1 :
名無しさん@ピンキー:
先生、巫女さんはおやつに入りますか?
おやつどころか、おかずですよ。
4 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 10:57:51 ID:22+2PqYB
あ
こういうのを待ってた
女神でなく巫女をタイトルに入れるべきだと思う
7 :
1:2006/06/02(金) 22:26:38 ID:l74fhW5i
>>6 ごめんなさい。
2を見て入れ忘れてるのに気づいたんです。
【シスター】聖なる女を貶めたい【巫女】
コレでいいですか?
良スレ支援
オリジナル専用? 虹捜索もあり?
9 :
1:2006/06/03(土) 00:06:58 ID:GF5dnbmf
>>8 虹の場合、専用スレがあるのならそちらの方がいいのではないかと。
無い場合はぜひこちらへ!!
もちろん、専用スレでNGの場合は、こちらへ!
11 :
1:2006/06/03(土) 22:44:27 ID:GF5dnbmf
>>10 修道女で検索してなかった!!
こんなスレがあったとは・・・
しかし、多少自分の思うものと違う気がする。
汚すのではない。貶める、というか堕とす感じが欲しいのだが・・・
汚すと堕とすの違いはこうですか?
汚す
(略)
黒い聖衣も今は生臭い液体により白く染み、己の秘部からは肉棒が動く度に白濁液を撒き散らす。
長時間の陵辱に精神を病んだのか、瞳は虚ろ、口からは涎と呟きが絶えず漏れている。
「もう…許し……ゆるゆゆるゆるししるしゆゆるる……」
堕とす
(略)
小振りな乳房で挟んでいた陰茎から、精液が発射される。
少女は顔中に飛び散ったそれを舌で舐め回しながら潤んだ瞳を男に向けた。
「精液ぃ。熱いのぉ……もっと、もっと掛けてぇ。呑ませてぇ。ここに……挿れて、下さい」
数時間前まで男に触れたことすらなかった聖女が、自らの秘唇を広げ男を誘う。何度も注ぎ込まれた陰部からは白濁液が垂れ、指に絡む。
少女はその指をくわえ、陶酔した表情を見せる。
その仕草に欲情した男達は再び少女の肉を求めるのだった。
「太いぃッ……もっともっと動いて! 私の中、ズボズボ、ズボズボぉ」
>>12 おお!!そんな感じ!
汚されるは受動的だが、堕とされるは能動的に快楽を貪るという感じが欲しいのだ。
投下してみます。
エロくない、つまらない、短くない、オチてないので注意。
「フゥ……」
ワタシはユイファ・天道。主に仕える見習いシスターデス。
今、ワタシは神社の境内でお掃除をしています。秋は過ごしやすいのデスが、落ち葉が多いから掃除が大変デス。
何故ワタシがこんな事をしているのかというと……養父の天道神父様が、何故か近くの神社の巫女として働くようにと仰ったため、臨時で巫女をしています。
巫女として働くワタシを見て、神父様は「巫女服は日本の心じゃ」と感心しておられました。
鮮やかな赤や白の衣装は最初恥ずかしかったのですが、今はもう慣れました。
参拝客にも好評のようで「金髪巫女萌へ〜」と誉めていただきました。
さて、掃除も一段落しましたので次のお勤めデス。
「巫女様、お助け下さい! 先日より悪霊に憑かれまして……」
三十前後の男性が一室で待っておりました。今日はこの方を悪霊から救うようデス。
「事情は聞いております。落ち着いて」
ワタシは笑顔で優しく言います。神父様は不安を取り除くには笑顔が効果的と仰いました。
この方もぎこちないものの、笑顔を返してくれました。やはり神父様は正しいのです。
「失礼します……」
ワタシは男性の前に跪き、股間に手を入れます。
「巫女様、悪霊が、悪霊のせいで私の股間が……」
彼の股間は堅く、大きくなっています。悪霊が股間を勃起させるのは周知の事実デスが、今回の悪霊の力は強大のようデス。
手で擦っても堅くなるばかりで効果がないように見えます。
「巫女様、手では祓えぬようです。口で、その、小さなお口でお清めくださいッ」
ワタシは男根に顔を近づけ、亀頭の周囲をゆっくりと舐め始めました。
舐めながらも顔を拝めば、気持ち良さそうな、じれったそうな顔デス。どうやら悪霊も焦っているようデス。
ワタシは熱くなっている陰茎を飲み込み、竿全体に唾液をまぶすように舐めながら、上衣をはだけさます。少し自慢の胸が外気に触れ、舐めているうちに敏感になった乳首や白く形の整った乳房も男性の視線に晒されます。
絡みつく視線に顔が赤くなっているのがわかります。それを誤魔化すように口の動きを激しくしました。
続きマダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
続きです。
口元をだらしなく緩ませ、視線はワタシの胸から逸らさずに男性は言います。
「巫女様は下着を着けておられぬのですなぁ。それに、何もしておらぬのに桃色の乳首を勃たせて……」
ニヤニヤと笑みを浮かべる彼の視線から目を逸らし、陰茎から口を離しました。
一瞬、名残惜しそうな表情をした男性は、ワタシがしようとする事に容易く気付き、更に口元を緩めます。
「んっ……」
胸の谷間に陰茎を埋め乳房で擦り出します。先程からまぶした唾液が潤滑油となり、スムーズに摩擦運動を行いながらも、押さえきれかった陰茎の先端を舐め回します。
「巫女様の胸は心地よいですな。これならば悪霊も容易く昇天しそうですよ」
確かに、先程よりも舌に苦みのある味が広がります。このような液体が漏れるのは悪霊が昇天する兆しだそうデス。
「は、はわっ?」
いつのまにか男性はワタシのお尻を撫で回しています。
撫でるだけではなく、強弱をつけながら揉まれます。この刺激と、胸からの刺激、そしてこの熱くて堅くて臭いモノがワタシをおかしくさせるようデス。
もはや悪霊祓いの事は頭にありません。今は、ただ、この熱い肉棒に触れたい。もっとワタシの躯を弄って、ほしいのデス。
ワタシの手は、乳房に指が食い込むほど強く揉み、疼いている乳首も弄ります。緋袴も下ろされ、お尻を直接弄られています。肉棒は更に苦味を増し、最初よりも大きくなって……。
「巫女様、悪霊が出ます! その体内でお清めくだされっ!」
男性の手がワタシの頭を掴み、肉棒を口の奥に入れようと引き寄せてきました。その瞬間にどぷっと熱い液体が喉の奥へと流し込まれたのです。
噎せ返る程の栗の花の匂いが口腔から鼻腔に広がり、舌根から脳髄へと至る苦味が恍惚となり全身を震わせました。
ワタシは迷わずにその液体を飲み干し、まだ尿道に残っていたそれも吸い上げます。あまりの勢いで少し零してしましましたが、指で掬い舐めとる事も忘れません。
悪霊は白い液体に姿を変えてワタシの体内に逃げました。後はコレを浄化する事で悪霊祓いは終了するのデス。
もう少しだけ続けさせていただきます。
すげえエロいよ、おっきした。
GJ!
悪霊はワタシの体内にあれば数日で浄化できます。ワタシが白濁液を飲み込んだ時点で悪霊はいなくなったわけですが、男性器は未だに大きく堅くそそり立っています。
神父様は悪霊が肉体を変異させた後遺症で暫くその変異が続く事がある、と教えてくれました。つまりコレは生理現象であり、悪霊祓いという理由もなしに女性がみだりに眺めるモノではないのデスが……。
ワタシは目を逸らす事もできず、ソレを見ているうちに躯が熱く火照り、喉を鳴らしていました。
「悪霊祓いには、まだ、続きがあるんデス……」
無意識に言葉を流してしまいましたが、無論悪霊祓いは終了しています。なのにワタシはあの肉棒に魅せられてしまったのデス。
ワタシは自らの右手で秘部を広げ、左手は乳首を弄るはしたない姿を彼に見せ付け囁くような声量で懇願します。
「ワタシの……ココ、に……アナタのモノを突き入れて、下さい……」
男性はワタシの躯に引き寄せられるようにゆっくりと近付き、口を開きました。
「巫女様も悪霊の影響を受けてしまったようですね。こんなに熱くなって……」
彼はワタシの胸を強く掴み、荒々しく揉みしだかれます。
固く大きな男性の手での愛撫は痛みを感じる事もありますが、それさえももはや快楽でしかありません。
自分で弄っていた淡い疼きとは違い、感電したかのような刺激がワタシを襲います。
いつの間にか、ワタシは畳の上に押し倒され、胸を右手と口、秘部を左手で弄られていました。
左胸は次々と形を変えられ、右胸は吸われたり噛まれたりした跡が無数に残りました。
秘部には二本の太い指が激しく暴れ、ワタシは考える事もできずに意味のない言葉を流す事しかできません。
ふいに、動きが止まり、彼の方を向くと、左手の濡れた指をワタシに向けています。
そうするのが当然のように指を口に含み、ゆっくりと舐めまわすと、男性はからかうような口調で言います。
「巫女様、夢中で舐めておられますが。あなた様のお汁と悪霊の白濁液はどちらが美味しいのです? 牛乳を飲む猫のように音を立てて……はしたないですな」
羞恥に頬を染めながらも舌の動きはとまりません。自分の排泄物を舐めるような汚らわしい行為を止められないのデス。
「もう、巫女様などと呼ばないでください……ユイファと、ユイファとお呼びください……。そして、もっと、ワタシを弄って……」
彼の瞳を見つめながら懇願します。もはや彼を求めるワタシは神職たる巫女ではなく、いやらしいユイファ・天童なのデス。
「じゃあユイファ、これからキミにもっと気持ちいいモノを挿れてあげよう。獣のように四つん這いになって、お尻をこちらへ向けて……」
「ハイ……」
もはや彼の言葉は主の言葉に等しく、ワタシは迷う事も恥じる事もなく、快感に痺れる躯をもどかしくも言われた通りの姿勢をとるのデス。
これから来る快楽を期待して尻を振りながら……。
次回の投下で終了予定です。
乙乙乙〜!
楽しみにお待ちしとります!
男性はワタシの尻肉を弄りながら耳元で優しく囁きます。
「さあ、力を抜いて……」
熱い吐息にすら感じてしまったワタシは、その言葉で更に秘部を濡らしてしまいました。
さっきまで舐めていた大きなモノ……それがワタシの膣内で暴れる事に期待と、少しの恐怖を抱きながらその瞬間を待ちます……。
「ヒぎぃッ」
一瞬、視界が暗転する程の衝撃が襲ってきました。男性の肉棒はワタシのアヌスへと挿入されたのデス。
今までに、お尻に挿れられた経験はありますが、コレは予想外の事だったので初めての時よりも驚いてしまいました。
「ん!? まちがったかな…」
男性はわざとらしく呟き、ワタシが落ち着いたのを見計らい、ゆっくりと動き始めました……。
一度落ち着けば、快楽に慣れた躯は彼の動きに応えてしまいます。
ゆっくりとした抽送から、次第に激しく腰を叩きつけ、ワタシの躯は彼が与える全ての快感を受け入れ、意識まで快楽に支配されます……。
「ユイファの尻穴はよく締めつけてくるな……。どうだ、感じているのか……?」
「ふぁいいっ。ユイファのお尻、おしりがイイんでふっ。ワタシ、もう……、ワタシ……」
快楽の絶頂へと至る直前に動きが止まりました。
それは、今のワタシにとって拷問にも等しい行為デス。
絶頂寸前であった躯と意識は、徐々に熱を下げてゆきます。それを阻止するために、朦朧とする意識の中、自分で腰を動きかそうとしますが……。
もはや、自分では躯を動かす事も満足にできません。
「なんでぇ、なんで止めるんでしゅかぁ……」
じれったい躯の疼きに耐えかね、涙混じりで嘆願すると、彼は……。
「そうか。動いてほしいのか……。ユイファは何処で動いてほしい……? 好きな穴で、イカせてやろう……」
挿入してくれる。膣の奥に熱い粘液を射してくれる――。
やっと願いが叶うと思ったワタシは、震える舌で、叫ぶのデス。
「アソコに、挿れてクダサイ……。腸内じゃなく、膣内で熱い汁をピューピュー出してぇッ!」
その言葉を待っていたのか、男性はすぐに肉棒を引き抜くと、迷わずに今までと違う肉穴へと挿入したのデス。
「――――!」
その瞬間に、脳で嵐のように電流が暴れだしたのデス。
視界は真っ白に染まり、意識は遥か彼方へと散ってしまうような感覚がワタシを襲います。
肉体からは最後の力も抜け落ち、上半身は畳の上に投げ出されるカタチになります。
それでも男性はワタシの腰を掴んだまま、激しく肉棒をぶつけてきます。
「どうだッ。イイのか、俺のモノは! こんなにッ、いやらしく締めつけやがってッ!」
次々と襲いくる快楽に溺れ、ワタシは彼に言葉すら返せません。開け放たれ、涎を垂れ流す口元からはともすれば呪詛のようにも聞こえる意味のない呟きが漏れるだけデス。
「イクぞッ、この狭い膣内に、精液を射精してやるッ! ユイファの子宮に精液を叩きつけてやるッ!」
腰の動きは更に激しくなり、膣の最奥に肉棒わぶつけると、熱い液体が先程よりも勢いよく、多量に噴出したのデス。
ワタシは言葉にならない声をあげながら、先程とは比較にならない絶頂へと至りました。
この瞬間だけ、この瞬間だけは主のおられるニューエルサレムへと足を降ろしたかのように錯覚するのデス……。
「……では、コレで悪霊祓いは終了デス」
躯中に付着していた体液を拭い、衣類の意味を無くしていた巫女服も整え、男性に一礼します。
彼はまだ悦楽の余韻に浸っているのか、ぼうっとした表情で頷き返します。
「んっ……」
部屋を後にしたワタシは、先程までの熱さを失った白濁液が流れ落ち袴にシミを作るのを感じながら、次の悪魔祓いの行為を夢想するのデス……。
これで終了です。
長々とお付き合いさせていただき申し訳ありませんでした。
16様、19様、23様、応援を頂き、感謝に絶えません。期待に添えるだけの出来ではありませんが、楽しんでいただければ幸いです。
以下チラシの裏
>>18の射精後の描写修正
×〜熱い液体が喉の奥へと流し込まれたのです。
舌根から脳髄へと至る苦味が恍惚となり〜
ワタシは〜、まだ尿道に残っていたそれも吸い上げます。
〇熱い液体が喉の奥へと流し込まれたのデス。
舌根から脳髄へと抜ける苦味が幸福感へと変じ〜
ワタシは〜、竿を舐め回し尿道に残っていたソレまで啜ります。
描写しきれなかった設定として、ユイファは悪魔祓いと信じて性行為を行っているので、性知識はえらく間違っています。
他には日本語のアクセントが少し違うのでワタシとデスがカタカナです。
それと、シスターでなのに巫女服姿なのはシスターの衣装の名前がよくわからなかったからです。でも、巫女服にしたのにほとんど意味がなかったのが……。次は頑張ります。
最後にリクエストを募集します。
希望するプレイやキャラクター、シチュエーションを教えて下さい。
出来は保証しませんし、全部に応える自信もあり
ます?ません?じゃあねー、キャラにはこだわりません。
中世の貞淑なシスターが身を犠牲にして慰み物になり、毎晩のように十字軍くずれの
ならず者の性欲処理の相手され、色々な辱めや侮辱を受けるが、体は反応しても
心は屈する事無く、元騎士の一人をやがて改心させるってシチュは?犯されても
快楽に溺れず、耐え忍ぶのがいいな。
十字架をつっこんでくれればそれでいいです
とりあえず、途中まで書いてみました。
歴史にも疎いので、内容はデタラメですが、そのあたりはスルーしておいてください。
暗い船倉の中で、十人以上の男達が、一組の男女を囲んでいる。
中央に横たわるのは、輝く長い金髪を床に広げた黒衣の少女。胸元のロザリオと、服装からシスターであることは疑いようもない。
ようやく女性らしい膨らみを見せ始めた躯、新雪のように輝く白い肌、少女と女性の狭間の、危うい均衡の上に成り立つ魅力に包まれた美しい少女である。
もう一人は、彼女の親程の年齢の巨漢。
全身の傷跡と鍛えられた肉体から、戦士としての雰囲気を漂わせている。全裸で。
この時代、キリスト教とイスラム教との休戦協定で、信者のエルサレム巡拝の自由を認めてはいるが、道中の危険に備え巡礼者達が傭兵を雇うことは珍しくはない。
そのため、修道士と傭兵の組合せは多く見られるが、人目を避けた場所で傭兵がシスターを組み敷くような状況は尋常ではない。
肉の鎧のような肉体が、容易く折れそうな華奢な肢体を貪る様を、周りの全裸兵達は涎を垂らさんばかりの表情で、羨望の視線を向けている。
「げひゃひゃひゃひゃ。相変わらずシスターのナカは狭いなぁ〜」
「でも大分慣れてきてますぜ。グチャグチャ湿った音が響いてやす」
「そりゃ俺達のチンポ見て興奮してんだよ。シスターはエッチだからね〜」
男達の言葉に、少女は頬を紅潮させ、否定の意を示すよう弱々しく首を振る。
細い脚を掴まれ力任せに腰を叩きつけられる少女は紫水晶のような瞳に涙を浮かべ、人差し指を噛む事で陵辱に必死で耐えようとしていた。
男はその少女の仕草に下卑た笑みを浮かべ、涙を舐めとる。舌の刺激にびくりと震える少女に嗜虐心が芽生え、次はどう可愛がってやるか考えていると……。
「兄貴ぃ〜」
脇からの情けない声に腰が砕けそうになる。
「あっしはもう限界でやんすよ。早く替わって欲しいでやんす」
「アアン? 上に行きゃあ、女がゴロゴロいんだろ。そっち犯れ」
苛立ちを隠そうともしない傷男の声に、少女は顔を青くした。
少女は暴れる様に身体を動かし、今までただ弱々しく犯されていたとは思えぬほど声を張り上げ懇願する。
「やめてくださいっ! 私のことはどう扱ってもいいですから、他の人にはっ……!」
少女の必死な様子に、他の男が嘲るような視線と共に言葉を投げる。
「でも、兄貴の相手してたらシスターの穴埋まってるじゃん。俺達も気持ちよくなりたいのさ」
少女は自棄になったかのように、叫びに近いほどの声をあげる。
「私を使ってくださいっ。手でも、足でもっ、お口も使えばいいじゃないですか。だからっ……」
涙が溢れ絶叫する少女に一歩、また一歩と男達は近づく。それを手で制し、傷男は少女に優しく囁いた。
「シスター、そいつはいけません。俺は貴女が望んだからこうやっているだけで、無理にさせちまったら天罰があたっちまう。まあ、雄の精液が欲しい淫乱なシスターが自分から求めるなら話は別ですがねぇ」
一瞬、絶望の色を浮かべた少女は眼を伏せ、か細い声で鳴いた。
「……私に、どうか、御奉仕させてください。私は、貴方達の、熱くて臭くて、濃厚な精液が欲しいのです。聖職者のくせに淫乱な私に……せ、精液を……」
声無く泣く少女に、獣が群がったのはその瞬間だった。
今回はこれで終了です。
イイヨイイヨー。
なんでそうなったかの理由もよろしく!
理由は次くらいで回想シーン入れます。
その前に名前考えなきゃ。
焦点の定まらない虚ろな瞳が虚空を映し、白く染まった身体は痙攣する。少女の躯を貪り尽くした男達は、三々五々と散っていく。
そして誰もいなくなった船倉で、白く濁った黒衣に顔を埋め、声を上げずに涙を流す。そんな少女の頭に、使い古してはいるが、丁寧に洗っている布が掛けられた。
「……使え」
何時の間にか、少女の背後には長身の男が水桶を片手に立っていた。
夜のような黒衣、麦畑のような頭髪、猛禽のような瞳、猫のようなしなやかな体、それらの何よりも目を引くのは、腰につけた刃も柄も湾曲した異形の剣だろう。
「……ありがとう、ございます。アルさん」
震える声で返事をし、のろのろと顔を拭き始める。涙は見せないように、辛い顔など私には存在しないのだと言い聞かせながら……。そして、少女がアルに見せる事のできた顔は、屈託のないような笑顔だった。
「いつもすみません」
シスターはアルに頭を下げると精液に塗れた服を布で拭っていく。その様子を男は黙って見ているだけ……。これらの行為は少女が男達の慰み者になった日から今日まで変わらずに続いている。
あの日、少女が傭兵達に躯を差し出すと誓った日から……。
「げひゃひゃ…ハルト、それが俺の名だ。あんた達、ムブダズ修道会の面々をエルサレムまで護衛する傭兵団の、団長をやっている。長い付き合いになるんだ。仲良くやろうぜ」
傷面の大男の自己紹介から、傭兵と修道女が互いに紹介を交わす。
これからは聖地巡礼の旅が始まる。清らかなる修道女と野卑な傭兵、対極ともいえる存在だが、旅の道連れの事は知っていて損はない。そういう意図で始めた自己紹介も最後の少女を残すだけとなった。
「ミアと申します。この度は、皆様のお世話をするためにご同行させて頂きます――」
可憐な唇から放たれた鈴のような声、これが少女の運命が軋む最初の音だった。
今回はここまでです。
「陵辱シーンの途中を削ったせいでエロ分が不足している」
「不足するとどうなるんだ?」
「疲労が蓄積され、集中力や思考力が低下する。あとは書き手も読み手も楽しくない」
「エロ分はシュークリームを食べると補充されるのか?」
「はっはっは。あたりまえだろう」
本当にリクエスト通りのシチュを書くとは!想像以上の描写ですごい!
今後、十字軍の蛮行に失望して神を見失った騎士がいかにシスターの犠牲に
心を動かしていくか繊細に描くと、対比でかなりエロシチュなるだろうね
難しいリクばかりでスマソ
小アジアまでは海路、そこからは陸路をとる。これが傷男の案だった。
海路ならば陸路よりも安全かつ時間も短縮できる。だが、直接エルサレムに向かえば、停戦からまだ間もないイスラム教徒を刺激しかねない。
他にも、気候や風習の急激な変化で体調を崩さぬよう少しずつ慣れ進むのが得策、との事だった。
途中一度、野盗に遭遇したが危なげなく撃退する。何度も巡礼者を護衛したというだけの腕はあったようだ。
他に然したるトラブルもなく船旅を始め二日目……。
船内を最年少の少女、シスターミアがてふてふと歩いている。清潔なシスター服に身を包み、楚々と歩くのは修道院でも陸を離れた船内でも変わらない。唯一つ違うのは、スカートを少し捲り上げ、そこに大量の焼菓子を載せて運んでいることだ。
はしたない姿だと、ミア自身も感じてはいるが何度も往復するには時間が勿体ない程にはこの船は広い。
大型船というわけではないが、ガレー船とは違いこの船のような帆船は船底まで広いスペースを使える。
傭兵達は荷物の管理も兼ねて船倉を寝床にしているのだった。
そしてミアは、シスター達で作った焼菓子を傭兵達にも振る舞うよう運んでいるというわけだ。
これを運び終えれば、今日は休んでよいと言われている。
昨日、初めて海というものを見たミアは夜が更けるまで飽きもせず海を眺めていた。潮風で髪が少し痛んだが、常に変化する波の形を見たり、聞いたことのない鳥や波の音を聞く事に時間を忘れる程に夢中になり――、日課である聖書の朗読を忘れてしまった事に愕然とした。
だから今日は昨日の分も聖書を詠み、祈り、念じようと心に決めていた。
そうこうするうちに船倉の前に着き、いざ扉を開こうとして、両手が塞がっているのに気付いた。
ミアが少し困っていると、中から声がする。盗み聞きはよくない事だと思いながらもついつい耳を傾けてしまった。
『兄貴ー、とりあえず陸からは離れやしたし、そろそろ味を見てもいいんじゃないっすかー?』
『あっしはもう限界でやんす。犯りたくて犯りたくて、幻覚が見えてきたでやんす』
『そうだなぁ……、そろそろ犯るか。ババアが多いが、そのあたりは海に捨てりゃいいだろう』
その時、少女は焼菓子が割れる音を、どこか遠くの事のように聞いた。
今回はここで終了です。今回もエロがありません。
要約すると、
私(偽)ミア、聖地への巡回の途中でお舟に乗ったの。そこで傭兵さん達が悪い人だってわかって……。これから私達、どうなっちゃうのかしら。
という話を長々とかいてしまいましたね。少し反省。
GJ!
シスターを支える無口な男もツボだ。
乾いた音が床を鳴らした瞬間、黒い陰が飛び出した。
少女がそれに気付いた時には、背中から床に叩き落とされていた。背中を痛打されたことで、肺の空気がすべて排出され、視界が眩く染まる。
急激に体勢を崩されたために、前後の感覚も失い、意識が回復した頃には屈強な男達に囲われていた。
少女を押さえつけていた黒衣の男――、確かアルと言ったか、彼はゆっくりと立ち上がる。
そして、彼に代わるように傷だらけの男が少女の前に立つ。
「ん〜〜〜? お嬢ちゃん、こぉんな所で何してたんだい?」
「あ、あの……私達が作った、焼菓子を……」
震えた少女の答えに傷男が足元を見回すと、男達に踏まれ粉々になった菓子の残骸があった。
傷男はそれらを見、ばつが悪いように頭を掻く。
「あ〜、悪い事しちまったな。詫びというわけじゃねえが、熱いミルクをご馳走してやるよ」
「? ミルク……ですか? でも、牛さんはいませんよ?」
下品な団長の冗談に、団員達は笑い声をあげ、少女の間の抜けた回答にさらに沸き上がる。
「牛乳なんかよりももっと濃くて美味いミルクだよ」
傷男はミアを船倉の中へ放り投げると、徐に服を脱ぎ始める。
少女は初めて見る異性の裸体に息を飲み、慌てて目を逸らしたが、そちらでも服を脱ぐ男が居たために目を覆う。
「なっ、なっ……何をしているのですかっ!?」
「準備だよ。これから、あ〜、教会じゃ姦淫って言うのか。それを嬢ちゃんに教えてやるんだよ」「かっ……」
少女は絶句した。姦淫と言えば、地獄に堕とされる最大の禁忌の一つ。それを彼等は犯そうというのだ。
「やっ、止めてください。そんな事をすれば、天罰が降りますよっ!?」
「……じゃあ、止めてやるよ」
背を向けて、あっさり言った傷男の言葉に、男達は抗議し少女は安堵する。
「あんたの代わりに、上の連中に相手してもらう事にする。手前等、付いて来い!」
幼いシスターは総毛立った。姦淫の罪は犯された者も同罪とされる。このままでは男達だけではなく先輩のシスター達も……。
「待ってくださいっ! わ、私が相手を務めます。ですから、他の方には手を出さないで……」
傷男は顔を歪める。少女の答が想像のままだったのと、この少女を滅茶苦茶にしてやれる事を夢想して……。
(計画通り)
「仕方ねぇか。俺達を独り占めしたいって言うんじゃあなあ」
にやにやと下卑た笑みを浮かべ、ミアに近付く。
「ちがっ……」
「あ? シスターは自分から男を求める淫乱なんだろ?」
シスター達の顔を思い浮かべたミアは、否定の言葉を飲み込み涙を流しながらも肯定する。
「はい……。ミアは、男の方を、独り占めしたい、い……淫乱な、シスター、です」
「聞いたかぁ! 今からこのシスター様が俺達の相手をしてくださる。可愛がってやろうぜ!」
喚声をあげる男達の中、一人の男が退出しようとしていた。
「アル、あんたは参加しねえのか?」
「……そういった趣味はない」
「そうか、なら海賊が来ねえか見張りでもしといてくれ。俺達が終わったら交代するからよ」
黒衣の男は軽く頷くと、一度も少女を見る事なく扉を閉めた。
「さあ、邪魔はなくなったし、お待たせしましたシスター。さあ、楽しもうか」
(主よ……)
彼等を止めることはできない――。そう感じたシスターは眼を伏せ、祈ることしかできなかった。
とりあえず今回は終了です。
次はエロシーン書けるかな……。
「じゃあ……服を脱いでもらおうか」
「ふっ、服を、ですか!?」
「嫌なら脱がしてやってもいいんだがな。破れても知らねえぞ?」
「わかり、ました……」
顔を真っ赤に染めた少女は、ゆっくりとゆっくりと衣装を外していく。
ウィンプルを外すと、金糸のような長い髪が辺りに広がる。その光景を拝んだだけで、喉を鳴らす音が何度も響いた。
「ほう。綺麗な髪だな。今度からはその頭巾は着けてこなくていいぜ」
「……はい」
そうだ。今回で最後ではないのだ。予想していたとはいえ、実際に告げられると胸が苦しくなってくる。少女は、自らの身を男達から隠してくれている、服に手をかけた。
男達の眼前には、シュミーズとズロースだけを纏った少女が立っていた。彼女は羞恥に躯を震わせ、何度も下着を脱ぐのを躊躇っている。
「どうしたでやんすかー? 早く脱ぐでやーんす」
傭兵の声に慌ててシュミーズを脱ぎ捨てる。ようやく膨らみ始めた胸に、男達はギラギラと瞳を輝かせる。
「小せえ胸だな」
「そこが可愛いんじゃねえか」
「もう乳首たててやがる。よっぽど淫乱なんだな」
「泣きそうな顔で脱いでいくのがたまらないでやんす」
「揉みまくってデカくしてやろうぜ」
周りからの声に、更に躯を紅く染め、胸を隠そうと、つい身を縮こませてしまう。
あとはズロースだが、片手で胸を隠しながら脱いでいくため、遅々として脱ぎ終わらない。少しずつ少しずつ、下着に包まれていた、誰も見たことのない柔肌が露わになる。
まだ熟していない、固さを持った桃のような尻が露わになる。そして最後に、産毛が少し生えている程度の未成熟な秘部が衆目に晒された。
「これで、いい……ですか?」
風に儚く散ってしまいそうな声で、これから先の指示を求める。
傷男は満足気に頷いた。「次は、このテーブルの上で仰向けに寝てもらおうか。俺達が命令しない限りは何もしなくていい。ただし、命令した場合は従え。それと、男達がする事に抵抗するな」
「はい……」
少女は手で胸と秘部を隠し、瞳を閉じて横になる。これからの陵辱に備え、身を硬くする少女に、男達が次々と群がっていった。
今日はここまでです。
エロシーンまで書きたかったのでちみちみ書いてみましたが、えーと、つ、次以降に期待してくださいっ。
46 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 00:50:47 ID:AkE56GAj
GJ!
がんばってください
47 :
七夕イブ記念:2006/07/06(木) 18:05:58 ID:D952TpUI
カタン……カタン……。
星の海に浮かぶ庵から規則的な機織りの音が響く。
中には見目麗しき妙齢の美女。
匂い立つ美貌には一片の憂いと百爾の期待に彩られている。
(明日……、明日になれば彼の人に逢える……)
牽牛。愛しき兄の君。
年に一度許された逢瀬の時を焦れ只管に服を織る。
流れる大河を億千万と怨んだが明日だけは気にならぬ。想い募らせてくれたことに感謝すらしたい。
変わらぬ時の刻みに焦慮に駆られ橋が架かるのを鶴首して待つ。
不意に扉が叩かれる音。
「誰ぞ」
「我等玉皇大帝の使者として罷り越しました」
「入るがよい。許す」
入室した3人の男は皆似たような外見である。
「申し遅れました。我等右から伊井、蝋、端と申します」
右の男、伊井は慇懃に礼をする。彼等の容貌は整っているし所作も上品である。
だのに織姫は彼等に嫌悪の情しか覚えない。
「お祖父様の使いとのことじゃが、何用じゃ」
「我等玉皇大帝の命により姫様を慰めに参りました」
颯と三人は織姫を捉える。身を捩り抵抗するが男の力の前に屈服する。
「何の真似じゃ。妾に触れるでない」
「お祖父様の命なのですよ。姫からあの牛飼いを忘れさせよ、とね」
「嘘じゃ、騙るでないわ」
「曇り無き真実に御座います」
「じゃが妾の心は彼の方のものじゃ。貴様等にくれてやる気は毛頭無い」
「委細承知。心は奪えますまい。ですが躰はどうですかな?」
「この下郎め……ぐむっ」
唇と唇が重ねられ織姫の口内を伊井の舌が蹂躙する。蠢く舌。絡み合う唾液。一年振りの口付けとそれが別の男であるという衝撃が織姫を虚脱させる。
「おや、抵抗はおしまいですか。牛飼いへの操はもう捨ててしまったのですね」
「下らぬ冗談じゃ。あまりに下手糞じゃから呆れてしもうたのよ」
「強がりも程々になさいませ」
「ひゃうっ」
背後から蝋が襦袢の内に手を遣り豊満な乳房を揉みしだく。見る間に頬は紅潮し薄桃色の蕾を弄られると熱い吐息が溢れる。
「乳首が弱いようですね。ならば牛飼いには到底できぬ快楽を与えてあげましょう」
はだけた着物からまろび出た両胸に端と蝋が迫る。伊井はより激しく口内を荒らす。
「……ッ」
2本の舌と4本の腕で胸を蹂躙される快楽に声を出そうとも舌も唇も自由にならない。
しゅるり……。
伊井の手が徐々に着物を剥いでいく。項、肩、背中、乳房、太股……純白の肌が次々と露になる。
「やめよ! これ以上は見るでない! ぐっ……」
再び舌で言葉を封じられると女としての場所が遂に晒される。
洪水の様に淫液が流れるそこは覆うはずの痴毛が影も無くひくひくと震える様を見せている。
「まさか無毛の園であるとは」
愛する者にしか見せたことのない秘密を暴かれ織姫は虚ろな瞳に涙を流し虚脱する。
「どうやら観念したようですね。次は我等も気持ち良くしてもらいましょう」
伊井は脱力した織姫の下に潜ると陽根を陰唇へと突き入れる。それだけで織姫は軽い絶頂を感じてしまう。
「もう気をやったのですか。貴女だけでなく我等も気持ち良くしてくだされ。ほら、蝋が股間を熱くして待っています」
下から突き上げつつ臀部をぴしゃりと叩く伊井の言葉に従い、姫は自ら蝋の一物に舌を這わせる。
愛してもいない男を上下の口に埋め、牽牛とは違う壊れそうな程に激しい動きに溺れてしまいそうになる。
「姫様、私も忘れないでくださいませ」
背後から乳房を揉んでいた端は耳に舌を這わせながら囁くと臀部の奥の菊門を一息に突き刺した。
「……ッ!?」
「ほう。此方は初めてでしたか。なれば牽牛殿も味わったことの無き媚肉、ゆるりと堪能させてもらいましょう」
肉壁を挟み2本の陰茎が媚肉を貪る。その快楽に溶かされつつも、口内を蹂躙する一物を味わう。
噎返る程の雄の味と臭い。かつて愛する者に悦んでもらおうとした行為。今は、雄を感じていたいがために行っている。
「のっ、飲み干してくだされ織姫様ァ」
喉の奥へ射精された精液の味と臭いに酔いしれつつ、こくりこくりと飲み下す。奥に残った精液も飲み干されたそれは、激しく射精したものとは思えぬ程に熱り勃っている。
「姫様、私ももうっ……」
挿入時は緩々とした動作だったが、次第に苛烈に腸内を犯していた肉茎からも濃い精液が放たれる。直腸の奥へ精を放った物は最後まで未知の快楽を与え引き抜かれた。
「織姫、私のややを身籠ってくださいませ」
「そっ、それはやめよ。膣外に、膣外に射精すのじゃ」
ややの一言に我に返った織姫の懇願も虚しく子宮へと精液が叩き込まれる。その感覚に織姫は絶頂し、憎い男の身体を強く抱き締めてしまった。
「嫌じゃ……こんなややこなぞ欲しゅうない……牽牛様……」
未だ絶頂の余韻醒めさらぬ中、虚ろに紡がれる織姫の言葉。
「安心なされませ。姫は伊井の子を授かるわけでは御座いませぬ」
その言葉に一縷の希望を求めた織姫に更なる絶望が投げかけられる。
「我等は3人。何れのややかは誰にもわかりませぬ」
再び始められた悦楽の宴に織姫はただ溺れるしかなかった。
「では、我等は退出させて頂きます」
「本日の逢瀬、楽しみなされ」
「その姿で、牽牛殿に逢えるのでしたらね」
男達が去った後、性の臭いと跡が無数に残る庵で織姫はただ座っていた。膣からも尻からも精液が垂れ続け、口の端からも流れ落ちる。
幾度躯を重ねたかは覚えていない。だが、牽牛様に逢える躯でなくなったのはわかる。静かに泣く織姫は外から庵の戸を叩く者がいるのに気付いた。
「織姫、儂じゃ。今日は七夕ぞ。2人で過ごせるめでたき日ぞ」
昨夜の事を何も知らぬ男が扉を叩き呼びかける。織姫が許さねば入れぬこの扉。何ぞあったかと男の声色に焦りが増す。
「……妾は逢いとうない。……疾く去ね」
「泣いて、おるのか……?」
気丈な織姫の弱々しい声に心配を隠せない牽牛。
「泣いてなどおらぬ。そなたには愛想を尽かした。顔も、見とうないわ……」
それでも諦めずに呼びかける牽牛であったが、姫の決意が変わらぬと知り去っていった。
そして、誰もいない庵で織姫は声をあげて哭いた。
その涙が地上に流れ、七夕は雨になるのだという。
とっぴんぱらりのぷう。
。・゚・(ノД`) 織姫カワイソスGJ!
なだらかな双丘を複数の舌と指が這い、股間に陣取った男が未踏の秘部に舌を入れる。それ以外にも指、脚、腹……あらゆる場所を舐められ撫でられ弄ばれた。
男達に与えられる嫌悪感と怖気、脳の奥が融けてしまいそうな未知の感覚が次々と襲う。
惚けて脱力した少女の顔に押し当てられる傷男の一物。
「コレを舐めろ」
言われるがままに舌を這わす。普段ならば羞恥で眼を背けるだろうモノを何の感慨もなく一心に舐め続ける。
「あ〜、やっぱ下手だな。ちょっと口を開けろ……よっ、と」
「ごっ……」
軽く開いた唇から喉の奥まで突き入れられ、目を白黒とさせる。
息苦しさと嘔吐感に耐えようと舌で押し出そうとするが、その動きが男の官能を刺激してしまう。
「そんなに出して欲しいのかよ。オラっ、熱いミルクだぜっ」
「んっ――、ぐ、げふっ……ごほっ……」
口の中で男の欲望が弾けたと同時、少女の躯が痙攣し股間にいた男の顔を愛液が汚す。
熱い塊が少女の喉を灼き、耐えかねて吐き出してしまう。黄みがかった白濁液がミアの口から垂れるのを見て男達は嘲笑った。
「せっかくのミルク吐くなよ〜」
「ミルクは嫌いなようでやんすねぇ」
「これから好きにしてやゃあいいじゃねえか」
傷男は好き勝手に騒ぐ男達を押しのけ、無心に溢れる蜜を啜る男を引き剥がした。
「野郎共、これから嬢ちゃんを女にしてやる。ようっく見やがれ」
喚声に沸く男達と身を硬くするミア。対極の反応を見比べた後、一つのモノをミアへ見せつける。
「コレがお前を女にしてやるんだ……いくぜっ」
「ひぐっ……!」
力任せに奥まで入れられグリグリと掻き回される。流れ落ちる鮮血と愛液が挿入された物を濡らし染め上げる。
突き入れられた時には肉をこじ開けられる痛みしかなかったが、幾度となく挿入を繰り返すうちにこなれていった媚肉からは次第に淫液が零れてゆく。
そんな少女を見て、傷男は嬉しそうに顔を歪めた。
「初めてのクセに慣れるのが早いな。これも神の御加護ってヤツかぁ? ……そろそろイイだろ。次は俺の番だ…なっ」
薄桃に濡れたシスターのロザリオを放り捨て、傷男の肉棒を深く埋めた。
「ふひゃぁぁあ」
「痛いくらいに締め付けてくるなぁ。シスターにゃ勿体ねぇ」
木の十字架よりも太く熱い肉杭が抉る度に絡みついてくる秘肉に傷男は夢中になって腰を振る。
「も、もうダメだぁっ」
さしたる時間もかからずに、純潔を散らされたばかりの少女の膣内に精液を注いだ。
精を放たれた瞬間、少女の脳裏に白い爆発が何度も起こり、意識を失いそうになった。
それに合わせ痙攣する少女の膣内で、未だ堅さを失わない肉棒を動かし始める。
「ち、ちょっと、兄貴ズルいでやんすよ。交代するでやんす!」
部下に目もくれず、一心不乱に腰を動かす。
「うるせえ、俺はコイツにガキを孕ませてやるんだ……。飽きるまでは手なり口なり勝手に使え」
「こ……こど、も……?」
朦朧とする頭で聞き返すシスターに、傷男は笑いながら答えてやる。
「なんだ。知らねえのか。女はな、此処に男のモノを入れられたらそいつのガキができるのよ」
「ひっ……」
ミアはその言葉に自分の未来を想像してしまった。顔を青白くしたミアに、他の男達が自身の欲望を次々と擦り付ける。
「この髪、サラサラしてやがる」
「生フェラゲットー」
「可愛い乳首にミルクかけてあげるからね〜」
「この足がイイでやんす」
「また射精してやるからな。しっかり孕めよ……」
「んっ、むぐぅぐぁぁぇぇぇ」
少女の絶叫と共に放たれた欲望が彼女の躯を白く染め抜く。それでも褪せない男達の欲望は更に少女を蹂躙していった。
……何故、あの少女の事が気になるのだろう。
呆然と海を眺めながら、アルは考えていた。
彼等が護衛の報酬と称して女を犯すのは何時もの事だ。共に参加した事もある。
少女を助ける義務はないが、男達の邪魔はしない程度の義理はある。
罪悪感など欠片もない。
だが、彼女が犯される姿を見たくなかったから……こんな場所にいる。
答の出ぬままに頃合を計って船倉へと戻る。
せめて、汚れを落とすための布と水を用意して……。
そこには全裸で横たわる彼女がいた。小さな身体を小刻みに震わせているのは泣いているからだろう。
アルが何と声を掛けるか考えていると、ミアも気付いたのだろう。一瞬、びくりと身体を震わせると、怯えたような顔を向けた。
陵辱の後の男だ。警戒するのは仕方ないと言えよう。
「アルさん……でしたよね? 貴方も……?」
「そんな趣味は無いと言った。……これで拭け。そんな姿で外には出れんだろう」
布を投げ渡すアルに、ありがとうございます、と笑みを浮かべ礼を言う。
その笑顔は目映いばかりの爛漫の笑み。
何故だ。何故、自分を陵辱した男達の仲間にそんな笑顔ができる!?
自問するアルは無自覚に、身体を拭いている少女を眺めた。
美しい少女だと思った……。まだ肉付きの薄い華奢な躯は、その時期特有の危うい魅力を放ち、穢されてしまったというのに無垢に輝く。
蜂蜜のように流れる髪と、人形のように整った顔容。……似ている場所なぞ殆ど無いというのに、何故か死んだ妹を思い出させる。
だからだろうか。この少女を犯す気になれないのは……。
気付くと終わっていたようだ。修道衣を纏ったシスターが、布を浸けた水桶を危なげに持っていた。
思わず水桶を奪ってしまい、礼を言われる。
「構わん。それよりも休め。明日からも此処に来るのだろう……?」
「そう、ですね。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます」
影を落とした笑みを浮かべ少女は去っていく。その後ろ姿を男はただ見続けていた。
今回はここまでです。
少女が純潔を散らされてから数日、明日には着船し陸路での旅が始まろうとしていた。
正直――、少女は容易く壊れると思っていた。
絶え間ない絶望と諦観の末に、自我を投げ捨てるのだと。
理性さえなければ純粋に快楽を享受できる。雌の悦びを否定する理性も忌避する道徳もなければ肉欲に溺れられる。
逃避と言うならばそうだろう。だが、現実をより良くするためには最適の答えだ。酒と血と女を貪欲に求める男が十と一人、昼夜もなく弄ばれて幾数日、少女は変わることなく男達を受け入れている。
事が終わり顔を洗っている少女を眺めながらアルは考えていた。
この娘を支えるのは何なのか、自我を貫く強さは小さな身体の何処にあるのか。
何度自問しても答の出ない疑問を、汚れを拭った修道衣を纏い直す少女に直接ぶつけた。
「辛く、ないのか?」
少女は一瞬驚いた表情を浮かべるが、すぐにいつもと変わらぬ笑顔を見せる。
「つらい……です。ですが、私が我慢すれば皆様が救われるのでしたら…。きっとこれも主が与えてくださった試練なのです」
完全に神を信じきった顔。理不尽な扱いも神の授けた試練と疑わない愚直な信仰心。
どれもがアルの心を苛立たせる。
「……神が、何をしてくれる。敬虔な祈りをいくら捧げても応えてくれやしない。皆騙されているんだ。祈りなんて何の価値も……」
ぱしん。
軽く乾いた音。
細い腕からの平手は痛みもなく、振り抜かれて初めて気が付く程度の衝撃でしかない。
それでも渾身の力だったのだろう。少女は唇を噛み締め目尻に涙を浮かべながら、憎悪のこもった視線をアルに向けている。
「撤回してください」
慈愛の欠片もない暗く冷たい声。
アルにはそれが眼前のシスターの声だと思えなかった。
「貴方が主を信じないのは自由です。ですが、貴方の言葉は主を信じ救いを求める方達への侮辱です。撤回してください」
凛然とアルの瞳を見据える姿は、華奢な少女からは不釣り合いなほどに威厳に満ちている。
いつも唯々諾々と男達に玩具にされているシスターからは考えられない強さを見せるのが神のためだと思うとアルは怒気を隠せずにいた。
「お前が陵辱されているのに神は何もしないじゃないか! 天罰を与えるわけでもなく見ているだけだ!」
「天罰なんてダメです。彼等はただ迷っているだけ……いつか神の愛を信じてくれるはずです。私はそのために祈っているのです。今は届いていないだけ……」
それ以上の言葉を聞きたくなくて、アルは思わずミアを押し倒した。修道衣の胸元を破り、膨らみかけの乳房を力任せに揉みしだく。
「あ、アルさんっ? 何を!?」
「神がどれだけ無力か教えてやる……」
「やめてくださいっ! 貴方はそんな方じゃない……」
他の男には躯を許すくせに、俺は拒絶するのか――。
傭兵達への嫉妬とミアへの怒りに突き動かされ、下着を破り一息に挿入する。
「ふぁぁあっ」
膣内に未だ残る精液の感触に更なる憤りを覚え、動きの激しさが増す。
男の動きに耐えかねガクガクと躯を揺らす少女の口からは悲鳴とも喘ぎともつかない声が漏れ続けていた。
「くっ……」
己の快楽だけを求める身勝手な動きを幾度も繰り返した末、溢れるほどの欲望の塊を少女の膣奥に解き放った。
「あ……あぁ……」
「まだだっ……お前の膣内を俺のモノで染めてやるっ」
射精の衝撃で放心気味の少女の片足を掴み躯を横たえらせより深く自身を埋める。
「苦しいんだろ? 嫌なんだろ? 神様に助けを呼べよ!」
何度も雄の精液を注がれ幾度も快楽の絶頂に至った少女は、虚ろな瞳で破れた服を抱き消え入りそうな声で呟いている。
アルはそんな少女に冷たい一瞥を投げると、悠々と船倉から去っていった。
「なんで…? いや……。どうして……」
今回はここまでです。
アルたん鬼畜化しちゃったのね…
でもそんなところもツボだわ。
続きお待ちしてます。
リクした者だが、ほぼ…いや期待以上だ。
やっぱりプライドとか格好だけ着飾った「偽聖女」じゃなく、
真の慈愛に満ちた聖女じゃなきゃ。
ミアの精神の崇高さとアルの屈折とならず者の下劣さの対比がいい。
誇り高いミアが健気だ…GJGJ
皆様、お褒めいただきありがとうございます。
一応期待に添えられているようで胸を撫で下ろす事ができました。
続きは連休中の投下を予定しています。
ちょっとした次回予告?
「皆さん、おはよー。いやもしかしたら、こんばんは。国によってはボンジョルノ、グーテンターク、アニョハセヨ。ミア(偽)でーす」
「次回からは海上から陸地に場面を移します。作者が趣味に走ったせいでご都合主義と超展開の嵐」
「果てはある意味バッドエンド一直線という気が触れたような内容を予定しているそうです」
「てなわけで、投下予定は日曜日が濃厚かな?」
「熱中症などにならないよう御自愛してくださいね」
砂漠の旅を始め幾日、巡礼者達は明後日には聖地に到達しようとしていた。
その間も変わらずにミアの躯は傭兵達の慰み物にされていた。唯一つ変わった事は、陵辱の後の少女を見守る者がいなくなった事。
あの日以来、アルはミアに話す事も視線を向ける事もなくなった。
アルが少女への関心を無くしたのを知った男達は彼に憚ることもなくなり、より貪欲にミアの躯を求めた。
紅く輝く弓張の月が地上を照らす。月下では列を為し緩行する人の群。その誰もが砂塵除けのフードを目深に被り、体温を奪われぬようマントを身体にしっかと巻きつける。
その中の一際小さな姿が少しずつ列から離れていく。それを目に留めた巨漢が隣の男に話しかけた。
「アル。あの嬢ちゃんが遅れてる。二人ほど連れて相手してくるからよ、先行っててくれや」
アルは軽く頷くとそのまま前進を続ける。傷男は後備の男二人を連れ幼いシスターの下へ向かった。
「ふう……ふう……」
足が重い……。風は冷たいのに体は熱く火照っている。まともに歩けているかもわからない。そんな私を力強い腕が支えてくれたのです。
……あの人かもしれない。
そんな淡い期待は叶わず、私の横にはあの傷だらけの顔があったのです。
「よぉ、大丈夫かぁ?」
舌舐りする獣のような笑みを浮かべて傷男は馴れ馴れしく躯を弄る。
「んっ……」
身動ぎ逃れようとする少女を片手で押さえ、フードを下ろす。風に流れる金の髪を軽く梳き、腰を曲げて白いうなじを舐め啜る。
「待たせたな。その分、キモチよくさせてやるよ……」
細い躯を包む外套を優しく剥ぐと、少女の白い裸身が晒された。
常に身に纏っていた修道衣はなく、胸元を飾っていたロザリオは蜜を湧かし続ける股間に埋まっている。
「随分濡れてるな。こんな十字架を突き刺して、マントの中には何にも着ないで感じてやがったのか……」
「……」
いやらしく笑いながら尋ねる傷男に、ミアは目を閉じるだけで何も答えない。その態度が上機嫌だった傷男を豹変させた。
「躯は慣れてきたっていうのに、スカした態度だきゃあ、何時までも変わらねえなあ。こりゃお仕置きだな」
傷男は小さな少女の躯を突き飛ばし、うつ伏せにする。急な事に声をあげようとしたシスターの口を塞ぎ、残った片手でマントを捲り上げ、肉付きの薄い尻を撫でながら囁いた。
「力抜けよ……裂けても知らねえぞ」
傷男は何度使われても未熟さを保ったままの割れ目から流れる蜜を肉棒に浸すと、ロザリオをくわえ込んでいるのとは別の穴に挿入した。
排泄に使う不浄の穴を圧迫する苦痛と嫌悪感が襲う。
ゴツゴツとした男の手に邪魔され、声を出せずに咽び泣く。
「この肉の向こうにシスターの大事な十字架があるんだぜ。わかるだろ?」
こつこつと腸と膣を分かつ肉壁を叩く男の動きにミアの躯は感じてしまう。
男が乱暴に腰を動かせば排泄にも似た快楽が少女を襲う。
次第に苦痛に耐えるための涙は歓喜に溢れる涙へと変わり、我知らず尻を振ってしまう。
そんなミアの仕草と、貪欲に肉棒を飲み干そうとする尻穴の具合に満足し、笑う。
「あんたは尻まで名器だなぁ。お待ちかねの精液を沢山飲ませてやるぜっ」
一層激しさを増した腰の動きが急に静止した瞬間、今までに何度も浴びせられた熱い液体が放たれた。
腸内と背中に熱い液体が浴びせられる。
傷男の手が力無く放され、少女の躯に覆い被さるようにのし掛かってきても腸内の射精は止む素振りを見せない。
訝しむ少女が真横にまで来た傷男の顔を覗き込むと、恍惚とした表情のまま喉を裂かれ蒼白となった顔があった。
「ヒぃッ!」
転がるように傷男の下から這い出ると、傷男と同じように首を裂かれて息絶えた男達の姿があった。
そして、フードで顔を深く隠した男の姿。外套からは枯れ枝のような腕と、血に濡れた短剣。
「女、最後ハお前ダ。神に召さレヨ」
不明瞭なラテン語がフードの奥から響く。
その異様な風体と異常な周囲、満ちた死の気配に少女の細い腰が砕け、股間からは温かい液が流れた。
殻芥の如く散ろうとする命は状況を理解できないままに、眼前の死に口を開く。
「なに……? なんなの……? どうなって? あなたは……?」
憐れみも嘲りも無い、すべての感情を排したような声だけが彼女の耳に入った。
「名乗る必要ハなイ。二秒で終わりダ」
淡々とした死の宣告に際し脳裏に去来したのは、幾重にも唱えた主への祈りではなく、かつて側にいてくれた黒衣の男の姿だった。
無愧の刃が肉を裂き、紫電が閃き命を絶つ。
無造作に振るわれた短剣は少女を庇った腕を滑り、抜き放たれた半月刀は頭巾に隠れた首と胴を別つ。
くずおれる肉を、胸に庇う少女には見せないようしっかと抱きしめた。
もがきだした少女を見、腕の力を緩めると毛布から這い出る犬のように顔を出す。
何日も見ていなかった顔、最後に見た時のように涙を浮かべた瞳。
「怪我は、ないか?」
労るように優しく言ったつもりだが、左腕の痛みと熱で声が震えてしまう。
だが、そんな瑣末な事はどうだっていい。
他の誰も助けられなかったが、胸の中の少女だけは救うことができた。
何年も忘れていた神に感謝し、少し重くなった瞼を閉じる。
あんなに力強かった腕から力が抜けていく。
絶望から救ってくれた彼の身体がぐらりと揺れた。
(まさか……毒?)
矢も盾も堪らずに左腕の傷に口付け血を啜り毒を抜く。袖を破り彼の肩口をきつく縛りました。
陰部に刺さったままだった十字架を投げ捨てると遺体の一つへ向かう。
(主よ、私は罪を犯します。ですがあの方はまだ主の御許へ向かわれるのは早いのです)
簡略した懺悔を唱えながらも遺体を漁る動きは止めない。
胸元を這う指が陶器に触れた。それを掴み彼の下で蓋を開ける。
どろりとした鼻に付く液体を彼の口内に流し込み、彼が飲み込んだのを確認すると、彼の頭を膝に載せ流れ出る汗を拭きながら私は主に祈ったのです。
微睡に似た心地良くの中でアルは目を醒ます。
後頭部に感じる柔らかさと頬を撫でる冷たい感触。
霞む視界の中に浮かんだのは天使のような少女の微笑。
「アザリー……?」
少女は微笑んだまま、微かな悲しみを見せ首を振る。
その時にはアルも気付いた。眼前の少女と彼女は違う。
「意識は戻ったようですね。お体はどうですか? 動きます?」
指先を軽く握る。大分重いが動きも感覚も特に問題はないようだ。
「よかった……」
そのことを告げると、少女は安堵の溜息と共にアルの額をそっと撫でる。
少女の仕草に見惚れていたアルは、ようやく自分の状況を把握した。マント一枚の少女の膝枕で眠っていたのだ。
慌てて立ち上がろうとするが、少女の細腕にあっさりと押さえつけられた。
「ダメです。解毒剤は効いたようですがもう少し安静にしてください」
有無を言わせぬ少女の気迫に観念し、せめて瞳を閉じて目映い姿態を見ないようにする。
「アル…さん?」
沈黙が重い空気になり始めた頃、いつもよりもか細い声が耳に届く。
「先程の…その、アザリーさんって、恋人……ですか?」
「妹だ」
素っ気ない答。暗い視界に浮かぶのは、ろくに顔も思い出せなくなった妹の笑顔。
「そう……ですか。どんな方ですか? アルさんの妹なら……」
急に明るくなった声で会話を続けようとする。返答を期待するシスターには悪いが、これ以上に話せることはない。
「死んだよ。何年も前に」
シスターの体が硬くなるのを感じる。ずっと昔の死までこの少女は悲しむのだろうか?
そんな少女の姿を思いながら、ぽつりぽつりと昔語りを始めていた。
エルサレムで過ごした子供時代。
サラディンの侵攻。
騎士団の敗北で混乱した教徒達の暴動に巻き込まれた妹の死。
ローマに渡った後の十字軍への志願。
遠征で行われた略奪と暴虐。
「気付けば、剣を片手に傭兵をやっていた。妹を殺したのと同じ巡礼者を妹が眠る場所まで護衛し、時には十字軍の頃のように依頼主や旅人を殺し略奪した」
悲しかった。この人は信じていた神とその信徒に幾度も裏切られて生きていた。
狭い修道院の中で世界を知らずに生きた私には想像もできない。
「……」
私はかける言葉も見つけられず、流れ落ちる彼の涙を拭い続けていました……。
「……シスター」
弱々しく掠れた声に、少女ははっと居住まいを正す。
「何でしょう」
「俺は何人もの命を奪った。信仰を捨て、金品を奪い、女を犯した。キミのことも……そんな俺を神は許してくれるだろうか」
「……その罪は赦されざる罪です」
無機的に言葉を紡ぐ少女に苦笑する。
わかっていた事だ。今更許しを請うなど虫がよすぎる。
「ですが、罪を背負って生きることはできます。罪を悔い善行を積めば主も貴方を認めてくれるでしょう。そ、それに、最後の罪は……」
聖職者らしく滔々と諭していたはずの声は急にまごつき始める。
「し、主の定めし試練ならば、その、私は気にしませんので。アルさんもお忘れください」
「それは無理だ」
過去を語る間に回復していた体でシスターの華奢な体躯を抱きしめる。
「他の罪よりシスターを汚した事がつらい。……俺は、神に赦してもらう資格なんてなかった」
苦笑しながらそっとシスターの体を離した。
「俺は神を憎んでいる。シスターの愛を一身に受ける神を妬んでいるんだ」
「……バカ」
唇に触れる柔らかな感触。絹糸のような金の髪。花よりもなお馥郁たる甘い香り……。
「キス、しちゃいました。知ってます? あの人達にも唇は捧げてなかったんですよ……だから、これが二度目なんです」
微笑む少女が顔を紅くしながら言葉を続ける。
「最初のキスは、貴方に解毒剤を飲ませるときに口移しで……」
恥ずかしいのか、視線を向けようとしない少女の唇を今度は自分から奪った。
唇から舌を入れると、彼女もおずおずと応えてくれた。
舌を絡め、唾液を啜り、唾液を飲ませた。
「愛している、シスター」
唇を離してからの陳腐な言葉。
こんな言葉では想いのどれだけも伝えられない。だけど伝えずにはいられなかった。
シスターは寂しげに首を振り、指で俺の唇を閉ざす。
「ミア、です。そう呼んでくれなきゃ……愛してあげません」
次の瞬間、シスター……ミアの躯を強く抱きしめていた。
沈みゆく月の光に照らされ、男女が睦合う。
男はつつましい胸に手を這わせ、女はそれに悦びを感じる。
「はぁっ……んぅっ、アルさん?」
嬌声を止め、動きを鈍らせたアルに声を掛ける。
「感じて、いるんだな……?」
「はい……あの、こんな私は嫌いですか?」
男達に何度も弄ばれた躯は、未熟だが十分に快楽を伝えてくれる。
アルが貞淑な自分を求めているのだとしても、開発されてしまった躯は貪欲に刺激を求めてしまう。
「いや。ただ……ミアの躯を貪ったあいつらに嫉妬しているんだ」
憮然とする男の頭を優しく抱くとミアは囁く。
「なら……彼等の触れた跡を消して、この躯に貴方を刻んで、ください……」
三度目の口付け。
幾度となく男達を慰めてきた口内をアルの舌が舐め回す。
「んちゅ……ふぁ……はあ…ぁ……」
舌先から唾液の糸が走り、うっとりとしたミアの体中を指と舌が這いずる。
その度に少女は躯を震わせ、彼の与える官能に耽る。
「アルさんの指……アルさんの舌……私、私ぃ……」
首筋、背中、腹……愛する者が触れるというだけで何倍もの快感と幸福感が押し寄せる。
ミアは無意識にアルの名を叫び続け、何度も絶頂に達した。
「最後は、此処だな……」
濡れそぼった女の園に雄々しい努張が擦り付けられる。
ミアは挿入の期待に喉を鳴らしながらも首を振り否定する。
「あ! あの、そのぅ……お、お尻……。さっき、挿れられ、ちゃって……」
耳まで真っ赤にした少女が消え入りそうな声で囁く。
その言葉を聞いたアルは、突然少女の躯を反転させ獣の姿勢で貫いた。
挿入した途端、激しく収縮する膣に精を奪われそうになるが、ぐっと堪え抽送を開始する。
「くふっ……おなか、いっぱいに……アルさんが」
甘い吐息を漏らす少女の唇を塞ぐ。今度は少女から男の舌を求め貪った。
口と膣を攻められ淫靡な感覚を享受するミアの菊座を指でなぞる。
ほんの一瞬、微かに身を捩らせたがミア自身が指を求めて擦り付けてきた。
焦らすように何度も皺の辺りを叩いていたが、挿入した途端に指を喰い千切るかのような締め付けが襲う。
「はあ…はあ…アルさん、もっと、もっとぉ……」
口を離し、淫らに催促する少女に何度も何度も突き入れる。
アルが媚肉を味わう度にミアは嬌声に喘ぎ続ける。
互いに腰を振り快楽を求め合い、唇を貪り互いを確かめる。
「アルさんっ。私、もう……」
「俺もだ……ミア、一緒に……」
腰を浮かし、指を絡め、唇を重ねる。
意識が白く塗り潰されるほどの快楽。
精を搾りとった後、汗だらけの少女は力無く横たわった。
しかし男は少女の腰を抱えあげ、
「ちょ、アルさん。何を……?」
「前が終わったからな。次は後ろだ」
「い、いや…じゃいですけど……えと。やめ――」
無慈悲に挿入される肉棒に、再び絶頂してしまう少女。
「ミア、愛してる……」
「わたし、も……」
互いに言葉以上の想いを唇に載せて相手に伝える。
何度も何度も……。
これで終了です。
うおっ、唐突だなあ。
でもハッピーエンドで良かった。超GJ!!
乙でした。2週間楽しませてもらったよ。
また書いてね!
乙でした!
GJ!
アルやさしいよアル
GJ
皆様ありがとうございます。
唐突なのはネタ切れだったり話がグダグダしてきたのでさっさと終わらせようと思ったからです。
でもエンディングはもう少し書きたかったかも。
話のネタが純?愛モノとか巫女が輪姦されるだけの話とかしか思い浮かばないので、しばらくは書かないと思います。
81 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 00:25:03 ID:O4XbHKld
僧服の下は、何も身に着けない宗派があったな。
G J ! !
83 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 02:12:47 ID:9rjvirD+
hosyu
84 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/05(土) 01:45:05 ID:avLoz5qD
hosyu
85 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/12(土) 14:19:26 ID:FB9hMOeB
hosyu
hosyu
保守り
88 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 01:56:23 ID:EIJ3C+Jl
hosyuしておくよ
カソックだけに過疎区
保守
保守
姉妹板が落ちちまった( ´Д⊂ヽ
ここもそろそろ落ちそうですね
保守しておく
保守
ここは♀×♀はだめ? とある修道院にやってきたシスター少女。
何も知らずに可愛く朗らかな同僚、美しい修道長を見て
新たな生活に期待をするんだけど、そこは女同士のレズプレイが
横行してる恐るべき修道院だった…、て話を考えてるんだけど。
だめなら諦める。て訳で聞きたいのであげ。
是非頼む。
98 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 08:30:16 ID:g2pyIXMO
>96
期待wktk待ち
提案した以上は書いて下さいな。時間がかかっても構いません。
俺たちはマジで飢え死にしそうなんだよ!!
100 :
96:2006/10/17(火) 22:11:54 ID:QB2T3HRV
どうも、皆暖かい言葉ありがd。がむばって書きます。
>>99 あんま期待しないでね^^;。ぬるいエロしか書けなさそうだし。
とりあえず書けた所まで投下。まだエロなしです。
このままのペースだと多分次の次くらいの投下でエロ。
鬱蒼とした木々が陽の光をさえぎって、まだ日暮れ前だというのに森の中は既に薄暗かった。
石やら枝を踏むたび揺れる馬車の中で、クローディスは行儀良く膝の上で手を組みながら
目線だけを横に向けた。彼女の、切れ長の黒い瞳に流れていく緑が映る。
クローディスがもの思いにふけっていると、馬車を飛ばしていた男が陽気な口を開いた。
「それにしてもあんたみたいに綺麗で若い女の子が神さんに一生仕えるだなんて。
あたらに人生棒にふるこたないと思うんだけどなぁ」
その言葉に、彼の隣に座っている彼の細君がとがめるような目をして夫を睨んだ。
男は少女が一夜の宿を借りた宿屋の主人だった。
宿に泊まった次の日に、少女が歩いて向かうと口にした目的地が森の奥だと
知ると無償で馬車を出してくれたのだ。
なおかつ、大の男と森の中で二人きりではさぞ不安だろう、と彼の妻も同乗して
送ると申しでてくれた。彼らは実に気のいい夫婦だった。
「何があったか知らんけどなぁ。酒も遊びも覚えないまま人生を終えるなんざ
気の毒すぎて言葉が出んよ。……あんた、彼氏とかは居なかったのか?」
なおもかけられる言葉に、クローディスは困ったように眉を少しだけ下げて微笑した。
「アンタッ! 余計な口挟むんじゃないよ。この子、困ってるじゃないか!
