・ω・)つ フェニックスの尾
ドゾー
・ω・)つ 魔石「フェニックス」
ドゾー
682 :
671:2006/06/23(金) 00:09:26 ID:DzdIwIP6
まあ、そんなに邪険にしてやるな
>>680。
他と比べて、読み取りにくいのは確かなのだから。仕方の無いコトだよ。
……実を言うとね、作者本人もそれは百も承知なのさ。
しかし、そうやってしっかりと疑問を述べる
>>679の態度には好感が持てるな。
欲を言うなら、もう少しだけ具体性があると有難いのだが。
まあいい。万人に、とはいかないかもしれないが、もっと解りやすくできるよう研鑽させていただくよ。
とはいえ、何もステレオタイプに当てはめる必要も無いと思っているんだ。
素直クールは、未だ新しいジャンルだしね。もう少し色々開拓してみようとするのも、面白い試みではないだろうか?
だから王道は他の人たちに任せるとして、私は少々邪道でいかせてもらうよ。
けれども、もし明らかに間違った方向にいったとしたら、その時は忌憚の無い意見を頼む。
既に新しい構想自体は出来ているんだ。
まあ、暫くROM専などと語った手前、ゆっくり待っていただけたらと思う。
じっくり練って、完成したら投下させてもらうよ。
ふふ。その日が楽しみだ。
とまあ、キャラを作ってみたり。内容は本心ですけど。
>>674(
>>678)
その後の物語は書けなくもないが、確実に優希さんの年齢が三十路を突破。
中心に据えるのはどうなんだろう。ただでさえ、他の人たちのキャラと比べて十歳は上なのに。
素直クールは見るんじゃない、感じるんだ
>>682 っ「未亡人の管理人さん」
役とかどうでしょう?
勘弁してください。
多分そのツッコミ待ちのレスだったんだろうなw
(;゚Д゚)――注意点・基本的には前回投下と同じプロットです、見た人はNGIDにぶち込んでください
・不慣れな習作です、見たくない人はNGIDに(ry
・完全に女上位で進みます、嫌な人はN(ry
・長いです、長すぎです、嫌な(ry
負けるわけには、逃げるわけにはいかない。
そう、退くことは許さない――自分自身の心に誓って。
気づいたから。
キミの声が呼んでたのは、誰でもイイ訳じゃないと気づいたから。
グッと奥歯を噛み締めた。
※
春日祐希はイライラとしながら、手に持った文庫本を幅一杯に本が詰まった棚
へ押し込んだ。無理矢理入れたせいか、表紙がぐにゃりと曲がったが、祐希は気
にもせず。腕に抱えた本を一冊取り、背表紙下部に貼られたシールを見て、その
場から離れようとした、が。
「春日、いつも言ってるだろ。本は大事に扱え、と」
背後からぬらりと伸びてきた腕が、祐希が本棚へ差し込んだばかりの本を抜き
出し、折れた表紙をのばすと。滑らかに本を差し戻した。
背中に柔らかな感触を感じる、ヤツはぴたりと張り付いているようだ。落ち着
いた呼気が耳にくすぐったい。
「日本には、八百万の神といって、沢山の神様がいるんだよ。でだね、私は一冊
一冊の本にも神様が宿っていると考えているのだよ。だから」
祐希は眉間に皺を寄せ「離れてよ」いった。
聞こえなかったのか、はたまた聴いてなかったのか、ヤツは続けた。
「その本の神を怒らせたくないのなら」
「いいから」
「もっと本は大事に扱ってはくれないか」
「良いから離れてよ、暑苦しいから」突き放すように祐希は言った。
「おっと、これは失礼」
小さく肩をすぼめて、ヤツ――城戸藍はようやく祐希から体を離した。
「でも、本は大切に――」
「分かったから!」祐希は声を荒げた。
二人しかいない図書室、祐希の声だけが虚しく響く。
藍の身体が身じろぎ、祐希はバツが悪そうに顔を曇らせ、声を落として続けた。
「乱暴に本を扱ったのは悪かったと思うよ。でもさ、僕は子供じゃない。一回言
われたら分かるって」
……これじゃ、ホントに、子供みたいだ。
「それならいいが」シュンとした子犬のような顔で藍が背を向けてしまった、そ
れをみて祐希は、まだなにか言おうと思ったが。藍が出入り口へと向かっていく
のを見て、喉が詰まった。
もしかしたら怒ったのかも、そう考えると何故か背筋が冷えた――けれど藍が
機械みたいに顔だけ振り向き、なに考えてるんだかよく分からないいつもの顔で。
平然と。
「トイレ」
「へ」祐希は拍子ぬけして聞き返していた。「なんだって?」
藍は気にした様子もなく「トイレへ行ってくる」そう繰り返した。
「あ、……そう」
藍はコクリと首を傾けて、図書室の古くなってガタガタうるさい引き戸から出
ていってしまった。
祐希はただ、それを見送った。
ぴしゃりと扉が閉まり、藍の足音が遠ざかるのを待って、「……くそ」もう見
えない背中へ――自分へと――毒づいた。
祐希は藍のことが、嫌いだ。
嫌いな理由を上げれば小一時間、気に入らない点をあげるなら更に二時間、聞
くほうが嫌になるだけ藍の悪口をいえる。
そんな手合いと図書委員をさせられているのだから、胃に穴が開くのではない
かと思うほどだ。
ただ今日に限っては別な理由があった、八つ当たりと言われても間違いではな
い。――実際八つ当たりなのだから、いつもならあんな些細なことで声を荒げた
りしない。
ただの八つ当たり。そう考えると気が滅入った。僕はガキか、と。
祐希はフンと鼻息荒く、手元に残っていた最後の一冊を本棚へと叩き込んだ。
それを見ても叱る者は藍くらいしかいない――というより、近場に市立の巨大
図書館があるため、図書室には普段から人気がない。
一日によくて二人、三人くらいしか本を借りていかず、人の出入り自体も少な
く、祐希たち図書委員のすべき仕事は少ない。
大抵の図書委員たちは、適当な理由をつけてサボり、仕事を祐希や藍に押しつ
けていく。祐希はなぁなぁに引き受けさせられ。なにを考えているか、今一掴み
難い藍は黙って引き受けている。
仕事は殆どない、黙って座ってればいいだけ。――楽な仕事には違いない。
だからこそ、というわけでもないが。そういう理由も含め。
祐希は、なり手のなかった図書委員になったのだ。
それにはある理由が絡んでいた、けれど、今となってはそれらはどうでもよく
なっていた。
城戸藍から言われる様々な嫌味に耐えること、それだけになっていた。
