こんばんわ、4の422です。
スレの頭なんてちょいと身の程知らずだったかな…
とりあえず、CherryLight FINAL-Vol いきまーす。
魔法少女リリカルなのは 〜 CherryLight 〜 FINAL-Vol
〜 〜 〜 〜
あ、なのはちゃん、ん、はやてや。んん、ちょぉわけあってな、ごめんな仕事中に。
ん、あんな、わけは後で説明するさかい、先にちょぉ桃子さんに代わってもらえへん?
せや、後でまた代わってな。
うんうん。
あ、桃子さんですか、はやてです。あのー、お忙しいとこほんま悪い思うんですけど、
なのはちゃん、ちょぉお借りしてええですか。
あ、はい。後でわたしが代わりにヘルプに入らせてもらいますんで。ほんま、すんまへん。
はい、なのはちゃんの一生にかかわる、ごっつ大事な用事です。ええ、はい、そうで
す。悪いようにはせーへんので、ちょぉわたしのわがまま聞いてもろてえーですか。
はい、それはもう。
ありがとうです。ほんならもっぺんなのはちゃんに代わってもらえますか?
あ、なのはちゃん。うん、あんな、ちょぉ変なこと頼むんやけどな。今からこの電話
切らんで繋いだままにしとくさかい。そのままわたしらの話聞いとって欲しいんよ。
うん、変なこと言うんは重々承知やねん。ん、まぁ、なんてゆーかな、人助け、みた
いなもんかな、それになのはちゃんと全然無関係、いうわけやないんでな。
ん、そや。まぁ、むつかしいこと無しでちょぉそのまんまでこの電話聞いとって欲し
いんよ。わけわからんこと言うかもしれへんけど、黙ーって聞いとってや。あ、そっち
からは喋らへんでええよ、声でバレるとちょぉややこしいことになるさかいな。
ん、すぐに理由はわかるさかい、まぁ、一つよろしゅーな。頃合見て呼ぶさかい、そ
したらわたしらのとこに来てな。
うん、ほならわたし席に戻るさかいな。ちゃーんと聞いとってな。
うん
うんうん、ほならなー。
〜 〜 〜 〜
「っちゅーわけや、わかったか、クロノくん」
「何を言ってるんだ君はーーーー!!!!!」
えへん、と胸をはってクロノに経緯を説明するはやて。
「きっ、きかっ、聞かれてたって、おまっ、なっ、なのはにっ、なっ何考えてるんだ!!」
「はいはい、混乱せんでえーて、ゆーか、顔合わす相手ちごーてるやろ」
はやては食ってかかるクロノをまぁまぁとたしなめ、ぐりっとなのはの方に向かせる。
「(うちのお節介はここまでや、後は1人でがんばりーや。応援してるで)」
そっと呟いたはやてはそのままクロノの肩越しになのはに目を向ける。
「なのはちゃん。ごめんな。うちの顔立てる思て、ちょぉクロノくんの話聞いたってや。
んで、クロノくんは、こっち、と」
すとん、とクロノを椅子に座らせ、ついで今だ赤ら顔のなのはに近づくき、先ほどま
で自分が座っていた椅子になのはを「持ってくる」。
「で、なのはちゃんはこっち、と」
されるがまま、なのはは椅子に座らされ、クロノと向かい合う。
ぶつかった視線になのははいっそう顔を赤らめうつむき、クロノはあわてて逸らした
視線をやむを得ずはやてに向ける。
「ちょっ、ま、まて、はやて!こ、こんなことされても…な、なのはだって…」
クロノの言葉を指で制し、はやてはうつむくなのはに言葉をかける。
「なのはちゃん」
「は、はいっ!!」
弾かれたかのように飛び上がるなのはに、はやては一言。
「…クロノくんの話、聞いたって、大事な大事な話や。んで、クロノくん」
そしてクロノにも一言。
「むつかしいこと言わへん。…がんばりや」
「…」
「…」
2人に順番に視線を移し、1人納得したかのように頷くはやて。
「んなら、あたしはなのはちゃんの代わりにお店のお手伝いをしてきますー。後は若い
お二人でごゆっくりー、おほほほほ」
お見合いの仲介人にでもなったつもりかの台詞を残し、はやてはテーブルを離れ…
と、ぴたっと足を止め、さささっ、とクロノに走り寄る。
クロノの耳に顔を近づけ、なのはには聞こえぬようにもう一言。
「(さっきの調子なら大丈夫や。あれならあたしでもOKしてたで、自信もってな)」
「なっ、何をっ…・・」
はやての柔らかな笑顔に言葉の止まるクロノ。
普段のクロノならはやてのその表情から、言葉から、僅かな「本当」を見抜いたかも
しれない。が、
自身がこういう状況を仕向けたゆえ、その想いは伝わり、届くことは、なかった。
そのまま振り返ることなく足早に厨房に消えるはやて。
残される2人。
そして…
「…」
「…」
「…」
「…」
息苦しい沈黙…を破ったのはクロノであった。
「な、なのは…」
「!!」
びくっ、と、身体をふるわせたなのはは、上目遣いで視線だけをクロノに向ける。
「っ!!」
無論呼んだだけで何を言うかなど決めているはずもないクロノ。
そこにきて、真っ赤な顔で上目遣い、恥ずかしそうにもじもじと身体を擦るその仕草。
何一つ取っても、
(ぐぁっ!!かっ、かわいすぎるっ…!!)
卒倒しそうになる自分をぎりぎりのところで制するも、既に頭は真っ白。
(え、えっと、はやては、な、何て言ってたんだっけ、た、たしか小難しいことを…
えーっと、小難しいことで煙に巻いてしまえ…だったか?)
はやての小さな恋も小さなお節介も悲しいかな現時点あまり実ってはいなかった。
「え、えと…その…」
「…てたよ」
「え?」
口の動きすら見辛いほどの、ほんの微かななのはの声。
「はやてちゃんに…言われて…クロノくんとはやてちゃんの話…聞いてた」
「あ…う、うん…」
(そ、そうだった、聞かれて…たんだ…)
「クロノくん、私のこと…言ってたんだよね?」
「えっ?」
「…はやてちゃんは私の名前言ってなかったけど…クロノくんは何度も言ってたよね…
私の名前…私のこと…」
「…え、あ……う、うん」
(名前を呼んでない?またそんなはやても微妙な小細工を…)
「そう…なんだ……私…の…こと……」
言ってまたもうつむいてしまうなのは。
「…」
「…」
(そう…だよな…聞かれてたんだ…だからなのはは僕が何を言いたいか…わかってるん
だよな…だったら…)
「なのは…」
「…はい…」
もう隠すことはないと思うにつけ、クロノは自分が急激に冷静になっていることに気
づいた。
(これなら…今なら…)
足がかりを得たクロノは。まだ見ぬ一歩を、ようやく踏み出した。
「…大体のところは…聞いてたからわかってる、と思うんだけど…」
なのははそれに応える代わりにうつむいたまま大きく頷く。
「だから…要点だけ、肝心なことだけ言うことにするよ…」
今一度、今度はゆっくりと頷くなのは。
「僕は…クロノ・ハラウオンは高町なのはにKOOLの誓いを立てる。永久に変わらぬ
ことを、約束するよ」
「へっ?え、えっと…く、くーる?」
予想とは違ったクロノの言葉になのはの緊張も瞬時にとける。
と、同時に当然ながらの疑問の眼差しがクロノに向けられる。
クロノは優しく微笑むと、説明を加える。
「K・O・O・L。クール。ミッドの…愛の告白の一つなんだ、ちょうどなのはの世界
にも同じ言葉があるよ」
「どういう…意味なの?」
(はやて、すまないな、少しばかり難しい言葉を使ってしまったよ)
心の中ではやてに謝罪しておいて、クロノは愛する人に大事な言葉を告げる。
「Kiss
Only
One
Lady。
只1人の女性にキスを……なのは、僕は君が好きだ」
クロノの言葉になのはは身を強張らせ、両手で自分を掻き抱くようにブラウスの袖を
強く握る。
(マ…ズかった…かな?…いくらなんでも急すぎたか?…自分のことばっかりでなのは
の気持ちを全然考えてなかったぞ…僕の他に好きな人が既に居るとしたら…ただなのは
を困らせただけなんじゃないのかっ?!)
クロノが数秒の思考を繰り広げる間も、なのははうつむいたまま、じっと何かに堪え
るかのように身じろぎ一つしない。
堪りかねてクロノは声をかける。
「あ、あの、な、なのは、そ、その、勢いで言ったことは、その、僕に非があったから
で、その、なのはがもう意中の人とそういう関係だったのなら…その、忘れてくれても、
僕としては一向に構わないというか、いや、構うんだが…」
「…ねぇ、クロノくん…」
ようやくなのはの口から突いて出た言葉は、それでも目を合わすことなく告げられた
言葉は、クロノの思惑とはほんの少し違う方向のものだった。
「あ、あのね…その…私、その…告白とか、そ、その、そういうこと、ぜ、全然経験な
くって…あの、だ、誰が好き、とか嫌い、とか、よく…わからないの…ごめんなさい」
「あ、う、うん…それは…なんとなく分かってる…つもりだ…だから、その、こ、これ
から2人で、その…お互い、っていうか、そういうことを…」
「だから…約束…してくれる?」
「えっ!?や、約束?」
「…うん、約束」
「な、何のだい?ぼ、僕でできることなら…」
何だってする。の言葉。男が好きな女性に対して口にする言葉としては至極ポピュラー
な部類に入るであろう。実現可能不可能はこの際問題ではないし、むしろこの言葉自体、
次に繋がる話への接続語に近いものがある。
と、そういうことではなく。この流れが通ったということは、なのはの世界もクロノ
の世界も恋愛や告白といったものにさほど差がないといえる。
などと場違いなことをなのはの沈黙の間に考えてしまうクロノ。
(ぼ、僕は落ち着いてるのか混乱しているのかどっちなんだ!告白してその返事を待っ
ているところなんだぞ!!)
当のなのはも視線はテーブルに、そのどこともつかぬ一点を見つめ…たり目を閉じた
り…あまり落ち着いている、とは言い難い。
なのはの心を今掴んでいるのは、大きな不安。恋という未知の感情への不安。目の前
のクロノに対する不安。そして…かつて経験した寂しさという不安。
「あ、あのね…フェイトちゃんやユーノくんには話したことあるんだけど…」
「う、うん…」
「ユーノ」という単語にやや不安と胸の痛みを覚えるも、クロノはなのはの言葉を待つ。
「私…小さい頃にね、お父さんが仕事で大怪我して、このお店の切り盛りとお父さんの
看病でみんな忙しくて、家に1人で居ること…多かったんだ…」
「あ、ああ…」
クロノもその件についてはかつてフェイトから話を聞いていた。なのはが人一倍人と
の絆を大切にすることや、寂しさや孤独に対する嫌悪感が強いことを。
「だから…寂しいのはもう嫌なの、1人は怖いの。呼んでも誰も居ないのが耐えられな
いの。今はフェイトちゃんやはやてちゃんやアリサちゃんやすずかちゃんが居る。エイ
ミィさんもユーノくんも居る。お父さんやお母さんやお兄ちゃんやお姉ちゃんや忍さん
が居る。でも……いつか誰も居なくなったらどうしよう、怖いよ、どうしよう、今まで
そんなこと考えたこともなかったのに。どうして?なんで急にこんな不安になったの?」
「なのは…」
クロノはなのはに手を伸ばしかけるが、それより早くなのははがばっと顔を起こす。
「だから…だからクロノくん、約束してくれる?もし私が寂しくなった時は傍に居てく
れる?慰めてくれる?抱きしめてくれる?ずっと私のこと見ててくれる?
ねぇ…クロノくん……約束…してくれる?…」
「…なのは……」
おもいがけず感情を爆発させるなのはに瞬間とまどうクロノ。
聞くと見るではまるで違う。なのはにとってはトラウマと呼んでも差し支えない幼児
体験。おそらくクロノに告白されたことによって、他の友人との友情が今後どう変化す
るか読みきれなくなったことで不安を感じてしまったのだろう。それがもしかすると、
例えばクロノとなのはが付き合うことになったとしたら、というifが友情の破綻とい
う考えに一足飛びでたどり着いてしまったのかもしれない……
…に対しクロノは……
(傍に居るよ、と言ってしまうのは…簡単なんだけど…)
なぜかはクロノにもわからないが、それを簡単に言ってしまっていいとは思えなかっ
た。言うにしても、きちんとした理由でなのはを安心させてあげたかった。
目の前でこちらを見つめながら、微かに震えているようにすら見える少女にどうして
口からでまかせを言うことができようか。
(僕やなのはの立場で公私混同は…いや、僕らの場合は私事より公務優先なことなんか
いくらでもある。それがわからないなのはじゃないのに…………ん?…立場?……)
ひっかかるその一言。
「…あっ…」
一つの言葉が、
「えっ?」
「あ、い、いや、その、違うんだ、今のは…」
クロノの脳裏をよぎる。
「その…なのは・・・」
クロノの視界に移るなのはが2人出会った頃の相貌とオーバーラップする。
(クロノくんって、もしかしてすっごく優しい?)
(あの時、君はそう聞いてきた。僕は違うと返した。あの時の僕はそうだった…でも今は…)
「なのは…」
「あっ………」
優しく、なのはの頬に右手を添えるクロノ。
不安げな表情はまだ消えぬが、それでもそこに、確かに手の届く内にあるのは、クロ
ノが想い寄せる人。
さらり、と髪をわずかにすくい上げるクロノ。クロノにしてみればわずかでもよく顔
を見たいという気持ちの表れ、なのはにしてみれば、思いがけず告白を受けた相手から
の初めての愛撫。
早鐘を打ち始める2人の鼓動。お互いがお互いに聞こえてしまうのではないかと思う
くらい、2人の耳には自分の鼓動がどくどくと響く。
「聞いて…なのは…」
「…はい…」
「…僕もなのはも責任のある立場だ、その立場として言うなら公務より私情を優先
させることはあってはならないことなんだが…」
「そんな…」
不安げな表情がそのまま悲しみに包まれ、なのはの双眸から涙が溢れかける。
が、それが零れ落ちるより早く。クロノの言葉が、優しい微笑みが、その流れを止める。
「なんだが…」
あの時と言葉こそ同じ、だが、異なるその口調。
はっ、と、なのはの脳裏にもあの日あの時の言葉が、光景が蘇る。
「状況が特殊だし、それになのはの身の上もフェイトから聞いたりして知っている。
…なのはを一人にさせたり、寂しい思いをさせないことに関しては、ちょっと自信
がある。心配しなくていいよ」
「クロノくん…」
「なのはに…そんな思いをさせてまで仕事ができるほど、僕は冷徹な人間じゃないから」
「……」
「……」
なのはは視線をテーブルに落とし、うつむいたままクロノに問いかける。
「…クロノくん、『あの時』言ったよね、執務官として当然の発言だ、私情は別に
入ってない、って」
「…ああ、言ったね」
「同じこと、もう一度聞いてもいい?今なら違った答えが返ってくるのかな?」
「どうだろうね。試してみるかい?」
「……」
「……」
「…クロノくんて、もしかしてすごく優しい?」
クロノは目を閉じ、浅い深呼吸を一つ。
開いた目に、ちょうど顔を上げたなのはの顔。
重なる視線に押されるかのようにクロノは言葉を発した。
「なのはがそれを望むなら、僕はいくらでも優しくなれる。
僕は、
なのはが、
好きだから」
心の奥の奥の奥に響くその言葉に、なのははぎゅっと握った両手を胸に当て、またも
うつむいてしまう。
クロノはそんななのはに今度は自分が問いかける。
「返事を…聞かせてくれるかい?」
その問いに、
なのはは、
ゆっくりと顔を上げる、
「どういう…こと言ったらいいか…よく、分からないの…ごめんね…」
クロノは静かに首を振ると、
「考えなくても、いいよ。なのはが今どう思っているかだけで…」
「…それじゃぁ、教えてほしいことがあるの」
「…ん、なんだい?」
「え、と、さ、さっきの…KOOL、っていうやつなんだけど…」
「ああ」
「男の人しか言っちゃいけないの?あの言葉は」
「KOOLの誓いは、男性から女性にKOOLの誓いを立てるんだ。そして、もし、
女性がOKしたら、その女性は今度はその男性にKOOLの誓いを立てるんだ。
Kiss Only One Lady、KOOL。それに対する女性のKOOL、
Kiss
Only
One
Love。
ただ1つの愛への口づけ……2人の永遠の愛の誓い。だよ」
「…OKだったら、KOOLで返す…」
「そう」
「だめだったら?」
「ん…それは特に…元々KOOLは相思相愛の人が改めて絆を再確認するときに使う事
が多いんだ、こういう状況では…正直あまり使わない。というか、想定…してないかも
しれない…」
「そっか…じゃぁ、こうすればいいのかな?」
「ん?」
なのはは両手をそっと自分の右頬のクロノの手に添える。
潤む瞳でクロノを見つめ、そっと言葉をつむぎだす。
「…高町なのはは…クロノ・ハラウオンからKOOLを宣告されました。
其に対する返答をまた、KOOLで返したいと思います…
Kiss Only One Love.
高町なのはの、ただ1つの愛への口づけを、クロノ・ハラウオンに捧げます。
クロノ・ハラウオンはこの誓いを受けてくれますか?」
「…KOOLに従い、高町なのはを只1人、愛し続けます…永久に、2人で…」
〜 〜 〜 〜
辺りが騒がしい。初めてのキスにしてはちょっと騒がしい雰囲気だったかな、
まぁ、いいか、なのはが、クロノくんが、一緒なら、
お互い、テーブルに手をついて、
身体を伸ばして、
迫ってくるお互いの顔をちょっとだけ確認して、
そして2人とも目を閉じて、
なんだがあっという間に唇と唇が触れ合った。
初めてなのに、あれ、失敗しなかったな。
なんでだろう、なんだか…心の奥底では初めてじゃない、って思ってる自分がいる。
なのはと、クロノくんと、…なんでだろう、いつキスなんかしたんだろう。
遠い昔かな。私達が私達でない頃の私達も今の私達と同じようにこうやってキスして
たのかもしれない。
でも、別にいいや。考えてもわからないし、なんだか周りも五月蝿いし。
せっかくなのはと、クロノくんと、キスできたのに、もうちょっと静かにして欲しい
かもしれないな。
あ、でもなんだかちょっとキス長いかも、でもどれだけキスしてるのが普通かなんて
知らないし…なのはが、クロノくんが、嫌がってたらどうしよう。
せっかくキスできたのに、キスが原因で喧嘩したくないな…
でもせっかくだからもう少しこのままで居たいな。初めてのキスなんだから。
なのはも、クロノくんも、そう思っててくれるといいな。
ああ、でもどんどん周りが五月蝿くなっていく。
もう、そんなに騒がないでよ、見世物じゃないんだからっ!!
…………えっ??
〜 〜 〜 〜
「ちょぉーーー!!2人ともやりすぎやーー!!!店ん中パニックやないかーーー!!」
「んなっ!!!」
「ええっ!?!?」
はやての「騒がしい」声を掻き消すほどの大喧騒が翠屋の中を飛び交いまくっている。
おそらく有史以来の翠屋の最大騒音レベルであろう。
「私生告白初めて見たーーー!!」
「すごいー、なにこれー、ドラマの撮影じゃないよねー!!」
「只1人の女性、だって、いゃーん、私も言われたーーーーい!!!」
「男の人かっこいいー、店員さんもかわいいし、お似合いーーー!!!」
「おめでとー、店員さーん!!」
「男の人もすっごいかっこよかったよー。いいなぁー!!」
etc、etc…
そしてとどめ。
「ちょっとはやて、なのはがクロノくんに、って、うわぁーーなにこれーーー!!」
「ちょ、ちょっとアリサちゃん、待っ………」
大相撲の座布団よろしく、店内を飛び交う翠屋特製コースター(税別¥580で販売も
しております♪)と喧騒に、ドアを開けたアリサとすずかは固まる。
2人の記憶に物が飛び交う翠屋。のイメージは存在していないから無理もない。
思わず開けたドアを一度閉めようかと本気でアリサは考えたが、はやてが飛び交う物
の間をぬって、こちらにやってくるのを見て、しょうがない、と店内に足を踏み入れた。
「ちょっとはやて、これ何?どーゆことよ!」
「や、堪忍や、ちょぉ、なのはちゃんとクロノくんが暴走してもーてな。まさか店ん中
でキスするとはごっつ計算外やったわ」
「「きっ、きすぅぅぅううぅぅうううぅぅぅ?!?!?」」
「せや」
「…誰が?」
「だからなのはちゃんが」
「…誰と?」
「だからクロノくんと」
「…どこで?」
「だからここで」
「…キスしたっての??」
「せや」
ぽかんとアリサとすずかは顔を見合わせる。
「あ、あの奥手の集大成みたいななのはが…男とキス…しかも公衆の面前で…」
「い、いや、アリサちゃん、クロニクルって…そこまではちょっと言いすぎかと…」
「う、嘘よ、そう、これは夢よ、な、なのはに先を越されるなんて、いいえ、きっと何
かの間違いよ。そうよ、情報を制するものがこの現代社会で生き抜いていけるのよ!
や、やり直しを要求するわ!!」
「あかん、呼ばへんほうがよかったかな、アリサちゃん壊れてる」
「というか、なのはちゃんどこに居るの?」
すずかの言葉にはっと我に返るアリサ。
「そ、そうよ!本人はどこよ。私の先を越すなんて久々にほっぺた市中引き回しの刑だわ!」
「どこって、ほら、そこの席に………あれ?」
もぬけの空。
律儀に置かれた千円札が2枚。コップを重しにして置かれている席に、当のなのはと
クロノの姿はない。無論辺りを見渡しても今だ続く喧騒しか目に付くものは…。
「あら、うまいこと逃げられてもーたみたいやな」
「逃げられた!じゃないでしょーー!!!!」
「ア、アリサちゃん、ちょっと落ち着こうよ…」
「なーに言ってるの!すずか、あんた悔しくないの!!あのなのはに!あーのなのはに
男よ!男!!!わかってるの!!!」
「悔しいって、あー、なに、アリサちゃん、もしかしてなのはちゃんのことお祝いして
あげないつもり?」
アリサの鼻っ面にびし、と人差し指を突きつけるすずか。
「う…い、いや、け、決してそういうわけじゃ…ない…けど…」
「け・ど!何?」
「う…な、なんでもないです…う、うわーいーなのはー、おめでとー…」
「ん、よろしい、まぁ、棒読みなのは許してあげましょう。ちゃんと本人の前でも言わ
ないとダメだからね、アリサちゃん」
「うー…」
すずかの猛獣使いっぷりをあははと笑いながら、はやてはもう一度、主の居なくなっ
たテーブルに視線を移す。
「…がんばれー、2人とも…
強く支えるもの、幸運の追い風、祝福のエール…リインフォースの主としての、贈り
物、受け取ったってーな…」
そっとテーブルに、クロノが座っていた椅子に近づき、その背もたれをそっと撫でる。
「…がーんばれー…」
そしてはやては、ぐっ、と1人ガッツポーズ。
「よーっし、気合はいったー!さぁ、後片付けやー!」
と、今だ喧騒の渦の店内に乗り込んでいった。
To Be Continue 〜 CherryLight 〜 SWEET Epilogue
ALL職人様投下お疲れ様&GJです。
549さん保管庫更新ご苦労様です!PCは大丈夫ですか?(^^;)
はい、ということで、本編終了、次回エピローグ、ということで。
結局3回で収まりきらず、申し訳ないです。あと1回だけ。お願いします。
それはそれとして、中々甘々にはならんもんですなぁ、難しいです。
「神」ならぬ「紙」レベル、といったとこですかねw
KOOLはスモーカーならご存知かと、マルボロとどっちにするか悩んだんですが、簡単
なほうに逃げました。
では次回〜。
>>1 乙です。
ユーノ派としては微妙ですがw
美味しくいただきました。
仕事が忙しくて今月はSSも保管庫更新も無理そうです。
なので前スレはあまり埋めない方がいいかも。
16 :
前スレ91:2006/06/04(日) 23:11:03 ID:19BC95dt
>>4の422さん
スレ立て乙&GJです。
紛れもなく神レベルでしたよ。
ここで終わっちゃうのかーと思ってたら
もう一回続くんですね。楽しみです。
気長に待ってますので焦らずに執筆頑張って下さい。
>>4の422氏、スレ立て乙&GJっす。
やっぱ、クロノ×なのははいいなぁ。
二人の世界に没頭するあたり、らしいというかなんというか。
エピローグ期待してます。
のんびりまったり、頑張ってください。
今回はわざと埋めてないと言うのもある
(次スレ>15参照)
誤爆したorz
>>4の422氏
スレ立て、クロ×なのナイスです。
なのはは一度決めたらまっすぐですし、
クロノも決して気持ちを曲げる人ではないので
かなりのバカップルになりそうw
Epilogue期待してます。
>>4の422氏
どちらかというとクロなの派な私には聖書の様な(笑
クロノがなのはを好きになった時の言葉とその前後の言葉を
上手くSSに連動させてるな、と思いました。
なんというか、本編の数年後に実際こういう話が続くかも
というリアリティーみたいな物を感じました、素敵です。
今回で終わりだと思っていたのでエピローグがあるのが嬉しい誤算です(笑
余韻に浸りながらゆっくりと待たせて頂きます。
ありがとうございました。
22 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 18:49:09 ID:L6y14u6g
あげ
ユーノとなのはさんの精神が入れ替わったがむしろ何の問題もなく幸せになるという電波を受信したがエロくない
どうしてくれるんだ!
大丈夫、ここエロ無くてもOKだから。
だからちょっとその電波、全方位発信してみ?
ユーノとアリサの精神が入れ替わったがいつも通り淫獣だったという電波が
慣れない(慣れてるはずもない)男の子の体に戸惑うアリサに、
淫獣が「男の体の使い方」を教えてあげるわけですね?
特にリリカルマジカル棒の使い方を。
レス返しに参上ー。
>>15 549さん。
お忙しそうでお察しいたします(^^;)
無理しないでくださいね〜。
>>16,17,20,21さん
思いのほかクロなの派が居るみたいで書き甲斐があるというものですw
…と、バルディッシュ派の私が言っても今ひとつあれなんですが(^^;)
もう一人〜、の続きの執筆力補充も兼ねて原作なのはをプレイし直したとこですが…
…あー、やっぱクロなのはいいなぁw
よし、がんばっていちゃ*2させようw
携帯からです。
パソが逝きましたorz
>>28 な、なんと。
御愁傷様です。
次を買うからには最速ですか?
>>28 痛いですね。
最近のパソはぶっ壊れやすい気がする。特にハードディスクとか
おれPU450のIBM20Mだけどかれこれ
8年生きてる。そろそろXPに憧れる・・
>>31 その頃のIBMはものすごい頑丈にできてるからなぁw
魔法少女リリカルなのは 〜 もう一人の私へ・・・
この話って続きないんですか?
>>33 現状は保管庫にあるのが全部だな。
作者さんは今違うの書いてるし、待つしかないだろね。
とわいえ、確かに俺も続きは読みたいぞ同志w
続きを読みたいといえば、カルマはどうなっちゃったのであろうか。
……メートたん……(遠い目
スクライア一族の話はないの?
第3話 秘めた決意は痛みなの
「挨拶はもういいのか? まだ時間はある」
十分や二十分程度の遅れは計算の内だ。それならばもう少し送別に時間を割いてもなんら問題はない。
それでも僕の提案に同伴の嘱託魔導師が首を縦に振ることはなかった。
「ううん、大丈夫。また会えるんだから、そこまですることはないよ」
「それならいいんだが。けどいつ帰るかなんて目処はないんだぞ」
「大丈夫、なんとかなるよ」
「楽観的だな」
肝が据わっているのか微かな笑みと共に口を閉じる。まだ彼女達のことを引きずっているようにも思えたが大丈夫そうだ。杞憂でなにより。
彼女の成長と、それに隣り合う強さに心の中で何度か頷きこれからを確認する。
「まずアースラのトランスポーターで限界ギリギリの距離に待機してもらってる艦に転送」
「それからミッドに行ってL・ジュエルの保管と分析の依頼に」
「アースラの救援要請……これが本命だな」
結局の所、銀の翼は未だ場違いな場所で海水浴に勤しんでいる。職員達が身を粉にしても翼がお天道様を望める日は訪れる見込みがない。
悔しいが損傷の規模が大きすぎた。プレシアの次元攻撃がここまで反則的な威力を持っていたなど誰が考えつくか。
誰が見てもあれはもう艦船の主砲クラスだ。正直縁起でもないが、沈まなかった方がおかしい。
「レティ提督にも世話をかけるな」
「私はこれで二度目だね」
「嘱託の時か……」
返事の変わりに頷き返す。母さんの同僚ということもありあの人にはいろいろな方面で世話をかけてもらっている。
管理局で人事を始めとする種々の運用を取り仕切る彼女の助力がなければ今回のような短期間でのミッドチルダへの帰還もままならなかっただろう。
ついでアースラの修復のための人事派遣やら部品調達やら――ともかく顔を会わせた時には頭を下げねばなるまい。
地球の酒でも持っていけば良かったか。酒豪だし。
「だが人使いが荒いのも確かだ……」
「しょうがないよ、そんなに動き回れる人が少ないんだから」
まぁ、合理的といえば合理的なのだ、その動かし方も。だから文句も言えない。
言ったら最後どこに飛ばされるか分かったものではないが。
「そういえばユーノも結構使われてたよね」
「あいつはいいんだ、あいつは」
民間協力者――などという肩書きはレティ提督にとっては雑用係と相違ない意味として翻訳されるのだ。しかも数少ない結界魔導師にスクライア族ときていれば当然。
「魔法の腕が磨けるとか、ただで遺跡を回れるとか苦にしてないあたりが気に入らないんだけどな」
もう少しヒィヒィ言ってくれれば面白い絵になったというのに。
「もう……」
「あいつとは太陽が西から登ったって仲良くはなれない」
自分があいつと肩でも組んでいる姿を思い浮かべた日には胃に穴でも開きそうだ。
「ふぅん……エイミィは言ってたけどね、喧嘩するほど仲が良いって」
「彼女の言うことの半分はハッタリ出鱈目で出来てるんだ」
「もう半分は?」
「管制官……飛び切り優秀のな」
くすっと息の漏れる音。何が可笑しかったのかフェイトは口に手を沿え小刻みに震える始末。
「変なこと言ったつもりはないんだが?」
「だ、だって……エイミィの言ってたそのままなんだもん」
ふるふると首を振って込み上げる可笑しさを堪えている。これが他の人間ならもう笑い転げているんだろうか。
「何言ってったんだ……フェイト」
「半分はハッタリ、って所から全部同じ」
「……はぁ、そうか」
いつ僕の頭脳をハッキングしたんだ。
出来るわけないと分かっていても彼女はやりそうで怖い。むしろこの場合、僕の行動を全て読まれていたことに脱帽というか呆然というか……。
「やっぱり二人って仲がいいんだね」
「ああ、否定はしないさ」
士官学校以来、もう何年の付き合いだろうか。少なくとも家族同然なくらいに互いのことは知っている。
「本人曰く、姉気取りだからな。僕はそう思ったことは一度もないけどな」
「そうなんだ。……お姉ちゃんか」
「語彙的には姉貴だな。そこまで可愛らしい感じじゃないだろ」
モニター中央の特等席にどっかり腰掛けオペレート。任務中は威厳さえ漂わせ誰もが信頼を忘れることはない。
そう、彼女は一流だ。可愛さよりも凛とした姿が似合う。
「エイミィに言ったら怒られるよ。レディに向かって失礼じゃないのよーって」
「ああ、言うな。間違いなく」
自然と緩む口元に鼻から空気が抜けていく。以前なら冗談なんて言うこともなかったのにな。
口調まで真似する辺り、フェイトにはユーモアの才能があるみたいだ。
「……君も変わったな。もう一年経つから当たり前かもしれないけど」
「そう……かな? 私は自分が変わったようには思えないけど」
「普通はそういうものだ。誰かに言われて始めて気づく」
影なんてない、素直で優しく時に凛々しく、誰にも負けない笑顔を持つ少女。
きっと、フェイト・テスタロッサとはそう在るべきなのだ。
「みんなのおかげだな」
「うん、アースラのみんな大好きだから」
赤らむ頬に今までのことを思い出しているのか細めた目は潤んでいるように見えた。
「家族みたいなものだからな。アースラほど和気藹々した艦は他にはない」
「じゃあ私も……家族?」
不意に声が震えた。上目遣いに、でも僕と視線が合うと逸らしてしまった。
両手をもじもじと組み合わせながらフェイトはもう一度、俯きがちに口を開く。
「みんなの一員かな……?」
なんだ、そんなことか。
てっきりもっと難しいことを考えていたのではと邪推していた。
くだらないことと言っては失礼だろうか。でも、そんなことはフェイト自身一番分かってるはず。
軽く息をついてフェイトの頭へ答え代わりの手を置いた。
「さっさと全部終わらせてアースラに戻るぞ」
長い廊下に足音一つ。フェイトを後ろに僕は一人ブリッジへ。
「――うん!」
すぐに足音は二つになった。
* * *
時刻は夕刻。結界内を満たす夕日の色。
「レイジングハート! シーリングモード!!」
起動されるドライブモードの輝きを目の当たりにして黒い塊が竦むように身を震わせる。
溢れ続ける桜色の光は夕日を塗りつぶす。放たれる魔力は風になって木々を揺らす。
「今だ! 封印を!」
「いくよっ! リリカル、マジカル!!」
魔力で編みこまれた帯がどす黒い体に巻きついてそのまま締め上げていく。
地鳴りのような低く曇った唸り。この世のものとは思えないそれは聞いているだけで背中に寒気が走る。
「ジュエルシード!」
『No serial』
「封印っ!!」
霧散する魔力。黒き塊が溶けるように消えていく。レイジングハートによって自身を強制停止させられればもう抗う力はない。
初めて封印したあの暴走体を思わせるような相手は程なくしてあるべき姿へと還った。
「…………はぁーっ」
宙に漂いながらなのはが大きく息を吐く。誰が聞いてもわかるような疲れに満ちたため息。
無理もない。今日はこれで三つ目なのだから。
『Jewel seed is eight pieces in this one』
今日は、というよりもこの一週間毎日封印していった結果をレイジングハートが静かに呟く。
なのはは彼女の声を聞いていたのか俯いたままでゆっくりと大地に足をつけた。それさえいつもの軽やかさはなくよろける様な感じだ。
「あっ……とと」
「なのはっ!」
「だ、大丈夫。少し疲れただけだから」
本当は少しじゃないくせに……。
封印という魔法ほど魔力を食うものはないのだ。毎日使うだけでも体には負担だというのになのはは日に二回使った時だってある。魔力が膨大だからって平気な顔をしていられるわけがない。
もしそれで大丈夫というなら僕だってなのはに拾われるようなことだってなかったはずなんだから。怪我もあったけど止めを刺したのは封印に魔力を使いすぎたことなんだし。
「エイミィさん……もう反応ありませんよね」
『え? あ、うん……今ので最後だよ。今日はもう大丈夫みたい』
予想していなかった問いだったか、エイミィさんの声は聞いてわかるくらいに慌てていた。
僕だってなのはの言ったことに驚いている。いろんな意味で。
「なのは……もう今日は休まないと体が」
「大丈夫。そんなことよりL・ジュエル見つけないと」
きっと一週間前、フェイトたちと別れてから頭の中はそれで一杯なんだろう。
「駄目だよ、そんな疲れた体じゃ魔法だって」
「使えるよ……そうだよねレイジングハート」
『……All right』
笑顔を作って左手の杖を掲げてみせる。
いつもの笑顔だけどいつもみたいに元気が沸いてくる笑顔じゃない。僕としてはどうしても心配の気持ちのほうが大きくなってしまう。
心なしか彼女の答えも重い気がする。
「でも今日は終わり。休めるときに休まないと後が続かないよ」
「うん、そうだよね。もうすぐ晩御飯だし早く帰らないと」
なんで少しは休めって言えないんだろうか。
確かに今この町を守れるのはきっとなのはだけだ。アースラの職員たちでも今みたいな魔力からなる暴走体ぐらいの相手が限界なはず。これは戦力的な意味じゃなくて封印魔法を行使する意味でだ。破壊するだけならたぶん数で押したほうが強い。
けど、生物を取り込んでより鮮明な形を得た願いを止めるにはインテリジェントデバイスのサポートと大出力が必要になる。
何十もの工程を踏んでようやく発動できる封印をストレージデバイスで使うには分が悪いのだ。サポートを得意とする僕だっておいそれと使えない。
「じゃあ転送で一気に」
「いいよ、わたし歩けるよ。あんまりこの世界で魔法だって使っちゃいけないでしょ?」
封印とはそういうものなのだ。
僕にできること……こうやってなのはの負担を少しでも減らせるようにサポートすること。
「いいんだ許可は貰ってる。それにここまで魔法を使っておいて今更だよ」
「あはは、そうかも」
僕も独断で今日みたいな弱い相手を封印できればいいんだろう。でもそれで魔力を使い果たしてなのはのサポートはおろかお荷物にでもなったら本末転倒。
悔しいけどこれしかないのだ。今の僕には……。
「それじゃいくよ」
「うん、じゃあお言葉に甘えさせて貰います」
ペコリと頭を軽く下げてなのはが笑った。少しだけいつものなのはが見えた気がした。
本当に最悪の事態になる前にL・ジュエルを封印してこの追いかけっこを止めなければ。
「――転送」
だけどふと気づいた。
その時、なのはに封印できる力はあるのだろうか、と。
* * *
ベッドから起き上がるのが辛い。
風引いたみたいなだるさがわたしを包み込んでいるみたい。
「……ん」
今何時だろう……。
ほんとに地に足をつけているのか変な浮遊感を感じながら、わたしは部屋のカーテンを開けた。
「――っ!」
一瞬真っ白に塗りつぶされる目に、なぜだか少しフラっと体が傾くのを感じた。
何とか踏み止まってまぶしさに慣れてきた目は時計を見る。時刻は六時半。いつもより三十分遅かった。
「よかった……遅刻じゃなかった」
ほっとした。これで遅刻だったら目を当てられない。
「……起きたの? なのは」
「あっ、おはようユーノくん。起こしちゃった?」
「ううん、僕も今起きたところだから」
バスケットから顔を出すフユーノくん。日差しに目を細めながら伸びをした。
「なのは、体は大丈夫?」
「あ……うん! 元気だよ。今日もいい日になりそう」
手を胸の前で握ってみせて自分が疲れてないことをアピールする。
ほんとはちょっと、ほんのちょっとだけ疲れてるけど顔には絶対出さない。ユーノくんが気遣ってくれるのは嬉しいけど、やっぱり心配させたくない。
「ちょっと寝坊しちゃったね」
舌を出しておどけてみせる。滅多にしない寝坊を二日連続でしてしまうなんて疲れが溜まってる証拠なんだろう。
でもそれを理由に学校を休んでいいわけがないし寝坊をする理由にすらならない。
わたしがしっかりしていればそれでいいことなんだから。
「じゃあわたし朝ごはん食べてくるね」
「あ、でもその前に着替えないと。パジャマのままだよ」
「そ、そっか、あはは」
「外出てるね」
軽やかに机から飛び下りてベランダへユーノくんが出ていった。着替えるときの恒例行事。
着替えるの忘れていたなんてまだ寝ぼけているみたい。
きっとおなかが減ってるせいだ。だからお母さんのおいしい朝ごはんでエネルギー補給。
制服に着替えて、階段を下りて、洗面所で顔を洗って、鏡に映った自分がいつも通りであることを確認してわたしはみんながいる食卓へ行く。
「あっ、おはようなのは。今日も遅かったねぇ」
「おっ、来たな寝ぼすけ娘」
「全く、夜更かしはほどほどにしておけよ」
「は、はーい……」
いきなりお兄ちゃんに釘を刺される。夜更かしはしているわけじゃないんだけど。
「いいじゃない恭ちゃん。別に遅刻してるわけじゃないんだしさ」
「そういう生活を習慣にするなと言ってるんだ」
「まぁ、なのはに限ってそれはないだろう。なんてたって俺の娘だからな」
「はぁ……なにはともあれだ。おはよう、なのは」
「おはよう、お兄ちゃん、お姉ちゃん、お父さん」
さわやかな朝の日差し差し込むリビング。みんなに挨拶をしてわたしも自分の指定席に腰を落ち着けた。
「バッチリピッタリタイミングね、なのは。ちょうど朝ごはん出来たところよ」
「あっ、お母さんおはよう」
「はい、おはようなのは」
キッチンの方から大きなお皿を持ったお母さんがやって来る。すごくいい匂いがする。今日の朝ごはんは何だろう。
テーブルにはベーコンエッグに狐色のトースト。それにサラダと洋食セットが顔を連ねていた。
「今日は桃子特製スーパースクランブルエッグよ」
大きなお皿の上にはこれまた黄色い固まりがドン、と盛り付けられていた。
「母さん、おかず卵ばかりじゃないか」
「スクランブルエッグにベーコンエッグ……どっちも卵だ」
「ちょっと卵が安かったから多めに仕入れちゃったのよ。だから高町家の食卓にもお裾分けってことなの」
お母さん、いくら多めに仕入れたってお店の食材を勝手に使ってよいのでしょうか……。
「うむ、母さんもこう言っていることだし素直に頂こう。うまいことに変わりはないんだからな」
「あらあら、あなたったら。お世辞言っても何も出ませんよ」
「お世辞なわけあるか。桃子の料理は世界一だからな」
がははは、と大口開けて豪快に笑うお父さん。鶴の一声というか、お父さんが言ってしまうともうお兄ちゃんもお姉ちゃんもわたしも反論はできないのが食卓のルール。
「二人とも朝からごちそうさま」
「だな」
苦笑して顔を見合わせるお兄ちゃんとお姉ちゃん。確かに朝からいい具合に惚気てしまっているお父さんとお母さん。
やっぱりいつまで経っても新婚さんみたいにラブラブです。むしろ年々パワーアップしているような。
「よし、それではいただきます」
「いただきます」
そうしてお父さんの号令で朝ののどかな時間が始まる。
「あっ、おいしい! お母さんこれ何隠し味に入れたの?」
「あら、流石なのはじゃない。実はね……ちょっとだけお醤油とチーズを入れたの」
「そうなんだぁ」
なんだかいつものと違って味が濃厚というかまったりしてるというか。とにかくおいしい。
「へぇ、そうだったんだぁ。私もなにかいつもと違うな〜って思ってたんだけど」
「なのははやはり翠屋二代目か、父さん嬉しいぞ」
「まだそう決まったわけじゃないだろ、父さん」
「でも跡取りがいるってことは頼もしいことなのよね」
いつもと変わらない風景。
お父さんとお母さんはいつにも増して仲が良く。お兄ちゃんとお姉ちゃんもやっぱり息が合ってて。
わたしはというとやっぱりなんだか浮いているような感じがしなくもなかったり。それでユーノくんも一緒に朝ごはん食べてくれないかな、なんて考えたり。
ちょうど歳だって同じ、二組ずつなら数も合うし。
「そういえば今日はユーノもお寝坊さん?」
「うん、わたしと一緒に起きたよ」
「そっかぁ、じゃあ後で朝の充電やってこようかな」
「あんまりユーノをいじめるなよ」
「いじめてなんかないよ。スキンシップだよ、スキンシップ」
口を尖らせてお姉ちゃんが拗ねた。確かに触る、というか撫で回すのはいじめではないと思うけど。
そういえばユーノくんは家ではフェレット未だに扱いなんだった。もし本当のこと知ったらどうなるんだろう。
「ああ、もうすりすりしたいよ〜」
「ユーノ中毒だな」
お兄ちゃんが頭を抱えていた。ほんと、お姉ちゃんなんかユーノくんが男の子でした、なんて知ったら気絶するのではないだろうか。
「あー私もう我慢できない。ごちそうさま」
気がつくといつの間にか食事を終えていたお姉ちゃんはもう二階へと行ってしまった。
「あ、あはは」
なんていうか……すごい行動力だ。
「ほんと賑やかな朝はいいなぁ」
「そうね」
そんなこんなで変わらぬ朝はいつも通りに過ぎ、わたしたちはそれぞれ一日過ごす場所へと出掛けていくのでした。
まず私事で二週間ばかり投下しないでいた私に慈悲をorz
もうひと段落着きましたのでこれからはいつもどおりのスピードでぼちぼち
投下していくつもりです
>>4の422氏
いやはやハッピーエンド、お疲れGJ!
……なんですけど、ユーノ×なのは原理主義者(マテ
な私的には素直に喜べなかったり。……聞き流してください
それにしても流れが止まってますね
随分と
――――そうしてまた空の上で、あたしたちははやてとリインフォースに会うんだ。
クリスマス・イブの夜。窓の外でしんしんと降りつもる雪を眺めていた。
はやてと、はやての守護騎士であるあたしたち四人はなにをするでもなく、居間で静かに佇んでいる。
「なんや、なんかもう足がぜんぜん動かせへんなー……」
もう、はやてには下半身の感覚がない。
それは終わりの兆候だった。別に闇の書の呪いでもなんでもない、人間であれば誰にでも平等に訪れる老いという終わり。
リインフォースが想いと力をはやてに残して空へと還ったあの日を転機にはじまった、新しい生活。
あたしたちははやての幸せをもとめながら、はやてはあたしたちの幸せをもとめながら、そうして過ごした長い日々。
あたしたちはこの世界で、このマスターのもとで、いくつ季節を越えたのだろう。
はやての結婚相手に嫉妬して一騒動起こしたこともあった。
はやての妊娠と出産の時には母体と赤ちゃんの容態に戦々恐々してまた一騒動。
生まれたその子が一番なついたのがはやてでもリインフォースUでもあたしでもなく、ザフィーラであったことが複雑だったり。
小さかったその子も、あっという間にあたしの身長を追い越していっぱしの男になってしまい。
シグナム曰く、どこに出しても恥ずかしくない自慢の弟子だというそいつも、やがてひとりの女の子と結婚して。
そうして生まれた孫娘も、もう成人。
「……そろそろ、寝よかな」
生まれた誰もが時の流れとともに育ち、老いて、死ぬ。
なのはもテスタロッサも、他のみんなもそれは同じことで。
「いやー、それにしても長生きしたなー私」
ひとり、またひとりと仲間が逝ってしまうなかを、はやては生きた。
「みんなのおかげやね」
穏やかに微笑む。遠い日々に想いを馳せながら。
はやての夫であった彼が逝った後、はやては息子家族から離れ、あたしたちと5人で暮らすことを選んだ。
「親友だった人も、夫も、みんな旅立ってしもーた。喪ったものは大きすぎて、私はほんとうにまいってたんよ。
でも、みんながいてくれた。みんなが私の側にいてくれた」
「そんなの、あたしだってそうだ。ひとりじゃ耐えられなかったから、はやての側にいたんだ」
つらかったのはあたしも同じだ。でも、はやてがいてくれたから、はやてがあたしたちを支えてくれたから、あたしたちはいま、こうしていられる。
「そやな。私たちは、いっしょに生きたんやね」
「たぶん、明日の朝やね」
目をつむって、大きく息をついて。自分の死期をはやては告げる。
みんな驚かなかった。黙って聞いていた。主と守護騎士という繋がりのせいだろうか、以前からなんとなく、彼女の死期を悟っていた。
主の死を、自分でも不思議なほどに静かな気持ちで受け入れていた。
「それでな、みんな。今夜は、みんなでいっしょに寝てみんか?」
ソファーとテーブルをどけて、居間へふとんを運んだ。
シグナムがはやてを抱き上げてふとんに降ろし、シャマルが掛布をかけてやる。
「それじゃあ、電気消しますよ」
シャマルの声と共に、明かりが消える。
暗闇の中、みんなで寝るということに、なんとなくふしぎな感じがする。電気がついてるとこんな感じにはならない。
ひとつの部屋の中で、時間と、空間と、空気を、みんなで一緒に共有しているような気もちになるから。
ぽつぽつと、みんなで他愛のない話をする。
それは静かな気持ちのまま、穏やかな気持ちのまま、楽しい気持ちになる、いつもどおりの会話だ。
いままでも、これからも、あたしたちはみんな変わらない。
変わらないままで、夜を過ごすのだ。
目を覚ましたのは朝方だった。
「あ、珍しなー。ヴィータ、今日はずいぶん早起きや。おはようさん」
「……おはよう、はやて」
みんなも既に起きていた。眠い目をこすりながらあいさつを返す。
見ればカーテンの隙間に曙光の空。別れの雪が窓を叩いている。
布団に座ったまま、シャマルのいれてくれたお茶をみんなで飲む。
ふう、と心地よさそうにはやてが息をつく。
「なんや、なんか眠くなってきたなぁ。さっき起きたばっかりやのに」
苦笑まじりの、はやての声。
「じゃあ、もう一度おやすみしちゃってください、はやてちゃん」
冗談まじりの、シャマルの声。
「ん、そーしよーかな」
身体を横たえて、布団をかけ直す。はやては大きく息を吐いて、目を閉じた。
「主」
「どしたん……? ザフィーラ」
「やり残したことは、ありませんか」
ちょっとだけ、考える仕草。
「……んーん。なんもあらへん」
眠たげな、返事。
「……では、ゆっくりとおやすみください」
「……ん、いままでありがとな、ザフィーラ、みんな。みんなも、おやすみなさい」
それはきっと、世界で一番思いのこもった、おやすみなさい。
葬儀が、終わって。
「さて、どうするかな……」
「解散でいいんじゃねーのか?」
思案するシグナムに、吐く息の白さを追いかけながら言った。
はやてを見送ったあたしたち。あとはもう、好きなときに眠るだけ。
適当に外をブラブラして、飽きたら勝手に空の上へと還るのだ。
そうしてまた空の上で、あたしたちは――――
結局、各自で思い思いに散ることになった。どーせ誰かに側にいてほしくなったらすぐに思念通話で呼べる。
最後は、自分だけの時間で自分の好きなように過ごす。
ちらちらと雪が静かに降っている。雪が降る前まで老人会のゲートボールを楽しんだ広場だ。ベンチに積もった雪を払いのけて腰を下ろした。
はやてを想う。
闇の書のコアを消し去ったクリスマス・イブの夜、あのときと同じ時間に自分の死期を告げ。
リインフォースが空へ還っていった雪の降るクリスマスの朝、あのときと同じ時間にその命を空へと還していった。
空を見上げて、瞼を閉じた。
顔にあたる、雪の冷たさの感触。これが春になると桜の花びらになり、夏には強い陽射しの感触に変わったものだった。
―――ああ、ほんとうに、ほんとうにたくさんの日々を過ごしたんだね、はやて。あたしたちは。
咲き誇る花びらを浴びて。星流れる夜空を見あげて。月明かりにかしずかれ。粉雪降りつもった銀一色の世界の中で。
あなたがあたしたちをこの世界に喚んでくれた。あなたがいたから、あたしは幸せだった。
ふりかえれば、それはひどいくらいに楽しさばかりにあふれていて、心のうちにあるおもいでは、とてもとても切ないんだ。
なのはやテスタロッサたちの、おかげだね。
騎士たちの、おかげだね。
あなたの、おかげだね。
ありがとう。あなたがあたしの主でいてくれて。ほんとうによかった――――
涙があふれる。
いつしかそこはもう既に公園ではなく、雪の静寂すらもかききえて、一面の霧。
立ち上がって歩いていく。涙をぬぐって心静かに霧の奥。
やがて意識はあいまいになり、地面を踏む感触も無くなって、自分という存在も自覚出来なくなってゆき――――
ゆめうつつのなかで、扉に手をかける。開けてみると見慣れた玄関。
疑問に思いながら靴を脱ぐ。つい習慣でただいま、と口に出してしまった。
「あら、ヴィータちゃん、おかえりなさい」
シャマルがひょいっと居間から顔だけを出す。
「え、シャマル……?」
「ん? どうしたのヴィータちゃん」
あれ? 自分は今、なにを疑問に思ったんだろう?
「あ、ああ、いや、なんでもない……」
「そう?」
エプロンを掛けながら、シャマルは台所ではやての隣に並んだ。
居間にはいつも通りのみんながいる。ザフィーラが床に寝そべっていて、シグナムとリインフォースが食器の配膳。
『マイスター、お鍋そろそろ危ないですよ』
「お、ほんまや。吹きこぼれそう」
リインフォースUははやてのふところで料理を手つだっている。
「あー、おかえりヴィータ。ちょーどいいところに帰ってきたなー。もうすぐできるから手洗ってテーブルに座ってるといいよー」
「あ、うん……」
言われるままに洗面所で手を洗う。水の感触が気持ちいい。なんとなく、気分もすっきりした。
蛇口を止める。料理の匂いがここまで届いていることに気づく。おいしそうだとすなおに思えるいい匂い。頬がほころぶ。
みんなテーブルについて、いただきます、の唱和。
相変わらずはやての料理はおいしい。満足。
なんでかな、はやての料理を食べるの、なんだか久しぶりな気がする。おかしいな、毎日食べているはずなのに。
でもまあいいや、と思う。この幸せの日常の中で、そんな些細なことはどうでもいい。
「リインフォース、食べないならそれくれ」
「口にものを入れたまま喋るな、それにこれは『まだ』食べないだけだ。主の料理はゆっくり味わいたいからな」
「まあまあヴィータ、おかわりはあるから、そんな焦らんでも大丈夫やよ」
「うん!」
「あ、ヴィータちゃん、口元よごれてるわよ」
「ヴィータ、こっちを向け。拭いてやる」
賑やかな風景。
はやてがあたしを見守るように微笑んでいる。あたしのいちばん大好きなはやての笑顔がここあるのは、みんながいるから。
――――はやてと生きてはやてを見送ったら、あとはあたしたちは好きなときに眠るだけだ。
そうしてまた空の上で、はやてとリインフォースに会う。
ああ、そうだ。あたしたちには、転生という名の永劫の呪縛はもうない。
解き放たれたあたしたちはあの空の上にいる。あの現実の続きを、あたしたちは生きている。
――――そっか。ほんなら、みんなでいっしょに生きようか――――
はじめまして。
サウンドステージ03を聞いて真っ先に思い浮かんだネタを衝動的にSSにしてみました。
話の内容、文章技法などについて至らぬ所があれば遠慮無く指摘ください。
>>48氏GJ!!ホロリと来たよ。
俺もこんな風に終わりたい・・・
>>スクライア一族の話はないの?
そうだな。書いてみようっと。
今週中に・・・のつもりで作成してみようと思う。
期待するのは勘弁ね?
>>640さん
> パソが逝きましたorz
ぐぁ、なんですって!!
ば、バックアップとか取ってあったんでしょうか…
お早い復帰願ってます…
うわ、俺もバックアップちゃんと取っておこう…怖くなってきた
>>33 >〜もう一人…
もしかしてお待ちいただいてるみたいで申し訳ありません、まだ書けてなくて。
クロなのが終わったら書きますんでご容赦をm(_ _)m
>>176さん
一期3話ばりの疲労困憊なのは。うわ、たのむから寝かせてあげて(^^;)
こーゆーのみてらんないクチだよー。
>>48さん
乙&GJです。
あー、涙腺緩むねぇ、こういうの。や、ほんのりとした雰囲気で好きですわー
や、しかし、自分が立ててから全然スレが進まなかったから一安心です。
なんか俺悪いことしたから皆投下してくれないのかと思ってびくびくしてたから
(Let's小心者)
さ、がんばって続き書こーっと。
>>21 KOOLってKeep Only One Loveじゃなかったかと思うんだが。
Marlboroは知らね。
>>51 ご存知でしたか。
KOOLは諸説あってKeep Only One LoveとかKeep Only One Lady(一応前者が有力)
とか言われてますね。まんまはあれなんで、Kissにしてみましたゆえ。
ちょっと説明足りなかったかな、失礼。
マルボロはMan Always Remember Because of Romance (Only)。
らしいですね。最後のOnlyは有る無いで意見分かれるそうな。
>>48 全時空管理局職員が泣いた。
強いて言うのなら、はやてがまったく老人ぽくなかったところが気になったかな。
おばあちゃん特有の包容力とか、そういうのを表す描写があればもっとよくなったと思う。
まあはやては子供の頃から既に老成しているというかおばあちゃん属性というk(石化)
はやてとヴィータの関係が既におばあちゃんにかわいがられる孫と変わらないしなw
>>48氏
GJです。これは泣ける
ところでひとつだけ、見逃せない部分がありました
>はやての妊娠と出産の時には母体と赤ちゃんの容態に戦々恐々してまた一騒動。
>生まれたその子が一番なついたのがはやてでもリインフォースUでもあたしでもなく、ザフィーラであったことが複雑だったり。
>小さかったその子も、あっという間にあたしの身長を追い越していっぱしの男になってしまい。
>シグナム曰く、どこに出しても恥ずかしくない自慢の弟子だというそいつも、やがてひとりの女の子と結婚して。
ヴォルケンリッターの育児騒動日記〜男児が一人前の男に育つまで〜
これめっちゃ読みたいんですけどw
>>48氏
・・・泣いた。家族にリインフォースTUも
いるところに感動した。幸せそうだ・・
>――――そっか。ほんなら、みんなでいっしょに生きようか――――
まとめ方巧いよ
>>48さん。涙でちゃった。
おれもヴォルケンリッターの育児騒動日記、お願いします。
魔法少女リリカルなのはACFの続きもお願いします。
ごめん、戦闘シーンで悪戦苦闘してる。
乱戦に次ぐ乱戦だから性質的に……
どう書けば良いか……
ちゃんとがんばってはいるので
気長に待って、
しかし良い書き方は無い物か……
戦闘シーンはしんどいねぇ。参考までにフェイト×クロノで有名な某聖痕氏のを読まれては? 描写が長すぎてダラけてる
部分があるけど全体的に纏まってる。
最近はリクエストがプチ流行のようで。
しかしエロをほとんどリクエストしないとは大したエロパロスレだw
惜しむらくはやや過疎り気味だよねぇ、一時期の投下ラッシュが懐かしいよ・・・・・
と、書かない俺が言ってみる。
あとせっかくなのでアリサ×なのはも見て見たい、と言ってみる。
549氏と640氏というスレ初期からの二大エースが不在状態だからねェ。仕方ない気もする。
>二大エース
例えたら、なのはが549氏でフェイトが640氏?
新作が出ないので、
繋ぎとしてアースラの一夜をどうぞ、
ACFはもう少しかかります(汗
第6問 未知の魔法体系に出会ったら、
(出題者 エイミィ・リミエッタ)
調査をする段階で結構厄介なのが、自分が知らない魔法体系を使う人たちに遭遇したとき、
特に、結界とか張られると、解析に手間取り大幅に作業が遅れることになるの、
そうやってる間にも、結界の内部では何かが起こっているわ、明らかに危険なこの状況、
さてどうするのがいいと思う?
ほら!早く答えないと取り返しのとかない事になっちゃうよ!!
答え
強行突入する。ただし、可能な限り戦力を集める事、
<解説>
強行突入は最後の手段、でも、逆に言えば手段として存在すると言う事、使う時に注意すべき事は
二つ、先ず、突入する人員は多めに用意する。次にバックスの護衛を残しておく、
結界が囮だった時の保険にね、外部から結界を無理やり破壊できるのならそれも手だけど、
内部にヤバイ存在がいた場合、酷い事に為るかも知れないから管理局としては使いにくいの、
まあ、こんな手段を使わずに済むようにミッド式以外にも幾つか魔法体系は抑えとくといいわよ、
え?そう言う自分はベルカ式も知らなかったじゃないかって?それはその……あははははは
クロノ「笑い事じゃ無いぞ、エイミィ……」
エイミィ「ほ、ほら、私もあの一軒以来成長してるんだから……」
シグナム「失礼だがクロノ殿、貴方は人の事を言えるのか?」
クロノ「どういう意味だ?」
シグナム「聞いた話では、貴方がベルカ式を勉強したのは、我々が前の主の元にいた時の出来事が
原因ではないか?私に言う資格が内のを承知の上で言わせて貰うが、
父上が御在命なら、貴方はベルカ式の特徴などを学ぶ気が起きたのか?」
クロノ「それは……だが、これは……」
シグナム「我々が主はやての元に来て管理局と接触した時、過去、ベルカ式と因縁が無くて
ベルカ式を知っていたのはユーノ殿だけだったらしいな、そして……」
リンディ「それが管理局の現状なのよ。」
クロノ「それは認めるよ、でも……」
ユーノ「僕から見たら嘆かわしい限りだよ、この次元世界に一体いくつの魔法体系があると思う?
ミッド式は一番普及して、一番使いやすく見えるけど、これを使うならこれの方が良い
って魔法体系も多いんだ。それに、次元犯罪者の中には管理局がミッド式に特化しているのを
承知で、ミッド式以外の魔法体系を無理やり使う奴等も居る……
何が言いたいのか分かるよね、」
フェイト「平和を守れない……?」
ユーノ「違うよ!あ、いやそれもあるけど、もっと身近な問題があるでしょ!」
なのは「身近な問題?」
ユーノ「仕事が増えるの!!何で普及率の高い順に上から5番以内の魔法体系ぐらい知らないの!!
それぐらい基礎教養でしょ!いちいち無限書庫に照合しにこないと分からないのかあいつ等!
そもそも、術式が違うってなんだよ!そう言う術式なんだよ!違ったら発動s」
なのは「わあ!ユーノ君、ユーノ君、戻ってきて!!」
はやて「ヴィータ!鎮静剤行ける?」
ヴィータ「おう、グラーフアイゼン、行くぜ!!」
“ゴン”
ユーノ「キュウ」
ヴィータ「ふう、誰だよ、酒飲ませた奴は。」
クロノ「良く効く鎮静剤だな……」
シグナム「全くだ、」
はやて「地球で言うたら……Windowsの使い手の多くがLinuxを使えへんみたいなもんか。」
シャマル「それは違います。画面を見てLinuxとさえ分かれば、自分のPCを立ち上げて
使い慣れたOSでネットに繋げば後は検索で……」
はやて「そうか、そうすれば一応使えるねんな、時間はかかるけど、」
フェイト「と言うか、この問題では使えるか使えないかじゃないと思う……」
はやて「そっか、画面見てLinuxだと分かれば良い訳やな……て、それなら魔方陣の形状を検索したら
一発やろ?ちがうん?」
ザフィーラ「主、彼の発言を忘れています……」
シグナム「術式がどうこう言っていましたね、」
はやて「術式って、PCに治せばソースコードやんな……」
クロノ「しかも一般のソフトのコードでだ……」
ザフィーラ「使用しているOSを当てろと……」
全員の視線が気絶したユーノに集中する。
リンディ「ユーノ君も自分を基準で考える癖がありそうね……」
名前欄で大チョンボ、
>>62の名前欄は
魔法少女RPGクイズ アースラの一夜
が正解です。言わなくても直ぐ分かりますが……
それではお休みなさい、
シグナムってユーノやクロノを「殿」づけで呼ぶんだろうか?
はやてを、「はやて様(敬称)」じゃなくて「主(自分から見たはやての立場)はやて(名前)」で呼んでることからして、
クロノは本局の上司として「ハラウオン執務官」、ユーノはフェイトの友人として「スクライア」な気がする。
はい、普段はそう言うと思います。
しかし、今回は本人にとって言いにくい事を切り出すので
あえて他人行儀な良い方にしました。
そう言う意味では
ハラオウン殿とスクライア殿と言わなくてはいけないはずですので
これは単純なミスですね、
それでは本当にお休みなさい
このシリーズは大好きなので繋ぎといわずもっとカモン
>>48氏GJ!
うっかり夜中に読んで、さみしくなって布団抱きしめて寝ちまったじゃないの。
天国の表現が良かった。 この子ら、ほんとにハヤテに会えて良かったなあ。
>>480氏GJ!
