝言で、店長とうさ大明神様によろしくとの事です。」
胸像状態のヴァッフェバニーが鎮座しているが、恐らくこの神姫が大明神様なのだろう。
一瞬大首領様が頭に浮かんだのは心に留めておこう。
ついでだし他にも色々買っておくか。
「エスト、気に入った物があったら言うだけ言ってみろよ。気分次第で買ってやる。」
「師匠がそんな事を言うなんて熱でもありそうですね。」
「あくまで気分次第だからな、とりあえずテンションが下がったのは確実だ。」
結局エストが選んで来たのはオリジナルのマントらしく、デザイン的にも申し分の無い物だった。
じゃあ料金を支払って今日は帰るか。
「また近いうちに寄らせてもらいますね。」
「色々と話せそうだし楽しみにしているよ。」
何やらデータディスクの購入も勧められたのだが、今回はパスだ。
帰り道、エストはずっと車の中でリボル○インの素振りをしていた。
わざわざコレを発注するって事は、やっぱり例の必殺技に無理があったから改良しろって事か。
まあいい、マント作りからは開放されたし日曜にでも久々にセンターに行って、自分で考えさせよう。
あー、晩飯何にするかなー・・・
283 :
ダメ師匠:2006/10/19(木) 00:21:58 ID:WcjGjiKX
ハッハッハ、まさかこんな一瞬でリボルケインがかぶるとは創世王でも思うまい orz
話に合わせて神姫を弄ると時間がかかるかかる;
明日ぐらいにでも画像掲示板の方にエストが晒せそうな感じにはなってますんで、そろそろ誰かにぶっ倒されようかと思います。
斬りたい人居たら教えてください。
感想書く体力あるかな・・・
Gの人私を悶え笑い死にさせないでくださ・・・い(バタリ)挨拶
で、訂正というか追記と言うか
>>しかもウィルス探知を回避する自己進化型プログラムが組まれてる上に、データの初回再生時にのみ
その機能が働き、データ送信完了後はウィルスプログラムが自己崩壊するというオマケ付である。
これだと初めの1人にしか効果がない(汗)ので、
>>しかもウィルス探知を回避する自己進化型プログラムが組まれてる上に、データの初回再生時にのみ
その機能が働き、データ送信完了後はウィルスプログラムが自己崩壊するというオマケ付である。
更にコピーの際一定確立で(数が多すぎるとスパコンの受信容量がパンクする)
メインデータ内のトロイから再度ウィルスデータが発生するように仕組まれている。
に変更します|||orz
つまり『必ずしも見られちゃうわけでもない&コピーではなく貰ったディスクであれば問題なし』
と言うわけですので微妙に安心してご覧ください(核爆発
285 :
アネゴ書き:2006/10/19(木) 02:28:45 ID:+anIfI/T
女性限定神姫バトル、熱海大会の会場。
事前にチェックしたのだが、この大会に関しては情報がまったく流出しない。
男子禁制、完全シャットアウトの大会なのだ。
俺は奈緒の強大なるコネでなんとか入ることができたのだ。
「おおう、こりゃ壮観だ…」
中には30名を超す女性マスター達がひしめいていた。
鼻の下を伸ばす三郎のこめかみにアネゴが正拳を見舞った。
「…以上で挨拶とさせていただきます」
女性主催者の挨拶が終わり、選手達は更衣室に向かう。
「ん?なんで更衣室なんだ?」
選手退場と共に会場が整備されていくが、そこには見たことのある机が次々と運び込まれている。
「ま、まさか…」
着替えおわった選手達が再入場してくる。その姿は…
「ゆ、浴衣……」
そう、マスターと神姫による卓球のダブルス。
これは温泉卓球バトルなのだ!
「三郎様、どうですか?」
髪の毛をアップにした浴衣姿の奈緒が目の前でクルリと回る。
三郎は思わずギュッと抱き締めてしまった。
「奈緒さーん、とってもカワイイよう…」
「おい三郎…アタシは…どうかな?」
振り向くと、アネゴも神姫用の浴衣姿に大きなラケットを抱えて、恥ずかしそうにそっぽを向いている。
「神様、この大会に巡り合わせてくれたことに感謝いたします!」
286 :
アネゴ書き:2006/10/19(木) 02:29:58 ID:+anIfI/T
1回戦。
「いいか奈緒、格好いいところを見せて三郎をドキュンしてしまえよ!」
「ええお姉様、頑張りますわ!」
二人はニヤリと笑う。
「温泉宿での妊娠率は通常の倍以上…」
「13歳の母ってか。三郎を右往左往させてやろうぜ」
三郎はひときわ威圧感のあるテーブルに目がいった。
「あれは…」
とんでもなくけしからん物をお持ちになっている女性だ!。
「アーシェラ、やってしまいなさい!」
「ナミコ、卓球は交互に打たなければ…それに私の姿、エリマキトカゲのようです」
副椀のせいで浴衣がめくれ上がり、小林幸子状態だ。
それ以前にあのペア、ルール分かってないよ。すでにジャッジに注意を受けている。
しかしそんなことはどうでもいい。
『弾む、弾む、ばいんばいん!何かを挟もうばいんばいん!』
三郎の目は鷹のように獲物である巨乳を見続けていた。
「どりゃああああっ!」
アネゴのラケットが唸り、その球を受けた神姫とラケットを吹き飛ばす。
「どうだ三郎!殺人スマッシュだ!」
しかし当の三郎は一点を凝視し続けていた。
「あのやろ、完全に妄想入ってやがる…」
奈緒の顔が曇る。
『やはり殿方は…大きいほうが好きなのかしら…』
自分の胸を見下ろすが、その起伏はほとんどない。
そんな奈緒の気もしらず、三郎ははだけそうではだけない浴衣の襟を念力で動かそうとせんばかりの眼力で凝視している。
『ずるっと、ずるっと剥けてくれ!』
287 :
アネゴ書き:2006/10/19(木) 02:35:02 ID:+anIfI/T
2回戦。
「ああ、あそこの娘いいなぁ。静香…しずちゃん?」
名前からして男の夢を具現化している。
ああ、あの少女の風呂場に偶然入ることができたならどんなに幸せだろう。
あのハウリンも風呂に一緒に入ってるんだろうか?
将来はダメ男と結婚したりするんだろうな…
「ココ、サポートお願い!」
「はいっ!」
目の前で優雅にラケットを振るうその少女の唇から目が離れなかった。
「エレガントスマッシュ!」
奈緒の打った球はすさまじい回転で相手のコーナーに突き刺さる。
アネゴは唖然として立ち尽くしている。
「すっげ…」
「三郎様、奈緒の活躍見てましたか!」
奈緒の視線の先には明後日の方向を見ている三郎がいた。
『うう…三郎様に興味を持ってもらわないと!』
奈緒の目が嫉妬で燃えている。
「おっとりしててもスポーツできちゃうんだ…」
「愛の力、というものですわ」
いや、それはないだろ。
アネゴはこっそりツッコんだ。
288 :
アネゴ書き:2006/10/19(木) 02:36:09 ID:+anIfI/T
3回戦。
これに勝てばベスト4である。
しかし、アネゴと奈緒の前に現われた敵は…戸田静香嬢とココである。
「あれは…しずちゃん!」
一度も会話していないのにすでに勝手にニックネームまで付けている三郎である。
「わ、私だって「奈緒さん」としか呼ばれてないのに…」
奈緒の背後から怨の字が乱れ飛び、三郎からは悶の字が乱れ飛ぶ。
嫉妬フィールドと煩悩フィールドがせめぎ合う様に、静香は肩を震わせた。
「ココ…何か背筋にうすら寒いものを感じるわ」
試合は一進一退、皆がその勝負に見とれている。
アネゴもココもレーザーライフルでの撲殺を得意とするパワー系神姫だ、そのスマッシュは重い。
対してマスターである奈緒や静香はテクニック系、プレイスタイルが同じなのだ。
しかし、ひとつだけ違うものがある。
「ああっ!」
奈緒がわずかに球に届かず、ポイントを失う。
そう、奈緒と静香はリーチが違うのだ。
徐々に点差を広げられる。このまま勝敗がついてしまおうかというその時、事件が起きた。
パツン!
静香嬢から何かの切断音が聞こえた。
「きゃっ!」
静香嬢がへたりこみ、アネゴがスマッシュを決めた。
「ふふふ、作戦大成功」
アネゴはにやりと笑った。
289 :
アネゴ書き:2006/10/19(木) 02:37:20 ID:+anIfI/T
ココと静香がリーチの短い奈緒を狙ったように、アネゴと奈緒は静香を左右に振り、その運動量を上げていたのだ。
その結果、豊満な胸の挙動に耐え切れなくなったブラのフロントホックが壊れてしまった。
対する奈緒は貧乳のスポーツブラ、そんな心配は微塵もない。。
「温泉卓球にタイムアウトは無い!アタシ達の勝ちよ!」
勝利宣言をするアネゴ、しかし静香も食い下がる。
壊れたブラを外し、放り投げる。
「まだよ、まだいけるわ!」
その瞬間、大蛇が牙を向いた。
「ひっ!」
静香の体の隅々までなめ回す負の視線。
『これはっ…』
その視線の先には、静香の投げたブラを拾った三郎がいた。
「三郎、萌えマガジン162ページ!」
アネゴの叫びにとっさに反応し、ついそのページのポーズを取ってしまう。
「ネコたん!」
「!!!!!」
三郎の頭にかぶせられた静香のブラ、その双丘がまるでネコ耳のように…
「きゃああああああ!」
静香はその場から逃げ出し、そこには唖然としたココだけが残された。
静香・ココ組、5位。
290 :
アネゴ書き:2006/10/19(木) 02:38:42 ID:+anIfI/T
そして準決勝。
相手の姿を見たとき、アネゴと三郎は同時に声を上げた。
「あんときの銭ゲバ娘!」
そう、対戦相手は違法マスターの時に出会った少女、明日香だった。
「ふふふ、超レアなマーメイドレインボー…絶対いただくわよ」
「明日香、目が¥になってます」
相変わらず強欲な娘だ。
試合は明らかに奈緒達に不利、前試合の疲労が甚大だったのだ。
しかし、明日香達の敵は意外なところにいた。
「ちょっと、変なとこ見ないでよ!金取るわよ!」
「俺が何見ようと構わないだろ」
「ひいっ!助けてあげた恩も忘れてセクハラ行為なんて…」
「ほらほら、裾を隠さないとパンツ見えるぞー」
「コロス、貴様試合が終わったらコロス」
「明日香たん結構おっぱいあるんでしゅねー」
「獣、アンタ畜生よ!」
三郎のささやかな復讐は成し遂げられた。
貧乏学生の金の恨みは恐ろしい…
大会は終わった。
結局優勝は明日香とマルコ、物欲の勝利だった。
「アーシェラ、卓球って難しいわね」
「そうですね、ナミコ」
「ラケットを飛ばしちゃいけなかったのね。」
「相手の神姫、壊しちゃいましたから」
表彰式の最中、夜空を見上げながら反省するペアがいた。
つづく。
291 :
アネゴ書き:2006/10/19(木) 02:40:25 ID:+anIfI/T
投下完了。
キャラ使わせていただきましたが、イメージと違っていたらゴミンなさい。
後編は混浴露天風呂だ!
三郎wwwwwwwww一旦人間止めろwwwwwwwwwww
アネゴさんGJっス!
ところですいません。
絵版の素敵な絵はどちらさまで(゚Д゚≡゚Д゚)!?
それは神姫狩りのお方でございますよ。
いや、ほんとに上手い。
295 :
356:2006/10/19(木) 04:13:02 ID:1RVzaqtd
>>164 >あんまり名前とか付いてても覚えられないから
>時間が無くて、パッと見しかできない人間には辛いにゃー
うむ、真理です。
短く文章でインパクトのあるネタを1つ仕込むのが、
こういった場に適したSSである気がします。
今、書いている文章群はその真逆だ _| ̄|○
かといって、全プロットの33%消化した今、
後には引けないので今日も今日とて一日一錦を
いかせていただきます。
296 :
356:2006/10/19(木) 04:13:41 ID:1RVzaqtd
〜3章(1/4) メモリに響く望まぬ声〜
甲高いブレーキ音、衝撃、浮遊感。
そして再び衝撃。
それが、キャリーイングケースに入った私が1秒間に受け取った情報だ。
激しく揺さぶられ、混乱するメインコアをなんとか落ち着かせ、
状況を確認しようとする。
キャリーイングケースにはカメラとマイク、スピーカーがついており、
神姫は中に居ながらにして外の情報を知ることが出来る。
しかし、それらは全て沈黙していた。
衝撃で破壊されてしまったらしい。
ノイズしか入らなくなったカメラとマイクを諦め、
外に出ようとする。ロック機構も壊れているのか、開かない。
マスターの様子が気になるが、それの確認もままならない。
そもそも、キャリーイングケースを持っていたのはマスターだが、
キャリーイングケースにこの衝撃が加わっている事を考えると、
マスターの状態も推して知るべしだ。
やがて聞こえた来た救急車のサイレンに私は事態を把握した。
サポートセンターからの帰り道、私たちは車に轢かれたのだ。
サイレンの音はケースの中にも聞こえるが、それほど大きくない。
存外、遠くに飛ばされたのかもしれない。
そして遠ざかるサイレンの音。
マスターが行ってしまう!
なんとかキャリーイングケースを開けようと悪戦苦闘をするも、
結局のところケースが空いたのはそれから3時間以上経った後、
交番で、であった。
拾われ、運ばれた認識はあったが、外から誰かが開けようと
している事に気が付いた際には、若干の恐怖があった。
性質の悪い人間に拾われれば、どんな目に合わされるか分からない。
面白半分に神姫をズタボロに扱った人間のニュースは枚挙に
暇が無かったからだ。しかし、その恐怖は杞憂であった。
その代わり、別の問題があった。
マ ス タ ー が 神 姫 オ タ ク 扱 い
される事だ。事実であるから仕方が無いとも言えるが。
もっとも、その心配も杞憂であった。
キャリーイングケースを開けた小奇麗な顔つきをした
警察の制服を着た青年は私を見るなり、一気にこうまくし立てたからだ。
「ふう、やっと開いた!心配したぜ!
中の神姫は無事だったんだな。
10m以上弾き飛ばされて何も異常がないってこたぁ、お前さん。
中々に幸運だぜ?
まぁ、衝撃吸収ゲルを惜しげもなくケースに入れていた
マスターにしっかり感謝しなけりゃな?」
…おい、公僕。神姫に理解ありすぎではないですか?
297 :
356:2006/10/19(木) 04:15:49 ID:1RVzaqtd
〜3章(2/4) メモリに響く望まぬ声〜
私は思わず彼に尋ねる。マスターはどうなったのかと。
「おっと、落ち着け。大丈夫、彼は無事。その前に自己紹介だ。
俺の名前は高橋って言うんだ。見ての通りの警官だ。お前さんは?」
高橋と名乗った男は、私にそう問いかけた。
マスターは無事だということで、私は少し落ち着けた。
「…錦」
まるで、迷子とお巡りさんとのやり取りだ。
おずおずとしか答えられない私に、高橋の胸ポケットから現れた神姫が助け舟をだした。
この警官は、本当に業務中に何をしているのだろうか…。
「タカハシ。君の聞き方は相変わらず駄目だね。
まぁ、いいや。ボクに任せてよ。
ボクは、ストラーフ。君の事をちょっと教えてくれないかな?」
彼女は武装神姫シリーズ悪魔型MMS『ストラーフ』。
名前がそのままストラーフなのは、彼女の説明によるとタカハシが
勘違いして製品名を愛称として登録してしまった為らしい。
ちなみに、オーナー呼称も名前を聞かれたと勘違いして「タカハシ」と設定してしまったらしい。
タカハシとストラーフは、神姫専門の警察官らしい。
昨今は神姫が犯罪に巻き込まれたり、犯罪に神姫が使われたりする
ケースが後を絶たないらしい。(酷い例では神姫を暗殺に使う例もあるという!)
