仮面】オペラ座の怪人エロパロ第5幕【仮面】

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1名無しさん@ピンキー
引き続き天使様の御降臨をお待ちしております。
エロ無し・ギャグ無しを投下する天使様は、注意書きとしてその旨のレスを入れてから
SSを投下してくださいませ。

過去スレ
 第1幕 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1107434060/
 第2幕 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1117948815/
 第3幕 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1127032742/
第4幕 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1132843406/

関連
 【仮面】オペラ座の怪人エロパロ【仮面】:まとめサイト  
http://lot666.fc2web.com/
2ファントム×クリスティーヌ(二年半後):24:2006/01/24(火) 22:37:20 ID:/ZPBYf0g
「……マスター……、おねがい、わたしをどこへもやらないで……」
私が彼女から離れるとすぐに私の肩に取り縋るように手を掛けて、クリスティーヌが私を見上げた。
「クリスティーヌ……、」
「おねがい、わたしをどこへもやらないで……、おそばにおいて……」
身体の向きを変え、クリスティーヌを抱きしめる。
「私のそばにいてくれ……、ずっと……、ずっと、私のそばにいてくれ……」
胸の奥から絞りだすように言った私の背にクリスティーヌの腕が廻され、強く抱きしめられた。
「マスター……、ああ、おねがい、もう二度とわたしを離さないで……、わたしをどこへもやらないで……」
「二度と離すものか……、どこへもやらない、どこへも……」
「マスター……」
「クリスティーヌ……」
私の胸から顔を上げた彼女の睫毛が顫え、美しい眸から涙がはらはらとこぼれた。
「マスター……」
「クリスティーヌ……」
私たちは何度も互いを呼び合いながら抱きしめあった。ふたりの目からこぼれた涙が互いの肌を濡らす。
「ああ、愛している、クリスティーヌ、クリスティーヌ、クリスティーヌ…………」


「あのレース、使ってくださっているのね……」
しばらく互いに抱きしめ合ったままでいたが、ようやくふたりして落ち着き、
クリスティーヌがベッドに起き直った。床に落ちてしまっている上掛けに目を遣って言う。
横になったまま彼女の腰のあたりに唇を押し付け、そしてずっと疑問に思っていたことを尋ねる。
「うん……、ところでひとつ聞きたいんだが、あれは、本当は何だったのだね?」
「何って?」
「あれは何を作ろうとしていたんだね?」
クリスティーヌが私を優しく見下ろし、微笑みながら答える。
「……わかっていて使ってくださっていたんじゃないの……? 
マスターがいま使われているのでいいんです、あれはベッドカバーですもの……」
ああ、あの頃、私と言葉も交わさない生活のなかで、
おまえは私たちふたりの寝台のために上掛けを作っていたというのか……。

私は、どうしてあの頃、もっとクリスティーヌとちゃんと落ち着いて
話をしてみようともしなかったのか……、己の猜疑心と嫉妬心だけに凝り固まって、
彼女の本当の想いを酌もうともしなかったあの頃の私は、何という馬鹿な男だったのだろう。
幸せであるはずの蜜月を台なしにし、貴重な二年半をふいにしたのは、
それを誰よりも強く求め、願っていた私自身だったとは、何という愚かな話なのだろう。
私もベッドに起き直り、クリスティーヌの肩を抱き寄せてぎゅっと抱きしめると、
私の気持ちを察してくれたのか、彼女が私の胸に唇を寄せて口づけをくれた。
3ファントム×クリスティーヌ(二年半後):25:2006/01/24(火) 22:38:27 ID:/ZPBYf0g
「でもね、まだ完成していなかったのよ、ね、ちょっと小さいでしょう? 
あれ、今度ちゃんとまわりの襞飾りを足すわね」
「ああ」
私の腕のなかでクリスティーヌが言い、しかし私は胸がいっぱいでそれだけしか返事ができなくて、
それでも彼女は一向に気に掛けていない様子であいかわらず私の胸に指を這わせている。
こんな風に優しい時間を持てなかったあの頃の私たちは何という不幸な夫婦であったことか……、
その責めはすべて私にあるのだ。
あの暗黒の蜜月も、離れ離れで暮らした二年半も、私は一生をかけておまえにつぐないをしよう、
どうやって償っていいのか、今は皆目見当もつかないが、おまえに教え導いてもらいながら、
きっと私はおまえにつぐないをしよう……、そう固く決心し、
私はクリスティーヌの手のひらを持ち上げ、己だけにわかる誓いの口づけを落とした。



「なにか羽織るものを持ってこよう、ここで待っていてくれるかね?」
気がつくともう外はすっかり暗くなっていて、私は感激と喜びのあまりさして空腹でもなかったが、
クリスティーヌに何かしら食べさせてやりたいし、何はなくともまずはジリー夫人に使いをやって、
今夜クリスティーヌはこちらにいるということを報せなくてはならなかった。
「マスターのものでは大きすぎると思うから、いいわ、着替えます」
「いや、おまえのものがあるから……、おまえが気に入らなくても、今夜はそれで我慢しておくれ」
そのまま待つよう手で合図して、私は次の間に行った。
数時間前、クリスティーヌが持って入ったままのドレスが化粧机の背に掛け放しになっている。
そのドレスを手に取り、口づける。クリスティーヌが自ら脱いでくれたドレスだ。

クロゼットから薄いクレープ・デ・シンのガウンを取り出す。
誰にも袖を通してもらえないまま次第に色褪せてきていた衣装のひとつだ。
これもそっくり入れ替えようと思いながら、私は寝室へと続く扉を開けた。
ベッドに起き直って眸を伏せたままでいるクリスティーヌの唇が動いていた。
いつかの光景を思い出し、思わず身が竦む。
扉に掛けた手で体重を支えた状態でその場に立ち竦んだままじっと目を凝らした。
同じ動きを数度繰り返して、彼女がうっすらとはにかむような優しい微笑みを浮かべる。
私に気づいてクリスティーヌが顔を上げ、その唇で私に向かって微笑んでくれた。
「クリスティーヌ、これでいいかな?」
ガウンをわずかに持ち上げて聞く。
ややあって、クリスティーヌがゆっくりと口を開いた。
「ええ、…………………………エリック……」

私たちが、師と生徒ではなく、夫と妻になった瞬間だった。









4名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 22:42:39 ID:/ZPBYf0g
以上です。これで完結です。
読んでくださった方、ありがとうございました。

甘々なssじゃなくてごめん。
甘いのは35KB以上あれば大丈夫だと思った甘い自分だ。_| ̄|○

あと、テンプレずれちゃってごめん。
しかも投下ミスがあるんだよな、4行ほど。吊ってきます。
5名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 22:57:32 ID:2mQ3cHLp
>1-4
GOD JOB!!!天使様!!!そしてスレ立て乙です。吊っちゃ駄目です。
リアルタイムで読めた…!切なくてエロくてクリス強可愛いくて、
ハァハァしつつ感動してたらいきなりSSが途絶えて何事かと思ったらKB…
500KBチカイコト ダレモ キヅカナカッタ ナンテ…_| ̄|○

甘い幸せなSSありがとう天使様!!ゆっくり休んでくださいノシ
6O.G.:2006/01/24(火) 23:31:58 ID:QmL8LfJW
↑五番ボックスは空けておけといったはずだ(怒)
まあいい…素晴らしい結末に免じて今回は許してやろう。
また幸せな私を書いておくれ。
7名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 00:07:42 ID:JK/pnW6h
確認せず途中でレスしてしまってスマン・・・
もう素晴らしすぎる!
ここは住人を泣かせるスレでつか?
天使様、ありがとうありがとう。
8名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 00:28:27 ID:QtzYPCaZ
良かった、先生本当に良かった…やっと幸せになれた。
あれからどんな淋しい二年半だったんだろう、すでに5レス目くらいで俺泣いてたよ
今からもう一度初夜から一気に読み返してみる。
天使様ありがとうございました、大変だったと思います、ゆっくり休養なさってください。
そしてまた、もし、次回作の予定ありましたらいつまでも楽しみに待ってます。

KBは投下前の672レスあたりでは450KB位だったのでまだいけると思ってた
9名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 01:48:08 ID:KhrysapV
あぁ・・なんて素敵なお話し。
涙でティッシュがしぼれるなんて 初めてです。
本にして欲しいです。宝物にします。
こんな時間に PC開いてマジよかった。
10名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 02:38:53 ID:Ldpzg+Bs
ブラヴァ!!!素晴らしいです!!
蕩けました〜
11名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 06:24:28 ID:qTG6HqYf
幸せになれて良かった。
今回は泣かずに済んだけど、しみじみと感動。
もっかい読んでこよう。
情景描写が美しいなあ…風景が思い浮かぶよ。
パリに行った事なんてないけどorz
>6
ちょっwww
ツボったんだけどwww
12名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 17:11:22 ID:dlu7t7qa
age
13名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 19:40:25 ID:q28tLcza
二年半後の神タマ
IDが 0gですね。
14名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 20:22:43 ID:YygyIW3Y
ほんの些細な感情の行き違い。
今回のお話はもしかしたら現実に起こりうることかもしれないと思いました。
いつもながら繊細な感情の表現、長編をまとめあげる力量、脱帽です。
マスターを幸せにして下さって本当にありがとう。
15名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 20:43:27 ID:x1sFbP7D
自虐マスターの天使様、投下&スレ立て乙!
前スレぴったり2ヶ月で使い切りましたな

前スレ684、投下始まってから10分以上も経った頃に割り込むなよ
ここは一度書き込んだら修正も取り消しも出来ないんだから
もっと注意してくれまいか
16名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 21:43:50 ID:rssQyiQy
読み終えたあとに胸がいっぱいになって、空腹も忘れました。
素晴らしいものに触れるとこういう症状がでます…
天使さまは本当にマスターとクリスティーヌがみえてるかのようですね。
それを労力をさいて、見せて下さったようです。
本当にありがとうございます!

コレクターズ版と同じ装丁でまとめて本で読みたい…
17名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 21:54:46 ID:IdY9hap1
GJGJGJ!!!
待った甲斐がありました。
読み終えるのが惜しいくらい好きなシリーズでしたが、
マスターを幸せにしてくれて本当にありがとう。
またの投下を切望!!!

前スレ663です。
コメント下さった方、本当にありがとうございました。
再びエロ職人に戻ります。
18名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 23:33:30 ID:KFnozomd
自虐の神、乙!
感動をありがとう。
大人の女性なクリス、カコヨカッタ。
クリスを抱いちゃいけないと、自制をきかせるマスターがせつなかったよ、
でも、これから、マスターは彼女と幸せな日々を送れるんだな。

天使さま、マジで感謝!
19名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 00:08:59 ID:4yGuBgAH
>4です。
レス下さった方々、どうもありがとうございました。
長い間引っ張って本当にすみません、にも拘わらず読んで頂けて嬉しかったです。

前スレを使い切って埋めの雑談ができなかったこと、スレをまたがったこと、
テンプレずれたこと、モロモロ不手際で本当に面目ありません。

>13 一瞬喜びましたが、あれは0gなのではなかろうか……?
20名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 01:18:59 ID:otNiI0V6
たしかに 0ですねw
でも オージーにしか見えない
21名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 02:16:53 ID:UKfxROcT
ああ、クリス可愛い。マスターもなんて幸せそうなんだ、よかったヨカッタ
なんとなく、原作クリス(強気)と映画マスターが思い浮かびました

でも、ずたずたマスターも結構好きでした。 彼には孤独やブチ切れが似合う。 
>4天使様、どうもありがとう 長編ほんとにお疲れ様でした!
22名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 09:51:42 ID:/SA4gKyi
>4エンジェル ブラヴォー!
良い子で待ってて良かった…!
夜が長かっただけに、朝の光が一際眩しく
感じられました。

2度に渡る長編連載お疲れ様です。
またいつかこのスレでヨン様の書かれるものに
出会えるのを楽しみにしております。
携帯では0とOはほぼ同じフォントに見える…>0g
23名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 18:09:17 ID:HndAQMnO
何度読んでも感動があせません。
ふたりの二年半は どんな毎日だったのでしょうね?

その後の 後日談なんかも興味シンシン
(間違いでなかったら) あのサイトにあるような 甘甘な生活に
繋がるんでしょうか?

ワガママいってすみません。
24名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 04:47:33 ID:NEOYUOXX
>4です。レスありがとうございました。

自虐が終わったら、また別の連載をしたいなーと能天気に考えておりましたが、
>23氏の言われるとおり、自サイトを持っているため、今後はこちらへの投下は
控えた方がよいかと思案しています。

自虐開始時はサイト開設5日後くらいで、サイトが続くかどうか
未知数だった為、こちらへ投下することに致しましたが、
サイトがある以上、スレを使わせて頂くのは心苦しいような気がします。
ですので、もし投下しなくても、それはスレが嫌だという訳ではなく、
(むしろレスが頂けるので励みになるのですが)上記のような理由に
よるものだと思って下さいませ。長文すみません。
25名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 09:17:02 ID:WYsQM6kX
前スレ614からの続きを投下します。
・今回はエロ有り(淡泊)。
・マスター無し。
・まだ続きます。
ではよろしくお願いします。
26失われた環 5:2006/01/27(金) 09:27:32 ID:WYsQM6kX
  2
 オペラ座の歌姫であるクリスティーヌ・ダーエの恋人は、その劇場のパトロンであるラウル・ド・シャニィ子爵である。
 その夜も子爵はクリスティーヌの自宅へ訪れた。もう何年もこんな関係なのだ。
 「こんばんは、クリスティーヌ」
 挨拶のキスは、クリスティーヌがラウルの首に腕を巻き付けたことによって深い濃厚なものになった。
 「ラウル、…ラウル…っ…」
 ぬくもりが欲しい、誰かとつながっていたい。クリスティーヌは暖炉で火が踊る温かな居間へ入ると、耐えきれず恋人を求めた。
 ソファに押しつけて唇をむさぼり、体を押しつけ、半ば強引に恋人自身を自分の中へ収める。
 「は…ぁっ…」
 より深い快感を得ようと背中を反らせて腰をゆっくりと動かす。白い喉が男の官能を誘った。
 クリスティーヌは自ら袖を滑らせて乳房を露わにし、恋人の手のひらをそこへ導く。すでに先端は固く尖っている。
 「…ぅ…ん…い、痛いくらい…して…ぁ…っ」
 ラウルは片方の乳首を口に含み、もう片方は形が変わるほど揉みしだいた。
 重たいスカートの中でも、動く度に男のものをくわえ込んだ下の口からは、ぐちゅぐちゅと音が漏れる。
 「…んん…、やっ…もっと奥まで…奥がいいの…」
 下から突き上げられてクリスティーヌの喘ぎ声が大きくなった。
 「っ…ああ!…ああぁ…ぅ…っ!」
 つながったまま体位を変えても、クリスティーヌはいやらしく腰を振った。
27失われた環 6:2006/01/27(金) 09:29:17 ID:WYsQM6kX
 「…ラウル、足りない…足りないの。
 あ、あ…!もっと欲しい…あぅう!…もっと…っ」
 ソファに膝をついて獣のように後ろから突かれると、溢れる愛液が自分の太ももをつたい、男の下腹をも汚す。
 クリスティーヌの肩に背中に、キスが浴びせられて、肌に赤い花びらが散ったかのようだ。
 いつになく激しく求められたラウルは「クリスティーヌ、クリスティーヌ」と、祈りのように恋人の名を繰り返す。
 そしてそれを聞きながら、その愛撫に応えながら、自分の名すら呼ばなかった男を想ってクリスティーヌはすすり泣き、やがて絶頂に達した。
 ラウルは彼にもたれ、まだ呼吸が絶え絶えなクリスティーヌの乱れた髪をなでてやる。クリスティーヌがまたはらはらと涙を落とした。
 「…仮面の男のせい?」
 クリスティーヌは図星をさされ、びくりと身を引いた。が、子爵は構わずにきつく抱き寄せたので、彼女は恥ずかしさで耳まで赤くなった。
 あんなに求めて抱かれ、なのに心の中では他の男を想っていたことをラウルは知っているのだ。それなのに責めもせず、こうして抱きしめてくれている。
 「劇場で彼を見かけたものだから、クリスティーヌもそうなのかと思ったんだ。…会ったのかい?」
 クリスティーヌは小さく頷いた。すると子爵はクリスティーヌを上向かせ、荒々しいキスで柔らかな唇を覆った。
 「傍にいるのはぼくだ。こうして君を抱いて、口づけするのはこのぼくだ!そうだろう?
 会って、彼はキスをした?君を抱いた?」
 息も出来ないほど強く抱き締められて、クリスティーヌは声を出せず、顔を横に振るのがやっとだった。
28失われた環 7:2006/01/27(金) 09:30:40 ID:WYsQM6kX
 「だろうね。彼は妻を連れていたから」
 ラウルはふっと腕の力をゆるめ、クリスティーヌの瞳を見据えた。
 見つめられているにも関わらず、クリスティーヌの頭の中では、あの家族の姿が浮かぶ。
 「…奥様と…子どもがいて…仲がよさそうで…幸せそうだった…」
 目に涙が溜まってゆくのを感じたが、こぼれそうになったそれを、ラウルがそっと拭ってくれた。
 「ぼくたちも幸せになれるよ、クリスティーヌ」
 あたたかな手、優しい瞳、力強い胸。頼りきって全てを委ねてしまいたい衝動に駆られる。
 今までも彼から申し込みを受けたことはあったが、今夜ほど心を動かされたことはない。けれど。
 クリスティーヌはつっと視線を外し、はだけた胸を服をかき合わせて隠すと立ち上がった。
 「ごめんなさい。飲み物も何もお出ししなくて…着替えて、軽いものを用意してくるわ」
 ラウルも一緒に立ち上がると、クリスティーヌの指先を握った。
 「いいや、今夜は帰るよ」
 彼も服装を整えると言った。
 「君が気弱になっている時に言ってはいけなかった。答えを急いで済まなかった。許してくれるね?」
 「そんな、許すだなんて…私が悪いのに…」
 後ろめたさにラウルをまともに見ることが出来ず、クリスティーヌは瞳を伏せた。しかし彼はまだ涙の乾ききらない頬にキスを落とし、ハンサムな顔をほころばせた。
 「じゃあ、お互い様だ。おやすみ、クリスティーヌ」
 「おやすみなさい、ラウル」
 素直で率直で、日向の匂いのする優しい人。一緒にいると気持ちが安らぐ人。
 はっきりさせなくては。
 クリスティーヌは恋人の背中を見送った。
29失われた環 8:2006/01/27(金) 09:32:34 ID:WYsQM6kX
 
 また一人になったクリスティーヌは、苦しくてたまらなかった。 
 寂しさを紛らわせたくて、失ったものを補いたくて、じくじくと痛む心を正視できなくて、たまらなく人肌に触れたかった。そしてそうしたのだ。
 けれど喪失感は増すばかりで寂しさは埋められなかった。更にそんなことでラウルを求めた身勝手さに腹が立ち、罪悪感が重くのしかかる。
 クリスティーヌはどうすれば逃れられるか分からず、暖炉の前で石炭が燃える様子を息を詰めてじっと見つめていた。
 …マリー=アンヌにも歌を聞かせたのだろうか。あの声を聞かせたのだろうか。
 不意に湧いた考えに、クリスティーヌは拳を握りしめた。
 「私だけの歌よ。私だけの音楽の天使よ!
 エリックなんて知らない。知らないわ。
 …私のマスターよ…!」
 胸がねじれる。胸が灼ける。
 クリスティーヌの肩が震えて嗚咽が漏れた。
 初めて抱いた嫉妬心は、彼女自身にも信じられないほど強烈なものだった。
 オペラ座の礼拝堂、小さなろうそく、頼りなげな灯り、少女の囁きにも似た祈りの声。聞き届けたのは音楽の天使。
 過去が波のように寄せては返し、クリスティーヌの胸に迫る。 
 歌を教えられ、与えられ、導かれてやがて辿り着いた地下の国。彼が作り出した世界。永遠の夜。
 「私だけ、私だけが知っているわ。私だけがそこへ行けたのよ…」
 目を閉じればあの場所に満ちていた音楽を感じることができる。恍惚として肌が粟立つ。
 かつて、天使の声はクリスティーヌの全てに染み入り、満ちて、眠れる部分を揺さぶり、目覚めさせた。そして今この時も。
30失われた環 9:2006/01/27(金) 09:34:40 ID:WYsQM6kX
 再会したことで同じ変化がクリスティーヌに起きたのだ。
 この五年無くしてしまったと思っていた感情が、烈しさが、甦り、溢れ出た。彼はクリスティーヌの良い部分も悪い部分も引き出し、心を解放させてしまう。
 彼だけが出来るのだ。
 自由を取り戻した心からクリスティーヌが最後に見つけたのは、たくさんの時間を掛けて何層にも重ねられた真珠のような音楽の天使への想いだった。
 離れなければ、何年も経たなければわからなかった。そういうこともあるのだ。別れたあの日をどれ程後悔しても、当時の私にはそれ以外の判断は出来なかっただろう。
 何か欠けているという感覚は消えないに違いないが。
 「私のおかげで、愛する妻と子どもを得られたのかもしれないわ。
 あの人が幸せならいいじゃない。それが大事なことでしょう?」
 それが自分と共に築くものじゃなかったとしても。
 今度は静かに涙が流れた。今日は泣いてばかりだなとクリスティーヌは思った。
 冴え冴えとした月光が差し込む。熱のない仄白いそれは手を伸ばしても掴むことのできない幻のよう。
 幻影に魅入られ、惹かれ、十年経ち二十年経ち三十年経ちして愚かだったと気が付くのだろうか。それでもいい。愚かでいい。
 私がそうしたいのだから。
    
      <つづく>
31名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 12:59:07 ID:VRGhHx1M
>30GJ!
前スレ618氏が言ってたとおり、
この後どうなるのか悶えまくってます!
32名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 19:12:36 ID:bWkMYQEC
>30投下乙でした。

>4エンジェル、そんなに気を遣わないで下さいよ〜。
 またいろんなの読んでみたいですし。
 あの、質問いいですか? 今更すいません 読むの遅かったもので
 クリスが前回「どうあっても…」と言ってたかとおもうんですが
 あの続きの言葉は、「私はあなたの妻なのに」「私を置いてはくれないのね」
 …みたいな感じで想像しちゃっていいのですかね?
33名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 19:14:30 ID:bWkMYQEC
あ sage忘れてた… 連投失礼しました 
34名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 19:29:42 ID:m6RODrcr
>>25 気付いても遅いってのは切ない。
こうなると、割と屈託なさげだったマスター側の事情が非常に気になる。

>>4 サイトのほうも拝見してますが、こちらにも投下して頂きたいです
スレの雰囲気ってまた違うし、皆で雑談しながら、続きをワクテカ待つのも楽しいんで
35名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 20:24:00 ID:bc2e5BMv
↑ 賛成です
こちらにもよろしくです。
36名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 21:37:35 ID:XQYJCj0B
>25天使様
投下お待ちしておりましたー!GJ!
ラウルいい奴だな…。自分もマスターの事情が気になります。
37名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 11:14:24 ID:xKl6QDB1
>>34-35
サイトに載せるかスレに投下するかは>4=24天使様の好きにしたらいいと思。
ところで木登り編と寝室編の天使様マダー??
38名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 12:45:10 ID:nkIpvL3E
お待ちの方でなく申し訳ないが
エロ無し、ネタ
チョイ若ファントム、チョイちびクリス。
見せてみなさ…やら、私が揉んであげ…やら
snegな展開はもうちょっと大きくなってから。
391/3:2006/01/29(日) 12:45:47 ID:nkIpvL3E
その夜は最初から様子がおかしかった。
礼拝堂に入ってきた彼の幼い弟子は、俯いたまま一言も発しない。
「どうしたのだ、クリスティーヌ」
師の問いかけに上げた瞳は、いっぱいに涙をたたえている。
かみ締めた唇の隙間から、細い声が漏れる。
「…胸が…」
「胸がどうしたのだ、痛むのか?」
ぶんぶんと頭を振る。
「む、胸が…ぜんぜん大きくならないの…」

「は?」
一瞬頭がついてゆかず、間の抜けた声が出る。
が、少女はしくしくと泣き出した。
「シモーヌが、言うんだもの”クリスティーヌはぺたんこだ”って!」
「ぺたんこ…」
いまひとつ理解できない。が、ファントムがつぶやいた言葉に、
クリスティーヌはわっと泣き伏す。
「このままぺたんこだったら…胸の開いた衣装も着られないし、
赤ちゃんにおっぱいもあげられない!」
「あ、赤ちゃん…」
やけに話が飛ぶなと思いつつも、
成長して子供を抱いたクリスティーヌのイメージが
ファントムの脳裏にリアルに浮かんだ。

クリスティーヌによく似た赤子、安らかな表情で美しく成長した
クリスティーヌの柔らかな胸に抱かれ…いや、待て。
子供ができるということは、相手がいるということだ。
…どこのどいつだ、可愛いクリスティーヌを孕まそうという輩は!
指一本触れる前にこの私が始末してくれる。
腕が鈍っていないか、早速今夜からパンジャブの輪の練習を…
402/3:2006/01/29(日) 12:46:18 ID:nkIpvL3E
「天使さま」
思いにふけっていたファントムは、愛弟子の声で我に返った。
「ねえ天使さま、どうしたら大きくなるかしら」
(揉めば大きくなるというが)
反射的に、何処で得たのか定かでない知識が頭をよぎった。
が、まさかにそれを口に出すわけにはゆくまい。
「お前の年では、まだそれでいいのだ。
急がずともいずれ膨ら…相応に成長するだろう」
「だってメグは同じ年なのに、もうあんなに…!」
「あの娘はいささか成長が早すぎる。個人差というものが….」
涙に濡れたクリスティーヌの頬が、ぴくりと動いた。

「…天使様、見たの?」
「え?」
「メグの胸、見たの?」
「…み、見ていない」
「…」
少し細められたクリスティーヌの瞳が不穏な光を宿しかけ、
ファントムは慌てて話題を変えた。
「マダム・ジリーも、お前くらいの年には見事に何もなかった。
そんなに気にすることはない」
「そうなの?」
「そうだ。そのマダム・ジリーも、年毎に成長し
ついにはメグの母親となったのだ。
お前もきっと成長する。だから安心してレッスンに励むのだ」
力強い励ましに、クリスティーヌは涙を拭って頷いた。
「はい、天使さま!」
413/3:2006/01/29(日) 12:47:06 ID:nkIpvL3E
「…それでは支配人にそれを渡してくれたまえ。
私の劇場をより良くするための、ささやかなるアドバイスだ」
「分かりました。確かにお預かりしますわ」
マダム・ジリーは赤い封蝋を眺めながら頷いた。
少し肩を聳やかしオペラ座の怪人は身を返す、
そのマントを翻した背中を、意外にもマダム・ジリーは呼び止めた。
「ところでムッシュウ」
「何か用かね」
振り返ったファントムの顔を、鋭い視線が貫く。
「先日クリスティーヌといろいろ話をしましたわ」
「…それが?」
「少女らしい悩みの話を聞いたのですが….どうも彼女の音楽の天使は
私の娘に…娘のある部分に関心をお持ちのようで」
「!ち、違う!それは誤解だ!」

体を強張らせる怪人を、じろりと睨む。
「しかも私の若いころはどうだったとか….見てもいないくせに」
「いや、それはマダム、言葉のアヤというか、」
「そんなこんなでムッシュウ、少しお話いたしましょうか、
私の部屋で……じっくりと」
貼り付けたような無表情。瞳は全く笑っていない。
「今日はこの後予定が・・・」
「無いのでしょう?お茶くらいお出ししますわ、さあ」
にべもなく言い放つ。
「…無いことは、無いというか、マダム、」
背を向け、歩き出すマダム・ジリーに
ファントムはなおも何か言いかけるが、
振り返ったマダムジリーの無言の圧迫に
結局なす術もなく従うほかなかった。

その姿はまるで、曳かれ行く子牛を思わせるものだったという。
42名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 13:11:36 ID:eBqvTmkO
ドナドナマスターワロスw
揉まなくても牛乳飲むだとか俯せで寝るだとか胸筋つけるだとか
方法はいっぱいあるぞ!w
43名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 13:18:05 ID:qaQ3/Ttr
>38
お、お腹痛い…w
ファントム先生、秘密の通路で出入り自由だもんな。
そりゃあ、お乳の一つや二つチェックしてるよねw
こういうお話大好き。次回は先生にクリスの胸を揉ましてあげて下さい。
でも胸って揉むとほんとに大きくなるんだろうか…?
44名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 14:21:35 ID:XHJ1/0ky
GJ!!いいねー女性陣に翻弄されるマスターカワイス!
揉んだら…とは、本当にどこで得た知識なんだ。
揉むと大きくなるのは本当らしいよ、ホルモンの分泌が良くなるとかなんとかどっかで見た。
ちなみに妊娠中は絶対さわっちゃだめだって。特に乳首に刺激を与えると子宮が収縮するので
流産・早産の原因になるとか。
45名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 19:05:46 ID:o4vs109M
>>44
絶対というか・・妊娠後期に入るとむしろおちちの
お手入れしなくちゃ なんですよw
46名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 20:12:19 ID:RpHnJfRb
今、新しいスレがたってることに気付いた(´Д`;;;)携帯からみてるから、気付かなくて、自虐マスター終わりか気付かなくて……………ヘコみます。でもこのスレは神スレです。自虐マスター万歳!!自虐クリス万歳!!ちびクリス万歳!!
47名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 21:31:03 ID:Zpg9CAu+
GJ!!笑わせて貰ったけど、
自分シモーヌって所で某四季の俳優に変換されて
別の意味でツボにハマってしまった…
分からないネタだったらスマソ
いや〜でも良かった!!
48名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 02:31:16 ID:+oSKuyTH
>>47
分かる、分かるよ!自分もそう思ったw
こんなところで同士に会えて嬉しい。
すれ違いスマソ&天使さまGJ!
49名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 03:52:05 ID:7Y+rc2BT
>>37
寝室&木登りです。
数日中に寝室編投下予定。
先週の投下で燃え尽きてました。すみません。
50名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 04:32:00 ID:Hfcf3o29
やはりほのぼの笑える短かめのギャグはいいなぁ。
51名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 08:26:11 ID:ZST3Bh8Z
>44
揉むと大きくなるのか。
じゃあやっぱりクリスはマスターにもみもみしてもらわないとw
52名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 13:14:09 ID:sfnLQLCq
>4です。レス等々ありがとうございました。

>32
「どうあっても……」の続きは前スレ>191です。
53名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 17:46:12 ID:mLndcJTc
なんだ…この素晴らしいスレ…
ネ申大杉で泣ける…
天使さまこれからもワクテカして待ってるのでよろしくっっっす!
54名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 18:57:33 ID:9ZlYAek0
>4エンジェル、わざわざありがとうです! 32です
 あの辺り、なんだか辛くて斜め読みしちゃってました orz
 読み返すと、ssとかファン栗とかの枠を超えて、本当に胸に迫る…
 
55名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 00:27:37 ID:vzOXYfy+
>49
投下予告キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
wktkして待ってます。
5649:2006/02/02(木) 02:35:24 ID:7nL09xbV
PC不調で携帯からです。
なおり次第寝室続編投下します。
遅くなってすみません。
57名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 13:53:12 ID:tnntxH/z
天使様の御都合とPCのご機嫌の良い時でいいですよん
楽しみだなあ…
58名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 13:57:26 ID:tnntxH/z
連投で悪いけど、なんでもうひとつスレ立ってるんだ?
今気がついたよ。
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1138716552/
放置しておけば落ちるか
59名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 18:24:05 ID:WGiO9vAl
本当だ。 多分、気付かずに誰か立ててくれたんだろうね
何か活用できないものかいな
60名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 18:36:35 ID:WGiO9vAl
やっぱり良くないか 向こうにも書き込んでしまった 申し訳ない
61名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 19:55:15 ID:qfPSyVFz
仕方ないがあちらは即死落ちするのを待つしかないかと。
先週また圧縮があったばかりだし重複は板の迷惑になってしまう。
でも立ててくれた人乙。多分新スレ立ってる事に気付かなかった故だよな
また次の時ヨロシク
62名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 21:23:41 ID:FoILHO+P
ちょっちゅね。
63寝室完結編:2006/02/02(木) 23:47:13 ID:TbCuGIAF
PC復活したので寝室編の続編投下します。
ファントム&クリス、オペラ座外で暮らしている設定。
前スレがもう読めませんが、よろしければ読んでください。
64寝室完結編:2006/02/02(木) 23:49:21 ID:TbCuGIAF
身体を下へずらし、小さな膝を掴んで左右に大きく開かせた。
白さが眩しい内腿と対照的な、艶かしい秘部が目の前にさらされる。
「いや! ああ!」
私の視線から逃れようとするクリスティーヌの蜜の中へ指を埋め込む。
「あああああっ……!」
指にまとわりつく粘膜の感触を確かめるように擦ると、脚を開かされたままクリスティーヌが腰を捩った。

「クリスティーヌ……おまえの恥ずかしいところがよく見える」
「いや…いや……!!」
内壁がねっとりとうねって指をきつく締め付ける。
滑つく蜜の中で指を抜き差ししながら羞恥に耐え切れない様子のクリスティーヌに囁く。
「見られるのも感じるらしいな…?
 ほら、もう……逝きそうになっている」
私の指が身体の奥にある彼女の弱い部分を探りあてた。

「ああ! マスター…おねがい……もう…もう…」
「だめだ……私を欲しがって逝くおまえを見たいんだよ…」
私の言葉に、彼女が大きくその身を波打たせた。
「……っあああああああああ!!!……」

陽の差し込む寝室で私の眼にその身をさらしたまま、クリスティーヌが逝った。
絶頂の瞬間、顔を背け、瞼に手をあてて私の視線を遮りながら。

65寝室完結編:2006/02/02(木) 23:51:02 ID:TbCuGIAF
「……ひどいわ、マスター……」
顔にあてた手を外したクリスティーヌの目は涙に濡れていた。
「もう、知らない……」
絶頂の余韻に頬を上気させ、涙を溜めて私を責める悩ましい表情に、私の忍耐ももう限界だった。
ぴたりと合わされた膝頭を再び拡げさせると、クリスティーヌがその部分を手で覆い隠すような仕草をし、
顔を背けて言葉で私を拒否する。
「マスターなんか、きらい……」

そんなクリスティーヌの仕草も、すべてが私を誘っているかのようだ。
「……私はおまえが愛しくてどうにかなりそうだ……」
言葉と裏腹に私を求めてひくつくその部分に硬く猛りきった先端をあてがう。
「……ああ、ずっとおまえの中に入りたかった……」
のしかかり耳元で囁く私に、クリスティーヌの腕が絡みつく。
「あぁ! マスター、マスター…!」
私の侵入を待ちきれないように腰を揺らめかせる。
いつも愛らしく清楚な彼女が、こうして身体中で私を欲しがる姿はたまらなく淫らだ。
「クリスティーヌ…」
熱く濡れたクリスティーヌのそこに先端を埋め込む。
「ああぁ……!」
瞳を閉じて顎を上げ、甘く切ない声を漏らすクリスティーヌ。


玄関の呼び鈴が鳴ったのは、その時だった。
その音は私達の耳にも届き、私を求めて乱れる彼女の時間を一瞬止めた。
クリスティーヌの耳元で問う。
「……来客らしい。……続きは後にするか?」
彼女が瞳を揺らめかせ、切なそうに首を左右に振る。
「いや…いや…離れないで……!」
白い腕が私の身体を引き寄せた。
「おねがい……きて……」
66寝室完結編:2006/02/02(木) 23:54:37 ID:TbCuGIAF
再度呼び鈴が鳴った。
唇をそっと触れ合わせながら、再び尋ねる。
「……来客はいいのか?」
聞く前から答えはわかっていた。
「いいの……マスターに…して欲しいの……!」
私に脚を絡ませ、眉を寄せて私をねだる様子に、衝動を押さえられなくなる。
片脚を大きく上げさせ、蕩けた最奥まで一気に貫いた。
「ああああああっ!!! ……マスター……!!!」
クリスティーヌの蜜に溢れたその部分が、私自身を甘く包み込む。

「クリスティーヌ……その淫らな声を表まで聞かせてやるつもりかね?」
「あぁ…ん……ああ……いや…」
クリスティーヌが片手の甲を口元にあてて身をくねらせる。
もっともっと甘い声を上げさせたくて、身体を引いては繰り返し突き上げた。
「ああ! …ああ! マスター……」
唇を重ね、白い胸を掴み、先端を舐めて顔を埋め、腰を掴んで奥深くまで打ちつける。
「ああ…マスター! …好き…大好きよ……愛してる……」
甘い声が耳元をかすめ、白い手が私の頬を撫でた。
「クリスティーヌ…!」
濡れた粘膜が彼女の息使いと同時に絡みつき、私をきつく締め付ける。
もう絶頂が近付いているのを感じ、小さな突起にそっと指を這わせた。
67名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 23:55:22 ID:8HUz/6QO
初遭遇!!!
68寝室完結編:2006/02/02(木) 23:56:40 ID:TbCuGIAF
二度ほど呼び鈴を鳴らしてみたけれど、だれも出てくる様子がないので、扉に手をかけてみた。
扉が開く。鍵がかかっていない。
呼び鈴が壊れているのかしら?
クリスティーヌは午後は家にいると言っていたし、お留守のはずはないのだけれど……。
そっと扉を開き、中に入った。
玄関を入ったところで声をかけてみたが、応答が無い。
母から頼まれた届け物を置いて帰ろうかとも思ったけれど、クリスティーヌのことが心配になってきた。
この家には何度か来たことがあるので、居間や台所の場所は知っている。
失礼とは思いながら、中へと進んでみた。

相変わらず趣味のよいお家だけれども、居間にも台所にも誰もいない。
この奥は、寝室かしら?
……寝室?
声をかけようと思った瞬間、扉の中から声が聞こえた。
クリスティーヌだわ。
でも…でも……、この声は……。
69寝室完結編:2006/02/02(木) 23:59:25 ID:TbCuGIAF
「ああっ!…あ……だめ……だめ…!」
クリスティーヌが私の指に敏感に反応する。
今にも達しそうなほどに感じていながら、拒否の言葉を口にするクリスティーヌの耳元で囁く。
「クリスティーヌ……だめじゃないだろう……?」
「あぁ…あぁん……、マスター……!」
細い肩をつかんで揺すりあげながら、可愛い突起を執拗に弄ぶ。
指に触れるその部分はすでに硬く尖り、クリスティーヌが淫らに腰を振る。
「マスター……ああ! もう、もう……」
彼女の中がうねってきつく締まり、瞳を閉じて顔を背けようとするのを、
顎を掴んでこちらを向かせた。
「クリスティーヌ…私を見ろ」
日差しの中でゆっくり開く茶色の瞳が、悩ましくも美しい。
「私を見たままで……逝くんだ」
柔らかな顎を掴んで固定し、視線を絡め合わせたまま激しく突き上げる。
「いや……マスター…おねがい、…あぁ、あぁ!
 逝っ………ああああああああぁ!!!!!」

羞恥に耐え切れぬように私を見つめながら、午後の陽の差す部屋中に高いよがり声を響かせて
クリスティーヌが達した。
その瞬間を私の前に曝け出させ、彼女のすべてを自分のものに出来たような気がして、
深い満足感とともに、激しく収縮する彼女の奥深く私も自らの証を放った。
70寝室完結編:2006/02/03(金) 00:01:14 ID:6otBmV68
どうやってあの寝室の前を離れて、家まで帰ってきたのか記憶が無い。
母に頼まれた届け物を玄関先に置いてきてしまったことに気がついたのは、
家についてしばらくしてからだった。
目的どおり届けることは出来たけれども、私が勝手に家に入ったこともわかってしまうだろう。
そして、なぜ声もかけずに帰ってきてしまったのかも。

……私の知っているクリスティーヌとは思えない声だった。
普段の声とも、歌う声とも全然違う……。
あのクリスティーヌがあんな声を……。
彼女の声だけでなく、クリスティーヌの名を呼ぶ、甘くて低い声も聞こえた。
クリスティーヌはいつもあんな声で呼ばれているのだわ……。
彼女の音楽の師だという、あのオペラ座の怪人と呼ばれた男に。
そしてきっと、いつもあんなふうに…愛されて、乱れて……。
あのクリスティーヌが……。

自分の部屋の窓から、クリスティーヌの住まいの方向を眺めた。
日が暮れた今、この瞬間も、クリスティーヌはあの部屋であの男と過ごしているにちがいない。
彼女がシャニュイ子爵でなくあの男を選んだと聞いたときは、気がふれたのかとさえ思ったものだけど。
クリスティーヌは、幸せなのかもしれない。
私が思っているより、ずっとずっと幸せなのかもしれない……。
71寝室完結編:2006/02/03(金) 00:05:40 ID:6otBmV68
私の下で意識を手放しているクリスティーヌに口づけし、ガウンを羽織って部屋を出た。
ふと廊下の先を見ると、入り口の鍵が開いている。
外出から帰って、扉に鍵をかけ忘れたのは私だったか、クリスティーヌだったか。
寝室での行為を思いおこしてひやりとする。
鍵をかけ、戻ろうとしたところで玄関脇の小机に大き目の封筒が置かれているのを見つけた。

……これは。
中を見ると、マダムジリーから私への届け物らしい。
……あの娘は、家の中に入ったのだ。
入ってこの封筒を置き、おそらくクリスティーヌを探しながら奥まで入って来たに違いない。
そして、寝室の扉の前で………。
まだ耳に残っている、クリスティーヌが私の下で上げた悩ましい声を思い出し、片手を額に当てた。

……もう済んでしまったことは仕方がない。
封筒を小机の引き出しにしまってから、部屋に戻った。

寝室に戻ると、ベッドのクリスティーヌが愛らしい瞳を開いて私に微笑んだ。
彼女の隣に座って肩を抱き、もう一度口づけしてから伝える。
「オペラ座には使いをやるから、届け物の心配はもうしなくていい」
「…ありがとうマスター。約束していたのに留守だなんて、メグには悪いことをしちゃったわ……」

いや、留守でなかったことだけはよくわかっていると思うが。
気の重いことだが、オペラ座には本当に使いをやらねばなるまい。
「届け物は確かに受け取った」という使いを。

腕の中のクリスティーヌが、私を見上げて微笑んだ。




(終)


72寝室完結編:2006/02/03(金) 00:07:23 ID:6otBmV68
以上です。
長く間があきましたが読んでくださった方、ありがとうございました。
73名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 00:10:50 ID:jAxKi3j+
>72
GJ! GJ! GJ!
はぁぁぁ……、堪能しました。
危険な香り漂うマスターがとっても素敵でした。
で、やっぱり「マスター」って呼ぶクリスがめちゃ可愛い。

……しかし、メグがその後どうしたかが気になる、激しく。
74名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 00:16:25 ID:1ZHiN9hK
あんなに激しくクリスを苛むマスター
そしてメグの来訪に気付くものの一人胸にしまうマスター
大人だ・・・
「片手を額に当てた」妙にツボです
神様、ありがとうございました。
75名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 01:40:18 ID:JnnipwqQ
>72さま GJです!
恥ずかしがりだけど大胆なクリスティーヌ、好きです。そして、
鍵をかけ忘れるほど、早く寝室に行きたかったマスター、大好きだ!
もう一度最初から読んできます。
76名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 09:32:50 ID:5R94r+MU
>72
終始にやにやしながら読んじゃったw
ガウンを羽織ったマスター萌え。
77名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 09:57:05 ID:v0EOD2ty
気のせいかしらん、何処かで読んだことあるような??
ひょっとして、72エンジェルは・・・
いやとにかく GJGJGJ!! まさにエロスのネ申なり!
78名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 20:16:02 ID:ElZvjep/
>72
天使様GJ!超GJ!!メグ来ても続けたがるクリスマジ可愛い。そしてエロイ。
連載乙でした。またよろしkうわなんだくぁw背drftgyふじこlp;@

>67
わざわざ割り込むなよ…パンジャブられてしまえ
79名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 20:20:08 ID:3MS7BVv9
マスター、
「もう済んでしまったことは仕方がない」じゃないでしょwwwww
しかもメグが上がってきてたことはクリスには内緒なんだな。
超萌えでした。ごちそうさまでした。
80名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 23:45:21 ID:ce6FPsTv
>>72エンジェル、完結編メルシィボクー
エ、エロかった・・・(;´Д`)
来客があっても続けちゃう二人にワロタ
そして開き直りマスターと無邪気なクリスに萌え
この後メグにも幸せになって欲しいな〜、と遠まわしにリクエストしてみるテスト

>>67
おまいは一生ロムってろ
81名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 00:16:13 ID:oPHENKlM
うはー堪能いたしましたハァハァ
>片手を額に当てた  自分もツボりました。細やかな描写に果てしないエロを感じる
またご馳走してください天使様

昨日スレ一周年だったんだな、二年目もさらに賑わいますように
82名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 00:20:30 ID:M6KbAUwI
>>81 そうか一周年か…早いなぁ…♪
     2年目もこの素晴らしいスレでたくさんいいSSが読めますように…
     いいSSが書けますように…
     
83名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 00:30:55 ID:zEtZgYVo
>>82
女々しさ全開なSS書きそうだな、キモッ
84名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 00:47:04 ID:M6KbAUwI
女々しいSSなんかかけねーよw
85名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 00:47:05 ID:UnqZqU32
>72
堪能いたしました。読んでいる時の顔は、誰にも見せられません。
にやつきっぱなし…
>気がふれたのかとさえ思ったものだけど
ここの部分すごく好きです。メグ可愛い。

小ネタが書きあがったので投下致します
1.エロ、ギャグなし
2.ファントム×クリスティーヌ
3.二人は普通に恋人同士

花のない仕上がりになってますが、よければ読んで下さい
86名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 00:49:03 ID:M6KbAUwI
キタ!!!!
87サモワール1:2006/02/04(土) 00:53:46 ID:UnqZqU32
口論のきっかけは、もう思い出せないくらい些細な出来事だった。
昼夜の区別もないような地下での昼下がり。
小競り合いのような言葉の応酬を2、3度した後、拗ねてしまったクリスティーヌが小さく呟く。
「お父さまなら、そんなこと仰らなかったわ…」
それを聞き逃すファントムではない。
彼の仮面に隠されていない方の眉が持ち上がる。

クリスティーヌが亡き父をどれほど慕っているかは、ファントムが一番よく知っていた。
ヴァイオリン弾きの彼女の父親は、クリスティーヌの記憶の中で完璧に優しく、美しいままに生き続けている。
そんな男と比べられてはたまらない、勝てるわけがないと心の中で歯噛みする。
自分に背を向けて、ソファーの上で膝を抱えているクリスティーヌを見ていると、その昔蝋燭の前で小さな手を合わせ、ひたむきに祈り続けていたこどもの姿がありありと思い浮かぶ。
―お父さまに会いたい。天使はいつ来てくれるの?
化け物と人に呼ばれ続けた自分ですら、心を動かされずにはいられない光景だった。

そうだ。
ファントムの頭に一つの考えが閃く。
欠けているものが何一つないと、クリスティーヌが信じている父親。
だが彼は、ひどい嘘を彼女についたではないか。
疑うことを知らないこどもの人生を狂わせるような重大な嘘を。
ファントムは内心の興奮を押さえ、努めて冷静に彼女に告げた。
88サモワール2:2006/02/04(土) 00:55:23 ID:UnqZqU32
「勿論、そうだろうね。だがお前が今、そんな顔でこの薄暗い地下で膝を抱えているのは、父上の嘘も原因の一つなのだという事を忘れないように」
「お父さまは嘘なんてつきませんわ!マスター」
思った通りクリスティーヌは瞬時に振り向き、そう噛み付いてくる。
ファントムは胸の内でほくそ笑みながら、肩を竦める。
「音楽の天使を送るなどと言ったではないか」
クリスティーヌははじかれたようにソファーから立ち上がり、我慢ならないというようにファントムと向かい合う。
「さっぱりわかりませんわ…一体…」
怒りに白い肌を生え際まで真っ赤にさせながら、彼女は言い切る。
「一体その話のどこが嘘だとおっしゃるの?!」

ファントムは最初その言葉の意味を理解できなかったし、クリスティーヌはそんな彼の表情を見たあとで、眉根を寄せて考え込むような顔になる。
血が昇りすぎてぼんやりとした頭で、今の自分の言葉は、油断のならない喧嘩相手にぶつけるにしては、あまりにも無防備だったのではないかと彼女は考えた。
二人の間に、これから華々しく打ち上げられる筈だった花火が不発に終わったような空気が漂う。

「お茶にしないか?クリスティーヌ…お前さえよければだが」
どこか呆けたようなファントムの声が地下に響き、クリスティーヌもふうと息を吐き全身の緊張をとく。
「…そうしましょう、マスター…私、何だかとても喉が渇きましたわ」

こうして唐突に始まった痴話喧嘩は、また唐突に幕を閉じる。
クリスティーヌは自分がしたヘマに、ファントムが意地悪く絡んだりしなかった事に感謝していた。なんと言っても、その言葉は自分の真心そのものだったから。
けれど、気恥ずかしさから、いつものようにお喋りをする気分ではなかった。
ファントムはといえば、紅い顔をした恋人に「あなたは天使です」などと言われて喧嘩の続きを出来る者がいるのなら、お目にかかりたいと考えていた。
それぞれの思惑に沈みながらも二人は、珍しくもないサモワールがお湯を沸かす様子をさも気がかりだと言わんばかりにして見守っていた。
幸せだった。

おわり
89名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 00:56:41 ID:UnqZqU32
以上です。

このスレの末永い繁栄を祈っております。
90名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 02:14:01 ID:zEtZgYVo
>>89天使様、GJ!!!
「夫婦喧嘩は犬も食わない」的な甘酸っぱさがたまりません…!
読み終わった後こちらが照れ臭くなりましたw
幸せな二人を本当にありがとう。

>>86
降臨中に割り込むなよ…
おまけにキターとか使っちゃって痛々しい
無理に2ちゃん慣れ演出しなくてもいいのに(プ
91名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 03:38:34 ID:ILmBdC+W
>89さま GJです!
仕事中なんですが、ニヤけてしまって不審がられてます…。
取り急ぎお礼を申し上げて、仕事に戻ります。
また降臨してくださいませ。
92名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 10:58:21 ID:iI1tTny2
>89
和む〜。
サモワールが分からなくぐぐってしまったw
ロシア式の湯沸かし器なんですね。
それをじっと見つめる二人の間にはあったかい時間が流れてるんだろうなあ。
と、にやにやしてしまうw
>91
仕事中にこのスレを覗くとは度胸がありますな!
涙堪えたり笑うの堪えたり大変だろうにw

93名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 15:15:12 ID:oPHENKlM
>89
拗ねるクリスと、うまいこと宥めるマスターはここでしか見られませんな、GJ!
クリスのファザコンぶりは本編のマスターもよく知ってると思うが、
ぜひ今度はマスターのロリコンぶりに言及を…

ここだけはマッタリしようよ本スレの殺伐とした雰囲気には悲しくなってくるし。
ここに逃げてきてるのは自分だけではないはず。
投下中の横レスも、職人さんが「支援お願い」といったらするようにしよう
94名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 18:02:09 ID:cQ9ZHsy0
>89 
GJ!!
ソファーの上で膝を抱えているクリスティーヌ…って…かわい…
幸せだった…ってマスター幸せだなwwよかったよかったW
これからも頼みますぜ!!
>90 
おまいさんおまいさん。何も>>82にそんな事いうことないんジャマイカ…??
82だってこのスレの繁栄を願っただけなんだから…とかエラそーにいってスマンネ
まぁ確かに>>86の割り込みも悪いと思うが…
>93 
せっかくマッタリっていってくれたのこんなレスでスマン
マスターのロリコンぶりって…W
95名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 20:02:02 ID:aOYaLIUU
>89この人は物語をかこうとしてるんだよな…。
いや、すばらしいんだけどね。
脱帽。いいもん読んだ。ありがとう
96名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 20:31:06 ID:7x1zXWgG
72です。コメントありがとうございました。

>>77 
>何処かで読んだことあるような
前スレでも投下してるのでそれかな。
ひょっとして、の先が気になりますw
97名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 21:34:19 ID:LDP60PYK
文学の天使様?

クリスティーヌにはラウルではなく、
マスターを選んで欲しかったという、
私の願いをここは叶えてくれる。

天使様ありがとう。
98名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 11:57:56 ID:PxLmZ1fu
妙に温厚なファントム、悪党のラウルってのも
エロパロならアリだから別にいいと思うよ
でもさ 本スレ批判はどうなんだろ
絶倫バトファントム話は そりゃ面白いが
向こうにここの宣伝しに行くのはやめた方がいいんジャマイカ
99名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 12:07:13 ID:UkEbMa1F
>>98
待て
本スレ荒らしているのはここの住人ってこと?
100名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 14:37:45 ID:KmB7g/a9
本スレのタイトルって何ていうやつだ?
こんな事きいたりしてスマソJJ
101名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 15:16:42 ID:YqKGZsc9
>>99
そう慌てないで、>>98は、

本スレのことをここでグチるのをどうか、と
本スレにここの宣伝をしに行くのはやめた方がいい

の2点しか言っていないような気がする。
確かに同意だよ、ここは年齢制限がある板だからな。

ここの宣伝はここを荒らそうって意図があるものなのか?
それとも本スレを荒らしているのか、よく分からない。
102名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 17:27:34 ID:LMv4dXFH
本スレみてきたがごめん何の事だかわからない…確かに荒れまくってるな
ここの宣伝した人って最近いるのか?だいぶ前にはいたみたいだけど。
本当ここと嫌スレだけが心のオアシス、今夜は天使様の御降臨はあるんかな
103名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 17:38:41 ID:oV5AEI7/
本スレにはもうまともな奴はいないのかと思ったら、みんな他スレに避難していたのねw
さっきもミステリー板で避難民に遭遇したよ。
天使様、どうか迷えるオペラ座ファンの前に降臨して下さい。
104名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 17:41:55 ID:ka0oRAvV
男はだまってwktk汁!!
ということでwktk再開↓↓↓
105名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 22:50:14 ID:i561fqWv
寸止めでもよければ投下可能なわけだが
106104:2006/02/05(日) 22:52:08 ID:zNb24mhx
たのんます!!ずっと張り付いてた甲斐があった!よろしく!!!!
107104:2006/02/05(日) 22:55:11 ID:zNb24mhx
…とかいっときながら…風呂はいらなきゃ…OTL
108初夜編:2006/02/05(日) 23:53:58 ID:i561fqWv
寸止め投下します。

*ファントム×クリス
*初めて地下へ行くところからの話

木登り編の前夜の設定。
109初夜編:2006/02/05(日) 23:54:44 ID:i561fqWv
その日、もしクリスティーヌに少しでも怯えるそぶりがあったなら、
彼女を地下へ連れてくるつもりはなかった。
しかし、その小さな白い手は私が差し出した手を取ったのだ。
穢れのない澄んだ瞳に怯えの影はなく、むしろ長いこと歌を教えてきた私に対する
憧れさえ感じられた。

一歩一歩進むたびに揺れる柔らかな巻き毛。
化粧着からのぞく、もう子供のものではない白い肌。
その薔薇色の唇からは、歌以外のどんな言葉が聞けるのだろう…。

蝋燭の灯る地下の家に初めて足を踏み入れた私の天使。
私の歌声に耳を傾け、私の腕に包みこまれる可憐なクリスティーヌ。
おまえは私の腕の中にいることを嫌がりも逃げ出しもしない。
革手袋をした手を下ろして細い腰をとらえ、掌でその身体を撫で上げた。
彼女がうっとりと身体を預けてくる。
すべては夜の音楽の魔力か?
この歌を歌い終えたとき、おまえはどんな目で私を見るのだろう?
怯えた小鳥のように私の腕から逃げ出すのだろうか?
この地下の闇から日の光の下へと飛び去ってしまうのだろうか?