意地になっていると言ってもいい。
自分でも何故かは分からない、けれど藍から逃げるのだけは嫌だった。
図書委員の仕事は藍との戦いだと、祐希は考えていた。
――そんな、初夏。
その日も図書室には友希と藍二人きり、カウンターに並んで座っていた。
年頃の少年と少女が二人きり……だからといって、周囲の者が考えるようなこ
とはなにもなく。
藍はなにがおもしろいのか、ただ重たそうなだけに見える本を。読んでいるの
か疑問に思ってしまう速度でめくっている。
その様子を祐希は漠然と眺めていた。
することが無いわけではない。もうすぐ期末テストだ、点数が悪ければ父の怒
りを買う。けれど教科書を開き、ノートを開いて――やる気が失せた。
面倒だった。そこまでする価値があるのか疑問だった。父は確かに叱るだろう
が、それは一過性にすぎず、一度怒鳴れば後は干渉してこないし。目の前にはテ
ストなどどこ吹く風の読書馬鹿がいる、読書中毒者と言ってもいい。
藍の横顔はいつもながら涼しげで、テストなんて期末の猛暑は関係ないようだ。
――やっぱり、普段から本を読んでると違う、てことかな。
祐希は小さく鼻を鳴らした。
天は二物を与えず、というけれど嘘なんだよな。
この読書馬鹿は、性格こそサイアクだが。頭がいい。それだけじゃなく、悔し
い話だが、顔もいい。
普段は野暮ったい眼鏡のせいで分かりにくいが、二重瞼の大きな、それでいて
子犬のような愛らしい瞳。ぱちりと瞼を開閉するだけで見栄えする長いまつげ。
控えめながら形のよい鼻梁。尖った顎。
明るい色のヘアバンドは、ともすれば重たく見えてしまう長い黒髪にアクセン
トを加え。なにより野暮ったくみえる眼鏡と合いまると、文学少女らしい見栄え
となり。魅力となる。
身体つきも悪くなく、むしろいいようで。
体型を隠してしまう制服の上からでも分かる、女性的曲線。重たそうな乳房、
極め細かく白い肌、伸びやかな手足。
なにより、祐希は藍の唇を気に入っていた。
無駄口を叩かない性格を象徴するような少し厚めで、湿った口唇。
幾度かさわりたい――触れたい――キスしたいと思ってしまうほど、藍の口唇
は魅力的で。今もなにか遠慮がちに動いていた、
「私の顔になにかついているか」と。
「……ぅ、え?」
「先ほどから人の顔をジロジロ見て」ぱたんっと本が閉じ。「そうならそうと
言ってほしい」ずれていた眼鏡を直した。
「あ、いや、そういうわけじゃないけど」言ったが、誤魔化しにもならないと祐
希自身理解していた。
「なら、なんで見ていた」藍の目が祐希の目を捉える――祐希は思わず目を逸ら
してしまっていた。
「……ひ、ヒマ潰しっ。ただの、悪い?」
機転の効かなさを祐希は呪った。
「ふむん」藍は顎に手をあて、僅かに何事か考えたのち。「そうか」納得した。
――のはいいが、なにをどう納得したのか。
「そうか」繰り返し。
ズイッと身を乗り出して、鼻と鼻とがぶつかりそうな程顔を近づけてきた。
「ヌワァッ!?」
仰け反って驚き――パイプ椅子ごと転びそうになった、高校生にしては華奢な
祐希の背を、藍が腕を廻して支えた。細腕のどこにそんな力があるのか、藍の腕
は危なげなく祐希を拘束する。
鼻の頭がコツンとぶつかった。
目の前には藍の無表情な顔があった。
「なな、なにする気だよっ」早口でいうと。
藍は変わらぬ顔つきで「暇つぶし」短く答えた。
「ひ、……ヒマ潰しって」ごくりと唾を飲み込んだ。
当たり前だが、呼気を間近に感じる――キスできてしまいそうな距離に友希の
顔がある。眼鏡が邪魔だと思った。
祐希の頼りない胸板に、藍の豊かな乳房が衣服越しに触れていた。――心臓の
高鳴りが聴かれているのではないかと、そう考えると、更に心音がテンポを速め
る。藍の体温が初夏の空気に混ざって、伝播してくるように祐希の身体を熱くし
ていく。『離れろ、触るな、どっかいけ』言おうとした言葉が、困惑し混乱して
混濁する頭の中に溶け消えていき。――頭の中がひとつのことで染められていく。
「ひ、ヒマ潰しって……楽しいのか、ヒトの顔みて」
「楽しい」即答した割に、藍はすぐ言葉を継がなかった。
その間に祐希の頭が、その言葉をどういう意味か理解しようと回る。廻る、周
り回って。
タノしい、楽しい? 楽しい……バカみたいな顔してるってこと?
間抜けな、アホみたいな、顔。――僕、バカにされたのか?
その考えに至ると、自然、顔が赤くなっていた。
藍に対しては軽すぎる感情のトリガーが、バカにされたという想念によって弾
かれ、生み出された恥辱が。祐希の相好を朱に染めていた。
「楽しい」藍は繰り返した。「春日の顔は見ていて楽しい」
そうは聞こえない口調で藍は言う。
「……どういう意味」
楽しいと言っているくせに、藍の顔は普段と変わらぬポーカフェイス。祐希が
意識し過ぎと言われればそれまでだが、ここまで近くに他人の顔があるというの
に一つも乱れていない呼気。――どうせ慌ててる僕を心の中で笑ってるんだ。祐
希は惨めづいた思考を、吐き出すように喉を小さく鳴らし。
「……バカにして」
呻くように呟いた。
顔を近づけているだけにも関わらず、ドギマギしている自分をあざ笑っている
のだ、この女は。
怒りにも近いそんな想いを乗せ呟いた言葉へ、藍はきょとんとした顔をした。
驚いたような、そんな表情を。
「していない」
この女――藍にしては珍しく主語の抜け落ちた言葉をいった。普段から主語だけ言うことは多々あったが。主語を抜かすなんて珍しい――
祐希は、割とどうでもいい、くだらないことをまだ混乱している頭で考えながら。
「な、なに」聞き返した。声が震えていた。「していない、て。なにを」
藍は全く、いや、僅かに顔をうつむかせて言った。
「していない。バカになどしていない」と。
祐希は逸らしていた瞳を、藍へと――少しだけ――戻した。
「確かに春日、君の顔を見ていると楽しい、とは言った。けれど馬鹿になどして
いない」
「う、うそだ」
藍は自分を馬鹿にしている。
「うそ?」
「楽しいって、そんなこといって。ワケわかんない……ハハハ」唾を飲み込もう
とした、口の中が乾いていた。祐希の喉を空気だけが通り過ぎた「ウソでしょ?