そういったケースでは神姫が重要な情報を持っていることも少なくない。
しかし、神姫のプライバシー問題により記憶情報は暗号化されており、
読み出しは難しい。そこで、彼らのように神姫と
コミュニケーションをして情報を取り出す専門家がいるらしい。
そして、その多くが、そこのタカハシのように職場に神姫を
持ち込む駄目人間であると言う。
「ボクの調べた結果では、君の持ち主は氷山 斗一郎(ひやま とういちろう)氏だね。
間違いないよね?彼は、今この近くの病院で手当てを受けているんだ。
命に別状は無いんだ。安心していいよ。ただ、酷い怪我らしいのでしばらく入院だって。
君たちは、違法改造車の運転ミスによる事故に巻き込まれてしまったんだ。
車はそのまま逃走しちゃっている」
ストラーフの話を聞きながら頷く私。
彼女は、私が何かを目撃していないか聞きたかったらしい。
しかし、残念ながら私はキャリーイングケースであり、
事故直後からカメラが壊れて外は分からなかったことを告げるしかなかった。
彼女はがっかりしたようだったが、こればかりは仕方が無い。
5時間近く交番で話をしていたが、最終的に私はマスターの家に送られた。
病院にいってマスターに会いたかったが、病院では様々な機器に
影響を与える恐れのある神姫をはじめとする精密電気機械の持ち込みは
禁じられているので、無理なのは分かっていた。
ともあれ、家にさえ帰ればネットワーク越しにでもマスターと話せるかもしれない。
私を認識し、マスターの家のドアは自動的に10cmほど開く。
住み慣れたはずの1LDKの家。
1人でいる時間も慣れているはずなのに、マスターが帰ってこないその日の家は、ゾッとするほど広く感じた。
手足は鉛のように重く、そして焼け付くように熱い。
>>356氏
続きがとても気になりますが、それ以上に警官対する考えが歯に衣着せなさ過ぎで素敵です。
って言うか駄目人間って……。
実は自分も神姫絡みの犯罪、所謂『神姫犯罪』を取り扱う警察の対神姫犯罪部隊の話を書こうと思い立ち
自分の話の中で警官を出そうとしましたが、色々と突っかかってしまい断念しましたorz
本編の完成予定の見通しが全く立たないので、神姫との日常でお茶を濁してみるテストorz
今回のメインはナミコとアーシェラです。
「帰ったわ」
とあるマンションの一室に響いた、素っ気無い声。
それはこの部屋の主であるナミコが、仕事から帰ってきた事の報せだ。
因みに家族の誰一人として彼女の仕事内容を知らないのは、一寸した七不思議である。
「お帰りなさいませ、ナミコさま」
エプロンドレスを着たアーシェラが、小走りで出迎える。
今日はナミコの実弟が恋人とお泊りに行っている為、二人きりだった。
「ただいま。アーシェラ」
普段の彼女を知っている人間であるなら驚愕に凍り付く位、穏やかで優しい表情を浮かべるナミコ。
彼女の優しさの全ては、自らの神姫にのみ向けられている。
持ち上げたアーシェラの頬に、軽く触れるだけの接吻。アーシェラも、その小さい唇でナミコの頬に口付けをする。
ナミコが帰宅した際に行う、習慣であった。
「ナミコさま、直ぐにでもお食事の用意が可能です。それとも入浴を優先されますか?」
今では当たり前になったアーシェラの問い掛け。
通常の神姫では不可能な食事や入浴の準備も、ハイパワーマニュピレーターを持つアーシェラだからこそ出来る事だった。
「食事をお願い。お風呂は、練習の後でね」
ウィンクを一つ。
ナミコはアーシェラに食事の用意を頼むと、着替えの為に寝室へと入って行く。
見るからに本物と解るアクセサリー類を化粧台に無造作に放り出し、仕立ての良い、黒で統一されたスーツを脱ぐ。
日本人として規格外のスタイルを誇るナミコが所持するランジェリーは全て特注品であり、それらは全て黒の総レースであった。
ブラジャーを外して胸を解放すると、今まで押さえつけられていた鬱憤を晴らすかのような勢いで胸が弾む。
意図せぬ内に息が漏れた。大きいのは得な事ばかりではない。時には服を着るだけで胸は圧迫されて苦しくなり、夏ともなると手入れを怠れば汗疹が出来る。冬は胸が大きく突き出ている所為で、外套を着ると缶か瓶に手足の映えたような格好になってしまう。
そう言った煩わしさを嫌い、彼女は仕事以外では常にノーブラであった。
そのままの格好で、普段着を取り出す。
化粧は今敢えて落とす必要性は無い。元々化粧を施す必要が無いほど整った顔をしており、彼女は普段から必要最低限の化粧していなかったからだ。
着替えを終えてリビングに向かうと、既に食事の用意は出来ていた。
食事に関してナミコの家では特に決まったルールが無く、彼女自身が特にリクエストをしなければメニューはアーシェラに一任されている。
アーシェラはナミコの為に料理をするのが趣味だった。
本棚にはナミコの本と同じくらい、アーシェラの料理本が置かれている。
今日の夕飯は和食で統一されており、ご飯になめこの味噌汁、ほうれん草の御浸しに御煮しめ、それと少し洋食が入ってしまうが、豆腐サラダが並べられていた。
ナミコはアーシェラの作ってくれる食事が好きだった。
何よりも味付けが良い。
一番最初にアーシェラが覚えたのはレシピではなく、徹底したナミコの嗜好からだ。
好きな食材、好きな味付け、果ては好きな盛り付けまでも調べ上げ、それらを加味した上で作られた料理はナミコを感動させた。
今日の料理も勿論文句は無く、休む事無く箸が動き続けた結果、大人の男でも食いでを感じる量の料理をあっと言う間に平らげる。
幾ら食べても微塵もスタイルが変わらないのが、ナミコの体質だ。
>>299続き
「さて、そろそろ始めましょう」
自身の手で英国式の手順に則って淹れた紅茶を飲み、食休みを終えたナミコが切り出した。
その言葉を受けて、アーシェラが道具を持ってくる。
彼女の手には、卓球用のラケットが握られていた。
少し前に行われた卓球大会でルールすらも解らず、その挙句、相手の神姫にラケットを叩きつけて破壊してしまったのは本人達にとっても不本意の極みだった。
ナミコの信条は『ルールを理解し、実力を持った上で反則を犯す』と言う、甚だ迷惑なものである。
故にその日からほぼ毎日、ナミコとアーシェラは卓球のトレーニングを続けていたのだ。
「今度はラケットをぶっ飛ばして、相手を破壊するなんて間抜けはしないわ!」
「ナミコさまがそれ以前に、アレで良いと思っていた事に疑問を感じます…」
「失敗を繰り返して成長するのが人間よ!!」
これ以上無いほど成長した胸を縦横無尽に揺らし、大仰なジェスチャーでアーシェラを煙に巻くナミコ。
意味も無くテンションが上がっている。
「次に大会があるのなら、優勝はいただきね」
鋭いスマッシュを叩き込み、勝利を確信する。
当然だが、次回の大会があるかも不明である。
「ナミコさま、そろそろお時間です。入浴の実行を推奨します」
そんなナミコの勢いを半ば受け流すかのように告げるアーシェラの言葉を受け、今日の練習を切り上げる。
ひとしきり汗を流し、気付けば夜も10時が過ぎていた。
ナミコはアーシェラを伴って浴室へと向かう。
>>300続き
服を全て脱ぎ捨て、ナミコの裸身が露わになる。
誰もが目を見張る巨大な膨らみだが、その形は整っており、ブラをしていなくとも完璧な形を保っていた。各膨らみの中心には、大き過ぎず小さ過ぎない桃色の突起。
下腹部には淡い茂みが覗くが、丁寧に手入れされている。
「アーシェラ、ここに」
洗面台の上にアーシェラを呼ぶ。
始めに胸部第一次装甲を外し、その後に各部の保護スーツを丁寧に脱がしていく。
そうして一糸纏わない姿になるアーシェラ。
ナミコによって素体にまで改造を施されているアーシェラのスタイルは、他の神姫のそれと比べて明らかに違っていた。
身体にメリハリが付けられ、胸と臀部のボリュームは増加されているが、逆に腰周りは細くなっている。
通常の武装神姫の体型を少女型とするのなら、アーシェラの体型は成人女性と言っても過言ではなかった。
「良い湯だわ」
ゆったりと湯船に浸かるナミコ。
アーシェラはそんな彼女の豊満過ぎる胸の谷間に溜まった湯で入浴を堪能している。
先程の練習での汗が洗い流され、とても清々しい気持ちになる二人。
無防備なその顔は、とても二人が『哄笑の狂主』、『悪魔の6(デモン・シックス)』などと呼ばれている人物であるとはとても思えない。
「〜♪」
アーシェラは鼻歌なんて口ずさんでいる。
とても小さく、気付かなければ聞き流してしまうようなそれを、目を瞑って聞き入るナミコ。
暫く続いたアーシェラの静かな鼻歌を聴きながら、ナミコは僅かな間、まどろみに身を任せていた。
湯船に浸かる事に気が済んでしまえばその後はあまり長湯をする訳ではないので、身体と髪を洗って、そのまま入浴は終わる。
ナミコはどんな状況に合っても、風呂上りにはアーシェラの世話を優先していた。
「じっとなさい」
アーシェラ専用に買った地厚で柔らかいタオルで、丹念に水分を拭っていく。
顔を拭き、身体を拭き、髪を拭いて更にドライヤーを掛ける。
それを終わらせると、アーシェラ用に特別に作らせた黒いネグリジェを着せる。
自身も手早く身体と頭を拭き終えるて、アーシェラと同じネグリジェを纏った。
尚、このネグリジェはどちらも透けているので、殆ど裸と大差は無い。
彼女自身特にこれと言った意図を持って着ているわけではなかったが、この刺激的過ぎる格好の所為で実弟に鼻血を噴出させた事が多々あった。
ベッドに入ったナミコは直ぐに寝息を立て始める。
彼女は眠りが浅い代わりに、寝入るまでの時間が異常に早いのだ。
そんなナミコの寝顔を眺めるのが、アーシェラの日課となっている。
規則正しい寝息を立て、丁度鳩尾の部分で手を重ねているナミコ。
そんな彼女を幸せそうに眺めていたアーシェラは欠伸を一つすると、ナミコの頭に寄り添うように強いてある布団に潜り込んだ。
ナミコは朝が早い。
自分も充分な睡眠をとって、寝坊しないようにしよう。
そう考えながらアーシェラの意識は闇に沈んでいく。
それからあまり時を経たずして、二つの静かな寝息が寝室に重なり始めたのだった。
たまに妙に詳しく裸の描写があるのは、エロシーンを入れようとした名残です。
途中まで書くだけ書いたのですが、エロだけでダラダラ長くなってしまったので、今回は全部カットしました。
さて、本編を考えるのを再開しなければ。
「ん……?」
カチカチと鳴るキーボードの音で、ボクは目を覚ました。
「どうしたの? ジル。なんか調べ物……?」
ボクの部屋のもう一人の住人が何かしているのだろうか。軽く身じろぎして、
布団の中から顔を出す。
「んぅ……」
白み始めた窓の外。時計を見れば、まだ六時。
今日は日曜だから、わざわざこんな時間から起きることないのに。
「ん? あたしじゃないぜ……?」
ベッドサイドにあるベッド……それも変な表現だけど、ボクの神姫はいつも
そこで寝ているのだから、仕方ない……から、ジルも眠い目をこすりながら起き出してくる。
キーボードの犯人はジルじゃない。もちろん、ボクでもない。
じゃあ、誰が……?
明かりの灯るディスプレイの方を見れば、そこにあるすらりとした背中は……。
「……静姉」
隣の家の住人、戸田静香だった。
「こんな時間から、人ンちで何やってるんだよ。静姉」
呆れたようなボクの声に、静姉はゆっくりと振り向いた。
「いやぁ、あたしの部屋のパソコン、壊れちゃってさ。バックアップは取ってたから
いいっちゃあいいんだけど、ネットが見られないのが不便でねー」
ってちょっと、その格好はどうなんだよ……。いつものこととはいえ、いくら幼なじみの
ボクの前でもどうかと思うよ?
ああもう、見えてる、見えてるーーーっ!
「あーそうだ、思いだした」
「……何だよジル」
さすがに視線を逸らしたボクに、ジルが頭を掻きながら声を掛けてきた。
「侵入者のアラームに反応があったから一度起きたんだけど、静香だったからまた寝たん
だった」
……アラームの意味ないじゃん。
「忘れてたよ、あはは」
「勘弁してよ……」
「いいじゃない、お隣さんなんだし。固いこと言いっこ無し、ってことで」
ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべる静姉の手には、小さなカギがくるくると回っていた。
ウチの玄関のカギじゃない。
ボクの部屋の、窓のカギだ。
きっとウチくらいじゃないかな。窓に外からも開けられる鍵がくっついてる家なんて。
「だからってこんな時間からボクの部屋に来ないでよ……しかもそんな格好で」
窓の外を見れば、ウチと静姉の家の間にはハシゴが渡されていた。いつも通り、この
ハシゴを渡ってボクの部屋に入ってきたらしい。
「いいじゃない。お隣さんなんだし、あたしのこの格好くらい、見慣れてるでしょ?」
「……すいません。私は止めたんですが……」
「いいよ。ココは悪くないから」
最後まで必死に引き止めてくれたんだろう。静姉の頭の上でうなだれるココに、力なく
微笑みかける。
まあ、パソコンが壊れたっていうなら仕方ない。
仕方ない……。
仕方ないさ……。
……そういうことにしておいて。お願い。
「でも、急ぎの用事って何?」
それにしても、こんな朝早くにわざわざ人の家のパソコン使ってする事なんて……何だろう?
「ん? 今日の大会のエントリー、忘れてたからさ」
「……エルゴ改装記念の?」
そういえば店長さん、今度店舗改装するって言ってたっけ。対戦ブースとか、かなり
立派になるって聞いたけど……。
そうか、今日だったんだっけ。
「もちろん行くでしょ? 登録しといたよ」
「……誰の名前でだよ」
それから数時間後。
ボク達の姿は、ホビーショップエルゴの二階、大会会場にあった。
「次のカードは……今期リーグ初登場の鋼月十貴子選手! 神姫はストラーフの『ジル』!」
神姫指揮用のディスプレイには、まだ明かりが灯っていない。鏡面加工に
なっているそれに、ボクの姿が映されている。
フリルのたっぷり付いた愛らしい上着に、くるぶしまである長いスカート。
淡い栗色の長い髪には、ご丁寧にリボンまで添えられている。
「……静姉ったら」
その姿を見て、ため息を一つ。
もちろんボクの趣味じゃない。
朝から来ていた、静姉の趣味だ。
身長148cmに、小学生に間違われることもある童顔。そんなボクは、静姉には
等身大の着せ替え人形に見えるらしい。
だからこんな格好をさせられているわけで……。
「十貴子!」
「う、うん……」
ジルに呼ばれ、司会兼進行役の店長さんに意識を戻す。
「対戦相手は現在目下九連勝中のヴァッフェバニー、『砲王』こと『ベルベナ』!
圧倒的な砲撃装備は、連勝数を二桁台に突入させてしまうのかっ!」
「砲撃戦……?」
「相手に近寄られる前に一発で仕留めるとか、そっちのタイプだろ。ちょっと前に
すげえのがいたしな」
「へぇ……」
学校が忙しくてしばらくセンターには来てなかったけど、最近はそういう戦い方も
流行ってるらしい。
そんなの、よっぽど試合慣れしてるか、高性能な神姫じゃないと無理な気もする
けど……。
「ジル。平気?」
ポッドに入ったジルに問いかける。
急な大会だったし、セッティングはいつも通り。もうちょっと時間があれば、対砲撃戦の
対策も取れたんだけど……。
「莫迦におしでないよ。あの程度の豆鉄砲、あたしの相手になるもんか」
返ってきたのはジルの頼もしい返事。
「いや、あの口径……」
でも、ポッドに入れるところをちらっと見たけど、相手の主砲、すごくおっきかったよ……?
「ま、気楽にやろうや。その服、似合ってるぜ? 相棒」
「言わないでよ……」
まあ久しぶりの大会だし、リハビリってことでいいか。
システムチェックの終わったディスプレイが、ボクのジルに規定違反がないことを示す。
戦いは、始まった。
目の前に広がったのは、崩れ落ちたビルディングとめくれあがったアスファルト。
「な……」
しかし。
「どうしたベルベナっ!」
そんな見慣れた光景よりも、私は現われた神姫のシルエットに言葉を失っていた。
背中にあるのはサブアームではなく、重機から流用したらしいクレーンアームと
ショベルアーム。
両足にあるのは強化脚ではなく、戦車から切り出したらしい無限軌道。
そして何より目を惹くのが、神姫の胴回りよりも太い腕。サブアームの位置にでは
ない。神姫の通常腕部を差し替えて、その腕は付けられているのだ。
「よぅ。トリガーハッピー」
巨大な豪腕で腕組みをした彼女が浮かべるのは、不敵な笑み。
ストラーフの異形には慣れているはずの私でさえ、異様に見えるその姿。
「ベルベナ、外見に惑わされるなっ! あんなもんハッタリだ! っていうかあいつ、
どう見ても火器持ってねえ!」
「は、はいっ!」
マスターの言葉に、反れかけた思考を引き戻す。
そうだ。ただの近接戦タイプなら、相手がどんな装備をしていようと関係ない。
「ハッタリかどうか、試してみなっ!」
ロックオンのマーカーが出るよりも早く、ガトリングガンをファイア。
至近距離から張られた弾幕が、相手の異形を覆い隠していく。
「ベルベナ、そのまま追撃!」
「了解っ!」
弾幕の中にロケットランチャーを放り込み、続けざまに火炎放射器が炎の舌で周囲を
容赦なく舐め回す。
そうだ。
中距離における圧倒的な面掃射こそが、私の必勝策。
この鋼弾と炎の蹂躙を受けて耐え抜いた神姫など居はしない。そのうえ相手は重装型で
動きが鈍く、銃の一丁も持っていないのだ。
「ランチャーセット!」
背部のコンテナからミサイルランチャーを展開。
硝煙と炎熱で、目視と赤外線は使い物にならない。複合センサーからそれらを切り離し、
相手の姿を探ろうとして……。
「……いない!?」
神姫サイズの標的はいない。
まだ、戦闘終了のコールは出ていないはずなのに。
「残念っ!」
叫びに思わず見上げれば。
はるか天空にあるのは、陽光を背負う異形の姿。
「何っ!?」
重装備にキャタピラ。ブースターの類は付いていなかったはず。
飛べるはずのない機体がどうして!?
「クレーン!?」
彼女の飛翔の軸線上にあるのは、一直線の細いワイヤーだった。そうか、クレーンの
フックを撃ち出して……。
「う、撃ち落とせ! ベルベナ!」
「イ、イエス!」
そうだ。
展開したままのロケットランチャーで、そのまま相手をロックオン。
ワイヤーで急場を凌いだとはいえ、相手の軌道は一直線。その上、向こうからこちらを
攻撃する手段はない。
ならば、こちらの攻撃は当て放だ……
「…………なっ!?」
そう思った瞬間。
目の前にあるのは、相手神姫の巨大な拳だった。
「ロケット……パンチ……?」
それを空飛ぶ鉄拳だと認識した瞬間。
私の視界は、あっさりと暗転した。
「勝者は鋼月十貴子選手の『ジル』!」
対戦台を降りたボクに掛けられたのは、静姉の言葉だった。
「相変わらずのイロモノ装備ねぇ。十貴子」
別にいいじゃないか。ジルも喜んでるんだし。
「だいいち、その格好の静姉に言われたくないよ……」
静姉の今日の格好は、何を思ったかセーラー服だった。胸元に抱かれているココも、
もちろん同じ格好だ。
えーっと。
静姉の学校ってブレザーだったよね、確か。
「あら? 格好で言うなら十貴子も似たようなもんじゃない」
うー。
「誰が好きでこんな格好……」
「……誰が好きで?」
「……何でもない」
うう……逆らえない自分が恨めしい。
そりゃ、普段のボクと気付かれないようにして欲しいって言ったのは、確かにボク
だったけど……。
だからって、ねぇ。
「はい、よろしい」
どうやら次の試合は静姉の出番らしい。ボクと入れ替わるように、今度は静姉が
対戦台に着く。
「次のカードは……皆さんおなじみ、戸田静香選手っ! 神姫はもちろん、魔女っ子
神姫ドキドキハウリンっ!」
「あの……私の名前は?」
ポッドの縁に腰を下ろし、うなだれるココ。
「十貴子。あのコよりは、マシなんじゃない?」
「……あんまり変わらない気がするよ、ジル」
もう本名じゃなくてリングネームが定着してるしね。
心から同情するよ、ココ。
色々と。
次の日。
「おはよー」
ボクが教室に入ると、前の席の友達が声を掛けてきた。
「よう、ジューキ」
「何読んでるの? 宮田」
授業用のPCで何を見ているかと思えば、割と見慣れたホームページだった。
「昨日のエルゴの大会の結果だよ……って、お前神姫やってなかったっけ。そういえば」
「うん」
そう。
ボクは学校じゃ、神姫をやってない事になっている。
第一次オタクブームから三十年が過ぎ、当時の現役オタク達が社会の中心に居座る時代に
なっても、いまだにオタクに対する偏見は根深い。
そもそもその手の人種があまり表に出て来たがらない事もあって、相も変わらずオタクの
真実は謎に包まれているし、萌えの定義も明らかになってない……らしい。
まあ、全部父さんの受け売りだけどさ。
「エルゴってのは、神姫のショップでな。時々大会もやってるんだ。この辺じゃ一番
マニアックな……」
「へぇ……」
宮田の熱の籠もったエルゴの説明に相槌を打っていると、他のクラスメイトも寄ってきた。
「な、戸田静香って何位? 俺、昨日部活で大会見に行けなかったんだよ」
「魔女っ子は四位だってさ。三位決定戦で風見のねここに負けてるわ」
良い勝負だったんだけどね。やっぱり、ココのあの格好は戦闘に向かないと思うんだよね……。
「風見美砂かぁ。あの子も可愛いよなぁ。俺、ああいうの好みなんだよなー」
「そうだ。可愛いっていや、久々に『鋼帝』が出てたみたいだな」
宮田の口から出て来たその言葉に、ボクは言葉を失った。
「嘘。何、『鋼帝』が出てたの? しばらく公式に出てなかったじゃん」
「みたいだぜ? 準々決勝で戸田に負けてるけど」
「……鋼帝?」
「鋼月十貴子。この辺じゃ、一番古くからいる上位組じゃないのかな……って、ジューキは
知らないか」
「……う、うん」
知らない。
知らない。
知らないったら、知らない。
知らないんだってば!
