ストロベリー・パニックでエロパロ その3

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1涼水玉青
巡り行く百合の世界。ここは「ストロベリー・パニック」のエロパロスレです。

◆公式   http://www.strawberrypanic.com/
◆電撃公式 http://www.mediaworks.co.jp/users_s/gs/strawberry/
◆前スレ
ストロベリーパニック!でエロパロ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1145006281/
ストロベリー・パニックでエロパロ その2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1154191670/

●お約束
・アニメ、小説、コミック、ゲーム、いずれの設定でも構いません。
・エロ無しでも問題ありません。ストパニへの愛があれば十分です。
・人を選ぶもの(陵辱など)は、投下前に警告の一文をお願いします。
・投稿作品への誹謗、中傷は厳禁です。アドバイスをお願いします。
2名無しさん@ピンキー:2006/09/29(金) 22:55:01 ID:JjK75cKr
    /:.:.:.:.:.:.:.:/:.::.i:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヘ:.:ヘ
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   /;イ:.:.:.:.:.:.:,イ:.:ハレ:.:.:.:./ト、ハ:.i:.:.:i:.:.:.:|:.:.:}
   //.i:.:.:i:.:.:.:.:i,|:.i/iハ:.:./ リ\|、;イ:.:.:.:.i、:.:i
   | i.|:.:.;イ:.:.i:.:| |i  ィ ∨ ゝ リ|/`イ:.:.:ト:.Y、   
.  | i,|:.:.| i:.:.|i:.:|ィェェク    イミェュャ.レ:.:.i;,:.:) ヽ
   i|.´i:.| i:.:.iヽi /// ヽ   /// /:.:./、)   \  >>1乙ですわ。
  /リ i:.i .ト:.:i:.ゝ  マ⌒ 、   /イ:.:.ifj´\ i.  ヘ
  `ー <i\|\ヽ    ヽ_ノ    /:.:.:/Y ヽ. \ ,/   
     ∨.|:.:.:`|`ゝ、     ,./i:.:.:/ .i| \  /
     / ∧:.:.:|  /i`ー‐ ´ {`/:.:.:i .i|  ∨
     / / |:.:.:| ,..ィ|    ゝi:.:.:.:|_,..i|-‐-、\
   /".i|`ー|:.:.:iT く´i     /:.:.:.:{  i|   ヽ
   /  i|  iノ/二二二二 ̄i|:.:.:.:.i  .i|    ',
   i   i| /,..-ーつ  rー、i f´i:.:.:.|  .i|     ト、
.   i   i| ゝ ! <ノ ̄ラ `=- `く |:.:.:|  i|     | .i
3別荘 14:2006/09/29(金) 23:43:37 ID:knQbt++u
前スレ>>485の続きです


花火の打ち上げに便乗した出店から焼きそばの香りがする
思ったより人の多いここでは私たちはどう見えているのだろう?
友達?恋人?それとも、姉妹?……あ、変態か
下着も付けずにこんな所を手を繋ぎながら歩いているとはかなり倒錯的なプレイかもしれない
でも、いいか
自分には素直になろう

「そうだ……」
「どうかしたの?」
「ちょっとね」
思い出したように巾着から財布を取り出す
出店の前で止まり、指を指すのはりんごあめ
「おじさん、これ一つください」
「あいよ、嬢ちゃんたち可愛いから一つサービスだ。ほら」
「あ、ありがとう……」
真っ赤なあめを両手で差し出してくれる
気前のいい店主かも知れない
でも、空気をよんで下さい
光莉と舐め合いたかったのに……

「得しちゃったね」
半月の光に笑顔が反射する
そんな笑顔に私はいつも吸い込まれてしまう
そして、そのまま手から落ちていくあめ
「ああっ」「……やった」
驚く光莉を尻目に、つい喜んでしまう
聞こえてない……よね?

「私のいる……?」
「光莉のは光莉が食べなよ」
これじゃあまりにもわざとらしすぎる
「そんなの……じゃあ、一緒に食べようよ」
「うん」
4別荘 15:2006/09/29(金) 23:44:33 ID:knQbt++u
「んちゅ、ん……はぁ、んんっ……ちゅっ…」
光莉の舌と私の舌が絡まり、蕩けていく
互いに舌を紅くさせながら甘い蜜を吸いあう
ディープなキスよりエロいあめ
りんごあめより甘い舌
とろとろと溶けていく

「あっ、終わっちゃったね」
「おいしかったわぁ」
「りんごあめってこんな味だったんだね」
「堪能できたわ」
合っているようであっていないような会話
まだ頭がくらくらとする

心なしかふらふらとした足取りで歩いていくうちに河川敷に着いた
対岸で打ち上げられる花火がよく見える
思っていたより空いていた
きっと少し離れた所である花火と日にちがかぶってしまったからだろう

「ほら、あっちから上げるのよ」
「へぇ、楽しみ」
「もうすぐね……」
時計を見ながら応える
もうカウントダウンしたっていいくらい

ひゅーー、どん
小さい玉が放たれて、大輪を咲かせる
余韻を残し、散っていく
色とりどりの花が咲き、消える
儚げに、いつか散るのに咲く
それでも、一瞬のために咲く
散ったとしても輝けるそのときのために

繋いだままの光莉の左手を見る
私たちは切れない、切らない
散らない花になる
光莉となら……
5別荘 16:2006/09/29(金) 23:45:49 ID:knQbt++u
「綺麗だね」
ふと、右肩に光莉の頭が乗る
頬に当たる髪がくすぐったい
「そうね」
私は優しく肩を抱く
見詰め合って二つの瞳
唇はそっと近づき、重なる
さっきと違う優しいキス
二人だけのキス

どどどーーん
そして、フィナーレ
辺りは一面明るくなり、色とりどりに変わる
そんな光は見えなくても、私は光莉だけを見ていた
互いに目が離せない
キラキラと光る瞳
瞳の中に映る私


花火が散って、暗くなる
「帰ろっか」
光莉の声に私は小さく頷いた
繋いだ手を握りなおして




と、ここまでです
前スレ>>493さんありがとうございます
そろそろエロを入れなければ……
6名無しさん@ピンキー:2006/09/29(金) 23:53:11 ID:knQbt++u
それから>>1乙です
7【夜々先輩】 7:2006/09/30(土) 00:33:10 ID:eG/EHd03
>1さん スレたて乙です。
>5さん GJ!です。>>友達?恋人?それとも、姉妹?……あ、変態か   ←ここで大笑いしました!
花火が散るところで、夜々ちゃんガンバレ!という気持ちになりました。
前スレ>507さん >>511さん ありがとうございます
前スレ>>511さん やっぱり千華留さんはいいなぁ… GJ!です
前スレ>>519さん よかったです。光莉ちゃん怖い……こういう光莉ちゃんもいいですね
前スレ>505の続きです。

「私もさ、檸檬ちゃんと同じだったんだ。私も同室の子のことが好きだったけど
 その子が好きな人は、私なんかじゃ絶対勝てない強敵でさ……」
夜々は遠くのオレンジに染まった空を見つめると
さっきまで笑顔だったのがつらくて泣き出しそうな表情になっていった。
空はきれいな夕焼けだけど、それが彼女の悲しい顔をいっそう引き立たせていた。
「夜々さんも……」
「ごめんね。私じゃ全然アドバイスになんないね、ハハハ……」
「い、いえ、そんなこと…。夜々さんも自分と同じだと思うと、何だか不思議とすこしだけ気が楽になりました。」
「でもね、失恋したときは、こんなつらい恋だったらしなきゃよかった、なんて思ってたけど
 今はさ、強がりかもしれないけど、あの子のことが好きになってよかった、て思えるようになってきたの。」
夜々はすこしだけ穏やかな顔になって、檸檬ちゃんにむける。
檸檬ちゃんはそれをみてうるうると目に涙を浮かべた。
「う、ううう……わ、わたし、絆奈のこと、す、好きになっていいんですね……ヒック、ヒック。」
檸檬ちゃんは泣き出してしまったけど、笑っているようだった。
「いいのよ…大丈夫よ…もしつらいことがあったら、私や蕾に相談してね……一人で悩んじゃダメよ…」
夜々は、うつむいて眼鏡をぬらす檸檬ちゃんのあたまをやさしくなでた。
――――――――――――――――――――
「この前、自分の部屋と間違ってドアを開けたら、剣城さんと桃実さんがベットのうえで
 温暖化しちゃってて、二人のが丸見えでさあ、もう私、泡食っちゃって……あはははははは…」
「まったく、あの二人には困りますよね、うふふふふふ……」
以前のように二人だけの夜のお茶会。今日は夜々先輩のほうから話をしてきた。
テーブルの上のライトだけの明かりで、あたりは暗かったから
蕾はすぐそばにいる夜々先輩の、何の曇りもない明るい笑顔だけを眺めている。
身振り手振りを交えた話し方と目まぐるしく変わる表情は見ていて飽きない。

最近の蕾は気が付くと夜々先輩のことばかり見ている。
聖歌隊の練習中はもちろん、夜々先輩が体育の授業で校庭で走り回ってる姿を、教室からじっと見つめていて
先生に怒られたりもした。
「ねえ、聞いてる、蕾?」
「は、はい?何でしたっけ?」
夜々先輩は話を続けていたのに、蕾は彼女の顔に見とれボーっとしていて途中から聞いていなかった。
「どうかしたの、蕾?あんたも何か悩みがあるの。」
「え?!いいえ、別に悩んでませんけど…」
「檸檬ちゃんの恋が上手くいくといいわね…」
檸檬さんの話をしているようだが、夜々先輩の顔はすこし曇っていた。
「え!?檸檬さん、好きな人がいるんですか?」
「へ、あんた気が付かなかったの、檸檬ちゃんが絆奈ちゃんのことが好きなの?」
「え、ええええええええ!!き、絆奈さんのことがぁ!!?」
蕾はびっくりした。檸檬さんとは夜々先輩よりずっと付き合いが長いのに、自分はそれに気づかなかった。
「だけど、絆奈ちゃんは千華留さんのことが好きなんだよね。」
夜々先輩は暗黙の了解のように、そう蕾に言うのだけど
「……な、なんでしってるんですか、夜々先輩!!?……私なんか全然そんなこと……」
「はぁ〜〜。あんたって鈍いわね〜〜このくらいすぐ分かるでしょう?
 まあ私のラブ・センサーは高性能だからね!」
夜々先輩は恋愛の話になると敏感すぎる。
8【夜々先輩】 8:2006/09/30(土) 00:36:50 ID:eG/EHd03
「に、鈍いだなんて、失礼な……。それに、何がラブ・センサーですか、まったく……
 じゃあ、私の好きな人は?夜々先輩には絶対わかりませんよ!」
蕾には彼女の高感度センサーをすり抜ける自信があった。
というより、自分には特に好きな人はいないから分かるわけもないと思っている。
「そんなの簡単よ。蕾はねぇ〜…千代ちゃん!」
「は、はぁ〜?ぜんっぜんっ違いますよぉ!」
「あれ?外れた……おっかしいなぁ……あ、わかった!玉青さんだ!」
「あの人はちょっと……美人ですけど……」
「ふふふふ……今度は外さないわよぉ〜……渚砂さんだ!」
「勘弁してくださいよぉ〜」
「えーーーー違うのぉ〜〜?……はっ!も、もしかして……あなたって……」
夜々先輩はテーブルに身を乗り出し蕾に近づき、内緒話をするように右手を口元にやって蕾の耳元に
ごにょごにょとしゃべった。
「…エ、エトワール様?」
…………………………
「夜々先輩……夜風に当たってきたほうがいいじゃないですか?」
蕾はあきれ返った。
「これもちがうの?」
夜々先輩は腕を組んでしかめっ面になって考え込んでしまった。
「誰だろう……うーーーん……千華留さんかな?いや、六条さんかな?まさか籠女ちゃんだったりして…」
「はいはい、ウチの会長でもないですよ〜〜」
蕾は両手でほお杖をついて目をつむり、つまらなそうに彼女の推理を否定している。
「私だったりして」

「………………!」
夜々先輩のその解答に蕾は心臓を貫かれたような感覚に陥った。
「なーーんちゃって!そんなわけないよね、あはははははははは」
夜々先輩は大笑いをして、あぐらをかいている自分の足をバンバン叩いている。
蕾の顔色が変わっていったのだが、小さなライトの光ではそれがわからなかった。
「あ、あの……。私、もう寝ますね……」
蕾はすっと立ち上がり、すたすたとドアの前に行き、先輩に背を向けたまま
「おやすみなさい、夜々先輩」
とあいさつをして、ドアを開けて外へ出てしまった。
いつもと違ってさばさばしている彼女を見て、夜々はきょとんとしている。
「蕾…………………………剣城さんはやめとけ……」
夜々先輩は恋愛の話になると敏感すぎる?
9【夜々先輩】 9:2006/09/30(土) 00:41:27 ID:eG/EHd03
カキーン!…パシィ!
今日の夜々先輩の体育の授業はソフトボール。スポーツに力を入れているスピカのグラウンドはとても広い。
ボールを打つ音、捕る音、大きな掛け声が蕾の教室まで聞こえてくる。
「よっしゃあーー!ピッチャーこいやぁーー!」
2アウト満塁のチャンスで打席には4番・二塁手の夜々先輩。気合十分。
バットのグリップの位置は胸の高さで、ヘッドを体の前方へ少し傾けている。
ブンブン振り回しそうな彼女にしては、意外とおとなしそうな構えだ。
マウンド上の投手はソフト部のエース。大きく回した腕を腰にチップさせて威力のあるファストボールを投じる。
コースは内角高め。夜々先輩はその球を上手く前のほうで捕らえ、レフト方向へ打ち返す。
バッコーーーーーン!
バットの真芯に当たった乾いた音が響き、打球は大きく弧を描きながらフェンスへ向かっていく。
そのフェンスの手前に、高く張り巡らされたネットが待ち構えている。
それは去年のスピカの校内球技会で、天音様が何本もスコンスコンと場外へホームランを放ったため
急遽設置するようにしたもの。通称アマネット。
しかしその障害物を夜々先輩の打球は超え、フェンスで区切られたテニスコートへ吸い込まれていった。
満塁ホームラン。
ぽこ〜〜ん!
「うぎゃあああああ!!」
「きゃあああ!要がぁ〜〜!!」
同じく体育の授業でテニスをしている剣城さんに打球が当たって、桃実さんが悲鳴を上げた。
夜々先輩は両チームの生徒から大歓声を浴びるけど、ダイアモンドを一周する彼女はガッツポーズなどはしないで
打って当然という素振りで黙々と駆けている。
「腰の回転がものすごく速い。それにボールをバットに乗せるような打ち方…
 遠くへ飛ばす技術は、おそらくあの天音様より上。特別体が大きいわけじゃないのに…胸は無駄にでかいけど…
 でも、あの腕を畳んだお手本のような内角打ちには惚れ惚れしちゃうなぁ。」
蕾が解説をしているあいだに、先輩はホームベースを踏んで、校舎を見上げていた。
そして両手の指先を唇につけてから大きく腕を広げ、その動作を何度も繰り返した。
ベースランニングでは表現しなかった、その大きな喜びを向けた先は
「…え…?!わ、私?!」
彼女と目線が合い、蕾の顔はかーっと熱くなる。蕾が特別席で観戦していたのを気づいていたようだ。
投げキッスはいつもの夜々先輩の冗談なのはわかっているけど、それでも蕾は意識してしまう。
「や、や、夜々先輩ったら……」
「奥若さん、次の英文を訳しなさい。」
ドキドキしてうつむいていると、突然英語の先生に指された。
「は、は、は、はい!え、えーーーと……」
慌てながらも教科書を持ち上げてすぐに立ち上がり答えようとする。
He left the baseball club seven times in his high school days.
「えーと…『彼は高校時代、野球部を7回退部しました。』……です。」
「…よろしい…座っていいですよ。では、次……」
ソフトボールの試合を見ていて、『left』を夜々先輩が打った方向の『レフト』と間違えそうになったけど
答えることができて少しほっとした。
「もお〜〜夜々先輩ったら……」
でも胸の高鳴りは未だに抑えられないでいる。
―――――――――――つづく
10名無しさん@ピンキー:2006/09/30(土) 06:11:47 ID:MItQ9XDG
なんか新作作るかな…
11名無しさん@ピンキー:2006/09/30(土) 12:06:53 ID:sShnku3L
新スレ同時に新作乙です
職人さんたち。
12名無しさん@ピンキー:2006/09/30(土) 14:29:25 ID:axshSQZo
むむ
13名無しさん@ピンキー:2006/09/30(土) 15:57:29 ID:NiQ+WvCn
>>7
GJ!!最終回で更に夜々×蕾熱が高まってるので、
続きが本当に楽しみです!期待してます。
14名無しさん@ピンキー:2006/09/30(土) 23:51:21 ID:9vBRqZau
静馬×渚砂でお願いします
15名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 23:32:48 ID:eoimTSNL
・静馬様×高倉さん
・アホ話80%、微エロ20%
・5〜6回の分割投稿見込み
がありますけど、如何でしょうか、お姉さま方?
16名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 23:52:08 ID:bPFqlQlb
ゴメン、高倉さんって誰?
17名無しさん@ピンキー:2006/10/02(月) 00:00:00 ID:MFnL4LJS
>>15
いただきましょう!
18名無しさん@ピンキー:2006/10/02(月) 01:55:22 ID:ZPg7mjHf
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1149700144/l50

上記の電気アンマスレ139でリクエスト受け付けてますよ。
19名無しさん@ピンキー:2006/10/02(月) 10:49:45 ID:T3sz1Pj6
アホ話好きなんでどうかよろしくお願いします
20高倉瑞貴かく戦えり(1):2006/10/03(火) 00:37:16 ID:2XllIC/W
>>16氏、ミアトル生徒会の書記さんです。
>>17氏、>>19氏、ご許可有難う御座います。では↓

「……またやられたのね……」
「ももも申し訳ありません!六条会長!!ちゃんと縛っておいたのですが……ね、ね、ね、高倉さん!」
「はいぃ!伝説のネビュラチェーンで、朝からしっかりと!あ、あと狩野様と東儀様にも見張りをお願いして……」

定例の三校生徒会合同昼食会の日。またもやエトワールこと静馬の
すっぽかしが発生した。
会場の大会議室には、引きちぎられたチェーンと、
コブをこさえた見張りの二人が空しく床に散乱している。

「幸いお昼までまだ時間があるわ。……探して、引っ括ってきて頂戴……」
「「ヤボール!マインフューラー!!!」」
顔面蒼白でビシッと挙手の礼をする水無瀬佐希子副会長と高倉瑞貴書記。
彼女らに明日はあるのか。


―――アストラエアの丘はかなり広く、そして緑豊かである。
その中を猟銃を携えた二人の乙女があてどなくさ迷う。

「佐希子お姉さまぁ、こんな麻酔弾効きますでしょうか?ネビュラチェーンを破ったお方ですよ」
「…………瑞貴ちゃん。実は……」
佐希子は無言で肩に掛けた可愛らしいポーチから、何か取り出し瑞貴に手渡す。
「六条会長が『適宜使ってよろしい。』と仰って……」
「ひぃぃ!これ本物のトカレフじゃないですか!!!」
「あと、『自分達用にならない様に頑張って』って……」
「も、もう嫌ぁ〜〜〜〜」

そんなこんなで、山狩りを続けること数十分。
天の助けか、森の中に佇む静馬を発見したのであった。

「瑞貴ちゃん。ここからでは当てにくいでしょう。私が静馬様を追い立てるから、貴女は先回りしてポジションを取って」
「はい、了解です。佐希子お姉さま、お気をつけて」
瑞貴は足音を殺して、開けた一角を視界に納める草むらに身を伏せる。
お父様のハンティングにお供した幼少期を思い出しながら―――。
21高倉瑞貴かく戦えり(2):2006/10/03(火) 00:40:22 ID:2XllIC/W
―――セオリー通りなら、佐希子に追い立てられた静馬が
そろそろスコープ一杯に映るはずだが……
「静か過ぎるわ……。悪い予感が……」


ゴリッ
突如、瑞貴の後頭部に何かが押し付けられる。
「チェックメイト♪」
「―――!!!!」
楽しげに瑞貴の頭に猟銃を突きつけているのは、ターゲットの静馬。
「静馬様!」
咄嗟に体を反転させ、一発撃ち込もうとする瑞貴だったが、
一瞬早い静馬に捻り上げられてしまった。
「無駄よ。貴女達は未熟すぎる。諦めなさい。」
「そっ、そんなぁぁ……」


―――ポロポロポロ。
瑞貴の顔から悔し涙がこぼれる。三つ編み、困り顔によくマッチしている。
「お願いです……。一緒に来てください……でないと皆さんに……」
さらにしゃくり上げる瑞貴。本人にそのつもりは無いだろうが、
嗜虐心をそそる表情だ。

「あらあら、可哀相に。生徒会ではたった一人の4年生ですものね。意地悪なお姉さまに囲まれて大変なのね。」
あんたが、その極致です。瑞貴は心の中でツッこんだ。
「いいわ、一緒に行ってあげる。だけど……タダではねぇ♪」
22高倉瑞貴かく戦えり(3):2006/10/03(火) 00:41:38 ID:2XllIC/W
――――輝く太陽、青い空、緑の風、静かな森の中で淫靡な取引が開始された。

「…………やれば、一緒に来て頂けるのですね?」
「手ぶらだと六条会長がなんて言うかしら♪」
「……っ分かりました」

前屈みになって、スカートの裾を口にくわえ、元の姿勢に戻る。
「うふふ、可愛い下着ね。」
慎ましやかなミアトルの制服を自らの口で捲り上げ、下着を晒す。
羞恥で真っ赤になりつつも、生徒会書記としての責任感が瑞貴を動かす。
「だけど、ちょっと意外ね。てっきり白かと思ってたのに、ピンクとはねぇ。佐希子さんの言いつけ?」
「ひ、ひがいまふぅ!」
『口を離したらダメよ』と条件を出され、抗弁できない瑞貴をネチネチと責める静馬。
「嘘は感心しないわねぇ。貴女と佐希子さん、随分と仲が良いじゃない。」
「わ、わらひと佐き子おねえさまは……」

確かに、瑞貴と佐希子は仲が良い。そして、瑞貴はさらに一歩踏み込んだ思慕の念を佐希子に密かに抱き、
時として抑えがたい邪な情欲に支配されることもあった。
―――――押し倒してしましたい。その手で愛撫を受けたい。
しかし生来の真面目な性格と、生徒会上の立場から行動に移すことなど出来ず、
精々ちょっと冒険した下着を身に付けて、佐希子を見つめながら白昼夢に心を飛ばす程度であった。

そんな秘密の部分を触れられて、身悶えている瑞貴に追い討ちを掛けるように静馬の責めは続く。
膝を付いて瑞貴の太腿に近づくと、白いストッキングを噛み破り、剥き出しになった太腿に
乱暴なキスを降らせ、舐め回しはじめた。
「ふぁっ…ふぅぅ…ひぐぅ……」
「ほらほら。あまり喘ぐと裾、落としちゃうわよ。」
こういった性的接触に免疫の無い瑞貴には酷な要求だったが、裾を必死にかみ締めて耐える。
一方の静馬は、そんな瑞貴の様子に益々興奮して内股を舌で味わう。
「はぁはぁ……、柔らかくて、いい味。佐希子さんには勿体無いわね。ふふふ……」
「ぃやぁ!ひぃやぁ!」
23高倉瑞貴かく戦えり(4):2006/10/03(火) 00:43:34 ID:2XllIC/W
「さぁて、あとどれ位、耐えられるかしら」
「んんん!ひゃだぁ……よぉ……んんん」
静馬の責めはなおも続く。今度は上半身に移動して、その愛らしい膨らみを毒牙に掛けていた。
並みの生徒なら、既に陥落してもおかしくない程の快感が瑞貴の体内を毒していたが
未だ裾を噛み、耐え続けていた。見上げた根性である。

「その顔、その表情!流石はミアトル最年少の生徒会役員ね!」
乳房をまさぐられ、頬を舐めまわされ、耳に指を入れて捏ね繰り回される。
瑞貴は完全に静馬のオモチャと化していた。


「ハァハァ……ハァ……そろそろ、仕上げイクわよ」
散々揉まれ、舐められ、弄られた瑞貴の目は空ろで、もはや静馬の宣告も遠くで聞いている状態だった。
「ん……ふぁ……」
静馬の指は瑞貴の花園に侵入し始める。
最初は周囲を緩く這い回っていた指は、やがてそこを覆う薄布に到達すると、布越しに花芯を愛で始めた。
「うふふ、柔らかくて可愛い♪どう?気持ちいいでしょ?」
「ふぅ……くっ……つ!んんん!」
口の端から垂れた涎で咥えた裾は濡れそぼり、恍惚の表情の瑞貴。
そして、ついに直接花芯を犯されると、瑞貴の興奮は最高潮に達した。
「ひぐぅ!んむぅぅ!」
「いい声、もっと鳴いて頂戴。ほら、こんなに貴女のココこんなに……」
ねっとりと愛液の絡んだ指を瑞貴の眼前にかざす静馬。
常ならもっと優雅に対象を弄ぶ静馬だが、瑞貴の姿態に嗜虐心を刺激されてか随分と
はしたなく責める。

「ほらぁ、我慢しなくていいのよ。イッちゃいなさい♪」
花芯をまさぐる速度を上げ、一気に絶頂へ運ばんとする静馬の指がある一点を突き上げる。
「―――――??!んんんんんー!」
ビクン!と体を反らせると同時に瑞貴は達した。パチパチと眼前に星が散ったような気がした―――――



24高倉瑞貴かく戦えり(5):2006/10/03(火) 00:45:54 ID:2XllIC/W
「はぁはぁはぁ……や、約束です。一緒に来て……下さい」

―――――全てが終わった。しかし、瑞貴の仕事はこれからが本番。
このエロ星を六条生徒会長の所まで連れて行かねば……。

淫らな津波に耐え抜いた反動で地面に突っ伏している状態ながら、瑞貴は静馬に詰め寄る。
「んふふ〜〜♪だから未熟だって言うの♪み・ず・きちゃん♪」
静馬は自らの着乱れを直しつつ、さも楽しそうに口ずさむ。
「その調子じゃぁ、しばらく私を追うことなんて出来ないでしょう。」
「な……!」


機嫌よく鼻歌を歌いながら立ち去る静馬。その後ろ姿を、
うつ伏せになりながら睨む瑞貴。
―――――マリア様!この悪魔を誅すお力を!
というか、まだ貴女の御許には行きたくないので助けて!

コツン。マリア様の御心か、瑞貴の手元に感触が伝わる。
―――――あ、邪魔になるから脇に退けといたんだ―――――



「……さま。佐希子お姉さま!」
佐希子は自分を呼ぶ声で目覚めた。頭が痛い。手を当てるとコブが出来ていた。
「……っ瑞貴ちゃん?」
視界一杯に心配そうに佐希子を覗き込む瑞貴が映る。
「大丈夫ですか?ずっと倒れておられました」

ああ、そうだ。あの時、静馬様を追いたてようと近寄ったら逆に……
「はぁ……失敗ね……。……瑞貴ちゃん、貴女今すぐこの丘を降りて……。」
「佐希子お姉さま?」
「そして生きるのよ。責任は私が……。あ、あと、私の家族にも『ありがとう』って伝えておいて……」
「いいえ。佐希子お姉さま。ほら」
「貴女の欲しがってたあのバーチャ●ボーイはあげる。引き出しに隠して……」
「カムバック!!!」

無理矢理、トリップ状態の佐希子の首を回す。
その先には、口から泡を吹き、白目を剥いているエトワールこと静馬が
棒に両手足を縛り付けられて転がされていた。

「瑞貴ちゃん!貴女?!」
あの静馬様を捕らえた?一人で???
「……激戦でした……」
瑞貴を改めてよく見てる。
少しほつれた髪、やや乱れた制服、右手に握られたスライドオープンのトカレフ。
佐希子は脳内でそれらを組み合わせ、大体の事情を察した。
25高倉瑞貴かく戦えり(6):2006/10/03(火) 00:54:28 ID:2XllIC/W
―――――ギリギリだった。
二人で静馬をミアトル生徒会室に運び込んだのが、20分前。
六条会長に状況報告と銃の返納をしたのが、10分前。
目を覚まさない静馬にキンカンを嗅がせて、身なりを整えさせたのが、5分前。
そしてほぼ正午、定例の三校生徒会合同昼食会はエトワール臨席のもと開催されたのであった。



…………………………この違和感はなんだろうか?
スピカ女学院生徒会長、冬森詩音は首を傾げる。

いつも気だるげなエトワール様のお祈りが真剣味満点だったからか?
ミアトルの書記の娘が妙な存在感を漂わせているからか??

まぁ、いずれにしても今は食事を楽しもう。
せっかく好物の「おろしハンバーグプレート」が出されてるのだから――――――――――

終わり


願わくば第二期がありますように。
そして生徒会の面々も活躍できますように。
26名無しさん@ピンキー:2006/10/03(火) 01:11:24 ID:jg4NOr/m
うはw
静馬どんだけ化け物なんだw
職人さんGJ!やっぱギャグテイスト
なのが一番好きです
27千代のお友達 1:2006/10/03(火) 22:20:24 ID:dN3tH8H9
>>25さん めちゃ笑いました!GJです!
>>13さん 感想ありがとうございます!楽しんでいただいてうれしく思います。
前スレ326の続編で千代ちゃんがちょっぴりHです。
変態すぎるところがあります。こういうの嫌いな人ごめんなさい。

「…んっんっ…蕾ちゃん…気持ちいい……」
今日は蕾ちゃんとHをしています。
前はお互いに大好きな人がいたから、オ○ニーの見せっこで止めていたけど
蕾ちゃんの逝きそうな顔がとてもかわいくて、つい我慢ができなくなって飛びついちゃったです。
それからというもの、私たちは二人っきりになる度にどこでもやりまくってます。

今日は蕾ちゃんの方から押し倒してきました。
私のおっぱいをもんでスカートの中へ手を突っ込み、ショーツの上から私の大事なところをさすると
私はびりびりと痺れました。
アソコを重点的に攻めたいらしくて、今度は仰向けの私のスカートの中に頭をつっこんでアソコを
指でグイグイと押しています。スカートが被さっていて見えないのが何だが興奮しちゃいます。

気持ちよくなってショーツがお汁で濡れてくると、蕾ちゃんはするすると脱がそうとします。
もうちょっとショーツの上からして欲しかったです。
私は布の感触が好きで、ぐっしょりしてもまだそのまま弄り回されたいです。
そんな私の気も知れずに、蕾ちゃんはさっさと足からショーツを脱がせると、スカートを上げ
太ももを前に押し上げて、あらわになった私のアソコを両手の指でぐいっと広げました。
蕾ちゃんに私の蕾ちゃんが開かれました。
そして蕾ちゃんはワンちゃんのようにぺろぺろぺろぺろ舐め始めます。
ぺろぺろぺろぺろ……
「…あんあんあん…蕾ちゃん…もう…もう…いっちゃいます…」
ぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃ……
私の蕾ちゃんからいっぱいお汁が出てきて、ぺちゃぺちゃと舐める音が変わりました。
私にはこの音がいやらしく聞こえてますます興奮してきちゃいました。
「……はぁ…はぁ…いっちゃう…いっちゃう…いっちゃいますぅ……」
ビクンビクンビクン
体中がビクンビクンと震えてとりあえず今日一回目の絶頂を迎えました。
とっても気持ちよかったです。
逝っちゃった私はしばらく動くことができません。
なので蕾ちゃんは、アソコをヒクヒクさせて果てている私をおかずにして、一人ですることになります。
「もう、千代ったら逝っちゃうの早いんだから!はい、こっちを向いて!」
蕾ちゃんはスカートとショーツだけを脱いで私の顔の横に座って、パカっと開いた蕾ちゃんの蕾ちゃん
を見るように言いました。蕾ちゃんは私と同じで見られると燃えるタイプのスタンドです。

蕾ちゃんは慣れた手つきで人差し指をアソコに出し入れさせてます。
じゅぷっじゅぷっじゅぷっ……
すごい速さです。指を奥へ突くたびにお汁がじゅぷっと隙間から出てきます。
蕾ちゃんは片方の手でおっぱいを触っていますが、まだ上は制服を着ています。
タイがきっちり締めてあってまじめな感じのスピカの制服と
快楽をむさぼるだけのぐちょぐちょのいやらしい下半身のコントラストがなんともいえません。
「…んっ…んっ…んっ…」
私の視線を感じて心地よいのでしょうか、蕾ちゃんはもうすぐ逝きそうです。
「くうぅぅぅぅ……」
蕾ちゃんのあわただしい手の動きがピタッと止まり、きゅうっと締め付けるような声を上げました。
どうやら逝ったようです。
おっぱいとアソコを触ったままで、顔を赤らめて口をポカンと開いて、目は焦点があっていません。
いつも怒った顔をして私をしかる蕾ちゃんも、こんな表情になるんですね…
そんな恥ずかしい顔を私にだけ見せているんだと思うとゾクゾクしちゃいます。
28千代のお友達 2:2006/10/03(火) 22:22:41 ID:dN3tH8H9
しばらく休憩した後、第二ラウンドが開始しました。
今度はお互いに全部服を脱ぎました。
私はブラをとると、あらわれたおっぱいに蕾ちゃんが飛びついてきました。
「あんっ!…蕾ちゃん…」
私のちっちゃなおっぱいをちゅうちゅうすって、もう片方の乳首を指でくりくりしています。
私は全然大きくなりそうに無い、そのおっぱいに劣等感を感じていました。
でも今、蕾ちゃんがおいしそうにその小さなおっぱいをむしゃぶりついてくれます。
とてもうれしいです。
「もっとすってください…もっと、もっと…」
蕾ちゃんに自分の体が求められていると感じて、私は幸せいっぱいでおっぱいだけで逝っちゃいそうです。
でも…
「ごめんなさいです、蕾ちゃん」
私は蕾ちゃんの頭を両手でつかんで口からおっぱいから離させました。
ちゅぽん
「何よ、千代!せっかくいいところなのに!」
蕾ちゃんのお口からちゅぽんと音を立てて私の乳首を解放しました。
唇とそこにはまだ唾で出来た糸がつながっていますが。
「ごめんなさいです。でも今日どうしてもやりたいのがあるのです…」
私は、以前玉青お姉さまが渚砂お姉さまにやっていたマニアックなプレイを、蕾ちゃんとしたいと思っていました。
「…いいわよ。どうやるの?」
「えーっとですね…とりあえず仰向けになってください。それと膝は立ててください。」
「うん、わかったわ。こうね?」
蕾ちゃんは私が言ったとおりにしてくれました。
「ありがとうです。じゃあ行きますです!」
私は、はしたないですけど横たわっている蕾ちゃんにお尻を向けるようにまたがって四つん這いになり
肘を突いて、目の前にある蕾ちゃんの両足で閉じられているところへ顔を押しつけました。
私は、さっき蕾ちゃんにしてくれたみたいに、蕾ちゃんの蕾ちゃんをぺろぺろ舐め始めました。
「…んっ…うっ…千代、いいわよ…」
蕾ちゃんは気持ちよさそうです。よかったです……
「ひゃぁ!」
アソコを一生懸命なめなめしていると、蕾ちゃんが反撃してきて私は小さな悲鳴をあげました。
蕾ちゃんはすぐ目の前にある私の突き出したアソコを、指で開いて舌を入れてきました。
蕾ちゃんのおいしいところをなめなめしながら、蕾ちゃんも私のアソコを慰めてくれる。
なんて素敵な体位なんでしょう…
私は感動していますが…………また逝っちゃいそうです………
…でも今度は蕾ちゃんを先に逝かせてあげたいです。
私は指を入れてじゅぶじゅぶとしてお口と交互で攻めました。でも蕾ちゃんもさるものです…
私なんかよりずっと速く指を出し入れさせて私を逝かせにきます…
…負けたくありません…いつのまにかどっちが先に逝かせるかの競争になっていました。
この勝負…絶対勝ちます!
29千代のお友達 3:2006/10/03(火) 22:25:09 ID:dN3tH8H9
「あんあんあんあん!蕾ちゃん、もう…もう…いっちゃうです!いっちゃうです!」
人一倍感じやすい私は蕾ちゃんに勝てるはずも無く、もう逝かされそうになっています。
私はあまりの気持ちよさに、蕾ちゃんにご奉仕するのやめて体を上げてお尻をグイグイと
蕾ちゃんの顔に押し付けていました。
蕾ちゃんの舌は私のアソコにさらに奥まで入ってぐりぐりと暴れ回っています。
「…んっ…んっ…んんんん…蕾ちゃん…あんっ…」
私はもう自分を気持ちよくさせることしか考えられなくなって、両方の乳首を指でくりくりしました。
じゅぶぅ!
「…あ…あ……いく…いくぅ…いっちゃう…いっちゃいます!!渚砂おねえさま〜〜!!!!
 ひゃううううううぅ〜!!」
ビクンッ!ビクンッ!ビクンッ!
蕾ちゃんの舌が私のアソコに奥深くまで突き刺さると、体中がビクンビクンと波打って
頭の中が真っ白になってしまいました。とうとう私は逝かされちゃいました。
「…つ、蕾ちゃん…はぁ…はぁ…とってもよかったです…」
力尽きた私は蕾ちゃんの横にバタンと倒れて上を向きました。
心臓をドキドキさせ息を切らしていますが、体中で気持ちいいのがいっぱい駆け巡っています。
「千代!また勝手にさっさと逝っちゃって!」
蕾ちゃんは私に怒っています。結局また自分で慰めることになるようです、ごめんなさいです。
でもそう思っていたら…
蕾ちゃんは仰向けになっている私の顔にまたがって、腰を下ろしてきました。
「むぎゅうう…」
なんと蕾ちゃんは自分の蕾ちゃんを私のお口に押し当てるように座りました。
「ちゃんと私を逝かせるのよ!」
蕾ちゃんにそう言われた私は、今度こそと思って必死になってぺろぺろしました。
「うっ…うっ…や、やれば…うぅぅ!…で、できるじゃない…んっ…んっ…」
蕾ちゃんは自分の乳首と、アソコの上についているお豆みたいなのを指できゅっとつまんで
フィニッシュするようです。やっと逝ってくれるようです。
私も出来るだけ激しく舌を動かしました。
「い、いくぅ…いくっ…いっちゃうぅ!いっちゃうぅ…いっちゃうぅ…………
 はううううううううううううう!!!」
蕾ちゃんも艶かしい悲鳴をあげて逝っちゃいました。
蕾ちゃんは私のお口にアソコをつけたまま背中を沿って顔を上に向けて息を切らしています。
おっぱいが心なしか大きく見えて乳首がつんと上を向いていて、いい眺めです。

30千代のお友達 終:2006/10/03(火) 22:28:14 ID:dN3tH8H9
激闘を終えた私たちは一緒にベットに上でお布団をかけて裸のままで寝ています。
私は蕾ちゃんに体を横から抱きつくようにしてさっきの余韻に浸っていました。
蕾ちゃんの体はあったかくて柔らかくて気持ちいいです。ずっとこうしていたいです。
「まったく…千代ったら…」
蕾ちゃんはまだ私が先にさっさと逝っちゃったのを怒っているようです。
本当にごめんなさいです。でも蕾ちゃんはお上手すぎます。
「…蕾ちゃんごめんなさい…今度からはすぐに逝かないようにがんばります。」
「そうじゃないわよ!私が怒っているのは、逝くとき『渚砂お姉さま〜』なんて叫んだことよ。
 まったくもう!私がしてるんだから、私の名前を言ってよ!」
うううううう、それもごめんなさいです…つい気持ちよくなると一番好きな人の名前を叫んじゃうのです。
「重ね重ねごめんなさいです…でも、蕾ちゃんもさっき逝っちゃうとき『夜々先輩!!』って叫んでいましたよ?」
「え、ええええええ!う、うそぉ!?」
蕾ちゃんは顔を真っ赤にしました。無意識のうちに言っちゃったと思っているようです。
でも実はそんなこと叫んでいませんでした。
最近、蕾ちゃんは夜々お姉さまとよく一緒にいるのでちょっと鎌をかけてみました。
この反応はどうやら脈ありのようです。
「夜々お姉さまのこと、好きなんですね?」
「…う、うん…」
蕾ちゃんは怒った顔から、恥ずかしがっているかわいらしい顔になって、コクンとうなずきました。
「前にね…夜々先輩が光莉先輩のことですごく落ち込んでいて、私が励まそうとしたら急にキスをしてきて
 押し倒してきたの。無理やりだったけど…でも…その…と、とても優しくしてくれて……」
「それで好きになっちゃったんですね?」
「うん……」
「告白はしないんですか?」
「こ、こ、告白なんて…そんなこと恥ずかしくて出来ないよ〜!」
蕾ちゃんの気持ちが痛いほどわかります。私も渚砂お姉さまのことが大好きですが、とても告白なんて出来ません。
「蕾ちゃん、いいことを思いつきました!」
「え?なに?」
私は蕾ちゃんを慰めてあげたくなりました。
私はお布団にもぐりこみ、蕾ちゃんに私が見えないようにして蕾ちゃんのアソコを指でなでなでしました。
「蕾ちゃん、今は私のことを夜々お姉さまだと思ってください。
 きっと夜々お姉さまはこういうマニアックなことをすると思いますから。」
「ありがとう…千代…」
私は両手の指でパッカリと蕾ちゃんを広げるけど、さっきとは反対にやさしく舐めました。
きっと恋人同士ではこんな風に相手を気遣ってすると思ったからです。
「あ、あ、あ、夜々先輩…好きです…好き…好き…もっと…もっとして…」
蕾ちゃんは大好きな人の名前を呼んでいます。私とするときと違って、とても切ない気持ちが伝わってきました。

お布団の中は暖かくてふわふわ感が気持ちいいです。それに目の前に蕾ちゃんのしっとりとしたアソコと
聞こえてくるあえぎ声が私をムラムラさせます。
蕾ちゃんを慰めながら自分のにも手をするすると伸ばしました。
「あんあんあんあん!渚砂お姉さま〜〜!!逝っちゃいますううううううううううううううううう!」
また私は蕾ちゃんを逝かせるまえに逝っちゃいました。
「千代のばかーーー!!」
蕾ちゃんごめんなさいです。

―終わりです。―
31名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 08:20:37 ID:t1LnGDx3
千代えろすぎwwwwwwww
32名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 09:43:44 ID:7DXNBv90
アニメでハマって昨日文庫読んだばっかだけど、えらい設定に差があるのね。
個人的にはアニメの設定のが好きだが、今まで原作をアニメが越えたことが自分の中じゃなかっただけに新鮮だわ。
文庫の設定も好きだが(*´Д`*)
アニメ見た直後は東儀×狩野で書こうと思ってたが文庫とのあまりのギャップにイメージが崩れちまったぜ!
33名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 13:13:11 ID:J0GHvDGu
ウニメ厨死ね
34名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 22:02:08 ID:hzjgXBue
千代ちゃんwwww
職人さんGJ!
35名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 23:23:52 ID:zCQey1RO
>20氏
16です。遅くなったけれど教えてくれてありがとう。名前は知らなかった。
エロ様の地上最強っぷりが面白かったです。

>27氏
GJでした。玉青と渚砂の69を見ていたちよすけ、エロスw
36名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 23:40:19 ID:t1LnGDx3
天音と要の続きおねがいします
37名無しさん@ピンキー:2006/10/05(木) 00:16:55 ID:r7wW+CWS
>>35
ageるなカス
38名無しさん@ピンキー:2006/10/05(木) 08:57:30 ID:FtxAVKdx
騙しリンクや広告の少ない優良アダルトサイトリンク集
http://1st.geocities.jp/ryooyu1015
39名無しさん@ピンキー:2006/10/06(金) 08:39:55 ID:Km9HFlXi
保守
40前スレ547:2006/10/07(土) 00:35:03 ID:hrLP6lAY
ttp://www.wikihouse.com/sutupani/index.php

>>30まで更新
疲れた…
急いでやったから抜けてるのあったらすまん。
あと分類違うんじゃね?とか、ここおかしいぞ、ってのあったら編集するかここに書いとけば、
誰かがやってくれるかもしれません。
41名無しさん@ピンキー:2006/10/07(土) 02:04:50 ID:QsE+wVG0
>>40
超感謝!!!
42名無しさん@ピンキー:2006/10/07(土) 03:14:00 ID:QjpvTKm8
>40
超乙
4330:2006/10/08(日) 01:08:29 ID:B97e6sYc
>>40さん ありがとうございます。職人様方の名作を簡単に読むことができてうれしいです。GJです!
>>31さん >>34さん >>35さん 千代ちゃんの話を読んでくれてありがとうございます。
>>9の夜々先輩の続きです

【夜々先輩】 10

「見た見た見た!?私のグランドスラム?!」
放課後の聖歌隊の練習の休み時間に、夜々先輩はいつもどおり蕾に飛びついてきた。
「…ええ…すごかったですね。でも私は前の打席のライトオーバーのときのスウィングの方が好きですよ。
 ライトへ『引っ張った』打ち方でしたね。」
投げキッスを受けてから蕾は夜々先輩を見ると顔が真っ赤になってしまい、それを彼女に見せたくないので
できるだけ顔をあわせないように後ろ向きで答えた。
「そっちも見てくれたんだ?!
 あんただけだよ、わかってくれるのは。みんなあれを『流し打ち』って言うんだもん。」
そんな蕾の気持ちとは無関係に彼女は首に腕を巻きつけて抱きついて、蕾は耳まで紅潮した。
「……あ、あ、あ、あの…先輩……」
「なあに、蕾?」
「えーと、えーと、そ、そのぉ……」
心臓がバクバクと鳴って緊張して先輩に言いたいことを言い出せないでいる。
「もしかして愛の告白?だったら返事はOKよ。私も蕾のこと愛してるし。」
いきなり蕾が言おうとすることの100歩先のことを言い出す先輩。
もちろん彼女のよく言うジョークなのだけど今の蕾にはしゃれにならない。
首に軽く腕を回しているだけなのに、蕾は呼吸困難になりそうでクラクラとしてきた。
「…そ、そ、そんな…わ、ワケ、訳、な、な、ないでしょう!うぬぼれないでください!」
「えーー!残念…ガックリ…」
先輩は蕾の背中に倒れこむように体を預けてがっかりしたふりをする。
「お、重いですよ……先輩…」
「あなたに捨てられたらもう生きていられない……」
「はいはい……でも死ぬのは後にしてくださいね。
 今度の日曜日、みんなで町に繰り出して映画みることになってるんですけど、夜々先輩もどうですか?」
蕾は何とか呼吸を整えて、ふざけた先輩を軽くたしなめるいつもの自分になって話した。
「何でそんな大事なことをもっと早く言わなかったのよ!今度の日曜日ね、私も行くわ!」
遊びに行く誘いを受けた先輩はもうウキウキし始めている。
そんな先輩とは反対に蕾は不安な表情をしていた。
「…なにやってるんだろ…私…」
44【夜々先輩】 11:2006/10/08(日) 01:10:32 ID:B97e6sYc

「やっば!遅刻遅刻!」
夜々は急いでいる。
日曜日の朝、友達と出かけるので準備をしていたけど、着ていく服をあれこれ考えていて気がついたら
約束の集合時間が過ぎてしまった。
白くてつばの広い赤いリボンつきの帽子を抱えて廊下をバタバタと走り、階段を駆け下りて玄関に向かった。
待ち合わせ場所は苺舎の門。
「ごめんごめん!みんな、お待たせ!」
慌てていて靴をケンケンして履いて、玄関口から顔を出しすぐに遅刻の謝罪をした。
「ってあ、あれ?」
しかし、もう檸檬ちゃんや絆奈ちゃんが待っていると思っていたのに、門の前には自分を誘ってくれた蕾しかいない。
「蕾、みんなはどうしたの?」
「夜々先輩おはようございます。えーっと…あ、あの…その…絆奈さんたちは急に部活が入って
 これなくなって……」
蕾はなぜか、しどろもどろになってそう答えた。
「え、急に?でも千代ちゃんは部活やってないよね?」
「え、え、えっと……千代は…そ、その…あ、そうだ!な、渚砂さんです!
 渚砂さんに体育館裏に呼び出しを喰らったそうで……」
夜々がすぐそばに来ているのに蕾は目を合わせないでいる。
「…そう、残念ね…じゃあ、今日はあなたと二人っきりでデートね!」
「デデデデ……デートって、そ、そんな……」
「行こうか、蕾。」
そう言うと、夜々は顔を真っ赤にしている蕾の手をぎゅっと握って引っ張り、前を向いて歩き出した。
引きずられていく蕾はうつむいていた。

「蕾、今日は何の映画みる?まだ決めてなかったよね?」
「…え、ええ…」
「お昼はどうしよっか?」
「…先輩の行きたいところで…」
「今日晴れてよかったね!映画みたら次どこ行こうか?」
アストラエアの丘を下る駅までの道のりの間、夜々は楽しそうにデートコースを思案しているけど
隣で手をつないでいる蕾は、ぼそぼそと答えるだけだった。

45【夜々先輩】 12:2006/10/08(日) 01:13:21 ID:B97e6sYc
「私のばかばかばか!」
夜々先輩と電車に乗った蕾は心の中で反省している。
蕾はうそをついた。以前夜々先輩が自分についたのと同じ。
絆奈さんたちとは約束はしていなかった。夜々先輩と二人だけで映画をみたいと思っていたのだけど
そんなことは恥ずかしくてとてもじゃないけど言い出せなかった。
夜々先輩を騙してデートに持ち込むなんて、我ながらなんて大胆なんだろうと思っていた。
しかしいざ二人っきりになると胸が張り裂けるほど緊張して、満足に先輩を見てお話しすることが出来ないでいる。
こういう状況になることは予想できたはずなのに。

電車の中は、日曜日ということもあり、大きなリュックサックを座席に置いた登山の格好の人が数人いるだけで
すいていた。通勤用の車両ではないので、二人乗りの椅子が向かい合う四人乗りの座席が多く占めている。
二人はその席に向かい合って座った。
「あのさ、蕾。このワンピ、似合う?」
勘が異常に鋭いはずなのに夜々先輩は、蕾をまったく疑おうとはせずニコニコと笑顔で話しかけてくる。
「あれ?先輩、私服でスカートなんてはじめて見ましたよ。」
椅子に座ってようやく落ち着いてきた蕾は、今頃になって夜々先輩の服装に気づいた。
先輩の服は真っ白いワンピースで、上にレースのボレロを羽織っている。
膝の上にはさっきまで被っていたと思われる白いつばが広い帽子が置いてある。
夜々先輩の私服姿は短いジーンズやホットパンツなどばかりで、スカート姿は見た事が無い。
「えへへ。ちょっと気合入れてきたの。」
「はい?気合って?」
かわいらしい服装だけど、それに似つかわしくない言葉を話すので蕾は理解できないでいる。
「蕾ってこういうの好きかなって思ったの。どう?」
「え、ええええ!わ、私に!」
予想だにしない先輩の言葉にびっくりした。
「変かな?」
「い、いいえ。とっても似合ってますよ…」
緊張しているのを悟られないように笑顔をつくって答えた。
「そう、よかった、ありがとう。結構悩んだのよ。あなたっておとなしい女の子っぽいのが好きでしょ?」
ボディ・ラインがくっきりとする大人っぽい服を堂々と着こなす先輩を前はかっこいいと思っていたけど
今のその普通の女の子らしい姿にドキッとしている。夜々先輩に対する見方が以前より違うからだろうか。
「ええ、まあ好きですけど。
 確かにパッと見はかわいらしいですね。でも先輩が着ているんだと思うと、やっぱり、うふふふふふ」
先輩と目をそむけ、いつもの憎まれ口を叩いてみる。
「ちょっと!それどういう意味よ!」
先輩は怒ったふりをして蕾の掛け合いに応じてくれた。
「ほら〜!全然服装に合うような、おしとやかで清楚で無いじゃないですか!」
中身は普段の先輩だとわかると、蕾は緊張が解かれて目の前の彼女の顔をまともに見ることができた。

蕾はおしゃべりをしながら先輩の隣の人一人分の空間をちらちらと見ている。
先輩の隣に座ってみたい…
でもお互い二人分のスペースでゆったりと座っていることが出来るのに、わざわざ狭苦しくなることを
申し出るのは不自然だ。自分たちはただの仲のよい学校の先輩と後輩なのだから。
もっと先輩に近づきたい。今は無理でも、帰りの電車こそは…
そんなラブコメのお決まりのオチになってくれるのだろうか?
そう蕾は心の中でつぶやいた。
――――――つづく
46名無しさん@ピンキー:2006/10/08(日) 12:59:32 ID:G6Z+qXQR
よるよる救済ルートがきてる!
職人さん乙です
47名無しさん@ピンキー:2006/10/08(日) 21:26:33 ID:KzM2O9cR
蕾頑張れ蕾(*´∀`)
48名無しさん@ピンキー:2006/10/08(日) 21:50:43 ID:YLogups/
>>45
毎回投稿されるのを楽しみにしています。
がんばってください
49名無しさん@ピンキー:2006/10/08(日) 22:46:43 ID:HcAiFMsv
保守
50名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 00:51:52 ID:twR6fSmZ
GJ!
お疲れです
51名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 13:20:30 ID:tEmAmwsW
現行はこっちでいいのかな?

G'zは毎月読んでたけどアニメは飛び飛びにしか見てない為、パラレル的なのは投下してOKかな?
52名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 13:36:58 ID:h9TEvE5K
さぁ来い!
53名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 15:37:50 ID:dXSrQFsp
ぜんぜんいいんじゃないですか?
てか過疎ぎみのこのスレを元気にさせてくれるなら
もうOKかと
54名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 16:50:18 ID:tEmAmwsW
今は仕事中なので夜〜深夜に投下したいと思います。

ちなみに内容は夜々×玉青のちょいハードなのにしようかと…
55名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 18:21:11 ID:pJJL86PA
わあい!
56名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 20:26:09 ID:kNZNcaFO
   _   ∩
  ( ゚∀゚)彡 陵辱!陵辱!
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J
57名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 20:40:00 ID:l5aASQMO
重要なのはどちらが攻めでどちらが受けかですよ、はい
58名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 21:16:12 ID:tEmAmwsW
一応玉が攻めで夜がうけです

てかエロいSSは初めてなので描写がおかしいです…
59名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 21:53:08 ID:aw41kA6u
ばっちこ〜い
だんだん精進すればいいじゃないですか。
60名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 22:17:36 ID:WpgmMVHR
光莉「や、夜々ちゃん…だめだよ、そんなに激しくかき回したら…」
夜々「あら、どうして? だってこうしないと最後まで…ほらっ」
光莉「やあっ、お、お汁がとんじゃうよぉ!」










カップスープを作ってたらこんな電波を受信してしまったorz
スマソ……。
61名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 22:53:29 ID:DFi15am8
こらw
作ったからには続きかけよwww
62名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 23:04:28 ID:YaI17NCm
小説に限らなくとも、こういうちょっとしたネタも読みたいよな。
もちろん小説も大歓迎。
63名無しさん@ピンキー:2006/10/12(木) 20:58:31 ID:mSsxaR6j
なんでもいいから書いてください
さみしいでつ
64名無しさん@ピンキー:2006/10/12(木) 22:34:30 ID:6C0QMmhO
>58
バッキャロォ!どんとこいっつうんだよぉ!
俺達の度量はそんなに狭くねぇっつうの!
玉青ちゃん並みに広い心をもってるつうの!
65名無しさん@ピンキー:2006/10/12(木) 23:37:14 ID:HdFPfEhZ
玉青ちゃんアニメではうまくいかなかったから
ここで鬱憤を晴らしてください
66名無しさん@ピンキー:2006/10/12(木) 23:42:23 ID:vJ8J7JiL
「あ……んっ…………」
「ふふっ、夜々ちゃんかわいい」
「もっと……もっとひかりぃ」
「何が『もっと』なのかなぁ?」
「その……エッチな私の体を滅茶苦茶にしてくださいっ!!」
「うん。よく言えました」
「そんなっ……いいぃ…………あぁっ!」
67名無しさん@ピンキー:2006/10/14(土) 10:30:30 ID:tQd0TXt4
光莉が黒くてイイ!
このCPでもっと読みたいなぁー。。。
68名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 00:04:20 ID:neg553kV
ここってIFものでもかまわないんだよな?
69名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 00:18:14 ID:yB4tUvFd
>>68
私は一向にかまわんッ
70名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 02:21:59 ID:0xSiSBp1
私もいいと思う!
このスレを元気にしたいしね!
71名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 12:28:26 ID:N56xw5w+
このスレに活気をもたらすならもうなんでもありですな
もちろん荒らしは勘弁ですが
72【夜々先輩】 13:2006/10/15(日) 12:58:27 ID:CyldQP/K
>>46さん >>47さん >>48さん >>50さん 読んでいただいてありがとうございます。
>>45の続きです。

ようやく電車は映画館があるすこし大きな街の駅に到着した。
「うわーー!結構広いんですね、ここの駅って!」
都心と比べればまだまだ田舎だが、駅には自動改札が設置してあってそれにパン屋や喫茶店などの
お店が連なれていて意外と開けている。蕾は久々の下界に胸を躍らせていた。
「やっぱ、娑婆の空気はおいしいわね!」
夜々先輩がお決まりのせりふを言う。なんとなく彼女に似合っていて可笑しい。
「どうしようか?すぐに映画館へいく?」
「はい」
「結局、何を見るか決めてなかったよね。」
「映画館に行ってから決めませんか?」
「うん。そうしよっか!」

駅の南口から出てしばらく歩くと目的の大きな映画館についた。
この館は中にいくつもの上映室があって、建物の上部には今放映中の作品の看板がいくつも並んで飾られている。
二人は中に入ってロビーにも飾られてある映画の大きなポスターを見て決めることにした。
「う〜ん…どれもおもしろそうね…。蕾は何を見たい?」
先輩はチケットの販売所の上に、並んで貼り付けられている複数の映画のポスターを眺めて尋ねた。
「え、わ、私ですか?私は先輩が見たいのでいいですよ…」
「いいわよ、私に気を使わなくて。蕾が見たのにするわ。」
「そ、そうですか?…じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて…」
蕾はまた心臓がドキドキとしてきて呼吸が荒くなってきた。
実は先輩を誘う前にもう決めていた。しかし、その作品を先輩に提案するのに勇気が必要だった。
ずーっと前から先輩と二人で見たかった映画…
何をしているの!ここではっきり言わないと、ここまで来た意味がないじゃない!
蕾は心の中で自身を鼓舞している。
「すぅーーはーーーすぅーーーはーーー」
蕾は何度も深呼吸をした。そして
「せ、先輩!こ、この映画がみ、みたいです!」
思い切ってポスターを見ないでそれに指をさした。
蕾がみたい映画のタイトルは『戦場の白百合〜パラシュートを刺し貫いて〜』
この作品は、乙女必携本と呼ばれる『集鋭社コンバット文庫』の同名の
ミリタリー系恋愛ライト・ノベルが原作の実写映画。
武蔵野にある女子士官学校に通うごく普通の少女が、学校のアイドルにスカウトされ、『白百合部隊』と呼ばれる
精鋭部隊に配属され地獄のような訓練を受け、心身ともに成長していくというストーリー。
主人公がそのアイドルに憧れて一生懸命ホフク前進の練習をする場面を小説で読んだ蕾は
そのアイドルが上級生ということもあって主人公と自分を重ねていた。
「も、もしかしたら…は、半額になるかもしれませんよ…」
ポスターには、『女性のカップルのお客様は入場料は半額になります。』と書かれていた。
な、なにトチ狂って、とんでもないこと口走ってんのよ、私は!せ、先輩に変に思われるでしょ!
と勢いあまって言ってしまったことを蕾は猛省したのだが。
「蕾も見たかったんだ!」
先輩はポスターに指をさしている蕾に、目をキラキラと輝かせて答えた。
「え、せ、先輩も?!」
「うん、私も見たかったんだ!しかも半額で見られるし!」
と言うことは…先輩は私のことを…
蕾はふわふわと天に昇るような気分になった。

73【夜々先輩】 14:2006/10/15(日) 13:00:48 ID:CyldQP/K
「『全滅巨人ガンバル!〜絶倫の翼〜』を!」
「はい?………」
先輩の言った全く違う映画のタイトルに蕾は目が点になった。
ゆっくりと自分がさした指の先を見ると…
「し、しまった!」
蕾が指したポスターは『全滅巨人ガンバル!〜愛の鼓動〜』という作品のものだった。
何も見ずに指差したので、蕾は間違ってしまったようだ。
この作品は、よくロボットテレビ漫画を製作して有名な『SHIONRISE』の最新作。
戦争で空襲に巻き込まれた少女が、偶然乗り込んだ巨大人型戦闘メカで敵国のロボット三体を一度に撃破し
軍のエースパイロットに祭り上げられ、終生のライバルとなる覆面を被った美女と幾度と無く死闘を演じ
心身ともに成長していくというストーリー。
小さい子に大人気で、登場するメカのプラモデルが飛ぶように売れて社会現象にもなった。
それと、ポスターには『親子のお客様は入場料は半額になります』と書かれている。
「ママ、早く行こう!」
先輩はあどけない顔で蕾の腕を両手で引っ張った。
「え、私がお母さん役?!」

チケットを購入しようとしたら、本当に半額にしてくれた。
半額になって喜んでいる先輩とは逆に、彼女のお母さんに見られた蕾はすこし落ち込んだ。
上映室に入ると、やはり他のお客さんは小さな子ばかりが目に付いて、蕾はすこし恥ずかしくなった。
放映されて2週間近くたっているので、人気作だけどそれほど混雑はしていない。
そのおかげでスクリーンと正面に向かう席をとることが出来た。
「はあ〜〜早く始まんないかな、蕾!」
「は、はあ……」
席について大きな画面を見つめる先輩は、周りの小さな子供みたいに今か今かとわくわくしている。
また自分に見せた、先輩の意外な一面に蕾は戸惑っている。

ビーーーというブザーが鳴るとともに、明かりが落とされた。
部屋が一気に真っ暗になったので小さな子がキャーキャーと騒いでいる。
「うふふふふ、小学校のころ体育館で映画の上映会をしたとき、先輩の学校の子もこういう反応してませんでした?」
甲高い悲鳴を聞いて、自分の小学校低学年時代を思い出し、蕾は懐かしく思って夜々先輩に尋ねた。
「きゃーきゃーきゃー!!蕾ーーー!暗いよぉーーー!」
先輩も一緒になって騒いでいた……


74【夜々先輩】 15:2006/10/15(日) 13:07:10 ID:CyldQP/K
映画はクライマックスに差し掛かっている。
スクリーン狭しと暴れ狂う主人公が乗る戦闘メカが、ライバルの覆面の麗人が操縦する真っ赤なロボットと
チャンバラのように、光り輝く刀のような武器でつばぜり合いをしている。
最前列を陣取る女の子達は、主人公とその敵役のせりふをほぼ同時に叫んでいた。
どうやらその子達はなんども見に来ているようだ。
「乙女のなさることですのぉ〜〜!!」
「乙女だからいたしましてよぉ〜!!」
お互いコックピットの中から会話をしながら戦うのがこのテレビ漫画の特徴のようだ。
しかし、蕾は前に席に座っているその女の子の声に聞き覚えがあった。

「あ、あの茶色の髪のツーテールの後姿は…ま、まさか…」
暗い中でもよくよく見ると
「き、絆奈さん??!」
彼女は蕾の友人の絆奈さんだった。
それと彼女の左となりに座っている女の子の後姿に見覚えがないが、横に向いた顔は
「髪型がかわっているけど……もしかして、檸檬さん?!それに千代や籠女もいる!!」
その子は、いつもまとめている髪を今日はおろしている檸檬さん、そして一つ席を空けて左隣に
千代と籠女が座っていた。

「あれ、絆奈ちゃんたちは用事があったんじゃなかったの、蕾?」
夜々先輩も彼女たちに気づいて、蕾に尋ねた。不味いことになりそうだ。
「え、えーっとそれは……」
自分がついたうそをどう取り繕うかと必死に考えるのだが。
「あ、わかった!もうっ、蕾ったらあ!うふふふふふふ。」
先輩はニヤリとした表情を蕾に向けた。どうやらやっと蕾の気持ちに気づいたようだ。
「…わかっちゃいましたか…」
蕾は絆奈さんたちのほうへ目を向けるが、焦点はあってなかった。蕾は観念した。
ばれて欲しくなかったという思いがあったのだけど、その反対にわかってもらいたいと思う気持ちもあった。
もう蕾には自分でも、どちらの思いが強いかわからなくて、苦笑いしている。
「夜々先輩…私……」

「あなたって、よっぽど『ガンバル!』を見たかったのね!」
「…………」
この人は勘が鋭いのか鈍いのわからない。
「でも、子供っぽいところを見せたくなくて、みんなに内緒で私だけ誘って見ようとしてたのね?
 うふふふふふ。いいじゃない、『ガンバル!』は中学生になっても見ごたえがあるわよ。」
「はあ……」
夜々先輩は一人で勝手に納得している。もう蕾は呆れるしかなかった。
―――――――――――――
だらだらと続けてしまってごめんなさい。次の投下で終わりにします。
いままで読んでくれた方々、本当にありがとうございました。
75名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 17:48:51 ID:yjov3vGm
よるよる鈍感w
職人さん乙です
76名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 21:28:49 ID:x99wma6F
>>72-74さん乙です
よるよるの母親扱いされる蕾ちゃんカワイソス……。

自分もPS2版ストパニから渚砂×玉青シナリオ・エピローグの続きを妄想です。
ゲーム同様甘いのを目指したつもりですが、玉青ちゃんのベクトルが
少し黒い方へ向いてしまったかもしれません。
それでもよろしければどうぞ。

続・エピローグ(1)

「大好きな、私の渚砂ちゃんのことだもの」
「あっ」
「渚砂ちゃんの心臓の音、手に取るように分かりますわ……」

玉青が、陶磁器のように白い手を当てていく。
トクントクン、トクントクンと拍子を刻む渚砂の胸へ。

「って、本当に手に取ってどうするの玉青ちゃん〜〜〜!」
「……あら、ごめんなさい渚砂ちゃん。つい癖で」
「玉青ちゃんのえっち」
「ウフフ、私にとって最高級の誉め言葉ですわ」
「…………はぁ」

玉青の想いを受け入れてからというもの、この程度に肌を合わせる事は
日常茶飯事になっているとはいえ、渚砂は半ば諦めた表情で
されるがままとなっていた。
――渚砂自身、こうされるのが嫌ではなかったので、普段から拒絶する
意思もあまり無かった――のだが。
今回に限っては、それが躓きの石だったようだ。

「そ・れ・に」
「ふぇっ!?」
それまで、胸にそっと添えられていた玉青の手が撫でるような動きに変わっていく。
「真っ赤になった渚砂ちゃんを見ていたら、もう我慢できなくなりましたわ……」
「ちょっ、ちょっと玉青ちゃ……ひあっ!」
玉青の手は渚砂の小さな蕾二つをかすめるよう動いていく為、自然と鼓動も早くなっていく。
「渚砂ちゃん、さっきよりドキドキしてきてますわ」
「そ、それは玉青ちゃんが渚砂の……」
「渚砂ちゃんの?」
「うぅ……玉青ちゃんの意地悪」
「ウフフ……ごめんなさい渚砂ちゃん、でもね」

「据え膳食わぬはなんとやら、って言うでしょう?」
「……え? でも玉青ちゃん女の子……きゃっ」
口に出してからしまった、と渚砂は思ったが、後の祭り。
玉青にさっ、と抱きかかえられると、いつの間にか縁の方に仰向けで寝かされていた。

「もうっ、揚げ足取りをする悪い渚砂ちゃんにはお仕置きが必要ですわ……ウフフ」
「きゃっ……そ、そこ……だめ……んあっ」
玉青は渚砂の髪を束ねていた髪留めを外した。
下ろした髪を掻き分け、うなじを露出させると、至る所へキスをしていく。
「ん……ふぁっ、玉青ちゃん……」
「渚砂ちゃんのここ、いい匂いがしますわ……んふっ」
「ひゃふぅ!」
玉青が息を吹きかけると、堪らず渚砂は声を上げてしまう。
「首、弱いんですのね……渚砂ちゃん」
「だ、だって……玉青ちゃんにされてると思うと……えっ!?」
玉青の両手がそれぞれ上と下へ向かおうとしていたのに気付いた渚砂は、
最早無駄だと分かっていても慌てて制止しようとした。
77続・エピローグ(2):2006/10/15(日) 21:34:11 ID:x99wma6F
「だ、だめっ……玉青ちゃん、これ以上、こんな……やあぁっ!」
「だめじゃありませんわ……だって、ほら」
渚砂の制止を振り切り、玉青の指が両足の間に出来た海溝と、慎ましやかな胸の頂に到達する。

「この蕾ちゃんたちも」
すっかり充血した二つの蕾を摘み。
「あ……っ、はぁ、はぁ……んんっ」
「この可愛いお豆さんも」
少し包皮を剥き、露出させた秘芯を弾き。
「ひゃぁぁぁぁぁっ!」
「みんな、正直に出来上がってますわ……はむ」
そして、止めとばかりに甘噛みした耳へ囁く。
「だから渚砂ちゃんも可愛く乱れる様を、私に見せて欲しいんですの」

「は……あっ、はぁ……ん」
「いつもの渚砂ちゃんも好きですけど、素直な渚砂ちゃんはもっと好きですわ」
「あ……っ」
渚砂の中でカチッ、と音がしたようだった。
「たま……おちゃ……」

「…………うん」
「玉青ちゃん、お願い……」
渚砂を食い止めていた理性の堤防は、とうとう決壊した。

玉青に後ろから抱きしめられていた渚砂が向きを変え、
お互い正面から向き合って見つめ合う体勢になる。
「渚砂ちゃん……大好きよ」
「うん……渚砂も玉青ちゃんの事」
玉青はそれ以上言わせないよう、そのまま唇を重ねた。
「んっ……ちゅ……ちゅぱ……あむっ……」
啄むようなキスから、唇を合わせて舌も絡めていく。


そうしてから一体どれくらい、時間が流れただろうか。

「ぷあっ」
「はぁっ、はぁっ」
二人は漸く唇を離す。
名残惜しそうに二人の唾液が架け橋となって伸びていった。
恍惚の表情を浮かべた渚砂が、最初に口を開いた。
「はぁ……はぁ……玉青ちゃんのキス、やっぱり優しいね」
「そう?」
「うん。だって、玉青ちゃんが渚砂の事、とっても大事に思ってくれてるのが分かるから。
……さっきは、その、ちょっと強引だったけど」
「渚砂ちゃん……」
はにかみながらも自分の一挙手一投足を察してくれている渚砂に、玉青は
胸の奥から熱いものがこみ上げて来るのを感じた。
――もっと体中で感じさせたい、感じて欲しい。
78続・エピローグ(3):2006/10/15(日) 21:37:39 ID:x99wma6F
「続き……しよ? 玉青ちゃん」
渚砂の声で我に返った玉青は、一片の曇りもない微笑を返して言う。
「ええ」
「ここまで来たら、もう止められませんから」
片方の手は渚砂の胸、もう片方は渚砂の聖域へあてがう。
「渚砂ちゃん、こんなに濡れて……」
先程の愛撫とキスの影響もあるとはいえ、渚砂の秘所は露天風呂の湿気とは違うと
一目で分かるくらい濡れそぼっていた。
「うん……玉青ちゃんにされてる時、気持ちよくって、その、もうちょっとで」
「頭が真っ白になりそうに?」
「……うん」
真っ赤になって恥ずかしがりながらも、従順に頷く渚砂。
玉青はそんな渚砂がいとおしくて堪らず、いきなり愛撫を始めていった。
「ふあぁぁぁぁっ!?」
不意を突かれた渚砂は何も言えず、乳房を丹念にほぐされ、ただただ嬌声だけが響いていく。

「渚砂ちゃん……もう、犯罪的に可愛いですわ」
「あっ……んあぁぁっ……やっ……ふあっ」
「今度は何も考えられなくなるくらい、気持ち良くして差し上げますわ」
「ん……あっ……は…あっ、やあ…」
「乳首もこんなに綺麗で……」
「ふやぁぁぁっ!」
愛撫されて硬くなってきた桜色の蕾を口に含み、舌で転がし、赤子のように吸う。
「んっ……やぁ……あん、あぁっ…」
「こちらも……ね」
もう一方は空いた指で摘み、押し、そして強すぎず、弱すぎない程度に潰す。
「あっ……! ふあっ、やぁぁぁぁっ!!」
そんな玉青の愛撫を余す所なく感じ取り、淫律を奏でていく渚砂。
目の焦点は次第に合わなくなってきていて、波が来ては洗われていく砂のように
何も考えられなくなっているようだった。

