【女官】チャングムの誓いのエロパロ第二部【女医】

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「流され者が舞い戻るとは懲りぬ奴め。では容赦なく、再びエロを叩き込んでやろう
もとより♂×♂を戒めること先の例に従い、この禁を破るは許されぬ」


前スレ
【女官】チャングムの誓いのエロパロ【女医】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1131905463/
2名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 00:14:07 ID:2HLRZVd3
前スレ投下中に、書き込めなくなりました。
512kbを越えた様ですね。
3名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 00:24:17 ID:2HLRZVd3
>>1遅くなりましたが、乙です。
チャングム×チョンホ、逃亡編再度投下します。
4鴨緑江の向う側1:2006/08/04(金) 00:25:20 ID:2HLRZVd3
(私?……眠っていたの?……ここはどこ?……)

薄暗い岩屋の中で、チャングムは目を覚ました―――しかし、そこには誰の姿も無い。
唯一つ、蝋燭の灯火だけが岩屋の中を照らしている。
 
(夢を見ていたの?私……チョンホ様はどこへ?)

もうすぐ日が暮れるのに、一緒に逃げた筈のチョンホの姿は何処にも見当たらない。
探しに行こうか?――そう思ってみたが、疲れ切った体が言う事を聞いてくれない。
夕べ王宮を出た時から、水も食べ物も口にしていなかった事を思い出した。
チャングムは膝を抱え、ぼんやりと蝋燭の炎を眺めていた。
村で聞いた『中宗王崩御』の知らせ―――気がかりだった。

(王様……あれからどうなさったのだろう?安らかな御最後だったのかしら……)

「チャングムさん――目が覚めたのですか?」

いつの間にか、岩屋の入り口にミン・ジョンホは戻って来ていた。

「チョンホ様……どちらへ?」
「今の季節、山の中は寒い。薪を探しに行っていたのです」
「そうだったのですか……私を置いて行かれたのかと思いました……」

ぼんやりと目覚めたばかりのチャングムの言葉に、チョンホは戸惑った。
 
(捨てられたとでも、思っていたのか?……ほんの少し、側を離れただけのつもりだったのに……)
5鴨緑江の向う側2:2006/08/04(金) 00:26:19 ID:2HLRZVd3
「置いて行くだなんて……チャングムさん、どうしたのですか?あなたを置いて行く筈がないでしょう。
 顔色が悪い……送ってくれた内侍に聞きましたよ。夕べから何も食べていないそうですね」
「ええ……そんな気になれなくて……」
「内侍が、そっと教えてくれました。
 連れ出された船の上で、最初あなたは激しく抵抗したが、その後は黙ったまま食べも飲みもして下さらないと……
 内侍は弱り果てていましたよ」
「動揺していたのです……余りにも急で」
「王様の事が気になるのですね?」
「ええ……皆の事も、王様の事も……主治医として最後までお役目も果たせずに……苦しまずに逝かれたのだろうかと」

岩屋の中から、チャングムは遠くの空を見つめていた―――その空の先には中宗王がいた都がある。
そんなチャングムの姿を見たチョンホは、目を伏せて淋しそうに少しだけ笑った。

(愚か者だな、私は……この人が王の名を口にする度に、心がこうも落ち着かないとは……)

「何か食べませんか?体に毒ですよ」
「ええ……そうですね」
「私はその間に火を熾します。ゆっくり休んで下さい。疲れたでしょう?」

チャングムは、チョンホから渡された食べ物と水を僅かばかり口にした。
余り食欲は感じ無かったが、それを口にすると、少しばかり気が満ちるのを感じた。
火を熾すチョンホの横顔をチャングムは黙って見つめていた。
チョンホ様は、少し痩せた様だ―――慣れない暮らしの所為なのだろうか?そう、自分の為に、この人を犠牲にしてしまった。
それでも、自分への思い故に耐えていたのだろうか?

じっと見つめるチャングムの瞳に、チョンホは戸惑った。
「どうしたのです?私の顔に何かついていますか?」
「いいえ……チョンホ様……少しお痩せになった様だと……」
自分の身を案じるチャングムの言葉に、チョンホは微笑みながら答えた。
「体は至って元気ですよ。元気で過ごさなければ、医女チャングムに叱られてしまうから」
「まあ!フフフ……そんな事を仰るなんて、私は随分、口うるさい女だと思われているのでしょうか?」
「えっ!いいえ、そんなつもりでは……あなたに再び逢える事を信じない訳ではありませんでしたが、本当に再会出来るとは……。
 半ば諦めながらも、望みは捨てずにいました―――もう一度、あなたに逢えたらと………
 その時、私が元気でいなければ、きっとあなたを心配させてしまうだろうと……そう、思っていました」

「何もかも忘れた―――そう、仰ったのに……チョンホ様は、本当に私の事を忘れようとなさっているのだと思っていました。
 私とは、もう逢って下さらないのだと……私も同じです。それでもあなたを諦めきれなかった。
 王宮の何処にいても、あなたを探してしまう……書庫へ入っても、あなたの気配を感じてしまう……いるはずも無いのに
 ……あなたのいない王宮は淋しく、医女の仕事に打ち込む事だけが総てでした」

チョンホのいない王宮での生活――――
チャングムは、どれほど王の寵愛と信頼を得ても、決して心は満たされる事の無かった年月を思い出していた。
医女の仕事―――それが無ければ、自分は生ける屍と何も変わりは無かっただろう。医術だけが心の支えだった。
6鴨緑江の向う側3:2006/08/04(金) 00:27:12 ID:2HLRZVd3
「忘れました―――確かにそう言いましたね。あの時は、そう言うしかありませんでした。
 だが、忘れられない……忘れてしまえば、楽になれるのか……いや、苦しみは増すばかりでした。
 あなたのノリゲを見る度に、あなたはどうしているのだろうかと……そればかりを考え……
 時が経つにつれ、あなたを側室にせず主治医とした王様の心も信じられず……あれ程あなたを愛した王様が、今頃、あなたを
 後宮に入れてしまったのではないかと疑った事もありました。
 そして、中宗王の様な情け深い立派な方に想いを寄せられて、それに抗う女人がいるであろうかと……
 あなたの事さえ、疑ってしまったのです―――あなたが王様の事を口にする度に、いつの間にか嫉妬心に捉われている。
 私は、救い様の無い愚か者です……私の告げた一言で、あなたが苦しむ事になるとは……許して下さい。
 忘れる事も出来ないクセに、あなたを悲しみに沈めてしまった……」
「チョンホ様――あなたを苦しめたのは、私です。許しを請うのは私の方です」

嫉妬心―――そんな心の弱さを見せるミン・ジョンホの姿を初めて目にした……チャングムは、自分を責めずにいられなかった。

(思いやり深く、優しい方……そう思い、いつまでも甘えていたのは私の方ではなかろうか?)

燃え盛る炎を挟んで、二人は俯いたまま、言葉を失っていた。
離れていた時の流れは、余りにも永く二人を引き裂いた。
失われた空白を埋めるには、今少し、時を待たねばならないのだろうか――チョンホは、そう思っていた。

「覚えていますか?前にもこうして過ごした事がありましたね」
「済州島で?同じ岩屋の中でしたね……よく、覚えています。チョンホ様は、私を助けて下さった」
「いいえ、助けられたのは私の方です。あなたがいなければ、今頃こうしてはいなかったかもしれない。
 山を下りる時、私は、二度とあなたの手を離すまいと誓っていました。しかし、里が近づくとあなたは手を離してしまった。
 私の立場を思ってくれる気持ちは嬉しくもあり、そして、あなたを守りきれない自分に悲しくもありました。
 それでも、心の中で私達の手は繋がれていると……そう信じていました」
「チョンホ様……」
「梨浦の渡しで、再びあなたの手を取る事が出来た――あの時は嬉しかった。済州島でのあの日が蘇る様でした。
 しかし、あなたは私の手を離れ、私達は宮中に戻る以外に道は無くなってしまった。
 そして、今度はあなたが三水に向う私の手を取ろうとしてくれた。なのに、離すまいと誓った手を三度目に離してしまったのは
 私だったのです……」
「あの時はそうするしかなかった……それが、あなたの思いやりだったと解っています」
「チャングムさん、私はもう離しません。あなたの手を離す事は決してありません」
「チョンホ様……私もです。あなたの手を離す事は致しません……決して……」
7鴨緑江の向う側4:2006/08/04(金) 00:27:59 ID:2HLRZVd3
「チャングムさん。一緒に明国へ行っていただけますね?」
「チョンホ様……」
「明国は、この山の下を流れる鴨緑江(アムノクカン)の向こう側にあります」
「チョンホ様、どうしても明国へ行かなければならないのでしょうか?」
「何故です?行くのは嫌なのですか?」
「王様のご命令でも……この国を……朝鮮を捨ててしまわなければならないのでしょうか?皆のいるこの国を……」
「確かに、王様の最後のご命令は、あなたと明国へ逃げる事です。
 ですが、王命であっても、王命で無くても、あなたを明にお連れしたい。
 明国は、この朝鮮より何倍も広い国です。多くの民族が入り混じり、渡来人も多い。
 医術も進んでいる国です。医女を志すあなたには、またと無い修行の場となる事でしょう。
 それにこの国に残るには、今はまだ危険すぎます。ほとぼりがさめるまで身を隠した方が安全でしょう。
 王様もそう思って、この命令を下されたのでしょう。明へ行く事は、必ずあなたの役に立つと――」
「チョンホ様、解りました。一緒に明国へ参ります」
「そして、また一緒に戻って来ましょう……ここは、私達の生まれた国なのですから」

そこまで話した時、ミン・ジョンホは中宗王の事を想った。
 
(自分で話してみて、今漸く王様の心が理解出来る―――王様が、どれだけこの人を大事に思っていたのか……
 最後の時、どれだけこの人にいて欲しいと思っておられたか……それでも、御一人で逝かれてしまった。
 憎い相手であろう私に、この人を託して下さったのだ……)

愚かな嫉妬心を忘れ、チャングムを無事に明国へ連れて行こう―――チョンホは、そう決心した。

「夜が明けたら、明に向かいましょう。手配書が回っているので渡し場は避けた方がいい。
 渡し守を雇って鴨緑江を渡れば、誰にも気づかれる事は無い」
「思ったよりも近いのですね。それでも、歩いて渡るには遠いのですか?」

チャングムの質問に、チョンホは微笑みながら答えた。
「歩いて渡りたければ、あなたの父上が母上になさった様に、向こう岸まで『飛び石』でも置きましょうか?」
「飛び石?――チョンホ様が出来ると仰るのなら、反対は致しません」
「えっ!私が言い出した事ですが、それは少々辛いですね……」
「まぁ!辛いのなら、初めからそう仰って下さい。それでは、別の方法をお願い致します」
『別の方法』――そう言われて、チョンホは、チャングムが本当に歩いて川を渡るつもりなのかと思った。

(船を使わずに、行きたいのか?……この人なら、なんでも遣り遂げてしまいそうだ)
8鴨緑江の向う側5:2006/08/04(金) 00:28:45 ID:2HLRZVd3
「チャングムさん……どんな方法を望んでいるのです?」

チャングムは、少し俯いて微笑んだ。そして、俯いたまま、チョンホの問いに答えた。
「あの時の様に……あの雪の中の様に……手を貸していただけませんか?」
「雪の中?一緒に逃げたあの時の事ですか?」
チャングムは立ち上がり、目を伏せたまま、チョンホの後ろ側に来た。
「あの時の様に、私に背中を貸して下さいますか?」
そう言うと、チョンホの背中にそっと凭れた―――
「あっ――!チャングムさん……」
「こんな事をして、迷惑ですか?チョンホ様」
「いいえ……迷惑などと……ただ……」
「ただ?ただ、何でしょう?」
「ただ……少し、重い……」
「まあっ!耐えられない位に重いですか?私……」

『重いですか?』―――そう心配しながら尋ねるチャングムに、チョンホは笑った。
「ウソですよ……重い筈は無い……あなたを背負っていても、雪の中でも、ちゃんと歩いて行けたでしょう?」
「冗談だったのですか?酷い方です……私は、本当に重いのかと」
「あなたが望むなら、背負ってだって鴨緑江を渡りますよ」
「いいえ……やはり、背負っていただかなくても結構です。今の季節、川の水はとても冷たいですから……
 こうして、暫くお背中を貸していて下さい。それ以上の望みはありません」

チョンホと別れてから、チャングムは時々夢を見た―――
雪の中、チョンホが自分を背負い、楽しそうに笑いながら歩いて行く……何処までも続く真っ白い雪の中を
そして目が覚め、チョンホの姿は無いのだと……もう、自分の側にはいないのだと……そう気づくと、決まって涙を零した。
だが、それはもう覚めれば消える夢では無い……チョンホの背中は、ここにある。

チョンホは、自分の背中に広がるチャングムの柔らかい感触に少し戸惑っていた―――
その感触は、あの日雪の中で感じたものと同じだった。
それは、もう蘇る事は無い……一度は忘れようとした感触だった。
無理にでも忘れ様としたそれは、自分の背中いっぱいに広がっている。

チョンホは、首に回されたチャングムの手をゆっくりと解くと、チャングムの体を自分の方へ引き寄せた。
向き合った二人は、暫くお互いを見つめ合い……そして、二人の唇は自然に重なった。
永い口づけが終わり、二人の唇が離れた時に、チョンホはチャングムに訊いた。

「あなたは背中を貸すだけで良いと……それ以上の望みは無いと言う……では、私がそれ以上を望んでも構いませんか?」
「チョンホ様。私は、もう主治医のチャングムではありません。あなただけのものです」

離れて暮らした空白の時間を埋める様に、二人の唇は、再び重なった―――
9鴨緑江の向う側6:2006/08/04(金) 00:29:46 ID:2HLRZVd3
炎が岩肌を明るく照らし、二つの影が重なった―――
冷たい岩の褥の上にあっても、二人の体は燃え盛る炎よりも熱くお互いを求め合った。
二人は追われる身である事も忘れ、口づけを交わす度に、初めて逢った日から今日までの年月に想いを馳せた。
お互いの気持ちを自覚しながら、幾度もすれ違い、引き裂かれ、叶わぬ想いと諦めた事もあった。
漸く再会した二人は、もうお互いに離れて生きる事など考えられなかった。

チャングムは目を閉じ、チョンホの愛撫に身を任せた。
体の隅々に伝わる柔らかい感触に、チャングムは小さく喘いだ。
初めて感じる甘い感覚に、チャングムの脳裏は、あの雪の日の様に真っ白になっていった。
チョンホの指先は、チャングムの滑らかな肌の上を滑る様に辿り、幾度も夢に思い描いたものを確かめた。

「あっ……」

鈍い痛みを感じた時、チャングムは、チョンホの総てを受け入れた。
岩肌に映る二つの影は、赤く燃え盛る炎と共に大きく揺らいでいた。
自分の意識が何処か遠くへ行こうとしている……体の奥底に、何か熱い物を感じた……
そのまま、チャングムは意識を失ってしまった―――
10鴨緑江の向う側7:2006/08/04(金) 00:30:36 ID:2HLRZVd3
岩屋の外から吹く冷たい風が、頬を撫でた―――
頬を撫でる風の冷たさに、チャングムは目を覚ました。
頬は冷たくても、体は温もりに包まれている。