「結構可愛いぜ? 去年とか、戸田静香と良く一緒にいたから……ほら」
宮田は自慢げにそう言って、ブラウザを最小化。
壁紙になっていたのは…………。
いつものエロ壁紙じゃなくて、ボクと静姉のツーショット写真。
「え、お前、その壁紙くれよ。俺、あの二人のファンなの知ってるだろ?」
「ふふふ。購買のアグネスプリンで考えてやる」
うわぁ。あれ、一日三個限定だよね。
えげつないなぁ……宮田。
「ちょ……おま……せめて焼きそばパンで手ぇ打つってのはどうだ?」
「……なら、三つだな」
「うわこいつっ!」
足元見てるなぁ。
「ジューキ、お前も神姫やれよ。色々と楽しいぜ?」
「お前の場合、神姫っていうより女の子マスター目当てだろー?」
「うっせぇ! 俺だってなぁ、こんな野郎学校に来なけりゃなぁ……共学のツラかぶった
野郎学校だって知ってりゃなぁ……」
まあ、ウチの学校一応共学だしね。
工業高校に女の子なんて入ってこないけど。
「言うな……兄弟。俺だって、叶うことなら戸田静香や風見美砂のクラスメイトになりたい
よ……同い年なんだぜ? なあ、ジューキぃ!」
「う、うん……」
ごめん宮田。静姉は女子校だから、ボク達男子校の生徒じゃ絶対同じクラスになれないよ。
それに静姉はあんな性格だから、短気な宮田だと我慢できないと思う……。
こんなこと、口が裂けても言えないけど。
「ま、始めたばっかじゃエルゴの大会は厳しいと思うけどな。言ってくれりゃ、手頃な
ランクの店くらい紹介してやるぜ?」
「はは……考えとくよ」
チャイムが鳴って、宮田もPCの電源を落とす。
暗くなったディスプレイに映るボクの姿は……黒の短髪に、昔ながらの学ランだ。
名札に書かれた名前は、鋼月十貴。
男子校に通う、れっきとした男の子だ。
「そうだジューキ。これ貸してやるよ」
「何これ」
宮田から渡されたのは、一枚のディスクだった。
「マオチャオとハウリンのものすっげー裏動画」
「ちょ! お前、それ俺にも貸してくれっ!」
「莫迦! これでジューキもこっちの道に引きずり込むんだって!」
「くっ……。なら仕方ない。見終わったら俺にも貸してくれ、ジューキ……」
宮田の熱意に押されて、何となく受け取ってみるボク。
「……ありがと」
その後、これを静姉に見つかって、大変なことになるんだけど……それはまた、別の話。
って、語らなくちゃダメなの!?
エロ方面にテコ入れということで、お姉様に遊ばれる系な新キャラです。
1/144とのコラボ全盛期なので、神姫は時代に逆行してあえてスパロボ系武装に
してみたり。
>>302 エロもぜひ差分で……(ぉぃ
310 :
ダメ師匠:2006/10/19(木) 13:54:35 ID:WcjGjiKX
ハァハァ
「し、師匠、とっても熱い、です。」
エストが何か言っているが、全く耳には入ってこない。
「それに息も荒くて…」
「うるさい、一体誰のせいだと思っているんだ?おとなしくしてれば良いんだよ。」
強がっては見たものの、そろそろ限界に来ている事は自分が一番良く知っている。
最後の力を振り絞る、と同時に
ドプッ
勢い良く白い粘着性のある液体が飛び出し、エストの顔や身体を汚していく。
「師匠〜、何かネバネバして変な臭いがします。」
やってしまった、そう思いつつも限界まで体力を使い果たした俺は、そのまま布団の上に力尽きた。
「師匠、風邪なのに無理をしてはダメですよ!」
「ハァ…ハァ…、うるさい、馬鹿、お前が悪いんだろうが。」
「確かに素振り中に壊したのは謝りますが、頑張り過ぎです。」
エストが棚の足を叩き割ってくれたのだが、木工用ボンドが殆ど残っていなかったのだ。
しかし思ったよりも熱が酷く、新しいボンドを買いに行けそうにも無かったので、残りのボンドを出して修理しようとした次第だ。
結果的にボンドは飛び散り、修理も出来ず、熱が上がって更に3日程寝込む羽目になっただけだった。
本当に最悪だ…
311 :
ダメ師匠:2006/10/19(木) 13:56:30 ID:WcjGjiKX
熱が下がらずに感想も満足に書けていない訳ですが、襲い来る電波には勝てずやっちゃいました。
布団の国の住人から抜け出せた際に、感想はまとめて書かせていただきます。
皆様も風邪には気をつけてー。
え〜っと、予告??というか現状報告?
いま第9話の本文打ってますが…いろいろと濃いすぎるかも……
キーボードを打ちながら少し錯乱状態です。
とりあえずエロシーンは長いかな?それまでの過程自体も結構な量が……
とにかく投下時間帯は空気を読んで深夜かな〜〜さすがに真昼間から投下するネタじゃないです。
では。
>>302氏
エロシーンも是非(爆)
というか触発されてシーンが濃くなってます。
>>ドキドキハウリン氏
ショタキャラ登場!!ていうか羨ましいような、同情するような……友人に正体がばれない程度で活躍期待です!!
これは孔明の罠か!?
何故か出場することになっていた、エルゴ改装記念大会!
更に何時の間にか神姫アイドルになっていた(らしい)ねここに向けられる黄色い視線!
何故か店長の後頭部に銃を突きつける雪乃の真意は?
そして準決勝まで勝ち進んだねここの前に現れる強敵とは!?
ねここvsドキドキハウリン戦で起こった真実とは!?
次回、ねここの飼い方 そのきゅう
Coming Soon………
△ドキドキハウリン氏のネタフリを受けて書いてみようとっ
色々ネタが多そうで大変そうですが、なんとか今夜中には……
ダメ師匠氏、早く良くなってくださいねっ
>>301のエロ差分です。
本当は前後文があったのですが、変に長くなってしまうので肝心な部分だけ投下します。
「良い湯だわ」
ゆったりと湯船に浸かるナミコ。
アーシェラはそんな彼女の豊満過ぎる胸の谷間に溜まった湯で入浴を堪能している。
先程の練習での汗が洗い流され、とても清々しい気持ちになる二人。
無防備なその顔は、とても二人が『哄笑の狂主』、『悪魔の6(デモン・シックス)』などと呼ばれている人物であるとはとても思えない。
「〜♪」
アーシェラは鼻歌なんて口ずさんでいる。
とても小さく、気付かなければ聞き流してしまうようなそれを、目を瞑って聞き入るナミコ。
ふと、身体が熱く疼いてきた。
アーシェラの歌声が、練習中の妙なテンションの残りを刺激したようだ。
そう思った途端、我慢が出来なくなってきた。
欲しい。
アーシェラを優しく掬い上げ、目の前に持ってくる。
何事かとバスタオルで胸元を隠しながら、ナミコを見つめるアーシェラ。
それが致命的だった。
常に凛とした雰囲気を纏うアーシェラが、自分にだけ見せる素の顔。不思議そうに、両の目を丸くして自分を見ているアーシェラの顔が、ナミコの抑制を効かなくさせる。
「?!っ、ナミコ…さま?」
不意に近付いてきたナミコの顔。
次の瞬間、彼女の舌がアーシェラの顔をゆっくりと舐め上げる。
愛するオーナーの行動故、それに不快感は無い。ただ、あまりにも唐突な行動だったので、驚きは隠せなかった。
「ゴメンなさい、アーシェラ。我慢…出来ないの」
顔を火照らせたナミコの瞳は潤んでいる。心なしか、息も荒い。何よりもアーシェラを見つめる視線が、何時もと全く違っていた。
愛おしさ以上に、情欲を多分に含んだ視線。
優しく、未だ胸元を隠し続けているアーシェラの腕を退けさせ、彼女の身体を視線で犯す。
ナミコによって改造の施された素体。
胸は大きく、下腹部には人間の女性と同じ様に茂みまである素体。
慣れているとは言え、アーシェラは恥ずかしさに身じろぐ。
太腿をすり合わせ、視線をズらすアーシェラ。
それを見たナミコは、左手の小指をアーシェラの太腿の間に差し込む。
「ンッ!」
声を上げるアーシェラだが、それだけ。
ナミコが差し込んだ小指を動かすと、クチュクチュと粘性を含んだ水音が浴室に響き始めた。
「エッチ」
からかい口調で言うナミコ。
アーシェラは自らの下腹部を刺激する指の動きに精一杯で、彼女の声が聞こえていない。
「ン、ン、ン…ハァ…ン」
水音が大きくなってくると、アーシェラの口から小さな喘ぎ声が漏れてくる。
唇を噛み締め、真っ赤になって俯きながら、それでも積極的に快楽を受け入れているアーシェラ。
見れば、少しずつ指の動きに合わせて腰を揺らしている。
「本当、エッチね」
指の動きはそのままに、今度は舌でアーシェラの胸を弄る。
乳房を舐め回し、硬くなった突起を歯と舌でこねる。
その度にガクガクと反応するアーシェラが、愛しくて仕様が無い。
無意識の内に、自分の太腿同士を擦り合せていたナミコ。自分でもハッキリと判る位に濡れている。
アーシェラを攻める手を止め、彼女を自分の巨大な膨らみ、その中心にある桃色の突起の前に持って行く。
アーシェラは少しだけの間を置いた後、優しく、まるで触れれば壊れてしまう事を恐れているかのような弱弱しさで突起を口に含んだ。
>>314続き
「く…うぅッ!」
微妙な刺激に言葉が漏れる。
アーシェラが驚いてナミコを見上げるが、それが快感によるものだと理解すると、改めて突起に口をつける。
口に含みきれない分は両手を使ってしごき上げ、それに合わせるように突起を吸い上げる。
ナミコはもう片方の手で逆の胸を乱暴に握り、突起を力を入れて摘まんだ。
そのまま巨大な膨らみを持ち上げ、自身の口に突起を含み、乱暴に齧る事で快楽を得る。
口の端からは涎が流れていたが、今のナミコにはそれを気にする余裕は無い。
「もっと、そう。もっと強くなさい。アーシェラ」
「フゥ…ンッ!」
主の求めを受け、両腕と吸い上げに渾身の力を込めるアーシェラ。
あまりの刺激の強さにナミコは目を見開き、歯を喰いしばって身体を震わせた。
「ハァ、ハァ……アーシェラ…」
快楽の波が過ぎ去り、改めて目の前に持ってきたアーシェラの股を開かせる。
粘性の高い液体で濡れそぼる股の中心に、乱暴に舌を突き刺す。
「カッハァッ!?ナ・ナミコさま?つ…強過ぎます!」
押し広げるように舌を動かしたと思うと、今度は中身を全て持って行ってしまうかのような勢いで吸い上げる。
流石にアーシェラがナミコに意見するが、興奮で自制の効かなくなった彼女にとってアーシェラの悲鳴に近い声は火に油を注ぐ結果にしかならない。
ジュルジュルと吸い上げ、その後に舌で容赦無く蹂躙する。
その度にあまりの快楽が痛みとなってアーシェラに襲い掛かり、何時しか本当の悲鳴になっていく。
「ア…アアア!ヒィィィィィィッ!!!」
アーシェラの悲鳴をBGMに自らを慰めるナミコ。
指を突きたて、かき回し、突起を全力で摘むのと同時にアーシェラの突起に歯を立てた。
「キャァァァァァァッァアアアアアァッ!!!!」
浴室に響き渡る絶叫。
ナミコとアーシェラは二人同時に果てる。
脱力して力なく浴槽に浸かるナミコに、そんな彼女の胸の谷間で失神しているアーシェラ。
心地良い脱力感を感じながら、ナミコはあともう少しだけこの心地良さを味わう事にした。
―場所は変わってベッドの上。
「ナミコさま…酷いです……」
グスグスと泣きじゃくるアーシェラにひたすら頭を下げ、謝り続けるナミコ。
今回ばかりは調子に乗り過ぎた。
何時もは少し位の無茶なら笑って許すアーシェラが泣いてしまったのだ。
平謝りを続けるナミコは、次からは定期的にマスターベーションを行い、溜め過ぎないようにしようと強く誓う事にした。
まだアーシェラは泣き止んでくれない。
一応エロ…らしくしてみましたがどうにも中途半端な感があり、微妙な後味が…。
エロは難しいです。ええ、読んでるのが楽しいです。
初めて投下します。皆さんのがあまりにも良質なのでお目汚しにもなりませんが。
あ、エロも萌えも、燃えすらないです。
僕はモニターから目を離すと、そのままPCの傍らで座っている体長15pほどの『少女』に視線を移す。
僕の視線に気が付いた『彼女』は、僕の目を確認すると「にひゃー」と満面の笑みを浮かべた。
「もう少しだけ、我慢してくれるかな?」
「全然平気なのですよぉ♪」
彼女―MMS TYPE CAT 機体名『猫爪』、固体名『ティキ』―は歌うように答えた。
その言葉に僕は少しだけ笑いながらうなずくと、眼鏡を上げて再びモニターに目を移す。
もう一息だ。
僕は緑色の装丁をしている炭酸飲料をあおるように口に流し込んだ。
これは僕がティキと初めて会った時の話。ほんのわずかだけ前の事。
その頃の僕は、オタク気質のクセにいまどきの高校生のフリをしていたから、まるで武装神姫については知識が無かった。……もちろん興味はあったが、やっぱり高校生としての見栄もあったからチェックなんてしてなかった。
個人的な不幸と、身内の不幸。そして一寸ばかりの幸運が僕とティキを引き合わせたんだ。
順を追って説明すれば、ある日何の前触れもなく僕はそのとき付き合っていた彼女に振られた。彼女から告白してきたというのに、二股を掛けられていたのだ。……僕らぐらいの年齢じゃ、それだけでかなりの不幸を味わえる。
で、そのショックから立ち直る時間も与えられず、僕は親父を亡くした。さして仲が良いってワケでもなかったが、彼女に振られた事なんて消し飛ぶくらいには頭が空っぽになれた。
幸い、母方の祖父が僕らを援助してくれると言ったので僕と母は路頭に迷う事無く済んだけども。
葬儀が終わりしばらく日がたった後、親父の私物を整理をするため、僕は初めて親父の書斎に入った。
その時発見したのがティキだった。
親父の書斎で机の上に行儀良く座ったまま、その初めて見る武装神姫は声も上げずに涙を流していた。……親父が死んでから、ずっと一人で泣いていたんだろうか?
彼女は僕に気が付くと、ビクッと体を震わして身構えた。そして一目散に机の上にあるモニターの影に走ると、恐る恐る顔だけを覗かせて、
「……誰、なのですかぁ?」
とか細い声で問いかける。
正直に告白します。最初見たとき父に対して怒りに似た感情を持ちました。40後半になろうというおっさんが、家族にも内緒でなにを後生大事に持ってたんだ! と。
だから仕方が無いよね。と先に言い訳をさせて欲しい。
「―っ!! 人に名前を聞く時は、まず自分から名乗れよ!」
親父に対する苛立ちと、悲しさと、怒りと不甲斐なさに、僕はその罪も無い神姫に思わず怒鳴ってしまったのだ。
その途端、
「ふっ……ふえ……ふえぇぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜」
見る見る間に彼女の目は涙で一杯になり、声をあげて泣き出してしまった。
あぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜
何で玩具に涙なんかが流れる仕組みを作ったんだぁぁぁぁ。とメーカーに文句の一つも言ってやりたい気持ちもあったが、僕はいきなり泣き出した彼女を見たせいで冷静さをとりもどす。……どちらかと言えばショックで正気に戻った、と言う方が正しい。
とにかく、僕は彼女が泣き止むまで懸命に宥め賺し、ひたすら謝ったのだった。
「いや、大体話はわかったけどさぁ……」
「ダメなのですかぁ?」
どうにか落ち着いた彼女から一通り話を聞いた僕は、生前親父が使っていた椅子に座って途方に暮れた。
要するにオーナーになってくれないかと言う申し出なのだが、先にも述べた様にその頃の僕は自分の中にあるオタク気質というものを一切否定して暮らしていたのだ。だから、『武装神姫を所有する』=オタクという図式に自分が組み込まれることに躊躇し、しぶっていた。
いや、だって、ねえ? オタクである事を隠している人になら、きっと共感してもらえると思うんだけど……
「やっぱりダメ……ですかぁ?」
「うっ……」
彼女は瞳を涙で一杯にして、ウルウルと僕を見つめながら首をかしげる。
それって、卑怯じゃないか?