やがて上の方を味わい尽くした玉青は、下の方を重点的に攻めていく。
太腿から内股、そして最も大切な場所へ。
「綺麗ですわ、渚砂ちゃんのココ……」
直接触れられたのはほんの数回なのに、渚砂の秘裂は充分な愛液を湛え、光っていた。
「あっ……はぁ、んんっ……あん……玉青ちゃん…」
「行きますわね」
「……うん、来て」
笑顔で頷いたのを確かめ、秘芯に触れるか触れないかの所を撫でた後、
玉青は渚砂の膣へゆっくりと指を沈めていった。

「ふあ……ああぁっ!」
「渚砂ちゃんの中、とても温かいですわ……」
痛みを感じていないのを確認しつつ、ゆっくりと指を折り曲げる。
既にそこは、少しの刺激で淫蜜が音を立てるほど大洪水となっていた。
クチュ、クチュ、と一回一回、渚砂への愛情を確かめるよう優しくに愛撫していく。
「や、やぁ……んっ、ふぁ、あ、あぁ……っ……。」
「可愛い声……もっともっと聞かせて欲しいですわ」
「んっ……やぁぁぁっ! あっ、あっ、あぁぁ……」
ときに優しく、ときに激しくかき混ぜ。
「あっ……、ああっ……やぁ……ふぁぁぁんっ!」
連続して秘部に緩急織り交ぜた刺激を与えられ、渚砂の頭の中は
次第に白く染め上げられていった。
そして――――
79名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 21:39:45 ID:x99wma6F
「あ…あっ……だ…めぇ、な、渚砂の中……もう…んぁ、あ…やぁぁぁ!」
渚砂の中からはとめどなく愛液が溢れ出し、露天風呂の縁に溜まって
小さな泉を形成している。
「渚砂ちゃん……」
「はぁ、はぁ……んっ……んはぁ」
交わした視線だけで意味を察した玉青は、優しく微笑んで言った。
「分かったわ、それじゃ……んっ」
「んっ……あむ……」
絶頂を迎えた時の声が出来るだけ外に漏れないよう、玉青は渚砂の口を塞ぐ。
(気持ちよくイッてね、渚砂ちゃん)
次いで、秘芯に親指を、膣の方に人差し指と中指をあてがうと、一気に挿入した。
中に溢れていた淫液が勢い良く飛び出し、同時に渚砂を快楽の高みへ導いていく。

「や……あん、あっあ、あ、あ………んんんんんんんんんぁっ!」

つま先をピンと張り、背筋も弓なりに仰け反らせて、渚砂は絶頂を迎え―――
ぐったりとしながら玉青の腕の中へ沈んでいった。

「はぁ……はぁ……んっ……玉青ちゃん」
「渚砂ちゃん……とっても気持ち良さそうな顔でしたわ」
「うん……玉青ちゃんが上手だったのもあるけど……えへへ」
「ウフフ」
「じゃ、今度は玉青ちゃんの番……だ…ね」
「ええ、そうですわね……え? な、渚砂ちゃん?」
「……すう」
「………」
「すう……すう」
「もう、自分から言い出しておいて寝てしまうなんて、しょうがない渚砂ちゃん」
「すー…すー…」
「お預けにされたお返しは、こんなものじゃ済ませませんわよ……ウフフ」

掛ける言葉に少しだけ刺を含んでいても、見つめる目は慈愛に満ちていて。
疲れて眠ってしまった渚砂を抱きかかえて露天風呂から上がり、
丁寧に身体を拭いてから浴衣を着せる。
やがて自身もお揃いの浴衣に着替えた後、部屋へ向かった玉青は
布団を1人分だけ敷いて渚砂を寝かせ、正面から抱きしめたまま隣で眠りに就いた。

「おやすみなさい、渚砂ちゃん」

―May you be happy!―

以上ですorz エロパロ投下は初めてとはいえ、書くの難しいっす……。
80名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 22:13:20 ID:ijHnTlk5
GJッ

わーい玉青ちゃんが幸せだ
81名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 08:09:10 ID:0QqJ/BN8
>>74
GJ!
毎度毎度ネタにこだわりを感じるw

>>79
こっちもGJ!
っていうか露天風呂だったのかw
82名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 21:59:54 ID:aOE4D+HF
こんなエンディングがほしかったw
GJ!
83名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 23:30:20 ID:rHD2R2pf
>>74
二人の日常という感じで面白いです。最終回も楽しみにしています。
だらだらだなんてとんでもないです。

>>79
GJ! ゲーム版玉青の何かとアブナイ感じが極められた印象です。
84名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 02:45:59 ID:cJeNHHUg
GJ!
最萌で玉青ちゃんが勝つといいな
85千々なる想い(1):2006/10/17(火) 20:53:39 ID:COSZLmmQ

 ……眠れない。
 もう羊を何百匹数えただろうか。
 一匹ずつ増えていく羊をイメージしていくのはそれなりに楽しかったが、二百を超えたあたりから飽きてきた。
 そして、その数が千に届こうと、眠気は一向に訪れてはくれなかった。
 今日に限ったことではない。
 最近、床につくと不意に襲ってくる、心を覆い締め付けるもの。
 重い。息苦しい。
 だがそれでいて、どこか歪んだ心地よさがある。
 夜闇の中で自分を満たすソレは、渚砂の知っている言葉では上手く表現することはできなかった。

 こんな良く分からない感情に囚われたのはいつ頃からだろうか。
 深く考えるまでもなく、その答えははっきりと浮かび上がる。
 そう、これはあの日―――エトワール選を終えた夜から、ずっと渚砂の心の中に去来し続けていた。

 多くの人達の前で静馬の告白を受け、会場から抜け出すという映画さながらの大事件を起こした渚砂であったが、その後待っていたのは、驚くほど以前と変わらない日々だった。
 勿論渚砂や静馬の様々な噂話は絶えなかったし、一部では「静馬×渚砂ごっこ」なるものが流行っていたりしているらしいが、渚砂自身の生活を変化させるほどのものではなかった。
 静馬との関係も会う回数は増えているが、いわゆる……肉体関係を持つようなところまでは至ってはいない。
 それでも渚砂は満たされていた。
 もしかしたら、一生分の幸せがこのときに詰まっているのかもしれない。
 そう思えるほどに。

 だが、そんなこととは別に気になることがあった。
 玉青のことである。
86千々なる想い(2):2006/10/17(火) 20:55:05 ID:COSZLmmQ
 「いってらっしゃい」と背中を押してくれた玉青。
 多分あの時玉青に背中を押されなかったら、渚砂は走り出す事はできなかった。
 そのことには勿論感謝している。
 だが……あの時玉青はどんな心境だったのだろう。
 エトワール候補として選ばれたときの会長の話によれば、玉青は渚砂に対し、友情以上の感情を抱いてくれている、らしい。
 エトワール選本番までは、ただひたすら静馬への感情を振り切る事だけに必至だったから、深く考える事はなかったが……
 全て終わった今となっては、その事実が重い。

 もし玉青に面と向かって好きと言われたら、どうしていただろうか。
 渚砂には自分がどう答えるのか上手く想像できなかった。
 ……あれ?
 そこで、ふと疑問に思った。
 渚砂は静馬だけを想い続けてきた。
 だから答えは最初から決まっているはず。
 おかしい。
 おかしかったから、もっと想像力を働かせてみることにした。

 夕暮れの校舎。その屋上で向かい合う渚砂と玉青。
 玉青は普段と違って俯きがちでどこかそわそわしている。
 渚砂はそんな玉青の様子を不思議に思う。
「わざわざ屋上でお話って何かな?」
「えと、ですね。その……」
 なんだか歯切れの悪い玉青を、まるで千代のようだと思ってしまう渚砂。
 だが、その印象は玉青が顔を上げた瞬間一変する。
 きつく結んだ口。色づいた頬。そして、決意に潤んだ瞳。
 その全てに魅せられてしまう。
「私は、渚砂ちゃんのことが―――」
87千々なる想い(3):2006/10/17(火) 20:56:28 ID:COSZLmmQ
「うひゃぁ!?」
 ベッドの中で、渚砂は思わず自分でもよく分からない声を上げていた。
 顔が熱い。胸のドキドキが治まらない。
 真冬の深夜だというのに。
 しまった。超しまった。リアルに想像し過ぎた。
 だいたいなんだ、夕暮れの屋上というベタなシチュエーションは。
 いやそんなことよりもう玉青ちゃんの可愛さは異常というか、ってああ何を言っているんだ私は。

 ………。

 とにかく落ち着こう。うん。
 とりあえず、一つ確認。
 玉青ちゃんはとても魅力的な女の子で、渚砂自身意識していなかっただけでかなり惹かれている部分があった、ということ。
 静馬は強引に引き寄せ、前に立って導いてくれる。
 一方、玉青はより添い支え、並んで歩いてくれる。
 静馬を動とするなら、玉青には静。
 どちらも方向性は違えど、女性としてパートナーとしての魅力を持った素敵な人だ。
 そんな二人に、渚砂は惹かれていた。

 もし、静馬より先に玉青と出会っていたら。
 もし、もっと多くの時間を玉青と過ごしていたなら。
 もし、玉青から愛を告げられる事があったのなら。
 それでも渚砂は静馬を選んだだろうか。
 ……わからない。
 わからないが、きっと渚砂のエトワール選は違った形になっていたはずだ。

「玉青ちゃん……」
 思わず呟いてしまい、慌てて自分の口を塞いだ。
 そういえば、ついさっきも変な声を上げたばかりだ。もしかしたら起こしてしまっているかもしれない。
 そう思って声をかけてみる。
「ねぇ、玉青ちゃん……起きてる?」
 少し待ってみる。
 静寂の中、返ってくるのは玉青の規則正しい寝息だけだった。
 ふぅ、と安堵のため息をつく渚砂。
 安心し、落ち着きを取り戻した渚砂は―――そういえば玉青ちゃんの寝顔って、あんまりマジマジと見たことないなぁ―――という、どうでもいいことを思った。
 本当に、かなりどうでもいいこと。
 しかし一度気になり始めると、玉青ちゃんの寝顔を見たいという衝動は次第に大きくなっていき、気が付けば渚砂はベッドを出ていた。
88千々なる想い(4):2006/10/17(火) 20:58:10 ID:COSZLmmQ
 そっと音を立てないように、玉青のベッドの方へ忍び足で近づく渚砂。
 なんだかイケナイことをしているような妙なドキドキ感がある。
 そして、ベッドで寝ている玉青の顔を覗き込む。
 目は闇に慣れていたものの、見通しがつくほどよく見えるわけではない。
 だから、自然に渚砂の顔は玉青に近くなった。

 渚砂の鼻先十数センチの距離で、安らかな寝顔を見せる玉青。
 その表情は本当に穏やかで、悩みなど一つもないかのように見える。
 だが、それは見た目だけ。
 実際には沢山の悩みを抱えているのだろう。
 そして、その原因はきっと渚砂にある。

 渚砂の言葉に、どれだけ傷ついてきたのだろう。
 渚砂の行動に、どれだけ辛い思いをしてきたのだろう。
 それでも、玉青は渚砂の隣にいて、笑い続けてくれた。
 涙を流したい時もあったろうに。
 いや、もしかしたら渚砂の知らないところで泣いていたのかもしれない。
 それでも、玉青は玉青であり続けた。
 そんな、玉青のことが……

 ああ、どうしよう。なんだか、どうしようもなく―――

 ―――――愛おしくてしょうがないよ……。

 自然に玉青の頬に触れようと手が出る。
 柔らかな頬を撫でようとするその瞬間、渚砂の手はピタリと止まる。
 触れたら玉青を起こしてしまうのではないか、と思ったからである。
 今まで傷つけておいて、眠りまで妨げては……と、そういう発想が出てきたのだ。
 渚砂は自分の手と玉青の顔を交互に見つめ、やがて名残惜しそうに手を引っ込めた。
 だが、玉青に触れたい、という欲求は中々収まってくれそうにない。
 一度だけ、ほんの少しなら……そんな思いがグルグルと渚砂の中で回っていた。

 ……では仮に、あくまで仮に、だが、一度だけ触れることが許されるのなら……渚砂は何処を触れるだろうか。
 そんなことを思い、悩んでいるフリをしている自分に気付き、渚砂は滑稽な気分になった。
 だって渚砂の視線は、さっきから玉青の唇に釘付けになっているから。
89千々なる想い(5):2006/10/17(火) 20:59:36 ID:COSZLmmQ
自覚してしまうと、もうその欲求に歯止めが利かなかった。
「ごめん、玉青ちゃん……」
そう呟いて、渚砂は玉青の唇に自分の唇を重ねた。
唇を通し、玉青の体温が伝わってくる。
その温かさが玉青の身の内に秘めた愛の温かさのようで、渚砂は思わず身を震わせる。
蕩けそうになるほどの甘く柔らかな感触。
いつまでもこうしていたかったが、そういうわけにもいかない。
ゆっくりと惜しみながら、唇を離す。

渚砂は思う。
この行為は裏切りだろうか。
静馬は勿論のこと、あの日自分を抑えて背中を押してくれた玉青に対しても……そう、きっと重大な裏切り。
でも、それでも。
渚砂は自覚してしまった。
自分の中の玉青への想いを。
友情という範疇に収まらない、でも静馬に対する想いともどこか違う感情。
それを、自覚してしまった。

渚砂は立ち上がり、ベッドに戻るべく玉青に背を向ける。
すると、後ろの方で衣擦れの音が聞こえた。
「お帰りなさい、渚砂ちゃん」
背中から突然かけられた声に驚きながらも、渚砂はごく自然に答えた。
あの時答えることの出来なかった言葉を。

「―――――ただいま、玉青ちゃん」


――――――――――――――――――――
なんとなく書いてみた玉青ちゃん救済?ストーリーです
あの最終回後からどう挽回させるべきか悩んだ末、渚砂ちゃんに「自由な女」になってもらうことにしましたw

まぁそれはともかく、読んでくれた方には感謝をば。
90名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 21:02:32 ID:zqnIwRcY
GJっす!いやぁ、玉青ちゃん救済良SSが連日の様に投下されて嬉しい限りwww

それにしても此処のスレのレベルは高い。既に初代スレの一番始めでも、
夜々の不幸な結末を見越したのか、夜々救済良SSが投下されてるしなぁ…
91名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 23:02:27 ID:vQDHh+z9
玉青ちゃんを救ってくれてありがとうw
GJ!乙です
92名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 00:27:25 ID:5qRhjKu5
はじめて来たんだがこのスレってお兄ちゃん関係はありなのか?
一応兄がいる設定だよね?三人娘って
93名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 00:48:54 ID:Jvhu0HED
多分その時代(読参時代)のことは無いことにされてるよ。
ほとんどの人がアニメから入った組だろうから知らない人のほうが多いんじゃないかな?
兄がいるのは読参版とゲーム版で男の子モードを選んだ場合のみ。
3姉妹の話は匂わせるような話は出ているが確定ではない。

小説版以降(=渚砂光莉絆奈に苗字が付いているバージョン)は兄の存在も
3姉妹設定も初めから無いことになってる。
94名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 01:58:47 ID:XXB+BV2+
渚砂、絆奈、光莉が仮に姉妹だったとしよう。
あれですか?異母姉妹?それとも異父姉妹?
それぐらいDNAに差がありすぎるだろ……
俺「静馬め・・・いちいち勘に障る野郎だ!んっ、そーいえば確か友達が」
※「地獄通信って知ってるかぁ。憎い相手を書き込めば相手を地獄送りにしてくれるっていう」
俺「そーだ、地獄通信だ。まあ俺も地獄に流されるらしいがまあ死んだ後らしいし。あいつ消えるんだったらやってみるか。どってことないだろ。送信っと」
ポチッ
あい「呼んだでしょ・・・」
俺「うわっ、ビックリした。もしかして君が地獄少女?」
あい「受け取りなさい。あなたが恨みを晴らしたいというならその糸を解けばいい(略)痛みと苦しみを味わいながら永遠を彷徨うことになる・・・」
俺「知ってる。最後に頼みたいことがあるんだけどさぁ」
あい「何?」
俺「俺がやつをどういう地獄に落としたいかって君なら分かると思う。地獄送りの演出の時はそれをこだわってほしい」
あい「ええ、そのつもりよ」
俺「ありがとっ・・・ん?」
俺が「ありがとう」とそう言おうとした時そこに既にあいの姿はなかった。
俺「消えた?やっぱ本当に地獄少女だったんだな」
俺は改めて気を引き締める
俺「これで全てが変わる・・・俺の運命・・・玉青ちゃんの運命・・・そして・・・貴様(静馬)の運命も!これで!最後だあああぁぁぁ!!!」
ヒュッ(恨み聞き届けたり)
紅茶を飲む静馬
静馬「うっ!ゲホッゲホッ!何これ?・・・これは!精液!?どうしてこんなものが」
あい「あなたは地獄へ送られたのよ・・・」
静馬「きゃっ!誰?あなた?」
あい「私は閻魔あい・・・」
静馬「まさか?今世間を騒がせてる地獄少女?そんな、どうして私が地獄へ」
あい「あなたを恨む人からの依頼があったの・・・」
静馬「そんな!」
あい「どんな依頼だろうと依頼だから・・・私は契約を果たさなければならない・・・」
あいがそう言うと空間が変わり静馬の周りの景色が変わった
静馬「えっ、何?」
和田サンA「君は和田サン好みなんだよ。これは最高の誉め言葉なんだ」
そこには全裸の和田サンが立っていた。
静馬「きゃっ、あ、あなたは3年前世間を騒がせていた○稲田大学のレイプ犯!」
静馬がそう言った時、別の方向からもう一人の全裸の和田サンが現れた。
和田サンB「君は和田サン好みなんだよ。これは最高の誉め言葉なんだ」
そこで静馬は気づいた。和田サンの目が異様にギラつき異常なものだと。
和田サンC「君は和田サン好みなんだよ。これは最高の誉め言葉なんだ」
和田サンD「君は和田サン好みなんだよ。これは最高の誉め言葉なんだ」
和田サンE「君は和田サン好みなんだよ。これは最高の誉め言葉なんだ」
和田サンはどんどん増えていき10人ほどに増え、静馬の周りを取り囲んだ。
静馬「なに、何なの、いや、こんなの、誰かー!」
静馬は悲鳴を上げるがもちろんそんなものは無意味だ。
和田サン達は一斉に静馬に飛び掛った。
静馬「いやっ!やめて!お願い!」
静馬は恐怖した。これから自分の起こる事が容易に想像でき気が狂いそうだった。
ビリッビリッ!
和田サン達は一斉に静馬の制服を破いていき、静馬は全裸になる。和田サン達に羽交い締めにされ静馬は身動きすらできない。
一人の和田サンの肉某が静馬の股間の入口に宛てがわれた。
静馬「いや、お願い、それだけはそれだけは!」
和田サンF「君は和田サン好みなんだよ。これは最高の誉め言葉なんだ」
しかし和田サン達は何の反応も示さずひたすら同じ台詞を繰り返すだけだった。
静馬「(いや、私の初めてがこんな形で・・・)」
ずりゅっ
静馬「ひやあああああああぁぁぁぁぁ!」
一人の和田サンがとうとう静馬の処女幕を貫いた。
静馬「ああああ痛い!痛い!抜いて!いやああぁ!」
別の和田サンはアナルへ、また別の和田サンは静馬の口へ突っ込む。
その他の和田サンは自分の肉棒をこすり静馬にぶっかけようとしている。
静馬「うっ、ぶふっ、んふ」
数人の和田サンは絶頂を向かえ静馬に一斉にぶっかける。
俺(の精神体)「ははははははは!」
静馬「何!誰なのよあなた!」
俺(の精神体)「俺は地獄へ落とした張本人だ」
静馬「あなたが、あなたが私を地獄に!どうして!どうしてこんなことを!私はあなたなんか知らない」
俺(の精神体)「どうして?しいて言うなら気に入らなかったからかな?あんたは俺の事を知らなくても俺はあんたの事を知ってる」
静馬「そんな、そんなことのために!あなた分かってるの?地獄通信って送った方も地獄へ落ちるのよ!」
俺(の精神体)「知ってるさ。そんだけ俺のあんたへの憎しみが強かったってことなんじゃねーの」
バシッ
俺(の精神体)「いてっ!」
静馬が俺をぶった
俺(の精神体)「殴ったね」
静馬「あなたは最低の人間だわ!」
俺(の精神体)「僕がそんなに安っぽい人間ですか?」
バシッ
俺(の精神体)「いって!二度もぶった・・・親父にもぶたれたことないのに!」
静馬「あなたのような人間こそ地獄に落ちるべきよ」
俺(の精神体)「屋上へ行こうぜ・・・久しぶりにキレちまったよ・・・」
俺がそう言うと辺りが屋上に変わる
俺(の精神体)「和田の餌食になれ!!」
和田サンG「君は和田サン好みなんだよ。これは最高の誉め言葉なんだ」
和田サンH「君は和田サン好みなんだよ。これは最高の誉め言葉なんだ」
静馬「いやあああぁぁぁぁ!!!!」



静馬は数人の和田サンに輪姦され続けもはや疲れ果てていた。
俺(の精神体)「手ごたえあったぜ・・・」
静馬「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
俺(の精神体)「ざまーみやがれ(ニヤリ」

静馬「はっ」
静馬は気がつくとあいの地獄行きの船に乗っていた。
静馬「どうして・・・どうして・・・私がこんな目に・・・うぅ・・・」
静馬は嗚咽を洩らす
あい「地獄送りは私の使命とはいえ・・・あなたには同情するわ・・・一人の理不尽な人間のためにこんな目に・・・」
静馬「うぅ・・・」
あい「この恨み地獄へ流します・・・」
チリンチリン

俺は朝になり起きて欠伸をした
俺「ふあああぁぁぁ!昨日いい夢だったな・・・やっぱ胸に刻印があるな。地獄通信にアクセスしてしまったせいか・・・認めたくないものだな・・・若さゆえの過ちというものは・・・」
俺の蝋燭
あい「あなたの恨み・・・晴らします・・・」
パランパランララ♪パランパランララ♪パパ♪パン♪いつだって〜ゆきどまりで〜けして、逃げられな〜い
100名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 07:27:40 ID:kfQcw/YF
え・・・えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?

いやむしろ其処は玉青or夜々もしくはあえて千代がじご(強制終了)
101名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 01:43:08 ID:8B/7tjL1
なんか新しいパターンですね。
静馬っちもの乙です
102名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 06:05:26 ID:JvdZNkws
こっちもホス
103名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 13:15:34 ID:O3UrMcFX
>>95-99氏、新境地モノ乙であります!
一目連:要
骨女:桃実
輪入道:天音(スターブライト付き)
かな?
104名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 01:08:42 ID:QAEBUx5D
とりあえず
保守
105名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 11:24:55 ID:MbFNK7bU
>>96
なぜ精液だと分かった?
106名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 22:23:42 ID:v5C+cNrL
934 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2006/10/23(月) 21:22:05 ID:jsnS0vrj
男達はどんどん増えていき10人ほどに増え、千華留の周りを取り囲んだ。
男達『へへ、これは特上の美少女だ』
千華留『え?、何なの?いや、誰か・・』
男達は千華留の体を押さえつけは始めた
千華留『いやっ!やめて!』
男達『おー、すげー柔らかい胸だ、下のほうはどうなのかな?』
ビリッビリッ!
男達の無数の手が制服を破いて一方の手は胸を揉んだり一方の手は服を破り
無数の手が千華留の体を襲った
スカートを捲り上げパンツの上からあそこを触られ始めた
千華留は必死に抵抗するも男達に羽交い締めにされ身動きすらできない
男達『パイパンかよ!こりゃ綺麗なまんこだ』
男達はニヤニヤと笑いながら千華留のパンツを横からめくり千華留のアソコを覗きだした
千華留『いやぁあぁぁぁぁ!お願い許して!』
男達『嫌がっても体は正直だぞ、もうあそこは濡れ濡れじゃないか』
千華留『いやぁぁぁぁ』!
男『それじゃ、しまり具合を試してみるかな』
他の男達がお前が最初か?ずるいぞ!と笑みを浮かべてた
一人の男の肉某が千華留の股間の入口に宛てがわれた。
千華留『いや、お願い、それだけはそれだけは!』
男『もう遅いって、諦めろ』
ずりゅっ
千華留『痛い!』
『おー、絞まる絞まる!』
千華留『ああああ痛い!痛い!抜いて!いやああぁ!』
男は一番最初に犯した優越感に浸っていた
『ほら!お口が開いてるぞ』
別の男は静馬の口へ突っ込む。
その他の男は自分の肉棒をこすり千華留にぶっかけようとしている。
千華留『痛い!痛い!』
『あーすげーしまりだ、もう逝きそうだ』
『おまえ、まだ1分も立ってないぞ、早すぎだろ』
『それだけ締りがいいんだよ!ほら、中に出すぞ!』
千華留『いやー中はダメ!』
『おら、逝くぞ!!』
男は絶頂を向かえ千華留の一番奥の膣の中にぶっかけた
107名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 23:58:41 ID:htsQ09w7
今書いてるSS長くなっちまうな…
みんな短いのが好きそうだし…
108名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 02:32:48 ID:SdFm3bJF
>>107
長くてもいいよ
109名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 08:50:45 ID:77QI3Up2
>>107
むしろ個人的には、長くてじっくり練りこんであるストーリーが好み
110名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 22:34:49 ID:lNfTlnXS
むしろ長いのばっちこいっす。
ストーリーをがんばって練り上げてください
111名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 03:10:14 ID:0UAFl8Ds
しかし渚砂ってポジティブで明るいけどだけどネガティブなときはとことん沈むよな。
職人さんには書きやすそうだよねえ
112名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 16:44:01 ID:GPHuJ+dE
感情の浮き沈みが激しい子なんだよ。きっと
113名無しさん@ピンキー:2006/10/27(金) 00:55:23 ID:nCIEUUeo
危なそうだから保守
114水先案名無人@ピンキー:2006/10/27(金) 18:11:46 ID:QFmAtApm
どうやら長いのもいいみたいなので(でも>>107じゃ無いですが)、

玉青×渚砂です。
115旅のおわり 1:2006/10/27(金) 18:13:49 ID:QFmAtApm

親愛なる蒼井渚砂様へ

今、貴女がこの手紙を読んでいるという事は、もう私はそこには居ないのですね。
突然のことで驚かれたかもしれません。
それは……お詫びします。


私は貴女が好きでした。
貴女は知らなかったかもしれませんが、ずっと想っていました。
最初はただ念願のルームメイトが出来たという嬉しさだけでした。
私は貴女と共にいるうちに変わることが出来ました。
あなたいるときだけは本当の私でいられる気がして、
そしていつの間にか私は貴女を好きになっていました。

だけど貴女には好きな人がいて…、だから私は決心しました。
貴女の幸せを願おうと。
でも私が居なくなって寂しい思いしているのなら……ごめんなさい。
貴女の幸せを願っているけれど、やっぱり私には、そこは辛すぎて……。

渚砂ちゃん。
どうか私がいなくても、笑顔で元気でいてください。
そしてあの人と幸せに……

たとえ遠く離れても、貴女の幸せを願っています。


               貴女と共に居た証に   涼水玉青
                              ありがとう
116旅のおわり 2:2006/10/27(金) 18:15:45 ID:QFmAtApm

いちご舎内。
一人の少女が自室へと向かっていた。
蒼井渚砂だ。
今日はエトワール選前日。
それにもかかわらず、ミアトルでは今日も授業があった。
今はその帰り。
歩きながら、先ほどの玉青との会話を、ふと思い出す。
――――少し用事があるので、先に帰っててもらえますか?
そう言っていた玉青は申し訳なさそうな顔をしていた。
――――大事な用なのかな……
今日はエトワール選前日だが、特別な用事でもあるのだろうか。
エトワール選の練習は昨日で終わった。今日は前日ということで休養を取る様にと深雪から言われている。
――――でも明日の準備をしておかないと……
玉青が帰ってくるまでに、自分で出来ることはしておきたい。
 カチャッ
ドアを開け、部屋の中へと入る。
いつもと変わらない、いつの間にかそう思えるようになった、自分達の部屋。
なんとなく、部屋を見渡してしまう。
と、自分の机の上に何かがあるのがわかった。
朝出掛けるときには無かった、一枚の白い紙。
何だろう。
手にとって見ると、それは置手紙だった。

 渚砂ちゃんへ
 今日午後3:30にて、ルルドの泉で大切なお話があります。
                         涼水玉青

それだけの簡潔な手紙。
――――大切な話ってなんだろう……
わざわざ手紙で連絡するということは、よっぽど大事な話なのかもしれない。
時計を見る。まだ多少時間はあるようだ。
117旅のおわり 3:2006/10/27(金) 18:16:25 ID:QFmAtApm
手持ち無沙汰になってしまったので、またなんとなく部屋を見渡す。
そしてまた、一つ見つける。
渚砂の机とは部屋の反対に置かれた玉青の机。
そのわきに何かが散らばっている。
ファイルとその中身のようだ。
落としたのを気付かなかったのだろうか。
そのままにしておくのもいけないと思ってかき集める。
大事な書類なのか、部活の作品なのか。
ふときになって、―――少しいけないかな、と思いつつ、それらを眺める。
その書類は、
――――あれ?
なんとなく、本能的に、思考が止まった。
わかる。これは理解してはいけない。
でも、そこに書かれていたのは、
――「転校に関しての……」――「留学に際しては……」――
――――これって……つまり……玉青ちゃんが……
転校か、留学か、わからない。
けれど彼女がこの学園から居なくなるということを示すのに、十分すぎる物だった。
思考がまとまらないまま、それぞれの紙を見やる。
その中に一つ、違う物が混じっていた。
一枚の封筒、手紙。
「渚砂ちゃんへ」
そう書かれていた。
見てはいけないことは、わかっている。けれどそれにはまだ封がされていなくて、
――――これなら一度見てまた戻せば
こう思うと自然と手が動いた。
心に浮かぶ衝動から、その手紙を抜き取った

親愛なる――――
………
………
………
「……うそ……」
けど、それは確かに別れの手紙だった。
彼女が居なくなるという、証明。
時計を見る。
まだ時間ではない。
でも、今すぐにも聞きたかった。
これが本当のことなのか、どうしていなくなってしまうのか。
手紙を封筒にしまい、ふところに入れ、そのまま部屋を飛び出す。
一刻も早く、会って確かめたかった。
胸がもやもやした。のどがすぐに渇いていくのがわかる。
焦燥感が身を焦がす。
息を切らせ、ひたすら走った。
早く、早く会って確かめないと。
なんで、こんなに、胸が苦しいのだろう。痛いのだろう。

嘘、だよね……。違う、よね……。
玉青ちゃん……。
118旅のおわり 4:2006/10/27(金) 18:17:42 ID:QFmAtApm
全力で走ったのに、いつもより遠く感じる。
視界にルルドの泉が入る。
そこに玉青の姿があった。
「ハァ……ハァ……ハァ……」
「……渚砂ちゃん」
息が上がっている。心臓がバクバクと脈打つ。
走ったからだけではない。
嫌な予感が胸をしめつける。
「そんなに慌ててどうしたんですか……?それにこんなに早くに……」
時刻は3時過ぎ。約束の時間より、多少早い。
何とか息を静める。
聞かなくちゃ……
「ねぇ、玉青ちゃん……」
「何、ですか……?」
「……これって……どういうこと?」
あの手紙を取り出し、訊ねる。
「どうして……それを……」
「あ………」
そうだった。これはまだ見てはいけなかったもの。
でも……。
「ご、ごめんね、勝手に見ちゃって。……玉青ちゃんの机の横にファイルが落ちてて、その中身を少し見ちゃって……」
「………」
「それで、あんな書類ばっかで、その中にこの手紙があって……。どうしても見たくなって……ごめん……」
「そう……ですか……」
「これって……、嘘だよね?何かの間違いだよね……?」
そこで、フッと玉青が微笑む。
「まだ……予定です」
「……予、定?」
「いちおうですけど」
予定……。でもそれは、その可能性があるということに他ならない。
むしろもう決まっている事のようにも感じる。
「……なんで?」
聞かないわけには、いかなかった。
「……どうして?」
「…………」
119旅のおわり 5:2006/10/27(金) 18:18:56 ID:QFmAtApm
玉青は困ったように微笑みながら、答えない。
玉青ちゃん……。
「…………今日は、それに少し関係のあることで呼んだんです」
そういえば、大事な話があるって……。
……何だろう……。
玉青が渚砂と少し距離をとって、その前に立った。
「……渚砂ちゃんは、まだ、静馬様が好きですよね?」
え………。
「そ、それは……別に、もう……」
あの手紙には、玉青の気持ちが書かれていた。
渚砂が好きだと。
それにその時……自分は気付いてしまった。
……自分は玉青の気持ちに気付いていたことを。
……けれど気付かないふりをしていただけだったと。
そして自分の思いが玉青を傷つけていると……。
「私……」
だから、そんなことを聞かれても、答えられなかった。
だって私は……
「わかって、ますよ……」
「……えっ……」
「渚砂ちゃんの気持ちなんて、バレバレですよ。ずっと、見てましたから……。貴女をずっと……」
「………」
120旅のおわり 6:2006/10/27(金) 18:19:46 ID:QFmAtApm
何も、言えなかった。
どんなことを言っても、玉青を傷つけるだけだとわかっていたから。
「私は、貴女が好きです」
知っていた。
けれど、気付かないふりをした。
傷つけた。
怖かった。
甘えていた。
あなたは優しかったから……。
「だから貴女には……。渚砂ちゃんには、幸せになってほしいんです」
いつも、
そばにいてくれていた。
見守ってくれていた。
「それが、私の幸せなんです」
申し訳なかった。
感謝していた。
でも、気付かないフリをした。
怖かったから。
そうすれば貴女が…………。
「でもっ……、静馬さまは……私のこと……。それに私なんか……」
いいえ、と玉青は首を振る。
「静馬様は貴女が好きですよ。貴女自身を好きでいてくれています。……見ていれば、そんなのわかりますよ……」
「玉青ちゃん……」
ふと、玉青が歩き出す。
そのまま渚砂に近寄り、
そっと……、頭をなでる。
………
そのまま渚砂の横を通り過ぎる。
「玉青ちゃん!」
振り返る。
玉青の顔は見えない。
「私の事は……心配しなくても大丈夫ですよ」
「………」
「だから……、渚砂ちゃんは……静馬様と……」
「玉青……ちゃん……」
その背中を捕まえたくて、そっと、手を伸ばそうとして、
「これ以上……、私を惑わさないでください……」
「……っ」
何もできなかった。もう自分は彼女に、何も……。
「私……、またこの後用事があるので…………また後で……」
そして彼女は一度も振り返ることなく、
行ってしまった。
一人、渚砂がその場に残される。
121旅のおわり 7:2006/10/27(金) 18:20:31 ID:QFmAtApm

「もうこんな時間……。急いで帰らないと、明日の準備が出来ないわね……」
聖ル・リム女学院からいちご舎へと続く道。
そこを早足で進む、一人の女性―――ル・リム生徒会長、源千華留が居た。
明日のエトワール選の最終打ち合わせのために、下校が遅くなってしまったのだ。
「あら?あれは……」
前の方に、一人の女の子がいる。
ミアトルの制服、そして赤いポニーテール。
あの子は……渚砂ちゃん?
なんともはや、誰が見てもわかるような暗い顔をしている。
……また、何かあったのかしら?
ここで彼女を放っておくなど、もちろん出来なかった。
慈愛の心といけない好奇心。
それが自分の行動理念だから……。
「なぎ〜さちゃんっ!」
随分と周りの見えていない渚砂へ、ガバッっと背後から思い切り抱きつく。
「えっ……なっえ、ええっ?」
「なぎさちゃ〜〜ん」
スリスリと冷たい頬を擦り合わせる。
「ちっ、千華留さま!?」
「ふふふっ」
突然のことで目を白黒させている渚砂から体を離す。
「こんなところで何してるの?」
「え……、あ……いえ、千華留さまこそ……」
「私?私は今からいちご舎に帰るところよ」
「あ……、そっか。ここ……ル・リムの近く……」
あれからほとんど頭が回らなくなって、こんな所まで来てしまったらしい。
「もしかして……、私に会いに来てくれたのかしら?」
「い、いえ……あの、別に……」
「もー渚砂ちゃんたら〜。フフフ……」
グリグリと頭をなでる。
「あぅ……」
「そんな嬉しい事をしてくれる渚砂ちゃんには……、特別にもう一度話を訊いてあげちゃおうかしら?」
パチリ、とウインクをする。
「あ……」
「ね?」
122旅のおわり 8:2006/10/27(金) 18:21:43 ID:QFmAtApm
渚砂先程のことを千華留に話した。
そして自分の気持ちを。
――静馬へのきもち
まだ、自分は静馬が好きだということ。
自分なんかでいいのだろうかということ。
――玉青への気持ち
自分にとって最高の親友であるということ。
玉青が自分を好きだということ。
あの手紙のこと。
そして居なくなってなんてほしくないということ。
自分に言える全てを話した。
もう、自分ではどうしようも出来なかったから。
「私、どうしたら……いいんでしょう……」
いろんな想いが胸の中をぐるぐると駆け巡る。
自分は、何をすればいいのか……、どうしたいのか……。
千華留は堰を切ったように話し出した渚砂の言葉に、静かに耳を傾けていた。
そしてポンっと渚砂の頭の上に手を置き、
「それで……、渚砂ちゃんは……、どうしたいの?」
そう問いかけた。
「……私……」
「何を したいの?
 何が ほしいの?」
「………」
クシャクシャと頭をなでる。
「わか……りません……」
頭から手を離し、じっと渚砂の顔を覗き込む。
「私……静馬さまが好きです……。でも玉青ちゃんも大切で……。だからどっちかを選ぶなんて……そんなの……。
……選ばなきゃ……いけないんでしょうか」
「そうね……」
今ここにある大切なもの……。
これから手に入れたい欲しいもの……。
「どちらかを、貴女は決めなきゃいけないわ」
「………」
「そうでなきゃ……とっても失礼よ。貴女を想ってくれている二人に……。それに……貴女自身にもね」
「千華留さま……」
「でもねっ!」
パン!っと、突然目の前で手を合わせる。
びくっと渚砂の体がはねた。
「今日はもうそんなことどうだっていいじゃない」
「…………えっ」
「だって明日はエトワール選でしょ?そ〜んなうじうじした悩みなんて持ってたら……、とても本当の力なんて出せないわ!」
「で、でも……」
自分の悩みをそんなことと言われて戸惑っている渚砂の両手をガシッと掴みあげる。
「でもじゃな〜〜い!さ、こんな寒い中にいつまでも居られないわ!渚砂ちゃんは大事なエトワール候補なのよ!早く帰りましょ!」
そのまま渚砂の手をとり、引きずるようにしていちご舎へ向かう。
「あ、あの。ち、千華留さまっ」
「気合入れるために走るわよ、渚砂ちゃん!!」
「えっえっちょっ……ああっ!」
グイッと手を引っ張り駆け出す。
「ひっぱりすぎです〜」
「うふふ……」
「うぅ……」
「……………そういう難しい話は置いといて……、今は貴女を応援している人のためにがんばって……」
「………」
「だって貴女はエトワールになるかもしれないんでしょ?」
「………………はい」
「さ、スピードを上げるわよ!」
「へ、あ……す、すべりそ………うわぁっ」
…………大切なものか、欲しいものか……。
でも貴女にとっての大事な物は、もう決まっていると思うけど………………なんてね。
123旅のおわり 9:2006/10/27(金) 18:23:06 ID:QFmAtApm

カチャ。
………………パタン。

「…………ただいま」
「…………おかえりなさい」
「………」
「………」
「さ、明日のエトワール選の準備しよっ」
「――――――はいっ」


………
………
この夜が明け、明日になれば、エトワール選が始まる。
そして、誰かが勝ち、誰かが負ける。
エトワールが……選ばれる。
わたしは………、わたしは彼女とエトワールに……………
………
………
124旅のおわり 10:2006/10/27(金) 18:23:45 ID:QFmAtApm
……
………
会場の照明が落とされる。
暗闇。
パっと舞台上に光が照らされる。
そこに、エトワール候補、鳳天音と此花光莉が歩いていく。
場内が、ざわめきで満たされた。

舞台袖で、渚砂はその光景をボーッと眺めていた。
緊張のためか、現実感が遠ざかっているようだ。
いまさらながら、ためらいが生じる。
本当にここにいていいのだろうか。
この学園に来て、まだ一年も経っていない。
そんな自分が、この舞台に立っていいのだろうか。
私なんかが……。
心の中に後ろ向きな思いが満ちていく。
「……渚砂ちゃん」
「えっ」
横を見ると、たまおが心配そうな顔をしていた。
「大丈夫ですか?」
「あ……、うん……」
「………」
大丈夫……ではないかもしれない。緊張で、胸が苦しい。
思わずグッと、手を握りしめてしまった。
そこへ、そっと……玉青の手が触れる。
「………っ」
「私を見てください」
ギュっと、右手を握りしめられた。
そこから玉青の優しさが……流れ込んでくるようだ。
「……うん!大丈夫」
そうだ、私は………一人ではない。
今は、玉青ちゃんがいる……。
今は、まだ。
まだ隣に。
………
「渚砂ちゃん……」
少し、その手に力が込もった。
「今日……だけは……」
あ……。
玉青ちゃん……。
………。
渚砂も、そっと、その手を握り返す。
「………」
「…………行きましょう」
「うん」
いつも私を支えてくれていた、大切な人。
この人がいれば、きっと大丈夫。
なにも、怖くない。
今は、なにも……。

二人、息をそろえ、舞台を進む。
歓声が沸きあがる。
大丈夫。
あなたと……。
あなたと二人なら……。
125旅のおわり 11:2006/10/27(金) 18:24:36 ID:QFmAtApm
舞台の上、静馬が天音へと花束を贈る。
「ありがとうございます」
「……とうとう来てしまったのね」
「貴方のお言葉を、確かめるために」
天音と光莉はそっと目線を交わす。
「健闘を祈っているわ」
次に彼女は、玉青と渚砂の目の前へと立った。
思わず渚砂は、じっと静馬を見つめてしまった。
わずかに目線があう。
静馬さま……。
この人を見つめるだけで、胸がきしむ。
まだ……、まだ私は……。
本当に……、あなたは私を……?
「静馬さまっ!」
「…………。……二人とも、とても魅力的よ」
「ありがとうございます」
ギュッと
玉青の手が、渚砂の手を、強くにぎりしめた。
「あっ……」
玉青の手が、少し、震えていた。
……私は……
「ミアトルのためにも、がんばります」
玉青は手を離し、花束を受け取る。
「健闘を祈っているわ」
わずかに渚砂を見た後、そのまま舞台袖へと去っていった。
「…………」

「それでは、ただいまより、エトワール選の本選を開始致します」

……静馬さま……
「渚砂ちゃん……」
「あ……」
そっと、玉青がうなずきかける。
…………うん…………
………
………
静馬さま……
126旅のおわり 12:2006/10/27(金) 18:26:33 ID:QFmAtApm
そして、エトワール選は続く。
二人は順調に、確実に、試練を乗り越えていった。
残るのは、最後の種目。
最後まで苦戦し続けた、ダンス
……
………
…………
ダンスホールに曲が流れ始める。
二人はゆっくりと踊りだした。
一つずつ、確実に。
しかっりと、ステップをとり。
相手を見つめ。
玉青の目が渚砂を見つめる。
自分の気持ちを伝えるように。
自分の全てを伝えるように。
私はそれを受け入れ、見つめ返す。
貴女が、私にとって大切な人であること。
今でのことを、本当に感謝していること。
そしてこれからの……。
息がぴったりと合うのがわかった。
二人が一つになったような感覚。
……でも。
でも……私は……。
思い出してしまう。
あのダンスを。
あの人と踊ったあの時のことを。
この気持ちも、あなたに、
きっと……伝わってしまっただろう。
………
玉青ちゃん
………
玉青がそっとほほ笑んだ気がした。
………
………ありがとう。



「ハァハァ…………」
「ハァ……ハァ……」
そして二人は踊りきった。
一つの失敗も無く。
「渚砂ちゃん……」
やりきった。
最高のダンスを。
最高のおもいを。
――貴女と――
………
………
………

こうして全ての種目が終わった。
127水先案名無人@ピンキー:2006/10/27(金) 18:29:13 ID:QFmAtApm

・・・えっと、時間が無くなってしまったので前編と言う事。
128名無しさん@ピンキー:2006/10/27(金) 18:41:47 ID:/UZS2dzZ
>>127
おおおおぉ、GJっ!!
スゲェ。心理描写が何の違和感もなく伝わってくる
続きwktkしながら待ってますよー
129名無しさん@ピンキー:2006/10/27(金) 19:19:34 ID:bsE+rEOP
久々にみたら新作きてるYO----
マジGJです!描写が非常に上手です
130名無しさん@ピンキー:2006/10/28(土) 01:45:55 ID:ViN595Py
すごいな、これは
GJというかGJだ
131水先案名無人 ◆njAklKyHxQ :2006/10/28(土) 18:12:05 ID:4bSwUFmk

>>115-126の続きの、Bパートです。
132旅のおわり 13:2006/10/28(土) 18:13:05 ID:4bSwUFmk
聖堂が、熱気に包まれていた。
全ての投票が終わり、後は結果を待つだけだ。
「いよいよ、ですね」
「うん、そうだね……」
やれることはやった。
後はその結果が出るだけ。
「渚砂ちゃん……」
「……なに?」
「……ありがとうございました」
「えっ……」
「本当に……、ありがとう……」
「……そんな。お礼を言うのは……私の方だよ。いっぱいフォローしてもらっちゃったし……」
「………」
「それに……それに……」
それにきっと……また傷つけてしまった。
それなのに……
「……ありがとう、玉青ちゃん」
玉青は微笑む。
いつものあの、ほほえみ。


「まもなく、結果が出ます。しばらくお待ち下さい」
聖堂内が興奮で満ちる。
最初はスピカが優勢であるかに見えた。
けれど今は、どちらが勝ってもおかしくない。
双方、互角。
どちらがエトワールへと選ばれたのか。
どちらがその栄光を掴むのか。
………
………
「それでは、結果を発表いたします」
……堂内に、緊張が走る。
これで全てが……決まる。
………
が、そこへ、

ギィィ…………

「えっ?」
聖堂の重い扉が、開かれる。
外の光が、少しずつ中へと射し込まれていく。
こんな時にいったい誰が……
みなの視線がそこへ注がれる。
その光の中、立っていたのは。

「渚砂!」

前エトワール。花園静馬がそこにいた。

133旅のおわり 13:2006/10/28(土) 18:14:05 ID:4bSwUFmk
「静馬……さま……?」
いったいどうして。
堂内がざわめきに包まれる。
何故彼女がここに……?
いったい何をしにきたのだろうか。

カツ……カツ……カツ……

幾多の視線の中、彼女の足音が響いてゆく。
何かを気にすることも無く、優雅に。
誰にも有無を言わせることのない、確かな足取りで。
彼女は進む。
その瞳に誰もが圧倒された。
決意の秘められた、その眼差しが、一つを捉えていた。
その一つへと、彼女は進む。
愛する人へと。


……カツ…………

………
静馬が立ち止まる。
その存在に堂内は飲まれ、息を呑む。
全ての人間が彼女を見つめていた。

…………静馬さま?…………

「渚砂…………!!」

「愛してるの!!」

静馬の声が、堂内に響き渡った。

「渚砂っ!!」
134旅のおわり 15:2006/10/28(土) 18:14:37 ID:4bSwUFmk
―――そん…………な……

「だって………、だって…………」

だって貴女は……貴女は……
それに……

――フッ――

エッ…………?

体が、玉青の元へと引き寄せられていた。
彼女のぬくもりが……身体へ伝わる。
「本当にしょうの無い方ですね……」
ぽつり……つぶやく。
その声はとても……。
「玉青ちゃん……?」
な……に……。
胸をよぎるイヤな感覚。
息が詰まる。
その声はとても……。
とても寂しくて……。
「渚砂ちゃん……」
優しい……こえ。
いつもの……貴女の……。


「さようなら」


――――――っ

グッと体を前へと押し出される。
少し、バランスを崩した。
………
彼女へ振り向く。
「玉青ちゃん……」
その手には、あの赤いリボンが握られている。
「…………」
彼女は……
渚砂に優しく、うなずきかけた。
135旅のおわり 16:2006/10/28(土) 18:15:09 ID:4bSwUFmk

前へ……視線を戻す。
そこに、静馬がいた。
ずっと思い続けていたあの人が。
そこで、自分を待っている。
どれだけ望んでいただろうか。
あなたの胸に飛び込むときを……。
どれだけ待っていただろうか。
あなたのあの言葉を……。
目の前に、あなたがいる。
私を…………待っている。
私を……。



…………なのに…………
なのに私は…………
…………
わたしは…………

136旅のおわり 17:2006/10/28(土) 18:15:42 ID:4bSwUFmk


ああ………
そっか………
…………そうだったんだね
………
………
…………ごめんね

137旅のおわり 18:2006/10/28(土) 18:16:23 ID:4bSwUFmk
「渚砂……?」
静馬がゆっくりと近付いていく。
渚砂は、泣いていた。
静かにその両目から、涙を溢れさせていた。
静馬は渚砂へと触れようと、手を伸ばす。
「ごめんなさい………」
その、手が止まる。
「渚砂……」
「ごめんなさい……」
渚砂の口からこぼれたその言葉。
それは―――
静馬はその流れ出る涙を拭き取る。
それでも涙は止まらなくて、
少し、視界が歪んだ。
「私……、静馬さまが好きです」
それでも彼女から目をそらさず、告げる。
「貴女のことが大好きなんです……」
ずっと想っていた。
ずっと伝えたかった。
大事なこの思い。
願い続けたこの想い。
だけどもう…………私は決めたから……。
見つけたから。
だから、最後に。
この思いを。
「本当に…………私は……」
それでも涙は止まらなかった。
辛かったから。
苦しかったから。
痛かったから。
涙が溢れてよく見えない。
わたしは……
「……ならっ……!ならどうして……!!」
静馬の声がイタかった。
「渚砂!」
静馬の声がこだまする。
貴女のこえがひびいてく。
「私、静馬さまが大好きです……。心から……貴女のことが……」
今すぐ抱きつきたかった。
その胸に飛び込んで、あなたを感じたかった。
ずっと前から想っていた。
出会う前から思っていた。
あなたとともにいる事を……。
138旅のおわり 19:2006/10/28(土) 18:16:55 ID:4bSwUFmk
「でも私は……」
私は……気付いた……。
気付いて……しまった。
この願いよりも。
このおもいよりも。
―――――貴女を失うことが怖いということを
今ここで、彼女を選んだのならば、貴女は居なくなってしまう。
私のそばから居なくなる。
そうなったら……私は…………
………
今さら……
今さらだけど……、ようやく私は……
…………気付くことができた。
傷つけたと知っていたのに。
愛しいと思っていたのに。
やっと……
「私はそれ以上に……玉青ちゃんが大切なんです……」
こんなにも遅くなったけど
やっと見つけたよ
一番大切な人。
「だから私は……静馬さまとは行けません……」
「………」
「ごめんなさい……」
静かに渚砂は、静馬へと頭を下げた。
静馬は、
ただ渚砂を見つめる。
………
………
………
「そう…………。わかったわ…………」
ただそれだけを言い、渚砂に背を向ける。
ゆっくりと、彼女から離れていく。
静寂の中、彼女の足音だけが響いていた。
けれど……
一度、渚砂へと視線を戻し――その顔をわずかに歪ませて――
そして――
――堂内を駆け出した。
そのまま彼女は………………聖堂から姿を消した。
「源会長、後はよろしくお願いします」
「あっ……はい……」
「ちょっと!六条さん……!?」
そう言って深雪が、その後を追っていった。

ギィ―――――

聖堂の重い扉が、音をたて、閉じられた。
139旅のおわり 20:2006/10/28(土) 18:17:34 ID:4bSwUFmk
目に溜まった涙をふきとり、渚砂は玉青を振り返る。
「……玉青ちゃん」
そして……玉青にかすかにほほえみかけた。
「………」
何が起きたというのだろうか。
あの時、確かに覚悟をしたはずだ。
自分の想いはもう届かないと。これで終わりなのだと。
そして私は、彼女を送りだした。
その幸せを願って。
この痛みを抑えて。
なのに彼女は…………そこにいる……。
「どうして………っ!どうしてですか………!!」
「あ………」
あなたの気持ちは知っている。
どれほどのものか知っている。
同情……?
友情……?
そんなものはいらない……。
ワタシの望みはアナタの幸せだけ。
こんなわたしなんかよりも、愛する人が幸せならそれでいい。
ソレでいいと決めたのに……。
「なんで貴女は……私なんか……私なんかを……」
私なんかのためにそこに居るの…………
…………
「………だって……。だって私にとって玉青ちゃんが一番大切な人だから……!!」
―――!
「玉青ちゃんにいなくなってほしくないの!!玉青ちゃんがいなくなったら………いなくなったりしたら私………」
その目から、また、涙がこぼれる。
「そんなの………イヤだよ………」
渚砂……ちゃん……
「だから……いなくなったりしないで………。さよならなんて……言わないでよ………。私………玉青ちゃんが好きなの………」
………
私は………
………
………っ
「私だって………。私だってあなたと一緒にいたいですよ………!!」
そんなの………あたりまえじゃない………
「私だって………あなたが好きなんですから………」
あなたが………


「玉青ちゃんっ!」


あっ…………

―――――――――――渚砂ちゃん…………

玉青はぎゅっと、渚砂を抱きしめる。

「ずっと………、そばにいて………」

大好きな人のぬくもりを体に感じる………
わたしは………

「もう………離しません…………」

――――ひとしずく………、涙がこぼれた。
140旅のおわり 21:2006/10/28(土) 18:18:36 ID:4bSwUFmk

「エー、あーあー。コホンっ。少々ハプニングもありましたが、発表を続けたいと思います」
いつの間に変わったのだろうか。
聖堂内に千華留のアナウンスが響き渡る。


「玉青ちゃん……」
「はい……」
「そのリボン……」
玉青の握りしめている赤いリボン。
それは大切な物だから……。
「手を……出してください」
「うん」
手を差し出す。
玉青はその手首にリボンを飾りつけた。
「あ………」


「あの……天音先輩……」
光莉と天音が視線を交わす。
「光莉……」
「………」
どうやら考えている事は同じらしい。
「そうだね」
二人は肯きあった。


「それでは、本年度のエトワールを発表いたします」
先程の事もあってか、堂内のざわめきが大きくなる。
そこへ、
「待ってくれ!」
天音の声が響いた。

「いいえ……待ちません」
「えっ……」

「本年のエトワールに選ばれたのは……」

ギュッ
渚砂が玉青の手を、
玉青が渚砂の手を、
強く握りしめた。

「聖ミアトル女学院、涼水玉青さんと蒼井渚砂さんの御二人です!!」

嵐のような歓声が、堂内を震わせた。
141旅のおわり 22:2006/10/28(土) 18:19:11 ID:4bSwUFmk

「……………………玉青ちゃん」
「はい……」
「えっと……私……たち……?」
「そう……みたいです……」
「………」
「………」
「そっ………か………」
「えっ……」
突然抱きついてきた渚砂によって、玉青がバランスを崩す。
その体にはほとんど力が入っていないようで、
「渚砂ちゃん……?」
「どう……しよう……。私……うれしすぎて……」
玉青が渚砂を支える。
「うれしすぎて………、なんか体が…………」
エヘヘっと笑う。
「渚砂ちゃん……」
渚砂の体を強く抱きしめた。


「天音先輩……」
二人、見つめあう。
「あんなのを見せられたら、ね」
「でも……私はこれで良かったと思います………。本当に………」
光莉は優しく微笑んだ。



………………
………………
先程までの天気が嘘のように、強い日差しが降り注いでいる。
いつのまにか雪もだいぶ溶けてきていた。
一本の木の向こうに、静馬がいる。
深雪から顔は見えない。
彼女と背中合わせになるように、木に背を付ける。
「エトワール、決まったみたいね」
「そうね……」
ここからでもまだ歓声が聞こえてきている。
きっとあそこはすごい事になっているのだろう。
「誰がなったと思う……?」
「………」
あの二人だろうか。
それなら静馬はどう思うのだろう。
………
「私ね……」
「……何?」
「振られたのって生まれて初めてよ」
「そう……」
顔はわからない。
でもその声は……なんだか……
………………
………………

142旅のおわり 23:2006/10/28(土) 18:20:04 ID:4bSwUFmk
「まもなくエトワールの任命式を行います。
本年のエトワールは、聖ミアトル女学院、
涼水玉青様、蒼井渚砂様に決定いたしました。」

聖堂内は、歓声で溢れかえっている。
その中で二人は向かい合う。
「……本当……だよね?」
「本当ですよ」
「………………本当に?」
「フフッ……本当ですよ」
「そっか……本当……なんだね」
「はい」
二人、笑いあった。
右手と左手の、赤と緑のリボンが静かに揺れていた。


「玉青さん……おめでとう」
千華留が玉青の首へ、エトワールの証であるペンダントをかける。
ここにいない深雪の代役だ。
「……ありがとうございます」
「渚砂ちゃんも……」
「あ……」
ポンっと渚砂の頭を撫でる。
「本当に……おめでとう……」
「……はいっ」
渚砂の首へと、赤いペンダントをかける。
「ありがとうございます」
千華留はスッと目を細める。
「これから頑張ってね」
「はいっ」
二人の声が重なった事に、千華留は優しい笑顔を浮かべた。
143旅のおわり 24:2006/10/28(土) 18:22:49 ID:4bSwUFmk
拍手は鳴り続ける。
聖歌隊の歌声が、堂内に響き渡る。
誰もが認め、憧れ、祝福する。
新たなエトワールを。
二人の絆を。
二人の新たな旅立ちを。

「玉青ちゃん……」
「なん……ですか?」
「今まで……ありがとう……」
「………」
「それで………、これからも………よろしくお願いします」
「………はい、こちらこそよろしくお願いします」
聖堂内の中心で、二人は見つめ合う。
………あれ、なんだろう………?
つなぎあった両手から、彼女を感じる。
………あっ………
玉青の瞳に、自分が映っていた。
渚砂を、見つめていた。
あれ………
「渚砂ちゃん………」
甘かった………。
なんだかとっても溶けそうで………
私………
「玉青ちゃん………」
彼女の瞳から、目が離せない。
まるで吸い込まれそうで。
でも………すごく安心できて………。
身体に力が………入らない………。
玉青ちゃん………。
ゆっくりと………、彼女の顔が近付いて………、
私は………、
そっと………、目を閉じた。

――――――熱い感触………彼女の匂い―――――――

………わかったのは、それだけで………
私は彼女の胸に顔をうずめる。
真っ赤になった顔を見られたくなくて、
彼女の顔が恥ずかしくて見れなくて、
でも………、
それだけじゃなくて、
胸の中が………
心が………
どうしようもなくなったから………
玉青ちゃん………私………

「あっ………」
抱きしめられたら………彼女のぬくもりがした………


「ずっと………そばにいます………、渚砂ちゃん………」


the tiny courage - fin.

144水先案名無人@ピンキー:2006/10/28(土) 18:27:40 ID:4bSwUFmk
・・・終わりです。

アニメ第二弾やんないかなー
145名無しさん@ピンキー:2006/10/28(土) 20:32:35 ID:FnDbT+fl
お疲れです!GJ!!
146名無しさん@ピンキー:2006/10/28(土) 20:44:25 ID:ZRWpiNsZ
あれ、何か目から汗が出てきたよ……。
3点リーダがちょっと多用され過ぎな気もしましたけど、間として捉えればGJ!

叶うなら、DVD9巻の映像特典でこんなアナザー最終回を見たいなぁ。
147名無しさん@ピンキー:2006/10/28(土) 21:00:18 ID:FYFkbfxi
>>144
お疲れ様です!
ひたすらGJっ! 読んでて普通に涙ぐんじゃいました!
というかこんな最終回を見たかった(ノД`)
148名無しさん@ピンキー:2006/10/28(土) 21:59:05 ID:16qpQo7w
パラレルですね。静馬ファンの自分ですが素直に感動しました。とても良かったです
149名無しさん@ピンキー:2006/10/30(月) 11:52:53 ID:lAg91AEW
( ;∀;)イイハナシダナー
150名無しさん@ピンキー:2006/10/30(月) 22:29:00 ID:LVCHZkK4
玉青ちゃん好きの私を救ってくれて
ありがとうwいやほんとマジでGJです!
151名無しさん@ピンキー:2006/10/30(月) 22:50:18 ID:LbP72wkz
>>143
玉青ちゃんエンド最高
感動しました。


もうそろそろ夜々×蕾が読みたくなってきました。
職人さん
大変かと思いますが、がんばってください
152【夜々先輩】 16:2006/10/30(月) 23:45:32 ID:aPjw8Irs
>>74の続きです
籠女と千代がいるのだけど、絆奈さんと檸檬さんの二人がいい感じ映画を鑑賞している。
先輩は邪魔をするような野暮なことはしないようにと言ったので
蕾たちは映画が終わるまでおとなしく座って見ることにした。
映画のエンディングは、戦いが終わり主人公たちが勢揃いして、両腕を交互に上げ下げする陽気なダンスを
踊りながらテーマソングを合唱するという、明るくて平和的なものだった。

「れーもんちゃーん!」
映画が終わって照明がついて明るくなってから、夜々先輩と蕾は最前列に座っている
檸檬さんと絆奈さんたちのもとへこっそりと近づいて行き、声をかけた。
「あ!夜々さんに蕾ちゃんだぁ〜!」
檸檬さんたちは二人に声をかけられてびっくりした。
「え!檸檬さん、その格好は?!」
蕾は、先程暗くてよく見えなかった檸檬さんの髪型と服装を見て、彼女たち以上に驚いた。
檸檬さんの髪はおろされていてさらさらで艶やかだ。はいているスカートは長くてスリットが入っている。
それと、上は白のシャツで首に水色のスカーフを巻いていてとっても大人っぽい。
「えへへへへ…どうかな?」
檸檬さんは少し恥ずかしがっているけど、どこか自信を感じる。
「すごいでしょう、檸檬ったら、急にかっこよくなっちゃってさぁ!」
隣にいる絆奈さんが彼女を眺めて子供っぽくはしゃいでいる。
「とっても似合ってるよ、檸檬ちゃん!」
夜々先輩が答えると、檸檬さんは顔を赤くした。
檸檬さん、素敵だ…。人ってこんなにも変われるのかな…。
蕾は檸檬さんが変わった理由がわかっている。
「おかげで私たち、半額でチケット買えたんですよ、ねー、千代ちゃん、籠女ちゃん!」
絆奈さんは、千代と籠女と顔を見合わせて同時ににっこりと笑った。
檸檬さんは三児の母になっていた…
絆奈さんには、檸檬さんのいつもと全然違う感じの私服になんの感慨も沸かないみたいだ。
檸檬さんは夜々先輩と目を合わせて苦笑いをしていた。

映画が終わったときの時間は十二時を回っていたので、みんなでどこかで昼食をとることにした。
急遽開かれることになった今日の昼食会は、映画館を出てすぐとなりのハンバーガーショップ。
お店に入るとすこし並んでいる人がいたけど、すぐに注文をとることが出来た。
夜々先輩はこういうお店になれているようで、てきぱきと食べたいものを店員さんにたのんでいる。
「えーと…私は、なにがいいかな…」
カウンターにおいてある、写真入のメニューをみて蕾は悩んでいる。
蕾のほうは2〜3回しか来たこと無いので慣れていなくて、夜々先輩たちが品物が乗っているおぼんをもって
早々に2階への階段へ向かっているので早くしようとあせってしまう。
「あ、や、夜々先輩まって…じゃ、じゃあ、このハンバーガーセットで…」
蕾は無難に基本的なセットを写真を指して頼んだ。
「飲み物はどれになさいますか?」
「え、え、え…えーと…オレンジで!」

ハンバーガーとフライドポテトとジュースがすぐに目の前に置かれたおぼんの上に用意され、蕾は代金を払い
そのおぼんを持ってすぐに先輩達の後を追った。
「先輩、こういうお店によく来るんですか?」
「え?…うん、小学校のときよく友達と映画見に行った後は、ハンバーガー食べて、そのあとボーリング
 いって、カラオケ行って…」
「ええ!うそぉ〜!だって夜々先輩ってものすごい大金持ちお嬢様なんでしょう?」
自分の小学校時代とくらべると、大差がないのに驚いた。
「あはははは、蕾ったら。たしかに私んちは金持ちかもしれないけど、漫画とかに出てくるような
 リムジンで登下校したりする無理のあるお嬢様じゃないわよ。
 まあ私も友達も一応私立小学校だったけど、普通の子と変わんなかったわよ。」
「へえ〜〜、そうなんですか。」
蕾は先輩の昔話が聞けてなんだかウキウキしてきた。
153【夜々先輩】 17:2006/10/30(月) 23:49:57 ID:aPjw8Irs
二階に行くと、絆奈さんたちが、三つの二人席のテーブルを動かしてつなげて、6人のテーブル席を作っていた。
今日の昼食会は、場所がいつもとまったく違うので新鮮な感じだ。
夜々先輩と絆奈さんはさっきの映画の話で大盛り上がり。あの映画は蕾には名前しかしらないので
専門用語がちりばめられると訳がわからない。
「あ、そうそう。蕾ったらひどいんだよ!私がハンバーガー食べたことないなんて思っていたらしくてさぁ!
 まったくもうっ、この歳でハンバーガー食べたこと無いなんて、無理があるってば!」
「普通おもいますよ!南都財閥と言えばアジアはもちろん、世界で知らない人はいないほどですよ!」
「そういえばそんな設定もあったわね。はいはい、じゃあ、ご期待に添えましょうか。
 おい、奥若よ!見ろ!手がよごれてしまったではないか!」
夜々先輩は、手に持ったハンバーガを美味しそうにむしゃむしゃと平らげた後
ハンバーガーなんて下衆な食べ物だと思っているお嬢様を演じて見せようとするけど。
「ちょっと、夜々山先生!元ネタがマニアックで古すぎますよ!私達生まれてないじゃないですか!」
夜々先輩は調理場にのれんをかきわけて、ずかずかと入り込んでいく勢いを感じる。
「ぎゃははははははははははは!マリ○ての祥△様ネタ最高!!!」
先輩と蕾の掛け合いに絆奈さん達は大笑いをしてくれた。二人はどこか仲のいい夫婦漫才コンビのようだ。

「あの、私、ちょっとお手洗いへ…」
「あ、私も」
昼食を食べ終わったあと、ジュースを飲みながらみんなが楽しくおしゃべりをしていると
檸檬さんが席を立った。それをみて蕾も一緒にいくことにした。

「あの…檸檬さん。」
お手洗い室の水道で手を洗いながら、となりにいる檸檬さんに蕾は尋ねた。
「なあに、蕾ちゃん?」
「すっごく似合ってますね、その服。」
蕾は檸檬さんの服装を映画館で見てからずっと気になっていた。
「ふふふふ、ありがとう。夜々さんが見立ててくれたの。」
「ええ!夜々先輩が?!」
「うん。悩み事を相談したら、とても親身になってくれてね、髪型のこととか
 おしゃれのことをいろいろとアドバイスをしてくれたの。」
檸檬さんに近づくと夜々先輩がつかっているシャンプーと同じ匂いがした。
「あの秘密のシャンプーも、もらったんですね?」
「絆奈には内緒で、私にだけくれたの。」
「え?!檸檬さんだけに?」
先輩と仲良くなってからも、彼女からシャンプーを借りようとしても「あんたにはまだ早い」の一点張りだった。
どうして絆奈さんと自分にはくれないのだろうかと、怒りはしないけど、少し疑問に思った。

「絆奈さんもきっとすてきだって思っていますよ。」
「あははは、やっぱり蕾ちゃんにもわかっちゃてるのね。」
檸檬さんは微笑んだ。
蕾には檸檬さんの好きな人は、夜々先輩が教えてくれるまで全然わからなかったけど。
「蕾ちゃんもがんばってね!」
「え…な、なにを、が、がんばるんですか?!」
「夜々さんのこと。」
檸檬さんの返答に蕾はドキッとした。
154【夜々先輩】 18:2006/10/30(月) 23:52:26 ID:aPjw8Irs
「え、え、え、え…や、夜々先輩は、べ、別に…今日だって、で、で、デートじゃなくって…」
それでも蕾は顔を真っ赤にして必死になって否定して、檸檬さんに抵抗する。
「好きなんでしょ?」
「…………………はい。」
檸檬さんはやさしく笑っている表情を変えずに短い言葉を話すだけなのに
彼女には絶対かなわない気がしてすぐに観念した。
「でも、私なんて…」
蕾は自信が無かった。夜々先輩が以前好きだった人と比べると、全然かわいくないし性格はきついし
スタイルはそんなによくないと思っているから。
「蕾ちゃん、私ね、今すっごく楽しいの。」
「楽しい?」
「うん!絆奈のことを考えて着ていく服を選んでさ、千代ちゃんと籠女ちゃんも一緒だけど
 絆奈と電車に乗ってお話して、映画を観てご飯を食べて。とっても楽しいの!」
檸檬さんの前向きな考えに、外見だけでなく内面までも大人びていると蕾は感じた。
自分も檸檬さんみたいに変わりたい。
「ありがとう、檸檬さん。私がんばります。それと、もっと楽しもうと思います。
 大好きな人のことを考えるのって、ときどきつらいこともあるけど、やっぱり楽しいですね。」
「うん。がんばろうね、蕾ちゃん。」

「あの、ところで、檸檬さんたちも当然電車で来たんですよね?
 でもどうして私達は途中で行き会わなかったんですかね?」
「え?ああ。『ガンバル!』は日曜日は朝の9時から放映してるから
 私達は朝早く行って2回ぶっ続けで観てたのよ。」
「は、はあ……」
道理で、キャラクター達と同時にせりふを叫ぶことができたわけだ。
しかし、いくら大好きな映画でも2回続けてみるなんて。
蕾はすこし呆れたけど、やっぱりいつもの檸檬さんらしいなと可笑しく思った。
「そういえば、主人公のキャサリンちゃんって檸檬さんに似てますよね?メガネっ子で。
 『乙女のなさることですのぉ〜〜!!』って。」

ハンバーガーショップを出た一行は、ゲームセンターで遊んだり、デパートでお土産の買い物をしたりと
滅多に来れない街巡りを満喫した後、寮の門限に間に合うように帰りの電車に乗った。
帰りの電車は行きの時と違って、買い物帰りの人が多くてすこし混雑していた。
そのおかげで蕾の夢がかなった。蕾は夜々先輩と同じ側の席に座ることが出来た。
しかし、絆奈さんが6人一緒に座ろうって言い出したから、窓側に座った蕾の隣の夜々先輩が
いるのはうれしのだけど、その隣に千代が座っている。
二人席に三人が無理やり乗りぎゅうぎゅう詰めになっているのですこし苦しい…。
向かいには、窓側に檸檬さん、となりに絆奈さん、籠女が同じようにきつく詰めている。
相変わらず話題が尽きない夜々先輩はおしゃべりをして、絆奈さんと千代と籠女を楽しませている。
蕾は夜々先輩と密着しているので、彼女の体温と髪の匂いを感じる。
息苦しいけど蕾はうれしかった。電車はがたがたとゆれながらアストラエアの駅に、一駅一駅と近づいていくけど
すっと乗っていたいと思っていた。
向かいの檸檬さんも絆奈さんとぴったりとくっついている。その檸檬さんと顔をあわせると
お昼に見せたやさしい笑顔を向ける。それが蕾の心の中を見透かしているように思えて
蕾はますます恥ずかしくなった。

今日のデートは本当に楽しかった。先輩の意外な面をたくさん見ることが出来て。
それと檸檬さんに勇気をもらった。先輩は根はとてもやさしい。
どんな結果になろうとも自分の気持ちをちゃんと受け取ると思う。
155【夜々先輩】 19:2006/10/30(月) 23:54:43 ID:aPjw8Irs
電車が駅に到着して降車したので体の圧迫から開放されたけど、蕾は名残惜しい気がしていた。
アストラエアの丘へ向かう坂道を朝とは逆に登っていく。
朝とは違って蕾は夜々先輩を緊張しないで見ることが出来ていた。
蕾は絆奈さんたちより少し後ろの方へ離れて歩いていると、隣に先輩が一緒についている。
「蕾、今日は楽しかったね。」
「ええ、映画面白かったですね。」
あの映画はテレビ版の総集編みたいな構成だったから、あまり見たことの無い蕾にはさっぱりわからなかったけど
先輩と話をあわせた。
「今日の檸檬さん、とってもきれいですよね。夜々先輩が服を選んだって聞いたんですけど。」
「蕾も良いと思った?!よかった…いろいろとファッション誌を読み漁ってさ、あれこれ悩んだのよ。
 絆奈ちゃんは多分、大人っぽい人に憧れているだと思ったから。」
蕾はムッとした。夜々先輩にやさしくしてもらった檸檬さんにすこし嫉妬したというのもあるけど
それ以上に、他人の恋路に対する勘の鋭さをどうして自分自身には働かないのだろうかとやきもきした。
「私も檸檬さんみたいにきれいになりたい…私にも服のこととか教えて欲しいな、先輩。」
蕾は愚痴をこぼすようにボソッと言った。
「あんたにはまだ早いわよ!」
すると先輩は、秘密のシャンプーをあげないときの言い分と同じことを返した。
「どうしてですか!私だって…私だって、好きな人によく見られたいです。」
蕾は最初は勢いよく叫ぶように言ったけど、だんだんとかすれる様な小さな声になっていった。
「それは困る。あなたがきれいになって、その人に好かれたらどうするのよ!」
どうすんのよ!って…かわいい後輩の恋が上手くいくなんていいことじゃないかと
蕾は先輩の言い分が変に感じた。
「どうして、先輩が困るんですか?」
「まったくもうっ、あなったってばホントに鈍いんだから!」
「先輩ほどじゃないです!!」
まったくだ、この人だけには言われたくない。
「あなたのことが好きだからよ。」
……………………
先輩は蕾の意識を刈り取るような言葉を投げつけた。
すこし間をおいて、我に返った蕾は
「ひどいです、先輩!人の気も知らないでそんな冗談を!」
先輩の言葉が軽い冗談だと思って、怒りをあらわにした。
冗談というのは結局のところ、嘘なのだから。蕾にとってはその嘘はあまりにも残酷だ。
「えっ、冗談ってなんのこと?」
怒っている蕾とは反対に、訳がわからないようにきょとんとして答えた。
「で、ですから…そ、その、先輩が私のことが好きだってこと…」
「ひどいのはどっちよ!あなたのこと好きだって、前から気持ちを伝えていたじゃない!
 どこまで鈍感だったら気がすむのよ!」
「はい?………」
蕾はいままで自分に向けられた夜々先輩の冗談と思われた言動を思い返してみた。
えーっと…体育の授業の投げキッス、聖歌隊の練習の休憩時間のときの告白、今日の夜々先輩の
服装のこと……
156【夜々先輩】 20(終):2006/10/30(月) 23:59:27 ID:aPjw8Irs
「え、え、え、え、え、えええええええええ!!」
これらが全部本気だったと思うと、蕾は地に足が着かないふらふらとした感覚に陥ってしまった。
「あなたは誰が好きなの?私でも全然わかんない。いいかげん教えてよ!
 いったいどうな子なの?顔を見てみたいわ。私より美人なの?どうなのよ!」
先輩はあれこれ詮索するけど、蕾はポケーっとして目の焦点は合わないで歩くだけだった。
「…先輩は、私のどこがいいんですか?」
「そうねえ…言われてみると、私って蕾のどこが好きなのかしら?うーーん。」
「考え込まないでくださいよ…」
「特別かわいいわけでもないし、性格はきついし、口うるさいし…うーん、どこがいいんだろう?」
「やーやーせーんーぱーいーーーーー!」
先輩の悪口に朦朧とした意識がしっかりしてきて、だんだんと怒りが込み上げてくる。
「でも、大好き。」
またもや、もどってきた意識が怒りと共にふっとばされてしまった。
………どうしてこんなにもはっきりと臆面も無く自分の気持ちを表に出すことができるのだろうか、この人は。
聞いている蕾の方が恥ずかしくなってしまうのだけど、先輩のこういうところを見習おうと思った。
「だから、誰なのよ、あなたの好きな人は?!明日んなったらすぐにでも宣戦布告に行くんだから!」
先輩は居もしない恋敵に勝手にメラメラと闘志を燃やしている。
「あはははははははははははは!もうっ、夜々先輩ったら!あはははははははは!」
他人のことは言えないけど、どこまでも鈍感な先輩に蕾はもう笑うしかなかった。

「夜々先輩。私も、先輩のこと大好きです。」

――――終わり

――――――――
>>144さん 玉青ちゃん、感動しました。玉青ちゃん…

やたら長くなってしまいましたが、読んでくれてありがとうございます。
157名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 00:37:58 ID:nVKf1O+H
感動。
もうこのスレは君たちに託しても大丈夫そうだな…
158名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 07:20:58 ID:aCq4GKmC
恋愛部(1)
◆絆奈編 1

「はいっ。という訳で、次回の活動内容は恋愛部。日時は
来週の土曜日、午後1時から行う事に決定しました。ぱちぱちぱちー」

「ぱ、ぱちぱちぱち……」
「パーシバルも、ぱちぱち〜」

あむっ。両隣にいる檸檬ちゃんと籠女ちゃんが一緒に拍手してるけど、
……えーっと、千華留お姉さま、今何て仰ったんだろう。あむ、あむ。
アイスを食べるのに夢中で、はむ、よく聞いてなかったけど……恋愛部?