どうせ、キミは僕のことをバカにしてるんだ」
「嘘だと、どうして言える」
藍の瞳は少し青みがかった、透き通る瞳は。まるで心の中を一方通行に覗きこ
まれているように祐希は錯覚した。首筋を汗が一滴、流れた。
――情けない。
そんな声が聞こえたような気がした、ドクンッと時間が脈打った。「だって、
そうじゃないか」祐希はか細い声で言った。
藍の瞳孔が祐希の瞳孔を捕らえた――祐希は眼を逸らさなかった。
「見て、なにが楽しいっていうんだよ。僕の顔なんか」
動じない藍の瞳が、揺らめいた。「それは……」
城戸藍は僕――春日祐希を馬鹿にしてる。
高校に入ってからの、この半年足らず、図書委員になってからの数ヶ月――こ
の数ヶ月、藍と二人きりの放課後。
最初は取っつき難いヤツだと思った。
暇さえあればずっと本を読んでるヤツ、それくらいの印象しかなかった。
――いつからだったろうか?
一々、イチイチ祐希のすることなすことへ、口を出してくるようになったのは。
祐希が藍のことを「ムカツクヤツ」と認識したのは。
いつからだったかは祐希には、思い出せなかったが、その時より祐希は藍の一
挙一動、受け答えを嫌味に感じてきた。
そして、それは今もそうなのだ。
暇つぶしだと言って藍の顔を見ていた祐希、実際そうだし――そうであったな
ら。見ていても確かに、距離は別としても、藍が暇つぶしに祐希の顔みてもかま
わない。
動揺する祐希のことを、藍が見て、嘲笑するのもかまわない。
そうなのかもしれない。――けど、それは許したくなかった……ムカツク。
半顔が引きつっていた。「いいよ、もう」笑った、つもりだった。
「見てたのは謝るし、なんか僕も熱くなってたみたいでさ」
喉が乾いた笑いをあげる。
「もう、やめよ。いいからさ。ね?」喉がひりついていた。
藍の瞳は変わらず冷たさを湛えていた。
「離して、くれないかな?」
沈黙が耳に痛かった、祐希は喋っていないと平静を逸してしまいそうだと、乾
いた喉を奮わせた。
藍の黒フレームの眼鏡へ朱色の日が差し込み、少し細められる――その動作も
優美に見えた。冷たい瞳が揺らめいた。
その揺らめきとは裏腹に、藍の桜色の口唇は乱れ一つなく。
「嫌だ」祐希の申し出を断り、いった。「君は勘違いしている」と「それに、私
も勘違いして、いや――気づいた」
腕に廻された腕の強さが増した、ように感じた。
「うるさいよ。いいから離して」身じろぎできなかった。身体はガッチリ掴まれ、
顔を動かせば触れてしまいそうで。どうすることもできなかった。
宙ぶらりんになっていた手に、何かが触れた。祐希の身体がぴくりと反応した。
藍の瞳に微かな笑みがよぎった。
手がゆっくりと持ち上げられていく、
「春日、君は嘘だと言ったが」
藍の手は、少しひんやりとしていた。
「ウソじゃない。春日、私は君といるととても、楽しい……そう、楽しいんだ」
夕暮れの傷んだ紅が、藍の瞳を隠した。
「私は器用ではないし、笑うのは得意ではない。けれど君と一緒にいると、心が
弾む、というのだろうか。胸がドキドキするんだ」
「……どきどき?」友希は口の中で言葉を繰り返した、その呼気は藍にも届いた。
「ああ」
「君が私を見ていた、君が私の隣にいる、それだけで嬉しい」祐希の手に重なっ
た藍の手から熱が滲んでくる。「いいか?」主語の無い言葉――祐希は頷いた。
藍の手に導かれ、祐希の手は藍の胸、豊かな乳房の合間にあてられた。
否応なく小指と親指に触れる乳房が、不純で純粋な情念をよぎらせる。それ以
上に、重なる手の温かさ、少し骨っぽい掌。
なにより、どくんっどくんっと蠢く心音に祐希は驚き、藍の胸にあてられた手
を見、藍の顔を見た。――藍は瞳を伏せていた。
「暇つぶしだと、さっきは言ったな」藍は唐突にいった。
「う、うん」
「嘘だ」
「……へ?」
意味が分からなかった、なにを言われているのか理解できなかった。
さっきから祐希は藍に振り回されっ放しだ。藍がなにを考えているのか分から
なかった。
ただ、心音がさらに速くなったことだけがわかった。
「試した」
藍の呼気が少しだけ乱れた。
「君の側にいるだけで、私はどうにかなってしまいそうなくらい胸がドキドキす
る。病気かと真剣に考えた、けれど違う。そう違った。だから試した」
必死で何かを言おうとしていた。
祐希は藍の言いたいことを理解できた――できてしまった。
藍の瞳が祐希をとらえた。
『――春日祐希は城戸藍が嫌い』
そうじゃなかった。そう思っていただけだった。
『ヤツは僕をバカにしてる』
違う。違った。違ったんだ。
ヤツは――藍は、藍は…………
「試した。私自身を。私自身の、心を」言い聞かせるように繰り返した。熱い吐
息が肌に触れ、祐希の心を燃やす。
「笑わないでほしい」
「……うん」
「できれば、嫌いに、ならないでほしい」
「うん」
「春日。私は君のことが、好きなようだ」
重なった手に力が加わる。ドクンドクン、心臓の音がさらに近づいたような錯
覚。
「わらえ、ないよ」
吐息を漏らすようにいった。
藍の瞳が輝いているように見えた、眼鏡が邪魔だと思った。
「笑いごとではない。私は君のことが好きだ」鼻と鼻とがぶつかる。ぴくっと藍
のまぶたが反応する。「初めて、だから上手くできるか分からない」そういった。
祐希は震える唇で聞き返した。「なにが」動かす度、唇に藍の吐息に触れる。
少しだけ顔が離れ、藍の頭がちょっとだけ左に傾く。
「君が欲しい」
短い言葉だった。
祐希の返事を待たず、藍は顔を寄せた。
音もなく影が重なった、夕暮れの傷んだ紅に図書室が染められていく。
なんの技巧もない、ただ重ねただけの口唇。
しっとりと湿った少し厚めの、柔らかな唇。
