【友達≦】幼馴染み萌えスレ8章【<恋人】

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662 ◆6Cwf9aWJsQ :2006/07/17(月) 21:38:40 ID:Lc0sCyPt
待って下さい>>634さん!
お金(メル覧参照)は用意したんです!
だから、だから・・・。
うちの子を返してぇ!!



ってな訳で投下。
663シロクロ 6話 【1】:2006/07/17(月) 21:40:08 ID:Lc0sCyPt
最近の啓介は変だ。
私が話しかけると慌てたり抱きついても反応が鈍かったりするのだ。
それ以外にも私が起こすより早く目覚めてるときが多くなり
まあ個人的には変になっても啓介は啓介だし
それでも私が彼を好きなことには代わりはないのだが。

「・・・っていうことなんだけどどう思う?」
「いやいきなりそこだけ聞かれても」
ある真夏の日曜日。
私たちは今、繁華街の通路を歩いていた。
自慢の長い黒髪は今はポニーテールにしており、歩くたびに揺れている。
髪が茶色が一切無い黒なので、日光を必要以上に吸収してしまい、暑さに拍車をかけているから
少しでも肌から離そうとしてこういう髪型にしてるのだ。
ならその黒いシャツは何なだとツッコんではいけない。
だって汗で透けて下着が見えると嫌だし。
啓介にならともかく他の人たちにまでそんな姿を見せてあげるほど
私は露出狂でもなければMでもサービス精神旺盛でもない。
まあそれはともかく。
「さあ!早く行きましょう!」
私たち一同の先頭に立つのは青いワンピースに身を包んだ小柄な女の子――直ちゃんだ。
彼女は鼻歌交じりにスキップでもしそうな――というかしようとしてるができていない――
足取りで私たちの一歩前を歩いている。
「何で直っちあんなに上機嫌なの・・・?」
「この前身長伸びたそうなんですよ。2センチ」
「ああ・・・」
「だから『水着買いに行きましょう!!』って言ってたのね・・・」
きっとサイズが合わないと言うよりは自分へのご褒美の意味が強いのだろう。
664シロクロ 6話 【2】:2006/07/17(月) 21:40:59 ID:Lc0sCyPt
「んで、二人は何で水着を?」
義姉さんに聞かれた私は、んーと呟きながら意味なく空を見上げ、
「夏休みの旅行に備えて・・・ですかね」
そう。来週から私たちは夏休みなのだ。
それにくわえ、今回の期末テストは私たちの中には赤点が1人も出ない
――――つまり補修がない――――という快挙を成し遂げた。
そのお祝いとして、「夏休みにみんなで旅行に行く」と言うことにし、
現在私たちは水着を新調するためにお出かけしているのだ。
というわけで、
「今度の旅行に向けて、可愛い水着を買わないと!!」
「・・・綾乃、声デカイ」
緑のシャツに青いジーンズという格好の長身の少女――みどりちゃんにそう指摘され、
慌てて周囲を見回すが、こちらにはあまり注意を向けてないようだ。
そのことに安堵して視線を戻すと義姉さんは今度はみどりちゃんに質問を投げかけていた。
「みっちゃんは?去年のじゃダメなの?」
そう聞かれたみどりちゃんは頭をかきながら、
「去年のはちょっと・・・」
「同じく・・・」
私とみどりちゃんはそろってあさっての方向に視線をそらす。
「ン?もしかして太った?」
義姉さんの遠慮のない発言を私たちは首を左右に振って否定。
「ちょっと、胸がキツくなって・・・」
「右に同じ」
私たちがそう言った瞬間、茜義姉さんは動きを止めた。
そのままの姿勢で1秒、2秒。
3秒目でゆっくりと後に倒れ込んでいった。
「ね、義姉さん!?」
私は流石に慌てて義姉さんに駆け寄った。
665シロクロ 6話 【3】:2006/07/17(月) 21:41:52 ID:Lc0sCyPt
「・・・で、何の用なんだ?」
ある真夏の日曜日。
我が家には俺を含めた4人の男がむさ苦しく顔をそろえていた。
「こんなクソ暑い中こんなところに呼び出したからには、それ相応の用件があるんだろうな・・・」
「というかここ俺んちなのに何で俺まで呼び出されてるんだ」
「俺としては直美に今日の買い物の付き添い断られた腹いせにこのざるそばヤケ食いしたいんだが」
それぞれが不平不満を口にするが一番最後の以外は無視。
「ま、とりあえず・・・」
俺は愛用の紺色のエプロンを取って私服――白いシャツと青いジーンズ――姿に戻り、
「話は食いながらって事で」
「「「いっただっきま〜す!!!」」」
俺の発言を聞くと同時に、3匹の飢えた野獣共が目の前の食料を喰い始めた。
ちなみにこれらは全て俺が作ったものである。
これでも料理には自信があるのだ。
まあ義姉さんに勝てるとは思わないし最近は綾乃にも負けてる気がするが。
やっぱ普段めんどくさいからって料理しない奴が毎日作ってる人に勝てるわけ無いか。
まあそれはともかく、話を切り出そう。
「まあ、今回の件だが・・・」
「ふぇ?」
「ふぁに?」
「ふぁむふぁひっはは?」
「・・・口の中のモン飲み込んでからしゃべれ」
俺がそう言うと三人とも実際にそうした。
「・・んっ・・・、待たせたな」
「・・・ホントにな」
俺のジト目を三人は無視。
仕方がないから本題に移る。
「お前等ってどういう風に告白したんだ?」
666シロクロ 6話 【4】:2006/07/17(月) 21:42:44 ID:Lc0sCyPt
義姉さんの様子を見たが、頭打ったりはしてないようだ。
「どうしたのいきなり・・・」
「ほら、義姉さんはその、胸が・・・」
「・・・・・・ああ」
みどりちゃんは視線を義姉さんの胸に向け、納得したのか首を縦に振った。
まあ、要するに義姉さんは、かなり胸が薄い。
「直ちゃんは私の味方よね!?」
「え、ええと・・・」
「義姉さん義姉さん、直ちゃん引いてるって」
私のツッコミも耳に入ってないようで、義姉さんは直ちゃんに詰め寄っていく。