元ネタがあるらしいけど、知らなくても面白いですな。
スクライア司書長、無理おっしゃる。
74 :
37564:2006/06/17(土) 01:41:29 ID:KxbmSjhp
魔法少女リリカルなのは、〜伝説の傭兵〜
第九話「バトル」
海鳴市―――――中心部に立ち並ぶ都市でもあり海や山といった自然も残された街。
そのビルの壁が突如爆発しフードを着込んだ男が空中に飛び出した。
しかし、男は地面に落ちる事無く重力に逆らう様に浮いていた。
「待ちやがれぇぇぇぇ!!!!」
すると、男を追って来たのか赤い洋服を着た少女「ヴィータ」も穴の開いた壁から飛び出した。
そして、ヴィータが柄の長いハンマー「グラーフアイゼン」で男に殴りかかった。
「おっと、惜しいですね」
しかし、男はヴィータの攻撃を余裕の声でかわした。すると、
「隙あり!」
長い髪を後ろに結んだ女性「シグナム」が男の背後に回りこみ手に持った剣「レヴァンティン」で男の背中に切り掛かった。
「見え見えですよ」
しかし、男はそう言ってレヴァンティンの柄を蹴り、男がビルの壁に戻った。
シグナムはレヴァンティンを構え直し男を睨んだ。
ヴィータもそれに続いた。
一方、男はビルの壁を背にシグナム達の方を向いていた。
「気をつけろ、ヴィータ。あの男…」
「分かってる。かなり強えぇ…」
確かに男は強かった戦闘が始まって10分が過ぎるがシグナムとヴィータの攻撃は、
男にまるで届かなかった。
「…なかなかの攻撃だが、この程度ではねぇ」
すると、男が戦闘が始まって初めて口を開いた。
「あたし等の攻撃をこの程度だと!?」
「落ち着けヴィータ、相手の挑発に乗るな!!」
「!」
男が声のした方を見ると狼の耳を生やした男「ザフィーラ」が男に殴り掛かろうとしていた。
「くらえぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「……ふん!」
しかし、男はザフィーラの拳が当たる直前に急降下し、攻撃を避けた。
「…チッ!」
攻撃を避けられたザフィーラは舌打ちをし男を追いかけた。
「待てよ、ザフィーラ」
そう言うとヴィータとシグナムはザフィーラを追う形となった。
一方、
「遅い!!!」
「うわああああああ!!!」
男の拳をまともに入ったクロノは後方のビルに吹っ飛んだ。
なのは達はなのは達で苦戦を強いられていた。
75 :
37564:2006/06/17(土) 01:44:18 ID:KxbmSjhp
「クロノ!」
一番近くに居たユーノがクロノに治癒魔法をかけた。
「う…うぅ、済まないユーノ」
「クロノ君!」
「クロノ!」
なのはとフェイトはデバイスを構えながらもクロノ達の方を見た。
「僕は大丈夫だ!それより油断するな」
クロノはフラつきながらもそう言った。
「如何した!まさかこの程度で終るんじゃねえだろうな!?」
男はそう言ってフードから出した両腕の拳をぶつけていた。
「くっ、舐めんじゃないよ!!」
そう言ってアルフが拳を握り締めて飛び出した。
「このやろう!!」
アルフが握り締めた拳を放つも、
「そんな攻撃に当たる程、オレは甘ちゃんじゃねえ!!」
男はそう言い放つとアルフの拳を避けそのままアルフの背中に一撃を入れた。
「ぐはっ!」
攻撃を受けたアルフは男の攻撃の威力も伴い落下した。
「アルフさん!」
「くっ、…なのは、私が上手く隙を作る。なのはは私の合図で攻撃して」
フェイトはバルディッシュを握り締めてそう言った。
「行くよ、バルディッシュ」
<了解>
「ふふふ、なかなか楽しめたな。もう少し成長したらもっと楽しいだろうな」
男が笑みを浮べそう言うと、目の前にフェイトが現れた。
「ほう、あの時の嬢ちゃんか、前より強くなったのか?」
男がからかう様にそう言った。
しかし、フェイトはその言葉を無視し片手でバルディッシュを持ち替えた。
<プラズマランサー>
バルディッシュがそう言うとフェイトの周りに幾つ物金色の魔方陣が現れ
その中心部に先の尖った槍の様なものが現れた。
「またそれか、前に一度オレに使った魔法だろ。効果が無かった事が忘れたか?」
男がそう言ったがフェイトはバルディッシュを一振りし「ファイヤ!」っと言った。
すると、フェイトの周りにあった金色の槍がフェイトの掛け声と共に男に向かった。
「やれやれ、こんなもの受けるまでも無い」
男がそう呟くと両手で次々とフェイトのランサーを叩き落した。
男の拳に殴られたランサーはまるでガラス細工が壊れえていくように砕け散った。
「そんな…フェイトのプラズマランサーが…」
「あの男、化物か?」
その光景を見ていたクロノとユーノはそう呟いた。
そして、男は全てのランサーを叩き落した。
「ふっ、多少威力が上がった様だがこのて『ハーケンセイバー!!』いど…!」
フェイトはチャンスとばかりに男が喋ってる最中にハーケンセイバーをうった。
「なるほど、油断大敵と言う事か、だが」
すると、男はフェイトがうったハーケンセイバーをいとも簡単に掴み取った。
「そ、そんな!?…でも、なのは!」
フェイトはショックを受けながらもなのはに合図を出した。
この時、男は完全になのはに背を向けていた。
「了解フェイトちゃん」
<アクセルシューター>
「シューート!!」
なのはは合図が出たと同時にアクセルシューターを撃った。
すると、レイジングハートから12個の桜色の光弾が出てきて男に向かった。
76 :
37564:2006/06/17(土) 01:45:15 ID:KxbmSjhp
「ほう、思念誘導操作タイプの魔法弾か、なかなか面白い魔導師だな。
だが、一気に潰させて貰うぜ!」
男はそう言い放つと手に持っていたフェイトのハーケンセイバーを投げた。
すると、まるでハーケンセイバーがブーメランの様な動きをし、
なのはのアクセルシューターを次々と破壊していった。
「そ、そんな…」
「ア、アクセルシューターが…!」
なのはは、咄嗟にアクセルシューターの軌道を変えようとしたが慌てたのか、
思うように操作が出来ず次々と落されていった。
そして、なのはの撃ったアクセルシューターが全滅し男の投げたハーケンセイバーは手元に戻った。
「思ったよりたいした事無かったな」
男はそう言うと手に持ったハーケンセイバーを砕いた。
この時、なのは達に嫌な汗が流れた。
一方、戦闘場所から少し離れたビル街では、
「…すずか、これってやっぱり…」
「多分そうだと思うよ。アリサちゃん」
何故かすずかとアリサが街中に取り残されていた。
「ああ!!もう、またなのは達ね、鮫島が迎えにこれなくなっちゃったじゃないの!
アー!ムカつく!!」
アリサはそう怒鳴るとその場で地団太を踏んだ。
すると、少し先の方で爆発音が聞こえた。
「アリサちゃん、この音って…」
「なのは達は向こうに居るようね。行くわよ、すずか」
アリサはそう言うと爆発音のした場所に向かった。
「そんな、危ないよアリサちゃん!」
すずかがアリサを止めようとしたが、
「なに言ってるのよ。直接言ってなのは達に文句言わないとあたしの腹の虫が治まらないわ!!」
アリサはそう言ってズンズンと進んだ。
すると、すずかも仕方なくアリサに付いて行った。
77 :
37564:2006/06/17(土) 01:47:16 ID:KxbmSjhp
取り合えず九話も終りました。
途中のスレ内容にもありましたが戦闘ムズッ!
48氏。思わず涙ぐんでしまった。
>37564氏
お疲れ様です。
ただ一つ気になった事としては
ヴォルケンがあまりにも挑発に乗りすぎてる気がします。
アニメではしっかり引き際を心得ていたはずですが
その辺はどう考えているのでしょうか?
第3話 b part
例えばの話、大好きな友達――親友が突然遠くに行っちゃうことになったらアタシは笑ってその子を送ってあげられるだろうか。
多分……自信ない。
きっと怒って、泣いて……仕方がないことなのに、その子自身の問題だから当然でも。
アタシに何か出来ることないの?
言うなれば無力。何も出来ないからアタシは見送ることしか出来ない。
「どこ行っちゃったのよ……」
昼休みの喧騒に包まれた廊下と踊り場の境。後ろから前からアタシと同じ学年の子達がひっきりなしに行ったりきたり。
階段を見れば屋上へ行くのかお弁当片手に楽しそうにお喋りをする子たちがちょうど見えた。もしかしたらいつもの場所とられちゃうかな……。今日はいい天気だから人も多いだろうし。
「ほんとにどこ行ってんのよ……」
どうしようもない不安。なのはが見つからないことが胸の中のそいつを調子に乗らせてる。
トイレとか、大方そんなとこに決まってる。だから今頃なのははすずかと一緒にアタシが教室から飛び出していったことに目を丸くしてる。
でもそうじゃないって、なぜだかアタシにはわかっていた。
「……なのは。出てきなさいよ」
月曜日から今日まで、アタシはなのはの調子がどんどん崩れていくことに当然ながら気づいていた。
なのはも気づかれまいと元気な振りしてたけどアタシにとっては焼け石に水だ。
実際、クラスの他の子達だって気づいているだろう。隠し切れない本当のなのはがそこかしこに出ているんだから。
「アリサちゃん!」
「すずか……」
聞きなれた声に振り向くとすずかがいた。ずっとアタシの後を追っていたのだろうか。
「あんたまで追いかけてこなくていいのに……お昼、食べられなくなるわよ」
「でもアリサちゃん放っておけないよ」
「ま、まぁ一人で食べても面白くないわね」
流石に屋上に一人ぼっちというのは辛いものがあるか。ちょっと反省。
「なのはちゃんどこに行っちゃったんだろう……」
「知らない。トイレにでも行ってんじゃないの」
息を切らせてそんなこと言ってては馬鹿みたいに思えた。自分でそう考えているならすずかと屋上で待ってれば良かったのに。
フラって消えたのだって何か理由があったから。だからこうやって探す必要もない。
「きっともうなのはちゃん屋上に行ってるよ。だから私たちも行こう」
「……ええ」
そうよ、いるに決まってるわ。
きっとアタシたちを驚かせようと先に出て行っただけ。屋上に行けばいつも通りなのはがいて待ちくたびれながらお弁当を前にお預けを食らっているのだ。
「でもお互い教室戻らないとね」
慌てて飛び出し来たせいでお弁当持ってくるの忘れてた。すずかも同じみたいで自分の手元を見て照れ笑いを浮かべた。
「なんだかなのはちゃんすごく待たせちゃうね」
「いいのよ、アタシたちを無駄に走らせた罰なんだから」
そう、待ちくたびれてお腹空かせせてればいいのよ、なのはなんて。
だけどその日、アタシはなのはと一緒に屋上でお弁当を食べることはなかった……。
* * *
「今日も……いい天気だね」
「…………そうね」
晴れ渡った四月の空。空色に浮かぶ飛行機雲を目で追いながら私はアリサちゃんの様子を横目に窺っていた。
「えと……こ、こんな日はお弁当日和だよね」
「…………昨日もそうだったわね」
ああ……これじゃあ気まずくしてるだけだよ、私のバカ。
周りはみんな楽しそうなお喋りをしているのにこのベンチだけはものすごく静か。静かというか暗い。
「その、大丈夫だよ。きっともうすぐなのはちゃん来るよ」
根拠のない気休めの言葉。時計はもう昼休みが終わりに近づいていることを教えてくれているのに。
「来ないわよ……どうせ教室で夢の中でしょ」
箸を置くアリサちゃんのお弁当はほとんど手付かずだった。卵そぼろの乗ったご飯がちょっとだけ減っているだけ。
「……午後、持たないわよ。あんた体育のときは別人みたいに動くんだから」
「だ、大丈夫。ドッチボールはそんなにスタミナ使わないから」
うん、うまく立ち回ればなんとかなると思う。いつもみたいに他の人を庇ってシュートできるかは微妙だけど。
でもそれよりファリンに心配させちゃうな、これじゃ。
手元のお弁当箱はまだ半分以上おかずがぎっしりと詰まっていた。私も心の中のモヤモヤのせいで箸が進まない。
「昨日はびっくりしたね」
結局あの後なのはちゃんは屋上に来なかった。どこにいたかというと教室で自分の席に突っ伏して寝息を立てていた。
私自身、そんななのはちゃんは初めて見るものだった。
……ううん、初めて見るというならこの一週間ずっとそう。
「アタシたちが起こさなかったらきっと授業中まで寝てたわ、絶対」
「私もそれは否定しない」
あれはお昼寝なんてものじゃない。熟睡、爆睡のレベル。四時間目にマラソンでもしてクタクタになった男子が五時間目によくしてしまうそれ。
だけど今日の四時間目は国語。確かに違う意味で眠たくなるかもしれないけどそれが午後まで伝染するはずがない。
「月曜日はまだ元気だった……火曜日にいきなり元気なくなった」
そして授業中に何度もうとうとしていたなのはちゃん。
「でも水曜日までは多少目をつぶれば……なのはよ」
朝も、お昼も、一緒に帰る時だってなのはちゃんはいつも通り私たちと一緒にいろんな話をして笑ってくれた。いつものなのちゃんであることに変わりはなかった。
「それが木曜日……屋上に来なかった……どっか行ってて、いつの間にか教室で寝てて」
夜更かしとかそういうものじゃないのはきっとアリサちゃんもわかってる。
「今日は……」
「来る! 絶対来るに決まってるわ」
言い聞かせるみたいにアリサちゃんが頭を振った。
「変よ……あんなのなのはじゃない。あんな……あんな元気のないなのはなんて」
「何かあったのかな……」
「悩んでるとか……もうそんな感じの話じゃないわ」
家族の人と喧嘩したとかいろんなことが頭をよぎる。でもそれがなのはちゃんをあそこまで疲れさせることになるのだろうか。
「なのはの家って剣術やってたわよね」
「うん……でもなのはちゃんが急にそんなの始めるなんて」
「そうよ、運動オンチ……までは行かないけど頭脳労働のほうがずっと得意な子なのよ」
あれは激しい運動を繰り返さない限り絶対にならない。それも無理するくらいに。
「まだ一年前みたいにボーっとしてた方がずっと可愛いわ。今のなのは……抜け殻みたい。変に無理してボロボロで……」
スカートを握り締めながらアリサちゃんが言葉を紡いだ。
「ねぇ……すずか」
「なに?」
「アタシ……もう待てない」
「えっ……」
その言葉だけはとても小さくて屋上の笑い声に掻き消えてしまいそうだったけど私にだけははっきりと聞こえた。
俯いていた顔を上げながらアリサちゃんは再び口を開く。
「あんな無理してる姿、見ているこっちが迷惑よ」
「……アリサちゃん」
予鈴が鳴った。賑やかな雰囲気が一転して慌しさを帯び始める。
周りのみんなはそれぞれに身支度し屋上から出て行く。私たちも戻らないと五時間目に間に合わなくなってしまう。体育なんだし着替えのこともある。
「勝手に悩んで、学校休んで……でもあの時はちゃんと戻って来てくれた」
うん、私も覚えてる。いろいろ悩んで、でも最後は吹っ切れたみたいでなのはちゃんは私たちに言ってくれた。
『友達だもん、どこにも行かないよ』と。
だけどアリサちゃんの心の中にはその言葉さえ揺らいでしまうくらいの不安があるんだと思う。
「本音言っちゃうとね……昨日なのはあのまま戻ってこないんじゃないかって思ってた」
「そう……なんだ」
「なのはの目、合うたびにどんどんアタシたちを、周りを見なくなってる気がする。一瞬じゃないのよ、一日中そんな目をしてて」
放っておいたらほんとにいなくなっちゃう。そう言いたいんだと思う。でも言ってしまうと本当にそうなってしまう気がして、言えない。
多分、アリサちゃんはそう思ってる。なんとなくだけどその気持ちは私にもあるから。
「……どうせ力になれないなんて諦めたくないのよ。都合よく言い訳つけて、ただ怒って待つなんてできそうもない、あんな姿見せられたら」
決意に満ちた声。真っ直ぐ前を見たアリサちゃんの顔は怒っているように見えた。
「そっか……じゃあ私止めない」
「……え?」
アリサちゃんの気持ちは私も一緒。
だって親友を心配しない友達がどこにいるだろう。それにこうなったアリサちゃんは止められないんだから。
「だってなのはちゃんが好きなのはアリサちゃんだけじゃないもん」
「別に……私は自分が許せないだけよ。物事には何事も限度があるの。それにあんななのはじゃアタシたちの元気が吸い取られちゃうんだから。一種の正当防衛よ」
ぷいっとそっぽを向いて私から顔を見せないようにするアリサちゃん。顔、真っ赤なんだろうな。
「ほんと……意地っ張り」
「…………ふん、だ」
* * *
いつまでこんなことするんだろう……。
アリサちゃんとすずかちゃんには本当に悪いことしてる。
そういえば五時間目体育だったんだ……大丈夫かな。
なんだかすごく眠いや……。
「ありがと、ユーノくん……」
柔らかな翠の光が収まるころにはぐらぐらしていた体もちょっとは楽にはなった感じ。
昨日、今日と連続で昼休みのジュエルシードの封印は辛いを通り越してなんだか嫌だ。
「お礼を言われるほどのことじゃないよ。少しでもなのはを元気にしたいだけだから」
「もっと手際よく出来ればこんなに魔法を使うこともなかったよね」
なんだかここ数日、どうも調子がおかしい。なんとなくいつもみたいに魔法が使えない。
ユーノくんが言うには過度の疲労で魔力を溜める力が弱まっているらしい。だから仕方のないことだって。
でもおちおち休んでいられない。放課後にはまだ発動していないジュエルシードを封印しなければいけないんだから。
「二つだよね……あと見つかったのって」
「うん。けど微弱な反応だから多分今日ぐらいは大丈夫だよ。だから今日は休んで」
「駄目だよ、封印しないと。発動しちゃってからじゃ遅いんだから」
わかっていたのに見過ごして、それで大変なことになってしまうのはもう絶対させない。
このくらいで弱音吐いてる暇なんてない。頑張らなくちゃいけない、ここが踏ん張りどころ。
「けどあれくらいの小ささなら僕やアースラの人たちでも封印できるよ。何も全部なのはが封印する必要なんて」
「あるっ!」
ユーノくんの言葉を聞きたくなかった。きっとその言葉を聞いたら甘えてしまう。
「全部わたしが悪いんだから……だからやらなきゃ」
「そんな……あれは不可抗力みたいなものだよ。なのはは悪くない」
「悪くなくてもわたしの町だもん。守らなくちゃ」
わたしがやらなきゃみんなに迷惑がかかるんだ。
これでわたしが休んでユーノくんやアースラの職員さんたちが代わりにジュエルシードを封印しに行って。
その時に危ない目にあってもわたしはすぐに飛んでいけない。そのせいで誰かが怪我したりしたら取り返しがつかない。
それにもし封印しなかったジュエルシードがまた暴走して町中が大騒ぎになったら……やっぱりいけない。
「だからってそれが無理していいって理由にはならないよ」
「じゃあユーノくんはほかにい方法があるの?」
わたしの言葉にユーノくんは答えが出てこないのか少しの間の後視線を逸らした。
一番いい方法はわたしが封印し続けること。それしかないんだ。
「ないけど……でもこのままじゃなのはが」
「大丈夫。ユーノくんの魔法のおかげでだいぶ楽になってるし、それに自分の体は自分が良く知ってるよ」
どうしても駄目な時はユーノくんたちにお願いするって決めてる。だけどまだその時じゃない。
それにその内一日くらい何もない日だってあると思うし。その時一気に休めれば問題なんてない。そうすればまだまだ頑張れる。
「じゃあもう五時間目始まっちゃうしわたし行くね」
「あっ、なのは」
「じゃあ放課後いつもの場所で!」
駆け出し、茂みから飛び出した。あまり人気のないここは転送場所にうってつけ。それに体育館への渡り廊下も近いからすぐに校舎の中に入れる。
いつもの――といっても二度目だけど――道を通ってわたしは授業に遅れないように足を速めた。廊下は走っちゃいけないけど今日だけは少し大目に見て欲しいかな。
「確かドッチボールだよね……? なるべくじっとしておこう」
でも一番心配なのはやっぱりアリサちゃんとすずかちゃんのこと。
この一週間、心配かけさせないようにわたしは朝のバスから放課後一緒に帰るまでいつも通りの自分でいるよう心がけた。
本当ならアースラに泊まって専念したほうがいいんだと思う。でもアースラが不時着して、ジュエルシードの数がわからない今じゃこの方がずっといいはず。
家族にも友達にも、誰一人心配させずわたしが頑張れる。
「さっ、行こ」
駆け出して、まだ騒がしい校舎へわたしは飛び込んだ。
一週間三分の一話ペースというのはなんとも話が進まない
投下スピード上げたいけど最近時間がどんどんなくなっていくことに
鬱々な日々を送る176です
何気に今回短いし(最近テキストの容量見ていたらどんどん少なくなってるしorz
二大エースがいないなら頑張れるのは私やほかの皆さんです
というわけで盛り上げていきましょう
>>48氏
泣けるなぁ……
そういえば何気にこういう作風の作品ってここは少ないかな?
>>480氏
いやはや無理をなさらず頑張ってください
首を長くして待っていますよ
>>37654氏
キャラの捕らえ方は人それぞれですからね
後もう少し描写に力を入れるといい感じになると思いますよ
>>73 おれは
>>48氏の読んでフェイトの抱き枕(小学)抱き締めました。
ティンコ押しつけたりしました。
はやて 「最低や」
なのは 「最低なの」
フェイト 「/////」
「バルディッシュ、非殺傷設定解除」
「Yes, sir!」
>>48氏
うむ、ちと目頭に涙がウルウルと。
GJですよー。
>>480氏
そういえば偉大なる中野豪先生この前亡くなったんだよね(涙
五竜亭はいまだに続きを待っている。
時間ができたらこの形式を利用した長編も是非。
>>37654氏
戦闘描写で苦しんでいる人に言うのはなんだかなーとは思うけど、オリジナルキャラが
『ほう』とか余裕こいたり
『ふっ、思ったよりたいした事ないな』等の見下す系の台詞をはくと、なんとなくガッカリしてしまう僕がいる。
もう少しヴォルケンらの描写に力を入れるか、いっそオリキャラの行動を全て版権キャラの視点で書くとかどうでしょう。
『あの野郎、たいした事ないって顔で、こっちの連携をあっさり避けやがった』みたいな。
がんばれー!!
>>176さん
アリサいい子だよね(ホロリ
>>84 死んでしまってもいいと思うんだ。
88 :
92:2006/06/20(火) 22:35:46 ID:OfNd0aMq
みなさん、お久しぶりです。
それでは『魔砲少女リリカルなのは対超力兵団』第参話をお楽しみください
嘘です
隣のシャ○さん番外編をお楽しみください。
ちなみに今回は少し卑猥な表現やら何やらが混ざってますので、
お気をつけてください。
「あれ?ザフィーラじゃない」
朝も早く、というかまだ深夜に属する時間に目が覚めてしまったシャマル。
そのまま寝ようともしたが、喉が渇いたので台所に向ったのだが、その途中
リビングにてザフィーラがソファーで寝ている姿を見つけたのだ。
ザフィーラがそこで寝ている事自体は珍しくもないのだが、しかし人間の
姿で寝ているとなれば話は別である。女だらけの家族構成に気を使って、
家の中では狼の姿、最近は子犬形態も覚えたが、とにかく人間形態で寝ている
事など最近はまったく見ていない。
「そういえば、遅くなるって言ってたわね…」
おそらく帰ってすぐさまソファーに身を預け、そのまま眠ってしまったのだろう。
「う〜ん、毛布でもかけといた方が良いのかしら?」
獣の姿ならそのままでも構わないだろうが、人間形態だともしかしたら風邪でも
ひくかもしれない。たぶん。どうなんだろう?
「まあ、別に悪い事するわけじゃないしね」
そう言って一旦部屋を出ようしたその時、シャマルはそれを見た。
「…………!!!!!」
それを、ザフィーラのズボンが盛り上がっているのを。
「ちょっと、やだ…ザフィーラったら」
顔に手を当て、頬を赤くするシャマル。
「…………」
その時、腐った脳裏に腐った考えた浮かんだ。
「…どんなのか見てもいいかしら。資料の為に」
彼女は美少年や美青年同士が愛し合った結果、入れたり入れられたりする漫画を
書くのが趣味なのである。とはいえ、さすがに出たり入ったりするモノの実物を、
じっくりと見たことは無いのであった。
「ザフィーラ、おきてる?寝てるわね?それでは失礼してっと…」
そそくさとズボンのジッパーをおろす。
「!!!!!」
太いモノ 硬いモノ 雄々しいモノ
それが盾の守護獣ザフィーラのア○ター
ビ ッ グ マ グ ナ ム で あ る !!!
「そんな…ザフィーラ…卑猥だわ…」
自分で出しといてあんまりといえばあんまりだが、それも仕方ないと思わざるを
えないほど、それはごりっぱだった。
「うっわ〜…って、驚いている場合じゃなくて…
こんな教育上よろしくないモノをはやてちゃん達に見せるわけにはいかないわ!」
とはいえ、この猛ったモノを沈めるには…
「え〜と…えいえい」
とりあえずつっついてみた。
いや、何をすれば良いかわからないでもないが、これでも乙女(永遠の22歳)
いきなりその様なはしたない真似等できるわけがない。
「って、良く考えたら私がしなくても、ザフィーラに起きてもらって何とかして
もらえばいいんじゃない…ちょっとザフィーラ起き」
ザフィーラを起こそうと伸ばした手が止まる。
「…まあ、せっかくだから」
そう言ってリビングを出たシャマルが再び現れた時、その手にはカメラがあった。
「記念撮影ぐら良いわよね?なんかもったいないし」
何が良くて何がもったいないのかは意味不明だが、カメラをモノに向け、それを
ファインダーにおさめる。
「はい、チー」
「何をしている…」
さてここで問題です、最悪のタイミングで起きたザフィーラに、シャマルは何と
答えれば、五体満足でいる事が出来るでしょう?
1・家族の思い出アルバム作りよ!
2・芸術のための資料よ!
3・何って…ナニをするのよ!
1の場合
「家族の思い出アルバム作りよ!」
「…それで俺をこんな姿にする理由は?」
「か、家族だから」
「………」
「えーと…ほら…息子」
「………」
「あ、ちょっと待って、ウソウソ。冗談よ冗談、あやまるから狼の姿にならないで
無言で近づかないで犬歯をむき出しにしないで口を大きく開けないでやめてとめて
きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
BAD END
2の場合
「芸術の為の資料よ!」
「…芸術?どのような?」
「え〜とね、同性愛をテーマに…じゃなくて」
「ではなく?」
「え〜とね、アレよアレ!」
「アレ?」
「そう!アレ、アレなのよ!」
「そうか…」
「そーなのよ!あははは、って何でロープなんて持ってるの?どうして縛るの?
どうして私を肩に担いで外に出るの?どうして木の前で立ち止まるの?
どうしてそのロープを木の枝に巻きつけて固定するの?あ、逆さづりは駄目。
それはきついの。本当にきついんだって。あ、いかないでザフィーラ。
お願いよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
BAD END
3の場合
「何って…ナニをしてるのよ!」
「………」
「いや、だってそのままにしておくわけにもいかないじゃない!」
「………」
「な、な〜んちゃって。やーねー、冗談よ冗談」
「………」
「期待しちゃった?もう、やらしいわね。ザフィーラのエッチ!」
「………」
「…ざ、ザフィーラ?キャッ!」
(お、押し倒された!?まさか本当に!?そ、そんなはずあるわけ無いじゃない!
きっと少し脅かそうとしてるだけよ。そう、そうに決まってるわ!)
「ザ、ザフィーラ、確かに私が悪かったけど…だからってこういうンンッ!!!」
(ウソ!キスされちゃった…って舌!舌が入ってきてる!!
ちょ…ザフィーラ…こんなの…何処で覚えて…………………………………………
………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………
はっ!い、いけない!しっかりするのよシャマル!流されちゃ駄目!
って胸!おっぱい触っ、やん!…駄目なのにぃ………………………………………
…………………………………………………………………………ふぅ………………
………………………はぁ…………………………………………………………………
……………………………………あっ!…………………………………………………
だからしっかりするのよシャマル!このままじゃ本当に本当で本番なのよ!
その…ザフィーラが駄目ってわけじゃないけど……だからってこういうのは……
……でも………ちょっとは……………なんか上手いし………………………………
………………やっぱり駄目!まだ心の準備が……ってそうじゃなくて!!!!)
「駄目だってばぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!って、あれ?」
跳ね起きたシャマルが、呆けた顔をして暗闇の中で自分の姿を確認する。
パジャマは着たままで、脱がされたような形跡も無い。
「夢オチ?」
オチと言うな。
「はぁ、そうよね……いくらなんでもザフィーラがあんな事………」
つい思い出してしまい、顔が赤くなる。
「欲求不満なのかしら?」
頭をふってベッドから出る。夢のせいで体が火照ってしまい、このままでは
眠れそうに無い。かといって自分で慰めるというのも、どうしても先程の夢を
思いだしてしまうだろう。
「シャワーでも浴びよっと……」
部屋を出て、リビングを通りがかった時、やはり気になってしまい部屋の中を
覗いてしまった。
「…………!!!!」
ソファーにザフィーラが人間の姿で眠っている。
「…………」
しばらくその場に佇んだシャマルは、ゆっくりとリビングの中へ入って……
「な〜んちゃって!」
行かなかった。
96 :
92:2006/06/20(火) 23:13:45 ID:OfNd0aMq
はい、終わりです。
すいません。
もう、本当にすいません。
>>176氏
こういうのを見るとあれですな。
未成年を酷使させる社会は狂ってるよね!というのは冗談で。
アリサも鈴鹿もなのはもお前ら年いくつだ!
というより、子供で純粋だからこう考えてしまうんだろうなぁ。
と思う俺は歪んでるのか?
>>6スレ480氏
毎度毎度楽しみにしているので、是非定期的にやってください!
くれないかな…いえ、できたらでいいんです、はい…
>>48氏
ねぇザフィーラ…なんだかとっても眠いんだ…
等というのを考えてしまった俺は駄目ですね。
>>37564氏
偉そうな事言える身分ではないですが、『〜した』『〜だった』
ばかりってのも味気ないような気がするのですが。
無駄に飾り立てればいいと言う物でも無いでしょうけど。
>>84 君には君の道があるんだろう…
だがこの言葉だけは忘れないでくれ…
ド外道め!
さんざん罵倒された
>>84・・・・あれから、
フェイト 「・・男の子はそうゆうことしちゃうのかもって思うんだよ」
なのは 「出来心なのかな?・・やましい気持ちなかったかもね」
はやて 「いやいや、あったと思うんよ・・・まあうちもキツく言ってしまったな」
シャマル 「3人ともかわいいですから、ついムラッときたのかもですね
>>85-87さん
>>96さんの言葉で反省してると思いますよ」
ヴィータ 「あたしはよくわからないけどさ、それってメガマガのポスターだろ」
はやて 「そや」
ヴィータ 「
>>84がはやてとリインとなのはとフェイトのポスター、
改造連に依頼してたぞ。すっぽんぽんにしてくださいって」
なはフェ 「「「!!!!!!!!!!!」」」
シャマル 「!!!!!!!♥」
はたして
>>84がさらに超ド外道になるのか、逆によくやったと
誉められるのか、私はわかないない・・
無事パソコンが直って返ってきました。
中身全部ぶっとんだけどねorz
てわけでシグナムさん話の二話、投下しまつ
いやいや、そんなこと、あるわけが。
まさか、とは思う。
だって、シグナムだもの。
けれどまったくありえない、という話でもないわけで。
その考えを全否定してしまうわけにもいかない。
(いや、でもシグナムが?「あの」シグナムやで?)
鍋の中の味噌汁をかき回しながら、横目でちらりとリビングのほうを見る。
はやての目の先、休日の夕方のそこには、ちょうど一家が揃っていて。
思い思いにくつろいでいるのがキッチンからでも確認できる。
ヴィータとリインフォースは、仲良くTVゲームに興じ、
その足元には子犬形態のザフィーラが寝そべっている。
シャマルも取り入れた洗濯物にアイロンをかけるのに集中しているようだ。
そして、当の本人。
はやてに心配のような疑問のような複雑な思いを抱かせている、シグナムはというと。
いつもとかわらず、ソファに座り、先ほど届いた夕刊を広げて熟読している。
ここ数日間の異変など、何でもなかったかのように。
表面上、特に問題はなさそうだ。
────……あくまで、表面上は。
だが、はやてはしっかり、彼女の綻びに気付いていて。
(……新聞、逆さまやん)
どうやらまだ、相当に重症らしい。
彼女の変調は、なかなかに根が深いようだ。
魔法少女リリカルなのはA’s −その想い、緋に染まる暁のごとく−
第二話 主と癒し手、画策する
兄である恭也から聞いたという、なのはの話曰く。
それは先週の土曜日のことだったそうだ。
そもそもの発端としてはその日、彼女たちの父・士郎さんのつてで。
知人の剣道家が午後から、高町家の道場に出稽古にやってくることになっていたらしい。
なんでも士郎さんとは20年来の親友とのことで、普通の剣道とは形式のだいぶん違う二刀剣術の使い手である
士郎や、高町兄妹のあまり見つからない練習試合の相手を、たまに引き受けていたようである。
ところがその日、その人は急な用事が入ったらしく。
急遽、自身が自宅に開いている剣道場の師範代──非常勤の講師ながら、彼自身、非常に実力を認める人間に、
代理として代わりに出稽古に赴くよう頼んだらしいのである。
(で、その代理人っていうのが、シグナムだったわけですね?)
(せやな。あそこの道場主さんが士郎さんと知り合いなんて、言われるまで知らんかったけどなぁ)
さて。
それで現在、はやてたちが何をしているかというと。
夕飯の食卓を囲みながらの、念話。
シグナムを除いた一同での、一種の密談である。
(ふーん、なのはんとこの恭也兄ちゃんと、シグナムがねえ)
(恭也さん、大丈夫だったんでしょうか……?)
(いや、それがな)
いい具合に焼けた夕飯の秋刀魚に、大根おろしを載せてぱくり。
秋刀魚の塩味とおろしの苦味を堪能して、はやては続ける。
(いい勝負だったらしいで?時間いっぱいぎりぎりにシグナムが一撃入れて一本とったらしいけど)
(は!?マジか?あのにーちゃん、一体どんな化け物なんだよ)
(嘘……)
(……ありえん……)
魔力を使っていないとはいえ、剣の騎士たるシグナムと互角に渡り合う一般人がいるなんて。
一同は半ば唖然と、素直に驚いた。
もちろん、シグナムにはこっそり念話をしているのが気取られないように、心のうちだけでだが。
「シャマル、醤油をとってくれ」
「はいはーい。どうぞ、シグナム」
「すまんな」
(ってことは何だ?シグナムの様子がおかしいのって、恭也にーちゃんに苦戦したことがショックで?)
(いや、それはないんとちゃうか?前からシグナム、なのはちゃんに恭也さんの剣の腕聞いて手合わせしてみたい言うとったし)
実際に戦ってみてその時は驚きもしただろうが、引きずりはしないだろう。
彼女の性格的なものを考えてみても、まず間違いない。
(シグナムさんだったら、「もっと強くならねば!!」とか落ち込むより逆に、燃え上がっちゃうと思います)
(あるある。そのとばっちりでフェイトちゃんやなのはちゃん辺りが訓練、付き合わされたりねー)
うん、うん。
その光景が目に浮かぶようだ。
フェイトならきっと、嬉々としてその訓練に付き合うのだろうけれど。
「?」
一同が同時に頷き、ただ一人蚊帳の外(本人は気づいていないが)のシグナムだけが、
怪訝そうに一家の顔をそれぞれ見回す。
「どうしたんだ、みんな」
「いや、今日の秋刀魚。ええ具合に焼けたなー思て」
「そうですね、マイスター」
「うむ」
「はやての料理はいっつもサイコーだけどな」
「ほーんと」
「??」
なんて具合に。
彼女に対するごまかしの息も、5人(4人と1匹?)はぴったり。
(でも……。じゃあ、何なんだ?シグナムのやつなのはん家で戦って一体、どうしちまったんだよ?)
(そら、一つしかないやろ)
(ですよね)
(どういうことですか?マイスターはやて、シャマルさん)
(いやー、ほら。シグナムも)
(立派に女の子だった、ということで)
そして、ここから先は二人だけ。
(お、やっぱシャマルもそう思うか?)
(はぁい、伊達に昼ドラ、毎日見てませんから♪)
(((???)))
シグナムだけでなく、
人間の心情や関係に疎いザフィーラと、ヴィータにリインフォースのお子様二人組も話から置いていかれる。
ちびっこ二人がはやてとシャマルの話している「そういった感情」を理解するにはまだ、ちとはやい。
(でも確か恭也さんって、忍さんと)
(せやね)
(……修羅場ですか)
(……修羅場やね)
───さてさて、どうしたものか。
(まあ、話の流れは概ねわかりましたから。私から、それとなく話してみますね)
(頼むわ。こーゆーのは主の私より、シャマルのほうがええやろ)
(はい)
三人のギャラリーと、自分の置かれている状況をきちんと把握できているかどうかすら微妙なシグナム本人を尻目に、
シャマルとはやてはアイコンタクトしつつ、実に楽しそうに苦笑しあった。
* * *
ちゃぷり、と水面に波紋が広がっていく。
湯船の中のお湯はほどよい温度に保たれていて、
沈める肌に感じる温もりが、実に心地よい。
滲み渡る湯によって、身も心も癒されていく──そんな表現が、ふさわしい。
入浴という文化はおよそ発明と呼ばれるもののうちでも最もすばらしいものの一つだと、シグナムは思う。
「……はぁ」
けれど、気持ちよく。
リラックスしてしまうが故に、入浴中はかえって色々なことが頭に浮かんでくるもの。
「まるで……昔みたいだな……」
立ち上る湯気の中、電灯の灯りに翳した掌に残るは、木刀の感触。
最近では愛機・レヴァンティンと道場の竹刀ばかり握っていたその手には、
ひどく久しぶりに感じられたそれは、今もはっきりと残り。
同様に、その木製の刀身によって受けた小太刀の二刀の太刀筋、
そこから繰り出される軌跡もまた、鮮明に力強い重みを伴って彼女の感覚へと蘇ってくる。
長い間忘れていた記憶と、それは驚くほどに同じで。
「似ている」、その言葉さえも不相応に思えるほどに彼女の深層意識に残るものと、重なっていた。
「高町……恭也……か」
わざわざフルネームで呼ぶほど、彼のことを知らないわけではない。
むしろ忍を挟んでシグナムと彼は、それなりの友人関係にあると言っていい。
たまに忍から誘われて、一緒に飲みに行ったりする程度の仲にはある。
けれどなんだか、確かめるように、無性に彼のフルネームをシグナムは聞きたくなった。
己の、声で。
「……似すぎ、だ───……」
純粋に剣の腕だけで肉薄してきた相手なんて、どれほどいただろうか。
フェイトとだって、魔法を交えた戦いならともかく、身体能力だけの戦闘ではシグナムのほうが遥かに上だ。
それもしばらくやっていないから、彼女の成長度合い次第では今はどうかわからないが──。
そんなところまで、同じだ。
彼女を、信頼し。
彼女が信頼した、守護騎士の仲間たち以外の、はじめての存在に。
主の道具として生きてきた彼女にとっては、はやてとめぐりあうまで、主すらその信頼の対象ではなかったというのに。
「ちっ……」
高町恭也とはシグナムにとって、そういう男だった。
少なくとも彼の剣、太刀筋を知ったあの日、土曜日から。彼女の知る人物の面影が、重なる。
こんなことならば、やらなければよかった。ちらつく記憶に惑わされるように、なるくらいならば。
騎士であるが故に、剣の道に生きる者であるが故に、刃を交えねば、思い出さなかっただろうに。
心、乱されることもなかった。
「──シグナム?」
「ん……シャマル、か?」
湯煙にぼやける磨りガラスの向こうから、人影が呼んでいた。
「もう、シャマルか?じゃないわよ。他に誰がいるって言うんだか。大丈夫?今日は沈没してない?」
「ああ……問題ない。そんなに長湯していたか?」
元々風呂には長めに入る性質だが、汗の掻き具合や喉の渇き等からして、今日はまだそこまで長く入っているとも思えない。
とはいっても考え事をしていたから、その感覚が鈍っていた可能性もある。
「いいえ、そんなことはないけれど……」
「なら、いいじゃないか。話はそれだけか?」
「あ、ううん。待って」
「?」
と。
バスルームの引き戸が開き、浴室内に充満していた湯気が外へ逃げていき。
バスタオルに身を包んだシャマルがそこに立っていた。
「……は?」
「はやてちゃん達に先に入ってもらって洗いものしてたから、私もまだなのよ、お風呂」
「いや、え?」
「なによ、今更恥ずかしがるような間でもないでしょ」
「それはそうだが……」
そりゃあ、彼女とは長い付き合いだ。共に風呂に入ったことなんて、珍しくもない。
最近は子供たちやガス代、風呂のスペースに入浴時間諸々の関係でめっきりそういうこともなくなっていたが。
しかし、なんだその笑顔は。いかにも何か企んでます、という顔じゃないか。
これもまた長い付き合いだから、シグナムにはよくわかる。
「まあ、いいじゃない」
後ろ手に扉を閉めたシャマルは腰を下ろしつつ、手にした洗面器にバスタブの湯を満たしていく。
「久々に、女同士───……裸の付き合いと、行きましょ?」
よくは、ない。
おもわずシグナムは、湯船からあがって逃げ出したくなる衝動に駆られた。
さてお兄さん方一大事です。
このシグナムさん話、第一話をバックアップとっておくのを忘れて、
消えてしまいましたorz
タイトルってこれで合ってるよね?うろ覚えだったから自信ないorz
確認しようにも前スレも落ちちゃってるし。
皆さん、本当にGJかつ乙です>>all職人 最近レスなしばっかでごめんよorz
そして不定期になってスマソ>>all住人
>魔法少女リリカルなのはA’s −その想い、緋に染まる暁のように−
>第1話 烈火の将の異変
大丈夫、大丈夫だから……内容がGJである限りなんの問題もないから!
107 :
37564:2006/06/23(金) 19:12:02 ID:RSPuphDG
魔法少女リリカルなのは、〜伝説の傭兵〜
第十話「黒い魔力光」
(な、なんて人なの!?フェイトちゃんの攻撃を逆手てに取るなんて)
「こないのなら此方から行くぞ」
その人はそう言うと真直ぐフェイトちゃんの方に向かってく、
でも其処には、
『避けろ、フェイト』
「うん」
念話を聞いたフェイトは直に男の攻撃を避け距離を取る。
「避けたか…だが避けてばかりでは俺を倒す事は…!」
この時、男はようやく自分の上空に青い魔法陣が形成され無数の光の剣がある事に気付いた。
「気付いたのが遅かったな!スティンガーブレイド・エクスキューションシフト!!」
すると、男の上空にあった無数の光の剣が一斉に男に向かい爆発が起った。
※
『………来たわ。はやてちゃん』
「そっか、ありがとなシャマル」
うちはシャマルに礼を言って前を向いた。
其処にはフードを着込んだ男とそれを追うザフィーラ、シグナム、ヴィータが見えた。
すでに詠唱は終ってる、後はヴィータ達を巻き込まんよう注意するだけや。
『今や、ザフィーラ、ヴィータ達を止めて!』
「御意!止まれ二人とも!」
ザフィーラはそう言って止まり二人のほうに手を広げた。
「危ねえじゃねえか、邪魔すんなよザフィーラ」
「落ち着けヴィータ、これも主の命令だ!」
(おや?追って来てない様ですね、諦めましたか?)
男は自分を追っていた人間が居なくなった事に気付いた。
108 :
37564:2006/06/23(金) 19:13:33 ID:RSPuphDG
さて、この結界内では生半可な転移魔法では抜け出せませんね。
かと言ってこのままあの騎士達と戦って勝自信は私にはありませんし、
むしろ、接近戦が続けば私の勝機は低くなる一方ですからね…
っとなると、私の尤も得意とするアレならいけるでしょうか?
ですが、正直アレは魔力消費が高いんですが、…おや?
男が考え事をしてると、ある魔力に気が付いた。
「(気付かれてもうた!?)けど、この距離なら!ミストルティン!」
はやてはそう言って手に持っていた杖『シュベルトクロイツ』を男に向けた。
すると、はやての上にあった黒い渦の中にあった七つの光が槍と化し、男に向かった。
おやおや、光の槍ですか?
見た事無いタイプの魔法ですが『一応』避けておきましょう。
ああいう『タイプ』の魔法攻撃は必ずって言っていいほどの『オプション』が付いてますからね。
う、うそや…
「マジかよ…」
「なんという男だ…」
シグナム達もそう呟いた。
目の前の光景がまるで前にシグナム達と見に行った映画みたいや、
確かあの映画では主人公の乗る戦闘機が華麗に敵のミサイルを避けきるのが目玉やった。
その光景が正にそれや、うちの撃ったミストルティンを次々と避けていく。
それは、まるでミストルティン事態があの人を避けてるみたいな。…ってそんな事あらへん。
うちは確実に当たる様…
「はやて!後ろだ!!」
「へ?」
「おっと、動かないで下さいよ」
(し、しまった!?)
はやてが一瞬目を離した隙に男ははやての背後を付き首に手を触れた。
「テメー、はやてに触れんじゃ、」
「動かないで下さいよ。この子の安全が保証出来ませんよ」
「くっ、卑怯な」
「これでは、手が出せん」
「テメー、汚ねえぞ!」
ヴィータはそう叫ぶも状況が状況なだけに構えていたグラーフアイゼンを下ろした。
「そう、それで良いんですよ。それから其処の女性も出てきて下さい」
男が言い終えるとビルの陰に身を潜め機会を窺っていたシャマルが男の目線に入るビルの屋上に移動した。
「そうです。そこから動かないで下さい。
少しでも動けば私の魔力をこの子に流し込みますよ」
「ま、魔力を流し込んだからってなんやねん!」
はやては強がってそう言ったが内心震えていた。
「私の魔力にはちょっとした毒性がありましてね。普通の人間には寝込む程度ですが、
魔導師の体の中に入ると確実に死ぬ毒です」
「そ、そんなんハッタリや!」
109 :
37564:2006/06/23(金) 19:15:03 ID:RSPuphDG
「ハッタリか如何か試してみますか?君の体で、」
男はそう言うとはやての前に右手を見せると『どす黒い魔力光』が男の右手を包んだ。
「!…ヒッ!」
それを見たはやては声にならない叫びを上げた。
「止めろ、はやてに手を出すな!!」
ヴィータが叫ぶ様に言うと、
「…冗談ですよ、私もそんな野蛮な事はしたくありませんし、
何より人質は生きていてこそ価値があるんです。それに君には少し聞きたい事がありますし」
「…聞きたい事やて?」
「そうです」
そう言うと、男は魔力を消した右手を再びはやての首に戻した。
「それでは、第一の質問です…」
※
クロノが撃ったスティンガーブレイドの煙が治まりつつあった。
男には確実に直撃した筈だ。この場に居た誰もがそう思った。
「…状況は如何なってんだい?…フェイト」
すると、フェイトの横に男の攻撃を受けて落ちたアルフが戻った。
「アルフ、傷は大丈夫?」
「へへ、大丈夫だと思うけど…後でユーノに見て貰うよ」
そう言ってアルフはフェイトに笑顔を見せた。
「煙が晴れるぞ!」
クロノがそういい終えると同時に煙から人影が現れた。
其処にはクロノの出した光の剣が男の体に十何本も突き刺さってる姿が見えた。
「これでもう動けない筈…」
「これで終わりか?」
「「「!」」」
一同が終ったと思った瞬間、男は平然とそう聞いた。
そして、次の瞬間、男の体に刺さった光の剣は男の体に吸い込まれていった。
いや、厳密に言えば男の体を包んでいる『フード』に吸い込まれていた。
「なんなんだい!?あの布は」
「分からないけど、まだ戦いが続いてる事は確か!」
「(ある程度魔力の補給も出来たな)さっきの攻撃のお礼に見せてやろう。
俺の魔力攻撃をな!」
そう言って男が両手を構える。
そして、その両手にはシグナム達と戦ってる男と同じ『どす黒い魔力光』が両手を包んだ。
(妙なフードに黒い魔力光…まさか)
この時、ユーノの頭の中で『ある書物の内容』が浮んだ。
※
110 :
37564:2006/06/23(金) 19:24:14 ID:RSPuphDG
ようやく十話も終了。はっきり言って厳しいです。
78氏、アニメの話しでは状況が状況でしたからね、
はやてと一緒に暮らしてる以上、平和ボケしていてもいいかと思ったので。
87氏、その視点が難しいと自分は思っています。
それから最後に、176氏と87氏に一言。
私の名前の所が5と6が逆になっています。(泣
うわあああああいま気づいた!!皆殺し・・かな?かな?
112 :
87:2006/06/23(金) 21:40:25 ID:M/PzSSNr
うわ、ちょう恥ずかしいわ。
ごめんなー(泣
・・・・・・恭也が素でシグナムに勝利するSSを読んだ。
デバイスとか魔力強化とか無しで、恭也のみの能力で。
あっはっは。
とらハ儲の書くSSでは恭也がU-1化していることが多い。
それというのも、実質とらハ世界では剣術においてマジ人間離れした動きを見せてるから。
純粋剣術なら(美沙斗さんの次に)最強というイメージが固まってしまっている。
ドラム缶真っ二つ、銃弾はじく、神速で10メートルを走破、壁走り、牙突、天翔龍閃もどき…
完全武装の特殊部隊(20人以上?)を撃破という実績がある。(OVAで)
ここでSS書きが問題にしているのは、魔力の無い状態のシグナムやヴィータに上記と同じことができるのかと、
地上戦なら恭也の実力で魔力の壁なんてどうにでもなるのではないかということ。
そして実際そうなりそうなのが恐ろしい。
問題は、「普通戦闘なら魔導師(騎士)は飛ぶよな」と言う事か
つうかシグナムも目視出来ない速度で飛び回る相手と
やり合ってるわけだが、
U-1系SSを語るスレは他所にちゃんとあるから、そっちへ行ってほしい
「最低SS」「U-1 最強」とかでググるだけですぐみつかるんだし、わざわざここにまで持ち込んでくるなよ
スレが伸びてると思ったらどうでもいい駄作への愚痴かよ
117》
まあまあ、作品が投下されるまでは暇だし、あまり目くじら立てないでさ。
気楽にいこうよ
まぁ意表をついて神速と貫を組み合わせれば、一本くらいはとれるかもな。
ただフェイトも高速戦闘を得意にしているわけだし、シグナム相手にそう何度も通用しないんじゃないかと愚考する。
まぁ仮にオイラが書くならそーする。
長編で恭也を書くとすると、月姫の彼みたいにスペードの3のような扱いになるだろう。
(めっちゃ難しいが)
ただここはエロパロ。
夜の勝負なら恭也がシグナムに勝ってもいっこうに構わん!!
むしろ、忍と修羅場る方向で!!(いや好きなのよ)
やっと・・・・やっと見つけたよココを!!
保管庫から飛べなくて困ってたんだ!!
さあ、楽しむぞーーー!!
ところで、以前あったユーノとアリサの話の続きマダー?
アリサやすずかがユーノと絡むのって少ないよね
120 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 11:52:57 ID:kz+tyHC1
>>117 エヴァ・ナデシコ・GS・型月・とらハの五大魔界のなかでは、
とらハ系だけ、オチスレが無かった気がする。
>>118 正直SS叩きの話になると職人さん達が投下しにくい流れになるので、
俺も控えて欲しい。
117の発言には同意だし、該当スレも存在するんだからそっちでやれっていうのは
至極真っ当な意見だと思うよ。
って俺も雰囲気悪くしてるな。ごめん、消えるわ。
122 :
117:2006/06/25(日) 16:14:37 ID:2sXzZ9rq
あまり厳格にスレ違いを言いだすと、空気悪くなるかなーと思ってつっこんだんだが。
まぁここはSS以外にも感想やら色々ごっちゃになるから、もめ事になりやすい話題は避けたほうが良しだね。
別の話題を振らなかったった俺も悪かったよノシ
この流れはやっぱシグナムと恭也戦わせた(直接の描写はしてないけど)
自分に問題があるんだろうか……orz
というわけで説明というか弁解というか言い訳。
今回の話で恭也の剣の腕を
「剣術のみでルールの決まった練習試合なら、勝てないまでもシグナムに肉薄」
という程度にしたのは、原作設定との一種の折り合いのつもりでそうしました。
もちろん、とらはとなのはがもはやほぼ完全に別物であるということは重々承知していますが…。
それでも一応は原作とスピンオフの関係にある作品であるわけですから、
ある程度は原作のとらは設定も守る必要があると考えたわけです。
(これは自分の過去の作品も見て頂ければわかると思います)
かといって、あまり強くしすぎてもあくまでなのはの世界では「一般人」であるという
恭也の存在と齟齬が生じてしまうわけで、その辺のさじ加減もありますし、
これは完全に私的な見解なのですが、なのはととらはの設定は、
大元は同じ作品でありながら同作品内にあると非常に食い合わせが悪いものが多いんです。
(例:レン、晶等)まあ、これはうまく融合させている職人の方々もいらっしゃいますから、
単純に自分の力不足なのでしょうが……。
ですから、それら諸々の妥協点、とらはとなのはの世界観、設定を考慮した上で
「魔法使えないからふつーに戦ったら無理、剣術だけならシグナムよりわずかに下」
「直接の戦闘描写はなし、戦闘関連についてはあくまでオリキャラ程度の扱いで」
という恭也をこの話では採用したわけです。(プロット段階では引き分けになっていたりしますが)
長文失礼致しましたorz
次の投下はエロ話の続きになると思います。
幸いpcが壊れていた間に手書きで書いていた分がありますので打ち込み、加筆修正さえ終れば
今日、明日じゅうには投下できるかと。
では。
p.s
陵辱モノで正体不明の敵(オリジナル)に無残に圧倒的敗北喫するのは、アリだよね?
個人的に陵辱モノじゃなければ、アリといってみる。
投下の前に注意を入れてくれれば幸いです。
第3話 c part
五時間目の授業も終わりすでに時間は放課後。
「ごめんねなのは、アタシ達今日ちょっと用事があるから」
「えっ……? あっ、そうなんだ」
アタシの一言になのはは教科書を仕舞っていた手を止めきょとんとして見せた。今日はお稽古もない日だし意外なのは当たり前か。
「そう、だから先に帰るから」
「うん、わかった。じゃあまた明日」
「ええ、また明日ね」
「じゃあね、なのはちゃん」
すずかを連れてアタシは教室から出て行く。扉から出て行くとき念のためなのはの様子を窺ってみたけど別にこれといった変化はない。
とりあえず第一作戦成功。
「いいのかな……こんなことして」
「いいのよ、強情張っぱりさんの口を割るにはこのくらいはしないとね」
それほど乗り気ではなさそうなすずかを説き伏せ何食わぬ顔で学校を出ていく。そして校門近くの茂みに二人揃って潜り込んだ。
「ちょっとした探偵ごっこと思えばいいのよ」
「うう、周りから見たら絶対変に思われるよ」
「背に腹は替えられないわ」
緑の隙間から辺りの様子を窺う。下校中の生徒の中に混じっているはずのなのははまだいない。
間違ってもここで見逃すわけにはいかない。ここでなのはを見失えば計画は全部パー。
「やっぱり黙ってなのはちゃんの秘密を探るのはいけないよ」
「それでなのはが大変なことになったら遅いのよ。ほらよく言うでしょ? It's no use crying over spilt milkって」
「い……イツノー……? あっ、覆水盆に返らず」
「そう、それよ」
アタシだって黙ってこんなことする自分を良くは思ってないんだから。
きょろきょろ目を動かして出てくる生徒を一人残らずチェック。と、制服の群れの中に見慣れたお下げが見えた。
「なのはちゃん……来たね」
「まだ、これからよ」
息を殺して――そんな漫画に出てくる表現そのままを実践しながらアタシはなのはが校門をくぐる瞬間を待つ。
一歩一歩、どんどん大きくなる姿。それなりに距離はあるから気づかれることはないと思うけどやっぱり緊張する。
「…………」
自然と喉が動くの感じる。だけど思ったよりあっけなくその瞬間は過ぎて
「はぁーー」
なぜか気づかれなかったという達成感より安堵感が大きくて思わずため息。
第二関門突破、って所ね。
「いくよ、すずか」
立ち上がって制服にくっついた葉っぱを払い落として。あんまりのんびりしていてもいけない。
校門からちょっとだけ顔を出してなのはの出て行った方向を確かめる。ちょうど角を曲がっていくなのはが見えた。いつもの帰り道みたい。
電柱の影や、曲がり角を利用しながらなのはに近づきすぎず遠すぎず。探偵ドラマの入れ知恵そのままでなのはの後をひたすらに追っていく。
「そういえば反対するかと思ったけどよくついてきたわね」
「私だってなのはちゃんのこと気になるし。それに悪いって思ってもアリサちゃん止めるつもりないでしょ」
「あはは、まぁね」
すずかには全部お見通しってわけか。なんだかんだでこういう所は敵わないわね。
ちょっと感服しつつなのはは良くアタシたちが通ってる近道へ進んでいく。夕暮れにオレンジ色になった林の小道をなのはは迷うことなく歩く。アタシたちも歩く。
なんというかここまで気づかれないとほんとに探偵ね。
「アリサちゃん」
「えっ? あっ、なのは……?」
すずかの指差す先で突然なのはが足を止める。曲がり角でもなければ家でもない。
なのはは辺りを気にしているみたいでしきりにきょろきょろしている。だけどすぐにまた歩き出す。
「ってなんで森の中に入るのよ」
そこは近道じゃない。むしろ道にもなってない森の中へ続く道だ。
「追うわよ! すずか」
「うん」
流石に急ぐといっても木々のこすれる音でなのはに感づかれてはおしまいだ。出来るだけゆっくり、でも素早く。
やがて少しだけ開けた場所にたどり着いた。どうやらなのはにとってのゴールみたい。
「……あれ? ここって」
唐突になにか思い出したみたいな声をすずかが上げた。辺りを見回して、何か確信したみたいに小さく頷く。
「知ってるの?」
「ほら、なのはちゃんがユーノを見つけた」
「言われてみれば……」
そういえば一年前ぐらい、なのはがフェレットを拾ったのがここだった気がする。
なのはが隠していることとなにか関係があるのか。それとも運命の悪戯とかそういう偶然?
「あっ、誰か出てきた」
「…………男の子?」
不意に木の陰からなのはと同じくらいの背丈の子が出てくる。切り揃えられた亜麻色の髪の毛に綺麗な顔立ち。女の子かと見間違えそうになったけど服装でかろうじて男の子だとわかる。
「誰だろう……あの子。なのはちゃんの知り合いかな」
「知り合いって……学校にいた? 少なくとも同じ学年でアタシ見てないわよ」
「私も……でもなのはちゃんと同い年くらいじゃないかな」
男の子は薄緑色の服に半ズボンというラフな出で立ち。とすると別の学校の子かもしれない。
でも海鳴に学校といったら聖祥の他に数えるほどもない。私服通学で家よりも早く終わってここでなのはを待てる。
「隣町の子かな……」
首をひねるすずかの隣でアタシも唸る。考えたって条件を満たせる学校なんてないじゃない。
アタシたちが解けないパズルと悪戦苦闘してる間にもなのはは男の子と何かを話し合っている。
「もしかしてなのはちゃんのボーイフレンド……かな?」
「そ、そんなわけないでしょ! なのはに男なんて……」
絶対ない。……多分だけど。
大体そう仮定しても出会いからして想像がつかない。隣町と仮定すれば尚更、と思ったけど喫茶店経営ならば自然と出会いも多いのかも。
問題はそこじゃない。これがなのはをおかしくしている原因なら今すぐにも飛び出してってあの男の子をぶん殴ってやらないと気がすまないわ。
「たぶらかされてるのよなのは。今すぐ助けてあげるから」
「ちょ、ちょっとアリサちゃん! まだそう決まったわけじゃ」
すずかに思いっきり肩を押さえつけられて出るに出れない。ああもう、そうに決まってるのに!
「いいから待ってよアリサちゃん。なにかなのはちゃんが」
視線の先で今まで立ったままだったなのはが動いた。
何かもぞもぞしていて、どうやら胸元に手を入れ何かを取り出そうとしている。
左手に何かが握られた。それをなのはは空へとかざす。
「あれって……なのはちゃんがしている宝石?」
そうだ。夕日の輝きに一瞬照り返されて光ったのはなのはがいつも身に着けている赤い宝石。
なのはが何かを叫んだ。ここじゃ良く聞こえないけど、そんなことどうでも良くする光景が次の瞬間桜色の光とともにアタシたちの目の前に現れた。
花火でも弾けたように森の中が照らされる。あまりの眩しさにアタシもすずかも小さく悲鳴を上げた。
何が起こったのか分けもわからず、ぎゅっとしていた瞼を上げるころには光は収まってて、森の中はまた静かになってたけど
「へっ……?」
アタシの頭も
「なのは……ちゃん?」
すずかの頭も
静かになるどころか目の前の現実に騒がしくなるばかりで……。
「……なのは……?」
どちら様ですか?
一見、制服に似てるけど肩のところとか、腰のところとか、スカートとか。いろんな所がぜんぜん違う。
たった今そこにいたのはなのはのはずで。でもぜんぜん違う服を着た誰かがいて。でもやっぱりそれはなのはで。
まったくもってわけがわかんない……。
「あれなんだろう……杖?」
すずかはすずかでなのはが左手に突然持っていた変な棒に目を丸くしていた。
「な、なな……なんなのよあれ」
あまりのうろたえっぷりに指差す手が小刻みに震えてしまう。腰は抜かしてはいないけど突如として日常を押しつぶした光景に肝を潰されたというかなんというか……。
これはどう見てもテレビで女の子が魔法のアイテムで魔法使いに変身というそれと同じだ。
「あ、あはは……」
思いっきりほっぺたを抓った。
「……痛い」
夢じゃなかった。現実だった。
「あ、アリサちゃん大丈夫?」
「多分……だいじょぶ」
そ、そうよ。驚いてる場合じゃないのよ。
今は、とにかく、状況の、整理よ!
アタシたちはなのはを追って森に来た。そこでなのはが男の子と待ち合わせしていたことがわかって。次の瞬間にはなのはが変身して……。
「あ、アリサちゃん!」
頭の中で滅茶苦茶に絡まった糸を解きだした矢先すずかがいきなり声を上げた。
「な、なによ今度は。空でも飛んだとかそんなとこ?」
「そうじゃなくて……消えちゃった」
もう顔を上げてなにが見えたって驚かないわ。
ある意味意気込んで見るとすずかの言うとおり二人はいなかった。
「なのは……マジシャンにでもなったの?」
「えっと、なんだか男の子の足元が光ったと思ったらなのはちゃんと一緒に消えちゃったんだけど」
「そう、コンビのマジシャンなのね……」
狐か狸にでも化かされたんじゃないかって――実際そっちのほうがまだ良かったかもしれないけど――思った。
数秒前までそこにいた二人は最初からいなかったみたいにいなくて辺りを見回した所でそれはまったく変わらなかった。
「大体光って消えたなんて……魔法じゃあるまいし……」
「でも私見たんだよアリサちゃん」
私だって信じられないって言わんばかりに震えるすずかの声。
「今は科学の世界なのよ。魔法なんてそんな非科学的なものがあるわけ」
「でも……」
食い下がる。アタシだって認めたくない。
なのはが魔法使いだったなんて、そんな現実あるもんか。
「すずか! 二人がどこに消えたかわからない?」
言って、なんて八つ当たりな問いだと思った。相手が魔法使いならそんなのわかるわけないのに。
消えた――テレポーテーションとかワープとかを相手にアタシたちが出来ることなんて
「…………すぐ、近くにいる」
「えっ……?」
――あった。
「ほんとなの? 山勘とかじゃ……」
「私、この感じ知ってる……確かあの時……」
空を仰いで、視線を落として、ゆっくりと胸に手を置いてすずかが目を閉じる。大事なこと思い出すように少しだけ険しい顔になって。
「アリサちゃんがなのはちゃんと喧嘩した日……その日のお稽古の後……車に乗る前に……」
アタシも思い出す。それほど鮮明じゃないけど、あの時アタシは声をかけた。何かをするでもなく明後日の方向を見てボーっとしていたすずかに。
少し冷たい風が吹いて鮮やかな紫が柔らかに舞う。夕焼けに包まれたすずかは幻想的で、アタシには不意にそれが魔法使いのように見えた。
「あの時みたいなザワザワした感じじゃなくて……この風みたいに柔らかい感じだけど……多分、そうだから」
「どこにいるの?」
「ついて来て!」
今までの雰囲気を吹き飛ばしてすずかが走った。迷いなく真っ直ぐ、茂みの中へ飛び込んだ。
「ま、待ちなさいって!」
こうなったらもうすずかを信じるしかない。すずかの後に続きながらアタシも必死に走る。
茂みを掻き分け、通せんぼするように立っている木々をかわし、がむしゃらにすずかの背中を追った。
迷い込んでいく。不思議の国のアリスのようになのはを追って。
穴の先に待ち受けている世界に向かって――。
* * *
『Right,Master』
「えっ? きゃぁ!」
赤い光がわたしの足のすぐそばをものすごい勢いで飛んでいく。
足には当たらなかったけどフライヤーフィンがちぎれた。右足がガクンと傾きつられて体も前のめりに傾いた。
「ふ、フライヤーフィン!」
すぐに魔法をかけ直して体勢を立て直す。
「なのは!!」
途端、目の前が赤くなって耳の奥がキーンとした。わかったのはわたしを庇うようにユーノくんが障壁でなにを受け止めた、それだけ。
「あ、ありがと……ユーノくん」
「お礼はいいから! 早くディバインシューター!!」
「あっ、う、うん!」
わたしが今の自分の状況を飲み込めてないせいかユーノくんの声は焦っているよりすごく怒っているように聞こえた。
慌てて射撃の準備に入る。心の中で念じて桜色のスフィアを五つ呼び起こす。
「いくよ! シューート!」
ユーノくんを追い抜いて飛んでいくディバインシューター。地面の敵目掛けて一直線に飛んでいく。間違いなく全弾命中。これでうまくいけば封印できる。
――だけど
「っ! う、嘘!」
いつもより、わたしの思うよりずっと速くディバインシューターは飛んでいた。わたしが全部を制御する暇なんて全然なくて。
ドーン、と曲がることも、避ける敵を追うこともなく、光は地面に当たって砂煙を上げた。
「な、なのは! ちゃんと集中して!」
「しゅ、集中してるよ! だけどいつもよりディバインシューターが速くて」
『No Master.This is usual speed』
「そ、そんな……」
追いついていないのはわたしのほうなんて……。間違いに決まってる。
だって今までこんなこと
『Following attack.Get ready divin shooter』
「わ、わかってるよ! レイジングハート!」
今度は七つ。これだけの数なら敵だって避けられないはず。それに今度は絶対遅れない。ちゃんと動かしてみせる!