「目が覚めましたか?」

チョンホの腕の中で目覚めたチャングムは、まだ夢の中にいた。

「眠ってしまったのですね……私……」
「寒くは無いですか?外の風は冷たい様だ」
「いいえ……少しも……」

チャングムはチョンホの胸に手を当てると、これが夢では無い事を確かめる為に、そっとチョンホの胸元を撫でてみた。

「チョンホ様……やはり、少しお痩せになったみたい……」
「そうですか?あなたが言うのなら、そうなのかな」
「明へ行ったら、何か美味しい物を作りましょうね。何がお好きですか?
 ハン尚宮様が教えてくださったチャプチェは、とても美味しいのです。
 串焼きを美味しく焼く方法も、ミン尚宮様が教えて下さいました。それから、チャンイが好きだった……」

水刺間での女官達の事を夢中で話すチャングムを見て、チョンホは思った。
(可哀想に……戻りたくて、堪らないのだろう……どれ程、皆に逢いたい事か……)
チョンホは、チャングムを抱きしめると言った。
「水刺間の女官であったあなたに料理を作ってもらえるなんて、とても嬉しい事です。
 それでも、私にはあなたがいれば、それで充分幸せなのですよ」
「チョンホ様……」
「うーーん……でも、美味しい物でも食べて、少し太った方が良いのでしょうか?
 痩せて頼りない男になると、あなたから見捨てられてしまうのかな?」
「フフフ……また、そんな意地悪を仰るのですね。決して、私から見捨てる事などありません。
 チョンホ様も、ずっと私の側にいると、もう一度約束して下さい」
「約束します………十年先も二十年先も百年先も、ずっとあなたの側にいますよ」

二人は、再び唇を重ね、硬く抱き合った。
そのまま、お互いの温もりに包まれ、深い眠りに落ちていく………
岩屋の外の冷たさを、二人は朝まで感じる事は無かった。
11鴨緑江の向う側8:2006/08/04(金) 00:31:18 ID:2HLRZVd3
夜明けと共に、鴨緑江の流れに沿って、二人は渡し守が待つ場所へと向った。
岸辺を足早に歩いて行くと、ふいにチャングムは立ち止まり、川の流れを見つめた。
川原にしゃがむと、片手をそっと鴨緑江の緩やかな流れに浸した。
川の水は身を切る様に冷たい……冬は、もうそこまでやって来ている。

「水がとても冷たい……」
「ここは、済州島の様に暖かくはありませんよ。真冬になれば、耐え難い程に寒くなります」
「見て下さい。手がこんなに赤くなって……」

チャングムは、赤くなった右手をチョンホに見せた。
チョンホは微笑みながら、チャングムの右手を握った。

「寒ければ、いつでも私が暖かくしてあげますよ」

その言葉を聞いたチャングムは、夕べの事を思い出し、少し赤くなって俯いた。
二人はそのまま手を繋ぎ、渡しに向って歩いて行った―――


小船が岸を離れ、鴨緑江の向こう側を目指して漕ぎ出した時、チャングムは振り返って三水の岸辺を見つめた。
暫く三水の岸辺を眺めていたが、やがて視線を真直ぐに戻し、明国側の向こう岸を見つめた。

(ここを離れる事はとても辛い……でも、チョンホ様と一緒なら、どこへ行こうとも……)

もう、誰の目を気にする事も無い。そして、決して離れる事も無い。
二人の新しい暮らしは、鴨緑江の向こう側に続いている。
12名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 00:41:16 ID:2HLRZVd3
即死回避の為、再度書き込みします。
逃亡生活でとリクを頂きましたが、逃亡生活入り口編になりました。
皇后様〜ハルラ山〜鴨緑江と連投させて頂きましたので、
再度修行して、次回はチャングム×チョンホ以外のキャラでと思っています。
感想をいただき、ありがとうございました。
13名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 02:58:04 ID:W07fG8sw
とても上品な作風ですね。
別キャラ仕立ても期待しています。
14名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 11:30:16 ID:D76ASXFR
チョングムがんば☆
15クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/05(土) 14:58:34 ID:WzXCvDIs
☆内容:ノーマル
☆エロ:なし(エロパロ板にもかかわらず、すみません)
 プラトニックラブ(クミョンはチョンホ一筋ですから……)
☆3分割投稿

扱っているのは3話〜18話。本編にほぼ忠実ですが、5話と6話の間の話をメインに書いていますので、一部異なる所もあります。 
本編と同じく、チャングムが10歳の時はクミョンは年上、それ以外は同年齢としています。

あと、本編には出てきませんが、チョンホはバツイチという設定にしています。

[作者まえがき]
クミョンがチャングムを憎悪するようになったのは、才能への嫉妬+恋の嫉妬…というのが一般的な見方です。
しかし今回私は、もっと複雑な心理があったのではないか?と、過大妄想をしてクミョンの心理を書いてみました。
面白くないかもしれませんが、このSSがきっかけとなって、このカプの妄想をする人や、二次小説を書く人が増えてくれればいいなと思います。
なお、執筆にあたり、様々なブログ、掲示板の意見を参考にさせて頂きました。ありがとうございました。
16クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/05(土) 15:06:51 ID:WzXCvDIs

[1]

 クミョンは見てしまった。
 あの方とチャングムが話をしている。
 宮中は今、疾病騒ぎで、チョン最高尚宮が突然宮中退出となったり、チェ尚宮が臨時の最高尚宮になったりと落ち着きがない。
 きっとナウリは、そのことを気遣っているんだわ。 数分後。クミョンはチョンホに出会った。
 チョンホはクミョンの顔を見るなりこう言った。
 「もしや……。叔父上は朝鮮人参を大量に取引なさっておいでですか?」
 「宮中では疾病が流行っています。私のことは気遣って下さらないのですか?」
 「それは失礼しました。大丈夫ですか?」
 もう話したくない。クミョンは一礼すると足早に立ち去った。

 その日の夜、クミョンは一人で宮中の一角に建っている、あずまやに座って、物思いにふけっていた。空には満月が出ている。 

 今日のナウリ……あの子への態度と私への態度が全然違っていた。思いだしたくもない。
 でも、チャングムはハン尚宮様と一緒に、太平館に派遣されている。良かった。当分、あの偽善的な笑顔を見ずに済む。いっそのこと問題に巻き込まれてくれたらいい。そうすれば二度と水刺間に戻って来ない。もう二度と戻って来ないで。
 だって、あなたは私の一番大切なものを奪ったんだから。
 あの方は私にとって大切な存在。誰かに話すことも、見ることさえも惜しんでいるくらい大切なもの。
 そして、チャングム……。あなたは……あなたは私にとっていったい何なの? 

 昔……まだ私たちが見習いだった頃。今日みたいな月が照らす夜。あなたは、ちょうどこのあずまやで松の実刺しを練習していた。一生懸命なあなたがいじらしくなって、要領を教えてあげたわ。
 私は、他の子たちに、目にもの見せてやりたかったから競技会の時にあんなことになったけど……。あなたは仲間外れになってしまったわね。
 でも私はいつも一人だった。だから私はあなたに、もっと近づきたかったの。でも、あなたは「おかしいです。間違ってます」って言ったわね。私に面と向かってはっきりものを言ったのは、あなたが初めてだった。

 あなたと初めて出会ったのは、私があの方に別れを告げた夜だった。
 宣政殿(ソンジョンデン)の殿閣で、私はひそかに礼をしていた。あなたはヨンセンと一緒に突然現れた。
 私が事情を説明したら、ヨンセンは「お姉さん、どうかしてるわよ」って言ったから少し腹が立った。だけどあなたは、憧れのような眼差しを私に向けて、「私たちが見張ってますから」って言ってくれたわね。 
 チャングム、あなたなら……あの日のことを今も秘密にしてくれてるわよね? 

 ……どうして?
 どうして、こんなにあなたのことを思い出すの?憎くて憎くて仕方ないはずなのに……。

 クミョンの心に、次から次へと、今日までの記憶がよみがえってきた……。

 思いは、まだ幼かった日々へとクミョンをいざなった。
17クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/05(土) 15:17:22 ID:WzXCvDIs

[2]

 チョン尚宮が最高尚宮に就任した時……。その祝賀会が催された。
 調味料に何を使っているか当ててみるように言われた時。チャングムの「熟した柿です」の一言で、クミョンの誇りは傷つけられた。クミョンは、恥ずかしさと悔しさで涙を流した。
 しかし、この一件で、クミョンとチャングムの関係が悪化することはなかった。
 何故なら、クミョンはチャングムに対抗心を持っていたが、チャングムはクミョンに全く対抗心を持っていなかったからである。
 チャングムにとってクミョンは、一目置ける人、憧れの人であった。真夜中に危険をかえりみず、ひそかに礼をして、好きな人に別れを告げたあの時のクミョンは、チャングムには大人びて、そして美しく見えたのである。
 日が経つにつれて、クミョンの心のわだかまりは取れ、再び彼女は、チャングムに関心を寄せるようになった。

 クミョンは、柿の一件以来、対抗心を燃やし始めた叔母チェ尚宮の指導のもと、料理の修業に励んだ。
 一日の仕事が終わると、ほとんど毎日、水刺間で様々な訓練をした。全ての調味料、薬味、塩辛の味を舌に覚えさせた。また、目を閉じて、その分量を正確に、指先の感覚だけで量るようにした。

 チャングムも、ハン尚宮の指導のもとで修業に励んでいたので、二人同時に水刺間(スラッカン)に居合わせることが、しばしばあった。
 チャングムは、とても変わったことをしていた。
 クミョンは少し気になったので、チャングムに何をしているのか聞いてみた。 チャングムは答えた。
 「『裏山へ行って、百日間毎日違う種類の山菜を採ってくるように』とハン尚宮様がおっしゃったので、そのようにしているのです」
 クミョンは不思議に思った。何故、ハン尚宮様はチャングムに、普通に料理の練習をさせないのだろう……。変わっているわ。
 でも、興味もわいた。その日から、クミョンはチャングムの行動や言葉に注目するようになった。

 チャングムとヨンセンはとても仲が良いようだ。クミョンは、話に加わりはしないが、いつも二人の会話に、こっそり聞き耳を立てていた。
 ある時は、こんな会話を耳にした。
 「最近、ハン尚宮様はどうなの?」
 「うーん。優しいんだか、怖いんだか、よく分からないわ。あまり話かけて下さらないし、あまり目を合わせて下さらないし」
 「そう……。チョン尚宮様は、おんぶや抱っこもして下さるのに……」
 二人の会話を聞いてクミョンは思った。
 ―――ヨンセン、あなた甘ったれてるわ。だいたい何歳になったのよ。チャングムは……私の叔母様は、気難しい方だけど、ハン尚宮様も同じくらい気難しい方よね……よくやっているわ……―――
 クミョンは、チャングムに親近感を覚えた。
18クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/05(土) 15:30:00 ID:WzXCvDIs

[3]

 また、こんなこともあった。
 チェ一族の料理の訓練は、基礎に忠実で伝統に沿ったものであった。繰り返していく毎日に、クミョンは少し飽き飽きしていた。気が滅入ってきていた。
 そんなある日、裏山へ出かけようとするチャングムを見た。叔母のチェ尚宮は、今は近くにいない。
 衝動に突き動かされたかのようにクミョンはチャングムの後を追った。
 「待って!チャングム!」
 驚いて振り返り、立ち止まるチャングム。
 「何ですか?お姉さん」 
 「私も、一緒に行ってもいい?」
 さらに驚くチャングム。 
 「駄目ですよ!そんなことしたら、チェ尚宮様に叱られます」
 「叱られるのは私だからいいじゃない。それに、あなたが怒られないように、叔母様に言うから」
 チャングムは困った顔をした。
 「でも……」
 「いいのいいの。ほら!行きましょ」
 クミョンは、半ば無理矢理、チャングムの背を押して歩き始めた。仕方なくチャングムは、クミョンを連れて山に入った。
 今日は、山の奥の方へ入るらしい。
 クミョンは、山に登ったことは今までに何回かあるのだが、いつも大人と一緒だった。子供だけで登ったのはこれが初めてだった。 時は新緑の季節。山は青々としていて、草木の薫りに満ちていた。自分たちが、山に飲み込まれてしまうかのように思えて少し怖かった。
 道なき道を登っていく。クミョンは少し疲れてしまい、立ち止まった。チャングムは、全く平気みたいだった。
 「お姉さん……。大丈夫ですか?」
 心配そうにチャングムは言った。
 「はぁ……。チャングム……あなたって……何でそんなに元気なの?」
 「……私は、宮中に上がる前は、よく山で遊んでいましたから……。それより、無理しない方がいいですよ。ここで引き返した方が……」
 「い、いいえ!」
 ―――それは私の自尊心が許さないの―――

 そうして二人は、どんどん山の奥に分け入って行った。
 チャングムが突然立ち止まった。
 「ここからは、はぐれないようにして下さいね」
 そこは、すごい薮(やぶ)だった。
 「ええ?」
 クミョンはためらった。いかにも何かが出そうな雰囲気だったからだ。
 クミョンが立ち尽くしていると、チャングムは手を差し出した。クミョンはさらにためらった。今までに手を繋いだことがあるのは、両親と、大叔母と、叔母くらい。同年代の子供とは、手を繋いだことは全くなかった。
 クミョンが、その手をとろうかどうしようか迷っていると、
 「お姉さん、どうしたのですか?さあ……」
 さらに手を突き出してきた。
 クミョンはチャングムの手をとった。
 チャングムはクミョンの手を引いて、薮の中を進んでいく。行く先は、クモの巣が張っていたり、つるがふさいだりもしていたが、チャングムはナタのようなもので、それらをバシバシと分断して、道を作っていった。
 クミョンはそんなチャングムを、頼もしいと思った。
 二人でたくさん山菜を採って、宮中に戻ったころには、日は沈みかけていた。 水刺間に戻ると、チェ尚宮が怖い顔で仁王立ちで待っていた。隣には、ハン尚宮が心配そうな顔で立っていた。
 チェ尚宮はクミョンの姿を見ると、鋭い目でにらみつけ、声を張り上げた。
 「クミョン!!!」
  ―――叔母様に怒られる!―――
 クミョンは肩をすくめた。
 「黙って出て行くとは!私がどんなにお前を捜したか、分かっているのか!」 
 「お、お許し下さい尚宮様!どんな罰でも受けますから!でも、チャングムは悪くないんです。私が無理矢理ついて行ったのです。だからチャングムのことは、おとがめなさらないで下さい!」
 クミョンは今にも泣き出しそうな顔だった。チェ尚宮は、クミョンとチャングムを交互ににらみつけたが 
 「……分かったのならもう良い!これからは、出ていく時にはきちんと断ってから出ていくように!」
 そう言うと、立ち去った。ハン尚宮の方は、ホッとしたような顔になった。
 「え……?もう終わりなの?」
 クミョンは意外だった。いつもは厳しい叔母様が……?何故?
 「お姉さん、良かったですね」
 「ええ……。でも、何でだろう?」
 クミョンは、その場に残っているハン尚宮の顔を見た。ハン尚宮は穏やかな笑みを返してきた。

 ―――叔母様とハン尚宮様は、いったい何を話していたのかしら?―――
 それは、ずっと分からずじまいだった。
 しかし、その日の出来事は、クミョンにとって忘れられない思い出となった。
19クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/05(土) 15:40:45 ID:WzXCvDIs

[4]

 それから季節は巡り……クミョンとチャングムは16歳になった。
 二人とも、美しい少女に成長していた。
 相変わらず二人は、切磋琢磨しながら料理の修業に励んでいた。
 また、クミョンのチャングム観察も続いていた。クミョンは、チャングムの一挙手一投足、言動一つ一つに注目していた。
 クミョンは、早くも王の御膳を任されていたので(それは見習い生として異例のことだった)、同年代の者たちと接する機会は少なくなっていた。また、そのことで、他の女官たちの羨望(せんぼう)や嫉妬の的になり、孤立を深めていった。
 彼女は、他の人間と親しくなろうとはしなかった。親しくなったところで、どうせ誰も自分のことを友達とは思ってくれていないだろうし……とあきらめていたからだった。近づいてくるのは、ヨンノみたいな、チェ一族の権力と財力のおこぼれに預かろうとする者ばかりだった。
 それに、何を考えているのか分からない雰囲気が、ますます他の者を遠ざけた。様々な要因が絡んで、彼女はますます孤立を深めていった。