「ちなみに何カップ?」
「び、Bカップです・・・」
「敵ね。」
「ええ!?」
即座に手のひらを返した義姉さんにとまどう直ちゃん。
「茜さんはどれくらい?」
「たしかAAだったかと・・・」
「・・・なるほど・・・」
ちなみに私は最近DからEになり、みどりちゃんはFだそうだ。
667シロクロ 6話 【5】:2006/07/17(月) 21:43:17 ID:Lc0sCyPt
「いいわねぇ、若いって・・・」
何故か遠い何処かを見るような目つきになってぼそりと呟く義姉さん。
「若さっ若さってなんだ♪振り向かない〜ことっさっ♪」
なにやらうわごとのように歌まで歌い出した。なるべく目を合わせないようにしよう。
「まあ義姉さんももう成長の余地もない二十n「それ以上言ったら殺すわよ♪」スイマセンでした。」
姉さんの目がマジだったので私はみどりちゃんへの解説を中断して即座に謝った。
「変なとこが白木君に似ましたね・・・」
「え、ホント!?」
「いや、そこ喜ぶところじゃないし」
みどりちゃんが冷めた目でツッコミを入れるが、無視。
「でも茜さんってモデル体型で羨ましいと思いますけど・・・」
「何言ってるの!?」
フォローなのかただの邪気のない感想なのか直ちゃんの台詞は
「こんな体型じゃ胸無いのが目立ってしょうがないわよ!みっちゃんの分けて欲しい位なのに!!」
「んな事言ったら、私だってこんなに身長いらないわよ!直美にでも分けてやりたいのに!」
「あーっ、何ですかその言い方!」
なんだかみんなしてヒートアップしてきた。
「っていうか綾ちゃんが一番あり得ないって」
「身体細いのに出るとこ出ちゃってますしね・・・」
「って何で私の話になってんのー!?」
何故か話に巻き込まれ、思わず私もヒートアップしてしまった。
668シロクロ 6話 【6】:2006/07/17(月) 21:43:57 ID:Lc0sCyPt
「なるほど。経験者の話を聞いて自分の参考にしようということか」
真っ先に口を開いたのは黄色のシャツにグレーの半パンといった格好の少年――黄原だった。
「・・・まあそんなところだ」
「そうか、黒田に告白するのか・・・」
「な、何で綾乃の名前が出るんだよ!?」
俺は慌てて赤いシャツの男――赤峰にそう言うが彼は表情を変えずに、
「違うのか?」
「そ・・・、そりゃあまあ綾乃はルックスは良いし料理もうまいし結構俺を気遣ってくれるし
でも所構わず俺に甘えようとするのはキツいけどあんな笑顔見せられたら俺も強くは言えないし
それにまあ抱きつかれたときとかの感sy――――って何言ってんだ俺は!」
自分の恥ずかしい思考を垂れ流してるだけな事に気づき、慌てて話を中断する。
青いシャツにベージュのズボンの男――が俺にジト目を向けながら言った。
「じゃあお前、綾ちゃんのことどう思ってんだよ?」
「どうって・・・」
そう言われた俺は綾乃のことを思い浮かべる。
真っ先に脳裏に浮かんだのは、彼女の着替えシーンだった。
「いやそれはいいから!」
「?」
「何やってんだお前・・・」
「いや、若さ故の過ちだ。気にするな」
みんなから冷たい目を向けられるが無視する。
669シロクロ 6話 【7】:2006/07/17(月) 21:44:49 ID:Lc0sCyPt
綾乃をどう思っているか。
そんなことは今まで何度も確認したが答えは常に一つだ。
「・・・好きだよ」
「・・・案外素直だな」
「ムキになって否定して誤解されても仕方ないしな」
俺がそう言うと兄が肩をすくめていった。
「じゃあとっとと告白すりゃ良いだろ」
「・・・そんな簡単な話じゃないんだよ・・・」
俺は躊躇いながらも言葉を続ける。
「まあなんつーか、怖いんだよ」
「告白して、振られることが?」
俺は兄の問いを首を左右に振って否定し、
「ずっと一緒にいるようになって、綾乃を傷つけるかもしれない。
それが怖いんだよ」
俺は溜め息混じりにそう言った。
「ヘタレ」
「ぐ・・・・・・・」
「チキン」
「むう・・・・・・」
「意気地なし」
「ぐはぁっ!」
即座に三人の精神攻撃を立て続けに受けてしまった。
670シロクロ 6話 【8】:2006/07/17(月) 21:45:52 ID:Lc0sCyPt
戦闘開始してからどれくらいたっただろうか。
私たちは罵りあいをやめ、肩で息をしながら睨み合っていた。
「・・・やめましょう、なんだか不毛だし」
「・・・そうですね・・・」
「・・・よくよく考えたら天下の往来で何言ってるんだろ私たち・・・」
「・・・まあ何はともあれ平和が一番って事で」
私達はお互いに視線を絡めた後頷きあう。
恋する乙女達の戦いはこうしてひとまずの終戦となった。
周りを見回すと、何人かがこちらを見ていたけど、
こちらの口論が終わると興味を失ったらしく思い思いの方向に歩き出した。
「それじゃあ改めて・・・」
「いきましょうか」
直ちゃん達がそう言うと私たちも当初の目的地に歩き出した。
「ところで義姉さん。啓介の好きそうな水着ってわかります?」
「ん〜、ダンナならセパレートだろうけどねえ・・・」
「ウチんとこのは『お前が着た奴なら何でも』とか言うだろうけど・・・。
――って何言わせんのよっ!」
「痛い痛い・・・、博人君も同じです・・・」
三人がそれぞれの思い人の思考を言うが、あまり参考にならなそうだ。
「・・・あ!」
と、私はあることを思い出した。
「ビキニか!」
「何がっ!?」
「啓介の好みの水着よ!」
そうだ。そういえば以前――――
「啓介の机にグラビア雑誌がおいてあったのよ。ビキニの女の子ばっかりのページが全開で」
「「「うわ」」」
途端に三人が一歩引く。
671シロクロ 6話 【9】:2006/07/17(月) 21:46:29 ID:Lc0sCyPt
「やっぱ啓ちゃんも男の子ね〜・・・」
「不潔です・・・」
「『白木はむっつりスケベ』・・・と」
・・・どうやら三人の中での啓介の好感度を下げてしまったようだ。
ゴメン、啓介。