歌が終わるとともに、柔らかな頬に両手をそえ、その瞳を覗き込む。
夢見るようなおまえの眼差しの中に、私への嫌悪も恐れもないことを確かめてから
可憐な唇にそっと唇を重ねた。
幼い頃から私の為に歌を奏でていたその唇の、なんという柔らかさ、甘さ。
瞳を閉じて私の腕に身を任せる私だけの天使……。

その果実のような唇から離れがたい思いで離れ、無垢な瞳を見つめる。
たおやかな身体を抱きしめ、その唇を見つめ、たまらずもう一度口づける。
抵抗することに気づきもしないように、私に身を預けているクリスティーヌが愛しい。
と同時に、腕の内にある彼女の存在が私の欲望に火をつける。
このまま、彼女の全てを私だけのものにしてしまいたい……。

私はもうクリスティーヌを手放したくなかった。
歌のつながりだけでは足りない、彼女のすべてを知りたい。
彼女に私を受け入れて欲しい。
その身体に私の印を刻みたいのだ。
110初夜編:2006/02/05(日) 23:55:41 ID:i561fqWv
乱暴にしてはいけないとわかっていても、彼女を抱く腕に力が入ってしまう。
自分を包む腕のしめつけが強くなり、クリスティーヌが頼りなげな瞳で私を見上げた。
ああ、その瞳――。
私への好意と憧れと、そしてなんのためらいもなく身を任せていた師の腕の中で、
ふと感じた不安、少しの怯え――、それらがないまぜになった可憐な瞳。

その瞳を見た瞬間、私は決心した。
今ここでクリスティーヌを奪う。
ためらいも抵抗も受け入れず、彼女の官能の扉を開かせよう。
無垢の蕾には酷かもしれないが、私がクリスティーヌを手に入れられるとすれば
おそらくこれが最初で最後の機会――。

腕の中にある彼女の瞳を見つめ、白い額と柔らかな巻き毛を愛しむように撫でる。
「マスター……」
私の呼び名を小さくつぶやき、心地良さそうに瞳を閉じるクリスティーヌ。
その唇にもう一度口づけし、両腕で彼女を抱き上げた。
クリスティーヌが驚いたように目を見開く。
高い位置に抱き上げられ、落ちまいと私の胸に身を寄せる彼女が愛しい。
まるで疑うことを知らず、私のそばにいれば安心だとでも思っているかのようだ。
階段を上がって寝室へ連れて行き、ベッドの上に彼女を下ろしても
クリスティーヌはまだ私の意図が読めずにいるらしかった。

愛しいクリスティーヌ。
師である私がおまえに何をしようとしているか、おまえは何も知らないのだね――。
これから陵辱されることになるベッドの上で私を見上げるクリスティーヌはただ愛らしく、
枕元のオルゴールに目をとめて、その細工を面白そうに眺めている様子は無邪気そのものだ。
そんな姿を目の当たりにすると、己の考えに罪悪感すら感じる。
テイルコートを脱ぐ私に気づき、少し不安そうな表情を見せたクリスティーヌだったが、
私がベッドの彼女の隣に腰掛けると小さく微笑んだ。
その微笑に胸が痛む。
おまえへの深い愛情からとはいえ、私はおまえの信頼を裏切るのだから――。

「マスター、…どうして怖いお顔をなさっているの……?」
「クリスティーヌ……私を許しておくれ……」
「……マスター…?」
私を見つめたまま、彼女は何のことかわからないといった風に少し首を傾げる。
抱き下ろした時に乱れたのだろう、座っている彼女の化粧着の裾からは、
ストッキングのガーターと柔肌が見えていた。
111初夜編:2006/02/05(日) 23:57:08 ID:i561fqWv
手荒なことはしたくなかった。
結果的に彼女を傷つけてしまうことに変わりはなくとも、今宵一夜、
クリスティーヌのすべてを愛しんでやりたかった。
未知の世界への扉を開き、私の手で悦びを教えたい……。
たとえおまえが私を厭い、私の元から去ってしまうことになろうとも
今夜のことを悪夢のような思い出にはさせたくはない……。
長く師であった私を、甘やかな官能の記憶と共に、いつまでも覚えていて欲しい。
それは無理な願いだろうか。

手を伸ばし、クリスティーヌを優しく抱き寄せてその頬に触れた。
先ほど交わしたキスのように、そっと唇を重ねる。
柔らかな頬、すべらかな肌、うっとりと瞳を閉じる彼女にはなんの警戒心もない。

彼女を自分のものにしてしまう前に、私は思いを告げるべきなのだろうか。
彼女に愛を告げ……、そして?
それでどうなる?
彼女が私を拒否をしたところで何も変わりはしない。
私はクリスティーヌを奪う。
彼女が私に好意を寄せてくれていたところで、同じことだ。
クリスティーヌから私に、その純潔を差し出すことなどあるはずもない。
やはり私は彼女を奪う。

そっと唇を離すと、彼女が長い睫を上げて私を見つめ返してくる。
「クリスティーヌ……」
彼女の名を呼んで再び口づけた。
おまえを奪わずにいられない私を許しておくれ。
そっと果実のような唇を割り、舌を触れさせる。
少しずつ情熱をこめる私に、ただうっとりと身を任せているクリスティーヌ。

彼女の舌を探り、絡めていく。
クリスティーヌの吐息が甘さを帯びてくる。
腰に回した手で彼女の身体を熱く撫で、もう一方の手で彼女の顎を上げさせる。
いつしか口づけは激しいものへとなっていく。
甘い吐息とともにクリスティーヌの胸が上下し、その小さな手が私のシャツをつかむ。
彼女の中で、何かが溶け出していた……。
112初夜編:2006/02/06(月) 00:04:25 ID:o1GyHPx1
背中から腰へと優美な曲線を描く彼女の身体は思いのほか柔らかく、その手触りが私を高ぶらせた。
その身体を抱きしめ、柔らかな巻き毛に顔を埋め、蕩けるようなキスを繰り返す。
「クリスティーヌ……」
ゆるやかにベッドに横たわらせ、言葉もなくその瞳を見つめた。
潤んだ瞳が、戸惑ったような眼差しを向けてくる。
「クリスティーヌ……」
白い手を取り、指に口づけし、もう一方の手でその頬を撫でた。
片足で彼女の膝を割り、そのまま覆いかぶさって彼女に口づけながら、頬を撫でた手を下げて化粧着
のリボンを解く。

クリスティーヌが化粧着の前が開かれたことに気がついたのは、私がその胸元に触れてからだった。
「あ…! 何を…マスター…、いや……」
抗う言葉を口にし、私を押しとどめようとするが、その力は弱くわずかに私の胸を押すだけだ。
「クリスティーヌ……ただおまえに触れていたいだけだ……。乱暴なことはしない」
胸から肩にかけて、肌理の細かい肌を革手袋のまま撫でながらその耳元に囁く。
「ああ……」
クリスティーヌがうっとりと瞳を閉じ、顔を背けた。

その言葉は嘘だった。
おまえが抵抗しても、私は無理矢理その身体を開かせるだろう。

襟足の髪をかき上げて耳の後ろに口づけ、コルセットの上からその胸に触れる。
下から持ち上げ、ゆっくりと掴むようにその柔らかさを確かめる。
「あ……」
かすかな吐息とともにクリスティーヌが両肩を上げて身を捩った。
その胸は信じられないほどに柔らかく、愛らしい唇から小さくもれる吐息が私を煽る。
彼女の首が左右にゆったりと振られ、白いうなじが目を射る。
ほのかに甘い肌の香りが立ち上り、そのたおやかな体が、私の下で艶かしくくねった。
ああ、身につけたものを全て剥ぎ取って抱きしめ、今すぐ私のものにしてしまいたい。
113初夜編:2006/02/06(月) 00:09:52 ID:o1GyHPx1
しなやかな両脚が、私の脚を挟んだまま捩りあわされる。
スリットが割れ、美しい脚が付け根までなまめかしく露出する。
腿の外側から膝の内側へと手をすべらせ、そのまま内腿を脚の付け根まで撫で上げた。
「あ! ……いや!」
指先で秘めやかな部分をかすめるように触れ、そのまま腰へ、尻へと愛撫する。
彼女の息遣いが淫らな響きを含みはじめた。

クリスティーヌは瞳を閉じて、身体中を愛撫される心地よさに身を任せている。
乱れた着衣のまま、その身をくねらせるさまがたまらなく艶かしい。
再び彼女の脚に手を這わせた。
足の付け根までゆっくりと撫で上げ、下着の中心部分に触れながら腰へと撫でる。
「あああ…!」
クリスティーヌの身体がびくんと反応する。
「…クリスティーヌ…」
「ああ……マスター、マスター……私…」
「わかっている…クリスティーヌ……私に任せて……」

(続く)
114初夜編:2006/02/06(月) 00:10:40 ID:o1GyHPx1
以上。
読んでくださった方ありがとうございました。
115名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 00:17:58 ID:9QGg6c+A
うおぅ…まさに寸止め!
>>114天使様GJです!!

……今日は眠れんorz
116名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 00:25:25 ID:i0MYxr0v
ちょ…!!!
寸止め中の寸止め、正にベスト・オブ・寸止め……!!!!!
天使様、どうか続きをお待ち申し上げております…(*´o`)ハァハァ

しかし、最近では寸止めが快感になりつつあるオイラ。
117名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 00:26:35 ID:i0MYxr0v
あああ、すみません次から気を付けます…_| ̄|○
118名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 00:42:57 ID:LqYKWPzG
>114さま GJです!
寸止め…後の対処が大変だとわかっていても読んじゃいました。
次の投下を悶絶しながら待つ日々も、
一種の楽しみになってきました!
続編楽しみにしてま〜す。
119名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 00:43:01 ID:u1Xg0E4F
>>114 これまたエロいなぁwwwうはW
      続きがたのしみw
      とにかくおつかれさんです!!GJ!!!


「ああ……マスター、マスター……私…」
「わかっている…クリスティーヌ……私に任せて……」
 って・・・( ̄ー ̄)ニヤリ・・・
120名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 00:50:58 ID:Q6NhxsSp
>>114
GJGJGJ!!!
ファントムの心情が細かくて、クリスが可憐だ!
この後も細かくおながいします。
121名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 02:18:22 ID:6mVu/TVU
>114
GJ! GJ! GJ!
ファントムの独白部分がたまらなくエロいですね!
師に抱かれて安心しきっているクリスの可憐な様子が手に取るよう。
甘々な初夜の続きを楽しみにしています。
122名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 15:55:05 ID:XnVUSnDK
もう駄目だ…寸止めが快感となった我が体、もはやこの運命には逆らえぬ
もっと焦らしておくれ>114天使様

もうひとつのスレの方、誘導レスがついたな。
もしかして削除依頼を出してもらえるので?
大変面倒と思いますがよろしく
123名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 20:04:09 ID:ZeDzSPos
ブラックジャック見てて思ったんだけど、
なんかマスターとブラックジャックって(あくまで個人的ですが…)かぶる…。
あの暗い感じとか口調とか黒い服ばっか着てるとことか…ハイ、スレヨゴシスイマセンJJ
124名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 20:32:43 ID:nsf4uh9K
マスターは意外に赤いのとか着るよ
125名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 20:35:34 ID:ZeDzSPos
>>124 まぁそうなんですがねぇ…赤いのってWW
126名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 20:43:27 ID:4Rq8RhaP
>124
赤と聞いて褌しか思い浮かばなかったぞ。
127名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 20:46:40 ID:ZeDzSPos
>>126 ゴメン…聞いての後の漢字がよめない…
128名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 20:48:00 ID:4x78Nely
ふんどしだね
129名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 20:51:24 ID:ZeDzSPos
あぁ〜なるほど!ふんどしねぇ…ってどんなマスターだよWWW
想像してみると……やばいww
130名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 21:13:39 ID:LUtmL780
マスターはけっこういけるんジャマイカ

後ろはTバックだな
131名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 21:20:07 ID:dQ76vatI
>>130 ぜひそれで新しいタイプのSS頼む!!
   そういえば結構未完結のSSあったよね…
132名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 22:08:11 ID:LqYKWPzG
赤フン・Tバックで太鼓を叩く
ムチ(尻)・モコ(…)マスターを想像した!
叩くのはクリスティーヌの…?!
133名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 22:17:37 ID:dQ76vatI
おちりかな…??
ってか地下でクリスがお仕置きされるSSまたヨミタイ!!
もっとすごいのとか…フフフW
134:2006/02/06(月) 23:20:09 ID:6mVu/TVU
とりあえず書いてみました。
エロ無しギャグ1レスのみ。


「これをどうしろと言うのだ…。」
地下の館の主、ファントムは思案に暮れていた。
『これ、ジャポンの衣装なのですって! 最近の流行なのよ?』
と彼の愛しいエンジェルがプレゼントしてきたのだ。
こんな不思議なものを身につけるわけには行かない。だがしかし、愛しい女性からのプレゼントを無碍にするわけにも行かない。
「本当に、コレをどうしろと…」
長方形の布と紐しかない全体像。どちらをどう前にするかもよくわからない。
「…よし」
ついにファントムは決断した。ちょっと付けてみて感想を言えばクリスティーヌも納得するだろう。
とりあえず全裸でエプロンのようにソレを当ててみる。
「…何かが違う気がする」
どうも収まりが悪い。というよりも収納されていない。
「ひょっとして、こうか?」
布部分を後ろに回し、股の間からくぐらせ、腹の結び目の部分に挟み込む。
「これは…!」
彼、ファントムは密かに興奮していた。
今までの下着とは違う密着感。そしてこの収まりのよさと爽快感。
「…いいかもしれん」
少々尻の間に挟まりこむのが気になるが、ナニの収まりのよさに比べたらそんなものは目ではない。
「おぅ、クリスティーヌ…」
最近年のせいか元気がないように思えていた私を気遣ってのことなのか。ファントムは愛弟子の心遣いにひっそりと涙した。


「ねえ、クリスティーヌ。あなたの天使様にはなにをあげたの?」
 レッスンの合間に、この間ジャポニスムな衣装をあげると言っていたクリスティーヌに、メグが訊いた。
「お店に行っても高いものばっかりだったから、わたしのお小遣いでも買えるものを差し上げたわ。
布と紐だけでできた不思議なものだったけど、赤くてなんだか可愛らしかったから」
そう言ってメグと笑いあうクリスティーヌの言葉を、ファントムは知る由もなかった」
135名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 23:32:43 ID:x3N8bzqA
>>114エンジェル
うはwwwwww寸止めwwwwww
何度も繰り返される独白に表れるマスターの強い意志がド迫力です
クリスも初夜のくせしてえらく色っぺえ
続きが待ちきれなくて堪らないです・・・!

と、書き込もうとしたら
>>134
ぶほっ!!!ワロタGJ
ジャポンの伝統、万歳☆
136名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 23:46:18 ID:1nwCIy94
>>134
GJ!
さすがジーニアスファントム!
完璧な使用法に自分で辿り着くとはw
137名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 23:49:27 ID:sEMWP9QZ
>>134
GJ!
ク、クリス、何故買う前に一言マダムに相談しなかったんだぁ〜ww
 
138名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 00:17:43 ID:gFk9d+0d
>「…いいかもしれん」

ここ好きだなぁ なんか普通の人っぽいもん
ほのぼのギャグ待ってるよぉ〜 短も長もおK
ところで>137… マダムなんて返事するんだろうね 想像しよっと
139名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 08:20:26 ID:nWckWIio
>134
全裸エプロンの時点で、紐部分を首に掛けてる状態を想像したw
140名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 09:17:47 ID:yBcxgccC
>134
>最近年のせいか元気がないように思えていた私を気遣ってのことなのか
どこの元気だよw
などとお下品なことを考えてしまいました。

今度はファントムの方から着物と帯をプレゼントしたらどうだろう。
帯をくるくると解いて欲しいw
「おやめ下さい、おやめ下さいマスター」なんて言っちゃうクリスティーヌとか。
あーでも地下でそんなことやってたら、蝋燭倒して火事だな。
141名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 10:06:12 ID:WcAsWxWD
>137 事後相談。
で東洋の習慣に詳しく、何もかも承知のマダムがにやりと
「よくやりましたね、あの方もお喜びよ…」

褌売ってた店は、紐の天使さまの
紐パン売ってたのと同じ店なのか…?
142名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 13:39:50 ID:YZS8AX/Q
あの時代の 男女の下着ってどういうの?
143名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 15:28:25 ID:jV1GN2A4
男はワイシャツの長い部分を股に挟んで下着にしてたらしい。
ttp://www.tailor-kasukabe.com/coordinate/11_shirts.html
ttp://www.geocities.co.jp/Milkyway-Vega/8361/zasugaku/yshathu.html
(というか当時、シャツは「下着」だったようで、ワイシャツ姿で歩き回るのははしたない事だったそうな)

女性はおそらくノーパン。
ハイカラで活動的な女性ならズロース(ドロワーズ)なんか履いていたかも。
ttp://ok.halhal.net/~senichi/seniti/night/17night.html
144名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 16:46:26 ID:0i+KncV+
>当時、シャツは「下着」だったようで、
ちょwww
下着でソードファイトとか
下着で裏切らないでくれとか
下着でクリスティーヌアイラービューとかwww
クリス船の上での体育座りもマズいなw
145名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 19:48:45 ID:g9CFZ0Jg
ほ〜〜w
じゃ マスターもシャツがはさまってるのね。
146名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 20:42:42 ID:gFk9d+0d
ほおお〜 その2
てことはマスターも負けてないな さすがに
下着でシャンデリアに細工して
下着でパンジャブって
下着で「Make your choice!」かぁ
・・・なんか緊張感無いが それもオペラ座なんだな
147名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 20:47:05 ID:gFk9d+0d
くだらない事で連投スマン
つまりさ シャツで歩き回るのは
オヤジがステテコ姿でお客さんに「よぉ いらっしゃい」状態に近い?
148名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 22:02:12 ID:DXS3MP37
>>147
当時スーツ着てるのはある程度上流社会だから、
エリートサラリーマンが、上着着てないどころか
ネクタイも締めずシャツのボタンも留めず、
おまけにシャツの裾が仕舞われてない、に近い気が。
149名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 22:06:37 ID:y+/D/DCc
いやいやマスターのはあの時代の一種の「見せる下着」じゃね?
とフォローしつつ
あのズボンの下はボタンで前後を留めちゃってるのかと思うとまた笑いが……
150名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 22:08:02 ID:sAfA9isF
>>149 はははWW
151名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 22:09:45 ID:6YqBg5HE
>147
ちょwww
頭の中でカトちゃんがうちわ持って出てきたんですけどwww
152名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 22:12:24 ID:sAfA9isF
>>151 そのカトちゃんの顔を…フフフ

ってか賑わってきたなぁ*.。*。・..**。・・*。
153名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 22:31:02 ID:lT7q590G
SSより褌ネタで盛り上がるこのスレ…。

154名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 22:32:42 ID:sAfA9isF
今晩は天使様来ないのかぁ??
155名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 22:43:16 ID:KwSAsfpT
ここはギャグの天使様のほうが需要がありそうだな。
156名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 22:50:49 ID:syFAwyEx
いやあもちろんエロエロも欲しいすよ
157名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 23:04:36 ID:2Ax2AjdE
どっちも大好物ですよ。
158名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 23:28:56 ID:9f3O3WUd
おらもどっちも好きだけど、どっちかっていうと…
激しくエロエロで切なくてエロエロでハァハァなのキボン
159名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 00:08:05 ID:l0Xnu+Vg
>>133
褌の最中、亀ですまぬ
地下でお仕置きのssって多分自分のだと思うのだが、覚えててくれてどうもな。
いまあの続き書いてます
来週中には投下したいと思うのだが・・・
その後、多分もう1話あって、お仕置きは終了の予定
160133:2006/02/08(水) 00:37:13 ID:p4uoGHam
>>159
期待wktkして待ってます。体に気をつけてください…
お仕置き…ニヤリ
161名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 09:32:20 ID:uknQYgm5
>159
   ∩
( ゚∀゚)彡 おしおき!おしおき!
 ⊂彡
162褌拡大:2006/02/08(水) 10:20:57 ID:lgA2cMZD
エロエロは尻エンジェルにお任せして、エロ無し小ネタを。
>134エンジェル、勝手に続けて申し訳ないです。

「クリスティーヌ!今マダムに聞いたんだけど、
君、あいつにし、し、下着をプレゼントしたって…!」
「あいつ…あ、天使さまね。ええ、下着だって知らなかったの。
吃驚したけど、とっても喜んで下さってよかったわ。。
安定感がどうとかおっしゃってたから…つけてるときっと心が落ち着くのね」
「…安定感?」
「すごいわね、魔法みたいね、東洋の下着って。
でね、そんなにイイならあなたにもと思って
買いに行ったんだけど、色違いしかなくて」
「え?僕に?」
「はい。白だったからちょっと寂しい気がしたの。だから刺繍してみたわ」
「うわぁ…ピンクの、小花…青い、鳥?」
「鳥の銜えてるリボンは、あなたのイニシャルになってるの」
「ええと、クリスティーヌ、ありがとう。その、でも、だけど…これ、どう使うのか分からな…」
「そうよね、紐と布ですもの。そう思って、マスターをお呼びしておいたわ」
「は?」
「マスターはどう使うかご存知だったの。さすがマスター、ジーニアスよね!
もうそろそろおいでになるわ…マスター、マスター!」
「ク、クリスティーヌ…あんまり叩くと鏡が壊れるよ…」
「どうしたクリスティー…!シャニュイ?!」
「ね、マスター。先日お贈りした下着、今日着けていらっしゃる?」
「あ、ああ。しかしそれが…」
「よかった!ラウルに使い方を教えてくださる?」
「何?!」
「ちょっと、クリスティーヌ!」
「マスター、お願いしますわ。ラウルもしっかり教えて頂いてね。
じゃ私、外に出ていますから、終わったら声を掛けて下さいね」

ドアは無常に閉まり、狭い部屋には見詰め合う男2人が取り残される。
愛しい天使の言葉に逆らう術を持たない男2人が。
163名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 11:49:55 ID:6snZMBY0
しまった、仕事中にコソーリ見るんじゃなかった…
ようやく収まったが、しばらく窒息するかと思った。ぴくぴくしちゃったよ。
エロエロも良いがここの天使様達のギャグのセンスも素晴らしい。GJ!
164名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 15:03:24 ID:QuYdPYjO
「あ、ああ。しかしそれが…」

の それが・・・の後の言葉やいかにw
165名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 15:07:52 ID:GEAcHrDW
ジーニアスワロタw
166名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 15:55:59 ID:3HhCQqgF
今、倖田來未&石井竜也の新曲が流れているのですが、
歌詞がここの天使様のお話に激似でした。
そしてリクエストしたは、「××の職人」と名乗っていました。
天使さまだったのか激しく気になって
車を止めて書き込みしてます
167166:2006/02/08(水) 16:12:08 ID:3HhCQqgF
×「したは」
○「した人は」
お許しを…
168名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 16:36:10 ID:9JQs6SiG
>>166 どんな歌詞?
まさか褌がらみじゃあるまいなw
169名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 19:20:10 ID:WQ2Yv+qy
検索してみた
KAMENって…wwwwwwww
どんな歌詞なのか知りたい〜
170166:2006/02/08(水) 19:44:09 ID:3HhCQqgF
記憶力ないので間違ってたらすみません
キスをするのに仮面は邪魔 だとか
大きい手に触れられると とか
もっとあるのに出てきません…
聞くと明らかにオペラ座チック!
それとも、脳内変換し過ぎでしょうか?
171名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 19:53:35 ID:j/LDO2Bl
ここ見てんじゃね?
エイ○ックス得意の パ○り?
なんだかっていう猫も2chからパ○ったし。
エイべッ○クスって 2chネラダラケ?
172名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 19:57:45 ID:t9UvpX6r
>>171
それがエ○ベックスクオリティ
…二つ目、○が一個多いでつ。
173名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 20:30:05 ID:3HhCQqgF
普通に なるほど〜 と
納得してしまいました
流石は大手某所ですな
174名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 21:15:54 ID:rHydMq1W
秋篠宮サマの学習院時代の褌姿をニュース映像で見てしまった
ウホッ
(学習院では今でも水泳授業は褌でするらしいな)
175名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 21:29:18 ID:KMsO0hYE
石井竜也はジャパン・プレミア試写会に出てたっけ

>ゲストには(日本のファントム)との異名を持つ石井竜也さんが登場。
>ご自身も『オペラ座の怪人』ファンだという石井さんは……

ところでこんな「異名」誰かが言ってたんだろうか
聞いた事無いが 
次作は「DEKO」だってさ  あ、いや嘘です
176名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 02:41:48 ID:dumkA1JJ
赤い死の衣装の下は、クリスからもらった赤褌だったのかもな…
あのズボンピチピチだから、下着が褌ならすっきり着こなせるんジャマイカ、とオモタ   
177114:2006/02/09(木) 02:51:25 ID:bjyVIJAH
遅くなりましたがレスありがとうございました。
続き&別モノも書いてるのでいずれ投下します。

>141
紐、覚えてくれていてありがとう。
178名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 10:08:59 ID:7fa0cN7Z
おお!それは楽しみだ!
ギャグも良いがエロエロでハァハァを禿げしくキボン
179名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 10:34:50 ID:VKJf7ATW
褌とkamenの話が混在しているw
>177 or2
180名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 22:35:57 ID:0eBL4Kdn
kamenの書き込みした者です
また褌の腰を折ってしまうのですが…
気になってCD借りてみました
「許されない恋人たちの大人のための
究極のラブソング」なんだそうです
作詞作曲どちらも石○竜也でした
歌詞は書き込んだらまずいですよね…
181名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 22:52:30 ID:d4eaxRT8
まずいというか歌詞そのままはやっちゃいかんだろ。

だいたいの意訳というかこんなかんじの内容の歌ですって
紹介する感じな感じならいいけど。

例)
彼女には相思相愛の婚約者がいるけど
夜の湖にデートに連れ出してしまうムーディなくせに強引なかんじのセクシーソング!

みたいな感じで。
182180:2006/02/09(木) 23:51:05 ID:Qb78lL0a
そうですよね まんまは駄目ですよね…、反省
183:2006/02/10(金) 14:26:02 ID:YRutd8oC
返事遅くなってすいません。これだけ受けると書いてよかったと思います(笑)

>140
いいんですよ、そこの元気で…(笑)

>162
続きありがとうございます。
自分のがパロられるっていいですね(笑)
184名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 22:47:01 ID:mO80hygU
昨日も今日も天使様あらわれずか。
さみしいのう…
185名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 23:38:00 ID:VZTGzXjP
天使様、いらして下さい。
186名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 23:50:49 ID:n1YoVbhn
今ココ何人ぐらいいる?
なんか最近…ねぇ…ショボーン
187名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 01:36:05 ID:KMA+w8HO
過去スレ読んで楽しんでますノシ
寒い日はラブラブな二人がいいですね…(´∀`)

ところで此方以外にミューのエロパロってありませんか?
式や他の舞台のエロパロも読みたいな…と。
ご存知の天使様、もしいらっしゃったらお導き下さい…。
188名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 02:00:16 ID:ism2b5Z/
ラブラブじゃ全然ないです

ラウル×クリス(←ファントム)
エロ有り・笛有り…というよりエロ部分ほぼ全部笛。
クリスは既にマスタに調教ずm(ry
皆嫌な人になってます。クリスは頭弱いかもだ。ゴメン。
1891/7:2006/02/11(土) 02:00:59 ID:ism2b5Z/
「クリスティーヌ!」
ラウルはノックとほとんど同時に、楽屋の扉を開いた。
幼馴染の少女が…いや、一昨日の夜このオペラ座の屋上で愛を告げ、
舞台を終えた後に愛を確かめ合った恋人が、待っていてくれるはずだった。
昨日は予定があったので花を贈るだけに留めたが、
今日こそは以前すっぽかされた食事に誘うのだ。
期待に満ちて部屋の中を覗き込んだラウルの目に、闇が凝ったような姿が映った。
「!」
愛しい彼女がいるはずの場所…鏡台の前の椅子に
黒ずくめの男が腰掛けていた。
こちらを見つめる目は冷たく、顔の半面は白い仮面に覆われている。

「お前は…!」
言葉を失うラウルに、男は大楊に頷いた。
「はじめまして、ムッシュウ」
「クリスティーヌは…クリスティーヌをどうした?!」
「どうもしやしない。私の可愛い弟子だ。
我が劇場のパトロン殿にご挨拶を、と思ってね」
「ごまかすな!クリスティーヌをどこへやった?!」
叫ぶラウルをいなすように、黒い手袋に包まれた両手を挙げる。
「どこかへ連れて行ったのは一昨日の貴公だろう。
たいした紳士だ。若い娘を朝まで連れまわすとは」
仮面の下の唇が禍々しく歪む。

「楽しめたか…よく仕込んであったろう?」
「戯言を…!彼女は確かに―」
「確かに何だ?初めてだったと?その徴を見たとでもいうのか?」
仮面の男は薄く笑った。
「…安心したまえ。彼女は確かに"それ"は初めてだ。
が、初めてでないこともある。他にも色々試してみるといい。
君の求めには総て応じるよう、彼女には命じてある」
1902/7:2006/02/11(土) 02:02:11 ID:ism2b5Z/
「何を…!」
ラウルは血の気が引いた唇を震わせた。
「彼女は優秀な弟子だ。歌でも、それ以外でも」
「化物め」
ファントムの頬がひくりと動く。

「…ブケ―を殺したのはお前だ…天使でもなんでもなく
ただの…ただの犯罪者だ。それを知れば彼女だって目が覚める!」
「ならば告げるが良い」
低い声が囁く。
「お前の天使は殺人者だと、盗人で卑劣な脅迫者、
お前が慕い、焦がれ、身も心も総て捧げたのは天使ではなく
下水を這い回る醜い化物だったと。…神経の細い娘だ、耐えられるかな?」
「!」

顔を強張らせるラウルを見ながら、ファントムはゆっくり立ち上がった。
「それとも…耐え切れず壊れた彼女を愛するか?」
男はすいと退いた。背後の鏡面が歪んでゆく。
「…それもいいだろう」
にやと唇の両端を吊り上げ、男の半身が鏡に沈んだ。
「待てッ!」
弾かれるようにラウルは鏡に近づく。しかし男の姿は既に鏡の内にあった。
「それでは失礼するよ、ムッシュウ…」
嘲るような声を残し、男の姿が鏡の中に消える。
ラウルが触れた時、鏡はもうただの鏡に過ぎなかった。
1913/7:2006/02/11(土) 02:03:00 ID:ism2b5Z/
「あら、ラウル。先においでになっていたのね。探したのよ」
どれくらいの時間がたっただろう。恋人の声で我に返る。
「…クリスティーヌ!」
「どうしたの?」
食い入るように見つめる恋人をクリスティーヌは不思議そうに見つめる。
ラウルは唇を震わせると、荒々しくクリスティーヌを抱きしめた。
「愛してる、クリスティーヌ」
「私もよ、ラウル」
屈託なく応える。
ラウルはぐいとクリスティーヌの両肩を掴むと、体から引き離した。
戸惑いを浮かべた大きな瞳を覗き込む。
「あいつがそう言えと言ったのか」
「あいつ?」
「あの男…君の音楽の天使とやらだ!」
そう言い放つとラウルはクリスティーヌの手首を掴んだ。
そのまま壁に押し付け首筋にくちづける。
「ラウル、どうしたの?」
「クリスティーヌ…!」
鎖骨に唇を這わせながら、胸元のレースをつかみ押し下げる。

まぶしいほどに白い肌。しかし同時に目に飛び込んできた
禍々しいものにラウルはぎょっと身を引いた。
蛇の這ったような、痛々しい跡。
思わずドレスの胸元を、下着もろとも左右に引き裂く。
露わになった白い双丘の上下に、それは不吉な赤さで存在していた。
皮膚が擦れた、痛々しい…縄の跡。
瞬間的に全身の血液が逆流するのを感じる。
胸元を隠そうと上げた腕を掴み、手袋を引き剥がし、
手首にもぐるりと巻きついた跡に息を呑む。
1924/7:2006/02/11(土) 02:04:27 ID:ism2b5Z/
「…あいつがやったのか」
絞り出すような声に、クリスティーヌは睫を伏せた。
「私が…悪いの。何度も間違えたから、ぼんやりしていて、だから…」
「だからあいつが君に縄を掛けたのか?!
こんなに、跡がつくほど縛り上げて、あいつは一体何をした?!」
「ラウル、大きな声をださないで、お願い。
天使さまが怒るのは当たり前なの。
いつもはこんなに酷くはなさらないのよ、
何度も注意されていたところだったから」
いつもは、こんなに酷くは。
先程のあの男の、嘲るような瞳が浮かぶ。
おそらく自分に見せるため。
クリスティーヌが彼の所有物であると、はっきり見せ付けるため
ファントムは強いて手荒く彼女を扱ったのだろう。
きっと想像すら忌まわしい部分にも、あの男の痕跡が残っているに違いない。
「惨い、ことを…」
「私のせいなの!」
クリスティーヌは胸元を押さえたまま首を振る。
「天使さまのおっしゃるとおりに歌えなかったから、
罰を与えられて当然で、天使さまは私のために…!」
必死に言い募る恋人を、ラウルは愕然と見下ろした。

足先から何かが抜け落ちてゆくような感覚。
(よく仕込んであったろう?)
頭の中に男の声が響く。
操られるようにクリスティーヌの身体を引き寄せる。
不安そうな表情に、酷く現実感が薄れる。
何か言いかけた唇を覆うように奪った。
1935/7:2006/02/11(土) 02:05:02 ID:ism2b5Z/
唇を抉じ開けに舌を捻じ込む。
深い、執拗な口付けに戸惑っていた唇はやがてゆっくりと応え始めた。
貪る舌に自らのそれを絡める。柔らかく、食むように。
(優秀な生徒だ…それ以外でも)
全身が冷えてゆくようだ。
冷たくなる手足と対照的に、滑らかな舌の感触は体の中心に熱を生んだ。

唇を離し、うっとりと閉じた瞼を見つめる。
唾液で濡れた唇を親指でなぞり、
そのまま掌を首から剥き出しの肩へと滑らせる。
胸に押し当てられた手を握り、自らの足の間へと導く。
布の上からもはっきり分かる強張りに、細い指がぴくりと震えた。
「クリスティーヌ…君の…口で…」
一瞬目を見開き、そして睫を伏せる。
「ラウル…」
クリスティーヌははにかんだように微笑んで跪いた。

男の衣服を解くぎこちない手つき。
しかしそれを取り出すと躊躇うことなく、先端をそっと口に含む。
舌を茎に絡みつかせ、両手で下の柔らかい部分を愛撫する。
ラウルは息を荒げ、壁に凭れたまま頭を反らした。
「ああ、そうだ…舌で、もっと先を…」
絡み付いていた舌が解かれ、移動する。
一昨日男を知ったばかりの娘なら、
到底受け入れようもない要求に諾々と従う。
(色々試してみるといい)
胸の底に蟠る絶望の黒い澱みを、
背骨を伝わり絶え間なく這い上がってくる快感が掻き混ぜる。
小さな頭を両手で掴み、突きたてるように腰を遣う。
1946/7:2006/02/11(土) 02:05:57 ID:ism2b5Z/
「んん…っ!」
小さく呻くと苦しげに眉を寄せるが、
それでも抵抗するそぶりも見せない。
ラウルの腰に縋りつきながら、揺さぶられるままに
それでも彼自身を咥えている。
唾液が彼自身と花弁のような唇を濡らし、出入りの度に湿った音を響かせる。
「クリスティーヌ!ああッ!」
頭を抱え込むように強く自分の腰に押し付ける。
ラウルはクリスティーヌの喉の奥で、自らの欲望を放った。

喉の鳴る音と共に頭が小さく揺れ、
彼女が放ったものを飲み込んでいるのが分かる。
すべて飲み終えると、クリスティーヌは唇を蕾のように窄め、
ちゅっと音を立てて先端に残っていた液体を吸い出した。
そのまま口を離し、茎を舌先で綺麗に舐めあげ、
そうしてクリスティーヌは顔を上げた。

少し首をかしげ、彼を見上げる瞳は洗われたように純粋で、
幼いころ彼を見上げた、そのままの瞳で。
上気した頬も、うっすら汗ばんだ額に落ちる一筋の髪も
何もかもあの頃のままで。
先程とは異なる荒々しさで、ラウルは跪き
クリスティーヌを抱きしめた。
柔らかな髪に、肩に頬を押し付ける。
「ロッテ、ロッテ…ごめん…許してくれ…!」
「どうして謝るの?」
戸惑ったように尋ねながらも、クリスティーヌは
ラウルの首に腕を廻した。
「クリスティーヌ…」
1957/7:2006/02/11(土) 02:07:10 ID:ism2b5Z/
宥めるように背中を撫でる小さな手。
ラウルは拳を握り締めた。
彼女は分かっていないだけなのだ。
純粋であるかゆえに危ういだけだ。
知っているのに、酷い振る舞いを強いてしまった。
罪は彼女には無い。
幼い心に付け込み、己を天使だと信じさせてきた
あの汚らわしい男こそ、報いを受けねばならない。

ならば告げるべきなのだ、本当のことを。
あの男は天使などではないと。
彼女を弄んできたのは、化け物の狂気に過ぎないと。
(耐えられるかな?…壊れた彼女を愛するか?)
…言える筈がない。ラウルは唇を噛んだ。

「ラウル…どうしたの?本当に、今日は変だわ」
「クリスティーヌ、君は僕が守る」
不思議そうに瞬く瞳を見つめ、呟く。
「絶対に…守るから」
あの男から。あの男の闇から。
あの男が作り出した君の中の闇からも。
絶対に救い出してみせるから。
心の中で誓いながら、ラウルは恋人を抱く腕に力を込めた。
196名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 02:35:04 ID:gg3Sj/iE
>188 すげぇ!GJ!
クリス、マスターに仕込まれちゃったんだな
縄のあとにはげしく萌えたよ
ワルいマスター最高だ
てか、仕込み中のマスターもミタス
197名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 02:43:35 ID:Uy+3agSG
っかぁ、上手いなぁ!
映画のキャラのイメージをあまり変えずに完成させてる
うーん ほんとに読ませてもらった、GJ!!
198名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 07:45:53 ID:LyZX8neZ
うーん面白い。
すごく面白い。
GJ!
199名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 08:02:49 ID:6F1dipwN
>映画のキャラのイメージをあまり変えずに完成させてる に同意
誰のことも嫌な人には思えなかったな。
各々の人生の背景を考えると自然な行動に思えるし。
このマスターかなり魅力的だ・・・
天使様、ありがとう
200名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 10:00:20 ID:9QVS6zcW
おお、またニュータイプの天使様だ!
物凄く面白かったよ、こういう妙に歪んで安定した三角関係もアリだな!
201名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 19:08:57 ID:0eMRURzk
うおぅ、全体に漂う緊張感が堪らん…
激しくグッジョブ!!!
202名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 19:11:42 ID:I4sv/ya/
フハハハハハ!素晴らしいSSだ!!
203名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 00:17:48 ID:lNa4J++V
なんだか説得力あるなあ
痛々しいクリスを放っておけなくなる流れが、重みがある
原作風味のファントム、怖カコヨス
204名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 14:41:40 ID:WKKfWDh3
マスター、クリスの「初めて」をラウルに捧げさせて良かったのか!?
調教するだけして、一番おいしいとこもらわずにいいのかいマスター…
続くのかなあ…天使様、再度の御降臨をお待ちしています
205名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 16:34:19 ID:rQUpgpnc
初投下です。
不備があったら申し訳ない。

ファントムとクリスティーヌは結婚して子供がいる設定。
エロなし。
206人形:2006/02/12(日) 16:35:30 ID:rQUpgpnc
「これ!コリンヌ!またこんなに散らかして」
まただ。
少しでも油断して目を離すと片付けたばかりの部屋のあちこちに
紙くずやら紐やらビーズやらが散らばっている。
「お父様がお戻りになる前に片付けてしまいなさいね」
「は〜い、ごめんなさい。お母様」
けれども結局私が片付けることになるのだろう。
5歳になったばかりの娘は一度工作に夢中になると
それこそ寝食も忘れて没頭するのだ。
そう、まるで誰かさんのように・・・
このおてんば娘が生まれてからというもの
穏やかにゆったりと過ぎていた私たちの暮らしは一変した。
せめてお仕事が一段落ついて居間にいらしたときくらい
夫をくつろがせてあげたいのにと、少し苛立ちながら床の
色紙を拾っていたとき、居間の扉が開いた。
207人形:2006/02/12(日) 16:36:38 ID:rQUpgpnc
「お父様!」
娘が全身で夫に飛びつく。
「これは相変わらずお転婆な。いい子にしていたかね」
「ええ、もちろんよ。あのね、お父様に見せたいものがあるの」
自慢気にとりだしたのは2体の人形。
「これがね、コリンヌでしょう、そしてこれはお母様なの」
ブルーがかったグリーンのビーズが瞳の部分に貼り付けられ、
私譲りの栗色の髪もきちんと毛糸で再現されている娘の人形。
そして、夫が選んでくれたお気に入りのワンピースを着て
誕生日に夫から贈られた真珠の首飾りをつけている私の人形。
5歳にしては細かい部分まで本当によくできていると思う。
これも血なのかしら・・・
「上手にできたね。お前はとても器用なのだな、コリンヌ」
夫は娘を抱き上げて額に、頬にとキスの雨を降らせる。
生意気盛りになってきた娘は、夫の肩越しから私の方をちらと見て
勝ち誇ったかのような笑みを向けた。
まるで『私のほうがお父様に愛されているのよ』とでも言いたげに。
こんな小さな子供、ましてや自分と愛する夫との娘に嫉妬するなんて
大人気ないと頭では解っているのだけれど、
戻ってから娘ばかり抱きしめたりキスしたりしている夫にも腹立たしくて
娘の力作を褒めることもせず、私は無言のまま片付けを続けた。
208人形:2006/02/12(日) 16:37:40 ID:rQUpgpnc
「ちょっと待っておいで」と夫が娘に言う声が聞こえたのと
ふわりと私の体が宙に浮いたのはほぼ同時だった。
気が付くと私は夫に抱きかかえられていた。
「ここにも大きなマドモワゼルがいるね。どうしたね。頬をふくらませて」
知っていたのだわ。
こんな小さな子供に嫉妬なんかしているのを見透かされたのが恥ずかしくて
顔が熱くなる。
そんな私を目を細めて見つめながら夫はそっとくちづけをくれた。
「娘にやきもちを妬くなんて本当に可愛いな、クリスティーヌ」
耳元で甘く囁かれ、すっかり許してしまっている自分がまた悔しいのだけれど。
209人形:2006/02/12(日) 16:38:42 ID:rQUpgpnc
「ねえ、お父様、お母様、これを見て下さらなきゃ」
娘が3つめの人形を私たちの目の前に誇らしく差し出した。
黒のテイルコートにクラヴァットまできちんとつけた夫の人形。
右頬には白い仮面がつけられていた。
「これはよそゆきなの。私たちのお父様はね」
と言いながら娘がその小さな仮面をそっと外した。
娘と同じ色のビーズで両目がつけられ、
右の頬は少し朱に染まっている。
しかし、口元は優しく微笑みをたたえ、なんとも穏やかな表情をしている。
「よそゆきのお父様も素敵だけれど、コリンヌはだんぜんこっちのお父様が好きなの。
ね、じょうずにできたで・・・」
娘をきつく抱きしめたのは夫も私も同時だった。
「ええ、本当ね。私もこのお父様が大好きよ」

夫は言葉を発さなかった。
ただ黙っていつまでも私と娘を強く強く抱きしめていた。



210名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 16:43:26 ID:rQUpgpnc
以上です。

すでに他の天使様の素敵な家族ネタがあったので恐縮ですが・・・
お付き合い下さった方ありがとうございました。
211名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 17:05:47 ID:WKKfWDh3
>206
ついさっきDVD観終わったばかりのところで投下読ませていただきました。
GJ!幸せファントムで脳内補完させてもらいました、有難う。
しかしファントムは、優しい女の子の父親、というのがよく似合うよな…
212名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 17:57:20 ID:FtAqC91Y
>>206
うぅ…泣ける…!!
213名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 22:14:42 ID:9eOeseJk
おい!!新しいSSがあそこで出てるぞ!!
214名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 22:17:38 ID:mNIARtNE
ええ、あそこってどちらですか?
誤爆?
215名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 22:23:51 ID:9eOeseJk
地中湖のほとりの部屋だよ!!
216名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 22:25:25 ID:2qRrX/5c
誤爆ぢゃないよ。
あそこのサイトだよ。
しかもエロエロ…(;´Д`)
217名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 22:26:15 ID:9eOeseJk
この説明でわかるかな?
>>作者さん!!勝手に宣伝してごめん!
  あれ最高っすよ〜
218名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 22:27:33 ID:iwdnq62N
「地中湖」だと、
どこだ?それ?と、彷徨うヤシ出て来るぞw
219名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 22:28:54 ID:9eOeseJk
>>1の 関連スレの中のリンクの中の一番上のヤツだ!
220名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 22:32:17 ID:9eOeseJk
みなさ〜ん 見つかりましたか??
221名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 22:37:27 ID:2qRrX/5c
あそこはググっても出てこないからな…
頑張れよ
222名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 22:45:59 ID:mNIARtNE
>220
お、おちついて下さい〜!

気持ちはわかりますが、勝手にということは作者さまの確認とって
ないんですよね?
果たしてそうすることが、作者さまの意に添っているかどうか…
自分も無責任に質問してしまって反省…
223220:2006/02/12(日) 22:50:05 ID:9eOeseJk
>>222
いやいやこちらこそすいませんでした。
完全に名前だしちゃマズイ(ほとんど出てるけど…)と思ってたらこのスレ混乱させてしまいました

>>作者さん
 本当に申し訳ないです。
 でもわがままかもですがあなたのSS大好きです。
 これからも読みたいので頑張って下さい。本当にごめんなさい
 
224名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 23:08:03 ID:wCW7A51U
>>210
かわええ話しや。こんなの大好き!
パパファントムに滅茶苦茶可愛がられているんだろうなー…。
そのうち「パパと結婚する!」なんて言うのかな?
ママクリスに嫉妬する娘の図もほのぼのして良いかもw
ああ、家族ネタって心が洗われて良いね〜。
225名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 23:15:01 ID:8MK/Qp2h
>210
GJ!
娘にやきもち焼くクリスが可愛い!
で、「大きなマドモアゼル」とか言っちゃうファントムに萌え。
あー、めちゃくちゃ萌えました!
226名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 23:17:48 ID:DNL6a+7D
>206 ほのぼのしました。
親譲りのジーニアスっぷり、
性格も父譲りなら、反抗期とか凄まじそうだな。

亀ですが、
原作も舞台その他も勿論好きですが、
こんなの書いてるのも映画にハマッたからで、
だから映画のイメージ残ってるって言って貰えると
すごく嬉しい。ありがとう。自分語りでスマソ。

>204 ファントムはアレやらコレやらの初めては(略)ソレやらコレやらも仕込んで(略)
なので続けるとしたらそんな感じか3Pとかになりそうです。
ココ的にはそういうのどうなんだろう?
227名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 00:08:38 ID:Jx0PS3Om
>213-223
サイト持ちの天使様は過去スレで「サイトの話はサイトで。スレではお控えを。」
と言っていたのに…厨か藻舞ら。吊ってこい。

>210
超GJ!!マスターに娘が二人いるみたいだwヤキモチカワイス
>226
バッチ鯉。むしろカモーン天使様
228名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 00:10:17 ID:cgKSRZNl
↑226=188です…orzこんな事で連投ゴメンナサイ
229名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 01:29:23 ID:W0qPds9r
226エンジェル、お待ちしてまつ!! (・∀・)
230220:2006/02/13(月) 16:34:35 ID:DAF/Pfjt
おいどんも待ってます!!!
231名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 21:36:06 ID:mDkkdKRZ
>210 すばらしい!
娘に妬いちゃうクリス、マジでかわいい
そんなクリスがかわいくてたまらない先生もカコヨス
先生幸せそうでよかったよ
232名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 21:49:35 ID:vTUKNzW/
自虐を覚悟でいってみる
明日はバレンタインデー
だからせめて先生が幸せな甘ったるくてもいいアツアツな話もっと読みたい('A`)
233名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 21:53:49 ID:mDkkdKRZ
>232

共 感 !
天使のみなさん、どうか先生に幸せなバレンタインデーを
すごさせてやってください
234名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 21:56:53 ID:dCyd+f6a
天使様、降臨してくださいませ
235名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 22:26:18 ID:Jx0PS3Om
>232
禿同。つか正直チョコレイトプレーイとか妄想しry

>234
さげれ。
236名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 23:19:18 ID:IK6KcXbw
210です。
たくさんのレス本当にありがとうございました。

天使様方のご降臨お待ちしております。
237名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 00:49:16 ID:kp5mQpKL
>253 こんなの?

とろりと滑らかな液体を指で掬い取る。
口元に近づけると、花がほころぶように結ばれた唇は開き
ちろりと差し出された舌がつややかに零れ落ちる雫を舐め取った。
ぞくりと身を震わせるまもなく、薔薇色の唇は茶色に染まった指先を咥える。
指は暖かな、柔らかな、濡れた場所に包まれ、
そのまま舌が指に戯れて、甘いチョコレートは絡められた唾液に溶けてゆく…

…と、夜のパワーで妄想…シュミレーションしていたら、
思わず作りかけのチョコに指を突っ込んでヤケド。
翌日手袋をつけられずクリスティーヌにどうしたのかと突っ込まれる。


…天使さま、明日、いや日付変わったから今夜が本番です。
チョッコレイツでイロイロお願いします





238名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 08:58:42 ID:OObPm+1F
>>237
マスターの手作りチョコ…すごく凝ってそうだw

おいら224なんだけど、「パパと結婚する!」ネタで書いてみたので投下します。
バレンタインなのに家族ネタですw
・マスターとクリスが結婚して数年後。
・エロ無し。
・甘甘を通り越しておバカなので、イメージを壊したくないという方はスルーよろしく。
239ちょっとした行き違い 1:2006/02/14(火) 09:04:13 ID:OObPm+1F
 「パパ!」
 劇場から帰ってきたエリックが外套を脱ぐと、二階から小さな彼の娘が素足で駆けてきた。
 寝間着の裾をつかんで、栗色の髪をはずませて走ってきて、あっという間に父親の胸の中に飛び込んだ。
 「お帰りなさい!」
 「ただいま、ニネット」
 彼は娘を抱き上げて頬をすり寄せた。
 妻のクリスティーヌが娘にやっと追いついた。
 「お帰りなさい、あなた。
 ごめんなさい。今寝かせるところだったのだけど、帰ってくるまで待つと言ってきかなくて。
 …さ、ニネットこちらへ来て頂戴」
 クリスティーヌが両手を差し出して抱き取ろうとすると、ニネットは父親の首にさらにしがみついた。
 「やっ…!」
 「お父様はお疲れなのよ」
 「たまにはいいじゃないか、クリスティーヌ。
 ニネットの顔を見て疲れなんて飛んでしまったよ」
 父娘が目で会話しているのでクリスティーヌは疎外感を味わった。
 「もうっ…あなたはニネットに甘すぎますわ。
 ニネット、お父様が許して下さったからいいけど、今夜だけよ?
 早寝早起きをしないと大きくなれないんですからね」
 「わかってるわ、ママ」

 居間に入ってエリックが椅子に腰掛けても、ニネットはその膝に収まっていた。
 大きな手のひらで頭を撫でられたり、頬に触れられたりするのが嬉しい少女は、無邪気な笑顔を父親に向けながら一方的におしゃべりをするのだった。
240ちょっとした行き違い 2:2006/02/14(火) 09:05:56 ID:OObPm+1F
 「パパ、あのね、私ね、大きくなったらお嫁さんになるのよ」
 母親と同じ色の瞳をきらきらさせてそう言う。
 「誰の花嫁さんになるのかな?」
 「アンリがね、私のことかわいいって。大きくなったらとっても美人になるよって言ってくれたの!」
 「おやおや、お前の花婿になる幸運な男の子はアンリというのかい?」
 トレイにコーヒーポットとカップを載せて部屋に入ってきた妻と、彼は目が合った。
 「この子ったらもう取り巻きがいるみたいなの。もちろん、アンリひとりじゃないのよ」
 エリックは娘が魅力的で崇拝者がいるのは嬉しいことだと思ったが、同時に花嫁衣装に身を包んで嫁いでゆく日のことを想像してしまい、悲しい気持ちにもなった。
 「…心配だな…」
 一瞬にして深刻そうになった夫が何を考えているか分かったクリスティーヌは、「五歳ですもの、まだまだ先よ」と慰めた。
 ニネットがそんな父親の頬を両手で挟んで、自分の方に向かせる。
 「パパ、聞いてる?
 ね、ね、パパも私がきれいになると思う?」
 「もちろん。うちのお姫様が一番さ」
 「ほんと?じゃあ、パパのお嫁さんになる!」
 エリックの頬に音を立ててキスをくれた。
 「アンリより、ルカより、ジェレミーより、フィリップより、パパがいっとう素敵だもの!」
 ぎゅうぎゅう抱き締められて、お返しに娘を力一杯抱き締めると声を立てて笑った。
 「嬉しいね、ニネット。でもパパにはもうママがいるだろう?」
 「そうよ、パパはもうママと結婚しているんですからね」
 クリスティーヌは、娘に張り合うなんて大人げないわと思いつつ、少しだけ声を強くして言った。
 「あら、ママにはシャニイ子爵っていう人がいるからいいのよ」
241ちょっとした行き違い 3:2006/02/14(火) 09:07:51 ID:OObPm+1F
 クリスティーヌは夫に渡そうとしたコーヒーカップを危うく落としそうになってしまった。
 「…えーっと…?クリスティーヌ…?」
 エリックの瞳が冷たくてクリスティーヌは慌てた。だがそれが返って誤解を招いたようだった。
 「え、ええぇぇ?ち、違っ…あ、あなた、誤解なさらないで。
 二、ニネット、どうしてそんな名前を知っているの…?」
 エリックは娘を抱いたまますっと立ち上がるとこう言った。
 「よし、今夜はパパが眠るまで付いていてあげよう。ママにお休みを言いなさい」
 「わあっ、嬉しい!お休みなさい、ママ。
 パパ、お歌を歌ってくださるわね?約束よ」
 「ああ、約束しよう。
 …クリスティーヌ、君は先に休んでいなさい。お休み」
 居間にクリスティーヌが一人残されてドアが閉じられた。

 「あの…、あなた…。怒ってらっしゃる?」
 寝室に戻ってきてくれた夫に勇気を振り絞ってクリスティーヌは訊ねた。
 ここ数年、シャニイ子爵の名前を口に出したことも無かったし、その名前を思い浮かべたのもいつだったか分からないくらいだった。
 まったくの誤解だと分かってもらわなければ。
 「何が?」
 「…シャニィ子爵のこと…」
 「昼間、この家にいるのは君とニネットだけだからね。私の知らないことだってあるだろう」
 「ち、違うの。あなたの思っていらっしゃるようなそんな…ひどいわ。信用して下さらないの?
 こ、こんなに…あ、愛しているのに…」
 エリックは瞳を潤ませているクリスティーヌを強く抱き寄せた。
242ちょっとした行き違い 4:2006/02/14(火) 09:09:30 ID:OObPm+1F
 「愛しいクリスティーヌ。
 …今日メグ・ジリーが来たんだってね。ニネットは、君がオペラ座で歌っていた頃の話しをしてもらったと言っていたよ。
 それで子爵の名前を聞いたそうだ」
 かなり気が動転していたクリスティーヌは親友が昼間訪ねて来たことを、今こう言われてやっと思い出す始末だった。
 そういえばニネットがメグにお話しをねだっていたような覚えがある。
 「知っていて怒った振りをしていらしたの?」
 「居間で聞いたときは知らなかったよ。
 ニネットが眠る前に教えてくれなければ、誤解したままだったろう」
 「じゃあ、ここへ入ってきた時は私をからかっていらしたのね。
 あなたに嫌われたら、あなたが何処かに行ってしまったらってすごく不安だったのに、ひどい…」
 エリックは妻の頬にそっと手のひらをあてた。
 「彼の名を聞いて、君が本当に愛していてくれているのかと、私も不安になってしまったんだ。
 しばらく新作の準備に夢中で、家に帰ってきても会話らしい会話もしなかったしね。こうして触れることも。
 クリスティーヌの気持ちが離れてしまったのかもしれないと思って試すようなことを言った。
 泣かせてしまったね…済まなかった。許して欲しい」
 「わ、私、あなたの方こそ私に飽きてしまったのかと…ずっとお帰りが遅いし、たまに今夜みたいに早くてもニネットの様子しかお聞きにならないし…。
 お疲れなのはわかっているから、我が儘を言って困らせてはいけないと思って…でも本当は私もニネットみたいに甘えたかった…」
 気遣ってくれていた妻がたまらなく愛しく思えて、エリックはクリスティーヌに口づけした。
 「甘えて欲しいね。二人っきりの時は特に。
 そのことも実は気になっていたんだ。私に触れたくないのかと思って、あまり求めないように努力していたんだが…。
 どうやら私たちの間で、ちょっとした行き違いがあったみたいだね」
243ちょっとした行き違い 5:2006/02/14(火) 09:21:57 ID:OObPm+1F
 「そうみたい」
 見つめ合うと、不意に可笑しさが込み上げてきて二人とも笑った。
 「ちゃんと愛し合っていたのね、私たち。気が付けて良かったわ」
 ほっとしてクリスティーヌが言った。 
 「…きっと私の方がずっと余計に愛していると思うよ、クリスティーヌ」
 久しぶりに聞く、深みのある甘さを含んだ声に彼女はどきどきした。
 碧色の瞳に見つめられて顔が真っ赤に染まる。
 「そ、それはどうかしら?私には負けると思うけど…?」
 「じゃあ証拠をこれから見せてあげよう。
 クリスティーヌも負けないつもりなら、私にその証拠を見せてくれなければね」
 エリックはいたずらっぽく唇をゆがませると、妻をベッドへいざなった。

 翌る朝、一階に降りてきたニネットは母親がいつにもまして美しかったので、大好きなパパだけど譲ってもいいわ。と思った。
 そして、その少女の親であるエリックとクリスティーヌの夫婦は、昨夜の勝負がつかなかったので、繰り越すことにしたのだった。
 それは多分、おそらく、ずっと、繰り越されてゆくことになるだろう。

                   <おしまい>
244 :2006/02/14(火) 09:59:18 ID:OObPm+1F
243です。改めてもう一回読んだんだけど、
「繰り越す」って使い方間違っている様な気が。
辞書で調べて使ったんだけど…あれ?
最後の最後で格好悪いorz
何度も読み返して、手直ししたつもりだったのに投下してから気付くなんてorzorz
えーと、愛情に優劣がなくて何回やっても勝負がつかないという風に取ってもらえると有り難いです。
あー、恥ずかしい。
245名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 12:08:00 ID:JHls4Xw+
うっひゃ〜(*´д`*)まさにチョコレートのような甘甘ですな。
天使様ありがと〜!皆さんハッピーバレンタイン!
246名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 15:12:10 ID:HGlUuNRk
初カキコ
先週四季版観に行ってメグ・ジリーにめっちゃ萌えた。
映画版と随分キャラ違うんだな。
あと、ラウル演じてる俳優も、男の俺から見てもかなりの美形だった。
一気にラウル×メグ エロパロみたくなったよ
誰か文才ある人投下してくれ!
247名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 15:58:14 ID:bkGI5Sht
アマ―――(゚∀゚)――――イ!!!!