「集合は各自、さっき話した通りの場所に。組み合わせは
そのクジで決まるから宜しくね。それじゃ、解散〜!」

そう言うと千華留お姉さまは荷物をまとめて、足早に出て行っちゃった。
もう一度聞こうと思ったけど……あむっ、あぁ、このシャリシャリ君美味しいなー。

「うーん、千華留お姉さま、何を考えてらっしゃるんだろう……って、絆奈ちゃん」
「あむ、あむ……ん? へほんひゃん、はーひ?」
「まだ食べてたんだ……」

檸檬ちゃんがアイスを咥えたままの絆奈を見て、苦笑いを浮かべていた。

◆ 千華留編  1

ガラララ……。
小さくピシャ、と音を立てて教室の引き戸を閉める。

ふうっ。まずは第一歩を踏み出せた、って所かしら。
絆奈ちゃんたちも気付いてないようだし……ふふっ、上手く行ったわ。
だけど……。

たった一言で伝えれば、本来はそれで済む話。
それなのにこんな回りくどい方法を採るなんて、自分でもおかしいとは思う。
等しく愛情を注いできた檸檬ちゃんと籠女ちゃんに申し訳ない気持ちもある。

「…………」

はっ。
いけない、廊下の真ん中で長い間立ち止まったりして。
物思いに耽るなんて私らしくも無いわ。

「絆奈ちゃん、今の私を見たらどう思うかしらね」

鏡を見なくても分かるほど、沈んだ表情をしているはず。
私の笑顔を誰より望む絆奈ちゃんの事だもの、きっと悲しい顔をするのは
火を見るより明らか。
それだけは避けなくてはいけない。

「……さて、次の生徒会の議題をまとめなくちゃ」

逡巡するのは、もう止めよう。
賽は投げられたのだから。

私は気持ちを切り替え、いちご舎へ向けて長い廊下をまた歩き出す。
傾きつつある西日を隠すかのように、雲が集まって来ていた。
159名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 07:24:09 ID:aCq4GKmC
ドラマCDスピカ編のル・リム予告編を聴いて思いついてしまったので
今度は絆奈×千華留を。
まだ全部書けていないため、大分掛かりそうですけど気長にお待ちください……。
160名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 17:55:02 ID:il1py5fj
>>156
夜々完全救済完了ですね。
最終回見たかったけど終わってほしくなかった。
読んでてすごく楽しかったです。
ありがとうございました。
161名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 18:42:26 ID:ANZZlQU7
恋愛部のお話、ちかるんが悩み事を抱えたり、
恋心を抱いてるような描写は滅多にお目にかかる機械がないですから期待してます。

>144
アニメの25話、26話を丸々使ってこのエピソードを作っていたなら、
唐突な印象で非難轟々であろう渚玉ENDも、何の問題なく受け入れられそうですね。
玉青ちゃんに対する渚砂の気持ちが、恋愛感情から彼女を繋ぎ止めておきたいというのでなく、
自分にとって一番かけがえの無い人を失いたくから、玉青を選んだというのも、
アニメ版のアナザーエンドとしては誰しもが納得の展開でしょう。泣けますタ。

>156
氏の作品のよるよるからは、光莉の事をふって切れてるようで、
実はふっ切れてないような。どこか無理をして元気を装っているよるよると、
よるよるに淡い恋心を抱いてる蕾の両者を中心に話を描いてて、
この両者に大きな影響をもった光莉というキャラが殆ど絡んでこないんですよね。
だからこそ両者が関係を深めていく姿が際立ってるんだと思います。
特によるよるが光莉をふっ切って、蕾といる事を純粋に楽しみ、
次第に惹かれていく描写はよるよる救済という意味では最高の出来かと。
あと、所々に散りばめられた小ネタも面白かった。要にボール直撃と桃実の悲鳴w

一名無しが作品感想を長々とやってしまい正直、ゴメンなさいorz
ただ、玉青ちゃんとよるよるの救済の出来があまりによかったんでつい…
162名無しさん@ピンキー:2006/11/01(水) 00:20:56 ID:iU1r5uMB
新作きてますね。おつかれさまです
163名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 03:17:04 ID:en2NRv20
よるよる救済といえば、初代スレの49氏(だっけ?)かが投下されたあのSSは秀逸だった。
164名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 20:04:50 ID:c2iqFC42
あのころからよるよる救われないの
わかってたんだよな
165名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 02:11:25 ID:SuV5eTuC
闇の炎に抱かれて保守
166名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 20:12:34 ID:B0KFF8nE
ほしゅ
167名無しさん@ピンキー:2006/11/08(水) 06:01:53 ID:V5Jz19Sr
>>144
良い話でした。
アニメ最終話見た行き場のないもやもやが解消しました。

この展開だと深雪と静馬もいい感じになるので最適な予感。
168名無しさん@ピンキー:2006/11/09(木) 00:03:41 ID:FUAXruFc
光莉:寒いね……。
夜々:だったら、ホラ……。こうすれば、寒くないでしょう?
夜々:や、夜々ちゃん、そんなにくっつかないで! みんな見てるよ……。
夜々:あら? 光莉は私と腕を組んで歩くのがイヤなの?
夜々:イヤなわけ……ない。嬉しい……よ。
夜々:うふふっ……。だったらもっと、見せつけてあげましょうよ(チュッ)
夜々:きゃっ! や、夜々ちゃん!?
夜々:お顔が真っ赤よ、光莉? これでもまだ、寒いかしら?
夜々:もう! こんな所じゃなくて、その……寝る前に……。
夜々:わかってるわ……。いっぱい、暖めてあ・げ・る。

 蕾:……………夜々先輩?
光莉:そっとしておいてあげて……。

#急に寒くなって、何となく思いつきました。夜々ファンの人が気を悪くしたらスマンです。
169名無しさん@ピンキー:2006/11/09(木) 02:41:42 ID:IbjKlYYQ
>>144
素で泣いちゃったよ…。やっと最終回をふっきったと思ったらGJ!なものが。
こちらをアナザーエンドとして読み返させていただきます。
170名無しさん@ピンキー:2006/11/09(木) 03:03:15 ID:YGbpMXwC
静渚はまだかな……
エロパロ板まで肩身狭いだなんて……
171名無しさん@ピンキー:2006/11/09(木) 10:32:38 ID:ks3coSLv
光莉がいじめられるエロSSが見たくなってきた・・・。
172名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 23:23:23 ID:wPHkqTUW
千華留かわいいよ千華留
173名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 23:27:56 ID:ODlAFO7s
千華留様美しいよ千華留様
174名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 20:51:34 ID:pZYQFVaN
http://www.wikihouse.com/sutupani/index.php
まとめ知らない人いたりする?
175名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 01:37:10 ID:QS+/njlg
そろそろアストラエアの聖母、千華留様の話が読みたい
176名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 03:43:59 ID:H5lh0ILs
俺としては千華渚だなー
絆奈でもいいけど渚砂であるところに意味があるんだよなー
177名無しさん@ピンキー:2006/11/18(土) 00:43:00 ID:OQ3+GxF7
千華渚は勘弁
178名無しさん@ピンキー:2006/11/18(土) 02:43:21 ID:Yw3OmhJd
絆奈みたいなのが一番嫌われないよな。
でも物語に深みが出るのは渚砂のような気がする。
光莉は百合ものの平均的な主人公だしな。
179名無しさん@ピンキー:2006/11/19(日) 00:49:41 ID:rAKzuCtL
千華渚!千華渚!
180名無しさん@ピンキー:2006/11/19(日) 02:03:20 ID:JevvMC/6
よるよるとちかるんってものなかなか
傷ついている後輩を優しく慰める聖母の話が読みたい。
181名無しさん@ピンキー:2006/11/19(日) 03:47:53 ID:OGI80Mki
>>180
アニメだと全くSETTENなかったねえ。
割と理にかなった組み合わせだけど。
182名無しさん@ピンキー:2006/11/19(日) 04:22:23 ID:Fbt2sPDG
千華渚だけは勘弁
183名無しさん@ピンキー:2006/11/19(日) 21:43:28 ID:rAKzuCtL
千華渚が勘弁とか冗談でもそういうこと言わないでほしいわ
184名無しさん@ピンキー:2006/11/21(火) 01:34:44 ID:DhNQDZMt
冗談ではない
185名無しさん@ピンキー:2006/11/22(水) 01:50:07 ID:vae3GL6F
SS書こうとしたら悲しい話しか浮かばない。
どうしたらいいんでしょうか……orz
186名無しさん@ピンキー:2006/11/22(水) 02:38:39 ID:w3X0/8FB
ゲーム版やれば楽しい話しか浮かんでこないよ

そんな今書いている話も物悲しいやつだけどな
187名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 02:41:17 ID:pEdx0hqs
さて、千華渚まだー?
188恋愛部(2):2006/11/23(木) 22:44:30 ID:qVlcLFLp
かなり間が開きましたが>>158の続きです

「んっく……へぇ、恋愛部かぁ。どんな事するんだろう」
やっと最後の一口を食べ終え、絆奈は檸檬ちゃんと籠女ちゃんの説明を聞いていた。
「1回目はデートらしいよ」
「で、デート?」
「お姉さまが『恋人同士の気持ちを体験するにはデートよ』って仰ってね」
「クジで当たりを引いたら千華留お姉さまとデートできるの……」

デート……、デートといったらやっぱり遊園地とか、この季節ならプールでしょ。
それにそれに、やっぱり帰りは美味しいお菓子をいっぱい食べたいなぁ。
誰と行っても楽しいだろうけど、やっぱり絆奈は……。

脳裏に1人の顔が浮かぶ。
千華留お姉さま。
絆奈たちを始め、ル・リムの生徒だけでなく他校の子達もお母さんのように包み込んでくれる人。
何より、絆奈のいちばん好きなお姉さま。

……でもお姉さまは絆奈の事、どう思ってるんだろう。
子供っぽくて恋愛の『れ』の字もまだまだ分かってない絆奈だけど、部活でする
真似事の中でもいいから、確かめて、みたいな……。
今回もいつもの気まぐれが入っているだけかもしれない、でも上手くいけば
お姉さまとデート出来る事は確かだもん。
それにひょっとしたらこれがきっかけで何か……って、うわわ。
絆奈ったら何考えてるのー! 動機が不純だよぅ。

でもこんな機会、いくら同じ部活で目をかけてもらってるとはいえ、そうそう
巡り合えるものでもないし。
……いやいや、組み合わせが決まったわけじゃないのに気の早い……だめだめ、
肝心の絆奈がこんなじゃいつまで経っても……。

そうして1人で堂々巡りしていたせいか、檸檬ちゃんが話を振ってきたと分かるまで
少し時間がかかっちゃった。
「という事だけど、ところで……絆奈ちゃん、どうなの?」
「……え。な、何が?」
トリップを中断され、おっかなびっくり聞き返した絆奈に『そんなの決まってるじゃない』
と檸檬ちゃん。
「進展してるか、って事」
「ど、どうもしないよっ。 絆奈と千華留お姉さまは別に……」
しまった! と思った時にはもう遅く、檸檬ちゃんの目が眼鏡越しに鋭く光る。
「ふっふっふ」
「あっ」
お姉さまの事を考えてたのもあるけど、つられて思いっきり口に出しちゃったよぉ。
ううっ、誘導尋問だなんて、檸檬ちゃんひどい!
189恋愛部(3):2006/11/23(木) 22:45:50 ID:qVlcLFLp
その檸檬ちゃんは、絆奈という獲物がまんまと罠にかかったのを見逃すはずも無く。
ここぞとばかりに突っ込みを入れてくる。
「絆奈ちゃーん……私、まだ主語を言ってなひほへ、ふえひは」
「わーっ、わーっ! 檸檬ちゃんストップ! さっきのは無しっ無しっ」
大声を出して、檸檬ちゃんのお口も慌てて手で塞ぐけれど。
勿論状況が変わることはなく、万事休すだった。
「んーっ、んー……ぷはっ、もう遅いよ。言おうとしてくれた事、絆奈ちゃんが
わざわざ自分から喋ってくれたもん。ふふふっ」
やんわりと手を押し返し、意地の悪い微笑みを浮かべる檸檬ちゃん。
よ、余計な事言わなくても自分で分かってるのにぃ。
今の檸檬ちゃん、背中とお尻に黒い羽と尻尾が見えるよ……。

そして、ただでさえやり込められて参っている時に、籠女ちゃんが顔を覗き込んで聞いてくる。
「絆奈お姉さま……お顔を真っ赤にして、お体の具合が悪いの?」
「か、籠女ちゃんまで何言い出すの〜?!」
「パーシバルも、お姉さまの事心配してるの……お熱があるんじゃないかって」
追い討ちをかけるように目を伏せて、沈んだ表情を浮かべる。
……そんな顔されたら、強く言えないよ。
籠女ちゃんのことだから、自分で計算しての事では絶対無いんだろうけど……この間の悪さは。
「ちょっと檸檬ちゃーん?」
入れ知恵したと思われる本人に非難の眼差しを向けるものの、檸檬ちゃんは意に介する様子も無い。
それどころか、籠女ちゃんにまた余計な事を吹き込んでる!
「籠女ちゃん、絆奈ちゃんはねー……千華留お姉さまにお熱を上げ」
「れ・も・ん・ちゃ・ん?」
気迫に押されてさすがに悪いと思ったのか、檸檬ちゃんは漸く反応を返してくれる。
「……ごめんごめん。でもさすがの絆奈ちゃんも、1対2じゃ分が悪いよね。さ、いい加減
観念して洗いざらい白状しなさーい」
「……そういうことじゃなくて、話を聞いてよぅ」
「絆奈ちゃん、今質問してるのは私だよ。文句なら後で幾らでも聞いてあげるから。
ほらほらっ、カツ丼もご馳走するよ」
「うっ、うう……そこでカツ丼が出てくる訳が分からないけど、言います、
言えばいいんでしょぉ……」
必死の抵抗も空しく、絆奈は白旗を上げた。
決してカツ丼に釣られたわけじゃないよっ!

……それにしても檸檬ちゃん、やっぱりお姉さまの影響を受けてる気がする。
えーと、こういう時何て言うんだったっけ。思い出せないや。
190名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 13:19:45 ID:owag44LQ
毒されてる?それとも染まってる・・・?
ともかく「これから落とそー」って時に先を越されたーもうちょっと間を空けるかー
なGJです。
191144 ◆njAklKyHxQ :2006/11/24(金) 16:06:45 ID:owag44LQ
では・・・えっと今さらですいませんが、〜>>143の続きです
軽くながしてください

それとレスくれた人有難うです
192144 ◆njAklKyHxQ :2006/11/24(金) 16:07:48 ID:owag44LQ

彼女は床を見つめる。
――本当にいいのだろうか
今さらながらためらいが生じる。
ズキリと、胸が痛んだ。
もやもやと何かが頭の中をめぐる。
してはならないと誰かが言い、
するべきであると誰かが叫ぶ。
このままこの部屋を出れば、もう……
「――「戻る事さえ許されない』……」
それでも私は悔やまないだろうか。
いや……きっと後悔するだろう。
私は、あなたとは生きられない。
けれど、あなたがいなければ……。


「玉青ちゃ〜ん?」
「――今行きまーす」
彼女は部屋を後にする。

―――――――――――――――
193虹はここに 2:2006/11/24(金) 16:08:49 ID:owag44LQ

夜のいちご舎。
所々の部屋から時折、騒ぎ声がする。
けれど、それにもかかわらず見回りのシスターは注意をしない。
やはり今日は特別だからだろうか。
そんな中に一際騒がしい部屋がある。
その部屋は、渚砂と玉青の部屋だ。
「それでそこでエトワー……じゃなかった、静馬さまが渚砂さんに『愛してるの!!』って叫んで……」
「き、絆奈ちゃん……」
「渚砂お姉さま、とっても素敵だったの〜」
「そう……ですね。ああ、本当に……渚砂お姉様…………」
「だけど渚砂さんは『あなたとは行けません』って……」
「もぉ〜……」
「でも天音お姉さまも、光莉お姉さまも、それに玉青お姉さまも〜」
「渚砂お姉様……素敵です……。玉青お姉様も……」
「そして渚砂さんは玉青さんに向かって走り出して……それはもう本当にすごかったんだから!」
「……そんなに、すごかったんですか?」
「そうだよ!!蕾ちゃんも夜々さんも来てなかったなんて……、すっごくもったい無かったんだから!!」
「絆奈ちゃ〜ん……」
部屋の中に居るのは、絆奈、檸檬、籠女、千代、蕾、夜々、光莉、そして渚砂、玉青の9人…………大所帯だ。
「2人がエトワールに選ばれたって決まったときはそりゃ〜もう……」
「ねぇ〜〜、失礼じゃないかな……」
確かに、静馬の事や、どちらがエトワールになったかは、渚砂と光莉が居るこの場では余り良い話ではないかもしれない。
「私は大丈夫ですよ」
「光莉……」
そう言った光莉はずいぶんと楽しそうだ。
任命式でも、聖歌隊なのだからと言って参加しただけの事はある。
「私も大丈夫だから……」
そう言った渚砂の方は…………まあ微妙なところだ。
「他にエトワール本選の事も話してくださいよ」
「あっ、確かにそれは気になるわね」
「うんわかった!!まずね、最初の……」
「うぅ……せめてもう少し音量下げようよ……」
「玉青お姉さまと渚砂お姉さま、エトワールさま〜〜」
「ああ……そんな、お二人とも……そんな事……千代は……もうっ……!」
「ちっ、千代ちゃん……?」
「あ……」
194虹はここに 3:2006/11/24(金) 16:09:52 ID:owag44LQ
「………」
にぎやかなのはいい事だ。なんだかとっても……楽しくなる。
いや、別にそうでなくても十分楽しいが……。
「あら?」
ポットの中身がなくなっている。
「入れてこないと……」
「あっ!わ、わたしが行きますっ」
お部屋番の意地だかなんかだろうか、千代がトリップから戻ってくる。
「いいですよ。今日は私たちにやらせてください……。ね」
「あっ、はい……」
「じゃあ、行きましょう、渚砂ちゃん」
すでに握っていた手をひっぱり、玉青は渚砂と立ち上がる。
「あ、あのさ」
「なんですか?」
「そろそろ手、……ほどかない?」
渚砂がつながっている手に視線を送る。
「言ったじゃないですか、もう離しませんって」
「で、でもさ……」
……2人はあれからずっと手を繋いでいたのだ。
本当に、ずっと。
離したのはせいぜい、お風呂に入るために服を脱いだときと、その後服を着たときぐらいだった。
「そう、ですか……」
「あっ……えっと……」
「わかりました。一人でやってきます」
そう言って手を離し、行ってしまう。
「えっ……あっ、べっ別にいっしょに行かないってわけじゃ」
「それなら……」
すっと――また手を差し出す。
「う、うん……」
「フフッ」
気がつくと、みんなの視線がこちらに集中している。
「っ!!た、玉青ちゃんっ早く!」
「あっ、渚砂ちゃんのほうから引っ張ってくれるなんて……」
夜々は思った。
方向性は違うけれど、どっかの2人のよーだ、と。


「本日はまことにせんえつながらきょーしゅくながら、おまねきいただかれましたことをありがとうご、ぐー…………」
「き、絆奈ちゃん!?寝ちゃだめだよ〜。あっ、その…………ご迷惑おかけしました!!」
「またお呼ばれしたいの〜〜。パーシバルも楽し……かった……って………………ぐー……」
「籠女ちゃんまで〜〜」
「アハハ……」

「今日は本当に楽しかったです。ありがとうございました。……あの、私……御2人がエトワールで本当に良かったって思ってます」
「光莉先輩……。あっ、あの!御二人ともこれからがんばってください……ひ、光莉先輩のためにも!」
「……玉青さん」
「………」
「ぜーったい幸せになってください……ねっ!」
「はい」

「千代ちゃん、今日はありがとう」
「いっ、いえっ。…………あの、迷惑じゃなかったでしょうか?」
「えぇっ!?あっ……えと……それはその…………」
「渚砂ちゃん、別にそういった意味じゃ……」
「あっ……。………。今日は千代ちゃんのおかげでとっても楽しかったよ。ありがと」
「……はいっ!」
195虹はここに 4:2006/11/24(金) 16:10:35 ID:owag44LQ
――パタンっ
みなを送り出し、ドアを閉める。
………。
部屋の中は、先程までの喧騒が嘘のように静まり返っている。
「……急に、静かになっちゃったね」
「そうですね」
「………」
「………」
ランプの灯りが部屋を、二人を照らしている。
二人っきりと言うのが、どことなく気まずい。
けれど……それ以上に嬉しいと感じる。
ちらりと横を見ると、渚砂と目が合った。
「っ――」
渚砂は目線をそらして、俯いてしまう。
……くすっ
そんな様子に、自然と笑みがこぼれた。
その反応がとても嬉しくって。
でも――
「……そろそろ寝よっか。明日はエトワールの引継ぎがあるし」
「………」
「玉青ちゃん?」
「えっ。あっ……そうですね」
そう、明日はエトワールの引継ぎがある。
朝早いわけではないが、今日の疲れもあるし、もう寝た方がいいかもしれない。
「もう、寝ましょうか」
「うん……」

フッとランプの灯りが消える。
カーテン越しに月明かりが差し込んだ。
196虹はここに 5:2006/11/24(金) 16:11:20 ID:owag44LQ

……眠れない。
天井が、白くボーっと照らされている。
いちご舎は、部屋の場所、季節、時間帯によって月の光の加減が変わる。
この時期この時間では、この部屋はかなり明るい。
よく晴れているんだろうか。
窓を開ければ、さぞかし綺麗な月が見れるだろう。
「………」
なんだろう……
やっぱり何かが胸の奥に詰まる。
このまま身を任せればいいはずなのに。それなのに……。
………
………
玉青はそっと左側のベッドへと視線を向けた。
「――え、あっ」
バッチリと、渚砂と視線がからまる。
どうやらこちらを見ていたようだ。
「眠れないんですか?」
「………………うん」
「私も、です」
「………」
お互いそのまま、しばらく見つめあう。
「……ねぇ、玉青ちゃん」
「はい」
「……………………そっちに行ってもいい?」
「いいですよ」
197虹はここに 6:2006/11/24(金) 16:11:58 ID:owag44LQ

「あったかい……」
渚砂が玉青のベッドへと潜りこむ。
二人分の温もりがその中に満ちる。
触れているわけではないのに、なんだか体温を感じられるようだった。
お互いに向き合って、視線が交わる。
それがなんだかくすぐったくて、
でもどこか嬉しくて、
けれど、
………
……いいんだ、これで。
これは私が、彼女が望んだ事だから。
だから――
「玉青ちゃん……?」
「………。何ですか?」
渚砂が玉青の顔を覗き込む。
その瞳が、少し月明かりを反射していた。
「どうかしたの?」
「なんでも、ないですよ」
「………」
渚砂は心配そうに玉青を見つめる。
そんな顔なんてしなくてもいいのに。
私なんかのために……。
「やっぱり……迷惑だった?」
「………。別に一緒に寝るくらい――」
「そうじゃなくて。私が…………、玉青ちゃんを選んだ事」
渚砂は不安そうに瞳を揺らす。
――私を、選んだ
あの時彼女はあの人ではなく、自分を選んだ。
選んでくれた。
でも、
本当に、そう?
だって、それは……
「……迷惑なんかじゃないですよ」
まさかそんなこと、あるわけ無い。
「でもっ……。私玉青ちゃんの気持ちに気付かなくて……気付こうとしなくて……。なのに今さらになって勝手な事言って……」
「………」
「玉青ちゃんは優しいから……」
渚砂は真剣な表情で訴えかける。
「でも、私は大丈夫だから……。だから本当の事……言って」
そう言って、少し悲しそうに笑いかける。
「そんなわけ、無いじゃないですか」
そう、今貴女が隣に居る。
私を見ていてくれる……。
「渚砂ちゃんのそばに居られるなら、それでいいんです……」
私だけを、見てくれる。
それだけで……。
「だから……何も気にする事ないんですよ」
ずっと、傍にいられるなら。
貴女が――――私だけのものであれば。
198虹はここに 7:2006/11/24(金) 16:12:39 ID:owag44LQ
「玉青ちゃん……」
「………」
――スッと、渚砂の手が玉青の頬に伸びる。
少し冷えた肌に暖かい。
「じゃあなんで、そんな顔するの?」
「――え?」
「なんでそんなに……」
「そんなこと――」
ない、はず。
でも、
「………」
うまく笑えなかった。
彼女の心配そうな顔がいやで、そんな顔をさせたくなくて。
だけど……
「何か不安な事があるなら言ってよ……。私じゃ役に立たないかもしれないけど、でも……」
そう言って、渚砂はぎこちなくほほえむ。
触れた手から優しさが伝わってくるようで……。
「………」
頬に触れた手に、自分の手を重ねる。
そしてそっと彼女の手を引き離す。
「玉青ちゃん?」
「――渚砂ちゃんはいいんですか?」
「え……?」
「私なんかで。…………私は、貴女が思ってるような人間じゃないんですよ」
玉青は静かに微笑む。
でも、とても悲しそうに。
「そんな事……無いよ……。玉青ちゃんは私にとって……本当に大切な人なんだから…………」
「………」
「玉青ちゃん……」
ぎゅっと、玉青の手を握る。
もう、離さないように。
「渚砂ちゃん……」
その手から温もりが感じられる。
そこから彼女の思いが伝わってくるようで、……少し心がいたくなった。
彼女は真っ直ぐに見つめてくる。
その眼差しはあまりにも真っ直ぐすぎて……
……いいのだろうか
玉青はその目を見つめ返す。
やわらかく、彼女は微笑んだ。
「………」
玉青は強く――その手を握り返す。
「手紙、ありましたよね」
「……うん」
心が不安で押しつぶされそうになる。
だけど、それ以上に……
「あの手紙の入ったファイル、わざと落としておいたんですよ」
「…………え」
「もし貴女があれを読まなければ……貴女は今頃……」
「………」
「私は……あなたを騙したんです」
199虹はここに 8:2006/11/24(金) 16:14:10 ID:owag44LQ
 ――――

冷たい空気が重くのしかかる。
相変わらずベッドの中は暖かいはずなのに、身体が冷えた様な気がする。
顔を見る事が出来なかった。
彼女はどう思ったのだろうか。
………。
……わからない。
優しい彼女の事だ。
きっと気にしないでと言うだろう。
でも。
だけど私は……。
「――――――――あ……」
フッと、甘い匂いが香る。
彼女の胸へと抱きしめられる。
「渚砂ちゃん……?」
……あたたかかった。
そこから静かに、彼女の鼓動が聞こえてくる。
「……どうして?」
「え……」
「……なんで?」
その声は、優しかった。
やわらかく耳へ沁みこんで来る。
そんな声をかけないで欲しい。
そんな風にされたら……
「……玉青ちゃん」
渚砂はそっと玉青の髪をなでる。
何度も何度も、包み込むように。
身体に彼女の体温が伝わってくる。
その温もりがとても心地良くて……、居心地が良くて……。
――――本当に、いいの?
だって私は。
「………」
渚砂は静かに玉青を包み続ける。
ただ、待っている。
私を……
200虹はここに 9:2006/11/24(金) 16:14:53 ID:owag44LQ
「………………私は」
ぎゅっと、彼女の身体に顔をうずめる。
「ずっと思ってました……。好きならそれで……ただそれだけでいいって」
何も望む事なんて無い。
ただ好きでいられれば。
「そして貴女は、言ってくれました。一生付き合っていきたいって……」
「……うん」
「だから私は……貴女が望んでくれるなら、ずっと傍で支えて行こうって……、そう決めたんです…………」
心のどこかで、それでいいのかと誰かが叫んでいたけれど、
でも、それで幸せだった。
「だけど……だけど私は、貴女が欲しくなった……」
決めたはずだった。
そう心に誓ったはずだった。
でも、あの時――
「貴女があの人と踊ったのを見たとき、わかったんです……」
「………」
「自分の気持ちが、どうしようも出来ないって」
苦しかった。
貴女があの人を見つめるのが。
あの人だけを見つめるのが。
切なくて、たまらなくて……。
私を見て欲しかった。
私だけを見つめて欲しかった。
私だけのものに……したくなった。
「だから私は、貴女から離れようと思いました。もう貴女の望む私では、いられそうに無かったから……」
なのに、
結局自分は最後まで……どうしようもない人間だった。
「でも、思ってしまったんです」
「………」
「もし私がいなくなると知れば、貴女は私を選んでくれるんじゃないかって……。私を……見てくれるんじゃないかって……っ」
卑怯だ。
自分から告白する勇気もないのに、
自分のことよりも、彼女の方が大事だと言ってたくせに。
そしてまた……自分は彼女にすがり付いている。
「私は、奪ったんです。貴女からあの人を。あの人から貴女を」
わかっていた。
あの人にとって彼女が必要だということを。
貴女にとっても、あの人が必要だってことを。
私なんかよりも……
「……私が望まなければ良かったんです」
そうすれば良かった。
貴女を苦しませる事も、
あの人が傷つく事も無かったはずなのに
「私は……望みたくなんて、なかった……っ」
こんな気持ちなんて無ければ良かった。
こんなにも苦しいならば、好きにだってなりたくなかった。
ただの親友でいられれば良かった。
なのに私は……
………
………

――それでも温もりが、とても心地よかった……
201虹はここに 10:2006/11/24(金) 16:15:25 ID:owag44LQ
 ――――

渚砂は玉青をただ、静かに抱きしめる。
彼女はこんなにも……ちいさかっただろうか。
胸の中で、子供のように震えている。
ずっと支えてもらっていたと思ってた、
見守ってもらっていると思ってたけれど……。
彼女は――
「ごめんね。私が、自分の事しか考えてなかったから……。玉青ちゃんのこと見てなかったから……」
ただ回りに流されて、大切な物を見失って。
自分のことしか見えてなくて……。
「それと、ありがとう」
玉青の瞳を覗き込み、言う。
こんなにも私を思ってくれて。
こんなにも私を見つめてくれて。
「だけどね、玉青ちゃん。玉青ちゃんは……私の事ばっかり考えすぎだよ」
いつだってそうだった。
私に優しくしてくれて、気を使ってくれていた。
「……だって私は……渚砂ちゃんのことが好きだから」
彼女はそう言ってとても悲しく、だけど、とても優しく微笑んだ。
202虹はここに 11:2006/11/24(金) 16:15:57 ID:owag44LQ
玉青ちゃん……
ほんとに……貴女は……
渚砂はそっと、彼女の頭を撫でる。
「――――玉青ちゃんのバカ……」
「え……」
けれど渚砂は……笑っていた。
瞳に涙を溜めながらも、ほほえみを浮かべていた。
「もっと、私の事頼ってよ……。別に傷付けられたっていいんだから……」
彼女の瞳を見つめ、告げる。
「私だって……玉青ちゃんが好きなんだから」
感謝してるからじゃない。
申し訳ないからじゃない。
ただ貴女が……愛おしいから……。
「私だって、嫌だよ……。玉青ちゃんが、誰かの事見るの……」
気付かなかった。
――ううん、気付こうとしなかっただけ
傷が付くのをおそれて、
失う事から逃げて……。
ずっと傍に居てくれると思っていた。
ずっと傍に居られると想っていた。
でもそれは……、甘えていただけだった。
居心地が良くて、
そのままがいいと願って。
貴女を傷つけた。
でも――
「もう……大丈夫だから」
ちゃんと気付いたから。
ちゃんと選んだから。
「ずっとそばにいるから……。私が一緒にいるから……」
どんな事があっても、貴女を守るから……
「だからね、玉青ちゃん」
「………」
彼女に笑顔を向ける。
その瞳から、涙がこぼれた。
「もう……怖がらないで……」
そしてそっと、――――彼女にキスをする。
「………………渚砂……ちゃん」
優しく彼女の頬に触れる。
流れる雫が、暖かかった。
「……私」
「うん」
手を伸ばし、ぎゅっと――――
泣きじゃくる彼女を……抱きしめた。
203虹はここに 12:2006/11/24(金) 16:16:41 ID:owag44LQ
 ――――

「大丈夫?」
「……………………はい」
「………」
「…………渚砂ちゃん」
「何?」
まだ、怖い。
だけど、きっともう――――
「ずっと、そばにいてください」
「…………うん。絶対、離さないから」

そのぬくもりが、優しく伝わってきた。
204虹はここに 13:2006/11/24(金) 16:17:12 ID:owag44LQ
―――――――――――――――

ずっと疑問に想ってた
なんでわたしはこんなにもあなたに惹かれるんだろうって
だけどやっと……わかった気がする
わたしはきっと……
………
………
わたしも、あなたに救われたかったんだ

―――――――――――――――
205虹はここに 14:2006/11/24(金) 16:17:45 ID:owag44LQ

心地いい気だるさが身体をつつんでいる。
清々しいと言うと違うかもしれないけれど、
でも心はとてもおだやかで……
「玉青ちゃん」
「……何ですか?」
「あっ……えっと……。……やっぱりなんでもない」
「?」
ぎゅっと手を握りしめられる。
どこかはにかむように彼女は笑った。
そんな様子が可愛くて……
「渚砂ちゃん」
「何?」
「――――――愛してます」
「へ」
ずっとにこにことしていた目が、大きくまあるく見開かれる。
思わず、吹きだしそうになった。
「あ、ぅ…………」
その顔がみるみる赤くなる。
「ふふっ……」
ほほえみがどうしようもないくらいに顔に浮かんだ。
「も、もぉー…………」
そう言って、ちょっとすねたふうに頬を膨らませる。
でもまたすぐに、笑顔に変わった。
「ん………」
そっと彼女の髪をなでる。
くすぐったそうにしながらも、じっとされるがままになってくれる。
「…………今日は絶対おんなじ夢……見れるね」
「そうですね」
「……玉青ちゃん……おやすみ」
「おやすみなさい……渚砂ちゃん…………」
ふれあった素肌が、ただ気持ちよかった。

いい夢が、見れますように…………
206虹はここに 15:2006/11/24(金) 16:18:35 ID:owag44LQ
―――――――――――――――

「ねぇ玉青ちゃん。すっごい、いいお天気だよ!」
「ほんとですね……」
見上げた空は、突き抜けるように蒼い。
どこまでものぼれそうで、どこまでもつつんでくれそうで……。
「………」
いちご舎の門の手前付近に、二人はいた。
これから……ミアトルでエトワールの引継ぎがある。
「――あのね」
「……何ですか?」
「ちょっと……不安なの」
「………」
エトワールの引継ぎ。
それは前エトワールから行われる。
つまり今回は……
「どう接すればいいのかわかんないし……。どうしたって……気になっちゃうと思うから……」
「渚砂ちゃん……」
玉青は心配そうに渚砂を見つめる。
――――あいかわらずなんだから
だけど、やっぱりそれは嬉しくって……
「でもね、大丈夫だよっ。…………玉青ちゃんがいるから!」
そう、彼女がそばにいてくれるなら……何も怖くなんて無い。
「それにね。どんな事があっても……、玉青ちゃんのこと思ってるからっ」
そう言って、玉青に向かってニコッと笑いかける。
「渚砂ちゃん……」
彼女は困ったように……、でもきちんと嬉しそうに笑ってくれた。
「――?」
スッと、彼女が近づいてくる。
「玉青ちゃ――」
肩に手が置かれ、彼女の顔が目の前に迫って…………
「………………」
「私も、思ってますよ」
………
………
ほんとに、相変わらずなんだから…………。
207虹はここに 16:2006/11/24(金) 16:19:22 ID:owag44LQ
……でも、良かった。
彼女は楽しそうに笑っている。
いつもと変わらない……
ううん。
変わった……のかも。
ただ言えるのは、
私の望んだ……、
彼女の望んだ彼女がいるって事。
「渚砂ちゃん?」
ジッと私の顔を覗き込んでくる。
私はそっと微笑んで、
――――彼女の唇を、奪う。
「ぁ………………」
「しかえし……っ」
目の前の彼女は、すっかり照れてしまって……顔をわずかに赤くする。
だけど、
「もぅ……渚砂ちゃんったら……」
すぐにはにかみながら笑顔を浮かべた。
それがただ純粋に嬉しくて、心が充たされる。
うん
やっぱり私は…………
「玉青ちゃん…………大好きだよっ」
今度は私が……、私も支えていくから
ずっと一緒にいるから……
だから
だからずっと――――


「私だって…………大好きですよ!」


そう言って、彼女はきれいに微笑んだ。


in the blue sky - fin

208名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 16:20:41 ID:owag44LQ
・・・こ、ここも流してっ
玉青ちゃんは自分の思った通りに動ける静馬様が嫌いでもあり、好きでもあったんじゃないかと
でも勝ち負けとかそんなのは気にしてなかったと思う
「他人の幸せ」を貫いて、恋ではなく愛と友情を選ぶなんて、そんなの自分には真似できないよ…

って恥ずかしいせりf(ry
209名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 00:35:41 ID:e2wl96UG
>>208
GJでした。玉青が救済されているようで嬉しいです。

アニメ版の玉青はほとんど我を出すところが有りませんでしたね。
あれで玉青が離れていったとき、渚砂はどう思うのかなあ。
210名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 00:44:30 ID:MIAr6/1/
>>208
GJと言わしていただく
211名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 01:53:05 ID:E81OteHg
>>208
師匠と呼ばせてください
212名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 00:04:13 ID:CUt2pUku
>>208
お姉さまと呼ばせてください
213名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 04:08:23 ID:Z8TNDN13
>>209
静馬ときっとうまくやるんだろう。
そんなに渚砂ちゃんは弱い子じゃないさ。
けど、寂しいとは思うだろうね。
214144:2006/11/28(火) 18:52:54 ID:w5c/NR9j
(208でのテンションがおかしい・・・orz)
読んでくれた人ありがとです
折角書き始めたんで、またなんか書くかもです

最近やっと静渚が好きになれてきた…
215名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 01:48:24 ID:0gXfkPIf
   _   ∩
  ( ゚∀゚)彡 陵辱!陵辱!
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J
216名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 23:21:47 ID:69aBBS4p
どうやるんだよw
愛に狂った千華留様が渚砂を陵辱するとか?
217名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 23:23:31 ID:0gXfkPIf
黒渚砂が学園中の女の子を手中に収めて百合の女王を目指す話じゃね?
218名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 23:25:07 ID:0gXfkPIf
>>215
なんで俺と同じIDなんだよorz
これじゃ自演じゃねーか
219名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 01:56:15 ID:1TBXA3Ti
>>218
ストパニ関連スレでは、IDはたまたま同じになる事が結構あるらしい
220名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 03:08:51 ID:4mjNbmsw
そういえば要が光莉を陵辱する話はありそうでなかった
221名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 13:56:46 ID:wHUm9R4R
逆に光莉を罠にはめようとした要が光莉に裏をかかれて堕とされるってのを思いついてニヤニヤした
222名無しさん@ピンキー:2006/12/04(月) 17:30:31 ID:CypAkwYF
>>221
文章にして頼む
223名無しさん@ピンキー:2006/12/04(月) 22:05:59 ID:2JdjrNAs
よるよるが光莉に欲情して襲い掛かるが、逆に返り討ちにされるSSがあったな
224名無しさん@ピンキー:2006/12/04(月) 22:26:41 ID:m3/p70b+
個人的には黒光莉はあんまり好きじゃないな・・・。
なんかムカつく
225名無しさん@ピンキー:2006/12/05(火) 03:21:53 ID:voMNZpDG
黒くして一番えげつなさそうなのは渚砂の気がする
226恋愛部(4):2006/12/06(水) 07:00:20 ID:3NHT1oo8
ドラマCDル・リム編発売記念という訳ではありませんけど>>190の続きです。
流れ断ち切ってすみません。
*****
それから絆奈は、2人に何も包み隠さず話した。
千華留お姉さまに抱いている気持ちを。
これまでとはどこか違う感じがする『好き』という感情を。
出来る事ならお姉さまに伝えたい事も。
2人は黙ってそれを聞いている。

やがて話が終わると、口を挟むことの無かった檸檬ちゃんが尋ねてくる。
「絆奈ちゃん」
「な、なに?」
「今言った事、同じようにお姉さまの前でも言える?」
「……も、もちろん言えるよ」
後から考えるとかなり恥ずかしい事を言ったかもしれないけど。
なりふり構ってはいられなかった。
「嘘ついたら針千本飲ませて絶交するけどいい?」
「の、望むところだよっ!」
念押しにもひるまず見得を切る。
うっ……勢いに任せて言っちゃったけど大丈夫かなぁ……。

2人ともしばらく押し黙ったままの状態が続く。
そろそろ緊張感に堪えられなくなった時。
「ふうっ」
檸檬ちゃんもそれは同じだったのか先に口を開いた。
「……わかった、それならこれは絆奈ちゃんのものだね」
しょうがないなぁ、と差し出した手が開かれると、何か収まっているのが見える。
「え、これって」
さっき食べていたアイスの棒と同じやつ。
だけど決定的に違うのは……。
「千華留お姉さまも相変らずだよね。予想はしていたけどこういう仕込みをするなんて」
手書きの『当たり』印と共に、ニコニコ顔が描いてあることだった。
「いいの?」
「いいよ。絆奈ちゃんの目、真剣だもの」
「そうじゃなくて、千華留お姉さま取っちゃうよ?」
反応が恐くて、顔色を窺うように聞き返す。
と、檸檬ちゃんは悪戯っぽい笑みを浮かべて手を顔に近づけてきた。
ピシッ。
「あいたっ」
「絆奈ちゃんは相変らず馬鹿だね……」
あーっ、馬鹿ってひどい。
「馬鹿って言った方が馬鹿なんだよぅ」
口に出した後で、檸檬ちゃんは絶対むくれていつものお小言を口にするんだろうなと思った。
でも……。
「だから絆奈ちゃんはお子様だって言うのよ。
いつもいつも屁理屈ばっかり捏ねて、縦に割れる
スライダーみたいにのらりくらりと。いっその事
キラいになれたらどんなに楽か分かってないでしょ……」
予想に反して、怒っているのか分からない顔で言い返してきた。
デコピンした手を今度は頭の上に乗せて、わしわしと髪の毛をいじくる。
こんな檸檬ちゃん初めて見たかも……。
227名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 07:03:30 ID:3NHT1oo8
それはそうと、いくらなんでも長時間されると流石に恥ずかしい。
「ちょっと檸檬ちゃん……髪の毛がぐちゃぐちゃになっちゃうよ」
真意を掴みかねている絆奈をよそに、檸檬ちゃんはさっと離れて。
「……それに……だって……ない。……塩を……もの」
あさっての方向を向いたまま何か呟いたように見えるけど、声が小さくて
ところどころしか聞こえない。……塩?
「檸檬ちゃん、塩なんか使ってって何するのー?」
「あ、独り言だから気にしないでっ」
そう言って振り向いた顔はいつも通りの檸檬ちゃんだった。
……これ以上は聞かない方が良いのかもしれない。
「うん……檸檬ちゃん、籠女ちゃん、今日はありがとう」
「んもう、お礼はもういいから。……頑張りなよ」
照れ隠しなのか、素っ気無く言う。
でも言いたかったんだもん。

手早く荷物をかばんの中にまとめて、籠女ちゃんへ声を掛ける。
そういえばさっきから全然声が聞こえてこない。
「「籠女ちゃーん、いちご舎に帰」」
「……すー」
絆奈達2人の話なんてどこ吹く風と、1人夢の世界へ旅立った後だった。
「籠女ちゃんにはちょっと早すぎる話だったみたいだね……」

「んしょ、んしょ」
門限がじわじわと迫ってくるいちご舎への道。
檸檬ちゃんと2人で、眠ってしまった籠女ちゃんを交代でおんぶして歩いている。
人ひとりを背負って歩くんだから結構きついと思っていたのに、予想外に軽い。
まるでお人形さんみたいだ。

やがてル・リムの宿舎に到着しようかという時、檸檬ちゃんが提案してきた。
「あ、ここからは私に替わって」
「ええっ、籠女ちゃん軽いし、まだ大丈夫だよ……?」
「いいからいいから。その代わり、絆奈ちゃんは荷物を置いてお姉さまに
組み合わせの報告を頼むね」
そう告げると、有無を言わさず籠女ちゃんを背負って部屋まで送っていった。
様々な考えをぐるぐると渦巻かせて、それを見送るしかない。

……ひょっとして、気を遣ってくれたのかな。
それに考えすぎかもしれないけど……さっきの。
ありがとう、檸檬ちゃん。ごめんね。
228名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 07:05:18 ID:3NHT1oo8
うう、番号付けるの忘れた…。227は(5)です
229名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 07:19:16 ID:3NHT1oo8
もうひとつ。>>189の続きでした……190さん申し訳ありませんorz
230名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 18:31:02 ID:Qsoiuu/l
うおっ、乙。
わっふ(ry

ドラマCDほしいわぁ・・・
231名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 04:32:30 ID:T9oxQCrD
>>226
GJです。晴れて自分達が両思いだと知った時の、
ちかるんの反応が今から気になりますよw
232名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 15:23:05 ID:Eqi6taFY
小説版に登場する鞠子谷愛子さんがすげぇいい百合娘。
六条会長が好きで好きで堪らないってのがイイ。

っつーことで誰か 鞠子谷×六条会長 で一発頼む。
233名無しさん@ピンキー:2006/12/15(金) 12:36:25 ID:z7KHWLpi
☆由
234間接キス1:2006/12/16(土) 11:39:34 ID:k3llB4w3
 深夜。涼水玉青はいちご舎の空き部屋の前に立っていた。緊張した面持ちで軽くノックする。
「入りなさい」
 中から声が聞こえてきた。
 玉青は恐る恐るドアノブを回して扉を開けた。
 部屋の中は電気を消しているため暗かったが、窓から差し込む月明かりのお蔭で何も見えないということはない。
 玉青は部屋に入りドアを静かに閉めると、覚束ない足取りで足元に注意しながら、少しずつ奥へ歩いて行った。
 部屋には備え付けの机とベッドが置かれている。
 ここ最近、この部屋は渚砂と静馬の逢引きの場所として使われていた。
「遅かったわね。待ちくたびれたわ」
 花園静馬が一糸もまとわぬ姿でベッドに腰掛けていた。
 先程まで渚砂と肌を重ね合わせていたであろうその身体に玉青はドギマギする。
「も、申し訳ありません。渚砂ちゃんが中々寝付かなかったもので……」
「言い訳は結構よ。私を待たせるなんて良い度胸ね。そこに座りなさい」
 静馬が自分の足元を指差して言った。
「は、はい」
 玉青が言われた通りに静馬の目の前で正座すると、頬に平手打ちが飛んできた。
「あぅっ」
 叩かれた頬に手を伸ばそうとする玉青。しかし静馬に睨まれていることに気付いて思い直した。
 屈辱に震えながら、両手を前方の床に着いて頭を下げる。土下座の格好だ。
「し、静馬お姉様、遅れてきたバカな玉青に罰を与えてくださり有難うございます」
「本当にバカね。もう私とキスしたくないのかしら?」
「い、いえ。玉青は静馬お姉様とキスしたいですわ」
「ならお願いしてみなさい」
 土下座したまま玉青は哀願する。
「バカな玉青を許してください、静馬お姉様。どうか、玉青にキスをさせてください。お願いします」
「仕方ないわね。ならキスしてみなさい。いつもより上手くやらないともうさせてあげないわよ?」
「は、はい。ありがとうございます、静馬お姉様」
 玉青は立ち上がり、ベッドに腰掛けている静馬の顔を両手で包み込んだ。
 そして少し前屈みになって唇を重ねる。
 ついさっきまで渚砂を嘗め尽くした静馬の唇にキスしていると思うだけで、玉青は股を疼かせショーツを濡らした。
 それだけでは飽き足らず、玉青は舌を差し込んで静馬の口内を舐め回す。静馬もそれに応える様に舌を伸ばしてきた。
 玉青は少しでも渚砂の味が残っていることを願いながら、静馬の舌を吸い尽くす。
「ん……ふう……んむ……んん……」
 そうしている内に興奮した玉青の息が荒くなっていった。
 静馬が玉青のスカートの中に手を入れて、下着の上から割れ目に沿ってススッと撫で上げた。
「あうんっ」
 玉青は思わず静馬から唇を離して嬌声を上げた。
「すごく濡れてるわ。玉青は本当にイケナイ子ね」
「ああう。申し訳ありません、静馬お姉様」
「渚砂のオマンコに入れたこの指が感じるのかしら?」
「は、はい」
「じゃあ服を脱ぎなさい。この指で虐めてあげるわ」
「ありがとうございます、静馬お姉様」
 興奮を抑えきれず上擦った声で言いながら、玉青はいそいそと服を脱ぎ出した。
235間接キス2:2006/12/16(土) 11:41:23 ID:k3llB4w3
「ベッドの上で四つん這いになりなさい」
「は、はい」
 全裸になった玉青は、羞恥で顔を真っ赤にしながら静馬に尻を向けた。
 月明かりに照らされた玉青の秘部には陰毛が生えていなかった。
 渚砂がパイパンなので、静馬は玉青にも秘裂をツルツルにするように命じているのだ。
 玉青としても渚砂と同じになれるのなら本望だと思い、毎日丁寧に剃っているのだった。
 静馬が玉青の無毛の割れ目を指で擦り上げてきた。
 大事な箇所を刺激されて、玉青は快感に打ち震える。
「ひうんっ」
「ほら、渚砂の恥ずかしい液が染み付いた指が入っていくわよ」
「はう。し、静馬お姉様……」
 ズブズブと静馬の指が沈められていった。やがて抜き差しが始められると、玉青の秘部からじわじわ愛液が漏れ出てくる。
「こんなに感じちゃって。渚砂が知ったらどう思うかしら?」
「嫌ぁ。渚砂ちゃんには言わないでください。ああんっ」
 次から次に恥部から粘液を溢れさせながら、玉青は四つん這いのままベッドのシーツをきつく握り締めて身悶えている。
 静馬に激しく指を出し入れされると、ジュブジュブと愛液の跳ねる音が大きくなっていった。
「指は一本だけで物足りる? 渚砂は二本で掻き回されるのが好きみたいだけど」
「ああ、静馬お姉様っ。渚砂ちゃんと同じが良いですわ。二本入れてください!」
「そう。ならいつもの誓いを言えるわね? 言えたら二本にしてあげるわ」
「は、はい。言います。……渚砂ちゃんは静馬お姉様のモノです!」
「よく言えたわ。その気持ちを忘れたら渚砂と間接キス出来なくなることを肝に銘じておきなさい」
「……は、はい」
「ご褒美に渚砂の時と同じ指を使って同じやり方でイかせてあげるわ」
「ありがとうございます、静馬お姉様!」
 静馬は人差し指と中指を、四つん這いになっている玉青の幼い秘部に、根元までズブリと差し込んだ。
「はうっ」
 愛液まみれの玉青の淫部は二本の指をすんなり受け入れる。
 勢い良く指を抜き差しされながら、もう片方の手でクリトリスを摘み上げられた。
「あ、ああっ、イクっ! イクゥッ!」
 ガクガク震えて愛液を撒き散らしながら、玉青はあっさりと絶頂に達した。
 渚砂の相手を務めた静馬に、渚砂を貫いた指で、渚砂と同じ様に責められていると思うと、嫌でも興奮が高まってしまうのだ。
「はあ……はあ……はあ……」
 四つん這いから崩れ落ちてうつ伏せの状態になり、玉青は快感の余韻に浸っていた。
「今度はここを舐めさせてあげるわ」
 静馬が玉青の顔を跨いで膝を着いた。
 体を捩って仰向けになった玉青の目の前に静馬の股間があった。
 陰毛がびっしりと生え揃い、醜い肉びらがはみ出しているグロテスクな秘部に、玉青は思わず顔を背ける。
「渚砂と貝合わせした所を舐めたいでしょう?」
 そう言われて、玉青はもう一度静馬の恥部を見た。
 不思議なことに嫌悪感は一瞬で消え去った。
 それどころか、渚砂の秘部と重ね合わさった静馬の股間に、一刻も早く顔を埋めたくなる。
「舐めさせてください、静馬お姉様。玉青、一生懸命ご奉仕しますっ」
236間接キス3:2006/12/16(土) 11:44:12 ID:k3llB4w3
 静馬は満足そうに頷いて腰を落とした。静馬の秘裂が玉青の唇にピタリと接触する。
 強烈な癖のある柔肉の味に、渚砂の成分が混ざっている気がして、玉青は夢中になって舐めしゃぶった。
「んむ……あふ……」
 渚砂の大事な所に間接キスをしているかと思うと、イったばかりの玉青の股間がまた疼き出した。
 玉青は静馬の粘膜を舐めながら、そっと自分の割れ目に手を伸ばす。
 愛液でヒンヤリしている淫部を刺激すると、たちまち甘い快感が駆け抜けた。
「んふうっ……」
 玉青の荒い鼻息が静馬の恥毛をくすぐった。
 自分で慰めていることを静馬に気付かれ、玉青はその手を掴まれて自慰を中断させられる。
 静馬は腰を上げて玉青の上から退いた。
「ああう、静馬お姉様、もっと舐めさせてください」
「あら、舐めるだけでいいの? もっと気持ち良くしてあげようと思ったのに」
「ご、ごめんなさい、静馬お姉様。玉青が間違っていましたわ。どうか気持ちよくしてください」
「そう。いい子ね」
 仰向けに寝ている玉青は、静馬に足を掴まれて大きく広げられた。
 開脚された太腿の間に静馬の腰が割り込んできて、秘裂同士をぴったりとくっ付けられる。
 玉青の無毛の幼い割れ目に、静馬の毛深く爛れた媚肉が擦り付けられる。
「はうぅんっ!」
 蕩ける様な快楽に玉青は背中をピーンと張って喘いだ。
 間接とはいえ渚砂と貝合わせが出来て感無量だった。
 グイグイと秘部を押し付けてくる静馬に、玉青は成す術もなく揺すられる。
「あんっ、ああんっ、あうんっ」
 肉びらが擦られる度に強烈な快感が押し寄せてきた。
 あまりの気持ちよさに自然と嬌声が口から出る。
 秘奥から溢れ出る淫液で恥部がヌチョヌチョになり、淫らな音を立てていた。
「んんっ」
 お互いのクリトリスが接触すると、静馬も堪らず喘ぎ声を漏らす。
 渚砂が静馬のこの姿を見て興奮している光景を想像して、玉青はさらに愛液を溢れさせた。
「し、静馬お姉様っ。玉青、玉青イきそうですっ」
「そう。存分にイきなさい。渚砂もいつもこれでイくわよ」
「あああっ。イ、イクっ! イきますぅっ!」
 玉青はビュッビュッと勢い良く潮を噴きながら、押し寄せる快感の波に身を任せた。
 絶頂の快楽に打ち震えて身体がビクビクと痙攣する。
「はぁ、はぁ、はぁ」
 ベッドにぐったりと仰向けになって玉青が余韻に浸っている間に、静馬はさっさと服を着終えていた。
「じゃあ私はもう行くわ。貴女は帰る前にちゃんと掃除していくのよ?」
「は、はい」
 息も絶え絶えの玉青がなんとか返事を返すと、静馬は部屋を出て行った。
「寒い……」
 深夜とはいえ春の暖かい空気の中、何故か途端に肌寒さを感じた。
 玉青はシーツに包まり自分自身を抱き締める様にして縮こまった。
「……」
 渚砂と想いを遂げることは出来ないが、静馬を介して渚砂と間接的に肌を重ね合わせることは出来るのだ。
 自分は今とても幸せなはずだ。
「私は幸せですわ……」
 玉青は自分に言い聞かせるように小さく呟いた。
237名無しさん@ピンキー:2006/12/16(土) 19:04:52 ID:mHxFUsKD
すばらしい話だ。
玉青の悲壮さがいい
238名無しさん@ピンキー:2006/12/16(土) 21:54:14 ID:qdnWtJzU
>>234
GJ!!!
239名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 04:10:03 ID:D+JzqDFz
ドラマCDで千華留×天音に目覚めました
240千代のお悩み相談室(1):2006/12/24(日) 01:11:33 ID:rTlE0GYS

風が吹く。
まだ少し肌寒い空気の中で、ほんの少しの温かさをはらんだ風を頬に受け、千代は目を細めた。
そんな風に春の訪れを感じる。
エトワール選の盛り上がりもすっかり落ち着き、各校ともそれぞれいつも通りの日常に戻った今日この頃。
多くの生徒は新しい学年になることに期待と不安を抱き、6年生は卒業を待つばかりとなったそんな時期。
千代は、絆奈と檸檬、そして蕾と一緒に中庭で談笑していた。
今は昼休み。
千代達は午前の授業からの開放感と昼食後の満腹感で満たされ、それぞれがリラックスした雰囲気だ。
ゆったりとした空間を作り出している中庭に、黒・白・ピンクの制服のコントラストが良く映える。
それぞれ特色を持った三つの学校が併設されているという、かなり変わった環境にあるアストラエアの丘だが、
三校の生徒が自然に歓談している様子は比較的珍しいものだった。
別に各校の仲が険悪であるとか交流に障害があるわけではない。
だが、人間という生き物は組織に属している以上、その組織内でまとまることで無意識に安心感を抱く。
その影響か、女子学生によく見られる『仲良しグループ』というのは同じクラス・学校のうちで形成される事がほとんどだ。
しかし、千代達の様子にそんな学校間の垣根などは感じられない。
そんな彼女達の姿に、ある者は思わず微笑み、又ある者は感嘆の溜め息をもらした。
それは例えるなら、じゃれあう子犬を見ているときのような微笑ましさ。
見ているだけで自然と顔が綻んでしまう。そんな温もりに満ちた光景。
そんな笑顔と温かさの溢れた空間で。
はぁ、と溜め息をつく蕾を、千代が見逃すはずもなかった。
241千代のお悩み相談室(2):2006/12/24(日) 01:13:14 ID:rTlE0GYS
「どうかしました?」
「……え? 私? べ、別にどうもしないわよ」
心配そうな顔で尋ねる千代に対する蕾の言葉には、明らかに動揺が混ざっていた。
そんな蕾の様子に、絆奈と檸檬も心配してきた。
「悩みがあるなら相談に乗るよ?」
「そうだよ、これでも一応蕾ちゃんより一つお姉さんなんだから!」
「あ、そういえばそうでしたね。忘れてました」
「何それ、ひどーい!」
忘れていた、と言いつつちゃんと敬語を使い分けているあたり、蕾なりの冗談らしい。
ちなみに、千代は素で忘れそうになることが多いのは秘密だ。
それはともかく、冗談を言える余裕があるのなら、それほど切羽詰った悩みというわけではないのだろうか。
と千代が思案し始めていたら。
「あー、わかりました。言います、言いますったら!」
絆奈達のしつこい追及に、蕾が折れていた。

神妙そうな顔で蕾はそのことを口にした。
「最近、なんだか元気がなくて……」
「ええ、それは見れば分かりますけど」
そんな相槌をうつ千代に、蕾はムッと表情を見せた。
「違〜う! 私じゃなくて、夜々先輩が!」
「夜々さんが……?」
「んー……そうかなぁ?」
「私も、いつも通りだと思うけど……」
各々が最近の夜々の様子を思い浮かべてみる。
蕾と一緒に食事している夜々。
蕾に引っ張られながら、渋々聖歌隊の練習に参加している夜々。
蕾に少々過剰なスキンシップでからかっている夜々。
などなど。
思い浮かぶのは、むしろ生き生きとした夜々の姿だ。
というか―――
「なんだか、いつも蕾さんと夜々さんは一緒にいる印象がありますね」
千代は思ったことをそのまま口に出してみた。
それを聞いた蕾の変化は劇的だった。
「なな、何を言ってるの! 私と夜々先輩が一緒にいるのは、同じ聖歌隊に入っているからで、
 それ以外は偶然、そう、偶然一緒になることが多いだけで!」
顔を真っ赤にして、アタフタとよく分からない弁明をする蕾。
この場に蕾達のことを知らない誰かがいても何となく察しがつく、
分かりやす過ぎるリアクションに一同は思わず苦笑してしまう。
242千代のお悩み相談室(3):2006/12/24(日) 01:14:24 ID:rTlE0GYS
「な、なんですか、その笑いは。別にいつもって言ったって、朝練の時と放課後とか、休み時間とか、そのくらいですよ!」
「でもそれって、いちご舎で過ごす分も含めると、授業中以外では殆ど夜々さんと一緒にいることにならないかなぁ?」
檸檬の尤もな指摘に思わず蕾は押し黙ってしまう。
蕾は、何とか反論しよう口を開きかけたが。
「えーと……ちょっと話題がずれてきちゃいましたね。確か夜々さんに元気がない、という話でしたよね?」
場を仕切り直すように言った千代の言葉に、ハッと気がついた。
「そうですよ。もう! 絆奈さん達が変なこと言うから!」
最初に言い出したのは私なんだけどなぁ、などと考えていた千代だったが、また話が長くなりそうだったので口には出さなかった。

「ゴメンゴメン……えっと、なんだっけ? 夜々さんはパッと見元気一杯だけど、ずっと側にいる蕾ちゃんから見ると、それは見せかけで、
 実は元気が無い、ってこと?」
蕾は一度何か言いそうになったのをグッと堪えて、それから言った。
「ええ、大体そんな感じです。……う〜ん、でも普段が見せかけっていうのも少し違う気が。元気がなくなるのは二人きりの時だけだし」
「二人きりですかぁ」
「二人きり、かぁ」
「二人きり、ねぇ」
「べ、別にそんなに強調しなくていいじゃないですか! ああ、もう!」
またもや赤面全開の蕾。
しかし、二人きりの時に元気がないというのは……。
その時点で、千代の中では既に答えが見えかけていた。

一応、念のために確認してみる。
「元気がないっていうのは、急に口数が少なくなったり、上の空だったり、そわそわしたりとか、そんな感じですか?」
「え、ええ。よくわかるわね、その通りよ」
千代は、はぁ、と溜め息の後に苦笑い。
もっと深刻な悩みかと思っていたのでホッとする一方で、内心結構真面目に考えていたのがバカらしくもなってきた。
「それなら、別に放っておいても大丈夫ですよ」
そんな本音を、つい口にしてしまった。
243千代のお悩み相談室(4):2006/12/24(日) 01:15:23 ID:rTlE0GYS
「そんな……酷い……!」
しまった、と思った。今のは流石に言い方が悪かった。
蕾の顔を見れば、先程までとは違う意味で顔を赤くしており、目には明らかに怒りが宿っていた。
「なによ! 渚砂さんの時はあんなに親身になって悩んでたっていうのに、夜々先輩のことになったらどうでもいいっていうの!?」
「ちょっと、蕾ちゃん落ち着いて!」
「そうだよ、みんな見てるよ」
言われて周囲を見渡せば、確かに何人かの生徒と目が合い、そして気まずそうに逸らされた。
そんな周囲の視線が、蕾の沸騰した感情を一気に冷却した。

「………すいません」
「私の方こそごめんなさい! 蕾さんは本当に夜々さんを心配しているのに、あんな言い方して……」
千代は深々と何度も頭を下げた。
…………。
一同の間に流れるなんとも気まずい空気。
そんな空気を払拭したいと思ったのか、絆奈は努めて明るい声で一つ提案をした。
「そうだ! 渚砂さんの時みたいに皆でクッキー作るのはどうかな?」
「……夜々先輩はそんな単純じゃありません」
多少遠慮がちながらではあるが、ぴしゃりと言ってのける蕾。
その、捉え様によってはかなり渚砂に対し失礼な物言いに思わず口を挟みそうになる千代だったが、
それではさっきの二の舞になると思い、口を噤む。

「え、え〜と……じゃあどうしよう……?」
「夜々さんに聞いても答えてくれないんだよね?」
「はい……別に悩みなんてない、って言ってるんですけど」
「う〜ん、そっかぁ……悩み自体が分からないとやり辛いよねぇ」
そんな風にうんうん唸りながら考えている三人を見て、千代は少し驚いていた。
え、もしかしてこの中で夜々さんの『悩み』に気付いているのって自分だけ? と。
仮にも2年生である二人は、とっくに察しているものと思っていたのに。
この二人が鈍い、いやいや純粋だからなのか、それとも自分の方が早熟すぎなのか。
どちらかと言われれば……両方な気がしてきた。
244千代のお悩み相談室(5):2006/12/24(日) 01:16:30 ID:rTlE0GYS
それはともかく。
どうにもやりにくい状況にあることには変わりない。
絆奈と檸檬の二人が気付いてくれさえすれば、それとなくそういう方向に話を持っていくのは難しくはないだろうが、
それが千代一人になると話は大分変わってくる。
場合によっては、今後の月館千代のイメージに多大な影響を及ぼしかねない。
勿論それは千代の本意ではない。
だが、だからといってこのままというわけにもいかなかった。
意を決して口を開く。
「とりあえず、出来ることといったら夜々さんを喜びそうなことをするくらいですよね?」
「うん。でも何をやれば……」
「一つ、アイディアというか案があるんですけど……」
「え、何?」
顔が熱い。きっと今、千代の顔は先程の蕾に負けないくらい赤くなっているだろう。
「……えっと……だから、慰めて差し上げるんです、夜々さんを」
「だからどうやって?」
「……………その、カラダで」
場が、凍った。
それを聞いた三人は、最初千代の言わんとすることの意味を理解できなかったのか、ポカーンとした表情だった。
何度かその言葉を反芻してやっと理解したのか、蕾が赤面した。
それから檸檬が赤くなり、さらに数秒遅れて絆奈が赤くなった。
時間差赤面とでも言おうか。
傍から見れば面白いものだったかもしれないが、当の千代にはそんな余裕はなかった。
やっぱり言わない方が良かったかな、とか、何馬鹿なこと言ってるの!とか言われるんだろうな、とか考えていると。
「……やっぱり、それが一番なのかな……」
蕾の口から、肯定的とも取れる言葉が出てきた。
蕾の顔を見る。
羞恥に色づいた頬、不安に揺れる瞳、きつく噤まれた唇、何かに耐えるように俯いた表情。
そんな蕾を見た、千代の中で。
ゾクリ、と。
あまり馴染みのない感情が駆け抜けた。
今の蕾は、俗な言い方をすれば―――どうしようもなく色っぽかった。
考える前に口が勝手に動く。
「でも、やっぱり不安はありますよね?」
「うん……はっきり言って、ちょっと怖い、かも……」
「じゃあ、ちょっとだけ、練習してみませんか?」
千代は自分の中にこんな狡猾な部分があったなんて、知らなかった。


※※※

 あれ、ライトな話のつもりだったのに、なんで千代ちゃんが黒くなってるんだろう?w

 まぁ、それはともかく
 読んでくれた方には最大限の感謝を
 続きはいつになるか分かりませんが、気長に待っていただければ幸いです
245名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 18:59:32 ID:zrHaJ7ui
GJ! クリスマスプレゼント、しかと頂きました。
蕾がオクテで可愛いです。
246名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 22:51:46 ID:FCCETN/4
GJ!GJ!凄いいいです。
私もクリスマスプレゼントってことでわくわくしながら待ってます。
できればクリスマスが終わるまでに続きを……。
247名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 00:45:40 ID:aE8hRLSx
絆奈と檸檬鈍すぎwwww