「・・・へっくし!う゛ぇっくしっ!!」
「うわ。汚ねー」
いきなりクシャミを二連発してしまった俺からみんなが一歩引く。
「いや、悪い悪い」
「誰かお前の噂でもしたんじゃないのか?」
「確かクシャミ二回は悪い噂と誰かが言ってたような・・・」
「・・・まあそんなことはどうでも良い」
どうせ綾乃がなんか言ったんだろう。
・・・何故か怒る気になれんが。
それはともかく。
「というわけで女を泣かせまくる赤峰に聞いてみようかと」
「ケンカ売ってんのかこの野郎」
いやいやまさかと手をパタパタと振って否定。
赤峰はそんな俺の目を向けるが、すぐさま表情を戻し、
「そんな深く考える必要ないんじゃねーか?」
「へ?」
「俺、そんなこと考えて直美に告白したわけじゃねーし」
そういった彼の目は、いつになく真剣だ。
672シロクロ 6話 【10】:2006/07/17(月) 21:47:02 ID:Lc0sCyPt
「何があったか知らないし聞くつもりもないけどな」
言いながら赤峰は肩をすくめ、溜め息のように一息つく。
「そりゃあ泣かせたこともいっぱいあるけど・・・」
そこで少し間を置くと、赤峰は苦笑しつつ、
「その分、アイツを笑顔にすれば良いんだからな」
そこまで言って一息つき、
「・・・なんか、似合わない事言っちまったかな?」
彼は照れくさいのか頭をバリボリと掻き、こちらに向き直った。
「お前・・・」
そんな彼に、俺は率直な感想の言葉をかけた。
「まともなこと言えたんだな・・・」
「どーゆー意味だぁ!?」
俺達はその叫びを無視して食事を再開した。
が、その前に俺は彼にこう言った。
「ありがとう。参考になった」
「・・・・・・おう」
その一言で納得したのか、赤峰は面食らったような顔をしつつも返事を返した。
「・・・まあこれからどうするかわからんけど――」
こちらに向き直り、一言。
「・・・がんばれよ」
「・・・ああ」
そういった俺の声は、自分でも不思議に思うほど落ち着いていた。
・・・いい友人を持ったなあ、俺。
673 ◆6Cwf9aWJsQ :2006/07/17(月) 21:48:29 ID:Lc0sCyPt
今回は以上です。
続きは今月中に投下します。
674名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 21:51:24 ID:dwsvGr/f
GJだ!しかし
    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 生殺し!生殺し!
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J
675名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 22:25:16 ID:srOlEBAZ
全く