自分で決めた人生に他人が口を挟むなんて余計なお節介ってもんだよ。
……ほら、急がないとこの森じゃ日が暮れたら真っ暗になっちまうよ!」
そう妻に怒鳴られ頭をはたかれると、男は黙って馬を飛ばし続けた。
*******
馬車が走っているのは、石畳などはないものの土が平らにされており舗装されているようだった。
それというのも、少女が向かっている目的地がそれなりに特別な場所であったからだ。
『聖ファレナ修道院』
二百年前に殉教した聖女ファレナを記念して建てられた由緒正しい修道院だ。
代々高貴な血を持つ聖職者が修道長を務めており、現在もその伝統は継続されている。
昔ほど信仰は盛んではないが、今でも修道女たちが若い身空で俗世から離れた
この場所で神の意志にかなう生活を送っていると言われている。
クローディスは孤児院で育っていたが、院を出る年になったら神に仕える修道女(シスター)に
なろうと幼い頃から心に決めていた。神に仕え、心正しく生きて、祈る日々を送ることこそが
自分を残して事故で亡くなった両親の魂の救済に繋がると信じていたからだ。
院を出る年が近づき入居する修道院を探していた所、聖ファレナの修道院長から直々に
クローディスに声がかかったのだ。
――聖ファレナは、あなたと同じくらい若い娘達が“大いなる愛”のために日々を勤めています。
あなたさえ良ければここへいらっしゃい、と。
不安は、ないといえば嘘になる。
それでも自分にはこれしかないと言い聞かせてクローディスはこの修道院へと向かったのだった。
*******
鳥の声、風がそよぐ音、そういったざわめきが段々と少なくなっていき、
森の奥に行けば行くほどに静謐が深まっていく。
道が広くなり、突如開けたその場所に大きな石作りの建物が現れると
クローディス達は一瞬驚いたものの、その建物があまりに周りの風景に
溶け込んでいたために、それが人工的に建てられたものではなく、ずっと昔から
自然にそこにあったものかのような錯覚さえおこした。
建物の前に据えられた黒い御影石には、優美な書体で“聖ファレナ修道院”と刻まれている。
こここそが、クローディスが向かっていた場所であった。
(すごい……、なんて立派なところなのかしら)
我知らず、クローディスは息を呑んだ。こんな立派な修道院で自分はシスターとして
上手くやっていけるだろうか。神に仕える良き娘となれるだろうか。
彼女はそう思いながら修道院を見やっていたが、ふと扉の横にある聖母像に眼を奪われてしまった。
石膏でできているらしいそれはどこまでも白く、聖母の顔は恐ろしいまでに美しかった。
なめらかな首筋から女性らしい豊満な胸までのラインは緩やかなカーブを描いており、
どこか艶かしかしい。
―― 艶かしい?
聖母像にそんな感想を抱いた自分をクローディスは恥じた。
ふと見れば夫妻も似たり寄ったりの感想を抱いたようできまずそうな顔を見合わせている。
すると、彼らの前で突然修道院の扉がぎぃっと耳にさわる音を立てて開いた。
木製の扉を鉄板で補強した頑丈そうな扉で、それはとても重そうだった。
女所帯の修道院ではこれくらいしっかりとした扉の方が安心なのかもしれない、と
クローディスは思った。
だが、開いた扉の影がすぅっと伸びてきて、クローディスは理由は分からないものの
なぜか少し怯んだ。
屋根に留まっていた鳥達が羽音をたてて飛び去っていく。
開いた扉の中から顔を出したのは黒色の修道服に身を包んだ少女だった。
歳はクローディスとそう変わらないほどであろう。少女はクローディス達を確認すると
軽く礼を取り、にこっと笑った。
「クローディスさんですね。修道院長さまより話は聞いております、お待ちしてましたわ。
私はシスター・キャスリンと申します。案内いたしますのでどうぞ中へ」
その笑みはとても快活な、人懐こい雰囲気のもので、クローディスはキャスリンに
好感を抱いた。そして修道院に対して身構えていた気持ちも一瞬にして溶けていく。
(よかった。この人とはうまくやっていけそう……)
クローディスは馬車を降りる前に送ってくれた夫妻へと振り向いた。
「ここまで送ってくださって本当にありがとう。あなたがたに主のお恵みがありますよう」
そして胸の前で手を組みながら、心からの感謝をこめて礼を言う。
「いいんだよ、《善行は自らの身を助く》ってね。お互い様さ。これから頑張るんだよ」
「たまにはおれたちの俗世での幸福を願っておくれよ」
優しい夫妻はクローディスの頬にさよならのキスをすると、彼女を降ろし、
そしてそのまま彼らの家へと帰っていった。
「……あの方々はご親戚?」
キャスリンが夫妻を見送るクローディスの背中越しにそう尋ねてきた。
「いえ、あの方々は近くの村の方です。ご親切に私をここまで送ってくださったんですわ」
クローディスはそう答えると荷物の鞄を抱えて持ち、修道院の扉へと歩いて近づきながら言った。
彼女の全財産はこの鞄の中身だけだ。幾枚かの衣服に、両親の遺品。それが全て。
そして扉の前に立つキャスリンの傍に来たクローディスは、顔を上げて驚いた。
キャスリンは良く良く見れば、目を見張るほどに顔立ちの整った少女だったからだ。
色白できめの細かい肌。被衣(ウィンブル)からこぼれる金色の髪は
色素が淡く、プラチナブロンドに近かった。小さな唇は苺のよう。
そして、何より人を魅き付けるその目は綺麗な翠色で大きなエメラルドを思わせた。
「どうかしまして?」
キャスリンの声に、彼女を見入っていたクローディスは思わずはっと我にかえった。
「い、いえ……なんでも」
「ふふっ、クローディスさんて面白いのね。私たち仲良くなれそうだわ。さ、早くいらして」
キャスリンはクローディスの手をひくと、強引ともいえる強さで彼女を扉の中へと引き入れた。
クローディスはキャスリンの後ろをついて行きながら、ふと後ろを振り返った。
ゆっくりと修道院の扉が閉まっていく。開く時より大きく、物々しい音を立てて閉まっていく。
外界と自分とを隔てる扉、それが閉まる音はクローディスの耳に重々しく響いた。
105 :
96:2006/10/17(火) 22:25:44 ID:QB2T3HRV
シスターいいよね。あのストイックな服がかえってエロくて良いと思う。
せっかくだから何かタイトルつけようと思ったんだけど
『修道衣を脱ぐ日』とかもう最悪なのしか思い浮かばなかったので
投下ごとに適当な題名つけます。よろしく(`・ω・´)ゝ
96氏、GJ!
物語のつかみとして良いものだと思います
先がとても気になりました
クローディスがどのように堕ちていくのか楽しみにしています
wktkさせるなあ
108 :
扉の中:2006/10/20(金) 20:38:16 ID:m+kADtJu
修道院の中は扉の外から見ていた時には暗いように感じていたが、いざ入ってみると
クローディスが思っていたよりずっと明るい場所だった。
採光が考えられているのか、やわらかな光が入って廊下を照らしている。
要所には絵画や、花瓶に活けられた薔薇が飾られており、どこか品のいい
お屋敷のようにも見えた。だが、クローディスはその優美さがなんだか落ち着かなかった。
けれど、その困惑を吹き飛ばすようにキャスリンが笑った。
「そんなに緊張なさらないで、クローディスさん。みな、あなたが来るのを楽しみにまってましたのよ」
彼女の笑みには親しみがにじんでいた。そのために、クローディスも我知らず笑みを返していた。
「今は皆、談話室を兼ねた食堂におりますわ。すぐそこです」
すると、キャスリンが指差した先に部屋があった。耳をすませばそこから人の声が聞こえてくる。
そこが食堂であった。キャスリンはクローディスの手を取ると、彼女を伴って部屋の中へと足を踏み入れた。
「みなさーん、お姉さま方。お静かになさって。今日からここの一員になる
クローディスさんがいらっしゃいましたのよ」
そう、キャスリンが声をはりあげると、食堂の中で雑談に興じていた修道女たちが
一斉にクローディスの方に顔を向けた。
その視線を受けてたじろぎながらも、クローディスは思わず目を見張ってしまった。
なぜならば、この部屋にいる修道女たちは皆一様に若く、美しい女性だったからだ。
クローディスとそう変わらない歳の少女から、少しばかり年上の女性たち。
皆、当然の事ながら修道衣を身につけている。全くと言っていいほど飾り気のない服だが、
それがかえって彼女たちの生来の美しさを際立たせていた。
109 :
扉の中:2006/10/20(金) 20:38:47 ID:m+kADtJu
クローディスにとって教会は身近なものだった、そもそも孤児院で自分や他の孤児達の
面倒を見てくれたのは修道女たちだ。
彼女たちは既に初老の域に達した婦人であり、そのためかクローディスは修道女というと
そういった、年を重ねた婦人というのを想像していた。
だが、この修道院の中では自分やキャスリンを含め十代の修道女もおり、
一番年上の修道女でも、どう見ても二十代かそこらにしか見えないくらいであった。
(こういう修道院もあるのね……)
女学校の生徒たちのような顔ぶれに、クローディスは面食らいながらもどうにか
自己紹介をし、挨拶の礼を取った。
「至らぬ所も多いでしょうが、ご指導のほど宜しくお願いします」
すると、クローディスの前に長身の修道女がすすみでて何か黒っぽい布のような物を手渡してきた。
「よろしく、クローディス。私はシスター・リティシア。皆はリタって呼んでる。
……はいこれ、君の修道衣だよ。何着かあるから洗濯しながら着回してね」
「あ、ありがとうございます」
リタは赤毛の修道女であった。多分この中で一番背が高く、一番胸が大きい。
張り出た胸はクローディスの倍はありそうで、その迫力にクローディスは息をのんだ。
リタは肉感的な唇の端をあげて笑うと、クローディスの肩に親しげに手を置いて言った。
「良かったら先に着替えておいで、もう少ししたら夕食だしね。
みんな君の事は、来る前から楽しみでよく知ってるし。こっちの自己紹介は後でもできる。
荷物を置いて落ち着いてからでもね」
「あ、はい……」
「部屋はキャスリンと同じだよ。……キャシー、連れていってあげな」
リタに声をかけられたキャスリンはなぜかぷぅっと頬を膨らませていた。
「もうっ、お姉さま達がクローディスさんに早く会いたいとおっしゃるから
先にこっちに来ましたのに。そうでなかったら先にお部屋に案内しましたわよ。
その方が落ち着けますもの、ねえクローディスさん?」
「あ、わたしは別に……」
突然話を振られてクローディスは言葉をにごした。
だがキャスリンはそれに構わぬ様子で笑顔を作ると、クローディスの鞄をひょいと持ち上げた。
「荷物、よければ私が持ちますわ。修道衣と、鞄一緒に持つの大変でしょう?
……じゃあ改めて着替えてから来ましょうか。案内しますから付いてきて下さいね」
そう言ってキャスリンは片目をつぶってみせた。その気遣いがクローディスは嬉しかった。
「どうもありがとう、キャスリンさん」
食堂を出る時クローディスは、同僚となる修道女たちに軽く会釈をした。
すると、他の修道女たちは競うように「また後でね」、「あとでお話しましょうね」
などと笑顔でクローディスに声をかけてきた。
クローディスはほっと息をなでおろし、新しい生活が順調に始まりそうな予感に安堵していた。
110 :
扉の中:2006/10/20(金) 20:39:50 ID:m+kADtJu
*******
案内されながら部屋へと向かう間、クローディスとキャスリンは何くれとなく話していた。
好きなもの、嫌いなもの、そしてここに来るまでのこと。
「じゃあ、私達同い年なんですね」
クローディスがそう喜ぶと、キャスリンはふざけてクローディスの肩に自分の肩をくっつけると、
冗談めかして言葉を返した。。
「クローディスさん、大人っぽいから私よりお姉さまなのかと思ってましたわ」
「いやだ、大人っぽいだなんて。そんな事ないわよ」
話をしてみればキャスリンもまた、クローディスと同じ孤児であった。
なんでもない風にその事実を語るキャスリンだったが、それを知った瞬間
クローディスは、この、まだ会って一日とも経たない少女との間に
何か見えない絆のようなものが生まれたことを、意識しないままに感じていた。
「……ここのシスターは、皆さんお若いかたたちばかりなんですね」
さりげなく気になっていたことを尋ねるとキャスリンは一瞬驚いたように眉をあげた。
「ええ、そうだけれど。なぜ?」
「……普通は、もっとご年配の方が修道院には多いように思っていたから」
「あら、だってここは特別ですもの」
そう言ってキャスリンは朗らかに笑う。
「特別?」
思いもかけない言葉にクローディスは聞き返した。するとキャスリンは思わせぶりに微笑んで見せた。
苺色の唇が笑みの形に艶めく。
「ええ、ここは特別なんですわ。……だってこのファレナは神聖なる愛を知る場所。
ジュスティーヌさまに選ばれた姉妹達が集う聖堂なんですもの……」
「ジュスティーヌ、さま……?」
クローディスは必死に記憶の糸を辿った。その名前はどこかで聞いた覚えのある名前だ。
だが、その思考は突然の声に途切れることとなる。
キャスリンが握った手を頬に当て、可愛らしい声をあげたからだ。
「あ、ここですわ! ここが私と、クローディスさんの部屋です」
111 :
扉の中:2006/10/20(金) 20:40:41 ID:m+kADtJu
*******
与えられた部屋はそれほど広いものではなかった。
だが、それでもクローディスが想像していたよりずっと過ごしやすそうな充分な空間があり、
そして窓からは修道院の中庭の明るい風景を見ることができた。
中には寝台と、そして机がある。必要最低限の家具だ。
けれどそれを見たクローディスは、確かな喜びが自分の体を満たしていくのを感じていた。
孤児院では自分の部屋を持つことなどありえない。そして自分だけのものを持つこともまた然り。
大部屋で雑魚寝のようにして日々を過ごしていた。
だが今は自分の部屋をもち、自分の寝台と机をもらったのだ。嬉しくないわけがなかった。
「どうなさったの?」
キャスリンが急に黙り込んだクローディスをいぶかしく思い、後ろから声をかけてきた。
クローディスは首を振って答える。
「何でもないんです。ちょっと……昔のことを思い出して。着替えますね。
皆さん待っていらっしゃるかもしれませんもの、早くしなくては」
女同士の気安さでクローディスは着ていた服のボタンをためらいもなく外していく。
それを見つめるキャスリンの、その視線の強さに気がつくこともなく。
下着姿になってクローディスは手渡された黒の修道衣を頭から被った。
「……後ろのボタン、留めるの手伝いますわね」
キャスリンの細い指がクローディスの髪をすき、うなじに触れた。
黒の襟を白い首元にまわし、キャスリンはボタンを一つ一つ留めていく。
「ありがとう、キャスリンさん」
スカートを直し、襟元を正す。そして被衣(ウィンブル)を頭にかぶせて
最後に髪を整えれば、クローディスはすっかり修道女らしい姿になっていた。
「よく似合っているわ、クローディスさん」
そう言ってキャスリンはにこっと笑った。陽だまりのような笑顔だ。
クローディスの胸の内にふと、ある言葉が浮かんだ。
その言葉を、クローディスはためらいながらも口にした。
112 :
扉の中:2006/10/20(金) 20:42:14 ID:m+kADtJu
「……その、本当にありがとう。キャスリンさん」
「あら、何ですの改まって」
「私、ここに来るまで正直不安だったんです。上手くやっていけるかとか、その色々……。
でもキャスリンさんに会って、ここの皆さんに会って、きっと大丈夫って思えました。
皆、とても優しそうな方たちで」
ためらいがちに話すクローディスの頬は少し紅潮していた。
「それに私、最初にあなたに会った時、なんて笑顔の素敵な人なのかしらと思ったんです。
……その、上手く言えないんですけど……」
クローディスはそこで一度言葉を切った。そしてはにかむように微笑む。
「これから仲良くしていきましょうね、キャスリンさん。私、あなたとお友達になりたいの」
それだけ口にするとクローディスは自分の言葉に照れたのか、顔を林檎のように赤くした。
キャスリンは、それを微笑ましげに瞳を細めるとおかしそうに言った。
「お友達だなんて……、私達もうそれ以上のものになってますのに」
「それ以上のもの?」
クローディスがそう問うと、キャスリンは表情を改めた。
その瞳は真摯で、強い光を宿している。
「聖ファレナ修道院に来た以上、あなたはもう私の……私達みんなの姉妹ですわ。
喜びも悲しみも、痛みも、全てを分かち合う存在ですのよ」
――喜びも悲しみも、痛みも分かち合う存在。
それはどこか、クローディスが焦がれ続けた『家族』というものに似ていた。
姉妹という呼び名も、父も母も失い、孤独に慣れていたクローディスの心に優しく染み渡っていく。
そしてキャスリンはクローディスに言った。
「それに……私はここに来たから、という理由だけではなく、あなたが好きよ。
私も初めてあなたを見たときに思ったの。頑なで真面目で、野の花みたいに清廉な人だって
……好きよ、クローディス。仲良くしましょうね……」
好き、という言葉がクローディス自身が思うより強く彼女の中に響いた。
クローディスの目頭がじわりと急に熱くなる。
(泣いたりしては駄目よクローディス、キャスリンさんに変に思われる……)
それに気がついているのかいないのか、キャスリンは真剣な表情から
またぱっと笑顔に戻ると、クローディスの手を引いた。
「さぁ、修道衣に着替えたことですし。食堂に戻りましょう」
*******
『扉の中』終
96氏GJ!!
wktkwktk
115 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 20:57:28 ID:KsvSAuWh
うおお激しくwktk!!
116 :
晩餐:2006/10/26(木) 22:17:05 ID:wBbarMAK
食堂では既に食事の用意がなされており、長方形の長机に食器が乗せられていた。
パンにスープ、それから数種の果物が晩餐のメニューとして出されていた。
「すみません、新参ですのにお手伝いもせずに……」
クローディスがおずおずとそう声をかけると先程挨拶を交わしたリタが、鷹揚に
笑って首を振った。
「いいんだよ、君は今日来たばかりなんだし。おいおい手伝ってもらうから」
他の修道女たちもそれぞれクローディスに声をかけては笑みを作り、そして椅子に
自分の座る席へと腰掛けていった。クローディスもそれにならい、示された席へと腰掛ける。
目の前の席についた薄墨色の髪をした修道女がクローディスと目があい、かすかに微笑んだ。
その修道女はシスター・ヘイラと名乗った。
リタと同い年くらいの年齢で、ややたれ目がちの茶色い瞳が穏やかそうな修道女であった。
そのヘイラが、皆が席につくやいなや立ち上がると、声も高らかに言った。
「皆さん、聞いてください。今日は喜ばしいことに我らの心の師、我らが姉妹、
シスター・ジュスティーヌがファレナにお戻りになります」
その言葉に、周りの修道女たちの顔がぱっと花が咲いたように明るくなる。
―― シスター・ジュスティーヌ!
クローディスもまた、はっと顔を上げた。
ジュスティーヌ・エリザベス・デュリトリー。
それは聖ファレナ修道院の修道院長であり、高貴なる血を継ぐ貴婦人の名であった。
(私をファレナへと招いてくれた大恩あるお方の名前を忘れるなんて私ったらどうかしているわ。
いくらキャスリンさんたちと仲良くできて安心したからといって。
……神よ、どうかこの思い上がった娘を戒めください)
祈りを終えたクローディスはふとジュスティーヌの事を考えた。
どんな人物なのか、思考を巡らしながらも感謝の気持ちはかの人への期待へとすぐに結び付いた。
117 :
晩餐:2006/10/26(木) 22:17:58 ID:wBbarMAK
すると、想像をめぐらしているクローディスの耳に、高く響く靴の音が届いた。
靴音は、カツーン、と石造りの建物の中に音は反響している。
その音は、一歩一歩確実に食堂の方へと近づいていた。
「ジュスティーヌさまだわ」
熱にうかされたような声音で、修道女の一人がその名を呟いた。
「静かになさい。ジュスティーヌさまをお迎えするのに失礼でしょう」
ヘイラが困ったように眉をよせて、その修道女をたしなめる。
彼女たちが期待にさざめいている中、遂にジュスティーヌは食堂へと姿を現した。
「皆様、ごきげんよう」
ジュスティーヌが現れると、ただそれだけで場の雰囲気ががらりと変わったのだ
クローディスは、はっきりと感じた。
馥郁たる香りがあたりにたちこめ、華やかな空気が満ちていく。
(なんて美しい方……)
キャスリンや、他の修道女達を見たクローディスは、美人や美少女を見慣れたつもりで
あったが、それでもなおジュスティーヌの美貌は群を抜いていた。
雪花石膏の肌、高い鼻梁に優雅な弧を描く眉の線。
そして完璧な形の瞳は蒼氷色で、ともすれば冷たく見える色合いだったが、
ジュスティーヌはその瞳に聖母のような優しげな光をたたえており、冷徹さは微塵も
感じられず、瞳はただただ美しい輝きを見せるだけであった。
(そうだわ……、ジュスティーヌさまはあの聖母像に似ておられる)
ジュスティーヌの美しさに感じ入りながらも、クローディスは以前にどこかで
彼女に出会った事があるような錯覚を抱いており、そして彼女の優しげな微笑で
探していた答えを引き当てた。
修道院の入り口の飾られていたあの聖母像と、目の前のジュスティーヌは雰囲気が
良く似通っていた。
細かい顔の造作に多少の違いはあれど、石膏の肌も、人に畏怖を抱かせる美しさも同じだ。
―― そして、黒い修道衣の下に隠された豊満な肉体も。
118 :
晩餐:2006/10/26(木) 22:18:51 ID:wBbarMAK
「……あなたがクローディスね」
他の修道達と同じようにテーブルについたジュスティーヌは、席へと落ち着くと
そうクローディスに声をかけた。
「は、はい。その……私をこのような立派な修道院の修道女としてお迎え下さり
ありがとうございました。この度の配属は院長さまのお口添えあっての事と聞き及んでおります……」
「まあ、口添えだなんて。わたくしは大したことはしていませんよ。
あなたがここに来たのも大いなる主の御心によるものでしょう」
ころころと笑うとジュスティーヌは可愛らしく見えた。
彼女の、その美しさからくる一種の威圧感は影をひそめ、少女めいた雰囲気が彼女を纏う。
少女めいた雰囲気は清らかさにも似ている。クローディスはジュスティーヌを
ますます聖母らしい方だと、そう感じた。
「……では皆さん、神の与えたもうた糧に感謝致しましょう」
ジュスティーヌの呼びかけにより修道女たちは声を合わせて祈りを捧げた。
食事を作る当番が決まっており、自分たちで作ったというスープはとてもまろやかで美味であり、
その晩餐は見た目よりもずっと素晴らしいものだった。
通常は、晩餐の席では沈黙の行をつらぬくものだが、ファレナでは院長の意向
――『与えられた糧を心安らかに得るのは神の御心に背くものではない』――から
修道女たちは気楽に雑談を交わしていた。
全員の名を教えてもらい、クローディスはそれぞれの特徴と名前とを併せて頭に叩き込んでいた。
ジュスティーヌは院長という名を持つ割りに気難しくなく、修道女たちの話しによく頷き、
時には会話にも加わっていた。
119 :
晩餐:2006/10/26(木) 22:19:27 ID:wBbarMAK
楽しい時間は過ぎていく。ある思惑を修道女達の笑みの影に隠しながら。
クローディスはここに来てようやく緊張も解け始め、同僚である修道女たちになじもうと
その場の会話に加わろうとして口を開き、ある事に気がつき狼狽した。
(――声が、でない)
そして、クローディスの手はしびれたように動かなくなり、力無く下へと落ちる。
彼女の手でなぎはらわれたフォークが金属的な音をたてて床に落ちた。
「あら……ようやく薬が聞いてきましたのね」
ヘイラがたれ目をなごませながら言った。
(な……に、薬……?)
クローディスがかすみゆく目を必死にしばたかせて声のした方向をみると、今度はリタの声がした。
「心配しないでいいよ。毒ではないし、体に残るものでもないから」
その声が、がんがんと頭に響く。
遂にはクローディスは自身の体を支えきれなくなり椅子からずり落ちた。
何がなんだか分からず、クローディスは激しく困惑していた。
軽やかな笑い声が聞こえ、クローディスは動かぬ体を必死に動かそうと身をよじった。
耐え切れぬような眠気が彼女を誘う。
だが、クローディスは精一杯の力を振り絞り声の主の姿を見た。
それは、ジュスティーヌだった。赤い唇の両端をつりあげて笑っている。
その瞬間クローディスは、ジュスティーヌをを聖母のようだと感じたのは、
大きな間違いであったとクローディスは戦慄した。
美しい悪魔が、ここにいる――!!
そのジュスティーヌはクローディスの視線を受け流し、被衣を取って
黄金色の髪を振り広げると穏やかといっていい口調でクローディスに語りかけた。
「今はただおやすみなさい、クローディス。……次にあなたが目を冷ますとき、
あなたはわたくしたちの真の姉妹として新たな生を受ける。
……さあ姉妹達、クローディスの新たな生に乾杯を」
ヘイラが、リタが、キャスリンが、そしてその他の修道女たちがグラスを持ち、
それを高く掲げた。
「「乾杯!!」」
その言葉を最後にクローディスは瞼を閉じ、心地よい睡魔(ヒュプノス)の誘惑に屈服した。
96です。エロのない前置きをねちねち長く続けててスマソ〜。
次からいよいよエロ。
抵抗できないクローディスをキャスリンちゃんが嬲ります。
マーベラスだッ
122 :
96:2006/10/26(木) 22:35:04 ID:wBbarMAK
ありがとう>121。でもちと今回誤字やら何やら推敲見逃し部分が多くて
やべーやべー(・∀・;) 次から気をつけるわ。
訂正箇所↓
>>117 ×靴音は、カツーン、と石造りの建物の中に音は反響している。
○靴音は、カツーン、と石造りの建物の中で反響している。
>>119 ×大きな間違いであったとクローディスは戦慄した。
○大きな間違いであったと感じ、クローディスは戦慄した。
×……次にあなたが目を冷ますとき
○……次にあなたが目を覚ますとき
誤字脱字なんてどうでもいいから続きを早く
いや、誤字脱字はよくないぞ。
いや、誤字は気にしないから早くこのいきり立ったナニをどうにかしてくれ!GJ!
続き、続きはまだか!GJ!
127 :
◆3SxroXII32 :2006/11/04(土) 17:06:54 ID:voDF9Lo/
ちょっと酉つけてみた。
聖ファレナ女子修道院物語の続き投下です。
――賛美歌が聞こえる。
あれを歌っているのは子供達だ。皆、親のない孤児達ばかり。
その中には、小さなクローディス(わたし)も混じっている。
神さま、大いなる主よ、我らが父よ。
救いたまえ憐れみたまえ――
*******
はっとクローディスが目を覚ますとそこは見知らぬ部屋であった。
藍色の薄闇に覆われ、世界が止まったような静けさに満ちている。
体中に残る妙なだるさを振り払おうと首を振り、ここがどこか確かめるために
辺りを見回したクローディスはある事に気がついて、ぎょっとした。
クローディスは修道衣はおろか下着さえも身につけておらず、一糸纏わぬ
裸身を晒していたのだ。
慌てて身を隠そうと手を引いた瞬間、クローディスは手首に痛みを感じた。反射的に頭上を見る。
そして息を呑んだ。天井から黒々と光る鎖が伸びていた。
それはクローディスが身じろぎをする度にじゃらり、と金属的な音を立てている。
そして頭の上に掲げさせれたクローディスの手首には革の輪がはめられており、それにはしっかりと
天井から伸びる鎖がつながっていた。
血の気が引く音を、クローディスははっきりと感じた。
場所を確認しようと慌てて辺りを見渡せば、背後には巨大な十字架が掲げられており
それが月光に青白くおぼろに浮かび上がっていた。
その下に据えられた聖母像は、クローディスを見据えるように鎮座している。
(ここは……聖堂?)
振り返り、目を細めて前を見てみれば、そこには少し距離のある場所に長い椅子が置かれていた。
クローディスには見覚えのある形だ。教会で祈りを捧げる時に使う椅子に似ている。
(一体なんだというの……)
聖堂の祭壇の上で、全裸で縛められているという異常な事態にクローディスは
激しく狼狽しながらも、一つ一つ丹念に記憶を辿っていった。
確か自分は食堂にいたはずだ。それがなぜ聖堂に、しかもどうしてこんな事になっているのか。
クローディスはこの場から逃れようと、何度も腕を引きがむしゃらに暴れた。
だが彼女を縛める鎖は、じゃらじゃらと音をたてるだけで、一向に外れる気配を見せなかった。
そして、どうやら天井に滑車が仕込まれているようでクローディスが暴れるたびに
それがきしむ音が聞こえてきた。その音がきっかけにでもなったかのように、
ジュスティーヌの言葉が蘇る。
『次にあなたが目を覚ますとき――』
クローディスは我知らず、ぞっと身を震わせた。
それと同時にカタン、と小さな音を立ててクローディスの視線の先にある扉がゆっくりと開き始めた。
何者かの白い手が扉からすっと現れる。
「目が覚めたようね」
婉然と微笑みながら聖堂の中に入って来たのは修道院長のジュスティーヌであった。
彼女は手燭の灯りをもっており、その火灯りが院長の美しい顔を照らしている。
するとジュスティーヌの後ろからも他の修道女たちが付き従うように手燭をもって聖堂の
中へゆっくりと入って来た。その中にはキャスリンの姿もある。
キャスリンの姿に、何故かクローディスは理由の分からぬままに動揺を深めた。
修道女達はゆっくりとクローディスの前に立つと彼女を取り囲み、それぞれの秀麗な顔に
笑みを浮かべてクローディスの裸身を眺めた。
「ご気分はいかが?」
「もう体のしびれはないとは思うけれど、もしおかしな所があったら言ってね。
少し時間を置くから。貴女に無理をさせるのは私達も望まないもの」
「…………ッ」
同性とはいえ、幾人もの他人に自分の裸を見られ、クローディスは恥ずかしさと
屈辱に消え入りそうな思いを噛み締めていた。
そしてクローディスは彼女達の言葉にはっきりと理解した。
今、自分がこのような状況に置かれているのは間違いなく、目の前の彼女達の仕業なのだと。
「院長さま……、これは一体どういうことなんですか?」
クローディスは声音を抑え、低い声でそう問うた。その問いにジュスティーヌの笑みは深まる。
唇を開くと、楽器のような美しい声でジュスティーヌは答えた。
「クローディス、貴女が驚くのも無理はありません。ですが、怖れることはありませんよ。
これは貴女をファレナへと迎えるための聖なる儀式なのですから」
「儀式? これが何の儀式だというのです! 皆様は神に仕える御方々ではございませんか!
わたしにこのような辱めを与えてどうなさろうと仰るのです。わたしは何かあなた方から
罰を受けるような振る舞いをしましたか? そうでないのならば早くこの縛めを外してください」
この修道院に馴染もうと心がけていたクローディスは、彼女達の思わぬ行動に
裏切られた気持ちでいっぱいであった。
「……こんな、ひどい……」
うつむいたクローディスの頬を透明な涙がつたった。
声を殺して涙を流していたクローディスだったが、ふと暖かいものが目蓋に触れてきて
その感触にはっと顔を上げた。ジュスティーヌが唇で涙をぬぐったのだ。
慈母のような微笑をたたえてジュスティーヌは言う。
「泣かないで、クローディス。美しい貴女が嘆いているのを見ているのは辛いわ。
怒りも悲しみも、全てわたくしたちに預けて。……貴女には愛だけを感じて欲しいの」
するとジュスティーヌは蒼氷の瞳をクローディスの肢体へと向けた。
鎖骨の繊細なラインを、ゆるやかな胸線を、ジュスティーヌの瞳が辿っていく。
そして彼女の視線は、臍をたどりクローディスの秘められたその奥を見出した。
「…………っ」
瞬間ぞわりとクローディスのうなじが総毛だつ。
見つめられただけなのに、なぜかクローディスは柔らかな、けれどまとわりつくような
絹で体を触れられたような錯覚をおこしていた。
「わたくしたちは、貴女の姉妹です。力を抜いてクローディス。この儀式を経て
貴女は真の意味でこのファレナに迎えられます。……わたくしたちの愛を感じて、クローディス」
「い、嫌……ッ!」
胸元に口付けられ、クローディスは嫌悪感に身をよじって逃れようとした。
クローディスの体にはじかれて、ジュスティーヌの被衣(ウィンブル)の裾がぴっと舞った。
だが、ジュスティーヌは気分を害した様子もなく微笑み、クローディスから離れると
祭壇の上に置かれた司教座へと腰掛けた。そして座ったまま、ある修道女の名を口にした。
「キャスリン」
名を呼ばれた少女は、すっと顔を上げると前へと一歩進み出た。
そしてクローディスと出会った時と全く同じ、快活な笑みを浮かべて見せた。
「今夜はあなたがクローディスに愛を授けなさい」
ジュスティーヌの言葉にキャスリンは、自分の手燭をテーブルの上に置き
ゆっくりとクローディスの元へと近づいてくる。
「い、いや……っ、来ないで!」
クローディスは恐怖に顔を青ざめさせ、必死にそう訴えた。
だがキャスリンは構わず近づいていき、クローディスの前へと立ち、その翠色の瞳を
きらきらと輝かせて彼女を見つめた。怯えるクローディスにでさえ、キャスリンの
瞳の輝きはどこか惹きつけられるものがあった。
そっと頬に手を当てられて、クローディスはびくりと身を震わせた。
キャスリンは穏やかに微笑むとそっと自分の顔を近づけていく。
「クローディス、可愛い人……。大丈夫よ、怖がらないで……。
力を抜いてわたしの全てを受け入れて……」
そう囁くように語り掛けるとキャスリンはクローディスの両の頬を掴み
自分の唇を、クローディスのそれに重ねた。
「ん、……んんっ」
キャスリンの舌はクローディスの唇を割り、中へと侵入していった。
歯列をなぞり、その奥へとぬるりと舐めあげながら入っていく。
舌を吸われ、クローディスはくぐもった悲鳴をあげた。
キャスリンの細い腕が背中へとまわされてクローディスは熱い口付けから
逃れることすらできなかった。
「あ……やっ、嫌ッ!」
口内を蹂躙しつくしたキャスリンはクローディスの唇を解放すると、そのまま彼女の
首筋へと唇を落とした。そして赤い跡をつけながら段々下へと移動していく。
きつく抱きしめられ、キャスリンが身につけられいる修道服の布の感触が
クローディスには妙にはっきりと感じられた。
「やっ、くすぐった……」
キャスリンの唇はクローディスの胸元へと到達していた。
するとキャスリンは舌をちろりと出し、猫が毛づくろいをするようにクローディスの乳房を
下から上へ、頂きにむかってねっとりと舐めあげた。
何度も舐めあげてはそのまま乳首を唇ではみ、先端をちろちろと舌で刺激する。
「いや……いやっ、……あああ」
クローディスは拒絶の言葉を繰り返しながら首を振っていたが、繰り返し舐めあげられる度
身の内に不可思議な感覚が生まれ始めているのを感じていた。
キャスリンは舌でクローディスの乳房を刺激しながら、指でクローディスの裸の腿を
股間へと向かい撫で上げていく。クローディスの息が段々と荒くなっていき、同時に
彼女の手首を拘束する革がぎしぎしときしむ音を立てた。
キャスリンはクローディスを見上げたまま笑みを作り彼女に声をかけた。
「ああ、クローディス……貴女ってなんて可愛い人なの。
わたしの手で、唇でもうこんなになってしまって」
「ひっ……!」
キャスリンに突然股の間に手を触れられて、クローディスは身を震わせた。
触れるどころかキャスリンはその中にゆっくりと指を挿し込みはじめており、
クローディスは高い悲鳴を上げた。
「いやぁああっ! キャスリンさんっ……やめて!!」
「まあ、ほんの少し入れただけですのに。……それよりも、ほらクローディスさん」
するとキャスリンはクローディスから手を離し、それまで触れていた指を
クローディスの前へと掲げた。
「な……に……」
涙目で問うクローディスにキャスリンは唇の端を吊り上げると、
大事な秘密を打ち明けるような声音で言った。。
「もう濡れてますのよ、クローディスさんの大事なところ」
その瞬間、かっとクローディスの頬が羞恥のために赤くなった。
目の前に出された指先はぬらぬらと輝いている。思わず顔を背けたクローディスだったが
キャスリンはそれを許さず頬を押さえると、歌うように彼女の名を呟き、そのまま濡れた指を
クローディスの唇へと押し付けた。そして形をなぞるように触れていく。
かすかな塩味にうろたえるクローディスにキャスリンは笑んだまま囁いた。
「なめて、クローディス」
クローディスは、ぎっと涙の浮かんだ瞳でキャスリンを睨みつけると
そのまま押し付けられた指へと噛みついた。
「痛っ……、もうクローディスさんたらひどいわ。噛まなくたっていいじゃないの」
そう言いながらキャスリンは指を大仰に振ってみせた。そしてその指を口に含み
クローディスへと意味ありげな視線を送る。その視線を受け止めたクローディスは、
恐怖と屈辱に身をゆだねながらもキャスリンの行為に反応してしまう自分の体に戸惑いを覚えていた。
そしてまだこの『儀式』とやらは始まったばかりなのだ。
それがキャスリンの表情から、見つめる修道女たちの幾つもの期待に満ちた視線から
クローディスは体で感じていた。
*******
『聖堂』続く
ごめん、最初あげちゃった。
拘束は鎖にしようか縄にしようか迷ったあげくに鎖にしてみた。
張型を突っ込むプレイが書き終わったらまた来ます。
でわでわ。
135 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/04(土) 21:30:28 ID:XaO2OVps
面白かったです。台詞回しが特によかったです。次も期待しています。
修道女達の視線の中に俺達の視線が混じっているw
(・∀・)タシーロ
どうしてもクローディスって男の名前に思えて違和感が……。
ユリウス氏族の娘がユリア、オクタヴィアヌスの妹がオクタヴィア等々。
ラテン語やギリシア語名で、男性の名前の末尾を女性系に変えた女性名が、その形なので。
>>138 ワロタw
気になってるタシーロの一人や、野暮は言いっこなしよ。
「あきら」て名前の女の子、みたいなもんだと思えばいいじゃないか。
では引き続き投下者タン続きドゾー
◆3SxroXII32氏、GJ!
クローディスがどうやって堕ちていくのか楽しみです
hoshu
ほしゅ。◆3SxroXII32です〜。いつも見てくれてるみたいでありがd。
放置プレイですんまそん。来週くらいなったら続き書けると思うんで
また来ます。でわ〜。
ところでこのスレで誰か「蜘蛛の巣」ってミステリ読んだ人いる?
あらすじによると『美貌の修道女』が探偵役の話らしいよ。すげー気になる。
保守。楽しみにしとるよー。
……あらすじでそう書かれてるとなんか怪しいなあ、それ。でも気になる。
hoshu
保守
続きまだかなァ
146 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 00:52:09 ID:NynIz2fn
ほっしゅ
1ポンドの福音の『シスター・アンジェラ」が、
肉の快感に溺れ堕ちるというお話キボン
名前忘れたボクサーの減量中に
「うまいうまい」と言いながら焼肉食うシスターアンジェラか?
149 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 15:42:36 ID:Cp8/a7/E
150 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/15(金) 21:41:52 ID:6kPp1KJZ
保守
投下します。今回序盤なのでエロはありません。
カウス・クザハ学園は百年以上の伝統を持つ、私立学校である。
幼稚部から高等部まで有する広大な敷地の中に、主を失って数年経つ小さな教会がある。
その忘れられた教会に、足を踏み入れようとする一人の男がいた。
身に纏う衣装から神父なのだろう。赤銅色の肌に色褪せた金の髪、細められた碧眼から彼が異国の人間であることがわかる。
男は鍵もかかっていなかった古い木の扉を開き中を見る。
開かれた扉と曇ったステンドグラスから降り注ぐ太陽光のみの光源だが、さして広くない礼拝堂を見渡すには充分だった。
礼拝堂自体は所々古びているものの、床に埃が積もらない程度には清潔に保たれている。
「…何年も使われていなかったにしては綺麗ですね」
「それはそうよ。時々は掃除していたんだもの」
いつの間にか、机の上に少女が一人腰掛け、神父を物珍しく眺めていた。
つぶらな瞳は猫のようにきょろきょろと動き、可愛らしい顔にはからかうような笑みを浮かべている。
「初めまして神父様。私は高等部二年の彩・クラウト。今後ともヨロシクー」
差し伸べられた小さな手を握り返し神父は微笑む。
「新しく神父として派遣されたアシャラ・ルーフです。ルゥとお呼びください」
自己紹介を済ませると、少女に手を貸し机から降ろす。長い髪が神父に触れ、甘い香りが漂った。
床に立つ少女を神父は改めて観察する。香色の髪と菫色の瞳を持った少女。小柄な体躯と愛らしい幼貌では中等部の生徒と間違われそうだ。そして、その身を包むのは――
「クラウトさん、何故生徒の貴女がシスターの衣装を着ているのでしょう?」
「似合いませんか?」
少女はからかうような笑みを浮かべ、短く詰められたカソックの裾を摘み上げる。
誘うようなその仕草に、神父の視線はスカートから覗く白いニーソックスに釘付けになってしまう。
「あ――いえ、とてもよくお似合いですよ」
神父の答えに彩は、胸の前で揺れる金の十字架を弄りながらはにかみつつ微笑んだ。
「ありがとうございます。私、以前からシスターに憧れてて、前任の神父様にお願いしてシスターの真似事をさせてもらってたんです。
神父様が転任してからはここの掃除とかをしてました」
「そうですか……。お礼を言わなければなりませんね」
深々と頭を下げる神父。彩は顔を真っ赤に染め、慌てて否定する。
「す、好きでしていることですからっ! そんなお礼なんて……」
彩は照れ隠しのために両手をぶんぶんと振り回す。
「し、神父様コーヒーでも飲みませんか? 私淹れてきますっ」
逃げるように奥へ向かった彩を見送ると、ルーフは礼拝所のマリア像に簡略した祈りを捧げゆっくりと歩き出した。
教会の奥は小さなダイニングキッチンになっており、今は彩がテーブルにカップを並べていたところだった。
「あ、神父様。インスタントコーヒーですけどどうぞ。クッキーもありますよ?」
机の上を見ると、バスケットの中に歪な形のクッキーが入っていた。
「手作りですか? この形は…ええと……?」
「動物さんのクッキーです。これがクモ、こっちがカピバラ、あれは鰯です」
せかせかと自分のカップに砂糖を入れていた手を止め、クッキーの形を語り始める。神父の予想とは違う答えばかりだったが、楽しそうな少女の笑顔の前ではどうでもよい事だった。
「神父様って甘党なんですねー。コーヒーの砂糖の量、私と同じじゃないですか」
「男性が甘い物が苦手というのは偏見ですよ、シスタークラウト。スイーツが好きな男性も大勢いるのです」
カップが空になっても二人はとりとめのない会話を続けていた。
その殆どは少女が話し、神父が相槌を打つというものだったが、二人の笑顔が絶える事はなかった。
「――ああ、もうこんな時間ですね。シスタークラウト、そろそろお帰りなさい」
「えー、もう少しいいじゃないですかー。私、寮生だからまだ大丈夫ですって」
頬を膨らませての彩の抗議も神父には届かなかった。
夕陽で赤く染まる教会の前で、まだ不満そうな彩と神父が立っている。
「送る事は出来ませんが、気を付けて戻るのですよ」
「そんな子供みたいに言わなくても……」
「私から見ればシスタークラウトはまだ子供ですよ」
苦笑する神父にむっとするものの、彼の足を軽く踏むことで溜飲をさげてやった。
数十歩歩いた所で振り返ると、神父はまだ教会の前で少女を見送っていた。彩は軽く息を吸い込み、少し離れた場所の神父に届くように言った。
「神父様っ! 私のことは彩って呼んでくださいねっ!」
神父の返答を待たずに彩は駆け出した。スカートの裾が乱れるのも今はどうでもよかった。
今回はここで終了です。
保守
保守
保守
158 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 17:02:52 ID:4Z/onmtP
ほしゅ
期待
文章にする気力がないので、スマンがあらすじだけ。
北の戦場で、戦闘が収まるとどこからともなく女が出現するという。
彼女は敵味方の区別なく負傷兵の手当てをし、助からない者には末期の水を
飲ませたり、手を握って最期の言葉を聞いてやったりする。
噂が兵士達の間に広まって、いつしか彼女は聖女と呼ばれた。
ところがある日、聖女は怪我人を装った傭兵に襲われる。
傭兵は熱に浮かされたように「おまえのせいだ」と繰り返す。
高価な薬を惜しげもなく使えるようないいところのお嬢さんが、俺らみたいな
クズを哀れんで施しを与えるのはさぞ気持ちがいいだろう、と。
目をみはる聖女に、男はゆがんだ笑いを浮かべて「いいことを教えてやろう」と
言う。
「おまえがお優しくも奴を手当てしたせいで、俺のダチはそいつに殺された」
「もちろんそいつは俺が殺してやったがな」
「最初から死んでいればダチは死なずに済んだんだ」
「テメエのやったことは死人を増やしただけなんだよ!」
「これは復讐だ。世間知らずに身の程を教えてやる、この偽善者が」
んで聖女はヤられちゃうわけですが……聖女のキャラ付けに迷っているせいで、
その後の聖女の反応がわからず。
もしよければ『やたら細かいリクエスト』として職人さんが書いてくれると嬉しい。
>>160 後日その傭兵が助からない傷を負い、再び聖女が訪れ、
>>助からない者には末期の水を
>>飲ませたり、手を握って最期の言葉を聞いてやったりする
という展開になり、傭兵が懺悔しながら昇天、というベタなハッピーエンドキボン。
いや、ハッピーエンドは要らないだろ……拍子抜けもいいところだ
ありがちな展開自体に拍子抜けだ
あれかな?実は、この聖女は人間を滅ぼすために派遣された天使だが、事故で
記憶を失っていて、天使の力で人々を助けていたが、襲われたショックで記憶を
取り戻し「ドウシテワタシハコノ動物ヲ守ロウトシタ」とか言う展開が御好み?
その辺ももう珍しくも無い
ありきたりな素材は下手にひねらず
オーソドックスに処理した方がいいよ
>>160 実は聖女タンは貧しい家の出or孤児で、援助を受ける代わりに
教会の生臭坊主達か貴族のエロエロ親父達に慰み者にされてるとイイ。
1ー1
神の花嫁になったはずだった。
何故こんなことに?
ルーエラは灰色の天井を見つめていた。
窓の外はしとしとと小雨が降り続いている。
今日は月明かりがないから部屋で蠢くものの姿は照らされない。
もっと土砂振りになればいいのに。
雷が轟けばいいのに。
そうすれば聞こえなくなるでしょう?
灯りのない部屋。
同じつくりの黒衣を着た人影がふたつ。
普段はルーエラの足首までをも隠しているはずの黒衣は臍までまくりあげられている。
日の光に当たらないその白い足は大きく開かれ、
下着は既に剥ぎ取られベッドの脇に落ちている。
ぴちゃぴちゃと粘液が絡みあう音は秘所に埋まる舌がかきたてる音。
舌は中に侵入してきたり、ちろちろとくすぐるように舐めたり、つついたり、
ルーエラの快感を引き出そうと動き回る。
「っんっっ」
溶けてしまいそうな快楽が走った瞬間声を出しそうになる。
いつもの自分からは考えられない程に甘い声。
舌の動きが止まる。
「なんで我慢するの、聞かせてよ。シスタールーエラ。」
ルーエラの愛液で濡れた唇で囁く。
身を起こして顔をよせる。
濡れた唇と乾いた唇が重なる。
「ここは誰もきやしないんだから。」
1ー3
左手でルーエラの頬を撫で、額にキスをする。
右手は胸の頂きをゆるゆる円を描くように撫でる。
「そういう契約だからね。」
黒衣の下ながらもかたくとがって存在を主張する乳首をつまみ、衣の上から吸い付かれる。
「あっ」
おさえきれず小さな声が漏れる。
その反応をおもしろがってか、
そのまま衣越しに乳首をちゅうちゅうと音を出して吸われる。
唇を離されると湿った衣がひんやりと乳首にまとわりつき、いっそう突起が強調される。
ヴェ−ルからはみ出た一筋の黄金色の髪をすくいあげ、くるくると指にからませた。
「そろそろいれるよ。」
もう黒衣越しでもわかっていた。
硬度を増したもの。
天を向き反り立つもの。
ルーエラと同じつくりの黒衣を着た黄金色の髪の少年がにこりと微笑んだ。
1ー4
パンパンと肉と肉がぶつかりあう音。
赤く充血した秘唇とそこに出入りする赤黒い肉茎。
「はあ、っあん、っあん。」
もうルーエラには声を押さえることなどできない。
顔を紅潮させ、肉のこすれあう快感を享受するだけ。
「そう、この声。聞きたかったのは。」
少年はスピードを速めよりルーエラを突き上げる。
もし月明かりがあって、この部屋をのぞき見る者がいたら不審に思うであろう。
黒衣に身を包むシスターが二人、体を交えているのだから。
でも今日は雨。
この黒衣は確認できない。
だから音だけが際立つのだ。
この音は何も偽らない。
神の花嫁たる修道女がひとり、少年の下で喘いでいるのを。
メスであることを捨てた修道女たちの群れにひとり、
牙をつけたままののオスが紛れ込んでいるのも。
なにこの神SS
2ー1
灰色の塔にいつも彼女はいる。
荷の山を抜け、奥の階段を駆け上がる。
螺子が壊れて少しかたい木の扉の向こうが彼女の部屋。
[ミムザ、いる?」
読んでいた本から顔をあげてミムザが微笑んだ。
「おや、シスタールーエラは?」
「さっき出て行きましたよ。ミムザの所では?」
「おや、そうかい。掃除を手伝ってもらおうかと思ったんだけどねえ。」
年老いた修道女が残念そうにほうきを見つめた。
「それくらいなら私が手伝いましょう。あの二人は仲がいいですね。」
「仲がいいっていってもミムザは口がきけないんだろう?わからんねえ。」
「口がきけなくても、立場も違っても、若いのはあの二人だけですしね。気があうとか落ち着くとかあるんじゃないですか?ミムザもルーエラも最近表情が柔らかくなったし。」
中年の修道女はほうきを受け取りながら返事する。
「そうかもな。ミムザは知らんがルーエラは来たばっかの頃は暗い顔ばっかしとって。」
年老いた修道女は曲がった腰をいたわるように撫でた。
2ー2
ミムザは他の修道女達と違い、倉庫となっている塔の上に私室を持っている。
ミムザは口が聞けないが勉強家で、ルーエラが訪ねる時は大概本を読んでいた。
「あなたはいつも本を読んでるのね。」
ルーエラはベッドに腰掛けるミムザの本を覗き込む。
西南地区の商業と貿易の動き。
20年前から推移。
ちらりと見ただけで閉じたくなるような内容だ。
「あなたって凄いのね。私は父の生きてた頃はまだ勉強させられてたけど、伯父にひきとられてからは全然。
あの人女に学はいらん、嫁に行けばいいって。そのくせ私がお嫁に行くための持参金まで散財するようなことして…」
ミムザはルーエラの手をとりゆっくり首を振る。
つまらない過去に振り回されるな。そう目で訴える。
喋ることができないミムザだが、年の近い修道女のいないルーエラにとっては頼れる存在だ。
彼女の目は不思議となにかを語りかけてくるのだ。
修道院に入ってからの不安も、入るまでのいきさつもルーエラはミムザに話してきた。
ルーエラが父の死後修道院に入るよう伯父に差し向けられたルーエラの事情も知っているし、
彼女がまだ信仰心よりもかつての生活への未練の方が勝っているのも知っている。
でもいつもミムザはルーエラの惑いを晴らしてくれる。
今もルーエラが負の感情にのまれそうなのを押さえてくれた。
言葉もなしに。
2ー3
「ごめんね、私またくだらないことを…まだまだ雑念ばかり。あなたは年下なのに私よりお姉さんね。」
ルーエラはミムザの頭を抱き締めた。
胸のふくらみがミムザの顔をふさぎ、
びっくりして顔をはなしたミムザは赤面していた。
ぷるぷると頭を振る。そして自分の胸に手を当てた。
手は黒衣の上をほぼ平面上に動く。
どうやらルーエラの胸に比べて自分の胸がないのを気にしているようだ。
「あら、胸が無いのなんて大丈夫よ。私達は神の花嫁でしょ?」
そうは言ってもミムザも修道女とはいえ若い娘。
ルーエラとの成長の違いが気になるようだった。
ミムザは首をかしげながらルーエラに手を伸ばす。
胸を触られそうになってることに気付き、ルーエラは一瞬たじろいだが、妹のようなシスターの好奇心を踏みにじるのも可哀想な気がして拒絶しないことにした。
手ははじめ遠慮がちに胸に触れ、大きさを確かめるかのようにやんわりと包み込んだ。
ミムザの手のひらから少しあふれるくらいのふたつの膨らみ。
やわやわと下から持ち上げてみる。
女同士なのだから、この行為は性的なものではないとわかっているのだが、
二人とも無言なのでルーエラは少し恥ずかしくなってきた。
2ー4
「もういいでしょ、ミムザ。」
ミムザの手をはらおうとしたその時、ふいに刺激が走る。
ミムザが人さし指の腹で胸の頂きを撫でたのだ。
「ひゃんっ」
思わず声を出してしまった。
なんと言う声だ。
まるで感じてしまったみたいじゃないか。
ここは修道院で私は修道女だというのに。
ルーエラは顔を真っ赤にした。
が、ミムザの方はその反応がおもしろかったらしく小悪魔的な笑みをうかべながら遊びを続行する。
左手で片方の乳房を柔らかく揉み、
右手はそのまま胸の頂きの上を撫で、
突起してきたそれをやわらかくつまみあげては離し、を繰り返す。
「ちょっと、っん、やめ、て…」
拒絶の言葉は口にしたものの、からだは動かない。
からだ中に電流が走ってる。
何だろうこれは、そう、キモチイイ
すっかり尖った頂きを指で押し込み、また突起してきたものを指で左右に弾く。
二つの乳房、その頂きから伝わる甘い痺れるような刺激に
ルーエラの思考は真っ白になる。
2ー5
これは好奇心か?いたずらか?
否、違う。
これは愛撫というものではないのか?
そう思った瞬間ルーエラは力いっぱいミムザを突き放した。
ミムザは急な力に抗いようがなく、ぽすっとベッドに倒れこんだ。
その目はきょとんと開かれていた。
罪悪感など微塵のかけらもない無邪気な子供の目のようだった。
両の乳首はまだ尖ったまま。衣服のわずかなこすれすらもを感じている。
もうミムザの手も指も触れていないというのに。
「悪戯はここまで、ミムザ。今度やったら院長に言うわよ。」
それだけ言い残し、ミムザの顔も見ないで部屋を後にする。
階段を降りきったところで違和感に気付く。
太股の内側が暖かく、湿っていた。
ルーエラが寝所に向かって足を進めていると、棚に荷を上げようと奮闘中の修道女に声をかけられた。
「おやルーエラ、いいところに。これを棚にあげてくれない?」
ひょいひょいと荷をあげ、他にないか聞くと大丈夫と言う。
「これ重かった?」
「いいえ?どうして?」
「だってルーエラ、あなた顔が赤いから。」
灰色の塔の扉の向こう。
ベッドから身を起こした部屋の主の独り言が聞こえる。
「あれくらいで怒るなよな。こっちはいつも愚痴も鬱もただで聞いてやってるんだから。」
それはうら若き修道女にしては低い声。
どちらかといえばまるで変声期を迎えたばかりの少年のような…
これは…テカテカしつつ待ちます
180 :
灰色の塔:2007/01/13(土) 23:37:37 ID:mS/+EOx6
今回からタイトルをつけました。
舞台はそのままで、時系列、登場人物は変わったりします。
3ー1
その身を黒き衣に包む女達の、穢れ無き祈りを守るため、
幾重にも罪を重ねるわたしのからだは穢らわしい白に塗られていく。
この行為は何のために?
誰のために?
誰にもみつからずそこに行きたいのなら裏口にまわればいい。
お飾りの錠は錆びていて容易に開く。
そのまま植木に隠れて左に進め。
楽園がそこにある。
都の西北に位置する古き歴史を持つメイア修道院。
神に祈りに捧げる修道女達の暮らす母屋と別に、
敷地の一角には灰色の塔がある。
水曜日の夜、修道女達の寝静まったあと。
ほの暗い階段を上り、半開きの木の扉をのぞけば奇妙な光景が見られるだろう。
181 :
灰色の塔:2007/01/13(土) 23:39:25 ID:mS/+EOx6
3ー2
「エミリ…おっと、今はシスターと呼ぶべきかね?」
脂たっぷりの腹をたるませた髪の薄い男が重そうな皮の靴を脱ぎ捨てる。
「どちらでも。御自由に。」
女はひどく無感情な声で答えた。
「まさかこんなところで我が青春の愛しき君にあえるとは。」
言いながら部屋のベッドに腰掛ける。
あまり頑丈ではなさそうな古いベッドは男の体重に対し不安気にミシミシと音をたてた。
洗ってはありそうだが、繕ったあとや染みが目立つシーツを見て男は顔をしかめたが、
目の前の女が腰掛けた彼の前に跪くのを見て機嫌をなおす。
凝った刺繍の施された絹の衣をはだけさせている男は40近くだが、
髪のせいかより老けて見える。
質素な黒い衣を纏ったままの女の方は実は30をゆうに超えているが、
まだ色褪せないその美貌が彼女を実年齢より若く見せている。
「あの高嶺の花だった君が、信じられないよ。」
女は無言で顔を下げ、でっぷりした男の腹のさらに下に近付く。
男は女の行為をされるがままに見守る。
182 :
灰色の塔:2007/01/13(土) 23:40:37 ID:mS/+EOx6
3ー3
男の腹の肉で悲鳴をあげそうなボタンを外し、
細い指で男のものを取り出す。
脂くさい男のそれはやはり少し脂臭い気がしたが、
無表情のまま女は形のいい赤い唇を開き、萎びた男茎を一舐めしてから咥える。
たっぷりの唾液を舌で男茎に塗りこみながら、手のひらでは睾丸を転がす。
男茎は彼女の口の中で膨らんでいく。
男はうっとりし目で、奉仕する彼女の頭を、正確には黒いヴェ−ルを撫でる。
「くくく。すごいね、もう元気になってきたよ。最近は妻とは御無沙汰だが、君はその辺の娼婦よりはよっぽど上手い。」
女はすっかり岐立したそれを咥こんだま上下に動く。
見え隠れする赤黒い男茎は彼女の唾液でぬらぬらと光る。
睾丸をいじっていた手はいつの間にか男の菊門に移り、
指を入れるか入れないかの微妙な愛撫を与える。
長い睫に覆われた目はふせがちで、
時折男の反応を確かめるために上目遣いで見上る。
その眼差しの持ち主ははかつて世の男達が欲してならなかった気高き女。
どんなに求められても決して振り向かない難攻不落の深窓の令嬢。
男にとっては他の女とは違う、特別な存在だった。
183 :
灰色の塔:2007/01/13(土) 23:42:50 ID:mS/+EOx6
3ー4
彼女が赤いドレスを着れば他の赤いドレスの女はただの壁の花。
彼女が青いドレスを着れば他の青いドレスの女は衣装を替えた。
彼女が黄のドレスを着れば他の黄のドレスの女は泣き帰った。
周りも自分も彼女に白のドレスを着させる事が目標だった。
だが今は彼女は黒衣に身を包み、肉欲にまみれた男の肉棒をしゃぶっている。
今日もまた顔も名前さえも思い出せぬ、かつて自分を想ったという男の相手をする。
一人が相手のこともあれば、複数を相手にしなければならないこともある。
皆かつての私を知る者。
堕ちた私に嘆く者もいれば、悦ぶ者もいる。
プライドなどとうになくなった。
貰えればいい。
この修道院を維持するための見返りを。
神に仕える身でありながら、かつての華やかな暮らしを忘れられない愚かな修道女達。
満足に織物ひとつできないのに、
畑仕事ひとつ覚えないのに、
どうしてそう金のかかる物を欲しがる。
ヴェ−ルの下に隠れるその髪に塗る香油は必要か?
冬は毛皮が必要か?
葡萄酒は異国から取り寄せるのか?
184 :
灰色の塔:2007/01/13(土) 23:45:26 ID:mS/+EOx6
3ー5
修道院は自給自足の生活など建て前に過ぎない。
かつての庇護者は権力を失い、
いまやこの土地さえも奪われようとしている。
『信心深い』有力な庇護者の支援あってこそ存続の道が開かれるのだ。
そして今日も『信心深い』男がやってくる。
足下には脱ぎ捨てたられ黒衣。
ヴェ−ルは一度目の放出のあと外された。
無言で無表情だった気高きエミリアはもういない。
「ああん、もっと突いて、もっと…」
ここにいるのは男に抱かれて悦ぶ淫乱な罪深き修道女。
ぜい肉をぶるぶる言わせながら、男は後ろから腰を打ちつける。
膣に男茎が出入りするのにあわせて私も腰を動かす。
愛撫で充血した秘唇を開いてクリトリスを指でこねくりまわされ、
それに応じて膣を締め、中にいる男茎にも刺激を返す。
「いいよエミリア、最高だよ。」
乳房を鷲掴みにしながら男は一心不乱に腰を振る。
大分スピードが早くなってきた。
もう到達が近いのだろう。
私も息を荒くし、切ない吐息を漏らす。
185 :
灰色の塔:2007/01/13(土) 23:47:25 ID:mS/+EOx6
3ー6
額に汗をにじませた男が尋ねる。
「中でいいんだろ?」
男は喘声にかき消さそうな私の返事を聞くと同時に、
私の子宮めがけて膣の最奥に白濁を放出した。
既に自分の愛液がつたって濡れていた股は、
力を失った男茎が抜かれると同時に更に白で上塗りされる。
実ることのなかった子種がゆっくりと伝う。
もぞもぞと男が動き出す。
着替えを手伝おうと動いた瞬間、
なかに残っていたものがぽとりとおち、足下の黒衣に白い染みを作った。
男は帰り際に情事の匂いの残る部屋をあとにしながら言った。
「君の望む額は承知した。だが何故君は神に仕えながらもこんなことを?」
「勘当された時から私の居場所はここにしかないの。ここを守る為ならなんでもするわ。」
そう、私はここをつぶすわけにわいかないのだ。
ここは私の家。
186 :
灰色の塔:2007/01/13(土) 23:50:09 ID:mS/+EOx6
3ー7
「また来ても?」
男は階段をおりながら尋ねる。
私はにこりと微笑んで言う、かつて王をも惑わすと言われた笑みで。
「ええ。お友達も一緒でもいいわよ。」
男は複雑な顔をしていた。
私はさよならを言って扉を閉めた。
男がまた来るかはわからない。
だが身を汚す痴れ事は一度にしておいた方が身の為だ。
じゃないと堕ちてしまうから。
私の様に。
かつての私。
容姿への賛辞は欲しいままに。気位は高く、できるのはお愛想の微笑みだけ。
両親は厳格だった。
人目を盗んでの逢瀬を決して許さなかった。
でも今は違う。
この修道院こそが私の家。
神に祈る。懺悔もする。
そして快楽という名の罪を求め、からだをひらく。
黒衣に本心を隠して。
水曜日に信心深い男達は闇にひそんでやってくる。
ここは私の楽園。
なんかエロい
いや、かなりエロいなり。
189 :
灰色の塔:2007/01/21(日) 04:46:56 ID:fj34XVW/
4ー1
神よ、一瞬でも淫らな思いを抱いた私をお許し下さい。
あれはミムザにしてみればほんの悪戯だったのです。
人気のない礼拝堂でルーエラは祈った。
見上げる聖母像はいつもと同じ、優しい眼差しをしていた。
あの悪戯以来、ルーエラはミムザの部屋に遊びにいきにくくなってた。
それどころかここ数日は顔すらみていない。
もともとミムザは他の修道女達と行動を共にすることが少ない。
朝の水仕事も、昼の畑仕事も、夕の針仕事も、
そのどれにもミムザが参加することはほとんどなかった。
祈りには顔を出す事はあったが、
それすらも毎日というわけではなく、
皆で集まる食事の時間もミムザは私室でとることを許されていた。
実際ルーエラがこの修道院に来た最初の数週は、
ミムザの存在にすら気付かなかったくらいだ。
この明らかな特別待遇は「口が聞けぬ」というだけでは理由にならないだろう。
だが院長であるシスターヴァーナも、他の修道女も特に気にする様子はなかった。
他の修道女たちに尋ねた事がある。
何故シスターミムザは皆と違う扱いなのか、と。
それに対する答えは、
「院長の方針だから。」
「ミムザのような扱いの修道女は過去にもいる。」
「きっとあの子も預かりなのだろう。」
というよくわからないもので、詳しく聞こうとするとぼかされるのだった。
190 :
灰色の塔:2007/01/21(日) 04:50:22 ID:fj34XVW/
4ー2
その日ルーエラは針仕事の途中に、院長室に呼ばれた。
ドアをノックすると、
「お入りなさい。シスタールーエラ。」
と声をかけられ、ルーエラは中に入った。
「呼び立ててごめんなさいね。」
胸元に十字架を下げたシスターがルーエラにすまなさそうに目尻を細める。
シスターヴァーナはルーエラの実家のような下級貴族とは格の違うかなり上流の出らしく、
年老いた今も気品を感じさせる人だ。
大変人望もあり、修道女たちををまとめあげるだけでなく、
近くの教会の神父の相談にものるし、
乞食だろうが貴族だろうが、身分の壁なく接することができる人だ。
今でも院長を慕う人々からは時々野菜だの衣服だの様々な形で援助が送られてくる。
今もどこかからの荷が着いたようだ。
「実はこれをね、シスターミムザに届けて欲しいの。」
差し出されたそれは小さな包みだった。大きさからすると本か何かだろう。
「最近ミムザが元気がないようなの。仲良しのあなたは知らないかしら?」
老いた修道女は皺の深い顔にさらに皺を刻みながら微笑む。
「少し、喧嘩してしまったんです。シスターミムザが悪ふざけをするものですから。」
ルーエラは少しばつの悪い顔をしながら返事した。
「度がすぎる悪戯はよくないわ。でもそれを諌めてあげるのもあなたの役割ではないかしら?」
ヴァーナの口調はおだやかで、この人にそう言われるとただ納得させられてしまう。
「そうですね。私の方が4つも年上なんですから。」
191 :
灰色の塔:2007/01/21(日) 04:53:40 ID:fj34XVW/
4ー3
荷を受け取り、扉に手をかけながらルーエラは前からの疑問を投げかける。
「預かり、とはどういうことなのでしょう?」
ヴァーナは部屋に残った荷をより分けながら答えた。
「シスターミムザは今はあなたと同じ修道女見習い。ですが、彼女は将来ここを出て家に戻る可能性もあるということです。」
ヴァーナはルーエラが顔に影を落とすのを見落とさず、続ける。
「過去にもそういった修道女は何人もいます。ですがそういった方やその家族がのちのちもここを支えてくれているのも事実なの。だからルーエラ…」
「そう、ですか…失礼します。」
ヴァーナの言葉を遮り、それだけ答えるとルーエラは部屋をあとにした。
少し立場は違えど、同じ神の花嫁だと思ってた。
家に捨てられ、あるいは居場所を無くした者同士だと。
いる場所も、帰る場所もここにしかない。
質素ながらも永住の家となるここで、これからも姉妹のように…
重い足で灰色の塔に向かい、一歩一歩階段を歩む。
前はここに来るのが安らぎだった。
でも今、この浅はかな自分はミムザを見て笑えるだろうか?