>>243の天使、ごちになりました。
248名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 20:35:00 ID:m3SDBoSl
>243
GJ!
甘々なふたりはいくら読んでも飽きないな。

>「…きっと私の方がずっと余計に愛していると思うよ、クリスティーヌ」
に萌え死ぬかと思いました。
249名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 23:12:18 ID:gJ1/bC+V
ヒヤヒヤで危なげな甘さがたまらん!
もうこれからもこの路線でどんどんやっちゃってくれ('A`)人('ヮ`)
250名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 21:10:56 ID:jYAXbVTY
今夜は天使様来るかしら??
251名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 22:13:00 ID:Jc5B5JN0
連載中の天使様の続きはまだかな?
かつて連載してた天使様方もぜひカムバックしてほしいぞ
252名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 22:15:07 ID:jYAXbVTY
>>251
そうそう!!カムバックしてください!!!
253名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 18:17:23 ID:NGX8v9e8
また過疎ってる・・・
254名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 19:20:49 ID:EexqhV+l
良い良い
待ったぶんだけ・・・
255名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 19:29:54 ID:lI8hJnLX
たった2日なかっただけじゃないか
贅沢だなぁ
256名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 19:54:11 ID:TlQoo2jo
ごめんね書いてるからごめんね
257名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 21:46:29 ID:bXDV5ANp
>>256
待ってます!!
258名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 21:48:08 ID:t6dbUlXf
マターリ待ちましょう。雑談でもしながら。バレンタインより褌で盛り上がるスレだけどw
259名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 21:49:36 ID:e/SAcfUu
>256 いい子で待ってます。

寸止めの天使様もマダカナーwktk
260名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 21:51:50 ID:bXDV5ANp
ちょっと確認したいのですが…
マダムってスリーピーホロウにでてましたよねぇ?
261名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 22:45:14 ID:NGX8v9e8
出てましたねえ
首切ってましたねえ
262名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 22:46:42 ID:bXDV5ANp
しかもエチーしてましたよねぇ
263名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 23:03:07 ID:z+PusF6N
寸止めの天使様に、それに>30喪女クリスの天使様も楽しみだな
ハッ・・・!連載は今は二つだけ・・・!?見落としてたらすみません。
264名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 23:41:33 ID:EFWfFn+B
木登り編って終わっていますか?
私も見逃したかな?
265名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 23:52:50 ID:z+PusF6N
木登りの天使様すみませんです…
お姿を現してくださいエンジェル
266名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 00:13:44 ID:ppd7tTYi
ムチでお仕置きエンジェルも書き中ってことだったな。楽しみが多い。
267名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 00:28:50 ID:B13IxKfJ
>263-265
寸止めの天使様は連載2本ありましたよね!
木登り編と初夜編。
268名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 00:46:18 ID:7UmCZ3Z9
木登りです。
今一本読みきり書いているので、それを投下したら連載にいきます。
待たせちゃってスマン。
269264:2006/02/17(金) 01:08:04 ID:4ao+7v/4
木登りの天使様
決して急かした訳ではないのです。
本を物色していて
「木のぼり男爵」というタイトルを
見てしまったばっかりに…
我が心を鎮めてお待ちします……
270名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 21:52:24 ID:hSwkSe3K
wktk!!!!
271188:2006/02/18(土) 02:10:21 ID:JDrrwHy8
ワルいマスター、仕込み中

大根に隠し包丁を入れたり、サバを酢で〆たり。
ラウルの分だけ3日前のサバを使う。←ワルいところ

嘘ですすいませんすいません
ファントム×クリス 188のちょっと前、まだラウルがオペラ座に来る前。
エロ直接ではないけれど蝋燭。
調教というほどではないけれど嫌な方はご注意。
2721/8:2006/02/18(土) 02:11:13 ID:JDrrwHy8
稽古の休憩中に呼び出され、
クリスティーヌは5番ボックス席の扉を開いた。
ボックス席にはカーテンが引かれており、
扉が重い音を立ててしまると、灯された蝋燭だけが唯一の明かりとなる。
燭台に何本も立てられた蝋燭は細く繊細で、
揺らめく幾つもの小さな炎が師の仮面を白く浮かび上がらせた。

「確かに昨夜は、私の所要のためレッスンを取りやめた」
クリスティーヌの纏うローマ風の衣装の、白い裾が翻るのを見ながら
ファントムは一見穏やかに口を開いた。
「それを幸いと戒めを破り、サリアン氏と食事に出かけたのかね?」
椅子に寛ぐ師の前で、クリスティーヌは身を縮める。
舞台ではカルロッタの独唱のシーンが始まったようで、
大きくビブラートを掛けた声が、傍らに置かれたグラスの
琥珀の液体を揺らした。

「支配人さんが必ず行くようにとおっしゃったから、お断りできなくて
でも、あの、他にも…ナタリーやマーゴも一緒だったし、途中でお断りして遅くならないように帰って…」
おずおずと口にした言い訳も、冷たい声に斬って落とされる。
「なるほど。断ることができず、他の者も一緒だったから
酒を口にし、喉を夜の冷気に晒し、その結果が先程の声という訳か」
クリスティーヌは俯く。
確かに先程の通し稽古で、声がスムーズに出ていない箇所があったのだ。
「申し訳、ありません。天使さま」
消え入りそうな声で、唇を震わす。
「もう二度としませんから…お許し下さい」
膝を折り、師の膝に額をつける。
「お許し下さい…」
大きな手が頭の上に載せられる。
「言いつけに背いた娘には、何が与えられるか知っているな」
そっと髪を梳く指とともに、低く優しい声が尋ねる。
「はい…」
ほとんど息のような密やかさでクリスティーヌは頷いた。
「罰を…クリスティーヌに、罰をお与え下さい」
2732/8:2006/02/18(土) 02:11:51 ID:JDrrwHy8
少女が震える手で胸元を露わにするのを、男はじっと見守っていた。
ドレープを掻き分け肩から落とし、下着を留めつける細紐を解くと
上半身を覆うものは、その背に流れる巻毛だけとなった。
羞恥に俯いた頭に容赦ない要求が降ってくる。
「顔を上げて、こちらを見なさい」
おそるおそる見上げると、ファントムは立ち上がり手を伸ばした。
そのまま燭台より蝋燭を一本取る。
意図を察し、涙を浮かべた瞳が大きく揺れた。

「…止めるかね?」
問いの後、一瞬の沈黙を挟んで小さな頭は左右に振られた。
「いいえ」
ファントムは目で頷きゆっくりと蝋燭を傾けた。
じ、という音とともに炎が一瞬大きく揺れ、
ぽたぽたと蝋が絨毯の上に散る。
「手を後ろに」
「…はい」
短い言葉に従い両手を後ろで組む。
膝をつき、無防備な胸を突き出した
ファントムは屈みこむと、顎を掴んで顔上向かせ
反らさせたその喉元にそっとくちづけた。
「いいね?」
「はい」
溜息のような返答に細い蝋燭は揺れ、
ぽたりと最初の滴が肌に落ちた。
2743/8:2006/02/18(土) 02:12:44 ID:JDrrwHy8
「うく…!」
奥歯を噛みしめ、悲鳴を飲み込む。
ファントムはその様子を見下ろしながら手の蝋燭を傾けた。
柔らかなふくらみの上部に、次々と白い蝋の花が咲く。
肌が少しずつ覆われる度、クリスティーヌの全身がひくりと動いた。
「腕を解いてはいけない」
厳しい声に緩みかけた指を組みなしたとき、淡い色の先端を熱いものが掠めた。
「!」
悲鳴を上げるのはこらえたものの、背筋が大きく撓む。
ファントムは仮面の奥で目を細めると、ロウソクを動かした。
ぱた、と音がして敏感な蕾は熱い液体に覆われる。
「あぁ!」
終にクリスティーヌは歯の間から吐息を漏らした。

炎を吹き消し、蝋燭をグラスの脇に置く。
椅子にかけると、手を後ろで組んだまま荒い息をつく少女に声を掛けた。
「こちらに来なさい。…手は後ろのままだ」
足の間に背を向けて座らせる。
背後から腰に腕を廻して抱えると、肩越しに蝋に蹂躙された双丘を眺めた。

半透明の蝋が透けて、紅く染まった熱の跡を映す。
ファントムは傍らのグラスを取り上げた。
暫く手の中で弄んで、冷たいグラスを大きく上下する胸元に押し当てる。
蝋によって与えられた熱を吸い取るように。
強い酒の匂いが立ち上る。
宥めるように肌を滑らせると、クリスティーヌは小さく息を飲んだ。
「…痛むか?」
「…」
無言でかぶりを振る。
2754/8:2006/02/18(土) 02:13:19 ID:JDrrwHy8
グラスはゆっくりと先端へと移動する。
滑らかなガラスの表面でこするように嬲られ、蕾は硬さを増す。
「うぅん…」
甘い声を荒くなってゆく息とともに唇の隙間から漏らし
クリスティーヌは頭をファントムの胸に押し付けた。
ことりとグラスを置く音が聞こえる。
ふいに皮手袋の指がスカートをたくし上げた。
慌てて捩られた両足の間を割るように滑り込む。

「あ、あ!」
布の上から秘められた箇所を撫でられ、クリスティーヌは天を仰いだ。
「どうした、クリスティーヌ。ずいぶんと…」
下着の中にもぐりこんだ指が、蜜に濡れた花弁を挟む。
「はぁ!」
ぐっとそらせた頭に顔を寄せ、耳朶に唇を触れさせたまま囁く。
「…これでは罰にならんな」
ファントム嘲るように唇を歪めた。
「おまえには、他の罰が必要なようだ」
低い声に、腕の中に囚われた身体が竦んだ。

少女を抱きすくめたまま再び火の消えた蝋燭を手に取る。
溶けて細くなった先端を折り取ると、指でつまんでグラスの中をくぐらせる。
小指ほどの長さになった蝋燭が、クリスティーヌの顔の前に差し出された。
「舐めなさい」
ぽたぽたと滴る琥珀の液体を、そっと差し出した舌で受ける。
溶けた蝋の複雑な溝に沿って舌を動かし、窪みに溜まった液体を啜る。
ファントムは左手の皮手袋を取り去り、再度花弁の縁をなぞった。
「や…」
戸惑ったように首を捻るクリスティーヌの耳元に囁く。
「続けて」
2765/8:2006/02/18(土) 02:14:02 ID:JDrrwHy8
涙を溜めたまま蝋燭の先端を口に含んだのを見届けて、
そのまま綻びかけた合わせ目に指を沈めた。
「っ」
細い身体が慄くのが、ぴたりと合わせた身体を通して伝わる。
くちゃくちゃと音を立て、浅くかき回してやると
クリスティーヌは耐え切れずに蝋燭から口を離し、大きく喘いだ。
「あぁあ…て、ん…天使さま…!」
自分の足の間に伸びるファントムの腕を、止めるように両手を掛ける。
ちゅく、と指を抜き去り、懇願を浮かべる茶色の瞳に微笑みかける。
「手は、後ろに…と言ったはずだ、クリスティーヌ」
男の袖を掴んでいた細い指があきらめたように解かれ、
腕は身体の後ろに回される。
少女は息を荒げながら、裁きを待つように頭を垂れた。

緩んだ入り口に蝋燭の先端をあてがい、ぬるつく液体を絡めるように埋め込んでゆく。
捩る腰を押さえつけ、少しずつ焦らすように。
とろりと熱い蜜が溢れ、男の手を濡らす。
「あ…く…!」
小さな蝋燭の総てを押し込むと、ファントムは支えていたクリスティーヌの身体を離した。
「ああっ!」
小さく叫んで座り込むのを見下ろしながら、ファントムは囁いた。
「そのまま行くんだ」
「え?」
涙の溜まった瞳が、理解できぬというように瞬く。
ファントムはカーテンの陰から下を見た。
アリアはクライマックスに差し掛かり、舞台上ではカルロッタが身を捩って熱唱している。
「そのままで、練習に戻りなさい。ほら、もう間もなくお前の出番だ」
「そんな…」
クリスティーヌは唇を震わせた。
2776/8:2006/02/18(土) 02:15:22 ID:JDrrwHy8
「そんな…いや…」
溢れた涙が頬に筋を作る。
「…自ら罰を受けるといったのは、嘘だったのか」
師の声はあくまで優しく、微かに笑みすら浮かべている。
「いいえ!いいえ…でも…!」
「夜まで収めたままで。自分で触れることは許さん。さあ、衣装を直しなさい」
「あ…あぁ…」
拒否を許さぬ言葉に項垂れ、熱いため息をつきながら
クリスティーヌはのろのろと上衣を引き上げた。
「う…」
カーテンに縋って立ち上がる。
途端に異物が入り込んだ一点から貫くような刺激が走り、崩れ落ちそうになる。
肩越しに振り返り、許し請うような眼差しを投げかけるが
男の瞳には何の表情も浮かんでいない。
脳に響くようなハイトーンを響かせて、プリマドンナの歌声が途切れた。

踊りがないのは幸いだった。
今度の役は単なるコーラスで、歌いながら舞台の上を歩き回るだけだ。
それでも声を出すために下腹に力を入れると、否応なく意識させられる。
ほんの小さな欠片なのに、その存在が全身を支配する。
悟られてはいけない。なのに今日に限って皆の視線を突き刺すように感じる。
頬が火照る。いや、頬ではない、身体がどうしようもなく熱い。
動くたびに硬い蝋と柔らかい肉が擦れ、奥から熱いものがじわりと湧き出す。
許しを求めるように5番ボックスを見つめるが、そこに人影は見えなかった。
2787/8:2006/02/18(土) 02:16:08 ID:JDrrwHy8
「芸術の殿堂たるオペラ座の支配人が、
いつから女衒の真似事をするようになった?」
細く開けた扉の陰から、重いため息が聞こえる。
一拍遅れ、マダム・ジリーの冷静な声が応えた。
「ムッシュウ・サリアンは著名な音楽評論家ですから。
ご機嫌を損ねては、と思ったのでしょう」
「目をつけた少女を権力ずくでものにするのが
音楽評論家とやらの仕事か」
苛立たしく椅子のアームを指先でたたく。
「よろしい。ではマダム、ルフェーブル氏に伝言をお願いしよう。
”サリアン氏は近いうちに引退することになる。
よってこれ以降、彼を喜ばせてやる必要はない”」
「わかりましたわ」
少し間をおいて扉が閉まる。
ファントムは指をカーテンに掛け、その隙間から舞台を見下ろした。

「!」
突然強烈な視線を感じ、クリスティーヌは身体を強張らせた。
客席に背を向けているので、見上げることはできないが
たしかにあの席からのものだ。
うなじの皮膚がちりつき、心臓が激しく跳ねる。
(クリスティーヌ?)
身体の震えに気づき、隣に立っていたメグが小声で囁いた。
(どうしたの?具合が悪いの?)
クリスティーヌはぎくりと肩を動かした。
「…ぁ」
大丈夫、と返そうと口を開くが言葉ではなく熱い吐息が零れる。
思わず身じろぎすると、自分の中が蠢き、異物を締め付けた。
とろりと内腿を熱いものが伝ってゆく。
頭に霞がかかったように視界がぼんやりと滲む。
「クリスティーヌ?」
親友の声が遠くに聞こえる。
2798/8:2006/02/18(土) 02:16:49 ID:JDrrwHy8
まるでそれ自体が脈打っているかのように、咥え込んだ部分から
全身に響くような拍動が広がる。
「クリスティーヌ!」
足がもつれる、喉が渇く。
ゆっくりと振り返り、カーテンの隙間に薄いガラスのような瞳を見た瞬間
身体を電気が通るような感覚が貫き、目の前が白く塗りつぶされた

「クリスティーヌ!」
「…メグ…」
心配そうに覗き込む親友の顔。
「あ、私…」
起き上がろうとした体の奥から、甘い痺れが湧き上がる。
(まだ、中に…)
涙が滲む。
「まだ気分が悪そう。起きちゃだめよ」
心配そうなメグの声に、涙が溢れそうになる。
「あなた、稽古中に倒れたのよ。とりあえず楽屋に運んだの」
「あ…ありがとう」
「いいのよ、そんなこと。調子が悪かったのね?」
「…ええ、少し…熱っぽくて」
「そうだと思ったわ。顔が赤かったもの」
シーツを整えながらメグは無邪気に微笑んだ。
「ママがね、暫く休んだら今日は部屋に戻りなさいって」
「マダムが…」
「ええ。だから、無理しないで寝てなさい。いいわね?」
ぽんぽんと上掛けをたたき、首を傾ける。
「ありがとうメグ。ごめんなさい…」
ひらひらと手を振ってメグは楽屋から出ていった。
クリスティーヌは身体の力を抜き、寝台に沈み込んだ。

ぼんやりと天井を見つめる。
気を失ってしまった。
…違う。達してしまったのだ。
あんな、舞台の真ん中で。
皆の前で…あの視線に晒されながら。
「天使さま…」
つぶやくとついに溢れた涙がこめかみを伝う。
「天使さま…天使さま…」
枕に頭を埋めながら、それしか言葉を知らぬかのように繰り返す。
夜まではまだ長い。
そして夜もきっと彼女にとっては永いものとなるだろう。
熱を埋め込まれたまま慄く身体をベッドに押し付け、クリスティーヌは天使の名を囁き続けた。
280188:2006/02/18(土) 02:19:32 ID:JDrrwHy8
さーげーわーすーれーたー
ほんと…ゴメンナサイ…orz orz orz
281名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 02:33:14 ID:icfIpUkZ
>>280 すげぇ!またしてもすげぇ!GJだ
先生、蝋燭で仕込んじゃってるよー、蝋燭かよ・・・
仕込まれつつ、逝っちゃうクリスのも激萌えだ
282名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 02:37:40 ID:yvQyQJb5
>280
GJ! GJ! GJ!
いやあ、エロエロですね!

後ろ手、蝋燭を垂らされる胸元、異物を咥え込んだままの稽古、公衆の面前での絶頂……、
なにより、マスターの穏やかで冷たい口調と視線がエロい!!!
激しく萌えました!
283名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 04:12:30 ID:x7LeXII1
(;´Д`)ハァハァ
よくこんなものが書けるもんだ。素晴らしいです!
284名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 22:33:17 ID:PCEcTS6U
は、早く抜きに来てあげてマスターハァハァ
285名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 00:39:12 ID:6Fv+UW66
ファントム×カルロッタ
エロ無し1レスのみ


 その楽屋…プリマドンナの部屋は、今誰一人として入れるような状況ではなかった。
そう、プリマドンナ・カルロッタのいつものヒステリーだ。
午後のゲネプロからずっと彼女の機嫌は思わしくなく、マエストロや支配人が随分と胃の痛い思いをさせられていた。
そんな彼女の楽屋には、もうご機嫌取りにすら入ることができなかった。
「これはまた…随分と機嫌を害されているようだ」
 そんな彼女の楽屋に、困り果ててはいるがどこと無く楽しそうな声が響く。
「…今更何のご用事かしら?」
 男の声に驚いたのか、びくりと身体を震わせカルロッタは言った。
「一日でも顔を見せないような男は要らなくてよ」
 そうぴしゃりと言い放つカルロッタに、男は低く笑った。
「一昨日貴女が言ったのだろう? 『もう顔も見たくない』と」
「そんなこと言った覚えは無いわ」
 そう言ったカルロッタの後ろに、まるで壁から抜け出て来たかのようにいつの間にか男がいた。
黒づくめで白い仮面の男。
困ったような口調ではあるが、その薄い唇の端は上がっている。
「それにしても…今日の歌はなんだ? 高音の張りがまるで無い」
「少し夜更かしをしただけ。問題無いわ。それにそんな違いを聞き分ける耳を持っているのはあなたぐらいのものよ」
 つい、と男がカルロッタの背後に寄る。
「随分と演技にもやる気が無いようだ」
「好きでもない男と茶番をするのはたくさんよ」
 男が鼻で笑う。
「なら、私が相手なら?」
「…考えても、いいわ」
 振り返るカルロッタの唇に、男が肩越しからそっと唇を重ねる。
「気まぐれな歌姫だ」
 そう言った男の口を塞ぐように、カルロッタが深く男の舌を求める。
男はその求めに応じながら、この気まぐれさと気の強さの裏の可愛らしさを思っていた。
どうせ夜更かしも自分を待っていたに違いない。
もちろん、それが解っていて昨夜は顔を出さなかったのだが。
「…何か違うことを考えてるわね。駄目よ、わたしだけを見なさい」
 そう言った彼女の目には既に愛欲の炎が揺らめき、このままなら明日のオペラはいいものが聴けそうだと男は密かに思った。
286名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 01:32:01 ID:cldcoD4A
GJ!
うわっ、マスター!カルロッタにまで手を!?
まさか、オペラ座団員全員制覇する気か!?
…ていうかピアンジカワイソス
Poor,fool,he doesn't know…orz  
287名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 01:45:37 ID:PBmPCSjf
>285
GJ!
ロッタさまが可愛いじゃん!
288名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 02:49:33 ID:OSz4ctl+
>285 GJ!
先生とロッタさま、オトナな雰囲気がするよ。
ロッタさまカワイス
289名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 13:13:26 ID:OAIIlapR
>>285
こういうのいいねぇ…w GJ!!!
なんかさぁカルロロッタのSSってたま〜にしかないけど毎回素敵なエロスでいいよね

こんどはわがままエチーお願いします!!!
290名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 14:38:49 ID:uLTuO3Am
1に紹介されてるまとめサイトの “スウェーデン”
のラウル編の後の 再びスウェーデン編の最後に
マスターがいろいろ名前を書いてる紙ですが・・・
あれは・・・ベイベの?

・・・っちゅう話題はオケ?
291285:2006/02/19(日) 17:27:32 ID:6Fv+UW66
レスありがとう。
唐突に脳内がファンカロ祭になってる。
ツンデレなロッタ様が好きです。

ところで一人で二日連続投下はまずいよね?
292名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 17:33:08 ID:SYHofj4G
どうぞどうぞ!!!!!!!!!
待ってます!
今すぐですか?!夜ですか?!
まぁどちらでもOKなんでよろしくお願いします!!!!

オイラもツンデレ刈る六田大好きでつ!!!!!!!!!1
293285:2006/02/19(日) 17:45:35 ID:6Fv+UW66
んじゃ日付も変わらないうちにさっくりと。
他の天使様、お気になさらずにお願いします。

ファントム×カルロッタ
エロ薄し、1レスのみ


「あぁ…そう、そうよ…」
 寝室に甘く切ない女の喘ぎ声が響く。
粘ついた水音を上げるそこを、彼女はずっと突き上げられていた。
「まだ、満足できそうにはないかね…」
 呆れたような口調で男が言う。だが、その白い仮面の男の口調はどこか楽しげでもある。
「だめよ…。この公演が終わったら、わたしにずっと付き合うって言ったじゃない」
 荒い息を吐きながら、女が獲物を捕らえた肉食獣のような目で言う。
「だから毎晩あんなに心を込めて歌ったのよ。…このカルロッタが、一人の男のために…!」
「ああ、そう、そうだったな…」
 喉の奥で低く男が笑う。
おかげで公演は大成功し、口うるさい批評家も大絶賛の出来だった。
「あのアリアは素晴らしい出来だったよ、カルロッタ」
 男がそう言うと、カルロッタは赤く彩った唇の端をにぃ、と吊り上げた。
「当たり前でしょう、わたしを誰だと思っているの?」
 この自信家が自分の前ではただの女になることが男は嬉しかった。
それにその自信に見合うだけの努力をしていることも知っている。
口だけではないこの気の強いプリマドンナが男は好きだった。
「そうら、ご褒美だ…!」
 男がいっそう腰を強く打ち付ける。
「あぁ…! そう、いいわ…!」
 嬌声が高くなるにつれ、肉の締まりがきつくなってくる。
不規則な収縮を始めたそこになおも腰を打ち付ける。
「あぁ、そう、そう…あっ、あっ、あぁっ…! …ママ…!!」


「ああいうときに母君を呼ぶのはやめてくれないか」
 気だるい身体をベッドに預けながら、男が言った。
「なぜ? じゃあ誰を呼べって言うの」
 男が寝返りを打ち、カルロッタの頬に触れる。
「もちろん、私の名を呼んでもらいたいものだね」
 カルロッタは鼻で笑った。
「まさか。わたしが呼ぶのは本当に愛してる人の名前だけよ」
「なら、貴女の唇から私の名が紡がれるのを待つとしよう」
 男はそう言って、自信に満ちた三日月のような唇にそっと口付けた。
294名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 17:50:06 ID:g7DdzecS
>290 ベイベの名付けに悩み中のマスターなのです
>291待ってます!
295名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 18:14:37 ID:g7DdzecS
>293
GJ!勝気なカルロッタそのままのイメージだ。
「ママ──ッ!」これからあのシーン観るたびにこのSS思い出しそう
しかしピアンジに知られた日には一体どんな事態に…
296名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 18:25:45 ID:SYHofj4G
>>293
ウッッホーイ♪
これって続きとかあるの?!
なんだか読んでるとエロくてにやけちゃう…wwニヤリ

じゃじゃ馬調教SMとかに発展しそうだ…って妄想膨らませすぎでつね(´?・ω?・`)

とにかくGJ!!!!!

297名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 19:19:37 ID:SJV8lJbm
>>293
「ママーッ!」ハゲワロタwww
そりゃマスターも萎えるよな
298名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 19:40:28 ID:5M9r8T2U
>>293
「ママ…!」萎えすぎだwwwwww
299名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 20:22:46 ID:Ae9huwMS
293天使様 GJです!
皆さん同様に「ママー」に吹きました!
愛している人=ママ…
「チチちゃん!」じゃないだけ まし?
300名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 20:29:38 ID:Clb+7qy2
ねえ、ピアンジは…?
301名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 22:08:58 ID:taAFJMHi
>293
いい! ハゲしく気に入ったよ!(・∀・)
自信家だけど、美味しいご褒美をゲットすべく頑張るロッタのキャラが可愛い!
そしてご褒美をもらってなお強気に出るのも、「ママ…!」も可愛い!
ファントムvsカルロッタ、この二人、いいかもしんない・・・
ぜひ続きをおながいします or2"
302名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 00:29:50 ID:bq5GoiIc
前スレもう読み返せないんだな
すごくいいのがあったのにな
303ペルシャ編:2006/02/20(月) 02:27:57 ID:mx+mpABp
投下させていただきます

*ペルシャでのエリック×女奴隷

エリックがシャーの寄越した女奴隷を受け取った設定となってます
よろしければ読んでください
304ペルシャ編:2006/02/20(月) 02:28:48 ID:mx+mpABp
その夜、シャーから私の元へ遣わされたのは、薄物の衣装を身に着けた1人の娘だった。
シャーから寵臣に示される最大の恩寵、ハーレムの処女――妻――。

思いがけぬ贈り物に、ほの暗い部屋の空気が張りつめた。
…使いの者と宦官達が私を凝視している。
シャーの恩寵? 
いやむしろ、興味本位の悪意――自らの権力に慣れきったあの男が、私の反応を見て楽しむために、
そのためだけに寄越したハーレムの娘。
膝をつかんだ指に力が入る。

しかし、そうわかっていながら、私のために連れてこられた生身の娘を眼にすると、
身体の中に欲望が怒涛のように湧き上がるのを感じた。
娘の顔はベールで見えないが、その曲線を描く身体、胸の上でうねる長い黒髪。
自分の中に抑えきれないほどの欲望を感じながら、それらを押さえ込み、ねじ伏せてきた過去が脳裏をよぎ

る。

「娘をこちらへ」

この娘を、私に与えると――?
足元に投げ出された娘に近付き、屈みこんでベールを剥いだ。
その顎を掴んで上げさせる。
怯えた目をした、美しい娘。

「年は?」
「…十五でございます」

自分には生涯閉ざされたままであろう万人の秘密――。
この娘が、私が長く求めていたものを与え、飢えを満たしてくれると?
数え切れない程受けた私の傷をいくらかでも癒し、空洞を埋めてくれるというのか――。

「なぜここへ連れてこられたか知っているのか?」
「…はい」
「なるほど。そのベールの下に何があるのか見せてもらった。
 ……気に入った。シャーに礼を言わねばなるまい」

使いと宦官は満足げに部屋を出て行き、娘は1人残された。
残された娘が私を恐れて怯えていることはわかっていた。
私の元に連れてこられた不運な美しい娘――。
だがその怯えた大きな瞳も、戦慄く唇も私の欲望を刺激してやまない。

「怯えることはない。おまえに無体なことをするつもりもない。
 あまりに若い娘で驚いたがな。一晩、おまえが受けたという訓練を実践してもらおうか。
 ……こちらへおいで」
305ペルシャ編:2006/02/20(月) 02:29:44 ID:mx+mpABp
娘の手を引き、奥の部屋へと連れて行く。
小さな手が震えている。
怯えてはいるが思いの外従順で、俯いてついてついてくる姿が愛らしい。
寝台に腰掛けた私の足元に跪いた娘の髪から、ベールを取り去った。

「……私が恐ろしいか?」
「…はい、いえ、あの……」
上手い言葉で男をあしらう術も心得ていない若い娘。
「…まだ子供のようではないか。ハーレムに入るには早すぎるのではないか?」

「いいえ! ハーレムでは十五歳という年齢は普通でございます。
 もっと若い娘もいる位ですから…」
慌てて答える姿も初々しい。
「…そうか。シャーは若い娘がお好みか。おまえは突然私の元に来る事になって、さぞかし
 がっかりしたのではないかね?」

はっと私を見やり、心のうちを言い当てられたように絶句する娘。
「…シャーの寵姫ともなれば、思うままに贅沢な暮らしが出来るだろう。
 だが臣下に与えられて妻の一人となるのでは、そう面白くもなかろう」
「いえ、あの…そんなことはありません」

まだ幼ささえ感じさせる、女のしたたかさもずるさも備えているとは思えないこの娘に、
ハーレムにひしめく女達の中でのし上がっていく才覚があるとは思えなかった。
私の元に差し出されたのはどのような巡り会わせか――。

徐々に娘の警戒心が解けていくのがわかる。
私に与えられた、まだ十五の娘をじっと見つめた。
美しい顔立ち、その肌、波打つ髪。
跪く娘の衣装の胸元から肌が覗けて見える――。

「では訓練の成果を見せてもらおうか?」

私の中で欲望が勝った瞬間だった。
306ペルシャ編:2006/02/20(月) 02:31:47 ID:mx+mpABp
娘がおずおずと私の服に手をかけ、ボタンを外し始めた。
しなやかな手が、肌が、私の体に触れては離れる。
私に触れる娘の手の、その優しい感触に一瞬で自分自身が固まるのを感じる。
薄く開かれた、紅をつけた唇から芳しい息がもれていた。

私は生まれつき孤独を運命付けられていた。
ジプシーの群れにいたときでさえ、愛を交し合う彼らから離れた場所で、私は常に独りだった。
私はこの娘とそれを共有するのか。
私にとっても、この娘にとっても、それを共有し合う初めての相手――。

娘は本来の仕事を与えられ、務めを遂行することに懸命になり、もう私を恐れてはいないようだった。
上を脱がせ終わり、下も脱がせようと私の前を解く。
そこでつ、と手が止まり、私を上目使いに見上げ、その小さな手がそっと私自身に触れた。
背筋を衝撃が走る。

その手がゆっくりと私を扱き、指が蠢く。
ああ。
陶然としたところへ、先端に何かが触れるのを感じた。
娘が柔らかな頬を私に寄せている。
そして、その唇に――。

「よせ……」
娘の肩を掴んで止めさせる。
娘を制止し、身体を抱き上げて寝台に寝かせた。
この娘にそれをさせるのはためらわれた。
教わった手順と違うのか、娘は驚き、困ったように私を見つめている。
「……その唇には別のことをしてもらう」
307ペルシャ編:2006/02/20(月) 02:33:26 ID:mx+mpABp
娘を押しつぶすようにのしかかり、その唇に自分の唇を重ねる。
おずおずと私の唇を挟み、舐めるのはハーレムで教えられたことだろうか。
この娘は私を拒まない。

甘く柔らかな唇。
その心地よい唇をもっと知りたい。
シーツに広がる髪に触れ、その頬に、首筋に触れる。
娘は瞳を閉じて私の舌を受け入れた。

私の体重を受ける身体は華奢で柔らかく、そのすべすべとした肌の触り心地はどうだろう。
薄物の衣装は身体に密着して透け、身体のくびれやふくらみをそのまま見せている。

欲望のままにその身体をまさぐる。
初めて触れる若い娘の身体の、なんと心地よいことか。
衣装を引きちぎりたい衝動に駆られたが抑えた。
この娘をいたずらに怯えさせたくはない。

「…服を脱いでもらおう」
「……はい」

私の下から身を起こした娘が、背を向け、少しためらいながら衣装を取り去っていく。
長くうねる髪の隙間から露になった背中が見え……衣装の上衣が落とされる。
背中から腰への肌が艶かしい。

「……全て、脱ぐのでしょうか…?」
「…そうだ」

娘は一つ大きく息をし、腰を浮かせて下の衣装も取り去った。
が、娘はその衣装を手に持ったまま、身体を硬くしてこちらを向こうとしない。
肩に手をかけるとびくりと身体を震わせ、衣装で胸を覆ったまま、下から掬い上げるように私を見た。
うっすら涙を溜めた、黒い大きな瞳……。
この娘にためらいがあるのも当然だろう。
しかし、私はもう待てなかった。
308ペルシャ編:2006/02/20(月) 02:36:19 ID:mx+mpABp
娘を押し倒し、手にした衣装を掴んで投げ出した。
噛み付くように口づけ、全裸の娘の肌をまさぐる。
「んっ……!」
柔らかな乳房を、すべらかな肌を、丸い尻を、手触りを確認するかのように撫でる。
どれほどの富を得ようとも、今まで一度として、触れることが許されなかったもの。
私の欲望は抑えきれないほどに膨れ上がり、形の良い脚を手荒く開かせた。
「あっ…」

まだ十分に潤みきっていない娘のそこに、硬くいきり立ったものをあてがう。
ハーレムで訓練を受けたとはいえ、実際に経験のない娘にとってはつらいことかもしれない。
しかし、全裸の可憐な娘を眼の前にして、もう欲望を抑えられなかった。
狭い入り口から柔らかな襞が締め付ける娘の体内へと、容赦なくつき進んでいった。

「ああああああっっっ!!!」
美しい顔が苦痛にゆがむ。
眉をよせ、唇を噛んで耐えようとするその姿に、私の欲望はさらに煽られる。
左右に大きく開かせた脚、目の前に息づく柔らかで無防備な乳房。
硬さを増した乳首に吸い付き、しゃぶり、舐める。

娘の手が私の肩を掴み、すがりつく。
みしみしと少しずつ私を受け入れる娘の体内はあたたかく湿り、たとえようのない
淫靡な動きで私を締め付ける。
これほどのきつさであれば、娘はかなりの苦痛を感じていることだろう。
それでも静止することを、この娘の中を突き進むことをやめることができない。

娘は顔を背けて涙を流していたが、抵抗するような声も、そぶりも見せなかった。
苦痛に耐えながらこの行為を、私を受け入れていた。
いつの間にかその腕は私にしがみつき、その脚は私の脚に回されていた。
娘を組み敷いて、その狭い体内を行き来し、我を忘れるような快感に身を任せる。

やがて唐突に終わりが訪れ、私は娘の身体の奥深くにすべてを解き放った。
309ペルシャ編:2006/02/20(月) 02:38:44 ID:mx+mpABp
娘から離れ、放心したままその隣に横たわる。
まだ痛みが残っているだろうに、娘はそろそろと起き直り、私の後始末をはじめた。
「私は大丈夫だ。……おまえはまだ痛むだろう」
娘が驚いたように私を見る。
「……すまなかった…」

とまどいながら、娘が初めて愛らしい笑顔を見せた。
ああ、この娘はこんなふうに笑うのだ――。

「……おいで」
再び娘を抱き寄せて寝かせ、まじまじとその顔を見つめる。
私が初めて、万人の秘密を共有した娘。
娘が、愛らしい大きな黒い瞳で私を見つめ返している。
その額を、頬をそっと撫でる。

この娘に対する、この感情を何と呼んだらよいのだろう?
腕の内にある娘の身体をじっと見やり、さっきよりもゆっくりと娘の身体を撫でていく。
「ああ……」
娘のもらす声を耳元に聞きながら、その身体を探索した。

隅々まで確認するように撫で、擦り、口づけて舐める。
娘が身をくねらせ、その声が次第に甘さを帯びてくる。
甘えるように私に額をすりつけ、その小さな手を私に重ねる。
身体がびくびくと身悶え、切なく私を見つめる。

再びその脚を開かせて華奢な身体を貫いた。
その表情はもう苦痛を耐えている表情ではなかった。
出合ったばかりの私達は、お互いの身体で快楽を貪りあった。

やがて――、すべてが終わり、私は娘の額に口づけた。
愛らしい微笑を見せた娘の瞳には、もう私への恐れは微塵も感じられなかった。
310ペルシャ編:2006/02/20(月) 02:42:22 ID:mx+mpABp
しばらく寄り添っていた娘が、ベッドを降りて水差しを取りに行く。
その娘が、突然悲鳴を上げて倒れた。

見たことのない種類の蛇が、その足元からうごめいて離れていくのが見えた。
「……噛まれたのか?!」

倒れた娘の足元に駆け寄り、その傷を確認する。
傷は深く、状態は良くない。
毒がまわらないように血管を押さえ、娘の脚を縛ろうと辺りを見回す。
娘が倒れたまま私に手を伸ばしてきた。
「……ご主人様…」
私はこの娘に名前すら名乗っていなかったことに気がついた。
「今手当てをするから待ちなさい」
娘が大儀そうに首を横に振る。
「……あれは猛毒の蛇。……薬は…ないのです……」

すでに話すのが苦しそうだった。
「まて、話すんじゃない。今毒を…」
「いいえ、聞いて、下さい…。…優しく、していただいて、嬉しゅう、ございまし…た……。
 さいごに、ご主人様の…お役に、立てて、……良かっ…た……」

大きな黒い瞳を見開き、私を見つめたまま、娘はこときれた。
私はなす術もなく、腕の中の娘を見つめた。
名を呼ぼうにも、この娘の名前すら知らなかった。
たった今私にすべてを許し、たった今わたしのものになった娘。

瞼を閉じさせてやり、その頬を、額を、その身体を撫でる。
私は今夜、何を得て、何を失ったのだろう?
311ペルシャ編:2006/02/20(月) 02:44:22 ID:mx+mpABp
腕の中の娘は、まるで眠っているようだった。
閨の化粧が落ちた娘の、素顔のあどけなさ。
まだぬくもりの残る小さな手を取る。
昨夜私の手に重ねられ、私の肩にすがりついていた手。

息絶えた娘の身体には、私の手で薄物の衣装を再び纏わせた。
昨夜、私の前でためらいながらその衣装を脱いでいった可憐な様子を想い出す。

シャーから戯れに贈られた娘。
愛しむつもりで受け取った娘ではなかった。
怒涛のように湧き上がる欲望を抑えきれず……一時の慰みに過ぎなかった。

私はおまえに名前も名乗らず、おまえの名前すら尋ねなかった。
たった一晩を共にしただけの、名も知らぬ主人の身代わりに死んだ娘。
おまえの短い人生は何のためにあったのか――。

仮面の下を涙が伝っていく。
一日前にはその存在すら知らなかった、名も知らぬ奴隷娘の為に。


私の私室とはいえ、宮殿に奴隷の亡骸を置いておくことは許されなかった。
昨夜娘を連れてきた同じ宦官が、今日、娘の亡骸を運び出しにやって来た。
娘を宦官の手に渡すには忍びなく、私自身の手で抱き上げ、宮殿の長い回廊を抱いて行く。

……この回廊を共に歩くことさえ出来なかった。

使用人や奴隷の使う宮殿の裏側の質素な部屋に、棺が用意され、私の手で娘をそこに納めた。
使いに指示して娘の棺を花で満たし、そしてたった一夜、私のものであった娘に別れを告げた。
312ペルシャ編:2006/02/20(月) 02:45:59 ID:mx+mpABp
私の部屋には娘が来る前のように再び静寂が訪れ、私は昨日までと同じように一人になった。
以前と何も変わらぬ、私の部屋。
が……、何もかもが昨日までとは変わってしまっていた。

昨夜の名残を探すようにがらんとした室内を見回すと、乱れたシーツの上にその徴を見つけた。
ハーレムで生きて行くにはあまりに頼りない娘の、寝台でのいじらしい様子がが蘇り、崩れるようにその場

に膝をつく。
奴隷の娘として生まれ、美しさ故にハーレムに召し上げられながら、シャーの側室になることも叶わず、
思いつきで私のような男に与えられ、慰みに純潔を散らされ――。

欲望のままに身体を重ねながら、そこに何かが芽生えたような気がしていた。
この国で、娘と共に過ごすかもしれないこれからの日々を考えられたのは、ほんの一瞬だった。
シーツにかすかに残る娘の残り香を感じ、私の指の間をすり抜けていったものを想って嗚咽した。

いまや私の呪われた人生は、暗かった昨日までよりもさらに暗く、昨日までよりもさらに孤独だった。
もはやどこを探しても、一筋の光も見出すことが出来なかった。



(終)
313ペルシャ編:2006/02/20(月) 02:47:46 ID:mx+mpABp
以上です。
読んでくださった方、ありがとうございました。
救いのない終わり方でごめんよ。
314sage:2006/02/20(月) 03:44:03 ID:DWx/wQyc
ううっ・・・GJ!!・・・しかし、悲しすぎる・・・
315名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 04:13:37 ID:rN7E52om
仕事の合間に覗いて見たら
ペルシャ編があるではないですか!
読みたくて仕方ないのですが
感情コントロール不能になるとマズいので
後でゆっくり楽しみたいと思います
ペルシャ編の天使様
帰宅後の楽しみを作ってくださり
ありがとうございます
(余談:某局は今、仮面の洪水です)
316名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 10:02:54 ID:rN7E52om
ペルシャ編の天使様 GJです
あまりに切なくて絶句
奴隷娘よ、どうしてそんなに不運なんだ…涙
317名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 13:35:23 ID:gJNBtksn
>>313
GJ!
童貞マスター、イイ!
一度、人間らしい愛に目覚めかけて…失って、傷付き、更に屈折していくマスター。
マスターって、長い旅の間に、こんな出会いと別れを繰り返してきたのかな…。
なんか切なくなってきた。  
318名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 20:01:23 ID:4zDWCtNe
ペルシャでのふたりの暮らしというのをつい思い描いてしまったよ…
エリックの寂しい心情がひしひしと伝わって涙滲んだ。切ないね。
>「ご主人様」
巷で人気のメイドより女奴隷にハァハァ
319名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 22:34:51 ID:U9ESMTwT
>>313 GJ!!
欲望を抑えられないハジメテの先生に萌える
せつなさがたまらないよ
320名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 22:46:56 ID:0Z1AH22V
>>313
GJGJGJ!!!
ひとり取り残されたエリックに涙しました。
喜びを知った後の孤独はひときわ辛いだろうな。
とても素晴らしくて、切ないよ。
321名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 22:48:22 ID:5MICUK+I
GJ>>313。面白かった〜!
すごい満足感。文うまいすね。
322名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 23:24:17 ID:zRyjVUZD
>313 GJGJ!
暖かいものが手の中からすり抜けてく感じで切ない…
K版は良い感じになりそうなとき不幸になるんだよね。
ママン然り、ルチアーナ然り。
なんか自然にK版の中のエピソードとして読めました。
323名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 23:58:50 ID:mx+mpABp
313です。
暗い話にもかかわらず、コメントありがとうございました。
次は連載モノを終わらせます…。
324名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 08:17:25 ID:MIl2IXZ5
>313
泣いた。マジ泣いた。映画でも泣いたことないのに…。
そして奴隷に萌えました。
連載の方も楽しみにしてます。


すばらしい投下の後にアレなんですが…
ファントム×カルロッタ
エロ無しで2レス。無駄に長くてすいません…。
舞浜いったら妄想が止まらなくなりました。
325名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 08:19:14 ID:MIl2IXZ5
「もう、解ったから…。解ったから一人にしてちょうだい!」
 手荒く楽屋のドアを閉め、彼女は取り巻きを締め出した。
「言われなくても、そんなの解ってるわよ…」
 もう何度も支配人から言われたこと…自分がもう若くないことなんて解っている。
20代も後半に差し掛かり、歌手としてはこれからなのに若さと言う商品価値はどんどん無くなってゆく。
あのスポットライトに照らされる商品に人々が望むのは素晴らしい歌声ではない。若さと美しさなのだ。
若さが自分からどんどん失われていくのは解るが、時間など止められるわけも無い。
だが彼女は若さではなく、声で勝負をしたかった。
「あいつらみんな芸術をこれっぽっちも理解してないのね…!」
 パトロンとの食事の回数も、夜を共にする回数も昔よりずっと減った。
でも、そんな風に媚を売るのは嫌いだった。
今こうして少々とうは立ってもプリマドンナの地位を守っているのは、彼女の歌声のおかげに他ならない。
だがどんなに素晴らしい歌声でも、その玉座は砂上の楼閣に等しいものだった。
自分より若い娘が出てきたら、支配人もパトロンも、民衆だってそちらをもてはやすだろう。
「悔しい…!」
 そう言って歯をかみ締めたとき、彼女の背後でこつり、と音がした。
振り向いた彼女の目に映ったのは、見慣れない黒尽くめの男だった。その顔の右半分は白い仮面に覆われている。
男はいつの間にか彼女の後ろの椅子に腰を下ろしていた。まるで最初から居たかのように。
「今晩は、女王様。ご機嫌麗しくて何よりだ」
 男が薄い唇の端を吊り上げて言った。
今まで確かに誰もいなかったその場所に座っている男に、彼女は心底驚いた。
「何なの、あなた…」
「私はここに住み着くゴースト…ファントム、とでも呼んでいただければよい」
 余裕のある笑顔を見せてはいるが、男の目は獰猛な野獣そのものだ、と彼女は思った。
「…そのゴーストがわたしに何のご用事かしら?」
 彼女はこの得体の知れない男に恐怖を抱き始めていた。
だがそんな思いを悟られないように、プリマドンナの態度そのままで接する。
「なに、ちょっとしたビジネスの話をしに参っただけですよ、女王様」
326名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 08:22:59 ID:MIl2IXZ5
 男が椅子から立ち上がり、彼女の元に一歩近づく。
女としては随分背の高いはずの彼女が見上げてしまうほど、男の上背は高い。
その優雅な立ち姿に服の上からでも判る逞しい体躯。
まさに『得体の知れない』という表現がぴったりだと彼女は思った。
「単刀直入に言う。私と手を組まないか?」
 予想のカケラもしていなかったその問いかけに、彼女は驚いた。
「貴女はオペラ座の表舞台を支配する。私はこのオペラ座を裏から支配する。…どうだ? 悪い話では無かろう」
 いつの間にか眼前に迫っていた男が、くい、と彼女の顎を持ち上げた。
「私に協力すると言うのなら貴女のプリマドンナの地位は約束しよう」
 この男を本当に信用してもいいのだろうか。
男の言うことが本当ならば、自分の玉座は安泰なのだ。だが、それを信じるにはあまりにも情報が足りない。
「…いきなり、そんなことを言われてわたしが信用すると思ってるの?」
「私はこの劇場から芸術以外を排除したいだけだ。貴女なら解るだろう?」
 どきりとした。男が自分と同じことを考えているなんて彼女は思わなかった。
「なぜ、わたしに?」
「それはもちろん貴女の声が素晴らしいからだ。だが支配人は金のことしか考えておらず、聴衆も真の芸術を理解していない」
 男は悔しそうに拳を握り締めた。
「だからこそ私は私の劇場を芸術の殿堂にしたい。そのためには貴女が必要なのだ、女王様」
 男の緑に金を散らしたような不思議な瞳にまっすぐに見つめられ、彼女はときめいた。
こんな少女のような気持ちになったのは随分と久しぶりな気もする。
327名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 08:24:35 ID:MIl2IXZ5
ごめん3レスになったorz


「…いいわ」
 面白そうだ…彼女はそう思い始めていた。
このまま男と手を組まなければ近いうちに自分は玉座を追われるだろう。
信用したわけではない。だが、利害の一致はあるようだ。それに賭けてみたい…そう思った。
「でも、プリマドンナの地位の他に条件があるわ。よろしくて?」
「私にできることであれば、いいだろう」
「わたしにスリルを…日々の情熱をくださいな。退屈な日常なんてまっぴら!」
 男は意味ありげに笑うと、そのまま彼女に口付けた。
息もつかせぬような濃厚な口付けに、彼女は自分を見失わないようにするのに精一杯だった。
「これではいかがかな?」
「…悪くはないわ」
 悪くないどころの話ではない。今までのどんな口付けより熱情を掻き立てられる。
だがそんな弱みを男に見せる気は無い。
「では、これからよろしく頼むよ…カルロッタ」
 契約は成った。自分にこの野獣のような男が御せるだろうか。
だがこれからの舞台に彩りが添えられることだけは間違いないことを、彼女は知っていた。
328名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 10:50:05 ID:pbvg45Gu
GJ!!
ファンカル祭りだ。
天使様のカルロッタへの愛を感じるSSだなあ。
>女としては随分背の高いはずの彼女が見上げてしまうほど、男の上背は高い。
なぜかここが好き

329名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 20:48:51 ID:tRNxuWQg
29chでも 2幕3幕は見れないね。
なんでかな。
330名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 22:48:37 ID:3/wy98Ex
私の劇場…マスターらしい不遜さだ
カルロッタが自分の歌に自信持ってて
カッコいいな
331名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 23:08:59 ID:pbvg45Gu
ファンカル祭りを中断して申し訳ないのですが投下させて下さい

ファントム×クリスティーヌ
エロなし
まだ師弟関係

よろしければ読んで下さい
332ぬくもり:2006/02/21(火) 23:12:09 ID:pbvg45Gu
「ああ、どうしてもここでつまずいてしまうの。」
いつもはマスターに指摘され、それについていくのに精一杯なのに
今日はどうしても自分で納得できない箇所があって、
何度も彼のピアノの手を止めさせてしまっている。
普段は気短かでレッスン中に少しでもぐずぐずしようものなら
あの低く氷のような冷たい声で叱られてしまうのに、
今夜はなぜか何も言わずに伴奏を繰り返してくれている。
そして、いつもなら彼の顔色をうかがってしまい、萎縮してしまう私なのだが
不思議なことに今夜はそんなことはどうでもよかった。
彼の反応すら気にもならなかった。
ただ、自分に納得できるまで歌いたかった。

333ぬくもり:2006/02/21(火) 23:15:27 ID:pbvg45Gu
どれだけの時間が過ぎたのだろう・・・
彼の伴奏に自分の歌声がするりと乗ったのだ。
今までは彼の大きな音楽の翼の中にちょこんと入り込み、
守られてきただけの私の歌。
それが今夜は、この歌声に羽が生え、彼の翼と共に宙を高く駈け上がり
自由に羽ばたき、そして優美に舞い降りた。
なんという恍惚感・・・

しばらくの間、私は何をしていたのか記憶になかった。
息をしていたのかさえ。


334ぬくもり:2006/02/21(火) 23:17:35 ID:pbvg45Gu
ふと我に返り、緊張の糸が切れた私はその場で小さな子供のように泣き出した。
気が付くと私を抱きしめる広い胸の中にいた。
泣いてしまってばつが悪かったのと、泣き顔を見られるのが恥ずかしいのとで
まともに彼を見ることはできなかったけれど、
ほんの一瞬だけ彼を見上げたとき
その緑の瞳を細め、口元に笑みを浮かべ、満足そうに私を見つめていた。
そして、その大きくて暖かい手が、私の頭をいつまでも撫で続けてくれた。
ああ、そっと包み込まれ優しく守られていたのは歌だけではなかったのだ。

彼が私に触れたのは、これが初めてだった。

335ぬくもり:2006/02/21(火) 23:19:45 ID:pbvg45Gu
以上です。
読んで下さった方、ありがとうございました。
336名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 23:47:52 ID:hi1rnVtE
>335
GJ!
マスターの広い胸と緑の瞳と大きい手に萌え。
緊張が解けて泣くクリスに萌え。
337名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 00:25:40 ID:SHsQoAdM
>335 GJ!
とってもあったかいよ
頑張るクリスがカコイイ
見守るマスターに萌える
338名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 01:00:50 ID:HuT8YhmV
あったかいなあ・・・
そしてとてもきれいだ。
GJ!
続きも楽しみにしてるよん。
339名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 02:16:20 ID:ViCYrTFm
ぬくもりでつね。。。
GJ!