    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 生殺し!生殺し!
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J

が好きですなぁ・・GJ!!
676名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 00:11:37 ID:5zE4Eacv
なんだなんだ
643の人といい、人質を取ると効果は絶大じゃないかw

677634:2006/07/18(火) 00:49:16 ID:QB20fEYV
>>643
>>662
GJでした
ではお帰ししますね。

次、誰を取ろうか……
678名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 03:49:39 ID:NhHObYDS
>>643
>>662
GJ! もう、激しくGJ!!

人質を取る流れを作った>>632もある意味GJ!
679浜谷太一 ◆yl1SBmcic. :2006/07/18(火) 11:38:41 ID:SDsbgyy6
ネット上の駄目なエロSS 第六章
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1151634440/

どうやら目をつけられているらしい
680名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 23:37:50 ID:m/P9kxx3
過去のことを蒸し返すのはよくないと思う。
とりあえず、続きを今月中に書いてくれるという
>>673氏に激しくwktkしてる。
681名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 21:25:30 ID:ZqZQgwxl
それなら次スレ用意しといた方がいいんでない
682名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 23:27:15 ID:cbHE45U+
立てますた

【友達≦】幼馴染み萌えスレ9章【<恋人】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1153405453/
683名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 01:50:32 ID:Qca7KTrx
>>682

新スレ乙です
まだ容量が余ってるようなので、埋めついでに投下
684名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 01:52:50 ID:Qca7KTrx


「「あれ」」


 同時に上がった間の抜けた声。
 果たしてその声がぴったり重なったのは、別方向から帰宅途中だったお互いがたまたま、
その合流地点であるこの場所で偶然にも出くわしてしまったからか。

「なんだよ、もうちょっと早く帰れよ。そしたら会うことなかったのに」
「お前なぁ……仮にも女の子なんだから、もうちょっと丁寧な言葉使えよ」
「いいだろ別に、あたしがどんな言葉使おうが関係ないじゃん」
 漫画だったらまず間違いなくつーん、といった擬音を背負いそうな仕草を見せながら
彼女は顔を背ける。そんな可愛くない幼なじみの反応に、彼は思わずため息を付いた。
「ったく、昔はもっとおとなしくて可愛かったっつーのに。どこでどう間違ったのやら」
「それこそ関係ないじゃないか」
 今度は睨まれた。これまた漫画だったら、じろっという擬音が似合いそうな反応である。

 とはいうものの、お互いに減らず口を叩きながらも肩を並べて帰宅するのは、やはり二人が
幼なじみだからなのかそうでないのか。表面上では色々言いながらもお互い、特に彼女の
方は思わぬ「一緒に下校」という事実に、嬉しさがこみ上げてきている様子。

「で? 中学校はどうだ? もう慣れたか?」
「まあね。新しい友達も出来たよ」
「そーかそーか、相変わらず人見知りしない奴だな」
「……褒め言葉として受け取っとく」

 片や高校生、方や中学生。傍から見れば、二人の様子は幼なじみというよりも、むしろ
兄妹に見えるだろう。

「そっちは?」
「俺か? いやぁ実はな……」
 ぬふふふふふふふ、と誰がどう見ても気持ちの悪いにやけ方、笑い声を浮かべ上げる。
どうやらつい頭の中で、彼にとって実に喜ばしい出来事に思いを馳せているようなのだが。
見ていて気持ちの悪いことこの上ない。実際彼女も、変人を見るような目で彼を見つめ、
若干の距離をとった。
「なんだよ気持ち悪…」

「実はなぁ、今度デートすることになったんだ」
 
 得意満面の笑みを浮かべながら、自信満々にそう答えるのはこれまた彼の方。どうやら
相手が片思い真っ最中の相手らしく、今からその日が楽しみで仕方がないようである。
「え……」
「苦労したぞ。どうにかこうにか共通の話題を見つけて、ようやく誘うことが出来たんだ。
中学の時からずーっと気になってた娘でな。あれだ、片思いってやつか?」
 こういったことを嬉々として語りたがるのは、まだまだ恋愛経験が浅い証拠なのだが、
今の彼には「好きな娘とデートできる」という眼前に差し迫った事実に、この喜びを一人
でも多くに知ってもらいたいらしい。
「へ、へぇ……」
 そのあまりに幸せそうな表情を見つめるのが耐え切れなくなって、彼女は視線を前方に
戻す。いつの間にか河川敷の上を通るあぜ道を歩いていることに気付いた。
「そろそろ俺も恋愛というものを知っておかないと色々不都合がありそうなんでな、ここは
しっかりばっちりくっきり決めてくる」
 そう口走りながら、彼は親指をビッと立て、サムズアップを彼女によこす。
「……」
「……オイ? どうした」
「え!? あ……いや、なんでもないけど…」
 どうやら、彼の話を彼女は途中から聞いてなかったようだ。口調のたどたどしさがそれを
証明している。
685名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 01:53:33 ID:Qca7KTrx