192 :
灰色の塔:2007/01/21(日) 04:56:43 ID:fj34XVW/
4ー4
木の扉を叩いても返事はなく、部屋をのぞくと人の気配はなくミムザは留守のようだった。
ほっとした。
今ミムザに会っても前のような素直な思いで話せない。
何故自分は過去の悪夢も得られなかった未来の夢も、ああも一方的に全て話していたのか。
戻る場所がある、ここ以外での未来が待つ彼女に。
机に荷だけ置いて去ろうとするが、
同じく机に置きっぱなしになっていた手紙らしきものが一枚、ふわりと床に舞う。
元に戻そうと拾い上げると、悪意なく、書面が目に入る。
〜こちらは何とか援助を集めるから。
今は試されている。
でも成功すればきっと道が開ける。
逃げ隠れせずに堂々とあいつに立ち向かえる。
くれぐれも用心して、もう事情はばれはじめてる。
あなたの方に送った〜
ルーエラは手紙に見入ってしまい、全く気付かなかった。
背後から忍び寄る同じ黒衣の人影に。
急に顔を、正確には鼻と口の辺りを急になにかで覆われ、
同時に意識は朦朧とし、目の前は真っ暗になる。
ルーエラはバタンと床に崩れ落ちた。
193 :
灰色の塔:2007/01/21(日) 04:58:12 ID:fj34XVW/
4ー5
ミムザは床に崩れ落ちたルーエラの右手から覗かれてしまったものを取り上げた。
「どこまで読んだか…まあこの手紙じゃたいしてわからないだろう。」
非力な修道女の外見ながらも
その腕でルーエラの身をひょいと抱きかかえるとベッドに移す。
倒れる時にぶつけたか切ったか、ルーエラは唇に血を滲ませていた。
その唇に指を添え、血をぬぐう。
指に着いた赤いものを舐めると錆びた鉄の味がした。
ベッドに腰掛けたミムザは顔を近付けルーエラの唇と己の唇をあわせる。
血の味のするそこを舌で舐めとり、そのまま唇を割り中に侵入する。
動かないルーエラの舌と自分の舌を絡ませ、その温もりを愉しむ。
ゆっくり唇を離すと銀色の糸が伸び、切れた。
ルーエラはまるで無反応だった。
死んでしまったかとも思ったが、上下する胸の膨らみがそれを否定していた。
「効くね、この薬。」
ミムザの目がゆっくりとルーエラを捉えていく。
ルーエラが目が覚ますと灰色の天井が目に飛び込んできた。
寝室の天井は雨漏りのあとのある白の天井のはず…
もやもやした意識をはっきりさせながらここがどこかを思い出す。
そう、灰色の塔のミムザの部屋だ。
ばっと身を起こすも、尻や腕が少し痛い。どこかにぶつけたのか?
口の中も少し血の味がした。
194 :
灰色の塔:2007/01/21(日) 05:01:06 ID:fj34XVW/
4ー6
部屋の主はまだ留守のようだ。
自分はいつの間にうたたねをしてたのか気になりはしたが、
窓の外見ればもう暗くなりはじめてる。
(夕仕事途中だった!早く戻らないと…)
読みかけていた手紙のことなど思い出しもせず、ミムザが戻っていたとも知りもせず、
ルーエラは塔をあとにした。
ルーエラはぶつけたらしい左の肘をのぞこうとして新たな異変に気付いた。
首や顎のあたりになにかがこびり着いたような汚れがついている。
払うと白っぽいカスが落ちるものの、完全にはとれなかった。
少し変なにおいがする気もする。
そのまま夕仕事に向かうのも悪い気がして井戸に向かう。
水に濡らしたそこは妙にぬめりとしていて気持ち悪かった。
井戸で洗って安心し、その汚れが
ヴェ−ルにも小さな白い染みを作っていたことにまでルーエラは気付かなかった。
彼女が気付くのは月が上った頃。おかしな汚れに首をかしげるのだった。
ただ、その日ルーエラとすれ違った修道女の中には鼻をひくつかせてた者が数人。
ただの異臭だと思う者もあれ、
かつて知る生臭さに首をかしげる者もあれ…
195 :
灰色の塔:2007/01/21(日) 05:23:54 ID:fj34XVW/
いつも長文すみません。
続けてもう一個いきます。
196 :
灰色の塔:2007/01/21(日) 05:25:50 ID:fj34XVW/
5ー1
―さて、どうしようか?
机の上には「彼」に新しく届けられた包み。
宛先はメイア修道院のシスターヴァーナ。
差出し人はミセスカーター。
それが決まり。
彼女は今日はこれを持ってきてくれたのだろう。
目の前に横たわるのは穢れを知らないまま神の花嫁となった乙女、シスタールーエラ。
今は彼の仕込んだ眠り薬で穏やかな寝息をたてている。
わずかに上下する胸。
前に戯れに触ったそこは、
かつて彼の手を導いたあの女よりのものは小振りだったものの、
かつて思いがけず目にしたあの女のものよりは大きかった。
貴族の娘なら20歳近くて未婚であればいきおくれたと呼ばれてしょうがない。
ルーエラは恐らく男性経験など皆無だったのだろう。
彼の行為に驚いたのか、それ以来彼に近付かなくなってしまった。
一修道女見習いであるはずの、シスターミムザ。
その正体をルーエラはもちろん、他の修道女達も一切知らない。
協力者であるシスターヴァーナですらも偽りの情報を鵜のみにしてるだけ。
真実は誰も知らない。
シスターミムザが名前と身分を拝借しただけの正真正銘の『男』だということを。
197 :
灰色の塔:2007/01/21(日) 05:26:55 ID:fj34XVW/
5ー2
ここでの生活は始めこそヒヤヒヤしたが、すぐに飽きてしまった。
成長期の最中とはいえ彼はまだ14歳。
彼が否定しようがまだ幼さが残るのだろう。
身をすっかり隠す黒衣とヴェ−ルをかぶれば男だと見破る者はなく、
変声期を迎えてごまかせない声は唖ということに偽った。
なるべく他の修道女たちとも接点をもたないようにしていたから
必然的に塔にこもって本を読むだけのつまらない毎日。
そこに飛び込んできたのがルーエラだった。
年寄りだらけの修道院で年が近いというだけで安心感を持ったのか、
ルーエラはミムザを気に入ったようだった。
塔に来てはしゃべるだけしゃべって帰っていく。
彼も口で返事はできぬものの、なるべく目や表情で返していた。
彼女の話す生い立ちには同情できるところもあったが、
女特有の浅ましさが出ることもあり、内心小馬鹿にしてる面もあった。
だが修道女として黒衣に身を包んでいても、ルーエラが女であることには変わり無い。
しかも彼女はいまだだれも咲かせた事のない蕾のままの花なのだ。
手を握る。頭を撫でる。腕を寄せる。肩をたたく。抱き寄せる。
一つ一つの何気ない動作。
ルーエラは姉妹同士、女友達同士の感覚なのだろう。
だが、自分はこんなにも普通の動作なのに、
その一つ一つにルーエラの『女』を感じてしまっていた。
198 :
灰色の塔:2007/01/21(日) 05:28:48 ID:fj34XVW/
5ー3
先程口付けたルーエラの赤い唇はもう乾きはじめている。
そのからだに向かって手を伸ばす。
これは危険な遊び。
ルーエラがもし目を覚ましたら。彼の正体に気付いてしまったら。
でももうわかっている。
止められない。
彼女といることによって、己の中に徐々に徐々にと蓄積されたこの欲求は
いずれにしても満たさなけらばならないのだ。
蕾はやがて花開くもの。
花びらの奥に秘められた蜜はどんなに甘いのだろうか?
「ん…」
黒衣の裾をずらそうとした瞬間、ルーエラが声を漏らし思わず手を引っ込める。
だが、頭を少し右に動かしただけでその眠りは変わらなかった。
もう一度近付き、ゆっくりと裾をまくりあげる。
膝のあたりまでは容易にめくれた。
現れた足は自分とはあきらかに違うもの。
筋肉質ではなく、毛も薄く細くよく見なければわからない程度、
質素な食生活のせいか若干肉付きは悪いが白く柔らかな曲線を描いている。
もっと見たい気持ちを一度おさえ、
試しに膝の頭をくすぐってみたがルーエラはされるがまま。
「ルーエラ?」
彼の問いかけにも無反応だ。
かなり深い眠りを誘う薬だったようだ。
199 :
灰色の塔:2007/01/21(日) 05:30:12 ID:fj34XVW/
5ー4
さらに裾をたくしあげ、
今まで服越しのシルエットしか知り得なかった彼女の太ももをあらわにする。
その付け根には布切れ一枚を盾にルーエラの『女』が守られていた。
布越しでも彼女のそこは温かかった。
はじめは上からただ撫でるだけ。
布越しでもわずかに触れる毛の流れ、それは自分の下腹部にも存在するもの。
だがそこは自分とつくりの違う場所。
ふっくらとした丘から指を滑らせれば谷。
指で二つの肉の膨らみを愉しみ、さらに指を沈ませ深みをさぐる。
見つけたくぼみは布越しに侵入を拒もうとするものの、
中指の腹を浮き沈みさせていじる。
温かさと湿りを感じ指のにおいをかぐと、わずかなアンモニア臭に混じる女の蜜のにおい。
はじめの慎重さはどこへやら、雑に下着を取り払い、足を広げさせる。
ルーエラの肌の白さとは対照的な茶色の茂み。
その茂みをかきわけ肉のひだを割り、さらに淡いピンクの陰唇を広げる。
割れ目に沿って指を上下させ、陰核をこね、膣口を愛撫をするうちに、
ピンクだったそこは少しずつ充血し赤味を増し、
指にからむ蜜も少しずつ増えていく。
指が動くたびにくちゅくちゅと音を立てる。
気付けば声を殺していたはずの彼の息は荒く、
彼の股間のものも反応しはじめていた。
200 :
灰色の塔:2007/01/21(日) 05:32:23 ID:fj34XVW/
5ー5
胸までまくられた黒衣はすでに着ていないも同然で、
黒のヴェ−ルと首からぶら下がる銀の十字架だけがルーエラの身分を語っていた。
あらわとなったふたつの胸の膨らみは彼の手で寄せられ、
その谷間に彼は己のものをうずめていた。
赤黒い肉茎が上下するたびにルーエラの白い乳房はこすられて赤くなり、
肉茎にこすりつけて刺激を与え、与えられていた乳首はぴんと立っている。
行き来する肉茎の先端には白い液がにじみ、わずかながら摩擦をやわらげる。
先程まで愛撫を受けていた女陰はまだ蜜を光らせており、ぱっくりとひらいたままのそこは
今は乳房に預けられている肉棒を待っているようだった。
やわらかな乳房に挟まれ、ピンクの乳首にこすられ、
限界まではりつめていた肉茎がビクンと脈打つ。
白い液がルーエラの乳房から首、顔へと飛び散っていく。
銀の十字架もあおりをくらって鈍い輝きが失われていた。
彼はことのあともしばらくルーエラにまたがったままだったが、
そそくさと立ち上がり後始末をはじめる。
顔やからだに付いた白濁を拭き、着衣も戻す。
それでもまだルーエラは眠っていた。寝返りひとつうたずに。
201 :
灰色の塔:2007/01/21(日) 05:36:22 ID:fj34XVW/
5ー6
ルーエラの眠りを一時間ほど見守って、ミムザは再び部屋をあけた。
塔の別室で本を読んでいると、ぱたぱたと階段をおりる足音が聞こえる。
どうやら目覚めたルーエラが帰ったようだ。
「楽しませてもらったししばらくはいい子でいるか。」
窓からルーエラを見送りながらミムザがつぶやく。
「これもあるしね。」
手にする青い小瓶の中で液体が波打っていた。
蕾は蕾のまま。
今はまだ咲かせない。
いまだ咲かない花、だが蕾ながらも魅了する─
文章力が高いのかどうかアホな俺には分からんけど、
読まずにいられない素晴らしいものです。
さらっと読み進めながら自然におっきしてしまう。
まったく長さが(長くないかもですが)気になりません。
続きも非常に楽しみです。GJ!
まったく・・・そんなにおれにGJと言わせたいのか?
ちょwwwwこんな綺麗な文章なのになんてエロイんだ
安西先生…続きが、続きが見たいです…
205 :
灰色の塔 6:2007/01/25(木) 00:48:00 ID:IYVf3Gn0
誰にでも初めてがあるだろう?
僕の場合は決して格好つけれるものなんかじゃない、
大失敗の部類に入るかもしれない。
これはきっとどこかで聞いた事のあるような話。
大人ぶりたいだけの子供だった僕。
そんな僕を彼女は抱き締めてくれたんだ。
年に数回しか訪れることのないテイウェンの都。
訪れる度に変化する都会の街並に心踊らせる僕をよそに、
父は用事と言って留守にしては酒や香水の匂いを漂わせ、
母は買い物だの舞台だの田舎暮らしではできない遊びにかまける。
僕はと言えば、
友人のいないこの地では年の離れた従兄弟位しか話す相手もなく、
父のあとを付けようと思ったのはほんの暇つぶしだったのだ。
父があちこちに愛人を囲っていることなど家では暗黙の了解だった。
冷えきった夫婦などどこにでもいる。うちだけの話ではない。
体裁を守るためだけの結婚が普通の貴族ならばなおさらだ。
だから僕は父の浮気を責める気持ちなど微塵もなく、
ちょっと興味があっただけなのだ。
限られた逢瀬を重ねる父の特別な浮気相手に。
206 :
灰色の塔 6:2007/01/25(木) 00:48:52 ID:IYVf3Gn0
父の書斎で偶然みつけた書きかけの手紙。
それは普段寡黙な父からは想像できない程の情熱を書き綴った恋文だった。
〜都に行く時しか君に会えないのが辛い。
領地など放り出して今すぐ会いに行きたい。
君をあんな場所から連れ出してしまいたい。
愛しいエミリア〜
全てに目を通す事など恥ずかしく到底できなかった。
あの父が、女の問題は金任せと豪語してた父が、
まるで恋をしたばかりの少年のような真直ぐな思いをぶつけようとしている。
級友の書いた間抜けな恋文を皆でまわし読みした時をふと思い出した。
これを書いたのが級友だというのなら笑い飛ばすことができるのに。
床に散らばる紙屑も全てエミリアへの思いを書き綴ったもの。
金や宝石だけ与えてればつなぐことのできる女ではないのだろう。
エミリアという女性は父の愛人の中でも別格というのがわかった。
母方の祖父の家に招かれての晩餐会。
時計ばかりを気にして落ち着かない父は、
母が世間話に花を咲かせているのを尻目に「先に帰る」と供も付けず馬車を呼ぶ。
あやしい。
そう睨んだ僕は密かに御者に金を握らせ耳打ちする。
「父を降ろした場所を後で教えろ」、と。
従兄弟に適当に口裏をあわせてもらい、戻ってきた馬車に乗り込む。
父を降ろしたと告げられた場所は貴族の住まう邸宅前でも娼婦の集う歓楽街でもなく、
予想に反した場所だった。
207 :
灰色の塔 6:2007/01/25(木) 00:49:58 ID:IYVf3Gn0
メイア修道院─
時間も時間だ。
普段来訪者を迎えるための正門は既にかたく閉ざされている。
月明かりにそびえたつ白い建物は聖なるものというよりは無気味な存在だった。
こんな時間に教会でもなくなぜ修道院に?
父は礼拝すら面倒臭がる人なのに。
「戻るか?」と尋ねる御者に金を払い、余計な詮索をされぬうちに追い返す。
きっちりと閉められた正門は誰も歓迎する気配はなく、
他の入り口を探っていると裏手に錆びた錠のついた扉を見つけた。
開かぬ覚悟で扉を押すと、容易に開く。
真っ暗な敷地に入ってはじめて自分が招かれざる侵入者である事に気付く。
もし見つかりでもしたら…、不安が無いわけではなかった。
だがいざとなったら道に迷ったと通せばいいだろう。
少なくとも僕は盗人や殺人鬼に見られるようななりはしていない。
皆が寝静まったのであろう真っ暗な敷地内で
不自然に明かりの漏れる場所を見つけ、木々に隠れながら進む。
おそるおそる扉を開け、中に入ると麻袋に入った芋の山に小麦のこぼれたあと、並んだ樽。
食料などの貯蔵庫になっているのか?
いい加減見当違いな事をしてる気がしてきた。
もう戻ろうか、大通りに出れば馬車も捕まるだろうし…
あきらめかけた時、上からかすかに漏れてくる声と見過ごしていた階段の存在に気付く。
208 :
灰色の塔 6:2007/01/25(木) 00:51:47 ID:IYVf3Gn0
いら立ちを押さえながらどれ程待ったか。
上から近付いてくる足音を聞き、樽の陰に隠れて待つと、
痩せ形の長身で顎髭をたくわえた紺のコートの男が現われる。
父だ。
僕は音をたてぬように潜んだまま、父が出ていくのを見届ける。
そして扉が閉まるのを待って僕は階段を一気に駆け上がる。
そうして明かりの漏れる部屋をこっそり覗く。
だが、みすぼらしい寝台と、机、ランプが置かれるだけの質素な部屋は無人だった。
ただ、人のいた気配は残っていた。
皺の残る乱れたシーツ。床に落ちたままの枕。
そして何よりの証拠は自分も知る「あの行為」の特有の臭い。
間違い無く父はここで愛人との密会を愉しんでいたのだろう。
しかもこのような神聖な場所で…
「忘れ物かしら?」
急に背後からかけられた声に驚き振り向くと、
そこには同じく想定外の人物に驚愕を隠せぬ顔をした黒衣の女性が立っていた。
209 :
灰色の塔 6:2007/01/25(木) 00:52:30 ID:IYVf3Gn0
「そう、ファンダルさんの息子さんなのね。」
窓を閉じながらその修道女は言った。
「勝手に忍び込んだことは謝ります。父さんがどんな人に会ってるのか知りたくて。」
情事の跡の残るベッドに腰掛けながら修道女はくすりと笑う。
「それで、浮気をとめるつもりだったの?」
浮気、と聞いて確信する。
この女が、神に仕えるはずの修道女が、父の恋焦がれるひとなのだと。
「あなたが、エミリア?」
名前を言い当てられると彼女は眉をぴくりと動かし、うなずいた。
自分よりはかなり年上に見えるが、父よりは相当年下のように見える。
一体このひとはいくつなんだろう?
「別に父さんやあなたのことを批難しにきたんじゃない。父さんにとってあなたは愛人の中でも特別なみたいだったから、見てみたかったんだ。読んだこっちが照れるようなラブレター書いてたし。」
愛人と言われても特別と言われても彼女は眉ひとつ動かさなかった。
「好きだ、愛してる、一緒に暮らそう、ファンダルさん以外にもそう言ってくれる人は多いわ。」
彼女は枕を拾いあげる。
「私にしてみればあなたのお父様もいいお客さんの一人。ひいきなんてしないわ。」
「でも、あなたシスターでしょう。こんな娼婦の…」
真似みたいなことしていいのか?と言い終わる前に唇を塞がれる。
まっすぐ立った彼女の目線の高さは僕よりわずかに上。
「あなた名前は?」
吸い込まれそうな瞳で見つめられながら問われる。
「ウィル…」
「そう、ウィル。教えてあげましょうか?私がここですることを。」
210 :
灰色の塔 6:2007/01/25(木) 00:53:41 ID:IYVf3Gn0
知りたくない、と言ったら嘘になった。
級友達と競いあうのはキスをした、尻を撫でた、胸に触った、
そんな稚拙なレベル。
まだ見ぬ女の体を本や話や絵だけで想像し、夜な夜な手淫にふける。
年の近い女など所詮自分と同じ未成熟なからだ。
からかったところで物足りない。
憧れるのは大人の女性。自分など相手にするはずもない年上の人。
大きな胸、柔らかな曲線を描く尻、そしてまだ知らぬ秘密の場所。
自慰で得るようなかりそめではない、本当の絶頂を与えてくれる場所。
何も声を出せなかった。肯定の言葉も、否定の言葉も。
目が離せなかった。
彼女が黒いヴェ−ルを外し、亜麻色の髪が揺れるのを。
足下から巻くりあげた黒衣が腰を抜け、臍を越え、
袖から一本一本腕を抜き去り、
修道女がただの女に脱皮していくのを。
生まれたままになった彼女のからだは絵とはまるで違う
血の通った生身の女で、
それはとても美しいものだった。
211 :
灰色の塔 6:2007/01/25(木) 00:55:18 ID:IYVf3Gn0
心臓は早鳴る一方であちこちに血が上っていくのも感じていた。
彼女の白い肌のあちこちに残る赤い痕は父がつけたものか?
彼女は強制するでもなく、僕をベッドに座らせ、
向かい合って自分も腰掛けた。
「触ってみていいのよ。」
おそるおそる右手を伸ばし、柔らかな胸の膨らみに手をそえる。
彼女は微笑んだまま、僕の行動を見守る。
左手も伸ばし、手におさまりきらない膨らみに指を這わせる。
「撫でるだけ?もっと色々してみて。私が気持ち良くなるように…」
おそるおそる手を動かす度に形が変わる乳房。
張りのある白い乳房の先にはピンク色の乳輪と
そこに突起する小さな乳首。
僕は乳首を指で挟んでみたり、押し込んでみたり、擦ったり、
いろいろ弄ったが、
やがて本能を我慢できない赤児のようにその胸にむしゃぶりついた。
ちゅうちゅうと音をたてながら彼女の乳首に吸い付く。
「おっぱいが好きなのね。ふふ。」
子供だと指摘されたようで恥ずかしかったが、今は己の欲望に従った。
右の乳首を堪能したら左の乳首へと移動する。
「っあん」
口のなかで突起した乳首に軽く歯をたてると今まで無言だった彼女が声を漏らす。
舌で乳首をころころ転がし、もう一方の乳首も指でしごきあげる。
212 :
灰色の塔 6:2007/01/25(木) 00:57:08 ID:IYVf3Gn0
彼女は僕の髪を撫でながら乳首ばかりを弄ってた僕の右手をとり、
下腹部へ、さらにその先へと導く。
彼女の髪の色と同じ亜麻色の陰毛、そこに隠された未知の場所、
女の恥部。
「ここも触ってみて。」
もっとごわごわした感触だと思っていたのに、
彼女の毛の流れは柔らかで、
僕の指を自然と内側へと導くようだった。
外側の渇いた毛が内へ進むと湿った毛へと変わり、
あたたかな恥肉が僕の指に触れる。
ぬるりとするのは彼女の愛液か、父の放った精か。
そんなことはどうでもいい。
肉のヒダをかきわけ、男のものをおさめるべき口を捜す。
指が比較的無抵抗に侵入していく箇所を見つけ、
答えを待つ生徒のように彼女を見る。
「そう、そこよ。男が女を悦ばせる場所は。」
もう十分にとろとろになっている蜜壷は、
僕の指をも溶かしてしまうんじゃないかと思った。
指を更にすすめ、
まとわりついてくる肉壁をはらうように必死で動かすと
彼女の顔は紅潮し、せつなそうな吐息をもらす。
ただ指の抜き差しを繰り返すだけなのに
彼女のそこはいっそう蜜を増やし、
抜いた指は透明な粘液に覆われゆっくりと糸をひいた。
色は似てても唾液とは違う、不思議な香りがした。
213 :
灰色の塔 6:2007/01/25(木) 00:58:46 ID:IYVf3Gn0
彼女はズボンの中で大きくなってしまった僕のペニスを解放しようと
ボタンに手をかける。
女の人に服を脱がせてもらうなんて子供の時以来で、
彼女の指がボタンを一つはずす度に僕の理性の箍も外れるようだった。
すっかり裸にされた僕の体は、
女性である彼女と比べても貧相なところがあり、
無駄な脂肪の無いかわりにさほど筋肉もない自分を恨めしく思った。
「ここだけは立派に大人ね。」
彼女の白くひんやりとした指が赤く熱を持つ僕のペニスを包み込み、
先走りの液が滲む鬼頭を優しく撫でる。
興奮しきったペニスを自分以外の手で触られるなど初めてのことで、
僕はもうそれだけでも爆発してしまいそうだった。
彼女も僕の状況を悟ったらしく、ベッドに横たわると足を大きく開く。
「もう、入れたくてたまらないんでしょ?」
指で広げ、愛液がしたたるヴァギナを僕に示す。
僕は彼女におおいいかぶさり、彼女の指に導かれて挿入を開始した。
手でするのとはまるで違う。信じられない感覚。
彼女のなかは温かで、
愛液をたっぷり分泌して潤った肉壁が僕にからみつく。
体中の全神経がペニスに集中してその快感を享受していた。
もっと知りたい、もっと感じたい。
からみつくような肉の抵抗を味わいながら
ゆっくりとペニスを進めていく。
結合部からはみ出た愛液が互いのからだに伝っていく。
「ウィル、いい子ね。そのまま奥まで…」
もう進めないというところまで収めたところで、
僕はぶっ飛びそうなくらい気持ち良くて、
それ以上何もできなくなっていた。
214 :
灰色の塔 6:2007/01/25(木) 01:00:50 ID:IYVf3Gn0
「動いていいのよ?」
彼女に声をかけられてようやく
過去の想像でのシュミレーションを思い出す。
だが僕は加減ができず、
自分のものを少し抜いて挿すつもりが一気に全て抜けてしまった。
己のもので広がったヴァギナに照準をあわせるも、
焦ってしまい上手くいかない。
彼女はゆっくり起き上がり、僕を横たわらせると自分が上になる。
天井を向いたままの僕のペニスに彼女がゆっくりと腰を落とす。
彼女の重みもあってか、
僕のペニスはさっきよりさらに深く彼女に包まれているようだった。
「私に任せて…あなたは感じていればいいの。」
彼女に囁かれる。
彼女はそのまま腰を上下させ、僕のペニスが彼女の中に出入りする。
彼女が腰を落とす度に僕のものが彼女の一番奥をつつく。
「気持ちいいのね、さっきより大きくなったわ。」
この肉と肉がこすれあう快感はなんと呼べばいいのか?
僕はからっぽの手を彼女の揺れる乳房に運ぶ。
腰の動きに合わせて跳ねる乳房を下から支えるように持ち上げ、
ふたつの乳首を摘むとそれに呼応して彼女の膣がきゅっと締まる。
それと同時に僕のペニスに甘い電流が走る。
限界のラインで爆発を押さえてていた僕は突然の強い快感の波に、
逃げるすべもなくいきなり絶頂を迎えてしまったのだ。
僕は低く呻き、ペニスがびくびくと脈打つのを感じた。
高尚な文体でやってる事はオゲレツなSSキター!!!!!
216 :
灰色の塔 6:2007/01/25(木) 01:03:04 ID:IYVf3Gn0
射精の瞬間は確かに気持ち良かった。
だけどあっけにとられた彼女の表情を見た途端、
僕はどうしようもなく情けない気持ちになってしまった。
彼女が腰をあげると、
先に果ててしまった僕のものはだらしなく頭をさげ、
白くまみえる己の精液がことの終りを改めて知らしめる。
時間にしてみればわずかな絶頂のあとに僕を襲うのは虚無感だった。
そして、女の体を知ったことへの喜びも、
自分だけ先走ってしまったことへの哀しみも、
全てが一気にやってきて僕は泣きだしてしまったのだ。
きっと彼女は呆れているのだろう、僕はそう思った。
だが、彼女は僕を抱き寄せ、頭を撫でる。
子供をあやす聖母のように。
「泣かないで、いい子。ウィル。」
そう言いながら。
僕は彼女に抱き締められたまま、眠りに落ちた。
「ウィル、起きて、起きなさい。」
眠い目をこすりながら身を起こすと、すっかり元の装いに着替えた彼女が立っていた。
「もう少しすると起きてくる人がいるから。年寄りの修道女は朝が早いのよ。そろそろ発たないと。」
言いながら彼女は僕に服を着せていく。
脱がす時と同じ、慣れた手付きだった。
「父さんに、ばれるかな?」
僕は尋ねる。
それ以前に従兄弟が上手くごまかしてくれたかも心配なのだが。
「そうね、道に迷って親切なシスターに泊めてもらったとでもいいなさい。」
彼女はくすりと笑う。
「奥様の手前では怒れないはずだから。」
217 :
灰色の塔 6:2007/01/25(木) 01:04:04 ID:IYVf3Gn0
「エミリア、ありがとう。」
僕は彼女に礼を言った。
僕達のした事が良い事かわからないけど、
そう言うのがふさわしい気がしたから。
「どう致しまして、かしら?本当は私を抱くのは凄く高いのよ。」
彼女はいたずらっぽい目をして言う。
「今日の事は二人の秘密。いっぱい恋をして、女の子も抱いて、そうすればすぐ忘れる。こんなおばさん修道女のことは。」
黒衣をひるがえし、彼女は僕に背を向ける。
「ちゃんと女のからだをいかせるようになって、まだもの足りないなら私が相手してあげる。ただし次は有料よ。」
言いながら振り返る彼女の微笑みは、
いつか絵で見た聖女のようだと思った。
「さよなら、ウィル。」
「さよなら、エミリア。」
それが僕とエミリアの最初で最後の思い出。
月日が過ぎ、僕を取り巻く環境も目まぐるしく変わっていった。
僕はエミリアの言うように恋もしたし、そこそこ女も抱いた。
燃えるような恋もあったし、悦ぶことも悦ばせることも覚えた。
だけどどこか渇いていた。欲していた。
あの日の虚無感を埋める何かを。
218 :
灰色の塔 6:2007/01/25(木) 01:05:00 ID:IYVf3Gn0
運良く学長の推薦を受けることのできた僕は
上の学校に進学することになり、
数年振りにテイウェンの都を訪れた。
都での生活にも慣れた頃、ふと思い出したのはエミリアのこと。
太陽の光の下に見るメイア修道院は何のやましさも無く、
僕や父達の行為など無縁のようだった。
昔のように飛び込む勇気はまるでなくなってしまい、
門の周りを掃除していた老齢の修道女にエミリアの事を尋ねた。
だが老女の答えはエミリアなんてシスターはいないという
期待外れのものだった。
試しにまわった裏門も新しい扉に変わっており、
立派な錠もついていた。
あれは少年の日の夢か?
立ち去る僕が最後に見たのはひっそりと建つ灰色の塔だった。
大人ぶりたいだけの子供だった僕。
そんな僕を彼女は抱き締めてくれたんだ。
今彼女に会ったなら、
大人になったねと言って微笑んでくれるのだろうか?
この渇きは今日も癒えない。
以上です。
今後もルーエラはミムザが虐めて、
エミリアの方はは不特定多数がからむ感じで
書ければと思っております。
お目汚し失礼しました。
マンセーマンセー
エミリアエロカッコイイよエミリア
ぐっぐじょぶなんて言わないんだからne!(;゚∀゚)=3
いいわぁ。続きも期待してまてますよぅ
223 :
灰色の塔 7:2007/01/28(日) 22:32:07 ID:y2Kphkxn
一日の終わり。
今日の無事を感謝し、明日の平穏を祈り床につく。
黒一色の拘束具のような衣装から堂々と解き放たれる唯一の時間。
だが今夜も同じ、寝つけぬ夜。
いくら目をかたく閉ざそうと、何匹羊を数えようと、
からだは眠らない。
粗末な寝台の並ぶ一室。
あるものはいびきをかき、あるものは布団を蹴飛ばす。
神よ、私を罰して下さい。
そっと両胸の上に指を絡めて組まれた手が
薄い布団の下不自然に動き出す。
神よ、私を咎めて下さい。
片方の手は心の臓より少し左、
なだらかな膨らみのさらに頂上を目指す。
もう片方の手は足の付け根のさらに内、
不浄を隠すための茂みに覆われたもう一つの口へと近付く。
神よ、私をお許し下さい。
片方の手の親指と人さし指は胸の頂きを優しく撫で回し、
頭を出したそこを押し潰し、埋もれたそこを絞り出す様に挟みあげる。
もう片方は手の中指は茂みをかきわけた奥、肉のヒダを開き、
愛液を上へ下へと塗りたくり、包皮を脱いだ豆を刺激する。
神よ、私は知ってしまったのです。
感じる事を。
224 :
灰色の塔 7:2007/01/28(日) 22:32:57 ID:y2Kphkxn
十分に潤ったそこは簡単にニ本の指を咥えこむ。
ぐちょぐちょになった肉壁の上前方、
一番気持ちいいそこを指がつきとめ、奥歯をぎゅっと噛みしめる。
声をたてることなどできない。
誰か目を覚ましてしまうかもしれないから。
触り過ぎた乳首は皮膚が擦れ、痛みの混じる快感をからだに伝える。
下着だけでなく寝巻きにも、シーツにさえも染みを作りそうなくらい
汁をしたたらせるいやらしい口。
指が行き来する度に、強い快感がからだ中を駆け巡る。
快感の波に酔いしれたあと。
火照ったからだが熱を冷ますにつれて、
私の意識もようやく深い眠りへと落ちていく。
眠れぬ夜は誰のせい?
言われなくとも知っている。誰でもない、自分のせい。
されど私は神の花嫁。
ならばこの手は、この指は神のもの。
そう頭で繰り返す。免罪符のように。
今夜も得る事のない愛を求め、布団の下、罪深き行為にふける。
そのシーツは純白のまま。永久に―
wktk
226 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/01(木) 12:42:08 ID:xgsIKh2r
保守
227 :
灰色の塔 8:2007/02/03(土) 02:07:01 ID:sZw36zX4
「ルーエラ、シスターヴァーナが呼んでるよ。」
腰の曲がった修道女に声をかけられ、
ルーエラは一向にはかどらない刺繍から顔をあげる。
ルーエラの刺繍は決して下手というわけではないのだが、
売り物として見映えが良いといえる程のものではない。
先輩の修道女の刺繍は、からだを纏う黒一色の服とはうらはらに、
見てて惚れ惚れするような華やかさがある。
さすが熟練の腕前と言ったところか。
「今行きます。」
仕事を中断できることを内心喜びながらルーエラはテを休め席を立つ。
シスターヴァーナはルーエラに灰色の塔へのお使いを頼む事が多い。
塔に一人住むミムザが寂しい思いをせぬよう彼女なりに気を配っているのだろう。
ルーエラの去ったあとの部屋。
慣れた手付きで美しい刺繍をしていく熟年の修道女達が雑談を始める。
「ルーエラとミムザは今でも仲良しなのかしら?」
小太りの40前後の修道女が器用に刺繍しながら尋ねる。
「どうだか。私の若い頃いた預かりの娘はつんけんしててとても近付く気にならなかったがね。」
目のぎょろり大きい修道女が答える。
「私だってそうですよ。嫁入り前の箔付けのためにここに預けられたような娘と仲良くしているなんて、ルーエラが気の毒で…かといってはっきり教えてあげるのも酷でしょう?」
228 :
灰色の塔 8:2007/02/03(土) 02:08:30 ID:sZw36zX4
「そうそうミムザを預かりと決めちゃならんよ。」
小太りの修道女の言葉をさえぎるように口をはさんだのは腰の曲がった老修道女、シスタースウ。
「預かりだとばかり皆に思われていて、預かりじゃなくなった修道女もいるさ。」
スウの言葉に二人の修道女は目を丸くする。
「そんなこともあるんですか?」
「預けられてる間に家が没落するもの、縁談が破談になるもの、親の意志をはねつけて修道女の道を選ぶもの、いろいろさ。」
小太りの修道女はわかったようにうなずき、
目の大きい修道女はまだ納得できないような顔をしている。
「じゃあ、いつになったら預かりかどうかわかるのですか、シスターミムザは?」
その問いにスウは、自信たっぷりそうに答える。
「王が決まればわかる。あの子は王に近しい者の血縁なんだと私は睨んでるんだよ。」
ルーエラは吹き付ける風に身を縮ませながら、塔に走る。
ミムザの悪戯に怒ってしまったことと、
ミムザの自分とは違う未来を知ってしまったことと、
二つが重なってルーエラはミムザと気まずくなってしまった。
だがその一方でヴァーナは塔へのお使いを度々言い付けてくる。
結局ミムザと顔をあわせないわけがなく、
その関係は元通りとはいかないが、割合良くなった。
229 :
灰色の塔 8:2007/02/03(土) 02:09:40 ID:sZw36zX4
塔への用事はミムザへの配達以外のこともある。
塔が貯蔵庫も兼ねているからだ。
やたら重い芋の袋やら布の束やら手伝い無しに運ぶのは、
下流とはいえ貴族育ちのルーエラには結構大変な作業だ。
ある日小麦粉の袋と悪戦苦闘して真っ白になったルーエラのところに
通りすがったミムザが見かねて作業を手伝ってくれたことがあった。
ミムザはみかけによらず力持ちで、
ルーエラひとりなら30分はゆうに越す作業を
嫌な顔一つせずひょいひょい片付け、
ほんの数分で終わらせてしまった。
今では力仕事になりそうな時はまず二階にあがり、
ミムザを呼んでから二人で作業を始めることが多い。
だが、前のように自ら進んでミムザの部屋に入り浸ることはない。
軽く話はするが、愚痴や本音は吐かなくなった。
自分は浅ましい人間なのだとルーエラは思う。
ミムザに待つ未来を妬んでいることを隠すのが精一杯なのだ。
もっと神に祈れば、その尊い教えに近付ければ、
またミムザと笑いあえるのだろうか?
それはミムザがシスターミムザであるうちに叶うことなのだろうか?
230 :
灰色の塔 8:2007/02/03(土) 02:10:42 ID:sZw36zX4
今日の用事は一階の貯蔵庫ではなく、二階のミムザへの荷の配達。
中身はわからないが、差出人の名はいつも同じ。
ミセス・カーターというのはミムザの血縁者なのだろうか?
一応貴族のはしくれであったルーエラだが、
カーターという名は少なくとも力のある貴族には聞いた事のない名だ。
そう思いながら扉をノックする。
「ミムザ、荷物よ。」
ミムザは机でかなり真剣に書き物をしてる途中らしく、
ルーエラに軽く視線を送るだけでそのまま作業を続ける。
床には書き損じたのかぐちゃぐちゃに丸められた紙屑がいくつか転がっている。
「お邪魔みたいね。これ、ここに置いておくから。」
ルーエラが棚に荷を置くとミムザは軽く感謝の笑みを浮かべる。
背筋を伝うような冷気に鳥肌をたて、
ルーエラはこの部屋は母屋に比べて冷え込んでいることに気付く。
こんな小さな塔の小さな部屋に暖炉など存在しないのだ。
ミムザがこほこほと咳き込んだ。
「この部屋寒いからもっと温かい格好をしないと。風邪ひくわよ。」
ルーエラの忠告を聞いてもミムザはこくこく頷くだけで、
あまり気にする様子は見られない。
今は書き物に必死なようだ。
最近は一方的にミムザとの距離をはかっていたルーエラだが、
ミムザの反応が薄すぎるというのも寂しいものね、
そう思いながら部屋をあとにした。
閉めた扉の向こうではこほこほと咳が続いていた。
231 :
灰色の塔 8:2007/02/03(土) 02:11:23 ID:sZw36zX4
元の部屋に戻ると雑談が盛り上がっていたらしく、
戻ってきたルーエラを見て
暖炉の前にたむろしてた修道女たちがあわてて自分の椅子へ戻る。
「おかえり、ごくろうだったね。外は寒かっただろ。」
スウがルーエラにねぎらいの声をかけた。
「いえ、私はシスターエイミみたいに刺繍が得意じゃないから。さぼれて丁度よかったです。」
エイミと呼ばれた小太りの修道女が照れくさそうにはにかむ。
「今度教えてあげるわね。ルーエラ。あら、シスタースウ、戻るんですか?」
腰の曲がったスウがのろのろと扉へ向かう。
「ついおしゃべりし過ぎで用事を忘れとったわ。同室のシスターに一人咳がひどいやつがいての、とっておきの生姜湯を作ってやろうと思っとたんじゃ。」
咳、生姜湯、と聞いてルーエラはスウを呼び止めようとする。
だが、別の声が先にあがった。
「ねえ、シスタースウ。さっきの話の修道女って今でもここにいるのかしら?それとももうお亡くなりの方?」
スウはノブに手をかけたまま振り返ると、
「この私がそうさ。」
そう言い残し、部屋をあとにした。
ルーエラは話の流れがつかめずにいたが、
他の二人は目をぱちくりさせたまま。
「そんな、シスタースウがそうだったなんて。あの人並の修道女よりけちくさいから全然そんな風に思わなかったわ。」
「私達、古傷をえぐるようなことしちゃったかしら。でも知らなかったんだもの。」
ルーエラは二人の修道女の驚愕と困惑の理由がつかめぬまま、
いまいちぱっとしない自分の刺繍に目を落とし、ため息をついた。
232 :
灰色の塔 8:2007/02/03(土) 02:12:09 ID:sZw36zX4
「あら、シスタースウ自慢の生姜湯じゃない。」
皺の多い顔にずり落ちそうな大きな眼鏡をかけた老修道女が
湯気のたつ温かいコップを受け取る。
「これを飲めば風邪なんて一発よ。」
スウが誇らし気に胸を叩く。
「ありがとう、シスタースウ。」
感謝の言葉に御満悦の笑みを見せながら、スウはふと気付く。
「そういえば…」
「え、そういえば?何?」
スウのつぶやきに、そばかすの修道女が反応する。
「何でもないわ。くだらないことさ。」
(そういえばもう一人おったな、預かりだとばかり思われておって、今もいる修道女が。)
スウは思う。
でもそれはくだらないこと。
わざわざ若い(といっても世間からすれば中年だが)修道女達に教えるほどのことではない。
世間から隔絶されたはずの修道女達ですら
彼女の名を知らぬものはいなかった。
誰しも彼女が修道女の格好をしてるのを
一時の気紛れだとばかり思ってた。
かつては会う事の叶わぬその名の主を訪ねてくる男はわんさかいた。
だが今はいない。
それだけの時が流れてしまったのだ。
自分にも、彼女にも。
(そうだろう?エミリア―)
8は以上です。
エロがなくてすみません。
続けて9投下します。
エロって難しいですね。
234 :
灰色の塔 9:2007/02/03(土) 02:15:25 ID:sZw36zX4
頭が重い。
喉は灼けつく様。
からだを動かすのも億劫で、
ひたすら眠気に身を任せる。
部屋に立ち篭めるのはジンジャーのかおり。
うっすらと目を開く。
心配そうな顔の女性は誰?
母?過ごした記憶は3つまで。産んだだけに等しいひと。
義母?できることは保身だけ。健気に耐えて、儚く散った弱いひと。
姉?あの人はこのにおいが嫌いだった。
それでは誰?
うちにいた女性は他にはもう…
ああ、そういえば彼女がいた。
235 :
灰色の塔 9:2007/02/03(土) 02:16:56 ID:sZw36zX4
「私、あの人嫌いよ。」
新しい住み込みの女家庭教師。
彼女がいなくなった途端姉の言い放った一言。
初対面の人間のことをどうして嫌うのか、理由がわからなかった。
ひっつめて結った黒髪、表
情の見えない黒淵の眼鏡、
薄い化粧では隠せていないそばかす、
おまけに色気のない流行遅れのドレス。
はっきりいってミス・ワーフはうら若き女教師と言われても
疑ってかかりたくなるような 地味な外見の女性だった。
世の男性は彼女を一目見ただけなら全員、
並より下に位置付けてしまうだろう。
でもおそらく姉は気付いていた。
同じ女として嗅ぎとっていたのか?
僕はいつ気付いたんだっけ?
彼女の魔性に―
236 :
灰色の塔 9:2007/02/03(土) 02:18:29 ID:sZw36zX4
地味ななりをしているからこそ目立ったのだろうか、
真っ赤な紅をひいた彼女の唇は。
「坊ちゃまは本当に勉強が得意なのね。」
眼鏡の下でしたたかに光る目。
不正解が多く、膨れっ面の姉は早々と部屋を去り、
部屋には僕と彼女の二人きり。
近くで見ると、ミス・ワーフは顔は平凡でも
胸はそこそこ大きいことに気付く。
ウエストもくびれているし、
ヒップのラインもやわらかで、
姉に比べてなんというか凹凸のはっきりした大人の女性という感じだ。
女は顔の善し悪しに関係なく、皆成長すればこうなるのか?
そんなことを考えたりした。
「お父様も本当にあなたの成長を喜ばれているのよ。」
お父様、と言った彼女の唇はぷっくりと厚く、
赤い紅が女の性をあらわしているようで
毒々しいと思った。
違う、もっと後だ。
237 :
灰色の塔 9:2007/02/03(土) 02:20:19 ID:sZw36zX4
僕は書斎にいた。
書斎は廊下と繋がる扉の他に、父の部屋と中でつながる扉もある。
その父の部屋へとつながる扉が中途半端に開いていて、
そこから漂う甘いかおり。
引っ張られるように足は扉へと進む。
甘いかおりが強くなる。
部屋の主である父ともうひとり、女性の姿。
父は下半身のみ脱いでいるようで、
女性は上半身のみドレスがはだけていた。
腰から下に確認できる見慣れたドレスを見て女性の正体に気付く。
ミス・ワーフだ。
いつもはきっちりお団子に結っている黒髪はおろされ、
彼女が上下する動きにあわせて波打つ。
不自然にさらけだされた乳房はピンク色の乳頭までてらてらと
なまめかしく濡れて光る。
いつもつけている眼鏡は外され、まるで別人のよう。
唯一いつもと同じなのは唇に赤くひかれた紅。
そしてそのふっくらとした赤い唇が父の…
バサッ
手に抱えていた本を落とし、あわてて拾い上げる。
大きな音はたててない、大丈夫、きっと気付かれて無い。
隣室の二人を見る。
父は行為に夢中で間抜け面のまま。
だが、もう一人は、ミス・ワーフは違った。
扉の隙間からのぞく僕の両の目を見据えていた。
赤い唇で父のものを咥えたまま。
本を抱え、僕は全速力で書斎を出て、
そのまま自室にこもり、鍵をかける。
扉の前で座り込み、勃起した分身をしごく。
あの赤い唇の感触を想像しながら。
238 :
灰色の塔 9:2007/02/03(土) 02:21:01 ID:sZw36zX4
父が誘ったのか、彼女が誘ったのか、今ととなってはもう知る由もない。
だって父はもういない。
ミス・ワーフはおもむろに眼鏡をはずす。
「ねえ、あの時見てたんでしょ?」
あの唇で、父のものをおいしそうなものをしゃぶるようにべとべとにしてたあの唇で、
僕を追い詰める。
「………」
彼女は机に肘をちき、頬杖をつく。
「あのあと私をオカズにした?」
「そんなこと…」
してない、と言えなかった。嘘になるから。
「お嬢様には内緒ね。クビはいやだから。」
それだけ言い、部屋をあとにする。
ふんわりと漂う彼女の残り香は、昨日感じたあのかおり。
香水なんかではない、
その時ははっきり思い出せなかった。
けれど記憶の奥底で知っているはずのかおり。
僕は秘密の共有者に、
父や彼女の共犯者になることを望んでいたのかもしれない。
239 :
灰色の塔 9:2007/02/03(土) 02:22:41 ID:sZw36zX4
「ねえ、坊ちゃま、今夜はお父様はお出かけよ。書斎に行っても誰もいないわ。」
彼女は僕の後ろにまわる。
あの時見た豊かな胸をわざとぼくの頭に押し付け、頬を撫でる。
「いい?書斎に行っても誰もいないから。」
そう念を押し、彼女は部屋を出た。
父が馬車に乗り込むのを見送り、
暇つぶしにチェスをしたがる姉をなだめ、
足早に書斎へと向かう。
震える手でノブを回すも、中は真っ暗。物音一つしない。
彼女の言葉の通り、「誰もいない」。
では何故彼女はあんな事を自分に言ったのか?
僕をからかっただけなのか?
明かりも灯さず呆然と立ち尽くしていると、
あの扉から、父の部屋へと繋がる扉から光がもれる。
光の向こうに見えたのは彼女、ミス・ワーフ。
眼鏡をはずし、髪をおろし、唇はいつも通りの赤。
そしてあの甘いかおりが鼻孔をくすぐる。
むせかえるような甘ったるいかおり。
子供の頃、姉と一緒に台所に忍び込んで
こっそりつまみ食いしていたもの。
ハチミツ―
240 :
灰色の塔 9:2007/02/03(土) 02:24:27 ID:sZw36zX4
彼女はまるでパンケーキの上にたらすように
肉棒の頂点に半透明な金色の蜜をたらしていく。
「おいしそうなキャンディーね。」
舌先で鬼頭の蜜をつんつんと突くように舐める。
「こんなに大きいキャンディーはどこから食べればいいのかしら。」
反りたった肉棒の裏筋を下から上へと丁寧に舐めあげる。
「もう我慢できないわ。ぜーんぶ頂きましょう。」
赤い唇は蜜に濡れて妖しく光る。
その唇が開き、肉棒を隠していく。
肉棒を頬張ったまま上下に動き、
たらした蜜をすべて舐めとるように前へ後ろへ横へと舌が這い回る。
頬をすぼめて陰圧にしたり、玉の方も舐めたり。
竿も玉もぬるぬるに覆っていたハチミツと、
彼女の唾液とがすっかり置き換わるころ、
限界を迎えた僕は彼女の口の中で射精した。
彼女の口からたれていくのはハチミツと唾液、
そして甘い甘い蜜とは似ても似つかぬ白い液。
食べ物を粗末にしてはいけない、それは義母の教えだったか。
ではこの遊びは?
241 :
灰色の塔 9:2007/02/03(土) 02:27:38 ID:sZw36zX4
首から流れる蜜は鎖骨のくぼみに金色のの小さな池を作り、
また流れだす。
「どこにたらしてほしいの?」
蓋のあいた小瓶からこぼれそうな金色の蜜。
「ここかしら?」
傾けた瓶から金色の糸がピンクの乳頭へと流れていく。
蜜漬けのサクランボを食べるようにそこをむさぼる。
鼻のあたまに蜜がついていたが、気にとめる事も無く、
蜜を舐め尽くしたあとの乳首からさらなる蜜を搾るように吸いたてる。
うっかり歯をたててしまい、しかめ面をされてしまった。
「痛くしないで。優しくして。じゃなきゃおやつは終わりよ。」
今度は歯をたてないよう、乳首を舐め回すだけにする。
「ねえ、いい事してあげる。おっぱいは吸うだけじゃないのよ。」
そう言い彼女は胸の谷間にハチミツをたらしていく。
「もう元気になってるでしょ?」
視線の先には再び硬さを取り戻した肉棒。
蜜に光る両の乳房が充血したキャンディーを包み込んでいく―
ハチミツはいけない遊びの大事なおもちゃ。
いけない遊びには罰が待ってる。
終焉を告げたのもあの甘いかおり。
242 :
灰色の塔 9:2007/02/03(土) 02:29:50 ID:sZw36zX4
どうして気を許してしまったのだろう、父も、自分も。
もっと姉のように疑ってかかるべきだったのに。
あの頃の我が家は来るべき時に備えて
屋敷の警備も人の出入りも厳しくなっていた。
なのに僕達はのんきに共に住み、共に学び、共に愉しんでいたんだ。
敵の放った刺客、ミス・ワーフと。
「ちち…うえ…?」
あらぬ方向を向いたままぴくりとも動かない父。
左胸に刺さったままのナイフ。
父のシャツにも、倒れこんだ絨毯にも、
まだ赤いままの血がしみ込んでいるというのに、
まっ先に感じ取ったのはあの甘いかおり。
父と自分を虜にしたハチミツの…
そしてテーブルに置かれたままの黒淵の眼鏡。
「ちちうえーっっ!」
はっと目をさます。
大声で叫んでいたつもりだったが
喉は思ったよりもいかれているらしく、
すーすーと音の無い息を吐いているだけだった。
右手が温もりに気付き、眠りの合間に垣間見た女性の存在を思い出す。
「ミムザ、ミムザ、大丈夫?」
伸ばした右手を握ってくれたのはルーエラ。
そう、シスタールーエラ。
黒いヴェールから心配そうな顔をのぞかせている。
243 :
灰色の塔 9:2007/02/03(土) 02:33:00 ID:sZw36zX4
最近ルーエラにはつんけんされていたが、
今日は体調をくずした自分に付き添ってくれていたようだ。
感謝の笑みを浮かべ、
部屋にただようジンジャーのかおりに首をかしげる。
「ああ、シスタースウに聞いて生姜湯を作ったの。咳してるみたいだったから。寝てる間に少し冷めちゃったけど。」
そう言いながら恥ずかしそうにコップを見る。
寝汗をかいて渇いた喉にはいいかもしれない。
ベッドに寝たまま手を伸ばし、おねだりをアピールして取ってもらう。
いいだろう?病人なんだからわがまま言っても。
人肌よりあたたかい程度の生姜湯。
母と暮らしていた幼い頃、何度かのまされたことがある。
あの頃は生姜の臭いが苦手だったが、
鼻も喉も半分いかれた今日はあまり苦にはならなかった。
「冷めちゃったけど、どう?飲める?少し甘めがいいと思ってハチミツ多めに入れてみたの。」
ハチミツ…
ぶふっ、ごほっ、ごほっ、ごほっ。
思わずむせ返り、気管の痛みに咳を繰り返す。
「え、大丈夫?まずかったかしら?」
ルーエラはおろおろする。
「あら、服濡れちゃったわね。着替えないと。」
吹き出した生姜湯と、寝汗で濡れた服を脱がせようと
ルーエラが手を伸ばす。
いけない、今着替えるわけには…
駄々をこねる子供のようにいやだいやだとばたばたし、
必死の抵抗を見せる。
「もう、ミムザったら強情ね、子供じゃないんだから。」
数分の攻防戦ののちルーエラはやっと着替えをあきらめ、
半分残ったままの生姜湯のコップを持つ。
「これもう一回作って来るから。それまでに着替えなさいよ。絶対よ!」
244 :
灰色の塔 9:2007/02/03(土) 02:36:17 ID:sZw36zX4
ルーエラの足音が聞こえなくなるのを確認して、
ごそごそと服を脱ぐ。
さすがに脱がされたら正体がばれてしまう。
弱っている今はそれは避けたい。
いつも通りの静寂しかない部屋の中。
頭の中にこだまするのは彼女、ミス・ワーフの声。
縄に繋がれた彼女とかわした最期の言葉。
「ねえ、見てたんでしょ?私がお父様を殺すところを。」
そう、見ていた。
けれど止められなかった。
彼女が嬉しそうに父にナイフを突き刺すところを。
灰色の塔 9 以上です。
時代とか適当な妄想で書いているのですが、
昔の下着って色気ないんですね…
やっぱり下着の覆う面積は少ないほうが夢ひろがります。
では失礼致しました。
やったぜリアルタイム GJ!
なんだか灰色〜さんの文章はエロとかそういう次元より遥か上いってますね。
ただただ憧れるばかり。
見事な構成力といい、昔私が好きだった人の文章に似ています。
他版でお姫様ものなんてかいてませんでした?なんちて
これからも頑張ってください!!
247 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 00:47:41 ID:aN0uZoCB
乙カレー
夢見がちな少女時代。
異国から取り寄せた生地で仕立てたドレスに
都一の人気職人の作った靴、
祖母から譲られた真珠のネックレスにあわせた真珠の髪飾り。
鏡に写るいつもより着飾った自分を見てはおおはしゃぎだった。
「お嬢様、本当にお綺麗です。」
「お人形遊びをしてたこの子がいつの間にこんなに綺麗になって。」
「さすが我が娘。今夜の注目の的になりそうだ!」
侍女達や両親におだてられて有頂天になった私は、
開かれた扉、そこに立つ私。
皆が一斉に私を見る!
「なんて美しいお嬢さんだろう。」
「あの娘の名は?」
あわてふためき我先にとダンスの相手を申し込む男達。
隅にかたまって私に嫉妬する女達。
〜舞踏会の話題を独占する新顔登場!〜
なんてことを想像して、馬車の中で悦に浸っていた。
だがそんな馬鹿なこと現実にあるわけもなく、
広間に颯爽と現われた私に目を向けるものがいても場の空気が変わることなどなく、話し掛けにくるのはもともとの顔見知りや、その家族らが関の山。
会場にいる女性は未婚と思しき者であれ、そうでない者であれ、
私より大人ばかり。
綿を詰めて足りない膨らみを補っているいる貧弱な自分の胸と、
締め上げたコルセットから溢れそうな皆の胸。
腹を空かせたで狼すら食べなそうな骨ばった自分の腕と、
マシュマロのように柔らかそうな皆の腕。
どんなに着飾っても、幼い自分はせいぜい『かわいいお嬢さん』で、
舞踏会の花となるべきはもっと大人の『美しいひと』なのだと悟った。
一曲ダンスを踊る約束をしてた従兄弟は一向に私の許に来ず、
知り合ったばかりの年の近い女の子とおしゃべりする。
その彼女が指差す会場で一際賑わう一角。
そこに群がるたくさんの男達。
その中には私との約束をすっぽかした従兄弟の姿もあった。
輪の中心に見えかくれする一人の女性。
あれは誰?と尋ねる私に教えられた名は、
エミリア=オーグス
オーグス家といえば都でその名を知らぬものはない、五公家が一つ。
その令嬢とはいえ何故あんなに男が群がるのか理由がわからなかった。
だが、渋々ながらも男の一人の手を取り、華麗なステップでダンスを踊りはじめる彼女の姿を見て、理由を知った。
色とりどりのドレスを着飾った女達のなす花園。
その中にあっても彼女だけは一際目立つ花だった。
彼女の着るエメラルドグリーンのドレスはリボンもフリルも控えめなのに、デザインのシンプルさが着る人自身の美しさをかえって引き立ていた。
きれいに巻かれた亜麻色の髪にはえる翡翠の髪飾り。
彼女の瞳と同じ色。
私は少し着飾っただけの自分に何を自惚れていたんだろう。
彼女は、いや彼女こそが、花と呼ぶにふさわしい大人のひと。
はじめて彼女を見た時、
まるで昔好きだった絵本のお姫様が抜け出したのかと思った。
そして夢見る少女だった私は、
今の自分は幼くともあと数年もすれば、彼女の様に光り輝くのだと信じて疑わなかった。
夢見がちの少女は、結局夢を捨てきれぬままで大人の階段を上ってしまった。
「嫌です。私は結婚などいたしません。」
「でも、ノーバー様は大変いいお人なのよ…」
泣き叫ぶ私を必死であやす母。
「嫌です、絶対に嫌です。」
頑なに拒否を続ける私。
自慢の口髭をなでながら不機嫌そうにに黙り込む父。
男兄弟の中で唯一の女として生を受けた私は多少我侭に育ってしまったところがあって、意に沿わぬ縁談にぐずっていれば父も母も折れて断ってくれるとばかり思っていた。
だが、適齢期を迎えた私は両親、とくに父にとっては駒でしかなく、
旬を過ぎていい縁談が消え、持参金の額があがってしまう前に嫁がせてしまおうと必死だった。
結婚などしたくなかった。あの方以外とは。
あの方に恋い焦がれた。夜も眠れぬほど。食事も喉に通らぬほど。
いつか必ず結ばれるものと信じてた。
けれどあの方はもう手の届かぬところに行ってしまった。
私の思いを置き去りにして。
いっそ死んでしまおうかとも思った。
けれどそれは神の教えに背く行為。
ならばいっそのこと神にすがれば救われるのだろうか?
「どうしても結婚しなければいけないのなら、私は修道女になります。」
2日間に及ぶ自室での篭城のあと、仲介役の従兄弟を通して父母に伝えてもらった言葉。
私の決意がかたいと知り、気落ちする母と、怒ったままの父。
だが、その行き先を告げた時、父の顔色が変わった。
メイア修道院。
昔の王が幼くして亡くなった愛娘を忍び建てたものと聞く。
そこを選んだのにたいした理由はなかった。
都にあるいくつかの修道院の中で最も由緒があるから、という位か。
修道女の道を選んだ私をひきとめようとするものは、家族だけでなく、友人にもいた。
特に友人の一人で噂好きのものは、メイア修道院の名を聞くと顔を曇らせ、必死な形相で考え直すようにと繰り返すのだった。
そういえばあの方に恋していた頃の私は、
流行りの作家が書く恋愛小説にどっぷりはまっていた。
あの頃の私は愚かにも悲恋の物語の主人公にでもなったつもりだったのだろう。
決意の鈍らぬうちにと飛び込んだ修道院。
あちこち案内されたあと、院長の老修道女、シスターセナに案内された寝室。紹介された同室となる先輩修道女達。
そのうちの一人の顔を見て思わず声をあげる。
「あなたは…エミリア!」
名を呼ばれた彼女がゆっくりとこちらを見る。
間違い無い。
翡翠色の瞳に以前ほどの輝きはなく、唇も色なく渇き、頬も少しこけた気がするが、黒衣を着ていようとも隠しきれないかつて知る花の色が残る。
「あら、お知り合いだったかしら?」
彼女は抑揚のない声で、どうでもいい事のように返事をする。
そういえば彼女と直接話をしたことなどなかった。
私が一方的に知っているだけ。
「あ、あの、すみません。あなたは私達の目標でしたから、つい…」
ほんの数年前まで世の女性達のなかで頭一つ突き出た絶対の存在だったエミリア。
彼女を妬み、心無い噂を流すものもいれば、
あからさまな嫌がらせをするものもいた。
けれど社交界にデビューしたての私や同年代の友人達にとっては、彼女の立ち居振るまい、着こなし、持って生まれた美貌、とにかく彼女の持つ全てが憧れだった。
病を患っているらしい。
風の噂を聞いたきり、どこの夜会でも見かける事はなく、その名さえも時の流れに忘れてかけていた。
一体何故ここにいる?
「エミリアを知ってるってことはあんたも貴族の出かい。てことは院長、この子は預かりかい?」
怪訝な顔をした別の修道女がシスターセナに問う。
「いえ、シスターエッカはれっきとした見習いですよ。」
セナの否定の言葉に何人かが警戒の色を薄める。
「あら。じゃあれっきとしたお仲間だね。よろしくね、シスターエッカ。」
「よろしくお願いします。」
「シスターエッカ、よろしくね。」
差出された右手。
はじめて握ったエミリアの手はどこかひんやりとしていた。
修道女となって迎えたはじめての夜。
二度と会うこともないあの方を思い、ごわごわとした薄い布団を深々とかぶり声を殺して涙した。
「シスター…えっと…」
目はあっているのに顔と名前が一致せず、続きが出てこない。
「私はスウだよ。シスタースウ。で、なんだいエッカ?」
シスタースウはするすると器用に芋の皮を剥きながら、
皮と一緒にほとんど実のなくなりつつある私の剥いた芋を見る。
「あの、聞きたいことが…」
「エミリアのことかい?」
スウに即座に切り返され驚くも、疑問をぶつけてみる。
「あの方は何故ここにいるんでしょう?」
「おまえが修道女になった理由を私が知らぬように、おまえも彼女の理由を知らない。それでいいんじゃないかい?修道女がひとの過去を根ほり葉ほり聞いていいのは懺悔室の中だけさ。」
「そうですか…あっ、じゃあ今のことならいいんですよね、シスタースウ?」
いよいよ実すらなくなってきた芋のかけらが床に落ちる。
その芋を目で追って、スウはどう見ても傷んでいる芋を私に手渡す。
「お前はしばらくこれで練習しておくれ。芋がもったいない。まだ聞きたいことがあるのかい?」
傷んだ部分が指に触るとぬるりとして、触った私の指も腐ってしまいそうで嫌だったが、とりあえずナイフを当ててみる。
「あの、最近気付いたんですけど、エミリアって時々夜部屋にいないことがないですか?真夜中にお祈りでもしてるんでしょうか?」
スウはナイフを止めた拍子に芋が左手から滑り落ちる。
そして慌てて芋を拾いながらも答える。
「お前のいびきや歯ぎしりがうるさかったんじゃないかい?それか頻尿なんだろ。」
スウはちゃかす様に笑う、どこかひきつった笑顔で。
「えー、私いびきなんてかきませんよ!多分。それにエミリアが頻尿なんて、夢を壊すこと言わないでくださいよ。私昔エミリアに憧れてたんですから。って、あっ…」
傷んでいた芋がぼろっと崩れ、形を失ってまたも床に落ちた。
今度はスウは腹を抱えて笑った。
結局私は二つの夢を失った。あの灰色の塔で。
同室の修道女達は皆気付いているはずなのに気付かない振り。
あきらかにおかしいと思った。
水曜の夜にだけ、かならず部屋を抜け出すエミリア。
木曜の朝には誰よりも早くに起きて炊事場にいるエミリア。
今夜こそこの謎を解き明かそう、そう決意しながら床に入ってしばらく待つもうとうとと眠気が襲う。
だが、何かの物音に遠のいていた意識を取り戻した私は、寝巻きではなく黒衣姿のエミリアが扉を開けて出ていくのを目撃した。
私は寝巻きのまま急いで後をつける。
もしエミリアが礼拝堂で祈っていたのなら、
書斎で本でも読みふけっていたのなら、
私の抱いていたちっぽけな疑問はそこでうち消せたはずだ。
だが、彼女は母屋を抜け、井戸の前も素通りし、敷地の隅にある貯蔵庫、皆が灰色の塔と呼ぶ場所へと吸い込まれていく。
普段から薄暗いそこに夜入るのは勇気が入り、塔の前でしばらく悩んだが一度寝室へと引き返す。
だが、冴えてしまった頭はなかなか眠りに落ちず、
エミリアも一向に戻らない。
私はもう一度靴を履き、寝巻きの上にストールを巻き、
他の者を起こさぬように、そうっと扉をしめた。
寝室でごそごそと起き上がる二つの影。
「ああ、エッカは気付いてしまったんだね?」
「知らん方が幸せなものを…あれはもう誰にも止められないというのに。」
その声は心から嘆いているようだった。
『彼女』のことを。
(おかしい、さっきは真っ暗だったのに。)
再び訪れた塔は明らかに二階部分の窓から明かりが漏れていた。
おそるおそる扉を押し、自分のたてる足音にさえも怯えながら上へと向かう。
階段を進むにつれて、明かりも、声も、強くなる。
「…あっ…っはん…」
途切れ途切れ聞こえるのはエミリアの切なそうな声。
ビタンビタンとなにかのぶつかりあう音。
木の扉に耳をつけ、更なる音を拾う。
「…あ、ああん…いいわ、ハンス…」
エミリアが口にした名に一瞬心の臓がしめつけられる。
それが男の名だったからという理由ではない。
それが私の愛した男と同じ名だったからだ。
扉の向こうで繰り広げられるのはおそらく男女の睦み合い。
これがどこぞの貴族の屋敷の中ならまだいい、
よりによってここで、この修道院の中で、
神をも侮辱するいかがわしい行為が?
