【涼宮ハルヒ】谷川流 the 22章【学校を出よう!】

このエントリーをはてなブックマークに追加
1前スレ806
谷川流スレッド設立に伴う所信表明

我がスレッドでは、谷川流作品のSSを広く募集しています。
過去にエロいSSを書いたことがある人
今現在、とても萌え萌えなSSを書いている人
遠からず、すばらしいSSを書く予定がある人
そういう人が居たら、このスレッドに書き込むと良いです。
たちどころにレスがつくでしょう。
ただし、他の作品のSSでは駄目です。
谷川流作品じゃないといけません。注意してください。

@前スレ
【涼宮ハルヒ】谷川流 the 20章【学校を出よう!】 (実質21、だったかな)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1152859611/
@過去ログ
http://www9.atwiki.jp/eroparo/pages/210.html

@これまでに投下されたSSの保管場所
2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.gozaru.jp/

涼宮ハルヒのSS保管庫 予備
http://haluhi9000.h.fc2.com/
2名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 23:55:47 ID:1P5UdURS
今気づいた、かなり昔から次スレあったのかorz
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1152859770
3名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 01:02:31 ID:O35I47t+
Q批評とか感想とか書きたいんだけど?
A自由だが、叩きは幼馴染が照れ隠しで怒るように頼む。

Q煽られたんだけど?
Aそこは閉鎖空間です。 普通の人なら気にしません。

Q見たいキャラのSSが無いんだけど。
A無ければ自分で作ればいいのよ!

Q俺、文才無いんだけど…
A文才なんて関係ない。必要なのは妄想の力だけ… あとは思うままに書いて…

Q読んでたら苦手なジャンルだったんだけど…
Aあうう… 読み飛ばしてください。 作者さんも怪しいジャンルの場合は前もって宣言お願いしまぁす。

Q保管庫のどれがオススメ?
Aそれは自分できめるっさ! 良いも悪いも読まないと分からないにょろよ。

Q自分で作れないから手っ取り早く書いてくれ。
Aうん、それ無理。 職人さんにも色々あるのよ。

Q 投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの?
A 拒否しない場合は基本的に収納される。 これは僕にとっても規定事項だ。
4名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 01:05:52 ID:O35I47t+
※このスレは23スレ目です。
前スレは
【涼宮ハルヒ】谷川流 the20章【学校を出よう!】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1152859770/
↑このスレを使い切ってから、こちらのスレに書き込んでください

なお、このスレが終わった際、立てるスレ番号は
「24章」
です
5名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 01:22:56 ID:bz7iSiDa
>>1
重複しちゃったもんはしょうがないが、せめてテンプレ書いていけ

>>3
テンプレと誘導乙
6名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 01:25:37 ID:k0aRtTM0
馬鹿しかいねえな、ハルヒスレって。
71:2006/07/24(月) 01:35:37 ID:kiMSv1pf
>>3-6
本当に申し訳ない
8名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 01:42:30 ID:E9LuVsCE
集中投下でゴタゴタしてたから仕方ないよ
9名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 02:08:09 ID:0yuFYG88
まーた重複スレかよ…いったい何個立てれば…
死ねよ>>1
10名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 13:21:39 ID:P0ejCXnD
下らないSSばっか書いてるからスレ立ても満足にできないんだよ
氏ね
11名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 00:03:00 ID:Zbd5Lp0Z
※このスレは23スレ目です。
前スレは
【涼宮ハルヒ】谷川流 the20章【学校を出よう!】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1152859770/
↑このスレを使い切ってから、こちらのスレに書き込んでください

なお、このスレが終わった際、立てるスレ番号は
「24章」
です
12名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 00:03:45 ID:Zbd5Lp0Z
※このスレは23スレ目です。
前スレは
【涼宮ハルヒ】谷川流 the20章【学校を出よう!】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1152859770/
↑このスレを使い切ってから、こちらのスレに書き込んでください

なお、このスレが終わった際、立てるスレ番号は
「24章」
です
13名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 00:05:33 ID:pqdgrZ4p
Q批評とか感想とか書きたいんだけど?
A自由だが、叩きは幼馴染が照れ隠しで怒るように頼む。

Q煽られたんだけど?
Aそこは閉鎖空間です。 普通の人なら気にしません。

Q見たいキャラのSSが無いんだけど。
A無ければ自分で作ればいいのよ!

Q俺、文才無いんだけど…
A文才なんて関係ない。必要なのは妄想の力だけ… あとは思うままに書いて…

Q読んでたら苦手なジャンルだったんだけど…
Aあうう… 読み飛ばしてください。 作者さんも怪しいジャンルの場合は前もって宣言お願いしまぁす。

Q保管庫のどれがオススメ?
Aそれは自分できめるっさ! 良いも悪いも読まないと分からないにょろよ。

Q自分で作れないから手っ取り早く書いてくれ。
Aうん、それ無理。 職人さんにも色々あるのよ。

Q 投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの?
A 拒否しない場合は基本的に収納される。 これは僕にとっても規定事項だ。


14名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 00:06:11 ID:pqdgrZ4p
Q批評とか感想とか書きたいんだけど?
A自由だが、叩きは幼馴染が照れ隠しで怒るように頼む。

Q煽られたんだけど?
Aそこは閉鎖空間です。 普通の人なら気にしません。

Q見たいキャラのSSが無いんだけど。
A無ければ自分で作ればいいのよ!

Q俺、文才無いんだけど…
A文才なんて関係ない。必要なのは妄想の力だけ… あとは思うままに書いて…

Q読んでたら苦手なジャンルだったんだけど…
Aあうう… 読み飛ばしてください。 作者さんも怪しいジャンルの場合は前もって宣言お願いしまぁす。

Q保管庫のどれがオススメ?
Aそれは自分できめるっさ! 良いも悪いも読まないと分からないにょろよ。

Q自分で作れないから手っ取り早く書いてくれ。
Aうん、それ無理。 職人さんにも色々あるのよ。

Q 投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの?
A 拒否しない場合は基本的に収納される。 これは僕にとっても規定事項だ。


15名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 00:06:50 ID:Zbd5Lp0Z
Q批評とか感想とか書きたいんだけど?
A自由だが、叩きは幼馴染が照れ隠しで怒るように頼む。

Q煽られたんだけど?
Aそこは閉鎖空間です。 普通の人なら気にしません。

Q見たいキャラのSSが無いんだけど。
A無ければ自分で作ればいいのよ!

Q俺、文才無いんだけど…
A文才なんて関係ない。必要なのは妄想の力だけ… あとは思うままに書いて…

Q読んでたら苦手なジャンルだったんだけど…
Aあうう… 読み飛ばしてください。 作者さんも怪しいジャンルの場合は前もって宣言お願いしまぁす。

Q保管庫のどれがオススメ?
Aそれは自分できめるっさ! 良いも悪いも読まないと分からないにょろよ。

Q自分で作れないから手っ取り早く書いてくれ。
Aうん、それ無理。 職人さんにも色々あるのよ。

Q 投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの?
A 拒否しない場合は基本的に収納される。 これは僕にとっても規定事項だ。


16名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 00:08:40 ID:Zbd5Lp0Z
a
17名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 00:09:42 ID:pqdgrZ4p
i
18名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 01:16:35 ID:RxIj+nVb
u
19名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 19:32:11 ID:947p9HdE
e
20名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 23:16:38 ID:rjhTYm1P
o
21名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 09:18:36 ID:VrPaA2yK
ka
22名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 10:57:19 ID:l8dEHh2u
ki
23名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 18:26:18 ID:AIWMWnc9
ko
24名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 19:15:54 ID:jGlRBAwb
mu
25名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 20:22:33 ID:Y2ocPEeH
yo?
26名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 16:51:28 ID:17EqcaDI
u
27名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 20:09:42 ID:fdzKh+Nj
de
28名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 20:22:29 ID:IJt4S0Lc
29名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 20:23:11 ID:IJt4S0Lc
m
o
n
30名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 20:28:49 ID:IJt4S0Lc
31名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 20:30:45 ID:IJt4S0Lc
32名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 20:58:15 ID:zfk9tjc0
誰だよ
33名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 21:03:49 ID:z6+8jqZe
ほら、軟式globeの
34名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 21:08:34 ID:mGWBX9tc
スレ荒らすな
アク禁すんぞ
35名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 21:10:42 ID:m/D7pmtM
いたた…アク禁だってw
36名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 21:44:21 ID:L0Eckk7X
いたたたた…小指ぶつけた
37名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 22:26:33 ID:QuqlbmyF
>>36
タンス|∀・)…ククク

小人さん
38ジョン・スミス:2006/07/29(土) 00:12:24 ID:XCFS1/fd
なんか重複スレがやけに多かったな。
 ややこしいよ。
39名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 07:22:27 ID:dH0tkgPL
>>38
だからコテを外せと何度も(ry
40名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 18:57:29 ID:GgqE5eMR
一度ageとくよ
41名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 19:31:27 ID:Xr1CNlnE
人気歌手ランキング

平野綾に投票しようぜ (現在58位)

http://www57.tok2.com/home/no1guy/cgi-bin/choice011/choice.cgi
42名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 19:51:51 ID:RIY56JW2
重複がある頃言おうと思ってたんだが俺ここをエロスレにして非エロスレもう一個
作ったほうがいいと思うんだ。くだらない議論が繰り広げられるのうざいし。
だからハルヒのヒエロコネタギャグスレたてようとおもうんだ
43名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 19:54:33 ID:pC0WOM9p
何でAAで埋める馬鹿や既出ループネタを出す馬鹿が後を絶たないんだろうなぁ
44名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:10:02 ID:S1V5V1Md
>>42
しかしそう分けてしまうと保管庫に移す管理人のめんどうが増えてしまう。
ここはエロパロスレなんだからエロでもいいし、パロディでもいい。
だからこのままのほうがいいと思われる。
4544:2006/07/29(土) 20:11:16 ID:S1V5V1Md
ああ、すまん。この今言っている事がくだらない議論なんだったな。
もう何も言わないようにするよ。申し訳ない
46名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:15:43 ID:RIY56JW2
過密が解消されて、かえってやりやすくなると思うんだ。だからたてようとおもう
47名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:16:49 ID:0uZLE6jE
やめとけ
48名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:17:35 ID:lNsup75r
立てよう立てよう
49名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:18:28 ID:RIY56JW2
じゃあいいよね?
50名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:21:44 ID:QCf0DLVl
議論をスルーするより二つのスレを梯子する方がマンドクセ
51名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:22:44 ID:ORud8UU0
>>49
せめてもうちょっとみんなの意見を聞いてからにした方がいい。
またそれが新しい火種になったりなんかしたら目も当てられないぞ。
52名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:23:21 ID:pC0WOM9p
荒らしたいだけなんだから、無視するが吉
53名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:24:59 ID:RIY56JW2
じゃあどう思うよ?
54名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:26:58 ID:d57PWTeG
別にそこまで過密はしてないだろ
55名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:27:13 ID:RIY56JW2
>>52何でもかんでも荒し扱いしないでくれよ・・・
56名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:27:57 ID:sruiw5mC
ところが一発SSが投下されると議論が無かったかのように収まるんだよな。
そういうわけで誰か書いて投下してください。
57名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:29:12 ID:5WcbD69b
くだらない議論が繰り広げてるのID:RIY56JW2だと思うが
58名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:32:00 ID:QCf0DLVl
別にさ、スレを良くしよう悪くしようという方向性なんか問題じゃなくて、
単純にその話題を出す事自体が荒らしスレスレな訳。今まで通りで良いでしょ普通に。
59名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:33:11 ID:hztShPTp
非エロスレを立てるにしても、エロパロ板には立てられない。
重複になるから。
したらばかピンクのなんでもあたりに立てるんだったらとめはしないけど。
60名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:34:01 ID:hztShPTp
ごめん、sage忘れ…
61名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:35:05 ID:RIY56JW2
ここをエロ化して差別化すれば重複にならないでしょ
62名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:36:42 ID:2XJJLHkC
ハルヒだけじゃなく、ラノベのエロパロって滅茶苦茶ボキャブラリーが豊富じゃないと書けないよな

要するに全ての作者さん乙
63名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:37:33 ID:ztU+KhXi
今までで何が不満なのかわからない
64名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:38:13 ID:RIY56JW2
非エロだかエロだかわかりにくいところ
65名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:38:31 ID:pC0WOM9p
だから相手すんなって。NGにでも指定して無視しとけよ
66名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:40:15 ID:POraTdp7
もうこの話題は終わり
以降荒らしと見なす
67名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:40:39 ID:RIY56JW2
>>65何でそうやって目の敵にするのかわからん
68名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:41:14 ID:ImzjIZNy
しいて不満をあげるなら、小ネタが多いということか?
残り少ないスレの埋めに使うくらいならいいけどさ
まだ要領がかなりあまってるうちから、連発するのはいかがなものかと
あとその小ネタを見て、もう少し考えれば普通のSSになるのにとも、たびたび思う
69名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:41:30 ID:Lme9iCBM
                 r_y'ニユ __
       ,. -- 、   f>:´_:_:_/´、 ―-、`丶、    た、ただのクレクレはゆるしましぇーん!
.     /    \f/:/´      \::.. \  ヽ   単発のID、馴れ合いするちゅうぼうも同じでーす!
   /       f/:/ / /_/\ 、  ヽ::::.. l  .l   この中に空気の読めない人がいるんなら、
  /    /  .::::::ヽ!::l_ | .! ,|≧、ヽl\:lzl  /   み、み、みくるビーム打っちゃいまーす!
  !   i  :::::::::r=/_}}. |、|/k::::l   'k:::l/          .    .  n∩∩∩
  |   |   :::::::::ゞイ|!|ヾゝ 弋zリ   , ヒソ⊂ニ-、              / / / / /
  |   |   ::::::::::::::|j|j:: |     ,.-―ォ   |:::::::::::::            / /_/_/_//
  |    j  ::::::::::::::::||::: !、   {   リ  ,ハ:::::::::::::|        r' (⌒ヽ  _  /
  /   /   :::::|:::::::::||::: ヘ!` 、` ー' .イ: ',::::::::::::::,. --、| |/_T′ \ ヽ   /
/   /   ::::_|:_:_:_:|ヽ::::.. ヽー-、_T´  !:::. ヘ.⌒/   `TY´ ヽ    _/
.    /     /    ̄ハ::::!、 |、:_:_n:_}<ヽ::::.. ヽ      /|〈      ,. '´
   /  _/-―      〉l/ | |  ノHヽ、L_ヽ:|ヽ|        | j ,.  '´
.  /  f´           〉 _」ノ≦、  __≧=r‐-、 /     | }'´
 /   ノ⌒ヽ      l  f´      `ヾ !  ` ̄ ヽ. __ノヾ!
./|  {`丶、__   \ |/_j::::....:::::::::::::::.......',:.   ......... ',::::::::::::::|::|
 l /`ヽ.__丶._    j'´::',::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}:::l::::::::,|::|
ヽ!/    >、}--‐ 'ヽ.__ヽ、::::::::::::::::::,__、:::::::::::::::::::,.イ::/!:::::/j;/
. /   /        ヽ::::::l` ー一'´|  l`ーr一'´ /' j/
〈    ヽ.         _|:::::!: : : : Oヽ,.イO::!‐┐
 ヽ.   ヽ      ::ノ::::::l : : : Oィ´ヽO/::::/
   \ r-ヘ/    f´::. `丶!: : : : :/   !:/ィ:/
70名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:43:33 ID:QCf0DLVl
目の仇も何も、現に「この議論は実になるものが無い」訳で
てか、お前がスレを分けようと話を持ち出してから既に数十レスがついてるんだが何か進展があったか?
この無駄な議論自体を指して「馬鹿な事やってる」と荒らされたら一体なんて反論できる?

もっと根本的な事を言うなら。多分スレの細分化に関しては皆「面倒臭い」って答える。
71名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:44:38 ID:RIY56JW2
コネタとかホントいらない。
72名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:48:00 ID:GgqE5eMR
なんで小ネタがダメなのかがまずわからん。
この議論が起きると職人様が投下控えるから辞めようぜ。
73名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:48:10 ID:RIY56JW2
>>70やっぱたててみないとわからないと思うんだ。結構便利だと思うんだけど
74名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:50:48 ID:x9nC2JCw
AAで埋め立てる荒らしID:CSqokGTR
我が儘を通したい荒らしID:RIY56JW2
75名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:50:58 ID:QCf0DLVl
>>73
あのな、「やってみなきゃわからない」って良い言葉じゃないぞ?
それ実はとんでもない無責任な言葉。やって、じゃあ悪い方向に転んだらどうすればいい?
「駄目だったね」で済まそうって訳じゃないよね、当然。
ここまで話を引っ張って大きくして、それで終わらせるなんて適当すぎる。

だからさぁ、現状維持で良いんだってば。
76名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:51:38 ID:hztShPTp
>>73
だから、立てたいならしたらばに立てろ。
差別化って、それ認められない。
ただの重複として処理されるから。

したらばにエロなしスレ立てて、
賛同者がいるならそっちに落とす人もいるだろうさ。
でも賛同者がいなかったとしても文句言うなよ。
77名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:51:39 ID:GgqE5eMR
今ん所別スレ立てる事に賛成してる奴はID:RIY56JW2と他に1人位しかいねぇじゃん。
やめとけ。
78名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:53:05 ID:RIY56JW2
別にだめでもたいしたことにならんでしょ?
79名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:54:08 ID:5WcbD69b
>>78
荒らし確定
80名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:54:32 ID:qHPHCFnS
いいかげんにしなさいよね!ばかぁ!
81名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:54:46 ID:snC1lnNs
一人が我が儘言ってるだけか……
82名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:55:51 ID:QCf0DLVl
>>78
このスレの>>1-40を見たか?重複ってだけでここまで荒れるのに、
そんな曖昧で漠然とした態度で立てたスレなんて目も当てられんよ。
最悪、それを口実に両スレとも荒れるという可能性だって否定できない。
それを尚「大した事ない」と言い切れるのなら話は別だが。
83名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:56:52 ID:GgqE5eMR
>>78
そこが糞スレ化して荒しがでてきたりしたら迷惑極まり無い。
84名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:58:35 ID:RIY56JW2
それもそうだな。やめておこう
85名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:59:18 ID:ORud8UU0
じゃ、結論としては「別スレなんて超いらねー」って事で。

>>69
流石は朝比奈さん、大陸間弾道おっぱいミサイルでも発射できそうなステキIDですね。
86名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:11:34 ID:+mcfCgE6
■ ピンクちゃんねる(bbspink)は閉鎖 !?
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erobbs/1154154630/
87名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:19:39 ID:+yGmLiGC

どうもこんにちわ。
SOS団副団長の古泉一樹です。

突然ですが、最近皆さんに疎まれているような気がします。
誰にですって?SOS団の方々と、教室のクラスメイト、そして『機関』にですよ。


『古泉くんの憂鬱』



始まりは、一週間前からでした。
涼宮さんの精神に変化が生じたのを感じたのです。
それは閉鎖空間を発生させるようなものではありませんでした。
監視員の報告によれば彼との接触中に発生したようです。
内容は告げられませんでしたが、また喧嘩でもしたのでしょう。全く、素直じゃありませんね。

直後に『機関』から連絡がございまして。
「古泉、あなたには一週間の間帰還することを禁じます」
そう、一方的に電話を切られたのです。
愕然としましたね。あの場に彼がいなくて本当に良かったです。何と言われていたか。

そして翌朝のこと。
SOS団の方々が私に対して妙な距離感を取っていたのです。
朝比奈みくるさんは非常によそよそしい笑顔。
長門有希さんは私と全く視線を合わせてくれませんし、
涼宮さんに関しては反則ですが、心の揺らぎが読めてしまいますので。ええ、ハッキリと。

拒否されている、とわかりました。
正直これにも大きな衝撃を受けましたね。
いえ、ひょっとしたら『機関』のとき以上の悲しみだったかもしれません。
顔に出すことはなかったはずなのですが。



私の居場所は力を得たあの瞬間、『機関』にしか存在しなくなっていました。
あのときの孤独感、不安、恐怖、寂しさは忘れることができないでしょう。
あれから3年の月日を迎え、私の心にはもうひとつの居場所が生まれていたのです。
ですが、それは全て勘違いだったのでしょうか?
私には、あの苦しみしか残っていなかったのでしょうか?
88名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:21:26 ID:Lme9iCBM
オチは古泉へのサプライズと見た
89名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:22:08 ID:+yGmLiGC

そして今日。
私は教室のクラスメイトたちを一眺し、気付きました。
私はどんな顔をしていたのか自分で全くわかりせんでしたが、
やはり笑っていたのかもしれませんね。ピエロのように。

廊下で鶴屋さんと出会いましたが、私はどんな顔をしていたのでしょう?


放課後。
私はSOS団という活動を蚊帳の外で眺めていました。
こうして改めてみるとよく分かるものです。彼へと送られる視線が。

決して叶えられないことを知りながら、願わずにはいられぬ真摯な眼差し。
かつてない感情に満たされることを望んでいる、無垢な眼差し。
秘めた思いを全力で込めた、愛する者への眼差し。
その全ては、あなたに向けられている。

正直、嫉妬していますよ。



放課後、彼に呼び止められました。
後でお会いしたい、と。

「・・・遅かったな。こっちだ」
いつもの駅前で待ち合わせした私たちは、静かに歩き始めました。

無言。
彼がたまらず口を開く。
「・・・最近の涼宮はどうなんだ?」
「安定していますよ。ずっと・・・ね」
嘘をついた。
そうか、とつぶやいた彼。
秘めていた感情がふつふつと沸き立つのを感じる。
気付いたとき、私は皮肉を込めた本心を喋っていた。
「以前にも言いましたが、あなには正直嫉妬していますよ。涼宮さんとあなたの、深い繋がりをね」
彼はこういった話には耳を貸さない。
わかってはいるのですが、つい口に出てしまうのです。
涼宮さんがあなたに、あなたが涼宮さんに送る眼差しを見ているとね。
「朝比奈さんや、長門さんに対してもそうです。あなたは強い信頼を勝ち得ている」
あなたが羨ましいです。ホント。

「・・・お前はどうなんだ?」
「・・・」
言葉が出なかった。
「何を考えてるのか知らんが、お前の思い込みだ。
 俺もお前もハルヒにとってただのSOS団の一員で、それ以上のものは何も」
「っそんなはずはありません!」
歩みを止める。彼も私に振り向き、驚いている。
「涼宮さんにとって、あなたはその程度のはずはありません」
私とあなたが彼女にとって同じ価値なはずが
「ありえません」
ない。
90名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:22:38 ID:A0ygW0sP
sage!sage!
91名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:23:54 ID:+yGmLiGC
「あなたと出会うまでの涼宮さんは、今のように心を安定させることはありませんでした」
あなたが傍にいることで不安定にさせてしまうこともありましたが。
「あなたがいなければ、彼女はあのように笑うことはなかったでしょう」
彼はただ黙って聞いていました。
「あなたの代わりになれるものなど、誰もいません」
「僕がいなくても」

この言葉を吐くまでは。




ドサッ。

気付いたとき、私は殴り倒されていました。彼に。
私とて『機関』の一員。それなりの訓練は受けていたのですが。
それほどまでに動揺していたのでしょうか。

「・・・」
仁王立ちのまま私を睨んでいる。
「・・・」
返す言葉が無い。
何と、自分らしくない。
私はきっと、笑顔を忘れていたでしょう。



「行くぞ」
ポツリと、振り向き際に言い捨てながら歩き去っていく彼。

立ち上がることもできず、呆然と遠ざかる様子を見つめていた私は、
沈黙を破るメロディーがどこから流れたのか気付くのに、時間がかかってしまいました。

携帯を開くと、宛名不明のメール。
何の感慨もなく文章に目を。
92名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:24:48 ID:+yGmLiGC
『23:47 鶴屋』

『やっほーっ。鶴にゃんだよっ♪

 お昼はめがっさおっ疲れだったねっ!

 お姉さん心配で、ついつい古泉くんのクラスメイトに

 アドレス聞いてメールを送っちゃったさっ!


 多分今のままの古泉くんじゃあ、めがっさめがっさ

 アリガタすぎてハートがおっつかないだろうから

 みんなには悪いけど、お姉さんが先にネタ晴らししちゃうにょろっ!

 ごめんねっ!



 お誕生日 おめでとうっ!!』




・・・。

どれくらいそうしていたでしょうか。

メロディー。

『00:00 中村』

『00:00 佐藤』

メロディー。

『00:01 稲垣』

メロディー。

『00:03 須々木』

メロディー。

メロディー。



いつの間にか、私は声を上げて笑っていました。
顔も笑っていたのか、泣いていたのか。
作りものでないことは確かなのですが。

本当に、
私はどうかしていたんでしょう。
今自分の座っている場所が、
北高の通学路なことに気付かないだなんて。
93名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:25:21 ID:+yGmLiGC
・・・さて。行かなくては。
恐らくあの縁起を担ぎたがる団長殿は、
零時の鐘ちょうどに私を祝えなかったことでご立腹でしょうから。
今度の週末は、私が奢らせて頂かなくてはね。

その後はその後で、常に笑顔の割に
ぶっきらぼうなあの女性のおもてなしを受けなければいけませんしね。
新川さんの特製ケーキも今から楽しみです。

忙しい一日になりそうだ。


だけど、これだけは譲れませんね。
涼宮さんはあなたがいたから笑顔でいられるのです。
94名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:27:40 ID:+yGmLiGC
ううむ。即答でバレちゃいまたねー。やっぱし。
でも古泉スキーなので自己満足ですw

文章の区切り方もまちまちと反省しまくり。失礼しましたっ!
95名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:28:32 ID:M0lmdTVV
>>94
非常によかった。後、sageてくれ。
96名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:31:33 ID:RjCpDbjh
キョンってこんな熱血野郎だっけ?
97名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:33:10 ID:xDYg2KH7
あのタイミングで古泉にキレるのはありでしょ。
98名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:34:13 ID:5jSRK/de
>>69のICBMに驚きを隠せない
99名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:35:47 ID:A0ygW0sP
>>95が先に言ったからこれ以上の追求はなしにする

古泉は大体こんな感じなんだろうな
オチが分かってしまうのは仕方ないとして、中々よかったGJ
100名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:36:25 ID:Lme9iCBM
ウォーカーギャリア…
101名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:43:32 ID:+yGmLiGC
sageるの意味さえよく知ってませんでしたm(_ _;)m
うむむ。ど素人丸ダシ。本当に反省。礼儀も筆力も勉強してきます

自分のなかではキョンと古泉はきっとエロ本交換し合うぐらいの熱い男の繋がりがw
102名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:45:49 ID:5guQUECy
メール欄にsageと入れてくれ
それさえすれば、完璧。
SSもGJだしな
103名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:46:04 ID:EtN7z1uW
話自体は面白かったが…

腐女子はもう少し臭いを消してくれ。
104名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:58:45 ID:GgqE5eMR
>>103にハゲド
ってかSSを投下してる途中にレスを挟むのは余りよろしくないとオモ
105名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 22:00:39 ID:A0ygW0sP
>>104 すまん、注意は早いほうがいいと思ったんだが余計だったな
106名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 22:04:42 ID:tp632d9P
>>105
「sage」のことじゃなくて
オチを先読みしたヤツのことじゃないの?

それ以外にも、前スレあたりからやけに投下中に不必要な割り込みが
増えてきてウザイのは事実。
107名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 22:07:45 ID:x5sznIPr
そうだね。職人が投下を宣言したら、せめてそれが終わるまでは待つべきだな。
108名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 22:16:16 ID:5WepYk2w
先読みできるほど不出来ってこと。こういうのは801でやってくれ。
109104:2006/07/29(土) 22:18:41 ID:GgqE5eMR
>>106
そういう事
まぁsageの注意位ならむしろOKじゃね?
ってかテンプレにもっと色々注意事項かいといた方がいいんかね。
110名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 22:21:25 ID:uQbEZpUS
sageないやつぁテンプレなぞ読まん気がするが
111名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 22:22:05 ID:5WepYk2w
ぐちゃぐちゃ書くとますますよまない
112名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 22:39:25 ID:GgqE5eMR
投下してくれるのはいいがsageない以前にsageを知らない奴が最近多くね?
>>108
だからといって作品の間にレスつけるのは書いてる方に失礼な希ガス
113名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 22:47:05 ID:5WepYk2w
>>112客に答え言われるキクゾウ師匠みたいなもんじゃん
114名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 22:51:41 ID:5guQUECy
>>113
それちょっと違うwww
115名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 22:55:24 ID:GgqE5eMR
>>113
それは奴のキャラだからであってそれとはまた別の話だろw
116名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 23:17:09 ID:+mcfCgE6
誰かぶったぎる投下頼む
117名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 23:58:17 ID:RwSEEuUX
こっそりと投下開始。
118恋心:2006/07/29(土) 23:59:09 ID:RwSEEuUX
それは、十二月も暮れの放課後、いつものように、谷口と国木田の二人を相手に帰り道どこに寄ろうかと顔を突き合わせていた時だった。
「ねえ、これ読んで欲しいの」
 そう言って淡いブルーの封筒を、俺に渡してきたのは朝倉涼子だった。
 どういうことだ?渡した本人はやたらと楽しそうである。
「朝倉!思い直せ。人生はまだ終わっちゃいないぞ」
 非常に失礼なことを口走る谷口を無視して、朝倉に問いかける。
「わたしじゃないわよ。」
 そりゃ良かった。どういうわけか、こいつのことが苦手な俺は失礼ながら、本気で安心した。じゃあ、誰で、なんだ?
「私の友達。あなたに渡して欲しいって」
ええと、つまり、なんだ?
「だから、あなた宛のラブレターよ」
…………!
 谷口がなにか喚いているが、そんなことより目の前のそれである。淡いブルーの封筒を星型のシールでとめてある。表にも裏にも何も書かれていない。そうか、本物のラブレターというものは、ピンクでもハートでもないのか、ひとつ学習した。
「ちょっと、こんなところで開けるの?」
 朝倉の非難する声は聞こえない。封筒が破れないように慎重に開封する。白にブルーのラインの便箋が几帳面に折りたたまれていた。それをゆっくりと開く。
 …………?
「どうしたの?」
 俺が狐につままれたような顔をしているのを見て、朝倉が後ろから覗き込んだ。
『放課後、文芸部室にて』
ただ、これだけが、きれいな楷書体で書かれていた。あんまりにもシンプルすぎやしませんか?
騙されたのではないかと、朝倉を睨むが、当の本人は頭を抱えていた。
「なんで、手紙でも口下手なのよ」
119恋心:2006/07/30(日) 00:01:33 ID:RwSEEuUX
おーい、朝倉さん?
「まあ、書いて渡そうとしただけでも良しとしましょう。というわけだから、行ってくれる?」
 なにが、というわけか良くわからないが別にかまわないぞ。どうせ、こいつらとゲームセンターに寄るくらいしか用事はないからな。



文芸部室に向かいながら、改めて件の手紙を読み返す。
朝倉は、これがラブレターであると言った。
しかし、あまりにもシンプルすぎるのではないだろうか?普通、ラブレターと言ったら、『あなたのことが、以前から、中略、もしよろしければ放課後以下略』、というものではないだろうか?
そう、きっと、これは文芸部員、(仮にAとする)が俺に用事があって書いた手紙に違いない。その娘には他意は無かったのに、朝倉が勝手に盛り上がっていただけに違いない。
しかし、何かの用事の呼び出しにしては丁寧過ぎないだろうか。
何か用事があるなら直接俺に言えばいいはずだし、それが無理なら、朝倉に言伝を頼めばいいだろう。それなのに、このような手紙を用意したということは、重要な用件ではないだろうか?
そう、例えば告白とか…。
疑問符や、逆説の接続詞を多用しすぎて、文章にしたら読みにくいことこの上ないだろう、混乱した思考のまま、文芸部室の扉を叩いた。
人の気配はするが返事は無い。六回目のノックの後、扉を開いた。

そこには、彼女がいた。
伏せていた顔を上げ、視線が俺と交わった。

それまでの思考のすべてが白紙に戻り、意識が宇宙の彼方まで飛んでいく。
思わず口から彼女の名前がこぼれた。
「長門有希」
120恋心:2006/07/30(日) 00:02:18 ID:RwSEEuUX
「え?」
彼女の瞳に疑問が浮かぶ。
 そりゃそうだ。クラスも違って、面識もほとんど無い男子に、いきなり名前を呼ばれたら面食らうに違いない。まるでストーカーだ。
 慌てた俺は、さらに、ストーカー確定なセリフを口走った。
「いや、五月に図書館でカード作っただろ?そのときに……!」
 アホ、アホ、俺のアホ。住所から何まで書いているのを、横から覗いていましたと告白してどうする。
 しかし、彼女は予想外の反応を示した。
「覚えていてくれた」
 そう言って彼女は微笑んだ。
 そう、この笑顔だ。俺は、彼女の月夜に咲く花みたいな笑顔にやられたんだ。



その日、俺には悩み事があった。といっても、たいしたことじゃない。
数日前、部屋を片付けていたら、中学のときに、図書館で借りていた本を見つけたのである。確か、冬休みの課題図書だったと思う。よくもまあ、これまで延滞の連絡が来なかったものである。
で、週末になって、返しに行く時間ができたのだが、面倒くさくなってきたのだ。なんで、この休みに図書館なんぞに行かねばならないのか。今まで、催促されなかったのだから、その連絡が来るまでほうっておいてもいいじゃないか。
だが、善良な小市民である俺は、さまざまな葛藤と戦った末、面倒な用事に対する一般的な結論を出した。
ギリギリまで粘って、家を出たのである。
着いた頃には、四時を回り、午後五時という税金泥棒と思わず叫びたくなる閉館時間まで、残り一時間を切っていた。
121恋心:2006/07/30(日) 00:02:57 ID:RwSEEuUX
着いた早々に用事を済ませ、せっかくなので、ブラブラと本棚の間を歩いて回った。普段来ないということで、物珍しさもあったものの、すぐに飽きて帰ることにした。
俺が彼女を見つけたのは、そのときである。
カウンターのあるスペースの片隅に、彼女はひとり、ぽつんと立ち尽くしていた。
まあ、下心が無かったといえばウソになる。これが、きっかけで何かが始まるんじゃないかって、身勝手な予感もあった。
だけど、ほうっておけなかったのだ。まるで生まれた途端に、雨の降る道端に捨てられた子猫みたいに途方にくれていた彼女のことを。

「どうしたんだ?」
 そう、声をかけると、彼女はゆるゆると顔を上げた。まるで、生まれて始めて声をかけられたかのような彼女は遠目で見たよりも、ずっと幼く見えた。
 彼女は抱きしめていた分厚いハードカバーを、俺に見せた。
「借りたいのか?だったら、そこのカウンターで………って、借り方が分からないのか?」
 彼女はかすかに肯く。
「この用紙にだな、必要事項を書き込んで…。学生証は持っているよな?」

彼女が書き込んでいる横で、立ち去ってもいいのに、なぜか残っていた俺は手持ち無沙汰で、彼女の用紙を横目で覗き見る。長門有希ね。
しかし、その判断は正しかった。控えめなのか、口下手なのか、長門有希はなかなか声を職員にかけられない。全部の手続きを、俺がすることになった。

なぜか、並んで図書館を出る。
長門有希は身を縮こませて、俯いている。声に出さなくたって、何を考えているか分かる。
『ごめんなさい』
そういう顔をさせるために、俺はこうしたんじゃないんだ。
「ああ、もう、なんだ」
122恋心:2006/07/30(日) 00:03:41 ID:RwSEEuUX
俺は髪をガシガシとかき混ぜる。
 突然の行動に、長門有希の体がびくりと跳ねた。
「驚かせて悪いな、でも、そんな顔しないでくれよ。俺が悪いみたいじゃないか」
 ますます、恐縮した長門有希は初めて声を出した。
「ごめんなさい」
 かすかな声。
 そんなか弱さが、俺にどう作用したのか分からないが、自分でも驚くような行動に出た。
 よく妹にそうするように、長門有希の頭に手を置いて、くしゃくしゃと髪をかき乱した。
「なあ、人に何かしてもらったときには、なんて言うんだ?ごめんなさいじゃないだろ?」
 あまり手入れされてない猫っ毛が、手のひらに心地よい。
 伏せていた視線があがり、俺の目を見て長門有希はこう言った。
「ありがとう」
 そして微笑む。

 その表情は、あまりにも無垢で、子供の見せるような純粋でむき出しな好意や謝意といった善意の表れで、その表情を俺と同じ年の女の子がしてるわけで、そして、それは俺に向けられているわけで。

結論―――俺は恋に落ちた。



 つづく
123恋心:2006/07/30(日) 00:04:47 ID:562AWQP8
マジですいません。
日曜日か月曜日のうちに上げると宣言して消えます。
124名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 00:22:19 ID:zSpmTiZu
続きを待っている。
125名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 00:47:26 ID:de1F40sW
静けさに抱かれながらまた今日も待っている
126名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 00:51:36 ID:4WmwuUr0
消失長門ハッピーストーリーですか?
でも消失長門は報われないからこそ、その言動が切なく儚く感じるんだよなあ。
でもこのままハッピーエンドになっても悪くはないし、長門スキーの俺からす
ればむしろそれを望んでいるくらいだが。
127名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:01:36 ID:j5YaFkoH
sagaってそんなに大事かな?俺はsageの方が大事だと思う。
あなたはどう思いますか?
128名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:07:39 ID:HbztWloT
>>127
そうか。

 こんなことくらいしか言えない自分がちょっと憂鬱だ
129名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:12:07 ID:0zRrU/0R
未だに脱衣オセロを引きずって悶々としてるのは俺だけでいい
130名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:15:01 ID:y2mdri+T
いや、俺もだ。
131名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:19:39 ID:L9493fdK
いまだに耳かきを待っているのは俺だけかな
132名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:21:14 ID:y2mdri+T
いや、俺もだ。
133名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:22:47 ID:eAkkya83
ポッキーも
134名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:23:38 ID:lXIOqFJk
ポッキー古泉編ってあったっけ?
135名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:38:25 ID:zSpmTiZu
ない。俺も待ってる、古泉編。
136名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:45:52 ID:THKlVx7a
おれポッキー読んだら結婚するんだ
137名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:47:07 ID:evyRxW1o
いや、俺もだ。
138名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:55:40 ID:0zRrU/0R
死亡フラグが立ってるやつがいるな
139名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 02:18:54 ID:Lx2r6tUM
この中にポッキー作者がいるかもしれないのに、一緒にいられるかよ!
俺は自分の部屋に戻る!
140名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 02:30:03 ID:Xfi2FCNQ
http://www.youtube.com/watch?v=ffa4dRadJL8&search=SOS%20GENERATION
某所でこれを見たんだが、これはなんなんでぃすか( ^ω^)・・・
141名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 02:38:19 ID:4WmwuUr0
>>140
今まで見た中では5本の指に入るクオリティの高さだな。
結構楽しませてもらった。
142名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 02:46:09 ID:a1SA0TgZ
つべはそれなりのスレでやれ
143名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 02:51:07 ID:mwaCslw2
すごく(鬱)です
ペットを飼っている人や、
動物が好きな人は見ない方がいいと思います。
続きを書いて良いのか悪いのかわかりません
投下します
144名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 02:52:43 ID:mwaCslw2
あれは、俺の選択だったんだ。
俺はそうなれば皆が…
いや
俺が救われると思ったんだ。
俺は、誰も彼も責められない。なら自分を責めるしかない。
それが、俺の選択なのだから…


「ねぇねぇキョン君シャミ知らない?」
ある夜遅く、妹が相も変わらず騒がしくしている。
「どうしたんだ?シャミセンならここには居ないぞ」
先程からシャミセンは部屋に現れてはいないな、と彼は考える。
「下にも上にも居ないの…」
「そうか…わかった、ちょっと外を見て来る。だから待ってろ」
妹の焦り具合を見て、彼は妹の頭を撫でながらそう言った。

彼はコートを羽織り、妹の心配を消す為、外の闇に向かう。
「おーい、シャミセーン」
まだ冬も明け切らない夜に吹く風は冷気を孕み、一切合切容赦無く彼に絡み付く。
「全く、こうゆう時こそ喋れよな。」
「しかし寒い、なんでこんな時に家出するんだ」
一人言を言いながら外を探していると携帯が鳴った。
ディスプレイに目を落とし、
「長門か…めずらしいな」
彼は通話ボタンを押した。
「よう、どうした?」
「涼宮ハルヒから伝言がある」
「なんだい?」
「彼女が体調を崩した為明日の集まりは休みになった」
彼は少しぶっきらぼうに答える。
「そうか、わかった」
「…どうしたの?」
「いや、なんでもないさ、ちょっと…な」
「貴方が困っているのなら、私は協力したい」
「いや、気にしないでくれ」
「…協力したい」
「わかったよ…じつはなシャミセンが家出したんだ」
「了解した、すぐに向かう」
「いや…すぐに見つかると思うぞ」
電話は切れて無機質な電子音を鳴らしている。

彼は捜索の半径を拡げた。
そうこうしていると再び携帯が音を発し、彼は通話ボタンを押していた。
145名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 02:54:08 ID:mwaCslw2
「何かあったのか?」
「…すぐに駅前に来て欲しい」
彼女が普段の声と違う事に彼はすぐに気付いた。
「駅前だな?わかった、すぐに行く」
彼は走った。
駅前に着くとすぐに彼女を見つけた、彼女の腕にはシャミセンがいた。
彼女は呟く。
「…ごめんなさい、私は間に合わなかった」「…何をいってるんだ?」
「…ごめんなさい」

彼は見る、彼女の腕にはシャミセンがいた。
彼の目には怪我をしていたり傷を負っているようには見えなかった。
ただ猫は動かなかった。
「き、傷や怪我なんて無いじゃないか」
「…怪我は私が治した」
「じゃあ大丈夫なんだよな?」
「…ごめんなさい、私は間に合わなかった…私には生命は修復出来ない」
「そんな事があるか」彼は動揺し怒鳴る。
「さっきまで…さっきまで動いていたんだ、生きていたんだ」
彼は知っていた、彼女の言葉は全てが正しい事を。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
彼女の瞳には涙が浮かんでいた。
「なんとも…できないのか?」
「…ごめんなさい、貴方が認識していたシャミセンは不可能」
「待て“俺が認識していた”と言う事は、違うシャミセンは何とか成るんだな?」
「さっきも言った通り、私には魂は創造できない…だが」
「だが、なんだ?」
「…彼にはもう一つ魂が有る」
「あのシリコン生命体か?」
「…そう、彼等を彼の魂として固着すれば」
「シャミセンは蘇るのか?」
「…彼で在った存在は蘇る、だがそれは彼では無い」

「それでも、貴方は望むの?」


146名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 02:55:54 ID:mwaCslw2
とりあえず終わりです
147名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 02:56:19 ID:ykFzwQxb
>146
オチてないじゃん?
148名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 02:56:44 ID:7k55K3PH
しりきれとんぼ
149名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 02:56:58 ID:y2mdri+T
ごくらくとんぼ
150名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 02:58:14 ID:7k55K3PH
たぶん最初のプロローグから考えて、
結局復活を望んだけどでもやっぱり(ry
みたいなことを言いたいんだろうけど、
全然伝わってこないというか、なんか構成を間違えている。
151名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 03:17:12 ID:evyRxW1o
>>143
大酷評だな。まあ、そういうネタだから風当たりが強いのはしょうがない。
152名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 03:18:18 ID:mwaCslw2
ごめんなさい
まだ続きがあるんですが、
猫でいっぱいいっぱいになり
本当にごめんなさい
153名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 03:30:04 ID:ykFzwQxb
>152
ハッピーエンドなら読みたいけどナー
154名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 03:31:38 ID:4WmwuUr0
作者が気持ちよく書いてくれたら無問題。
誰も嫌がるのを強要して書かせているわけじゃないんだし、
「欝だ」とか「ごめんなさい」とか言いながら投下するのは
止めてくれよ。こっちまで不快な気分になる。
155名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 03:33:01 ID:y2mdri+T
書いたら、謙遜とかせずに、ぽこんと排泄して、スタスタ去れば良いのですよ。
犬はうんこするときごめんなさいとかいわないよ。
156名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 03:40:12 ID:vSWdBaWe
>129
>130
オセロは書いてますー。明日(もう今日か)ぐらいにあがるかなぁ。
157名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 04:01:30 ID:THKlVx7a
>>152
悪意があるかないかはすぐ分かる。
君のは悪意がない。
だからおk
158名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 04:06:03 ID:vSWdBaWe
>>152
そうそう。
続きがあるなら出してしまうしか。
159名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 04:38:18 ID:JdAoAuey
>>152
シャミが登場した以上、恐らく避けて通れないお話。
出来ることならばやりきってほしいです。
どのような結末であれ、楽しみにしてます。頑張ッス!
160恋心:2006/07/30(日) 04:46:44 ID:c4i7ZtUV
この時間に投下するんだったら、まとめろよと俺に言いたい。
122の続き。
161恋心:2006/07/30(日) 04:47:22 ID:c4i7ZtUV
 それから今日までの話をしよう。
 
当日の、土曜日と、日曜日を悶々と過ごした俺は月曜日の学校で、さっそく長門有希の教室に向かおうとした。
 その途中、俺は我に返った。ちょっと待て。何をするつもりだ、俺よ?
「長門有希さん、一昨日、図書館であったね。覚えてるかい?僕は君に恋してしまったみたいなんだ。僕と付き合ってくれないかい?」
 とでも言うのか…。正気か?
 そもそも、土曜日、俺は彼女に何をした?
 図書カードを作った。(プラス1ポイント)、えらそうに説教した(マイナス1ポイント)、初対面の女の子の髪を触った(マイナス方面にプライスレス)。
 …………やっていることは、完璧に痴漢じゃないか。つい、妹や、その友達たちにやってるようにしてしまったが、俺と同じ年なんだぞ。
 母親にでも、図書館で痴漢に会ったぐらい言っているかもしれん。
 脳内でこめかみに、穴を開けるための小型火器を探している、俺を現実に返らせたのはかすかな驚きの声だった。
「あ」
長門有希だ。そういえば、俺は長門有希が北高の生徒だと知っていたが、彼女は知らないのだと、今更ながら、彼女の驚いた顔を見て気がついた。
長門有希は何か言いたげに口を動かしていたが、ついに言葉が出てくることは無かった。それから視線を伏せ、足早に来た道を戻っていった。
「あははは……は」
 長門有希の性格からすると、俺の社会的地位は守られそうだが、彼女の中での俺の地位は、黒光りする不完全変態の昆虫並みに低くなっていそうだ。
 せめて謝るだけでも。
 
162恋心:2006/07/30(日) 04:47:54 ID:c4i7ZtUV
謝罪のチャンスは何度もあった。
今まで意識していなかったのだが、俺と長門有希の校内における行動範囲と、行動時間は、かなり重なっているようなのだ。食堂で、教室移動の途中に、何度も俺たちは出会った。
その度に長門有希は視線を伏せて、足早に、俺の横を通り過ぎ、俺は声をかけようか、かけまいかと悩んだ末に挙動不審で終わる。
本当にストーカーみたいだから、食堂に行く時間などをずらしたりしてみたものの、彼女も同じことをしているのか、また、同じ時間の食堂で飯を食っていると言う事態になるのである。
それが今日まで続くのだ。



そうか、やっと腑に落ちた。
この手紙は呼び出し状なのだ。
半年間もあとを付け回すストーカー野朗(不本意だが、客観的に見れば言い訳はできない)と決着をつけ様としたのだ。
その勇気は買うがね、少しうかつじゃないかい?幸いにも俺は本物ではないが、本物のストーカーだったら何をするか分からないぞ。
友達の一人や二人、一緒にいてもらうべきじゃないか?個人的には朝倉なんかがお勧めだぞ。俺ぐらいなら、笑いながら、簡単に刺し殺しそうなイメージがある。
でも、これはいいチャンスだ。
半年間伝えられなかったことを伝えよう。
「すまんっ」
「え……?」
力いっぱい頭を下げる。
「図書館ではすまなかった。えらそうなことを言った挙句、勝手に髪を触ったりして。デリカシーが無かった。すまん」
「ちょっと…」
163恋心:2006/07/30(日) 04:48:25 ID:c4i7ZtUV
それに、あとをつけたみたいなことをして、悪かった。気味の悪い思いをしたんじゃないか?信じてもらえないだろうがあれは偶然なんだ。」
 言い訳ってものは、言えば言うほど真実から遠ざかると言う意味がよく分かる。
 恐る恐る顔を上げてみると、すごい勢いで首を振っている長門有希がいた。
すごい勢いといっても、普段の飛行船のようなゆるゆるとした動きの彼女と比べての話である。
「いやじゃなかった」
「えっ?」
「いやじゃなかった」
「なにが?」
かなり間抜けな質問をしている気がする。
「あなたに触られたこと」
 顔を真っ赤にして俯く。
「あとをつけていたのはわたし」
 どういうことだ?
「あなたに伝えたいことがあった」
ますます、顔を赤くする。
俺がつばを飲み込む音が大きく響いた。
これは期待してもよろしいのでしょうか。

「ありがとう」

 ………………。
「あなたに、きちんとお礼を言いたかったけど、あなたはすぐに行ってしまった」
 …………。
「だから、改めてお礼」
 ……。

164恋心:2006/07/30(日) 04:49:01 ID:c4i7ZtUV
ああ、なんだ、この娘にとってはあの図書館での出来事は、とても大きなことで、その気持ちを伝えるということは、半年もかかるぐらい大変なことなんだ。
 だったら、俺が言う言葉は決まってる。
「ありがとう」
「え?」
長い間、俺に礼を言うために頑張ってくれたんだろう。だったら、ありがとうでいいじゃないか。



短いのか、長いのか分からない時間の沈黙を経て、長門有希は立ち上がった。
「もうひとつ、あなたに伝えたいことがある」
 立ち上がっても、まだ低い位置にある瞳が真っ直ぐに、俺を見つめる。
「ずっと待っていた。長い間、ずっと」
「でも、待っているだけじゃだめだった。待っているだけじゃこぼれていくものもある」
「だから、わたしは待っているだけじゃない」
 長門有希は、そこでひとつ息を継いだ。

「あなたが好き」

昔の人は言霊と言って、言葉には不思議な力があると信じていたそうである。
それは本当のことだ。
今の俺なら証明できる。
長門有希の言葉は、たった六文字で、俺の精神を、ここではないどこかに吹き飛ばした。
165恋心:2006/07/30(日) 04:49:32 ID:c4i7ZtUV
「有希っ!!!キョンっての捕まえた!?」
忘我の境地にあった、俺を現世に戻したのは非常にはた迷惑な怒鳴り声だった。
なんだ?俺はもう少しこの幸福感に浸っていたかったんだが。
その怒鳴り声の主は驚くほどポニーテールの似合う女子だった。
続いて、ニヤケ面のハンサム、小柄な女子(驚くほど胸がでかい)が入ってくる。
ポニーテールは、クリスマスの朝、予想通りのプレゼントがあった子供の笑顔で、ニヤケ面は、殺して埋めたはずの恋敵がピンピンしているのを見たかのような顔で、小柄な女子(驚くほど以下略)は芸能人に二日続けてであったかのような顔で、
「おおっ!!」
「ほう」
「ふえっ!」
三者三様の声を上げた。
 ポニーテールは、づかづかと近づいてくると、上から下まで人のことを、じっくりとながめる。
「うん!」
 どうやら俺はポニーテールのお気に召したようである。
「あんたがキョンね!!!あたしは、涼宮ハルヒ。SOS団へようこそっ!!!!」
 ……?
 誰かもう少しわかりやすく説明してくれないか。
「SOS団の活動内容、それは、宇宙人、未来人、超能力者を探し出して一緒に遊ぶことよ!」



台風みたいな連中だった。
涼宮ハルヒは、「SOS団には実績があるのよ。なんてったって異世界人に会ったことがあるんですもの」
と、電波なことを叫ぶわ、ニヤケ面こと古泉一樹は、「涼宮ハルヒ、彼女は男のことを財布代わりにしか考えていません。そんな彼女の近くにいると不幸になります」と囁いてくる、お前はどうなんだと聞きたい。
 驚くほど以下略な朝比奈みくるさんに至っては、「ここってなんなんでしょうかあ?」と言う始末である。
166恋心:2006/07/30(日) 04:50:29 ID:c4i7ZtUV
俺が聞きたいぐらいです。

「しかし、いいのか?」
再び二人きりになった文芸部室である。
「いい。彼女たちは大事だから」
「そうか」
「そう」
 しかし本当にすごい連中だった。
 直前までの甘い空気が……?!
 あまりの衝撃で忘れていたが、告白されてまだ返事をしてなかった。
 


「長門、さっきの話なんだが」
 なにげに、初めて名前を呼んだ気がするな。
「俺も、長門にずっと言いたかったことがあるんだ」
今日は、本当にいろいろなことがあったな。
長門の告白。
涼宮ハルヒ。
古泉一樹。
朝比奈みくる。
SOS団。
半年もの間、同じ場所から進むことができなかった俺たちだけど、長門有希は最初の一歩を踏み出したんだ。
次は、俺の番だ。
167恋心:2006/07/30(日) 04:51:28 ID:c4i7ZtUV
「俺は長門のことが――――――




168名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 05:06:50 ID:dO0oEO+S
すげえよかった
169名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 05:38:17 ID:IaTGrQPG
かわかわながもん
170名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 06:29:53 ID:GNkbGRXb
>156
待っとるよー
171名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 06:32:28 ID:3csyc6iX
>>167
早朝からとても幸せな気分になれた。ありがとう。
172名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 06:46:11 ID:kVNxyuva
>167
とても……GJです……


>143じゃないけど、前スレでやや鬱展開の話が投下された後から少し荒れたような覚えがあるんだが。
俺は楽しめたんだけど、他の人はやっぱりそういうのは読んでてつまらんのかね?
173名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 07:44:36 ID:gCUCwONM
>>167
っくー!最後SOS団皆が突っ込んでくるところまでもが良かった!
>小柄な女子(驚くほど胸がでかい)
にワロタwおまえそこしか見とらんのかと。

時系列順には消失エンターキー後ってことでいいんだよね?
正にGJ!
174名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 09:49:53 ID:gCUCwONM
とりあえず、消失長門の為ハルヒが劣勢なので、援助物資を投下。3レス位。
175涼宮ハルヒのPG1/3:2006/07/30(日) 09:50:33 ID:gCUCwONM
昔の人は、自分の写真を撮られると、魂が抜かれると考えていたらしい。
また、今でも続く迷信の一つに、「三人で写真を撮るとき、真ん中の人は早死にする」というものがある。
その他、就職活動などをするときには、履歴書を見ずに、写真の表情だけで合否を決める面接官というのも居り、
それを見越して、履歴書用の写真に修正などを施すサービスとかもあるそうだ。

まあ写真に関する無駄知識はこの程度にして端的に言おう。
今、俺の手元には、バニーガールかつマイクを握って熱唱するハルヒの写真がある。


…なぜ俺はこんなものを持っているのだろうか。


事の発端は、北高祭の後になる。
おれはいつものバカ+1名と昼飯を食べていた。
「おい、キョン、知ってるか?」
知らん。物事話す前に内容が分かる奴は、ウチの対有機生命体コンタクトインターフェイスこと、ナガえもんだけで十分だ。
「涼宮がやったあのライブ、ビデオに撮ってる奴がいてさ、それのコピーがとんでもなく出回っているらしいぜ」
「へー、そうなんだ。確かに上手かったもんねえ。キョンは、興味ないの?」
知らん。全く持って興味は無い。長門のギターだけはもう一度聴いても良いかもしれないが、
ハルヒの歌についてはノーコメントを貫かせていただく。
「ふーん」
なんだその生まれたばかりのひな鳥を見るような生暖かい目は。
「んでだ。こんなものまで出回っているんだなあ、これが」
といって谷口が出してきたのは、前述した写真だった。
「さて、キョン。いくら出す?」
出すも出さぬもない。そんな物、俺には必要が無い。何しろ、今は居ないが、常に後ろからシャーペンで突き回し、
さらに放課後の平穏をぶち破って乱入してくること必至の奴の写し絵を、なぜ欲しがらねばならん。
朝比奈さんのバニーなら財布の紐を緩ませるのもやぶさかではないが、そもそもアレはあんまりあんまり多くの人に晒したくない。
そんなものが出回った日には、朝比奈さんは卒倒するかもしれん。
「まあいいや、これは余り物だしな、お代は後でってことで」
というと、谷口は素早く俺の胸ポケットに写真を摺り入れた。
おい、待て。余りとか何のつもりだ。つーかそもそも余るのか、ハルヒの写真は。
「まあ、北高外の人間には受けが良いがな、ハルヒの性格が知れ渡っている内部では
需要がゼロに等しいからな。
ちなみに同じものの長門版はあっという間に売り切れたぜ。
それも欲しいんだったら、残念だったな」
…うーむ。長門の写真は正直欲しいかもしれん。まあいいか。

んでその時うっかり返し忘れた写真が、今俺の手元にある。
とりあえずこれをハルヒに見られた日には、何をさせられるか分からん。
そんな事が起きたら、ハルヒに肖像権の侵害とやらで、
重いコンダラを引きながらの校庭十周の私刑あたりを課せられかねん。

とりあえず隠しておこう。ゴミ箱に捨てるのもためらわれる。
理由はそれが発覚した場合、ハルヒに団長不敬罪あたりで
投げっぱなしジャーマンからのダウンに、トップロープからのニードロップの私刑を食らいかねん。

と、いうわけで見られることも無く、かつ落っこちることも無いように、
定期や学生証、家の鍵等、重要物の保管場所である俺の財布の奥にその写真は居を移した。
…明日一番にでもこの写真は谷口に返さなければな。
上記したどちらの可能性でも死の可能性があり、やはり俺といえど命は惜しい。
176涼宮ハルヒのPG2/3:2006/07/30(日) 09:51:35 ID:gCUCwONM
さて、そんな日でも俺は死刑の可能性を減ずるために、SOS団に向かうわけだが…
今日ばかりは細心の注意が必要だ。

ハルヒに対しては普段どおりに、かつ朝比奈さんに対しては自然に接し、
また古泉は別に余計なことを言いさえしなければどうでもいい。
長門には…もうばれてるかもなあ…今回は否応が無かったんだ。勘弁して欲しい。

部室に着いた俺は、出来るだけ自然な風を装いつつ、今古泉とダイヤモンドゲームをしている。
が、しかし、やはり右ポケットの財布の所在が気になって、ゲームに集中できん。
今回は珍しく黒星が付いてしまった。
「まあこんな日も、偶にはあっていいですね」
勝敗のためか、ニヤニヤ度が80%程上昇した古泉は、そう言うと勝敗表に普段とは逆のマークをつけた。
「あ、今日のお茶はいかがですか?お茶の葉っぱ、変えてみたんです」
…すいません。今日は何故だかやたら喉が渇いてしまったため、味わう余裕が正直ありませんでした。
ハルヒみたいな真似をしてすいません。
「……」
長門は普段どおり…か?読んでいる物が、「アンリ・カルティエ・ブレッソンの作品研究」とある。
…意味はあるのだろうか。なにやら聞いたことの無いフランスっぽい名前だが。
団長様は不在だ。今日は遅れるらしい。また何かを企んでいなければ良いが。
しかし、今日に限っては、まだ居ない方が望ましく思える。
ゲームが終わり、長門の本が閉じる音と共に、今日も解散と相成った。

ハルヒが居ないときの鍵の管轄は俺の仕事となっているため、他の面々は其々の荷物を持って、
早々に帰宅した。だが、今日は長門が出て行くときに、普段より長い時間見られた気がする。
まあ多分気のせいだろうが。

さて、俺もバッグを持って…と。
「ごめーん、皆まだ居る?!…ってキョンだけ?」
ハルヒか。…出来れば今日に限っては第一次接近遭遇を最大限避けたかったのだがな。
「ちぇー、せっかく面白いネタを仕入れてきたのに、相手がキョンだけなんてつまんないわ。
内容は改めて、また明日発表ね。アンタ、期待しなさい!今回は面白いわよ〜」
そんなバラエティー番組の次回番宣のような事を言われても、お前の思い付きが大抵ろくでもないことなのは、
経験則上、進化論が疑いの余地が無い位には確かだ。

「まあ良いわ。あんた帰るんでしょ?皆もう帰っちゃったみたいだし」
ああ。まあそうだな。忘れ物も無いし。
「なら私も帰るから、アンタ団員としてしっかり護衛しなさい」
…コイツに何か危機が迫るという事があるのだろうか。何しろ「機関」「宇宙人」「未来人」の
三者三様の護衛があるというのに。
だが、それを断った日には、ハルヒから瞬間的に、おとなし直伝のーてんちょっぷを食らいそうな気がした俺は、
粛々とハルヒの後ろを付いていく事にした。

「せっかく面白い事考えたのに…皆帰っちゃうし。何で今日に限って居ないのよ」
そこまでは知らん。
ただし被害が明日に先延べされたのは良い事だ。これは断言できる。
「仕方ないわね。今日はそこのジュースを私に奢る事で勘弁してあげるわ」
…何故そうなる。
「だって、団員の不始末の責任はキョンが取る事になっているのよ!」
まて。いつの間にそんな重要審議が可決された。
「んー、昨日とか?」
…明らかに適当だな、コイツ。
まあ被害がジュース一本程度なら、財布に掛かる負担も少ないというものだ。
むしろ今回は僥倖と考えた方が良いな。
177涼宮ハルヒのPG3/3:2006/07/30(日) 09:52:36 ID:gCUCwONM
さて…と。小銭は無いみたいだな。という事は夏目さん改め野口さんの出番だな。
と、思いつつ、財布を開いた俺の手元から、明らかに野口さんでも樋口さんでも福沢さんでもない
肖像が印刷されている紙が、

ひらりひらりと

ハルヒの足元に

舞い降りた。



………何故だ。そんな事のないように、財布の最も奥に押し込んでおいたはずなのに。

「…ねえ」
……
俺は言葉を失っていた。
それは谷口が押し付けたものだとか、さっき考えていた言い訳だとか、それが上手く言語化できない。
俺はいつから長門となってしまったのだろうか。
「……」


するとハルヒは、少し引きつった、でもアホみたいな笑顔でこう言い放った。
「へー、アンタにも遂に団員としての覚悟が出来てきたみたいね!」
何がだ。
「なるほど、この私の肖像を神棚に祀って家でも拝むというわけね。いい覚悟じゃない」
そんなつもりは無い。いつそんな事を俺は宣った。
「じゃあ、アンタのその覚悟に免じて、今回の罰は帳消しにしてあげるわ」
…お前の顔が妙に赤いのは、夕焼けのせいだよな。そうに違いない。





その後の事を少しだけ述べておこう。

ハルヒ大明神様の御宣託によって、その写真を収め奉るための写真立てを買わされる事と相成った。
財布に掛かるダメージがバイキルト所ではなく増加したのは言うまでもないだろう。
そして、その写真はその写真立てに祀られ、ハルヒ曰く「粗末な場所に置いたら死刑にするから」
とのことにより、本棚の上にあくまでひっそりと捧げられる事となった。
…妹に見られても問題ないよう、デスノート並の隠蔽工作は施したが。


終わり
178名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 10:12:59 ID:tVENuiN0
>>175
GJ!ニヤっときてしまったよw
間違いだとは思うが、一箇所だけ谷口がハルヒと言っているのが気になった
179名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 10:24:31 ID:HbztWloT
>>175
後味よくすっきりと読めた。NiceJob
でも改行せずに続けて書いた方が良かった所もある気がするのは気のせいかな?
長門… いや何も言うまい。
180名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 10:26:45 ID:UhEbO6OR
長門の本も写真ネタか。名前だけ聞いたことある。
181名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 11:35:59 ID:gHQhMe51
ところでハルヒは、孤島に渡る船の中でみくるちゃんに撮らせた
キョンの寝顔の写真は、今どうしてる?飾ってるのかなー?
まさかキョンにも同じ写真立てを買わせて、お揃いにしてやしないだろーなw
182名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 11:41:38 ID:09sZMrFl
>>181
孤島で撮ったやつではないが、サムディインザレインで撮ったと思われる写真
で書いたSSが保管庫にあったようなキガスル
183名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 12:05:48 ID:gHQhMe51
>182
そか、探してみるかな…
ハルヒが風邪引いて学校休んだらキョンが見舞いに来ちゃって、
あわてて部屋中に貼ったSOS団の(主にキョンの)写真を隠した
SSなら読んだけどな。

ところでPGって、photographか。最初は、てっきりpoltergeistかとw
184名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 12:17:17 ID:66uOpYBZ
さんざ既出だろうが「サムデイインザレイン」が
「ザムディンザムディン」に見えて仕方ない俺です。
185名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 12:19:30 ID:WV3/AtRI
>>177
お約束といえばお約束の展開だけど面白かった!GJ!
186『ピクニック』:2006/07/30(日) 12:54:16 ID:85O2ABUO

『ピクニック』


土曜日の不思議探索に集まったのは、いつものように俺が最後だった。やれやれ、また財布から金が飛んでいくのか、とため息をついたが、そんな俺を見てハルヒは満面の笑みを浮かべた。
「いいわよ、キョン、今日は払わなくて。喫茶店には行かないから。お弁当は作ってあるわっ!」
へっ、弁当?おまえが作ったのか?
「そうよ、感動にうちふるえなさい!さ、今日は、不思議探しは中止。ピクニックに行くわよ!!」

というわけで、SOS団の皆で川沿いの道を歩く。なぜか荷物を抱えた古泉。無口のままで歩く長門。ニコニコと、はしゃぐハルヒの相手をする朝比奈さん。いつものメンバー、いつもの光景だ。
そういえば、朝比奈さんが未来人であることを知ったのはここでだったな。
「ところで、どこかに行くとか予定があるのか?」
「ないわよ。こんなに良いお天気なのに、ピクニックの一つもしないなんて許しがたいことよ。」
誰を許さないつもりだよ、やれやれ、予定なしか。
「いいのよ、百万年も行くんだからっ!」
百万年、か。
俺は、ふうっ、と息を吐いた。
なに、いつかSOS団の皆と別れなきゃいけないってことを考えただけさ。
例えば、ハルヒの不思議な力がなくなったらどうだろう?
朝比奈さんは未来に帰るだろうし、古泉の機関とやらもお役御免だ。長門もいなくなっちまうのか?
俺は、ぶるっ、と身震いした。失いたくない、長門も、朝比奈さんも、一応、古泉も。
それに、俺はどうなるのだろう?
俺もハルヒの不思議な力で集められたうちの一人なら、ハルヒの力が消えたら、ハルヒの側からいなくなるのか?
いや。
俺は――
「ちょっとキョン、シート広げるの手伝いなさいっ。」
いつの間にか、ハルヒはピクニックシートを広げだしていた。なるほど、古泉の大荷物はこれだったか。
「さ、お弁当にするわよ。みくるちゃんっ!」
「ふぁい、お茶、水筒に詰めてきましたぁ。」
やれやれ、はなから計画してたんじゃないか。まあ、確かにいい天気だからな。奇妙な事件なんぞ起りそうもないし。
シートの隅で置き石と化している長門が、微かに頭をコクンとさせた。

だが、俺たちがハルヒ特製弁当を平らげているとき、古泉が緊張した面持ちでやってきた。おまえ、どこに行ってたんだ?早く食べないと、長門とハルヒが食べ尽しちまうぜ。
「みなさん……こちらに来て頂けませんか?不思議な集団を見つけたんです。」
「ホントッ!?」
ハルヒの目が燦然と輝いた。
「早速捕まえるわよ。どこっ、古泉くん!」
「こちらに。」
長門が立ち上がり、朝比奈さんもおろおろついていく。俺もハルヒと古泉を追って駆け出した。
くそ、のんびりピクニックを楽しんでたってのに、古泉め。何を考えている?