「ったく、お前人の話はちゃんと聞いとけよ」
「……ゴメン」
 浮かれているせいか、会った時とはすっかり様子が変わってしまった彼女の様子に彼は
気付けない。いつもなら、妹のように大事にしている彼女の変化など、すぐに察知するのだが。

 とかなんとか言ってるうちに、二人は河川敷のあぜ道を抜け、道を挟んで向かい合わせ
になっている自宅の前に到着する。
「ふーん、今みたいに浮かれすぎてヘマしないようにね」
「するかっ!」
 最後にまた減らず口を叩いてくる彼女に気分を害されたのか、彼は大人気なくも思わず
怒鳴ってしまうのだった。

「じゃあバイバイ、明日は会わないよう気をつけてよ」
「お互いにな。そっちこを気をつけるんだぞ」
 最後にまた言い返し彼は玄関を開け、家の中へと姿を消す。
「……」
 ところが、彼女はその様子を見届ける。悲しそうに瞳を伏せながら、一言だけ呟く。


「……ばーか」


 それがまた悲しそうで。ずっと昔から想ってるのに。想いに時間なんか関係ないという
ことを突きつけられた気がして、彼女は胸がギュッと締まるような気持ちを覚えたのだった。

 四月も終わりを迎え、桜は花びらさえ見ることができない時期へと移り変わっていた。



 今村崇之16歳。平松紗枝12歳。共に高校、中学一年生の時の話である。



 この様子を崇之の友人がたまたま見届け、デート出来ることを嬉々として語っていた様子を
紗枝と話をするのが楽しいのだと勘違いし、クラスメイトにこのことが露見するのはまた、
別の話である――――


686名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 01:54:43 ID:Qca7KTrx
|ω・`)……



|ω・`)ノシ ゴメンネ、ホンペンカケッテハナシダヨネ



|ω・`)ノシ ナントカチカイウチニハトウカスルヨ


  サッ
|彡
687名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 09:04:31 ID:GCzXCJ+1
GJ!!
間違えて前スレ見に来て良かった・・・
本編も頑張ってください!
688名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 09:11:30 ID:YvudEPuO
GJ!
いいね〜。本編もwkt
689名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 09:13:21 ID:YvudEPuO
おっと、kが抜けちまった!
wktkで待ってます。
690名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 03:44:00 ID:PXr5BBu+
age
691名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 13:48:17 ID:yZ7DOdSg
この流れなら言える。
保管庫で「青葉と創一郎」読んで打ちのめされた。
書ける人はこれだけのものを書けるんだなと思った。
もう見てないかもしれないけど、作者さんにGJ!と伝えたい。
692名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 15:57:38 ID:8Y7TTuF7
良作は、いくら時間が経っても何度読み直してもいいもんだ。
693名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 19:57:46 ID:bgwKh1t7
俺は孝二郎と梅子の話に感銘を受けたな
エロパロ板にあるのに文芸作品のような切り口の書き方で斬新だった
あんな話書けるようになりたいね
694名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 21:50:40 ID:ZULS0KJ0
243氏の作品は情景が目に浮かぶような書き方だから好きだな。
『Scarlet Stitch』なんかを各話ごとに、背景変えてテキストビューアで
読んだりするとより一層感銘を受けるな(・∀・)
695名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 22:28:54 ID:vUj+mzJd
自分も過去の良作を色々読み返してみた。
かつてのやる気が一割くらい蘇ってきたので、ちょっとがんばってみる。
696名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 12:12:39 ID:zM5WEFHw
>>693
その前のひーこの話も神がかってるけどな。
697名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 13:50:45 ID:U3Ud0C5G
まだ13KBも残ってる。短編ものなら、まだ投下できるんじゃね?
698名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 20:56:54 ID:3lIRlOiw
(`・ω・´)ノ今なら誰も見てないよ。勇気出して投下しちゃえ。
699青葉と創一郎外伝『あの日』 ◆ZdWKipF7MI :2006/07/29(土) 05:14:39 ID:hb4xjpjW
>>691さんに褒めていただいたので、調子に乗って埋め代わりSSを投下します。
「青葉と創一郎」本編の一年ほど前。まだ二人が中学三年生だったころの話です。
そのうち次スレでも何か投下しますね。

1.
「ただいま……」
「あら、おかえり青葉。今日は早いのね」
お母さんがキッチンから答える。
私はダイニングに入りながら、セーラー服のタイを解いていく。
マッダレーナ中学の、赤いタイ。来年高校に上がれば、これが白に変わる。
ずっとあこがれだった「マリアさまの白タイ」。
私もなっちゃんも、ずっとそれを身に着ける日を待ち焦がれていた。
そして私は――