「ユーノくん、バインドお願い!」
「もうやってる!」
声とともに光の鎖が地面にいる敵を縛りつける。よかった、これなら絶対当てられる。
「今度こそいくよ! ディバインシューター!!」
杖を掲げて振り下ろして。撃鉄代わりに次から次へと光が飛んでいく。
すぐに集中、弾一つ一つの動きを操作して、繋げて、囲んで――!
「やった!!」
ユーノくんが攻撃が命中したことを教えてくれた。立て続けに爆発音が下からも聞こえる。
「レイジングハート! 封印いくよ!」
今しかない絶好のチャンス。すぐにレイジングハートをシーリングモード変形させ
「っ! 嘘だろ!?」
「えっ……?」
思わず手が止まる。わたしの時間が一瞬だけ止まった。
呆然とするユーノくんに倣うように地面へ目を凝らす。
「……全部命中したんじゃ……ないの?」
風に煙が飛ばされて現れた相手は命中する前と同じ格好でわたしたちを見上げていた。
まったく通じてない。これでも威力に自信があったのになんで……。
「やっぱり……魔力が溜め切れてないんだ」
「で、でもわたし疲れてなんてない」
「じゃあなんであいつに魔法が効かないんだ」
「それは……」
なんでそんなこと言うの。そんなこと言われてもわたしわからないよ……。
「――! なのは、下!!」
またいきなりユーノくんが大声になる。だけど今度は調子が違う。すごく慌てて、まったく思ってもいなかったことが起きたみたいで。
いったい何が下で起きたのか視線を動かした先には
「嘘……」
金髪を乱しながら走る友達が
「なんで……」
すごく大切で大好きな親友が
「ここに……?」
アリサちゃんがいた。
「なのは!! あいつ、あの子を狙ってる!」
言われなくたって相手の首がアリサちゃんを追っているのが嫌でもわかった。
――駄目。今はアリサちゃんがここにいることよりもアリサちゃんを助けなきゃ!
「ディバイン!!」
狙い定めて、魔力を集めて
「バスターーーーッ!!」
なのに光は溢れなくて、わたしの声だけが空しく空回りして
代わりに――
炎がアリサちゃんを木の葉のように吹き飛ばしていた。
「あ…………」
それからのことは覚えていない。
* * *
不思議な世界はきっとアタシたちを快く招き入れてはくれなかったと思う。
「いた! なのはと馬の骨!」
多分走って一分位、森の中でさっきと同じ格好したなのはを見つけた。なぜか隣の男もヘンテコな服に着替えててご丁寧にマントまでつけているけど、そっちはどうでもいいわ。
「さぁ、次は何する気よ……もうなにが槍が降ろうが天地がひっくり返ろうが驚かないわよ」
「もう、何でも信じられる感じだもんね」
手ごろな茂みに身を隠して後姿の二人を穴でも開くくらいに見つめてやる。
「アタシたちを出しぬこうったってそうはいかないんだから」
口では何とでも言えるけど実際アタシの心は不思議と非常識の洪水ですっかり麻痺していたんだと思う。
「でもちょっと……木が邪魔で見えないよ」
「見えない? ちょっと待って……」
言いながら体を少しだけずらしてすずかにも見えるように何とか位置取りを変える。アタシの顔が少し茂みから出ちゃうけど離れてるし大丈夫か。こっちも良く見えるようになったし。
相変わらず何かを話し合っている二人。ここからじゃはっきりわからないけど二人は何か別の方向を見ながら話をしている。と、男の足元が淡い緑色に包まれる。
「あ、あれだよアリサちゃん! さっき二人が消えたの」
「ま、また消えるの!?」
それはまずい。やっぱりここで話をつけるべきか。
考えてみればここまで証拠を握れば流石になのはだって話してくれるはずだ。深追いは厳禁、そう決めてアタシは茂みから飛び出そうとする。
その矢先、何か得体の知れない感覚が体を包み込んだ。
「えっ? な、なに……?」
まるで水の中には入っているように体中に何かが纏わりついている。なんだか自分の中の時間がすごく遅くなって、止まっていくような変な感覚。
同時に、重くなった空気なのか油なのか体を押しだすような感触がアタシを襲った。
なんだかそいつはアタシをこの場所から弾き出そうとするように思えた。
これ以上なのはを見せないようにする秘密のカーテン。例えるならそんな感じ。
「今更……何様のつもりよ」
ここまで来てアタシたちを仲間はずれにするなんて随分と虫が良すぎる話じゃない。
無性に腹が立ってアタシは心の中で強く念じた。
――破れろ! アタシたちを中に入れなさい!
瞬間、ガラスの割れるような甲高い音が耳に響いたような気がして、気がついたら今までの感触は嘘のように消え去っていた。
「っはぁ…………何だったの今の。すずか無事?」
「え、うん。どうしたのアリサちゃん?」
「あんた何も感じなかったの? 今すごく体が重くなったというか」
「私はなんて言ったらいいのかわからないけど、空気が変わるのは感じたかな?」
人それぞれなのかしら……。どの道今は関係ないか。
「それよりなのはは」
慎重に様子を窺いつつ顔を出す。最初に目が捕らえたのはなのはがふわり宙を舞う姿だった。
「…………はぁ」
今度は空を飛ぶのね……ほんとうに魔法使いじゃない。
「すごい……なのはちゃん」
「感心してる場合……? 結局なのはが何やってるのかまったく見当つかないじゃな、いっ!?」
ズドーン!! と地震でも起きたようにすごい地響きが足元を揺さぶって転びそうになる。
つんのめりそうになってなんとか踏ん張って、すずかの小さな悲鳴で顔を上げる。
「……はい?」
口があんぐりと無様に開いた。我ながらものすごく間抜けな顔だと思う。
「な、なによあれ……か、怪獣?」
なのはがいた場所に家ぐらいありそうな黒い塊が蠢いている。よくよく見れば塊は黒い毛で足が四本。赤い目に白く輝く牙。
仕留めそこなった悔しさからだろうか不気味な唸り声をそいつは上げた。あまりの重低音に思わず背筋がゾーッとする。
「おお……かみ……?」
「そ、そんなわけないでしょ……あんな超大型犬地球上にいるなんて初耳よ」
家で飼っている大型犬なんか目じゃないくらいに大きな黒犬。むしろ犬じゃなくてほんとに狼みたい。凶悪な面構えが余計にそう思わせる。
狼はすぐに向き直り空にいるなのはへと首を向ける。飛び掛るのかと思ったけど流石に空にいては手が出せないのか目で追うだけに留まっている。
だけど狼は何かを思いついたのかいきなり甲高く遠吠えをして大口をなのはに向けた。
嫌な予感が走った。きっとあいつは
「きゃぁ!!」
アタシの思考を遮るように爆発音。狼の口から赤く輝き火の玉みたいなものが立て続けに三つ空へと撃ち上げられる。
当然、狙われたのはなのはだ。
「なのはちゃん!」
すずかが叫ぶと同時に初弾がなのはの足を掠めた。転びように前のめりになるなのは。でも足から生えていた羽を作り直してどうにか体勢を立て直す。
その隙を狙って襲い掛かる残りの二発。一発目は見当違いな方向に飛んだけど二発目はどう見て直撃コースだった。
響く爆音と夕焼けよりも赤く輝く光。最悪の事態が起きたと思って一瞬気を失いかけた。
――でも杞憂。煙が晴れるとさっきの男がなのはの前で丸い壁みたいなものを張ってなのはを守っていた。
「ば、バリアかな……あれって」
「そうじゃないの……」
見掛け倒しじゃないみたいだ。あの男もなのはとおなじ魔法使いなのかしら……。
空ではなのはが光の玉をいくつか作ってお返しとばかりに撃ち返す。流れ星みたいに光は飛んで狼めがけて次々に飛び込んでいく。
でも全部はずれ。ただまっすぐ飛んで地面に当たって。これじゃ避けてくださいと言っているようなものだ。
「あちゃあ……何やってんのよなのは」
なのはたちを見上げながら自然とこぼした。なのはたちはなんだか言い争っているように見えて、それでもすぐにまた光の玉を作り出していく。
そうしてまた発射。今度はさっきと違って男が鎖みたいなもので狼を縛り付けている。玉もさっきとは微妙に動きを変えながら狼を囲むようにした後一斉にぶつかった。
「やった!!」
炸裂していく光の爆発に巻き上がる煙が狼の姿を覆い隠していく。本当にやっつけたかはわからないけど、これでやられてないなら詐欺も同然だ。
雲みたいにもくもくと舞い上がる砂埃を前にアタシはなのはの勝利に拳を握り締め自分のことのように喜んだ。
「後はなのはに洗いざらい白状させるだけね、すずか」
「そうだね、でもなのはちゃんが魔法使いだったなんて流石に驚いたよね」
「まったく……そうよね」
ちょっと感慨深くなる。でもなんだかほんとにこれがなのはが今まで話せなかった理由だと思うと少し寂しくなった。
少し強い風が吹いた。
息が止まった。
「ば……けもの」
誰が巻き戻しのボタンを押したんだろう。
なんで傷一つ負っていないんだろう。
寒気がする。
「……すずか、逃げるわよ」
「えっ!?」
本能が叫んでる。速くここから逃げないと大変なことになるって。
目の前の獣はまだアタシたちには気づいていない。なのはたちは空にいるから大丈夫だろうけど地面に足をつけてるあアタシたちがあいつの標的にされればそれこそ。
「ま、待ってよ、アリサちゃん」
後ろからすずかもすぐに続く。きっとすずかもこの状況が最悪一歩手前だってことに気づいたんだろう。
大丈夫、まだ気づかれてないんだから逃げられる。
――パキ
「あっ……」
すごく不吉な音が耳に聞こえた。踏みつけられた小枝が折れて、乾いた音が辺りに溶けた。
「アリサちゃん……」
恐る恐る振り向く。すずかは枝を踏んづけたまま石像みたいに硬直している。続けてグルルルと誰しも一度は聞いたことがあるはずの唸り声。
ゆっくりと顔を上げた。赤い瞳と目が合った。
「すずか……」
どうしよう……なんて言ってる場合ではない。もうアタシたちは捕えられている。きっとすぐにあいつは飛び掛ってくるはずだ。
足が竦んでいる。ガタガタ歯まで震えてきた。
握った手はじっとりしてきて自分の息遣いが不気味なくらい良く聞こえる。
なによ……深追い厳禁なんて言っておいてこれじゃ元も子もないじゃないのよ。
このままじゃアタシたち仲良くあいつの胃袋へ直行だ。そんな人生の終わり方あってたまるもんか!
「すずか……絶対動くんじゃないわよ」
「え? どうしたのアリサちゃん」
全部アタシが言い出したのが原因だ。すずかまで巻き込ませる必要なんてあっていいはずがない。
食べられるのはアタシ一人で十分。……食べられるつもりなんてないんだけど。
「怖い思いさせて……ごめん!!」
いけっ! 走れっ!
命じるままに足は動いてくれた。弾丸みたいに体は跳ねて地面から離れる。
「アリサちゃん!?」
声をかけるすずかはもう後ろ。駆け出しながらアタシは手ごろな石を拾い上げ感触を確かめる。
ほんとはこんなことしたくないんだけど親友のため痛いのは我慢してもらうわ。
走って飛び出して、一瞬夕日の光に目を細めて右手を振り上げる。
「こんのっ!」
力任せの放物線は目を瞑ってたって当てられる。目の前を覆いつくすくらい大きいんだからどこ投げたって同じ。
それでも当たったかなんていちいち確認しているほど余裕もない。
「こっちよ! 捕まえてみなさい!!」
アタシが出来るのは走った相手の気を引くだけ。
これでも犬を飼っている身。犬が好きなことはあらかた把握済みだ。
今のアタシはボール。ボールを追って犬は走る。眠っていた狩猟本能を引き出されて絶対に来る。ましてや犬の原型、狼ならばなおさらだ。
そうしてアタシは森に突っ込む。木々が盾になってアタシを守ってくれる。図体が仇になってアタシを捕まえることなんて出来はしない。
それでも後ろを見てしまう。本当に相手はアタシを追っているのか、もしかしたらすずかに飛び掛っているのかもしれない。そんな不安があったから。
「――いない?」
思わず足が止まった。消えてしまったように狼はアタシの視界からいなくなっていた。
あきらめたのか、なのはが今度こそ倒したのか。
それは一瞬の油断だった。だからアタシは自分の周りが暗くなったことに気づくのが遅れた。
「上!?」
その瞬間、アタシの世界はスローモーションになる。
見上げた先に狼がいて、狼は口を空けていて、口には赤い火の玉が咥えられていて。
放たれる真紅。避けるとか、そんな考え思いつく前に地面とか木とかが爆発して、アタシも一緒に空を舞って。
なんて初歩的なミス。そうなのだ。狼は狼じゃない。口から火の玉を吐くほどの怪獣だった。
木が邪魔なら焼き払えばいい。そうすれば獲物は丸見え。
景色がくるくる回って、体はフワフワしっ放しで。空飛ぶってこんな感じなんだって思って。
誰かが叫んでる。桜色した光がビームみたいに風を押し上げて狼を消し飛ばしていく。
眩しくて目を閉じる。光に包まれるみたいにアタシの意識もすぐに真っ白になっていった。
相変わらず文章量の安定しない176
執筆速度が上がる気配を見せない176
愚痴ってばかりの176
こんばんわ、Step3話ようやく終了です
アリサが飛んでいますが気になさらず
>>92氏
シャルマン×ザフィー自重しろ
とりあえず男の太さを競うんだ
>>640氏
大変な時にご苦労様です
PCが飛ぶなんてほんと考えるだけで寒気がしますわ
エロ話、期待しています
>>37564氏
いやぁ、私とした事がすいません
人の名前を間違えるなんて礼儀も甚だしい。気をつけます
恭也の扱いは難しいですね
一応Stepで神速交えて戦わせようなんて(+忍とベッドの上で)計画している身としてはやはり頭を悩ませます
この世界観だと高町家も一種の魔法使い家系、そんな感じもしますが
まぁ、無理ない描写が出来るよう心がけていますので(U-1はね、ほんと……)
しかしこのスレの人はアリサやすずかが魔法少女化すること、どう思っているのでしょうか
都築氏曰く、日常の象徴をなのはやフェイトとキャッキャッウフフするために引き込もうとしている私
前のアリシア&リニスの件を掘り起こすようですが次回でそこら辺に触れるのでちょっと気になりました
それこそ腕次第だとしか言えないんじゃない? どうせスレ住人が何と言おうと書くつもりなんでしょ>アリサやすずかが魔法少女化
面白さと説得力があれば許容されるし、つまらなくて説得力がなければ叩かれる。
>>135 ×つまらなかったら叩く
○つまらなかったらスルー
スルーされるのってつらいよね…まだ叩かれる方がましだよね…
まあ、そういうことだからがんばれ。
>>115 すげえ。そこのリンク辿ったら、とらハOVAに
巡り会えたよ!フルバージョン見れたよ。感謝!
これが噂の動画サイトなんだな。著作権ヤバそう・・
>>134 某HPにてすずかを魔法少女にはしていないけど、バトルするSS書いてる者です。
やっぱりすずかを戦わせるのはまずいんでしょうかね?
素質としては遠距離は無理でも接近戦では殆ど敵無しに育ちそうな。
だから本編では一般人キャラにされてたのかなーとか思ったり。
アリサが戦うのは考えにくいです。
>>138 ツタヤで借りなよ…
ちなみに俺は中古ビデオのワゴンセールで安く手に入れた
>>139 アリサが戦う……何かパワードスーツとかライドアーマーとか
そんな感じのゴッツイのに使ってそうなイメージが唐突に浮かんだorz
取り急ぎエロ話の二話を投下します。
触手モノ、陵辱モノなので苦手な人はご注意ください。
「……やれやれ。烈火の将も、意外にあっけない」
手も足も、出なかった。
「ふぐぅぅぅぅぅぅっ!!ん、ん、あ、はぁぁぁっっ!!!!」
それは実力差を表す例えとしても、彼女の置かれた現在の状況を表す事実としても、
あまりに適当な表現であり、言葉だった。
「んぐ……が、あ……ふぐぅっ……!!ふぁっ、ん!!ん!!んんんんんんんんぅぅぅーーーっ!!!!!」
数知れぬぬめる触手たちは、その一本一本が彼女の腕力、それを遥かに超えた強靭な力でシグナムを絡めとり。
殆ど隠すもののなくなったその肉感的な身体を、天高く生贄とでもするかのように、晒し出している。
「ふむぅ……ッ!!んんんんぅぅぅっ!!」
激しい戦闘で、もとよりその身を包んでいた騎士甲冑は、原型をとどめてはいなかった。
だが穴だらけで殆ど繊維くらいしか残っていない黒い下着の残骸の惨状は、その中心で彼女の大事な部分を
蹂躙する極太の肉色触手の蠢きと共にその苛烈な責めを物語る。
「もう少し、粘るかと思ったのだが」
彼女を──シグナムを攻め立てる張本人、触手たちを操る男は、
いつしか動き出していた彼女の腰の前後運動を見ながら、試案顔で言った。
烈火の将、その異名に似合わぬアへ顔に男は小さくため息をつくと、指を鳴らし。
それに合わせたように地を割って、更なる触手の群れがシグナムへと巻きついていく。
まるでそれはシグナムの豊かな肉体が、サーモンピンクの触手の沼へと、沈んでいくようでさえあった。
辛うじて見えている部分は触手たちの吐き出した性の粘液にまみれ。
快楽と屈辱、非現実感に満ちた絶頂に涙を流し虚ろな光のみを点す瞳は、焦点すら合わず。
高々と頭上で拘束された両腕は、何もない虚空を、彼女のこれからを示すかのように震えながら空しく掴み。
なんら抵抗すらすることなく、彼女は潮を撒き散らしながら肉の絨毯の中へと、消えていった。
魔法少女リリカルなのはA’s −世界の、終わり−
end.2 束の間の開口
スピード。それは自他ともに認める、戦闘魔導士たるフェイトにとっての最大の武器──で「あった」。
「ッ!?」
スパッツ状の高速戦闘用バリアジャケット、ソニックフォーム。
ハーケンフォームのバルディッシュ・アサルトを携えたその姿は、
その名の通り疾風のごとく。
フェイトの最大の武器である最高速を生かすための戦闘スタイルに、他ならない。
ソニックフォームの持つスピード、最高速についてくることのできるものなど、そうそういるものではない。
─────だった、はずなのに。
「うああああっ!!!」
追いつけない。
否。
反応すら、できない。
否。
何一つ、させてもらえない。
(う、そ……)
四方八方からの攻撃の暴風に、倒れることさえ許してもらえなかった。
意識など、いつ消えてもおかしくはなかった。
「っか……は……」
気がつけばほとんどが削りとられるようにずたずたに引き裂かれたバリアジャケットで、
大地に突っ伏している自分がいた。
(そんな……はや、すぎる……)
「ふむ、君の速さには、少し期待していたんだがね」
男は、失望したようにそう言ってくる。
聞こえたところで、フェイトにもう立ち上がる力などないということを、知っていながら。
(く……なのは、は……?はやて、は……?)
そんな状況においてもやはり気になるのは、
男の姿を確認し戦闘に入るなり強制的に転送を受け、どこかへと姿を消した二人の親友のこと。
自分と同じように、絶望的な状況に陥っている可能性が高かった。
「……こんな状況でも、友達の心配か」
「……!!」
まるで、心を読まれたかのような男の言葉に、思わず顔をあげる。
だが、目の前に立つ男は、フェイトからはその、二本の両足しか見えず。
彼の持ち上げた右足の下を見たとき、彼女の心は、凍りついた。
(バル……ディッシュ……!!)
そこには、砕けた金色の宝石が破片となって転がっていて。
デバイスフォームを維持できなくなった相棒が、この敵の足によって踏み砕かれるという
惨めな最期を遂げたことを意味していた。
辛うじて、主の身を守るべき防護服を修復し、
無いに等しい装甲のソニックフォームから、ライトニングフォームへと戻すという、
最後の精一杯の仕事を終わらせて。
閃光の戦斧は、砕け散った。
「そん、な……」
「そんなに、友達や仲間のことが心配かね」
「……え?」
「なら、会わせてあげよう」
* * *
「な……フェイトちゃん!?はやてちゃん!?」
錯覚であってほしい。幻であってほしい。彼女はそう願いながら、親友の振るう鎌の一閃をかわす。
だが、頬を走る一筋の紅い傷の痛みは、紛れも無く襲い掛かってくる友の攻撃によるもので。
目の前の少女が死神のごとき鎌を振るうたびに、彼女の身体や防護服には新たな傷が刻まれていく。
「……ブラッディ・ダガー」
「!!」
状況をきちんと、把握する間もない。
やめて、さえ言えない。
迫りくる血濡れの刃を防御魔法で防ぎ、距離を置くので手一杯だった。
(どうして…どうして、二人が!?操られてるの!?)
二人からの攻撃を受けるまでもなく、なのはの姿はすでにボロボロだった。
フェイトとはやて、二人と分断された状態で果敢に男へと挑んだものの、全くもって歯が立たず。
アクセルシューターをすべて叩き落され、渾身のディバインバスターはたやすく防御され。
逆に彼女の制御可能なシューターの数など、児戯にも等しいとも言わんばかりの数の誘導弾の集中砲火を受け。
満天の星空と見紛うばかりのその膨大な数の光弾は、高出力を誇るなのはのバリアーさえも抉るように破壊していった。
厚い装甲も、破られてしまえば一人の少女が残るのみ。
焼け焦げ、あちこちが大きく裂けたバリアジャケットのままなのはは落下し。
痛む身体に鞭打ってようやく立ち上がったなのはの前に立ちはだかったのは、分断されその身を案じていた二人の親友、そのものであった。
その攻撃は非殺傷設定が解除され、戸惑う彼女の身体を次第にはっきりと、傷つけていく。
「っぐ……!!」
斬撃をかわしきれず、防護服の左の袖が、大きく切り裂かれる。
なのはは血の飛沫を飛ばす腕を右手で押さえ、苦痛に顔を歪めつつも離脱を図る。
不可能と、知りながら。
「ディバインシューター」
だが、それもはやての射撃によって妨害され。
背中を撃つ誘導弾の焼けつく痛みに、一瞬気が遠くなりかける。
「ま……だ……!!」
耐えろ。
自分に言い聞かせ、慣性に従い落ちそうになる身体にぐっと力を込める。
私が、やらなければ。
二人が操られているのだとしたら、助けないと。
偽者だというなら、なおのこと倒さないと。
「───残念ながら、どっちでもないよ。なのは」
「──!!!!」
疾い。
それは、なのはの知る友の疾さの、比ではなく。
刃を受けるために差し出したレイジングハートは、真っ二つに断ち割られ。
なのはの纏うバリアジャケットもまた、縦に大きく引き裂かれていた。
「く……」
白い肌が、桜色の柔らかな生地の下着が、冷たい外気に晒されるも。
そんなことは構っていられない。構っている場合ではない。
今、はっきりわかった。
彼女はなのはの知る、「フェイト」ではない。
むしろ、それ以上の能力を持つ、より厄介な相手と言っていい。
彼女たち自身よりはやく──……彼女たち自身より、強い。
しかし、だとすれば。
一体彼女たちは、何者なのだろう。
(なんとか……しないと……)
ただでさえ、己と互角の力を持つ二人。
彼女たちと同じ姿でありながら、目の前の「フェイト」も「はやて」も、それ以上の力を持っている。
二対一を挑むには、分が悪すぎる。正面からやりあって、どうにかなる相手ではない。
おまけにその背後には、男が控えているのだから。
「……終わり、だね」
「!?──あっ!?」
なのはの、焦る気持ちも空しく。
決着というものは無情にやってくる。
「く、う……!!」
掌をこちらへと向けたはやて──いや、はやての姿をした「だれか」が、口元を歪める。
(四重の……バインド……!!)
彼女が考え、この窮地を脱する手段を講じているうちに。
なのはの四肢はそれぞれ、四つの光輪によって拘束されていた。
両腕を、桜色の輪に。
両足を、金色の輪に。
(しまった───……!!)
はやての保有するスキル、蒐集行使。
目の前の少女は、その姿と同じく、その能力を利用し。
なのはのレストリクトロックと、フェイトのライトニングバインドが、なのはを捕らえ、噛み付くようにして離さない。
『Photon lancer, genocide shift』
『Photon lancer,Phalanx Shift』
「う……!!」
そしてやはり、捕らえるだけでは、終らせてはくれない。
二人の少女の周囲に輝く光の玉の群れが、なのはを戦慄させる。
彼女たちのこの攻撃もまた、本人たちのものとは比較にならぬほど力強く、膨大な数を誇っていた。
───耐え切れるのか。
否。
耐えるしかない。
たとえそれが、絶望的な可能性で。
勝ち目など、あろうはずがなくとも。
耐えなければやられる。
そう、「殺られる」。
「「発射」」
唇を噛み締めたなのはが、耐え切ろう。そう思ったのは一瞬。
諦めたわけでもなく、何か他の方法を思いついたわけでもない。
ただ、耐え切ることができなかった。
ただ、それだけのこと。
ただ、敗れ去ったという事実がそこに生まれた。
ただ、それだけのこと。
わずか一瞬で、彼女の思考は遮断され。
何もわからず、理解できぬまま、すべての感覚が喪失した。
ただ、それだけ。
事実として残ったのは、
高町なのはという魔導士が、名も知らぬ敵と、親友の姿を模した敵に、敗北をしたということ。
そして彼女の倒れたその場所から、さほど遠くはない方向に二つ、同じように。
強大な爆発の中に倒れた、少女たちの姿があったということだけだった。
はい、二話終了。
といっても犯られてるのはまだ冒頭のシグナムさんだけですがorz
エロくないのは俺のスペックの仕様ですorz
次回から3人も……ですので、はい。
>>37564氏
読んでいて思ったことを一点。ト書き部分の視点移動が
イマイチよくわかりにくい気がしたのですが……。
え?読解力不足?ハハハorz
>>176氏
>日常の象徴をなのはやフェイトとキャッキャッウフフするために引き込もうとしている私
俺も一緒にキャッキャウフフさせてくださ(ブラストカラミティ
>>139氏
いいんじゃないですかね?きちんとそこまで持っていく流れがあれば。
すずかの場合は漫画版でも身体能力に限っては五人組最強という描写が
はっきりとありますし。
何故だろう…純愛書いてる時より、陵辱書いてる時のほうが640氏が輝いて見える
言うの遅れましたが、保管庫の管理人さん更新乙。
保管庫からここに飛んでるクチなんで、新スレへのリンクだけでも
繋げてもらえると助かりますですよ。
久々に覗いたら640氏のエロktkr!!!
激しく少数派だろうけど1話からwktkしながら待ってたりします(*´д`*)
152 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 05:44:12 ID:u9Fik70m
______
,;i|||||||||||||||||||||||||||||||ii;、 _/
/||||||||||||||||||||||||||||||||||||||ii;、 \
/ ̄ ̄\||||||||||||||||||||||||||||||||||||ii;゙ヽ, /
'" ̄ヽ ヽ!!|||||||||||||||| ||||||||||!!"ヘ < ロマンティックageるよ
ヽ ゙!!!|||||||||||| |||||||!! iヽ── /
|||l ゙゙ヽ、ll,,‐''''"" | ヽ|||||||||ロマンティックageるよ
|||l ____ ゙l __ \|||||||||
||!' /ヽ、 o゙>┴<"o /\ |'" ̄| ホントの勇気 見せてくれたら
\ / |ミミヽ──‐'"ノ≡- ゙'──''彡| |、 | |
 ̄| |ミミミ/" ̄ 、,,/|l ̄"'''ヽ彡|| |、/ / ロマンティックageるよ
ヽ、l| |ミミミ| |、────フヽ |彡l| |/ /_
\/|l |ミミミ| \_/ ̄ ̄フ_/ |彡|l/  ̄/ ロマンティックageるよ
\ ノ l|ミミミ| \二二、_/ |彡| フ
 ̄\ l|ミミミ|  ̄ ̄ ̄ |メ/ \トキメク胸に キラキラ光った
| \ ヽ\ミヽ  ̄ ̄"' |/ /
/ \ヽ、ヾ''''ヽ、_____// /_夢をageるよ
/ ヽ ゙ヽ─、──────'/|  ̄/
. / ゙\ \ / / \__
───'''" ̄ ̄ ゙゙̄ヽ、__,,/,-'''" ̄ ゙''─
今日面白いことがあった。
仕事帰りにたまにネカフェで漫画読むことがあるのだが、その店やたら狭い。加えて個室の壁(ついたて?)も低い。
180オーバーの自分が立ち上がると他意はないが隣の個室が丸見えになる。で、ひとしきり漫画見終わってさぁ、帰ろ
うかと思って会計しようとしたら、個室にライターを忘れたので取りに戻った。で、ライターとって、よし帰ろうと
思ったら、なにげなく隣の個室が目に入った。ほんとに悪意はなかったのだが、その人が見てたネットの画面が目に入った。
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第十話☆
うわ、ここの住人だw
と、まぁ、そこまでなら別になんともない(?)話なのだが、その人IE以外にも2,3窓を開いていた。
目がいい(左2.0−右1.5)俺にはその窓がメモ帳であるのがわかった。ついでにタスクバーに表示されているファイルの名前も
「もう一人の私へ・・・」
「クロなのチェリーライト」
あなた4の422氏ですかーーーーーーーーーーしかもばりばり執筆中だしw
というかあなた、それを書きながら横に積み上げてる本が「はじめの○歩」ってどういうことよw
あわてて個室に入り直し、備え付けのアンケート用紙に
「はしめまして、スレ住人です。4の422さんですか?いつも楽しく読ませてもらってます」
と書いて横に差し出した(この店、各個室に窓があって開けると隣と繋がってる)。
驚いてましたが気さくに挨拶してくれました。で、そのあとスタバでダベる我らw
なんでネカフェで書いてたのかと聞いたら、家族がいる部屋にしかPCがなく、家族が寝静まってからでないと執筆できないとか。
そんな環境でよく書けるものだと関心。
ちなみに気になってたクチだったので「もう一人」の続きはどうなるのか、と聞いたら。
「そんな中途半端にストーリー聞いて先がわかっても面白くないでしょ」、とのことで、なるほど。
クロなのの方は?、と懲りずに聞くと、
「急にエロを入れたくなったので無理やり入れてたら煮詰まってきちゃって長引いてます」と。
面白いのでこのことスレに書いていいかと聞いたら、最近仕事忙しくてたまに早く帰っても家族がいるから思うように書けない
からむしろ書いてくれ、適当なとこをはしょって。とのことで、書き込みしてます。
以上。文章下手で申し訳ないですが、あまりにもこのスレ的なことだったので報告ー。
うわ、これは面白い出来事ですね。
自分もこんな体験してみてぇwww
4の422たんのプロ根性に萌え。
フェイトは俺が抱きしめてますから
安心して執筆してください。
偶然とはいえ、インタビュー乙!!
何というか、凄い確率だよなw
>>155の行動力にもGJ!
>>155も4の422も乙。
そしてクロなのエピローグにエロ確定キター!!wwwwwww
161 :
37564:2006/07/01(土) 01:28:17 ID:qcxO7BC8
魔法少女リリカルなのは、〜伝説の傭兵〜
第十一話「地獄の雨と魔導人形」
はやてが妙な男に捕まり既に一分半が過ぎた。
くそ〜、あの野郎はやてに汚い手で触りやがって、絶対に許さねえ!
…でも、これじゃ近づけねえ…まぁシグナム達も一緒だけどな。
…ん?アイツはやてを放す気になったみたいだな、チャンスだ。
「アイゼン!カートリッジロードだ!!」
「ふっふっふっ、助かりましたよ。これで大分情報も手に入りました」
「…うちの質問には答えてくれへんのやな」
「私の名を知ったとこで君が如何こう出来るとは思えませんが念の為ですよ」
男はそう言ってはやてを掴んでいた手を放した。
「うち、てっきり殺されるかと思ったわ…」
「言った筈ですよ。私は、野蛮な事『ラケーテンハンマー!』は、…!?」
男が声のした方を見るとハンマーを構えたヴィータが真直ぐ向かって来る。
「し、しまっ!?グガアっ!!」
「オラアアアア!!!ブチ抜けえぇぇ!!!」
ヴィータのハンマーは男の腹部に直撃、男はハンマーの威力により後ろに吹き飛び
一つの建物の壁をブチ破った。
「やったわ♪ヴィータちゃん」
「良くやった。ヴィータ」
その様子を見ていたシャマルやシグナムはそう言ってはやての下に駆け寄った。
「主、ご無事ですか?」
「はやてちゃん何処も怪我して無い?」
「うちは平気や、特に暴力は振るわんかったしな。でも何かちょっとしんどいわ」
シャマルとザフィーラがはやてと会話してると、
「如何した?ヴィータ。浮かない顔をしているが」
シグナムがヴィータの浮かない顔に気付きそう聞いた。
「…あの野郎、アイゼンが当たる寸前に後ろに下がってダメージを逃がしやがった」
「なに!それは本当か?」
「ああ、アイゼンが当たった時、手応えが感じなかった…」
162 :
37564:2006/07/01(土) 01:29:54 ID:qcxO7BC8
それを聞いたシグナムは男の突っ込んだ建物を睨んだ。
「ザフィーラ!主とシャマルを頼む。行くぞヴィータ!」
「おう!」
そう言うと二人は建物に向かって飛んだ。
「…全くヴィータもシグナムも元気ええな」
「元気の問題じゃないと思いますけどはやてちゃん。ところであの男性が突っ込んだ建物って…」
「ああ、確かあれは『海鳴デパート』やね」
二人はシグナムとヴィータの向かう先の建物を見続けていた。
「……シャマル、うち何か嫌な予感がするねんけど…」
「…私もです。はやてちゃん」
(俺もだ)
シャマルに続いてザフィーラも心の中で呟いた。
※
「グッ、ゴホッ…痛ッ…あのガキやってくれましたね。
マントをしてるとは言え、咄嗟に後ろに下がってなかったら危なかったですよ」
男は咳をしつつ瓦礫を退かし、立ち上って自分の腹部に触れた。
「痛ッ!今日は厄日ですかね。
このマントは魔力ダメージは防げても物理ダメージまでは防げませんからね。全くついてませんよ」
男はそう言いつつ回りを見回す。
如何やら其処はデパートの洋服売り場の様だった。
「此処は確かデパートと言う場所でしたね。ん?アレは使えそうですね」
男はある物を見つけ笑みを零した。しかし、フードを深々と被っていたので顔色がまるで分からなかった。
※
一方、
「見せてやろう。俺の魔力攻撃をな!」
男はそう言うと両腕を顔の方に持っていきクロスさせ詠唱を唱えた。
「…ジュゲルベルドバルトエンドゲルツタイ…」
「な、なんなんだい、この詠唱は?」
「聞いた事が無い。でもこれは詠唱と言うより…」
「…まるで呪言じゃないか」
クロノ達は男の詠唱をまるで呪を吐く様に聞こえていた。
「…エルブスト、ゲルバリク!!待たせたな」
男はそう言うとクロスさせていた腕を解くと右手を高らかに上げた。
「行くぞ!!『ヘル・スコール』!!!」
すると、右手に集まっていた黒い魔力が一気に空中に上昇し突然消えたかに見えた。
……………
「…なに?これで終わり?」
なのは達がそう呟く。すると、
「(あの本の内容通りだとすると……!)皆、直にシールドを張るんだ!!」
「如何言う事!?ユーノ!」
「説明は後、早く!」
ユーノはそう言ってなのはの横に立ち一早くシールドを張った。
それを見ていたフェイト達もシールドを張った。その直後に、
ズババババババババババババババババババババババババババババババ……
辺り一面に男の放った魔力がまるで雨の様に空から降ってきた。
「くっ、何なんだいこりゃ!?」
「黒い雨?違う魔力の雨!」
「シールド越しでもこの威力なんて…」
この時、クロノ達は先のユーノの言葉が無かった時の事考え背筋が凍った。
それから、30秒近く経ってようやく魔力の雨も治まった。
「くっ、やっと治まったかい…」
なのは以外のメンバーはシールドを張った腕を抑えつつそう言った。
「大丈夫!?ユーノ君!」
なのはが心配そうにユーノを支えた。
「大丈夫だよ、これでも結界魔導師だからね」
ユーノは汗は掻きながらも笑顔でなのはに答えた。
163 :
37564:2006/07/01(土) 01:31:40 ID:qcxO7BC8
「そうか、なら先に潰させて貰おう」
「「!」」
なのはとユーノが気付いた時には男は既に目の前に居た。
「この程度で死ぬなよ…」
「!危ないなのは!!グフッ!!」
「キャア!?」
ユーノは咄嗟に横に居たなのはを突き飛ばした。
その直後にユーノは男の蹴りを左腕に食らう、
その時、ユーノは『ゴキッ』っとする音を聞いた。
「「「ユーノ!?」」」
「ユーノ君!?」
一番近くに居たなのはがいち早く駆けつけフェイト、アルフ、クロノと続いた。
「ユーノ君!ユーノ君!!」
「だ、大丈夫だよ、なのは。僕はピンピン…ウッ」
「動かないでユーノ。多分折れてる」
フェイトはユーノの左腕を摩りそう言った。
「くっ、あんた卑怯じゃないか!いきなり攻撃するなんて!!」
アルフが男に怒鳴ったが、
「ふん、馬鹿め。戦いの真っ只中で余所見をする方が悪いのさ。
言ってみれば自業自得と言う奴だ」
「…なんて人なの」
「…私の所為だ…」
「え?」
「私がユーノ君に『大丈夫!?』なんて聞いたからユーノ君が、ユーノ君が…」
「そんな、なのはの所為じゃないよ!」
「そうだよ、なのは」
フェイトとユーノがなのはを励ます。
「あ〜〜〜、責任を感じるのは勝手だが戦いを忘れて貰っちゃ困るぜ!」
「アルフ、ユーノを安全場所に」
「そんな、フェイト。僕はまだ戦えるよ」
「駄目だ、ユーノ。アイツはアンタを狙ったんだ。また狙われるよ」
アルフがそう言うとユーノを抱き抱えビルの方に向かった。
※
「退けえぇぇぇぇ!!!」
「ブチ抜けえぇぇぇぇ!!!」
シグナムとヴィータはある『物』蹴散らして居た。
その物とは、デパートによくある『マネキン人形』だった。
しかも、そのマネキンは手に包丁やカッターナイフ等も持っていた。
宛らホラー映画の様な光景であった。
「くっそー、何でこいつ等が動けるんだ!?」
「大方あの男の仕業だろ」
「ご名答。なかなか頭良いですね貴方」
「ふっ、挑発のつもりか?」
「まっ、そう受け取っても構いませんよ。それでは私はここで。
暫くその『魔導人形』と遊んでて下さい」
男はそう言うと地面に降下しだした。
「待てよ、また逃げんのか!?」
「逃げもまた兵法の一つですよ」
ヴィータの問いに男はそう返した。
164 :
37564:2006/07/01(土) 01:42:11 ID:qcxO7BC8
今回も無事終了しました。…相変わらず難しい。
男の詠唱ははっきり言って適当です。
176氏、人間間違いは誰でもあるもんですよ。
640氏、分かり難いのは、まだ私が下手なんですよ。
もう少し分かりやすいよう頑張ります。
155氏、正にウソの様な本当の話と言うやつですか。
ところで、何時かエロにも挑戦しようと思ってんですが、
内容は、ユーノ、女体化、陵辱。
確か、女体化ってありでしたよね?
TS物は注意書きさえあればご自由に
もっともユーノなら必要ないかもw
ただ男が呪文詠唱している間だれも動いてないのが気になります。
なのはの世界ではこちらも大技発動(or準備)が基本では?
俺は嫌いだけど他の人はどうだか知らない。
もし投下することになったら注意書きを厳重にお願い。
女の子ユーノ!! ワクテカ
安心してくれ。どんぶり三杯はいけるぜ
陵辱の三話、投下します。
完全にフェイトがいたぶられていますので、
苦手な方はご注意ください。
『Starlight Breaker』
『Plasma Zamber』
二つの閃光が、炸裂する。
それらはどちらも、単体で十分に勝敗を決することが可能な破壊力を持つ。
あるいは片方だけならば凌ぎきれたかもしれないそれらは、とても防ぎきれるものではない。
「…………!!」
どさり。
体重相応の音を立てて、焼け出された少女の身体が転がる。
火傷だらけのはやての身体は、防護服をすべて失い。
辛うじて残ったインナーの、セパレーツタイプの水着にも似た所々焼け焦げのあるグレーが覆う胸が上下していることが、
彼女が幸いにして生きているということを教えているだけだった。
生きていた、ということを幸いとするならば。
これから彼女を待つ出来事は、不幸そのもの。
少女を打ち破った二つの影は、彼女の親友、そのままの姿で動けぬはやての前へと降り立ち。
なのはやフェイトがけっして見せることのない酷薄な笑みを、その面へと浮かべていた───。
魔法少女リリカルなのはA’s −世界の、終わり−
end.3 捕食者、被食者
「離せっ!!離せよっ!!はやてが、あぶねーんだぞっ!!」
管理局本局、緊急治療室。
栗毛の女性に両肩を押さえられた赤毛の少女が、ベッドの上で暴れていた。
「駄目よ、ヴィータちゃん!!そんな怪我でまたシグナムのところに向かうなんて!!お願いだから、じっとして!!」
「うっせー!!なんだよ!?シャマルははやてがどーなってもいいってのかよ!?」
「そんなこと、言ってないでしょ!?」
少女─ヴィータの全身にはまるでミイラのように包帯が巻きつけられ、左腕には点滴の針が刺さっている。
そこから伸びる管の先、薬品の入ったビニールパックは彼女が暴れる度にゆれ、残り半分ほどになった
内容液が容器内に散る。
「フェイトちゃんやなのはちゃんも一緒だから大丈夫よ!!危なくなったらすぐ撤退する、とも聞いてるから!!」
「そんなんじゃねえっ!!」
「っ……!?」
そこで、シャマルは気づいた。
ヴィータの細い肩が、白い包帯に覆われた身体が、震えているということに。
どんな相手に対してもけっして臆することなく立ち向かうはずの、彼女が。
「ヴィータ、ちゃん……?」
「そんなんじゃ、ねーんだ……あいつは……あいつだけは、やばいっ……!!」
見上げてくるあどけない顔は、蒼白で。
思い出した光景におそらく、恐怖しているのだろう。
「みんなでかかるくらいじゃねーと、はやてが……!!」
畏怖、戦慄、怯え。
彼女のそんな姿を、シャマルは幾星霜の少女との付き合いの中でさえ、
一度たりとも見たことはない。
恐怖を押し殺したヴィータの必死の訴えに、シャマルは戸惑っていた。
『シャマル班長、ザフィーラ捜査官補佐の容態が危険な状態です。どうかこちらに』
と、隣室より届く一本の放送。
ちっ、と思わず舌打ちを漏らし、ヴィータを押さえていた両腕を離すシャマル。
「シャマル!!」
「いい、勝手に動いたりしちゃだめよ!!すぐ、戻ってくるからね!!」
シャマルはそうヴィータに言い残すと、振り向きもせず自分を待つもう一人の患者の下へと
向かうべく、足を向けた。
ひとつしかない身体が、もどかしい。
こんな時こそ癒し手たる自分が、皆を支えてやらねばならないというのに。
支えは、一本では足りない。
* * *
「や、あ……やめて……なのは、はやて、ぇ……」
敗北者に、自由などありはしない。
両腕はがっちりと固定され、両の足は愛する友の手によって、M字の形へと大きくこじ開けられて。
マント部もスカート部も、殆どが抉られたように破りとられた防護服がそれでも大事に守っている彼女の三角地帯は、
薄布一枚を隔てて、親友たちの視姦の元に晒されている。
もちろん、彼女たちと一緒にお風呂に入ったことくらい、フェイトにだってあるけれど。
引き裂かれたバリアジャケットからこぼれる、ようやく膨らみだした小さな胸や。
無理やりに開かされ、嫌な汗でじっとりと肌に吸いつく生地ごしの秘所を、親友たちの姿をした別の誰かに強引に見られ続けるというのは、
恥辱以外のなにものでもない。
「やめて、やめてぇっ……」
必死でもがこうとも、既に魔力は底をついていた。
そうなるように、フェイトを視姦するこの二人が仕向けていた。
フェイトへのとどめとなった最後の一撃──それを、敢えて非殺傷設定にすることによって。
彼女に残された全ての魔力を、奪っていったのである。
「だぁ、め。これから、気持ちよくしてあげるんだから……はむっ」
「っ!?」
その言葉が、合図であったのだろう。
背後から顔を近づけたなのはの唇がフェイトの口を塞ぎ、熱い唾液が注がれ。
未だ僅かに胸元を隠すフェイトの防護服を、はやてが破り捨てる。
「────!?!?!?」
突然の口付けと舌の蹂躙にフェイトは混乱し、
また完全に胸元が露わになったことによる羞恥に頬を染める。
「!!!!!」
「ふぅん……私らに見られるん、そんなに嫌なんか……っと」
「っあぅんっ!?」
別に、なのはやはやてが嫌なんじゃない──そう、反論する間もなく。
無論、そういう問題でもないのだが──……。
胸元へと伸ばされたはやての指先によって、フェイトは思わず嬌声をあげていた。
「なんや、その割りにはさっきからおっぱい、立っとったみたいやけどなぁ……?」
「───ぷはっ、っあ、あ、やめ、っあぁぁ、さわら、な……!!」
彼女の指は、古いラジオのツマミでも、軽く捻るかのように、
ほのかに自己主張を始めたピンク色の柔らかな突起を、くりくりと弄んで充血させる。
なのはが唇を離したことによって自由になったフェイトは精一杯の抗議の声をあげるが、
所詮遠吠え。聞いてもらうことなどできない。
(……んで、なんで……っ?)
「教えてあげようか?」
「あ、あ、ゃ、ぁぁぁぁあああぁぁっ!!!!」
それどころかはやてはフェイトの胸へと顔を埋め、その右の先端へと柔らかな舌を這い回らせてくる。
同時に左はきつく、強く。痛いくらいに抓りあげて刺激を加える。
フェイトはただその羞恥を伴う不思議なむず痒さと痛みに身を捩り、首を振り乱して汗と涙と涎を撒き散らす。
こんな経験、ないはずなのに。
こんなことされたって、気持ちよくなんてないはずなのに。
なのはの両腕に抱えられた両足は、根元から震えていて。
彼女の身体は急激に、刺激に対して強く反応するようになっていた。
「気持ち、いいでしょ?ちょっとだけフェイトちゃんの感覚神経に、細工させてもらっちゃったから」
「なっ、は、あ!!や、そん、いつの間に、っくぁぁんぅっ!?」
「簡単だったよ?ほんの少し、口移しで魔力と術式送り込むだけだったから、ね。さ、もう一回」
「あが……んぉ、ふぐ、や、なの、ぁっ!!ふぅぅぅぅぅぅうぅっ!!!???」
再び舌と舌を絡められ、注ぎ込まれる唾液と魔力。
それは、一度目に受けたこの身体を火照らせている根源より、一層熱く、大量に送り込まれ。
乳首へと立てられた硬い歯の感触と相まって、塞がれた唇からフェイトは、
くぐもった悲鳴で親友の姿を模した陵辱者たち以外、聞く者のない悲鳴を響かせることになる。
唾液が溢れ、口元からは幾筋もの雫が滴り落ちて涙を流し。
同様にその両目も、こちらは本当の塩味のする涙を零す。
───更には、彼女自身気づかぬうちに熱を帯びていた、下の口も。
「……んん?なんや、フェイトちゃん……こっちももう、準備、万端みたいやねぇ?」
「んぁ……っふ、ぁ……?」
当然、彼女を攻める二人の陵辱者たちが、それを見逃すわけもない。
フェイトの胸元から口を離すと同時にちらりと合わされたはやての視線に、
なのはがフェイトの両腿を持ち上げる両腕を更にぐいと上げて、彼女の三角地帯をはやてのほうへと押し上げるように近づける。
身体の柔らかいフェイトだからまだいいものの、ほとんど柔軟体操の前屈のようにコの字に曲げられたその姿勢は、
いささかにきつい体勢と言える。
「ふふ……もうフェイトちゃんのここ、ぐちょぐちょ……」
「!?!?!?」
汗によって肌に張り付いていた黒い生地を、はやてが指先でつんとつっつくたびに、フェイトは未知の感覚と水音を感じる。
頬は上気し、息は乱れ。そこに生地を密着させていたのが汗だけでないことを、如実に表していた。
「っか、あ、や、はや、て、や、っあ、っあ、あ!!」
なのはの唇は、首筋へと移り、もはや彼女の喘ぎを阻害しない。
二人の唇の動くまま。
二人の指先の成すがまま。
敗北者としてのフェイトはその刺激と快楽を享受し、悶え、喘ぐしかない。
「ん、あああぁぁぁぁぁっ!!!」
ぐちゅり、と。
はやての指先が強く、愛液を滴らせるフェイトの大事な部分を着衣ごと押しつぶした。
稲妻のような快楽──フェイト自身、それが快楽なのかどうかすら、まだわからぬ未知の感覚──が全身を駆け巡り、びくん、びくんと、
なのはの両腕に抱えられた両足の爪先が跳ね上がる。
「や、あああぁっ!!!やめ、やめぇっ!!!ああああぁぁぁぁんんんんぁっぁぁっ!!!!!」
どうして、気持ちいいのだ。
なのはの舌が、はやての指先が。
何度も何度も、秘所をまさぐられ、押しつぶされ、生地を食い込まされて。
再び乳首へともう一方の手と唇が伸び、フェイトは泣き叫び汗と唾液を撒き散らす。
身体中、熱く火照って仕方ない。
涙も、涎も、止まらない。
「さ、そろそろ入れよか……」
そんな状態で、はやての宣告が、碌に頭に入ってくるわけもなく。
身構えるなんて、夢のまた夢。
「は、ああああああぁんぅぅぅぅうぅぅっっっ!!!!????や、そ、こぉぉぉぉぉぉおぉぉっ!!??」
はやてがボディスーツの股間部分を寄せて、脇から膣内に乱暴に滑り込ませた指に、
フェイトは脳内に火花を散らせ、全身を硬直させ、反らせて声の限りに悲鳴を上げた。
「ほら……これで、どや」
「あ、あ!!あ!!いやぁぁぁっ!!!!くる、なにか、くる!!!ゆび、うごひて、あたって!!!わたし、わたしぃっ!!!!」
「ふふ……イっちゃいそうなんだね……じゃあ、わたしも……」
「ひゃぎぃぃぃぃっ!!??なの、はぁ!!ゆら、さ、な!!指、ゆびぃぃっ!!!!ひやあああああっ!!」
はやての指の動きに合わせ、フェイトの腰を掴んだ両足を使って激しく揺さぶりたてるなのは。
その度に力の入らぬ彼女の両足はぷらぷらと振り乱れ、口からは唾液交じりの喘ぎが助けを求め溢れ出る。
「ほれほれ、ここやろ?うちの指、もうとろとろやで?」
「あっあああああぁぁ……やぁ、やぁ、やぁぁっ!!!もう、いや、ひやぁっ!!!」
助けて、なのは、はやて、お兄ちゃん、ユーノ。
母さん、アルフ、誰だっていい。
「いやぁ、いや、ああああぁぁぁんんんんぅぅぅっ!!!だめえええぇぇぇっっ!!!!」
最も深い突き込みと、最も激しい揺さぶり。
その二つが同時に訪れた瞬間、フェイトの意識は飛んだ。
真っ白になった視界を、ピンク色の靄が包んでいった。
初めての絶頂──……少女はまだ、その言葉すら、知らなかったというのに。
両腕の拘束を解かれた少女は気を失ったまま、痙攣を繰り返しながら地面へと崩れ落ちる。
汗と唾液、愛液に濡れた肌に、土の汚れを付着させながら。
崩れた四つんばいのように、わずかに腰が上を向いた姿勢で横たわる。
二人の蹂躙者たちは、その光景を見ながら、静かに──……その姿を醜悪なる、触手まみれの異形の怪物へと変貌させていった。
フェイト編その1、とりあえずこんなとこで…。
次ははやてかな。エロくなんないねなかなかorz
>>149氏
まあ元々その属性のある人間だしね、俺orz
>>155氏
報告乙。ほんとにこういうこと、あるんだなー…。
>>37564氏
いや、ごめんよ。てか俺
「他人の作品に口出ししない」が基本スタンスのくせに何やってんだorz
さて、シグナムさん話のほうも書かないと。
こっちはいつになることやら(ぉ
>>640氏
エロ乙!シグさんの方も頑張って下さい
うんうん、エロいですなぁ。
このエロエロさんめっ、興奮しちゃったじゃないですか。
えーと、なんだ。
>>155さんっ!!!w
ぜひ書いてとは言ったが「クロなの」を終わらせてから、との一言を完全に忘れてたな、
あんたw
まぁ、いいんだけどねwまた例のネカフェで会いましょうやwよくよく考えたらメアドとか
交換してなかったから連絡手段ここしかないよ(^^;)
はい、というわけでご無沙汰しておりますー。 4の422ですー。
エース不在時になーんもせんとのったりしてた4の422です。
いやはや言い訳ですがほんとに仕事忙しかったんですよー orz
ま、そんなわけで。
4の422的クロなのストーリー。CherryLightエピローグ、ようやっと完成です。
ですが、、エロなしっ!ばっさりカット!
>>160さんごめんなさいっ!w
半分以上はエロ部分もできてたんですが、どうみても蛇足なんでカットさせてもらいました。
(いやでもカットするのも結構勇気いったんですよ(^^;)だから155さんには終わらせてから、と
言ってたんです。こうなる可能性が大きくあったもので)
エロをカットしたせいでいくぶんストーリーに無理が出てしまい、微妙につながりが狂った
所もありますが、ほんとごめんなさい、もう直してる余力が無くて…
これが私の現在の限界だと思ってください。
さらにエロ抜いても無意味に長いのでご注意ください。具体的にはこないだのハードエロの
後編くらい長いです。
愚痴ってばかりで申し訳ない。もう言いませんから、今回だけはご容赦を。
魔法少女リリカルなのは 〜 CherryLight 〜 A Sweet Epilogue
〜 10 Minute Later 〜
「ね、クロノくん…」
海鳴中央公園。
「ん、なんだい?なのは」
手を繋ぎ歩くカップルが1組。
「別に逃げなくてもよかったんじゃないかな、って思ったりもしたんだけど…」
なのはの言葉にクロノは足を止め、振り返る。
「…そうだね、でも…」
「でも?……ふぁっ!?」
「…すぐにでも…2人になりたかった…」
言葉と共になのはを抱き寄せるクロノ。
「ごめん、ちょっとだけこうさせて…ずっと…ずっとこうしたかったんだ…」
「クロノくん…」
おずおずとなのはもクロノの背に手を添える。
(温かい…)
空想の中で抱きしめる彼女と違い、実感を持ったなのはの体温に感触。ただそれだけ
でクロノの思考は彼方へはじけ飛ぶ。
次にクロノが気が付いたのは、なのはにキスしている自分だった。
(えっ?!?!なっ!!)
2度目のキス。
自らの行為に慌てふためき、ばっとなのはから離れるクロノ。
なのはは両手を胸に抱き、赤らんだ顔でうつむく。
「…ぁぅ…クロノくん…ちょっと…強引…なの……」
「ご、ごめん!ほんとにごめん!そのっ、そんなつもりじゃ!」
「ク、クロノくんは初めてじゃなかったかもしれないけど…私…お店でのが…初めての…
……だったんだよ…だ、だから…まだ…恥ずかしい、っていうか…その…」
「い、いや、そ、それは、僕も初めて…だったんだけど…」
「そうなの?クロノくんも初めてだったの?」
なのはは意外そうな顔でクロノを見上げる。
「う、うん…」
「えへっ、そっか、そうなんだ、クロノくんも初めてだったんだ。なんだか嬉しいな」
あの時の笑顔…初めてクロノに「だけ」向けられた笑顔。
(…あぁ…そうだ、この笑顔だ…)
クロノを7年間も虜にしていた笑顔が、改めてクロノに「だけ」向けられる。
「…なのは…」
「なぁに?」
「…これからも…そうやって笑ってくれる?あの時みたいに…」
「クロノくん…」
「なのはのその笑顔を…7年間、ずっと待ってた…もう離したくない…改めて言うよ。
なのは、好きだ。ずっと僕の傍に居て…」
互いの瞳に互いを写し、クロノはなのはに愛を伝える。その瞳に吸い込まれるように、
なのははわずかにクロノに顔を近づける。
「……ね、クロノくん」
「…うん」
「……さっきの…KOOL…撤回させて…」
「えっ!?そっ、そんなっ?!」
待って、と言わんばかりに、なのははさらにクロノに顔を近づけながら、
「…高町なのはは・・・改めてKOOLを誓います。
Kulono Only One LOVE.
高町なのはの愛は、唯一、クロノ・ハラオウンに…」
「なのは…」
これ以上ないくらいの笑顔が、これ以上ないくらいクロノの視界一杯に広がる。
「クロノくん、大好きっ!!!」
3度目のキスはなのはから。
ほどなく唇は離れるも、一層寄り添った2人の間には、文字通り蟻の入る隙間もない。
「最初は…」
抱き合ったままのそのままで、クロノの胸に顔を預けながら、なのは。
「ん?」
そんななのはをしっかりと胸で守りつつ、クロノ。
「最初のキスは2人で一緒に…」
「えっ?」
「2回目は、クロノくんから…」
「あ…」
「3回目は、私から…」
「うん…」
「…1勝1敗1分なの」
「…勝率にする意味があるかは不明だけど…うん、そう、だね」
「これから…もっといっぱいキスしてくれる?」
「うん」
「私のこと…ずっとずっと好きでいてくれる?」
「約束する」
「私、結構頑固だしわがままだよ?」
「知ってる。こうと決めたら曲げないよね、そういうところも好きだよ」
「クロノくんが他の女の人と話してるだけで嫉妬しちゃうかもしれないよ?」
「それは…逆に嬉しいな、それだけなのはが僕のこと想ってくれてるってことだよね」
「…信じちゃうよ…その言葉…」
「信じてくれて、かまわない」
「…もう一度聞かせて、私のこと…好き?」
「ああ、好きだよ」
「…もう1回言って…」
「…好きだよ、なのは…」
「…も、もう1回!」
「好きだ、誰よりもなのはが好きだ」
「あと1回!」
「好きだ!」
「さ、最後っ!」
「愛してる、なのは」
「……」
クロノの感じるなのはの重みが増す。なのはがより身体を預けてきた…いや、ぐった
りともたれかかるように。
「なのは?」
「…なんだか…熱いの…胸のこのへんが…クロノくんに好き、って言われる度に、ここ
がじーん、て熱くなるの。すっごく気持ちいいの…」
なのはは胸を押さえ、上気した顔でクロノを見上げる。目は潤み、半開きの口からは
熱い吐息が漏れている。
「…これが好き、っていう気持ちなんだね…」
「うん…だと思う…僕の気持ちがなのはに伝わってるんだね…」
上気したなのはにあてられたか、語りかけながらなのはの唇を奪うクロノ。
さらに舌を突き出し、なのはの咥内に滑り込ませる。
驚きに目を見開くなのはだが、その柔らかな感触にすぐにまたとろん、と目を潤ませ、
クロノのなすがままにされる。
クロノの舌で、舌を歯茎を咥内を擦り上げられるたびに、はぁはぁと熱い吐息を唇の
隙間からこぼれ落とすなのは。クロノの舌で自分の舌を持ち上げるように弄られると。
おずおずとその舌をクロノの口の中へ差し出した。
もつれ合う2人の舌がさらなる熱い息を生む。
「ふむぅんっ…ぬぐっ…むっ……ぅんん……」
物言えぬなのはがくぐもった呻き声を上げる。膝が小刻みに震えだし、徐々に震えの
幅が大きくなる。
クロノはそれに構わず、なお一層、なのはの口の中を愛撫する。
そして唐突に、
「んっ、ふ……ふぐんっっっ!!!!!」
閉じ込められた叫びと共に、なのはの膝ががくっと崩れ落ちる。
「?!なのはっ!!」
慌ててなのはを抱きとめるクロノ。なのははクロノの腕の中で息も荒く横たわる。
「…はっ…はぁ…ぁ…ぁあ………」
「なのはっ、なのは、大丈夫か!なのはっ!」
軽く、抱いたままなのはの身体をゆさゆさと揺すると、「ん……」という呻きと共に
ゆっくりと少女の眼が開く。
「…ぁ…くろ…の…くん…」
「だ、大丈夫?なのは」
「あ…ふぇ…だ、だいじょ…うぶ…はぁ……」
なんだか夢見心地のなのは。
一応ここは野外であり、大勢の人が往来する場所なのでとりあえずこういう状況はあ
まりよくないと、まぁ何を今更なのだが、辺りを見渡し、クロノはひと気のないことを
確認する。
「…すごいの…なんだかふわぁって感じになって、足が震えて…」
「そ、その、ごめん、そんなつもりじゃなかったんだけど…」
「ううん、誤らないで、すごく気持ちよかったから…飛んでっちゃいそうだった…」
「なのは…」
うっとりとしたその顔は熱でもあるかのように赤く火照り、潤んだ瞳から放たれる光
はクロノを心を容易くわし掴む。
「…なんでそんなに綺麗なんだ、なのは…なんでそんなに簡単に僕を虜にするんだ…」
「…そんなこと言われてもわかんないよ…でも多分…私の目の前に居る人が…私を一番
大切に想ってくれる人がクロノくんだからだよ…」
答えになっていないその答えが2人の繋がりと信頼と愛を示す確かな答え。
「…嬉しいよ…ありがとう、なのは…」
「…お礼を言いたいのは私…こんな幸せな気持ちを教えてくれたのはクロノくんなんだ
から…まるで夢みたい…」
「なのは…」
「クロノくん…」
今度は私から…と、身を乗り出そうとするなのはであったが、足に力を込めようとし
てがくん、とクロノの腕の中で崩れる。
「ひぁっ!」
「っと!!」
「あ…ご、ごめんね、なんだかまだ…足が…」
あわてて受け止めるクロノの腕の中で見せる、そのあまりにもクロノを、いや男を刺
激するなのはの表情、いじらしくも儚げな口調。
「と、とりあえず、そ、そこ、ベンチがあるから座ろう、ね?」
クロノはようやくそう取り繕う。
「あ、うん……っとと…」
ふらつくなのはを支え、クロノはなのはをベンチ……
「…クロノくん…歩けない……だっこ…」
(おい、ちょっとまてーーーー!!)