「ここです。」
古泉が川を指さす。
ふいに、俺は笑い出してしまった。古泉もニコニコと肩をすくめ、朝比奈さんは少し困ったように笑う。長門は頭をニミリほど傾けた。
「なに、どこどこ?水中人間!?」
ハルヒだけが、夢中で水の中をにらんでいる。

ちがうさ。
宇宙人、未来人、超能力者に、不思議な力を持った少女。
そして――俺。
ことが飲み込めないで騒ぐハルヒをよそに、世界一不思議なメンバーが、輝く水面で笑っていた。


おしまい
187名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 12:57:49 ID:wBfd5soa
最近小ネタが増えすぎだと思うんだ
書いてる人も投下はスレの埋めの時期まで我慢しようよ
188名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 13:04:15 ID:R0UWumQV
>186
ブラッドベリだね。

微笑ましいけど、そのネタはきわどくないかい古泉君www
オチを解説してよと迫られたら、何とでも言いくるめるんだろうけどさっ。
189名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 13:06:21 ID:PLaMioSb
>>187
小ネタってなんか拙いのか?
190名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 13:07:17 ID:yB2aRp9N
>>187
このスレは小ネタ禁止スレではありませんよ。

小ネタだろうが長編だろうか
自由に気楽に書いてもらうのが一番ですね。
191名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 13:20:48 ID:WV3/AtRI
>>187
いつの間に小ネタが禁止になったのか小一時間問い詰めt(ry
>>186
GJ
192名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 13:21:43 ID:aiNlMLVk
>>186
昔、夏への扉とそれを間違えて人に貸して文句言われたのを思い出した。
193名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 13:22:40 ID:TTM0sbr1
小ネタでも、ちゃんと落ちのあるやつならいいだけどさ。
ただ、小ネタって簡単に書けると思っちゃうんだよな、実際には難しいと思うんだけど。
だから、勘違いするやつも出てくる。それを警戒してるんじゃないかね、 >187 は。

ま、俺は、 >190 に同意するがな。
194名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 13:24:18 ID:MPjrFGqh
釣られるなよ
小ネタに毎日文句言ってるのは1人か精々2人だぞ
ID変わったら毎度のごとく言うからスルーしとけ
195名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 13:27:40 ID:sRrwgUZJ
昨日散々暴走してた奴か

71 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/07/29(土) 20:44:38 ID:RIY56JW2
コネタとかホントいらない。
196名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 13:48:19 ID:FsB1D9mm
たった1回書き込んだだけでこうやって数レスは稼げるから無くならんのだな

何回目だよこれも
197名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 14:15:56 ID:JdAoAuey
ネタ投入、いってみます
198キョンと眼鏡くん:2006/07/30(日) 14:17:37 ID:JdAoAuey

その日、僕は図書館にいた。
先週、綺麗な女性の方にいただいたペットの飼育法を調べるために。
それにあの時の波紋が妙に胸に引っかかったから。
ただの直感だけれども、こういうものには必ず何かがある。
自分を信じて、実行すること。
それが涼宮お姉さんの教え。
でも具体的にどのような参考書を捜せば良いのか全く見当がつかなかったから、
とりあえず難しそうなことな名前の分類がしてあるコーナーを巡っていた。
そんなとき、僕はまたあの男の人を見かけたのだ。

あのときのウサギのお姉さんとは、別の女性と一緒のところを。


タイトルコール 『 キョンと眼鏡くん 』


◆ キョンとハルヒ

ハルヒの仕掛けたイベントに心底ビックリさせられたバレンタインデー。
どうやら俺と古泉の反応にすっかり満足したらしいハルヒの様子を見る限りでは、
少なくとも一ヶ月ぐらいはアイツが余計なハプニングを連れて来ることはないだろうと安心していた。
そう、確かにハルヒは俺を疲れさせるような事態を起こすことはなかったのだが、
不覚なことに、面倒ごとを持ち込んだのは他でもない俺自身だったのだ。
で、その事件との始まりは元々俺個人の問題であってハルヒとは全く無縁のものだったのだが、
そんな意見があの団長さまに通るはずなど絶対に無く。
「キョン、何よこの成績っ!こんなんでこの世を渡っていけると思ってんの!?」
…そういうことなのである。


「おいハルヒ。出来たぞ」
「ん、どれどれ?
 …まあまあね。何だ、やれば出来るじゃないの」
まあな。
「やっぱりあたしの教え方が上手いおかげよね。感謝しなさいっ、キョンッ!」
…全くその通りで。
以前、ハルヒが臨時の家庭教師をしているという話は聞いたことがあったので、
こいつに教えてもらえるというのは案外ラッキーかもしれないなあんて考えていたのだが
今回に限ってハルヒは俺の予想を真正面ど真ん中、それも限界ギリギリまで貫いて的中させてくれた。
まさか2学期の中間と期末を合わせても良い勝負になるくらいまで成長するとは思わなかった、俺。
正に涼宮大黒天様、ハルヒ様々である。そして俺の秘めていた真の学力にも大いに万歳しようじゃないか。
「何言ってんの、バカキョン。
 普段あたしが教えてあげてる子の方がよっぽどマシよ」
…少しぐらい自分を信じなおしてみたっていいじゃないか、ハルヒ先生よ。
にしてもあの眼鏡くん、やっぱりそんなに賢いのか。
あの整った面や言葉遣いは確かに博識そうなオーラを発揮させていたが。
まあ、朝比奈さん曰く未来的技術の発明者らしいからな。当然といえば当然なのかもしれん。
「あ、そうだっ!」
「何だ。小テストならもう勘弁しろよ。さすがに5回連続は疲れたぜ」
「違うわよ、今日は眼鏡くん家に行って、テストの結果を聞きに行かなきゃいけなかったのよ」
あの子の学力成績か。到底期待を裏切るような結果になるとは思えないのだが。
ていうかお前の呼び方も眼鏡くんなのかよ。俺はともかくお前がそれって短絡的すぎないか?
「だってピッタリなんだもん、ってそんなこと言ってる場合じゃなくって!
 キョン、すぐに支度しなさい。すぐに出かけなくちゃいけないんだからね!」
「俺も行くのか!?」
「当たり前じゃないの!さあ。さっさと準備しなさい!」

こうして俺は眼鏡くんに三度、出会う運命になってしまった。
…偶然、なんだよな?
199キョンと眼鏡くん:2006/07/30(日) 14:19:45 ID:JdAoAuey
◇ 眼鏡くんと長門

その男の人と出会うのは今回で三度目。
もっとも、当の本人は眠りこけているのだけれど。

気になったのは隣の女性だった。
何度か見かけたことがあったから。
いつも黙々と読書をしている、少し不思議な人。
でも今日は眠っている彼に寄り添い、静かに読書を続けている。
傍から見るとまるで寝ている子供の傍に座るお母さんみたいな。
女の人は中学生か高校生くらいだろうから、そんな表現は失礼なのだけれど。
男の人をとても慈しむような、大事に想っている感じがする。

恋人同士、なのかな。
それなら前の時に一緒にいたあのお姉さんとはどういう関係なんだろう?
ここに来た本来の目的などすっかり忘れて、僕はじっと二人を観察していた。
やがて男の人は起き上がり、女の人に何事か話しかけたあと、
二人で連れ添うように図書館をあとにした。
僕はその後ろ姿が見えなくなるまであの男の人を眺め続けた。
このことを涼宮さんに伝えるべきなのだろうか。
そんなことをぼんやりと考えながら。

あの男の人とはまた出会うことになるのだろう。
何の根拠も無しにそんな確信を抱いていたのだけれど、
まさか次の週になってまた出会うことになるとは思いもしなかった。
しかも、また別の女性を隣に並べて。

四回目は、涼宮お姉さんと一緒だった。


◆ キョンと眼鏡くん

ハルヒは居間で親御さんと対談中だ。
あながち「今から大学へ進学します」と言われても嘘と言い切れないぐらい
見るからに賢いですオーラを纏ったその少年は、今俺の目の前に居る。
かといって俺が代わりに勉強を教えている状況なわけでもない。
ハルヒ大先生閣下は俺の教師的な能力など微塵の期待も抱いていないようだ。
その評価は過不足なく的中しているのがまた悲しい。
そんなわけでただ今眼鏡くんの部屋で俺と眼鏡くんの二人っきりなのだが、
なんでしょう、この妙な沈黙は?
とりあえずなにか話題を探してみることにする。
「あ、なあ。あれから亀の調子はどうだ?」
「元気です」
「体はどうだ?あれから、変なことに巻き込まれたりしてないか?」
「大丈夫です」
こいつ、朝比奈さんと話してたときはお堅いながらもハキハキと喋っていたのに
今は妙につっけんどんに返してきやがる。そんなに俺が嫌いか。
上辺くらいは取り繕っておかないと、世の中生きていけないぞ。
表面だけやたらヘラヘラさせやがるのはもっと駄目だが。
「余計なお世話です」
にべもなし、か。そうだ。あのことについて聞いてみよう。
ただのお茶濁し程度の感覚だったのだが。
「なあ、あの亀やったときのこと、ハルヒには言ってないんだよな?
 俺と…その、もうひとりのウサギのお姉さんのこと」
「言ってません」
文面は今までと大差なかったのだが、その語尾には強い力が込められている。
200キョンと眼鏡くん:2006/07/30(日) 14:20:15 ID:JdAoAuey
「何故、あなたが女性の方と会っていたのを涼宮お姉さんに伝えてはいけないのですか?」
「い…いや、それはだな」
思わず怯む俺。情けねえ。相手は小学生だぞ。
必死に言い訳じみた説明を始めようとしていたのだが。
「先週も別の女性の方と一緒にいらっしゃるを図書館で見かけました。
 それも涼宮お姉さんには隠し通す気なのですか?」
げぇっ!!
しまった。思わず素っ頓狂な声を出してしまった。居間にまで聞こえなかっただろうか。
ごほん、と咳をひとつ立てて気持ちを落ち着かせる。
「お前、見てたのか…。いや、あれはだな。
 ハルヒの提案している不思議探索パトロールの途中でな」
「実に気持ちよさそうに眠っておられましたが」
ぐ…返す言葉もない。しかし、あれをハルヒに知られるわけにはいかない。
何故こんなに彼が怒ってるのかはわからないが、何とか説得しなければ。
バレたら俺がどんな目にあうか…。考えるだけ嫌だったからな。


◇ 眼鏡くんとハルヒ

彼が必死に言い訳をしている。
涼宮お姉さんは彼に対して滅茶苦茶な扱いであり、以前に彼とウサギのお姉さんが
二人で会っていたのがバレたとき凄く酷い目にあった、だからアレの二の舞は二度と御免なんだ、と。
確かに涼宮お姉さんにうっかり喋ってしまったあの時は、少し同情もした。
でも、今日はそんな気がまったくしない。むしろ、2回目の分も含めて全てバラしてしまいたい気分だ。
だって、涼宮お姉さんが彼をどれだけ思っているのかを知っていたから。

「あなた、物語に一人はいそうなガリ勉タイプね。気に入ったわ」
最初は不機嫌そうな顔。僕に興味を抱いてくれたみたいだった。でも、不満だらけの顔。
「北高に入っちゃ駄目よ。つまらない連中ばっかりだったから」
全ての望みを絶たれた人が漏らすような、深い溜息をついていた一ヶ月。
「高校にキョンって、変なあだ名の奴がいてね」
まるで潰した苦虫の感覚を思い出すようにその名をつぶやいていたお姉さんの髪は、短くなっていた。
「眼鏡くんっ!あたし、高校で団を作ったの!そっちが忙しくなるからしばらく会えないかも。ごめんねっ!」
初めて見る笑顔。そういえばこのあだ名も、あの日につけられたんだっけ。
「野球大会か…面白そうねっ!!」
久しぶりにあったお姉さんは、何の変哲もないビラを凄い楽しそうに眺めていた。
「違ぁう!!キョン、あんた何撮ってるの!?みくるちゃんも、もっと堂々としなさいっ!」
商店街で見かけたバニーガールと戯れるお姉さん。その隣にいる、カメラで顔の見えない男の人。
「大切な人が…倒れちゃったの。しばらく傍にいてあげたいから、ごめんね」
電話越しに懺悔するようにつぶやいたその声は、聞いたことがないくらい、か弱い音。
「ごめんねっ、しばらく勉強見てあげられなくて。今日から年末まで、みっちり教えてあげるから!」
次に聞こえたのは飛び上がるくらいに晴れ晴れとした声。飛びっきりの笑顔。
「ねえ博士くん?そのウサギのお姉さんの隣にいた人、思い出せる…?」
地鳴りのするような静かな怒りを感じて、僕はそのキョンって人に同情した。
いや、今思えば嫉妬していたのかもしれない。
「どうしようかな…普通に渡すだけじゃ…キョンはどう思うかな…」
2月のメインイベントを前にして、僕そっちのけで思案に暮れるお姉さん。
14日にもらったチョコレートは嬉しかったけど、少し寂しくもあった。

間違いない。僕はキョン、というあだ名の人に嫉妬していた。
涼宮お姉さんにあれだけの思いを注がれている、この男に。
だが、この人は涼宮お姉さんに隠し事をしようとしている。別の女の人とのことを。
腹が立った。ぶちまけてやらなければ気がすまなかった。

そのときだった。
201キョンと眼鏡くん:2006/07/30(日) 14:22:12 ID:JdAoAuey


◆ 男と少年

「何してんの?アンタ」
唐突にドアを開けたハルヒは、部屋の不穏な空気を速やかに察知した。
「い、いや、なんでもないぞ」
慌てて取り繕う俺をじとっとした目で見つめていたが、しばらくて視線を俺から外し、
「まあ、いいや。…ちょっとこっちで話があるわ。来て」
博士くんに向ける。厳しい、けれど慈愛に満ちた目。
「…はい」
素直に従う眼鏡くん。理由がわかっているようで、でも目を合わせられないようだ。
「アンタはここにいて」
一人眼鏡くんの部屋に取り残される。…何しに来たんだろう、俺?

時間だけが経ってゆく。限りない沈黙に包まれた眼鏡くんの部屋。
感じるのは扉ごしに伝わってくる緊張した空気。
・・・俺、どうしたらいいんだろう。
他にすることもないのでドアに顔を寄せて会話を盗み聞きしようとしている俺を誰が責められよう?

「…だから、何でもありません。少し調子が悪かっただけです」
「…わかっています。今度は頑張ります」
「…隠し事なんか…」
どうやら、博士くんの成績は予想よりも悪かったようだ。
その理由に何か隠している言があると感じたハルヒは、親御さんとともに直接彼に尋ねることにしたのだろう。
ハルヒの直感は鋭いのだから、隠し事をしていたのはまず間違いない。
俺と朝比奈さんや長門と会ったことかと一瞬浮かんだが、そういうのとは微妙に違うことだと思う。
だが、あの眼鏡くんが果たしてそう簡単に秘密を漏らすとはあまり思えないのだが。

かなり他人事な考え方で相変わらず道徳的にも犯罪的な行為をしていた俺だったが、
次のハルヒの一言によって、それは中止せざるをえなかった。
「…お姉さんにはっ、わかるもんか!!」

ガタッ、という大きな音とハルヒの制止する声を放ったらかしにして
眼鏡くんのドスドスと廊下を歩く足音が、げっ、こっち来る!!
一人で自分の部屋に閉じこもろうとしたのだろう。
だが、ドアを開けた先には既に両手を挙げて硬直する俺という先客がいる。
「…」
一瞥の視線を俺に送ったあと眼鏡くんはとって返し、
ハルヒや親御さんの声も無視してそのまま玄関先へ駆けていってしまった。
彼の眼は、憤怒と悲しみに満ちていて、俺はそれにひどい既視感を感じた。

「んもう、何で止めないのよこのバカァっ!!」
硬直したままの俺に物凄い罵声が浴びせかけられるのは、それから五分後のことだ。


◇ ハルヒと古泉くん

…ん?閉鎖空間ですか。
これは懐かしい。っと、感慨にふけっているわけにもいきません。
「申し訳ありません、急用が入りまして。今日はこれで。明後日までにマスターしておいてくださいね」
「ああ、わかってるよ。…まったく、柄じゃねえぜ」
ケッ、と吐き捨てる彼に軽く頭を下げ、私は生徒会室をあとにしました。
彼には早く涼宮さんの前に出しても恥ずかしくない理想的な悪役になってもらいたいものです。
そうすれば、このような閉鎖空間が生まれる機会も…?

…これは、今までの閉鎖空間とはやや異質なものですね。
いや、涼宮さんの心の揺らぎ方が、といった方が正しいでしょう。
ともかく閉鎖空間は一旦、同士たちに任せましょう。彼と接触しなければ。
どうせ今回も彼が関与していて、彼にしか解決しようのない問題なのでしょうから。
202キョンと眼鏡くん:2006/07/30(日) 14:23:58 ID:JdAoAuey

…おっ、来ましたね。諜報員の報告どおりです。
「おや、奇遇ですね」
ぜいぜいと息を吐きながら、私を親の仇敵のように睨む彼。
そんな顔しないでくださいよ。走り回るあなたを捉えるのに、どれほど苦労したか。
「何の用だ、古泉」
「ただの散歩…ということにしておきましょうか。
 それより、あなたこそどうしたのですか?そんなに息を切らして」
「お前には関係ない」
そんな筈はありませんよ。仕方がない、さっさと本題に入りましょう。
「大有りですよ。また、涼宮さん絡みでしょう?」
「…出てるのか、あれ」
「ええ、散歩は嘘です」
やれやれ、と彼はいつもの溜息をつき、私に事情を語り始めました。

「…なるほど。そういうことでしたか」
「ああ。そういうこった。
 古泉、お前の『機関』の力で居場所をどうにか調べられないのか?」
出来なくもないですが、ここはまず否定しておくべきでしょう。
『機関』の秘密のためにも、彼のためにも。彼女のためにも。
「…難しいでしょう。涼宮さんの周囲の人物の位置の把握は出来る限りしておりますが、
 なにぶん、諜報員の人数にも限界がありまして。彼のマークはしていなかったのですよ」
こんな嘘でどうでしょうか。
…ああ、バレてますね。これは。
まあ、未来の技術進歩に大きく関与している人物ですからね。
居場所の把握ぐらい造作もないことです。本当ならね。
しかし、笑顔を返しておけばどれだけ怪しくても証拠は見つからないものです。
友人として非常に心苦しいですが、お許しを。
「それよりも涼宮さんのことなのですが、
 彼女が閉鎖空間を発生させたのは随分と久しぶりのことです」
「ああ、らしいな」
「ですが、さらに今回は閉鎖空間を発生させた理由が少々異なりまして」
「…どういうことだ?」
「以前の涼宮さんが閉鎖空間を発生させていたのは、
 主に自分自身の気持ちの問題による感情の高ぶりが原因でした。
 不思議を見つけられない。勝負事に負けそうになる。夢見が悪い。あなたが振り向いてくれない…などによってね」
最後の一言はやはり無視ですか。まあいいでしょう。
「しかし、今回は違います。
 涼宮さんは自分の教える生徒を心配し、最終的に理解してあげられなかったという
 激しい後悔の念によって閉鎖空間を発生させたのです。これは非常に大きな違いです。
 自分が傷ついたためじゃなく、他人が傷ついたために、彼女はここまでの感情を示したのです。
 これは一年間あなたと行動を共にしたことによる大きな成長の証、なのかもしれませんね」
「…」
「まあ、恐らくその生徒さんの悩んでいることが涼宮さん自身、
 大いに関係しているのでしょうし彼女からの説得は逆効果だったのかもしれませんが」
「…そうなのかもな」
おや、あなたにも察するものがありましたか。
それほどまでに純粋で、残酷なものだったのでしょう。さて、あなたはどう行動するのか。
「古泉、本当にお前はアイツの場所を知らないんだな?」
…ええ、知りません。
「わかった。それじゃあな」
そういうと、彼は再び走り出して行きました。
きっと、私以上に頼れる人物のもとに向かって行ったのでしょう。
その方が私にとってもあなたにとっても、そして彼女にとっても一番なのですから。

さて、私も神人狩りに参加しなければ。今日は徹夜ですね。ハハハ。
…私も早くこの仮面を脱ぎ去ってしまいたいのですが。
やれやれ、です。
203キョンと眼鏡くん:2006/07/30(日) 14:25:35 ID:JdAoAuey

◆ キョンと長門

最初は長門を頼る気はなかった。
それは卑怯な気がしたし、長門に悪いと思ったからだ。
だが、古泉と話をした後、俺の足はなぜかここに向かっていた。
一刻も早く眼鏡くんを見つけないといけない気がしたからな。
そんな気がしたのだから仕方がない。悪いな、長門。

だから、
いつものマンション前の公園で佇む長門を見つけたときはかなり安心したんだ。
全ての事情を察したうえで、俺を待っていてくれた気がしたからさ。

「わかってる」
本当に有り難い。今度お礼に何か奢るぜ。
「いい」
遠慮なんかしなくていいぞ。
「そうじゃない。悪いのはわたし」
…なんだって?長門は悪くないだろ。
今回の事件はおおよそハルヒと眼鏡くんと俺の問題だ。長門が気にする理由なんてねえよ。
「ある。わたしと彼は図書館で会ったことがある」
へ?あ、ああ。そういえば眼鏡くんも言ってたな。
先週俺と長門を見かけたって。俺は寝ててまったく気付かなかったのだが。
「あの時、わたしは彼の視線を感知した」
長門は次の言葉を、少し躊躇するような間を空けて言った。
「あなたと、わたしを見つめる眼差しを」

俺と、長門?
えーと、あの時の状況を俺はよく覚えていないのだが、
確か俺は図書館に着いたあとすぐ寝ちまったんだよな?
「そう」
で、それから駅前集合の30分前まで俺はずっと寝てたんだよな。
「そう」
起きたとき長門が傍に居て、二人で一緒に図書館を出た…であってるか?
「…あってる」
長門の視線が少し下に俯き、ポツリと同意の言葉を発した。
「でも、それが眼鏡くんと何の関係があるんだ?俺自身はたいした事してないんだが」
「確かにそう。わたしとあなたが直接接触するような行動を起こしたわけではない。
 だが、彼はわたしとあなたの存在を感知し、不快に思った。それが、今回の彼の暴走のトリガーとなった。
 彼の図書館での記憶を改竄することもできたが、わたしは…しなかった」
「…だから、自分が悪いと思ってんのか?」
長門はほんの少しだけ、首を下へ傾けた。
それはまるで俺に謝罪のお辞儀をしているようで、
俺はそんな長門の悲しい行為をもうこれ以上見たくないと思ったんだ。

その身に宿した大きな力を微塵も感じさせない
長戸の小さな頭に優しく手を置いて、俺は妹をあやすときのように言葉を繋いだ。

「関係ねえよ。お前が俺と一緒に図書館に居たぐらいで悪いことなんか起きなやしないさ。
 むしろ長門が居ればその場にいる全員の安全が保障されるんだから、感謝されるべきなんだぜ。
 大体、こういう騒ぎっていうのは、遅かれ早かれいつか起きるもんなんだ。
 それは俺が保障する。だからお前は何も悪くないんだ。そんな顔すんな」

しばらくの沈黙。
やがて、長門はさっきと同じようにほんの数ミリだけ、黙って首を下へ傾けた。
俺はその行為が見れたことを、とても嬉しく思ってたんだ。
長門が記憶の改竄を願わなかった理由をわざわざ聞き出そうなんて気にならないくらい、な。
204キョンと眼鏡くん:2006/07/30(日) 14:27:55 ID:JdAoAuey

おっと、感傷にひたるわけにもいかんだろう。残念だが。
早く博士くんを見つけてやらないとな。アイツのためにも。
「長門、それで博士くんの居場所はわかるか?」
「大丈夫」
即答。ちくしょう、頼もしいぜ。長門。

「今は朝比奈みくるが隣にいる」


…ハイ?

◇ 眼鏡くんと朝比奈さん

見覚えの無い空き地のグラウンド。
その隅っこで、僕は体育座りをしながらただじっと空を見上げていた。
どれくらいの時間が経ったのだろう。真っ暗な星空。
僕くらいの小学生の足じゃそんなに遠くへは行けないのはわかっているけど、
少しくらは涼宮お姉さんから離れられただろうか。

『…お姉さんにはっ、わかるもんか!!』
あんなことを言ってしまった。
『どうしてそんなにひとりで悩んでるの?力になってあげたいのよ』
あんなに優しい言葉をかけてくれたのに。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。

そんなときだった。
「あなたは…っ!」

「……ウサギのお姉さん?」
「ど、どうしたの?こんなところで…ひえっ!足、どうしたの!?ケガしちゃったのっ?」
「え…?」
言われてみて初めて気が付いた。
左足に履いていた筈の靴はいつの間にか無くなっていて、
素足は泥だらけになっていた。
「大丈夫?痛くない?ふわぁっ、どうしよ、あっ、救急車呼ばくちゃっ!ええと、110番…」
「だ、大丈夫です。泥で汚れただけですから」
慌ててお姉さんを制止する。
お姉さんの気持ちは嬉しかったけど、警察なんか呼ばれたらこの状況を何といえばいいのか。
「ほら、このとおりです。ご心配おかけて申し訳ありませんでした」
すくっと立ち上がり、元気なことを一生懸命アピールする。
本当はちょっと、痛い。
「だ、駄目よ。ほら、ここちょっと切れてるじゃない。
 少し安静にしてなきゃ。…ね?」
…ここまで言われてしまうと、何も言えなくなってしまう。
大人しくその場に座る。
お家に電話しないの?と聞かれたけれど、僕はそればかりは頑なに断った。
こんな顔して、会える筈がない。涼宮お姉さんに。

「お父さんとお母さん、心配してますよ?」
そうなのだろうか。
両親は一方的に成績の話ばかりしてくる。
あのときだって僕の悩みを聞こうとしてくれたのは涼宮お姉さんだけだった。
「きっと、クラスメイトの子たちにも電話して、皆で必死に捜し回ってくれてますよ?」
そうなのだろうか。
クラスメイトは僕をずっと避けている。
僕を避けないでいてくれたのは涼宮お姉さんだけだった。
205キョンと眼鏡くん:2006/07/30(日) 14:28:32 ID:JdAoAuey
「涼宮さんだって、きっと捜してくれてますよ?」
…そうなのだろうか。
ひょっとしたら、愛想をつかされたかもしれない。
嫌われたのかもしれない。涼宮お姉さんに。皆に。
もう、

「そんなことないですっ!!」


ビックリした。
ウサギのお姉さんが、潤んだ瞳でじっと僕を見つめている。
「あなたは、あなたを大切に思う人は、たくさんいます!
 あなたのお父さんも、お母さんも、お友達も、世界中の人々があなたを誇りに思っています!
 だから、そんなこと言わないでください…お願い……」
そこまで喋ったあと、ウサギのお姉さんは僕の手を強く握り締めて、顔を震わせていた。

お姉さんは過剰なまでに僕を心配してくれた。
以前に出会ったときも、凄い僕の身を案じてくれた。
あのときの約束は、今でも忘れていないつもりだった。なのに。


「ごめんなさい」
口に出さずにはいられなかった。

「ごめんなさい」
お姉さんが静かに僕をぎゅっと抱きしめてくれる。
あんなに心を塞いでいたモヤモヤな気持ちが、晴れていくような気がした。
「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」


僕は謝り続けていた。
お姉さんの胸のなかで。
ずっと、ずっと。
お父さんに届くように。お母さんに届くように。
クラスメイトに届くように。


涼宮お姉さんに届くように。



後でもう一度、何度でも謝ります。
でも、今のこの気持ちも、どうか届いてくれますように。



206キョンと眼鏡くん:2006/07/30(日) 14:29:19 ID:JdAoAuey



◆ キョンと眼鏡くんと、ハルヒ

朝比奈さんと合流した俺は親御さんに一報を送ったあと、
静かに寝息を立てる眼鏡くんをかついでのんびりと帰路についていた。
朝比奈さんは一緒についてきたがっていたが、彼女もなんだか気疲れしていたようだったし、
俺の今までの頑張りが全くの無意味になるくらいに眼鏡くんを励ましてくれていただけで
十分に有り難かったので、丁重にお断りした次第なのである。

眼鏡くんが最終的に歩き着いた場所は、
俺の足で歩いても一時間かけなければ家には辿り着かない距離だった。
やっぱり強がらず親御さんの車をお借りすればよかったなあとも思うのだが、
こうやって誰かを担いで歩くのも随分と久しぶりだったし、
こいつが目を覚ましたときに二人きりでしたい話もあるしな。と、この状況を楽しんでもいたりもしたのだ。
だが漢の会話を嗜む機会などは一切なかった。よっぽど泣き疲れてたんだな。
途中で眼鏡くんの家では待ちきれなかったハルヒと合流し、現在に至る。

ここまで二人とも何の会話も無かったのだが、
ハルヒはポツリとつぶやいた。

「あたし、教師失格だなあ。この子のこと、何にもわかってなかった
 この子の成績どんどん悪くさせちゃうし、その理由を全然気付いてあげられなかった。
 あげくの果てに無理矢理心を暴こうとしちゃって、こんなことになっちゃうんだもん」

「あたし、こんなに人の気持ちをわかってあげられない奴だったんだなあ」

「…そんなことねえよ」
お前はものすごい教え方上手だし、人の心に敏感だ。敏感すぎるぐらいな。
人の心にズカズカ入り込んでいくのは確かにお前の短所だが、
少なくとも俺とコイツはそれを嫌だなんて思っちゃいない。そうだろ?眼鏡くん。

ハルヒは関係ない。結局は俺とコイツの二人の問題だったんだ。
なんでそんなことがわかるのかって?
決まってるだろ。俺もかつては初恋の親戚の姉ちゃんをいけ好けねえ男に取られたやつの一人なんだぜ?
今は俺がいけ好かねえ男、ってとこなんだろうがな。

こんな俺の一人語りなんてハルヒには聞かせられるわけがなく、
結局のところハルヒにかけた励ましは冒頭の一言だけだったのだが、



「…うん。ありがと」


ハルヒにはそれで十分なようだった。
207キョンと眼鏡くん:2006/07/30(日) 14:29:52 ID:JdAoAuey


親御さんが待つ家に着く直前、眼鏡くんは目を覚ました。
慌てて俺の肩から下りた眼鏡くんは、年齢不相応なお礼の言葉を並べ、俺と視線を交わした。
その後、ハルヒに大きな声で謝ると、二人で手を繋いで暖かい家族の待つ玄関へ歩いていった。


俺は背中に残る感触をゆっくり振り払いながら、
語るまでもないいくつものことを思い返しながら歩いていた。

俺がハルヒの殊勝な台詞にまったく驚かなかったことや
親御さんとハルヒが俺が一報を入れるまでどうしていたのかだとか
その後ハルヒが家庭教師の仕事をどうしたのかだとか
俺が誰のためにここまで駈けずりまわっちまっていたんだろうとか
眼鏡くんがどんな漢の視線を俺に浴びせたのかなんていうのは…これは一応、語っとこうか。




『あなたにお姉さんは渡しませんよ』


…しっかし、相手は将来超有望の天才少年だからなあ。
俺が子供だった頃と同じ結果になるとは限らない。
子供相手にビビリすぎ?それだけ必死ってことなんだ。笑いたきゃ笑え。


練習だ。ちょっとぐらい、ちょとぐらい大きな声で叫んでみてもいいだろう?
俺にはこれでしか勝ちようがないんだからさ。

負けねえぞ、眼鏡くん。


すぅーっ






「お姉さん、どうしたの?」
「ふふ…なぁんでも」


                                              おわり
208名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 14:38:50 ID:THKlVx7a
ふーん
209名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 14:43:30 ID:JdAoAuey

最初メガネくんをハカセくんと勘違いしまくっており
その残骸が改めてると多々…。改行もまちまち…ていうか文才が…グハァ
首吊ってきやす。申し訳ない
210名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 15:09:27 ID:mwj7lPxb
bbspinkなんだが、どうやら今回はほんとにまずいみたいだ。
続き物がある人は一応8/15目安に書き上げるといいかもしれん。
実際に閉鎖されて間に合わなかったら、保管庫予備にupしたのを貼り付ければいい。

http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erobbs/1154154630/311
211名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 15:43:17 ID:Lx2r6tUM
亀だが
>>184俺漏れも。
212名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 15:49:17 ID:WSw+RMI+
>>210
これが本当なら大ピンチじゃねえか!
213名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 15:51:20 ID:W++mEDMf
>>184
遅レスだがザザ乙
214名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 15:53:25 ID:t9W5WSHp
>>209
本編が完結したらこのネタやりそうだなあと思いながら見てた。

それじゃあ>>3に則って批評
「ネタはいいんだけど、視点があっちこっち動きすぎてて読み辛いの。
一人称は最高でも2人までね。それ以上の人数の視点を描きたいのなら
3人称で書いたほうが纏まると思う。けどそれはハルヒの同人とは言いづらいわね。
(キョンの一人称視点が売りなんだし)そこが難しいところなのよ」
215名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 16:14:41 ID:u7FtccUi




                                            機関に帰還する



プギャーーーーーーーーー
216名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 16:16:04 ID:m0CV9wfo
たまに間違えられてるけど古泉の1人称は「僕」なんだよなあ。
217名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 16:17:08 ID:joAZrgLl
流れとかよく分かりませんが、長門モノの小ネタを失礼します。
やはり長門モノが一番書きやすい。ただし書きやすさと出来は別問題。

3レス予定。本番等無し。別タイトル案『キョンと眼鏡さん』
218名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 16:18:54 ID:joAZrgLl
「……してないほうが可愛いと思うぞ。俺は眼鏡属性ないし」

──って、何を言ってるんだ俺。
俺的失言ランキングの殿堂入り決定の瞬間だった。
混乱と恐怖から解放された安堵からの失言だ。聞き逃して欲しい。

「何でもない。ただの妄言だ」
「そう」
長門は心底どうでも良いといった雰囲気で答えた。


翌日、昼休み。
俺は未来から来たという朝比奈さんよりも更に未来から来たという朝比奈さんに会った。
……我ながら何を言っているか分からない。
ひとつ分かっているのは、朝比奈さんの胸元には星形のホクロがあることぐらいだ。

その大人朝比奈さんと入れ違いで、部室に長門が入ってきた。眼鏡は無い。
話を聞く限り、こいつはすべてを分かっているようだ。

別れ際、再び失言をした。
どうやら先の事件で、俺の言語中枢のファイアウォールが壊れてしまったらしい。
この短期間で二度も失言をするとは、某王妃がごとく首を飛ばされても仕方がない。
ちなみに、長門からの返事はなかった。


             『 長門有希の選択 』



「あら、ひょっとしてあんたもこのマンションなの? 奇遇ねえ」
ハルヒに拉致されて朝倉のマンションを調べた帰り道、長門に会った。
相変わらず眼鏡の奥の瞳は何を考えているんだか不明だ。
……って、あれ? 眼鏡?

長門の顔には、しっかりと以前と同じ眼鏡が掛けられていた。
まあ、当然と言えば当然なのだが、何だこのがっかり感は。

「じゃあね、有希」
ハルヒがそれを疑問に思うはずもなく、片手を振りながら先に行ってしまった。
仕方なく俺もそれを追いかける。
すれ違いざま、長門が声を掛けてきた。
「気をつけて」
今度は何を気をつければいいんだか。

訊ねようと振り向くと、眼鏡を外した長門が立っていた。
はて、と疑問に思うよりも先に、長門はマンションの中に入っていった。
……眼鏡に羽虫でも付いたのか?


これからあったことは中略する。
ハルヒのマジ話に付き合ったり、古泉の与太話に付き合ったり、変な巨人を見たりした。
翌日は朝比奈さんの胸の感触を楽しんだり、ハルヒが不機嫌になったり。
古泉はいつも通りの微笑み顔で、長門もいつも通り、眼鏡越しに読書を続けていた。
ああ、ついでに何か変な夢を見たような気もするが、所詮夢は夢だ。夢でしかない!
219名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 16:20:05 ID:joAZrgLl
翌日、昼休み……って、何かデジャビュを感じるな。
さておき、おかしな夢のせいで寝不足の俺は、あくびを堪えながら文芸部のドアを開けた。
文芸部部室では、長門がいつもの情景で本を読んで…………いつもの情景で……?

「……なに?」
いや、別に俺は何も言ってない。
「そう」
なら興味ないとばかりに、再び視線を本に下ろす長門。
しかしその顔には、何と言うか、あるべきモノが足りないというか……

「なに?」
いや、だから別に俺は何も言ってはいないんだが、
「そう」
あ、いやいや、でも言いたいことが無いわけでもないんだ。
「なに?」
いやその長門、お前さ……何で、眼鏡を──……


「ここにいるの、キョン!!」
バーンと効果音を書き込みたくなるような勢いでドアが開いた。
その効果音を塗り潰すほどの大声で入ってきたのは言わずもがな、我らが団長様である。
ちなみに、今朝からの気紛れなんちゃってポニーは、すでに解かれていた。
いったい何の用だ。
「別に用なんてないわよ。ただ団員の居場所を把握しておくのも団長の勤めでしょう」
さいですか。
「それよりキョン、有希と二人っきりで、何か変なことしようとしてたんじゃないでしょうね!」
するか!
呆れながら視線を長門に移す。
流石だ、この喧噪の中でも黙々と本を読んでいる。
220名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 16:21:19 ID:joAZrgLl
そう言えば、部室にこの三人組ってのも久しぶりな気がする。
もしかしてSOS団の設立初日以来じゃないか?

ガラにもなく、あの日の情景を思い出す。
ああ、やっぱり同じだ。
やかましく騒ぐハルヒと、それに付き合う俺。
そして、あの日と同じく何も言わず読書を続ける、眼鏡をかけた髪の短い少女……
──って、おい!

「なに?」
……いや、言いたいことは山ほどあるんだが、止めておく。
「そう」
読書を再開する眼鏡の長門。
……うん、見事に眼鏡だ。


その後、用があると言ってハルヒは去っていった。
本当に何しに来たんだ、あいつは?
慌ただしく掛けていくハルヒを目で追い、再び視線を長門に戻すと……
……いや、もう突っ込むのは止そう。
相変わらず何を考えているんだか分からないが、やりたいことは分かった。

失言だと思っていても、三度も言えば本心になるだろう。
素顔の長門に声を掛ける。

「長門、やっぱり眼鏡はないほうが可愛いぞ」
「……そう」
221名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 17:00:35 ID:TTM0sbr1
なんつーか、小ネタって難しいよな、やっぱり
222名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 17:04:33 ID:mwj7lPxb
引っ張らんとこうぜ
223名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 18:56:36 ID:hgMXFS6Q
>>220
それほどまでに何回も言ってもらいたかったんですね
その言葉……
しつこいぞ長門!
でも可愛い...GJ
224名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 19:21:52 ID:87t06HRN
では、ネタを投下いたします。
4レスほどです
225ハルヒ特別捜査隊:2006/07/30(日) 19:22:57 ID:87t06HRN
ハルヒ特別捜索隊

 俺には重要な使命があった。それは、ある重要なモノを誰の目にも視認できないよう、
隠蔽することだ。モノ、と俺は言ったが、それは形をなしているものだけであるとは
限らない。あるモノは書籍であり、またあるモノは記録媒体だ。そして形を持たない
モノもそこには存在した。
 ここはもちろん、戦場ではないし、俺は自衛官でもない。だが、この作戦を成功させ
なければ、俺の名誉は確実に失われるだろう。

 隠蔽工作の期限は明日の朝までだ。今日中に作戦を完遂しなければならない。
 

 夏休み最後の2週間を15,497回、年数に直すと、約594年分も繰り返し過ごすことにな
ったなどという、お釈迦様にも、イエスキリストにもまったく想像もなし得ないような、
奇妙奇天烈、かつ不可解極まる体験を、遺憾な事ながら俺たちはしてしまった。いや地
球上のあらゆる存在が、だ。
 しかし、594年分も時を過ごしていれば、すでに俺達の魂は、極楽浄土とやらにでも送
られていければおかしなはずだ。だが幸いにも、2週間が終了するたびに、その間の記憶
と肉体的成長、及び経験がリセットされるため、その心配はなかった。

 時間のループなどという、世界の、いや宇宙の常識を斜め上に突破しちまうやつなん
て、この宇宙に1人しかいない。無論、そいつの名前は涼宮ハルヒだ。
 俺たち生徒会非公認組織SOS団のメンツは、雑用係として、あるいはマスコットとして、
または副団長兼太鼓持ちとして、またあるいは、スパーマルチプレイヤーとして、団長
である涼宮ハルヒの命令一下、たとえ地の果てだろうが、炎の中だろうが、飛び込まな
ければならない運命を背負っていた。

 俺たちが15,497回もループを繰り返しているなんてことは、特殊な存在である長門か
ら聞かされたのだが、そんなことを聞かされたところで、俺たちはハルヒが何をやりのこ
したのか、などは皆目見当もつかず、これは第15,498回目の2週間を迎えなければならな
いかと意気消沈した。そんな夏休み最後の日の前日、つまり8月30日に、俺は天の啓示でも
受けたのか、突如として、SOS団員達を、夏休みの宿題をやる、という名目で、俺の部屋
で集まるよう提案した。もちろん仲間はずれを心の底から嫌うハルヒが、それに乗るだろ
うと想定してだ。

 果たしてそれはうまくいった。だが、そのために俺は、翌日の朝から団員達を迎え入れる
ために腐心していた。

 明けて、夏休みの最終日。SOS団の集合時間を、早めの朝8時半に設定していたため、俺
が朝飯を食うか食わないかといった時間に、まずハルヒが最初の訪問者になった。ハルヒ
は応対に出た俺の母親に対して、よそ行きの、完璧な社交辞令を駆使したため、母親をお
おいに感動させた。とりあえずハルヒは応接間で待たせておいた。半時間ほどが過ぎ、続
々と他の団員が訪れるに至って、初めて俺の部屋に案内した。
 なぜハルヒが訪問した時にすぐに俺の部屋へ案内しなっかったのかというと、ハルヒが俺の
部屋を物色することを避けるためだ。そして、もう一つの理由としては、2人で部屋にいる
ところを、後から入ってきた女性陣に見られて、妙な誤解をされないためでもあった。も
し最初に来たのが、ハルヒでなく朝比奈さんなら、熱烈歓迎、即座に俺の部屋に連れて行き、
台の上に飾って、1日3度でも彼女の前でぬかずきたい気分だったのだが…。

 SOS団メンツが俺の部屋で一堂に会し、俺たちは夏休みの宿題の転記に追われていた。転
記元は、もちろんハルヒの作品である。ハルヒの性格以外での、あらゆる面の優秀さにつ
いては、すでに団員に疑義を挟む余地はない。それでも、夏休み中の俺たち団員を、合宿
やプール、祭り、バイトと行きずり回したにもかかわらず、自分の宿題はすべてやり終え
ている、といったような超人性を見せつけられては、さすがにあきれる他はない。
226ハルヒ特別捜査隊:2006/07/30(日) 19:23:54 ID:87t06HRN
 ハルヒは上機嫌だった。
 ハルヒは、団員達の課題を脇からのぞき見ては、口出ししたり、あるいはダメ出しをした
り、はたまた俺の妹とゲームに興じたりと、何が楽しいのか、その顔には、喜色を満面に
湛えていた。もちろん俺にもダメ出しが入るなどの指導を受けるなどした。だが不覚にも、
その時ハルヒが見せた笑顔に、俺が見とれてしまったことには、墓場まで持ってゆきたいほ
どに、悔悟の気持ちでいっぱいだ。
 また、ハルヒは、団員達の行動にも目を光らせていて、俺の肩が朝比奈さんの身体に触
れようものなら、敏速な目の動作で、俺を真っ直ぐに睨め付けた。
 俺たちが、課題に懊悩していたその間にも、俺の母親から食糧の供給が頻繁に行われて
いたのだが、俺がハルヒの指導を受けている、ちょうどその時に顔を覗かせた母親の、意
味深な笑みには戦慄が走った。

 時刻が夕方の5時を回り、精神力と体力の両方を使い果たしながらも、全てのミッショ
ンを成し遂げ、しばし、歓喜の思いに浸っていた。
 さて、これで今日は解散か、と思ったその時、ハルヒはやおら俺のベッドに立ち上がり、
「さあ、本番はこれからよ。みくるちゃん、有希、古泉君。探索開始よ」
 もうすでに、なにか団員達とは打ち合わせ済みなのか。
 ハルヒが何を探す気なのかを察知した俺は、
「おい、ハルヒ。人の部屋で何を探すつもりだ。勝手なことはやめろ!」
 とハルヒに反駁すると、奴はすでに想定済みだったらしく、
「古泉君。キョンをしばらく動けないようにしてちょうだい」
 部下に敵兵の捕縛を指図する、上官のような口調で下命した。
「了解しました。閣下」

「すみません、これも涼宮さんの命令ですので」
 古泉は、申し訳なさそうな顔を10秒間ほど見せると、俺をイスに座らせ、身動きが
とれないように、手足を縛った。これではまるで、監禁状態だ。
 古泉、お前は何でそんなに手慣れた縛り方をするんだ。まさかお前には、いけない趣味
があるんじゃないだろうな。それにやけに楽しそうな表情にも気になる…。 
  
「見つからないわね〜。ベッドの下は真っ先に探したんだけど、そこにもないし。あの話、
ただの都市伝説だったのかしら。ねえ、有希にみくるちゃん。そっちは見つかった?」
 万一こうなることを想定して、俺は昨夜、苦心の末に隠蔽工作を完了したのだ。そう簡単
に見つかってたまるか。
「涼宮さ〜ん。まだ探すんですか〜?見つけちゃったら、わたしが恥ずかしいですよ〜」
 顔をほのかに赤らめて、困ったような口調の朝比奈さん。大丈夫です。あなたが探してい
る場所にはなにもありません。
「何言ってんの、みくるちゃん。もしあなたの裸の写真でもあったらどうするつもり?あた
しはね、キョンがいかがわしい画像や映像を見て、邪な気持ちになって、犯罪を犯させない
ようにしたいの。そのためには、それを発見して、没収しなければならないの。いい?我が
SOS団から犯罪者を出さないために必要なことなの」
 おいおい、俺は犯罪者を犯しそうな目でもしているのか?めちゃくちゃだこの女。

「…………」
 俺のパソコンに興味を示していた長門は、パソコンを起動させて、色々いじり回している
ようだ。あれには、開けない仕掛けは施してあるが、よせ、長門。お前ならなんとかしてし
まうかも知れん。しかし、長門はマウスの使い方がまったくわからないようで、作業に手間
取っているようだ。

 ほんの少し安堵した俺だったが、ハルヒの奴が、とうとうパンドラの箱を開けてしまった。
 ハルヒが発見したモノは、某電気街の、怪しい露店で購入した、無修正もののDVDだった。
発見した場所は本棚と壁の間だ。本棚の裏には、ほんの少しのくぼみがあるため、そこへ直
にディスクを貼り付けて、本棚を元の位置に移動させれば、たとえ隙間から見ても視認でき
ないようになっていたのだが…。俺はハルヒを侮っていたらしい。
 ハルヒは、顔を少し赤らめると、
「キョン、この変態!こんなの見てるから、あんたはいつもみくるちゃんを気にしていたの
ね?もう、これは没収よ。恥を知りなさい」
 何で朝比奈さんが関係あるんだよ。ああ、朝比奈さん、そんな目で俺を見ないでください。
 
227ハルヒ特別捜査隊:2006/07/30(日) 19:24:29 ID:87t06HRN
「……あった」
 長門は俺のパソコンから、スキャンして取り込んだ、諸書籍からの画像、その他映像などを
ファイルにかかっているロックを解除して、パソコンの画面に表示させた。
 そこには、あられもない姿をした女性が表示されていて、それを見た朝比奈さんは真っ赤に
なってうつむき、長門は沈黙を続けたまま、その画像を見つめている。ハルヒはというと、不
敵な笑みを浮かべたまま、俺を見据えていた。
 おお神よ。俺は別に神など信じちゃいないが、そんな言葉をつぶやいた。相当動揺していた
らしい。
「有希、そんなもの全部消しちゃって」
 俺が苦労の末隠蔽したモノは、ほぼ全滅の憂き目にあった。彼女らの、俺への信頼は限りな
く0に近づき、俺を見る目は、非難と不信の色で塗りつぶされていた。
 だが、最後の砦、あれだけはハルヒに見られるわけにいかん。

 俺の願いとは裏腹に、ハルヒの探索意欲は、未だ衰えないらしく、未だ見ぬお宝はないかと、
俺の部屋を漁り続けていた。
 するとハルヒは机の上に置いてあったアルバムに目をつけた。これは怪しいといった目つき
で、それを手に取った。ビンゴだ。だが、それはまずい。
 俺は、最後の仕掛けがうまくいくことを信じるだけだった。

 ハルヒは、そのアルバムの表紙をめくり、1ページ目を見ると、しばらく動作が止まった。
ハルヒの顔が、茹ではじめの蛸のように徐々に赤くなり、ついには首筋まで真っ赤になった。
「…こ、これじゃないわね。ここにはないみたい。もう、いいわ。今日はここまでにしてもう
帰りましょう」
 仕掛けがうまくいったことに安堵した俺だったが、他の連中は、ハルヒが突然態度を豹変さ
せたことに対して、唖然とした面持ちでいた。
 
 戦後最悪の台風のような女を自宅に呼びこんでしまったという、後悔の気持ちと、現在の開
放感を半々に感じながら、俺は玄関先までみんなを見送りに行った。
 連中が見えなくなった後、1人だけ引き返してきた奴がいた。古泉だ。
 近くの公園で少し話をすることになった。
「いや、今日は大変な日でしたね。僕はあなたに同情していますよ」
 俺を縛り付けた奴が、どの口で言っているんだ。
「それは謝ります。ですが、僕は団長の命令には逆らえない、しがない太鼓持ちですからね」
 と自分を卑下するようなことを述べた。

「ひとつ伺いたくて、引き返してきたんです。実は涼宮さんが最後に見た、アルバムに仕掛けら
れていたものがどういうものだったのか、知りたいと思いましてね」
なんのことだ、と、無駄だと思いつつとぼける。だがまあ、こいつには話しておくか
「ハルヒが見たあのアルバムこそが、最も大事なものだったんだ。あのアルバムは、実は
中にくぼみが開いていて、そこにDVDがケースごとはいっていたんだ」
「それは中身であって、涼宮さんの目に触れたものはそれじゃないでしょう?」
 鋭いな、古泉。だが、これ以上は言うつもりはないぞ。
「そうですか、残念です。では、僕が当ててみましょうか?」
 わかるものならな。
「では、ずばり言いましょう。あのアルバムには、1ページ目だけには写真が入れられるように
なっていたのだと思います。そしてそこにあった写真は、おそらく涼宮さん自身のものだったの
ではないですか?」
 古泉に俺の表情の変化が見えたのだろう。
「図星のようですね。あなたは隠蔽工作のために、涼宮さんの写真をなるべく大きなサイズで
印刷したのでしょう。そしてそれを見た涼宮さんは、あなたが自分の写真をそのような
大きなサイズで持っていてくれたことに、嬉しくなり、そして恥ずかしくなってしまったので
しょう」
228ハルヒ特別捜査隊:2006/07/30(日) 19:25:06 ID:87t06HRN
俺は古泉の解説を聞いているうちに、なんて俺は誤解を生むような、そして恥ずかしく、とん
でもないことをしてしまったんだろうと、悔恨の念に煩悶していた。もし穴があったら入り
たい気分だ。
 古泉は俺の苦悩にはまったく気づく風でもなく、
「最後にもう一つお聞きしたいのですが、あなたは彼女たちに没収されてしまった、あるいは
消去されてしまったものよりも、そのDVDのほうを最後まで隠したいと思っていたので
すか?」

「そうだ。なにしろこのDVDの主演女優の顔は、ハルヒにそっくりだったのだからな…。
おそらく、10人に聞けば、9人まではハルヒにそっくりだと言うだろう。そんなものを
ハルヒに見せるわけにはいかん」
「なるほど…。そうですか、あなたはそういうのが好みなのですか」
 誤解するなよ、あれはおまけだったんだからな。と言ったんだが、
「まあそう言うことにしておきましょう」
 勘違いしているようだった。


 だが、残念ながら、この騒動はこれで終わりではなかった。もちろん、またループが繰り
返されたわけではない。ゲームをクリアしたかのように何事もなく、俺たちは9月1日を迎
えていたのだから…。
 問題は、そんなことではなかった。なんとしたことか、古泉の奴は、ハルヒが放った間諜
だったのだ。俺が古泉に漏らした一言一句と、奴が言い当てた推論は、もれなくハルヒ達に
つまびらかにされてしまっていたのだ。

──どうりでハルヒの奴が、新学期早々の教室で顔を赤くしたまま目も合わせなかったはずだ…。

 新学期が始まって最初のSOS団の活動は、顔を真っ赤にしながら、それでいて目はそらした
ままのハルヒを中心とした、俺への糾弾会に決まった。

 そして俺は、孤立無援の南方の島々でただ玉砕を待つだけの守備隊のように、SOS団女性陣
──95%はハルヒだが──の集中砲火をその身に浴びたことを、ここに追記しておく。


終わり
229名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 19:38:13 ID:nZ0sVxbf
GJ!非常によかった!
230名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 19:39:43 ID:ySMGuw2f
>>225
GJ!!!
231名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 20:00:48 ID:WV3/AtRI
>>228
GJ!キョンカワイソスwww
232名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 20:05:50 ID:rEcjfGG8
GJ!こーいうのが好きな自分としては非常によかった。    乙
233名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 20:28:49 ID:OEUvi/Pk
一晩余裕があったんなら、別に他の部屋に隠せば
問題無かったような気もするんだが・・・
234名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 20:31:37 ID:G1gEitaS
電子化した書籍や動画が全滅したキョンに涙を禁じえない
235名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 20:32:38 ID:c+qOrQ14
わざわざ、傷口を広げる手段を選んでこそのキョン。ツメが甘い。
だが、そ こ が い い
236名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 20:56:42 ID:FSwRLrCc
馬鹿か
237名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 21:54:35 ID:j5YaFkoH
おまけだったなら捨てれば良いものを……
キョン君は…その……そ、そういうのが……好みなんですか?
238名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 22:25:08 ID:lW2965YB
PCデータの消滅は…まさに天災だ…
239名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 22:46:35 ID:nZ0sVxbf
部室のパソコンのHARUHIフォルダを隠し忘れて(ry
240名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 23:04:01 ID:JNRR78Ir
中東を除く全世界が泣いた。

…とりあえず、キョンカワイソス(´・ω・`)その年代なら仕方ないのになあ…
集めるのにも相当苦労したろうに…古泉、機関の力で何とか復旧できないのか。
241名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 23:06:31 ID:r/huJs2H
つーか古泉、いくらハルヒの命令でもやっていい事と悪い事があるだろ。
それを許せるキョンの器は計り知れないほど大きいな。
242名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 23:10:23 ID:4BuGmUjm
これにGJがつくことに感動した
243名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 23:32:58 ID:HbztWloT
キョン、また集めればいいさ。 きっと今度はうまくいく… のか?
>>233
それをすると確実に次の日には、取り残しが机の上に整頓されて置かれているものだ。
244名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 23:38:42 ID:g3h4aj4P
ハルヒゆるせねぇよハルヒ
245名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 23:47:20 ID:vps6PRcK
なんか、熱いリビドーを共有する漢どもの応援が止まらないスレですね
246名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 00:00:39 ID:c+qOrQ14
>233
「キョンくん、これなぁに?女の人の裸がいっぱいだよ〜」
キョン悶絶
247名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 00:10:00 ID:3QSNQOBl
このスレ加齢臭がするwwwwww
248名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 00:12:57 ID:Ve05Xj31
「あのね、キョンくんがね、女の人の裸の本をね、」
「わ、ばか、やめろ」
必死になって止めたが時すでに遅く、俺はハルヒに首のあたりを捕まれていた

>>246 こうですか?わかりません!><
249名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 01:07:43 ID:4s2wui9y
削除しただけなら「復元」がある。まだだ、まだ終わらんよ
250名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 01:13:44 ID:RO11IqIv
「ねー、キョンくん。ハルにゃんの写真がなんで私の部屋にあるの?」
馬鹿、今ここで言うな!
251名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 01:14:19 ID:RO11IqIv
すまん、誤爆したorz
252名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 01:15:02 ID:IuZTZKjq
長門のことだ。完全削除してしまったに違いない。
253『リモコン・タイム』:2006/07/31(月) 01:20:13 ID:uGb+VLMC
俺は何気ない振りをしてポケットに手を入れ、中でリモコンのスイッチを入れる。
「……っ」
お茶を煎れていたメイド姿の朝比奈さんが、一瞬動きを止め、恥ずかしそうに俺を見て笑った。心持ち、体がまえのめりで、手がスカートのあたりを押さえている。
「っつ……はぁ。」
スイッチを切ると、朝比奈さんは甘い吐息を漏らした。


『リモコン・タイム』


部室に行くと、来ていたのは、完璧なメイド姿の朝比奈さんだけだった。まだ長門が来ていないとは、珍しいこともあるもんだ。こんにちは、朝比奈さん。
「うふ、こんにちは、キョンくん。あの……これ貰ってくれますか?」
へ、なんですか、これ?何かのスイッチですか?
「はい。いれてみて。」
俺は言われるままにスイッチを入れてみた。カチリ。
「キョンくんがスイッチをいれると、これが動くの。」
って朝比奈さん、スカートをたくしあげてどうするんです!可愛らしいパンツにはさんでいるのはなんですか!
「リモコンバ×ブです。…ご主人様、みくるをいじめて下さい。」
とうとう、ねじが外れたみたいだ。自分の乳からミルクを出して、俺に飲ませようとした辺りから、怪しいと思ってた。
勿論、外れたのは、俺のねじだが。

というわけで、さっきからスイッチを入れたり切ったりしては、朝比奈さんの可愛らしい反応を楽しんでいる。幸い古泉は休みだが、ハルヒと長門にバレやしないかとヒヤヒヤしている。が、そのスリルが、楽しい。
いや、長門は顔が僅かに赤いな。ひょっとして、気が付いているのか?だが、長門は黙って本を読むばかりだ。
「はぁっ…あ、あのトイレに」
声を出すのが我慢できなくなった朝比奈さんが、堪らずにトイレに行った。
と、ハルヒが赤い顔をして俺のところに来て、声をひそめる。
「キョン…これあげるわ。」
朝比奈さんに貰ったのと同じリモコンが差し出された。
「使い方…わかるよね。今から入れるから、スイッチを入れたり切ったりお願い…こっそりね。」
恥ずかしそうだが、嬉しそうにハルヒは自分に装着した。一応長門に背を向けているが、いや、バレバレだろ。
朝比奈さんが戻ってきた。ハルヒは俺に視線を送り、朝比奈さんは期待に頬を染める。
ひょっとして、一つの電波で二台が同時に…。
俺は震える手でスイッチを入れた。
「あんっ」
三人の声が同時に部室に響いた。
え、三人?
「……装着済み。」
頬を染めた長門が、スカートをめくり上げた。


おしまい
254名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 01:24:30 ID:uGb+VLMC
『ミルク・タイム』の続き投下。
255名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 01:28:09 ID:ouit0CGq
>>253
GJ!リモコンバイブ・・・ハァハァ
256名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 01:33:33 ID:noxXKIHo
>254
つ、次は?次はナニタイムなんだっ!?!?!?!!?
257名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 01:34:17 ID:8odFKU3f
次の日、古泉も装着してきたら…と思うと
ちょい鬱だww GJ!
258名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 01:35:09 ID:zb0bZFhR
>241
モドキで発散するくらいなら本物にぶちまけてしまえという彼なりのメッセージではないかと。
多分、ハルヒと全然関係ない普通のオキニだったら男の友情で見逃したんじゃないかなぁと思ってあげたい。

そのうえで、セックスとオナニーは別物だから古泉殴るキョン
259名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 01:35:42 ID:ybolW0Q3
>>253
これで安心して眠れる…
じゃなくて次も期待してます
260名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 02:02:57 ID:/M1skkDn
>>253
飛びっ子のリモコンは全部共通だと知ってるとは(W
261名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 02:29:27 ID:ImwKI+3w
ピリリッピリリッ
「なんだ大佐」
「緊急事態だスネーク!!」
「何が起こった」
「閉鎖空間だ!!」
「閉鎖空間?おいおい、そんな小説じみた物が現実に発生するものか。」
「だが実際に発生したんだ!!規模は半径5kmといったところだ」
「で、俺にどうしろというんだ?悪いが今は休暇中なんだ。あまり面倒な仕事は御免蒙る」
「君には閉鎖空間へ行ってもらい、当該空間の発生原因である涼宮ハルヒを満足させて欲しい」
「そんなものはキョンか古泉に任せておけば良いだろうに」
「キョンは親戚の家に家族で帰省している。古泉は谷口と¨うほっ¨の最中だ」
「……ボソッ(古泉が行けば良いだろ)…」
「頼む。世界を救えるのは君しかいないんだ」
「……しょうがない。引き受けよう。だが、今度のコンパではもうちょっとマシな女を連れて来てくれないか?正直あのレベルでは……」
「うわぁぁ!!!わ、わかった!わかったからそれ以上は色々な厄介が起きそうなので言うな!!!!!」
「了解だ。では目標地点の場所を教えてくれ」
「目標地点は涼宮ハルヒが作ったSOS団と名乗る団体の本部の掃除ロッカーの中だ」
「何でまたそんな所へ……」
「話は後だ。今は時間がない」
とまぁこんな理由でここまで来てしまった。それにしてもロッカーの中はえらく狭いな。ん?
部屋に入って来た女子高生がやおら制服を脱ぎ出すと、メイド服に着替え始めた。
「これは……欲情をもてあます…」
たまらん。俺の大脳は「犯っちまいなぁー!!」とさけんでいる。
「もう我慢できん!!」
ガタァン!!!!
「ひぇぇぇ!!!?」
「や ら な い か ?」「うほっいい男」







新川「ハッ!!ドリームか」
26215-705長門スキー:2006/07/31(月) 02:31:27 ID:noxXKIHo
http://haluhi9000.h.fc2.com/s14g.html
の続きー
『長門有希との微温浴』

 なんで俺はこうしているのだろう?
 広い湯船に浸かりながら、おれはそんなことを考えていた。
 高級分譲マンションの浴室はウチの風呂場なんかよりも広くて。
 湯船だってでっかい。
 一人で入れば十分に手足が伸ばせるくらいだ。
 一人で入れば、だけどな。

 問題は、湯船の中で俺の股の間に長門が座っているわけで。
 俺的にも十分手足が伸ばせないわけで。

 いや、そんなのはどうでもいい。
 それより長門のうなじだ。
 いやうなじじゃなくて。たしかにうなじは白くてなんか見てるとゾクゾクするけど、この場合はそれほど重要じゃない。

「長門、この風呂ぬるくないか?」
「……ぬるめのお湯に長時間浸かるほうが熱いお湯に短時間浸かるよりも健康には良い」
「そうなのか?」
「そう。ぬるいお湯に長時間浸かることで身体の芯まで温まる事が可能。熱いお湯では
あまり長時間入っていることが出来ない。身体の表層しか温まらず、入浴による温熱効果は
半減してしまう」
「……そうなのか、知らなかった」
「今後もあなたはぬるめのお風呂に入るべき」
「わかった……わかったけどな、ちょっとだけ身体を離してくれるとありがたいのだが」
「…不愉快?」
 長門は首を廻して俺の顔を覗き込んでくる。
 その瞳にほんのわずかな分量で「不安」の色が紛れ込んでいる。
 俺はその瞳が痛々しくてたまらなくなる。
「不愉快なわけないだろ! ……ただ、その……お、お前の……し、尻が……当たってて……」
「構わない」
「いや、だってその、長門の尻が柔らかくてついこうなっちまってだな、……え?構わない?」
「あなたの男性器と触れ合うことに嫌悪感はない」
 そう言う長門の視線は真っ直ぐ俺を貫いている。
「あなたが私の身体で性的興奮を覚えているということは私の中にエラーを誘発させる」
 いや、エラーはまずいだろエラーは。
「……構わない」
 そう言う長門の目は少し潤んでるようにも見える。
 長門は正面に向き直る。また白くてステキなうなじが俺の視界には入るわけで。
「あなたはもっと肩まで浸かったほうが良い」
 そう言うと、長門は俺の腕を掴むと自分の腰を抱くような形に持っていく。
 細っ。
 いや、長門の身体の細さにビックリしてる場合じゃない。
 固くなりすぎたマイ・キャノンが長門の尻にぴったりと押し付けられてるわけで。
 そして両腕が長門の胴体に巻き付き、肘の内側辺りに長門のちょっと固くなった胸の先端が
当たってるような当たってないような、って乳首が乳房のちょっと柔らかくてふっくらと?

 俺の脳はスパークしかけているらしい。長門の髪っていい匂いすんなあ。
 って、長門の後頭部に鼻先を突っ込んでる俺はなんなんだ?っていうかいつの間に?
「もっと」
 そう言う長門の横隔膜の振動が腕に伝わってきて痒いです先生。ってだれだ先生って。
「強く抱きしめてくれると嬉しい」
 ぎゅっ、とこうですか?
 って何で俺は全身で長門の身体をぎゅっとしてるんですかって細い柔らかい肌がすべすべで
もっと強く触りてえってそれでもいいのかいいのだ―――――――――
--------------------------------
キョンが暴走しかけたまま終わる
263名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 02:46:02 ID:iAprwaiR
>>262
そこまで言うなら、肩まで浸からずに半身浴の方が良いワケなんだが……
そんなことよりも先生っ、早く突入してください!
まったく、いつまで焦らせれば気が済むのよっ?
264名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 02:50:48 ID:Rqyj1SZA
>>175
亀だが、あれコンダラって名前なんだな。
俺はすっかりあの某アニメの出だしは「思い込んだら」
なのかと思ってた…
26515-705長門スキー:2006/07/31(月) 02:52:13 ID:noxXKIHo
>>264
ちゃうねん。あれは「ローラー」やねん。

コンダラ、ってのは巨人の星のOPを見た連中が誤解して呼んだ呼び名やねん。
266名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 03:06:34 ID:htTdv6i5
>>265
お前、大阪だったのか!
267名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 03:11:04 ID:Whp1KtA+
>>265
冷静に考えりゃ誰でも分かるはずなんだが
どう考えてもあれは「ローラー」だ
268264:2006/07/31(月) 03:45:46 ID:Rqyj1SZA
>>265
いや、俺も変だとは思ってたんだけど、
俺の認識が間違ってたのかと思ってね。ありがとう。
269名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 05:10:14 ID:YBmJ/Msq
>もっと強く触りてえってそれでもいいのかいいのだ
やっぱり
キョンは
状況に流される
270名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 06:45:04 ID:G4Xqi1Eu
>>261
新川さんバルスwwwwwwwwwwwwwwwwwww
271175:2006/07/31(月) 08:50:40 ID:wdO/ZW7D
>>264
それ、ネタのつもりで放り込んでおいた物です…
ごめん、純真な人をだますつもりは無かった。今は反省している。
272名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 09:51:23 ID:7x+kG36N
板削除始まったな。どうかエロパロ存続しますよーに。
273名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 10:05:37 ID:4UzajOb/
阪中さんのエロマダー?
274名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 10:45:32 ID:K/Uw6Qdj
>253
その落とし方には、何だか見覚えが…
いつぞや、長門が全身にハリネズミ状にフラグ立てて
「いつでも攻略可能」、ていうのを書いた人かな?
275名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 10:56:03 ID:uGb+VLMC
>>274
フラグの人ではないが、ちょっとワンパターンになってきたかな?みくるで始めて長門で落とすのは…。
精進します。
276名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 11:43:39 ID:hjVlrtPd
構わない
277名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 12:21:41 ID:07KwyEqm
投下してもおk?
12時間後に。
278名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 12:39:10 ID:ezzJ/rwT
…待ってる。
279名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 14:51:16 ID:+tMT3Cbo
えらくまたロングパスな予告だなぁ(;´Д`)
280名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 14:52:10 ID:qY88vK+F
12時間後かよ・・・
281名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 14:58:35 ID:14ILAx2S
昼休み中に書き込みしたんじゃね?
282名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 15:36:50 ID:weAVIXXM
12時間後=日付が変わる=ID変わる=釣り
283名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 15:57:56 ID:uh0hLWBA
>>282いや、そのりくつはおかしい
284名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 16:07:01 ID:kSywsol8
今どきID盲信もねーだろ。
釣りどころか、単なる暇つぶしの書き込みに6レスも釣られやがって。
あ、俺で7レス目だけどな。
285名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 16:59:39 ID:FVmSMmiT
釣るとか釣らないとかのレスでもあるまい
286名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 17:16:14 ID:qY88vK+F
まぁ、待つしかねぇだろ
287○○○・NOTE その1:2006/07/31(月) 19:22:58 ID:pwMPTYEZ
その間に俺がちょっと短めの、初投稿なんで誤字脱字既出ネタだったら勘弁してくれ。



キーンーコーンーカーンーコーンー♪

六時限目の終了を告げるチャイムがようやく鳴り始めた。
俺はいつも通り1から6時限目までの授業の内容をきれいさっぱり忘れ去ると、
後ろの席のあいつをふり返かえる。

「ハルヒ。お前掃除当番だろ。先に行ってるぞ。」

しかしハルヒは窓の外を眺めたまま微動だにしない。どうした?また憂鬱か吐息か
動揺か?また陰謀って事はないよな?
しかし夢見る乙女のまなざしって感じではない。どこか一点を凝視している。
そう、まるで獲物を狙うハンターのような視線だ。

そのうちハルヒは窓の枠に手をかけると身を乗り出すと手を目の上にあてがって
海賊船の見張りのように校庭の方を凝視しはじめた。

「やっぱり、見間違いじゃない!ねえ、キョン。何かしら、あれ?」

俺は校庭を目をこらしてみてみるが何も見えない。
何もないじゃないか?
それとも幽霊が見えるってか?