しかし・・・
ファンカルのSS、野暮を承知で聞くが、
この場合ウバルド様とクリスティーヌはどうしてるんだろう・・・?
340名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 05:39:14 ID:n2h5DeiE
あったかいな…(*´Д`)


個人的にはピアンジはただの同僚。
クリスはいないか群集の一人だと思って書いてる。

ファンカルは最強の組合せだと思う(・∀・)
341名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 08:23:44 ID:HuT8YhmV
だれかウバ×クリを書く者はいませんか〜?
342名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 09:56:05 ID:Aaac99hL
>341
ちょwww難易度タカスw
ドンファンを待たずしてピアンジ゙はパンジャブられるぞw

マスカレードのシーン、消える前にマスターが
手繰り寄せる赤い布切れの中に
褌の端っこが紛れ込んでいるような気がしてならない

暖かい流れの中スマン。久しぶりにDVD見たら、もうそうとしか見えなくてorz
343名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 14:38:27 ID:QBOOmTTF
>>342
なんという事を言ってクレルノダッ!!
そんな風に見えてしまうヂャマイカッw
344名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 16:14:20 ID:iC7gi+ah
嫌スレで、あれが褌そのものだというネタがあった事思い出したよ
345名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 21:10:26 ID:LPxLdEmt
投下いたします。

1.エロ(殆ど)・ギャグ、なし
2.ラウルが占めるべき位のウェイトを何故かマダムが占めてます

地下で仮面を剥いでしまった直後からのお話し
ラウルは、いないものと思って下さい…(絡められなかった)

つづきもので、次回で完結です。
華やか、温かい作品が続いたあとで、気がひけますが、ウェットです…
346WanderingChild裏1:2006/02/22(水) 21:12:16 ID:LPxLdEmt
裸足のままクリスティーヌは、水の中へと逃げ込んだ。
藻に足をとられバランスを崩しながらも、必死に前へ進む。
地上と地下を分かつ役目をしている格子を掴み、無駄だとわかっていながらも全力で揺さぶらずにはいられなかった。
これさえなければ、むこう側へ行けるのに。
眉根をぎゅっと寄せ、前方に広がる暗い水面を見た後、絶望に荒く息を吐く。
背後から、水を掻き分けて進んで来る足音が聞こえた。
その音に追い立てられるように顔を上げ、手の中にまだ自分が剥ぎ取った物がある事に気付く。

考えるよりも早く、クリスティーヌはそれを枠の向こう側へと放り投げていた。
白い仮面は、暗闇に放物線を描き、小さな水音を立てて見えなくなる。
「あなたの、向こうへやっちゃったわ…ねえ、ここを開けて!」
「なら、もうあれは必要ない」
彼女に向かい進んで来たファントムは、ゆっくりと顔の片側を隠していた手をとる。
「お前が見たがった」
焼け爛れたような顔の半面が、蝋燭の光にあかあかと照らされる。
「ああ…あ…」
クリスティーヌの喉から、搾り出されるような音がする。
あの仮面の下に、何をみたかったのか。
もうそれすらも、思い出せない気がした。
347WanderingChild裏2:2006/02/22(水) 21:13:02 ID:LPxLdEmt
「ここを開けて…かえして…かえして、かえして…」
もう何も持っていないクリスティーヌには、そう繰り返し願うことしか出来なかった。
ファントムは逃げ場を失った丸腰の娘に、一歩一歩確実に近づく。
自分の仮面を剥ぎ、あまつさえそれを柵の向こう側へと放り投げた愚かな娘。
考えるまでもなく、末路など決まっている。
けれどファントムは、彼女の首に縄をかける代わりに、格子ごと抱き締めた。
「クリスティーヌ、私を残していくのか?私を…捨てるのか?」
縄で縛り上げるよりもずっとその言葉は、クリスティーヌの身をがんじがらめにした。
枠にしがみ付いていた腕から力が抜け、後ろから彼女を抱きすくめていたファントムとともに、水の中に身を沈めていく。
広い胸の中で身体の向きをかえ、半身を水に沈めたまま、クリスティーヌはファントムと向き合う。
一人残される孤独も、捨てられるかも知れないという不安も、自分が誰かに与えるなどと考えたこともなかった。
―あの方もお喜びよ?
そう言って自分に薔薇を差し出した人が脳裏に浮かぶ。
もし、あそこへかえりたいのなら。
私はこの人を、悲しませてはいけない?
水音とともに抱き上げられ、逃げ出した部屋の方へと向かっても、クリスティーヌはもう抵抗をせず、ファントムに身体を預けていた。
348WanderingChild裏3:2006/02/22(水) 21:13:45 ID:LPxLdEmt
クリスティーヌは嫌なことや悲しいことがあると、泣き喚く変わりに熱を出すような子どもだった。
父親が死に、このオペラ座に連れられて来た時も、他の子どもから隔離された暗い部屋で熱に浮かされながら、幾日も眠り続けていた。
熱も、眠りも、現実からの逃避だとマダム・ジリーは看病を始めて4日目の晩にして気が付く。

「クリスティーヌ…そんなに怯えないで。ここはあなたが思っているほど悪い場所じゃないわ」
汗で額に張り付いた巻き毛をそっとかき上げながら、彼女は語りかける。
ここという意味をクリスティーヌは、父のいない世界という意味でとらえた。
そんなことはとても信じられない。
枕に頭をつけたまま、いやいやをするように首を2、3度力なくふり、またぞろ沈黙の中に落ちていこうとする。
ジリーは小さくため息をつくと、クリスティーヌの頬に手をあて、顔を覗き込む。
「ここで生きていくのよ?クリスティーヌ。大切な人を失った悲しみが消える事はないでしょう。でもあなたは偉大な音楽家だったお父様の才能を受け継いでいるわ…それに」
一番大切なことをまだ伝えていなかったことに、ジリーは思い当たる。
グスタフ・ダーエの一人娘を寄宿生としてひきとることが決まった時に、一番最初に伝えようと思っていた言葉を。
「私がいるわ。ここに来た時からあなたは、私の実の娘なのよ」
ジリーは小さな子ども相手だからと言って、声色や喋り方を変えたりはしない。
けれどその凛とした声は、熱のため靄がかかっているクリスティーヌの心を貫き、胸に言葉を深く刻んだ。

ふいに小さな手がシーツの中から突き出され、襟元をぎゅっと握る。
それに突き動かされるように、ジリーは熱をもった頼りない身体を抱き締めた。
―お母さま…
熱で渇いてしまった舌が縺れて、こどもの呟きは声にならない。
ただ温かくて、柔らかくて、いい匂いだった。
自分は父を失うと同時に、母を得たのだとクリスティーヌは思った。
それから程なく、父親の魂もまた約束通りクリスティーヌの元へと舞い戻る。
だから彼女は自分が孤児であるという事実を殆ど忘れて、このオペラ座で生きて来た。
この夜までは。
349WanderingChild裏4:2006/02/22(水) 21:14:25 ID:LPxLdEmt
…生きていた。
意識を取り戻すと同時に、クリスティーヌはそう思った。
こんなに身体が痛いもの…。だから、生きているんだわ。
もう一度事実を反芻してから眼を開けると、ファントムが彼女を覗き込んでいた。
まるで触れるのを怖れるかのように、両腕はベッドの隅に着いたままだ。
最初に見た時と同じに、顔の半分は仮面に覆われている。
とって来たのだろうか?あちら側から。
身をゆっくりと起こして見ると、思ったとおり格子は上がっていて、誘うように水面が暗く光っていた。
あれが何かの罠だとしたら、あまりにもあからさま過ぎる。だからあれは罠などではなく、彼からの解放の意思表示なのだろう。
そう思いながらもクリスティーヌは、あれ程求めていた出口から眼を逸らし、視線の先にファントムを探す。

彼は動き出したクリスティーヌから逃れるようにベッドから離れ、浅い息を繰り返しながら彼女を見つめていた。
思い通りのことをした筈なのに、ファントムは少しも喜んでいないようだった。
水の中で向かい合った時と変わらずに、不幸せに見えた。
ふいにこみ上げてきた感情に、クリスティーヌは冷えていた自分の身体が熱を持つのがわかる。
それは今まで感じたことのない種類の怒りだった。
「…どうして私に抱かれた?」
身勝手な問いだと思いながらも、眩暈を覚えるような怒りの出所を、彼女もまた知りたかった。
ゆっくりと生々しい記憶を辿る。
「…私、あなたの仮面を剥ぎ取って、それを放り投げたりして。だから…」
「償いだとでも?」
「…」
少しの沈黙のあと、胸の内に相応しい答えを探し当て、クリスティーヌは首を振った。
「私、あなたがそれを告げ口すると思ったの…」
「誰に」
その問いに、シーツから覗く裸の肩が僅かに震える。
ファントムは、クリスティーヌが泣き出すのだと思った。
けれど彼女は、微笑んだ。
胸を貫き、苦しくさせるような微笑みだった。
350WanderingChild裏5:2006/02/22(水) 21:15:04 ID:LPxLdEmt
クリスティーヌはシーツを身に纏いベッドから降り、立ち尽くすファントムへと近づきその手をとった。
「こんな風に手を引かれて、このオペラ座に来たわ。長い廊下を俯きながら歩いて…あなたは?」
泣きながらかえしてと叫んでいた少女が、今は開け放ってある出口に眼もくれずに、無防備な姿で触れてくる。
混乱の中、ファントムは投げかけられた質問に答える道を選んだ。
「…私は走っていたよ。追われていたから」
「どうして追われていたの?」
少女は小首を傾げてファントムを見上げた。
「人を殺めたから…この手で」
そう答えるのに躊躇しなかった。
おぞましさに、クリスティーヌが手を放すのを待つ。
そうでなければ、肌に直接伝わる温もりを、自分から振りほどくのは不可能だった。
その思いとは裏腹に、握られた手にさらに力が加わる。
「…あなたが…」
と、唇が動いた。
351WanderingChild裏6:2006/02/22(水) 21:15:44 ID:LPxLdEmt
もう十何年も前に、ジプシーの一団の見世物小屋にいた子どもが、「飼い主」を殺して逃げ出した事件があったという。
警察が後を追ったけれど、闇の中にかき消えるように姿を消した子は、とうとう見つからなかった。
逃がしたのはマダム・ジリーなのではないか、という噂がオペラ座では密やかにけれど消えることなく囁かれていた。
見世物小屋にいた少年を笑いものにしなかったのが、彼女だけだったから。
本気で囁くものはいない。一見冷徹に見え、実際しばしばそういう態度も見せる彼女に対する、からかいのような噂。
でも、その噂は好きじゃなかった。
クリスティーヌは無意識に、唇をきつく噛み締める。
あの人に手を引かれて、連れて来られたこどもは自分だけだと思いたかったから。
クリスティーヌは片方の手をファントムの頬へと伸ばす。
何を思ったか、ファントムは反射的に身を竦めた。
「心配しなくても、もうあんな真似はしませんわ…」
見世物になる位に、醜い子。
人を殺めた子。
それでもあの人の手にひかれて、ここに住み着いた子ども。
その子が今、目の前にいる。
ずっとあなたのことが、大嫌いだった。
もう一度手を伸ばし、クリスティーヌはファントムの頬にとうとう手をあてる。
それから、仮面に隠されていない方の端正な顔の半面を、確かめるようになぞっていった。
352WanderingChild裏7:2006/02/22(水) 21:16:24 ID:LPxLdEmt
「クリスティーヌ…もういけ。格子が開いているうちに、安全な場所へ」
頬を撫でられる感触にファントムはたまらず眼を閉じる。欲望のままに肌を重ねたことで、永遠に失うだろうことはわかっていた。
けれど、自分を受け入れるわけもなく、逃げる事もしないクリスティーヌの手の平の温度は、拷問のようにファントムを追い詰める。
「安全な場所など、ありませんわ。あなたの支配するこのオペラ座では、どこにいたって同じ…」
「あるだろう。かえしてくれと、泣いていた」
クリスティーヌはゆっくりと首を振る。
「あなたの手をひいていたのも、ジリー先生ね?」
初めてその名が、二人の間に横たわる。
同じ女の幻影を、二人が同時に見た。

「優しい人ね、あの人は」
答えも待たずに、クリスティーヌはファントムから視線を逸らさずに、歌うように囁く。
高くて細い、壊れてしまっているのに鳴り続けるオルゴールを思わせる声だった。
「ねえ、あの人欲しくない?あの人、温かくて、やわらかくて、いい匂いがするのよ、知っている?」
水に濡れた自分は、さぞかし冷たかったろうとクリスティーヌは思った。
「いいや、知らない、私が欲しいのはお前だけだ、クリスティーヌ」
どんな哀願も、もうクリスティーヌには何の作用も及ぼさないようだった。
まるで聞き分けのない子どもを諭すような声色で、彼女は続ける。
「なら尚更、お願いを聞いて下さらなくちゃ。私、あの人にさようならを伝えたいの。一生忘れられないようなさようならを…あなたがうまく伝えてくれたなら、地下の住人になったっていい…あなたがそう望むなら」
何時の間にか、クリスティーヌは残酷な物語の筋をすっかり書き上げ、ファントムに演じることを強請っていた。自分の身と引き換えに。
「ここで、ともに?」
ファントムはクリスティーヌを見つめる。
気の狂うほど欲しいものを、眼の前にちらつかされている者の眼で。
昨夜も、そして今も、決して得られないものを必死に乞う姿を、彼女はたまらなく醜いと思った。そう思いながらも、深く頷く。
「だからどうか思い出して。とおい昔でもいい。あなたが欲しいと思った人のことを」
鏡を見ていないから、よくわからないけれど。
ファントムの耳へ毒を滴らせながらクリスティーヌは思った。
今の自分も、同じ位に醜い。
353WanderingChild裏8:2006/02/22(水) 21:17:33 ID:LPxLdEmt
マダム・ジリーはまんじりともせずに、一人長い夜を過ごしていた。
着替えもせずに、自室の机で頭を抱え焦燥感に身を蝕まれる感覚に耐えている。
陽の明ける前の一番暗い時間、ノックの音に弾かれたように立ち上がり、ドアを開けるとそこには昨夜楽屋から消えてしまった娘が立っていた。

「クリスティーヌ!」
その声は悲鳴のようで、安堵の色がかけらも見当たらない。
自分がすっかり変わってしまったからだろうと、クリスティーヌは思った。
「怖がらないで、先生。ひどいわ」
音もなく部屋へと滑り込み、一瞬クリスティーヌは眉根をきつく寄せる。
けれど次の瞬間にはもう笑っていた。
素早い動作で一歩彼女に近づき、息が触れ合う位に顔を近づける。
「さようならを伝えに来たんです…ジリー先生。愛されなくてもいい、守られなくてもいい。せめて、覚えていて下さい、私のことを」
クリスティーヌが何を言っているのか、彼女にはわからなかった。ただ身が闇に浸されていくような不吉な予感に、思わず一歩後ずさる。
354WanderingChild裏9:2006/02/22(水) 21:18:18 ID:LPxLdEmt
とん、と背中が何かにぶつかった。
こんな所に、壁はないはずだ。
「お…」
その瞬間、何もかもが理解できた。
「あなたたち…」
ジリーは振り向くことも出来ぬまま、ただ恐怖に息をつめてやっとそれだけの言葉を吐き出す。
何時の間にか背後に回っていたファントムの手が、そっと彼女の両肩を捉える。
少しでも動くと、その腕はたちまち檻のように彼女を拘束するだろう事はわかっていた。
クリスティーヌは背後の男が見えないかのように、ただジリーだけを見つめる。
「どうかお楽しみになって、先生。これが私からのさようならです」
いつもいつも捨て身のつもりで、舞台に上がって来た。
生きていくために、それが必要だった。
そんな思いも、これで最後だ。
上手く笑えていればいいのだけれど。
クリスティーヌは心の中で呟く。
この人が心の底から震えるくらいに。
「クリスティーヌ…」
戦慄く唇から、自分の名が漏れる。
その声に、役目を果たしたことを知る。
緊張に青ざめたジリーの顔を、主役に相応しく美しいとクリスティーヌは思った。
もうこの舞台に、自分の出番はない。
彼女は素早く身を翻し、泥に汚れた夜着の裾をはためかせ、一人部屋から退場していく。
「クリスティーヌ、待って!」
それを追いかけようとしてジリーは、直後伸びた腕に絡めとられる。
耳元に低い男の声がした。
「マダム・ジリー…あとは私がお相手しよう」

                                       つづく
355名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 21:19:17 ID:LPxLdEmt
今回はここまでです。
無駄に長くなってしまいましたが、お付き合いくださった方がいらしたら
ありがとうございます!
356名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 22:21:58 ID:NOJH+2XS
うわあ…何だかすごい話だ、GJ!
どうしちゃったんだよクリス!今すんごく心臓がバクバクしてるんだが。
続きが気になる、どんな展開になるんだろう
357名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 22:33:09 ID:aqBYn2uD
こんなの初めて読んだよ…
マザコン(ごめんなさい)クリスティーヌ…
355さんじゃないけど、心臓やられて倒れそう。助けて
358名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 01:36:41 ID:bSSSR8jA
え?!なになに凄く続きが気になるよー!
自分はマダムファンなんだけど、新天地な感じがするジャマイカ!
んで怪しく流れを変えて、クリスとマスターでマダムを取り合ってくれw
359名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 13:00:37 ID:R6vJlG2H
すごいや。愛憎と性が複雑に絡まってる感じ。
三人がどんな結論をだすか楽しみにしてます…。
360名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 17:11:41 ID:jiCwlDm2
>焦らされる快感w続きどうなるんだろ…
361名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 23:05:33 ID:rcyZfyRW
エロ無し、ネタ。
全国回って1年以上のロングラン映画版、ドンファン前。
ネタなので、今夜予定のエンジェルは投下お願いします。

「ねえラウル」
「なんだいクリスティーヌ」
「この衣装…サイズ間違ってるのかしら。肩のところがどうしても落ちてくるの」
(分かっていないな、我が天使よ。それは仕様だ。そうなるように造られているのだ。
完璧に計算通り、この私に間違いなどない)
「ちゃんとあいつの指示どおりに発注したよ。
ちょっとでも指示を違えると何をするか分からないからね」
「それに、このスカートも…凄く透けていない?」
「そうかな、そんなに目立たないけど」
(今はそうでもないが、舞台上で後ろからの光が当ると、お前の美しい脚がくっきりだクリスティーヌ!)
「あと、ね、その…アミンタとドンファンって、ええと、何というか、とってもくっつくでしょう?
ピアンジさんとその部分の稽古をしていると、カルロッタさんが舞台袖から凄い顔で睨んでて…」
(何だと!あの男、身の程知らずの愚か者!―早速支配人どもに手紙だ。
ええと、練習の際はあまりベタベタさせないように、
あとピアンジ君は早く痩せるのだ、それに…)
「それはやりにくいね…あ、いいこと思いついたよ!」
「え?」
「ピアンジの替わりに僕がドンファン役をやるから、
ふたりで練習すればいい!歌にはちょっと自信があるんだ!」
「ええ?」
「そうと決まったら早速、静かで、誰もこなくて、少々声を出しても誰にも聞こえない、
二人っきりになれるところへ行こう!さあ!」
 「えええ?ちょっと、ラウル!待って…待ってってば!ねぇ…!」
(…次に中段右から3番目のタッセルは長すぎる。あれではドンファンのマントが絡…ん?
どこへ行った?クリスティーヌ!クリスティーヌ…)
362名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 23:17:45 ID:OO1Wlnoq
>361
おい、先生、手紙書いてる場合じゃないぞw
アミンタ、ラウルにくわれちゃ・・・
363名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 17:27:43 ID:uyaxeca+
>361
面白杉!
ラウルの美声ドンファンもそれはそれで見たいかもだw
でも要カツラwwwwwwww
364名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 20:24:16 ID:AORLmt9T
自分出生記念カキコ
…天使様に あ・い・たい…
天使様 私に祝福を!

失礼しました。
365名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 20:46:04 ID:n29uNW54
>363いや、ズラは危ない。剥がされるぞ゙w
366名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 20:56:33 ID:T8dJ+d9j
↑ウム 間違いないなw
367名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 00:04:35 ID:gP15QWEV
>365-366
うん、まずまちがいなく剥がすよな、あの娘はw
368名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 00:11:55 ID:gJUZgfzt
ラウルにかけられたロープをクリスが解くシーンのNGで、
エミーはパトリックのカツラまで剥がしてしまって大爆笑だったらしいね

>364昨日になったけどオメ!
今夜は天使様来ないのかなあ
369名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 20:26:43 ID:eJ8NnHHa
過ぎちゃったけどおめ!
で、どの天使様に会いたいんだ?
ここ天使様多いからな
今夜はご降臨あるかなあ
370364:2006/02/25(土) 22:17:56 ID:u9IwMM07
レスありがとうございました
>369 どの天使様も大好きですので
決めらんないです…

まったりと御降臨お待ちしております
371名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 02:39:12 ID:5/kaDKEp
279続き。とりあえず抜きに来た。
ファントム×クリス
3721/3:2006/02/26(日) 02:39:46 ID:5/kaDKEp
「クリスティーヌ…」
囁き声で目を覚ます。
這うように自室に戻り、寝支度をした後の記憶がない。
眠ってしまったのか、それとも。
「クリスティーヌ」
日はもうとうに沈んだらしく、部屋は闇に包まれている
「マスター…」
声の主を探そうと身体を起こすと、自らの中がびくんと波打った。
「あう…」
ぐらりと揺れた状態は、力強い腕に支えられた。
「マスター…天使さまぁ…」
未だはっきり姿の見えぬ男に縋りつく。涙を含んだ声に、低い声が応える。
「どうしたね?」
「…取って…」
絞り出すような声に男は小さく笑い、空気が震える。
「はしたない娘だ」
手はするりと部屋着を割って、下着の中へ入り込む。
「…これはどうしたことだ?湯を使ったのではないのかね?」
わざとの様に、既に蕩けた入り口で水音を立てる。
「うぅん…」

2本の指がゆっくりとはいってゆく。
中が押し広げられてゆく感覚に身体が震えた。
捩る腰をもう片手で抑えながら、指は探るように蠢きやがて蝋燭の先端を挟んだ。
「力を抜きなさい、クリスティーヌ」
熱い掌が腰を撫で、耳朶を唇が掠める。
「そんなに締め付けては、抜き取ることなどできない」
3732/3:2006/02/26(日) 02:40:24 ID:5/kaDKEp
「あ、ああ」
捕らえた蝋燭をゆっくりと揺する。
「それともまだこうしていたいのか?」
笑いを含んだ声に全身が瞬時に熱くなる。
「いやぁ…!」
ず…と異物が移動する感触。
自分の中が出て行くそれを引き留めるようにうねるのをはっきりと感じる。
「ん、く!」
ずるりと長らく少女を侵しつづけていた欠片が引きずり出される。
小さな蝋燭の破片が床に転がると、クリスティーヌは師の腕にしがみついた。

「よく我慢したね、良い子だ」
「天使さま…!」
ぼろぼろと涙が溢れる。ファントムの胸に顔を埋め、クリスティーヌは嗚咽を漏らした。
「クリスティーヌ」
「うう…」
ファントムはしゃくり上げる肩を何度も撫でる。
「そんなに辛かったのか」
暖かい声に鼻を啜りながら何度も頷く。
その頭の褐色の巻き毛を湯引き絡めながら、ファントムは問いかけた。
「ご褒美が欲しいかね?」
低い声が暗い艶を帯びる。
「…」
「黙っていては分からない。ご褒美がほしいかね?クリスティーヌ」
涙で汚れた頬をそっと撫でる指。答えはもう決まっていた。
「ご褒美を、ください、天使さま」
3743/3:2006/02/26(日) 02:41:03 ID:5/kaDKEp
水音が響く。
夜着の裾は捲り上げられ、剥き出しになった腿が冷気に震える。
「あ…ふあ…やあ…」
両脚の間に顔を埋めた男は、ひくつく入り口を舌で舐め上げる。
切れ切れに挙がる意味を成さない言葉と、なによりもあふれ出る蜜が
その褒美を十分に受け止めることを示していた。
綻んだ花弁の間に下を深く差し入れ、
色づき、触れられるのを待ちかねている突起を摘み上げる。
「ひ…」
跳ねる脚が寝台を軋ませ、啜り泣く声が懇願する。
「や、やあっ、もう…!」
声に合わせて震える突起に男は甘く歯を立てた。
「あ!あああぁぁ…っ!」
目を見開き、身体をがくがくと揺らす。
顔を上げ、細い身体を快感が貫いてゆく様子を見下ろしながら、
ファントムは満足そうに笑みを浮かべた。

「…天使さま」
自分を抱く腕に身体を預けながら囁く。
「もっと欲しいのか?」
少し意地の悪い声音に、クリスティーヌはこくんと頷いた。
「仕方のない娘だ」
ファントムはシーツで包んだクリスティーヌの身体を抱き上げた。
「目を閉じていなさい。地下に着くまで」
素直に目を閉じて、ファントムの胸に顔を伏せる。
地下に行く。天使の下へ。
罰はもう終わった。天使は、私を許してくれたのだ。
安堵で心を満たしながら、クリスティーヌは頬を師の胸に押し付けた。
375名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 03:18:05 ID:ENNKZqvm
>374
いやあ、本当にエロくて萌えました。
「…取って…」って言うクリスの口調がたまらない。
ファントムが意地悪なのに優しい感じなのも萌え。

地下へ行った後もあるんだろうか……?
376名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 03:23:59 ID:Ktscmhps
>374
>とりあえず抜きに来た
ちょっとワロタw
377名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 03:35:31 ID:UitNKast
>371
GJ!抜きに来てくれてd
それにしてもエロ委
リアルに想像できちゃうからさらにすごいよ
今度は地下でクリス何されちゃうんだ?
何するきだよ、先生・・・wktk

3連ちゃんで一番乗りで拍手
>371 やべ、ほれちったかも
378名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 03:36:51 ID:UitNKast
う、すいません。
3番手だた・・・
379名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 03:38:20 ID:TVyThwrb
>374天使様 GJです!
シーツにくるまれてお姫様抱っこ! クゥ〜ッ!!
(自分だったらマスターぎっくりだ…)
地下でのご褒美楽しみ(ニヤッ)
380ぬくもり:2006/02/26(日) 12:43:54 ID:lcCBL2mb
>371GJです! 抜きに来てくれてありがとう
クリスがエロかわいすぎ!
やってることはすごいのに優しいマスターに骨抜きにされました。
地下での続き、いい子にしてまってま〜す
381名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 18:25:04 ID:XXG2qBe6
良かった、やっぱり最後は優しいマスターがイイよ♪
しかし、>とりあえず抜きに来た
自分もなんだかマスターより天使様に惚れてしまったわけだが
382371:2006/02/26(日) 23:43:43 ID:Gnv9TKgU
ありがとう。
短いうえに誤字だらけでだったのにスマン。
地下行ってからも考えてみる。

>377・381
(゚Д゚;≡ *´д`)
383名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 22:16:24 ID:uB9XVMbU
おお待ってるよ天使様!
384名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 22:25:32 ID:zmHoGyl1
ワクテカと>>345の神待ち。
385名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 14:43:44 ID:7Yw87WE1
便乗期待。内容もさることながら、文体に萌えるのですが。
〉同じ女の幻影を、二人が同時に見た
こことか心臓がぎゅってなるような表現が随所に‥
座して待ちます!
386名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 22:52:34 ID:QXwTZ+Ig
今夜は御降臨…?
387名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 17:07:12 ID:Z7j1DoYm
天使さま…
388名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 22:48:01 ID:e6wnAoRu
ワクテカと寸止めの天使様を正座待機。
389名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 23:04:25 ID:CAfKE3jP
DNS障害で大手バイダのいくつかとその他回線で
アクセスできなくなってるみたい。
つまり今人極端に少ない。
マタリと待つヨロシ。
390名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 23:06:26 ID:hn9B4jhz
387ですが全裸でずっと待機しております
391名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 23:19:27 ID:5zP2NBKw
今夜は寒いが。
392名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 23:25:19 ID:4QPfllhh
全裸でもせめて布団に入って待機しようよ御同輩
393名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 23:29:23 ID:PbsblcXf
風邪ひくなよ。
394名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 23:44:06 ID:PVLXin0h
全裸でワクテカの最中スマン
ただのネタ、暇つぶしということで、投下させてください
しかもお詫びのしようもないが、ラウル×ファントム(風味)
やるとしたら、こんな感じか?
かなりさむいがネタということでヌルーして
本物の天使さま、当然だがかまわずに投下願います_| ̄|○
395名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 23:44:57 ID:PVLXin0h
ファントムは長い脚を投げ出しもう一方の脚を折り曲げ床に倒れ込む。
斬りつけられた右の上腕からは血が滲み、とどまることなく、
その衣服よりもなお紅い血は腕を伝わり手の甲にまで伝わる。
痛みの為か、ファントムは傷ついた腕をもう一方の手でおさえながら肩で激しく息をした。
「今ここでお前を殺すことがもっとも正しい選択だと思う、またそうするべきだ!だが・・・」
ラウルは憎々しげにファントムの前に立ち、彼を見おろしながら、
吐き出すように言葉を投げつける。
「だが、僕の婚約者は、それを強く拒み深く哀しむだろう。僕は彼女を哀しませたくは、ない」
得体の知れない髑髏の仮面をつけた、目の前に倒れ込んでいるこの男は、クリスティーヌを
惑わし苦しめる。
生きる価値などないに等しいこの男を、だがクリスティーヌは師と慕いこの男の命を乞うた。
ラウルは顔を歪ませ、怒りに燃える目をファントムに向ける。
仮面によって表情を読みとれない気味の悪い男。
しかし、少し開いた唇からは明らかに苦しげな呼吸を洩らしている。
人々を恐怖に陥らせ、婚約者を脅かせる、この世にあってはならない
存在である“オペラ座の怪人”は、今、完全に不利な状況に立たされている。
状況は、今、ラウルに有利であることは明白だった。
ラウルは、目を細め薄く笑うと、ゆっくりと自分の右手をファントムの目の前にさしだした。
ファントムは一瞬ぴくりと体を動かしたあと、ニヤリと口の端を引き上げると
仮面の奥から鋭い視線をラウルにむける。
「私に・・・・、忠誠を、誓えと?」
窮地に立たされたものに相応しくない低い声は威圧的に響く。
だが、もはやラウルは恐れる必要などなかった。
「いや。親愛の、しるしだよ」
僕の妻を遠くから眺めるささやかな喜びを手放すのかどうか。
あるいは、このまま警察に引き渡され永久に闇の中に葬り去られるのか。
選択肢を与える寛大さを、この僕はもちあわせている。
「くっ、若造め・・・・・」
鋭い、万人もを死に至らせるような視線を向けるファントムに、しかし先ほどの余裕はもうない。
ラウルは差し出した手をさらにファントムへと近づける。
「さぁ、どうする?」
ふふ、と楽しげに歪んだ笑みを浮かべるラウルから目を離さぬまま、ファントムは
差し出されたラウルの手に、己の左手を下から持ち上げるように添えた。
ラウルに添えたファントムの手は、傷の痛みと屈辱の怒りに震える。
「オペラ座の怪人殿?」
侮蔑を含んだラウルの声が頭の上から降り注ぐ。
ファントムは飛びかからんばかりの視線を投げかけ・・・・・、やがてゆっくりと頭を垂れると、
ラウルの白い手の甲に恭しく口づけた。
396名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 23:47:39 ID:PVLXin0h
終わり、と書くの忘れた

ちなみに、マスカレードでファントムがきえたあと、ラウルが追い詰めたという
設定です。
そして、やっぱりはてしなくキモス・・・
397名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 23:57:38 ID:4QPfllhh
数字板はSSの一本も読めずに落ちてしまってたのでなんだか得しちゃった気分
いいねえあの尊大なファントムがラウルに屈するなんて
398名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 00:10:11 ID:cQJGwbr2
>>396
いい!!かなりイイよ、GJ!
ドキドキしたよ。
だが、あのファントムがこのまま大人しくラウルに従い続けるのだろうか?
399名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 01:48:06 ID:7+sZxnfv
数字板ほんとにあったんだ。 ひえ・・・。
いやそれにしても、よく書いて下さった。 オモシロイです キモくはないよ
監督が読んだらきっと喜ぶだろうなぁ。
続編や違うパターンのもいけそうだね。 と、さりげにリクしてみたりする
400名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 04:51:26 ID:G6xP84R0
>396
我ながら意外だが、GJ!
そっか、こういうの(ファントムが屈辱的なの)でも萌えな自分を発見。
ありがとう!
401名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 12:14:42 ID:r2uWrA9N
ホモが好きな腐女子とガチのヤシは数字板にいけ。
スレが落ちたならまた立てればいいだろ。悪いが 板 違 い だ 。
402名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 12:50:02 ID:vs119C44
うむ露骨なホモ性描写を書きたい・読みたいという方はぜひ数字板に立ててください。
396氏は、過疎り気味なので遠慮がちに気をつかって落としてくれてたんだよなありがとう。
>ラウルの白い手の甲に恭しく口づけた
自分はマフィア映画を連想した
403名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 14:48:13 ID:tkhywJvI
いくらネタだとしても、801はこれっきりにしてもらいたい
404名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 19:57:25 ID:7+sZxnfv
これって801には全然見えないお。
ラウルの中にも残虐性や支配欲とかあるもんね だから違和感ないよ読んでも 
ほんとにいいやつなら恋人を囮にはしないだろうしさ
奴をやたらと都合の良い男として書かなかった396氏は勇者かもしれん
405名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 20:43:36 ID:0BtvylfJ
うん801には見えない。
ファントム×クリスか、ラウル×クリスの話の中のワンシーンって感じだ。
ぜひその方向性でまた執筆ヨロ

ところで>30からの続きを待っているのだが。すごく気になっている。
マスターはまた出てくるのかな
406名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 20:49:15 ID:TY3CvAZz
ってか普通に続きがよみたいんだが…
407名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 20:57:44 ID:SbUZgn7Z
でも394自身が「×」つかっちゃってる品
お詫びのしようもないがとか書いてるし
意図するところは結局801なんじゃないか?
板違いだと文句出てもネタだからヌルーしろ反発覚える方が厨大人になれよで
押し通せばオケーだと思ってるようにも見える。
数字板のビデオ棚に投下すればよかったんジャマイカ
408名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 21:14:57 ID:/8aPyKCK
スレがのびてるとワクテカして開いたらこんなことに…
もうやめようよ。
こんな雰囲気で天使さまが降臨ためらってしまったら、どうするんだよ〜。
毎日毎日ここ覗くの楽しみにしてる人間だっているんだから(´・ω・`)
409名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 21:18:38 ID:0dly0SW1
>>407に同意。
誰よりも394自身が801を意識して書いてる時点で板違い。
「ネタだからヌルーしてください」と書けば全てが許されるわけじゃない。

確かにそんな前置き無しで普通に投下してもらえれば
801には見えなかったけどね。
410名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 21:21:58 ID:EOLSrpv2
そうそう前置き無しならそんなこと思わなかったよ。

ところで今夜は投下あるのか!?
wktkして待ってるぞ!!!!
411名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 22:35:43 ID:jhUOI0/2
何か民主×自民みたいだ。
ところで数字板て何?
412名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 23:00:48 ID:njEesQoh
>394
やっぱ属性ない人いっぱいいるから板分けてあるんだし
もし続けるなら数字板該当スレに投下して、誘導ってことでヨロ

>411
板名が数字のところ、あるでしょう
413名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 23:37:17 ID:nZw6uCJ7
ここで無理に続けられるのもどうかと思うけど
(雰囲気悪くなりそうだし、394はラウクリやファンクリのつもりじゃなさそうだから)
数字板でも394はこういう空気にさせちゃうんじゃないだろうか。
たった3レスなのに数字の人の嗜好に対して寒スキモスって
失礼すぎることを普通に書いちゃってるし、取り越し苦労かもしれないけど
あの調子でやられると男女好きがみんなそう思ってるようにとられちゃいそうで心配になる。
それから、誘導はいらないとオモ
興味あるひとは数字板チェックすればいいし、
興味ないしむしろ見たくないよって人もいるだろうから。
414名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 00:14:05 ID:u+q3dIVs
個人的には、作者本人が「寒い、キモい」と思うような文章を公開するのはどうかと思う。
「ファントム×クリス」か「ラウル×クリス」の方向に進んでくれるなら続きを
読みたいが、こういう誘い受けはいらない。
415>>396:2006/03/03(金) 01:03:49 ID:/TNocFNd
自分がまた書き込むことによって、さらにこの板を混乱させる恐れがあると
思ったのですが、やはりこれ以上の混乱を避けるためもう一度だけ書き込ませていただきたい
と思います。
お許しください。

今回、多くの方に不快な思いをさせるような投下をしてしまったことを深く反省しています。
大変軽い気持ちであのような文章を書いていたと改めて恥ずかしく思っている次第です。
当然ですが、自分は今後こちらの板はもちろんのこと、2chへの出入りは一切しないつもりでおります。
どんなにお詫びしてもしきれませんが、少しでもお怒りを沈めていただければと図々しくも願っています。
また、この板がますます賑わっていかれることを、自分のようなものが恐縮ではありますが祈っております。
本当に本当に申し訳ありませんでした。
416名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 01:08:17 ID:GWiDKGvu
おいおいそんな…
417名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 02:12:14 ID:OcNzn92/
そんな激しく糾弾するほど 激しい性描写もないし 
ファントムが屈辱的に屈服させられただけの話にしか見えなかったけど。
>396さんもそこまで自虐的なお詫びはいらんて思う。
ココは 神々の降臨&ブラボーレス&ワクテカレス以外不要だとおもいつつ
書き込んでしまった無駄スレ使いスマソ。

(で、ホモってなんで801っていうの?)
いろいろIQサプリ風に考えてみたけど わからなかった。
418名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 02:23:44 ID:zoLVhhmh
屈辱的な屈服としての接吻はよくあるもんね。
どちらかというと手はいいほうで、靴にするほうがもっと屈辱的で
ファントムがやるかどうかさらに不明だが。

Mマスター同様、ちょっとイイと思った。
419名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 08:04:57 ID:/XoQnhxw
でも 警察につかまっても あっと言う間に
仕掛けをつくって抜け出す。。に1000テンw
420名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 08:23:16 ID:r7tfkzKX

あ ほ ら し

たかが匿名掲示板じゃないか。
気まずけりゃ名無しに戻って息潜めてれば皆すぐに忘れるだろうに

>>417
自分は ホモ=ヤオイ=801 と聞いた
421名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 09:03:54 ID:e31LA7b/
「ヤマ(8)なし・オチ(0)なし・意味(1)なし」なホモ小説の事だとも聞いた

まっとにかく縁あって集った住人なんだしこれからも楽しみましょうや
週末だしどなたか今夜あたり投下してくれないかな
422名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 17:31:29 ID:6q9f1ZIf
>420 421
サンクスでした。
423名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 01:37:52 ID:ek3EsR0a
エリック×女奴隷
鬼畜風味。そして途中…_| ̄|○ゴメン
本番無し、笛有り。4レス。


 怒りというものは、度を越すとここまで冷たい気分になれるものだったのだろうか。
私の仮面を取れ、という命に背きただ怯えるその女奴隷に、私は今まで味わったことの無い激しい感情を抱いていた。
「私と寝るよりは死を選ぶというのだな?」
 己の死よりも私と寝る方が苦痛だというのか。私は娘の前に身を屈めたまま、もう一度訊いた。
「本当に死んだ方がいいのだな?」
 私の前で狂ったように泣き崩れる女奴隷を見て、私の怒りはついに頂点を越した。

ならば死んだ方がましだという目に合わせてやろうじゃないか…!
怒りに任せて細い肩を掴むと、女奴隷は身体を仰け反らせた。
その小さな身体を抱え上げ、私はナーディルに言った。
「シャーにお伝えしろ。『このような贈り物、恐悦至極にございます』、とな!」
 ただ私の腕の中で震えて泣いているだけの女奴隷を一瞥し、私は寝室に向かって大股で歩き出した。
部屋を出たところで振り返り、ナーディルに言う。
「しばらく私の部屋に誰も近づけないでくれ。新妻との初夜を楽しみたいのでね…!」
424名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 01:39:59 ID:ek3EsR0a
 女奴隷を乱暴に寝具の上に投げ出す。
大きな目を縁取っていたアンチモンが涙で流れ、幾筋もの銀色の跡を頬につけている。
私が寝具に手をつくと、女奴隷の身体がびくりと強張った。
「そんなに私が怖いのか」
 返事は無い。
「だが、お前に与える慈悲はもう無いぞ…!」
 怒りに任せ、私は女奴隷の衣服を力任せに引き千切った。
引き攣った悲鳴と、身体を彩っていた装身具が飛び散って床や家具に跳ね返る音が聞こえる。
女奴隷が抵抗を見せる間もなく、胸を覆っていた薄布も、麻でできたハーレムパンツも
全て私の手によってただの布切れと化した。
申し訳程度の腕輪と指輪を嵌めた細い腕で、必死になって恥部を隠す様が妙に癇に障る。
両の手首を掴み無理矢理全てを曝け出させると、女奴隷が僅かに首を振った。
その手を頭上に持っていき、まとめて左手で寝具に押し付ける。
「これでもう隠すこともできんだろう…」
 左手に力を込めると、女奴隷が小さく呻いた。
「あのまま私の命に従っていればこんな思いをせずとも済んだのだ」
 女奴隷が目に真珠のような涙を溜め、不安げに私を仰ぐ。
「少なくともあの時まではお前に優しくしてやろうと思っていた。…だがもうそんな思いも消え失せた」
「エリック、さま…」
 私を呼ぶ女奴隷の声は今にも消え入りそうだった。
「もう一度言う。もうお前に慈悲は与えん。お前の命すら私の一存で決まるのだということを今後よく覚えておけ…!」
 私はそう吐き捨てると、乳房に手を伸ばした。…そして驚いた。
彫刻や絵画で何千、何百と見たことがあるはずのもの。
知識としても完璧に頭に入っているはずのもの。
それがこんなに温かくて柔らかいものだと私は知らなかった。
どんなに古い記憶を辿ってみても、母のものすら覚えてはいない。
けして大きくは無い…というよりむしろ片手に余って仕方が無いほどの大きさではあるが、心地のいい柔らかさがある。
まだ熟しきっていない果実のようなそれに力を込めると、女奴隷が呻いた。
425名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 01:43:29 ID:ek3EsR0a
「…私が恐ろしいか?」
 私がそう訊くと、女奴隷が小さく首を振る。
「…ふん…」
 女奴隷に覆いかぶさり、青い果実に口をつける。珈琲色の肌は柔らかで、香水の甘い香りがした。
胸の先をざらりと舐めると、女奴隷の身体が小さく跳ねた。
こんなに幼い身体でも女は女なのだ。
「さすがにハーレムの教育は行き届いているとみえる…」
 暗い笑いが思わず漏れる。
「見せてもらおうか。教育の成果というものを」
 左手を離すと、女奴隷は自由になった両手でさっと乳房を隠した。
「舐めてもらおうか、私を」
 女奴隷の腕を引っ張り、寝具から引き摺り下ろす。
「そこに跪け。…歯を立てたら……解っているな?」
 私がそう言うと女奴隷は諦めたのか理解したのか、私の前に跪いた。
426名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 01:44:41 ID:ek3EsR0a
 温かく、濡れた舌の感触がし、強い快感が走る。
思わず腰を退いてしまいそうになり、必死で耐えた。
淫靡としか言いようの無い音をさせ、女奴隷の珊瑚色の舌が私を這い回る。
ヘンナで爪を赤く染めた小さな手で私を包み込み、擦る。
その絶妙な男の悦ばせ方に、私は冷静さを装うのに必死だった。
柔らかな唇が触れたかと思うとすぐに離れ、舐めたかと思うと吸いにかかる。
私に口を付けたままの女奴隷と目が合った。
すぐに女奴隷は目をそらし、私をその小さな口いっぱいに頬張った。
「うっ…」
 唇をすぼめ歯が当たらないようにし、弱いところを的確についてくる。
男の弱点とも言うべきその柔らかい部分も包むように撫で擦り、うねるように舌を動かす。
この女奴隷自身にはどう見ても若さと少しの器量のよさしかないが、ハーレムの教育の成果としては申し分ない。
15歳…。この女奴隷ほどの年の時、私の人生は今までで一番輝いていた。
最高のマスター・メイソンの元に居たあの時が一番楽しく、安らげる時だった。
だがこの女奴隷はどうだ? ハーレムの側室になるために連れてこられ、シャーではなく私の慰み物になる運命を辿る娘だ。
私が一つ命を下せば、この華奢な首も簡単に飛ぶだろう。私の夜伽を拒んだばかりに…。
愚かな娘だ。自ら翼を折ってしまうなんて…!
「…零してはならんぞ」
 私は女奴隷の髪を掴むと、無理矢理その口の中に欲望を解き放った。
「う、く…」
 女奴隷は苦しそうな声を上げたが、私の命令どおり全てを飲み干した。
そればかりか先端に口をつけ、残っているものを取りこぼさないとでもするかのように一滴残らず吸い上げた。
「そのような教育を施されたのか」
 私の前に跪いたままの女奴隷に訊く。
「…はい、教わった通りにいたしました…」
 そう答えるのがやっとだとでも言うように、か細い答えが返ってくる。
「なら、次はこちらの教育の成果を見せてもらおうか…!」
 私はそう言うが早いか、女奴隷の腕を掴み、寝具へ押し倒した。
猛りきった欲望は未だ収まる事を知らなかった。
427ペルシャにて。:2006/03/04(土) 01:50:30 ID:ek3EsR0a
以上です。続きはなるべく早く…orz

それにしてもこの時代のエリックって同い年ぐらいなんだよな…。
428名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 02:07:30 ID:ow4SaCMT
>>427
鬼畜なエリックと奴隷娘! 素晴らしい…
続きが楽しみだー!
429名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 15:02:36 ID:6ZmlOQa/
いいね!いいね!ファントム版エリック好きだ〜。
GJペルシャの天使。
430名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 20:22:07 ID:tn/+q9y5
天使様キター!!
>彫刻や絵画で〜
の件が切ない・・・のにやってることは鬼畜(゚∀゚)
続き楽しみです!
431名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 22:03:47 ID:WPbmBucU
おお、鬼畜エリックだ!
冷たいけどそれらしい。
でも歪むよなあ、あの人生じゃ…。
432名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 23:24:28 ID:QuKlEd+B
なんか、責めて辛く当たりながら
エリックのほうが追い込まれてるように見える。
ほんと、続き楽しみにしています。
433名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 23:24:49 ID:v8tpRLs/
原作本のエリックの激しい気性がよく出てるよ、GJ!
この後は鬼畜のまま突っ走ってしまうのでしょうか…
それにしても才能ある若い天使様にビックリ
434名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 23:35:29 ID:7Qcex92i
うああああおおおおおおおおお!!!!!!
GJ!!!!!(・∀・)b
435371:2006/03/05(日) 00:08:16 ID:W4gFdsR/
374からの続き
ファントム×クリス
バックから、後ろ使用。なので、苦手な方はトバして下さい。
4361/5:2006/03/05(日) 00:09:02 ID:Te5Duide
「目を開けなさい」
命じる声のままに瞼を上げる。
数多の蝋燭の輝きが目に飛び込んでくる。
地下の宮殿。今クリスティーヌはその主の腕の中にいた。

揺れる小船から少女をシーツごと抱き上げて、ファントムは部屋を大股に横切った。
片手で鏡に掛かっていた布を取り去り、オルガンの前の椅子にクリスティーヌを降ろす。
マントと上着をばさりと脱ぐと、見上げるクリスティーヌをじっと見つめた。
「…さあ、そちらを向きなさい。腰を上げるんだ」
ファントムの導くままに上半身を椅子に預け、手を肘掛に沿わせた。
上体をうつ伏せに倒し四つ這いのような格好になる。
「きゃ!」
夜着を捲り上げられ、手がいきなり脚の間に差し入れられた。
「何を…」
言葉はすぐに遮られた。
「何を?」
低い笑いが空気を震わせる。
「先程の続きだ…お前が満足するまでご褒美をあげよう」
煽られた蝋燭がいっせいに揺れた。

男はクリスティーヌの腰を高く支えながら、膝立ちになる。
背後から、広げられた脚の間を舌で舐めあげた。
「くう…!ん、んん…」
小さな異物に半日以上苛まれていた身体は、刺激を敏感に受け止める。
ざらついた舌が花弁を辿り前の突起をくるりと撫でた。
「あうぅ!」
クリスティーヌの膝ががくがくと震える。
白い肌はあっという間に色づき、身体の中心が熱く解け出す。
ファントムがそこから顔を上げたとき、花弁はもうぐっしょりと蜜を滴らせていた。
4372/5:2006/03/05(日) 00:09:39 ID:W4gFdsR/
溢れ零れた透明な液体を絡め、つと指を滑らせる。
そのまま指は薄く張った皮膚を撫で、後ろのくすんだ蕾に触れた。
「ひっ…!」
クリスティーヌが小さく叫び、身体を震わせる。
「…やめ…!」
泣き出しそうな声に、ファントムの唇に苦笑が上った。
今まで何度も弄ったことがあるが、罰を与える時のみだった。
だからこんなにも怯えているのだろう。

「大丈夫だ」
宥めるように耳朶を舐める。
「大丈夫、罰ではない」
ゆっくりと小さな窄まりに指を埋めてゆく。
「いや、いやっ!」
腰を捩り逃れようとするが、背後からファントムの身体で
椅子に押し付けられている以上逃げ場は無い。
「いやぁ…」
声に涙を滲ませるクリスティーヌの頭にそっと頬を寄せる。
「大丈夫だから、怖がらないでおくれ…」
椅子のアームを握り締める手を、自分の掌で覆う。
その暖かい感触にクリスティーヌは顔を上げ、肩越しに師の目を見つめた。
「いい子だ、クリスティーヌ。力を抜きなさい」
緑にもグレーにも見える不思議な色の瞳が、優しく見つめている。
クリスティーヌは魅入られたように頷いた。
そのまま頭を垂れ、自分の手を覆う男の手に指を絡める。
指が抜き取られ、硬く張りつめたものが当てがわれる。
小さく息を吐いたのを合図にしたように、小さな蕾を初めての感覚が貫いた。
4383/5:2006/03/05(日) 00:10:30 ID:W4gFdsR/
「あッ…!」
張り詰めた塊が柔らかい場所を押し広げてゆく圧迫に息を呑む。
罰の名の下に長い時間をかけて解されてきたその場所は、
少しずつファントムを飲み込んでゆく。
感じるのは苦痛と圧迫だけではない。
それよりもっと大きな何かが、じわりとその部分から湧き上がってくる。
「あぁ…ん」
ず、と男が深く入り込んできたとき、半ば開いた唇から甘い声が零れた。

己の大半を埋め込んだところでファントムは動きを止めた。
クリスティーヌの顎を掴むと顔を捻るように鏡のほうを向ける。
「いやっ!」
顔を背けようとするのを許さずに、師の声で命じる。
「見るんだ、クリスティーヌ」
自らを飲み込いっぱいに拡がっているいるその縁を、指でなぞる。
「あ…!」
「こんな場所を嬲られて…自分がどういう顔をしているか…よく見てみろ」
熱を押さえ込むような低いかすれ声が耳を擽る。
背筋をぞくぞくとした震えが這い登る。

「さあ、見なさい」
声に抗えず、クリスティーヌは顔を上げる。
それは鏡の枠飾りに切り取られ、まるで一枚の絵のようだった。
生きて動く絵。真中に描かれているのは腰を高々と上げた半裸の女。
髪を乱し、喉を反らせ、身を捩っている。
「見えるか?これがお前の顔だ」
熱に曇った目、だらしなく緩んだ唇、
そのぽってりした紅色に誘われるように、太い指が濡れた唇を割って口の中に入り込む。
4394/5:2006/03/05(日) 00:11:08 ID:W4gFdsR/
歯列を、上あごをなぞり蠢く指に、堪らず舌を絡める。
口の端から唾液が一筋流れ落ちるのが見えた。
「これが…いつも私が見ている、お前の顔だ」
「んん…」
口の中を蹂躙していた指が、水音を立てて引き抜かれる。
唇と指が光る糸で結ばれる。
灯火をぬらぬらと反射する指は、そのまま鏡に映らぬほうへ回り込み、
重く揺れる胸に愛撫を与え始めた。
「あ…はあぁ…!」
男がゆっくりと腰を遣い始める。
優しく突き入れられる度、身体が引き裂かれるような痺れが流れ込んでくる。
指で押し潰され、摘み上げられている胸の先端に、まるで痛みのような感覚が閃く。
何よりも声が。
熱に煽られ、低く掠れたこの声が。
「クリスティーヌ…」
耳から入り込み、身体の中をかき回すこの声が。
「クリスティーヌ」
「て…っ、てんし、さま…ッ!」
クリスティーヌの全身に震えが走る。
同時に密着した男の腰が震えるのも感じた。
「クリスティーヌ、クリスティーヌ…く…!」
「ああっ、あ、あ、あ!」
ファントムは両手でクリスティーヌの尻を掴み、引き寄せた。
ひときわ深く彼自身が差し入れられ、それが大きく脈打つ。
暖かいものが中で放たれた瞬間、クリスティーヌの意識が弾けた。
4405/5:2006/03/05(日) 00:12:08 ID:W4gFdsR/
しばらくたって、衣服を整えた男は立ち上がった。
「ごほうびは充分かね?」
椅子にうつ伏せたまま、放心したように蹲るクリスティーヌの背に声をかける。
夜着は捲れあがったままで、指の跡が残る白い尻が見えている。
直してやろうと手を伸ばし、触れた瞬間に
クリスティーヌはびくりと身を震わせた。
「ん…」
動いた拍子にとろりと流れ出した白い液体が内腿を伝う。
ファントムは夜着の裾を下ろしてやると、伏せたままの頭を撫でた。
「…浴室を暖めてくる。暫く待っていなさい」
離れようとしたガウンの袖を、力ない手が掴む。
「クリスティーヌ?」

「…いて」
「?」
よく聞こえずに顔を寄せたファントムの胸に、クリスティーヌは顔を埋める。
「ここにいて…一緒にいて…天使さま」
背に廻された手は、離すまいとするかのように白いシャツを握り締める。
「…よくよく我侭な娘だな」
暖かなため息と共にクリスティーヌの背中にも力強い腕が廻された。
「天使さま!」
夢中で頬を肌蹴た胸に擦り付ける。
「全く、仕方の無い娘だ」
笑みの気配を滲ませながら、頭の上で男が呟く。
自分を包むファントムの体温、鼓動。
確かに伝わる暖かさにクリスティーヌはそっと目を閉じた。
441名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 00:17:43 ID:cMzCBPcW
>>427
見事なまでに『ファントム』のエリックを彷彿させられるキャラだ
禿しくGJ!!!
続きワクテカして待ってます。
442名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 00:44:37 ID:RiJehN9T
今夜はいいですなぁ…天使様連続光臨!!!!!
>>441 GJ!!