「え、えっと、なのは、さ、流石にそれは…」
「ん〜…だっこー…」
「う…」
自分の腕に抱かれながらいやいやと駄々をこねる美少女。この願いを断れるつわもの
はそうは居まい。無論クロノとて同じこと。
いま一度辺りを見渡し、人の居ないことを確認すると、
「えっと、じゃ、じゃあ…」
「うんっ♪」
満面の笑みでなのははクロノの首に手を回す。くすぐったくも心地よいその手の感触
を確認すると、クロノはなのはの膝の裏と腰とに手を回し、やっ、と持ちあげる。
「えへへ、クロノくーん…」
ごろごろとまるで赤ん坊か子猫のようにクロノの胸に頬を擦り寄らせるなのは。
現金なもので、躊躇っていたにもかかわらず、やってしまえばこっちのもの。ベンチ
までの数歩の距離をクロノはゆっくりと歩を進める。なのはを見つめながら、ゆっくりと。
が、数歩の距離をどれだけ長引かそうとて所詮は数歩。時間にして数秒の遅延にしかな
り得ない。
「……」
「……」
クロノは名残惜しそうになのはをベンチに降ろし、なのはも名残惜しそうにクロノの
首に廻した手をほどく。
ベンチに腰掛けたなのはは、クロノを見上げ、自分の座る右側をとんとんと叩く。
そこに腰を降ろすクロノ、なのはは早速その肩に頭をもたれ掛ける。
クロノはなのはの左肩を左手で抱き、なのははその手に左手を添える。
申し合わせたかのように2人の右手はごく自然に動き、クロノの足の上で重なり合う。
言葉を発することもなく、2人は目を閉じ、半身でお互いを感じあう。
どれほどの後か、実際には5分にも満たないが、遠く頭上から飛行機の音が聞こえる。
わずかなその音に反応し、2人は目を開ける。
クロノがなのはを振り向くと、ちょうどこちらを向いてきたなのはと視線がぶつかる。
なのはがクロノを振り向くと、ちょうどこちらを向いてきたクロノと視線がぶつかる。
わずかに見上げたそのままで目を閉じるなのは。
目を閉じたなのはに物言わず顔を寄せるクロノ。
そっと触れ合う唇。確かな想いを感じながらしかし、クロノの中には別の感情が1つ。
と、ふいに、
す、と身を引いたなのはが立ち上がり、空を仰ぎ見る。
「なのは?」
「…ね、クロノくん、今…誰かのこと考えてなかった?」
「えっ?」
クロノの気持ちが高まれば高まるほど、放ってはおけない問題が、「彼」の顔が胸中
に浮かび上がってはいた。しかし、どうして。
「…もしかして、ユーノくんの、事?」
「えっ?な、なのは、き、気付いて?!」
驚きを隠せないクロノに、しかし、なのははそのままの姿勢で。
「そっか…そうなんだ……そうだったんだ…」
「なのは、やっぱりユーノのこと…」
「…気付いたのは…ついさっき…お店でクロノくんの話を聞いてたとき…」
「なの…は…」
「ううん、気付いた、って言っていいかよくわからないんだけど…クロノくんが私の事…
そういう風に見ててくれたんだ、って思ったら…なんとなく…なんだけど、ユーノくん
の事…思い出したの…いままで、ユーノくんが私に優しく接してくれてたのって、もし
かしたらクロノくんと同じ…だったのかな、って。
…そっか…私今までユーノくんにずいぶん酷いことしてたんだね………」
「…」
(…悲しむことは…ないさ…決めるのは僕じゃない…なのはなんだから…)
うつむき、唇を噛み締めるクロノ。両拳を硬く握りしめる。
今までその感情に気づかなかったとはいえ、好意のない相手を身近に近寄らせるよう
なことは、普通あるまい。
たまたまはやての助けもあってクロノが先に言葉にしただけであって、
たまたま先になのはのその部分に触れたのがクロノなだけであって、
それが本命たりえるわけではないのだから。
(一時でも…恋人と呼べる関係になった…満足だ…そうだろう、クロノ・ハラオウン…
今までを考えれば、誰がなのはの最優先か、最重要かは…明白だ…)
「…なのは…っ?!」
振り仰いだクロノの視界に、振り向いたなのはが上体を屈ませ、肉薄する。またも大
きく広がるなのはの笑顔、彼が求めてやまないその笑顔。
「勘違いしないで、クロノくん…」
クロノの両肩に手を置き、触れるだけの小さな、でも温かいキス。
「私…そういう経験なかったけど…心の中にあった笑顔に今まで気付かなかったけど、
でも、今なら言えるよ。私は好きな人はユーノくんじゃない。クロノくんだって」
「なのは…」
姿勢を戻し、そっと笑いかけながら自分に両手を差し出すなのはの手を取り、クロノ
は立ち上がる。そしてあたりまえのように抱き合う2人。
「僕で…いいの?なのは…」
「クロノくんでなきゃ…いやだ……クロノくんは私じゃダメなの?」
「そんなこと、あるもんか…僕だってなのはじゃないと…」
「………好き、クロノくん…もう離さないで…」
「なのは…」
「クロノ…くん…」
幾度目だろうか、1つになる2人のシルエット。これ以上ないくらいの熱い抱擁に、
熱い口づけ。
キスを終えても文字通り離れたくない心のまま、二人は抱擁を止めない。
「…クロノくんは、ユーノくんのこと…前から知ってたの?」
「…ああ、もうずいぶん前から…」
「……」
「……」
「私、ちゃんと言うよ、ユーノくんに……私が好きなのはクロノくんだって…言わなきゃ
いけないよね?」
「うん、そうだね…でもその時は、僕も一緒に…」
「ありがとう…じゃぁ、クロノくんの時は私も一緒に行くね」
「えっ?僕の?」
「うん……エイミィさんと、フェイトちゃん…」
「あ…」
別に自分のことを棚に上げていたわけではないが、ユーノのことばかり気にしてつい
クロノは自分ことっをすっかり失念していた。言わなければならない相手は自分にもい
る、ということに。
「うん…ありがとう…なのは…そう、だね、2人に、言わないとな…」
「…それから、もう1人居るよ…クロノくんが言わなきゃいけない相手…」
「えっ?」
誰だ、とクロノは困惑する。かの2人以外に心当たりは全くない。
「……はやてちゃんも…だよ…」
「はやて?え、いや、だ、だってはやては…」
むしろ自分達の仲をとりもってくれたはずなのに。
「なんとなく…わかるようになっちゃったかもしれない…私のこの気持ちと置き換えた
ら、はやてちゃんがどんな気持ちでクロノくんと話してたのか…
…うん、なんとなく…わかっちゃった…」
「そんな…はやて、が?…」
「…きっとそう、はやてちゃん、クロノくんのこと…好きだったと思う」
「はやてが…僕を…」
「強いね、はやてちゃん…クロノくんのこと好きなのに、自分のことより私たちのこと
考えてくれたなんて…」
「…」
クロノにはなのはにかけるべき言葉が見つからない。どころか、降って沸いた話のそ
の大きさに戸惑うばかり。
「嫌われ…ちゃうかな、はやてちゃんに、フェイトちゃんに、エイミィさんに…
みんなの好きな人を…私、盗っちゃったんだもんね……ユーノくんにも……」
「なの…は…」
「嫌われたくない…みんなに…でも、クロノくんとも離れたくない。どうしよう…私…
どうしたらいいんだろう…」
「!!」
それでも服の肩口に染み入る涙の伝わりにクロノははっ、と目を見開く。
(何…やってるんだ僕は…悲しませないと誓ったばかりだろう…なのはを泣かせるよう
なことを僕がしてどうする!!!!)
「なのはっ!!!」
自分も驚くほどの声でクロノはがばっとなのはの肩を抱き、身体を離す。
「!?」
驚いたなのはの双眸に光り流れる雫にクロノは唇を寄せる。
「なのは…1人で悲しまないで、僕がいる。僕が一緒にいる。2人で、越えていこう。
なのはが辛くても寂しくても、きっと僕が支えてあげる。だからなのはも僕が挫けそ
うだったら、支えてほしい。2人なら、2人でなら、きっとうまくいく。何だって乗り
越えていけるさ。2人なら」
「クロノ…くん」
再びなのはの頬を伝う光に再度口付けするクロノ。
目を閉じ、それを受け入れるなのは。
「クロノくん、私…私……」
「Master」
と、ふいに輝きを発するなのはの胸に輝く宝玉。レイジングハート。
「レイジングハート?」
「Don't worry be happy. Then Mr.Kulono」
(心配せずに。幸せになってください。それから、クロノさん)
「えっ?」
初めてレイジングハートに名前で呼ばれ驚くクロノ。
「Thank you. By your help, my master found Ture love」
(あなたのおかげでマスターは愛を見つけることができました。お礼を言わせてください)
「Preferably Please make happiness of my master」
(願わくば、マスターのことを幸せに)
「ああ…約束、するよ」
「Thank You! Then master. I forgot to say」
(ありがとうございます。あ、それから、マスター。言い忘れていました)
「な、何?」
「Congratulations!!」(おめでとうございます!)
「…ありがとう、レイジングハート…」
「You're welcom」
思いがけない祝福に後押しされ、2人は改めて見つめ合う。
「レイジングハートの期待にこたえないと…いけないね…僕達」
「うん、でも…まだ少し怖い…」
「大丈夫、僕がいるよ」
「うん…だから…クロノくん、ちょっとだけ、もうちょっとだけ勇気をちょうだい?」
「…ああ、いいよ…」
顔を上げ、目を閉じるなのはに、今一度口づけるクロノ。
『私…クロノくんと一緒に居て、いいんだね。これからも、ずっと…』
『いやだって言ったってもう離すもんか。もうなのはは僕のものだ!』
『うん…私…クロノくんのものだよ。うれしい…私、クロノくんのものになったんだ…』
止める事を忘れたかのように、会話すら念話でこなし、2人はキスで繋がりあう。
長く、長く、いつまでも、いつまでも。
それに負けじと2人の頭上で長い長い飛行機雲が尾を引いていた。
〜 1 Week Later 〜
「はい、クロノくん、あーん」
「あー…んっ、モグモグ…」
「ど、どうかな?昨日はちょっとコゲちゃったけど…」
「うんっ、美味しいよ。さすがなのはだ」
「えへへー、よかったぁ。じゃぁ、次は卵焼きっ。はい、あーん」
「あーん…」
「…来てみたはいいけれど…」
「声かけづらいでしょ…あれは…」
「とてもブリッジの光景とは思えないわね、あの一角は…」
そう、周囲もあきれるくらいの、ラウンドシールドでも展開しているかのように他者
を寄せ付けぬ光景が繰り広げられているのは、あろうことか次元空間航行艦船アースラ
のブリッジ。その艦長席。
息子の勇士(?)を一目見ようと数年ぶりにここアースラに足を運んだリンディが見
たものは、艦長席に座るクロノのその膝に腰掛け、自分の膝に自作のお弁当を展開させ、
クロノの口にお弁当をせっせと運ぶなのはの姿であった。
箸で摘んだおかずの下に右手を添える、等の基本(?)をきっちりこなし、一品目一口
ごとに「美味しい?」「よかったぁ」の応対も忘れていない。
かなり高レベルな「いちゃつきっぷり」である。
無論クロノとてただ座っているわけではない。本来食事をする際にほぼ必ず必要にな
る両手が必要ないとみるや、その両手はなのはの肩と膝にしっかと添えられ、甘い一時
をさらに崇高に見せている。
…いいかげんにしやがれ。
「…前からあぁなの?」
「具体的には昨日からですが…」
「はぁ…あのクロノが…まだ夢見てる気がしてならないわ…」
「同感です。あそこまでいくとからかうこともできなくて…いくら相手がなのはちゃん
とはいえ、それを差っ引いてもあのクロノくんがあそこまで甘ちゃんになれるなんて…
予想もつきませんでした…」
どうしたものかと思案するリンディに、こちらもやれやれ、といった調子のエイミィ。
これまでさんざっぱらクロノのことをからかってきたエイミィであったが、それはと
にもかくにもクロノの反応を面白がってのことである。が、しかし今のクロノは彼女に
言わせれば「からかい甲斐」がない。2人の仲を冷やかしたところで帰ってくるのは、
「ありがとう、エイミィ(さん)」
の一言だけである。
別段失恋のショックがあるとか、なのはにジェラシーを感じる、といったことは幸か
不幸かエイミィは感じていなかった。クロノとなのはが付き合い始めた、と最初に本人
同士から聞かされたときは手放しで喜んだ、我が事のように。逆にクロノとなのはが肩
透かしを食らったようだった。
とはいえ。
周囲の目もはばからず、こう惚気られまくってはエイミィとしても釈然としないもの
がありまくる。
当然ながら憂さを晴らそうと2人をからかってみるも、逆に当人達は、顔を見合わせ
照れ笑いを浮かべながら喜ぶ始末。
引き立て役になる気もなく、結果エイミィのストレスはここ数日発散どころか蓄積さ
れる一方である。
「というかですね、問題が一つ…いや、山のようにあるんですけど、なんでもクロノくん、
なのはちゃんにKOOLを言ったらしくて…」
「なっ!え、えぇっ!?KOOLを?!クロノが???」
「はい、しかもなのはちゃんもKOOLで返したそうです…」
「なんですって?!そ、それって…」
「意味わかってて言ったんでしょうか…2人とも…」
「さ、流石にそこまで話が進むとちょっと捨ててはおけないわね、か、家族単位の問題
でもあるし…し、仕方ないわね、私が…確認しましょう」
意を決して1歩踏み出すリンディ…が、くるっと振り返り、じーっとエイミィを見つ
める。
かつての艦長と執務官補佐との間柄であるエイミィには言わずもがなリンディの意図
を理解できてしまった…
「…やっぱり怖いから一緒に来て…」
「はぅ、やっぱり…」
がくーっと肩を落としたエイミィはその体勢のままリンディの元へ向かう。
「おっと…」
「あ、ごめんね、クロノくん。ご飯粒が付いちゃった。今取るね」
「ん、いいよいいよ、それくらい自分で取るから」
「あっ、だめー、私が取るのー」
頬に付いたご飯粒に伸ばしかけたクロノの手をなのはの手が止める。
「あはは、なのは、これじゃ2人とも手が塞がっちゃってるよ」
「あ、あやや、そういえばそうだね。あ、でも大丈夫だよ」
つ、その口でクロノの頬のご飯粒をついばむはのは。
「あっ、こら、行儀の悪い」
「えー、ひどーい、絶対クロノくん喜ぶと思ってやってあげたのにー」
「…う、ま、まぁ、それは…確かに」
「でしょー」
「えー、オホン!ク、クロノになのはさん、ちょ、ちょっといいかしら?」
「あれ?提督。珍しいですね、アースラに来るなんて」
「あ、こんにちは、リンディ提督」
「え、ええ、ちょっと、その…あ、あなたたちに聞きたいことがあって…」
2人は顔を見合わせ互いに首をかしげる。
「「僕達(私達)にですか?」」
「え、ええ、そ、そうなのよ…な、なんと言うか、えーと、その…」
「「??」」
首をかしげる2人に対し、リンディは口ごもったままエイミィに助け舟を求めるが、
「や、その、ご、ご家族の話ですから…あの…私が口を挟むことでは…」
「…はぁ…そう…よねぇ…」
あきらめたかのようにがくっと肩を落とし、意を決してリンディは2人に問いかける。
「ね、ねぇ、クロノ、あ、あなた、なのはさんにKOOLを言ったそうね?」
「あ、エイミィから聞いたんですか?」
「え、ええ、まぁ…」
それが?何か?と、明らかにクロノの顔は語っている。
「…」
「…」
「やっぱりこれは…」
「わかって…ない…ですね…」
リンディとエイミィは顔を見合わせ、がくー、とうなだれる。
「ま、まぁ、知らなかったのなら、ノーカウント、でいいんじゃないでしょうか…」
「いい…のかしら…それで…」
「…ね、クロノくん、2人とも何言ってるの?私よくわからないんだけど?」
「んー…何だろう、僕にもわからない。何の話なんだ?エイミィ」
自分達のことのはずなのに、2人にはまったく会話が見えてこない。
どうしましょう、とでも言いたげにリンディを見るエイミィに。どうぞ、といったジェ
スチャーで返すリンディ。
エイミィは頭をぽりぽりと掻きながら言いにくそうに2人に言う。
「あ、あのね、その、なんだ…どういう意味で言ったのかは知らないんだけど…普通は
KOOLっていうのは、プロポーズとして使うもの…なんだけど…クロノくん、知って
て言った?KOOLにKOOLで返すのって、思いっきり結婚OKってことだよ?」
の、言葉にクロノとなのははお互いを見つめあい、数度まばたき。ついでリンディと
エイミィに視線を移し、そして今一度2人で見つめ合う。
「………」
「………」
「「えええええええええええええええぇぇぇえぇぇえぇぇぇええぇぇ!!!!!!」」
(うわ、やっぱりわかってなかったこいつらーーー!!)
〜 Two Days Later 〜
「…ふふーん、ふんふんふーん、ふんふーん♪」
鼻歌まじりに翠屋の厨房でシルバーに磨きをかけるなのは。
「なのは、お疲れー、私入るからあがっていいよー」
「あ、ありがとう、お姉ちゃん。これもう終わるからそしたら帰るね」
「了解っと。おっ、ちゃんと指輪してるね。この幸せさんっ」
「えへへー、うんっ♪」
きら、と磨いているフォーク類すら曇らすほどの光を反射しているのは、なのはの右
手薬指にはめられたリングの台座に鎮座する、レイジングハートと同じ色彩を湛えた小
さな赤い宝石。
ちょっと隠すように、でも見せ付けるように美由希にそれをかざすなのはの顔は溢れん
ばかりの幸せに満ちている。
「うーん、でもなのはに先越されるとはなー、姉としては情けないわー」
「さ、先、って、お姉ちゃんとアレックスさんが付き合い始めて半年も経ってない気が…」
「んー?告白して一週間で婚約にこぎ付けたやつがそれを言うかー、んー?」
なのはの鼻先にびっ、と指を突きつける美由希。
「あ、あはは、わ、私達の場合は状況が特殊というか、そうならざるをえなかったと、
言いましょうか、その、あはは」
「まったくこの幸せ三昧さんが。まぁ、私はのんびりいきますよーだ。恭ちゃんと忍さん
もまだだしねー」
「誰が、何だって」
今までどこにいたのか絶妙なタイミングで恭也が2人の前に顔を出す。
「恭ちゃんも早く忍さんと結婚すればいいのに、待たせすぎじゃないの?忍さん可哀想
だよ」
「お前に心配されることじゃない。時期がくればちゃんとする」
「もう何年もそう言ってる気がするけどー、ね、なのは」
「あ、あはは。ひ、否定はしないかも」
「んー、でも意外だったなぁ」
美由希はなのはと恭也を見比べながら言う。
「何が?」
「お父さんも恭ちゃんもてっきり「なのはが欲しくば俺を倒してからにしろー」ってな
るかと思ってたんだけどなぁ」
「テレビの見すぎだ。昨日も言ったろ、なのはが選んだ相手なら別に反対する理由もな
い、それだけだ」
「でもお兄ちゃんのおかげでみんな納得できたんだもん、私感謝してるよ。ありがとう、
お兄ちゃん」
昨晩のこと…
ど真ん中直球100マイルでクロノが高町家の面々に言い放った言葉。
「なのはを愛しています。なのはと結婚させてください」
ひとひねりもない、まさにストレート。反対というよりはまだ早いと困惑するなのは
の父・士郎と母・桃子と判断保留の姉・美由希。
知らぬ相手ではなし、むしろリンディの息子。高町家の面々が反対する理由は特に無
いは無いのだが、なのははまだ高校生。さすがに時期尚早との流れになったのだが、そ
れを助けたのが意外にも恭也の、なぜこれだけ揃ってそれに気付かなかったの一言。
「たしかに早い気はするが、気持ちはわかる。だから今は「婚約」ということでいいん
じゃないか?」
その後開かれたのは閉店後の翠屋を利用しての婚約記念大宴会。
関係者のみならず、アリサやすずか(含む親御さん)、勤務後のアースラのクルーか
ら武装隊の面子やはたまたヴォルケンリッター各員、レティ提督やマリーも含め、よく
これだけの人数が揃ったなと、そしてよく店内に入ったなと思わせる人数。
そして…
フェイト、はやて、ユーノ。
彼らを含めた全てが新たな2人を祝福してくれた。
つい今さっき、クロノがなのはに送った指輪に光る赤い石すらも、喜ぶかのように、
きらめいた光を放っていた。
〜 Several Week Later 〜 (数週間後)
「マリーさん、こんにちわー」
「あ、なのはちゃん。こないだは楽しかったね。婚約パーティ」
「あ、あはは、そ、それに関しましてはちょっと恥ずかしかったりも、あははは」
「いいねぇ、幸せさんは。っと、ところでどしたの?何かレイジングハートに不都合で
もあった?」
「あ、うん、ちょっと今日は違うんです」
「ん?」
「えっと、クロノくんが使ってるS2Uのことなんですけど、あれって、一応管理局の
純正企画品…ですよね?」
「S2Uかぁ…純正、って言っていいのかなぁ、あれを使ってるの局でもクロノ提督と
あと数人しか居ないのよね、高性能すぎて使う人が限られちゃうのかな。だから個人用
にカスタマイズされてるとこがあって、割とオンリーワンって感じなんだよね…」
「あ、ということは更なる改良もOKってことですよね?」
「え?えっと、うん、それはできなくはないんだけど、あれもインテリジェンスほどじゃ
ないけど調整シビアなのよね。個々のパーツは日々更改されてるから手を入れることは
入れるんだけど…特にクロノ提督のはこないだデュランダルのコアを移植する、なんて
大手術やっちゃったからなぁ…これ以上の変更かぁ…」
「えっと、実はこういうことなんですけど…」
「ふんふん……あー、あはは、なるほどなるほど、うん、それなら問題ないね。クロノ
提督も大喜びするよ」
「えへへー、がんばって考えました」
「うんうん。ちょうど来週コア周りの換装があるから来たら教えてあげるね」
「ありがとうございますっ!」
〜 〜 〜 〜
「クロノくーん!」
「やぁ、なのは」
意気揚々とアースラのブリッジに入るや否や艦長席に走り寄るなのは。
付き合い始めた時にくらべれば多少は周囲の目を気にする余裕も出てくるクロノであっ
たが、まぁ、それは目の前の恋人の笑顔に比べれば些細な問題というもので。
(無論、当事者同士の間では、だが)
「はいっ、これ、誕生日のプレゼント!」
「あ、僕の誕生日覚えててくれたんだ」
「もっちろん!忘れるわけないよ♪」
「ありがとう、嬉しいよ、開けてもいいかい?」
「うんっ、開けて開けて」
なのはが手渡した薄い包みをクロノが開けると、そこには…
「え?な、なのは、これ…?」
「うん、S2Uだよっ」
それはクロノがいつも見慣れた愛杖S2U(待機モード)。
「たしかコア周りの換装で明日戻ってくるはずなんだが…」
「うん、マリーさんに頼んで1日早くしてもらったの」
「あ、ああ、そ、それはありがたいが…これがプレゼントなのか?」
「えっへへっ、とにかく起動してみて」
今ひとつ腑に落ちないクロノをせかすなのは。別段修理から戻ってきたものがプレゼン
トになるはずもないのだが…
「あ、ああ…」
釈然としないクロノだったが、とりあえず言われるがままS2Uをデバイス形状に変
化させる。
と…
『スタート・アップ!』
「わっ!!!」
「えへへー」
S2Uはストレージデバイスであるがゆえ、不必要な音声発声は基本的にない、いや、
逆に起動時には音声が設定されている、されてはいるが…、
「なっ、なのはっ、こ、これ、この声…」
「マリーさんに頼んでS2Uのシステム音声を私の声に変えてもらったのっ!
あ、大丈夫、今までのリンディさんの声を私に変えただけだから処理速度は落ちてな
いよ、新規の音声も高速処理が必要のないとこだけにしてあるから」
この場合は配慮、と言っていいものか、まぁ、なのはなりの心遣いはあるようで。
どう、すごい?とでも言いたげに、にこにことクロノに微笑むなのは。
「(お、おい、さ、流石にあれはマズイんじゃないのか?)」
「(び、微妙なとこだよな。提督の性格からしてあれを容認するとは思えないが…)」
「(いや、容認とか以前に恥ずかしいと思うんだが…)」
ひそひそとささやくオペレーター諸君。
「(ちっちっち、甘いね皆、今のクロノくんなら大喜びするよ。なんなら賭ける?明日の
お昼ご飯)」
「(エイミィ司令、魅力的な誘いですが、いいんですか、そんな公的賭博…)」
「(あたしが許可します。で、乗る?)」
「(((もちろんです)))」
即答するオペレーター達。
「(いいねぇ、で、どっちに張る?私は喜ぶ方)」
「(じゃあ僕はごめんなさいに1票)」
「(僕も反対に1票かな、きっと申し訳なさそうに断りますよ)」
「(俺は指令を信じて喜ぶ方に…)」
「(じゃぁ俺はごめんなさいで)」
「(俺ものった。断る方に)」
「(オッケー、んじゃ、正解は、っと…)」
「ありがとう、なのは。すごく嬉しいよ!」
「えへへー、よかったぁ、喜んでくれて」
「(((マジかっ!??!?!)))」
勝った方ですらさすがにわが耳を疑う。
「(ほーら、私の言った通りだ)」
「(さ、さすが司令…うちの艦長のことをよくわかってる…)」
「でね、でね、聞いて聞いて、これもマリーさんに頼んでね、名前を変えてもらったの」
「名前?何の?」
「S2Uの、だよ。もうこの杖はS2Uって名前じゃないからね。これからはN2Kって
呼んでね」
「N2K?」
「そうっ、Nanoha To Kulono。なのはから、クロノくんへ…」
「なのは…」
「会えない時でもクロノくんがこれを持っててくれれば、私の心はいつでもクロノくん
と繋がっているの。そういう意味の名前だよ」
「N2K…僕となのはの杖…」
「うん、受け取って、くれる?」
「…喜んで。なのはと一緒に、もう絶対に離さないよ」
「(…そこまでするのか…クロノ提督も丸くなったよな…昔とはえらい違いだ)」
「(そりゃあれっしょ。なのはちゃんの愛のパワー、ってやつ)」
そんなやりとりなど露知らず、当人達は幸せ満開で会話に花を咲かせている。
「ほらほら、ここ、こうするとね…」
「おぉー、すごいよ、なのは…」
(((いや…というか、単なるバカップルだよな…)))
〜 Morning of the Next Day 〜
「ん…ふわ…ぁ…あふっ……」
習慣のなせる業、高町なのはの朝は早い。1日の始まりが魔法の訓練から始まる彼女
にとって、陽も登りきらぬうちから起床することはもはや日課である。それが訓練が休
みの休日であったとしても、起床の時間にさほど差はない。
が、今日は少々寝坊したようだ。
AM 6:20
「…ふぇっ?!」
あくびの途中で目に入ったデジタル時計の数字が普段ではありえない数値を示してい
ることに、なのはの意識は瞬時に覚醒する。
と、同時に見慣れない風景の部屋に、覚醒した意識が必死に記憶の糸を辿り始める。
(えっと…ここ…は……………っ!!!!!!!!!!!!!!)
そっ、と見慣れぬシーツをめくり、自分が衣服を身に着けていない素裸なことを確認
すると、なのはは真っ赤な顔でゆっくりと「そちら」に視線を向ける。
自分と同じシーツに包まり、安らかに寝息を立てる愛しき人。
「……あげ…ちゃった……クロノくんに…………」
双方の意識が飛ぶほど激しく求め合った昨晩。クロノの息遣いや指使いや舌使い。さ
らに昨日までの自分では考えもしなかった愛の情事が、なのはの脳裏に鮮明に蘇る。
「……ふにゅぅ…」
恥ずかしさに頬を染め、後から後から思い出される昨晩の出来事にさらに頬を赤らめ、
うつむくなのは。それでも、とクロノの寝顔に視線を移すと、赤らんだ頬はそのままに、
その表情はじょじょに恥ずかしくも穏やかに優しげなものに変わる。
(よかった…初めてを…クロノくんにあげれて)
しばしその寝顔を見つめるなのは。
すこしづつその顔がクロノの顔に近づき。あと数センチで触れ合うところまでやってくる。
「素敵な思い出、ありがとう…クロノくん」
「どういたしまして、こちらこそ」
ふいにクロノの目が開く。
「わっ」
驚き、なのははクロノから顔を離す。
「おはよう、なのは」
「もう、いつから起きてたの、びっくりしたぁ」
「『素敵な思い出』、から」
「やだぁ、恥ずかしい、クロノくんのいじわるー」
「ごめんごめん、許してよ」
「やーだ、許してあげない」
ぷい、とそっぽを向くなのは。
と、そんななのはの顔を両手で抱き、こちらを向かせ、唇を合わせるクロノ。
「これで許して、ね?」
ぽう、と頬を赤くするなのは。はっと我に返り、いやいやと頭を振る。
「だ、だめ、もっともっといっぱいしてくれないと許さないんだから」
「うん、わかった…好きだよ、なのは」
「うん、私も好き、クロノくん…」
窓から入り、2人の顔の間を抜け、シーツにこぼれていた光の線が影に閉ざされる。
新しい太陽からをも祝福を受けるかのように、2人のキスは長く長く、いつまでも続いた。
魔法少女リリカルなのは 〜 CherryLight 〜 A Sweet End
〜 Later 〜 (その後)
うつろい行く日々の速さは光のごとき。
なのはとクロノが出会ってから、幾度の季節が流れゆき、そして…
「あ、お父さん、おめでとうございます。元気な女の子ですよ」
「ありがとうございます、あの、見れますか?」
「ええ、お父さんですから大丈夫です。ちょうど今お母さんと一緒に居ますよ。もうお
名前とか考えてますか?」
「はい、2人で決めました。『七瀬』、と」
To Be Continue - - Forever LOVE - -
乙!!
もう少し甘くしてみたかったのですが、どうやらこのへんが限界っぽいです。
一番最後こそ、一番蛇足だったかもしれませんね。とらハ1やったことある人でも没シナリオ
のことまでご存知かどうか(^^;)
(※参考※
春原七瀬の生まれ変わりは当初「高町七瀬」となり、現在のなのはのポジションにある「予定」
だったそうです)
あと私は美由希の独り身反対派なので(てめー、どんだけ派閥もってんだよ)。眼鏡つながりで
アレックスをあてがいました。お気になさらずw
っと、まぁ、愚痴はみっともないので、ここまで。
手直しはもう少しするべきでしたが、とりあえずCherryLightはこれにて完結です。
前スレ91氏をはじめ、レス下さった方感謝しております。こんな形で申し訳ありませんが、皆さん
のおかげで完成まで漕ぎ着けました。ありがとうございました。
これで「もう一人…」に本腰を入れれます。さ、がんばろー♪
>>176さん
> アリサが飛んでいますが気になさらず
気にするわーーーーーーーーーー!!!!w
もうでもこの際誰でもいいから早くなのはを助けてあげてやってください。
糖度とかあんな激甘な物を書いててよくここまでできるなぁと、怒り…もとい感心しきりですw
>>640さん
復帰おめでとうございます。
と、思ったらソニックフォーム真っ青な投下スピード。かわらずGJで安心しましたw
今後は3人同時攻めですね、くんずほぐれつを期待しております。
(なんかこういたぶられるだけいたぶられて、崩壊寸前なとこでユーノやらクロノが助けにきて、
でもなんか急にそやつらにヤられだして、またそれも敵でしたー、みたいな黒いのを期待して
おりますw)
さすがにもうこれ書いてるだけでもう寝そう、限界近そうなのでこのへんで。
(実際寝てましたw本編とこのあとがきに時間差があるのはそのせいですw)
ではまたの機会にー
ウボァァァァァァァ(体が砂糖に変化)
あ、甘い。最高にGJです!これでエロ付きだったらエクセリオン・バスター級の威力でしたよ・・・。
…………orz
4の422氏、GJ過ぎですなぁ……
……ネタがかぶってもうた…………どないしょ
とまぁ、それはさておき、本当に面白かったっす。
特に子供の名前が七瀬ってところがよかったなぁと。
でもHぃのも見てみたかったかも
七瀬がぁぁぁあ!!七瀬がぁぁぁぁあ!!(とらハ1ファンの雄叫び)
成長して真一郎と再会するんですか!?そして真一郎は誘拐犯に間違われる(笑)のですか!?
ああ、こういうクロスオーバー大好きっすー!!めっちゃ砂糖吐きました!
4の422さんGJっす!!
ごめ、N2K爆笑したwww
キ、キターーーーーーーー!!
もう、めっちゃナイスです(^ー゚)b
なのはがー、クロノがーw
もう大スキw
まさかここで七瀬の名前が出るとは思っていなかった!
美由希はアレックスとくっ付いたようだけど、料理はどうなっているのかな?
アレックスの方がお弁当作っていたりしてw
えー、最後に一言 G J !
207 :
ヘボ書きマン:2006/07/05(水) 11:01:11 ID:g/J+VlXv
えー、プリズムの迷宮書いてたら、どうしてもイチャイチャが書きたくて仕方なくなりました。
というわけで今日帰ってきたら投下します。
>>4の422氏
すげぇ・・・でも俺はとらハ3以降しか知らない人間ですので・・・
クロノ君お幸せに!!GJでした!!
208 :
前スレ91:2006/07/05(水) 12:45:44 ID:MZxAJ4CZ
>>4の422さん
まずはリクエストさせて頂いた者としてお礼を申し上げたいと思います。
お忙しい中執筆して下さって本当にありがとうございました。
そして…甘い!甘々ですよ!自分が期待していた以上の
イチャイチャっぷりです。まさしくGod Jobです。
エロは無くても十分過ぎるほど素晴らしいと思いましたが、
〜 Morning of the Next Day 〜の辺りを読み返す度に
やっぱりエロも欲しかったかも、という気もしてしまいますw
「もう一人…」の方も一名無しとして楽しみにしています。
本当に乙彼様でした。
209 :
155:2006/07/05(水) 18:10:09 ID:ciWpRi1F
4の422さん、GJでした。ニヤニヤしながらよんでしまいまいたw
自分ユーノ派ですが、ここまで甘ければ何の問題もありませんっ!w
美由希にも相手ができてるのにフェィトやらが放置なのがまたこだわりかっw
でも皆さん言われてるようにエロがあればry いえ冗談ですw
それはともかく、ごめをなさい例のインタビュー事前掲載してしまってorz
寛大な心でまた遊んでやってください。
水曜日によくあそこに出没しますのでー
>>4の422氏
くっ、こりゃ甘い!
ちょっと転がって町内一週してくるぜ!
>>ヘボ書きマン氏
まってたぜぇ!この瞬間をよぉ!
211 :
ヘボ書きマン :2006/07/05(水) 20:50:44 ID:g/J+VlXv
ただいまー!!
今後3回に分けての投下の1発目です。
18禁欲しいっていうリクがあったら考慮します。
それじゃ投下レッツゴー!!
212 :
ヘボ書きマン :2006/07/05(水) 20:52:35 ID:g/J+VlXv
〜月と太陽と・・・〜
何時だったんだろう。
アタシが、ユーノの事を・・・・・・・好き、っていう感情の相手として見るようになったのは。
あのお花見の時?それとも、もっと後?
分からない。けど、今のアタシははっきり言える。
私、アリサ=バニングスは、ユーノ=スクライアの事を恋愛の対象として意識してる、って。
(・・・・・何て事日記に書いてるのよアタシは!!)
ぶんっ、と日記は空を切って壁にぶつかって落ちた。
告白とも言えないようなアタシの爆弾発言から1週間。
なのは達は気遣ってくれてるのか、その事には触れないままで・・・それがかえって切なかった。
『何よ、みんな、みんなって!!アンタはみんなを見てるのかもしれないけど・・・・・・・・
アタシはアンタしか見てないんだから!!いい加減気付きなさいよこのエロイタチっ!!!!』
呆然としたみんなの視線に晒されて、アタシはその後一言も口を開く事ができなかった。
当然なんだけど。
あーあ・・・・・何であんな奴好きになったんだか。
あの事件の後、アタシとすずかは、なのは達の勤めてる『管理局』っていう組織の施設への出入りの許可をもらった。
要は口封じなんだろうけど。
すずかはあっという間に管理局の武芸者を自覚する連中を軒並み叩き潰したにも関わらず、今はアタシ同様ユーノの仕事の手伝いをしてる。
フェイトもクロノも、すずかに接近戦を挑まれたら勝ち目が無いっていう話だ。
なのは達は必死で執務官や武装局に勧誘してたけど、それも無駄に終わった。
アタシもそうだけどね。この組織正直キナ臭いし、大体、ずっと勤める気なんてさらさら無いもの。
213 :
ヘボ書きマン :2006/07/05(水) 20:53:26 ID:g/J+VlXv
「はぁ〜〜あ・・・・」
「アリサちゃん、今仕事中だよ」
「・・・・・いいでしょ。今日の分終わったし」
「またそんな事言って・・・ユーノ君、もうアリサちゃんの1週間分やってるよ?」
「アイツは働き過ぎよ」
アイツの・・・・ユーノの横顔を見てると顔が熱い。
「あ、2人とも今日の分終わったらあがっていいよ。ごめんね、毎日手伝わせちゃって」
「あのねぇ・・・アタシ達はここで働いてるのに手伝いも何もないでしょうが」
「そうだよ。・・・ユーノ君こそ、殆ど寝てないんじゃない?」
「ちゃんと寝てるよ」
うそつき。
うたた寝以外この1週間寝てないじゃない。
・・・・・ホント相変わらず・・・バカ。
「うーん・・・ねぇ、アリサちゃん、ノドかわいたからお茶飲みにいこうよ」
「・・・?」
・・・いまだにすずかのこのペースから逃げる方法を、アタシは知らない。
214 :
ヘボ書きマン :2006/07/05(水) 20:55:11 ID:g/J+VlXv
カタン・・・とアルミ缶が自販機のそこにぶつかって悲鳴をあげる。
「ねぇ・・・アリサちゃんもユーノ君に告白したよね」
こうやって、場面場面で雰囲気を変えるすずかのやり方って・・・ずるいと思う。
学校での成績がアタシより低いのも絶対カモフラージュに違いない。
「・・・『も』って何よ」
「私も告白したから。ユーノ君に」
「は・・・・?」
「前に言ったよ?私がユーノ君好き、って」
「・・・・・どう返事されたのよ」
アタシの声は自分でもイヤな位低かった。
「返事はもらってないよ。ユーノ君、優しいから」
「・・・ただの優柔不断よ、それは」
でも、アタシは実際その優柔不断さも好きなのよね・・・・・ユーノの。
あばたもえくぼって言うのかしらね?
「ほら、またユーノ君の事考えてる」
「あんただってそーでしょうが」
「そうだよ。いつだって考えてる。それが・・・好きになるって気持ちだもん」
・・・・・よくそんなセリフ言ってて恥ずかしくないわよね。
しかも同姓から見ても綺麗で可愛い笑顔で言ってくれるんだもの。
・・・腹が立つやら感心するやら・・・
215 :
ヘボ書きマン :2006/07/05(水) 20:56:56 ID:g/J+VlXv
「私はユーノ君好きだよ。だから、アリサちゃんにも負けない。誰にも負けないから♪」
「宣戦布告のつもり?」
「アリサちゃんだってやってたよ。みんなの前で大声で」
「あ、アレはユーノが悪いのよ!!」
「ふふ・・・そうかもね」
アタシが小さい頃すずかをイジメてたのは将来こうなる事を予測してたんじゃないか、とか考えてしまう。
はやても、すずかには敵わないみたいだし。
「ミッドチルダって、親が両方働いてるし、子供も小さいときから働くから、多夫多妻でもいいんだよね」
「・・・・・ねえ、次何て言うか予想できるんだけど」
「さすがアリサちゃん♪」
「アタシはイヤよ、そんなの」
「ユーノ君の赤ちゃん欲しくないの?」
「・・・何言ってんの!?」
すずか、アンタ内容飛躍し過ぎ!!!!
普通はキスとか『初めて』がどうとかでしょ!?
デートとか下着とか腕の組み方とか!!!!
あれ・・・?
・・・・・
アタシ、今何かすごい事考えて・・・・・
ああもう!!!うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいぃっ!!!!
はうぅ・・・泣きたい気分よ・・・・・
「アリサちゃんのH〜♪ユーノ君でどんな想像してたのかな〜?」
「アンタがさせたんでしょーが!!!!!」
「・・・・・・」(くすくすくす・・・
「ったく・・・・・もうっ!!」
「あ、そうだ。今度の土日空いてるよね?」
「空いてるけど・・・」
言ってから後悔した。
こんなチャンスをこの子が見逃すはず無いじゃない。
「ねぇ、ユーノ君と3人で旅行しない?」
216 :
ヘボ書きマン :2006/07/05(水) 21:01:01 ID:g/J+VlXv
(ざざぁ・・・・ん・・・・・)
「うわぁ・・・・・・・・」
海の水がどこまでも透き通ってる。
泳いでる魚が、まるで空中を漂うような・・・
ずーーーっと、向こうまで薄い青色で・・・・・
「ユーノ君、気に入ってくれた?」
「うん・・・すごい・・・・」
「良かった。ちょっと高かったけど、いい買い物だったよ♪」
・・・・・・・はい?
すずか、今なんて?
「すずか、早く着替えなさいよ」
「うん、アリサちゃん、抜け駆けはダメだよ?」
「アリサ、着替えおわ・・・・・」
アリサのほうを見ると・・・
うわ・・・何ていうか・・・ヒモ?
「な、何よ!?スケベな目で見るんじゃないわよ!!」
「じゃあなんでそんな水着なの?」
「う・・・・・」
それ、俗に言うブラジル水着だよね。
アリサスタイル良いし・・・目のやり場が・・・・
白い肌に赤い布が巻きついただけだし・・・
うう・・・でも見ないと怒られそうだし・・・
「そ、その・・・アタシも大きくなったし、ちょっと冒険してみたかったのよ!!ていうか水着はすずかが選んだのよ!!」
「お、落ち着いてよアリサ!!」
「こっち見るなスケベ変態エロイタチーーーーー!!!!」
「そんな無茶苦茶な!!!!」
拳を振り上げて追いかけてくるアリサから必死に逃げた。
振り返る度にアリサの大きい胸が揺れてるのが目に入って転びそうになった。
もう少しでズレて外れ・・・ってだからボクは何を考えてるんだ!?
・・・これじゃアリサの言葉通りのスケベじゃないか。
砂浜が暑いし、日差しも強くて、書庫勤めのボクにはかなり過酷な状況でボクは逃げ続けた。
すずかが黒いビキニに着替えてやって来た頃には服が汗でびしょ濡れで気持ち悪かった。
217 :
ヘボ書きマン :2006/07/05(水) 21:06:43 ID:g/J+VlXv
えーと。
今回の投下は以上です。
おかしいな・・・アリサメインのはずだったのに・・・何で?
すずかとアリサはスタイル良いし、もう夏という事でこんな展開に。
ブラジル水着というのはマズかったかな?
ちなみに、今回は魔法少女3人組は出ませんあしからず。
それではまた!!
ノシ
ヘボ書きマンさん、待ってる、続き、ずーーーっとまってる。
あれ、途中にシャナがいたような希ガス…
ま、いっかw乙です。
サブタイで太陽と月のシスコムーンを思い出した
222 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 15:58:37 ID:8EKosxS1
otu
ヘボ書きマンさんGJ!
すずかもっていうのは珍しいですなあ。
>「ミッドチルダって、親が両方働いてるし、子供も小さいときから働くから、多夫多妻でもいいんだよね」
すずかさんが今、いいこと言った。
>>220も超いいこと言った。
…ところでブラジル水着でイメージ検索かけた奴はいないか。
224 :
37564:2006/07/08(土) 01:04:42 ID:i05alAAT
魔法少女リリカルなのは、〜伝説の傭兵〜
第十二話『罠』
「キエェェェェェェェ!!!」
「気味の悪い声出して近付くんじゃねえぇぇ!!」
ヴィータは奇声を発するマネキン人形の頭をグラーフアイゼンで場外ホームランをかます。
しかし、
「ちっ、顔が無くなったってのに平気で攻撃してきやがる」
頭の無くなったマネキン人形が奇声は発しなくなっても手に持つ包丁で何度もヴィータに切りかかろうとしてくる。
「…本来は唯のマネキンに魔力を流して魔導人形にしたのもだ。
首が取れようが腕が切られようが戦い続ける」
そう言うシグナムの視線には30以上のマネキンの残骸が散らばっていた。
しかし、その全ての残骸は宙に浮き尚もシグナム達を狙っている。
中には、ナイフを持つ『手』だけや頭の半分が壊れた人形もあり、
本当にB級ホラーの光景だった。
「…これじゃ、傀儡兵の方が何倍もましだぜ」
ヴィータが溜息を吐きながらそう呟く。
「お前のギガントフォルムなら完全に破壊出来るかもしれんが…」
「おお!そうか、なら……ってあれ?」
シグナムの言葉を聞いたヴィータが懐を弄ったが、アル物が無くなってる事に気付いた。
「如何した?ヴィータ。やるなら早く…『無いんだよ」!」
「…あたしのカートリッジが一つも無いんだよ…」
ヴィータはそう言ってシグナムの顔を見た。
因みにこの時のヴィータの顔はウケる筈のネタが豪快にスベッた芸人と同じ顔だったそうだ。
※
一方、シグナム達から一旦逃走した男は、
「…ベルム…ホルム…」
男が両手をビルの壁に向けて詠唱を行ってると両手の掌から黒い球体が浮び向けていたビルの壁に向かう。
すると、黒い球体はまるで水滴が砂に滲みこむ様に壁に吸い込まれた。
「…ふう、これで大体50%ってとこですね。それにしても大分魔力を使ってしまいましたね」
男はそう言うと懐からアル物を取り出した。
それは、さっきまでヴィータが持っていた筈の数本のカートリッジだった。
「上手く盗めましたが…あの一撃は痛かったですが」
そう、実はヴィータがラケーテンハンマーを食らった一瞬の隙に懐からカートリッジを盗んでいた。
「…まぁ、プラマイゼロと言えばそこまでですが…ん、」
すると、男は手に持っていたカートリッジを全て口に入れ飲み込んでしまった。
「…ふぅ、やはり美味しくはありませんね。さて、残りをやってしまいますか。
…あっ、『彼』にも一応連絡しときますか」
※
225 :
37564:2006/07/08(土) 01:06:46 ID:i05alAAT
『…ほう、久々にお前の『アレ』が見れるのか?』
『ええ、今回は数もやや多いですし、これが一番簡単でしょう』
『丁度良かった。俺の方も調子に乗って補給分以上の魔力を使っちまってな。
接近戦で誤魔化しちゃいるがこれじゃあ補給も出来ねえ。…っで、後どの位だ?』
『大方、終わりました。後は貴方が陽動そのちびっ子達を、私はベルカの騎士どもを誘い出します。
場所はあのスクランブル交差点。良いですね?』
『了解。それじゃあ後でな』
(さて、俺は一撃を受けて後退の様に見せかけないとな)
すると、直にチャンスが来た。
「隙あり!!」
フェイトがバルディッシュで男の肩に傷を入れた。
「ぐわああああああ!!!(少し芝居臭せえか…)」
男は内心そう思いながらも肩を押さえ絶叫した。
「な、なんだ?アイツの痛がりよう」
クロノは男の以上の痛がりに内心疑ったが、
「(ここでバレちゃ水の泡だ)イテエエェェェェェ!!!
クソーーーー!油断した!!悔しいがここは一旦撤退だ。
覚えとけよお前等!!」
男は大根役者以上の臭い芝居で地上近くに飛んで行った。
(あ…怪しい…(汗)
流石になのはも怪しいと思ったが、
「チャンスだ。なのは、クロノ、一気に捕まえよう!!」
攻撃が通ったのが余程興奮したのかなのはとクロノの返事も待たずフェイトが飛び出した。
「フェイトちゃん!?」
「フェイト、一人じゃ危険だ!」
クロノ達がそう叫ぶと同時にフェイトの後に続いた。
=某ビルの屋上=
「…ん?フェイトかい?…ん、…ん、分かった、あたしも行くよ」
「フェイトからかい?」
「ああ、如何やらアイツフェイトの一撃を食らった途端逃走したそうだよ」
「ええ!アルフ、それは本当!?」
ユーノが声を荒げてアルフにそう聞いた。
「あたしは見て無いけどフェイトがそう言っていたから正しいと思うよ」
(…妙だな、本当にあの男が逃げ出したのか?確かあの文献じゃあ…)
「じゃ、あたしも行くよ。フェイトもあの男を捕まえようとしてるからね」
「それなら、僕も行く…痛ッ!」
ユーノは立ち上がろうとしたものの折れた左腕に痛みがはしった。
「駄目だよ、ユーノ。あんたは此処で傷を治しな。
大丈夫、相手はフェイトの一撃を食らった手負いだよ。あたし達だけで事足りるさ」
アルフは言い終えるとフェイト達の方に跳んで言った。
※
226 :
37564:2006/07/08(土) 01:09:07 ID:i05alAAT
「ん?何だ?コイツ等急に動かなくなったぞ」
シグナムのカートリッジを何本か貰ったヴィータは動かなくなったマネキン人形を睨んだ。
「気を抜くな。何か仕掛けて来るかもしれん」
シグナムはそう言ってレヴァンティンを構えを解かなかった。
すると、今まで宙に浮いていたマネキン人形が糸が切れたみたいに次々と力無く地面に落下していった。
「…一体これは?」
シグナムがそう呟くと、
「シグナムーーーー!!!ヴィーターーーーー!!!怪我しとらんーーーーー!!??」
突然、デパートの反対方向から聞きなれた声が聞こえてきた。
「はやて!」
ヴィータが声のした方を見ると声の主のはやてとシャマルにザフィーラが近付いて来る。
「主はやて?もしかして貴方があの人形どもの魔力を『蒐集』したのですか?」
はやてが二人の傍まで来るとシグナムがそう聞いた。
「蒐集?うち、此処最近蒐集なんて使ってへんで」
もしかしたらと思ったシグナムだったがこのはやての言葉を聞いて疑問が生まれた。
(ならば何故あの人形どもは動かなくなったんんだ?時限性の魔力と言うヤツか)
「あっ、あの野郎あんなとこに居やがった!!」
シグナムが考えているとヴィータが男の居る場所を見つけた。
「…何であんなとこに居るんや?」
はやてがそう呟いた。その場所とは、デパートからそんなに遠く無いビルの屋上に居る。
男は見つけてくれと言わんばかりにそこではやて達を見ていた。
「…確かに怪しいわね」
「ケッ、どうせ高みの『カンブツ』ってヤツを決め込もうとしてたんだろ」
「かも知れんな。けどその前にヴィータ。カンブツやなくて『見物』や」
取り合えずはやてはヴィータのボケに突っ込んでおいた。
「良し、突っ込むべきとこも突っ込んだし行くで皆」
そう言うと、はやて達は男の居るビルに向かった。
しかし、シグナムだけは、
(奴は本当に高見の見物をするつもりだったのか?
だとすればあの人形ども動かなくなったのは、…一体…)
そう考え込んでいた。
※
「着いて来てますね」
男ははやて達が追って来るの確認すると屋上から飛び、既に1分近くが経った。
時々、男に向けて攻撃魔法を繰り出していたが、ギリギリで全てかわしていた。
『此方は順調。其方は如何ですか?』
『こっちも順調だ。尤もガキが一人足らんが大した事は無いだろう』
『確かに…それでは途中で合流してあそこに追い込みましょう。尤も追い込まれ役は我々ですがね』
※
一方、傷を癒す為、一人ビルの屋上に残ったユーノは、考え事をしていた。
奇妙だな。やはり、あの文献に書かれていたのは唯の伝説なのか?
…でも、あの男の攻撃魔法と奇妙なフードは文献通りだし、…まてよ、
もう一人の男の能力は何だ?文献の内容だとそれぞれが特殊能力(魔力)を持っていた筈だ。
ユーノが其処まで考えた時、ユーノの目に男達とそれを追うなのは達の魔力が見えた。
確かになのは達が追ってるけど…何か腑に落ちない。
何だろ…まるで“追いかけてる”と言うより“追い掛けさせられてる”様な…陽動!?
しかし、陽動したとこで現状の9対2じゃ幾ら何でも…!
この時、ユーノは更に文献の内容を思い出した。
そうか、これは罠だ!!
227 :
37564:2006/07/08(土) 01:10:27 ID:i05alAAT
だが、その罠は何処だ!?探すしかない。落ち着け僕の探査魔法で探すんだ。
すると、ユーノの足元に緑色の魔法陣が広がった。
…見つけた!でも不味い。男達の誘導でかなり近くまで寄せられてる。
早く行かなきゃ!痛ッ!痛がってる場合じゃない行かなきゃ!!
ユーノは左腕を押さえつつ皆のとこに向かった。
※
「…着きましたよ」
「此処か、ならお前の仕掛けはあの建物付近ってとこか」
二人の男がスクランブル交差点の真ん中に着地した。
すると、直に男の後を追ってなのは達が到着し掛けた。
「なんだ?あいつ等あそこで立ち止まったぞ」
「捕まる気にでもなったのかい?」
「分からないけど、チャンスかも知れない」
「良し、一気に捕らえるぞ!」
クロノの声にそれぞれが「オオー」と言う、
(やはり、妙だ。警戒しつつ近付くべきか…)
そんな中、シグナムは男たちの妙な動きに気付きかけていた。
しかし、時既に遅し…
「3,2,1、景気良く行きましょうか」
男がそう呟くと指を鳴らした。
次の瞬間、
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド………
なのは達の周りのビルの壁が次々と爆発し始めた。
「な、なに!これ?」
流石のなのは達もこれにはビックリし足を止めてしまった。
「奴等、これが狙いだったのか!?」
「危ない、はやてちゃん!」
「フェイト!!」
アルフが防護陣を出そうとしたが、
「で、出ない!?何で…」
アルフが呟くと同時に爆発と瓦礫に飲み込まれてしまった。
「ふっふっふっ、これが私の得意技『魔導爆弾』ですよ」
男は誰に言うでもなくそう言って笑みを浮かべていた。
228 :
37564:2006/07/08(土) 01:20:59 ID:i05alAAT
取り合えず今回の話も終了しました。
因みに「魔導爆弾」は「魔導爆撃」があるんだから爆弾があっても良いんじゃないかっと言う変な理由で生まれました。
165氏、男の詠唱の不気味さもあって攻撃し難かったっと言う事にしといてください。
640氏、内容がかなりエロくなってきましたね。続きが楽しみです。
4の422氏、凄い甘いですね。七瀬が分からなかったのが残念です。
ヘボ書きマン氏、ユーノのハーレム…続きが気になります。
第4話 芽吹く想いと力なの
頭を抱えたくなる厄介ごとの山。
あれほど軽快に捌いていたキーボードも今は鈍い音を立て、放っておけば止まるのも時間の問題だ。
(管理局としては一番恐れていた事態到来! ……って所なのよね)
報告書にはなんて書けばいいのか、お得意の改竄処理で持って適当に誤魔化すか。
(まぁ、後者のほうが楽なんだけどね……)
最悪の事態、それだけは避けられた。そのことだけに関しては気まぐれな神様に感謝って所。
でもそんな気まぐれがいろいろな厄介の原因でもあるわけだ。
山積する問題は目の前から消えてくれない。イライラ募って頭を掻き毟る。
「あの……」
「ん? 今忙しいから用事があるなら後にしてくれない」
「そ、そうですか……ごめんなさい」
こんな時にお呼びの声がかかる。どうっせ碌なことじゃない。それなら今の問題解決を先決にしてこれは後回し。
一応、これでも執務官補佐ですが。
クロノ君がいたら大目玉だね、こりゃ。
「で、でもその……リンディ艦長から言われて来たんですけど……」
「艦長が?」
そういえば随分と聞きなれない声だ。女性職員にこんなにオドオドした感じの子っていたっけ?
まぁ、艦長からなら何かあるのだろう。幸い期限というものは今のところないのだから。
キリのいい所でキーボードを叩くのを止め、椅子ごと体を向けて私は正体不明のその子に応じる。
「あれ……?」
聞きなれないかと思えば見慣れてもいない女の子だった。
なのはちゃんの学校の制服に綺麗な紫色の髪を伸ばし、白いヘアバンドが良く映えている。どうやら私の返事にどうしていいのかわからないみたいで立ち尽くしていた。
そういえば小さなお客様が二人ほど今日は来ていること思い出した。
「あ、ごめんごめん! まさかあなただとは思わなくって……えと……」
「あっ、月村すずかです。初めまして」
「こちらこそ。私はエイミィ、エイミィ・リミエッタ」
唐突な自己紹介にもう少しどうにかならなかったのかと反省。しょぼくれても何にもならないので切り替え言を続ける。
「それですずかちゃん、なんでここに来たの? 艦長に言われたって言ってたけど」
「はいリンディ艦長が話し相手になって欲しいって」
なるほど、艦長なりに気遣いというわけか。
そりゃこんなに雑務整理に追われてばかりではおかしくなってしまうこと請け合いなのだ。ほんとに体壊したら治療費の全額負担を考えていたところだったんだから。
確かに気分転換にはちょうどいい。それになのはちゃんの友達ならいろいろ話してみたいこともある。
「ほうほう……」
「あの、ご迷惑ならいいんです。艦長もそう言っていましたから」
「いいわよ、付き合ったげる。ちょうど肩もいい具合に凝ってきたとこだしね」
パッ、とすずかちゃんの顔が明るくなる。どうやら彼女も彼女でいろいろと興味がある様子。
「大変なんですね」
「そうよ! もう何でもかんでも全部私がまとめて報告して……管理職も楽じゃないのよ〜」
「ふふ、ご苦労様です」
なのはちゃんとは違って結構物腰が丁寧だ。ひょっとしなくてもいい所のお嬢様なんだろう。
実際あの学校ってそういう比率が多いらしいし。
「まっ、愚痴ってる暇が合ったら仕事なんだよね。……ごめんね、ほんとこんなことに巻き込んじゃって」
なのはちゃんたちが連絡もせずにジュエルシードの封印をやっていたせいでこっちが通信を繋げるころにはすべては終わっていた。無論手遅れで。
「その言葉はアリサちゃんに言ってあげてください。私より怖い思いをしたと思いますから……」
「……うん、そうだね」
まだ眠っているだろう彼女の友人――アリサちゃんのことに関して全ての落ち度はこちらにある。
ユーノ君の話では発動体の魔力攻撃をモロに受けたらしい。幸い命に関わるまでの怪我は負わなかったし、奇跡的に無傷といってもいいくらいだ。
「それと……なのはちゃんは?」
「彼女も今は眠ってる……今までの疲れがどっと出たみたいだね」
本当の所は感情のまま魔力を暴走させた反動による一時的な魔力枯渇、それに伴う昏倒だ。
正直に話してもすずかちゃんにとってはちんぷんかんぷんだし、返って不安を煽ってしまうだろうからそういうことにしておく。
「あの、すぐに良くなりますよね二人とも」
「うん、その点に関しては大丈夫。晩御飯の時間までには帰れると思う。ほんと、若いってのはいいことだね」
これもまた幸い。これで日付が変わるまで寝っぱなしだったら家族の人になんて言えばいいのか。
「エイミィさんも十分若いじゃないですか」
「若いって言っても十七よ。すずかちゃんの世界でならあと三年で成人。もう若いっていうより大人なんだから」
「大丈夫ですよ、まだエイミィさんも三年あるじゃないですか」
「三年か……そうだね」
ジェネレーションギャップ……というか年を重ねる度に加速していく時間間隔の差って奴か。
本当に年々、時間はペースを上げたがる。私のせいなのか誰かのせいなのか。
こういうのを生き急ぎ過ぎというのかな。
「でもさ、もう少し取り乱してもいいのに随分と落ち着いてるよね、すずかちゃん」
やっぱりお嬢様ゆえの品格なんだろうか。
「そうですか? その、なんというかあまりに現実離れしすぎていてどうすればいいのかわからないだけだと思います」
「まぁ、それはしょうがないよね。いきなり私たちが時空管理局です、なんて言われたりしてもね」
「それもあるんですけど……どちらかというとファンタジー小説を読んでいたらいきなり内容がSF小説になってびっくりしたって感じなんです」
「というと?」
「魔法使いって魔法の国みたいな所からやって来てるってイメージだったのが管理局なんて妙に現実的なものが出てきちゃったりして」
あ〜、なるほど……確かにそれは言える。
ミッドじゃ魔導師なんて日常の完全な一部でさしずめこっちの世界でいう公務員みたいなものだしね。
あっちの世界から見れば魔導師なんてまったく認知されてない未知の存在なんだしそれぐらい突飛な想像になってしまうのだろう。
「これだって今は沈んでるけどいつもなら次元の狭間を飛ぶ艦だしね」
「あっ、やっぱりこれ戦艦なんですか?」
「もちろんよ。これぞ時空管理局が誇る巡航L級8番艦、次元空間航行艦船アースラなのよ!」
張り切って言ってみるが如何せん艦がこの状態では言葉負けである。
でもそんな言葉を伴えない翼でも目を輝かせている子が目の前にいたわけで。
「次元空間航行……艦船アースラ……」
「ひょっとしてすずかちゃんってこういうの……好き?」
「えっと、そう言われると好きです。両親が機器製造会社の社長なんです。きっとその影響を受けたせいなんですけど」
こちらとしてもそれはびっくり。まさかいい所のお嬢様っていうか社長令嬢とは……。
「変ですよね……こういうのって普通男の子の趣味ですし」
「そっかな? 気にする必要ないと思うよ。好きなものは人それぞれ、私だって管制官半分趣味みたいにしちゃってるし」
艦長やクロノ君には面と向かっては言えないな、今の。
「良いですね、好きなことが仕事って」
「あはは、でもここまで来るのは結構苦労したよ」
「そう思います。会社でいうと専務さん……かな?」
「う〜ん、専務って言うとクロノ君かな。私はどっちかというと秘書って感じが良いかな。なんかこう、秘密持ってます! みたいな感じして」
それで艦長は会長で、これで次元を股にかける大会社アースラの誕生ね。
「なんだかエイミィさんの秘書姿がイメージできますね」
「でしょ? やっぱりこういうのには拘らないと」
「ですね」
なんだかすごく気持ちが安らぐ。
今の今まで仕事に追われていてすっかり息抜きをなくしてしまっていたせいなのかもしれない。弄くれるクロノ君もいないし本当に私肩が凝ってたみたいだ。
「へぇ、お姉さんいるんだ」
「はい、すごく美人で自慢の姉なんです。……ちょっと機械いじりが過ぎているんですけど」
「ひょっとしてお姉さんのおかげじゃない? 機械好きになったのって」
「ほんとのところは……そう思ってます」
苦笑いのすずかちゃんに私も顔が綻んでいく。
こうやって一時的とはいえ仕事とまったく関係のない四方山話を出来るというのは、実際すごく貴重で大切なものだと身に沁みる。
命の洗濯とはよく言ったものだ。
「あのもし機密じゃなければいろいろ教えてもらえますか?」
「ん、具体的には?」
「時空管理局になのはちゃんのこと……あとアースラのこととか」
そうやって最後には予想していた話題へと会話は収束する。
アースラのことも知りたいのはたぶん純粋な興味だろうけど。
「私、今までなのはちゃんがやっていたこと知りたいんです。すこしでもこっちの世界のこと知ることができれば悩みぐらいは聞いてあげられる、力になれると思うんです」
「そう……なのはちゃんの力に、か」
「私今日あったことは絶対誰にも話しませんから、だからお願いします」
険しい顔のまま頭を下げる。お願いというよりは懇願に近いそれは彼女が今までなのはチャンのことをどれほど大切に思っていたかを痛いほど理解できた。
なんだかんだでいい友達をなのはちゃんは持っているじゃない。きっと今眠ってるアリサちゃんもそうなんだろう。でなければここまで足を突っ込めないだろうし。
「それなら一つ条件……あるんだけど」
「なんですか……」
上げた顔にはまだ険しさがある。さっきまで笑顔だったのが嘘のように思えて、そこまで自分を追い詰めさせてしまった私たちの勝手に罪悪を感じ。
「今後、現地民間人月村すずかには特別任務を与えます」
「はい……」
これはきっとすずかちゃんたちの思いを少しでも手助けしてあげたいという私の勝手なおせっかい。
「今日より定期的にアースラ執務官補佐、エイミィ・リミエッタの相談役として着任を要請します」
「相談役……?」
なのはちゃんを大切に思うのはみんな気持ちは一緒。なのはちゃんがあんなになってしまったのは全部何も出来なかった、しようとしなかった大人の都合だ。
艦長には何言われるかわからないけど、減給でもなんでも受けるつもり。覚悟は出来た。
緊張した面持ちなすずかちゃんに私はいきなり表情崩して笑ってみせる。
「ようするに私の話し相手になってってこと。私はすずかちゃんの聞きたいことに可能な限り答える。私はリフレッシュを兼ねた暇つぶしをする。どう、悪い話じゃないと思うけど?」
ええ、ヤケクソ入ってるのは認めますとも。
こちとら四六時中この指定席で日がな一日同じ作業を馬車馬のように繰り返しているのだ。
何度も言うが、ここ最近は余計にそれは顕著になりもはや人間としては限界スレスレ。それで意識しないように仕事に没頭してさらに悪循環。
「いいんですか? 一般人がここに出入りしたりして」
「もっちろん大歓迎。それにお知り合いになったなら固いこと言いっこなし!」
我ながらいい暴走具合である。
「じゃあ、私エイミィさんの相談役として頑張ってみます!」
「うむ、よろしい! あとアリサちゃんも連れてきていいわよ。にぎやかに悪いことはないからね」
「はい!」
元気のいい返事。思わずこっちの背筋も伸びる。小さな民間協力者がまた一人増えた。
これはきっと職員たちにもいいカンフル剤になるはずだ。閉鎖空間に閉じ込められて心模様が曇りのち曇り。それを救う砂漠のオアシス。
そういえばなのはちゃんとフェイトちゃんの激励再開パーティーもなんだかんだ出来なかったんだっけ。絶対フェイトちゃんたち帰ってきたらやらないといけないな。
いろいろ考えながら私は一人自分の中で今を締めくくる。
素晴らしきかな異文化交流……なんちゃって。
* * *
(…………ここ、何処?)