「ちがう!ほら、ちょうど校庭の角のほう。黒い四角い何かが落ちてる。
 ほら、あそこに見えない?」

俺はハルヒの指さす方向を良くみてみた。俺も目はいいほう何だけどな。
それでも言われなければ何となくあるようにしか見えない小さな黒い物を俺は
ようやく認識した。
四角いなんてまったくわからんぞ。お前はアフリカの原住民か何かか?

「行くわよ!キョン!」

ちょっと待て、お前は掃除当番……

「谷口!あんた替わって!」

谷口スマン。ハルヒは誰にも有無を言わせることなく、俺のネクタイをつかんで
加速装置を得た韋駄天のごとく、亜光速でかけだした。



「ちぇ、何か事件のにおいがしたんだけどね。ただの古びたノートだなんて。
 誰よ、こんな所に捨てたのは!
 ここまで走ってきた分の労力の損害賠償を請求してやる!」

そんなもん、裁判で勝訴しても微々たる額しかもらえないだろうよ。
俺は、何気なくそのノートを拾い上げて、ひっくり返してみた。

       【HARUHI NOTE】

確かに、その古びたそのノート表紙にはそう書いてあったのだ。
288○○○・NOTE その2:2006/07/31(月) 19:23:58 ID:pwMPTYEZ
やれやれ、自分で捨てたノートに自分で文句言うんじゃねーぞ。まったく。

「何これ?あたしこんなノート知らないわよ。」

そういいながらも、俺からノートを奪い取るとハルヒは中をぺらぺらっとめくった。
最初の1ページに英文で何か書いてある以外あとは全くの白紙だった。古ぼけた以外
何の変哲もない普通のノートにしか見えない。

ハルヒは、最初の1ページを開くと、その英文を読みはじめたのだった。

「これは、ハルヒのノートです……。はあ?なによこれ?!
 このノートに書かれた願望は全て叶うですって?……ぷっ……バカみたい。」

ハルヒはそこまでで飽きてしまったように、ノートをぱたんと閉じると辺りを見回し
はじめた。

「谷口のアホかそのへんのいたずらね。どこかで隠れてみてんじゃないかしら。
 頭にくるーーー!!もう!部室行くわよ!キョン!!」

そういうと、ハルヒは俺にノートをなげ付けて、さっさと一人で部室に向かいはじめ
たのだった。何だ?このノートは?何か妙に嫌な予感がする。
いつぞやに感じた嫌な感覚だ。大体この感は外れた事がないのだが……。
俺はノートを丸めると、後ろのポケットにつっこんでハルヒの後を追いかけた。


部室に付くとまだ誰もいないようだった。
長門も今日は掃除当番だとか言ってたっけか?あいつにこのノートを分析して貰おう
と思ったんだが、まあいい、俺の考えすぎだ。もうゴミ箱に捨て……

「あんたまだ持ってたのそのノート?まさかあんたのいたずらじゃないわよね?」

俺をアホの谷口と一緒にして貰いたくないですね。俺がやるならもっと高度ないたずら
を考えますよ。と、古泉を真似てそういってみたが、ハルヒはまったく聞いちゃいなか
った。それどころか、またあの何か悪巧みをしているいたずら小僧のような無邪気な
笑みが浮かびはじめたのだ。

「ねえちょっと試してみない?」

「何をだ?」

「だからそのノート。何でも願望が叶うって書いてあったでしょ。」

ハルヒは俺のポケットからサッと奪い取ると、ノートの一ページ目をもう一度読み始
めた。

「なるほど、名前を書いて、40秒以内に望みを書くと、40秒後に願いが叶う。
 ってふんふん、あとは……。」

俺の制止も聞かず、ハルヒは2ページ目をめくると団長席据付のマジックペンで、何か
を書き始めた。

おい、このノートがマジモンだったらどうすんだ!
まさかとは思うが、このノート自体がハルヒの能力の具現化した物だとしたら……

文字を覚えたての子供が何かを書くのが楽しいようにハルヒの目の輝きは異常なまで
にランランとそして煌々と輝き、そして何か一文を書き上げたようだった。
289○○○・NOTE その3:2006/07/31(月) 19:24:57 ID:pwMPTYEZ
40秒後、何も起こらなかった。

「なにも……起こらないわね……」


俺は何とこの上なく安堵し、「まったく、やれやれ」と言おうとした瞬間
突然、部室のドアが開いた!

「やあ、遅れてすみません。」

古泉ががそういいながらと長門と朝比奈さんを引き連れて部室になだれ込んできた。
驚かせるんじゃねーぞ。この野郎。

「ねえ、みんな見てよこれ。変なノートひろったんだけどね。
 ただのいたずらだったみたいなのよね。」

ハルヒは、そういうとノートをばさばさと振った。

「なにですかぁ?そのノートは?」
朝比奈さんがまるで生まれて初めて虹を見たようなキラキラしたその大きな目で
ノートをみている。不肖このわたくしめがあなた様のために詳しーーーく説明
致しましょう。

俺の説明を聞いて、長門の無表情な目から一瞬何か鋭い光を発したような気がした。
が一瞬でいつも通りの長門に戻ると、いつものパイプ椅子に座って本を開いた。

「そ、それで、そのノートに、涼宮さんは何を書かれたんですか?」

そうハルヒに聞く、古泉の様子もなにかおかしい。

「決まっているじゃない。あたしの一番の願望はね!
 宇宙人、未来人、超能力に出会って、一緒に遊ぶ事よ!」

アニメなら、どっぱーーーーんとバックに波しぶきでも立つんだろうな。
ハルヒが勢いよく啖呵を切ったその瞬間に俺は何となく理解した。

このノートはやばい。
この上なくやばい。
とてつもなくやばい。

なんとか、このノートをハルヒから取り上げて、早急に処分しなければ。

「そうだ、一度だけじゃ何かの間違いって事もあるから、
 キョンあんたも何か願望、書いてみなさいよ。」

そういって、ハルヒは俺にノートを放り投げた。

ま、まずいぞ。ハッキリ言って下手な事は書けない。

おれだって、朝比奈さんとあんな事やこんな事になってみたいとか、大金持ちになり
たいとか、世界一の大企業の社長になってみたいだとか、そういう願望はある。
だが、もしそれを書いた事で、ハルヒの力が具現化されれば、いったいどういう事態
が引き起こされるのかも、俺はこの一年間で十分に骨身にしみている。

俺は助けを求めるように、長門をちらりと見た。
長門もこちらをちらりと見た。明らかに何かを伝えたそうだが、あいにく俺にはテレ
パシーってものがない。ただ何となく、「あなたに全てを任せる」そういているよう
な気もしたのだが……
290○○○・NOTE その4:2006/07/31(月) 19:25:51 ID:pwMPTYEZ
さて、どうすればいいのか……


俺は意を決して、ノート一ページにデカデカと書いてやった。
あー書いてやったとも、もう半ばやけくそだ!

俺が書いた文を見ると、ハルヒは「バッカじゃないの?あんた。」と言って、鼻を
フンと鳴らして俺を侮蔑の目で見る。うるせえ、男ならほとんど誰でも
――ハルヒ曰く5%以外――は一度はそう願うだろうさ。

そして、40秒後、予定通り何も起こらなかった。

「あーもう、やっぱりただのいたずらね。
 もういいわ!
 キョン!そのノートむかついたから私の見えないところで適当に処分しておいて!」

ハルヒはそういうと、団長席にどっかと腰を下ろして、朝比奈さんにお茶を出すよう
に言った。

そして、いつも通り、散々宇宙人と未来人と超能力者とあとごく普通であるはずの
一般人と遊んだあと、「今日は解散!また明日!」というとハルヒはさっさと帰って
いった。

ハルヒが帰ったあとで、俺たち4人はノートを部室内で――火気厳禁ではあるが――
焼却処分したのだった。

たぶん世界は救われたんだと思う。俺の手によって……たぶん……
まあ、とにかくハルヒが新世界の神とかにならなくてすんだという事だけは確かだろう。


ところで、俺がどうノートに書いたかだって?
決まっている、俺が書いたのは俗物だが、男なら誰でも持っている普遍的な願いだ!

「美人の彼女と毎日楽しく遊びたい!」

俺の願いは叶っているという事なのかね?誰か教えてくれ。
291名無し:2006/07/31(月) 20:02:07 ID:yyS/HDnr
(・∀・)イイ!!
292名無し:2006/07/31(月) 20:21:10 ID:yyS/HDnr
やべっ sage忘れた
293名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 20:26:34 ID:MiWJ58Vm
長門を嫁にしたい
294名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 20:48:35 ID:N7xagdFA
オセロ〜〜〜
295名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 20:48:39 ID:EyN7D2sX
>>293
阻止。
296名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 20:51:32 ID:B5DBNTCW
>>293
無駄無駄。
297名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:00:14 ID:yyS/HDnr
>>294
おお同志よ!
298名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:01:01 ID:9T+YPvSW
キョンには3人+αの選択肢が存在している以上、叶っていると考えるべきだ。
299名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:10:06 ID:hT6Q1tjP
spirit


ほんのささいな事で現実の認識など崩れてしまう。
俺は数々の経験からそれを体得していた。
―はずなのに。


目を覚まして顔を洗い、リビングに下りる。
しばらくぼーっとしていたが、何かに気付く。
違和感。
俺は名前をいくつか呼んで、家の中を歩き回った。

誰もいない。

開けていなかったカーテンを開ける。
いつもならば白い陽光が痛いくらいに降りそそぐのだが―。

光がない。

曇りとか雨とか、そういうことじゃないんだ。
空がもはや空とは言えない色になっていて、俺は思い切り動揺する。

閉鎖空間か?
それとも何か違うように思えた。これは勘でしかないが。

俺は急いで部屋に取って返し、携帯をつかんで画面を覗き込む。
アンテナは立っていない。試しに誰かにかけて…メモリがない。

これは夢か?
ついこの前まで俺は何をしていたっけ。

服を着て外に出る。朝飯はパンだけで済ませる。
制服とどちらにするか迷ったが私服を来てチャリに乗る。

とりあえず通学路をたどることにする。
道に人はだれもいない。空は真っ暗。
それなのに街並みは普通に見渡せる。何なんだ。

自転車置き場―。
硬貨を入れるまでもないと思った。自転車やバイクがまったくない。

山登りだ。これまでの最短記録で正門に到着する。
正直、頭が真っ白でまともな思考形態を維持しているとは言いがたい。
300名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:10:53 ID:hT6Q1tjP
これは夢か?
学校の敷地内に入ったが人はいない。
昇降口から校舎に入る。上履きに履き替える。
まず行くべきは…。

開けなれたドアを開けて1年5組の教室に入る。
一瞬、いつぞやの夕暮れを思い出したが、広がる景色はもっとダークだ。
生きものがいる気配がない。時が止まっているような感じ…と言えば近いだろうか。

俺は教室を出て走り出す。
ハルヒの手を引いて走ったことを咄嗟に思い出したが、ここにあいつはいるのか?

俺は教室を見て回る。4、3、2、1組。
6組。長門の顔がよぎるがやはりだれもいない。
…9組。そこに微笑み野郎の姿もない。

2年校舎。鶴屋さんと朝比奈さんのクラスも空っぽだ。

…全教室を見たが誰もいない。
俺は次の場所に行くのが怖かった。
そこに誰もいなかったら俺はどうなるんだ?

SOS団部室。
旧館への道のりがやけに長く感じるのは俺が自然と歩調を緩めているからか。

一段一段階段を上がる。季節はいつだ?
3階に至る。これは夢か?

部室前。ノック。返事はなし。
ドアに手をかけるのがためらわれる。
誰もいなかったら?

かちゃ。

…誰だ?

初めて会った気がしない。
俺は記憶喪失にでもなったか。
301名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:11:39 ID:hT6Q1tjP
「お前は誰だ?」
「お前こそ誰だ」

そこには俺がいた。
鏡があるのかと思って、すぐさまそんなことはないと気付く。

「ここは何なんだ」
「ここは俺の空間だ」

「なぜ俺はここにいるんだ?」
「なぜお前が向こうにいるんだ」

「意味が分からないぞ」
「分からなくていい」

「俺が向こうに行く」
「ちょっと待て!どういうことだ」

「さあな」

俺は一人に戻った。
俺はどこかに消えた。どこに?

また5月のあの日がフラッシュバックする。
パソコンの電源―。

シーク音は…しない。モニターに文字が…出ない。

次に思い出したのは12月の改変世界。
本棚からあの本を探す。あった。
中に栞も…ある。

裏に何もなかったらどうする?
見てから考えればいいだろう。



「俺はお前だ」

閉じこめられたのか?なぜ?
突然すぎてわけがわからないぞ。

部室から出よう。

学校からも出て。

通学路を引き返す。

夢でも閉鎖空間でも改変世界でもないのか?

あいつは誰だ?
302名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:12:26 ID:hT6Q1tjP
この世界は何でもありだった。
無限ループ、情報制御空間、タイムリープ、異次元転移…
今回は何だ?ノーヒントか?
以外にも落ち着いている俺がいた。
むしろこれは俺自身の問題のような気がしていた。

何か忘れている―。

俺は記憶を順に紐解いていた。
通学途中のベンチの上だ。

思い出せたのはどこまでだ?

年末―改変世界。
それを正す時になにか…あった?

…俺はどこにいたのだっけ?
そしてさっきの俺はどこに行ったんだ?

「考えすぎだ」
「まったくだな」

「…」

「なぜいる?」
「お前を助けに帰ってきたんだよ」

「どういうことだ?」
「世界がわやくちゃになりすぎた」

「…」
「今再改変の最中だ」

「誰かがやってくれてるのか」
「あぁ」

「それはよかった」
「それまで時間がある」

「時間か」
「あぁ。少し話さないか」

「何が訊きたいんだ」
「別に。お前はもう覚悟が出来てるからな」

「お前は誰なんだ?」
「俺はお前さ、期間限定のな」
303名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:13:11 ID:hT6Q1tjP
「どういうことだ?」
「一時的に時間がふたつになっている」

「…」
「だから俺がいる」

「長門か」
「そうだ」

「あいつは1人で頑張りすぎた」
「分かってるじゃないか」

「今度は俺が頑張る番だ」
「あぁ」

「お前はどうなるんだ?」
「消えるさ、模造情報だからな」

「ここは何なんだ?」
「処理終了までの待合所みたいなものだ」

「お前はさっきどこへ行ったんだ?」
「お前の代わりに階段から落ちたんだ」

「…」
「いずれわかる」

「そうか」
「だがな」

「何だ?」
「ここから帰ったお前は、ここの記憶を持たない」

「そうなのか?」
「あぁ。こんな場所に用はないだろ」

「お前はここの住人なのか?」
「今はな。俺が消えればここも消える」

「それでいいのか?」
「役割だ」

「そうか…」
「そろそろだ」

「…」
「忘れるな」

「?」
「お前も頑張るってこと」

「あぁ」
「よし」

「…」
「じゃぁな」
304名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:13:58 ID:hT6Q1tjP

空が光る。
世界が白くなる。
窓から光が入る―。


シャリ、シャリ、シャリ。
誰かがリンゴを向いている―。


(了)
305名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:25:43 ID:lNu1l2Rq
オナニー乙
>>304が自分はかっこいい文章を書いてるぜとか思いながら投下してるかと思うと笑えてきます
306名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:27:48 ID:PXOqs2Pp
突っ込みすぎちゃだめよ ・・・不潔だから
307名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:28:02 ID:T+xdipiX
タイトルからして痛いということに、書く前に気がつくべき。
30820の317:2006/07/31(月) 21:33:25 ID:OmWWHVKd
【涼宮ハルヒ】谷川流 the 20章【学校を出よう!】
317 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/07/21(金) 02:38:40 ID:Ip1t7Aas
ハルヒ実写化してくんないかなぁ。絶対HITすると思うんだけど…
知名度高いし、最終兵器彼女よりは面白くなりそう

涼宮ハルヒの憂鬱が新垣結衣主演で実写ドラマ化
ttp://suzumiyaharuhi.seesaa.net/article/21336615.html

ごめん…
俺の世迷言が実現されちゃった…orz
309名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:43:43 ID:hz4rRjpe
>>304
今は夏真っ盛りだから気にすんな
310名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:44:19 ID:DCzEahnd
>>308
14日にわかっていながらなぜ他のサイトでニュースになってないのか問い詰めたい。
と、長門スレでも言われてた。

というか色んなハルヒ関連のサイト見たけど、そこのサイトはオレ知らなかったんだけど。
有名なとこなのか?
311名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:46:33 ID:mqOyBgLV
>>308
…最悪だ…
もし本当だとしたら、俺たちは見ていることしかできんのか?
312名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:52:23 ID:0OUtRWuw
今頃そんなどうでもいい事を書き込むために
態々自分のカキコを抽出してきてコテまで名乗って登場するとは・・・
313名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:57:46 ID:7g7t7kYB
しかし長門スレでもそうだけど
嘘を嘘と見抜けない輩がまだ存外たくさんいることに改めて気づかされた。トリビアの副音声ハルヒネタとか。
314名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:58:53 ID:gMxI2+GR
>>308
ドラマってことは・・・それなりに人目に触れるよな・・・
あぁ・・・終わったな・・・さらばハルヒ、ふぉ〜えば〜
315名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 22:05:10 ID:jSJq5nri
「古泉一樹の親友」感動した。
まとめでエロ無しでいいから感動するお勧めない?
全部読むのはキツス
316名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 22:07:57 ID:a8Xg1dhI
……偶然だよな?
317名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 22:11:42 ID:MiWJ58Vm
318名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 22:25:49 ID:gC2afp99
>>304のシチュ、どっかで見たことあると思ったらペルソナか?
319名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 22:30:23 ID:VL2Jir5h
ちょっと馬鹿ネタいきます
320閉鎖空間の今:2006/07/31(月) 22:31:47 ID:VL2Jir5h
ここ、SOS団の日常風景に最近ちょっとした変化が現れている。
SOS団の日常風景といえば、俺と古泉が毎度勝敗が決定しているゲームをし、そんな俺達に朝比奈さんが矢継ぎ早にお茶を淹れ、
部室の片隅では長門が微動だにせず読書にふけるなか、ハルヒがのんべんだらりとネットサーフィンに興じる、という例のアレだ。
このまんが喫茶を学校に持ち込んだような日常もなかなか快適ではあるんだが、さすがに俺も対戦相手のレベル不足に少々不満を感じてきてしまったわけだ。
単なる暇つぶしとはいえ、その暇つぶし自体に退屈を感じてしまっては本末転倒ってもんだ。
そういうわけで最近の俺と古泉は一旦卓上ゲームには見切りをつけ、ふたりして長門おすすめの本を読むことをこの部室での日常としていた。
なんというかSOS団が日々まともな文芸部に近付いていっているような錯覚を覚えるな…
まあ、日本中探しても部室にメイドを常備し、かつ平気でバニーガール姿で宣伝活動をする神様モドキのいる文芸部など存在するはずもないので、やはり単なる気のせいだろう。
長門に借りた本はSFというよりはスペースオペラにジャンル分けされるような戦闘シーン続出のわかりやすいもので、
俺でもストレスなく読めるよう長門が気を使ったうえでのチョイスであることがわかる。
たしかに俺の感性にピッタリとはまった面白い小説だ。
面白いには違いないんだが、長門さん…これ、ちょっと展開が忙しすぎないか。
俺が今読んでいるのがシリーズ2巻の前半なんだが、これまでに普通の映画でクライマックスにもっていきそうなシーンが30回は発生してるぞ。
船は自爆するわ、人は死にまくるわ、星のひとつふたつは消し飛んでるわ、いや、やりすぎだろ……
俺より読書ペースの速い古泉が同シリーズの4巻を攻略中だが、こいついわく「あなたが読んでいるあたりはまだおとなしいほうですよ」だそうだ。
退屈がまぎれるのはたしかだが、全巻制覇しているころには俺の精神がいやな感じに壊れてるんじゃないかね。
321閉鎖空間の今:2006/07/31(月) 22:32:58 ID:VL2Jir5h

「ねぇ、キョン。それって面白いの?」
おや、いつのまにやらPCの画面から目を外していたハルヒのやつが、俺の手中にある本の洋ゲーチックなバタ臭い表紙イラストを睨んでるじゃないか。
ああ、なかなかのもんだぞ。さすがは長門のおすすめに外れはないってかんじだな。
「お前も読むか?」
こいつは自分自身の性質が常識外れであるにもかかわらず、仲間外れにされるのは嫌うという難儀な性格をしてやがるから、俺、古泉、長門の読書連合に加入したくなったのかもな。
こいつまでが読書にふけるようになったら、いよいよここも正式に文芸部と改名しなければならんかもしれんが……
まあ、ここは元々文芸部室なわけだから、部室のほうとしてもその住人が文芸部員であるというのは本望であろう。
「それって2巻よね」
ああ、だから1巻は空いてるぞ。長門に言やぁ一言も文句を言わずに貸してくれるだろうぜ。
「なんであたしがあんたより前の巻を読むなんて、負けみたいなことをしなくちゃなんないのよ」
ハルヒのやつがまたわけのわからんことを言い出しやがった。
は?こいつはなにを言ってるんだ?
勝ちだの負けだのじゃなく、シリーズものは1巻から読むのは当たり前のことだろうが。
「そんなのは関係ないわ。キョン、あんたの持ってるのを貸しなさい」
お前はガキ大将か?おい古泉、三国同盟の旗手たるお前からなにか言ってやれ。
「いえ。不肖の副団長である僕から言えることは、すみやかに譲渡を完了するのが一番の得策であると助言させていただくことのみですね」
くそったれめ。同じ空間で同じ行動をとることによって育まれる男同士の友情というものがお前にはないのか。
とはいえ相手はあのハルヒだ。こいつに比べたらまだ泣いた赤子のほうが理屈の通じる相手だろう。
早々にハルヒ陣営についた古泉の判断はまことにもって正しいよ。忌々しいがな。
渡すしかないのか?しかし俺はキニスン艦長絶体絶命のピンチの続きがいたく気になるんだが……
「なんなら、キョン。あんたにはあたしの隣で

パタン

ハルヒがなにか言いかけたところでハードカバーを閉じる独特の音、部活終了の合図だ。
タイムアップってわけだ。ロスタイムのないこのゲームは俺のギリギリの逃げ切りでゲームセットとあいなった。
「そういうわけだ、ハルヒ。俺は自分の家でこいつを読み終えちまうんで、それまで待ちやがれ」
「なによ。つまんないわね」
ハルヒが例によって不満のアヒル口を披露してるが、まあ問題ないだろう。
それほどこの本に執着しているようにも見えないしな。
今日の部活も平和に終了だ。

古泉のやつが視界の隅で携帯をいじっているのが気になるんだがな……

さて、ハルヒが油圧式カタパルトで加速されたかのごとく猛スピードで部室を飛び出したのを見届けると、俺もかばんを手にして部室を後にしようとした。
「すみません。ちょっといいですか」
どうした古泉。真面目な顔で引っ付いてくるんじゃねぇよ。
「すみませんね。これから少しお時間いいですか?」
なぜにそう頻繁に野郎からのお誘いを快諾せねばならんのだ。お前のところの機関もたまには気をきかせて森さんのような美人を迎えに寄越せ。
「今から手配しましょうか?ひとりといわず何十人でも」
冗談だ。もし本当にそんなことをしてみろ。俺達が退室してから着替えをしようとじっと待ってる朝比奈さんに軽蔑の眼差しを向けられてしまうだろうが。お前が責任とってくれるのか。
「それもそうですね。僕もその後の涼宮さんがどうなってしまうか、恐ろしいですし。
では諦めて僕のエスコートで我慢してください」
エスコートだとよ。これが国賓扱いの社交パーティーのお招きだったとしても、美形男の薄っぺら笑顔で言われたんじゃ不敬罪覚悟で拒絶したいところだよ。
322閉鎖空間の今:2006/07/31(月) 22:34:19 ID:VL2Jir5h

「で、どういうわけだ?まさかあの程度のことで閉鎖空間が出来たってんじゃないだろうな」
俺は古泉が所属する謎組織の用意した料金0円のタクシーに古泉と同乗している。
まったく華がないことこの上ないぜ。
「お察しの通り、閉鎖空間が発生しました」
くそ、そういうバッドニュースはもっとオブラートに包んで告げろ。前から思っていたんだがお前はインチキスマイルを使うタイミングを完全に勘違いしているぞ。こういうときこそ出番だろうが。
「涼宮さんはあなたと肩を並べて同じ本を読みたかったんですよ。おそらくね」
たとえまかり間違ってハルヒと恋人同士になるようなことがあっても、そんな恥知らずなマネをする気はないぞ。
しかも本の内容は長谷川裕一が万歳三唱しそうなスペオペだ。どんな高校生だよ、そりゃ。
「お前の話じゃ、閉鎖空間は出にくくなってるんじゃなかったのか。ハルヒはそれほど機嫌が悪そうでもなかったぞ」
多少拗ねた部分もあるが、あくまで多少だ。あの程度の不満を持つことも許されないんじゃ、ハルヒのやつにロボトミー手術でも施して感情を消すしかなくなっちまうぞ。
俺はそんな不気味なハルヒは見たくないからな。
「実は今日はそのことでお話があるんですよ。どうやら閉鎖空間そのものに変化が生じているようでして、その現状についていくつか…」
「閉鎖空間の変化だと?」
「ここで問題です。閉鎖空間の発生のトリガーとなるのはなんでしょう?」
なんだ、こいつ。俺の家庭教師にでもなったつもりか?まあ、いい。つきあってやろうじゃねぇか。
「あれだろ。ハルヒのイライラっつうか、ストレスが溜まると出てくるんだろ」
「その通りです。
では第2問。その存在理由は?」
おい、このクイズは何問正解すりゃ賞金が貰えるんだ?まさか座席が突然回転しながら落下するんじゃねぇだろうな。
「周りのものをぶっこわして、ストレス発散するためだっけか。迷惑な話だぜ」
「正解です。付け加えるならば、最終的には世界全体の再構築をすることもその存在理由に含まれていますが…」
こいつはなんだってこんな今さらな話題を持ち出してくるんだ?誰か他の登場人物に語ってろよ。
「ところが最近の閉鎖空間はそうでもないんです」

「まず今までのものとの違いとして発生率の高さが挙げられます。
涼宮さんの精神の安定のために従来の閉鎖空間の発生頻度は3週間に一度ほどにまで落ち込んでいました。
しかし現在のタイプのものはほぼ毎日発生しています。驚異的といっていいでしょう」
えーっと、計算するとだいたい20倍ぐらいの出現率か。たしかに段違いだな。
て事は
「つまり、今までよりも程度の低いストレスでも閉鎖空間が出来ちまうようになっちまったってことか?」
「……そういうわけではないんですが……
これは実際に見てもらったほうが早いでしょう。
着いたようです」
静かに俺達の乗ったタクシーが止まり、目的地への到着を告げた。
後部座席のドアが開き、外へと足をおろした俺の目の前に建つ建物は俺にとってもなじみのものだった。
市立図書館。
長門とよく来る場所じゃねえか。
「今回の発生源はここです。さあ、中に進入しましょう。目を閉じてもらえますか」
古泉のやつが壁際に寂しそうに佇む気弱な少女をダンスに誘う王子様みたいな顔をして、俺に手を差し出してきやがった。
俺もお前もなにやら人生の重要な選択肢を致命的に間違っちまったような気がするぞ。
ここまできたら後にはひけねぇか…
俺は前回のときと同じように目を閉じ、気持ちの悪いことに古泉と仲良く手を繋いで市立図書館の敷地へと入った。
323閉鎖空間の今:2006/07/31(月) 22:35:31 ID:VL2Jir5h
で、中なんだが……
なんだここは?
閉鎖空間ってのは不気味な灰色空間じゃなかったのか?
なんなんだこの眩しいくらいの快晴ぶりは。
目を開いた俺は燦燦と日がさす青空の下にいた。
「わかりましたか。これが従来との違い、その2。
新しい閉鎖空間は外見的にはまるで普通の世界なんです」
確か今って夕方じゃなかったか。空の色がおかしいだろうが。
「まあ、そこはそれ。痩せても枯れても閉鎖空間ですからね。一般常識は通用しませんよ」

だが俺はこんなことで驚いているべきじゃなかったんだ。
図書館の中にはもっと衝撃的な現実が待っていたんだからな。
俺の中の驚き成分をもっとそっちに割り振っておくべきだったぜ。

図書館の中には何人かの人間がたむろしていやがった。
本を手に取るでもなく真剣な表情をしているところを見ると、全員古泉の仲間だろう。
閉鎖空間にはまともな人間は入ってこれないらしいしな。
「こちらです」
古泉が本棚の奥に歩き出し、俺もそれに追従する。
その先、だいたい一般公道で推奨される車間距離ぐらいに離れた場所に、高いところにある本に手を伸ばし、危なっかしく爪先立ちしている少女がいた。
俺達と同年代だろうか。眼鏡をかけた美少女だ。
この人も大変だね。若いみそらで世界を守るエスパー戦隊なんかに組み込まれちまってさ。
しかしもうすぐ化け物が出るってのに、かわいらしくピョンピョン飛び跳ねてのんきなもんだな。
「あの人は仕事中になにやってるんだ?」
「彼女は我々の仲間ではありませんよ」
なに?じゃあ俺みたいに無関係にもかかわらずこの空間に連れ込まれちまった一般人かよ。
あんまりこういうところにノーマルな人間を拉致ってくるなよ。トラウマになりかねんぞ。

「あれが『神人』です」
324閉鎖空間の今:2006/07/31(月) 22:38:26 ID:VL2Jir5h

…………

は?
こいつは今なんといった?
「もう一度言いましょうか。あれが『神人』です」
「馬鹿言え。ありゃどう見ても人間じゃねえか。ビルどころかこの本棚ひとつ壊せそうにないぞ」
「新タイプの閉鎖空間の最大の特徴がそれです。
現在の『神人』は破壊活動を行いません。ああいったぐあいに普通の人間の少女として発生します」
じゃあほかっときゃいいじゃないか。青い巨大化け物だったころにくらべりゃ格段の無害っぷりだ。
「そういうわけにもいきません。
放置していれば閉鎖空間を拡大させて世界を崩壊させてしまうのは従来と同じなんですから」
よりにもよってそこだけは同じなのかよ。頭が痛くなってきたよ。
「で、お前たちはあの無害そうな眼鏡少女を退治するわけだ」
「そんな棘のある言い方をしないでください。あれは見た目こそ少女ですが、本質的には今までの『神人』と同一の存在なんですよ」
見た目が少女ってだけで庇護欲が湧いちまうものなんだよ、男ってやつは。仕方ねぇだろ。
「心配しなくても現タイプの『神人』の対処方法は今までのものとは違います。まあ、見ていてください」
ほどなくして、少女の後ろから背の高い男が近付いてきた。
「あれは機関の人間です。
そして、ちょっとこれを見ていただけますか」
古泉が差し出してきたのは携帯の液晶画面だ。
そこにはメール文が表示されてるんだが……なんだこりゃ?
俺にはわけがわからないので、とりあえず全文を掲載させてもらう。

甲、無言で本を手に取り、乙に差し出す。
乙「え?」
甲「これが取りたかったんだろ?」
乙「あ……はい」
甲「じゃあ、これで」
甲、背を向け、立ち去る。
乙、その手を取る。
乙「あ、あの……ありがとうございます」

「ちなみに甲というのは機関の人間。乙が『神人』のことです」
「わかるように説明しろ」
「ありていに言えばこれは指令書です。
いえ、台本、といったほうがいいでしょう。
機関の人間のうち、誰でもいいのでこの甲を演じて『神人』の対処をしろ、ということです」
この少女漫画でも今どきお目にかかれないクサイ展開のセリフ集がか?
だが、俺の冷め切った心とは裏腹に、向こうでは例の男が少女が手を伸ばしていた本を無言で手にとり差し出してる。
その後、二言三言話したかと思えば、二人して去っていった。
うまくいってやがる……
「終わりました。閉鎖空間が崩壊します」
「馬鹿にしてんのか。あんなんで解決するのかよ」

呆れる俺をよそに本当に閉鎖空間がぶっ壊れやがった。
俺はもうそこらじゅうの機関の人間に殴りかかりたくなったね。
325閉鎖空間の今:2006/07/31(月) 22:40:04 ID:VL2Jir5h

「おわかりでしょうか?」
タダタクシーの中で古泉の野郎が切り出してきやがった。
おわかりになってたまるか。なんなんだ、あの馬鹿げた閉鎖空間は。
「おそらく今の涼宮さんは世界になんの不満もないんでしょう。だから破壊活動を行う『神人』は必要なくなった。
現在は恋愛イベントがなかなか発生しないことによる不満を、ああやって『神人』に代わりにやらせることで解決しているんでしょう」
あいつはそこまで馬鹿なのか。あいつの持論は『恋愛感情は精神病』じゃなかったのか。
「茶化してる場合ではないんですよ。この新タイプの閉鎖空間のおかげで我々の機関は発足以来最大の危機をむかえているんですから」
古泉の野郎がほとほと困った顔をしてやがる。
表情のレアっぷりから察するにマジで機関とやらがヤバイらしいな。
「ご存知の通り、我々の構成員はそのほとんどが4年前に望んだわけでもないのに超能力に目覚めた者です。
突然今までの生活を捨てさせられ、禁欲生活を強いられてきたといっていいでしょう」
…………
「ところが最近になって毎日のように恋愛イベントを経験するチャンスがめぐってきた。
今や機関の大多数が『涼宮さんに積極的に閉鎖空間を生み出してもらおう』という意見で占められています。
つまり我々の機関は世界崩壊の防波堤としての意味合いを急速に失いつつあるんです。
これはもうとてつもない世界の危機ですよ」
………えーっと、とりあえずお前の機関も馬鹿だらけだってことは理解できた。
「どうしましょう?」
どうもしたかねぇよ。こんな状況で俺が言えるのはこの一言だけだってのはお前にもわかりきってるんだろ。
「やれやれ」
326名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 22:41:53 ID:VL2Jir5h
以上です。
ぶっちゃけ『神人』の萌え擬人化がやりたかっただけだったりする
327名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 22:45:47 ID:Ok/2WQQh
テラGJwwww
っていうかこの閉鎖空間を発生させる為には、
キョンがフラグのことごとくをスルーしなければならなくなるんだが…w
328名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 22:47:29 ID:PXOqs2Pp
>>327
キョンには無理だ
329名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 22:48:03 ID:2Nc+xuSP
脳内で具現化しながら読んでたら
神人=消失長門になってしまったwwwwwwwwwww
330名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 22:50:22 ID:nOz5UYIj
神人に萌えた。GJ!
前半で読んでるのはレンズマンか?
331名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 22:52:08 ID:owQiZXNv
キョンが長門に犯されるSSを思いついたのだが、構成が纏まらないので自分だけで愉しむことにする。
332名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 22:58:29 ID:r4uqFomU
>>331
こらぁ!一人で楽しむなんでムッツリスケベのすることじゃないの!皆にも見せなさいよね!!
333名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 22:59:40 ID:RO11IqIv
えらい発想GJ!
つまり何だ、ハルヒとキョンがくっつこうとすると機関から妨害が入ることも起き得るのかw
334名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:01:29 ID:4LCI3Dqs
っていうか原作の神人=身長ン十mのハルヒだったら良かったのに
と未だ女々しく考え続ける俺ガイル。
335名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:03:04 ID:Ok/2WQQh
>>334
機関の人達に思いっきりバラバラにされるのはだな、アレだ、嫌だ。
336名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:06:05 ID:nOz5UYIj
>>334-335
ちょ、なにそれ、最高に萌える。

巨大ハルヒも解体されるハルヒもいいけれど、
それをみたキョンがキレて古泉に食って掛かったりするともっといい。
337名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:15:46 ID:noxXKIHo
>326
た、たしかにこの神人は攻撃できんな・・・・・・
338名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:17:09 ID:09CCYtte
>>326GJ
あえて、あのタイミングで本を閉じた長門に萌えてみた
339名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:20:41 ID:4LCI3Dqs
>>335-336
例えば…
子供が小動物を殺すように嬉々とした表情で市街地を破壊する巨大ハルヒとか、
まとわり付く蚊や蝿を仕留めるように機関の連中を叩き潰す巨大ハルヒとか、
閉鎖空間に迷い込んだキョンを獲物を見つけた猫のように追い掛け回す巨大ハルヒとか、
さらに…
捕まえたキョンを少しずつ力を加えて握り締めながら言葉攻めする巨大ハルヒとか、

…あんなヌラヌラテカテカのアメーバよりこっちの方がビジュアル的にいいと思わない?
340名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:31:47 ID:oeR8qVuv
つTHE 大美人
341名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:33:45 ID:w9/l96XU
とりあえず>>336>>339が歪んだ性癖を持っているというのは分かったw


>>326
GJ。ついに情報統合思念体に続いて機関にまで駄目化の波が!?w
342名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:38:02 ID:4s2wui9y
それよりは地面を叩いて地震を起こし、鉄アレイやタルを降らせてきたり、
両拳ではさみこむようにキョンを潰しにかかってきたり、
パンチで地面に叩きつけようとしてくるハルヒの方が。
343名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:40:57 ID:ybolW0Q3
まぁ、『神人』が巨大ハルヒなら落とし穴掘って不思議なものでおびき寄せて、穴に落ちたところで眠り玉を投げれば自然に消えるでしょう
あぁ、確証は無い。 でもそうであると信じたい
>>342
>>それよりは地面を叩いて地震を起こし、鉄アレイやタルを降らせてきたり、
それなんてドンキーコング?
344名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:44:33 ID:G4Xqi1Eu
>>342
それなんてドソキーユング?
345名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:54:45 ID:fJAitmrB
昔モナー板というのがあったんだ。今もあるけど。
そこはテンプレートで遊んだりAAキャラたちの物語を作ったりと、みんなでAAを使ったネタが応酬する、それはそれは楽しい板だったんだ。
ところがいつの頃からか、AAを使って遊ぶ人たちよりも、その遊びを見る人たちの方が圧倒していったんだ。
そして、いつの間にか、AAを使って遊ぶ人たちよりも、ただ見ているだけの人たちの方が力を持つようになってしまったんだ。
彼らは俗に「ギャラリー様」と呼ばれた。圧倒的多数の「ギャラリー様」の思い通りにならないスレは徐々に駆逐されていき、
AAそのもので遊びたい人たちは徐々に姿を消していった。
AA長編板とAAサロン板はそういう経緯の中で生み出された苦肉の策だったんだよ。

今現在のモナー板がどんな状況なのは知らないけどね。
346名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:58:18 ID:oSbBqKAH
>>331の代わりといってはなんだが、
『ミルク・タイム』ものの完結編を投下。
347『ラスト・タイム』1:2006/07/31(月) 23:59:15 ID:oSbBqKAH

『ラスト・タイム』


目が覚めると、俺は縛り上げられていた。
いや、別に怪しい縛り方をされたわけじゃない。海賊に捕まった哀れな漁師のように、単にぐるぐると縄で巻かれただけのお約束なものだ。とはいえ、体が動かせない。まったく手が動かせない状態になってしまっていた。
さて、ここでいくつか検討すべき問題があるだろう。
その一。ここはどこか。
我がSOS団の活動拠点、文芸部室である。
その二。何で俺はいきなり眠ったのか。
朝比奈さんのお茶に睡眠薬が入っていた。ファイナルアンサー。
その三。誰が俺を縛ったのか。
本命、ハルヒ。対抗、最近どす黒くなり、手段を選ばなくなってきた朝比奈さん。次いで、長門。……そして大穴、古泉。大穴の場合、俺の尻に大穴が開くことさえありうる。
その四。俺はどうなるのか。
甲板から海に投げ込まれないとすれば、窓から放り出されるか、裸に剥かれて陵辱されるか、俺の貧困な想像力ではここまでだ。
その五。長門、俺をどうする気だ?
「あなたの予想は正確。朝比奈みくるは、自分以外の全員のお茶に睡眠薬を入れた。
ただし、あなたの分は濃度が低く、あなただけ目が覚めるように工作したと思われる。
私は朝比奈みくると自分のお茶を入れ替えた。
朝比奈みくるは、最初に眠りに落ちた。
おそらく、私に入れた睡眠薬の濃度が高かったためであると思われる。
その直後に、あなたも眠った。
涼宮ハルヒは、あなたと朝比奈みくるが眠ると、古泉一樹に命じてあなたを縛らせ、自分のパンツを脱いだが、そこで眠った。
古泉一樹は、涼宮ハルヒが眠ったのを確認すると、あなたのベルトを外したが、そこで眠った。
現在、それから三十分が経過している。」
全員、何を考えてるんだ……俺は戦慄する。どーりで死んだように動かない朝比奈さんと、パンツを脱ぎかけたハルヒ、そして、見たくもないが、ズボンの前をテント状に持ち上げた古泉が、床に転がってるわけだ。うわ、吐き気がしてきた。古泉、あとで殺してやる。
「……それで、長門。なんで縄をほどいてくれないんだ?いや、むしろほどいてくれ、頼む。」
「……だが断る。」
うぉい、長門っ!なんだ、なんで顔を赤くするんだ。何でスカートに手を伸ばすっ!
「……こちらは準備完了。」
長門のシンプルな白の下着の中で、いつかのリモコンバ×ブがフル回転している。ひょっとして、三十分間ずっと動かしていたのか……。
「そう。」
348『ラスト・タイム』2:2006/08/01(火) 00:00:34 ID:oSbBqKAH
長門は屈み込んで俺のズボンに手を伸ばす。というか、ズボンはほとんど脱げている。
くそ、古泉、あとで殺してやる。
長門が一気に俺のズボンをむしりとる。俺は、上は制服、下はトランクスという情けない格好になってしまった。長門は、俺のトランクスに手をかけたが、ふと手を止めて、自分の下着を脱ぎ去った。
リモコンバ×ブが床に落ちる。長門は動いているそれを手に取った。
「……あなたも。」
おい、やめろ、それをどこに入れるつもりだ、勘弁してくれ、まさか……。
「大丈夫、あてるだけ。」
長門は、トランクスのわきからリモコンバ×ブを俺の股間に突っ込む。やばい、振動がやばい。息子があくびをして、体を伸ばし始めた。
長門がスイッチを切った。OFF。
ふうっ、と俺は息をつく。
と、長門はスカートをたくし上げた。
「……見て。」
「いや、それはまずいから、長門、その……うぐっ」
ON。長門がスイッチを入れている。
「……見て。」
「わかった、わかったから。切ってくれ、頼む。」
OFF。俺は長門の望むままに、そこを鑑賞する。うーむ、こうなっているのか……情報統合思念体も、細かいつくりに余念がないな……。
あれ、長門さん。なんで俺の顔に近づけてくるんです?ちょっと、おい、息が荒いぞ!
「……舐めて。汚くはないから。」
「おい、それは……」
ON。
「くうっ……わかりましたっ、長門!」
OFF。ちくしょう、長門のやつ、こんな願望を隠し持っていたのか。まるっきりSキャラだ。
「……スイッチを入れて」と図書館でねだる普段のおまえはどこにいったんだ。
「んんっ……どちらのシチュエーションも嫌いではない……んっ……上手……。」
ありがとよ、頑張った甲斐もある。
長門は俺を床に転がし、一気にトランクスを剥ぎ取った。息子は元気に立ち上がった。血色もいい。元気満々だ。長門の方はやる気満々だが。俺にまたがって、息子を手であやす。
「うんんっ……」
長門が息子を導き、腰を沈める。うわー、温かい。つーか、気持ちいい。
「ああん……んん……んん……」
長門が腰をゆっくりと動かす。俺は動きを封じられて、何もできない。なすがままだ。長門の顔が赤くなってきた。あたまをクシャッと撫でてやりたいが、縛られているのでそれも出来ない。
「うっ……長門……いいぞ……」
長門がビクンと反応して、腰の動きがいっそう速く、くねる様になる。長門の柔らかい中でかき回された俺の息子が、気持ちよさに悲鳴をあげる。長門の上気した顔。こいつも気持ちいいのか?うわ、だめだ、げんかいだ、長門!
「長門っ、すまん、もう……ううっ!」
「いい……来て……あんっ!」
俺は長門のなかに解放された。長門も肩で息をついている。上気した顔に、涙が少し瞳に潤んでいる。
長門は俺の縄を解き始めた。えーと、どうした?
長門は顔を赤らめ、呟くように言う。
「きちんと抱きしめて、キスして欲しい。……あと、頭を撫でて。」
勿論だ。俺は長門を抱きしめると、口付けをした。そして、頭をクシャクシャと撫でる。
このときの長門の、恥ずかしそうで嬉しそうな表情は、一生忘れたくないね。いや、忘れないだろうが。
349『ラスト・タイム』3:2006/08/01(火) 00:01:49 ID:oSbBqKAH

翌日。
朝比奈さんの出したお茶を前にして、俺は飲むべきか飲まざるべきか迷っていた。
昨日の雪辱を晴らすべく、パンツを脱ぎかけているハルヒ。実はすでにノーパンの朝比奈さん。自分のベルトに手をかけた古泉。……やはり殺してやる。
そして、リモコンバ×ブをフル回転させている長門の熱いまなざし。
やれやれ、昨日と同じで勝負は長門の勝ちで見えている。だが、長門のあの表情が見れるなら、それも悪くないか。
俺はお茶を飲み干した。
こうして、SEXを、おおいに楽しむための、涼宮ハルヒの団、通称SOS団は、今日も活動中であるわけだ。


おしまい
350名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 00:04:53 ID:h6t23sm8
>>345
わかる。だから投下スレと感想記入スレは徹底して分離されているんだよな。
351名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 00:10:52 ID:XiUNH5+O
>>347
『ラスト・タイム』ってことはシリーズ完結?
それは寂しいな……
352名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 00:13:31 ID:bHAGpTH5
ラスト・タイムUマダー?
353名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 00:25:08 ID:ZH1rRJeT
「だが断る」wwワロスww
〇〇タイムシリーズすごく面白かった。続き読みてぇ
354名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 00:25:16 ID:A1NE+AIV
>>345
多くの良スレは、同じ経緯で堕ちるのさ
355名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 01:01:57 ID:lKkequot
ミルク・タイム外伝マダー?
35622-905:2006/08/01(火) 01:09:19 ID:ma7U7HGY
>>294
思ったよりエチ分が少なくなって申し訳ないと先に謝っておきます。
というわけでオセロ続き投下。
357脱衣オセロ:2006/08/01(火) 01:11:16 ID:ma7U7HGY
 古泉のゲームの弱さはある意味病的に近いが、だからといって俺に実力が無いわけではない。
 少なくともオセロに関してはそこそこ自信がある。
 中学時代、真に永世名人級の実力を持っていた風変わりな知人と鍛錬しまくった結果だ。
 如何に完璧超ハルヒといえど、ことオセロに関しては俺にかなう訳が無い。
 正直俺はそう思っており、だからと言って手を抜くような事もせず、
ここらで一度ハルヒにギャフンと言わせるぐらい徹底的に勝負してやろうと考えていた。


 第一回戦、十枚差で俺の勝ち。ハルヒ、制服のリボンを外す。
 第二回戦、八枚差で俺の勝ち。ハルヒ、靴下をセットで脱ぎ捨てる。

「それとも靴下だけ残すって方がキョンの好みだったかしら?」
 そんな属性は無い。今のところ。


 第三回戦、六枚差で俺の勝ち。ハルヒ、永世名人を引退する。

「キョンにしてはやるじゃないの。こうなったら呪われし封印を解かせてもらうわ」
 そういっておもむろにカチューシャを外した。良く見ると内側に封印と書かれている。
 って言うかそのカチューシャにはそんな意味がわからん設定があったのか。
 全く何処の芸人だお前は。


 第四回戦、四枚差で俺の勝ち。ハルヒ、おもむろにセーラーを脱ぎ捨てTシャツ姿になる。

「キョンくんってオセロ強いんですねぇ。ちょっと意外です」
 朝比奈さん。あなたの中で俺はバカ属性でも付いているんでしょうか。


 第五回戦、二枚差で俺の勝ち。ハルヒ、おもむろにTシャツを脱ぎ捨て、スポーティブラ姿になる。

「す、涼宮さぁん! そのその姿は流石にマズイと思いますよっ」
 あまりに見事な脱ぎっぷりに一瞬誰もが反応できなかったが、状況を理解した朝比奈さんが
慌てて両手をばたつかせながらハルヒに駆け寄る。
 古泉も顔を軽く背けハルヒの姿が視界に入らないようにしている。
 その状態で俺に投げる視線はまるで「わかってます。僕は見ませんよ」と言ってるかのようだ。
 しかし当の本人は全く持って気にしてないらしく
「いいのよ! 色仕掛けも作戦のうちなんだから!
 この程度の姿でおろおろしてたら水着やタンクトップ姿になれないわよ」
 そう言いながら軽く胸を前に出して強調し、左手をスタイルのいい腰にあて右手で髪をかきあげる。
 ライトグリーンカラーにワンポイントマークの入ったブラが軽く上下に揺れ動く。
「ほれほれ、どうよキョン? そそるでしょ、釘付けでしょう?
 でもその一瞬のスキが命取りなのよ。さ、次の勝負を始めるわよ!」
 腕を組み勝ち誇ったような笑顔で笑い出す。
 お前のその姿に多少なりとも心と身体が反応しているのは、健全たる男の悲しい性として認めよう。
 だがその分を劇甘採点で差し引いたとしても、色々と何かが台無しであると思うんだがその辺りどうかね。
358脱衣オセロ:2006/08/01(火) 01:12:12 ID:ma7U7HGY

 そして第六回戦、同点。ドローゲーム。

 さてここで問題だ。俺は勝っているのだろうか。それとも追い詰められた獲物なのだろうか。
 信じたくは無いが、ハルヒの奴は一試合ごとにとんでもなく成長している。
 俺の置き方から思考を読み取り最善策を学習しているとしか思えん。
 いったいこいつのスペックは何処までハイエンドなんだ。

 ちなみに五回戦終了後、古泉は長門の時と同じようにハルヒを止めようとしたが
「何言ってるの! 今、場の流れはこちらにあるわ。
 そう、今まで撒いてきた逆転のタネが今こそ芽吹く時なのよ!」
 という事であっさり却下。
 ハルヒが脱いで以降古泉は視線に困っていたが、結局盤面だけを見ながら微笑む事に決めたらしい。
 確認のために古泉に視線を送るが、奴は小さく首を振り否定する。
 古泉の時の様な無意識的なズルは今のところしていないようだ。なんてこった。

 やれやれと口にはするが、地道に差が縮まる戦歴は俺の背筋に冷たい何かを這わせていた。
 もしこの流れを見て嫌な予感がしないというのなら、その人は一生ギャンブルに手を出さない事をお勧めする。

「何か盛り上がりにかけるわねぇ。
 もっとテンションあがんないとやる気がでないじゃないのよ!」
 いや十分すぎるぐらい盛り上がってるだろ。
 俺なんかお前と勝負し始めてから部屋が地道に暖かく感じるぐらいだぞ。
 見ろ、この火照り具合と汗の量。冷や汗もかなり混じっているけどな。
 それと今までの状態でやる気が出てなかったのか。
 だったらさっきの封印解除はなんだったんだ一体。


「あっ、そうだ! 良い事思いついた!」
 思いつくな。どう考えてもお前にとって良い事は俺への不幸宣告でしかないからな。
「何言ってるの。上手くいけばみくるちゃんの好感度アップ間違いなしのイベントよ!」
 ほほう、良く思いついたな。ではそのお前が思いついたという悪い情報を告げてみろ。
「次の勝負、キョンが負けたらみくるちゃんに脱いでもらうわ!」

「…………え?」
 何だと? コイツ今とんでもない事を言わなかったか?
「だってわたしもキョンも有希も脱いでるのに、一番の萌えキャラがそのまんまなんて変よ。
 女優たるもの濡れ場やお色気シーンやポロリは必要だって教えたでしょう!」
 頼むから未来人が教えるこの時代の歴史が
『過去の人類はまだ知恵が発達してないため、こんなバカな事をしていました』
というような真似は止めてくれ。同じ時代を生きてるという事が恥ずかしくなる。

「だ・か・ら。キョンはみくるちゃんを賭けるの!
 わたしは古泉くんを賭けるから、条件は五分五分ね」
「え、えええええええええぇぇーっ!? ななな何でそうなるんですかぁ!?」
 突如脱衣ターゲットに選ばれた朝比奈さんは驚愕の声を上げる。
 ってちょっと待て! そんなムチャクチャありか!
 どう考えたってこっちのハンデが思いっきり増えてるじゃねぇか。

359脱衣オセロ:2006/08/01(火) 01:12:59 ID:ma7U7HGY

「だってわたしがみくるちゃん取ったら、アンタわざと負けるでしょ?」
 当然だ。
 朝比奈さんに危害が及ぶぐらいならフルチンの一つや二つしてみせるのが男ってもんだ。
 なあ古泉。いや肯定しろ古泉。お前も男だろ。
「だったらその男とやらでみくるちゃんを護ってみせなさいよ。
 ねぇ、みくるちゃん。キョンは強いし、きっと守ってくれるわよ。
 それとも何? わたしに勝てる自信がないの? 負けを認める?」
 安い挑発だ。とことん安い挑発な上にタイムサービスされてるぐらいだ。
 どんなに挑発されようと、ここは流石に降りるべきだろう。

「おいハルヒ、それは冗談で済……」
「待って」
 俺の抗議は意外な所からの静かな横槍によって止められた。
 後ろを振り向けば、本を読んでいたはずの長門がある一点に視線を集中させている。
 その先へ視線を送ると、朝比奈さんが「えっ……」とか「でででも……」と
なにやらブツブツ独り言を言っている姿が目に入ってきた。
 まさか……こんな所で未来からの通信がきてるのか?

「ん、どうしたのみくるちゃん。なんだか脳が危ない人みたいよ?」
 ハルヒの心配ももっともだ。
 しかし未来からの連絡を受けているからなどと言えるはずもなく、仕方なしに俺はとりあえずフォローだけはしておく事にした。
「お前が変な事言うからだろ。見ろ、朝比奈さんがパニくって……」
「わ、わかりましたあっ!」
「のあぁっ!」
 突然のエンジェルノイズに流石に驚く。な、何ですか一体?
 何か突然の指令でも来ましたか。そうですか。
 それでしたら俺もこんなオセロは中断してどこまででも一緒に付き合いますよ。

 しかし朝比奈さんは俺の言葉が届いていないのか、なにやら暴走状態に陥りだした。
「あああああたしはっ、キョンくんを信じてますぅっ。だ、だだだからぁっ!」
 えーと、朝比奈さん? 一体どうなされたんですか。
「最優先な禁則事項が何だって言うんですかぁ!
 えぇはいもちろんわかりました。こここうなったら覚悟だって決めちゃいますっ!
 どんな指令だって受けちゃいますっ! だからキョンくんっ!」
 朝比奈さんは涙目になりながら俺の両手を握り締めてくる。
「絶対、ぜぇーったい勝ってくださいっ! お願いしますぅ。
 でないとあたし、最優先命令で脱がされちゃうんですぅぅ……」

 命令、禁則事項、最優先と未来的フレーズオンパレードだ。
 どうやら朝比奈さんに対しこのゲームに参加しろという超理不尽な指令が降りたようだ。
 何を考えてるんだ朝比奈さん(大)。これも規定事項なんですか。
 あまりの流れに俺は思わず頭を抱えてしまう。

「いいわよいいわよ、みくるちゃん! そのちょっと慌てた壊れっぷり!
 まさにドジっ子! それこそ女優! メイドみくるちゃんに求めていた姿はそれなのよっ!
 さぁさぁテンションがあがってきたわよ! 古泉くん、あんたもいいわね?」
「……わかりました。僕の命運、団長さまに一任いたします」
 古泉は既に色々と諦めたようだ。
 そもそもの発端はお前なんだからして、こればかりは自業自得と言わざるをえない。
 お前の言葉を借りるなら、これもハルヒが望んだ結果なんだろうよ。

360脱衣オセロ:2006/08/01(火) 01:14:18 ID:ma7U7HGY
 さて、その後の結果を巻き込まれた二人の台詞を中心にしてお伝えしよう。

「ふぇ! き、キョンくん……頑張ってくださいよぅ!」
 申し訳ありません。かくなる上は俺が最後の砦を
「全国配信」
 すいません朝比奈さん。その手入れされた髪にそっと天使が降り立つように留まるカチューシャを外していただけないでしょうか。

「おやおや。こうして傍から全貌を見ていますと、あなたが恐ろしいほどやり手なのが伺えます」
「本当よね。キョンったらオセロの腕だけで生きているんじゃないかしら」
 オセロやって賞金がもらえる大会があるのなら教えて欲しいものだ。

「では、今回はネクタイを」
 絞めるのなら手伝うぞ。そこの団長さんも得意だ。
「あんまりアホな事言ってると、アンタのこそ絞めるわよ?」
 首筋を見てそう言われると殺される寸前みたいだから止めろ。
「んじゃこっち」
 こら、バカ。そういう所を凝視するのも止めなさい。
 こっちだって色々ばれないよう必死なんだから。

「キョンくぅん……このメイド服って、ワンピースなんですよぅ……これ以上負けたらイヤですよぅ」
「そういう時はぎゅむっと抱きつくの! そうすればキョンは後ろ向けないから!」
 いやそれ何か色々当たってます。当たりすぎて集中できません。
 ああこのふくよかで甘いマシュマロの様な感触はやはりアレなのでしょうか。
 理性が飛んでしまいそうだ。
 ハルヒが右手で円柱を力強く握るような動作をしてなければ堕ちてたかもしれない。
 つーかそのジェスチャーは何のつもりだ。絞めるのか?
 油断したら絞めるつもりなのか?

「また引き分けですか。流石は涼宮さん、実力が均衡してきている証拠ですね。
 それにしても、裸足に上履きというのは何とも微妙な感じがしてなりません」
 事あるごとに妙なアイコンタクトを送るな。
「いいじゃない、裸足。健康的で開放的よ。次の不思議探索は裸足で行おうかしら」
 街中にはガラスや釘や噛み捨てられたガムや火の付いたタバコが転がってるぞ。
「じゃあ公園で」
 酔っ払いのエチケットやら犬のメルヘンやらその他諸々で以下略だ。

「Tシャツを着てきていたのはラッキーでした。朝の星座占いもダテではないようです」
 星座占いが気になるなら後ろの宇宙人に訪ねるといい。
 きっと八十八以上の星座を元に完璧な占いをしてくれるだろうよ。なぁ長門。
「七分後、朝比奈みくるは青いワンピースを脱ぎ捨てる」
「ひ、ひえぇっ! そんな、そんなぁ」
 ……ぜってー信じないぞ、その占い。

「ふ、ふひゃえぇーん! つ、次が無いですよキョンきゅううん! もっと真剣にですぅ!」
 ごめんなさい。こう見えても俺は今までのオセロ勝負で一、二を争うぐらい真剣なんです。
 だから頭をポカポカ殴るのも、ぎゅうぎゅう後ろから抱きつくのも、
 俺的にはかなり嬉しいけれど、今は抑えてください。

361脱衣オセロ:2006/08/01(火) 01:15:27 ID:ma7U7HGY

 これで何回戦目だ。俺は後何回勝てばいい。
 朝比奈さんに肩をつかまれ俺はそんな事を考えていた。ちなみに朝比奈さんは現在可愛らしい下着にピンクのキャミソール姿、らしい。
 メイド服のワンピースが脱がされてから、俺は一度も後ろを向いてないので確認していない。
 ついでに言うとハルヒの脇に立つ上半身裸でズボン姿になっている古泉にも見るなと言っている。
 本当だからうらやましがるな。そして俺をチキンと呼ぶな。

 もしこの状態の部室に誰か入ってきたら間違いなく問題騒動だろうな。
 俺は『制服を大っぴらに脱ぎ捨てる為のストリーキングの団』に入団した覚えは無いんだがな。
 いつの間に時空改変が起こったんだ。一体今度は誰の仕業だ。今度は何処へ飛べばいい。
 色々考えお茶をすすりながら、俺は唯一つの時を待っていた。


 まだか。
 まだなのか──長門。


 俺が通算八回目の引き分けを導いて大きく溜息をついた時、
先ほどから俺が今か今かとずっと待ちわびていたその瞬間がようやく訪れた。
 長門が動いたのだ。
 と言っても俺へ加勢してくれる訳でも敵対してくる訳でもない。

 パタン。
 長門はいつも通り、軽やかでいて重い音で、読みふけっていた本を閉じただけだった。

「え、うそ!」
 ハルヒはびっくりして長門を見る。だが長門が普通に取る行為に時差は無い。
 そう、俺が勝つ事よりはるかに難しい引き分けを狙い続けてまで待っていたのはこれだった。

「残念だがタイムアップだ、ハルヒ」
「そ、そんなぁ! せっかく後ちょっとでとんでもない事になるのよ!?」
 させてたまるか。いくらお前でも最終下校の見回りを裸寸前の団員たちで迎えるよう事はしないだろう。
 追い詰めず、追い詰められず。
 俺の寿命が削るような長い勝負はこうして無事決着を──

「あと一回っ! キョン、あと一回だけ勝負っ!」
 ハルヒが珍しく、というかもしかして初めてじゃねぇか?
 机に身体を乗り出して、なんだか頼み込むような目線で俺に言ってきた。
 今のブラのみの姿で、ちょっと上目使いにして頼み込むのはレッドカード級の反則だ。
 そんな思いがけないハルヒの姿に、俺は仕方なく言ってやった。

「……本当に最後、これ一回だけだぞ。見回りが来たらマジでやばいんだからな」
「わかってるわよ! でさ、やっぱ最後は得点百倍の大逆転チャンスよね。
 これに勝ったら今までの負けはぜーんぶチャラなんだから!」

 俺はもしかして選択肢を誤ったのだろうか。

362脱衣オセロ:2006/08/01(火) 01:16:46 ID:ma7U7HGY
「いえ、全てにおいてあなたは十分以上の働きを見せてくれましたよ」
 並んでお茶をすすりながら、古泉は心底微笑んでますよというような微笑を浮かべていた。

 最後の勝負を前に一度休憩を申し込む。
 俺は古泉と共に壁を向きながら朝比奈さん特製のお茶を頂いていた。
 何で折角の休憩にコイツといるかというと
「ぜぜぜ絶対こっちを見たらダメですよぅ」
と、朝比奈さんに念を押されたためだ。あなたの命令なら十戒以上に厳守しますよ。

「こんなルールを持ちかけたことは謝ります。ですが結果は僕の想像以上でした」
 何がだ。お前はエロティシズムな世界でも望んでいたというのか。
「いえいえ。正直に言いますと、最初はほんの退屈しのぎで考えていました。
 軽い刺激剤として、あなたには涼宮さんを笑わすためのピエロになっていただこうと
思っていたのです。それゆえ、わざわざ涼宮さんの目の前で脱衣オセロなんて始めたんですよ」
 だろうな。最初の連敗はどう考えてもおかしすぎた。
 だが長門が参戦してからは、ハルヒは全く力を使ってないんだよな。

「それはもう確実です。あなたが涼宮さんと勝負する前に言った保険が効いた結果ですね」
 はて、何の事かね。

「とぼけないでください。あなたはしっかりと保険を掛けましたよ。
『正々堂々と』戦おう、とね。だから涼宮さんは力の全てを無意識的に抑え込んだのです。
 おかげでどうでしょう。涼宮さんは現在、ここ最近では一番の満足を感じています。
 何故だかわかりますか?」
 さぁてね。あいつの脳が危ない桃色吐息で染まってるからじゃないのか。

「こちらもとぼけるのですか? まぁいいです。釈迦に説法と知っててもお教えしましょう。
 あなたが、涼宮さんと真剣に勝負しているからですよ。
 しかも意見の対立や信頼関係の亀裂といった深刻な問題からではなく、
 ゲームという純粋な遊びで真剣に楽しんでいる。ここがポイントなのです。
 クリパや孤島での勝負はいわゆるレクリエーション、ただの遊戯でしたが、今回は違います。
 あなたが、ここまで真剣に涼宮さんと勝負をした事は、実は今まで一度も無かったはずです。
 だからこそ、涼宮さんはあなたが真剣に接してくれてる事に何よりも嬉しく感じ、
 そしてあなたと真剣に遊べるこの状況が楽しくて仕方ないんですよ」
 その結果、朝比奈さんをはじめ周りをメチャクチャ悲惨な状況に巻き込んでいるがな。

「確かに。ですが朝比奈さんに条件を受けるように指令が降りたのも、
おそらく朝比奈さんの上の人が僕と同じように判断したからだと思われます。
 それともあなたはゲームより、アダムとイブの閉鎖空間の方がお望みなのですか?」
 黙れ。でないと今すぐ貴様と真剣勝負して身包みはがすぞ。
363脱衣オセロ:2006/08/01(火) 01:17:23 ID:ma7U7HGY
「それは困りますね。さてあなたの素晴らしい努力と実力によって、
 この脱衣オセロ勝負は誰一人ボーダーラインを超える事無く時間切れという
 まさに理想的な終結の形へともって来る事ができました。
 ですが、あなたは最後の最後に涼宮さんに最終戦のチャンスを与えてしまいました。
 いえ、その行為は攻めていません。
 むしろ涼宮さんの気分を考えれば、良く与えてくれたと褒め称えたいぐらいです。
 ですが……わかりますよね。問題はその与えてしまった最終戦の結末です。
 僕の予想では、きっと涼宮さんはこんな事を言いだず事でしょう」


『最後なんだし、負けた方は観念してぜーんぶ脱いじゃうのよ!』

 一字一句間違え無しに同感する。全くあいつはバカか。
 花も恥らう女子高生がオセロ勝負ごときに全裸を賭けるなと言いたいね。
 そういうバカが出てくるにはまだまだ早い季節だぞ。
「そうですね。ですがあなたが太鼓判を押すぐらい、事実そう言い出す可能性は大きい。
 そしてそうなった時、我々がもし難色を示せばどうなると思いますか」
 お前の残業が増えるだけだ。頑張れよ、ニキビ治療薬。

「お肌の為にも、治療薬などは本来使わないに越したことは無いんですよ。
 そこで一つ提案があります。全てを穏便に済ますため、こういうのはどうでしょうか」
 古泉の提案してきた内容に、俺は多少なりとも驚きを見せていた。
 お前のその悪知恵働く灰色の脳味噌は、そこまで俺と考えが一緒なのかよ。
「部員ヌードショーよりははるかにましです。僕だってそう思いますからね」

364脱衣オセロ:2006/08/01(火) 01:17:56 ID:ma7U7HGY

「さぁキョン! 最終戦よ! クライマックスよ! フルチンショーの開幕よ!」
 大好物の夕食を待ちわびる子供のごとく幸せ絶好調の満開笑顔でハルヒが俺を呼ぶ。
 お前の好物はフルチンなのか。
「最後なんだし派手に行きましょう! これに負けたら全部脱いでもらうわよ!
 みくるちゃんもそんなキャミソール姿じゃ中途半端でしょうし」
 そんな姿と言われても、俺の頭はその朝比奈さんに振り向けないよう
後ろから頭を両手でしっかり固定されているため、微動だに動かす事もできない。
「だめですぅ……こっちを見ちゃダメですよぅ」
 わかってます。誓って振り向きません。ですからその手を離してください。
 小刻みに震えるあなたの愛くるしい白い御指が目に入りそうで凄い怖いんです。

「それなんだがハルヒ。折角最後なんだったら、いっその事賭けの内容を変えないか?」
「なぁに、フルチンが怖くなった訳?」
 うるせぇ。俺が負けると決まったわけじゃねぇぞ。
 それとさっきからフルチンフルチン言うな。
 一応女なんだったら朝比奈さんみたいに恥じらいの一つぐらいもて。
「フルチンはフルチンじゃない。アンタこそうっさいわよ。
 ……で、賭けの内容を変えるって、具体的にどうするわけ?
 フルチン免除に値するぐらいの面白い案は、当然出してくれるんでしょうね?
 そうでなかったら絶対に許さないからね」
 そう言いながらオセロの脇にしっかりデジカメを用意する。
 お前はそんなに俺のフルチンが見たいのか。

「ハルヒ。俺が勝ったら一日でいい。これを俺につけさせろ」
 そう言って俺はハルヒに赤い腕章を差し出した。
 それはハルヒが普段つけているものであり、そこには当然「団長」と書かれていた。
「な! キョン、あんた団長の座を狙っていたの!?」
 いや、傍若無人なお前を見てると一度ぐらいやってみたいと興味が出てきてたんだ。
 これこそお前の裸に匹敵するもんだと思わないか?
「……いいわ。その条件のんであげる。でも私が勝ったらアンタもみくるちゃんも」
「それなんですが、涼宮さん」
 古泉がいいタイミングで口を挟む。
 まぁこの流れはさっき話し合った事だから当然といえば当然だが。

365脱衣オセロ:2006/08/01(火) 01:19:08 ID:ma7U7HGY
 古泉の提案は、俺が一日団長権を賭けろと提案させる事だった。
「おそらく涼宮さんは受けるはずです。
 そして僕がそれに見合う、ストリーキング以外の案を提示します。
 今の涼宮さんは勝負が真剣ならば、それ以外の部分に付加価値を求めてません。
 これで誰かが裸になるという結末は回避できるはずです」
 ここまでは俺が考え、古泉が告げた計画通りの行動だ。
 さて、問題はコイツが何を提案するのか、だ。
 こいつの考えだけは未だに把握できないからな。


「それなんですが、涼宮さん。僕に提案があります」
 そう言って古泉は何かのチケットを二枚取り出してきた。
「この冬にオープンした遊園地の入場チケットが丁度二枚手に入りまして。
 ですが、残念な事に有効期限が近づいているんですよ。
 今週末に誰かと行こうと思ってましたが、気の会う相手も見つからない状態です。
 そこで、涼宮さんにこれを二枚とも進呈します」
 古泉が優雅に指しだしたチケットを受け取り、ハルヒは目を丸くする。

「え、うん、ありがとう。……あっ!
 ここってなんだか凄いジェットコースターができたって所じゃない。
 とにかく凄いっていうけど、どんだけ凄いのか行ってみたかったのよ」
 とりあえず喜ぶハルヒ。だがそれもつかの間で、
ハルヒは再び抽象絵画の真意を読み取ろうとする一般人の様な表情を浮かべていた。

「で、古泉くん。これが何なの?」
 うむ、俺も聞きたい。一体これは何のつもりなんだ?