…」ってかまじこの2作すげぇ…
443名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 00:56:14 ID:CjcQ04KG
あっっアンカー間違えた
>>441じゃなくて>>440でつ。スマソ
444名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 00:57:05 ID:aYzTsh0C
いやー、二本とも堪能させてもらいました
殺伐としたスレを救ってくれたおふたりは本物の天使さま! 
445名無しさん@ピンキー :2006/03/05(日) 01:01:21 ID:gh8Wc7zS
>435
GJ!やはりマジでいい
さては、萌え殺す気だな・・・
446名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 20:19:20 ID:2ySCaWkY
>>435
超GJ!!萌え死んだ。
でもこんなに仕込まれてるのにラウルと初エチーするのかクリス。
クリスは満足できたのkうわなんだラウrやめ(ry
447名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 23:47:12 ID:RGnaiScy
そうなんだよこの後ラウルのものになっちまうんだよクリス。
マスター何考えてるんだー!
天使様GJ!またヨロシク

本スレになんだか面白いネタのレスした方がいるね。
ぜひともこちらで素晴らしい想像力を活用してほしいもんだ
448名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 00:13:28 ID:miQM+3hB

>>447 おっ?それってアンカー何番のレス?
449447:2006/03/06(月) 00:41:47 ID:qK4fQ0Mr
634番のレス。なんだかいいネタだなあって思った。
でももしSSにするとしたらギャグっぽくなるのかな
カキコされた方勝手に話題にしてスマソ…
450名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 18:24:43 ID:f09yiGLR
パーフェクトガイドの折込ポスター、よーく見ると本編ではあり得ない
シチュエーションじゃない?
地下のパイプオルガンの前に3人が仲良く並んでお澄まし、なんて。
ただのフォトセッションと言ってしまえばそれまでなんだけど。

どなたかあれで1発、ギャグをかましてもらえんかのう…。
451名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 22:42:09 ID:F++WvbNG
以前、投下しました鞭のつづき(鞭はでてこないス)
ファントム×クリス
ギャグじゃなくてスマソ

>>435
前作の続きの為、シチュやセリフ(罰を・・など)が一部、氏の作とかぶっています。
ごめんなさい。
それと、イツモ楽しませていただいてます。
452鞭つづき 1:2006/03/06(月) 22:43:56 ID:F++WvbNG
上半身をオルガンの上に預け、まっ白な尻を後ろにつき出すような格好のままクリスティーヌは私から与えられるはずの指示を待つ。
無理な体勢を強いられた体は悲鳴をあげているのだろう。時折、彼女の息と共に苦しそうな呻き声が混じっている。
浅く不規則な呼吸の中にある種の甘さを含ませながら、彼女は体の奥に沸き起こる彼女自身にも理解しえないその何かを満たしてくれるだろうはずの私の指示を求めている。
その従順な姿はあまりにいじらしく、私はそっと微笑んだ。

鞭の痛みに苦痛以外の感覚を覚えてしまった体にクリスティーヌは驚き、戸惑い、だが自分ではどうすることもできぬまま、私に哀願したのだ。
“どうか罰をあたえてください”
自らを追い詰めることとなるその言葉の意味と重たさを、いま私の目の前で微かに身を震わせているこの少女は理解していたのだろうか。
そんな微かな問いが私の脳裏を掠めるが、私は思わず苦笑する。我ながら、なんと愚かなことか。
その問いは、愚問以外の何ものでもない。
絶対的な存在である「音楽の天使」を、ただひたすらに恐怖し崇拝しそして信ずるクリスティーヌ。従順で無力な少女に残されていた道はただひとつ、私に自らの罰をねだる以外になかったのだ。

私の掌にすっぽりと覆われてしまう程小さなクリスティーヌの両肩に、後ろからやわらかく手をかけて、ゆっくりとおこしてやり、そのまま私の胸に引き寄せる。
ようやく不自然な格好から解放されたクリスティーヌは、まだ体に力を入れることがむずかしいらしく、おとなしく私に身をまかせる。
ブラウスの生地越しに、彼女の体温とわずかな震えが伝わってきた。
「体はつらいかね、クリスティーヌ?」
私はクリスティーヌの左右の肩を、できる限り優しくいたわるように撫でてやりながら問いかける。
「・・・・・・」
彼女は言葉を発することはなかったが、首を左右に振った。やわらかくカールした髪がふわふわと揺れる。
「・・・・・・そうか」
体の苦痛は幾分やわらいでいるらしい。
私は、彼女の首を振る仕草のかわいらしさと安堵のため、無意識に目を細めた。
453鞭つづき 2:2006/03/06(月) 22:45:31 ID:F++WvbNG
そうしてしばし穏やかにクリスティーヌの肩を撫でてやると、彼女は少しずつ私に背中を凭れさせるようになった。震わせていた肩は、いまは穏やかな呼吸に合わせてゆっくりと上下している。
では、表情は?この子の表情も、穏やかなものだろうか・・・。
ふと、私は後ろから彼女の顔を覗き込む。
瞳を閉じ、私の錯覚でなければ唇には微かに笑みを浮かべているクリスティーヌの、なんとかわいらしいことか。
この子の微笑を壊してはならない。
しかし、私は彼女の肩からそっと右手だけを移動させる。
彼女を驚かせないよう細心の注意を払いながら、吸い寄せられるように、その唇に指先で触れる。
ああ、彼女の表情は、変わらず穏やかなままだ。
私は右手をさらに下へと下ろしていく。
形のよい顎を通り、ほっそりとした喉元の感触を楽しみ、やがて、先ほどからブラウスの衿の辺りより少しばかり覗く白い胸元へと到達すると、
「・・・・・・っ!」
クリスティーヌがぴくりと体を跳ねさせて、声にならない悲鳴をあげた。
私はあとわずかで乳房に到達するあたりに置いたまま手の動きを止める。
クリスティーヌのトクトクと鳴り響く胸の鼓動が私の手に直に伝わってくる。
「ああ、クリスティーヌ・・・・・・、クリスティーヌ、すまない。冷たかったね」
冷たい手で肌に触れてしまったことを詫びるかのように、私はゆっくりと彼女の胸元をさすってやる。
彼女の肌が私の手の温度に慣れ、冷たさを感じなくてすむようにと。
「おまえの肌はとてもあたたかい。これでは、私の手の冷たさを、より敏感に感じてしまう」
冷たい驚きを与えた当事者である私は、まるで同情でもするかのように白々しくそう呟いてから、すっと彼女の胸元から手を離し、ひやりとした感覚からようやく開放してやった。
手は、さらに下へと移動させる。
そしてーーーーー。
「しかし、おまえの熱を帯びているここは、私の手の冷たさを心地よく感じることだろう」
私は、クリスティーヌの耳元に囁きながら、如何なる前触れもなく、右手で彼女の秘所に触れた。
「・・・・・あぁ・・・・・!!」
クリスティーヌの体はびくりと跳ね上がる。が、私はもう一方の手を後ろから回し、彼女の腰のあたりを両腕も押さえ込むように、強い力で引き寄せる。
私は、クリスティーヌの秘裂に中指をあてがったまま、クリスティーヌの自由を完全に封じてしまった。
淫らな指からなんとか逃げださなければなさない、はやく、今すぐに。
クリスティーヌは封じられた体をどうにか動かそうと必死に試みるが、
その試みはかえって、私の腕の戒めをよりがっしりと強固なものにしてしまうだけだった。、
そればかりか、私は秘裂にあてがった中指を、そうっと上下に動かし始める。
「ふ・・・ぁ・・・・・・・・・」
クリスティーヌの呼吸は苦しげに吐き出され、やがて、おさまりかけた感覚を呼び戻された彼女のそこからは、とろとろと透明な蜜があふれ出し、私の中指を濡らした。
時折、くちゅという音をさせ、クリスティーヌのそこはなおも熱を帯びていく。
クリスティーヌの追い詰められていく反応を楽しみながら、さらに執拗に擦り、じらし、強い刺激をあたえ、嬲りつづける。
まもなく、蜜が溢れかえる唇の間から、とうとう小さな突起が顔を出したのを、私は指先に感じた。
「・・・んっ・・・・おねがい、ま、マス、タ・・・・、っん、手・・・・・、いやぁ・・・・・・・・・・!」
クリスティーヌが今にも限界を超えそうなすすり泣くような声をあげると、彼女を悩ませる私の指はようやくそこから離れた。
454鞭つづき 3:2006/03/06(月) 22:46:32 ID:F++WvbNG

半ば昇りかけた体からは力が抜け、クリスティーヌの体は自分の体を支えきれずに、くったりと床に倒れ込んでしまう瞬間、私はしっかりと彼女の体を受け止める。
そして、やや無理矢理に彼女の体の向きを変えると、私と向かい合わせに立たせた。
俯いたクリスティーヌの顎に手をかけて、顔を上げさせると、潤んだ瞳で彼女が私を見上げる。
私に何かを訴えかけるような彼女の瞳を、私は敢えてそらす。
「マ、スター・・・・・・」
不安そうなクリスティーヌの声を聞きながら、私は、つと、手を伸ばし、彼女のブラウスの袷に触れ、
その胸元の細いリボンをするりと解く。
私が先ほどまで触れていた、白い鎖骨や胸元、さらにはその下の柔らかなふくらみまでもが私の眼前に晒される。
「やぁっ・・・!」
クリスティーヌは驚いて大きな瞳を見開くと、本能的にブラウスの袷に両手をもっていき、私の視線から肌を隠す。
「どうした?クリスティーヌ」
だが私は、感情を抑えたごく低い声で、冷たい問いを投げかける。
見ると、クリスティーヌは見開いた瞳にいっぱいの涙を溜めて縋るように私を見上げていた。
罰を望んだのはお前だと、私の冷たい眸に、そんな意味合いが含まれていることを感じとったのか、クリスティーヌは、その瞳から諦めの涙を溢れさせる。
私は彼女を見下ろしたまま、当然であるかのようにゆっくりと彼女のブラウスをに手をかけて、大きく胸元をはだけさせる。細い両肩を顕わにすると、彼女の体から、身につけることを許された最後の衣服が、なめらかな肌をすべり床へと落ちていく。
クリスティーヌは、とうとう一糸も身に纏っていないうつくしい裸体を私の目の前に晒すこととなっった。
「・・・!!」
せめて少しでも私の視線から隠してしまいたいのだろう、彼女は両腕をそろそろと動かし体に巻き付けようとする。しかし、私の手は無情にも彼女の細い腕とささやかな抵抗を押さえつけてしまう。
「どうか・・・・・」
「だめだ」
クリスティーヌの小さな祈りを否定の言葉で遮り、私は細い腕を掴む手に力を加える。
彼女の白い肌は、羞恥の為か、ほんのりと赤味を帯びる。
「クリスティーヌ、いいかね。お前は、私に従いさえすればよい。そうすれば、私はおまえの望むものをあげよう。鞭の痛みに快楽を見出すおまえにふさわしい罰を」
盛装した男の前で、完全な裸体を晒すことを余儀なくされた少女に追い打ちをかけるように、私は言葉でも辱めを与えると、少女はさらに白い肌をほてらせる。
「さあ、はじめようではないか。わかっているな、おまえの罪は大きくなっている。・・・きなさい」
私は、彼女の手をひいて、片足を一歩踏み出したところで、気まぐれに立ち止まった。
「ああ、それから・・・」と振り替えると、今度は何を宣告されるのかと怯えたクリスティーヌが、少し首を傾けて私を見上げている。
「・・・・・?」
「もうおまえの淫らな蜜を床にこぼすことはゆるさんぞ」
「・・・・・っっ!」
先ほどの、鞭の傷跡を私の唇で慰められていた光景が彼女の脳裏に浮かんだのだろうか、
クリスティーヌは屈辱に眉をひそめ、瞳からはついに涙が溢れた。

(つづく)
455名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 22:59:02 ID:PjSSq3sp
>>451
・・・あんたの小説大好きだよ・・・?・?・
456名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 23:27:20 ID:qK4fQ0Mr
Σ(*゚Д`;)ア…ア…アッハァァァァァァァァ?!!!!
ま、まだお仕置きされちゃうのか…!とうとう泣かしちゃったよ
457名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 23:38:59 ID:22Y77OZa
エスーーー!!マスターどSーーー!
面白かった。ごち。
458435:2006/03/07(火) 10:16:09 ID:hiYZRKDf
>451 Mクリスキターーー(´Д` *)
お待ちしてました鞭の天使さま!
楽しみにしておりました。期待通りでGJです!

もともとこっちがそちらのしr…鞭でお仕置きにモロ被りなのです。
こちらこそ申し訳ありません。
よい機会なのでお聞きしたいのですが、今後、
縄を使用した情熱プレイのご予定はございますでしょうか?

遅くなりましたが、読んでくださった方ありがとうございます。
そろそろ退かれるか?とドキドキしてました。
でもリスペクトはコミケの天使さまのサークル、ドン★ファン。
いつも心に断面図。
459名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 17:31:36 ID:E3PZYCBZ
>>451
>>458のお二方様
・・・わたくし情熱プレイ希望でつ。
460名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 17:59:46 ID:0jRtGG8O
あそこのサイトに入るハードルたかすぎない?

趣旨には賛同だけど・・と独り言。
461名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 18:30:56 ID:VDXI5xC1
あの猿ゴールナンバーとかいろいろ計算するURLのサイトのこと?

確かに…大変だった。映画のパンフレット見たり…OTL
462名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 18:43:42 ID:0jRtGG8O
いや そこよりかなりorz・・・
マンハッタン読んでないから 入れない・・・

463名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 19:49:17 ID:j81f2j2W
ん?どおゆうこと??
464名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 20:02:51 ID:oQiFj5VQ
それでも入りたいんだよね
新しいのもうPされてるし
465名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 20:06:55 ID:j81f2j2W
マンハッタン読んでなくても入れる気がしますが・・・
それともちがうサイトか?!
466名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 20:14:26 ID:zqzaKnVN
18禁を守るために URLの一部を埋めるトラップがあるのです。


って この話あんまし引っ張るの良くないかな?ゴメン
467名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 20:17:40 ID:zqzaKnVN
マンハッタン買ってくる〜〜〜待ってろよ〜〜〜
468名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 20:19:42 ID:j81f2j2W
てか謎解きみたいで自分は楽しかったかも♪
でも最初は何回うあってもつながらなくてめんどくなっちゃたww

・・・内容もちっとエロくてもいいんだがのぅ(´・ω・)・・・


ゴメンョ
469名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 22:20:42 ID:OOryRsJk
2ちゃん関連以外のサイトの話はやめるべきだとオモ。

>460
禿同。復活やっとキターーーーー!!と思ったらパスワードの前段階で挫折した。
さっぱり分からん…あそこのSS大好きなんだよ…読みたいよ(つд`)テラウラヤマシス >468
天使様もしいらしたらおながいします、お慈悲を…
470名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 22:22:43 ID:zqzaKnVN
ウム そっちはエロくないのう。
471名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 22:31:38 ID:T2v8vO52
>>470
そっちは・・・ってどこのことだのう?
自分変な日本語ww
472名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 22:32:35 ID:OOryRsJk
>470
誰に何のレスしとるんだおまいは。
473名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 22:41:25 ID:w6yTLNHN
皆ちょいと落ち着いて
>>227をも一回読んでみ。
474名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 22:51:51 ID:T2v8vO52
ごめん完全に勘違いしてた
475名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 22:54:16 ID:L8juLve7
>460からの話題だと思われるサイト主です。
計算は簡単に18禁表現が読めないようにするためのものですが、
これまで閲覧いただいていたこちらのスレの皆さんは21歳以上ですし、
入室していただくのには何らの不都合もありません。
必要な方は計算ページにリンクしてあるメールフォームからお尋ねください。
また、内容等についての要望もそちらからお願いします。
スレが荒れて欲しくはないので、これ以上の話題はご勘弁を。

>473 サンクス
476名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 22:58:42 ID:vbCmf5yD
もうちょっと頑張ってみてもわからなかったら教えてくださいませ。
メールします。

この流れでもし投下予定の天使様が躊躇されてたら大変だな
どなたかいらっしゃいませんかー?
477名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 22:58:59 ID:oWwpaR+W
はぁ…あのやり取りが18歳未満クサく見えるもんな。
478名無しさん@ピンキー :2006/03/07(火) 23:07:28 ID:8wJpJEdO
自分も天使さまの投下キボン
最近マトモなSS投下されてなくね?
そろそろちゃんとしたss読みたいぞ

本物の天使様ーーー
479名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 23:59:55 ID:NqahVoTz
>477
18でもいかんだろう。
ここは21禁なんだから
480名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 01:42:01 ID:+WN8uFJg
>478
そういう言い方でじゃあ私が、となる人は少ないとおも…。
釣りじゃなければ、もう少し配慮があってもいいんじゃないか。
481名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 02:16:08 ID:Zk85waGU
>>345の天使様
いい子で正座して待ってます。
482名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 02:22:27 ID:Rz7nw2ng
>451
GJ! GJ!
めちゃくちゃSの先生に萌えた……!
口調がSっぽくてたまらない。
続きの投下、待ってます。
483>451:2006/03/08(水) 21:56:36 ID:Rdp0RP+v
読んでくれた方、レスくださった方、ありがとうございました。
続きの投下は、正直迷い中なんですが、
(内容が内容(SMぽr?)だけにまたどん引きされそうな・汗)
もし、機会あれば投下したいと思います。

>458 おお、お仕置きマスターの天使さま!
鞭は、今のところ書く予定はないです。
>458さん、ご予定ありですか?
ぜひ、拝見したいです。
484名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 22:04:28 ID:zUKReNub
>>483
SMどんどん来〜いおいあうshgfp♪♪♪
485中年ファントム:2006/03/09(木) 16:23:18 ID:fZYFt14L
中年ファントムを書いてきた者です。
前スレで別の職人さんに素敵な完結編を書いていただきましたが、
私も書いてみたので、宜しかったら読んでください。
相変わらずエロもギャグもなし。orz
全部で12レス分あります。
486フランソワーズ 1890年 1/12:2006/03/09(木) 16:27:40 ID:fZYFt14L
あれから六年が過ぎていた。小父さまは折りにふれて、代理人を通して私と弟に贈り物を
送ってくださった。お菓子やおもちゃを始め、特別誂えの子供用自転車、鹿毛の子馬、私
が成長してからは美しい牝馬、たくさんの面白いご本−−。新しい家庭教師もつけてくだ
さり、私はたくさんのことを学んだ。とりわけ英語には熱心に取り組んだ。

私は小父さまへ手紙を書き、代理人に託し続けてきた。様々な機会に写真も撮って同封し
た。初めて深紅の薔薇を見事に咲かせてからは、その花束を抱いた写真も送った。そして、
小父さまにパリへいらしていただきたいと、控えめにではあったがお願いしてきた。けれ
ども、小父さまは贈り物に添えられたカードに短い言葉を書いてくださるだけで、一度も
パリへはおいでにならなかった。深紅の薔薇は贈る相手を得られず、花びらはポプリに姿
を変えた。

私はエステルさんに、ポプリを入れた小物の製作をお願いした。以来、小父さまに差し上
げられなかった深紅の薔薇は、ポプリとして「エステルの店」に置かれるようになった。
エステルさんは何もおっしゃらなかったが、ポプリを扱う指先から、小父さまへの想いが
伝わってきた。

そのエステルさんから連絡をいただいた。小父さまの代理人を名乗る方が現れ、年金証書
に署名を求められたという。その年金は、エステルさんの今後を保障して余りある額だっ
たそうだ。小父さまのご厚情は受け取られたものの、思いがけない出来事の理由をエステ
ルさんは懸念しておられた。私が代理人を問いつめると、初めは口ごもっていらしたが、
事情を話してくださった。

小父さまは治る見込みのないご病気に罹られ、長くともあと数カ月のお命だというのだ。
今は事業も部下に託されて、ニューヨーク北部の別荘で療養なさっておられるという。代
理人は口外を禁じられていたそうだが、すべてを打ち明けた後は、一刻も早くアメリカへ
行くことを私に勧めてくださった。

小父さまは私に何も言われず、パリへも戻られず、独りでこの世を去るおつもりだったの
か。私から深紅の薔薇も受け取られず、最後のお別れもさせてくださらないおつもりだっ
たのか。……そんなのは、いや! 小父さまをお独りで逝かせるなんて、絶対にいや! 
487フランソワーズ 1890年 2/12:2006/03/09(木) 16:29:10 ID:fZYFt14L
マンハッタン島が近づいてくる。四年前にフランスが贈ったという自由の女神像が手前に
見える。とうとう私はアメリカへやって来た。どんなに気が逸っても、支度や手配、船旅
で、すでにひと月近くが過ぎていた。港には迎えが待っており、付き添ってくれた代理人、
家庭教師とともに、ハドソン河上流にある小父さまの屋敷へそのまま向かった。マンハッ
タンの眺めも、河沿いの美しい景色も、今は私の心を捉えるものではなかった。

屋敷に到着してすぐ、帽子と手袋を脱ぐのももどかしく、応接間へ案内してもらった。執
事が扉をノックして私のおとないを告げると、「入りなさい」という低い声がした。懐か
しい……小父さまのお声だった。

小父さまは部屋の中央に立っておられた。私を迎えてくださるためだろうか、黒い礼服を
お召しになっていた。すぐにも駆け寄りたいのに、足が動かない。ただ涙が込み上げてき
た。
「来たわ……、小父さま」
「遠いところを、よく来たね……」
小父さまは眩しそうな表情で私をご覧になり、手を差し出された。

「小父さま……、小父さま! お会いしたかったわ!」
私は小父さまに抱きついた。見上げると、蒼とも碧ともつかない小父さまの優しい眸が、
今は近くにある。
「六年間よ、本当に、本当に長かった……。どんなにお会いしたかったか……」
涙が止まらず、私は泣きじゃくりながら小父さまの胸に顔をうずめた。懐かしい匂いを胸
いっぱいに吸い込む。小父さまは私の頭を撫でてくださった。……六年前の、薔薇園での
ように。
「フランソワーズ、……大きくなったね」
小父さまの低くて深いお声が、私の名前を呼んでくださる。……ようやくお会いできた。
お声を聞けた。そして、あの眸で見つめていただけた……。しばらくの間、私は小父さま
の胸に凭れたまま、再会の喜びを噛み締めていた。たとえそれが短いものでも……。小父
さまは、ずいぶんとお痩せになっていた。

しがみついたまま離れようとしない私を促され、小父さまはソファに並んで腰掛けてくだ
さった。
「十六歳か……、本当に大きくなったね、フランソワーズ、立派な娘になった……」
小父さまは私の目を見つめ、からかうように続けられた。
「だが……、ずいぶんと泣き虫で、甘えんぼうになったようだね」
「違うわ、小父さまが悪いのよ。ずっと会いに来てくださらなかったし、今度だって、私
に内緒になさっているんだもの……。だから、勇敢な私が海を渡ってきたのよ。代理人の
方をお咎めにならないでね、私が無理矢理に聞き出したのだから」
私は涙をこらえて、笑ってみせた。
「利発で元気な君は、思ったことを行動に移すのだったね。君がこちらへ来ると連絡を受
けて、驚いたよ。だが……ありがとう」
小父さまは微笑んでくださった。

……そうだった。私は涙を見せたり小父さまを責めるためではなく、小父さまに喜んでい
ただくために、残りの日々を楽しいものにするために、来たのだった。もう私は泣かない。
小父さまとは楽しいお話だけをするのだ……。
488フランソワーズ 1890年 3/12:2006/03/09(木) 16:30:42 ID:fZYFt14L
翌日、私が小父さまにお会いできたのは、午後になってからだった。居間に伺うと、小父
さまは寝椅子に横たわっておられた。昨日は私のために無理をなさったのだろうか。
「こんな格好で失礼するよ……」
「ううん、今日はお天気が良くないもの。お部屋でゆっくりお話をする方がいいわ」
小父さまの上掛けをちょっと直してから、私はクッションを敷いて床に座り、ポプリの小
瓶と小物を取り出した。
「これはね、私が育てた薔薇をポプリにして、エステルさんとご一緒に『商品開発』した
ものなの。小父さまへのお土産よ」
私が英語を使ってみせると、小父さまは含み笑いをなさり、「彼女も元気にやっているの
だね……」と、安心したように呟かれた。
「ええ、お元気よ。……このポプリはね、小父さまに差し上げたかった薔薇の代わりよ。
お店のお客様にも好評なの」
瓶の蓋を開けて手渡すと、小父さまは物珍しそうに眺められ、「良い香りだ……」と言っ
てくださった。
「そうでしょう? 私は薔薇作りの才もなかなかなのよ。小父さまが贈ってくださった馬
や自転車も、弟よりも上手に乗りこなせるの。今度ご披露するわね。英語のご本も読んで
さしあげるわ、……お耳障りでなかったら、ね」

私は小父さまのご病気のことにも、あとどれくらいご一緒に過ごせるのかにも触れなかっ
た。そして本当の姪のように、あるいは長く離れていた娘のように振る舞った。……もし
かしたら、私は本当に小父さまの娘となっていたかも知れないのだもの。今ならお父様だ
って許してくださるだろうし、お母様にも……喜んでいただける筈だ。
489フランソワーズ 1890年 4/12:2006/03/09(木) 16:32:01 ID:fZYFt14L
穏やかな日々が流れていった。私が小父さまと過ごせるのは午後の数時間に限られていた
が、天気の良い日には、小父さまの車椅子を押して広い庭を散策した。赤や黄金色に色づ
き始めた楓や欅の葉が、秋の訪れを告げている。高い空には、列をなして飛んでいく渡り
鳥が眺められた。私たちは時折言葉を交わしながら、移りゆく季節を味わった。

小父さまは、私と手を繋いで少しばかり歩かれることもあった。今、小父さまに合わせて
ゆっくりと歩むのは私の方だった。
「小父さま、お疲れにならない?」
「大丈夫、気持ちがいいよ。自分の家の庭だというのに、こんな風に歩いたのは初めてだ
……」
眩しそうに目を細め、空を見上げておられる小父さまの尖った頤を、私は黙って見つめる。
「フランソワーズ、髪に落ち葉が……、ほら」
振り返った小父さまが、私の頭から紅葉をつまんでくださった。受け取った紅葉を髪飾り
のように改めて耳元に挿し、同じような紅葉を拾い上げて、小父さまの上着の襟穴に挿し
てさしあげた。「お揃いよ」と笑って言いながら、腕を絡める。小父さまは私の好きにさ
せてくださった。

「ずっとここにいるのも退屈するだろう。手配をさせるから、マンハッタン見物に行くと
いい。自由の女神像やブルックリン橋でも見ておいで」
「ええ……、そのうちにね。でも、今はご一緒に過ごしたいわ。小父さまに六年分たっぷ
り甘えたいもの。それに、ポーキプシーに女子大があるでしょ。私、いずれそこに留学し
ようかと考えているの。そうしたら週末にはここにも来られるし、ニューヨーク見物もた
っぷりできるわ」
「フランス貴族のお嬢さんが、わざわざアメリカに留学するのかね? ずいぶんと酔狂な
マドモワゼルだ」
「一人くらい、そういう変わり種がいたっていいでしょう? ……風が出てきたわ、小父
さま、お部屋に戻りましょうか」
車椅子を運んでくると、小父さまは少し大儀そうに腰掛け、「ありがとう……」と言って
目を瞑られた。私は膝掛けを小父さまの胸元までたくし上げ、ゆっくりと車椅子を押す。
490フランソワーズ 1890年 5/12:2006/03/09(木) 16:33:32 ID:fZYFt14L
弟と一緒に誂えた男仕立ての乗馬服を着用して、常歩、速歩からピルエット、パッサージ
ュまで馬術も披露した。自転車ではスカートを翻して曲芸まがいの乗り方までしてみせ、
……あげくに転倒して膝小僧をすりむいた。小父さまは呆れつつも楽しそうに笑ってくだ
さった。私が転んだ時には、車椅子から立ち上がるほど心配してくださった。
「ごめんなさい、小父さま、びっくりさせちゃって。……でも、なかなかの女丈夫ぶりだ
ったでしょ」
小父さまはオオアワダチソウの傷薬を、私の膝小僧につけてくださった。
「確かに君は、勇敢で元気で、……人を驚かせるのが得意なマドモワゼルだね。寿命が縮
むかと思ったよ」
それから、俯いたまま低いお声で付け加えられた。「すまない……、失言だった」
私は聞こえなかったふりをした。
「そうなの、うちのみんなは、もう諦めているみたいよ。……小父さま、私の脚線美はい
かが?」


「ねぇ、小父さま、……六年間、なぜパリへおいでにならなかったの? こちらの仕事が
お忙しかったから……?」
何かの折りに私がさり気なく伺うと、小父さまはご自分の手を見つめて言われた。
「それもあるが、……あまり会うべきではないような気がしてね。それに、君には話して
いなかったが、もうパリへは行かないと決めていたのだ。それをある人に告げてもいた。
その人も私との約束を守ってくれたから、私も約束を破りたくなかった。……君に一度だ
け会いに行ったのは、特別の例外だった」
「それは……、ううん、そうだったの。私は子供で、我が儘を言っていたのね」
「いや、君は我が儘なんかじゃないよ。……君から手紙や写真をもらって、とても嬉しか
った。楽しみにしていたよ……」
目を伏せて話される小父さまの頬に、心なしか赤みが差したようだった。私は胸が熱くな
り、小父さまの膝に頭を凭せかける。
「小父さまに喜んでいただけて嬉しいわ。こうしてお会いできたし、私、幸せよ……」
小父さまは私の髪を撫でてくださった。私は目を瞑り、小父さまの温かな手の感触に身を
委ねた。
491フランソワーズ 1890年 6/12:2006/03/09(木) 16:35:59 ID:fZYFt14L
秋が深まるにつれて、私たちは小父さまの居間で過ごすことが増えていった。暖炉には暖
かな火が燃えている。私は安楽椅子に座られた小父さまの足もとで、詩を朗読する。少し
気取った声で始めた。

O BLITHE New-comer! I have heard,
I hear th……thee and rejoice.
O Cuckoo! shall I call thee Bird,
Or but a wandering Voice?

While I am lying on the grass
Thy twofold shout I ear……hear,
From hill to hill it seems to pass,
At once far off, and near.

Th……Though……

英語の発音をつかえる度に、小父さまのお顔をちらりと窺う。小父さまは唇の端を上げ、
何とも言えないお顔をなさっていたが、とうとう低い含み笑いを漏らされた。
「フランソワーズ、それでは郭公が墜落してしまいそうだ」
「ひどーい! ……実を言うと詩の朗読は得意じゃないの。緊張するし、照れちゃうんだ
もの。やっぱり付け焼き刃ではだめね」
「そもそも君は、英国ロマン派の詩が好みなのかね?」
「ばれちゃったかしら? 本当はそうでもないの。物語を読む方が好きだわ、黙読でね」
私たちは顔を見合わせて笑った。
「どんな話が好きかい?」
「……そうね、『宝島』や『トム・ソーヤーの冒険』は、わくわくして面白いわ」
咄嗟にそう言った。小父さまが弟のために送ってくださった本だった。私はブロンテ姉妹
の物語やワイルドの哀しい童話にも惹かれたし、ポーの小説にも興味があったけれど、小
父さまの前では口にしたくないような気がした。
……でも、この機会にもっと話をしてみたくなった。
492フランソワーズ 1890年 7/12:2006/03/09(木) 16:37:31 ID:fZYFt14L
「『嵐が丘』も読んだわ……」私は言った。
「ほう……、君の家庭教師は、なかなか寛大な人物なのだね」
「そうね、評判は必ずしも芳しくなくて、眉をひそめる人もいるものね。でも、だから年
頃の娘達は読みたがるのよ」
「君もその一人かね?」
「う……ん、とても激しい恋、魂が結ばれた二人、死してなお惹かれ合うような恋人って、
どんな感じだろうとは思うわ」
私は小父さまの膝掛けに身を寄せ、お顔を見上げて話し始めた。小父さまは暖炉の火に目
を向けておられる。
「でも、この二人の恋は恐ろしい……、我が身を、そして周りの人をも不幸にし、傷つけ
る恋だわ。美しいけれど忌まわしい、だからこそ物語として読者を魅了するのでしょうけ
れど……」
小父さまは暖炉に目を向けたまま、私が話すのを黙って聞いておられる。
「ヒースの荒野に吹きすさぶ風は、人の心を狂わせるのかもしれない。でも、ヒースクリ
フは哀しいけれど恐ろしくて残酷だわ。狂おしい恋と復讐心に囚われ、自らを滅ぼすよう
な生き方しかできなかった。そうでない途もあったかも知れないのに……」
小父さまの手に私が手を重ねると、小父さまがゆっくりと私に視線を向けられた。
「小父さまとお母様は……」
「君の母君はキャサリンではないし、私もヒースクリフではないよ」
小父さまのお答えが、この話を終わらせると告げているようだった。

「『アンクル・トムの小屋』も読んだわ。あ、『若草物語』だって好きよ。これでも女の
子だもの」私は明るい口調に戻した。
小父さまは頷かれ、「で、君の好きなのはジョーかな?」と笑って尋ねられた。
「そうね、私はジョーが好き。たいていの女の子はそうだと思うわ」
……そしてジョーは、幼なじみの少年とではなく、異国のうんと年上の男性と結ばれたの
だけれど、それは言わずに、私は暖炉に松ぼっくりを一つ二つ放り込んだ。青緑色の透明
な美しい炎が上がる。
「明日はサンドの『愛の妖精』を朗読するわ。ファデット……ファンションも好きなの。
私と同じ名前だしね。でも今は、この郭公を無事に飛び去らせるわ。小父さま、もう少し
我慢……じゃなくて、私の英語に聞き惚れてね」
493フランソワーズ 1890年 8/12:2006/03/09(木) 16:39:03 ID:fZYFt14L
こちらに来てからひと月以上が過ぎていた。少なくとも私と会ってくださっている間は、
小父さまはよく笑顔を見せられ、具合も良いように見えた。執事も、私が来てから小父さ
まは楽しそうで、元気になられたようだと言ってくれた。……油断していたのかもしれな
い、この時がもっと続くと。

「小父さま、今日は珍しいものをお目にかけるわね。以前からお願いしてあったの」
私は居間の扉を開け、その「装置」を運び入れてもらう。代理人がそれを載せたワゴンを
暖炉前まで慎重に押し、小父さまが座っておられる安楽椅子のそばに恭しく止めた。私は
覆いの布を取り払い、弾んだ声で言う。
「どう?」
「……ベルリナーの円盤型蓄音機だね。これは録音用か」
「ご存じだったのね。特別に借りてきていただいたの。素敵でしょ?」
「まあ、確かに興味深いが……。君もご苦労だったね」
代理人にねぎらいの言葉を掛けられてから、小父さまは私に「で、これで何をするつもり
かね?」と尋ねられた。
「もちろん、小父さまと私の声を録音するのよ。……だめ?」

小父さまと一緒の写真撮影も考えた。そして今なら、私がおねだりすれば小父さまは承知
してくださるかも知れなかった。でも、それはしたくなかった。
「そんなに長い時間は録音できないけれど、朗読用の本も用意してきたわ。ジョルジュ・
サンドの童話よ。小父さまと私が代わりばんこに読むの」
「それはいいが……、ちゃんと動かせるのかね? 見せてごらん」
「わあっ、ありがとう、小父さま」
私は本をお渡しすると後ろに回り、小父さまの肩に手を掛けて覗き込む。小父さまは代理
人を制してご自分で調整をなさり、ハンドルを回して針を落としてくださった。円盤が回
り始める。

−−さあ、始まりね。
−−君から読みなさい、フランソワーズ。
−−じゃあ、『薔薇と嵐の王子』ジョルジュ・サンドより。はい、次は小父さまよ。ここ
  の所を読んでね?
−−なんだ、それだけかね? 仕方ないな。……ぼくは旋回しながら草地へ落ちていきま
  した。見棄てられて落ちたところは、あの薔薇のすぐ近くでした。薔薇は以前にも増
  して輝き、香り豊かでした。「どうしたことだ? 死んだとばかり思って涙にくれて
  いたのに。なぜ生き返ることができたのだ?」……次はフランソワーズだよ。
−−「それは、生命の精があらゆる生き物に力を与えてくれるからよ。わたしを取りまい
  ているこの蕾たちを見て。夜になったらわたしの輝きは消え、生まれ変わる準備をす
  るの。でも、美しい妹たちがあなたをうっとりさせ、花盛りの香りでもてなしてくれ
  るでしょう。ここにいてちょうだい。あなたは薔薇の仲間、大切な友だちじゃありま
  せんか」……はい、小父さまよ。
−−……不遇な我が身に胸がつまり、涙が溢れました。流れ落ちた涙によって、ぼくはそ
  の地と永遠に結ばれたことを感じたのです。
−−小父さま、……もっと読んで。
−−僕の泣き声を聞いて心を動かされた生命の精が、……まばゆい姿で現れました。「あ
  なたは……哀れみを知った……のですね。あなたは薔薇の花を……哀れみました。今
  度は……わたくし…があなたを……哀れみ…………」
−−小父さま……? 小父さまっ!

小父さまのお声が途切れ、本が膝から滑り落ちた。そして、小父さまの身体が、ゆっくり
と安楽椅子から床へ倒れ込んでいった。すべてがゆっくりと……時間の流れが止まったよ
うだった。
「小父さまっ! ……お、お医者様をっ! お願い!」
代理人が扉を開け放し、転がるように部屋を飛び出していった。円盤を刻む針の低い音だ
けが続いていた。
494フランソワーズ 1890年 9/12:2006/03/09(木) 16:40:52 ID:fZYFt14L
小父さまの寝室からお医者様と執事が出てこられ、私に入室を許可してくださった。小父
さまは、今は薬で眠っておられるという。もう時間の問題だと告げられた。

小父さまの寝室には初めて入った。私がお送りした写真の数々が、額装して飾られていた。
脇机の上には、薔薇の花束を抱えた私が、写真立てに収まっていた。私はベッドの脇に座
り、小父さまの寝顔を見守り続けた。お顔の色は土気色で、目元に濃い陰がさしている。
もうじき小父さまは逝ってしまわれるのだと、改めて思い知らされた。

……小父さまが身じろぎされ、ゆっくりと目を開かれた。私に気付かれると少し驚いたよ
うなお顔をなさり、小さなお声で言われた。
「いてくれたのか……。すまなかったね」
「ううん、私こそごめんなさい。はしゃぎすぎてしまったわ……」
「いや……、せっかくの録音を駄目にしてしまって……」
「大丈夫だと思うわ。技師の方に仕上げをお願いしたから、出来上がってきたら、ご一緒
に聴いてみましょうね……」
「……そうだね」
「小父さま、ご気分はいかが?」
「ああ……、そう悪くもないよ。私はどれくらい眠っていたのかな……?」
小父さまのお声は少し掠れておられた。
「まる一日くらい。ね、水をお飲みになる……?」
湯冷ましの入った吸い飲みを口元へ寄せてさしあげたが、小父さまはほんの少し口に含ま
れただけだった。
「ありがとう、……もう、いいよ」
微笑まれてそう言われるお声は、私が初めて聞く弱々しいものだった。

「そうだ、君に渡しておきたいものがある……。そこの引き出しを開けてごらん。小さな
包みがあるだろう……?」
言われた通りに脇机の引き出しを開けると、奥の方に、黒絹にくるまれた小さな箱のよう
なものがあった。
「これかしら?」
「そう……。指環の箱だ」
小父さまは静かなお声で言われ、上掛けから手を出された。私は小箱を手渡した。小父さ
まが蓋をそっとお開けになると、ダイヤモンドが花のように散りばめられた、美しい輝き
を放つ指環があった。

「この指環は、君の父上が母君へ贈られたものだ。……故あって、長い間私が預かってい
たのだが、君に返したい。お二人の亡き後、これは君が持つのがふさわしいだろう……」
小父さまは手に取った指環を懐かしそうに見つめながら、優しいお声でそう言われた。
「嵌めてごらん」
差し出された指環を右の薬指に嵌める。まるで誂えたように、私の指にぴったりだった。
「お母様の、指環……?」
「そうだ……、ああ、とてもよく似合っているよ……」
小父さまは私をご覧になり、穏やかに微笑まれた。
「私がいただいてしまって……いいの?」
……小父さまは、大切になさっていたお母様の指環も……手放されるの? 最後の旅路へ
持っていかれなくて……いいの? 胸に浮かんだ言葉は口にしなかった。

「君の母君の形見だ。良かった、君に渡すことができて……。大切にしておくれ」
小父さまは目を閉じられた。目元に疲労の陰が滲んでおられる。
「はい、大切にします。……ありがとう、小父さま」
私は指環の箱を脇机に載せ、上掛けを小父さまの首元まで引き上げてさしあげた。
「ありがとう……、少し疲れたから、休ませてもらうよ」
小父さまは呟くように言われると、また眠りに落ちられたようだった。
495フランソワーズ 1890年 10/12:2006/03/09(木) 16:42:49 ID:fZYFt14L
私はこちらへ来るにあたり、小父さまに繋がる品はないかと、お母様の遺品の中からオペ
ラ座にいらした頃のものを探したが、見事なほど何もなかった。娘時代の思い出を何も残
されないなんて、不自然とさえ言えるほどに。お母様はお父様に嫁がれ、小父さまとは訣
別なさった。その決意の現れとして、敢えてすべてを処分なさったのだろうか。お母様は
良き妻、良き母親、良き伯爵夫人として、生涯を終えられた。

……それでもお母様は、小父さまを忘れることはできなかった。時に物思いに囚われるこ
とを、止められなかった。そしてあの日、小父さまの安否を確かめずにはいられなかった。
ひと言も口になさらなかった想いは、小父さまが生きておられると知った時に零された涙
に、込められていたのか。

小父さまとお母様がお別れになってから、すでに二十年ほどが経っている。その間、小父
さまがお母様をお忘れにならなかったのは、私と弟の後見人になってくださったことから
も伺える。けれども小父さまは、お母様の名前を決して口になさらない。思い出も話そう
とはなさらない。分かるのは、小父さまが私をご覧になる眼差しの先に、今でもお母様が
いらっしゃるということだけ……。語られない名前、語られない思い出が、秘められた小
父さまの深い想いを何よりも物語っているのか。

そして今、小父さまは、たった一つのお母様の形見も手放そうとなさっている……。
496フランソワーズ 1890年 11/12:2006/03/09(木) 16:44:18 ID:fZYFt14L
次に小父さまが目覚められたのは、それから数時間後だった。浅い呼吸をなさりながら、
私をご覧になると微笑んでくださった。こうして小父さまと過ごせるのも、後どれほどか。
……いつかは言おうと考えていたことを、私は口にした。
「小父さま、……お母様のこと、許してくださる?」
「何故……そんなことを言う?」
「なぜでも。……お母様は、小父さまに謝りたかったのではないかと思ったの」
小父さまはふっと笑うと、小さく首を振られた。
「君の母君が私に謝られることなんて、何もないよ。……私は、遠く離れた所からではあ
ったが、君のご両親の結婚を誰よりも祝福したつもりだし、いつも幸せを願ってきた。ク
リ……母君の、そして君たちの幸せをね」
「本当に……?」
「本当だとも、フランソワーズ。……そして今、君がここにいてくれる。こんな幸せなこ
とはないよ。こんなに素晴らしい時を過ごさせてもらえるとは、考えてもみなかった……」
いつの間にか、私の頬を涙が伝っていた。小父さまは上掛けから手を出され、指で涙を拭
ってくださった。

「小父さま、……お顔の仮面を外してもいい?」
そして小父さまが何かおっしゃる前に続けた。
「仮面の下に何があるのか、私にだって見当はつくわ。そして……そのために、小父さま
が長いこと苦しみ、辛い思いをなさってきたのだろうということも。でも、お願い……、
私に素顔を見せて。素顔の小父さまと向かい合い、お別れさせて……」
私はゆっくりと小父さまのお顔へ手を伸ばした。
「いい……?」
小父さまは私を見つめておられたが、小さく頷いて目を閉じられた。私はそっと仮面を外
した。……驚きはなかった。いつの頃からか考えていたものが、そこにはあった。嫌悪も
恐怖もなかった。ただ痛ましく、……そして愛おしさだけがあった。

「ありがとう、小父さま……」
私は小父さまの右頬に口づけをした。涙が零れ落ち、小父さまがうっすらと目をお開けに
なった。
「小父さま……、大好きよ」
小父さまの眸を見つめてそう言い、私はもう一度、右頬に口づけした。そして額に、瞼に、
鼻に、左頬にも口づけし、最後に……小父さまの唇へそっと唇を重ねた。
「フランソワーズ……」
しばらくの間、私たちはただ黙って見つめ合っていた。私は涙を拭い、小父さまの眸の色
を胸に刻み込んだ。
「……ありがとう、フランソワーズ」
小父さまは呟くようにおっしゃり、かすかに微笑まれると、目を閉じて再び眠りに就かれた。
497フランソワーズ 1890年 12/12:2006/03/09(木) 16:45:43 ID:fZYFt14L
しばらくして、小父さまはふっと意識を取り戻され、ぼんやりと私の顔をご覧になった。
「私よ、お分かりになる……?」
小父さまの手を両手で包み込み、耳元で囁くように呼びかけた。……お母様が小父さまを
何とお呼びしていたのか、私は知らなかった。小父さまは黙って私を見つめていらしたが、
やがて微笑みを浮かべられた。
「……フランソワーズだね、あり…がとう。君は……優しくて、いい子だ。幸せに……お
なり……」
小父さまの眸から急に光が失われた。
小父さまの口が小さく動いた。クリスティーヌと言われたように、私には見えた。
……小父さまが初めて、そして最後に口になさった、お母様の名前だった。

小父さまの目が開かれることは二度となかった。静かな最期だった。
小父さまはご自分のお墓をこちらに用意しておられた。亡くなられてなお、お母様のおそ
ばへは戻らないと、覚悟を決めていらしたのか……。


小父さまが私に残してくださったのは、指環と仮面、そして録音されたお声だった。ホー
ンから聞こえてくる少し不鮮明な小父さまの声に、私は耳を傾ける。……いいえ、小父さ
まは私に、たくさんの思い出を残してくださった。小父さまとの出会いを、ここで過ごし
た時を、六年間を、私は忘れない。小父さまの眸を、お姿を、お声を、そして小父さまが
終生胸に秘めておられたお母様への深い想いを、私は決して忘れることはないだろう。

私はお母様の、そして小父さまの形見でもある指環を嵌め、仮面とレコードを旅行鞄の奥
にしまい、フランスへ帰る。けれども、きっとここへ戻ってくる。こちらの学校に入り、
また薔薇を育てるつもりだ。
……そして今度こそ、深紅の薔薇を小父さまに贈るのだ。


<終わり>

−−引用:
「郭公に献げる辞」ウィリアム・ワーズワース
『薔薇と嵐の王子』ジョルジュ・サンド著。田中眞理子 訳
498485:2006/03/09(木) 16:47:20 ID:fZYFt14L
以上です。
読んでくださった方、ありがとうございます。
499名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 20:19:12 ID:KivsoIaU
深い 深すぎる そしてGJすぎる〜〜!
フランソワーズと老紳士マスターが グルグルしてます。

前スレの完結編の天使サマも 中年ファントムさまも
人生の最期を幸せに終らせて下さって感謝。
500名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 22:04:34 ID:djrcWo5w
500ゲトズザー
501名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 01:40:18 ID:PX6XV1iI
>>485の天使さま
鼻かみながら読ませてもらいました(朗読のくだりなんて特に)
明日の朝、ひどい顔してるだろうなぁw

でも、エリックの最期が安らかなもので本当に良かった。
素晴らしい作品をありがとうです。
502名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 01:51:56 ID:DvECGUiT
>485 GJ!GJ!
録音の場面は涙なくしては読めませんでした。
静かで美しいSS、ありがとうございました。
マスターが幸せに旅立てて良かった
503名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 21:11:26 ID:NirFGwiR
>>485天使さま
心からGJ!!!!!途中から涙腺決壊。
クリスの娘によって、晩年、マスターの心が安らかなものであった事がとても嬉しい。
でも…やはり切ない。

前スレ完結編作家様も中年ファントム作家様も
どちらのラストも本当に素敵。
このスレの天使様方にはマスターのジーニアスな魂が降臨してるとしか思えないよ…。
天使様方、いつも本当にありがとうございます。
504名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 23:31:35 ID:hAgDsCJa
つい最近マンハッタンの怪人読んだんだけど、なんとなくかぶりました。
波乱の人生過ごしてきた分、穏やかな最期を迎えられて心が温かくなったよ。
505485:2006/03/11(土) 19:01:18 ID:uxAZMlHR
感想、どうもありがとうございました。
別人28号のようなキャラの、エロもギャグもない捏造妄想の後日談に
お付き合いくださり、感謝・感謝であります。

現在、生前の中年ファントム・エロ有り話を書いています。
もし完成したら、また投下させていただきたいと思います。
昨日は留守にしていたため、お礼が遅れました。申し訳ございません。
506名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 23:52:33 ID:A2NY7M5O
187〜の前夜。古い話で申し訳ありません。
ファントム×クリス。
縛ってます。痛いです。苦手な方はスルーでお願いします。

>451様 鞭でなくて縄、なのです。
何もかもありがちなモノ&状況ですので、
被ったとかおっしゃらずにどうか…
5071/5:2006/03/11(土) 23:53:09 ID:A2NY7M5O
「う…」
クリスティーヌは低く呻いて身を捩った。
衣服の総てを剥ぎ取られ、白い肌を歪めるように硬い縄が食い込んでいる。
体中きつく縛められ、大きく脚を開いた姿勢で固定されたまま
もう随分長い間クリスティーヌの身体は、紅いシーツの上に放り出されている。
側に彼女の天使がいるはずだが、その姿を探そうにも
少し首を動かすだけで、あちこちに掛かったロープがぎりぎりと身を苛む。
どんなに呼んでも天使は答えなかった。
しかしクリスティーヌが身体を捻り、泣き叫び、許しを請うている間も、
そうして言葉も尽きぐったりしている今もずっと、
肌の表面をじりじりと焼くような視線が撫でるのを感じている。

彼女の師であるファントムは、ベッドの側にゆったり腰掛け
クリスティーヌの視界に入らぬ位置で身を捩る愛弟子を眺めていた。
後手に縛り上げられた不自由な姿勢で大きく上下する肩。
肌はうっすら汗ばみ、滑ったように光っている。
縄の周囲はほんのり赤く色づき、痛みが身体を走る度に
白い腹が艶かしく波打つ。
やがて男の目は押し開かれた腿を滑り、その中心へと移動した。
昨夜押し開かれたばかりの花弁は、充血しまだ幾分腫れているようにも見える。
視線をその部分に当てたまま、ファントムは静かに微笑んだ。
きつく縛められ、苦痛に頬を歪ませながらも、花弁は透明な液体を滲ませていた。

「さて、クリスティーヌ」
突然投げかけられた声に、縛められた身体がびくんと揺れる。
ファントムは立ち上がり、ゆっくりとベッドを回り込んだ。
枕に押し付けられたクリスティーヌの顔を覗き込む。
穏やかだが冷たい瞳を、怯えたように揺らぐ瞳にぴたりと据え、
男は少女が最も恐れた言葉を吐いた。
「私は失望させられた」
「!」
少女は睫に彩られた瞳を大きく見開いた。みるみるその表面に涙が湧き上がる。
5082/5:2006/03/11(土) 23:53:51 ID:A2NY7M5O
「何度も何度も注意した」
「あぁ!」
両手を背で束ねる縄の結び目を掴んで、クリスティーヌの上半身を引き上げる。
胸の上下に掛けられた縄が、いつもは優しい曲線を描く双丘を歪に震わせている。
「集中していれば間違える筈のない箇所だ」
「はい、申し訳ありません…!」
酷く痛むであろうに、健気に詫びる言葉を口にする。
「それなのにお前はあんな初歩的な誤りを犯した!」
低い、威圧するような声にクリスティーヌはびくりと身を縮めた。

「お許しください、マスター、お願い…」
弱々しい懇願を無視して、ファントムは頭を沈めた。
滑らかなわき腹を唇でそっと挟む。
「は…」
吐息と共にふるりと震えた肌を、男は噛んだ。
「痛…!」
激しく動く肩を押さえ、耳元に囁く。
「動くな。動くと縄が食い込むぞ」
そのまま再び男の頭は下がってゆく。
膝にくちづけ、縄によって無理やり開かされた内腿を舌先でくすぐ。、
やがてファントムは脚の付け根に近い位置の、薄い皮膚に歯を立てた。
「…!っ!」
仰け反る腰をしっかりと両手で押さえつけ、なおも歯を沈める。
歯先が皮膚を突き破る寸前に口を離し、残った跡を見てファントムは満足そうに唇を歪めた。
数日は消えないだろう…あの男が再びここを目にするまでは。

目を閉じ、荒い呼吸を繰り返す少女を見下ろす。
「…まだ罰は終わっていない」
開かれた脚の中心の、ぽってり色付いた花弁に触れる。
指で開くとじわりと蜜が滲むが、まだ準備が整っているとは言いがたい。
それでもファントムは2本の指先を、抉じ開けるようにめり込ませた。
「ううっ!」
クリスティーヌは唇を噛んだ。
まだ慣れぬ通路は、ゆっくりとした動きに従って軋むように開いてゆく。
苦痛の方が明らかに勝っているその表情を眺めながら、ファントムは無造作に指を開いた。
「あ…くぅ…」
腰が跳ね、縄が肌を苛む。
苦しそうに頬が歪む。しかし、それで当然なのだ。
これは罰なのだから。
5093/5:2006/03/11(土) 23:54:39 ID:A2NY7M5O
細い身体が弾みベッドが軋むたびに、きりきりと縄は肌を締め付けてゆく。
耐え難いほどの痛みに全身を嬲られながらも、
襞をこするように動く男の指に、食いしばっていた歯はいつしか緩み、
唾液に濡れ光る唇からは甘さの混じった吐息が零れていた。
「や…んんっ…ぁん」
胸にかかった縄目に指を掛け、ぐっと引き上げる。
「あ、はッ…ああッ!」
がくりと反らされる首筋。閉じた瞼からこめかみに流れる涙。
ファントムはクリスティーヌから指を抜き取った。
縄を解くと鮮やかな赤い跡を残した白い身体が、くたりとベッドに沈む。

「今夜は罰だけだ、褒美は無い。さあ、服を着なさい」
「…は、い…」
のろのろと起き上がるクリスティーヌをおいて部屋を出る。
そのままオルガンの前に腰掛けると、大きく息をついた。
楽譜のうえに置かれた大判の封筒に指を滑らせる。
中から書類を取り出し、何度も呼んだそれに再び目を通し始める。

「シャニュイ子爵…」
文字を追いながらファントムは呟いた。
クリスティーヌの幼馴染は調べさせた限り、全く非の打ち所のない青年貴族だ。
財産も人格も歌姫の恋人たるにふさわしい。
さらに都合のいいことに、このオペラ座のパトロン。
支配人どもも出資者の意向は伺わざるを得ないだろう。

昨夜彼が恋人を、壊れ物のように扱ったことは
クリスティーヌの身体から明らかだった。
ほんの毛ほどの傷すらつけないよう、大切に大切に愛したに違いない。
(そして、クリスティーヌも十分に応えた筈だ)
ファントムは唇を笑いの形に歪めた。
長い時間をかけてそのように仕込んだのだ。
苦痛に眉を寄せて耐えながらそれでも腰は悩ましく揺らぎ、
柔らかい肉は呑みこんだものを離すまいと差し入れられた硬い肉に絡みつく。

…あれをあの男も味わったのだ。
離れられるはずが無い。
5104/5:2006/03/11(土) 23:55:18 ID:A2NY7M5O
ファントムの笑みがますます歪んだものとなる。
「挨拶でもしておくべきか…」
オペラ座の怪人の持ち物に手を掛ける無謀な若者に、敬意を表して。
あの男が焦がれる歌声も、天使を信じる純粋な魂も
…そして腕の中で頬を染め身を捩るあの姿も、
いったい誰の手により造られたものかをそろそろ知らせてやろう。

知ったところで離れることなどできない。
影の甘さを味わったのだから。
まして正義感が強く、名誉を重んじるあの青年が
自覚の無いまま闇に半身をとらわれた哀れな娘を、
自分が純潔を奪った少女を、見捨てることはないだろう。

衣擦れの音にファントムは我に返り振り返った。
服を身に着けたクリスティーヌが、俯きながら立っている。
「地上に戻ろう、さあこちらへ」
「はい…」
立ち上がった師に歩み寄る、その動きのぎこちなさにファントムはすっと目を細めた。
「クリスティーヌ」
「?」
「手首を見せなさい」
一瞬肩をぴくり動かし、クリスティーヌは言われたとおりにブラウスの袖をまくる。
現れた手首を仔細に眺め、ファントムは眉を寄せた。
「…手当てをしなければ」
擦れた跡が思ったより酷い。クリスティーヌが激しく動いたせいか、それとも。

それとも…酷く責めたせいか。
昨夜あの男のものであった身体に、私のものだと言い聞かせるように
犯した過ち以上の対価を払わせてしまったのではないか。
小さく頭を振り、心の隅に湧き上がった不穏な感情を追い払う。
確かめるまでも無い。目の前のこの娘は私のものだ。
5115/5:2006/03/11(土) 23:56:04 ID:A2NY7M5O
ブラウスの生地が触れるたびに痛むのだろう、
クリスティーヌは動く度に身を強張らせながらそろそろと離れてゆく。
「こちらに来なさい。薬を塗って…」
「いいえ、いいの!このままで、いいの!」
ぱっと顔を上げ、クリスティーヌは後退った。
「いいはずが無い、一晩中眠れぬほどに痛むぞ」
苛立って伸ばした手の届かぬところまで逃れ、クリスティーヌは頭を振った。
「痛くてもいいの、天使さまをがっかりさせたんだから、だから、痛くても、いい…」
髪を乱して頭を振りつづける。