目が覚めてもう十分は経ったと思う。
頭の中でふわふわしている疑問はさっきからそれだけ。まだアタシは自分を取り戻せずぼうっと天井を見つめていた。
首だけ動かして部屋の中を見回す。ベッドを除けば最低限のものしか置いていない部屋。病室なのはおぼろげながら見当はついた。
壁にはテレビ電話みたいなモニターがついている。小さな窓を見ると青い光が差し込んでいて夜かと思えば突然無数の影が横切ってびっくり。
「……魚?」
窓からは離れているけど紛れもなく影の正体は魚の群れだった。
病院が海に沈んでしまったのだろうか。我ながらに酷くぶっ飛んだ発想だと思ったけど水の中にある病院なんてまずない。
それともよくできた映像? 患者に対する病院の粋なサービス。そんなのないか。
(もしかして天国……なわけないわよね)
縁起でもない。あの化け狼の火の玉に吹き飛ばされてから記憶は途切れてるけど体が木っ端微塵になった覚えはない。
ちゃんと感覚はあるし、足だってついてる。
「一体どこだっていうのよ……」
意識がはっきりになるに連れいろんなことが頭の中に生まれてくる。
すずかは、なのははどうなったんだろう。あの狼はどうなったんだろう。アタシはどうなったんだろう――。
「取り合えずここがどこだか確かめないといけないわよね」
ベッドから降りる。幸い足腰になんら悪いところはないみたい。
「って着替えさせられるてる!?」
自分の格好を見てはたと気づく。本当に入院患者ですって自己主張している何の装飾もない質素な薄着がアタシの体を包んでいた。
(まずいわね……これじゃ逃げられないじゃないの)
もしかしてアタシは口封じに改造手術でもされてるんじゃ……。それで二度と家に帰れない体にななってこの部屋から一歩出されず一生を終えて
「なわけないでしょ!」
でも考えてみれば魔法なんて現代に存在しえないものをこの目ではっきりと見てしまったのだ。そんな可能性だってあることはあるはず。
「やばいわね……ほんとに」
無闇に外にでるわけにもいかない。かといってこの部屋でじっとしてても埒が明かない。
でもすずかもどこかで同じ気持ちになってると思ったら居ても立ってもいられない。
「うう、覚悟決めるしかないわね」
心に決めて即行動。ドアの前に駆けていって手をかけ引く! 開かない!?
「鍵かかってる!?」
片手を添えて今度は両手で力任せに引っ張ってみる。それでもドアはうんともすんともしない。反対側に引いても同じこと。
これは本格的にまずいんじゃ……。
「ちょ、開きなさいよ! このポンコツ!!」
引いてもだめなら押してみろ。手がだめなら足でどう!?
部屋に響く鈍い音。これでもかとドアを蹴って蹴って蹴って!!
だというのにこのドアにとってはどこ吹く風でへこみ一つつかなかった。悔しいが完全に敗北だ。
「嘘でしょ……」
全部がダメってわかったときアタシは床にへたり込んでいた。タイルのひんやりとした感触がじわじわとお尻や足を冷やしていく。
「もうどうしろっていうのよぉ……」
頭を抱えて嘆いても誰もアタシを慰めてくれる人はいなくて。
漫画ならきっとヒーローがドアをふっ飛ばしてすぐに助けに来てくれるんだけどアタシにヒーローなんて大それた人はいなくて。
思い浮かべると誰が来るんだろう?
なのはがさっきみたいな魔法で助けに来てくれるなら大歓迎。だけどなのはがこの得体の知れない建物を建てた連中の仲間だったら――そんなわけあるもんか。
きっとなのははここの連中と戦っている正義の味方に決まってる。あの狼だってここの奴らが作ったよく言う生体兵器とかいうのに決まってる。
「すずかはないわよね……」
アタシに出来ることといえば改造されてないことをここで祈るだけぐらい。
「恭也さんは……大体こんなこと知らないでしょ」
彼が来てくれればそれこそ漫画の王道。白馬の王子様。この際なのはのお父さんでもいいわ。
後助けに来てくれる人なんて……。
「なのはと一緒にいた男とか? なわけないか」
そんなのまで引き合いに出すなんてまだまだこの雰囲気に飲まれてしまっている。
結局、くよくよしても始まらないか。
「とにかくドアを開ける! これが先決!」
勇んで立ち上がれば目の前に沈黙のドア。今度は負けない、絶対倒すわ!
サッカーのPKみたいにちょっと後ろに下がって左足を引いて、相手を睨みつけて――。
「でぇぇい!!」
一歩、助走をつけて振り上げる右足。格闘ゲームみたいにはいかないけど当たればそれなり!!
――プシュー……。
「へっ!?」
突然の空気が抜けるような音。いきなりドアがスライドしてアタシが打ち倒そうとした隔たりがいきなり姿を消した。
「えっ?」
代わりにドアの盾にされるようにちょっとだけ見慣れた男の子がそこにいて。
――グキ!!
呆気に取られた顔に全く無防備な足目掛けてアタシのつま先が
「いぃぃぃぃっっ!!?!」
気持ちいいくらいに突き刺さった……。
* * *
ヒリヒリズキズキと脛から脳へと伝達される痛覚。あれからしばらく経っているのに治まる気配がないのは新手の拷問だろうか。
骨まではいってないと思うけど青あざは避けられないんだろうな……。
治癒魔法で一気に直すことも出来るけど彼女の手前、そうも出来ないから耐えるしかない現状。
「まったく、レディの部屋に入るときはノックするのは当然でしょ」
口を尖らせてさっきから拗ねっぱなしななのはの友達。確か名前はアリサ。
「ごめん、まさかもう起きているなんて思わなかったから」
本当にタフだと思う。ここに運んでリンディさんが治癒魔法をかけたのだってそんな長かったわけでもない。でもリンディさんくらいの魔導師ならあれくらいでも大丈夫なのかもしれないけど。
僕は僕で気を失ったなのはの治療に手一杯だったから。
「まっ、アタシもいきなり蹴り上げたりしたことは謝るわ」
「いいよ、こんなところに運ばれたら混乱するのもしょうがないし」
なのはの時は僕が念話するなりしてたから心の準備はある程度できたと思うけどアリサにとってはいきなり魔法で吹き飛ばされるという体験をしたわけだ。
もしこれでびっくりしないなら僕はこの世界の人たちの肝の太さに感心するしかない。
アリサはベッドに腰掛けながら足をぶらぶらさせて相変わらず不機嫌そうな顔。時折ため息をついたりして明らかに暇を持て余していた。
「ねぇ、あんたここにいるってことはアタシやすずかの身の安全は保障されてるってこと?」
「え? 身の安全?」
「だから魔法使いなんか見たから口封じに消されるとか」
「いやそんなことしないって」
いきなり身の安全なんて言ってきたもんだから何かと思った。
幸い時空管理局はそこまで非情でないし、あったとしても軽いお咎め程度だと思うけど。
「ほんとに?」
「うん、ほんと。それにもしそうだとしたら気絶してる間にアリサはどうにかされてると思うよ」
「確かにね。それにここまで世話焼いてもらってるんだし……本当みたいね、って」
急にアリサが難しい顔をした。そうして僕の顔をいきなりじっと見つめる。
「なんであんたアタシの名前知ってるのよ? 自己紹介した覚えないけど」
「えっ? あっ、そうなのはから聞いたんだ」
「それでいきなり呼び捨てとはね……」
「あっ、ごめんつい癖で」
相手はミッドじゃない世界の住人。いきなりの呼び捨ては失礼だったみたいだ。
「えっとそれじゃアリサさん」
目上でもないのにそれはないだろ、と思った。
案の定、アリサは僕の呼び方に眉を顰めている。
「変だよね……それじゃアリサちゃん?」
思いっきりに眉間にしわが寄っていくのは気のせいじゃないんだろうな。
「えぇ、じゃあアリサ……」
「はぁ……もういいわよアリサで」
どぎまぎする僕についにはアリサが折れた。折れたというか呆れられただけなんだけど。
その証拠にアリサはため息ついてちょっと斜に視線を向けてくる。
「なんだか逆に気味悪くなったわ。普通に呼び捨てで良いわよ」
「それなら最初に言ってくれれば」
「なぁに? 口答えするつもりなの」
「いやその……ごめんなさい」
なぜか非などないのに僕が謝る羽目に。
この子はやけに気が強いな……なのはとは大違いだ。
「それであんたの名前は?」
「ユーノ、ユーノ・スクライア」
「ユーノ? ……ほんとに?」
「うん、ユーノだけど」
聞き逃したのかと思ってもう一度名前を言う。けれどアリサの表情は釈然としないまま。どちらかといえば疑念が増していてもたってもいられない感じになってきていたり。
視線を外して天井を見上げているアリサ。腕を組んで何かを推理しているみたいだ。
「一つ聞いていい?」
「うん」
「…………フェレット?」
やっぱりそこなんですね……。
まぁ、隠していてもしょうがないんだし正直に白状しよう。嘘は良くないしね。
「実は」
「て、そんなわけないわよね。フェレットが実は人間だったりなんて流石にそこまで非常識じゃないわよね」
「あ、アリサ……その」
「それにもしそうだったとしたら温泉の時なんて堂々のぞきしてたわけなんだし。そんな根性ひん曲がった子にはあんた見えないしね」
「いやぁ……それは」
「実際そうだったら鉄拳制裁は当然。……でも去勢のほうがいいのかしらフェレットだし」
「…………」
――言えるか。
言ったらきっと無事じゃすまない。命にかかわるような予感がした。
それに去勢って……こんなところでも僕はフェレット扱いなんだ……。
「どうしたの? なんだか顔色悪いけど」
「えっ、あ、あはは大丈夫。少しめまいがしただけだから」
「……あんたもなのはと一緒に無理してるんじゃないの?」
ふっ、とアリサの顔から笑顔が消えた。眼差しは真剣に僕を捕えて心なしか顔には憂いが見て取れた。
「ねぇ、なのはって一年前から魔法使いだったの?」
一年前――いつからではなく明確な時期が質問の中に織り込まれていた。
きっとそれは思い当たることがあるからこそ言うことできる言葉だ。
「あのさ、アタシもここまで首突っ込んでるんだし話してくれない? 興味とかそういうのじゃなくてなのはの親友として知りたいの」
「知って……どうするの?」
「……わからない、でも知りたいのよ。アタシの知らない所でなのはが何をしてたのか、落ち込んだり悩んだりしてたんじゃないかって」
「…………」
「自己満足なのはわかってるつもり。待つことしか出来なかったから少しでもなのはのこと知って分かち合いたいだけってのは」
段々と声のトーンが落ち込んでいく。俯いたアリサの言葉はなんだか端々で自分を責めているようで。
アリサの考えてることは痛いくらいに伝わってくる。僕はきっかけを作ったこともあるしいつもなのはの傍で手助けをしてきた。だけどアリサ違う。
なのはがどんなにこっちのことで悩んでいても手を貸すなんてできない。ただなのはのことを心配するだけ。それ以上はないしそれ以下もない。突き詰めれば何も出来ないに等しい。
尤もアリサが来たとしてもなのはは本当の事を話すとは思えない。そうじゃなきゃ喧嘩しちゃったってなのはの口から聞くことなんてないんだろうし。
「……一応聞いておくけど、何があっても驚かない?」
「もう慣れっこ……」
だったらアリサの願いを拒否する理由はない。
きっと彼女はなのはの力になれる。親友だからこそ僕にはわからないくらい強い絆があると思う。
手伝えなくったってちょっとでも気持ちを分け合えればなのはだってもう思い詰めない。思い詰めようとしてもアリサが叱ってくれる。
浅はかな考えかもしれない。でも支えてくれる人が近くにいるだけでも気持ちは安らげる。
「わかった。じゃあ話すよ、僕となのはの出会いから今日のことまで」
一人じゃなかったから、なのはがいてくれたから。だからジュエルシードもPT事件も乗り越えられてきた。
僕自身そんな自分の体験談を押し付けてるだけなんだけど。
「ありがと…………それじゃあ洗いざらい喋ってもらいましょうか」
「そうだね、じゃあ」
「その前に!」
ぴっ、と僕の目の前に人差し指が突き出される。いきなりのことに思わず口をつぐむ。
「もひとつ質問」
「な、なに?」
「あんたってなのはとどういう関係?」
「へっ……?」
口元を不気味に歪めながらアリサがぐいと顔を近づけてくる。なんだかいけないことを咎められるように感じて自然と体はたじろぐ。
「だ〜からなのはとどういう関係なわけ?」
なのはとの関係と言われても正直返答に困ってしまう。なのはは僕の大事なパートナーで友達で……好きなんだけど。
この場合多分アリサが知りたがっているのはそこなんだろうけど……。
「な、なのはとは別に大それた関係じゃないと思うよ……うん」
「ほんとに? なんだか怪しいんだけど」
「ほんとにほんと! 僕となのはは魔法じゃパートナーだけどそれ以上は何も……うん、ない」
詰め寄ってくるアリサに首を振り、手を振りながらそんな関係じゃないことを必死に否定する。
なんだかある意味すごく微妙な気分なんだけど事実なんだからしょうがない。
「ふ〜ん……まぁなのはが彼氏作るなんてこと早々ないわよね。それにあんたじゃなんかイメージ的には全然なのはの彼氏って感じじゃないし」
なんだかすごく残念そう、でもどこか誇らしげに言い含めながらアリサは頷いて見せた。
「どちらかといえばペットって感じだものね」
さりげなくとても嫌〜なことを言われているような。
そんな気持ち露知らず、アリサは一人目を閉じ勝ち誇ったような笑みさえ浮かべていた。
「そんな顔しない。男なんだからしゃきっとする!」
「……うん」
「じゃ改めて、今の今までのこと全部アタシに教えなさいユーノ」
仕切るのがうまいというか、マイペースなのか。それでも強引さをあまり感じさせない辺りアリサはいつもなのはたちの中じゃリーダーなんだと思った。
「後嘘ついたりしたらただじゃおかないからね」
それとちょっと怖いというか強いというか。
少なくともこれが僕にとってのアリサの第一印象だったわけだ。
4話投下
外は暑い、中も暑い、梅雨明けないかなぁ
>>640氏
ああんもう真似できない淫乱
堕ちるとこまで堕としますか
>>4の422氏
ブフォア(´Д)==砂糖)
まずい、なんというか甘すぎてこっちのが霞む
こうなればまた糖度200%書くかぁ
ちなみになのはに救いの手が差し伸べられるのはもう少し先で(スマソ
>>ヘボ書きマン氏
アリサすずか水着キタコレ
いいよいいよエロいのやっちゃってー
>>37564氏
さてさてどうなることやら
いい発想ですね爆弾とは
シグナムさん話の三話、完成いたしました。
一応ペース維持できてて一安心。
「さて、と」
湯をかぶったシャマルがタオル片手に入ってきたので、
シグナムは心持ち身を寄せて、スペースを空けてやる。
元々足に障害のあるはやてが一人で暮らしていたこともあり、
八神家の浴槽は一般のそれよりもある程度ゆとりのある広さを持っているが、
大人の女性二人が入るとなると、やはり少々手狭であった。
女同士とはいえ濡れた地肌が擦れあうのも、けっして気持ちのいいものではない。
「んー、いいお湯」
「ん」
極楽極楽、と伸びをしつつ言う彼女に、シグナムも同意する。
が。
「……で、シャマル」
「なあに?」
「一体、何の用だ」
バスタブの縁に置いた左腕に顎を載せ、呑気に鼻歌なんて歌っていても、誤魔化されない。
シャマルのことだ、どうせなら一度に入ったほうがガス代が浮く、などと考えて───いる可能性だってなくもないが、
この場合は多分違う。なにかしら、くだらないことでも言いにきたのだろう。どちらかといえば、彼女はそういうやつだ。
今度の任務のこととか、上司の愚痴とか。
「なにか話があるなら聞いてやる。上がる前にさっさと言ってくれ」
「……はぁ」
当然、そこにはシャマルが自分のことについて話をしにきた、なんていう考えはないわけで。
「逆じゃないの?それって」
「……何?」
呆れ顔を向けるシャマルに、シグナムが向けるのは怪訝そうな顔。
それらはそれぞれ、真顔と困惑顔へと次の瞬間、変化する。
「シグナム、あなた──……なにか、あったでしょう」
天井から湯気の溜まった水滴がひとつ、ぽつりと二人の間の水面に落ちて、
一瞬の王冠と波紋を作ってバスタブの湯に同化していった。
魔法少女リリカルなのはA’s −その想い、緋に染まる暁のように−
第三話 覚えていること、忘れたこと、知ったこと
「何を、言っているんだ?」
ほらまた、そうやってすっとぼけようとする。すかさず入ったシャマルのつっこみに、シグナムは顔をしかめ。
じっと見つめられ続けるのが居心地悪くなったのか、視線を逸らしそう言ったシグナムだが、
シャマルの言わんとしていることが何なのかは、わかっているはずだ。
「私やはやてちゃんたちに隠していること、あるでしょう?」
「?」
「最近のあなた、ちょっと変。なにか、あったんじゃないの?」
うまく、取り繕っているつもりか。あるいは自覚がないだけなのかもしれないけれど、
少なくとも皆の目に、ここ最近のシグナムはいつもと違っているように映る。
シャマルははやてから聞いた話のことは伏せて、ぼんやりと水面を見つめるシグナムへとその旨、伝えていく。
「……わかるか?」
先日のお茶の際の出来事があったから、彼女がそのように言ったのを聞いて、シャマルは内心安堵した。
よかった、言ってくれるのだ。自分たちに、相談してくれる意思があるのだ、と。
シグナムの問いにこくり、と頷くシャマルの内心はどこか、嬉しさに踊る部分があったのではないだろうか。
「私には、わからない」
「──え?」
だが、彼女のそんな心情とは裏腹に、シグナムが浮かべるのは、困惑とも、憂いともつかぬ
浮かない表情。
「わからないんだ。どうしてなのか」
「シグナム?どういう……」
「後悔、しているんだろう。──きっと」
だから、何を。
聞いてみたくなる衝動に駆られるシャマルを尻目に、ざばりと腰をあげたシグナムは湯船から立ち上がり、
バスルームの湯気の中へと出て行ってしまう。
「忘れていたこととか、思い出したこととか。……どうして私は、後悔してるんだろうな」
「──?」
「同じだったんだ……恭也と、彼と……」
浴場の引き戸を後ろ手に閉めながら、彼女は言い残した。
しばらく衣擦れの音がしていたかと思うと、脱衣所からもほどなく気配が消える。
「思い、出す……?恭也さんのこと?誰を……?同じ……?」
何のことやら、さっぱり。
一人浴槽に置き去りにされた形のシャマルは頭を抱えて思案する。
やはり、恭也との間に何かあったということは間違いない。
けれど、そこまでだ。彼女の悩みというものは予想外に深いらしい。
それ以上、今の段階でシャマルの掴んでいる情報から類推することは難しい。
あまりに中途半端で、抽象的すぎる。
「何なのよ、一体……?」
口元まで湯船に沈めながら言ったその言葉は、途中から水面へと浮く空気の泡となって。
湿度の高い室内にぽこぽことした小気味よい音を立てるだけだった。
* * *
翌日のこと。
「……忍、まだ見るのか?」
「見るのか、ってシグナム。まだ買ってないでしょ?」
「いや、私は……いいよ、やっぱり」
「ダーメ。そんなんじゃ来た意味、ないでしょうが」
海鳴市内にある、デパートの水着売り場。
シーズンも終わりを告げようかというこの時期、わざわざ水着を買い求めにやってくる女性は少ない。
「大体、話聞いて驚いたわよ。シグナム、水着も持ってないだなんて」
人の波もなく、展示されている水着をゆっくり、時間をかけて見て回れる売り場に、
シグナムは忍に連れられてやってきていた。
目的は忍の言からもわかるように当然、水着の購入。
来週末に迫った、恒例の多家族合同旅行に備えた買い物である。
──というか、シグナムが水着を持っていないということを聞いた忍が
今回の旅行先には温水プールもあるということでそれではまずかろうと一念発起し、
遠慮する彼女を無理矢理ひっぱってきたというのが正確なところではあるが。
「だが……なんというか、心許ないというか、この水着というやつは……」
「もう、何言ってるのよ、今更」
どうにもシグナムには、店頭に並ぶこの水着という衣装が、着衣としての機能を果たしているようには思えなかった。
派手なだけで、生地は薄いし。
面積は少なくて、肌が必要以上に露出するし。
けっして恥かしいから言っているのではない。騎士として不安の残る装備を身につけたくないだけだ。(シグナム談)
「はいはい。恥かしがらないの」
「な、だから違……!!」
そんなシグナムの言い訳(本人的には正当な理由)も、いくつもの水着を見比べていく忍にはどこ吹く風。
うろたえる彼女のことなど意にも介さず、サイズをチェックしつつ手にとっていく。
「あ、これなんか似合うんじゃない?ほら」
「え?い、いや。しかしこれは……」
差し出された水着は、ハンガーに並ぶ中でもとりわけきわどい、ほとんど紐でできたような、布面積の極めて少ないものだった。
シグナムならずとも、身に着けるのをためらうような代物だ。
思わずシグナムは忍に、正気かと言わんばかりの視線で見返してしまう。
「なんてね。さすがに冗談よ、じょーだん」
「……忍」
お前というやつは。
抗議の声をあげたくなるが、言ったところで相手のほうが一枚上手なのだ、どうせ。
余計に楽しませるだけだ、きっと。そこまで長いつきあいではないが、彼女の性格はある程度理解している。
「ま、いくら私でも水着を恥かしがってる相手にこんなセクハラまがいのを勧めるほど、エグい性格してないわよ」
「……本当か?」
「なんかひどいこと言ってない?」
「気のせいだ」
見ているこっちが紅くなってしまうような水着を忍の手から取って、棚に戻す。
と時を同じくして、彼女の溜息を視界の隅にとらえて振り返る。
「なんでお前が、溜息をつく?」
「……いや、だって、ねぇ」
軽く頭を振る彼女は、呆れているようだった。
「そりゃ私だって、シグナム達の事情や、今までどんな人生送ってきたかくらい、聞いてるわよ」
「……話したのはまぁ、私だしな」
「いちいちつっこまないの。論点はそこじゃないでしょ」
「……」
「守護騎士、だっけ?はやてちゃんを守らなきゃ、って気持ちもわかるし、そのために生まれてきた、ってのもわかる」
あくまで、第三者でしかないから、本当に理解できているのかと聞かれたら少し不安ではあるけど。
そう言って肩をすくめる彼女の人柄が、シグナムは嫌いではない。
「だけど……女の子でしょ?シグナムだって」
「……な」
何を、突然。
それはシグナムにとって、予想だにしない一言であった。
「素材は悪くない。むしろ10人に聞いたら多分ほぼ10人全員が美人って答えるわよ、シグナムのこと」
「やめてくれ……何がいいたいのか、よくわからない」
「だーかーら」
手に取った水着をこちらに突き出して、忍はウインクしてみせてくる。
「もう少し、肩の力抜いてみたら、ってこと。きっと振り向く男の人だって、いるはずよ?」
「そんな……。私には、そんなもの……」
「構っている暇はない?はやてちゃんのことや、お仕事で?」
「……」
彼女が選んだのは、黒のビキニ。
サイズも丁度だし、試着してみないことにはなんとも言えないが、そこまで派手なデザインでもない。
よく、シグナムの好みをわかっているチョイスだ。
「少なくともこの町も、この時代も。はやてちゃんが自分の面倒を見れる程度には、平和よ?
お仕事だって、そう24時間、365日ずっとあるってわけでもないじゃないでしょう」
「それは、そうだが……」
「シャマルさんやヴィータちゃんだって同じ立場だと思うけど、随分自分の生活をゆったりと生きてると思うわ」
「しかし……」
忍の、言うとおりだ。
シャマルもヴィータも、同じようにこの世界で生活していながら、些細なことに喜びを見出すことが自分に比べ、
増えたように思える。それはきっと、心の余裕とか、そういったものからくるのだろう。
……自分に心の余裕がないとは、シグナム自身思わないが。間違いなく昔に比べたら、随分な余裕を持てているはずだ。
それでも忍から見たら、まだ肩に力が入っているということか。
「ほらほら、そうやって考えこまないの」
「……ああ」
「私が言いたいのは、ただね。あなただって女の子なんだから、もっと人生、楽しみなさいってこと。さ、試着行ってきなさい」
「すまん」
「謝ることじゃないでしょ、もう。固すぎなんだってば」
ずい、と押し付けられた水着を受け取って、シグナムは足を試着室のブラインドのほうへと向ける。
完全に忍の言いたいことが理解しきれたとも思えなかったけれど、感謝をしながら。
ただ純粋に、楽しむ。そういったことも自分には確かに必要なのだろう。
だがそれは、今の自分にとって。
すごく難しいことのようにも思えた。
あの日から続いている心のもやもやは、今このときもどうやら、まだ残っているらしかった。
そして、旅行当日までそれは、消えることはなかった。
今回のサブタイはシグナムさん、水着を買いに行くの巻でも可。
てか5家族合同旅行って、なんてトチ狂ったプロット立てたんだろ俺orz
>>4の422氏
うん、俺甘いもの好きですよ?
でもとりあえずコーヒーをブラックでいただこうか(ぇ
>>ヘボ書きマン氏
ちょwwww何みんな局勤めしてんすかwwww
>>37564氏
爆弾ときますか……なるほどね。面白いと思います。
>>176氏
うん、密告されたらユーノ殺されますねwwww
もしくはちょんぎられ(ry
Private aide after days 〜飲み込んで僕のS2U〜
3話 そして夏――恋の季節
手元のマニュアルによれば執務間の仕事は至極簡単。
――突っ立って威厳を漂わせておく。
「……そんなこと言われても」
片や嘱託魔導師の身。まず威厳とかそういうレベルの話ではないと思う。
他に何か明確な道標がないのかとページをめくる。
「……うう」
泣いた。心の中で泣いた。
やけに薄っぺらいと思えば元より二枚の高級紙でしか作られていないではないか。
しかも二ページ目には『上の仕事を体験するのも魔導師として立派な修練の一つだ。byクロノ』という思い出したかのような手書きの文字。以降、延々と余白。
「まぁ……一日執務官もいい経験じゃないかしら」
指定席でお茶を啜る艦長の手元には二つの書類。
『有給休暇申請』とゴシック体で印刷されたそれは久しく、というかこのアースラで目にしたものはおそらく艦長である自分が始めてだろう。
こんなものがあったのか、とまずあの二人がこれを出してきたよりもこの書類の方が物珍しいというのはなんというか。
「私に執務官なんて勤まらないよ……」
「大丈夫よ、ここ最近平和なんだし」
ただ今当艦アースラは次元空間を鈍足で航行しております。
そんなアナウンスさえ聞こえてしまいそうなくらいに平和なのは事実なのだから。
「いざとなったらフォローするし大船に乗った気分でがんばりなさい」
「母さん……」
母親の激励にやる気は出ることは出るのだが、如何せん彼女が気にしているのはこれから一日執り行う執務の仕事ではなくて。
「なのはぁ……」
本当なら今日はなのはの家でお泊り会の予定だった。休暇だって自分なのだ。
こんなこと許されるのか。おのれ職権乱用、管理職め。
代わりにお泊り会な馬鹿兄を密かに心中呪いつつ、なぜかデバイスモードにしていた
愛杖を握り締めるのだった。
『S……Sir……?』
ピシリ、とあっけなく入った亀裂に彼も何事かとコアをピカピカ点滅。人間なら目を白黒させるところだろう。
「埋め合わせはちゃんとしてもらうからね…………お兄ちゃん」
かくして、フェイト・T・ハラオウンのあまりに長い一日が始まるのだった。
あまりに長い一日が……。
* * *
「ほぅら! 置いてくよクロノ君!」
「ちょ、ちょっと待て! そんな急がなくても」
「だ〜め! 一秒たりとも無駄にできるもんですか」
腕をぐいぐい引っ張って屈託ない笑みでエイミィが答える。時刻は九時を少し過ぎたくらい。まだまだ町が動き始めるのは先のことだ。
「急いだって行列は動かないぞ。せいぜい順番が少し後ろになるだけだろ?」
「それが駄目って言ってるの。入ったら入ったでアトラクション前でまた行列なのよ。待つのは嫌でしょクロノ君も」
確かにそれは嫌だ。できるならそういう凡ミスはお引取り願いたい。
昇り始めた日差しは手加減を知らない。体から迸る熱線を浴びせるだけ浴びせ西の空に帰っていく勝手者は夏の季節を飾る主役である。
遥か遠方で陽炎に揺らめきながらその時を待つゲートには自分たちの所まで人の群れが続いていた。
「全くだな。乗り物乗らずにベッドに乗るのだけはお断りだ」
熱に浮かされ救護室送りで一日を終えるのだけは男として人として、女性の前なら尚更最低ランクだ。
「わかってるじゃないクロノ君」
「君の恋人だからな」
腕を絡めるエイミィに恥ずかしげもなく言える辺りすでに出来上がっている自分の頭。
以前ならこの腕だって暑苦しい云々ですぐに解いてしまうだろう。自分がどんな人間かぐらい承知はしている。
「て、照れますな〜あはは」
対するエイミィ。どうしようもない気恥ずかしさを頭をかくことでどうにか発散させて。
自分のお相手がここまで甘いせりふを吐いてくるとは……。
そう思ってもみたがあの超、激ぐらいじゃ足りないくらいの甘党の息子。さして気にすることではないのではと思う。
「そこまで言ってもらわれちゃうと手まで繋いじゃうぞ」
「逸れる心配がないからな、助かるよ」
しっとり汗ばんだ手に重なる感触。言いだしっぺはエイミィでやりだしっぺはクロノだった。
かすかに口元緩ませてちょっと得意げに彼女の手を握る。
手を繋ぐ行為は恋人たちには初歩的なスキンシップ。そうは思ってもこれがなかなか、いやはやクロノの感触を直にすると平静を保てなかったり。
「う、うん……あはは」
にぎにぎと握っていると返事代わりの優しい愛撫が帰ってくる。
なんだかクロノの手なのかと疑問に思って力を入れると、怪訝そうにクロノが自分の顔を見る。
事実確認が取れてしまえばなおのことエイミィの顔の温度は上がる。
「く、クロノ君……喉乾かない?」
「ん? 暑いからな……ここにいるみんな同じ気持ちじゃないか?」
「じゃあ買ってくるよ。すぐそこに自販機あるし」
「安心してくれ、水分対策は施してある」
おもむろにジャケットの内側へと手を突っ込むと、程なくして二本の缶ジュースが顔を出した。
受け取り、矛盾した感覚に驚く。ジーンと痺れるような冷たさは炎天下、懐に仕舞われていたものとは思えない。普通なら人肌温度のぬくいジュースでまごころが蒸発してしまうところだ。
「氷結魔法を施しておいたからな。これくらいなら地球でも大目に見てくれるだろう?」
「気が利くというかちゃっかりしてるというか……クロノ君とは思えないな」
「男にしっかりしてもらいたいって言ってたのは……どこの口だ?」
「失礼しました」
口を尖らせてもクロノはどこか楽しげにエイミィを見詰める。彼の随分な変わりようにエイミィもたじたじだった。
なんていうか、なんていうかだ。手綱がいつのまにかクロノに握られている。ここまでリードされるなんて今までにあっただろうか。
気持ちを打ち明けあった初めてのデート。あの時だってキスをするまではこっちがクロノを操縦――あくまで主観的にだけど――していたのだ。
「ありがとね、クロノ君」
「ああ、喜んでもらえて何よりだよ」
そうして穏やかな笑みを向けてくれる。
心臓が一度大きく跳ねた。火照る頬は前兆症状。まずい、顔が赤くなってきてる。
水滴にまみれてきたジュースを誤魔化しついでにおもむろに喉へ流し込んだ。
「んぐ、んぐ……ぷっはぁ、生き返る〜」
舌から喉、胃へと連続急冷されて干からびかけの体に活力が蘇るのを感じる。体もちょうど良過ぎる位に冷えてたまらなく心地よい。ちょっと頭はキンキンするのが玉に瑕だけど。
それでも顔面を覆う暑さだけは逃げてくれない。むしろ不幸にも際立ってしまっている。
(や、やだなぁ……どうしちゃったんだろ。暑さにやられちゃった?)
クロノの横顔にやはり治まらない動悸。こんなこと言っては失礼に当たるのだろうけど今日はすごくクロノが男らしく見えた。
そりゃイチャイチャしたいとは言った身である。だけどそれがここまで恥ずかしいものとはエイミィ自身、その管制官の勘をもってしても全く予想できなかった。
クロノも恥ずかしいんだろうか。横目に視線を流すと偶然にもクロノと目が合う。それにまた心臓が跳ねる。
(……何よクロノ君の馬鹿)
ほんとにクロノに恋してる。馬鹿みたいに好きになってる。
――きっと全部この夏のせいだ。
いつもと違うシチュエーションがそうさせるのだ。オーバーヒートしてるから正常に考えられないだけだ。
隣の彼が……格好良すぎるだけだ。
(そうよ、園内に入って遊び始めればすぐ私がリードしてやるんだから)
遊びとなればこっちに絶対分がある。堅物に真似できないくらいはしゃぎ立てると自負できる。そうやって腕を引っ張って、引張り回して彼の困った顔にいつもの悪戯心を満足させれば言うことなし。
「列が動き出したな……開園か」
「いよいよだね」
「大丈夫か?」
「なにが?」
「君が熱にやられてたら元も子もないからな。なんてたって今日のヒロインは君なんだ」
だけど出鼻をくじかれる。歯の浮くような台詞にむず痒くなってきた。
「や、やられるわけないでしょうが。私はね、これでも暑さには強いんだから」
力こぶを作って見せてさらに照れ隠し。
「よかった、いつも通りで安心したよ」
「当たり前よ!」
そうして動き始める人の列。只中でふとエイミィは思った。
目に入るのは楽しそうに笑いあう親子連れ。あとは恋人たちの群れ。腕を組むのもいれば手を繋ぐは当然。
そんなカップルに今の自分みたいな白熱電球な子はどれほどいるのだろうか。
もしかしたらここまで茹ってるのは世界の中で自分だけ。そこまで考えてしまうとさらに恥ずかしい。
「さぁ、楽しむぞエイミィ」
「う、うん、私はいつでも準備万端! スタンバイレディでオーライよ!」
「……本当に大丈夫か?」
「イェッサー!」
全くほんとに、夏の暑さは大嫌いだ。誰かここにクーラーをかけてくれ。
再び、どちらともなく握りしめた手。温もりが全身に伝わっていくような錯覚を覚えながらエイミィは今一度、夏の暑さに毒を吐いた。
「まったく恥ずかしいのは君だけじゃないんだからな」
呆れるような彼の声も今は耳には悲しいかな届かない。
願うことならば、今すぐ我が身を凍結させたい。きっと彼の極大氷結魔法でも無理な注文なんだろうけど。
* * *
「いぃぃぃぃやっほーーーー!!」
遥か遠方に望む名山に見とれる暇なく無重力の自由落下。加速し右へ左へ流れる風。宙返り、ぐるぐる回って転地逆転、上だか下だかわけわからなくなって。
百キロオーバーのスピードに景色は伸ばされぐちゃぐちゃで。後ろから聞こえる甲高い悲鳴の群れに負けじと声を張り上げて。
「んーーー! ジェットコースター最高!」
所要時間二分三十二秒。コースターから軽快に飛び出した彼女は満面の笑みだった。
一足遅れてクロノ。なにやらおぼつかない手つきで安全バー引き上げる。降りるのだって這いずるようにナメクジのごとく。地に足がついた時には既に彼女は出口に向かっている始末だった。
「ま、待ってくれエイミィ……」
足に纏わりつく浮遊感をどうにか払い落とそうと足を振りながらクロノは続く。その後姿、あまりに滑稽で下手すれば酔っ払いの千鳥足だ。
「く、クロノ君……だいじょぶ?」
「あ、当たり前だ……こんな子供だまし」
口は強がり、足腰は弱り。軽やかだった足並みは今では一歩一歩大地を確かめるよう。踏み出すたびに全体重が片足に乗って気分はまるで山登りだ。
「出来損ないのロボットみたいだね」
「言わないでくれ」
ちょうど目に入ったベンチに腰を下ろして一息、夏空を仰ぐ。飛行機雲に向かって肺の中身を全部吐き出すようなため息。
いつも空を飛んでいるのだから大したことないと高をくくっていたのは認めよう。まさかジェットコースターなるものがあそこまで奇想天外な乗り物だとは思わなかった。
「意外な発見ってやつだね。ジェットコースターにノックアウトされるクロノ君……もう一回いく?」
「僕はおもちゃじゃないんだぞ……でもまぁ君が喜んでるなら良いさ」
「かっこつけてもその顔じゃ説得力ないよ」
結局、入園してすぐにクロノは潰れてしまった。さっきの彼はどこへ行ってしまったのか、気がつけばいつものクロノが目の前でベンチにへたり込んでいる。
(やっぱりクロノ君だな)
ちょっとかっこよく見えてもやっぱりどこかでぼろが出てきてしまう。でもきっとこんな一面、他の誰にも見せないんだと思う訳で。
フェイトの手前なら意地でも踏ん張って次のアトラクションへ向かうに違いない。一見しっかりしてるけど微妙にふらついている様が面白おかしく想像できる。
「もうしょうがないなクロノ君は。じゃ、ちょっち早いけど休憩ね」
休憩というくらい動いたわけではないだろう。
口ではそう言いたかったが如何せん体のほうがこれでは何を言っても無駄である。
そういう訳でクロノは出掛かった言葉を飲み込みエイミィの好意に甘えることにした。
「はぁ……ほんとにごめん。駄目だな僕は、こんなことでへばって」
「初体験なんだから仕方ないんじゃない?」
「仕事馬鹿も考え物だな」
やはりガラに合わないのだろうか。エイミィが楽しめそうな場所ということで遊園地をデートコースに組み込んでみたが自分の事情も考慮すべきだったのはもう言うまでもない。
彼女さえ喜んでくれればいいなんて独りよがりはデートにおける失敗の一つだ。重要なのは自分の強みを如何なく発揮させ、なおかつ相手が好む場所。それが最も適当な選択であった。
「でもこれだと次はコーヒーカップなんて乗れないね」
「想像しただけで駄目になりそうだ」
おもわず二の腕で目を覆った。洗濯機に放り込まれるような体験などしてみたら今度こそ足腰がやられそうだ。
「もう、だらしないぞ〜男の子」
俄然テンションの高いエイミィに唸るような呻くような声で返事をするクロノ。相当参ってます――本当ならそれくらいのことは言いたいのだが。
……反省。それに尽きるのが悲しい。
「んじゃあ、ちょっと寝てみる?」
「馬鹿……みっともないだろうこんな大衆の面前で」
「安心しなって、恥ずかしくないようにするからさ」
言うなり聞こえるパンパンと何かを叩く音。どうにもベンチを叩いて出る音ではない。
「?」
決してベッドメイキングをしているわけではないのだろうけど好奇心に横目に隣を垣間見る。
「んふふ……」
目が合って彼女は厭らしい含み声一つしてまた同じ音を二度響かせた。
ピッタリ揃えた腿へリズムよく両手を叩きつけることで、だ。
「ほらほら、クロノ君おいでやす〜」
そんなどこで覚えたのか訳の分からない言葉で誘惑してもそれもある意味
「羞恥プレイを強制しないでくれ……」
大衆の面前で見せ付けるものではない。
いちゃつくのはまぁ歓迎。しかしだ、そのようなことを求められてもいかんともしがたいのが当然であろう。
「いいじゃない、どんな枕よりも寝心地は最高だと思うけどな」
「あのなぁ……時と場所とを考えてくれよ。大体君の手を煩わせるなんて僕のプライドがな……」
適当なことを言ってはいるが秘めた本音は男の威厳を防衛するためだったり。
人が羨むというより、こんな所で膝枕される男なんてただ甘えてるだけのヘタレではないか。甘えるといちゃつくは多分違う。
一つのアトラクションでへばって看病される。目を瞑るなんて出来ない失態だ。
「え〜、別に可愛いじゃない。そんなクロノ君も見てみたいよ」
「二人きりの時な、それまで我慢だ」
犬を躾けるように言い聞かせ一気に腰を上げた。彼女の次の気まぐれが降りかかってくる前に。
それと手繰り寄せられた手綱を引き戻す意味合いもこめて。
「じゃあコーヒーカップ行く?」
「ずいぶんとご執心だな。そんなに乗りたいのか?」
「何を隠そう今日はここのアトラクション全部乗るつもりなんだから」
隣に並んで自慢げに自分の野望を話すエイミィ。無論、手を繋ぐのは忘れはしない。
「全部は一日じゃ無理だろう。子供じゃないんだから」
「わかってますとも、あくまで建前として。だから乗りたいもの一気に乗ろうって寸法なわけ」
「まったく君らしいな、それならさっそく行くとするか」
「もちろん! よぉし、今度こそクロノ君潰して膝枕ね」
「お手柔らかに頼むよ」
エイミィの枕に興味は沸くものの誘惑に負けては男が廃る。
いつになくご機嫌な彼女に応えるようにクロノは繋いだ右手に少しだけ力をこめる。そして思う。
こっちの夏は――暑いな、と。
もう忘却されてるようなクロ×エイの続き物
覚えてる人いなかったら保管庫で
しかし畜生甘くならねぇ(・ω・`)
これから徐々に糖度を上げていけるよう精進せねば
>>640氏
あ〜なんか忍とシグナムの会話って新鮮
こういうのっていいですよね、本編なかった組み合わせ
さてシグナムのおっぱいのもやもやは晴れるのか(マテ
252 :
ヘボ書きマン:2006/07/10(月) 09:34:16 ID:BC7Y/2M6
〜月と太陽と・・・〜の続きですー。
ではどうぞー!!
253 :
ヘボ書きマン:2006/07/10(月) 09:35:08 ID:BC7Y/2M6
「お待たせ、ユーノ君♪」
漫画とかで、男の子が水着姿の女の子見て鼻血を出すシーンってあるけど、あれはギャグだと思ってた。
・・・すずか、色っぽいとかそんなレベルじゃないよ・・・
頭がクラクラしてくるほど、艶っぽいというか・・・
髪がさらさら流れて、顔や胸にかかるとヴェールでも被ったかの様に錯覚する。
「どうかしたの?・・・ひょっとして、これ似合ってない?」
「え・・・ううん、ただその・・・・」
・・・ボクとホントに同い年なんだよね?
9歳の頃、なのは達とプールに行った頃はただ可愛いなー・・・って思うだけだったのに・・・
今のすずかはあの頃の忍さん並みに色っぽい。
・・・・・ちなみに忍さんと恭也さんは未だに新婚並みにイチャイチャしてて、雫ちゃんの世話をたまに頼まれる時がある。
「ぜぇ・・ぜぇ・・・やっと追いついたわよユーノ・・・!!」
「・・・アリサちゃん!?ユーノ君そっち向いちゃダメッ!!!!」
振り向こうとしたボクの頭を、すずかの手が掴んで引き寄せた。
ぐきっ、とちょっとヤバめな音がした。
むにゅうっ!!!むぎゅうううううう!!!
「!!!?!??!?!?!?!?!!?!?」
「アリサちゃんずれてるよ水着!!見えちゃってる!!!」
「キャアアアアアアア!!!!!!早く言ってよすずか!!!!」
「!!???!!!?!!?」
い・・・息が・・・できな・・・・・
柔らかくて熱くてムニュムニュですずかの匂いがして・・・・・あああああああああああああああ!!!!!!!
落ち着け落ち着くんだ自分!!!!お願いだから静まれ心臓!!!!
すずかの髪がサラサラああああああああああああああああ!!!!
落ち着け自分!!落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け!!!!!!!
「ふう・・・ってすずか!?あんた何やってるのよ!!」
「え?・・・あ・・・ごめん、ユーノ君、苦しかった?」
「・・・・・・ぷはっ・・・・・・・うぅ・・・・」
「あ・・・あははははは・・・・・ちょっとダイタンだったかな?」
「笑って誤魔化すなーーーーーー!!!!」
「えーと・・・・・・・・アリサちゃんも、ユーノ君にする?」
「しないわよ!!!!!」
・・・・・・・・・ゴメンなさい、もう限界です。
「え、ユーノ!?」
「ちょっと、ユーノ君!?」
254 :
ヘボ書きマン:2006/07/10(月) 09:35:53 ID:BC7Y/2M6
「・・・・・ん・・・」
「やっと起きたわね・・・このスケベ」
「・・・・・ごめん」
アタシの膝に、ユーノの頭を乗せている。
正直・・・・・・・心臓が爆発しそうなほどバクバクなのに、あたり一面吹雪いているかの様に震えが止まらない。
「・・・すずか、ジュース取りに行ったから」
違う、アタシが言いたいのはそんなセリフじゃなくて・・・
「うん・・・でも・・・ううん、なんでもない」
「ちょっと、何よ?」
「何でも無いよ」
「何よ!!言いなさいよ!!・・・・・・・・・ごめん」
「わ、分かったよ言うから・・・え?」
いつもアタシはこんな事ばっかり・・・言ってる
「アリサ?」
「・・・・・ユーノ、アンタは誰が好きなの?」
「・・・・・・」
「アタシは・・・アンタしか、見えてないの。どうしようもないくらい・・・・アンタが好きよ。
ユーノが好き。言葉じゃ言えない。こんな・・・アタシの言葉だけじゃ・・・伝えきれない。
ずっと・・・ずっとユーノの事だけ見つづけてるのよ。
魔法なんかどうだっていい・・・・・管理局も・・・どうだって・・・アンタの事をなのはも、フェイトもすずかも見てるのよ?
でも・・・・・アタシは・・・みんながアンタの想ってるって知ってるのに・・・・・アタシは・・・ユーノが欲しいのよ・・・!!
胸が爆発しそうなのよ!!ユーノが欲しいの!!アタシの全部をあげたっていい。世界の全部よりユーノがいいの!!
・・・・・・・・・・・ゴメン・・・アタシ・・・混乱してるから・・・無視して」
涙で・・・何も見えない。
シートにポツッ・・・ってアタシの涙が落ちる音。
「アリサ・・・ボクは・・・まだ、誰が好きなのか・・・分からない。でも・・・・」
・・・・へ・・・・・・?
「アリサが泣くのは嫌だ。・・・それがボクのせいなら尚更だよ。・・・ごめん、気付けなくて。
ごめんね・・・辛い思いをさせて。・・・ホントに、ごめん」
「あ・・・・・」
アタシ・・・ユーノに抱きしめられてる・・・!?
「ユー・・・ノ・・・?」
「・・・最低だね・・・ボクは」
「・・・ちょっとだけ・・・・」
ユーノの体は思ってたよりずっと男らしくて・・・どんどん体が熱くなってくる。
「ちょっとだけ、見直した。・・・だから・・・・・もうちょっとこのままで・・・いて」
「うん、わかったよ・・・アリサ」
耳元で、ユーノの声がする。
でも、ちょっとだけ切なくて、アタシはユーノの背中にまわした腕に力を込めた。
255 :
ヘボ書きマン:2006/07/10(月) 09:36:59 ID:BC7Y/2M6
もうダメ・・・・・こんな気持ちになったのは初めてだから・・・・・どうしたら・・・・・
何て言えば良いのか全然分からない。
心臓は全然収まってくれなくて・・・・・頭はクラクラして何も考えられなくて
ユーノの腕の中は・・・いつも使い慣れてるベッドより暖かくて、優しくて・・・
もっと・・・もっとユーノが欲しいけど、どうしたらいいのか分からない。
「アリサ・・・その・・・さ」
「・・・何?」
「もう・・・離してもいい?」
「キスしてくれたら・・・・・いいわよ」
・・・アタシ・・・今なんて・・・・・?
「・・・え・・・?でも・・・アリサは・・・ボクでいいの?」
「何度も言わせるんじゃないわよ・・・・・バカ・・・・・」
もういいや。このまま、突っ走るのも悪くない。
せっかくアタシの素直な気持ちをコイツに伝えられてるんだから。
・・・・・でも、ユーノなら責任とってくれる、なんて考えてるあたり、アタシ悪女なのかも・・・
「ん・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・アリサ・・・・・」
(ぞくっ・・・・!!!)
ユーノの声でアタシの身体に電気が走った。
ホントに・・・こんな風になるんだ・・・・
「ユーノ・・・・・ん・・・」
「・・・・・」
唇がユーノの唇で塞がれた。
それだけなのに・・・・・身体がさっきよりも加速度を増して熱くなってくる。
ノドがカラカラになる・・・・・
もっと・・・もっとコイツが欲しい・・・!!!!
(ユーノ・・・アンタが好き・・・っ!!ずっと・・・ずっと想ってたんだから・・・!!!)
ユーノの後頭部を両手で引き寄せる。
ユーノの口の中にアタシの舌を突き出す。ビクッ、てユーノの身体が硬直した。
・・・・・ちょっと、早すぎたのかな・・・?
256 :
ヘボ書きマン:2006/07/10(月) 09:37:54 ID:BC7Y/2M6
でも、その考えは違ってたみたいで・・・
アタシの背中と後頭部に腕が回されて・・・抱き寄せられた。
・・・これ、傍からみたら物凄い熱烈なキスよね・・・・・
思ってた時に、ユーノの舌がアタシのモノに絡んで来た。
やだ・・・ううん・・・嫌じゃないけど・・・・・
ぴちゃぴちゃって・・・口の中からすごくHな音・・・
食べられそう・・・だけど・・・
「っは・・・・・ねぇ・・・もっとして・・・!!」
更に唇を重ねてユーノと舌を絡ませ合う。
もっと欲しい・・・もっとして欲しい。
もっと・・・・もっともっともっともっともっとユーノが欲しいよ・・・!!!
ユーノの左手を掴んで・・・右胸に押し当てる。
もっとユーノに・・・アタシを求めて欲しくて・・・・
それはユーノも分かってくれたみたいで・・・
むにゅ・・・・とアタシの胸が歪む。
ぐにゅぐにゅと、胸が触られるけど・・・・・こんなんじゃ全然満足できない。
右手をユーノの手に重ねて、胸を潰す様に激しく動かすと・・・ユーノは分かってくれたのか、いきなり舌を絡ませるスピードを上げた。
(何、これっ・・・!?)
もう、お互いブレーキは利かなくなった。
でも・・・いい。
このまま・・・最後までしちゃっても・・・いいかな・・・・・
・・・・・・・・唐突に、唇が離れた。
「え・・・?」
「ごめん・・・このままじゃ・・・止まれそうになかったから」
「・・・・・・・・・・・・・」
「その・・・」
「ユーノの・・・・・」(フルフル・・・)
アタシは・・・・・
「バカァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!」
思いっきり手加減なしのソバットをユーノに叩き込んだ。
ようやく帰ってきてアタシの姿を見て声をかけようとしたすずかの横を抜けて、一目散に逃げた。
・・・ムチャクチャにも程がある、って我ながら思ったけど・・・・・
257 :
ヘボ書きマン:2006/07/10(月) 09:42:37 ID:BC7Y/2M6
うーん・・・女性の側からのキス・・・こんな風でいいのかな・・・?
つーか・・・キスの描写初めてだったんですよ。
さて、次回はすずかメイン!!当然ながらタイトルイメージの通り月のイメージです。
・・・さて、どうやって書いたらいいんかな・・・?
じゃ、また次回!!ノシ
あァ、シグナムさんの続きが激しく気になる…
シグナムのおっぱいの高鳴りはおさまるのか
>>ヘボ書きマン氏
そのー、批判めいたことで申し訳ないんですが、
・前書きに略して、ではなくて本文中にきちんとタイトルがあったほうがいいんじゃないかと。
・予告なく唐突に一人称の視点が変更するのでやや読み辛いです。アリサ視点かと思ったらユーノ視点だった。みたいな。
・折角投下してくださってるんですから、そのコテはどうか思うんですよ。
「いや、私こういうのしか書けないんですよ、だからこんな名前なんで」
みたいな感じに聞こえちゃいます。
あといくら自分で選んだ名前とはいえ、レス付ける側からしたら人を呼ぶのに「ヘボ」なんて文字書きたくないですよ・・・・
260 :
無銘兎:2006/07/10(月) 19:56:26 ID:asmfCkyn
>>ヘボ書きマン氏
でもそれさえ覗けばすっげぇ面白いっす。
続き待ってよ〜。
>>259 うーん、じゃあ名前何にしよう・・・?
ふたばの二次裏で名乗ってるハンドルネームじゃまずいだろうし・・・
>予告なく唐突に一人称の視点が変更するのでやや読み辛いです
オリジナルは今も残ってるんで修正して出すのも良いんですが・・・
どうしたものか。
名前欄を変更で良いのかなぁ・・・?
タイトルもやっぱり独立させるべきでしたね・・・
意見&感想ありがとうございました。
≫262
広告はやめれ
>>261 目欄に「ヘボ書きマン」
名前は「二次裏ガンガン生出しお兄ちゃん赤ちゃんできちゃう!」
でおk。
>
>>259 他はもっともだと思うがコテに関してはちょと意見したい。
このスレのコテは初発言番号が多い。そんな中あえて自分が考えたコテ
を名乗るのは相応の理由があるからだ、と思う。
たとえそれが259が不快に思う名前であったとしても。
それが書き手のプライドだと思う。作品の批評大いに結構!だが俺の名
前にまで文句を言われる筋合いはない!ってとこじゃね?
ただヘボ書きマン氏も259一人に言われて速攻改名しようとしている辺り
259が正しかったのか、とも思った。
十人十色とも言うが、俺の色はこんな感じ。
>>265 なんのレスも付かなかったのを書いた事がある漏れが真のヘボさね。
8スレ152・・・で良いのかな?
自分で忘れるかもと思ってコテやってたんですよ。
何時が初出かその内忘れちゃうかも・・・って
記憶力悪過ぎだよ自分・・・orz
よし安価だ!
ここはVI(ry
死
向上中の意味を込めて「昇り竜」とか「滝登り鯉」とか。
名無しさん@進化中
>>265 >このスレのコテは初発言番号が多い
そういえば専ブラ使っててちょっと疑問に思ったんですが、
保管庫で、作者の区別のために、便宜的に作者名を初発言番号で表すのは分かる。
でもスレの中で名無しの人にコテをつけてしまって(初発言番号であっても)
そのコテにレスアンカーするのってわかりにくくないですか?
コテを名乗るつもりのない人については、投下されたSSの後書きが書いてあるレス番にアンカーしたほうが、感想を読む方も読みやすくないか?
って気になってたんですけど、書き手の方々は、そういうところ不便に思ったりとかないですか?
私からでしたっけ?レス番をコテに使いだしたのは。
確かにたまに分かりにくいときもあるかもです。
たまに度忘れして、過去ログ引っ張りだして参照したり…
この際、コテ名を考えた方がいいかも知れませんね。
ところで、憶えいる方がいらっしゃったら、外伝のファリン話は無かった事にしていただけませんか?
273 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 20:46:32 ID:TzRAVxQa
>>ヘボ書きマン氏GJ!
そこまでやってあえて焦らすとは、オソルベシ淫獣…。
これでアリサはどんどん、欲求不満の淫乱になっちまうわけですな(違
ところで名前のことですが、ブラジル水着というのはどくぁwせdrftgyふじこlp
274 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 14:32:45 ID:mC70q8ji
>コテ
これまで通例だったものを急に変えても混乱するだけだと思うがな。
549氏が保管庫にまとめる時の手間考えたら変に変えない方がいい気ガス
ところで話は全然変わるが皆の趣向はベスト5くらいをあげるとどんな感じ?
俺は
549氏の「Call me name!」
640氏の「変わり行く二人の絆」
4の422氏の「もう一人の私へ・・・」
480氏の「RPGクイズアースラの一夜」
聖氏の「自慰」
ってなとこなんだが。
うわ、あげちまった、ごめ。
コテをつけるつけないの話じゃなくて、感想レスの安価の仕方の話じゃないのか?
4の422氏サイト開設おめでとうございます
これからも頑張ってくださいね
>>277 ・・・いやまてw
HPを作った覚えは脳にはないのだが、いったいどこのサイトだそりゃ(^^;)
管理局の陰謀か?w
え?俺もCherryLight上がってるの見ましたよ?
私も見ましたよ。
ちょwwwならあのサイトだれのwwwwww
すいませんどこのサイトですかそれkwsk
うーん( ̄〜 ̄)
あのサイトはなんなんだ?
4の422氏=3の176氏じゃないですよね?
俺だってHP作った覚えないよ
それに4の422≠3の176で別人ですよ〜
大体サイト作る暇あったら書いてるってw
アースラの朝は盗作であると白状したな
だがチェリーライトについてはまだ言及していないようだ
というか、↑のサイトの人間が4の422氏(というかCherryLightの作者)なら、
4の422氏のトリップ知ってないとおかしいんだよね。
その辺つっこんだら一発でわかるんジャマイカ。
つか盗作イクナイ
>>283 ちょっとまてーーやーーーー
なんだこのサイトは
だいたいここを唯一の発言の場にしてるのになんでHPで公開せにゃならんのだ。
そもそもあの区切りはタイトルテロップががあって初めて生きてく…いや、それはどうでもいい。
こーゆーのはどうしたらいいんだろう?
あっちの掲示板にでも何か書き込めばいいのか???
謝罪が出たね
書き込みしてくる、これはちと許せん
うわっ、盗作!?
言及が直されてる…
書いてきますた
一応言葉は選んだつもり・・・なんだけど、頭に血が上ってるぽい、俺orz
余計なことしたかな・・・orz
>>640さん
いぁ、いいこと言った。具体的には自分が書こうとしたことそのまま書いてあったくらいw
私いつあなたに念話しましたか?w
>>4の422氏
ああ、なら安心しました。では執筆に戻りますー。
・・・しかし第四話、今週中に投下できるのか・・・orz
すげえ……。
盗作したのはごめんなさい。リリカルなのはのファンを名乗る資格もありません。でも今度また新しい小説載せます。
何だこの思考回路。
念話w
うっわ〜、ヒドス
せっかく書き込んだからレス返ししておこーw
>>200さん(、201さん、前91さん、155さん)
貴様らそんなにエロが好きかっ!俺も好きだっ!いや大好きだっ!同士よ!!w
ちくしょう、お蔵入りのつもりだったがエロシーンをエピローグ2にすることにしたぜーw気長に待ってね(^^;)
>>201さん
これとどうかぶったのかが非常に気になる所ですが(^^;)もしかしてそちらもクロなの書いてました?
>>202さん
> 成長して真一郎と再会するんですか!?そして真一郎は誘拐犯に間違われる(笑)のですか!?
そこまでいくとそれはもう「リリなの」クロスオーバーではなく「とらハ」クロスオーバーになってしまうので無理かとw
>>203さん
>N2K
よかった、反応してくれる人がいてwあなたいい人ですw
>>206さん
美由希弁当を愛の力で食べるアレックスの図、がMy見解ですw(要:胃腸薬)
>>ヘボ書きマンさん
む、とらハ3以降な方でしたか、分からないネタで申し訳ないです。もちょっと万人向けにするべきでしたか、今後精進しますので。
>>前91さん
こちらこそありがとうございます。あの一言が新天地を生みました。私でもラブが書けるんだ、とw
人間なんでもやってみるもんですな。あっはっは。
>>155さん
あなたユーノ派でしたか…んなこと一言も言ってなかったやん!w
あのスタバでの打ち合わせ(?)はなんだったんだよーw
あと最近ネカフェ行ってません(^^;)明日(もう今日か)仕事なんで、ちょっと帰り寄ろうかな。
ブースの扉の下に灰皿置いておきますので、それ目印にしてください。明日以降も同様ってことで。
>>176さん
>第4話の方
む、確かにアリサが吹っ飛んでても何の問題もなく救済されてる。よかったよかった。
> ちなみになのはに救いの手が差し伸べられるのはもう少し先で(スマソ
まだ引っ張るのかーーーーーーーーーーw
というか糖度200%書いておいて私ので砂糖吐くとは、これまたご冗談をw
>クロエイミィの方
2人のからみよりも、うろたえるフェイトとかなのはを想うフェイトとか握りつぶされるバルとか、んーナイスw
あと盗作についてはお互い…なんだ、まぁ、ザフィかアルフに噛まれた、と思ってw
>>640さん
シグナムさんとシャマルの混浴……湯船に浮かぶ乳を4つ連想した私はもうダメかもしれないw
198さん、204さん、205さん、210さんもレスありがとうございます。
自分こんないっぱいレス付いたの初めてだな。そんなにクロなの派多いのか(^^;)どうもありがとうございました。
しかし…自分の作品が盗作に合うとは…世の中なにが起こるかわからんもんだな、ほんとにw
…反省してるようなしてないようなよくわからない対応だが…別に私が書き込む必要も無い…かな…荒れるだけだろうし
>ザフィかアルフに噛まれた、と思って
/(・ヮ・*)\「アルフを何だと思ってるの?」
((・∀・)x)) 「うちのザフィーラをあんなのと一緒にせんでほしいな」
せっかくだからついでにもう1つ。
>>274 ベスト5、はちょっと選べないです、が、
自分は446さんの「ラブレター(仮題)」が一押しです。
これを見て数年ぶりに執筆意欲がわいて今に至ります。
あとは自分の作品全部かなー!(己バカw)
盗作野郎は閉鎖して逃げたようです。
どうやら逃亡した模様です。
まあなんだ盗作野郎はばれないと思ったのか?