ただ重ねただけ。
息が止まる、時間が消える、しがらみから解き放たれる。
あるのは、溶け合っていく二人のビート。重なっていく思考。
ただ重ねられただけ、なのに祐希は。眼も眩むような光を浴びせられたように
目を細めていた。
「んっ……」息が漏れる。
藍の瞳が柔らかな光を乗せ、離れていく。
唇から感触が消え、時間が戻ってきた。
数秒に満たぬ重なりあい、なのに祐希は肩を上下していた。図書室が夕日に染
められていてよかったと思った。
少しの間二人は喋らなかった、ただ見つめあったまま息が整うのを待った。
――分からない。
祐希は思った。
なんで藍は自分へ好きだと言ったのか。
なんで藍は自分にキスをしたのか。
なんで、あんなにも藍の唇が柔らかいのか。
分からなかった、なんて言えばいいのか。声の出し方が分からなかった。
「君が欲しい」藍は繰り返した。「いつも君のことを見ていた」
「なん、で」
「君のことが、好きだから」藍の言葉はどこまでも真っ直ぐだ。「だから、見て
いた」
耳から雑音が消えていく。
「私では、駄目か? 春日」
「だ、ダメか、って……はは、なに言って」
友希の身体が微妙にあとずさる。椅子がギシリと鳴った。
「分からないのか?」
「ぃ……分からない、分からないよ」
藍はふむと唸った。
「だ、大体。いきなりキスするなよ。キミ、女の子だろ」
喚く祐希をほったらかし、藍は「ああ」と一人で納得した。
「春日――」何か言おうとしたが、
「それに、いいい加減はなせよっ。こんな所誰かに見られたらどうするんだよ」
祐希がまだ何か言っているので、藍は「ねぇ、ちゃんと聞いてる――ひっ………
…んぅ」祐希の口を塞いだ。――唇で。
祐希がおとなしくなるまで、藍は――傍目にはそうは見えないが――辛抱強く
待ち、離した。
「春日、聞いてくれ――」
「またしたっ、なんなんだよ、キミはっ。こんな公共の、いやまあ人はいないけ
ど、ここは公共の場所で。ていうかここ学校じゃないか、そんな場所で……って、
そうじゃなくて。なんでキスするんだよ」
怒っているのか、照れているのか、わめき散らす祐希に。藍は困ったように柳
眉を寄せ。「仕方ない」と口の中で呟くと。胸を押さえさせていた手で祐希の顎
を掴み、顔を寄せ。
「んー」
かわいらしい声を出しながらゆっくりと唇を――
「やめろよっ」
すんでの所で祐希は藍の顔を掴んで押し止めた。
「む……なにをする」
「それはこっちの台詞だよっ、今何しようとした!」
「何って、春日、君がなかなか黙らないからキスをしようと」
そんなことも分からないのか、という風に言う藍に祐希はうんざりしながら。
「黙らせるのになんでキスなんだよ、もっと、別な方法もあるじゃないか」
「ああ、そのことか。それなら心配するな。今度は舌を入れようと考えていた」
「そうじゃないって!」
叫ぶ祐希、驚いたのか目を見開く藍。
藍が黙ると、祐希は顔から手を離した。祐希も喋らず。
沈黙が少し、流れた後。
「なら、どうしたら良いんだ?」落ち着いた声で藍が聞いた。
「どうしたら、って……」別に答えなくともいいのに、訊かれたから律儀に答え
ようとする祐希、うーんと小さく唸り。「キミはどうしたいんだよ、僕を。僕を欲しいってキミは言ったけど、手に入れ
たら、なにがしたいんだよ。欲しい欲しいっていうだけじゃ通らないよ」
「……、なるほど」
「そうさ」祐希はぺろりと舌で唇を湿らせると、舌先に馴れない味を感じた。
「城戸さん、僕はキミのことを」――そんなには――「嫌いじゃないし、嫌いに
なりたくない。だから、キミは僕をどうしたいのか、それをちゃんと説明してく
れないか」
「ふむん」頷く藍。
本当に分かってるんだろうかと祐希は考えながらも、矢継ぎ早に言葉を継ぐ。
「恋び――」祐希は口ごもり、言い直した。「そういう、その、関係になりたい
って言うなら。こんなやり方じゃなく。いや、確かにキミの顔を先に覗き込んで
たのは僕さ謝るよ。でも、だからって……て、忘れてたけどいい加減離してよ」
「ム……春日は嫌か、こういうの」
「イヤじゃないけど……――じゃなくて。そういうことじゃないだろ」
「じゃないじゃないと、もう少し落ち着いたらどうだ」
「僕は落ち着いてるよ」言いながら、そうだろうか? と自分で疑問に感じてし
まうのが悲しい。――確かに落ち着けてはいない。「けど。キミ。落ち着けって
いうなら、離してよ。そしたら落ち着くから、きっと」
「ふむ……」藍は頷き――「嫌だ」すっぱり否定した。
「なっ、なんでさっ」
「ふむ。時に、春日、君の家はなかなかいいシャンプーを使っているな」
藍の顔が横へとずれていき、目の端に藍の横顔が映り込む。
「な、なななな、なにして」
ぴとっと、側頭部に堅い感触を感じる、くんくんと鼻息が聞こえた。
「春日、君が使っているシャンプーを教えてくれないか」
「なんで。ていうか離れてよ、くすぐったいよ」
「…………いいにおいだ」
「そんなことはどうでもいいから、離れてよ。シャンプーくらいあげるから」
「ほう、気前がいいな」
感心したように藍はいい、祐希の頭をなでた。
抱きつきが強くなる。
「フフフ」耳にくすぐったい笑い声。――嫌な予感がした。
「そ、そんなに嬉しいの?」おそるおそる訊く。
「ああ」藍はこくりと頷き。「とても嬉しい」
くくくと喉を鳴らす。その笑い方は女の子としてどうだろう?
「月曜日――」藍の切り出しは常に突然だ、祐希はそのことを既に学んでいたが。
心の中で「何がだよ」とは突っ込んだ。
「学校に、君と私が同じにおいで登校したら、周りの者はどう思うか分かるかね」
月曜日、ということは日曜の翌日で。
同じシャンプーのにおいがしたら。
…………!?