366脱衣オセロ:2006/08/01(火) 01:20:16 ID:ma7U7HGY
「チケットを良く見てもらえばわかると思いますが、そのチケットはただの園内入場券です。
 つまり、園内でのアトラクションの利用代や昼食代交通費などは別途払う必要があるんです。
 それもあって誘う人間を探していたんですけれどね」
 一呼吸置き、髪を軽く流す。裸でそんなことをしても似合わんぞ。
 いや、意外と似合うのか?

「さて、ここで提案です。
 涼宮さんがこの勝負に勝たれた時、この券を彼と共に使うのです。
 そして遊園地で掛かる費用の全額を、敗者である彼におごらせるというのはどうでしょう。
 そのうえ、どんなわがままに対しても拒否権は発動させることが出来ない。
 そう、遊園地という幻想王国で、絶対君主の姫君と一日従者が誕生するという訳です」
 待て、遊園地内の乗り物代に食事代全額だと!? それは一体いくら位になるというんだ!?
 俺は今金欠だって誰にでもない、お前には最初に言ったよな!?
 その上絶対服従だと? それはつまりアレか、俺に死ねと言っているのか。

「全額キョンのおごりねぇ……うん、いいわ! それで行きましょう!」
 お前も聞けよ。何だよその笑顔は。無い袖は振れぬって言葉を知らんのか。
「どうせアンタの事だから、金欠だって言っててもお年玉とかはしっかり貯金してるんでしょ?
 こっちも大事な一日団長権を賭けてるのよ。アンタも男らしく従者の覚悟を決めなさいよ。
 それともみくるちゃんとのヌードショーの方がお望みな訳?」
 ハルヒの言葉に俺の顔を押さえる手がびくっと震える。
 あぁそうでした。俺は今あれこれとケチをつけてる立場じゃないんでしたね。
 どんな不条理な代替案であれ、朝比奈さんの嬉し恥ずかしストリップショーだけは回避せねばならない。
「んな訳あるか。……よぅし、わかった」
 そう宣言して、俺はその条件を飲んだ。

 いいぜハルヒ。
 今度だけは俺も手を抜かないし、引き分け狙いなんて事もしない。
 正々堂々とした真剣勝負だ。
 それで俺に勝てたら、遊園地で従者にもなるし何だっておごってやろうじゃないか。

「よし、決まりっ!」
 ハルヒは俺の言葉に頷くと、びしっと第一手目を盤に打ち付けた。


「ふ、ふえぇー」
 俺の頭をいまだ抑える朝比奈さんも安堵の息を漏らした。
 あうん。真剣勝負中に不意打ちで耳に掛かる吐息はかなり反則です、朝比奈さん。

367脱衣オセロ:2006/08/01(火) 01:21:51 ID:ma7U7HGY
- * -
 波乱万丈、桃色空間、奇妙奇天烈、摩訶不思議。
 昨日の乱痴気騒ぎは結局なんだったのかと思うほど、今日の部室は静かだった。
 まぁ今日は珍しく誰よりも先に部室にきているので当然といえば当然なのだが。
 俺はパソコン席に座ると、昨日ハルヒから期間限定で奪い取った腕章を左腕にはめた。

 なるほど。ハルヒの視点に座ってみて一つわかった気がする。
 何故部室に来るたび、ハルヒがいつもこの席で笑っているのかが。
 この席からは、実に部室内が良く見える。俺たち四人の姿が全員見渡せるのではないだろうか。
 そして前方にはこの部屋唯一の扉。
 気の会う団員達も、笑い合える友人達も、トラブルを持ち込む強敵達も、全てはあの扉からやってくる。
 早く誰か開けてくれないか、俺の心はそんな思考でうずうずしてしまっていた。


 さて今回、俺が団長としてやろうとしている事はひとつだった。
 元々脱衣から逃れる為の一日団長だ。別に団の規則を変えようとかは思ってない。
 あえて言うなら、次回の不思議探索の場所をあの遊園地にしてやろうと思っているぐらいだ。
 古泉にはチケットの追加は発注済だ。きっと今日には九人分揃えてくれる事だろう。
 多いのは補欠とされてるメンバーの分さ。
 真剣勝負もいいけど、やっぱ遊ぶなら健康的に大勢で騒ぐ方が楽しいぜ、ハルヒよ。


 強い風が窓を叩く。
 先ほどからストーブをつけているが、やはりこの部室全体を暖めるには少々力不足のようだ。
「人がいないのもあるが……まだ寒いな」
 両指を軽くほぐして暖めながら、俺は少し気になったことを考えていた。

 昨日、俺は途中からこの寒さを感じないでいた。
 今日よりもはるかに寒い格好をしていたにもかかわらず、だ。
 俺だけではない。キャミソール姿だった朝比奈さんやブラだけだったハルヒもだ。
 寒さを感じなくなったのはいつだったからか。
 それは俺の後ろに長門が座ってからではなかっただろうか。


 扉がすっと開いた。さっそく誰かのお出ましだ。
 ノックも無しに静かに開けるのは、消去法で行くと長門ぐらいしかいない。
「よう、長──」
 扉の向こうに現われた長門の姿を確認するなり、俺の言葉はそこで止まった。
 いや、誰だって止まると思うぜ。
 なにせ雪だるまみたいな姿の長門が現われたんだからな。
 一体何なんだ、その格好は。




「……今日は十六着。問題ない」


 前言撤回しよう。
 俺は全員が揃った時点で「団内脱衣勝負禁止」を宣言する事を硬く決意した。


36822-905=725:2006/08/01(火) 01:25:25 ID:ma7U7HGY

と、以上です。
長々グテグテで申し訳ない。

やっぱりエチぶんいれて、リーチなキョンに
「だいじょうぶ。あたしがさせない」
とか言ってハルヒ対長門とかした方が面白かったかも……。
369名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 01:27:39 ID:sOEUpRWj
GJ!

一日団長となったキョンは何を言ったんだろうか?
370名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 01:29:13 ID:AC2tBMpw
>>367
オチが長門はもはや黄金パターンか。
それはともかく面白かったです。
気が向いたらまたお願いします。
371名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 01:31:43 ID:LEkd6NAZ
GJ !
実は一番やる気だったのは長門だったりしてwww
372名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 01:32:30 ID:h+/+zXvb
>>376
長門、そんなに悔しかったのか(W
とにかくGJ!
373名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 01:51:38 ID:q0EfOP0C
>290
こーの、ツンデレ野郎めー!
374名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 02:12:49 ID:TwNVwGG9
>>369
やらないか
375名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 02:42:39 ID:q0EfOP0C
>368
クライマックスで古泉の頭脳戦が介入して、予想外に(失敬)
骨太な読み物になりますた。GJ!

「長門がいたから寒くなかった」ってのはもしや…室温操作をしてた
からとかじゃなくて、長門が「燃えてた」からなんすか?
376名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 03:04:30 ID:v/XghaWy
古泉がこんなに面白いとは…
GJ!
377名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 05:22:02 ID:kpn1hWB5
長門も古泉もナイスだ!
378名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 06:01:19 ID:uK/TqnSJ
>>368
面白かったです。
というか動かし辛いみくるがちゃんと動いててスゲエ。
379名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 06:09:41 ID:Xn2KOahr
>>368
面白い物を見せてもらった。賞賛に値する
380名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 07:47:30 ID:QCqQ/3/E
>>368
GJ!!とっても面白かったです!!
『文字など飾りです!お偉方には(ry …』とどっかの誰かが失礼に仰るとおり、エチも十分ですたよ!乙です!
熱気の篭った部屋で争う半裸の男女のイメージがありありと…(´Д`;)ハァハァ
381名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 07:54:34 ID:8eoR7CRZ
細かい描写がgood
部屋のカオスっぷりが想像できた。異空間w
ついでに、ズボン脱がなかった古泉の下着を勝手に予想。
朝の占い「今日のラッキーアイテムは、Tシャツと黒のビキニです」
382名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 10:02:11 ID:JIfSgQNz
小ネタいきます
383名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 10:03:20 ID:JIfSgQNz
部室の空気がそわそわと浮ついています。

メイド服に着替えたものの、いつものようにすぐにお茶を淹れるでもないわたしも
机の前で退屈そうにあくびをしている彼女も
窓際の席で静かに本を読む長門さんも
さっきからドアのほうをチラチラと眺めている9組の彼も

この部室にいる全員が心ここにあらず、といった面持ちで『彼』の到来を待ちわびています。
今日はひさしぶりに『彼』がこの部室にやってくる日。
SOS団の団員は一人残らず『あの人』が大好きなんです。
かといってお互いがライバルといったこともなく、『仲間』として結束しているんですから不思議なものですね。

あ、足音が聞こえます。来たみたいですね。
早速お茶の準備をしないと……

ドアが開きました。
「よ、元気でやってるか」
4人全員の視線を一身に受けて、涼宮さんいわく『しまりのない顔』をしながらわたしの大好きなあの人が立ってます。
「長門、団長にはもう慣れたか?」
「大丈夫」
この団、唯一の3年生、団長の長門さん。
「今日は先生は一緒じゃないんですか?」
「おい、ハカセくん。俺はいつもハルヒとワンセットで行動してるわけじゃないぞ」
特進クラスの眼鏡の似合う彼。
「キョンくん、おそーい。待ちくたびれたー」
「こら、抱きつくな。恥ずかしいやつめ」
わたしの親友で、彼の妹。
「はい、坂道お疲れ様でした。お茶でもどうぞ」
「サンキュ、ミヨキチ」
そしてメイド服で給仕するわたし、吉村美代子。

今日は、そんなわたしたち4人の様子を見に、SOS団OBの彼が陣中見舞いに来てくれる日です。
384名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 10:04:20 ID:JIfSgQNz
以上「キョン妹、ミヨキチ、ハカセくんが北高に入学するまでSOS団が存続していたら」でした。
長門はキョンたちと一緒に卒業した後、情報操作でもう一度入学しなおした、という設定で
385名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 10:54:13 ID:dadCKPp2
>涼宮さんいわく『しまりのない顔』をしながらわたしの大好きなあの人が立ってます。
キョンとハルヒの娘か?

>「キョンくん、おそーい。待ちくたびれたー」
しかも、娘にまでキョンくん呼ばわり?


と思ったよ
386名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:03:52 ID:QHCd5/tt
>>385の読解力の無さに脱帽
387名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:13:36 ID:iWWJMmib
でも妄想力は人一倍ありそうだな
388名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:20:21 ID:4U+ykR9O
386と387の読解力のなさに脱帽
389名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:22:33 ID:dadCKPp2
ボロ糞に言われようがどうでもいいが、


オチがミヨキチでしたという事でも、
先生であると言っているハルヒの事を涼宮さんと言うだろうか?
ハカセがそう言ったのは、個人的に家庭教師をやってもらったからだとしても、
この場合、学校の先生である方が妥当。

そうなると上記の涼宮さんはハルヒ以外の誰かになるだろ?
面子の中に、ハルヒとキョンの娘が居るほうが自然。

そこまでやるとオチのミヨキチが別人になる必要があるけど。
390名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:27:20 ID:kSZYGpiG
一番気になるのが何故
391名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:28:59 ID:f5G+Yk6/
つーか、状況描写のみでオチなしってのは、さすがにあれだな。
ミヨキチがオチなのか?

キョン妹にメイド服着せて、キョンの前でみくるそっくりな仕草をさせたほうが……
392名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:29:25 ID:kSZYGpiG
スマン、途中で書き込んでしまった

一番気になるのが何故「長門が在校してるか」なんだが・・・
確か妹たちって小学生だろ?
留年にしてもアレなんじゃ・・・
393名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:30:01 ID:oq49ndmK
学校の先生に触りたいが触るともっと怒り出しそうだ
394名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:32:23 ID:dadCKPp2
>>392
逆に、長門だからこそ、何でもアリでしょ。

ハルヒ達の学年にずっとついていき、ハルヒの監視が全く無用になったから、
情報改竄して小学生から一生をやり直していたとしても、不可能ではないと思うw
395名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:39:00 ID:qJLygb2Q
>>22-289氏の「キョンと変な女」から書かせてもらったSSを投下します。
このSSを知らない人はまず保管庫のSSを見てから読むか、どうでもいい人はスルーでどうぞ
396名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:39:46 ID:tOs3cWb8
確かに設定シーンをSS内に自然に織り込むのは面倒臭いが
それを全部すっ飛ばして、後から
「〜〜っていう設定で読んでください」
みたいな補足を付けるから誤解を招くんじゃないか?
397名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:40:59 ID:qJLygb2Q
キョンと変な女 弁当編

少し前にハルヒの変態パワーのお陰で、中学時代に俺の彼女だとか勝手に噂された、あの女が何とこの中途半端な時期に、
しかもわざわざ近場の市立高校からこの北高に急遽転校してきたというのは皆知っているだろう。理由は親の仕事の都合やらなんやらしいが、
そんなもんはほとんど理由にならない。
そう、このすべての出来事は、我がSOS団団長様のせいであるのだ。

まぁ、そんなことはどうでもいいとしてだ。彼女はお決まりのように俺たちと同じクラスになり、彼女が転校してきてからしばらく経った日のことだ。
398名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:42:30 ID:qJLygb2Q
4限の終了ベルが鳴ると共に、後ろの席で突っ伏していたハルヒはベルが鳴るか鳴らないかのタイミングで教室を猛ダッシュで出て行くのをいつも通りに確認して、
俺は鞄の中にある弁当を出そうとする。
いつものようにアホの谷口と国木田がやってきていつものダベりをしながら弁当をつつくわけなのだが。
谷口は何も持たずに俺のほうへ歩んで来て、「わりぃ、キョン。今日はちょっと職員室にいかねえといけねえんだ」と言って、教室から出て行き、
国木田も「ごめんよ、キョン。ちょっと9組の友達に用事頼まれちゃったんだ。弁当はそっちで食べるつもりだから、申し訳ないけど今日はパスさせてもらうよ」と言い残して立ち去っていきやがった。
ふむ、ということは今日は一人で弁当か。久々だな。アホの谷口のナンパ論を聞かない昼休み等は。

まぁ、一人で弁当をまったりとつつくのも悪くはない。と思いながら鞄の中を漁る。
あれ?
漁る。
ん?
また漁る。
おぉ?
俺はすっからかんの鞄を裏返して広げる。するとどういうことだ。
何も落ちてこない。
唯一出てきたのは、いつぞやの配布されたプリントがぐしゃぐしゃになった紙くずくらいだ。

・・・まぁ、その、つまり、何だ。

弁当を忘れちまったわけだ・・・。
399名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:43:27 ID:qJLygb2Q
俺は駐輪禁止置き場に置いておいたチャリがまるごと撤去された時のようなあの何とも言えない喪失感を味わいながら、
うなだれ、そして机に突っ伏す。
空腹がピークだった俺の腹の虫は更に鳴き喚き、俺の残された体力もEメーターを越しだしてきた。
食堂や購買の手段を考えたが、生憎前日のSOS団のフシギ探しのお陰で俺の財布は氷河期のように冷え切っている分けで。
しかたない。俺は自分の愚かさと空腹から逃れるために、惰眠手段に移行するとしよう。

「きょーーんくーーーーん!!!!!」
と、睡眠に入ろうとしていた脳みそに脳天が砕けんばかりの声が頭に響いてきた。
軽く寝かけていたから身体をビクつかせちまった。何だ何だ?!

と、僅かに腕枕から頭をずらして見えるスペースを作る。すると視界にいたのは―――

ああ、このやろう。まだこいつが教室にいやがった。
え?誰だって?そりゃあいつさ。中学時代に俺とよく一緒にいたあの変な女さ。
俺は睡眠に集中したかったため、あのハルヒとは違った不思議ベクトルを持つ女にこう言ってやることにした。
「只今意識を留守にいたしますので。ご用件のある方は放課後あたりにどうぞ」
そう突っ伏したままで言うと、さっき俺を呼んだ主は、
俺の言った言葉を聞いてなかったかのように、鼻歌を歌いだして、俺の腕枕を強制解除させてきた。
「おい。俺のさっき言ったことを聞いてなかったのか」
仕方なく顔を上げてみると、そいつは前の席の椅子に座り、こっちを向いて弁当を俺の机の上に広げている。
400名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:44:11 ID:qJLygb2Q
その弁当からかもし出す、何とも言えない匂いに俺の腹の虫たちが再びコーラスを始める。
「さぁ、キョンくんっ!このささやかな短いお昼休みという有効な時間を利用して一緒にお弁当食べよっか」
いやいや。ちょっと待て。何で俺がお前と一緒に弁当を食わなければならんのだ。
「えー、いいじゃない。谷口君や国木田君がいない時ぐらい一緒に食べさせてくれたってぇー」
言っている意味がわからん。一人で食うか、女子のクラスメイトと食えばいいだろ。
ほら、見ろ。他の男子の目線が痛いじゃないか。どうしてくれる。
「私はキョンくんと一緒にお弁当が食べたいんだよぅ。それ以上な理由はないのですよ。キョンくん」
まぁ、俺と食うのはこの際はどうでもいい。そんなことよりも俺は弁当が無いんだ。弁当が。
「ふぁんで?」
と、から揚げを摘んで、口に運んで聞いてきた。
何でって、お前。そりゃ忘れたから無いんだよ。それに、モノを言う時はちゃんと口の中の物が無くなってからにしなさい。
「そりゃあ災難だねえー。なむなむ」
等とほざきながら両手を俺に向かって合掌してきた。
そう言った後は、自分の弁当を俺の前でつつきだし、ゆっくりと口に運んでもぐもぐとかみ締めている。
401名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:44:51 ID:qJLygb2Q
おいなんだこれは。一種の拷問プレイか。
すると目の前の女は今にも餓死しそうなその辺の道端に転がってるホームレスのおっさんようにしている俺を見て、
「むふふぅ。キョンくん、そんなに餓死しそうなら私のお弁当お裾分けしてあげよっか?」
「くれ」
コンマ数秒単位の即答だろう。みのさんもファイナルアンサーと問いだしていいだろうかと困惑するぐらいの返答スピードだと自負できるぞ。
「んー、人に物事を頼むにはもうちょっと言い方ってのがあるんじゃあないかなぁー?」
と、この目の前の女は何やら得意げに卵焼きを俺の目の前に出している。
このやろう。流石にそこまで言われると何だか反抗したくなってきたぞ。
「あれー?いえないのかなぁ?」
ぐっ!この女。コケにしてくれる。どうせこの際だ、意地でも食ってやらんぞ。誰が貴様なんぞから恵んでもらうk

ぐぅー

「この愚弄な空腹に塗れた馬鹿な男子生徒に、ほんの少しでもいいですからお恵みをいただけないじょうか」
心で思っていたこととは反して、再び鳴った虫に耐え切れなかった俺は一瞬にしてそいつの言う事を即刻承諾した。我ながらなかなか情けない。
「ふふん。キョンくんがそこまで言うんだったら、とっくべつに私の超お手製お弁当を恵んであげましょうっ。その代わり、三回バック転して「にゃん♪」と言ってね」
無茶言うな。俺がバック転できるような輩にお前は見えるのか。
「だよねー。期待した私がお馬鹿さんでしたっ」
そう言うと、そいつは自分の弁当箱からたこさんウィンナーを取り出して、俺の眼前に差し出す。
402名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:45:29 ID:qJLygb2Q
そしてこう言った。

「はいっ。あーん」

俺はずっこけたね。危うく後ろのハルヒの机に後頭部を強打して、アッチの世界へこんにちはする所だった。
ちょっと待ってくれ、今なんていった?
「あーん」
餡?ああ、そうか餡か。あの自分の頭の一部を子供達に恵んであげるという正義のヒーローにも使われるパンの中身のことだな。
「違うよー。あーんしてってことだよ?」
と言うと、そのあーんとやらを解説したいのか、自分の口を開けて「あーん」と言って、たこさんウィンナーを食べた。
ああ、そうかそういうことか。なるほど納得。
「ってえええ、おい!そんなことするのは普通カップr」
「はい、あーん」
丁度俺が言葉を放った隙を付いたのか、この女は俺の口の中にタイミングよく一口サイズのハンバーグを放り込んで来た。
うん、ケチャップが付いてて俺好み
「って、おおおおおい!」
「えへっ。キョンくん。おいしい?」
と、満面な笑みでこちらを見てくる。いや、まぁ何ていうか
「美味しいけどな、もぐもぐ。何ていうか、もぐもぐ。もうちょっと、もぐ。ふつーに、もぐもぐ。くれない、もぐ。か」
そう俺が言葉を発している隙にも、口が空いたところを狙って、おかずを放り込んでくる。
「だから、もぐ。お前な。さっきから、もぐもぐ。言ってるように」
「キョンくん。幼馴染が照れ隠ししたような感じで食べてよぉー」
って聞いちゃいない。
403名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:46:15 ID:qJLygb2Q
こんな感じで気づけば弁当の中身はほとんど消え去り、最期のデザートに当たる、うさぎさんリンゴが一個残った。
「うーん、一個しかないねえ。どうしよっか」
どうするも何もお前は食えばいい。俺は何にせよ恵んでもらった身だ。そのリンゴはそっちで処理してくれればいいさ。
「うーん、でもキョンくんにも食べて欲しいし・・・」
と何やら呟いた後に、ぽんと手を叩いて
「そうだっ。こうすへはいひんだふぉ、ひょんふん」
今のは決して著者のタイプミスではない。じゃあ何をしたかって?
そいつはリンゴを口に咥えて、俺のほうに突き出してきたのだ。しかも何故だか知らんが、
頬を薄いピンクに染めて眼を瞑って突き出している。何がしたい。
「みふぇはわふぁるへひょー?ほあ、ひょんふん。ふぁふぇてー」
見ればわかるでしょー?ほら、キョンくん。食べてー。と言いたいらしい。
俺はまた盛大にずっこけそうになるのを堪えて、首を思いっきり横へ振って否定の意を込めた。するとそいつはこっちを見て、
リンゴをまだ咥えながら
「ふぇー、ひょんふん。ひょんなほほひうんふぁー。ふいふぁっひはへおふぁふあふぇふぇふぁのふぁれほー!」
えー、キョンくん。そんな事言うんだー。ついさっきまでおかず上げてたのは誰よー!と言っているようです。
って、まぁその事に関しては感謝するよ。まじで。だ、だが、それはちょっと・・・
と俺が拒否の意を念入りに語ってやろうとした瞬間だった。
404名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:51:57 ID:U6A+BxDE
連投規制に引っかかったか?
405名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:52:01 ID:qJLygb2Q
「あらぁー。キョン。お楽しみのようね・・・・・」
背中に電撃と悪寒が奔った。ドス黒い視線が俺の背中にビシビシと刺さる。こ、この声の主は聞き間違いようがな、ない・・・。
「は、ハルヒさん・・・。いらしたんですか・・・」
「リンゴの話あたりからずっといたわよぉ?」
さ、左様でございますか・・・。そ、その何か御用で?
「そんなにリンゴが食べたいんなら、あたしが食べさせてあ・げ・る」
ハルヒの顔は明らかに笑っていた。声は笑っていなかったがな。

その後、俺の弁明を何一つ聞く耳持たずにハルヒは俺へ・・・あぁ、言葉にするだけで鳥肌が立ってきた。な、何も聞かないでくれ・・・。


終わり
406名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:55:25 ID:oq49ndmK
>>405
めちゃgjjjjjjjjjj

変な女ネタ大好きだ。昼飯食いに出ようと思ったら投下が始まって
もうなんつうか、わざとこの時間帯を狙ったのかと。
ちょっとマンネリだけどおれは次ネタ待ってるぜんぜん待ってる。


一応

著者: ノンフィクションを書く人
作者: フィクションを書く人
407405:2006/08/01(火) 11:56:29 ID:qJLygb2Q
最期だけ規制かかりましたorzすいません・・・
408名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 12:09:03 ID:ouP14GqA
あははは、「幼馴染が照れ隠ししたような感じで」って
キョンが言われる側になる日が来るとはw
409名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 12:27:50 ID:QCqQ/3/E
>>383
キョンたちが卒業した年、長門が北高に再入学。けど部員はOBを除けばずっと自分一人。
2年後北高に入学したキョン妹ズによって文芸部室の扉が開かれたのだとしたら、
キョンがかけた言葉も先輩としての慣れを聞く言葉だったのかなあと勝手に脳内妄想してますた。

ミヨキチの台詞も長門が団長の地位にある以上
ハルヒを涼宮さん、もしくは涼宮先輩みたいに呼ぶのは普通にアリかなあとかと。
きっとハルヒはキョンと一緒にやって来た時に
SOS団としての心得えを皆に雄弁に語っているのでしょう。『超団長』だとかの腕章を引っ付けて。
勉学の師とSOS団初代団長という両方の意味合いで
お堅いハカセくんにとっては仕事に関係なく先輩というよりも先生なのかなあ…とか自分勝手に微笑ましく妄想させていただきました(w
実際の作者さんのイメージと違ってたら申し訳なささ120%ですが。とにかくよかったです(^^)ありがとうございます。

…つかハカセくんって実は正真正銘のハーレム状態じゃん。
振り向いてもらえるかどうかは別として⊃A`;)
410名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 12:33:40 ID:wSZogEHE
>>405
>「そんなにリンゴが食べたいんなら、あたしが食べさせてあ・げ・る」
丸ごと一個を口に押し込むハルヒを想像したw

411名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 12:39:32 ID:U6A+BxDE
もし、ハルヒの握力が強かったらりんごジュースになってるな
412名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 13:27:21 ID:bqTYxjHK
>>405
GJ
413名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 13:27:56 ID:JIfSgQNz
383書いた者です。
小ネタで場が荒れるなんて思ってなかったんで、説明不足でした。
ちょっと説明を
時系列を並べるとこうなります。
キョン高3 長門高3      キョン妹中1
キョン卒業 長門北高再入学高1 キョン妹中2
      長門高2      キョン妹中3
      長門高3      キョン妹北高入学高1
設定説明を極力排除したのは、この新生SOS団と、現SOS団を誤認させるためです。
つまりこのSSはどこまで誤解を長引かせることができるかどうかがキモで、
それに気付いた時点がその人にとってのオチです。
駄文申し訳ありませんでした。
414名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 13:30:32 ID:CdQoJDKw
>>411
左手でキョンをネックハンギング
右手で、リンゴを握りつぶして食べさせるハルヒを想像してガクブル

とにかく
>>405 GJ
415名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 13:32:42 ID:WkjpYQLt
>>405
GJ!!すばらしいです。

続編期待しています。
416名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 14:11:56 ID:k06KX1EN
長いの投下させてもらいます、非エロ、ENOZ×卒業モノです。
まとめて投下するつもりですが、途切れたら連投規制とかだと思うんでよろしくお願いします。
417卒業のうた・1:2006/08/01(火) 14:12:36 ID:k06KX1EN
二月。
節分の豆まきから始まり、朝比奈さん(大)による八日間にわたるおつかい
更にはその忙しさで忘れ去られていたバレンタインデーをハルヒにより見事に演出されたりと
驚きに次ぐ驚きをジェットコースターのように体感した二週間も一応解決を迎えた。
と言うわけで、さすがに三月のひな祭りやホワイトデーまでは休息出来ると思っていた。
そんな時期に起きたある出来事。
今回はハルヒの起こした奇妙な騒動、長門が起こしたエラー、朝比奈さんが増えたなんてことではないので
まあ俺も肩の荷を下ろして気楽に話させてもらおうかね。


二月中旬、騒動が終わり俺が休息出来ると思ったその時期
受験生である高校三年生、加えて全国の高校教師にとっては最大の山場と言える勝負の時である。
私大の一般受験が毎日のようにカレンダーの日程を埋め、職員室のピリピリムードも最高潮に達する。
学校に来る三年生は個人単位で先生に質問や励ましを貰いにくる生徒くらいであり
また推薦合格者なんかも遊びまくってるわけなので、全体としてほとんど三年生の姿を見受けることはない。
そんな中、当日受験がある生徒以外の指導日として三年生の登校日らしい今日。
まあ一年の俺には特に関係ないわけで、いつも通り朝の寒さに震えながら登校する。
学校への長々とした坂もこの寒い季節には体温を上げるのに丁度良い、なんていう面があるようだ。
そうして自転車の運転で冷え切った手を擦りながら登校して席に座ったのだが
「キョン、これ」
後ろから体を伸ばしてきたハルヒから一枚のチケットを渡された。
こいつから物を貰うなんて珍しい、なんて思いながら受け取ったチケットを見ると
ふと俺の脳裏にバニーガールと黒魔術師の姿がよぎった。 

――ENOZ 卒業ライブ『12個の季節』 inライブハウス××  
                     卒業式前日2月×日 開場M6:45 開演PM7:00
                             ENOZ 榎本・中西・岡島・財前――

去年の文化祭、ハルヒと長門が助っ人をしたバンドであるENOZのライブのチケット。
文化祭の後教室にハルヒへのお礼に来てくれた時
『卒業までにそのうちどこかでライブをするつもりだから、よかったら見に来てね』
と言っていたことを思い出した。
「さっきよ、三年生って言ったら忙しい時期なのにわざわざ四人揃って来てくれてね。
『いつも大変そうだから誘いあぐねてたんだけど、高校最後のライブだから是非』って
 あたしと有希と、何故かあんた用に三枚チケットくれたの。
 なんでキョンに?って聞いたらニヤニヤ笑ってたわ、アンタなにか心当たりでもある?
 まああんたの分だけ断るのもなんだったから貰っといてあげたわ」
そういえばお礼に来てくれた時、『オトモダチと一緒に』なんてことも言ってたっけ。
あの時の俺を見る目と言ったら何か勘違いしてるような感じだったな。
谷口や国木田、鶴屋さんなんかもそうだが周りの人々はみんな勘違いしている。
まったく困りものだ。
「さっきから何ブツブツ言ってんの。
 気持ち悪いわよ、あんたその癖の自覚ある?
 ちなみに有希にはもう渡しといたわ。断られるんじゃないかと思ったけど行くってさ。
 あの子いつも静か〜にしてるから、たまには楽しいとこに連れていきたいと思ってたのよ」
さりげなく毒を吐きながら、パッと笑顔を見せた。
「あんたもちゃんと予定空けて備えときなさい。
 せっかくチケットもらったんだから、行かないなんてワガママ許されないわよ!」
そう言って更に笑顔。
ついこの間まで頬杖付いて憂鬱そうな顔をしてたのが嘘のようである。
こいつがこういう顔をする時は大抵…なんていつもは思うのだが
今回はまあ、ただライブを見に行くだけだろうし心配することはないんだろう。
それにライブ自体にも結構興味はある、文化祭の時聞いた曲は良かったしな。
「そうだな、楽しみにしとくよ」
と答えると、ハルヒは満足そうに笑っていた。
418卒業のうた・2:2006/08/01(火) 14:16:36 ID:k06KX1EN
「あのバンド、校内はもちろん学校外でもなかなかの人気のようですよ」
ところ変わって、その日の放課後の部室。
ちなみに団長様は掃除当番で遅れている。
俺が教室を出る時、文化祭で唄っていた曲を口ずさみながら機嫌良さそうにゴミを掃いていた。
「僕のクラスの女子にもENOZさんのMDを聞いている子が結構いるんです。
 かく言う僕もMDを貸してもらって聞かせてもらいました」
喋っているのはもちろん古泉であり、カードゲームを用意しながら勝手に話し始めた。
何も話してないのにタイムリーな話題を持ち出されることにも慣れてしまったのが恐ろしい。
「明るい曲調に等身大の歌詞と言いましょうか、とても好感が持てます。
 これはガールズバンド特有の良さとも言えるでしょうね。
 あの歌詞には、同年代の男女、特に女子の皆さんはすごく共感なさることでしょう。
 それに加えて可愛らしいルックスですから、男としてもたまらないですよね」
こいつは音楽の感想も理屈っぽいというか、なにかの分析のようだ。
余談だが、俺のクラスでもMDを聞いている奴(主に女子)は多いので俺も人気についてはある程度知っている。
ついでに谷口の野郎は『けっ、ミーハーどもめ。俺は流されないぞ』なんて言っていた。
どこにでもいる、アウトローぶっていればかっこ良いと思ってる奴の典型である。
そんな谷口もENOZのメンバーの顔を知った途端MD持参で三年生の教室に向かって行ったのだった。

「あっ、私も知ってますよ」
「朝比奈さんも聞いたことあるんですか?」
「はい、鶴屋さんがダビングのMDをもらったそうで、私にも聞かせてくれたんです。
 とても良い曲ばかりでした〜」
お替りのお茶を注いでくれつつ話すのは、これまたもちろん朝比奈さんである。
古泉の批評は知らないが、あなたが良いと言うものならきっと良いに違いないですよ。
「あと、鶴屋さんに聞いたんですけど…」
文化祭で知った俺はそれ以前のことなどは全く知らなかったわけなんだが
朝比奈さんが鶴屋さんに聞いた話によると、二年生には昔からファンの人もいるそうだ。
そういう人はライブハウスなんかで知ったという。
「一高校の軽音楽部というものはバンドごとの意識に差があったりするそうですからね。
 自作曲を本格的に演奏したい人もいれば、とりあえず楽器を演奏したいだけの人もいる。
 こういう場合、同じ部に所属していても互いに好きなように活動する方が利益的です。
 前者にあたるENOZの方々は主に学校外でのライブ活動に精を入れていたとか。
 ですから、ここで最初の話に戻るわけですが、校内よりむしろ他校のファンなどが多かったそうですよ。
 鶴屋さんのお話に出てくる方々も学校外でのライブで知ったわけですしね。
 校内で軽音楽部の活動を見るなんてことはほとんどありませんし、当然とも言えるかもしれません。
 そんな状況で文化祭のライブにこだわっていたのは、軽音楽部として校内で人目につく少ないチャンスだった
 と言ったところなんでしょう」
「なるほどな」
実際ENOZの前に演奏してたのは同じ軽音楽部でもただのコピーバンドとかだったしな。
盛り上がっているのも友達など身内だけ、という感じであったし。
素人である俺の目から見ても明らかにレベルが違っていた。
ENOZの原曲を聞いたことはないが、今の人気を見れば文化祭での唄と演奏に劣らないものなんだろう。
もしハルヒと長門が助っ人をしたのが違うバンドだったら
そのバンドはMDの依頼が来たところで恥をかく羽目になったのかもしれん。
「そうですね。前に僕の話したズレ≠ニいう話を覚えてますか?
 あのライブのごく微妙な不完全さがズレを作り、聴衆に原曲への興味を湧かせたというような話です。
 バンド次第ではズレがマイナスに働くことも十二分に有り得る諸刃の剣とも言えた。
 とは言え、ENOZさんのダビングMDのクオリティはそのズレを補完するのに申し分なかったですから。
 まあしかし、涼宮さんも他のバンドだったら協力しなかったんじゃないでしょうか。
 全力で取り組まないことにはあまり興味を示さない方ですからね。
 とにかく言えるのは、涼宮さんの行動がENOZを校内でも広く知られるものにした、ということです。
 こんなところでも彼女の影響力が及んでいる、すごいものですよ」
419卒業のうた・3:2006/08/01(火) 14:17:23 ID:k06KX1EN
それも何となくうなずける、しかしだ
「何でもかんでもハルヒによるものってのはどうなんだ」
「もちろんそうです。ですが、ENOZの皆さん自体にも影響を与えてるみたいなんですよ。
 仮にも素人である涼宮さんがぶっつけ本番でライブを大成功させたわけですから。
 文化祭以後、それに刺激されるようにご熱心に活動されてたそうです。
 今回の卒業ライブが初の単独ライブなんだと聞きました、皆さん相当の努力をしたはず。
 単独ライブというのはそう簡単に出来るものでないらしいんですが、努力がそれを可能にしたんでしょう。
 特にギターの、中西さんと言いましたか。文化祭以来かなり火がついたとか」
さっきから何でそんな細かいことまで知ってるのやらね。
だがまあ、そりゃそうだ。長門のあの超絶テクニックを見せられちゃあな。
ギターに関しては劣っているのが自然なくらいだ、相手が悪すぎる。
火を付けさせた当人は、それと対照的に静かにいつも通り本を読んで…
「長門、なに付けてるんだ?」
「…イヤホン」
いつもと違って長門はイヤホンをつけながら本を読んでいた。
「涼宮ハルヒに
『有希、ライブっていうのは前もって曲を聞いて覚えておくと、より一層楽しめるのよ』
 と言われ、MDとプレイヤーを渡された」
本を読みながら曲を聞きながら話しているようだ、まったく器用な奴だよお前は。
俺が長門を見ていると、また古泉が喋り出す。
「文化祭の代役という些細に見える行動ですら、涼宮さんが行えばこうも人の人生に影響を与えるんです。
 しかも、大体の場合好影響を与えることが出来る」
朝比奈さんが昔『彼女の一挙手一投足にはすべて理由がある』と言っていたのを思い出した。
実際にあいつの行動うんぬんで周りが振り回されるのは確かだが…
そんな俺の顔を見て、古泉が満足気にニヤけていやがる。

「ふふ。まあ、涼宮さんの言う通り今回は楽しもうとするのが一番だと思いますよ。
 あなたも存分に楽しんでこられることをおすすめします、何か困ったことが起こるとも思えませんし。
 機関しても嬉しいかぎりです、なにせ我々が労せずとも涼宮さんの機嫌を保てますからね。
 僕としてもこの前の穴掘りのような肉体労働などは出来るだけ避けたいところですから」
と言って肩をすくめた。
ここで話を蒸し返すのも癪なんで、普通に返すことにしよう。
「大丈夫だ、俺も今回は素直に楽しもうと思ってるよ」
「それなら良かった。
 ただでさえチケットがあまり入手出来ないライブですしね。
 今回は息抜きのようなものと考えると良いと思います。
 また少し長い話になってしまいましたか、さあこっちを始めましょう」
そう言って古泉はカードゲームの用意を終えた。
俺もカードのデッキをセットしようとしたところ
「おっと、付け加えさせて下さい。
 文化祭以後ENOZの皆さんは更に熱心にご活動されていた、と言いましたよね。
 彼女達は受験生という本業をしっかりこなした上で取り組んでいたそうなんです。
 おかげで進学の方もなかなかの私大や音大など、全員安泰だとか。
 同じ学生として手本にしたいところですよ、僕たちも学年末試験が近いですから」
と言って、皮肉っぽい流し目で俺を見てきた。
確かに偉いね、だがお前に俺の成績についてとやかく言われる理由はない。
とりあえず今はこの野郎をカードゲームで思いっきり打ち負かしてやることにした。
420卒業のうた・4:2006/08/01(火) 14:17:57 ID:k06KX1EN
チケットを貰ってからライブ当日までが約一週間。
ハルヒはなにか面白いことをしているというわけでも無いのに機嫌が良かった。
「なるほど、遠くない未来に楽しい予定を立てておけば涼宮さんの機嫌もある程度保てるというわけですか。
 今後のことを考える上で多いに役立ちそうです」
なんて古泉は言っていた。
そんなこんなで割と平和な日々は過ぎていく。
変わったことと言えば…ライブを楽しみにして笑顔が多いハルヒが、時々神妙な顔をするってことか。
あとは…一・二年生は基本的に卒業式当日は休みでクラスから何人か代表が参列するだけなのだが
何故かハルヒは代表になると言い出し、強制的に俺もその代表の一人にさせられた…ってことぐらいか。
まあ、休みなら休みでハルヒにこき使われる可能性があるんで別に構わない。
そしてライブまであと三日になり、俺もMDを借りて予習して備えようかなと思っていた今日
朝の地方ニュースを見て昨晩家の近くで小火騒ぎがあったことを知った。
大学生のロックバンドが火を使った演出を失敗し、そのライブ会場を危うく黒焦げにするところだったという。
ENOZのライブが行われるはずだったライブハウスである。

学校に登校すると、予想通りというかそりゃそうだがハルヒは不機嫌になっていた。
なにせ不機嫌なときは大体同じ恰好をしているのでわかりやすい。
「ニュース見たよ、何か連絡はあったか?」
俺はほんの僅かな希望を抱いて、後ろで頬杖ついているハルヒに聞いてみた。
なんだか、二月のはじめの頃に戻ってしまった心地がする。
「まだないわ、小火騒ぎがあったの自体が昨日の夜遅くだったしね。
 けど今朝ライブハウスに寄って見てきたら、思ってたよりひどい有様だったのよ。
 ぼやというより普通の火事って感じ。
 あれは…きっとしばらく使えないわよ」
雰囲気どころか言うことまで弱気なこいつは珍しい。
こんな時に不謹慎だが、しおらしくて実に良いと思ってしまった。
「まあ、なんだ。まだ中止になったと決まったわけじゃないし」
ガラッ
俺がまあ一応励ますようなことを言おう、と思ったところ岡部が教室に入ってきて、開口一番
「あー、学校外で三日後ライブをしようとしていた三年生からの連絡でな。
 昨晩その会場で小火騒ぎがあったのでライブは中止、チケットは近いうちに払い戻しするとのことだ」
一番言われたくないことをすぐに言われてしまった。
うちのクラスでも他にライブに行く奴がいたのだろう、色々文句やら質問の声が飛び交いガヤガヤしている。
「静かにしろー!
 落ち着いたらお詫びするそうだ、三年生は忙しい時期なんだし周りが騒ぐもんじゃない。
 じゃあ出席とるぞー」
励ましに言おうとしたことを言い止めて苦笑いするしかなかった。
その日の授業中のハルヒは当然のように、不機嫌な面持ちで窓の外をずーっと眺めながら
「納得いかない」「あんなに楽しみにしてたのに」などとぶつぶつ呟いていた。
授業間の休み時間もずっと何かを考えているようだったんで、声はかけないでおく。
421卒業のうた・5:2006/08/01(火) 14:18:31 ID:k06KX1EN
そんな感じで昼休み。
ハルヒはどうするのかと思っていたが、いつも通り授業が終わるとすぐに教室を飛び出して行った。
食気はあるんだなと少し安心し、そう言う俺も腹は減っているので弁当を取り出す。
と、ハルヒは普段よりも早く帰ってきた。
やけに早いなと思っているとズカズカと歩いて俺に近づいてくる、ネクタイの付け根を引っ張り上げられる。
「中西さんの住所を聞いてきたわ、今日はSOS団の活動を休みにして彼女の家に行くわよ。
 ほんとは今すぐ行きたいくらいだけど授業の後に我慢しましょう。
 ライブを中止だなんて、天災がそうしようとしても私が許さないわ!」

「で、だ。それは俺にもついてこいってことか?」
「当然よ、なんたってあんたはSOS団雑用係筆頭なんだから。
 そろそろあたしが何も言わなくても黙って付いてくるくらいの心構えが欲しいわ」
なんだその筆頭って役職は。
そのうち『わたしがSOS塾塾長、涼宮ハルヒである!』なんて言い出すつもりか。
「つまんないこと言ってんじゃないわよ。
 朝から考えてたの。それで、やっぱりなにか行動しなきゃいけないと思ったのよ。
 思い立ったら吉日とはよく言ったものだわ。
 授業終わったらすぐ行けるように準備しときなさい?
 卒業式まで時間無いんだし、早く行って何としても力になってあげなきゃ」
そう語るハルヒは笑ってはいなかったが、その眼は天下統一を図る戦国武将のごとくギラギラしている。
まったく、やれやれ…と、口に出すことも心の中で思うことも、今の俺はしなかった。
珍しいことにハルヒの言葉を聞いてむしろ嬉しいくらいだったのだ。
もちろん、こいつと二人きりで下校して寄り道するんで嬉しい、とかそういう類のことでは断じてない。
まあなんだ、俺の気持ちは察してくれ。


その日の放課後。
いつもの坂を二人で下りながら、ハルヒは職員室でもらったらしい地図と住所が書かれたメモを見ている。
朝上る時は体温が上がって良いが、帰りに下る時は風が当たって余計に寒くなるな。
まあ夏になれば感じる気持ちは逆になるからおあいこなんだろうよ。
ちなみに、ハルヒは昼休みすぐ職員室に行ってラッシュ前の食堂に行けなかったんで早く帰ってきたらしい。
放課後の予定を話し終えたところで、まだほとんど食べていなかった俺の弁当を全部食われたのだった。
「チケットを渡しにきてくれた時、ENOZの人達ほんとに嬉しそうだったの。
 文化祭もあんなことになっちゃったじゃない?きっと今回はすごく思い入れの強いライブなのよ。
 それがまたこんなことで中止になるなんて納得いかないに決まってる」
坂を下りながら、ハルヒはしんみりという感じで話している。
「そうだな、今回が初の単独ライブとも聞いてるよ。
 高校生のバンドが単独ライブするってのは結構大変なことらしいしな。
 きっと文化祭からも相当な努力したんだと思うね」
先日の古泉の入れ知恵を使わせてもらう。
思えばあいつの無駄知識も、有効活用しようと思えばかなり役立ちそうだ。
…しかし、ハルヒはメモを眺めていて特に反応しなかった。
ダラダラ語るのは古泉に任せて、ボーっとしてるくらいの方が俺には合ってるのかね。
422卒業のうた・6:2006/08/01(火) 14:19:08 ID:k06KX1EN
肩を震わせながら坂を下り私鉄の線路沿いを歩いていると、なんだか見覚えのある道の気がする。
しかも、昼食をロクに食えず腹の虫をなだめていることにも既視感をおぼえた。
この一年で行き馴染んだマンションが見えたところで
思った通り、中西さんの家は長門の住んでいるマンションの近くなんだとはっきり気付いた。
長門のマンションと言えば、かの朝倉が住んでいたマンションと言うことでもあり
今歩いている道も去年の五月、朝倉の家に向かった時と同じ道ということなのである。
思えばあれからもうすぐ一年が経つ。
同じような腹具合で同じ道を歩いているのに、前とはこんなに心境が違うとは。
なにせ去年歩いた時はハルヒの好奇心に付き合わされて家を探しているだけであった、こいつも変わったね。
もしかしたら向かっている家も同じくあのマンションで…なんて最近よく当たる嫌な予感がしたが
「ここよ、キョン」
今回は幸運にも外れてくれた。
長門のマンションの少し手前でハルヒの足は止まり、目の前にはなかなかの外観の一軒家。
メモをポケットにしまうと、ハルヒはその家のインターフォンを押した。
十秒ほど待って
「どちらさまでしょうか」
「北高一年の涼宮ハルヒと申します。
 中西貴子さんはご在宅でしょうか?」
「涼宮さん?
 今出るからちょっと待ってて」
どうやら本人だったようだ。
相変わらずこいつは外面が良く言葉遣いがやけに丁寧である。
しかし、三年前の七夕に行ったとき中一時代のこいつは年上の俺に対して偉そうだったな。
もしも何十年か先になって俺が昔のハルヒに会いに行ってもため口をされるんだろうか。
なんて考えてるとドアが開いて、一度見覚えのある先輩が顔を出した。
「突然ごめんなさい中西さん。
 朝のHRでライブが中止になったって聞いて、どうしても気になっちゃって」
中西さんは少し思いつめたような顔をしている。
しかし、俺達の顔を少し見た後笑顔を作った。
「…わざわざ家まで来てくれてありがとうね。
 ここじゃなんだから、どうぞ上がって。親もいないしちょうど他のメンバーも来てるから」
そう言ってドアを大きく開けてくれた。
ハルヒは「お邪魔します」と言って少しだけ頭を下げ、割と堂々と入っていく。
残された俺も入るべきなんだろうが、なんだか微妙な心持ちがしてしまう。
そんな俺の心を中西さんは汲んでくれたのか
「あなたも入って。
 女ばかりで落ち着かないかもしれないけど気にしなくていいからさ」
と優しい言葉をかけてくれた。さすがは二個上の先輩である、心遣いが違う。
ためらっても気を遣わせるだけなのであろうからさっさと入らせてもらうことにした。
それに外は寒くてたまらん。
423卒業のうた・7:2006/08/01(火) 14:19:54 ID:k06KX1EN
外観に加え、家の中も小洒落た家具などが置かれて住んでいる人のセンスの良さを感じるものであった。
なによりも暖房が程よくかかっていて暖かいのが今の俺には嬉しい。
リビングに通してもらうと大きなテーブルを囲んでソファに四人の女の子が座っている。
俺を連れてきてくれた中西さんも座り、男は俺一人に対して女の子はハルヒとENOZの面々で五人。
しかもみんながみんな美少女だ、ある意味ハーレムなんだろうが今の俺にはそう思う余裕はなかったね。
中西さんが玄関でああ言ってくれたものの、さすがに挙動不審になるしかなかった。
そんな俺を見てENOZの人達がクスクスと笑っている。くそう情けない。
「アハハ。緊張しないでさ、適当なとこに座っちゃって」
俺の様子を見かねて、ライブの時ドラムを叩いていた明るい感じの…名前はわからないが声をかけてくれた。
すいませんと会釈しとりあえずハルヒの隣に座ることにする。
「お邪魔します。ええ、涼宮の友達の…」
「ああ、こいつのことはキョンで構わないわ。
 後輩なんだし名前で呼ぶなんてことしなくていいわよ」
とりあえず自己紹介しようとしたらハルヒに邪魔された。
こういうことをする奴がいるから、いつの間にかあだ名でしか呼ばれなくなってしまったのだ。
とも思ったが、先輩方がそれを聞いてなんだか知らんが喜んでいるんでまあよしとしよう。
「一応うちらも自己紹介するね、あたしドラムやってる岡島瑞樹。よろしく〜」
さっき声をかけてくれた人である、この人はムードメーカーという感じがするかな。
「えー、ベースやってる財前舞です。よろしくね」
と言ってにっこり、この人は可愛らしい感じの笑顔が印象的だ。
「榎本美夕紀です、私はボーカル。よろしくキョン君」
教室に来てくれた時も思ったが可愛らしい声の人だ、ハルヒが唄ってたロック調の歌を唄うとは想像しにくい。
こんな可愛らしい声で呼ばれるならキョンでもなんでも全然構わないってもんだ。
「んじゃ最後に私、ギターの中西貴子。一応リーダーもやってます」
なんで自分の家で自己紹介してるのかしら、と言い加えて笑っていた。

「はい、外寒かったでしょ?あったまるわよ」
一通り自己紹介をしたところで中西さんはハルヒと俺に紅茶を持ってきてくれた。
この人は三年生だからというだけでなくお姉さん気質がする。正にリーダーと言ったところか。
紅茶を飲ませていただく、うん美味い。
朝比奈さんのお茶と良い勝負だ、もちろんあの慣れ親しんでいる愛情篭ったお茶に勝るということはないが。
部室でその有り難いお茶を味合わずに飲むハルヒも今日は丁寧に紅茶を飲んでいる。
「わざわざ来てくれて本当にありがとうね。
 今朝貴子から連絡貰って集まって、私たちこれでも結構落ち込んでたのよ。
 けど可愛い後輩たちが来てくれて少し元気が出てきた」
「いえいえ、そんなこと」
可愛い声の榎本さんに可愛い後輩だなんて言われると恥ずかしくてむず痒いものがある。
と、隣の奴に右の頬っぺたを引っ張られた。
「いてててっ、なにしやがるっ!」
「あんたがにやけてるからよ、今日は真面目な話をしにきたんだから」
にしてもつねることはないだろうに。俺が頬っぺたをさすっていると、ハルヒは本題に入った。
424名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 14:29:02 ID:M6pHv5Yh
kisei!
425卒業のうた・8:2006/08/01(火) 14:35:18 ID:k06KX1EN
 「それで、ライブのことなんだけど。
  中止っていうのはどういうことなの?やっぱりライブハウスが燃えちゃったから?」
少し空気が変わったかな。
んで代表してという感じなのか、中西さんが話し始めた。
 「うん…今朝ライブハウスの人から電話かかってきたんだ。
  傍から見ると黒焦げに見えるけど、火事自体は割と小規模で済んだらしいの。
  ライブハウスの人達が迅速に対応したからみたいだね。
  けど、火の演出のことで管理上の過失みたいなのを警察にうるさく言われてるんだって。
  悪いのは勝手にやった大学生バンドだけど、管理が甘いのも原因の一つって言われてるらしいんだ。
  内装外装の修理はすぐ済みそうなんだけど営業許可がしばらくの間下りないみたい」
さっきまで笑顔だったが、話し始めるとすぐに四人とも沈んだ顔になった。
ほとんど初対面の俺としても心が痛まれる。
 「他のライブハウスとかはダメなの?」とハルヒ。
 「うちらさ、いつもそのライブハウス使わせてもらってたんだ。
  そこの人達すごくいい人達でね、学生バンドにもすごく理解あってさ。
  だから他のライブハウスには全くあてがなくって。
  今の時期って同じように卒業ライブするっていう団体多いんだ、他のとこで急に予約入れられないのよ。
  それに他じゃあ単独ライブなんてすぐ出来ないからさ」
そう話すのは岡島さん、自己紹介の時の明るさはそこには無かった。
聞きに入ったハルヒも同じような沈んだ表情をしている。
…重い雰囲気である。
ここは唯一の男としてとりあえず何か言わなきゃならないだろう、と思った。
 「そういうライブハウスみたいな専門的な所以外では出来ないんですか?
  どこかのカラオケだとか普通のお店とか、公園とか郊外とか…」
言ってるうちから、自分で言っていて的外れな気がして申し訳なく感じてきた。
のだが
 「一応ひとつだけあるんだ。
  色々と条件が合って、そんでもって出来れば私たちが使いたかった場所」
財前さんがそう言い、続けようとしたところハルヒが口を挟んだ。
 「学校の体育館、ね?」
426卒業のうた・9:2006/08/01(火) 14:36:14 ID:k06KX1EN
 「音響とか、うちの学校の体育館はすごく好都合なんだよね。
  文化祭で使ってみて実感した。
  ライブハウスよりも沢山人が入るっていうのも大きいし」
先ほどに続き話しているのは財前さんである。
ちなみに、話し合いの途中で中西さんがケーキとお菓子を持ってきてくれた。
昼飯を奪われ空腹だった俺にとってどれだけ嬉しかったことか。
奪った当人は隣でショートケーキを頬張っている、そんなに食べてると太るぞ。
 「文化祭で出来なかった私と貴子にはやっぱり未練があるんだよね。
  ライブハウスも最高だけど、自分の学校で唄うっていうのにはすごく憧れがある。
  あのときの涼宮さんもキラキラしてたしさ」
 「私も学校のみんなの前で私たちが作った曲演奏したいって思ってた。
  それで、ライブに来ない学校の人にも私たちの音楽知ってもらえたらな〜なんて。
  だからMDが今かなり出回ってるっていうのはとっても嬉しくて。
  涼宮さんにはほんとに感謝してるのよ」
そう言って二人は優しい目で、ケーキのイチゴを食っているハルヒを見つめる。
実は俺は『榎本さんと中西さんは文化祭でのハルヒに嫉妬みたいなのも感じてるんじゃないか』
なんてことを先日の古泉の話を聞いた後少し考えてしまっていたのだ。
ハルヒを見つめる二人の目は、そんな俺の考えを恥ずかしくさせるほどストレートなものだった。
 「それなら体育館の許可取ればいいんじゃない!
  候補地があったんなら良かった。
  学校だって認めてくれるわよ、きっときっと!」
たいらげたケーキのかけらを口から出すんじゃないかという勢いでまくしたてる。
希望が見つかったと思ったのか、ハルヒの眼は少しだけ輝きを取り戻していたんだが
 「それはきっと無理なのよ。
  実はね、文化祭のあと体育館借りてライブが出来ないか生徒会に頼んでみたんだ。
  MDのおかげで知ってくれてる人増えたし、人集まってくれるんじゃないかと思って。
  けどさ、そしたら
 『学校の体育館は生徒の私物では無いから貸すことは出来ない、って教頭先生が』って断られたんだよね。
  文化祭の時もそうだったけど、うちの学校の生徒会は融通とか利かないみたい。
  また頼んでみても、教頭先生にダメって言われたから、って断られるのが関の山だわ」
そう言って中西さんは溜息をついた。
 「だからライブハウスで単独ライブ出来るように頑張って、そんで卒業ライブしようって。
  うちら四人で受験勉強と並行して頑張ってきたんだけどさ。
  またこんなんでダメになるなんて、悔しくて悔しくて」
岡島さんが続いてうつむいた、いつも明るいであろう人がこんな表情をしているのはなんとも言い難い。
さっき少し言ってたが、多分四人の先輩共々俺達に気を遣って明るく振舞ってくれてたんだろうな。
ちょっと前の重い雰囲気がまたリビングを包む。
また、何か気をきかせなければ…と考えたが、さっきはあくまで結果オーライだったわけであり
一日に二回も俺がそんな機転が利かせるわけもなく、黙っているしかなかった。
こんな時こそ古泉が役に立つんだけどな、あいつはそういう時に限って居合わせない。
427卒業のうた・10:2006/08/01(火) 14:36:53 ID:k06KX1EN
ちなみに、重い空気の時というのはやけに時間を長く感じるものである。
隣に座る奴が立ち上がるまで一分程度だったんだとは思うが、一時間位経った心持ちさえしたな。
ということで、この空気を吹き飛ばそうと立ち上がったのは言わずとも涼宮ハルヒであった。
 「生徒会だとか教頭なんかの言うことなんて関係ないわ!
  あたしが話つけてくる!」
高らかと叫ぶこいつの自信はどこからくるのか、だがたまには頼りになるってもんだ。
 「涼宮さん…?」
ENOZの面々は少し呆気に取られたような表情。
なにせ、話をつけるのは無理だと言って落ち込んでいる直後、こいつはそれを全否定してるわけだからな。
俺もいまだに慣れていないんでいつもは呆気に取られるばっかりなんだが…
今回ばかりは、ハルヒが何か言ってくれることに期待してたもんでね。
 「学生の健全な自由を奪うなんてそんなの許せないじゃない。
  生徒会だろうと教頭だろうと教育委員会だろうと屈しちゃダメ。
  今回はこの前みたいにケガとか病気ってわけじゃないんだから、諦めるなんて考えは愚作よ。
  先輩のあなた達は安心してライブに向けて練習してて、四日後の卒業式までに体育館を確保してみせるわ。
  あとはあたしたち後輩に任せなさい!」
今日になってからはじめてハルヒは笑顔を見せた。
その先輩方はまだ呆気に取られているようだ、ポカーンとハルヒを見上げてる。
さすがにここは俺の出番か、先立って言うのは苦手だがこいつのフォローならまあまあ得意な方だ。
 「あー、こいつは無茶苦茶なことを結構可能にするやつです。
  このまま何もしないで諦めるのも、まあなんですから。
  とりあえずダメ元で俺達に任せてくれませんかね?」
そう言うと、ENOZの四人は互いに顔を見合わせアイコンタクトで会話でもしているようだ。
そしてしばらくして、表情を緩ませた。
 「それなら、君たちに任せるよ。
  そういえば『辛いときこそ前向きに』って、自分の座右の銘忘れてた。
  なんたって文化祭で起死回生の活躍見せてくれた涼宮さんだもんね。
  びっくりのギターテク見せてくれた長門さんもいるし」
中西さんは少し笑顔を取り戻してくれたようだ。
他の三人も同じような顔をしている。
428卒業のうた・11:2006/08/01(火) 14:37:50 ID:k06KX1EN
中西さんの言葉を聞いたハルヒはその後
 「善は急げだわ!キョン、早く行くわよ!」
と言い残し疾風のごとくリビングから飛び出していった。
ENOZの人達はまた呆気にとられており、俺も今回はその行動の早さに呆気に取られたのだった。
しかし紅茶と言うのは少し飲んだだけでも尿意をもよおす飲み物だったりする。
ハルヒはすぐ戻ってきて
 「その前に、お手洗いどこかしらね?」
と、珍しく乙女の恥じらいを見せて…なんてことはなく、普通に尋ねてトイレに走って行った。
あいつがトイレに行ってる間に残りのケーキと紅茶を頂くことにするとしよう。

 「涼宮さんってホント、すごく不思議な人だね」
ハルヒが飛び出して行ったドアを見つめながら財前さんが言う。
ええ、まったくその通りですよ。強いて言えば不思議というか奇怪です。
 「あはは、そんな意味じゃないよ〜。
  何て言うかな、不思議な力持ってるって言うのかな。
  あの子が『出来る!』って言うと本当に出来る気がするんだ」
 「だね、私もそう思った。
  文化祭のときも、なんだかあの子にならボーカル任せるって気したもの。
  もちろん前々から活躍は聞いてたけどさ、それとは別に何かを感じた」
 「うんうん。
  正直うちら今回も諦め切ってたようなもんだったんだよ?
  けど、あの子の言葉聞いたらなんかうまくいく気がしたっていうか」
 「そうそう!
  言われてすぐはちょっとビックリはしちゃったけどさ。
  この子は本当に実現しちゃいそう、って何かがあるんだよ」
財前さんの言葉に、榎本さん岡島さん中西さんが次々と相槌を打つ。
…なんというか、すごくびっくりした。冷や汗ものだったな。
音楽やら芸術系の感性が優れている人っていうのは感も鋭いのだろうか。
心を落ち着かせるためにも紅茶を飲ませてもらおう。
 「ところでさ、キョン君って言ったよね」
そうです岡島さん、その愛称を気に入ってはいませんが。
 「涼宮さんとはどこまでいってるの?」
429卒業のうた・12:2006/08/01(火) 14:38:35 ID:k06KX1EN
さらにびっくりさせられるとは。
危うく飲んでいた紅茶を噴出しそうになった、というかカップの中で少し噴出してしまったよ。
まったく何を言い出すんだ。それよりこの人達さっきまで落ち込んでいたよな?
それが嘘のようにみんなニヤニヤしながら俺のことを見ている、まったく女の人というのはわからんね。
 「どこまでも何も、そういったことはありません」
 「え〜、けど見かけるといつも一緒にいる気するよ。キスくらいしてるでしょ〜?」
財前さん、そんなのあるわけ…と言おうとしたところで否定は出来ないことに気付いた。
ここは一応他のことを言ってごまかさなければならない。
 「と言うか、俺とハルヒはただのクラスメート兼部活(団)仲間ですから。
  先輩達の言ってるような関係では断じてありませんよ」
 「ああ、ごまかしてるな〜」
可愛い声して鋭いですね榎本さん、しかし言っていることは全部本当ですから。
 「こらこら、もうこの辺でよしとこう」
ホッ、うまく止めてくれるようだ。さすがはリーダーの中西さんである。
 「多分、恥ずかしがりの涼宮さんに口止めされてるとかなんだから」
前言撤回。女の子というはほとんど皆こういう話が大好物のようだ。
と、
 「ああ、スッキリしたー!今日は起きて行って以来、まだトイレ行ってなかったの」
何かをやってのけたような笑顔でハルヒが戻ってきた。
女の子が多いからって、一応男が一人いるんだからもっと慎みなさい。
 「うっさいわねー、あんたなら別に構わないでしょ」
言い返そうとして、周りで四人の先輩方がニヤニヤしてるのに気が付いた。
また変な勘違いやら妄想をされてるようだ。
これ以上変なことを言われても嫌なので、おいとますることにしよう。

四人揃って玄関まで送ってくれる。
ハルヒとともに突然おじゃましたお詫び、ケーキと紅茶とお菓子のお礼を言う。
 「こちらこそ今日はありがとう、だいぶ元気も出た」
そう答えてくれた中西さんの顔は確かに、家に訪ねた時よりも笑顔のようだった。
それにハルヒもだいぶ笑顔に戻っている、今日は来た甲斐があったな。
 「それじゃあこれで、ちゃんと練習しといてね!」
 「わかった。
  君らも無理はしなくていいからさ、けど期待はしとく」
岡島さんの言葉を最後にハルヒは笑顔で手を振って歩き出した。
 「気をつけて帰ってね〜!」
俺も行こうとしたところ
 「キョン君キョン君」
俺だけに聞こえる声で呼び、見るとENOZの四人はそれぞれ胸の前に握りこぶしを作っていた。
なにを頑張れというのだまったく、やれやれ。
430卒業のうた・13:2006/08/01(火) 14:39:31 ID:k06KX1EN