つい最近彼女に振られたばかりで女の子のそういう仕種を見るのがご無沙汰だった僕は、その表情にやられそうになる。
あぁ、今ならわかるよ。武装神姫にのめり込んで溺愛する人の気持ちがっっっ!
……………………
あ……れ?
何かが天啓のように僕の頭に引っかかった。悪魔の誘惑とも取れるのだけども。
一体今の僕が、誰に対して格好をつける必要があるのか?
一回でもそんな考えが頭を過ぎると、後は坂道を転がる石の様。
好きだと感じれる事や、興味をそそられる事に遠慮して、一体僕のなにが守られるのか?
格好つけて見せるべき対象である彼女には先日見事に振られ、その彼女と釣り合いが取れるように張っていた見栄やプライドにも、今では何の意味も無い。
僕はじっと僕の目を見ている彼女の、涙が溜まっているけどまっすぐなその瞳を見て、口を開いた。
「……そうだね。自分から逃げていてもダメだよね」
多分、世間で言う所の『一般常識人』は、この時の心情から出てくるその言葉に矛盾を感じるんだろう。
多数意見に寄りかかり、他を排除し、否定してしまう人たちには、『安寧のために現実に逃げるのを止め、夢中になれる自分の本当に目を向ける』という幸せは判らないんだ。……今までの僕がそうだった様に。
「決め、た。僕はこれから君と一緒の時間を過ごすよ。……親父の代わりとしては、役者不足だけど、ね」
僕は笑う。そして……
そして彼女は怒った。
「違うのですよぉ! 誰も誰の代わりにはなれないのですよ! だから、貴方は貴方なのですよぉ……」
驚いた。そして不覚にも感動してしまった。それこそそれは、たった今自分が決意した事を肯定する言葉なのだから。
そして彼女はにっこりと目を糸の様にして笑うと、
「というわけで、これからよろしくなのですよぉ♪」
と言って右手を差し出す。僕はその手に右手の人差し指で応じた。
「こちらこそよろしく。僕の名前は『藤原雪那』君の名前は?」
きっとその時の僕の顔は、泣き笑いに近かったに違いない。
そのとき初めて、親父が死んだ事を、心が理解したんだ。
「よし、出来たっと」
僕はそういって背もたれに体を預けた。炭酸飲料の缶の中身は、すっかり空になっている。
「マスタ、お疲れ様なのですよぉ♪」
そう言うと、ティキは僕に笑顔を見せる。そっちこそお疲れ、と言いながら、僕はティキとPCを繋いだコードをはずした。
「ふにゅうぅぅぅぅうんん……ん」
ティキが体を震わす。
「……大丈夫?」
「ふぁ……大丈夫……ですぅ☆」
ティキはいつもコードを外す度に、今みたいな一寸鼻にかかったような声をあげて体を小刻みに震わせる。
……不具合か何かなのかな?
その度に僕は不安を感じるのだが、当のティキが「何でも無いったら何でも無いのですよぉ!」と顔を赤くしてまで強く言うので、僕としてはそれを信じるしかない。
「さて……と、これで今度のデビュー戦の準備が整ったね」
「ハイですぅ♪」
デビュー戦。と言っても公式戦に出るわけではなく、あくまで草試合。付け焼刃で知識を集めた僕は、それでもようやくバトルへ参加する事が出来るようになった。
親父もそっち方面に興味があったらしいが、時間が無いくせに凝り性なため、ついぞバトルに参加する事は無かったそうだ。
「取りあえず試運転と行こうか。装備付けて見よう」
そういって僕は基本のパーツを付けていく。基本、と言っても猫爪の基本武装ではない。
親父は他の神姫の素体は一切保有していなかったくせに、何故か第二段までの各々の基本武装および、TYPE RABBITの武装だけをコンプリートしていた。……ヴァッフェバニーって、コアパーツ付いてなかったけ?
とにかくそんな訳だから、僕はティキの特性と、自分の好みとで好きにパーツを選べると言う、他のオーナーから恨まれても文句言えない贅沢を味わっている。
そんな中から僕が選んだのは―
鉄耳装・改
buAN FL012 胸部アーマー
exOPT KT36C1 キャットテイル
exAM FL013 01スパイクアーマー ×2
exOPT VLBNY1 リフトガード/L・R
exOPT VLBNY1 脚部アーマー/R
exOPT VLBNY1 収納ポケット/L・R
WFブーツ・タイプ・グレイグ/L・R
リアウイング AAU7
で、リアウイングにオリジナルの情報集積ユニットを搭載し、有線で鉄耳装・改と繋げている。空いている左大腿部には、自作の鞘を装備させておいた。
更に武装として、
モデルPHC ハンドガン・ヴズルイフ
親父のコレクションにあった西洋剣
GEモデル LC3レーザーライフル
ちなみにLC3レーザーライフルはお手製接続パーツによりリアウイングに装着した。
「で、この剣は一体なんなんだ?」
「風の魔装機神の剣ですよぉ♪」
「???」
「でぃすかったーって言うのですよぉ♪」
「あー……いや、悪かった…… で、どう? 付け心地悪いところ無いか?」
「大丈夫なのですよぉ♪ と言うよりむしろ快適無敵なのですぅ♪」
そういうとティキは早速、広いとはいえない部屋の中を飛び回る。
「マスタ、ティキはこの装備がとっても気に入ったですよぉ♪」
「そいつは良かった。ティキが気に入ってくれたんだったら、僕も嬉しいよ」
本当に楽しそうに飛び回るティキを見て、僕もなんだか幸せな気分になってくる。
しばらく飛んでいると、ティキは僕の頭の上に降り、そしてそのままうつ伏せになる。
「さすがに少し疲れたですぅ☆」
「あはははは、まだ慣れていないからね。明日から少しずつ慣れていこうな」
「ハイですぅ♪」
僕はティキの元気のいい返事を聞くと、頭にティキを乗せたまま電気を消し、親父の書斎だった部屋を後にした。
「明日天気が良かったら外で飛んで見よう」
「本当ですかぁ☆ うっれしいのですよぉ♪」
僕らはまだ本当の意味で過去の思い出から巣立ってはいないのだろう。でも、それでも僕は前を見る。あの日の決意と、君のくれたあの言葉を胸にして。
あとがき
本当に駄文で。
失礼しました。
GJ!新規の書き手さんがどんどん来てくれるのは嬉しいですね。
ところでこの板って、レスの文字数制限てどのくらいですかね?
1行あたりの文字数が多いとエラー表示でますよね。
OpenJaneで書き込みするときの話なので、他の専ブラで書き込むときは
どうか知りませんが……。
4096bytes、60行、連投規制30秒のようです。
投稿するときはあらかじめそのくらいに調整して書き込むと、分量表示も
ミスらなくていいんじゃないかと。
やっとこさ;
まだ途中っぽですが投下します。
『るびー・はーと』
1
遮蔽物のない荒野を光の槍が貫く。
狙われているのは日本刀を1本だけ装備したマオチャオ型MMS。
「なんでレーザーを避けられるのよ?!」
対するはLC3レーザーライフルとアームブレードを装備し、
射程と運動性能を両立、さらに格闘までもカバーしたハウリン型MMS。
どれほど狙い済ました一撃を放とうともマオチャオ型MMSにはかすりもせず、
装備の重量差から急速に間合いを詰められつつあった。
カチリ
「くっ」
ライフルの電池が切れた。
大出力かつ長射程なだけに何発も撃てる銃ではないのだ。
だが戦いはこれからだ。
格闘に入られたとしても装甲とブレードで互角以上に戦える…
そう判断しレーザーライフルを捨てたハウリン型MMSの視界から、忽然とマオチャオ型MMSが消えた。
「?! どこにいっ…」
どすっ
喉元に強い衝撃うけ、それ以上言葉を吐けなくなる。
消えた筈のマオチャオ型MMSに首を刺し貫かれたからだ。
なんで… 見てたのに、見えなかった…?
ビ―――――――――ッ
試合終了を告げる電子音が鳴り響く。
『Winner,マオ 現在8人抜きです』
「あと2人!」
「うぇぇ、絶対おかしいよぉ;」
こっちのアクセスポッドの中で神姫が気合を入れ、あっちのアクセスポッドでは神姫がしょんぼりしている。
ここは仕事の帰りに立ち寄った玩具屋[ホビーショップ・エルゴ]。
自動ドアの向こうはとっぷりと暮れてます。
あのー、もう帰りたいんですががががが;
2
俺は柏木浩之、20歳のしがない公務員でございます。
いきなり尋ねて来た神姫に衝撃の事実を告げられたり、
グスグス泣きながら話すソイツがもーなんていうかなんていうかで思わず
「大丈夫だ! お前には俺がいる。 父親が同じなんだから俺達は兄妹だぜ!」
とか言っちゃったり;
恥ずいわ(////)
イキナリ一人ぼっちになって尋ねて来た我が妹を、ひろーい部屋(神姫基準)に置いて行く訳にもいかず…
結局同伴出勤に相成りました。
職場では前日に引き続き『地区も部署も違うんじゃぼけぇぇ』な電話がかかってくるが
上司に掛け合い「や、俺なんか今日は情緒不安定だから何イッチャウカワカラナイヨ?」
と電話に出るのは免除してもらう。
マオに火事の事を1日中聞かせる訳にもいかねーしな…
ちょいちょい
んー? 内ポケのマオがシャツを引っ張ってる。
「兄様(←お兄ちゃんは流石にグハァなので変えてもらった)、
やっぱり私、ついて来ない方が良かったのではありませんか…?」
ああ、気ィ使わせてると思ってるのか。
実際使ってるが、寝言で「おとうさん…ひぃっく…ごめんなさい…ごめんなさい…」なーんて泣かれるとな、
コイツは俺が守る!みたいな気になる訳ですよ。
「うっせ。 俺がお前と一緒にいたいんだ。
こーんな可愛い妹とベタベタできて俺様、今とても幸せです。(小声)」
「ひゃ?! か、かわ、か、か、かぁ、兄様ぁ〜〜〜〜っ」
もぞもぞ…すりすり…
ほお擦りしてやがる。
ああ畜生っ、可愛いなぁもぉ。
まったく人殺しの道具とは思えんな。
ま、人間だってソノ気があれば誰でも簡単に人を殺せるんだし、
んなもん大した事じゃ無い。
3
きーんこーん… きーんこーん…
終業の鐘と同時に職場が騒がしくなっていく。
「柏木柏木、飲みいかんか?wwっうぇwww」
同僚の内藤だ。
限りなく怪しい口調と挙動だが、これでも友情に厚いナイスガイである。
これでも。
いやホント。
ちなみに逆毛だ。
「あー悪ぃ、買い揃えないとならない物があってな」
「それはw残w念wだw んじゃまたの機会にwwwwwww」
「おう」
あ、そーいやコイツたしか…
「待て」
「おほ?w 何かなMyブラザー?wwwww」
ブラザーはやめれ。
「お前さー、武装神姫持ってたよな?」
「いかにもwwwっうぇw だが”持ってる”ではないぞMyブラザー?
正しくは”同棲してる”だwwwwっうぇうぇww」
だからブラザーはやめれと。 つか同棲かよ。
…そうかも。 いやいや。
あ、今俺の背広の中から「ふぇ…同棲…はぅ〜」なんて声が聞こえましたよ?
「買い物というのはだな、実は神姫用の家具なのだよ」
「そぉぉんかぁぁぁぁっ!w お前もwとwうwとwうw染まった訳だなwwwwwwwww」
「いや待て。 染まったとかそうゆう………はこの際気にしないでおこうか」
気になるが。
「なに、そこいらのトイジャラスにでも行こうと思っていたのだが、いい店があれば、とな」
4−1
「こぉぉぉっこがぁ![ホビーショップ・エルゴ]ぅぉおおおおおっ!!1!うぇwwww」
「内藤…店先で叫ぶな。」
いつもの通勤経路から少し外れた所にその店はあった。
こじんまりとしてはいるが、清潔感のある模型店ではある。
「ふむ、オタクな趣味に精通したお前の事だ… 見た目とは違う、並みの店ではないのだな?」
「当w然wだw 最新の商品は元よりッ!過去の名品も豊富に揃えッ!尚且つ探しやすく見やすいレイアウトッ!
店頭にないどんなレアな商品でも、確w実wにw入w荷wしwてwみwせwるwその手腕ッ!
さらには販売、登録、修理、カスタマイズやオリジナルパーツの製作まで何でも御座れwの、
まwさwにw神姫のプゥゥゥロフェッシェネル!!1!
だがMyブラザー、それよりも、ここには今のお前に真に必要なサァァァヴィスがあるのだよwwっうぇw」
ぬ?
「Myブラザー…俺らが役場で職務に励んでる間、愛しのMyハニィィィを1人にしておくおつもりかね?」
「むむ、確かにその通りだ…」
今は一緒にいるが(in内ポケ)、これから毎日ずっと同伴出勤という訳にもいくまい。
「そこでだッ! 人に学校があるようにッ!」
言いながら店内へと足を向ける内藤。
自動ドアが開くと、中から紅白2色の服を着た神姫がふよふよと飛び出してきた。
「ごしゅじんさまー、お仕事ごくろうさまですのーv」
「おぉぉぉMyハニィィィw よい子にしてたかなぁぁぁんwっうぇwwwwwwwwww」
巫女さん?! というかこの神姫、翼も無いのに浮いてますよ?!
長い黒髪の、どー見ても巫女さんな神姫は内藤の肩にふわりと着地すると、
俺の事をじーーーーーーーっと見て。
「ご主人様、このかたはどなたですのー?」
「クククッ、良くぞ聞いてくれたMyハニィィィ。 こやつこそが我が心の友、
Myブラザー”柏木浩之”だッッッ!!1!」
だからブr
「あらあらぁ、貴方があの柏木様なのですねー。 わたくしは内藤様にお仕えする”小姫”といいますのー
ご主人様がいつもお世話になっておりますー」
ぺこり。
「あ、いやいやこちらこそ。 えーっと、内藤…その子メーカーのラインナップに無いよな?」
「いかにも! Myハニィィィは俺様が心血注いでカスタマイズした、
まwさwにw大w和w撫w子w型w神w姫なのだwwwwwwwwwww」
あー、二人ともすっげぇ誇らしげ。
愛しとるんだなー。
4−2
ちょいちょいっ ちょいちょいっ
あ、そうか。
「マオ、出ておいで」
もぞりっ
マオが中から顔を出し、背広の襟を掴んだ手を支点にしてくるっと飛び上がる。
俺の肩に難無く着地。
「おいおいw お前家からずっと一緒だったのかよwwwww 仲良すぎwwっうぇwww」
「えと、私は柏木浩之様の…」
マオがちらちらとこっちを見る。
「妹」
「あ、はい。 私は柏木浩之の妹でマオといいますっ 兄がいつもお世話になっております」
ぺこり。
間。
「Myブラザー…そうか、そうかお前…もうそんな高みにまで到達していたのかッ!」
え、ちょ、ちょっと待っ
つーか人の肩掴んで男泣きすんなっ!
「なればこそ、なればこそだッ! そんなお前だからこそ、”神姫学園”なのだッッッ!1!!」
5
「いらっしゃいませー やぁ、内藤君」
「店長、毎度w うさ大明神様、ごきげんようwwwww」
店長さんは俺らとそんなに歳変わらんみたいだな。 で、うさ大明神様…って?
「う、うわぁ!」
そこにいたのは、首…というか胸像か?
「内藤さん、こんにちわ。 ほらマスター、やっぱり驚かれるじゃないですか。 ボディ買ってくださいよ」
「いや、大明神様が居なくなったら純真な子供達の夢が壊れるだろ」
大明神様とやらが据えられているのはミニチュアサイズの教室、その教壇の上。
「内藤、もしやこれが…その”学園”か?」
「おうともよw 神姫が人間社会について学ぶw、友達も出来るw、寂しい思いをする事も無いwwwww
まさに今のお前とマオ嬢に必要なもんだろう?wwwwっうぇwww」
そうか…そうかもしれない。
膨大な知識を蓄えているマオだが、多くの人や他の神姫と実際に交流した事はない。
なにより今コイツは”俺しかいない”のだ。
それって、良い事じゃないよな?
「マオ、どうだい? 学校、通ってみないか?」
「学校、ですか…」
小首を傾げてちょっと考え、
「はい、通いたい、です」
「だってさ店長w」
「うん、それじゃあこの書類に…あと…」
あ、小姫ちゃんが空中でくるくる踊ってる。 嬉しいのかな。
「Myハニィィィ、Myブラザーが手続きしている間、マオ嬢に店内を案内して差し上げなさいwwwっうぇw」
「はぁーい、ごしゅじんさまー」
すいーっと俺の肩まで来ると、マオの手を取り。
「さー、いきましょーですのー」
「え、でも」
ちらちら。
「いいよ、行ってこい。 内藤の神姫なら信用していいだろ。 手続き済んだら行くからさ」
6
とりあえずはベットにクローゼット、充電用のクレードル、服も適当に選んどいてやるか。
………
さてとマオはどこに…ああ、いたいた。
武器コーナーのガラスケース前にぺたりと座り込んでいる。
目を輝かせて見るそれは、1本の神姫サイズの日本刀。
なんかこれ…素人目にも、明らかに並みの代物じゃないのが解る。
「それが気に入ったのか?」
「はい、とても綺麗で… でもこれ」
刀を指差し、そこからついっと下に向きを移動させる。
「価格表示が”資質を示せ”なんですよ」
は? なんじゃそりゃ。
「OH! お目が高いマドモアゼルぅ! その! 刀は! ガァベラ・ス・ト・レェェェェェット!!!11!」
「またの名を”菊一文字”といいますのー。
本物の日本刀とまったく変わらない、労力と血と汗の結晶ですのー」
待て待て待て、菊一文字だと? それって将軍家御用達の刀じゃないか!