「だ、だだだっ」
「掘削機か、君は」
「なに腹黒いこと考えてるんだよ」
「駄目か」
「当たり前でしょっ」
「なら仕方ない」
藍は祐希の体を離し、立ち上がった。あまりにアッサリし過ぎに思えたが。
藍の身体が、体温が、呼気が、鼓動が離れていったことに。祐希の心は静まり
――同時に寂しそうな音を鳴らしていた。
藍の顔も、表情の変化はあまりなかったが。心なし悔しそうに見え、もう少し
くらいなら……と祐希が考えていると。
藍の手がすっと上へ向けられ、天井を指さした。
なんだろう? 釣られて祐希が見上げると。
次の瞬間――胸へ強い衝撃が走る。
声にもならない悲鳴をあげ、なす術なく、気づいた時には祐希は椅子ごと倒れ
ていた。
体ごと倒れこんだせいか頭がぐらぐらする、絨毯が敷いてあるのがせめてもの
救いか。
「できれば、こんな手は使いたくなかったのだがな」
楽しげなのは気のせいだろうか。
身体の下から椅子が抜かれ、祐希は足を絨毯へ投げだす。
「ちょ、ちょっと……なにするんだよ」
「穏健な手は、嫌だと君が言ったから、仕方ない――そう仕方ない」
祐希は蛍光灯も眩しげに見上げると。
均整の取れた筋肉のついた脚が祐希の身体をまたいでいた、更に視線をあげる
とスカートの暗闇が見えた
制服から伸びるシャドウ、現実味が欠け落ちた情景、状況。祐希の喉がごくり
と鳴った。
頭が悲鳴をあげていた。状況についていけないと。この半時間、藍に振り回さ
れ続けた思考は既に思考を止めていた。
膝が曲がり、ふわっとスカートのプリーツが空気を吸い込み、一瞬だけ中間色
の下着が視界に映りすぐに消えた。なのに、陰に彩られた青空色は祐希の視界に
焼き付いていた。
藍は下腹部にぺたんと座った。見た目よりも軽かったが、祐希としてはそれど
ころではない。
「さあ、春日。えっちしよう」
「……な…………あ」
生真面目に閉められたブレザーの前が藍によって一つ一つ開けられ、中に着た
シャツのボタンが外されていく。次第に露わになっていく汗に濡れた優肌、肉付
きの悪い身体付き、弱々しい胸板に体温の低い掌が置かれる。
「ひっ――」祐希が短い悲鳴をあげる、藍の口端が緩んだ。
「汗を掻いてるな、胸がドキドキしてるぞ」
藍の細い手が胸を撫でまわしている。
「う、うるさいっ」
その手――指先を口元へと持っていき、ひとさし指をくわえ。藍は。
「舐めていいか?」いった。
そして返事も待たずに身体を折り曲げ、乳首へキスをした。
こそばがゆい感触に、祐希の身体が跳ねる。
「や、やめろよ……」言葉が自然、漏れていた。
少し厚めの口唇が乳首を挟みこみ、むにむにと擦る。漏れる涎が潤滑液となり
その動きを滑らかにする。
「ほひほひふぃへふぃはあ、ふぁんふぇいいふぁ」
藍が何か言ったが、口を動かしながらで全く聞き取れなかった――が、直後に
理解できた。
唇の動きが烈しさを増したかと思えば、離れ。熱い舌先が円を描くように乳首
を舐めまわし。再び唇で挟むのかと思いきや。
硬く尖った上下の歯が、祐希の乳首を挟んだ。
「なんだって……――ヅッ、痛っ!?」
捻り、つねりあげられる乳首が痛みを発する。
「痛っ、いたたたたた。やっ、やめっ、やめろよ」
痛みに身をよじらせる、その度に痛みが強まる。今にも泣いてしまいそうな声
で祐希がわめき続ける。
その様子を見て、藍は黒髪のベールの奥でくすりと笑い、乳首を離した。
日焼けしてない肌が赤く滲んでいた。それを癒すように、舌先がぺろぺろと舐
め。
「……なにするんだよ……っく……やめろ、やめてよ」
舌先が薄い胸板を這っていき、塩気の効いた汗を舐めとっていく。ねっとりと
した舌の感触が、柔肌に吸いつく。胸中央を舐め、肌の上を蠢動していく。
肌というパレットの上で祐希の汗と藍の涎が混ぜられ、藍の喉を嚥下する。
へそを通り過ぎ、ベルトと邂逅して、藍は顔を上げ。
藍は額にかかる碧の黒髪を長い指先で払いのけ、額から吹き出していた汗をぬ
ぐい。
「もう少し身体を鍛えてはどうだ、私にこうされるのがそんなに、嫌なら」
言いながらベルトへ手をかけ、カチャカチャと外そうとするがなかなか上手く
いかない。
祐希の顔が――歪む。
「むう……なかなか難しいな」
眉を八の字に曲げて、そう言いながらも――カチャ。外れた。スルッと剰り部
分が金具から抜けていく。
「――ひっ」祐希の顔が恐怖に歪む。
「……よし」渋面を崩す藍。
藍の手が、とうとう制服ズボンのボタンに掛けられ、あっさりと外した。
「うっ……ひっく………やめ…………ひぃぃ」
顔を蒼白にした祐希――藍はソレに気づかず、意気揚々と祐希のズボンを脱が
そうとする。すでに赤いストライプの布地が見えていた。ズボンを脱がせるため
に、藍の身体がわずかに浮く。
ほんのわずかだが、今の祐希にとってはそれで十分だった。
「やメてっ!」
力のなさそうな手で藍の肩を掴み、左右に振り、藍の身体を更に引き離し。腕
と脚、尻、身体全体を使ってあとずさり、立ち上がる。ベルトを締め直すことも
できないまま、祐希は出入り口へと走る――その間には藍が待ちかまえていた。
振り切れると祐希は考えた。しかし、それは甘かった。
祐希の脚に藍がしがみつき、「ま、待てっ」なにごとかわめく。
祐希は藍を振り払おうと脚をでたらめに動かす「放してよ」子供のような抵抗、
動かし、ジタバタし続け。膝が藍の顎に入った。
「――クッ!?」
呻く藍、緩む力。
祐希は生まれた隙をのがさず、逃げ出す。
出入り口まで、後はなんの障害もない。
この非現実めいた現状から逃げ出せる。
逃げれる――逃げる。祐希の最も得意なスタンス、異常への正常な反応。
けれど。
ズルズル下がっていたズボン、慌てているせいでもつれる脚。
「……ひ……はっ…………うわぁっ」
自分で自分の裾を踏みつけ祐希は――転んだ。
思い切り顔面から絨毯に突っ込み、バダンッと大きな音をたてて倒れた祐希。
足首を藍の華奢な手が掴んだ。
「こうなったら、意地だ」地獄のマントルから藍がささやく。「君の記憶に私が
どう焦げ付いてもかまわない、私は。春日、君が欲しい」
「……なんで」祐希は呻き「なんで」呻き「なんで」呻き「なんで」呻き「なん