少し経って、俺は家路を歩いている。
中西さんの家を出た直後
 「さあ、キョン。早速この足で学校へ向かうわよ!
  事態は一刻を争うんだから休んでる暇なんてないの」
とハルヒが言い出した。
だが、いまだに空腹の俺としてはあの坂をまた上るのは避けたく、また不都合なことがあったのだ。
 「悪いが俺は昼飯の分のエネルギーが確実に不足してるんだ。お前が食ったからな。
  それにだな、会いに行こうって相手が生徒会か教頭か校長かはわからんが
  説得するんだったらそれらしい時間に行く方が効果あるだろ?
  今はもう六時を過ぎてるし相手が帰ってても不思議じゃないくらいだ。
  明日の放課後にでもしっかりと言いに行こう、な?」
その後も思いつくことを言い揃えて何とか言いくるめた。
ハルヒは口をアヒルにしながらも「それもそうね、じゃあ明日にしましょ」と言って諦めたようだった。
そして今はハルヒと別れ、ちょっと足早に家へ向かっている。
俺には連絡を取らないといけない奴がいるのだ。
ENOZの四人は『涼宮さんが出来るって言えば本当に出来る気がする』と言っていたが
正確には半分合っていて半分はずれである。
万能の力を持つハルヒではあるが、だからと言って生徒会だとか教頭だとかを実際に説得は出来ないからな。
今日このまま会いに行ってたら確実に門前払いを食らっただろう。
半分は周りが埋めなくてはならない。
まあ、古泉に言わせると『結果として涼宮さんの望むとおりになる』ということなんだろうが。

そんなこんなで、家へ着いたらその古泉に電話するつもりだ。
何故家に帰ってからかというと、今日は携帯を持ってくるのを忘れてたからだ。
今回のように現実的な問題なら超常現象専門みたいな長門に頼るよりも奴に頼むのが良いんだろうよ。
と考えながら家に着いたんだが
 「手間がはぶけた、ちょうど電話しようと思っていたところだ」
 「ふふ、それはどうも。小火騒ぎでライブが中止と聞いて我々の出番だと思いましたからね」
家の前に古泉が立っていた。
そう言えば朝倉の家に行った帰りもこうやって立ってやがったな、色々と偶然が重なる日だこと。
まあそんなことは今はいい
 「それなら、何を頼みたいかも大体わかるか?」
古泉は待ってましたというような表情と仕草を見せた。
 「まずは代わりのライブ会場の確保、色々な情報を合わせますとおそらく体育館がベストなんでしょう。
  それに伴い、体育館の使用許可をすることへの不自然ではない理由や流れ。
  あとはライブ用のチケットを払い戻しせずに再利用する方法、なんかでしょうか。
  こんな感じでどうでしょう?」
ご名答、というかチケットのことなんか俺達は考えてもいなかったがね。
 「ただの息抜きとはいかなかったな」
 「いえいえ、これ位のことならそれこそ日常茶飯事ですから。
  閉鎖空間への対処なんかに比べればまだまだ可愛いものですよ、ですから最近は助かってます。
  そっちの方はこれからもよろしくお願いしますね」
言いながらウインクしてきた、気色悪いし俺にお願いされても困るね。
 「ふふ。では今日はこれで失礼させてもらいます、時間の余裕があまりないので。
  それでは、また明日」
前と同じようにタイミング良く到着した黒塗りタクシーに乗って古泉は去っていった。
都合良く話が進むようにこれから何かするんだろう。
まあそれはあいつの仕事だ、俺は早く家に入って飯にありつくとしよう。
431卒業のうた・14:2006/08/01(火) 14:40:11 ID:k06KX1EN
明けて次の日の放課後。
SOS団の活動は連日の休みとし、五人で職員室へ行くこととなった。
 「さあ、武装して校長室に乗り込むわよ!」
なんてことを朝っぱらから言われるんじゃないかと思っていたが、意外にハルヒは冷静であった。
 「ここは順序を追っていって許可を得ましょう、まずは身近な先生に話すということで。
  校長先生や教頭先生などはすぐに話を聞いてもらえるものではないですし、それが得策でしょう」
なんていう古泉の意見も素直に受け入れ、今に至るわけだ。
さすがにENOZの命運がかかっているわけなのでハルヒも慎重と言ったところなのか。
ということで、着いたのは職員室である。
 「ふぇ〜、なにするんですか?職員室だし、なんだか緊張しちゃいます」
何も知らないであろう朝比奈さんはオロオロするばかりだ。
俺としてもあまり居心地の良い場所ではないので、出来れば早く出たい。
入ってとりあえず向かったのは
 「な、なんだお前達、どうした?」
ハルヒの顔を見て少しビクっとした、担任である岡部の元だ。
おそらく、(また涼宮が何かしようと…)なんて考えてるのであろう、同情する。
ハルヒが口を開けようとしたところ
 「ここは副団長の僕が、実はですね…」
率先して古泉が話し始めた、ハルヒにやらせると喧嘩腰になる可能性があるんで良い判断だな。
古泉はお得意の喋りを披露している。
 「ほうほう」
岡部も暑っ苦しいが一般的には良い先生の部類に入るんだろう、古泉の話を真面目に聞いているようだ。
微妙に誇張表現を混ぜながら古泉は説明を終えた。
 「なるほどな、先輩を助けてあげたいってことか。
  また涼宮が変なことするつもりかと警戒したが、いや〜先生は感動したぞ!
  実はなあ、俺も大学のハンドボール部時代にな…」
 「岡部先生、ハンドボール部での熱い友情にもとても興味があるんですが
  真に残念ながら少々急いでいるんです。
  今は、この後誰に取り次いで話せば良いのか教えていただけますか?」
謙虚な(風に見える)笑いを浮かべて古泉が対応する、こういうことは本当に得意らしいな。
だが慣れてしまえば、押しかけで布団なんかを売る胡散臭いセールスマンなんかに見えてしょうがないね。
 「ああ、そうか。じゃあ今度聞かせてやるからな!
  そういうことなら施設管理担当の…ほら、あそこにいる先生に話してみろ」
残念そうな顔をして、少し離れたところにいる眼鏡をかけた地味な先生を指差した。
これ以上は面倒なので足早にその先生の元へ向かう。
そして今度も古泉が話しかける、なんだか微妙に古泉が動揺している気がするがまあ気のせいだろう。
 「ええ、お仕事中すいません。一年九組の古泉と申します。
  実はですね…」
432卒業のうた・15:2006/08/01(火) 14:40:51 ID:k06KX1EN
 「あれでホントに大丈夫なのかしら」
職員室での活動(?)が終わり五人で坂を下って帰宅途中。
少し不安そうな声をあげているのは、いつもの五人の下校時では爛々としているハルヒである。
まあ、それもそのはず。
岡部の後を受けた施設管理担当とやらの先生に古泉が事情を説明したところ
 「わかりました。
  まあ私一人の意見で許可したり拒否したりは出来ないんで、他の先生と協議させてもらいます。
  教頭先生や校長先生にも聞いてみないといけないからね。
  明日以降かな、結果が出たら連絡するから今日はもう帰りなさい」
と言われ、俺達はそのまま帰ることとなった。帰り道にしては空がまだ明るい。
 「正直不安よ、ものすごく不安。こんなんでうまくいく気しないわ。
  あの先生、なんか情けない感じだったし。
  むしろこんなんでうまくいっちゃったら逆にあやしい気もしちゃうわよ」

 「私はもっとこう、教頭とか校長とのバトルが待ってると思ってたのよ。
  コンテナが運ばれてきてそこには武装するライフルとか機関銃とかが入ってて…」
もう無茶苦茶である、やっぱりこいつは俺の予想したようなことを考えていたようだ。
 「ああもう、この余りあまったパワーをどう発散すればいいのかしら!
  ねえ、み・く・るちゃ〜ん?」
 「ひっ、ひえっ。や、やめてくださあい」
欲求不満であるらしいハルヒは朝比奈さんに悪戯をし始めた。
本来なら止めなければならんが、今は好都合だ。すいません朝比奈さん。
 「おい、どういうことなんだ?ハルヒも不審がってるぞ」
小さめの声で古泉に問い掛ける。
 「すいません、僕としても予定外で少し困ってるんです」
 「なんだと?」
 「ええ。
  本来なら、もっと周り道をした上で指導主任や教頭などそれらしい役職の教師に行き当たるはずでして。
  その上でその相手に高圧的な態度を取られて対立し、それなりの経過を経た後に許可を得る
  と言った内容を予定していたんですが、あのような形になるとは。
  実は涼宮さんの言っていたようなシナリオも考えてはいたんですよ。
  まあそこまでのものを用意するのに一晩は短かったもので簡単なものにしたんですけどね。
  それがあそこまで簡素なものになってしまうとは…」
わざわざそんな面倒なのも用意してたのか。だが、今はそれより
 「なんだ、施設管理担当とか言ったか。
  あの先生も機関とやらの回し者なんじゃないのか?あんな先生初めて見たぞ」
 「いえ、少なくともあの教師は機関の関係者ではありません。
  というか僕も初めて見ました、一通りの先生方には顔通ししてるんですが。
  不思議です」
あの時の違和感は気のせいでは無かったか、予定外の先生に出くわしてこいつも少し動搖したんだな。
と言うかこのままで大丈夫なのだろうか?
これでライブ話が拒否されたら、それこそハルヒは校長室に殴りこみなんかをしかねない。
 「それは多分大丈夫だと思います。
  下準備は済んでいるので体育館の許可自体は予定通り出る…はずです」
微妙に自信なさ気な言い方をこいつにされると不安になるぞ、勘弁してくれ。
明日がいささか不安なんだが、とりあえず向かえるしかないようだ。
前方でいつもと変わらない行動をとっている女子達を見ると少しだけ安心出来る。
悪戯するハルヒと、される朝比奈さん、表情は見えないが読書している長門。
 「…」
433卒業のうた・16:2006/08/01(火) 14:41:39 ID:k06KX1EN
ここで少し話が飛ぶ。
今日は五人で職員室に行った日から数えて二日後。
つまりは卒業式の前日であり、本来ならライブハウスに行くはずだった日である。
結論から言うとENOZの体育館ライブは無事行われることとなった、今日これからだ。
今は学校に向かう坂道を、嬉しくない話だが古泉と二人で上っている。
 「無事済みそうで良かったですね」
 「まあな、予定外のことはあったが」
 「ええ、僕も職員室とその帰り道では混乱しました。
  ですがそれもよく考えればすぐに思い当たることでしたからね」
さて、ここで簡単にだが、あの帰り道以降の話をしよう。


職員室に行った日の翌日。
朝のHR後岡部に呼び出された俺とハルヒ、不安でしかたなかったが聞かされたのは朗報であった。
 「良かったな〜。卒業式の前日、明日だな。卒業式のリハーサルの後体育館を使用していいそうだ。
  一応全クラスの担任に連絡が回ってるから安心しろ、あとでうちのクラスでも連絡する。
  それとチケットを買っていた者なら外部の者も特別に入場許可するそうだ。
  青春してるじゃないか、お前らの姿を見て高校の頃の部活の…」
この後の岡部の話は聞かなかったので省略する。
当然ハルヒは喜び勇み、そのまま長門・朝比奈さん・古泉の元に報告をしに行った。
『全クラスに連絡が回ってる』って岡部の言葉をすぐに忘れるほど喜んでたみたいだな。
その勢いでENOZの四人にもすぐ電話でもかけると思っていたが
 「こういうのは溜めて溜めて、直接言いたいもんじゃない」
なんて訳のわからん事を言った挙句、また二人で放課後中西さんの家に行くこととなった。

中西さんの家にはライブの練習と言う事でENOZの四人全員が集まっており
許可を得たことをハルヒが報告すると、笑ったり号泣したり、とにかくものすごく喜んでくれた。
 「ごめんね中西さん、ホントは昨日のうちに全部済ませれば一番だったんだけど」
 「そんなこと全然ちっとも全く気にしてないよ!
  涼宮さん達に期待しちゃって、一昨日からほとんど寝ないで練習してたんだ。
  けどまさか本当に体育館でライブ出来るなんて…なんだか嬉しくて実感湧かないくらい」
 「ホント…あの体育館で唄えるんだ…ここ二、三日も喉のケア続けてて良かったよ。
  しかも北高以外の人も来れるなんてさ、これはさすがに予想もしてなかった。
  学校外の人のチケットは、もう払い戻ししちゃおうと思ってたとこだったんだよ」
 「うっ、うう。ほんとさあ、えぐっ、良かったよ、良かったよ。
  これでさ、貴子もミユも一緒に、ひぐっ、四人であそこでライブ出来るもん」
 「ほーら、泣かないのミズキ。あんたいつも余計な位笑ってるのにさ、今こそ笑うときじゃない。
  って言っても私もまたあそこでベース弾けると思うと、涙出そうなくらい嬉しい。
  ありがとう涼宮さん、本当にあなたのおかげ。ありがとう」
 「そんな、あたしなんて何もしてないのよ!
  なんだか呆気ないくらい簡単に許可取れちゃって、ちょっとおかしいくらいだったの。
  …今思うとやっぱり不自然な気もする、よく許可出たもんだわ…
  なんて、今はどうでも良いわよね!ライブはちゃんと出来るんだし!
  ねっ、キョン!」
 「んあ。ああ、そうだな」
こんな感じのやりとりや、明日のライブの開場・開演時間などの現実的な話を伝え
SOS団の他の二人にもお礼に、とチケットをいただき
さらにはハルヒによるENOZへの激励エールなんてのもあった後
涙が止まり満面の笑みになった岡島さんを含めたENOZの四人に手を振られながら帰ることとなった。
喜んでいたおかげで、ハルヒが許可のことに関して必要以上に疑わなかったのも幸いである。
434卒業のうた・17:2006/08/01(火) 14:42:38 ID:k06KX1EN
こんな感じで昨日は過ぎた。
今日は午前中卒業式のリハーサルということで、ほとんどの三年生が登校することになっている。
ちなみに一・二年生は明日の卒業式に加えて今日も基本的に休みであり
俺達SOS団も今日は午後に集まることにしていた。
いつもよりも長い睡眠を堪能し、一時という学校での集合時間に合わせ正午近くに家を出て
今日は俺以外誰もいないだろうと思っていた坂を登ろうとしたところ、見慣れた男が俺を待っていた。
ここで昨日の話をする前、古泉と坂を登っている場面に戻る。

午後の坂道は普段の坂道より幾分か暖かい。
また二月も終わりに近づいているわけで、気温自体も日々上がっているようだ。
 「僕としたことが、冷静に事態を理解し考えることが出来ていませんでした。
  少し気を引き締めないといけないようですね。
  周りの教師に不思議に思われずに、いるはずのない教師が違和感無く存在している。
  こんなことが出来そうな人物はそうそういませんから」
一昨日の帰りの自信無さげな表情が嘘だったかのように流暢に話している。
まあ、俺も後々考えてみて何となく目星はついた。
そいつ的には悪気とかはまったくなく、自体が楽に進むようにした結果なんだろう。
 「でしょうね、実際心配が無駄になる程スムーズにいきました。
  機関による下準備の効果もしっかり反映されていたので驚きましたよ」
 「結局、お前らのとこは何をしたんだ?
  まさか校長や教頭が機関とやらのお偉いさんなんて言い出すのか?」
 「詳しくはまだ言えませんが、今回は間接的な形で圧力をかけさせてもらいました。
  と言っても脅しや不法な手段を取ったというわけではありませんよ?
  使用前・使用後のしっかりした管理をする団体の用意、卒業前で浮かれる生徒へのガス抜きとしての効果
  文化部のこれからの活動への刺激、ENOZの皆さんの進学実績…
  様様な条件や約束事を踏まえれば、体育館の使用許可なんていうものもちゃんとした形で貰えるものです。
  ですから、いるはずのない教師が現れなくても問題無く進行は出来たはずだったんですよね」
よくわからんが、間接的な圧力ねえ。
 「そうですね…近いうちにそれがどんなものか、垣間見ることもあると思います。
  実は、今回のシナリオが予定通りいかなかったのはかなり悔しかったんですよ。
  名誉挽回とはいきませんが、近々代わりのものを用意するつもりなので」
こいつは何だか興奮しているようだ、聞いていないこともペラペラ喋っている。
近々と言えば三月のはじめ辺りだろうか、何か変なことを予定してるなら是非やめてもらいたい。
そんな古泉の話を聞き流しながら坂を上っていった。
435卒業のうた・18:2006/08/01(火) 14:43:23 ID:k06KX1EN
さて、体育館の時計の針は三時二十分を指している。
古泉の話を聞きながら校門でハルヒ達と合流、卒業式のリハーサルが終わった三年生の列を眺めたり
その波の中にいたENOZの四人と話したりした後
今は体育館でライブの準備が終わるのを待っているところだ。
準備をしているのは生徒会≠ニいう腕章を付けた人を中心とした、おそらくは〜委員会とかの人だろう。
中西さんの話によればうちの学校の生徒会はダメということだったが、少し変わったのだろうか。
テキパキと支持を出したり、動いて椅子や照明・音響器具のセッティングをしている。
この調子なら準備もすぐに終わりそうだ。

体育館外に顔を出し、周りを見てみれば…ものすごい数の人である。
人の数なんてのは見て正確にわかるものじゃあないが、何百人といるのは俺にもわかる。
その何百人がうねうねと一つの列を作っているのは異常と言える光景だ。
なんでも、今日登校してライブのことを知った三年生がほとんど来ているらしい。
まあ国公立二次試験の前期も終わって大体の生徒は受験も終わっており
進学や進路が決まってる人も、滑りに滑ってお先真っ暗な人も今は休息期間なわけだからな。
卒業前の良い思い出作りとかにもなるのかね。
それに午後になって大挙してきた一・二年生を加えれば、そりゃあすごい数にもなるわけだ。
俺達とは言うと、体育館の中で既に座っている。
古泉の言っていたライブハウスのチケットの再利用とか言うのは
チケットを持っている人は優先的に最前のスペースに座れるというものだった。
ということで、長い列に並ぶことなく開場前からここにいられるわけだな。
外はまだ寒いので暖かい室内にいれるのは有り難い。
朝比奈さんは「わたし、なにもしてないのに悪いです」なんて健気なことを言っていたよ。
その最前のスペースには、チケットを持っていた…主に学校外の人が多く座っている。
北高生はみんな制服と言うのもあるが、派手に決めている彼ら(と言うか彼女ら)はすごく目立っている。
いわゆるヴィジュアル系というか、パンクというかゴスロリというか、色々な人がいるな。
これはもはや何かの仮装パーティと言うか、コスプレみたいだ。
とか何とか俺がダラダラと一人ごとを言ってるうちに準備が終わったようだ。
並んでいた北高生徒が次々に体育館に入ってきた。
もうすぐライブが始まる。
436卒業のうた・19:2006/08/01(火) 14:44:12 ID:k06KX1EN
そして四時五分前となった。
椅子はもちろん満席、立ち見客も合わせると体育館は満員と言った感じだ。
この時期体育館で行われるという話題性と、ENOZの人気が合わさったことで可能にしたんだろう。
既に体育館の中の熱気は外の寒さを忘れさせるほどに上昇している。
最前列の周りにいるコスプレ集団みたいな他校ファンも臨戦体勢といった雰囲気。
 「いよいよですか、楽しみです」
 「ああ」
 「今回はあなたとの会話がやけに多かった気がします」
 「気のせいだろ」
 「ふふ。
  結局今回は良い息抜きという感じじゃないですか。
  それに、涼宮さんも楽しそうですし」
 「まあな」
右隣は古泉、こいつの言う通り左にいるハルヒは実に楽しそうである。
涼宮ハルヒという女は大勢の聴衆の一人になることを嫌うんじゃないかとも思っていたが、杞憂だったようだ。
ライブを楽しく過ごすための心得≠ニかいうのを朝比奈さんと長門に楽しそうに語っている。
今のハルヒなら、いつぞや話していた何万人もの人がいる野球場に連れてっても大丈夫じゃないのかね。
 「ちょっとキョン、あんたもしみったれた顔してんじゃないわよ。
  ライブは楽しまなきゃ損なんだから!」
 「へいへい」
まあ、こいつの言うとおりである。
ここまで来てしまえば何かアクシンデントが起こるんじゃないか?なんて考えるのもバカらしい。
俺も楽しませてもらうよ。

なんて思った刹那
 「なになに、なんかの演出かしら?」
 「…」
 「なかなか粋なことをなさるようで」
 「ひぇぇ。まっ、まっくらですう」
体育館の照明が落ち、辺りは一面暗闇の世界となった。
そこらじゅうで観客のざわざわ声が響いている。


シャンシャン、ダカダカダカダカ

呆気に取られる観客を置いてけぼりに、気持ちの良いドラムロールからイントロが始まる。
周りの非北高コスプレ集団だけが理解し曲始めから既にノっているようだ。
すぐ続いてギター、それを聞いてすぐにわかった。これは文化祭でハルヒが唄った歌だな。
忘れもしない長門のあの超絶テクニック。
しかしどうしたものか、中西さんのギターは同レベル…いや、それ以上にすごく聴こえる。
テクニックそのものは長門の方に軍配が上がるだろうが、強い気持ちが入ってるって言うのかな。
そして舞台がライトアップされ
舞台の真ん中に立つ、榎本さんの歌声。
中西さんの家で話したときの可愛らしい声とは一味も二味も違う力強い歌声。
なる程、古泉の言っていたズレ≠ニやらが消え去った気がした。
テクニック以上のものがある中西さんの凄み、女性らしい美しさと強さの混じった榎本さんの歌声。
それがはまった時、ENOZの音楽が始まるのか。

暗闇からの奇襲で呆気に取られた客も、気がつけばみんなノっている。
隣のハルヒは唄い、朝比奈さんも長門も古泉も、俺も、自然と手拍子をしていた。
これが本物の生のライブなのか、と心底思った。
437卒業のうた・20:2006/08/01(火) 14:44:53 ID:k06KX1EN
そして一曲目の演奏が終わる、その時には会場のボルテージは最高潮。
文化祭の時もすごかったが今日のはそれを遥かに超えていると思う、なにせ鳥肌がずっと立っている。
ここで、歌い終えた榎本さんがマイクスタンドに再び手をかけた。
 「北高の皆さん、ライブハウスに来てくれてたみんな、ENOZ卒業ライブにようこそ!」
ドッと会場が沸く。
周りのコスプレ集団からは「ミユー!!!」と奇声が上がっている。
 「今聴いてもらった曲は、今年の夏の始めに作った思い出深い一曲。
  知ってる人もいると思うけど今年度のライブの一曲目は全部この曲からなんだ」
そういえば文化祭の時も一曲目だったな、起爆剤といった感じか。
 「ここまで色々とあったけど、ようやくこの舞台に立てました。
  …色々と言いたいこともあるけど今日は音楽でそれを感じてもらいたと思う。
  三年生の皆!今日は卒業前の最高の思い出にしよう!
  一・二年生!しっかり付いてきて!
  ライブハウスから来てくれた皆!卒業前最後のENOZを見てね!」
所々から男のだったり女のだったり歓声やら叫び声だとかいろいろな騒音が鳴り響く。
指笛とでも言うのか?指と口で鳴らす、広い体育館にも響くそれの音も聞こえる。
テレビなんかでもその音をよく聞くんだが、あれを出来る奴はなんだかカッコ良くていいな。
 「卒業と言えば涙≠ネんて思っちゃうけど、涙は明日にとっておいてほしいな。
  バラードの時も我慢してほしい」
 「それじゃあ、卒業前のしんみりした気持ちは一旦忘れて今日は盛り上がろうね!
  二曲目聞いてください、『secret base』」


こんな調子でライブは続いた。
明るい曲が二曲続いた後は切ない曲が二曲続く、といった風であった。
ノリの良い曲では正に会場が一体になるといった盛り上がりを見せ
さらに、涙は我慢してなんて榎本さんの言葉も空しくと言った感じだろうか
バラードの曲が終わった後はそこらじゅうからすすり声が聴こえてきた。
と言うか、榎本さんの言葉の直後の二曲目がいきなり珠玉のバラードであったのには驚いた。
近くでは朝比奈さんが感動して目をウルウルさせていたね。
隣のハルヒは終始楽しんでいるようであり、おそらく全部の曲を榎本さんの歌声に合わせて唄っていた。
つまりはかなりの予習をしていたのだろうな、ハルヒらしい。
これは後で聞いた話だが、今日演奏された曲はほぼ文化祭後のダビングMDに収録されてたそうだ。
事前に聞いていればもっと楽しめたと思うと少し残念である。
少しってのは、聞いていなかった俺も十二分にライブを楽しいんでいるからさ。
途中でメンバー紹介や各楽器のソロ演奏などを挟みつつ、あっという間に時間は過ぎていった。

438卒業のうた・21:2006/08/01(火) 14:45:38 ID:k06KX1EN
そして十一曲目の『世界のほんの片隅から』というバラード調の曲が終わった後
普段感動に疎い俺もさすがに感傷に浸っている時、こんな時もニヤけ面である隣の古泉が話し掛けてきた。
 「お気づきですか?」
なんのことだ、お前が鬱陶しいということなら最初から気付いていたぞ。
 「おやおや、まあ聞いてくださいよ。
  このライブで演奏された曲目ですが、少し面白い法則性を持っています。
  チケットを頂いた時から予想していたことではありますけど」
何かを推理したり推察する時の古泉の顔、こんな時にもこの顔も見るとはな。
 「どういうことだ?」
 「このライブ、おそらく次の曲がラストソングです。
  ライブのタイトルである『12個の季節』、この12はおそらく春夏秋冬の4×3
  つまりは高校三年間を表しているんだと思います、そして曲目も十二曲ではないかと。
  思い出してみて下さい。
  最初の曲は夏に作ったと言っていました、二曲目の『secret base』の歌詞や雰囲気は夏の終わり=秋▲
そう言えば、三曲目の曲はたしか『白い花』と言った。
切なさまっしぐら!と言ったような曲でかなり気に入ったので覚えていたんだが
 「あの曲は雪って歌詞がよく出てきて、正に冬≠チて感じだった」
 「そうです、夏・秋・冬。
  一曲目が明るいポップ調の曲、二・三曲目が切ないバラード調の曲
  そしてその後は明るいものと切ないもの、ほぼ二曲ごとに続いていたことはあなたもお気づきでしょう?
  大まかに分けると春夏のものは明るい曲、秋冬では切ない曲になりやすいからなんですよ。
  一般的なヒット曲においても同じことが言えます、日本人は季節感を強く感じるからでしょうか。
  このライブは夏≠ゥら始まった、というわけで三回廻ってラストは春=B
  三年生の最後の春というキーワードを考えれば、おのずとラストソングがどんな曲かはわかるはずです」

古泉が満足そうに話し終えたところ、ちょうど榎本さんがマイクを握り話し始めた。
 「みんな、ここまでありがとう!
  実は今回のライブはあるテーマに沿って唄わせてもらってたんだ。
 『12個の季節』っていうタイトルはそのまま十二曲ってことを表してるの。
  一年生の夏から始まって、秋・冬・春・夏…っていう風に三年間の季節を感じてもらって
  ラストは三年の春、今に一番近い季節で締めるって感じでね。
  それで、すごく残念なんだけど…次が十二曲目、最後の曲になります」
会場中が「えーっ」とか「やだー」とかブーイングにすら近い騒音で包まれる。
それはまるで、祭りが終わる前の子どもの悪あがきというようなものだった。
 「こんなに嬉しいブーイングははじめて、へへ。
  私たちも寂しいけど、最後の曲もみんな楽しんでくれると嬉しいな!」
騒音が止まる。
楽しい時間のあとには寂しい時間が訪れる、ってのは人間の真理だろうか。
そんな光景を眺めながら榎本さんが告げた。
 「この曲は作ったばかりで今日が初披露の曲になります。
  今の私達の気持ちが詰まってるって感じかな。
  じゃあ聞いてください!ENOZで『卒業』」
439卒業のうた・22:2006/08/01(火) 14:46:14 ID:k06KX1EN

『「卒業」 人は新しいドア また一つあけて進む…』

三年の最後の春、卒業。
ENOZの卒業ソングは、明るい曲調に前向きな歌詞。
『辛いこそ前向きに』と座右の銘を語っていた中西さんらしい、ENOZらしい曲だったな。
曲の始め、聴衆はそれに呼応するように明るい盛り上がりを見せていた。

『「卒業」 いつも涙じゃなくて これからはじまる夢くれる
 「卒業」 それは別れじゃなくて 出会いの予感をくれる』

そんな歌詞通りの前向きな曲だ。
しかし、人の感情とは不思議なもので、時に明るい曲調や歌詞なのに涙を誘うときがある。

『「卒業」 それはたった一つの 未来の扉のかぎだね…
 未来の扉を開けるよ…』

最後の歌詞が唄われ、ラストの演奏が流れている時には会場は涙で包まれていた。
さすがに男子連中は我慢なんかもするわけで、泣く奴がそんなにいるわけではないようだが
女子に関しては、会場のほとんどの人が泣いているようだった。
三年生の涙につられたのか、一・二年生も涙を流しており
我が部きっての泣き上戸である朝比奈さんもボロボロと涙を流している。
長門はもちろん涙なんか流してはいないが、少し不思議そうな顔をしているようだ。
(明るい曲だったのに、どうしてこんなに皆泣いているんだろう?)という感じかね。
隣のハルヒはと言うと…うつむいているので残念ながら表情は見えない。
今のこいつはこんな時、どんな表情をするんだろうな。
440卒業のうた・23:2006/08/01(火) 14:46:52 ID:k06KX1EN

曲が終わり、会場を泣かせた張本人達は俺達聴衆が気づいた時には舞台から姿を消していた。
ここでライブの恒例行事が行われる。
 「アンコール!アンコール!」
体育館内に地響きのように声と、それに合わせた手拍子がこだまする。
それに習って俺達五人も声を上げ手を叩く。
ハルヒは一際目立つバカでかい声でアンコールを叫んでいた。
そして叩いていた手が少し痛くなったきた頃、舞台に主役達が戻ってきた。
 「みんなありがとう…私たち、猛烈に感動してる」
榎本さんの言葉に、会場が拍手や歓声で応える。
 「最後の曲、この次が本当の本当に最後の曲になるんだけど
  その曲紹介は我らがリーダー、ギターのTAKAKOから!」
前に出てきた中西さんにマイクが渡され、コスプレ集団からは「タカコー!!!」との奇声。
その声に少し恥ずかしそうな顔を見せつつ、中西さんが喋り出した。
 「えっと…今まで何度も来てくれた人も、今日はじめてライブに来てくれた人も
  今日は本当にどうもありがとう。
  思えば入学してこの四人が出会って、こうしてこんな大勢の人の前でライブしてるなんて…
  改めて思うとすごく不思議」
中西さんは周りのメンバーそれぞれを見つめ
他のメンバーもそれに応えてうなずく。
 「この仲間たちに出会えて、この舞台に立たせてもらって私は幸せです。
  どれもこれも、ミユとミズキと舞と、ここで聞いてくれてるみんなのおかげ。
  今までで最高のライブ、本当に、本当に、ありがとう…」
と言ったところで、中西さんはマイクを置いて顔を手で覆った。
感極まったんだろう。
今まで我慢していたものが弾けたという感じで泣いている。
なんだかドラマのような光景であり、周りでももらい泣きしている人がいるようだ。
会場からは「がんばれー」だとか「泣かないでー」なんて声が上がる。
そんな声を受け、しばらく他のメンバーに励まされた後、中西さんは再びマイクを手にとった。
 「ごめんなさい、涙が似合わないライブにしようと思ってたのに」
そんな中西さんに会場の男どもからのすごい歓声。
男は涙に弱いもんで、そんな男どもの心を掴み取ったようだね。
 「あと、お礼を言わなくちゃいけません。
  今回のライブを開催するにあたって、ものすごくお世話になった人達がいます。
  文化祭でもお世話になったからきっと知ってる人も多いよね」
そう言って、こちらに視線が向けられる。
視線を向けられたハルヒは…さすがに少し恥ずかしそうな顔をした。
 「最後の曲はそんな人達への感謝を込めて作った曲です。
  その中の女の子が今回私たちにすごく大きなパワーをくれました。
  そんなパワーを今度はこの歌でお返し出来れば良いかな、って思って。
  みんなも楽しんで聞いてね」
マイクが榎本さんの元に戻される。
 「それじゃあ本当にラストソング。
  いくよー、最後みんなも思いっきりノってきてねー!!」
「おー!!!」と歓声が沸きあがる会場。
そして、榎本さんはマイクスタンドに手をかけた。

 「ENOZで、『GOOD DAYS』」
441卒業のうた・24:2006/08/01(火) 14:47:32 ID:k06KX1EN
ギターの演奏が始まる。
さて、これが本当の意味でラストソングのようであり、つまりはライブはこれで終わりである。
拙い俺の語りであるが少しくらいはこのライブの雰囲気を伝えられただろうか。
後日談として付け加えると、この曲の後のアンコールにENOZが姿を現すことは無かった。
だが、この曲がくれた元気はライブが終わるという寂しさを吹き飛ばしてくれ
ハルヒがENOZに与えたらしいパワーは、きっと色んな人へと伝わっていったと思う。
俺も最後くらいは、ダラダラと語ることなくその歌を聞かせてもらうとするよ。



『 時に深い闇に負けそうなときが
  ボクのこころまでも奪いに来ても
  強い想いだけはいつも変わらない
  独りじゃない事が ボクの最後の武器さ

  何度も語り合ったガラスの外には
  新しい道がある! Sunrise

  行動始めてみようよ 自分の中に秘めたstory
  全然怖くないハズさ 誰でもみんな始めはslowly
  GOOD DAYS
  GOOD TIME
  キラめきあれば闇も見えない!
  明日はもっと大きな自分の 夢描いて
  GOOD NIGHT


  H・E=だらしないけれど 力があるし嘘つかない
  S・H・E=勝手なんだけど 気配りだけは忘れやしない
  GOOD DAYS
  GOOD GUYS
  力合わせば何でも出来る!
  今日は今日でお互い自分の 夢磨いて
  GOOD LUCK 』 
442卒業のうた・25:2006/08/01(火) 14:48:09 ID:k06KX1EN
卒業式。
前述したように、ハルヒによってクラス代表の一人にされた俺は休日返上で出席している。
ここでたった一日前にライブが行われたとはなかなか信じがたい。
ENOZのラストソングが終わった後も聴衆達はみんな楽しそうに余韻に浸っていた。
ライブから一夜が明け、体育館はその余韻が残されることなく荘厳な雰囲気にとって変わっている。
昨日の盛り上がりはまるで儚い夢だったかのような静けさ。
これも、ライブ終了後にテキパキと片付けや卒業式への模様替えを行った生徒会の働きが大きいのだろう。
色んなことを忘れて昨日は盛り上がった三年生達も、そのおかげで切り替えが出来ているようだ。
式はその静けさと共に淡々と行われており
なんとか委員会からの電報や、全国恒例とも言えるだろう長々とした学校長訓話を始め
『水清し〜宮水の郷〜』
一年の俺は最近になってやっと一番は覚えたという感じの校歌。
『われらみな愛を深めて〜今日の日をゆたけくゆかん〜』
今唄われている三番はさすがにほとんどわからん。
三年間唄ってきた卒業生にとっては感慨深いものになったりするのだろうか。
『白い光の中に〜山並みは萌えて〜』
更には最近の卒業式の定番、旅立ちの日に=B俺も去年中学の卒業式で唄った歌だ。
『この広い大空に〜夢を託して〜』
仰げば尊し≠竍蛍の光≠ネど、少し前では当り前であった卒業式の歌も今ではその影を潜めているとか。
俺個人としては、そういう伝統的な歌もばかに出来ないと思うがね。
歌が終わった後は卒業生代表の訓示。
「私達は三年間学び、遊び、友情を深めた校舎に別れを告げ…」
自分で考えたのか先生に決められたのか、どっちとも言えるような内容。
特に何かあるわけでもなく卒業式は問題なく進む。
隣の席で神妙な顔をしているハルヒと共に、そんな光景を見送っていた。
 「以上を持ちまして、第〜回卒業式を閉会とします。一同起立」
礼をする。
ちなみにうちの高校では最後に卒業証書授与が行われ、そのために式自体は早く終わるようだ。
 「続きまして、卒業証書授与」


少し時間が経ち今は体育館の外で立っている。
卒業証書授与に合わせ、参列していた一・二年生が花道を作り三年生を見送るのだ。
証書を貰い、最後となる自分の教室に向かって、体育館からは次々と卒業生が出て行く。
この支配からの卒業〜≠ニいった感じに笑い合って歩いていく男の先輩がいれば
今日が私のmy graduation≠チて感じに涙を流し合ってる女の先輩もいる。
花道を作る一・二年生はほとんどが女子なのだが
何故かというのは、その子達が体育館から出てくる顔の良い先輩に走り寄っていくその光景を見ればわかるな。
ちなみにうちの高校はブレザーなので、ネクタイや校章を貰うのが慣習だそうだ。
二年後の俺にも一人くらいはネクタイの貰い手がいてくれれば、一男子高校生として有り難いんだがね、
隣の女はそんな女子達と比べるとあまりにも異質な感じがする。
卒業式だからと言えば当然とも考えられるが、ハルヒは朝から気味が悪い程静かであった。
思えばライブハウス小火騒ぎの前にもこんな表情を見せる時があったっけ、なんなんだろうな。
式の時から今でもそれは続いており、押し黙って卒業生の波を眺めているのだ。
443卒業のうた・26:2006/08/01(火) 14:49:23 ID:k06KX1EN
 「きゃー!!」
一際大きい黄色い歓声が上がったので、どんなジャニーズ系な先輩が出てきたのかと思っていると
その中心の人達は迎えた女の子たちに挨拶を交わした後こっちへやってくる。
面々の顔を見てハルヒはやっと少し笑顔になった。
 「卒業おめでとうございます。榎本さん、中西さん、岡島さん、財前さん」
言ったのは俺ではなく、口調に違和感があるがハルヒである。
いつもの調子なら「卒業おめでとー!!」なんて、少し早く桜前線がやって参りましたって笑顔で言いそうだが。
どうしたものかね。
 「ありがとう涼宮さん。
  昨日はライブの後とか会えなくて残念だったんだけど、楽しんでもらえた?」
 「うん、もちろん。すごく楽しかったわよ」
 「良かった〜。
  けど卒業式なんてなんだかなーって感じだよ、意外と涙も出ないし」
 「あれ〜?こんなこと言ってるけど、ミズキったらライブの後の打ち上げでビービー泣いてさ。
  この子泣いてる時だけは女の子らしくて可愛いんだよ」
 「ちょっと舞!それは秘密って約束でしょ!」
ハルヒは岡島さん財前さんと談笑している。
そんあ光景を眺めていると、残りの二人が俺の方へやってきた。
 「涼宮さん、なんだかいつもより元気が無い気がする…何かあったの?」
 「貴子も思った?私もちょっと、もしかして昨日のライブがつまらなかったとか?」
 「いや、そういうことでは無いはずです。
  何であんな風なのかは俺もよくわからないですけど」
この言葉は心配してくれている中西さんと榎本さんへの気休めなどではなく、本当のことである。
ハルヒは少なくとも昨日別れるまでは間違いなくテンションMAX状態と言えた。
帰り道でそりゃあ楽しそうにライブの感想を語ったり、ライブの曲を唄ったりしていたのだ。
 「そうなの…それなら私たちの出る幕じゃ無さそうだね」
 「うんうん、こういう時こそ男をあげる時なんじゃないの〜?」
また含み笑いして見てくるよ、この先輩方は。
 「ですから、俺は別にそういうんじゃありませんから」
 「ふーん。まあいいわ」
榎本さんは時々ハルヒが見せるような目を細める顔をして笑った。
セリフまでその時のハルヒと酷似しているのはビックリだ。
それより、気付けば周りに結構な人が集まっている。
俺たちの前にいるのは、昨日のライブで更に有名人となったENOZであるから当り前かね。
444卒業のうた・27:2006/08/01(火) 14:50:09 ID:k06KX1EN
 「でさ、昨日最後に唄った曲覚えてる?GOOD DAYSって曲ね」
 「ええ、そりゃあもちろん」
俺たちへの感謝を込めて作ってくれたと言っていた、忘れるわけないですよ中西さん。
 「あの曲、実は涼宮さんをイメージした曲なんだ」
 「曲は貴子、詞は私って別々に作ったんだけど、合わせたらピッタリでびっくりだったよ」
 「ね〜。私はとにかく明るく前向きな感じの曲に、って思って作って」
 「涼宮さんって夢とか目標に一直線!♀エじじゃない?
  私はそんな感じのイメージで書いた。
  その二つが合わさったからあんな元気な歌になったんだよね」
そう語っている二人は本当に楽しそうであり、アーティストなんだなと感じた。
 「それとね」
榎本さんがこちらを見てくる。
 「そんな一直線な女の子にはね、隣か少し後ろくらいで見守っててくれる男の子が必要だと思うんだ。
  ブレーキをかけてくれたり励ましてくれたり、時には守ってくれたり…そんな男の子。
  あの歌の歌詞にはそういうことも取り入れてみたの」
そう言って、お姉さんの微笑みを見せた。
中西さんも俺を見て微笑んでいる、こんな笑い方されるならまだニヤニヤされた方が良いんですけど。
俺がなにか言い返そうと考えていると
 「貴子〜ミユ〜、そろそろ行かなきゃー!」
ハルヒと話していた岡島さんがそう叫び
返答の言葉が浮かぶ前に二人は岡島さんと財前さんの元に走って行ってしまった。
なんだか、言い逃げされてしまったという感じだ。
二人は走りながらこの前みたいなガッツポーズを見せていたよ。
集まった四人は俺達に手を振った後そのまま教室へと向かっていく。
周りにいた人々もENOZの四人を追っていったり、他の先輩に標的を変えたりして去っていった。
残ったのは俺とハルヒの二人だけ。
 「ねえ、あんた。あの二人となに話してたの?」
ハルヒは、家から別の女が出てきたのを見て恋人に問い詰める女のような目で見てくる。
もちろん俺にそんなやましい覚えはないのでそんな風に見ないでもらいたい。
 「いや、別に。
 昨日のライブがどうだったかとか、ただの世間話だ」
 「本当でしょうね?面白い話を隠しているような気がするわ」
本当に話していた内容などお前に言えるものか。
445卒業のうた・28:2006/08/01(火) 14:51:31 ID:k06KX1EN
卒業式の帰り道。
三年生は最後のHRの他にも、写真を撮ったり寄せ書きを書いたりと忙しいようだ。
下り坂には早く帰ろうと足早に歩いていく一・二年の姿くらいしか見受けられない。
中西さん達と何を話していたかをあれ以上検索されなかったのは助かったんだが
俺の少し前で坂道を下っているハルヒはいまだに静かである。
ENOZのメンバーと話した後も朝から変わらない調子なわけで
始めて仲良くなった先輩との別れを惜しんで憂鬱なんだろう、その後には普段に戻るはずさ
と思っていた俺は困惑したね。
そんなことを考えてると、ハルヒは急に坂の途中で止まった。
 「ねえキョン。あんた中学の時、小学校の時でもいいわ。
  とにかく卒業式のときどういうこと思った?」
振り向いてこんなことを聞いてくる。
いきなりそんな昔の話とは、どうだっただろうか…
 「小学校の時は本当に何も思わなかった気がするよ。強いて言うなら、もう中学生かーという感じか。
  仲の良い奴らはみんな同じ中学に行くわけだったからな。
  中学の時は…そういう奴等とほとんど別れるってんで寂しかった気がする。
  春休みは目一杯騒いどくか、とか思ってたんじゃないかね」
ハルヒがどういう答えを期待しているのかはわからんが、とりあえず思ったまま口にした。
俺がなにか捻ったことを言ってもあんまり意味もないんだろうよ。
ハルヒはまた顔を坂の下に向け、話し出す。
446卒業のうた・29:2006/08/01(火) 14:52:09 ID:k06KX1EN
 「あたしはね、とりあえず小学校の卒業式の時は『やっと中学生になれる!』って思ってたの。
  その頃には小学校はつまらないことだらけって思ってたから名残なんて無いし。
  早く卒業して中学では色々やってやろうってね。
  中学の卒業式もそんな感じ、寂しいとか悲しいなんて全然思わなかった。
  わざとらしく泣いてる女子とかがすごく馬鹿らしく見えたわ」
なんとなく想像出来る、泣いている女子に冷たい視線でも送ってたんだろう。
三年前の七夕の時や高校に入ったばかりの頃のこいつはそりゃあツンツンしてたからな。
 「けどね、高校の卒業式が近づいてきてふと思うようになったのよ。
  今の気持ちで卒業式っていうのを迎えるとしたらどうなるんだろうって。
  あたしは今、すごく楽しいの。小学校の後の方とか、中学の頃とは全然比べ物にならないほど。
  SOS団の活動はもちろんだけど普通に学校通うのだって楽しい。
  昨日のライブも本当に楽しかったわ、これも中学時代行ったどのライブよりも楽しくて。
  さすがに体育館の許可出てから昨日までは卒業式のことも忘れちゃってたわ」
小火騒ぎの前にハルヒが見せていた神妙な表情はそういう理由か。
ライブのごたごたで一旦はどこかに行ってたのが、今朝戻ってきたのかな。
 「時々不安になるの、急に今の生活が終わっちゃったらどうしようって。
  そうじゃなくたっていつか高校生活は終わるし。
  それに、みくるちゃんや鶴屋さんはあと一年で卒業でしょ?
  楽しんで過ごしてたら一年なんてあっという間の気がする。
  みくるちゃん達と別れる時どうなるかとか、今は想像もつかないわ。
  だからクラス代表になったのよ、今の気持ちで卒業式を経験してみたら何かわかるんじゃないかって」
なるほどな、通りで今日は朝から深刻な顔してたってわけだ。
それに何に対してもマジなこいつのことだ。
卒業式の光景を何一つ見落とすことなく経験してみようとでも思ってたんだろうな。
ハルヒは前を向いているので表情は見えないが、その背中はやたら小さく見える。
 「それで、何かわかったのか?」
いつもより女の子らしいその後ろ姿に問い掛ける。
少し考えているのか、間があった後
 「…結局、何もわからなかったわ。
  とりあえず卒業式自体は何の変哲もないつまらない式だったわね。
  花道で卒業生見送ってみても何にも思わなかった。
  ENOZのみんなとは結局普通に話しただけで、お別れも何も言ってなかったしさ」
そういえば中西さん達は別れ際に卒業と思わせることをちっとも言ってなかったっけ。
ハルヒはわからんが、俺の場合あの人達とは今日で会うのが最後になっても何もおかしくはない。
ここ数日少し話した程度ではあるが、三年生で唯一お知り合いになったのにな。
 「それが年中一緒にいる相手だったらどうなるのか、って思うのよ。
  小学校や中学校じゃ卒業する時にそんな友達がいたわけじゃないし。
  今まで経験が無いからわからない、けど必ず近いうちにそれは訪れるわ。
  だから不安にもなるのよ」
必ず近いうちにそれは訪れる、か。
447卒業のうた・30:2006/08/01(火) 14:52:56 ID:k06KX1EN
 「あんたはさ、なにかわかるの?」
そう言ってハルヒは振り向いた、その表情は予想通りと言った感じだろうか。
ただし俺の言葉を待っているその目から強い視線が向けられている。
こりゃあ下手なことは言えないね。
 「いいや、俺にもわからんよ」
中学の奴等と別れるとき寂しくはあったが、別に落胆したりする程ではなかった。
春休み遊んだりしながら、高校の入学式の後こいつと出会う頃にはほとんど寂しさは消えさってたね。
中学時代それなりに仲の良い奴等がいたって、SOS団で一年間苦楽を共にした面々とは思い入れが違う。
だから、俺だってSOS団の面々と別れることなんて想像もつかない。
しかしハルヒの言う通り必ず別れはくるんだろう。
それにだ、俺はハルヒが知らないあの三人の一面を知っている。
長門はいつ親玉の元に帰ってしまうか実際わからない、古泉だって同様だ。
朝比奈さんも一年後の卒業前に元いた未来に帰ってしまう可能性だって多いにある。
実際俺たちは、少し先のことすらわかりやしない。
 「何もわからないさ。
  一年後の卒業式で朝比奈さんを見送るとき、朝比奈さんや俺たちはどんな顔をしているか。
  お前や俺や、長門に古泉が、卒業するときどんな顔をしているか」
何もわからない。
だが
 「とりあえず、今を楽しめばいいんじゃないか?
  いや、疲れたり面倒だったり落ち込んだり、楽しいことばかりじゃないかもしれないが」
それにわからないなりに確かなこともあるはず。
確かなこと、今って時間を俺たちは生きてるんだから
 「お前の好きなように、お前が正しいって思うことをしてれば、きっと大丈夫さ。
  卒業式に悔いを残さないように今のうちから好きなだけ暴れればいい。
  尻拭いは俺や古泉に押し付けてな、その方がお前らしいよ」
448卒業のうた・31:2006/08/01(火) 14:54:33 ID:k06KX1EN
ハルヒの顔を見ると、珍しくポカーンという風な顔をしていた。
その顔を見て知らない間に自分が結構クサいことを言っていたことに気付いたよ。
ああ、ここ数分の俺のセリフを消去することは出来ないものかね。
どうすることもなく坂の途中で固まってしまう俺。
と、ポカーン顔をしていたハルヒは寄ってきて、何をするかと思いきや
思いっきり俺の両頬をつねった。
痛い痛い、すごく痛い。少し前にも同じことがあった、文句を言おうとしたところ
 「こら、バカキョン!
  あんたにそんなセリフ似会わないわよ、わたしまで恥ずかしくなるじゃない!」
そう言うハルヒの表情を見て、まあクサいセリフも捨てたもんじゃないなと思った。
良い笑顔だよ。
やっとまともな笑顔を見せたハルヒだったが、すぐに前を向いて歩き出した。
まあ、ほっとしながら俺も歩き始めたところ

 「キョン」

 「なんだ?」


 「ありがと」



その後、少し立ち止まっていたハルヒは
 「たまにはあんたの言うことも役に立つわ。
  やっぱりウジウジ考えてるより、何かやってみることから始めなきゃね。
  そういえばライブの影響でここ一週間くらいはろくにSOS団の活動してないじゃない。
  三月になったらイベントは目白押しだし休む暇無さそうね。
  今日もまだ時間あるし、これからみんなを呼んで不思議探し行くわよ!」
と振り向いて笑顔で宣言したと思えば、再び前を向いて下りの坂道を走り出した。
どうやら本当に元気を取り戻したみたいだな。
「やれやれ…」と口癖を思わず言ってしまいそうになるが
今回はハルヒ相手にその言葉を一回も使うことなく済みそうだ。
こいつは何だかんだ言って、笑いながら突っ走ってるのが一番様になる。
 「なにやってんのー!
  早く付いてきなさい、キョンー!」
そして今の俺には、いつも危なっかしいこいつを見守ってるのが性に合っているようだ。
榎本さんの言葉とENOZの歌が思い浮かんだ気もしたが、気のせいだろう。
坂の下で急かすハルヒを、小走りで追いかけることにした。

時にやけにデカく見えたり、時にやけに小さくも見えるその背中を見つめながら。

449名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 14:58:50 ID:k06KX1EN
以上です、長時間占拠しちゃってすいません。
卒業モノを書きたかったところ、数スレ前のENOZSSを見て影響を受けENOZ×卒業に。
作中曲はZONEの曲でそれっぽいのを使わせてもらいました。
やたら長いですが読んで貰えれば幸いです。
450名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 15:19:55 ID:cw7vOvRv
相変わらず、ENOZものはレベルが高いな…。
451名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 15:20:01 ID:mm0PSADc
もう生徒会の親玉は出てきてるからなぁ、違和感あった
でもいい出来だと思うよ。GJ
452名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 15:20:17 ID:FMA5zlgZ
うん、個人的な感想だとそうだなGJ

卒業か、何年も前のことだが…こんな風におくりたかったなぁと思わされた作品
453名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 15:28:17 ID:CdQoJDKw
えがったよー!!一気に読んじまった。じーんと来た。
とにかくGJ!
454名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 15:50:06 ID:4XeeEboT
>>449
スマソ揚げ足を取るみたいだが確か岡島さんと財前さんは2年じゃなかったか?
それ以外は普通に良かったよ。長さも全然気にならなかったし。
455名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 16:10:55 ID:AqhlZ6Gr
456名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 16:17:02 ID:SmzcKK34
.ru/だの.pl/だのどう考えても怪しいんだが?
457名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 16:19:17 ID:Pr9nulrA
>>455
404ばかりじゃないか
458名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 16:19:31 ID:I5GL27iD
>>456
YUKI.N>大丈夫 私が削除済み
459名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 18:20:02 ID:wBTrz4Nu
>449
読ませるねぇー、これは凄いや。

体育館の使用許可を巡る経緯は、順当に時系列順で書いてもよかった
気もするけど、長くなるか…。「美味しく」引っ張れるネタだけどね。
時制が前後するのは、ちょっと戸惑ったかな。
460『デート・タイム―長門有希の場合』:2006/08/01(火) 19:07:53 ID:Cx5DtCSD
長門と俺は駅前で待ち合わせをした。今日はSOS団の活動は休み、ハルヒは遊園地にいるし、朝比奈さんは映画を見にいくはずだ。
既に待機していた制服姿の長門に声をかける。待ったか?
「…今来た。」
俺は長門の手を握り、市立図書館に歩き出す。しかし、図書館でデートとは…まあ、長門らしいがな。

休日の図書館は、まばらではあるが結構人がいる。おいおい、バレないか、これ?
「…大丈夫。」
そうかい。俺がポケットの中のスイッチを入れると、長門の股間でバ×ブが暴れだす。
「んくっ…」
長門が頬を染めながら、夢遊病患者のようにフラフラと歩き出した。ただし、内股のヒヨコ歩きだ。
スイッチを入れたり切ったり、長門の反応を楽しみながら、俺は長門について行った。

長門は哲学のコーナーで立ち止まった。既に息が切れ、顔が赤い。ハイデガーの分厚い本に手を伸ばすが、棚の上の方にあるので背が足らないで苦心しているようだ。足が内股なので背伸びもままならない。俺は、ひょいとその本を取ってやった。
「ありがとう…。」
長門はうるんだ瞳で俺を見つめる。白い肌が上気しているのが可愛い。頭はクシャクシャ撫でてやると、長門は軽くあえぎを漏らした。あ、スイッチ入れたままだ。
「…屈んで」
言われたように屈むと、長門が唇を求める。荒い長門の息遣いが興奮させる。
「んっ…くくっ…はぁっ」
長門は俺の首に手をまわして、濃厚なキスを続ける。バ×ブの振動に感じて、尻がピクピク動いている。太股に濡れてるのは、汗じゃないだろうな。
長門の足がガクガクしているのを見ながら、俺は長門を抱き締め続けた。
「…うぅ。」
どうした、スイッチを切るか?
「いじわる」
長門が涙目で睨む。
どうして欲しいんだ?
「あなたに…触ってほしい。」
お望み通りに長門のそこに触れる。バ×ブのせいで既に大洪水だ。スイッチを切り、バ×ブを抜いて、触ってみると―
「んくぁっ!!」
長門は達してしまったようだった。力の抜けた長門を、俺は優しく抱き締めていた。


長門の本を借りて市立図書館を出ると、長門が俺の袖を摘んだ。
「…あなたの部屋に行きたい。」
やれやれ、分かってたさ。おまえがそう言うだろう事はな。
「二人乗りして行くか?」
長門はコクンと頷いた。
軽い長門を後ろに乗せて、俺は自転車を発進させた。


おしまい
(『デート・タイム―朝比奈みくるの場合』に続く)
461名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 19:35:13 ID:jG0LuaKk
相変わらずエロいwwwww
462名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 20:01:00 ID:Dlii6UeK
キョンの部屋に行くのは危険じゃないか?ww
463名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 20:01:47 ID:ZH1rRJeT
長門でここまでエロくなるんなら朝比奈さんは一体どうなってしまうんだ!
464名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 20:16:22 ID:7TGh5eYP
妹さんが家にいたらどうするつもりなんだ!
465名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 20:23:25 ID:3OLFyA7H
>>464
おまいが何を期待しているのか、手に取るように分かる
466名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 20:27:44 ID:WkjpYQLt
>>464
ハルヒにお願いして、青いキャンディーでも出してもらえ
467名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 21:04:05 ID:bqTYxjHK
>>449
すごい。いいなこういう高校生活。
古泉の裏工作の立ち回り方やライブ中のファンの声援など
細かいところもしっかり書かれているな。
やっぱりこんな風に逆境を乗り越えて何かを成し遂げるって話は感動する。
468名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 21:12:29 ID:Rnb2gEvU

  ヽ、   _ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   `'ー '´
     ○
      O
       。
         , -‐ ´ ̄   ̄ ̄`ヽ、
.       /             丶
        / /     _             と
.       / / /.// " ̄ `ヾ、 ヽ     ',   思
     / / ,' 〃       ヽハ     l   う
     Vl  l _斗'´     `ヽ、l从│    l   な
       |  ! /リ        j N | 、   l   な
      ヽ小l ○     ○  イ l| }   |   し
.         lハl⊃       ⊂⊃| |ノ    |   さ
.         | 人   X       .| |    l |  ん
          j|  >'う  __, r<l ││ ││  で
       / | レ'  /:::_j_  / / ,/、│   l |  あ
.      / ,リ /   ∧f三ミ/  / //l j   | │ っ
.      ,' / l/  〃!l|`¨7 /ル/  V   | │ た
     l./ |{ヘ_ノト、|:l|M/// /    l_  | |
     |l  |`ー''7 ヾV'_/   ├― ┴!  | |
     |l  |  <_/ ム ヽ    ,|二二ニj. i| |
     ij │ /ヽ/|ヘ_>―--イ ∧  |  リ |
.       l/   //|_|     ∨ ヽ  l /l |
      /   /´       l   \j″j j
469名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 21:19:21 ID:Ba4VKUnk
>>449
GJ!ちょっとしんみりした。
思えば、卒業式なんざ、特に何の感慨も無く流しちゃったな…青春を損したかもしれん。

卒業式ネタが書かれる時、ハルヒはどんな風になってるんだろうな?

>>463
意外とエロくならないに一票。
470名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 21:42:49 ID:i0hUhOhf
ここで投下された最長のものってどんくらいの長さだった?
471名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 22:11:07 ID:+hsufwGa
俺は、とりあえず納得できる落ちの付いた、最短のSSが知りたかったり
472名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 22:12:35 ID:M6pHv5Yh
どうでもいいじゃない
473名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 22:14:45 ID:I3T27KBj
>>470
>>471
自力で探せよ
474名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 22:25:34 ID:WkjpYQLt
>>225のようなドタバタものを書いてみました。
旅行ものは保管庫にもいくつかありますが、
いってみます。
475名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 22:25:42 ID:0J6DriHW
そういや俺、120キロ程度投稿してまだ半分いってるかどうか……。
終わらせることができるのかどうか。
476SOS団春の温泉合宿:2006/08/01(火) 22:27:51 ID:WkjpYQLt
SOS団春の温泉合宿

 俺は困っている。この状況をどうやって克服すればいいのかと。         
 しかし、なぜこうなったのか、まったくもって理解できなかった。何を言っているの
か、わからないだろうが、俺自身も何を言っているのかよくわからないくらいだから、
安心していい。つまり、それだけ混乱しているということなのだ。
 今の俺の置かれた状況は、世の男なら、100人中95人は羨むことだろうが、俺には恐れ
多くも、何かをした覚えはないし、そんな雰囲気でもなかったはずだ。


 なぜ俺が煩悶し続けているかというと、俺の右隣にハルヒが寝ていて、左隣には長門と、
朝比奈さんが寝ている。その上、俺たち4人は同じ布団にいるのだ。


 凍える土の下でしばしの眠りについていた、あらゆる生き物の目覚めを誘うような春
の陽気が、俺たち北高生の心を優しく溶かしていた。そんな平日の午後、SOS団のメンバ
ーは、春休み前の短縮授業を終えて、SOS団アジトであるところの、文芸部部室でくつろ
いでいた。
 俺たちは、ハルヒの命令を忠実に守り通して今日もメイド服姿の朝比奈さんから、お茶
の給仕を有り難くも受けていた。
 俺と古泉は花札で対戦していた。長門はというと、一度聞いただけではにわかに理解
できないような、難解なタイトルが刻まれているハードカバーの本と対峙している。朝日
奈さんは、俺と古泉の対戦を見守りながら、かわいらしくお茶をすすっていた。
 ハルヒが部室に姿を見せないときには、いつもはこのように、のんびりまったりとした
時間が流れているのだ。
 だが、こういった至福のひとときを俺たちが過ごしていると、必ず邪魔をする人間がい
るのだ。迷惑も顧みずに…。
「ねえ、みんな聞いて!ビッグニュースよ!」
 地下の工事現場でも容易に聞こえるような大音声を伴い、ハルヒはドアを蹴破りかね
ない勢いで飛び込んできた。


 ずかずかと大股で歩いて、団長の席までたどり着き、あぐらをかいて座ると、朝日奈
さんが持ってきたお茶をものの5秒で飲み干した。
「我がSOS団はこの春休みに、恒例の合宿を行うことが決定したわ」
 またか…。
 俺たちは、夏、冬と限りなくあり得ない体験をしてきた。まあ、夏は古泉の仕込みだっ
たが、冬は本当に異空間に閉じこめられた。かろうじて脱出できたが、それは奇跡とい
ってよい出来事だった。  
 それをまた繰り返すつもりか。こいつは…。

「おい、ハルヒ。また古泉の仕込みで、探偵ごっこをやろうってのか?」
「いいえ。今回は合宿と言っても、ほとんどただの温泉旅行みたいなものよ。古泉君に
は頼んでないから、たぶん何も起こらないわ」
 ハルヒはただの温泉旅行だというが、これまで俺たちが合宿らしいことをやったこ
とがあったか?
 夏冬に実施した、探偵ごっこが合宿の趣旨にあってるんだとしたら、ここはいつから
探偵クラブになったんだ?教えてほしいもんだ。『犯人はヤス』とでもいえばいいのか?
「出発は春休みの初日だから、もうすぐよ。ちゃんと準備しときなさいよ」
 たかが1泊旅行に、1週間前から準備するやつがいるものか。


 春は雨の日が多いというが、合宿当日の天候はハルヒの性格のように、雲一つない
快晴であった。ひょっとして旅行の日に雨でも降らせれば、ハルヒにその存在を消され
かねないことを恐れた太陽の方が、遠慮したのかもしれない。
 芸もなく、恒例のように一番最後に待ち合わせ場所に到着したと思ったのだが、ニヤ
ケ面をした古泉は、まだ着いていないようだった。
 俺は、遠足当日の小学生のような満点の笑顔を見せるハルヒに、
「おいハルヒ。古泉のやつはどうしたんだ?」
「古泉君?昨日連絡があって、急用で今日行けないだって」
477SOS団春の温泉合宿:2006/08/01(火) 22:29:12 ID:WkjpYQLt
「でも当日に予約をキャンセルしたら、違約金をとられるんじゃないのか?」
「そうね、じゃあキョン。あんた一番最後だったから、あんたが払っといて」
 ご無体なことをおっしゃる団長だ。貧乏学生にそんな金があるものか。
「そんな金があるわけないだろ?もし払わなきゃならなくなっても、みんなで
出し合って、後で古泉に請求すればいいじゃないか」
「わかったわ。じゃあ何とか交渉して、払わないでも済むようにしましょう」
 最初からそうしてくれ。

 
 温泉地に向かう特急列車の出発時刻が昼過ぎだったため、俺たちは、車内で朝日奈さん
とハルヒが持ってきた手作り弁当に舌鼓を打っていた。2人が持ってきた弁当は極上の味
で、素直にほめたくないが、ハルヒの弁当も文句なしに旨い。もし料亭の仕出し弁当と、
2人の弁当のどちらかを選ぶとすれば、俺は迷わず後者を選ぶね。
 長門は、その体に似合わない健啖家ぶりを発揮し、後には空の弁当箱が残っているだ
けだった。
 俺たちは、食後の腹ごなしとして、トランプや花札などをして楽しく過ごした。
 こういう時のハルヒは、実に輝かしい笑顔を見せる。いや、別に見とれていたわけじゃ
ないぞ。本当に。


 駅に着くと、送迎用ののワンボックスカーを、宿が用意して駅のロータリーで待って
いてくれた。
 今日泊まる旅館は、日本有数の砂浜を有する温泉地に建っていた。ハルヒがどうい
うルートで探し出したのかはわからないが、なかなか風情のある日本建築の建物だ。
 ただ俺は、ハルヒがもっと派手派手しいホテルをチョイスするかと思っていただけに、
意外な気持ちだった。
 10分ほどのドライブの後、旅館に到着し、靴を下駄箱に入れると、俺たちは備え付けの
スリッパに履き替えて、フロントの前まで進んだ。
 ハルヒはチェックインを行い、キャンセルが一人出たことを伝えると、すぐに交渉を
開始した。
 相手もなかなか交渉上手で、結局、俺と古泉のために用意していた部屋を空けて、俺が
女性陣の部屋で泊まるという条件で、キャンセル料をチャラにしてもらった。
 だが、俺にとっては一石二鳥だ。ハルヒはともかくとして、朝比奈さんと同じ部屋に泊まれ
るとは、身に余る光栄だ。こんな幸福をもたらしてくれた古泉に、俺は初めて感謝したい
気持ちになった。帰ったら、コーヒーの一杯ぐらいおごってやろう。
 しかし、俺は顔に出していたつもりはなかったのだが、心を読まれたのか、ハルヒに
何考えてんの?という目つきで睨まれた。


 部屋に着くと荷を解き、あらためて部屋の様子を確認してみた。部屋は10畳からなる純和室で、
掃除は隅々まで行き届いており、調度品も高級というわけではないが、品がよく典雅な風合いだ。
 半畳ほどの床の間には山水画の掛け軸が掛けてあり、花も上品に花瓶に生けられていた。窓から
の眺望はすばらしく、砂浜と、海、そして水平線が見渡せる。俺は本当にここが気に入っていた。
「ねえ、キョン!掛け軸の裏の壁にお札が貼ってあったわ!ここって何か出るのかしら?」
 ハルヒという女は、風流を解す素養に欠けているのだと、このとき改めて思わざるを得なかった。
 まったく、いい雰囲気をぶちこわしにするやつである。お札ぐらいで、カブトムシを見つけた子
供のように、そんなにうれしそうな目を俺に向けるな。
478SOS団春の温泉合宿:2006/08/01(火) 22:30:28 ID:WkjpYQLt

「キョン君、ここって本当にいいところですねぇ。こういう建物が、伝統的なこの国の文化なんで
すかぁ。わたし、感動しましたぁ」
 見ろ、ハルヒ。未来人の朝日奈さんのほうが、お前よりよほど風流を解していらっしゃるぞ。ただ、
なんだか初めて日本に来た、外国人観光客のようなことをいってはいるが・・・。それでも爪の先ほど
でいいから、ちょっとは朝日奈さんを見習え。
 長門はというと、微動だにせず部屋の窓から景色を眺めていた。こいつもこういったすばらしい
景色には感動するものなのか…。それとも太陽光線を浴びて、光合成か太陽光発電をしているんじゃ
ないだろうな。などと、失礼極まりない俺の考えを見透かすかのように、こちらを一瞥した。
「長門、お前でもこの景色をきれいだと思うか?」
「現在の景観から得られる視覚情報は、私の処理能力を安定させる効果がある」
「つまりきれいだということだな?」
 おそらく俺にしかわからないと自惚れられる、3ミリほどの首肯をした
「そうか、俺もお前と一緒にこの景色が見られてうれしいよ」
「…………」
 何を言っているんだ?俺は…。これでは、まるで長門を口説いているみたいじゃないか。
「す、すまん。これは言葉の綾ってやつだ。だから気にしないでくれ」
「…………そう」


「こらぁ、キョン。あんた、なに有希に寄り添ってるの?団員を口説くなんて、公序良俗に反す
るんだからね!有希、みくるちゃんと一緒にお風呂へ行くわよ」
 と、俺の横にいた長門をかっさらっていった。
「キョン、あんたは部屋で留守番よ。間違っても露天風呂を覗こうだなんて思わないことね」
 するか、そんなこと。俺は盛りのついた中坊じゃないからな。
 ふん、どうだかと、捨て台詞を吐き、3人は連れだって風呂場に向かった。
 女性陣が風呂に入っている間、俺は何もすることがないので、テレビをつけて、自分たちの
地元ではやっていない、ロボット物アニメの再放送を見ていた。
 そういや去年のコンピ研との対戦で、俺は思わずこの敵役の台詞を口走っちまったっけ。
 30分でアニメが終わり、夕方のニュース番組が始まって20分ほどが過ぎ、やっと3人が
帰ってきた。
 3人とも上気したような顔つきで、浴衣姿に薄桃色に染まったうなじで、ほどよい色気を
3者3用に醸し出していた。特に朝日奈さんは、抱えて持ち去りたいほどに蠱惑的なお姿だ。
 
 女性陣の帰還と入れ替わりに、俺は1人で風呂に向かった。
 いい湯だった。旅に疲れた体を芯から温めてくれる、いい温泉だ。
 温泉での合宿などとは、ハルヒの提案にしては上々だ。及第点を出してやってもいい。
 それにしても、こんな湯につかっていれば、ハルヒと出会ってから蓄積された、1年分の疲れ
がわずかでも癒されるというものだ。いや、1年を振り返るまでもなく、ほんの3ヶ月ほどを思い
起こしてみても、あいつは常に前に出て俺たちを疲労困憊にさせ、そして精神に傷を負わせる
ことを座右の銘にしているんじゃないかと思えるほどだ…。 
 長風呂で火照った体と顔を、外の冷気で冷まして部屋に帰ると、すでに夕食の準備が整えられ
ていた。
 
 近海の珍味で彩られた、豪華な夕食を終えて、俺たちはテレビを見たり、ゲームをしたり、
はたまた、皆が持ち寄ったお菓子を食べたりと、満ち足りた時間を過ごしていた。ハルヒが
願わなければ、今回はやっかいなことは起きないだろうという安心感もあって、そんな気持
ちを後押ししていた。

 旅の疲れに乗じてやってきた、強力な睡魔に襲われ、長門以外の全員が、うつらうつらとし、
もはや瞼というのシャッターは、もはや閉店間際に追い込まれていた。そこで、今回の旅行は
1泊しかしないため、翌日の時間を有効的に使おうと、少し早いが床にはいることを提案し、
即了承された。
「キョン!いーい?あたしたちになにかしたら、許さないわよ。それから、あたしたちが寝た
あとで、エッチなビデオなんか見てちゃだめよ!」
 そんなことするか。俺だってもう寝たいんだ。早く寝させろ。

479SOS団春の温泉合宿:2006/08/01(火) 22:31:44 ID:WkjpYQLt

 うん…?寝ぼけながら手を横にやると、何か柔らかい感触があった。なんだ、これは?弾力
があって……。徐々に頭がハッキリしてきた。
 横を見て俺は絶句した・・・・・・!!!
 右隣には俺に密着するようにしてハルヒが寝ており、俺の右腕は、浴衣の隙間から入り込み、
彼女の胸に触れていた!!
 俺はあわてて手を引っ込め、辺りを見回してみると、なんと、左隣に長門、そのさらに隣に
朝日奈さんと、俺の布団に4人が入っていた!