「あん、抜かないでえ。」
だらしないエミリアの声に、凛とした聖女であった彼女の偶像が崩れていく。
「ひゃあっあん、あんおくぅ…いいっ」
再びビタンビタンという音が再開し、エミリアの嬌声も一段と高くなる。
扉の向こうにいるのはエミリアともう一人、
荒い息使いしか聞こえぬハンスというどこにでもある名の男。
「ああん、ハンス、いっちゃう、いっちゃう。」
ビタビタというぶつかりあう音は早まり、
男の荒い息とエミリアの切ない吐息が混じりあう。
「あっ…あん、出して、濃いのを全部私に頂戴!」
「…っく、エミリア!」
余韻のように肉と粘液のおりなす音はしばらく続き、
そして、静寂を迎えた。
エミリア。そう叫んだ男の声はとても聞き覚えのあるものだった。
ギィー、と音を立て、私は扉をあける。
中にいたのはベッドの上に寝そべり全裸のからだを惜し気も無く曝したままのエミリア。
そしてベッドの脇に座りそそくさと己のものの後処理をしていたのは同じく全裸の男。
男は一瞬だけ私を見、ばつが悪そうに顔をそらす。
彼の名はハンス。私の愛した男。
「あら、エッカ。立ち聞きなんかしてないで入ってこれば良かったのに。」
エミリアは身を起こすと恥ずかしげも無く股を広げ、
亜麻色の陰毛と、ピンク色の恥肉に伝う白い液体をシーツの端で拭う。
彼は私と目をあわせようとしない。下を向いたまま。
「…どうして?」
私が見つめる男は何も言わない。
「どうしてって何がかしら?ここに男がいること?私が彼と寝てること?」
エミリアは指についた白い粘液のようなものをぺろりと舐め、渋い顔をする。
「…どうして、ハンス、あなた御結婚…」
後が続かない。
彼は結婚した。私とは永久に結ばれなくなった。
なのにどうしてここで、エミリアと不貞を?
私と同じように神に操をたてたはずの彼女と…
「……」
彼は無言のまま。
エミリアは彼と私とを交互に見て、ははんとつぶやくと
裸体のまま後ろから彼に抱き着いた。
「ねえ、あなた、ハンスのことが好きだったんでしょ?」
エミリアは両手でゆたかな乳房を揉みまわし、わざとハンスの背に押し付ける。
乳房を背中に押し付けたまま、
乳首の感触を背中越しに伝えるように上へ下へと動く。
彼は身をかたくしたまま。
動かず、声もあげず、目もそらしたまま、私から、そして現実から。
「ねえ、あなたも試してみる?ハンスのこれ。」
エミリアは背中から離れ、手を彼の前にまわし、だらしなくぶらさがる男根を手に取る。
「結構いいわよ、彼。今日も二回いかされちゃった。」
エミリアはやんわりと手で彼の男根を包みこみ、空いた手で彼の睾丸を弄ぶ。
「エミリア、今は…」
ハンスがエミリアの行為に反抗の声をあげる。
だが、男根の方はエミリアの手に反応し、むくむくと形を変えはじめていた。
「あらー、ハンスこっちは正直じゃない。本当は彼女を抱きたいんでしょ?」
エミリアが手を放すとすっかり硬さを取り戻し、血管の浮きでそうな位に充血したハンスの男根あらわになる。
「さあ、エッカこっちへいらっしゃいよ。一緒に愉しみましょう?」
エミリアが私に手を差出す。
俯いていたハンスも顔をあげ、私を見つめる。
ずっと憧れていた二人が私を堕とす。
「やめてっ!エミリア、ハンスも、もう、やめて!」
私は頭を抱え座り込み、半狂乱に頭を横に振り続けた。
「どうして、どうして、ハンスも、エミリアも、憧れてたのに…なんでっ!」
彼女はベッドをおり、ぺたぺたと裸足で私に近付く。
座り込む私を見下ろし、残酷な一言を私に言い放つ。
愚かなヒトを陥れたあとの悪魔のように。
「憧れる?それはあなたの勝手でしょう?」
黒衣に身を包む修道女たちが、質素な淡い水色のドレスを着た私を囲む。
「短い間でしたが…」
少ない手荷物を足下に置き、世話になった修道女達に礼を言う。
「寂しいけどこれもあんたの決めた道。きっと神の御加護があるよ。」
「たまには遊びにおいで。」
「幸せにおなりよ。」
ほんの数カ月しかいなかったのに、私を見送る修道女達は皆優しい言葉をかけてくれた。
そしてそこには彼女も、エミリアも立っていた。
私はここを去り、家に戻る。
これが私自身が出した結論だ。
先日父に家に戻りたいという手紙を書くと、あっさりと許しがでた。
縁談を拒んだ挙げ句、勘当も覚悟で修道女になって、それも数カ月しかもたなかったのだからもっと厳しい返事が来るとばかり思っていた。
前にあった縁談はとうに破談になったが、また新しい縁談が用意されている。
母が別の手紙で教えてくれた。
今度は断るつもりはない。
じっと私を見つめるエミリア。
あの日以来一度もしゃべることもなかった。
目をあわせることさえしなかった。
エミリアがつかつかと私に近付いてくる。
私の方には彼女に話すことなんてない。荷物を手に取り、馬車の台に足をかける。
「ちょっと。」
エミリアが私の腕をひっぱる。
「何か?」
そう答えるもからだは馬車を向いたまま。
「どうせ家に戻ったら親の決めたくだらない男とでも結婚するんでしょ?」
耳もとでひそひそと囁かれた台詞は激励というよりは皮肉に近いもの。
彼女はいつのまにこんな毒花になってしまったのか?
「悪かったわね。」
エミリアが口にしたのは詫びの言葉。思い掛けない言葉に振り返り彼女を見る。
「えっ?」
「あっでもハンスのことじゃないわよ。あいつすごい遊び人よ。結婚前から私の常連だし。あんたなんかすぐポイよ。教えてあげたんだから感謝して欲しいくらいよ。」
「…じゃあ、何が悪かったんですか?」
聞き返すと彼女は目をそらしながらぼそぼそと呟く。
「憧れてたって言ってくれたのに、馬鹿にしたこと。」
彼女の頬が赤く染まっていく。照れているのだろうか?
ともかく、そんな彼女を初めて見た。
「男はみんな言うの。でも私、女には疎まれることの方が多かったから…」
彼女はそれ以上は何も語らず腕を放し、はぱたぱたと皆のもとに戻った。
私は馬車に乗り込み、窓のカーテンに手をかける。
もう見る事はないだろう。この白い建物も、あの灰色の塔も。
「行って下さい。」
私の合図に御者が頷く。
私はカーテンを閉めた。
当時、メイア修道院が経営難に陥っていたことはあとで友人から聞いた。
例の噂好きの友人から。
ハンスのことも教えてくれた。
彼には常に複数の女性の噂があり、
彼の結婚は彼の女癖の悪さに手を焼いた両親がお灸を据えるためのものだったらしい。
結局伴侶を持った今もその性癖は変わらぬようだが。
友人は私が以前真剣にハンスに恋していた頃にもやんわりと忠告をくれてたのだが、
当時の私は恋に夢中で誰かの苦言などまるで聞く耳をもたなかった。
そしてエミリアのこと。
彼女の名はあえて出さなかったし、友人も深くは知らないようだった。
それは金持ちの上流貴族男性の間に流れる噂。
メイア修道院に極上の黒衣の娼婦がいるらしい、と。
夢はもう覚めた。
私はこれから汚れた俗世を生きていく。
夫となる人との間に愛が芽生えるか、それは重要ではなく、ただ子をなせばいい。
それが私にあたえられた新しい道。
水曜日
メイア修道院内、灰色の塔。
その二階の小部屋。
「あら、随分と御無沙汰してましたわね。」
エミリアは今夜二番目の客を出迎える。
「本当はもっと早く来たかったんだがね、家のことでどたばたして。でもやっとこさ我が家一番のお荷物が片付きそうだよ。」
自慢の口髭を撫でながら男はベッドにどしりと腰掛ける。
「それにさすがに娘がここにいるのに君に逢いにくるわけにはいかなかったし。」
エミリアはヴェールを脱ぎ捨て、黒衣の裾に手をかける。
「おっと、今日は着たままというのもいいかな?」
「御自由に。」
男は裾をまくりあげ、太ももを、尻を、自由に撫で回す。
「そういえば、あなたのお嬢さん、」
男はスカートの中に潜りこみ、暗闇の中恥部に指を伝わせる。
「ん、娘がどうした?エミリア。」
下着の中への指の侵入に身をくねらせながらエミリアは答える。
「あの子出入りの商人に頼んで色んなもの取り寄せてたみたいよ。ここの物は安っぽくってあわないって。お金なんか気にもせずに、シスターセナが困ってたわ。」
エミリアの下着がはらりと足首に落ち、男はエミリアの恥肉に直に触わりだす。
「それはすまない。他にもわがままをしただろう?なにせあれは一人娘でね、わがままに育て過ぎた。」
男は鼻の先を彼女の柔らかな陰毛にくすぐられながら懸命に舌を伸ばす。
「っあん。もう、隠れんぼさんは悪戯っ子ね…あんっ」
クリトリスに吸い付かれ、エミリアは仰け反る。
「あの子はこの部屋を見て、本当に良かったのかしら?」
スカートの中からは返事は無く、聞こえて来るのはぺちゃぺちゃ舌が動き回る音のみ。
エミリアは自分で乳首を摘み、乳房を揉みはじめる。
「ばあっ」
男がスカートからおどけた顔をのぞかせる。
「さあて、今日は前の穴にしようか、それともエミリアが好きなのは後ろの穴かあ?」
男はエミリアに覆いかぶさり、ふたりベッドになだれ込む。
「娘はいつまでたっても子供っぽい愛だの恋だのうるさくてね。現実を突き付けられて少しは親の言う事を聞く気になったようだ。」
男はエミリアを尻の穴も割れ目も全てみえるように四つん這いにさせ、
前の穴から滲み出た透明な愛液を後ろの穴に刷り込んでいく。
本来は排泄のためのすぼまった穴は、彼の指の挿入に少しずつ広がりをみせていく。
「大半の客はエミリアのこっちの味は知らんだろう。くくく。」
男はエミリアの菊門に入れる指を二本に増やす。
エミリアはこちらの穴での交わりは実はあまり好きではない。
男はしまっていていいというが、中で出されると腹を壊すし、
きちんと前準備をせずに挿入された時はあまりの痛みに気を失いそうになった。
だが今は本来の流れに逆らって侵入して来る赤黒い肉棒に健気に甘い声で反応を返しながら、
ここを去った修道女だった娘の言葉を反芻する。
(憧れ、ね。私にはもう使えない言葉。純粋すぎて―)
灰色の塔10 以上です。
≫246さん、それは別の方ですね。恥ずかしながらここが初投稿なので。
鬱なシリーズですが読んでいただきありがとうございます。
伸ばすと思って御意見いただけたら幸いです。
初投稿ですか、びっくりです。エミリアが美しかっこよくていいです。GJ!
初投稿ということに驚きました。
話の内容も文章の雰囲気もとても素敵です。
次回も楽しみにしております。
263 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 23:05:28 ID:2YWorreV
保守
誤りは正さなければならない。
だが時にはどうしようもないこともある。
もし時間を戻せるのなら、一体いつならば止めることができたんだろうか?
私は知らず知らずのうちに真実をかろうじてくるんでいたはずの薄皮を一枚一枚剥いでしまっていたのだ。
暗殺とも事故とも言われた謎の死。
前王と王妃の喪があけてからかなりの時間が過ぎたというのに、新しい王は一向に決まらぬまま。
ここ数十年王家には男児が生まれず、リヴェスタール家最後の王は子を遺さなかったため、350年に渡るリヴェスタール家の歴史は幕閉じ、王位継承権は五公家へと移った。
五公家、古の王と祖を同じとする一族。
エンシェン、オーグス、カインフォルタ、バズ、フィングリード。
一時はカインフォルタの当主に決まりかけていたというが、
彼もまた暗殺された。
都の貴族達は王となるものを見極めるためにあちこちに媚びへつらいながら今日も派閥争いを続けている。
その争いからはじき出された下流貴族の娘など、彼等にはどうでもいいことなのだ。
「バズが中央教会の式典に参加するらしいよ。教会への御機嫌とりだろうけどよ。エンシェンは西領に娘を嫁がせたらしいし、やっぱりあの二人の一騎討ちかねえ?」
出入りの商人が教えてくれる都の情勢はいつも聞くものとさほど変わらない。
どこかの当主がどこかの有力者にごまをすって自分への票集めをしている。要はそれだけのこと。
目新しい情報と言えば、最近都で若い娘ばかり狙ったおかしな事件が続いているらしい。
なんでも、暴行を加えたり、金品を強奪したりというようなものではなく、髪を引っ張られたり、手を握られたり、名を問われたり、という程度のことなのだが、急にそんなことされても気持ちのいい行為ではないだろう。
滅多に修道院の外にでることのない私には無縁の事件のように思えた。
だが、その噂を聞いた数日後、門の掃除をしていたシスターエイミが、
「メイア修道院に最近若いシスターが入りませんでしたか?」
と若い町人風情の男に尋ねられ、私とミムザのことを話してしまったそうなのだ。
都の事件の話をあとから知ったシスターエイミが真っ青になって私に報告にきた。
「ごめんなさい、ルーエラ。私ってば都の噂を全然知らなくて、若い娘が危ないって。ここに怪しいやつらが入ってくることなんてないと思うけど…」
まだ何も起きていないというのにエイミはおろおろするばかり。
「大丈夫ですよ、シスターエイミ。ここに怪しい男が入り込んだら一発でわかります。だってここは修道女ばかりですもの。」
「でも、塔にいるミムザは危ないわ。あそこは母屋から離れているし、第一ミムザは口がきけないから助けも呼べないし。」
そういう経緯があって、私はミムザの部屋を訪れていた。
先日の風邪が長引いていたミムザだが、今はすっかり元気で、また読書に夢中のようだ。
「だからね、物騒な噂もあるし、あなたもここじゃなくて母屋にみんなといた方が安全だと思うの。」
ベッドに寝そべり、本から顔をあげずこくこくと頷くだけのミムザ。
「じゃあ早速引っ越しましょうよ?」
私の提案にもこくこくと頷くだけ。ちゃんと話を聞いているのか?
「ねえ、ミムザってば!」
本を取り上げるとミムザは渋々ながらもやっとベッドから身を起こす。
だが、部屋に散らばる本を見渡し、別の本を開くとまたごろりと寝そべる。
「人がせっかく心配してるのに。」
どうやら塔を動く気のなさそうなミムザに背を向け、部屋を去ろうとすると、くいっと袖を掴まれた。
ミムザは袖を掴んだまま、本から目線をちらりとこちらに向ける。
もう帰るの?と、引き止めるように。
「私はあなたと違って仕事があるのよ。また様子見に来るけど、ちゃんと戸締まりしてね。あなた何かあっても大声ひとつ出せないんだから。」
私はそれだけ告げると、ミムザの手を振払い、部屋をでた。
『あなたと違って』、自分で言った言葉なのにミムザじゃなく自分が傷付いたような気がした。
怪しい男の噂はそれ以降もちらほら耳にした。
噂をまとめると、怪しい男は若い娘を不特定多数に狙う変質者というよりはどうやら一人の娘を捜しているらしい。
黄金色の髪で、右だか左の手に黒子がある娘を。
それならば、似顔絵を街中に貼り出すなり、役人に頼むなり、もっとましな方法があるだろう。
そうしないのは、何か隠したい理由があるのだろう。
もちろん、よからぬ理由で。
そして修道院の中は普段通り。
たまに見かける男と言えば、院長のシスターヴァーナと古くから交流のある要人や、神父様や、いつもの商人など見知っている者ばかり。
結局シスターエイミや私の心配は取越し苦労だったようだ。
そんなある日、私は食堂にミムザの膳がまだ残っているのに気付いた。
普段ミムザは食事を自室で取ることが多い。
皆に会うのが煩わしいのか、たいていは食堂に皆が揃う前に自分の食事を取りにきているが、日によっては違う時間に取りにくることもある。
本を読みふけっていてかなり遅くに取りに来る事もあるし、前に風邪をひいた時などは私が運んだ。
(どうせまた本でも読んでて忘れているんだろう。)
そう思った私はおせっかいかと思いながらも食事を運んであげることにしたのだ。
灰色の塔は西日を受けてオレンジ色で、二階のミムザの部屋の窓ガラスも眩しく光りを反射していた。
だから気付かなかったのだ。
その日の異変に。
部屋にミムザ以外の人影があったことなど。
塔の扉がわずかに開いたままになっていたのも。
盆で両手のふさがっていた私には扉の隙間は喜ばしいことだった。
ミムザが誤ってちらかしてしまったのか、一階の床には昨日運んだはずのもろこしが数本転がっていた。
あとで片そうと思いながら階段をあがる。
「ミムザ、ごはん運んできたわよ。」
返事がないのはいつものこと。木の扉のノブに手をかける。
いつもは壊れた螺子のせいで開けにくい扉が、その日はやけに素直に開いた。
「また本でも読んで…」
小言をいうつもりで声をかけた人物を見て言葉が途切れる。
「えっ…」
思い掛けない事態に思考が止まる。
部屋にいた人物はミムザではなかった。
このメイア修道院に属する修道女ですらなかった。
私と同じように驚愕で目を見開いたままの人物は、紛れも無い『男』だった。
怪しい男、人を捜す、忘れかけていた不穏な噂が頭の中に蘇る。
この男が捜していたのはミムザ?
硬直した私を見て、先に口を開いたのは男の方だった。
「お願いです、話を聞いて下さい。私は決して…」
あわてふためきながら男が近寄ってくる。
「嫌、近寄らないで。」
私は扉の方へ後ずさりする。がくがくと震える足は黒衣に隠れて見えないだろう。
だが、盆を持つ両手はがたがたと食器を揺らして震えていた。
「私はカイ…」
「やめてーっ!」
男が必死で何かを言おうとするが、私は盆を男に投げ付け、部屋を飛び出す。
だが、やっとの思いで廊下に出た私を黒い影が襲う。
バンっと背中から乱暴にからだを壁に押し付けられ、
声をあげようとするもすぐに口を覆われる。
「…やめっ…」
自分を押さえ付けているのが誰なのかもわからぬまま、先程の男が私を追って廊下に飛び出した姿を
見たのを最後に私の視界は真っ暗になる。
誰かの鼻歌が聞こえる。
〜もりのいずみで
時々歌詞を口ずさんでいる…
〜ちいさなうさぎが
ああ、知っている。父様が昔歌ってくれた子守り歌だ。
〜はるをむかえに
この声は父様じゃない。だって父様の声はもっと低かった。
誰の為に歌っているの?
私のため?
うっすらと目を開く。
灰色の天井をバックにして視界に飛び込んできたのはよく知る顔の人物。
そう、シスターミムザ。
私と目が合うと、口ずさんでいた歌を止める。
そしてにっこりと微笑んでこう言った。
「起きた?ルーエラ。」
聞こえるはずのない声で。
「ミム…ザ?」
私に声をかけたのは目の前で口を動かしたミムザに違いないのに、尋ねてしまう。
だってミムザは口がきけないはずだから。
目の前のミムザがゆっくりと口を開く。
「そうだよ。ルーエラ。」
その声は聞こえないはずの声。
だってミムザがこんな『男』のような声をしているわけないのだから。
「ミムザ、あなた誰なの?」
だんだんはっきりとしてくる意識の中で、からだの不自由さに気付く。
頭が重いだけではない。手足が動かせない。
だが目はミムザを捉えたまま。
「そんなことどうだっていいんじゃない?」
ミムザの顔がじりじりと私に近付く。
そして、私の額に軽く口付けた。
「せっかくだし、お目覚めの時に楽しもうと思ってね。」
ミムザの指が私の唇を伝う。
「逃げられないよ、ルーエラ。」
灰色の塔11、以上です。
続けまして12行きます。
269 :
灰色の塔12:2007/02/15(木) 01:38:01 ID:V2uUXd8m
「だから、変な男が若い娘を狙っているらしいのよ。」
ルーエラが都の噂をいちいち本気にして何か忠告しているようだ。
若い『娘』を狙っているのなら自分は対象外なのだが、それを説明する手立てもなく、適当に聞き流す。
「ねえ、ミムザってば!」
ルーエラは話を聞かないのに腹をたてたのか、本をとりあげられてしまった。
(まあ、その本は飽きていたところだし。)
別の本に手を伸ばす。
「せっかく心配してるのに。」
帰ろうとするルーエラを見て無意識に手がのび、くいっと袖を引っ張る。
「私はあなたと違って仕事があるのよ。また様子見に来るけど、ちゃんと戸締まりしてね。あなた何かあっても大声ひとつ出せないんだから。」
僕の手を振払い、彼女はすたすたと部屋を後にする。
袖を掴んでいた手をじっと見る。
何故彼女を引き止めようとしたのか。
シスターミムザの身分でいる限り、ルーエラときちんと向き合うことはない。
偽りの関係のまま。
彼女は『ミムザ』を妹のような、友達のような存在と捉えているだろう。
だが自分はどうなのだろう。
ことあれば利用するだけの存在。
姉のように頼ったり、母屋との連絡役になってもらっていたり、
あの時のように己の性欲を処理したり。
もし彼が本来の身分に戻るのならば、これから先女など掃いて捨てるほどいるだろう。
だが、今その対象はルーエラしかいない。
この感情が彼女を欲しているということならば、それは若さ故のただの肉欲か?
それとも、ルーエラ個人への執着か?
いっそ恋という安易な一言ですましてしまえるならばよかった。
だが、実際には彼の心の奥底に潜む闇が、幼い頃に植え付けられた闇が彼を走らせていた。
神の花嫁を穢す事へと。
270 :
灰色の塔12:2007/02/15(木) 01:44:17 ID:V2uUXd8m
灰色の塔に訪問者が現われたのはルーエラの忠告からしばらくたってからのことだった。
いつものように母屋に食事をとりに行こうと階段を降り、貯蔵庫部分を通り抜けようとした時、樽の間から人影が飛び出す。
薄暗い部屋の中、急に襲い掛かってきたその人物に無理矢理ヴェールを剥がれ、普段は表に出る事の無かった黄金色の髪が外気に触れる。
振り返った彼の目に映るのは町人らしき格好をした一人の男。
神父でも商人でもない、全く外部の者のようだ。
(一般人が何故ここに?まさかばれたのか?)
黒衣の中に隠しもった護身用のナイフに手をのばす。
だが男は襲い掛かるようなこともなく、じっと見ているだけ。
判別するかのように。
「やっぱり!」
男が感銘の声をあげた。
「嬢ちゃま!捜しましたぞ。」
帽子をとり、白髪まじりの髪を見せた初老の男は目を潤ませていた。
その顔は、しばらく見ぬうちに老け込んだとはいえ見覚えのあるものだった。
「ジーン、ジーンか?」
そして、僕の声を聞いた初老の男は予期せぬ声に潤んだ目を今度はぱちくりと開いた。
「やや、坊ちゃま??」
271 :
灰色の塔12:2007/02/15(木) 01:53:59 ID:V2uUXd8m
ベッドに腰掛けた僕と向かい合うように男が木の椅子に腰掛ける。
「坊ちゃまは東へ行かれたとばかり…まさかこのような場所でお会いするとは。」
かつて執事として仕えていた初老の男、ジーンはしげしげと修道女にしか見えない『ミムザ』を見つめる。
「ああ、その方がカモフラージュになるって。姉上が強行的に。」
「嬢ちゃまらしい…しかし坊ちゃま、いくら身の安全の為とはいえ、このような修道院にしかも女装して身を潜めるなど、このジーン、亡くなった旦那様にあわす顔がございません。
都では今エンシェンとバズ優勢と言われてますが、カインフォルタの支持者も残っております。このジーンめも坊ちゃまの安全は命をかけてお護りします故、どうかここからお移りくださいませ。」
「お前に言われなくてもいづれはそうするつもりだ。それよりどうやってここを知った?」
「旦那様の死後坊ちゃまは東に行かれと聞き、行方知れずの嬢ちゃまを保護するために私どもは都のあちこちを捜しまわりました。
はじめはカインフォルタと縁が深い貴族に保護されているとばかり思っていたのですが、都の貴族は皆日和見主義の情けないものばかり。カインフォルタの名を聞くだけで厄病神扱いの者まで…途方に暮れてたところ、我々の一人がここの情報を聞き付けたのです。」
姉が貴族に匿われていないのなら市井に混じっている、そう考えて手当たり次第若い娘を調べていたようだ。
黄金色の髪を持ち、右の手のひらに二つ並んだ黒子を持つカインフォルタの遺児を捜すために。
その結果が都の怪事件だったのだろう。
272 :
灰色の塔12:2007/02/15(木) 01:56:47 ID:V2uUXd8m
「ここにも噂が届いてたよ。都で若い娘が襲われるって。」
僕がそういうと、ジーンも気まずそうな顔をする。
「下のものが無茶をしまして。全く裏目に出なかったからよかったものの。」
「ああ、バズにも牽制になっただろう。お前達が都で姉上を捜しまわっていたおかげで僕が東に行っていることも強調された。まさか逆だとは思うまい。」
僕は黒衣の袖を振り、自嘲気味にくすくすと笑う。
「ですが坊ちゃま、年寄りの私でもここには容易に侵入できました。院長の客の振りをして。」
ジーンは言いにくそうに告白する。
「ここの古い噂は知っていましたが本当に灰色の塔にいようとは…とにかくここでは心配です。坊ちゃま、どうか!」
ジーンの眼差しは真剣だ。
だが、僕と姉が導きだした答えは変わらない。
「ここは動かない。今下手にカインフォルタがでばっても潰されるだけだ。東の援助を得る。そうでなければ勝ち目は無い。」
「…では、嬢ちゃまの働き次第ということなのですね?」
ジーンががっくりと肩を落とす。
まだ15の少女が東候の心を動かすなど到底無理だと思っているのだろう。
「まあ、正確には僕の器もはかられている。」
ベッドに散らばる本の山。床に散らばる書き損ねた書面や図面。
姉からの密書を通して僕に突き付けられる無理難題。
東にしてみても父親を暗殺された可哀想な遺児というだけでカインフォルタを支持するのは危険な賭だ。
僕が東にとって利用価値のある人間か見極めたいのだろう。
「なあ、ジーン。お前は僕に王になって欲しいのか?」
僕の問いにジーンは何をいまさらと言わんばかりの勢いで、
「当たり前です。このジーン、カインフォルタに仕えて早40年。亡くなられた旦那様も、坊ちゃまも王に相応しいことを誰よりも存じ上げているつもりです。」
「本当にそう思うか?」
僕はベッドから立ち上がる。
「教会に認められなかったこの僕が。」
ジーンは反論できず、口をつぐむ。
この事を知っているのはジーンを含むごく一部の者だけ。
カインフォルタの汚点を―
僕と姉は双児と思われることが多い。
顔もよく似ているし、年もほとんどかわらない。
僕がカインフォルタの家に迎えられたのは4つの頃。
生まれて数日で洗礼を受けた姉を違い、
それまで僕は洗礼を受けることができなかった。
中央教会は私生児の洗礼を認めていないから。
腹違いの姉弟なのに似ているのにも理由がある。
母親同士が姉妹だからだ。
姉弟であり、従兄弟である。
それが今となってはお互いが唯一の肉親である僕と姉との関係。
273 :
灰色の塔12:2007/02/15(木) 01:59:14 ID:V2uUXd8m
「まあいい。お前にもこれからは協力してもらいたい。」
沈んでいたジーンの顔に明るさが戻る。
「もちろんです、坊ちゃま。」
ジーンの部下には今回の騒ぎを起こしてしまうような無鉄砲な者もいるようだが、僕がここで動けない以上協力者は多い方がいい。
「ここで待ってろ、おまえに預けておきたいものがある。」
ジーンを待たせ、部屋を出る。
迂闊だったと思う。
ルーエラが部屋に来る時はもっと早い時間のことが多かった。
西日のさしかかるこの時間に塔に来る事はなかったのだ。
埃をかぶった箱を取り出し積もった埃をはらっていると、壁の向こうからかすかに聞こえる女の声に気付く。
「嫌、近寄らないで。」
それはルーエラの声。
ジーンとはち合わせしてしまったのか?
とっさに埃のかぶってない小箱から青い小瓶を取り出し、部屋を出る。
真っ青になって部屋から飛び出したルーエラを押さえ込み、口を塞ぐ。
「…やめっ…」
彼女を壁に押さえ込んだまま、部屋を出てきたジーンに目配せし、
薬が効いて崩れ落ちる彼女を両手で支えながら僕は告げる。
「彼女は僕がどうにかする。お前は今日はもう引け。ミセスカーターの名でシスターヴァーナ宛に手紙を出すように。当座はそれで十分だ。」
ベッドに横たわるのはとらわれの修道女。シスタールーエラ。
両手首に幾重にも巻かれた紐はベッドの柱と繋がり、
大きく開かれた足も、一本ずつ紐で繋がれている。
あわれ彼女は十字架の代わりにベッドの上で張り付けにされている。
神に誓ったはずの純潔をこの僕に穢されるために。
彼女の目覚めを待ちながら口ずさんでいたのは子守唄。
けれど蓄積されたこの欲求はもう眠らせておくことはできない。
花が咲く時がきた。
12、以上です。
固有名詞やら背景やら増えてしまいましたが、
一応終わりに向かっています。
では、お目汚し失礼しました。
と・・とうとうルーエラたんがっ><
次回が楽しみなGJ!
は、早く続きが読みたいです(;゚∀゚)=3
神には嘘も偽りも決して通らない。
其れ故人は全てをさらけだし、神の救いを求める。
宣誓の台詞にもあるだろう。真実のみを話す、と。
だが、『真実』は常に人を正しい方向へ導いてくれるものとは限らない。
シスターミムザの『真実』、それは『偽り』。
元から歪んでいた真実が私にもたらしたもの。それもまた歪みであった。
「逃げられないよ、ルーエラ。」
『彼女』だとばかり思っていた『彼』の放った宣告。
「やめて、放して、お願い…」
窮屈に縛られた両手が、足が、私の自由を奪う。
私を見下ろす彼の目はこの状況を楽しんでいるようだった。
抵抗できない私を支配することを。
「やめないよ。」
再び彼の顔が近付き、唇と唇が重なりあう。
小鳥が啄む様に軽い口付けを繰り返し、
唇の感触を十分に堪能したあと、生温かいものが私の唇を割って侵入する。
ざらりとした他人の舌の触感。
顔をひいて口腔内の異物から逃れようとするも顎をつかまれ、彼は更に舌と舌とを絡ませる。
「…っ…!?」
やっと口を放されたと思った途端、彼は私の口に布切れを丸めて突っ込む。
私は手足の自由だけではなく、言葉までも奪われてしまった。
「いつもは君がおしゃべりする、僕はただ聞くだけ。でも今日はその逆。形成逆転ってとこ?」
くっくっと笑いながらミムザが頭のヴェールを外した。
今まで見たことのなかった彼の髪、黒のヴェールとはとは対照的なコントラストの黄金色の髪が空に揺れる。
こんな状況なのに、捕われて抵抗の言葉すら言えない状況なのに、
黒衣の上にわずかにかかる彼の黄金色の髪を見て、とても綺麗だと思った。
「わかるだろ?僕がこれから何をするか。」
わかりたくもない、でももうわかっている。
一匹の雄が私をここに縛り付けてこれからしようとしていることを。
汝姦淫するなかれ―
夫婦の営み。
男女の契り。
子をなすための行為。
召し使い達の下世話な話を盗み聞いたことはあったし、友人とそういった話題をすることもあった。
知識が全くないわけではない。
ただ、今までもそしてこれからも経験する機会に巡り会うことはない。
修道女となった時点でそう運命づけられたはずだった。
口に突っ込まれたままの布は、私の唾液も、さっき舌に絡んだ彼の唾液も全て吸い取っていく。
大きく開いた状態で縛られた足の間に割って入る彼は普段通りの修道女の黒衣こそ着ているものの、
ヴェールをはずして曝した首の前方には男性特有の隆起があった。
今見ても少女と信じて疑わない程のあどけなさが残る顔だちをしているのに、その喉も声も男のもの。
いつも私の話を黙って聞いていたミムザ。
目で私に語りかけることだけが唯一の感情表現だったミムザ。
そのミムザが今は私を組み敷いて、私を辱めようとしている。
「あなたって当然処女だよね?」
嫁に行きそびれた。
その事実はいやと言うほど聞かせてきた。ミムザに。
否定できるわけもなく、顔に血が集中するのを感じる。
私の顔色の変化を鼻で軽く笑いながら彼の手は私の頬を撫でる。
「してみたいって思わなかったの?自分で慰めたりとか。」
耳もとで尋ねながら彼の手は私の顎を、首筋を這っていく。
「別に結婚前の男女全てが童貞に処女ってわけでもないんだから。」
左右の鎖骨の窪みに指を這わせ、骨の出っ張りを越えて更に下へ、
女特有の膨らみ、以前戯れに触られた場所へと指を移していく。
だが今回は軽く、乳房の形を確かめる程度にしか触らない。
あっさりと彼の手は乳房を離れると腹のうえを軽く一周撫でた。
くすぐったいような、おぞましいような感覚に鳥肌が立つ。
手は下腹部から更に下に降り、触られると身構えていた「あの箇所」はほぼ素通りし、太ももへと向かう。
「邪魔だよね、これ。」
太ももを上へ下へと撫でていた指がひょいと黒衣をつまみあげる。
彼は身を起こすとごそごそと自分の黒衣の内側を漁り何かを取り出す。
何か、はすぐにわかった。
銀色に光るナイフ。
鋭い刃先を見て恐怖で身を縮めようとしてもからだに自由はなく、
叫びたくとも声は奪われたまま。
私は彼のなす事に抵抗もできず首元に近付くナイフにただ震えるだけ。
「動かないでね。余計な血は見たくないから。」
襟ぐりに添えられた銀色のナイフはビリビリと嫌な音をたてながら私の黒衣を引き裂いていった。
幼い頃、まだ侍女達に着替えを手伝ってもらっていた頃なら特別なことじゃなかった。
でもそれは昔のこと。
ここ数年は着替えに人が付く事などなく、同性にすら肌をさらすことなどなかったのだ。
それが今私は目の前の男性に、夫でも恋人でもない、少年としかいえないような年下の男性に手足を縛られ、黒衣を裂かれ、他人に見せた事のないからだを曝している。
私の意志ではなく―
彼の目にはどんなに滑稽に写るのだろう、私は。
無惨に引き裂かれた黒衣は両腕の袖のみ脱がされず残り、他は白いシーツと一緒にからだの下敷きとなっている。
唯一残るのは首からかけた十字架。
だがそれはからだを隠すのに役立たない。
恥ずかしさのあまり顔だけでなく体中から火を吹きそうだった。
何故自分がこんな目にあうんだろう。夢ならば早くさめて。
叔母から「ぱっとしないね。」とよくなじられた変哲のない茶色の髪。
彼のような黄金色の髪は望めなくとも、
せめて母のようなまっすぐな黒髪ならばもっと好きになれた。
彼の手はそのぱっとしないはずの髪を一房すくいあげ、口づけ、そして囁く。
「綺麗だね。」
彼の方もごそごそと黒衣を脱ぎ出し、私達はお互いの生まれたままの姿を目にする。
膨らみのない薄い男の胸板。私とは明らかに違う。
更に下へ目線を移すも彼の股間にあるべきものは目にする勇気がなく目をそらす。
屈みこんだ彼は私の首筋に舌を這わせ、片手は私の乳房に直に触る。
からだの芯がそくりとする。
片手はやわやわと乳房を揉んだり、持ち上げたり。
首筋を離れ、舌は標的を移す。
乳房の桃色の頂点。そこを避けるように周りのみを舐め回す。
だんだんと乳首が突起してくるとちょんと舌でつつかれた。
その瞬間甘い刺激がからだを抜けた。だがそれは始まりに過ぎなかった。
彼は突起した乳首を舌でぺろぺろと舐め、唾液でぬらりと光るそこをにぱくりと吸い付いた。
手で弄られているほうの乳房もとうに乳首はかたく突起しており、
愛撫される度に余計敏感になるようだった。
彼は乳首を口の中に含み吸いたてながらも、舌は時折乳首を突き、
その度に私のからだのどこかが熱くなる。
下腹部を撫でていた手がそろりそろりと下へのび、
自分でもろくに見たことのない場所へと侵入していく。
茂みに触られただけで一瞬凍り付いた。
だが彼はそんな私の反応などお構い無しで更に深い場所へと指を潜らせる。
毛をかき分け、肉のヒダを割っていく。くちゅり、と音がした。
乳房から顔をあげた彼が私に言う。
「ちゃんと濡れてるね。」
犯されようとしているのに私の秘部はきちんと愛液を出して反応していた。
神に純潔を誓う身分でありながら、からだは男を迎え入れる準備をしている。
彼はそれを証明するかのように愛液で濡れたそこをわざとくちゅくちゅと音が出るように指を動かす。
だが、撫でるだけだった指が蕾を開こうと侵入すると同時に今までの甘い刺激が打ち消される。
痛み、そして異物感―
たった一本の指。だがそれすらも男を迎えたことのない私には堪え難いものだった。
苦痛に歪む私の顔を見て、彼は痛みと緊張をほぐそうと乳房への愛撫を再開する。
ざらついた舌が乳首を包み込むと胸から走る甘い刺激が下腹部の痛みを多少緩和する。
足に時折硬いものがぶつかっていたがそれを気にする余裕などなかった。
指は一向に抜かれず、それどころかより奥へと進み、処女の肉壁をほぐそうとする。
ようやく一本の指の痛みに慣れた頃今度は指をニ本に増やされ、また痛みが襲って来た。
彼の口はもう片方の乳首へと移る。
こんなに痛いのに、こころは逃げたくて堪らないのに、
それでもからだの方は本来の器官の働きに順応しようと必死なようで、
彼の指が行き来する度に愛液の絡む音は増すようだった。
口数の減った彼の息は少しずつ荒くなっていた。
逃げられぬのならばせめて早く終わって欲しい。
そればかりを願って目を閉じる。
二本の指の侵入による痛みにもやっと慣れてきた頃、彼は指を抜き去り身を起こす。
そして縛っていた私の足を片方だけ解放した。
異物の去った膣がすぐさま元の状態へと収縮を始める。
縛られていた足に痛みはなかったが、軽く痺れていた。
終わりを期待して目を開けるも、飛び込んできたのはさっき目をそらしたもの。
そりたった男茎。
彼のものを見て思わず固まる私。指なんかとはけた外れだ。
充血したそれは性別の違いはあれども同じ人間の器官とは思えず、とってつけた異物のようだった。
だがそれは間違い無く彼自身から生えているもの。
彼は自由にした方の私の足を持ち上げると、さっきまで指で弄っていた蕾みに自身をあてがう。
「挿れるよ、ルーエラ。」
やめて、と叫ぶも布で塞がれた口から出るはうーうー唸る声ばかり。
足をばたつかて抵抗しようとするも、持ち上げられた足はしっかりと彼の手で押さえられ、
彼の挿入がはじまった。
初めは痛いもの。知ってはいた。
指でほぐされた後とはいえ、いくら愛液で十分に潤いもあったとはいえ、
膣だけでなくからだをめりめりと裂かれるのではないかと思うような激痛が走る。
噂に聞く処女膜がどうとかそんなこと気にしている余裕はなかった。
挿入から逃げたくとも、彼に抱き込まれたからだを引くことすら叶わない。
彼の肉棒に内から膀胱を圧迫されているかのような尿意にも似た感覚が走る。
一向に痛みが引く気配などなく、拘束された両手を絡ませ力を込める。
(抜いて!)
そう必死で願うも男茎は奥へ奥へと突き進んでいく。
ようやく止まったと思えば彼は腰を引き、すぐまた最奥へと突っ込む。
長年咲くことを知らなかった蕾は今無理矢理花開いたばかりで傷だらけというのに、
傷口を更に荒らすように粗雑に動き回る彼の男茎。
彼の息はさっきよりも荒く、私を蹂躙しながら時折うっとりとした顔をする。
だが私は彼の腰の動きにあわせて生じる苦痛に顔を歪めるだけ。
「ルーエラ、痛い?」
彼の問いかけへの返事は声にならない。
私には頷く余裕も首を振る余裕もなかった。
彼は顔を寄せると耳たぶを舐めたり、甘噛みしたり。
目に寄せた指はいつの間にか滲ませていた涙をすくう。
そして額に軽く口付けを落とす。
彼の腰の動きは止まったわけではないけれど速度を落としていた。
指で挟んで突起させた乳首を舌がちろちろと舐める。
上半身からもたらされる甘い刺激は下
半身からもたらされる苦痛を相殺する程ではなかったが、
幾分か私を楽にしてくれ、挿入による異物感も徐々に慣れてきた。
硬直していた私のからだがゆるんでいくのを見計らって彼は再び挿入の速度をあげていく。
痛みは消えずとも膣は本来の働きを助けるために愛液の分泌をやめず、
男茎が出入りする度にぐちゅりといやらしい音をたてた。
果てしない行為の様に思えた。
繋がりあった部分では肉同士がこすれる度にぐちゅぐちゅと音をたて、
肉同士がぶつかりあう度にぱんぱんと響いた。
彼は既に私にわずかながらの快楽を与えることなど忘れ、
自身の快楽を高めることばかりに集中している。
挿入の速度は増し、私の中をぐちゃぐちゃにかき乱す。
「そろそろ、出すよ。」
額に汗を光らせながら彼が言う。
(出す!?)
忘れていた性の知識が頭を巡る。
合意があろうが犯されていようが、これは子をなす行為。
彼の子を宿してもおかしくない行為。
必死で身をよじるもそんな抵抗は無いに等しく、かえってその身の硬直は挿入したままの彼の男茎を締め付け、彼は最奥向けて己の精を放った。
とても満足そうに。
ようやく引き抜かれた男茎。
ぬるりと光る粘液は彼の精液と私の愛液、そして破瓜の血。
さっきまでと大きく形を変え、力なくだらりとぶらさがる肉茎。
私を穢したもの。
口から布を取り出されるも、渇いた喉から何も声を出す気は起こらなかった。
縛られた手首も解放されるも、長時間頭上にあった腕はおろされてもしばらくはいうことをききそうになかった。
「動けない?」
覗き込む彼の目は私を穢した加害者とは思えないほど希望の光に満ちあふれ、
純潔を失ったばかりの私は絶望にとらわれたまま、ゆっくりと瞳を閉じる。
夢であればいいのに。
ふしだらな夢を見た自分を責めればいいだけのことだから。
また子守唄が聞こえる。
〜小さな兎が春を迎えに〜
ああ、ミムザが歌っている。
〜おいでおいでと栗鼠たちも〜
ひどく重いからだは眠りを求めているのに、歌声は私に安らぎをもたらさなかった。
うっすらと目を開く。
視界に飛び込んできたのは灰色の天井。
歌声の主を求めて首を傾ける。
きちんと黒衣を着て、木の椅子に腰掛け本をめくるミムザ。
いつものミムザ。
歌っていることをのぞけば。
私と目が合うと、口ずさんでいた歌を止める。
そしてにっこりと微笑んでこう言った。
「起きた?ルーエラ。」
その声は知っている声。
からだにかけられた布団から両手を取り出す。
手首に残るのは幾重もの赤い筋。
なかなかいう事をきかないからだをゆっくりと起こす。
一糸纏わぬままのからだ。
太ももの内側にこびりついたもの。
彼の精液と私の愛液が固まった白い跡。
そして血が渇いて固まった赤褐色の跡。
夢ではなかった。
渇いた口から絞り出すようにかすれた声を出す。
「…ムザ……なた、誰なの?」
ミムザが手にしていた本をパタンと閉じる。
「父を暗殺され、自身も二度殺されかけて、仕方なく修道女の振りをしてここに潜んでる可哀想な少年ってとこかな。」
ミムザがたたまれた黒衣をベッドにふわりと放り投げる。
「君のは破っちゃったから、それ。」
代わりに着ろ、ということなのだろう。
いまだ現実に戻ろうとしないままの頭。
私は渡された黒衣を掴んだまま、動けずにベッドに座り込んだまま。
「私は、どうすればいいの?」
ミムザという偽りの形をした年下の少年は私の問いにさほど考え込む様子もなくあっさりと答える。
「元のようにシスタールーエラとして過ごせばいい。僕は当面ミムザのままだしね。」
椅子の向きを変え、私と向き合う。
「そして時々神に見放された可哀想な少年を慰めにここへ来る。それも修道女の役目だろ?」
神に見放された、それは彼ではなくむしろ自分にあてはまる気がした。
ごそごそと黒衣に腕を通そうとして、さっきまであったはずの十字架がないのに気付く。
「私の、十字架は?」
着替えを見守っていた彼が机の上から銀の鎖を引っ張る。
「ああ、もういらないかと思って。」
鎖を指でくるくると回す。先にある十字架がおもちゃのように弧を描く。
「もっとも、神に祈れるのなら返すけど。純潔でなくなった君が。」
振り回すのをやめ、指から鎖を離れる。
床に落ちた十字架はチャリンと小さな音をたてた。
「さっきシスターヴァーナにお願いしてきた、もちろん筆談だけどね。大切なお友達のシスタールーエラをこれからも塔に寄越して下さい、って。」
彼は立ち上がると半裸の私の横に座る。
そして彼の指が私の唇を伝う。
「莫大な寄付を払ってここにいる僕、親戚にすら見放されここにしか居場所がない君。どっちが優遇されるか一目瞭然だよね。」
そして顔を近付ける。背けようとする私の顔を押さえ、強引に唇を奪う。
「もう逃げられないよ、ルーエラ。」
中途半端に着かけたままのの黒衣はそのままに、私のからだを再びベッドに押し倒す。
だるさの残る腕にも足にも彼を突き放すだけの力はなかった。
偽りがもたらした歪み。
私は気付かなかなかっただけで、もっと前から兆しはあちこちで見え隠れしていたのだろう。
真実など知らぬなら知らないままでいたかった。
けれど時間はもう戻らない。
神の花嫁となったはずだった。
けれど神に誓ったはずの純潔を捧げたのは、牙をむいたまま修道女の群れに紛れ込んだ一人の少年。
灰色の塔13以上です。
これで一応最初の1につながります。
ルーエラ編はあとは締めに入る予定です。
拙い文章ですが読んで下さってる皆様ありがとうございます。
ではよい休日を。
⊂⌒~⊃。Д。)⊃
引き込まれましたワァ。ルーエラ編どう終わるのかが
楽しみです。
同じくただただ圧倒されますた
⊂⌒~⊃。Д。)⊃
ルーエラタンがどうなるのか気になる
つ、続きをキボン!
圧縮が近いそうなんで保守
「いつも悪いわね。よろしくね、シスタールーエラ。」
「はい。シスターヴァーナ。」
託された小包。差出人はミセスカーター。いつもと同じ。
前は月に一、ニ度程度しかなかったミムザへの荷は、ここ一月程は週に一、ニのペースに増えていた。
北風の吹くなか灰色の塔まで移動するのを好む者など
年寄りだらけのこの修道院にいるわけもなく、
ましてやミムザ本人の直々の指名もあり、配達の役目は私が全て担っていた。
シスターヴァーナは仲違いしていた私達が仲直りしたと安心している。
年寄りだらけで自給自足も危ういこの修道院に寄付と言う名の潤いをもたらしてくれる大事な大事な預かりのお嬢様。
そのお嬢様の寂しさを紛らわせてくれる友人の存在に安心している。
灰色の塔にいつもミムザはいる。
配達の役目。それだけならどんなによいことだろう。
荷の山を抜け、奥の階段を重い足取りで一段一段上がっていく。
コンコンと形だけのノックをして、木の扉をあける。
最近ますます蝶番の調子が悪いようで扉がズズーっと床をする。
部屋の主は私の姿を認めるとなんの警戒もない無邪気な笑顔で私を迎え入れる。
「これ、荷物。」
私は手渡し、ミムザが受け取る。
本来なら私の役目はそれで終わるはずなのだ。
だが、違う。
荷を机に預け、ミムザが私の手を取る。
「じゃあ、始めようか?」
彼にしてみれば私の役目はこれからようやく始まるのだ。
ベッドに腰掛けている彼はさっき渡したばかりの手紙を広げて熱心に目を通す。
時々舌打ちをしたり、目をひそめたり。
手紙の内容は彼にとって都合のいいことばかりではないようだ。
彼には帰るべき場所がある。この修道院の外の世界に。
私にはないけれど。
いづれ来る別れの時まで私は彼と罪を重ねる。
行き場がなく下腹部を見ていた目を上に向けると、紙から目をそらし私を見下ろす彼と目が合う。
「手紙、気になるの?止まってるよ、お口が。」
頬を軽く突かれ、私は奉仕と言う名の作業を再開する。
唾液にまみれて、舌にからまれて、彼の股間にある半勃ちのものが少しずつ大きさも硬さも増していく。
私の中を情欲の証でいっぱいにするために。
はじめは目にする事さえ躊躇われた。
手に触れる事すらおぞましかった。
ましてや口に含むことなど考えもしなかった。
だが、彼はそんなこと許さなかった。
乱れたヴェールからはみ出る髪をひっ掴み、
仁王立ちとなって目の前にそれをつきつけた。
「舐めて。」
口をつぐんだまま直視すらできない私。
彼は私の頬にいきり立った自身を押し付ける。せかすように。
赤黒く充血したそれは青ざめた頬よりもわずかに熱を帯びていた。
おずおずと口を開く。
「舌も使って。絶対に歯をたてるなよ。」
私には拒否権などなかった。
妹のような親友のはずだったミムザ。
だが偽りの皮を脱いだ彼は今や専制君主となった。
力で抗っても到底かなわない。
縛られるのも、殴られるのも、苦痛を増やすだけ。
ならば従順にやり過ごすだけのこと。
与え、与えられる快楽の波に溺れていればいい。尽きて果てるまで。
そして今日も君主は私のこころを、私のからだを支配する。
彼の膝の上に子供のように抱きかかえられている私。
乳房を後ろから揉まれ、髪を分けられうなじを舌でつうっと舐められる。
「やらしいねえ、ルーエラは。こんなにびちょびちょにして。」
彼は濡れた下着の上から果肉の割れ目に沿って指を滑らせる。
指の動きにあわせて私のからだがぴくんと痙攣する。
下着の中に侵入した指が蜜壷をかき回し、私の頭は朦朧となる。
彼の指を今か今かと待ちわびてぷっくりと突起していた陰核がこねられると、
私のからだは簡単に絶頂の山を超えていまう。
尻には天を向き硬くなった彼の分身がこつりと当たる。
「…っあ、っはあ、ミムザ…おねがい。」
私は途切れ途切れのやっとの声でミムザに嘆願する。
さらなる情欲の罪を。
「お願いって何を?」
彼は耳もとで囁き、そのまま耳たぶに舌を這わす。
溢れ出た蜜は後ろへと伝いはじめ、彼はそれを不浄の穴に塗りたくる。
「そこは、いや…」
彼はわざと後ろの穴に指をそえ、入らない程度にわずかに指を沈める。
「じゃあ、どこ?どうして欲しいの?」
悪魔の囁きが私を惑わす。
「違う、ところ…お願い、わかるでしょ?挿れて…」
蜜壷の奥底から脳天を突き抜けて、私の女としての本能が泣叫ぶ。彼が欲しいと。
「あら、ルーエラ。またミムザのとこでさぼってたのね。」
シスターエイミが塔に行ったきり、中々帰って来なかった私を咎める。
「すみません。ミムザがおもしろい本を持っていて、つい。」
「そう。でもミムザと仲がいいのも大概になさいね。あの子は所詮預かり。そのうちここを出ていくんですから。」
「はい、シスターエイミ。」
私は真実を語らない。
ミムザの為ではない。私の為だ。
ミムザの罪を語る事。それは私の罪を語ること。
汝姦淫するなかれ。
神に誓ったはずの純潔はとうに失った。
今の私は情欲の虜となった穢らわしい女。
盛りのメスの獣。
もし私の罪が露見したら、私がここを追い出されたら、
街角に立ち春を売る娼婦にでもなるしかないのだろうか?
このからだは知ってしまった。覚えてしまった。感じることを。
そうしたのは彼。彼のからだ。
灰色の塔、そのニ階。
黒衣姿へと戻ったミムザは、情事の間放っていた読みかけの手紙に手を伸ばす。
先に目を通したニ枚は彼にとっては不愉快な内容だった。
(どうして姉上はそんな…)
いくら過保護気味に溺愛する弟の為とはいえ、早まった感のある選択だ。
だが、三枚目にこそ彼の望む結果が書いてあった。
ひらりと落ちる紙。
震える手。
「…っはははっ。やってくれたね。」
自然と笑いがこぼれる。
これで準備は整った。
もうこんなところにこそこそと潜んでいる必要はない。
東が、イゼンダ候がついに動いた―
灰色の塔 14以上です。
あとは締めといいながらまとまらなかった…orz
そういえば女装シスターに犯されるなんて我ながらいいネタだと思って書いてましたが、最近読んだ漫画にもいました。
エロじゃなくて川の下のギャグマンガですが。
あとは普通にシスターの出るマンガって高橋留美子の1ポンドの〜とか位ですかね?
ヒョー!きてた。相変わらずGJです。
政治的陰謀?どうなるのかオラァわくわくしてきたどー
>シスター漫画
セイントテールとか思い出してしまった古い人…
トリブラは漫画じゃなくて小説がもとでしたね。
未だにシスターといえばクロノクルセイド…
いや今回もGJでございます
続きまってました。
もうちょっとルーエラタンが堕ちて行く様を
見たかったりw
保守
ここは切り離された世界。
確かに存在してるのに、皆ありもしないように扱う。
触れたくないのだ。ここは穢れているから。
過去も、現在も。そして未来も。
「ねえ、知ってる?」
彼が私に問いかける。
「ここって昔楽園って呼ばれてたんだって。」
サラサラとペンが走る音。
さっき私が届けたばかりの手紙に返事を書いているのだろう。
最近は届く頻度が倍以上になったミセスカーターからの手紙。
同じ日に、全く違う筆跡のミセスカーターからの手紙が二通あることもある。
ミセスとありながら男っぽい筆跡のものもある。
ミムザがその身を偽っているように、ミセスカーターというのも偽りなのだろう。
「あなたにとってここは楽園なの?」
私は彼の声のする方向を向いて尋ねる。
目隠しをされて横たわる私には彼の姿を確認することができないから。
「僕にとって?馬鹿馬鹿しい。真逆だよ。」
カタン、と椅子が跳ねる音。彼が近付いてくる。
目隠しの布と、両手を拘束する紐以外は一糸纏わぬ姿でベッドに横たわる私の元へ。
「牢屋だよ。ここは。」
ギシっとベッドがたわむ。彼がベッドの端に腰をおろした。
彼の呼吸をより近くで感じながらきゅっと結んだ唇に温かいものが、彼の唇の感触が伝わっていく。
「君はこの暗い暗い牢屋に咲く一輪の花ってとこかな。」
ミシミシっとベッドがたわむ。
彼が全体重をベッドに移した証拠。
「僕が咲かせた花、それを僕が摘み取る。」
外気に曝され、温もりを求めて鳥肌の立っている肌に彼の温かい手が伝う。
胸を這うその手は一番感じるはずの場所は避けて通り、その場所は彼の手による愛撫を求めて存在を主張する。
乳輪のまわりに円を描く指。違う、その先を触って欲しいのに。
焦らされて身をくねらす。彼の指が頂きに触れるように。
だが、指は遠ざかり、かわりに与えられたのは違う感触。
「ひゃんっ!」
くすぐったいような、ふわりと触れるか触れないかの感触。
胸の頂きを右から左に横に通り過ぎたそれは、今度は左から右へと戻ってくる。
「あんっ!」
ふわふわと頂きをくすぐられ、身をよじらせてしまう。
「ふふっ、いい反応だね。」
彼の手ではない何かは腹の上に移動して、臍の窪みにさわさわと触れる。
「ひゃあん!なに、何なの?」
何かが触れる度にぞわっと寒気が走り、からだをくねらせてしまう。
「さあ、何だろうね?」
太ももの内側をつうっと通り抜け、膝の頭をふわふわとかする。
「やめて、やめて、くすぐったいから。」
だが、彼はやめてくれない。
今度は無防備な足の裏に標的を移した。
「ひゃっはっはっはっ!や、やめ、やめて!」
悶えながら必死でからだをよじり、むずがゆい攻撃をやめるよう嘆願する。
こらえきれない笑いのせいで腹の底が痛い。額にはうっすらと汗。
彼の攻撃から逃げようと芋虫のようにぐにぐにとからだをよじる私はさぞや滑稽だろう。
「……はあっはあっ。」
彼のくすぐり攻撃がやっと止んで、私の乱れた呼吸が正常を取り戻していく。
「ふうん、こんなもんか。」
言い放つ彼は新しいおもちゃの性能にいまいち満足しきれない子供のよう。
「お遊びはここまでだね。」
これからまた彼に抱かれる。罪を重ねる。
そう覚悟したものの、彼はそのまま一向に私を求めてこなかった。
くすぐられて敏感になったからだはもっと強い刺激を欲しているのに。
「何も、しないの?」
おそるおそる尋ねる。
部屋の冷えた空気が私の熱を奪っていく。
何もしないのならば解放してほしい。鳥肌たつからだに服を着せてほしい。
くすくすと笑いながら彼は答える。
「それは君次第だね、ルーエラ。何をしてほしいの?」
彼の湿気を含んだ吐息が耳をくすぐる。
「君の望むようにしてあげる。」
この罪は消えない。
あの時私は彼に何を望むべきだったのだろう?
解放?それとも謝罪?
けれど愚かな私の選択はもう覆せない。
楽園の意味を知ったのはミムザが去った後のこと。
かつて私と似た罪を背負った修道女がいたのもその時知った。
灰色の塔。そこは私の希望の場所であるはずだった。
修道院という閉ざされた空間の中で、私はミムザの演じる偽りの友情に簡単に引き寄せられていった。
罠とも知らずに。
牢屋の囚人だったのは彼?
違う。それはきっと私。
私は今も一人この灰色の塔に囚われたまま…
灰色の塔15 以上です。
続けて16行きます。こちらも短めです。
もうここでこうして過ごす時間も残りわずかだから。
最後は君の望むままに―
男を知らないままで一生を終えるはずだった彼女、シスタールーエラ。
だがいくら神の花嫁と呼ばれようが所詮は人の子。
一度ことをなしてしまえば、あとの彼女はえらく従順で、
僕の要求に恥じらったり嫌がったりすることもあれど、大抵は従っていた。
目を閉じない。
声を殺さない。
これは絶対命令。
手で奉仕。口で奉仕。胸で奉仕。
ああ、そういえば彼女は口に出したものを中々飲み込むことができなくて僕を苛つかせた。
自慰。これも覚えさせた。
はじめはされるがままだった彼女。
そんな彼女が今では四つん這いになり、獣のように僕と交わる。
自ら秘唇を指で開き、僕の分身の上にまたがり腰を落とす。
髪を振り乱し、僕の背に爪をたて、絶頂とともに潮を吹く。
所詮は人の子。
一度覚えてしまえばあとは命令せずともからだが勝手に求めるものなのか。
ただ、それを本能と呼ぶか、情欲の罪と呼ぶか、僕は知らない。
「君の望むようにしてあげる。」
それは本心から言った言葉。
もし彼女が手首を縛る紐をほどいてほしいと言えばそうしたし、
目隠しを外してほしいと言えばそうした。
彼女が望むなら奪った黒衣を返し、何もせず塔から帰してもよかった。
今日が最後とは知っていたけれど。
メイア修道院に属する見習い修道女、シスターミムザが存在するのが。
けれど彼女言った。
「抱いて。」
その一言が全て。
あとは感じるままに。
ギシギシと頼りなさげな音をたててきしむベッド。
二人分の体重に古い木製のベッドが悲鳴をあげている。
その傍に落ちる紐と布、そして羽ペン。
さっきまでのおもちゃだ。
額に汗を光らせな、口元にはだらしなくよだれが垂らし、恍惚の表情で言葉にならない喘声をもらすルーエラ。
僕の上に馬乗りになって腰を振っているるルーエラ。
接合部には彼女の愛液だけではなく、僕が一回目に放った精が逆流して滲んでいる。
彼女の腰の上下にあわせて僕の肉茎に膣壁がこすりつけられる。
まとわりつき、からみつき、僕の張り詰めた肉茎をこれでもかと刺激する。
時々腰を突き上げ僕をくわえこんでいる彼女の膣の最奥、子宮の入り口につつく。
手をのばし腰の動きにあわせてぷるぷると揺れる柔らかい乳房を下から持ち上げる。
つまみあげた乳首を痛そうなくらいにつねる。引っ張る。
それでも彼女は感じてしまうようで、彼女の胎内にある僕の一部を締め上げて歓喜の声をもらす。
無理矢理純潔を奪ってから今日まで何度貫いたか、精を放ったか?
神ですら知ることはない、僕だけが知るルーエラ。
この花と別れるのは名残り惜しいが限界は近そうだ。
愛液に濡れ、愛撫に充血した秘唇に指を滑らし、陰核をなぶる。
彼女は挿入時にそこに触られるのに弱いから。
何度の強い締め付けのあと彼女のからだがぴくんと痙攣し、動きがとまる。
彼女が先に絶頂を迎えた。
僕はつながったままのからだを起こし、かわりに彼女をからだを横たえる。
膝を曲げて大きく開いた彼女の足。その付け根でつながる僕と彼女。
パンパンパンパン…腰を打ち付けることによる肉と肉のぶつかりあい。
絶頂を迎えたあとでは与えられる快楽の波に流されるだけの彼女。
とろんとしたままの目は潤み、ぽかんと開かれた唇は紅を塗っているわけでもないのにやけに艶かしかった。
僕の絶頂が近いのは、つながっているからだを通して彼女にも伝わっているのか?
彼女は両腕を僕の背にまわし、両足を僕の腰に回す。囲い込むように。
そして彼女は言った。
「一番奥で出して。」
それが君の望みなら。
僕はただ従うだけ。
白い欲望の印を彼女の最奥、子宮めがけて放つだけ。
その日の夜、僕は珍しく神に祈った。
さあ、さよならの時が来た。
16 以上です。
ちょっとわかりにくかったと思うので補足ですが、15でくすぐりに使ってたのは羽ペンの羽です。
書きかけのルーエラ編が行き詰まり気味なので、次は突然エミリア編になるかもです。
待ち焦がれてました!GJです。
ルーエラタンには幸せになって欲しいけど
ラストがどうなるかテカテカで待ってます。
エミリア編も楽しみです。
GJっ
309 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/09(金) 01:29:58 ID:SnJye2j9
やっと規制が解除されたー(゚∀゚)gjgj!
ルーエラもミムザもなんか切ないッス…
どう終わるのか気になる気になる
やべ、あげちゃった
すんまそん
このスレ、はじめて来たけどこんなすばらしいSSがあったなんて…一気に読ましていただきました。
続きが気になる!
( ゚∀゚)o彡゜ 続き! 続き!