 ところで、あの方、つまりミン・ジョンホは、クミョンがひそかに別れを告げてから、ほどなくして結婚したのであるが……。最近、妻と死別した、ということをクミョンは聞いた。
 クミョンは心を痛めたが、同時に、再びあの方が自分の所に帰ってきたように思えた。忘れかけていた想いが、再び募り始めるのだった。
 チョンホとは、実家に帰った時にたまたま会って、二、三の言葉を交わしたり、宮中で偶然会って少し話をするだけだった。ただそれだけだった。
 それだけであったが、それだけでも胸が高鳴った。 
 ―――でも、私は王の女。私は中人(チュンイン)で、あの方は両班(ヤンバン)。この気持ちを誰にも打ち明けることはできず、誰にも知られるわけにはいかず……―――

 自分の内に秘めておくしかなかった。ミン・ジョンホと深い絆を結ぶことなど、到底叶わぬ望みだったのだ。

 ある日、クミョンは、料理人カン・ドックが宮中に来ているのを見た。
 この男は、仕事をしにきたついでに、装飾品などを女官たちに売りつけて帰って行くのだが、クミョンは、そんなインチキくさいものを買う気はさらさらない。叔母から高級な物をいくらでも、もらえるのだから。
 しかし今日は。カン・ドックとハン尚宮の会話が耳に入ってきた。
 「先ほどの本はなんですか?」
 「ああ、明国のつまらない料理の本です。ハン尚宮様にお見せするほどのものではありません。ハハハ……」
 カン・ドックは、急いで荷車を引いてその場を立ち去った。
 クミョンの目は輝いた。 
 ―――明国の料理の本?だったら見てみたいわ―――
 クミョンは、トックの後を追った。
 「あの……」
 トックは立ち止まった。 
 「何ですか?」
 「先ほどおっしゃっていた本、見せて頂けますか?」
 トックは、ニタッと笑うと、荷車の下の方の引き出しから本を出してきてクミョンに渡した。
 クミョンは、本をパラパラとめくると、顔を赤らめて、あわてて本を閉じた。そこには……裸の男女が絡み合う絵が、延々と描かれているではないか!
 「……あ、あの…これは?」
 動揺しているクミョンを見て、トックは察した。
 「もしかして……春画をごらんになるのは初めてで?」
 「話には聞いていましたが……見たことがなかったもので……」
 「ほほう。今からでも遅くありませんよ。しっかり勉強して下さい。いつ殿下のお召しがあっても良いように。男と女の愛のむつび合いを知らずして、王の女とはいえませんからね。この本は、初心者向けですから、ちょうど、あなたのような方にピッタリですよ。いかがです?」
 トックは本を差し出した。
 クミョンは顔を真っ赤にして
 「い、いいえ!結構です!」
 逃げるようにして立ち去った。
 「うぶな子だな〜」
 トックは、ニコニコしてクミョンの後ろ姿を見ていた。
20クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/05(土) 15:53:02 ID:WzXCvDIs

[5]

 夜になってもクミョンはドキドキしていた。あの春画の絵が、頭から離れなかった。
 ―――殿下のお召し?男と女の愛のむつび合い?―――
 王様とあの方の顔が思い浮かんでグルグル回る。ああ……もう訳が分からない!
 叔母チェ尚宮が部屋に入ってきた。
 ―――どうしよう。叔母様なら何でも知っておられるだろうけど……。でも聞きにくいわ……。でも……他には聞ける人がいないし……―――
 意を決して聞いてみた。 
 「……叔母様……。殿下のお召しを受けるとは、どういうことなのですか?」 
 「は?」
 「いえ……その……あの……男と女がむつび合うということとは……」
 チェ尚宮は、突然こんなことを言い出した姪に驚いたが、穏やかに受け答えた。
 「何故、急にそんなことを聞くのか分からないけど……。そうか、お前には、料理のことばかり教えていて、そのことは全然教えていなかったわね」
 そう言って、チェ尚宮は立ち上がると、押し入れを開けて奥の方をゴソゴソ探った。そして、本を何冊か出して机の上…クミョンの目の前に置いた。
 それは、性の手ほどき本だった。
 「お、叔母様までこのような本をっ!」
 顔を赤くしてクミョンは言った。
 笑いながらチェ尚宮は言った。
 「だってお前。何も知らずして、どうやって殿下のお相手ができるというの?女官は一度はこのことを勉強するのよ」
 「はあ……」
 チェ尚宮は、本を見せながら、こんこんと詳しく丁寧に説明した。クミョンは黙って聞いているだけで精一杯だった。
 一通り説明が終わるとチェ尚宮は言った。
 「どうであったか?」
 クミョンはうつむいて答えた。
 「どうって……ただただ恥ずかしい限りでございます」
 「そうでしょうね。お前は真面目だから…」
 「……叔母様。男と女が愛し合う時、皆がこのようなことをするのですか?」 
 「まあ、そうね。でも、愛し合っていなくてもする者もたくさんいるけど……」
 「でも、普通は愛し合っている者同士がするのですよね?」
 「普通はね。……最近、また女官が不義密通で、死刑になった。相手の男も一緒に死刑になった……。お前、まさか好きな男がいるんじゃないでしょうね?」 
 ―――痛!図星だわ―――
 「ま、まさか!いませんよ」
 「なら、いいけど」
 
 「……叔母様。王以外の人と愛を育むことができないとは……女官とは哀しいものですね」
 「……それが女官の定めよ」
 「……王の御寵愛を受けられなかった女官は、一生寂しい人生を送るのみ……」
 「……そうね。だから対食(テシク)をする女官もいるのよね。対食だと、見つかっても百回叩かれるだけで済むから……」
 「対食?何です、それは」
 「同性愛のことよ」
 「ど、同性愛!!!」
 クミョンの声が裏返った。
 「で、では……御寵愛を受けられなかった叔母様も、そのような経験がおありで?」
 チェ尚宮は少し不機嫌になった。
 「そのような言い方をするでない。私には一族のために最高尚宮になる義務がある。だから、殿下のお目に留まらないように気を使っていたのだ。それに……そんな経験があるのか、なんて。お前には繊細な心遣いというものはないの?」 
 「も、申し訳ありません……」
 それきりチェ尚宮は何も言わなかった。

 そんなことがあってから、クミョンはしばらくの間、チョンホと話をするどころか、姿を見ることさえもできなかった。チョンホを見ると、あの絵が脳裏に浮かんでくるのだ。
 そのたびに思いを打ち消そうとして苦しみ、後で罪悪感にさいなまれた。
 ―――私って、なんてふしだらな女……―――

 あの方のことを考えるのは、しばらくやめようとクミョンは思った。
21クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/05(土) 16:03:13 ID:WzXCvDIs

[6]

 それから数日後。
 仕事を終えたクミョンは、いつものように水刺間で料理の練習に励んでいた。他の者と一緒の時もあったが、一番熱心に遅くまで練習していたのはクミョンとチャングムだけだったので、二人きりになることもよくあった。
 包丁で食材を切りながら、クミョンは考え事をしていた。先日の叔母との会話を思い出す。
 ―――『対食をする女官もいるのよね』
………対食、同性愛……。叔母様も経験がないわけでもないみたいだし……。女官って、いったい……。でも、私には、あの方しかいないの。でも、女官は王の女……。うーん……――― 

 バタバタバタ。
 チャングムがせわしなくクミョンの前を走って行く。
 ―――やめてよ!ほこりが上がるわ、気が散るわ―――
 ―――だいたい、あなたって人は………―――

 あなたは、ハン尚宮様に水を調べるようにと言われて、いろいろな水を調べているわよね。お米のとぎ汁や鉱泉水とか、いろいろな水の味をみたり、料理に使ったりしているわよね。
この前は、私にも、水がいかに大切かを力説してくれたわね。ハン尚宮様の『水を持ってきなさい』の話は面白かったわ。そこまでは良かったんだけど……。

 あなたは、怪しげな水を差し出して、

 「クミョン、あなたも味をみてみて」
 「え、ええ……。でも、この水、大丈夫?」
 次の日、私はお腹をこわして寝込んでしまった。
 あなたは、お見舞いに来て

 「大丈夫?ごめんね。私が昨日……」
 「ううん、あなたは平気なのね」
 「私は体が頑丈だから……というより鈍感?アハハ」

 アハハじゃないわよ!

 それから、あなたは料理の時に使う薪を調べていたわよね。いつだったか忘れたけど、私がなんか煙くさいなと思って見に行ったら、何かに火が燃え移っていた。

 「ちょ、ちょっと!何やってるの?大変!!」
 「クミョン!ちょっと手伝って!」

二人でなんとか火事は防いで、叔母様にもバレなかったけど……。

 ―――あなたって、はっきり言って迷惑な人―――
 そう思ったクミョンだったが、一つのことに気がついた。
 ―――私、毎日あなたの姿を目で追いかけている―――
 16歳にして、やっと気がついたのだ。
 ―――でも、あなたは私とって競争相手。遠過ぎれば寂しいけど、近過ぎればうっとうしい。あなたは私にとって、そんな存在。まあ、見ていたら面白くて飽きないんだけど―――
22クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/05(土) 16:38:58 ID:WzXCvDIs

[7]

 そんなことをゴチャゴチャ考えていたら
 「痛っ!」包丁で軽く指を切ってしまった。
 ―――私としたことが。えーと、布きれ布きれ……。ない!血が垂れてくる!服で拭くのは嫌だし。どうしよう?―――
 「クミョン、大丈夫?」 いつの間にかチャングムが側にいた。
 チャングムは、クミョンの手をとると、傷ついた指先を自分の口にくわえた。 
 ―――え?―――
 予想外、突然のことにクミョンは呆然とした。
 チャングムは、何でもないといった感じでクミョンの指先の血をなめとると、布きれでくるりと巻いた。  「はい!」
 「……あ、ありがとう……」
 クミョンが我に帰った時には、もうチャングムはそこにはいなかった。
 ―――何なの?この胸のドキドキは……―――

 その日以来、クミョンはチャングムのことを意識するようになった。

 別の日。
 クミョンを見たチャングムは
 「あ、クミョン。チョゴリの結びひもが緩んでいるわよ」
 「あ、本当」
 ―――またもや私としたことが―――
 クミョンが直そうとするよりも早く、チャングムはサッと手を延ばして、ギュッギュッとひもを締め直してくれた。
 ―――え?え?何であなたが直してくれるの?―――
 「……ありがとう……」 
 クミョンが我に帰った時には、もうチャングムはそこにはいなかった。
 ―――やっぱりドキドキする。いったい何で?―――

 また別の日。
 水刺間で二人はいつものように料理の練習をしていた。他には誰もいない。

 ―――ああ……。なんか、かったるいわ……。今日はチャングムは普通だし、つまらない。……………こんなことを思う私って、どうかしている……―――
 そんなことを考えていたら、チャングムが寄って来た。お菓子が盛られた器を持っている。
 「見て見てクミョン。ヨンセンから栗菓子もらったの。食べない?」
 ―――ヨンセンかぁ。まあいいわ―――
 「ええ、ありがとう」
 クミョンは手を差し出したが
 ―――あれ?―――
 チャングムは栗菓子をひとつ、差し出している……クミョンの口元に。
 「クミョン、あーんして」
 ―――は?な、何?―――
 「ほらぁ〜。早くぅ〜」 
 ―――………チャングムあなたって人は……――― クミョンは戸惑いながら口を開けた。
 モグモグ。
 ―――何故だか味が分からない。それより、この説明できない気持ちは何?…………でも……少し楽しいかも……―――

 次の瞬間、クミョンは栗菓子をひとつ、つまんでいた。
 「じゃあ、チャングム。次はあなたね。あーんして」
 ―――わ…私はいったい…何をやっているの。でも、やめられない…―――

 徐々に、クミョンのチャングムに対する気持ちは、変わり始めていた。
 今までは、お互いが認め合う競争相手、遠過ぎず近過ぎずが心地良い、そんな存在だった。今までは話をしても触れられても、何でもなかった。それが変わり始めている。
 対食、同性愛、という言葉がクミョンの頭をよぎる。
 ―――まさか……。これが……。いいえ違うわ!私には、あの方しかいないの!こんなことを考えてしまう、ふしだらな私をお許し下さい、ナウリ!!――― 
 クミョンは、その葛藤で悶々(もんもん)とするようになった。あの方が遠くに行ってしまう夢を何回も見た。やっと春画のことが頭から離れかけたのに、また、違う罪悪感に悩まされることになった。
 水刺間でチャングムを見るたびに、クミョンは思った。
 ―――チャングム、あなたのせいよ……―――

 何故、彼女はこれほど意識過剰なのか。それは、彼女には友達らしい友達がおらず、無邪気に接してくるのはチャングムだけだった。彼女はそれにどう対応していいのか分からなかったのである。だが、本人はまだ、そのことに気付いていない。
23クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/05(土) 16:44:59 ID:WzXCvDIs

[8]

 意識過剰なクミョンに対して、チャングムはクミョンのことをどう思っていたのか。
 チャングムにとって、クミョンは普通の友達だった。もちろん、ハン尚宮とチェ尚宮という対立し合う派閥に属していたのであるが、チャングムにはあまりそのことは関係なかった。対抗心は全くなく、お互いが実力を認め合う「同志」のような関係だと思っていた。
 そして、チャングムは、クミョンの内に秘めたような、はかなげな雰囲気が好きだった。それは、ヨンセンとはまた違う魅力だと思っていた。クミョンの口数が少ない所は全く気にならず、むしろ、そこがまた良いと思っていた。


 一方、クミョンは、もともと丈夫でなかった胃の調子が悪くなるほど悩んだ。さすがに何とかしなければ……と思った。でも誰に相談すればいいのか。
 夜、部屋で鬱々(うつうつ)と悩んでいると、叔母チェ尚宮が戻ってきた。

 「……あの……叔母様……対食とは……いったいどのようなものなのでしょうか……?」
 なんだかんだ言っても、結局相談できるのは叔母だけだったのだ。
24クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/06(日) 09:23:21 ID:Jb5YtpUg

[9]

 チェ尚宮は、眉間にシワを寄せて言った。
 「は?……最近お前は突然変な質問ばかりするわね。いったいどうしたの?」 
 クミョンはうつむく。
 「いえ……あの……」
 「まあ、いいわ」
 そう言って、チェ尚宮は押し入れを開けて、奥の方から例の本を取り出そうとした。クミョンは、それを見て慌てた。
 「あ!あの、違うんです。そういうことではなく……」
 「そういうことではない?じゃ、どういうこと?」 訳が分からない、といった顔のチェ尚宮。
 クミョンは、ボソボソ言った。
 「ですから……そちらのほうじゃなくて、気持ち?そう、気持ちの問題なのです。例えば……例えばですよ?その人のことをもっとよく知りたい、とか、もっと近づきたい、とか、そばにいたい、とか、一緒にいるとドキドキするとか……。こんな気持ちって、対食なんですか?」
 チェ尚宮はクミョンの顔をしばらく眺めた後、押し入れを閉めて座って、考えていた。しばらくして言った。
 「それは少し違うわね。お前くらいの年頃の女子(おなご)は、そんな気持ちを持つのは普通のことだ。それは成長過程における自然なことだ。対食というよりは……あこがれとか?」 
 「そう!そんな感じです!」
 「まあ、友情が発展した強い感情ね」
 それを聞いて、クミョンの目は輝いた。
 「ゆ…友情の発展!では…それでは…対食ではないんですね!」
 「そうよ。でも、そこから対食に発展する人もいるけどね」
 「で…でも、対食ではないんですよね!」
 「だから、さっきから違うと言っているではないか。それにしてもお前、何でそんなに、うれしそうなの?」
 「フフフ……」
 クミョンは笑ってごまかした。
25クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/06(日) 09:34:38 ID:Jb5YtpUg