で」呻き「なんでっ」――「なんでだよっ、なんでそんなに必死なんだよっ、」
叫んだ。喉が焼き付いても構わない、祐希は叫んだ。
藍は眼鏡の奥、左目を細め、変わらぬ平静な声で。
「君の事が、好きだから」呟いた。
「……なんでだよ」焼き付いた喉から嗚咽が漏れる「なんで僕なんだよ」
藍は言った
「君だからだ」藍の身体が祐希に覆い被さった。
踊るように藍の手が祐希のズボンを下ろす、祐希は立ち上がろうと腰を浮かし
たが、それは失敗だった。
ズボンが床についた膝まで落ち、藍の手が祐希のトランクスにかかる。祐希は
抵抗しようと両手を伸ばしたが、上手くいかず。頬を絨毯にこすりつける結果に
しかならなかった。
トランクスがずり下ろされる、頬からこぼれた熱い物が絨毯を濡らした。
露わになった局部は痛むまでに緊張していた。
それを、藍が掴んだ。
「――っ、」
掴まれたソレは、たぎるような灼熱を藍の手へ伝える。
藍は笑うことなく。
「かちんこちんだ。なんだ。君も興奮していたんじゃないか」淡々といった。
祐希はふるふると顔を振った、摩擦で頬が痛かった。
手がゆっくりと熱された肉棒を擦り始める。
馴れていないことがハッキリ分かるし。
けして上手ではない。
けれど。
華奢ながら柔らかなで極め細かい肌で包まれている感触が。
自分の意思ではなく、他人の私意によって烈しくされていくのが。
自分一人では決して味わえない感触と感動、鋭敏化された感覚が藍の吐息を肌
に伝える。尻に押しつけられた藍の下腹、背中に当たる張りのある乳房。正気を
疑う状況。
じゅぷっ、じゅぬっ、じょぷっ、じゅぷ。濡れていた亀頭先端が音をたてる。
段々と強く、速く、烈しくなっていく手淫。
動かしにくいからか、いつの間にか片手だけになっていたが。逆に、勢いは増
していた。藍の心の内を反映したかのような、その激しさが祐希の肉棒を刺激し
続ける。
空いた手は祐希の口唇を弄くり、口内へ侵入して唾液まみれの舌を弄ぶ。祐希
の歯が噛みつくが、藍は血が滲んでも気にせず。指を巧みに動かし、歯茎を触り、
舌裏を撫で、ともすれば祐希が嘔吐しかねなかったが。藍はその一線を破ること
はなかった。
唾液に混ざった鉄みたいな味。
漏れる嗚咽と唾液。
祐希の思考はすでに止まったまま、されるがままになっていた。
世界を包んでいた夕暮れが閉じ――闇が世界を浸食し始めた。
侵されることのなかった自尊心が、犯された身体はびくりと痙攣すると、堪え
る暇なく精液を吐き出していた。
どぴゅっ、どぴゅっ、どぴゅ。精液を吐き出している最中も藍は手の動きを止
めず、祐希自身を磨き続けた。
白濁したザーメンは絨毯を汚し、藍の手や、自身をも濡らしていた。
大きく息を吐いて、射精が止まった。
藍の手が陰部から離れ、背中から体温が消える。祐希はドサッと倒れ込んだ。
緊張したままの陰茎が潰れ痛んだが、今はどうでもよかった。
荒い息とともに涎が流れ落ち、涙腺が壊れたように熱い物がこぼれ続ける。心
臓が烈しく脈打っている、身体がマグマに突き落とされたように熱い。
……嫌だった。
祐希が鼻をすすりあげる、それが図書室内に異様なまでに響いた。
祐希の荒い息以外図書室からは音が消えていた。
藍が蛍光灯を消し室内は薄闇に包まれた、窓の外から校庭をてらす照明灯がま
るで月のように二人を照らす。
非現実――現実から引き剥がされたように、何もかもが嘘に思えた。祐希は、
頭の中で『こんなのは嘘だ』と必死に唱え、彼の現実を頭に浮かべたが。今は、
それらが嘘っぽく、フィクションにしか思えなかった。
受け入れたくない、認めたくない現状、現実。
ぱさっと何かが落ちた。
耳が痛くなるほどの静寂が、
「春日」
破られた。
いつもと変わらない、透き通る藍の声。以前は魅力的だと感じたその声。
「嫌がっていた割にあっさり出したな」
「………ゥ…うるさい」まだ抵抗する気力は残っていた。
「気持ちよかったか」
「……ワケ無いだろっ」
「そうか。それにしては大量に射精したようだが」
「うるさいよ……」
「次はどこでシて欲しい? 口か? 胸か? それとも」
「うるさい」藍の言葉を祐希は遮った、それ以上は言わせたくなかった。された
くなかった。
祐希は身体を起こし、振り向く。
窓を背にし仁王立ちしている藍、暗闇の中、照明灯に照らされ藍のシルエット
がハッキリと見えた。藍はスカートを履いていなかった。
藍の脚は、嘘みたいに細い。
シルエットの藍の表情は見えない。
「春日、君はそうやって私を拒絶しようとしているが。その割にまだ下半身はや
る気のようじゃないか」
祐希の目には藍が笑っているように見えた。
藍がゆっくりと近づいてくる、祐希は動けない。欲しかない肉棒は、主の意志
とは裏腹にその緊張を強めていく。
藍が再び祐希に跨る。
藍の手が再び汚れたソレを掴む、亀頭の先端が柔らかな花弁に触れ、ビクリと
する。藍の手がそれを押さえ込み、ゆっくりと腰を降ろしていく。
祐希は何かわめこうとしたが、言葉が喉に張り付いてなにもいえなかった。
肉棒によって藍は自らのクレバスを割っていく、祐希を虐めている最中から湿
っていた薄毛が生えた割れ目は、すんなりと祐希を受け入れたが。自分で招いた
にも関わらず、ある地点を越えると。
一瞬陰茎の侵入が止められ、藍は電撃でも走ったかのように震えて。藍はくた
りと祐希の上に倒れ込んだ。
祐希の耳元で藍は。
「意外と大きい、方なのだな。裂けてしまいそうだ。めいいっぱいに拡げられて、
とても熱い」素直な感想を口から漏らす。
祐希はなぜかそれが不思議に思えたが、喋れそうにはなかった。
まだ動いていないというのに藍の膣は、祐希の陰茎に吸い付き。肉襞が藍の呼
吸に合わせて内部で蠢動していて、締め付けが強くなったり弱くなったりを繰り
返していた。
藍は僅かに腰を動かそうとして、殆ど動かせず腰を降ろしてしまい。祐希の背
に藍は腕をまわし、強く抱きしめた。頬を寄せてくる、ほっそりしている割に、
藍の頬は柔らかかった。
頬が当たったことに祐希が驚き、身体を動かすと。藍はふるふると首を振り、
身体を揺らした。張りのある乳房が胸板に強く押しつけられる。