灰色の塔にいる囚われの『お姫様』を支えていたのは、
旅立った『王子様』から送られて来る手紙。
そしてもう一人。
心優しき修道女の存在があった。
さあ、さよならの時がきた。
朝日もまだ登らない暗闇の中。
灰色の塔の二階からは小さな光がもれていた。
ランプを持つ少女の手は寒さに凍えている。
光に照らされる少年の吐く息は白い。
早起きの老修道女ですら眠っているはずのこんな早い時間だ。
もしこの光景をだれかが見たとしても自分は寝ぼけているのかと疑うにちがいない。
なにしろ二人の顔はまるで同じなのだ。
目も、鼻も、口も、耳の形まで。当然瞳の色も、髪の色も。
違いと言えば着ている服装と髪の長さ位だろう。
「いい?」
「ああ、行こう。」
扉に向かう少年が机の手前でふと歩みをとめる。
視線の先には鈍く光る銀の十字架。
「忘れ物?」
「いや、あれは僕のものじゃない。」
ランプの光が遠ざかり、部屋は暗闇に包まれる。
二人分の足音が小さくなっていき、塔は静寂に包まれる。
ミムザが消えた。
「一体どういうことなのです?」
院長室に普段おだやかなシスターヴァーナの怒声が響き渡る。
「ですからミムザが置き手紙を残して消えてしまったのです。」
「それはもう聞きました。ルーエラは?何か聞いてないのですか?」
「ルーエラは貧血を起こして休んでいます。」
「ああ、もう!自分でここを出たのならともかく、もしもの事があったら…」
ヴァーナは差し出された手紙を受け取る。
〜家に帰ります。
詳しい事情は後程使いを送りますので。
ミムザ〜
短すぎる手紙。理由も書いてなければ、感謝の言葉も詫びの言葉も一つもない。
だが、これはミムザの筆跡に間違いない。
ヴァーナが院長になってから、預かりの修道女がいなかったわけではない。
だが、彼女らの多くはきちんと手順を踏んでここを去っていった。
ミムザは訳ありだというのは初めから気付いていた。
ヴァーナは院長という立場上、外の人間に知人も多いし、世情にも詳しい。
ミムザが名乗ったカーターと言うのは偽名だと分かっていたし、
ここに来た時期から素性に見当はつけていた。
メイア修道院は中央教会よりの組織。そして今中央教会はバズ家と深いつながりがある。
ヴァーナの読みが正しければ、ミムザはバズの政敵の娘。
だが、ヴァーナはミムザを受け入れた。
多額の寄付だけが理由ではない。
ミムザを保護することで、この国の行く末が変わるかもしれないと感じたからだ。
なのにミムザは消えてしまった。
王の選定まであと一月と迫ったこの大事な時期に。
「塔は荒れた形跡はなかったですし、やっぱりミムザが自分で出ていったのでは?」
「だといいのですが……」
使者と名乗る初老の男がヴァーナの元を訪れたのはそれから数日後のことだった。
テイウェンの都では王宮についで美しいと言われた本邸は何物かによって放たれた炎で失われたと聞く。
仮住まいとはいえ、炎をかろうじて逃れた豪華な調度品がところ狭しと並べられたこの邸は
普段慣れた修道院と比べると天と地のように違う。
ヴァーナはこの部屋に通されたものの、かれこれ半刻は待たされていた。
この家の主の名はユージェレン=カインフォルタ。
五公家が一つ、カインフォルタ家の若き当主。まだ15になったばかりと聞く。
そして、彼の姉に当たるのがケイティア=カインフォルタ。
ヴァーナに使者を送った人物だ。
「お待たせしました、シスターヴァーナ。」
扉を開けて入ってきた人物は三人。
一人は初めて会う栗毛の青年。
そして、黄金色の巻き髪の少年と、同じく黄金色の髪に花飾りをあつらえた少女。
そのどちらもヴァーナの知る顔。
彼等は二人とも、シスターミムザと同じ顔をしていた。
隣り合って腰掛けるあまりにそっくりな二人を見てヴァーナが尋ねる。
「双児…なのですか?」
その台詞に姉弟は顔を見合わせてくすくすと笑う。
「残念ながら、僕達は一つ違いです。」
壁にもたれていた栗毛の青年が口を開く。
「さて、本題に入りましょうか。」
「あのような形で修道院を出たことに関して、本当に申し訳ないと思っております。」
口がきけないはずのミムザ、いやケイティアが流暢に口をきく。
「私達は、父、マルベレン=カインフォルタを亡くして以来、家を焼かれ、弟は二度も殺されそうになりました。」
「姉上も何度かさらわれかけました。犯人は目星がついてますが。」
「それで、後ろ楯を求めて、ユージェレンは東領に。ケイティアは修道院に逃込んだんだよね。」
栗毛の男が口を挟むと少年は訝し気に青年を睨む。
「ではミムザ、いえ、ケイティア様、何故あんな失踪まがいの消え方を?」
「それは……」
少女が答えにつまって黙りこむと、変わりに答えたのは青年の方だった。
「ユージェレンが戻ってきたからさ。僕と一緒にね。」
青年は壁から身を起こすとヴァーナに向かって一礼する。
「御紹介が遅れましたね、シスターヴァーナ。私の名はミウス。東侯ウィリナール=イゼンダの長男です。」
「では、東侯はカインフォルタ支持に?」
「そういうことになるかな。父上は気紛れだから直前になって変えるかもしれないけどね。」
青年がちゃかすように言うと、少年がぴくりと眉を上げた。
「理由はなんでもいいんです。僕らは今ここであなたとお話する必要があった。僕らカインフォルタの未来の為に。」
「つまり私を外に引っぱりだしたかったと。そのための失踪劇なのですか?私はただの修道女。ケイティア様を修道女として匿うことはできても、外であなた方のお役にたてることは何もないはずですが。」
ヴァーナの言葉に少年がくすくすと笑う。
「ただの修道女。本当に御自分のことをそうお思いですか?」
自分の人生の半分も生きていない少年がヴァーナを見透かしたような目で見る。
「何を、おっしゃりたいのです?」
少年は足を組み換える。
「僕らはあなたにお願いがあってこちらにお出で頂いたのです。」
お願い。脅迫めいた瞳で少年は言った。
「簡単なことです。中央教会のリシャム司教。彼にカインフォルタに票を入れるように働きかけてほしいのです。」
「そんな無茶な…どうして私がそんなことを?それに中央教会はバズ家を…」
「ええ、今のところ司教はバズ支持だ。けれどあなたにはできるでしょう?司教の心を変えることを。」
少年の碧の瞳はまっすぐヴァーナの瞳を見据える。
「だって彼はあなたの上客だったんでしょう?」
少年の言葉にヴァーナの翡翠色の瞳がいっぱいに開かれる。
「な、何をおっしゃってるんですか?」
ヴァーナ自身は気付いていなかったが、そのからだはかたかたと震えていた。
「それと、オーグスの票もこちらにまわして下さい。今のオーグスの当主は分家の出身。当主の座についたのはあなたの推薦があったからだと聞いてます。」
少女はかたかた震えるヴァーナを心配そうに見つめる。
だが、同じ顔をした少年は少しも悪びれた様子もなく、とどめの一言を放った。
「簡単なことでしょう?シスターヴァーナ。いえ、エミリア=オーグス。」
ミムザが消えた。
「ちょっとルーエラ、いつまでここにいるの?」
シスターエイミが私を呼ぶ。
ミムザが塔に残した荷物の整理はほとんど終わった。
ミムザがよく読んでいた高そうな書物はそのまま残り、
あれだけ届けたはずのミセスカーターからの手紙は一通も残されていなかった。
残された荷物からミムザの正体を探る手がかりとなるようなものは出て来なかった。
「ここには長くいるけどこんな風にいなくなる預かりの娘は初めてだよ。」
縛った本を抱えたシスタースウが言う。
「まあ、シスターヴァーナの話だと、ちゃんと自分の意志で出てったみたいだしねえ。」
「あら、これもミムザのかしら?」
シスターレムが見つけたもの。それは埃をかぶった銀の十字架。
あの日、神の花嫁たる資格を失ったあの日にミムザに奪われた私のものだ。
「置いてくってことはいらないってことよね。」
「色々感心できないわね。ミムザの行動は。」
十字架を取りかえそう、とは思えなかった。
ミムザの言葉が頭の中で蘇る、
『神に祈れるのなら返すけど。』
『純潔じゃなくなった君が。』
そう、私はもう神の花嫁ではないのだ。
けれど神のかわりにこのからだを捧げた彼は、もういない。
彼は灰色の塔と言う名の牢獄を飛び出して外の世界へ帰ってしまった。
私のからだに情欲の罪だけを刻みつけて。
ならば私はどうすればいい?
一人残された私は?
「スウ、塔の様子は?」
「ダメだね、あれは。意地でもあそこを離れようとしない。」
「シスターヴァーナはこの頃お忙しいし、一体どうすればいいのか…はあ。」
シスターレムがため息をついた。
「ミムザと仲が良かったのはわかるけど、あそこで待ってたってミムザが帰って来るわけでもないのにね。」
「それと…言いにくいのだけど……」
「何だい?」
修道女は皺だらけの顔を赤らめて、ぽそぽそと白状する。
「ルーエラ、前は食事を運んでも吐いてばっかりであまり食べなかったでしょう?」
「ああ、あれには困ったもんだった。」
「最近やっと治ったと思ったんだけどね、その…」
「だから何だい?はっきり言っておくれ。」
スウはいらいらと答えを急かした。
「お腹が、出てきたんじゃないかって。その、エイミが言ってて。」
「腹?仕事もしないで塔にこもってるんだから太ったんじゃ…」
あることに気付いたスウが顔色を変える。スウの顔を見て、レムがうなずく。
「ええ、ありえないことなのよ。だってここは修道女しかいないんだから。」
〜森の泉で小さな兎が春を迎えに
おいでおいでと栗鼠たちも〜
この頃やけに眠い。
いっそ眠ったまま目が覚めなければいいのに。
なんど目が覚めても彼はいない。
なんどからだが疼こうとも、彼はいない。
最近、神は私に罰を与えた。
日に日に膨らむこの腹。
きっとこの腹はそのうち弾け飛ぶか、何か得体の知れないものが喰い破って出て来るに違いない。
これが私の罰。
ならば彼は、ミムザはどんな罰を受けたのだろうか?
私には知る由がない。
だってミムザは消えてしまったから。
時折思う。彼は初めから私を堕落させるのが目的の悪魔だったんじゃないかと。
悪魔ならば罪だの罰だのは通用しない。ならば私が願うことは一つ。
どうぞ祝福を―
灰色の塔17 以上です。
次がエミリア編で終章になる予定です。
話の展開上まるまるハッピーエンドという風にはいきませんが、
ルーエラ含め多少救いのある方向に持ってきたいと思ってます。
ヤター!待ち焦がれていましたYO
エロイだけでなく政治的な話も絡み合って目が離せないです。
ラストもどうなるか今からテカテカで待ってます。
ルーエラタンやっぱり…出来れば皆幸せになることを祈ってます。
保守代わりに、エロではないが……
「あっ、あんなところに!シスター!!」
「……」
「シスター!修道院を、資産丸ごと売ってしまったというのは本当なんですか!?」
「……あなたたち、知ってたの…本当よ。何もかも売ってしまったわ」
「そんな!これから私たち、どうすればいいんですか!」
「どうするもこうするもないでしょう。自分の人生なんだから、好きなように生きなさい」
「嘘なんでしょう?修道院なんですよ、そんな簡単に売れるわけがないじゃないですか!」
「何度聞いても同じよ。私、つくづく疲れちゃったのよ。教会も修道院も、お金儲け主義のこの世界に」
「……みんな、大丈夫よ。シスターは禁治産者だってことにすれば、売買は無効になるわ」
「それはだめ。肉体も精神も異常はないわ。お医者様から診断書も取ってある。
もうあなたたちがどれだけあがいても、法律的に動かないようにしてあるのよ……ぐはっ!!」
「あんたなんか……あんたなんか死んでしまえ!!」
「……それでもまだ、資産を取り戻す方法は一つだけあるわ」
「何ですそれ?どうするんですか?」
「売却先との取り決めで、全ての手続きが終わるまでに、私が不慮の事故で死亡した場合は、手続きは中断する」
「あんた一体……?」
「私たちを犯罪者にする気なんですか!?」
「まさか、あなたたちがそんなことをするとは思ってないわ。絶対にそうだと信じればこそ、決めたことだから……ぐううっ!!」
「本当にそうかどうか、証明してやる!」
「うぎぎぎっ……」
「ちょ、ちょっと、何をバカなまねを……」
「……大丈夫よ、シスターは自殺したのよ……首つり自殺を……」
「そ、そうよ、じ、自殺したのよ。シスターがいけないのよ」
……これでいいんだわ……これが裁きです……神父様……今、そちらへ参ります……
「………や、やめてー!!」
「!?」
「目を覚ましてみんな!!私たちが何をしようとしてるか、わかってるの!?何なの、私たちは!?」
「…………うっ……わ、私は……なんてことを……」
「……くはあ、はあ、はあ……」
……神父様、申し訳ありません……結局、自らに裁きをつけることはできませんでした……
何これ?
灰色の塔投下します。
終章は上中下の三つに分かれます。
今回投下の上はエロなしです。
朝。部屋をまわり、寝ぼけ眼の子供達を起こし、着替えを手伝い、朝食の席につかせる。
「ふえーーん!」
「ああっ、レノアがまたおもらししてるー!」
「おやおや、またかい?レノアはいつまでたってもおねしょばっかだねえ。」
こんな光景もあれば、
「サンディーがぼくのくつしたかくしたー!」
「ちがうよー、ジェオがやったんだって。」
「おやまあ。駄目じゃない、ジェオ。次やったら三日間おやつ抜きよ。」
こんな光景もある。
一方大人用の大きい椅子に混じり、子供用の小さい椅子の並ぶ食堂では、
「シャリーがピーマンのこしてるよ。」
「だってにがいんだもん。ハノンだってにんじんのこしてるよ。」
「好き嫌いはだめですよ。いっぱい食べて大きくならなきゃ。」
こんなやりとりが聞こえる。
リヴェスタール王家の血筋が絶え、建国以来初となる五公家出身の王の即位から数年。
正門にかかげられた錆びた表札はそのままなのに、
ここ、メイア修道院をその名で呼ぶものは今はもうほとんどいない。
メイア孤児院。それが現在の通称だ。
改革―
たった数年ながらも新王がもたらしたこの国の変化はそう呼ぶにふさわしい。
若く、凛々しい王に、古き体制に辟易してた民は大きな期待をよせ、王はそれに応えることとなる。
成人前の年若い王には摂政がつくのが通例。
だが王はそれを拒み、自らの手でこの国の腐った部分を切り落としはじめた。
税制も大きく変わり、力なき庶民の負担は軽減され、
この国の長き歴史の中で必要以上に力を持ち過ぎた貴族達は身をそがれることとなる。
古臭い形ばかりの元老院は廃止され、他国にならって選挙とかいうものも取り入れるらしい。
無駄に国の金を喰らう教会及び聖職者達の権力は大きく削られた。
中央教会もその例にもれず、そこに属するメイア修道院も存続の形を大きく変えられることとなる。
その結果が、『孤児院』である。
さて、新王の即位からほどなくして院長であったシスターヴァーナが体調を崩しがちとなり、今ではその職務の大半を私、シスターエイミが代行している。
修道院から孤児院へと名も役割も変えられた今、年老いた修道女達が祈りながら静かに暮らす日々は終わり、
下は赤ん坊から上は13まで、親を無くしながらも希望を失わず元気に駆け回る子供達に振り回され、
慣れぬ子育てに悪戦苦闘の日々が続いている。
修道女達は私を含め子育てなど全くの未経験のものが大半を占める。
皆はじめは手間取ることばかりだったが、無邪気な子供というにはこちらに活力を与えてくれるもので、今では皆すっかり子供達を生き甲斐にしているようだ。
もっとも、ここが孤児院となったのはある理由があるからなのだが、今は触れないでおこう。
バタバタバタ。大きな足音が廊下に響き渡る。
廊下を走っては駄目とあれだけ言い聞かせているはずのなのに。
ゴンゴンゴンと乱暴に太鼓を叩くかのような複数のノックの音が重なる。
「どうぞ。」
かちゃりとノブをまわし、姿を見せたのはわんぱく坊主たち。
「シスターエイミ、おきゃくさまだよー!」
「おきゃくさまおきゃくさまー!」
「あら、教えてくれたのね、ありがとう。ジェオにバート。でも廊下は走っちゃ駄目よ。」
「はーい。またねー。」
「ばいばーい。」
子供たちはまた元気に廊下を走っていく。まったくもう、また廊下に傷が増える。
扉の前に残されたのは一人の貴婦人。黄金色の巻き髪に瞳と同じ碧のリボンが良く似合う。
「こんにちわ、シスターエイミ。」
優し気に微笑む彼女はかつてここにいたことのあり、今ではここの有力な支援者の一人。
「あら、珍しいこと。テイウェンにはいつ戻って来たの?ケイティア様。」
「一昨日よ。主人と一緒に一月ほど滞在予定なの。」
かつては『預かり』として、他の修道女達とは異なる少し特殊な形でメイア修道院に身を置いていたシスターミムザ。
その正体が五公家が一つ、カインフォルタ家の遺児であったことは新王の即位と前後して知った。
唖の振りをして、特定の修道女以外との交流を避けていたミムザとは異なり、
本来のケイティア様はおしゃべり好きな人懐っこい朗らかな方だ。
子供達がトランポリンのようにジャンプして遊ぶから、バネは飛び出し、布にもほころびの目立つソファ。
ドレスを傷つけない様に場所を選びながら腰掛ける彼女。
私が対面して座ると、朗らかな表情は曇り、重い口を開く。
「あの、彼女の様子は…?」
「ええ、最近は落ち着いてるわ。本を読んだり、刺繍をしたり。」
「そうですか。塔の外には?」
「まだ難しいかと。修道女以外が近寄るのを拒みますから……。そういえばシャリーには?」
「さっき、庭で遊んでいるところを。あの子は、まだ知らないんですよね。」
「真実を教えようにも、多分まだ理解できないでしょう。あの子はまだ幼い。」
窓の外を眺める。
地面にいくつもの輪を描いて、飛び跳ねて遊ぶ子供達。
その中の一人、黒髪に碧の瞳の女の子。ピーマンの嫌いなシャリー。
ここ、メイア孤児院の子供達の最古参である。
孤児院に来る子供は、皆なんらかの不幸や事情があってここに来た。
だが、シャリーに関しては少々事情が違う。
シャリーは孤児としてここに「来た」のではない。
シャリーはここで産声をあげ、ここで名を与えられ、ここで育った。
一度も彼女を抱いたことのない母が、同じ敷地内に生きて暮らしていることも知らずに。
灰色の塔にいつも彼女はいる。
月がのぼりはじめたばかりの夜のひととき。
普通の家庭なら暖かい暖炉の前、家族が集まって談笑する時間。
でもここでは子供達は早々とベッドに寝かし付けられる。
「ねえ、知ってる?灰色のとうのこと。」
「しってるよ、シスタースウにきいたもん。あそこにはびょおきの人がいるから入っちゃだめだって。」
「こわいびょーきなのかな?」
大人用の大きなベッドから三つ並んで顔をのぞかせこそこそと話あう子供たち。
「ほんとうにびょうきの人がいるのかな?」
「スウははちみつが大好きだからあそこにいっぱいかくしてるのかも。いつもちょっとしかくれないし。」
「ええーシスタースウずるーい。わたしもはちみつすきなのに。」
子供達は皆甘いものが大好き。
でも、シスタースウは虫歯になると言って咳のある時以外は滅多に蜂蜜を舐めさせてくれない。
「ねえ、とうにたんけんしにいこうよ。」
「だめだよ。みつかったらおこられるよ。」
「だいじょうぶだよ、びょおきの人のおみまいにきたっていえばいいいじゃない。」
ベッドの中で練られた灰色の塔探険計画。
それがある事件を引き起こすことになる事を子供達は知る由もない。
診察を終え、険しい顔をして医師が部屋を出てきた。
「先生、シスターヴァーナの容態は?」
「できる限りのことはしましたが……今夜あたりが山かもしれません。」
「そんな!」
医師の言葉に私はがっくりと肩を落としてしまう。
ここ数年寝こむ事が多くなったヴァーナ。
今回も数日前はただの風邪だったのが、こじらせて肺炎となってしまった。
その熱が一向にひかず、ここニ、三日は意識も朦朧としているようだ。
「シスターヴァーナの御親族は?」
「詳しいことは知らないのですが、御両親も、御兄弟もほとんど他界されてるとしか。」
医師も私もやりきれないため息をつく。
「薬は言った通りの分量で。なにかあったら知らせを。」
医師に礼を言い、院長室に戻る私にどたばたといつもの子供達の足音が近付いて来る。
(ヴァーナが危険な状態だというのに、全く…)
小言を言うつもりで口を開きかけたが、ジェオの一言がそれを遮る。
「シスターエイミ、たいへんだよ!」
「灰色の塔には決して近付いては行けない。」
「塔には重い病気の人がいる。」
あれだけ口を酸っぱくして言ったはずなのに、また子供達は悪戯心で塔に入ってしまう。
ベルもやらかしたし、レノアもだ。
その度にきつく言ってきたのに、今回は三人、ハノンにシャリーにアンナ。
(彼女に見つかる前に三人を連れ戻さないと。)
レノアは彼女の姿を見はしなかったが、幽霊の泣き声を聞いたと言って怯えていた。思えば治りかけてたレノアのおねしょ癖はあれ以来悪化した。
一方彼女に遭ってしまったベルは、しばらく庭に出るのすら怖がり、今でも塔の傍には近寄らない。
院で一番の悪戯っ子のジェオが塔には手を出さないのは仲良しのベルから話を聞いているからだろう。
三人が塔に忍び込むのをたまたま見たジェオは、急いで私に知らせにきてくれた。
(最近はせっかく落ち着いてたのに。)
彼女が症状を悪化させる原因となるものは二つある。
男と、子供。
診察に来る医師すらも恐怖の対象とし物を投げ、無邪気な子供を悪魔とののしる。
(彼女にはち合わせしないといいのだけど…)
灰色の塔、その入り口の扉は半開きになったまま。
芋の転がる一階の貯蔵庫には何かを探して荒らしたあと。
「ハノン、シャリー、アンナ、いるの?」
三人の名を呼ぶと、樽の傍でがさっと蠢く音がする。
目をこらせば樽の影に頭を抱えて座り込むアンナの姿。
「アンナ、見つけたわよ。」
後ろから声をかけるとアンナはおそるおそる振り返る。
「ごめんなさい…シスターエイミ。」
怒られると思ったのだろう、アンナは目にいっぱいに涙をためていた。
「ここには入ってはだめと言ったでしょう?シャリーとハノンは?」
しゃくりあげるアンナが指差す方向には積み上げられた麻袋の山。
その山の後ろにはハノンが身を小さく縮めて潜んでいた。
「ハノン、かくれんぼは終わりよ。」
声をかけると、ハノンも立ち上がり、アンナと同じく詫びを請うような目で私を見上げる。
「おこってる?エイミ。」
「ええ。怒ってるわ。今日は三人ともおやつ抜きよ。あとはシャリーね。どこに隠れてるのかしら?」
ハノンもアンナも知らないと言う。シャリーが鬼の番だから、と。
はじめ三人は蜂蜜があると思って忍び込んだらしい。
だが目的の物は見つからず(そもそもスウはここに蜂蜜を置いていない)、途中からかくれんぼをして遊んでいたようだ。
あちこち捜しまわったが、一階にはシャリーの姿はなかった。
先に二人を母屋に帰し、私は一人で二階へ向かう。
コンコン、と形だけノックをして木の扉を開く。
部屋の主は揺りいすに腰掛けすやすやとうたたねをしていた。
どうやら侵入してきた三人は遭遇せずにすんだようだ。
灰色の塔、その二階の一室。ここだけ、彼女だけは時間を止めたまま。
彼女はここが修道院から孤児院へと名を変えたことすらわかっていないのだ。
私は寝ている彼女を起こさぬよう、静かに扉を閉めた。
困ったことに他のどの部屋にも隠れているシャリーを見つけられず、
母屋に戻った可能性を考え私は一度塔を出た。
仮にシャリーが塔に潜んだままだとしても飽きれば戻ってくるだろう。
それにヴァーナの容態も心配だった。
だが、おやつの時間になっても夕食の時間になってもシャリーは一向に戻らず、
確認のため塔に向かったシスターレムもシャリーを見つけられなかった。
私はヴァーナに付き添い、それ以外の修道女が総出でシャリーを探す。
修道院から孤児院と名を変えてから、ここへの人の出入りは前より確実に多くなっている。
サンディーはここに来たての頃、出入りの業者の馬車に忍び込んで家出をしかけた。
レノアも牛乳屋の後ろについて院を勝手に出てしまい、迷子になっていたところを肉屋に送り届けられたこともある。
子供達の行動範囲は狭そうに見えて、大人の想像以上に広いものなのだ。
丁度経営難に陥っていた一修道女だった時代から、教会同士の派閥争いの時代を経て、院長へ。
長年メイア修道院を支えてきたシスターヴァーナ。
そのヴァーナの熱は薬が効かないのか、なかなか下がらない。
ベッドの横には病状を心配した子供達が摘んできた小さな花が飾られている。
「……レド…」
時折うわ言で誰かの名を呼んでいる。
だが、私はその名の主を知らないし、その人物にヴァーナの危篤を教える手立てもなかった。
月が天高く上りきってもシャリーは見つからなかった。
孤児院の孤児が一人行方不明。
おそらくこの街の、都の、国中の人々にとってさほど問題ではない小さな事件。
真実を知らぬ人々にとっては。
シスターヴァーナとシスタースウ、そして私。
院内で真実を知るものはこの三人しかいない。
私は悩んだ末、ケイティア様の元へ早馬を出した。
〜シャリティアが行方不明。
そう手紙を添えて。
終章 上 以上です。
中が少し長めになる予定です。また近い内にお邪魔します。
続きktkr
先が気になる展開ですね
うーん、先が気になる
私が5歳の時、一つ違いの弟ができた。
うちに来たばかりの頃の彼は、自分を捨てた実の母を恋しがっては泣いていた。
誰に対しても人見知りをする子なのに、私には何故かはじめから懐いてくれた。
髪の色も瞳の色も同じ。目の形も鼻の形も同じ。
自分と良く似た容姿の私に安心感を抱いたのだろうか。
当主としては有能でも、あまり家庭におさまるタイプではない父。
夫と妹の不貞を知ってしまって以来心もからだも壊してしまった母。
姉上、姉上、と無邪気に後ろをついてまわる弟。
愛情の薄れかけた家族の中で私は本能的に可哀想な弟に愛情を注ぐことを覚えた。
私が9歳の時、母が死んだ。
一時は良くなったものの、母は病状は再び悪化し、遊び好きの父はその頃どこぞの夫人との浮気に情熱をそそいでいた。
生みの母は私の叔母。育ての母は私の母。
そんな事情から、弟は私の母を母と呼ぶことができいままだった。
私の発案で、母の誕生祝いのため二人でに庭の花を摘み、絵を描いた。
そして二人で手をつなぎ、母の部屋に見舞いに行った。
大切な母と大切な弟。互いが歩み寄るきっかけになることを願って。
私達のプレゼントを受け取るためにベッドから身を起こし、
良く似た私達の顔を生気の乏しい目でぼんやりと見つめる寝巻き姿の母。
弟はぎゅっと私の手を握り、顔を真っ赤にし、長いこと言うことのできなかった一言を口にした。
その日の晩、母はどこから手に入れたのか隠し持っていた毒を煽った。
私達姉弟が母の死の真相を知ったのはもっと後のこと。
幼い私達は母の死を病死と伝えられ、それを信じた。
父なりに母の死はこたえたのだろう。
父は前よりも私達姉弟と家族として過ごす時間が増えた。
とはいえ女遊びは減っただけですっぱりやめたわけではなく、遊び好きもあまり変わらなかったが。
親戚がいくらすすめても父は再婚を拒んだため、
後ろ指を指される存在だった弟は時期当主として一族に認識されるようになっていった。
可哀想な弟が心に闇を秘めはじめたのはいつからなのか。
私は知らない。
私が14歳の時、父が死んだ。
幼い頃は遊び人だとばかり思っていた父だが、他からの評価は高かった。
父はとにかく、顔が広かった。
富豪であれ、貧民であれ、神父であれ、異教徒であれ、父には至る所に知人がいた。
その人脈を活かし、他国との商談を積極的に押し進め、古くからの家業の一つでありながら低迷気味だった貿易業を盛りかえしたという実績は大きい。
音楽、絵画、文学、様々なものを愛する父は、新鋭の芸術家の援助にも積極的だった。
貴族制度や王政そのものを批判するような思想家達とも交友があったと聞く。
空席のままの王座に父が最有力と言われたのもこういった理由があったからだ。
その父が持った最後の愛人。ミス・ワーフ。
彼女は私達姉弟の家庭教師だった。
とびきり器量のいい女性とは思えなかった。地味な女だと思った。
それなのに、弟に微笑みかける彼女をみて何故か嫌悪感を感じた。
でも私の直感ははずれてなかった。
地味な外見をカモフラージュに、彼女は全身武装していたから。
女の性をいっぱいに匂わせて。
父も、弟も、私が気付いてないと思っていただろう。
でもあの女は隠しもしなかった。父との情事をわざと私に見せつけように、聞かせるように隙を作っていた。
そして平然と言い放った。
「私はこの家の使用人。ならばこの家の主人をお慰めするのも命令あれば仕事のうち。一体誰が咎めましょう?」
父の部屋に充満し、隣の書斎にまで流れてくる蜜の匂い。
鼻につきまとう甘ったるい嫌な香り。
あの女はそれをそそり立つ陰茎に塗りたくり、それを美味しそうに咥えていた。菓子を喜ぶ子供のように。
己の乳房に垂らし、それを舐め取らせていた。腹を空かせた赤児のように。
あの日見てしまった光景。
彼女の手管に恍惚の表情を見せていたのは父ではなかった。
自分同様性への目覚めなど無縁とばかり思っていた弟の姿がそこにあった。
悲劇のはじまりは突然。
私達家族は皆彼女の魔性に気付きながら、誰もとめる事ができなかった。
「ユージェ……?」
立ちすくむ弟。その目は一点を見つめたまま。私が声をかけても振り返りもしなかった。
足下には赤黒い染み。蜜の匂いなんかじゃない。錆びた鉄の匂い。
血まみれになって倒れる父がそこにいた。
そして私達姉弟の別離があり、再会があった。
私が17の時、弟は王となった。
そしてほどなくして、弟の潜伏生活において最も親しくしていたという女性が新しい命を産み落とした。
「僕の子供だろうね。」
事実関係を訪ねる私に弟はそう言ったが、引き取る気はないらしかった。
もっとも今の彼がそんな事できるわけないのだが。
一方事の重大さに女性は心を病んでしまった。私の母のように。
彼女は赤児の存在を認めなかった。認められなかった。
彼女は神の花嫁たる修道女だったから。
赤ん坊は元気な女の子で、私がシャリティアと名付けた。
カインフォルタ家の娘は皆ティアの名を持つから。
シャリティアのため、かつて修道院だったそこは孤児院となった。
皆にシャリーと呼ばれる黒髪に碧の瞳の女の子は他の孤児同様に親のいない子供として育つこととなる。
可哀想な弟は二人の女性の運命を変えたのが彼の心の闇であることをわかろうとしない。
いくら厳重な警備であろうとも、私には通用しない。
なにしろ私はこの宮殿の主と同じ顔なのだから。
衛兵は猛進して来る私の姿に首をかしげはするものの、すんなり目的地まで通してしまう。
「……ひゃん……うふふ……」
ギシギシ言っているにはベッドのきしむ音だろう。
扉を通してかすかに女の喘ぎ声が漏れてきているが、彼のベッドに誰がいようが今は問題ではない。
バーン!乱暴に扉を開け放つ。
「……?きゃー!」
真っ暗な部屋のなか、突然の来客に全裸の女性が声をあげる。
馬乗りになって腰を振っていた反動で大ぶりな乳房をぷるんと揺らし、女がぽすっと腰を落とす。
身内の情事など想像したくはないが、騎乗位で交わっていたのだろう。
女は恥ずかしそうにシーツ端で体を隠すも、ほとんどかくしきれてない。
だが、私の顔を見ると、ベッドに横たわる主と見比べて首をきょろきょろ動かす。
「あれ、陛下?でも、あれ?」
私の顔を認め、女の尻に手を這わせていた部屋の主がゆっくりとからだを起こす。
「やあ、姉上。こんな時間に一体何ですか?」
人払いした寝室に、蝋燭の火が灯る。
「お愉しみ中のところだったのに、悪いわね。」
皮肉たっぷりに言うも、弟はとくに恥じらう様子もない。
はだけたガウンからのぞく胸元には先程の女がつけたであろう赤いしるしが散る。
「それで、御用件は?」
赤いしるしにとらわれていた思考を切り替え、私は一通の手紙を取り出す。
「さっき届いたの。メイア修道院からよ。」
「ああ、そういえばシスターヴァーナがこのところ寝込んでいるそうだか……」
書面に目を通していた弟の声が止まる。
私はまっすぐに弟を見る。
「シャリーがいなくなった。あの子の素性を知っているのは数える程の人間しかいないはずなのに。」
紙の上で止まっていた彼の目線が私とぶつかる。
「誰かが口を割れば、洩れる可能性はある。最近西の奴らのよからぬ企みの噂もあるし。」
弟はため息をつき、テーブルに肘をつき手を交差させその上に顎をのせる。
あくまで冷静に、腰掛けたままだ。
私はわなわなと込み上げてくる怒りにまかせて勢いよく立ち上がる。
「まさか何もしない気なの?」
私を見上げる眼差しは冷静なまま。
「ここで僕が動けば敵の思惑を肯定することになる。あの子は僕の子供だと。」
「でも、ほっといたら何をされるか?あなたはお父様や自分がされた事を覚えてないの?」
家庭教師を名乗る刺客に殺された父。
毒を盛られて死にかけた弟。
火を放たれ失われた屋敷。
古い記憶の傷跡が蘇る。
「そもそもいなくなっただけで誘拐と決まったわけじゃない。仮にそうだったとしても、僕が認めなければいいだけのこと。今は西に弱味を…」
言葉を遮りバシッと渇いた音が鳴り響く。
弟の左の頬がみるみる赤く染まっていく。
弟はあっけにとられたまま、しばらく言葉を失っていた。
「弱味?シャリーはあなたの駒じゃないわ。生きた人間なのよ。血を分けた娘によくもそんなことを!」
もう一度殴ってやろうと右手をふりかざした瞬間に手を掴まれた。
痛そうに頬をさすりながら弟が言う。
「久しぶりだね、姉上にビンタされるのは。あの時以来だ…」
あの時。そう、あの時。
父の亡骸を前にほうけてる弟を正気に戻すために思いっきり叩いた。
「いつまでたってもあなたがわかろうとしないなら、何回でもぶつわよ!」
手を振りほどこうと抵抗しながら私は叫ぶ。
暴れる私を必死で押さえながら、あきらめたように弟は言った。
「わかった、姉上。落ち着いて。」
「わかったって、どうするつもりなの?」
じたばた暴れる私のせいで、弟のガウンははだけて今にもずり落ちそうだ。
股間では先程の情事を中断されて達することのできなかった一物がぷらぷらと揺れている。
「行くよ、メイア修道院へ。いや今は孤児院か。」
やっと抵抗をやめた私に弟がささやく。
「ただし……」
「えっ?」
今度は私があっけにとられる番。
そんな私の了承を待たずに、弟はさっさと着替えを始めてしまった。
月はまだ高い。
終章 中 以上です。
はじめ考えていた話が長過ぎたので変えたらエロがおろそかに…
下の完成次第またお邪魔します。
お疲れ様です。
一時的に解除されたからヤット書き込めるワァ
相変わらず面白いですね。
次でラストですか…終わってしまうのが勿体無いです。
全裸で待ってます。
次で最後でしょうか…。楽しみです。
今日あたり最終回くるかな?
どきどきしつつ待つか。
「ねえ、ハノン、こっちはおいもばっかりだよー。」
「けほっ、けほっ、けほっ、くしゅん!」
「シャリー、そっちはあった?」
小さな女の子達は宝探しの真っ最中。
闇雲に麻袋を開けてみたり、樽をのぞきこんだり、粉だらけになったり。
「はちみつないのかなー。」
一人があきらめたように言い、二人もがっくりと肩を落とす。
「じゃあ、あそぼうよ。」
一人がそう言うと、二人は目を輝かせてうなずく。
「なにしてあそぶ?」
「かくれんぼがいい!」
「じゃあおにをきめよっか。いい?じゃーんけーんぽん!」
子供達はくすくす笑いながら思い思いの場所に散っていく。
鬼が何回か交替し、シャリーの番となった。
シャリーは壁をむき、目を閉じてゆっくりと数える。
「……しーち、はーち、きゅーう、じゅーう!」
ここ、灰色の塔の二階は薄暗い一階と異なり、窓から日が差し込んでいて明るい。
すぐに見つけてしまうとおもしろくないからと、隠れるのは一階、鬼は二階で10数えてから探すというルールにした。
カタン―
背後から聞こえたかすかな物音に、シャリーは振り返る。
(ニかいはだめってきめたのに。ずるしたのかな?)
廊下を進み、木の扉のノブに手をかける。
(あっ。ここがびょーきの人のおへやなのかな?)
一度手を引っ込める。
(そうだ。おみまいだ!シスターヴァーナだっておみまいにいくとよろこぶもん。)
部屋に入るもっともな口実を見つけ、シャリーはノブを回した。
ギィーっと古めかしい音をたて、扉が開く。
シャリーの想像とは異なり部屋にはたくさんの棚や木箱が並んでいるくらいで、病人はいそうになかった。
あまり使用されていないのか、棚にも木箱にも埃が積もっている。
「けほっ、けほっ。」
一歩進む度に舞い上がった埃に咳き込んでしまう。
ハノンもアンナもここにはいないようだ。
あきらめて階下に戻ろうとくるりと向きを変えたシャリーは光を反射している何かに気付いた。
(あれ、なんだろう?)
床に転がっている小箱。他の木箱と違い、これは埃をかぶっていない。
さっき聞いた物音はこれが棚から落ちた音かもしれない。
そっと小箱を手に取ると、中には青い小瓶が入っていた。瓶を揺らせば中に少しだけ残った液体が波打つ。
(きれーい!)
きらきらと光を反射して青い小瓶は宝石のように見えた。
(なにがはいってるのかな?)
シャリーは瓶の蓋を外し、試しに匂いを嗅いでみる。
「……?!」
パタン。
小さな女の子が倒れこむと同時に周りの埃がぶわっと舞い上がる。
埃がゆっくりと地におりつく頃、部屋には静寂だけが残った。
「ねえ、ハノン。シャリーおそいねー。」
「しーっ!見つかっちゃうよ。」
物陰に潜む子供達は、なかなか自分達を探しに降りてこないシャリーをじっと待っていた。
だが、現れたのは鬼の形相をしてても、かくれんぼの鬼ではなかった。
「ハノン、シャリー、アンナ、いるの?」
息をきらしたシスターエイミが立っていた。
すやすやと眠り続けるシャリー。
シスターエイミも、シスターレムも、丁度木箱の影に隠れるように倒れていた小さなシャリーの姿を見落としてしまう。
結果、孤児院全体を巻き込んでの大捜索が始まってしまった。
シャリーは確かに塔にいたのに。
やがて月が上る。
『ねえ、起きて。』
シャリー眠りからを覚ましたのは子供のものでも老婆のものでもない透き通るように綺麗な声だった。
優しい声に、シャリーは夢の世界から現実へと引き戻される。
『あなたはどうしてこんなところにいるの?』
頭がくらくらするが、自分を起こした相手を見ようとごしごし目をこする。
まっ先に目に入ったのは黒衣。ここ、メイア孤児院のシスターのお決まりの服。
だが、目の前のシスターは知らない顔。
メイア孤児院は老修道女ばかりなのに、とても若い。
頭にはヴェールをつけておらず、亜麻色の髪は風もないのにたなびいていた。
整った鼻筋、長い睫、大きな瞳、きりりとした眉、形のいい唇。
どれをとってもけなすところがない。
いつか絵本で見たお姫様のようだとシャリーは思う。
『迷子になったの?』
問いに対しふるふると頭を横に振る。
「ちがうよ。かくれんぼしてたの。」
『そう。遊んでいたのね。でも駄目よ、勝手に入っては。ここは修道院なんだから。』
「しゅーどーいん?」
『そう、ここはメイア修道院。神の花嫁が祈りを捧げて暮らす場所。』
シャリーは返答に首をかしげる。ここはメイア孤児院のはずだ。
『あなた名前は?夜になったんだからおうちに帰らないとパパとママが心配するわ。』
「ここがおうちだよ。」
シャリーは少し不機嫌な声で答えた。
ここは孤児院。孤児たちの家はここにしかない。
それにパパやママがいる子なら、そもそも孤児院にいるわけがない。
この初めて会う修道女は何故そんなこともわからないのだろうか。
「わたしのなまえはシャリーだよ。ねえ、シスターはなんでとうにいるの?びよーきの人なの?なまえは?」
シャリーの立続けの質問に、修道女は困ったようにはにかみながら笑う。
『私は別に病気で塔にいるわけではないわ。』
「ふーんそうなんだ。じゃあなんでとうにいるの?いつもここにいるの?」
やはり質問責めのシャリーの目は好奇心旺盛な子供の特有の輝いた目。
『どうしてかしら?うまく言えないけど、そう、そうね。ここは私の楽園だから…』
「らくえん?なーに、それ?」
『もっと大きくなったら教えてあげる。さあ、いつまでもこんなところにいては駄目。帰りましょう。』
背を押され、シャリーは扉へと向かう。
シャリーの通った後は埃が舞うのに、亜麻色の髪の修道女の通った後は全く埃が舞わなかった。
階段にさしかかったところで、二人の歩みは止まる。
修道女の視線の先には、二階にあるもう一つ部屋の扉。
『ああ、ここにも迷子がいるのね。』
迷子と聞き、シャリーは一緒に遊んでたハノンとアンナを思い浮かべる。
『こっちの迷子も戻してあげないと。』
修道女はシャリーの手を引き、扉へ向かう。
だが、修道女はノブにテをかけるも、扉を開くことができなかった。
『シャリー、扉が重いみたいなの。一緒に回してくれる?』
シャリーは一緒に手をかける。
ギィーっと音をたてて開く扉は多少かたかったが、大人の手で開けられないとは思えなかった。
部屋にいたのはハノンでもアンナでもなく、シャリーの手を引く修道女同様に若い修道女。
ただこちらはきっちりと黒のヴェールを身に付け、首からは銀の十字架をぶら下げていた。
「誰?」
揺りいすに腰掛けていた修道女が、シャリー達侵入者に警戒心をあらわにする。
『あなたこそ誰?ここは私の部屋よ。』
「何おかしなことを言っているの、ここは私の……ちがう、ミムザの部屋よ。」
『ミムザ?そんな人知らないわ。』
「私もあなたなんか知らないわ。」
『あなた、名前は?』
亜麻色の髪の修道女は言い争いにもの怖じしていないようだった。
その毅然とした態度にやや押されたのか、揺りいすの修道女は先程の勢い、渋々ながら答える。
「私は、ルーエラ。シスタールーエラよ。」
『へえ、新入りかしら?あとでシスターセナに聞かないと。』
ルーエラと言う名もセナと言う名も初めて聞くもの。
シャリーが知らないだけで、このメイア孤児院の中にはおばあちゃん修道女だけでなく、普段会うことのない若い修道女も数多くいるのだろうか。
『ああ、シャリー。ごめんなさい。あなたがいたのを忘れてたわ。』
ルーエラを睨んでいた亜麻色の髪の修道女が振り向き際に表情をやわらげる。
「だいじょうぶだよ。でも、けんかはだめだよ。」
返事をしたシャリーは同時に鋭い視線を感じた。
シャリーを見つめる凍り付いた目。
ルーエラの顔はおぞましいものでも見るかのように歪み、
かたかたとからだは震え、その震えは揺りいすにまで伝わっていた。
「こど…も。知らない。私は子供なんて知らない……」
ルーエラは机の上に山積みされた本の一冊を手に取る。
「知らない。子供なんて、知らない。知らない。」
十字架を握り、ぶつぶつを呟くルーエラの姿を見て、シャリーは恐怖を覚えた。
(へんだよ。こわいよ。このシスター。)
ルーエラの方は、亜麻色の髪のシスターのことを忘れたかのようにシャリー一人だけを見つめて呟き続ける。
「私は神の花嫁。子供なんて知らない。いらない。」
本を持つルーエラの手が振りかざされる。
(ぶつかる!)
シャリーは目をつむり、身をかがめる。
だが、予想してたものはいつまでたっても飛んでこなかった。
(あれ?)
シャリーは恐る恐る目をあけ、ルーエラを見上げる。
ばさっと音をたて、本が床に落ちる。
ルーエラの手はさっきと同じ、高く振りかざされたまま。
違うのは、そう、亜麻色の髪の修道女がルーエラを抱きしめていた。
『もういいのよ、ルーエラ。誰もあなたを責めたりしないから。』
子供をあやすように、ルーエラの頭を撫でる。
『可哀想に、私の楽園に囚われてしまったのね。罪の意識にさいなまれて。』
「違う、違う、私は望んでなかった……あんな…」
振りかざされていたルーエラの手がすとんと力なく下がる。
『神の花嫁でありながら交わったこと。求めたこと。そして…』
「言わないで、やめて、言わないで。」
ぽろぽろと涙をこぼすルーエラ。その彼女を抱きしめたまま、言葉を続ける。
『子をなしたこと。』
ルーエラは腕を抜け、床に崩れるように座り込む。
声を殺すようにして、でもこらえきれずしゃくりあげながらルーエラは泣いていた。
幼い子供にルーエラの罪などわかるわけもなく、
泣き崩れる彼女に対してどうすればいいのか戸惑いながらシャリーはもじもじと指をからめる。
『シャリー、こっちに来て。』
名を呼ばれたシャリーは不安げな顔をして二人の修道女の元へ近付く。
『ねえ、ルーエラ。シャリーはいい子よ。何も知らない。あなたの罪も。私の罪も。』
シャリーは恐る恐るルーエラの頭を撫でる。
「ねえ、なかないで、ルーエラ。」
小さな手に頭を撫でられ、ルーエラがぴくんと体を震わせる。
涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げ、シャリーを見る。
涙でぼやけ、顔の輪郭すらはっきり見えない。かろうじてわかったのは瞳の色くらい。
その色は、碧。一度だけ見た赤児の瞳と同じ色だった。
「…っく…っく……ごめんなさい、シャリー。」
すすり上げながらルーエラは言う。
「わたしはだいじょうぶだよ。だからなかないで、ね?」
シャリーはついさっき本でぶたれそうになっていたのに、そんなことなど嘘のように思えた。
涙の止まらないルーエラは、孤児院の他の子供と一緒だった。
悪戯を咎められて泣く子。親を恋しがって泣く子。転んで痛いから泣く子。おねしょして泣く子。
罪の意識に囚われ、一人塔に残され、ただ寂しいから泣く子。
『ここは私の楽園。ここで重ねた罪は全て私の罪。でも、もう終わり。私は行かなければ……だからルーエラ、あなたもここを出なきゃ。』
やっと泣き止みかけたルーエラにかけられる穏やかな優しい声。
「出る……ここを?」
『そう。楽園はもう終わり。あなたの罪も私がもらっていくわ…』
亜麻色の髪の修道女はゆっくりと扉に向かう。
立ち上がろうとするシャリーの動きを修道女は手で制する。
『シャリー。あなたはまだルーエラと一緒にいてあげて。私は先にいくわ。』
そう言われ、シャリーはまた床に腰をおろす。
確かに泣き止んだとはいえ、ルーエラをここに残していくのは可哀想に思えたから。
『いい子ね、シャリー。』
こぼした涙の跡の渇かぬルーエラの顔を自分の服でぬぐってあげるシャリーを見て、亜麻色の髪の修道女が微笑む。
『私もあなたのような子を産みたかった。』
そう言うと、再び扉に向かい踵を返す。
「まって!ねえ、なまえ。なまえきいてないよ?」
慌ててシャリーが尋ねると、修道女は振り返らずに答えた。
『私はシスター……ふふ、違うわね。私の名前はエミリア。皆が私をそう呼んだわ。』
「エミリアっていうのね。またね、エミリア。」
「…エミリア……?」
エミリアの名を聞き、目を腫らしたルーエラの顔がわずかに曇る。
『さようならルーエラ。もう楽園に囚われては駄目よ。シャリーも、さようなら…』
その声はどこから聞こえてきたのか。
シャリーは瞬きをしただけなのに、気付けばエミリアは部屋のどこにもいなかった。
窓は閉め切られて風もないのに、どこからか花の香りがした。
姉は随分と慌てていたが、シャリティアがいなくなったのは事件ではない。彼はそう睨んでいた。
いくら民衆の支持や人気があっても、力を持つ者達の中には彼を支持しない者もいる。
彼はそういった勢力をことごとく潰してきたが、敵は次から次へと現れる。
何かを変えるには、その何かを守ってきた者達を切り捨てなければならないのだから。
反対勢力は皆、彼の弱味を握ろうと必死だ。
彼に隠し子がいるとわかれば飛びついてくるだろう。
だが、シャリティアは娘。
この国は古くから男性にしか様々な権利を与えていない。
彼の改革を支える様々な識者の中には男女平等を強く推す者もいるが、
彼が王である限りある時間の中で、実現できることは限られている。
女性に権利を与える事は、課題だらけのこの国の改革の中では当分先送りだろう。
結局彼自身が認めない限りシャリティアはただのシャリーで、カインフォルタ家にとって駒ですらないのだ。
女だから家を、つまりは王位を継ぐ事もできない。
かといって政略結婚に使うこともできない。
だが、その方が幸せかもしれない。彼はそう思っている。
だから、シャリティアをシャリーとして育てるために、メイア修道院を孤児院にしたのだ。
灰色の塔。かつて楽園と呼ばれた場所。
そしてかつてシスターミムザと呼ばれていた青年は樽が雑多と並ぶ貯蔵庫を抜け、二階へとつながる階段に向かっていた。
灰色の塔にいつも彼女はいる。シスターエイミはそう言っていた。
まっ先にシャリティアを探すのではなく、彼女に逢うことを選んだのに特別な理由はない。
彼がからだを穢し、こころを壊した修道女。シスタールーエラ。
今の彼は女に不自由はない。他国からも、自国からも縁談は山のように来る。
嫁いでいった姉も都に来ては、身を固める事を急かす。
それでも彼が独り身でいるのは、彼女、ルーエラのことがひっかかっていたわけではない。
多分もっと深い部分で彼は拒んでいるのだ。女性を。いや、母性を。
考え事をしながら歩いていたせいか、彼は足下に転がる芋につまずきバランスを崩す。
とっさに壁に手をついたので転びはしなかったが、顔を上げた彼の視界に一人の見知らぬ修道女が飛び込んできた。
『あら、ここにも迷子が?』
足音も無く、ゆっくりと階段を下りて来る一人の若い修道女。
黒衣は着ているが、頭にヴェールはつけておらず、亜麻色の髪をたなびかせている。
(ここはもう新しい修道女の受け入れはしないはず。誰だ?)
訝し気に見つめる彼の横を修道女は通り過ぎていく。すれ違い様に修道女は声をかけた。
『楽園はもう終わりよ。彼女は囚われの身から解放されたわ。』
「待て。お前は!?」
ふわりと花の香りがした。彼は振り返るも、そこには誰もいなかった。
「もーりのいずみで」「小さな兎が」
「はーるをむかえに」「おいで、おいで、と」
扉を通して聞こえて来るのは二つの歌声。
一つは幼い子供の声。そしてもう一つは大人の女性の声。
彼は扉を開く。前は重かった木の扉は、修理したのか無抵抗に開いた。
揺りいすに腰掛ける女性と、その膝の上にちょこんと座る子供が仲良く歌をうたっている。
「りっすたちもー……あれ、ルーエラ。誰かきたよ。」
彼に気付いたシャリーが歌を止め、指を指す。
ルーエラは彼の姿を認めても表情を崩さず、無言だった。
ルーエラの顔を見て、彼の方が驚きを隠せなかった。
本当のところ、もっとひどいと思っていた。
痩せこけているわけでもなく、青いわけでもなく、皺が深いわけでもなく。
変わらなかった。ルーエラは彼がミムザであった頃と変わらなかった。
「ねえ、おじさんはだーれ?」
ルーエラの膝を下りたシャリーが彼の元に走ってくる。
(おじさんは…ないだろう。)
無邪気に彼の足に抱き着いて来るシャリー。新しい遊び相手のつもりなんだろう。
彼がシャリーを腕に抱きかかえると、シャリーはきゃっきゃっとはしゃぐ。
「ねえ、おじさんケイティアさまににてるー?かみもおなじいろだよ。」
シャリーは彼の黄金色を嬉しそうに引っ張る。
「いたた、ケイティアは僕の姉だからね。目の色も同じだろう。」
「ほんとだ、あおーい。あっ、目はわたしもおなじいろだよ。すごーい。」
小さな手がぺたぺたと彼の顔に張り付く。
ルーエラは揺りいすから立ち上がり、まっすぐに彼を見据える。
「お久しぶりね、ミムザ。」
腕からおろされたシャリーは、今度はルーエラに構ってもらおうと抱き着く。
「今日、初めてこの子を抱いたの。」
ルーエラはさっき自分がされたように、シャリーの頭を撫でた。
髪を撫でる手に、シャリーはくすぐったそうな顔をみせる。
「僕も、そうなるね。」
彼は目を伏せた。
そこにまたシャリーが飛びつく。
「ねえねえ、おじさんのおなまえは?わたしのなまえはねえ…」
「シャリティア。」
「えっ、すごーいなんでしってるのー?」
彼もまたシャリーの頭を撫でる。子供特有の柔らかい髪のが彼の掌をくすぐった。
「僕の名はユージェレン。ユージェレン=カインフォルタ。」
彼は初めて彼の本当の名を名乗る。ミムザであった時同様、ルーエラの瞳を真直ぐに見つめて。
「ユージェ??カイホルタン???」
幼いシャリーは、長い名前や名字は覚えきれないようだ。
「ユージェでいいよ。シャリー。」
彼はまたシャリーを抱きかかえた。
ルーエラが二人のもとに歩み寄り、わずかながら赤みが残る彼の左頬に手を添えた。
「ユージェ、というのね。」
シスターミムザ。かつてルーエラにとって妹のような存在だった。
だが、それは偽り。
少年はルーエラに教えた。
甘い甘い禁断の蜜の味を。情欲の罪と言う名の蜜の味を。
そして、消えてしまった。
罪の鎖にルーエラを繋いだまま。
産み落としたことすら否定し続けたわが子は赤児から少女へと成長し、
少年は青年になった。
それだけの時が過ぎた。
「『大人になったわね、ユージェ。』」
ルーエラの声に混じり、先程すれ違った亜麻色の髪の修道女の声が聞こえたような気がした。
揺りいすに腰掛けるルーエラ。その膝の上にはすやすやと寝息をたてるシャリー。
「君はこれからどうしたい?」
「時間を、取り戻すわ。」
「そう…」
壁にもたれ掛かるユージェレンは黄金色の髪をくるくると指に巻き付ける。
「修道女は、もう続けられない。」
「ここを出るのか?」
ルーエラはこくりと頷き、眠るシャリーの頬にかかる髪をそっとわける。
「まずは塔を出るわ。あとは、まだわからない…でもシャリーにとって一番いい方法を考えるわ。」
「僕もできる限りの援助はするよ。」
援助。それは聞こえがいいだけで、愛情のいらないただの施しにすぎない。
姉の咎める声が聞こえた気がして、ユージェレンは自嘲する。
「あの人が、シャリーとあなたをここに呼んだのかしら?」
「あの人?」
「エミリアよ。見なかったかしら?きれいな亜麻色の髪をした…」
「亜麻色の髪に、翡翠色の瞳の…エミリア。そんな、まさか!だって彼女は……」
その事実はまだ知らぬものの、生まれて初めて母の胸に抱かれて眠るシャリー。
どこかから聞こえて来る優しい声がシャリーの耳をくすぐった。
『いっぱい恋をして、素敵な女性になりなさい。そうすれば、楽園に囚われたりなんかしないから。』
「エイミ、シャリーが見つかったようだよ。」
駆け込んできた知らせにエイミはそっと胸をなで下ろす。
ベッドに横たわるヴァーナの病状は依然良くないまま。
昼間の医師に往診を頼んだが、まだ到着しないようだ。
「……アレ…さま…」
ヴァーナの口元がわずかに動く。
「シスターヴァーナ、わかりますか?シスターヴァーナ?」
エイミはヴァーナの意識が戻る事を期待して、必死で呼び掛ける。
「……やっと……に…」
「シスターヴァーナ、頑張って。もうちょっとで先生が!」
呼び掛けに反応したのか、ずっと握りしめられていたヴァーナの左手がわずかに緩められ、ころんと何かが転がり落ちた。
エイミは床に転がる物、飾り石のついた指輪を拾い上げる。
(握りしめているなんて、よっぽど大切な物なのね。)
女ものというには些か大きい指輪をヴァーナの細い、骨と皮ばかりの指に通す。
高熱にうなされ生死の境を彷徨っているはずのヴァーナ。
その顔は穏やかで、微笑んでいるようにも見えた。
「シスターヴァーナ?」
エイミの声はもう、届かない。
「…ヴァーナ?………ああ、そんな!」
エイミは扉を開け放ったまま、ばたばたと部屋を飛び出す。
部屋はほのかに花の香りがした。
子供達が見舞いに持ってきた花のせいだろうか。
だがそれは夜風に流され、やがて消えてしまった。
都の西北に位置するメイア孤児院。
かつてそこはメイア修道院と呼ばれ、神に祈りを捧げる修道女達が暮らしていた。
だが、それは昔の話。
灰色の塔は今はもう存在しない。
敷地の中を良く探すと、修道女達の墓地と別に、一つだけ離れたところに墓標が見つかる。
迷うなら、裏口から植木伝いに左にすすめば見つけやすいだろう。
子供達の手で植えられた色とりどりの花々に囲まれた白い十字架。
そこに標された文字は、大分朽ちてしまっている。
無理に読めば読めなくもないが、今はやめておこう。
花々は今日も優しく薫る。
灰色の塔 以上です。
本当は終章の中にエミリア過去編を入れる予定が長過ぎて没にしたので
ヴァーナが変な死に方になっちゃいました。
読み返すと誤字脱字はじめ色々突っ込みたいところ満載で
お恥ずかしいかぎりです。
長々とおつき合い頂きありがとうございました。
353 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 00:38:24 ID:CEU04bSo
グッジョブ!お疲れ様でした。
なんか切ないなぁ…
エロSSというより灰色の塔の物語だった気ガス。
ヤター投下待ってマスタ。:+.(・∀・).+:。
エロもさることながら、お話が面白いので普通の
小説として楽しんでました。
ルーエラタンも自分を取り戻せてヨカタ。
番外編?とかあればまた読ませて頂きたいです。
お疲れ様でした。
これだけの大作を書き上げた力量に賛辞を。
自分ももっと精進しないとなあ……
一気に読んでしまいました。
まさしく大作ですね。乙でした。
欲を言えば番外編も読みたいです。
>>352 GJ。
良い「小説」だった・・・
悲劇・・もあるんだろうが、「それでも時は流れていく」みたいな。
358 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 20:15:18 ID:zEPeRiat
エロを求めてみてきたが、これは傑作!
一気に読んでしまいました。すばらしかったです。
なんか切ないけど幸福感がある読後でした…
お疲れ様です!楽しかったです!
このまま終わっても美しいですが、番外編もありましたら私も読みたいです。
>>352 大作お疲れ様でした。
この板で、こんな良い作品が読めるとは思わなかったでつ。
神スレ保守
女神モノの投下に期待して正座して待ってる
全裸で
362 :
保守:2007/04/17(火) 23:05:35 ID:Pcmow54u
さて、ある月の出ていない夜のことだ。
一人の紳士風の男が、メイア孤児院を訪れた。
「ごめん下さい」
「はい」
「こんばんは」
エイミとシャリーが出迎えた。
「はい、こんばんは」
男は穏やかな笑顔でシャリーに応えた後、エイミに用件を切り出した。
「こちらにおられる、シスターエイミをお伺いに参りました」
「はい、私がエイミですが……あっ!!」
「!!」
出てきた子供たち、シスターたちも、息をのんだ。
「実は、私は……」
この紳士が、やがて……メイア孤児院始まって以来のとんでもない災難をもたらすことになるのだが、
それは、また……
「べつのはなし!」
>>362 + +
∧_∧ +
(0゚・∀・) ワクワクテカテカ
(0゚∪ ∪ + 番外編楽しみにしています。
と__)__) + できれば没になったエミリアの過去話も、いつかの機会に読みたいです。
オラ、テカテカしてきたどーwww楽しみダワァ
灰色の塔を投下していたものです。
362さんが書かれたものは保守とありますし、
他意なく書かれたものかもしれませんが当方はちょっとびっくりです。
今は番外編としてエミリアの過去話を書き途中です。
こういった書き込みで不快になられる方もいらっしゃるでしょうが
書かずにいられなかったので、お目汚しすみません。
>>365 番外編楽しみに待ってます!
>>362は保守にせよなんにせよ、人の真似はいかんよ。
せっかく書くならオリジナルで頼む。
投下します。
今回は前編エロ無しです。
何年も何十年も少女はそこにいた。
人間達が森を切り開き小さな村落を作った時からずっと。
人間は少女の為にと祠を作り供物を捧げた。
それから少女は祠に座し村人を見つめてきた。
変化に乏しい村であったが、日々の営みに笑う村人や突然の不幸に悲しむ村人を眺めるだけで退屈はしなかった。
最初は小さかった村も次第に大きくなり、森への境に作られたはずの祠は今では村の中心にあった。
「かみさまー、かみさまー」
祠への道を小さな少年が駆けてくる。その少年は同年代の子供よりも力が弱いが、明るく優しい性格のため子供達の中心になっているのを少女は知っている。
「なんじゃ? そんなに慌てては昨日のように転んでしまうぞ」
昨日、今年初めて生った木の実を供えようと、走ってきた少年を受け止めたのを思い出す。しかし、あの時の嬉しそうな気配とは違い深刻な表情を見せている。
少女は風を使い、まだ離れた少年を自身の腕の中へ招き優しく尋ねた。
「余所者が何かしたのかの?」
少女の言葉に少年は息を飲んだ。今、その事を伝えようとしていたからだ。
「朝に風が騒いでいたからの。村に人間……いつもの行商とは違う余所者が来たのであろう?」
少年はこくこくと首を動かす。その瞳にはかみさまへの尊敬の念が浮かんでいた。
「で、どんな奴等かの? 鉄を身に着けているようじゃが、賊にしては数が少ないのう」
少年は再び慌てた様子で語り出す。
「へいたいが来たんだ」
少女は聞き慣れない言葉に眉を顰める。
「その、へいたいとやらは何者なんじゃ?」
「よくわからないけど、武器を持って悪い奴等と戦うらしいよ」
「それは、善いことではないのか?」
少年の説明は充分だとは言えないが、盗賊やらを懲らしめる者がこの村を訪問したのだと少女は判断した。
少年は少女の考えとは裏腹に、涙を滲ませた顔で少女に迫る。
「違うよ! あいつらはかみさまを殺しに来たんだ!」
泣き喚く少年に女神の微笑みを見せる。それは、まだ異性を意識したこともない少年すら虜にしてしまうほどに美しかった。
「……大丈夫じゃ。汝は心配せずともよい」
少女は少年を胸に抱き、そっと頭を撫でる。
見上げる少年の顔は涙と鼻水に濡れていたが、少女の笑顔につられ、ぎこちない笑みを返す。
「本当? かみさまは本当に大丈夫なの?」
「かみさまは嘘は吐かぬよ」
真っ直ぐに見つめる瞳に安心し、少年は少女を強く抱きしめた。
「そのとぉ〜り!」
村中に響き渡るような濁声がする。
声の方向へ視線を向けると、十人余りの武装した集団が立っていた。
その中でも一際大きな鎧を着けた髭の男が、集団よりも一歩前に出た場所にいた。その男は何かに酔っているかのように熱く語り出す。
「神とはぁ、真実を語るぅモノ! 我等を導くぅモノ! 絶対正義の証ぃ!」
男は力強く少女を指差した。
「しかぁし! 貴様は神ではなく悪魔ぁ。あるいは人を誑かす魔ぁ女ぉ。我等は貴様の非道な支配よりぃ村人を解放し、真の神の愛を伝えに来たのだぁ!」
尊大に胸を張って叫ぶ男の頭に小石が投げられる。飛んできた方向を見ると、少女に抱かれていた少年が顔を怒りに赤く染めていた。
「かみさまは悪い人じゃない! みんなを守ってくれてるんだ!」
少年は恐怖に足を震わせながらも、少女を庇うように前に立つ。
男はその少年の姿を見、滂沱の涙を流した。
「うぉのれ悪魔め、このような幼子まで操るとはなんたる外道!」
男は腰の剣を抜き、二人へと近付いていく。
「安心しろ小僧。俺が本当の神の前に連れていってやる」
少女は少年を背に庇い、男を睨みつける。
「やめよ! 貴様の目的は儂であろ、幼子に手をだすでない」
凛とした少女の声に気圧されるが、無造作に出てきた少女に剣を振り上げる。
「団長、おやめください」
背後からの声に剣を下ろし振り返る。制止の声を出したのは集団の中から出てきた細身の男だった。
「なぜぇ、止めるぅ」
「いかに聖なる行いでも悪魔を殺せばこの蛮族は我等を許さぬでしょう。まずは神を信じるようにするのです」
男の意見に団長は頷くと剣を収める。
「まずはこの悪魔の正体を村人に伝えましょう。この悪魔がいかに卑しく下劣なものであるかを見れば、神に救いを求めるに違いありません」
男は下卑た笑みを隠そうともせずに少女の身体を舐めるように眺めた。
「かみさま……」
心配そうに見つめる少年に笑顔を向け、頬を撫でてやる。その仕草に、少年は今まで堪えていた涙をぼろぼろと流した。
「あいつらに…ひどいこと、されちゃうの……?」
「そうじゃろうなぁ」
涙混じりの少年の声に対し少女の声は変わらず呑気なものだった。
少女の答えに再び泣く少年の背を少女は優しく撫でてやった。
祠の周りに村人が集められ、それを武装した多数の兵士が囲んでいた。
村人の顔は皆暗く、中心にいるかみさまを心配そうに見つめている。
少女は祠の前で罪人のように枷をはめられ、鎖に繋がれていた。
長く艶やかな空色の髪も澄んだ水のような瞳も変わらないが、袖の大きな白いワンピースには痛々しい鞭打ちの跡が残っている。
(あのような姿、ほんにおいたわしや)
(こいつら…かみさまに何て真似しやがる。許せねえ…)
少女の姿に村人は悲しみ、怒り、嘆く。だがそれを口に出すこともなく、じっと少女を見つめるだけだった。
村人が兵士に反抗的な態度をとると、兵士は躊躇なく『悪魔を信奉する邪教徒』を殺そうとする。それを防ぐために少女が村人を戒めれば『村人を従わせようとする悪魔』として鞭打たれる。
かみさまに危害が及ばぬように、村人は黙り少女を見守ることしかできなかった。
「さて、皆さん」
沈黙の場を破ったのは、少女の横に立ち、事ある毎に鞭を叩きつけていた細身の男だった。
「生来皆さんは誠実で純朴な方なのでしょう。ですが、この悪魔に誑かされてしまった!」
言葉と共に少女に鞭を二度三度と振り下ろす。
何も言わずに鞭打たれる少女と、執拗に鞭を振るう男を見て村人は憎悪と屈辱に震える。
「この汚らわしい悪魔のせいで邪教徒として征伐されねばなりません。しかし、過ちは正すことができます。神に帰依すれば貴方達の魂は真に救われるでしょう!」
悲鳴一つあげずに耐える少女を蹴り上げ、村人達を見渡す。彼等の目には怒りや殺意が渦巻いているが、男は気にもせずに話を続けた。
「我々は貴方達を救いに来たのです! これは人心を惑わす悪魔を誅し、人々を解放する神の使命なのです」
四方から放たれる殺意にも気付かず、恍惚として宣言する。
「これから見せるのが、貴方達を信じさせてきた悪魔の正体なのです!」
以上です。
うーむ……こういう素朴な土地神って結構好きなだけにこういう展開は辛いなあ……と言いつつ見てしまう。
続き期待してます。
374 :
362:2007/04/19(木) 23:49:14 ID:zVHUqFBd
保守、だけでは味気ないのでつい書いてしまいました。ゴメン。
ところで、『始まって以来のとんでもない災難を〜』のくだりの元ネタわかります?