>>640氏
>>4の422氏
これからも頑張ってください。
>>277を見てから、そのサイトを探してたんですが
見つからないなーと思ってるうちにもう消えてるんですねwww
みんなチェック早ぇ。
シグナムさん話がえらい難産です、先生。
次回か次々回くらいに過去編が入るやもしれませぬ・・・。
てなわけで四話いきますー。
空は、晴れていた。
海岸沿いの道路から見える海は穏やかで、殆ど雲も見えない、
まさに快晴と言っていい、秋晴れの空。
「シグナム、もうすぐ着くわよ、起きて」
そんな光景を見ながら車に揺られていて、いつしか寝てしまっていたのだろう。
シグナムは肩をゆすってくるシャマルの声に、ぼんやりと意識を覚醒させていった。
「……ん、あぁ……。すまんな、寝ていたか……?」
うっすらと開いた目に、窓ガラスを透過する昼の光が眩しい。
目を細め、体重を預けていた肘を窓枠から離すと、目覚めはあまり悪くなかった。
「よく寝てたわよ?やっぱり夜勤明けだから?」
シャマルが目線を前方へと戻すと同時に、車が動き出す。
休日のたびに教習所に通って免許をとったという彼女の腕は、乗っていてまずまずだといえる。
バックミラー越しに後部座席を見ると、子供達がはしゃぎ疲れたのか、
仲良く寝息をたてているのが見える。
「いい夢、見れた?」
前方の車についていく様に、左折のウインカーを出しながらシャマルが聞いてくる。
──夢。見たような、見なかったような。
うっすらと、なにかを覚えているような気がした。いつか見た、誰かの顔を。
「どう、だろう──な」
はっきりせずとも、覚えているのならば、見たのだろう。
そしてそれは今の気分からして、さほど悪くないものだったように思える。
何か、誰か。大切な人が。なんとなく、その夢には出てきたような気がした。
それはきっと、心穏やかに、大切な人と過ごすことのできた時間、その時間の光景であったに、違いないから──……。
魔法少女リリカルなのはA’s −その想い、緋に染まる暁のように−
第四話 水面に映るは、それぞれの想い
「わぁー……」
ホテルに到着後、水着に着替え。
せっかくきたのだから、楽しまなければ損とばかりにプールへとさっそくやってきた一行の前に広がるのは、
ただ単純にプールと呼ぶにはあまりに広大な、レジャー施設であった。
「お父さんの知り合いの人が、ここの経営やってるらしくて。それで、紹介してもらったんだって」
通常の競泳用プールにはじまり、子供用の浅いもの。
砂浜の作られた波の打ち寄せるプールに、ウォータースライダーまで。
そのあまりの広さに声をあげたなのはをはじめとし、
キョロキョロとせわしなく視線を動かす一同へと、紺色のビキニをつけた忍が説明する。
「さ、私はノエルや恭也とここにいるから、みんな楽しんでらっしゃい」
右手のプールサイドにあるベンチを示して、忍が言う。
士郎や桃子といったいわゆる大人の方々はホテルで休んでいるため、実質彼女達が
子供達の保護者ということになる。
「……いいのか?」
「いいの、いいの。シグナムも楽しんできなさいって」
一応聞いてみるシグナムのほうも、今はちゃんと水着だ。
先日の買い物で忍に選んでもらった、黒のシンプルな水着。
さすがにそれだけでは肌の露出が多くて恥かしいので、上からパーカーを羽織っているが。
「よく似合ってるわよ」
「し、忍……!!」
「シグナム、なんしとるんや、いくでー?」
はやての声に、シグナムはびくりと肩を震わせ。
そちらのほうを一度向いてから、忍のほうをもう一度見返し、
戸惑うように何度も振り返りながら、競泳用プールの向こう側で手を振る家族の下へと歩いていった。
彼女の視線が、自分だけでなく。
隣に立つ恭也にもまた注がれていたことに、忍は気づかなかった。
* * *
「そっか……シグナムさん、まだ調子、いまいちなんだ」
ぷかり、ぷかりと、波に揺られる少女たち。
各々、浮き輪やら、ビニール製のボードやらに乗ってのんびりと水面を見つめながら語らいあう。
しばらく遊んで疲れたあとの、和やかな休憩タイムだった。
「うん……シャマルが色々聞いたらしいんやけど……」
そして、話題となるのはやっぱり、ここ最近のタイムリーな話、シグナムの変調のことである。
「この旅行中に、元気になってくれるといいんだけどね」
「ほんま、そうやなー」
空気入りのシャチに跨ってゆらゆら揺れていたはやてが、ちらと陸地のほうに目を向ける。
そちらではまだ元気な一団──ヴィータにアリサ、すずかといった面々が、ビーチバレーに興じている。
白熱した試合が続いているところを見るに、彼女達はまだまだ元気いっぱい、
闘志も十分なようだ。
「あー、ほんまええとこやね、ここ」
「ほんと。天気もいいから、天井のガラスが眩しくて綺麗だし」
「……これでユーノがいれば最高だったのに、とか?」
「えっ!?ち、ちがうよー、フェイトちゃん、やめてよー」
なのはの言葉に続いて、さらっとフェイトの言った一言。
彼女の言った人物の名前に、なのはは思わず浮き輪の上からずり落ちそうになりながら赤面する。
「おーおー、紅くなっとる。ええやん、別に」
「だーかーらー、そんなこと思って……」
「本当に?」
「う」
二人の追及に、言いよどむなのは。
「先月やったっけ?お二人が付き合いだしたんゆーたの」
「は、はやてちゃんまで……」
いつの時代も、女の子にとって色恋の話は一番の話題である。
つい最近できたばかりの、ほやほやカップルについての話は、当事者がいることもあってこれまたタイムリー。
初々しい反応を見せてくれるなのはだから、余計にはやては彼女のことをいじってくるのだ。
ま、もっとも。
傍から見ていてなのはにユーノが好意を持っているのは明らかであったし、
なのはも憎からず思っていたのは非常にわかりやすかったため、そのことを打ち明けられたときも
大して周囲は驚きもしなかったのだが。
「で?どこまでいったん?お二人は。ええことしとるんちゃうかー?」
「ちょっと、はやて。それは」
「あうぅ……」
にやつきながら聞いてくるはやてはもはや、半ばセクハラ親父と化していて。
さすがにフェイトが言い咎めるも、なのははさらに頬を真っ赤に染め上げていく。
「……てちゃんだって」
「へ?」
「そんなこと言ったら、はやてちゃんだって最近、クロノくんとよく会ってるって聞いたよ?どうなの?」
「あ、え、えーと。それはやね」
そして、あまり調子に乗ると、こうやって地雷を踏んでしまうわけだ。
壁に耳あり、という言葉もある。あるいは、自業自得か。
一体どこからその情報を、と思うものの既にあとの祭り。
案の定、フェイトがジト目でこちらを見ている。
「あー、それは私も聞きたいなぁ。クロノの妹として。兄の交際関係は把握しとかないと」
「フェイトちゃん?なんか目が笑ってない気がするんやけど?」
「気のせい、気のせい。さ、続けて」
「フェイトちゃんはなんか……」
「ごまかさないの。それに私は、特に何もありませんから」
これは、やっかいなことになった───。
乾いた笑いでごまかしつつ、はやては、いかにしてこのちょっとしたピンチを乗り切るか、思案していた。
いくつかある手札を、切るべきか。ごまかしは彼女の言うように、きかなそうだ。
* * *
私は、何がしたいんだろう。
何をしたら、どうしたら人生を楽しむことになるのだろう。
シグナムはプールサイドに腰掛け、水を爪先で弄び、自身を懐疑する。
周囲に他の客がいないわけでもないというのに、そうしていると不思議と水の音しか聞こえなくなって、
自分ひとりがそこにいるような感覚を覚える。
それはまるで、過去彼女が経験してきた、悠久の孤独と似通っていて。
今の暖かい生活に慣れた心には、ひどく冷たいものに感じられるそれはかつて、当たり前のものだった。
(人生を楽しめ───、か。昔にも、一度だけ言われたことがあったか……)
主はやての幸せこそが、自分にとっての幸福だと、シグナムはそう思う。
けれど、そういうことではないのだろう。
忍といい、遥か昔にその言葉を言った人物といい。
言いたいことはきっとちがう。
そして彼女は今、別の何かを、見つけつつあるのかもしれない。
そっと、その豊かな胸に手を当ててみる。
恭也の顔、立ち振る舞い、その太刀筋。それはやはり、何度思い浮かべてみても
彼女に薄ぼんやりとした過去の記憶をフラッシュバックさせ、心をしめつけてくる。
「───……。私は、赦されるのか?貴方のことを思い出して、よかったのか?」
その名前は、おそらくは他の守護騎士たちも覚えていまい。
彼女だって、わずかに曖昧な記憶が今、残っているに過ぎないのだ。
ただはっきりと覚えているのは、その名を、呼び名を持つ人物を、彼女自身の手で斬った、ということだけ。
血の海に沈み、息を掠れさせていく、一人の男の姿が、顔が。恭也と重なる。
恭也との試合の中で思い出した感覚、それは───自身の手に残る、斬撃の残り香ともいえる赤い血だった。
(……私は、斬ったのだ。なのに……)
恭也のことを思うと。恭也と忍の、睦まじい光景を目にすると、辛い。
そう思う自分に気づくたび、一層辛い。
それは鮮血の記憶が、目覚めてしまったから。
自分の斬った人物と恭也が、あまりにも重なるから。
見上げた空が、眩しくて、遠い。
自分の手で彼をその先へと旅立たせた罪悪感が、彼女に抗議しているようにすら感じられる。
お前に、人生を楽しむことなどできない。
お前は、赦されることはない。そう言っているようで。
彼女自身の心にある想いを、それは際限なく非難し、責める。
ことここに及んで、シグナムは自身の内に生まれた想いそのものが何であるのか、理解しつつあった。
ただ、対処法はまだ見つかっていない。
彼女は、惹かれていた。と同時に、恐れていた。
高町恭也という存在に。
彼が、あまりにも似すぎていたから。
かつて彼女が密かに慕い、想いを寄せていた存在に。
かつて、主に命じられるまま斬り捨てたその存在に。
八神はやてという少女に出会うまで、
守護騎士たちを人間として扱ってくれた、ただ一人の存在に。
だから、惹かれた。
だから、恐れる。
後悔することの辛さが、身に沁みているから。
後悔を忘れていたこともなお、それに拍車をかけるから。
彼とともに過ごした日々が、恭也とともに過ごす日々が。
いつか終わりを告げるとき。その引き金を引くのがまたしても自分になるのではないか。
そう思うと、恐ろしくてならない。それは忍やなのは達を裏切ることでもある。
背中を預けあい、信頼しあった者を裏切ることほど、辛いことはない。
「どうしたら、いいんだ──……?」
だから、認めたくはなかった。
自身の内に生まれた、人を思慕するその想いを、なおさら。
大空にひとつだけ浮かんでいた大きな雲が、
太陽を丁度すっぽりと隠して、彼女の顔に影をつくっていった。
数日振りに来たんですけど、なんか盗作問題があったようで・・・。
書き手じゃない自分がこんなこと言うのもなんですが、
今後もこんな事態が起きないとも限らないので、似たSSを発見したらここで教え合っていってはどうでしょうか?
もちろん、過去に2ちゃんで書いていた人(例えば下のHP。ただ過去に2ちゃん掲載と書いてある)
ttp://vollmond17.hp.infoseek.co.jp/ がHPを持ったりもしてるので判別は難しいかもしれませんが。
ちなみに八神家の車は月村家からの借り物です。
さすがに車なんか買ってやってたらグレアムおじさん破産しちゃうよきっと。
次回あたりオリキャラがちょびっとでてくるかも。
なるべくシグナムのモノローグで済ませるつもりではありますが。
正直頭の中が若干混乱中……orz
>>176氏
うん、フェイトはクロノにザンバーぶっぱなしていいと思うんだ(待て
>>ヘボ書きマン氏
好きなようにコテつけちゃってください。
>>4の422氏
ほんと、昨晩はお疲れ様でした。
速攻消えたようで何より。
いつぞやの荒らしもどきです
ちびリインの甘い話をご所望とのことでしたが、如何様なものをして「甘い」とされるのでしょう
夜神家のほのぼのな出来事のような感じで良かったでしょうか?
恋愛系になるとほぼ確実に相手がクロノになるのでオススメしかねます。
遅筆なもので、最低でも完成に1ヶ月はかかると思いますが、
ご迷惑かけたお詫びとして、稚拙ではありますが精一杯書かせていただきたいと思っています。
>>311 >いつぞやの荒らしもどきです
といっておきながらお前は
>恋愛系になるとほぼ確実に相手がクロノになるのでオススメしかねます。
>遅筆なもので、最低でも完成に1ヶ月はかかると思いますが、
なんでそんなにえらそうなのさ、条件だしまくって
余計なこと言わずにただ投下してりゃ波風立てずに済むものを。
自己主張したくてしかたがない年頃なのさ
ここで空気を読まずにアテクシのベスト5を自己主張させてくれ。
「魔法少女リリカルなのはA's-変わりゆく二人の絆-(含・買い物に〜)」
「彼女の守り手」
「インジュー・ジョーンズ 最後の晴天」
「カルマ」
「魔法少女リリカルなのはA's+」
彼女の守り手が、このスレで1番最初に見た話でヒュードラの姿形を
妄想してノートに描いたりと、思い出深かったりするわけですよ。
ハーレーとか、メートヒェンとか。 あぁ…、なつかしい…。
>>312 また気に障るようなことを言ってしまったようで本当申し訳無い
>>311 >ちびリインの甘い話をご所望とのことでしたが
実体化したリインがはやてに甘える話。はやてと一緒に
遊ぶフロ食寝る、のごくごく普通の日常きぼん。
>>317 ここでさらに空気を読まずに、
漢達の挽歌とか散ル明日のアナザーエンドとか言ってみるテスツ。
>>295 盗作野郎の名前、「フフフ」とかいう名前じゃないか?
発言みる限り、まったく同じ思考しているんだが。
ヤツも盗作がバレたときに同じようなこといっていたんだよな。
盗作ネタでスレ伸ばすのはもういいよ。
ここでもっと空気を読まずに、ダーク系が好きな俺は、
○○新聞からの抜粋、散ル明日の本編、砕かれし力折られし心と言ってみる。
捕われのフェィトが未完なのが残念な分、640氏の世界の終わりには激しく期待している。
あと4の422氏にもハード系をもう一度キボン
「カルマ」の続き、書いてくだちぃ…
323 :
無銘兎:2006/07/18(火) 23:51:22 ID:/uWnv0vM
確かに、あの続きは気になるなカルマ。
どこかのサイトで正規連載されてたような気もするが、何処だったか…。
スマン、想いダセン。
〜月と太陽と…〜は展開次第ですが個人ランクでは上位に取って代わりそうだ。
出ないと言ってましたが、主力三人娘が来たら、
ひぐらしが鳴かずとも学校日々以上に凄まじくなりかねん。
>>323 同作者の作品"Grenze & Vertrauen"でぐぐってトップに来るリンクページから辿ろう。
ただしカルマは後退してるのでそのつもりで。
>〜月と太陽と…〜は展開次第ですが個人ランクでは上位に取って代わりそうだ。
へぶぁっ!?(吐血
が・・・頑張ります・・・ゲフッ・・・(喀血
>主力三人娘が来たら
すいません死ねますご勘弁をっ!!!
てなわけで・・・
〜月と太陽と…〜
全年齢パート(R指定かな?)投下!!
326 :
すずか:2006/07/19(水) 12:44:12 ID:o64aVgbK
「〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・!!!!!」
「だ・・・・大丈夫?」
「あ・・・あははは・・・・」
ユーノ君は、お腹を抱えて猫のように背中を丸めて・・・
私のところからも聞こえるような一撃だったから、相当だよね・・・
でも、確認はしないと。
「ユーノ君、アリサちゃんと、どこまで『した』の?」
「・・・み、見えてたの・・・!?」
「ユーノ君、私の正体知ってるはずだよ。見えちゃうし、聞こえてたよ」
「う・・・・・・」
真っ赤になってうつむくユーノ君。
でも、やめてあげない・・・・・・・・だって・・・・
「アリサちゃんに決めたんだよね」
「え・・・・?」
・・・・・え・・・・・?
決めて・・・なかったの!?
「・・・・・その・・・キス、してたよね?」
「う・・・うん」
「何で?」
「その、勢いでしちゃったし・・・」
・・・・・うん、分かってるんだ。
ユーノ君がものすごく鈍感で、そんな言葉をを通り越した地点にいるなんて事は知ってるよ?
私達のクラスの男の子みたいな人達とは次元すら違うんじゃないかって思う程のレベルだって分かってるよ?
・・・・・どうして、好きになっちゃうかなぁ、私も。
でも・・・だったら・・・・・・・
「すずか・・・?」
こうしなきゃ。
こうでないと、伝わらないから。
「・・・・・・・ユーノ君・・・」
「な、何?」
「私と、キスしてみない?」
327 :
ユーノ:2006/07/19(水) 12:45:32 ID:o64aVgbK
へ・・・?
「アリサちゃんに出来て、私に出来ないの・・・?ねえ・・・・・・ユーノ君?」
ごめん、すずか!!眼赤くして迫らないで下さい怖いから!!
すごく怖いくらいに綺麗だけど・・・
「いや・・・そういうわけじゃないし、アリサとキスしたのはそうしなきゃいけないと思った事態だったからで・・・」
「・・・それであんなにすごいキスしてたんだ・・・?」
「え・・・あ・・・いや・・・その・・・拒むとアリサに悪いかなって・・・」
「アリサちゃんは受け入れて私はダメなんだ・・・・・ふぅ〜ん・・・」
すずかのカラダはボクの身体にぴっちりくっついて・・・お互いの目元以外、殆ど見えない状況。
すずかの眼・・・真っ赤な眼・・・
その眼が、じっとボクを見つめる。
「いや、ダメとかそうじゃなくて!!」
「・・・ユーノ君、しっかり答えてくれないと・・・私、怒っちゃうよ・・・?」
え・・・?さっき、ボク起き上がったよね・・・?なんで・・・後頭部がシートについてるの!?
ずん、とボクの肩の上あたりのシートにすずかの手が落ちてきた。
ゆさっ・・・とすずかのビキニのすれる音が妙に耳に残った。
「ねぇユーノ君・・・ちゃんと答えて・・・?」
「・・・そりゃ、ボクだって男だから・・・その、すずかみたいに綺麗な子とキスできるのは嬉しいよ。
でも・・・・・・・・すずかのやり方って、間違ってると思うんだ。こんな・・・・・無理矢理なやり方って・・・」
「分かってないのはユーノ君の方だよ・・・・・!!」
すずかが僕の身体から離れて、眼を一度瞬きして元に戻した。
「・・・ずっと我慢してたんだよ?ユーノ君にかまって欲しかった・・・だから、側にいたくて、無限書庫に行くようになったんだよ。
女の子だって・・・・・キスしたいし、抱きつきたいし・・・Hな事だってしたくなるんだよ?
私やアリサちゃんが告白したのだって、ユーノ君がいつまで経っても気付いてくれないからだったのに・・・・・
・・・今だって、ものすごく恥ずかしいんだよ。
アリサちゃんにあの水着選んだのも・・・私がこんな水着着てるのも・・・ここの島に来たのも・・・・・全部ユーノ君の為だよ?
私・・・ユーノ君が欲しいの。タダで欲しいなんて・・・言わないよ?
私はね・・・・・ユーノ君の為なら、何でも出来るよ・・・?
・・・・・・・・・・・・・・・ユーノ君、私の事・・・キライなの・・・・・?」
どうして、すずかの目から逃げられないんだろう・・・
女の子って・・・不思議だ・・・。
すずかだけじゃなくて、アリサの目も、こんな風に・・・って、女の子と2人っきりの時に他の子の事は考えちゃダメだったっけ・・・
「嫌いなんて、そんな事・・・」
「じゃあ・・・どうして?」
「どうして、って・・・」
「ユーノ君が優しいのは分かってるけど・・・私達・・・もう限界だよ・・・
手を出してもらえないって・・・凄く、辛いんだよ?・・・・・私・・・もう・・・我慢できないよ!!」
「す・・・んんっ!!!」
すずかに押し倒されて、甘い匂いに襲われたと思った瞬間、唇が重なった。
アリサの時より、全身を重ねられて・・・・・足が絡め取られてて・・・・・・・
逃げようとしても無理そうだった。
328 :
すずか:2006/07/19(水) 12:46:58 ID:o64aVgbK
私はユーノ君の返事より早く唇を重ねて、押し倒した。
やっと・・・捕まえた・・・・・♪
「ぷはっ・・・・・・・・すずか・・・・・」
「ユーノ君・・・」
ユーノ君、スイッチ入ってる時と、そうでないときがあるんだよね。
・・・でも、まだ入らないみたい。
「ユーノ君・・・・・イヤなら、ちゃんと言わないと・・・」
「イヤじゃないよ・・・でも、ホン・・・んむっ!?」
ホントにいいの?だよね・・・もう・・・ユーノ君ってばオクテ過ぎるよ・・・。
そこも好きだけど・・・こんな時くらい積極的でもいいのに・・・
重ねた唇の中で舌を伸ばしてみる。確か・・・舌同士で絡ませあうんだよね・・・?
やだ・・・すごい音・・・でも・・・・・まだユーノ君は積極的になってくれない。
「んんっ・・・ぁ・・・んむ・・・・」
「・・・んぅ・・・・ん・・・」
あ・・・♪
ユーノ君の舌・・・捕まえたっ♪逃げちゃ、ダメだよ?アナタは今私のモノなんだから・・・ユーノ君・・・・
「んっ・・・・!?」
「ん・・・ちゅ・・・・んんっ・・・!!」
ん・・・ユーノ君って、こんな味なんだ・・・・・背中がゾクゾクして・・・気持ちいいよ・・・あ・・・舌、絡ませてくれた・・・♪
ユーノ君のサラサラな髪に右手の指を通して・・・左手はユーノ君の腰に・・・
女の子みたいにすべすべな肌で、髪の毛も良い匂い。
いいよ・・・もっと、舌絡ませても・・・ユーノ君・・・美味しいよ・・・♪
積極的になったユーノ君の舌と・・・私の舌・・・・・せっくすしてるっ・・・!!
アリサちゃんが夢中になっちゃう気持ち、分かる気がする。ううん、分かるよ・・・・・独り占めしたくなって、全部欲しくなる
・・・そんな魅力が、ユーノ君にはある、って事。
ああああ・・・すごいよ・・・・・身体が・・・・言う事聞いてくれない・・・!!
「ぷはっ・・・・・・はぁっ・・・はぁっ・・・・・」
「・・・じゃあ、こっちも・・・ね?」
「すずか・・・え・・・ええええええ!?」
私は・・・左手をユーノ君のパンツの中に入れて・・・・・
ほらっ♪
見ーつけたっ♪
329 :
ユーノ:2006/07/19(水) 12:48:56 ID:o64aVgbK
「ちょっと・・・すずかやめ・・・」
「ダメだよっ♪・・・うわ・・・・・おっきい・・・」
・・・情けない・・・
もうボク自身はアリサに迫られた後あたりから・・・その、収まりがつかなくなっていた。
ソレが、すずかの白い手で引きずられるように外に出される。
「・・・(ごくっ・・・)・・・ユーノ君・・・すごく、熱いね・・・」
「・・・ボクだって、男だから・・・」
「・・・・・ねぇ・・・私も・・・・・ユーノ君の事・・・・・『ユーノ』って・・・呼んでも・・・・・いい?」
全身を、震えが通り抜けた。
ボク自身のモノがすずかの指に絡め取られて・・・
「いいよね・・・?ココ、こんなに・・・嬉しそうだよ?」
「あ・・・うう・・・・・」
うう・・・ボクのバカ・・・・・・
「ふふふっ・・・・・ユーノ・・・・・エッチな顔してるよ・・・?」
「うっ・・・・・」
すずか・・・ホントにボクと同い年・・・?
あれ・・・今・・・『ユーノ』って・・・・・
「・・・・・今は・・・これくらいに・・・・・ね?・・・・・フフッ・・・・・後は夜のお楽しみだよ♪」
「え・・・・・?!」
ええと・・・・・最後まで、なんて言わないけど・・・こ、このままなの!?
「ユーノ・・・なんで、今日なのか・・・分かるかなぁ?」
・・・・・まさか、2人とも危険日・・・・・ってだから何を考えてるんだ今日のボクは!!!!熱さでどうかしてるぞ!!!
「今、『危険日だから』って考えた?」
クスクス笑いながらボクのものをパンツに仕舞っていく。・・・・・外から見てもすぐ分かるほど大きいままで・・・
・・・アリサに見られたらどうしよう、これ。
「今日は・・・満月だよ・・・知ってる?女の子は・・・・・満月の時はね・・・すごくHになるんだよ・・・?
それに・・・・・私の一族の事・・・話したよね?きっと、夜の方が、ユーノ君満足してくれるから・・・・・」
そう言って、いつもの笑顔を浮かべた。でも・・・雰囲気は淫猥なままで・・・・・
「アリサちゃんの前では『ユーノ君』のままがいいかな。・・・2人っきりの時だけ・・・『ユーノ』って・・・嫌?」
「嫌じゃないけど・・・」
「・・・・・驚いた?私がこんなに積極的になって・・・」
「う・・・うん」
「アリサちゃんも、スイッチ入っちゃうとビックリするくらい変わるんだよ。
―――――――――――――― 女の子はね・・・誰だって魔法が使えるんだから・・・」
ボクは、ただ呆然とすずかを見てて・・・・・
「・・・・・・・・あの・・・ユーノ・・・・」
・・・・・・・・・・へ?
「アリサちゃん、興奮しちゃった?」
「・・・・・すずか・・・アンタ・・・っ!!!!」
「アリサちゃんの方が早かったんだから、ズルイなんて言っちゃやだよ?」
「ぐぅ・・・!!・・・・・ま、まぁいいわ。せっかく来たんだし、泳ぎましょうよ」
「え・・・でもボク泳げ・・・」
「ほら、ユーノ君、行こっ♪」(ぎゅっ♪)
「ちょっとすずか!?ほら、ユーノ、行くわよっ!!(がしっ!!)
「ちょっと2人とも引っ張らないでっ!!」
・・・・・・・逃げられない。
女の子は魔物だって言うけど・・・ホントだったんだ・・・
でも・・・悪くないって考えちゃうあたり・・・ボクも男なんだよね・・・
仕方ない・・・かな。
差し当たっては、今を楽しむのが一番良さそう・・・・・そんな、気がする。
太陽みたいに激しくて元気な子と、月みたいに妖艶で涼やかな子に連れられて振り回されるのも・・・・・悪くない。
331 :
ヘボ書きマン:2006/07/19(水) 12:57:05 ID:o64aVgbK
・・・どこが全年齢やねん自分ーーー!!!!
はい。〜月と太陽と…〜終わりました。
数多くのレスありがとうございました。
こんなに反響来るとは思ってなかったので・・・
さて、当然ながらこの流れで行くと18禁パートがあるわけですが・・・
さて・・・どうしようかな・・・?
それでは、また作品書きますのでコンゴトモヨロシク・・・
332 :
無銘兎:2006/07/19(水) 23:27:50 ID:Hsw4R9C8
<<331
18禁パート…深く激しく読解希望!!!(文法間違えたか?)
恥を承知で頭を下げます。
書いてくだせぇ〜!!!
読ませて下せェ〜!!!
リインフォースのエロというかSSが無い件について
やっぱリインのエロは書きにくい?
>>333 ここのスレだった記憶があるんだが、前にリインフォースと
ザフィーラのエロがあったはず・・リインUはないと思う。
「世界の終わり」の第三話、投下します。
陵辱モノですので、苦手な方はご注意ください。
では、投下します。
「っう、ぁ、ぁあ、ぁ……」
異物感は、いつしか快楽に変わり。
「め、そこ、は、ぁ……、なめ、ちゃ、らめぇ……!!」
自身の秘所を舐め上げてくる、友の舌触りに、少女はただただ身を震わせる。
彼女の友は、二人それぞれに白服の魔導士を攻め立て、サディスティックな笑みで心底、
親友への虐待を楽しんでいることを表していた。
何より、本来ならあるはずのないもの──、彼女達の股間に聳え立つ、赤黒い肉棒の
グロテスクな昂ぶりも、それを物語っている。
とうの昔に、彼女達によって処女を奪われた少女、高町なのは。
彼女は今、片足を高々と持ち上げられ、両腕を後ろ手に拘束され。
前後の穴を、いたぶられ続けている。
ショートヘアーの少女の、巧みな手技と舌遣いが、前方の割れ目を幾度となくひくつかせ。
金髪少女の剛直は、菊門を強引に押し開いて、直腸を擦り立てていく。
「あぁ、んあぁん、あん、あぁぁぁあ……」
数え切れぬほど、精を受けた彼女の身体は、抵抗らしい抵抗もできず、それらを受け入れ。
辛うじて地面と接している左足を伝って、既に精と愛液、そしてわずかに液面を染めている
破瓜の血の残滓の混ざる小さな湖へと、更なる愛液の源流を加えていく。
「あひっ、ひ、ひぃ……め、だめ、ぇ……ひや、う、や、ぁっ……!!」
幾度となく絶頂を迎えた肉体は、もういつ達してもおかしくないほど敏感になっていた。
けれど攻める友人達のゆるやかな攻めが、絶頂に達するということを許してくれない。
やわやわとやさしく肉の槍を突き入れられ、滑らかな舌があくまでもソフトに、陰唇の表面をなぞっていく。
「やめ、てえぇ……ふたり、ともっ、おねが、ひぃぃ……いぃぃっ!?やあぁぁぁぁぁぁっっ!?」
生殺しのままあえぐ敗北の魔法少女は、いやいやとするように首を振りたくり。
次の瞬間、突如としてその勢いを増した後ろの穴のピストンに、絶叫した。
容赦なく突き入れられた、前方の穴の快感に、悲鳴を上げた。
彼女が達するまで、そう時間はかからなかった。
魔法少女リリカルなのはA’s −世界の、終わり−
end.3 宴は続く、それぞれに
少女の小さな口を割って、生臭い醜悪な肉の根がその身を押し入れてくる。
「ん、む、ぶぅぅっっ!!??」
限界を超えて絶頂を極め、蕩かされ。陵辱を受け続けて呆けた状態の脳味噌は
思考が追いつかず。口を噤んで防ぐこともできず、ただただその巨根を、口いっぱいに頬張らされる。
「噛んじゃだめだよ、はやてちゃん……?」
「ぐうぅぅっ!!むぅ、んぶうぅぅっ……っ」
彼女の膣内へと数え切れぬほど挿入され、精を放出してきた肉棒は、粘度の高い
味しかせず、ひたすらに不快だった。
嘔吐感すらもよおし、はやては眉を寄せ、涎と涙を溢れさせて苦悶に唸る。
「抜いてなんて、あげないよ?はやてちゃんは私達に、負けたんだから」
「勝った私たちが好きにするのは、当然だよね……?」
言いながら金髪のふたなり少女は、肉槍の味にえずくはやての腰を、両腕で持ち上げ。
仰向けだった彼女の腰から下をひねって、両足を開かせる。
そして有無を言わさずそのまま、自身の凶悪な分身を、濡れそぼりひくついている彼女の秘所へと叩き込む。
「ふぐうううぅぅぅぅっっ!!!!!」
媚薬漬け、精液漬けにされた彼女の女性たる部分は、ただそれだけで収縮し。
目を見開き、剛直を銜える口元からくぐもった唸り声を漏らして背中を反らす。
涙を散らし、本気汁をびちゃびちゃと垂れ流しながら、たった一回の突き込みで絶頂するはやて。
「ふふ……いい、締め付け、だっ!!」
「んうぅぅぅっ!!!!!!!????」
「上手……たっぷりご馳走、してあげ、るっ!!」
「ぐうぅぅぅぅっ!!んふぅぅぅっ!!!」
そのまま脱力することなど、許さないとばかりに。
二人の調教者たちは敗者の上下の口を蹂躙し続ける。
フェイトの巨根が膣奥を抉るたび、はやての意識は遠くへと遊離し、帰還し。
なのはの肉槍が出入りするたび、その隙間から感極まったよがり泣きの声を漏らす。
「ほらほら、気持ちいいんでしょ?イッちゃってるんでしょ?」
「ずるいなぁ、私たちに負けたくせに……そんな、感じちゃってさぁっ!!」
全身を濡れた桜色に染めたはやては、屈辱の言葉に、返答すらできず。
ずりあげられたインナーの上が隠すことなく晒している両胸の頭頂部を二人の空いた手に苛められ、
その快楽に二つのお口でそれぞれの肉棒を締め付けてしまう。
ずたずたに引き裂かれたインナーのショーツは精と愛液、汗にまみれ。
本来のグレーすらわからないほどに白濁へと汚されきっている。
「んごっ、っぐ、ふぐ、うむぐうぅぅっ!!っぷは、も、やめ、っぐうう、ぶ、うぅぅぅっ…!!」
はやての哀願が聞き入れられることなどなく。
ただでさえ苛烈なその攻めを、二人の陵辱者は更に加速させていく。
「んんーっ!!ん、ぐ、お、おぉ、ぐ、ぶ、ぐ……」
半ば白目を剥きつつある肉奴隷の様子に、二人は視線を合わせ。
これで止めとばかりの勢いで、最も強烈な突き込みを加え、一気にその迸りを
はやての上下の口へと叩き込んだ。
「ぶあっ!?あ、や、ご、ああああぁぁぁぁっっ!!!????ごぶ、ぶ、ぁ、な、んああああぁぁぁっっ!!!!」
被虐に悶える魔法少女の膣を、口内を、苦い白く濁った子種達が汚し、駆け巡り、満たしていく。
今までを遥かに越える、放出量。
二箇所同時に放たれたその精の量はあまりに多く、わずか10歳の少女が耐えられるものでも、その身体が受け入れきれるものでもなかった。
精のあまりの熱さ、粘度、量に耐え切れなかった少女の意識はもはや数十を遥かに超える絶頂回数を迎え、
最後の一回に全身を硬直させるとともにどこかへと消えうせていた。
ことりと垂れた彼女の顔面を、収縮を繰り返しひくひくと反応を続ける彼女の秘所を、
汚れた白が塗りつぶしていく。
それだけでは飽き足らず、お腹も、胸も。迸りの勢いのまま飛んだ飛沫が、点々とその色を滲ませる。
「あ、あぁ……あ、ふぁ……あ、ぁ」
無惨な白に包まれて、はやては気を失っていた。
「もう……気絶しちゃったか」
「まだ、はやいのに……。宴は、これからなのに……」
全身から力を失い、痙攣を繰り返しただ荒い息をつくはやてを、フェイトが持ち上げる。
M字に足を開かされ、二本の剛直を前門と菊門にあてがわれても、彼女は目覚めることはない。
「さあ……お目覚めの、時間だよっ!!」
二本の肉で出来た凶器が震える二穴へと滑り込むと同時に。
汗と、涙と、涎と粘液の撒き散らされた辺り一帯に、少女の絶叫が響き渡った──……。
* * *
「お……おぉ……ご……ぐ、ふぅ……ぐ」
その場所が、どこであるかすらわからない、真っ暗な暗闇の中。
目を覚ましたフェイトは、逆さ吊りの体勢で、
闇の先、何処からか伸びる肉色の触手によって三つの穴を同時に犯されるという苦痛を味あわされていた。
バリアジャケットは既にその殆どが失われ。
辛うじて、両足を包むニーソックスが、ほつれだらけながらもその原型を留めているに過ぎなかった。
「ぐ、うぅぅ……ぐ、ひぃ、い、ご……」
口内を犯す触手によって、まともに言葉を発することも、十分な呼吸をすることすらままならない。
また二人の友によって快楽を打ち込まれた身体はいつの頃からか、触手たちの攻めに、
徐々に反応するようになっていた。
「やあ、気分はどうかね?」
彼女が陵辱に耐える最中、暗闇に一人の男の姿が浮かび上がる。
「ぐ、ぅ……?」
まぎれもなくそれは、彼女達三人をおびきだし、シグナムを陵辱し、やってきた彼女達を分断したあの男。
友の姿をした敵を操り、彼女から純潔を奪っていった張本人だった。
「ほう?まだ、正気があったようだね」
そう言うと男は空中の何もない空間に手を翳す。
逆さ吊りのフェイトも、快楽と苦痛の入り混じる、どうにかなってしまいそうな状態の中、
辛うじてその様子を見ることができた。
そこに、浮き出るように現れたのは、全裸の女性。
緋色の長い髪を持った、彼女のよく知る一人の女性だった。
(シグ……ナ、ム・・・…)
支えもなく空中に現れた彼女は、全く反応もすることなく地面へと落下する。
「彼女はもう……壊れてしまったようだ。流石に、随分と粘ったようだが」
男から見下ろされる彼女は、地面へと叩きつけられてなお、ぴくりともしない。
わずかに呻き声が漏れるものの、それとて蚊の鳴くほどにしか聞こえない。
(そんな……)
自身のライバルたる烈火の将の変わり果てた姿に、フェイトは戦慄する。
あの彼女がこのような状態になるなど、一体どのような責め苦に晒されたというのか。
「知りたいかい?」
いつの間にか触手たちが動きを止めていたおかげで、思考を行える余裕が生まれていたらしい。
心の中を見透かしたような男の物言いに、フェイトはどきりとした。
「心配せずとも、たっぷり味あわせてあげるよ。これからね」
男が、言い放つと同時に。
「ぐ……ぐううううううううぅぅぅぅぅっっっ!!!???」
触手たちの活動が、再開される。
それも、今までとは比べ物にならないほど、深く、はげしく、きつく。
彼女の四肢を拘束する何本ものそれは、その手足をもぎとらんとばかりにぎりぎりときつく締め上げ。
三穴を犯す触手の数はそれぞれ倍に増やされ、少女の小さな身体を貫きそうなほどに深く深く押し入ってくる。
更には手薄だった他の部分へまでも触手たちは群がり、襲い掛かってきて。
両の掌は極太のものを握らされ、手コキを強制された。
亀甲縛りのように胴を縛り上げる触手は、その先端でピンク色の充血した小さな乳首を苛めってきた。
お臍さえ、つつかれ、舐め上げられ、見逃してはもらえなかった。
「ぐううううぅぅぅっっ!!ぐうぅっ!!むぐ、んんんうぅぅぅっ!!!!」
もはやフェイト自身、自分がどうなっているのか、よくわからない。
快楽と苦痛が爆発し、触手自身の粘液でどろどろになった身体を、
愛液と尿の噴水が一層彩っていく。
ほんの数時間前、処女を失ったばかりのはずの少女は、耐え切れないほどの被虐による快楽を感じていた。
敗北感など、どこかに消えうせていた。
(ああっ……)
駄目だ、と頭ではわかっているのに。
嫌だ、と心は思っているのに。
身体は、それらを振り切って快楽を求めていた。
彼女の振りだした腰の動きが───なによりも、その証であった。
はい、ハッピーエンドで終わらせる気毛頭ありません、640です。
だからエロくなんないんだってばorzワンパターンなんだってばorz
>>321氏
orz←期待されるというプレッシャーに弱いチキンハート
>>ヘボ改め・・・何にしよう?氏
うん、エロを書けばいいと思うんだ。
>>333氏
リインTはカップリングが難しいのがネックかと。ザフィ以外は百合限定になってしまいますし、
既に消滅している以上シュチュエーションが過去に限定されますし。
えーと、遅ればせながら私的なお気に5つを。
「call my name!」(もはや言葉は要りませんね)
「高町家に引き取られたフェイト」(1スレ76氏、待っております)
「フェイト×クロノ (仮題) (3スレ505氏)」(クロフェいいよクロフェ)
「彼女の守り手」(リリなのにおける王道カップルですから)
「蒼穹の果ての戦場」(自分にはとても書けない、と思った)
基本的に自分の書いた話については・・・。
あとで読み返すと絶対に書き直したくなる部分がでてきますので、
まだまだです、ほんと。あ、ちなみに一番書いてて楽しかったのは「買い物にいこう」だったり。
一番難産なのは今書いてるシグナムさん話。
では。
シグナムさんの過去に超期待
343 :
92:2006/07/21(金) 07:43:27 ID:URrxgu42
>>333 過去スレ第8話に1話だけですが自分が書いたのが置いて有ります。
だ、第2話はまだです…
;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン にハマってるので続きはまだまだのびそうです。
ダメダメですね。
続きを読みたい人がいるのかどうか謎ですが、見苦しくも書く気はあります。
…ノリと勢いでエロに挑戦し、しかも誰も書いていないっぽいリインフォースを
「せっかくだから、俺は赤い扉を選ぶぜ!」←実は既に隣の青い扉が開いてた
と言う感覚でチョイスした事を後悔などしていませんよ。勿論ですとも。
今ではシャマルさんの次に好きな女性キャラです。
ところでリインフォースTが何とか助かってザフィーラとのラヴな生活を送る
なんて代物見たい人います?
激しくキボンヌ
是非、俺の嫁の話を読ませてくれ
やべ、
>>45-47のSSをKOKIAの「ありがとう」を
聞きながら見たら涙が止まらなくなった。
遅レスだけど、感動した。
アニメにしろビジュアルノベルにしろただ小説読むだけにしろ、BGMの相乗効果って意外に侮れないから困る
逆に言えば、BGMをよく吟味すればSSをもっと楽しめるということだ(`・ω・´)
KOKIAでMeたんのflash思い出したけど
デバイスであんなんやられたら泣くなぁ
第4話 b part
「なのはさんは無事家に帰れたかしら?」
「ユーノ君が付きっ切りですから。それに魔力以外に深刻なダメージもないですし」
「そうね……」
先に帰った客人たちには今日一日本当に迷惑をかけてしまった。アースラがこんな状態だから、などと言えば子供じみた言い訳そのもので謝ってもやりきれない思いが残る。
「一体いつまでこんないたちごっこを続けるのかしらね」
すでに収集されたジュエルシードは二十三個に上っていた。
そのうち一つは元凶であるL・ジュエル。すでにクロノたちが本局へ輸送しているからここにはない。保管してから新たなジュエルシードを生み出すことがなかったのは幸いであった。
「発動前に封印できれば言うことないのにね」
すでに本来在るべきジュエルシードの数を超えているのは皮肉でしかない。
たった二週間――それだけでここまでジュエルシードが確認された。母体の複製時間は思いのほか短い。ただ生み出したジュエルシードの魔力量がてんでバラバラなところを除けばだ。
「ほんの微量な魔力を感じ取れなんて無茶もいいところですよ」
「なのよね」
発動前、いわば待機状態であるジュエルシードは多少なりとも魔力を帯びている。ただその度合いは例えるなら霞そのもの。ないようなものだ。
アースラの機器で探知などもってのほか。なのはさん、ユーノ君でも無理。
「何もかも後手に回って……まったく」
毒づきたくなるのを堪えながらやり場のない気持ちを拳を握ってどうにか発散させる。
提督になってここまでストレスが溜まることなど未だかつてあっただろうか。次々と降りかかる負の報告。煮え湯を飲まされ続けられ、いい加減胃にだって穴が開いていい頃合だ。
「ですが艦長……なんであの二人は封時結界の中に侵入できたんでしょうか……?」
「わからないわね……魔導師ならともかく魔力資質もない一般人が入れるなんて」
術者が許した者のみが入ることの出来るズレた世界。それが結界の一般定義。
偶発的にその場に居合わせた相手は一瞬でこの世界から拒絶され現実に留まる。並みの魔導師なら世界が変質する瞬間は分かるはずだ。だがその世界に飛び込むのはこれがなかなか難しい。
「ユーノ君には誰かが侵入してきた様子は一切なかったそうですが……」
それは頭を悩ます種だ。
飛び込む方法は教本に習うとして次の二つがある。
一つは転送魔法で結界内へ移動すること。もう一つは弾き出される前に結界に穴を開け強引に自身を押し込むこと。
前者は後手に回る場合、後者は先手に回る場合の方法である。
「魔力的な反応は無し、第三者の介入ではない」
ジュエルシードが何か影響を、と思ったがそれはない。あの場にあったのは一つだけで発動済み。指向性を持ったジュエルシードはもう他に影響を及ぼせない。
「おそらく結界発動の瞬間に侵入したものだと思いますが……でもそしたら」
言葉を濁すエイミィの気持ちは分からなくもない。そう、結論はそこへ帰結する。
「あの二人のどちらかが潜在的に結界に穴を開けた」
そうしてまんまと異世界へ忍び込んだ。
「ユーノ君は結界魔導師としては優秀よ。それなら結界の僅かな歪みもわかるはず」
「ですがそれすらなかったとなると……」
「そう、一瞬で結界の性質を見抜いて自然と塞がれる穴を先に塞いだ」
結界が自ら安定しようと歪みの修正をかける前に後始末をちゃんとした。なんて利口で礼儀正しいか。
「アリサちゃんもすずかちゃんも魔導師じゃ……それにそんな高等な技術を使えるなんてますます有り得ないですよ」
「でも他に良い反論、あるかしら?」
「…………いえ」
押し黙るようにそれきり口を閉じる。残念だが私にだっていい意見はない。
一応、なのはさんの件があったためこの世界の人間の魔力資質について調査した結果がある。
答えはノー。元々、この世界に魔力資質を生まれながらに持つ人間はまったくもって存在しない。例外として突然変異的に資質を獲得する者がいるだけ。
私の知る限りその人間は二人しか該当しない。なのはさんとあの人のみだ。「でもアリサさんに資質があるようなデータはなかった」
彼女には悪いが精密検査をした時に記録されたデータからそれは把握されている。元々魔導師用に調整されているものだからそれ関係のデータも自然と記録されているのだ。
「そしたら艦長すずかちゃんだって館内のセンサーに一切……」
魔力を示す値は両者ともゼロ。だというのに魔法じみた事実だけはある。
ゼロの二人――魔法の事実。イコールで結ばれない答え。ただ矛盾だけが横たわる。
「……偶然なんでしょうか」
「その言葉で締めくくれれば……ね」
彼女たちがこの世界に入れた意味。それを、答えを求めれば袋小路。
「仮にあの二人のどちらかが魔導師としての資質を持っていたら……私たちは何をさせようとするのかしらね……」
欲望か希望か、見分けのつかない望みは皮肉な物だ。口を歪める笑みは自嘲の他ない。
結界の破壊と修復――即戦力としてはおつりが来るくらいもったいない才能だ。
「そんな言い方しないでください……私たちみんな同罪ですよ」
「いいのよ……泥をかぶるのは私一人で十分」
自分だって今すぐ出て行きたい。だけど管理局の手が入ってない世界で力を振るうなど厳罰どころでは済まない騒ぎだ。しかも提督という膨大な魔力を秘めた存在が暴れまわってジュエルシードが発動、なんてことにでもなれば本末転倒。
お偉い方はどんな時にだって役立たず。手を拱いてあたふたするのがお似合いというのは滑稽なものだ。
せいぜい褒められるのはようやくこの世界での正式な活動が認められたこと。クロノとフェイトの掛け合いのおかげであるが。
「それにね、エイミィ。そんな人間に貸すようなデバイスはこの艦にないわ」
生憎、経験が物を言うストレージデバイスなんて与えても魔法のイロハすら知らない人間には無用の長物だ。
なのはさんだって最初に手にしたのがインテリジェントデバイスだったからこそここまでやってこれたというのに。
「ですが艦長……輸送中のあれは」
「ないものねだりよ」
即答。一息でエイミィの進言を却下。
「確かにあれはPT事件を教訓にこのような事件に対して開発されたもの。だけどそれだけ……動かないならないのも同然よ」
「あれもインテリジェントデバイスですよ、レイジングハートと同じく」
そう確かにあれはインテリジェントデバイス。自ら考え主と共に使命を果たす杖……のはず。
先のPT事件から汎用型のストレージデバイスではプレシアのような魔導師には到底及ばないことを痛感させられた。完敗、惨敗、情けない。
あまつさえ事件を解決した功労者も民間協力者という始末。これには管理局の面子も丸つぶれである。
「そう、それでちゃんと持ち主とシンパレート上げてくれれば……ね」
そういうわけで武装局員にも対高ランク魔導師用の特殊部隊を設けようという話が上層部から挙がった。その第一弾はデバイスの強化。
持ち主と深く結びつき自在な連携を行えるインテリジェントタイプの有用性はなのはさんやフェイトさんから大いに証明されている。
しかもなのはさんに至ってはそのデバイスのおかげで短期間でここまで魔導師として成長できた。これは戦闘経験の少ない局員にはうってつけだ。
「でも現実はうまくはいかない……当然の報いよ」
管理局はどちらかといえば質より量で勝負する。よってデバイスもそれぞれ役割を決めて各個連携をとるというスタイルを取らせるべき、となった。
これはすぐに開発プランとして組み込まれ程なくして初の試作機であるあの二機が生まれた。
でも起動実験の初日、すぐに問題は頭を出すわけで。
「あのじゃじゃ馬を乗りこなせる人間はいない。だからこそ本局での再調整なんだから」
インテリジェントデバイスは持ち主とのシンパレートが重要だ。その針は居合わせた人間誰一人として動かせはしなかった。
従来とは違うプランで調整を行ったせいなのか、辺境の空気のせいなのか、人格プログラムに問題があったのか。
うんともすんとも、あの二機は本来の杖になることすらせずこうしてアースラで調製し直される時を黙したまま待ち続けている。
「しかも輸送中のそんなものを勝手に使ったなんて……ばれたらいい顔されるわけないわ」
「まぁ、そうなんですけどね」
事の顛末を聞いて私は心底呆れたものだ。
偏った調整なら偏った人間にしか扱えないのが分からなかったのだろうか。魔力資質は人それぞれ、それに基づいてデバイスは主と共に歩みその姿を最適なものへ移り変わらせていく。
スイッチ一つでポン! なんて便利なものではないのだインテリジェントデバイスは。だから管理局の主力はストレージデバイスでありそれ以上も以下もない。
「デバイスの気持ちも考えてあげないとね。あの子達だってご主人様を選ぶ権利はあるわ」
闘士と風――。そんな愛称と呼ぶのにもあまりに簡素で、まともな名前さえあの子たちにはない。
「なんだか……熱入ってますね」
「一日中ここに座ってればストレスも溜まるわよ」
肩は凝るし、座りすぎでお尻は痛いし、翠屋のコーヒーはとっくに切れてインスタントだし。
「ええと……では艦長、私から一つ提案があるのですが」
「なぁに?」
「え〜、ごほん! 艦内の職員たちも流石に海に缶詰で参っています。ストレスを溜めたままでは体にも悪いですし仕事も捗りません」
一理というか、見事なまでに的を射た意見。
「そこでエイミィ・リミエッタは以下のプランを提案します。これは必ずしやアースラ全体にいい空気を流し込んでくれるだろうと信じております」
立ち上がり、ガラにもなくエイミィはその場で敬礼をした。自信に溢れた声は疲れた私の耳にはひどくミスマッチに聞こえるわけで。
「そういうわけで艦長――」
そうしてエイミィのとんでもない提案が発表されて一秒後、私は特に気にすることもなく首を縦に振っていた。
* * *
「…………ねぇ、すずか」
「なに? アリサちゃん」
「ほんとにここでいいわけ?」
見上げた表札には『ハラオウン』と書かれている。さらに見上げると赤い屋根が目に映った。
白い壁は照り返しで一層色を増し、窓は青空を映し。門から覗くとそれなりに広い庭が見えた。
これはどうみてもごくふつ〜〜の二階建てである。
「うん、そうだと思うけど……」
「管理局っていうより町内会の間違いじゃないの?」
秘密組織といえば人里はなれた山の中で誰にも気づかれないよう姿を隠していたりするものじゃないのかしら……。アタシ的には拍子抜けというか、期待を見事に裏切られたようで微妙な気持ちだ。
「でもエイミィさんから住所も聞いてるしここで間違いないと思う」
それだけ言ってすずかはインターホンを押した。でも聞こえる音はやっぱり普通のチャイム音で突然異世界に飛ばされるとか突飛な展開もない。
『……はいは〜い、残念ですけど新聞の勧誘は間に合ってま〜す』
「…………」
なんというかリアクションも至って普通じゃない……。
「あの……こちらはハラオウンさんのお宅でよろしいでしょうか?」
『あっ、すずかちゃん? ちょっと待ってて』
プツッ、と切れてしばし沈黙。
そうしてドアが開くと見知った人が顔を出した。
「やぁやぁお二人さんいらっしゃ〜い」
「こんにちわエイミィさん」
笑顔でお辞儀をするすずかにアタシも一緒になってお辞儀。帰り際に見たエイミィさんは青い制服姿だったけど今日はこれもまた普通な私服姿。
やっぱり町内会の集まり?
「うん、二人とも元気そうで良かったわ。まぁ立ち話もなんだし、ささっ! 入った入った」
「おじゃまします」
「……おじゃまします」
なんだか近所に住む気さくなお姉さんって感じだ。それ以外に時空管理局とか、魔法使いとか、SFじみた空気は全く漂っていなくて。
「休日なのにお邪魔しちゃってご迷惑でしたか?」
「全然! だって私たちにとっちゃこの世界の休日は当てはまらないしね。むしろ年中無休だし」
「いつもご苦労様です」
「仕事だもんね〜、あっははは」
玄関を上がってリビングに通されてソファーに腰を落ち着ける。それまでエイミィさんは始終柔和な顔で面白おかしく話をしてくれた。
やっぱり普通のお姉さんって感じばかりがアタシの中で増えていく。
「二人は何が好き? 一応紅茶、コーヒー、緑茶に抹茶、ジュース各種取り揃えております」
「じゃあ紅茶で」
「アタシも同じので」
「インスタントだけど……オーケー?」
「気にしませんよ、エイミィさん」
二人の会話を聞いていてちょっと思う。
失礼な例えだと思うけど、これはどう見ても庶民の家にお招きただいたとしか思えないような会話じゃない。
「いや〜お嬢様だから高級ブレンドの紅茶しか口にしません、なんて言うと思ったから」
「でもインスタントなんて口にしたことはないんですけどね」
残念ながら鮫島に入れてくれる紅茶はいつだって高級茶葉百パーセント使用である。なのはの家に行った時だって喫茶店の家柄からインスタントなんてものはないわけで。
「……ジュースのほうがいいかな?」
「いえ、お構いなく」
お相伴に預かる身としてわがままは言っていられない。立派なレディは小さなことに目くじらを立ててはいけない。
それにインスタントな紅茶も本音を言えば結構どんなのか興味があったり。
「じゃあすぐに入れるね」
「はい、すいませんお手数かけて」
「いいのいいの」
台所へと向かうエイミィさんの後ろ姿を見つめながらアタシは隣のすずかに声をかけた。
「ねぇ、ここって本当に管理局?」
「た、多分……かな?」
「あの戦艦って実は壮大なドッキリなんじゃないの?」
ちょっと見回してもますます普通の家って事実だけが濃くなっていくばかりだった。
疑問符が頭の中でぴょこぴょこ動き回っている。もしかしてアタシたち遊ばれてる?
「はぁい、どうぞ」
「ありがとうございます」
「それじゃいただきます」
真っ白でまっさらなティーカップはこれまた新鮮な印象。いつも通りの色で底に沈んでいるピラミッドみたいなものを除けば普通に紅茶している。
きっとこの物体がコマーシャルに出てきたりするピラミッド型ティーパックなるものに違いないのだろう。実際に見るとなんていうか……すごくシュール。
「……味はどう? やっぱり全然違うとか」
「う〜ん、あんまり変わらない気がするけど……」
「なんていうか……紅茶よね」
顔を見合わせてう頷きあって。すずかも感想は同じらしい。
確かに香りが心なしか弱かったり何か味気ない気もしなくはないけど出来合いならこれはこれで及第点なんだと納得することにする。
こういうことを言うのは場違いな気もするけど贅沢は敵ってやつね。
「お嬢様方のお口に合いまして光栄でございます」
「そんな別にそんな気をまわさなくても良いですよ」
「そうですよ、なんだか逆にこっちが肩が凝る感じだし」
なんというかこれも新鮮な感じ。
学校でも元々良い所の子ばっかりだからそういう態度を取られることなんて全然ないし、大体アタシはそんな特別扱いはあまり好きじゃないし。
「そう? じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな……っていっても急にテンション高くなったりするわけじゃないんだけどね」
一緒に持ってきたクッキーをかじりながら苦笑い。そのままアタシたちにウィンクしておどける。
アタシたちもそんなエイミィさんに思わず笑みをこぼした。
「さてと、じゃあ何から話そっか」
「アタシはしれなりにユーノから教えてもらってるし……すずかは?」
「私は……うん、エイミィさんに結構話してもらったけどやっぱり、かな」
すずかも肝心な所は知らないんだろう。一昨日は時間なかったせいでユーノから教えてもらったことも輪郭程度のこと。
一年前に魔法使いになって悪の魔導師が計画した野望を叩き潰した――なんてくらいじゃ満足できないでしょ普通は。今日は日曜日なんだしそこのところハッキリさせたい。
「じゃあ確認も含めてもう一度、といっても私たちが首を突っ込んできたところから説明したほうが良いかな?」
「そうですね、お願いできますか」
「もち、よ」
半分だったクッキーを口に押し込んでエイミィさんは立ち上がるなりいきなりリビングから出て行こうとする。
「え、エイミィさん?」
「どうせ話すなら映像交えたほうが分かりやすいでしょ?」
それに、と付け加えて振り向くエイミィさん。何を思いついたのかなんだか怪しい笑み一つ。
「魔法のことならアースラへ、レストルームなんかじゃ雰囲気合わないでしょ。顔に書いてあるぞ、アリサちゃん」
「ふへ!?」
エイミィさんの一言に一気に顔が熱くなる。顔に出さないようにしていたのにあっさり見抜かれてたなんて。
おまけにこんな素っ頓狂な声出しちゃうし……。隣ではくすくすとすずかが笑っている。我ながらなんて失態、情けないわ。
「んじゃ、お二人様ご案内って事で」
悪戯がうまくいった子供みたいにノリノリなエイミィさん。上機嫌なままリビングの出入り口で立ち止まって近くの壁を何やら指で叩いてなぞる。
なに? って思うより早く今度はドアがキラキラ輝いた。開ければそこに見えるはずの廊下や玄関は全然見えなくなっていて。ドアが嵌っていた空間には光の膜が貼り付いたみたいに真っ白に光っていた。
「うん、トランスポーターの調子はよし。それじゃ」
普通にエイミィさんは光の中へ入っていく。あっという間に全身が目の前から消えるとすぐに腕だけが飛び出してきて手招きをした。
「すごいわね、魔法って……」
「そうだよね、なんだかすごくわくわくする。私たちも行こっ」
ちょっと呆気に取られてるアタシの手をすずかは有無を言わさず引っ張った。すずかの弾む声を聞きながらアタシたちもエイミィさんの後を追う。
ドアに飛び込む時ちょっと足が竦んだけどすずかのおかげでそれ以上躊躇も出来ず連れ込まれるわけで。
物怖じしていないのは肝が太いのか。それともこれはすずかにとってはまだ序の口のなんだろうか。
そうして気がつけばそこはもうあの海に沈んだ不思議世界だった。
* * *
「いってきます……」
あの日が終わってもう二日が経った。
今日は月曜日。もちろん学校に行かなければならない。
玄関で靴を履いて顔を上げる。なんだかドアがいつもより大きく見えた。すごく重そうで開けられない……そんな気がした。
「なのは」
「どうしたの、お母さん?」
朝ごはんの片付け終わったのか後ろからお母さんがやって来る。背中で聞く声はいつもみたいな元気はなくて、どこか寂しい。
「あのね、なのは……あまり根つめちゃだめよ」
「私は……大丈夫だから」
嫌だな……私、嘘ついてる。
お父さんに人とお話しするときは目を見てって言われてるのにわたしは靴紐を結ぶ振りして振り向かないでいる。
きっと今お母さんの顔を見たら全部バレちゃうから。だから嘘ついてる。
「それならいいの。でもね、自分の悩みだからって自分ひとりで抱え込まないで。お母さん、元気じゃないなのは見たくない」
チクリと胸に針が刺さった。
「お母さん、いつもここにいるから。だからなのは、辛くなったらいつでも……ね」
「……うん」
顔を見なくてもわたしが辛いのお母さんはお見通しだ。やっぱり敵わないよ……ユーノくんの言ってた通りかな。
家族って絆に嘘はつけない。うん、ほんと。
「ありがとう、お母さん」
でもわたしは大丈夫。だって本当なら悩んでる時間だって今はないんだから。
もう絶対、あんなことは起こさせない。友達を傷つけさせない。
そうなる前にジュエルシードを封印するって決めたんだ。
「いってきます」
いつも以上に左手に力を込めわたしはドアを開けた。
* * *
なのはを見送る――朝の日課を終えた僕にとって今やるべき次のことはアースラへ行くことだ。
「座標確認…………転送」
昨日付けでアースラのスタッフが正式にこの世界に駐屯することが決まった。
本局についたクロノやフェイトの訴えもあって上の人もようやくこの事態に重い腰を上げるようになったようだ。
だけど実際アースラの修理やジュエルシードに対しての職員の派遣はまだまだ先になるそうだ。あっちもあっちで大変なことが起きているらしい。それを除いても急いでもらいたいのは僕の本音だけど。
「庭に転送ってのもなんだか変な気分だなぁ」
といっても道端に突然人が現れてもそれはそれで騒ぎになるのは目に見えている。
駐屯にあたっては仮本部を町の中に置くことになった。
本部ならアースラだけで他に設置する意味なんてないと思ったけど、エイミィさん曰く精神衛生上好ましくない、なんて意見でこうして空き家に機材を運び込んでいるらしい。
「あっ、ユーノ君いらっしゃい! どうぞあがってあがって」
「あっ、お邪魔します」
縁側にちょうど出てきたエイミィさんに頭を下げて僕も家の中へ入っていく。縁側からなんて無礼なのでちゃんと玄関からというのは言うまでもない。
「どう! この家借りるのに結構苦労したんだからね」
えっへん、なんて威張りながらエイミィさんが家の自慢をする。テレビもテーブルも、電化製品や家具は完全に揃えられ傍目では一般的な家庭にしか見えなかった。
「やっぱりお日様はいいわ。海の中なんて二泊三日で十分!」
背伸びをしながらエイミィさんはため息をついた。本当に心底安心してのびのびしている。
聞いた話では管理局から許可を貰っていなかった二週間、外で活動するなんて出来るわけもなくみんな鬱積した気持ちばかり溜めていたらしい。
そりゃ普通いられもしない場所に閉じ込められれば気が変になるのも当たり前だ。遺跡発掘だってそんな閑散とした場所に何日もキャンプはしない。人間の精神というのは思いのほか脆いのだ。
「職員みんなの憩いの場所、海鳴アースラ支部! 魔導師だったらみなおいで……なんてキャッチフレーズもあったりね」
「なんか詰め所みたいですね」
「実際そうだから。みんなのコンディションを最高に保つ意味でもここほど優れた場所はないからね」
エイミィさんの言葉になるほど、と頷く。
「作戦会議やジュエルシードの探索なんてのもここでやって、有事のときにだけアースラを使う。現地活動を許可されれば町に買い物とか出れて息抜きになるし、中継地点にするなら完璧でしょ」
「そうですね、なんていうか流石ですねエイミィさん」
「褒めるな褒めるな、照れるじゃないか〜あっはっはっ」
やっぱり執務補佐官だけあってみんなのことを第一に考えている。こんな人がいるからこそアースラの人たちもあんな明るい雰囲気を保てるのだろう。
少しはっちゃけすぎな気もするけどこれくらいが管理局では丁度いいんだと思う。
「それじゃユーノ君。私達も仕事始めようか」
「そうですね」
言うなり開かれた転送ポートはドアに。家の一部が有効利用されているのは感心するとこなんだろう。
「そういえばなのはちゃんは?」
「おかげさまで魔力も何とか持ち直しました。戦闘にはまだ少し辛いところもあるけど僕が体を張るつもりです」
「頼もしいわね、流石なのはちゃんの未来の彼氏」
「か、からかうのはやめてください……」
「照れるな照れるな、余計からかっちゃうじゃないか〜」
こんな一面だけは治してもらいたいんだけど……。
不定期に参上、そして投下
前回投下より10日以上……遅筆でごめんなさい待ってる人がいたらごめんなさい
次でようやく二人の変身できるかな?
>>ヘボ書きマン
エロい〜のキッボンヌ エロい〜のキッボンヌ
書いて欲しいなぁ、エロいの
>>640氏
うっひゃあ、今夜は触手パーティー!
堕ちますなぁ、最後どうなるんでしょう
>>92氏
楽しみに待っております
未来永劫ずっと待ってます
あとベスト5に関しては
淫獣少年えろえろユーノ
She&Me
-変わりゆく二人の絆-
名前呼んで。fromなのはtoユーノver
〜淫獣VS美由希
……ユーノが多いのはまぁご愛嬌ということで
176氏GJっす!
遅くたっていいです!
続きを読ませていただけたらそれだけで!
359 :
ヘボ書きマン:2006/07/24(月) 18:47:44 ID:ZYPpET0B
鋭意執筆中であります!!