 しばらく気が動転し、何も考えることができなかったが、我に返り、こっそり抜け出そうと
した。すると両隣の女ども──長門よ、おまえもか──が、しがみつくような格好になっていて、
身動きがとれない。──恥じらいもなくそんなにくっつくな。俺だって健全な男なんだ。
 ふとハルヒを見ると、まだぐっすりと眠っている。だが、浴衣をはだけさせ、胸の谷間が確認
できてしまい、あどけない寝顔を見るにつけ、俺は妙な気分になってしまった。俺の心臓はバク
バクと悲鳴を上げている。

 俺が取り返しのつかないことをしてしまいそうな気分になっていたとき、後ろ、つまり右隣から、
強い視線が突き刺さってきた。俺は油の切れたドアのように、ギギギと頭をそちらの方へ向ける。
 すると、長門が目を覚まして俺の目をジッと見据えていた。
 ひょっとして見てたのか?
「・・・・・・」
 コクッ
 血の気が引いた。
 いや、これはだなと、弁解しようとしていると、その騒動にハルヒが目を覚ましてしまった。
「うあ?」
 わげのわからない声をあげた後、ハルヒは、自分の置かれている状況に気づいてパニックになった。
「な、何でこんなことになってるの?こら、変態キョン。あんたあたしに何をしたの?しかも
なんで、あんたの布団にいるの?あたしを引っ張り込んだのね?この・・・、変態!痴漢!不埒者!
 変質者!根性なし!」
 ハルヒは、ありとあらゆる罵詈雑言を俺に浴びせていた。最後のはちょっと違うんじゃないか?
「何かしたんだったら、それなりの責任はとってもらうわよ」
 わけのわからんことを言うな。それに、俺がお前に何かするわけないだろ?──胸を触ったけど──
いいからお前はちょっと落ち着け。
 俺の手に負えなくなり、長門に助けを求めようとすると、彼女は窓際でいすに腰掛けていた。
 なんてすばやいんだ、この宇宙人は。
 俺とハルヒは、朝っぱらから、他人に見られれば痴話げんかにしか見えないような言い争いを
続けていた。
 すると、一番最後まで寝ていた朝日奈さんも、さすがにこの騒ぎに目を覚まして俺の布団にいる
ことに気づくと、
「ここどこですか、なんであたしキョン君の布団にいるんですか?あたしに何かしたんですか?」
 知りたいのは俺のほうです。もう勘弁してください。


 長門が俺の無実を証言してくれたため、ようやくハルヒは矛を収めた。朝日奈さんは未だにハテ
ナマークを3つくらいつけたような顔になっていたが、落ち着いてはいるようだった。
 騒動の火は、くすぶり続けていたが、俺たちは観光施設を行脚して、旅行最後の1日を楽しんだ。

 帰りの特急列車の中、向かいにいるハルヒと朝日奈さんは、顔を寄せ合って、すやすやと寝ていた。
 2人が聞いていないうちにと、俺は隣にいる長門に独り言をいうように尋ねてみた。
「なあ長門、結局何であんなことになったんだろうな?」
「午前3時5分、朝日奈みくるがトイレから帰ったとき、覚醒率30%だった」
 ひょっとして、寝ぼけていて、俺の布団に入ってしまったというのか?
 コクッ
 マジか?
 朝日奈さん、あまりにもお約束すぎますよ。今どき漫画だってそんなことしやしません。
 俺は、あなたが大人の朝日奈さんと同一人物だとは、とても信じられませんよ。
「涼宮ハルヒは、朝目覚めるまで、覚醒率は0%。ただし、1時間に10pあなたに向かって
移動していた」
 寝相が悪かったと言うことか?
 
480SOS団春の温泉合宿:2006/08/01(火) 22:33:07 ID:WkjpYQLt
「違う。涼宮ハルヒは、無意識に、あなたに近づきたいという願望がそうさせた」
 一瞬フリーズしたが、
「冗談はよしてくれ。俺はあんな人間魚雷みたいな女に近づかれても困るだけだぜ」
 と心にもないことを言った。いや、ないのかあるのかわからんが、考えるのはよそう。
 

 ん?最初に俺の布団に入ってきたのが朝比奈さんだと?なら、何故俺の左隣に長門が
いたんだ?
 一瞬、朝日奈さんを横に転がして、俺の隣に割り込む長門の姿を想像してしまったが、
即座にそれを打ち消した。


 なあ長門。なんで2人が俺の布団に入ってきたかの理由はわかった。
 …では、おまえはどうしてだ?

 その時、俺は歴史の証人になった。
 なんと長門は、おもむろに自分の人差し指を己の口元に添えて、

「…・・・・・・禁則事項」

 と言った。
 もちろん無表情だが、いたずらっぽく──俺にはそう見えた──そして…、

 おい長門。お前、ちょっと照れてるんじゃないか?


「……少し」



 終わり
 
481名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 22:37:02 ID:i0hUhOhf
>>473
それが億劫で訊いたのにw
482名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 22:40:17 ID:8jHcy7Ai
GJ…なんだが、ネタが被ったぁぁぁ…
483ジョン・スミス:2006/08/01(火) 22:43:21 ID:xH1AGIiG
「涼宮ハルヒ」シリーズのスレって
 結構歴史がありますね。
48418-731:2006/08/01(火) 22:57:34 ID:MkWk2WmD
涼宮ハルヒの冒険の続きを貼ります
48518-731:2006/08/01(火) 22:58:32 ID:MkWk2WmD
目が覚めた。なんて言うのももう何回目かはもう忘れたが目が覚めた。
さて俺達が閉鎖空間で何をやっていたかを完璧に思い出した。
俺はまた『あの世界』にきちまったから。
ゲームな世界でゲームっぽいことをやってゲームなら思わずリセットボタンを連打したくなるような事をやらかしたことも思い出した。
あの時の俺はどうかしてたなんて言い訳は出来そうにない。
でもあれは『ハルヒの夢』だから…
悲しくなるところ何だろうか?
苦しくなるところだろうか?
切なくなるところだろうか?
それとも喜ぶところだろうか?
気がついたら頬を涙が伝っていた。
そのとき気がついた。涼宮ハルヒが目の前にいることに。
「あれキョン?ここって夢で見たゲームの…」
ああそうだよ神人様御用足しの閉鎖空間だよ。
何でお前がここにいるんだ?そしてなぜ俺がここにいる?あんな展開はもう嫌だぞ?
…閉鎖空間でゲームな世界で色々やってた俺が嘘みたいだな。
俺はおかしくなってしまったんだろうか?混乱している俺をよそに
「キョン泣いてるの?」
俺の涙をそっと拭くハルヒ。
あぁ俺はおかしいんだな。どうかしてるに違いない。
「どうしたの?」
心配してくれているハルヒを強く抱き寄せた。
「ちょっとどうしたのキョン?」
おかしくなっちまったんだろうよ。
「は?ふざけてるなら怒…
おかしくなったついでに聞いてくれないか?
俺はハルヒを無視して続けた。
この気持ちが何かは分からない。俺はおかしくなっちまっているから笑いたきゃ笑えばいい。
でもこの気持ちに嘘はない。
俺はお前が好きなんだ。
「キョン…」
どうした?
「あのね…」
目眩がした。
ハルヒに出はなく物理的に。もうこれも二回目だな。今度は記憶を失いたくないものだ。
ハルヒ
「何?」
これは俺の夢だ。
「はぁ?」
でもお前にも知っておいて欲しい。だから、忘れないでくれ。
「うん。」
ねじれる世界の中で交わした約束だがねじ切れることもないだろう。
なんてね。
48618-731:2006/08/01(火) 22:59:36 ID:MkWk2WmD
目が覚めた。ちゃんと俺は布団の中でジャージを着ている。時計を見ると九時半だった。
結局何も分からずじまいで寝ちまったんだったな。
携帯がまたバイブ音を鳴らす。今度はハルヒだ。
もしもし。
「どうせ暇でしょ?市内パトロールするから今すぐファミレスに来なさい。」
電話が切れた。唐突すぎんだよお前は。
朝飯食ってないなぁ。腹減ったなぁ。
「遅い!罰金!」
結局飯も食べずにダッシュでファミレスへ向かったのだが当然の如く俺が最後な訳だ。
俺の奢りのファミレスで適当にハルヒの演説を聞き流して爪楊枝を引いて今日の組み合わせを決める。
俺が無印で朝比奈さん、古泉、が印つきを引いた。
「さぁ有希好きな方を取りなさい。」
長門が引いた爪楊枝には印が付いている。
十年ぶりに再会した親友と見る目で爪楊枝を見るハルヒ。
にやにやとこっちを見ている古泉。
少し大人っぽい…そう年の近い妹を見守るような目でハルヒを見つめる朝比奈さん。
無表情な長門。少しだが残念そうな顔をしている様な気がしなくもない。
「じゃあ四時にここに集合ね。」
それぞれの思いを乗せて市内パトロールが始まった。…らしい。
「ほらさっさと行くわよ。」
了解だ団長。
結局何だったんだ。こいつはまた何かをやらかしたんだろか。
いっそ全部話ちまいたいがそんなこと出来ない。出来やしない。
いつか全部話してやりたいがそれは今ではない。
「不思議って奴は楽しそうにしてるところにやってくるのよ。」
それから俺達は普通に遊び回った。そう『普通』に…。
もどかしさがつきまとうが今はこれでいいんだろ?
「いやあ相変わらずのチキンですねえ。」
「問題ない。むしろ好都合。」
「そうですこれで良いんです。」
「しかし男としてはどうですか。」
「消極的。でもそれが良い。」
「可愛いですキョン君。」
「時々羨ましくなりますよ。ええ時々ですが…ね。」
三時半頃だろうかハルヒが急にこっちを向いてきた。
何とも言えない、しいて言うなら女の子らしい顔をしている。
「キョン、あのね…。」
何だ?
とてつもない既視感に襲われる。何かあったか?
「ありがとね。」
話すわけにはいかないけどもう少し素直になっても良いのかもな。
まあ少しだけだけど。
ああでも感謝なんかするな。俺も楽しいから。
「ありがと。」
柔らかい笑みを浮かべるハルヒ。
それからはどうして良いか分からずずっと下を向いていた。
そんなこんなでもう四時近いそろそろ走らないと間に合わない。
走るぞ。
そう言ってハルヒの手を掴んで走りでした。
「うん。」
本当の事は言えやしないけど、でもいつか言うから。
「へ?何か言った。」
いや何も言ってないぞ。
それまでにはもう少しお前の近くに行くから。
良ければ待っててくれ。
「だから聞こえないって。」
ははっ気にするなただの妄言だ。
48718-731:2006/08/01(火) 23:03:49 ID:MkWk2WmD
一応終わりですが
ネタばらし編もあった方が良いのでしょうか
488『デート・タイム―朝比奈みくるの場合』:2006/08/01(火) 23:36:16 ID:Cx5DtCSD
「キョンくぅん、行きましょう」
可愛らしい私服に包まれた朝比奈さんが、甘い声で俺の手を引く。ふわふわした小動物の如く、俺の庇護欲をそそりなさるな、この方は。
「うふ、下はバ×ブでグショグショなの」
…この小動物は発情期みたいだ。刺激されたのは、性欲もだな。
「チケット、渡しておきますね。」
そう、今日のデートは映画館なのだ。

映画館は人でいっぱいだった。公開されたばかりだから、まあ当然か。俺はなんとか二つ並びの席を見つけて朝比奈さんを導くと、朝比奈さんが囁いた。
「スイッチ…入れて下さい」
ON。
ピクン、とすぐに朝比奈さんが反応する。長門より敏感な方だからな。顔がもう紅潮しだした。
「はぁっ…ふぅん…んん」
握った手に力が入る。と、朝比奈さんは腕を絡めてきた。熱い、体温が伝わってくる。映画が始まったが集中出来そうもないな。
ON、OFFを切り替えながら、朝比奈さんをよがらせる。
「はぁんっ…ずるいですぅ、キョンくんっ」
朝比奈さんは、片手を伸ばしてズボン越しに俺の息子を撫で始めた。暗いのが幸いだが、端から見れば完全な変態バカップルだ。
映画が面白くなってきて、スイッチをONにしたまま放置していると、朝比奈さんが真っ赤な顔で抗議した。
「んもぉ、…んぁ…映画なんて、みませましぇんっ…んんっ」
いやそれじゃ映画館デートの意味が―と言いかけたところで、朝比奈さんが息子をパクリとくわえこんだ。うおっ、ヤバい。強烈な快感が下半身を走り抜ける。
「キョンふうんらっへ、ひもちよく、ひてあげふんだからっ」
白魔法ですかそれ、息子は既にHP満タンですけど。
映画が濡れ場に入ったところで、朝比奈さんが息子を放す。危ねぇ…
って朝比奈さん。なんでパンツを脱ぐんです?
「い、今なら、声が出てもばれませんからっ」
なわけねーだろ!!
だが、朝比奈さんは早くも俺に跨り、妖しく腰をくねらす。
「ふみゅっ…いいっ、ああんっ」
うぐ、ヤバい、今度こそヤバい。
「いいの、きてっ…キョンくぅんっ!!」
朝比奈さんの叫びと共に、俺は放たれ、急に恥ずかしくなって、そそくさと二人で映画館をあとにした。


「キョンくん…お部屋に行ってもいいですかぁ?」
ええ。いいですよ、朝比奈さん。
「ホント?嬉しいですぅ」
微笑む朝比奈さんと腕を組んで歩きながら、そっと俺は呟いた。
「…既定事項ですから、ね」


おしまい
(『デート・タイム』へ続く。)
489名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 23:57:27 ID:RMRUPhmz
えと、無理して書く必要はないんですよー。書きたいように書いてくださいねー。
490名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 00:16:55 ID:XqrrdSiZ
書くペース早ぇなー。

みくるんまで部屋に呼んじゃ、それこそ危険でしょw
491名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 01:37:02 ID:Kz/mzhod
3分レスが無かったら長門は俺の嫁
492名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 01:38:32 ID:DCFC55eU
それうぜえから消えろ
493名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 01:38:43 ID:tJsyMFka
レスしたほうがいいよね?
49415-705長門スキー:2006/08/02(水) 01:39:31 ID:RLKApvuw
「阻止」

と長門は>>491を一家そろってホンジュラスに飛ばす申請をしている。

「いいのか?」
「構わない」
振り返ると長門は言った。
「私はあなた以外の妻になるつもりはない」

-----------------------------------
三分の時間制限があるのでとっとと終わる
495名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 01:40:42 ID:xGdi8Gjq
冒険でしょでしょのPVを見たけど、
なんかクネクネしててびみょw
496名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 01:47:41 ID:rrGso/su
>>494
なんで荒らしに反応すんの?
何分レスがなかったらどうとかいうのが楽しいの?自演?
497名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 01:54:42 ID:DCFC55eU
>>496
作品投下でもないのにコテ付けて雑談する奴なんてタカが知れてるだろ。
498名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 01:56:40 ID:GquuC/gv
>496-497
無粋だが、言ってる事は6割くらい尤もだ。
499名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 02:20:28 ID:2pURN5YQ
ちょっち投下してみるお
500名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 02:23:31 ID:2pURN5YQ
ただいま授業中である。
ペンがノートの上を走る音が耳に入り、張り詰めた空気が学生の本分を再認識させる。
……というより、今回のはちょっち違う。
なぜなら、ある一人の女生徒のせいで、一触即発の緊張状態の中にあるからだ。その女生徒とは言う
までも無く、俺の後ろに陣取っている魔王のことである。
全員が、教師を含めハルヒの顔色を伺っているというこの異常な状態が、ここしばらく続いている。
なぜ、このようなことになったのか。それは前日のことである……


珍しくハルヒは、始業の鐘ギリギリに飛び込んできた。
「どうした、いつもは俺より早いのに?」
「部室に寄ってたのよ」
「何で?」
「へへっ……ちょっとね……」

ハルヒはそう言うと、満足げな顔で白い歯を出し笑っていた。上機嫌なのか珍しくこんな可愛らしい
表情を見せるが、その時のハルヒを見て少し、いやかなりドキッとした。
目を見開いて固まる俺に向かってハルヒは「どうかしたの?」と尋ねるが、今度はこっちが顔を引き
つり誤魔化した。
「あんた、相変わらず変ね」
お前に言われる筋合いは無いが、それを言ったらどんな目にあうか大体わかるので、言わないでおこう。

1時間目が終わったが、ハルヒは珍しく休み時間に校舎を熊のように徘徊することもせず、俺と話を
することに没頭した。話をするのは一向に構わないが、俺はハルヒの顔を真正面から見ることが出来
ない。ハルヒの方もそれに気づいたのか、いつもの様に顔を正面に近づける。
「あんた、こっち向いて話なさいよ。なによ、さっきから明後日の方向向いたまま話をして」
おい、そんなに顔を近づけるな。10センチも無いぞ。知らない人が見たら、キスする寸前のカップル
に見える。いや、見えてもいいのだが、ここが教室だということを認識して欲しい。
大きな声を出すハルヒに気づいたクラスの皆もこっちを見ているし、谷口なんか顔が変だぞ。まあ、
あいつは何時も変だが。
それよりも、自分の顔が火照っているのが良く分かる。たぶん顔が真っ赤だろうな、こいつ可愛いし。
ハルヒもそんな俺の顔を見て、自分も少し意識しているのが分かると、乗り出した上体をゆっくりと
戻し椅子に腰掛けた。
(なによキョン、赤くなっちゃって。こっちまで恥ずかしいじゃない)
ハルヒ自身も赤くなり、席から立ち上がると逃げるように教室の外に出た。
逃げ行くハルヒを見、たまにはあんな顔を見るのも良いが、やはりここははっきりと言っておいたほうが
良いと思い、次の休み時間にハルヒを廊下に連れ出すことにした。
501名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 02:25:57 ID:2pURN5YQ
 ― 次の休み時間 ―

「なに、話って。重要なこと?」
「いや、重要といえば重要だし、そうじゃないといえばあれだし……とにかくここじゃあなんだから、
廊下で……なっ」
「ここで言いなさいよ、別にこそこそすることじゃないんでしょ?」
ハルヒはわけも分からぬまま連れ出されるのが嫌なのか、かたくなに俺の要求を退けた。
「いや、お前にとっては重要なことだから」
俺は相変わらず視線を外し、困ったような素振りでハルヒに向かって話すと、何を思ったのか見る見る
ハルヒの顔が赤くなる。
(さっきから変だけど、ひょっとして、こっ……告白……バカ、こんなところで……)
さっきの騒動の続きと思ったのか、この時点でクラスのほとんどが俺たちのことを見ており、俺達2人
も当然それに気づいた。
「まあ、お前が嫌だというなら無理にとは……」
「分かったわよ、言いなさいよ。別に廊下じゃなくても、ここで良いわよ」
既にトマトの様に真っ赤な顔のハルヒは、腕組みをしてドンと来い的な感じで座っている。
「えっ、良いのか?」
「いまさら良いわよ……(みんな見てるし、廊下で告られるのも教室で告られるのも、どっちにしても
バレバレだし……)」
既にクラスの連中が一言も話をせず、全員が俺の次なる発言を待っていた。ハルヒは渇いた喉につばを
流し込み、少々怒ったような困ったようなどちらとも判らない様な顔をし、俺のことを真っすぐ見つめ
ている。
「分かった。なあハルヒ……」
「なに……キョン……」


「歯に青のりついているぞ」


殴られたよ、グーで。さらに、やくざキックのオマケ付きだ。パンツが見えるぞ、ハルヒ。
とどめは窓から落とされそうになり、さすがにやばいと思ったのか、クラスの男子がハルヒを止めた。
502名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 02:27:09 ID:2pURN5YQ
放課後ハルヒは部活をサボったが、俺は何時ものように部室に行くと、そこには朝比奈さんと長門が
鎮座していた。
そして開口一番。
「キョン君、酷いです。あんな恥ずかしいこと、幾らあの涼宮さんでもかわいそうです」
自分は何気に酷いことを言っているのを気づいていないのか。しかし、朝比奈さん曰く、どうやら話は
放課後までに全校生徒が知ることとなったらしい。あいつ有名人だからな。
長門に至っては、
「……たわけ……」
それは、氷の矢が胸にぶっ刺さったかのような衝撃だった。お前の一言は効くんだよ。
さらに古泉は急用(バイト)といって、授業を早退したとのこと。後日、フラフラになった古泉に散々
嫌味を言われたよ……

ところで、なぜハルヒが歯に青のりをつけていたのか、理由はこうである。
朝、コンビニで買い物をしたとき、そこで目に入った焼きそばがおいしそうで、つい買ったとのこと。
さらにお昼まで待てなく、朝から部室で食べてしまったと……
相変わらず食い意地の張ったやつだ。青のりはその時についたらしい。俺の弁当を勝手に食ったバチが
当たったのだろうな。

えっ、俺が悪いって? いや、俺は悪くないだろ。
俺はハルヒを廊下に連れ出し、こっそり話をするつもりだったのに、あいつがここでいいって言った
から話をしたまでだ。
勘違いをしたのも、青のりをつけていたのもあいつだし。
だが、そんな言い訳をすれば3倍返しがほぼ確定しているので、俺は小動物のように怯えながら授業を
受けている。
大分怒りが収まったとはいえ不機嫌オーラが教室中に漂い、ピリピリとした空気がまるで今にでも核の
ボタンを押す1秒前のように感じられるのは気のせいか。
いい加減にしてくれよ、ハルヒ。
もう一度言うぞ。

俺は悪く無い……よね?

     終
503名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 02:29:58 ID:2pURN5YQ
ほんとはもうチョイ肉付けしたかったんだけど、まあこんなもんで。
あげて後悔……
504名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 02:30:11 ID:Mx8gSSYm
>494は即興SSとしたらアリだと思うけどな
505名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 04:43:49 ID:0CXf49Kv
最近VIPのSSクオリティが上がって来てるな
506名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 05:08:48 ID:ZOUXXfrp
向こうのは設定が原作から剥離しすぎてるやつが多くてダメだ。
507名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 06:25:23 ID:aeHsd40Q
住人も痛いのが多いな
508名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 07:07:18 ID:s9fcoGFk
「設定が原作を無視している」って批判は
100%自分がその設定を気にいらなかったから言うセリフ
基本的にアホしか言わないセリフだ
気をつけたほうがいい

原作無視なんかどのSSも似たり寄ったりだ
そのSSを好きか嫌いかだけだ
509名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 07:10:28 ID:fLoAwCmN
おまいらドラマ化決定らしいぞ
510名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 07:20:39 ID:yPaNx179
>>509
15498
511名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 07:54:59 ID:ZOUXXfrp
>>508
じゃあ嫌い
そもそもなんでここでVIPの話すんの?
512名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 08:05:54 ID:da9LRlTt
剥離してどうするんだよ、乖離だろ
513名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 08:07:21 ID:LdTx39V5
網膜剥離してるんだろ
514名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 08:18:36 ID:PBRtGD41
VIPは小説としての体裁が整ってないからいやだ
SSでも普通に読めるぐらいは書き込んでほしい
515名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 08:43:56 ID:RVn5EteX
>>508
独自設定と称して、やりたい放題なSS書く奴が多いんだよ。
設定が離れすぎれば、SSである意味がなくなる。

まあそれでも上手くやる人もいるにはいるが…。
516名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 09:29:43 ID:qt78QvPL
>>506
>>512

微妙に受けた。どっかで使おう。
517名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 09:35:11 ID:hNaVle3/
VIPは笑いの瞬発力だけはあると思う。
ここは良SSが結構有るけど言い換えれば谷川の短編ネタつぶし。

だがそれがいい。
518名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 09:45:51 ID:1xt4bdZg
>500
> いや、見えてもいいのだが、
キョンも成長したなw
519名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 10:05:00 ID:Jtx6jjp+
>>500
機嫌が直って次に笑ったときにはペペロンチーノのバジリコでも付いてそうだな
520名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 10:53:59 ID:YEjDHRci
>500
再読すると、ハルヒの勝手な独走っぷりが解る。
頬笑まし―。ってか自意識過剰だよなw
521名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 11:21:07 ID:2IN8S5G/
書き手側の方はノーコメントにしとくが住人、というか読み手側の質は
VIPのが格段にいいと思うぞ。この板の人間を素直に全員21歳以上と考えればなおさら。
522名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 11:59:08 ID:+X9fo5W/
つうかVIPなんて人によっては寄り付きたくもないって言う場所だし
ここだってある意味では同じだろ?
お互いにどっちがどうとか言ってもあんまり意味ないと思うが
523名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 12:03:44 ID:xGdi8Gjq
こんなピリピリした空気だと閉鎖空間が発生しますよ
524名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 12:13:06 ID:9s640q4e
sage進行の良スレに呼んでもないのに乗り込んでくるvipper久しぶりに見た
板の内容じゃなくてこの行為のせいで全板的にvip嫌われてるんだよな
例: vipは〜、もっと〜、vipなら〜、おまえらは〜
525名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 12:14:14 ID:4Urn7TVX
ごめん日本語でおk
526名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 12:14:18 ID:S3jEa7UR
>>523
なるほど、だからbbspinkが閉鎖の危機なのか。
まったくやれやれだな。
527名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 12:32:53 ID:tnfnr4ts
>>503
オチは何となく読めていたけど、
それでも簡潔で丁寧な書き方が上手だったので面白かったですよ。
また何か書けたら投下してさいね。
528名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 12:40:59 ID:bJhgsL57
VIPはどうか知らんがここは基本的に雰囲気悪いな
529名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 12:47:54 ID:cUxQiDbh
ここは平均点がやたら高いしまず文章がしっかりしてないと評価されない感じがある。
530名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 12:49:36 ID:oKNyn5Mu
それだけレベルの高い作品が求められてるんだろ。
VIPは何書いても持ち上げられるから逆にやりがいがない。
531名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 12:50:18 ID:4Urn7TVX
VIP→気軽に投稿できる
   
532名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 12:52:03 ID:4Urn7TVX
途中で投稿してもうたorz

VIP→気軽に投稿できる
    初心者はVIPの方が投稿しやすいのでは

ここ→基本的にレベルが高い
    批評もしっかりもらえるから慣れてきたらこっちかな
533名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 12:52:56 ID:cUxQiDbh
VIPとここの中間くらいのがあれば丁度いいんだけどなぁ…w
俺にはここはレベル高すぎて読み専。
534名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 12:56:40 ID:tnfnr4ts
>>533
アニキャラ個別板はどうかな?

【涼宮ハルヒの憂鬱】涼宮ハルヒを語れ その12
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1153938493/
535名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 12:57:27 ID:9nm7greU
けっこう、初とかでボロクソ言われたりするな。
俺もその口だったが…orz
536名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 12:59:57 ID:cUxQiDbh
>>534
いいかもwあんがと
537名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 13:30:38 ID:b7ZJ38QF
「過去に嫌な事があってそれをまた繰り返すなんてやめよう」
誰かが言ってた。ボロクソ言うのは大抵書き手側で、連鎖地獄と化しているのがこのスレ。
538名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 13:31:14 ID:9nm7greU
460、488の続きを投下。
『デート・タイム』の完結編です。
539『デート・タイム』1:2006/08/02(水) 13:33:10 ID:9nm7greU
俺は頭を抱えていた。ちくしょう、なんだって、こんなことになっちまったんだ?
一つだけ分かるのは、世界が完全に崩壊の危機を迎えていることだ。
ハルヒ、長門、朝比奈さん。
俺の膝は恐怖でガクガクと震えていた。


『デート・タイム』


ことの始まりは、今日の昼休みのことだ。
「キョンくぅん。」
谷口とのバカ話にも飽きて、たまには静かに弁当を食べようと、俺が部室に向かっていると、北高一、二を争うほどに愛らしい上級生が俺に声をかけてきた。何でしょう、朝比奈さん?
「明日はお休みでしょう。一緒に映画を見に行きませんかぁ?実は、チケット、もう買っちゃいましたぁ、えへ。」
朝比奈さんにしては少々強引な気もするが、ほかならぬ朝比奈さんの申し出である。断るはずもない。
「もちろん行きますよ。」
「うふふ、楽しみにしてまぁす。それじゃあ、明日の午後三時に駅前ですから。」
わかりました、じゃあ、と言って別れかける俺を、朝比奈さんが引き止める。そして、微かに恥らいながら、小声で俺の耳に囁いた。
「…リモコン、忘れないで下さいね。」
痴女っぷりが板についてきたな。最近は天使というより堕天使に近いものを感じる。にこやかに手を振りながら去っていく朝比奈さんを見送りながら、俺はそんなことを考えていた。
540『デート・タイム』2:2006/08/02(水) 13:33:54 ID:9nm7greU


部室に入ると、いつものように長門が本を読んでいた。俺はハルヒの団長席に腰を下ろすと、弁当の包みを広げた。
と、長門が本を置いて俺の前に立っている。
「どうした、長門?」
「明日、私と一緒に図書館に行って欲しい。」
「あー、すまん、長門。明日はちょっと都合が悪いんだ、その……」
俺の言葉に、長門は一ミリほど眉を寄せ、右手を空中にかざしてくるりと回すような仕草をした。
うぉいっ、長門、それは――
一瞬の後、俺の前にいる長門は眼鏡を装着した、内気な文芸部員の少女になっていた。
げっ、長門のやつ、いきなり世界改変しやがったのか。
しばし、眼鏡つきの長門と俺は呆然と見つめ合う。こちらの長門には何が起きたか、さっぱり分からんのだろうな……いや、俺にもだが……。
俺はおもむろにパソコンのスイッチを入れる。今回も緊急脱出プログラムだ、それしかない。
すると、文学少女はにわかに慌てた。
「だめ……見ないで」
無口な文芸少女が必死で隠そうとするデスクトップには、いくつかの文書ファイルが置かれていた。

『ある無口な少女の初恋』
『ある無口な少女の告白』
『図書館の情事――ある無口な少女の物語――』

そして、一番下に――あった。緊急脱出プログラム。アイコンは、眼鏡なし長門の顔になっている。妙なところで芸が細かいな。
自分の書いた小説を見られると思ったか、真っ赤になった文芸少女が、なんとか俺の手からマウスを奪い取ろうとする。
「いや、長門、おまえの『ある無口な少女シリーズ』を読もうとしている訳じゃないんだ。
この『緊急脱出プログラム』を実行させてくれ。」
俺は緊急脱出プログラムをダブルクリックして起動させる。
画面が暗くなり、文字列が叩き出された。

『これは、緊急脱出プログラム。
私とのデートに応じる場合はEnterキー押すこと。
それ以外のキーを押す場合、このプログラムは消滅する。』

ほとんど脅迫じゃねーか、ちくしょう!
俺はやけくそ気味にEnterキーを押し込む。
世界がぐにゃりと歪むような感覚があり、一瞬の後、部室はまったく元に戻っていた。椅子に眼鏡なしの長門が座って本を読んでいる。
「約束。」
いや、あれは選択肢になってないぞ。
「明日、図書館でデート。午後二時に駅前で。」
どうすりゃいいんだ…。朝比奈さんとの約束が……。
「あと―」
と長門は付けくわえる。心なしか、頬が赤いようだ。
「……リモコンを忘れないこと。」
541『デート・タイム』3:2006/08/02(水) 13:35:04 ID:9nm7greU
俺は放課後の間中、頭を抱えっぱなしだった。なんてことだ、デートのダブル・ブッキングしちまった。
朝比奈さんも長門も、いつもより高揚した様子である。長門が高揚したといっても、いつもより本のページをめくる頻度が上がるだけだが。
長門にいまさら断るなんて出来やしない。いまのあいつなら、ためらいなく世界改変するに違いない。
やれやれ。
朝比奈さんに後で電話をかけて謝ろう。今、言い出すわけにはいかない。お茶に怪しい薬を入れられそうだからな。
こうしてその日の活動は平穏に過ぎ、俺は家路についた。


その夜、朝比奈さんにお断りの電話をかけようと、自分の部屋で、苦渋の心で携帯のボタンを押しているとき……
いきなり電話がかかってきた。
げっ、ハルヒからだ!
『キョン、明日、遊園地に行きましょ!』
やばい、やばい、やばい。
「は、ハルヒ……落ち着いて、きいてくれ。その、明日は都合が悪くてだな……」

ブツッ

電話が切れた。おいまてまてハルヒたのむから――
と思うと、俺は北高の文芸部室に居た。しかも制服を着て。隣では、ハルヒがやはり北高の制服を着て倒れている。おいおい、展開が急過ぎやしないか?
外は灰色で、既に神人たちがフルパワーで活動を開始している。いつかの閉鎖空間だ。
ハルヒのやつ、俺が断ったから閉鎖空間に俺を閉じ込めやがった。もしや、わざとやってるんじゃないのか?

「ハルヒ、起きろハルヒ!」
俺はハルヒの肩をガクガク揺さぶって起こす。
「ふぇ、キョン?あたし……」
あいつに窓の外が見えないようにブロックしながら、ハルヒを抱きしめる。
「あんっ、だめよ、キョン……」
ハルヒはトンチンカンな声を上げる。
こうなりゃ、やけくそだ。
「おい、ハルヒ。明日、遊園地でデートしよう!」
ハルヒは俺の胸の中で、嬉しそうに声を上げる。
「わかったわ、ありがと、キョン!嬉しい!!」
その瞬間、閉鎖空間が消滅し、俺は、元通りに自分の部屋のベッドに腰掛けていた。
冷や汗がだらだらと流れる。世界は崩壊を免れたが、ひょっとして、明日に先延ばしにされただけかもしれない。
同時に電話が鳴る。当然ハルヒからだ。
『キョン!?さっき、あんたが遊園地に誘ってくれる夢を見たの!
明日は遊園地行きましょ。明日の午後一時に駅前に集合っ。
あ、あと……、ち、ちゃんとリモコンを持ってきなさい!
それじゃ、明日ね。おーばー♪』
電話が切れた。俺は頭を抱え込んで絶望していた。
542『デート・タイム』4:2006/08/02(水) 13:36:12 ID:9nm7greU


古泉に電話をかけてみる。
『なんと、トリプル・ブッキングですか……非常に困りましたね。
涼宮さんとのデートの約束を破ったりすれば、即、世界の崩壊です。
長門さんとの約束を反故にすれば、長門さんが世界改変を起こしかねません。
朝比奈さんも油断なりませんよ。最近、ずいぶん黒くなってきましたから。
……ですが、ひとつだけ、方法があります。』
なんだ。いってみろ、頼むから。
『あなたがホモ・セクシュアルである、ということをお三方に納得させれば良いんですよ。いかがです、今夜あたり僕と――』
切った。くそ、古泉、全てが終わったら殺してやる。
世界の破滅の方が、先かも知れないがな。


翌日。
俺は何の妙案も思いつかずに、暗澹たる気持ちで駅に来ていた。十二時半、ハルヒはまだ来ていない。
ハルヒと遊園地に行ったとしても、二時に長門が来たとき、俺が居なければ、長門は間違いなく世界改変をするだろう。もういいか。あっちの世界も悪くないかもしれない……眼鏡姿の長門にはコンタクトでも薦めてみよう……などと、絶望に浸って自暴自棄になっていると
「おい。」
いきなり高校生が声をかけてきた。俺は下を向いたまま、そいつの顔も見ずに言う。
なんだ、俺は忙しいんだ。俺の背中に世界がかかっているといっても過言ではないんだぞ。
もっとも、俺には荷が重過ぎて、世界崩壊は近いが。
「そんなことは先刻承知だ。こっちに来てくれ。」
俺はようやく顔を上げてそいつの顔を見た。そして――
驚愕した。なぜなら、そこに居たのは俺だったからだ。しかも、二人もいる。
二人の俺は、手早く俺を路地に連れ込んだ。
「朝比奈さん(大)のおかげで時間遡行している。」
一人の俺が言う。
『これでトリプル・ブッキングを回避するんだ。』
なるほど、上手い具合に、行き先も集合時間もバラバラだ。三人が顔をあわせなければ、世界は何とか救われそうだ。
『わかったようだな。じゃあ分担を決めるぞ。お前はハルヒとデートをする。俺は朝比奈さん、こいつは長門だ。』
おいおい、何で俺がハルヒの相手なんだ。死ぬほど疲れるに決まっているぜ。どうせなら長門か朝比奈さんがいいな。
「アホか。結局は全員とデートすることになるんだ。最初はハルヒ、次に、時間遡行をして長門、最後にまた時間遡行をして朝比奈さんだ。」
くそ……仕方ない。
『あと、お前にアドバイスだ。』
なんだ?
「ハルヒは左の乳首が強烈に感じるみたいだ。観覧車で試してみろ。」
やれやれ。ありがたいアドバイスだな。
『じゃあ、がんばれよ。もうすぐハルヒが来る。』
「お前に後はまかせたからな。といっても、みんな同じ体験をしたんだ、悪く思うな。」
なんだか少し引っかかる台詞を聞きながら、俺はハルヒの方に歩いていった。
543『デート・タイム』5:2006/08/02(水) 13:37:06 ID:9nm7greU


とまあ、こういうわけで、俺は私服のハルヒと遊園地に向かった。長門は図書館、朝比奈さんは映画館で、それぞれ、時間遡行した俺を相手にデートしているはずだ。
ハルヒは上機嫌だった。というか、はじめから腕を絡めてきて、端からみれば完全に遊園地にデートをしに来たカップルだ。おい、あんまりくっつくな。腕にお前の胸があたって歩きにくい。
「いいのっ、今日はあんたと遊園地を満喫するんだからっ!」
やれやれ。まあ、せいぜい楽しむとしようか。

と、思っていたのは最初の三十分だ。ハルヒの底なしの体力を忘れていた。いくらなんでも、七回連続でジェット・コースターはないだろう。俺は、絶叫系に弱いんだが……。
「平気よ、次ぎ行くわよ、次っ!」
ちょっとおとなしくなってもらおうか、ハルヒさん。
俺はポケットに手を入れて、秘密兵器のスイッチを入れる。
「んくぅっ!」
とたんにハルヒが内股になって立ち止まる。バ×ブの振動が堪えるようだ。いやまあ、付けてくるといったのはハルヒの方なんだがな。ハルヒの顔が紅潮してきた。目を閉じて耐えているハルヒが可愛い。
「ハルヒ、ちょっと休憩ということで、観覧車にでも乗らないか?」
「あんっ……そ、そうね……あん……観覧車に……」
よちよち歩きのハルヒの手を掴んで、俺は観覧車に向かった。こいつの手を引っ張って歩くなんてのは、そうそうあることじゃないからな。せいぜい楽しむさ。
観覧車では隣り合わせに座った。景色そっちのけでハルヒは股間の振動に悶えているし、俺は、未来の俺からのアドバイスを実行に移してみようと考えていた。ハルヒの胸に手を伸ばし、ゆっくりと揉み解す。
服をずり上げると、意外に可愛らしい下着が目に飛び込んできた。
「べ、別に、あんたとのデート用じゃないからね!」
ハルヒがあらぬ方向に目をやりながら、顔を真っ赤にして言う。
「そうかい。」
俺は、その下着の隙間に手を差し入れ、乳首を弄り始めた。まず右から……
「ああっ……はあ……」
気持ちよさそうではあるが?ついで左に移る。
「あんっ!だめぇっ、か、感じちゃうからっ!!左は弱いのおっ、あああんっ」
見事に証明された。というか、既定事項ってわけだ。
やれやれ。
544『デート・タイム』6:2006/08/02(水) 13:38:05 ID:9nm7greU

まあ、ハルヒは可愛かった。終始俺のペースで弄ってやったからな。普段こいつに引っ張りまわされているんだから、たまにはこういうのもいいだろう?というか、ハルヒが満足げなのは、こういう願望を持っているからだろうな、潜在的に。
遊園地から出るとき、ためしにハルヒに言ってみた。
「今日のおまえは、とことん可愛かったぞ。」
ハルヒは照れてもじもじしてやがる。
「あ、ありがと、キョン。その……あたしも楽しかった。すごく……嬉しかったよ。あと――」
なんだ?
「さっきから、スイッチがONのままなんだけど。」
あ、しまった。もじもじしてたのはそのせいか。正直、すまん。

帰り道。
ハルヒは俺の腕を取って、少し沈んでいるように見える。
どした、ハルヒ。
「ううん。ただ、明日からはまた、SOS団の団長に戻らなきゃいけないんだな、って思って。
ほんとは……今日みたいに、ただのキョンの彼女として過ごす時間がもっと欲しいんだけど。」
リモコンバ×ブを装着して遊園地に行くのは、ただのカップルとは言えない気がするが。
「ねえ、キョン。せめて……今日が終わるまでは、キョンの彼女で居させて……」
俺はハルヒの肩を抱き寄せ、そっと口付けた。
「あたりまえだ。」
ハルヒがにっこりと笑う。団長としての100万ワットの笑顔ではないが、優しい微笑は、妙に、俺の心に沁みた。こんな表情がみられるなら、ハルヒと付き合うのは、決して悪いことじゃないな。
「あんたの部屋に行きたいな。」
「ああ、行こう。」
俺たちは手を取り合って、家に向かって歩いていった。


これで話を終えられたら、どんなにかいいだろう。
だが、現実は厳しい。
545『デート・タイム』7:2006/08/02(水) 13:39:16 ID:9nm7greU


ハルヒと一緒に部屋に入ったとき、そこにいたのは、とんでもなく怒っている長門と、限界まで切れている朝比奈さんの姿だった。
「……ちょっと、これどういうこと」
ハルヒの声も、一気に絶対零度にまで落ちる。
わからん、なにがなんだか――
と言いかけて、忽然と、未来の俺が発した言葉が脳裏を走った。

「お前に後はまかせたからな。といっても、みんな同じ体験をしたんだ、悪く思うな。」

はめられた。しかも自分自身にだ。ああ、自業自得とはこのことか。
念のため、長門と朝比奈さんに、恐る恐る聞いてみる。あ、あの、どうしてここに……?
「あなたとのデートの後、あなたの部屋に来た。シャワーを浴びに行くといったあなたは、現在時空から消失。私はそれから二時間待機している。……説明を求める。」
「わ、わたしは、おへやの前まで来たら、キョンくんが電話をかけてくるって言って……おそいからおへやで待とうとしたら、長門さんがいて……もう一時間待ちました……」
ハルヒ、長門、朝比奈さん。
やばい、膝が恐怖でガクガク震えてきた。
長門が服を脱ぎ捨てる。
「あなたを待つ間、リモコンのスイッチはずっとONのまま。
私の体は限界に来ている。至急結合を求める。」
朝比奈さんも負けじと服を脱いだ。
「ふえぇ、わ、わたしもヌレヌレですっ、このままなんて、せまさせしぇん!!
キョンくんと、しぇ、SEXしてみせまーしゅっ!!」
ハルヒが後ろで服を脱ぐ音がする。
「とーぜん、あたしたち全員を満足させてくれるんでしょうねぇ、キョン?
万一、あたしたちのうち、一人でも満足しなかったら……
あんたの尻の穴を古泉くんに開通させてもらうから。」

裸になった三人の美少女に囲まれて、絶望に塗りこめられながらも俺は考えていた。
ここは、天国なのか、地獄なのか?
いずれにせよ、生きては帰してもらえなさそうだがな。


おしまい
546名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 13:50:09 ID:xGdi8Gjq
展開が速くていいなwwww
547名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 13:56:46 ID:p1YPOQUk
スピーディさに吹いた

しかし朝比奈さん(大)はよく協力したな。
自分のことでもあるのに。
548名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 14:08:34 ID:JGVPhm7C
シレッと憂鬱と消失の二大山場を前振りに叩きこんでくる度胸に嫉妬
549名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 14:14:22 ID:dVSZfrlL
本編の場面の使い方が上手いよなぁ。しかもこれだけのハイぺースで。
550名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 14:35:38 ID:YEjDHRci
続きが、こんな長編だったとはw
ジェットコースタームービーの如き展開は、爽快感があって非常によかった。
551名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 15:20:42 ID:oR1dfFrf
これぞエロパロって展開がたまらんかった
もうとにかくGJとしかいいようない
552名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 16:11:36 ID:iGTqiQ/9
展開早ぇwww
まったくだれる事無く楽しめたよ
553名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 16:14:10 ID:6Ibl7jQx
官能小説大戦の人だよな
あれも面白かった
554名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 16:27:21 ID:Ka6BfVlF
>「ふえぇ、わ、わたしもヌレヌレですっ、このままなんて、せまさせしぇん!!
キョンくんと、しぇ、SEXしてみせまーしゅっ!!」

恋のミクル伝説吹いた
555名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 16:41:44 ID:9nm7greU
>533
すまん、違う人だ
だが、いま『官能小説大戦』を見返してみて
長門が書いた官能小説が
『図書館の情事』になっていてびびった
まさかかぶるとは……
556名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 17:20:09 ID:anfcmHP2
GJ
557名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 17:21:11 ID:0CXf49Kv
ハルヒが九州の人だったら

「なかとなら作ればよかとやん!!」
「なんばや?」
「部活さ!!」
頭ん痛かとは机の角にぶつけただけじゃなかごてしとるな。
「そうか。そりゃよかったな。ところでそろそろ手ば離してくれんか」
「なん?その反応。もうちょっとあんたも喜んでよ、この発見ば」
「その発見とやらは後」
558名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 17:22:24 ID:0CXf49Kv
はぁ……本当何やってんだろ。俺('A`)
559名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 17:32:51 ID:MZWGaGdA
>>558
想像できてしまうが、かなりしつこそうだな
560名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 17:44:30 ID:8BpAOACp
>>557
東北なら。

「ねぇばつぐえばえぇべさ」
「なぁん」
「ぶがづよぉん」
「んだが。そっだらえがっだな。そいでそろそろ手ぇ離してけねが」
「んだ?そんはんのぉぁ。もうぢっどおめもよろごいべさ、こんはっげんどご」
「そんはっげんだどやらばあど」
561名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 17:51:08 ID:3JcXd9RV
鬼嫁日記再放送見てたら、鬼嫁がハルヒにしか見えなかった。
562名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 17:51:55 ID:avk8unEx
>>560
やばい、さっぱりわからん
563名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 17:55:20 ID:anfcmHP2
ハルヒが関西弁だったら

「なかったら自分で作ればええやん!」
「なにをや?」
「部活やー!!」
頭がワヤになっとんのは机の角にぶつけただけじゃあらへんな。
「そうか。そりゃ良かったな。ところでそろそろ手ぇ離してくれへんか」
「なんやその反応? もうちょいあんたも喜びや、この発見」
「その発見は、まあ置いときや」
564名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 18:03:17 ID:sBmJhJXZ
>>563
標準語フィルターとればそれじゃね?
西宮だからな
565名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 18:14:46 ID:Dh0HNBzz
>>563
語尾のヤがちょっと付きすぎって感じだな…
566名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 18:15:06 ID:0CXf49Kv
>563
違和感ないのは何故だ
567名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 18:26:38 ID:0Ly+Ax+m
>>562
俺は生粋の東北人だが、東北弁は文字に起こすと地元民でも解読不能になる。
568名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 18:33:36 ID:X1/wVFPd
薩摩弁と津軽弁も文字に起こすとすごいことになるぞ。
569名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 18:38:56 ID:yLvtfDin
もうおなか一杯です
570名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 18:44:57 ID:xGdi8Gjq
だれか長門もナントカ弁にしてみてくれ
571名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 18:45:00 ID:6Nd1dOh+
方言やばい
572名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 18:47:41 ID:xddIol4e
>>545
ワロスwwwってかみんな壊れすぎwww
573名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 18:47:44 ID:anfcmHP2
方言の中では関西弁が一番好きだな
なんていうか聞いていて清清しいというか……。
関西弁に翻訳されたハルヒが読みたいな。
574名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 18:49:42 ID:mkYHPFWq
微妙に無理矢理な小ネタ投下。3レス。


「時が始まったのは、何時なんだろうな」

誓って言おう、何気ない一言だったんだと。別に答えを期待してたわけではなかったんだと。
ただ、何となく、朝比奈さんとの三年寝太郎経験を思い出した俺は、ふと、時間を止めたり、
その時間を再開したりすることって不可能じゃないんだよな、そう思っただけなんだ。
ならば、そもそもこの世界で時間が流れ始めたのは何時なんだろう、なんて、そんなことを
考えたとしても、それは、それほど不自然なことじゃないはずだ。
俺だって、たまには哲学じみたことを考えたり呟いたりするのさ。

まあ、多少文学的電波的な一言であったことは認めよう。
ただ、そんなことを言ってしまったのは、今、この部屋に、俺と長門しかいないと言う事実も、
影響していたに違いない。時が何時始まったかなんてことは、長門なら知っているかも
しれないが、それを説明したところで俺が理解できないだろうってことは、俺だけじゃなく、
長門も知っているはずだ。
だから、俺の妙に感傷的かもしれないその一言は、そのまま黙殺されて終わるはずだった。

「それは、愛から始まった」

長門が静かに発した一言。それは、俺の一言への答えだったのだが、その言葉は、
液体窒素の如く俺の脳内に染み渡り、俺の思考と行動を凍結させるに十分なものだった。
言葉の意味を理解した次の瞬間、俺のシナプスは、盛大に、そして、連鎖的に発火した。
まさに爆発的と形容できる速さで。



愛だって? どういうことだ? 何を言っているんだ? 時間が愛から始まっただって?
意味が解らん。というか、あの長門がそんな詩的なことを言うとは、とても信じられん。
いや、長門が意味もなく妙なフレーズを発するはずがない。何かと掛けているのか?

愛、それは愛、きっと愛、たぶん愛。それは愛の集中化。違う、あらゆる意味で違う。

しかし、愛から始まる時間というのはどういうことなんだろう。いや、考えるまでもない。
愛から生まれる時間、それはアレだ、アレしかない。なんてこった。
長門、それは高校生にあるまじき行為なのではないか? 一体、どんな表情でその時間を
過ごしているんだ? それにどんな格好でその時間を……、はっ、まさか、
制服か? 制服なのか?

いつもの制服姿、かつ、無表情。リボンを解き、短いスカートを軽くたくし上げつつ、
野郎の太腿に乗る長門。それはあれですか、対面座位ってヤツですかっ!?

『愛の時間を開始する』

いかんいかん! 却下だ却下。有機生命体の中でも誕生十八年未満の人間に対しては、
全宇宙的に、そんな行為禁止令が施行されているのだぞっ!
特に着衣での対面座位は重罪だ。違反者は閉鎖空間追放の刑に間違いないっ。
ちなみに、正常位も後背位も騎乗位その他も重罪だからなっ。

あ、いや、まて。あの長門だぞ。長門がそんな行為に突入できる相手なんて、この世界に
存在するだろうか。それに考えても見ろ、長門に男の影を感じたことがあるか?
いや、ない。それに長門の部屋にも男の気配はまったくなかったじゃないか。
男の気配どころか生活感もあまりないしな。
575名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 18:50:23 ID:mkYHPFWq
そうだよな。いくらなんでもあの長門が、制服姿のまま、足首にパンツを引っ掛けた状態で
野郎の腰の上に乗るなんてな。甘い吐息を吐きながら身体を揺らし、はだけたブラウスから覗く、
ずれ上がったブラジャーの下の小さな突起を突き出しながら、

『やさしく舐めて』

なんて言うわけがないだろうがっ。断じて、ないっ。
はは、そうさ、考えすぎにも程があるってもんだぜ。鼻血が出そうになったじゃないか。

だとしたら、他にどう解釈できる?
そうだな、その人に出会ってからわたしの時間が始まった、とかはどうだ?

ちょっとまて。そうだとすると、一体誰に時間を開始されたんだ? 男じゃないとすると女か?
どうやって開始されたんだ? どこを巻き巻きされたというのだ?
あれか、身体の中心にある鍵穴にブルブル震える太い鍵を差し込んで、こうぐるぐると……。

『ふーん、有希。あんたもしかして初めて? じゃ、教えてあげるわ』
『そんな太いのを……』
『そうよ、このウネウネ動く鍵を有希の鍵穴に差し込むのよ』
『あ……っ、回転が……』

い、いかんいかんいかん、いかんぞ、長門! 挿入禁止! 百合禁止!

いやいや、落ち着け。長門は、まだ何も言っていない。
ただ、時間が愛から始まった、としか言ってないだろうが。

でも、なら何だ? 愛が時間を開始したなんて、そうそう言えることじゃないのは確かだろ?
それはやっぱり、長門が誰かとの愛に目覚めたってことじゃないのか?
そして、インタフェイスとは違う、長門と言う固体の時間が始まったのだと。
くそっ、そうとしか考えられないじゃないか。
そして今はプラトニックだとしても、何れ、二人は目眩く愛の時間へ突入するに違いない。
だー、相手は誰なんだ、そんなことが許されると思っているのか? 羨ましいじゃないか。
誰か俺のネジも巻いてくれ。ただし、ハルヒ以外の線で頼む。もちろん古泉は埒外だ。

いやいやいや、落ち着け、落ち着くんだ。考えてもみろ、長門はインタフェイスとは言え、
自我を確立しているんだ。そうだ、長門は、しっかりとした自意識を持っているじゃないか。
他者と交わり、自我に目覚めた存在は、やがて自分と他者を結ぶ絆としての愛を実感するもの
なんじゃないのか? だとすれば、何を驚くことがある。
長門が愛を知っても何の不思議もない。そうだろ?

それは喜ぶべきことなはずだ。俺は、長門が人間に近付くことを望んでいたのだからな。
その相手が俺じゃないとしても、それは何となく残念なことのような気もするが、
でも、重要なのは俺の気持ちじゃない。長門の気持ちなんだ。そうだ、愛こそすべてだ。
ジョン・レノンもそう言ってたじゃないか、はっはっは。

よし、オールOK、オーラルOK、大丈夫、俺は冷静だ。
ここは一つ落ち着いて、鏡面のような心でもって長門の話を聞こうではないか。



気が付くと、長門が何か不自然なものでも見るような、何処となく揺れているような視線を
俺に向けていた。何か妙なことを口走ってしまったのだろうか、そう思い、何かを弁解したい
衝動に駆られたが、それは後回しだ。今は長門の話を聞かなければならない。
576名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 18:51:00 ID:mkYHPFWq
一つ咳払いをして、俺は、出来るだけ平静を装いつつ、ともすれば裏返りそうになる声を抑え、

「長門。時間が愛から始まったとは一体どういうことだ?」

我ながら情けなくも、低く擦れてしまった声で訊いた。

長門、俺は、お前を応援しているぞ。自我に目覚めたのであれば、愛を知るのは必然だ。
そうさ、何も恥ずかしがることじゃないんだ。存分に愛を語ってくれ。覚悟は出来ている。
でも、高校生は節度ある交際が望ましいんだ、お前は知らないかもしれないがな。
だから、お前の話が終わったら、それを忠告させて貰おう。
ちなみに、俺自身がむちゃくちゃ動揺して平静を保てていない気もするが、それは気のせいだ。
少なくとも、おまえの時間を開始したのが古泉でもない限り、きっと平静を保てるさ。
それは、もし相手が古泉だったりしたら平静を保てないっていうことだがな。さあ、来い!

「この宇宙は、いわゆるビッグバンと呼ばれている現象により始まった」

はい?

「それより前、宇宙はただの一点に集中していた」

あの、愛は?

「その状態では、時間は虚数だったと推測される」

えーと、長門さん?

「虚数時間が支配する一点から、この宇宙が生まれ、時の流れは実数時間へと転換した。
それが、今の時の流れの始まり。今の時の流れはiから始まった」

そう言うと、長門は、宇宙背景輻射を感じさせるような視線で俺を一瞥し、静かに読書に
戻っていった。愛の話は終わったらしい。意味が解らん。

虚脱感の中で、先程までの俺の動揺と妄想、そして覚悟は一体何だったのだろう、と
呆然としていると、長門の呟くような声が聞こえた。

「でも、あなたの推測も、そう間違っているわけではない」

き、聞こえてたのかっ!?
577名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 18:54:47 ID:dgAfHm2A
>>562
安心汁
地元向け番組でも字幕付くからwww
578名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 19:03:25 ID:571En8L9
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
579名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 19:14:16 ID:0CXf49Kv
>>570
九州弁ならできるけど?
580名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 19:15:11 ID:xryF6K5u
>>577
ナマで聞くとそれなりに分かるんだけどな。
何かこう、じいちゃん達と会話してると、言語機能が第六感に置き換わってる感覚がある。
581名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 19:34:23 ID:8BpAOACp
>>570
標準語「そう」→東北弁「んだが」
582581:2006/08/02(水) 19:36:50 ID:8BpAOACp
「んだが」は了承・受諾の意味における「そう」
「んだ」だと肯定の意味における「そう」
「んだな」だと両方で、ちょっと柔らかいイメージ
583名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 19:41:37 ID:xGdi8Gjq
>>581
なるほど。

キョ「ひょっとしてかちたいのか?」
なが「……」
キョ「やっちまえ」

なが「……んだが」


あわねええええええええええ
584名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 19:41:41 ID:X1/wVFPd
ちょっと長門/消失長門で東北弁で喋らせてみてくれまいか?
585名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 19:44:02 ID:YEjDHRci
>576
inflation theoryですね。うん、SFだ。
あと、キョンが親父くさくて吹いた
586名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 19:59:11 ID:8BpAOACp
>>583
その場合は単に「……ん」の方が自然かな?

>>584
すまん、今手元にテクストが無いのだよ
587名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 20:06:02 ID:y8VnWHfJ
>>576
虚数か。なるほど、愛だな
588名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 20:26:42 ID:B22fiBVE
ちょっと一週間ほど西宮に行ってた者だが、ログが多すぎて読む気がしないのは仕様か?w

と言うわけでハルヒ×キョンのSSでなんか良いのあった?
589名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 20:32:02 ID:b7ZJ38QF
ログ読みなされ
590名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 20:32:38 ID:fhMMSg9F
1からログを読破した漏れがきましたよ
591名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 20:37:26 ID:4Urn7TVX
ログは読んでないがSSは全部読んだ
592名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 20:39:27 ID:B22fiBVE
ううむ、明日早出だが頑張って全部読むか……
593名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 21:55:29 ID:9eN/OciF
>>545
よかった。そのまま3Pに突入して欲しかったけど。

>>576
キョンの脳内会議?に笑った。i落ち(虚数とインフレーション宇宙とのダブル?)も悪くなかった。
594名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 22:14:36 ID:+pwK+Dtx
亀田八百長乙wwwwwwww
595名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 22:18:37 ID:6Nd1dOh+
ハルにゃんがボクシングに興味無いからにして…
596名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 22:20:19 ID:4Urn7TVX
「キョン!なんなのよ!あの試合は!!
今からTBSに乗り込むわよ!他の3人も呼びなさい!今すぐよ!」
なんて言ってるハルヒを想像した
597名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 22:23:56 ID:+X9fo5W/
YUKI.N>あの判定は妥当とは言い難い
    情報結合の解除を申請する
598名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 22:29:42 ID:N+cjGNuq
いくら積んだんだ?
599名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 22:30:38 ID:+pSVaRe6
あの八百長試合の話題持ってくんな
600名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 22:42:26 ID:PAuVi9A3
>>593
それだと1人外れるわけだが…だれ?
601名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 22:42:54 ID:6Nd1dOh+
ハルヒが望んだので勇利アルバチャコフ復活
602名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 22:43:17 ID:sdGrAwI1
キョンがセクロスしなければならない体にされるSSどれだっけ

603名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 22:45:31 ID:4Urn7TVX
 3-576様: 『ハルヒナ草第1話』「消失」241pより
         /『ハルヒナ草第2話』
         /『ハルヒナ草第3話』
         /『ハルヒナ草第4話』

かな
604名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 22:47:09 ID:sdGrAwI1
>>603 サンクス
605名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 22:47:50 ID:0CXf49Kv
KAMEDAは皆の人気者
606名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 22:50:17 ID:MybAFuTK
>>600
古泉が乱入して3Pと2Pの乱パってことで。それぞれの相手は想像に任せる
607名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 22:51:00 ID:VNVh67Uk
何だこの流れw
……そういえばハルヒは格闘技好きっぽかったな。
608名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 23:00:46 ID:/ls3Ilzf
>607
原作にそれっぽい描写あったっけ?
609名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 23:09:28 ID:VNVh67Uk
>>606
キョン×古泉 ハルヒ×みくる×長門

こうですか? 分かりません><
……て、古泉ホモだからこの組み合わせしかないんだけどw

>>608
時々それっぽい事言ってなかったかな?
生徒会長にも最初は格闘技ルールで勝負をつける気満々だったみたいだしw
610名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 23:09:52 ID:xGdi8Gjq
コンピ研部長相手のとか。
611名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 23:30:58 ID:2nAoVu21
なぜ亀田選手が勝ったか分かりますか?
612名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 23:33:04 ID:KzNDcOYG
レスが増えてると思えば…変な流れになっているだけか…( -.-)=з
613名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 23:33:18 ID:hOZczmm7
>>611
お金を積んだから。次
614名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 23:35:23 ID:17W/cPoz
>>611
「ソレも涼宮さんが望んだ結果ですよ」
 そこ、しれっとウソつくな。
615名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 23:38:42 ID:qUS0fkA/
             -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
             / /" `ヽ ヽ  \
         //, '/     ヽハ  、 ヽ      
         〃 {_{ノ    `ヽリ| l │ i|  
         レ!小l●    ● 从 |、i|   新作はあるかい?
          ヽ|l⊃ 、_,、_, ⊂⊃ |ノ│  
        /⌒ヽ__|ヘ   ゝ._)   j /⌒i !  
      \ /:::::| l>,、 __, イァ/  /│  
.        /:::::/| | ヾ:::|三/::{ヘ、__∧ |
       `ヽ< | |  ヾ∨:::/ヾ:::彡' |
616名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 23:44:29 ID:H4z4gwTC
エロなしいってみまーす
617おっきい背中:2006/08/02(水) 23:45:26 ID:H4z4gwTC

毎月の初まりに行われる席替え。
29名のクラスメイトのオールシャッフル。
この時の座席の配置次第で一ヶ月間の高校生活が決まるといっても過言ではないのだとか。
入学してからこれで11回目だったかな。


今、あたしの目の前にある現象はどれくらいの確率で発生したんだろう?
きっと途方も無い倍数。ありえない運命の悪戯。

でも、
あいつは必ずあたしの前にいた。



「ったく、見えにくいのよこのバカキョン…」

現状の如何ともし難い状況に、でも前の席には聞こえないように小さい声で悪態をつくあたし。
アイツの背中が邪魔で前の黒板が見えないなんて、滅茶苦茶腹が立つ!
今まで隅っこの席ばっかりだったから大して気にならなかったけど、今回はよりよってど真ん中の席。
そしてアイツはあたしの真ん前。おかげで黒板の3分1、両端の部分しか見えやしない。
どうしてあたしがわざわざ席から身を乗りだしたり体を傾けたり小さな隙間を物色したりしなくちゃいけないのよ!
まったく、面倒臭いったらありゃしないわ!
雑用係のくせに団長の邪魔をしようだなんて、良い度胸してるわねぇ?キョン!?
放課後になったらとっておきの罰をくれてやるんだから、せいぜい後で後悔しなさい!

あーあ、止め止め。ノート書く気になんないわ。
後で阪中さんに写させてもらおっと。キョンの字は汚いからパスね。
とりあえず今は目の前の鬱陶しいことこの上ないキョンの背中にたっぷりと恨みの眼力を送ってやろうっと。
せいぜいあたしのオーラに臆することね、キョン。



…コイツは、あたしの視線に気づいてるのかな?
見る限りでは黒板に描かれる数式を真面目に書き写しているように見える。
時々身震いさせてるけど、それもただ寒いだけなのかな。

ほんの少しだけ、忙しなく顔を上下させるキョン。




……コイツ、こんなに背中大きかったんだ。


あたしの視界いっぱいに広がっている、あいつの大きな背中。
それだけが、今のあたしの世界。
618おっきい背中:2006/08/02(水) 23:46:13 ID:H4z4gwTC
既視感を感じる。


あのときの夢と、同じ光景。
あたしの手を引いて、あたしだけを連れて駆けた背中。
それだけが、あたしの世界だった。

キョンと二人だけの世界。



嬉しかった。キョンに。キョンが。






あたしに




「っっって!!」


いや、あれは夢っ!そう、夢よ!
慌てて首をブンブン振ってさっきまでの夢想を散らすあたし。
あんなことがあってたまるもんですか!
キョンなんかに、そ、そそんな…されてどうとかなんて、思わないんだからねっ!
ああもう、後で覚えときなさいよ、バカキョン!!


ふと見渡すと、あたしの奇怪さに気づいた周りの視線。少し痛いわね…。
アイツは…まったく気づいていないみたい。
さっきとまでと変わらぬ背中。



いや、違う。
キョンの動きがいつの間にか止まっていた。
何だろう?どうしたんだろう?
動かないキョン。



既視感を感じる。

途端に、蘇えるあの景色。
フラッシュバック。
619おっきい背中:2006/08/02(水) 23:48:35 ID:H4z4gwTC



階段。
あたしを横切る体。
何かが落ちた。

動かないキョン。


――― 嘘?


病室。
静かな寝息。
静寂。沈黙。幻覚?虚偽?本当に?…昏睡。

動かないキョン。


――― 嫌。



あたしの世界が 壊れた瞬間。





――― 死…?