GJであります!
248名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 05:51:13 ID:qSo26TNk
GJ!
策士千代ちゃんに期待大です!
249名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 02:58:55 ID:sU6pzsf2
誰か生徒会長ズ(なら誰でもよし)受けで書いてくれー
250名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 03:45:20 ID:tkXyrU4r
一週間で書き上げてやる!!
251名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 09:21:59 ID:Mf33vmDU
>>250
頑張れ!楽しみに待ってます!!!
252名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 20:30:07 ID:TGqc/4CJ
めちゃくちゃ楽しみに待っとります!
253名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 23:29:07 ID:8HTcgxBH
ちかるんほっしゅ♪
254名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 01:08:56 ID:9Gn07dxd
その後>>250の姿を見たものはいなかった……
255名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 00:32:18 ID:Sso/Su1b
ちゃんと戻ってくるって。
256名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 11:21:31 ID:QmCIfZy0
>>250 が無事であることを祈る。
257名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 13:14:43 ID:WYqXKkRp
おおらかな気持ちで>>250を待とうや。
258名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 23:54:58 ID:6yt4qyks
そういえば一週間経ったんだな
259名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 00:50:12 ID:cPHw4lmA
時の流れとは残酷なものです
おいていかれまいと必死に走った先には死しかまっていない…


なんちって
260名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 22:53:56 ID:6Cwt324K
くだらん
261名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 01:27:05 ID:jz+qR+wx
ん?何か音がしたな。>>250かもしれないから見てくるわ
お前はここを動くなよ、いいな
262名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 08:08:22 ID:d7meMz0V
俺、この戦争が終わったら>>250のSSを読むんだ……。
263名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 23:40:38 ID:UdsY9VYj
亀でスマンが>>232 は需要あり? あれば、明日辺り投稿できそう。
264名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 01:17:41 ID:1KJVwfuR
>>263
需要とかよく分からんが、少なくとも俺は読んでみたい
265素顔を見せて(1):2007/01/13(土) 13:59:18 ID:9YlHjVvr
ありがとう。久しぶりの投稿なので緊張します。
原作小説3巻の続きということで。
#
鞠子屋愛子が恭しく差し出したファイルの表紙を読んだ瞬間、六条深雪の脳裏に閃光が走った。
もはやミアトルの勝利は絶望的と思われたエトワール選の、逆転の切り札が目の前にある。
「良くやったわ」
労いの言葉もそこそこに、深雪が興奮に震える手をファイルへ伸ばそうとすると
それまで跪いていた愛子がヒョイと立ち上がり、深雪の手の届かない高さへファイルを掲げた。
「……何のつもり?」
苛立ちを隠しきれない深雪が詰め寄ると、いつもの無表情に戻った愛子が淡々と尋ねた。
「深雪様はこのファイルを読んで、どうなさるおつもりですか?」
「しれたこと。今やミアトルにとって最大の障害となった草薙真箏の隙を見つけるのよ。
 エトワール最終選での勝利の可能性を示して、静馬様にやる気を出していただくわ」
「それはミアトルのために?」
「勿論よ」
「嘘ですわ」
「……!」
ピシャリと否定されて、深雪は怯んだ。
「プリンス天音が勝利すると誰もが諦めていた今年のエトワール選に逆転勝利をもたらして、
 その功績で稀代の生徒会長としての名声と再任への足がかりを得る。
 深雪様が求めているのは、ご自身の地位の安泰ではないのですか」
「…………ふふっ」
短い沈黙を経て、深雪は半ば演技、半ば本気で微笑ってみせた。
ここまで見透かされているのであれば、もはや隠し立てや言い繕いは無駄なことと深雪は悟った。
「いつも地味な仕事ばかり黙々とこなして、何を考えているか解らない子と思っていたけれど……。
 私のこと、よくわかっているのね」
「それでは、やはり?」
「そうよ! 何があっても私は会長職を全うしたい。そのためなら手段は選ばないわ!
 静馬様を引きずり出すのも、何も知らない編入生の立場を悪くするのも、
 伝説のエトワールの過去を暴こうとするのも、全て私自身の為よ。悪い!?」
「悪くありません」
興奮してまくし立てる深雪とは対照的に、愛子はただ静かに応じる。
利己心を非難されることを覚悟していた深雪には、そんな愛子の反応が意外に思えた。
「ただ、深雪様がご自分の望みを追求するように、わたくしにも望みがあります」
「何が言いたいの?」
「半日……いえ、1時間で結構です。深雪様をわたくしの自由にさせてください」
「私、を……?」
「それが叶わないのなら、このファイルは焼却炉の中で灰になります。
 草薙雅姫様の伝説は美しいまま語り継がれ、彼女の血を分ける草薙真箏がエトワール位を得る。
 そうなった暁には、アストラエラの覇権はミアトルからスピカへ移ることは明らか。
 ミアトルの凋落を始めさせた不名誉な生徒会長として、あなたの名は記録されることになるでしょう」
「…………恐れ入ったわ。この私を脅迫するとはね」
「脅迫ではありません。……そう、褒美を与えるとお考え下さい」
「言葉を換えても、同じことよ」
答えながら、『物の怪を操る六条院の姫君』という自らの異名を深雪は思い出した。
(他人を利用することばかり考えて、自分の足下を掬われるとはね……。それでも私……私は……!)
短いも激しい葛藤の末、深雪は結論を出した。
「……好きになさい」
絞り出すような深雪の返答を受けて、愛子のポーカーフェイスが僅かに緩む。
折良く室内のクラシカルな壁掛け時計がボォンと音を立てた。
次に時計が鳴るまで自由が失われることを、深雪は覚悟しなければならなかった。
266素顔を見せて(2):2007/01/13(土) 14:05:10 ID:9YlHjVvr
ミアトル生徒会室は異常事態にあった。
開放しておくはずの入口ドアに鍵がかけられている異常。
まだ外は明るいのに隙間無くカーテンが閉められている異常。
そして、自分のそれより高い位置にあるはずの愛子の頭が、視線を下げた先にあるのも深雪にとっての異常だった。
生まれたままの姿になって椅子に浅く座るように要求された深雪は、言われるままにして愛用の椅子に腰掛ける。
幾度も身を預けた革張りの椅子から、ひんやりとした感覚を背中と尻に伝えられて深雪は身震いした。
普段は背筋を伸ばして座っているこの椅子で、今は、跪く愛子の鼻先に秘所を突きつける格好を取っている。
姿勢のだらしなさによるものではない羞恥心で、頬が紅く染まっていくことを深雪には止めようがなかった。
「流石は深雪様。こちらのお手入れも怠りありませんわ」
本心から感嘆した様子の愛子はフーッと息を吹きかけて、深雪の整えられた浅い茂みを軽くそよがせる。
「んっ……。息……吹きかけないでっ……」
「失礼しましたわ」
上目遣いで言葉を送る愛子の顔が、誰にも触れさせたことのない秘所に近づくにつれ、深雪の中で緊張が高まる。
「参ります。深雪様……」
愛子の舌先で秘裂に触れられて、深雪は肘掛けに乗せた両手をギュッと握った。
チョンチョンと表面をつついていた舌先が、続いてチロチロと秘裂をなぞり始める。
「あっ……」
深雪が反射的に両脚を閉じようとする度に、愛子の両腕がそれを押し広げる。
身の置き場がないと言った態の深雪には、股間に埋められた愛子の頭頂部を見つめることと
下半身から染み渡っていく甘い痺れを受け入れることの他には何もできなかった。
唾液を絡ませた舌先で剥き出しにされた花芯をこねくり回されると、
快楽に不慣れな身体が溶け落ちるような錯覚に、深雪は陥りそうになる。
それでも深雪は、言われるままに身体を開いて快楽に流されることは、
生徒会長としての矜持が許さないと思った。
「う……。くっ……」
「感じているのを我慢していらっしゃるのですか?」
蹂躙する舌の動きを止めて、愛子が深雪に尋ねる。
絶え間なく送られ続ける快楽からいったん解放されて、深雪は大きく息を吐いた。
「ハアッ……ハアッ……。休んで……いい……の? 1時間なんて、あっという間……よ」
余裕を示そうと強がる深雪に、身を離した愛子は立ち上がって悲しそうな目を向ける。
身長がもたらすものではない奇妙な迫力に、深雪は内心で怯んだ。
「肉の悦びですら、深雪様の心を開くことはできない……。わたくしは……無力です」
「……?」
「深雪様は強いお人。だけど、悲しいお人……あなたは誰にも本心を明かさない。素顔を見せない」
愛子の視線から深雪は顔を背けた。
「拒絶されるのが恐いのですか? ……だからあなたは、静馬様に憧れていながら気持ちを伝えることができなかった。
 あの桜木花織さんのように、勇気を振り絞ってありのままの心をぶつけることができなかった」
「利いた風なことを言わないで! あなたに私の何がわかるというの!?」
一喝してみせたものの、それが虚勢でしかないことは深雪自身がよくわかっていた。
「一目見て、あなたは私に似ていると思いました。感情を表す術を知らない。
 他人が持った印象通りに自分を演じてみせることと引き替えに、心が守られることを選んでいる。
 だからって、本当に誰にもわかってもらえないなんて悲しすぎるではないですか……。
 喜びでも怒りでもいい。わたくしは、ありのままの深雪様を見てみたい……のに……」
愛子の瞳からポロポロと涙がこぼれ落ちた。
能面のように無表情で、人形のように思っていた愛子もまた、感情を持つ人間なのだと深雪は実感した。
「あなたでも、泣くのね」
「泣きもします。わたくしの気持ちに気付いてくださらない深雪様を恨むことも、
 自由奔放に深雪様を振り回す静馬様を妬むこともします」
そこまで言って、愛子は懐から取り出したハンカチで瞼と頬を拭った。
「それでも……。好きな人の前では、できるだけ笑っていたい」
そう言って笑顔を作ろうとする愛子の手を取って、深雪は愛子の身体を引き寄せると自らの胸に顔を埋めさせた。
「あなたの流儀では、泣きたいときには泣く……。そうでしょう?」
震える肩を抱く深雪は、愛子に対してこれまでとは異なる感情が胸の奥に芽生えるのを感じた。
267素顔を見せて(3):2007/01/13(土) 14:12:17 ID:9YlHjVvr
「ずっと……好きでした深雪様。わたくしの憧れの御方」
愛撫を再開させた愛子は、深雪の身体のそこかしこに口づけの雨を降らせる。
目の前でさらさらと流れる愛子の長い髪を美しいと思った深雪は、何気なくその一房を手に取ってみた。
「きゃぁっ!?」
乳房に口づけしていた愛子がビクリと身体を跳ねさせたので、深雪の方が却って驚いてしまった。
「ど、どうしたというの?」
「深雪様が突然わたくしを愛撫なさるから、その、ゾクゾクと……」
「髪なんかで感じるはずないじゃない」
深雪が反論すると、愛子は拗ねたように鼻をスンと鳴らした。
「そんなことはありません。愛する御方に触れられれば、どこだって……」
(それなら、私が今、感じているのも……)
深雪はそう口にしそうになって、止めた。
無口になった深雪が愛撫の再開を望んでいると解釈した愛子は、指と舌先で深雪の身体が織り成す曲線を丹念になぞる。
そして、心の中での抵抗を止めたときから、愛子に触れられた箇所の肌が一際高い熱を帯びているように深雪は感じていた。
「深雪様、こんなに溢れさせて……。嬉しい……」
秘所から溢れる蜜を一掬いして、テラテラと輝く指先を示してみせると深雪が頬をカアッと紅潮させる。
「そ、そんなもの見せないで!」
「そんなものだなんて……。悦びの証ですのに」
憮然として呟く愛子が秘所に顔を埋め、トロトロに蕩けた果肉に唇を押しつける。
「きゃうっ!」
深雪を味わい尽くすことに夢中になった愛子の唇がちゅっちゅっと音を立てて蜜を吸い上げ、舌先は固くなった花芯を転がす。
「素敵です、深雪様。根本のくびれまでわかるくらい、ピンとさせて……」
「やぁっ……! い、言わないでぇっ……!」
哀願しながらも、指先まで染み渡る快感の激しさに深雪は今にも意識を飛ばしそうになる。
羞恥のあまり面を覆っていた深雪は、ふと愛子の唇が秘所から離れるのを怪訝に思った。
(どうしてやめるの?)
そう言おうとした瞬間、愛子の細い指先が深雪の秘裂を割って中を掻き回した。
「ひっ!」
粘質から硬質にスイッチした快感に深雪が悶えると、愛子が耳元に口を寄せてそっと囁きを送る。
「キスをしながらだと、より高く達することができますわ」
「こ、これ以上……乱れたら……ダメ! おかしくなるっ……」
「お忘れになっては困ります。まだ、深雪様はわたくしのものなのです。拒否は許しません」
ゆっくりと顔を近づける愛子が親指の腹で花芯を押すようにして、内と外から深雪に刺激を加える。
「あっ! いっ……んむっ……」
唇を塞がれた深雪は悲鳴をあげることができなくなった。
舌と舌を絡ませる甘美な感覚に浸りながら、愛子は心の中で深雪にメッセージを送った。
(深雪様……。あなたの偽り無い表情を、わたくしに見せてくださいませ)
花芯をキュッと捻り挙げると、深雪はビクビクっと身をわななかせた。
「んんんーーっっ!」
声にならない悲鳴を上げて果てた深雪の唇から、愛子は名残を惜しみつつ自らのそれを離す。
「はあっ……はあっ……」
肩で息をしつつも恍惚とした表情を浮かべる深雪を見て、愛子の心中に満足感と寂寥感が生まれる。
愛子がふと時計を見ると、約束の時間までまだわずかに残りがあった。
「あと6分間、深雪様はわたくしのものです」
「わ……私にどうしろというの」
「そうですね……。じっとしていて下さい」
そう言うと愛子は、揃えさせた深雪の膝の上にころんと頭を乗せた。
(これで……。もう、わたくし……)
頬に伝わる深雪の温もりを感じながら、愛子は瞳を閉じて、書記に就任してから今日までのことを回想した。
回想の中のどんな場面にも、愛子の視線の先には深雪の姿があった。
268素顔を見せて(4):2007/01/13(土) 14:18:22 ID:9YlHjVvr
時計の鳴る音が室内に響く中、愛子は静かに深雪から身を離した。
深雪が衣服を整える間に愛子が簡単な掃除をし、室内の様子を1時間前に戻す。
椅子にかけ直す深雪のタイミングを見計らって、側に跪いた愛子が再び恭しくファイルを差し出した。
無言でそれを受け取った深雪はファイルの中身に一通り目を通すと、溜息を一つ吐く。
「苦い策になりそうだわ」
己の考案ながら、実施されれば草薙姉妹のプライバシーを多分に踏みにじるであろう策に深雪は顔を歪めた。
「それでも、今はこれに頼るしかないわね。……静馬様のところへ行くから、あなた、供をしなさい」
深雪が普段と変わらない調子で命令を下したので、愛子は驚きを隠せなかった。
「あんな事をしたわたくしが、まだ深雪様のお側にいていいのですか!?」
「あら。あなた、生徒会を辞める気でいたの? 私は力の限り会長職を全うしようと思っているのに」
「それは、その……」
「……私は生徒会長であり続けたい気持ちを、なりふり構わず静馬様にぶつける。
 スピカ生徒会長にも、ル・リム生徒会長にも。心の赴くままに」
そういう深雪の瞳に、強い意志の光が宿っていることに愛子は気付いた。
「だから、あなたは私の一番近くでそれを見届けなさい」
「一番近くとは……どういうことですか?」
「考えればわかるでしょう。返事は?」
「はい。わたくしの深雪様!」
満面に微笑みをたたえた愛子は、これまでになく眩しい存在として深雪の瞳に映った。
(私も、こんな風に笑えるのかしらね)
深雪は内心で独りごちつつも、口をついたのは別の言葉だった。
「話の途中で静馬様に逃げられないようにしないといけないわ。あなたも手を貸して頂戴」
「もちろんです。深雪様のためなら、なんなりと」
「その言葉、覚えておくわ。行くわよ」
深雪が差し伸べた手を、愛子はごく自然に握り返した。
二人は並んで、生徒会室を後にした。
(了)

#お終いです。小説版の深雪と、愛子のキャラを掴めているか不安ですが……。
#読んでくれた皆さんには感謝です。
269名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 14:21:30 ID:9YlHjVvr
(1)で誤字。鞠子屋→鞠子谷、でした。申し訳ない……!
270名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 17:51:37 ID:Mx4LhI4+
>>268
小説版の深雪が静馬に向ける感情ってアニメみたいに親友以上ってのじゃないんだ。

小説版も見てみようかなって思った作品でした。
271名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 21:13:44 ID:Wz9q7bf8
すっっっげぇ良かった・・・ありがとう!!!深雪(てか生徒会長ズ)スキーな自分にとっては鼻血もんだよ。
俺もそんな風に書けるようになりたいわ〜!
272名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 21:58:59 ID:LNpSULj6
>>268に最大限の賛辞と感謝を贈ります!
素晴らしい!
273名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 22:44:53 ID:l22RZz2i
この勢いでめっちゃエロい千華留会長も……っっっ
274名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 12:55:24 ID:BRgCK6N3
バレンタインSSの準備は進んでる?
275名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 23:51:11 ID:Kcqrrt+1
補修がてら
>>274
わっわすれてた
276ある愛の戦い?(疑問形):2007/01/31(水) 00:18:29 ID:DOqzAMNI
昔々、あるところに王国がありました。その王国は巨大な領地を持っておりました。
その国のトップは、他国から“大王”と呼ばれ、色んな意味で恐れられてました。そう、色んな意味で。

その大王は、白くウェーブが掛かった長い髪を指で弄りながら、玉座で頬杖をついて退屈そうにしています。
この国は陽射しが強いんですが、肌は真っ白で日焼けなど皆無です。気温も高いので、服も薄い布地の白衣を身に着けてます。
「ねぇ、深雪」
名を静馬という10代の女性は、割と幼い口調で、傍らのブレーンに玉座から呼びかけました。
「何でしょう、姫さま」
優雅に蜂蜜入りのドリンクを、豪奢な造りのカップで飲みながら、宰相である彼女は答えます。大王なのに“姫”なのは仕様です。
「戦争したいんだけど」
「ぶ────っ!!!」
飲んでたドリンクを派手に吹き出し、ゲホゲホと咳き込む深雪という名の宰相。大王は足をパタパタさせて喜んでます。
「リアクションがベタねぇ、深雪」
「な・・・・・・何故、戦争を?」
お付きの者たちに床を拭かせて。その者たちを下がらせ、ようやく落ち着いてから深雪は尋ねます。
「可愛い子たちを増やすためだけど」
「分かりやすいですね・・・・・・」
この国では3桁の従者たち(全員女性です)が、大王の世話をしています。そして全員、大王に手を付けられてました。
「昔から戦争の理由なんて、そんなものじゃない?」
あっけらかーんと静馬さま。先代の国王が早くに亡くなり、10歳で即位した彼女はそれから今まで数え切れないほど戦争を行って。
そして、その全てに勝利して領土と人を得たのです。持って生まれたカリスマ性は、自国兵の力を5割増しで発揮させたのでした。
「ダメです。姫さまには、もっと内政について勉強してもらわないと」
意識的に“ツン”とした表情で深雪は拒絶します。姫の教育係でもある彼女は、何とか静馬を真人間にしたがってました。
「ねぇ深雪」
そんな宰相に声を掛けるや、玉座を降りると、正面から近づいていく静馬姫。
「世の中には、お勉強よりも大切なものって、あると思うの」
言いながら、ソッポを向いている深雪の首筋を撫でて、耳元で囁きます。13歳の時に、家庭教師として雇われた深雪は、
同い年の静馬に今と同じ事を言われて、その日の内に食べられちゃって。
今では静馬の一番のお気に入りとなり、王国でナンバー2の地位に居ます。政治などの細々とした事柄は、みんな深雪の仕事です。
「こう考えてくれないかしら? これは、課外授業。私は常に、外に出て見聞を広めたいのよ」
「ま・・・・・・まぁ」
薄い布地の上から、透けた胸の突起を撫でられて。怪しい理屈を聞きながら、妖しい気分にさせられた深雪ちゃんは、
「姫さまの教育係として、色々な経験を積んでもらう事には、やぶさかでは有りません」
と、いつもながら暴君に屈服させられました。
「じゃ、やっていいのね? 戦争」
「え、えぇ・・・・・・。だから、止めないで・・・・・・」
「OK。お礼も込めて可愛がっちゃう」
という訳で、次の日の朝まで寝かせて貰えないほど、深雪は満足させられて。1日ぐっすり寝てから、彼女は姫と共に出陣しました。
277名無しさん@ピンキー:2007/01/31(水) 01:38:45 ID:zfUL9Ozt
昔話系キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
278ある愛の戦い?(疑問形)2:2007/01/31(水) 01:43:57 ID:DOqzAMNI
変わって、こちらは、とある小国。この国も基本的に気温は高いんですが、標高が高く、涼しい風も吹いて過ごしやすい気候です。
そんな快適な気候もあってか、人々の性格は穏やかで。その国民を治める王様は、やはり穏やかで、温厚な人柄でした。
その国は、王様の名を取って、“玉青国”と名づけられてました。たまに“玉国”と縮めて呼ばれ、
王国と掛けたナイスジョークと好評でした。

「ふぅ。国を統治するって大変」
うら若き少女は城の中で、そう言って自分の肩を、手でトントンと叩きました。従者を侍らせてマッサージさせるような、
何処かの姫とは大違いです。
「蕾ちゃん。お茶を持ってきて」
側に控えている、背の低い女の子に、柔らかい声と表情でお願いする玉青姫。命令口調というものが、この人には全く有りません。
「は────い・・・・・・って、何で私なんですかぁ? 学園も違うのに・・・・・・」
呼ばれた従者の彼女は、何故か釈然としてません。
「何、訳の分からないこと言ってるの。この国、人材が少ないんだから、しっかりして頂戴」
あくまでも優しく叱り付ける玉青姫。彼女の言うとおり、小国のここは、姫以外に有能なスタッフもおらず。
国のあらゆる事は、姫が全て1人で行なってる状態でした。そりゃ肩も凝るってものです。
「はい、お茶ですよ姫さま」
「ありがとう・・・・・・いい香りね。お茶の入れ方、上手くなってるわ」
ニコリと微笑んで、従者を褒める玉青ちゃん。茶の淹れ方は、一から彼女が教えたものです。
自分でも良く、蕾ちゃんにお茶を入れてあげるので、どっちが従者か分かりません。
「あ・・・・・・ありがとうございます!」
思わず顔を上気させながら、名君の姫に仕える幸せを噛み締める蕾ちゃんでありました。

と、
「て・・・・・・敵軍です!!」
と報せの声。その声に、ゆっくりとカップを置いて、城の窓へと向かう姫。
小さな城は山の上にあって、窓から下界が見て取れます。そこに見えるのは、自国の人数よりも多い兵が、遥か下方から見上げる姿。
山の裾野で待機している大軍を見て、
「・・・・・・静馬姫ね」
と、ただ一言、彼女は呟きました。これだけの兵を動かせる大国は、他に思い当たりません。
「あ・・・・・・あああ、あの恐怖の大王!?」
横で蕾ちゃんが、蒼白になって叫びます。他国から静馬姫は、そう呼ばれてました。
「あの、戦争しては可愛い子をひっさらって、取っては食ってを繰り返してるイナゴみたいな人!!?」
害虫と一緒にされてますが、確かに実態は、全くその通りでした。
「落ち着いて、蕾ちゃん。迎え撃つまでよ」
敵兵に目を向けたまま、毅然と姫は言い放ちます。
「私の国民を、あんな野蛮な人の所には、絶対に行かせないわ」

「ここが、玉青国? あの城を越えないと、女の子を食べられないって訳ね」
馬上から、彼方の城を見上げ、深雪に語る静馬。玉青国は山々に囲まれた場所で、攻め落とすには難しい地理にありました。
「姫さま、もう少し言葉を選んでください」
渋い表情で、やはり馬上から静馬に告げた深雪は、ガイドブックを取り出します。
「これによれば、ここは気候も穏やかで税金も無し。善政も手伝って人心も良好。
したがって多くの美少女が大量発生している、とあります」
「パタリロのマリネラみたいな国ね・・・・・・」
妙な感想を述べながら、大いに闘志を燃やす静馬姫。
戦いの火蓋は、今まさに切って落とされようとしてました・・・・・・

とりあえず、ここまで。
279ある愛の戦い?(疑問形)3:2007/01/31(水) 07:24:08 ID:DOqzAMNI
「よ────し! 突撃!!」
馬上から後方の兵たちに向けて宣言した静馬姫は。その瞬間、
「姫!!!」
隣の深雪にハリセンでスパァーン!、とハタかれました。
「痛いじゃないの、深雪」
頭をさすりながら振り返る姫に、乗っている馬を寄せて、胸倉を掴みながら深雪は迫ります。
「どーして何時も、先頭に立って突っ込むんですか! 少しは自重してください!」
「いいじゃないの。いつも勝ってるし」
敗北を知らない静馬姫は、常に先頭で兵を鼓舞して、力任せに突っ込むスタイルが身に染み付いてました。
姫が敵の罠にも掛からず傷ひとつ負ってないのは、人並み外れた豪運のオカゲでもあり。
13歳の頃からは、いち早く敵の企みを看破して姫に伝える、深雪という名将を得たからでもあるでしょう。
「大体、いつも言ってるでしょう! 馬に乗る時はヘルメットを被るようにって!」
「嫌よ! 髪が乱れるもん!!」
“あの大王を、こうも叱り付ける人は深雪さまだけだなぁ・・・・・・”と、兵士達(全員女性)は感心しています。
「どうして言う事を聞いてくれないんですか! いつも私が、どれだけ姫のことを、心配・・・してる・・・と・・・・・・」
胸倉を掴んだまま手と声を震わせて、下を向いて深雪が泣き出すと、さすがの静馬姫も慌てます。
「み、深雪? ほら、兵が見てるわよ? ね、泣かないで、私の可愛い深雪・・・・・・」
ポンポン、と頭を撫でながら、幼子をあやすように静馬姫は繰り返しました・・・・・・

そんな様子を、山上の城から、遠眼鏡で玉青姫と蕾ちゃんは見ておりました。
「あの女の人、泣いてますね。何があったんでしょう?」
「さあ・・・・・・。あの人たちのやる事は、私には分からないわ」
玉青姫は、ただただ首をかしげるばかりです。
「女の人を泣かせるなんて、やっぱり静馬姫って悪い人ですね。蕾、許せません!」
「そ、そうね」
何だか燃えている蕾ちゃんに圧されて、ただ曖昧に応答するばかりの玉青姫でした。

結局、深雪の進言を聞き入れて、静馬姫は彼女と共に後方で待機する事にしました(ヘルメットの件は譲りませんでした)。
「敵の出方が分からないわ。だから第一部隊の後から、距離を空けて残りの兵は動くように」
深雪の指示によって、全軍の半数が、更に幾つかの部隊に分かれて進軍する事になりました。
山の上の城までは、極めて狭く険しい道があるのみで。大軍を展開するには非常に不向きなのです。
と言っても、静馬姫の軍は百戦錬磨。それに兵の数から言っても、まだまだ玉青軍よりは多いはずでした。
280ある愛の戦い?(疑問形)4:2007/01/31(水) 07:27:38 ID:DOqzAMNI
「道が悪いから、途中からは馬も使えないのね」
徒歩に切り替えて山を登る第一部隊を、下方から眺めながら静馬が呟きます。
「でも、変ですね。敵兵が、全く出てこないなんて・・・・・・」
とは深雪の疑問。城を越えれば、後は無防備な町があるのみです。こちらの兵が近づいてるのは分かってるはずなのに、
城からは一兵も出てくる気配が感じられませんでした。それが深雪にすれば不気味です。

「十分に、引き付けたわね」
会心の笑みを浮かべながら、城から敵兵の様子を窺っていた玉青姫は、コントロールパネルの前で待機してた蕾ちゃんに指示します。
「来たわ。蕾ちゃん、スイッチオン!」
「はい!!!」
ポチッとな、とスイッチが押されると、城の外壁の一部がパカッと開いて。そこから出てきたものは、カラフルなボール。
山の斜面を、ポヨンポヨンと弾みながら、色とりどりのボールが転がってきます。
「・・・・・・綺麗な光景ね」
何だろアレ、と静馬は口を開けてます。
「・・・・・・でもアレ、凄く大きいですよ・・・・・・」
と深雪。遠くから観てると分かりにくいんですが、ボールの直径は2メートル。ソレが勢いを付けて転がってくるから大変です。
「きゃああああああ!!?」
悲鳴を上げながら、斜面を駆け戻る先頭兵士たち。何人かは逃げ遅れて、ボールの下敷きになりました。
「あ、死んだかな?」
「・・・・・・いえ、無事みたいです。あのボール、かなり柔らかいですね」
地面にメリコミながら、それでもピクピクと、ボールに轢かれた兵は動いてます。
「怯むな! 剣で突き刺せ!」
逃げようとする馬を押さえながら、後方の部隊は前方へと指示します。勇敢な兵士が腰溜めに剣を突き立てると、ボールは割れて!
中からは、ドロリとした粘液が、勢い良く噴き出して。四方八方に飛び散った液体は、そこらじゅうの兵士を汚していきます。
「キャ──────!!! 白くてネバネバする──────!!! 変な匂い──────!!!」
ボールの中に詰められていた液体は、何か良く分からない理由で、兵士たちの生理的な嫌悪感を引き起こしました。
転がってきたボールは、岩などに当たって、次々に割れていきます。そのたびに噴き出す白い粘液に、兵士達はパニックを起こして。
「て、撤退! 撤退よ────!!」
百戦錬磨の静馬軍は、今やベソを掻きながら山を降りていきました。
「・・・・・・ね? 様子を見て良かったでしょう?」
「う・・・・・・うん」
深雪の言葉に、静馬は頷くしかありません。
「あれが髪に付くのは、嫌だなぁ・・・・・・」

玉青姫。またの名を、後世の伝記作家は、こう記しています。玉王(たまおう)と。
The king of a ball.彼女は歴史上、もっともタマとアタマを使った王であったと、その伝記には書かれていました。


まだ終わりじゃないですw 続きます。
281名無しさん@ピンキー:2007/01/31(水) 12:36:39 ID:mDkPsprj
今回もテンポ良く楽しい作品でした。
猛将タイプの登場を続編に期待します!
282ある愛の戦い?(疑問形)5:2007/02/01(木) 04:29:52 ID:Oc8DFuYz
「やったあ! 敵が逃げて行きます」
嬉しそうに下界を見下ろす蕾ちゃん。今さらながら、この装置を作った姫の頭脳に感心しています。
「これで国まで帰ってくれれば良いんだけど・・・・・・そのつもりは無さそうね」
玉青姫の言う通り、静馬軍は再び、最初の位置に兵を戻して城を見上げていました。
「それにしても、凄い光景ですね。白濁液だらけで、足の踏み場も無いくらい・・・」
ボールが転がった一帯からは、何だか変な匂いまで届いてきそうです。
「大丈夫よ。放っておけば土の養分になるから」
「・・・・・・あの粘液って、何で出来てるんですか?」
「知らない方がいいわ・・・・・・ふふふっ」
そう笑った玉青姫の横顔が、とってもブラックなものに思われて、蕾ちゃんは少々ゾッとしました。
「で、でも凄いですね! あの“恐怖の大王”をヘコませたし!」
何だか怖くなった蕾ちゃんは、意識的にハシャいだ口調で話題を変えてます。
「それも、あんなに相手をオチョくった完勝で! あんな勝ち方、姫さまにしか出来ません!」
従者からの絶賛の前で、しかし姫の表情は、やや憂いを帯びて。次の言葉は、蕾ちゃんにとっては意外でした。
「別に凄くないわ。・・・・・・人が死ぬのが怖いだけ」
ひとつ、溜息をついた後で、蕾ちゃんに対し、
「情けない王様でしょ?」
そう言った玉青姫の笑顔は、実に気弱になってます。
「そんなこと無いです! そんな優しい姫さまだから、みんな慕ってるんです! 蕾だって姫を・・・・・・」
「・・・・・・ありがとう、蕾ちゃん。大好きよ」
従者の頭を撫でながら、しかし、姫の心は晴れませんでした。
“あの大軍が、犠牲を恐れず突っ込んできたら・・・・・・。何人、死ぬのかしら? 私の軍と、向こうの軍は・・・・・・”

時は夜。静馬軍は見張り番を立ててから、めいめいに寝袋やテントによって野宿しています。
山の裾野に張られたテントの中で、特大のものが1つあって。中にはダブルベッドが“でん!”と置かれてます。
使っているのは、モチロン王国のナンバー1とナンバー2。深雪と静馬姫は2人きりです。
283ある愛の戦い?(疑問形)6:2007/02/01(木) 04:33:42 ID:Oc8DFuYz
「兵の士気は最低です。“汚れちゃった・・・・・・”と、何だか深刻に泣いてる子が、山ほど出てます」
毛布の中で、深雪は姫に報告しています。
「“あの粘液に満ちた道は、もう進みたくない”だとか、泣き言ばっかりです。片っ端からビンタで活を入れましたけど」
「んー。まともに戦えれば、私たちが負けることは無いんだけど・・・」
ころん、と仰向けになりながら静馬姫。裸の胸は動きに伴い、弾むように揺れました。
「向こうも知ってますよ、それは。だから城に篭って兵も出さず、トラップを発動させて」
ここで一旦、言葉を区切って。
「我が軍のプライドをズタズタにしたんです。それも、敵も味方も、1人の犠牲者も出さずに。大したものですわ、あそこの姫は」
皮肉な口調で、姫に現状を説明しました。つまり、このまま帰国すれば、王国の威信は地に堕ちると深雪は言ってるのです。
“無敗だった静馬姫は、小国の天才策士に完敗し、情けを懸けられて命は助けられた”と、
後世にまで、尾ひれの付いた噂が残りかねません。
「姫の威光が衰えれば、反逆の徒も出てきます。最初の動機はどうあれ、始めたからには、この戦いには勝たないといけません」
「かと言って、勝ったとしても私たちの被害が大きかったら、それはそれで国の衰退に繋がる・・・・・・か」

むー、と軽く唸って。
「どうしよっか、深雪?」
今度は寝返りを打って、体を彼女に向けて、軽ーい口調で尋ねる姫でした。
「考えるのは私なんですね・・・・・・」
「今回、力押しの戦いは有効じゃない。やれば最終的には勝つと思うけど、ダメージが大きすぎる」
不満げの深雪に、淡々と語る姫。やや考え無しの所はあっても、彼女は単なる猪武者では無いのです。
「だから深雪の頭脳が必要なの。ねぇ、あるんでしょ? 策が」
戦(いくさ)とは、要は勝てば良いのだと、姫はドライに割り切ってます。深雪の智謀に助けられた事は、過去に何度もありました。
「知りません。他所の国の女の子集めに夢中な人なんて」
プイ、と、姫に背を向けて。そのまま黙ってるのは、本人も気付いてないかも知れませんが、深雪なりの姫への甘え方なのでしょう。
「み・ゆ・き」
つつつー、と小指を、彼女の真っ白な背中で滑らせながら。クスクスと姫は笑います。
「分かってるでしょう? 私が必ず、最後には貴女の元に帰るって事は」
背中を弄られながら、深雪は黙ってますが。声が出ないように耐えているのは丸分かりです。
「ま・・・あ・・・、考え付いた事は・・・・・・あります・・・・・・けど」
やけに途切れがちながら、何とか深雪は言い終えました。
「・・・・・・でも、策というよりは博打です。成功するかどうか」
「博打は大好きよ。やってみましょ?」
会議は終わりです。彼女達はベッドで、最も大好きな事に、遠慮なく没頭していきました。
284ある愛の戦い?(疑問形)7:2007/02/01(木) 23:12:50 ID:Oc8DFuYz
翌日、深雪の指示によって、何人かの兵は奔走させられました。
やっつけ工事で、木造の小屋を作らされ、そこは簡易の“工房”となりました。
「これだけの大きさの、大理石が必要よ。そして工具一式を至急、取り揃えて」

「何か始めましたけど・・・・・・何なんでしょう?」
城から遠眼鏡で、下方を覗きながら不思議がる蕾ちゃん。
小屋をカバーするように、大勢の兵が常に取り囲んでて、何をしてるかは見えません。
「分からないけど・・・・・・こっちからは動きようが無いのよね・・・・・・」
玉青姫も小屋で何が行なわれているか、気になってますが。それを確かめるために大軍めがけて出陣するバカも居ないでしょう。
数日後、小屋の中には入れ替わり立ち代わり、人が出入りを始めて。何かを中に運んでるようですが、周りの人間が多すぎます。
何が運び込まれたのか、何人が出て入ったのか、上からは窺い知れない状況です。

ある日の朝。全く静馬軍が攻めてこないので、玉青姫はノンビリ入浴中でした。やっぱり朝シャンは気持ちよいものです。
「ひ・・・・・・姫さま! 姫さま────!!」
そこに慌てて蕾ちゃんが踏み込んできます。平和なときは、2人はお風呂でイチャツク仲ですが、今の従者は服を着たままです。
「どうしたの!? 敵が攻めてきた? さっき私が見た時は動いてなかったけど」
湯に浸かりながら、彼女の様子にビックリの玉青ちゃんです。
「敵が来たら1番のボタンを押すようにって言ったでしょ? 音楽を聴きたかったら2番のボタン。オヤツが出るのは3番よ?」
あらゆる事態を想定して、どのボタンを押せば良いか事前に説明してた姫は、もう一度それを繰り返しました。
「そうじゃなくて、敵が・・・・・・敵が・・・・・・」
アワアワするばかりの蕾ちゃんは、ちょっと深呼吸してから報告します。
「帰っちゃいました! 一兵も残らず!」
ザバァッ!、と音を立てて、玉青姫は湯船から立ち上がりました。

“引き揚げた・・・・・・? あの静馬姫が、こうも簡単に・・・・・・?”
遠眼鏡で確認しながら、それでも玉青姫は、事態が信じられません。
姫が見ている前で静馬軍は、もと来た道を戻って、小山を越えて去っていきました。
ひょっとしたら、小山の向こうに待機してるかも知れませんが、
玉青姫の城まで続く山道付近までは何時間も掛かる距離です。わざわざ後退する理由が分かりません。
「勝った・・・んでしょうか」
同様に信じられない表情の蕾ちゃん。玉青姫は、その時になって、あの木造の小屋が取り壊されてる事に気付きました。
“そういえば、あの小屋も訳が分からないわ。・・・・・・中で何をしていたの?”
小屋のあった辺りに視線を向けると。引き揚げていく大軍にばかり気を取られていた姫は、初めて、あるものを確認します。
「あ・・・・・・あれは!!?」
285ある愛の戦い?(疑問形)8:2007/02/02(金) 00:23:35 ID:gU/UNlMo
「姫さま、危ないですってば! 回収は私たちが行ないますから・・・・・・」
「いいえ、私の目で確認します! 大丈夫よ、伏兵もいないみたいだし」
蕾ちゃんを含めた少数の従者と共に、城から出て山道を下り、玉青姫は小屋が元あった場所へと向かいました。
そこにあったのは、神が創ったとしか思えないほどの、美しい大理石の彫像です。
「何て・・・・・・素晴らしい・・・・・・」
彫られていたのは、1人の少女の姿。まるで舞踏会に行くようなドレスを着ています。下方は裾の膨らんだスカートで、
すっぽりと足は隠れた姿。彫像の底辺は、モビルスーツのジオングのような状態で安定してます(だから直立できるのです)。
フィギュアを持ってれば、2足キャラは土台無しでは直立が難しいということが、良く分かるでしょう。
ちなみに彫像の底面は、ただの石です。スカート内部までは彫られてないので、引っくり返してもパンツは見えません。
「ホントに凄いですね・・・・・・国宝級ですぅ・・・・・・」
蕾ちゃんも目を丸くしてます。これが小屋の中で作られたのなら、どんな人が彫ったんだろうと思考中です。

そんな蕾ちゃんの横で、うっとりと玉青ちゃんは、彫像の顔を見つめてました。
“何て・・・・・・可愛い瞳・・・・・・。唇も柔らかそう・・・・・・”
自分と背丈も変わらない少女の彫像は、微笑みを持って姫の視線を受け止めます。
“そして、スカートの前で恥ずかしげに組まれた指先の可憐さ・・・・・・! ああ、何かしら? この胸の高鳴りは・・・・・・!”
「はぁぁぁぁん!! たまりませんわ!!!」
「姫さま!!?」
何やら発作を起こした姫さまを、一同がギョッとして見つめます。
「あ。だ、大丈夫よ。さぁ、お城まで持っていきましょう?」
遠目に見た時から、この彫像に惚れこんだ姫さまは、お城の中にコレを飾ろうと即断していました。
「でも、本当に良いんですか? 敵が残したものなんて、あからさまに怪しいですけど・・・・・・」
蕾ちゃんとしては玉青姫の、彫像への入れ込みようが、何だか面白くありません。
「何を言ってるの! こんな美しいものが怪しいなんて失礼でしょう! ほら手伝って」
明らかに理性が飛んだコメントを残して、玉青姫は彫像を動かそうとしています。
「いえ、力仕事は私たちがしますから! 第一、大理石の彫像って重いはず・・・・・・ってアレ? 意外と軽い・・・・・・」
「好都合だわ。みんな、頑張って運んでね!」
こうして姫の声援のもと、少女の姿をした彫像は、お城へと運ばれていきました。

その夜。姫の寝室に置かれた彫像(“この子に見つめられながら、毎晩、眠りに就きたいわ”というのが姫の希望でした)は、
中からカチャリと音がして。背後のスカートの辺りから、フタが開くように彫像の一部が取れて。
彫像の中からは、何者かが出てきます・・・・・・
286ある愛の戦い?(疑問形)9:2007/02/02(金) 00:32:03 ID:gU/UNlMo
“あ・・・・・・暑かったですー!”
彫像の内部は空洞になっていて。そこから汗だくで出てきたのは、静馬軍の1人、千代ちゃんです。
一応、ちょっとした覗き穴と空気穴はあるんですが。彫像の中は通気が悪く、蒸し風呂のようなものでした。
今回の作戦で千代ちゃんが選ばれたのは、単純に静馬軍の中で、最も体が小さかったからであります。
やけにスカートが膨らんだ造りだったのは、人が入るスペースを用意するためでした。

“ううう・・・・・・まだ頭がボーッとします・・・・・・”
寝室に彫像が運ばれたのは、まだ日も高い頃で。部屋は無人の時間帯もあったし、
彫像から出て、ベッドの下に隠れる事も出来たかもですが。
万が一にも見つかってはならじ!と、生真面目な千代ちゃんは中でガマンしてたのでした・・・・・・午前2時まで。
もっとも現在、彼女は意識が朦朧としてて、かなりヤバイ状態です。
“向こうの姫さまを押さえなきゃ・・・・・・。今なら、もう寝てるはず・・・・・・”
足音を立てないようにと、それだけを考えて、ベッドの方へと向かう千代ちゃん。その耳に聞こえてきたのは、可愛らしい嬌声。
“ん・・・・・・?”
徐々にハッキリしてきた意識の中で、ぼやけていた視界も戻ってきます。その千代ちゃんが見たのは、姫と従者が絡み合う姿。

ランプの薄明かりの側で、従者をうつ伏せに寝かせ、体をいじくり回す玉青姫。
彫像の中で、半ば気絶してた千代ちゃんは気付いてませんでしたが、もう2人は何回戦も励んでおりました。
「ふふ・・・・・・蕾ちゃんの蕾は、可愛いわね・・・・・・。薔薇の色だわ・・・・・・」
「やぁん・・・・・・じらさないでください。姫さまぁ・・・・・・」
“つ・・・・・・蕾ちゃんの蕾って?! 薔薇って?!!”
カルチャーショックを受けて、千代ちゃんは金縛りとなってます。
「あら?・・・・・・」
人影を感じて、千代ちゃんに目を向ける、玉青姫と蕾ちゃん。たっぷり3秒、間は空きました。
「キャ────!! あなた、誰!!?」
「ご、ごめんなさ────い!!!」
何故か道徳的に、謝らずには居られなかった千代ちゃんに対して、
「おのれ、曲者!」
枕の下から短剣を取り出し、豹のような身のこなしで、ベッドから飛び掛かる蕾ちゃん!
闖入者の心臓をめがけて短剣は振り下ろされます。
すっ、と目を細めたのは千代ちゃん。刃物を持った相手の右手を、正面から左手で、内側から逆手に捕って。
円を描くように、右手を添えて外側へと“ぶんっ”と振ります。
ベスト・キッドでミヤギさんが教えた、ワックスがけの“レフト・サークル”な動きです。
「ひゃああああああ!!?」
愉快なまでの勢いで、千代ちゃんの左方へと素っ飛んでった蕾ちゃん。呆然としている玉青姫に近づくと、
投げの瞬間に右手で蕾ちゃんから奪った短剣を、千代ちゃんは喉もとに突きつけます。
「姫さまの命が惜しくば、城のトラップを解除してください!」
こんな状況でも敬語を忘れない千代ちゃんは、彼女の家に代々伝わる、武道の後継者でありました。
「だ、駄目よ! 蕾ちゃん、言う事を聞いては駄目!!」
姫の必死の声に、しかし床に倒されてた蕾ちゃんは、哀しげに裸体を起こして。
「ごめんなさい・・・・・・蕾は、姫さまの事が大事です・・・・・・」
うなだれると、コントロールパネルに向かって歩き出し、全ての装置を停止させました。
287ある愛の戦い?(疑問形)10:2007/02/02(金) 02:55:22 ID:gU/UNlMo
姫を人質とした千代ちゃんの指示によって、城の上部では火の点いたタイマツが振られ。
小山の向こうで待機していた静馬軍は、合図を確認した偵察部隊を先頭に、悠然と戻ってきます。
朝日が昇る頃には、無血開城によって、静馬姫は玉青国に足を踏み入れてました。

「悔しいわ・・・・・・あんな人の所に、民を連れて行かれるなんて・・・・・・」
城の窓から下界を眺めながら、玉青姫はボヤキが止まりません。
町に自ら出向いて、品定めを済ませた静馬姫は、数百人ばかりの美少女たちを連れ帰っていきました。
しかも玉青姫が魅せられた彫像も、持ち去られてしまって。あの少女の彫像を城に入れた事が敗因でしたが、
それでも姫は、あの芸術品への未練を断ち切れませんでした。姫の側では蕾ちゃんが、一生懸命、慰めてます。
「でも、みんな結構、喜んでましたよ。『キャー、静馬姫って素敵!!』とか言いながら」
「言わないで・・・・・・それも何か、イヤだから・・・・・・」
しかし被害と言えば、それくらいで。向こうの属国になる事も無く、
これまで通り、玉青姫は国を治めて行くことが出来ます。その事が蕾ちゃんは嬉しいようです。
「それに、引き換えに百人ほど、静馬姫は配下をコッチに残していきましたし」と、蕾ちゃん。
「『この子たち、玉青姫に心酔したみたい。だからプレゼント』ですって」
「トレーディングカード感覚・・・・・・?」
玉青姫は、まだ何か釈然としてません。

「でも・・・・・・誰も、死にませんでした。それは、姫さまの手柄です」
力強い口調の蕾ちゃんに、“え?”と驚く玉青姫。
「あの乱暴な静馬姫が、あんなに平和的に、配下まで与えて去っていくなんて。絶対、姫さまに影響されたんです」
玉青姫は、首をかしげてますが。蕾ちゃんの中では、それは確信と言えるものでした。
「そうかしら・・・・・・? でも・・・・・・まあ」
数瞬、考えてから、
「あの人に、いい影響を与えられたなら嬉しいわ・・・・・・世界が平和になるし、ね」
そう言って、蕾ちゃんと顔を見合わせると。玉青姫は初めて、従者と一緒に、明るく笑いました。
「どう、蕾ちゃん? 今は静馬姫のこと、少しは好きになった?」
戦いが始まる直前に、彼女が激しく静馬姫を批判してたのを思い出して、玉青姫は尋ねます。
「いいえ、ハッキリそしてキッパリ嫌いです」
と、そこは1ミリも譲らない蕾ちゃんは、途端に顔が赤くなって。
「だって、あの侵入者に聞かれちゃったんですよ? つ・・・・・・蕾ちゃんの蕾は、薔薇色だとか・・・・・・」
はぁ────、と深く溜息をつく姫と従者でした。
「そうだったわね・・・・・・。静馬姫に、あの子が変なことを話さなければいいけど・・・・・・」
そして姫は、蕾ちゃんに悪いと思いながらも、もう一度。あの彫像の、優しい微笑みを思い返してました。

「いやー。大漁、大漁」
ホクホク顔の静馬姫と、そんな姫にジト目を向けた深雪は、兵を率いながら馬で帰国中です。
「それにしても凄かったわね、あの彫刻。まるで生きてるみたいじゃない」
と彼女が褒めるとおり、玉青姫の心を奪った像を彫ったのは、宰相の深雪でした。作戦の結果を考えれば、悪魔的と評すべき技術です。
彫像について深雪は、“もう不要だから捨てましょう”と言ったんですが。“もったいないわよ!”と姫の命令で、兵士に運ばせてます。
「大したことじゃありません。あんなもの、嗜みの一つです」
「いや、普通、アレ1日じゃ彫れないって。どれだけミケランジェロが苦労したと思ってるのよ」
時代考証を全く無視したセリフを吐きながら。内心、静馬が恐れていたのは、
深雪が独力で大理石の、彫像内部の空洞をくり抜いたという事実です。
彫像を壊さぬよう、細心の注意を払いながらの作業で、それには2日掛かりました。
“あんな細い腕の何処に、そんな膂力があるのかしら・・・・・・”
深雪の事は、なるべく怒らせないようにしよう。そう思う、ちょっとドキドキな静馬です。
「それにしても、彫刻を彫った小屋だけどさ。ずいぶん厳重に警備してたわよね? そんな必要あった?」
「理由は3つあります。1つは、私が作っていたものが何か、万が一にも悟らせないため。城から私たちは見られてました」
「何で分かるの?」
「城の窓辺りから、遠眼鏡で見てたんでしょう。日光を反射して、キラキラ光ってるのが見えました」
はぁー、と静馬姫は感心しています。そんな彼女に、“それくらい気付けよ・・・”と、深雪は少しオカンムリです。
「モノが何か分からないよう、焦らしに焦らせば敵も興味を持ちます。興味を持ってくれないと、この作戦は成功しませんから」
288ある愛の戦い?(疑問形)FINAL:2007/02/02(金) 03:49:39 ID:gU/UNlMo
「理由の2つ目は?」
「小屋に入る人間が誰か、認識しにくくするためです。あれだけの人数が周囲に居て、しかも出入りが多ければ」
ここで珍しく、いたずらっぽく笑って、
「小屋に入った人間が1人、出てこなくても分からないでしょう?」
と深雪ちゃん。彫像の中に入れば、その人間は、確かに小屋からは出てこれません。
「じゃ、最後の3つ目教えて?」
「小屋があった位置を、敵に印象づけるためです。どうせ小屋は取り壊す予定でした」
少しでも姫の勉強になるようにと、深雪は丁寧に説明します。
「今まであった建物が、ある日、急に無くなれば驚くでしょう。小屋の残骸の前に彫像を置けば、注目されやすかったんです」
「そんな事しなくても、小屋の前にでも彫像を置けば良いんじゃない?」
「駄目ですよ。普通、思うでしょう? “あの小屋の中に、兵が居るのでは?”って」
水が流れるように、よどみなく深雪は語りました。
「変に警戒されて、時間を掛けられては困るんです。像の中に居る子が死んじゃいますから」
「色々、考えてるのねぇ・・・・・・」

「まあ、運も良かったんです。あの像が宝物庫にでも入って、鍵を掛けられれば策は失敗したでしょうし」
そう肩をすくめて見せる深雪です。が、
「・・・・・・でも、無かったわよね。あの城に宝物庫なんて」
それすら深雪は予想してたんじゃないかと、静馬は疑いたくなります。
「あの国には、税金が無い。お城にあった昔からの宝物は、換金していったんだろうね。重税を課して贅沢する王も居るのに・・・」
そんな事なら、あの彫像は、玉青姫にあげても良かったかなぁ。そう思ってる静馬姫です。
「国の大きさや戦歴よりも、大切なものってあるのね。どれだけ民を愛し、幸福を願い、守っていくか・・・」
独り言のように、そう呟く静馬姫を、ちょっと驚きながら深雪は見つめてました。
「名君、だったわね・・・・・・まさしく」
そう言った姫に、好機到来と見て、深雪は話してみます。
「姫。戦争の件ですが・・・・・・これからは程々に、お願いします」
「うん・・・・・・そうする」
思いのほか、素直な返事が返ってきました。なので続けて、言ってみます。
「そして、内政にも力を入れてください・・・・・・あの、玉青姫のように」
「いいわ・・・・・・。だから、色々と、これからも教えてね。深雪・・・・・・」
最高の展開です。内心、握りこぶしで、ガッツポーズを決める教育係・深雪でした。

「ところでさ。あの彫刻って、モデルは居るの?」
ふと気になって、静馬は尋ねてみました。
「特に居ません。そこらに居る庶民の、やたら元気なドジッ子タイプをイメージしたら、ああ成りました」
何故か敵意すら込めた口調で、深雪は答えます。
「玉青姫は、普通の民を愛する方です。ああいう聡明な方は、頼りないドジっ子に萌えるかと思いまして・・・・・・」
そこまで言ってから、急速に不安そうな表情となった深雪は、
「・・・・・・姫さまも、ああいう子が、お好きですか?・・・・・・わ、私などより・・・・・・?」
おびえたような目を、姫へと向けてます。
「・・・・・・ううん。もし私が王で無くて、違う世界、違う人生を生きてたら、ああいう子と結ばれたかも知れないけど・・・・・・」
言いながら、優しい視線を返す静馬姫は、
「今の私に取って、一番は深雪よ。貴女以外は、考えられない」
と、心からの愛の言葉を述べました。これで暫くは、愛人めぐりにも深雪ちゃんは寛容でいられるでしょう。
「それにしても、今回の功労者は千代ちゃんって言ったっけ? 将軍に出世させるべきよね」
と、姫は恩賞について考え出しました。
「直々に褒めてあげたいな。今、何処に居るのかしら?」
「それが、体調を崩して、今は馬車で寝込んでます。良く分からないんですが、“バラのつぼみ”がどうとか、うなされてるようで・・・」
「それは興味深いわね。いいわ、私が後で、詳しく話を聞いてみる」・・・・・・
こうして、色んな事がありながらも。様々な愛が絡み合った(?)、今回の戦いは、幕を閉じたのでした。


こんなオチで良いのかな?(疑問形)
289名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 19:33:29 ID:mPl6V/pT
>>288
今更だがすっげー面白かった!乙!
何か俺こういう昔話的なというかそんなのに弱いみたいだww
290聖母ちかるん1:2007/02/03(土) 13:22:53 ID:aHGk4Yn0
 涼水玉青は渚砂のベッドに潜り込み、枕に顔を埋めた。
「すーはー、すーはー」
 渚砂の残り香を胸一杯に吸い込み、玉青は光悦とした表情を浮かべる。
 今、渚砂は空き部屋で静馬と情事の真っ最中のはずであり、この部屋は玉青だけの領域なのだ。
 匂いを堪能した玉青は、ベッドから降りて渚砂の箪笥に手を伸ばす。
 引き出しを開けると、そこには色取り取りの下着が詰め込まれていた。
「はあ……はあ……」
 玉青は荒い息を吐きながら、敷き詰められた下着の中から小さなピンクのリボンの付いた純白のショーツを取り出す。
(渚砂ちゃんの、渚砂ちゃんのパンツ……。た、堪りませんわ!)
 興奮と緊張で震える手を動かして、玉青はパジャマと下着を脱ぎ捨て全裸になり渚砂のショーツに足を通す。
 扉の鍵はしっかりと閉めてあるので有り得ないが、もし誰かに見られたらと思うと玉青の心臓は一層高鳴った。
 ドキドキしながらゆっくりとショーツを引き上げていく。
 布地が無毛の秘裂に達すると妖しい快感が押し寄せてきて、玉青は秘部から愛液がトロリと漏れ出てくるのを感じた。
 次に渚砂のブラを着けてみる。
 サイズが小さいので着ける事が出来るかどうか心配だったが、多少苦しいもののなんとか大丈夫のようだった。
 最後に渚砂の制服を着込むと、玉青は自分自身を抱きしめるように腕を交差させて両肩をギュッと掴んだ。
「ああ、私の渚砂ちゃん……渚砂ちゃん!」
 イケナイ事をしている背徳感と、渚砂の衣服に身を包まれている幸福感に、玉青はぷるぷると身を震わせた。
(このまま外に出ればもっと気持ちよくなれる気がしますわ!)
 感極まって慌ただしく扉を開け放ち廊下に飛び出す。その途端、部屋の前を歩いていた人影とぶつかり、玉青は尻餅を着いた。
「いたたた……」
「だ、大丈夫?」
 強かに打ちつけたお尻を痛そうに擦る玉青に、ぶつかった相手は心配そうに声を掛けてきた。
 相手の方は、衝突の後にステップで体勢を立て直したため転倒を免れたようだった。
「立てるかしら? 怪我はない?」
 優しく気遣ってくれるその声に聞き覚えがあり、玉青はハッとして顔を上げる。
「ち、千華留様……」
 目の前にいる人物は、ル・リムの生徒会長、源千華留だった。
「玉青ちゃん、大丈夫?」
「あ、はい」
 玉青は千華留が差し伸べた手を握ってゆっくりと立ち上がった。
 渚砂の服を着ている後ろめたさから、玉青は無意識に少しでも服を見られまいとして、手を胸元に置いた。
「ん……?」
 秘密部部長である千華留の並外れた観察眼がそんな些細な仕草から何かを感じ取ったのか、千華留はじぃっと玉青を見つめた。
「んん……?」
 さらに、毎日のように様々な衣服を作っている変身部部長としての直感からか、玉青の着ている制服に違和感を覚えたようだった。
「な、なんでしょうか?」
 不審に思われていることを察して、玉青は顔を引き攣らせている。
「ごめんなさい、なんでもないわ。それよりお尻、大丈夫? 痛くはない?」
「は、はい。もう大丈夫です」
「そう。でも念の為、薬を塗った方がいいわね。私の部屋に塗り薬があるから、一緒に行きましょう」
「え? で、ですが……」
 勘の鋭い千華留を警戒している玉青に、千華留は優しく微笑みかける。
「いいからいいから。玉青ちゃんとは一度ゆっくりお話ししたいと思っていたし。もう詮索もしないから、ね?」
 千華留の言葉に玉青は安心してコクリと頷いた。
291聖母ちかるん2:2007/02/03(土) 13:24:58 ID:aHGk4Yn0
 先に千華留が部屋に入り、玉青を招き入れる。
「ここが私の部屋よ。さあ、入って」
「はい。失礼します」
「変な所を漁ったりしちゃ駄目よ?」
「ご安心ください。千華留様自作の百合小説をベッドの下から掘り出したりはしませんので」
「なんでそれを知ってるのっ!?」
「え? 本当に有るんですか?」
「じょ、冗談だったの? ……あ、ちが、今のなし」
 千華留はフルフルと頭を横に振った。
「そんなのあるわけないじゃない。冗談よ。玉青ちゃん、信じちゃったの?」
「…………」
「ほ、本当よ? ル・リムの生徒会長である私が、夜な夜なこっそりとそんなものを書いているはずがないでしょう? ありえないことよ。
なんなら調べてみる? あ、で、でも、何も出てこないから意味はないわよ? 無駄な徒労に終わるだけね。お勧めはしないわ。
やめたほうがいいわね。うん、やめなさい。というより、お願いだからやめて下さい」
「千華留様、もう分かりました。分かりましたから……」
「そう。分かってくれればいいの。えっと、あれ? ごめんなさい、私ちょっと混乱してて。何のために二人で私の部屋へ来たのだったかしら?」
「ですから百合小説の――」
「その話は終わったの!」
「あら、間違えましたわ」
「本当に!? ワザとやってない!?」
「とんでもありませんわ」
「全くもう……。ああ、そうそう。思い出した。塗り薬ね。玉青ちゃん、そこのベッドに腰掛けてちょっと待っててくれる?」
「はい」
 千華留が棚から救急箱を取り出して、塗り薬を探し始める。
 その間に言われた通りベッドの淵にちょこんと座った玉青は、千華留の後ろ姿をぼんやりと見つめた。
(ル・リムの聖母……。千華留様がそう呼ばれて慕われている訳が少しだけ分かった気がしますわ)
 まさか本当に百合小説がこの部屋にあるはずはない。玉青の緊張を解すために、千華留は道化を演じてくれたのだ。
 玉青は千華留の気遣いに頭が下がる想いだった。
 そもそも、体当たりをかましたのは玉青の方であるにも拘らず、これほど親身になってくれるだけでも充分に優しいと言える。
 しかしそれだけではなく、玉青の着ている制服に思う所がある様子だったのに、全く何の言及もしないでさえいてくれた。
 普通なら、問い詰めるとまでは行かなくとも、ちょっと聞いてみるくらいはしてしまう所だろう。
 千華留はそれすらも玉青を困らせることになると察して、自制してくれたのである。
 思い遣りの心もここに極まれりといった感じだ。
 千華留の優しさに触れて、玉青は胸が暖かくなったような気がした。
「あったわ。多分これね」
 程なくして千華留が玉青を振り返って近づいて来た。手には塗り薬の入っているチューブが握られている。
「あの……今、多分って言いませんでしたか? 本当にそれ、打ち身用の塗り薬で合ってます?」
「ん、ちょっと種類が多くて分かりにくいのよ。でもこれだと思うから大丈夫よ……多分」
「また多分って言いましたわ!」
「大丈夫大丈夫。細かいことを気にしすぎよ、玉青ちゃん。それより――」
 千華留が満面の笑みを浮かべて言葉を繋ぐ。
「折角だから、これ、私が塗ってあげるわ。うつ伏せになってくれる?」
「…………」
 どうやら先ほどは千華留をいじくり過ぎたようだった。早速反撃に出てきたのだ。
 しかし、玉青はそんな千華留に見惚れていた。
 小悪魔的な笑みを浮かべている千華留の姿は余りにも魅力的だった。
 優しく相手を包み込む聖母としての側面を垣間見た直後だけに尚更だ。
「はい、千華留様」
 玉青は無意識のうちに返事をしていた。
292聖母ちかるん3:2007/02/03(土) 13:27:07 ID:aHGk4Yn0
 千華留にスカートを捲り上げられて、ベッドの上でうつ伏せになっている玉青のショーツが露わになる。
 つい千華留の魅力に翻弄されて承諾してしまった玉青だったが、激しい後悔に襲われていた。
 お尻に薬を塗ってもらううなんて恥ずかしい、という考えにようやく辿り着いたのだ。
 しかし今更逃げるわけにも行かず、玉青は頬を染めて羞恥に耐えている。
「あ、あら?」
 しばらく玉青のショーツをうっとりと眺めていた千華留が、不意に戸惑いの声を上げた。
「どうしました?」
「……別に、なんでも、なんでもないわ」
 明らかにうろたえている千華留の様子に、さすがに玉青は不安になった。
 少し考え込んで、玉青は一つの可能性に行き当たり、慌てて身体を起こして下着を確認した。
「渚砂ちゃああああんっ!」
 予感が当たり玉青は思わず絶叫した。
 渚砂の下着を愛でている時は興奮の余り全く気付かなかったが、下着にバッチリ『蒼井渚砂』とマジックで書かれていたのだ。
 寮の規則で下着に名前を書くことにはなっている。
 けれど、一年生ならともかく、四年生にもなってそんなことを守っている生徒はまずいない、はずだった。
 編入生である渚砂はそんなことは知らずに、せっせと下着に名前を書き込んでいたのだろう。
「あ、あの、千華留様……」
 言い訳をしようとして玉青は顔を上げた。千華留は呆然として固まっていた。
 玉青はこれから自分がどうなるか分からず、気が遠くなりそうだった。
 最悪の場合、シスターに報告されてしまうかも知れない。そうなれば、渚砂にもバレてしまうだろう。
 恐る恐るもう一度玉青が声を掛けようとした時、突然千華留が親指をグッと突き出した。
「ナイスよ玉青ちゃん! 常日頃から変身しているなんて恐ろしい才能だわ!」
 目を輝かせた千華留が正面から玉青の両肩を掴む。
「玉青ちゃん、変身部に入らない?」
「え、えっと……変身部?」
「そう。私の作った衣装に着替えて変身する部よ。玉青ちゃん程の逸材なら即レギュラー間違いなしよ!」
「で、でも私、文芸部に入っていますので……」
「そうなの? でも大丈夫よ。我が部は掛け持ちもオッケイだから」
「あ、で、では、よろしくお願いします」
 助かったことを悟った玉青は、安堵の余り思わず変身部への入部を受け入れてしまった。
 けれど不思議と後悔はない。千華留と一緒に居られるのならそれも悪くない、と玉青は思い始めていた。
「玉青ちゃんの隠れた才能については誰にも言わないから安心してね」
「は、はい。ありがとうございます」
「それに実は私も、詩音さんの制服をこっそり着てみたことがあるのよ」
「詩音さん? どこかで聞いたことがある名前のような……」
「冬森詩音。スピカの生徒会長のことよ」
「ああ……あのデコッパチですか」
「た、玉青ちゃん?」
「あら、口が滑りましたわ」
「滑り過ぎよ!」
「冗談です」
293聖母ちかるん4:2007/02/03(土) 13:29:19 ID:aHGk4Yn0
 もう一度うつ伏せになり、玉青のスカートが捲り上げられる。
 渚砂のショーツもするすると膝まで引き下ろされ、染み一つないお尻が丸見えになった。
 玉青は恥ずかしさの余り顔を真っ赤にしている。
「ジッとしててね、玉青ちゃん」
 塗り薬をたっぷりと浸けた千華留の掌が、玉青のお尻に接触する。
「あ、あう。つ、冷たいです」
 冷え切った薬の感覚に玉青が声を上げた。
「我慢してね。すぐに慣れると思うから」
 千華留は優しく玉青の臀部全体に手を這わせて塗り薬を広げていく。
「あっ……ん……んん……」
 千華留の言う通り、塗り薬の冷たさにはすぐ慣れたが、今度は千華留の手の感触が気になってきた。
 くすぐったいのを堪えて身をよじるのを我慢しているうちに、玉青の口から少しずつ嬌声が漏れ出す。
 繊細な手付きで何度もお尻を撫で回されると、秘裂がじんじんと疼いてくるのだ。
 このままでは思わぬ痴態を晒しかねなかった。
 一旦手を止めてもらおうと、玉青は首を捻って肩越しに千華留を仰ぎ見る。
「…………」
 扇情的な光景が目に入り、玉青は言葉を失った。
 千華留が頬をポウッと赤く染め、夢中になって玉青のお尻に薬を塗り込んでいたのだ。
「ん? ど、どうしたの、玉青ちゃん?」
「あ、いえ。なんでもありませんわ」
 玉青は慌てて誤魔化しながらも、千華留から目を離すことができなかった。
(聖母千華留様が私のお尻を触って興奮して下さるなんて……)
 だんだんと実感が湧いてくると、同時に嬉しさも込み上げてくる。
 もっと千華留に喜んでもらいたいと心の底から思った。
 玉青は今まで迷惑を掛けた分を取り戻すつもりで、勇気を出して誘いを掛ける。
「千華留様、あの、お股の方も塗ってもらえますか? そこも打ち付けてしまったような気がしますわ」
 言われた通りに千華留は玉青の股間に手を滑らせる。
「玉青ちゃん、こ、このへん?」
「もっと、もっと下です……ひゃうんっ」
 秘部に千華留の指が当たって快感が走り、玉青の身体がビクンと跳ねた。
「そのへんです、千華留様。その辺りに一杯塗り付けて下さいっ」
「わ、わかったわ」
 玉青の恥部が千華留の掌でピタリと蓋をされた。
 千華留はゆっくりと手を上下させて、玉青の秘唇を擦り上げていく。
 掌に刺激された淫部から愛液が流れ出て、塗り薬と混ざり千華留の手を濡らす。
「あふっ……はあ……あっ……」
 くすぐったいような気持ち良いような弱々しいタッチに翻弄され、玉青は嬌声を抑えることができなかった。
 次第に気持ちが上り詰めて来るのを感じて、再び首を捻り千華留に視線を向ける。
 今度は千華留の手を止める気はない。ただ千華留の顔が見たくなったのだ。
 顔を上気させて夢中で自分の柔肉を擦ってくれている千華留を見て、玉青は愛おしさで胸が一杯になった。
 玉青の視線に気付き、千華留が動きを止める。
「な、なに? 玉青ちゃん」
「あああ、千華留様、手を止めないで下さい」
「ご、ごめんなさいっ」
 慌てて愛撫を再開する千華留。
 途端に玉青の下半身へ快感の波が駆け上がってくる。
「も、もうイキそうですわ。イッてもいいですか?」
「いいわよ。玉青ちゃんのイクところ、私に見せてちょうだい」
「ん、あ……イキますっ!」
 玉青の身体がビクビクと痙攣する。
 淫裂から愛液が噴出して、秘唇を塞いでいる千華留の掌に次々と当たった。
 玉青の艶めかしい蜜が千華留の手の平から漏れて、トロトロとシーツの上に流れていった。
294聖母ちかるん5:2007/02/03(土) 13:31:28 ID:aHGk4Yn0
「本当に可愛いわ、玉青ちゃん」
 絶頂を終えてぐったりしている玉青の頭を千華留が優しく撫でる。
「んん……」
 玉青は心地良さそうに目を閉じて余韻に浸っていた。
 ひとしきり穏やかな時間を堪能した後、玉青は千華留にも気持ち良くなってもらおうと思って口を開く。
「千華留様、ぶつかった時に怪我などはされませんでしたか?」
「ん? 私は大丈夫よ。倒れたわけではないし」
「そうですか? 本当に? 私とぶつかったところが痛んだりはしませんか? 特に胸とか」
「…………。そういえば、ちょっと胸の辺りが痛いかも。特に乳首とか」
「やはりそうですか! では、今度は私が千華留様に薬を塗って差し上げますわ」
「う、うん。ありがとう、玉青ちゃん」
 寝そべっていた二人はベッドの上でお互いに向き合って座り直す。
 玉青は千華留のパジャマに手を伸ばし、プチプチとボタンを外していった。
 千華留は顔を赤くして、恥ずかしそうに視線を逸らす。
「そんなに強張らなくても大丈夫ですよ、千華留様」
 一度絶頂を迎えてどこか吹っ切れた玉青とは対照的に、千華留は小刻みにプルプルと震えて緊張しているようだった。
「た、玉青ちゃん、優しくしてね」
「もちろんですわ」
 玉青はボタンを全て外し終え、千華留のパジャマをはだけさせた。
 ピンクの可愛らしいブラジャーに包まれた量感のある隆起が露わになる。
「大きくてとても素敵な胸ですわ、千華留様」
「そ、そう? その、ありがとう」
 恥ずかしがる千華留が、玉青にはとても可愛らしく思える。
「では失礼して……」
 ブラジャーを押し上げると、玉青の目の前に千華留の乳房がプルンと飛び出してきた。
 ツンと硬くなっている乳首を見て辛抱堪らなくなった玉青は、慌てて親指と人差し指に薬を塗り、千華留の乳首を摘まみ上げる。
「はうっ」
 千華留がビクリと反応する。
「薬を、薬をもっと良く塗りませんと……」
 目をギラギラさせながら、玉青は千華留の乳首を摘まんだまま弄る。
「あ、んん……玉青ちゃん……ああ……」
「可愛いですわ、千華留様っ」
 感極まった玉青は、勢い良く抱き付いて千華留の上体を押し倒した。
 ベッドに仰向けに倒れ込んだ千華留の上に、玉青が覆いかぶさる。
「もっと気持ち良くして差し上げますわ」
「た、玉青ちゃん」
「よろしいですか? 千華留様」
 千華留が小さくコク、と頷いた。
 すぐに玉青は千華留の乳首に顔を寄せてパクリと口に含む。
 チューチューと乳首を吸い立てると、千華留は快感に打ち震えて仰け反った。
 さらに乳首を舌で転がすように弄びながら、千華留の腹に手を置き、ツツーと股間に向かって滑らせていく。
 ショーツの中にスルリと手を潜り込ませ、恥毛を掻き分けて淫部に触れる。
 玉青は自分がそうされたように、ゆっくりと繊細なタッチで千華留の秘部を撫で回した。
「あっ……はあっ……」
 声を抑えきれずに身悶える千華留。
 玉青は乳首から唇を離して、嬌声を上げている千華留の口をキスして塞いだ。
「ん……」
 玉青は千華留の舌を絡めとろうと、積極的に舌を差し込む。
 それに応えようとして千華留も遠慮がちながらも舌を突き出した。
 お互いの舌を絡め合いながら、玉青はなおも千華留の淫部をまさぐり続けている。
 だんだんと鼻息が荒くなってくる千華留に、そろそろ絶頂を味わってもらおうと、玉青は千華留の唇から口を離した。
295聖母ちかるん6:2007/02/03(土) 13:33:48 ID:aHGk4Yn0
「千華留様、ちょっと失礼します」
 玉青は、仰向けになっている千華留の足元にひざまずいてショーツを引き抜いた。
 そして両足を持ち、千華留の胸に押し付ける。
「膝裏を手で持って足を固定してくださいますか? 千華留様」
「わ、わかったわ」
 完全に主導権を奪われている千華留は、玉青の言う通り左右の手で自分の膝裏を掴んで足を抱え込む。
 玉青はさらに千華留の腰を持ち上げて秘部を上向きにさせた。
 千華留は成す術もなくマングリ返しの格好を取らされる。
「た、玉青ちゃん、こんな格好はちょっと……」
「恥ずかしがる事はありませんわ、千華留様。どうか身も心も解放なさってください」
「そ、そう言われても……あうんっ」
 千華留の顔から目と鼻の先で晒されている恥部を玉青が舐め上げた。
「すぐに姿勢のことなんて気にならなくなる様に、気持ち良くして差し上げますわ」
 目の前で喘いでいる千華留の顔を見ながら、玉青は薄い繊毛の生えている花弁を一心不乱に舐め回し始める。
「あん……ああっ……」
 部屋には千華留の嬌声だけが流れていく。
 だがしばらくすると、止め処なく溢れてくる愛液と玉青の唾液が混ざり合い、ピチャピチャと淫らな音がするようになった。
 びしょ濡れになった秘裂は一層舐めやすくなり、玉青の舌に刺激されて次々に蜜が漏れ出てくる。
 玉青はさらに舌を伸ばして、クリトリスをひと舐めした。
「きゃうんっ!」
 突然の刺激に、千華留は思わず全身をビクビクと波立たせる。
「どうやら千華留様はここが弱いようですね。では、お豆さんを重点的に攻めさせて頂きますわ」
 千華留は何かを言おうとしたが、口を開く前に玉青が再び肉豆を舐め上げた。
「はああっ」
 口端から一筋の涎を垂らしながら、千華留は強烈な快感に喘ぐ。
 玉青がクリトリスに舌を押し当ててグリグリと擦りつけると、千華留の体がガクガクと震え出す。
「あ、ああっ!」
 いきなり千華留の秘奥から潮が噴き出した。
「あう」
 顔面にほとばしりが当たり、玉青が反射的に顔を引く。
 天井に向かって二度三度ビュッビュッと放出が続き、絶頂の蜜は千華留自身の腹にポツポツと落ちていった。
 玉青はもう一度、顔に潮を受けてみたかったが、既に勢いが弱まっておりそれは難しそうだった。
 代わりに千華留の秘部のすぐ上に手の平をかざしてみる。
 期待通り、最後の噴出が掌に当たり、玉青は満面の笑みを浮かべながら粘液をねぶった。
「ご、ごめんなさい、玉青ちゃん。顔に当たっちゃったわよね?」
 千華留がマングリ返しの姿勢のまま申し訳なさそうに言った。
「いえいえ、お気になさらずに」
 対して玉青の方は、一浴びだけとはいえ初めての顔射を経験できてご満悦だ。
 千華留の足を下ろしてやり、玉青はティッシュを取り出して千華留の腹を拭き始める。
「あ、自分で拭くから大丈夫よ、玉青ちゃん」
「いいんです。やらせてください。だって千華留様、とっても可愛いんですもの」
「そ、そう?」
「可愛すぎて、千華留様というより、ちかるんといった感じですわ」
「ちかるん……? いいわね、それ。これから私のこと、そう呼んでくれる?」
「はい。もちろんですわ」
296聖母ちかるん7:2007/02/03(土) 13:36:14 ID:aHGk4Yn0
 早朝、千華留と共に一夜を過ごした玉青は、渚砂の制服と下着を身に着けて、そろそろ自室に帰ろうと身支度を整えていた。
「朝早くから慌ただしくして申し訳ありません、ちかるん。渚砂ちゃんが寝ている内に帰りませんと、色々と問題がありますので……」
「そうね。変身部入部を電撃的なサプライズにするためには、まだ玉青ちゃんの変身の才能は隠しておいたほうがいいわね」
「は、はあ。……もっとも、渚砂ちゃんもまだ静馬様の部屋にいるかも知れませんが」
「玉青ちゃん、その、静馬様のことは……」
「大丈夫です。私は静馬様に対して何の感情も持ち合わせてはいませんわ」
「そ、そう?」
「はい。全く何の遺恨もありません。皆無にして絶無です」
「……」
「しかし、偶に、本当に極偶にですが、もし静馬様がいなければ、と思うこともなくはありません」
「……」
「そう、そうですわ! 静馬様さえいなければ……fuckyou! ブチ殺すぞ静馬!」
「た、玉青ちゃん?」
「あら、地が出てしまいましたわ」
「地!? 今の地なの!?」
「冗談です」
「どのへんから!?」
「ちかるんと廊下でぶつかった辺りからでしょうか」
「そんな最初からなの!?」
「それはともかく、本当に大丈夫です。私は、渚砂ちゃんが幸せなら、それで……いいですわ」
「玉青ちゃんは強いわね。でも、寂しくなることもあるでしょう?」
「……はい」
「その時はまたいつでもここに来てね?」
「はい」
「部活もね。変身部のみんなもきっと大歓迎よ」
「はい」
「絆奈ちゃんも檸檬ちゃんも籠女ちゃんもね」
「はい」
「絆奈ちゃんと玉青ちゃんの声って似てるわね」
「似てません」
「そ、そう?」
「はい」
「何にしても、玉青ちゃん。変身部の新入生歓迎会、楽しみにしててね」
「はい!」