[10]

 翌日からクミョンは元に戻った。再び、あの方の姿を目で追いかけるようになったし、思い出しては、清く正しい乙女的妄想にふけった。あの方を見かけると、何かと理由をつけて話しかけた。
 また、あの方が勤務している内禁衛(ネグミ)の執務室に、差し入れを届けたりもした。しかし、何も進展はしなかった。


 ある日、見習い生の競技会が開催された。成績は、クミョンが一位、わずかな差でチャングムが二位だった。
 クミョンは、チャングムがめきめきと腕を上げ、自分の地位を脅かす存在になり始めたことに、焦りを感じていた。
 でも、悪い気はしなかった。いや、むしろ歓迎した。張り合う相手がいてこそ修業に精が出るというもの。そうでなければ、どんなに退屈な毎日だっただろう。
 たまたまクミョンが、水刺間の見習い生の仕事場に入ると、競技会の話で盛り上がっていた。チャングムは皆に囲まれていた。クミョンはチャングムに話しかけたかったが、輪に入っていけなかった。
 思えばチャングムは、いつも人に囲まれていた。ヨンセンはもちろん、チャンイやチョバンやミン尚宮や、悪口ばかり言うヨンノまで。

 ―――何だかんだあっても、チャングムって、みんなから好かれているのね―――

 仕方なく、少し離れた場所で皆の会話を聞くことにした。

 「チャングム。あなたってすごいわ!クミョンにわずかな差よ!」
 ―――これはヨンセン。……でもヨンセン、いつもチャングムのことを褒めているけど、本当に彼女のすごさを分かっているの?チャングムの実力を本当に理解できているのは、私だけよ―――

 「まぐれよ!まぐれ!クミョンは力を温存してるのよ!ね!クミョン」
 クミョンは無視した。

 ―――ヨンノ……。あなたのお世辞ばかり言う所が嫌い。それに、いつもあなたはチャングムのことを『卑しい生まれ』とかいうけど、卑しいのは、あなたの心よ―――

 「ちょっとヨンノ!あなた、自分の成績が悪かったからそんなこと言うんでしょう?」
 ―――ヨンセンね。それは私が言いたかった台詞だわ―――

 「ねえチャングム。今度はクミョンに勝ってね。ね?」
 ヨンセンはそう言ったが、チャングムは視線を遠くにやりながら、
 「私は……そんなつもりじゃないわ。ただ料理がうまくなりたいだけ」
と答えた。
 チャングムとクミョンの目が合った。
 チャングムはニコッと微笑むと、視線を元に戻した。

 ―――何?さっきの笑いは……。私への当て付け?きっとそうよ。……………でも………そんな風には見えなかった。ただただ真っすぐな、純粋な、そんな笑顔だった……―――

 その日はチャングムと直接話をする機会はなかった。だが、その笑顔はクミョンの思いに焼き付いた。

 クミョンの心の中で、チャングムの存在は大きくなり始めていた。

 ―――私は……他の人達の偽善的な態度が嫌だった。私はいつもチェ一族の一員であり、チェ・ソングムの姪であり、誰も私個人を見ようとはしてくれなかった。だから私は、傷つかなように誰とも深く関わらないようにした。
だけど……チャングム、あなたは、これ見よがしの親切さではなく、同情でもなく、へつらいでもなく……。真っ白な心で私に接してくれる。私はそれがとてもうれしかった。
だから私は……あなたのことをもっとよく知りたい。あなたにもっと近づきたい―――
26クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/06(日) 09:41:04 ID:Jb5YtpUg

[11]

 月の輝くある晩、クミョンは気分転換に宮中を散歩していた。最近行事が続いてその準備で忙しく、精神的に疲れていたのだ。
 クミョンは夜が好きだ。夜は一人になれる時間が多いし、本当の自分に戻れるような気がするから。
 ふと見ると、チャングムが、あずまや(昔、チャングムが松の実刺しをしていた場所)に座っていた。
 他には誰もいない。チャングム一人だ。真っすぐにクミョンは近づいて行って、黙って隣に座った。

 「ああ、クミョン」
 「何してるの?こんな夜ふけに」
 「ハン尚宮様が怒ってらっしゃるの。だから怖くて部屋に戻れなくて……。お休みになられた頃に戻ろうかと思って」
 「それでここで時間をつぶしているのね」
 「そうなの。エヘヘ」
 チャングムは無邪気に笑った。
 「クミョンはどうしたの?」
 「うん……。ちょっと気分転換にね」
 「そう。最近忙しそうだったからね。お疲れ様」
 「いいえ、どういたしまして」
 「ところで最近チェ尚宮様とはうまくやってるの?」
 クミョンは少し考えてから言った。
 「叔母様が私に求めることは、一族の伝統を守ることと、基礎に忠実なこと。もちろん、それも大切なんだけれど……。でも、それだけでは駄目だと思うの。だから、叔母様に反発したくなる時があるし……。それに時々、あなたのやっていることが、うらやましくなるわ」
 「……そうなのかなあ。みんな、変わっているって言うけれど……」
 「自信を持って。ハン尚宮様のなさっていることは、間違っていないと思うわ」
 「……そんなこと言うのは、あなたが初めてよ。ありがとう♪」
 チャングムは屈託のない笑顔を返してきた。

 それからしばらく二人は、黙って月を眺めていた。 クミョンは思った。

 ―――でも、最近思う。あなたのご両親は亡くなったと聞いたことがある。それなのに何故、あなたは、いつも前向きで明るくて、こんなきれいな笑顔が見せられるの……?―――

 「ねえチャングム。……こんなこと聞いていいのかどうか分からないけど……。あなたは何の後ろ盾もなく、この宮中に上がって、辛いことがたくさんあっただろうけど……。何というか……支えになってくれるものが、何かあったの?」 

 チャングムは、しばらく考えてから言った。
 「うーん。……私にはハン尚宮様がおられるし、ヨンセンがいるし……それに、あなたもいるし」

 ―――あなた=私ってこと?私も一応入ってるんだ……―――

 「クミョン、あなたの支えになってくれているものは何?」
 「え?わ、私?」
 「うん。そう」
 クミョンはうろたえた。 
 ―――こちらに質問を振ってくるなんて予想外!どうしよう。何て答えよう。私は王の女。だから、あの方のことを話すわけにはいかない。誰にも知られてはいけない……―――
 ―――でも……―――
 クミョンはチャングムの顔を見る。視線を戻して再び月を見る。
 「私は……」
 ―――どう思われるか分からないけど……できるだけ自分の思っていることを言おう―――
27クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/06(日) 09:50:50 ID:Jb5YtpUg

[12]

 「私は……一族の期待を背負って宮中に上がったの。私にはそれがとても重荷だった。
みんなは、神童だとか天才だとかいろいろな褒め言葉を私に送ったけれど、かえってその言葉は私を縛り付けた。
叔母様はいつも私に、『お前が私のあとを継ぐのだ』とばかりおっしゃって……。息が詰まりそうな毎日だった。逃げ出したいと思ったことは、何百回もあったわ。
だけど、私には一つだけ、心の支えになってくれるものがあったの。それは…………」

 あれ?チャングムは黙ったままだ。あいづちさえ返してこない?
 「ねえ、ちょっとチャングム。聞いてる?」
 クミョンが隣のチャングムを見ようとした途端、右肩が突然重くなった。チャングムが、もたれかかってきていた。どうやら眠ってしまったようだ。
 クミョンはそれを見て、腹が立つやらあきれるやら……。
 ―――チャングム、あなたって人は。人がせっかく一大決心をして話をしているのに!しかも質問を振ったのはあなたよ。失礼ね!―――

 チャングムはクミョンの肩を枕にして、平和な顔をして眠っている。
 それを見ていたら、苦々しく思う気持ちが失せてしまった。
 ―――憎めないわね……―――
 起こそうと思ったが、やめた。しばらく眠らせておくことにした。

 ゆっくりと二人だけの時間が流れる。

 クミョンは再び月を眺めた。そして自分の世界に入った。

 ―――私は王の女。あの方に想いを寄せることは許されない。だけど、あの方に会えるから、退屈で辛い宮中暮らしも耐えられた。いつも、あの方のことを想っては自分の心を癒した。
………でも………私がどれだけ想っても、あの方にとっては、私はただの一人の女官に過ぎず、チェ・パンスルの姪でしかない……―――

 ―――私は月のような人間。夜になれば、本当の自分に戻れる気がするの。
私にとって、チャングム、あなたは……まぶし過ぎる存在。
あなたの天真爛漫さ、私と違ってみんなに好かれる所、型にはまらない斬新な発想。前向きな所、力強さ、行動力。
あなたは、私にないものをたくさん持っていて、それがうらやましくもあり、時には嫉妬したこともある。 
だけど、あなたは私の退屈な日常を変えてくれた。
あなたと一緒にいると、腹が立つこともあるけれど面白い。
あなたと一緒にいると、私は変われるような気がするの。
何年か前、あなたと一緒に裏山に行ったことがあったわね。あなたは私の手を引いて、薄暗い薮を分け入って行った。そんなあなたが頼もしかった。
あなたは……私を新しい世界へ導いてくれる。そんな気がするの―――

 ―――……もしかして……あなたも……私の心の支えになっているの?――― 

 クミョンは、肩で眠っているチャングムの顔を見た。ミン・ジョンホナウリに抱く深い感情と同じ感情が……戸惑いを感じるくらい……湧き上がってきた。
 あの方に望んでいる事と同じ事を、チャングムにも望んでいる自分がいた。
 もっと自分を見て欲しい、自分の側にいて欲しい、自分を受け止めて欲しい……。

 慌ててクミョンは視線をそらした。

 ―――いいえ。それは認めない。認められない。私の心の支えは、あの方しかいないの―――

 クミョンは認めたくなかった。認めたら、ミン・ジョンホへの想いが、一途なものではなくなってしまうような気がしたから……。

 ―――でも……これだけは言える。私は、あなたと……あなたとは、真正面から向き合いたい―――

 しばらくクミョンは、眠っているチャングムに寄り添うようにして月を見ていた。
28クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/06(日) 09:59:16 ID:Jb5YtpUg

[13]

 それからというもの、クミョンは以前にも増して、チャングムに話しかけるようになった。それは、ヨンセンやチャンイたちが近くにいない時に限ってのことであったが。
 クミョンの変化をいち早く察したのは、ヨンセンだった。

 「ねえチャングム。最近クミョンと仲が良過ぎるんじゃないの?」
 「あら、仲良くしちゃいけないの?」
 「そうじゃなくて……私のことも、もっと気にして欲しいの!」
 「ええ?いつも気にしてるわよ?」
 「……もう、いい!」

 あなたとは真正面から向き合いたい……そう思ったクミョンだったが、ストレートに感情表現するヨンセンに比べたら、不器用極まりないものだった。
 彼女は、チャングムとヨンセンを見て、こんなことを思っていた。
 ―――ヨンセンって、いつもチャングムにまとわり付いている。しょっちゅう手を繋いだり、肩組んで歩いたりしているし、この前は抱きついていたし。しょっちゅう『あなたが側にいてくれて良かった』とか言っているし。
私にはできないわ。ヨンセンみたいなベタベタした付き合い方は嫌なの―――― 

 本当は、クミョンは、できることならチャングムにベタベタしたかったのだ。 
 ―――でも、このままではヨンセンに負けてしまう。チャングムに私の気持ちを伝えるには、どうしたらいい?―――

 クミョンは、夜、部屋に戻るといろいろ考えた。
 ―――今度は叔母様には聞けないし……―――

 何故だか分からないが、この前ミン・ジョンホに差し入れを届けた時の光景が、脳裏によみがえってきた。
 ―――そうだわ!料理よ!―――
29クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/06(日) 18:32:28 ID:Jb5YtpUg

[14]

 しかし、あることに気づいた。
 ―――でも、私、まだチャングムの好物を知らない………―――
 ―――どうしよう。直接本人に聞くのは、風情がないわね。じゃあ、誰に聞こう?ヨンセンなら絶対知っているけど、絶対聞きたくない。カン・ドックさん?でも、この前の春画のことがあるから嫌だわ。
う〜ん……ハン尚宮様?でも、あの方、そんな細かい事まで、あの子のこと知っているのかしら……?―――

 次の日。王の御膳を準備する時に、クミョンはたまたまハン尚宮と一緒に仕事をすることになった。この機会を逃してはならない。折を見て話しかけた。
 しかし、チャングムのことだけ聞くのも変なので、無難な雑談をしつつ、核心に迫っていくことにした。 
 二人とも口下手なので、会話を続けるのに難航したが、何とか聞き出すことに成功した。
 チャングムの好物は、コッカムサム(干し柿でクルミを巻いた菓子)だった。

 その日の夕方。クミョンは、チェ尚宮の台所で、こっそりコッカムサムを作っていた。それだけでは寂しいので、栗の甘露煮やナツメ菓子も作ることにした。

 料理を作りながら、またもやクミョンは自分の気持ちに戸惑っていた。

 ―――何故?何故こんなに胸がときめくの?まるで、あの方のために料理を作っている時と同じ?――― 

 出来上がった菓子を眺めてクミョンは思った。

 ―――このお菓子で、私の思いがチャングムに伝わりますように―――

 お菓子を器に入れて水刺間に行くと、チャングムは一人で何か調べていた。

 「チャングム……。遅いのに頑張っているのね。はい、これ……」
 クミョンはもじもじしながら、お菓子が入った器を差し出した。
 「え?私に?」
 チャングムは、受け取るとフタを開けた。
 「わぁ♪私の好きなコッカムサムがある!クミョン、もしかして、あなたが作ってくれたの?」
 「ええ……」
 「ありがとう♪でも、突然どうして?」
 「え…。あなたのために……。あっ!(汗)い、一緒に食べようと思って」
 「わざわざ作ったの?なんか申し訳ないわ。じゃ、私、先に頂くわね」
 チャングムは、干し柿を取ると器をクミョンに渡してから食べ始めた。
 「うん、おいしい♪」
 嬉しそうに満面の笑顔で、干し柿を食べるチャングムを見ていると、クミョンは幸せな気分になった。
 クミョンは、お菓子を食べながら思った。

 ―――私が時々ナウリに差し入れをお持ちすると、あの方は少し戸惑ったような笑みを浮かべて受け取られる。でも、あの方が私の料理を食べているお姿を、一度も見たことはない。私はすぐ戻らなければならないから……。
それに、私にとって料理とは、自分を束縛するものでもあった。私は、常に他人に勝たなければならなかったから……。

だけど、チャングム。嬉しそうに私の料理を食べてくれるあなたを見て分かったの。料理は人を喜ばせるものなのね。作る人も、食べる人も――― 

 ―――そして、料理人は、食べる人の幸せを願うの―――

 クミョンは、微笑みを浮かべてチャングムを見つめていた。
30クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/06(日) 18:37:06 ID:Jb5YtpUg

[15]