動かない



―― いやああぁっっ!!!









 おい ハルヒ



「おい、ハルヒ」

「ひゃあぁあっ!!?」


ガタガタっ、という音ともに腰が抜け、椅子から転びそうになるあたし。
一方で腰を捻らせてこちらに向き直り、あたしを不審げに見つめているキョン。
か、顔が近いのよ!顔が!
620おっきい背中:2006/08/02(水) 23:49:05 ID:H4z4gwTC

「な、なによ!急に振り向かないでよ!」
大声で猛抗議するあたし。
周りからすればどんなに可笑しいことを言ってるのか、あたしはまだ気づいていなかった。
呆けた顔をしたキョン。はぁ、と溜息をひとつ吐いてから、


こつん、


「な、な、ななななな」
頭をこづかれて動揺してるあたしに、今度は逆の手をあたしの前に押し付けた。
「何考えてたのかは知らんが、今は授業中だ。ほらよ」

ここにきてようやくキョンの左手に握るプリントの束が目に入り、あたしは状況を理解した。
授業終了まで残すところあと10分、最後に今日の復習のために小テストが配られたところだったのだ。
ちなみにあたしは愕然とした表情でキョンを見つめていて二、三度呼びかけたらあの反応だった、というのは後で阪中さんから聞いた話。
ようやく正気に戻って周囲を見渡すと皆が皆、呆れ顔や苦笑いといった顔でこちらを見ている。

うっわ、今あたし絶対顔真っ赤だわ…最悪。


「………」
「ほれ」
ふんっ、とプリントを一枚引ったくって残りを後ろの国木田に回す。
何よ、その微笑み笑いを噛み殺したような顔は。文句あんの!?
阪中さんも顔を俯かせてるけど、絶対笑ってるわね…アレ。
その後ろのバカ谷口!!あんた、あとでそのバカ面にドロップキック喰らわしてやるわ!覚悟しなさい!!

必死にキョンに対する言い訳を考えながら振り向いたあたしだったけど、
キョンはもう体を元に戻してテストの解答作業を始めていた。

こちらに背中を向けて。





621おっきい背中:2006/08/02(水) 23:49:36 ID:H4z4gwTC

「おっきい、せなか……」


ぽつり、と自然に声に出てしまった。
幸いにも小さかったから、前には聞こえていないはず。うん。きっと大丈夫。
自分に言い聞かせる。そうしないと鼓動が全然止まらなくなってしまうから。

その日、あたしが机上のテスト用紙に目を配ることはなく、チャイムが鳴るまでその背中を眺め続けていた。






隅っこの席からでは気づけなかった、真正面から見せられた背中。

黒板の3分2を覆い隠す、迷惑極まりない背中。

消えることなく、あたしの傍にいてくれる背中。

あたしの世界に広がる、大きな背中。




自然と、笑みが浮かんだ

何だろう。嬉しい。
あの時みたいに。触れ合ってなどいないのに。
二人きりの世界ではないのに。



あの時みたいに、唇が届く距離ではないのに。
622おっきい背中:2006/08/02(水) 23:50:34 ID:H4z4gwTC




毎月の初めに行われる席替え。
この時の座席の配置次第で一ヶ月間の高校生活が決まるといっても過言ではないのだとか。
そうするとあたしの一ヶ月間の高校生活は、どうやら幸せになると決まったらしい。
本当なら途方も無い倍数、本当ならありえない運命の悪戯によって。


…でもあいつはどう思ってるのかな?
幸せだ、と言われるのは、まあ、別に、あいつがそれで良いのなら、まあ、好きにすればいいんだけどさ。
不幸だなんて言いいやがったら絶対に許さないわ!そんなこと言ったら、死刑よ死刑!!
せっかくあたしが良い気分なのに、団員がそう思ってないなんてありえないわ!そうでしょ、キョン!!

そうだ!
次の授業からは元気が出るようにエネルギーをたっぷり込めた視線を送ってやることにしましょ。
まだ寒いこの時期に体がポカポカになったり発汗作用が良くなったりと、良いこと尽くしなんだから感謝しなさいよね!
でも団長がこんだけしてやってんのにアイツはこちらをまったく見なかったりっていうのも不愉快ねぇ…。
シャーペンで一時間に7,8回はつついちゃおっと。眠気覚ましにもなって一石二鳥!うん、ナイスアイディアね♪
さあ覚悟しなさいよキョン!あたしが後ろの席で良かったって思わせてあげるんだからね!!
あ、そうだ。黒板を見えにくくした罰も考えないと。…ノート、そう!あんたのノートをあたしが写してあげるわ!
あんた馬鹿だから自分で書いといてよくわかってないところなんてたくさんあるだろうから特別に一緒に教えてあげなくちゃね!
SOS団で落第者なんて許さないんだから!団長のあたしがとことん付き合ってあげるんだからね!!キョン♪






「っっっひぐあぁっ!?」


――― …この日一番の異様な寒気を後ろから感じた。

――― アイツまた変なこと考えやがったな?…どうせ、またすげえ良い笑顔してんだろうな。まったく。


――― やれやれ。


チャイムの音に紛れて、俺は決して後ろに聞こえないように小さな声でつぶやいた。



 「はいはい、お付き合いするよ。団長」





そんな若干クサい台詞を呟く俺だったのだが、
直後に綺麗な弧を描いて飛んでゆく谷口を目にし、早くもその決意が揺らいでしまったのは言うまでも無い。

…やれやれ。


623名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 23:52:51 ID:EZmwdx3g

(´ー`).。oO( ほのぼの萌えも、良いねぇ
624名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 23:55:12 ID:Ekb52rd9
堪らん…速攻印刷だw
625名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 00:01:54 ID:GcAecBRN
>>622
GJ ハルヒが可愛いなぁ
626名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 00:05:36 ID:RsgBCXKv
「やれやれ」と「禁則事項です」と「……けだもの」が締めくくりの作品が多すぎる。
627名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 00:06:54 ID:/tqPuOYj
スマンsage忘れた…
628名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 00:08:32 ID:e9fF8R28
>>626
ふーん、じゃあキミがそれを使わないで締めくくる作品書けばいいじゃん
あ、何もせずに文句だけ言う批評家気取りさんかい?
629名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 00:09:22 ID:jrMl7Wvd
>>615
んじゃ小ネタでも……と書いてる間に>>617の暖かい話が。
いいなぁ、こういうの。

で、書いた小ネタをそっと投下。
630名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 00:09:36 ID:19TYxXAv
>>626
そんなに多いかしら?
印象が強いのは認めるけれど、そこまで多用されてなかったようなきがするんだけどな。
せいぜい各種4〜5くらいじゃないかな?
>>628
>>3
631消失小ネタ:2006/08/03(木) 00:10:04 ID:jrMl7Wvd

「頼むぜ」
 部室棟、通称旧館にある文芸部部室。
 俺はノックを省略し、勢いよく扉を開いた。
「…………!」
 そして見た。驚いた表情で口をあけ俺を凝視する彼女を。

「いてくれたか……」
 というが俺は手放しには喜べない。お前にそんな表情は似合わない。

「実は俺もお前の事は多少なりとも知っているんだ。話していいか……」

「……違ったか?」
「ごめんなさい。わたしは知らない。時折見かけてたから。わたしはここでは、あなたと初めて会話する」

「邪魔したな」
「待って。よかったら……持っていって」
 ソレは白紙の入部届けだった。


 おでんも食べ終え一息ついて、俺はそろそろとおいとまする。
「それじゃあな。……明日も部室に行っていいか?」
 その言葉にじっと見つめ、そして薄く優しく、ハッキリと微笑んだ。


 目眩がした。


「誰が犯人です。またハルヒの仕業ですか」
「違います。でも、キョンくんの良く知っている人です」

 時空改変者が、あいつが校門前まで歩いてくる。そして時空震が発生した。
「大丈夫です。『彼女』はたった今生まれ変わったんです」

「よう。俺だ、また会ったな」
 考えて見ろ。十八日以降SOS団は全員変なプロフィールを失っていた。
 しかし性別までは変化していなかった。
 その中でただ一人、今までにない行動や表情や仕草を見せる奴がいた。

「お前の仕業だったんだな」




「小泉」
 男子ブレザーを着た美人に属するその女性は、俺に対して不思議そうな表情を見せていた。

(おわれ)

632おっきい背中:加筆:2006/08/03(木) 00:13:01 ID:uRicazJ/
執筆後、ふと思ったのですが。
保管するときにこういう修正とかってありなんでしょうか?
やれやれで終わるよりか面白いかなともおもったのですが…どうにょろ?

そんな若干クサい台詞を呟く俺だったのだが、
直後に綺麗な弧を描いて飛んでゆく谷口を目にし、早くもその決意が揺らいでしまったのは言うまでも無い。

まあ、3日後に何故か0点の小テストが返ってきたハルヒに俺も同じ目に合わされたことも………これは何でだ?
633名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 00:24:47 ID:s8TY/Nqb
やれやれ、は多いな
634名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 00:27:51 ID:jrMl7Wvd
「それじゃ、今日いまこの瞬間からやれやれ禁止! 使ったら罰金よ!」
 や……。

 なんだ。まだ言ってないぞ。四人揃って俺を見るな。
 全くなんだってんだ、やれ……。
635名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 00:29:28 ID:e926HTCa
>>632
そう思うなら、投下前に推敲しろよ
636名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 00:35:50 ID:uRicazJ/
投下後に思いついたもので…。思考至らず申し訳ないです。
あのままでも構わないのですが、過去にそういうのが適用されたことがあるのかどうか気になったもので…。
例がなかったのならば荒れる原因になりそうなので放置で全く構わないです。失礼しました!
637名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 00:38:12 ID:Z6G6D4FP
書き上げたら一晩おいといて後で見直すのがオススメ
638名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 00:41:21 ID:19TYxXAv
>>635
ジャポニカ学習帳のカメラマンが花に向かって話しかけるように頼む
>>636
書き直したいのはよくある事だけど、やっぱ煮詰めが足りなかったかな。 次も期待
639名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 00:58:13 ID:9a0AHled
1レス分60行の小ネタに一週間浪費する奴もいました。
640名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 01:03:12 ID:JVBGm0Cy
一言だけ貴様らに言っておく。
次スレの番号は24でお願いいたします。
641名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 01:19:32 ID:JOcfK2qJ
なんだか荒らしたいヤツが多いんだな、最近は。
642名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 01:27:06 ID:hFw02AzX
何も無いなら、本スレで散々投下されたSSSがあるんだが・・・
643名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 01:30:10 ID:JOcfK2qJ
>>642
何もないわけじゃないから、遠慮しとく
644名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 02:30:18 ID:WZgNCsr8
>>622
乙。ハルヒの心情描写に思わずニヤニヤさせてもらったよ。
あと、席が教室の真ん中に移動したのは個人的にツボ。
谷口、国木田、阪中さんとのからみは楽しく読ませてもらった。
645名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 05:06:40 ID:JECJl39w
「やれやれ」と「禁則事項です」は原作でも作者が半ば確信犯的に多用してるから別になんとも思わないけど、
「けだもの」だけは素で萎えるな。有希っぽくないし。
646名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 05:48:22 ID:2WG8zUyy
まじめな意見を言いたい時はなるべく正確な日本語を使った方が良いと思う。
確信犯とか確信犯とか確信犯とか。
647名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 06:18:02 ID:HsAvzWps
確信犯は既に誤用の意味の方が広く扱われてる。
こんなこというのもなんだが、今更突っ込むことではないんじゃなかろうか。
648名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 06:34:52 ID:2DC1heq0
だが、正確な物は性格であるから故に正しい。
間違っている事を知りながら使うと言うのもいかがな物だろうか?
649名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 06:47:06 ID:HsAvzWps
今や意固地になって、正しい意味の方で使う必要はないように思われる。
切り替えも大事だ。
650名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 06:58:26 ID:ZmqlgqCI
キョンは「過ぎたるは及ばざるが如し」を「わざと誤用するのがコツだ」とぬかしてたっけ
651名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 07:47:44 ID:FHWMoThe
「雰囲気」を「ふいんき」
「王様」を「おおさま」
「思い通り」を「おもうどうり」
「全員」を「ぜいいん」

こんな恥ずかしい覚え違いは直した方がいいな。
「2ちゃん語」だなんて言い訳はむなしいにもほどがある。
652名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 08:26:20 ID:7BEjI15q
『確信犯』と『確信犯的』の違いも知らずに大恥かいてる>646がいるスレはここですか?
653名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 08:28:48 ID:ZYSaHjNA
>>651
> 「思い通り」を「おもうどうり」



人に忠告するよりも前に平仮名位よめるようになってください。
654名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 08:45:17 ID:1D8oYPLC
       _,,-'' ̄ ̄`-.、         /        \
       /        \      ,/           \
      ,/           \    /   ―  ―     ヽ
     /   ―  ―     ヽ   lヽ  - 、 ! , _     |
    lヽ  - 、 ! , _     |   |r――-、_⊥ ,――'-、 |,-,
    |r――-、_⊥ ,――'-、 |,-,  |::::::::::::::::/ |ヽ:::::::::::::::|-|'イ!|
    |::::::::::::::::/ |ヽ:::::::::::::::|-|'イ!|  ト、__,,/:  |: `、__,,/ ,|ソ/
     ト、__,,/:  |: `、__,,/ ,|ソ/  .|    、_ j| _,、     ,|-'
     .|    、_ j| _,、     ,|-'   |   /lll||||||||||l`、   ,|
     |   /lll||||||||||l`、   ,|     `i ,|||' ̄= ̄`|||、 / ト、
     `i ,|||' ̄= ̄`|||、 / ト、   「|ヽ|ll||||||||||||||||| /i |::::\
     「|ヽ|ll||||||||||||||||| /i |::::\ ::::::\`!!||||||||||||!!'   |::::::::\
    /:::::\`!!||||||||||||!!'   |::::::::::::::::::::::`ー-、.._ i     |::::::::::::::\
   /::::::::::::::`ー-、.._ i     |::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::`ー-、. |::::::::::
  /:::::::::::::::::::::::::::::::::::`ー-、. |::::::::::

                ロムッテロ兄弟
   ハントシー・ロムッテロ       ハンツキー・ロムッテロ
    1952〜  アメリカ          1955〜 アメリカ
655名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 09:24:12 ID:4eAZ07Xf
ハントシーロ=ムッテロでローマ人にしたほうが良いかと
656名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 09:48:18 ID:Rhx3gbNS
>631
おまいは本当に大馬鹿野郎だなぁ(褒め言葉)。

でも「古泉」を変換ミスしたから、減点1ね。
657名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 13:02:15 ID:WR4+KE+i
>>651
『ふいんき(←なぜか変換できない)』は故意に使ってるんだから、
単なる「覚え違い」ではなく2ちゃん語で問題ないと思う。
658名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 13:12:59 ID:CCHSl8aH
くだらないからいつまでも引っ張らないでね
659名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 13:47:11 ID:l7/zq7V3
厨房ほどつまらないネタを引っ張りたがる
660名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 14:03:43 ID:N/fQujkF
みくる「これが日本の夏、というものなんですね。四季があるのは趣があるんですね」
661名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 14:04:48 ID:33XoS7CQ
とりあえず21歳以下の方はお帰り下さい。
本当に夏真っ盛りだなぁ…
662名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 14:50:31 ID:HA/dcJJS
もし、鶴屋さんが関西弁だったら

「どーやこの衣装! めがっさ似合ってると思わへんっかなー? どうにょろ?」

違和感ないな。
663名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 15:21:00 ID:jfuJ3WOv
>>662
意図的にそうすることもありそう。彼女なら。
664名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 15:42:46 ID:IxQdR+8H
俺的脳内古泉はいろんな資格を持っています
665名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 15:58:10 ID:cNiTgg1Z
>>662-663
中の人からして違和感ナッシン
666名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 16:55:56 ID:VIGa+Sc9
「ちゃうねん」とか言うてほしいなw
667名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 17:13:07 ID:nSCAUnvm
めがっさパンおいしいねん
668名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 17:20:48 ID:KAYHF2+t
オーラ!コロス!
669名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 17:41:10 ID:y+e/+zWD
喫茶店にて

ハルヒ「レイコー1つ!」
670名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 17:59:36 ID:hKzJ/n6G
671名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 18:38:07 ID:rNuFSyYb
ネタ、投下します。
6レスほどです
672キョンの忘失1:2006/08/03(木) 18:38:51 ID:rNuFSyYb
俺はいったい何をしていたんだろう。気がついてみると、俺は勾配のある歩道の真ん中
に突っ立っていた。
今の自分の姿を見下ろしてみると、制服姿だ。それならば、学校に行く途中なのか、学
校帰りだろう。日の傾き具合から勘案するに、夕方だということはわかる。ということ
は下校途中だろう。
そうであっても、自分の手を見てみるに、俺はカバンの一つさえ携えちゃいない。どこ
かに置き忘れでもしたんだろうか?
だが、そんなことよりも、今は一番思い出さなきゃならないことがある。
それは…。

俺はいったい誰だ?


今の俺は、自分が誰だかわからず、自宅の場所ははおろか、家族すら憶えていなかった。
これは俗にいう『記憶喪失』じゃないかと、冷静にも、自分の今おかれている状況を推
定してみたのだが…、どうしたものだろうな?

とりあえず自分の名前だけでもと、ブレザーの内ポケットを探ってみたのだが、生徒手
帳がない。それならば、財布には何か、自分を証明するものが入っているんじゃないか
と今度はスラックスのポケットをまさぐってみた。結果は、自転車の鍵と、財布に夏目
漱石が3枚入ってるだけだった。自転車が見つかれば、名前ぐらいは書いているかもし
れないが、その場所がわからない。
もちろん携帯電話なんかは持っていなかった。本当に今どきの高校生か?俺は…。
などと過去の自分を嘲るという、非常に空しい行為で時間を費やすだけだった。

これは打つ手なしか…。
俺は途方に暮れていた。──せめて、この制服を着た人間が、通りかかればいいのだが…。
結局無駄に動き回ることの愚かさを悟り、俺はしばらく石垣を背にして、人間観察のま
ねごとを試してみることにした。目的はいうまでもなくこの歩道を通る高校生だ。
もちろん、ここが登下校に使われている道路だという保証はない。なにせ未だ1人も見
かけけてないのだから…。だが、どうせ手がかりはないんだ。待ってみるさ。

しかし、すでに30分が空しく流れてゆき、記憶を思い出せないことも手伝って、気分
が底なしに落ち込んでいた。そんな時、偶然にも1人の女子生徒が通りかかった。直感
的に、その女子生徒が身につけている制服が俺と同じ高校のものだと感じた。どうやら
脳みそのどこかからか、ほんの少しの記憶のかけらがこぼれ落ちたたようだ。
その女子生徒は俺を認めると、俺に向かって足早に近づいてきた。俺を知っているんだ
ろうか?ならば好都合だ。知り合いでなければ、どのように聞けばいいのか困ったとこ
ろだ。まさか初対面の人間に、『俺は誰ですか』なんて聞いてしまった日には、変質者
扱いされかねない。

その女子生徒は、俺が後ろの石垣にもたれるようにして立っている前で足を止めると、
「キョン君。今帰りだったのかい?めがっさ疲れたような顔してるね。どうしたにょろ?」
なんだこの奇妙なしゃべり方をする女生徒は?俺の知り合いらしいが…。それとキョン
というのは俺のことか?
「ぶしつけで済みませんが、俺はキョンというんですか?」
「何言ってんだい?どこから見たって正真正銘のキョン君じゃないか」

 おかしそうにケタケタ笑う人だが、悪い人ではなさそうだ。
「実はですね、ぶっちゃけていいますと、俺どうも記憶喪失みたいで、家族はおろか、
自宅の場所も、自分の名前さえわからないんです」
 俺の目の色から真実の主張を悟ったのか、
「おいおい本当かい?それじゃ、めがっさ大変なことじゃないかい」
673キョンの忘失2:2006/08/03(木) 18:39:41 ID:rNuFSyYb
こうして、一風変わったしゃべりかたながらカラリと明るいその女子生徒──鶴屋さんの
手配で、俺は病院に向かった。さらに、彼女は俺の家族への連絡も済ませてくれていた。
手際がよく、ただものではない人だという印象を持ったが、そんな彼女の厚情には深く
感謝していた。

そう、検査と診察の結果だが、やはり記憶喪失らしい。正確に言うと、医学の世界では
記憶障害というらしいが…。
ただ、俺の体のどこにも外傷がなく、脳も無傷だったため、医者は何か心理的なものだ
ろうと診断した。幸い、別に入院する必要はなかったので、家族と一緒に自宅へ帰れる
ことになった。

俺の家族に連絡してくれた後、鶴屋さんは俺の友人へも連絡するつもりであったらし
いが、傷があったわけではないので、明日直接話した方がいいだろうということになった。
理由を聞くと、明日学校に行けばわかるっさと、珍妙な言葉と笑いでごまかされた。
そのあと今日の身に余る厚意に関して、感謝の意を伝えると、うれしそうな表情をして
髪を指で後ろに流す動作をしながら、
「いいっていいって、気にしないでもいいっさ!それより早く記憶を戻してみんなを
安心させるにょろよ」
こんな時間まで俺に付き添ってくれるとは、とてもいい人ではあった。

俺は家族とともに、父親が運転する車で自宅に帰った。時刻はすでに8時を過ぎている。
自宅周辺は街灯や近所の家の明かりはあるものの、山を見上げると、夜の漆黒の闇が不
気味なほどに際だっていた。
帰宅すると、すぐに俺は居間で両親から現在の状況を尋ねられ、あらためて記憶がな
いことを再認識させられた。その後、俺の置かれている状況の説明を受け、今度は俺の
部屋で妹から俺の仲間たちに関する説明を受けた。
妹の説明によると、俺はなかなか風変わりな連中と毎日楽しく過ごしていたらしい。

それともう一つ、俺にはつきあっている彼女がいて、その名前は『涼宮ハルヒ』という
ことも聞かされた。やけに妹の笑顔が、いたずらっぽくなったように感じたが…。
それも明日になればわかるだろうと、俺は学校への登校路の地図を、ためつすがめつし
つつ頭にたたき込んだ。

翌日俺は、学校への歩みをおっかなびっくりといった感じて進めていた。だが、体が道
を憶えていたらしく、考えていたほどには迷うことがなかった。
僥倖にも、俺は遅刻することもなく、学校にたどり着いた。到着するとすぐに、職員室
に向かった。というのは、俺が記憶を失ったということは、すでにおふくろが学校への
連絡を済ませていたが、多少の事情を説明するため、職員室の扉をたたかねばならなか
ったのだ。
職員室の場所は、こぼれ落ちた記憶のかけらが案内してくれるらしく、案内表示を見る
までもなかった。

俺は状況説明を強いられることから解放されると、多少の疲労を感じつつ教室に向かった。
教室に着くと、担任から聞いておいた我が愛しの机を確認すると、そこに座った。
カバンはというと、机の上に置いてあった。置いて帰ってしまたのだろうか?
怪訝そうにカバンを見つめていると、後ろに座っていた女生徒がこっちを睨み付け、
「キョン。あんた、昨日買い出しに行ったきり戻ってこなかったでしょ。なんで、帰っ
ちゃったのよ?脱走兵は軍法会議で死刑よ」
この一見かわいくて、スタイルがよく、胸もちょうどいい大きさの少女は、俺に対し機
関銃のような勢いで、わめき立てていた。

彼女は俺の呆然とした表情をみて、少し落ち着いたらしく、怒りを収めた。
「キョン、ねえ、なんでだまってんの?何か言うことあるでしょ?」
妹から得た予備知識によると、この少女が俺がつきあっているという涼宮ハルヒか…。
ここで、昨日鶴屋さんが言った理由を理解した。こんな勢いで病院に乗り込まれたら、
永久に出入り禁止になっていたところだ。
674キョンの忘失3:2006/08/03(木) 18:40:13 ID:rNuFSyYb
それにしても記憶を失う前の俺はなかなか酔狂な男だったのだな。ルックスとスタイル
についてはセンスがいいと、俺をほめてやってもいいが、性格はかなり奇矯で、どうつ
きあっていたのかと、疑問が浮かび上がるだけだった。
俺がまったく無反応で、考え込む素振りをしていたため、彼女はいぶかしげに訊いてきた。

「キョン、あんたどうしたの?ひょっとして頭でも打ったの?」
「そうかもしれない…。──ところで、君が涼宮さんなのか?」
「はぁ?あたしにきまってるでしょ。あんたホントにどうしちゃったの?」
重ねて尋ねる彼女に理由を話しておいた
「もうすぐ、担任からも説明があると思うけど…、実は俺、昨日までの記憶がないんだ。
気がついたら歩道の真ん中に突っ立っていた。たまたま通りがかった鶴屋さんのおかげ
で病院にいったんだけど、医者には記憶喪失だって診断されたんだ」

「じゃ、じゃああたしたちのことも全然憶えてないの?みくるちゃんも、有希も古泉君
のことも?」
ああ、と軽く首を縦に振った。
「そんなこと許さないわ。SOS団の団長であるあたしのことまで忘れるなんて!キョン、
今すぐ思い出しなさい。あたしたちの栄光の歴史を!」
無茶なことをいう女だ。だが、俺とつきあっている彼女だというのならなら、混乱するの
も無理はないか。そう思うと、俺はむしろ涼宮さんのことが愛らしくなっていた。

「すまん、今はどうしても思い出せない。だが、絶対思い出すから、待っていてくれ。
自分のためにも、君のためにも…」
そう述べると、
「ふ、ふん、あたりまえよ。でも、もし思い出せなかったら、罰ゲームだから覚悟して
おきなさいよね」
憎まれ口をたたきながらも、耳まで赤くする彼女の姿に、俺はほほえみを浮かべた。
そして、記憶を失う前の俺に、よくやったといってやりたかった。

朝の授業の前に、担任が俺の記憶喪失について話したときは、皆一様に驚いていた。
休み時間になると、俺の友達だという谷口と国木田が、見舞いとからかいがてら席までやっ
てきた。なかなか気持ちのいい連中で、俺は記憶がないことすら忘れて、彼らと談笑にふ
けった。

放課後になると、待ってましたとばかりに、涼宮さんが俺の手をつかんで引っ張って行く。
「どこに行くんだ?」
「SOS団の部室よ。まだ思い出せないみたいだけど、みんなに会えば、少しは思い出す
かもね」
「なあ、涼宮さん」
「なによ」
「俺、記憶なくす前は君のこと、名前で呼んでいたんじゃないか?」
「そうよ。なに、少しは思い出した?」
「いや、君のことを名字で呼んでいると、なんだかむず痒くてな。だから名前で呼んで
いたんじゃないかと思ったんだ。…だったらこれからは『ハルヒ』って呼んでもいいかな?」
彼女は、ほほをほんのり赤く染めると、
「好きにしなさい。あたしはどっちでもかまわないわ」
俺は、すでに彼女の素直じゃない言動にも慣れ、かえって好ましく思うようになっていた。

ハルヒに旧校舎まで連れられて、文芸部部室の前で立ち止まると、ここがSOS団という、
救難信号のような名前をした組織の部室だという。文芸部は乗っ取られでもしたのか?
部室に案内されると、中には3人の男女が、少し心配そうな顔で、俺の顔を見ていた。
1人目は朝日奈みくるさんだ。上級生でありながら幼くかわいらしい表情を見せ、それ
とは反比例するような、すばらしく大きな胸。彼女には外聞もなくみとれてしまった。
ところで、メイド服を着ているのには何か理由があるのだろうか?まあ、そんなことは
どうでもいい。俺はこのたおやかな花を愛でるためにこの部室を訪れたのだ。と、彼女
は俺をそんな気持ちにさせてくれた。
だが、俺の目があまりにも長い時間、朝日奈さんに向いていたことが気にくわないのか、
ハルヒはアヒルのように口をとがらせ、すねているようだ。
俺には彼女のそんな態度もかわいく思えた。
675キョンの忘失4:2006/08/03(木) 18:41:03 ID:rNuFSyYb
もう1人の女子生徒は、顔を上げず、淡々と分厚い本を読み耽っていた。彼女は顔の表
情も、口数も、そして体の起伏さえも極端にすくなかった。
だが、俺はこの女子生徒──長門さんに、悪い感情はまったく抱かなかった。彼女は
それが自然なのだと…俺の脳みそが、そう教えてくれた。

残る1人の男子生徒は古泉君だ。にこやかなハンサム顔。以上だ。なぜかこの男はこ
んな扱いでいいような気がしていた。

当然ながら今日一日で記憶が戻ることもなく、結局俺がしたことといえば、前に座って
いる古泉君とオセロをすることで時間を費やしただけだった。

下校時間が過ぎ、ハルヒの解散命令の下、俺たちは下校することになった。他の3人が
帰った後、ハルヒは俺を心配して、一緒に帰ることになった。
「キョン、あんたまだ正常じゃないんだから、一緒に帰ってあげるわ。感謝しなさい。
病院に寄るのならそこにもつきあうから。ほら、急ぐわよ」
などと、目をそらせながら、こんな素直じゃないことを言ったので、俺は不意に、彼女
を後ろから抱きしめたくなってしまう感情を抑えるのに苦労した。

こんな日を何日か繰り返し、今日は何日目かの放課後になった。
相変わらず俺の記憶が戻る気配はなかったが、それさえも気にならないほど、今の生活
を楽しんでいた。さらには俺のハルヒに対する思いも、日に日に高まっていた。彼女の
行動や、照れ隠しにしか見えないその言動を聞くにつけ、増幅された。
SOS団の部室に行く時間だが、今日はハルヒが掃除当番のため、俺が先に部室に到着した。
部室の中には古泉君が1人で座っていた。
「まだ他のみんなは来ていないのかい?」
「ええ、僕だけのようです。ですが、この機会を待っていました。あなたには少しだけ
お訊きしたいことがありましてね」
「ああ、いいけどなに?」
「ではズバリ訊きます。あなたは涼宮さんのことをどう思っていますか」
本当にズバリだ。しかし、こんなことを訊くとは古泉君もハルヒのことが好きなのか?
「いえいえ、そうじゃありません。純粋にあなたたちに興味がありましてね。あなたは
未だ記憶が戻らないわけですが、そんな今の状況で、彼女のことをどうお思いかと考え
てしまいましてね」

少し考えて、出てきた言葉を吐き出す。
「そうだね、ハルヒのことは好ましく思っているよ。いや、はっきり言ってこれは好き
だということかもしれない」
「本当ですか?それはそれは…、あなたからそんな言葉が聞けるとは、思ってもいません
でした。まさか記憶をなくしただけであなたがこんなに素直になるとは…、正直、驚嘆
の声をあげざるを得ません。この言葉を、記憶がなくなる前のあなたに教えたい気分です」
時折笑い声を漏らしながら、彼はそういった。どう考えても、この男はほめているよう
には思えなかった。というか、記憶を失う前の俺はいったいどれだけ捻くれていたんだ?

「それで、その気持ちをあなたは涼宮さんに伝えるつもりですか?」
少し逡巡した。思考がすぐにはまとまらない。
「どうだろう。この数日間の記憶や感情は、以前の記憶が戻れば消えてなくなるかもし
れないだろう?今の俺は、いわばかりそめの存在だ。そんな俺が、この気持ちを伝えて
いいものだろうか?」

「僕はこう思いますね。あなたは確かにおっしゃるように、かりそめの存在かもしれない。
ですが、残念ながら記憶が戻らないこともあり得るわけです。いえ、たとえ戻ったとし
ても、今のあなたがもつその思いは本物です。ならば、それを涼宮さんにぶつけること
は、決して記憶を失う前のあなたへの裏切りにはなりません」
古泉君はこんなに熱い男だったのか。だが、彼の助言によって俺はその気になった。
676キョンの忘失5:2006/08/03(木) 18:41:55 ID:rNuFSyYb
ルヒは、とまどいながらも覚悟を決めたようで、
「あ、あたしは、あんたのこと……」
と言いかけた瞬間、

ズガンッ

何かが落ちてきたような気がした。
俺の目の前は真っ暗になった。


「キョン!ちょっと、キョン起きなさいよ!」
誰かに怒鳴られ、揺さぶられて目が覚めた。
あれ、俺は…、そうだ俺だ。すべての記憶が戻り、把握した。
「ハルヒ、なにしてんだ?」
泣きそうになっているハルヒに、俺は気軽に声を掛けた。
「キョン、あんた大丈夫なの?」
「大丈夫?なにがだ?」
「どこかから、こんな本が飛んできて、あんたの頭に当たったじゃない!」
「さて、憶えていないな。ところでハルヒ、俺たちはいったい何をしていたんだ?」
「はぁ?あんたがあたしに…って、憶えてないの?」
「なんのことだ?俺は、お前に命令されて、買い出しに行ってからのことが思い出せ
ないんだ」

「ひょっとして、キョン。記憶が戻ったの?」
「戻ったも何も、俺は記憶をなくしていたのか?」
その後は少しパニックだった。
うれしそうなハルヒや朝日奈さん。長門はいつものように無表情だが、少し柔らかい感じ
がする。
古泉はどうでもいい。
その日はハルヒに病院に連れて行かれ、異常がないことを確認してやっと解放された。


その日の夜、俺は自室のベッドで考えていた。結局記憶喪失になった原因はわからなかった。
いや、一つの推論はあるが、それ以上考えるつもりはない。もうそれは済んだことだ。
ところで、記憶が戻った今の俺には、ハルヒに告白したという記憶は残っていないと、
彼女はそう考えているはずだ
だが、そうではない。俺の脳裏には、ハルヒへの想いが沸騰したあの感覚や、彼女に告白し、
彼女もまた、俺に何かを言おうとしたことも鮮やかに映し出されている。
つまり、記憶を失っていた期間に得た記憶や経験は消えなかったのだ。

677きょんの6:2006/08/03(木) 18:42:30 ID:rNuFSyYb
だが、俺はそのことを誰かに言うつもりは金輪際ないだろう。
今もハルヒに対する感覚が残っているかは、ノーコメントにさせてもらうが、あの感覚も記
憶も忘れないだろう。
SOS団の連中との関係が、今後どのようになろうとも。

だが、妹にハルヒとつきあっていると言われて、そのまま信じ込んでしまったことは、身
もだえするほどの恥辱を感じた。いずれ、妹をとっちめてやろう。

翌日、俺はSOSの部室で、俺の頭に落ちてきた本を書棚にしまっていた。
記憶をなくしていた俺がハルヒに告白したのは、この部室から見下ろせる木の下だった。
つまりここから何者かが本を落としたと考えるのが妥当だ。

そして、その本には見覚えがあった。

さて、誰だと思う?


終わり
678名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 18:43:34 ID:rNuFSyYb
>>677
タイトルミスった
キョンの忘失6です
679名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 18:53:27 ID:TWTaJIHy
>>675>>676の間は…?
680名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 18:56:00 ID:gti/THaz
読み間違いじゃなければ4〜5の間が吹っ飛んでるようなんだが。
き、気のせいじゃないよな?
681名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 18:58:24 ID:RQJFrFdn
「ハ」だけが抜けてるの?
それとも何行か飛んでるの?
682名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 19:02:48 ID:sATWW1sX
わざと飛ばしてるんじゃないかな?
そこらへんは妄想で補完しろってことか。
683名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 19:33:44 ID:tsMnVWYZ
んな無茶な…('A`)
抜けてる分うpやり直してくれよぅ…
684名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 19:33:46 ID:rNuFSyYb
もうしわけないコピペミスです

>>675-676 のあいだにこれがはいります

次の日の放課後、俺はハルヒを大きな木の下に呼び出した。
ハルヒは、怪訝そうな顔で、待っていた。
「よう、来てくれたか」
「なによ、言いたいことがあるんなら、部室で言えばいいじゃない」
今日はあそこで話すわけにはいかない内容だからな
「ふうん、なにかあたしに文句でもあんの?」
いや、その逆だ。
「へ?」
「ハルヒ。俺はお前のことが好きだ。おまえはどうなんだ?」
俺たちがつきあっている、つきあってないに関係なく、俺はハルヒから答えがほしかった。
「なっ、何言ってんの?あんた本気なの?」
「ああ、本気だ。答えをくれないか?」



スマンですorz
685名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 19:37:00 ID:cCa0rlxd
つまりアレか、長門が木の上に潜んでて、本を上から落下させたのかw
686名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 19:53:08 ID:rk0t9gVU
gj!
687名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 20:04:15 ID:rk0t9gVU
sage忘れた。スマソ。
あと保管庫に鶴屋さんネタって何があったっけ?
688名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 20:14:29 ID:t3R04bae
>>684
このSSの一番大事な部分だよな。まぁ乙
689名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 20:34:59 ID:KAYHF2+t
オーラ!コロス!
690名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 20:58:07 ID:osQ/4Z8T
ちょっとおまいら地球儀を解き明かしてみれくれんか
691名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 20:59:47 ID:GvDQWnbd
土 也 王 求 人 義

こうですか。わかりません><
692名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 21:03:21 ID:FUctnV9p
>>691
超解釈に吹いたw
書きかけのSSを完全させようか破棄して考え直すか迷走中…
693名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 21:11:53 ID:Hzofk7ly
あぶねぇ、いぬかみのED見て思考が止まってたぜ…

アレか?涼宮さんが望んだからと同じレベルの改変なのか?
694名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 21:12:27 ID:7bfZ/BZf
>>692
両方書けばいいと思うよ。
695名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 21:12:44 ID:/z0QD8v2
>>691
>>こうですか。わかりません><

↑は流行ってんのか?
696名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 21:29:21 ID:2DC1heq0
>>695
流行るも何も古事記の昔からの定説だ
697名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 21:34:18 ID:0W26TGER
「どうみても〜〜です。本当にありがとうございました」
って流行ってるのか?と聞かれたときのような心境だ。なんつうか、ヨソで訊いてくれ。
698名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 21:48:07 ID:1D8oYPLC
めがっさ恐ろしいものの片鱗を味わったにょろ!
699名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 21:50:00 ID:5uKCM768
>>697
ヒントつ夏
700名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 21:56:00 ID:CCHSl8aH
●「……」
701名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 21:58:23 ID:8h3irfKO
>>684
てっきりアスタリスクが介入した、
って表現だと思ってた。違ったのね(笑
702名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 22:43:05 ID:2GFWdXlM
>>699
「つ」か「ヒント」かどっちかにしろよw
703名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 22:47:54 ID:1utayZYQ
いかん、SSと関係ないところで夏がおもしろい
704名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 22:55:54 ID:ihEmefOR
なんかこのスレの住人はシニカルだな。
705631:2006/08/03(木) 23:04:08 ID:+DQJjHc+
>>656
グハッ、本当だ。閉鎖空間で修行してくる。
706ジョン・スミス:2006/08/03(木) 23:07:31 ID:EI/7EYxT
>>672-677+684
(^-^)=b
 /GJ!\
707名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 23:19:18 ID:19TYxXAv
なんかそろそろ次スレの時期か…
が、まだ容量もあるし早いかな。
とりあえずまた乱立しないように早めに立てるのもアリだけど、どうだろう。
708631:2006/08/03(木) 23:23:23 ID:+DQJjHc+
修行してきた。消失ネタじゃないけど投下。
709You mind fly:2006/08/03(木) 23:24:09 ID:+DQJjHc+

「遅い、罰金」
 学生達にとって貴重で短い春休みを潰した不思議探索日の朝。
 その日のハルヒの第一声はさっきの通りだった。
 ちなみに今は集合一時間前で、メンバーはハルヒしかいない。
 つーか別に俺が最後じゃないんじゃねえか。何でいきなり罰金なんだ。
「わたしより遅かったから。みんなを待つまでの飲み物ぐらいおごりなさいよ」
 全く持って理不尽な団長命令により、俺はいつもの口癖を心で呟きながら自販機へと向かった。


 人間、誰しも語りたくない過去はあるものだ。当然俺にだってある。
 俺が心で決めている誰にもいえない過去ベストスリーは、当然この三つだ。
 幼心に深い傷を負った従妹の姉ちゃんの事。
 どこぞのバカと閉鎖空間に突入し帰って来た事。

 そして俺がまだ妹にお兄ちゃんと呼ばれていた中学時代。
 ハルヒ並に忘れられそうもない、アイツと過ごしたあの一週間の事である。

 飲み物を買い終えハルヒの元へと戻る最中、俺はふとあの時の事を思い出していた。


710You mind fly:2006/08/03(木) 23:24:48 ID:+DQJjHc+
- * -
 五月三日、祝日。

 国木田と図書館で課題の共同作業を行う予定の為、いつもは行動範囲に入れていない公園のベンチで俺は一人奴の事を待っていた。
 傍には愛用の自転車。そして手には最近変な味と評判のジュース。
 興味を引かれ買ってみたのだがこれがまた期待はずれの味だった。
 全くもって変な味じゃないのだ。こんなの──

「こんなのただの薄いオレンジじゃない。あー、がっかり」

 俺の気持ちをまさに代弁したかのような台詞を吐き、ジュースを睨む少女がそこにいた。
 肩下まで伸ばしてるだろう髪をぶっきらぼうに頭の後ろでまとめ、薄緑のTシャツにデニムの短パンをはいた、どう見ても活動的な少女。
 異性に対しまだそんなに興味を持ってない俺だったが、そんな俺が見ても可愛いと思える少女だった。

「期待はずれもいいところ。何でこんなのでみんな騒いでるの?」
 同意する。俺にもさっぱり理解できん。
 同じジュースを飲み同じ感想を持った俺は、思わず少女の呟きに答えていた。
 少女が俺の声に反応しこっちを見る。
 まず俺の手元を見、そして俺の残念そうな表情を見てふと微笑むと
「アンタも騙されたクチ?」
 そう言って俺の隣に座ってきた。

「みんなが変な味って言うからさ、期待してたのよ。でもがっかり」
 俺も同じだね。もっとこう梅干とわさびととろろを混ぜたような、とにかくメチャクチャなものを期待してたんだがな。
「そう、それ! 誰も飲まないよこんなの! ってのを期待してたのよ、わたしも!」
 少女は笑い共感してくれる。その後二人で何を入れたらメチャクチャになるかで盛り上がっていると、ようやく国木田が向こうから手を振ってやってきた。

「やあゴメン、遅れちゃって。……あれ、その子は誰?」
 そうだな。変な奴、って所か?
「アンタだって十分変よ。まぁいいわ、ジュースは失敗だったけどあんたと笑えたから。じゃあね」
 ああ、それじゃ。そういって俺はその少女と別れ、国木田と共に図書館へと向かいだした。
 国木田が何で美少女といたのかと聞いてくるので、俺は手にしていたジュースを渡してやる。

「何、飲めって? ……うわ何これ、変な味。面白いの見つけてきたね」
 そう国木田が笑って告げてきたので、俺は先ほどの変な少女の話はしないことにした。


711You mind fly:2006/08/03(木) 23:25:27 ID:+DQJjHc+
- * -
 五月四日、祝日。

 俺は今日も公園で国木田を待つ。国木田は時間に几帳面でいつも時間通りにやってくる。
 約束の時間まであと三十分あり、つまりは俺は後三十分はここで待ちぼうけしなければならなくなった。
 どうも性分なのか、俺は早めに集合場所へ来てしまうクセがあるようだ。
 自転車を止め、適当に持ってきたジュブナイル小説を読みつつのんびりしていると

「あ、変な奴」
 両手に原色鮮やかなアイスバーを持ちながら、昨日の変な美少女が現われた。

「よぅ。今日は変なアイスか。でもそれただのソーダチョコ味だろ」
「そうね。ってやっぱりもう食べてたんだ」
 まぁな。何だかんだ言って踊らされてるのさ、俺も。
 少女が俺の隣に座る。後ろで束ねた髪が軽く揺れ、少女のちょっと怒った可愛らしさを更に引きだしていた。
「別に踊らされるのはいいのよ。でもその結果が面白くないってのが問題なのよ」
 何たって俺とコイツはこうも意見が合うのかね。
 アイスやジュースだけの話じゃない。中一の俺が見て面白くないと思える世界はどうかと思うよ本当。
 そういうと少女はわかってるじゃんと言いたげににやりと笑い、持ってたアイスを一つ俺に渡してきた。
 食べてみると、冷たく凍ったアイスバーは、俺と少女との会話中にちょっとだけ溶け始めていた。

「わたしが言うのもなんだけどさ、アンタも相当すれてるわね」
 お互いに面白さには飢えてるようだな。アイスバーを舐めながら俺も溜息を吐く。
 いっその事派手な事件とか起こらんものかと思うね。
「ええ。銀行強盗とか、殺人事件とか。そういう非日常を味わいたいもんだわ」
 いやいや、それだって日常的だと思うぞ。
 ニュースを三日も見てればその手の事件は常にどっかで起こってるからな。
「そっか……そうよね。こんだけ世界に人間がいたら、誰かしらは体験してるわよね」
 面白い物を求める人間は、世界だけじゃなくて人類の歴史も相手なのさ。
 例えば地球の秘境なんて物は過去の誰かによってほぼ踏破されてるわけだし。

「結局は、つまらない普通に生きるしかないのかな。
 他人と違う方向を向いても、それすら誰かが歩いた道でしかないなんて、本当につまんない」
「そうでもないぜ。不思議はまだ、ある」
 俺にしては珍しく力を込めて言ってしまった。その姿に少女がちょっと驚く。

「ある? 何処に?」
 それはだな──と言い掛けて、俺は言葉を止めた。
 果たしてこんな幼稚な事を言っていいもんかと思ったからだ。
 国木田やクラスメイトにそれを話せば
「はは、お前ってばまだまだガキだね」だとか
「もう中学だぜ? んなの卒業したよ」とか普通の意見が返ってくるほど幼稚な事だ。

「ねぇ、どうしたの? 面白い事は何処にあるの?」
 少女が少しずつ目を輝かせて言葉をせかす。
 俺が言葉に詰まり、さてどうしようかと考えていたら丁度助け舟がやってきた。
「やあ、待った? ……ってあれ、昨日の人じゃん。どういうことさ」
 どうもこうもない。それじゃ行くぜ。

「あ、ちょっと何よそれ! 独り占めするつもり!? そんなのずるいわよ!」
「……って言ってるけど、何の話?」
 今舐めてるアイスの話だ。だからお前は気にするな。
 俺は国木田にそう告げると、ばつが悪そうにその場を後にした。

712You mind fly:2006/08/03(木) 23:26:19 ID:+DQJjHc+
- * -
 五月五日、祝日。

 はてさて、相も変わらず俺が自転車を押していつものベンチに向かおうとすると
「やっと来たわね。待ってたわよ」
 約束もしてないのに、あの変な少女がベンチを先約していた。
 ってお前、俺が来なかったらどうするつもりだったんだ。

「どーせゴールデンウィーク中の課題かなんかしてるんでしょ?
 だったら今週いっぱいはここで会えるんじゃないかってね。
 それより喉渇いた。何かおごってよ」
 何で俺が。
「わたしを待たせたから。それに昨日アイスあげたじゃない」
 そう言って睨んでくるので、俺は仕方なく傍の自販機で「おいしい水」を買ってやった。

「女の子におごるのに普通「おいしい水」なんて買う?」
 普通はお断りだってお前が言ったんだろ。ありがたく飲めよ。
「うっ……まぁいいわ。問題は昨日の続きの方だし」
 ちくしょう、やっぱりその話を引きずるのか。
 こんな事なら待ち合わせ場所を変えておくべきだったぜ。
「言っちゃいなさいよ。アンタもそう思ってここへ来たんでしょ?」
 まぁ、そうなんだけどな。俺は観念してベンチの背もたれを利用して大きく伸びをした。

「……なぁ、お前が考える面白い奴や変な奴って、一体どんな奴だと思う?」
「え? 何それ。わたしが聞いてるのよ」
 いいから答えてくれ。
「んー、そうねぇ……。例えば冒険家とかかなぁ。何ちゃら探検隊みたいなの? やっぱ基本は冒険でしょ」
 まぁ普通はそう言うだろうな。俺は予想していた範囲の答えに更に頭を悩ませた。
 このまま話を合わせるか、俺の本当の意見を言うべきかどうかをな。

「何、違うって言うの? それじゃアンタの答えは何よ」
 うむ、聞いて驚け。俺の考える面白い事、それは──。

「宇宙人だ」
「…………は?」
 言ってみたら、やっぱり鳩が豆鉄砲を食らったような表情で少女が静止した。
「俺の知る限り、宇宙人にあった人類はまだいない。もしいたとしてもほんの一握りだろう。
 そんな奴らと出会えたら、メチャクチャ面白いんじゃないか、そう思っている」
 宇宙人だけではない。未来人や異世界人、超能力者、精霊妖怪その他諸々、この際悪の秘密結社や正義の味方だってかまわない。
 とにかく、そんなジュブナリア(子供向文学)に出てきそうな、なんとも不思議な超常連中と会えたならこんなつまらない世界もメチャクチャ楽しくなるのではないだろうか。
 俺はそう真剣に考えていた。

713You mind fly:2006/08/03(木) 23:27:20 ID:+DQJjHc+

「………………バカ?」
 あぁやっぱり言いやがった。チクショウ、もう二度とこんな事口にするもんか。
「かもな。んじゃま、そー言う事だ」
 自責と後悔を頭に回し、少しだけ視界を歪ませて。
 俺はそれだけ言って立ち上がると、自転車の鍵を外して帰ろうとした。

「でも」
 何だ。俺は今日受けたこの精神的苦痛をどうやって克服しようか真剣に思案中なのだが。
 そう言いながらちらりと少女を見ると、少女は何やら真剣に考え込んでいた。

「でも……確かにそれは凄く面白いかも。うん」
 ……何だって? 今度は俺が鳩が豆鉄砲を食らったような表情で静止した。
 視界を歪ませてた目の潤みもあっさりと引っ込んだ。

「宇宙人。そうよ、宇宙人や未来人や異世界人や超能力者なら確かに楽しそうかも!」
 一言だけ言わせてくれ。お前、バカか?
「バカって何よっ! アンタが先に言ったんでしょう!」
 あぁ言ったさ。でも宇宙人に未来人に超能力者に、とにかくそんな変な奴らだぜ?
「そうよ。そんな連中だからこそ、誰も体験したことない事を教えてくれるかもしれないじゃない!」
 夏に咲く大輪の花の様な笑顔を振りまき、両腕をぶんぶん振って俺の考えに同意する。
 何でもいいが俺の買ってやった水があたりにぶちまけられてるぞ。

「凄いわアンタ。わたしには全然思いつかなかった! この発見はノーベル賞モノよっ!」
 ノーベル賞はともかく、俺の意見に同意した時点でお前が変な奴なのは確定だな。
 折角可愛いのにもったいないと国木田あたりなら言い出しそうだ。

「じゃ、行きましょう」
 行くって何処へだ。大体俺は
「待ち合わせなんてしてないんでしょ。今帰ろうとしてたし」
 しっかり見て、しかも気づいてやがったか。それで何処行くんだ。
「まずはありきたりだけど図書館ね。相手を探すには、まず相手の事を知らなくっちゃ!」
 そう言って俺の自転車に近づくと、迷わず後ろに飛び乗った。

「さぁ、出発出発! 宇宙人も未来人も超能力者も待ってはくれないわよ!」
 何を待つのか知らんが、とりあえず楽しそうだな、お前。
 まぁ確かに、そんな笑顔を見せて楽しそうに待ってる奴がいると知れば、宇宙人や未来人が急いでやってくる準備を始めたり、超能力者が今この瞬間誕生してたりしててもおかしくなさそうだと俺は思うよ。
 コイツを驚かせて、コイツに驚いて。その結果はこの笑顔か。
 仕方なく俺は自転車に乗り、謎の変な少女を連れて一路図書館へと走り出した。

 少女と同じく、おそらく俺も笑いながら。

714You mind fly:2006/08/03(木) 23:27:51 ID:+DQJjHc+
- * -
 土曜日。

 朝も早くから、俺はあの公園で少女に会っていた。
「来たわね。それじゃ出発しましょ」
 今日は何処へ行くんだ。俺の問いに少女はさぁと首を傾げてから
「午前中はとにかく変なところを走りましょ。昼はこれ食べて、午後は図書館ね」
 ちょっと大きめのバスケットを自転車のかごに載せ、少女は俺の自転車の後ろに飛び乗った。
「さぁ、宇宙人探しにレッツゴー!」
 その意見は認めるが、恥ずかしいから叫ぶのは止めろ。


「宇宙人へのコンタクトってどうすればいいと思う?」
 新緑が少し深まりだした川土手の一角で、俺は少女とバスケットの中身を食べていた。
 サンドイッチなんだが、これが意外と美味しい。
「色んな物に手を出したからね。何か面白い事がないかって」
 料理の腕もその時身につけた物らしい。どんなパワフル少女なんだお前は。

「いいでしょ別に。それよりコンタクト方法よ」
 少なくともお前が今めくってる超常現象の本に書かれたような、とにかく怪しい儀式を何とか実践しても、全く無駄に終わると俺は思うね。
「どうして?」
 雑誌レベルで見つかる方法で宇宙人が本当に来るなら、今頃ニュースで特集組んでるよ。
 だから埋蔵金特番も結果は見つからないで終わるし、テレビの超能力者も手品師の上級職でしかない訳だ。

「言えてるわ。でもそれだと話が終わっちゃう」
 そうだな……手紙でも出せれば早いんだろうけどな。宇宙人さまへって感じで。
「サンタクロースとかじゃないんだから、どうやって届けるのよそんなの」
 それもそうだ。ところでサンタクロースまで信じてるのかお前は。
「全然、着ぐるみには興味ないわ」
 着ぐるみとはまた的を得た表現だ。確かにサンタには中の人がいるからな。

「宇宙から見えるぐらい大きなメッセージを書いたらどうかな」
 でもそれだと見てくれるかどうかが宇宙人次第になるな。
 だったらまだ星に願った方が早そうに思えないか。
「星に願っただけで宇宙人が来てくるなら、今頃アルタイル星人とベガ星人は大使館を造ってるわよ」
 それもそうだ。そういって俺たちは笑いあった。

 しかしアレだな。
 この春ウララな散歩日和にこうして中学生男女が並んで弁当食ってるというのに
どうしてこんな事を話し合っているんだろうね。

 結局この日は二人して、宇宙人や以下略とどう接触してどう遊ぶかを、
川土手から二人で移動した先の図書館が閉館するまで終始話して過ごした。


 そしてこれが、俺が見たその変な少女の最後でもあった。

715You mind fly:2006/08/03(木) 23:28:46 ID:+DQJjHc+
- * -
 次の週。
 俺がいつもの公園に行っても、そこにあの少女の姿はなかった。
 その次の週。この日もまた同じ。土日とも彼女はいなかった。
 俺は二週とも朝から夕暮れまで、一人公園で過ごすことになる。
 そんな俺の事を何処で知ったのか、国木田は国木田で「あれ、あの変な子とは終わっちゃったの?」などと言い出す始末。
 その上ぼろかった自転車が寿命を迎えてしまい、更に俺自身もたちの悪い風邪を引いたりしてしまった。


 それらが重なり、俺は待ちぼうけした二週を最後にこの公園に行かなくなった。

716You mind fly:2006/08/03(木) 23:29:56 ID:+DQJjHc+
- * -
 七月七日。

 今日は織姫ベガと彦星アルタイルに願いをかければ叶うという、全国的に他力本願七夕日和だった。
 あの変な少女と話した事を思い出し、俺は夕食を終えた八時頃、コンビニに行くという名目で家を出た。
 俺は誰にも見られたくないという考えの下、学区外に近い場所まで二代目自転車を走らせ、目的の物を探し出した。
 地域の自治体が子供対象に飾り付けを行った笹飾り。俺は誰にも見つからないようそこへ短冊を一つ吊るして帰った。

『みんなと遭えるように』
 ここで言うみんなが宇宙人なのか未来人なのか超能力者なのか。
 はたまたアイツのことなのか。
 そして誰と遭える事を願っているのか。
 俺は特に考えず、それだけを短冊に記した。

 考えないようにしていたが、吊るし終えるとやはり考えてしまう。
 アイツは今、一体何をやってるんだろうか。
 夢から醒め嘘が嘘だとわかり、俺に遭った事を恥じているだろうか。
 はたまた、感じるままに感じる事だけを追い求めているだろうか。
 空を見上げれば、晴れ渡る満点の夜空に天の川も二つの星も輝きをみせていた。



 少し余談になる。
 コンビニに行くと言って出た以上はコンビニに行っておく必要があるだろうと、
俺は帰り際に見つけたコンビニに寄り菓子を物色していた。
 そうしたら突然ジャケットを持った高校生らしき少年が店に突入してきた。
 時計を見ながら冷房にあたり、売り物の新聞を物色しては突然天を仰ぎ、
足を中心に全身がくがくと震え出したたかと思えばその新聞をぶち投げて
店を飛び出していくという傍若無人ぶり。

 ……何なんだありゃ? 新手のパフォーマーか何かヤバイ薬の副作用か?
 どちらにせよ、人間ああにだけはなりたくないなと心の底から星に誓った瞬間だった。

717名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 23:30:01 ID:1utayZYQ
規制解除の呪文を唱える。

>>707
7レス投下2つぐらいは池そうだけど、2つか。

と思ってたら投下が始まった。次は24章で。
718You mind fly:2006/08/03(木) 23:31:36 ID:+DQJjHc+
- * -
 そして現在。

 ……とまぁ、これが国木田が時々もらす「変な女」との全エピソードである。
 アイツとの関係は「男女の付き合い」なんかじゃなかった事は判っていただけただろうか。
 でもあの頃の俺にとって、アイツと会ってたあの時間が一番楽しかったのは認めよう。
 何故アイツが来なくなったのかは俺は知らないし、他人の過去を知るすべも俺にはない。
 そもそも俺もアイツもお互い名乗る事すらしてなかったのだ。
 当然、今アイツがどうしてるかなんて俺は知らないし、あいつも俺が今何をしているかなんて知らない事だろう。

 でももし、何かの拍子にアイツと出会う事があったなら、アイツに教えてやりたいね。
 俺は今、宇宙人と未来人と超能力者と、そいつらに負けないぐらいの超元気娘と、俺たちが面白くないと感じていたこの世界で、
今はおもいっきり楽しく遊んでるぜ、って事を。

 もしお前があの時のままなら、俺はお前に手を差し出してもいいと思っている。
 きっとハルヒも認めてくれるさ。だから──

 ──お前も、俺たちと一緒に歩いて行こうぜ。
 どうだい? 機会があったら、その胸の内の答えを教えてほしい。



 さて、何でこんなこっ恥ずかしいエピソードを思い出したかというとだ。
 俺は三年前アイツにしてやった事をこれからハルヒにもしてやろうと考えてるからだ。
 左手に持つのは、奴へのおごりジュースの「おいしい水」。
 これを見て奴が何て言い出すやらと、俺はあれこれ想像していた。


「あなたが涼宮さんに妙なことを思いつかせなければ……」
と、ちょっと前に何故かで聞いた誰かの言葉を何故か思い出しながら。
719You mind fly:2006/08/03(木) 23:32:32 ID:+DQJjHc+
以上っす。非エロですまぬ。

朝比奈さん曰く「三年前のその瞬間より前にはアクセス不能」。
しかしキョンと朝比奈さんは中学ハルヒに会いに行った。
つまりハルヒ覚醒は「三年前、ジョン=スミスと会う前のいつか」になる訳で、
でも三年前と言ってるから野球場のエピソードの時でもない。

じゃあXデーっていつなのさ? と思い書いてみた。

>>717
あ、すまん。
720631:2006/08/03(木) 23:33:25 ID:+DQJjHc+
ところで、変な女がキョンの同級生って描写あったっけ? そもそも中学生(当時)なのか?
もし同級生付近なら、国木田なら「変な女の子」って言うんじゃないかなと思ったんだが。

で、最初に思った「変な女」の正体は、実は全てを知った「未来のハルヒ」が規定事項の元、
まだ幼いキョンに対して不思議好き少年にする為ちょっかいかけに来たのかな、と。
実はハルヒもキョンに対し「逆・笹の葉」をしていた訳だ。そして帰りに一騒動。


「有希、わたしよ。開けてー」
「…………」
「未来のアンタに頼まれた写真、持ってきたわよ」
 ガチャン。
「入って」
「ありがと。はいこれ。ところでその写真って何が写ってるの?」
「禁則事項」
「ねぇ、このフスマ開かないけど奥に何があるの?」
「禁則事項」


……こんな感じで。
721名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 23:36:02 ID:1utayZYQ
>>719
こちらこそごめん。まだ60kbちょっとあるから気にせず。
解除がメインだったのに、なんか皮肉っぽくなってしまった。
投下乙。これから読ませてもらう。
722名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 23:36:27 ID:19TYxXAv
>>719
なるほど、変な女=ハルヒ設定か
ありがちだけどその発想は思いつかなかったな。
谷川が書きそうなエピソードをありがとう
GJ

あといつでも次スレ立てれるよう準備はしとくか…
723名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 23:43:28 ID:c0D3inPt
>712
>やっぱ基本は冒険でしょ
グッときたぜ!
724名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 23:49:36 ID:3MYF9Lg/
GJ!イイ!!

そして投下
725『デート・タイムおまけの4P』:2006/08/03(木) 23:54:11 ID:3MYF9Lg/
「大きい…」
ハルヒが息をのむ。
「こ、これは想定外ね。古泉くんが『マグナム』だって言ってたけど、こんな…」
「改めて、すごいですぅ…」
長門が背伸びしている息子を手に取った。
「……挿入」
「ち、ちょっと有希ずるい!あたしも欲しいのにっ……ってあれ?有希、もうイキそうなの!?」
まあ、バ×ブを二時間も入れてたら当然か。長門はビクビク体を震わせて歓喜の声をもらす。
「はあっ、あん!あああっ!!……はぁ……はぁ」
長門が俺の耳に囁く。
「……大好き」
左手に抱かれた長門が、俺の口付けを求めている間にも、ハルヒと朝比奈さんは愚息の奪いあいだ。
「あたしはもうヌレヌレですっ、いつでも入れますぅ!」
「あ、あたしだってビショビショよっ!あ、こら、キョン!」
右手を伸ばしてハルヒの股間をいじくる。なるほど、ビショビショだな。その隙に朝比奈さんが俺に跨った。
くねる腰の動きが俺の息子をいたぶる。朝比奈さんは光惚とした表情であえいでいる。
「ふぅんっ…キョンくん、すごいですぅ……あん、おっきい……はぁん」
「キョン、も、もっと指動かしなさいっ!」
ハルヒ、顔真っ赤だぞ。
「……触って」
上気した長門の表情がエロい。
俺は体を入れ替え、三人をよつんばいにさせた。真ん中の朝比奈さんを突きながら、ハルヒと長門をいじくる。
「ひっ、きゃうっ、きゃうんっ、キョンくん、あふっ!」
「あんっ、キョン…あたしもキョンの欲しいのお」
「キョンく、んあ、あああああっ!!」
朝比奈さんが達してピクピクしている。俺は抜き取った息子をハルヒに突っ込む。平気か、痛くないか?
「平気よっ…で、でも変になっちゃう…おかしくなっちゃうよっ、キョン!ああんっ」
ハルヒに叩きこむ俺に、長門が後ろから抱きついてきた。俺の口を塞ぎながら、自分のを手で慰めている。そっと片手をあててやると、嬉しそうな溜め息を漏らす。
「ハルヒ、俺、もう…」
「キョン、…あたしも、もうっ…ああ、んくぅっ!!」
ハルヒが脱力して床に倒れ込むのと、息子が解放されるのが同時だった。ビクビクと動くハルヒの尻に白い液がかかる。

とまあ、たっぷり絞られた訳だ。
これを一晩中だからな。最後は朝比奈さんが壊れていた。ともあれ、三人が満足してくれたお陰で、俺も古泉に差し出されずに済みそうだ。

「デート・タイム―古泉一樹の場合―に続きます」
こら、嘘つけ、このホモエスパーめ。
おわりだ、おわり。
726名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 00:07:22 ID:WCNFRfJa
>どちらにせよ、人間ああにだけはなりたくないなと心の底から星に誓った瞬間だった。

3年では願いは届かなかったかwww
727名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 00:11:59 ID:J2mzS0dI
>>725の最後が自分へのフリに見える件について
728ジョン・スミス:2006/08/04(金) 00:13:34 ID:Ke79Qkyr
なんか文才がありあまってる人が
多い気がする・・・・・。
729名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 00:19:32 ID:F36Vfmkn
>>725
どうしてお前はそんなエロSSをかけるんだ。 普通に嫉妬。
そんな俺もエロSSを書こうとしたが、途中でこっぱずかしくなって断念。
ウラヤマシス
730名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 00:26:04 ID:QHEOCNPt
読んでて恥ずかしいのが快感に感じるようになると、書くときにも気持ちよくなっていくよ
731名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 00:34:55 ID:LKX+ycNF
古泉編期待してもいいかな、かな?
732名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 00:43:15 ID:mGr59esI
「変な女」って、原作では結局
最後まで語られないような気がする。
「赤い洗面器の女」みたいに。
733名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 00:44:06 ID:bfqF2I65
まあそれはそれで色々妄想できていいんだけどな
734名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 00:50:31 ID:F36Vfmkn
とりあえず半分眠りながら書いた小ネタを落としてみる。
何か長編書いてるうちに頭の中で朝倉or鶴屋さん×古泉のカポーになりつつあるんだが…


『放課後誰もいなくなったら、一年五組の教室に来て』
下駄箱を開けてみたらこんな手紙が入っていました。 差出人は不明ですか…
筆跡を見る限り涼宮さんではないことは確かですが、朝比奈みくる、長門有希、そのどちらとも思えないですね。 直接話せばいいですし。 まさかキョ…
まぁ、敵対組織による罠の可能性も否定できませんが、それに乗ってみるというのもアリでしょう。

とりあえず放課後すぐに行くのも考え物なのでしばらく部室で時間を潰すことにしました。 実は神人が出現しているんですが、他の皆さんで片付けれるでしょう。 たまには僕もサボりたい時もありますよ。
キョン… 君とオセロで勝負をしてみたのですが、ものの見事に勝てませんでした。 やっぱり勘ぐりすぎですか?

ふと時計を見ると5時半。
「すみません、僕はそろそろこの辺で…」
「そうか、じゃあな古泉」
ちょうどいい頃合と思ったので断りを入れて教室に向かうことにしました。

五組の教室に着き、待っていたのは意外な人物でした。
「遅いよ」
確か長門有希と同じTFEI、朝倉涼子でしたね。
「よく分かってるじゃない。 じゃあ何で呼ばれたか理由は分かる?」
僕は肩をすくめました。 正直言って僕に何かあるのでしょうか?
「さぁ、何のことだか見当もつきませんね」
朝倉涼子が教卓から降り、こちらに近づいてきた。 何をする気でしょうか…
「人間はさあ、よく『やらなくて後悔するよりも、やって後悔したほうがいい』っていうよね。 これ、どう思う?」
「どうでしょう。 まさか僕を殺して閉鎖空間を潰させない気ですか?」
「それは無いわ。 あなたが死んでも代わりがいるもの」
微妙にどこかで聞いたことのある台詞ですね。
「では何の用があるんでしょうか?」
「あなたと付き合って、涼宮ハルヒの出方を見る」
不覚にも一瞬唖然としてしまいましたね。
「じゃあ既成事実を作らなきゃね」
その言葉と同時に周りの空気が変わったのを感じました。 まるで閉鎖空間のような雰囲気です。
しまった と思ったときには廊下や窓が灰色の壁に変わった後でした。 我ながら情けない。
「じゃ、ヤるわよ」
まずいですね。 このままでは涼宮さんにどんな顔をして会えばいいのやら…
「別の場所に行きませんか? これでは殺風景すぎますよ」
「うん、それ無理。 周囲の情報封鎖と空間閉鎖に力を使ってるのよ。 これで邪魔は入らないわ」
ダメですか… ってソコを触らないでください。
「ふふ、硬くなっちゃって…」
あぁ、そうやって握らないでください。
なぜかその後の事は記憶にありません。 いや、思い出したくもありません…


それから長門有希が助けに来たのは5時間後のことでした… もう文字通り精魂尽き果てました。
「もしかしてずっと見てました?」
「………」
735名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 00:54:51 ID:F36Vfmkn
改めて見直すとこれは…
見直さず投下したのを後悔している。
736名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 00:58:15 ID:mGr59esI
まあ、ハルヒだったら全力で応援してくれそうだよね
737名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 01:03:31 ID:JYmpZ9C+
>>725
古泉に行くんじゃない!!
「行為の最中、ドアの隙間から覗く人物が居たのに気付いていなかった」編か
「翌朝3人といっしょに玄関から出るのを、髪の長い女性に見つかってしまった」編に
続けるんだ!!
738名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 01:04:02 ID:F36Vfmkn
【涼宮ハルヒ】谷川流 the 24章【学校を出よう!】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1154620911/
とりあえず早めに立ててきた。
739名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 01:08:45 ID:eL/a2Ilb
ら抜き言葉が入っているだけで読む気がうせるのは俺だけか。
『見れる』程度ならまだ許せるが、
『片付けれる』は許せん。
740名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 01:09:04 ID:tn2wfYcm
>>738
             -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
             / /" `ヽ ヽ  \
         //, '/     ヽハ  、 ヽ
         〃 {_{`ヽ    ノ リ| l │ i|
         レ!小l●    ● 从 |、i|
          ヽ|l⊃  r‐‐v ⊂⊃ |ノ│  めがっさ乙にょろ
        /⌒ヽ__|ヘ   ヽ ノ   j /⌒i !
      \ /:::::| l>,、 __, イァ/  /│
.        /:::::/| | ヾ:::|三/::{ヘ、__∧ |
       `ヽ< | |  ヾ∨:::/ヾ:::彡' |
741名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 01:16:21 ID:M27Cy1vr
>>725
エ〜クセレンッ!(←ジル・ベッソン風に)

>「古泉くんが『マグナム』だって言ってたけど」
いつどこから覗いたんだ古泉!