「ねえ、お母さん。知ってる?」
「なぁに」
お鍋のアクを取りながら、お母さんは振り返らずに答える。
お醤油とみりんの、おいしそうな匂いが漂ってくる。だけど、私にはなんだか寂しい匂いに感じられた。
「創一郎くん……引っ越しするかもしれないんだって」
そう言った途端、それが本当に決まってしまったような気がして、私はぐっと涙を堪えた。

「うん、創ちゃんのお母さんから、お昼ごろ電話もらったわ」
「やっぱり、本当なんだ……」
机の上に鞄を置きながら、私は呟く。
初めてお母さんがダイニングにいる私の方に振り返った。
「なあに。まさか創ちゃんが嘘ついてるとでも思ったの?」
「だ、だって……」
お母さんに反論しようとして、私はまた黙りこくった。
私は、一体何に反論しようとしているんだろう。
何を言ったって、私が創一郎くんの引っ越しを止められるはずがないのに。

「だって、私ずっと創一郎くんと……」
お母さんが私をじっと見ている。
口ごもる私を見て、お母さんは優しく笑ってくれた。
また私に背を向け、お料理に戻る。

「……青葉と創ちゃん、ずっと一緒だったもんねえ」
しみじみと言ったお母さんの言葉が、私の胸に突き刺さる。
それは、昨日まで当たり前だと思っていたこと。
お日様が毎朝上って、沈むように当たり前だと、私は信じていた。
でもそんなの、大人の事情でどうにでもなってしまうようなことだったんだ。
創一郎くんのお父さんの、会社の都合。たったそれだけのことで。

――私は、創一郎くんに「白タイ」を着けた姿を見て欲しかったのに。

手に持ったタイが、するりと床に落ちた。

700青葉と創一郎外伝『あの日』 ◆ZdWKipF7MI :2006/07/29(土) 05:15:05 ID:hb4xjpjW

2.
『俺、引っ越すかもしれねー』
そう言われたとき、私は変な冗談だと思った。
でも、隣を歩く創一郎くんは全然ふざけてなかった。悲しそうでもなかった。
ただ、目の前にあることを淡々と説明するみたいに、何の感情も読み取れない顔だった。
だから、創一郎くんの気持ちが痛いほど分かった。
創一郎くんも、悲しいんだって。

制服のまま、部屋のベッドに倒れこむ。
鞄は床に投げ出されたまま。私はうつぶせになって創一郎くんの言葉を頭の中で反復する。

創一郎くん。
私の小さいころからのお友達。
ううん。そんな簡単なものじゃない。
私たちはずっと一緒に育った。
好きなものも嫌いなものも、お互いのいいところも悪いところも全部知っている。
私がいた所に創一郎くんはいつもいて、創一郎くんがいた所に私はいつもいた。
中学生になって、同じ学校には通えなくなったけど。
でも、窓から顔を出せば創一郎くんの家があって、手を振れば応えてくれるところに創一郎くんはいた。
私はそれが当たり前だと思ってた……。

私は制服がしわになるのも構わず、寝返りをうった。
少し日に焼けた天井が目に入る。
「創一郎くん……」
声に出して呼ぶと、ますます遠くなってしまったような気がした。
引っ越し先は、隣の県の、さらに隣の県の、さらにその向こう。
中学生には気軽に連絡できる距離でも、ましてや会いにいける距離でもない。

大人なら、違うんだろうけど。

私はそう考えて、また悲しくなった。
自分自身、ずいぶん大人になったような気がしたけれど、でも私たちはまだ子供だったんだ。
創一郎くんがお父さんの転勤に反対することなんて出来ないし。
ましてや私がそれを止めることなんて、出来っこない。
それどころか、会いに行くことも出来ないなんて。

ぎゅっと目をつぶる。涙が零れないように。

――神さま。

私は、教室の前に架かっている、イエスさまの像を無意識に思っていた。

――神さま。
私はクリスチャンではありません。
でも、名前は何であれ、きっと神さまはどこかにいるんだと思います。
だから、お祈りします。
一生に一度のお願いです。
私は、創一郎くんと離れ離れになりたくありません。
私に勇気と力をお与えください。
どうか、大人に立ち向かう力をお与えください……

701青葉と創一郎外伝『あの日』 ◆ZdWKipF7MI :2006/07/29(土) 05:15:30 ID:hb4xjpjW

3.
――神さま。
やっぱり正直に言います。本当は、今まで真剣にお祈りしたことはありません。
それどころか、ミサで居眠りしたことがあります。なっちゃんとこっそり消しゴム飛ばしをしたこともあります。
でも、神さまはそんなこときっと御存知ですよね?
……ごめんなさい。
だから、私の願いを聞き届けてくださらなくても、仕方ないと思います。
でも。
でももし出来るなら。
創一郎くんの願いをかなえてあげて下さい。
私は、創一郎くんのことが、きっと好きなんだと思います。
でも、まだよく分かりません。
ただ、離れ離れになるのが嫌なんです。
もしも、創一郎くんが私と同じように思っているなら。
創一郎くんに勇気と力をお授け下さい。
その結果がどうなろうと、私はそれを受け止めようと思います。
神さま。
神さま。
だから――