 さて、その日、就寝前のこと。クミョンは、叔母チェ尚宮に話しかけられた。 

 「クミョン……。最近、チャングムと仲がいいみたいだけど……」

 ―――え、今日の一部始終を見られたのかしら?―――
 「それが何か?」
 「……深入りするのは、やめときなさい」
 「対食はしていませんが」
 「違う。感情的に深入りするのをやめなさいと言っているのだ」
 「………おっしゃっていることの意味がよく分かりません」
 「心を分かち合うような、支え合うような仲にはなってはならぬ、ということだ」
 「何故それがいけないのですか?」
 「いずれ、それは、お前を苦しめることになるからだ……」
 「……叔母様……。しかし、この閉ざされた宮中で生きる女官は、女官同士、分かち合い、支え合ってこそ生きていけるのではありませんか?叔母様だって、昔はそのようなお友達がおられたのでしょう……?」 
 「……忌まわしい思い出だ……。友……?そんなものは、いらぬ」
 吐き捨てるようにチェ尚宮は言った。
 クミョンはチェ尚宮をにらんだ。負けじとチェ尚宮もクミョンをにらみつけ、ゆっくりと言った。

 「……その絆が、己(おのれ)を苦しめることになったのだ。友などと!我が一族にとっては、そんなものは足かせにしかならぬ!」
 「叔母様!いったいどうなさったのですか?」

 チェ尚宮は何も答えなかった。
 二人は、しばらくにらみ合っていたが、やがてチェ尚宮は、横になると布団を頭までかぶって寝てしまった。
 その夜、クミョンは、何かにうなされている叔母を見た。
31クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/06(日) 18:43:25 ID:Jb5YtpUg

[16]

・・・・・・・・・・・
 あの見習い時代の頃が、私にとって一番幸せな時だったのかもしれない。
 でも、あの時、叔母様が言われたことは間違いではなかった。
 私が、叔母様の言う通りにしておけば、こんなに痛みを感じることはなかったのかもしれない。

 あれから二年後。私たちが18歳になった時。
 私は、明国の使者が持って来た錦鶏の世話を任された。でも、私の不手際で錦鶏を逃がしてしまった。
 そんな時、助けてくれたのは、あなただった。けれども、あなたは約束の時間に戻って来られず……菜園に追放処分になってしまった。
 ハン尚宮様とチョン最高尚宮様が、三年間の俸禄を返上したと聞いたわ。料理試験が近かったので、ヨンセンは、講義の内容を一生懸命手帳に書いていたわ。私は……ヨンセンが書いたその手帳を、あなたに渡す役目だった。
 私もあなたを助けようと努力したの。だって、私の責任だから。必死に叔母様にお願いしたわ。
 でも……。「それはお前だけの問題ではなく、一族全体に関わる不祥事だ。事を荒立てるな」とか、「お前のその、チャングムを思う気持ちが一族を危機にさらすのだ」とか言われた。 
 私は、何も言い返せなかった……。
 だけど、あなたは菜園でキバナオウギの栽培に成功して、水刺間に戻ってきた。何もできなかった私に対して、あなたは自分の力で逆境を乗り越えた。本当に、たいした人だわ。

 料理試験の時、あなたはスンチェで饅頭を作って、皇太后様のお褒めの言葉を受けた。
 決められた材料を使っていないのに…と少し不満に思ったし、あなたの底知れぬ才能に脅威を感じたわ。 
 でも、もしあなたが落第したら、錦鶏の事があるから私にも責任があるし、それに……あなたがいないと、張り合う相手がいなくなってしまうわ。あなたが合格して良かったと思った。 

 呪いの札……。あの事件は、忌まわしい思い出だわ。
 私は必死で叔母様に抵抗した。私は、才能と努力を兼備えていれば、最高尚宮の座を射止めることが出来ると思っていた。でも、それを真っ向から否定された。私の自尊心は傷ついた。私は、一族の宿命を受け入れるしかなかった。
 あなたは、退膳間(テソンカン)で何をしていたのか分からないけど、あなたに濡れ衣がかぶせられた。 
 ヨンセンの証言で、私もあなたと一緒に蔵に閉じ込められた。

 「クミョン……。あなたがやったの?」
 「いいえ。やっていないわ。あなたでしょ」

 その瞬間から、私はあなたと真正面から向き合えなくなった……。もうそんな資格は、私にはない。そう思った。

 蔵から出された時、衰弱し切ったあなたは、ハン尚宮様に背負われていた。
 あなたの側には、愛してくれる人がいる。私は、とても寂しく思った。
32クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/06(日) 18:52:02 ID:Jb5YtpUg

[17]

 叔母様とハン尚宮様の競い合いが始まった時は、少し嬉しかったの。競い合い……料理という舞台の上でだけは、まだ、あなたと対等に向き合える……そう思ったの。
 だから、あなたの味覚麻痺が治った時は、心から喜んだ。

 呪いの札事件以来、私は自信を無くしていた。あなたと真正面から向き合えなくなった私には、もうあの方しかいなかった。

 ナウリに硯をお渡しした時、励ましの言葉を頂いたの。
 「ある人がこんなことを言っていました。『料理する時、食べる人の顔に笑みが広がればと願いながら作る』と……。料理は相手をいかに喜ばせるかを考えて作るというのです。チェ内人はそのような仕事をしているのです。自信を持って下さい」

 ナウリのその言葉は、忘れかけていた気持ちを思い出させてくれたの。
 私はその言葉を胸に抱いて、ソルロンタンを作ったわ。そして、あなたに勝った。
 それでも私は、心苦しかった。苦しさに耐え切れず、癒しを求めて、ナウリに会いに行ったわ。真心を込めて作った料理を持って、雲岩寺(ウナム寺)へ……。
 そして、あなたと一緒にいるナウリを見た。
 あなたを見つめるナウリの顔。あなたのために、小筆を買い求めるナウリの顔。
 私には一度も見せたことのない顔だった。温かくて、愛情に満ち溢れる表情だった。

 料理は人を喜ばせるもの?料理は人の幸せを願うもの?料理は真心?そんな言葉は虚言よ!建前にしか過ぎないわ!
 その日から、私の料理への思いや志は変わってしまった。部屋に戻って風呂敷包みを投げ出しながら思ったの。
 ―――料理は、自分の野心を達成する手段でしかない―――

 あなたはお寺から戻ってきた時、私に親しげに話しかけてきた。初めてあなたの態度が偽善的に見えた。初めて私のあなたを見る眼差しに、憎悪が宿った。あなたはもう、今までのあなたじゃない。そう思った。 

 あの日、あなたは、私が長年大切にしてきたものを奪ったの。私の心の支えを奪ったの。私の居場所を奪ったの。 だから、私もあなたが大切にしているものを奪うわ。ええ、奪ってやるわ!


 ………チャングム………。どうして?どうして他の人ではなく、あなたなの?他の人なら……あなたでなければ……私がこんなにも人を憎むことはなかったのに。

 私が、あなたにもっと素直になっていれば良かったのかもしれないわね。
 あなたは、私の心の支えだった。あなたは、私の居場所だった。
 雲岩寺に行ったあの日、私は心の支えを失った。ミン・ジョンホナウリと、そして、あなたを。
 私の居場所はナウリにも、あなたの所にもなかった。

 あなたは、たくさんのものを持っているのに、まだ他のものを持つつもり?

 あなたはいつも、私より先を進んでいるから、うらやましく思っているし、嫉妬もしている。将来は、私の前に立ちふさがる相手になると思って、恐れを抱いた。
 だけど………。同時に、あなたがいれば、いつの日か自分は変われるかもしれない、新しい道を開いていけるかもしれない。そう思っていたの。
 私は………幻想を描いていたのかもしれない。あなたがいれば、自分の運命が変えられると。
33クミョン×チャングム 〜真昼の月〜:2006/08/06(日) 19:01:45 ID:Jb5YtpUg

[18]

 クミョンはずっと、うつむいてあずまやに座っていた。
 ふと顔を上げると、叔母チェ尚宮がいた。
 いったい、いつからいたのかしら?全然気がつかなかった。
 チェ尚宮は、何も言わず、クミョンの隣に座った。 
 二人は黙って月を眺めた。
 見習い時代、ここでチャングムと月を眺めたことがあった。
 今は、叔母様とこうやって月を眺めている。
 結局、私の居場所は一族の中にしかないんだわ。
 寂しさがこみ上げてきた。
 いつの間にか、背中に叔母の腕が回されて、クミョンは肩を抱き寄せられた。 
 叔母様が、こんなことをするなんて初めてだわ……。
 クミョンは叔母の横顔を見た。どことなく哀しみが漂っていた。
 クミョンは、同じ部屋で叔母と寝起きしていた頃のことを思い出した。
 夜、叔母はよく何かにうなされていた。跳び起きた所も見たことがある。一度寝言で、ハン尚宮様の名前と、知らない人の名前を呼んでいるのを聞いたことがある。
 叔母は前に、「友の絆が己を苦しめる」と言った。 
 もしかして叔母様も、私と同じような思いをしたことがあるのかしら……?
 聞こうしたが、やめた。叔母が自分から話してくれるようになるまでは、そっとしておこうと思った。


 クミョンは月を見て思った。
 チャングム、やっぱり私は月のような人間。私は、日の光のようなあなたと、共に歩むことはできなかった。あなたの光の前では、私は輝くことはできないの。
 いつかあなたと裏山に行った時、あなたは薮を切り開いて進んで行った。あなたは、私と違って、自分で道を切り開いていける人。 
 そんなあなたがいる限り、私は劣等感にさいなまれ、無力感に悩まされ続けるの。あなたがいる限り、私は輝くことができないの。 だから、私が私であるために、あなたを消し去りたい。

 ……………。こんな、矛盾だらけの私のことを、今まであなたは、本当に理解してくれていたの……?分かってくれていたの……? 
 私の心の叫びは、あなたに伝わっていたの……?気付いてくれていたの……? 

 いいえ、あなたには、私の痛みや孤独は分からない。気付いてもくれなかった。あなたは私と違って、たくさんのものを持っているし、皆に愛されるのだから……。
 私がいなくても、きっとあなたは他の誰かと普通に生きていけるでしょう。あなたにとって、私は、ただの大勢いる友人の中の一人にしかすぎないのだから。 
 でも、私にとってあなたは、そうじゃなかった。

 あなたは……私の存在を認めてくれた、たった一人の人だった。

 チェ一族の一員としてではなく、チェ・ソングムやチェ・パンスルの姪としてでもなく、ただ一人の、チェ・グミョンという一人の人間として……私、個人として……私を見てくれたのは、あなただけだった。そう、ナウリもしてくれなかったことを、あなたはしてくれたの。

 あなたには……あなただけには……こんな私のことを分かってもらいたかった。

 私の存在を認めてくれた、あなた……。でも、結局は、私の存在を脅かす人でしかなかった。

 だからチャングム……。 
 私は、あなたを傷つけたい。あなたが私を傷つけた分だけ………。
 私も、あなたの大切なものを奪って、あなたにも私と同じ痛みと孤独を味わわせたい。

 私は、あなたが好きだった……。大好きだった……。だけど……憎まざるを得ない。 


 月は、ぼやけて見えなくなった。
 クミョンは、チェ尚宮の肩で涙を流した。



[完]
34名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 22:24:43 ID:goyd1HLm
乙です。力作ですね。
可愛さ余って、憎さ百倍というわけですね。嫉妬の構造は恐ろしい・・・
チャングムとクミョンの年齢設定と、チョンホのバツイチ(実際は死別?)は、いらないと思います。
あんまり関係ないみたいだし・・・次回もがんばって下さい。
35名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 14:44:41 ID:5ZpJ5QeH
GJ!
36名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 22:10:06 ID:6wDwYkeo
>>1

ここ最近良作揃いですね!!職人さんは暑さと台風に負けないでね!!
37宮廷商人 パンスルの苦悩(小ネタ):2006/08/10(木) 20:04:17 ID:APSRTzu5
「オ・ギョモ様も困った方でな…先日は『料亭を改造して床が鏡張りの部屋を作り、
そこに内人や尚宮や医女の服を着せた芸者を呼んで肉鍋の給仕をさせろ』と…」
「……鏡と芸者の服と肉鍋とどう関係があるのでしょうか?」
「わしにもさっぱり分からん」
「まさか…………兄上はそれをなさったとか?」
「いや、服と肉鍋はともかくとして、床が鏡では危ないとお伝えしたのだが
オ・ギョモ様がどうしてもときかぬのだ…まったく…」
38名無しさん@ピンキー:2006/08/12(土) 18:25:45 ID:9WdKasMb
>>12 互いに思いやる気持ちが、伝わってきました。次の作品をお待ちしています。
39名無しさん@ピンキー:2006/08/15(火) 22:04:39 ID:cs2fFpEI
>>37 コスプレ肉鍋。 しかし尚宮服ってw もしかして濃緑の方?
40名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 00:37:00 ID:W7lwTTGp
46話の長い抱擁シーン
メイキング
ttp://www.youtube.com/watch?v=Jw0-Tr2x8yE

オマケ
ttp://www.youtube.com/watch?v=WsfxEph-LFE
41名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 00:51:23 ID:W7lwTTGp
42名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 14:32:32 ID:Rp1IAXe+
>>40
これですか?N○Kでカットされた所?
萌えました〜〜アリガト
43名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 23:13:19 ID:L6PFDHdx
保守
44名無しさん@ピンキー:2006/08/21(月) 10:04:23 ID:NuUc7VaC
だれか尚宮様ものかいてくれぃ
45名無しさん@ピンキー:2006/08/21(月) 10:19:59 ID:RjtG24AK
尚宮様とはどの方のこと? また、どんな内容で?
46名無しさん@ピンキー:2006/08/21(月) 11:41:26 ID:0a055dNj
よくこんな作品でマンコクチュクチュオナニーできますねぇ…(失笑
47名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 15:52:15 ID:Sc37fqPo
特にハン尚宮ネタ激しくキボン!
誰とカポーでもかまわない。ハン尚宮タソいてくれたら何でもいい〜〜
48名無しさん@ピンキー:2006/08/27(日) 15:39:53 ID:TkO8Y90h
保守
49名無しさん@ピンキー:2006/08/28(月) 08:19:26 ID:gC5FdwOV
はんさんぐんさまとちぇさんぐんさまのお話が読みたいです!ミョンイが絡んでくると最高です。
50名無しさん@ピンキー:2006/08/28(月) 15:13:48 ID:woNLD1Iz
少女チャングムの夢で八○一 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1152969300/l100

11 :風と木の名無しさん :2006/07/20(木) 18:23:10 ID:AR3D0Eu7
王様×ジョンホ←スロ
これ基本形だよね?
第一話の「おまえがいるだろう」を見てから目が離せなくなったアニメだw