>「デート・タイム―古泉一樹の場合―に続きます」
古泉自重しろw

>>735
朝倉さんは何を言っているんだw

>>736
恋のライバルも減るしな! この場合のライバルは当然古いz
742名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 01:16:32 ID:JQKxVjMF
キョンは変な女に対して年賀状を出そうかとか言ってなかったか?
743名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 01:20:50 ID:7shfHdP0
>>742
なんか引っかかると思っていたら、ソレだソレ!
喉のつかえが取れました
744名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 01:21:35 ID:sCpUzwMg
設定上、古泉にら抜きはちょっと厳しいかもね。
逆に例えば妹ちゃんならむしろ使うほうが自然。ケースバイケース
745名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 01:40:25 ID:gMKrzxgX
>>725
GJです!しかしペース速いなぁ……

>>742
あぁなるほど。ソレ忘れてた。
746名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 01:46:06 ID:d7fXMbbq
>>732
それ、なんて古泉の畑?
747名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 01:55:58 ID:Gp+V6Mmv
やっぱエロSSは最高だな
GJ
748名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 02:17:12 ID:sH4hM776
良作ラッシュや新スレ移行の流れを読まずに、長門モノを失礼します。

8レス予定。僅かながら本番アリ。バッドエンド風なので、スルー推奨。
749名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 02:18:06 ID:sH4hM776
たとえば市民プール。
ハルヒが冗談で買い与えた、大胆なセパレートの水着。
それを律儀に着てきたこいつの、白く細い身体を目にしたときからか?

たとえば夏祭り。
浴衣に揃え、決して長くない髪を器用に編み込んできた。
そのいつもとは違う髪型と、綿菓子を食べる幼い仕草に当てられたのだろうか?

たとえばセミ取り。
暑さにバテて木陰に座り込んだ俺の横に、黙って腰を下ろしてきた。
麦わら帽子の下、何を見ているのか知りたくて視線の先を追ったこともあった。

たとえば図書館。
宿題の資料を探しに行くのに、こいつを誘った。
冷房の効く静かな館内で、ふと隣に誰もいないような錯覚を覚えた。
振り向くと、切り取られたような空間で、黙々と文字を追う瞳。
ページを繰る手がぴたりと止まり、こちらを見て呟いた。
「……なに?」

たとえばいつもの喫茶店。
ハルヒがこれからの予定を話しているときに、ふと視線を向ける。
黙って紅茶を飲む姿を見て、不思議と心が安らいだ。

たとえば何でも無い日の夕方。
ヒグラシの声が響く中、自転車を押しながら二人で道を歩いた。
突然降り出した夕立に、慌てて近くの庇に逃げ込んだ。
黙って服に付いた雫を払う姿。湿った髪の毛が頬に張り付いた横顔。
何万とも分からない雨滴が、アスファルトにぶつかり音を立てる。
すぐに晴れた空は橙色に染まっていて、再びヒグラシの声が聞こえてきた。

たとえば別の何でもない夕方。
違和感に捕らわれて相談した俺に、お前は答えを返してくれた。

一万五千四百九十六回目の二週間。

笑うしかない、あまりに馬鹿げた繰り返し。
六百年分のリセットと、独りでその時間を蓄積し続けた小さな身体。
「役割だから」と答えたお前の顔に寂しさを見たのは、俺の都合の良い勘違いだろうか?

どれもが日常の中に埋没する小さな日常でしかなかった。
けど、どれもが分岐点で、どれが抜けてもここに辿り着きはしなかっただろう。
一万五千四百九十六回目に起きた偶然の重なり。

次に重なるには──、はたして幾度の繰り返しが必要だろうか。
750名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 02:19:21 ID:sH4hM776


              『 長門有希の妄言 』
               Outlier / Aug. Liar



頭がおかしくなりそうだった。魅せられたように、ただその細い身体を貪った。

驚くほど細い手足にクラクラした。驚くほど滑らかで白い肌にクラクラした。
なだらかな起伏は、驚くほどに柔らかい。触ればどこまでも沈んでいきそうだった。
ガラスよりも透き通った黒い瞳は、こんな時にもかかわらず冷静だった。
喘ぎ声一つあげない、身動き一つしない、ただ黙々と俺を受け入れている。

──その人形のような姿に、ゾクリと背徳的な快感を感じた。

「……っ、…………っ、長門……、」

下半身の一部だけの接触が、全身に信じられないほどの快感を伝えてくる。
脳みそまでもがドロドロと溶けてしまいそうだった。
その快楽をさらに得ようと、獣のように腰を振り続けている。

──その一方で、頭の片隅に妙に冷静な俺がいた。
そのもう一人の俺は、罪悪感で押し潰される寸前だった。
長門を犯している俺がいる。
そのことに罪悪感を感じながら、快感に抗えないでいる。
……違う。
そうやって冷徹な振りをして、ただ逃げているだけだ。

「…………き、……っ────……有希、っ!」

吸い込まれそうなほど黒い瞳が、冷静に俺を観察している。
その瞳の奥は、あまりに深く広大で、望遠鏡で覗いた夜空とオーバーラップした。

「、有希、……有希っ、……────有希っっ!!」


──── そして俺は、長門有希の中に果てた。
751名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 02:20:41 ID:sH4hM776
……
…………

……意識がぼんやりとしている。
暗闇の中で、チカチカと白く輝く星が渦を巻いている。
立ち眩みのような虚脱感と、墜落中のような浮遊感があった。

まず、煩いほどの呼吸音の出所が自分の口だということに気付いた。
そうなると、この煩いエイトビートは俺の鼓動だろう。

そこまで認識して、ようやく俺が半裸の長門に覆い被さっているという現状に気付いた。


今すぐに退いて、謝らなければいけない。そう思う。
しかし身体は意に反して──あるいは正直なのだろうか、俺は長門の身体を抱き締めていた。
どうせもう二度と触れないのだ、半ば自棄気味に細い身体を抱き締めた。

「……長門、スマン」
「いい」
レイプという最も非道な行いをしておきながら、俺の口から出た謝罪はそれだけだった。
それでも長門は許してくれる。
というより、もともと気にしてないのだろう。
白状しよう。
行為に及ぶに際して、長門ならば許してくれるという無意識の醜い打算があったはずだ。


長門の家に来たのは、宿題を手伝って欲しいという名目だった。
実際、すぐ横のテーブルの上には何とか終えることができた宿題が乗っている。
そのままお礼を言って帰るべきだった。
なのに俺は欲望に負けて──長門を押し倒して──そして────、

「気にしないでいい」
すぐ耳元から長門の声が聞こえる。
不思議だ。なぜ被害者である長門が、加害者である俺を慰めているのだろう。

俺はまだ長門を抱き締めたままだ。
触れた部分を通して、長門の体温が伝わってくる。
冷たい印象を持っていたが、予想していたよりも、ずっと暖かい。
いつまでも手放したくない。
しかし、またも身体は意に反して、ゆっくりと腕を解く。
752名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 02:22:07 ID:sH4hM776
長門から離れると、ぽっかりと何かが抜け落ちたような錯覚を覚えた。
身体を起こして、床に直接座り込んだ。

長門も身体を起こすと、俺の前に座り込んだ。
はだけたままのブラウスを直そうともせず、無表情に俺を見つめてくる。
その様子に、いつもと違うところはほとんど無い。

ただ一点だけの違い。いつものように正座ではなく、脚を崩して座っている。
陰になって見えないが、あの脚の間に、俺は身勝手な欲望を吐き出した。

「気にしないでいい」
俺の視線に気付いたのか、長門は先程と同じ言葉を繰り返した。

「夏休み中に、あなたがわたしと性交に及ぶ確率は十のマイナス五乗オーダー」
……そんなことまで確率的に出せるとは、まったく敵わない。

長門は一度そこで言葉を切った。
わずか数秒だが、沈黙が部屋を支配した。

一瞬だけ、長門の瞳が揺らいだ気がした。
それはまるで、これから言うことを躊躇っているようだった。
その真偽を確かめる間もなく、長門が再び口を開いた。

「だから一万五千四百九十六回のループにおいて、今回のシークエンスも、異常ではない」

ぐっと胸が締め付けられた気がした。
目の前が暗くなる。どんな非難の言葉よりも重く、俺の上にのし掛かる。

今回の出来事は、一万五千四百九十六回目に起きた、単なる偶然の重なりに過ぎない。
長門にとって、特別と呼べることではない。

俺はどんな顔をしていただろう。きっと世の中で最も醜い笑顔だっただろう。
目の前に鏡があったら、すぐさま叩き割ったに違いない。
そしてそれすらも、長門にとっては、どうでもいいことなのだろう。
753名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 02:23:50 ID:sH4hM776
「でも、ひとつだけ分からないことがある」
初めて長門の表情に変化が現れた。
それは普段から長門を見ていなければ分からないほどの小さな変化だ。

「性交の最中、あなたはわたしを長門ではなく有希と呼んだ。なぜ?」

──答えに詰まった。
長門が分からないことだから、どんな難問かと身構えていたのに肩透かしだった。
しかし、改めて問われると、どう答えて良いか分からない。
答が無いわけじゃない。
ただ、どう伝えて良いか分からない。
うまく言語化できず、どうしても情報伝達に齟齬が生じる気がする。

そこまで考えて、デジャビュを感じた。
何てことはない、すぐにそのオリジナルを思い出した。
まだ長門が眼鏡を掛けていた頃、栞に書かれた呼び出しで、初めてこの部屋に来た時のこと。


『うまく言語化できない。情報の伝達に齟齬が発生するかもしれない。でも、聞いて』


俺のどこにこんな記憶力があったのかと思うほどに、鮮明にセリフが再生された。

続けて、様々な映像が溢れ出した。
初めての出会いから、つい先程の過ちまで、長門有希に関わるあらゆる出来事。
その一つ一つのフェーズで、俺の中に何かが降り積もっていったのだろう。

どれもが日常の中に埋没する小さな日常でしかなかった。
けど、どれもが分岐点で、どれが抜けてもここに辿り着きはしなかっただろう。
長門有希に出会ってから今までに起きた、奇蹟のような偶然の重なり。

無性に嬉しくなって、思わず笑ってしまった。
仕方ないだろう。
すべてを解き明かしてしまう、魔法の言葉に気付いてしまったんだから。

俺は長門に告げた。
それは長門が困るであろう、論理破綻したファジーな回答。


────お前が好きだからという、身勝手で偽りの無い、想いの告白。
754名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 02:25:05 ID:sH4hM776
「…………そう」
予想していたが、長門の返答はあっさりしたものだった。

仕方がない。
長門は気にしなくていいと言ったが、俺は長門を犯したのだ。
そんなレイプ魔に、誰かに告白する──誰かに恋をする権利なんて無いだろう。
さすがにこれには長門も呆れたかもしれない。

しかし、続く長門の言葉は、予想しないものだった。

「……もう一度、呼んで欲しい」
思わず聞き返してしまった。
長門は何も言わない。黙って俺を見つめてくる。

無言のプレッシャーに押され……改めて、愛おしい二文字を口にした。
拷問に等しい恥ずかしさだった。

次の瞬間、俺の唇に、柔らかい何かが触れていた。
すぐゼロ距離の位置に長門の顔がある。
いつも変わることのない黒い瞳は、今は閉じられていて見ることが出来ない。

俺も目を閉じた。
レイプまでしておきながら、これが長門との初めてのキスだった。


──ゆっくりと唇が離れる。
氷柱のような長門の瞳から一筋だけ、雪解け水が伝い流れていた。

「……あなたに抱かれたとき、嬉しかった」

それは初めて長門の口から聞いた、長門自身の感情だった。
────そして初めて見る長門の笑顔は、哀しいほどに澄んでいた。


「わたしも、あなたのことが────、」




755名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 02:27:12 ID:sH4hM776

「キョンくん、あっさだよー! ……きゃふ!!」

ぼふん、と朝っぱらから元気に布団にダイブする妹。
嫌な予感がして寝返りを打ったすぐ横に、妹の身体が墜落した。
あぶない間一髪。避けなければ今頃俺はプランチャーの餌食だ。

「もー、キョンくん、避けないでよー」
身体を起こした妹が、ふくれっ面をする。
まったく、ラジオ体操なんぞに行っているせいで、朝からテンションが高くて困る。
おちおち感傷にも浸れないじゃないか。

…………おい待て、何で朝から感傷になど浸らなくちゃいけないんだ?

「どうしたのキョンくん、変な顔ー」
不思議そうに覗き込んでくる妹の顔に、一瞬、他の誰かの顔が重なった。
それが誰だか分からないまま、勝手に口が動いた。


「雪? キョンくん、今は八月だよ?」
……いや、それぐらい分かってる。あまり兄を侮るんじゃない。憐れむ目で見るな。

「おかーさーん。キョンくんがー夏休みボケしてるよー」
一階に下りていく妹の声を聴きながら、布団から起きあがった。
そのまま窓に向かい、外の様子を見る。
北半球中緯度に位置する弓状列島は、眩しいほどに夏真っ盛りである。
こんな時間からセミがじーわじーわと喧しく、太陽も核融合に余念がない。

今日も暑くなりそうだ……いや、既にもう暑い。
こんなことじゃ、雪なんて仮に降ったとしても、すぐに溶けて消えてしまうだろう。
まるで一夜の夢のように……

「──真夏の夜の夢か? ガラじゃないだろ」
思わず口に出してしまい苦笑した。
気持ちを切り替えるためカレンダーに目を移すと、夏休みもあと二週間である。

終盤戦か。どうせあいつのせいで無駄に密度の濃いことになるんだろうな。
その内、呼び出しの電話が掛かってくるだろう。
それまでは高校生らしく、寝っ転がってダラダラと大して興味のないテレビでも見るとしよう。
756名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 02:27:57 ID:sH4hM776
ハルヒによる馬鹿げたループに付き合わされていたと知るのは、それから数日後のことである。
幸い一万五千四百九十八回目にして、ようやく無事に循環の輪から抜け出すことに成功した。
予想通り無駄に激しく、密度の濃い二週間だった。
……まあ、それなりに楽しんだがな。

それまでの一万五千四百九十七回の二週間の記憶はすべてリセットされている。
機会があるなら、その時々の俺に訊いてみたいと思う。

お前の過ごした二週間はどうだったかと。





                 ──── そう思った瞬間、なぜだか胸の片隅が、チクリと痛んだ。

                        その痛みも、残り雪のように、すぐに溶けて消え去った。
757名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 02:35:34 ID:bfqF2I65
全俺が泣いた
758名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 02:39:56 ID:O7sucSlk
BADENDは苦手なのだが、
このSSは後味が悪くなくて良いな。
759名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 03:05:25 ID:lr7FEab4
今晩はいいものたくさん読めて、うれしい。719と756には驚いた。
760名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 05:08:59 ID:ae5XX2x6
>>720
正確には同級生という描写はない。
ただ、国木田と中河の話を総合すると、中3の時に他人から見てつきあっていると誤解されるほど
仲のいい女友達がいたことは確実。
中学卒業以来会っていない、とキョンが言っているのと合わせると普通に同級生だったと考えるべきでは。
761名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 05:30:03 ID:8V+p9Rp+
>>760
わかってないな。
ifを書くのがパロディだろ。
762名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 05:37:46 ID:1TQYtJSY
>>720
キョンは変な女の居場所を今でも知っている件はさておいても、
それほど克明に覚えているのに、何故気が付かないの……?
って点で違和感を感じてしまいました。

>>756
なんてものを読ませるんですか!
朝っぱらから、しんみりしてしまったじゃないですか GJ!
763名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 07:37:49 ID:3lt2l08Y
>756
汚泥を雪で隠したような文章も、たまになら珍味
76422-117:2006/08/04(金) 09:29:10 ID:GPj7k0O1
なるほど、まだ埋まってなかったのね。
投下させていただきます。
ちょっと長くなったので、前後編の前編。
6レスほど。
765あなたに伝えたい(前編):2006/08/04(金) 09:30:43 ID:GPj7k0O1
わたしの最も深いところで、彼の熱さが脈動する。
 そんな彼をわたしは全身で抱きしめる。
 もっと奥へ、奥へと誘い込む。
 もっとふれあいたい、肉体の限界がもどかしい。
 ふたりの間にあるもの、すべてが溶けてなくなってしまえばいいのだと思う。
 でも、この境界が、彼とわたしを存在させているものなのだ。
 それがなければ、彼とふれあうことはできない。
 ジレンマ。
 彼の熱さが与えてくれる、快楽に身をゆだね、思考を意思から解き放つ。
わたしは二度目のオルガスムに至った。
「長門、気持ち良いか?」
 彼が耳元で囁く。
「先程、二度目のオルガスムに達した。もう少しで三度目がくる」
 羞恥の感情、それが快楽を強くする。
「一緒にイクか」
 彼が抽送を速くする。
 彼が動きやすいように、絡めていた足を離し、腺液の分泌量を増加させる。
 彼の動きに合わせて、わたし達の接合部から粘質の水音がした。
「な、長門っ!」
「きて」
 彼が強く腰を打ちつけるのと同時に、わたしは膣を強く収縮させた。
「うっ」
 彼の呻く声とともに、わたしの奥で、彼が暴れまわった。
「……長門」
 彼の左腕が、わたしの背中に回り、右腕がわたしの頭を抱きしめる。
 肌越しに感じる彼の鼓動が、わたしの中にある彼の脈動が、わたしを幸せの色に染め上げるのだ。
766あなたに伝えたい(前編):2006/08/04(金) 09:31:24 ID:GPj7k0O1
浴室、風呂。
本来ならば、身体を清潔に保つための施設である。
しかし、わたし達はそれ以外の用途にも使っている。
「長門、痛くないか?」
 彼が正面の鏡越しに聞いてくる。
「大丈夫。もう少し強くしてもかまわない」
 泡に包まれた、彼の指がわたしの肌の上を滑る。
 彼は、わたしの胸の先端に対する刺激方法について聞いてきたのだ。
 わたしの返答を聞いても、こわれものを扱うような優しさが消えない。
 嬉しいけど、もどかしい。
「…………もっと、強くしてほしい…」
「了解、俺のお姫様」
 鏡越しに、彼が笑う。
 焦らされた。
 かすかなくやしさが胸をよぎるが、彼の指によって与えられる悦びに身をゆだねる。
「ふう」
 彼が深く息をつく。
 先程から腰に当たっているものがあるが気にしない。
 焦らすのは、わたしの番。
「長門」
「なに?」
「いや、悪かったって」
「なにが?」
「……ごめんなさい」
 わたしの勝ち。

767あなたに伝えたい(前編):2006/08/04(金) 09:33:03 ID:GPj7k0O1
鏡に向かって、手をつき、膝をつく。
 この浴室にある鏡は、彼に言わせればおかしいらしい。
 浴室にある鏡は、洗顔や洗髪のときに利用するものである。
 だから、この足元まである大きな鏡はおかしいのだと。
 でも、そのようなことは重要ではない。
 この大きさがあれば、膝と手をついた状態でも、後ろにいる彼の顔を見ることができるのだ。
「長門」
 わたしの腰を掴み、彼が笑う。
 その笑顔は、征服欲、情愛、さまざまな感情の入り混じったカオス。
 鏡には、わたしの顔も映っている。
 無表情。
 その顔は、人類の持つ顔の基本情報以外の情報を、なにも発していない。
 つまり、わたしの顔を見て何かを読み取ると言うことは不可能なのである。
 だけど、
「どうした、長門?」
彼には、
「また、考えていたのか、困ったやつだな」
 彼は笑って、わたしを抱き上げる。
 ……困ったやつ。
「ほら、また落ち込む。困ってなんかないぞ」
 わたしを抱きしめる。
「別に、焦らなくていいんだ。お前はお前なんだから」
 耳元で囁く、彼の声が優しくて、
 嬉しくてせつなくて、
 わたしは涙を流すことにした。
 ありがとう、わたしは世界で一番幸せな宇宙人です。

768あなたに伝えたい(前編):2006/08/04(金) 09:33:36 ID:GPj7k0O1
話はわたし達の初夜にまで遡る。
 初夜。
 彼とわたしの間におきた出来事を表す言葉は数多あるけれども、その中でも、最も美しくふさわしい言葉だと思う。
「長門、お前がほしい」
 最初、その発言は、いつもの甘い言葉遊びだと思った。
 だから、わたしはこう返答したと思う。
「わたしはあなたのもの」
 そうすると彼は、いつにない荒々しさで、わたしを抱き寄せてこう言った。
「違う。お前が欲しいんだ。お前を抱きたい」
 この発言の衝撃によって不安定になったわたしのシステムの記憶は、やや不確かである。
 その言葉や、これから起こるであろう出来事は、付き合い始めたときに予測したものの、一番可能性が低いと考えていた事象だった。
 彼の性的嗜好は、成熟した性的魅力にあふれる女性であるし、残念ながら、わたしはそのどちらも欠けている。
 それに、彼のわたしに対する感情は、困難な問題をともに解決したパートナーに対する信頼や、社会経験の少ない未熟な存在に対する庇護の感情の延長線上にあるものと分析していた。
 彼の性格からいって、わたしに性愛をいだく可能性は低いと考えていたのだ。
 わたしでいいの?
「いい。いや、お前じゃないとだめだ」
 心が歓喜に震える。
わたしが求め、彼が応える。
彼が求めてきたこともあった、でも、ほとんどがそのパターンだった
これほど強く、彼の求められたことはなかった。
わたしは立ち上がる。
「…長門?」
「シャワーを浴びてくる」
769あなたに伝えたい(前編):2006/08/04(金) 09:34:06 ID:GPj7k0O1
「長門!」
気がつくと天井が見えた。
彼が上からのぞきこんでいる。
押し倒された。
普段なら、すぐ終わる情報の処理に時間がかかっている。
「長門!」
 キスをされた。
 何度も、キスをしたことはある。
 だけど、この奪うようなキスは初めて。
 長く、激しく、彼の舌が、わたしの口の中を嘗め尽くす。
 呼吸が困難になり、血中の酸素濃度を調整する。
 彼の腕がセーラー服の中に入ってくる。
 強く胸を揉まれて痛い。
 でも、その激しさが嬉しい。
 彼の中にいるのは、わたしだけ。
 求めているのは、わたしだけ。
 全身全霊、彼のすべてはわたしのもの。
 彼が、わたしの下着を下ろし、ズボンと下着を脱ぎ捨てた。
 わたしは、彼を迎え入れるために腺液を分泌した。
 わたしの足をひろげ、彼が入ってくる。
 痛み。
 乳房を強く握られたのとも比べられない痛み。
「長門」
 彼が、わたしの深奥に届き、わたしは、彼だけのものになった。
 わたしの中で、彼が脈打ち、熱さを吐き出した。
「長門…………」
 ぐったりと、彼はわたしの上に崩れ落ちた。
770あなたに伝えたい(前編):2006/08/04(金) 09:34:42 ID:GPj7k0O1
もう少し、彼の重さを感じていたかったのだが、彼は、わたしの上から身を起こした。
それからの彼の行動は、その時点のわたしにとって理解不能なものだった。
「すまん、長門」
 そう謝ったのだ。
 それから、何度も謝ったあと、急いで服を着こんで去っていった。
 一緒にシャワーを浴び損ねた。
 彼の残した痛みと、熱さの名残に酔いしれながら、わたしはそんなことを考えていた。

771あなたに伝えたい(前編):2006/08/04(金) 09:36:35 ID:GPj7k0O1
どうも、失礼しました。
近日中に後編を上げます。
長門スキーなんだけど、他の長門スキーには怒られそうなもの書いたなあ。
772名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 09:44:07 ID:bhZok+h0
>>771
そんなことはない
感動した!
773名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 09:59:26 ID:3lt2l08Y
キョンが情熱を持(ry

>世界で一番幸せな宇宙人です
いい言葉だ。なのに不覚にも吹いたw
センス良いです
774名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 10:08:23 ID:JTSQkCWn
>>771
同じく長門スキーですが、あなたの作品は毎回とても好きですよ。
775名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 11:40:05 ID:Gp+V6Mmv
やっぱエロSSは最高だな
GJ
776『デート・タイムおまけ―二人乗り―』:2006/08/04(金) 12:21:10 ID:iKTMcm7T
長門を後ろに乗せて、自転車を家に向かって走らせる。荷台に横座りした長門は俺の腰に手をまわして、頭を俺の背中にこつんとのせた。
「……ありがとう」
図書館のことか?
「……全部」
苦しいほどに長門が愛しくなる。長門を抱き締めてやりたい。髪の毛をクシャクシャに撫でてやりたい。ハンドルを握る手に、自然と力が入った。
「俺もおまえに礼を言いたい……ありがとうな、長門。」
おまえに会えて良かった――というセリフは恥ずかしくて言えなかったが。
「……そう」
微かにだが、嬉しそうに長門は呟く。

不意に長門は荷台に立ち上がり、俺の首に細い腕をまわした。長門の体温が心地よい。長門は屈みこんで、俺の耳を軽く噛む。
ちゅぷっ、と耳を舐めて、熱い息を首筋にもらしながら囁いた。
「あなたが欲しい」
俺のこめかみがどくどくと脈打つ。
「……図書館では結合できなかったから」
どんな表情で長門はこのセリフを言うのかね。見てみたいが、生憎、長門の顔が視界に入らない。きっと頬を染めているのだろうが。

次第に長門の息が荒くなっていく。心なしか、体温も高くなっているようだ。長門は左手で俺にしがみつきながら、右手は自分のスカートの中に滑らせた。
くちゅ……
ひょっとして濡れてるのか、長門?
「あなたのせい」
長門は俺の背中にもたれかかる。熱い体。微かな胸の膨らみを感じる。
「……スイッチが入っている」
反射的にポケットの中のリモコンを探るが、間違いない、スイッチはOFFのままだ。
「違う。私のスイッチ……」
……ああ、そうか。
「ONのまま。切れない。切りたくない……」
「……切る必要なんてないさ」
そうだろ?
長門が、軽くコクンと頷くのが分かった。

だが――
長門の体が震えだすのを感じて、俺は戦慄した。微かに聞こえる押し殺した嗚咽。
「……泣いてるのか?」
「多くを望むつもりはない……あなたのそばにいたい。それだけでいい……」
俺は……応えてやれるのか?長門に、長門の優しさに。誰よりも優しく、俺を愛してくれる長門に……


そして、俺は長門を残して時間遡行する。朝比奈さん(大)の指示した場所にいかなくてはならない。部屋で俺を待つ長門の姿を思い浮かべると、胸が酷く痛んだ。この時間で俺に出来ることは、もうなにもないとしても。

元の時間に戻ったら、真っ先に長門に逢いに行こう。
俺のスイッチも入ったままだ。切るつもりもない。
そう伝えたい。


おわり
777名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 14:59:42 ID:RRq1HTLW
>>776がとってもバイブ好きだということは嫌というほど分かったw
778名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 15:09:15 ID:YzDZiDj1
長門に頼めばイったあとも簡単にリセットしてくれそうだよな
だから何十回でもイけるんじゃなうわ何をするやめくぁwせdrftgyふじこ
779名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 15:23:01 ID:cf6rjhFu
GJ!
780名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 15:30:04 ID:7WZpqIUp
GJ!
781名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 15:32:08 ID:8xnlGql0
ポッキー!ポッキー!!( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \
782名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 16:21:45 ID:m+oh2sVc
* もしもハルヒとキョンがバカップルだったら三人組は泣いちゃうぐらい不幸になるのかもと思いますた小ネタ。

「ねえ…キョン。愛してる」
「俺もだハルヒ…愛してる」

こんにちわ。みくるちゃんです。
ただいまわたしは文芸部室ことSOS団の部室にいます。

「本当に?じゃあ…もう一回言って?」
「ああ、何度だって言ってやる…愛してる。大好きだ」

昨日、キョンくんと涼宮さんが晴れて恋人同士になりました。おめでとうございます♪
おかげで部室はものすごいピンク色。そんじょそこらの新婚さんよりも濃密な淡紅色に塗り潰されています。

「…にしてもハルヒ、反則だぞ。お前のその格好」
「だってキョンが喜ぶと思って…」

涼宮さんはポニーテールのメイドさん姿。実はメイド萌えなんだって、告白のときに言われたんだそうです。
あ、ちなみに今のわたしはいつもの制服姿ですよ。まだ死にたくありませんから。

「可愛い。すっごい似合ってるぞ…ハルヒ」
「わあ…嬉しい。嬉しいよお…、キョン」

二人は団長机の上でイチャイチャしています。教室でもイチャイチャしてたらしいです。良いご身分ですね。
桂三枝師匠と山瀬まみさんは毎週こんな人達とお話しているんでしょうか。尊敬しちゃいます。

「ねえキョン?見て…キョンに見られてると思ったら…こんなに…」
「俺も、ハルヒにこんな傍にいられたら…」

わたしが座ってる位置からはよく分からないけど、お互いの股間を弄り合ってハアハアしているみたい。
たった一夜でディープキスのできる関係になるなんて凄いと思います。盛りって怖いですね。

「ふぅ…ん…ちゅぷ…ぷは…っあ、ひぅっ!…はあ、もう我慢できなひ、よお…キョン…ふぁ」
「ああ…俺もだ、ハルヒ。お前のなかに挿れたくてたまらん」

部室には唾液を交換し合うお二人の他にも、わたしと長門さんと古泉くんがいます。
でもそんなことはまったく気にならないみたい。わたし達も気にしません。気にしたら負けかなって気がするので。

「でもハルヒ…その前に、これなんかどうだ?」
「ん、ふえ…なに、それ?…え、バイブ?」

改めて言いますけど、二人のお付き合いが始まったのは昨日からです。正確には18時間前です。
たった一日で玩具を使い出すだなんて昨晩は何回したんでしょうね。二桁だとは聞いていますけど。

「あ、ああん!んあ、や、すごいっ、なかで、うぅ、ブルブルしてるぅ…あ、ひゃっあ、あっあっ、んん!」
「どうだ?こんなに俺以外のモノでこんなにぐちゃぐちゃになって…気持ち良いんだろ?」

念の為言いますけど、昨日まではずっと涼宮さんがお二人の主導権を握っていたんです。
今はすっかり逆転してキョンくんが涼宮さんを苛めちゃってますけど。よっぽど床上手だったんでしょうね。

「俺以外のモノ加えて、こんなによがって…淫乱だなあ、ハルヒは」
「いや、いやぁ…ひゃあっ、んんん!そんなこと、ああっ、ひう!…無い…のお…ああん!」

他の部員もいる場所でそんなことをしているお二人は立派なけだものちゃんです。
まあ、二人がお幸せになるのは全く構わないんですよ。他のお二人もきっとそう思っています。よね。

「ねえ…キョン?こんなので、キョンじゃないので、んっ、イキたくないよお…キョンのが…欲しいよお…」
「キョンのおっきいチンチン、はやく…あたしのオマンコにちょうだぁい…」
783名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 16:22:46 ID:m+oh2sVc

それにしても、ここまで来るのは本当に大変だったんですよ。一年余りの大苦労です。
お二人には禁則事項だけど、何回わたしが一人でタイムスリップしてお二人の恋のきっかけ作りに走り回ったことでしょう。

「ああ、キョンのが、キョンのが入ってくるぅ…熱い…おっきいよお…」

長門さんも、お二人の失敗の後片付けや妨害の対処にどれほど奔走していたか。そりゃあエラーだって溜まりますよね。

「ひっ、ん、あんっ、ああっ!キョン!すごい、すごいのお!なかで、あん、いっぱいぃ、動いて、ひあっ、ん、あん!」

古泉くんも、昨日のなかなか告白しないキョンくんのせいで大量発生した閉鎖空間の破壊、疲れ様でした。今も顔が凄いやつれてますよ。

「あ、ひあ、もう、もうらめぇっ!あん、ひゃめなの、いっちゃう、いっちゃうのお!」

本当に、皆さんお疲れさまでした。

「キョン、なかに、なかにいっぱい、あん!ん、ああ!あ、あっん、イク、イクううう!!!」

大きな嬌声とともに涼宮さんとキョンくんの行為が終わりました。ビクビクと涼宮さんが痙攣して幸せそうな顔をしています。
色々とありましたけれど、こうやってキョンくんと涼宮さんがめでたく結ばれたんですからね。嬉しいです。本当に。
ええ、それ以外の報酬は何も無いんですけれどね。嬉しいです。本当に。ええ。本当に。

「ん、はあ…はあ…はあ…キョンがいっぱい…入ってくる………ねえ、キョン…アタシ…幸せ…」
「俺もだ…ハルヒ…愛してる…」


わたし達の一年余りの大苦労の結果、涼宮さんとキョンくんは幸せになりました。おめでとうございます♪
別に憎たらしくなんて思ってませんよ?せめてお二人がラブラブしてくれてなくちゃ、いったい今まで何をしてきたんだかわかりませんもんね♪
長門さんも古泉くんもそう思ってますよね?だからついついバットを握り締めちゃうくらい、お二人も許してくれますよね♪♪♪


* そのまま二回戦を始めるバカップル。三人組にとってはバッドエンド?




…以上、エロいんだかエロくないんだかよくわからん小ネタでした(笑
784名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 16:26:09 ID:WCNFRfJa
―さてどうするかな
違う、わかってはいるんだ。どうしてこうなったかも、今から何をすべきかも。
だが、たまにはいいだろ? ほんの少しだけ、この現実から逃げたって。

さぁ二度寝だ。
――やれやれ、ベッドがやたら広いぜ



話は昨日の団活終了間際に遡る。
ハルヒはいつものように団長席にふんぞり返ってネットサーフィンをしているし、
朝比奈さんはいつものようにコンロの前で温度と格闘しているし、
長門はいつものように定位置で武器にできそうなくらい分厚い本を読んでるし、
もちろん俺もいつものように古泉と様々なテーブルゲームに興じていた

おい、これで今日四つ目の黒丸だぞ。少しは真面目にやれ
「とんでもない、僕は終始全力を尽くしました。あなたがお強いんですよ」
腹が立つのはなんでなんだろうな? むしろお前が弱すぎることに、原因があるんじゃないか?
「これでも日々研鑽を積んでいるんですがね。とはいえ次は勝てそうな気がするんですよ。どうです? もう一戦」
いいだろう、今日五個めの黒丸をくれてやる。

と、息巻いたところで長門の活動終了を告げる音が静かな室内に響いた

古泉は肩をすくめて
「残念です。」
命拾いしたな。

勝敗表を棚に戻そうとしていた俺の手から半ばもぎ取るように、それを奪われた。
「なによコレ、キョンばっか勝ってんじゃない。有り得ないわ、なんかインチキでもしてんの?」
なんだその言われ様は。
「実力だ実力。小さい時から妹の遊びに付き合ってやってたからな」
実際はしつこくまとわり付く妹を黙らせるために、勝ったら遊んでやる、という条件を提示したのだが、
何故か妹の気合いの入り方が尋常ではなく、俺も自由の為に強くなるしかなかったわけだが

すると、
「キョンの小さい時、ねぇ…」
背筋に怖気が走る。何気ない一言が俺の精神にスカウターがぶっ壊れんばかりの負荷をかける

帰り道、しつこいくらいに俺の子供の頃の事を聞くハルヒを
朝比奈さんと古泉は期待に満ち溢れた目で見ているし
長門も何世代か前の演出みたいに目がピカーンとしているし

俺は俺で、ある種諦観の境でハルヒの質問に答えていた


―そして今に至る
785名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 16:29:09 ID:WCNFRfJa
ミスった
まだ完成してない

頑張る
786名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 16:34:51 ID:R/7gV1FZ
>>785
冒頭だけ投下して皆を焦らそうっていう作戦だな!やるじゃないか!
787名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 16:38:04 ID:HwtacvrU
何をミスったんですか?
内容変わる 又は 単に間違えて投下?
788名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 16:38:12 ID:wdr8LJTq
この策士がっ!w
wktkだ・・・
789朝日奈みくるの憂愁:2006/08/04(金) 16:50:53 ID:PAJGsO2N
朝日奈みくるの憂愁

俺は北口駅前の公園で待っていた。ここはいつもSOS団の市内探索の待ち合わせで使っ
ている場所だ。
決して太めとは言えないこの体を、冬の厳しい寒さが身を切り刻む。だが、今日行われ
るイベントのことを考えれば、どうということはない。たとえ40度の熱を出そうとも、
這ってでもこの場所へ来ただろう。それほど今日は重要な日なのだ。

今日は休日の土曜日で、今は朝の10時前だ。そして俺は、ある人を待っていた。
そう、俺は今日、そのある人とデートをするべく冬のさなかに、公園で突っ立っていた
のだ。
そのある人とは、SOS団のマスコットで、俺の心の癒しキャラ朝日奈みくるさんだ。


話は3日前までさかのぼる。
俺は以前、朝日奈さんにお茶の買い出しの誘いを受け、えさをつけられたねずみ取りに飛び
込むまぬけなねずみのように、ほいほいついて行ったところ、デートもどきの対価として、そ
のついで、とういよりむしろそっちが本題だったわけだが、未来の重要人物の命を助ける
ことになった。

このことについて俺は朝日奈さんを責める気はないが、未来の人間の操り人形として動くこ
ととなり、複雑な気分だ。おそらく朝日奈さん(大)に対する不信感が芽生えた、最初の
出来事として、俺の脳に刻み込まれそうだ。

その俺への、お詫びと感謝の気持ちと言うことで、朝日奈さんは再度俺を誘ってくれた。しか
もSOS団の他の連中には内緒で…。
晴れて今回は、正真正銘のデートということになったのだ。心が躍ろうというものだ

だが、今回は自分たちの行動に気をつけなければならない。俺と朝日奈さんがデートをして
いるということを、SOS団のメンバー、さらにいえば団長の『涼宮ハルヒ』には絶対知ら
れてはならないのだ。

というのは、前回のデートもどきで助けた餓鬼、もとい少年は、なんと家庭教師をするハル
ヒの教え子だというのだ。その少年は空に浮かぶ雲のように、口が軽く、さらには、俺の似
顔絵をハルヒに包み隠さず漏らしてしまい。憐れにも、団長の知るところとなった。
俺は今でもハルヒの罰ゲームを思い出すと、震えがくるぜ。何をされたかったかって?思い
出させないでくれ。


「キョンくーん、お待たせしちゃってごめんなさい!」
彼女は、俺の姿を見つけると、うれしそうに急ぎ足で公園へとやってきた。
大丈夫ですよ、朝日奈さん。あなたのためなら、3日3晩だって待ち続けます。
今日の彼女も非常にかわいらしい。普通なら狙いすぎで、あざとささえ囁かれそうなフェミ
ニンな姿だが、彼女の場合はよく似合っているし、またそういう意図はないだろう。

冬の公園という殺風景な場所が、朝日奈さんの登場によって、花一面の春の風景に様変わり
したのではないかと、錯覚するほどだった。いや幾百の最上級の讃辞を並べ立ててもまだ足
りないほどである。それほどに俺は歓喜に打ち震えていた。

朝日奈さんとの最初の訪問先は、前回と同じく駅前にある総合デパートのお茶売り場となった。
彼女がそこの常連だというのは、周知の通りだが、売り場の店長さんは、俺の顔も覚えていた
らしく、今日は彼氏とデートですかと、朝日奈さんに問い、彼女を照れさせた。
俺はそんな朝日奈さんを微笑ましそうに見つめ、夢見心地のような幸せな気分になっていた。
790朝日奈みくるの憂愁:2006/08/04(金) 16:52:31 ID:PAJGsO2N
彼女の表情は、前回のように指令を受けているという、よけいなしがらみがないためか、とて
も生き生きとして、その笑顔に見とれない男など、この世にはいないだろうと思えるほどだった。
ただ、彼女の足取りは危なっかしく、まるで俺は、自分の娘が転ばないかを心配する父親のような
気分になることもしばしばあった。

デパートの書店で、立ち読みと1冊の本を買い求めると、少し早いが、俺たちは駅前のパスタ
専門店で昼食をとることになった。
楽しい時間だった。俺はSOS団のことを遡上にあげるつもりはなかったが、この話題は俺たちが、
団員である以上避けられないことらしく、ハルヒと俺たちの武勇伝、というより団員たちの受難に
ついて、時折トラウマを疼かせながらも楽しく語り合った。
ただ、俺がハルヒの話をしているときに、朝日奈さんの表情にわずかな翳りがうかがえたような
気がしたが、すぐに気のせいだろうと、否定した。

食事が終わると、駅前を少し見てまわり、彼女の買い物につきあった。
朝日奈さんは服やバッグのサンプルが展示されている店の前で足を止め、ウインドウショッピン
グを楽しんでいるようだった。こういう場合、男はつらいものである。ウインドウの前で、数十分
も立ち止まっていると、手持ちぶさたでぼうっとして彼女を見つめることだけしかできない。

次に俺は、朝日奈さんをゲームセンターに案内した。彼女にはあまり縁がない場所らしく、物珍
しそうに、あちこち見てまわった。
その後、俺はUFOキャッチャーで500円を投入して、ぬいぐるみを朝日奈さんにプレゼントして、
彼女をすこぶる上機嫌にさせた。

しばし喫茶店で体を休めた後、俺たちは少し足を伸ばし、夙川公園の川沿いを2人で歩くことに
した。
この場所は、SOS団初めての市内探索で朝日奈さんと一緒に歩き、そして彼女が未来人であると
いう、あの衝撃の告白を受けた場所だ。

しばらく歩いた後、あの時と同じように、ベンチに座って話をした。
「キョン君、今日はつきあってくれてありがとう。本当に楽しかった」
「そんな、朝日奈さん俺の方こそ楽しかったですよ。今日だけといわず、ずっと付き合っても・・・」
「待って、その先は言わないで!」
俺の口を遮って、彼女は言葉を吐き出した。
「わたしはずっとここにいられる人間じゃないのは、キョン君も知っているでしょ。それに涼宮さん
のこともあるし、これ以上あなたとの距離を縮めるわけにはいかないの」
これ以上言ってしまうと、彼女を苦しませるだけだとわかっていた。俺が未来に行けるわけでも
なし、彼女をここに捕まえておくわけにもいかない。それをするほどの覚悟が俺にあるのかと、
自分に問うてみても、答えは見つからなかった。

タイムリミットだ。

「キョン君、じゃあ今日はこの辺でお開きにしましょうか」
これはお礼ね、といって疾風のようなキスを俺の頬に残していった。
俺は彼女の手を…、捕まえることはできなかった。

遠ざかっていく彼女の小さな背中が、突然止まった。それと同時に彼女は震えだした。

「みくるちゃーん、どこに行くのかな?ちょっとお話があるから、キョンが座っているベンチに
まで行きましょう」

全世界が震撼した。
791朝日奈みくるの憂愁:2006/08/04(金) 16:53:13 ID:PAJGsO2N
ハルヒだ。何故ここにいるのかなど、まったく考える余裕もなかった。ただし、ハルヒの笑みには、
言い知れぬ感情があるようで、妙にこわばっていた。
ハルヒの他にも長門、古泉が地雷原を避けるように距離を置いて立っていた。SOS団のそろい踏みだ。

「ハ、ハルヒ、なんでお前がここに?」
俺の声も震えている。当然だ。小部隊が敵主力と対峙してしまったようなものだからな。
「あら、キョン。今日はお楽しみだったわねぇ?みくるちゃんとデートだなんて、あんた果報者よ」
「ひょ、ひょっとして見てたのか?俺たちを?」

「えぇ。待ち合わせからずっとねぇ。あんた、鼻の下が伸びきってたわよ?それに最後はみくるち
ゃんにキスまでしてもらって、よかったわねぇ?あんまりあんたの顔がだらしなかったから、あた
しはあんたを、すまきにして大阪湾に沈めてやろうと思ったぐらいよ」
などと、ハルヒは恐ろしげな計画を平然とひけらかした。

「そ、それは、全部見ていたと言うことか?」
「ええ、1秒たりとも余さずね。裏切り者のあんたたちのことを交代で見張っていたわ」
「だが、なんで俺たちが会うと知っていたんだ?」
「あんた、この2・3日落ち着きがなかったでしょ?そわそわしていたもの。これはなにかあるな
と思ったんだけど、あんたに訊いてもまともに教えるわけはないし、だからみくるちゃんに訊いて
みたの、『あなた、土曜日に何か予定ある?』って。そしたらみくるちゃん、お友達と遊びに行く
って言ったから、彼女の交友関係を古泉君に調べてもらって、誰だか突き止めようとしてみたの」

おまえは興信所でも始めたのか?古泉もほいほい命令に従うんじゃねえよ。
「古泉君に調べてもらった結果、みくるちゃんの友達は、今日みんな予定がなかったわ。それで、
確信したの。みくるちゃんの相手はあんただって。だからそれとなくみくるちゃんに時間と場所を
聞き出したわ」
なんでそこまでやるんだ。こいつは?こいつはおもしろそうだからやってるのかもしれんが、被害
を被る俺たちのみにもなってみろ。他の理由については、あったとしても知る気はない。

「キョン、このぐらいでいいでしょ?さあ、みくるちゃんも覚悟はできてるんでしょうねぇ。とび
っきりの罰ゲームをやってもらうわ」
俺と朝日奈さんは、ただただ、恐怖に怯え、そして震え続けるだけだった。
古泉と長門は、安全地帯で、俺たちを興味深そうに眺めていた。


この後、凄惨な罰ゲームが行われたが、これに関してコメントすることはない。


終わり
792名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 17:03:08 ID:y2/LTWI4
>>785
一つ一つのレスが甘い。
一斉投下も、大量投下の準備も甘い。
だからわたしとID:PAJGsO2Nに気付かれる。侵入を許す。

と、いうわけで投下します。多分3レス。
793涼宮ハルヒのニアミス1/3:2006/08/04(金) 17:04:00 ID:y2/LTWI4
結果についての原因…なんてのは、因果だかなんだかその辺の道を極めたとされる
お釈迦様にでも聞いてみたら良いかと思うが、とにかく結果だけいうと、
俺は今とある女との結婚準備をするのに追われていた。正確には結婚式の式場に居た。

相手はだれかだと?うむ、それは良い質問だ。ヒントは、相手は高校時代から縁のある女である事。

朝比奈さん?ああ、実に魅力的な仮説だが、それはない。
朝比奈さんなら今は、その花嫁の付き添いで花嫁の控え室に居り、
今はケープをその女の頭にかけている頃だろう。
その後でその女に「何か」させられる事になるかもしれん。
それはSOS団として、その女および朝比奈さんに長年付き合った俺の経験則だが。

長門?うーむ、惜しいと言えば惜しいのだが、それもまた違う。
今、長門は、「祝い事のスピーチをするための心得99箇条」という、そのノウハウ物としては
異常なまでの分厚さの本を外の椅子で読んでいるみたいだ。おそらくそれを踏まえたスピーチをするんだろうな。
人類の歴史のそもそもから説き起こすような、あまりの長さにグイン・サーガも真っ青な長大なスピーチになるのか、
はたまた「そう」で終わるような、あまりの短さに星新一も墓場から悔しさのあまり蘇る史上空前の短いスピーチになるのか。
それは分からん。実はちょっとだけ楽しみだ。

では鶴屋さん?阪中?あー、どちらも無い。
その二人は、今はチャペルの友人席に座っているはずだ。

古泉とか考えた奴、一歩前に出ろ。俺直々にギャラクティカ・マグナムを食らわせてやる。
見開きで"DOKOOOM"と言う擬音と共に宇宙の果てにすっ飛んでいくと良い。
そいつはこの俺の付き添い役だ。いまはどっかその辺に居るはずだ。
その上、こいつときたら場所の手配から、道具やら、神父の手配までも整えやがった。
それに関しての一切は、何でも「個人的好意」だそうだ。機関のインチキ権力は使わなかったらしい。

ま、結婚指輪だけは自分の薄給の三か月分から捻り出したがな。

さて、候補としてはこんな所か。もうここまで言えば、普通大体見当が付くだろうが、
相手は、ハルヒだ。

一年前の俺にこのことを聞かせたら、とりあえずロシアンマフィアを経由したトカレフだか、
あるいは香港の蛇頭辺りから入手した実弾が出るように改造されたモデルガンとかで
頭をぶち抜くところなんだろうが、今の俺はもはやそんな事は思わなくなっていた。
…いや、もう何を思うか、とか何を考えるか、なんてのは割とどうでも良い。

俺は正直な所、長年付き合ってきたハルヒに慣れた。ただそれだけの事だ。
…やれやれ。

さて、そういうわけで、今俺は母と最後の…といっても、どうせ近場に新居を設けるので、
今生の別れというわけではないのだが…挨拶をしている。

「高校生のとき、あなたが何人か女の子を家に連れてきたときは、誰を選ぶのかしら…
と思ったんだけどね、やっぱりあの娘だったの?」
断言しよう。その頃の俺には、そんな思惑や未来予想図Uなど決して無かったであろうことを。

「さて、どうかしら?ふふ、そうね、あなたには、これを見せておきたいと思ったのよ」
そう言うと、母はとある縦長でかつある程度の厚みのある、一般的には写真を収納している本、
いわゆるアルバムを俺の前に出した。
過去を振り返ろうとでも言うのだろうか。それならば結婚式の披露宴ででもやってくれると助かる。
そのための時間も設けてあるはずだ。
794涼宮ハルヒのニアミス2/3:2006/08/04(金) 17:06:05 ID:y2/LTWI4

「まあ、ここを見て御覧なさいよ」
そういうと、母は一枚の写真の辺りを指差した。
そこには小学生に上がったか、上がらないか位の頃の俺が居る。
なにやらその当時から人生を達観した様な、クソ生意気な顔をしており、
それはそれで実に懐かしいが、まあそれは良い。

この際重要なのは、その写真の隣の写真である。

そこに、俺とおんなじ位ちみっこいハルヒが、口をへの字にして写っている事だ。

…えーと、実はハルヒと俺が、生き別れの兄妹とか…そんな落ちは無いですよね、お母様。
「ふふふ、その発想は無かったわ」
…良かった。日本では三親等以内の婚姻は禁じられており、そうなるとこの婚姻は当然無効である。
そんなバッドエンドだけはなんとしても避けたい!

…って、何を俺は慌てているんだろうな。

本当は実の妹以外に、新たに無茶苦茶手の掛かりそうな、あの傍若無人の核弾頭つきの団長様が
仮にでも妹であったなら、それは一生涯に渡る人生の混沌、それを意味している所為だ。
ただそれだけの事だ。断じてそれ以上でもそれ以下でもない。

「この写真はね、伯父さんが撮ってくれたものなのよ」
伯父さん?ああ、あの人か。アーセナルだかアルパだかジナーだか、
シーガルだかミノックスだかライカだか…とにかく写真機に生涯を捧げているような伯父が俺には居る。
おそらく、レンズやら本体やらアクセサリやらに、既に一財産をつぎ込んでいるんじゃないだろうか。
その奥さんはもう諦めたようで、家に来ちゃあ妹であるウチの母親に愚痴をこぼしている。

「その伯父さんがね、新しい写真機を買ったから…ってことで、家の近くに色々撮りに来た事があったの」
まああの人ならやりかねないな。
ついこの間は、なんでも1台新機種を買ったため、2連休に富士登山を単独敢行し、
二日がかりで富士山頂にて御来光を数枚撮っただけで下山し、次の日は疲れも見せずに平然と出社した程の人だ。
写真に関する行動力だけならハルヒにも匹敵する。

「それでね、家の家族は全員撮ってもらったんだけど、一枚フィルムが余ったんだって。
だから、近くに居た可愛い女の子の写真を撮らせてもらったそうよ」
…アブねえな、ウチの伯父。時代が時代なら、ロリペドとして通報されてもおかしくは無かったぞ。
寛容だった時代と、相手がハルヒであること、そしてそいつがその時通報しなかった事、その三つに感謝だな。

「で、それがこの写真。ね?分かるでしょ」
と、言うと、母は俺にニコッと笑いかけた。何を言いたいのやら。
とにかく一つだけ言える事はある。

結局の所、俺とハルヒとは、けっして「偶然」なんかでは無く、よく分からん「縁」とやらで最初から結ばれていたらしいな。


終わり
795涼宮ハルヒのニアミス3/3:2006/08/04(金) 17:07:27 ID:y2/LTWI4
おまけ

追記しておくと、その写真を見たハルヒは、取り立てて驚いた顔をしなかった。
理由は…さて、なんでだろうね?
男には分からん、女の感ってのがあるのかもな。
796名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 17:16:01 ID:Eqtx1Fsd
>>791
>凄惨な罰ゲーム
朝比奈みくるとの48時間耐久Fuck
797名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 17:51:21 ID:RRq1HTLW
>>791
客観的に見てハルヒうざいな。
798初体験SS 1/19:2006/08/04(金) 18:05:48 ID:sq08OVKD
#ハルヒとキョンの初体験SSです。
#あまりエロくないかもしれませんが、ご了承ください。

もうカレンダー上では秋も深く、もう冬と呼んでもいい時期となった。
しかし朝夕は冷えるが、日中は汗ばむ陽気になるという中途半端な状態が続いている。

そんな季節。SOS団の活動も終わり、ハルヒ二人になった帰り道だ。
最近ハルヒはセーラー服にニーソックスというスタイルである。
俺にはそれがアリなのかどうなのかわからない。マニアには受けそうに思うのだが、極少数なのではないかとも思われる。
「そういえば、シャミセンは元気?」歩きながらハルヒが切り出した。
「まあ寝てばっかりだけどな。」
「たまにはシャミセンと遊ぶのもいいかも。これからあんたん家に寄らせてもらおうかしら。」
そういうハルヒの表情はなぜか堅かった。

家に着くと、玄関から妹が飛び出して来た。
「お帰り〜キョンくん」ニマっと笑って「ハルにゃんもお帰り」
「ただいま。どこに出掛けるんだ?」兄らしく聞いてみる。
「ミヨキチとね、本屋にいくの。あとミヨキチの家で晩ごはんも食べよって」
妹よ。なぜハルヒと俺を交互にみてニヤニヤする?「だから、遅くなりそう。」
「あんまり遅くなりそうなら、ちゃんと連絡するんだぞ。」
「わかった〜あとお母さんもなんか遅くなるっていってたよ。・・・じゃあゆっくりしてってね、ハルにゃん」
笑顔でいってらっしゃいと手を振るハルヒと、ニヤニヤ笑いながら遠ざかる妹。
ひょっとして勘違いしてんじゃないだろうな、妹よ。
ハルヒを家に誘ったわけじゃなくて、ハルヒから進んで家に来たのだからな。
まあ、あとでよく言い聞かせておこう。
799初体験SS 2/19:2006/08/04(金) 18:07:47 ID:sq08OVKD
ハルヒを自分の部屋に通しておいて、台所に行く。
食器棚から自分のマグカップと適当なコーヒーカップをトレイに乗せて、コーヒーを
注ぐ。えーと、砂糖とミルクはどこにあったかなと。
砂糖とミルク、そして封を切ってないスナック菓子を発見した。それもトレイに乗せる。

自分の部屋なのにドアをノックしてから入る。部活の影響だな、これは。
ハルヒはベットに背中を預け、足を投げ出した姿で、シャミセンと遊んでいる。
床にトレイをおいて、ハルヒの真向かいに腰を降ろした。
「なに自分の部屋なのにノックすんのよ。」コーヒーカップを手に取りながらハルヒが言う。
「間違いを起こさないようにな。」
ハルヒは正座して、膝にはシャミセンを乗せた。シッポの動きからすれば上機嫌のようだ。
シャミセンを撫でながらハルヒが言う。「そういえば、あんた絶対領域って言葉知ってる?」
「なんだそれは?」
「萌え用語らしんだけど、ニーソックスとスカートの間の素肌部分をいうんだって。」
ここよ、ここ。ハルヒが指さしているのだが、こちらからはシャミセンで見えない。
左側から覗けばなるほど、ハルヒは黒いニーソックスと制服のスカートとの間の太ももを指さしていた。「あんたはどう? 萌える?」
萌えるか萌えないかと聞かれれば萌えませんと答えそうになるが、うかつな返答はできないのはこれまでに十分学習している。さてどう答えようか?

答えのかわりに、ちょっとした悪戯を思いついた。
そっと左手を伸ばし、人差し指でその絶対領域なる部分に触れて見た。すべすべした
肌にかるく興奮を覚える。
ハルヒはピクンと体を震わせた。
「バカ、なにすんのよ。」上目づかいで睨まれた。ハルヒの顔が赤い。
「ここが萌えるかどうかだろう?」もう一度ゆっくりと人差し指で触れて見た。そーっとニーソックスの縁をなぞるように動かして見る。「どうかなぁ。」
「ダメ、やめなさい」ピクンピクンと体を震わせながらいわれても説得力はないぞ?
人差し指を内太ももまで動かして見た。シャミセンが一声鳴いて場所を譲った。
「やめなさいって」でも手をとめようとはしないんだな、ハルヒ?
800初体験SS 3/19:2006/08/04(金) 18:09:48 ID:sq08OVKD
調子に乗った俺は、トレイを邪魔にならない場所に移動し、ハルヒの真横に座った。
今度は右手の人差し指で探検を始める。まずスカートの裾ぎりぎりを指でなぞる。
ハルヒはぎゅっと目をつぶってなにかを耐えているようで、止めようとはしない。
調子にのって右太ももへの探検も始めた。まずはニーソックスの縁をなぞる。定期的に
ハルヒの体が震える。スカートの裾ぎりぎりを指でなぞっていく。
「やだ・・・」指での探検をいやがっている訳では無さそうだが、ではなにを嫌がってるのだろう?
身をかがめて、そっと左太ももに顔を近づける。ハルヒの目はかたく閉じられているから、これからなにをするかは分からないはず。
そっと左太ももにキスしてみた。唇に柔らかくすべすべした感触が伝わる。気持ち良い。
「バカ、な、なにすんのよ。」ハルヒの声が震えている。
「キス」すーっと唇を滑らせて見る。ずっとこの感触を楽しんでいたい。
「あんた、なにしてるのかわかってんの・・・」
ええ、悪戯してます。出来心です。許してくださいと心の中で言って見る。
本当に言えば叩かれそうだからな。
左太ももを唇でなぞりながら、右手の人差し指に右太ももの探検を任せる。
ふとスカートの奥が覗けるが、ブルマを履いてるのは知ってるし、それは見馴れた光景といっていいかもしれない。・・・ハルヒの足癖は悪い。
801初体験SS 4/19:2006/08/04(金) 18:10:48 ID:sq08OVKD
ハルヒの手が俺の肩におかれた。押そうとしているのではなさそうだ。
ハルヒの手のひらが熱い。ときどき指に少しだけ力が入る。
舌で内太ももをノックしてみる。ハルヒの吐息が大きく荒くなってきた。
「ねえ、キョン・・・」吐息のような細い声がする。
顔を上げると、濡れたような瞳が見下ろしていた。顔は赤く上気し、初めてみるハルヒの
顔だった。一言で言えば、色っぽい。
「あんた、こんなことして・・・あたしをどうするつもりなのよ」
ハルヒのつややかな唇が誘っているように感じるのは、気のせいではないだろう。
体を起こして、ハルヒを背中から抱き締めてみる。唇をハルヒの髪にそっと当ててみた。
またピクンと体が反応してる。
「答えなさいよ」吐息のようなそれでいて艶のある声がする。
「気持ち良さそうだから、もっと気持ち良くなってもらおうかなと。」答えながら耳たぶの裏を唇で探る。小刻みにハルヒの体が揺れる。
「バカ・・・ちっとも気持ち良くなんかないわよ・・・」
そのわりには体はピクンピクン反応してるが?とは言わない。かわりにそっと両手で
ハルヒの胸を包んで見た。堅く感じるのはきっとブラジャーしているからなのだろう。
「くっ・・・」まるで熱にうなされているかのようなハルヒの声。
上気した耳たぶをそっと唇でなぞって見る。なぞるたびにハルヒの体は反応する。
「ねえ、キョン・・・」ハルヒがか細い声で「キス、して。」
ハルヒは首をゆっくりこちらに回す。どことなく幼さの残る顔はすっかり赤い。
瞳の焦点がうつろだ。熱にうなされているようにも見える。
ゆっくりと唇を合わせる。こっちの世界では初めてのキスだな。
ハルヒのやわらかい唇が気持ちいい。ついついばむように唇を動かす。
「あんただれかとしたことあるの?」
「ん?ハルヒが初めてだが。」
「嘘、やらしいもん」濡れた瞳がとても恋しい。「でも・・・もっと、キス、して」
802初体験SS 5/19:2006/08/04(金) 18:12:18 ID:sq08OVKD
唇をあわせて、そっと舌でハルヒの唇をつつく。おずおずと開くハルヒの唇をまず舌で
なぞってみる。「せつなくさせないの。」
ハルヒをゆっくりと押し倒した。
乱雑で何のルールもないキス。舌をからませあい、つつきあう。
知識としてはなにも知らないのに、体はすべてを知っているようだ。
好きな相手を気持ち良くする方法は、遺伝子にでも組み込まれているのだろうか?

キスをやめて、そっとハルヒの表情を確かめる。ハルヒは肩で荒く息をしている。
ハルヒの上気した額にはうっすら汗が浮かんでいる。黒髪が数本汗で張り付いている。
その髪をそっと指で掻き上げる。
「なに見てるのよ。」薄目をあけたハルヒがささやく。
「可愛い顔」額に口づけする。
口づけと同時に、強い感情が理性を越えて迸る。止めようがない。すべてを失うことになってももはや構わない。その感情を表現する言葉はひとつしかない。
「ハルヒ、愛してる。」
「もう、ほんとバカ。順番逆じゃないのよ」しかし非難の色はなくうれしげでもある。
「告白してから押し倒すのが普通でしょ。なんで押し倒してから告白するのよ。」
普通は告白したからといって押し倒すものではないはずだが。
「ま、いいわ。聞きたかった言葉がやっと聞けたし。」ハルヒは両腕を俺の背中に回して、抱き寄せた。「あたしもあんたのこと、大好き。愛してる。」
そしてキス。キス。キス。
803初体験SS 6/19:2006/08/04(金) 18:13:55 ID:sq08OVKD
「シャワー浴びたいな」ハルヒが荒い息を整えながら言う。「汗かいちゃったし」
もう小一時間たったことにいまさら気づく。
ハルヒの体を起こしてやる。風呂場は1階にある。
乱れた制服を直すハルヒの手をとって、風呂場に案内する。
「あんたも一緒に入らない?」ハルヒが小さな声で誘った。
「いいのか?」
「いいわよ。」
「じゃ、着替えとかバスタオルもってくる。」
「先入ってるわね。」
自分の部屋に戻り、着替えとバスタオルを用意する。ハルヒに着せるものがない。
とりあえずスウェットでいいか。ぶかぶかだろうけど。
階段を降りながらすこし冷静になった頭で考える。
しかし大変なことになった。ちょっとした悪戯のつもりだったのに。
だが、それを望んでいなかったというのは嘘だと分かっている。
ハルヒもそれを望み、自分でも本当は望んでいた。それはいま分かった。
現状維持という罠にはまり、なにかを失うことを恐れていたということか。
804名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 18:14:42 ID:FJPW+qWT
>>796
むしろ、対面物じゃまいか
裸で縛られ長門にいじられるキョンと、
裸で縛られハルヒにいじられるみくるで
805初体験SS 7/19:2006/08/04(金) 18:15:01 ID:sq08OVKD
脱衣所に入ると、カゴにハルヒの制服がきちんと折り畳まれていた。その上に黄色いカチューシャが置かれている。
シャワーを浴びているのだろう、風呂場からは水の流れる音がする。
着替えとバスタオルをカゴに置いて、ドアごしに声をかける。
「入っていいわよ」
扉をあけると、胸を腕で隠したハルヒがシャワーを浴びているところだった。
髪はシャワーキャップ代わりのタオルでまとめている。

「ちょっとボディソープ借りたわよ」
「ああ」
ハルヒの素肌をお湯が滑り落ちる。ハルヒって着痩せするタイプだったのか。
こじんまりのしたお尻。すらりと伸びた脚。わりと華奢な体。思わずみとれてしまう。
「なにボーッとしてんのよ。こっちきてシャワー浴びなさいよ」くすくす笑いながらハルヒが言う。
「あ、ああ」
ふふっと口元に笑いを浮かべながらハルヒがシャワーをかけてきた。
「ほら、きれいになんなさ〜い」
806初体験SS 8/19
シャワーをざっと浴びたあと、シャワーを止めた。
ボディソープを両手にとって、手のひらで体を洗うためだ。
「背中洗ったげるよ」ハルヒもボディソープを手にとって、背中を手のひらで洗ってくれる。
「おう!」思わず声が出てしまった。「尻はいいって、自分でやるよ。」
「ちゃんときれいにしなさいよ〜不潔なのはよくないわよ。」
泡を流そうとシャワーを出そうとしたところで、ハルヒが背中から抱きついてきた。
「どうした?」
「今日は大胆ね」背中からハルヒの声「前はあたしには興味なさそうにしてたくせに」
「・・・すまん」
「みくるちゃんばっかに反応して、あたしにはちーとも・・・てな時あったの時覚えてる?」
ああ、憂鬱モードの頃か。・・・バニーとか体操服のまま授業とかって、あれは俺を誘惑してたのか?
「誘惑っていうか、気があるかどうか知りたかったというか、試してたというか。」
「朝比奈さんのコスプレもそうなのか?」
「あれはあたしの趣味よ。可愛い子にはいろんな衣装着せたくなるのよ。ま、
あんたが、どんな衣装に反応すんのか見てたってのも事実だけど。」
「あんたとあたし、一回だけ同じ夢を見た、でしょ?」ハルヒは満足そうに言う。「夜の学校で、あんたとあたし二人きり。そんな夢みたでしょ?」
「・・・ああ、見たよ。」夢の話であればなにも問題ないだろう。「二人きりだったな。」
「突然青い巨人があらわれて、あんたあたしの手を引いて走りだしたでしょ。」
ハルヒのきらきら輝く瞳に吸い込まれそうだ。ハルヒは言葉を続けた。
「あんとき、あたし全部夢がかなったと思ったの。とっても不思議な状態に遭遇できて、
となりにはあんたがいて。あたしの望みの世界がこれだと気が付いたの。」
「そうか。」
「でも、あんたはあたしに元の世界に戻ろうって言った。せっかく見つけたあたしの
世界なのに。」
ハルヒの声がきつくなった。「そんなの許さないって思った」