297名無しさん@ピンキー:2007/02/04(日) 03:46:24 ID:NIW4iFDR
ちかるん・・・最高!!!!
298名無しさん@ピンキー:2007/02/04(日) 16:56:29 ID:2SZ//3GF
何かいろんなところにワロタwwwwwwwwww
そして気が付いたらおっきしてた

ちか×たまは珍しいなぁ…面白かったよ!乙!
299名無しさん@ピンキー:2007/02/05(月) 12:20:00 ID:5monbCYM
2作品ともGJ
300名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 01:28:47 ID:xygg08jW
バレンタインの話キボンヌ、と言ってみる

かく言うアッシはバカ系の話を書いてる最中でっす。まだ完成しそうにないがw
301名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 00:47:34 ID:Ciuykagy
  ∧_∧
 (0゚・∀・) ドキドキ
oノ∧つ⊂)
( (0゚・∀・) ワクワク
oノ∧つ⊂)
( (0゚・∀・) テカテカ
oノ∧つ⊂)
( (0゚-∀-) オモイ・・・
∪( ∪ ∪
 と_)_)
302300:2007/02/13(火) 03:06:35 ID:u+5r4thy
バカ系の話は、7割を書き上げますた
もう少し、待ってつかーさい。遅筆でスマソ
303名無しさん@ピンキー:2007/02/14(水) 01:31:58 ID:AEd1VJnW
マターリとお待ち申し上げときますわ。
304名無しさん@ピンキー:2007/02/14(水) 18:28:17 ID:RTUjpBsx
SSまとめサイト、12月以降の分を更新しました。

http://www.wikihouse.com/sutupani/index.php
305名無しさん@ピンキー:2007/02/14(水) 20:47:40 ID:WS0KwNBY
>>304
306300:2007/02/14(水) 21:58:02 ID:aq9RXZht
まだ完成してませんが、深夜0時前くらいから、ボツボツ投下しまっす
現在、最後の方の、まとめ中っす
307名無しさん@ピンキー:2007/02/14(水) 22:06:06 ID:thehGmjV
>>304
乙です。

>>306
楽しみです。
308スーパーガール・ナギサ!:2007/02/14(水) 23:46:44 ID:aq9RXZht
「ほら渚砂、コーヒー持ってきなさい。まったくドンくさい娘ね」
「ううぅ・・・・・・へんしゅーちょーが、苛めるよぉー・・・・・・」
ストロベリー新聞社の編集部では、今日も深雪編集長によるイビリが行なわれている。
新人記者の渚砂は、毎日、編集長のヤツ当たりの対象となっていた。
「大丈夫ですか、渚砂ちゃん」
渚砂とは同期入社の玉青が、今日も渚砂を慰める。同期とは言っても、記者としての能力は圧倒的に玉青の方が上で、
渚砂の方は編集長へのコーヒー運びしか出来ない有様だった。
「うん、ありがとう玉青ちゃん。大丈夫だよ、涙は目の淵で、何とか止まってるから」
「偉いですわ、渚砂ちゃん。渚砂ちゃんは、鋼鉄の精神を持ってますのね」
渚砂の頭をナデナデしながら、玉青は恍惚の表情を浮かべていた。愛犬家が飼い犬と戯れるさまに見えなくも無い。
渚砂は渚砂で、嬉しそうにニコニコ微笑んでいるから、まあ良いコンビではある。
「今日も機嫌悪いわね、編集長」
「奥さんの浮気が絶えないのよ。スゴイ美人なんだけど、気が多いらしくて」
「ああ、あの髪の長い人でしょ? 編集長のデスクに写真があったわ」
噂好きの社員たちは、今日もゴシップ話に花を咲かせる。本業の取材も、これくらい熱心にやれば良いのにと、
第三者が見れば思うほどの熱心さであった。
「はいソコ、ムダ口叩かない! あと言っとくけど、私の妻に手を出したら殺すわよ?」
言うまでも無いが、この世界に男性などというものは存在しない。ワンマン編集長の深雪は、妻を溺愛しており、
部下の誰もが妻に取っての“悪い虫”に見えるようだ。変に疑われては解雇されかねず、社員は首をすくめた。

と、編集部のテレビの1つから、最新のニュース映像が流れてくる。ここストロベリー新聞社では、
常にニュース速報に対応できるよう、チェック用に複数のテレビが置かれていた。
“交通事故が発生。橋の上で、スクールバスが横から対向車に接触され、ハンドルが狂いガードレールに衝突”
“バスはガードレールを突き破り停止したが、川に落ちかけている・・・・・・”
「聞いた? 記事を差し替えるかも知れない。そこの無駄口グループ、手伝いなさい」
深雪編集長は、立ち上がるや、軍曹さながらの視線で部下を呼ぶ。銃殺されかねないと思った部下たちは、ただちに追従した。
「バスが川に落ちた場合と、落ちずに済んだ場合の2通り、紙面を用意するわ。落ちなければ問題ないけど、落ちた時が肝心」
眼光鋭く、側の部下たちをねめつける。
「落ちた場合は1面のトップだから、死亡者数を大きく載せなさい。売り上げが上がるわ」
鬼としか言いようが無い編集長の指示により、社員たちは、あわただしく働かされる事となった。
新聞のレイアウトを考えながら、カフェイン中毒の深雪は、イライラと机を指で叩く。
「渚砂、コーヒーはまだ?・・・・・・って、いない!?」
唖然としながら、深雪は近くにいた玉青に詰問する。
「玉青さん、渚砂は何処?」
「あ、いません・・・ね。どうしたんでしょう・・・」
深雪の怒りっぷりに、玉青は冷や汗が止まらない。深雪編集長は鉛筆を手に取ると、片手でベキン!とヘシ折った。
「いい度胸してるわね。これはイビリ甲斐があるわ」
「あの、どうか穏便に、お願いします。コーヒーなら私が持ってきますので・・・・・・」

物見高い野次馬たちは、事故現場の周辺をうろついていた。周辺、と言っても橋には立ち入れない。
バスは橋から、いつ落ちても不思議は無く、近づけるような状況ではなかった。
橋の中間付近で園児たちの乗ったスクールバスは、車体の前半分が、橋からハミ出している。
下方の川までは10メートルほどだ。運転手は、衝突の衝撃で気を失っている。
乗降ドアは、バスの前方にある。乗客はドアからは出られない。取材用のヘリコプターが、
上空から虚しく撮影に専念している。レスキュー隊の到着は、間に合いそうに無い。
「お願い、言う事を聞いて! こっちから出るしか無いの!」
「やだー、怖いよぉ──!!」
バスの中では保育士が、何とか窓から園児を出そうとするが、幼い彼女たちは怯えて動けない。
そして無情にも、ついにスクールバスは前方へと滑り落ちた。
車内からの悲鳴。橋の下へと、車の姿は消えていく。“ああ、助からないのか・・・・・・”と周囲の人間が、
ブラウン管を通した視線が、絶望的な状況に目を閉じかけた瞬間。
309スーパーガール・ナギサ!2:2007/02/14(水) 23:49:48 ID:aq9RXZht
「と────────う!!!」
場違いな程の元気な掛け声と共に、風を切って空の彼方から飛来する1人の少女!
橋の下をくぐり抜け、落下していくバスと川の間に彼女は割り込む。
バスは前部が、川の水面に触れるかと思われた寸前で空中で停まり。そして優しく、上昇を始めて。
「スゴイ・・・・・・このバス、飛んでるぅ・・・・・・」
目を丸くして、窓から外を眺める園児たち。バスの下に潜り込んだ空飛ぶ少女は、
軽々と両腕で車体を持ち上げ、浮遊させ橋の上へと戻る。
音も無く、橋に着地をすると、少し車体を持ち直して。大切なプレゼントを差し出すように、
胸の前にバスを持っていって、そこからヒザを折って降ろしていった。
「よいしょ・・・・・・っと」
バスを橋に降ろし終える。一仕事が済んで、少女は笑顔で腰を伸ばした。
「スーパーガールよ!!!」
赤いドレスに身を包んだ少女に、野次馬から拍手と歓声が沸き起こる。少女はそれを受けて、力強く手を振って見せた。
「スーパーガール・ナギサだよっ! みんな、もう大丈夫だからね」
「ありがとー! スーパーガールのお姉ちゃーん!」
大喜びの園児たちに、スーパーガールこと渚砂は温かい視線を向ける。

バスの運転手は、意識を取り戻して乗降ドアを開けた。たちまち渚砂は、飛び出してきた園児たちに囲まれる。
「みんな。これでバスを嫌いになっちゃダメだよ? スクールバスって、みんなを運ぶ、とっても安全な乗り物だからね」
まとわりつく子供たちに、笑顔で渚砂はスピーチする。
その笑顔は、園児たちが大きくなった後も、しっかりと彼女たちの記憶に刻まれるだろう慈愛の表情だ。
「は────い!!」
元気な返事で、渚砂に応答する子供たち。スーパーガールは、とりわけ子供には人気があって、
また渚砂も邪気の無い幼女たちを愛らしく思っていた。
「ねぇ。またスクールバス、幼稚園まで飛ばしてくれる?」
「そもそもバスは飛ばないよ。だから墜落もしないし安全。今日は、たまたま事故だっただけ」
たまに行なう、この手の、子供との質疑応答が渚砂は大好きだ。
「ニンジンとかピーマンとか、ちゃんと食べたらスーパーガールになれる?」
「なれるよぉ。だから地球の平和と美肌を守るために、ご飯を食べようね」
彼女達が愛情を受けて、健やかに育つことを渚砂は願う。渚砂の産みの親が、そして育ての親が与えてくれた、
愛情の尊さを彼女は片時も忘れたことが無かった。
「もう帰らないと。みんな一応、病院には行くようにね? じゃ!」
名残惜しげに園児たちを振り切ると、ドン!と空気を切り裂く衝撃音を残して、スーパーガール・ナギサは橋から飛翔した。
園児と保育士は、いつまでも手を振り、彼方に消えた彼女を見送っていた・・・・・・
310スーパーガール・ナギサ!3:2007/02/14(水) 23:54:09 ID:aq9RXZht
数時間後。
「“スーパーガール、園児たちの命を救う”、か・・・・・・」
ある国の地下で、漆黒の髪の持ち主は、壁一面に位置する巨大テレビのニュースを眺めていた。
「実に良い話ね。幼女ってのは大切だわ」
深くウンウンと頷きながら、優雅にバスタブの中で、彼女はシャンパンを飲んでいる。
広大な地下空洞の、周囲の壁は白く、照明も明るく清潔な印象だ。取り付けられた家具は、どれも贅沢な仕様であった。
「そろそろ上がるわ。愛人A、バスタオル持ってきなさい」
愛人を呼びつけた女性は、名を夜々という。ここには壁による仕切りは無い。出刃亀に覗かれる恐れもない夜々は、
悠然と立ち上がって裸身を晒した。
「はいタオルです、夜々お姉さま。あと“愛人A”って呼び方、やめてください」
「何よぉ、桃尻娘。年下のくせに生意気なんだから」
「2つしか違いません!」
ピンク色の髪をした少女は、そう言って頬を膨らませた。夜々は気にする素振りも無く身を拭くと、白のバスローブに身を包む。
「いいのよ。愛人Aの出番は、このシーンだけなんだから。イモの脇役は引っ込んでなさい」
「納得いきません! 待遇改善を要求します!」
「うるっさいわねぇ。これから、“野望に燃える私”をクローズアップする場面なんだから、黙ってなさい」
「女優気取りですか! てか、舞台監督ですか!」
愛人Aは文句が絶えない。そんな彼女に背を向けると、夜々は地下空洞の奥にある、巨大な機械を陶然と見つめた。

“長かったわ・・・・・・この装置が完成するまで。我ながら独力で、良く造ったものね・・・・・・”
これまでの苦労が報われる。そう思うだけで、機械に注ぎ込んだ途方も無い金額の事も、彼女の頭からは消し飛んだ。
科学者の夜々が信頼するものは、自らの頭脳だけだった。だから仲間も居ないし必要ない。金は巧妙に他人から巻き上げ、
地下に居心地の良い自分だけの場所を作った。
夜々に取って世界とは、自分を心地良くさせるべきものであり、そのために自分用に改変すべきだと信じていた。世界は夜々に取って、
自分用にサイズを合わせられる、オーダーメイドのバスローブと大差が無いのだ。
“世界を変える時は来た・・・・・・。でも障害は、あるわね。あの可愛い正義の味方ちゃん”
夜々の目は、すうっ、と細くなる。
“一度、直に話したいわね。ひょっとしたら、味方に付いてくれるかも知れないし・・・・・・”
彼女の頭の中では、すでに様々な“計算”が行なわれていた。
“お会いする時が、楽しみだわ。私の招待を喜んでくれるかしら?・・・・・・スーパーガール”

「えいっ!!!」
という掛け声と共に、愛人Aは夜々の尻を、勢い良く蹴り込んだ。
「わぁぁぁぁぁ!!?」
ドボーン、と音を立てて、バスローブ姿の夜々は湯の張った浴槽に落とされている。
「何するのよ! このチンチクリン!!」
ぷはぁ、と浮上してから、凄まじい形相で夜々が迫る。
「人を無視して野望に燃えてるからです。エロパロには“濡れ場”が必要ですしね」
ホッホッホ、と口に手を当てて愛人Aは笑ってみせる。
「アッタマ来た! 何よ下級生の分際でぇ!」
役柄も忘れて、夜々は愛人Aの手首を掴むと、ドボーンと浴槽に引きずり込んだ。
「あんたなんか光莉の足元どころか、その地下30メートルにも及ばないわよ! 身長と一緒に成長が止まってんじゃないのピンク頭!?」
「蕾には蕾の良さがあるんです! エトワール戦の時、涙目の夜々お姉さまを、誰が部屋で慰めたと思ってるんですか!」
「だっ、誰が涙目よ!! あんたが勝手に部屋に来たんじゃない!!!」
もう訳が分からない。バシャバシャと水音を立てながら、2人の痴話喧嘩は、いつ果てるとも無く続いた。
311スーパーガール・ナギサ!4:2007/02/15(木) 00:02:12 ID:aq9RXZht
「スーパーガールが1面を飾る。すると我が社の新聞も売り上げが伸びる。いい事だわ」
ある日のこと。珍しく御満悦の表情で、深雪編集長は、社のビデオルームで昔の映像をチェックしていた。
ちなみに1人では無く、横には玉青もいる。深雪は玉青の能力を高く評価していた。言わば、お気に入りの存在なのだ。
「確か、これが最初の、スーパーガールのTVインタビューだったわね。元々“スーパーガール”って呼称は、マスコミが付けたものよ」
深雪が映像を再生する。そこでは、緊張してカチコチになったスーパーガールに、アナウンサーが路上でインタビューを開始していた。
“今日は、あのスーパーガールに、無理を言って出演の許可を頂きました”
“事件が起きたら即座に飛び立てるよう、短時間の、屋外でのインタビューという条件です。視聴者の方は御不満でしょうが・・・・・・”
そんな事をつらつらと述べるアナウンサーをよそに、スーパーガールはカメラ慣れしてないのか、体が小刻みに震えている。
“・・・・・・さて、では世紀の少女に、お話を伺いましょう。まずは自己紹介をお願いします”
その言葉と共にマイクを向けられた、青ざめた顔のスーパーガールは、普段より1オクターブ上ずった声を発した。
“ス、スーパーガール・ナギサだよっ! よろしくね・・・って、ア! ナギサって言っちゃいけなかったんだ・・・・・・”
あうあうと、傍目にも気の毒なほど、世紀の少女とやらは動揺している。
“あの、お願い! もう1回やり直し!”
“申し訳ないけど・・・・・・事前に言ったでしょう? これ、生放送なの・・・”
“ううぅ・・・・・・じゃ、スーパーガール・ナギサでいいですぅ・・・・・・”
そこで深雪は、映像を止めた。
「この時から、彼女は自ら“スーパーガール・ナギサ”と名乗るようになった・・・・・・結構、アホよね。スーパーガールって」
それが率直な、編集長の感想であった。玉青は困ったように苦笑いをしている。
「それで・・・編集長。どうして私に、この映像を見せて頂けたんでしょう?」
「そこよ玉青さん。貴女には、彼女に接近してもらいたいの」
ずい、と顔を寄せて、深雪は玉青を説得に掛かった。
「私が・・・・・・スーパーガールに、ですか?」
ビックリしている玉青に、深雪は言葉を続ける。
「スーパーガールが活躍を始めてから、もう数年が経つわ。でも彼女の実態は、ほとんど分かっていない」
「は、はぁ・・・・・・」
「最初のインタビューで失敗したからか、もうスーパーガールはロクに取材を受けようとしない。たまにメッセージを少し残すだけ」
少し、眉間にシワを寄せて、
「“みんな、今日も元気にね”とか、“車には気をつけて”とか。それだけカメラの前で言うと、すぐに飛び立っちゃう」
と編集長。明らかに、今のスーパーガールの態度に不満なようだ。
「ピンポンパンのお姉さんじゃ無いんだからさ。もっと踏み込んだ発言を、私も、そして世界も期待してる。誰かが言葉を引き出さなきゃ」
「でも、私なんて、まだ新米に過ぎません。もっと経験豊富なベテランの方が、インタビューを求めた方が良いのでは?」
玉青の言葉に、しかし、深雪は首を横に振った。
「・・・・・・いいえ、逆だと思うわ。すれっからしの、マスコミの人間には、彼女は心を開かないと思う」
部下の前では決して見せなかった、寂しげな表情が、今の編集長には浮かんでいる。
「この業界に長く居るとね。経験を積むたびに、心の大切な部分が欠けていく気がするの。私なんか、イヤな人間の典型でしょ?」
自嘲気味に笑う深雪に、そんなこと、と玉青は慌てて言った。
「スーパーガールは、私が無くした、純朴な精神を持ってる。その彼女に近づけるのは、無垢で綺麗な心を持った者だけじゃないかしら?」
ビデオルームには、しばらく沈黙が訪れた。

「・・・・・・変な話を聞かせてしまったわね。とにかく、スーパーガールの件は、考えておいてね。返事は急がないから」
そう言うと、深雪は立ち上がって、部屋のドアを開けるなり大声で怒鳴った。
「渚砂、コーヒー持ってきなさい! 2人分よ!」
“は、はーい”という返事を確認すると、深雪は再びドアを閉めた。
「・・・・・・あの、編集長。スーパーガールって、別に変装とか、してませんよね?」
「そうね。何か気になるの?」
玉青が何を聞こうとしているか、深雪には分かっていない。
「あの、渚砂ちゃんって、スーパーガールに似てません? スーパーガールも、自分をナギサって、言ってますけど・・・」
その言葉を、深雪はハ!、と鼻で笑い飛ばした。
「あのアホ娘がスーパーガール? そんな訳ないでしょう。しっかりしてよ玉青さん」
編集長は、もうコーヒーの事しか頭に無い。そんな彼女を横に、玉青だけが、何事かを考えていた
312スーパーガール・ナギサ!5:2007/02/15(木) 00:15:32 ID:6GLJG6Gv
渚砂が、自分が地球人ではないと育ての親に知らされたのは、10代前半の頃だった。
その前にも、薄々とは感じていた。自分が普通の人間ではない事は。転んでも切り傷は出来ず、
山登りでガケから落ちた時には初めて空が飛べた。
意識的にパワーを抑えないと、お医者様の注射さえ腕には刺さらない。渚砂は早くから、自分の正体を隠す術を身に付けていた。

赤ん坊の渚砂を乗せたカプセルは、宇宙から地球へと放擲され、とある山村地帯へと衝突した。
人家など、1つあるか無いかという場所で、通りかかった老夫婦によってカプセルは発見される。その夫婦が、渚砂を育て上げた。
娯楽施設など何も無い地域だったが、自然に囲まれた環境は、渚砂に取って最高の遊び場所だった。
小さな頃から、行けない場所など無かった。どんなに走っても息は切れず、どんな無茶にも体は持ちこたえた。
老夫婦は、自分たちが拾った女の子が、人間には不可能な範疇で運動に熱中しているのをたびたび見た。
夫婦は渚砂に、人前では“普通の人間”として振舞うよう教え込んだ。渚砂は素直に、夫婦の教えに従って育つ。

やがて、渚砂の育ての父(女性だが)が、心臓発作で世を去った。未亡人となった母は、渚砂に真実を告げる。
納屋に隠されていたカプセルに渚砂が近づくと、カプセルは輝きだした。納屋の中には立体映像が浮かび上がる。
“娘よ、我が愛しい娘よ。あえて、お前を名では呼ぶまい。お前には既に、心優しい者が付けた名が、あるだろうから・・・・・・”
渚砂は立体映像が語るメッセージに、身じろぎもせず聞き入っていた。これが、父か。これが、母か。2人は優しい表情だった。
立体映像の2人は告げた。自分たちのいる惑星が、消滅の運命にあると。2人は運命を受け入れたが、1人娘だけは助けようとした。
“娘よ。お前を地球へと運んだカプセルには、お前の能力に付いて説明できる機械がある。それで能力を学び、鍛えるのだ”
立体映像は、急速に、おぼろげに成っていく。2人がメッセージを記録した時、惑星の寿命は尽きかけていた。磁場の乱れが生じている。
“お前を育てた、地球に恩を返すのだ・・・・・・どうか無事に育って・・・・・・幸福に・・・・・・”
言葉は不明瞭で、途切れがちだ。それでも渚砂は、次の言葉を間違いなく聞き取った。
“どうか、忘れないで・・・・・・お前の事を、愛してい・・る・・・・・・”
「お父さん! お母さん!」
渚砂の叫びと同時に、立体映像は消失する。声を上げて、その場で渚砂は泣き続けた。

渚砂がスーパーガールとして活動を始めたのは、大学生になってからだった。ちなみに育ての母は、大学卒業を見届けた後、天に召された。
初めは覆面でも被ろうかと思ったのだが、その必要は無いと気付いた。周囲の誰もが、渚砂には関心を払わないからだ。
普通の人間のふりをしろ。そう教えられ育てられた渚砂は、何の個性も無い平凡な人間としか周囲には映らなかった。顔さえ覚えられない。
コスチュームは自分で作った。真っ赤なドレスだ。マンガ的な御都合主義によって、一瞬で渚砂は、いつでも何処でもソレに着替えられる。
ドレスに身を包み、いくつもの人命を救い、いくつもの事件を解決しながら。しかし渚砂は、違う形でも、世界に貢献したいと思った。
大学を卒業した彼女は、ストロベリー新聞社に入社を果たす。
ペンによって、世界を平和にしたい。青臭いと笑われながらも、渚砂は真剣だった。
人の意識を変える事でしか、真の平和は成し得ない。そう渚砂は信じている。
超能力だけでは、できない事があるのだ。それが、これまでの経験を通した、彼女の結論だった・・・・・・

記事を書きたいと願った渚砂だが、しかし現実は、そんなストロベリータルトのように甘いものでは無かった。
「ほら渚砂、全員分のドーナッツ買ってきなさい」
今日も今日とて、深雪編集長のイビリは続く。渚砂の仕事といえば、この手の雑用だけである。
「ううぅ・・・・・・ヒーローは孤独だよぉ・・・・・・」
女の子ならヒロインだろ、というツッコミも今の渚砂には届かない。彼女は涙目で、1人、お使いへと行かせられていた。

昼休み。社の屋上にはベンチがあって、そこで渚砂と玉青は、お昼ご飯を食べていた。
「まあ。大きいですね、渚砂ちゃんのオニギリ」
「へへー。自分で握ったんだよ? お母さんが、こんな風に良く握ってくれたんだー」
ポカポカとした陽気のもと、和気あいあいと、ランチタイムは過ぎていく。
「ところで渚砂ちゃん、つかぬ事を伺いますが」
「何、なにー? 玉青ちゃんのお弁当のオカズ分けてくれたら、何でも答えちゃうよー」
313スーパーガール・ナギサ!6:2007/02/15(木) 00:21:01 ID:6GLJG6Gv
「では私のタコさんウィンナーをどうぞ。ウサ耳の付いたリンゴもあります」
わーい、と5歳児のような笑顔で渚砂は喜んでいる。
「では質問です。渚砂ちゃんは元気ですが、その元気は、何か特別なものを食べてるのでしょうか?」
「んー? 特別なものって?」
「そうですね、例えばプルトニウムとか」
常人が聞けば、引っくり返りそうな質問である。
「そんなもの食べないよー。普通の地球人が食べるものと同じー。玉青ちゃんも、そうでしょ?」
「そう・・・ですね。失礼しました」
玉青はメモを取り出すと、“食べるものは、私と同じ”と記入した。
「あれ? そのメモなぁに?」
「いえ気にせずに。では続いて質問です。渚砂ちゃんは元気ですが、その元気さを数値で表すと、どれほどでしょう?」
「うーん・・・・・・計った事は無いけど・・・・・・百万馬力?」
「なるほど、参考になります」
今度は“推定で百万馬力(前後)”とメモに書き込む。聞く方も聞く方なら、答える方も答える方だった。
「では、とりあえず最後の質問です。渚砂ちゃんに取って、人のあるべき姿とは、どのようなものでしょうか?」
「そうだなぁ・・・・・・一言で言うなら・・・・・・」
うむむむむ、と考えた後、
「アンパンマン!」
と渚砂は元気に回答した。
「ありがとうございます。有意義な時間でしたわ」
「そうなの? 良く分からないけど、玉青ちゃんの役に立てたんなら良かったよー」

「ねぇ玉青ちゃん。あっちの端から景色を眺めようよ!」
お昼を食べ終わって、渚砂が玉青を誘う。屋上の周囲には金網が張ってあるので、端に行っても危険は無い。
「いえ・・・・・・私、高いところは怖いんです・・・・・・」
恥ずかしそうに玉青が笑う。渚砂の方は、小さい頃から山登りをしてた事もあり、高所恐怖症とは無縁である。
玉青の手を、渚砂が優しく握る。玉青は驚いて渚砂を見つめた。
「手、握ってるから怖くないよ? ね、行こ」
そう言うと、渚砂は手を引いて歩き出す。その自然な歩調に、玉青は全てを忘れて、引かれるままに付いていった。
金網の前まで辿り着くと、渚砂は、その金網に顔を押し付けるように近づける。もう彼女には、高所からの光景しか意識に無いようだ。
「本当に、ここからの眺めが好きなんですね・・・・・・」
そう玉青は、渚砂に手を繋がれたまま、微笑んでいる。玉青は景色では無く、ただ渚砂の横顔を見つめていた。
「うん、好きだよー。編集長に怒られて泣いちゃいそうな時も、高い所から下を見てると、元気になれるんだー」
瞳をキラキラさせながら、渚砂は景色に、かじり付いたままだ。
「自分の悩み事もね、何だか小さなものに思えるし。それに、下には同じように、私みたいに悩んでる人も居るのかなぁって思えて」
玉青の視線に気付かないまま、渚砂は話し続ける。
「そうやって、みんなの居る地上を見てると、何かしてあげたくなっちゃうの。だから落ち込んでなんか居られなくなっちゃう」
「・・・・・・スーパーガールも・・・・・・そんなふうに、思ってるんでしょうね・・・・・・」
そう玉青は言った。“アハハ、そうかもね”と、渚砂は答えた。
「でも、スーパーガールも、辛くなったりしないんでしょうか? たった1人で、世界のために頑張って」
「・・・・・・スーパーガールは、やれるだけの事をやりたいんだよ、きっと」
そう渚砂は答える。それは玉青が泣きたくなるほど、優しい声音だった。
「たとえ途中で倒れても、少しでも世界の意識を、良い方向に向けられれば・・・・・・満足なんじゃないかな・・・」
そこまで言うと、渚砂は玉青の方に、顔を向けた。さっきから、ずっと手は握ったままだ。
「ね、玉青ちゃん。まだ高いところは怖い?」
言われた玉青は、渚砂を見つめ。それから、高所からの景色を、何秒か見つめ。・・・・・・そして、再び渚砂に視線を戻した。
「・・・・・・いいえ。渚砂ちゃんのためなら・・・・・・私は高いところも、克服してみせます」
「アハハ、玉青ちゃん何か変ー」
渚砂は何も知らず笑っていたが。この時、玉青は、ある重大な決意を固めていた・・・・・・
314スーパーガール・ナギサ!7:2007/02/15(木) 00:31:19 ID:6GLJG6Gv
お昼休みも終わって、再び渚砂は、仕事に戻っていた。もちろん仕事とは、編集長へのコーヒー運びだ。
給湯室で、コーヒーを淹れようとした渚砂の頭に、突如として声が響いた。
“ハーイ。聞こえる? スーパーガール?”
渚砂は驚いて動きが止まる。
“このメッセージは、人間には聞こえない周波数で発信してる。でも、貴女には聞こえるわよね?”
声は若い女性のものだ。
“貴女を私の家に、招待したいの。でも初対面だし、いきなり誘っても来てくれないわよね? だから趣向を考えてみたわ”
「何を言ってるの?・・・・・・」
相手には聞こえないと知りつつも、そう渚砂は、反射的に呟いた。

「今日は特に機嫌が悪いわね、編集長」
「ほら、奥さんが旅行に行ったから寂しいのよ。そろそろ、飛行機がパリに着く時間だわ」
「あの奥さん、海外でもアレコレ、女の子に手を出してるんじゃないかしら・・・・・・」
今日も噂好きのグループは、編集長に聞こえないよう、オシャベリに花を咲かせていた。
と、社のテレビから、文字速報が流れ出す。
“エールフランス×××便が、シャルル・ド・ゴール国際空港の上空で旋回中。操縦不能の状態”
たちまち、社内は騒然とし始めた。
「×××便・・・・・・?」
他人の不幸はメシの種、と公言して憚らない編集長にとって、飛行機事故は格好の特ダネのはずだ。だが深雪の顔は蒼白となった。
「そんな・・・・・・そんな・・・・・・」
椅子から崩れ落ちるように、深雪は床に倒れこむ。
「編集長!!?」
社員が気を失った深雪に駆け寄る。速報で流れた、操縦不能の機には、深雪の妻が搭乗していた。

“パリって結構、遠いわよね。間に合うかしら? 早く行かないと飛行機が落ちちゃうわよぉ?”
人の耳には届かぬ声が、鈴のような響きで笑う。その声は、無邪気な悪意に満ちていた。
その頃、ストロベリー社では、1人のサボリ社員が給湯室へと向かっていた。そこで時間を潰す気なのだ。
社員の前で、一陣の風が吹いた。屋内では吹くはずの無い突風が。悲鳴を上げて、サボリ社員は尻餅をつく。
「何なのよ、一体・・・・・・」
お尻をさすりながら、社員はボヤくしか無い。特急電車が側を走り抜けたような風圧だった。
無人の給湯室に入ると、そこには空のコーヒーカップが置かれていた。別の離れた場所で、社の窓が1つ、開いていた・・・・・・

意識を取り戻した編集長は、椅子に座り。机の上でヒジを付いて、両手の指を組み合わせる。
組み合わせた両手に、頭を載せるように下を向いて、深雪は目を閉じている。周囲には気遣わしげな社員らが居た。
テレビには文字による速報しか流れない。現場でさえ、詳細は掴めてないようだ。それが皆には、もどかしかった。
もっとも深雪は、ニュースを見る事も聞く事も怖かった。全てが、夢ならいい。そんな子供じみた事を虚しく願っていた。
「神様・・・・・・・・・・・・」
幼児のような、か細い声で、彼女はそう呟いていた・・・・・・

×××便の機長は、懸命にコントロールを取り戻そうと闘っていた。そんな彼女を嘲笑うかのように、機は旋回を続ける。
機は現在、何者かによって遠隔操作されていた。見えざる悪魔の手が飛行機を掴み、気ままに振り回す。
“そろそろ飽きちゃった。要らなくなったオモチャはポイ!ね”
悪魔は、そう呟いた。機は下降を始める・・・・・・下方の空港へと、頭から。エンジンは止まり、機長には成す術がない。
乗客たちの悲鳴が響いた。ある者は泣き叫び、ある者は手帳に遺書を書き終えていた。
ある者は、あと何秒、生きていられるのかと自問して。ある者は、地上に残した愛する人を想い。
そして、ある者は────────奇跡を願った。
315スーパーガール・ナギサ!8:2007/02/15(木) 00:38:17 ID:6GLJG6Gv
乗客は飛行機の底部に、何かが衝突したような響きを感じた。錯覚だろうか?
次の瞬間、錯覚では有り得ない現象が起きた。下方へと頭を向けていたジェット機は、急速に向きを水平へと変えていく。
落下速度は減少し、まるでエレベーターのように、ゆっくりと地上へ接近していった。
「・・・・・・あの子よ! あの子が来たんだわ!!」
確信を持って、誰かが叫ぶ。爆発を思わせる勢いで、機内では歓声が上がった。
真紅のドレスに身を包んだ守護天使が、動かなくなったジェット機を今、空中で持ち上げている。
9500km以上の距離を飛び、150t超の鋼鉄の塊を、渚砂は細い両腕で支えていた。
車輪さえ出せない飛行機を、彼女は空港の空いたスペースへと運び。可能な限り緩やかに、胴体着陸をさせた。

“お見事ね。ま、私も本気で落とすつもりは無かったわ。スーパーガールなら、これくらい簡単でしょ?”
事も無げに、悪意の声は囁く。対する渚砂の目は、怒りに燃えていた。
“私の家に、来てくれるわよね? 来ないなら、次は複数機を一度に落とすわ。1人じゃ止められないかもね”
声が渚砂に、座標を伝える。その場所に向かうべく、彼女は空港から飛び去っていく。何も知らない空港の者たちは、
口笛やら拍手やらを送っていた。
九死に一生を得た乗客らは、隣の者と抱き合い喜んでいる。その喧騒の中で1人、
髪の長い世にも美しい女性は、静かに窓の外へと視線を向けていた。
「あれが・・・・・・スーパーガール・・・・・・ナギサ・・・・・・」
そう、呟きながら。彼女はスーパーガールが、飛び去った方向の空を、いつまでも見つめていた・・・・・・

ストロベリー社でも、×××便の無事はニュースで確認された。
テレビを直視できない深雪に、部下がニュースを伝える。途端に、大きく息を吐いて、体中の緊張を彼女は解いていった。
「ありがとう・・・・・・どうか、仕事に戻って・・・・・・私は、大丈夫だから」
そう言いつつも、再び気を失いかねない様子の編集長が気がかりで、皆は去れずにいた。
と、
「・・・・・・あ、コーヒー!!!」
ガバッ、と擬音が付きそうな勢いで、深雪は椅子から立ち上がる。周囲の部下はギョッと後ずさる。
「渚砂! あんの、アホ娘!! いつも急に居なくなるんだから!!!」
わなわなと怒りに震える編集長を見て、“良かった・・・・・・いつも通りだ”と、皆は安堵した。
「玉青さん・・・・・・は、取材に出かけてたわね。いいわ、自分で淹れます。どうせ私はコーヒーを淹れる部下さえ持てない無能な女よ」
ブツクサ言いながら、今日も深雪は絶好調だ。
「でも、良く渚砂のこと、クビにしませんね。しょっちゅう、姿を消してるのに・・・・・・」
部下の1人が、前からの疑問を口にしてみる。
「当然でしょ? あんな、格好のウサ晴らし、辞められたら困るわ」
“なるほど。ある意味、気に入ってるのねぇ・・・・・・”と、部下は深く納得した。

渚砂が声の誘導に導かれて、飛翔した先は、広大な砂漠だった。
地表の一部に、スライド式の扉が見えた。人が1人、出入りが可能な大きさで、現在は開いている。
彼女は扉の中に入った。扉は閉まり、上からは砂漠の光景しか映らない。扉の表面には砂粒がコーティングされていた。
「ようこそ、スーパーガール。やっと会えたわね、私は夜々」
地下空洞の施設内に、彼女は居た。黒のドレスは胸元が開いて、豊かな乳房を強調している。渚砂とは露出度が大違いだ。
「どう、温度調整も完璧でしょう? 快適な住まいを築くべく、努力してるのよぉ? 砂漠の下にしては自慢できる環境だと思うけど」
ピーコックチェアと呼ばれる、美しい造りの椅子に腰掛け、夜々は妖艶に微笑んで見せる。悪の華が咲いたように渚砂には感じられた。
「もっとも、貴女には温度なんて関係ないわね。北極でも、その薄着のドレスで平気なんでしょ? 暑い寒いなんて感じたことある?」
1人で可笑しそうに笑っている。その声は良く響いた。地下空洞はドーム型になっていて、2人は空洞の端の方にいる。
夜々から15メートルほど離れた入り口付近に、渚砂は立っていた。
「ここって広くてね。数百メートル半径くらい有るのかな。でも出歩くのが面倒だから、家具は入り口付近にまとめて置いてるの。
向こうには食料貯蔵庫もあるわ。この辺にはスーパーも無いしね、蓄えは置いとかなきゃ、ふふふっ。あ、自家用飛行機もあるのよ」
渚砂は無言で、夜々の言葉を受け止めていた。
「・・・・・・さて、お客様が来るのは珍しいから、お喋りが過ぎちゃったわね。本題の話をしましょうか」
316スーパーガール・ナギサ!9:2007/02/15(木) 07:56:05 ID:6GLJG6Gv
「貴女は、ジェット機のコントロールを奪った。その技術を何に使うつもり? 飛行機テロ?」
先に口火を切ったのは渚砂だった。
「あら、せっかちね。いかにもジェット機を遠隔操作したのは、この私。でも考えてるのは、そんなスケールの小さな事じゃないわ」
「・・・・・・・・・・・・」
「ねえ、考えても見てよ。私はここから、どうやってパリ上空の光景をチェックしてたと思う?」
そう言うと夜々は、指を上に向けて見せた。
「・・・・・・衛・・・・・・星・・・・・・?」
呆然と渚砂は言った。
「ご名答♪ 割と頭いいじゃない、嬉しいわ」
本当に嬉しそうに、夜々は笑顔を浮かべていた。
「まあ正確には管制塔のカメラ映像も盗んだけど、この際それは重要じゃないわ。重要なのは、私が軍事衛星をハッキングできるって事」
椅子から身を乗り出すように、彼女は語りかける。
「今の軍事衛星ってね、地上にいる人間は識別できるし、たとえ屋内に居ても熱反応で探知できるの。そして凄いのは攻撃面。
中性子ビームって知ってる? ピンポイントで、建物は破壊せず、人間だけ排除できるのよ。こんなこと一般人は知らないけどね」
夜々の話し方は、熱を帯びたものとなった。
「そして私は、その衛星を自在に操れる。ちょっとデモンストレーションをして見せれば、私に逆らえる人間や国なんて無いわ。
いつでも各国首脳を焼き殺せる私に、誰が攻撃命令を出せる? 仮にミサイルが来たって、私ならUターンさせられるしね」
彼女の瞳は潤み、時々、わななくような吐息が伴う。
「電子制御されてる兵器は、何だって私がコントロールできる。音も無く兵隊さんが来ても、衛星の目は避けられない。皆殺しにするわ」
今の彼女は、万能感に満たされていた。恍惚とした視線が天上の方へと向く。
「手始めにミサイルを暴発させて、あと中性子ビームで政府の要人を殺害する。事前に予告してからね。デモンストレーションとしては、
悪くないでしょ? これで世界は掌握できる・・・・・・たった1人の例外を除けば」
そう言い終えると、ゆっくりと夜々は、渚砂に視線を向けた。

「そう。困った事に、貴女の居場所は衛星でも捕捉できない。音速以上の速度で動く子なんて反則よ? あるいは、
衛星の探査を妨害するような特殊能力を、貴女は持っているのかしら? スーパーガールのナギサちゃん」
気安い問いかけに、渚砂は無言で応じた。
「何にせよ、ナギサちゃんは、私の障害。軍事衛星の攻撃だって、通用するかは分からない。下手に攻撃を仕掛けて失敗すれば、
逆襲されて衛星を破壊されるかも。だから、まずは話してみたかったの・・・・・・どう、私に協力してくれない?」
「・・・・・・本気で言ってるの?」
「本気も本気よ。考えたことは無い? “独裁国家の元首や、世界中のテロリストを消しちゃえば、世界は平和になるのに”って」
渚砂の視線を、夜々は笑みと共に受け止めていた。
「スーパーガールとしての体面が気になるなら、私が代わりに手を汚してあげる。ナギサちゃんは、私を見逃してくれればいい。
洞窟に潜んでる怪しい奴らはテロリストに決まってるんだから、全員、始末してあげる。世界が確実に、平和に近づくのよ?」
噛んで含めるような話し方だった。
「お礼だってするわ、お金なんか幾らだって手に入る。私の意向で人の生き死にが決まるんですもの。皆、払ってくれるわよ。
『助けて! 殺さないで!』なんて叫びながらね。最高だと思わない? 世界を管理できるのよ?・・・・・・」
なおも夜々が続けようとした演説を、渚砂は一言で遮った。
「ふざけないで!」
施設の壁がビリビリと震えた。夜々の顔から笑みが消える。
「命を何だと思ってるの? 生まれた我が子の明日を思う、親の気持ちを考えた事がある? 愛する人が無事で居るよう、願った事は?」
渚砂は、両親の顔を思い浮かべていた。生まれた星の両親と、地球の両親の顔を。
「世の中には、納得できない事だってある! 私だって、いっつも編集長にはイジメられてるけど!」
「え? 編集長?」
「でも、私は未来を信じてる! 貴女みたいに、人命を奪う事が物事を解決するとは思わないわ。
私は両親から愛を与えられ、未来を与えられた! だから私も地球の皆を愛し、未来を与えたいの。未来には皆で育める、
素晴らしい世界が待っていると信じてるから。そういう未来を誰かに与えたくなる、愛の大切さを、私は伝えていきたいの!」
と言った後、
「・・・・・・でも、編集長には、いっつもイジメられてるけどね!!!」
と、渚砂は言葉を締めくくった。
317スーパーガール・ナギサ!10:2007/02/15(木) 08:09:21 ID:6GLJG6Gv
「・・・・・・編集長にイジメられてるってのと、交渉が決裂した事は良く分かったわ・・・・・・」
夜々の目には、冷たい光が宿っていた。渚砂としても、彼女と話す事などは、もう何も無い。
「あっちに見える、黒い鉄の塊が、衛星を操れるって機械ね? 破壊させてもらうわ」
渚砂は夜々から離れた後方にある機械を見据え、一歩、前へと踏み出した。
「させないわ、悪いけど」
言うと夜々は、手元に隠していた装置のスイッチを押す。天井の一点が光り、施設内は緑色に包まれた。
“あっ・・・・・・な、何?・・・・・・”
途端に、一歩も歩けなくなった渚砂は、床に倒れる。夜々は椅子から立ち上がり、ゆっくりとした歩調で前に進んだ。
「残念ね。いい、お友達になれると、思ったんだけど」
倒れたままの渚砂の前で立ち止まり、夜々は勝ち誇る。
「私ね、ナギサちゃんの事は結構、研究してるの。最初のTVインタビューで、貴女は生まれた惑星の名を明かした」
小型のリモコンを持った手で、夜々は天井の一点を指し示す。そこでは宝石を思わせる、緑色の石を通して、光線が放射されていた。
「あの石は、その星から地球に落ちてきた物。その成分は、ナギサちゃんに取って致命的なものよ。地球人の私には無害だけどね」
前のめりに、うつ伏せに倒れた渚砂の体を、横から靴の爪先で夜々は乱暴に動かす。渚砂は仰向けの姿を取らされた。
「ああやって光線を通すと、貴女が動けなくなるエネルギーが放射される。この施設の壁、加工してあるの。おかげで良く、
光が反射してるでしょ? 何でココ、仕切りの壁が無いか分かった? あの光線を施設内の全てに届かせるためよ」
履いている靴の高い踵で、上から渚砂の、胸の突起を踏みつける。くうっ、と渚砂の口から声が漏れた。
「この施設を造るときから、貴女をこうして捕まえる事を考えてた。無敵のスーパーガールを自由に出来るなんてゾクゾクするわ」

夜々の嘲笑を浴びながら、自分の命運が尽きたと渚砂は悟った。体は動かず、踏まれた胸は痛い。今の彼女は弱々しい女子に過ぎない。
“ここで・・・・・・終わりかぁ・・・・・・。頑張ったんだけどな・・・・・・”
死ぬことは怖くなかった。もともと、故郷の惑星が消滅した時、自分も死ぬはずだったのだ。それなのに自分だけが生き残った。
そう知った時から、彼女は自らの身命を賭して、地球の人々を守る事を考えるようになった。
渚砂には友達らしい友達は居ない。子供時代は1人で山を走ってたし、田舎で育った彼女は、都会に出てからも周囲に馴染めなかった。
もっとも、その事実は渚砂を気楽にさせた。お別れを言う必要が無いからだ。自分が居なくなっても、悲しむ者は無いと思った。
「ナギサちゃん。さっき、演説をぶってくれたわね? 愛が、どうとか」
シニカルに笑いながら夜々が言う。
「私が何を望んでるか教えてあげるわ。私はね、地球の人口を減らしたいの。特に年増の女をね」
渚砂の側にヒザを付くと、夜々は赤いドレスの胸元を撫で回した。
「私は若くて綺麗な子が大好き。世界には私が好きなものだけ有ればいい。資源は有限なんだもの、20億くらい人口は減らさなきゃ」
自分は陵辱されるのだと、渚砂は諦観した。それも覚悟は出来ていた。夜々の悪事を止められないことだけが無念だった。
“新聞社のみんな・・・・・・役に立たない社員で、ゴメンナサイ。編集長・・・・・・コーヒー入れるの、また忘れました。すみません”
執拗な愛撫を受けながら、様々な人の顔を渚砂は浮かべていく。そして玉青の顔が、ハッキリと思い浮かんだ。
“玉青ちゃん・・・・・・いつも、本当に親切にしてくれたよね・・・・・・玉青ちゃんは取材で忙しくて、そんなに一緒に居られなかったけど”
回想しながら、自分は彼女が大好きだったんだなぁと、あらためて渚砂は自覚した。
“玉青ちゃん・・・私、憧れてたんだ。同期なのに、すっごく仕事が出来る玉青ちゃんに。何から何まで、私より優れてたね・・・・・・”
夜々は渚砂のドレスを剥ぎ取りに掛かった。単に脱がせるだけでは物足りないのか、力任せに引き裂いていく。
“玉青ちゃんは、私が居なくなったら、心配するかも知れない・・・ゴメンね、玉青ちゃん・・・・・・会いたいよ・・・・・・玉青ちゃん・・・・・・”
彼女を想う渚砂の目から、一筋、涙が落ちた。
「あら、死ぬのが怖い? せめて素敵な気分にさせてあげる。どうせ処女でしょうけど、いい反応を期待してるわ」
夜々は渚砂の涙を、ペロリ、と舌で掬い取る。想いを汚された気がして、渚砂は悲痛に目を閉じた・・・・・・
318スーパーガール・ナギサ!11:2007/02/15(木) 08:18:23 ID:6GLJG6Gv
目を閉じた渚砂は、凄まじい衝撃音を聞いた。夜々は驚いて、渚砂から離れている。
地下空洞の天井に、人が通れるほどの穴が開いていた。砂漠の砂が大量に落ちてくる。
砂煙の中で、1人の女性が立っていた。青いドレスに身を包み、サングラスを着けた彼女は、施設の天井を破壊して侵入してきたのだ。
「だ・・・・・・誰よ、あんた・・・・・・」
恐怖に震えながら、かろうじて夜々が言った。目を開けた渚砂には、彼女が誰か、即座に分かった。
“玉・・・青・・・・・・ちゃん・・・・・・”

「スーパーガールが・・・・・・2人?」
夜々の驚愕ぶりこそ、まさしく見ものだった。
動物園で、檻の外からライオンに石を投げつけて得意げだった子供が、背後の虎に驚く。そんな顔だ。
玉青は上を向くと、飛翔して緑色の石を、装置から引き剥がした。ついでにパンチ1発で装置を破壊し、光の放出を止める。
緑一色だった施設内が、元の光景に戻る。渚砂は再び、体にパワーが満ちていくのを感じた。
「えい!」
気合と共に、天井に空いた穴から、玉青は緑色の石を投げ捨てる。石は空を越え、大気圏外へと旅立っていった。
「何で・・・・・・あんたには、石が効かないのよ・・・・・・?」
「貴女が理由を知る必要はありません」
茫然自失の夜々の前に、緩やかに玉青は着地する。
「あの・・・・・・た」
“玉青ちゃん”と呼ぼうとした渚砂に顔を向けると、玉青は人差し指を唇の前に立てた。名前は言うな、という事らしい。
「私の事は、スーパーガール2号・・・・・・そう呼んでください」
そう渚砂に告げると、玉青は夜々に向き直った。
「貴女の野望は潰えました。観念しなさい」
「け、警察にでも突き出すつもり!? いいわよ、やってみれば!!?」
まだ夜々は強気だった。ハッキングの痕跡は残していない。有罪には成らないという自信があるのだ。
「いいえ? そんな事しません」
しかし玉青は、首を横に振る。夜々は玉青の、怒りの大きさを理解していなかった。
「よくも、私の渚砂ちゃんを・・・・・・」
コブシを握り締め、腕の血管を浮き立たせながら、低い声で彼女は呟く。サングラスで表情が分かりにくいのが、却って怖い。
「ちょ・・・・・・ちょっと・・・・・・その握りこぶしは何?」
玉青からジリジリと後ずさる夜々の後ろで、渚砂が立ち上がった。コチラも、お気に入りのドレスを破かれて、怒りは相当なものだ。
「渚砂ちゃん。前と後ろから、行っちゃいましょう」
グッ、と握りコブシを夜々に突きつけながら、玉青は渚砂に呼びかける。
「何言ってるの!? 前と後ろからって何!!?」
生きた心地がしない夜々が叫ぶ。その夜々の背後で、やはり渚砂が、握りコブシを固めて応じた。
「そうだね、スーパーガール2号! 奥歯をガタガタ言わせちゃおう!!」
「ちょっと!! 冗談でしょう!? エロパロだからって限度があるわよ!!?」
瀧のような汗が、夜々の全身からは噴き出していた。
「あんた達、正義の味方でしょ!!? そんなんアリ!!?」
「バレなきゃいいんです!!!」
素晴らしい断言っぷりで玉青が返す。そして────────

ア────────ッ!!!!!

という叫び声が、砂漠の何処かから、漏れ聞こえた・・・・・・

「それにしても、玉青ちゃんも宇宙人だったなんて知らなかったよ。教えてくれれば良かったのにー」
夜々と、夜々が造ったハッキング装置を、コブシでメタメタにした後。渚砂と玉青は、砂漠を散歩しながら話をしていた。
灼熱の気温も、2人には何の痛痒も無い。ノンビリとした足取りだった。
「ごめんなさい・・・・・・でも、それを言うなら、渚砂ちゃんだって秘密にしてたじゃないですか」
クスクス玉青が笑う。“そっか、それもそうだねー”と渚砂も笑った。
319スーパーガール・ナギサ!12:2007/02/15(木) 14:23:31 ID:6GLJG6Gv
玉青も、渚砂と同様、故郷の惑星を失くしていた。カプセルに載せられて、地球に送られたところまでソックリ一緒。違うのは、
玉青の産みの親も育ての親も、スーパーヒロインとしてでは無く、普通の人生を娘に望んだ事だった。
「ですから一生懸命、勉強しました。一生、スーパーパワーは使わないつもりだったんで、普通に仕事で身を立てようと思って」
そんな玉青だったが、大学生の時に、スーパーガール・ナギサの存在を知る。雑誌に掲載された、スーパーガールの笑顔の写真に、
玉青は一目で心を奪われた。
「もうスーパーガール・ナギサちゃんの可愛いお顔が、頭から離れなくて。あれが私の初恋ですわ」
そう玉青が言った事に、渚砂はビックリした。誰からも気に留められなかった彼女は、可愛いなどと面と向かって言われた事が無い。
「だから私、新聞社に入ったんです。記者になれば、スーパーガールに近づけるかもって期待して。ミーハーですよね」
ストロベリー新聞社に入社した玉青は、そこで腰を抜かすほど驚く事になる。憧れのスーパーガールが、同期入社してたからだ。
更に驚くべき事に、誰も渚砂がスーパーガールだと気付かない。玉青には訳が分からなかった。
「だって変な話でしょう? 新聞社が血眼になって探してるスーパーガールが、その社内でドーナッツ買いに行かせられてるんですよ?
私以外の社員とスーパーガールが一緒になって、何か大掛かりなドッキリとか仕掛けてるのかと思いましたわ」
「んー、でも私なんて、全く目立たない存在だから・・・・・・」
「それは皆の目がオカシイんです! こんなに渚砂ちゃんはキュートなのに、どうして誰も分からないんでしょう?」
本当に不思議らしく、何度も玉青は首をひねっている。聞いてる渚砂の耳は、何だか赤くなっていた。

渚砂と出会うことで、玉青は、自分の生きかたに疑問を持ち始めた。スーパーパワーで、渚砂を側から支えてあげたくなったのだ。
「知識としては、スーパーパワーの使い方は知ってました。ですから渚砂ちゃんと対になるような、
青いドレスのコスチュームも作って、用意だけはしてたんです。ただ私、子供の頃から、高いところが怖くて・・・・・・」
スーパーガールとして活躍するためには、高速飛行による移動が欠かせない。高所恐怖症は、玉青に取って最大の障壁だったのである。
「でも今日、社の屋上で、渚砂ちゃんに手を握ってもらえて。あれで、勇気が沸きましたわ。あの後、取材に行った先で、
サングラスを買いに行ったんです。そしたら、急に“飛行機を落とす”っていうメッセージが来たでしょう? 驚きましたわ・・・・・・」
「うん、ビックリしたよー。でも玉青ちゃんのオカゲで、私は助けられたね。ドレスは破かれちゃったけど・・・・・・」
体のアチコチを露出した格好で、渚砂は苦笑いしている。
「ごめんなさい・・・・・・もっと早く行ければ良かったんですけど・・・・・・どのサングラスを買おうか迷ってしまって」
「ふぇ! 時間が掛かったのはソコなの!?」
「ええ。やっぱりデビュー時のイメージって大切でしょう? 最初に失敗したんじゃ、後々までトラウマに成りかねませんし・・・」
「あ、それ分かるよぉ。私も最初のテレビ取材で本名、言っちゃったしね。おまけに弱点まで悟られちゃった・・・・・・」
何だかアイドル同士の、楽屋での会話のようだ。
「あと正直に言いますけど・・・・・・私、あの施設の上空に、割と早く着いたんです。超感覚で、渚砂ちゃんが中にいる様子は分かりました」
「あ、そうだったんだ」
「そしたら、渚砂ちゃんが、愛について語ってるのが聞こえて。・・・・・・カッコ良かったですわぁ! 生で名セリフが聞けて感激でした」
何とも呑気な話である。
「あ・・・・・・あの時は怒っちゃって、自分でも何を言ったか、良く覚えてないよ・・・・・・」
「私は覚えてますよ。後で、その事に付いても話しましょう。・・・・・・それで、透視能力で中を見たら、渚砂ちゃんが倒れて。
あの黒いドレスの女が、渚砂ちゃんを苛めて、ドレスを引き裂くじゃないですか・・・・・・興奮しましたわぁ」
「ちょっとちょっと玉青ちゃん!?」
「あ、いえいえ。とにかく興奮しつつも怒りも湧き上がった私は、施設に飛び込んだ次第です。渚砂ちゃんの美しさが、
私の決断を鈍らせたんですわ。だって、渚砂ちゃんの毅然とした姿も、陵辱された姿も、お美しいんですもの・・・・・・」
うっとりとした様子で、玉青は感想を述べていた。
「そ・・・・・・そう・・・なの?」
渚砂は渚砂で、顔が赤くなっている。ここは怒っても良い場面なのだが。
320スーパーガール・ナギサ!LAST:2007/02/15(木) 16:23:25 ID:6GLJG6Gv
「・・・・・・あ、そう言えばさ。あの緑色の光線、何で玉青ちゃんは平気だったの?」
「だって渚砂ちゃんとは、生まれた惑星が違いますもの。私の故郷は、M78星雲にあるんです。あの緑の石は、私には効きません」
「・・・・・・いいの? その設定・・・・・・」
気にしたら負けである。
「あ。あと、お昼休みの時だけど、何かメモしてたでしょ? あれに付いても教えてよー」
「ああ。あれは編集長に仕事を頼まれたんです・・・・・・その事に付いて、これから相談したいんですが・・・・・・」

それから、しばらく経った、ある日の事。
「ほら渚砂、コーヒー持ってきなさい。まったくドンくさい娘ね」
「ううぅ・・・・・・へんしゅーちょーが、苛めるよぉー・・・・・・」
ストロベリー新聞社の編集部では、今日も深雪編集長によるイビリが行なわれていた。
「今日も機嫌悪いわね、編集長」
「奥さんがスーパーガールに夢中らしいのよ。『本当の愛を見つけたわ』とか言って、部屋中に写真を貼ってるんですって」
噂好きの社員たちは、今日もゴシップ話に花を咲かせる。
「はいソコ! 人の傷口いじらない! あんまり言ってると泣くわよ!? 私が泣いたら凄いわよ!!?」
涙目で深雪編集長は、部下たちを睨み付けた。
「・・・・・・まったく、貴女たちも玉青さんを見習いなさい。私も、こんなに彼女が有能だなんて、知らなかったわ」
そう言うと深雪編集長は、玉青から渡されたばかりの原稿を見つめる。
記事の内容は、玉青による、スーパーガール・ナギサとの独占インタビューだった。

昼休み。渚砂と玉青は、社の屋上にいた。
「上手くいきましたね。あの時の、渚砂ちゃんの愛についてのスピーチを中心に、インタビュー形式で記事が書けました」
満足そうに玉青が微笑んでいる。
「でも、いいのかなぁ。2人で打ち合わせして記事を書いて。これってヤラセじゃない?」
「いいんですよ。重要なのは、スーパーガールの言葉を世界に発信できるって事です。絶大な反響があると思います」
そう言われても、渚砂はピンと来てないようだ。だが玉青には確信があった。
「渚砂ちゃんには、編集長も言ってましたけど、純朴な精神があります。その精神から生まれる真っ直ぐな言葉は、
大勢の心に響くはずですわ・・・・・・皆が失った、キラキラした心の輝きを、渚砂ちゃんの言葉は取り戻させてくれるんです」
「私には、良く分からないけど・・・・・・玉青ちゃんが、そう言ってくれるのは嬉しいな」
「渚砂ちゃんなら、心で記事を書ける、いい記者に成れますよ。私が保証します」
「無理だよぉ・・・・・・雑用しか、させてもらってないもん・・・・・・」
落ち込む渚砂に、しかし玉青は言った。
「大丈夫ですよ。次は渚砂ちゃんが、スーパーガール2号の私との、独占インタビュー記事を書けば良いんです。
今の私は、スーパーガール専門の記者として、自由に時間を使える特権を持ってます。渚砂ちゃんも、雑用から逃げられますよ」
「・・・・・・いいのぉ、ソレ!?」
「いいんですよ。渚砂ちゃんは、これまでの扱いが酷すぎたんです。これくらいの事、バチは当たりません。
あ、故郷の星の名と、タマオって名前は書かないでくださいね。特に星の名は、弱点に繋がりますから」

その時、2人の超感覚は、ある銀行が強盗に襲撃されたことに気付いた。銃声も聞こえる。
「事件ですわね、渚砂ちゃん」
スチャッ、と玉青はサングラスを着用する。
「うん。でも、この世に悪の栄えた試し無し!」
渚砂は、玉青と手を繋いだ。“こうやって飛ぶと安心できるから”という、玉青からのリクエストだった。
「あの夜々って人が、何で負けたのか、私知ってるよ。敗因は、とってもシンプルな1つの理由」
歌うように渚砂は、玉青に語りかける。
「“あの人には、素敵な友達が居なかったから”」
渚砂と玉青は、互いに目と目を合わせて微笑んだ。
「テイク・オフ!!!」
一瞬で、赤と青のドレスに着替えた2人のスーパーガールは、平和を守るべく今日も空へと飛び立った。
321300:2007/02/15(木) 16:28:32 ID:6GLJG6Gv
以上、バカ話ですた。
ちなみに軍事衛星と中性子ビームの描写は、全くのデタラメなのでw
本気にしちゃイヤン
322名無しさん@ピンキー:2007/02/16(金) 23:33:31 ID:K9hX6Q8t
遅れてごめんね、もう半年振りにここきたけど
良作きてるやん、いっぱい。超GJ!!!!
323名無しさん@ピンキー:2007/02/22(木) 14:18:55 ID:zJ3iYTQo
>>321
ぶっちゃけ最高だった!良かったわよ、貴女………
深雪の壊れっぷりにバロスwwwwwwww
また書いて下さい。お願いします。
324名無しさん@ピンキー:2007/02/24(土) 20:35:52 ID:YcL+fSBo
天音×光莉SS投稿してもいい?
325名無しさん@ピンキー:2007/02/24(土) 21:34:04 ID:uVKVPeri
おK。バッチ来ーい!
326名無しさん@ピンキー:2007/02/24(土) 22:25:17 ID:PB4AvybF
待ってました!wktk
327名無しさん@ピンキー:2007/02/24(土) 23:10:22 ID:D3dptiRU
今まで、ありそうで無かったよね。楽しみです。
328名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 10:06:20 ID:nkAenwl+
そうでもない>ありそうで無かった
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1154191670/21-24/
329名無しさん@ピンキー:2007/03/01(木) 16:25:14 ID:SyR5xJsu
まとめサイトてss毎にアクセスカウンターついてるんだな
一つだけアクセスぶっちぎっててワロスw
330名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 16:17:14 ID:2Ib4RAjC
>>329
どれかkwsk
331名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 17:33:55 ID:KaCDv35L
最新の20件の真ん中くらいのやつですね。
このスレでも反響が凄かったんでリピーターも多いんかな。
カウンターは最新の20件の下にあります。

SSまとめサイト
http://www.wikihouse.com/sutupani/index.php
332名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 20:48:51 ID:2Ib4RAjC
>>331
thx、「旅のおわり」か…!確かにこれは名作
ていうかこのスレ総じてレベルたけーな
好きなのありすぎて困る
333名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 23:51:43 ID:lyPhYxqn
旅のおわり、今日修正で更新されて最新の20件の一番上に来てるみたいだな。
334名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 00:37:26 ID:gN5Bln6S
あー俺が改行直しただけなんだけどw
335名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 22:33:25 ID:n2ZqHboN
く・・・エロパロかと思ってきてみたが
旅の終わりをはじめ普通の百合小説じゃないか・・・

しかも良作・・・


エロを・・・書いてはいけないのか・・・!
336名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 23:00:06 ID:DpFY1f2I
見せてくれ、キミのエロ!
337名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 02:05:58 ID:PgIncnAl
いまだに天光を正座して待っている人もいる。
338名無しさん@ピンキー:2007/03/11(日) 10:53:18 ID:EnFnEU6r
定期保守
339名無しさん@ピンキー:2007/03/12(月) 18:45:28 ID:vREqW8MJ
もしゅ
340名無しさん@ピンキー:2007/03/13(火) 03:21:26 ID:kbQGhTPh
やはり百合は邪な心を捨て去り純粋な心で楽しむ物なのだと教えてくれるスレだ
341名無しさん@ピンキー:2007/03/15(木) 04:33:55 ID:FPoDqy4F
ストパニを戦隊(もしくは仮面ライダー)風の話をキボンヌ
っと言ってみる……ダメカナ?
342名無しさん@ピンキー:2007/03/15(木) 23:40:03 ID:5GnFLQKZ
>>341
面白い着眼点。キャラ設定考えてみた。
「○○戦隊ミアレンジャー」の○○を誰か・・・。

ミアレッド(蒼井渚砂)
「純真」を司るミアレンジャーのリーダー。
新入り隊員ながらメンバーの心を一つにする統率力と
困難にも挫けず立ち向かう強い心を六条司令に見込まれる。
時として敵までも魅了してしまい、困ってしまうことも。

ミアブルー(涼水玉青)
「知謀」を司るミアレンジャー。
深い知識と明晰な頭脳を持ち、レッドに害を為す者へは
恐るべき策略を巡らせて報復する。
レッドと寮が同室であることを妬まれているが
本人は涼しい顔で今日もレッドへのセクハラにいそしむ。

ミアグリーン(月館千代)
「奉仕」を司るミアレンジャー。
最年少メンバーでありながら、実家で学んだ武術の腕前で
戦闘では最も頼りになる存在。
趣味の掃除をレッドの部屋に施そうとしては
ブルーに追い返されており、密かに対抗心を燃やしている。

ミアシルバー(花園静馬)
「博愛」を司るミアレンジャー。
かつて最強の戦士「エトワール」の称号を得たこともある強者。
現在は半ば引退の身であるがレッドのピンチには
どこからともなく現れ、レッドをさらっていく。

六条司令(六条深雪)
ミアレンジャーの司令官で、かつては「献身」を司るミアホワイトだった。
怜悧かつ冷徹な指導者として泣く子も黙る存在だが
シルバーの前でだけは意外な表情を見せるという噂も。

ミアスカーレット(桜木花織)
「純愛」を司る戦士で、シルバーと共にエトワールの称号を
得るものの生来の病身ゆえ、他界。
華奢な身体で懸命に戦う姿は多くの者を魅了した。
現在はミアレンジャーの守護神として崇められている。

戦隊の目的とか戦う相手とかは全然考えてないw
343名無しさん@ピンキー:2007/03/16(金) 17:29:14 ID:LZuLTO+/
>どこからともなく現れ、レッドをさらっていく。
意味がないw
ブルーの性格と特技「盗聴」も敵幹部向きだし。
胃に穴が開きそうな女王(深雪)中心の悪の組織もやれるな、このメンバー。

ミアレンジャーの敵
・太陽神を信仰し、オゾン層に穴を開けようとするまぶしい女王(毎回顔が光で見えない)。
・温暖化を迷信扱いして二酸化炭素を放出する幹部
・蜜蜂をあやつる幹部
・↑の二人が暴走しがちな上、下も片思いの恋愛だらけ。女王はあまり人望がない。

・世界ハーレム化計画を抱いている変身スーツ好きな女王
・オマケの熊型ロボット(100t)を抱えている最年少者が一番強い三幹部。
 よく「視聴者にはバレバレ」なバイキンマンレベルの変装で近づいてくる。
 こちらの組織は、女王に人望と能力が集中しすぎ。

こんな感じか?
344名無しさん@ピンキー:2007/03/16(金) 23:33:16 ID:4/z8ySHb
地球温暖化はいかにも悪役っぽいなw
345名無しさん@ピンキー:2007/03/16(金) 23:42:01 ID:MDLtAtXQ
ル・リム電撃隊じゃダメ?
え?ビッグワンが足りない?パーシバルがいるじゃん
346名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 02:07:51 ID:TjBYoXZZ
>「○○戦隊ミアレンジャー」の○○を誰か・・・。
百合戦隊ミアレンジャーっでダメかな?