14 :風と木の名無しさん :2006/07/26(水) 23:46:51 ID:JXQ6wA1h
第一話だったか?で、狩りに出た王様が、ミン・ジョンホに
「今宵は、そなたと二人きりで夜を明かそう」と、なにやら妖しく
誘うようにのたもうたので、思わず茶を吹いてしまった。
まさに、想定外の事態。
51名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 09:08:06 ID:lJxsEew4
チョンホ×チャングム
王様×チャングム
王様×ヨンセン
王様×皇后
が読みたいです。
52名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:26:33 ID:ZsLDqUcV
チェ×ハンあげ
53名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 20:43:18 ID:UY+rRIEk
このスレはとにかくハン尚宮様受の需要が多いということがわかった
54名無しさん@ピンキー:2006/09/13(水) 10:38:54 ID:yzPVlgr2
保守
55名無しさん@ピンキー:2006/09/21(木) 00:22:33 ID:AXlyxGwY
保守
56名無しさん@ピンキー:2006/09/22(金) 08:40:26 ID:KXa/qdSO
test
57名無しさん@ピンキー:2006/09/22(金) 15:19:21 ID:rb9Qq/+b
前スレの すごい文章を書いていた 一参二(?)さん、待ってます
58名無しさん@ピンキー:2006/09/24(日) 00:31:47 ID:ZdJnSTjZ
漏れも待ってる
59名無しさん@ピンキー:2006/09/24(日) 21:15:41 ID:NCBwBppf
優良有料動画配信サイト比較
http://hp43.0zero.jp/774/yudouga/
60名無しさん@ピンキー:2006/09/26(火) 03:12:22 ID:TQhM4wd+
【BS】集中放送専用・チャングムの誓い【ネタバレ禁】http://tv8.2ch.net/test/read.cgi/tv2/1134313902/
2ch過去ログの見方
http://makimo.to/cgi-bin/dat2html/dat2html.cgi? のあとに見たいスレのURLを貼り付ける
61ヨンセン×中宗 −青き花実−:2006/09/28(木) 08:17:50 ID:0gy2XLo9
                          0/9      壱参弐 柵
内容:ノーマル ほぼエロ描写のみ(陵辱に近い、痛々しい場面あり) 萌えなし
   *今までの私の作品とは全く傾向が異なります かなりキャラを汚します
62ヨンセン×中宗 −青き花実−:2006/09/28(木) 08:18:27 ID:0gy2XLo9
                          1/9      壱参弐 柵
 目の前に食卓が並べられ、私は横の席に座らされた。ややして、殿下は上座にご着座に
なった。
 至密の女官が酒を注いで捧げ、次いで私の杯にも注ぎ入れる。

 「ヨンセンといったな。そちも」
 杯を……震える手で持ち上げ、口に運んだ。堪えた涙の味が交じり、少し苦い。心を落ち
着かせようとしても、これまでのことが頭の中を巡るばかり。


 泣いても泣いても、次の日もその次の日も、涙があふれ続ける。
 ひとりでいた犬を撫でて、想うのはあなたのことばかり。
 奴婢に落とされてしまったチャングム……。奴婢の扱いは宮中の女官とは比べ物になら
ないという。せめて傍にいるならば、命を賭してでも守りたいけれど……声も、手も届か
ない。あの笑顔を見ることもできない。あの日まであんなに近くにいて、時々腕を絡ませ
ることもできたのに……安否すら判らないなんて。
 たとえ私がどうなろうとも、あなたさえ無事ならば、これ以上の幸せはないのに。

 ……どうしてあの時後を追わなかったのだろう。どうしてミン尚宮さまに押し止められ
るまま、何も言えずにいたのだろう。私のせい。全部私のせい。そして何もできないばか
りか、チャンイまで辛い目に遭わせてしまった。

 何度もここを追われ、そのたびに戻ってきたけれど……カン・トックおじさんすら、諦
め顔だったけれど……。諦めることなんてできない。

 「そなた、何をしておる!」
 女官長の言葉に顔を上げると、ご尊顔がそこにあった。その瞬間、私の身体はかちかちに
凍り付いた。問われても、どうお答えしていいのか。ただ、じっと立ち尽くすだけ。
 それから後……ミン尚宮さまにはすごく怒られるし……また、へまをしてしまった。
部屋に戻っても、思い出すたびに震える。珍しくヨンノが慰めてくれたけれど……。
 そんな時、至密尚宮に呼び出されて、きつく叱られるのだとばかり……でも……訳の
わからぬままこの、宮中のどこにあるのかもよく知らない部屋にいる。
 そうして、よく判らぬままこうして酒を口にしている。

 「なぜ泣いておったのだ」
 料理をお口元に運ばれながら、お聞きになる。ご尊顔を間近に見るのは初めてのこと……。
杯が空になると、傍にいた女官が酒を注ぎ足した。
 優しくお声をかけられても、昨日のことを思い浮かべると、身体も口もいうことを利かない。
 
 箸を止められ、殿下は立ち上がられた。私も続くよう、尚宮さまに言われた。
 隣の部屋に閨はあった。そこには一組の柔らかそうな、大きな布団が敷かれていた……。
 殿下は立ったまま、女官たちにお召し物を解かれている。私も同じように……恥ずかしくて
後ろを向いてしまい、尚宮さまに睨まれてしまったが。

 覚悟を決めて……殿下の隣に座る。

 殿下は私の顔を撫で、お口をお寄せになった。男の方にこうして髭を押し付けられるのは、
遠い昔の時以来。お父さまのお髭を触って遊んでいたっけ。でも今は、髭が頬にあたって
少しくすぐったい。ちくちくと唇に刺さって痛い。

 痛み……それを感じたのはこの時が初めてだったが……でも、これはほんの始まりに過ぎ
なかった。自分の部屋に戻った後も、ずっと感じることになろうとは。
63ヨンセン×中宗 −青き花実−:2006/09/28(木) 08:18:53 ID:0gy2XLo9
                          2/9      壱参弐 柵
 髭の間から柔らかく湿ったものが伸びてきて、私の唇を嘗め回す。気色悪い。犬のべろは
可愛いのに。
 柔らかかったそれは、先を尖らせ唇の間に突き立てられた。私は思わず歯を食い縛った。
つと殿下の手が頤にあてがわれ、優しくさすられる、ふっと力が抜けた時、口の中に差し
込まれた。それは口の中をいっぱいに塞ぎ、喉まで圧迫される気がして、息をするのも苦
しい。けれど吐息が、口の端から漏れ出てしまう。殿下は舌を引っ込められると、再び唇を
嘗め回し、また口の中に差し込まれる。
 そのうち、私の舌は絡み取られ、表や裏や先から奥まで……ざらついた感触が嘗め回す。
逃げようとしたが、かえって強く……痛いぐらいに吸い上げられる。

 ややして私の身体は押し倒された。
 殿下は口元を徐々に下の方に向けられ、うなじや胸元へ……その間、絶えず胸を揉みし
だかれる。でも、硬い手のひらで触られるたびに痛くなるだけ。
 それに足……脛にある毛が逆立ってゴワゴワと私の腿を刺激する。
 ただじっと我慢した。拒んではいけない、声を上げてもいけないといわれていたから。

 殿下が覆いかぶさってきた。大きな胸……けれど、どこも触るところのない平べったい
胸。なぜ多くの女官たちは殿方に憧れを持つのだろう? 女人の方がずっと魅力的なのに。
チョン尚宮さまに抱っこされて、眠った夜の安らかさ……あなたを隣に感じて……その
ふくらみに触れた時、心地よい暖かさが手のひら一杯に感じられたのに。
 あなたが、たぶん……触っていたハン尚宮さまの胸も、きっと柔らかくて温かかったの
でしょうね。
 でも今、感じさせられているこの胸は、大きくて硬い。それが身体に圧し掛かり、自分の
胸も押し潰されている。

 あんなことがなければ、チョン尚宮さまも、もっと安心してお送りできたのに。そして
ハン尚宮さまの下で、今でもあなたと水剌間で料理を作っていたはずなのに。
 どうしてこんなことになってしまったのだろう。どうして私は、一人、ここにいるのだ
ろう。


 殿下は私の下の方を指で触られると、眉をぴくっと動かされた。
 尚宮さまが小声で合図を送るのが聞こえた。今まで気が付かなかったけれど、部屋の
四隅に尚宮さまと内人が控えて、私たちを静かに見守っている。ずっと見られて
いたのか……。急に恥ずかしさがこみ上げ、身体中が火照りだす。

 一人が近付き、私の下の毛を掻き分け、自分でも触ったことのない場所を開け広げる。
何か香油のようなヌルリとした冷たい液体を手に取ると、下腹に……指で、お小水が出る
ところのあたりを塗りたくられて……ただただ気持ち悪い。

 ここに来る前に身支度を整えられた時も、女官たちは臆することなく私の体の隅々に触
れた。同じ内人でも、こんなことをしている人がいたなんて。だけど全く、何も話しては
くれなかった。皆、黙々と身体を清め、髪をくしけずり、紅白粉を刷けいた。

 塗り終わると、殿下は再び私を引き寄せられる。
 いきなり私の脚を開かれたものだから、驚いて殿下を見て……その時気付いた。見た
こともない赤黒いものが、下腹から迫り出している。その熱さが、腿にぶつかった。

 私は男と女の交わりというものを、あまり知らない。面白がってヨンノが見せようと
するのだけれど、興味はないし……興味があったのはあなたのことだけだったから……
それに、まさかお召しがあるとは思ってもみなかった。
 でも、無理やり見せられた本で、あのようなものを見たことがある。あるけれども、
目の前のそれはもっと生々しく、不気味にすら思える。殿方のその下腹には、あんな
ものが隠れているなんて。
64ヨンセン×中宗 −青き花実−:2006/09/28(木) 08:19:38 ID:0gy2XLo9
                          3/9      壱参弐 柵
 殿下は、開いた脚の間の……私の下腹に、それを押し付けられた。怖くなったが、それ
以上閉じることはできない。
 そして指のような、いや指以上に太く熱い感触をぶつけてこられる。その感触は股の
間を行き来し、その熱を分け与えた。
 私は怯えて、いっそう身体を硬くした。

 その様子を見ていたのだろうか、女官たちがこちらに近付いてきた。殿下にこうされて
いるのも恥ずかしいのに、こんなに傍で見られるなんて。私の身体はますます硬くなった。
 と、女官たちは両脇に位置取り肘を押さえ付けた。そして片手で私の胸をもみ始める……
柔らかい手のひら……やはり女人の手は違う……。そして胸の敏感なところ……頂を指の
腹で転がしたり、挟んだりする。
 「っん」
 慌てて声を押し殺す。

 そうしている内に、腰の下には枕が押し当てられ、脚がより大きく広げられて、女官
たちに支えられた。
 身動きが取れなくなった……唯一自由になる手は……敷布か、もしかしたら女官のチマ
かもしれないが、指先に触れた布地を握り締めた。

 殿下が、再び圧し掛かってきた……  あっ  ……腰の間に圧力がかかる。
 痛い! チャングム……。助けてチャングム、助けてチョン尚宮さま。
 ぐりぐりと押し付けられる硬いもの。遠慮なく私の身体をこじ開け、拒んでも無理やり
捻じ込まれる。
 お腹が痛い……あぁ……。
 
 「入っていくのが判るか」
 答えられるはずもない。怯えしか感じない。
 「ううむ」
 低い声で唸られ、力を込められる。

 胸のあたりの刺激が増した。女官たちは相変わらず、私の胸をほぐしている。他の人の
手で触れられる感触にぞっと……でも少しだけ……心地……いい。
 おかげで、身体の上半分は幾分楽になった。
 他の者に一糸まとわぬ姿を見られるのも、こうやって触られるのにも徐々に慣れてきた。
というか、もう諦めてしまった。でも、 ズンッ!
 「あぅ!」
押し付けられたまま、じっとされている。しばらくの時を置いて、ゆるりと引き抜かれても、
 「あぁ」
声が出てしまう。またしばらく離して、股の間を擦り付けておられたが、  ズヌッ!
 「いっ!」
 玉体が、私の脚の間にぴったりと合わさっている。身体の中に、あの塊が押し込まれた
のだ……。

 手足は抑えられたままだった。私も力が入り、女官たちも力を込めて押さえていたから
あちこちが痛いし、すっかり痺れている。
 それから女官たちは、私の手を殿下の首へ回し、脚を持ち上げて腰に絡めた。そして、
また部屋の四隅に下がった。

 「このままでいるように」
 尚宮さまが発した冷たい声が、かろうじて耳に届いた。だから必死でそのまま、まるで
ぶら下がるような格好だ。こんなに近くにご尊顔があるのに、よく見えない。
 殿下の胸の、腹の、腰の重みを感じて、息苦しくなった。上からだけではない、内側
からも強い圧迫が、腰を中心に繰り返し与えられる。圧迫は胃まで達し、戻しそうな気分
すら感じる。
 そして……ご尊顔が上下に動かれるごとに、塊を押し付けられた部分の痛覚が、堪えよ
うも無く襲ってくる。
 重い、苦しい、痛い……我慢しなきゃ……。
65ヨンセン×中宗 −青き花実−:2006/09/28(木) 08:20:09 ID:0gy2XLo9
                          4/9      壱参弐 柵
 でも……こんなに辛いのを耐えなくてはならないのか。もう水剌間には戻れないのか。
料理を作るのが好きだったのに…………。
 思わず涙があふれてきた。

 「また泣いておるのか」
 硬い胸板と熱い塊に、上から押しつぶされ中から抉られ続けながら、お声を聞いた。
 そして ……くちゅ…じゅる…ずにゅ… 身体の中から音が響く。
 早く終わって欲しい。ああ、早く、もうやめて……やめて……あ。

 更に力が入り、腰は重みを増して私の腰ごと揺さぶられた。
 「そちの中は暖かいのう」
 先ほどは圧迫と痛みだけだった。今は痛いけれども、その動きが……相変わらず
気持ちのいいものではないけれども、中で何かが動いている。
 「うーむ。そちの泣き顔はそそるのう」
 痛みは相変わらずだが、少しは気持ちが落ち着いてきた。
 「そちは、どうだ」

 ご寵愛を望んではいなかった。けれど今では誰の助けもなく、宮中でミン尚宮さまや
チャンイと、辛い部署に追い遣られている。そこから抜け出るためには今はただ、殿下に
嫌われることの無いようにしなくては……。
 「ご承恩を賜り、身に余る光栄にございます」
 声を振り絞った。
 「そうか。では」

 殿下の口元が私の胸に下り、塊に貫かれたまま、乳房の頂を吸われた。
 下の痛みは相変わらずだが……女官たちにほぐされてから……その手際のせいか、
触れられると変な……うずくような感覚が……するようになっていた。
 「柔らかい乳をしておる。この色合い、頂の色艶も初々しい。だが、もっと張りを
 増して、桜色に染めてやろうぞ」

 さらに揉みながら、大きく飲み込まれた。でも強くされると、やはり痛くて縮み上がっ
てしまう。
 「尖り具合がたまらぬ」
 そう言われると激しく腰を動かし、脚の間に打ち付けられる。あまりの激しさに、巻き
付けていた脚の力も抜けようとした頃、突然、両の脚を強く掴まれて開き、押さえ込まれ、
深く強く押し当てられる。
 「ふー、はっ……う」
 ぶるっと震えて、玉体は、私に預けられた。

 何が起こったのか全くわからなかった。しばらく、殿下から流れる汗を頬や胸に感じて
いたが……女官たちが進み出で、殿下を私から引き離し、玉体を拭っている。

 私も脇で、身体を清められ……下の方に布が当てられた時、赤い色に染まるのが見えた。
……血? あれだけ痛かったのは、そういうわけだったのか……。
 その間に、敷布が変えられた。きっとそこにも付いてしまったのだろう。粗相をして
しまった……。女官たちの働きを眺め、ぼんやりしていると、
 「案ずることはない。初めての者にはよくあること」
尚宮さまが言う。そして私のそこに、軟膏のような薬を塗ってくれた。
 「血止めだ。少しは楽になる……さ」

 新しく整えられた布団に促された。
 そして殿下は私の手を、そこに……導かれた。それは、先ほどの熱はなく、萎んだ朝顔
のようにぶら下がっている。どうしていいのか判らず、とにかく手をあてがう。
 「さすりなさい」
 見かねたのか、尚宮さまが言われた。さする? 恐る恐る手を動かしてみる。それは、
ただ左右にゆらゆらと動くだけだった……。困って、尚宮さまの方を見た。
66ヨンセン×中宗 −青き花実−:2006/09/28(木) 08:20:39 ID:0gy2XLo9
                          5/9      壱参弐 柵
 尚宮さまが目で女官に合図を送る。一人が歩みより、私の手をどけると、包むように
手を動かし始める。しばらくすると、少し頭をもたげはじめた。
 「気にするな。おぼつかぬのも、また乙なもの」
 殿下の言葉に、女官は私の手を取って、手のひらに包みこませた。見真似で手を動かす
と、少し張りが出てきた。熱くもなってきた。初めてお見かけしたのと同じような形に
変わっていく……。