「ああ、それかい? 実体剣としては間違いなく最高峰なんだけどね、使いこなすのが難しいんだ。
値段も半端じゃ無いからシミュレーターで資質を証明できた人だけに売ってるんだよ」
「えと…店長さん、半端無い値段とわ?(―_―;」
「ぶっちゃけ俺らの給料の半年分wwwっうぇwww」
な、なんだって―――――――――っ! Σ(| |)
「え、あ、いや、刀なんか見てナイデスヨ?」
マオさん、すっげーぎこちないです。
「まぁまぁ、とりあえず試してみたらどうかな。 試すのはタダだし。 目安は10人抜きね。」
7
なんと言うかマオの戦い方はデタラメだった。
と言っても、なってないとか危なっかしいとかじゃない。
出来る訳のない事をやってのけているのだ。
光速のレーザを避け、実態弾は避けるかブッた切るか。
鉛弾もミサイルも真っ二つ。
ビームまで切りましたよこの小娘わ;
本当にボディは市販品なんだろうか…;
そうして弾切れしてしかたなく、もしくは積極的に接近戦を挑もうものなら
手を出す→武器を切断
防御→盾をブッた切る。
切れすぎだろその刀;
最後は決まって首チョンパ。
でも素体には(首パーツを除き)一切傷をつけてない。
どっちにしろバーチャルバトルなんだから、現実には傷なんてつかないんだけどな。
そんなこんなで既に9人目…
8
白銀の翼が標的に向かって急降下する。
直前に使った照明弾であのマオチャオ型MMSの目は封じた筈。
背後から接近し、すれ違うと同時にビームサーベルで一閃、即座に上昇。
さんざん梃子ずらせてくれたが、これで終わり。
見えなきゃ避けられまい…いいぞ、そのまま動くなよ…
今だ! ビームサーベルを振りぬく。 即座に上昇。
非実体剣ゆえに手ごたえは無かったが、たとえ当たっていなくとも仕切りなおせば良いだけの事だ。
「バカ! 後ろだ!」
マスターが叫ぶ。
この高度で後ろ?! ありえない!
「こんにちは♪ 空気の動きで丸解りですよー? そしてサヨナラです!」
背中に飛び乗られた?! 振り落としてや…
ずぱっ!
ビ―――――――――ッ
試合終了を告げる電子音が鳴り響く。
『Winner,マオ 現在9人抜きです』
「あと一人!」
「うわぁぁぁ! マスター! マスター! ボ、ボクの首ついてるよね?!」
「ジェニー、どう思う?」
「そうですね… 動き自体は市販品でも可能ですが、あの反応速度は普通じゃありません。
それにID登録の時、一瞬ですがこちらのシステムが停止しました」
「ハッキングか? ウチのシステムにまさか?!」
「なんとも言えませんね。 幸い明日からここに通いますから、しばらく様子を見てみましょう」
「まだ結論は出せない、か。 しかし…”アレ”ではテストにならないな」
「一方的過ぎますね。 使いこなす技術はありますが、資格があるかはこれでは…」
「ふむ…よし、内藤君!」
………
最後の対戦者、それは…
「内藤?!」「小姫ちゃん?!」
「Myブラザー… ショータイムだ!」
To Be Continued...
やっとのことで書き上げました。
エロエロな第9話。
なんか表現とかがめちゃくちゃな感じがしないでも無いですが、大目に見てください。
これ打ってる最中に官能小説の作家っていつもこんな感じ(自分の考えたエロ描写で自ら興奮しそうになったり)だったりするのか?とありえない想像をしてみたり……
とにかく、第9話どうそ〜
武装神姫のリン
第9話「決断!?」
あれから2ヶ月。リンと茉莉の関係は表向きは仲良しにみえるが明らかに悪化している。
その原因は……俺だ。
基本的には優柔不断というわけではないが、結婚となると話は別だ。
だから茉莉の要求にも応えきれないし、逆に人でないリンの想いだけを受け止めるわけにも行かない。
そうして悩んでいるうちに2ヶ月も過ぎてしまったのだ。
その間、2人は俺と二人っきりになった時はここぞとばかりに返答を求めてくる。
でも、俺の返答は「ごめん……まだわからない」のみ。
最近はティアにまで「そろそろ覚悟を決めたらいかが?」なんて言われる始末。
はっきり言って最悪だ。
そんあこんなで今日も仕事を終え、帰宅した。
だがいつもは窓から明かりが漏れているはずなのに、今日はそれがない。
時間は9時。普段から考えるとまだ寝るには早い時間だ。
不審に思った俺はすこし緊張した面持ちで玄関のドアを開けた。
「リン・ティア・茉莉? いるのか?」
声を出してみるがそれは食らい部屋に響くのみ。返答は…無い。
なにか事件にでも巻き込まれたんじゃないか?そういった不安が頭をよぎる。
いや、それは無い。ここのセキュリティは信頼できるものだ。なら何故?
そうして俺は自室に入ろうとドアノブに手をかけた。
その瞬間、後ろから何かを腰に当てられた感じたのを最後に俺は意識を失ってしまった。
「ここは??」
俺が目を開けるとソコはホテルの部屋だった。
見る限り結構な高級ホテルらしい。窓ガラスは都会の夜景を写してとても輝いているように思えた。
「どう?気に入った??」
ふと後ろから声がする。
俺が振り返るとそこに茉莉がいた。
しかしその姿は…いままで見たことも無いような黒のレースのショーツにネグリジェ。
だがそれに身を隠す意図は無い。明らかに男を誘惑するためだけに作られた扇情的な衣装だった。
「ねえ、もうそろそろ限界だよ…我慢できない。」
そう言って俺に抱きついてくる。
とても薄いレースに包まれた茉莉の身体が密着する。
大きすぎず、小さすぎずといった乳房が、そしてレースの隙間から出た桃色の突起が直接俺の背に当たる。
そして足を絡めて泣きつくように俺にささやいた。
「亮輔は知らないでしょう? 私、ずっと前から…始めて遊んでくれた時から亮輔が大好きだった。」
予想外の言葉におれは言葉を返すことが出来ない。
婚約が交されたのを知って意識するうちに…なんてものだと思ってたからだ。
「そんなに昔から…なのか?」
「うん、そう。 13年前のあの日、はじめて亮輔に会った日からずっと、だよ」
俺は昔に思いをはせる、そういえば茉莉は中学に入っても、高校受験のときも俺を頼りにしていた。
たしかに俺は並の高校を出て、普通の大学に通っていたから勉強を教えてやることは出来たけど、今考えればそれは学校や塾で十分事足りることだ。
茉莉は基本的に頭がいいタイプで教えたことはすぐに覚えてしまう。なら塾に通っていればもっといい学校に行けたはずなのだ。
それでも俺と一緒の時間を共有したかっただけという理由でそれを選択しなかった。
そこまで一途に俺を想っていてくれたなんて…考えもしなかった。
なら、俺が今まで婚約を認めなかったということは茉莉に対する相当な裏切りになっていたことだろう。
俺は後悔の念にさらされる。心が潰れそうだ。
このまま茉莉の望む通りに結婚すればそれが茉莉に対する償いになるのだろうか?
いや、まだ俺には決められない。
俺には、リンがいる。
選ぶ余裕なんて無かった……
あの人でごった返した量販店で手にしたただ1つの箱に入っていた神姫。
俺が初めてマスターとなった神姫。
たった半年ちょっとの間でも多くの時間を共有し、俺を愛してくれている。
その感情は人間と変わらないはず。
ただ、彼女は人間じゃない。身長15cmたらずの武装神姫だ。
身体のサイズが違うだけ。
たったコレだけのこと、でもそれが人間と神姫の関係の限界点を決める。
たとえどれだけ愛し合っても神姫とマスターは結ばれない。
それが現実なのだ。
「マスター……」
不意にリンの声が聞こえた気がした。
「リン…」
「ちゃんとリンちゃんもいるよ。」
思わず呟いてしまった俺に茉莉が応えると同時にリンが俺の目の前に現れた。
しかしリンもいつもとは違う、ボディが特別製だった。
ネットのアンダーグラウンドサイトで取引されるはずの、愛玩用のボディ。
人間の女性の姿、身体の機能を完璧に再現した、でも普段は正規ボディとおなじデティールのスーツを上からかぶせることで外見上はもちろん、機能的にも違いは無い。
そういった法律のグレーゾーンに位置する品だ。
そうした人間の女性…神姫の通常ボディのスタイルから考えると少女。それと全く変わらない姿でリンはドレスを纏っている。
そのドレスも茉莉のものと同じく性的な興奮を促す装飾でしかない。
「私も、もう限界です。どれだけ自慰でごまかしてもマスターを想う気持ちを押さえつけることが出来ません。だから、決めてください。私か…茉莉かを」
リンからも想像もしない単語が漏れる。
夜な夜な俺を想いながら自慰をしている。それは俺にとって衝撃だった。
衝撃的な告白を連発され、おれは身体の力ぬけてベッドに倒れる。そんな俺に2人は迫る。
2人の艶を含んだ声、仕草。そのそれぞれが俺の脳髄を焼きつかせ、暴走させようとする。
そうして遂に2人の指が俺のベルトに手をかけた。
だが、そこで俺は2人の手を握った。
ここで止めなければ俺は間違ったまま、2人を欲望のまま犯すんじゃないか?そういった思いが1瞬で俺を正気に戻してくれた。
俺は2人を抱き寄せて言った。
「分かった。決める。だけど、あと5分だけでいい…時間をくれないか?」
2人は承諾してくれた。
そうして俺は冷たい冷水のシャワーを浴びる。
まずは頭を冷やしかかった。
さっきまでの欲望に駆られる自分を必至に押さえつけ、冷静な頭で思考する。
リンを取れば、茉莉は俺と一緒にいるはずがない、そして俺は一般の人間からは忌避の視線を送られながら過ごすことになるだろう。
社会でも狂人というレッテルを貼られるだろうか?
茉莉を選べば普通の人間としては、幸せな生活がおくれると思う。でもそこにリンはいられない。
必要とされず、初期化されて新たなマスターと出会うことになるだろう。そしてそのマスターが俺のようにリンだった神姫を大切にするとは限らないのだ。
やっぱり、悩む。
冷静に考えるほど答えは遠ざかっていく。
だが俺は2人に約束した。5分で答えを出すと。
そうしてシャワーが自動的に停止すると俺は決断を下した。
2人は神妙な面持ちで待っていた。
そして俺がバスルームから出てくるのを確認すると。2人して背を向けた。
「選んだほうをやさしく抱いてあげてね」
「キッパリと潔くおねがいします。マスター…」
そうして俺はゆっくりと近づいていく。
足が止まる。2人は身体が震えていた。
次回予告
浩之とマオの前に立ちふさがる内藤逆毛夫とカスタム神姫[小姫]
接近戦を封じられたマオに勝機はあるのか?!
「傷ついても、倒れても…砕けるもんか!」
次回『勇者の資格』にファイナルフュージョン承n(ry
俺は、二人ともを抱き寄せてキスをした。
「マスター……?」
「亮…輔?」
どういうことか?と目を丸くする2人を尻目に俺は言った。
「俺は片方なんて選べない。2人いてくれなきゃダメだ。欲張りでも何とでも言え!!
しいて言えばリンの成熟しきらない体型も好みだし、茉莉みたいな大人のバディも好みなんだよ。
さっきはズボンの中でいつ暴発してもおかしくなかったんだからな。このエロ馬鹿娘共が!」
「そんな…エロ馬鹿だなんてひどぃ〜〜」
「マスター それでよろしいのですか?」
「リン、はっきし言って自慰するくらいなら俺の目の前でやってオカズにでもなれってんだ……何のために全員寝てから秘蔵映像ディスクでしなくちゃならん!」
もう、恥ずかしさとかそういうのがメーターを振り切れて脳が沸騰しそうだ。
ということで、リンに対してもいつものような好青年ではいられない。
もうだめだ、ストレスも、あれも溜まりに溜まっていたせいか、感情が抑えられなくて狼を通り越しそうな勢いだ。
自分でも情けない。でも今夜のおれは止まらない、いや止まれない。2人を完璧に屈服させるまで止まらない野獣なのだ。
おれのどす黒い思考を読み取ったのか?リンが言う。
「なら、見てください。私の恥ずかしいところを…存分に」
「あ〜ずるい、私も見せ付けちゃうんだから」
そうして2人はカーテンを閉め、さっきまで薄暗かった電灯を一番明るい状態にしてから俺に良く見えるようにM字開脚で自慰を始めた。
茉莉はネグリジェをはだけ、さらされた乳房を揉みしだく。すぐに乳首は充血して濃い桃色に染まった。
リンはドレスを脱がないでショーツのみをずらして恥部をさらけ出す。
さすが改造品だ、実物を見たことは無いが14,5歳の少女の恥部はこんなかんじだろう、と思われる無毛の器官が濡れている。
愛液まで分泌するとは……無駄なところでテクノロジーの進化を感じる。
そうしていると茉莉もショーツを脱いで秘部をさらけ出す。
陰毛は綺麗に手入れされていて美しい。その隙間からすこし見える生殖器が性欲をそそる。
茉莉はその亀裂をなで上げ、のけぞる。と思うとすぐに分泌液が流れ出してきた。やっぱり俺に見られて感じているらしい。
という俺の分身はもちろんそそり立ち、役目を果たそうと唸る。だがそれにはまだ早いのだ。おれはソレを押さえつけ、2人の淫行鑑賞に興じることにした。
リンは身体のサイズが小さい。ということで俺はベッドの普段は小物を置けるスペースにリンを座らせて自慰を継続させる。
そして茉莉の近くに横たわる。
顔を上げればリンの、顔を横に向ければ茉莉の恥部が見える。そのどちらもが愛液を分泌し続け、もう2人の股の周りは愛液のシミがシーツや水溜まりを作っている。
そして覗き込むとクリトリスは充血して反り立ち、小陰唇はヒクヒクと誘うかのよう動いている。
2人の顔を見ると耳まで真っ赤になり、俺を見つめている。
言いたいことは1つ
「触って。」それだけだ。
俺はまず茉莉の恥部に指を当て、ゆっくりと撫でるように動かす。
一方反対の手の人差し指でリンの胸に触れ、やさしく押す。
それだけで2人は嬌声を上げる。
「亮……それイイ…」
「マスタぁ ハぁ…気持ち良いです」
俺は少し調子に乗ってみる。
茉莉のクリトリスをすこし強めにすってみた。
「はぁぅ!! そんなにしちゃだめぇ 飛んじゃうぅ!」
次はリンだ、リンを持ち上げて、リンの恥部に舌をあてて、なめる。
「ヒャぁああああアア!! マ…スタぁ…凄すぎます」
そうして2人がとても敏感になっているのを確信した俺は2人を再び抱き寄せてあお向けになった俺の、茉莉は腰に、リンは顔に座らせる。
そのまま俺はリンの恥部を舌で攻め、同時に茉莉の胸を掴んで乱暴に揉む。
もう1方の手で秘部に進入を開始する。
「そういうの初めてだから、優しくして」
茉莉がすこしあわてて言う。でもそれぐらい俺にはわかっていた。自慰を見ていたときに奥に処女膜をみつけていたからだ。
「分かってる、貫通なんてさせない。それはお尻に当たってるブツが担当だ、安心しろ」
そうしてすこし強く腰を動かして茉莉のやわらかいお尻に俺自身を当ててみた。それだけで秘部からまた愛液が溢れ出す。
「だめぇじらしちゃヤダ。もう欲しいよ。」
「もうふふょふぃばふぁんば、びんのびゅんびぎゃおわらばい(もう少し我慢だ、リンの準備がまだ終わらない)」
「そんあぁ、リンちゃんだってぐちょぐちょ」
茉莉の目に映るのは俺の舌に踊らされて涙を流しながらあえぐリンの姿。
「マス……スタぁ、私ダメです。もう少しでトンじゃいます。」
「ちょっと、リンちゃんで1回楽しもうとしてるでしょ。私もイカせてくれないと、帰っちゃうぞ」
そうして茉莉は己の秘芽を俺の手に押し付けて動き出す。
「ハァ……ハァ、もっと激しくしてください。マスター!!」
「亮輔、もっと強く。弄ってぇ、私もイクのぉ」
俺は2人がもう限界だと知ってわざとじらしていたのだ、そうして2人が懇願するのを待ちわびていた。
そして俺は指で、舌で、今までは比べ物にならないほどの刺激を2人の恥部に加えてやった。
その瞬間、指にまで伝わってくるほど恥唇の動きが激しくなり、2人同時に盛大に潮吹きをしてイッた。
もちろん俺の腹部や顔面は愛液まみれだ、そのままリンはおれの鼻を支えにするように倒れこむ。
茉莉はのけぞったままでいたかと思うと、そのままベッドから落ちそうになったのでおれはリンが抱きついて視界が制限されたままなんとか茉莉を支えるが
その際にリンは自らの愛液に滑って茉莉の愛液でベトベトの腹部に落下した。
そして恍惚な表情でそれをなめ上げている。
なんかリンじゃないような気がしたけど本人はいたって私はリンですと言う。少し不思議だとおもたが気にしないことにした。次は3人で風呂だ。
さすが高級ホテル。
バスルームもかなり大きい。普通に大人4人で入ってもまだ余裕があるぐらいだ。
そのバスタブに俺と茉莉とリンがいる。
さっきまで気にしなかったが、ティアはというと
「昨夜ご主人様は私にジュースと言ってお酒を飲ませましたの、でそのあとの記憶があいまいなのですよ。きっとその間に私はきっとご主人様の慰み物に……なので今回はお二人に譲りますわ」
だそうだ、茉莉とリンは今夜その分も取り返すということで俺にはお咎めナシ(実際はトランスしたティアになんか諭されていただけんだが……)らしい。
次は俺の身体を2人で洗ってくれるのだけども、茉莉は高校時代のスク水装備。リンも同じだ。
まったく、ドコから調達してきたのやら……
と思っているとボディソープのいい香りがしてくる。
俺の背に茉莉の身体が密着した。つやつやしたスク水の感触が心地いい。
茉莉は身体を動かして俺の背を洗う。リンは全身で俺の胸からおなかを洗ってくれた。
さすがに2人の柔らかい身体がこすれて俺の分身が再びそそり立つ。