所で巨大ロボは?
347名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 07:35:43 ID:Q/u5QtOP
百合戦隊はひめゆり部隊みたいで・・・。
348名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 10:26:42 ID:vHsUJKGp
変にひねらず乙女戦隊、いちご戦隊辺りでも良さそうだ
349名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 15:30:22 ID:S9uKNd+a
頭に「爆」、「激」、「超」」などをつけたらどうかな
超百合戦隊ミアレンジャー!!(ドカーーン!!)バックで大爆発
爆乳戦隊ヤヤレンジャー!!
絶頂仮面エトワトリン!!
350名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 01:15:24 ID:JKmu4pWY
○○戦隊の○○部分が3文字以上なら上手く合うっぽい。
おもいっきり探偵団 千華留組…普通だなorz
351名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 20:26:02 ID:ESnKjED8
敵にするやつが思いつかない
352名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 23:58:08 ID:ZPiI4vkN
>>351
温暖化では
353千代のお友達〜蕾ちゃん花開く〜 ♯1:2007/03/25(日) 04:45:33 ID:YAX+Died
久しぶりにちょっぴりHな千代ちゃんを書いてみました。
>>27の続編です。

『千代のお友達〜蕾ちゃん花開く〜』

「どう、千代ちゃん? 気持ちいい?」
 私は今お風呂のシャワールームで、おおきなおっぱいに挟まれています。 少し息苦しいけど、柔らかいものに包まれていてとても気持ち良いです。
 この豊満なおっぱいの持ち主は、スピカのおっぱい職人と呼ばれる南都夜々お姉さまです。
 どうして私が挟まれているかと言うと……

 前の日、私はいつものように蕾ちゃんの部屋で、蕾ちゃんとHしていました。
「ねえ、千代、相談したいことがあるんだけど」
 下半身だけを露出してベットに座っている蕾ちゃんの蕾ちゃんを、私がうつぶせに寝て顔をつけ、舌先でぺろぺろとしていると、蕾ちゃんが「ん、ん……」と感じながら話しかけてきました。
「どうしたんですか、蕾ちゃん? 何かいい体位を思いついたんですか?」
「うん、それは後でじっくりとするにして、私悩んでることがあるの」
 どんな気持ちいいことをしてくれるんだろう、という期待もありますが、蕾ちゃんが悩んでる顔をみて何か力になってあげようと思いました。
「夜々先輩のことなんだけどね……どうすれば上手くいくかなって」
  私は蕾ちゃんをなめながら相談を聞きました。片思いの夜々お姉さまのことですね。
「最近夜々お姉さまとHはしてるんですか?」
 私が逆に質問をすると蕾ちゃんは顔を真っ赤にしました。
「う、うん。最近になって頻繁に部屋に呼び出されるようになってね」
 それはとてもいいことなのですが、どこか蕾ちゃんの声には明るさがありません。
「何か不満があるんですか? マンネリ気味とか? それに夜々お姉さまってしつこそうだし」
「まあ、多少は……いや、そうじゃなくて。私、夜々先輩の前だと全然素直になれなくて、それに好きだってまだ告白してないの」
「え? まだ告白してないんですか?」
 どうやら蕾ちゃんと夜々お姉さまは、体だけの関係のようです。
「千代、どうすればいいかな?」
「あの、蕾ちゃん、蕾ちゃんのほうからHのお誘いはしないんですか?」
「ううん、したことはないわ」
 舌で嘗め回しながら話すのはすこしつらいので、私はうつ伏せから座った姿勢になり、人差し指を使って蕾ちゃんの秘所をいじることにしました。
「自分から誘えば自然と告白できると思います」
 指でぐりぐりしながらアドバイスをしていると、蕾ちゃんは片目を閉じ息を荒げ、苦しそうなお顔になっていきました。それをみた私は、指の出し入れするスピードをどんどん上げていきました。
「ち、千代、そこよ、そこ……気持ちいい……。じ、自分から誘うなんて……」
 蕾ちゃんはとても気持ちいいそうなので、お話の続きは一回逝った後の方が良さそうです。
「もっと、もっとして、千代」
 蕾ちゃんは背中をベットにつけて仰向けになり、自分で太ももを下から手を回してもって股を広げました。蕾ちゃんの蕾ちゃんには、お蜜たっぷりあふれています。とってもおいしそうです。
 私は蕾ちゃんを昇天させるために、その蜜壷に飛びつきました。その中で舌を泳がせると、蕾ちゃんのあえぎ声が強くなっていきます。
 おっぱいにも手を伸ばし、服の上からやさしくさすってあげました。
354千代のお友達〜蕾ちゃん花開く〜 ♯2:2007/03/25(日) 04:49:03 ID:YAX+Died
「千代、千代、逝っちゃう……逝っちゃう……」
 いつもは私のほうが先に逝っちゃうのに、今日の蕾ちゃんは敏感です。
 私は顔を上げ起き上がり、蕾ちゃんのお腹のほうから服の中へ手を入れて、おっぱいに直にさわり、乳首を人差し指の先で転がすようにいじりました。
 舌の代わりに、もう片方の手の指をアソコに入れてかき回すと、指と蜜壷の隙間からじゅっぷじゅっぷとお蜜が噴出していきます。とても滑りやすくなって、私の手の動きはどんどんと速くなっていきます。
「あん、もう逝っちゃう……逝っちゃうううう!!!」
 蕾ちゃんはすこし腰を浮かせ身体を強張らせた後、ふっと力を抜き再び背中をベットにつけました。蕾ちゃんは絶頂に達し、果ててしまいました。
「ごめん、千代。私しばらくこのままでいたい……」
 赤らめた顔になった蕾ちゃんは、目を潤ませ息を切らしながら私に謝りました。蕾ちゃんは身体を動かすことが億劫になるほど、ジンジンとうずく気持ちいいもので満たされているのでしょう。
「ううん、いいんです。いつも私が先に逝っちゃうんだから、お相子です」
「千代の……見せて」
 私の方の蕾ちゃんもお蜜があふれています。それを蕾ちゃんに恥かしげもなくぱっかりと指で開いて見せました。
「蕾ちゃんのせいですよ。今日の蕾ちゃん、いつもより色っぽくて私はずぶ濡れです」
 蕾ちゃんの視線が一番の刺激です。蕾ちゃん見ててくださいね、私のオナニー。
「あ、あ、あんっ。蕾ちゃん……」
 左手で自分の乳首を、右手であそこをいじると電気のようなのがビリビリと体中を駆け巡り、それがとても心地よくて私の頭はより強い快楽を求めるのに一杯になっています。
 蕾ちゃんの身体を慰めるときは、どこか手加減をしていましたが、自分にするときはそんなもの無用です。すごい速さで指を出し入れするのを、蕾ちゃんに見られて恥かしいと思う感覚が、心地よくて癖になりそうです。
「蕾ちゃん、蕾ちゃん……もうだめです、逝っちゃいますぅ!!」
 両膝を上げつま先だけで立ち、左手一本で上体を持ち上げて、指を入れている自分の蜜壷を、蕾ちゃんの顔の方向へ突き出すようにしました。
「千代、素敵よ……」
「あああああんっ!! 逝っちゃいます〜〜!! ひゃうううううぅぅ!!」
 指を入れている部分から体中にビクンビクンと響くものが駆けめぐると、私は体制を維持できなくて、蕾ちゃんと同じように天井を向くようにばったりと倒れました。
「はあはあはあ」
 耳に入っている音は蕾ちゃんと私の乱れた呼吸の音だけで、目は開けて天井を見ていますが何も考えてはいません。身体の内部を侵食する悦楽は、しばらく私たちから離れようとはしませんでした。
「蕾ちゃん、いいことを思いつきました。きっとこの作戦で夜々お姉さまに告白できると思います」
 逝っちゃってから30分程で動ける力が戻ってきた私は、ある考えを思いつきました。
「え、ホント? どうやるの?」
 蕾ちゃんの頬にはまだ赤みが残っていますが起き上がり、私の話を聞こうとしました。

――つづく
355名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 03:36:23 ID:8BFEvODk
ワクテカしつつ続きを待つわ!
356名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 16:34:36 ID:yZOCdH7D
温暖化(要と桃実)版ベルサイユの薔薇をリクしても、いいですか?
357名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 14:48:01 ID:tb9ALm3S
リクエスト自体は良いでしょ。書かれるかは別にして


かくいうオイラは現在、要と桃実の短編を書いてます。変な話になりそうですw
358千代のお友達〜蕾ちゃん花開く〜 ♯3:2007/03/27(火) 22:35:11 ID:EEjJHEjM
>>354の続きです。

 その次の日、つまり今日。時間は私が夜々お姉さまのおっぱいに挟まれる1時間前です。
「これより、ソフトエロの後戯……でなく講義を行う!」
 私たち二人は夜々お姉さまのお部屋で、ニーソックス『だけ』を身に着け、気をつけの体制で立っています
 目の前には『ソフトエロ講座』なるものの教官が立っています。教官役は夜々お姉さまです。
 夜々お姉さまは私たちと同じような格好をしていますが、ニーソックスでなく、足の付け根付近まであるトレードマークの長い真っ黒いストッキング『だけ』を身体に装着しています。
 私たちが身に着けているものは靴下だけで、おっぱいと大事なところは全く隠されていませんので、全裸と大して変わりません。
「すごいおっぱい!」
 夜々お姉さまの胸のあたりに目をやるとドンとした衝撃を受けました。なんて大きくて柔らかそうなおっぱいなんでしょう。自分自身ととなりの蕾ちゃんのおっぱいの小さいこと……
 しかし、うらやましいと思う前に、まず圧倒されます。
 それと黒のストッキングに覆われた両足の太もも部分の間に、ストッキングと同じ色の小さなショーツのようなものが見えます。
 でもそれは、よく見るとショーツでなく夜々お姉さまのオケケでした。ボーボーでまるで密林のようです。アマゾンです。
 私たちには各々の髪と同じ色のものが、申し訳程度にちょろちょろと生えているだけです。どうすれば夜々お姉さまのような大人っぽいお姿になるのでしょうか?
「じゃあまず準備運動でオナニーしなさい」
 夜々お姉さまはベットに座り、私と蕾ちゃんに早速課題を出します。準備運動がいきなりオナニーですから厳しい講義が予想されます。
「ねえ千代、うまくいくかな?」
 蕾ちゃんがぼそぼそと私に話しかけてきました。
「うーん、まさか夜々お姉さまがこれほどノリノリとは、思っても見なかったです」
 私が考えた蕾ちゃんの恋が成就する作戦とは、夜々お姉さまにHな授業をしてもらって、蕾ちゃんが積極的にお姉さまの身体をいじりまわすことで、自然に告白へ持っていく、というものです。
 恥かしがる蕾ちゃんの腕を引っ張って、お姉さまのところへ頼みに連れて行くのに苦労しました。それでも蕾ちゃんは顔を真っ赤にして
「夜々先輩! 私にクンニの仕方を教えてください!」
 と叫んだ勇気には感動しました。きっと蕾ちゃんは告白できると思います。

「どうした千代、蕾! 手が遊んでいるぞ! 動かせ!」
 お姉さまはこうい性指導役を、一度やってみたかったのでしょうか、あまりのスパルタぶりに私たちはたじたじです。
「でも良かったじゃないですか、蕾ちゃん。お姉さまがオナニーを見てくれて」
「そうだけど……オナニーって見られるの恥かしいな」
 蕾ちゃんはいまいち吹っ切れていません。もどかしく感じます。
「それが良いんじゃないですか。さあがんばりましょう!」
 夜々お姉さまが座っているベットの隣にある、もう一つのベットに私たち覚悟を決めて座りました。
 蕾ちゃんのぱっかりと開いたアソコを、夜々お姉さまがじっと眺めています。蕾ちゃんはその視線を感じながら、するすると指をもっていきました。
「ん、ん、ん……」
 もう片方の手では乳首をくりくりしています。もう顔は紅潮してあえぎ声が漏れていました。
 私も同じように自分の体を慰めることにしました。
 5分ほど時間が経過したら私たちの大事なところはすっかりずぶ濡れになって、Hの準備が出来上がっています。すると夜々お姉さまが、息を切らしている蕾ちゃんを手招きしました。
「蕾、ちょっとこっちに来なさい」
「は、はい。夜々お姉さま」
 蕾ちゃんはとろんとした目をして、夜々お姉さまが座っている向かいのベットに移動しました。
「蕾、あんた確か私にクンニの仕方を教えてほしいって頼んだわね?」
「……は、はい」
 にやりと笑っているお姉さまの質問に、恥かしそうに答える蕾ちゃんは、本当にかわいらしいです。
「とりあえず私のまんこを舐めなさい」
 夜々お姉さまはベットの中央にお尻を付けて座り足を開き、蕾ちゃんにクンニのクン練を言いつけました。蕾ちゃんよかったですね。
 しかし、お姉さまの発言に私はカチンときました。
 なにが「まんこ」ですか。純情な私がいつもアソコの事を、「蕾ちゃん」「蜜壷」「秘所」などと遠まわしに言っているのに!
 その努力を無駄にするような直接表現が許せません。せめて頭に「お」をつけて伏字にしてほしいものです。「お○まんこ」と。
 命令を受けた蕾ちゃんは、お姉さまのベットに上がり四つんばいになって、夜々お姉さまのまんこに顔を近づけました。
359千代のお友達〜蕾ちゃん花開く〜 ♯2:2007/03/27(火) 22:37:41 ID:EEjJHEjM
「ここが夜々先輩の……」
 蕾ちゃんは舐め始めました。大好きなお姉さまにクンニができて、私はうらやましく思いました。
「ほら! もっと舌使いを激しく!」
「は、はい!」
 夜々お姉さまは、ゆっくりとやさしくしている蕾ちゃんをもどかしく思ったのか、急き立てます。
「ん、ん……いい…わよ、蕾。その調子……うっ!ん!」
 お姉さまは感じているらしく、蕾ちゃんの頭を片手で押さえつけながら、途切れがちの声を漏らしました。
 私は、突き出された蕾ちゃんのお尻を、真後ろから眺めながらオナニーしています。蕾ちゃんのアソコからいっぱいお蜜が溢れ出ていて、それが蕾ちゃんの今の幸せな気持ちを表しているようでした。
 もっと蕾ちゃんを気持ちよくさせようと私は、蕾ちゃんのアソコに指を入れてかき回そうと、蕾ちゃんたちがいるベットへ移動しました。
「千代ちゃんはここへ座って」
 すると、クンニされている夜々お姉さまが、黒いストッキングに包まれた右足の裏でパタパタとベットを叩き、その付近へ座るように言いました。
 私は何だろうと思って言うとおりにすると
「もっと近くに。そしたら足を開いて」
「こ、こうですか……ひぁ!」
 足を広げると、お姉さまに丸見えになった私の秘所に向かって、黒い影が伸びます!
 その正体は、黒ストッキングを穿いた右足の親指でした。
 それが秘所の周りをぐりぐり、もぞもぞと這いずり回って、私はびっくりして悲鳴を上げました。
「あんっ……すごいです、お姉さま」
 ストッキングのざらざら感が心地よくて感じちゃいました。このためのストッキングなんですね。
 お姉さまは蕾ちゃんにクンニされているのに、私の感じちゃってる顔を観察しながら、足の指でぐいぐいしていて余裕です。
「そ、そんな! お姉さま! きついです!」
 足の親指を私の中へ入れてきました。そして広げるように回し暴れます。
 私は自分の小さな人差し指一本が限界なのに、お姉さまは無理やりねじ込みまいた。
 でもそんなに痛くなく、すぐに気持ちよくなっていきます。オナニーで濡れてたのもありますが、お姉さまがお上手だからでしょうか。
 大胆ですが、相手を気遣うやさしさをお持ちで、テクニックは一級品、その上おっぱいは大きい。こんなすばらしいお姉さまと、いつもHできる蕾ちゃんはなんて幸せなんでしょうか。
360千代のお友達〜蕾ちゃん花開く〜 ♯3:2007/03/27(火) 22:39:55 ID:EEjJHEjM
「あんあんあんあん……お姉さま、私もう逝っちゃいます」
 器用に動き回る親指に私はビクンビクンと感じ、もう逝っちゃいそうです。
 しかし、入れていた足の指をちゅぽんと音を立てて引っこ抜きました。すっごく気持ちよかったのに。いわゆる、おわずけというのでしょうか。
「千代ちゃん、見て。ソックスが千代ちゃんのおつゆで濡れちゃったわよ。こんなにびしょびしょで、なんていやらしい子。うふふふ」
「そんな恥かしいこと……もっと言ってください!」
 私から抜かれたお姉さまの親指には、私とをつなぐ糸が引いていました。黒いストッキングの布地が、親指の部分だけびっしょりと濡れて色がくっきりとしています。
 その指を私に見せつけて恥かしいことを言ってのける。言葉責めもお得意でまさにパーフェクトです。
 そして再びお姉さまは親指を私の中に入れて、止めを刺そうとします。
「あんあん……お願いします! 私を逝かせてください!」
 懇願した私は、お豆さんをぎゅっとつまみ、腰を前方へ出しお姉さまの指を、自分からもっと深く入れさせました。
「逝っちゃいます! 逝っちゃいますぅぅぅぅぅぅ…………」
 私は昇天して仰向けに倒れました。
 逝った後もお姉さまは私をいじり続けます。小さな快感の波が小刻みに押し寄せてきました。
 あっさり逝っちゃった私とは反対に、蕾ちゃんにぺろぺろされても夜々お姉さまはまだまだ平気です。 
「千代ちゃんは敏感すぎるわ。特別の補習が必要のようね」
 夜々お姉さまはクンニをしてくれている蕾ちゃんの頭を、片手でつかみ前に押しやり、離しました。
「蕾、もういいわ。下手なあなたがこれ以上舐めてても私は逝かないわ。一人でオナってなさい」
 お姉さまは蕾ちゃんに冷たい視線を投げかけ立ち上がりました。
 つかまれた頭を放された蕾ちゃんは、下を向いて動こうとしません。
 蕾ちゃんがかわいそうです。大好きなお姉さまのために、あんなに一生懸命ぺろぺろ舐めていたのに。
 大好きなお姉さまに冷たくされて、きっとつらくて悲しい気持ちがいっぱいでしょう。
「蕾ちゃん……」
 私は蕾ちゃんに声をかけようとしました。
「千代ちゃんはこっち!」
「ひゃ、ひゃあ!?」
 四つん這いの体勢から起き上がろうとする私のお腹に、夜々お姉さまが腕を回し持ち上げました。急に体が宙に浮いたような感覚になって私はびっくりしました。
 すごい力です。あの静馬様や天音様に匹敵するほどです。きっとこの大きなおっぱいにパワーの秘密があるに違いありません!
「蕾ちゃーーーん!」
 お姉さまは私をどこかへ持ち運ぼうとしています。身動きが取れない私と、落ち込んでいる蕾ちゃんとの距離がどんどん離されていきました。

−つづく
361名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 22:06:06 ID:Gp6994kY
保守age
362名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:46:11 ID:PUXiAYiu
定期保守
363名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 20:55:18 ID:jJlt6sEk
>>360の続きを心待ちにしつつ保守
364名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 18:40:52 ID:uIL74ip0
その2がやっと落ちたから、期待保守
365千代のお友達〜蕾ちゃん花開く〜 ♯6:2007/04/07(土) 21:54:07 ID:fnvOnfN7
>>360のつづきです

 私はこのお部屋のお風呂へ連れて行かれました。タイルの上に座らされて、おしりがひんやりとしています。
 すぐに逝っちゃう私のために、夜々お姉さまはソフトエロ講座の補習をして頂けるそうですが、いったい何をするんでしょうか?
「千代ちゃん、こんなとこに連れてきてゴメンね」
 お姉さまはここへ来るなり私に謝りました。さきほどは私たちに不敵な笑みをこぼしていたのに、そのお姉さまは、本当に申し訳なさそうな顔をしていました。
 いったいどうしたんでしょうか、あれほどHには自身が満ち溢れていたのに。
「どうしたんですか? お姉さま」
「千代ちゃん、お願いがあるの。私にクンニしてほしいの」
 お姉さまは私の前にお尻を付いて座り、股を開きました。お姉さまはもじもじとしていて、私とはあまり目をあわさなくて、どこか恥かしがっている様子でした。
「はあ、私でよろしければ」
 さっきあれほど蕾ちゃんにしてもらったのに、どうして今更クンニを頼むのでしょうか。私は疑問に思いながらも、お姉さまのぱっかりと開かれ秘所を拝見しました。
 お姉さまの花びらは、はいている黒いストッキングのような色かと思ったら、私や蕾ちゃんと同じ鮮やかなピンク色でした。
 私たちのよりすこし大きいぐらいですが、周りに濃いおけけがたくさん生えていて、とても大人っぽくてセクシーです。
 それと、太もも近くまで届いている、長い黒のストッキングが私の官能を刺激します。「ムラムラくる」というのは、きっとこういうのでしょうか。
「きて……千代ちゃん」
「は、はい。それではいただきます」
 お姉さまの蕾を両手の親指でぐいっと開くと、もう蜜があふれています。これは蕾ちゃんにされたときのものでしょう。
 それを舐めとるように口をつけ、まずは小さな円を描くように舌を回しました。
「んっ! んっ! いいわよ……千代ちゃん」
 ちょっとしか舐めていないのに、お姉さまはもう感じちゃっています。どうしてでしょう。蕾ちゃんが一生懸命やっていても駄目だったのに。
 もう濡れ濡れなので奥の方へ入れてみました。
「すっごい! 千代ちゃん! いい、いい!」
 すんなりと入っていった私の舌を、ぐりぐりと中を押し広げるように暴れさせると、お姉さまは悲鳴を上げます。
「千代ちゃん、次は指でお願い」
「はい」
 私は起き上がりお姉さまのお顔をのぞくと、ほっぺたが赤くなって目は焦点があってないようでした。
「私を貫いてちょうだい」
 お姉さまはそう言うと、ご自身の両手の指で左右の花びらを広げ、内部の鮮やかな赤色を見せてくれました。
 私は人差し指で周りをなぞってから、中へずぶずぶと入れていきました。
「んっ! 千代ちゃん……いいわよ。な、中指もおねがい……」
 さすがお姉さまです。簡単にくわえ込んで、一本では物足りないようです。私はひとまず指を引っこ抜き、中指と人差し指を口の中へ入れしゃぶった後、一気にお姉さまを攻め立てます。
「もっとよ、もっとよ、ぐりぐりして! それと……んっ! んっ! はあ、はあ、指を広げて……」
 お姉さまの言われたとおりに、私は中で二本の指の股を広げると、お姉さまは顔を天井に向け激しく悶えました。
「千代ちゃん、上手よ! すっごい! 私、もう逝きそう……ち、千代ちゃんのテクニックなら、あ、アストラエアに未来を任せられるわ!」
 何やらスケールの大きな話になっています。でも褒められるのはうれしいです。今度、渚砂お姉さまに試してみたいと思います。
 お姉さまは背を上体を後ろへ傾け両手で床につき、腰を浮かせました。私は追いかえるように腕を伸ばすと、反対に私の方向に腰を突き出し、私の指をより深く潜り込ませようとします。
「んっ!んっ!いい、いいわ……い、逝きそう……んっ!んっ!んっ!」
 そして何度も腰を前後に往復して、積極的に快感を得ようとしています。この飽くなき探究心。お姉さまには教えられてばかりです。
 体を大きく揺らしているので、お姉さまの大きなおっぱいも、ぶるんぶるんと円を描いて暴れまわっています。見上げている私からは、お顔が隠れるぐらいゆれていました。
 その暴れるおっぱいの片方を私は捕まえて、乳首をくりくりしました。お姉さまをもっともっと気持ちよくさせたかったです。
366千代のお友達〜蕾ちゃん花開く〜 ♯7:2007/04/07(土) 21:57:01 ID:fnvOnfN7
「もうだめ! 逝っちゃう! 逝っちゃう! あんっ! あんっ! あんっ!」
 お姉さまが乱れていくお声がお風呂場に響き渡ります。お姉さまは腰を下ろし、自分の指でお豆さんをぎゅっとにぎり絶頂を迎えようとします。
 私もここが正念場だと思い、一生懸命になって二本指を出し入れしました。お姉さまのお花からいっぱい、いっぱいお蜜があふれ出てきます。
「んはあ!! 逝っくううううううう!! …………!」
 お魚が跳ね上がるように、お姉さまは背中をそらし腰を上げました。大きな悲鳴がお風呂場で反響して、それを聞いた私は、お姉さまを逝かせた達成感で満たされました。
「はあはあはあはあ……」
 体を起こしたお姉さまは、気だるそうな目で私の顔を見つめ、息を切らしています。
「お、お姉さま……んぐぅ……」
 突然お姉さまは私の背中に腕を回して持ち上げ、引き寄せて無理やりキスをしてきました。舌をねじ込んで私のを屈服させるようとしています。まるで恋人にするような激しいキスです。私はもうメロメロです。
 満足したようで唇を開放すると、私を強く抱きしめました。私のとは比べ物にならないお姉さまのおっぱいが、私の胸と密着します。ぎゅうぎゅうです。
「蕾……」
 聞き違いでしょうか、抱きつきながらお姉さまは私の耳元で、私ではなく蕾ちゃんの名前をつぶやきました。どうしてでしょうか。
「お姉さま、私、千代ですよ」
「あ、ご、ごめん、千代ちゃん……」
 抱き寄せられた私は、お姉さまの閉じられた太ももの上を跨っています。
「もしかして、お姉さまは蕾ちゃんのことが好きなんですか?」
 体を離されましたが、私はお姉さまが回した両腕に支えられながら、顔を見つめ聞きました。するとお姉さまの顔は真っ赤になりました。図星のようです。
「う、うん、私、あの子のこと大好きなの。ごめんね、千代ちゃんって、蕾と体の大きさが同じぐらいでしょ? だから蕾にされていると思いながら……」
 お姉さまはおろおろと困った顔をしています。恋する乙女のようです。
「どうしてそんな回りくどいことをなさるんですか? 告白すればいいじゃないですか?」
「え!? こ、告白!?」
「そうですよ。大好きって言えばいいじゃないですか」
「駄目なの……私ね、あの子の前だと全然素直になれなくって。さっきだってあんな酷いこと言うつもりなかったのに……」
 うーん、私の親友も同じようなことを言ってた気がしました。とにかく蕾ちゃんに言ったことは本心ではないようです。蕾ちゃん安心してください。
 私はお姉さまの恋を成就させようと、ある考えを思いつきました。
「お姉さま、言葉で伝えられないなら、体で伝えれば上手くいくんじゃないですか?」
「体で?」
「はい。蕾ちゃんを長い時間ぎゅっと抱きしめてあげたり、私にしたようにベロチューしたり。それと蕾ちゃんはおっぱいが弱点ですから、そこを徹底的に攻めて、体で気持ちを教えるんです」
「体か。うん、ありがとう千代ちゃん! やってみるね!」
「ひゃあああ! うぎゅううううう……」
 お姉さまからお礼を頂くと、私の顔は大きな胸の谷間に埋められました。
「どう、千代ちゃん? 気持ちいい? こんな感じで蕾を抱きしめればいいかな?」
 こうして、私は挟まれました。

――つづく
つぎで最終回になります。
367名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 22:44:01 ID:1d1eekT4
夜々頑張れ!!
368名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 23:49:28 ID:1fh2X0af
そんなディープなことしなくても
蕾の場合、軽く抱きしめてキスするだけでもOKな気がするけどね。
頑張れ、夜々。蕾はすぐに堕ちるぞ。
369名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 21:54:29 ID:Ru/zbf3h
ほす
370名無しさん@ピンキー:2007/04/12(木) 21:51:05 ID:YjwX6OTj
あはは...
371名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 00:03:04 ID:0ECuPvlk
蕾より先にここのスレが堕ちそうか・・・?
372名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 18:30:18 ID:HnuLpoyF
まだだ、まだ終らんよ!保守
373名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 14:07:34 ID:iRm4zhlV
「お礼……」と言って玉青に折鶴を渡す渚砂
374名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 01:54:30 ID:kDan8hpc
「まぁうれしいですわ〜」と言って折鶴を受け取る玉青
375名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 07:26:37 ID:8E+Ox02n
「渚砂ちゃんにはお返しをしてあげませんと」
「ふぇ? そんなすごいことした訳じゃないから別にいいよ」
「渚砂ちゃん…そんな遠慮がちなところも素敵ですわ…そう…ふふふ」
「…玉青ちゃん? どうしたの…?」
376名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 16:41:44 ID:jMlCQ59g
そして運ばれてくる高見盛
377名無しさん@ピンキー:2007/04/20(金) 11:30:03 ID:MWjdtd8z
378名無しさん@ピンキー:2007/04/20(金) 13:16:58 ID:6SShU+2y
379名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 13:28:39 ID:Mwgft9uQ
380名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 13:47:08 ID:MPVCn3Gt
381名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 14:22:16 ID:ZV/eWOKW
382名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 14:25:43 ID:MPVCn3Gt
を盛られた
383名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 15:32:51 ID:mMv9Raup
高見盛
384名無しさん@ピンキー:2007/04/23(月) 22:23:42 ID:3ov55N0n
保守
385名無しさん@ピンキー:2007/04/26(木) 20:53:42 ID:Nea8Rrpi
>>366の人以外で今書いてるよー、という人はいるんだろうか


とワードで9ページ程度書いて、途中で投げた俺が言ってみる
386名無しさん@ピンキー:2007/04/29(日) 20:19:27 ID:XfJ5D+wy
全力で保守する部
387千代のお友達〜蕾ちゃん花開く〜 ♯8:2007/04/29(日) 21:21:15 ID:LOtib1eN
>>366の続きです
「どう、千代ちゃん、気持ちいい?」
「は、はい。柔らかくて、とっても」
 夜々お姉さまのおっぱいは、お餅の様に柔らかくて、弾力があります。顔を埋めて気持ちいいんですが、苦しいです。
「お姉さま、ちょっとゆるめてくれませんか」
「ごめん、千代ちゃん。つい蕾だと思って」
 お姉さまは蕾ちゃんのことばかり考えているようで、少々がっかりしました。蕾ちゃんがうらやましいです。
「お姉さま、私のこと蕾ちゃんだと思って、Hの実験台にしてみてはどうですか?」
 蕾ちゃんには悪いけど、お姉さまのパーフェクトなテクニックを堪能したいと思いました。
「いいの、千代ちゃん!?」
「はい! どうぞ、思う存分に弄ってください!」
「ありがとう、千代ちゃん。じゃあ、ここで足を開いて」
「はい、お姉さま」
 足の指で立つ正座をしているお姉さまの、太ももに跨っている私は、そこへお尻を乗っけて、両手を前に出しお姉さまの両肩へ掛けました。私の背中にお姉さまの左手が回りこみ支えています。
 見上げると、お姉さまの艶やかな微笑がありました。
「いくよ、千代ちゃん」
「はい、やさしくしてください」
 お姉さまは少し足を開くと、私の股も開かれました。そこへお姉さまの右手の指が入ってきて、私の秘所をさすりました。
「あんっ! いきなりそんなぁ!」
「千代ちゃん、いい顔してるね」
 私の頭の中に気持ちいいのが入ってきました。目を強く瞑り、眉間にしわを寄せている顔をお姉さまに見られています。
 お姉さまの人差し指が私の中に入ってきます。そして、入り口を広げるように指を回し、さらに中指を入れてきました。
 さっきお部屋で足の指を入れられましたが、それよりずっと器用に細やかに攻められます。
 体中がビクンビクンと波打つようです。気持ちよすぎて、反対に怖くなってきました。
「お姉さま、怖いです。こんな感覚は初めてです……」
 私は目に涙を浮かべていました。引っ切り無しに襲ってくる快楽の波で、目を閉じ続けていて真っ暗です。
 もう自分では、何をされているのか、この先どうなってしまうか、わからなくなってしまって不安になりました。
「大丈夫よ、千代ちゃん。もっと体を寄せて」
「は、はい……」
 体から一度お姉さまの指を離されます。私は足をタイルについて、もっとお姉さまに寄り添います。肩に当てていた自分の両手を、お姉さまの首の後ろへ回し体を密着させました。
「千代ちゃん、苦しかったら言ってね。もっと激しく指を動かすから」
 どっち道、お姉さまは私を容赦なく弄り倒す気満々です。
「ですから、やさしく……ひゃうう!」
 後ろから回り込んで指を入れてきました。
 私の中で、ものすごい速さで二本指が暴れます。私は一生懸命お姉さまにしがみつきます。
「お姉さま、お姉さま、お姉さま……助けてください……怖いです……怖いです……」
 泣きじゃくって涙が飛び散っています。当然お姉さまの指の速さは増して行きます。
「ごめん、千代ちゃん。千代ちゃんが可愛すぎて、もう押さえが利かないから……」
 お姉さまから絶望的な宣告を受けました。もう私は助かりません。
 お蜜があふれ出ている私のアソコを、お姉さまの指が出し入れしている、じゅぷっじゅぷっという音が、お風呂場の中を反響してよく聞こえてきます。
 いつもよりいっぱい出ているようです。
「お姉さま、お姉さま、うわあああ〜〜ん!!」
 私は大きい声で、お姉さまの胸の中でわんわん泣き喚きました。
 お姉さまは驚いたようで、あれほど執拗に動かしていた指をぴたっと止めます。
「だ、大丈夫、千代ちゃん!? ごめんね」
 慌てて私の体から指を抜き取ると、私を抱きかかえます。
「ごめんなさい、ごめんなさい、お姉さま。私、もうだめです。苦しくって、切なくって……」
 私の体と心はもう耐えられません。
「いいのよ、千代ちゃん。千代ちゃんの声を聞きたくて、つい夢中になっちゃった」
 私の、感じちゃっている声を聞かれたと思うと、恥かしくなります。つらかったですが、もっと聞いてほしかったです。
「続きは蕾ちゃんにしてあげてください。私は、お姉さまの指に愛をいっぱい感じました」
 ちょっと蕾ちゃんに嫉妬しました。夜々お姉さまの指テクもですが、気持ちが伝わる抱擁がうらやましいです。
「うん、ありがとう。千代ちゃん大好き。私、蕾に告白するね」
 私はお姉さまのお膝の上に乗りながら、顔を向かい合わせました。お姉さまから穏やかで温かい笑顔をもらいました。
388千代のお友達〜蕾ちゃん花開く〜 ♯9:2007/04/29(日) 21:25:34 ID:LOtib1eN
 ふわふわして、気持ちいいです。
 私と夜々お姉さまは、小さな浴槽にお湯を入れ、一緒に入っています。
 私はお姉さまのおっぱいを枕にして重なっています。柔らかいおっぱいの感触が、心身を癒してくれます。
 とっても心地よくて、眠ってしまいそうです。
 でも、私とお姉さまは、何か大切なことを忘れている気がしてなりません。何でしょうか?
「ねえ千代ちゃん……私が蕾にふられたら、慰めてくれるかしら? もちろん体で」
「ああああ!」
 お姉さまに話しかけられた私は、「蕾」というフレーズで、忘れていたことを思い出しました。
「お姉さま! 蕾ちゃんです! 蕾ちゃんをほっといたままでしたよ!」
 私はお湯の中に沈めた体を、水しぶきを上げながら反転させ、背中を預けていたお姉さまと向かい合いました。
「ああ! そうだった!」
 お姉さまも蕾ちゃんに気づいて慌てふためきます。
 私たちはすぐにお風呂から出て、脱衣所で素早く体をバスタオルで拭いて、何も身につけず部屋に戻ります。
「ああ……夜々先輩……夜々先輩……」
 脱衣所の出入り口を開けると、蕾ちゃんの嗚咽が聞こえてきます。
 それを聞いたお姉さまは、叫びながら蕾ちゃんのもとに掛けていきました。
 蕾ちゃんはベットの上で仰向けに寝て、自分のおっぱいと、秘所を指先でいじっています。目には涙を浮かべ、とても切ない表情をしていました。
 お姉さまはベットに上ると横たわっている蕾ちゃんを抱き起こし、キスをしました。
「ごめんね、ごめんね、蕾。さっきは酷いこと言っちゃって。私、私、本当は……」
 一分ぐらいお姉さまは口づけをしてから、蕾ちゃんに謝りました。お姉さまも涙を流しています。
「夜々先輩……」
 蕾ちゃんはまぶたを半分に開けた、うつろな表情でお姉さまの顔を見つめています。
「私……あなたのことが……」
 少し離れて二人を眺めている私は、お姉さまの小さな話し声がはっきりと分かりませんでした。でも何を言ったのかは分かります。
 その言葉を想像すると、私の胸は熱くなりました。
 二人は絡まるように抱き合い再びキスをします。窓からこぼれる光で、きらきらと輝きます。
 真っ裸で抱き合っていますが、私にはとても神聖に見え、いやらしいという感覚が沸いてきません。
 二人の邪魔をしてはいけないと思い、私は服を着て部屋から出ようとしました。
 でも、お姉さまが蕾ちゃんの小さなおっぱいを揉んでいるのを見て、むらむらしてきちゃったので、オナニーして一回逝っちゃってからにしようと思います。
 お姉さまは唇を離すと、今度は揉んでいる蕾ちゃんのおっぱいに吸い付きます。唾液が飛び散るぐらいしゃぶりついている情景は、とっても興奮させられます。
 蕾ちゃんのよがっている声を聞きながら、私も自分のおっぱいを揉み、あそこを弄ります。
「もっと、もっとしてください! 夜々先輩!」
「蕾……蕾……蕾」
 押し倒された蕾ちゃんの開かれた股が、私の居る方向にちょうど向けられています。お姉さまはおっぱいを執拗にしゃぶりながら、蕾ちゃんのアソコに二本指を突っ込みます。
 私からは、ぱっかり割れた蕾ちゃんに、お姉さまの指が猛スピードで出し入れしているのが、はっきりと見えました。
 それとあふれ出る蕾ちゃんのおつゆが、お姉さまの慌しい指の動きで、ベッドにぽたぽたと振りまかれているのもわかりました。
「あふっあふっあふっ……お姉さま、蕾ちゃん、激しすぎます……」
 私は夢中になってオナニーをします。
「ああ! もう駄目です、夜々先輩! 私、私……」
 廊下へもれてしまうほど、蕾ちゃんは大きな声で叫びます。
 蕾ちゃんはうつ伏せから、向きを変え四つんばいになると、お姉さまから離れようとします。どうやら、私と同じように、お姉さまの攻撃に耐えられないようです。
 私はお風呂場でされたことを思い出し、指が止まりません。
 しかし、お姉さまは逃がしはしません。蕾ちゃんの片方のおっぱいを掴み、もう片方の手で激しくアソコも容赦なく指で攻め立てます。
 蕾ちゃんも苦しい表情ですが、お姉さまもつらそうでした。きっと蕾ちゃんを一秒でも離したくなくて必死なんだと思います。
 蕾ちゃんは、あごをベッドにつけお尻を突き出した格好になっています。シーツをぎゅっと握り締め、顔は眉間にしわを寄せ、固く閉じられた目からは涙がこぼれています。
「夜々先輩! 夜々先輩! もう、もう……」
 蕾ちゃんは逝きそうです。オナニーしている私もそろそろです。蕾ちゃんと一緒に逝きたいです。
389千代のお友達〜蕾ちゃん花開く〜 ♯10:2007/04/29(日) 21:28:25 ID:LOtib1eN
「あああああ! 夜々先輩いいいいい!!」
「ひゃうううううううううううううう!」
 蕾ちゃんと私の絶頂はほぼ同時でした。
 とってもつらく切ない感じがした蕾ちゃんの表情は、今はうつろな目で気だるそうです。ぽかんと開かれた口からよだれがたれています。
 私もぼんやりと蕾ちゃんの顔を眺めながら、指をアソコに入れたままピクリとも動かないで、壁にもたれ掛かっています。体中がだるくなり、動かす気力がありません。
 お姉さまは蕾ちゃんに入れた二本指を、蕾ちゃんのおつゆをこぼしながら引っこ抜き、しゃぶっていました。
「千代ちゃん、ありがとう」
 蕾ちゃんと同じようにぐったりしている私に、お姉さまが声を掛けます。
「お姉さま……ずぶ濡れです……」
 お姉さまは臆面もなく股を広げ、私に大事なところを見せ付けました。
 そして、唾液と蕾ちゃんのおつゆでじっとりとした指で、そこを円を描くように弄ります。
 すでに濡れ濡れだったそこは、刺激を与えて更に蜜があふれ出します。
 私は見てはいけないと思いました。オナニーは個人的で秘密なものですから。
 でも……お姉さま、ごめんさいです。目を背けようと思いながらも、お姉さまの行為に釘付けになってしまいました。
 お姉さまは片方の手で乳首を人差し指と中指の間でつまみながら、手の平で大きなおっぱいを掴み回しています。
 アソコを撫でていた二本指を曲げて、蜜を噴出しながらずぶずぶと入れていきました。
 その指を小刻みに出し入れするお姉さまは悶えます。頭を揺らし長いストレートヘアーが一本一本広がり、汗ばんでいる顔と体に張り付きました。
 とっても美しいです。数本の髪の毛が噛み付かれたように唇に挟まっているのを見て、私の胸がドキドキしてきました。
「うっ! うっ! くうっ……くぅ……」
 お姉さまの艶やかな喘ぎ声が私の耳に良く響いてきます。
 私は何回も逝っちゃってて力が出ないので指を動かせません。とっても残念です。元気があればお姉さまが一回逝く間に、私は軽く三回逝く自信があるのに。
 お姉さまは背中を反り、突き出された大きなおっぱいの先っぽを人差し指と親指で乳首をくりくりします。つままれた乳首はイチゴみたいで美味しそうです。
 あごをあげ、眉間にしわを寄せるお顔に心を奪われてしまいそうです。憧れのお姉さまも私や蕾ちゃんと同じようにオナニーをして、こんな表情をなさるんですね。
「うううううっ……あっ……はっはっはあ……うっ、逝くっ!」
 お姉さまの慌しかった両手の動きが止まりました。股を締め肩を強張らせ、短かい金切り声を絞り出しました。
 お姉さまは逝っちゃったようです。
 素敵です、お姉さま。私はうっとりしています。私もお姉さまみたいに、きれいでHな体になりたいです。
 呼吸を整えているお姉さまは、アソコと乳首を指で触ったまま私の方を見てにっこり微笑みました。
 私のためにオナニーをご披露してくれたみたいです。
「夜々お姉さま、蕾ちゃんとお幸せになってください」
 私はそうつぶやくと、自分の胸がきゅっと締め付けられる感じがしました。
「蕾ちゃん、あれからお姉さまとはやりまくりですか?」
 ソフトエロ講座から数日後、私は自分のお部屋で蕾ちゃんとHしています。
「あんあんあん……千代、気持ちいよぉ……」
 ベッドに横たわる蕾ちゃんは、快感にふけってよがっています。
 私は、仰向けになっている蕾ちゃんに、お尻を向けて四つん這いになり、蕾ちゃんのアソコをなめなめしています。
 私のアソコは蕾ちゃんにしてもらうはずなのですが、蕾ちゃんは自分のおっぱいを揉むのに夢中で、弄ってくれません。
 まだ私は一回も逝ってないのに、蕾ちゃんはもう三回逝ってました。
「あああ! 逝く逝く逝く逝くうううううう!!」
 これで四回目です。
「もう! 蕾ちゃんたら、全然私にしてくれないんだから!」
 今日は私がプンプンに怒っています。蕾ちゃんたらあの日以来、とっても逝きやすくなっていました。
「千代のオナニーって激しいよね」
「蕾ちゃんがしてくれないからです!」
 逝っちゃってから乱れた呼吸を整える蕾ちゃんに、私はオナニーを見られています。
「うっ……くぅぅぅぅぅっ……」
 蕾ちゃんの視線を感じて、オナニーでやっと私は逝きました。
 見られるのは大好きなんですが、自分の手で逝っちゃうよりも、やっぱり蕾ちゃんやお姉さまにやられちゃうほうがずっといいです。
「オナってる最中もだけど、逝っちゃった後の顔も良いよね」
 体を触ったまま呆けている私の顔を、蕾ちゃんにまじまじと見られています。
「はあはあはあはあ……んもう蕾ちゃん! 嗜好が夜々お姉さまみたいですよ!」
「ええ! そ、そうかしら」
 夜々お姉さまの名前を出すと、蕾ちゃんはHしているときより顔が真っ赤になりました。
「あれから、お姉さまとはどうなんですか?」
「え、えーっと……」
 急に口ごもります。
「あの絶倫お姉さまなら、やりまくりで体がもたないと思うんですけど」
「そ、そんなことないよ! 夜々先輩といつでも一緒に居るけど、私のことすごく大切にしてくれて、何もしてこないの」
「えええええ! 絶対嘘ですよ! 恋人同士なんですから、昼休み中でも盛っていても別に恥かしいことじゃないですよ。本当のことを言ってください! 主な体位は?」
 すぐばれる嘘はやめてほしいです。
「ホントだってば! ホントに一緒にいるだけだよ。でも、それだけで私は満足だけどね、えへへ……」
 騒ぎ立てている私とは反対に、蕾ちゃんは柔らかな笑みをこぼします。どこか余裕というものを感じます。
「でも、欲求不満なんですよね」
 蕾ちゃんは、ずぶ濡れでした。
「えーっと、そ、それはそのぉ……。い、いいもん! べ、別に、するためだけに夜々先輩と付き合うわけじゃないもん!」
 言い返されましたが、蕾ちゃんはおちゃらけて怒ったフリをしているのがわかります。
 なんだか私は頭にきちゃいました。大好きな蕾ちゃんが、お姉さまとお付き合いをして幸せいっぱいなのは良いのですが。
「きゃあ! やだあ、千代ったらぁ!」
 起き上がって髪の毛をいじっている蕾ちゃんを、私は無理やりキスをして押し倒しました。
「今日はお部屋に返しません!」
「もうやめてよぉ、千代ったら〜。うふふ……」
 何故かとっても悔しいと思う気持ちが湧き上がってきた私は、とりあえず蕾ちゃんを後五回は逝かせようと思いました。
 でも、大親友の蕾ちゃんの恋がかなってうれしいです。
「あーーん、夜々先輩、優しくしてぇ」
 相変わらず蕾ちゃんの頭の中は、夜々お姉さまでいっぱいのようです。
「このこのこのこのこのこのぉ!」
 私は精一杯、指を蕾ちゃんのアソコに出し入れさせました。
 おつゆがいっぱいあふれる蕾ちゃんの蕾ちゃんが、じゅぶじゅぶと音を立て中をかき回される音が、今日もお部屋に響きます。
――終わりです。

長くなってしまいました。読んでくれてありがとうございます。
391名無しさん@ピンキー:2007/05/01(火) 16:01:39 ID:3Fb+VTsN
本当に長くなったねw 乙ですわ、お姉さま
392名無しさん@ピンキー:2007/05/03(木) 22:25:40 ID:lw0h7krT
_________________________
    <○ノ
     ‖ <たかがスレひとつ、俺が上げてみせる!!
     くく

393名無しさん@ピンキー:2007/05/03(木) 22:35:31 ID:kygeibPL
神々はストシスのためにネタを温存してる・・・そうなんだろ?
394名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 00:17:22 ID:d5O849Z0
>>391、その後




_________________________




395 ◆njAklKyHxQ :2007/05/06(日) 17:42:02 ID:6iTeY6fT

渚×玉
396れいん・ブルー:2007/05/06(日) 17:42:48 ID:6iTeY6fT

 そういえば――、と思う。

 部屋の中で一人っきり。熱に浮かされて。
 友達はみんな学校に行ってるだろうに、自分だけ布団の中で。

 ちょっぴりいつもから、はみ出して。
 ただ弱った心が、寂しいと感じていた。


 そんな日が、彼女にもあったのかな……?


  ――――――
397れいん・ブルー:2007/05/06(日) 17:43:46 ID:6iTeY6fT

 降りしきる雨。
 湿った空気がなんだか肌にまとわりつく。
 つい昨日までは、熱いと思ってしまうくらいに暖かかったのに、そのせいか今日はなんだか肌寒く感じてしまう。
 そんな、連休の最後の一日。
 部屋の中。
 彼女と二人っきり。

「ごちそうさまでした……」
 コトン、と食器が置かれた音がした。
 ルームメイトのベッド脇に腰掛けていた渚砂は、その音に思考を引き戻された。
 ベッドの上。
 いつもはシニヨンにまとめている髪を下ろし、身体を半分起こした少女がいる。
 同級生で同室で、そして一番の友達である玉青。
 普段は渚砂に対してニッコリと微笑んでいる顔だけれども、今は気持ち沈んで見える。
 熱がある所為で、頬には赤みが差していて、熱っぽい視線がなんだがちょっと落ち着かない気がした。
「すごくおいしかった……。ありがとう」
「そ、そんな……。ただのお粥だよ?」
 むしろ全然味気ないモノなワケで……。
 なんだか真剣な顔で言われたせいで渚砂は照れた。
「渚砂ちゃんが作ってくれたっていうだけで、どんな料理だって敵わないと思いますけど……」
「そう……かな」
 言いながら、彼女が食べ終わった食器を受け取り、席を立つ。
「貰ってきたお薬、用意するね」
「はい。お願いします」
 ケホっ、と一回、彼女がセキをした。


「ん……、えっと……。……これでよしっと」
 ベタリと彼女の額に熱冷ましを貼り付ける。手に触れたその肌は、とても熱く感じた。
「ごめんなさい……。なんだか全部やってもらっちゃって……」
 本当に申し訳なさそうに瞳を伏せる玉青。
「……もう、別に気にする事無いのに。私だっていつも玉青ちゃんにやってもらってばかりだから、そのお返しだよ」
「渚砂ちゃん……」
「少し、寝たほうがいいよ」
「……はい」
 そう言って彼女はベッドに潜り込む。
 グズリと鼻を鳴らすのがなんだか辛そうだ。
「もう、無理しちゃ駄目だからね」
「…………はい」
「玉青ちゃんが倒れそうになったとき、ホントに心臓が止まるかと思ったんだから……」
「………………ごめんなさい」
 玉青は、ベッドの中で弱々しく答える。
 その姿がいつもの彼女と違っていて、ちょっと可愛らしいなと思ってしまった。
「だって今日も、渚砂ちゃんと一緒に遊びに行くはずだったから……。……どうしてこんなときに……」
「玉青ちゃん……」
 きっと疲れが溜まっていたのだろう。
 連休中はずっと二人で遊びまわっていたけれど、彼女はいつもよりはしゃいでいた気がする。
「明日からは学校だもん。だから今日はゆっくり休まないと……」
「はい……」
 渚砂はそっと彼女の布団を掛け直した。
「……渚砂ちゃん」
「なに?」
「私はもう大丈夫ですから、渚砂ちゃんは最後の休日を楽しんできてくださいね」
「え? ……う、うん」
 そう答えると彼女は淡く微笑んで、目蓋を閉じた。
「………」


  ――――――
398れいん・ブルー:2007/05/06(日) 17:44:38 ID:6iTeY6fT


 いちご舎に叩きつけられる雨足が、なんだか随分と強くなった気がする。
 まるで梅雨が訪れたみたいな、独特の空気。
 隣の部屋には誰も居ないようで、とても静かだ。
 ただ部屋の中では、ザーザーという雨音と、ベッドに眠る彼女の寝息だけが聞こえていた。
 薬が効いてきたのか、さっきよりは顔色が良くなったけれども、時折咳き込むのがなんだか痛々しかった。
「……玉青ちゃんたら」
 暗に自分のことは気にせず、出かけてもいいと言われたけれど。
 でもまさかそんなこと出来る訳がない。
 だって本当に、すごく心配なんだから。
「………」
 心臓が止まりそうになったと言ったけど、それはあながち大げさな事なんかじゃなかった。
 今だって、思い出しただけで胸が苦しくなる。
 時々、彼女は無理をするから心配になる。
 それは大体自分に対することで、もっと頼ってくれたっていいのにな、と思う。
「早く、良くなってね……」
 なんだか段々、彼女がそばに居てくれないと、ダメになってきている気がする。
 隣に居てくれないと、寂しくなってしまうような。
 別々の場所にいたら、会いたくなってしまうような。
 もし彼女にとって迷惑なんかじゃなかったならば。
 ずっと近くに居させて欲しい……かも。
「なんて……」
 いつの間にか、ちょっと心細くなってしまった自分に苦笑する。
 ふぁ…、と欠伸が漏れた。
 安心したせいかもしれない。
 時間は少し、お昼を過ぎた頃。
 そっと彼女の顔を覗き込む。
 気持ち良さそう、とまではいかないけれど、それでも彼女はぐっすりと眠っていた。

「玉青ちゃん……」

 ―――自分でしておきながら、顔が赤くなった。
 そっと指でそこに触れる。
 なんだか彼女の熱がうつってしまったみたいだ
「……ばれて、ないよね」
 いつもより、少し幼く見える彼女。
 ちょっと悪いかな、と思ったけれど。
 そんな彼女に対して、渚砂はそっと笑みを浮かべた――。



  ――――――
399れいん・ブルー:2007/05/06(日) 17:45:14 ID:6iTeY6fT



 少しだけ、夢を見た。
 一人ぼっちな部屋の中で。
 お見舞いに来てくれたのは、大好きな人。
 ただ近くにいてくれるのが嬉しくて、たったそれだけで安心できた。
 ゆっくりと目蓋を閉じたけれど、もう寂しくなんてない。
 手のひらの中に、彼女のことを感じることが出来たから。
 暖かいぬくもりが、すぐ傍にあると知っていたから。
 だから私は、そっと彼女に微笑んだ。



 ――つないでくれた手は、ずっと離さないでいてね?


400名無しさん@ピンキー:2007/05/06(日) 17:47:05 ID:6iTeY6fT
「全力で保守する部」が全力で保守しますっ!!


参考文献:某人の「風邪」がテーマの本
ネギは使いませんよ
401名無しさん@ピンキー:2007/05/06(日) 18:25:22 ID:nFTRLlTf
>>399
GJ!乙ですわ!
402名無しさん@ピンキー:2007/05/06(日) 20:22:55 ID:SWMOPq0A
>>395-400
         /: : : :/ : : : : : : i: : : : : :ヽ : : : : ー 、 : : \
           /: : : / : : : : : : : ,イ : : : : : : :l: : : : : : : \- 、:\
.          /: : : / : /: : : : : : / |: : : : : :| : |、: : : : : : : : \ \}
       .' : : :/ : /: : : : : : /  v : : : : l : |斗-: : ヽ: : : : ヘ
       |: : :/ : /| : : :― x   ∨: : :∧ | ∨: : :ハ: : : : :ハ
       |: :/ : /: | : : : : / `  |: : :/ j/- ∨: : :l: : : : : :|
       r┴、/:ヽ| : : : /     |: :/  示旡アV : :|: :|ヽ: : |
       |  | : :│: : /|.     | /   ト::爿/ ハ: :|: :| ',: :|
       'vーく ,x┤: / :|三≧x j/   込;リ { : | ∧ |  ∨  ぐっじょぶっ!!
      /   ヽ. | /: :│ ,/      '    .:・} : |/ i/
        |  /⌒}:Y : :ヘ:.:.:.    ー'ーr'   /: : |
        {    /´}_ム: : :≧r 、 .. _ ー ' .. </: : : |
       ヽ    / }ヘ: : \\   厂}ヽ._/ | : : : |
.         \   __/  \: : \\x-┴く ヽ| : : :.′
         /   /ヽ     \ : ヽ \   |  |: : :/
      /     {ヽ}}     ヽ: : }  \ l  |: :∧
403名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 00:02:17 ID:xeVp9p8a
>>400
GJ
404名無しさん@ピンキー:2007/05/12(土) 20:59:21 ID:qmUel8/h
sss3までがんばる部、発足!!
405名無しさん@ピンキー:2007/05/18(金) 10:33:33 ID:Zucl76dx
406名無しさん@ピンキー:2007/05/18(金) 23:02:32 ID:ptUQK9wU
407名無しさん@ピンキー:2007/05/19(土) 00:28:45 ID:W8fUXrYZ
408名無しさん@ピンキー:2007/05/19(土) 05:35:23 ID:kEjSWbkm
409名無しさん@ピンキー:2007/05/19(土) 09:17:44 ID:ShNMhnUh
410名無しさん@ピンキー:2007/05/19(土) 20:53:15 ID:4GzyIgQm
411名無しさん@ピンキー:2007/05/19(土) 23:28:37 ID:Q0bl3Nh3
412名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 03:43:08 ID:IKTiQm6J
413名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 08:25:53 ID:qJMYlmFt
414名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 20:42:37 ID:GgGU7UZ0
SS保管庫みたいなところはなしですか?
415名無しさん@ピンキー:2007/05/22(火) 14:29:48 ID:q6ckgaMK
   , ´  ̄ ヽ 
  i f7lLl lリ
  Lリl ゚ ‐゚ノ! 
   とノ个フつ    ttp://www.wikihouse.com/sutupani/index.php
   /:::/i::ゝ  
   ´∪∪
416名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 15:37:43 ID:GU0LmtVo
ありす
417名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 22:08:09 ID:j6bWy4fo
この保管庫Busyではいれなさすぎな件について・・・
418名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 20:44:58 ID:I2X/NyAl
保守
419名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 12:14:48 ID:2k70wi2O
誰も書かなくなって、ここも寂しくなったもんだ……(´・ω・`)
誰か……書いて
420名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 23:30:30 ID:tMblMe+M
リクすれば気まぐれな神が書いてくれるかも。
僕は天音×千華留!
421名無しさん@ピンキー:2007/06/01(金) 04:41:06 ID:y+6+2bFR
「千華留、ボクは君が好きだ」
「……うそつき」
422名無しさん@ピンキー:2007/06/01(金) 11:44:58 ID:KeVBQPdD
相手の裏を読み合う心理戦になりそうな予感
423名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 23:14:16 ID:S7Q+/y9i
非エロでもおk?
424名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 23:15:33 ID:teEMExdK
大歓迎
425名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 22:07:13 ID:61pErYSL
保守
426名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 17:00:01 ID:MEp5KnlH
ふと思いついたネタを文章にしてみたので
427名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 17:01:35 ID:MEp5KnlH
夏も近づいたある日のこと
今日の授業が終わり、私は渚砂ちゃんと一緒に寮への道を歩いていました。
「だいぶ暑くなってきましたね。」
「そうだね。でもプール開きも近いし楽しみだよ」
「渚砂ちゃんらしいで、痛っ!」
足首に鋭い痛みを感じて・・・
「玉青ちゃん?どうかしたの・・あっ!」
「少し足が・・・」
「玉青ちゃん!脱いで!」
「えっ?まだ明るいうちから・・・それに外でなんて」
「ふざけてる場合じゃなくって!早く脱がないと!」
渚砂ちゃんの声と表情はいつになく真剣で・・・
「わかりました。貴女が望むなら」
まずボタンに手をかけたところで
「玉青ちゃん、何してるの?」
「ですから服を脱ごうと」
「そうじゃなくて!あーもう、ごめんね!」
そういって渚砂ちゃんはわたしを押し倒して靴と靴下を脱がせてしまいました
「やっぱり・・・」
さらに渚砂ちゃんは私の足首に、その・・・吸い付いてきました
「ええっ?あの?渚砂ちゃん?」
「じっとしてて!」
その有無を言わせない口調に私はただ見ていることしかできませんでした、というか一心不乱に足にくちづけている渚砂ちゃんの姿から目を離せませんでした。
しばらくして口を離した渚砂ちゃんは
「玉青ちゃん、気分はどう?」と聞いてきました
「雲の上にいるみたいです・・・」
「顔が真っ赤だよ!」それに関しては同感ですが・・・
「あ、あの渚砂ちゃん?」こんどは額をくっつけてきました
「やっぱり、すごく熱いよ」ある意味当たり前なのですが・・・
「すぐにベッドに連れて行くから少し我慢してね」
「ベッドですかっ?」
と返事も待たずに私を抱きかかえて走り出しました。そんな中で渚砂ちゃんの体温を感じながら私は気を失ってしまいました・・・
428名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 17:02:21 ID:MEp5KnlH
目を覚ましたのは保健室のベッドの上ですでに日は暮れていました
「玉青ちゃん、気がついたんだね。良かった。」
そして目の前には渚砂ちゃんの顔がありました
「ずっとそばにいてくれたんですか?」
「うん。寮に戻るように言われたんだけど無理言って残ってたの。迷惑だった?」
「迷惑なんてとんでもないですよ。ありがとうございます」
「でもヘビの毒も心配なくて無くてホントによかったよ。ごねんね、ひとりで大慌てしちゃって。先生にも怒られたよ・・・」
「???、なんのことです?」どうも話がかみあわないような・・・
「えっと、昼間ヘビに足を噛まれたでしょ?」
「たしかに足に痛みを感じましたけど?」
「あのときヘビが逃げてくのが見えたの。それで毒を吸い出そうとしたんだけど」
つまり私を押し倒して足にくちづけたのは毒を吸い出すためだった?
「それで玉青ちゃんが真っ赤になってすごい熱だったから毒にやられちゃったと思って」
つまりベッドに連れて行くというのは休めるところにという意味?
まあ考えてみればいきなりあんな風に迫られるなんてありえないですよね・・・
「たぶん熱中症かなにかだろうって先生がいってたけど」
熱にやられたのは事実ですし・・・
「大丈夫?まだぼんやりするの?」
「心配ないですよ。少し考え事をしていただけですから」
「ならいいんだけど。あのねお願いがあるの」
「なんですか?」
「今夜はここに泊まっていくようにって言われてるんだけど。夜の学校って何か出そうでしょ?だから、あのね。一緒に寝てもいい?」
「それは・・・」いつもなら歓迎するところですけど、今日そんなことをしたら絶対眠れないような・・・
「ダメ?」・・・渚砂ちゃん、それは反則を通り越して犯罪です
「わかりました。一緒に寝ましょう。」
「うん。ありがと」
そう言って渚砂ちゃんはとなりに入ってきた
一晩中渚砂ちゃんの寝顔を見るのもいいかもしれませんね
時計の針を見るとすでに10時をまわっている
「電気消すね」
「おやすみなさい、玉青ちゃん」
「ええ。おやすみなさい、渚砂ちゃん」もっとも私は眠れそうにありませんけど・・・

翌日、授業中に居眠りをして怒られたのはいうまでもありません・・・
429名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 17:28:21 ID:xJ/M5yVv
以上です。書いてて思ったけど他のキャラで毒の吸出しをやったらどんなかんじになるだろう?
430名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 21:41:59 ID:uNAVXg3r
>>427-428
GJ
吸い出した毒はどこに行ったのか?なんて野暮なことは言いませんよ?ええ

パロディをさらにパロってみました 夜蕾で
431>>427-428のパロ:2007/06/06(水) 21:42:46 ID:uNAVXg3r
夏も近づいたある日のこと。
聖歌隊の練習が終わり、私は夜々先輩と一緒に寮への道を歩いていました。
「だいぶ暑くなってきましたね」
「そうね。でもプール開きも近いし、楽しみだわ」
「どうせ光莉先輩の水着姿を楽しみに・・・、痛っ!」
足首に鋭い痛みを感じて・・・
「どうかしたの、蕾?・・・あ!」
「少し足が・・・」
「蕾、脱ぎなさい!」
「えええっ!?まだ明るいうちからそんなっ・・・それに外でなんて///」
「なに訳の分からないことを言っているの!?早く脱ぎなさい!」
夜々先輩の声と表情はいつになく真剣で・・・、
「わかりました。夜々先輩が・・・望むなら・・・///」
まずセーターを脱ごうとしたところで、
「アンタ、何してるの?」
「で、ですから服を脱ごうと///」
「なに勘違いしてるの?あぁ、もう!!」
夜々先輩は焦れったげに、私を抱きかかえるようにして座らせると、靴と靴下を脱がせてしまいました。

「やっぱり・・・」
さらに夜々先輩は私の足首に、その・・・吸い付いてきました。
「ええっ?あの!?夜々先輩っ!?///」
「じっとしていなさい!」
その有無を言わせない口調に、私はただ黙って見ていることしかできませんでした。
というか、一心不乱に足にくちづけている夜々先輩の姿に、釘付けになってしまいました。
しばらくして口を離した夜々先輩は、
「蕾、気分はどう?」
と聞いてきました。

「クラクラします・・・///」
「そうみたいね・・・顔が真っ赤よ?」
―そりゃあ、そうです。
「あ、あの夜々先輩?///」
今度は額をくっつけてきました。
「やっぱり、すごく熱いわ」
―ある意味当たり前なのですが。
「すぐにベッドに連れて行くから少し我慢していなさい」
「ベベベベッドですかっ!?///」
と返事も待たずに私をおぶって走り出しました。
 そんな中で夜々先輩の体温を感じながら、私は気を失ってしまいました・・・。
432>>427-428のパロ:2007/06/06(水) 21:44:04 ID:uNAVXg3r
目を覚ましたのは保健室のベッドの上で、すっかり日が暮れていました。
「・・・気がついた?良かった・・・」
そして目の前には夜々先輩の顔がありました。
「ずっと側にいてくれたんですか?」
「ええ。寮に戻るように言われたんだけど、無理言って残ってたの。・・・もしかして、迷惑だった?」
「め・・・迷惑だなんてとんでもないです!あ、ありがとうございます!!」
「でも、ヘビの毒も心配なくて、本当によかったわ」
「??何のことです?」
―どうも話が噛みあわないような・・・。
「アンタ、ヘビに足を噛まれたのよ」
「確かに、足に痛みを感じましたけど・・・」
「あのときヘビが逃げてくのが見えたの。それで毒を吸い出そうとしたんだけど」
―つまり、私を抱きかかえて足にくちづけたのは、毒を吸い出すためだった、と・・・?