 「舐めよ」
 立ち上がられると、私の顔の前にそれを差し出された。また恐る恐る口を近付ける。
 「これが、お前の身体の中に入っていたのだ。こんな風にな」
 唇にあてがわれた。しばらく軽くついばむように、唇を突っつき、左右に動かされる。
 「そちは、なかなか受け入れてくれなんだが、この口はどうかな」
 殿下の手が私の顎を掴んで下に押し下げられる。口はだらしなく開いた。

 「歯を立てぬように、大きく開け」
 尚宮さまの声に、頑張って大きく開けると……腰を突き出され、それは……口の中に
静かに納まっていった。……苦しい、大きくて、そして熱い。ほんのり生臭い。
 腰が前後に動き、その動きに合わせて口内を、短く出入りする。
 「もっと近こう寄りなさい」
 傍にいた女官に手を取られて……両手で、殿下の腰回りを抱えさせられた。

 殿下は私の頭を掴んで、さらに強く押し込まれる。
 口の周りを、髭とは違うけれど、同じようにゴワゴワしたものが撫で回す。その感触と、
むっとするような匂い……これが殿方の匂いなのだろうか……今まで宮中では感じた
ことはなかったけれど。
 押し込まれたそれが、喉に突き立てられ、むせそうになった。
 「その顔がよい」
 また、涙がこぼれそうになる。なのに、こんな顔がいいなんて……。

 なぜ皆、こんなことに憧れるのだろう。痛くて苦しいばかり。
 あなたがハン尚宮さまのところから帰ってきた晩は、とても嬉しそうな顔をしていた
のに。身体からも心なしか良い香りが漂い、頬もほんのり上気して。元々きれいな子だっ
たけれどますます美しく、艶めかしさすら感じた。
 あなたも、最初はこんなに辛かったのだろうか? いいえ。きっと二人は、もっと優し
く、もっと柔らかく、もっといい匂いの中でお互いを感じ合い、愛し合っていたのだろう。
 あなたは、幸せにあふれた空気を纏わり付かせたまま、戻ってきては部屋中に広げた。
私もちょっぴり、楽しい気分をお裾分けしてもらったっけ。
 そんなあなたを眺めるのが、とても好きだった……。

 引き離されるなんて思ってもみなかったから……こんなことになるなら、無理をして
でも、あなたの温もりを感じておけばよかった……。

 殿下は私にかまわず、しばらく出し入れされ、引き抜いては唇を撫で回し、また深く
突き入れられた。何度もそうされて、口の周りがべたべたになる。顎がだるくて仕方が
ない。それに、徐々に苦いような渋いような味がする。

 やっと解放された。顔の前にあるそれを、思わずまじまじと見つめてしまった。咥える
前よりも太く赤黒くなっている。こんなものが口の中や……身体に入っていたなんて……。
 つーっ  透明な液が先から糸を引いて滴り、私の胸をつたう。
 「涎を垂らしておるわ」
 液を光らせながら、それをまた口に含ませられ、口の中で舌に擦り付けられた。

 また女官たちが現れ、うつ伏せ、かと思ったら腰を引き上げられて四つん這いにさせら
れた。殿下は私の後ろに座っておられる。
 「先ほどよりは瑞々しくなってきたな。そろそろ、そちも欲しいか」
 恥ずかしい。誰にも見せたことのないお尻まで見られるなんて。
 それに、欲しいか、だなんて。あんなに痛いものが、また刺さるのか。恐ろしさに、
震えているのが自分でも判る。
67ヨンセン×中宗 −青き花実−:2006/09/28(木) 08:21:06 ID:0gy2XLo9
                          6/9      壱参弐 柵

 「こじる味わいも悪くないが……柔らかく絡み付くのも捨てがたい」

 殿下はただ眺めておられるご様子だ。
 女官の冷たい指が、身体中を撫で擦り始めた。指が動くたび、気色悪さの中に、妙な
感覚が芽生え始める。股の間に置かれた指は……油を塗られた時は外側だけだったけれど
……殿下が入っていたところ……身体の中にまで侵入してきた。……腰がガクガクと
動いた。崩れ落ちそうになると抱え上げられ、また四つん這いにさせられる。
 弄る指は、私の……反応を見ながら……敏感な場所を捉えると、そこを中心に攻めたて
るから……だんだん腿のあたりが痺れだして……変な気分……気持ち悪いのは相変わらず
だけど……あふっ……攻められているところから、お湯のような熱い液体が湧き……うぅ
……熱を帯びた液体が身体の中に染みていく……。
 別の女官は胸を揉み、頂を摘む。胸からもお湯のような感覚が生じ、その波と……
下からの波とがぶつかって……腰が、もぞもぞとくねった。

 「感じておるのか。その姿もまた愛い。あの血止めには、淫薬が入っておってな。
 おなごを心地よくするそうな」
 淫薬? そんなものがあるのか? でも確かに、こうやって身体の中に指が出入り
しても、痛いというよりもむずむずした感じだ。
 
 殿下が立ち上がられると、女官たちは退いた。そうして私の腰を掴まれ、脚を押し
広げて、後ろから、
 「ひい!」
いきなり塊が、あの大きなものが、一気に私の中を熱く満たした。また圧迫感がお腹の
中を抉りだす。 
 「今度はずいぶん楽に受け入れてくれたな。では、口でしたように」
 腰を押し付け深く差し込まれる。そしてゆっくり引き抜き、縁を撫で回すとまた押し付
けられる。抜いては押し付け、抜いては押し付け。
 押し付けたまま、ぐりぐりと腰を回される。また抜いては押し付け。

 「そちは犬を撫でていたな。犬の交尾というものを見たことがあるか」
 首を振った。
 「こうやって四つん這いで、後ろから」
 そう言われると、さっと抜かれる。身体を満たしていたものがなくなり、強い虚脱感を
残す。 そして、ざくっ 差し込まれては満たされ さっ ざくっ さっ ざくっ さっ 
引き抜かれては虚脱を感じ……。
 女官に弄られた時と似たような感覚が、いや、もっと……深い場所からじくじくとした
感覚が……お腹の奥の方から広がってきた。
 「ふぅ。 あっ」
 また、声がでてしまう。
 「犬のようにされて、よくなってきたか。では鳴け。余が許す」 
 こね回され、差し込まれ、引き抜かれ……。許すと言われても、はしたないことはでき
ない。唇を噛み締めた。
 っと、殿下の指が腰からお尻に移り、真ん中の方を玩び始められた。
 「あう!」
 お尻がすぼまる。
 「ねっとりと締め付けているのが判るか。そちが余を食べているのだぞ」
 さらに真ん中を弄くられる。
 「尻たぶまで桜色に染まっておる。柔らかく張りがあり、叩くもよし撫でるもよし」
 軽くぺちぺちと叩かれた。そのたび、恐れと恥ずかしさで、ますますキュッとすぼまっ
てしまう。
 と同時に、ずっと圧迫感しか判らなかったそれだったが、出し入れされるたびに、その
形……口で感じたように、先のふくらみ、少しすぼまって引っ掛かるようなところの形が、
なんとなく身体の中を動いているのが感じられた。
 時々中でつっかえ、微かな抵抗を感じ、思わずお尻をすぼめると、それは更にはっきり
と形を成した。
68ヨンセン×中宗 −青き花実−:2006/09/28(木) 08:21:37 ID:0gy2XLo9
                          7/9      壱参弐 柵

 「そちはどれがいい。先ほどのような格好か、このようにするのか」
 答えられようはずもない。そのまましばらく、私のお尻に腰を打ち付けられた。沈黙の
中、乾いた音だけが響く。

 殿下はそれを引き抜かれると、仰向けに寝られて、私を引き寄せられた。
 「上に乗れ」
 玉体の上に座るなんて、そんなこと。しかし顎で促される。畏れ多いことながら、
静かに身体を下ろした。
 「そうではない。この上に跨るのじゃ」
 熱いものを、お尻にぴたぴたと当てながら言われた。
 「先のような形では、そちはよく判らなかっただろう。だから見させてやる。余を飲み
 込む様を、じっくりとな」
 言われるままに、腰を沈めた。またあの塊が、今度は自分の重みで身体の中に侵入して
いく。先が股の間に埋まり、すぼまりを捉え、そして長い部分も全部、納まっていく。
 「腰を動かせ」
 どうしていいのやら……もぞもぞと前後に揺すってみる。と、また女官たちが現れて、
私の肩や腰を掴み引上げ、下に落とした。
 「そちがいいように動いてみよ」
 そう言われて、必死で動いていると、殿下の両の手で乳房を揉みしだかれる。
 「うっ」
 「ここがいいのか。締め付けてくるわい。いいぞ」
 両胸を手のひらで押し潰し、指先で尖りをいじられ……また腰のあたりが、ずきずきと
してくる。身体の上からも下からも、熱い波が押し寄せ始めた。
 ……その内、なんとなくその感覚をもっと味わいたくなって、夢中で上げ下げを続けた。
歯を食い縛ったが……吐息が漏れる。
 繋がっているところに目をやると、ぬめりと光るものが私の動きに合わせて……
私を貪っているのか、あるいは……私が貪っているのか。

 殿下は繋がった部分に手を入れられ、敏感な部分……女官たちが油を塗った時のように
襞をたどり、広げて軽く摘まれる。触られると、じんじんとした痺れが奔った。
 「余の尻が塗れておる。全てそちの蜜じゃ」
 粘りのある液体をすくい取られ、その指を私の口に差し入れられた。
 「どんな味がする。あふれるほど出しよって」
 味、と言われても困ってしまう。……ちょっと塩辛いような…汗のような、ちょっと
酸っぱいような。苦いような。
 でも確かに、さっきから股の間がひんやりとして、ぬちゃぬちゃと、湿った音が聞こえ
ている……。

 「酒を持て」
 殿下は、動きを制するように、私の腰に手を当ててから言われた。
 酒器が運ばれてきた。
 「まずはそちから」
 杯を渡されて、玉体の上で、繋がったままの形でふた口ほど戴いた。
 「余にも飲ませてくれぬか」
 戸惑った。どうやって? 女官を見ると、目でお前が飲めと言う。少し含む。
 殿下は私を引き寄せ、唇を合わせられた。漏れないよう大きく口を開き、口内の酒を
唇ごと求められる。
 「何をしてもいちいち、驚く面立ちをするのが愉快でたまらん。はなから手管を披露し
 て、余を誑しこもうとする奴にはうんざりしていたのだ」
 耳元で、小声で話された。

 「もうひと口」
 同じように、唇を合わせた。酒がなくなると舌を軽く吸われる。私の舌は、殿下に飲み
込まれた……酒の味や微かな酔いも相まってか、初めて口を合わせた時より、ずっと柔ら
かく感じた。
 「どうじゃ。下の口で繋がり、上の口でも合わさっている心地は」
 そう言われると、また口をお寄せになる。私も、こうされるのが、それほど嫌ではなく
なってきた。しばらくそのまま、温もりを感じた。
69ヨンセン×中宗 −青き花実−:2006/09/28(木) 08:22:17 ID:0gy2XLo9
                          8/9      壱参弐 柵
 「もうひと口、ゆっくり温めよ。そちの唾も含味したいゆえ」
 今度は大目に含み、しばらく噛み締めた後、捧げた。私の口で温めた酒と、吸われ続け
られるまま、そっと注ぎいれた唾液を、おいしそうに飲み干された。
 飲まれた時の柔らかな、その表情を愛おしく感じて……自ら舌を差し入れてしまった。
殿下は拒まれず、私の頼りない動きに合わせるかのように、優しく舌を撫で回される。
……暖かい。殿下も私の中で、同じように感じておられるのだろうか……。

 ご尊顔に、こんなに近付くことができるのは、高官であってもあり得ないこと。そんな
巡り合わせに生まれたならば、それを受け入れ、王様に心からお仕えしよう……。
 口付けを交わしながら、そう思った……。

 殿下は私の唇から離れられると、耳に口を寄せられ、耳たぶの表も裏も中も舐められる。
初めは何をされても身の毛がよだったが、今は蠢くたびに、心地よい痺れが走る。痺れる
たびに自分のそこが、締め付けを繰り返す……。締め付けるたびに、身体の中の塊が
力強さを増していく……。

 殿下の腕が私の腰を掴み、激しく揺さぶられた。私も手の動きに合わせて、腰を上下さ
せる。
 「ああっ あぅっ あぅっ あぅっ ひっ あぅっ いぃ あぅっ はっ ああっ……」
 もうたまらない。声が勝手に湧いて出る。
 「愛い声で鳴く」
 私のうなじに張り付いた後れ毛を掻き揚げられながら、更に強く下から突き上げられる。
 「ふんっ ふんっ ふんっ」
 塊は私の奥にぶつかって、胃のあたりまで突き上げる。
 ご尊顔に汗が浮かび上がっている。密着している脚もじっとりとして、肌が強く
擦れ合った。動くのが少し辛くなってきた。

 と、殿下は私を下に組み敷かれ、最初の形にさせられた。私は自ら腕や脚を絡めて、
その重みを全身で受け止めた。
 あの時は重さも圧迫感も、嫌でたまらなかった。でも今は……愛おしく感じてからは
……心地よく、力強く、頼もしい。
 そして上から何度も何度も、腰を打ち付けられる。時折腰をぴったり合わせて円を描く
ように掻き回され、その動きにまた、はしたなく声を洩らした。

 なんだかお小水が漏れ出しそうな……今まで味わったことのない不思議な心地。
 ……訳が判らなくなってきた。自分の身体が痺れるような甘いような、やっぱり少し
痛いような。でも……今は、この身を任せ、存分に味わってもらうだけ……。

 何度も出し入れされ、塊は私をこすり上げては、打ち付ける。
 玉体から汗が滴り、身体中が密着する。触れ合う肌に感じる温もりが、とても熱く思え、
何より繋がっている部分は、もっと熱を帯びている。

 うにゅ ずちょ くちゅ ぬちょ
 今にも、どろどろと溶け出しそうな音がした。
 音と共に、私の喘ぎ声が……もう抑えられず、突き上げられる動きに合わせて、
恥じらいを忘れて喘いでしまった……。

 動きがいっそう早くなり……、
 「……余の子を孕め……」
ご尊顔が、微かに歪んだ。強く抱き締められ、ぐっと腰が押し付けられ、塊がもっと
身体の奥に入り込むのを感じる。塊は、はじけるように少し大きくなって、私の身体の
内側を強く圧迫した。
 ……ぶるっと、玉体も、塊も、小刻みに動いた。奥の方で、塊とは別の圧力がかかる
のを感じて、思わず、何度も締め付けた。
70ヨンセン×中宗 −青き花実−:2006/09/28(木) 08:22:40 ID:0gy2XLo9
                          9/9      壱参弐 柵
 しばらくすると、塊だったものは柔らかくなり、私の中で小さく溶けて漂っていた。
 可愛い……最初から、これぐらいだったら良かったのに。そう思うと可笑しくなって、
何度か自分の身体で軽く握り締めていたが、やがて……ずるりと抜け落ちた。
 あたりには汗の匂いが……汗だけではない、殿下と私の交じり合った匂いが立ち込めて
いる。