何故に自分のエロが求められてるのか良く分からんけど、リク通り3人で、
という事で進めてます。
みんなエロいね!!(褒め言葉
ただ、ちょっと現状が忙しいので8月前までに出来るかどうか。
ノドを渇かせて待っててください(←外道
はやての大阪弁で喘ぐエロいSS待ってる。
361 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 14:22:45 ID:s0kTcm3Y
「―――ここから出るよ、バルディッシュ」
その声に迷いの色はない。
かつて渇望していたしあわせから背を向けて、フェイトは私という戦斧を執る。
「ザンバーフォーム、いける?」
私を掲げ、ささやくように問うた。
是非もない。この身は、彼女の信頼に応える刃である。
《Yes、Sir》
「いい子だ」
フェイトの衣服が弾ける。新たに黒色のバリアジャケットが展開される。
両手に柄を握り、右足を踏みだす。身体を捻り、斧の刀身を左後方に置く。
変形開始。トリガーワード、『Zamber form』。
《Zamber―――》
「どこに行くんですか? フェイト」
《―――》
主人の力になるためのデバイスとして、それはあってはならないことだったが。
コマンドは、私の狼狽によって中断された。
女性の声だった。
かつて静かに姿を消した、プレシア・テスタロッサの使い魔。
フェイトの育ての母であり、私をこの世に生み出した母である彼女の姿がそこに在った。
「みんなが、待っているところに」
構えを解いて、フェイトはリニスと対峙する。
迷うことのない即答。リニスの姿を前にしても、彼女の決意は揺らがない。
夢を踏み越える覚悟をもって、ただ、現をまっすぐに見据えている。
だからこそ、この不可解を前に、私は迷っていた。
―――なぜ、あなたがここにいる?
「フェイト。ここには、私たちがいます」
「わたしは、ここにはいられないんだ、リニス」
リニスの言葉を、フェイトはまっすぐに斬り捨てる。
この世界(ユメ)は既に、ユメの主たるフェイトに否定されている。
アリシアが消えてしまったように、プレシアももう消えてしまっているはず。当然、リニスもそうでなければいけない。
なぜ、リニスの姿はここにあるままなのか。リニスの存在をここに留めている要因は何なのか。
リニスが口を開く。悲しげに眉根をよせた表情で。
「プレシアは、あなたを愛しています」
「―――うん」
「わたしも、あなたと一緒にいたいです」
「―――うん」
「それでも、フェイトは行くんですか」
「――――――うん」
フェイトは、リニスをしっかり見据えた。
答えを、返す。
「―――もう、前から決めていることなんだ」
「わたしを愛してくれているひとがいる」
「わたしと一緒にいたいって言ってくれているひとがいる」
「母さんから受け継いで。あなたから教わった魔法の力を」
「その人たちのために使いながら、わたしはこの世界で生きていくんだって―――」
目尻に涙をためながら、大きく息を吸い込んで。
「―――リニスなら、わたしがそう誓ったことを、きっとほめてくれるよね?」
「――――」
一瞬、言葉をつまらせた後。
「―――はい。誇らしいです」
リニスは花咲くような笑みを浮かべた。
よろこびの、微笑みだった。
―――ああ、そうか。
リニスの笑顔が私を満たした。迷いが晴れた。
いま、わかった。誰がリニスをここに繋ぎ止めていたのか。
私が彼女を繋ぎ止めていた。
あなたに、フェイトを会わせたかった。
たしかにフェイトは、母親に愛されることはなかったけれど。
母に捨てられた孤独も、存在を否定された絶望も乗り越えて。しあわせを待つのではなく、しあわせを目指しながら生きている。
あなたにとって娘にも等しい愛弟子は、私の主人は、こんなにも強くなったのだと自慢してやりたかったのだ。
そしてもうひとつ。
―――たとえ、ここにいるあなたが、夢の中の虚構であるのだとしても。
「リニス、わたしは行くね」
《Zamber form》
「はい、いってらっしゃい」
あなたに託されたあの想い。
『道に迷ったとき、願いを貫くための力。
道が暗闇に閉ざされたとき、ひとすじの閃光となってフェイトの手にあり、闇を切り裂く刃であること』
それはいまもここにあるのだと。
いまもここに、変わらず在るのだと。
カートリッジ、ロード。変形完了、出力リミッター解除。魔力刃生成。
―――フルドライブモード、起動。
「それがあなたのあたらしい力なのね、バルディッシュ」
私は、生みの母たるあなたに、私自身を誇りたかったのだ―――
フェイトが大剣を構えると同時に、リニスの身体が光となって透けていく。
「お元気で」
魔法陣を展開。雷光の煌めきが聖堂を満たした。
「―――疾風、迅雷!」
主の叫びに呼応する。紫電が刀身を駆けめぐる。
大剣を担ぐように振りかぶり、フェイトはそっと、瞑目した。
過去の痛みは、心の中に静かに融かして。
《Sprite Zamber》
「スプライトザンバー!」
強くなったフェイト。強くなった私。
フェイトのみちしるべであり続けたかった、あなたが果たすことが出来なかった、その悔いが。
せめて、私たちの姿で晴れますように。
―――Bye, good-bye our mother―――
光刃が、世界を斬り裂いた。
>>365 たまたま、DVDでA's11話を見ていた。
見ながら、読んでた。
GJ…
あ、成る程と手を叩いた。
グッジョブですよー。
ゆっくりと、青い宝石が落ちていく。
どこまでも、どこまでも。
果てしのない空間を、生けるもののない道程を、静かに落ちていく。
どうやら世界は、シグナムに考える時間をそう多くは、与えてはくれないらしい。
偶然が重なるということは、恐ろしい。
魔法少女リリカルなのはA’s −その想い、緋に染まる暁のように−
第五話 回帰線 前編
──あれは、いつ頃だろうか。そう、まだ主はやてと出会う、遥か昔のことだ。
夜天の書が闇の書と呼ばれるようになって、まださほど経たない、とある時代であったように思う。
……皮肉なものだ。
今までの安穏とした日々の中に思い出せなかったものが、心乱されてはじめて、
徐々に鮮明に思い出せるようになってくるなんて。
* * *
「シグナム、主がお呼びだそうよ。蒐集の進行具合はどうなっているか、って」
川のほとりの、小さな木陰は、照りつける太陽から逃れるには丁度良かった。
小鳥達の囀る声が時折聞こえ、涼しげな川のせせらぎの流れるその場所が、当時の私の気に入っていた場所で。
私を呼びにきたシャマルも、やはりここだったかという表情を、隠そうともしない。
「そうか、今行く」
……数百年も、昔になるだろうか。
思い返せばその頃のシャマルは──今と比べてみると殆ど、笑うことはなかった。
……そう、そうだ。思い出してみると、確かにそうだ。
ザフィーラや私も、シャマルやヴィータから変わったと指摘を受けることが、この時代に生きるようになってから、多くあったが。
一番変わったのはやはり、指摘する本人であるシャマル。そして、ヴィータであったように思う。
「ヴィータと、ザフィーラは?」
連れ立って歩きながら尋ねた私に、案の定シャマルは、にこりともすることなく、顔を向けることもなく答えてくる。
──もっとも、こう言えるのも、今の笑っているシャマルの姿を、現在の私が知っているからなのだが──……。
「ヴィータは、昨日の出撃の疲れで、部屋で眠っているわ。ザフィーラは団長さんと、警備兵達の見回り」
「そうか」
「終わり次第、合流するって。そんなにかからないだろうし、団長さんも主に呼ばれてるそうだから」
「わかった、いこう」
この時代は、戦乱の多かったベルカの地において、稀有といっていいほどに平和で、のどかな時代だった。
民達は平和に暮らし、領主達は自警団として優秀なベルカ式魔導騎士達を集め、騎士団を組織して治安の維持に努め。
ベルカの地に覇を唱える者たちが消耗した力を蓄えるため一時的に矛を収めた、戦乱の合間のわずかな安定期とはいえ、
安定し落ち着いた時間がそこには流れていた。
我々が仕える主も、そんな覇権を欲する領主の一人だった。
彼は強大な軍事力と魔力を持ち、呪われた魔導書と化していた闇の書からすればある意味、
選ばれるべくして選ばれた主であった。
度重なる戦で消耗した国力を回復させながら(その点において主は、善政を行った人物ではあった)、
優秀な魔導騎士を集め自警の騎士団によって犯罪者を摘発、私達に秘密裏に蒐集を行わせる。
当時の彼の行っていた施策・行動は、こんなところだ。目的はともかくとして、有能な領主であったといっていい。
民たちが飢えることは殆どなく、稀に出る離反者や罪人については、厳しく接していたのだから。
犠牲よりも多くの益を生んでいたことは確かである。
我々は闇の書の存在、守護騎士たる素性を隠すため、彼の指揮下にある騎士団の一員として扱われ、
彼に仕えていた。
「……残りは、100ページ弱といったところか」
暗く冷たい牢へと、繋がれる。
畜生以下の奴隷も同然に、扱われる。
碌に休息も与えられず、牛馬のごとく働かされる。
かつての私達は、そのような境遇を受けることが多かった。それしかなかったと言い換えたっていい。
けれどその時代、私達は比較的自由な生活を許されていた。
───また、主から五月蝿く催促されるのだろうな。
少なくともそんな風に主に対して思えるだけの余裕を持てる自由が、私達にはあった。
最低限、簡素で狭く、埃っぽいながらも寝食をするには困らない程度の機能のある部屋に、
到底主はやての作る食事に及ぶべくもないし、質素で質も量も到底十分ではないにしろ支給される食事。
身分の明確に分かれた、階級制度の厳しいベルカの社会において辛うじて、最下層の下級市民のレベルに
ひっかかる程度の生活ではあったが、それまでに私達が受けてきた扱いからすれば、遥かにましな生活だった。
「シグナム」
「───ん」
シャマルに促され、前方に見えてきた城門の方を見やると、「彼」が立っていた。
シャマルに促され、前方に見えてきた城門の方を見やると、「彼」が立っていた。
私達が、そうしていられたのも、それも、これも、みんな。
城門のところで蒼い身体の狼を従えて、私達の到着を待っている、
おせっかいな一人の青年のおかげだった。
彼は私達の長い生涯の中で、今日の生活を得るまでの間において数少ない、
我々が信頼し、心を許した存在だった。
その時代、確かに私達は、生まれてはじめての。
「友人」。そう呼べるだけの存在を、得ていた───……。
* * *
「シグナム、なにか飲み物買ってけど、あなたもいる?」
腰掛けたプールサイドにやってきたシャマルに声を掛けられ、
シグナムはちらと振り向いて首を振る。
彼女達のようにはしゃぎまわっていない分、大して喉は渇いていない。
「いや、特に動き回っていないしな。あとでいい。必要になったら自分でいくさ」
「そう?わかったわ」
椰子の木を模したらしき時計塔のほうを見ると、自分で思っていたよりも時間は過ぎていた。
忘れていた曖昧な記憶を思い出すという作業は、没頭すると随分時間を食うもののようだ。
──きっと、彼女も覚えてはいまい。ヴィータや、ザフィーラも。
シグナムが思い出したこととて、奇跡に近いことなのだ。
その現実を改めて思うとなお一層、自分達の重ねてきた業の深さ、年月の長さを実感する。
「こーら、シグナム。何辛気臭い顔してるのよ?」
「お、お姉ちゃん……なにもそんな風に言わなくても」
月村姉妹が、自分達のドリンクを片手に傍に来ていた。
忍は当然のように、その横へとすずかが一言「失礼します」と断ってから腰を下ろす。
性格はあまり似ていなくても、その仕草は姉妹らしく、実によく似ている。
「何?まだ何か悩んでるの?」
「……ああ、いや。そういうわけでは。恭也はよかったのか?」
「ええ、今はクロノくんと男同士、話し込んでるわ。だからこっちも女同士、ってことで」
正確に言えば、その悩みの原因を自覚したが故に、
憂鬱なのだけれど。そのようなことを、言えようはずもなくシグナムは言葉を濁す。
「飲み物、よかったんですか?よろしかったら、私買ってきますけど」
「いや、いいよ。すまないな」
「いえ」
頷いてみせたすずかは、手元の缶へと視線を落とし、こくこくと音を立てて喉に中身を流し込んでいく。
さきほどまで彼女達が興じていたビーチバレーはかなり白熱していたようだったから、
喉も渇いていたのだろう。
見ていると、さっきのビーチバレーの戦利品です、と笑ってみせる。
罰ゲームというか、景品というか。相手をしていたヴィータたちは、負けたらしかった。
「話くらいなら聞くから、言ってみなさいよ。言えるところだけでも」
「……」
躊躇しているのが、彼女にもわかるのだろう。
シグナムは彼女の目線に、居心地の悪さを感じた。
「……あの、私、席はずしましょうか?」
「……いや」
空気の気まずさを感じたのであろう、すずかが言うが、シグナムは頭を縦には振らない。
そんな、遥かに年下の少女にまで気を遣われては、シグナムとしても立つ瀬がない。
丁度いい機会だ──……、そう思う自分がいた。
「忍」
「ん?」
「もし、だ。もしも。もしも、お前に人を斬ることができるだけの力が、あったとしよう」
「シグナム、さん……?」
荒唐無稽な彼女の仮定に、すずかが目を丸くする。
無理もないだろう。突然自分の姉に対して
「あなたは人殺しができる、そう考えてください(意訳)」なんて言われているのだから。
しかし、言われた当の本人である忍は、いたって冷静であった。
掌中のレモンティーの缶を呷っていたにもかかわらず、吹き出しもせず、
飲み終えて右手の缶を下ろすと、こう質問をし返す。
「それは、仮定ね?仮定の話なんていくらしたって意味のないものだけど……いいわ。そう、仮定しましょう。それで?」
「ああ、助かる。それでもし───……」
一瞬、すずかのほうを見て、言葉を切ってから、続ける。
今ここにいる本人を例えに出すのは、気が引けるけれど、
深く考えてもらうためには止むを得ない。
更に、聞く者が他にいれば唖然とするような質問を、はっきりと口にする。
「もし、その力で。恭也や妹であるすずか嬢を殺めてしまったとしたら、お前はどうする、忍──?」
「……!!」
「な、あの、シグナムさん?え?」
「大切な者を、自らの手で斬ってしまったら。お前ならどうする?」
問いかける彼女の目には、忍とすずかの姉妹を通して映っていた。
「彼」にとって大切な存在であり、自身にとってもよき友人であった女性の存在を。
全ては、あの日、あの時。
彼の出撃を他の守護騎士たちとともに見送ったその日から、続いている後悔であった。
───『コーニッシュ』。『ベクトラ』。私は、赦されるのだろうか。それを望む資格が、あるのだろうか。
彼女が心中で問いかけた名に、答えるものはなく。
推し量るような目でこちらを見る忍も、二人を交互に不安そうに見るすずかも、
沈黙を貫いていた。
彼らの存在、そのものを忘却していた自分に赦しなど、あるわけがないということを知りながら。
彼女赦しを欲していた。
だから、忍の答えが、聞きたかった。
彼女なら、どうするのか。
自分以外の答えが、ただ、欲しくて。
はい、こんな時間に投下してます640です。
いいんだ、今日休みだからorz今から寝るもんorz
シグナムさん過去話、オリキャラ出てきちゃいました、はい。
どっちも名前は中古車サイトの車名一覧で外車の名前漁ってつけてきました。
・・・・・・・思いつかなかったからってのは内緒だよ?(ぇ
はじめはフェイトがテスタロッサなんだし
ベルゼルガとゼルベリオスにしちゃえー、なんて考えていたそんな俺。
青の騎士物語知ってる人、挙手。パイルバンカー最高。
うん、完徹後のこの時間だと流石にテンションおかしなことになってますねorz
>>176氏
>次でようやく二人の変身できるかな?
重要なのはどっちがV3でライダーマンか、ということだと思うんだ。
>>362氏
リニス・・・orz乙かつGJでございます。
今回もいいですねw
シグナムさんの更なる過去に期待
忍には実際に恭也やすずかを殺せるだけの力がある
しかし戦闘においては、夜の一族としての血が薄い忍は、恭也とすずかを倒せるだけの力は無い
どうでもいいことだけどね
第4話 c part
ブルル……とエンジンを響かせてスクールバスがやって来る。
「…………」
目の前でドアが開くまでわたしはずっと俯いていて。
どんな顔をすればいいんだろう……。
どんなことを言えばいいんだろう……。
そんなことばかり考えていて、二人に会うのがすごく怖くて、苦しくて。
一段一段、階段を登る足。止められなくて、最後を上ったらわたしにはもう考えてる時間はなくて。
「…………」
バスの一番後ろ、わたしたち仲良し三人組の特等席。
(仲良し……じゃないよね)
びっくりした、なんて言ってるレベルじゃないんだ。襲われて、痛い思いをして、きっとわたし嫌われてる。
追ってきた二人が悪いなんて責任転嫁は都合のいい言い訳。守れなかったわたしが全部悪い。魔法さえまともに使えればあんなのすぐ倒せたんだ。
(なんであんなことになっちゃったんだろう……)
塞ぎこんでるわけにもいかなかった土曜日と日曜日。家族のみんなに悟られたくなかった。
結局二人にごめんなさいのメールすら送れずわたしは部屋の中でずっとぼうっとしていただけ。
顔が上げられない。もしかしたらその場所には二人はいないとか、そんな不安ばかり心に押し寄せて。
だけど立ち止まれない。バスはもう走り始めるんだから、時間なんてない。
(なんだか今のわたしみたいだね)
休むことも、悩むことも、全部心に押し込んで、ジュエルシードの封印に追われる毎日。
わたしにしかできない、わたししかいない――心を縛り付けて頑張ってきたのに。
でも今更投げ出せない……。投げ出しちゃいけないんだ。
(嫌……じゃない!)
終わりがやって来た。足はもう動かせない。
だってもう一番後ろなんだから。
顔、上げなきゃ――
「グッモーニン! なのは」
「なのはちゃん、おはよう」
それはすごく唐突に、だけどふわりと、心を優しく包み込むような響き。
「ぇ……」
「こら! 月曜日だってのに元気ないぞ」
いきなり腕を引っ張られて座らされたのはほんとにいつもの、いつものわたしの特等席。
「今日の体育ドッチボールなんだからぼけっとしてるとすずかにやられるわよ」
右にはアリサちゃんが
「もう、逃げてれば当たらないから大丈夫だよ」
左にはすずかちゃんが
「逃げられないから言ってるのよ」
いつも通り、すごく楽しそうな顔で笑っていた。
それは夢じゃなくて幻じゃなくて今まで通りがわたしの隣にいて、自分でもどうしていいのかわからなくなって。
そんな時そっとアリサちゃんが囁きかけた。
「……ごめんね、なのは」
「え?」
ごめんの言葉に振り向くとアリサちゃんは少し悲しそうな顔をしていた。
「なのはがさ、あんなに頑張ってたの知らなくて」
「アリサちゃん……」
「いくら知らないからってあんな勝手なことして……足、引っ張ったちゃったよね」
寂しそうに微笑んでそっと眼差しを落とす。
バスが揺れるたびアリサちゃんのお下げも寂しそうに揺れている。
「エイミィさんやユーノ君からいろいろ聞いたんだ。なのはちゃんが今までどんなことして、それで今どうしているのか。それでどれだけ大変なのか」
「ほんとにアタシたち今も昔も見守ることしか出来ないって思い知ったわ。確かに魔法使いなんて話せないものね」
やり切れない思いを吐き出すようにアリサちゃんはちょっと苦笑いをして見せた。
きっと初めてわたしが魔法使いになってからの今まであったこと全部知っているんだろう。
「フェイトちゃんのことも……」
「うん、知ってるよ。フェイトちゃんが魔法使いでそれで……」
「でもアタシたちそんな話聞いたからってフェイトの友達止めるつもりないから」
ぱぁ、と笑顔を咲かせて二人がわたしの手を握る。すごく温かくて、その温かさは多分二人の気持ちの温度で。
「フェイトちゃんもなのはちゃんも大事な友達だもん。こんなことで嫌いになんてならない」
「そゆこと! だからそんな顔しないで笑うの。なのはが笑ってないとアタシまで調子でないんだから」
拗ねたような、怒ったようにアリサちゃんはそっぽを向いてしまった。ほっぺが少し桜色で照れているのがわたしでもわかった。
なんだかそれが妙に可笑しくてわたしは口元が徐々に上がっていくのが堪えられない。
思わず
「ふふっ……」
「あーっ! 笑ったでしょ! なのは〜」
「でも笑った方がいいって言ったのはアリサちゃんだよ」
「そ、それはそうだけど……」
「あは、あはは……」
なんだろう……すごく心があったかい。
パンパンだった風船から空気が抜けていくように体が軽くなっていく。またこの町のために頑張ろうって決めた時から忘れていた気持ちが戻ってくるような感じ。
暗闇に差し込む一筋の光に照らされた小さくて、だけどとても大切な気持ち。
――優しい気持ち。
「もう笑うなー!」
「だってだってぇ」
「ふふ、ほんとにアリサちゃんったら」
「すずかまで笑わないでよ、もう!」
心の底からこみ上げる可笑しさに自分が悩んでいたのが馬鹿みたいに思えた。
だってわたしにはこんなに大切な友達がそばにいるんだから。大好きな友達がそばにいるんだから。
そうしてひとしきり笑った後、わたしも気持ちを返す。
「……アリサちゃん、すずかちゃん。今まで何も話さなくてごめんね」
「なのは……」
「なのはちゃん……」
「わたし二人のこと心配させたくなくて黙って、隠して……けど本当はそうする方が二人心配かけさせてて」
そうなんだ。わたし自分のことだからって自分の中に押し込めてた。でもそうやって一人で悩んで、不安になるのはダメなんだ。
わたしのそばにいる人たちはそんなわたしを見て心配してくれる。気持ちを分け合えないから余計に。みんなに迷惑かけていたのはわたし。
アリサちゃんやすずかちゃん、お母さんにお父さん、お兄ちゃんにお姉ちゃん、それにユーノくんにも。
自分勝手で目の前のことに一生懸命になりすぎて、見守ってくれる眼差しを忘れてた。だからアリサちゃんを怒らせたんだ。
本当こと話せばよかったのかもしれない。でも話せなかったのはきっと
「怖かったのかな……。魔法使いなんて話してもみんなわかってくれない、もしかしたら離れていくかもしれない」
心の中から飛び出してきた素直な気持ち。不思議すぎて、わかってくれないって決め付けて、わたし一人で走って。
「そりゃ最初は信じないと思うわ。でもあの時だってアタシ信じる。……オカルト好きってわけじゃないけど親友の言うことだもん」
「私もだよ」
「それにね、今となっては信じないほうが馬鹿げてるわよ。なんてたって魔法で空飛んだんだしね」
「あれは飛んだというより吹き飛んだんじゃないかな」
「そうとも言うわ」
わたしが気にしていたことさえ二人は笑い飛ばしてしまう。
「だから今度は遠慮なく弱音吐いて、甘えて、アタシたちのこと少しは頼りなさい。わかった?」
「……うん」
目頭が熱い。溢れ出てきそうな気持ちを笑って誤魔化して。だけどやっぱり抑えられなくて。
泣き笑いで二人の気持ちにわたしは心の中で静かに囁く。
受け止めてくれる友達へ。
いつもそばにいてくれた大切な友達へ。
「あははっ」
「……ふふ」
「もーうっ! 笑いすぎよあんたたち! こうなったらアタシも笑ってやるんだから!」
一緒に笑ってくれる友達へ。
――ありがとう。
* * *
今日はすごく楽しい一日だった。
別に何か特別なことは起きたわけじゃなく、しいて言うなら普通の一日。
だけどその普通が今の私たちには楽しい出来事で。やっぱり仲良し三人組じゃないといけないなって思えたかけがえのない時間。
「まったくすずかったら容赦しなさすぎ」
「わたし一番最初に外野だよ」
「だから避ければ大丈夫なのに」
ちゃんと見れば避けられるボールだと思うけど二人にとっては相当堪えてるみたい。
そんなに強く投げようと意識はしてないんだけど。
「あんたのボールはいつも変な所ばっかり狙ってくるんだから」
「男子の方が速くて真っ直ぐだからわかりやすいしね」
「そうなんだ」
相手の投げたボールをすぐに投げ返すとか足とか取りにくい場所に投げたりするのは自分的にはごく普通のことなんだけどな。
運動は得意だけど男子の力には敵わないから、私はそれ以外で頑張ろうって考えてたどり着いたのがそこなわけで。
「いざとなったら最初から外野とか」
「それは遠慮しておくわ」
「わたしも……」
疲れた顔で一緒にうなずき会う二人に私は少し微妙な気持ち。
「でもなのはもボールみたいな魔法使ってたわよね」
「ディバインシューターのこと?」
「ほんとゲームの技みたいな名前ね」
アリサちゃんの言う通り魔法って言えば炎とか水とかを出して攻撃するみたいな感じ。
「あとレーザーみたいな光線も」
「わたしどちらかというと砲撃が得意だから」
「もはや魔法というよりシューティングゲームじゃない」
少しがっかりしたようにアリサちゃんは肩を竦めお手上げのポーズ。やっぱり魔法といえばそんな感じなのだ。
「でもフェイトちゃんは雷とか出すんだよ。ユーノ君は結界と補助が得意で」
「つまり人それぞれってこと?」
「そうだね」
人それぞれに得意、不得意。使う魔法様々でなんだかRPGみたいでおもしろい。
「そういえばさ、ユーノってフェレットのほうにも同じ名前で紛らわしくない?」
「えっ? 同じ名前……?」
「一瞬あのフェレットがユーノなんじゃないかって思ってたけど、違うってユーノは言ってるし」
「ふぇ……? ユーノくんが二人?」
なんだかなのはちゃんの様子が変だ。首をかしげて眉を寄せて、まるでアリサちゃんの言うことが違うみたいな顔してる。
「まぁ、フェレットだったら人の着替え覗いてたのよ。人畜無害に見せかけて最低じゃない」
「そ、そうだね……」
「もし自分はフェレットになれますなんて言ったら去勢してるわね、絶対」
「…………」
気のせいか一瞬なのはちゃんがすごい遠くを見るような目をしていた。気まずそうにきょろきょろしてアリサちゃんと目を合わせないようにしている。
もしかして……。
「ねぇ、なのはちゃん。やっぱりユーノ君って」
「ちちち、違うよ。あのフェレットはねユーノくんの使い魔なの。なんていうか通信機みたいなものなの!」
「……なんか隠してない?」
「ぜ、ぜぜん!」
なのはちゃん舌噛んでる。そうなんだね、ユーノ君ってあのユーノ君なんだ。
「怪しい……」
「怪しくないよ」
なのはちゃんに迫るアリサちゃん。訝しげな目つきになのはちゃんもたじたじだ。
……ユーノ君去勢されちゃうのかな。
なんて思って二人のやり取りを見つめている矢先、何か得体の知れない寒気が私の背中を走り抜けた。
「ぁう……」
「どうしたのすずか?」
「なんでもないよ。急に寒気が――」
『なのはちゃん! たった今強力な魔力反応が確認されたよ! 多分この大きさL・ジュエル!!』
緊迫した声と共に空中に半透明のモニターみたいなものが現れる。中にいるのはエイミィさんで、焦燥に駆られた顔が緊急事態であることを教えてくれる。
「エイミィさん! 場所は!?」
『ここから一キロ、裏山のほう。ユーノくんは先に行ってる』
「すぐに行きます!」
凛とした声を響かせてなのはちゃんの顔つきが変わった。まるで演劇をするように、魔法使いのなのはちゃんが舞台に上がった。
「なのは!」
「大丈夫! すぐに帰ってくるから!」
「頑張ってね、なのはちゃん」
「うん!」
弾ける桜色から純白の服を纏った魔法使いが生まれる。左手には紅玉が光る杖を持ち、足からは羽を。
膝を曲げなのはちゃんが空へと舞い上がる。すぐにその姿は小さく、夕焼けの空へと消えた。
「…………すずか」
「なに? アリサちゃん」
「このままなのはのこと見送る?」
茜色に染まるアリサちゃん。私に向けられた言葉はどこか誘いかけるように、決意を確かめるように。
私は当たり前のように首を振る。
「応援くらいは出来るよ」
「行くわよすずか!」
「うん!」
私たちにだって出来ることはある。今なら作ることが出来る。
なのはちゃんを見守るくらいなら力のない私たちにだって出来る。
胸に決意を秘めながら私は風の中を駆け抜けた。
* * *
「発動体の魔力量なおも上昇中! ……こんなのって」
スクリーンに映し出された銀色の獣が雄たけびを上げる。たったそれだけでも暴走する魔力流は暴風と化し砂塵を舞い上げ木々を薙ぎ倒していく。
これででまだ上昇するなどありえない。
「ただでさえ攻撃を受け付けないのにこれ以上硬くしてしてどうするつもりよ」
映像が別角度に切り替わり獣の頭を映し出す。装甲に包まれた顔に目と呼べるものは見当たらない。変わりにL・ジュエルが一つ目のごとく不気味な輝きを見せているだけ。
「ジュエルシードを単純な増幅回路にしてる……反則じゃない、こんなの」
納得いかない、そう言いたげにエイミィはコンソールに拳を叩きつけ。
頭から背中までを覆いつくす白銀。浅黒い体毛に覆われていた面影など払拭するようにそれは張り付きさながら甲冑のごとく。
元の名残を残す外へと向けられた前足それぞれに明滅する光。L・ジュエルが産み落とした新たなジュエルシード。
「確かに土の竜と言われるだけの由縁はあるのかもね」
大地を割るために形作られた爪は見るからに頑強さを醸し、やはりジュエルシードのせいか銀に染まっていた。
ただでさえ規格外の存在だというのに複製したジュエルシードを強化に扱うなど過剰防衛にもほどがある。L・ジュエルは何を考えているのか。
「依り代の意思なら厄介なものね」
向こうは純粋に防衛本能を出しているに過ぎないのかもしれない。誰しも生命の危機に触れればそうもなろう。
『ディバインバスターーー!!』
煌く激流に飲み込まれてもその身から発せられる輝きは曇ることはない。まさに城塞、鉄壁だ。
病み上がりでも彼女の魔力は衰えてはいない。むしろいつも以上と言っても差し支えないはず。
何かが彼女を変えていた。つかえが取れたように今の彼女は強い。
(この子達のおかげ……なのね)
ちらと見た傍らに二人の少女。スクリーンを凝視し彼女の戦いを見守る。
固唾を飲むその姿はまるで自分たちも一緒になって戦っているように映る。
『ユーノくん! バインド……お願い!』
『ああ、まかせて!』
地面スレスレを疾駆しながら円を描くようにユーノ君が緑鎖を撃つ。相手はその急襲に反応しきれない。
放たれ、四肢を縛り、鎖が軋み自由を奪い取る。だが相手もさることながら腕の一振りで容易く絡みつく鎖を寸断していく。
その一瞬の隙をなのはさんは見逃さない。すかさず懐へすでに砲撃の準備完成していた。
『もう一度! ディバインバスター!!』
爆音がまだ鎧に覆われていない腹へ叩きこまれる。
おそらくは痛覚に相手は咆哮する。それでも封印するまでは足りないか。
「発動体、腹部に魔力が集中しています!」
唯一の弱点であろうそこが鎧に覆いつくされる。もう攻撃は通らない。
『くっ! なのは下がって!』
払いのけようと振り下ろされる巨腕に真っ向から立ち向かう障壁。
『なっ!? がぁ!!』
『ユーノくん!!』
そんな障害さえ歯が立たない。
押し切られ大地へ叩きつけられ砂煙が舞い上がる。
『この! シューーート!!』
後退しながら誘導弾を立て続けに七発、暴徒目掛け発射。全弾頭部へ命中するも
『うそ……なんで!?』
無駄か。
それでも相手の爪は届かない。すでに彼女は安全圏だ。
――だというのに
「艦長! 目標周囲に魔力流発生!」
「なんですって!」
一瞬、目を放した隙に白光を放つ球体。その数四つ。
それがスフィアだと気づく前に莫大な魔力がなのはさんへと襲い掛かる。
「なのは!」
もはや暴力の嵐。激突する破壊者はプロテクションを砕き、守られし彼女を眼下の森へと叩き落した。
「なのはちゃん!!」
あんまりだ。
先発した武装局員は全員やられ、頼みの綱もこの有様。
彼女なら、と心のどこかで抱いていた希望がこれほど脆く崩れるなど考えもしなかった。いや今までが幸運に彩られていただけなのかもしれない。彼女は職員ではない、あくまで民間居力者。
(……純粋な戦力ってわけじゃない)
そうこうしているこの瞬間も彼女は押され苦境へと追い込まれていく。
「リンディさん! なんで助けないんですか!! このままじゃなのはが!」
すがってくるアリサさんから無言で視線を逸らして、自分の無力さを呪う。
「逃げちゃいけないんですか! このままじゃなのはちゃんもユーノ君も!」
今にも泣きそうな顔が訴えかけてくる。それでも何も出来ない。
私が出て行けばいい――結界だけに秀ですぎた魔導師に何ができる? 次元震ではないのだ、抑えつけるのにも限界がある。しかもアースラの動力がやられていては魔力の補給も出来ない。
だからといって見逃せば町は無事に済まない。破壊と混乱に包まれるのは目に見えている。
なによりなのはさんがそれを嫌う。町が壊れるなら自分が傷つくほうを選んでしまうはず。
「こんなことって……ないじゃない。せっかくなのはと分け合えるようになったのに」
「何かないんですか? 私たち何もできないんですか? なのはちゃんが使えるなら私たちにだって!!」
『きゃあああ!!』
重なり合う悲鳴がブリッジに木霊する。あまりに非情な事実はこの場にいる人間を絶望へと誘い込んでいく。
「あなたたちに……資質がないことは確認済みよ」
「嘘……それじゃ」
「私が出るわ。トランスポート、開いて」
「で、ですが艦長では……それにもしものことがあったら」
鶴の一声は管制官を驚愕させるには十分らしい。確かにもしものことがあれば大変なことだろう。
他人事のように考えながら私は歩き出す。結界に閉じ込め封時結界で隠蔽するのは骨が折れそうだ。
「なによ……資質がないからって決め付けるなんてあんまりよ」
「友達が傷つくの見ているだけなんて嫌……」
背中に突き刺さる砕けた願い。かける言葉一つとして思い浮かばない頭を恨めしく思った。
「ないなら……出てきなさいよ……友達助けられなくて何が親友よ」
何一つ出来ないその姿は最愛の人を失ったあの時の私に似ているのだろう。
「お願い……なのはちゃんを助けさせて」
成就などしないと彼女たちだって分かるだろう。
そんな考えを勧める辺り私は随分と冷めた人間になってしまったものだ。
「答えなさいよ……アタシ!!」
「お願い!」
故に、そう考えることにした。
偶然ではなく必然。闘士と風は彼女たちのためにあったのだろうと。
* * *
――Yeah.
最初は頭がいかれたかと思った。
やけに渋い声が周りの騒がしさなんてお構いなしに頭の中へクリアに響いたんだから。
――Yes.
最初はそばにいた誰かの声かと思った。
すごく澄んで凛とした声が囁くようにテレパシーみたいに心の中に響き渡った。
(誰よ……こんな時に)
(Don't call?)
(誰の声? ……すごく綺麗)
(Too good words for me.Thank you)
人の気持ちを逆なでするようなおちゃらけた返事。デリカシーのない男だ。
すごく丁寧な物腰。鈴のような声で彼女はそう答えたくれた。
「なんなのよあんた……」
(Sorry,because I wanted to cheer you up)
「えっ……?」
(Then,shall I go?)
「そんな本当のことだよ。でもなんで」
(There is no time)
「時間……?」
(Please come to me place)
その言葉の後、通路へ続くドアがひとりでに開いた。
リンディさんが、エイミィさんが、突然の異変に驚きの声を漏らす。
(Opend lock)
(Please go through)
考えるよりも足を動かした。向かうべきところは一つ。
――そこにあるのは勇気だと知ったから。
――そこににあるのは希望だと知ったから。
だから駆けた。答えてくれたあの子達の元へ、傷つこうとしている友達のために。
* * *
あの艦橋の騒がしさを忘れるようなとても静かな部屋。
誰かに言われたわけでもなくアタシは部屋の真ん中から立ち上る光の柱へと歩いていった。
淡い光の中、漂うように青い宝石が浮いている。
私を呼んでくれたのはこの子だ。沸きあがる確信に胸が高鳴るのを感じる。
「あんたでいいのね。アタシを呼んだのは」
『……Yeah』
問いかけに二度光りながらエメラルド色の珠が言葉を紡いだ。
「私のお願い……聞いてくれるの?」
『Yes』
戸惑うことなく彼女は頷きの変わりに輝いて見せた。
『二人とも! 聞こえる?』
「リンディさん?」
『それを手にする意味分かるわよね? 決して遊びじゃないのよ』
頭上から降り注がれるリンディさんの声はアタシたちのことを案じてくれているのだろう。
知ってる。アタシだってこれがどんな意味を持つことなのかくらい、嫌でも。
「わかってます、覚悟は出来てます」
アリサちゃんに私も続く。
「私に出来るのならやります。後悔はしたくないんです」
もっと何かをしてあげたい。それが出来るのならやらないなんて絶対ない。
「お願いします、リンディさん」
思いのたけ全部ぶつけて私はリンディさんへ頭を下げた。
『…………本当になのはさん、いい友達を持ったわね』
「それじゃ……」
『どうせ止めても行っちゃうくせに……ずるいわよ二人とも』
姿は見えなくてもその疲れた声ですごく呆れられてるのがよく分かった。
当然、せっかくのチャンスを拒まれたぐらいで見逃すもんですか。
「ありがとうございます!」
『お礼なんていいわよ、感謝すべきはきっと私の方なんだし』
「いえ、この子達に会えたのはリンディさんのおかげですから」
『ほんとにこういうのを運命って言うのかしら……そうね、ぼやぼやしいる暇はないわ。そのデバイスあなたたちに託します』
そっと手を伸ばす。指先に触れる感触はひんやりしてでも温かい。
じんわりと指から体全体に何かが広がっていく感じ。それが私の中の殻を破る。
「すごい……これが魔法?」
芽吹いた種が殻を捨て双葉を開いた。体中から湧き上がる温もりと熱い気持ち。
夕焼けみたいな茜色に下を見ればなのはやユーノが出していた魔法陣がゆっくりと回っている。
『すごいシンパレート……それに二人の魔力がぐんぐん上がってる』
夢見るようにエイミィさんが淡々と呟いた。
「空みたい……」
アリサちゃんとは違う色。どこまでも澄んだ青はいつも見上げる大気を思わせた。
『問題ないわね。二人とも、これからそのデバイスを起動します』
「はい!」
『私が唱える呪文を後に続けて、いいわね』
「わかりました!」
『そして思い浮かべて。あなたたちの魔法の杖を、そして身を守る衣服を』
アタシたちは唱える。魔法の言葉を。
「我、使命を受けしものなり」
芽生えたばかりの魔法を形にするために。
「力よ、契約の元ここに集え」
「勇気は剣に!」
握った手から伝わる力強さ。思い描いた魔法の杖は――これ!
「希望は翼に!」
満ちる光に目を閉じる。瞼に浮かぶ衣服の形――決まり!
「そして絶えぬ決意はこの胸に!」
二色の光が溢れんばかりに部屋を照らして。
『System all green.Call my name,buddy』
浮かんだ名前は彼の本当の名前。
『System drive.Please call my name,mistress』
彼女を表す最も相応しい名前。
「来たれ魔法よ!!」
今ならなんだって出来る。
想像みんな創造に変えて。
「バーサーカー!」
「シルフ!」
――光、天に掲げて。
「セーットアーーップ!!」
『Stand by ready set up』
すんませんこんなに話が肥大して
しかも結局引っ張ってるorz
最後変な書き方で読みにくかったらごめんなさい
とりあえず寝てから考えよう(オイ
外がもう明るいですしね
>>362 本編でも使えそうなこのリニス
ジーンときました
>>640氏
今回もGJです
オリキャラなどは気にしなくても、おもしろくなりそうですし
この場合だと忍は夜の一族扱いですか? 私はどっちでも気にはしませんが
勇気は剣に! 希望は翼に!
のくだりがかっこいい。
しかし、バーサーカーとシルフって名前はちょい微妙かと思ったり。
特に前者、いいのかアリサそんな名前でw
シルフの方はすずかのイメージには合ってるし、あっさり慣れそうな気もしますが。
どんな戦い方なのか、楽しみにしてます。
バーサーカーはFateネタというのは分かる
でもシルフの元ネタが分からん
なにはともあれ乙です
元ネタっていうか神話とかなんかにある名前だよね
バーサーカーが狂った戦士でシルフは風の精霊。
バーサーカーの語源は人狼であるリカント王を表す言葉だけどそれは関係ないのかな?
>>388 >バーサーカーはFateネタというのは分かる
こう言うのは言わない方がいい
なんせ、現在ゲームに出ている名前の大半は神話、伝説にまで遡る事が出来る
バーサーカーってネーミングだけでFateネタってなんじゃそら。
バーサーカーの元ネタは究極超人Rだろ、と言ってるようなもんだな。
俺はむしろバーサーカー、シルフと聞くとFF5を思い出すな。
まあ、ここは各個人の心に一番残っているファンタジー物を思い浮かべるってことで一つ
案上げてくのはきりないしな。
せ、セイバーヘーゲンとか言ってみる……。
なのはの魔法はファンタジーじゃないからなぁ。
次元間無差別殺戮兵器なロストロギアと戦うアースラ艦とか思い描いてみたり。
萌えないけどな!
シルフって省略しないで正式にシルフィードにした方が他のデバイスと比べて
語感が合うように思う。
>バーサーカーはFateネタというのは分かる
デュランダルという名称で種死ネタだとブログで騒いでたアホもいたっけな…
SSについての感想よりも叩きのほうが盛り上がるこの悲しさよ
398 :
無銘兎:2006/07/31(月) 15:11:21 ID:2J5LFeRM
アラストールならすっごく判り易いがな…。
正直すまんかった
「ひとつ、聞きたいことがある」
そういって尋ねた私に、彼は屈託のない表情をこちらに向けて首を傾げ。
黙って、質問を待っている。
「あなたと私……本気で戦えば、どちらが勝つと思う」
不躾といえば、あまりに不躾。
だが当時の私──信じるものは、守護騎士の仲間達と己が持つ力だけであった、
なんとも滑稽な存在であった私──……は、訊かずにはおれなかった。
『やってみるかい?』
彼は、言った。
いたずらっぽく笑って。
そのとき、私は小馬鹿にされたと思って、怒っていただろう。
かつての私は、そういう人間だった。
『冗談。無意味だよ。読んで字のごとく、意味がない。有り得ないだろう、僕と君が戦うことなど』
彼の言葉は、あくまでも正論。
同じ主に仕える以上、我々が刃をぶつけることはない。
だから優劣など、意味がない、と。
『いいじゃないか。お互い、頼れる同僚で。君も、君の仲間も、僕は信頼しているよ。それだけの力がある』
笑う彼も、呆れて髪をかき上げた私も。
この時点では知る由もない。
その信頼がいずれ裏切られ、その正論がいずれ、破綻するということを。
彼も私も、欠片ほども思いはしなかった。
魔法少女リリカルなのはA’s −その想い、緋に染まる暁のように−
第六話 回帰線 後編
モニター上に、光点が映し出された。
同時に座標を示す数値や、様々なデータが表示されていく。
「で?どこぞの馬鹿が紛失したロストロギアがいつどこで発動するともしれないから警戒しろ?またいい加減な」
「そう言うな。これも任務だろう」
頭上のモニターを見上げてぼやくのは、獣の耳と尻尾を持つ女性。
諌めるのは、同じように耳と尻尾のある褐色の大男。
休暇中のフェイトたちに代わってアースラに待機中の、アルフとザフィーラである。
「あーあ、退屈。あたしもフェイトたちと旅行、行きたかったなぁ」
「仕方あるまい……。テスタロッサや艦長とてもう、責任ある立場なのだからな」
「そーうそう。それに座標から見て、特に問題もなく虚数空間でデブリの一つになると思うよ、このロストロギア」
ザフィーラの言葉に合わせるように、オペレーター席のアレックスがお菓子を頬張りながら話に入ってくる。
万が一に備えて、ということで代打出動要員の二人が残ってはいるが、事件となる可能性はあまり高くはない。
さしあたっては、のんびり観測を続けるより他にない。他のクルーたちも一様に、リラックスムードである。
「……腹減った。食堂行ってくる」
「勤務中だぞ」
「あー、もう!!あんたも来るんだよ!!肉食って腹いっぱいになんないと、やる気でないんだよっ!!」
「何をそんなにいらついているのだ……」
アルフとザフィーラのやりとりに失笑するブリッジクルーを尻目に、
二人は席を立って連れ立って(というより、アルフがザフィーラをひきずるようにして)ブリッジを出て行った。
無論、アルフが不機嫌なのは旅行にいけなかったことだけではないことくらい、残されたメンバーにはよくわかっていた。
まったくもって、鈍感と素直でない二人のコンビというものは扱いづらい。
「そういえばアレックス、艦長やフェイトちゃんにこのロストロギアの件、連絡したか?」
「あ、忘れてた。あとで本局への定時報告のついでにやっとくよ。リンディ提督にメールすればいいか」
彼らは指揮官がバカンス中ということも手伝ってか、緩みきっていた。
* * *
「どうしてあなたは我々に、こんなによくしてくれるんだ?」
主のもとでの、報告が済んだあと。
矢継ぎ早に生活で困ったことがないか尋ね、
その上でシャマルたちも一緒に食事でもどうかと誘う彼に、私は思わず訊いていた。
誰かにそんな風に言われるのははじめてだったから、訊かずにはおれなかった。
『仲間だから……、じゃだめかい?』
「仲間?いや、しかし」
『それに、君は女の子だ。ザフィーラを覗けば他の守護騎士、シャマルやヴィータもそうだろう?』
「……冗談を、言っているのか?」
『まさか』
その頃はまだ、単純に、彼が私たちの世話を焼くのは自分の立場から、
我々が組み込まれた騎士団の団長として、他の騎士達に我々の出自を悟られないようにするためだと思っていた。
だからこそ、食事に誘うなどはやりすぎ。意味のないことのように思えた。
『なあ、シグナム。君達はもっと人生を楽しむべきじゃないのか?』
「何を言っている?」
だから、彼の言葉の意味も、よくわからず。
『僕だって騎士で主に仕える身だが、それなりに人生は楽しんでいるよ。恋人だっている。君達だって少しくらいは』
「やめてくれ。私達はプログラムなんだぞ?あなただって知っているだろうに」
『だが、感情がある。こうやって話すことができる。僕らと何も変わらない』
──ああ、そうだ。今まで言われたことのない言葉に、この時はひどく違和感を覚えたんだったな。
『主がどう扱おうが、僕は精一杯、君達を人間として扱うつもりだよ。シグナム』
「……『コーニッシュ』」
それが、彼の名だった。
見かけはどこにでもいるような優男でありながら、その剣技魔導の腕は無双の騎士。
私の長い生涯の中でもテスタロッサと並んで数少ない、安心して背後を任せられる実力の持ち主だった。
『『ベクトラ』と待っているよ。夕方になったら、みんなで来てくれ』
恭也が彼に似ているのか、彼が恭也に似ていたのか。
どちらが正しいのかはわからないが、彼のその表情は、私の目には好ましく映った。
恋人の名を呼ぶ時の、彼の表情は。
『彼女とも、それなりに仲良くしてくれてるんだろう?』
「それは、まあ」
彼の紹介で知り合った、彼の想い人。それが『ベクトラ』。それが彼女の名前。
彼女もまた、彼同様我々にまっすぐに接してくれる数少ない人物で。
「なにかと、世話になっているよ」
『なら、いいじゃないか。今回も世話を焼かせてくれ』
「……」
『決まりだ、な。じゃあ、待っているよ』
きっと私は、この二人の存在に戸惑っていた。
そのように接してもらうことなど、今までなかったからだ。
無理もないといえば、無理もない。
はじめて得た友人、仲間、同僚。
最初のうちは、戸惑っていたものの。
いつしか、私は彼の人となりに惹かれるようになっていた。
それもまた私にとって、はじめて芽生えた感情だった。
* * *
忍はシグナムの質問にだまりこんで、しばらく考えた末に顔をあげてこう答えた。
「多分……死にたくなるんじゃないかしらね。実際に起こってみないと、どうなるかはわからないでしょうけど」
「お姉ちゃん……」
「部屋に閉じこもって、泣いて。自分を責めて、結構な間、凹み続けると思う。……けど」
「けど?」
それは、シグナムにとってはある程度予想の範囲内であった答え。
しかしそれを返したあとも忍は言葉を止めない。
苦笑のような表情を浮かべながら、彼女は彼女なりの答えをシグナムへと向けていく。
「それでもきっと、またしばらくしたら、別の何かのために生きていくと思うわ。残酷かもしれないけど」
「……?」
「もちろんそういう事実があったことは忘れない。きっと、悲しいのはずっと。でも、人って別の目的をまた見出していくものよ」
「別の……なにか?」
「そう。もちろんそれができずに縛られる人もいるでしょうけど、私は前進を選ぶと思う。人は、止まっていられない生物だから」
私が殺された側でも、相手にはそう望む。単に冷たい性格なだけなのか、前向きなのかはわからないけどね。
忍は缶を置いた。
そしてあっけにとられたようになっている妹──すずかを抱き寄せて、頭を撫でる。
もちろん、すずかや恭也のことはなによりも大切。それだけは間違いない。
そう告げて、微笑を浮かべて。
撫でられるすずかは、頬を赤らめてされるがまま、忍の感触に従っていた。
「……それは、自分のために?」
「自分のためでもあるし、相手のためにそうしたい……って、結局自分の意思ね、これも」
相手のために、相手を振り切る──……それは、シグナムが思いつきもしなかった考え方だった。
結局自分のためなのかも、と頭を掻く忍に対し、そういった考え方もあったのかと、素直に感心してしまう。
「別に、誰かの生死以外についてだって、同じことよ。そうね……たとえば、フェイトちゃん」
「テスタロッサ?」
思いもかけぬ人物の名に、彼女とはやてたちの遊んでいる方向を見るシグナム。
彼女達は相も変わらず波間に揺られて、なにやら話し込んでいる。
「そう。くわしい事情は知らないけど、あの子は元々、クロノくんやリンディさんとは血は繋がってないのよね?」
「ああ、そう聞いている」
「てことは元々の生みの親がいた。なんらかの事情があって、離れることになった」
二人よりは詳しい話を本人から聞いているのだろう、すずかが眉根を寄せて僅かに俯く。
彼女の頭を元気付けるように撫でて、忍はシグナムのほうへとその整った顔を向ける。
「彼女はそのまま、元の親に縛られ続けることもできたはずよ。求め続け、クロノ君たちを拒むこともできたはず」
「……」
「でも彼女は今、リンディさんのことを母親と呼んでいる。これって、彼女が前に進もうと思ったからじゃないかしら」
こればかりはフェイト本人でない限りわからないことではあるが。
それなりに筋の通った論ではあるように思えた。
フェイトが過去に決着をつけ、前に進むことを選ぶことのできた原因に夜天の書の見せた夢があったことは、
その一部であったシグナムとて知っていようはずもない。
「私もシグナム、あなたになにがあったかは知らない。話すのがつらいのなら、訊かない」
「忍」
「けどね、何かにこだわり続けることも大事だけど、そこからまた前進することだって大事なのよ。私はそう思うわ」
「……わかったようなことを言うのだな」
「生きてる時間はずっと短いけど、あなたよりはわかってるつもりよ?」
半ば忍は、顔を突き出すようにして言葉を紡いでいた。
知らないから言えることだ──……、そう考えてしまえば楽なのだろうが、それは彼女に対する逃げなのだろうと思う。
大体、話を振ったのは、シグナム自身だ。
きちんと考え、彼女なりの答えと提案を出してくれた点、彼女には感謝せねばなるまい。
「すずかー、もう一回、やるわよー」
「あ、はーい!!……えっと」
アリサの呼ぶ声に返事して、すずかが立ち上がる。
ビーチバレーの二回戦がこれからはじまるようで、姉達の話の途中でこのまま行っていいものかどうか、彼女は躊躇する。
「行ってきなさい」
「すまないな、話に付き合わせてしまって。続きをやってくるといい」
年長者二人が頷いたことで、すずかは顔をほころばせて小走りに一同の待つほうへと駆けていく。
「お前も、すまなかったな。変なことを訊いて」
「いいえ。考えたことが全くない質問ってわけでもなかったし」
「え?」
「あ、ううん。こっちの話。気にしないで」
「?」
忍のほうにも何やら、シグナムには言えないような事情があるらしい。
ほとんど中身は空になっているであろう缶を再度呷って誤魔化す忍に、シグナムは冗談めかして言ってみる。
「相談くらい、乗るぞ?」
「やめてよ。悩みまくってる人間に相談しなきゃならないほど、大変なことでもないし」
「そうか?」
「そう。さ、泳ぎましょ。せっかく来てるんだから」
と、立ち上がった忍が空き缶を放置したままプールへと飛び込む。
あがった水しぶきから顔を背け、シグナムは彼女の放置した缶を手にとる。
「捨ててくるぞ」
「あ、ごめん。せっかくだからお願いするわ」
切り替えがはやいというか、何というか。何がせっかくなんだ?
やれやれと思いながら踵を返した彼女は、数度辺りを見回してくずかごの位置を確認する。
そして向かおうと右足を浮かせかけた、刹那。
「っ!?」
ざばり、でもどぱり、でもない轟音を立てて、彼女の背後で、巨大な水柱があがった。
やけに今回は間隔の短かった640です。
ぶっちゃけていうと前回投下時にこの話も半分くらいはできていたんだな、これが。
ただやたら長くなったのと終わりがどうにも切りが悪かったのとで
前・後編に分けてみた次第なわけです。
要は力不足ですねorz
>>176氏
すずかとデバイスはその名前と性格に反してなのはさん以上に
容赦ない戦闘スタイルだったりするかもと期待する俺ガイル
あ、あとこちらの話の忍については「アニメ本編における月村姉妹」
と同じ位置づけですので、夜の一族かどうかに関してはみなさんの創造におまかせします。
とあるネタを考えているときに思ったのですが、
なのはが使い魔を作る? としたらおおよそどんな動物でしょうか。
フェレット・ユーノ・淫獣というのはとりあえず忘れるとして(汗)
ネコ 犬 狼 あたりがポピュラーそうですが(そうなのか、)
私は原作知らないので、そっちの方考慮するとなにか適切な動物がいるのかなぁと。
>>406 原作ってとらハDVDおまけシナリオ版のこと? なら、昔は三段変身する子狐が
使い魔役やってたけど。
>>407 なにげに単体戦力としては作中でも最強クラスなんだよな、あの子狐。同じ狐系でも
淫獣フェレットとはえらい違いだw
>>409 それ、原作ネタでよく見るんだが実際のところどのくらいの力があるの?
都市一つくらい軽く吹き飛ばせるわけ?
その昔潰した都市は10や20じゃきかないそうです
>>410 スパロボに例えて、恭也がアルブレードカスタムとするならば
久遠は真・龍王機クラスのボスキャラ。
わかりにくいならばサイコガンダム級とでも言っておこう
もっとわかりにくい気が…(^_^;)
ヤムチャと本気ゴクウぐらいの実力差だな。
日本有数の大妖怪と考えれば足りる。
白面の者とどっちがつおいかな?
そんな大妖怪を調伏して従えているなんて……流石はなのはさんだ!(大いなる誤解)
>>406 暗殺一族の血を引く『高町なのは』小学3年生は亡くなった友人のお墓参りに行くのが日課でした。
そんなある日、なのはと友達の久遠にだけ、どこからか助けを呼ぶ声が聴こえてきました。
森の中を探してみると、『リンディ・ハラオウン』と名乗るちっちゃな妖精さんが倒れていました。
リンディさんから魔法の杖『レイジングハート』を受け取ったなのはは、記憶を吸収して力をつける
という『イデアシード』の回収を、魔法少女として手伝うことになったのでした。
こんなお話。
>暗殺一族の血を引く
↑ここ重要
>日本有数の大妖怪と考えれば足りる
数百年で大妖怪ってのはどうかと。実力はあると思うけど・・・
すずかに2丁拳銃を・・・と考えましたが、それだと某赤いコートのノーライフキングに・・・
すずかのデバイス、接近戦以外、何かアイデアありませんかね?
ファンネルっぽいのとか・・・うーむ、イマイチ。いっその事、日本刀とか・・・
>>420 シューティングモード特化の超遠距離タイプ(スナイパーライフルや長弓)とか
話の繋がりと周り考えてない上に使いどころ間違えれば役立たz(ry
というか下手すりゃなのはとかぶるのかorz
日本で数百年も経てば立派に大妖怪だと思うが、『大妖怪』をどう定義するかの問題になっちゃうな。
『すすか』と『シルフ』の名前に合うスタイルねぇ。
シルフと聞くと、とりあえず風のイメージがぱっと頭に浮かぶ。
不可視の刄・突風・嵐・空気圧・断層・ゲーニッツ……こんな単語位しか頭に浮かばん。
ただ、すずかは能力だけ取り上げるとバーサーカーの方が似合うんだよな。
ですね>能力はバーサーカー
むしろ、イメージとしてはアリサの方が遠距離のスナイパーライフルなんだが、
こんなのは少数派ですかね。
アリサには司令塔のイメージがある俺
なのは(菜乃葉)=レイハ(不屈の心)→高威力砲撃、高硬度防御特化
フェイト(運命)=バル(武器の種類名。運命を斬り拓く刃)→高機動、黄金の光の斬撃
はやて(疾風)=リイン(強く支えるもの。祝福の風)→仲間に支えられて放つ広域攻撃が仲間を支える
クロノ(時)=デュランダル(折れることのない剣)→24時間スタンドアローンで戦えます
マスターとデバイスには、名前にしろ性格にしろ、なにかしらこじつけることができる共通点が見いだせるけど、
デバイスの名前と戦闘スタイルには、無理に関連性を持たせる必要は無いね。
むしろアームドデバイスでもないのに、デバイス名がそのまま持ち主の使用魔法種類に直結しすぎると安直に見えてしまって浮くかもしれない。
>ゲーニッツ
何そのオロチより強い八傑集の人。
>>422 ここですか?とか、神罰ですとか言いながら
アグレッシブに動くすずかを想像してしまったではないか_| ̄|○ノツ(しかも無制限
とりあえず
>>425見つつまた適当に書き出してみたけど(持ち主との相性は二の次)
まだまだあるはず、漢字2字固定にしたのは縛っただけなので気にしなくていいです。
・設置型:罠を張り、敵の行動パターンを阻害、或いは読み合い、バインド系はその一部?
・妨害型:相手の行動に対する場への干渉、ジャマーとか
・探索型:相手の場への妨害に対する対策、魔力感知、ユーノはこの分類かと
・補助型:味方の戦闘力の向上・回復、ある意味そのまま
デバイス効果の直結は別に相性から選ばれたことにすればそれほど問題ない気もする
共通点については同意。
書いて思ったけど、2・3については他のもできるのでそれにしかできない何かをつけるべきかもorz
>デバイス効果の直結
ごめんこれ俺の書き方がおかしかった。
あくまで、「それぞれの魔力の運用法」がデバイス名にこじつけられるのであって、
シルフという名前だから風属性の魔法が使えます、っていうのは安直で浮いてしまうと言いたかった。
はやてを例にすると、「リインフォース(補強部品)」っていう名前だから「強く支える」支援魔法を使わせているのではなく、
ただの強力な魔力(広域攻撃)を、「リインフォース(補強部品)」を読者に連想させるような使い方をさせている。
結局のところ、想いを貫く高威力砲撃も運命を斬り拓く黄金の刃も、なにも特別なところのないただの魔力の塊でしかないわけで。
だから重要なのは、(ちょっと極論だけど)
「すずかとシルフにどんな魔法を使わせるか」じゃなくて、
「直射弾、シールド、バインドなど、要は普通の魔法を使ってバトルするすずかから、(読者に)シルフという言葉っぽさを連想(こじつけ)させる戦闘描写」
を練った方がいいんじゃないかと思う。
追記:
偉そうなことを言いましたが、ホントに極論だし、風の魔法を全否定するつもりもありませんので。
ただの一意見以上の意味は無いことを付け加えておきます。
クロノ「風の魔法だって!?気になる……それはどういう魔法なんだ」
クロノ「風を操るのか? それは一体どうやって?風の流れを操作するのか? つまり空気の運動を操作できるのか? どの程度まで操作できるんだろう?」
クロノ「無風を作り出して真空を作ったり出来るんだろうか、いやそもそも空気の運動を操作できるということは熱量を増大することも出来るのでは……なら対象の周囲の大気熱を上昇させて呼吸を阻害したり、対象の肺機能に直接真空を作成することも可能なのか!?」
クロノ「気になる……すごい気になるぞ! 頼む、すずか! その魔法の詳細を是非教えてくれ! 頼む、頼むよ!!」
すずか「え、いや、あの……」
なのは「クロノくん……」
フェイト「クロノ……魔法マニアだったんだね……」
はやて「道理で妙にマイナーな魔法まで覚えてると思ったわぁ。 難儀やなぁすずかちゃんも」
こんな妄想が浮かんだので一筆。駄文失礼。
>>429 そこで空戦ですよ(ry
風のイメージに拠る戦闘って中々難しそうですな。面白そうでは在りますが。
>>429 そういう意味ね、頭固くてスマン
自分の持つ風のイメージは「自由・気まぐれ・いたずら・運ぶもの」とかだったりする
意見の一つであるのは同じだし、連想に強いのがいればもっと気の利いたのがでてくるかもしれない
提案はしてなんぼってことで
ハイパーボリア
風のうしろを歩むもの
>>433 せめてデモベなのか塵骸なのかはっきりしろw
>>431 途中までクロノの目的がスカートかと思ったwww
>>429 >結局のところ、想いを貫く高威力砲撃も運命を斬り拓く黄金の刃も、なにも特別なところのないただの魔力の塊でしかないわけで。
その「ただの魔力の塊」に何で魅力があるのかっていったら、
なのはの「友達を助けたくて手を伸ばす、想いが伝わるまで絶対に諦めない意志」だったり、
フェイトの「生い立ち、絶望にくずおれて立ち直るまでの過程、リニスがバルディッシュにこめた想い」だったり、
クロノの「辛い境遇から来る修練の愚直な積み重ね」だったり、
戦闘以外のストーリーの積み重ねがあるからなんだよな。
すずかのデバイス、特殊なところのない普通の魔法を使わせろっていうのはいい意見だと思う。
人並み外れた勘の良さ、身体能力、反射神経、動体視力。これらを魔法を使うことにどう生かすかってだけで、十分に特徴は出るんじゃないかな。
戦いにおいて、実力差の大小に関わらずどんな強い相手にもそれなりに拮抗できちゃうタイプっているでしょ。
どんな相手にも相性がいいというか、相手への対応力が凄いというか。
>>409 すまん、スレ違いだが。
フェレットはイタチ科、キツネはイヌ科だ。
イヌ科だったのか、(ぉぃ
439 :
連続スマン:2006/08/03(木) 05:20:30 ID:jZCzsOOR
>>439 お世話することが飼う条件だったからな、しっかり対応してるさ
>>438 キツネ科っていう科があるかと思ってた。 でなくてもネコ系だと思ってたよ。
そういえば昔、GS美神で妖狐と人狼のコンビがいたがありゃ犬コンビって事だったのか。
>>439 3.臭いにあてられて、なのはさんも発情してしまう
すずかのデバイス「シルフ」
背中に羽根を背負うような形状で
すずかが敵と思ったのをまとめて捕捉
背中のシルフから強い魔力風が全目標に……
って種(フリーダム)のイメージが浮かびました(笑)
アリサの方はDestinyで……
>>442 リリカルなのはジュエルシード Destinyはマズイと思うよ。
「何でアタシ達が戦わなくちゃいけないのよ、友達でしょ」
「あんたって人はーーー!!!!」:アリサ
「私は・・・クローンだから・・・」:フェイト
・・・えーと・・・
↓以下、ガンダムの話が延々と続きます
↑続きませんでした
>>441 うーん、なのはも…というとこんなのを思いついた。だが需要は無さそうだww
「ねえユーノくん、変身する魔法ってあるの?」
「え? なのははいつも変身してるじゃないか」
「違う。うーん、、ユーノくんがフェレットになるみたいに…」
「あれは変身というか、あの姿の方が負担が」
「無理なの?」
「ううん、なのはならできると思うよ(細かい制御がちょっと心配だけど)」
「ほんとー! 私もフェレットとかになってみたい!」
変身
↓
激しく発情
フェレットプレイ(??)