頑是無い子供のような仕草に、ファントムは厳しく寄せた眉を少し緩めた。
「…明日間違えたときの言い訳をお前に与えるつもりはない」
それでも声には威厳を保ったまま、
一気にクリスティーヌのもとへ近づいて腰を掴み、ひょいと肩へ担ぎ上げる。
「手当てをして、今夜はここで眠るんだ」
「お、降ろして…!」
「このまま舞台に上がって、再び私を失望させるつもりか?」
力なくもがいていた手足がぴたりと止まる。
ファントムはそのまま寝室へ戻り、乱れたシーツの上に
大人しくなったクリスティーヌをそっと降ろした。

「薬を取ってくる。手当てが終わったら休みなさい」
宥めるように頭に掌を置く。
「罰はもう終わった。私が与える以上の罰を自ら負う必要は無い。
ゆっくり眠って、明日はお前のすばらしい声を天上まで響かせるのだ」
「天使さま…」
泣きそうに歪んだ唇に指を置く。
「そうして私を満足させてくれたなら…」
つ、と指をあごから喉へと滑らせる。
「今度は私がお前を満足するような褒美を与えてやろう」
「あ…」
かすかに反らされた喉がこくりと鳴るのを感じ、ファントムは目を細めた。
無謀でで愚かなムッシュウ、奪えるものなら奪ってみるがいい。
心の中で呟いてファントムは少女の額に唇を寄せた。
512名無しさん@ピンキー :2006/03/12(日) 00:26:00 ID:1Hqp90mS
>506 GJ!
クリス、めちゃくちゃ健気で泣く
そして縛っちゃう、でも優しいマスターに萌えました。

>451のヤシです
仕込みマスターの天使さま!
前のレスで、見当違いのことすいません_| ̄|○
縄、だったんですね
それにしても、すばらしいです。



513名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 04:02:21 ID:mb1zyiut
>>506
Bravo!!
相変わらず丁寧でエロくて人物像の描き方が素晴らしい!
続きをお待ちしております!
514名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 14:59:27 ID:3Y0/C1Ln
お許しとご褒美をもらう為に
必死で耐えるクリスタン、エロいなあ…
これからこの3人の関係はどうなっちゃうの??
515名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 15:21:07 ID:O6q1cY9Q
>>506
調教の天使様GJ!クリスエロいよクリスハァハァ

ところでしばらく見ないけど寸止めの天使様は去られたのか?続きテラヨミタス(´・ω・`)
516名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 21:05:24 ID:n0yqxfwn
>345
で投下したものの続きです。
時間をあけてしまってごめんなさい。

1.エロ(殆ど)・ギャグ、なし
2.ラウルが占めるべき位のウェイトを何故かマダムが占めてます

色っぽい展開にもならず、妄想こじらせたような感じですが、
読んでいただければ嬉しいです。
517WanderingChild裏10:2006/03/12(日) 21:07:12 ID:n0yqxfwn
昨夜も、つい先ほども、ファントムと一緒の時は簡単に鏡を通り抜けることが出来たのに、今クリスティーヌの眼の前にあるのはただの大きな鏡で、いくら押しても撫でてみても、向こう側に同じ動作をしてみせる自分がいるだけだった。
髪が乱れ生乾きの夜着を身に纏わりつかせている惨めな姿の少女を、これ以上見ていたくなかった。
ぐるりと辺りを見渡し、燭代を掴み鏡の前へと立つと、やにわに力を込めて叩きつける。
稲妻のような傷が表面に入り、音をたてて姿見は、いくつもの銀色に輝く破片となった。
その跡には暗闇へと続く空間が口を広げている。
クリスティーヌは硝子の小山を乗り越え、歩き出す。
靴を履いていない足に突き刺さる鋭い痛みを感じたけれど、確かめることもしなかった。
心を焼く痛みは、肉体のそれを遠くへ押しやっていた。

父が使わしてくれた音楽の天使と、オペラ座の怪人、母親と、あの方と、噂の中だけで生息していた見世物小屋のこども。
それらは全てばらばらに存在していて、クリスティーヌの中で意味のある繋がりを持っていなかった。
一体人はどうやってそれぞれが独立しているように見える事柄の欠片を拾い集めて、一枚の絵を完成させているのだろう。
自分だけが特別に不器用で、それをする能力に欠けているのだろうか。
そうなのかも知れないと、彼女は思う。
どちらにしても、もう沢山だった。
あの日手をひいてくれていた同じ腕が、オペラ座の怪人へと自分を引き渡した。
音楽の天使は息絶え、父親の死を本当の意味で思い知らされた。
お願い。
クリスティーヌは、ジリーの部屋に残して来た男に向かって祈る。
どうか私に、何もかもを諦める勇気を頂戴。
その冷たい手であの人に触れて。
胸を唾液で濡らして。
ちぎれる位、脚を開かせて。
私の変わりに、さようならを伝えて。
何もかもが終わったら、告げ口をすればいいの。
あなたはきっと許される。
おわれるのは、許されないのは、私だけ。
醜い祈りをひた向きに捧げながら、クリスティーヌは地下の廊下を歩く。
鏡の破片で出来た傷から滲む血が、道しるべのように続いていた。
518WanderingChild裏11:2006/03/12(日) 21:08:21 ID:n0yqxfwn
「あれは笑いなの?」
自分を見つめて唇を歪めたクリスティーヌの顔が、ジリーの眼に焼き付いていた。
身を捩り、後ろから自分を抱きすくめているファントムから逃れようとするが、男の力に叶うわけもなかった。
「あの子、笑ったの?あなた、あの子に何をしたの?」
「それを今聞きたいのか?」
息を呑み身を固くするジリーにファントムは皮肉げな笑みで答え、小柄な身体を抱え上げ、乱暴に部屋の隅に置かれたベッドへと放る。
そのまま身を起こす暇も与えず、覆い被さった。
抵抗を封じるために両手首を頭の上で纏めて押さえ上げ、片方の手で一撫でするだけで、ジリーの胸元の釦は次々と解けていく。
世の中の殆どのことと同じく、女の抵抗を封じることも、衣服を剥ぎ取ることも、自分の腕は簡単にこなすのだと彼は知った。

「どうしてなの、エリック…」
組み伏した女に自分ですら忘れかけていた名前を呼ばれ、指が止まる。
「あんなに、美しい名前で呼び合っていたのに…」
言い終わると同時に、ジリーは歯を食い縛る形に唇を歪めた。
「仮面を剥がれたんだよ、ジリー。その下には、化け物がいた。ただそれだけのことだ」
「そんな言い方はやめて…私にまで…」
女の言葉は、思わず大声で笑い出しそうになる位、おかしかった。
「まるで不実を詰るような言い方だな、ジリー」
身動きを取れなくされているというのに、ジリーはファントムの身体の下からきっと視線を走らせる。
気丈な顔だった。けれどそんな気丈さに見合うだけの腕力を、所詮彼女は持ち合わせていない。
残酷な気持ちのまま、ファントムは続けた。
「あなたも共犯だと、あの子は思っている」
何かの呪文のようにその言葉は、非力な彼女から意志の強ささえ消してしまったようだった。
眼から光を失ったジリーを見て、ファントムは哀れむような表情を浮かべる。
「あなたも不運だった…もしこれから、何かを拾うとすればせいぜい猫の子にしておくがいい。人間の子はあなたの手に余る、まして、化け物など」
その一言一言が胸に突き刺さり、息が出来なかった。ジリーは力なく首を振ったあと眼を閉じる。
その頬から首筋を、冷たい手が撫でていくのを感じた。
519WanderingChild裏12:2006/03/12(日) 21:09:07 ID:n0yqxfwn
―あの方もお喜びよ?
一輪の薔薇に、自分の喜びと、彼の喜びを重ねて、クリスティーヌに手渡した。
楽屋に鍵をかける黒い姿を認めていながら、持っていた鍵はしまったままにした。
困難の多い交わりだと知っていながら、ただ二人が呼び合う名前の美しさを拠り所にして、胸にあった不安を押し殺してしまった。
こうなってしまって、はっきりとわかる。
例え自分が二人の未来にどんな結末を期待していようとも、それ自体には何の意味もなかったのだと。
エリックの言う通りだ。
自分は手にあまる行為のつけで共犯者となり、連れて来た孤独な子どもたちに、ただ悪夢の続きを見せただけなのだ。
閉じられた両の瞼から、静かに涙が流れ落ちる。
もう何も考えられなかった。
これから自分の身に起こることすら、昨夜と同じように眼を逸らしてやり過ごすことが出来たらとジリーは願った。
ファントムは、抵抗のなくなった女をじっと見下ろす。

「…あなたは何を怖がっている?ジリー…」
彼女に跨ったままの彼の身体は、震えていた。
身のうちに起きる、押さえきれない欲望や感情を無理やりに鎮めようとするように。
「昨夜のあの子も、そんな風に抵抗をやめた。あなたへの告げ口が怖かったそうだ。よくわからないよ。こんな化け物に抱かれる以上に、怖いことがあるなどと」
涙に濡れた睫を上げると、自身への嫌悪に苦しんでいる男の顔があった。
頑なに目を閉じていては、気付けなかった表情だった。
身の上にいる、仮面の下の顔まで知っている男を、天使と呼ぶことはジリーには出来ない。
ただ大抵においてそうするように、彼女は自分が真実だと思うことだけを告げる。
「あるのよ、エリック…だってあなたは、化け物なんかじゃないから」
520WanderingChild裏13:2006/03/12(日) 21:09:55 ID:n0yqxfwn
身体の自由を奪っていた力から、ジリーはふいに解放される。
身を起こすのと、どさりとベッドに何かが放られるのが同時だった。
息を呑み見つめる。それは一丁の拳銃だった。
「あの子から与えられた役を、降りる権利は私にはない…だからこれで終わりにするんだ、ジリー。そして悪い化け物はやっつけたから安心おしとあの子に言っておやり」
ジリーは二人の間に放り投げられた、鈍く不吉に光る銃を見つめる。
「出来ない…」
「やるんだ」
その声は、オペラ座の支配人たちに向けられるものと同じように、容赦のない冷たいものだった。
ひどい頭痛を堪えるような顔で、ジリーは首を力なくふる。
「あなたも随分、残酷な役を押し付けるのね…」
「当たり前だ。あの子のためなら、あなたなどどうでもいい」
ひどい言葉だとは思わなかった。
ただ、こんな風に手本を示されて悲しかった。
ファントムが選んだように、ジリーもまた選ばなければならない。
今の彼の言葉が、選ぶことの辛さと罪悪感を幾分か和らげてくれる。
「優しいのね、エリック」
「何の冗談だ?少なくとも私は本気だ。ジリー、引き金を」
眼を閉じてやり過ごすことなどできない。
使うべき時に鍵をしまっていた事で、誰もが手を汚さずには終わらないところまで来てしまっていた。
ジリーは震える手で、銃身を握る。
眼の前に立つ男に、あの日の少年の面影を探そうとしたけれども上手くいかなかった。
鏡を通して向かい合ってしまった二人の子。
エリックだけが、彼女を愛した。
エリックだけが、生きることから降りようとしている。
エリックだけが…?
引き金に指をかけようとした時、どこかで鏡の割れる音が聞こえたような気がした。
「違う!」
銃声の変わりに、悲痛な叫び声が部屋に響く。
「ジリー?」
「あなただけじゃない!あの子も、クリスティーヌも死ぬ気だわ」
問いただされることも、ばかなことをと笑い飛ばされることもなかった。
表情の変化すら確かめられないほどの速さで、ファントムはジリーに背を向け部屋を出ていった。
引き金をひくことすら冷静に命じたというのに、今見せた後ろ姿は手を差し伸べたくなるほどに痛々しく動揺していた。
マントの下に傷だらけの背中が見えたような気が、ジリーにはした。
521WanderingChild裏14:2006/03/12(日) 21:10:33 ID:n0yqxfwn
クリスティーヌの眼の前には、地下の湖が広がっていた。
泳いだことなどないのに、どうしてか、昨夜から水が少しも怖くなかった。
優しく誘うように暗く光る水面へ身を任せようと一歩踏み出した時、手首を掴まれ強い力で元いた方へと引き戻される。
「クリスティーヌ…」
ここにいる筈のない男の声だった。
押しやられていた身体中の痛みが、再び彼女の元に戻る。
自分の作り上げた物語の筋が、めちゃくちゃに書き換えられているのを知った。
どうして気付かなかったのだろうと、クリスティーヌは自分の愚かさを責める。
自分が約束を守るつもりなどなかったように、彼もまた願いを叶える気などなかったのだ。
「…はなして!さようならを伝えてくれなかったのね?」
手を振り解こうと身を捩るクリスティーヌを、ファントムは無理やりに抱き寄せた。
非難の声も、胸の中での必死の抵抗も、クリスティーヌが生きているという証に思えた。
「クリスティーヌ…」
それを確かめるように、ただ名前を呼ぶ。
地下のベッドで死んだように横たわっていた娘が眼を開けてくれた時、心から嬉しかった。
生まれて初めて、彼女の眼を開かせた自分以外の何者かに感謝を捧げた。
どうしてだろう。
手に入らないのなら、生も死も同じようなものだろうに、それでもこの少女に生きていて欲しいと願わずにはいられない。
口を開こうとして、ファントムは言うべき言葉に詰る。
欺き続け、犯し、最後の願いもきいてやれなかった。
どうか生きて欲しいと、クリスティーヌから生きる熱を奪った他ならぬ自分が、どの面を下げて言えるだろう。
ファントムの腕の力が弱まり、クリスティーヌはその隙を逃さずに胸から逃れる。
大きく後ろに下がったけれど、右腕だけは掴まれたまま解放されなかった。
522WanderingChild裏15:2006/03/12(日) 21:11:12 ID:n0yqxfwn
「クリスティーヌ…どうしても、愛せない?」
どう伝えていいかわからない願いの代わりに、諦めた筈の問いを、答えなどわかりきっている筈の問いを、ファントムは口にした。
クリスティーヌは眉根を寄せ、唇を戦慄かせる。
掴まれた部分を、火で炙られているかのような苦痛の表情だった。
「まだわからないの?あんなに寂しい交わりをしても?あなたの孤独は私の孤独を、あなたの醜さは私の醜さをつきつける。そんな自分を、醜い自分を愛せるわけない。愛せるわけないの…お願い、もう、手を放して」
叫ぶような声も最後は小さくなり、哀願の色を宿す。
手を放してやりたいと、ファントムは思う。
クリスティーヌの背後には、暗い水面がどこまでも続いていて、痛々しく伸ばされた細い一本の腕だけが、彼女をこの世に繋いでいた。

その刹那、渇いた銃声が地下に響き渡る。
二人同時に音のした方を向くと、そこには銃を天井に真っ直ぐに向けたままの姿勢で立っているジリーがいた。
発砲の印に、かすかな薬莢の匂いが漂う。
「…今のは警告よ」
湿った地下の空気を、凛とした声が払った。
クリスティーヌは部屋を出る時に眼に焼き付けておいた、もう二度と見る筈のなかった女の姿をどこか呆けたような表情で見つめていた。
筋書きがわからなくなった舞台の結末が、やっと見えた気がした。
ここで彼女の銃弾に倒れ、男と二人で地下よりも深い地獄へ共に堕ちるのだ。
だとすれば、自分がついた嘘も、半分は本当になるのかも知れない。
そう思いながらも、クリスティーヌは哀れむような、責めるような視線をファントムに向ける。
「…あなただけなら、許されたのに」
523WanderingChild裏16:2006/03/12(日) 21:11:55 ID:n0yqxfwn
その時見たファントムは、安堵の表情をしていた。
どうして今、そんな顔をしているのかクリスティーヌにはわからなかった。
彼は優しいとさえいえる眼差しで、クリスティーヌに一瞬だけ微笑みかける。
「クリスティーヌ…銃を向けられているのも、醜いのも、私だけだ」
少女が言葉の意味を理解するよりも早く、ジリーが叫んだ。
「消えなさい!オペラ座の怪人…その子は私の娘よ、どこにもやらないわ!」
瞬間、手首を掴んでいた腕から開放され、ファントムはクリスティーヌから離れ、一人笑う。
今度の笑みは日毎人々が口を歪めて噂する、オペラ座の怪人に相応しい笑みだった。
「みなしごと聞いていたのに、話が違う。母親が出てきてはどうにもならない。望み通り、さようならだ。クリスティーヌ」
薄暗闇に、漆黒のマントが一度だけ捌かれた。
ただそれだけの間に、ファントムの姿は掻き消え、それまで彼がいた空間には闇が広がっていた。
ジリーは銃を放り、クリスティーヌに駆けより抱き締める。
額に手の平を当てると、思った通り焼けるように熱かった。
「…ジリー先生…おわれるのは、私の方だと…」
熱に浮かされ、混乱しているその表情は遠い日の子どもを思い出させた。
「どうしてあなたをおうの?愛しい私の娘よ」
もう立っていられないというように少女の身体から力が抜け、二人はともにその場に崩れ落ちる。
「あの日の誓いを忘れた日なんて、一日だってないのよ。クリスティーヌ」
いつもきちんと結わえられている髪はほつれ、胸元の釦も一つ外れているようなぼろぼろの姿で、ジリーはクリスティーヌの肩を抱く。
「ジリー先生…私も…私もです」
熱があるのによくこんな力がと驚く程の強さで、クリスティーヌは首に腕を巻きつけた。
ジリーの耳元に、熱い息がかかる。
お母さま、と聞こえた。
この子を愛している。
過ちを犯した分だけ余計に、一人地下へと消えたエリックの分まで。
そうジリーは思った。
524WanderingChild裏17:2006/03/12(日) 21:14:10 ID:n0yqxfwn
オペラ座に来て早々に眠り続けた7つの時は、クリスティーヌの夢の中に現れるのは父親ばかりだった。
そして今、彼女の夢には、ファントムが繰り返し訪れた。
仮面をつけていない姿で立ち尽くす男の方へ駆け寄り、顔を覗き込む。
夢の中、男が言葉もなく自分に微笑みかけるので、クリスティーヌも何も言わず男の顔にただみとれていた。
眼を覚ますと、ジリーの優しい手があった。
つききりで看病をしてくれる彼女の手に触れられる度に、クリスティーヌは感じた。
愛されている、許されていると。

そんな風に夢と現実の間を行き来し幾日かを過ごし、こんこんと眠り続けていたクリスティーヌは、真夜中にぱっちりと眼を覚ます。
熱はすっかり下がり横になった状態でも、気力が身体の隅々までみなぎっているのを感じる。
自由を取り戻した身体で自分のするべき事が、彼女にははっきりとわかっていた。
部屋を抜け出し、衣装部屋に忍び込み、男装をした舞台の衣装に着替え髪も束ねた。
ふと月あかりの中、鏡に映った自分を見る。
眠っている間に、身体についていたわずかばかりの脂肪はこそげ落ち、鏡に向かい表情を作ると、まるで本物の少年のようだった。
ジリーもファントムも、得難い才能の持ち主ではあるけれど、演技に関してだけは自分の方が上手だろうと決めてしまう。
あの一幕では、3つの子どもだって騙せない。
でもだからこそ、不器用な自分にもパズルが解けたのだとクリスティーヌは思う。
地下への入り口があるあの楽屋は、明日には新たな鏡が届く予定だという。
そうなってしまう前に、果たさなければいけないことがある。
案内人のいない道のりが、危険なものになるということはわかっていた。
鏡の中の自分が、眼に強い力を持つ。
愛することも、許すことも、どちらもすっかり与えられた後でしか理解できなかった愚かな自分だけれど。
茨の道と数々の罠をくぐりぬけ、昔、父親が語ってくれた物語の王子のように。
「会いにいくわ、あなたに」
それを伝えて、分かち合うために。
クリスティーヌはしっかりとした足取りで、地下へ向かい歩き出していた。

おわり
525名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 21:15:43 ID:n0yqxfwn
以上です。
無駄に長い話を読んで下さった方いらしたら多謝。
526名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 22:38:59 ID:3Y0/C1Ln
良かった誰も死ななくて…ハラハラしながら読んだよ。
考えてみればクリスだって孤児だから、何らかのトラウマ
をかかえていても不思議じゃないんだ。
三人のそれぞれこれからの人生の幸せを願うばかり。
527名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 00:18:55 ID:k+DOmAPR
おもしろかった…
クリスがファントムに夢で見惚れたって、きっとすごく意味のある事
なんだろうなって感じたんだけど、合ってるかな。
もう一回読んでみよう。
528名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 00:41:46 ID:pIV/gAlw
乙です!
ほんと誰も死ななくて良かったよ。
あんまエロくないけどドキドキして面白かったです!
529名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 02:47:37 ID:n/l3QBjQ
>>506
 うへーと唸るエロさと3人それぞれの描写の的確さ。 いやスゴイ
>>525
 まさに物語、だった。読ませてもらった!
530名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 20:48:20 ID:FiBEbq5j
・ファントム×クリス
・エロほとんどなし
・ギャグなし
・ストーリーもなし

よろしくお願いします。
531The point of no return : 1:2006/03/14(火) 20:49:25 ID:FiBEbq5j
舞台の後ろからあの声が――、低くて甘く、聞く者の耳を熔かすようなあの声が聞こえてきた瞬間、
わたしは耳の奥の奥まであの声にひたひたと侵されるような心地がして、思わず目を閉じた。
もちろん、目を閉じても、あの声が、あの声のためだけに作られた官能的な旋律が、
聞こえなくなるわけではなかった。
そして、ふたたび目を開け、ふり返ったわたしの目に飛び込んできたのはあの眸――。
もえさかる慾望と狂気とが渦巻くあの眸が、今まさにわたしを捉えんとしていた。
あの人の声が、あの人の眸が、そしてあの人の手が、わたしをこの平凡で温かく善意に満ちた世界から
目も眩むほどの官能と狂気に満ちた世界へといざなっている――。

彼の手に導かれて、――その間とてあの眸に見据えられ、眸と声とで求愛されながら――、
舞台奥へと進み、そこで己の手を押し返されて、はじめてわたしは彼の手を離したくないと、
いつまでも、どこまでもこの手に引かれて、彼の行くところへ、わたしたちの行くべきところへ、
連れられていきたいと思った。
けれど、わたしはわずかに抵抗を試みる――。
わたしをいつでも温かく包み込んでくれる、陽の光そのものみたいな恋人の姿をこの目で見て、
その人のいる世界に踏みとどまろうと試みた。
ああ、しかし、わたしの目はその人を見ることを拒み、その人の心配げな、不安げな眼差しを
受け取ることを拒む。
そして、彼が、あの優しい人に鋭い一瞥を投げかける。
視線でもって射殺すかのようなその眼差しは、わたしの胸をも刺し貫く。
そう、わたしのために燃やした嫉妬の炎こそが彼の放ったその箭だったから。
532The point of no return : 2:2006/03/14(火) 20:50:11 ID:FiBEbq5j
舞台の両袖に配された階へと別れていくときのあの人の後ろ姿は、そのすぐ後に橋上での邂逅が
待っているとわかっていても、それでも、一瞬でも離れたくないと思わせるほど官能的で、
威厳と自信とに満ちていた。

彼がわたしに歌わせるために作った激しい愛の歌を歌いながら、一段、また一段と階を昇っていく。
胸の高鳴りとともに、舞台を挟んだ向こうの階に立つ彼と見つめ合う。
絡まり合う視線と視線、現し身を離れて互いを求め合う魂と魂――、
わたしたちは、守り守られる父娘ではなく、教え教えられる師弟ですらなく、ただの男と女――、
互いを求め、奪い合う男と女だった。
そして、橋の上でふたたび見つめ合った瞬間、わたしはこの身が他の誰でもない、
唯ひとり彼のためだけにあるのだと、彼のものになるためだけにあるのだと確信し、
わたし自身、心の奥底で我と我が身を彼に捧げたいとずっと思ってきたことをはっきりと自覚した。

一歩ずつ歩み寄り、手を取り合ったときにはもう、己が彼の手のうちにあることを感じ、
彼の腕に抱き取られたときにはもう、己のいるべき場所はここなのだと、
この人の腕のなかこそが己の生きていく場所なのだと、
諦めと歓喜とが入り混じった不思議な気持ちで感じていた。
わたしと彼とは先の世から宿命づけられた恋人同士、後の世でも必ず出逢い、
結ばれるべき運命の恋人同士、こうやって幾世もくり返し出逢っては結ばれてきた宿世の恋人同士――、
彼から逃れることはできても、運命からは逃れられない――。
わたしは、すぐそばで優しい婚約者が目に涙を浮かべて苦悩している姿も目に入らないほど、
自分を腕に抱く男と、その男との宿命の恋とに夢中だった。
533The point of no return : 3:2006/03/14(火) 20:51:02 ID:FiBEbq5j
だから、彼が突如として優しく愛を乞う歌を歌いはじめ、ほんの一瞬、わたしをその身から離した刹那、
耳をつんざくような音がしたときにも何が起こったのかわからなかった。
わたしの手を取ったまま、彼が膝から崩れ折れるようにして身体を折った瞬間、
ふたたび銃声が響き、彼の左肩から夥しい量の血が溢れ出た。
ついさっきまでわたしを優しく、力強く抱きしめていてくれた腕からだらだらと暗紅色の血が流れ、
わたしは咄嗟に彼に覆いかぶさるようにして彼を抱きしめた。

「クリスティーヌ、どくんだ!」
あの優しいラウルとは思えぬ声がわたしに命じ、けれど、それに従ってはいけないと本能が告げ、
わたしはしっかりと彼に抱きついたまま叫んだ。
「いや!!!」

膝を折ったまま蒼白な顔を俯けた彼に取り縋る。
「マスター! マスター! いや! 死んじゃ、いや! マスター!!!」
狂ったように叫ぶ自分の声だけが聞こえる。
後ろからラウルの声が何事かを叫んでいたが、ほんの数時間前、
礼拝堂で二世を誓ったはずの人の声など、もう耳には入らなかった。
もともとこうするための囮だったわたしは、今ではその役割などとうに放棄していて、
ただ目の前に蹲る男の悲壮な姿に取り乱すばかりだった。

「マスター、マスター! いやぁぁぁ! 死んじゃ、いやぁぁぁ!!」
自分の声とは思われない悲鳴を聞きながら、わたしは恋する男の腕に縋りついた。
「クリスティーヌ………」
呻くようにわたしの名を呼んで、彼がその眸を上げた。
強い眼光になぜだか安堵する。
そして、おそらくほんの一瞬、瞬きを一度するかしないといった、ごく短い時間だが、
わたしと彼は互いに見つめ合った。

「私とともに……、来るか?」
彼の声がそうわたしに問い、わたしがその問いに大きく頷くと、
彼がわたしを抱きかかえたまま立ち上がった。
「撃つな!」というラウルの声がして、その声を合図にしたかのように彼が橋の中ほどにあった
取っ手のようなものを足で蹴り上げた。

わたしは彼にしがみついたまま、奈落の底へ――、彼の支配する闇の領域へと落ちていった。
534The point of no return : 4:2006/03/14(火) 20:52:14 ID:FiBEbq5j
舟でどのくらい進んだのだろうか。
奈落から落ちていった後、私たちは深い水のなかへと放り出され、そこから上がって乗った舟で
暗い地下水道を進んでいった。
ある場所で彼が石造りの壁に手を伸ばすとそこだけ急に壁が通路になり、
わたしたちはその先へと進んだ。後ろで壁が閉じる気配がする。
そして、小さな船着き場から石でできた階段を上がるとそこは広くはない部屋で、
しかし暖炉には熾火が燃えていた。

「マスター、マスター! マスター…………!」
後ろ手に扉を閉めた彼に抱きつき、わたしは彼を呼びながら泣きじゃくった。
「ああ、マスター…………」
暗紅色の血のりがべったりと貼りついた腕のあたりに手を伸ばす。
あの群青色の水のなかで、なすすべもなく紅い血潮が流れていくのを見ながら、
わたしはこのままふたり、冥い水底に沈んでしまえばいいと思っていた……。

冥い水の底に揺れる白珊瑚の宮殿、雲は波、空は水、
一輪の月と見えるのはわがオペラ座のシャンデリアか――。
彼は冥府を支配する海龍王となって、わたしは妃に迎えられるのだ。
現身を捨て、光も時間もない蒼い水の王国で、わたしたちふたり、
永遠に求めあい、永遠に愛しあう――。
罪も罰も赦しもない、わたしたちだけの王国で―――。
535The point of no return : 5:2006/03/14(火) 20:53:29 ID:FiBEbq5j
けれど、彼の力強い腕がわたしを抱きかかえたまま、魅惑の玉座を捨てて
水の上へと上がっていってしまった。
わたしは、彼に掴まったまま、彼が水を切り取るように泳いでいく先へ
共に進んでいくことしかできなかった。
彼の強烈な生への欲求を感じて、わたしは怖ろしいような心強いような不思議な気持ちのまま、
ひたすら彼の横顔を見ていた。


頭の上から「大丈夫だ、死にはしない、それほど失血もしていない、案ずるな」と
いつもの力強い彼の声がした。
わたしはようやく安堵して、彼の命じるままに部屋のそこここから清潔な布やら
よくわからない薬やらを運んだ。
そうして、一通りの治療らしいことが済んだ彼が「クリスティーヌ」とわたしを呼び、
その淡い青緑色の眸を向けてわたしをじっと見つめた。
「後悔しているか」
「いいえ、いいえ……!」
そう言い終わるか終わらないか――、わたしの身体は彼の下にあった。
濡れたままの衣裳を剥ぎ取られるようにして脱がされていく。
「ああ、マスター、マスター……」
彼の手で一糸纏わぬ姿にされ、身体中を彼の視線で犯されていく。
彼の眸がわたしの鎖骨をかすめ、胸のふくらみを―――、そして、その頂を―――。
彼に見られていると思うだけで、見られた場所が疼くように熱くなっていく。


噛み付くような口づけを送られる。
息もできないほど深い口づけ――、舌で犯すように口腔内を蹂躙され、頭の芯がぼうっとする。
彼の熱く大きな手が鎖骨から、乳房へと下りていく。
その後を熱く湿った唇が追いかけていく。
胸の頂を口に含まれ、脇腹を唇が這い、そして辿りついたあの場所―――。
彼の手が押し拡げようとするよりもさきに、わたしは自らその場所を恋しい男の前に開いていった。
「ああ、赦してください、マスター……、どうか、わたしをマスターの……ものに……」
あの舞台で見つめられ、あの歌を聞くまで自分の思いに気づかなかった愚かなわたし……。
愚かな弟子を赦してもらうために、この偉大な師に何を捧げたらよいか、わたしはとうにわかっていた。
536The point of no return : 6:2006/03/14(火) 20:54:09 ID:FiBEbq5j
己が過ちの罪深さに顫えながら、持てるすべてを差し出したわたしに彼は優しかった。
「本当に後悔しないな?」
甘く穏やかな声が耳元で愛を乞うように囁く。
返事の代わりにしっかりと彼にしがみつく。
彼の太い指がわたしの入り口を探り当て、わたしは自分の両脚の間が既に潤っていることを感じていた。

狭い部屋にこだまする湿った水音と彼の息遣い、そして己の喘ぎ声――。
そして、とうとう、彼がわたしのなかに――、灼けつくような痛みのなかで、
わたしはこの男をずっとずっと前から愛し続けていたことを知った。



わたしは海神の妻になった。
気高く美しく、勇ましき眉に清しき眸を持つわたしの海龍王。
わたしのためにその手を血に染め、わたしのためにその身から血を流し、
そして、わたしのすべてを赦し、わたしのすべてを奪った男。
わたしはどこまでもこの人についていく―――。


「クリスティーヌ」
彼が得も言われぬほど優しい声でわたしを呼んだ。
「クリスティーヌ、明日からたいへんな苦難が待っているだろう、覚悟はあるか」
血の滲んだ白布に包まれた胸に抱かれて、わたしは誓いの言葉を口にした。
「どこまでもあなたについてゆきます……わたしは永遠にあなただけのもの……」



537名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 20:54:52 ID:FiBEbq5j
以上です。
読んでくださった方、ありがとうございました。
538名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 23:03:16 ID:HisjaVsr
GJ!うんうんあの後はこうなって欲しかったよ。
誰も知らないふたりだけの世界へか…妖しくていい感じ
なんだかハンニバル(原作小説)の
レクター博士とクラリスを連想しちゃったゴメン
539名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 23:52:50 ID:0LWKRaX2
(;´Д`)はああーーん!!萌死ぬ!!天使様GJ!
540名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 01:03:58 ID:VVINiVRg
おお〜熱いね〜。一気に読んだよ。
GJ!
541名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 00:55:11 ID:DnKggH7H
GJ! ものすごくGJ!
素晴らしい!
こんなのが読みたかったです!


えーと寸止めです。
自サイト作るのに忙しく、遅くなってすみません。
>113 からの初夜続きを3レス投下。
それでもまだ本番前だ…。
542続初夜編:2006/03/16(木) 00:58:00 ID:DnKggH7H
吸い付くように手に馴染んだ革の手袋を歯で噛んではずし、そっと肌に指を這わせる。
直に触れる肌の心地よさに陶然としながら唇を重ね、舐め、舌を挿し入れて吸う。
クリスティーヌが私の下で小さく震えながらその口づけにこたえる。
これはただの口づけではない。
二人が結びつく行為の始まり……おまえはもう官能の世界に足を踏み入れた。
私の指は太腿の内側に伸び、その柔らかな場所に繰り返し触れる。

「あぁ……、マスター……あぁ…あぁ…あぁ…」
クリスティーヌが唇を合わせたまま小さく声を上げた。
恥ずかしい部分への愛撫を受け入れようか拒否しようかの判断もできないままに、
快楽に流され始めている。
「…クリスティーヌ…」
彼女の頬に、耳に、あたたかい首筋にと口づけながら、布地の奥の形を探るように愛撫する。
甘い吐息が荒くなり、横に投げ出されていた白い手が私の腕に絡みつく。

「いい子だ……力を抜いて……」
そっと膝を開かせ、その部分に触れることをクリスティーヌが許容したと感じてから、
すべらかな腹を伝って下着の中に指を滑らせていく。
「あ!! だめ……!」
可愛い声を上げて身を捩るクリスティーヌの秘部にそっと指を這わせる。
「いや…! マスター!!」
「クリスティーヌ……恥ずかしがることはない……おまえの知らない世界を教えたい。
 おまえはただ、感じていればいい……」

柔らかな繊毛の下の合わせ目はぴたりと閉じられていたが、そっと指をあてがい、
押し付けるように擦るとなんなく開き、内側から溢れた粘液が私の指を包み込んだ。
「あああ……!」
クリスティーヌが私のシャツを掴み、隠れるように顔を背けた。
「いや…いや…恥ずかしい……!」
「ああクリスティーヌ……おまえは本当に可愛い……」
543続初夜編:2006/03/16(木) 00:59:27 ID:DnKggH7H
クリスティーヌの中は熱く潤い、私を求めてか拒んでか、挿し入れた指をぎゅっと締め付ける。
蜜で指先を滑らせ、秘められた小さな真珠を探り当て、指先に力を入れて擦りあげた。
「ああああああ!!!」
彼女が背を反らせてびくびくと身体を震わせた。
私の襟元と腕をつかみ、首を左右に振って私に訴える。
「…そこはだめ……!」
予想通りの初々しく敏感な反応に深い満足を覚える。

「わかった………では…こうしよう……」
可憐な瞳を見つめたまま、そっとその突起を転がす。
「ああ! あ! いや! ……いや……いやぁ……」
見つめ合ったまま、小さく首を振っていたクリスティーヌが、うっとりと瞳を閉じる。
「い…やぁ……、ぁあ…、あぁ…、あぁ…、あぁ…!」
うわごとのように甘い声を発して、小さく身体をびくつかせている。
初めての感覚に身体が反応してしまうのを抑えられないようだ。
細い指が私の腕に食い込む。

「マスタ……わたし……、ああ……おかしく………なっ…ちゃう……」
そう、私はおまえのすべてを蕩けさせたいのだ。
「クリスティーヌ……それでいい……大丈夫だから…」
瞳を閉じ、顔を左右に揺らして羞恥心と快感に耐えるクリスティーヌ。
今彼女は自身の秘めやかな部分に私が触れることを許し、その愛撫に身をゆだね、
私の指に翻弄されている。

「あぁ……はぁ……あぁ……」
クリスティーヌの腰がひくひくと揺らめき、その声が耳元で甘く甘く糸を引く。
その声を聞かされる私のほうがどうにかなってしまいそうだ。
そっと指を身体の奥へと挿し入れる。
「ああ! い…や……あぁ……あぁ……」
そこはすでに蜜を溢れさせ、奥深くまで私の指を受け入れた。

ああ……これがクリスティーヌの……。
私の指を甘く濡らして締め付ける感触に眩暈を感じる。
今すぐ下着を剥ぎ取ってきつく抱きしめ、奥まで一気に貫きたい。
私がそうしようと決めれば、彼女にはそれを防ぐ手立てはないのだから。
まだ固さを感じさせる襞が蠢き、欲望を煽ったが、彼女の首筋に唇を寄せたまま眼を閉じ、
強い衝動をやりすごす。
544続初夜編:2006/03/16(木) 01:02:23 ID:DnKggH7H
愛らしい唇を舐め、私の劣情を煽る声を封じ込めるように口づける。
蜜に濡れた指先で再び可愛い真珠を撫で始める。
唇を塞がれているため、彼女の上げる声は甘く鼻にかかった息遣いへと変わった。
柔らかな唇を味わいながら、硬さを増してくるそこを擦り続ける。
クリスティーヌの手が私の首にまわされ、肩を、腕を、背を切なそうに撫で、つかむ。

やがて、美しい眉を寄せ、苦痛に耐えるような表情で口づけに答えていた彼女が、
深い深い口づけの最中、びくんと唇を離して私を見つめ、数回喘いだかと思うと
「…あああぁぁっ……!」
と小さな悲鳴を上げて身体をびくびくと大きく痙攣させた。

私の手で、初めて絶頂に達した愛しいクリスティーヌ……。
肩で息をして唇をふるわせ、悩ましい表情で放心しているクリスティーヌの腰から下着を引き下ろす。
「あ……」
と止めるような仕草を見せ、潤んだ瞳を私に向けてきたが、それはすでに彼女の脚から抜き取られていた。
蝋燭の灯をいくつか落とし、白い肩を起こして背を向けさせコルセットのレイシングを緩める。

「…マスター……?」
何が起きているのか理解できぬように、もの問いたげな表情のクリスティーヌの顔を両手で挟み、
唇に小さく口づける。
「クリスティーヌ……おまえは本当に何も知らないのだな……。初めて知った快楽の味はどうだ?」
戸惑ったように顔を赤らめて視線を反らすクリスティーヌに口づけながら、
コルセットのホックを外していく。

「あ…、マスター……」
クリスティーヌが私の腕に手をかけて左右に首を振る。
「…だめ……」
ホックを外し終え、コルセットごと胸を覆うクリスティーヌからそれを剥ぎ取った。
薄暗い蝋燭の灯の下で初々しい裸体があらわになる。
「いやぁ…!」
なめらかな肌、こぼれ出る白い乳房、その薔薇色の先端。
裸身を私の視線から隠そうとするその姿は、まるで私の忍耐を試しているかのようだ。

「クリスティーヌ、誰も見ていやしない……。ここにいるのはおまえと私だけだ。
 ……すべて私が教えよう。おまえはもう私のものだ……」

(続く)
545続初夜編:2006/03/16(木) 01:04:33 ID:DnKggH7H
読んでくださった方ありがとうございました。
次はもっとまとめて落としたい…。
546名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 10:56:42 ID:1bYBQuUh
またしても!寸止め'`ァ'`ァ
手袋歯で外すのにも'`ァ'`ァ
マスター丁寧で仕草もエロいなあ…


……………サイト? (゚д゚)
ここに関連するものなら、完成の暁には
ヒントだけでも、是非…or2゛
547名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 12:54:34 ID:kI6vZdC2
うわGJGJ!!
すごいな・・・
つ、つづき・・・
548名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 22:02:04 ID:kpKrxmGC
>545
ワーイ降臨キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!!! GJ!!!
いつもご馳走様です天使様。クリス無知にも程があるよ'`ァ'`ァ
サイト作ってるんですか!>546に同意。よろしければヒントを…
549名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 23:44:26 ID:URrqapsN
マスター結構ガマン強いられますな。ちょっとイジラシイ
550名無しさん@ピンキー:2006/03/17(金) 12:49:23 ID:0shByDVW
>545 GJ!
続きはげしくキボンヌ(;´Д`)
でサイトってどこ?
551名無しさん@ピンキー:2006/03/17(金) 12:50:47 ID:0shByDVW
す、すまぬ…
552名無しさん@ピンキー:2006/03/17(金) 16:33:10 ID:rOKObTI5
本スレにノベライズの話が出てるけど、個人的にはこのスレで満足だなー。
エロの天使様からギャグの天使様までいるしw
ハァハァしたりコーヒー吹いたり、涙なくしては読めないものまであったり。

というわけで天使様方、まだまだ読者はおります。投下お待ちしております。
553名無しさん@ピンキー:2006/03/17(金) 17:00:03 ID:xx94gJyb
>>552
ガストン・ルルーの立場って…
554名無しさん@ピンキー:2006/03/17(金) 17:01:45 ID:xx94gJyb
補足すまん。>>553>>552の発言内容に対してじゃなくて、ノベライズに対してのレスだ。
555名無しさん@ピンキー:2006/03/17(金) 21:14:35 ID:Um/5s818
本スレ、いつここの話が出るのかヒヤヒヤしたよ。
自分もここで大満足。天使様いつもご馳走になってます。
ルルー原作>>>(超えられない壁)>>>エロパロ>>>>>ファントム・マンハッタンの怪人
↑個人的だがこう
556名無しさん@ピンキー:2006/03/18(土) 00:01:45 ID:PInCpwO7
時間的には187のその後
ファントム・ラウル×クリスで3P
…例によって駄目な方スルーお願いします

都合によりシャンデリアは落としていません。
舞台版っぽくPONR終わってマスク剥がして、
ステージ上から拉致ったということでお願いします。
5571/10:2006/03/18(土) 00:03:23 ID:mMJznIUK
「ラウル!」
遠くから幼い少女が呼んでいる。
「お父様がヴァイオリンを弾いて下さるの。一緒に来て」
穏やかな海面を、陽光がきらきらと輝かせている。
「ラウルってば、ねえ、早く!」
幼馴染の白いドレスが眩しくて、ラウルは思わず目を閉じた。

瞳を開けるとそこは暗い地下道で、前を歩くマダム・ジリーの
手にもつ燭台の灯りがゆらゆらと揺れている。

あの男を罠にかける計画を知ったとき、そんな恐ろしいことは止めてくれと彼女は泣いて懇願した。
「僕とあの男と、どっちが大事なんだ?!」
言うまいと思っていた言葉をぶつけてしまったときも、彼女は涙を流しながらただ黙って頭を振った。
そしてあろうことかあの男は…オペラ座の怪人は、大胆にも舞台上に姿を現し、
衆人環視の中クリスティーヌを連れ去ったのだ。

ラウルは思わず立ち止まった。先を行く背に疑問を投げかける。
「あなたは知っていたはずだ」
「何をです」
「クリスティーヌがあんな…あんな虐待を受けていたことを!」
「虐待?」
マダム・ジリーは足を止めた。ゆっくりと振り返る。
「あの子がそう言ったのですか?」
「彼女は騙されているだけだ!」
掴みかからんばかりのラウルを、じっと見つめる。
「あの子はあの方に選ばれ、音楽に仕える巫女なのです。
芸術の祭壇に捧げられた供物…美への生贄」
熱を帯びた瞳で、マダムジリ―は呟いた。
「選ばれたのです。彼女だけがあの方に選ばれた…!」
浮かされたようなマダム・ジリーから、ラウルは一歩身を退いた。
「狂っている…皆取り憑かれているんだ、オペラ・ゴーストに!」
「…そうかもしれません」
マダム・ジリーは静かな笑みを浮かべた。
「でもそれは、あなたも同じことなのですよ、子爵」
5582/10:2006/03/18(土) 00:03:58 ID:PInCpwO7
水路を抜けた道程は、大きな格子に遮られて終わる。
蝋燭が揺らめく、怪人の棲家。その中央に主は佇んでいた。
「ファントム!!」
憎しみを込めた叫びに、男は何も着けていない顔を上げる。
仮面の下に隠されていた半面は、歪み、撓み、崩れた人ならぬ顔。
睨みつけるラウルの視線を正面から受け止め、ファントムは手を胸に当てると優雅に一礼した。
「遠路はるばる、ようこそムッシュウ」
「化物め!クリスティーヌをどうした?!」
両手で格子を揺するラウルを冷ややかに眺める。
「先日から貴公は同じことしか言わんな。些か面白味に欠ける」
「ここを開けろ!クリスティーヌ、クリスティーヌ!」
ファントムは肩を竦めると、脇のレバーに手を掛けた。
「もちろんですとも、子爵。わざわざのおいでに、扉を開けぬはずが無い」
ガラガラと歯車の動く音がして、ラウルの掴んでいた格子がゆっくりと上がる。
オルガンに凭れかかったまま、ファントムは凄まじい笑みを浮かべた。
「我が牢獄へようこそ、お客人。心より歓迎しよう」

水を蹴立てて岸に近付く。黒い寝台、鮮やかな紅色のシーツ。
蝋燭の明かりでも払えない薄闇に、輝くような白いドレスが浮かび上がった。
一瞬あの夏の幻影が頭をよぎる。
しかしここは日の射す海辺ではない。地下深い、湖の水際。
ウエディングドレスを纏った恋人は、人形のようにぐったりとベッドの上に横たわっていた。
「クリスティーヌ!」
ラウルの声に、クリスティーヌはゆるゆると顔を上げる。
「!」
乱れた髪がかかる頬は青ざめ、小さな唇を抉じ開けるように布の塊が捻じ込まれている。
華奢な両手首は体の前で重ねられ、やはり縄で縛られていた。
「クリスティーヌ!」
「そこまでだ。それ以上近付くな、勇敢な騎士殿」
静かだが威圧感のある声にラウルの動きが止まる。
「恋人が苦しむところを見たくは無いだろう?」
美しいドレスの、大きく開いた胸元を飾るように、首には縄が巻きついている。
ファントムが手にした縄の端を軽く引くと、クリスティーヌの頭がぐらりと揺れた。
5593/10:2006/03/18(土) 00:04:32 ID:PInCpwO7
「止めろ!」
叫んで踏み出した瞬間ひゅっと空気が動き、首に焼け付くような熱さをおぼえる。
「んんッ!」
クリスティーヌの声と同時に、身体が後ろの岩壁に叩きつけられた。
ファントムが無造作に手をひらめかせる度、腕に、腰に縄が巻きつく。
やがてラウルは両手を上げた無様な姿で、岩肌に縫いとめられた。
首にもしっかりと縄が掛かっているのを感じる。
「く…放せ!」
「動くと締まってゆくぞ」
もがくラウルにファントムは言い放った。縄の先を手の内で弄びながら、ベッドへと近付く。
「いつかの夜、お前が身を持って試したとおりだ。尤も、彼の場合締まると痛む程度ではすまないがね」
首を振り、眉を寄せるクリスティーヌに、低い声が告げた。
「お前たちの命は、両方とも私の掌にある」

「では子爵、そこで見ていたまえ」
「クリスティーヌに触れるな…ぐッ!」
最後まで叫ぶ前に、喉の縄がラウルの言葉を奪った。
縄の端を引きながら、ファントムは暗い笑みを浮かべた。
「静かにしろ。彼女は罰を受けているのだ。悪いことをした子供は、
罰を受けなければならない。そうだな?クリスティーヌ」
「うう…」
押し込められた布の間から、くぐもったうめきが漏れる。
「あれほど仮面に触れてはいけないといったのに…悪い娘だ」
ドレスの上から、ぐいと乳房を掴み上げる。
鋭い悲鳴を無視して、そのまま上半身を引きずり起こす。
後ろから抱えると、見せつけるように囚われた男の方を向ける。
逃れようと捩る腰を腕で押さえ込み、大きく開いた胸元から手を差し入れた。
「…うぅ…ッ」
「クリス、ティーヌ!」
掠れる声を絞り出す。
ファントムは笑みを深くすると、弄っていた胸を潰すように握り締めた。
腕の中の身体が、電流でも流されたかのように強張る。
5604/10:2006/03/18(土) 00:05:15 ID:PInCpwO7
「痛みもお前にとっては悦びとなる」
「ん!んんっ!」
滑らかな絹地の下で男の手が大きく動き、クリスティーヌは背を大きく反らせた。
「止、めろ、ファントム!」
「ファントム?」
ラウルの声に男は顔を上げる。
「私は…もはやオペラ座の怪人ですらない」
顔に掛かった髪を掻き上げ、歪んだ半面をラウルに見せつける。
「ご覧のとおりだ、ムッシュウ」
暗い笑みを浮かべ、クリスティーヌの顎を掴むと涙に濡れた頬に唇を寄せる。
「幼い娘の憧れが、怪物に天使の…少なくとも一時は人間の仮面を被せていたのに
…お前自身がその仮面を剥がしとり、この化け物を剥き出しにしたのだ」
柔らかな頬をべろりと舐め上げ、自らの崩れた頬を押し付ける。

「可愛いクリスティーヌ…愚かなクリスティーヌ」
優しい声は嵐を孕んで不穏に揺れている。
「なぜ仮面を剥がした?なぜこの顔を晒した?
…化物を捕らえる罠の役を与えられ、それに相応しく振舞ったのか…!」
声が低く唸るようなものに変わる。
唇の端を禍禍しく吊り上げ、ファントムはクリスティーヌの唇に指を這わせた。
「だが、残念だったな。私を捕らえる筈の男は、今や私の手の中だ」
少女の声を奪っている布の轡に触れる。
「お前は罰を受けるのだ。恋人の前で、醜い化物によって」
口腔に詰め込まれていた布を引きずり出す。
「私に打たれたときのような…縛られ嬲られたときのような
可愛らしい鳴き声を、あいつにも聞かせてやるがいい…!」
男に支えられたままクリスティーヌは咳き込んだ。
解放された唇が、大きく喘ぐ。そうして暫くの後、少女は言葉を搾り出した。
「天、使さま…」
細い声にファントムは顔を歪める。
「まだそんな戯言を口にするのか!」
クリスティーヌの髪を掴み、触れ合わんばかりに顔を寄せる。
「見ろ!これが天使の顔か?」
5615/10:2006/03/18(土) 00:05:50 ID:mMJznIUK
手を離し、シーツの上に細い身体を突き飛ばす。
手の中の縄の端を引き絞ると、捕らえられた男が大きく咳き込む。
ファントムは天を仰いで笑い出した。
「これが天使の仕業か!クリスティーヌ、知らぬこともまた罪だ。
お前は何も知らずに、何者とも知れぬ醜い獣を…」
嘲るような男の言葉に、細い叫びが重なった。
「知っているわ、私、あなたが何者かなんて知っているわ!」
眉を寄せ、口元を泣き出しそうに震わせて、少女は身を起こした。
「ここにいるのがあなた、こうしているのがあなた」
膝立ちで肩を怒らせる男ににじり寄る。
「オペラ座の怪人でもひとごろしでも、私のところに来てくださったのは天使さまだったの!」
涙を溢れさせながら、頬に縛められたままの両手で触れる。
「今でも天使さまなの…!」
膝立ちのまま不安定に伸び上がって、クリスティーヌはファントムの唇に自分のそれを押し付けた。

顔を離し、愕然と目を見開く男を見つめる。
「どこへ行くとしても、共に在りたいと、あなたは舞台の上でそう言ったから…だから…」
瞬きの度に涙の珠がほろほろと零れる。
「側に居てくれたのも、孤独から守ってくれたのもあなただったから。
だから応えたかったの、あなたが誰であってもずっと一緒だって…天使さま…!」
「……」
ファントムは驚きと怯えが張り付いた表情のまま口を開いた。しかし男の唇は、震えて言葉を紡げない。
クリスティーヌは泣き出しそうにも見える顔を引き寄せ、もういちど深くくちづけた。
小さな舌が、小鳥のように男の唇を啄ばむ。
強張った腕がぎこちなく背中に廻され、クリスティーヌの身体を包んだ。

クリスティーヌの首に掛けられた縄の端も、自らの首に掛かった縄の端も、
とっくにファントムの手から離れている。
それでもラウルは動くことが出来なかった。
ただ魅入られたように舌を絡めあう2人を眺める。
崩れた頬を愛しそうに包み、引き攣れ歪んだ唇を夢中で貪る少女は、
忌まわしくも淫らでもなく、ただ美しかった。
5626/10:2006/03/18(土) 00:06:36 ID:mMJznIUK
強く抱きしめた腕の中の身体は、細く儚く、そして暖かい。
「クリスティーヌ」
肩に額を押し当て、搾り出すように名を呼ぶ。
「クリスティーヌ…」
震える頭に小さな手が添えられ、乱れた髪に慈しむように指が絡んだ。
やがてファントムは顔を上げた。微かに笑顔を見せる。
「クリスティーヌ」
低く、優しい声。音楽の天使が戻ってきてくれた。クリスティーヌも微笑んだ。
「はい、マスター」
「彼のことが好きかね?」
クリスティーヌの背後に視線をやる。
クリスティーヌははにかんだように頬を染め、こくりと頷いた。
「はい」

「そうか…」
そっと手首を撫でるように指を動かすと、両手を縛っていた縄はぱらりと落ちた。
後ろ向きに膝の上に抱き上げる、首に掛かった縄を外す。
「では彼にも、ここに来るよう言いなさい」
両足を開かせて、自らの足を絡め押さえた。
そっとドレスの裾をたくし上げる。蜜で光る場所が露わになる。
「あ…天使さま…」
「さあ、彼を呼んでごらん」
男に後ろから抱えられ、首筋にくちづけを受けながら
クリスティーヌはラウルに向かって微笑みかけた。
「ラウル…」

石にでもなったかのようにじっと2人を見つめていたラウルは、
自分の名を呼ぶ声で我に返った。
身体を縛めていた縄は、いつの間にか床に落ちている。
少女は手を伸ばした。
「ラウル、こちらにおいでになって…」
柔らかく綻ぶ唇に、記憶の中の少女の顔が重なる。
「ラウル、来て!こちらで一緒にお父様のお話を聞きましょう」
眩しい笑顔、あのときと同じ笑顔。
5637/10:2006/03/18(土) 00:07:08 ID:mMJznIUK
締め付けるような胸の痛みが、ラウルにも笑みを浮かべさせた。
小さなロッテが大好きなのは…音楽の天使が歌うのを聴くこと。
そして僕が大好きなのは。
「…来て…!」
大好きなのは、そんなときの嬉しそうなロッテを見ること。
音楽の天使の翼の下、彼女と手を繋いで、
僕の望みはこの幸せな時間がずっと続くこと。
ラウルは差し伸べられた小さな手を取ると、その指先にそっとくちづけた。

クリスティーヌの腕が首に回される。
抱きとめて初めて、ラウルは自分自身が痛いほどに強張っているのに気付いた。
「ラウル…」
柔らかい腹に押し付けられた固い感触に、クリスティーヌの目元が紅く染まる。
細い指がおずおずとズボンの前を外し、ラウルの熱を解放した。

一気に押し入ったクリスティーヌの中は暖かかった。
既に十分蕩けた肉が、ラウルを迎え、ねっとりと絡みつく。
小さな息を漏らし視線を下へと降ろすと襟のシフォンは押し下げられ、
白い胸元が、その柔らかな双丘が自分のものではない大きな掌に
揉みしだかれて様々に形を変えているのが見える。
蠢く指が色づいた先端を嬲るたび、甘い鳴き声とともに彼を包む暖かい通路が、く、と狭まる。
やがて胸元の手は腰に移動し、そのままレースをたくし上げ、潜り込んでゆく。

「や…」
尻をゆっくり撫でられ、クリスティーヌは身体を強張らせた。
流れる蜜を絡めた指が、後ろの蕾に埋め込まれる。
「ああ、ああ!」
暫く解すように動いていた指は去り、替わりに当てがわれたものが
ずるりと入り込んで、閉じた蕾を綻ばせた。
男の荒い息が項を擽る。
「…腰を、降ろしなさいクリスティーヌ。ゆっくりとだ…」
「んん…!」
眉を寄せながら導かれるままじわじわと腰を落とす。
5648/10:2006/03/18(土) 00:07:47 ID:mMJznIUK
押し広げられてゆくにつれて、ラウルを包む内壁が狭まってゆくのが分かる。
悦びの証である液体が溢れ、零れ、ファントムがさらに深く押し入るのを助ける。
「う、ぅ」
ラウルが低く呻き、揺れるクリスティーヌの体をしっかりと抱きとめた。
その腕に縋りながら、2人の男の総てを飲み込み、クリスティーヌは大きく息をつく。
傾けた首筋を唇が這い登り、耳朶で留まる。
「やっと…罰でも褒美でもなく、お前を愛することができる」
「天使さま…」
頭を起こし、振り返る。肩越しに微笑んだ唇にファントムは自らの唇を重ねた。

たくましい腕が背後から腰を支え、優しい腕が背中を撫でる。
「あ、あ、ああああ…」
2人の昂ぶりが、いっぱいにクリスティーヌを押し広げる。
呑み込んだ二つの熱塊が濡れた柔らかい襞をを何度も抉る。
「あ…ふぁあ…」
喘ぐ口腔もラウルの舌に貪られ、声は明瞭な音にはならない。
背後から耳を吸われ、ちゅくちゅくと水音が直接鼓膜を揺らす。
自ら動き、また揺すり上げられながら、クリスティーヌはラウルの指に自分の指を絡めた。
ぎゅっと手を握り締める。
「あなたと、こんなふうに、」
甘く掠れた声がささやく。
「お父様のバイオリンを…聞いたの」
ラウルは顔を上向け、呻き声を漏らした。切れ切れの息を繋ぐ。
「うん…手を、繋いだね…一緒に…」
「一緒に…ラウル…天使さま!」
突き上げられるたびにお互いを隔てる壁が熱で蕩け、その境界が曖昧になってゆく。
悲鳴のような悦びの声は、誰が上げているのだろうか。
「く…ぁぁ!」
「クリスティーヌ…!」
最奥で同時に二つの熱い滾りが弾ける。
熱が混ざり合い、全てが溶け、崩れる。
「ああ…あ、あ!」
瞬間クリスティーヌも大きな波に攫われ、身体を大きく撓らせた。
5659/10:2006/03/18(土) 00:08:20 ID:mMJznIUK
ソファでバイオリンを聴いている。
幼馴染の少女と寄り添って、彼女の父の紡ぐ音に包まれる。
見上げると彼女の父は白い仮面を着けており、隣の少女は美しく成長して微笑んでいる。
そのドレスの裾に、かつての彼女によく似た幼い少女が戯れて…
「あなた…ラウル?」
優しい声で意識がゆるゆると浮上した。目を開くと居間には明るい午後の光が溢れ、
レースのカーテンを微かな風が揺らす。
「お休みになっていらっしゃった?」
「ああ、うん。あんまり暖かいから、つい、ね」
隣に腰掛けながらクリスティーヌはラウルの顔を覗き込んだ。
「お疲れなの?」
「いや、そんなことはないよ」
小さく微笑んで、ラウルは視線を膝の上の新聞に落とした。
いつもは読まない大衆紙だが「おまえの名が出ているぞ」と、友人が笑いながら手渡してきたのだ。

"シャニュイ子爵の更なる寛容を願う"
芸術欄の小さな囲み記事には、そんな見出しがつけられていた。
"…故に我々が、あの天使のごときマルグレーテに涙することができるのも、
夫たるシャニュイ子爵の、驚くべき寛容さの故なのである。
自身が夫人の一番のファンだという子爵は、奥方の歌声に引き比べると
自らの生活や評判など些少なことと考えているようだ。
公演が重なる場合、新妻がオペラ座に泊まる事すらあるというのに!"