それを見たリンが早速飛びつこうとするが茉莉が静止する。
「だ〜め、まだまだ身体が洗えてないよ。リンちゃん」
「……わかったわ、もう少しマスターを綺麗にしてあげましょう」
そうしてリンはおれの腕を滑るようにして洗う。成熟途中(というサイズ)の胸は絶妙な圧迫感で優しく俺の腕を撫でる。
ついリンにイジワルをしてしまった。
わざとリンの股間に指が引っかかるように指をそらした。
「マスター、イジワルしちゃやめちゃいますよ」
なにか違う。いつものリンはこんなにセクシーな声は出せない。たとえ俺が身体を触ってしまったとしても……とても初々しい反応を示すからだ。
でもリンであることに変わりは無い。だからおれは謝る。
そうしているうちに茉莉が俺の下半身に攻撃を仕掛けようと俺の前に回った。
すでにスク水はボディソープとお湯でぬれている。
胸の部分には普通はついているであろうパッドがないのか、乳首が浮いていた。
「じゃあ…するね。 リンちゃん、上からお願い。 あ、初めてだから上手くないかも…」
「茉莉だいじょうぶです、私がフォローしますよ」
そうして茉莉がスク水を半分だけ縫いで胸が露出する、そしてその胸で俺の分身を包む。
パイズリなんて初めてされたから、俺は少しその柔らかさに驚く。
そして茉莉の胸の谷間から顔を出した亀頭にリンが刺激を加えていく。
リンは腕をリングにするようにして摩る。茉莉はゆっくりと胸を上下させてリンとは違った刺激を加えてきた。
だんだんと2人の愛撫の速度が上がる。
茉莉は水音がすつぐらいに胸を激しく動かす。その谷間にまたがるように座ったリンはその小さな舌で鈴口を刺激してきた。
これは神姫のサイズだからこそ可能なテクだろう。
コレには俺もさすがに我慢がならない。人間の女性相手なら一生体験できない刺激だった。
しかもその効果は絶大で、俺は一気に精が腰を上ってくる感覚を覚えた。そして2人にそれを伝える間も無く、俺は今までで一番多くの精を2人に思いっきりかけてしまった。
「これが、亮輔の味」
「マスター、いっぱい出ましたね」
2人は顔、もしくは体中が俺の精液でぐちゃぐちゃだというのに、それを気にせず恍惚のな瞳で俺を見る。
あとは俺が逆に2人を洗ってやる。手でやさしく上半身から、恥部もお尻も全部洗ってやった。
洗ってる間に2人の恥部からまだ愛液が出ていることをわざと無視して刺激し続けたらおこられた。
そして遂に、本番である。
俺はリンと茉莉を裸でベッドに寝かせる。
風呂に入ってる間もリンと茉莉の恥部には刺激が絶えず与えられていたこともあって、いまでも十分そうだったが、おれはもう1度最初から愛撫をする。
リンは茉莉の恥丘に座っている。それを知りつつ、俺はわざとリンを無視して茉莉のクリトリスをなめ上げた。
思わず腰を引きそうになる茉莉を押さえつて俺はヴァギナをなめ続ける。
筋に沿う様に、時にはわざと内部に浅く侵入させたり。
そうしているうちに俺のくち周りは茉莉の愛液でベトベトになった。それにはリンのモノも混ざっているだろう。
リンは懇願する
「マスター、私も」
「ああ、次はリンだよ。」
そういっておれは人差し指でリンの小さなヴァギナを開く、完全にスケールダウンしただけで本物と違いが分からない。そんな小さな隙間に俺は再び舌を細くして触れる。
さっきよりももっと奥に舌が触れ、リンは喘ぐ。
「ひゅ…マスタ…いいです。」
そして舌を前後に動かす、さすがにこのサイズのクリトリスのみを刺激するのは難しい。
なんとか舌の感触のみでソレらしき突起を捉えて愛撫する。
リンは愛液を漏らすかのよう分泌させる。そうして2人とも準備が整った。
だがリンは自分が神姫であるから俺を受け止められない。それはリン自身が一番良くわかってる。
「マスター、私はマスターを受け止めることは叶いません。ですから茉莉と……」
そこで俺はリンの身体を掴んで俺の男根の付け根にまたがらせる。
「リンにも気持ちよくなってもらわないと困る。だからいっしょだ。」
「そうそう一緒じゃないと、私一人じゃ今の亮輔の相手は無理。」
「わかりました、一生懸命尽くします」
「茉莉、行くぞ」
「うん、 私のはじめてを貰って。」
「心配するな、おれも"はじめて"だから。」
「え、そうなんだ、意外。もしかして私のため?」
「……さあな?」
大丈夫と言う茉莉だったが当の身体は少し強張っていた。
俺はもう1度茉莉の胸をやさしく揉む、それでなんとか強張りが少し抜けた。
もう膣口も今か今かと待ちわびるようにうごめいている。
あとは己自身をここに入れるだけでよいのだが……
茉莉は処女だ。だからもう少しラクにさせてあげたかった。
そこで俺はリンに言う。
「リン。茉莉のクリトリスをお前が攻めろ。お前が茉莉の不安を和らげてやるんだ」
リンは無言で茉莉の秘芽に舌を当て、俺にしたように刺激する。
一気に茉莉のこわばりが完全に消える。ちょっとやりすぎた感もあったが、俺はゆっくりと茉莉の秘部に先端を当てた。
それからは皆、一心不乱だった。
「マスタァ、ァ、ハウぅ!!」
「り……亮…す、輔。私、わたしぃ!!」
「茉莉!! リン!!」
お互いに身体ををこすらせ、汗なのか愛液なのか、はたまたよだれなのか混じりあってわからない。
それに全身まみれながら3人はお互いをむさぼる。
もうリンも祭りも絶頂が近い。かく言う俺も。
「茉莉!! 、リン!もう…限界だ!」
俺は2人に射精が近づいていることを告げる。
「マスタぁ、思いっきり茉莉にあげて……くぅ!!」
「おねがい、膣に……おねがひぅうん おねがひ」
「ああ、っつ! 出る!!!!」
そうして本日2回目の射精。
ソレと同時に2人も2回目の絶頂を迎えていた。
精嚢から送られた精液は1回目以上の勢いと量で茉莉の膣に発射された。
茉莉も俺が射精するごとにビクンと動くモノの動きが分かるらしく、それをなぜかうれししそうに眺めていた。
もちろんその鼓動はリンが一番良くわかるわけで……
「マスター、出しすぎじゃないですか? いくらなんでもこの量は、茉莉が妊娠してしまいます。」
へっ?……………妊娠……………
しばしの沈黙。
そして後悔。
「あ〜〜〜〜〜〜〜〜コンドーム忘れてたぁ!!!」
このまま妊娠でもしたら俺は家族にどう言い訳すればいいんだ、とか妊娠で大学を休めたりするのかとかイロイロ考えてた俺を見て茉莉は笑う。
「大丈夫、今日は『安全日』だから。」
一種の錯乱状態に陥りかけていたおれは安心して腰が抜け、そのまま茉莉との結合も解かれた。
茉莉の膣からあふれる精液の量は尋常ではなく、確かに安全日じゃなかったらと思うとゾッとする。
「まあ妊娠してもOKかな? 専業主婦っていうのも悪く無いしね。」
そんなことを平然という茉莉だったが、俺にはいつもより綺麗に見えた。
とりあえず、俺は戸籍上は茉莉と結婚することになった。でもリンも俺の嫁だ。
法律が無ければこっちが勝手にするだけだし、結婚後はなんでも絶対3人ですると決めた。
まあティアも実際はそれに仲間入りするんだろう。
そんなこんなでめでたく俺と茉莉の婚約問題は、親は関係なく2人の意思で結婚することに決めた。
またリンとの禁断の関係についても答えが出た。
どうせほかのマスターにもいこういう「人間やめます」みたいなやつるだろうし、もう開き直ってやる。
そうしてそのままホテルで一晩を過ごして(もちろエッチはさっきまでのでおわり、あとは3人で寝てた。)
帰宅。そのさいティアに何回やったか聞かれたが答えなかった。
こうして俺の人生で一番ストレスをためて、かつ仕事も忙しかった死の二ヶ月が終わった。
でもにぎやかな1年はまだまだ続く。
これから先も問題は山積みなのだから……
なお、例のホテルの代金、茉莉やリンの衣装云々の代金は全て手俺の通帳から落とされていたことに俺が気がつくにはまだ早すぎた。
そうして俺の夢のマイカー購入が先延ばしになったのも1つの事実。
〜つづく〜
はい、おしまい!!
もう暴走気味です。
亮輔君は基本的にさわやかな感じのする青年です。
でもそれゆえにストレスとアレが溜まりに溜まった反動であんな極悪に……
茉莉ちゃんはめでたく処女喪失とともに正式な亮輔の婚約者に。
なお大学は結婚と同時にやめるそうです。専業主婦希望です。
でもパートに行けば人気が出るかも?とも思ってたり。
リンは2度目の小悪魔モード突入。
果たして亮輔がそれに気付くのはいつなのか?
などなど今後はどうなるか分かりませんが、新婚生活を描こうかな〜〜なんて。
もう萌えエロもありかな、なんて。
ちなみに亮輔の決断に怒る人もいるかもしれません。
日本では多妻制は禁止ですしね。
まあ柏木な人の友人キャラみたいな人があの世界にはいっぱいいるでしょう。
そうなればいつかどっかの漫画みたいにAIにも人権が認められる日が来るかもしれませんね。
それは亮輔にとってはデメリットしかありませんが……。
とにかく、第1幕はこれで終了です。
第2幕が新婚編かななんて思ってたり。
今後はコラボもどんどんしていくと思います。
では。
348 :
356:2006/10/20(金) 00:50:56 ID:YOpiDxod
最近のコラボ傾向をザックリ無視の356です。
流れをぶった切っている気がして、ひたすら恐縮です。
>>298 67氏。上記の状況であるため、まとめサイトの人物関係表では完全に孤島の錦たちですが、
何か思いついたら是非書いてあげてください m(_ _)m
それでは、今日も一日一錦と行きます。
349 :
356:2006/10/20(金) 00:51:52 ID:YOpiDxod
〜3章(3/4) メモリに響く望まぬ声〜
空ろな心を抱えたまま、私は自分のクレードルに向かう。
玄関から僅か数メートルの位置の机の上に設置されたそれは今は何故か酷く遠くにある気がした。
交番でストラーフと話していた時は、何処かに緊張があったのだろう。
自分の感情を何とか抑えられていた。しかし、家に帰ったことで、感情の堰が吹き飛んでしまったらしい。
メインコアを駆け巡る激しい感情という名のパルスに私は翻弄される。
半ば無意識で歩くうちに辿り着いた神姫用クレードルのディスプレイには、
タイマーオンを7:00にセットした事を表すアイコンと私の名前である「錦」という文字列が浮かんでいる。
それは私の名前だ。朝と何も変わらない。
しかし…、朝ならばここで振り向けば居たはずのマスターだけが、今はいない。
その現実が、感情パルスをさらに高める。
今の私のメインコアは、ポジティブフィードバック回路そのものだ。
1つの入力がn倍化されて出力し、その出力がさらに入力となる。
神姫の感情が爆発するとき、回路が共振し、破壊されるわけが今ならわかる。
朝なら居たはずの、マスターは今、居ない。
…何故?
事故に遭ったから。
…何故?
それ以上、考えてはいけない。私の中の焼き付けられた神姫の本能がそう告げる。
神姫の設計者が設定した思考制約は、神姫の感情暴走を防ぐことを目的としている。
しかし…駄目。マスターのことを考えれば、すぐに「そこ」に行き着いてしまう。
何故、マスターが事故に遭ったか、それは神姫のサポートセンターに行ったからだ。
では、その日にあった別の予定を変えて、神姫のサポートセンターに行ったのは、何故?
それは、「私」が不調を訴えたから、だ。
そう、私が居なければ、マスターは事故になんて遭わなかった。
優しく笑いかけてくれるマスターをこの家から消したのは…私?
嫌よ、違うわ。否定する思考。混乱。
感情が危険域に入る。その思考は禁じられている。
嫌よ、違うわ。私がそんな事をする訳ないもの!
誰か!私以外の誰かが悪いの!
「…例えば、アナタの知らないマスターの笑みを知っている、誰かとか?」
私ではない、それでいて私に良く似た声が、私のメインコアに響いた気がした。
マスターが私に向けてくれる笑みは、いつも優しいが気弱げな微笑なのだ。
夢で見たような、あんな嬉しそうな笑みのマスターを「私」は見た記憶がない。
では、それは誰の記憶?
「…判っているくせに。」
知らない!知らない!ふらつく頭を抑え、クレードルに手をつく。
普段は気にならない、クレードルに接続された机の下のコンピュータの無機質な冷却ファンの音が妙に耳につく。
…そうだ。確認しよう…。
「5ヶ月前のバックアップ」を収めたデバイスは、
まだコンピュータのデバイスチェンジャーに入れたままなのだから。
見つけなくちゃ。マスターをこの家から消した、私以外の誰かを…
350 :
356:2006/10/20(金) 00:56:09 ID:YOpiDxod
今日はここまでですが、ようやく山場が近づいてきた感じです。
ほんわか話を書くのもそれはそれで楽しかったですが、
それは終盤までしばらくお預けです。
なお、しばらくこんな感じなので、一時的とは言え鬱展開が苦手な人は、
お手数ですが3章後半から5章前半まで飛ばしていただくよう、おねがいします。
『試合終了。Winner,エル』
勝者のコールと共にエルが左手を腰に、右手を掲げて二回足を鳴らす。
『今日も“剣の舞い”が華麗にきまった! 剣の舞姫、次の試合もその舞で我々を魅了してくれ!」
歓声の中アナウンスが流れ、俺はエルを受け取り控え室に戻った。
俺は机にエルを置き、椅子に腰掛けふうっと息を吐いた。
「マスター……」
控え室に残っていたアールが近寄ってきて心配そうな目を向ける。
エルは着実に強くなり、勝ったり負けたりをしながらもサードリーグの上位まで上がってた。
ネットなどの評判では、いつセカンドリーグに上がってもおかしくないと言われていたが、俺は悩んでた。
俺の脳裏に先ほどのエルの“勝利の舞い”の姿が甦った。
飛行能力と圧倒的な瞬発力を発揮する背中の翼が折れ、ブースターは爆散。
左サブアームは吹き飛び、右サブアームは関節が機能しなくなり、だらんと下がっていた。
頭のアーンヴァルのヘッドギアは半分ほど欠けていた。
本体には大きな損傷は無かったが、まさにキズだらけの勝利だった。
「離れた相手か……」
俺はそう呟いた。
エルに銃などの射撃武器は持たせていない。
離れた場所の目標には、フルストゥ・グフロートゥとフルストゥ・クレインの投擲で対応していた。
問題はそこだった、投げた後はアングルブレードとビームサーベルしか残らない。
しかも、投げたグフトートゥとクレインの回収が必要となり、負けた試合はそこをつかれることが多かった。
今回も投げた後の回収を阻止され、苦し紛れに相手に突撃し損傷を受けて勝てた。
現在のサードリーグでは勝てているが、セカンド以上だと勝てる確率はぐんと減るだろう。
その日は、家に帰ってもずっとそれを考えていた。
次の休みの日、少し遠出をして神姫専門の巨大センターへと行くことにした、目的は先日からの悩みを解決する為。
エルは武装をつけていないが、アールは背中に翼と足につけるブースターを翼にくっ付けたものを取り付けただけで、他は何もつけていない。
左右の肩にアールとエルをそれぞれ乗せて、センターに入るとある一角から黄色い歓声が上がっている。
見ると神姫の試合の中継らしく、黄色い歓声の主はそのファンらしい。
対戦カードは運が悪く、あの鶴畑興紀だった。
その瞬間、エルがガタガタ震えだし、アールが俺の頭の上を飛び越えてエルを抱きしめる。
エルとアールを休憩させる場所はないかと辺りを見回すと、場違いな男が目に止まった。
場違いとは、他のファンのように歓声を上げるわけでもなく、応援するわけでもなく、評論するわけでもない。
じっとだまってモニターを見続けている。
その男が黙っているだけで、肩と頭に乗せたハウリンとヴァッフェバニーがやたらと騒いでいるようだがこっちには何も聞こえない。
「マスター、あそこで休んでいますね」
アールの声が聞こえて、俺は男達から目を放す。
「ああ、俺はもう少し見ておくから。なんだったら、音の聞こえないところにでも行ってていいぞ」
そう言って、震えるエルを抱えながらアールが飛んでいく。
俺はまたモニターをみたが、さっきの男のストラーフがエルとアールをじっと見ていたことに気が付かなかった。
試合をみながら、俺のもう一つの悩みのことを考えていた。
鶴畑興紀を倒したいが、エルは興紀をみると、ガタガタと震えだし何も出来なくなる。
一種のトラウマなんだが、現時点では何も思いつかなかった。
試合は一方的な展開で興紀の勝ち。ファンたちもばらばらと散っていくのにあわせて、俺もアールとエルと合流した。
センター内の端末でネットをみていると、結構評判で品揃えも豊富な店があることが分かった。
今居るセンターから少し足を伸ばさないといけないが、幸いにも行けない距離ではないので行ってみることにした。
俺たちはその店、ホビーショップ・エルゴに到着して中に入る。
「いらっしゃいませ〜」
声はすれども姿無し。多分、ドアの開いた音で挨拶してきたのだろう。
しかし、中に入って驚いた。天上まで届きそうな棚にはぎっしりと神姫のパーツが並んでいる。
奥へ進むとレジカウンターがあったが、そこにも姿無し。
「いらっしゃいませ〜」
またさっきの声だ。キョロキョロ見回す。
「こっちですよ」
「マスター、あそこ」
アールが声の主を見つけたようで指差した。
そこを見ると、神姫用の教室ジオラマに置かれたヴァッフェバニーの銅像。……銅像?