その反応で祐希は先ほどの疑問が理解できた。
「ぃ……いたい……」藍が呟く。
もしかしたら、藍も初めてなのかもしれない。
「………………動かす」
自身を奮い立たせるように藍はいった。
「イきたくなったら、いつでもイって構わないから」微かに笑った。
ゆっくりと藍の腰が上げられていく、強い締め付け、陰茎が持っていかれそう
な吸い付き。
「う……あ……」
ねっとりと腰が降ろされ、亀頭が奥にぶつかり。
「んぅっ!?」藍が悲鳴をあげる。「んぅぅぅ」
蜂蜜のように甘い声、締め付けが更に強くなり、陰茎が緊張を強くする。
藍の吐息が一段荒くなっていた。
「春日……もう少し、小さくは……できない、か」
無理な注文を藍が付けてきた。
祐希にとっての強い締め付け、それは藍の膣にとって限界に近いだけなのかも
しれない。初めての藍にとって、肉棒が挿入されているだけでもキツいというの
に、それがぴったりとでも言うべきサイズは二重苦なのかもしれない。
けれど、
「痛いのに……背筋がゾクゾクするんだ…………私は、変態だな」言って喉を鳴
らした。
祐希はできるだけ皮肉に聞こえるように、
「だと思うよ」返した。
藍は楽しげに笑い、抱きつきを、締め付けを強くした。
まるで祐希の体温を確認するように、藍は祐希を抱きしめたまま一息つくと。
腰を動かし始めた。
引き抜き、挿し入れる度に藍は小さな悲鳴をあげた。それは祐希も一緒だった。
藍の蜜壷は中で肉棒が動くたびにうねり、愛液に濡れた襞が吸いついき、膣全
体で祐希にからみついてくる。亀頭が奥にぶつかる度、藍の喘ぎに合わせてキツ
く締め付けてくる。
さっき初めてかもしれないと祐希は考えたが、それはないと頭の中で否定した。
こんなにやらしく絡み付き、精液を絞りだし尽くそうとする肉壷で初めてだとい
うなら。連戦錬磨の技術で磨かれた肉壷はどれほど気持ちいいか、これ以上気持
ちいいとなると……想像もつかない。
気づけば、身体が抵抗をやめていた。
抵抗しようにも身体の自由が効かない、身体の一部に快感を与えられているだ
けだというのに、何もできなかった。このまま魂まで抜き取られてしまうのでは
ないかと、思ってしまう。
「……ひ……はっ……――あ……ぅ」
どこか不慣れな腰の動かし方だが、その不規則な動きが良かった。
そんなことができるのかは祐希には分からないが。蜜壷の中は愛液で満たされ
ながらも、膣襞が陰茎に吸い付き、膣壁がキツく絞めすぎていて。動かす一動作
一動作が辛そうで。かと思えば、腰を浮かし陰茎の半分ほど秘唇の外に出し、再
び藍の興奮を顕した鮮やかな肉色の唇に吸い込まれていく一瞬だけ、滑りがよく
なり勢いよく膣の中へ招かれ。奥を突く。瞬間締め付けが激しく。
「ぁ…………んうっ……ああ……」
藍の悲鳴も一段高くなる。
いつも隣に座っている文学少女の淫らな声が、祐希の心をかき立てる。
「……ぃ――はぁっん…………春がぁ……春日……んあっ、あっ!……」
藍は求めるように頬を擦り付け、制服に包まれた乳房を押しつけてくる。ぎゅ
っと腕で抱きしめ、祐希を包み込む。祐希を自分の中へ受け入れるように。
「春日、かす日……春日ァっ……ううう…………いあ、ああっ」
藍の悲痛ともいえる叫びが祐希の耳元で続く、泣いているんじゃないかと思え
てしまう辛そうな声、熱い吐息が耳に触れる。
「………………城戸、さん……」
祐希は藍の背中に腕をまわし、抱きしめていた。
壊れてしまいそうなほど藍の身体は細く、柔らかかった。
祐希に抱きしめられると、藍の身体がびくんっと反り、動きが止まる。
「……春日?」
藍のつぶやきに、祐希は答えなかった。ただ抱きしめを強くした。
外は一層暗くなり、照明灯の明かりが更に強くなったような錯覚をおぼえる。
藍はゆっくりと、ギクシャクながらも腰を動かす。
その動きは先ほどよりもヒートアップしていた、ほっそりした腰を上下に振り
ながら、愛液に濡れる秘陰を祐希の腰へ打ち付ける。
「あっ、あはっ!…………ふあっ……」 ぱちゅんぱちゅ、ぱちゅんっ! 先ほどまでの藍なら、耐えられない痛みと快
楽が藍の中に迸り続けているはずなのに。藍は祐希を気持ちよくさせようと、な
により自分自身の快楽のため。狂ったようにビートをきざむ。
「うっ……う…………あ……あ……んぁう…………」
喉から声を出すのも辛いのか、鼻から漏れるように藍は喘ぐ。その声を聞く度
祐希の陰茎が緊張の度合いを高めていく。
先ほどよりも速く、ねっとりとした腰の動きに下腹部が射精への欲求でマグマ
のように燃えたぎっていく。
「かすがぁっ、だ――はぁんっ……もうらめぇ! いく、ひあっ! あああっ!」
抱きしめられた藍の身体が祐希の上で大きく反りかえり、蜜襞の締め付けが
きゅぅぅとキツくなる。
「……ふあぁっ!!」
歯止めの効かせかたなど知らない肉棒が欲望のまま、勢いよくザーメンを濁流
の如く放出していた。
「く――――っ! ん、くぅぅ!!」
びゅくっ、びゅっ、どびゅっ、びゅびゅ――――っ!!
藍の膣内に煮えたぎる精液の塊が叩きつけられる。
「――あっ!? すごっおいっ!? かすが、かすがあぁぁぁぁぁ――!!」
文学少女の子宮が極度のエクスタシーに震えた。
細い腕にこめられるだけの力をこめ、そうしていないといけないかのように、
藍は強く強く祐希を抱きしめていた。
どくっ、どくっと陰茎は壊れたかのように射精を続け。藍の蜜壷を一杯にし。
最後にびゅっと熱いのを吐き出し。ようやく止まった。
「ふ、ふぁ、あ……」止まり、ようやく藍の身体から力が抜けていき。荒い息を
繰り返した。
重なる身体は元から一つであったようにシンクロし、快感に震える身体を休ま
せた。
「かすがぁっ、だ――はぁんっ……もうらめぇ! いく、ひあっ! あああっ!」
抱きしめられた藍の身体が祐希の上で大きく反りかえり、蜜襞の締め付けが
きゅぅぅとキツくなる。
「……ふあぁっ!!」
歯止めの効かせかたなど知らない肉棒が欲望のまま、勢いよくザーメンを濁流
の如く放出していた。
「く――――っ! ん、くぅぅ!!」
びゅくっ、びゅっ、どびゅっ、びゅびゅ――――っ!!