確かに、貴族である自分がオペラ座の歌手を妻にするというのは、
型破りなことであったと思う。さらに妻となった後もオペラ座で歌うというのであれば尚更だ。
親戚や世間を慮って、クリスティーヌは歌手を続けることをはじめは拒んだ。
しかし、頑なに振られる頭に、ラウルは囁いたのだ。
「天使も、それを望むだろう」と。

もともと世間の評判を気にする性質ではないし、現に結婚して1年程経った今ではもう煩く言う者もいない。
普通の上流の婦人が、社交や夜会やそんなものに割く時間の一部を歌に充てているだけだ。
そして月のうちほんの1度か2度…舞台の出来がよかったときか、
若しくは些か不出来だった場合…オペラ座にそのまま一晩留まることがあるくらいだ。
56610/10:2006/03/18(土) 00:08:58 ID:mMJznIUK
ラウルは再び記事を目で辿った。
"どちらにしろ、シャニュイ夫人は我が国の芸術を世界最高のものに保つため、
欠くべからざる存在であることに間違いはない。シャニュイ家の跡取を産むという大役を終えた後は、
また舞台上であの歌声を響かせてくれることを願ってやまないのである”

「何か面白い記事がありまして?」
少し目立つようになったお腹を撫でながらクリスティーヌが尋ねる。
「いや、大したものはなかった」
ラウルは新聞を丁寧に畳むと脇のテーブルに置いた。

あれからラウル自身は彼に会っていない。
そして、クリスティーヌに彼と会っているかを聞いたこともない。
聞くようなことではない。
音楽の天使は、常に彼女とともにあるのだ。

「…早く出ておいで。」
妻の腹に手を当て、囁き掛ける。
「君の部屋は用意した、もうベッドも置いてあるよ。他に何かご入用かな?」
クリスティーヌがくすくす笑う。
「男の子なら子馬と剣、女の子ならドレスとお人形」
歌うような声に、ラウルはそっと合わせて呟いた。
「どちらでも…ピアノを」
ふとクリスティーヌが瞳を上げる。束の間視線が絡み合う。

お互いの目に宿る微かな闇を確認して、二人は微笑みあった。
ラウルは自分が今浮かべているのは、あのときのマダム・ジリ―と同じ笑みだろうと感じる。
皆、取り憑かれている。でもゴーストにではない。

「この子にも、天使のご加護があるように…」
まどろみの中で見た夢を思い返し、妻の肩を抱き寄せる。
夫の腕に身を委ねながら、かつての少女は花が綻ぶような笑みを浮かべる。
「天使さまは、いつも側にいるのよ…いつも、ずっと」
夢見るように呟いて、クリスティーヌは両手でそっと自らの腹を押さえた。
567556:2006/03/18(土) 00:10:02 ID:mMJznIUK
長々続けさせて頂きましたが、これで終りです。
お付き合い下さってありがとうございました。
568名無しさん@ピンキー:2006/03/18(土) 00:23:32 ID:QpUWS6iP
>>556
こんな素晴らしいSSを心からありがとう!そしてお疲れ様!
このシリーズは終わりでも、まだまだ書いて頂きたいです。
ありそうでなかった3Pテラウレシス。
569名無しさん@ピンキー:2006/03/18(土) 00:30:50 ID:Bv1a2gTm
>>556
GJ!すばらしかったよ
ひさびさに物語のなかに引き込まれた感じがする
ラウル、いいオトコだな
570名無しさん@ピンキー:2006/03/18(土) 00:34:35 ID:75coRE5H
すごい…印象的かつエロい物語をコクとキレのある文章で表現してくれる天使様に脱帽です
…ひょっとすると、今までも短編をいくつか投下されてませんか?
これからも、よかったら新作待ってます ありがとう、面白かったです!
571名無しさん@ピンキー:2006/03/18(土) 20:14:22 ID:+Qah0ogz
すごいな…見事なハッピーエンドだった、GJ!
もしかしてクリスが一番幸せなんじゃないか、マスターもラウルも得ることが出来たというか。
そして子供も。
今までクリスちょっと辛そうな生活だったから良かった。
天使様、またご馳走してください。
572名無しさん@ピンキー:2006/03/18(土) 22:25:26 ID:Aw+u8872
>556天使様
ほんとすごい…すごすぎる。激しくGJ!
なんていうか、三人の絶妙なバランスがたまらんです。
「556天使様」ではなく「556マスター」とお呼びしたいくらいだ。
新作、全裸でお待ちしています。
573名無しさん@ピンキー:2006/03/18(土) 23:35:24 ID:75coRE5H
570です連投スイマセン 
映画の初見時にラストでぞくぞく〜っとしたんだけど、あの感覚が甦ります
怖さと淫靡な雰囲気、でも仄明るい… 凄みがあるエロ格好良いSSでした
こんなの読めるなんて思ってなかったよ…。
574名無しさん@ピンキー:2006/03/18(土) 23:58:33 ID:WwkfCg5M
3P絶賛なのか・・・・
これまで無かった設定ではあるな。
好みが分かれるところなんだろうが。
別パターンヨミタス
575556:2006/03/19(日) 01:02:02 ID:xYUjqKEF
ご感想、ご意見ありがとうございます。
K版もマンハッタンも読んだんですが
ファントムの幸せを考えるとセットでラウル(若しくはクリス)が不幸になるので、
何とかならないかなーと考えていたのがこんな結末でした。
妄想話にお付き合い頂いて多謝。

まあ多分この後、

胎教にはこの音楽を聴くようにだの、今の時期に必要な栄養素が摂れるレシピだの、
自分も我慢してるのに何やってるんだ無理させんなゴルァというお叱りだの、
髑髏の封蝋の手紙がガンガンシャニュイ家に届く。
天使さまはいつも見守ってくれるのなクリスティーヌ。
リアルでこんな顔('A`)になるラウル。
576名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 03:33:17 ID:w7jW6Qc9
むしろその後も詳しく書いて欲しいwww
577名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 16:57:05 ID:FAlB6Elc
うん読みたい!↑めちゃ面白そうな後日談だ。
ギャグになっても良いから。
サイトとか持ってらっしゃるのかな?
>541天使様のは関連サイトからリンク張ってありますが、まだそこまで
行き着けてない方もいらっしゃると思うのでよかったらまとめサイトとかに
張ってもらえたらウレシス
578名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 18:02:44 ID:80DNLYgW
やった見つけた!
579名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 23:41:43 ID:FwMAY3cv
541です。

サイトですが、未完成かつ寸止めでもいいよという方は
メ欄にアドレスさらしておきますのでどうぞ。
○には適当な文字を入れて下さい。
入り口は隠してありますが、わかりやす過ぎると言われています…。
580名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 23:44:58 ID:FwMAY3cv
先の投下にコメント下さった方、読んで下さった方ありがとうございました。
581名無しさん@ピンキー:2006/03/20(月) 00:43:46 ID:3e+JRdJu
>>579
寸止めの天使様!楽しみが増えました!
ありがとう!!!
582名無しさん@ピンキー:2006/03/20(月) 00:51:30 ID:Bayn39UZ
>537です。
レス下さった方々、どうもありがとうございました。
583名無しさん@ピンキー:2006/03/20(月) 00:54:04 ID:7tp7REsM
ッシャアアアアァァァァァッァァァァァッァァ!!!!!!

あそこのネ申だったのかアアアアァァァァアアアア!!!!!
また全裸で新作待機しまつ!!!!
584名無しさん@ピンキー:2006/03/20(月) 22:01:33 ID:L/rL7kW3
>575
ちょwww天使様www余韻ぶち壊しww一気に嫌スレ化www
>582
GJ!海龍王〜の件を読んで真っ先にFF4のリヴァイアサンとアスラを想像した。
誰にも分からんネタでゴメソ
585名無しさん@ピンキー:2006/03/20(月) 22:58:57 ID:JaGXYbvo
一時期の混雑が嘘みたいだなあ
新しいサイト、堪能さしてもらったわ
すげえエロかった、ありがとう
他のエンジェルの投下も待ってるよ

586名無しさん@ピンキー:2006/03/20(月) 23:23:33 ID:YXkCumSp
新しいサイトって>>541タソのとこかいねェ?
587名無しさん@ピンキー:2006/03/21(火) 10:57:02 ID:MTS9H6Gi
んだんだ
588名無しさん@ピンキー:2006/03/22(水) 01:06:12 ID:X1mQMoLX
すみません、スレストッパーになってますね…
短いの投下させていただきます。
後の投下はご遠慮なく。
589無題:2006/03/22(水) 01:07:59 ID:X1mQMoLX
クリスティーヌが今にも達しそうに喘ぐ。
いつもなら恥ずかしがりながらも「おねがい…」と私を求めて来る彼女が、
今日はそれを懸命にこらえているようだ。
そんな彼女を見ているとさらに意地悪をしたくなる。
「さあ…、ちゃんとおねだりしてごらん…」
耳元で囁きながら指先ではさらに敏感な場所を攻め続ける。
「いや…いや…、ああ、マスター、ああ! い、いっ……あああ……!!!」
クリスティーヌが全身を震わせて、達してしまった。

私は私を欲しがって悶え、私をねだるクリスティーヌの姿を見るのが好きだった。
全身を蕩けさせたクリスティーヌにねだられ、懇願されてその身体を組み敷き、
愛する女の熱く濡れた身体の奥深くまで、その求めるものを突き入れていくのは
私にとって至福のときだ。
なのに、今日のクリスティーヌはいつもと違った。

クリスティーヌが私を責めるような眼差しで見上げて言う。
「マスターはいつも、私がお願いしないと、……しては下さらないのね」
そしてそっと私の胸を撫でる。
「マスターは、私を欲しいと思わないの……?」

その手が私の下腹まで滑りおりていく。
「私が……いけば、それで満足なの? 私を抱きたいとは思わないのね。
 私の中に入りたいとも、私と一つに溶け合いたいとも、お思いにならないのね」


クリスティーヌの指が私自身をとらえた。
細い指がそっと私を包み、ゆるやかに蠢く。
甘えるように私を見上げるクリスティーヌの、その慣れない指使い。
「……こうだ」
彼女の指の上から握り、導く。
「ああ…そうだ……」
590無題:2006/03/22(水) 01:10:20 ID:X1mQMoLX
クリスティーヌが柔らかな身体を寄せ、教えたとおりに指を動かす。
彼女を見つめる目がぎらついてくるのが自分でもわかる。
歯を食いしばったまま荒い息を吐き出す。

たまらずクリスティーヌを押し倒し、両脚の間に手を這わせた。
「あっ、いや、マスター……」
指が再び可愛い突起を見つけ出す。
「あ…ん…!」
「クリスティーヌ……さあ言え。私が欲しいと言うんだ」
「い、や……」
「……クリスティーヌ。言ってくれ……一言だけでいい…」
「いや、いや……」

脚を開かせてすでに濡れきった入り口に自分自身をあてがう。
ぬるぬるとした感触に、奥まで突きたい衝動に襲われる。
「クリスティーヌ、…たのむから…言ってくれ……」

しかしクリスティーヌはそれに答えず、私の首に手を回したまま眉を寄せて蕩けるような表情を見せる。
「あ…マスター、…あ、いく、いっちゃう……!」
ああ、と白い顎を上げた彼女の、私をあてがったその部分がひくついてきゅうっと締まるのを感じる。
もう限界だった。

手荒く両肩を掴み、収縮し始めている狭い肉壁に全体重をかけて突き入れる。
すでに蜜を溢れさせているその部分が、激しい摩擦とともに私を根元まで受け入れていく。
絶頂を迎えたクリスティーヌの悲鳴のようなよがり声と私の獣じみたうめき声が
互いの息使いと共に重なる。
最後まで私を求める言葉を口にしなかったクリスティーヌが、涙を浮かべて私にしがみつき、
いつもにも増して乱れている。
これほど私を求めていながら、意地を張っていたクリスティーヌ……、
それほど意地を張っていながら、悦び乱れて私を受け入れる姿が可愛いくて……。
そして、彼女の口からねだらせることが出来ず、本能のままに自ら彼女に押し入っていったことが、
少々悔しくもあった。
591無題:2006/03/22(水) 01:12:19 ID:X1mQMoLX
「クリスティーヌ……。こんなに欲しがっていたくせに、とうとう欲しいとは言わなかったな…?」
罰を与えるかのように激しく突き上げながら問うと
「ああ……マスターから、して欲しかったの……」
切なく首を傾げ、私の頬を愛しむように撫でながら答える。
「マスター…、私を、欲しいと…思った……?」

「私がおまえを欲しがらないわけがないだろう……!」
クリスティーヌが、私の突き上げに悶えながらも満足そうにかすかに微笑んだ。

「これは罰だ……」
尻を支えていた手をそのまま後ろに滑らせ、すでに蜜に濡れた秘めやかな部分に這わせる。
「あ! いや! マスター!! おねがい……!」
「おねがいはきかないぞ……クリスティーヌ」
彼女が一番恥ずかしがる秘所を、そっと円を描くように撫でる。
「いや…! いやあ…!」
クリスティーヌが身を捩って逃れようとするが、私から逃れることなどできるはずもない。
白い肌が羞恥に薔薇色に染まり、腰を振って抵抗する姿が淫らでたまらない。
私の指の動きに反応して、私を包む濡れた肉襞が私をきつく締め付ける。
ああ。クリスティーヌが再び逝きかけている。
「あ! いや、いや、……あああああぁぁぁ……!」
彼女の中がさらに締まり、私を捉えて絡みつく。
「………クリスティーヌ!!」
身体の奥が甘い快感に痺れる。
我慢できない程の高まりをむかえ、私達は互いを求め合って固く抱き合い、
愛しいクリスティーヌの奥深く、私の証を解き放った。
592無題:2006/03/22(水) 01:16:49 ID:X1mQMoLX
すぐ隣で静かな寝息を立ててクリスティーヌが眠っている。
激しい絶頂を迎えながら、その後私のやりように唇を噛んで怒っていた彼女を抱き寄せて
なだめるのに苦労したが、やがて私の腕の中ですやすやと眠ってしまった。
長い睫、愛らしい唇……。
初めての夜にもこうして彼女の寝姿を見つめていたことを思い出す。

……あの夜には、こうしてクリスティーヌと夜を重ねることになるとは想像していなかった。
私にすべてをゆだね、すべてを許しているクリスティーヌ……。
……こんな夜がいつまで続けられるものか。
クリスティーヌは今、私だけのものだが、いつ私の元を飛び立っていってしまうかわからない。
マスター、と私を見つめるその熱い瞳を、他の誰かに向ける日が、いつかはやってくるだろう……。

柔らかな栗色の巻き毛を撫で、今私が愛したばかりのなめらかな肌を撫でる。
その日を思うと……おまえを失うくらいなら、この手ですべてお終いにしてしまいたい、とさえ……思う。

「…マスター……」
クリスティーヌが眠ったまま小さく私を呼び、身体を寄せてくる。

ああ……私にそんなことが出来るはずもなかった。
クリスティーヌの、あどけなさの残る寝顔を見ながら、私の頬を涙が伝っていく。

今私の腕にあるおまえの姿を永遠に記憶に止めておこうと、その寝顔をみつめる。
クリスティーヌ……。
いつまでもおまえが幸せであるように。
それだけが私の願いだ。



(終)
593名無しさん@ピンキー:2006/03/22(水) 01:22:52 ID:OiBBmIy5
GJ!
読んでいてマターリしたよ。しかしマスター、もっと幸せな今を楽しもうよ…
594名無しさん@ピンキー:2006/03/22(水) 13:35:23 ID:lYym2zeB
うはーご馳走様です、GJ!
そうだよマスター、そんでもっと自分に自信を持とうよ
新サイトの天使様ですか?別にスレストになんてなってないス、気にしない
595名無しさん@ピンキー:2006/03/22(水) 15:58:47 ID:Z1pKiVqn
いいなあマスターの懇願…ツボった。
596名無しさん@ピンキー:2006/03/22(水) 17:26:07 ID:CRzXKK6x
マスターこそ ちゃんとおねだりしてくださらないと
さしあげなくてよ・・・
ってのは なし?w
597名無しさん@ピンキー:2006/03/22(水) 20:06:34 ID:t+O0OAEI
あのさぁ…変なリクしてもイイ?

まとめサイトに二人のマドレーヌっていうssあるじゃん?
で、若マダムがもら○ちゃうじゃん。
自分あれに凄く萌えた!!!
だからぜひその手のss書いてくれる天使様いらっしゃったらおながいします。

まぁ自分が変態なのかもしれんが。
ってか二人の〜書いた天使様もうここにはいないのか?!

長文スマソ&スレ汚しスマソ
でもほんとに読みたいんだよ…ファンクリで是非…!!
598名無しさん@ピンキー:2006/03/22(水) 23:01:42 ID:DqbCPKkZ
>588
GJ!萌え死んだ。おいおいどこの甘々バカッポーですか(*゚∀゚)=3ムッハー
とか思ったら切ないよマスター…でも離れるのが嫌なら離さなければいいよ。
599名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 02:40:03 ID:un7LAf3G
確認の質問なのですが、こちらのスレでは、

 ・レイプあり
 ・SMあり(言葉責め、鞭、スパンキングなど)

のssの投下はOKでしょうか?
カップリングはファントム×クリスです。
600名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 02:48:04 ID:yoj821oY
>>599
バッチコーイ
601名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 08:41:55 ID:0Cxr75qz
588です。
コメント下さった方、ありがとうございました。
602名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 09:38:51 ID:CpEVTUoL
>599 ダイジョブ。
そんな風な注意書き入れてくれたら
ダメな人はスルー出来ると思う。

>597 なかなか難しそうだが…
シチュスレに行ってみては?
603名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 11:33:37 ID:8iP3rW9C
ごめん…シチュスレってどこだい?
604名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 14:02:51 ID:ag2mrKfu
>603
シチュエーション系のスレッド
特定の原作とかキャラとかじゃないけどね。
…この板内を該当する単語や漢字で検索すると、
同好の士が集う癒しスポットが見つかることもある。

スレ違い雑談、申し訳ありません。
605名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 14:13:30 ID:EH3Om+rN
いや、ありがとう。
606名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 22:56:56 ID:5m0QgfcZ
メグ×クリス
というかメグ(酔っ払い)→クリス
おんなのこどうしです。ご注意。

過去スレにはあったので、百合っぽいのは
OKかなーと思い書き込んでみる。
6071/4:2006/03/24(金) 22:57:35 ID:5m0QgfcZ
しんと静まり返った客席に、歌声が響く。
煌めく音の糸は誰もいない客席を撫で、冷たい空間を踊り、
暗い天井へと消えてゆく。
クリスティーヌはほうっと息を継いだ。
次のフレーズが、夜の舞台をを満たしてゆく。
同僚は皆フェリエール家の夜会に行っている。
誰もいないオペラ座の舞台は今、彼女のものだった。

「Brava!」
突然響いた拍手の音に、びくりと振り返る。
舞台袖にいたのは夜会に行ったはずの親友で、クリスティーヌは胸を撫で下ろした。
「メグ!びっくりしたわ!夜会に行ってたんじゃないの?」
「うーん、何かつまんなくなって、途中で帰ってきちゃった。
皆まだフェリエール家にいるわよ」
「そうなのね」
「そうなの」
つかつかと近付いてきたメグは、首を傾げてクリスティーヌの顔を覗き込んだ。
「ね、どうして来なかったの?」
「どうしてって…今、あなたつまらなかったって言ったじゃない」
笑い出すクリスティーヌに、メグは唇を尖らせる。
「そんなの行ってみないと分からないじゃない。
世の中には、ハンサムな人もお金持ちも、いっぱいいるのよ。
もしかしたら、そこで見初められるってことも…あるかも、じゃない?」
クリスティーヌは顔を俯けた。
「私は…そういうのは、いいの」
音楽の天使との約束だから。胸の中で付け足して顔を上げる。
「?」
が、そこにいるはずのメグの姿が無い。
「メグ?きゃッ!」
2、3歩袖に向かって歩いた時、
急に背後から胸を鷲掴みにされて、クリスティーヌは飛び上がった。
6082/4:2006/03/24(金) 22:58:09 ID:5m0QgfcZ
「メグ、ちょっと」
振り返ろうとした鼻先に、ぷんとワインが香る。
「…凄くお酒臭い」
「ホンの、すこーしよ」
妙に弾んだ声に確信する。これは、酔っぱらっている。
…たいへんによろしくない事態だ。
メグはただでさえ話を聞かない傾向にあるが、
酔うともう徹底的に人の話なんか聞きやしない。
「ね、メグ部屋に戻りましょ…あっ?!」
するりと襟口から差し入れられた手が、直に胸を掴む。
「何を…」
振りほどこうともがいた瞬間、スカートの裾に脚を取られ
クリスティーヌは音を立てて舞台に転がった。

「痛…!」
「身持ちが固いのはいいんだけど、勿体無いのよね」
起き上がろうとしたが、あっという間にのしかかられ胸をはだけられる。
「すごく綺麗よクリスティーヌ。誰にも触れさせないなんて本当に勿体無いわ」
「ねえメグ、もう止めましょう?誰か来たら…んむ」
唇が何か柔らかいもので塞がれた。
それがメグの唇だと気付いた途端、ワインの香りとともに遠慮なく舌が入り込んでくる。
「んー!んー!」
最初は必死に引き剥がそうと肩を押し、ついで背中をどんどん叩く。
が、小柄なのに意外とこの親友、力が強い。
逃げ回っていた舌を捉えられ、吸われる。
胸のふくらみにひんやりとした掌が当てられ、
すぐにそれは円を描くように、ゆっくりと胸を揉みはじめた。
触れられているのは胸なのに、なぜか下腹にずうんと重い衝撃を感じる。
抵抗しようとした腕から力が抜けてゆく。
「柔らかい」
掌で胸を包み、うっとり目を閉じる。
あなたのほうが柔らかそうじゃない!と叫びたくなるが、
おそらくそう言うと、じゃ、私のも触ってということになるだろう。
思考能力を、必死で掻き集めて言葉を飲み込む。
くっと先端を摘まれ、クリスティーヌの体が強張った。
「はぁ!」
思わず息が乱れる。
6093/4:2006/03/24(金) 22:59:00 ID:5m0QgfcZ
「ね、気持ちいいでしょ?好きな人にしてもらうともっといいんだから」
「よ、よくな…!」
「でもほら、濡れてるわよ」
スカート裾から手を入れ、下着の上から指でつつく。
下着はすっかり湿って張り付いており、はっきり浮き出た合わせ目の間を
無遠慮な爪がすーっと撫でた。
「いやっ!」
逃れようともがいたが、メグの体重でしっかり身体を押さえられている。
「そんなに嫌がらなくてもいいじゃない」
少し口を尖らせて、メグは手を下着の中に差し入れた。
「まだ閉じてる。かーわいい」
合わさったままの花弁の間で、指がくちゃくちゃと音を立てる。
「やだ、メグ、止めて…!」
涙混じりの懇願にもメグは手を休めない。
「私はココがイイんだけど」
かり、とまだ十分に姿を見せていない突起を爪で引っかく。
「ひあぁ!」
仰け反ってあげた悲鳴に、メグはにこりと笑った。
「あ、クリスティーヌもそうなのね」
つぷりと指を差し入れる。
「あと、ココ」
「うう…」
「あ、違うのね。じゃあこっち」
くっと指を深く沈め、多少奥まった襞を引っ掛ける。
「ああぁああ!」
「ここなのね」
嬉しそうに瞬きし、メグは舌で胸の先端を舐め上げた。
同時に指を少し曲げたままゆっくりと出し入れする。
「やめてぇ、メグ、動かさないで!」
「い・や」
少しだけ顔を上げてそう答えると、再度乳首を吸いたてる。
指の出し入れのピッチが早くなってゆく。
6104/4:2006/03/24(金) 22:59:31 ID:5m0QgfcZ
「あ、あ、あ…」
「すごい、クリスティーヌ。なんか、きゅって…ふふ、気持ちいい?」
「やぁ…ち、違うの、違…ぁん」
親指で敏感な突起をくるりと撫でられ、歯を食いしばる。
「可愛い。さあ、イって」
そのまま突起を指で挟んだ。
「や、あああぁ!」
摘まれたその一点から、全身を打つような感覚が駆け巡る。
蜜が溢れ、身体が陸に打ち上げられた魚のように弾む。
遠ざかる意識の中でクリスティーヌは、うれしそうに親友が呟く声を聞いた。
「女の子も…ちょっと…ううん、かなり楽しいかも…」

「ん…」
クリスティーヌはゆるゆると意識を取り戻した。
なんだか、寒い。そして、重い。
目に映るのは幾重にも張り巡らされた梁とロープ、緞帳。
見慣れた舞台の天井…クリスティーヌははっと目を開いた。
寒いはずだ、肩も胸も剥き出しで、スカートは腰までまくれあがっている。
そして重いのは胸の上に乗っかった、金髪の頭。
「!!!」
意識と記憶が甦る。瞬間体中の血液が一気に頭に上った。
「ひ、酷い、メグ…」
視界が涙で曇る。顔から火が出そうだ。
「どうして、こんな…!」
「………」
泣き声で責めるが自分の胸元の金髪は無反応。
「?」
クリスティーヌは身体を起こした。ずる、とメグの身体が滑りおちる。
「!」
ごろりと仰向けにころがった口元からは、すうすうと規則正しい寝息が漏れている。
「酷い、酷い、もう、メグってば!」
クリスティーヌは思わず叫んだ。
「いつも酔っぱらってたときのこと、全部忘れちゃうくせに!」
荒い息を整え、涙を拭きながらながら友人の顔を見つめる。
「それにしても…この後どうしようかしら…1人じゃ部屋まで運べないわ…」
クリスティーヌは舞台の真ん中に座り込んだまま、途方にくれる。
一方の親友はよい夢でも見ているのか、満足そうな笑みを唇に浮かべた。
611名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 23:00:07 ID:5m0QgfcZ
おしまい。
天井の梁の上に、前かがみで蹲る黒い人がいると思います。

イロモノですので、今夜予定の天使様方、構わず投下お願いします。
612名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 23:42:29 ID:HM6WkN3L
っっっっっわーーーー!!!!
GJ!!!!(確かに過去スレであったし自分的には大丈夫だとオモ♪)

「前かがみで蹲る黒い人」って…オイwww
それでなんか続きをおしまいなんて言わずに一発頼みますよ♪

とかダメ…??
613名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 01:22:53 ID:Ua/CpgIM
しばらく拝めなかった百合をありがとう天使様!
それにしても、上でうずくまってるマスター気になる
まさか一人でハァハァしてたとか
614名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 16:08:19 ID:89uzGqL9
うはwwwwwwおもしれえーーー
611タンGJです!!!
黒い人は下でずんずん進行しちまう事態に手も足も出せなかったんだろうな
メグ最強伝説。
615名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 17:08:59 ID:OystkYE7
801はNGだが百合はおkなのか
616名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 19:56:57 ID:XVHFAlwz
ビジュアル的に拒否反応は少ないかと
617名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 22:04:45 ID:89uzGqL9
615さんのカキコが気になって板一覧見てみて初めて「レズ・百合萌え」板の存在を知った
住み分けという観点からすると、801同様百合もここでは控えた方がいいのかね?
ただ、エロパロ板のローカルルールでは801も百合も禁止されてない
801や百合はもちろんグロとかスカトロとか獣姦とかでも、どんなシチュでも
とりあえずエロければ投下されて構わない、と自分は思う
各自が読んで気に入らなくてもガタガタ言わずスルーすりゃいい
世の中には色んな嗜好の人がいるんだよ・・・とpink鯖出入りするようになってからしみじみ感じるw
618名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 22:17:41 ID:TSZ4EuCh
>617 同意
住み分け厳しくってなると、鞭はSM板に、
クリスのストッキングでハアハアするマスターは
フェチ板ってことになるしw
619名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 22:33:39 ID:Ua/CpgIM
自分も何でもありで賛成
投下する前に、こういうの落とすよと予告レス入れてくれれば801でも百合でも
その他エロいもの何でもいいのではと思う。
その時点で好みじゃなかったらスルーで読まなきゃいいわけだし。
少し前に落としてくれたファントムとラウルの方は可哀相だったな
仮に住み分けたとしても多分そっちのスレはすぐ落ちると思う(実際801板は
SS一本も投下されないうちに落ちた)
本スレはそろそろ過疎ってきちゃってるんだけど、ここはいつまでも栄えてほしいんだよね…
もうすぐ嫌スレのレス数を抜く勢いだ
620名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 22:35:10 ID:3xUL7Qmc
じゃあ何で801だけあんなに叩かれるんだよ?
621名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 00:02:36 ID:YKU97z/+
>>620
自分は叩かないので、書かれたものがあるのでしたら投下シルブプレ。
622名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 01:19:12 ID:NEcb9VA+
この板は、先生×クリス(またはクリス以外のオナゴ)、ラウル×オナゴなど、
ノーマルカポーマンセーの方が多いように思うんだが。
ならばいっそ、新スレたてて、
ここ→ ノーマルカポー(先生×オナゴ、ラウルやピアンジ×オナゴ)で繰り広げられる
普通のエチーやギャグ
新スレ→ それ以外(鞭とかSMぽなの、数字、百合、オナゴ×男など)のこの板だと
叩かれそうなもの
にするのがいいのではと思う。
623名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 01:35:31 ID:bVR+ko1D
乱立イクナイ。切り分けも難しいし。…って、エロ無しがどうとかの時も、こんな話したような。
624名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 01:41:04 ID:hrqzqt6j
>>621
801が叩かれるのは(一部の)女だけしか喜ばないからじゃね?
グロ、スプラッタ並みに拒否反応を示す人が多い隔離要素があると思う。

自分も目にしたくはないが、普通にスルーしている。
本当は男同士の×表記を見るだけでも怖気が走るわけだが、そこは大人のつもり。
625名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 01:50:21 ID:YKU97z/+
>>623-624に同意。
619の書いている通り、SS投下前に内容を明記してくれればいいんじゃないかな。
ダメだと思った人はスルーで。
自分は何でもOKなので、できれば色々なSSを読みたい。
626名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 02:04:51 ID:1Vl15GpA
結局、801でも事前に注意書きがあればおk?
627名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 10:01:15 ID:vA8Y9zzo
作品は名前欄にソレと分かる表記をしてくれればスルー出来るが、
どうしてもスレの雰囲気が変わって離れてしまう。
数字が過疎って落ちたなら需要が無いってことではないのか、
どうしてここに投下する話が出るのか分からないんだなー。
628名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 10:16:34 ID:3v2knU9a
ああ…また堂々巡り('Α')
629名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 11:08:09 ID:JzH45vQe
よく過疎ってるとか言うけど、住人自ら制限をタイトにしていれば
そりゃ書き手は投下を躊躇すると思う。

ヤマジュンなみのハードフォモやレヅ描写や、人体破壊系のグロなんかは
書き手の人が空気読んでくれると思うが。
ダメってどこにも書いてないじゃん!みたいなガキは21歳以上板だからカエレ!だしね。

アレダメ、コレダメで天使様たちがいなくなってしますのが一番悲しい。
630名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 11:59:32 ID:230YmkLK
ブロークバック・マウンテンだっけ?
ヒットしそうだよね。
>627のような考えの人もいれば ギャグはスルーするって人もいるだろうし
なんだエロないじゃないか・・・って人もいたりするのでは?
スレ雰囲気がかわるってのはわかるが それなら更に雰囲気かえてけばいい。


>629にほぼ同意
631名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 12:05:36 ID:kmE4Rfwa
801が×なのは、基本的に板の風潮なのでは?
だからどこのスレでも数字板逝けって言われるんだと思ってた。
逆に百合は全くOKみたいな感じだよね。
632名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 12:13:54 ID:230YmkLK
ついでに「手の甲にキス」くらいが なんで叩かれなきゃならなかったか?
いまだわからん。
ちなみに801には興味ないし 先の映画もみません。 
このスレで 内容によってスルーしてるのは 反801だけじゃないとおも。
ま、グロとかスプラッタ?(意味わからんがw)とかよりは
描写次第では なんでもありでいいんじゃない?

ロム専のおいらは タダでw感動できるこのスレが無条件で好きだ〜w
文句いうなら お金だして本でも読め〜といいたい。
633名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 14:02:01 ID:3jKkZLp6
前に投下した人が叩かれたのは内容うんぬんよりもその前後の
801を思わせる語りが叩かれたのではないかと。

職人様が何を投下するのも自由だし、読むも読まないも読み手の自由だが、
ここが2chである以上、叩きや煽りが発生するのも仕方がないと思ってるけどね。
自分も別スレでは書き手だけど、叩かれるのが嫌だったら2chに投下なんかしないよ。
634名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 16:25:02 ID:ggeZrUpL
>625
おいらも、前もってこんなのです。という注意書きがあればなんでもあっていいと思う。
だいたいエロパロ板なのにエロ無しだって多いんだから、801も百合もグロも有りでいいのでは。
それより、サイトの話題が時々上がるのが気になるな。
スルーしてるけど、それについてのレスが続くとうんざりする。
635名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 16:38:48 ID:ETeQOs7E
レスが増えててうわ投下か?
と思って来たらちがうのかよ。
注意書きがあればたいていのことは良いよ。
それにしても最近投下が減った。
636名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 16:40:00 ID:lf4YNvHO
そか〜ここは2chなんだなw
他はあまり見ないけど ここって大人ばかりだし 比較的マナーもいいし
つい忘れてしまう。
泣けて笑えて それに職人様たちの時代考証等の下調べ具合に
感動してますが 投下する皆様も覚悟がいるのですね。
更に更に 身を低く投下をお待ちしてます。_○/|_
637名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 17:14:11 ID:KnbEu2hv
自分も、ギャグ801百合グロ・スプラッタ鬼畜その他何でもOK
テンプレ通り予告レスあればいいのでは。
ところで空気読まずに連載もの投下させてもらいます。
ファントム×クリスティーヌ、今回エロ無し
全部で7レスあります。
638ファントム×クリス(素顔)1/7:2006/03/26(日) 17:15:21 ID:KnbEu2hv
「さあ戻ろう、愚か者どもが捜し始める…」
長い間恋焦がれた愛しいクリスティーヌ…
ようやく、初めて、二人きりの時間を持てたというのにどうして私は
このような態度しか取れないのだろうか。
力なくその場に膝をつき、情けなさと恥ずかしさから涙を抑えきれなくなった。
仮面がはずれ床に音を立てて落ち、その上に私の涙がぽたぽた落ちて水溜りになっていった。
惨めさに両手で顔を覆い咽び泣き続ける私に─
なんとクリスティーヌは私の肩に手を掛け
戸惑いながらも震える手でそっと撫でてくれた。
その小さな優しい手に驚き、私は指の隙間からそっとクリスティーヌを窺い見て
先程の乱暴の許しを乞うた。
今しかない。
今ここでクリスティーヌに愛を乞わないともう一生涯、この子の心を、愛を得る機会を
失ってしまうと私は直感した。
「すまない…クリスティーヌ、すまなかった…」
「マスター…」
クリスティーヌも大粒の涙を流し、しかし首を大きく左右に振りながら微かな笑みを
口元に浮かべてくれている。
彼女の膝に私は額を擦りつけ、私は跪き必死に許しを乞うた。
「どうか、どうかこんな私だ…私だが…私を嫌わないでおくれ…
 お前を愛しているんだクリスティーヌ…」
クリスティーヌの化粧着の裾を震える手で触り、恥ずかしさに顔を上げることなどは出来ずに
ただただその裾を遠慮がちに掴み、それに顔を押し当てながら許しを乞うた。
「ああクリスティーヌ…お前に嫌われたら私はもう生きてはいけない…
 明日から生きる意味などありはしないよ…」
クリスティーヌは私の頭を、頬をそっと震える手で撫でてくれた。

「そんな、そんなこと、嫌うだなんてマスター…」
639ファントム×クリス(素顔)2/7:2006/03/26(日) 17:16:56 ID:KnbEu2hv
「お顔をあげてマスター、見せてください。
 マスター、わたし、ずっとずっと慕っておりました…今でも何も変わりませんわ…」
慈愛に満ちた声に驚き、私は涙で汚れた顔を恐々と上げると
そこにはもう微塵も私を恐れていない微笑んだクリスティーヌの美しい顔があった。
私の手を、そっと握り締める小さな温かい手…
私は優しく握り締めてくれるクリスティーヌのその手を己の顔に当て声を出してむせび泣いた。
「泣かないでマスター…
 マスターがいらっしゃらなかったら今日という日は来なかったんですのよ…」
クリスティーヌはそっとそのまま私の顔を両手で包み、醜い方の頬に
その柔らかな唇を寄せてくれた。
「心から尊敬しておりますわマスター…」
ふわっと花のような香りが漂い、夢心地というものはこういうものかと初めて知った。
私たちはしばし見つめ合い─
そっと、唇を寄せ合った。
クリスティーヌの方から先に唇を寄せてくれた。
まるで水に唇をつけているような柔らかさだった。
ぎこちない私たちの初めての口付けは唇と唇をただ重ねるだけの遠慮深い口付けだった。
柔らかな甘さに私はクリスティーヌの唇をそっとなめた。
おもわず唇を離し罪を犯してしまったかのような畏れを私は感じてしまい、
何もいえずクリスティーヌを見つめた。
すると─クリスティーヌは自分の舌で、そっと自らの唇をなめ
そしてそれをごく、と飲み込んだではないか─
「クリスティーヌ…」
私はとても言葉を発することなど出来ず、胸が熱さでいっぱいになり
そしてうめき声を上げ涙を流した。
640ファントム×クリス(素顔)3/7:2006/03/26(日) 17:19:16 ID:KnbEu2hv
見世物小屋の檻の中にいた幼い頃、サーカス団員からでも
「感染るからそばにこないで!」と忌み嫌われ、
話すことも許されなかったこの私と口付けをしようなどと、
そして私の唾液を体に入れるなどと考えるような人間など、
この世にいるはずなどないと思っていた。
両親でさえ触ろうとさえしなかったのだ。
唇を恥ずかし気にすぼめ微笑むクリスティーヌは
私にとってはもはや音楽だけの天使ではなかった。
本物の天使なのだ。
クリスティーヌを力の限り抱き締め、
「大事にする!…クリスティーヌ!クリスティーヌ…!!」
「マスター…」
クリスティーヌは私の胸の中ではにかみ笑顔を浮かべていた。
「マスター…夢のようですわ。やっと、やっとお会いできたのですね…!
 わたしはこの日を小さい頃からずっと夢に見ていたのです」
「クリスティーヌ…クリスティーヌ…!
  クリスティーヌ…!!」
「マスター、わたしは天使様が、マスターが生身のお方だとは思っていなかったんです。
 こうしてまさかお会いすることが出来るなんて…、
 父の魂ではなくて、お姿を見せていただけるなんて…、
 ああ夢の中だけに出てくるお方ではなかったのですね」
この私の恐ろしい顔を見ていながら、会いたかったと、夢のようだと、
今までと変わらない思慕の眼差しで私を見上げながら
私の胸に頬を擦りつけるクリスティーヌを痛いと言うまで抱き締め、
私は涙を流し続けていた。

私たちは呼吸も心臓の鼓動もぴったり合わせて生きていくのだ。
いや、私がクリスティーヌの鼓動に合わせて生きるのだ。
これからの私の人生はクリスティーヌのためだけにある。
お前の心臓とぴったりあうように鼓動させよう─
641ファントム×クリス(素顔)4/7:2006/03/26(日) 17:20:34 ID:KnbEu2hv
「寒くはないかクリスティーヌ?私のマントも着るかね」
「いえ大丈夫ですわマスター」
かねてよりクリスティーヌの為に用意していたコートや靴を身につけさせ、暗い回廊を
ゆっくりふたりで話しながら上がっていく。
「マスター、マスターはどんな飲み物がお好きなの?」
「マスターはどうしてわたしにレッスンしようとしてくださったの?」
「マスターは晴れの日と雨の日とどちらがお好き?」
「マスターは……」
「マスターって……」
「あのねマスター……」
クリスティーヌは瞳を輝かせながら私を質問攻めにし、
私の腕を掴み揺すって答えをねだってみたりと可愛い仕草で甘えてくれた。

「そんなに一度には答えられないよクリスティーヌ」
「だってわたしはマスターの事何も知らないんですもの」
「そうだったな、私はお前の事は何でも知っているというのに」
「わたしねマスター、もしお会いすることが出来たときのためにお聞きしたいわ、っていうこと
 いっぱい考えていましたの。
 ああでもいっぱいすぎて全然思い出せませんわ」
「そうかクリスティーヌ。ではゆっくり思い出して何でも聞いておくれ」
時折私の周りをくるっと回りながらはしゃいで手をつないだり、
互いの腰に手をまわして寄り添って微笑みあったりしてなかなか地上に戻れないでいた。
そして…連れてきた時は手袋をつけていたが、今は素手でこの子の小さな柔らかい手とつないでいる。
この可愛い手で私自身に触れてくれたらどんなに素晴らしい快感なのだろうか、と、密かに劣情を抱いた。

換気孔から射しこむ月の光に照らされる美しいクリスティーヌを
私は憧れの眼差しで眺めていた。
しかし同時に外から漏れてくる不吉な銃声の音は気に入るものではなかったが、
私を呼ぶクリスティーヌの可愛い声に耳を傾け
胸をときめかせながらも精一杯彼女の問いかけに答えてやった。
642ファントム×クリス(素顔)5/7:2006/03/26(日) 17:21:33 ID:KnbEu2hv
「ここはチャペルの裏だ。いつもここからお前が祈りを捧げているのを見て─」
覗いたわずかな壁の隙間から見えたのはシャニュイ子爵だった。
シャニュイ子爵はクリスティーヌを探しているのだろう、狭いチャペルのすみずみまで
失踪したクリスティーヌの形跡などないか確かめ丹念に調べているようだった。
「ラウル…」
そう小さく呟き真っ直ぐ子爵を見つめるクリスティーヌの横顔を、私は悲しい思いで見ていた。
そうだ、子爵にとっては何時間か前、外出の約束を取りつけたクリスティーヌが
楽屋から忽然と姿を消したままなのだ。
あの男がクリスティーヌの身を案じているのは当然のことだろう。
「…お前を探しているんだな」
「え、ええマスター…」
クリスティーヌの姿を見つけられなかった子爵はようやくチャペルから姿を消し、
私たちはしばらくして、また歩き出した。
しばらく何も話さずに歩いていたが、私は聞かずにはいられなかった。
「その…シャニュイ子爵とのことだが…確か食事の約束などをしていたな。
 つまり、…これから子爵とは…」
「マスター、ラウルは大事な幼なじみですわ」
「そうだな、そうだろう…」
643ファントム×クリス(素顔)6/7:2006/03/26(日) 17:23:59 ID:KnbEu2hv
とうとう楽屋の鏡の裏まで戻って来たがまだそんなに遅い時間ではないようで
楽屋の外に人がいる気配がする。
しばしの別れの挨拶に私はクリスティーヌの両肩にそっと手をかけ口付けをねだった。
長い長い口付けにクリスティーヌは苦しそうにしていたが精一杯こたえてくれた。
私はクリスティーヌの柔らかそうな胸元にも触れてみたかったがかろうじて思いとどまり、
彼女の手を取り握り締めて懇願した。
「時々は会いに来てくれるね?私はいつでも大歓迎だよ」
「ええマスター」
「イル・ムートのリハーサルも始まるだろうから忙しいとは思うが…
 どうか寂しい私のもとへもどってきてほしい…」
クリスティーヌはしばらくは俯いて何か考え込んでいたようだが
しばらくして私を見上げ、
「わたし、マスターよりも、ラウルよりも…
 わたしは音楽の天使様のレッスンを何より優先いたしますわ」
私は無理にでもクリスティーヌを抱き締めずにはいられなかった。
「クリスティーヌ!愛している、愛しているよ…!」
「天使様…」
と私の胸の中で呟く愛しい愛弟子の頭を、背中をいつまでも優しく撫でていた。
644ファントム×クリス(素顔)7/7:2006/03/26(日) 17:25:06 ID:KnbEu2hv
鏡を開けると暖かい空気が楽屋から流れてきた。
寒さで震えているクリスティーヌを早くそちら側へ入れてやらなければいけないと思いつつも
別れが寂しくてなかなか手を離せなかった。
鏡を閉じた後も、まだ私の前を離れようとしないクリスティーヌがにっこり微笑みながら
鏡面を撫でているとメグ・ジリーが慌ただしく楽屋に飛び込んできた。
「クリスティーヌ!?一体今までどこに行ってたのよ、心配するじゃないの」
「メ、メグ、あの…」
「あなたの幼なじみの子爵もとても心配していたわよ」
メグはクリスティーヌの手を掴むと楽屋の扉に手を掛ける。
クリスティーヌは微かな笑みを浮かべながら、ちらと鏡の中の私を振り返ってくれると
二人で楽屋の外に出て行った。
「どこかに外出したのかと思ってたわ。でもシャニュイ子爵が一緒ではなかったみたいだし…
 そうそう、もうあまり外出はひとりではしない方が良いみたいよ」
「どうして?」
「ママがそう言ってたわ。よくわからないけど、プロイセン軍が………」

楽屋の外にいる二人の話し声がかすかに聞こえるが、次第に声は遠くなりすでに
鏡の中からは聞こえるはずもなかった。
踵を返し私はまた暗い地下の自分の棲家へと戻る。
寂しく辛い人生を生きて来たが、
今私は最も幸せな輝かしい時間を過ごしているという充実感に包まれている。

<続く>
645ファントム×クリス(素顔)作者:2006/03/26(日) 17:26:21 ID:KnbEu2hv
読んでくれてありがとうございました。
次回はエロエロにしたいです
646名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 21:37:23 ID:IPTyAvza
>645
こんな流れの中ありがとう天使様!次回のエロエロ楽しみにしてますハァハァ

801については漏れは男×男の表記見るだけでも脊髄反射で拒否なんだが…
てか数字板のが落ちたってことはそれだけ需要がないんだろ…ナンデココデorz
百合は需要あるしキモイって言う人もいないジャマイカ。とにかく漏れは勘弁。
647名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 21:42:36 ID:xhYA5omb
>645
GJ! GJ! GJ!
初めての邂逅で素顔を見たのにあの反応!
クリス、いじらしくて可愛い……!

プロイセン軍ってことは普仏戦争? なんだか長編な予感。wktk!
次回のエロエロも楽しみにしています。
648名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 21:43:36 ID:xhYA5omb
>645
GJ! GJ! GJ!
初めての邂逅で素顔を見たのにあの反応!
クリス、いじらしくて可愛い……!

プロイセン軍ってことは普仏戦争? なんだか長編な予感。wktk!
次回のエロエロも楽しみにしています。
649名無しさん@ピンキー:2006/03/27(月) 21:47:46 ID:GOqPCI61
百合ってそんなに需要あるんだ
俺の場合、801と同じくらい百合は勘弁
でも、スルーすりゃいいことだから、別に叩かないし、どんなssが投下されても
かまわないとオモ

>645 GJ!クリスの反応がうれしかった
先生救われるよな
続き楽しみにしてる
650名無しさん@ピンキー:2006/03/27(月) 22:48:30 ID:U6fj1jI9
需要はやっぱノーマルが多いんじゃね?
百合も続くときついだろ。
大人は華麗にスルーするのみ。

>645
GJ!続き!続き!
651645:2006/03/27(月) 23:33:33 ID:+e3M+gUP
レスありがとう、張り切ってエロエロにもってく
プロイセン軍についてはよく知らないんだが当時は物騒だったってことで。
あんまり気にしないで
まとめサイトにUPしてもらう時ジャンル別に分けるのもいいかも
こんな話続いてるけど投下する天使様遠慮なくやってな
652名無しさん@ピンキー:2006/03/28(火) 00:47:45 ID:yVVRhEkl
>645
マスターのクリス溺愛&ちょっと弱気なところがいい!
続き楽しみです!