 終わった。
 私はしばらく、そのままの姿勢を取らされた。

 殿下の方はさっさと身支度を整えて、お帰りになった。
 その後で私も身体を清められ、やっと自分の部屋へ戻ることを許された。

 帰る道すがら、尚宮さまが言われた。
 「世話のやける……王の女なのだから、少しは嗜みを持つべきものを。お前が付いた
 尚宮は、手解きもしていないのか」
 悲しくなった。


 部屋に入ると、ヨンノは起きて待っていた。
 「おめでとう」
 そう言ってくれたけれど、恥ずかしくてまともに顔を見ることができない。
 「どうだった」
 聞かれても、この部屋から連れ出された時のように、やっぱり何も答えることはできな
かった。

 布団に潜りこむと、涙がまたあふれた。
 夢中になって、あまり感じなかったけれど……あそこに、ズキンズキンとした痛みが
戻ってきた。節々が痛い。髭で擦り付けられた頬も、脚が触れ合った腿もひりひりする。
 それなのに身体は熱く火照り続け、女官にまで触られた胸や、抉られたあの場所が……
痛みと共にもどかしいような、あの妙な感覚が身体を包む。強く吸われ、差し入れて
優しく絡ませた……溶け合う快さも、舌の上に残っている。

 でも股の間からは、絶えず何かが流れ出てきてべとつく。憚りへ行こうかと考えたが、
また赤いものが付いていたらと思うと、怖くなった。

 私はどうなったのだろう……どこもかしこも、自分の身体ではないような気がする。
 痛みと火照りを堪えながら眠りについた。枕を抱いて、ただあなたの笑顔を思い出して、
心を慰めた。
 この部屋で眠るのも今日が最後。あなたとこの部屋で過ごした日々は、本当に楽しかっ
た。……あなたがたとえ戻って来れても、ここに迎えることはできなくなってしまった。
 

 でも、きっと喜んでくれるわよね、チャングム……あなたの苦しみを思えば……。
 何もしてあげられなかったんですもの。
 我慢しなくては。そうしていつの日か、あのことを殿下に申し上げて、あなたの無念を
晴らそう……。

 たとえ会えなくても、あなたのことを想うと気持ちが和らいでいく……。
                                            ―――終―――
71名無しさん@ピンキー:2006/09/28(木) 16:51:06 ID:L9rNsDbP
いやーGJでしたよ!
ハードなお初でしたが、けなげで良かったです。
…横で見守っている尚宮と内人はもよおさないのか?
72名無しさん@ピンキー:2006/09/29(金) 23:27:44 ID:T6uqbia1
壱参弐たん、百合もノーマルも書けるのか。
すばらすぃ過ぎて、漏れはいま感動してるよ!
73名無しさん@ピンキー:2006/09/29(金) 23:32:25 ID:/2cjJtyP
お見事ですね・・・。
好きな人でも初めての時は「え、何?こんななの?全然ロマンチック
じゃない」って思いましたよ。昔は今ほど情報なかったし。
なんかリアルでした。
女子高でお姉さまに憧れてたような子が初めてできた彼氏としたときって
こんな風に感じるかもね。
74名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 22:30:09 ID:EFI6d6/N
ハヤカワ文庫の小説を読んだら、王様の寝所を取り囲むように尚宮が配置されてるって書いてあった。
実際こうやってお付の人が指示を出したんだろうか。
75名無しさん@ピンキー:2006/10/10(火) 15:00:53 ID:5R/vFImI
晴れて釈放されたミン・ジョンホを迎えに走るチャングム。

ミン・ジョンホも獄舎を出る。

獄舎の前で対面する二人。

チャ「命をかけて私を信じて下さいました」

チョ「獄中にいた間ずっと、無性に後悔していました」

ミン・ジョンホが冗談を言っているものと思い、思わず顔をほころばすチャングム。

だが、次のミン・ジョンホの言葉に、チャングムの瞳から止めどなく涙が溢れる。

チョ「ソ内人が危ない目にあうのではないかと、後悔していました」

チョ「こんな事になるなら、済州島や典医監で、攫ってでも逃げるべきだったと・・・
  阻止すべきだったと骨身に染みて後悔しました。そう考えると、どうかなりそうでした」

チャ「ナウリ・・・」

思わずミン・ジョンホに駆け寄り彼を抱きしめるチャングム。
ミン・ジョンホもまた、チャングムを強く抱きしめる。

solcov_b
MBC『大長今』公認ブログ http://www.terebi.jp/solcov_b
76名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 14:16:40 ID:0LYzNGwg
>74
昔の中国の後宮は、その日指名された妃に皇后の許可の院が下されて後、
風呂に突っ込まれ、身支度したら絹の袋に入れられて、
宦官に担がれて寝所にはいる。(廊下で間違いがあるといけないので)

それで、衣服をはぎ取る役の宦官や女官、
精を発するのを記録する係(つまり、その日の交わりの詳細が記録されるのですね)
そして、室内には刺客に備えての護衛などの兵も配され、7〜8人は寝所内にいるのではないですか?

つまり、あの長官様が背後で
「いま、陛下のお召しを外して。
ええい、もっと、そっと気づかれぬように」
などと尚宮たちの耳元で囁いているのではないかと。
77名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 15:51:52 ID:RTSQMrpS
>>1
ウリナラが世界に誇る韓医学 マンセー<丶`∀´>ニダ!!

ソースは韓国歴史大河ドラマ<丶`∀´>ニダ!!

韓方 チャングム の検索結果
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E9%9F%93%E6%96%B9%E3%80%80%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A0&lr=

 
【韓国/中国】漢方を「韓医学」で世界遺産申請 中国で猛反発★3 [10/13]
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1160748390/

漢方が韓国によって「韓医学」で世界遺産申請される、中国「強盗に遭った気持だ」
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/dqnplus/1160729715/

スキあらば?…韓国、漢方を「韓医学」で世界遺産に申請
http://news20.2ch.net/test/read.cgi/news/1160742741/

韓国、漢方を「韓医学」で世界遺産に申請
http://academy4.2ch.net/test/read.cgi/china/1160757541/

【医学】スキあらば?…韓国、漢方を「韓医学」で世界遺産に申請 [10/13]
http://live14.2ch.net/test/read.cgi/wildplus/1160718043/

 
78名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 14:28:07 ID:8e6yfpnH
>>75 第46話「医局長の遺書」で、
牢から解放されたミンジョンホとチャングムとのシーン
79名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 23:11:01 ID:8dJ53pVz
ある日、チャングムは皇后と密会していた。

長今「どんな理由であれ、そのようなことはできませぬ…私にはできませぬ」
皇后「それが私の頼みでも?」
長今「はい」

皇后「お前を生かした私であっても?」
長今「はい」

皇后「お前の命を握っている私であっても?」
長今「はい。私の命は差し上げられても、私の【体】は差し上げることができません。ですから、私の命を差し上げます」

皇后「お前を失いたくないと言ったであろう?いいわ。それでは側にいなさい。それくらいはできるであろう?」

退出し、衝撃覚めやらぬチャングムがヨンセンの部屋に行くと、中宗が待っていた。
中宗「命を絶たれてまでもできぬと申した事とは何だ?答えるのだ!
答えぬのならお前は王を欺いた罪に問われるぞ。
お前と皇后の【関係】を知っているゆえ、余にも思い当たるふしがある。言え……皇后を連れて参ろうか?」

長今「殿下!お答えできませぬ!私を殺して下さい!」
80名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 00:17:50 ID:63GHGLJS
>>79
【心】を差し上げたのか?
81名無しさん:2006/10/24(火) 22:47:04 ID:VUXfDR8y
チャングムとチョンホキボン
82名無しさん@ピンキー:2006/11/01(水) 05:58:17 ID:hBFSeQ52
ほしゅ
83名無しさん@ピンキー:2006/11/02(木) 10:29:39 ID:XHzrFJ74
脱いだ医女希望カン・ウォンジュさんですかな?
84名無しさん@ピンキー:2006/11/05(日) 23:22:35 ID:ZmEEo12a
過疎っちゃイヤ〜ン!!
85名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 22:42:54 ID:G03+SEqg
あとちょっとで最終回ですね
86名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 01:10:45 ID:g+65RJoa
誰かチェ尚宮×ハン尚宮もの書いてくれ〜!皇后×チャングムとか。
87名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 21:12:11 ID:uyblCSa5
皇后の間の職人さん光臨キボン
88名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 22:59:24 ID:VkeK0SEs
チェ×ハンかぁ!!いいねえ〜〜〜ww
89名無しさん@ピンキー:2006/11/08(水) 00:13:43 ID:UEuz2Wcv
いや、ハン×チェで頼む!w
90名無しさん@ピンキー:2006/11/08(水) 01:36:51 ID:eoYbTJct
チェ×ハンでもハン×チェでもどっちでもおk!
とにかくチェ尚宮とハン尚宮の絡みがみれたらそれでいいw
個人的にチェ×ハンがいいがw
皇后×チャングムもキボンw
91名無しさん@ピンキー:2006/11/09(木) 22:25:54 ID:fJIQEH4h
神きてくれ〜〜〜〜!!!!(T-T)
92名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 03:35:49 ID:VU7HFj1y
皇后×チャングムネタを書いてみました。
初めて小説なんて書いたのでうまく書けてるかわかりません(x_x;)

ジャンル:百合
内容:本編の39話のワンシーンを少しいじってみました。
微エロ(?)なとこもあります。
93名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 03:37:43 ID:BYPZmFL5
まってました! 遠慮せずガンガン行ってください。
94名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 03:46:50 ID:VU7HFj1y
皇后×チャングム

No.1

ある日の夜
医女・チャングムは皇后に呼ばれた。

『女官時代に作ってくれた野苺の砂糖漬けを食べたいから今夜野苺の砂糖漬けを持って皇后殿に来ておくれ』と。

そしてチャングムは野苺の砂糖漬けを持って皇后殿へ向かった。

『チャングム。』

『皇后様、野苺の砂糖漬けをお持ちいたしました。しばらく料理から離れていたので同じ味なのかは自信はございませんが…』

そう言ってチャングムは皇后へ野苺の砂糖漬けを差し出した。

皇后は野苺の砂糖漬けを口へ運んだ。
『うん、美味じゃ
あの頃と同じ味だ
しばらく料理から離れていたのに料理の腕は落ちておらぬな』

『有り難きお言葉です皇后様』

そう言ってチャングムの作った野苺の砂糖漬けを美味しそうに口に運ぶ皇后。

『そちも食べるか?』
『いえ…そんな…』
『近う寄れ』

そう言ってチャングムを自分の近くに引き寄せた。
『もっと…』
チャングムは皇后に肩を引き寄せられた。

皇后は楊枝に刺さっている野苺1粒引き抜きつまんで
チャングムの口元へ運ばせようとした。
『チャングム口をお開け』
チャングムは皇后の持つ野苺を口へ運ばされ、チャングムは野苺を口に含んだ。
95名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 03:50:22 ID:VU7HFj1y
皇后×チャングム

NO.2


『美味か?』
チャングムは少し動揺しながら
『は…はい…皇后様』
と答えた。

皇后はもう一度
楊枝に刺さった野苺を1粒引き抜き
チャングムの口元へ運ばせた。
チャングムももう一度野苺を口に含んだ。

『チャングム…私の指についた野苺の汁をお舐め』

チャングムは動揺したが
チャングムは皇后の爪を甘く咬んで
皇后の野苺の果汁の付いた指先を口に含み
口で一通り舐った。

『そちはいやらしい舐めかたをするな…
その上目使いもそそるな…可愛いな』

そう言って皇后は妖しく微笑んだ。
皇后は人差し指でチャングムの顎をくっと持ち上げ、
親指はチャングムの唇に置き
皇后はチャングムに口づけをした。

『ん……ん……っ』

皇后とチャングムは
口の中で舌を絡ませ合った。
チャングムは口づけを重ねていくごとに
吐息が熱く荒くなっていくのがわかる。
そして皇后の熱い舌も自分の舌で感じる。
しばらく口づけを交わし唇を離した。
チャングムの唇から
皇后と絡ませた唾液が糸を引いた。

チャングムは動揺していた。
『…皇后様…何故いきなり…このような事を?』
96名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 03:57:32 ID:VU7HFj1y
皇后×チャングム


NO.3

『…信頼してる人間であるしそちは…私の愛しい女子(おなご)である…』
チャングムは自分の耳を疑った。


―私を事を愛しい女子…??


『…は?』
『最初見かけたときから私の目に止まっていた。
綺麗な顔、透き通った白い肌、
そちのまっすぐ直向きな瞳、
そちの志に惚れている。
ずっとそちを私のものにしたいと思っていた。』


唐突に自分の事を慕っていると告げれたことと先ほどの接吻したことでチャングムは動揺して何が何だかわからなくなり
暫く冷静に物事を判断できずにいた。

『…私の傍にいておくれチャングム
チャングムの心が欲しい…』

『医女としてお傍にいることはできても…
それは…できません…』

『何故?』

皇后は少し眉間にシワを寄せて言った。

『皇后様に私の命を差し上げることはできても心まで差し上げることはできません…』

『命を差し出しても心は差し上げることはできぬとな?』

『はい…』

チャングムの心の中には今も亡きハン尚宮がいる。
チャングムとハン尚宮は互いを慕いあっていたのだ。
チャングムはいまも亡きハン尚宮を愛しているのだ。

『そちを失いたくないと言っているであろう…?』
97名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 04:02:15 ID:VU7HFj1y
皇后×チャングム


NO.4


『…できません…』

『なら私付きの尚宮になっておくれ…
私はそちと一緒にいたい…
心は欲しくとも愛しい人間の命など欲しくない』


暫く沈黙が続いた。
沈黙の中、チャングムは時が過ぎるのがこんなにも遅いのかと思っていた。


『皇后様、よろしいでしょうか?』


―この声は女官時代同期であり今や最高尚宮となったクミョンの声だった。

『…入りなさい』
皇后は渋々と言った。

『それではまた何かあったらお呼びください
失礼致します』

チャングムはこの場から去ろうとした。

『チャングム…!』

皇后はチャングムの腕を強く掴んだ。

暫くチャングムと皇后は目を合わせていた。

『申し訳ございません皇后様。皇后様のお気持ちに答えられそうにありません…
恐れながら申しあげます…皇后様
私にも慕っているお方がいます…
………失礼致します』

チャングムは自分の心に嘘はつけなかった。
自分の腕を強く掴む皇后の手を優しくほどいた。

チャングムは皇后殿を後にした。

皇后はただその場に立ち尽くすだけだった。
98名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 04:06:03 ID:VU7HFj1y
皇后×チャングム


NO.5


夜食を持ってきたクミョンに皇后は
『…すまないが…そちの作った料理を食べられそうにない…
食べる気分にはなれないのだ…
本当にすまぬ…』

『しかし皇后様…』

『…料理を下げろと言っているではないか!…一人にしておくれ…!』

いつも柔らかな気品を持つ皇后が珍しく声を荒らげた。

『……かしこまりました………』

料理を下げ、クミョンも皇后殿を後にした。


『チャングム…どうしたら…
そちの心を私に向けてくれるのだ…?

ああ…どうしたら…


愛している…チャングム…』


皇后は小さく呟いた。


―皇后の欲しいものは手に入れることはできないとわかっていても皇后は一人の愛しい女に恋焦がれてやまないのだった。


■皇后×チャングム・終


※初めて書いたので本当に自信がないです。
皇后様の片想いという話にさせていただきました。
99名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 18:32:36 ID:VU7HFj1y
NO.3の間違いを見つけましたので訂正させていただきます;;

チャングムの台詞で
『―私を事を〜』
となっていますが
正しくは
『―私の事を〜』です。
すいませんでした。
100名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 23:12:14 ID:yAUZkt9o
最高です〜ww
皇后様・・・イイ

その勢いでチェ×ハンも書いてくださいwwww