藍の膣内に煮えたぎる精液の塊が叩きつけられる。
「――あっ!? すごっおいっ!? かすが、かすがあぁぁぁぁぁ――!!」
文学少女の子宮が極度のエクスタシーに震えた。
細い腕にこめられるだけの力をこめ、そうしていないといけないかのように、
藍は強く強く祐希を抱きしめていた。
どくっ、どくっと陰茎は壊れたかのように射精を続け。藍の蜜壷を一杯にし。
最後にびゅっと熱いのを吐き出し。ようやく止まった。
「ふ、ふぁ、あ……」止まり、ようやく藍の身体から力が抜けていき。荒い息を
繰り返した。
重なる身体は元から一つであったようにシンクロし、快感に震える身体を休ま
せた。
二人はそのまま少しの間動けなかったが、藍は
「ありがとう」そうつぶやき、もう一度キスを交わして、身体を離してしまった。
とろりと女唇から濃い糸を引いていたが、藍は構わずそのままショーツを履き。
スカートを履いて。カウンターの中から自分の鞄を取り出すと、
「また明日」
そういって立ち去ってしまった。
祐希はそれを焦点のハッキリしない目で追い、見送った。
何か言うべきか迷ったが、なにも言えないまま藍は出ていってしまった。
祐希は疲労と快楽の入り交じった身体を投げだし、まだ時折痙攣する陰茎の後
片づけもできないまま、ゆっくりと大きく息を吐いた。
「……なんなんだよ、全く」
いろいろ考えねばならないことはあったが、今は考えたくなかった。今はただ
この疲労感を味わいたかった。
――翌日、藍は学校に来なかった。
続く?
(´・ω・`)うん、長いよね。
ぐっじょぶ!です。
前のバージョンも読んでたけど、また読みました。
翻弄される祐希がちょっと哀れで、でもかわいかった。
何気にもう492kbなのだが、次スレのテンプレとスレタイとスレ立てはどうする?
>>709-710 驚いた、一瞬自分が無意識下に自演したんじゃないかと思うくらい驚いた。
>>711 500kb24間経過で落ちるんだったか。
職人さんらのことを考えれば、次スレ建ててくれたらありがたい。
奪ってきたテンプレ
ふたば★ちゃんねる落書き板の天才によりツンデレに対抗すべく、
新たに"素直クール"なる言葉が誕生した。
ツン→素直 デレ→クール
ガチで愛してくれるが、人前であれ、好意に関してはストレートかつ
クールな表現をするため、男にとっては嬉し恥ずかし暴露羞恥プレイ。
しかし、どこか天然。言葉萌えのツンデレ、シチュ萌えの素直クール。
ここはそんな素直クールさんたちのスレです。
過去スレ
素直クールでエロパロPART1
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1139830862/
714 :
631:2006/06/24(土) 23:26:18 ID:O5JI9Tzh
くっ。フタじゃなくて祐希クンになったか!
でも攻められる男の子もイイ! GJ(節操ないんか>自分)
715 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 15:28:04 ID:6WYWKegt
GJ!!
716 :
684:2006/06/25(日) 16:10:59 ID:MnAyku0F
>>686 ありがとうw
ただ、別にめぞんみたいなヒロイン役じゃなくて、アパートの住人達の世話や、悩みを聞いてあげる相談役とかならどうだろうと思ってね。
717 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 19:06:49 ID:XBadrZoq
保守
/ な 案 べ
/´ ̄`ヽ / い 内. つ
i /⌒jノ. _| ん し に
'、 { __ _ == ¨| だ て ア
´ `ヽ= ¨ | か る ン
/ \ |. ら ん タ
〃 ,' ハ /´ ̄. ね じ の
ハ / .ハ , ハ. / っ ゃ 為
l /トメ jAr升t ト、}: | 案 仕 に
Vハ辷j 弋_ノノ} ぃ | 内 事
/ 八" 、 "" ハ. ! 1i < し だ
〈_ハ 、l⌒) ,イ , l :i l: | て か ト、__
rrrく_ -‐ハハノ j/}-jハjノ: | ん ら. | ',
_ -‐ヘ_}とY_ ァ ¨l ト-./ /´ ` .、| だ | _〉
|_ -┬ ,ノ / ! Lノ辷ヽノ . | か l´
i l ぃ=、/ / 7´', ヽ_ rく. ら /
| l/`ヽハ | l ',. / `ヽj、. ね /
l ', / }. |__ハ___ノ / /\っ_/
l ./ ′ { / /
ヽ. / / r‐く , '′ 素直クールでエロパロPART2
¨´ く fΞ7´
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1151146736/ /`ー===== 〈/
r'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒ヽ
( 次スレは )
) 素直クールでエロパロPART2 (
(
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1151146736/ )
丶'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'〇'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'´
O
ヘ o
/ \ ) ゚
/-──-<\
/ `ヽ\
/ l \
/ // ∧/l/l∧/レ、 | \
!/!/l/━ ━ | |) | \
| ll l | | >
LLヽ -_ノLl,、,、,| /
//r几r、. /
, -、// l´ソ `ヽ /
l )< ノ--○--、/ヽ/
/ >< Y /l / lヽ 人ノ、
// ヽ/ l ∨∨ | > >
</ l r'´ /
梅
産んでもいいのか?
産め
,ゝ、 _ __
∠ ノ/ ソノ
_ //フ/ヽ/ソ
=三三/e`==〉フ∠ヘ〈⌒〉
〈 l_l'iヘ / /
<v‖X]
>/ 〕〔
√]┐ ノンゝ‖
_______
スティンガー/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄  ̄  ̄  ̄ |
これは警告だ。 |
今のうちにこのスレを埋めろ |
724 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 22:44:23 ID:jOf+hzjH
保守あんどうめ
埋め
ツンデレの振りをする素クール
素:ちょっと!近づからないでよ!
男:な……なんだよ急に?
素:あんたなんかだいっ嫌い!
男:(ガーン)ちょ…ちょっと待てよ!いっつもは頼みもしないのにべたべたしてくるのに今日はなんなんだよ!?
素:うるさいわね!もうあんたなんかとは喋りたくないの!
男:おいおい、何なんだよ、やめてくれよ
素:ほう、やめてくれということは、つまり私と喋りたくて近づきたくて私に好かれたいということだな?
男:……へ?
素:よし、君の気持ちはわかった。今日は私の家にきたまえ、安心しろ親もいないぞ
男:(´Д`)ェエ工
ちょっと訊きたいのだが……状況としては
素クールと好きな男が監禁される。
男は手足を縛られ身動きできない。
そんな状況で素クールは好きな男の目の前で、忌み嫌う男に陵辱される。
こんな場合素クールはどんな反応を示すのだろうか?
陵辱スレ池
_ヽ/_
/´ `\
. / ゝ
!/ 从 | このスレはこれで・・・・
l ,∠/uヽ_ヽ. l
,. ‐'rT = = T、‐ 、
|゙ヽ、 u、||, ノ/' | `ー 失礼します・・・
|. | |: ゙̄ ̄:| | |
|/|.!:::::::::::::::l.!\|
|!::::::::::::::::|
>>727 聞いてる者が赤面するくらいに延々とその男と好きな男との違いを語ってくれるかと