>>362 大人になってからまた来い、な?
でなきゃ半年ROMれ。
宗教は麻薬であるw
カール・マルクス
>>362 『王様のレストラン』のラスト、でしょ。
はい、これでおしまい!
中編投下します。
スカとかショタ注意。
少女の前に全裸に剥かれた少年が連れてこられる。男が促すと、小さな口を開きまだ勃起もしていない少年のモノを飲み込んでいく。
「あんな子供相手に……」
「見ろよ、くわえたまま離さないぜ……」
兵士達の揶揄にも眉一つ動かさずに一心に舐め続ける。
少年は崇敬する少女から与えられる未知の快楽に腰を引こうとするが、少女の手ががっしりと腰を掴んで逃げられない。
少女の奉仕は拙いものであったが、幼い少年には十二分の快楽が与えられていった。
「……かっ、かみさまぁ…。ぼく、ぼくぅ…」
情けない声を上げて、遠目からでも分かるほどに痙攣する少年。
白い迸りこそないものの、初めての絶頂に恍惚の表情を浮かべている。少女は絶頂直後の幼茎を舐め続ける。
「かみさまっ、もっと、もっとっ……!」
あれから三度の絶頂を迎え、少年はもはや欲望に取り付かれていた。
疲れで口の締め付けも舌の動きも弱々しくなっていったが、少年は小さな頭を抱え腰を振り快楽を得ようとする。
「……っ!」
時折、喉奥を突かれた少女は息苦しさに涙を滲ませる。端整な顔が苦しみで歪み、それでも健気に奉仕を続ける少女は少年にとって嗜虐心を刺激し自分を満足させるものでしかなかった。
息苦しさに少女の鼻息が荒くなり、少年の股間を擽る。微妙な感覚に刺激され、より強く腰をぶつけていった。
「かみさまっ……舐めて、僕の……もっと」
懇願する少年に、力無く垂らしたままだった舌を動かし舐め始める。
ガツガツと動くモノに動きを合わせ、這うように舌を絡ませる。新たな刺激に少年は興奮し頭を押さえる力を増す。
「かみさまっ…かみさまっ……僕、また……」
更なる絶頂を身を震わせるが、それでも腰を止めずに貪欲に快楽を求める。
瞳から半ば意識が失われ涎を垂れ流す少女にがむしゃらに腰を振る少年。その光景に兵士も村人も目を離せなかった。
少女を憐れみ涙を流す者、清楚だった少女の無惨な姿に興奮する者、少女を弄ぶ少年に嫉妬する者、血走った瞳と荒い吐息がこの空間に広がっていた。
少年の突き込みがますます激しくなり、嘔吐きそうになりながらも少年を離さない。
喉奥に何度も叩きつけられる苦しみも、少年を弄ぶ心苦しさも、痴態を村人に晒される恥辱も、こんな真似をしなければならない屈辱にも耐えているのは名も知らない男と交わした約束のため。
彼は少女が命令に従うのならば村人を救ってくれると言った。
「かみさまっ、でちゃう……ぼく、でちゃうよぅ! ごめんね、ごめんねかみさまぁ!」
絶頂の後に少年の体が一層痙攣し、少女の口内に熱い液体を放った。
突然の事に目を見開くが、命令を思い出し迸りを飲み始める。
少女は懸命に飲み下そうとするが、口中に広がる異臭や味、大量に放たれたその量を飲み干すのは容易ではない。
「……っ、ゴホッ!」
喉奥を攻める勢いに堪えかねて少年の陰茎ごと吐き出してしまった。
吐き出されてもまだ勢いを緩めない少年の尿は少女の純白の服を黄色く染めていく。
排泄の快感を終えた少年は少し覚めた頭で見た。
そこには、かみさまが尿に塗れ力無く虚ろな瞳で、小便の水溜まりに倒れていた。
「ぁ……あぁ……」
大好きなかみさまが、威厳に満ちていたかみさまが、優しかったかみさまが、こんなにも無様に無惨な姿になってしまった。
「ぼく、ぼくが……」
自分の行為の罪深さを知り罪悪感と後悔に身を浸す少年は、涙を流しながら少しずつ少しずつ後退る。
不意に、少年の背中が何かにあたる。少年がゆっくりと確認すると、それは団長と呼ばれた大男だった。
彼は両目から涙を流し少年の肩をがっしりと掴むと少年の顔を自分へと向ける。
肩を掴んだ腕の力強さと巨大な体躯に少年はびくりと身を強張らせた。
無言で目を見詰める男に少年は恐怖する。
目を逸らす事もできずに男と目を合わせていると、男は口元を歪ませ鮫のように笑い少年の肩を叩いた。
「見事! 実に見事であったぞぉ少年!」
呆気にとられる少年を無視して愉快そうに言葉を続ける。
「これでぇ、あの悪魔の権威も地に堕ちたであろぅ」
(そうだ……僕は、かみさまを……)
蒼白になった少年を後目に嬉しそうな男。
「どぉうだ。我等の供にならぬか」
「え……?」
「少年には見所があるぅ、我等と共に神のために悪魔を倒さぬぅかぁ?」
(あ、くま? かみさまの、仲間……? かみさまの仲間に……)
先程の行為を思い出し、少年は力無く頷いた。あの快楽を得られるのであれば、他の事などもうどうでもよかった。
「そぉうか、では早速聖地へと戻り聖別の儀を行わなくてはなぁ」
男は少年に簡素な布を纏わせ、馬を駆った。
悪魔の事は任せてある、ならば新たな信者を神の愛で包む事こそ重要な役に感じられた。
「ねぇ……」
微かな少年の声は上機嫌な男の耳には入らずに消えていった。
「他のかみさまも、綺麗なヒトなのかな……?」
投下終わりです。
続き来てたのか。またも良い仕事っす。
報われなさそうなのが切ない……
一応乙
でもストーリー的には竜頭蛇尾って感じ
前フリが良かっただけに後半部分の脈絡のなさが目立った
もう少し掘り下げて丁寧に書いたら神だったのに
非常に残念
下手すると村人の中から人間の肉体的、精神的な弱さに失望して
幽遊白書の戸愚呂(弟)やFFWのルビカンテみたいに
自ら化け物になる奴が出る悪寒・・・
>>384 結果がどうあれそういう連中すら出ないのなら
村ごと地獄の火の中に投げ込まれるべきである!
・東方の聖人のミイラに触れてチャクラが開眼。力、パワー、ストレングスの3つを極めた究極超人に。
・腕自慢の3人の村人が、いつか再開して復讐することを誓い合い修業の旅に出る。……それから七十年がたちました。
こんなネタしか浮かびません。
とりあえず後編投下。
満足に働かない頭で少女は思い返す。
男の下した命は、少年に口中奉仕を行い射精されたモノを飲み干すこと、言葉の意味はよく分からなかったが、村人のつがいが時折に行う行為のことであろうと判断した。
見様見真似でやってみたのだが、少年の顔が快楽に歪むのを見て間違いではなかったと確信した。
森で行為を受けていた男のように少年の体が震える。あの時は白いモノが女の顔を彩っていたが、今回は飲み干さねばならないため、吐き出さぬように覚悟を決めた。
…………。
何も、起こらない。
少年はつがいの男のように惚けた顔をしている。なのに白い液体が出ないということは自分のやり方が悪かったのではないのだろうか――少女はそう思い、ちろりと陰茎の先を舐めてみた。
瞬間、少年は少女の頭を掴み自分から少女に腰を叩きつける。
少年の豹変には少女も驚きを隠せなかったが、少年が協力してくれるのならばとその行為を甘んじて受けた。少女の身体を気遣うことなく、快楽を得ようとする少年の動きは少女には辛いものだったが、村人の為だと思えば堪えられないものではない。そう、思っていた――。
結果、――失敗。
口内で放たれた液体を飲むことができずに吐いたそれが結果。
もっと強い覚悟があれば、あの味と臭いに怯まなければ、吐き出された体液に嫌悪しなければ――、少女は悔やむが、後悔は何の価値も無いことは分かっている。それでも悔やまずにはいられなかった。
このまま、村が滅ぼされるのか……。いや、何をしようとそれだけは防がなくてはならない。少女の胸には決意と小さな希望が残った。
茫然とする少女を見て、村人の間にざわめきが走る。無惨な少女の姿に涙を流す者、兵士達の圧迫感に怯える者……。
村人は少女と兵士が交わした約束を知らない。だが、あのような痴態を演じたのも茫然と佇んでいるのも自分達を救おうとした結果なのだと感じることができた。
あの小さな身体に村の全てを押し付けて、何もできない自分達に涙を流した。
男はほくそ笑んでいた。
精液の出ない少年に奉仕を続け、尿を飲もうとしていたということは、あの悪魔は命令を守れなかったと思っているはずだ。
ならば、村人を餌にすることであの無垢な肢体を更に弄ぶことができる。辱め苦渋に喘ぐ少女を貪る――想像しただけで涎が垂れそうになる。
「――駄目だったな」
頭上から男の冷たい声が降り懸かる。
びくりと体を震わせ、恐々と男の顔を見上げた。
「滑稽だな。小僧に弄ばれ、小便を啜り、それでも誰も救えない」
嗤いを押し殺したような声が聞こえる。こんな下衆に乞わねばならないのは屈辱だが、それでも村人を見捨てられない。自分が犠牲になれば村人を見逃してくれるかもしれない――一縷の望みに賭け跪いたままに嘆願する。
「――頼む。儂などどうなっても構わぬ。じゃが村の者だけは……」
「……」
鉄に覆われた脚で少女の頭を踏みつける。少女の顔は、尿を吸い湿った泥の中にめり込んでしまう。
「頼み方、というのがあるんじゃないか? もっと惨めに哀れに懇願してみろ。もしかすると神の慈悲が下されるかもしれんぞ」
「……お願い、します。この村人に神の慈悲を賜らせてくだ、さい……」
苦痛と屈辱を堪える少女の声音に男は足を退け、汚れた顔を持ち上げ言葉を掛けてやる。
「何でもやるのか?」
「――はい」
力無い身体から放たれる気丈な言葉。男は嫌らしい笑みのままに指令を与える。
「まずは、男を誘え。淫靡な悪魔ならお手のものだろう。いつものように誘ってみろ」
意味が分からない。手で誰かを招けばよいのだろうか?
少女が困惑し何もできずにいると、男は苛立たしく言った。
「何をしている? それとも、こんな村に愛想が尽きたか」
「ちっ違――います。その、何を、すればよいのか……」
慌てて弁解する少女に、男は先程とは違う優しい声音で語り出す。
「貴様には村人と目合ってもらう。股を開き、男が欲情するような姿勢をとれ」
語りを終えた男に突き飛ばされ、少女はしばし考える。
交合の経験のない少女は村の男を盛らせる術を知らない。そもそも、自分に人間が欲情するのかもわからなかった。
だが、男の命には逆らえない。少女は何度か目撃したことのある、獣や村人の交尾を思い出す。
村人達が見守る中、少女は自分の祠の壁に手を着けると、腰を後ろに突き出し、衣服の裾を捲る。
小振りだが白く形の良い尻と、恥毛の影も見えないような秘部が露わになる。恥ずかしさに首まで赤くなった少女の大胆な姿に、男達は揃って喉を鳴らす。
膝にまだ力が入らず不安定に震える姿勢は、尻を微妙に動かし男達の劣情を誘う。
「何だ、この格好は」
背後からの冷たい声。
「まるで獣ではないか。……ああ、悪魔の交わり方はこのように下劣なのだなぁ」
だらしなく顔を緩めている男は、少女の尻をゆっくりと触りながら、声だけは冷淡に告げる。
「こんな獣には躾が必要だ…なっ!」
「――ッ」
男の手が少女の桃尻を叩く。鋭い音と痛みに少女は悲鳴を抑えるのに必死だった。
「こんな犬のような姿で恥ずかしくはないのか。それでよく神を名乗れたものだな!」
「…………」
少女からは顔が見えないのを好いことににやけた笑みのまま、声だけは真剣に少女の尻を打ち据える。涙を零すまいとする少女の姿に男の嗜虐心はそそられ、勢いが更に増す。
いつしか少女の尻は赤く染まり、一回り以上も大きくなっていた。
「これくらいで勘弁してやる」
「……ありがとう、ござい、ます」
膝をつき、完全な四つん這いになった少女の言葉に頷くと、男は一人の村人を招き寄せる。
その村人は、数々の少女の痴態を食い入るように見つめていた男で、今も視線は少女の下半身に注がれている。
「何の様だ?」
怯えるような声に荒い息と少しの期待を混ぜながら村人は問う。兵士は少女を指差し――、
「こいつを犯せ」
男の言葉に、村人は息を止める。
もしかしたら、と思っていた期待。美しい少女を蹂躙できる。少年が夢中になっていた以上の快楽を得ることができる。崇拝の対象だったかみさまを、自分の下に組み敷いて屈服させることができる――。
自分の奥から湧いてくる感情に思わず大きく喉を鳴らす。
それでも動こうとしない男に兵士はそっと語りかける。
「なあに、気にすることはない。神だといっても……見ただろう? コイツは無力な淫売だ。あんな子供を襲うような、な。
君達は長い間騙されていたんだ。なら、報復してもいい……いや、するべきなんだ。犯して汚して堕としてしまえばいい。」
「オレが……かみさまを……?」
「そうだ。それは正しい行いなんだ。コイツは悪魔だからな。悪魔には、罰を与えるべきなんだ」
「ば、つ……」
男は兵士に言われるまま、ゆっくりと少女に近付いていく。
足取りは酔ったように頼りなく、目は血走り少女の裸体を舐め回すように見る。呼吸は荒く、だらしなく開かれた口元からは涎が地面へと落ちていった。
「はあ……はあ……」
荒い息遣いが近付いてくる。少女は自分が欲望の対象になるのというのに、心が穏やかになるのを感じていた。
不安もある、裏切られたという失望もないわけではない。だが、それ以上に村人を救えるという事に安心していた。彼に抱かれさえすれば、今度こそ、今度こそ村が救えるのだ。こんなに嬉しいことはない。
「かみさま、オレ……」
男は少女の背後に立っていた。すでに股間はさらけ出しており、今にも暴発しそうなくらいに堅くそびえ立っている。
男は少女の腰を掴み陰茎を少女の秘唇に擦り付ける。
初めて触れる少女の柔らかさと、汚されてもなお匂う少女の香りに股間が更に膨張する。
少女は自身の腰に当たる、少年の幼根とは大きさも硬さも違う男根に少しの恐怖を感じ、身を強ばらせる。
「か、かみさま……?」
それが伝わったのだろうか、男は気遣うような声を少女に向ける。
「儂のことならば心配するでない。汝の為すべきことを為せ」
諭すような少女の声に腰を掴む男の力が増した。
「かみさま、ごめん……ごめんなぁ……」
「構わぬ」
泣き出しそうな男の声と凛とした少女の声。
男が動いたのはそれから少ししてからのことだった。
投下終了です。
保守
胸の前で十字を切り、今日も形だけの空っぽな祈りを捧げる。
礼拝堂の聖母像が声無き声で私に問いかける。
汝の罪を悔い改ぬのか、と。
だが、私は何も返さない。
失ったものは山程ある。
後悔する気はない。
たとえあの情熱は長らえないものだったとしても。
色とりどりのドレス、豪華な食事、尊敬すべき家族。
何不自由のない生活はもう過去のもの。
黒一色の一張羅、質素な食事に感謝し、頼れるのは自身だけ。
当たり前のものさえ容易には手に入らない現在。
そしてきっとこのまま代わり映えのないであろう未来。
祝福を受けるための資格はとうに手放した。
死してこの身が地獄へ堕ちようとも恐くはない。
きっとあなたが待っているのだから。
記憶の糸が交差する
「何という恥知らずな!」
「恐ろしい、どうして貴女はそんな愚かなことを…」
「おまえは一族の名を汚したんだ。」
「貴女にはみんなが期待してたのに、よくもまあ。」
「貴女の行いはお父様の顔に泥を塗ったのよ!」
やっと起きれるようになったばかりの私を取り囲む皆の顔には憐憫の情などかけらもなく、鬼の形相で非難の言葉をぶつけるばかり。
いまだ癒えることのない私のからだを気づかう者など皆無だった。
それだけの罪、それだけの罰。
私が切望して、あっけなく失った情熱は―
例え偽りでも、夢見ていられるなら見続けていたかった。
絡まった糸が別の記憶を呼び覚ます
月夜に照らされて浮かび上がるひとつの影。
遠くで聞こえるワルツの音色。
誰も知らない。気付きもしない。彼と私が二人ここにいることを。
互いの熱を感じ、互いの鼓動を感じ、互いの息遣いを聞き、互いの名を呼ぶ。
けれど交えたからだを二つに離せばあとはまたそれぞれの場所に帰るだけ。
一緒にいられる時間は限られている。
なごりを惜しむような睦み合い。
甘い言葉を期待しながら指と指を絡ませる。
青白い腕で私を包みながら彼は私に囁く。
「ねえ、フレドとも寝てみてよ。」
いつもと同じ、冷ややかな声で。
「それで君が孕んだらどっちの子かわからなくなる。素敵だろう?」
くすくすと笑いながら彼は私の腹を撫でる。
月のものは終わったばかり。何も宿していないはずの腹を。
「憧れの女を手に入れたと思ったら、恋敵とすら思ってなかった死に損ないのお下がりだったなんてね。」
彼が私に近付いたのは、純粋に私に好意があったからだと思いたかった。
彼が私を抱いたのは、私同様に彼も私を愛しているからだと思いたかった。
でもそれは夢。
どこまでも自分にだけ都合のいい甘い夢。
糸がほどけはじめる
時は溯る。
夢のはじまりの時へと。
「今日もなんて美しい。」
「おい、お前何抜け駆けしてるんだよ。あいつなんか無視して僕と一曲踊ってくれないか?」
「君の為に駆け付けたよ。今日こそ僕の気持ちに答えてくれよ。」
男達はいつもの薄っぺらい賛辞を武器に私を取り囲む。
「気分が優れませんので。」
男達の顔もろくに見ないで、会釈だけしてその場を後にする。
「見ろ、彼女が俺に笑ったぞ。」
「何馬鹿言ってる。僕にだ!」
愛想笑いをしただけなのに、残された男達は馬鹿な言い争いをしていた。
「…やあね、きれいだからってお高くとまっちゃって。」
「私達とは出来が違うのよ。お家柄はもちろんお顔の出来も。男なんて選び放題よね。」
「男には挨拶してもどうせ私達なんか無視よ。」
同世代の娘達に歩み寄ろうとしても、聞こえて来る陰口に自然と足が他を向いてしまう。
人目を避けて静かなところへ。そう願って選んだ裏庭に面したテラス。
月夜というには雲が多く、月も星もさほど見えない。
表の大庭園と比べてぱっとしない裏庭を見ながらため息をつく。
(早く帰りたい。)
元々私の両親はこういった夜会が好きではない。
もちろん貴族である以上出席しないわけにはいかないのだが、
私のような嫁入り前の娘をあまり人目に曝すべきではないと思っている。
あらぬ懸想をもたれぬために。
持って生まれたこの容姿はどうも人目を惹き付けてしまうらしい。
言い寄る男達と一言でも口をきくようなら、家に帰った途端父母に囲まれ「男に媚を売っている」と咎められる。
必然的に私はこういった場で男達を避けるようになっていた。
だが、そんな私の態度は彼等をかえって煽ってしまったらしい。
落とせぬのなら落としてみせる、と。
そんな噂が同世代の娘達に良い印象をあたえるわけもなく、
友人と思っていたものがひとり、また一人と陰口を叩く側へと変わるのに時間はかからなかった。
今日はカインフォルタ家主催とあって、賑やかなところを好まない父母でもそ知らぬ顔をするわけにいかない知人が多くいるようだ。
当分帰らないだろう。
「好きでこんな顔に生まれたわけじゃ…」
誰に聞かせるわけでもなく、ぽそりと呟いた本音。だが、
「へえ、君ってそんなひどい顔してるの?」
一人だとばかり思っていた私はベランダの片隅から思い掛けない返答を得てしまった。
目が暗闇に慣れず気付かなかっただけで、テラスには先客がいたのだ。
雲が晴れて月明かりが私達を照らす。
テラスの端で、壁に背もたれ床に座り込んでいたのは細身の青年。
月明かりのせいかその顔はやけに青白く、生気の乏しい瞳が私を見ていた。
「なんだ、言う程ひどくないじゃん。」
彼はつまらなさそうに言うと、私から視線をはずし、再び月を見上げる。
だが気紛れな雲はまた月を隠してしまい、暗闇がテラスを包み込む。
残ったのは静寂と気まずい空気。
先客の邪魔をしても悪いと思い、ひとまず広間に戻ろうと踵を返す。
衣擦れの音を聞いてか、先客がまた声をかけてきた。
「もう行くの?戻ったってつまんないよ。あんな奴ら…」
暗闇に慣れてきた両の目で彼を見る。
つまらないと言いながらも退屈してるのは彼本人のように思えたがそれを口にできるわけもなく、
「お邪魔でしょうから。」
悩んだ末にそれだけ言い私はテラスを後にした。
広間に戻ると父に呼ばれ、カインフォルタ公やその友人と名乗る人物らと言葉をかわす。
訛りまじりで話し掛けられ、公の友人がこの国の人間ではない事を知る。
今日はこの国の貴族だけではなく、隣国の貴族や将校、名だたる豪商なども招かれているらしい。
カインフォルタの家は昔から新しいもの、異色のものにも開放的だ。
異国の人間とも積極的に交流をはかる。
珍しいもの、おもしろいものがあれば都に持ち込み、それらがこの国の流行や文化となることすらある。
式典の時位しか顔を出さない引きこもりがちなフィングリードは別にしても、しきたりを重んじる家の多い五公家の中で、新しい物事を好むカインフォルタは特殊とも言える。
酒に酔った声。怒った声。笑う声。訛りまじりの声。
かわされる会話の中で、たまたま耳に残った言葉があった。
「今夜は……がお忍びで……てるらしい。」
お忍び。そう聞いた時、何故かあのテラスの青年のことがまっ先に思い浮かんだ。
けれど確信はもたなかったし、すぐに他の話題に気を取られていった。
もう少し耳をすまして話を盗み聞いていれば、わかったのに。
「今夜は皇太子がお忍びで来てるらしい。何せカインフォルタのパーティーは毎度美女揃いだ。」
「へえ、そういえば今度の皇太子妃は異国の姫じゃなくて五公家の娘から選ぶっていう噂を聞いたけど。」
「ならばあの娘に決まってる。王子と年も近いし、何よりあの美貌にかなう娘は都中、いや、国中探したっていないはずだ。」
あのテラスでの出会いが始まり。
それは偶然ではなく、かといって赤い糸に結ばれた運命の出会いというわけでもでもなかった。
ニ度目の出会いは確かバズ家の演奏会だ。
その晩は雲もなく満月が夜空を飾っていた。
演奏会とは名ばかり、お粗末な素人演奏のあとはお決まりの馬鹿騒ぎ。
外の空気を吸ってくると母に伝え、庭へ向かった私は噴水の傍に座る一人の青年に気付いた。
顔もろくに見てなかっはずなのに、あの時の彼だと一瞬でわかった。
柔らかな月明かりが青年を照らす。
ぼんやりと月を見つめる彼の姿から一瞬でも目をはなしたら月明かりにのまれて消えてしまいそうな気がした。
青年は私の気配に気付くとゆっくりと私の顔をとらえる。
「ああ、この間の。また会ったね。」
座り込んだままの彼は顔だけこちらに向けるもとくに動く気はないらしい。
「今夜も同じ。つまらない奴しかいないだろう?」
つまらないと言いながらも何故招待に応じているのか?彼の言葉にひっかかった。
「あなたはつまらない他の客とは違うの?」
私の問いに彼は当然のことのようにうなずいた。
「僕は付き添いで来ただけだからね。僕が来たかったわけじゃない。」
付き添い、ならばこの青年には男であれ、女であれ、連れがいるのだろう。
「あなたがこんなところにいたらお連れの方は困らないかしら?」
「さあね。僕はあいつのお守りじゃない。ここに着いてから僕は僕、あいつはあいつで好きにやってる。」
「あっさりしてるのね。」
「ああ、あいつには一生の問題でも僕には生憎と関係ないんでね。」
この青年の話し方にはどこか皮肉めいていたが、不思議と不快にならなかった。
そういえば普段近寄って来る男達は薄っぺらい賛辞の言葉で私の気をひこうとするだけ。
こういう話し方をされるのは珍しかった。
彼は積極的に私に話し掛けるわけでもなく、酔い覚ましでもしたいのか時折水に手を浸し、あとはぼうっと座っているだけ。
私も彼とは少し離れて、噴水の縁に腰をおろす。
明るい室内、華やかな音楽、陽気な笑い声、色んなものに満たされた邸内。
だが、ここに流れるのは会話すらない、水の音と月明かりだけが全ての穏やかな時間。
「曲が変わった。僕の方はもう行くことにするよ。」
ものぐさそうに立ち上がる青年。
身長はそこそこ高いが青年男性にしては肉付きは悪く、痩せていた。喧嘩でもふっかけられたらひとたまりもないだろう。
着ている服は月明かりの下で見てもかなり上質な生地と思えた。そこそこ財力のある家の人間なのだろう。
顔色が悪く見えたのはきっと月明かりのせい。
去り行く彼の背中を見ながら、そう思った。
また話をしてみたい。そう思うような人に会ったのは久しぶりだった。
二度までなら偶然。まだそう思えただろう。
だが、私は三度彼と出会うこととなる。
本来仕組まれていたのは私と彼の出合いではなかった。
そんなことは微塵も知らずに。
思えばカインフォルタの夜会にもバズの演奏会にも、両親だけ出席すれば家の体裁は保たれたはず。
伴うのも、私ではなく、兄と兄嫁でも良かったはず。
だが、わざわざ私を連れて出席した。
私があのお方の目にとまるように。
いつも見つけてしまうのは私の方だったのに、三度目は彼の方からやってきた。
エンシェン夫妻は数多い子供の中でも末娘がかわいくてしょうがないらしく、母と私は延々と自慢話を聞かされていた。
だが、父、もしくは母といれば煩わしい男達は容易に声をかけてこないし、女達の嫉妬を買うことはないので、私はしばらく長話に付き合う気でいた。
そこに背後から私の肩を軽く叩く者が現れる。
「やあ、また会ったね。」
彼、だった。
心のどこかで今日もどこかで会うかもしれないとは思っていた。少し期待もしていた。
だが月明かりの下でなく、人の灯した明かりの眩しい邸内でこんな風に会うとは思わなかった。
いつも私に群がる男達は、一人でいる時はともかく、両親といる時の私に気軽に声をかけるのタブーと決め込んでいるようで、それを堂々とやってのけた異端児の出現に会場がざわめくのがわかった。
エンシェン家自慢のシャンデリアの下でも、彼の顔色はどこか青白かった。
「お知り合いの方なの?」
母が小声で囁く。いつの間に男と知り合ったのかとどこか咎める様に。
でも私はまだ彼が何者かを知らない。ほんの二回、言葉をかわしただけなのだから。
母にも彼にも何も言葉をかえせずにいると、理由を察したらしく彼は母に向き合う。
「マダム、ちょっと彼女をお借りしても?」
私に悪い虫をつけてはならないと母は彼に警戒の目を走らせる。
その母の視線が一点で止まる。
「あっ…」
母は急いで扇を口元にあて、その表情を隠す。
そして一呼吸おき、答えた。
「勿論でございます。アレド様。」
「ありがとう、マダム。」
満足そうに微笑む母。あっけにとられた顔のエンシェン夫妻。
母の許可まで得て正々堂々と私を連れ出す青年に再度ざわめく室内。
そんな空気などお構いなしで、彼は私の手を引き歩みを進める。
「今日は君とゆっくり話してみようかと思ってね。」
私の手を引く彼の手。その指にはめられた指輪。
それは豪華な宝石のきらめきを放つためのものではなく、ただ、彼の出自を象徴するためだけのもの。
交差するニ本の剣と対に並ぶ獅子。リヴェスタール王家の紋章。
「まさか……あなたは…」
「ん?人に名を尋ねる時はまず自分から名乗るべきだと思うけど。まあいい、僕は君の名は十分知っているしね。」
重いカーテンに仕切られた貴賓用の小部屋。邸の主の許可なくここに入れるものは限られている。
彼はソファに腰掛けると銀の器から葡萄をつまむ。
「僕はアレド、さっき君のお母上が言ってた通り。姓も名乗った方がいい?もうわかると思うけど。」
彼はさっき母が食い入るように見ていた指輪をかざす。
カーテンの向こうでは先程のざわめきが落ち着き、ワルツが聞こえる。
「せっかくだから座れば。」
彼は目を丸くしたままの私の腕を引き寄せる。
急に引っ張られてバランスを崩した私は勢い余ってソファに崩れてしまう。
「あっ、大丈夫ですか?」
倒れた私を心配そうに覗き込む新たな目が二つ。
それは紛れも無く皇太子フレド様のものだった。
「フレドが君のファンでね。散々話を聞かされて僕も興味があったんだ、君にね。」
第ニ王子のフレド様は、背はあまり高くないものの、血色は良く、肉付きもいい。
ふっくらとしすぎている感は否めないが愛嬌のある顔をしていると評判は悪く無い。
皇太子を廃された第一王子は昔から体が弱く、長くは生きれないと医師の宣告を受けているとの噂を聞いたことがある。
式典にもあまり参加しないから、王家と近しいはずの五公家の者にも彼の顔は知られていない。
事実私も王子としての彼の名は知っていても顔は記憶になかった。
妃がいることも知っていたが、十も年上で連れ子もいる彼の妻は皇太子でなくなった夫には興味がないらしく、ここ数年は都にいることすらほとんどないらしい。
病弱なはずの既婚の兄が放蕩三昧、健康体の未婚の弟が品行方正というのが現状だ。
最近彼等兄弟はお忍びでいくつかの夜会に来ていたそうだ。
皇太子妃候補となる五公家の娘を品定めするために。
アレド様から声をかけられたことで、両親は私がフレド様のお眼鏡にかなったと勘違いした。
フレド様はもともと私のファンだったと言うから、それは間違いではなかったが、
アレド様は私を弟王子に引き会わせる手助けをしていたわけではなかった。
実際アレド様と一緒にいるフレド様とは軽く言葉をかわした程度。
自分で呼んだ遊女に作法がなってないと冷ややかな視線を送るアレド様の横で、もじもじと赤くなるフレド様とたわいのない世間話をしたのを覚えてる。
お忍びで行動することの多い彼の教え通り、一度コツを覚えてしまえば夜の闇に紛れて抜け出すことなど簡単で、厳格な両親が張り巡らせていた囲いは意外と緩かったことを知る。
こっそりと届けられる彼からの手紙。
その度に私は夜闇に紛れて彼の元へと急ぐ。
「死に損ない」
彼は自分の事をよくそう言った。少し寂し気に、諦めたように。
確かに私に会っている時の彼は顔色も良くなく、咳込んだり、快活に動き回るよりかはいつもけだる気にしてたものの、私には彼が死に向かった人間とはどうしても思えなかった。
「いくら君が美しいと謳われようと、所詮君はオーグスの駒に過ぎないんだよ。」
彼は私の髪を一筋すくいあげ、口付けを落とす。
「じゃあ、あなたは?リヴェスタールにとって何?」
「僕はいなくても構わない存在。生きながらも死んでいる。」
彼は私の顎をくいとつかむ。
「だから死人なりに好き勝手させてもらっている。弟の想い人をこうやって呼び出したりしてね。」
唇と唇が重なりあう。
一度はなれ、またひかれ合うように吸い付く。
彼の唇は確かに温もりのある、生きた人間のものだった。
「アレド様……」
首筋に唇を、舌を這わせる。
私の両肩に置かれた彼の手は決して強引ではなく、促すようにゆっくりと私のからだを横たえていく。
「捨てられた駒が何をしようと誰も気にはしない。君も別に僕に気を使う必要なんてない。」
拒むなら今のうち、そう言いたかったのだろう。
私は彼の頬に手を伸ばす。
「私がただの駒になる前に、知りたい。あなとのこと。」
唇と唇が重なる。さっきよりも長く、彼の熱を感じた。
慣れた手付きで私のドレスを脱がせる彼。
私は彼に身を任せはしたものの、服を一枚脱がされる度に、ちっぽけなプライドも剥がされているようでどんどん気弱になっていた。
彼の手が止まり、すっかり硬直してしまった私を見下ろしてくすくすと笑う。
「いつもは毅然とした君が今はまるで子供だね。いや、狼に睨まれた羊?」
額に口付けを落とす。
そしてどこからか小さな封を取り出し開けると中の粉を半分程己の喉に流し込み、残りを私の唇に添える。
「飲んでおいて。その方が楽だから。」
私は言われるままに飲み込んだ。
猛毒だろうが、麻薬だろうが、媚薬だろうが、どうでもいい。
頭の中は真っ白い光がはじけていた。
ふわりふわりと投げ捨てられる彼の服が空を舞う。
血の気のない彼の裸体は力強い青年というよりは少年のようにか細く、彫刻のように白かった。
「愚かだね、エミリア。千の男をも惑わすと言われた君がこうも簡単に堕ちるのか。」
spin a yarn 1 以上です。
灰色の塔番外のエミリア過去編となります。
当面シスター成分が少ないですが、次からエロも挟むのでお見逃しを!
番外編ktkr
待ってたかいがありました!
これからの展開が楽しみです!
お待ちしておりましたよ。
相変わらずの綺麗な文、楽しませてもらいました。
いやはや・・・いつもながら美しい文のお話ですね。
もはや官能文学と名乗ってもいい位。
「エロパロ」なんて言うのさえ憚れるほどです。
神スレ保守
エミリア過去編楽しみです
土地神様の人はもう来ないんですかね……。楽しみだったんだけど。
何もかもが快感となる。
ほんの少し唇が触れただけで。
ほんの少し髪が触れただけで。
脇腹の方からこねるように乳房を揉みしだかれその頂きを交互に吸われる。
女として赤児に与えるべき乳房に大の大人の男の湿った舌がまとわりつく。
片方は口で、もう片方は指で、優しく、かと思えばなぶる様に与えられる愛撫。
乳首はさらなる刺激を求めて突起する。
膝裏から太ももにかけてゆっくりと撫でられる。
往復していた手が段々とと尻に近付いていく。
いつの間にか両足は大きく開かれ、あられもない格好で自分ですらろくに見た事のないところまで彼に見られていた。
頭では否もうにも私のからだは悦んでいる。待ちわびている。
女の本能でわかっているのだ。
そこを触られた瞬間、今まで受けていた愛撫とはあきらかに違う感覚が頭の芯まで駆け抜ける。
渇いた肌を触られるのとは違う。潤った粘膜に囲まれた女の聖域。
秘唇を割りながらここかここかと何かを探し求める指が包皮に隠れていた核を弾いた。
「あぁっっ!」
押さえきれない声。
何かの言葉を発しているのか、呻いているのか、喘いでいるのか、自分ではもう判断できない。
これはさっきの薬のせいなのか?
それともこれが女という生き物の持つ性なのか?
時折太ももに触れるのはあくまで肉であり骨とは違うもの。
彼の股間より生えるそれは天に向け反り立つ。
青白い彼の肌に対して充血し赤みを帯びた肉茎は異様な色のコントラストを生む。
私がそこを凝視しているのに気付いたのか、彼は愛液にまみれた秘部から指を抜く。
「触ってごらん。」
ぬるりと濡れた指で私の手をとりゆっくり自身に導いた。
触れてみたもののどうすればいいかわからず、そっと撫でてみる。
形を知るべく軽く握ってみたり、竿から亀頭へと指を這わせてみる。
夜の冷気に熱を失っていた指先に熱が伝わった。
秘唇への愛撫は再開されていて、
蜜を垂らし続ける膣口に指が侵入するとわずかに痛みがあるもののそれはすぐに消え快感へと変わる。
出入りする指は一本からニ本へと増やされ、彼のものを受け入れるべく入り口は広げられていく。
今まで体験したことのない、からだの内側を触れられるという感覚。
痛みは全くないわけではなかったが、それよりも快感の方がはるかに強かった。
指だけで天に昇ってしまいそうな私を再度地に引き戻したのは、恐怖。
足は大きく広げ、持ち上げられ、蛙のような間抜けな体勢となる。
先程より一回り大きくなった気がする肉茎が濡れぼそった割れ目にあてがわれる。
話に聞く破瓜の痛みへの恐怖か?
いや、父母の望む通りの深窓の令嬢を演じ続けた穢れない自分を棄てることへの恐怖か?
「……待って!!」
力の入らぬ手で精一杯彼の胸を押し返す。
だが、下腹部から伝わり始める肉壁を割る指とは全く違う感覚。
耳たぶを甘噛みしながら彼が呟く。いつもと同じ、冷ややかな声で。
「何を今さら。」
侵入から逃げようとするからだをぐいと押さえ付けられると同時に一気に突き上げられた。
「ひゃああっ!」
彼の肩を掴んでいた手に一気に力がかかる。
己の分身を私のからだの最奥にとどめたまま、彼が尋ねる。
「痛い?」
頭を横に振る。感じたのは痛みではない。
秘唇奥深くに差し込まれた肉茎が出入りを開始する。
引いて、また突く。
言葉にしてしまえばなんとも単調な営み。
だがそれと全く同じリズムで脳天がとろけるような快感が私を襲う。
ほんの数刻前までは己の指すら知らなかった聖地はあっけなく陥落した。
つながったそこからは愛液をしたたらせ、くちゅりと粘液質な卑猥な音を醸し出す。
さっき手で触れていた時より明らかに硬さも大きさも増した肉茎。
からだの内側が擦られる、突き上げられる。
私のからだはつながってるそこだけ残して溶けてしまいそうだった。
与え続けられた快感は初めて知るには強すぎるもので、いつことが終わったのかすらわからなかった。
ゆっくりと自身を引き抜き、私からからだを放す。
ごろりと横になる彼の背はうっすら汗ばんでいた。
その汗は死に損ないと自称する彼が生きるためにもがき苦しみ出した汗では無い。
私が破瓜の血でもって示したように、それはまた彼が私を堕とした証。
あの夜、幼い頃から自ら紡いできた、いや、半ば強制的に紡がされてきた強いようで脆い糸が切れた
そして私は新しい糸を紡ぎはじめる
彼からの呼び出しはいつも突然で、一方的だった。
フレド様も交えて飲みかわすだけの夜もあれば、
二人だけの夜もあった。
この不思議な関係はいつでも終わらせることができた。
そうしなかったのは、私に残された最後の自由のような気がしていたから。
久しぶりに夜会を主催するとあって、屋敷の中は騒然としていた。
他の五公家同様、我が家にも彼等兄弟が顔を出す事については既に知らせが来ている。
知らせはもう一つ。フレド様が私と踊りたいらしい。
たったそれだけのことでわざわざ王家直々の使いを通して、
しかも私にではなく家長である父に伝えることでもない気がするが、
それはあの気弱な弟王子なりの精一杯のアプローチなのだろう。
兄王子と私の関係も知らずに。
新調したドレスにあわせる首飾りが欲しいと義姉が呼んだ宝石商。
あれこれすすめられたが、あまり気乗りせず適当に決めると部屋を後にした。
「あらエミリア久しぶりね。オーギュの時以来かしら。聞いたわよ。」
嬉しそうに声をかけてきたのはへレナ叔母様。
東領に婚家があるこの叔母に会うのは年に数回もないことだ。
「おめでたい話が進んでいるそうね。」
「進んでいるなんて。まだ具体的な事は何も……」
「あら、知らばっくれちゃって。さっきグレースに聞いたわよ。フレド王子の目にとまったそうね。素晴らしいことじゃないの!」
叔母は満面の笑み。
ここ数十年オーグスの家は安寧を保つだけでいい話題もなければ悪い話題もなかった。
都では何かと話題を提供するカインフォルタやバズ同等とはいかなくても、たまには生家の自慢話を東領の片田舎に持ち帰りたいのだろう。
「まあでもリヴェスタールに嫁ぐとなれば噂だけで事は進まないものね。アーサーには頑張ってもらわないと。」
「私はお父様のお選びになる相手ならどなたでも。」
「あら、欲の無い子ね。私にあなたくらいの美貌があればもっといい夫をつかまえたのに。」
「叔父様も素敵な方ですわ。」
「いいのよ、お世辞は。そうそう、ルイーズはいるかしら?パメラが来てるのよ。」
叔母は部屋を覗き込む。
「お母様はまだ戻られてないかと。お客様ですか?」
「エミリア、あなたパメラを知らない?会った事ないかしら?ほら、シスターセナのことよ。」
「シスターセナ?さあ……」
「パメラはニールの姉さんよ。そうそうニールったらまた太ったらしいわ、嘆かわしい。ロレンス大叔父様の様に早死にするつもりかしら。」
パメラ、ニール、ロレンス、どれも聞き慣れぬ名。
オーグスの分家筋の人間だろうか?それならば遠縁ということになる。
「パメラの方はがりがりに痩せて。何を食べてるのかいないのか…。全く修道女になんてなるものじゃないわね。こんなんことパメラに言ったら一時間はお説教だけど。」
シスターセナ。へレナ叔母様や母の旧知の仲であってその名が示す様に修道女。
恐らく元々は自分同様貴族として育ちながら何故神の道を選んだのだろう?
「私もシスターセナにお会いしてもいいかしら?」
「勿論よ。パメラも喜ぶと思うわ。」
部屋の中からは私を呼び戻そうとする義姉の声。
だが義姉が苦手とするへレナ叔母様を見ると、途端に首を引っ込めてしまった。
ぞっとした。
まだ日の高い昼間だというのに、幽霊でも見たかと思った。
部屋の一角にぽつりと真っ黒な闇。
その正体は頭からつま先まで黒の衣装を身に纏った女性だった。
母やへレナ叔母様と十も変わらぬはずのその人の頬は落ち、ヴェールから垣間見える艶の無い髪には白髪が混じり、カップを持つ右手の爪はひび割れ指は枯れ枝のようだった。
神に仕える尊い人間と言うよりは悪魔に生気を吸い取られた哀れな人間と言いたくなる。
誰もが老いて醜くなる、それは当然のこと。
貴族であることを、つまり恵まれた人間であることをやめてしまえばこうも差がでてしまうのだ。
(あの人が生きていられるのも王子だからであって、ただの人間ならとっくに死んでいるのかもしれない。)
黒衣を着ていてもその身の細さがわかってしまうシスターセナを見ながら、ふと病弱なアレド様のことを思う。
「パメラ、この子がエミリアよ。さっき話したアーサーの三番目の。」
「まあ!なんて可愛らしい。さすが本家のお嬢様は美人ですこと。ルイーズに目がそっくり。」
シスターセナの瞳には優しい光が灯る。
曇りのない純粋な慈愛の目。
「初めまして、エミリア。私はシスターセナというのよ。」
部屋に入った時感じた負の感情はきれいに吹き飛ばされていた。
おしゃべりなヘレナ叔母様がいたせいか、初対面のシスターセナとの会話に困ることはほとんどなく、母が加わってからは一段と思い出話に花が咲いていた。
やはり母や叔母に比べると老け込んで見えるし、貧相な印象も否めない。
でも、シスターセナはそんなこと微塵も気にしていない様だった。
もし私が同じ立場なら見劣りする自分を恥じてしまうだろう。
結局、私は貴族である自分以外知らない。
シスターセナは私より少し若い頃に大病を患い、療養がてら修道院に入ったのだそうだ。
「病気が落ち着いてきて、父がじゃあそろそろ結婚をって話になるとまた悪くなるのよね。おかげでお医者様にも全快ですと言われる頃にはすっかりいき遅れてしまって。」
「パメラは結婚するのが嫌で病気になっていたようなものね。」
「本当は仮病だったんじゃないの?」
シスターセナは叔母達の冗談にころころと笑う。
修道院での苦労や、家を継いだ弟のニールへの愚痴など話したあと、
シスターセナは母から修道院への援助を取り付け屋敷をあとにした。
「エミリア、パメラの真似して修道女になるなんて言い出さないで頂戴ね。」
冗談めいた叔母の言葉だが、母は不安気な表情で私を見る。
「私は大丈夫よ、お母様。」
「エミリア、お父様も私も貴女には期待してるんです。フレド王子とのお話が駄目だったとしても、お父様のところにはたくさんお話が届いてるのよ。」
私は叔母に言ったのと同じ台詞を繰り返す。
「私はお父様のお選びになるお相手ならどなたでも。」
これは本心。
結婚。本人同士の気持ちなどどうでもいい。
大切なのは家と家とを結ぶ事。
当時の私には、オーグスの娘である以上全うすべきこの運命から逃げる術はなかったのだから。
久しぶりに届いた誘いの手紙。
呼び出された部屋に入るのにノックなどいらない。
かすかに漏れる嬌声に混じり、彼の声が聞こえたから。
「ふふふ……あんっ!お上手ね。」
「君のほうこそ。」
「ねえ、私にも……」
蝋燭の灯に照らされていたのは彼、と見知らぬ女達。
「あらぁ、新入りさんの到着よ。」
女が髪をかきあげながらくすくすと笑う。
「なんだか随分育ちの良さそうな子じゃない?大丈夫なの?」
別の女が品定めする様に私を見る。
「……色々教えてあげようと思ってね。彼女に。」
枕に頭を半分沈めたままのアレド様が私に向かって手を伸ばす。
「さあ、おいで。エミリア。」
くすくすと女達の笑いが響く。
この不思議な関係はいつでも終わらせることができた。
そうしなかったのは、私に残された最後の自由のような気がしていたから。
spin a yarn 2 以上です。
エミリアがシスターになるまではもう少しかかりそうです。
次回がレズっぽい描写も入る予定ですので
苦手な方は飛ばしてください。
土地神様の話自分もこっそり続き期待してます。
かみさまのその後が気になる
相変わらずすごくいい仕事を……!
これからも期待してます。
かみさまも読みたいなあ……。
うほ!来てた来てたー
これからどうエミリアが堕ちて行くのか
楽しみでなりません
続き期待保守
ほす。
>>392の続き投下します。
「オレにはっ、できねぇ……」
少女に挿入しようとしていた男――トムが、突然踵を返して逃げ出した事に、その場にいた全員が呆気にとられた。
しかし、村人を囲うように見張っていた兵士達は素早く我に返り、男を捉え拘束する。
そして細身の男の前に連れていかれ、足元へ荷物のように投げ出された。
男は投げ出された村人を笑顔で眺め、頭を踏みつけた。
「俺はあの魔女を犯せと言ったんだ。ならお前はそのみっともなく腫らしたモノを、あの尻振ってる牝に突っ込んで野良犬みたいにヤりゃあいいんだ」
足を上げ、もう一度トムの頭に落とそうとする。
「その男を痛めつけるでないッ!」
少女は風に男を守るよう願った。
けれど風は鉄を嫌う。
鉄の鎧を纏った兵士の攻撃は、風の加護をすり抜けてトムを襲う。
「邪教徒のクセに俺の、神の言葉に逆らうかよ、糞ッ!」
頭を蹴り腹を蹴り手足を踏み砕く。
少女は何度も風を使うが、そのすべてがトムに届く前に消えていく。
(なんて酷い……)
(あのままじゃトムが……)
(かみさま、助けて……)
周囲からの視線と傷が増え続けるトムに焦りを覚えながら、少女は己の無力に涙する。
(儂にはこれくらいしかできぬ)
少女は疾風の如き速度でトムの下へ馳せ、自身の体を盾にして庇う。
腹部に放たれた男の蹴りは少女を木の葉のように吹き飛ばした。
地面に体を打ち付け、何度も噎せ返りながらも、少女は男の前に立ちトムを守ろうとする。
「この者に、これ以上の狼藉は許さぬ!」
息を荒げ、膝が笑っていても、少女の瞳は男の目から離れない。
「このっ、悪魔が!」
生意気にも立ちはだかる悪魔に、神の力を示す。
悪魔は簡単に殴り飛ばされ、再び地面に崩れ落ちる。
それでも立ち上がってくる悪魔に対し、腰の剣を抜いた。
「悪魔風情が、何度も刃向かいおって……死ねよや!」
剣を振りかざし、悪魔に引導を渡そうとした時、
「かみさまをいじめるなー!」
子供の声と共に無数の石が飛んできた。
子供の力で投げられた石は、鎧に弾かれるだけだが、とにかく鬱陶しかった。
悪魔に神の裁きを下す、そう、聖なる行いを邪魔したのだ。
これは幼子だからと許される事ではない。いや、相手は普通の子供ではなく邪教徒の子供だ。神に逆らい悪魔を救おうとする愚か者共。
奴等に示さねばならない、神の力を、威光を、慈悲を。神よご覧下さい、貴方の僕は邪教徒に愛を伝えます。
村は地獄と化していた。
少女を救おうと、子供達が兵士に石を投げたのを皮切りに、村人の反抗が始まった。
手近にあった石や棒で兵士に襲いかかる。
力付くで組み敷いて兵士から武器を奪う者もいた。
数に勝る村人は数人がかりで手近な兵士を倒していく。
しかし、村人の優勢は長く続かなかった。
冷静ささえ取り戻せば、兵士達は次々と村人を返り討ちにしていく。
不意を衝かれたとはいえ、村人相手に醜態を晒した恥を雪ごうとするかのように、村人への行いは残虐なものだった。
首や腹を裂かれて絶命する者は幸いである。
鉄の拳で全身の骨を潰される者、足を斬られ失血死するまで芋虫のように這いずる者、戯れに火を放たれた民家に投げ出され生きながらに焼かれる者もいた。
目玉や舌、耳のように体の一部を奪われてから殺されるのも珍しくない。
女達は、男達の女房もいとけない少女も関係なく陵辱される。時には男ですらその対象となった。
何より、兵士達はその行為を神の慈悲と謳い、一片の疑いもなく信じている。
少女は暴徒となった村人を諫めようと、反撃に転じた兵士達を止めようと、何度も訴えるがその言葉は誰にも届かない。
風を使おうとしても鉄と血の溢れるここには集まってこない。
眼前に繰り広げられる暴力に立つ気力も失い、トムの横でくずおれる。
(何故じゃ、何故こんなことに……)
目の前の光景が信じられず、半ば茫然とする少女。
その少女の腕を掴み立たせる男がいた。
先程、トムに暴行を働いていた兵士とは別の兵士。
先程の男よりも一回り以上若く、まだ二十歳前というところか。後ろにも同世代の兵士を一人連れ、二人共に下卑た笑みを少女に向けている。
「な、何をするか貴様等!?」
怒りと動揺の籠もった少女の声と視線を涼しげに受け止める。
口元をニヤリと歪めると後ろの男に目配せをして、空いているもう片方の手で無造作に少女の胸を掴む。
「何って……ナニだよ。なぁ?」
「ああ、魔女に俺達の聖液を注いで、汚れたカラダの内側から浄化してやるんだよ」
少女は愕然とした。この男達はこの空気に酔っている。
仲間が殺戮を繰り広げても、止めようともせずに、血に湧いた興奮を悪魔と罵った少女を使って発散しようとしている。
男達の瞳は欲望にギラギラと輝き、吊り上げられた少女の身体を上から下まで視姦する。
そのうちに少女を捕まえている男が口を開く。
「それにしても、小せえ胸だな。こりゃそこの男が逃げるのも無理ねえな」
確かに男が触っている少女の胸は揉むというよりは、さするとか撫でるという言葉が相応しい。
後ろの男はそれを聞いて笑いながら、少女の尻を服の上から触りだした。
「そう言うなよノイ。こんなちっちゃな身体で、ガキのチンポ美味そうに舐めたり尻振って男を誘うんだ」
「ふひひ、魔女の資質は充分だってかぁ、アルトぉ?」
より執拗に身体を撫で回す男達の手から逃れようと少女は身を捩らせる。
しかし、少女の力では男達から逃れることは到底叶わなかった。それどころか、そのか弱い抵抗が益々男達を喜ばせる。
「離せ、離さぬか! 儂……ぐむっ!?」
鈴を転がすような声で罵声を浴びせようとする少女の小さな口に、アルトと呼ばれた後ろの男が武骨な指を突き込んだ。
「指で悪いな。もう少ししたらもっと太くて美味いのを舐めさせてやるから」
「ごっ……ふーっ、ふー」
差し込まれた二本の指が歯茎の裏や頬を撫で舌を挟み扱く。
少女は男を罵倒しようとしても荒い息を吐くしかできない。
「楽しそうだなぁアルト。……俺も楽しませてもらおうか」
ノイはにやけた顔でそう言うと、少女の服の首下に手を掛けると一気に引き下ろす。
麻が裂ける音が周囲に響き、少女の臍までが露わになった。左右に残った布がすんでのところで乳首を隠している。
「へっ、小せえ乳だと思ってたが、直接見ても小せえなぁ」
ノイは軽口をたたきながら、麻布の切れ端ごと少女の乳首を捻る。
「ぶぅっ!」
痛みに目を見開き悲鳴をあげる少女の顔を見て悦に入りながら捻る指に強弱を加えた。
力加減によって変わる悲鳴にもすぐに飽きると、男達は目配せをすると少女から一斉に手を離した。
突然支えを失った少女は何が起こったかわからない顔でぺたりと地面に座り込む。
ノイはそんな少女にのしかかり、仰向けに押し倒すと、両手をスカートの中に入れて脚を撫で回しながら唇を犯した。
少女はさっきまで入っていたゴツゴツとした指とは違う、ヌルリとした感触に身を竦ませる。
顔を捩ろうとしても、独立した生物のように動き回るノイの舌は決して少女を逃さない。
呼吸も満足に出来ない少女の鼻息が頬を擽るのを感じ、舌を更に絡ませる。
「…………!」
声をあげられない少女の脚をゆっくりと這わせていた指は、少女の膝を立たせると内腿をくすぐっていく。
開かせた脚の間、少女からは捲れ上がったスカートが隠している場所にはノイの腰が入り込み、いつの間にか露出していた怒張が少女の腰へと近付いていく。
少女の呼吸が小さくなってきた頃、男は絡めていた舌を解き唇を離す。銀の唾液が糸を引いていたのを千切ると、次は少女の小さな胸にかぶりついた。
淡い膨らみに舌を這わせ、小さいながらも屹立した尖りを甘噛むと少女は身体を震わせる。
何度か吸い付いた後、口を離すと腿を触っていた手を胸まで持ってくると、周りの脂肪を集めるように胸を揉む。
「どうだ、感じるか魔女? 貴様等は淫乱だからもう挿れてほしいんじゃねえのか?」
「何を言っておるのかわからぬ。早くその重い体をどけよ。儂にはやらねばならぬ事があるのじゃ!」
「てめえ……自分の立場がわかってねえな」
生意気な口を利く少女の胸にもう一度口を近付ける。
「何をするきさ……ぎぁっ!?」
噛み千切るような力で歯を立てると、少女はその痛みに耐えきれず悲鳴をあげた。
唇を離すと、くっきりと残った歯形から赤い雫が浮かんでくる。
「魔女の血も赤いんだなぁ。なら、膜破った血も赤えのか確かめてやるよ!」
その言葉が終わらないうちに男の腰は少女の身体へと進んでいった。
投下終了です。
次の投下で全部終了する予定です。
ところで、ランプの魔神ってこのスレの範疇なのでしょうか?
かみさまピンチ続行中。次でやっぱり……
ランプの魔神も女神様ならおもしろそうですね。
ん、アクビちゃん?!
>>430 ソレダ!
というわけでアクビちゃんSSを投下します。
私が知ってるアクビちゃん。
・名前
・アクビをすると壷からでる
「ふぁ〜あ」
古びた壷の前で僕はアクビをする。それに反応して壷はカタカタと揺れるとピンク色の煙を吐き出した。
爆発のような音をたてると、煙は吹き飛び、そこには赤毛をポニーテールにした、踊り子のように露出の激しい衣装を纏った小学生くらいの女の子、アクビちゃんが立っていた。
彼女は眠そうな目を僕に向けると「臭い」
え?
「汚い口をあけたマヌケ面してるんじゃないわよ。このオナニー豚」
あ、アクビちゃん?
「動かないわね……そのまま死ねばいいのに」
「そ、そんな事言わないで助けてよ」
「何よ。動けるんじゃない。で、何の用なの?」
アクビちゃんは爪の塗りムラがないか確かめながら聞いてくれた。
「シャイターンが僕を苛めるんだよ〜」
「あんたキモいから仕方ないわよ」
真顔で即答するアクビちゃんの脚にしがみついてもう一度助けてくれるよう頼みました。
「じゃあ、苛められるのが好きになればいいじゃない」
「それじゃ変態じゃないか!?」
「今でもアンタは変態、よっ!」
アクビちゃんは綺麗な脚をあげると、正確に僕の顎を射抜きます。
脳を揺らされた僕は立っていられず、アクビちゃんの足元に倒れてしまいました。ここからなら下着のようなアクビちゃんの服が、お尻やアソコに食い込んでるのがわかります。
思わず大きくなった僕のアレにアクビちゃんは足を載せてきます。
「こんな子供相手に何欲情してんのよ……変態!」
そう言うとアクビちゃんはより強く踏みつけ、上下に動かし始めました。
「どう、こんなのが気持ちいいの」
「気持ちイイ! 気持ちイイよアクビちゃん!」
「アクビ、ちゃん?」
「あっ、アクビ様! アクビ様の足、最高です」
動きが激しくなるに連れて、僕の服はずれていき、完全に露出してしまいました。
直接感じるアクビちゃんの足裏の柔らかさと、擦られる刺激に耐えきれず、僕は情けなくも射精してしまいました。
「どう、苛められるの好きになった? 早漏野郎」
僕は涙を流していた。悔しさと、認めたくないけれど、罵られる喜びで。
涙を拭い立ち上がろうとすると、アクビ……様が僕を呼び止めました。
「アンタの汚い汁で足が汚れたわ。……舐めて綺麗になさい」
足に口付けをした僕は、どんな顔をしてたんだろう?
>>429 しばらく来ていない間に投下が!
ああ……なんというか、切ない……。けど面白いです。
>>428 の続き投下します。
熱く太いモノが狭い膣道を押し広げながら入ってくる。
身を裂かれる痛みと異物が入ってくる圧迫感、感じたことのない本能的な恐怖が増していくが、男の力に逆らうことができない。
「あ…あああ……」
何かが裂けるような音を感じ、痛みがさらに酷くなる。けれど異物は奥へ奥へと進んでいき、行き止まりでようやく動かなくなった。
痛みに涙を流していたらしい。
アルトとかいう男が頬を伝うそれを、美味そうに舐めている。
視線を合わせたくなく、間近にあるそいつの顔から目を逸らすと、何かを見つけた。
(何じゃ、あれは……)
男は股間で何かを握り、上下に動かしている。
時折、生物のように蠢くそれが何であるか悟り、思わず顔が熱くなってくる。
(あの子のモノとは全然違うではないか……あ、あんな醜いモノが儂の中に……)
眼前の物が体内に入っていると考えるだけで圧迫感と痛みが増す。
そして、その異形に目が離せないでいると、眼前の男は腰を上げ、肉の塊を顔に寄せてきた。
「何だ? 見たいならもっと見せてやるよ」
鼻先までソレを近付けてもまだ擦る手は離さない。
次第に先から液が漏れ出て指に絡む。指と肉が奏でる水音を響かせるように、動きがより激しくなった。
強くなっていく臭いに、少女は顔を背けようとするが、アルトは空いた片手で少女の頭を掴み逃さない。
「ホラ、約束のモンだ。口開けろよ、ご馳走してやるよ」
アルトは肉棒を少女の口に押しつけるが、硬く閉ざされた口内に入ることができずに唇を犯すに留まる。
「チッ、ガキのはよくて俺は駄目なのかよ!」
口中に入れるのを諦めたのか、頬や瞼、顎と顔中に落書を描くように陰茎を擦り付け、粘液で汚していく。
少女はその不快な腰の動きに耐えきれず口を開いた。
「貴様、儂をなぐむッ!?」
口を開けた瞬間を見計らい、肉棒が突き込まれた。少年の幼いモノとは比べようもなく濃厚な味と臭いが広がっていく。
「頭悪いな〜。さっきと同じ手が通用するなんてなぁ。……もしかして期待してたのか?」
「ぐっ、ごもっ……ひはふ……」
男の揶揄を否定しようとするが、限界まで開かれた口では意味のない音しか出ない。
それどころか、舌の動きと呼気がアルトに快感を与えていく。
「やっと口に入れられて嬉しいんだろうけど、そんなにがっつくなよ」
「じゃあ、こっちも楽しませてもらうか……なっと!」
アルトが口内で小さく腰を動かすのを見て、挿入から沈黙を保っていたノイが動き出す。
「んぐっ、ごっ、ぐぶっ……」
今まで動かずにいた鬱憤を晴らすかのようにノイは激しく腰を動かしている。
肉棒が狭い膣内の肉を抉るように動くたびに少女は激痛に襲われるが、口に埋め込まれたもう一つの肉棒のために悲鳴もあげることができずにいた。
荒い呼吸と男を押し出そうとする舌の動きに刺激され、アルトの動きも次第に激しさを増す。
上下の口をがむしゃらに犯していく男達に少女の体は耐えきれず、白目を剥き体は弛緩していく。時折、意識を断ち切られるが、継続的に襲う激痛のためにすぐに覚醒してしまう。
「コイツの口、小さいくせに俺を飲み込もうとしやがる」
「こっちだって痛いくらいに締めてくるぜ、さすが魔女だよ」
「魔女の中でもコイツは格別……って、また寝てやがる。起きろ!」
競い合うように激しさを増す二人。彼等の欲望を一身に受ける少女はまた意識を失っていた。
これまでのようにアルトは頬を叩くが、今回は反応が返らない。
叩く力を強くしようとも、勢い余って自分の肉棒に歯で傷つけられたり、美しい顔が醜く腫れるのは嫌だった。
アルトが困ったような表情を見せると、ノイは口元を歪め、少女の胸へと手を伸ばす。
そして、絞るように胸を握りつぶすと、先程つけられた歯形から再び血が滲み、赤い玉が湧き出てきた。
激しい痛みに少女の目に光が戻り、唸り声をあげながら抵抗しようと身を捩る。
ささやかな抵抗を嘲笑いながら、ノイは見せつけるように胸に浮かんだ血玉を舐めとっていく。
傷跡に唾液が染みこんでくる痺れに、少女の体が震えた。それを快感の証と受け取ったノイはなおも執拗に舌を動かす。
「けっ、この餓鬼自分の血ぃ吸われて感じてやがる」
「ぐっ……ふぉぶあ」
「嬉しいのはいいけど、舌が激しすぎるぜ」
否定の言葉も都合よく解釈する男達。
腰の動きはそのままに、啜る音が響くように胸を舐めるノイと、もう一つの胸に手を伸ばし乳首を転がすアルト。
舌と指、別種の刺激を双乳に受け、陰茎を突き入れられる口と膣がびくりと蠢く。
その反応に二人の男は尚更上機嫌となり、指と舌の動きが激しくなっていった。
「こ、こんな薄い乳で感じて、やがるッ!」
「ああ、魔女って、のは、淫乱なんだよ。なあっ、淫乱魔女」
「んうっ、んっ、んんっ……ひが……」
口から逸物を一瞬だけ吐き出せた。その隙に否定しようとするが、より強く喉奥へ突き込まれ言葉を失う。
一瞬とはいえ吐き出されたアルトは激高して、小さな口を壊しそうな勢いで腰を叩きつけた。
胸を弄っていた手を離し、両手で少女の頭を逃げられないように固定する。
「何口から出してんだよ! 俺のモノはあんなガキの貧相なモノより嫌だってかぁ!? てめえは黙って俺のを気持ち良くすりゃあいいんだ!」
罵声と共に激しく動く腰。少女の喉奥にまで押し込んだ肉棒はより太く大きく肥大化する。
「射精すぞ! 直接腹ん中に射精してやるから全部飲みやがれッ!」
その言葉が終わらぬうちに、肉棒が痙攣し熱い迸りを少女の細い喉へ吐き出していく。
「ぐっ、んぐっ……ごくっ」
濃厚な苦味と強烈な臭いが喉を襲い吐き出しそうになるが、男の肉棒が詰まっていてはそれもできない。
ドロリとした塊は飲み込むには辛かったが、唾液で溶くことでゆっくりと飲み干すことができた。
だが、飲む間に凶悪なほどの味と臭いが口内に染み着いてしまったようで気持ちが悪い。
今は動きを止めてはいるが、男のモノが栓をしていなければ吐いてしまいたいほどだ。
(何じゃ、コレは……?)