私は、はっと身を起こした。
何をしてるんだろう、って。神さまにお祈りする前にすることがあるだろう、って。
シスターはいつも仰ってた。
「神さまは御利益を与えてくださる方ではありません。あなたたちを見守ってくださる方です」って。

それなのに、私は。

私は何も出来ないけれど、まだしなくちゃならないことがあることを思い出した。
たとえ大人たちが聞いてくれなくたって、私が考えていることを言わなくちゃ。
私はお母さんにすら黙りこくってばかり。
ただ頭の中で叫んだって、意味ないじゃないか。

私は意を決して部屋のドアを開けた。
私の気持ちを皆に伝えるために。
私の気持ちを創一郎くんに伝えるために――

702青葉と創一郎外伝『あの日』 ◆ZdWKipF7MI :2006/07/29(土) 05:16:05 ID:hb4xjpjW

「ふふふっ」
「何だよ、思い出し笑いなんかして、気持ちわりい」
隣を歩く創一郎くんが、顔をしかめる。
私たちは高校二年生になっていた。もちろん、私の胸元には白タイが結ばれている。
「タイを直してたら、昔のこと思い出したの。中学三年生のときのこと」
「中三のとき?」
「私、深夜に電話したでしょ。創一郎くんのお父さんとお母さんと、創一郎くんに」
「あー、思い出した。親父もお袋もびっくりしてたぞ。お前が泣きながら電話してくるんだから」
「『創一郎くんと離れ離れになりたくありません』って。私それしか言わなかったような気がする」
「ったく。びっくりさせんなよなー……ま、でもあれがなきゃ、俺こっちに残ってなかったかもな。
青葉が電話してこなかったら、一人暮らししようなんて思わなかっただろうし」
「創一郎くんが寮に入るって決めた時は、びっくりしたよ」

――でも、神さまは創一郎くんに勇気をくれたんだよね、きっと。
私は胸元のロザリオを触る。いつのころからか、嬉しいこと、悲しいことがあるとこれを触るようになった。
そして、神さまに言う。いつも同じ文句を。
もう何度も言ったけど、やっぱり何度でも言おう。
「神さま、ありがとうございます」って。

「ねえ、創一郎くん」
「なんだ」
「この制服、似合う?」
創一郎くんの前でくるりと回って見せる。
白タイがゆれて、円い軌跡を描いた。
「なんだ、突然」
変なこと聞くから、創一郎くん、困ってる。

「ねえ、答えて」
私が笑うと、創一郎くんは恥ずかしそうに目線をそらす。
もう、素直じゃないな。
「……似合ってるよ」
ようやく返ってきた答えに、私は自然と笑顔になる。
「ありがとう、創一郎くん」

私たちは、高校生。
あのころと比べても、まだ全然子供。
でもいつかは自分の力で、神さまの力を借りないで、道を切り開いていけるようになりたい。
そのときは、いつも私の横に創一郎くんがいて欲しい。
ねえ、創一郎くん。

(FINE...and life goes on)
703名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 11:54:12 ID:QoezW+CQ
GJ!せ、切ない…と思ったら、甘酸っぱい終わり方でイイ!
新作も楽しみに待ってます。せっかくだから報告しておこう。
704 ◆NVcIiajIyg :2006/07/30(日) 05:56:25 ID:QNYAkOfj
那智子さんの外伝の続きが読みたいです。実は待っているのです。


では非常に懐かしいものの外伝未満を三つ。
全部独立ですが多少なりとも楽しんでいただければ幸いです。

その節はありがとうございました。
作品というほどでもないので保管庫収蔵は無しでお願いいたします。
705その1(『L』) ◆NVcIiajIyg :2006/07/30(日) 05:59:21 ID:QNYAkOfj