近寄って見ると、頭と頭パーツ用胸部台座だけの神姫だった。
「ホビーショップ・エルゴにようこそ」
バニーが挨拶する。
「うちの看板娘のジェニーです」
後ろから声がしたので振り向くと、俺と同じくらいの男が奥から出てきた。店長さんだろうか。
「神姫達の学校というのもやってまして、お持ちの神姫もよろしければどうぞ」
俺は、肩に乗ってる二人をみると、うなずいたので教室に降ろした。
「品物みてくるから、二人ともちゃんとしてるんだよ」
俺はそう言い残して、武器類の棚に向かった。
剣を一通りみてみたがぱっとつくものはなかったので、とりあえず戻るかと思いレジの方へ行く。
「アール、エルそろそろ帰るぞ」
「エル? あの神姫の名前ですか?」
「ええ、そうですが」
二人を肩に乗せレジの前へ行く。
「この子がエルです」
エルをカウンターに降ろした。
「ほほぉ、この子が“ソードダンサー”ですか」
「知ってるんですか?」
店長がそんなことを言ってきたので、俺は驚いた。
「ええ、有名ですよ。戦場を舞う踊り子って」
まだサードリーグなのにエルを知っているとはすごいなと思ってしまった。
「あ! そうだ! ちょっと踊り見せてもらってよろしいですか?」
「エルいいか?」
「うん」
「アールは?」
「マスターがいうなら」
そうしてアールも降ろした。
「ん? どうして二人?」
「じつは……」
俺は、エルの踊りはアールが教えたものだということ。アールはバトルが苦手なこと。
エルがバトルで踊る意味、つまりエルがアールの踊りで戦うことで二人で戦うということを話した。
「なるほど」
そして、二人のダンスが始まった。優雅さはアールが勝り、鋭さはエルが勝る。
魅惑の踊りが終わると、絶賛の拍手が降り注いだ。
「いやぁ素晴らしい。いいものを見せてもらいました」
俺は照れている二人を肩に乗せた。
「そういえば、先ほど武器をみていらっしゃったようですが」
「はい、エルの武器でいいものがないかと思いまして」
「どういったものを?」
「剣関係で遠距離にも対応できるようなものなんです」
「難しい注文ですね」
「ないですか?」
「あれだけ美しい剣の舞いが出来るんですから、そこに力をいれましょうよ」
「といいますと?」
「いいものがあります」
そういってカウンターの下から小さな木箱を取り出した。
箱をあけると、長めで幅広の一振りの剣が入っていた。
しかも、刀身は美しい虹色を放ち、シャボン玉のように波打ち、一瞬たりとも同じ模様ではない。
「どうです? 持ってみてください」
エルは肩から降り、剣を握って大きく振った。
すると、剣の軌道に七色の光が一瞬残って、淡く消えていく。
「マスター、この剣見た目より軽いです」
そういって何度も振るとそれを追って光が走る。
「どうです? 素晴らしいでしょう」
「ええ、すごいです。それでおいくらくらいなんでしょうか」
「そうですね。さっきの踊りの見物料くらいですね」
「え?」
「差し上げます」
俺は驚いて声が出なかった。
「剣はそれに相応しい者が持つものです。その剣にはエルちゃんが相応しいというだけです」
「あ、ありがとうございます」
俺は思い切り頭を下げた。
「剣というものには、魂が宿っています。その魂に相応しい名前を剣が持つのです」
店長がゆっくりと話し始める。
「もちろんその剣にも……」
そこで一旦言葉を切って、店長は剣の名前を言った。
それを聞いて俺はさらに驚いた。
エルゴ店に行ってきましたw
簡単な予告を
次回は、セカンド昇格をかけて戦います。
剣の名前も次回明らかに
本スレで、ほのぼのが足りないとの意見がありましたので
ほのぼの分注入
つづけてお楽しみ下さい
私は、リビングで音楽を聞きながら、軽くダンスをしています。
リビングに居るのは、マスターがお部屋でお仕事をしたいというから、プレイヤーをリビングに持ってきてもらいました。
エルはというと、ストローの袋をぎゅっと縮めて作った、水をかけて伸ばして遊ぶアレを抱きかかえて寝ています。
しかし、そろそろ買い物の時間のはずですが、マスターがお部屋から出てきません。
私はお部屋まで見にいくことにしました。
中に入ると、机に突っ伏して寝ているマスターの姿。
「くすっ」
思わず笑ってしまいました。
マスターの机のうえに乗って、マスターの寝顔をみると、気持ちよさそうに寝ています。
「マスター、かわいい」
寝顔を見ていたいですが、起こさなくてはなりません。
「マスター、起きてください」
そういいながら頬を押してみますが、反応はありまえん。
そこで私は、ちょっとイタズラしようと、この前マスターの居ないときに見たTVドラマでの起こし方をやってみることにしました。
まず、頬にちゅっとキス。
そして、起こす言葉をいいます。
「あ…ぁ…あ…」
うまく口に出来ません。
『なにやってるの? たった三文字なんだから』
もう一人の私が心の中で応援します。
ですが、言うと決めたとたん、緊張して体温が上がってきます。
あのドラマでは簡単にいっていたのに、こんなに勇気のいるセリフだったとは驚きました。
『初めにそれを言おうとするからダメなのよ。逆にしなさい』
もう一人の私の意見で逆にしてみます。
「起きてきださい……ぁ……」
だめでした。私はその場にがくっと膝をついてしまいました。
「ん? アール?」
「ひっ」
マスターが起きてしまって、びっくりして変な声が出てしまいました。
「あ、あ、あの、お、起こしにきました」
「そうか、ありがとう」
突っ伏したまま私の頭を撫でてくれます。
マスターはうーんと伸びをして立ち上がります。
「買い物行くか」
マスターはドアの方へ歩いていくます。
その背中をみながら、自分に言い聞かせました。
『神姫には、主人の呼称が決められていて、設定を変えないと違うのは言えない。
だから、私の勇気がなかったわけじゃない』
「おーい、アールいかないのか?」
マスターがドアを閉めようとして声をかけてきました。
「あ、今いきまーす」
私は机を飛び降りて、マスターに駆け寄りました。
『大好きです、マスター。でも、いつか、その日が来たら、私の呼称登録変更してくださいね』
ケータイで失礼。
いきなりですみませんが、さっき投下した第9話。
344から345の間に書き込み一回分ぐらいの文がありました。
ですが手違いでファイルから切り取りして張り付け、そして一端トイレに行った後。たぶん別に新たな書き込みタブを出してそねまま続きを投下。
で最後までそれに気づかずに専用ブラウザを終了させてしまいました。
同時に元のファイルも切り取ったまま上書き…
なんとか思い出して早朝あたりに投下します。
すみませんでした。
では自分も少しのんびりとした超短編を。
<閑話休題。眼帯の休日>
十兵衛の場合
「はぁ〜…ふぃ〜」
なごみますねぇ〜。ずず…。
晴れた日はお茶とお饅頭で日向ぼっこです。
いつもごたごたに巻き込まれているので、今日くらいはのんびりです。
あ、冷凍食品が今日も安いみたいですね。あとでマスターに教えてあげよう。
さて、そのマスターですが。
寝ています。今日は学校もないので本当にのんびりです。
バイトもありません。
やることが無いというのもなかなか良い物ものですね。
「はわ〜明日も晴れますように〜」
・
・
・
銃兵衛の場合
「ふぅ…久しぶりね…」
私は大体戦場、もしくはそれに準ずる場所でじゃないと姿を現すことは無い。
だが、今日は何故か何も無いのに十兵衛ちゃんと変わってしまった。
「…暇ねぇ…」
紅茶を口に運ぶ。十兵衛ちゃんの嗜好は和風だが、私は洋風。なのでお茶は紅茶。饅頭はケーキに変わっている。
「ふふ、おいしい…」
私はチーズケーキが好みだ。特にベイクドチーズケーキだと最高。マスターが気を利かせて買ってきてくれたのだ。よく分かっている。
本当、久しぶりに何も無い日。
「平和ってのも良いわねぇ…」
・
・
・
真・十兵衛の場合
「…」
な、なんなのだ…。主…我はどうしたら…。
う、うむ…休日?
「…では」
こんな時は座禅に限る。眼を瞑り、風の音を聞く。
「…」
たまにはこんな日もよかろう。
以上です。短いなぁ…orz
361 :
神姫狩り:2006/10/20(金) 01:43:18 ID:hX9DkYgi
そろそろ容量が大きくなって恒例の短編シリーズですかね。
<閑話休題。氷雪恋の休日>
朝。お父さんもお母さんも仕事でとっくに出かけている。
朝ごはんを自分で作る。ベーコンと卵を焼く。そして一人で食べる。
やることがない。テレビは見ない。面白くない。
仕方ないから宿題をする。学校にいきたくないのに宿題をするなんて自分でもバカだと思う。
昼。昼ごはんをやっぱり自分で作る。
何もすることがない。部屋の隅で本を読む。
外の子供たちの声がうるさい。窓を閉めてカーテンを閉じる。
再び本を読む。読み終わる。図書館に明日(平日)返しに行こう。
夜。お父さんもお母さんも帰ってこない。
夕食を自分で作る。一人分のビーフシチュー。食べる。
テレビをつける。娯楽番組はみない。ニュースを付けっぱなしにして静寂を紛らわせる。
風呂をわかして入る。
風呂から上がり、着替えて寝る。
明日も、たぶん、同じ一日。
362 :
神姫狩り:2006/10/20(金) 01:56:15 ID:hX9DkYgi
<閑話休題。マルコの休日>
「……」
鏡を凝視する。
今は明日香はいない。チャンスは今しかない。
足元には、色んな服の数々。先日、クライアントより明日香がせしめてきた神姫用の衣服だ。
その時は、こんなチャラチャラした服など着れるか、そもそも武装神姫に必要なのは戦いを生き残るためのパーツであってこういう衣服は必要ない、と言い放った。
だが。
しかし。
いくら男勝りで、戦士の高潔さを持つマルコといえど、基本パーソナリティは神姫である以上は女性のものである。
興味がないわけではない。
――――だから。
明日香が用事で出かけている今こそが好機。
「これは……さすがに、ヒラヒラしすぎだな」
メイド服。違和感が付きまとう。
「……これもどうかと」
ナース服。駄目だ、イメージではない。
「…エルゴにこれを着ていくことは…絶対に出来ないな、死んでも」
セーラー服。ミニスカートがどうにも心もとない。
「うん、まあこれなら」
男物の詰襟学生服。やはり男装が似合う。だがなんか今はそれでは駄目な気がする。
「……これは、ちょっとやめておきたいな」
ウエディングドレス。着ると婚期が遅れるという。相手がいるわけではないがさすがに躊躇われる。着たいのはやまやまだが。
「……ちょっと、胸を強調しすぎじゃないか……?」
ア○ミラ風ウェイトレス。やはりイメージを逸脱しすぎている。
「婦警、か…法の番人の服だからこれは合うかもしれないな。ええと、こういう場合はこういえばいいのか? 逮捕し……」
そこまで言って気づいた。
鏡に写るかすかな反射光。
ドアの隙間からのぞくビデオカメラと……
に た ぁ ぁ あ あ り
と笑う、明日香のこれとない最高の笑顔に。
「ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!????????????????????????????????」
マルコ、一生の不覚であった。
書いてる話が巨大になりすぎたので前後編にわけます(汗
てかまだ後半出来てないしorz
でも前半だけでも、投下すると容量足りなさそうなので短編を
<閑話休題。風見家の休日>
ねここの場合
朝起きる
「朝ごはんおいしいにゃ〜☆」
昼寝
「縁側ぽかぽかにゃ〜☆」
昼ご飯
「杏仁豆腐おいし〜の〜」
(人間サイズ完食)
午後
「干したお布団きもちいいのにゃ〜☆」
夜
「みさにゃんのおむねで寝るのぽよんぽよんできもちいいにゃ〜☆」
雪乃の場合
「私に休日など存在しません、私の全てはねここと一緒に」
|||orz
短すぎましたね(屍
364 :
マイティの人:2006/10/20(金) 02:14:59 ID:IC9CQA82
インターバトル0「アーキタイプ・エンジン」
涼しい秋の風が網戸を通って、彼の頬をなでた。
私はたわむれに彼の頬をなでていた空気の粒子を視覚化して追う。
くるりと彼の頭の上で回転した空気は、そのまま部屋に拡散して消えた。
彼はもう一時間ほどデスクに座りっぱなしで、ワンフレーズずつ、確かめる
ようにキーボードを叩く。彼の指さばきが、ディスプレイに文字を次々と浮かべる。
浮いている文字。
その後ろの、ベッドの上に座りながら、彼の大きな背中を見ている。これが私。
私は武装神姫。天使型MMSアーンヴァル。記念すべき最初のマスプロダクション
モデル。全世界に数千万の姉妹がいる、そのうちの一人。
パーソナルネームは、マイティ。彼が一晩考え抜いて、付けてくれた名前だ。
私はこの名前に誇りを持っている。
うーむ、と、彼がパソコンチェアの背もたれに寄りかかって、腕を組んだ。再び
涼しい風が部屋に遊びに来る。窓を見る彼。外は快晴。ついで視線に気づいて、
私を見る。
彼はくすり、と微笑む。ちょっと陰のある、はにかんだ笑顔。
「おまえは、食べ物は食べられるのかな」
壁の丸い時計をちらりと見て、彼は訊ねた。私に。
「はい。有機物を消化する機能があります。99.7パーセントエネルギー化して、
排泄物を出しません」
「いや、それはいいんだが」
彼はちょっと困った顔をして、私はすぐに彼の言わんとしていることを悟った。
「味も識別できます」
「そうか。良かった」
昼飯にしよう、と、彼は台所に立つ。ワンルームの小さな部屋。一つの部屋が
リビングとダイニングとキッチンと、仕事部屋と寝室を兼ねる。十畳以上あるから
狭くはない。
カウンタをはさんでキッチンが見える。キッチンの横のドアは廊下があり、玄関へと
続く。それまでに洗面所経由のお風呂があるドアがあって、玄関に近い方にトイレの
ドア、と並ぶ。反対側は大きな納戸だ。
カウンタの手前には小さなテーブル。一人暮らしのはずなのに、なぜか椅子が二つ
ある。そのことを聞いてみたら、
「セット商品だったのさ」
と、苦笑した。
いい匂いがキッチンから漂ってくる。ガスコンロの上で、フライパンが踊る。お米と、
たまねぎと、玉子、そしてお肉が舞う。
ほどなくして、テーブルに大小二つの皿が置かれて、そこに金色のご飯が乗せられた。
チャーハン。私のプリセット知識が料理の詳細を再生する。
私はテーブルに座らせられて、小さいお皿のほうが手前に寄せられる。
「多いか」
「いえ、丁度良いです」
彼は微笑して、椅子に腰掛けた。
「小さいスプーンがこれしかなかった」
と、彼はプラスチックのデザート用スプーンをくれた。
「いただきます」
私はチャーハンをほお張る。
おいしい。
有機物を摂取するのはこれが初めて。私のコア頭脳に新たなネットワークが築かれているのが
分かる。
「おいしいです」
私は心からそう言った。
心、から。
そう。このときに、私が生まれたのかもしれない。初めて。
私は、マイティ。
了
>>344-345 の間に入るはずであった文の復元です。
記憶をたどっての復元だったので、なんとなく元と違う表現が入っている気がしないでもないですが、投下します。
344文末
>リンは無言で茉莉の秘芽に舌を当て、俺にしたように刺激する。
>一気に茉莉のこわばりが完全に消える。ちょっとやりすぎた感もあったが、俺はゆっくりと茉莉の秘部に先端を当てた。
「本当にいいんだな? 痛いかもしれないぞ」
「大丈夫。大好きな亮輔だもの」
「そうか、じゃあいくぞ」
そうして、俺は茉莉の中に進入を開始した。
愛撫がいい感じに効いたのか、予想よりはすんなりと亀頭が埋まった。
そして少しづつ肉の扉を開くように進む。
が俺は一端進入を止めた、茉莉の処女膜に到達したからだ。
俺が少し躊躇しているのを見た茉莉は笑顔で
「思いっ切り貫いて、そして私を亮輔のモノにして」
そう言った。
俺は一度少し腰を引いて、一気に突き出す。
『プチッ』という薄い膜を貫く感覚を覚えた。
茉莉はやはり痛そうだった、無理も無い。
でも茉莉は涙を流しながら
「やっと、亮輔と一つになれた…うれしい。」
そう呟く。
それまで俺と茉莉が繋がるのを固唾を飲んで見守っていたリンが言ってきた。
「マスター、私が茉莉の痛みを和らぐようにします。だから、マスターは動いてください。」
そう言うとリンは自らの恥部を茉莉と俺が繋がる部分に当て、腰を振って擦りつける。
大きさの違う秘芽が触れあい、疼く。
「ひゃあぁ、リンちゃんそれ気持ちいい。」
そうしてリンの愛撫に合わせつつ、俺は少しづつ前後に動かし始めた。
押して、引く度に茉莉の柔肉が絡みつく。
今まで感じたことのない感触にそれほど長い時間我慢する事は叶わないと分かった。
リンの愛撫(?で次第に茉莉も快感が痛みを越える状態なっていたらしく、腰を動かすようになった。
そして、ピストン運動もスムーズに行くようになっている。
その頃にはリンも茉莉も絶頂に向かっていた、かく言う俺もあまり長く持たなさそうだったから少し乱暴にすることで快感をごまかそうとした。
355文頭
>それからは皆、一心不乱だった。
>「マスタァ、ァ、ハウぅ!!」
大体こんな感じです。
大切な(?)茉莉の処女喪失の表現をすっぱり切り取っちゃってなんだか自己嫌悪。
次回からは不用意な元ファイルの上書きには注意しようと思います。
実はこの9回。文章量が史上最大になったみたいでした。
調整前の原本ファイルは行数で350とか……なお戦闘のあった回の平均260ていどです。
とにかくスレ埋めにとおおもいコチラに投下させていただきました。
まとめの際にちゃんと埋め込んでおきますので1本を一気に読みたいと言う場合はそっちを見てやってください。
では〜
んじゃ俺は前回書けなかった設定資料をば、
各種設定集 〜人物編〜
岡島 士郎(おかじま しろう)
当SSの主人公(一応)。25歳。国立大学出身の首都圏に位置する某県某市役所職員、いわゆる普通の公務員。
近隣の市に両親が在住、姉(未登場)と妹(優衣)がいる5人家族3人姉弟の真ん中っ子。
性格は見た目温厚、でも熱血漢という、まさに主人公の典型である。でもやっぱり健全な20代男子。