「そしたらアンタが真っ赤になっちゃったでしょ?それでてっきり、毒にやられちゃったのかと思って」
―ベッドに連れて行くと言ったのは、休めるところに、という意味だったんですね。
 まぁ普通に考えてみれば、いきなりあんな風に迫られるなんてありえないですよね・・・。
「たぶん熱中症か何かだろう、って先生が仰ってたけど」
「はぁ・・・」
―何だか少しがっかりしてる私がいる・・・。
「・・・大丈夫?まだぼんやりするの?」
「い、いえ!少し考え事をしていただけですから・・・」
夜々先輩は、私の頭を撫でながら、
「ならいいんだけど。じゃあ私、部屋に戻るわね」
と言って、椅子から立ち上がろうとしたのですが、私は無意識のうちに、夜々先輩の服の裾を掴んでいました。
433>>427-428のパロ:2007/06/06(水) 21:44:52 ID:uNAVXg3r
「何?」
「あ、あの・・・お願いがあるんですけど///」
「何よ?言ってごらんなさい」
「もう少し・・・一緒にいてもらえませんか?///」
「はは〜ん・・・アンタ、夜の保健室が怖いんでしょう?」
「ち、違っ!!うぐぅ・・・ダメですか?///」
夜々先輩はにっこりと微笑むと、
「いいわよ。ほら、そっちに詰めなさい」
「い、一緒に寝るんですか!?///」
「一晩中椅子に座ってろとでも言うの?眠いのよ・・・」
私は黙って端へと詰めました。

「電気、消すわよ」
そう言って、夜々先輩は隣りに入ってきました。
「おやすみ」
「お、おやすみなさい・・・///」
―夜々先輩が隣りに・・・。今夜は眠れそうにありません。

 翌日、授業中に居眠りをして怒られたのは言うまでもありません・・・。
434名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 21:47:39 ID:uNAVXg3r
夜蕾だったら、こんな感じでしょうか。

今自分も書いてるのがあるけど、挫折してしまいそうだ・・・('A`)
435名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 19:00:55 ID:cIQK1zF2
夜蕾素晴らしい!
436名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 20:27:48 ID:hA+l7K9I
スピカのスカートは短いから、毒吸い出してるとき
ぱんつ丸見えだよね。
437名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 23:02:40 ID:gUQoo1+U
「要?どうかしたの・・あっ!」

     i:::::::::::::i:::::::;:::::::::::::::::::::::::/i:::::/ i::::::::::::::::::::::| そんなことよりもっと考えるべきことがあるだろう。
     |::::::::::::|:::::/::::::::::;:::::::::/ /:::/  i::::::i:::::::::::::i たとえば『ケガの治療』だ。
     |:::::::::::|:::::i:::::::/::::/  /:::/   |::::|:::::::::::/ 蛇に噛まれたら毒を吸い出すのは常識だね?
     ∨:::::::|::::|:::::イ:::/   /:::/    |::::|:::::::::/ そう、常識だ。いや、常識だと多くの人々が思っている。
      ∨:::::|:::| ̄ナナ=、  /::Zz=='"T:T|:::::::/  だが、実は口に含んだ毒が虫歯から身体に入らないという証拠は無いんだよ。
      ∨:::|::|::ャ代戌ナ= // 弋戌テT:ァi::::::/   そもそも吸い出しという行為は応急処置に過ぎない。
       ∨:::i:i/ i/     /      i/./:::::/,_,, そう主張する人も少なくない。
       rヤ::::|i. !    /       /i::::::ハ Y  ふっ、どうも私は口下手で困るよ。
      ,,イrヤ::::|ゝ.      i     / ,イ::::< .〉 .ト、 つまり、早く・・・救急車を・・・呼んで・・・・・・く・・・れ・・・・・・
    rイ! レヤ:::|i .ゝ.   _ _     .イ.|:::/ ソ  ! ト‐、
>ー''フ/''|  | ヤi::| i .|\      // |::/ /    ト、 `ー、
   / i   i ャヤi j  > 、  //./  |:i /    | Y
438名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 07:13:34 ID:DlsqoYr1
ちょwww要が死んじゃうwww
439名無しさん@ピンキー:2007/06/15(金) 00:14:50 ID:bNFbNvXn
保守
440名無しさん@ピンキー:2007/06/18(月) 02:04:19 ID:KOMtNZkJ
生きてる要、いますか?
441名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 08:14:03 ID:MT9Yhuso
今から投下します。話は
・結構長くなる(今回1から3話までまとめて投下するけど多分全20話くらい。)
・序盤はかなり暗い話。
・エロはなし。
というところ。タイトルは「Shininng way」
442名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 08:17:22 ID:MT9Yhuso
1話 小さな旅

渚砂ちゃんが静馬様と結ばれた日、エトワール選から数ヶ月がすぎました。
私と渚砂ちゃんは以前のような関係・・・親友同士に戻ることができました。
少なくとも表向きは・・・。それは手放しで喜べることではなかったけれど、
渚砂ちゃんを悲しませたくはなかったから・・・。
それに・・・親友としてなら・・・そばにいられたから・・・。
でも・・・それがかなうのも・・・もう終わってしまう。
静馬様は卒業後海外に留学することになり、
渚砂ちゃんは一緒に行くことを選んだ・・・。
 今日が出発の日、いまごろは皆で見送っているころだろうか。
私は見送りに行かずにベッドの上にいた。それは・・・。
 コンコンコン、ドアをたたく音、そして声が聞こえる。大好きな彼女の声が。
「玉青ちゃん、いないの?玉青ちゃん」
「はい・・・。ここにいますよ。渚砂ちゃんのいいたいことは
解かっているつもりです。だけど・・・このままで遅らせてください」
「どうして・・・」
「自分勝手な理由です。貴女に別れの涙を見せたくないんです。
だから、どうか・・・」
「渚砂、そろそろ・・・」
「あっ、静馬様・・・」もう時間みたいですね・・・
「玉青ちゃん!私、むこうに着い・・・たら手紙・・・書く・・・から、
読んで・・・くれる?」渚砂ちゃんの声に涙が混じりはじめる、そして私にも・・・
「もちろんです!私も、たくさん書き・・・ます・・・から」
もう限界ですね・・・でもこれだけはちゃんと伝えよう。
「いってらっしゃい。渚砂ちゃん」
「うん、いってきます。玉青ちゃん」
 
ふたりの足音が遠ざかると一気に涙腺が崩れた。
「ごめんなさい。渚砂ちゃん。最後にうそをついてしまいました。」
 見送りにいかなかった理由。それは涙を見せたくなかった
から・・・ではなくて。今渚砂ちゃんの顔を見たら・・・
きっと引き止めずにはいられないから・・・だからうそをついた。
「いつか・・・笑顔で会えるまで元気でいてください。
ずっと貴女が・・・好きでした」

443名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 08:18:42 ID:MT9Yhuso
「う・・・ん」いつの間に眠っていたのか、気がつくと時計の針は6時をすぎて
いた、そして、お腹が小さく鳴った。
「こんなときでもお腹は空くんですね・・・。少し早いけど食堂にいきましょうか」
 苦笑しながら廊下に出ると・・・なにか騒がしいような?
「あっ、玉青さん!」
 絆奈ちゃんが駆け寄ってきた。
「絆奈ちゃん、なにかあったんですか?騒がしい感じですけど?」
「えっ?聞いてないんですか?自宅に戻ってた子から電話があったみたい
なんですけど、花園家の自家用機が墜落したって・・・」
 頭が意味を理解する。
「まさか・・・?渚砂ちゃんも・・・?」声の震えがはっきりとわかる。
どうか違うと言ってください・・・。
「多分、乗ってたと思います・・・」
 目の前が歪んでいく。
「玉青さん?顔が真っ青ですよ?」
 焼けるような暑さと凍るような寒さを感じる・・・。
「玉青さん!しっかりしてください!玉青さん!」
 今私を呼んでいるのは誰だったろう・・・?
444名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 08:22:53 ID:MT9Yhuso
2話 月天心(つきてんしん)

 墜落事故から数日がすぎ・・・。乗員乗客全員の死亡が確認された、らしい。
アストラエアでは新学期が始まり、始業式でも二人のことが伝えられた。
二人の葬儀はすでに終わっていたが、アストラエアでも告別式のようなものが
行われることになった。といっても、希望者が花をそなえるだけのものだけど・・・空っぽの棺に。
 夜々さんは蕾ちゃんの肩を抱いていた・・・。光莉さんは天音様の胸に
縋っていた・・・。絆菜ちゃん、檸檬ちゃん、籠女ちゃんは抱き合っていた、
そして千華留様は彼女達の頭を撫でていた・・・。みな悲しそうに・・・
あるいは涙を流していた。千代ちゃんはここにはいない。あれから体を壊して
しまい、今は入院している・・・。一度お見舞いに行ったけれど、
すっかりやつれてしまいただ虚空を見つめるだけで・・・見ていることができず、
逃げるようにその場を離れてしまった。
 私は・・・泣かなかった。涙が枯れてしまったのか、それともどこか壊れて
しまったのか・・・。ただ・・・涙が出ない、その事実が辛かった。

 その晩、私はいちご舎を抜け出していた。ある決意とともに・・・。
月の綺麗な夜なのに照らされた木々はどれも色あせて見えた。月は関係
ないのかもしれない。世界が色を失くしたのはいつからだったろうか?
森の中を歩くうち一本の大きな木を見つけた。ここにしよう。
手にしていた赤いリボンを見る。かつて渚砂ちゃんに贈った・・・
結局なんの役にも立たなかったお守りを・・・。
「ねえ、渚砂ちゃん。もしも、あの時・・・貴女を引き止めていたら、
『行かないで』と貴女の手を掴んでいたら・・・。いいえ、そんなことをしても
なにも変わらなかった。ただ・・・貴女を苦しめるだけで・・・」
「私がこれからすること、貴女はどう思うでしょう?呆れるでしょうか?
怒るでしょうか?それとも悲しむでしょうか?きっと喜びはしませんよね?
そして、私は貴女のところへは行けないでしょう。でも、もう嫌なんです!
貴女の居ない世界に居るのは!」
 こっそり持ち出した包丁を左手首に当て、一気に引いた。焼けるような痛み。

初めて貴女に出会った日。貴女の寝顔を見つめながらこれからの日々に期待を
膨らませていました。

貴女と一緒に眠った日。廊下の少女に心から感謝しました。あのときの感触は
今でも忘れません。

サマースクールにいったこと。あのときは怖がらせてしまってごめんなさい。
でも、録音した貴女の悲鳴・・・何十回も繰り返し聞いたんですよ。

一緒にエトワール選に出ようって言ってくれたこと。貴女の想いは知っていました。
それでも嬉しかったんです。私をパートナーにしてくれたことが。

そして・・・エトワール選。貴女の背中を押したこと、貴女にむけた
「おめでとう」という言葉。それに嘘はなかった・・・そう思っていたけれど・・・。

いつの間にか頬が濡れていた。もう涙は流れないと思っていたけれど、
貴女と過ごした日々ひとつひとつの出来事はたやすく涙の堰を壊してしまうん
ですね。

なんだか眠くなってきた。もう覚めることもないでしょう。
「さようなら。渚砂ちゃん」
眠る瞬間、強い風に包まれた気がした・・・。
445名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 08:25:59 ID:MT9Yhuso
3話 Fly High

「あの・・・大丈夫ですか?しっかりしてください!」誰かの声がする。
何の心配をしているのだろう?・・・ああ、思い出した。
たしか私は手首を切って・・・残念ながら誰かに見つかってしまったらしい。
「私の声、聞こえてますか?」誰が余計なことをしてくれたのか・・・
えっ?この声は?瞬時に意識が覚める。聞き間違えるはずのない声、
でも貴女は・・・。
 目を開けるとそこにいたのは・・・。
「無事だったんですね。よかっ・・。本当に良かった・・・」
久しぶりに抱きしめた彼女の体は・・・温かくて、いいにおいがした。
「ふえっ?あ、あの〜私のこと知ってるんですか?」
でも彼女の返事は全くの予想外で・・・。改めて彼女を見る。
少し視界がにじんでいるけど間違えるはずもない渚砂ちゃんの顔。けれど、彼女の着ている服は見慣れたミアトルの制服ではなく・・・。
「その格好は?」
「あのっ、私今日から聖ミアトル女学院、あれ?女学園だったっけ?
に編入してきた蒼井渚砂といいます」今日編入してきた?いったいどういうこと?
それに・・・手首の傷もなくなっている・・・
「あの・・・どこか具合が悪いんですか?うなされてたみたいだし、
さっきは泣いてたみたいですけど・・・」私の沈黙を違う意味に解釈したらしい。
でも、そう言って目の前の人を気遣う表情にうそは見えない。
きっと、本心から私のことを心配してくれているのだろう。
どんな状況であれ渚砂ちゃんを苦しめることは望まない。だから、
今は話を合わせることにした。
「ごめんなさい。心配をかけてしまって。でも大丈夫ですよ。
嫌な夢を見ていただけですから」
「そうだったんですか?よかったぁ」安心した表情、やっぱり渚砂ちゃんに
悲しい顔は似合いませんね。
「そういえば自己紹介がまだでしたね。私は聖ミアトル女学園4年の涼水玉青です」
「涼水さん・・・って確か同室の人ですよね?」
「ええ、そのとおりですよ」
「そうだったんだ。これからよろしくお願いします。涼水先輩。」
「先輩って・・・?」
「ふぇ?だって涼水さんは4年生なんですよね?あれ?高校の4年生?」
「ミアトルは中高一貫なんです。渚砂ちゃんは高校1年生なんですよね?
だから渚砂ちゃんは私と同じ、ミアトルの4年生になるんです」
「そうなんですか・・・。えっ?今渚砂ちゃんって?」しまった、
初対面になることを忘れていました。
「すみません。つい友達同士のつもりで話してしまいました」
「ミアトルってお嬢様学校って聞いてたけど・・・友達同士では
名前で呼び合うんですね。」ほっ。上手く誤魔化せたみたいですね・・・。
「ご迷惑でなければ『渚砂ちゃん』と呼ばせてください。
私のことも玉青と呼んでください」
「迷惑じゃなくて、むしろ安心したよ。これからよろしくね玉青ちゃん」
そう呼ばれるのも久しぶりですね。
「こちらこそよろしくお願いしますね。渚砂ちゃん」
「それでね・・・早速なんだけどお願いがあるの」
「なんですか?」
「ミアトルの校舎ってどう行けばいいの?」
「そういえば・・・間違っても正門からミアトルに行くのにここは通りませんけど。どうしてここに?」
「うん・・・。実はね・・・制服に見とれて余所見してたらしげみに
つっこんじゃったの・・・」渚砂ちゃんらしいというかなんというか・・・。
「では一緒に行きましょう」
「うん!」
 ミアトルに着くまでの間とりとめのないことを話した。
ただそれだけのことなのに、胸が温かくなる。
 
446名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 08:28:07 ID:MT9Yhuso
職員室のドアを開ける。大崎先生は・・・いました。
「おはようございます。大崎先生」
「おはよう、涼水さん。となりにいるのは・・・」
「お、おはようございます!今日から編入することになりました蒼井渚砂です」
「おはよう、蒼井さん。聖ミアトル女学園にようこそ」
「偶然お会いしたので案内をと思いまして」
「ご苦労様。では蒼井さんはこれから編入の手続きがあるので。
もうすぐホームルームの時間ですね。涼水さんは教室に行ってください」
「はい。では渚砂ちゃん、また後ほど」
「うん。またね。」

 一人になるとまた疑問がよぎる。教室でまず確認したこと。
カレンダーの日付、クラスメイトの顔ぶれ、教科書の内容、すべて1年前の
記憶と重なる。つまり・・・今私がいるのは間違いなく、かつて渚砂ちゃんが
編入してきたあの日だということ。では何故?
 まず考え付く可能性。渚砂ちゃんが見つけたとき私はうなされていた。
なら、あの1年が夢だったのではないか?違う。いくらなんでも
まだ見ぬ編入生の名前や顔が一致するなんてありえない。
 なら今目の前にあるのが夢なのでは?ためしに手をつねってみた。痛い。
前にも夢の中で痛みを感じたことはある。だからこれが夢でないとは
言い切れないけれど・・・これは夢ではない・・・気がする。
 では私が過去に来てしまったとは考えられないか?それこそ夢物語だろう。
それにもしこれが過去なら・・・また同じ結末をむかえるのでは・・・?

 結局結論が出ないまま放課後をむかえた。渚砂ちゃんの手続きはもう
終わっているだろうか?職員室を見回したが見当たらない。
「玉青ちゃん」後ろから声をかけられた。
「渚砂ちゃん。手続きは終わったんですか?」
「うん。さっきまで大崎先生に学校の中を案内してもらってたの。
玉青ちゃんが勉強してるところも見たんだよ」
「涼水さん。もし時間があるなら蒼井さんを寮に案内してほしいのだけれど」
「ええ。かまいませんよ。」
「じゃあお願いするわ。蒼井さん、涼水さん、また明日」
「渚砂ちゃん、これからどうします?まだ時間はあるのでアストラエアを
見て回りますか?」
「それはまたの機会でもいい?今日は緊張しっぱなしだったから・・・」
「わかりました。ではいちご舎に案内しますね」
447名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 08:31:15 ID:MT9Yhuso
「ねえ、玉青ちゃん。アストラエア寮ってどんなところなの?さっきいちご舎って
言ってたけど」
「いちご舎というのは通称です。上から見ると三角形の形をしてるんです。
実際上から見たことは無いですけど。で、それぞれの辺がミアトル生、
スピカ生、ル・リム生の部屋になってるんです」
「ふーん。なんだか面白そう。あっ、あれかな?」
「はい。到着です」

部屋の前。そこには「T・涼水」と書かれたプレートあり、
その下に「N・蒼井」と書かれた真新しいプレートが貼られていた。
「ここが私の、そして今日からは私たちのお部屋になるんです」
 ふと思いついたことがあって私は先に部屋に入った。そして・・・。
「おかえりなさい。渚砂ちゃん」それはかつて言えなかった言葉。
「ただいま。玉青ちゃん」それはかつて聞けなかった言葉。

「もう私の荷物届いてるね」
「お手伝いしますね」
「うん。ありがと」
「あれ?玉青ちゃん?」外からの声?そこにいたのは。
「千早ちゃん。どうかしたんですか?」
「今日って文芸部の活動じゃないの?さっき部長さんが捜してたけど?」
たしかに・・・曜日からすると今日は文芸部だったような?
「もしかして・・・私の案内してたから?」
「いえ、そうじゃなくて綺麗さっぱり忘れていました・・・」
「ところで、そこにいる娘って今日編入って言ってた・・・」
「ええ、そうです。渚砂ちゃん、こちらは竹村千早ちゃん。お隣さんです」
「そうだったんだ。えっと、蒼井渚砂です。よろしくお願いします」
「私は竹村千早。千早って呼んで。よろしくね渚砂ちゃん」
「うん。千早ちゃん」
「私は文芸部に行ってきますね」
「荷物整理手伝おうか?一人じゃ大変だろうし、渚砂ちゃんと話もしたいから」
「うん。助かるよ」
「それじゃあ、後はお願いしますね」

「そういえば前もこんなことがありましたっけ・・・」
 いちご舎への帰り道。以前も時間ぎりぎりだったのを覚えている。
「あっ!玉青ちゃん」声をかけてきたのは。
「千早ちゃん。どうしたんです?こんなところで?そんなに息を切らせて?
それに渚砂ちゃんと一緒だったんじゃ?」
「はぁ・・・はぁ・・・そんなにいっぺんに聞かれても・・・。
鞄を置いて隣にいこうとしたら渚砂ちゃんが血相変えて飛び出してくのが
見えたから。それで追いかけたんだけど見失ったの。ただ、聞いて回ったら
この辺にいるのは間違いないと思う。あの格好目立つから」
「そうだったんですか・・・。千早ちゃんは先に戻ってください。
ずいぶんお疲れのようですし・・・。渚砂ちゃんは私が連れて帰りますから」
「ごめん。そうさせてもらうね」
 渚砂ちゃん、いったいどこに?そういえば・・・今朝渚砂ちゃんと会ったのも
この近くだったような・・・。

 そこに行ってみると渚砂ちゃんは今朝の私と同じ場所で眠っていた。
「渚砂ちゃん、起きてください。渚砂ちゃん」
「ん〜。おはよう。玉青ちゃん」
「おはようございます・・・ってそうじゃなくて。お体は大丈夫ですか?」
「うん。あっ、そうだ。私ね・・・」
「詳しい話は後です。立てますか?」
「うん。大丈夫」
「急ぎますよ」
「ふぇ?どうして?」
「門限が近いんです!走りましょう」
448名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 08:35:29 ID:MT9Yhuso
門が見えた。あと少し。
「二人とも急いで!」
千早ちゃんが待っていてくれた。けれど私たちの目前で無情にも門は閉じて
しまった。
「玉青ちゃん。もう入れないの?」
「いえ・・・。鍵はあるんですけど・・・管理している舎監のシスターが・・・」
「門限を破るような生徒はこのアストラエア寮にはいないはずですが」
そう言ってやって来たのは・・・。

「蒼井さん。あなたが今日編入してきたことは知っています。ですが
だからといって規則をないがしろにしてもいいという理由にはなりません」
「はい・・・。すみませんでした・・・」
「涼水さん。あなたはアストラエア寮で暮らすようになってもう4年になります。
恥ずかしいとは思わないのですか?」
「あ、あのっ・・・待ってください」
「渚砂ちゃん?」いったいなにを?
「なんですか?蒼井さん?」
「私が門限を破ったのは悪かったと思ってます。でも玉青ちゃ・・・涼水さんは
勝手に飛び出した私を捜しに来ただけなんです。だから・・・涼水さんのことは
許してください」渚砂ちゃん・・・本当に貴女というひとは・・・。
「いいえ、それは違います」
「なにが違うのですか。涼水さん?」シスターが真っ直ぐに私を見る。
その眼光にひるみそうになる・・・けれど。
「私が蒼井さんに門限のことを教えなかった。それがなによりの問題です。
ですから、全ての非は私にあります。蒼井さんを責めるのは・・・筋違いです」
コンコン。ノックの音?
「どなたですか?」
「六条です」
「入りなさい」
「失礼します。この度はシスター浜坂にお手数をおかけして申し訳ありません
でした」
「まあいいでしょう今回は大目に見ましょう。ですが二度とこのようなことが
ないように。いいですね蒼井さん、涼水さん」
「「はい・・・」」

449名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 08:38:09 ID:MT9Yhuso
「二人とも災難だったわね」
「えっと・・・」
「こちらは6年の六条深雪様。ミアトルの生徒会長です」
「あの・・・すみませんでした。生徒会長さんに迷惑かけちゃって・・・」
「いいのよ。次から気をつけてくれれば」
「それに・・・玉青ちゃんも私のせいで・・・」
「でも、貴女は私を庇ってくれたじゃないですか」
「だけど・・・」
「そんな様子だとエトワールに会ったら大変よ」
「えとわーるってなんです?」その名にヒヤリとする。エトワール、花園静馬様。
やっぱりいるんですよね・・・。
「エトワールというのは3校を代表する方のことよ。そして3校でもっとも
愛され・・・ている方」六条様が一瞬言いよどんだ理由も私には解かる。
あの方は・・・
「ここが食堂よ。食事の前にエトワールに挨拶したほうがいいわ」
 食堂の奥に歩いていく、そして・・・。
「失礼します。編入生をお連れしました」そこには静馬様はいなかったけれど・・・
「あ、あの、エトワール様・・・今日から編入することになりました、
蒼井渚砂です」以前も同じ光景をみたような・・・?
 私の隣を通り過ぎる影・・・静馬様?そして静馬様に声をかけられた
渚砂ちゃんが驚く。前と同じに・・・。だけど静馬様が渚砂ちゃんの手を掴み、
せまった時、何かが私の内に溢れ出した。それは気分のいいものでは
なかったけれど・・・私は突き動かされるままに二人の前に飛び出していた。
「そこまでにしていただけますか?エトワールさま?」私にこんな声が
出せるとは知らなかった。
「なぜ止めるの?」
「時と場所を考えるべきではありませんか?それに・・・彼女も迷惑しています」
視線がぶつかりあう。
「静馬、時間よ」
 六条様の言葉に静馬様が離れる。崩れ落ちた渚砂ちゃんを抱き起こす。
「渚砂ちゃん」

食前のお祈りが流れる。
(玉青ちゃん。もしかしてエトワール様って・・・)
(ええ。渚砂ちゃんの想像通りです)
 それにしても・・・さっきのあの感覚は一体?
450名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 08:39:45 ID:MT9Yhuso
夕食後・・・
「ところで渚砂ちゃん。私が文芸部に行ってからいったいなにがあったんです?」
ずっと気になっていたことを聞いた。
「窓から外を見てたの。そしたらすごい風が吹いてこれが飛ばされちゃったから」
そう言って渚砂ちゃんが取り出したのは一本の赤いリボン。え?
「そのリボン見せてもらってもいいですか?」
「うん。っていっても今朝拾ったものなんだけど・・・」
 間違いない。以前に渚砂ちゃんに贈ったもの。
「どうして?これを貴女が?」
「えーっとね、今朝よそ見しててしげみにつっこんだって言ったでしょ。
その時にすごい風が吹いて飛んできたの。それでそっちに行ったら玉青ちゃんが
いたんだけど・・・。もしかして玉青ちゃんのリボンなの?」
「ええ。確かにあの時このリボンを持っていましたけど・・・じゃあ
やっぱり・・・」
「玉青ちゃん?」
「すみません。少し考え事を・・・。話がそれましたけど、風に飛ばされた
リボンを追いかけていったんですか?」
「うん。それでね今朝玉青ちゃんと会ったあたりに来たからあの木の下に
行ってみたの。そしたらあの人、エトワール様がリボンを持ってたの・・・。
リボンは返してもらったんだけどあの人に見つめられたら動けなくなって・・・
多分抱きしめられたんだと思うけど・・・」
「そうだったんですか・・・」
「でも玉青ちゃんよく見つけられたね?」
「あのあたりにいると気付いたのは千早ちゃんですよ。渚砂ちゃんの制服は
アストラエアでは目立ちますから」
「そっか。早く新しい制服来ないかなぁ」
「もしよければ私の予備を使いますか?」
「いいの?」
「2、3日ですむと思いますし、私と渚砂ちゃんならサイズも変わりませんから」
「ありがとう。せっかくだから今着てみたいんだけど・・・いい?」
「もちろんですよ。それに、結構着るのは大変ですから。練習にもなりますし。」
 
451名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 08:41:32 ID:MT9Yhuso
 30分後
「どうかな?」
「ええ。サイズも合ってますし良く似合っていますよ」
「そう?でも少し大人っぽすぎない?」
「すぐに慣れると思いますけど」そう言いつつも渚砂ちゃんは嬉しそうに
鏡の前で回っている。もう少し見ていたいけどそろそろ消灯時間ですね。
「渚砂ちゃん。もうすぐ消灯時間ですから、そろそろ着替えましょう」

時計の針はすでに11時を回っている。渚砂ちゃんはもう眠ったでしょうか?
あのリボンがあったということは、私は1年前に戻ったと考えていいだろう。
ただ、以前と同じ結末になるのではないか?その一点だけが・・・怖い。
「はぁ〜」今のは私のため息ではなく・・・。
「渚砂ちゃん?」
「ごめんね。起こしちゃった?」
「いえ、考え事をしていたので。渚砂ちゃんこそどうしたんですか?」
「うん・・・」もしかすると・・・。
「私もそちらに入れてください」返事を待たずに渚砂ちゃんのベッドに入る。
「どうしてわかったの?」
「渚砂ちゃんのことならなんでもお見通しなんです」
「ふぇっ?」
「と、いうのは冗談ですけど。いちご舎に入ったばかりの頃は寂しくて
眠れない子が以外といるんです。そんな時は皆こうするそうです」
「玉青ちゃんもそうだったの?」
「いいえ。私は『渚砂ちゃん』が来るまではルームメイトがいませんでしたから」
「寂しくなかった?」
「最初の頃は少しだけ」でも貴女がいなくなってからは本当に寂しかったんですよ。
「ねえ、渚砂ちゃん」
「・・・・・・・」
「渚砂ちゃん?」
「・・・・・・」
 今日は朝からいろいろあって疲れてたんですね。こうしていると、
私の不安もちっぽけなものに思えてくる。渚砂ちゃんを感じることができる。
それだけで十分なのかもしれない。

これからどんなコトがおきるか わかりませんけど
 いつでもどんなときでも 私だけは味方です いつまでも

 もし貴女になにかあったなら絶対に守ってみせます。たとえこの身と
引き換えても。そういえば・・・こんなにも満たされた気分で眠りにつくのは
随分と久しぶりですね・・・
「おやすみなさい。渚砂ちゃん」

452名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 08:45:45 ID:MT9Yhuso
長くなりましたけど今回はこれで終わりです。気付いたひともいるかもしれませんけど
タイトルと各話タイトルは後藤沙緒里さん(桃実役の方)の曲からとりました。
この話を思いついたのもそれがきっかけだったわけですが・・・
この方目当てにストパニを見始めた自分は異端なんだろうけど・・・
453名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 19:42:34 ID:sEyuudop
>>452
GJ!!
マンガ、原作の方が('A`)な空気だけに、読み応え倍増です
全20話くらいとのことで、wktkしてお待ちしております
454名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 20:54:04 ID:RIO6qA6e
いいよいいよ、凄く良い!
455名無しさん@ピンキー:2007/06/21(木) 00:04:07 ID:1pBw2I+4
wktk
456名無しさん@ピンキー:2007/06/23(土) 11:31:26 ID:MaApQK35
まあ、悪くはないけど、なんか千代ちゃんが可哀想な気がw
457名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 10:28:10 ID:OYTq9xbV
Shininng wayの続きを投下します。今回は4と5話。
458名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 10:29:39 ID:OYTq9xbV
4話 Moment

「・・・ん」もう朝でしょうか・・・?
 隣に温もりを感じる。
「渚砂ちゃん」良かった・・・夢じゃなくて。時計を見ると午前4時40分。
起きるにはまだ早すぎる時間ですね。もう一眠りしよう・・・。なんとなく
渚砂ちゃんを抱きしめる。
「暖かい。それに、いいにおいがする・・・」そのまま私は眠りについた。

「玉青ちゃん!起きてよ!玉青ちゃん!」
「ふあ・・・。おはようございます。渚砂ちゃん」
「おはよう。それでね・・・離してほしいんだけど・・・」そういえば、
抱きしめたままで眠っていたみたいですね・・・。名残惜しいですけど・・・。
「まだ起きなくてもいい時間なの?」時計を見ると・・・えっ?
「渚砂ちゃん。謝ることがあります」
「なに?」
「寝坊しました・・・」
「ええっ?」
「すみません。とにかく急いで着替えましょう」
 結局、着替え終わった時点で朝食の時間になってしまった。
「髪をセットしている時間は無いみたいですね。幸い寝癖はありませんし、
今日はこのままで行きましょう」
 朝食にはなんとか間に合いそう・・・っと前にいるのは?急ブレーキをかける
ものの、後ろを走っていた渚砂ちゃんは止まりきれず、前方の一団の・・・
静馬様にぶつかってしまう。
「蒼井さん。どんな理由であれ寮内を走るのは関心しません。以後気をつける
ように」隣にいた六条様が注意する。
「お名前を聞かせてくださる?蒼井・・・?」
「えっと、蒼井渚砂です。エトワール様」
「そう。可愛らしい名前ね。渚砂ちゃんと呼んでもいいかしら?制服、とても
よく似合っているわ」
「あ、ありがとうございます・・・」
 そのまま静馬様は渚砂ちゃんに迫り、渚砂ちゃんは熱に浮かされたような
表情になってしまう。また夕べのように黒いなにかがあふれだす。
「失礼します。エトワール様」二人の間に割って入った。
「食堂の入り口を塞いでしまっていますよ」その瞬間鐘が鳴った。
そして・・・渚砂ちゃんが崩れ落ちる。
「行きましょう。渚砂ちゃん」
「・・・うん」
459名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 10:31:21 ID:OYTq9xbV
登校して教室に入るとクラスメイトによる質問攻めが開始されました・・・。
まあ確かにあんなことがあったら皆興味を持ちますよね・・・。
そして、最初の休み時間に千早ちゃんが声をかけてきました。
「朝から災難だったわね」
「うん。昨日から驚きっぱなし・・・」
「そういえば、昨日はなにがあったの?」
「ちょっと、ね。そういえば昨日は千早ちゃんにも迷惑かけちゃったんだよね・・・。ごめんね」
「いいって。探偵みたいで少し面白かったし。そういえば今日はミアトルの
制服なのね?」
「玉青ちゃんのを借りたの。もう少しかかるらしいから」
「髪は制服に合わせたの?」
「いえ。今朝は寝坊してしまって・・・髪をセットする時間が無かったんです」
「ふーん。珍しいね。今日は玉青ちゃんも寝坊したんだ?」も?そういえば
姿が見えないような・・・?
「あの、水島さんは?」
「水島さんって?」
「千早ちゃんのルームメイトで私たちのお隣さんです」
「ああ、アイツね・・・。今朝殴られたから頭に来て置いてきたの」
「殴られたって・・・水島さんって・・・怖い人なの?」
「紛らわしい言い方するから渚砂ちゃんが怖がってますよ」
「えーっとね。水島はすごく寝起きが悪くてね。寝ぼけて振り回した手が
当たったの」
「ちーはーやー!」噂をすればなんとやらですね・・・。
「ちっ。もう目が覚めたの」
「よくもほったらかしてくれたわね!」
「何度も起こしたわよ。このねぼすけ!」
 いつもの言い合い。渚砂ちゃんは・・・固まっていた。
「そのへんにしてください。渚砂ちゃんが固まっていますよ」
「ああ、そうね。渚砂ちゃん、このガサツなのが水島。そんなに害はないから」
「誰?」
「あんたねー。昨日も言ったでしょ。編入生の渚砂ちゃんよ」
「ああ。そうだったっけ。私は水島。よろしくね、渚砂ちゃん」
「うん。蒼井渚砂です。よろしく」

460名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 10:33:03 ID:OYTq9xbV
 今日の授業が終わってお昼休み・・・
「うわ〜すごいね〜」
 私たちはカフェに来ていました。
「自宅通学の方と違っていちご舎ではいろいろと制約がありますから。
ここのメニューは充実してるんです」
「でも校内にこんなカフェがあるってのもすごいよね」そう言いつつ
あっという間に平らげてしまう。あのお口と体格でどうしたらあんなに入るのか?
七不思議に加えてもよさそうですね・・・。
「そうだ。渚砂ちゃん。この後文芸部の活動があるんです。私新作の詩を
発表するんですけど、よかったら聴いてくれませんか?」
「うん、いいよ。私も玉青ちゃんの詩、聴いてみたいし」
「あれ?六条さんだ」後ろを見ると六条様が。話しているのは・・・
東儀様と狩野様?
「真剣な感じだけど何を話してるんだろう?」
 断片的に聞き取れる内容、前の記憶を照らし合わせるに・・・。
「昼食会にエトワール様がいらっしゃらないみたいですね・・・」
やっぱり・・・今の静馬様は・・・。
「そろそろ文芸部の時間ですね。行きましょう。渚砂ちゃん」

ここに来ることは 偶然ではなかった 目に映る色 覚えていたい
またいつか 会えたなら すべて あなたに 話したい
今を伝えられないこと 知るのが切なさでしょう
一日の終わりに あなたを思い出す 
目を閉じて 見える夢の中で 会いたいから
この空の向うで あなたが傷つく時 
届かない両手の代わりに 星を降らせるから

しばらくの沈黙。そして・・・拍手。
「すばらしかったわ。涼水さん」
「いつもとは一味違う強さが感じられました」
「離れてしまった相手への一途な、そして切ない想いを感じたわ」
新作の詩。今までとは感じを変えてみたけれども好評でよかった・・・。

発表がおわって・・・
「どうでしたか?渚砂ちゃん」
「詩のことはよく解からないんだけど・・・すごいと思ったよ。ごねんね、
こんな感想しかなくて・・・」
「いえ。そんなことないですよ。私はこれから次回の打ち合わせがありますから、
渚砂ちゃんは先に戻っていてください」

461名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 10:34:44 ID:OYTq9xbV
 帰る途中・・・
ねぇ渚砂ちゃん。あの詩は以前の私、そして今の私の気持ちをうたったもの
なんです。貴女の心にはどんな風に届いたでしょうか?
「涼水さん」私を呼び止めたのは・・・六条様。
「どうかしたんですか?」
「蒼井さんが図書館の方へ行ったらしいの。迎えに行ってもらえないかしら?」
「もしかして、エトワール様も?」
「ええ。」
「解かりました。すぐに行きます」
 またエトワール様が・・・。待っていてください。渚砂ちゃん。
 図書館に行ってみると、渚砂ちゃんと一緒にいたのは、千代ちゃんでした。
頭に本を乗せたままの・・・。

 その晩・・・
「ねえ、玉青ちゃん。聞いてもいい?」
「なんですか?」
「エトワール様のことなんだけど・・・。今日は昼食会だったんだよね?
でもあの後見ちゃったの。エトワール様と、ミアトルの誰かが・・・妖しい
雰囲気になってるのを・・・」
「噂があるのは本当です。エトワール様は誰かを好きになっても一月と
続かないって・・・」
「そう・・・なんだ」
「でも・・・あの方もきっと暗闇の中で必死に救いを求めてる・・・と
思うんです。もちろんエトワール様のしていることを肯定はできませんが・・・」
「少し意外かも」
「なにがです?」
「玉青ちゃんってエトワール様のことを嫌ってるって思ってたから・・・」
それは・・・
「どうしてそう思ったんです?」
「夕べと今朝私を助けてくれたでしょ?その時の玉青ちゃん、少し怖い感じが
したから・・・」確かに・・・自分の声に驚いたのを覚えていますけど。
 
私は静馬様をどう思っているのか?好意を抱いているということは・・・
間違いなくない。あの方さえいなければ・・・そう思ったことも・・・あった。
だけど今は静馬様の気持ちも解かる・・・と思う。それは・・・私も
同じ経験をしたから・・・だろうか?愛した女を失うという経験を。
なら・・・私はどうするべきなんでしょうか・・・?答えはまだ出そうにない。
462名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 10:36:18 ID:OYTq9xbV
5話 Snow Dust〜真昼の星〜

 四月も終わりに差し掛かった土曜日の午後。千早ちゃんと水島さんを誘って
渚砂ちゃんにいちご舎を案内することになりました。探検と称して・・・。
「へぇー、千早ちゃんと水島さんって四年間ずっと同室なんだ?」
「そうなの。というかこの寮、申請しない限りずっと同じ相手とだから」
「そう。それに申請したって話も聞いたことないし」
「たしかお二人はクラスもずっと一緒でしたよね?」
「そう。幼稚園からずっと。腐れ縁ね」
「それを千早が言う?」
「まぁまぁ、二人とも。幼稚園からってことはえーっと・・・」
「十年ですね」
「十年も?随分長い付き合いなんだね」
「でも渚砂ちゃん達も長い付き合いになるかもしれないわよ?」
「そうですね。私も渚砂ちゃんとは末永くお付き合いしたいです。ずっとずっと、
いつまでも・・・」たった一年でお別れなんてもう嫌ですから・・・。
「誰と誰が末永くなのかしら?」
 そういって現れたのは・・・静馬様・・・。
「ふぇ?エトワール様?どうしてここに?」
「あら。私は渚砂ちゃんのいるところならどこへでも現れるわ。」またあの感覚が
湧き上がる・・・けれど、今度は抑えることができた。
「私の渚砂ちゃんが誰にちょっかい出されるか心配だから」でもこのまま黙って
いる気にはなれそうにない。だから小声でささやく。
「そうですね・・・。今まさにその最中ですし・・・」
「あら?今なにか聞こえなかったかしら?」静馬様もやりかえしてきた。
「どなたかがエトワール様をお探しなのでは?六条様あたりでしょうか?」
「っ・・・」私の反撃に一瞬静馬様が反応した?
 そのまま静馬様は走っていった。渚砂ちゃんの手を掴んだままで・・・。

「ありがとう。助かったわ」
 そう言うと静馬様は行ってしまった。東儀様と狩野様に追われて(捜されて?)
いたみたいですね・・・。
「ふぁーびっくりしたー。エトワール様かくれんぼでもするかと思った・・・」
「渚砂ちゃんらしいですね。でも・・・」
「またエトワール様のご病気かしらね?」
「多分、明日の準備のことでしょ」
463名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 10:38:21 ID:OYTq9xbV
15分後・・・
「名探偵、蒼井渚砂登場!」
 いつの間にか探検はかくれんぼになっていました。おもに渚砂ちゃんの提案で・・・。
「かくれんぼになんの意味があるの?」
「普通にまわるよりも面白いじゃない」
「そうそう。次も私が鬼やるね」

「玉青ちゃん。どうかしたの?」
「あ、いえ。なにか忘れているような・・・」何かが引っかかっているような・・・。
「名探偵、蒼井渚砂登場!」渚砂ちゃんの声が聞こえた。あさっての方向から・・・。
「思い出しました・・・」確かこの時会議の中に飛び込んだんですよね・・・。

10分後・・・
「ホント、助かったわ」六条様のお説教から解放された渚砂ちゃんに話しかけて
きたのは千華留様でした。
 そして、千華留様は話してくれた。三校の特色と関係。そして、
エトワール様不在による問題を・・・。

その夜・・・
「ねぇ、玉青ちゃん。聞いてもいい?」
「なんですか?」
「前に六条さんが言ってたよね?エトワール様は三校でもっとも愛されてる方
だって。ならどうして役目を果たさないのかな?」
「それは・・・」その理由。多分私は知っているけれど・・・。
「私にもよく解からないんです」
「そう・・・」ごめんなさい。うそをつきました。

「新入寮生歓迎会?そんなのがあったんだね?いつからはってあったの?」
翌朝寮の掲示板を見た渚砂ちゃんの第一声はそれでした。
「渚砂ちゃん・・・。この貼り紙一月前からあったわよ・・・」千早ちゃん
のつっこみももっともなわけで・・・。
「そうなんだ・・・。あっ、新入寮生ってことは私もなの?」
「いえ。一年生が対象ですから。残念ですけど渚砂ちゃんは・・・」
 そのとき、こちらに歩いてきた三人の一年生、その一人・・・千代ちゃんが
転びかけたところを渚砂ちゃんに助けられました。そういえば前にもありましたね・・・。
歩いていく三人は歓迎会でエトワール様に挨拶してもらえることを楽しみにしていた
けれど・・・。
「そういえば・・・千早も前の晩は楽しみで眠れないって言ってたっけ」
「お互い様、でしょ。でも今年は無理かもしれないわね。エトワール様があの調子
じゃあ」
「そんなの駄目だよ。あの子達あんなに楽しみにしてるんだよ?」
「それは私だってなんとかしてあげたいとは思うけど」
「うーん。そうだ。千華留さんだったら」

464名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 10:39:49 ID:OYTq9xbV
「渚砂ちゃんの言いたいことはわかるわ。だけど・・・昨日だって結局
見つからなかったでしょう?」
「大丈夫です。私、昨日いちご舎の中を探検しましたから。見つけ出して・・・
説得します」
「わかったわ。静馬様が来たときの準備もしておくわ。渚砂ちゃんは名探偵
だものね。もしかしたら・・・」
「ありがとうございます。それじゃあ捜しにいこう」
「あまり時間も無いから・・・手分けしたほうが良さそうね」

10分後・・・
 静馬様はどこにいるんでしょうか?前の記憶を手繰り寄せる。確か
あの時は・・・そう、渚砂ちゃんが静馬様を連れてきたんですよね。
でもどこにいたのかは・・・。えっ?あれは渚砂ちゃん?寮の外へ?

 渚砂ちゃんはどこへ?確かこっちは・・・『渚砂ちゃん』と出会った
場所だったような・・・?そこに着いた私の目に映ったのは・・・
虚ろな目で静馬様に抱きしめられた渚砂ちゃんの姿でした。
「渚砂ちゃん!」また、あの感覚があふれる。けれど・・・それは以前と
比べ物にならないほどに激しい。
「あ。玉青ちゃん」渚砂ちゃんの拘束が解かれる。
「先に戻っていてください」
「え?でも・・・」
「戻っていてください!」
「あ、うん」

465名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 10:42:01 ID:OYTq9xbV
「またあなたなの?いつも邪魔をするのね」私は無視して続ける。
「なぜご自分の役目を果たさないのですか?あなたは自ら望んでエトワールに
なったのでしょう?それなら役目を果たしてください」以前の私なら
静馬様にこんな物言いはしなかったと思う・・・でも。
「役目役目。あなたも深雪と同じことを言うのね?でも私は行く気はないわ・・・」投げやりな態度・・・さらにあの感覚が強くなる。
「確かに・・・正直なところあなたが役目をどうしようと興味はありません。
でもあなたの身勝手に渚砂ちゃんを巻き込むのは・・・やめてください」
「なぜ?私が渚砂ちゃんと親しくしてはいけないのかしら?」
「ええ。あなたにとって渚砂ちゃんは誰かの代わりなのでしょう?」そう、
あなたが想っているのは渚砂ちゃんではなく・・・。そしてそのせいで
『彼女』がどんなに傷ついたか・・・。
「あなたのパートナー。桜木花織さんのことは聞いています。彼女との別れが
どれだけ辛かったかもわかるつもりです」そう、愛する女を失う辛さは痛いほどに
よくわかる。
「いいえ。あなたはなにも解かっていないわ。愛した女との別れをかわすことが。
触れることも、声を聴くこともかなわなくなる。それがどんなことなのか。
きっとあなたは本当の意味で誰かを愛したことはないんでしょう?」
 なにも解かっていない。本当の意味で誰かを愛したことはない。違う。
そしてその言葉は私のたがを壊すのに十分だった。
 パァーン
 私は静馬様の頬をたたいていた。
「私がなにもわかっていない?誰かを愛したことがない?勝手なことを言わないで
ください!」なにも抑えられない。言葉も・・・感情も・・・そして涙も。
「ならあなたにはわかるんですか!愛した女が!遠くにいってしまう、
そしてそのままいなくなってしまった!お別れさえできなかった!その気持ちが!
自分だけが不幸だなんて思わないで!」

466名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 10:43:41 ID:OYTq9xbV
 我に返ったとき、静馬様の姿はなかった。落ち着いてくると自分がしてしまった
ことを思い知る。
「私・・・なんてことを・・・」
 前の時はきっと渚砂ちゃんが静馬様を説得したのだろう。でも・・・
あんなことの後で静馬様がきてくれるとは思えない。なら私のしたことは・・・
余計なことをして渚砂ちゃんの努力を、思いを踏みにじっただけ・・・?
時計を見る。もうすぐ歓迎会が始まる。だけど・・・。
「渚砂ちゃん・・・きっと悲しみますよね。それに・・・千代ちゃんは
がっかりするでしょうね。もう、渚砂ちゃんに合わせる顔がない・・・」
「玉青ちゃん!」え?この声は?
「渚砂ちゃん・・・」
「え?玉青ちゃん?泣いてるの?どこか痛いの?」貴女はこんな私でも
気遣ってくれるんですね。そして一気に涙腺が崩れた。
「渚砂ちゃん・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい」ただそう繰り返す
ことしかできない私を・・・渚砂ちゃんは抱きしめて・・・頭を撫でてくれた。

「落ち着いた?」
「はい。恥ずかしいところを見せてしまいましたね」
「ううん。ちょっと驚いたけど・・・」
「渚砂ちゃん。今さらどんなに謝っても許されないことですけど・・・
ごめんなさい」
「えーっと?なんのこと?」
「え?ですからエトワール様が・・・」
「エトワール様なら今頃歓迎会にいると想うよ」
「エトワール様、歓迎会に来てくれたんですか?」
「うん。あの後すぐに。玉青ちゃんが説得してくれたんでしょ?」
「あの?本当ですよね?」
「こんなことでうそつかないよ。もう始まってると思うけど、私たちも戻らない?」
「あ、はい」

467名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 10:45:29 ID:OYTq9xbV
さすがに会の途中で入る気にはなれなかったので・・・こっそり覗くと・・・
ちょうど静馬様が千代ちゃんにペンダントをかけているところでした。
でもどうして・・・?
 歓迎会の後、参加していたらしい千早ちゃんと水島さんに聞いてみた。
「エトワール様はいつ来たんです?」
「開始直前になって来たの。玉青ちゃん達は来なかったけど二人が説得して
くれたんじゃないかって思ってたんだけど」
「ううん。私はなにもしてないよ。エトワール様の前に出たらなにもできなく
なって・・・」
「失礼するわ」後ろから声をかけてきたのは・・・静馬様?そして
手に持っているのは新入寮生に贈っていたペンダント。
「ふぇ?もしかして・・・私に?」
「ええ。蒼井渚砂さん。ミアトルへの編入、そしていちご舎への入寮おめでとう」
「あ、ありがとうございます」
「ここでの生活があなたにとってよいものになるといいわね」そういった
静馬様は一瞬私に微笑んで、行ってしまった。
「渚砂ちゃん、少し用があるので失礼しますね」静馬様に聞かないと!
「待ってください、エトワール様」
「なにかしら?」そういって私を見る静馬様。その穏やかな表情からは
さっきのことはまるでうかがえない。
「どうして?歓迎会にいらしたんですか?」
「あら。エトワールの役目でしょう?」至極もっともな答え。でも・・・。
「ですけど・・・私は・・・」
「それより・・・あなたのお名前を聞かせてくださる?」
「え?はい。涼水玉青です」
「そう、玉青ちゃんね」そう言った静馬様に見つめられた瞬間・・・
体が動かない?それに目をそらすことも・・・?そして、額に柔らかな感触が・・・。

「玉青ちゃん?玉青ちゃん?」
「えっ?あ、渚砂ちゃん。どうしました?」
「それ、こっちのせりふだよ。なにかあったの?ぼーっとしてたけど?」もしかしてあの感じが・・・
「少し渚砂ちゃんの気持ちがわかりました・・・」
「???、どういうこと?」
468名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 10:47:08 ID:OYTq9xbV

 箱に収められた赤のペンダント。ほんの数日だけ花織の首に輝いていた・・・。
「ねぇ、花織?貴女には今の私はどう見えているのかしら?」
「静馬、ドアくらい閉めなさい」
「深雪・・・」
「今日はどんな風の吹き回しなの?あなたが自分から役目を果たすなんて」
「深雪、私は不幸なのかしら?」
「静馬?」
「あるひとに言われたわ。自分だけが不幸だと思うなって。確かに花織との
別れは辛かった、そして今もまだ・・・ね。でも私は自分が不幸と思ったことは
一度だってないわ」そう。それは偽りのない気持ち。
「世界中の誰にどう思われてもかまわない。だけど・・・私は不幸だって
花織に思われたら・・・そう思ったら・・・怖かったの・・・」
「静馬・・・。え?静馬?箱の中、なにか挟まってるわ」
 箱の中に隠れていたのは・・・
「これは・・・花織の手紙?」
 その手紙には・・・花織の想いが・・・綴られていた。私のしてきたこと。
花織はどんか気持ちでみていただろうか・・・。ふと記憶がよみがえる、
花織と過ごした・・・最後の日。病室での会話が・・・。

「見て、静馬。窓の外」
「綺麗。雪に日差しが当たっているのね」
「ええ。真昼の星を見てるみたい。とても綺麗で・・・儚い。ね、静馬。
私ね、手を伸ばしたとしてもつかめない夢なら見たくはなかったの・・・
貴女に出会うまでは。遠慮がちな優しさより嬉しかった。貴女といるひとときが
すごく大切になってた。もうすぐ私のいない世界が貴女の現実になると思う。
だから、ささやかな幸せな日々が涙で滲む前にね、たいせつな言葉を伝えたいの。
ありがとう。貴女と見た夢が、私に光をくれた。そして、静馬、貴女のささやかな
幸せを願ってる。自分に照れくさいけど、ほんとうの気持ち」

「花織・・・花織っ・・・」いつのまにか深雪が泣いていた。本当にいつに
なっても泣き虫なのね・・・。でも今日は・・・今日だけは・・・私も・・・。
ねえ、花織、これで最後にするから・・・。
469名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 10:49:04 ID:OYTq9xbV
今回はこれにて終わりです。強引だった気がしなくもないですけど。
諸事情により、次の投下は土日くらいになると思います。
470名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 13:30:54 ID:B2zrwmIi
ちょっと展開が早い気がするけどGJ
今度は玉青ちゃんが静馬に惹かれていったりするのでしょうか;^^
471名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 20:35:02 ID:l8QqoE69
いやいや、実に素晴らしいですよ!
先の展開がこんなに楽しみなのは久しぶりですねぇ。

続き楽しみにしてます。

472名無しさん@ピンキー:2007/06/25(月) 01:03:21 ID:smptQECV
ところでSS保管庫にアクセスしてもずっと
Forbidden
You don't have permission to access /sutupani/index.php on this server.

Additionally, a 403 Forbidden error was encountered while trying to use an ErrorDocument to handle the request.

なんだけど入れる人いるのかな・・・。
473名無しさん@ピンキー:2007/06/25(月) 22:15:22 ID:v/hirv3x
入れないな
474名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 20:41:15 ID:hWggion4
Shininng wayの続きを投下します。
475名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 20:43:09 ID:hWggion4
6話 キミといる今

「ねぇ、玉青ちゃん。図書館ってあの素敵な建物なんだよね?」
「ええ。中はとても落ち着いた雰囲気なんです」
「・・・・・・・」
「渚砂ちゃん?どうかしましたか?」
「なんだろ?歌声かな?すごく綺麗・・・」
「ああ。スピカの聖歌隊ですね」
「聖歌隊かぁ。そんなのもあるんだねぇ」
「一昨日おつとめがあったばかりなのに、相変わらず練習熱心なんですね」
「一昨日って?なにかあったの?」
「ええ。スピカ乗馬部の報告会が。鳳天音様が大会で優秀な成績を残されたんです」
「へー。どんなひとなの?」
「そうですね・・・一言で言うなら王子様でしょうか」
「王子様?スピカって女子校じゃないの?」
「もちろん女性ですよ。ただ、中性的な雰囲気の方なんです。
それに愛馬が白馬なのでそんな風にみえるんですね」
「そんな人もいるんだねぇ。でもホントに綺麗な歌・・・」うっとりした表情で
聞き惚れる渚砂ちゃん。もっとも、私としては貴女の横顔のほうがよほど綺麗
なんですけど。
「それなら、本を借りた帰りに見学にいきましょうか?」
「うん」

「渚砂ちゃん。少し待っていてもらえますか?10分ほどで済みますから」
「うん。中を見て回ってるね。前に来たときはゆっくり見れなかったし」
「終わったらむかえにいきますから」

20分後・・・
ついていませんね・・・。あんなにカウンターが混むなんて。渚砂ちゃんはどこに・・・?
「渚砂ちゃん」え?一緒にいるのは?天音様?
「あっ、玉青ちゃん。あの、友達が来たので失礼しますね」
「ああ。さよなら」
 随分親しげだったような・・・。
「驚きました。天音様と一緒にいたんですね」
「え?天音様ってさっき話してた王子様?気付かなかった・・・」
「ふふ。そんな渚砂ちゃんだから天音様も気を許していたんでしょうか?」
「うーん。よくわからないけど・・・ちょっと気になる本があって、
取ろうとしたらちょうどあのひとも同じ本を取ろうとしてたみたいで。
それで一緒に読んでたの」
「そうだったんですか。さて、お御堂に行きましょうか?」
「そうだね」

476名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 20:45:08 ID:hWggion4
「あれ?誰もいないね」お御堂に入ってみると誰もいませんでした。
「ゆっくりしすぎたみたいですね・・・」
「あーあ、ついてないわねー。せっかく早く終わったのに忘れ物するなんて・・・」
「夜々ちゃん・・・。それでもいつもよりゆっくりできるんだし・・・」後ろから
やってきたのは・・・光莉さんと夜々さん。
「あれ?もしかして・・・聖歌隊のひとですか?」
「そうですけど・・・ってミアトルの蒼井渚砂さんですよね」
「ふぇ?なんで知ってるの?」
「そりゃあそうですよ。転校初日でいきなりエトワール様に迫られたんだもの。
いちご舎では知らない人なんていませんよ」
「夜々ちゃん・・・。そんな言い方したら失礼だよ・・・」
「それに光莉だって興味あるって言ってたじゃない」
「それは・・・だって私も編入生だったから・・・」
「え?そうなの?」
「そういえば、光莉さんも一昨年、じゃない・・・去年編入していらしたん
ですよね」

その後、話は盛り上がって二人の編入生による苦労話が始まりました。
「そうなんだ。三学期になるとダンスの授業があるんだぁ」
「そうなんです。私フォークダンスくらいしか経験なくて・・・夜々ちゃんが
教えてくれたんですけどなんども足を踏んじゃって」
「言ったでしょ。誰もが通る道だって。私もそうだったし」
「あとは・・・フランス語ですね」
「う・・・。それ、私もだよ・・・」
「結局去年はサマースクールにいけなかったんだっけ・・・」
「うん・・・」
「サマースクールって・・・何?」
「いちご舎の行事なんです。毎年夏に二泊三日で海に行くんです」
「それって臨海学校みたいなもの?」
「多分そうですね」
「うわー楽しみ。私海って大好きだから。あれ?でもフランス語と何の関係が?」
「アストラエアでも当然期末試験はあるんです。そして、結果次第では
補習授業も・・・」
「それって・・・試験の点数が悪いとサマースクールに行けないってこと・・・?」
「はい・・・」
「どうしよう・・・。私フランス語全然解からないよー」
「でも・・・今からがんばれば・・・もしかしたら?」
「今から?」
「はい。私はそのことを知ったのが期末試験後でしたから。それから夜々ちゃんに
教えてもらってやっと授業にもついていけるようになったんです」
「そっか。そうだよね。それにこのままじゃフランス語の授業も苦しいだけだもん。
がんばって勉強する!」
「それなら私もお手伝いしますね。私フランス語なら少しは得意ですから」
「うん。お願いしてもいい?」
「ええ、それでは来週から特訓を始めましょう」
「来週?今日じゃないの?」
「もっともな意見ですけど・・・お部屋番の時期ですから」
「ああ、そっか。今日中にカード書かなきゃいけないんだっけ・・・」
「お部屋番って・・・確かミアトルの制度ですよね?新入生が上級生の
お世話をするって・・・」
「ええ。奉仕の心を学ぶためと聞いています」
「少しうらやましいですね。実はスピカにはぜひ奉仕の心を学んでほしい
一年生がいまして・・・」
「夜々ちゃん・・・。そんなこと言ってこき使うつもりじゃないよね・・・?」
「まさか。ただ奉仕の心を教えてあげるだけよ」
「それで・・・お部屋番の子っていつ来るの?」
「明日カードが一年生の手に渡るんです。それからですね」
「そうなんだ。あっ、そろそろ帰らないと門限の時間だね。」
「すっかり話し込んでしまいましたね。今日はこのへんでお開きにしましょうか」
477名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 20:46:40 ID:hWggion4
結局、私達のお部屋番になったのは千代ちゃんでした。その後一騒動あって
夜のお茶会を開くことになったのですが・・・。
「後は、千代ちゃんと蕾ちゃんを待つだけだね」
「なんだかわくわくしますね」
「ね。言ったでしょ。きっと楽しいって。ところでどうしたんです玉青さん?
さっきから難しい顔してますけど・・・」
「いえ、なにか忘れているような気が」
「そう?ティーセットにお菓子でしょ。あとなにかいるっけ?」
「そういうのではなくて・・・」でもなにかが?
 コン、コン
「あっ、千代ちゃん達だ」
「あっ、駄目です。渚砂ちゃん」思い出しました・・・。
「なんで?早く入れてあげないと見つかっちゃうよ?」
 そう言って開けたドアのむこうには渚砂ちゃんの予想通り千代ちゃんと
蕾ちゃん、そして私の予想通りの人物が・・・。

478名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 20:47:54 ID:hWggion4
次の日曜日。私達はシスターの『ご好意』で『特別に』お御堂のお掃除を
『させていただく』ことになりました。途中、渚砂ちゃんが膝に怪我をしたり、
千代ちゃんが泣き出したりといろいろあったのですが・・・

「「「「「「終わったー」」」」」」
 なんとか日が沈みかける頃にようやく終わりました・・・。疲れました・・・。
「ねぇ、玉青ちゃん。この建物ってアストラエアで一番高いんだよね?」
「ええ。そうですけど?」
「だったら、ここのてっぺんからはアストラエアが見渡せるってことだよね?」
「ええ、そのはずですけど・・・まさか?」
「うん。行ってみない?」皆へたり込んでるのに一人元気ですね、渚砂ちゃん・・・。
「私はパス。今夜にそなえて休みたいから」
「夜々先輩?今夜なにかありましたっけ?」
「もちろんお茶会に決まってるじゃない」前言撤回。もう一人いましたね。元気な人が・・・。
「夜々先輩・・・。まだ懲りてないんですか?」
「なによ〜。光莉はやりたいでしょ?」
「うん。興味あるし・・・」
「渚砂さん達は?」
「もちろん私はOKだよ。玉青ちゃんと千代ちゃんは?」
「確かに・・・このまま引き下がるのは少し悔しいですね」
「今度は見つからないようにします!」
「なら決まり。今夜は5人でお茶会ね」
「ちょ、待ってくださいよ、夜々先輩。私も行きますから」
「ところで・・・上に登るのって私だけ?」そうですね・・・せっかくの
機会ですし。
「私もお供しますね」

「玉青ちゃん?大丈夫?」
「はい・・・さすがに・・・疲れ・・・ました・・・けど・・・」本当に
その元気はどこから出てくるんですか?
「無理に付き合ってくれなくても良かったんだよ」
「一度いちご舎を上から見てみたかったんですよ。それに、こんなに綺麗な
景色をみられましたし」
「そうだね。ほんとに綺麗」
渚砂ちゃん・・・私ね、思うんです。今、毎日がとても楽しいって。

『貴女の隣をずっと歩いていけたら』そう願う。
私の・・・私達の未来はどんなものになるのでしょう?
迷い、心の傾ぐこともあるかもしれません。
いつか見た暗闇への怯えもあります。
それでも・・・心は今満たされているんです。
479名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 20:50:09 ID:hWggion4
今回はここまでです。ちなみに伏線をいくつかばらまいてみました。1つはまるわかり
でしょうけど。
480名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 22:35:15 ID:wuESIHIS
GJです!気長にwktkして待ってるお
481名無しさん@ピンキー:2007/07/01(日) 11:33:21 ID:WUHaz0Bi
いいねいねぇ、相変わらずのGJですよ!
482名無しさん@ピンキー:2007/07/04(水) 08:39:37 ID:FtZaCvvq
続きが出来たんでShininng way投下します
483名無しさん@ピンキー:2007/07/04(水) 08:40:47 ID:FtZaCvvq
7話 生まれたてのように

「う〜ん」
「渚砂ちゃん?どうしました?」
「うん。さっきのフランス語なんだけど・・・ここの訳がよく解からないの」
「ええと・・・ここは・・・あ、今夜までの宿題にしておきますね」
「はーい」
「でも、確実に前進してますよ」
「そうかなぁ?」
「ええ。前はどこが解からないかも解からなかったでしょう?でも今は
どこが解からないか解かっていますよ」
「渚砂ちゃん、玉青ちゃん」
「あれ?千早ちゃん、どうかしたの?」
「ちょっと聞きたいんだけど、二人はクッキーって好き?」
「うん。大好きだよ。玉青ちゃんは?」
「ええ、好きですよ」
「そっか。今日クッキー焼くから後でおすそ分けするね」
「でもなんで?」
「千早ちゃんはお料理部なんです」
「そうなんだ。ありがと。そういえば・・・水島さんもなの?」
「水島は弓道部よ」
「ふーん、私もなにかやってみようかな?」
「そうですね。見てまわるだけでも楽しいと思いますし」
「そうだね。じゃあこれからいろいろ見てまわろうかな?」
「はい。では後ほど」

484名無しさん@ピンキー:2007/07/04(水) 08:42:31 ID:FtZaCvvq
 その晩・・・
「ところで渚砂ちゃん。なにか良さそうな部はあったんですか?帰りは随分
遅かったですけど」
「うーん、あの後ル・リムのほうに行ってみたの。そしたら千華留さんに会ったの。それで千華留さんの変身部ってのに誘われたんだけど・・・」
「そういえば・・・千華留様が主催している部がいくつかあるって聞いたこと
ありますね」
「まぁそれは遠慮したんだけどね・・・。あっ、そうそう、そのときにル・リムの
子と知り合ったの。絆奈ちゃんって子と檸檬ちゃんって子に。
その後で温室に行ったの」
「温室・・・ですか・・・」温室。エトワール様・・・静馬様がよくいるんですよね・・・。
「うん。エトワール様専用なんだよね。それで、お手伝いしてきたの」楽しそうに
静馬様のことを話す渚砂ちゃん。でも・・・。
「玉青ちゃん?」
「えっ?ええと・・・なんでしたっけ?」
「温室の話。なんだか今日のエトワール様雰囲気が違ったの。普通に話せるって
いうのかな?そんな感じ」
「そういえば・・・最近はエトワールの役目もきちんと果たされてるって聞きますね」
「へぇーそうなんだ。それでね、明日は東儀さんと狩野さんが来れないから
ひまなら来てほしいって」
「それで・・・お手伝いするんですか?」
「うん。そのつもり」嬉しそうに言う渚砂ちゃん・・・。でも・・・それは
私には・・・少し辛い。だからなのか・・・。
「それなら、私もお手伝いしましょうか?」思わず言ってしまった。
「え?玉青ちゃんも?」
「ええ。人手は多いほうがいいでしょう」
「そうだね。じゃあ一緒に行こっか」
「はい」新入寮生歓迎会以来静馬様には会っていませんけれど・・・。
485名無しさん@ピンキー:2007/07/04(水) 08:45:05 ID:FtZaCvvq
翌日・・・
「渚砂ちゃん。来てくれたのね。あら?」
「えっと、玉青ちゃんも手伝ってくれるって」
「あの、ご迷惑でしたか?」
「いえ、そんなことはないわ。ありがとう、玉青ちゃん」そう言って静馬様は
私に・・・微笑んだ。渚砂ちゃんに向けたのと同じ・・・穏やかに・・・。
知りませんでしたね。静馬様があんな顔をするなんて。
「じゃあ、渚砂ちゃんには昨日の続きをお願いするわ。玉青ちゃんにも
やり方をおしえてあげて。数が多いから大変でしょうけど。なにか
わからないことがあったら聞いてくれればいいわ」
「はい、わかりました。じゃあ、玉青ちゃん。こっちもはじめよっか。玉青ちゃん?」
「え?あ、はい」
「どしたの?」
「あ、いえ。なんでもありませんから。それで、なんでしたっけ?」まさか
静馬様に見とれるなんて思いませんでしたね・・・。
「だから、こっちもはじめようって」
 一時間後・・・
 慣れない作業にとまどいはした、けれど花の世話は意外と楽しかった。
まぁ渚砂ちゃんと一緒だからかもしれませんけど。そして・・・予想より早く終わったので手伝いのお礼ということで静馬様がお茶をいれてくれました。なんでも静馬様の実家から届いたものだとか。
「へぇ〜。花言葉って面白いですね」
「ええ、そうでしょう。アストラエアでは花言葉をこめて贈り物をするひとも
いるわ」二人は花言葉の話題で盛り上がっている。不思議ですね。渚砂ちゃんが
静馬様と楽しそうに話していても少しも嫌な感じがしない・・・いえ、それどころか・・・。
「じゃあ、エトワール様もそんな贈り物をしたんですか?えっと・・・
そう、桜木さんってひとに」え?
「あの、渚砂ちゃん。どうしてその名前を?」
「前に図書館で、アストラエア名鑑って本にあったよ。それで、天音さんに
教えてもらったの。エトワール様って二人いるんだよね?」あのときに?
「渚砂ちゃん、その話は・・・」
「いいのよ」
「ですけど・・・」あなたにとってその名は・・・。
「桜木花織。私のパートナー・・・最愛の女だったわ。でも、エトワールに
なってすぐに病で・・・ね」
「え?あ、ごめんなさい。無神経なこと聞いて・・・」
「いいのよ。それに・・・いい機会なのかもしれないわ」
「いい機会って・・・?」
「いつまでも過去にとらわれ続けることを花織は望まないわ。だから、
全て洗い流そうと思うの。生まれたてのように・・・ね」本当にそれでいいんですか?あなたにとって花織さんは・・・。
「それって、悲しすぎる・・・」渚砂ちゃん?
「どうして、そう思うの?」
「だって、エトワール様は・・・本当に花織さんが好きだったんでしょ?」
「ええ、だから・・・」
「だったら、どうして?もし、私になにかあったらきっと玉青ちゃんは
悲しむと思います」もし、なにかあったら・・・その言葉に鼓動がはげしくなる。
渚砂ちゃん?いったいなにを?
「そうなったら・・・いつまでも悲しんでてほしいなんて思いません。
だけど・・・いつまでも心のどこかで憶えててほしいって、忘れないでいてほしいって思うんです。私はまだ誰かを愛したことなんてないけど・・・それでも・・・大好きなひとにはずっと憶えていてほしいって・・・そう思うんです」
 渚砂ちゃん・・・。
「大好きなひとにはずっと憶えててほしい・・・ね。まったく、私はなにを
解かったつもりでいたのかしら・・・。本当に・・・教えられてばかりだわ」
「エトワール様?」
「花織との素敵な想い出はたくさんあったはずなのに・・・ずっとそれを心の隅に
追いやって・・・失った悲しみばかりに目を向けていた。そして今度は花織の
全てを忘れようとしていたなんてね・・・」静馬様・・・。
「ありがとう。私は、また間違いを犯すところだったのね」
「あ、いえ。私こそ偉そうなこと言ってしまって・・・」
「そろそろ門限が近いわね。二人は先に戻っていて。私の方はなんとでも理由がつくから」

486名無しさん@ピンキー:2007/07/04(水) 08:46:33 ID:FtZaCvvq
「ねぇ、渚砂ちゃん」
 いちご舎に戻る途中、私は口を開いた。
「さっき、言いましたよね『もし自分になにかあったら私が悲しむ』って」
「うん。あ、ごめんね。勝手に決め付けちゃって」
「いえ、それは多分事実ですし・・・」悲しむだけで済むとは思えませんが・・・。
「お願いがあるんです」
「お願いって?」
「たとえでも、もしもでも、言わないでほしいんです。『自分になにかあったら』
なんて」
「玉青ちゃん・・・。もしかして・・・玉青ちゃんにもあったの?」
「はい・・・もう『過ぎたこと』ですけど・・・」
「うん・・・。約束するよ。絶対に言わないって。ごめん・・・。本当に
無神経だね・・・私って」
「いいえ。そんなことありませんよ。私こそ不躾なことを頼んでしまって」そう、
貴女はなにも悪くないのに・・・。

でも、また貴女になにかあったなら、きっと私は正気ではいられない・・・だから・・・。

487名無しさん@ピンキー:2007/07/04(水) 08:48:17 ID:FtZaCvvq
その晩・・・
「悪かったわね、深雪。こんな時間に呼び出したりして」
「それはいいけど、何の用?」
「ええ、返してほしいの。あなたに預けていたもの・・・私の心を・・・」
「静馬・・・そう、わかったわ」
「なにも聞かないのね」
「ええ。蒼井さんのおかげでしょう」
「25点ね。渚砂ちゃんだけのおかげってわけじゃないわ」最期まで私を想って
くれた花織。私がしてきたことに気付かせてくれた玉青ちゃん。私が犯そうとした
過ちに気付かせてくれた渚砂ちゃん。そして、ずっと私を見守ってくれた深雪。
「もう一度花織のことと向き合ってみようと思うの。ただ悲しみに浸るのでなく、
忘れるのでもなく・・・ね」
「そう・・・明けようとしているのね。ずっと冬だった静馬の心が」
「ええ、深雪にも随分迷惑をかけたわ」
「まったくだわ。もっと早くに静馬が更生していれば私の苦労もどんなに
減ったか・・・」呆れたように言う深雪・・・というか本気で呆れてるわね。
それに更生って・・・ひとをなんだと思ってるの?まあ負い目もあるけど・・・
悔しいから少し仕返してあげようかしら。
「ねえ、深雪」耳元でささやく。
「また辛くなったら・・・その時は慰めてほしいの」
「な、慰めて!?」ふふ、動揺してるわね。
「昔はよくしてあげたでしょう。抱きしめて、頭を撫でてほしいの。ベッドの
中で・・・ね」
「なっ、なにを馬鹿なことを。用が済んだなら私はもう帰るから」
「鍵を返してからね」
「う・・・」少し苛めすぎたかしら。でもね、あなたには本当に感謝してる。
それは本当よ。
488名無しさん@ピンキー:2007/07/04(水) 08:49:21 ID:FtZaCvvq
と、まあ今回はこんな感じでした。
489名無しさん@ピンキー:2007/07/04(水) 18:54:55 ID:eG90klMz
>>488
GJ!!
なんかもう補完されまくりましたw
490名無しさん@ピンキー:2007/07/05(木) 23:08:56 ID:VMR229yV
凄く良かったです。
続き楽しみにしてますよ♪
491名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 20:31:51 ID:1KMK6DCg
Shininng wayの続きができました。今回は梅雨時の話です。
492名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 20:33:15 ID:1KMK6DCg
8話 君のカケラ

 6月に入り本格的に梅雨が始まったある日のこと・・・。
「ねえ、玉青ちゃん。これ見て!」そう言って渚砂ちゃんが差し出したのは・・・。
「さっきのフランス語の小テストですね」点数は10問中・・・7問正解。
「すごいじゃないですか!こんなに解けるなんて」
「うん。この分だとサマースクールいけそう?」
「ええ。試験まであと一月ありますから。十分間に合いますよ」
「よーし。がんばるぞー」
「随分ご機嫌ね。渚砂ちゃん」
「あ、千早ちゃん。これ見て」
「へー。渚砂ちゃんって意外とすごいのね。フランス語初めてまだ2ヶ月なんでしょ?」
「うん、玉青ちゃんの教え方がうまいからね」
「確かに、玉青ちゃんっていつもクラスでトップだしね。ところで、
聞きたいことがあるんだけど・・・渚砂ちゃん達ってスピカの此花さんと
仲良かったよね?」
「光莉ちゃん?うん、よく話すけど」
「最近天音様と此花さんが親しげだって噂だからどうなのかなぁって思って」
「そういえば・・・」
「前に乗馬部の壮行会で一騒動ありましたっけ・・・」
「ふーん、なにがあったの?」
「ええ、実はですね・・・」
「あっ!?玉青ちゃんそろそろ文芸部始まるんじゃない?」
「あら、そうですね。渚砂ちゃんはこれからどうします?」
「図書館に寄ってくよ。こないだ借りた本返さないと」
「私も料理部に行く時間ね。じゃあまた明日ね」
「うん、またね」

 その夜・・・
「それで、傘を貸しちゃったんですね?」
「うん、なんだか放っておけなかったから。私予備の傘ないんだよね・・・」
 多分それって籠女ちゃんですよね・・・。
「その方がどこの制服だったか思い出せませんか?」
「えっと、ミアトル・・・スピカ・・・ル・リム・・・そうだ、赤いチェックの
スカートだったからル・リムだと思う」やっぱり・・・。
「でしたら明日ル・リムに行ってみましょう」
「でも・・・それだけで見つけられるかなぁ?」
「ご心配なく。アテがありますから」
493名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 20:35:14 ID:1KMK6DCg
「それで、玉青ちゃん。どこに行くの?」
「ここです」
「生徒会室?」
「はい。生徒会長の千華留様ならなにかご存知ですよ、きっと」実は籠女ちゃんが
よく千華留様のところにいるって知ってるんですけど・・・。
「あれ?これなんだろ?」
 生徒会室のドアに掛けられていたホワイトボード。そこには・・・
生徒会 休止中
変身部 休止中
秘密部 活動中
と書かれていました・・・。
「秘密部って・・・何?」
「さあ?なんでしょうね?」
「現場百回!!!」中からやけに気合の入った声が・・・。
「玉青ちゃん、今の声・・・なにかな?」
「さあ?なんでしょうね?」同じ言葉を繰り返す私・・・。
「と、とにかく、入って見ませんか?」
「そ、そうだね。失礼しまーす」
 ドアを開けると・・・
「あっ!」
「あ・・・」
二人の声が重なりました。渚砂ちゃんと・・・籠女ちゃんの声が。