第5話 きっと魔法は絆なの
こんな気持ちは初めてだった。
暗闇が心を包んで胸がざわめく。口の中は乾いて体中をじっとり嫌な汗が張り付く。
「いい加減にして!!」
『Divine shooter』
まだ殻に覆われてない所目掛けディバインシューター。思い描く通りの命中をしているのに相手は構うことなく突っ込んでくる。
苦手な近くでも、得意な遠くでも相手はわたしに満足に反撃すらさせてくれない。
「シールド!」
背中に見える光の塊。またあの砲撃がくる。
防御にだって自信はあるのに右手の盾は一秒も持たず壊れてしまう。
『Master,don't rush it』
「大丈夫! このくらいじゃ」
なんとか凌いですぐにフラッシュムーブ。相手は素早くないから追いきれないはず。
そう考えて即実行。思ったとおり相手はわたしを探してキョロキョロしている。今のうちに弱点さえ見つかれば。
「エイミィさん! 何か弱点とか!」
『駄目……こっちじゃ何も』
「っ! 何とか頑張ります!」
こうなったら一か八か、あの顔にむき出しのL・ジュエルに直接砲撃を叩き込んで封印するしかない。
(ユーノくん! いける?)
(なんとかね……可能な限りフォローするよ)
念話が途切れると同時に森から鎖が相手の体中に巻きついた。
(でも、無理に近づかないで……そこまではフォローできるかわからないから)
心なしかトーンの落ちた声。だけど聞いていられるほど時間はない。
最大加速で一気に飛び込む。ぐんぐん近づく距離に相手も気づく。向けられた顔にL・ジュエルの鈍い輝きが見える。
これで決めなきゃ――!
「ゼロ距離! ディバイン!」
レイジングハートの先に光が生まれ、その先にはL・ジュエル。間は一メートルもなく外れようがない直撃コース。
光満ち、わたしは間髪入れず心の中で引き金を引いた。
「バスターーーーーッ!!」
瞬間、目の前が真っ白になって何もかもが見えなくなる。
あまりの眩しさに目を閉じ耐えて、魔力が爆発する衝撃を体全体で受け止めながらありったけの魔力をレイジングハートに込める。
「シーリングモード!」
自分でも眩暈がする渦の中で光の帯がL・ジュエルへ突き刺さっていく。これだけの魔力を流し込めばL・ジュエルだって封印できる。
「リリカル……マジカッ――」
不意に体から力が抜けかけた。手から零れ落ちそうになったレイジングハートを慌てて握りなおし、一緒に飛びかけた意識も握り締める。
(まだ魔力が戻りきってない? だけど!)
約束したんだ。二人に、アリサちゃんとすずかちゃんに帰ってくるって。
だから――
「リリカル! マジカル!」
負けられない!
「ジュエルシード! ロストナンバー!」
『Stand by』
「封印!!」
『Sealing』
今までで一番の振動が腕を揺さぶった。それを歯を食いしばって必死に耐える。
台風でも来たような暴風と轟音。その中でわたしの桜色が青い光を少しずつ飲み込んでいく。
いける! 心の中で確信してありったけの力をレイジングハートに注ぎ込んだ。
『――のはちゃん! 駄目! 離れて!!』
「えっ!?」
水を差すようにエイミィさんの叫び声。
だけど封印に全部注ぎ込んでいたわたしにそんな言葉が届くはずもなくて。
それが危険を知らせるメッセージだと悟った時には、すでにわたしの体から全部の力が抜けていた。
「え……? な、なに……?」
目の前が二重にぶれて意識が白に薄められていく。
何か青色がちらちら映りこんで、手元に目をやればレイジングハートに青い帯が何重にも巻きついていた。
『Master,this mode cannnot be maintainded』
異変はすぐわたしに届いた。
眩い輝きがレイジングハートから急速に消えていく。透き通っていた宝玉はくすみフレームにはひびが入る。
『Danger,this will stop my self』
「そんな!? しっかりして! レイジングハート!」
封印されているのはわたしの方? そんなわけない!
だって目の前のL・ジュエルは封印しているんだから――。
「……封印してるのに」
自分の言葉に自信が持てなかった。思わずレイジングハートに巻きつくそれを目で追った。
「……嘘」
帯はレイジングハートの左右から伸びている。決してL・ジュエルの出したものではない。
そうしてたどり着いた場所に光っていたものは
「ジュエル……シード」
そうだ…・・・そうだった。
相手はL・ジュエルだけで動いていたわけじゃない。自分で作ったジュエルシードを二個も体に埋め込んでいたんだ。
『Escape here early』
わたしたちの真似をするなんて信じられなかった。信じられないけど信じるしかなくて。
ぼやぼやしてたらレイジングハートがやられちゃう。
下した決断は逃げる以外に考えられなかった。
「なのはっ!! 危ないっ!!」
そうやってわたしが封印を止めてしまうことが相手の本当の狙いだった。
ユーノくんが叫んでわたしの前でシールドを張って。
気がつけば景色がすごい勢いで流れて、鈍い音が聞こえて、息が出来なくなった。
「ぁ……ぁう」
遅れてじんじんと背中に広がっていく痛いって感覚。体中痺れて立てそうにもなかった。
きっとプロテクションが発動しなかったら気を失ってたと思う。
「ゆぅ……のくん」
わたしを咄嗟に庇ってたけど大丈夫だったのか。
何とか首を上げればわたしの前に両手を広げるユーノくんがいた。
「大丈夫……君は僕が守る――」
ガクリ、と膝が折れ、踏み止まることもせずユーノくんは前のめりに地面へ倒れた。
その瞬間わたしはようやくユーノくんの右肩が赤く染まっていたことに気づいた。
「そん……な」
もしかしたら最初に庇ってくれた時に怪我してて、だからあの時声に元気がなくて。
地面に突っ伏したままでユーノくんは動かない。きっと気を失ってるだけ、だけどそれはわたしにとって最悪の事態を招くことしか意味していない。
影がわたしを覆った。見なくたって相手がやってきたことぐらいわかる。
「い……や」
脱力している体に立ち上がる力もレイジングハートを構える力もなくて。
いけると思った相手が自分の力じゃどうにも出来ないものだと思い知らされて。
「あ……ぅ」
不規則にわたしの口から鳴るカタカタ。
(なんでわたし……震えてる?)
心の中の暗闇が一気に噴き出した。
体全体に伝わる寒さ。恐い時背筋が凍るっていうけど本当のことなんだ。
どうにか動かそうとした手は上がることは決してなくただ地面を引っ掻くばかり。
「いや……やだ……」
誰かに負ける。初めてはフェイトちゃん。首に鎌を突きつけられた時はすごく怖かった。
だけど今はそのときの怖さの何倍も怖い。銀色に光る怪獣に見下ろされ怖い以上の嫌な気持ちが心を押しつぶそうとしている。
弱々しく首を振って意味のない抵抗。後ずさりも動けなければしようがない。
もしもあの時押し切っていればL・ジュエルが封印かできたかと思うとどうしていいかわからなくなる。
わたしは目の前にぶら下がっていた勝利を見逃してしまったのだ。
真っ白な光が見えた。ここから見えて数は三つ。バリアジャケットしかないわたしには一発あれば十分だと思う。
冷静にそんなこと考えているのはきっとこれから先に起こる結末を忘れたいから。
本当ならもう家に帰って、家族のみんなに元気を見せて、また明日から頑張ろうって思って……。
わたしはきっと魔法使いになって初めて思い知らされた。
やり直すことが決して出来ないこともあるんだって。
振り上がる腕に青い軌跡を描くジュエルシード。
手からレイジングハートが滑り落ちた。
自分が諦めてしまったことを他人事みたいに感じながらわたしはぎゅっと目を瞑った。
――ごめんね、アリサちゃん、すずかちゃん。
――そんなこと言わせないわよ。
『Splush wave』
* * *
大地を割る光の波。間欠泉みたいに地面から光を吹き上げて、アタシの人生最初の魔法は盛大な音と共に山みたいな化け物に爆裂した。
「もう一発!!」
相手が怯むよりも早くデバイスを振り上げ――
「スプラッシュ!」
これでもかと地面を叩きつける!
大胆に地を耕しながら光がまた生まれさらに一撃、化け物に痛手を負わせる。
キラキラと夕日を反射する敵の鎧だったもの。アタシの魔法で一瞬に砕けちった姿だ。
「どんなもんよ!」
よろりとバランスを崩していく相手を目の前に指を突きつけ鼻高々。
背中から白煙を上げながら化け物は頭をこちらに向ける。突然の来訪者になんだか驚いているみたいだ。
ゆっくりと開く口から低いうなり声。自慢の鎧を壊された恨み言でも言っているのか。
通じないから意味ないけど。
「次! すずか頼んだわよ」
「まかせて!」
後ろに下がり今度はすずかが前へ飛び出す。相手が次にすることはもう把握済み。こっちだってさっきからモニターで散々不細工な姿を拝んできたんだから。
「シルフ、お願いね!」
『Obey,mistress』
相手が動く。当然撃ったのはなのはを撃とうとした砲撃だ。
でもそんなんで今のすずかは
「セット!」
『Protection』
――止められない!
「お返し――」
『Distortion』
すずかに襲い掛かっていた真っ白な光線が突然バリアの上でぐるりと渦を巻く。
「させてもらうから!!」
『and――』
渦はすぐに真っ白な球体に姿を変えて。
『Refrection』
ズドン! と大砲でもぶっ放したみたいな音を残して光線を撃ち返す。
受けた光線は三発。それを束ねて一発。防御するだけかと思ったら跳ね返すなんて侮れない。抜け目ないすずかの発想にちょっと舌を巻いた。
『目標、外殻の再生を開始! やっぱり遠くからじゃ埒明かないよ!』
状況を伝えるエイミィさんにアタシは思考を巡らし次なる手を練る。
そうして出てくる答えは単純明快、馬鹿でも分かる。
「バーサーカー! 飛ぶわよ!」
『How do?』
「とにかく飛ぶのよ!」
『It is a interesting order.I hope to clear a little more idea』
ムカッと来た。確かにインテリジェンスなだけあって自分の考えを持っている。
だからってビギナーのご主人様にいきなりそんなこと言うのか、こいつは。
「あんたねぇ……ちゃんとアタシ考えてるでしょ! もっと説明欲しいの?」
『It's joke.Your thinking knows』
嵌っていた宝玉が煌いて何かが足元を押し上げ始める。
『You have entered power too much.Please pull out power a little』
茶化すかと思えばいきなりそんな真面目な事を言うこの子に一瞬呆気に取られて、やっぱり手玉に取られたのがちょっぴり悔しくて。
「ああもう! 分かってるなら行くわよ!」
『Yeah buddy』
膝を折り曲げ体を落として、目指すべき場所に狙い定めて――
『Boost jump』
思いっきり地面を蹴る!!
ロケットエンジンでも背負ったみたいに飛び出すのはアタシ。伸び上がる景色、向かって来る風圧、一秒も待たず空へ放り出される。
初めて空を飛んだ。でも感動を味わうのはまた後で。
「大事なのは!」
視界一杯に広がる銀色の背中。とっくのとうに再生していて近くで見ると銀細工みたい。
それをアタシは
『Hammer squash』
ぶっ飛ばす!!
* * *
工事現場にでもいるような騒音が敵の背中から何度も鳴り響く。
背中で何度も何度もデバイスを叩きつける姿を見ていると元が杖だってことを忘れてしまいそう。
「シルフ、次いくよ」
『Please don't hesitate to ask me,mistress』
「うん!」
丁寧な物腰で私の指示を待つこの子はなんだかノエルみたい。
けど今やるべきことはシルフとお話することじゃない。
「イメージを……浮かべて」
すっと目を閉じてリンディさんの言葉を思い浮かべる。
落ち着いて焦らず、最も形にしたいことを願う。そうすれば応えてくれる。
形にするもの――盾の次はやっぱりこれしかない。
「シルフ!」
『Air saucer』
真上にジャンプ! そうして風を捉える。
足元に作り出されるたのは光の輪。アリサちゃんみたいな加速はしない代わりに乗りごこちはすごい安定している。
あっという間に森の上に飛び出して私は眼下に今の状況全てを捉えた。
「リンディさん、これでいいんですよね」
『いいというか……満点だけじゃ足りないくらいね』
「ありがとうございます、それでどうすればあの怪獣を止められるんですか?」
『それは簡単! 前足と頭の宝石、あれを封印するだけだよ!』
なら話は早い。今の私とアリサちゃんの力なら絶対出来るはず。
「そうだよね、シルフ」
『Yes.I am this feeling』
(アリサちゃん、聞こえた? もうちょっと頑張って弱らせて!)
(まかせなさい! フォローはお願いね)
(もちろん!)
すでに準備は万端。私のすぐ真下にアリサちゃんが作った煙が雲みたいに渦巻いている。
少しやりすぎかな、というか敵が確認できないのはやっぱりやりすぎだ。
「でもわかるよ……シルフが教えてくれる」
煙の中から伝わってくる三つの胸騒ぎみたいな感覚。
「これがジュエルシードの魔力なんですよね?」
『正解よ、やるわねすずかさん』
「なんとなくですけど」
今まで何度か感じていた違和感。その正体は他でもない魔力そのものだ。
私は今この空で魔力を感じ取っている。
一つがすごく大きくて怖い感じで、後の二つはなんというかただ漂ってくるみたいな感じ。
きっと一番大きいのを止めれば残りのも封印っていうのをできるはずだ。例えればあれがボスで残りは端末装置。
「まず動きを止めるよ!」
『Yes,the punishment is necessary』
凛と響く声。同時に手にしていたシルフが変形を始める。
『Shielder style stand by』
今まで装甲だと思っていた二つの板が広がっていく。変形が完了するとそれは羽が生えたようにのように杖を飾った。
シルフの準備は大丈夫みたい。結構メカニカルな杖に高揚感を覚えながら私はまた新たな魔法を思い浮かべる。
――必要なのは相手の動きを封じること。でもさっきからずっと見てて足や手を部分的に拘束するだけじゃ駄目。
体全体を封じ込める、檻に入れるとかじゃなくてゼリーとかそんなので固めてしまうような。
この子はそういうのがすごく得意な杖だって聞いた。だからこのくらい
「いけるね」
『Yes』
杖を構えて――
(アリサちゃん! 今すぐ離れて!)
声をかけて合図みたいに爆発音が轟いて
「捕まえて!」
『Whirl bind』
先端が光を放って五つの青い光線が真下へ放射される。
躊躇うことなく煙に突っ込んで、そうして光線同士が渦を巻くように立ち上って。
光が弾けて消えると同時に煙が吹き飛んだ。その中にいた怪獣は私の想像通り前のめりになりかけた状態で固まっていた。
(やるじゃない、すずか!)
頭の中にアリサちゃんの弾んだ声。私はその場から下にいるアリサちゃんへ大きく頷いた。
『艦長……これが新型の』
『我ながら管理局の技術を甘く見ていたわ。……これならいけるわ、二人とも!』
「はい!」
ピッタリ声が重なって来るべき時が来たこと告げる。
「とちるんじゃないわよ、バーサーカー」
『Okay,buddy』
「よろしくね、シルフ」
『Of course,mistress』
互いに自分の杖に願いをこめて。
ちょっと気になって振り向く。木に寄りかかって何とか立っているなのはちゃんが見えた。
その目はどこか心配そうに、どこかぼうっとしながら私たちを見つめている。私は言葉の変わりに頷きを見せた。
――大丈夫、なのはちゃん。私たち支えられるよ。
* * *
『Grand position stand by』
宣言と共に柄の部分が前へとスライド。少し長くなって伸びた所から角のような茜に染まる羽が一枚、勢いよく飛び出す。
丸い宝玉は夕焼けに劣らない橙で煌き、金属の所に反射して強く辺りを照らす。
『Saver style stand by』
金属音響き羽が杖から離れる。杖を軸に羽は周りに浮かび杖からも青い翼がはためいた。
鉄と光、四枚の羽に青い珠は一層の輝きを放つ。まるで空を映すように。
『さぁ! 心に浮かんだ呪文を唱えて!』
目を閉じる――。
真っ暗な世界……ってわけじゃない。瞼を貫く光はアタシの決意そのもの。
自分の心に問いかけて、ふっと浮かんだ魔法の言葉。
心の中に風はない。
風のない世界? 違うもうすぐ風は吹く。だって空はこんなに澄み渡ってる。
だから、ほら――。
「Higher! Faster! Stronger!!」
「風よ運べ! 想いと願い!!」
『封印すべきは失われし器――ジュエルシード!!』
リンディさんの声に目を開く。
目に飛び込んでくる光の嵐。握った手から伝わる熱い力。
すべては、最後まで抗う光の只中へ。
「ロストジュエル――封印!!」
暴れる願いは光に帰った。
なんだかえらい議論がなされていることにびっくり
蓋開けたらこんなので
なんだか皆様の期待を裏切るようなものばかりですいません
デバイスの形やらバリアジャケットの描写は次回に
名前は二人の戦闘イメージから沸いてきた仮名称がそのまま定着した感じなんですけどね
どこから、とか元ネタはないです、はい多分……
デバイスそれぞれの特徴はそれぞれ書いたとおり特化型です
攻撃がバーサーカーで防御がシルフ
ただシルフに関してはすずかの機転でいろいろと使い道が変わったり
そこらへんの詳しいのも次回に
まぁアリサに関しては以前(かな〜り前ですが)上げた短編そのままです
司令塔にはなるかもしれませんが前に出すぎというどこぞの大佐状態です
シグナムさんではないが悩みますね
>>640氏
一応容赦ない魔法はあることはありますので
ちなみに私のほうでは月村に夜の一族設定はあくまでありません
オーバーテクノロジーはありますが
ぶっちゃけ、とらはのほうそこら辺の設定調べただけでやってないんです(手元にあるから早くやれ
>>446に続けてみました、何気に初投稿
初めて会ったときのように僕の呪文の後になのはが続き、変身が完了する。
穏やかな光に包まれた後には2匹のフェレットがいた。
片方は言うまでもなく僕で、もう片方がなのは。
輝く瞳、綺麗な白い毛皮がとっても可愛い。
その姿に見とれてしまった僕とは対照的に
「わー、これがユーノくんの見てる景色なんだー」
と、早速変身したその体躯で部屋の中を走り回り始める
「見慣れた部屋なのに別世界みたい…あ、携帯電話、おっきい…」
・・・やや興奮気味ではあるものの幸いなことに制御は安定しているようだ、
さすがなのはといったところかな
────
「…ユーノくん」
不意になのはの呼び声に思考を中断させてそちらを見やる、
…と、いつもの癖で上を見てしまったが、今なのはは僕と同じフェレットなのでその必要がないことに気づく
視点をおろすとそこには白いなのはがいた。
少々息が上がってるみたいだけどこれは移動が全身運動だし──実はこれが結構いい運動になったりする──
そして魔力は制御のみに使ってるみたいだから仕方ないだろう
「ふぅ、いきなりの我侭なのに聞いてくれてありがとう」
微笑む。こういう感情は種族が変わっても同じようなもの、
それに、なのはだし・・・
「う」
身動ぎ。
「どういたしまして…って、大丈夫?」
「大丈夫だいじょぶ、気に、しないで」
再び身動ぎ。何か様子がおかしい、痒いのだろうか
そう思った僕が毛繕いするようにハナを押し付け一舐め─ちょっといい匂いかも─した途端
「あ、くすぐった…って、ちょっとそこは、あ、あぁぁー!?」
どげしっ!
「あぶしっ!?」
蹴られた。ぶっ飛んだ。ゴミ箱に直撃した。
しまった、いつもの調子で舐めたけどあそこは人間で言うと……確か下腹でも下のあたり…無理ないか
「・・・・・・・・・」
─…蹴られた以外の理由も手伝って─少し出血してるハナを押さえながら
なのはにあやまるが、反応がない。本気で怒らせてしまったかと恐れつつも遠巻きに覗き込む
「ぅぅ…はふぅ・・・ぅん…」
そこには顔色が蒼白に(毛皮は白いけど同種の僕から見ればすぐ判る)した…
明らかに不安定な状態になっていた
>>438-441 無印1話でちゃんと普通のフェレットとは違うって作中で言ってたよ
後フェレットをイタチと呼ぶのは必ずしも間違いじゃないねフェレットは
ヨーロッパケナガイタチを家畜にしたものだし
ついでに狐は犬科と言っても犬や狼とは属が違うから別物と言えば別物。
そしてこれ以上はスレ違いw
>>176氏
ご苦労様です
────
「なのはっ!?」
慌てて駆け寄ろうとした僕は不意に何かに気づいた
「はぁ、はぁっ、はぅっ・・・!?」
身体をよじり、確かに苦しそうな声を上げてるけど…ただ何かそれだけではないような気がする
確かによくない状態であるのは見て取れる、でもよく見ると魔力の制御自体はそれほど乱れてるわけではない
それに僕自身もその状況にいつもと違う調子であることに気づいていた
なのはの喘ぎ声と、不思議な匂いに反応する普段とは違う自分の感情に困惑を感じながら、ユーノは…
────
作業並行してやってたら3時間もかかってしまったorz
しかも色々強引だなぁ…
↓ということで以降、分岐。任せた。
1:変身強制解除、以降は(ry
2:色香に負けてユーノもその場で発j(略
3:その他?
────
>> 176 ◆iJ.78YNgfE さん
傍から見てた身ですがこういうのは見てるだけでも楽しいものだと思います。
もし詰まっていても見ることで閃く物があるかもしれませんし
>>458をみてやはり修行が足りないと思ったorz
>>459 割り込んでしまった。ごめんなさい。
投下ご苦労様です。
>>460 あまりにタイミングが悪すぎた、気にせんでください。
464 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 06:46:24 ID:WBp04mkm
>>459 獣姦は獣姦でもこの発想は斬新ですね。
設定の不備云々というより、純粋に二次作品として十分面白みがあると思いますよ。
なにより、このシチュエーションは設定をデフォルトにすると成り立たないので
この作品においては問題に値しないですし、
>>463さんのおっしゃるとおり気にしなくて良いと思います
465 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 06:59:36 ID:WBp04mkm
>>464補足
※オフィシャル設定にこだわりすぎると、二次創作としての自由度が失われるという意味です。
作品に整合性がないと言ってるわけではありませんので、どうか誤解なさらずに。
お〜こじょさ〜ん(*´▽`)
とかいうと別の漫画になってしまうか
獣姦が人気なのねw
職人さん減っちゃったね。スレも随分過疎ってるし・・・・・・
5〜6スレ辺りの投下ラッシュが懐かしいなぁ
つーか保管庫の人生きてるのかな
「世界の終り」の第四話を投下いたします。
陵辱作品ですので、苦手な方は御注意ください。
魔法少女リリカルなのはA’s −世界の、終わり−
第四話 少女達の終焉・上
「ああ、やいあぁ、また、またああああああぁっ!!」
くる。そう思った次の瞬間には前後の孔の中で二本の凶器が暴発し。
なのはの胎内を、腸を、真っ白に染め上げていく。
周囲をまともに視認することすら不覚になりつつある少女がその鋭敏すぎる衝撃を
受け流すことも、堪えきることもできようはずもなく。
快楽という名のその衝撃は深く、深く、彼女の狂いそうなほど敏感になった脳神経を
貫き悲鳴をあげさせる。
「いぐ、いぐ、いぐうううううううぅぅぅぅっ!!!!!」
金髪の捕食者に抱え持ち上げられた片足は、絶頂と同時にわずかに硬直し、
すぐさま力を失って垂れ下がる。
首を反らせ、背筋を反らせて白濁にまみれた顔を天高く向けて絶叫する少女の胸を、
短髪の調教者の口がしつこく嬲り続ける。
右手でお臍を、左の手では鎖骨をやさしく撫でられ、
淫毒に高められ絶頂で敏感になった身体をぞくぞくとしたいやらしい感覚が駆け巡り、
彼女らに敗戦した少女魔導師はサンドイッチ状態での陵辱という惨めすぎる格好のまま、
捻り切れんばかりに首を振りたくり悶え、よがっていた。
「ふふ……そうそう、いい子だ……」
「ちゃんとイくときはイくて、言わななぁ?ええ子には、たーんとご褒美あげるしなぁ」
「あうううううぅぅぅっ!!また、くる、だめ、や、ああぁっ!!ひぐ、ひくぅぅぅぅぅっ!!!」
絶頂直後の脱力しかけた身体に、間髪入れず注送が叩き込まれ、少女の悲痛な叫びが響く。
なのはの膣が収縮し、二人の陵辱者の灼熱槍を締め付けていく。
イってはイかされ、イかされてはイく。
彼女の幼い胎内に収まりきらない白の噴流が溢れ出し、
彼女自身が分泌し噴き上げ続ける本気汁と合わさって、陰惨な白濁の滝を作り上げて
両足を伝い、洪水と化す。
「ひやなの、いや、ひや、いやなのおおおおぉぉぉっ!!もう……ああ、あ、ひやああぁぁっっ!!!!」
洪水は、止まらない。
「うぁっ、あ、ひ、ひや、ひ、ぃやぁ、んあああぁあぁっ!?、あぎ……ぐううぅっ!?」
白濁を噴き流しわななくなのはの前門から、よくもこれほどのサイズのものを咥えこんでいたと思えるほどのはやての剛直が引き抜かれ、
同時にその白く汚く汚れ、ツヤも張りも失った茶色の髪が乱暴に掴みあげられる。
ぶちぶちと何本か、その勢いで千切れ抜けてしまったことが感じられて、なのはは痛みに声をあげようとする。
だが目の前に迫った汚濁まみれの肉槍──先ほどまで、なのは自身のいやらしい孔を埋め尽くしていた
はやて、そのもの──によってその口は塞がれて、発声も覚束なくなる。
丁度、馬とびの馬のような──片足を抱えられ、両腕を後ろ手に拘束されている点が、致命的に異なるが──姿勢を
とらされ、今度は上の口と後ろの穴に対する注送が即座に始まったのだ。
そのような姿勢を片足で支えられるほど、なのはに体力が残っているわけもなく。
痙攣を伴って右足がかくりと折れ、攻め続ける二人もそれを見越していたかのように沈み込むなのはの
動きに合わせ腰を落とす。
また両腕を拘束していたバインドが解かれ、彼女の体重を支えるべく震えながらも地面へとそれらは差し出される。
まるで、犬だった。
四つんばいから放尿をするために片足をあげた、メス犬の姿こそが、今のなのはそのものを言い表す形容、そのもの。
「んーっ、ん、ん!!んんん、んんぅ!!んぐうぅぅぅぅーーーーっ!!!!」
串刺しのように、口内と腸内を蹂躙され貫かれる、被虐の雌犬。
よがり泣き叫び、男根の出入りと共に繰り返し潮をばらまく恥知らずな雌犬。
高町なのはは一匹の雌犬としてただ、二人の思うがまま───……。
* * *
彼女が目覚めたとき、二人の陵辱者は姿を消していた。
地面に広がる、白濁の海原。
輝きを失い裂け目ばかりで精液漬けで嫌な質感になった、ボロボロのバリアジャケット。
そして、まるで土下座のような姿勢でうずくまり穴という穴から子種を垂れ流す、ザーメンまみれに汚されきった自分。
そこにあったのは、それで全てだった。全てが彼女の、なのはの敗残の証。
「う……ぁ」
身を起こそうにも散々に胎内へと打ち込まれた快楽の余波で、碌に腕にも足にも力が入らない。
首も、頭を持ち上げるだけの力はなく、顔面は精の海へと突っ伏したままだった。
「……トちゃ……はやて、ちゃ……」
せめて、魔力さえあったなら。
無理やりにでもこの身体を魔力で動かして、二人のもとに駆けつけるのに。
おそらくは自分と同じ目にあっているであろう、姿を悪用された二人の親友のもとに。
なにもできなくたっていい。彼女達のところへただ向かいたいのに。
「……あ」
かすかに右足を動かしてはじめて、彼女はその足首に自身の下着が、ひっかかったままになっていたことに気付く。
その存在に気付くことすらできないほど、彼女は犯され、絶頂へと繰り返し導かれ。
消耗しきって倒れていた。
「く…・・・ぅぁ…う」
眉を顰め、全身に汗を噴き出しながらも、彼女は動かぬ身体を動かし。
半ば反射的にそのショーツを足首から腰へとずりあげていた。
精液でどろどろになった肌と擦れあうたび、それ自身濡れそぼっていた下着が
嫌な水音を立てて肌に航跡を作ったが、なのはに気付く余裕もありはしない。
「ひぁ……んんぅ……」
身に着けた際の、
ショーツの湿りきった布と秘所とが擦れあった感触に、なのはは軽く達してしまう。
それは幼いその身体が確実に開発されている、悲しい証。
はぁはぁと肩で息をして、余韻が遠ざかっていくのを待つしかできない。
「──ふ、ぅっ、ひぅ、は、はぁ、はぁ……っは……」
堪えろ。堪えるんだ。必死に、自分に言い聞かす。
だが、そのような少女の悲壮な意識を嘲笑うかのように、それは姿を現す。
「ふむ、まだ正気のようだ」
「!!っあ……く」
顔を上げられずともわかる、その気配。
彼女達をいともたやすく、ここまでの窮地へと追い込んだ元凶。
その男に、間違いはない。
「ほら」
「───!?」
からん、と、なのはの目の前に男が何かを投げ出す。
まるで飼い主が動物に対して、餌を与えてよこすように、無造作に。
悲しいかな、今の彼女と男との力関係はまさにそれと同然であった。
「な……」
わずかに首を曲げてそれを見たなのはは、己が目を疑う。
彼女の見た先にあったのは、破壊されたはずの己が相棒。
「レイジング……ハー、ト……?」
フェイトの鎌によって真っ二つに断ち斬られ、はやての砲撃を浴びて。
失われたはずの「彼女」が、そこに新品同様の姿で転がっていた。
「どう、して……?」
『I don't know master,too.』
偽物では、ない。
なのはの問いかけに答えたその声、雰囲気はまさしく、本物のレイジングハートそのもの。
だが、男が彼女を(おそらく)修復し、自分の前に差し出すという行為が理解できない。
「何、少々君達があまりに期待はずれだったのでね」
「っ……!!」
「もう一度だけ、チャンスをあげよう。言ってみればハンデのようなものだ」
「な……」
完全に、舐められている。
たしかに男は強いが、まさかそこまで自分達のことを侮るなんて。
けっしてなのはは短気なほうでもないが、悔しさと怒りが、こみあげてくる。
「一発。一発だ。一発でも君の砲撃がこちらの防御を抜くことができれば、彼女達を解放しよう」
「彼女……まさか」
「見るかね?」
なのはの予想は、残念ながら当たってしまった。
男が指を鳴らすと同時に暗闇から浮かび上がる、三つの人影。
豊満な胸の女性に、小柄な少女二人。
みんな、なのはが大好きな人たちであったのに。
フェイト。シグナム。はやて。
全身に群がる醜悪な触手たちによって、彼女達が無惨にも穴という穴を貪りつくされ、
くぐもった歓喜の声と絶頂の噴出を繰り返す肉便器と化していたなんて。
当たって欲しくない想像が、当たってしまった。
「声を、聞いてみるかい?」
「……やめて……」
ずぽり、と男がはやての口から糸を引く触手を引き抜く。
引き抜くとすぐさま、快楽に染まりきったあさましい狂乱の声が、
なのはの耳へと響き渡る。
「ひ、いいぃぃぃぃっっ!!ひぃ、ひぃいぃっ!!あかん、そこ、そこっ!!もっと、もっとおおおおぉぉっ!!!」
「やめて……」
男は彼女の要求どおり、触手たちに命じ。
一段とはやてを責めるそれらのピストンが、激しく、深いものへと変わっていく。
「あ、あああああああああぁぁああああああっ!!いぐ、いぐうっ!!いってまう、またぁ、いいひぐううぅぅっ!!!」
「やめてえぇぇっ!!!」
声こそわずかにしか聞こえなくとも、フェイトもシグナムも同様だった。
あるいは吐き出された白濁の激流を、喉を鳴らして至福の表情で飲み込み。
あるいはその豊か過ぎる両胸を大きく揺らして、腰を振りたくる。
三匹の壊れた雌豚と化した仲間達の醜態を見せ付けられ、なのははたまらず叫んでいた。
「お願い……お願い……もう、やめてぇっ……!!みんなを……助けてっ!!」
なのはの必死の叫びにも、男はわずかに口元を歪め嗤うだけ。
レイジングハートを掴みゆらりと立ち上がる彼女の姿を見ながら、
男は変わらず言い放つ。
「助けたければ、一撃加えることだ。倒せとは言っていないから、随分甘い条件だと思うけれど」
「……約束、ですよ。……いえ」
自身もまた白濁にまみれた、無惨な姿でありながら、なのははレイジングハートにカートリッジのロードを命じる。
ほとんど空だった魔力が急速に体内に充填されていき、なのはの全身に力が戻ってくる。
「倒します。あなたは私が、倒します……!!倒して、みんなを助けるんだっ!!」
レイジングハート、エクセリオンモード起動。
アクセルフィン展開。並びにエクセリオンバスターA.C.S発射準備。
一度にこれだけの指令を愛機へと送り、なのはは一気に距離を詰めていく。
「はああああああああっ!!!」
バリアを貫いて、終わらせる。その決意のもとに。
力の差も、己が肉体の限界も忘れ、怒りにも似た激情に突き動かされて。
ストライクフレームを構えたなのはは、男めがけて、まっすぐに突き進んでいく───……!!
なんか切りが悪いですが、次で多分終りです、この話。
なのはが闘志燃やしちゃってますが当面の予定通り、
バッドエンドしか考えてませんので、あしからず。
>>176氏
乙です。
さて、これでいつでもアリサはユーノを処刑できる力が手に入ったわけですが。
以前のアリサ話……保存してたけどパソが逝ったときに一緒に逝かれたんだよなぁorz
>>456氏
だれか つづき たのむ
>>468氏
あの頃のスレ加速度が異常www
普通に2〜3日に1レスつけばいいほうのスレだってありますし。
>>469氏
以前パソの調子が悪いとレスがありましたが。
忙しいんでしょうかね。
640氏GJっすw バッドエンドはつらいですが・・・。
しかし、ここそんなに過疎ってます?
いっつもくるたびに作品が投下されてたりしててにぎやかなスレだな
と思ってたんですが・・・。
え、このスレ過疎ってたの?賑わってるとしか思ってなかったがw
>>456さん
選択肢の2は獣同士プレイの選択肢ですか?・・・・いいねぇw
478 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 10:45:17 ID:ccclHiO7
クロフェの聖地にて640氏の名を発見w
一時期に比べれば過疎化はしてるだろうね。
時間が経過しているもんね。
まぁ月末に第三期かOVAの話が出るらしいし、まったりいきましょう。
>>456氏がやらないなら2番を俺がやる!という勢いで書こうとしたけど…
テラムズカシスorz 俺には無理。
日曜の某動物番組見て研究してくる|λ...
せんせーいカルマの続きが気になって仕方がありません!!
ユーノがメインのACFの続きを早く。
>>469 半死半生な感じです
保管庫メンテもSS書きも再開は来月になりそう
昨日、ユーノくんと二人でアースラに行ったの。アースラ。 そしたらなんとリンディさんとエイミィさんがお茶してたの。
で、見たらなんかリンディさんが緑茶に角砂糖たくさんいれていたの。 もうね、アホかと。バカかと。
あなたフェイトちゃんにおいしいお弁当作れるくらいにはまともな味覚してるじゃない。それ緑茶だよ? 緑茶。
しかも満面の笑み浮かべているし。まっ昼間から能天気。ありえないよ。
「艦長、お味はどうですか?」「う〜ん、甘味が足りないわね〜」 とか言ってるの。もう見てらんないの。
あなたたちね、喫茶店の娘の前でそんな飲み方が許されると本気で思っているのかと。
お茶ってのね、もっとわびさびとしてるべきなの。お茶の味だけではなく器の芸術性、ものの哀れを知る心、そんな雰囲気がいいの。空気読めない上司と部下は、すっこんでろなの。
で、やっと飲み終わるかと思ったら、リンディさんが「エイミィ、おかわり頂戴」とか言ってるの。そこでまたぶち切れですよ。
あのね、そんな飲み方なんてきょうび流行んないの。なにが人畜無害な顔して「おかわり頂戴」よ。もう想いを届かせる収束砲撃つよ?
あなた本当に和の文化を知っていると問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたいの。
あなた、糖分摂取したいだけじゃないのかって。
喫茶通の私から言わせてもらえば今の流行は「翠屋のアイス宇治茶」、これね。甘さと苦さが絶妙にマッチしているの。これが通なの。
そしてユーノくんが居ることが前提なの。ユーノくんに「ア〜ン」してあげるの、そん代わり会話が少なめ。頬を染めてドキドキ。これ最強なの。
キスもハグも無いのにピンクな色気は全力全開。しかし初々しいが故にこれ以上の進展も望めない諸刃の剣。寸止めが我慢できない人にはお薦め出来ないの。
いいからあなたたちは、家に帰ってフェイトちゃんとほのぼのホームコメディでも演じてなさいってことね。
>>456,480さん
おお、獣プレイとはすこぶる面白そうな話だ。どれどれ…
* * * 5分後 * * *
おお、こないだのクロなののようにあっさりプロットが出来上がってしまった。
よし、お二人が書かないのなら私がもらったw
(こうして4の422は書きかけの作品2本をほったらかして、新しい作品に
目移りする、相変わらずのいい加減ぶり全開だったとさ、めでたし、めでたし。)
よし、とりあえず「フェレットの交尾」でググってくることにするーw
>>176さん
おお待ってました、ついになのはに救いの手が差し伸べられる時がっ!!
(皆が新デバイスとかの方で議論してるのにマイウェイな私w)
>>640さん
ひゃほー。陵辱一直線だぜー。この事後の倒れ伏した後の悲壮感(特にパンツ)
がまた素晴しきかな。なんか私ももっかいHARD系書きたくなってきましたですよw
もう最後はとどめとばかりのを期待しております。
>>549さん
お疲れ様です(^^;)
私も地味に忙しくて、結局先月頭に1本投下して以来の一ヶ月、作品を保存している
フォルダを開くことすらありませんでしたorz
いまちょっと谷間だけどまたすぐ忙しくなるしなぁ(T_T)
486 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 00:51:47 ID:+vEB3xG1
ちょいと質問なんですが、ここ的にはA`sエピローグであった六年後15歳verの設定での話はアリなんでしょうか?
上げスマソorz
>>486 ていうか、事前告知有りならなんでもありだと思う。
おいらもいろいろ下書きしたけど、すげームズイのな。
職人さんスゲーと心から思う。
なるほど応答ありがとうございます
取りあえずちょくちょく書いてるので出来たら書き込みたいと思います
どうもでした
第5話 b part
今日は五月にしか許されていない国民の大連休。
カレンダーには赤い数字が行列して老若男女みんなが遠慮なく羽を伸ばせる日々。
……のはずなんだけど。
「これでーっ! どうっ!!」
『Splush burst』
振りかぶって浮かぶオレンジの弾へバーサーカーを叩きつけて。
一直線に唸りを上げて打ち出される三つの弾丸。襲い掛かるはアタシと同じ新米の魔法使い、すずか。
「防ぐよ!」
『Highly protection』
すずかを包みこむ青い半球。それ目掛けて弾の一つが物凄い勢いで衝突した。
ちなみに残りの二つは狙ったつもりでも明後日の方向に着弾、爆発してたりする。命中率に関しては全然だめなのは認めざるを得ない。
「てぇぇーーーい!!」
すずかが受けると同時に突撃!
鉄壁を押し通すのには遠距離からじゃどう見たって無理なのだ。隙を作ってそこを突く――これしかない。
案の定、アタシの撃った弾はすずかのバリアの前に激しくぶれるぐらいしかしていない。
着弾点を中心に波紋が広がり、目を凝らせば弾がぶつかっている所に蜂の巣のような青く澄んだ六角形が群れを成していた。
(ああもう、二重に防御してるなんてなんて欲張りなのよ)
ならこっちにあるのは
「バーサーカー! やりなさい!!」
『Yeah,Hammer squah』
「でりゃ!!」
その壁を叩き壊す銀色の鉄槌だ。
丁度、臨界点超えて炸裂する弾丸。もわっと広がる煙幕の内側から奇襲攻撃。
壁に阻まれるも
『Break』
一瞬でヒビを入れ一息で粉々に叩き壊す!
「今度はアタシの勝ちね!」
盾がなくなっちゃえば後はこっちが一方的に攻められる。
体後とぶつけるようにして一気に距離を縮めて最後は
「チェックメイト!!」
――やっぱり振り下ろすだけ!!
* * *
「はい、そこまで」
二度手を叩いて合図を送る。
横目に僕を見て二人は組み合わせていたデバイスを下げ大きく息を吐いた。
「うん、じゃあ休憩しよ」
「そうね……ああ、もうなんでゴールデンウィークなのにアタシたちは朝からこんなことやってんだろ」
「言い出しっぺはアリサちゃんだよ」
「ごめんなさい」
流石に朝から三回も魔法訓練をしていれば投げ出したくなるのはしょうがないと思う。
一昨日魔法使いになってもう本格的な戦闘のイロハとか魔法使い方を訓練してるなんてどこを探してもここしかないだろう。
それでもデバイスをぶんぶん振り回してる様子ではへこたれてはいないみたいだけど。
「で、ユーノから見て今の試合、どっちが勝ってた?」
どこかちょっと自慢げなアリサ。当たり前のことを尋ねるように僕を斜に見つつにやっと笑った。
「そうだね、あのままの状態が続いてもアリサが押し切るのは目に見えてるし、今回はアリサの勝ちだね」
「よし! これでイーブン」
といっても一勝一敗一引き分けなんだけど。
「でも油断しないこと。並みの魔導師ならその距離でバインドすることだって出来るから」
「私のバインドって離れてないと使えないしね」
「むー……万が一そうなったって壊すだけよ」
実際それを有言実行してしまうのが彼女の怖いところだ。今の障壁を突破したのだって普通のバリアブレイクの比じゃない。
正直、脱帽の領域だ。バリアブレイクなど障壁突破の魔法は生成術式へ魔力を介入させるのが一般的。
介入させる魔力を楔に例えるなら、アリサの場合それが爆弾になっている。だから介入されたら最後一瞬で術式を破壊されてしまう。
バインドだって構造解析して緩めていくのが第一なのに、きっとアリサは適当に楔を打ち込んで爆破してしまうはずだ。容易に想像できる辺り敵に一番回したくないタイプだ。
「もう少し解析とかしないの? アリサは」
「まだ全然魔法知らないのよ。フィーリングよフィーリング」
それを感覚だけで出来るなんて末恐ろしいよ。
「でも射撃は課題有りだよね」
「自分でも思い知ってるんだから言わないでよ」
横からすずかに突っ込まれてそっぽを向くアリサ。
誰が見たってあれじゃ失敗だ。なのはのシューターを見慣れた僕にとってはもはや射撃の域にすら到達していない。
「しょうがないでしょ。野球選手じゃないんだから狙ったところに打つなんて」
「えっと……誘導できない?」
自分で言っておいて無茶な要求だと感じるけど、このまま戦闘で使わって誤爆されたら堪ったもんじゃない。
「初心者に手厳しいわね」
「……ごめん」
今は素質を伸ばすことを重視したほうがいいんだろう。一人で戦うわけではないのだから。
「まだ二日目だし魔法に慣れよう」
「てか普通はそうでしょ。プールだってまず水に慣れるとこから始めるのよ」
「……だよね」
「でも私たち上達はしてるよね」
それには僕も頷いた。多分上達の早さはなのは以上のはず。
こうやってアースラの施設を借りて集中的にやっていることもあるのだろう。それに二人の魔法資質が驚くほど分かりやすいのも一因している。
「防御、飛行、捕獲……攻撃は出来ないけど一通り使いこなせるようになったし」
「すずかの防御力はすごい高いからね」
僕みたいな純粋な防御魔法の展開と違って、すずかの障壁にはいろいろと二次的な効果が付属している。
敵の魔力攻撃を反射したり、魔法を組み合わせて防御力を強化したり。
「いろいろ分かってくると試してみたくなるの」
「エイミィさんやリンディさんにも積極的に聞いてたもんね」
「うん。それに私のやりたいことシルフがどんどん形にしてくれるから」
『Your order is exact always』
「そうかな? ありがとう」
『I am very much obliged to you』
すずかはどちらかというと仕組みを知って理論的に詰めていくのが性分みたいだ。エイミィさんから聞いたけど機械と触れ合ってるとそうなるのかな。
対してアリサは大胆に次々に感覚で術式を組んでいく感じだ。なんというかアリサの性格そのままを現していてなんとも彼女らしいというか。
「こういうのは習うより慣れろって感じでしょ。まっ、十分慣らしたらアタシもいろいろ試そうと思ってるし」
「アリサちゃん頭いいもんね」
「学校のレベルが低いだけよ。それに賢いってのはどれだけ突飛なこと思いつくかなんだから」
『When what say is right,you are wise man』
「なんか馬鹿にしてない?」
……デバイスとも仲はいいみたいだ。インテリジェントデバイスとはシンパレートが大事だしね。
「ふふ、じゃあテラスでお茶にしよう」
「そうね、アタシも流石に喉乾いちゃった」
それにしても一週間も満たない日数でどこまで二人を魔導師として育てられるのだろうか。
……いや育てなきゃいけない。なのは一人で敵わなかった敵がもう現れないとは限らない。もうあんなことにさせないために二人もこうやって休日返上で頑張ってくれてるのだ。
「ほらユーノも早く来なさいよ」
「えっ、あ、ごめん。今行くよ」
プレッシャー……感じてるのかな。
駄目だ駄目だ、僕がしっかりしなきゃ。なのはのためにもここが頑張りどころだ。
「もう、あんたがぼけっとしてちゃ駄目でしょ。一応アタシたちの魔法の先生なんだから」
「そうだよ、だからよろしくお願いします……ね」
「はは……」
先生、この新しい生徒たちにたじたじです。
* * *
「なかなか調子いいじゃないの、二人とも」
見習い魔導師の成長を褒めながらも手元にコーヒーに砂糖を入れるのは忘れない。
次いでミルクが投入され褐色が漂白されていく様は何度見てもため息をつきたくなる。
クロノ君も小さいころはこんなもの――失礼なのだけど――を飲まされていたと思うとある意味涙を誘ってしまう。
「あ、ありがとうございます」
「でもまだまだ課題が山積みですよ」
「大丈夫よ、午後は私がみっちりレクチャーしてあげるから」
初日は私たちミッドチルダのことや今まで使った魔法のおさらい。
教えてもいないのに念話を使いこなしたり、起動コードなしにバリアジャケットを起動できたりと予想外の出来事ばかりで私も艦長も驚っきぱなしだった。
強化合宿二日目はもう模擬戦を通して本格的な魔法の使い方を教える、というより体に叩き込むなんてことが午前のメニュー。
デバイスの援護もあってデータを見る限りじゃ結構いい線いってると思う。荒削りもいいところだが二人がダイヤの原石であるのは間違いないのだ。
「それにしても計器壊れてたのかなぁ。今じゃ二人が結構な魔力持ってることわかるんだけど」
「デバイスが二人の資質を引き出したんでしょうか」
「それもあると思うけど、多分以前から二人にも資質があったんだと思うわ」
二人それぞれの魔力資質はあのデバイスと同様、相当偏っている。
データの量は少なくともデバイスのコンセプトに彼女たちのシンパレート、さらには発動させた魔法の特徴。
いろんなものから導いた答えは今の私の中で九割方固まっているわけで。
「アタシは魔力を集めたり圧縮させたりすることが得意で」
「私は魔力の感知に魔法の並列制御が得意」
「そう、しかも二人のデバイスはそれにピッタリ合うように調整されちゃってる」
自分や周囲の魔力を集積、さらに圧縮させて強力なエネルギーへ変換する。
攻撃のみを主眼に置いたバーサーカーにこれはもう打ってつけ。
対照的にシルフは防御的なもののみに重きを置いたデバイスだ。強力なバリアや補助魔法を幾重にも同時展開できるのはそれだけで戦況を変える鍵となり得る。
「封時結界の中になんで二人がいたかようやくわかったよ。これじゃ僕にもお手上げだ」
ちょっと悔しそうにユーノ君が肩を竦める。ほんと種さえ分かれば簡単なものだ。
アリサちゃんが結界の一部を圧壊させて、すずかちゃんがうまく制御して穴を塞いで。無意識に行ったというのがまたすごい。
「ほんとになのはさんといいあなたたちも、なんでここまでいい人材が揃うのかしら」
魔力値を計測したところ二人ともすでに常時百万以上の値を叩き出している。これは以前のなのはちゃんに肩を並べていることを意味する。
偶然にしては良くできた話だ。でも現実に目の前にいるんだから信じるしかない。言い方を変えればこう言うのだろう。
――必然と。
(なんて格好つけてもねぇ……)
兎にも角にも心強い味方が加わったことは事実なんだしそれで良しとしよう。
「なのはちゃんだけを危ない目には合わせたくないですから」
「すずかの言うとおりです。アタシたちにも出来る力があるのに見ているだけなんて……アタシ嫌です」
けど三人が友達になったきっかけは知らないけどこれだけ想い合えるなんて感動してしまう。
「幸せ者だね〜なのはちゃんは」
「この二人のためにも教えて上げられることは全部教えないとね」
まったく艦長の言う通りだ。
「それにしてもここ数日はジュエルシードの反応がないのは助かったわね」
「おかげで安心して訓練できますからね」
二個目のL・ジュエルを封印してから嘘のように平和な今。
こうやってのんびりしている間に発動する可能性もあるだけに気は抜けないけど。
「なのはにもきっといい休息になります」
「ほんとここ数週間頑張りっぱなしだったからね」
思わず敢闘賞をあげたくなっちゃうくらいの活躍っぷりなんだから。給料支払ったって罰は当たらない。貨幣が違うからあげたくてもあげられないんだけどね。
「そんじゃ午後はエイミィ先生の歴史の授業から」
「あんまり変なこと教えないでね、エイミィ」
釘を刺されるけどここだけの話自重はしない。郷に入りては郷に従えなんて便利な諺もあることだしいろんなことを教えてしまおうと思う。
「あははは、大丈夫です。……でもこれならなのはちゃんも連れてきたほうが良かったんじゃないかな?」
「い、いいんです。なのはには休んでもらったほうが」
「そっかな……」
「はい」
なにかアリサちゃん言葉が引っかかった。隣のすずかちゃんやユーノ君もなんだか気まずそうな雰囲気を帯びてきている。もしかして私の一言が原因とか?
「そ、そうだね。うん、休める時は休むのが一番! 寝る子は育つ」
前言撤回とまではいかないけどお茶を濁してその場を取り繕った。
「じゃあ改めてテストはないけどだからって居眠りしないようにね!」
そんなことより今は勉強勉強。
* * *
「それじゃあまずバリアジャケットを装着してみましょうか」
私の声にすぐに待機状態のデバイスを起動させる。なのはさんもそうらしいがせっかく設定してあるパスワードを無視するのは少々製作者に申し訳ない気がする。
一瞬の閃光を放ち私服姿だった二人は魔導師としての姿へ滞りなく変身した。
「もう基本は大丈夫ね」
術者のイメージそのままを転写しているだけ合って二人とも個性的な姿をしている。
「アリサさんはなんというかシンプルね」
黒のアンダーシャツにベスト。どちらもノースリーブで彼女の腕を露にしている。
下はスパッツのようなものを履き膝にはプロテクター。青で身を包み重量をとことん削った姿はどこか野生的だ。
「魔法使いっていうよりかガールスカウトみたい……かな?」
「あの化け物ぶん殴ってやろうって思ったらいつの間にかこんな感じになったのよ」
軽く振ってもひゅんひゅんと風を切るデバイスにはその姿は良く映えるのだが
「杖……なのかしらね」
誰が見てもハンマーとしか形容できない杖。燻し銀に光る鉄槌、後ろからはコアを守るように金のフレームが弧を描いている。これが攻撃形態になると爪のように再構成されるのだ。
私にもその形に見覚えがある。なんてことはない釘抜き付トンカチ。早い話はネールハンマー。
「アリサちゃんならもう少し凝ると思ったんだけど」
「これでも結構アクセントはつけたつもりよ。ほら腕のところや腰のところ」
言われてみれば二の腕に光る丸みをもったリング。手首には彼女の魔力光と同じ茜色のリボンが結びついている。
軽くその場で一回転すると腰のベルトに括り付けられたリボンが彼女を追って軽やかに舞った。
「動きやすさ抜群! 通気性良し! 完璧でしょ」
「私とは大違いだよね」
「そうよ、すずかの方がよっぽど凝ってるじゃない」
「そうかな?」
自分の身なりを眺めながら首を傾げる。
「そうよ、なんか上はゴワゴワしてると思えば下はミニスカートにブーツ。マントまでつけちゃって」
「魔法使いの格好もいいけど動きやすくないと駄目だしね。機能性重視って所かな」
全体的に白を基調としたバリアジャケット。上半身はどことなくなのはさんのものに似ている。
けれど緑のラインを端々に入れていたり肘の部分が透ける様な若草色になっていたり微妙に相違点がある。
いつも下ろしている髪も今は後ろに纏められ綺麗なポニーテール。
「そう言われるとアタシよりも魔法使いかも」
「ふふ」
肩のバックルに止められた純白のマントは地面につきそうなくらい長い。確かに魔導師というなら彼女の方があってるのだろう。
そういう意味ではデバイスも魔導師らしい。
柄の先には細長い五角形。守るように二枚のプレートが寄り添い、中心にコア、先端は鳥のくちばしを思わせるような突起がついている。
「まぁ、比べるものじゃないんだけどね。大切なのはまず心構えよ」
とはいっても二人はもう十分魔導師としての心構えは出来ているだろう。
言って、蛇足だったなと思いながら訓練室の結界を起動させた。
「じゃあ早速始めましょうか」
エイミィに言わせればさしずめこの時間は体育といったところだろう。
「これから私の出す課題をお互いに協力し合いながら乗り切って」
「わかりました」
「まかせてください!」
うん、意気込み十分、やる気申し分なし。
「それと最初に言っておくわ。一週間そこらで魔導師にはなれない。あなたたちはまだまだド素人」
出鼻を挫くつもりではないがこれだけは言わなければならない。
「だからこそ常に二人で協力して、互いをフォローしあうことを第一に目標とすること」
攻撃と防御にそれぞれが秀でた杖。反対に言えば秀でないほうは一人ではカバーできないくらいに脆弱。
返す返すもそのために連携を組むことを前提としたデバイス。当然戦闘スタイルもそのような形に帰結する。時間がないだけに尚更だ。
「大丈夫です、親友としてすずかのことは誰よりも知ってます」
「私もアリサちゃんの親友として胸を張って言えます」
「よろしい。ではビシバシ行くわよ!」
ようやく見つけた大人の出来ること。
私にとってそれはこの小さな魔法使いたちを導くことだ。
* * *
夕暮れまじかの帰り道。カラスの鳴き声も聞こえなくなって街灯が灯る。
「少し遅くなっちゃったね」
ちゃんとそれなりな言い訳で出てきたけどやっぱりみんな心配してるはず。
連休だからって帰りを遅くしていいって決まりはないし、明日はもう少し時間に気をつけなきゃいけないな。
「でも収穫は余るほどあったんだし御の字でしょ」
「そうだね、私おなか空いちゃった」
「Me too」
ほとんどため息な返事が返ってくる。
実は私も結構へとへと。普段動かしてない筋肉を動かしたせいか体中に疲労感が纏わりついている。
「はぁ、これでアタシたちもあんなのと戦うのよね」
「そうだね……でも」
「出来るわよね」
そう、出来るに決まってる。なのはちゃんと一緒に歩いていけるんだと思う。
まだ今は歩幅が足りなくて遅れて歩くけど。でも背中だけでも見つめられるのはきっと大きな一歩。
もう名前を呼べば振り向いてくれるのだから。
「けどすずかっていつの間にか運動神経よくなったわよね」
「え?」
「だってドッチボールの時も、競争とか水泳だって多分クラスで一番よ」
アリサちゃんの言うことは本当のことだと思う。自分でも運動にだけはそれなりの自信がある。
「人は見かけによらないって言うけどあんたの場合まさにそれ」
「そんなに私イメージと違うかな?」
「少なくとも初めて会ったあの時はおどおどしてて、いじめてオーラ全開だったわよ」
「あの時は……うん、そうだね」
入学したてでまだ友達も一人もいなくて。今までがお姉ちゃんやノエル、ファリンに囲まれて我ながら過保護に育てられていたのが仇になったんだと思う。
いきなり一人学校に放り出されて右も左も分からない。何することも出来なくて俯いて。
「アタシも嫌な子全開だったわよね。なんだかんだでトゲトゲして誰も寄せ付けなくて」
あの日のことは今鮮明に焼きついてる。足音が近づいてきたと思ったら大事なヘアバンドが取られて。
びっくりした、というよりは何がなんだか分からなくて。辺りを見回すと私のヘアバンドもった子がいて。
「あんな大人しそうでオドオドしてて、悪戯心くすぐられたのかしらね。ほんと子供じゃないアタシ」
あの時はまだアリサちゃんの方が走るの速くて全然追いつけなかった。
そういえば家でも運動っていう運動なんて全然してなかったな。
「それであの子が出てきて」
「大喧嘩」
クスッと二人同時に笑った。
「最後は当人が怒鳴って終わり」
あんな大声出したのは生まれて初めてだったと思う。今でもやっぱりちょっと恥ずかしい。
「あの後は大変だったわ……パパまで出てきちゃったりして。すっごい叱られた」
「でも私たちが友達になったのもそれがきっかけ」
「気がついたら仲良くなってるんだもん、びっくりしたわ」
いつの間にか私たちは一緒に学校に行くようになって、お弁当を食べて、帰って。時にはお互いの家に遊びに行ったり。
「それでさらにびっくりしたのはあの後のドッチボール」
あっ、それなら私も覚えてる。アリサちゃんが言おうとしたことはきっと
「あんたが男子のボール取って、おまけに倒しちゃったんだから」
「驚いた?」
「太陽が西から昇るくらいにね」
結局その後クラスで一番の男子にやられちゃったけどね。
「私が運動得意になっていったのはやっぱり二人のおかげだよ」
あの出来事は友達のきっかけであると共に自分を変えるきっかけ。
「きっと見た目どおりに見られたくなかったんだと思う。大人しそうなお嬢様とか思われたくなかったんだと思う」
そうやって始めた体を動かすこと。
「みんなをあっと思わせるようなことしてみたくなって、誰にも負けたくなくて」
「それではまっちゃったわけ?」
ちょっと苦笑いして頷いた。
始めて分かったことだけど駆けっこは風を切るのが心地いいし、水泳は人魚になったみたいで気持ちいい。ドッチボールは意外にも自分が負けず嫌いなことを発見したり。
庭が広いのもあったし走り回るのには苦労しなくて。家の中でみんなとお喋りしたり猫と遊んでいただけの私とは大違い。
「アタシもあんたも変わったわね」
「なのはちゃんのおかげだよね」
私たちを友達にさせてくれたことにありがとうの気持ちで一杯。
「ほんと何かあると原点に戻るのね、アタシたちって」
「でもそれが始まりだもん」
魔法使いになったことで私たちとなのはちゃんの距離は実は離れてしまっていた。
あの戦いの後、私たちはなのはちゃんに協力するって言った。私たちは魔法使いになったことに驚いていたなのはちゃんだけど答えはすぐに返ってきて。
「私たちのこと巻き込みたくないんだよね」
あんなに追い詰められて、私たちがちょっとでも遅れてたらどうなっていたかわからない。
なのはちゃんでああなのだから実力もない私たちじゃ多分……。
「でもそれで魔法を捨てるなんてアタシしない」
怒ったような顔でアリサちゃんが空を見上げた。同じように顔を上げれば夜の混じり始めた空に一番星が顔を出していた。
「この子達だってそんなこと望んでるわけないでしょ」
「うん、少しでも早くなのはちゃんに追いつかないとね」
きっと私たちが選ばれたことには意味がある。なのはちゃんを助けることだったり、この町を守ることだったり、まだいろいろありすぎてわからないけど。
「フェイトも驚くんじゃない? アタシたちが魔法使いなんて知ったら」
「でも意外とあっさりしてそうな気もする」
その時が来るのはきっと遠くない。初めて四人が顔を合わせる時どんなことが起こるのだろうか。
いろんな期待やちょっぴりの不安。心の中に全部閉まって私はもう一度空を仰ぐ。
「明日も……頑張ろう」
また一つ夜空を星が飾った。
二人のデバイスやらバリアジャケットの想像ができたら幸いです
攻撃と防御の連携運用の二本一組のデバイス
どこかでこんなの見たなと思えばヴァイエイトとメリクリウスだななんて思ったり
しかしデザインについては軽くデッサン書き起こして生みの苦しみを思い知りました
こういうの凝っちゃう性分なので余計に
>>456,469氏
フェレットプレイ! 生命の神秘! 野生は夜目覚める!
なるほどこんな変化球もありですな
>>640氏
「全力で撃ってみろ、ラストチャンスになるかも知れんぞ」
なんて台詞が脳内に浮かんでしまった
性奴隷まで堕ちるのかな
>>4の422氏
潰れないようほどほどに頑張ってください
>>549氏
くれぐれもこっちのなのはみたいに無理はなさらずに
シグナムさん話がどうにもつまり気味です。
詰まると別の話を書くという逃避行動に出る俺。
とりあえず今日はレス返しに。
そんなヒマあったら書け?はいすいませんorz
>>478氏
うん、ついね。拍手送っちゃったんだ。
あそこはほんとクオリティが異常だから。
多分あそこの毎週の更新が現在の生きていくうえでの楽しみの
半分くらいを占めている気がする
>>549氏
けっして無理はなさらずに。のんびりお待ちしております故。
>>484氏
黒いなぁ、なのはwwww
>>4の422氏
>もう最後はとどめとばかりのを期待しております
とりあえずアースラは沈むと思われ。
>>176氏
すいませんどなたかお客様の中に絵師さんはいらっしゃいませんか(ぉ
というか、アリサひょっとして、フェイト以上に紙装甲ですか?
>性奴隷まで堕ちるのかな
生きてるかなぁ?
>>430氏
お久しぶりです。お待ちしています。
次スレは?
504 :
478:2006/08/08(火) 21:13:15 ID:sVbHN/Ym
>>640氏
シグナムの話はワクテカして期待してます。
某所での拍手は結構ビックリだった。しかもあのクロフェ神が返答でここに来るだか来ないだかの
話してたし。こりゃ期待かw
>>505 お疲れ様です。
ああ、戦闘シーンが書けないorz
戦闘ってより戦争のワンシーンだからなあ……
一応埋め立て投下します
例のごとく
色々注意
ララララララ ララ(キュー)
他(ほか)の司書達 みんな消えても
君は職場で 仕事するよ
緑に輝く 魔方陣
書庫はいつも君のものさ
クロノ(独白)
昼も夜も関係ない次元空間にある
本部は24時間体制で動いている。
でも、細かく見ていくと、色々と
ムラがあって、例えば無限書庫では
受け付けと閲覧以外、つまり、
書庫整理は今、やっていない、
ただ一人、ユーノを除いては、
ユーノは一人で魔法を紡ぎ、
本と一緒に書庫を舞う、
僕はその姿に魅入る事しかできやしない
と、ユーノが僕に気がついた。
ユーノ「あれ?どうしたの、こんな時間に?」
クロノ「今帰港したところだよ、感覚的には昼下がりだ。」
ユーノ「あ、そっか、ごめん……ご飯は食べたの?」
クロノ「いや、まだだ」
ユーノ「じゃあ、一緒に食べよ、僕は夕食だけど」
クロノ(独白)
二人で食べ終えると、
自然と話は仕事の事へ、
僕は、アースラの新駆動炉、
ユーノは見つけた魔道書の事
しばらくして、僕に呼び出し、
別れ際、残念そうなユーノに
僕は前振り無しで口付けをする。
ユーノ「なっ、こ、こんな所で……」
クロノ「じゃあね」
クロノ(独白)
とりあえず今日は僕の勝ち
フェレットのタンゴ
タンゴ タンゴ
僕の恋人は フェレットさ
フェレットのタンゴ
タンゴ タンゴ
獣のように 気まぐれで
ララララララ ララ