一度目は冗談のように、二度目はお互いにはじめてだったときに雨降りの霧に混じらせて。

それでも充分ではあったのだけれども。
最近その記憶が薄れて恋しくなっていたものだから、
私はシャツ一枚だけの背中に緩く指を絡めながらなんとなく聞いてみたくなって名前を呼んだ。
言葉は空気を震わせて伝えるものなので、それですぐ脇にある身体と暑さが薄く混じって空気が濃くなる。
雑誌を片手に頭を撫でていてくれた幼馴染は手を軽く止めて、髪を一房梳くとどうしたの、という視線で私をちらと眺めた。
やっぱり言うのをやめようかと思いかけて、でも、梅雨の明け立てはむしむしと暑かったし、
友達が部屋において行ったお酒のあまりを片付けるために少し飲んだせいなのか頭もぼんやり自制心が低かった。
だから幼馴染の高い位置にある顔を見上げて唇を離した。
「愛してるって言って」
幼馴染が触れてなければ分からない程度に硬直した。
そして目をそらした。
扇風機だけが相変わらず良く動いている。
彼は雑誌を置き、頭においていた腕を折り曲げるようにして私を引き寄せた。
おかげで顔が見えなくなった。
「言わなきゃだめかい」
「…だめってわけじゃないけど」
彼と私のにおいはいくら傍にいても一緒にいても汗が溶け合ったとしても同じになることはけしてなく、
そのことを今更ながらになんて不思議なのだろうと思う。
彼は頭においた大きな手をぽんぽんと軽く叩いて、溜息をついた。
困らせてしまっただろうか。
「別に言わなくてもいいよ」
「うるさい。心の準備をしているんだから待ちなさい」
それはなんだかとても、彼らしくない声だったので一瞬よくわからなかった。
私はシャツに押し付けられている頬を僅かにずらし、瞬きをしてから少しだけ笑った。
706その2(『R』) ◆NVcIiajIyg :2006/07/30(日) 06:01:47 ID:QNYAkOfj

「ん」
実家から持ってきたベッドに靴下の踵がよれて埋まる。
薄暗くて舞う小雪はいつかの初めての日を思い出させた。
窓への意識はじきにとろとろと甘い衝動に蜂蜜のようにとけてどうでもよくなっていった。
汗が縋った服を皺づかせ指に滲んでくる。
見上げて影になるまま唇で触れたまま混じる唾液を舌にころがす。
左隣の壁は年の終わりに引っ越したらしくてまだ誰もいないこないことを知っていた。
だからか抑えたいのに吐息が漏れた。
抱き寄せる腕は相変わらず熱い。
「ぁ、ぃ…」
呼ぼうとして抱きしめられたまままた口を塞がれて体重を感じる。
肩の脇に手があった。
いつも眠る場所なのに同じ体勢でも何かがとても違う。
それはこの人がいるからか。
被さる身体に熱を湧き上がらせて肩にかけていた指を首に絡めた。
そのまま喉にキスされて重みであまり動けない背を軽く捩じらす。
ああ薄暗い。
そして暖房が効き始めたばかりで寒い部屋だ。
息がゆっくりと荒くなっていき、彼に名前を呼ばれて喉が勝手にかすれた喘ぎを漏らし始めた。



(副題 大学時代の、ひーこにえろいことをするイトくん)
707その3(『Only Scarlet』) ◆NVcIiajIyg :2006/07/30(日) 06:05:05 ID:QNYAkOfj

眠っていたのは幼馴染で合鍵を指の合い間に持て余す。
荷物を置いてコートの花粉を玄関で払い、小声で挨拶して聴こえていないようなのでそっとしておいた。
勝手知ったる台所でお湯を沸かし、葛湯を飲んでひとごこちつく。
狭いアパートは風通しがいい筈なのにきちりとそういうところを塞いでいるらしくいつもここは暖かかった。
少し疲れていた。
背中に聞こえる根息はでも、疲労を落ち着かせてくれる。
「ん、」
眩しかったらしく寝返りがどさ。とした。
腰を上げてこたつ机から足を抜く。
電気を小さくした。
まだ、布団に勝手にもぐりこむにはシャワーのひとつも浴びてからでないといけないと思いつつも。
ぱたぱたとリズムは屋根を打つ。
雨が降っていた。
帰る頃には星も僅か見えていたのに、迫る雲は雨雲だったようだ。
そろそろ花粉も収まりやがて春も終わる。
「眠い」
あくびをかみ殺しながら、薄橙に沈む暗い部屋で置いてある
ジャージに着替えてベッドの脇からもぐりこんだ。
最初に寝ていた幼馴染が、僅かに嫌がるようにするので腕を回して抱いた。
毛布を二人でかぶりそうして眼を閉じる。
「、……」
寝言でもない寝言を緋衣子が腕の中で何か言っている。
あたたかい。
「ただいま」
応えてそのまま眠った。





以上繋がりがない走り書きのような短編でしたが楽しんでいただければ幸い。

そんなこんなでその後もずっと幸せにやっていったようです。
ではまた機会がありましたら別作品でお会いしましょう。埋め。
708名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 09:06:23 ID:q9OqpqsD
またまた良作発見!幸せなその後はやっぱりイイ!
別作品も期待して待ってますよ。これも報告しとかなきゃな。
709名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 17:14:08 ID:/OotwgTM
心配性の独り言です。
連載している職人のみなさん、いつもありがとうございます。
出来れば、この板が存在しているうちに続きが読みたいので、
頑張って8/15までには、なんとか投下してもらえないでしょうか?
杞憂に終わればいいのだが、なんだか怪しい雲行きになってきてるので……
710名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 18:11:22 ID:+wkAvXVH
どゆこと?
板閉鎖でもするの?
711名無しさん@ピンキー
>>709
事の真偽はわからないが、今騒がれてる。大丈夫だといいな。

ピンクちゃんねる(bbspink)は閉鎖 !?
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/9242006207/l50