あの子の時には出なかった何か。
尿かとも思ったが、こんなに濃いはずはない。
飲み干したのを悟ったのか、男はゆっくりと口から怒張を抜いていくと、嫌らしい笑みを向けて聞いてきた。
「美味そうに飲んでたなぁ。どうだ? 俺のザーメンの味は」
美味いものか、臭いも味も最低だった。久しぶりに自由になった口で罵ってやろうとも思ったが、口内がいがらっぽく上手く声が出せない。
「た、ね……じゃと?」
その言葉に男は一瞬呆けたような顔をすると、腹を抱えて笑い出す。
疑問に答えてくれたのは、固いモノを押し付けてくる足元の男だった。
「魔女のクセに何も知らねえんだな。精液だよ。子種だ」
その言葉が頭に染み入るに連れ、血の気が引いていくのがわかる。
「わ、儂は、貴様の子を孕んで、しまったのか……?」
心を冷たい絶望が支配していく。人間の、それもこんな、村の子らを虐殺するような輩の子を宿してしまった。
そう思うだけで目の前が真っ暗になっていく。だから、次の男の言葉に、どれだけ救われたと思ったことか――。
「大丈夫だぜ。俺の子は孕まねえよ」
笑う男を、少女は救われた表情で見上げる。ノイはそんな少女の子宮口に陰茎をグリグリと押し付けて言った。
「ガキを孕むにゃあ、口じゃなくココで射精されなきゃならねえんだ。だから――孕むのは、俺のガキだ」
残酷に告げると、ノイは少女の脚を手で押さえ、今までよりも激しく肉棒を動かしていく。
あまりの激しさに、治まっていた治が再び流れ出した。
「嫌じゃ! 貴様の子なぞ孕みとうない! 抜け! 抜くのじゃ!」
妊娠の恐怖に涙を流して、首を振る少女見て、また男の肉棒は力を増す。
膣内で膨らんでいくソレを感じ、少女の無駄な抵抗は強くなる。
限界を間近に控えたノイは少女の子宮に射精しようと膣奥へと強く強く進ませた。
「ヌいてやる。魔女の体でヌいてやるよ! そらっ、孕めぇぇ!」
長く我慢していたノイの精液は激しく大量に少女の幼い膣内を蹂躙していく。
零れ落ちそうなくらいに射精されたソレは、裂けた粘膜に染み込みまた新たな痛みを生み出す。その痛みに少女はピクリと痙攣した。
「……へっ、処女だったクセに膣内で射精されてイキやがった」
「へへへ。だから魔女ってのは淫乱なんだよ。ホラ、どけよ! 次は俺がこの魔女に神の罰を与えてやる」
「チッ、少しは余韻に浸らせろよ」
文句を言いながらもノイはゆっくりと、硬さを保ったままの肉棒を抜いていった。
投下終了です。
次こそ完結します。
切ないなあ……。
それでもGJ。
職人さん待ちほしゅ。
エミリア様・土地神様・アクビちゃん・・・その他八百万の神様&職人さん待ち保守。
「なかなかいい眺めだね。」
グラスを傾けるアレド様。
「ふふっ。エミリアったらまたいっちゃったのかしら。」
濡れた指を戦利品のように掲げるシシー。
「そう。そうよ、舌を使って……」
うっとりとした表情のミランダ。
薄暗い部屋の中絡みあう肢体。
快楽という名の逃げ難い檻の中、私は得る術と与える術を知った。
細い指が濡れた秘唇をつたう、
柔らかい乳房が顔を塞ぐ、その頂きを赤く彩られた唇が包み込む―
「エミリア。……聞いているのですか?エミリア。」
母の呼び掛けにはっと我に返る。
「ちょっと考え事をしてて。何か?」
「今夜のことよ。全く、そんな調子でフレド様の前に出ないで頂戴。お父様に何を言われるか。」
母の心配は私が今夜の夜会でフレド様の機嫌を損ねやしないか、それによって父が憤慨しないかということのようだ。
「心配しないで、お母様。」
母はふうっとため息を吐く。
「そうは言っても……貴女最近ぼうっとしてることが多くてよ。」
母の小言はいつの間にか耳から耳へと抜けていく。
気を抜けばほら、あの声が、吐息が、耳にこだまする。
呼び出されるのはいつも通り、薄暗い部屋。
違ったのは彼以外の客がいたこと。
彼と共に我が者顔でベッドに横たわる二人の女。
「へえ。あなたがあのエミリア。知ってるわ〜、お客さまからしょっちゅう聞くもの。」
色濃く塗られた紅がなければただの少女に見えるに違い無い。
だが、あどけない童顔と不釣り合いな豊満な乳房を揺らしながら金の髪をかきあげる。
「出来過ぎたお人形さんみたい。男はこういうのが好みなのね。」
顔をしかめて睨みつけてきたのはもう一人の女。
南方の生まれか、血でも混じっているのか、褐色の肌に赤毛と都では珍しい組み合わせだ。
「それじゃ、あたし達は帰った方がいいのかしら?」
身繕いをしようとする金髪の女に対し放ったアレド様の答えは意外なものだった。
「いや、シシー。このままここにいてくれ。」
きょとんとする金髪の女、シシー。
「君もだ、ミランダ。」
赤毛の女、ミランダの方は訝し気な表情を見せた。
他人が見れば私もきっと怪訝な顔をしてたに違い無い。
正直なところ、遊女達と同室にいるというだけで不快だった。
それが今後も続くと宣言されたのだから。
扉の前で立ちすくんだままの私を見てアレド様が優しく微笑む。
出会った時から変わらぬ生気の乏しいくすんだ瞳で。
「さあおいでエミリア。彼女達から色々教えてもらうといい。」
「きゃー、見てこのお肌。どうやったらこうなるのかしら?」
長く伸ばされた爪で傷を作らぬ様そっと撫で回す指。
「くやしいけど綺麗ね。食べちゃいたい…」
そういう口の端からはきらりと唾液が光る。
わたしのからだにまとわりつく四本の腕。
振払ってもも振払っても抵抗空しく、次々と身ぐるみを剥がされ、
からだの一つ一つを己と競べる様に値踏みされていく。
同性である女に服を着せられることも、脱がされることも慣れている。
だがこの二人は屋敷にいる侍女達とは違う。全く性質の異なるもの。
彼女達は本来異性であるはずの男に奉仕するための存在なのだから。
「さっきから黙りっぱなしじゃないの。ちょっとはしゃべったらどうなの?」
私は唇をかたく結ぶ。
彼女らと話す事などない。
遊女だからというのもあるが理由の全てでは無い。
元は遊女であろうとも、男の愛を勝ち得れば堂々と表舞台で本妻さながらに振舞う者もいると聞く。
その子が家を継ぐ事もある。
ただ、悔しかったのだ。同等に扱われることが。
彼女達には一夜の奉仕に対する見返りがある。
金銭と言う分かりやすい報酬が与えられる。
だが、私にはない。
金銭や宝石を私に与えても意味の無い事を彼は知っている。
せめて心通じあっているのなら救いがある。
けれどどうしてわかってしまうのだろう。彼の心は私に向けられていないと。
「ふん、噂通りね。男にしか微笑まないって。」
肌に食い込んだ爪の痛みに思わず相手を睨みつける。
「ほんとに男ってどうしてこういう女を…」
「まあミランダ、彼女も緊張してるんだ。仲良く頼むよ。」
言葉を遮ったのはガウンを緩く羽織り、ソファで酒を注いでいるアレド様だった。
目の前に突き出されたのは赤い毛に覆われた女の秘部。
「まさか自分だけ気持ち良くしてもらおうと思ってるの?」
濡れた毛先から女の匂いが香る。そしてもう一つ、生臭いあの臭いも。
要求されていることを飲み込めぬまま私は顔をそむける。
だが、無理矢理頭を戻され、私の唇に己の秘唇を押し付けた。
「さっきのがまだ残ってるでしょ。綺麗にしなさいよ。」
唇に、顔に、彼女のものとそうでない粘液がこすりつけられる。
「早く、舌で舐めるのよ。」
顔にミランダの全体重をかけられどうになり、息苦しさから唇を開く。
「ミランダはお嬢様が嫌いなのよ。でもあたしは可愛い子は大好きよ。男でも、女でもね。」
そういうとシシーは私の足をつかみ、指を口に含む。
想像しなかったできごと。背筋に寒気が走った。
親指から始まり小指へと、一本一本味わうように舐め、時折指の股を舌でくすぐる。
「ミランダを気持ち良くしてあげられたら、あたしも気持ち良くしてあげる。それまではお預け。」
そういうとシシーは足を持ちかえた。
私の頭を押さえ付けるミランダの手は緩まることがなく、観念した私は恐る恐る舌を伸ばす。
濡れた陰毛の先にわずかに触れる程度に。
「やっと言う事を聞く気になったのね。これからが本番よ。」
「女の感じるところは皆一緒よ。覚えておきなさい。」
私の脛に己の秘部を、愛液をすりつけながらシシーが言った。
屈辱的なこの状況を逃れられない以上、命に従うしかなかった。
必死で舌を動かし、肉のヒダの中に埋もれている何かを探り当てなければならなかった。
ヒダの付け根にわずかな突起を見つける。
「そこがクリトリス。女は感じるとそこが勃起するのよ。」
試しにその突起を舌先で突けばミランダは曇った声を漏らす。
だが、私の恥部を毛の上から優しく撫でているだけだったシシーの手がするりと秘唇に滑り込む。
そして渇いた肉のヒダを割り、クリトリスをつまむ。
「……んんっっ!」
いきなりの行為に驚きからだが飛び上がってしまったかと思った。
だが、シシーが同じ行為を繰り返し、その度に同じようにからだを溶けるような刺激が走る。甘い刺激が。
自分もミランダと同じ、クリトリスを弄られているからだ。
ミランダがからだを動かし、私の舌を己の更に深い場所へと導く。
溢れてくる温かい蜜を必死で舐め取るも、時折混じる苦味に思わず顔をしかめる。
「苦い?それ、彼のよ。二回も出したからまだ中にたくさん残ってるかしら。」
自慢するようにミランダが言い、同時に足下からシシーの笑い声が聞こえた。
「あんまりいじめちゃ可哀想よ。この子今日はまだ彼に愛されてないんだから。」
秘部をなぞるシシーの指は渇いていた私の秘唇を潤わせる。
そして蜜にまみれた彼女の指も自分の一部と錯覚してしまうような穏やかな愛撫を繰り返す。
「ほら、舌を休めないで。ミランダが怒るわ。御褒美をあげるから……」
柔らかい、細い、女の指が中の蜜をかき出すように蜜壷に出入りを繰り返す。
男茎に満たされているのとは違う、弱々しいながらもからだの内側をくすぐられ続けている。
やはり舌はおろそかになってしまい、ミランダが腰を動かし続きをせかす。
鼻の頭も顎までも彼女の愛液でべとべとだった。
もう、彼女達が男でも、女でも、どうでも良くなり始めていた。
彼女の熱を舌で感じながら、女の秘部と男茎とどちらの方が熱いのかとくだらないことを考えたりした。
会ったのはあの夜一度きりだったというのに、不思議と彼女達は私を覚えていた。
皆が私を忘れたあとも。
互いの顔の見えないはずの懺悔室の中。
貴婦人にしては強すぎる香水の匂いが狭い部屋に充満する。
紅に彩られた唇が開き、語られるのは悪魔の囁き。
「ねえ、シスターヴァーナ。一晩だけ戻ってみる気はない?エミリア=オーグスに……」
彼女達は知っていた。覚えていた。
私が堕ちたことを。
いつからかこの糸は黒く染まっていた
いくら別の色で染めようともこの黒は消えない
もし父が望んだようにあの夜会で私とフレド様が踊っていたら、事態は変わったのだろうか?
「エミリア、よく覚えておきなさい。」
「はい、お父様。」
目の前の父はいつになく厳しい面持ちだった。
「フレド様はこのところ五公家全ての催しに非公式とはいえ出席されている。だが、表に顔を出してはいない。あの兄王子は別だが……彼には継承権がない。多少好き勝手しようがただの貴族と思えばよい。」
兄王子、継承権が無い、名前すら出し手もらえぬアレド様の事を父が口にした瞬間ちくりと胸が痛む。
「だが、今晩お前をダンスのお相手をして指名した。どういうことかわかっているか?」
「はい、お父様。」
私の返事に母も頷く。
「カインフォルタでもバズでも一族の娘達が王子の相手として用意されたはずだ。だが王子は選ばなかった。
お忍びのまま姿も見せなかった。だがお前は違う。まだお前が妃になると確定したわけではない。王子がお前を選んで皆の前に姿を現した、今夜はその事実が皆に伝わればよいのだ。」
言い切った父の顔は満足気だった。
長年かなうはずのなかった他の五公家を出し抜く。
その期待に満ちあふれていた。
父は厳格だった。そうでなくては己のプライドを守れなかったのだ。
同じ土俵にいたはずの五公家はいつの間にか遥か先を歩んでいた。
カインフォルタが新しいものを好むなら、オーグスは古いものを好むしかなかった。
バズが派手を好むなら、オーグスは地味を好むしかなかった。
だが父は意外な思わぬ幸運でついに他の五公家に王手をかけようとしていた。
私という駒を使って。
「旦那様…」
ノックして入ってきた執事が彼等の来訪を告げる。
ふと振り返った鏡にうつった自分。義姉が選んだ翡翠の髪飾り。
いつぞや屋敷に呼ばれていた宝石商。
義姉は自分の買い物に私をつきあわせているとばかり思っていた。
だが、実際に用意されていたのは私の為のもの。
「貴女にはみんなが期待してるのよ。」
そう言って義姉はこの飾りを渡しにきた。
見た目程この飾りは重くは無い。だが、重い気がした。
からだ全てが地に沈んでしまう程に、重く、重く。
spin a yarn 3 以上です。
投下の間隔が随分開いてしまい申し訳ありません。
あいかわらずのシスター成分不足も申し訳ありません。
過去エミリアより修道女のエミリアの方が色々開き直ってて書きやすいので、
早くシスターにせねばとは思うのですが…
また続きが書けましたらお邪魔します。
GJ!
謝る理由なんてない作品だよ。焦らず続きを書いてください。
キター!!待っておりました。
華やかな世界の人たちの話なのにほの暗い所がタマリマセン。
おおっ!エミリアのひとがいらっしゃっておられる。
この煌びやかな淫靡さがなんともいいんだよねぇ・・・いかにもお貴族様ってカンジで。
保守
ほす。
>>436 の続きです。
エロのみ、スカトロ注意。
陰茎が完全に抜かれると、その後を追って精液がドロリと零れた。
膣内射精のショックで脱力したままの少女を、アルトは逆しまに返し、スカートを捲りあげる。
上半身は力無く地面に投げ出され、膝に支えられた桃尻だけが高く掲げられる。内股になって密着した両脚の間から流れる桃濁液が淫靡に男を誘う。
「へへっ、さっきからこの体位で犯してやりたかったんだ」
「野良犬みてえじゃねぇか、悪趣味だな」
「魔女相手だからな、犬の格好でも上等だぜ」
笑いながらアルトは太腿に挟まれた秘部を肉棒で擦りあげる。血と精液が肉棒に絡みつき、かき混ぜられてグチャグチャと水音を響かせた。
「優しい俺は、ちゃんと濡らしてやるからな」
一度腰を引き、わざとらしく狙いをつけると一気に突き入れた。
「…………!」
再び身を裂かれる激痛が襲う。茫然としていた少女は痛みで目覚めた。
声にならないような悲鳴をあげると、力の入らない腕で逃げようとする。
「お、元気になったじゃねえか」
ノイは出鱈目に動く少女の肩を押さえると、顎に手を当て顔を上げさせた。少女の瞳にはにやにやと笑う、処女を奪った男の顔が一杯に映る。
「離せ! 離すのじゃ! 離せえぇぇぇ!」
恐怖と痛みに泣き叫ぶ少女の前に、血と精液に染まった肉棒をこれ見よがしに見せつける。
コレが先程まで自分の膣内に挿入されていたのだとわかると少女の顔はさっと青ざめた。
「おまえの血で汚れたんだ。綺麗にしな」
少女はノイに言われるまま、男の肉棒に舌を絡ませ血と精液を舐めとっていった。
鉄錆のような臭いと生臭い味が口の中へ広がっていく。
射精して、少し萎えていた肉棒は、舌が這う刺激でまた堅くそそり立った。
「よーし、じゃあ今度は口の中で味わわせてやる」
ノイは一気に少女の口へ陰茎を飲み込ませた。
アルトとは違い、ノイは自分では動かずに、少女に肉棒を舐めさせ根元を指で擽るように命令する。
少女は指からも伝わるようになった堅さと熱に怯えながらも懸命に男の言うように体を動かす。
その少女を新たな刺激が襲った。
アルトの武骨な指が少女の可憐な乳房を玩んでいる。
男は小振りな胸を堪能しながら、嫌らしく話しかけてきた。
「なぁ、最初この姿勢でそこの男を誘っていたのはこういうワケかぁ?」
「ひ、ひゃりをひっふぇ…」
「オラァ、しっかり舐めろ!」
舌奉仕が疎かになった少女の尻を叩き、意識を舌にも向けるようにする。
少女はぶたれないよう祈りながら、拙い舌の動きを再開させた。
アルトはその様を見て笑いながらも胸を弄る手は休めない。
少女の胸を触るようになってからは、腰の動きが深いけれどもゆっくりとしたものへ変わった。
荒々しく少女の膣を貪るのではなく、静かに膣と胸の両方を玩味していく。
「この固さを残した小さな胸がよォ、膨らんでみえるだろ」
そこまで言うと、地面に引かれ、ほんのわずかに大きくなった胸を強く握り締めた。
少女は急な痛みに悲鳴をあげようとしたがなんとか飲み込む。
「このっ! そんなにでけえ乳がいいのか! あんな肉の塊をつけてえのか!」
アルトは理不尽な怒りをぶつけるかのように、再び腰の動きが激しくなる。
少女はカラダが壊れそうなほどの痛みを与えられながら、怒りが過ぎるまで耐えるしかできない。
苦痛と屈辱、悲しみと無力感に苛まれながら涙を流す。
そんな表情を見せながらも、奉仕の手を休めない少女にノイは興奮し、遂に自分から腰を動かし始めた。
「この淫乱魔女! そんな顔してまで俺の汁を飲みたいのか!」
(……違う! そんなことっ……)
否定しようにも、舌を動かすことが男の快感に繋がる。
何をしようとも男を楽しませるだけの少女に、男達は自分の欲望に任せ、肉棒で少女を味わう。
そして、次第にノイの陰茎は先を舐めるにも辛いほどに膨らんでいく。
限界にまで膨らんだ肉棒と、激しい腰の動きに耐えきれず少女の口から肉棒が抜け落ちた。
それと同時、少女の顔面に白い欲望が吐き出される。
粘つく感触と独特の臭気が顔中に広がっていった。
「何吐き出してやがる!」
口内に射精できなかったことに怒り、白濁に染まった少女の顔を、まだ堅さの残った肉棒で二度、三度と殴りつける。
「くそ、中に残った子種を吸って、俺のモノを掃除しやがれ」
「……ちゅ」
再び眼前に突き出された肉棒を、半ば虚ろな瞳となった少女はくわえ、精を吸い取っていく。
「へっ、やっと素直になったな」
小さな舌で亀頭の精液を舐めとり始めた少女の頭をノイはゆっくりと撫でてやる。
だが、少女は何の反応も返さずに舐めるだけだった。
「その態度はなんだぁ!」
無反応の少女にまた腹を立てると、ノイの肉棒を喉奥まで突き入れる。更に後頭部に手をやり引き寄せることで奥へ奥へと押し込み続けた。
「ぐっ……がっ!」
喉を襲う圧迫感に呼吸もできず、鼻の穴をいっぱいに広げて空気を吸い込む。
ようやく呼吸ができたかと思えば、背後からの衝撃でまた息を乱された。
ノイが陰茎を奥まで進めている間に、アルトの腰の動きは激しさを増していた。
動きの激しさだけではなく、膣内の圧迫感も増している事に気付き、少女の思考は再び絶望に染められた。
(まさか、また、あの気持ち悪いモノを……)
「……! ………!」
少女は男達を口汚く罵るが、喉を震わせることができず、その声は音にならずに消えた。
「上だけじゃなくて、舌の口にも俺の子種を飲ませてやるよ!」
(い、嫌じゃ。また、こんな犬共の子を孕むなど……)
男の力で固定された腰も頭も動かせず、ただ涙を流して訴えるしかできなかったが、男達は少女の真珠のような涙など見ることもなく少女の体が与える快楽に酔っているだけだ。
子宮口をこじ開けるように奥へと埋没した肉棒から、口内に放たれたそれよりも濃密な精液が注ぎ込まれた。
子宮の奥底まで浸食されるような感覚に身を震わせると、ノイは尿道に残った汁を絞り出そうと何度も膣内を犯していく。その摩擦で、わずかな膣の隙間からポタポタとしるが零れていった。
(ああ、また……。この腹に、奴等の子が……)
子宮を焼くような熱さと、胎内を掻き乱すように放たれる勢いを感じて、心に黒い絶望が広がっていくようだった。
「じゃあ、俺ももう一度……っと」
少女の喉奥にまで侵入したノイの肉棒が再び膨らむと、喉から直接腹に落ちるように激しく液体が迸った。
(……! ま、また……)
喉を焼く熱と舌を痺れさせる塩気、喉を荒らし犯す水流に、少女は激しく噎せ返り男の陰茎を吐き出した。
「……がっ! ゴボっ! はあ、はぁ……」
「また吐きやがって。ホラ、もう一度顔にぶっかけてやる」
喉の痛みにやられ、咳き込み続ける少女の顔に、流れるままの黄金水が少女の髪や顔を襲い、白い粘液を拭っていった。
「ガキの小便と俺の聖水、どっちが美味かったよ。ん?」
「ぁ、あは……あぁあ……」
男の体液に汚された少女は、問に答えようともせずに歪んだ笑顔のような表情を浮かべて涙を流していた。
「じゃあ、次は俺だな」
「汚ねえから水でもぶっかけるか」
「どうせまたすぐに汚れるさ」
泣き笑う少女の周りにはいつしか多くの兵士が取り囲み、何本もの堅く反り勃つ陰茎を晒していた。
投下終了です。
少女は男達を恐れていた。
彼女にとって、自分や村人に向けられる理不尽な憎悪や暴力、情欲は埒外のことだった。
長く村を見ていた少女には、人間には醜い感情が宿っているのを知っている。
同じ村人同士で憎みあうこともあった。
けれど、その全てには何がしかの理由はあった。
盗賊のように物を奪うわけでもなく、外の世界から来たばかりなのに少女達を蔑み罵り傷付ける男達の考えを理解できない。
理解不能の思考に怯えるままに、少女は男達の言葉に従っていった。
「そのキレイな顔にブッ掛けてやる!」
少女の口から腰を放すと白い迸りが少女の顔を染めた。
少女は口の周りに垂れてきた白濁液を舌で掬い取ると、開いたままだった口に飛び込んできたものと混ぜてコクンコクンと飲み下す。
男達に何度も犯され、少女の瞳からは生気が失われ暗い光だけが漂うことになった。
かみさまと呼ばれた少女は、男達に逆らうことなく言うがままに肉体を弄ばれ快楽を与えるだけの人形でしかない。
少女の顔面に射精した男が離れると、小さな手で擦らせていた二本の肉棒が少女の眼前に迫る。
男の言葉に従い、大きく開いた口に鈴口が近付いていくと、唇に触れそうな距離で同時に射精した。
濃厚な液を大量に流し込まれ、精液で溺れそうになる。苦しそうに眉を歪めるが、吐き出すことは許されていなかった。
溢れ出しそうなほど溜まった穢れを健気にも飲み込んでいく少女に男達の嘲笑と罵声がぶつけられる。
何度もこんな行為を繰り返すうちに心を閉ざし、男達の人形になってしまった少女。
多くの男は人形相手でも満足しているが、何人かは反応の無さに次第に情欲が冷めていくようになった。
そんな時、一人の男が打ち捨てられたままの物に目を留めた。
「――おい、こっちまで魔女を連れてこいよ」
「今、俺が楽しんでるんだよ、用があんならテメエからきやがれ!」
そう言いながらも少女に挿入している男は肉棒を埋め込んだまま歩き始めた。
細い脚を太い腕で広げ、幼子が親に排尿させられるような格好のまま運ばれた。男が一歩踏み出す度に、腹が膨らむほど注がれた精液が地面に点々と落ちる。
長いスカートは捲りあげられ、少女の小さな陰唇が男の凶悪な肉棒に貫かれている姿が周りの男達に見せびらかされている。
少女を抉る姿を自慢気にさらし、歩きながらも少女の膣奥に肉棒をぶつけていく。そのたびに華奢な体は激しく揺さぶられている。
元の場所からどれだけも離れていない場所に呼ばれただけで、少女を貪っている不機嫌な顔を隠そうとしない。
だが、立ったままでの挿入が気に入ったのか、少女を降ろそうとしない。膣からの水音も増し、行為が激しくなっているのが一目でわかる。精液と空気が混じり、白く小さな泡となって零れ落ちていった。
呼びつけた男はその様子に苦笑しながら、足下に転がっているモノに視線を向けた。
「コイツだよ」
うずくまっていたモノを足で返すと、先程の暴行で深く傷付けられ、青ざめた色で荒い呼吸を細く吐き出しているトムの顔があった。
「ト、ム……?」
虚ろな瞳に小さな光が宿り、身動きもせず、意識があるのかもわからない男の名を呼ぶ。
「トム! 生きておるのか!? トム、返事をせい、トム!」
男達の欲望を一身に受け疲れきった体からの弱々しい声でも、ずっと見守ってくれていた少女の声は倒れている男に届いた。
「かみさま……」
口の端から血の泡を吐きながら、ほんの数時間前とは違う枯れきった声が微かに流れた。
トムの手足は所々妙な方向に曲がっていて、顔も元の形がわからないくらいに歪められている。
呼吸をするだけでも苦痛が襲うのだろうが、少女に殴られた跡が腫れ上がり隠れた目を向けて顔を動かす。
見る影もなくなっているが、その崩れた顔が笑顔であることはすぐにわかった。
意識を失いかねない痛みにも耐えて微笑むトムに、少女はボロボロと大粒の涙を零していた。
「かみさま、無事、なのかい……? よかった……」
男達に幾度も犯され、今も雄肉をくわえさせられているこの姿が見えていれば、無事などとは言えないだろう。
「トム、ぬしは、目が……見えておらぬのか?」
「ごめん。周りがうるさいな……。あまりよく、聞こえないんだ……」
男達の揶揄嘲弄する声や下卑た笑いは聞こえてくるが、近くからの声が聞こえないほどではない。ならば、トムにだけ何かの音が響いているのだろう。
少女は医学に明るくないが、トムの状態が危ういことはわかる。
それと同じく、自分にはどうしようもないということも理解している。だから、恥も何もかも投げ捨てて、男達に涙ながらに懇願する。
「――頼む。こやつを助けてやってくれ! たのむ……」
「かみさま? 心配しなくても大丈夫だよ。少し、寝てればよくなるからさ……」
内容まで理解できずとも、少女の悲痛の声は届いたのだろう。トムは安心させるために優しく語りかけるのだが、コポコポと血の泡を零しながら言うその姿に少女は悲鳴をあげそうになった。
嘘だ。
トムは嘘を吐いている。
青ざめた顔で、血を吐いて、『大丈夫』とはよく言ったものだ。
これがもっと軽い傷ならば、嘘を吐いた事を怒りながら不器用な腕で包帯でも巻いてやるのだが……。
今は男達にトムを助けるように乞うしかない。
分の悪い賭けだと思うが、同じ人間だ。死にかけている同種を見れば憐憫の情も湧くだろう。
そう願って頭を下げ続けた。
男達は、助かりそうもない村人のために懇願する少女と、彼女を慰めようと自分は無事だと伝え続ける死に損ないの掛け合いを見て愉快そうに大笑している。
笑い声が聞こえる度に少女は涙を零して頭を下げる。男はもう、少女の声しか聞こえないのか、幻聴だとでも思っているのか兵士達の声に何の反応も返さない。
挿入していた男が膣内に精を放ち、地面に投げ出されたのにもかまわずに頼み続ける少女に、ようやく一人の兵士が答えた。
「――いいぜ。助けてやるよ」
その言葉が聞こえると、少女は地面に擦り付けていたままだった頭を跳ね上げて声の主を見る。
それは、少女を最初に汚した男の一人、アルトだった。
彼とノイは少女を二人で汚した後、仲間に引き渡した。
何人もの肉棒をくわえ込み、従順になっていく少女を笑いながら見ていた。
だが、従順になりすぎると逆につまらなくなっていったのだが、今は違う。
少年や村を守ろうとした時のように、目に力が宿っている。そんな彼女に恥辱を与えたくなった。
助けようともがく少女の前で、この村人を壊してやって少女の心を傷つけてやりたかった。
魔女なんかを神と慕う愚かな男を裏切らせてやりたかった。
失意の底の底に突き落とした少女の顔を汚れた靴で踏みにじってやりたかったのだ。
だから、仲間達からの苦情をノイに任せ宥めてもらい、少女に手を差し伸べてやった。
どんな理不尽な要求でも飲んでしまうと知っていたからだ。
「何を、すればよい?」
「それは、人に物を頼む態度じゃねえな。なぁ、神様?」
図に乗ったアルトの物言いに反論しそうになった少女は、言葉を飲み込み、村人が頼み事をする時を思い出して丁寧に話し出す。
投下終了です。
どんどん鬱な描写に……。
せめて壊れてしまった方が楽かもしれないと思わせる筆力、尊敬します。
続きが見たいけど見たくない……
サキュバスとかだしてよ
エミリア先生が来る日を私はいつまでも待ってる。
…灰色の塔シリーズ、また読んじゃったんだゼ。 やっぱイイ作品だ。
>「そのキレイな顔にブッ掛けてやる!」
ちょっ・・・この人を思い出しちゃったじゃないか!
(コイツを見たいがためために、ブクオフの100均コーナーで「覇王愛人」の3巻を買ってしまった自分って・・・w)
__,__
/:::}i::::::::\ ________
./:::;ィ-'-、::::::::::ゝ、_, / \
/::::::|__ _>;;ヾ::::::z‐' < そのキレイな顔を
ノ゙{◎}ri|゙゚'l. ⌒ い::::::::ゝー- | フッ飛ばしてやる!!
ハ. `ー' ヽ ワ/|リハヾ:::::::: \________/
/lミト、 !、`- "::::::::::::::::::::
/:l_丿:\/:::\:::::::::::::::::::::::
/:::::::::::::/::\::::::::::::::::::::::::::::::ノ
/:::::::::::::∧:::::::\:::::::::::::::::::::::{
/::::::::::::/ ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::|
|:::::::::::ノ ト:::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ
サークルの部室に全巻あったりする。
ちなみに隣にある本は原書房のソ連地上軍。
なんか随分下がっとるな…保守。
>>458 の続き投下します。
涙を流して、整った顔が歪んでいくのを見、男達の胸に暗い愉悦が浮かんでくる。
「お願いします。お願いです。助けて、くらさい……」
尊大な口調だったのが一転して不慣れな敬語を使ってきた。
その、涙に声を詰まらせるほど必死な訴えが通じているように見せるため、アルトはもったいぶった態度をとる。
「俺も死にかけた奴を見捨てるほど鬼じゃない。薬を分けてやってもいい。ただ……」
少女はその言葉を聞き、アルトの足にすがりついた。
「何でもします…です! どんな事でも、わ…たしにおっしゃられてください」
ようやく掴んだ希望を逃がさないかのように、足を掴む力が増していく。疲れ果てた少女の力では何の痛痒も感じさせないが、彼女の想いは伝わってきた。
「……これだけの傷に効く薬を作るのには多少の時間がかかる。だから、あんたはこの男の痛みを弱めさせてやってくれ」
猜疑心を抱いた事のない少女は、男の言うことは簡単に信じた。疑念を生じさせる余裕がなかっただけかもしれない。
トムの負担を軽くしてあげたいとは思うが、何をすればよいのかは少しも想像できない。
患部に触れるだけで最悪の結果になりそうで、怖かった。
「――何を、すればいいですか?」
蒼白となった少女に、隠しきれない笑みを滲ませながらアルトは重々しく告げた。
「そいつの一物を口で奉仕してやれ。あのガキにやったみたいにな」
村人の前で、少年の陰茎を弄っていた記憶が少女に蘇る。
また見世物にしようというのか、助けるとの言葉は嘘なのか、アルトの真意を確かめようとしたが、彼の口によってそれは防がれた。
「おっと、これは冗談じゃないぜ。こいつを気持ちよくしてやって、痛みを忘れさせてやってほしいんだ」
都合のいい男の言葉に、純朴な少女にも疑問がわきかけた。そんな少女の胸中を気にせずアルトは言葉を続ける。
「信じなくてもいいさ。なら、このままし…「やります!」
男の言葉を遮り、トムに近付くと、刺激を与えないようにそっと仰向けに寝かせ、股を開いていく。
脚に絡んでいたズボンを剥ぎ取り、痛々しい傷跡に心を痛める少女。そんな彼女を嘲笑いながら、アルトはゆっくりと語る。
「この後はノイに任すぜ。じゃ、せいぜい死なせないようにな、神様」
股間をさらけ出したトムに少女はゆっくりと顔を近付ける。
兵士と同じ牡の臭いの中に血臭を感じて、少女は胸を痛めた。そして、彼の痛みを紛らすために、アルトの言うように舌を伸ばす。
男達に無理矢理唇を犯されるのではなく、自分の意志で男に奉仕しなくてはならない。
それだけでも恥ずかしいのに、再び見世物になる恥辱と屈辱に、陰茎に触れる寸前で舌を止めてしまう。
(気にしてはならん。儂がトムの……を舐めれば、痛みを忘れさせれる……)
一瞬の逡巡を切り捨て、そっと男のモノを口に含んだ。
舌先に伝わる味と臭いに、何度も口を犯した男達を感じて顔を歪めてしまう。
(こやつは周りの下衆共とは違う。トムじゃ。儂を助けてくれようとしたトムなのじゃ!)
何度も何度もトムを救うと思いながら、萎んだ肉棒に舌を絡ませる。
少年の小ぶりなモノを相手にしていた時を思い出しながら快感を引き出そうとするが、痛められた男の肉棒はピクリとも反応が返らない。
それを見ている男達は少女とトムを嘲笑っている。
揶揄の中に混じる奉仕の指示に従って、根気よく舐め続けていくうちに、とうとう男に力が戻っていくのを感じた。
「か、かみさま……? これは、かみさまなのか?」
下半身からの刺激に気付いたのか、トムは弱々しく声を出す。
その声に、肉棒を吸っていた口を放し、指での奉仕を始めた。少しずつ盛り上がっているが、まだ柔らかいそれに両の指を這わす。
肉棒に少女の唾液を染み込ませるように指を動かし、陰嚢も擽るように刺激する。
快感のためか、苦痛のためか、呻き声を漏らすトムにそっと囁いた。
「安心せい。ぬしは、ぬしだけは儂が助けてみせる。じゃから、今は痛みを忘れてくれ……」
呟いた後に、徐々に堅くなっていくモノの裏筋をゆっくりと舐め回す。
「か、かみさま……」
何を言ったかまではわからなかったが、今の声は間違いなくあの少女のものだ。
先程から身を砕くような痛みの他に、股間から快楽が湧きあがってきた。
そして今も股間を舌で愛撫されている感覚が伝わってくる。
(俺のモノを、かみさまが……?)
村を守ってきた可憐な少女が自分の汚いモノをしゃぶっている。
自身を慰める妄想の中では何度もあった行為が、現実になったと思うと股間の快感は急激に増して痛みも忘れそうになる。
崇敬するべき少女を汚しているという背徳感が興奮を呼んで、痛みに萎えていた肉棒が限界までそそり立った。
『ふふ、こんなにも大きくしおって。……いやらしい奴じゃ』
妄想の中の少女は皮肉めいた笑みを浮かべると、また肉棒に舌を絡ませてきた。
現実と妄想の境が曖昧になって、ただ快感を享受することしか考えられない。
「かみ、さま……」
口元から涎を垂らして譫言を呟くトムに安心するよう囁くと、堅く盛り上がった肉棒に舌を絡ませる。
萎びていたさっきまでと違い、肥大化したそれは、兵士達と比べても大きい部類に入ると感じた。
少女の小さな口に含むには難しく、彼女は舌と指での愛撫で彼に奉仕している。だが、稚拙なその動きは快感のツボを微妙に外れ、もどかしい刺激ばかりがトムを襲った。
焦らしているような動きでは満足できないと怒鳴りつけるように激しく震えた。
(トムも、儂にあの白い汁を、吐くのか……? あの、熱くて、臭い、汁を……)
兵士達にかけられたように、トムも臭く苦い汁を顔や口に出すと思うと、体中にこびりついた白濁液がトムの精液のように錯覚しだした。
(トムが、儂を……)
嫌悪感しか抱かない兵士達と違い、愛し子のように思っているトムを感じさせ、彼の熱い汁に全身を汚される――そう考えると、体の奥が疼くようだった。
「ん……」
体の奥が熱くなると、膣から零れる精液の量が増したようで、その感触につい身をよじらせる。
股を擦り合わせることで、滴る精を吸い取っているように感じた。
嫌悪する男の子種を逃さないとしているような自分の体に恐怖を抱く。
自身の不可解な行動に困惑する少女の小振りな尻に、固い手が被さってきた。
無遠慮に弄るその両手が、やけに熱く感じられて思わず口を離した。
今まで男達が触ってきた時のような気持ち悪さではなく、何か心地よいような感覚が広がってくる。
「あっ……ん……」
男の手に合わせるように漏れてしまう声にも、体奥の熱が移っているようだ。
男はこの事に気付いているのか、強弱の幅を更に広げ、反応を楽しむかのようになぶる。
その刺激に、トムへの舌奉仕は蔑ろになっていき単調な指の動きだけになっていった。
「おいィ、何怠けてんだぁ?」
耳元での野太い声に身を竦ませ、再びトムのモノへ舌を這わす。けれど、尻を弄る手の動きに気を取られて集中できない。
次第に周りの声や気配が大きくなって、自分がまた浅ましい行為に耽っている事を意識してしまう。
羞恥に頬を染め、雑音を耳に入れまいと今まで以上に丁寧に奉仕を再開する。
しかし、一度意識してしまった声は消えることはなく、何度も少女の心を抉った。
「さて、尻に触るのも飽きたし……。今度は」
小さな白桃から手が離れていく。その代わりに、堅く熱を持ったモノが少女の秘唇にそっと触れた。
「もう一度楽しませてもらうぜ。お前を女にしてやったコイツでな」
少女を弄んでいた男――ノイは彼女の、陵辱の痕を感じさせないほどに可憐な秘部の入口を擽る。
「ひッ……!」
男達から与えられた痛みと苦しみが脳裏に再生され、少女は思わず身を固くした。
そのささやかな抵抗を楽しむように、ノイはゆっくりと膣穴を広げて押し入ってくる。
「あぁ、イヤ……またぁ……」
古巣に帰ってきたかのような、堂々とした挿入を止めることができず、遂に最奥までの侵入を果たす。
「あぐっ……!」
解放されていた膣を再び犯される屈辱と苦しみ。それと同時に、奇妙な安心感が体の奥から広がってきた。
(な、んじゃ……? この、感覚は……)
尻肉を揉まれていたのとは違う……けれどどこか近しいものを感じて、少女はその感覚に囚われてしまう。
心では男に触れられるのは嫌なのに、何故か男から伝わる熱も、周りからの罵声も、体の何処かが欲している。
少女はその感覚を否定しようとするが、男の緩い動きに合わせて声が漏れていた。
その声は少女自身にも信じられなかった。今までの悲鳴と違い、どこか甘い響きが含まれている。
少女は声を出すのに恐怖し、トムの肉棒奉仕に没頭した。
投下終了です。
>>472 の続きです。
「んふ……ん、んむっ……」
膣からの刺激を忘れるために、口をいっぱいに広げて堅く膨らんだ肉棒を飲み込んでいく。
口を限界まで広げた中で膨れ上がる圧迫感と、喉奥深くまで異物を挿入した嘔気は快感を消していくが、同時に口内全体から溢れてくる牡の味と匂いが体の奥を疼かせた。
「あふ……ん。ンンっ、ぢゅっ……。ふわぁ……」
生臭く苦いだけだった肉棒が、今はどこか後を引くような味に感じられる。
匂いと味に慣れる……いや、好ましいモノへ変わっていくのを感じる度に、膣奥からの快感が増していく。
沸き上がる体の悦びを感じたくなくて、口に意識を集中するのだが、今度は口中の甘露を味わうことになってしまう。
そのうちに瞳が潤み、口と腰両方の刺激に夢中になっていった。
そして、その体はより強い刺激を求めてゆったりとした腰の動きに堪えかねて、少女からも腰を振ってしまう。
「大分、本性を表してきたなっ……。こんなに吸いついて、腰まで振ってッ!」
ノイは膣を掻き回すように腰を動かし、固く尖った両乳首を潰そうとするかのように強く摘んだ。
その激しい痛みも、今の少女には快感に感じられて腰がガクガクと震えだす。
「何だァ? 痛いのがイイのか、この変態魔女」
(へんたい……)
聞き流していただけの罵声も、胸に染み入ってくるようだった。蔑まれているのに、どこか気持ちのいい感覚。
四つん這いのまま貫かれ、自分から男の肉棒に舌を這わす姿が衆目に晒されている。
その羞恥心や嘲笑にも熱くなっていく体を男達には悟られたくなかった。
「ど、どうだ? もっと、強く突き上げてほしいんじゃねえのか?」
平静な声を装って聞いてくるノイ。狭いだけだった前回とは違い、膣内の襞が執拗に絡みついてくる今では、彼自身も緩やかな注挿では我慢できなかった。
力の限りに肉棒で膣を蹂躙したいという欲求を抑えながら焦らすように腰を動かす。
「はっ……ぢゅぢゅっ……ふぁう……」
うっとりと惚けたような表情でトムの肉棒を味わう少女は無意識にコクリと頷いてしまう。
その仕草にニヤリと笑いながらも、腰の動きは更にゆっくりとした浅いものになり、胸も乳首から離れてぷっくらとした脂肪を軽く触る程度になった。
「はっ、はうぅ……。何で、弱く、なるですかあぁ……?」
あからさまな手の抜き具合に、つい肉棒から口を放して訊ねた。
それが男を求める言葉と気付き少女は首まで赤くなる。
(なんじゃ、今のは!? あれではまるで、儂が穢されるのを望んでいるようではないか!)
かぶりを振って否定するが、男からの刺激に、開いた口からは甘い声を漏らす。
再びトムのモノをくわえようとするが、雄々しく勃つそれと同じモノが自分の中に挿入されていると思うと、体の疼きが強くなった気がして口に含むのを躊躇った。
(トムの、この、大きな……が、儂の、中に……? 違う! 儂の中のはあの男ッ……!)
快楽に朦朧としてきた意識を戻すために奥歯を噛み締めた後、眼前の肉棒へ口を進めた。
目を瞑り、肉棒を舐めることに集中することで、目覚め始めた快楽から逃れようとする少女をトムは可愛く思う。
それは、猫から決して逃げられないのに何とかして逃げようとする鼠のような滑稽さ。逃げる道など最早無いのに、逃げ道を探して逆に袋小路へと進んでいく。
逃げられないのを悟った鼠はどうなるのか。命乞いか死を受け入れるか牙を剥くか。
どれを選んでも死。
希望のすべてを無くして絶望の中での愚かな死。
だけど、それまでの行動は道化のように猫を楽しませる。
ノイも組み敷いた鼠が快楽から逃れられなくなるまで待ってから、どんな答えをだすのかを期待した。
女としての体に刻み込まれた性欲に、この華奢な少女がどのように溺れてくれるのか。
想像するだけで口元が醜く歪む。――だが、快楽に追い詰められたのはノイだった。
少女の、襞が肉棒に絡みつき窮屈なほど締め付ける肉穴も、小ぶりながら手頃な弾力と反応を返してくれる乳房も、全身に白い穢れを纏ってなお清澄とした姿。
この可憐な魔女が親しい男に口を這わしている中で彼女の肉体を貪る優越感。
そのすべてが男を誘い狂わせる。
ノイは誘いに敗れ、少女を焦らすはずの腰の動きは彼女を蹂躙するためのものに変わっていく。
「答えないんなら、俺の好きにさせてもらうぜッ!」
亀頭の先から湧く、熱く苦い汁を啜っていた少女は、腰からの衝撃に肉棒を喉深くに突いてしまい目を白黒とした。
今までの緩い動きと変わって、少女の腰に手を当て快楽を求めるだけの荒々しい動きに変わる。
ノイから解放された胸や、ツンと上を向いている臀部、汗と精で服がじっとりと張り付いた背中にも少女の痴態に我慢ができなくなった男達の手が迫った。
無数の手から与えられる刺激に少女の幼膣は男根をキュッと締め付け、子宮口を責める肉棒に蜜が零れる。
妄想、開始。
『ふふふ……。儂みたいな年寄りを相手にこんなになるとは、溜めすぎじゃぞ?』
かみさまが、俺の逸物を握ってからかうように笑う。
『んっ……スゴい臭いじゃのう。それに大きくしすぎじゃ。儂の顎を壊す気か』
少し頬を膨らませ文句を言うと、さっきまでのように口には含まず舌と指で愛撫してくれる。
『はあっ、どうじゃ。儂が自ら奉仕しておるのじゃ。何か言いたいことがあるじゃろ?』
誉めてほしいのか、上目遣いでじっと見つめ(中略)。
『ぢゅ……ぐおっ!』
俺の逸物を再びくわえてくれたかみさまに異変が起きた。根元まで飲みきれなかった俺のモノを無理に奥まで押し込み、喉奥を叩くように飲み込む姿に違和感を覚える。
奇妙な動きは断続的に続いて、何度も喉奥の狭い感触を味わえた。けれど、指や舌の愛撫はなくなった。
頭の動きもかみさまが動かしているのではなく、何かの動きに巻き込まれているのか。それが真実なら第三者がこの場にいてかみさまを動かしている……?
(かみさま? ……まさか!?)
少女が犯されているという想像を頭から振り払うが、股間をくすぐる荒い吐息や、激しく揺れる少女の体が、その想像が真実であると思える。
妄想、終了。
荒々しく乱暴に激しく体の奥に突き込まれる。
痛みだけだったそれを、いつしか体が求めているのだと理解した。
肉楔が子宮を叩く度に火花が目の奥で瞬く。
その時に感じる感覚は、意識を刈り取られるほどに激しい。だけど、そんな暴力的な感覚に、少女は魅入られていった。
少女の体を貪るのはトムだけでなく、乳房や背中に手を這わせていた男達が少女の髪や手を使って自分を慰めている。
少女は地面についた膝とトムの肉棒に絡める口だけで体を支えていた。
「ど、どうだ俺の聖根は!?」
ノイの激しい動きが伝わり、口内で暴れる肉棒に苦しみながら返答をする。
「おっひふてぇ……あちゅひれしゅ……」
思考もままならなく、感じる事をただ返すだけの少女にまた嫌らしく質問をする。
「俺に突かれて、気持ちいいのか?」
「ひもひ……? いいれふ。ひもひいいれふ!」
無意識の答えとはいえ、自分で快楽を認めてしまうと、この感覚が数倍に膨れ上がったように感じられた。
少女の目からは理性の光が薄れ、抑えていた甘い声も隠すことなく外に出してしまう。
他の男の陰茎に添えられていた小さな手も自分の意志で肉棒を擦り始める。
その顔は男への嫌悪が薄れ快楽に溶かされていた。
「……じゃあ、死にかけ男に覗かれている気分はどうだ?」
ノイの言葉に、熱に浮かされた頭が一瞬冷える。
今気付いたが、寝かされていたトムの上半身が眼前から消えていた。
恐る恐る目線を上げると、座った姿勢になったトムが目を見開き驚愕に染まった顔を浮かべている。
「かみさま」
瞼を覆っていた腫れを治療されたトムが放った言葉からは何の感情も感じられなかった。
何も考えられず、ただ茫然と彼の瞳をみる。
あれだけ体を蝕んでいた熱は急激に冷め、羞恥と後悔がその身を染める。トムの瞳に映る色は絶望。
その胸中には信仰の対象ともなっていた少女が、崩れていく村を見殺しにして、男達に犯され悦んでいることへの失望と憎悪が渦巻いているに違いない。
脱力した口からは肉棒が抜け、弁解の言葉を探すが声にならない。
瞳からは新しい涙が滲み、滴が地面に落ちたとき、震える口から絶叫が響いた。
「儂を、見るでない……。見るな、見るな見るな見るな見るな! そんな目で見るなぁっ!! ……みないで……。わたしを、みないでよ……。けがれちゃった、わたしを……」
投下終了です。
481 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 22:46:12 ID:H1o/blrY
ニャ━━━━ヽ(゚∀゚)ノ━━━━ン!!
482 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 23:12:53 ID:N5tCdpGu
ミョ━━━━ヽ(ーΑー)ノ━━━━ン!!
483 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 23:21:38 ID:x7batkUN
GJ
一時の夢を見る事は誰にでも許されている。
父にも、兄にも、そして私にも。
けれど同じオーグスの血を持っていても、この三人が同じ夢をみていたとは限らない。
「私は先に御挨拶をしてくる。お前達はここで待ってなさい。」
父と母がリヴェスタールの次の担い手の元へと向かう。
「お前は幸運だ。もしこの話がなかったらお前は確実にファンダルのとこに嫁がされてた。いや、グレイグあたりか?あいつ父上にいくら積もうとしてたか知ってるか?」
皮肉るような兄の物言いに義姉が口をはさむ。
「そんな風におっしゃったらエミリアが傷付くでしょう?」
「大丈夫ですわ、お姉様。」
「これしきの事気にしてたら五公家の娘は名乗れない。そうだろう?エミリア。」
兄の言葉に私は無言で頷く。
「お前も幸運だが父上はもっと幸運だ。いや、一番幸運なのは私か?オーグスが失いかけていたもの。金、名誉、権威、全てを運んでくれる妹がいるんだから。」
兄は私と義姉をひき寄せる。
「これからはオーグスの時代だ!カインフォルタでもバズでもない、我等の時代が来るんだ!!」
兄の腕には力がこもっていた。
せっかくあつらえた髪飾りがずれてしまわないようにと頭をそらす。
兄の言うところの我等の時代には、王冠をつけた気の弱い王と実家の期待を冠にのせた王妃がいようと、かつて皇太子と呼ばれていた病弱な王子など既に存在しない世界なのだろう。
うっすらそんなことを考えた。
馬車が着飾った招待客たちを次々と運んで来る。
招待客は普段父が好むようなこじんまりとした夜会の倍以上だろうし、これからもっと来るだろう。
父は家長として挨拶をしてまわりながらも心はそこにないようでそわそわしていた。
私は取り囲む男達に適当に言葉を返し、時折ダンスを踊り、その時を待つ。
フレド様が、この会場に姿を現し、私とステップを踏むその時を。
一方のアレド様は今日はお忍びという感覚がないのか、時折どこかの婦人と談笑してはまたふらりと姿を消している。けれど私には声もかけないし目もあわなかった。
フレド様はまだ皆の前に姿を現していない。
父から聞いていた予定の時間が近付く。
だがいつになく慌てた形相の執事が父の元に駆け寄ると、何を伝えたのかわからないが、父は血相を変えて出ていく。
父の顔色から何か良くない事が起きたと察した母が、取り巻いていた古い友人達を置いて私の元に来る。
「エミリア、私も下がります。あとで貴女も呼ぶからお兄様は大分お酒を召してしまってるけど貴女はお客さまに粗相のないようにね。」
顔を赤くして上機嫌の兄は、父も母も姿を消したことなどお構い無しのようだ。
彼の頭の中では既にオーグスの時代が始まっていたのだから。
「あ、あのっっ、エ、エミリア嬢さま、」
背後から小声で名を呼ばれ、驚いた私は勢い良く振り返る。
見れば年若い女中、恐らくまだ家人に接するような機会が少ない下の者だろう、猫背でおどおどしており、私と目線があわせきれていない。
「お、お嬢様に、お、お渡しするようにと……」
震える手で差し出されたカード。
文を読まずとも、字だけでわかった。差出人が誰かも、その目的も。
「まさか本当に抜け出して来るとは。仮にも今日は君が主役になるはずだった夜会だろう?いくらお披露目が潰れたとはいえ、まさかね…」
するすると袖を抜きながら、話し掛ける彼。
「呼び出したのは貴方でしょう?どうしてこんな時に!」
「あんなに今日を楽しみにしてた割にフレドの奴はさっさと帰ったし、どうも暇でね。」
彼は早くおいでよと急かすようにベッドをぽんぽんと叩く。
「暇だなんて恐れ多い…王族は次々に王城に集まってるって父が。王太后様が心配ではないのですか?」
「別にまだ危篤ってわけじゃない。年寄りにはよくある話さ。それに仮にそうだとしてもあのばあさんは僕に看取られて逝くなんて死んでも嫌だろうよ。」
「そんな……でも、貴方のお祖母様でしょう?」
「君は何も知らない。」
「……?」
中途半端に脱ぎかけてはだけた服。いつも通り、血色の悪い肌が垣間見える。
「君は知らない。君の父上も、オーグスだけじゃない。他の五公家連中も、知らない。何も知らない。」
腕を強く引かれ、彼のからだの上に倒れこむ。
〜只の駒になる前に、知りたい
下にいたはずの彼がいつの間にか上になり、わけがわからぬままほうけている私の唇を塞ぐ。
細腕ながらも私のからだを押さえ付ける力はとても強く、その一方で唇に伝わる温もりはとても優しいものだった。
〜色々教えてあげようと思ってね
ドレスの内部に侵入してくる細い指を感じながらも、私の頭の中はこの目の前にいる『何も知らない男』のことでいっぱいだった。
「絶えてしまえばいい。僕が滅びる様に。」
耳もとで囁かれるのは愛では無く呪いの言葉。
「リヴェスタールも、君も。」
触れあっていれば、繋がっていれば、
何もかも解りあえているいるように錯覚してしまう。
実際に解っているのはからだを求めあっていること。
本能に近いただの衝動。心などともわなくてもいい行為だというのに。
だから思うのだ。
この行為はからだではない、心を開きあった者達にだけ神が許す行為なのだろう、と。
ドレスの胸元は大きくはだけ、片方だけ露になった乳房からはつんとたった桃色の乳首。
乳房をこねくりまわされ、乳首をつままれ、しごかれた。
赤児のように乳首を口に含まれ、しゃぶられ、渇き切らない唾液のあとがうっすらと夜風に冷たい。
桃色の乳輪にわずかに滲む血。彼がつけた歯の跡だ。
腰までたくしあげられたドレス。
足は左右に大きく広げ持ち上がれられ、
曝け出された秘所は彼の思うが侭に愛撫にされる。
「あ……んっ!!」
溢れる蜜を掬い取るように舌で拭われる。
ぱっくりと開かれた花弁は色を赤らめ露に濡れながら同じ様に赤い侵入物に翻弄される。
舌先で突かれぷっくりと肥大したクリトリス。
そこに歯をたてられた瞬間、からだ中の全神経を一斉に刺激されたかのように痙攣する。
くちゅくちゅと蜜を存分に絡めながら一本、また一本と増やされていく指。
悪戯な彼の舌は蜜壷を素通りし、小さな皺の寄った菊門に伸ばされる。
「そこは!!」
必死に放った拒絶の言葉。
だが、舌はそこを離れようとせず、閉められた入り口をつつきながら侵入を試みる。
「んっっ!!やだ……」
からだをよじって逃げようとするも思う様に彼の頭は離れず、蜜壷は絶えず新しい蜜を菊門に向かって垂らし続けていた。
その光景はまるで嫌がる子供をあやしながら言う事を聞かせる様だろう。
彼の舌は閉じた菊門を柔らかく広げ、そこに蜜に濡れた指がすかさず侵入する。
ゆっくりと、粘膜に傷をつけない様に。
初めは爪先すら隠れぬほど。次に爪の甘皮も見えなくなるまで。
そして第一関節までもがすっぽりと埋まった。
排泄器官への逆流という経験の無い行為。
私は快も不快も感じることなく、ただこのおぞましいこの行為が一刻も早く終わる事でけを願っていた。
抵抗すらできないほどに固まってしまった私を見て、彼が要約その行為を中止する。
「どうやらお気に召さなかったようだ。」
解放された足が久々に地を踏む。
安堵もつかの間。
体勢を変えられ、目の前につき出されたのは半勃ち状態の男茎。
彼はわかるだろうと言わんばかりの目で私を催促する。
おずおずと口を開き、唾液をたっぷりと含ませた舌で裏側から舐めあげる。
先端から包み込む様に咥え、歯をたてない様に気を付けながら口中の粘膜で粘液を絡ませていく。
時折強く吸いたて、先端から滲む苦味をこらえ、口の中で熱く、硬くなるそれを必死でしゃぶる。
喉に当たるくらい奥まで咥え、鬼頭付近まで戻す。その繰り返し。
舌で包みこみながらその大きさを感じ、これから与えられるであろう快感を思うと先程の愛撫の熱が冷めぬままの秘唇が更に熱くなる。
存分に大きくなった男茎を咥え続け顎のだるさを感じはじめる頃、動きを止められ、また体勢を変えられる。
四つん這いになった私の尻を彼が支え、ゆっくりと挿入が開始された。
向かい合って挿入される時とは違い、互いの顔を見る事のないまま、ただ快感だけを共にわかちあう。
獣の交尾と大差ない。
男茎が最奥まで侵入する度に、ぱんぱんと肉同士のぶつかり、尻だけでなく足にまで伝いそうな愛液がぐちゅぐちゅと音をたてる。
彼の腰の動きに私の両の乳房は大きく揺れ、それを尻から離れた彼の手が掬い、優しく揉む。
「はあ……あっっ、ん!」
与え続けられる快感に体重を支えていた両腕の力は奪われ、私は顔を床についてしまう。
果てることなくずっとつながったまま、快感の波に揺られたままでいたかった。
体位を変えられ、向かいあった彼が私の唇に、頬に、額に、耳たぶにと啄むような口付けを落とす。
首筋を強く吸われ、脇も、腕も、乳房も彼の口付けの的となる。
私は開かれた足を彼の腰に回し、快感の波にあわせて彼の分身を逃さぬ様にと膣を締め付ける。
〜君は何も知らない
そう、私は彼のことなど何も知らないに等しかった。
確かに知っているのはこの温もりだけ。
最奥に放たれる白濁の熱を感じながら、私は瞳を閉じた。
翌日気付いた。白い肌の上に花咲く薄赤い印。
それは弟王子がなし得なかった所有の標というよりは、
彼が生きていたという証だったのかもしれない。
この国を紡ぐ糸の一つになるはずだった
かつては絹糸だったかもしれない
いや、光り輝く金糸だったかもしれない
でも今はどんなに梳いて撚っても、
糸になれない細くか弱く役に立たないかたまり
彼の糸車はもう長いこと空回りしたまま、壊されてしまった
祝砲が空砲になってしまった肩透かしの夜会から数週間。
王太后が亡くなった。
王族及び五公家は慣例に倣い彼女の喪に服し、
もともとはっきりした形にまとまっていなかった私とフレド様の縁談は白紙に戻されたも同然だった。
そもそもフレド様の后を五公家からと推していたのが王太后だったため、喪があけた後その大前提がなくなる可能性もあったが、時折私宛に寄せられるフレド様からの書簡は父を無駄に勇気づけていた。
民草はともかく貴族達も、実のところ五公家ですら、死んで初めてその存在を思い出す程度だった王太后だが、実際には王を動かしていた真の王は彼女だった。
血を辿れば同じと言えども、五公家はもう王家とは別のもの。
各家には各家の事情があるようにリヴェスタールにはリヴェスタールの事情が、闇が存在した。
王太后は三代に渡り王族に強い影響力を及ぼし続けていた。
彼女の後ろ楯で王になったものもあれ、王妃になったものもあれ、その逆も然り。
自らの子ですら容赦なく切り捨ててきたというのなら自らの孫に対する罪悪感など雀の涙すらないのだろう。
結論から言うと、王太后の喪が開けぬまま王族は続けて新たな喪に服すこととなる。
そして長かった喪が開けてほどなく、暗かった空気を一変させる明るい話題が都中を駆け抜ける。
皇太子であるフレド王子の妃が決まったのだ。
久々の明るい話題の中、人々は忘れたはずだ。
かつて五公家が一つオーグスの家長にエミリアという娘がいたことを。
「しっかし驚いた!まさかあのエミリアがここにいるなんて。セナの遠縁ってのは聞いたけど。」
「シスタースウ、その名は棄てました。ヴァーナ、と、そう呼んで下さい。」
「そうは言われてもだってエミリア=オーグス本人じゃないか。」
好奇心なのかお節介やきなのか分からないが、
ここ、メイア修道院に来てからも相変わらず同性に、つまりは他の修道女達に敬遠されがちな私を構うのはこのシスタースウと元々遠縁であるシスターセナくらいだ。
社交界にいた頃同性に煙たがれていた私だが、修道院の中でもその状況はあまり変わらない。
神に操をたてた信心深い人間の集まりのはずなのに、私は嫉妬と嫌悪の入り交じった視線に毎日曝されている。
足早に洗濯物の入った籠を持って歩く私の後ろをシスタースウが追う。
「他のシスターには言わないからさ、教えてよ。ここに来た理由を。」
「理由も何も、シスターセナが言ってた通りです。」
「病気ですって言われてもねえ。あんた血色いいし、ぴんぴんして……エミリア?」
籠を持つ手に力が入らない。
急に襲ってきた激しい痛みのせいだ。
「ちょっと、真っ青じゃないか。大丈夫かい?エミリア?」
スウの呼び掛けに応じようと笑顔を作ろうとした瞬間、私の意識は落ちた。
この終わりかけた長話にはまだ少しだけ残りがある。
シスタースウも聞きたがってることだし、どうせだから洗いざらいしゃべってしまおう。
それで私を軽蔑したいのならすればいい。
彼の罪と、私の罪。
そして私が黒衣を纏う理由を。
spin a yarn 4 以上です。
予定としては次回でまとめられたらと思ってます。
ではまた続きが書けたらお邪魔します。
土地神様どんどんひどい目に&エロい目にあってますね。
続き期待してます。
。・゚・(ノ∀`)・゚・。GJ!
待ちに待った新作!
エミリア様(;´Д`)ハァハァ
続きも楽しみに待っております(゚∀゚)
ずっとお待ちしておりましたー!
死にぞこない王子、病弱なわりには玄人さん相手にしていたりと
案外元気そうで、腎虚で逝ってしまうんではないかと心配していましたが、
「新たな喪」の方ってもしかして…?
引き続き、次回も楽しみにしています!
しかしエミリアのその後と最期を知っているだけに切ない。・゚・(ノД`)・゚・。
GJとしか言えない自分の語彙が口惜しい…でもGJしちゃう。
続き楽しみに待っています。
エミリア期待保守
ファンタジーな妄想をするときいつも宗教というか神の名前で詰まる。
いくらなんでも農耕神チェルノーグは無いよ俺orz
>494
TRPGをやってみないか。
>>494 みだりに神の名前を口にしないということで名無しの神でもいいじゃないか。
>>494 兄弟神にカルノーグとかいるのか?
……すまん、俺が悪かった。
494だがウクライナとかの黒土地帯のつもりだったのだが、
黒土地帯はチェルノーゼムだった。うろ覚えで
書くと恥をかいてしまいますねorz
何だかティルナノグも混じってそうな。
ストレートに地母神マテルとか出した俺は間違いなく強者
大地母神といえばマーファしかありえねぇ
……497だがデコネタは流石に古すぎたかorz
でっかいひまわりが咲くです
504 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 13:40:47 ID:epGAptft
age
「悪いところはない。」
医師に返されるのはお決まりの台詞。
きっかけがあるのかないのかなどわかるはずもない。
でも、その痛みは突然やって来る。
忌わしき過去を、罪を忘れるなと、戒めを与えるために。
神に仕える身となっても清められない。このからだは―
「おや、エミリア。目が覚めたかい。気分は?お医者様を呼んだ方がいい?」
額に手をやるシスタースウ。その横にはシスターセナが立っている。
「……。大丈夫、です。」
「スウが詫びてたわ。エミリアをからかいすぎたって。」
「すまなかったね。エミ…っと、シスターヴァーナ。」
私は枕の上で首を軽く横に振る。
「シスタースウのせいじゃありません。お医者様にも原因がつかめないと。」
「発作みたいなものかい?」
「……。」
こもった空気を交換しようとシスターセナが窓に手をかける。
外から流れ込むひんやりとした空気。
空は暗く、とうに閉門時間を過ぎた修道院の中は異様に静かだ。
ふと思い出す昔の暮らし。
美しい音楽の調べも、人々の談笑する声も、まばゆい照明も、ここの暮らしには無縁だ。
「シスターセナ、取って来てほしいものがあるんです。」
「それなら私が…」
「いえ、シスターセナにお願いしたいんです。」
スウの申し出を遮り、私はセナの目を見つめる。
「何を?」
「小さな包みがあるんです。私の部屋の引き出し、上から二段目に。青い布に包んであります。」
セナはうなずくと部屋をあとにする。
「薬かい?」
私はベッドから上半身を起こし、小さく息を吐く。
「シスタースウ、あなたは何故私がここにいるのかと尋ねた。私はオーグスにとって価値が無い、駒になり得ない人間なんです。」
「へっ?なんであんたが。都一の美女と謳われたあんたが。」
「オーグスからリヴェスタールに嫁いだのは過去に二人。一人は男児を生めず、もう一人は子を生むことなく早逝した。」
「そういや数代前までは王には側室がいたね。でもそれが?」
私は腹をそっと撫でる。
先程までの身を割かれるかのような痛みは目が覚めた時には嘘のように消えていた。
「石女とわかっている娘を嫁がせてもオーグスに繁栄は来ないんです。」
喪に服しているとは言っても、形だけのこと。
貴族から遊びをとったら後に何が残る?