現在、4体のMMSを所有し、神姫バトルの世界ではリアルリーグと称される1stリーグの中位に位置する。
最近は、近所の大学に通うために居候してきた妹、優衣に振り回されることが多い。
岡島 優衣(おかじま ゆい)
士郎の妹。18歳。士郎の住むアパートの近くの某私立大の一年生(予定)。
性格は、ハ○ヒ(某の憂鬱)と智ち○ん(某あ○まんが)とシンタ○ー(某P○PUWA)を足して2で割って5倍に
濃縮したような超絶アタシ系暴走少女である。これでも3年間生徒会書記を(あくまでも推薦狙いで)勤めた。
四月からは士郎の住んでいるアパートへ(母が無理矢理に押し進めて)居候することとなるわけだが…。
また、学校説明会の日、五人目の神姫であった天使型MMSビアンカを半ば強引に実家に連れて行き、
実質、新たなマスターとなる。勿論バトルの経験はなく、今後の成長は未知数である。
○鶴畑家の人々
長兄 興紀(おきのり)
表では好青年を演じているが、実は冷酷かつ残虐な性格を持つ。でもやっぱり健全な(ry
六大学と言われる某大学の3年生。20歳。
神姫バトルにおいて天才的な戦術眼と指揮能力を発揮し、その能力を生かして、父には内緒でベンチャー企業を立ち上げている。
7歳の時に実の母を事故で亡くし、現在の母である元側室の子の大紀と和美とは腹違いの兄妹である。そのため、
大紀と和美を兄妹として見ていない。
究極の神姫を育て上げることを信条としており、所有MMSは[ストラーフタイプ]の「ルシフェル」のみ。
現在リアルランキング54位
次男 大紀(ひろのり)
兄の威を狩る狐…もといピザ。私立男子高校1年。15歳。
実力は大したことはないが、兄の威光と恵まれたパーツ、洗練された神姫育成環境の下、金を積んでの八百長試合で上位に上がる。
負けた時は、腹いせに下位リーグの連中をいたぶるのが趣味。
所有MMSは[アーンヴァル]タイプの「ミカエル」、同タイプの「アラエル」他
現在リアルランキング144位
長女 和美(かずみ)
鶴畑家の末娘でピザ小学生。12歳。
高飛車で見栄っ張りで傲慢という可愛さの欠片もない性格。
神姫バトルデビュー前の新人で、所有MMSは[サイフォス]タイプの「ジャンヌ」。
各種設定集 〜神姫編〜
−主人公側−
ヴェル(犬型素体)
主人公、岡島士郎の所有する一体目の神姫。
名前の由来は、イタリア語の「緑色」から。
性格は気だてのいいお姉さんタイプで、他の神姫のまとめ役である。また士郎に対する愛情も人一倍であり、美人を見て鼻の下を伸ばす
士郎に嫉妬する事も多い。
一番長く神姫バトルの世界に居るので、戦闘経験は一番豊富。また、過去に「ルシフェル」と呼ばれていたノワル、「ミカエル」と呼ばれていた
ビアンカと戦い、いずれも撃破している。
ノワル(悪魔型素体)
士郎の二体目の神姫。
名前の由来は、イタリア語の「黒」から。
元々は鶴畑興紀の所有している「ルシフェル」の名を冠する13番目のMMSであったが、三年前、ヴェルとの試合に於いて敗北を喫し、
廃棄処分にされる所を士郎に引き取られる。
「ボク」の一人称で話すノー天気な性格だが、感情が負の方向に高ぶると元の冷たい口調が出る事がある。
元々、興紀の元で徹底された訓練を積んでいたため、バトルにおいてはかなりの実力を誇る。
ジャロ(ネコ型素体)
士郎の三体目の神姫。
名前の由来は、イタリア語の「黄色」から。
性格は天然気質のお気楽キャラだが、リアルリーグで馴らしたバトルの腕は確かである。
好物はシュークリーム。
マタタビ酒を飲むと、性格が清楚な箱入り娘キャラと化す。
コニー(兎型素体)
士郎の四体目の神姫。
名前の由来は、イタリア語の「兎」から。
元々、武装パーツに付いていた頭部ユニットだったので、士郎の経済状況から、なかなかボディを貰えず、使役ユニットである
プチマスィーンスetc...に馬鹿にされる事が多々あり、一時はひねくれた性格だったが、藤堂亮輔の所有するリンとのバトルで吹っ切れる
事が出来た。しかし、そのバトルの際に付けられた「乱射魔(トリガーハッピー)」の二つ名で呼ばれることを極端に嫌っている。
現在は、崇拝する「BL○CK L○GOON」のレ○ィの口調&性格etc...を真似ていて、いつかは「二丁拳銃(トゥーハンド)」の二つ名で
呼ばれる事を夢見ている。
現在、セカンドクラス戦っており、実はバトルにおいては5人の中では一番未熟だったりする。
好物はニンニク煎餅。
ビアンカ(天使型素体)
士郎の五体目とされる一番新しい神姫。
名前の由来は、イタリア語の「白」から。
元々は鶴畑大紀の所有する神姫「ミカエル」のbPであったが、ノワル同様ヴェルとの試合に於いて敗北を喫し、廃棄処分にされる所を
士郎に引き取られる。ノワルと違うのは、修復の際、全ての記憶をリセットしている所であり、以前の大紀と居た記憶は無い。
なお、第11話の際に、士郎の妹である優衣に半ば強引に実家に連れて行かれ、現在優衣が新たなマスターとなっている。
性格は非常に素直な優等生タイプ。
まだデビュー前ではあるが、鶴畑家の訓練を受けているために、戦闘スキルはかなり高い(ハズである)。
各種設定集 〜神姫編〜
−鶴畑兄妹−
ルシフェル(悪魔型素体)
鶴畑興紀の所有する神姫。
名前の由来は、キリスト教における「サタン」の別称「ルシフェル」より。
究極の神姫を育て上げることを信条とする興紀の考えに則り、興紀自身の立てた戦略や指示に付いてこられなくなった同型素体は、戦闘データを
採取された後廃棄され、前回のデータを周到し、改良された新たな別の素体である「ルシフェル」が誕生する。
そのため、興紀のデビューからの通算敗北数(非公式含む)である"30番目"に登録された悪魔型MMSが現在の「ルシフェル」の名を冠している。
また、岡島士郎の所有する「ノワル」や陽元治虫の所有する「エル」は、"廃棄された"「ルシフェル」シリーズの内の1体である。
興紀に絶対忠誠を誓う「機械」のような性格であり、「エル」の様な性格が設定されたのは極めて稀である。
ミカエル(天使型素体)
鶴畑大紀の所有する神姫。
名前の由来は、キリスト教における四大天使の一人である「ミカエル」より。
戦闘能力に於いては、鶴畑家の訓練を受けているため、最高水準の能力を誇るが、如何せんマスターがアホなので付いていけていない。
また、大紀が興紀の真似をし、敗北を喫した同型素体は尽く廃棄されている。士郎の「ビアンカ」はその中の一体である。
興紀の「ルシフェル」同様、大紀に絶対忠誠を誓う「機械」のような性格。
アラエル(天使型素体)
前スレ208氏の「アラエル」の頁を参照。
ジャンヌ(騎士型素体)
鶴畑和美の所有する神姫。
名前の由来は、中世ヨーロッパの英雄「ジャンヌ・ダルク」から
本来、近接・突撃戦闘を信条とする騎士タイプだが、和美の美学から、中〜遠距離を主体とした実弾装備を多く持たされることが多い。
その姿は、さながら「難攻不落の要塞」である。
興紀の「ルシフェル」、大紀の「ルシフェル」他同様、和美に絶対忠誠を誓う「機械」のような性格。
うは〜、結構な量になっちまったい…(;´Д`)=3
なんていうか、水をさすようで悪いんだが
ここはエロパロなわけで。
今までの流れの上で、なんとなーくエロ無しでもOKって流れだったが
既に「僕の考えた神姫」のバトルモノばっかりだよね?
エロでも萌えでもないし。
いい加減にしてほしいっていうか、
そういうSS書くなら他所にスレ立ててそこでやって欲しい。
半角二次元でもなんでもあるっしょ?
>>370 半角二次元だと余計に板違いだなぁw
まあ、萌えと燃えの融合みたいな〜だから、このままでも良いんじゃないか?
同意
あとエロパロ板でもエロ無しOKのローカルルールあるスレもあるぞ。
エロ無しが悪いとは言わんが
思いっきりバトルモノばっかりじゃん
エロ無視だよこれじゃあ
最初からエロくする気もなくて、
ほのぼの日常妄想とかでもないなら
やっぱり他所でやって欲しい
気軽なネタとか投下できる空気じゃないよ
最初のころはまだ良かったけどさ
確かに板とか今後の事は考える余地があるだろうね。
でもまあ文句言ってばかりとか、エロが良いなら自分で書いて流れ変えてみたら?
貴方の行動が他に似た感情を持ってる人が、気軽にネタ投下出来るきっかけになるかもしれないんだから。
少なくともここで気軽な小ネタを投下して
「空気読めバカ」「スレ違い」
とか言う連中は皆無だと思いますが。
なにはともあれ行動しましょうぜ。ここに投下する資格はただひとつ、神姫への愛と妄想だから。
あと無粋な突っ込みかもしれないが上のほうのログを軽く見てみることをお勧めする
エロや日常のSSもちゃんとしっかり投下されているよ
分けない方がが利が多いですよ?
分けるとSSがSSを生み出す連鎖反応が鈍くなるしね。
単に「エロを排除しない」程度でいいんジャマイカ?
過疎って止まる事がなによりも危険だと思われ。
あと小ネタって貴重よー?
ここでも小ネタ投下でSSの核融合反応が何度か起きてるしね。
小ネタは
読 み や す い
あと上に言われてるぶんもあるし、歓迎こそされ非難されることはないと思うのよー。
<閑話休題編その二 凪の暴走>
今日は十兵衛のシステムメンテナンスの日だ。
俺の家には朝から創が来ている。
「じゃあ、さっそく始めさせてもらうよ」
「おう、すまないな。いつも」
「いいってことさ」
俺は創の集中力を削がない様に部屋を出た。
「ふむ…暇だな…」
ぽつんと部屋に一人…ボーっとしていても仕方がない…。
パソコンでもつけるか。
俺は某掲示板サイトを開き暇つぶしをすることにした。
そしてしばらく見ているとだ。
武装神姫スレに衝撃の書き込みがあった。
>おまいら分かってないぜ
メカである神姫にとっては白濁液を塗りたくられるよりも
ネジを外して中を覗かれる事の方が恥ずかしいんだよ!!!
………な、
な ん だ っ て ! ?
つまりは…つまりは…今あの部屋で十兵衛と創は……
・
・
・
「じゃあ始めようか」
戸を閉める創。
「は、はい…お、お願いします…」
小さく震えながら言う十兵衛。
「じゃあまずは服を脱いでもらおうかな」
「は、はい…」
帯を解き、ボタンを外し少しずつ隠れていた部分が露出する。
「うん、準備万端だね」
「あ、あの…やさしくしてくださいね…」
その問いに笑顔で答える創
「もちろんだよ十兵衛ちゃん…じゃあいくよ」
創の指がそっと十兵衛の肌に触れる。
「ふぁ…」
下腹部を触れられて思わず声を出す十兵衛。
「ふふ、かわいいね…まずはっと…」
創な指が十兵衛の全身を隈なく蹂躙する。背中も胸も彼のされるがままだ。
「ひぁ…ふひゃ…」
「感じやすいのかな?ふふ」
「んひゃあ…!」
創の指が恥部に達する。電撃が体を走る。
「そろそろかな…」
そう言って、創は黒光りするそれを取り出した。
「ひっ…あの…」
十兵衛の表情が一瞬強ばる。
「どうしたんだい?」
創はそれを持ちながら言った。
「そ、そんなに大きいのを…入れるんですか…?」
「そうだよ?丁度良いサイズだと思うけど?」
さらっと言う創に対し、顔を赤らめる十兵衛。
「さてと…」
「ひゃあ!」
創は少し乱暴に後ろを向かせる。そこには一糸纏わぬ綺麗な部分がある。
「ほら、入れて欲しくてたまらないみたいだね」
「そ、そんなことっ…」
「だって艶々だよ?」
「い、言わないで…ください…」
十兵衛はさらに顔を赤らめる。
「いくよ…」
創はそれを十兵衛へと向ける。
「え、まだ…ひあぁ…!!」
ずずず…と十兵衛の中に進入してくる物体。いきなりの衝撃に体が固まる。
「うぅ…あひ…」
「ほら、どんどん入っていくよ?」
「い、いやぁ…」
「体は正直さ」
創はそれをさらに奥に突き刺した。
「はぁぁぁぁ!!」
ビクンと体をそらす十兵衛。
それは限界まで十兵衛の奥にもぐりこんだ。
「奥まで届いたみたいだね?しっかりはまっているよ?」
「あ、あぁ…やぁ……」
その快感に意識が遠のく。
「おやおや、もうぐったりかい?でもまだまだこれからだよ…」
「ん!んんんんぁぁぁ!!!」
置くまで達していたはずのそれがさらに奥まで進みぎっちりとはまる。
「ほらぴったり」
「はぁ…はぁ…はぁぁん!!」
十兵衛の大切なところに凶悪に突き刺さったそれはやがて動き出し強い力が加わる。
「はひゃ…んあぁぁ!」
創はそれを軽快なリズムで動かす。くいっ…くいっ…くいっ…くい…。
そのリズムに合わせて声が漏れる十兵衛。
「ふひゃ、ふぁ、やぁ、ひぃん!」
「ふふふ…じゃあ…パワーアップっと」
「んひぁぁぁぁぁ!!そ、そんなに強くしちゃだめぇぇ!!」
動きに力が加わり強くなる快楽。
「はぁぁ!!んひぃぃぃぃん!!」
「ほらほら、もう少しだ…」
「ん!あぁぁぁ!も、もう!は!はずれちゃいますぅぅぅ!!」
「よし、もうそろそろ…」
「だ、だめぇ!もうまわさないでぇぇぇ!!」
「いくよっ!!」
「ひあぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
体があまりの刺激に痙攣をおこし、思うように動かない。
「ほら外れたよ…」
そこには普段は守られた部分が露出していた。
「い、いやぁ…見ないでぇぇ」
あまりの恥ずかしさに顔を手で覆う十兵衛
「さて、次は〜ここかな?」
「ひぃ!そ、そんな!まだはやぃあぁぁぁ!!」
創は容赦なくそれを次の箇所に突き刺した。
・
・
・
………
た い へ ん だ ! !
へ ん た い だ ! !
・
・
・
「じゃあここも交換しようか」
「はい、お願いします!」
「だいぶ消耗しなくなってるね、左眼を使いこなしてきた証拠かな?」
「えへ〜そんな照れちゃいますよ〜」
その時!
どごぉぉぉぉぉぉあん!!!
ドアが強烈な音を立てて開いた。
「はじめぇぇぇぇぇぇ!!きっさまぁぁぁぁ!!」
「うおぉぉぉぉ!!!!????」
「ま、マスター!!!???」
凪のあまりの形相に驚く二人
「……」
その驚く声にはっと我に返る凪
「…あ、いや…どうかしていたみたい…だ…すまん、寝る…」
と凪はとぼとぼと自分の部屋に戻っていった。
「???」
「???」
そんな凪の背中を見つつ、顔を見合す二人であった。
終
了
!!
何やら論争があったようですが…割りと気にせず投下してしまいました。
あ、言っておきますが…入れたのは
ド ラ イ バ ー で す か ら ね ! ?
差し込んだのは
ネ ジ 穴 で す か ら ね ! ?
さて、股を開いたり閉じたりしてきますorz
まぁ、少し落ち着いて、神姫の股を開いたり閉じたりしましょう。
自分としても確かに本スレの意見も尤もだと思う部分がありますので、これからは一番最初に書いていたような形の作品を作ろうと思います。
○月▲日
修理を受けた犬子と猫子が戻ってきた。
箱から顔を覗かせる二人は正しく犬と猫。
因みに白子と黒子は怖がって、机の上から恐る恐る覗いている。
犬子は箱から出すと手当たり次第に周りの匂いを嗅ぎ始め、猫子は丸くなって寝始めた。
こうしてみると神姫何だか動物何だか判らなくなるが、こう言う物なのだろうと納得して暫く眺めるだけにしておく。
一時間もすると慣れたのか、今度は俺の方に寄ってきた犬子と猫子。
犬子は俺が差し出した指を舐め、猫子は胡坐を組んでいる足に身体を擦り付けて来た。
本当に、本当にこれは武装神姫なのだろうか?
疑問が湧いた俺は、犬子と猫子の項辺りを掴んで持ち上げた。
すると二体とも、それこそ犬と猫のように手足を丸めた状態で持ち上げられたではないか。
挙句、犬子は『クゥ〜ン』、猫子は『ナー』と一鳴き。
メーカーに電話しようとする意志を無理矢理抑え付け、個体差なのだと自己解釈して自己完結。
その後、用意していたミルクをちゃんとカップを手で持って飲んだ事に凄まじく安堵した俺がいた。
と、ようやく心の平和を取り戻せそうだったのだが、落とし穴があった。
恐々と近付いた白子と黒子に、犬子は尻尾を振って飛び掛って顔を舐めまくり、猫子は毛を逆立てて少し威嚇したのだ。
慌てて二人から引き離したが、これは決定的かもしれない……。
今日はもう遅いし、明日も怪しい挙動を取ったら即メーカーに確認を取ってみよう。
俺の後ろで、犬子は足で首筋を掻いていて、猫子は手で顔を洗っている。
orz
面倒臭いし、もうメーカーには出したくないんだが………。
とはいえ、実際は一部のコテハン書き手だけで盛り上がっている状態じゃないか?
その状態がすでに、閉鎖的になりつつあると言うのも事実だ。
連投すまん
>>377 単に「エロを排除しない」程度でいいんジャマイカ?
エロ妄想ネタスレで、その発言自体本末転倒に陥っていると思うが?
>>385 そうじゃない、とは言わないが、じゃあいったいどうしたいんだよw
SSというのは、比較的に敷居が低いとはいえ、やはりそれなりの
「文を書くテクニック」や、「書きつづける根性」や、ちょっとした何か
が必要なもの。
それを維持し続けて、しかも読む側から評価される一部の書き手が
職人として認知される。
一部コテが独占というが、それは「コテの書き手」が他の「名無しの書き手」
よりも多少は書くことのモチベーションを自身で維持して投下する努力(?)
をしてるから、という結果にすぎない。
その現状に不満というか、他の人も参加を、というなら、その参加の意思が
ある書き手が、いっそう積極的に「書いたものを(道理と礼儀をわきまえて)
投下して、みんなで盛り上げ」ればいいだけのこと。
キミを含めてね。
このスレ自体が、特に特定の書き手≒コテ書き手のみ投下可能なスレだ、
というような制限をつけたスレでは無い以上、「参加のための、機会の平等」
は、維持されていると考えるべきだ。
また、そういう根拠に基づいて、新しく参加したい書き手や、単発だけど
書いたよという書き手が、自由に参加することは普通にあたりまえのことだし。
逆にそれを避難したり否定したりする輩もいないだろう。
少なくとも今まで3スレ分のログには、そんな奴出てきて無いぞ。
よって、現状をどうにかしたいんだけど、という意見が出てくる意味が
そもそもよく解らないよ、俺には。
で、もう一回聞くけど、どうしたいのさ?