 その後、秘密部の活動はお茶会に変更になりました。
「でもよくわかったわね。渚砂ちゃんは本物の名探偵なのかしら?」
「あ、いえ。玉青ちゃんが言ったんです。千華留さんならなにか
知ってるんじゃないかって」
「そうだったの・・・。ねえ、玉青ちゃん」肩を掴まれた。
「は、はい。なんでしょう?」
「知らなかったわ。こんなところにも名探偵がいたのね・・・どう、秘密部に
入らない?もちろん渚砂ちゃんも一緒に」えーと・・・なんだか私の中で
千華留様のイメージが崩れていくような・・・。
「えっと、あのー秘密部ってどんなことをするんですか?」私も同感です。渚砂ちゃん。
「ふっふっふ。よくぞ聞いてくれました。秘密部というのはね、学園のありと
あらゆる秘密を調べつくすの。そう、それが私達の使命なのよ!」そう言って
椅子に足を乗せ、拳を突き上げる・・・。あの・・・本当に千華留様ですよね・・・?
「最近は七不思議を調べてるんです」檸檬ちゃんが補足してくれました・・・。
「七不思議って?」
「あら?渚砂ちゃんは聞いたことない?いちご舎七不思議って?」
「初耳ですけど・・・」
「いちご舎の不思議な話七個のことなんだけどこれが意外に面白いの。そうねぇ、
玉青ちゃんの知ってる七不思議を書き出してくれない?絆奈ちゃんと檸檬ちゃんも」
 結果、私の知る七つと千華留様の知る七つでは四つが共通でした。絆奈ちゃんと
檸檬ちゃんは五つしか知りませんでしたがこれもぴったりとは重なりませんでした。
「ね、おもしろいでしょ?人によってバラバラなの」
「でも・・・この廊下の少女っていうのはみんな知ってますよね。どんな話
なんです?」
「そう、それはね・・・
494名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 20:36:51 ID:1KMK6DCg
 昔ね、いちご舎に入った同室の二人がいたの。ひとりはとても元気な子、
もうひとりは落ち着いた雰囲気の子だったわ。二人はとても仲が良くていつも
一緒だったそうね。ちょうど渚砂ちゃんと玉青ちゃんみたいな感じかしら。
でも、落ち着いた方の子がホームシックにかかってしまってね、五月の連休に
家に帰ったの。ところが連休が明けてもその子は戻ってこなかった・・・。
それに連絡もつかなかったの。元気なほうの子は不安になって以前聞いていた
住所を訪ねてみたの。でもそこにあったのは誰もいない、荒れ放題のお屋敷だった。
恐る恐る入ってみたその子は中で一枚の写真を見つけたの。親友の
写った・・・とても古い写真を・・・。結局、他にはなにも見つからなかった。
でも、帰りに近所のひとに聞いたら信じられないことがわかったの。その家に
住んでいた子が事故で亡くなっていたってね・・・10年前に。それが彼女の
親友にそっくりだったって。そしてその子はミアトルへの入学を目前にひかえて
いたらしいわ。彼女はとてもショックをうけていちご舎に帰ってきた・・・。
そして一月後のある雨の晩、部屋を抜け出して二度と戻ってこなかった・・・。
ただね、その直前、うわ言のように繰り返していたらしいの
「あの子が泣いてる。行かなきゃ・・・」ってね。
495名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 20:38:25 ID:1KMK6DCg
と、こんな話なんだけど」
「随分詳しいお話ですね。私が聞いたのは夜に部屋を抜け出した子が戻って
こなかったというだけですけど・・・」
「確かに、人によって細かい設定はまちまちみたいね」
「渚砂ちゃんはどう思います?渚砂ちゃん?」
 渚砂ちゃんはすっかり縮こまってパーシバル(籠女ちゃん?)に頭を
撫でられていました・・・。千華留様の語りに引き込まれてしまいましたけど
怪談の類は苦手でしたっけ・・・。


 数日後・・・
 夜々さん達の部屋で夜のお茶会をして、私達は部屋に戻る途中でした。
「ふぁ、ラヴェンダーのハーブかぁ。いい香りだったねぇ。今夜はぐっすり眠れそう・・・」
「あら、渚砂ちゃんはいつもぐっすりでは?」
「そんなこと・・・あれ?なにか聞こえない?」
「雨の音ですか?」
「ううん、そうじゃなくて・・・」
 確かに・・・耳を澄ますとなにか・・・これは?すすり泣くような声・・・でしょうか?
「た、玉青ちゃん!これってもしかしてこないだ千華留さんが言ってた・・・」
「それはわかりませんけど・・・」
「ど、どどどどうしよう・・・。ひょっとして・・・私達このままどこかに
連れて行かれちゃうんじゃ?」渚砂ちゃん、すっかり怯えている?
「いやぁ、いやだよぉ・・・」
「大丈夫ですよ。なにがあっても私が守りますから」
「う、うん・・・」
「なにをしているのですか?」
「・・・っ!」
「いやぁあああああ!」
 あ痛っ、耳が・・・。振り返るとそこにいたのは・・・舎監のシスター・・・。
「涼水さん?こんな時間になぜ廊下にいるのですか?」
「え、それは・・・」なんとか誤魔化さないと・・・。え?渚砂ちゃん?
「蒼井さんはどうしました?」
 頬を撫でてみる・・・反応なし。軽くたたいてみる(ごめんなさい)・・・反応
なし。どうやら・・・。
「気を失っているみたいです・・・」よほど驚いたんですね・・・。
「はぁ、明日の朝6時に指導室に来るように。いいですね」
「はい・・・」
「とりあえず部屋に運びましょう。手伝います」
「もうしわけありません・・・」

496名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 20:40:09 ID:1KMK6DCg
「渚砂ちゃん、起きてください。渚砂ちゃん!」
「ん〜。もう朝なの・・・あれ、まだ5時だよ・・・」
「それはそうなんですけど、昨夜のこと、覚えてますか?」
「昨夜?えーと、お茶会だったよね・・・あっ!帰りに」
「ええ、それで・・・」
「そうだよ。廊下で泣き声がして・・・それで・・・あれ?どうしたんだっけ?」
「急に声をかけられて渚砂ちゃん気絶したんです。それで、相手は舎監の
シスターだったんです」
「そうだったの・・・。でも確かに泣き声がしたよね?」
「ええ。ですが、まず目の前の問題をなんとかしないと。理由はともかく、
私達は深夜に出歩いてるところを見つかってしまった訳ですから。
幸いというか・・・渚砂ちゃんが気絶してくれたおかげで言い訳を考える時間が
できましたし」
「あ、あはは・・・。でもなんて言えば・・・」
「まず正直に言うのはまずいですね。夜々さん達まで巻き込んでしまいますし」
「うん、そうだね・・・」
「そこであの泣き声を使うんです」
「どういうこと?」
「それはですね・・・」

「・・・というわけです」
「なるほど。玉青ちゃんすごいね」
「それは上手くいってからですね。さて、そろそろ着替えないと・・・」

「では・・・なぜ深夜に廊下にいたのですか?」
「はい、実は昨夜眠れずにいたら誰かが泣いているような声がしたんです。
それで・・・誰かが苦しんでるんじゃないかって思って
出てみたんですけど・・・急に声が不気味な感じになって・・・」
「それで蒼井さんが怯えてしまって・・・あとはご存知の通りです」
「はぁ。あなたたちもですか・・・」
「私達・・・も?どういうことです?」
「少し前に私も廊下で泣き声のようなものを聞きましたから」
「ふぇっ?やっぱりそれって・・・廊下の少女なんじゃ?」
「廊下の少女?ああ、そんな噂話があるようですね。馬鹿馬鹿しい。そのような
ものがいるはずないでしょう?ましてこの聖アストラエアに」
「で、でもシスターも聞いたんですよね?泣き声を」
「なにかの聞き間違いに決まっています。とにかく、消灯時間以降出歩くことの
ないように。どうしても気になるならすぐ私に連絡すること。いいですね」

497名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 20:41:30 ID:1KMK6DCg
「ねぇ、玉青ちゃん。手、つないでいい?」
 登校中、突然そんなことを言われました。
「どうしたんです?急に?」
「うん、不安で・・・」
「わかりました」確かに・・・ずっと不安げですね。朝も食欲が無かったですし。
「大丈夫、渚砂ちゃんのことは私がちゃんと守ってあげますから」
「うん」
「なーぎーさーちゃん!」
「うわああああぁっ!」
「あら?ごめんなさい。そんなに驚くとは思わなくて」
そう言って現れたのは千華留様・・・。間が悪いですね・・・。
「千華留さん?あ、そうだ。私達昨日廊下の少女に会ったんです。それで、
私達もどこかに連れていかれちゃうんじゃないかって・・・」
「そう・・・。でも心配無いと思うわ。だってアレはフィクションだし」
「ふぇ?そうなんですか?」
「少なくともあの話にあるように誰かが失踪したって記録は無いわ」
「そんなんだ・・・。でも、よく調べられましたね?」
「ええ。生徒会長だから」千華留様・・・職権乱用・・・ではないですよね。
「だけど、確かに泣き声がしたんです。そうだよね、玉青ちゃん」
「はい」それは間違いない。
「そうなの・・・。ならほんとになにかがいたのかもね。でも渚砂ちゃんの身に
危険がおよんだりはしないと思うわ。だから大丈夫」
「そ、そうですよね!」

 そうは言ったものの・・・今日の渚砂ちゃんはクラスメイトに声をかけられて
驚くこと4回、ちょっとした物音に飛び上がること3回、宿題を忘れること2回と
いった有様でした。最後のは関係無いですね・・・。でも、このままには
できませんし・・・。前は結局猫だったんですよね。でも、今の渚砂ちゃんを
夜の廊下に連れ出すのは・・・それに、都合良く猫が現れるとも
思えません・・・。あっ!それなら。
「渚砂ちゃん、少し出かけてきますね」
「え?もうすぐ消灯だよ?」
「すぐに戻りますので」

498名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 20:43:59 ID:1KMK6DCg
 静馬様の部屋。さすがに緊張しますね。深呼吸して、よし!
 コン、コン
「どなた?」
「4年の涼水です」
「玉青ちゃん?どうぞ」
「夜分遅くに失礼します、エトワール様」
「どうしたの、こんな時間に?」
「はい。お願いがあるんです」
「お願い?」
「エトワール様にうそをついてほしいんです」
「どういうこと?」
「実は・・・」

「・・・という訳なんです」
「なるほど・・・。それにしても意外ね。渚砂ちゃんがそんなに怖がるなんて」
「それについては同感ですけど・・・」
「条件があるわ」
「条件ですか?」
「ええ、明日も温室の世話があるんだけれど瞳も水穂も用事があって来れないの」
「・・・交渉成立ですね」
「そうね。放課後、温室で待ってるわ」

「あっ、おかえり。玉青ちゃん、どこに行ってたの?」
「少しやることがありまして・・・」
「そっか。あのね、お願いがあるの」
「なんです?」
「一緒に寝て欲しいの・・・」
「ええ、いいですよ」
「ほんとに?」
「あら、渚砂ちゃんさえ良ければ私は毎日でも歓迎しますよ」
「うん、ありがと」
「大丈夫。渚砂ちゃんはいなくなったりしませんよ。絶対に」
「頭では解かってるんだけど・・・」明日には解決しますから。それまでの辛抱
ですよ。

「ねぇ、渚砂ちゃん。これから温室に行きませんか?」
「どしたの?急に」
「文芸部の会報に書く記事が決まったんです。廊下の少女について書こうと思って」
「う・・・」やっぱり嫌そうですね・・・。
「今日の休み時間に聞いて回ってわかったんです。さかのぼると5年前に
いちご舎にいたひとまではこの話を知ってるんですけど、それより上のひとは
誰も知らないって」
「どういうこと?」
「つまりですね、今の6年生が入学した年になにかあったんじゃないか、
と思うんです。それで、エトワール様に聞いてみようと」
「だけど・・・」詳しく知りたくない、顔に書いてありますね・・・でもここで
押し切らないと。
「それに・・・エトワール様にもお会いしたいですし。それとも・・・お一人で
帰りますか?」
「う・・・。私も行く・・・」
「はい、では行きましょうか」作戦第一段階成功ですね。
499名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 20:45:48 ID:1KMK6DCg
「あら、いらっしゃい。玉青ちゃん、渚砂ちゃん。どうかしたの?」
「ええ。実は・・・お聞きしたいことがありまして。エトワール様は廊下の少女に
ついてご存知ですか?」
「廊下の少女?ええ、よく知ってるわ」
「良かった。それで詳しくお聞きしたいんですが・・・」
「あら、あなたたちも来ていたのね」やって来たのは、六条様。
「資料を渡すのを忘れていたの。今週中に目を通しておいて」
「解かったわ」静馬様が不敵に笑ったような?
「ねぇ、深雪。この娘達、廊下の少女について知りたいそうよ。あなたも
よく知っているわよね?」え?筋書きと違うような・・・。
「ろ、廊下の少女!?・・・確かに昔聞いたことがあるわね・・・」
「聞いたことがある?私達、その場にいたじゃない?」
「ええっ!そうなんですか?」
「ええ。あれは私達が1年の頃だったわね。夜中に廊下で泣いていたの・・・」
「静馬!?」
「小さな仔猫がね」
「「え?」」
「深雪もその場にいたでしょう?」
「え、ええ。そうだったわね」
「どうして泣いていたのかしら?ホームシックかしらね?あなたはどう思う、
深雪?」
「さ、さあ。猫の気持ちまでは・・・。用があるからもう行くわ」そう言って
出て行く姿はまるで逃げ出すような・・・もしかして・・・。
「そうだよね。きっとあれも猫の泣き声だよ。うんうん。廊下の少女なんて
いるわけないよね」ほっ、とりあえず作戦成功ですね。でも・・・
「あの、エトワール様。さっき仔猫が泣いていたとおっしゃっていましたけど、
その猫は今もいちご舎にいるのでは?」予想通りなら廊下の少女の正体は・・・
「ええ、いるわね。すっかり可愛げが無くなったけれど」
「そうですか・・・。少し、いえかなり意外ですね」
「同感ね。これこそ七不思議にいれてもよさそうね」
「なんのこと?そういえば文芸部の会報には使えそうなの?」
「文芸部の会報?載せないほうが懸命ね」
「ですね・・・。猫どころか虎の尾を踏むことになりかねませんし・・・」
「虎?いちご舎には虎もいるの?」
「いえ、そうではなくて・・・」

 その晩・・・
「玉青ちゃん、あの・・・今日も一緒に寝てもいい?」
「ええ、かまいませんけど。まだ怖いですか?」
「ううん。そうじゃないけど・・・。玉青ちゃんと一緒だとなんだか落ち着くって
いうか気持ちいいっていうのか・・・。今日だけだから、だめ?」
「言いましたよ。私は毎日でも歓迎ですって」
「うん。ありがと」

 渚砂ちゃんはすぐに寝息をたて始めました。ふと思いついて手を握る。
貴女が見ている夢の行方・・・きっと今日は私が傍にいますよ。
500名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 20:48:02 ID:1KMK6DCg
今回はここまでです。長々と書いといてアレですが、ようやく話の仕込みは終わりです。
次から少しづつ「何か」が変わります。
501名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 22:38:00 ID:bnhucPA0
>>500
・・・・・・GJ!!!
OVA化希望w
502名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 01:06:23 ID:15b2Snza
皆の関係が微妙に変わってきてるねぇ。
コレからが非常に楽しみです。
がんばってください><b
503名無しさん@ピンキー:2007/07/13(金) 10:03:10 ID:SCDDg7NI
例の話の続き投下します。恥ずかしい話ですが今までタイトルを間違えてました。
「Shininng way」ではなく「Shining way」ですので。
504名無しさん@ピンキー:2007/07/13(金) 10:04:18 ID:SCDDg7NI
9話 sweet♥fighter

期末試験一週間前。部活もおやすみ。そして・・・渚砂ちゃん、千代ちゃん、
私は試験勉強中です。
「Il neige・・・えーとneigeは・・・」
「neigeは雪って意味だよね。そこは雪が降っているってなるんじゃない?」
「「えっ?」」
「あ、ごめん。変なこと言っちゃったね・・・」
「まぁ確かに、考えている横でいきなり正解を教えるのはどうかと思いますけど・・・」
「へ?正解って、それでよかったの?」
「ええ、合ってますよ」
「渚砂お姉様は今年からフランス語を始めたんですよね?やっぱりすごいです!」
「えへへ、玉青先生が優秀だったからね」
「いえ、渚砂ちゃんの努力の賜物ですよ。この分なら試験も大丈夫ですね」
「うん、でも最後まで油断はできないよ。サマースクールがかかってるんだし」
「そうですね。では、一緒にサマースクールに行くためにもうひとがんばりしましょう」
「そうだね」

 そして試験終了後・・・
「どうでしたか?渚砂ちゃん」といっても顔に書いてありますけど・・・。
「うん、全教科大丈夫だったよ。ありがとう。玉青ちゃんのおかげだよ」
「いえ、渚砂ちゃんががんばったからですよ。でも、本当に良かった。
今から待ちきれませんね、サマースクール」
「だね!」
「さて、私は、久しぶりに文芸部があるので行ってきますね」
「うん、いってらっしゃい」
505名無しさん@ピンキー:2007/07/13(金) 10:05:44 ID:SCDDg7NI
「ただいま、渚砂ちゃん。あら?誰かいらっしゃるんですか?」部屋に戻ると
お茶の用意がしてありました。
「そうじゃなくて。あの・・・これ、玉青ちゃんに」そう言って差し出した
小さな包み。ほんのりと甘い匂いがしますね。
「もしかして、私に?」
「うん。私がサマースクールに行けるのって玉青ちゃんのおかげだから。
でも・・・それだけじゃないんだよね。待ってる間ずっと考えてたの。
私って編入した日からずっと玉青ちゃんに助けられっぱなしだったんだよね・・・。今までありがとう」渚砂ちゃん・・・。
「お礼を言われるようなことじゃありませんよ。全部私が好きでしたことですし。
でも、一つだけ・・・」
「なに?」
「今までありがとう・・・それじゃあまるでお別れみたいですよ?」
「あ・・・そうだね。じゃあ、今までありがとう、これからもよろしくね、玉青ちゃん」
「はい。では早速いただきましょう」
「うん、今お茶淹れるから」
「それなら私が」
「ううん。私にやらせて」
「はい、わかりました」
 包みの中に入っていたのは・・・チョコで包んだビスケットでしょうか?
口に入れてみると・・・。
「なんだか不思議な食感ですね。ビスケットなのにふわふわしていて」
「うん、マシュマロが入ってるの。どう?」
「ええ、美味しいですよ。渚砂ちゃんの手作りですね」
「えっと、実はね・・・お料理部でなにか作らせてもらおうと思って行ったら
千華留さん達がいてね、それで一緒に」
「そうだったんですか。ところで渚砂ちゃんは食べないんですか」
「作ってる時に試食しすぎて・・・ね」・・・渚砂ちゃんらしいですね。
「でもせっかくですから・・・はい、あーん」
「あーん」
「ね?美味しいでしょう?」
「うん」
「ねえ、渚砂ちゃん」
「なに?」
「私のほうこそ、これからもよろしくお願いしますね」
506名無しさん@ピンキー:2007/07/13(金) 10:07:56 ID:SCDDg7NI
ちょい短めでしたが今回はここまでで。しっかし・・・我ながら心底情けないな・・・。
507名無しさん@ピンキー:2007/07/13(金) 14:00:19 ID:pJ/SEE7C
>>506
話が良ければどうってことはない、って人ばかりだろうから気にしない
508名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 01:24:22 ID:w4XgRqtQ
まったく >>506はじらしやがって
先が楽しみになっちゃうだろ
509名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 18:40:44 ID:YBePRdcf
少し凹んでましたけど気を取り直してShining wayの続きを投下します。
510名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 18:42:47 ID:YBePRdcf
10話 夜を越えたら

 いよいよ明日からサマースクール。さっきまでの夕立もすっかりやみましたし、
準備も万端。渚砂ちゃんとのどんな思い出ができるのか、今から楽しみですね。
「ただいまー」
「おかえりなさい。って渚砂ちゃん?どうしたんです?びしょ濡れじゃないですか?」
「うん・・・図書館の帰りに急に雨が降ってきたの」
「傘は?」
「それがね・・・昨日サマースクールの荷物に入れちゃってて・・・」
「そうだったんですか。すぐにシャワーの用意をしますから」
「大丈夫だよ、は・・・くしゅん」
「ほら、風邪をひいたら大変ですよ」

「38度2分、風邪ですね。校医の先生に連絡しておきます。看病は修道会の方に
お願いしますので養生するように。いいですね、蒼井さん」
「はい・・・」
 翌朝、渚砂ちゃんは寝込んでしまいました・・・。
「ごめんね、玉青ちゃん。たくさん勉強教えてくれたのに・・・私が全部台無しに
しちゃって・・・」渚砂ちゃん・・・。一番辛いのはきっと貴女なのに・・・。
「決めました。私も残ります」
「ええっ!?そんなの駄目だよ」
「いえ、苦しんでいる貴女を置いて行くなんてできません。ですから・・・」
「だけど・・・玉青ちゃんもずっと楽しみだったんでしょ?」
「それはそうですけど・・・」でも・・・私が楽しみにしていたのは
『貴女と一緒に』行くことだったんです。
「だからね、玉青ちゃんは私の分も楽しんできて。それで、帰ってきたら
話を聞かせて。ね?」渚砂ちゃん・・・。
「わかりました・・・。ねぇ、渚砂ちゃん。来年は・・・きっと一緒に行きましょうね」
「うん、約束。いってらっしゃい、玉青ちゃん」
「はい。では、いってきますね」
511名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 18:44:44 ID:YBePRdcf
 そうしてやって来たサマースクール。海で遊んでいても野草を観察していても
何故か心は躍りませんでした・・・。いえ、理由は解かってるんですよね・・・。
貴女が隣にいないから・・・。

 二日目夜の肝試し。くじであたった相手は・・・千華留様でした。今度は
渚砂ちゃんと一緒にまわりたかった・・・。
「玉青ちゃん。大丈夫?さっきから黙り込んでるみたいだけど・・・」
「え?あ、はい。大丈夫ですよ。私、夜道とかは平気ですから」
「そうじゃないわ」え?それはどういう・・・。
「籠女ちゃんが言ってたわ。あなたがずっと泣きそうな顔してるって」あ・・・。
「かないませんね、籠女ちゃんには・・・」
「少しはわかるつもりよ。あなたの気持ちは。サマースクール、私は楽しかったわ。
でも、渚砂ちゃんがいたらもっと楽しかったってね」
「はい・・・」
「渚砂ちゃんはとっても明るい子。でも、それだけじゃなくて・・・一緒に
いるとそれだけで元気を貰えるような・・・そんな太陽みたいなところが
あると思うの」
「ええ・・・」
「多分、皆そんな風に感じてると思うわ。それに・・・」
「それに?」
「渚砂ちゃんと一緒にいる時のあなたの笑顔。とても素敵なのよ、玉青ちゃん」
「・・・・・・」確かに・・・渚砂ちゃんの隣にいるとそれだけで私の心は躍る・・・そう思う。
「来年は一緒に来れたらいいわね」
「はい」

 宿舎に戻って汗を流すと、流星雨が始まっていた・・・。
 星に願おう。
「渚砂ちゃんが早く元気になりますように・・・。来年は一緒に来れますように・・・」

渚砂ちゃん、貴女も同じ星空を見ているんでしょうか?
この夜を越えたら・・・明日の貴女に会いたい。話したいこと、たくさんあるんですよ。

512名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 18:46:56 ID:YBePRdcf
「はあ・・・」ため息がでるのは何度目だろう?二日間寝てたから具合は
だいぶ良くなったと思う。熱も下がったし、先生も明日には普通に動ける
だろうって言ってたから。でも・・・。
「玉青ちゃん・・・」なんでだろう?ミアトルに来てからいつも傍にいてくれた
友達。彼女のことばかり考えてしまう。会いたい・・・。声が聞きたい・・・。
顔が見たい・・・。
「残ってもらってたら・・・」ううん、駄目だよね。玉青ちゃん優しいから
きっと一緒にいてくれたと思う・・・けど、玉青ちゃんだってあんなに
楽しみにしてたんだもんね・・・。それに、玉青ちゃんのしてくれたこと・・・
全部だめにしちゃったのは私なんだよね・・・。でも・・・。
「玉青ちゃん・・・早く帰ってきてよ・・・」
 コン、コン。
誰だろ?もしかして!
「玉青ちゃん?」
「失礼するわ」入ってきたのは・・・。
「あれ?エトワール様?」
「こんばんは、渚砂ちゃん。え?どこか苦しいの?」
「ふぇ?大丈夫ですけど?先生もそう言ってたし」
「そう、ならいいのだけど。泣いていたから」
「え?あ、あれ」頬が濡れてる?
「でも、ほんとに体は大丈夫ですから。きっと病気のせいで弱気になってたんです」
「本当にそれだけかしらね?」
「え?それって・・・」
「なんでもないわ。それで、玉青ちゃんのことを考えていたのね?」
「ええっ!?なんでわかるんですか?」
「さっき間違えたでしょう?玉青ちゃんと」
「あ・・・。サマースクールに行けるようにたくさん勉強教えてくれたんです。
でも私が・・・」
「そう・・・」
「あれ?そういえば、エトワール様は行かなかったんですか?サマースクール」
「ええ、どこかの生徒会長のおかげで・・・ね」
「大変なんですね・・・」
「ところで、少し起きられる?」
「え?あ、はい。起きれますけど・・・」
「見て」そう言ってカーテンを開けると・・・。
「あっ、流れ星。あ、また」
「今日は流星雨の夜なの」
「そうなんですか。玉青ちゃんも同じ星空を見てるんでしょうか?」
「ええ。きっとね」
「あ、お願いしないと・・・。来年は玉青ちゃんと一緒にサマースクールに
行けますように・・・」
「叶うといいわね・・・」
「はい!」

 玉青ちゃん。この夜を越えたら、明日はやっと会えるね。そしたら、
まず「おかえり」って笑顔で言おう。それから、それから・・・。

513名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 18:48:24 ID:YBePRdcf
「あ、エトワール様。このお花しおれてますけどどうします?」
「それは・・・ひからびているわね。水をあげてから日陰に移して」
「はーい」
 渚砂ちゃん、すっかり元気になったわね。良かったわ。
「一息入れましょう。手伝ってくれたおかげでだいぶ早く終わりそうだから」
「あ、はい」

「ええっ?エトワール様って自分でアクセサリ作るんですか?」
「ええ。最近はあまりやっていないけれど、一時期凝っていたの」
「へぇー。すごいですねー」
「あら?今なにか聞こえなかった?」
「え?なにがです?」
「バスが止まるような音が」
「玉青ちゃん帰ってきたんだ!」ほんとに嬉しそうね・・・。
「冗談よ」
「ふぇ?」
「さすがにここまで聞こえはしないでしょう?」
「うー」
「でも、そろそろ帰ってくる頃ね。むかえに行ってあげたら?」
「はい、そうしますね」
 そう言って走っていく姿は本当に嬉しそう。それにしても、
玉青ちゃんは気付いているのかしら?渚砂ちゃんがどんな時に
最高の笑顔を見せてくれるのかに?そして、玉青ちゃんも・・・。
あまりに当たり前すぎるから二人とも気付いていないのかもしれないわね。
「少し、妬けるわね・・・」
 そうは言っても、きっと今の私も笑っているわね。そうでしょう?花織。

「ただいま、渚砂ちゃん」
「おかえりなさい、玉青ちゃん」
514名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 18:53:42 ID:YBePRdcf
 今回はこれで終わりです。もしかしたら期待を裏切ってしまったかもしれませんけど
埋め合わせはしますんで。
515名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 19:01:59 ID:YSqofZWd
>>514
GJ!!
一見なにげないように見えて、2人の距離が確実に・・・(*´ω`*)
516名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 22:58:34 ID:wm+ijt1V
GJです!
次回も楽しみにしてます。
517名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 01:33:03 ID:AWbnuRyp
>>514
乙&GJ!!
これ読んで急に静馬が好きになってきたww
518名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 00:29:59 ID:tSxdeYIw
一緒にサマースクールに行けなかったことで、かえって2人の距離が縮まった感じだね。
次回からの展開にもワクテカ。
519名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 12:24:34 ID:rUkgEDA6
GJ!
しかし、千代ちゃんの出番少ねえ(・ω・)
520名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 20:24:09 ID:yAA9be0s
今からShining way投下しますんで。
521名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 20:25:29 ID:yAA9be0s
11話 サンデー・ホリデー

「じゃあ、また二学期に会おうね」
 夏休みに入って、みんな自宅に帰っていった。私は・・・両親がまだ海外から
戻らないからいちご舎に残るんだけど・・・。
「それでは、私も行きますね」
「うん・・・」玉青ちゃんもこれから帰宅する。親戚に挨拶しないといけない
とかで・・・大変だよね。
「用が済んだらすぐに貴女のもとに帰りますから」
「久しぶりに帰るんだから、ゆっくりしてきてよ。ね?」ほんとは一緒に
残ってほしいんだけど・・・甘えてばかりじゃ駄目だよね・・・。
「いえ、私にはすぐにでも帰らなければならない理由があるんです」
「なにかあるの?」
「ええ、とても大切な用事が・・・。ですから2、3日で帰ってきますね」
「あ、そうなんだ」どんな理由かはわからないけど・・・少し嬉しいな。
「では、いってきますね」
「うん、気をつけてね」

「さてと、宿題でもやろうか」早いうちから少しづつやった方がラクだしね。
「あら?渚砂ちゃん」
「あ、エトワール様、それに六条さん。あれ?お二人は帰省されないんですか?」
「ええ、今日から出張なの」
「出張?エトワールのお仕事ってそんなのもあるんですか?」
「そうなの、ただでさえ最近仕事が増えてるっていうのに」
「あのね・・・。今までは誰かさんがああだったからこっちで最小限に
減らしていただけなの。これが普通なんですよ『エトワール様』」
「というわけなの。渚砂ちゃんは帰らないの?」
「はい。まだ両親が海外で・・・帰っても誰もいないんです。
あ、でも玉青ちゃんが2、3日で帰ってくるって。とても大事な用が
あるって言ってました」
「大事な用・・・ね。なるほど・・・」
「なにか知ってるんですか?」
「ええ、でも内緒。さて、そろそろ時間ね」
「そうですか。いってらっしゃい」
「あ、そうだわ。今夜は遠くでお祭りをやってるの。花火が見えるはずよ」
「そうなんですか、楽しみです」
「それじゃあ、またね渚砂ちゃん」
522名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 20:27:11 ID:yAA9be0s
「はー。今日はこんなところかな」時計を見ると午後二時半。だいぶ集中できたと
思う。さすがに少し飽きてきたし・・・散歩にでも行こうかな。
「うーん、いい天気。誰もいないと結構雰囲気違うんだよね。・・・あれ?
今なにか・・・」
 耳を澄ますと・・・確かになにかが聞こえる。音のほうにいってみると
そこにいたのは・・・白い馬。
「あれ?たしか、この馬ってどこかで見たような・・・?」近づいて
みると・・・むこうから寄ってきて・・・。
「あはは、くすぐったいよ」ほお擦り(?)された。
「大丈夫かい?」
「天音さん?あ、そっか天音さんの馬だったっけ」
「君は・・・怪我は無い?」
「え?あ、はい。平気ですけど?」
「こいつは人見知りが激しいんだが・・・」
「そうなんですか?」今も私にくっついてるけど・・・。
「めずらしいね、初対面の相手にこんなになつくなんて」
「そういえば・・・天音さんは帰らないんですか?」
「天音さん?」
「あ、すみません。いきなりそんな呼び方して・・・」
「それならいいさ。ただ、初対面でそう呼ばれることがあまりなかった
ものでね・・・。いや、前に一度会ったね。図書館で」
「えっと・・・あ、そうでしたね」
「あの時も少し驚いたよ。君があまりに自然に接してくれたからね」
「実は・・・あの時はどんな人なのか、なにも知らなくて」
「そう・・・。とにかく、そのままでかまわないから」
「はい。あ、自己紹介してませんでしたね。私は・・・」
「知ってるよ、4月にミアトルに編入して来た・・・蒼井渚砂さん、だね」
「はあ、もう慣れましたけど・・・いちご舎では有名なんですよね、私って」
「らしいね」
「ところで・・・天音さんは帰省しないんですか?」
「ああ、こいつの世話があるからね」そういって白馬を撫でる。すごく
さまになってると思う。
「いつもここに来てるんですか?」見たことないけど・・・。
「いや、誰もいない時だけさ。目立つのは苦手なんだ」
「意外ですね・・・」
「みんなそう言うよ」
「じゃあ、邪魔したら悪いし私は行きますね・・・ってうわぁ」白馬に
上着をかまれた・・・「やめないか、スターブライト。すまないね、
よほど君を気に入ったみたいだ」
「あのー、良かったらお手伝いしましょうか?」
「いいのかい?」
「はい。実はヒマをもてあましてる最中なんです」
「そうか・・・。なら君の暇つぶしに協力しようか」

「よしよし、きれいになったね。スターブライト」
「ありがとう、助かったよ」
「いえ、私の方こそ楽しかったです」
「これから厩舎に連れて帰るけど、乗っていくかい?こいつも渚砂を
乗せたいようだ」
「ええっ!?駄目ですよ。私乗馬なんてしたことないし」
「それは大丈夫。鞍に乗って手綱を握っているだけでいい。君相手なら
こいつもおとなしくするだろう」
「じゃあ・・・」
523名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 20:29:01 ID:yAA9be0s
「うわあ、なんだか景色が変わって見えますね」
「それにしても・・・本当に驚いたよ。光莉の時もこいつはここまでは
なつかなかったのに・・・」
「光莉ってスピカの此花光莉ちゃんですよね」
「知ってるのかい?」
「ええ、よくお話しますよ。そうだ!今度お茶会に来ませんか?」
「お茶会?」
「はい、光莉ちゃん達と夜中にこっそりやってるんです。きっと光莉ちゃんも
喜びますよ」
「そうだね・・・光莉や君がいるなら楽しそうだが・・・やめておくよ」
「どうしてです?」
「ガラじゃないよ」
「そんなことは・・・」
「そんなことは?」
「あるかも・・・」
「だろう?」
「あ、あはは・・・」

夜もふけて、花火が終わったからベッドに入ったけど・・・。
「眠れない・・・」昼寝しすぎたわけでもないのに、なぜか目が
さえてしまった・・・。それに・・・。
「どうして玉青ちゃんのことばかり考えちゃうんだろう?」サマースクールで
会えない時も同じだったっけ。あの時は風邪のせいで気弱になってるって
思ってたけど・・・。違うんだね・・・。寂しいって思うよ・・・。
「あはは・・・。知らなかった、私ってこんなに寂しがりだったんだね・・・」
無理にでも寝ないと・・・あ、そうだ。
「玉青ちゃんのベッド、使わせてもらおっと」入るときは少しドキドキした
けど・・・。
「玉青ちゃんの匂いがする」なんでだろう?すごくほっとするのは?
「おやすみ、玉青ちゃん」

 なんだか不思議。私は玉青ちゃんのことを友達だと思ってる・・・
けど・・・玉青ちゃんのことを考えるとなんだかドキドキする。
他の友達にはそんな風に感じないのに・・・。この気持ち名前はなんて
いうんだろう?それとも・・・私の思い過ごしなのかな?
524名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 20:34:06 ID:yAA9be0s
今回は終始渚砂視点でした。天音とのシーンはゲーム版が混ざってますけど。
ちなみにゲームでは天渚EDが好きでした。天音が渚砂を呼び捨ててますけど
深い意味はありません。個人的に「渚砂君」は違和感がすごかったんで。
525名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 00:46:20 ID:ppxCGB8i
玉青と渚の距離がどんどん近くなってきてる。
これからの展開が楽しみです!
526名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 00:57:31 ID:HzQFO7uH
エロ様といちゃいちゃしてない渚砂なんて・・・
527名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 19:29:12 ID:0ufisAK2
だがそれが良い。

というかこのSSの場合、静馬は深雪と幸せになればいいと思う。
528名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 01:13:00 ID:u2Zi/0rc
このSSの先の展開…見切ったッ!!
529名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 03:06:44 ID:BpUfhBfX
静馬×深雪・・・!
なんと素晴らしい組み合わせだろう
530名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 23:30:13 ID:5CzNVR6f
保管庫全然駄目だ…
531名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 01:24:20 ID:2y1msQJ4
もう見られないのか?
532名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 08:40:36 ID:EGbe7Kw5
と、言うわけで(?)空気を読まずにShining wayの続きを投下します。
533名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 08:42:16 ID:EGbe7Kw5
12話 Shooting star 〜願いを込めて〜

「ふあ、さすがに4時起きはつらかったですね・・・」でも、ようやく帰ってきた。
渚砂ちゃんのいるいちご舎に。時刻は8時すぎ、まだ寝ているかもしれませんね。
用意した『お土産』気に入ってくれるでしょうか?そっとドアを開けると、
ベッドは・・・空っぽ?もうどこかに行ったんでしょうか?
「んー」今のは・・・渚砂ちゃんの声?あらためて部屋を見渡すと、
私のベッドが膨らんでいる?
「私のベッドにいたんですね。せっかくですし、寝顔を堪能させてくださいね」

「ん、朝?」目が覚めたみたいですね。
「おはよう、渚砂ちゃん」
「あ、おはよう。玉青ちゃん・・・あれ、家に帰ってたんじゃあ?」
「ええ、20分ほど前に帰ってきたところです。渚砂ちゃんの寝顔、可愛かったですよ」
「もう、起こしてくれてもいいのに・・・」
「ところで・・・なぜ私のベッドに?」
「それは・・・笑わないでね。なんだか落ち着くの、玉青ちゃんの匂いがする
みたいで」
「くっ・・・」慣れたと思ってすっかり油断してましたけど・・・久しぶりに
理性が飛びかけましたよ。
「ごめん、迷惑だった?」
「あ、いえ。そんなことはありませんよ。何度も一緒に寝たじゃないですか」

「ところで・・・明日からの三日間はなにか予定はありますか?」
「え、特に無いけど・・・」
「でしたら、うちの別荘に行きませんか?」
「別荘?別荘って・・・吹雪の雪山とか絶海の孤島にあるっていうあの別荘?」
「ええ、まあ。ある場所は高原ですし、事件も起きないと思いますけど」
「へー、実在するんだ?」
「はい、それで行ってみませんか?」
「でも、私が行ってもいいの?」
「ええ、寮のお友達と一緒に、ということで許可を取りましたから。それに・・・」
「それに?」
「貴女と・・・サマースクールに行きたかったんです。だから・・・」
「玉青ちゃん・・・。うん、私も・・・」
「決まりですね」
「うん。それで、どんなところなの?」
「ここからだと、電車で5時間ほどだそうです。最寄の駅から5Kmくらいと
聞きました」
「そっか、でも丁度良い電車あるかな?」
「それはまだ調べてません。でも、時刻表を用意してきましたから」
「うわ、準備いいね」

「これだと、明日の7時半にいちご舎を出ればよさそうだね」
「ええ、それで午後2時頃に最寄の駅に着きますね。駅前に商店街が
あるそうですから、そこで三日分の食材を買っていきましょう。
食器や調理器具はそろっているそうですから」
「そうだね。あ、でもお昼はどうする?なにか作っていく?」
「それなんですけど、お昼頃にこの駅で1時間位待ちますよね。ここって
大きな駅なんです。それで・・・一度立ち蕎麦というのを食べてみたいんですけど・・・」
「あ、いいね。じゃあお昼はそうしよっか」
「はい。後は荷物を準備しましょう」
「うん。明日が楽しみ。二人きりのサマースクールだね」

534名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 08:43:32 ID:EGbe7Kw5
 翌日
6:00 起床。(興奮してよく眠れなかったので少し辛かった)
7:30 出発。
12:20 昼食。(立ち蕎麦というのは意外に面白かった)
14:05 最寄の駅に到着。
14:40 買出し終了。
そして、現在16:25・・・
 迂闊でした・・・。5Kmと聞いていたので1時間ほど歩けば着くと思って
いたのですが・・・荷物を持っての山歩きだということを見落としていました。
30分前に休憩したばかりですけど・・・。それにさっきから右のかかとが痛い。
渚砂ちゃんは・・・まだ元気ですね。
「玉青ちゃん、少し休む?」ばれていたみたいですね・・・。
「ええ、そうさせてください」
 靴を脱いでみると・・・靴下に穴が。それに、血がにじんでいるような?
「玉青ちゃん?足、どうかしたの?」
「あ、大したことありませんよ」
「うん。でも、ちょっと見せて。・・・靴擦れだね、痛かったでしょ?そっか、
私のブーツはともかく、玉青ちゃんの靴って山登りにむいてないんだよね・・・」
「靴擦れ・・・ですか。初めて経験しました」
「今、手当てするから」
 そう言って渚砂ちゃんは靴下を脱がせると、さっき飲んでいた
スポーツドリンクを足にかけました。
「渚砂ちゃん、それは・・・」
「うん、洗わないと。水があればよかったんだけどね」あ、いえ。そうではなくて・・・。
 今度は荷物の中から取り出したタオルを巻き始めた。
「手際いいですね」
「まあね、慣れてるから・・・よし、とりあえずこれでいいかな」
「ありがとうございます」
「ううん、気にしないで。さてと、じゃあ背中に乗って」え?
「そ、それはどういう?」
「その足じゃ辛いでしょ?おぶってくよ」
「そんな。大丈夫、歩けますよ」
「だめ。化膿したりしたら大変だよ。それにむこうに着けば薬箱くらいあるよね?」
「ええ、たぶん」
「大丈夫。私体力には自信あるから、ね?」渚砂ちゃん・・・。私も
かなり辛いですけど・・・すみません。甘えさせてください。
「ごめんなさい、お願いしていいですか?」
「うん、まかせてよ。荷物は・・・後で取りに来ればいいね。もうすぐだろうし」
 渚砂ちゃんの背中・・・。

 それから・・・10分ほどで別荘に到着しました。
「すみません。渚砂ちゃんもお疲れでしょう?先に汗を流してください」
「それよりも玉青ちゃんの手当てが先。薬箱は・・・あ、あった」

「少ししみるよ」
 慣れた手つきで消毒し、包帯を巻く。本当に手際がいいですね・・・。
「これでよし。私、荷物とって来るね」
「あ、渚砂ちゃん」行ってしまいました・・・。
 ごめんなさい、たくさん迷惑をかけてしまって・・・。でも・・・眠い・・・
もう・・・限界・・・で・・・す・・・。
535名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 08:44:55 ID:EGbe7Kw5
「う・・・ん」寝てしまったんでしょうか?それに、ここは・・・ベッドの上?
確かソファにいたような気が・・・。それに、なんだかいい匂いがしますね。
渚砂ちゃんは・・・キッチンでしょうか?
 渚砂ちゃんはキッチンでなにか作っていました。
「あ、玉青ちゃん。目が覚めたんだね」
「ええ。私、眠っていたんですね?」
「うん。気持ち良さそうだったから。そのままベッドに運んだの」
「そうですか・・・。あ、私も手伝いますね」
「ううん。もうほとんど出来てるから。あ、先にシャワー使わせてもらったよ。
玉青ちゃんも汗流してきたら?」
「渚砂ちゃん・・・。ではお言葉に甘えますね」
「そうだ、その前にこれ」
「ビニール袋?」
「うん。これを足にかぶせておけば濡れないでしょ。まだ濡らさないほうがいいよ」
「あ、はい。ありがとうございます」

 汗を流してくると、もう夕食の用意がしてありました。メニューは・・・
カレーライスにサラダ。
「私ね、カレーライスには自信あるんだよ。さ、食べよっか?」
「ええ・・・」
「いただきます!」
「いただきます・・・」

 目の前のお皿からはとてもいい匂いかする。でも・・・。
「玉青ちゃん・・・。もしかして口に合わなかった?」
「そうじゃないんです。あの、ごめんなさい・・・」
「どしたの?いきなり」
「だって・・・私、貴女と思い出を作りたくて誘ったんです・・・なのに・・・」
迷惑をかけてばかりだったなんて・・・。
「玉青ちゃん、きっとこれもいい思い出になるよ」
「渚砂ちゃん・・・でも・・・」
「それに・・・怒らないでね?」
「なにをです?」
「ちょっとだけね、嬉しかったの。いつもは私が助けられてばかりだから、
私も玉青ちゃんの役に立てるんだ・・・ってね」
「そんな・・・私だって貴女に助けられてます」
「そう?それにさ・・・確かに今日はいろいろあったけど、まだ
始まったばかりでしょ?私達のサマースクールは」あ・・・。
「そう・・・ですよね。せっかくのサマースクールなのに落ち込んでるなんて・・・それこそもったいないですよね」
「そうそう」
「それではいただきますね。渚砂ちゃんの手料理が冷めないうちに」
「うん」

 夕食の後片付けが終わる頃にはすっかり日が暮れていました。
「渚砂ちゃん、聞いた話だとここは星がとても綺麗だそうなんです。
外にでてみませんか?」
「うん。あ、でもその前に・・・」
 そう言って渚砂ちゃんは私の足にタオルを巻き始めました・・・。
「これは・・・?」
「こうしておけば靴を履いても大丈夫だから。帰りもこれでいいと思う」
「そうなんですか・・・。ありがとう、渚砂ちゃん」こんどは、素直にお礼を
言えましたね。良かった・・・。
「どういたしまして。じゃ、行こう」
536名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 08:46:25 ID:EGbe7Kw5
「うわ・・・すごいね・・・」
「ええ、本当に綺麗」
 外に出てみると想像よりもずっと見事な星空が広がっていました。
「よいしょっと」
「渚砂ちゃん?」
「玉青ちゃんも横になったら?気持ちいいよ」
「そうですね、では・・・」本当に綺麗ですね。降ってくるような星空とは
こんなのを言うのでしょうか?
「あの日もこんな風に夜空を見上げたんだよね・・・」
「あの日?」
「うん、ミアトルに来る前の日。私ね・・・初めはすごく不安だったんだよ。
ミアトルってなんだか由緒ある学校だって聞いてたから・・・馴染めるのかな?
とか友達が出来なかったらどうしよう?とか、そんなこと考えながら空を見てたの」
「そう・・・だったんですか・・・」
「でも・・・そんなことなかった。いろんなことがあったけど、
すっごく楽しい一学期だった・・・そう思う」
「渚砂ちゃん・・・」
「でも、それは玉青ちゃんがいつも傍にいてくれたから。私ね、
ミアトルに来て・・・玉青ちゃんに会えて・・・ほんとに良かった」
 そう言って私を見つめる。その表情が輝いて見えたのは星の光に
照らされていたせいでしょうか?それとも・・・。不意にある衝動が湧き上がる。
ずっと胸に秘めていた想い・・・もし、今伝えたなら・・・伝えられたなら・・・。
「ねえ、渚砂ちゃん。貴女に・・・聞いて欲しいことがあるんです」私は体を起こす。
「何?」
「私・・・ずっと貴女が・・・貴女のことが・・・」伝えたい・・・。
「うん・・・」
「貴女のことが・・・貴女が・・・」この想いを・・・。
「貴女が・・・貴女が・・・」どうか・・・。
「ずっと・・・貴女が・・・来てくれるのを・・・待っていたんです」・・・言えなかった・・・。
「玉青ちゃん・・・。ありがと。私もね、もっと早く出会いたかったな」

537名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 08:48:12 ID:EGbe7Kw5
「はぁ・・・」
 結局、伝えたい言葉は言えなかった。知りませんでした・・・。
想いを伝えるというのがこんなにも勇気のいることだったなんて・・・。
『私・・・ミアトルに来なければよかった・・・。ミアトルに来なければ・・・
静馬様に会うことも・・・こんな気持ちになることも無かったのに・・・』
 不意に・・・過去の記憶が蘇る。
「あの時とは正反対の言葉。・・・ただ一度きりだったんですよね。
貴女と・・・唇を重ねたのは・・・」
 隣のベッドからは寝息が聞こえる。そっと近づく。よく眠っているみたいですね。
やっぱり、疲れていたんでしょうか?
「渚砂ちゃん・・・どうか・・・動かないで・・・」
「・・・玉青ちゃん」
「・・・っ」ばれた!?
「ん〜もうお腹いっぱいだよ〜」
「・・・・・・」寝言・・・ですか?なんとも渚砂ちゃんらしい内容ですけど・・・。
「確かに・・・こんなのはフェアじゃないですよね・・・」
 苦笑しつつ、なんとなく窓の外を見ると・・・。
「あ・・・」星が流れた。
星はもう消えてしまったけれど・・・願ってもいいでしょうか?

この想いを伝えたい。そして・・・描いてる明日に・・・
もっと・・・もっと・・・近づけますように・・・
538名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 08:50:09 ID:EGbe7Kw5
と、いうわけで今回は終わりです。それにしても・・・静馬様と六条さんってのは
全く考えて無かったけど、案外いいかも。
539名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 19:41:52 ID:gZWwxc+H
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +        
 と__)__) +
540名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 23:56:37 ID:6UuMbfDw
GJ!
玉青は告白できなかったか。
でも、二人きりのサマースクールはまだあと2日あるから、キスまでいくかな。ワクワク。
541名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 13:22:47 ID:psUbs3Wg
キスは渚から玉青ちゃんにしてほしい(*´Д`)ハァハァ
542名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 18:16:38 ID:Q7RdqUsw
>>538
遅ればせながらGJ!!
渚砂はジッチャンの名にかけ(ryあたりに毒されていたのかw

>玉青「ここからだと、電車で5時間ほどだそうです。」
自分ちの別荘なのに、こういうセリフが出るあたり
複雑な家庭環境が伺える・・・(つД`)
543名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 21:03:59 ID:DnI8i44f
Shining wayの13話を投下します。少し長くなりますけど。
今回は今までの集大成的な話になります。
544名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 21:06:25 ID:DnI8i44f
13話 ソラミアゲ

 それから・・・二人だけのサマースクールから帰った私達を迎えて
くれたのは・・・何故かいちご舎に帰っていた千代ちゃんでした。何か
用事があって早く帰ってきたそうですが。そのあとも三人で海に行ったり、
夏祭りに行ったりするうちに夏休みは過ぎて行きました。でも・・・何度も
決意したけれど・・・結局、想いを伝えることは出来ませんでした・・・。

二学期に入り、だんだんと秋が色濃くなってきたある日のこと。今日は
光莉さん達のお部屋で夜のお茶会です。
「ふーん、千代ちゃん達は学園祭でロミオとジュリエットをやるんだ?」ポリポリ。
「はい。まだ決まってはいませんけど、希望する人が多いですね」
「そっか。それで・・・皆はなんの役をするんだろうね?」パリパリ。
「私はジュリエットに立候補するつもりなんです」そう言ったのは蕾ちゃん。
「うぇ・・・」
「なんですか夜々先輩?その嫌そうな声は?」
「私はロミオやりたいんだけど・・・」
「ぐ・・・」
「そっちこそ、その心底嫌そうな顔はなんなの?」
「だって・・・せっかくのラブロマンスなのに・・・」
「同感。光莉がジュリエットなら素直にハッピーエンドを喜べるんだけど・・・」
「私は、主役はちょっと・・・」あら?今何か違和感があったような?
「まぁまぁ。そういえば・・・千代ちゃんは出ないの?」ポリポリ。
「はい・・・。今年はミアトルが裏方をする年だそうです。唯一の例外は
エトワール様ですけど」
「そうなんだ。でも、千代ちゃんのお芝居も見たかったかな」パリパリ。
「実は・・・私もジュリエットをやりたかったんです・・・」
「千代ちゃんならきっと可愛いジュリエットになると思うよ」ポリポリ。
「本当ですか!それで・・・できることなら・・・周りから祝福されて・・・
渚砂お姉様のロミオと結ばれたかったです」・・・もしかすると?
「あの・・・つかぬことを聞きますけど。ロミオとジュリエットが悲劇だって・・・ご存知ですよね?」
「「「「「ええっ!?」」」」」反応したのは・・・5人。やっぱり・・・。
「玉青ちゃん、それってほんと?」
「ええ。渚砂ちゃんはどこまで知っていますか?」
「えーっとね・・・『あなたはどうしてロミオなの?』ってアレだよね?」
「「「「うん」」」」
「まぁ・・・確かにそのシーンが有名ですね。あとは?」
「え?えっと・・・」
「確かに二人は結ばれるんですけど・・・ちょっとした誤解から最後は互いの
後を追うように自殺する、という結末なんです」
「そうなんだ・・・。じゃあ、玉青ちゃんが企画したっていう・・・えっと」
「カルメンですね」
「そう、そのお話は?」
「こちらもハッピーエンド・・・とは言えませんね。古典の名作には悲恋悲劇が
多いんです」
「そうなんだ・・・。あれ?」
「どうしました?」
「もう無くなっちゃったね。クッキー」
「ほとんど一人で食べちゃったのは誰です?」
「「「「・・・」」」」蕾ちゃん・・・誰もがあえて言わなかったことを・・・。
「で、でも、夜中にこれだけの量を食べられるのは渚砂お姉様くらいですよ」
千代ちゃん・・・あまりフォローになってない気が・・・。
「あ、あはは・・・。きっと千早ちゃんがいけないんだよ。お菓子作るの
上手だから・・・」まぁ、『食欲の秋』ですしね・・・。
「今日はこれくらいにしましょうか」
「そ、そうだね」
545名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 21:08:50 ID:DnI8i44f
「ねぇ、玉青ちゃん」
「なんです?」
「ほら、前にいろいろあったでしょ。でも・・・光莉ちゃんと夜々ちゃん、
すっかり仲直りできたみたい。良かったね」
「・・・そう・・・ですね」
 けれど・・・今ならわかる。夜々さんは光莉さんのことを・・・想っている。
きっと・・・私と夜々さんは・・・よく似ている・・・。

 結局のところ下級生が『ロミオとジュリエット』を、上級生が『カルメン』を
演じることになり、カルメンの脚本は私が任されました。前回の脚本では
いろいろと反省する点もあったわけで・・・できることならもう一度書いて
みたいと思っていたんですよね。執筆中・・・つい先ほど冬森会長の
妨害・・・もとい、売り込みがあったりもしましたが・・・。
「完成です」
「玉青ちゃん、一息ついたら?」
「あ、お茶を入れてくれたんですね。ありがとうございます」
「私にはこれくらいしかできないけど」
「いえ、嬉しいですよ。そうだ、ちょうど今完成したところなんです。
良かったら見てもらえますか?」
「あ、うん。いいの?」
「はい。感想も聞きたいですし」

「どうでした?」
「この脚本でお芝居するんだよね?すっごく楽しみだよ」
「気に入ってもらえたみたいですね。良かった」
「あ、そうだ。読んでて気になったんだけど」
「はい、なんでしょうか?」
「カルメンってエトワール様のイメージじゃない気がする」
「鋭いですね。では誰のイメージだと思いますか?」
「うーん」
「ではヒントを、消去法でいくと他の有力候補は?」
「天音さん・・・は違うね。千華留さん?」
「正解です。千華留様の演技、とてもお上手なんですよ」
「へー、そうなんだ」
「どこか気に入った場面とかはありましたか?」
「うん。ここの・・・カルメンとエスカミーリョが踊るところ、素敵だと
思うよ」そこは・・・エトワール選で踊った時のことをイメージして書いた
場面でしたっけ・・・。
コン、コン
「あ、誰だろ?どなたですか?」
「花園です」静馬様?
「花園さん・・・って誰だっけ?」渚砂ちゃん・・・。
「エトワール様の姓は『花園』ですよ」
「あ、そうだった・・・。どうぞ」
「こんばんは。夜遅くにごめんなさいね」
「いえ、そんなことはないですから」
「そう、ならいいのだけど。実はあなた達に頼みたいことがあるの」
「なんです?」
「配役が決まったら練習に付き合って欲しいの」
「私もですか?」
「ええ、渚砂ちゃんと玉青ちゃんの二人に。もちろん、無理にとは言わないわ」
「私はいいですけど。玉青ちゃんは?」
「ええ、お引き受けします」断る理由もありませんしね。
「そう、ありがとう。よろしくね、渚砂ちゃん、玉青ちゃん」
「「はい」」
546名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 21:10:46 ID:DnI8i44f
 配役は前と全く同じに決まり、私達は静馬様の練習に付き合うことになりました。
私がカルメン役、渚砂ちゃんがエスカミーリョ役で・・・。まぁ、確かに
エスカミーリョはホセとの決闘シーンがあるので渚砂ちゃんの方が向いてますし。
でも・・・役の上とはいえ、渚砂ちゃんと静馬様が私をめぐって決闘すると
いうのはなんとも・・・。最初は渚砂ちゃんの迷、ではなくて名演技に
二人で大笑いしたりもしましたけど・・・。そんな練習期間も終わり、明日は
いよいよ本番前のリハーサルです。
「今日まで付き合ってくれてありがとう。後は明日のリハーサルと
本番を残すだけね」
「私は楽しかったですよ」
「そう?ならいいのだけど。渚砂の演技も随分上達したわね。玉青も
そう思うでしょう?」そう言って私にウィンクする。静馬様?あ、もしかして。
「そうですね。みんな楽しみにしてますよ。渚砂ちゃんのエスカミーリョ」
「あ、ありがとう、本番もがんばるね・・・ってあれ・・・?もう、静馬様も
玉青ちゃんもからかわないでよ」
「ごめんなさいね。でも、できるならあなた達と演じたかったわ。それは本当よ」
「静馬様・・・。そうですね、私もお二人と演じてみたかったです」
 いつの間にか静馬様は私達を玉青、渚砂と呼ぶようになっていました。
そして私達も静馬様と・・・。

 翌日・・・
リハーサルは順調に・・・ほぼ順調に進んでいますね。まぁ、
約二名ほど気になる方がいますが・・・。
「玉青さん、少し来てもらえる?」
「六条様?」
 舞台袖に行って見ると、そこには静馬様と千華留様もいました。
「脚本のことで話があるの」
「どこか不都合でも・・・」
「いえ、内容ではないの。ただ・・・少し時間をオーバーしそうなの。それで、
どこか削るとしたら・・・」
 ズゥゥゥン。舞台から大きな音が?・・・もしかして!?
「渚砂ちゃん!」
 舞台に行ってみると・・・背景が倒れている?渚砂ちゃんは・・・倒れた
背景の横に倒れていました。隣に倒れているのは・・・天音様?
「渚砂ちゃん!お怪我はありませんか?」
「あ、うん。私は平気。天音さんが助けてくれたから。天音さん!?足が!」え?
 天音様の右足が背景の下敷きに!?
「なに、大したことはないよ」
「ごめんなさい・・・。私のせいで・・・」
「気にしないで。君に怪我が無くてなによりだよ」
「それに・・・背景も・・・私のせいだ・・・」渚砂ちゃん・・・。
「大丈夫よ、渚砂」
「静馬様?」
 その後、皆で修復作業を行い・・・なんとか明け方に終わりましたけど・・・。
前は千華留様が本番で足を痛めたんですよね。もしかして・・・あの二人が?

547名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 21:14:01 ID:DnI8i44f
 そして・・・ロミオとジュリエットも終わり、いよいよカルメンが始まりました。
2回目とはいえ、千華留様のカルメンは本当に素敵ですね。それに、静馬様の
ホセも。舞台は順調に進み、次はあのシーン。前に千華留様が怪我をしたシーン。
渚砂ちゃんが素敵だと言ってくれたシーン。開始直前にカルメンの靴を
調べたけれど特に異常はありませんでしたし。今回はきっと大丈夫。
『ああ、カルメン。私はお前が大好きだ』
『私も貴方が大好き』
『今日の祭りの試合でも私は勝つ!お前のためにな』
『あぁ、エスカミーリョ』そう言って千華留様がしなだれかかった瞬間、
靴のかかとが折れた?天音様の?そのまま二人は倒れてしまった。アドリブで
千華留様を抱き上げ、舞台袖に降ろすと同時に天音様も崩れ落ちてしまった。
そんな、どうして?
「二人とも大丈夫?」
「六条会長。すみません、足をくじいてしまったみたいで、立つのも辛いです。
天音さんは?」
「すまない。私も同じだ」
「天音さん・・・もしかして、私を助けた時に足を?ごめんなさい・・・
私のせいで・・・」渚砂ちゃん・・・。
「今はそんなことを言っている時ではないわ。なんとかしないと・・・」
「でも、カルメンとエスカミーリョの二人とも動けないんじゃあ・・・」
「深雪、私に考えがあるわ」
「静馬?」
「代役がいるわ」
「静馬様・・・?まさか!?」
「そう、玉青、あなたがカルメンを。そして、渚砂がエスカミーリョをやるの。
ずっと私の練習に付き合ってくれたあなた達なら・・・きっとやれるわ」
「私と・・・渚砂ちゃんが?」
「代役を・・・?」
「玉青ちゃん、できるのなら・・・お願い。私はこの足では舞台には立てない
けれど・・・成功してほしいの」
「千華留様・・・」
「渚砂、私からも頼む。ここまで皆でやってきたんだ、なんとしても
成功してほしい」
「天音さん・・・」
 渚砂ちゃんの顔を見ると・・・はっきりと目が語っていた『一緒にやろう』と。
「決まりだね」私も同じ目をしていたみたいですね。
「ええ、やりましょう」
「深雪、それでいいわね」
「静馬・・・。わかったわ。すべての責任はミアトル生徒会・・・いえ
私が取ります。冬森会長、それでよろしいですね?」
「・・・しかたありません」
「私がアドリブ・・・ホセの独白で時間を稼ぐ。渚砂は準備が出来次第舞台に、
そこから決闘に繋げるわ。深雪、音響と照明をお願い」
「わかったわ、30秒後に舞台に上がって。後はなんとかするから」
「それじゃあ、こっちも衣装合わせを始めましょう。まずは渚砂ちゃんの
エスカミーリョね」
548名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 21:15:52 ID:DnI8i44f
「よし、これでOKよ。急ごしらえだけど短時間なら大丈夫」
「はい!」
「渚砂、頼む」
「まかせてください!」
「渚砂ちゃん、私もすぐに行きますから」
「うん、待ってる」
「さ、次は玉青ちゃんのカルメンね」
「はい」

「できたわ。玉青ちゃん、後は・・・お願い」
「はい。お任せください」
 舞台では二人の決闘が終幕に近づいている。台本を頭で確認する。深呼吸。
では・・・行きます!

『やめて!お願い、決闘なんかやめて!エスカミーリョ、貴方はセビリアの英雄、
祭りの花形。さあ行って!』
(今度は私の番です)
(うん。頑張ってね)
『ホセとやら、憶えていろ』
 そう言ってエスカミーリョは走っていく。お二人が繋いだこの舞台・・・
絶対に・・・演じきってみせます。
『ああ、カルメン、私はお前が大好きだ!竜騎兵隊をやめ、泥棒になったのも
みんなお前のため!お前だってそのことを良く知っているではないか』衣装の
せいなのか、練習の時とは迫力がまるで違う。
『ふん、それがどうしたっていうのよ。私はいつだって自由な女よ。自分の
気持ちにうそはつけないわ!』私も・・・カルメンの気持ちを思い描いて
言葉をぶつける。
『なあカルメン。お願いだから遠くの街に行って一緒にやりなおそう』
『いやよ、いや!貴方に貰った指輪なんかこうしてやる』指輪を投げつける。
『ああっ!?』悲痛な声を上げるホセ。演技と分かっていても流石に・・・
堪えますね。
 そして、響き渡る歓声。
『あの人が勝ったんだわ!行かなくちゃ!』
『ま、待て!カルメン!』
『あっ!?』
『うああああああっ!』ホセの刃が私の脇をすり抜け、舞台が緋色に染まる。
『あ・・・ああっ・・・』崩れ落ちる私をホセが抱きかかえる。
『ああ、カルメン、カルメン・・・カルメン・・・カルメン・・・・・・・・・
カルメーン!!!』そして・・・ホセの叫びが響き渡った・・・。

549名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 21:16:54 ID:DnI8i44f
「お疲れ様、玉青」
「静馬様・・・」いつに間にか幕が閉じ周りには皆が集まっていました。
「やったね、玉青ちゃん!」
「渚砂ちゃん・・・私、上手く出来てましたか?」
「うん」
「私も渚砂ちゃんと同感よ。とてもよかったわ」千華留様・・・。
「渚砂、君も立派だったよ」
「天音さん・・・」
「大成功よ、二人ともお疲れ様」
「渚砂お姉様、玉青お姉様、お二人ともすごく素敵でした」六条様も
千代ちゃんも・・・皆私達を称えてくれる・・・。嬉しいけど・・・
少しくすぐったいですね。
「渚砂、玉青、二人とも良くやったわ。あなた達は胸を張って自分を
誇っていい。それだけのことをしたのよ」
「玉青ちゃん」そう言って渚砂ちゃんが上げた掌に・・・私も手を叩きつけた。

 炎を囲んでの後夜祭。渚砂ちゃんと一緒に舞台に立てるなんて
夢にも思いませんでした。また、素敵な思い出が出来ましたね。
「ねぇ、玉青ちゃん。ちょっと一緒に来て欲しいんだけど」
「渚砂ちゃん?どこにですか?」
「それは・・・まだナイショ」
「いいですよ。ではそこに連れて行ってください」
「うん」
550名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 21:18:22 ID:DnI8i44f
 やって来たのは・・・。
「舞台の片付けは明日ですよね?」誰もいない舞台でした。
「うん、それはわかってるんだけど。ほら、あのシーンだけ最後までできなかった
でしょ?だから・・・」そういえば・・・あのシーン、気に入ってくれてましたね。
「だから私達で演じるんですね?面白そうですね」
「まぁ、脚本を見ながらなんだけどね・・・」
「仕方ないですよ。ホセのいないシーンは練習してませんし」
「それじゃ、初めよっか」
「はい」

『ああ、カルメン。私はお前が大好きだ』
『私も貴方が大好き』
『今日の祭りの試合でも私は勝つ!お前のためにな』
『あぁ、エスカミーリョ』
 そして、間近で見つめ合う。
「玉青ちゃん・・・」え?
「ん・・・」その時なにが起きたのか?目の前にあった渚砂ちゃんの潤んだ瞳が
さらに近づいて・・・そして・・・唇に柔らかい感触が・・・。これは・・・?

「はぅ・・・」私・・・渚砂ちゃんに・・・。頭が理解したのは、二人の唇が
離れてからでした・・・。
「玉青ちゃん・・・」恥ずかしそうにそう言った渚砂ちゃんの表情が・・・。
「あ!?」瞬時に驚き、そして・・・。
「あ、あの・・・ごめんなさい・・・」哀しみと涙に染まる・・・。
どうして・・・?
 走り去っていく渚砂ちゃんを・・・私は・・・引き止められなかった・・・。
「渚砂ちゃん・・・」まだ唇が熱い・・・。渚砂ちゃんは・・・どうして・・・?
「え?これは・・・」いつの間にか頬が濡れていた・・・。涙?私は
哀しかったわけじゃない。ずっと・・・ずっと求めていたことだから。今、胸に
あるのは・・・。
「じゃあ・・・渚砂ちゃんは!?」私を傷つけたと思って?・・・追いかけないと!
「渚砂ちゃん!」
551名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 21:20:49 ID:DnI8i44f
「渚砂ちゃん・・・どこにいるんですか?」
 後夜祭会場、温室、そして・・・私達の部屋にも戻ってきた跡は無い。
不意に目に映ったのは・・・机の上で月明かりに照らされていた・・・赤いリボン。
「もしかしたら!」

「渚砂ちゃん・・・」ずっと押さえていた想いが・・・いつしか・・・
溢れ出していた。
「渚砂ちゃん・・・」もう・・・嫌です。なくしたものを追いかけまわして・・・
後悔して・・・泣くのは・・・。
「渚砂ちゃん・・・」たとえ友達としてでも傍にいられればいい?違う。
そう自分に言い聞かせて・・・無理をして・・・笑っていたけれども・・・
本当は辛かった・・・。貴女が私でない誰かを愛しているのが・・・
悲しかった・・・痛かった・・・苦しかった・・・。私だけを見てほしかった。
私だけを想ってほしかった。私だけを・・・愛して・・・ほしかった。
「渚砂ちゃん・・・」どこまで行けば・・・どこまでうまく・・・
いくかなんて・・・わかりません。それでも・・・この想いを・・・
貴女に・・・貴女に・・・。

 私達が出会った・・・あの場所で・・・渚砂ちゃんは・・・木に
縋るように・・・泣いていました。足音を忍ばせてそっと近づく。
「私・・・なんであんなことしちゃったんだろう?玉青ちゃんとは・・・
ずっと・・・ずっと・・・仲のいい友達でいられたのに・・・」渚砂ちゃん・・・。
「夢ならいいのに・・・夢だったら目が覚めたら・・・またおはようって
言ってくれる。ずっと友達でいられるのに・・・」夢だったら?ずっと友達で?
でも・・・私は・・・。
「私は・・・嫌です!」
「あっ!?」
「待って!渚砂ちゃん!逃げないで!」今度は・・・手を掴むことができた。
「貴女に・・・伝えたいことがあるんです。だから・・・どうか」
「やだぁ!聞きたくないよ!」
「渚砂ちゃん。お願いです」
「嫌だよ・・・聞きたくない・・・玉青ちゃんに嫌われたくないよ!お願い・・・
私のこと・・・嫌いにならないで・・・」
「渚砂ちゃん・・・」私の言葉は届かないんですか?それでも・・・
この想いを・・・どうか!
「渚砂ちゃん!」
 渚砂ちゃんを振り向かせて・・・唇を・・・重ねた・・・。
「ん・・・」そして、そのまま抱きしめた。

552名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 21:22:16 ID:DnI8i44f
「ふぁ・・・」
 今度は・・・逃げないでいてくれた。
「渚砂ちゃん。順番が逆になってしまいましたけど、貴女に伝えたいことが
あるんです」もう迷わない。
「さっき私は涙を流しました。でもそれは哀しかったからじゃない・・・
嬉しかったんです」この想いを伝えよう。
「私は・・・ずっと貴女のことが好きでした・・・貴女を・・・愛しているんです」
「玉青ちゃん・・・。ほんとに・・・私のこと許してくれるの?だって・・・
私・・・」
「私だって同じようなことをしましたよ?」
「私のこと・・・嫌いにならないでいてくれるの?」
「貴女を嫌いになるなんてできません。たとえ・・・貴女が望んだとしても」
「玉青ちゃん・・・」
「ねぇ、渚砂ちゃん。貴女の返事を聞かせてください」
「私は・・・この気持ちが玉青ちゃんと同じなのかわからない。でも・・・
玉青ちゃんへの『好き』は・・・静馬様や千代ちゃんへの『好き』とは違う。
私は・・・玉青ちゃんのこと考えるとなんだかドキドキする。玉青ちゃんといると
それだけで幸せな気持ちになれる。玉青ちゃんが傍にいないと・・・
すごく・・・辛いよ」
「渚砂ちゃん・・・。きっと・・・二人の気持ちは同じですよ」
「玉青ちゃん・・・。あ、あれ?」
「渚砂ちゃん?」
「あれ、おかしいな・・・私ね、すごく嬉しいの、嬉しいはずなのに・・・」
渚砂ちゃんの頬を流れる熱いものが・・・。
「ね?嬉しくても涙は流れるんです」
「うん。そうだね・・・そうだね・・・」
 渚砂ちゃんの体を抱きしめて、頭を撫でる。
「憶えてますか?前にこの場所でこうしてくれたこと。こうしていますから。
貴女が落ち着くまで・・・ずっと・・・ずっと・・・」

 空を見上げると月が滲んで見えた。でも・・・今の私には・・・それが・・・
とても綺麗だと・・・そう思えた。
553名無しさん@ピンキー
「・・・もう朝でしょうか?」すぐ隣には渚砂ちゃんが。あれから・・・
一緒に寝たんでしたね。そっと唇をなぞる。
「夢じゃ・・・なかったんですよね」昨夜、私達は・・・。
「ん・・・」
「渚砂ちゃん。おはよう」
「あ、おはよう、玉青ちゃん・・・。あのさ・・・昨夜のことって・・・
夢じゃないんだよね?」そう言って唇をなぞる。同じことを思って
いたんでしょうか?
「ええ、もちろんですよ」
「・・・・・・うわぁっ!」渚砂ちゃんは布団を被ってしまいました・・・。
「あの・・・渚砂ちゃん?」はっきりわかる。声が震えているのが・・・。
そんなことって・・・。
「あの・・・昨夜のことなんだけど・・・ね」
「は、はい・・・」震えが止まらない・・・。
「昨夜のこと思い出したら・・・恥ずかしくて・・・玉青ちゃんの顔、
見れないよ・・・」
「・・・・・・はい?」えーと、それは・・・つまり・・・拒絶された
わけではなくて・・・。ほっとすると同時に悪戯心が沸き起こる。
「渚砂ちゃん、こっちを見て。どうか、その恥じらいで真っ赤に染まった
可愛いお顔を見せてください」
「・・・やだ!」
「でも、そろそろ起きないと朝ごはんに間に合いませんよ?」
「うー。・・・玉青ちゃんの意地悪」

「おはよう。渚砂、玉青」
 食堂に向かう途中で静馬様に声をかけられました。
「「おはようございます」」
「昨日はお疲れ様。あなた達の評判も良かったみたいよ。・・・あら?」
「静馬様?」
「そう・・・。おめでとう、でいいのかしら?」もしかして?
「あ、ありがとうございます」
 そのまま静馬様は行ってしまった。
「二人ともどうしたの?」
「気付いていたみたいです。私達のこと」
「ええっ!?どうして・・・」
「さあそこまでは?・・・あっ」
 目線を下に向けると・・・気がつきませんでしたけど、いつの間にか
手を繋いでいたんですね。思わず離してしまいましたけど。
もっと繋いでいたかった・・・。
「ねえ、玉青ちゃん。もう一回、手、繋いでもいい?」
「は、はい、もちろんです!」