五公家の多くの若者は名を偽り、姿を偽り、夜な夜な遊び歩く。
両親は慣習を疎かにする彼等を詰り、軽蔑していたが、その一方で兄も兄嫁も、そして私も彼等の教えに反した行動をとっていた。
私と彼の逢瀬も細々と続いていた。
だが、終焉は確実に迫っていた。
「弟が生まれて、ばあさんは大喜びした。母に似すぎてている僕に比べてあいつは父によく似てたからね。」
「そのせいで貴方はお祖母様に疎まれていたの?」
「あの女は自分の長男を殺した。夫の母親に良く似ている。それだけの理由で。」
「……。」
ふいに後ろから抱き締められ、肩を甘噛みされる。
振り返るとそのまま唇を重ね、口付けを繰り返す。
袖を通しかけていたドレスの隙間から彼の手が侵入し、既に敏感になっている肌に冷たい指が伝う。
「僕はどこも悪く無かった、確実に。なのにある日突然生死を彷徨った。三日は意識がなかった。一週間たってやっと身を起こせるようになった。」
うなじから背筋へと場所を変えていく唇の温もりを感じながら、私は彼の次の言葉を待つ。
「以前と同じ様に歩き、走り、笑う僕を見て両親は回復を喜んだ。けれどあの女は違った。」
「痛っ!」
円を描く様に優しく与えられていた愛撫が突如痛みに変わり、私は顔をしかめる。
「一度失敗した次は違う手段に出た。」
捻られた乳首がじんじん痛む。
だが、下腹部から滑り込み、茂みをかき分け濡れはじめた恥肉を一撫でされればたちまち官能の方が勝ってしまう。
「知ってるかい。僕の食事には毒見がつかない。無駄だからさ。」
乱暴に突っ込まれた指から快感は生まれない。それでも本能か、防御反応なのか、膣壁を荒くこすりつける指にはいつしか蜜が絡みだす。
「ばあさんは死んだ。でも僕の運命はもう変わらない。あれには味などない。そう知っているのに近頃一段と食事が苦くなった。そういう気がする。」
「アレド様……」
濡れた秘部に沿えられた彼の分身。その猛りは情欲ゆえか、それとも怒りか。
皮肉にも彼は全てを知っていた。
王も王妃も、もちろんフレド王子も知り得なかったことまで。
彼が幼い頃王太后、祖母に盛られた猛毒。その時彼の命は尽きるはずだった。
だが、幼い命の必死の抵抗で息を吹き返した彼に対し祖母が下した決断は残酷なものだった。
日々微量ながらも盛られ続ける毒。それはゆっくりと確実に彼を蝕み続けた。
成人前に死んでいてもおかしくない。それでも彼は彼の意志に関係なく生きていた。
『死に損ない。』
王太后とその妄信的な側近達が陰でささやく言葉。
彼はいつからか自分のことをそう揶揄するようになっていた。
ついに蓄積し続けた毒が、彼の命の生きようとする抵抗をもついに征服した。
元々生に執着がなかっただけに、彼の病状の変化はあっという間だった。
私が自分のからだに迎えた変化を伝えた時、起き上がることが困難になりはじめていた彼は横になったまま天に手を伸ばし、拳を握りしめくっくっと笑いはじめた。
「それじゃあ早くフレドとも寝ないとだな。」
声だけ笑いながら私を見る彼の目は決して笑っていなかった。
「これでいいのかしら?」
息をきらして帰ってきたセナは青い包みを差し出す。
「ありがとうございますシスターセナ。それはシスタースウに渡して頂けますか?」
セナもスウも私の意図が掴めぬまま、ひとまず私の言葉に従う。
「シスターヴァーナ、開けても?」
私が頷き、スウはそっと包みを広げる。出てきたのは黄ばんだカード。
「私がある方から頂いたものです。」
〜我が愛しのエミリア嬢
残念ながらこれはいつもの火遊びの誘いではない。
これは最初で最後の贈り物だ。
頭のいい君なら既に察しがついてることだろう。
僕が思い付いた最良の方法だ。
やはり連れていくのがいいだろう。君の家の為にも。
君の納得がいくのなら実行すればいい。効果は確かなはずだ。
地獄より愛を込めて〜
布にひっかかっていた塊が床に転がりおちる。
拾い上げたスウはその正体を見極めようと目を細くする。
「指……輪?」
「飾り石が、はずれるんです。そこに入ってました。異国から取り寄せないと手に入らない。珍しい、とても高価な薬が。」
スウは手にした飾り石に刻まれた紋章に度胆を抜かれたようで目を白黒させている。
一方、一部ながら事情を知っているスウは私の言葉に顔を蒼白にする。
「まさか貴女そのせいで?!」
私は灰色の天井を見上げる。
彼は逝った。
私を置いて。
この世に生まれる事の無かった小さな命を道連れにして。
私は結果として彼の選んだ方法を選択した。その真の意図を知らずに。
目が覚めた私は天国でも地獄でもなく、自室のベッドに寝ていた。
ばあやに呼ばれてかけつけた医師は、既に父に報告済みの二つの残酷な事実を私に伝えた。
「何という恥知らずな!」
「恐ろしい、どうして貴女はそんな愚かなことを…」
「おまえは一族の名を汚したんだ。」
「貴女にはみんなが期待してたのに、よくもまあ…」
「貴女の行いはお父様の顔に泥を塗ったのよ!」
やっと起きれるようになったばかりの私を取り囲む皆の顔には憐憫の情などかけらもなく、
鬼の形相で非難の言葉をぶつけるばかり。
いまだ癒えることのない私のからだを気づかう者など皆無だった。
父は事実抜きでリヴェスタールにどう伝えたのだろうか?
フレド様からの便りはぷつりと切れた。
私の処遇については家族の中でも意見が分かれた。
石女であっても嫁のもらい手はつく。言わなければばれぬ事だ。
そう言う兄や叔母の主張は家長である父の決定をくつがえせるわけもなく、
涙で懇願する母の願いも通じる事は無く、
勘当となった私を引き受けてくれたのはパメラことシスターセナだった。
「祈りなさい。そうすればいつか必ず主は貴女を御許しになりますよ。」
セナは決まり事のようにそう言う。
だが、時折襲うこの痛みは私に罪を思い出させる。
そして、夜な夜な襲うからだの疼きは神の花嫁であるはずの私に新たな罪を重ねさせる。
この身は穢れたままでいい。
むしろもっと穢れたほうがいい。
赦されぬために。
からだは忘れない。あの快感を。
「ふふ、まさか貴女が本当に引き受けてくれるとは思わなかったわ。」
豊満な胸の谷間を強調したデザインのドレス。
昨夜の客のつけたのだろうか、良く見れば粉をはたいた首筋にも胸元にも赤いしるし。
いつかは童女のようだと思ったシシーの笑顔。
濃い化粧の下に皺が見え隠れ今となっては滑稽に思える。
「報酬は約束通り。そこから先いくら釣り上げられるかはあんたの腕次第ね。」
質の悪い染め粉でもつかているのか、赤毛だったはずのミランダは緑かかった奇妙な黒髪をしていた。
「でもねえ、ほんとにここで大丈夫なの?ここじゃなくても、私達の用意した宿にでも来てもらえれば……」
「塔の使用許可はもらってあるわ。それに修道女姿の私がいい。そういう御要望なんでしょ?あちらは。」
「まあ、それはそうだけど…でも本当に大丈夫なのかしら?修道院の中で客をとるなんて。」
シシーは心配そうに背後を振り返る。今この懺悔室を使っているのは私達だけ。
誰も咎める者などいない。
「言ったでしょう。へクター卿が亡くなり、コルド司教が失脚した今、メイア修道院には庇護者が必要なのよ。形はどうであれ、ね。」
かつてと同じ、攻撃的な目で、ミランダが私を睨み付けていたミランダだが、ふいに背を向け歩き出した。
「シシー、そろそろ帰るよ。この女はあんたと違って馬鹿じゃない。やるって言ったんだから後は任せればいい。」
「えっ?あっ、もう。それじゃエミリア。水曜日、灰色の塔で……」
本物の楽園は遥か高く、この愚かな手をいくら伸ばそうとも届きそうにない。
だが、私の楽園はここに始まる。
信心深い者達の愚かなる願いを叶え、その罪を穢れた我が身に焼きつけていこう。
失ったものは山程ある。
後悔する気はない。
たとえあの情熱は長らえないものだったとしても。
色とりどりのドレス、豪華な食事、尊敬すべき家族。
何不自由のない生活を捨てたのは私。
黒一色の一張羅、貧しい食事に感謝し、頼れるのは自身だけ。
当たり前のものさえ容易には手に入らない現在。
そしてきっとこのまま代わり映えのないであろう未来。
祝福を受けるための資格はとうに手放した。
死してこの身が地獄へ堕ちようとも恐くはない。
きっとあなたが待っているのだから。
近頃夢に見る、死した後の自分を。
大勢の罪人達が呻き苦しむ。
私はその中ただ一人、彼を探す。
燃え盛る業火に巻かれながら、それでもどこか冷めた無感情な目で、彼は私にこう言う。
「やあ、また会ったね。」
そして私はこう返す。
「つまらない男たちとはもう遊び飽きたわ。」
切れた糸は戻らない
それでも思いは紡がれ続ける
貴方に逢うまで
とととと投下キテター!!!!!!!!
GJGJGJGJGJGJ
以上で終了です。
これにて灰色の塔とその登場人物達の話は番外含め全ておしまいです。
長らくおつきあいありがとうございました。
また機会がありましたら別の話引っさげてお邪魔させて頂くかもしれません。
では失礼いたします。
なんとも言えない余韻の残る切なさだ…
ほんとにGJでした!
次回作もお待ちしてます。
灰色の塔シリーズ面白かった。GJ!!
最後のエミリアの話は、しんみりしちまっただよ。
次回作、あればまた楽しみに待ってます。
泣けた
面白かった
また、貴方の作品が見たいです
えーとつまり、その堕胎薬は同時に不妊症にもしてしまう効果があったと?
女としてはかなりショックだな。最後までひどい奴だ>王子様
また最初から読み返してみます。
長編完結、お疲れ様でした!
こんなにすばらしい作品は、もっと多くの人に読んでほしいものだ。
心に深い余韻をありがとう、作者さん。
単行本として発売してほしくなる作品でした。
GJ!お疲れさまです。
真面目にどっか出版者に持ち込みして出版して欲しい作品でした。
お疲れ様です。
このスレに対しての保管庫って存在してるのかな?
灰色の塔のものです。
調子にのって別シリーズを書きはじめたのが筆の進みがよいので
保守がてら第一話投下させてください。
今回エロなしです、すみません。
夏が近付くと思いだす少年の日。海に行った。プールに行った。キャンプもした。虫もとった。
でも、別段特別なことじゃないのにそれ以上に鮮明に覚えてることがある。
うだる熱さの中、半袖単パンに麦わら帽子の僕と、腕も頭もやりすぎな位紫外線から防御した母、二人でよく庭に出た。
下手の横好きでガーデニングの好きな母が僕に命じる手伝いはもっぱら庭関連で、
レンガを並べたり、土をひいたり、水をあげたり、色々やらされたものだ。
僕は母のようには庭に魅力を感じなかったが、
自分のまいた種が芽をだし葉をつけ花が咲き実を結ぶ一連の過程はそこそこ充実感を得ていたので、
手伝わされる度にぶつくさ文句を言う父に比べればやっぱり好きだったのだろう。
嫌い、というか苦手なものがひとつ。雑草取りだ。
僕に言わせれば、母の植えたなんだかわからない植物も、庭に勝手に生えて来る植物も大差なく、
何を基準に雑草と呼んでいいかわからなかった。
しかも、綺麗だったらなおさらだ。
その花は、ガレージの横、毎年決まって同じ場所に顔を出していた。
母はその花を見る度に、「また生えてきた」と顔をしかめる。
けれど、僕はその花を雑草と呼ぶには可哀想で、抜くのも忍びなかった。
その花も母の造る庭に咲く花の一員として認めてあげればいいのに。そう思っていた。
その花の名は―
とりあえず偏差値的に合格圏という理由だけで受験した地方大学。
予備校の判定の通りに合格通知を手にした僕は、生まれ育った故郷、栗津を後にし一人暮らしをすることとなった。
大学でできた友人は訛りの違う僕の出身地を告げると「どうしてここに?」と首をかしげるが、「受かりそうだったから受けたら受かった」という率直な理由以外に答えようがない。
ここ、天咲の地は日本史で取り上げられるほどではないが、かつて切支丹と呼ばれた人たちが多かった地域で、今でも墓地には普通の墓石に混じって十字架の墓標が点在している。
今でも他の地方に比べればクリスチャンがそこそこ多いらしい。
時代の流れも絡んでか信仰心の薄い僕にとっては、家が仏教だったという位しか認識がない。
でも、それで困ったことなど一度もなく、今後もそのままどうにかなっていくんだろう。そう思ってた。
「おい、平岡。あれってシスターだよな」
大学近くの定食屋で昼飯を食っていた僕は、ふと見た窓の向こう、通りの反対側で信号待ちをしている見なれない服装の女性に気付いた。
「見ればわかるだろ。あれが坊さんに見えるか?」
平岡は一瞥すると、手にするスポーツ新聞に目を戻す。
地元の人間にとっては特に珍しい存在ではないのだろうか。
「へえ、さすが天咲。コスプレじゃなくて本物のシスターが普通にいるもんなんだな」
感心した様子の僕に、平岡が顔をあげる。
「ひょっとして柳瀬はじめて見たとか?」
「そうだけど。普通町中にシスターなんていないだろ。神父なら見た事あるけどな。従兄弟の結婚式で。」
「へえー。シスター位普通だと思ってた」
平岡も僕にあわせて横断歩道を渡るシスターを眺める。
「ああ、でも珍しいな」
「何がだ?普通なんだろ、シスター」
「あの女若いだろ。天咲のシスターは普通婆さんばっかだ。あ、結構美人かも」
平岡の言葉に僕も慌てて彼女の顔をチェックする。
だが、シスターはさっさと横断歩道を渡り終え、僕の視界から消えてしまった。
「ひょっとして柳瀬おまえ制服物好きか?」
にやにや笑う平岡をあしらいながら僕は味噌汁に手を伸ばす。
顔を見損ねた恐らく美人のシスター。
その小さな話題は互いの気に入りのAV女優論の白熱ぶりにかき消され、そのまま僕の頭から消えてしまうはずだった。
その日、バイトの面接が微妙な時間に指定され、午後一の授業をとりあえず出席カードを平岡に託してふけてきた僕は自転車を漕いでいた。
携帯を開く。画面に写し出される時計は1時43分。間に合うだろうがぎりぎりだ。
天咲の町は割合平坦で自転車が役に立たないわけではないが、やっぱり原付の方が楽だ。
バイトが決まって金が貯まったら遠藤に免許の話を聞こう。そう考えながら角を曲がる。
だが、出合い頭に僕の視界に黒い人影が飛び込んで来た。
「きゃあっっ!」
「うわ!」
女性の叫び声と、僕の自転車のブレーキとどちらが早かっただろうか。
かろうじてぶつけはしなかったが、女性はバランスを崩し地面に座り込んでしまっている。
怪我でもさせたかと心配になりながらも、僕は女性の特徴的な服装に目をとられる。
頭を覆うのは黒いヴェール。
首もとだけが白であとは黒のツートンカラーの衣服。
それは坊さんなんかではなく、間違い無くシスターだった。
「いたた…」
「すみません、大丈夫ですか?」
僕は自転車を降り、女性に手を差し出す。
面接はもう無理だろう。だって不吉すぎる。
13日の金曜日の黒猫ならぬ、黒尽くめの聖女を轢きそうになって放って逃げたとなれば天罰がくだりそうだ。
弱々しく差し出された手は地面についた際に擦り傷になったのだろう、滲む血が痛々しい。
「こちらこそごめんなさいね。大袈裟に叫んじゃって…」
尻餅をついて痛むのか後ろをさするシスター。その顔は見えないが声のトーンからすると若そうだ。
ひょっとして前に見かけた…?
僕が平岡との会話を思いだしてると、ぽんぽんと砂を払っていた彼女がため息をつきながら顔をあげた。
「もう大丈夫です」
照れくさそうに微笑んだ彼女は老女ではなかった。おばさんでもなかった。やはり若かった。
大学デビューしたての僕の同級生のどこか間違った濃い化粧に比べるとかなり素に近いであろう。
色白で、目もぱっちりしてて、天然の美人さんという感じだ。
綺麗なお姉さんは……なんていうどこかのCMのフレーズが頭をよぎる。
僕が彼女の顔に見とれてしまったのは他にも理由があった。
胸の底からじわじわと込み上げて来る「何か」があったのだ。
それは確実に知っているはずの感情だった。
例えば夢の中。欲しくてしょうがなかった物が目の前にあるのに、どうしても手が動かない。
今取らないと手に入らないのに。
そんな僕をはた目に、彼女は「それじゃ」と言ってすたすたと歩いていく。
僕は自転車のハンドルを握りしめる。ペダルにのせたままの右足には何の力も入らない。
「待って!!」
その時の僕は記憶が醒めるよりも先に、本能で叫んでた。
急に呼び止め驚いただろう、びくりと反射して彼女が振り返る。
「あの…何か?」
おずおずと尋ねる彼女。
引き止めはしたものの、僕には返す言葉がない。
無言の僕に、彼女は困ったような顔をしてまた僕に背を向ける。
遠くで下校途中の小学生達の他愛のない会話が聞こえる。
「てっぺーおまえそれちがうぞ。うめあめって書いてつゆって読むんだぞ。」
「げ、間違えた〜」
げらげらと笑う少年達。
段々小さくなる彼女の背中を見つめる僕の脳裏にいつかの母の声がこだまする。
『違うわよ慶太。それはさゆりって読むのよ』
胸の底から込み上げてまん中位でぐずついていた「何か」が一気にてっぺんへとが吹き上がる。
自転車をひきずるように向きを変え、勢い良く僕はペダルを漕ぐ。
遠かった彼女の背中がぐんぐん近付いて来る。
「待って!!……りさん」
再度声彼女が歩みをとめる。そしてゆっくりと僕の方に振り返る。
「さゆりさん、あなた小百合さん、でしょ?」
その名を呼んだ時、彼女はぱっちりとした目を更に見開き、驚いた様子をみせていた。
でもそれも一瞬のこと。
すぐさま彼女の表情は変わる。喜びではなく、憂いを帯びたものへと。
そしてぽそりと言葉を落とす。
「あなたも、ですか?」
故郷、栗津から遠く離れた天咲の地。
ここで彼女、小百合さんに出会えたのは僕にとって奇跡に違いない。
たとえ彼女にとっては違っていたとしても。
以上で一話です。
今回は日本の仮想都市を舞台にしてます。
ではまた次がまとまりましたらお邪魔します。
うわーーーきれいなイントロですね
期待!
_ ∩
(*´∀`)彡 続き!続き!
⊂彡
はぅ〜
素敵なお話だなぁ…
ああ、なんて美しいお話でしょう・・・
浮世離れした感じがするのに、しっかりとした存在感。そして余韻。
「灰色の塔」でもそうでしたが
作者様は、語彙が豊富でいらっしゃる知的な方と存じます。
・・・などと、思わず丁寧な感想を述べたくなる作品ですね。
初恋の人の名を聞かれたらまっ先に彼女、小百合さんの名前をあげたいところだが実際には違う。
多分幼稚園のくるみ組で一緒だったれなちゃん、それをままごとの延長だから無効と言われたら、
小二の担任だったゆうこ先生といったところだ。
恥ずかしながら、どちらも写真に文集にと消せない記録が残っている。
だから僕が彼女に抱いた淡い気持ちが初恋だったというわけではない。
小学校も高学年となると、いっちょまえに声変わりしたり、毛が生えてきたりするやつらが出始める。
あまりに早くに性徴が現れてしまうと格好のネタとなるが、遅すぎてもやばい。男女なんて言われるはめになる。
「三田みえり最高だよな〜あの胸に挟まれてえ」
「おれ胸より尻派だから四葉だな」
「やっぱ足だろ。五島さやにぶっかけてぇ」
実際には経験も無い癖にやたら下ネタを連発しはじめる男子に対し、
「やあね、戸田たちきたな〜い」
「ああいいうのってまじきもいよね。学校をなんだと思ってるのよ」
女子は冷たい態度をとる。
けど女子だって裏ではセックス描写ばんばんのどぎつい少女漫画とか読んでたりするからあなどれない。
そんな変化の時期だった。
彼女にはじめてあったのはいつだったのだろう。
通学途中にあるバス停。
僕は当然徒歩で学校に行くのだけれど、そこでバス待ちをしているサラリーマンや学生の列の中にいつも彼女はいた。
このあたりの公立校とは違う、赤いリボンに金ボタンのグレーのブレザーの制服。
市民体育館の近くにある中高一貫の女子校のものだった。
右手には単語帳。左手には茶色い革のカバン。
丁度胸の膨らみくらいまである真直ぐな黒髪は、寝癖など無縁そうでいつもきちんと整えられていて時折風に揺られていた。
膝ぎりぎり丈のチェックのスカートからすらりとのびる足。
身長が伸びはじめで肉付きの追い付いていない同級生達に比べ、紺のハイソックスが柔らかなラインを描くふくらはぎ。
彼女があの時中学生だったのか、高校生だったなのかすら僕は知らない。
僕は彼女と目をあわすこともなく、当然声をかけることもなく、ただその前を素通りするだけだったのだから。
あのバス停の利用者はうちの町内と、道路を挟んだ隣町の住人が占める。
ある日図書館とか映画館とかショッピングセンターとかで偶然出会って、
「いつもバス停のところで見かけるよね」とか、「中学受験悩んでるの?今度勉強みてあげようか」とか、
都合のいい会話がかわされたらいい。
そんな淡い思いを抱いていた。
一つ断っておくと、当時の僕は彼女でやましい想像など微塵もしてなかった。それこそ神に誓って。
しかしその頃の僕のまわりは男も女も色めきはじめたやつらばかりで、僕も影響を受けないわけがない。
いっちょまえに不純な思いも抱いていた。
ただしその相手は小百合さんではない。
だって彼女は小学生の僕が勝手に思い描く幻想の中の崇高なマドンナのようなもので、制服の下に秘められた彼女の裸体を想像することすら下卑たことのような気がしてたから。
僕は一つの困った事体に局面していた。
身長を戸田に抜かれたとか、浅間はK校受験確定とか、そういう問題ではない。
事件は家の中で、いや、正確には隣の家の中で起きていた。
僕の頭をおおいに悩ませる犯人。その容疑者の名は朝美ちゃん。
僕の家族の引っ越してきた当初からのお隣さんの一人娘、朝美ちゃんは僕よりひとまわり年上で、二年程前にいわゆるできちゃった結婚をして栗津を離れていた。
妊娠発覚当時、朝美ちゃんの両親は相当結婚に反対してて、うちの母はしょっちゅう泣き言を聞かされていた。
両親をどうにか説得し、花嫁となった朝美ちゃんだが結局一年とちょっとでまた僕のお隣さんとなる。
生まれた子供は男の子と聞いていたが、栗津に戻ってきたときの朝美ちゃんは赤ん坊はおろか手荷物すらろくに持っていない状態だったらしい。
とまあ朝美ちゃんの背景はこんな感じにしておこう。
二階にある彼女の部屋は、同じく二階にある僕の部屋の真向かいに位置する。
昔は窓越しに目があったりすると笑って幼い僕に手を振ってくれたものだ。
彼女は僕の母と同じくらい僕のおねしょ回数を知っている。
端的に言おう。その朝美ちゃんが小学生の僕を誘惑するのだ。
きっかけは僕がたまたま見てしまったことからだ。
朝美ちゃんのオナニーの現場を。
梶野と一緒に安藤の家でゲームをする予定だった僕は、家に帰るなり階段をダッシュする。
ランドセルをベッドに放り投げた際に、窓越しに朝美ちゃんを見つけた僕は昔の様に手を振った。
だがソファに座る朝美ちゃんは僕に気付かないだけではなく、なんだか様子もおかしい。
気になった僕は目をこらす。
着るのでも抜くのでもなく中途半端に上げられたスウェット。
本来なら授乳期であろう。張った乳房が肩紐の下げられたブラジャーからはみだしている。
そのたわわな乳房を朝美ちゃんはパン生地をこねるかの様に揉みしだき、
パフェの上に乗るチェリーのような乳首を細い指先でしごいていた。
桃色の乳首から滲む白い液体。苺にかける練乳の甘さが僕の脳裏をよぎる。
そしてもう片方の手はスウェットのズボンの中に隠れていた。
だが、彼女の股間でもぞもぞと動く奇妙な膨らみを見れば、彼女の手がどこにあるのかは容易に想像がつく。
彼女の手が股間でもぞもぞと動くのにあわせて彼女のからだはびくびくと痙攣し、彼女はうっとりと天を仰ぐ。
尖った乳首はあいかわらず白い乳汁を滲ませ続け、行き場のない液体が白い乳房をつうっと伝う。
僕は手をおろすのも忘れ、その光景をただただ見ていた。
しかし一段落ついた朝美ちゃんはついにお向かいさんに、つまり僕に気付いた。
だが、彼女ははしたない格好をしている自分をあわてて隠すわけでもなく僕を小馬鹿にするように小さく笑う。
そしてズボンに隠れていた手をゆっくりと引き抜いた。
窓越しに見てるのに、彼女の指先がてらてらと光っているのがわかった。
指と指をあわせれば透明な粘液が糸をひく。
縁日の水飴もあんなだっただろうか。
そして朝美ちゃんはその指をなんのためらいもなく唇によせ、舌をのばしてゆっくりと粘液を舐め取る。
その顔は自分の体液を舐めているとは思えないくらい恍惚としていて、見ている僕も一緒に恍惚の世界に旅立ってしまいそうだった。
そして朝美ちゃんは立ち上がって衣服の乱れを直すと、涼しい顔をしてカーテンを一気にしめた。
僕はその日安藤の家に行く予定だったことも忘れ、さっきの朝美ちゃんのことばかり頭で反芻していた。
たまたま見てしまった朝美ちゃんのオナニー現場。
それはあの日一回きりではなかった。
朝美ちゃんは僕の帰って来る時間帯を狙って僕に自分を見せつけるようになったのだ。
ある時は一枚一枚服を脱ぎ、ストリップダンサーのようにじらしながら裸になったり、
またある時は上半身裸で、バナナのようなおもちゃ(今思えばあれはバイブだったのかもしれない)を口に含み、出し入れしたり、唾液に濡れたままのそれをたわわな乳房に挟んで先をちろちろ舐めていた。
またある時は僕に見える様に大きく足を広げ、ぱっくりと開いたそこからだらしなく愛液をしたたらせながら愛撫を与える。
はっきりいって僕は女の人のおまんこなんてモザイク無しで見たのは初めてで、性教育の授業で見た毛も色素も簡略化された僕の知るそれと朝美ちゃんの実物とのギャップにしばらく悩んだものだ。
朝美ちゃんによって大人の世界を見せつけられた僕。
このまま大人への階段を突っ走り同級生より一歩もニ歩も先を行ってしまうのかと思われたが、
なんだかんだ彼女は自分が満足すると途端にカーテンを閉め切ってしまい、僕に直接的に何かすることはなかった。
朝美ちゃんの誘惑はある日を境にぱったりと止まる。
「新しい彼の家に入り浸ってるみたいで帰って来ない」
おばさんは嘆いていた。この辺の事情は省こう。
そして僕はまだまだ半人前のムスコ相手に悶々とする日々を送るのだった。
紆余曲折を経て僕は気になるお姉さんに声すらかけれないませガキ以下の純情少年に戻る。
小坊の僕には刺激の強すぎる爆弾みたいな朝美ちゃんのことを考えるより、
毒の無さそうな彼女のことを考える方が心臓に悪く無いのが実情だ。
それでもある日彼女が手にしていたナイロンバッグに彼女と思しき名前の刺繍を見つけた時はさすがに胸が踊った。
『生駒小百合』
まず名字の読み方がわからなかった僕は家の電話帳を必死でめくり、「いこま」と理解するにいたった。
僕の同級生にはいなかったが、栗津にはそこそこ多い名字らしい。
だが、小百合の方は「こゆり」だと勘違いして、彼女に相応しい可愛い名前だな、と悦に浸っていた。
漢字が苦手な僕が百合をゆりと読めただけでも奇跡なのだが。
間違いに気付いたのは当時はやっていた漫画に、小百合という新キャラが出てからだ。
「こゆり」だとばかり思っていた僕は、「さゆり」と書かれた振りがなを見て驚愕し、
作者か出版者の間違いだと思いこみ、アイロンがけ中の母に漫画の一ページを見せる。
「母さん、これふりがな間違ってるよね。さゆりって書いてあるけどこゆりじゃないの?」
「違うわよ慶太。それはさゆりって読むのよ」
母は笑って僕のミスを正し、アイロンを切ると母もファンであったその漫画に目を走らせた。
『いこまさゆり』
ようやく彼女の名前を知った。
それなのに、あのバス停から彼女がいなくなった。
一日見なかった時は風邪でもひいたのかな?と思った。
一週間立ち、バスの時間を変えたのかも、と思った。
そして一ヶ月が過ぎ、彼女は引っ越しをした可能性もあるかもしれないと思い、
一年立つ頃には僕の頭から彼女への思慕はきれいに消え去っていた。
そして今、小百合さんは栗津から遠く離れたここ天咲で、あの可憐なグレーのブレザーの制服姿からは思いもしなかった黒尽くめの格好で僕の目の前に立っている。
単語帳を見ながら穏やかにバス停に立っていた彼女からは想像もつかない、諦めと憂いを放ちながら。
花の名前、第二話以上です。
今回シスター成分が皆無ですみません。
次回はまたヒロイン小百合さんが出てきます。
では失礼します。
乙、期待して待ってます
GJ !
覗き描写だけなのに、綺麗でエロイ!
続き、待ってます。
神キテタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
相変わらず美しい作品だなぁ・・・
貴様プロだな!プロに違いあるまい!
540 :
>>531:2007/09/19(水) 23:55:15 ID:mEJ/5NHA
GJ! この上品なエロさがたまりませんわ。
朝美ちゃんって、オツムもお股もゆる〜いおにゃのこなのかな?
頭ゆるい=男にだらしない・考えが足りないって意味もあるけど
なんちゅーか「脳みそがちょっと足りない」とか「白痴」「池沼」の気があるような感じがますね。
うわ、レス番を何故か名前欄に書いてしまった・・・すまん。
しと
hosyu
ほしゅ。
保守
プラネタリアンのシスターで誰か書いてください
じゃあ俺はクロノクルセイドの(ry
ほしゅ。
∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ´・ω・) < ♪ まだかな、まだかな〜 花の名前の人まだかな〜
( つと ) \_______________
と_)_)
「あなたも、ですか?」
憂いを灯した瞳で見つめられ、僕は焦った。
このシスターが小百合さん本人にしろ、面影が似てるだけの別人にしろ、突然呼び掛けたのだ。
何らかの不信感を抱かれたに違い無い。ストーカーとか。
「えっ、あのっ、すみません。つまり、僕は栗津で…その、あなたと似た人を」
咄嗟に思い浮かぶには訳のわからぬ言葉ばかり。
彼女は「栗津」と僕の言葉を復唱する。その表情は変わらない。
「生駒小百合さんですよね?」
僕は恐る恐る彼女のフルネームを口にする。
ほんの少し、彼女の口角がゆるむ。
「ええ」
人違いじゃなかった!僕はほっとする。
だが、相手が僕のことを恐らく知らぬ以上は怪しくない程度に釈明せねば。
「よかった、やっぱり小百合さんだったんだ。僕は実は」
「言われなくてもわかってますから」
へ?
僕の思考はぴたっと止まった。わかってる?なんでだ?
「こんな格好をしてても許してもらえるわけじゃないってことも」
胸に置かれた手の下に隠れる銀の十字架。
「ここに移ったのは別に逃げてきたわけじゃないけど、やっぱりわかるんですね」
十字架を握りしめる手の甲にはうっすらと筋が浮き立つ。
この目の前のシスターは僕の憧れだった小百合さんその人に間違いない。
なのになんだかおかしな方向に話が進んでるようだ。
仮にも聖職者を前にしているのに、諭されるどころか逆に非行少女を補導している気分だ。
さっさと軌道修正しなければ感動の再会どころではなくなってしまう。
状況を打開しうるであろう天の声は背後から降ってきた。
「あら、リリーさん。まだこんなところにいたの?」
声の主を捕らえるやいなや、青ざめていた小百合さんの顔にぱっと灯が灯る。
振り返った先にいたのは小百合さん同様、黒の衣装に身を包んだシスターだった。
「マザー!」
小百合さんはそのシスターの元へと駆け寄る。
小百合さんより大分小柄で、恐らくかなり高齢と見えるそのシスターは、小百合さんと何か言葉をかわした後、ゆっくりとした歩みで僕の元へとやってきた。
小百合さんもそれに付き従う。
「あなた、栗津からいらしたそうね。初めまして、私はこの子の、そうね、後見人と言ったらいいのかしら。私はヘレンというのよ。マザーヘレンと呼ぶ人もいるわ。あなたのお名前を伺ってもいいかしら?」
年老いたシスターはにっこりと僕に微笑みかける。
間近で見て気付いたのだが、白い眉毛のしわしわのおばあちゃんながらその瞳は日本人にはありえない色、ビー玉のような碧だった。
元々どこの国の人かなんてわからないけど、この流暢な日本語から察するにかなりの年数日本にいるんだろう。
「えっと、僕は柳瀬と」
「そう、柳瀬さんというのね。この子にお話が会ってはるばるいらしたんでしょうけど、今日は私達大事な用があるの。だからできればこんな場所じゃ無くて、そうね…」
がさごそと鞄をあさり、何かのパンフレットと思しき紙を取り出した。
紙面を見た小百合さんが一瞬顔をしかめたように見えた。
『夕凪の家 ふれあいマーケット』
ボランティア団体主催のバザーや金魚掬い大会。
僕に参加を促しているんだろうか?
「これは?」
「ふふ。楽しそうでしょう?あなたもよかったら是非いらして。子供達も頑張ってるんです。」
「はあ」
僕が興味があるのはバザーやらお祭りやらではなく、久しぶりに会った小百合さんなのだが。
その小百合さんはマザーヘレンの登場以来ほとんど口を開いていない。
マザーはにこやかに話を続ける。
「裏に電話が載ってるでしょう?住所も。」
マザーに言われ、紙の下の方を見れば夕凪の家の地図やら何やらが載っていた。
「私達は天咲ではそちらにお世話になってるのよ。悪いけどお電話下さるかしら?それからお話の続きをする日にちを決めましょう。私達は逃げも隠れもしませんよ」
「はあ」
「それじゃあ今日はもうよろしいかしら?リリーさん行きましょうか」
なんだか良くわからないままだが、話は切り上げられてしまった。
丁寧なお辞儀をしてすたすたと立ち去る二人のシスターを見送りながら、僕はポケットで振動する携帯を引っ張り出した。
画面に写し出された番号は面接予定だった店のもの。
面接をすっぽかした僕に確認の電話を入れてくれたのだろう。
でも僕はボタンを押さず、携帯をたたむとポケットに突っ込んだ。
言い訳をしてこれから改めて面接を受ける気分になれそうにない。詫びを入れる気力も無い。
小百合さんの後ろ姿がどんどん小さくなっていく。
そういえば、どうして小百合さんはシスターの格好なんかしてたんだろう?
なんで天咲にいるんだろう?
僕はサドルについたままだった土ぼこりを払った。
あのわけのわからない再会から一夜。
昨日は迷いに迷った挙げ句、結局夕凪の家に電話はしなかった。
あのマザーヘレンも、小百合さんも僕に何か誤解を持ってるっぽいようだ。
逃げも隠れもって。僕は刑事か?
すっきりしない気持ちで講義室に向かう僕に、朝から無駄に元気な遠藤の声が飛んできた。
「柳瀬〜、おまえ社会学A受けてたっけ?」
「受けてないけど。抽選もれたし。なんで?」
「俺先週さぼったんだけどさ、なんか特別講議でレポート出てるんだよ」
僕が取り損ねた社会学Aはテストは持ち込み可、出席は代返でOKという大人気の授業で、毎年希望者の中から抽選で受講者を選んでいた。
「なんか今年からレポート必須にするんだってさ。詐欺だよな」
「菊っちゃんも確か受けてたよ。あとは岸?」
「だめだめ、あいつらもさぼり。加藤さんとか真面目にノートとってそうなんだけどな、言いづらいんだよ」
加藤さん。僕の脳裏に黒髪三つ編み黒ぶち眼鏡の小柄な女性の姿が浮かぶ。
学部共通の授業では大体最前列に座ってる優等生タイプだ。
確かに彼女にさぼった授業のノート見せてとは言いにくい。
「まあ、頑張れ」
遠藤はやけがさしてきたのか教壇に立って大声で呼び掛ける。
「すいませーん。社会学Aの野田弁護士の特別講議ノートある人いませんか〜?」
「僕も欲しいで〜す」
菊池が答えると教室中笑いに包まれる。他にも何人か便乗して俺も、私も、と声が上がった。
「私持ってるよ」
意外なことに救世主の名乗りをあげたのはあの加藤さんだった。
あっという間に彼女の周りを社会学A選択の駄目学生達が取り囲む。
小柄な加藤さんはすっぽり隠れてしまった。
「ノートはあるけどそれだけどと結構厳しいよ。なんか課題がいくつかあって…」
「げ、知らねえ。SKR詐欺事件て何?QQ貨物事件とか俺幼稚園だろ」
「こっちの方がまだ知ってるよな、栗洲事件、あれ栗川だっけ?」
「三つとも有名じゃない、ニュース見て無いの?」
ノートはあれども課題はなかなか難しいもののようだ。まあ僕には無関係だが。
そうこうしてるうちに授業は始まり、僕はすっきりしないまま一日を過ごした。
綺麗な思い出は綺麗なままでとっておいた方がいいのかもしれない。
深追いしない方がいいのかもしれない。
でも、興味があった、知りたかった。
恐らく僕への誤解への原因につながっているであろう、彼女の事情を。
緊張しながらボタンを押す。何回かのコール音の後、電話に出たのは女性の声。
「夕凪の家事務局です」
「あの、柳瀬といいますがそちらに小百合さん、じゃなくて、シスター、ええと」
「ああ、シスターリリーですね。ちょっとお待ち下さい」
がん、と音が響く。
保留にするのではなく、受話器をどこかに置いて呼びに言ったようだ。
がちゃがちゃという音に混じって遠くで「リリー、電話よ。永瀬って男の人」と、声が聞こえる。
永瀬じゃなくて柳瀬なんだけどな。心の中で呟く。
そういえば小百合さんはリリーと呼ばれてた。
ひょっとして百合だからLILYか?なんか単純だな。
そんなことを考えてるうちに受話器がまた動き出す。
「もしもし、お電話かわりました」
受話器の向こうから聞こえてくる彼女の声はかたい。
「あの、先日お会いした柳瀬と申しますが」
「栗津からいらっしゃってる方ですね」
「はあ、この前は急に話しかけて驚かせてしまってすみません」
「いえ、こちらこそ。それで、話の続きなんですがお会いすることはできませんか?」
「えっ、そりゃもう構いませんけど」
「そう、よかった。マザーにはあまり迷惑をかけれないので。じゃあ……」
暇な大学生でバイトもしてない僕は彼女の指定した日時に体した用事もなく、すんなりと待ち合わせは決まる。
電話を切るまで彼女は年下の僕に対してずっと敬語のままだった。
会って話を、と言われたのは少々意外だった。怪しまれてると思ってたから。
恋になればいいなんて期待は微塵もなかった。彼女は今はシスターなんだから。
でも、故郷から離れた遠い地で偶然会ったんだから、栗津の話でもしながらお茶でもできればいい。
僕の憧れの人は手の届かない領域に入ってしまったけど、やっぱり素敵な人だった。
そう言って終われればいい。そう思ってた。
そんな僕の小さな希望は無惨にも打ち砕かれる。
指定された店は、商店街からはずれた路地裏の流行ってなさそうな喫茶店。
店員なのか客なのかもわからないような中途半端な格好のおばさんが僕を小百合さんの元へ案内する。
僕を見て彼女は小さく会釈をする。
格好は、やはりあのシスターの黒衣姿だった。
あえて違いをあげるなら、あの時つけていた銀の十字架がないくらいか。
僕が椅子に座ると、彼女の方から口を開いた。
「コーヒーでいいかしら?」
「えっ、ああ、はい」
彼女はさっきのおばさん店員にオーダーを伝える。
あっという間に二つのカップが運ばれてきた。あたかも用意してあったかのように。
「どうぞ」
「はあ、頂きます」
こういう店が意外とこだわりのコーヒーとか出してるのかな、とちょっぴり期待したが、香りも味も普通の一言だった。
「今日は急いでるの?」
「いいえ、特に予定は」
「そう、なら丁度いいわね」
コーヒーの湯気のせいか、目の前の小百合さんがぼやけて見えた。
あれ、目眩かな。
小百合さんだけじゃない、店が揺れてる。いや、揺れてるのは僕か?
何か聞こえる。
「それにしてもリリー、あんたも大変だね。こんな若い子にまで恨まれて追い掛けられて」
「野田弁護士のせいね。去年がひどかったの。天咲に移ってからははじめてだけど」
けれど僕は会話の意味を考える余裕なんてとうになく、ただ深く深く沈んでいった。
何故だろう。妙に眩しい。
ごく自然に肩に置かれた手。
耳もとに吹きかけられる湿気まじりの呼気。
「ねえ、あなたほんとは私のこと好きなんでしょ?」
僕は返事もできずうぶな少年のようにかたまってしまう。
隣に座っていた彼女が更に距離を縮め、ぴたりと密着する様にすり寄る。
なんだこのおいしいシチュエーションは。
「あんな風に白々しく声をかけてきて、呼び出して、私と何がしたかったの?」
もう片方の手が僕の膝にのる。驚きと緊張のせいか、僕はみじろぎ一つとれない。
「こんなこと?」
膝の上を撫で回してた手がすすすーっと腿を伝い、僕の股間に置かれる。
ほんの数回撫でられてだけで、僕の馬鹿正直なムスコは素直に反応を示しはじめる。
生地を持ち上げ、それでも足りずジーンズの中で行き場を失いはじめたそれを解放しようと彼女の手がボタンにのびる。ファスナーをおろす。
「小百合さん、僕らまだ知り合ったばかりなのに」
本心とはうらはらに僕は彼女を制する。
でも彼女はやめない。
解放された途端ひょこんと頭を出したそれを柔らかな手で包み、しごき出す。
「私があなたのことを知らなくても、あなたは私の事をずっと前から知ってたんでしょ?」
「それは、そうだけど…」
彼女の手の中でどんどん熱を持ち、大きくなっていくペニス。
理性よりも欲求の方が高まっていく。
彼女の手に導かれ、僕の両手は彼女の双丘の上にのせられる。
僕はおそるおそる指を沈ませ、その柔らかな乳房の感覚を確かめる。
「いいのよ。もっと好きなようにして」
布越しでも、手のひらに触れる尖った乳首。
さっきよりも力をいれて自由に形を変える乳房を揉みしだきながら、乳首を指の腹でそっと摘んでみる。
彼女の口から切ない吐息がもれた。
十分な程に岐立し、次の刺激を待ち望んでいるペニスから彼女の指が離れる。
おもむろに立ち上がると僕の目の前で彼女が長いスカートの裾を持ち上げはじめる。
ずっと隠れていた、白い足が、柔らかなふくらはぎが、むちっとしたふとももが僕の目の前に……あれ?
見えない。
見たくてたまらないのに眩しすぎて見えない。
いいところなのにどうしてこんなに眩しいんだ?
理性も感性も急にひっくり返されたように世界が一気に切り替わる。
カシャッカシャッ―なんだこの耳ざわりなシャッター音は。
真正面に視界に飛び込んできたのは僕に向かってカメラを構える女性の姿。
僕の視線に気付いたのか、シャッターを押す指が止まる。
カメラをおろし、現れたのはいたずらっぽく微笑む女の人。
シスター服を着てるが小百合さんじゃないのはすぐにわかる。
フードから出してる前髪は金髪だし、目には翠のカラコンが入ってる。スカートだって膝丈だ。
はっきりいって嘘っぽい。それこそそういう店にいそうな。
でも、もっと気にすべき事体は僕自身に起きていた。
この感覚は嫌と言う程知っていた。
僕の血液が脳とか胃とか手足とか何もかもすっとばして下半身の一点めがけて集中してる。
置かれた状況はつかめない。でも見なくてもわかる。
僕は今勃起してる。
視線をほんの少し下げるだけよかった。
視界を遮る黒い塊。
違う、それは黒いフードをかぶった人の頭。
僕の意思とは無関係に与えられる快楽を享受しようといきりたつ僕のペニス。
ぬるりとした唇が伝う。ざらついた温かな肉が鬼頭を包む。先端をつつく。吸い付かれる。
唾液まみれになったペニスと唇が、時折くちゅっと卑猥な音をたてていた。
顎をほんの少しひくだけでよかった。
僕のペニスをフェラチオしてるのは頭だけでなく、真っ黒なワンピースを着た女の人。
頭から血の気がひいていく感覚が妙にゆっくり伝わった。
それでもペニスだけは赤く充血したまま。
僕のペニスに奉仕し続ける人の顔は見えない。
「……ゆ…さ…?」
一番そうであってほしくない人の名を呼んだ。
でも、それは渇いた喉を通る際にかきけされ、声にはならなかった。
「リリィ、もう終わりだよ!」
カメラの女性が声をかけると、僕の股間に顔を埋めていた女性がびくっと震える。
口一杯に咥えていた僕のペニスからゆっくりと唇を解放する。
透明な唾液が糸となり、僕のペニスと彼女の唇をつないでいたが、やがて切れた。
「もう起きてる」
カメラの女性が落ち着いた声で告げた。
僕の両膝の間にしゃがんでいた女性が唇をぬぐい、カメラの女性の方に振り向くと「そう」と呟く。
そして僕の方にゆっくりと振り返る。
「もう起きたのね。薬の量が半端だったかしら」
立ち上がりながら黒尽くめの女性は、いや、『小百合さん』はそう言った。
頭の中は真っ白だった。
どこまで夢で、どこから現実かもつかめなかった。
ただ、僕がみじろぎ一つとれないのはどうやら椅子に縛り付けられてるからだってことだけはわかっていた。
腕に食い込むロープの圧迫する嫌な痛みがこれが現実だと証明していた。
「小百合さん?」
今度は声になった。
さっきまで僕のペニスを咥えていた赤い唇が歪む。
「その名は気軽に呼ばないで欲しいのよ。柳瀬さん」
僕の憧れの人は手の届かない領域に入ってしまったけど、やっぱり素敵な人だった。
そう言って終われればいい。そう思ってた。
そんな僕の小さな希望は無惨にも打ち砕かれた。
花の名前―僕の奇跡2、3、4、ここまでです。
エロパートまで含めてきりの良いところまで書けたらと思ってたら随分時間がかかってしまいました。
ではまた続きが書けましたらお邪魔させて頂きます。
面白かったです
あせらず、作者さんのペースでがんばってください
楽しみにしてますので
おおう、いつの間にやら投下が。
しかもこれは急展開な。毎度毎度ながらいい仕事です。
GJ!!
小百合さんがこういう人だとは、思わなかったなあ
そして相変わらず、綺麗な文章なのにエロい!!
これからの展開が楽しみです!!
みんなはどれが一番萌えるというか興奮する?
いっぱい宗教はあるけど
キリスト教のシスターみたいのより
どちらかというとイスラムとかの顔隠した奴とか
尼さんとかのほうが好きなんだよな
後は日本人っぽく巫女さんとかは好き、これは某少女アニメの好きキャラの延長だが
袴に妙に背徳感があるんだが
尼さんは頭つるっぱげのイメージが強くて苦手…
イスラムは神官に女はいるのか?とかいらん事考えてしまう。
いっそ、ファンタジーっぽい世界のオリジナル宗教の女神官の方が受け入れやすい。
そんなもんですか
いまらへんはそこまで厳格な人は少ないと思いますけどね
大体の施設が町沿いに隣接してるのも多いですし
イスラム教徒とかだってアクセサリーや髪を染める人もいるんで
尼さんもハゲにしてる人は、それこそ若い人ではほとんどいないのでは
職人さんが新しい宗教SS作ってくれると嬉しいのは同意
563 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/10(土) 22:50:25 ID:ANjM5/cK
ほしゅ。
>>561 宗派によっては剃髪しない所もあるし、
当時女性はロングヘアだったが、セミロングにする事で剃髪の代わりにする下げ尼という制度というか、
抜け道もあった。
つまり今の女性の多くは髪型だけ見れば尼さんなんだよ!w
565 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 02:42:42 ID:gp8dam2t
続きを期待してほしゅあげ
鎖で繋がれたクローディスたんの続きはいつ投下されるんだろう…
「すべての始まり」 「扉の中」 「晩餐」 「聖堂」 のアレか!
あれは自分も続きが気になっていた。
「灰色の塔」は別格としても、あの話も好きだったんだよなぁ・・・
保守
ほしゅー
保守
そろそろ続きが投下されないかな
―久しぶりに会えた僕の憧れの人は黒衣に身を包んだシスターだった。
彼女の口の中で暴発寸前だったペニスは熱を失い、弱々しく頭をおろしていく。
萎えたそれを隠すことすら今の僕にはままならない。
何故僕はこんな目にあっている?
「ばっちり撮れてるよ」
小百合さんは金髪のシスターからカメラを受け取ると画面をチェックする。
「僕に、何をしたんですか?」
恐らく四畳もない狭い部屋。窓は無く、僕の座らされている椅子以外は何も無い。
「コーヒーにほんの少し薬をまぜただけ。ここへ運んできて、服を脱がせて、写真をとった。事細かに聞きたい?」
小百合さんの視線がちろっと僕の股間にそれる。
「どうしてこんなことをするんだ?あなたたちシスターなんでしょう?」
僕の声はかすかに震えていた。けれど小百合さんも、金髪の女性の方も動じる様子はない。
「リリーを探すからいけないんだよ。」
それは当たり前の事ができない駄目な大人を詰るような冷たい声だった。
「えっ…探す?だって僕らはたまたま」
「とぼけないで!」
憎悪に満ちた視線が僕の次の言葉を制する。
「栗津を出て、母に捨てられて、シスターになって、それでも後ろ指さされるのがどんなことかあなたは知らない。何年たっても追いかけられる。詰られる。それがどんなに辛いか」
僕が口を挟む間もなく、小百合さんはヒステリックに言葉を続ける。
「いくら私を追っても父の消息なんて知らないし、他の人たちも」
「ちょっと待って、僕の話を!」
「父も私も悪者のままでいいから、これ以上生駒小百合を探さないで。他の人に私のことを話さないで。でないと……」
カメラを軽く振った。
「わかるわね?柳瀬さん」
小百合さんが僕から目をはなし、くるりと背を向ける。
「マリー、先に戻るから」
「待って、違うんだ!」
けど、小百合さんは僕の声に振り返る事なくパタンと扉を閉めた。
安っぽいビニール製のロープがゆっりとほどかれていく。
あいかわらず露にされたままの下半身。
だが既に羞恥心は麻痺していた。
「どうして小百合さんはこんな…犯罪みたいなことを?」
ロープを持つ手が一瞬止まる。
「この方法がね、一番効果的なんだってさ。男限定だけどね」
解き終わったロープが床に落ちる。
立ち上がろうと足に力を入れるも、半分身を起こしたところでふらついて床に尻餅をついてしまった。
「まだ薬が残ってるんだ。暫く休んでた方がいいよ」
言われてみれば頭腕も肩も腰も、というか全身がけだるく重たい。
達者なのは口だけで、からだは本調子とは程遠い。
―月日の流れは残酷なもの。僕の憧れの人は薬を飲ませて寝込みを襲う悪女になっていた。
「立てる?」
僕は差し出された手をはね除け、翠の瞳を睨み付ける。
「あなたたち最低だ。ろくに知りもしない人間をこんな罠にはめて、シスターだなんて思えない!」
「好きに言えば?さっきまでカチカチにしてリリーにしゃぶられてたくせに」
「それは……」
うっすら覚えてる。夢でみたこと。
夢の中、僕は小百合さんに誘惑されて悦んでた。
話すだけでいいなんて綺麗事を言いながら、実際の僕は与えられた肉欲を拒めない単純な生き物。
「オジサンも、しつこい記者も、探偵も、大抵はこれで大人しくなるんだって」
「あなた達は、小百合さんはいつも誰かをこんな目に?」
「そうだよ」
あっさりとした肯定の返事は、僕の心に重りをのせた。
「悲しい?」
シスターが僕の目を覗き込むようにしゃがみこむ。
「それとも、」
偽りの緑の瞳に僕の顔がうつりこむ。
「したい?」
僕は本日ニ度目のピンチを迎えていた。
「ちょっ、何するんですか?やめっやめて下さいよ」
おかしな薬を飲まされた後とはいえ、自分よりも小柄な女性に押し倒されてしまうとは。
のけようと力をいれたつもりが軽く押し返すのが精一杯だった。
幼子を寝かし付けるかのようにやんわりとだが確実に、押さえ込まれてしまう。
「君みたいな若い子は珍しいからね。ちょっとおすそわけ頂いちゃおうかな〜」
温かだった小百合さんの口の中とは違い、体温の低いひんやりした指が股間に伝い、ゆっくりと僕のペニスをしごきはじめる。
「シスターってのは男を襲うんで…っう」
唇があわさる。艶めくグロスがぬるりと滑る。伸びた舌が僕の唇を割って口腔内に侵入する。
僕の舌を絡めとり、二人の唾液がごっちゃになる。
リズミカルに動き続ける手からはもう冷たさを感じない。
さっきが不発だったせいか、手の中で僕のペニスはみるみるうちに硬度を取り戻していく。
意識の無い時に襲って来た小百合さん相手ならともかく、こんな素性もろくに知らない恥女みたいなシスターに愛撫されてもたやすく勃起してしまう自分が情けない。
「そういえば私の名前言ってなかったね、永瀬君」
「やなせです!」
「あれ、違ってた?ごめんね。私はシスターマリ。こう見えてもリリーより先輩よ」
先走りで指の腹を滑らせながら鬼頭をぐりぐり押さえられる。
ふいに僕に馬乗りになっていたマリが立ち上がり、僕の頭をまたぐように立った。
一瞬の暗闇。でも目が慣れてくると否応無しに僕はマリの黒いスカートの中を見せられてしまう。
足首から太腿へかけて肉付きをましていく白い足、その先にあるもの。
白、と思った途端、僕の顔に温かい布がおちて来る。
少し酸っぱい女特有の匂いが鼻孔をくすぐる。
鼻にひっかかっていたパンツは顔を軽く振ると床に落ち、次に視界に飛び込んできたのは羽を広げた鮮やかな翠の蝶だった。
それが無毛の秘部に彫られたタトゥだと気付くのに僕は数秒を有する。
なんで無毛なのかはさておき、あそこに入れ墨彫るのって丸見えだよな、なんて馬鹿なことを考えてしまった。
蝶を捕らえるように蜘蛛が、いや、白い指が蝶に伸びていき羽を、秘唇を割って赤い恥肉に侵入していく。
指の動きにあわせてくちゅりと粘液が絡む音がする。
溢れた愛液は指を伝い、腿を伝う。
いつの日か窓越しに見た自慰行為、あれよりももっと近くで、まさに目前で見せつけられているのだ。
外気に曝されたままのペニスが不思議と熱く感じた。
ふいに黒いスカートがなくなり、再びマリのの顔が僕を覗き込む。
「こっちも準備おっけー。そろそろ頂いちゃいますか」
「ちょっ、本気ですか?」
「ここまできたらするしかないでしょ?」
スカートをたくしあげたシスターマリは自分の指で陰唇を広げ、僕のペニスの上にゆっくりと腰をおろしていく。
蜜を垂らした花弁が僕を包み、翠の蝶を赤黒い塊が穢していく。
温かな肉が僕のペニスを全周包み込んでいく。
「ふふっ、全部入っちゃった」
マリは手を床につき、接合部はスカートで隠れてしまう。
ズッ、ズッ―
マリの腰の動きにあわせて粘液が、粘膜が擦れあう。
「はあ、あん」
切なそうに漏れる吐息。
僕は女性上位で与えられる快感を享受するしかなく、下半身の血液も、熱も全てペニスに集中していった。
「あんっ……君の、気持ちいいよ」
マリは腰を上下させつつ、うっとりとした表情で僕の頬を撫でる。
ズッ、ズッ、ジュブッ―
ペニスとヴァギナが愛液にまみれながらぶつかりあう。こすれあう。
「あっ、あん」
頬を紅潮させながら、マリは僕の上で腰を振るう。
僕はなされるままだ。マリの胎内で僕のペニスは更に大きさを、硬度を、熱を増していく。
そして下からマリのからだを貫く。
だが一方で騎乗位で腰を振っていたマリの動きには疲れが見えてきた。
いや、繋がりあう快感に腰がくだけてきたのかもしれない。
これだけじゃ僕は物足りない。
もっと感じたい、突きたい、喘がせたい、めちゃめちゃにかき混ぜたい。
このままじゃ僕は物足りない。
腕をのばし、マリの腕をぐいとつかむ。押し倒された時と違い、力が入った感覚があった。
そのまま僕は身を起こし、今度はマリを押し倒す。
「いつまでもそっちのペースだって思わないで欲しいですね」
形勢逆転。
僕らは繋がったまま、シスターマリのからだは下に、僕が上に来る。
「あれえ、今度こそ薬切れちゃったの?」
「そうみたいですよ」
彼女の太腿を高く掲げ、腹に向かって膝を折り曲げる。そして僕は腰をより奥にすすめる。
スカートは腹までめくれ、接合部が露になった。
僕のものと接合したままの秘唇は充血し、溢れる愛液のせいで形を歪めた翠の蝶が濡れている。
今まで女性に支配されてた鬱憤をはらすように僕は乱暴に腰を打ち付ける。
相手が気持ちいいかなんて考えもしない。求めるのは自分の快感だけ。
根元から先端まで全てが恥肉に擦られ、拡げた恥肉は押し返すように僕を締め付ける。
服ごしにマリの胸を揉む。ブラジャーのかたい感触があったが、気にしなかった。
接合部の上にはぷっくりと膨らんだピンク色の突起。
指でつつけばマリは苦しそうに顔を歪め、ぐりぐりとこねると顔は赤みを増し、膣の締め付けが強くなる。
勢いに任せてしまったせいか、限界が近い。
なのにマリは僕の顔を見て、両足を僕の腰の後ろでロックする。
「いいよ、中で出して。私、ピル飲んでるから」
「シスターのくせに避妊薬なんて、あなたどんだけ淫乱なんだ!」
僕は今にも発射寸前で余裕なんてないくせに、軽口をたたいてしまう。
「ふふっ」
マリは笑う。
異物を押し込まれ形を歪めていた翠の蝶が一瞬羽ばたいた、ように見えた。と同時に僕も限界を迎える。
ペニスを引き抜く機会を奪われ、僕は繋がったままマリの最奥、子宮めがけて白濁を放出する。
ビュッ、ビュッ―
全てを彼女の中に出し切る。
射精による快感、でも同時にうしろめたさが脳裏をよぎった。
避妊しなかったことにではない。
何故だろう。
マリがそうだったように、きっと小百合さんも処女じゃないのだろう。
弱味を握るためとはいえ、あって間も無い男に躊躇いなくフェラチオできる人だ。
僕が目を覚ましてなかったら、僕が射精をしてたのは小百合さんの中だったかもしれない。
でも現実として僕は途中で目を覚まし、小百合さんも既にここにはいない。
ああ、そうか。
なんだかんだ言って僕は小百合さんを抱きたかったんだ。
たとえ互いの純潔は既に散らしていたとしても。
マリの足は僕から離され、僕は興奮を失い小さくなった自身を抜く。
不自然に離れたままの翠の二枚の羽。そのまん中にぱっくりと開いたままの膣口。
透明な愛液で光る羽の上に、とろりと白い精液が流れた。
この狭い部屋のどこにあったのか、マリはティッシュで僕のものを丁寧に拭ってくれた。
「どうせこれもどこかでビデオにでも撮ってるんでしょ?」
「まっさかー。事後処理は私の個人的趣味だから。はい、これ」
手渡されたジーンズはきちんとたたまれていた。
トランクスに足をくぐらせながら僕はいまだ解けぬ謎を問う。
「なんで僕が栗津の人間てだけで小百合さんはあんなことを?」
「栗津からじゃなくてもリリーを調べる奴は来るよ。記者とか、探偵とか」
「……小百合さんも言ってたけど、探すとか逃げるってどういうことですか?僕は偶然会っただけなのに」
「へ?だって君って例の事件の絡みででリリーを追っかけて天咲に来たんでしょう?」
「例の事件ってなんですか?僕は只の学生ですよ。天咲大の」
「えっ、大、学生。天咲大?じゃ……ええ〜!!」
シスターマリはカラコンが飛び出るんじゃないかと思うくらい大きく目を見開いた。
薄暗い電球の灯りを頼りに階段をおりる。
人一人を監禁するような場所だ。廃工場とか、海辺の倉庫とか、どんなあやしい場所に出るんだろうと思いきや、下は昼間呼び出された喫茶店だった。
店内は暗く、既に閉店してるようだった。というかほんとに普段営業してるのか?
とにかく、シスターマリ同様、この店の店員もグルだったんだろう。
シスターリリーを、いや生駒小百合を探してはいけない。追跡者に身をもって教えるために。
マザーと呼ばれていたあの時の老いたシスターはこのことを知っているんだろうか?
チカチカ点滅する携帯のライト。
画面に表示される数件の不在着信と留守録。主に遠藤からだった。
どうせ飲みかマージャンか、よくて合コンか、他愛のない誘いなんだろう。
とんでもない目にあった自分と比較して気楽なイメージの強い彼に対し、意味も無くいらつきながらもメッセージ再生のボタンを押す。
『お〜い、柳瀬何やってんだ?出ろよ。ちょい頼みがあるから電話くれ、急ぎでな!』
知るかよ。遠慮なく消去のボタンを押す。
だが、画面の点灯が消えた途端、今度は着信の表示が光る。菊池だ。そういえばこいつからも着信があった。
「もしもし」
「おー!!柳瀬、やっと出てくれたか。今まで何してたんだよ?」
「何って…、まあ色々と」
さすがに綺麗なお姉さんとナニしてましたとは言えない。
「それよりさ、おまえ地元栗津だろ?社会学Aのレポート手伝ってくれよ〜」
栗津、さっきまで嫌と言う程ネックになってた単語。何故こいつにまで言われるんだ?
「栗津だけどさ、それなんか関係あんの?」
「大アリだよ。レポートの課題俺等の分担が栗津事件なんだよ。おまえ地元だし詳しいだろ?」
「栗津…事件」
それはついさっきシスターマリから聞いたばかりの言葉。
〜「栗津事件?なんですかそれ」
「君ほんとに地元栗津?普通知ってると思うんだけどな、テレビでやってたでしょ?」
「全然記憶にないですよ」
「うーん、私馬鹿だから……細かい話は自信ないな」
「簡単でいいんです。後は自分で調べますから」
「ほんとかいつまんでだけど、詐欺、横領、失踪ってとこかな」
「はあ、それと小百合さんがどう関係あるんですか?」
「事件には犯人がつきものでしょ?栗津事件の場合、容疑者の名前は生駒英夫。つまりはリリーの父親」〜
小百合さんの解けない呪縛、栗津事件。僕を混乱の渦に落としいれた元凶。
それが今紐解かれようとされようとしていた。
お久しぶりになります。あいかわらずのスローペースですみません。
花の名前、今回はここまでです。
次回は小百合さんの過去編の予定です。
そろそろ忘年会シーズンですが、なんとか年内に続きをあげられるよう頑張ります。
>>578 「花の名前」の続きキタワァ.*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!☆
作者様 相変わらずハイクオリティでGJです。
年末どころか、年が明けても気長に待ってますんで
これからも素敵なお話をヨロシクです。
いや、いい仕事です。
丁寧な描写、いつものことながら素晴らしいです。
その筆力が羨ましい……。
保守
書いてるのが一人だけなら、GJしてるのも同じ人だけか
純愛ネタは別スレなのかな
584 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 18:27:32 ID:qhhH1/Yk
支援age
585 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 20:45:41 ID:i9HRPOdT
保守
ホシュ
解除ktkr!
悪魔に犯されるシスターのSSでも書いてみっかな。
age
590 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 04:24:53 ID:fRqqSguZ
あがってなかった…。orz
反応なかったから別スレで書いちゃった。
不気味なモノに寄生されて虜になる娘 でググれ。
593 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 12:39:22 ID:mdpvgNiC
コーヒーギフトはage〜
594 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 11:48:39 ID:Gx3awo5S
灰色の塔、一気に全部読んでしまった。
本当に面白かった。エロの部分も勿論良かったんだが、エロ抜きで小説として考えても素晴らしい出来だと思います。
595 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 11:51:39 ID:iwieU+yX
黒木メイサのシスター姿は萌です
ホシュ