エロパロ板の華は女子いじり(または愛でる)だと思ってたから
百合が投下されることにあんまり違和感なかったなw つーわけで
>606 GJ!子悪魔メグ萌え〜この勢いで踊り子全部食っちゃってもいいよ
梁の上の人、「ここってどこだっ」⊂(´Д`;))))モレニモオシエテ… 状態だったりして。

ところでこの板、二次801やってるとこあるの?
女体化はまたちょっとジャンル違うよね。
653名無しさん@ピンキー:2006/03/28(火) 08:54:01 ID:rNQgLITV
opera座スレの花、それはファントムいじり。
ということでエロ無し、ネタの駄目マスター
小ネタですので、本日の投下はそのままお願いします。

とりあえず話を聞くのだ、クリスティーヌ。
例えばドレスなら、ここの縫い目がこちらより広がっている。
この部分のサイズが合っていないということだ。
右袖下部のレースがほつれているのは、右利きである証だ。
ドレスひとつとっても、本人の色々な状況が読み取れる。
まして、直に身につける下着だったらどうだろうか?
見る者…つまり私のように十分な知識を持ったものが見れば、
このドロワーズから、本人すら気付かないような身体の癖を
見つけることができるのだ。
動きやすく、着易く、しかもお前の美しさを
最大限に発揮できるドレスを造るのには、お前の動きや状態を
完璧に理解する必要がある。
解ったか?けしてやましい動機でこうしてお前の部屋の
クローゼットを漁っ…探索していたわけではない。
すべては芸術のため、お前のために…
待ちなさいクリスティーヌ、先ずその重そうな花瓶を下ろしなさい。
いや、だから落ち着いて話を…
654名無しさん@ピンキー:2006/03/28(火) 12:26:17 ID:4+1BacCG
>>653
さすがマスター、衣服・服飾にも造詣が深くていらっしゃる…

と思ったらそういうオチですかwwww
ご冥福をお祈りします。

自分もこの板はなんでもアリのほうが楽しいと思うんですが。
例えば自分的には、スーザン・ケイのファントムとかは苦手で
読んでいないので、そちら系の設定の話は判らないです。
延々続く個人サイトの話もスレ違いだと思うけどスルーしてる。
嫌いなモノは各自スルーすればいいと思うんだけどな。

まあ数字は拒否反応示す人が多いので特殊かとは思うんだけどね。
百合は大好物です。メグたんカワイイよメグたん
655名無しさん@ピンキー:2006/03/28(火) 12:59:07 ID:IB+GEXAw
>653
激しく続きが読みたいwwGJ!
マスターいぢり オイラも待ってます。
656名無しさん@ピンキー:2006/03/28(火) 18:24:04 ID:fuY7MMc+
「あなたを信じていたのに…」
の台詞が最も似合う場面だ。GJ!
657名無しさん@ピンキー:2006/03/28(火) 23:24:43 ID:m5mh4pRc
>>653
久々にギャグの天使様キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
GJ!!
658名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 09:38:19 ID:IVNMahbj
もしかして誰もいない・・・?
659名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 11:05:49 ID:7AISuQjR
細々書いてます。が、エロくならないよぉぉぉ
660名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 11:13:36 ID:ZvLBWtbY
それでもいいので投下投下!!
なんだか毎日ここみてるけど前のような勢いがなくなってさみしいのぉ
自分も一回投下したことあるけど、SS書くのってなかなか難しいね
661名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 16:05:44 ID:YwPNm63U
あれは嫌だこれは嫌だ、自分はこれも嫌だけどスルーしてる!と主張してるうちに天使様の多くがどっか行っちまつたのか?
662中年ファントム:2006/03/31(金) 17:01:20 ID:gZgito7g
投下します。
生前の中年ファントム vs アメリカ人女性
エロ有り。
クリスティーヌの墓に詣で、娘にも会った帰りの客船上という設定です。
墓参りの帰りに情事とは!というお叱りはなしで、宜しくお願い致します。
全部で9レス分あります。
663船上にて 1884年 1/9:2006/03/31(金) 17:07:12 ID:gZgito7g
「マダム、今夜はもう、それくらいになさった方が宜しいのでは……?」
給仕が遠慮がちに声を掛ける。女は乗船したその日から、ひどく気まぐれに振る舞ってい
た。晩餐の席にも滅多に現れず、たまさか着いたテーブルでも会話に加わらず、そうかと
思えば浴びるように酒を飲んで甲高い笑い声を上げ、同席の客を当惑させた。
酔いつぶれる女に連れはない。歳の頃は三十をいくつか超えているが、身体の線に崩れは
なく、顔立ちや身なりにも美しさに加えて、知性と気品も伺える。だが、女のあまりに荒
れた様子と沈鬱な表情に、彼女の身分を知る者も、目を伏せて関わりを避けるだけだった。
毎晩、女は独りラウンジで酒を飲んでいた。

「分かったわよ、今夜も私が最後の客だものね……。じゃ、明日の晩、またね」
ひらひらと給仕に手を振ると、女はふらつく足取りで甲板に出ていった。穏やかな春の晩
で、船は滑るように波間を進み、煙突の薄い煙が上方をたなびいていく。降るような星空
だが、深夜の一等甲板にはもう誰もいないようだ。
−−黒い影が一つ見えた。背の高い大柄な男だった。女には背を向けるかっこうで、彫像
のように身動きもせず、海を見つめている。前の晩も、その前の晩も、同じ場所でこの男
を見かけたような気が、女はした。

「こんばんは……、毎晩ずいぶんと遅くまで起きていらっしゃるのね」
女は酔いにまかせて声を掛けたが、男はちらりと女を見ただけで、視線を海に戻した。
「なによ、私がご挨拶をしたのに、返事もなし?」
「……酔っぱらい女に、まともな挨拶が必要か?」
海に目を遣ったまま、男が低い声で言った。深い、よく透る声だった。
「あら、素敵な声……。あなたを前にもここで見かけたような気がしたから……」
男はふんと鼻で笑うと、女に顔を向けた。四十半ばといったところだろうか、秀でた鼻梁
の整った顔立ちで、蒼とも碧ともつかない薄い色の眸が女を凝視する。口の端はわずかだ
が皮肉げに上がっている。男はどこか寂寥を身に纏わせていた。

顔の右側を覆う白い仮面が、星明かりに浮かんだ。だが女はそれを意に介する様子もなく、
男の隣に並んだ。
「苦み走った渋い男前じゃない……、こんな時刻にお会いしたのも何かの縁だわ。ね、少
しお喋りしましょうよ」
「……君は、奇妙な女だな。深夜の甲板で私のような男と話したいとは」
「いいじゃない。奇妙な女と奇妙な男……お似合いだわ」
女は甲板の手すりに凭れると、何が可笑しいのか笑い始めた。男は黙然としてそれを見守
る。やがて女の笑いが途切れ、すすり泣きに変わった。
「笑い上戸の次は、泣き上戸か……」
男は面白そうに言い、ハンカチを女に手渡した。そして何かを思い出したように、喉の奥
で低く笑った。

「なによ……、どうせ私はみっともない酔っぱらい女よ」
女は止まらない涙を拭うと、そのまま盛大な音を立てて洟をかんだ。
「いや……、以前にも似たようなことがあったのを思い出してね。だが君はさすがにアメ
リカ女だ。洟をかむのも威勢がいい」
男は含み笑いをしながら、言葉を滑らかな英語に換えていた。低く甘い声にほんの少しフ
ランス語訛が混じる。女は男のからかいを無視した。
「そしてあなたはフランス男ね……。でも流暢な英語だわ、私のフランス語よりずっと。
……以前にも女を泣かせて、ハンカチを渡したってわけね」
「断っておくが、私には君を泣かせた覚えはない」
「はん、そうだったわね。……なによ、フランス男なんて」
女はまた洟をすすり始めた。
664船上にて 1884年 2/9:2006/03/31(金) 17:11:31 ID:gZgito7g
「アメリカへはよく行かれるの?」
気を取り直したように、女が男に尋ねた。
「いや、もう長くアメリカで暮らしている。……今回はたまたまフランスへ行く用事があ
っただけだ」
「ここで何をしていらしたの?」
「何も……。見てのとおり、海を眺めていた」
「そして、別れてきた女でも思い出していた……?」
男の顔から表情が消えた。だがその前に一瞬、男の眸に苦しげな色が浮かんだのを女は捉
えた。海へ顔を戻した男の目元には翳が差している。男も眠れずに甲板へ出ていたのかも
知れない。
「私のことはどうでもいい。……君はどうした、こんな時間に一人で甲板をうろついて。
酔いどれて蓮っ葉な風を装っているが、本当はれっきとしたレディなのだろう?」
「レディ……、以前はね。今の私は、ただの見苦しい酔いどれ女」
「さだめし、待ち人来たらずとでもいったところか……」
女の顔色が変わった。男は海を見つめたままだ。
「仕方なく一人で乗船して、酒に溺れていた……? ああ、別に話さなくて結構だよ」

「もう……、何もかも面倒になっちゃった。ここから飛び込んだらどんな感じかしら……」
「やめておいた方がいい。春とはいえ、海の水はまだ冷たい。それに停船して腐乱した水
死体探しなどされるのは迷惑だ。死ぬなら船を降りてから勝手にするがいい」
男の皮肉な口調に、女は平手を振り上げた。だが、頬を張ろうとする腕を男は無造作に掴
んだ。
「男は誰でも女の平手打ちを甘んじて受けるとは、思わないでいただきたいな……」
耳元で囁く意地の悪い声に、思わず女の頬が赤らむ。それが悔しくてもう一方の手を振り
上げたが、男はそれも難なく掴み、まとめて片手で握り直すと、あいた腕で女を引き寄せ
て噛みつくように唇を奪った。
「な、なに……う、くくっ………」
「しっ、静かに……」
男の舌が唇を割り、女の口内を蹂躙する。絡め取られる舌から痺れるような熱が広がり、
女は自分が朦朧となっていくのをぼんやりと感じていた。カツ…カツ…カツ……二人の背
後を通り過ぎていく靴音が響く。

「見回りの船員だ。君が暴力をふるうのを見咎められては困るだろう……?」
ようやく唇を離した男が、揶揄するように言う。だが女は目を閉じたまま、ぐったりと男
の厚い胸に凭れかかった。膝に力が入らないのか、男が支えていないと頽れてしまいそう
だった。
「なんだ……、威勢が良かったわりには、ずいぶんと脆いじゃないか、え? 酔いが回っ
たか?」
耳元で囁く声に、女は目を開き、とろんとした眼差しで男を見上げた。
「な…によ、なによ……、フランス…男なんて……」

「ところで、私はそろそろ部屋へ戻りたいのだが……」
男は静かな口調で告げたが、女はぐんなりと男に凭れかかったまま目を瞑っていた。
「おい、しゃんとしろ。眠るな……置いていくぞ」
すっかり力の抜けた身体を男が揺すり上げると、女は喚き声を上げ始めた。
「なによ、なによ! 失礼じゃない! レディをこんな所に放り出していく気!」
「今度は怒り上戸か、しようがないな、まったく……。ほら、部屋まで送ってやるから、
ちゃんと立て」
「いや! あんな、一人っきりの船室になんか戻りたくない!」
女は腕を振り回し、男の腕の中で暴れ出した。
「無茶苦茶だな……。レディどころか、とんだじゃじゃ馬だ」
突然、女の視界がぐるっと回った。男は女を軽々と肩に担ぎ上げ、歩き出していた。
「な、何するのよ! ばか! 降ろして!」
男はばたつかせる女の脚を片腕で押さえ込む。逆さまにされた女は、なおも男の背中を拳
で叩き続けた。
「大人しくしろ。じゃじゃ馬女には、こうするのがアメリカ流だろう?」
笑いを含んだ声で言いながら、男は女を担いだまま大股で自分の船室へ向かった。
665船上にて 1884年 3/9:2006/03/31(金) 17:13:05 ID:gZgito7g
「気持ち悪い……、水……」
ベッドに投げ出された女が呻いた。男は苦笑しつつも、水差しからグラスに水を満たすと、
女を抱え起こしてグラスを持たせ、服を緩めてやった。
「まったく、手間のかかるじゃじゃ馬だな……」
溜め息混じりに呟きながら、男は上着を脱いで黒絹のクラヴァットを解き、ベッドの縁に
腰を下ろす。女は水を飲んで正気づいたのか、グラスを男に返すと少しばかり殊勝げな声
を出した。
「あの……お水、ありがとう」
「ああ……。さて、どうする? 服を着直してここから出ていくか、それとも服をもっと
緩めるか……。さっさと決めてくれ、私はどちらでもいい」
口調は相変わらず意地が悪いが、男の目は笑っていた。つい視線が男のはだけた胸元に行
くのを止められず、女は悔しそうに唇を噛んだ。

「意地悪ね、でも……いいわ。そう、私はあなたが欲しい……」
女は手を差しのべ、男の襟元に掛かるクラヴァットを、シュッと音を立てて引き抜いた。
そのままヴェストのボタンを一つずつ外していく。灯りを消すと、シャツの前を大きく開
けて男の胸に顔をうずめた。窓越しに射す星明かりが、蒼白い影を投げかける。
「あなたも……脱がせて」
掠れた声で女が囁く。
「欲望に忠実だな……」
「そう、私は正直に生きるの……」
「では、死ぬのはやめたのか」
「とりあえずはね。……でも今は、ベッドの上で逝くのよ……二人して」
「それも悪くない……。どのみち地獄へ堕ちる身だ」
自嘲の薄ら笑みをおもてへ刷き、男は女の服を剥いでいく。互いに一糸纏わぬ姿になると、
男は枕に寄りかかるように座り、背後から女を抱き寄せた。

「ここも正直なようだな……」
耳元で囁きながら、男の手は張りを保った乳房を掬い上げ、親指で先端を撫でる。そこは
既に硬く尖っていた。なめらかな白い腹に片手を滑らせ、下へと辿っていく。
「そして、ここも……」
さらに低い声で囁きかけると、目を閉じた女は感に堪えぬ吐息を洩らし、微かに震えた。
女の秘所は熱く潤い、蕩けるような蜜が男の指に纏わりつく。
「いつからこんなになっていたんだ、ん……?」
雪をあざむく白いうなじに唇を押し当て、男が問う。甘肌の香りが男の鼻先をかすめる。
胸と秘所に愛撫を加えながら、男はうなじから肩、そして背中へと唇を這わせていった。
666船上にて 1884年 4/9:2006/03/31(金) 17:16:49 ID:gZgito7g
「あ…あぁ……、あなたの声が………」
女は言葉を続けられず、挙げた腕を男の首に回した。反らされた女の胸が息遣いとともに
上下する。無意識だろうか、女はさらなる愛撫をねだるかのように、男の脚の間で腰を揺
らめかせた。
「もっと……聞かせて………」
「何が、聞きたい……?」
「んん……、フランス語で、言って……」
「Que voux-tu entendre.....?」
他愛ない女の願いを面白いものに聞き、男は同じ言葉をフランス語で囁きかけた。それだ
けで女の柔肉の襞目から新たな蜜が溢れ出し、男の指を灼く。硬く猛った男のものが女の
臀を押し上げる。それを女の蜜がしとどに濡らした。
「あ…あぁ……あなたのものが……、来て……」

男は女の腰を抱えると、少しずつ己を押し進める。女の内部は火床のように熱く、男を迎
え入れただけで微妙な蠢動が起こり、絡みつくように男のものを締め付けてきた。
「あぁ…ん……、しっかり……抱いて……」
「Oui....., veins tout contre moi......」
男が答えてやると女は息を乱して身を捩り、男の腰に後ろ手を回し、自らを押しつけてく
る。ゆっくりと後ろから突き上げながら、男は再び指を使い始めた。
「あっ…あ……あぁ……、悦びをともに……するのよ………」
「Mes joies se fondent aux joies de toi.....」
耳朶に息を吹きかけるように同じ言葉を囁くと、男は動きを速めていった。女は恍惚とし
た表情で首を振り、襲ってくる快感に身を震わせて、喘ぎながら切れ切れに言葉を洩らす。
「綺麗だって……言って……」
「Tu etais trop jolie.....」
「……私が…欲しいって……」
「J'ai envie de toi......」

「あ…あぁ……はぁっ………、い、逝っちゃう……、je t'aime..............!」
それが癖なのか、フランス語で愛の言葉をうわごとのように呟き、女が達した。その刹那、
男は不意に動きを止めると、己を引き抜いた。かつて一度だけ自分が口にした言葉を聞き、
男のものは萎えていた。茫然と虚脱する男には気付かず、女は絶頂の余韻に酔いしれ、い
まだ快楽の波間を漂い続けていた−−。
667船上にて 1884年 5/9:2006/03/31(金) 17:18:18 ID:gZgito7g
クリスティーヌ・ダーエが死んだ。シャニュイ伯爵夫人というべきか。夫の伯爵とともに
出かけた旅先での、馬車の事故によるものだった。結婚から十三年目のことだった。
男は二人の死を遠いアメリカの地で知った。部下を代理人に立てて、遺された幼い姉弟の
後見人となった。そして、十歳になる娘が男と会うことを強く望んだため、いま一度だけ
パリを訪れたのだった。娘の申し出で、はからずもクリスティーヌの−−伯爵夫妻の墓に
詣でることにもなった。石造りの墓所の前で、男は二度目の別れを確認した。クリスティ
ーヌは、もういない−−。

それだけのことだった。何も変わりはない筈だった。クリスティーヌが生きていようとい
まいと、男が彼女に会うことはなかった。声を聞くこともあり得なかった。彼女はいつも
男の胸の裡にありながら、男から最も遠いところにいた。それだけの筈だった。
だが、彼女の死を知った日から、男は眠りを奪われた。鎧った筈の心から、新たな血が流
れ出すのを感じた。今ひとたび、男の胸には埋まることのない空洞が出来たようだった。
クリスティーヌが生きている、そのことだけで、どれほど大きな意味があったのか−−。
虚しさに蝕まれる心を、男は持て余していた。


「すごく素敵だった……、こんなの初めて……」
甘えるような女の声で、男は我に返る。
「そうか……」
女の髪に口づけながら、ほつれて首筋に張り付いた一筋を摘むと、女が手を重ねてきた。
−−と、女は肩越しに振り返り、男の眸を見上げた。
「……あなたは最後までいかなかったのね。私は、良くなかった……?」
女の身体の下で、男のものは力を失ったままだ。男は視線を逸らし、沈んだ声音で呟いた。
「いや、そんなことはない。とても良かった。……だが、私はいいんだ……」
「だめよ、そんなの。そんなの、だめ……」
女は身体ごと向き直ると、男の首にしがみついた。
668船上にて 1884年 6/9:2006/03/31(金) 17:19:38 ID:gZgito7g
「どうして、そんなこと言うの……? だめよ、……私だけじゃ。あなたも逝かなければ
……だめなのよ………」
女は身体をずらし、おもむろに男を仰臥させていく。決して力を込められている訳でもな
いのに、男はなぜか抗うことができなかった。上になった女は、男の左頬から顎を撫でる
と、顔を寄せて唇をそっと重ねた。
「あなたも………」
女の指が男の喉を、そして鎖骨から胸へと辿る。うっすらと覆う胸毛に指を絡ませ、探り
当てた先端を愛撫する。さらに下へ、腹の筋肉を愛しむように掌を這わせていく。
男が息を止めた。女の手は男のものを捉えていた。

「……私が、あなたを……」
甘い吐息で囁きかけ、女は五指を蠢かしながら、唇で先ほどの軌跡をなぞっていく。胸の
先端で止まり、舐るように舌先を動かす。
「死なせてあげる……」
男は止めていた息を吐き出すと、ひとつ大きく胸を上下させた。
女の舌は少しずつ下へ移動し、やがて男は、己が暖かいものに包まれるのを感じた。闇が
沈黙の男女を覆い、時刻を移す。どちらからともなく、声にならない喘ぎが洩れた−−。


だしぬけに、男が女の肩を掴んだ。女の動きを止めると、そのまま身体を引き上げる。
「あっ……!」
「もう、いい……」
男は身体を入れ替え、女を柔らかく抱きすくめた。男の重みが女にかかる。男のものは甦
っていた。女の秘所に手をやると、名残の蜜を湛えた泉からは、官能の滴が新たに滲み出
している。小さな吐息を洩らし、女は唇をわななかせた。男の眸に優しい色が浮かんだ。
「ここからは、私が……」
男が耳元で囁く。
「ただし……、フランス語は無しだ……」
「ふぅ……ん……」
女はこっくり頷いて男の首に腕を回し、うっとりと瞼を閉じて睫毛を震わせた。

腿の隙間に男が己を挿し入れると、女は挟み込むように脚を摺り合わせる。
「あぁ……あなたが……、暖かい…わ………」
女はゆるゆると下肢を開き、膝を曲げた。止めどなく溢れる熱い蜜が、忽ち男をくるみ込
む。その蜜に導かれるように、男は女の秘所へ分け入っていった。
「あっ…あぁ……、ふ…ふぅ……ん…んん………」
秘かな柔襞から顫動が生まれ、女の全身へと伝わる。男は小刻みに震える女の首筋へ口づ
けし、鎖骨に沿って唇を這わせ、尖った乳首を口に含むと舌先をそよがせた。
「あぁ……ん……」
指先が男の肩に食い込む。女は我知らず男の身体に脚を絡みつかせ、腰を捩っていた。
「……少し、苦しい……」
女の膝に手をやり、男が低い声で囁く。その声で女は薄目を開き、ひそめられた男の眉宇
を認めると、恥じらうように脚を緩めた。
「そう……、力を抜いて……」
男はおもむろに動き始めた。
669船上にて 1884年 7/9:2006/03/31(金) 17:21:00 ID:gZgito7g
浅く、深く、そして速く、緩やかに、女の秘唇から深奥まで、男は丁寧に官能の律動を伝
え、恍惚の花びらを開かせていく。濡れそぼった襞目はそれ自身が意志を持つかのように
蠢き、収縮を繰り返し、男に吸い付いてきた。
「あ…あぁ……あぁっ……、ふぅ……ん、はぁ………は…はぁっ……」
柔肉の底から湧き上がる疼くような悦びに熱く喘ぎながら、女は男の肩にしがみつき、抗
いがたく足先で空を蹴る。女の口からは、もはや意味を成す言葉は出てこない。うっすら
と開かれた烟る双眸は、何も映していなかった。

満ちてくる潮のように、快感が四肢の端々まで拡がる。荒い息遣いと喘ぎが室内を満たす。
やがて、波濤が急速にうねりを上げ、−−呑み込まれ、歓喜に身悶え、気遠くなった女が、
しなやかな肢体をくねらせて男をかき抱いた。
「あぁ……も…もう………、あ…あぁ……あぁぁぁ…………!」
二人は波濤に乗り上げ、長い絶頂に身を委ねると、汀へと押し流されていった。


ごく短い間、女は眠りに落ちていた。低い声の子守歌を聞いたような気がして、意識が浮
上してくる。目を開けると、男が肘枕で上掛けごしに女の腕を摩っていた。
「あ……? 今、何時頃かしら」
「じきに夜が明ける……」
窓の外が仄かに白み始めていた。女の後れ毛を掻き上げてやると、男は腕を伸ばし、水を
満たしたグラスを取り上げる。
「飲むか……?」
「ん……、ありがとう」
男は黙したまま女の首を支え、水を飲み干す白い喉を見つめる。グラスを男に返すと、女
は微笑んだ。
「これで私たち、一度死んで生き返ったのよ……。再生したの」
670船上にて 1884年 8/9:2006/03/31(金) 17:22:14 ID:gZgito7g
「私は自分の船室へ戻るわ。ぐっすり眠れそう……。あなたも一人でゆっくり寝んでね。
そして、この隈を消してちょうだい」
女の指が男の目元を優しくなぞり、唇を押し当てる。
「長い間、よく眠れていなかったのでしょう……? 昨夜はあなたの方が、海へでも飛び
込みかねない様子に見えたわ」
「……私は、そんなことはしない」
「そうね、あなたは、そんなことはしない。全てを胸の内に納めて、平気な顔をしている。
……でも、誰だって時には、遣り切れない思いになることも、あるでしょう……?」

海を思わせる男の眸を、女は食い入るように見つめる。男の方が先に目を逸らせた。女は
男の胸にそっと指を這わせる。
「私には、あるわ。一族に言われるままポーランド貴族の男と結婚して……、でもパリで
の結婚生活も、夫への腹いせみたいな火遊びも、上手くいかなかった。虚しいだけ……。
そしてやけ酒、馬鹿みたいよね、愚かな自分に嫌気がさすわ」
胸に顔をうずめた女の髪を、男は無言で撫でる。女は小さな声で続けた。
「あなたに何があったのか、私は知らない。……でも、ここであなたに出会えて私は嬉し
いわ。救われたような気分なの。おかしいわね、あなたのこと、何も知らないのに……」

背中に腕を回し、力を込めて男を抱き締めると、女は夜具から滑り出て服を身につけ始め
た。男は身を起こし、コルセットのレイシングを締めてやる。身じまいを整えた女は、ベ
ッドの縁に座ると再び男の胸に頬を寄せた。
「私ではあなたの孤独を埋めることはできない……。あなたを救うことは、きっとできな
いのね。でも……、ひと夜の眠りを与えてあげることは、できるかも知れない……」

「私……、今夜もまた、何もかも嫌になっちゃうかも知れない。そうしたら、……あなた
のところへ来ても、いい?」
「ああ、……待っている」
女の顎を持ち上げて唇へそっと口づけると、男は低い声で答え、−−そして付け加えた。
「……ありがとう、久しぶりによく眠れそうだ」
「じゃあ、私は行くわ。Au revoir....」
再会を約す挨拶を口にして、女はひらひらと手を振り、男の船室を出ていった。
671船上にて 1884年 9/9:2006/03/31(金) 17:23:29 ID:gZgito7g
窓から港が見える。鴎が鳴き声を上げて飛び交っている。下船の準備に追われる人々の喧
噪と熱気が、男の船室にまで伝わってくる。支度を整えた男は、ソファに座ってぼんやり
と外の様子を眺めていた。いずれ迎えの部下がやって来るだろう。

あれから女は夜毎に現れ、二人は情事を重ねた。短い死と再生を繰り返した。女は何も訊
かずに男を受け入れ、そして己をぶつけてきた。最後の夜も、何事もなかったように別れ
た。今日からはまた、日常が始まる。そして人生は続く。−−永遠の死が男を迎えにくる
まで。男はその事実を静かに受け止めていた。ふと、パリで会った少女の顔が浮かんだ。
母親によく似た面差しの少女は、深紅の薔薇を男に贈ると言ってくれた。男の胸に小さな
火が灯る。

聞き慣れたノックの音を耳にして、男は立ち上がった。扉の外には、品の良い旅行服に身
を包んだ女がいた。
「これから船を降りるので、ご挨拶に来たわ……」
部屋の中ほどで女は立ち止まり、男を見上げた。
「とりあえずは、祖母の邸へ行くつもり。そこで身の振り方を考えるわ。……お祖母さま
は私の味方なの」
男は頷く。女は身を寄せると、男を抱き締めた。胸元に額を押し当て、男の匂いを吸い込
む。女の腰に腕を回し、男は静かに背中を撫でた。
「これで、お別れね。どこかであなたに会うことは、……もう、ないわね」
再び男は頷くと、女の顎を持ち上げてそっと唇を重ねた。−−出会った夜のように。女の
閉ざした瞼の陰から、透明な滴が湧き上がり、眦からこめかみへと転がり落ちた。
「じゃあ、私は行くわ。Au revoir.... ううん、Adieu........」
「Adieu......」
男は微笑み、同じく永別の言葉を口にした。一瞬、女は眸を伏せ、それから、いっそ晴れ
やかな笑みを男に向けると、ひらひらと手を振り、去っていった−−−。


<終わり>
672662:2006/03/31(金) 17:29:01 ID:gZgito7g
以上です。
読んでくださった方、ありがとうございました。
etaisの綴りがうまく反映されませんでした。
正確には e の上に右上からのアクセント記号(アクサン・テギュ)が付きます。orz
673名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 17:53:28 ID:UAVnW9Um
    

(゚■゚)

・・・GJ・・・なんかほんとのプロの小説みたいだ!!
中年ファントムセクシーで好きっっす!
まぢで素晴らしいSS
   -ーー ,,_    
   r'"      `ヽ,__       
   \       ∩/ ̄ ̄ ヽつ
  ノ ̄\ /"ヽ/ "   ノ   ヽi     ありがとうございます!
 |  \_)\ .\    >  < |\  
 \ ~ )     \ .\_  ( _●_)\_つ  
    ̄       \_つ-ー''''
674名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 18:58:52 ID:aDVlEVFI
いつもながら素晴らしい物語、そして情景が眼前に浮かんでくる文章力。
日常が始まる。そして人生は続く・・・深い。
歳を重ねたからこその味わい深いマスターにまた会えて幸せでした。
本当にありがとう。
675名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 23:59:39 ID:HSRbXRV6
エロ格好良いなあ、五十を前にしたファントム…
普通なら加齢臭漂いはじめる頃だがこの人は往きずりの女でも引きつける
いい匂いがするんだろうな、SSから香りたつようだったよ。

>661そういうとこだろうな。
少し前から気になってたんだが最近感想レスが少なくないか?
クレクレいう割には実際投下されたらえらい静かになる。
ここ半年ほど投下が多かったから住人は舌が肥えたんだろう。
時間削って執筆して無料で投下してる職人にとって報酬は一言のGJなんだ。
無理に感想書かないといけないわけではないが
少しだけ考えてみてあげてくれ、自分は必ず感想書いてる。
676名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 00:31:12 ID:kIoU6zvp
>675 禿同
自分も忙しかったりするとつい拍手できないことがあったりする
あと、投下された作品がすばらしかったりするとどんなレスつければ
いいのか、妙に考えちゃうんだよな、陳腐なことしか言えなそうでさ
ま、今後はなるべく感想書くな
やっぱ職人に感謝の気持ちは伝えるべきだわな

今後は自分も極力拍手する
677名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 00:44:59 ID:PyN6tw07
えーとね、自分は綺麗にまとまったものよりも、荒削りな作品に感想レス送りたいタイプです。
このスレってほんとにレベル高い書き手さん多いし、自分の感想なんて不要かと思っちゃうんだな。
だから、レスが少ないからって、無視してるわけじゃないんよ。 
今まで読んできて、つまらないと思ったものはない。 それぞれ個性があって堪能させてもらってます
678名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 00:56:56 ID:81Wz7i8m
おおおおキタキタキタ中年ファントム!好きだ〜!

多くの人は人生で一番モテるという時期があるようですが、
こちらのマスターはまさに今ですな。
言動の一つ一つに余裕があってカコイイ。そして寝技も完璧。
ああモテるねぇ…そりゃモテるよ。

ありがとう>>662
679名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 00:59:25 ID:G1+w8k8u
初期の頃は拙〜い作品を恥ずかしげも無く落としたりしたけど
ここってレベルが非常に高い作品がけっこう頻繁に落とされるので
自レベルじゃ恥ずかしいのと、他人様ので充分満足出来ちゃうので
自力で何とかしようと言うハングリーな気持ちはなくなるかもw
幸せな状況だと思う。
680名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 01:06:40 ID:GLEswc7f
エロかっこいい中年ファントムごちそうさまでしたー!
こーゆー大人の絡みは大好きです。
681名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 01:52:51 ID:fsvkS4l3
je t'aimeと言われて醒めて茫然とするマスターにぐっと来た。
あと、最後のAdieu。
ことばの使い方がほんとに巧み!
なんか言葉に出来ないよ。とにかくレベルの高さに圧倒された。
とにかくGJ!! ありがとう662!!


とりあえず仏語の発音調べてからまた読みます。
実はジュテームとアデューしかわかんない・・・orz
682662:2006/03/32(土) 23:58:01 ID:ryL3z9z0
感想、どうもありがとうございました。
長い情事描写に初めてチャレンジし、四苦八苦だったので、
ファントムがエロかっこいいと言ってもらえて感激です。
努力wした甲斐がありました!
683名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 00:48:19 ID:LL7DR6FB
>>682
次も頼むよ(´▼`)ノシ
684名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 10:35:16 ID:n+YT0orc
クリス以外の女なんて・・と思った私がバカでした。
超素敵エロカッコいいの言葉が似合うマスターに会わせてくれて
Gjgjgj!!

685名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 14:10:52 ID:U/tyIHGe
>679
初期の天使様カムバーック!
686名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 00:18:38 ID:1zTsaPAl
SSのプロットはあるのに、それを文章化するのが至難の業。
天使様方には本当に尊敬いたします。

いつも楽しませてもらってます。
ROM専でしたが一言カキコさせてもらいました。
687名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 00:21:21 ID:pUgZo3nJ
本スレの988氏カモーン!
688名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 20:10:36 ID:Ia7hk5sH
あれね↑ 二次サイト巡ってた時にそういうの見かけたけどw
689名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 22:45:20 ID:VWdb1U9P
ちょっと前にここでも見かけたけどw
690名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 00:43:29 ID:HoJ7w5L0
同じ人でしょ?
691名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 11:26:27 ID:JF2ti/tI
若マダム×若ファントム
・エロ薄い
・暗い
です。
6921/4:2006/04/04(火) 11:27:04 ID:JF2ti/tI
「珍しいね。あなたがこんな所まで来るなんて」
少年は振り返りもせずにそう言った。
少年…といっていいのだろうか。
始めて会ったときは確かに少年であったが
ここ数年で背も伸び、声もすっかりと低くなっている。
「それは…」
少年の背後にあるものを認め、目を見開く。
それは先週までレッスン室にあった小型のピアノだった。
「壊れて捨てるって言ってたから、貰ったんだ」
首だけで振り返った少年は、肩をすくめるとまた作業に戻る。
「どうやってここまで持ってきたの」
「分解して、運んで、組み立てた」
関心なさそうに言い放って、鍵盤の上に指を載せる。
そのまま無造作に5つ6つの和音を鳴らす。
今度は体ごとこちらを見て、少年は悪戯っぽく笑った。
「あなた、今日ここでつっかえたね」

ぎくりと体が強張る。少年が今弾いたのは今稽古中の曲。
そして確かに自分はその部分でステップを間違えた。
しかし、完璧に誤魔化したはずだ。教師すら気付かなかったのに。
「…見ていたの?」
「奈落にいたんだ。音で分かったよ」
蓋の裏側をノックするように叩く。
「半拍のそのまた半分…あなたのトゥが床につくのが遅れた」
低い囁きに、背筋がぞくりとする。
少年はまたピアノに向き直り、ゆっくりと弾き始めた。
長い指が白い鍵盤の上で踊り、
壊れていたはずのピアノから、甘く豊かな音色が零れる。

聞きなれた曲のはずなのに、
それは思わぬ新鮮さで耳を打った。
6932/4:2006/04/04(火) 11:27:36 ID:JF2ti/tI
がらんとした岩のドームに、音がぶつかり弾け、身体を震えが駆けぬける。
当代一のプリマと、最高の踊り手と賞賛されても
いや賞賛されているからこそ、分かる。分かってしまう。
芸術には、努力では越えられない一線があることを。
そうして、知りたくなかったのに知ってしまった。
それをやすやすと越えてしまう人間がいることを。
魂を売り渡してでも得たいと渇望するものを、
生まれながらに持っている者がいることを。

何故この少年なのだろう。
何故自分ではなく。
何故。

突然湧き上がった衝動に煽られるように手を伸ばす。
指先が少年の肩に触れ、
弾く手を止め振り返った薄緑の瞳を見たとき
強烈な欲求が身体を駆け抜けた。

壊してやりたい。

汚して、歪めて、壊したい。
どんなに望んでも得られぬものを持つこの少年を。
自分の行くことのできない高みにいる者を。
自分と同じところまで、引きずりおろしてやりたい。

肩を掴んだ指に力を込める。
少年が不思議そうに見上げる。
「何を」
「…黙って」
笑顔のままで囁いて、首筋に唇を押し当てた。
6943/4:2006/04/04(火) 11:29:40 ID:Fslzn3SR
突き出した喉仏がごくりと動き、身体がピアノの方へ傾ぐ。
少年の掌は何度も鍵盤を押し、さっきはあんなに美しく弾けた音が、今はざらりと中空に澱む。

冷たい岩肌に肩を押し付け、上から圧し掛かる。
「あなたは…!」
言いかけた言葉は途中で消えた。私が彼の中心を、布の上からぐっと押さえたから。

私は美しいはずだ。触れたいと、抱きたいと、男たちは皆そう言った。
着ているものを滑らせるように肌から落とす。
乳房が大きく揺れ、寒さのせいか先端が固く立ち上がった。
幼い驚きを宿した瞳がどろりと欲望に濁り、腕が伸ばされる。

まだ少年らしい繊細さの残る身体は、それでもあっさり私を組み伏せた。
最初は躊躇いがちに触れていた指が、はっきりと意思を持って動き始める。
水辺の岩の冷たさに身を震わせるのは、今度は私のほうだった。
掌が乳房を掴み上げる。本能に従って、彼が押し入ってくる。
漏れる声から音楽的な響きは消え、獣のような、荒々しい呻きに変わる。
指はもうピアノに触れる優しさを忘れていた。

彼はまるで泣いているかのように顔を歪ませ…私はきっと笑っているかのように頬を歪ませ。
愛から程遠い感情に操られ、心などそこに欠片もないことをお互い自覚しながら
ただ私たちはぶつけるように腰を動かし続ける。
やがて一声吠えて、彼が身体を震わせた。
中で流れ出す彼の脈動に合わせ、彼の肩に爪を立てる。
総て絞り上げるように蠢く自分を感じながら、私もまた悦びの声を上げた。

「…僕が、憎いんだね」
のろのろと身を起こしながら、彼が呟く。答えないことが、応えだった。
聡い彼だから、言葉にしたのも自分に言い聞かせるためだったのだろう。
「どうして、僕を助けたの?」
ぽたぽたと液体が胸に垂れる。冷えきった肌に、それは酷く暖かく感じた。
「もう、あなたは…二度とここに来ないほうがいい」
そう呟くと彼は背を向けた。
「…ええ」
衣服を整えて立ち上がる。
古傷に覆われた背を見つめるが、彼が振り返ることは無かった。
6954/4:2006/04/04(火) 11:30:21 ID:Fslzn3SR
地上へと戻る階段に足を掛けたか掛けないかのうちに
背後からピアノの音が聞こえてきた。
鍵盤の上で踊る指は、ついさっき荒々しく胸を掴んだものと同じ。
見世物小屋の男の首に縄を掛けたものと同じ。
なのに、なぜこんなにもこの音は美しいのだろう。

結局何一つ壊すことも奪うこともできなかった。
与えることすらできぬ者に、何を奪えるというのだろう。
目を閉じるといつの間にか溢れていた涙が頬を伝った。

それから半月もたたぬうちに、私は恋人のうちの一人と結婚してオペラ座を離れた。
すぐに娘が産まれ、数年後夫を病で亡くした私は、
バレエ教師として再びこの芸術の地に戻ることとなった。
そこに既に少年の姿はなく、代わりに目の前に現れたのは
自らゴーストと名乗る男…”オペラ座の怪人”だった。

「はじめましてマダム」
白い仮面。
「ようこそ我がオペラ座へ。あなたのおいでを心から歓迎しよう」
低く、甘く、そして酷く危険な声で男はそう囁いた。
見つめる私の視線をまっすぐに受け止める。
表情のない瞳のまま、その唇が再び動いた。
「…あなたの娘だが」
体が強張る。
「あなたに良く似ている…あなた以外の誰にも似てはいない」
そうだ。似ていない。…夫であった人にも、全く似ていない。
「…誰にも、似ていない」
念を押すように呟くと、男はマントを翻して背を向けた。
最期に見た少年の背中とは似ても似つかないけれど、
それでも思わず視線を落とした隙に、オペラ座の怪人は姿を消した。

このオペラ座を支配するファントム。
彼に何かを与えることのできる者が、いつか現れるのだろうか。
私にできなかったことを…今まで誰にもできなかったことを。
もう誰もいない闇を見つめ、私はそっと息をついた。
696名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 12:55:59 ID:BX6tQ9fU
>>691
うわGJ!
なんかもうすごくいいよ!
いつも書いてくれている天使様かな?
ありがとう!
697名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 18:02:35 ID:lSDg+ZlO
>691
GJ! GJ! 深い! そして緊張感があって、すごくいい!
高みを求め、理解できるからこそ、ファントムに惹かれると同時に憎しみも
感じ、何も与えられない無念さを噛み締めるマダムの葛藤が伝わってくる。
欲望にだけは無防備な少年ファントムもイイし、OGとして現れた青年ファン
トムもカコイイ。
素晴らしいSSをありがとう! またぜひ書いてください!
698名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 18:41:02 ID:V3DHilAg
>>691GJ!
>あなた以外の誰にも似てはいない
じゃあやっぱりメグタソはファントムの(ry 
699名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 21:06:44 ID:hBBf8TYt
・・・・・・っ!!
凄いツボに来まくりなんですけど・・・・・・!!!
>>691さん、素晴らしい掌編を心からありがとう
700名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 21:29:20 ID:jTOZIVNQ
あぁぁぁ投下きてるのに今読めない…!

深夜ゆっくりハァハァしながら読ませていただきます!!
701名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 23:12:59 ID:1fGgGlLo
ひゃぁGJGJGJ!!!
いい暗さで胸にぐっと来ますな!
702名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 23:28:59 ID:uh2xEfhM
映画本編の番外として、最も近いのではないか…
なんていうか、映画のファントムとマダムの関係の
モヤッとした部分に、この話がスッポリ納まった感じが今するよ。
703名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 00:36:47 ID:EMi3xKXv
そか・・だからメグには目もくれずw
怪人の地毛は金髪っぽいしw

地下に群集の先頭できたのも そういう意味があったのね。
704名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 01:46:04 ID:erURMP1W
ミュージカルでは最後にメグが仮面を拾うのも怪しいと思う。
705名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 19:45:22 ID:iA6phJJr
映画でもメグが最期に 仮面を手にとる。
どっちかってぇと 元々メグってばオペラ座の怪人を怖がってたっぽいのにね。
でも 興味を示してるってとこがやっぱ 血が騒いだのかもw

おいらだったら そばにあるサルゴールの方に興味わくけど。
706愛のために死す:2006/04/06(木) 21:55:05 ID:jQBLyY1T
投下します。
ファントム×クリスティーヌ
ギャグ、エロ有り
あらかじめお詫びします。ギャグに使う事を快く承知してくださった
天使様がた、本当に申し訳ございません! orz
707愛のために死す 1/6:2006/04/06(木) 22:00:25 ID:jQBLyY1T
このところ、ファントムは疲れていた。否、疲れ果てていた。
何をするのも物憂くて、ぐったりとソファに横たわる彼の目元には、濃い翳が差している。
『参ったタヌキは目で分かる』のアレである。
「ただいま、マスター。……今夜はお迎えにきて下さらなかったのね」
彼の愛する天使の声が、ほの暗い巌屋に谺する。
「……すまない。だが、お前の舞台は見たよ。素晴らしかった……」
というのは実は方便。彼は長い階段を上るうちに動悸・息切れ・目眩に襲われ、道半ばで
挫折していた。オーケストラ・ピットから聞こえてくる歌声だけで、良しとせねばならな
かったのだ。

気怠げに起き上がろうとする師を押しとどめ、クリスティーヌがのし掛かるように唇を重
ねてきた。彼の口腔に柔らかい舌が忍び込み、息の詰まるような激しい口づけが送られる。
「う……む、むぅ………!」
ファントムは文字通り息を詰まらせた。酸欠で頭がくらくらする。ようやくクリスティー
ヌが唇を離すと、肩で息をし、口をぱくぱく開けて酸素を取り込んだ。
「マスターったら……、もっと口づけをおねだりなさっているのね。うふ……」
「い…いや……、ちが……ま、待ってくれ……。そうだ! クリスティーヌ、舞台の後で
おなかが減ったろう? まずは食事に……」
「ううん、私、舞台がはねた後のパーティーでいただいたから、おなかは減ってないわ。
それよりも、マスターが……欲しい…の」
ファントムの耳元に、クリスティーヌが掠れた声で囁く。美しい眸は切なげな色を浮かべ
て潤んでいる。目の縁は欲望で紅く染まっていた。
「舞台の上でも……マスターが欲しくて欲しくて……、ああ、私はどうしてこんなにマス
ターが好きなのかしら……」

クリスティーヌの愛らしい言葉に陶然としつつ、これで夕飯も抜きか……と、ファントム
は肚裡で絶望の呻きを洩らした。あまりの疲労に食欲中枢も狂っているのか、空腹感はさ
ほどない。さりとて今後のことを考えると、何か食べねば身がもたないと、彼の生存本能
が告げていた。

師の導きの成果か、官能の蕾を花開かせてからというもの、彼の天使は目覚ましい成長を
遂げていた。ーー目覚ましすぎるほどに。
今日も今日とて朝もはよから、おめざ、お出かけ前、そして昼食時と、ファントムは既に
三度もお務めを果たしている。無論のこと、夜はその回数では及ばない。このところずっ
と、そんな日々が続いていた。
しかして、彼は地上への階段も上り切れぬほどの疲労困憊に見舞われ、食事の支度もまま
ならなくなっていた。あまつさえ、オルガンを弾くことも体力の限界を超えていた。音楽
の天使としての立場は、一体どうなってしまうのか〜! 
708愛のために死す 2/6:2006/04/06(木) 22:04:37 ID:jQBLyY1T
「うぅ…ん……、はやく……」
自ら服を脱ぎ捨て、生まれたままの美しい姿になったクリスティーヌは、師のクラヴァッ
トを解くと首筋へ唇を寄せた。前立てをくつろげるべくズボンに手を掛ける。
「あら……、マスター、お痩せになった? 腰回りが緩いわ。お顔の色も青ざめていらっ
しゃるみたい……」
むべなるかな。クリスティーヌは運動?後の旺盛な食欲をオペラ座の厨房で満たしていた
が、『テイクアウト』という概念は、この娘にはない。そしてタッパ○ェアも、この時代
には存在していなかった。

「クリスね、近頃みんなに羨ましがられるのよ。お肌もますますスベスベで、輝くような
美しさだって……。マスターも、そう思われる?」
「……そうだね………」
同意を促す天使の口調に、ファントムは力ない声音で答えた。
「嬉しい! ……でも、マスターはお元気がないみたい。私はね、なんだか不思議なくら
いエネジィに満ち満ちているの!」
さにあらん。二人の年齢差に加えて、ファントムの精気はすべてクリスティーヌが吸い取
り、蓄えているのだから。『エネルギー保存の法則』であるーーかも知れない。

などと他愛ない睦言を交わしながら、クリスティーヌは肌蹴させた師の胸に唇を這わせ、
ズボンから取り出したものを握り締めた。己に跨がる天使の身体が重たく感じられる。か
ように衰弱したファントムではあったが、乳首はささやかながら尖り、己がものは不敬に
も天へ向かって屹立していた。
至上の恋人に求められ、そうならぬ男がいるだろうか? 少なくとも彼は、愛しい天使の
ためならば、何をも厭わぬ男だった。

「あぁ……、ふぅ…ん……、マスター、素敵……」
こんなイージーな言葉にも、哀しいかな、ファントムの背筋には快感が走り、彼のものは
痛いほどに硬くそそり立つ。クリスティーヌがゆっくりと腰を降ろしてきた。既に蜜が溢
れ返る秘所は蕩けるように熱く、何の抵抗もなく彼を呑み込んでいく。柔肉の襞目がもじ
もじやわやわ、あれこれかれこれ、意志を持つかのように蠢いた。

「あぁ……、これ……マスターのこれが、欲しかったの……」
欲しかったのは、これだけか……? 野暮な疑問は封じ込め、ファントムはおもむろに腰
を突き上げていった。わずかに残るエネジィをかき集めてーー。愛しい天使は彼の上で悦
楽に喘ぎ、美しい眉を寄せて首をふるふると振り、身を捩って自らを押しつけてくる。二
人して、というよりクリスティーヌは、師を貪るように激しく腰を動かし続けた。
「あ…あぁ……あぁっ……、ふぅ……ん、はぁ………は…はぁっ……!」
どこからかコピペしたような、ひときわ高い啼き声を上げて、ファントムの天使は絶頂を
迎えた。彼もまた、搾り取られるように己を解き放った。
709愛のために死す 3/6:2006/04/06(木) 22:06:57 ID:jQBLyY1T
気息奄々のファントムに、甘やかな声が囁きかける。
「あん……、マスター、出ていっては、いや……」
有言実行、クリスティーヌの内襞は飽くことなく蠢動を続け、秘唇は逃すものかと言わん
ばかりに彼のものを締めつける。
「今度はマスターが上になって……。そう、このままで……」
容易ならざる事態だった。だがファントムは、クリスティーヌを前に否やと言えぬ男だっ
た。渾身の力を振り絞り、愛しい恋人を抱き寄せると、彼はアクロバティックな技への挑
戦を始めた。すなわち、繋がったままでの体位入れ替え。

「はぁ、はぁ、はぁ……、ぜぃ、ぜぃ、ぜぃ………」
愛はすべてを可能にする。狭いソファの上で、ファントムはE難度の荒技を成功させてい
た。イナバウアーもできそうなクリスティーヌの肢体のしなやかさが、それを助けてくれ
たのは事実である。だが彼は、この間に己がものを保ち続けた自分を自分で褒めてやりた
かった。
「マスター……、重いわ……」
天使の声が無情に響く。力を使い果たしたファントムは、己が身体を腕で支えることがで
きず、不用意にも愛しい恋人に全体重を掛けてしまっていたのだ。こんなことでは『筋肉
バトル!! スポーツマンNo.1決定戦』への出場もおぼつかない。オリンピック・メダリス
トの某と、なか○まきんにくんの高笑いが聞こえるようだ。

勃て! いや、立て! 立つんだ! ファントム、ここで挫けちゃ男がすたる!
「あぁ、悪かった、クリスティーヌ……、ヨッコラセ」
激励の声が届いたか、彼は自らを鼓舞し、どうにか身体を持ち上げた。腕の筋肉は悲鳴を
上げ、腹筋その他もぷるぷると震えているが、なんのこれしき、耐えるんだ!
愛しい天使は耳聡かった。師が思わず洩らした不可思議な掛け声を逃さない。
「よっこら……?」
「気にするな、クリスティーヌ、それは空耳アワーだ……」
訳の分からぬ弁明にも、すぐに信じてにっこり微笑む天使の、この愛らしさはどうだろう。
彼女こそ己が人生を、命を賭しても惜しくはない、私だけの永遠の恋人……。ファントム
は心中、熱く決意表明するのだった。
710愛のために死す 4/6:2006/04/06(木) 22:09:59 ID:jQBLyY1T
ランナーズ・ハイとは、かような状態を指すのだろうか。ファントムは熱に浮かされたよ
うに腰を使い続けた。リザーブ・ガソリンもとうに尽きた筈の彼を突き動かすのは、ドー
パミンか、はたまたアドレナリンの成せる業か。
再びの絶頂が訪れ、二人は高みへと昇りつめーーそして堕ちていった。最後の瞬間にファ
ントムが体を入れ替え、愛しい天使に重みが掛からぬようにしたのは、彼の身体能力の高
さを物語っていた。無論、愛の深さもである。

二人の荒い息遣いが巌屋を満たす。明らかにファントムの方が苦しげだが、多くは語るま
い。武士の情けである。むしろ、いまだ彼のものがクリスティーヌの中に留まっているこ
とこそを、天晴れと言わねばならぬ。
「あぁ……マスター……、すごく素敵だったわ……」
「そうか……」
ふいごのような呼吸を整え、かろうじて、このひと言を紡ぎ出す。
これで、眠れる……戦士の休息……。安らぎに満たされ、ファントムは脱力して意識を手
放そうとした。と、その時ーー。

あに図らんや、愛しい天使の秘めやかな入り口がきゅうっと締まり、色々な意味で震えが
くるような言葉が、彼の耳に囁かれた。
「……クリスね、もっと欲しいの……。'ワン・モア・キス' よ……」
「ハイ、ガンバリマス……」
それがキスだけでは済まないことを、この男は哀しいまでに理解していた。

ーー営みは、終わった。

注) 彼の名誉のために書き記すが、決して短かった訳ではない。筆者がこの一節を使い
たかっただけである。1行アキに込められた、時間の経過をお酌み取りいただきたい。

ファントムはひどく気味の悪い浮遊感を覚えながら、奈落の底へ引きずり込まれるように
意識を失った。
だが、彼の試練は、むしろここからであった。
711愛のために死す 5/6:2006/04/06(木) 22:14:11 ID:jQBLyY1T
ふと意識が戻った。己の最も敏感な場所が妙にこそばゆい。クリスティーヌの可愛いクス
クス笑いが聞こえる。愛らしい恋人の笑顔が見たくて、重い瞼を開こうとする。ーーと、
己が眼を何かが覆っているのを感じた。取り払おうとするが、手も動かない。
こ、これは……! いわゆる、ひとつの、緊縛系……?
嗚呼、ファントムの両の腕は、彼のシャツをもって頭上で一つに縛られ、瞼を覆うは自身
のクラヴァット。しかも、いささか不適切な場所を占めるその二つ以外に、彼の身体は一
糸まとわぬ姿だった。誰がこんなことを? いや、彼女の他に誰がいよう。ここはオペラ
座地下深く、二人の世界ーー。

「あら、マスター、お目覚めになった……?」
師の身じろぎに気付き、クリスティーヌが優しい声で呼びかける。
「……クリスティーヌ? これは……?」
「うふ……、ちょっと新しい課題に取り組もうかと思ったの」
愛しい天使の声に、甘い、しかし危険な響きが加わる。ファントムの肌が粟立った。

「マスターったら、小鳥のように震えていらっしゃるのね。寒いかしら?」
「そうではない……!」
「ここにも小鳥ちゃんが……。ねぇ、マスターはご存じ? スペインの言葉で、小鳥ちゃ
んって '小さなチ○ポ' って意味があるんですって。うふ……」
「……小鳥…ちゃん………」
ファントムは全身から力が抜けていくのを感じた。天使のようなクリスティーヌが、事も
あろうに小さなチーー、いや、繰り返すことすら憚られる言葉を口にし、しかもそれが指
すのは、己がナニ。

「小鳥ちゃん、震えているのね。か・わ・い・い〜! ……そんなところに隠れてないで、
出ていらっしゃい」
立ち直れぬほどの悲哀に打ちひしがれるファントムだったが、小鳥−−もとい、戦慄に縮
み上がる己が、暖かく湿ったものに包まれた時、驚愕の叫びを上げそうになった。
「小鳥ちゃん、小鳥ちゃん、おーきくなぁれ、大きくなって、荒鷲さんになぁれ♪」
彼の天使は、玉を転がすような美しい声で歌いながら、舌で彼のものを転がしている。両
立しがたい二つの行為を可能ならしめるものは、『ご都合主義』である。
プニやらムニュやらの面妖な呟きも聞こえる。かくの如く、彼のものはプニプニ、ムニュ
ムニュされていたーー。
712愛のために死す 6/6:2006/04/06(木) 22:16:25 ID:jQBLyY1T
『……不遇な我が身に胸がつまり、涙が溢れました』ーーそれは違うSSの一節である。
ファントムは惨めさと、この期に及んで湧き上がる肉の悦びに、涙が滲むのを止められな
かった。クラヴァットに涙の染みが拡がる。
「マスターってば、そんなに気持ちがいいのね……。あら、小鳥ちゃんも少し成長してき
たわ。うふ……」
「……クリスティーヌ、頼むから小鳥ちゃんと呼ぶのはやめておくれ……」
「あら、なぁぜ? マスターのにピッタリで、とっても可愛いと思うわ」
「ぴったり………orz」
「小鳥ちゃん、小鳥ちゃん、おーきくなぁれ、大きくなって、荒鷲さんになぁれ♪」
可愛い恋人は、無邪気にも残酷な歌を可憐な声で口ずさみ、愛しくてたまらないという様
子で、さりながら厳格な観察者の態度で、ファントムのものを優しく、ーーというよりは
強引に愛撫し続けた。

かくなる上は、何がなんでも荒鷲にならねばならぬ。愛しい天使の願いを無視するなんて、
そんなことは出来やしない……! 
ファントムは疲れ果てた身体に鞭打ってーーこれは無論、比喩であるーー己を奮い立たせ
た。しばしの後に、彼のものはみるみる力を取り戻し、雄々しい荒鷲へと姿を変えていた。
ただでさえ貧血症状を呈していた彼の脳からは、さらに血液が下方へと奪い取られ、眼前
には星が飛び散り、意識はまたしても朦朧となり始めた。わーんと蜂が飛ぶような耳鳴り
に重なって、クリスティーヌの歓声が聞こえる。
「わぁっ、荒鷲さん、とっても素敵よ! 大きくって、逞しくって、太陽に向かって飛び
立とうとしてるみたい!」

「さあ、荒鷲さん、クリスのところへ来て! 私の中で羽ばたいて……!」
原始、女性は太陽であった。けだし至言である。そして十九世紀後期、クリスティーヌは
ファントムの太陽であった。かの名言をよもやエロパロ板で使われようとは、平塚らいて
う先生も、草葉の陰で泣いているーー。

それはさておき、ファントムの荒鷲は太陽へ向かって飛翔を始めた。その姿には痛ましい
までの悲愴感さえ漂っていた。しかして、イカロスのごとく太陽に灼かれ、刀折れ矢尽き
た荒鷲は、きりもみ状態で墜落していった。荒鷲の主もまた然り。
息も絶え絶えに、ファントムは最後の虚しい抵抗、いや、必死の嘆願ともいえる言葉を口
にした。
「……クリスティーヌ、もう夜も更けた。明日もあるのだから、眠らなければ……」
「あら? お伝えしてなかったかしら。公演は今日で終わって、明日はお稽古もお休みな
のよ。だから今夜は、うふ……、一晩じゅうマスターとこうしていられるの。朝まで、う
うん、明日もずうっと情熱のプレイを続けられるのよ……。し・あ・わ・せ!」

……あまり長くは生きられぬかも知れない……。だが、それも本望……。
愛のために死す…… Mourir D'aimer...........
ファントムの霞みゆく脳裡の奥に、唐突に一つの曲名が浮かんだ。後世に生まれた名高い
シャンソンは、あるいはこの男を歌ったものなのだろうかーーー。


<終わり> 
713706:2006/04/06(木) 22:19:43 ID:jQBLyY1T
以上です。読んでくださった方、ありがとうございました。
ちなみに、スペイン語では以下のようになっています。
鳥・小鳥=pajaro(パハロ、最初の a の上にアクセント記号あり)
小鳥=pajarito(パハリート)←「小さな○ン○」の意味もあるとか。本作の小鳥ちゃん。
   pajarillo(パハリージョ、パハリーリョ)

シャルル・アズナブールの「愛のために死す」(ムリール・デメ)は、本作とは
何の関係もありません。
714名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 22:21:05 ID:hnRuoJ25
涙がとまりません……wwwwww
715名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 22:59:18 ID:TkCD5VXs
マスター…腎臓悪くする、絶対www
がんばれ、明日も明後日もw
716名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 23:01:47 ID:u3AIwHgj
わははははははは!!!
吸い取られてるマスターに涙……ではなく笑いが止まりません。
そうか、やっぱり年齢差か。
壮年の精力も若い娘の覚えたてのサル状態(失礼)には敵いませんかwww
717名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 23:30:28 ID:SiOuQ7ym
クリスに食い殺されるマスターテラワロスww
マスター腹上死ならある意味幸せじゃうわなんd(ry
718名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 00:01:21 ID:Hx/wDZSk
腹上死直前マスターに幸多かれ。乾杯!
719名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 00:43:17 ID:Oy8BC7Bv
先生がんばれ・・・(((( ;゚Д゚))))
720名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 02:37:23 ID:RXfuF+/C
>>706
GJ!!GJ!!
うっかり寝しなに読んで目が覚めちゃったよ〜!
いや面白かったです。またお願いします!
721名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 07:54:14 ID:948oQsVV
命をも削る情熱のプレイ…w
先生に養命酒を差し入れしてあげたいです。
722sage:2006/04/07(金) 09:48:30 ID:yQwJIjLX
マスター 私も差し入れを…

つ蝮ドリンク
723名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 09:52:51 ID:yQwJIjLX
ぎゃっ!すみませんw
724名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 11:56:41 ID:MVOoU/gk
じゃあ私も差し入れを…

つ【赤ひげ薬局の地図】


ローカルネタかもしれんけど。
725名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 15:54:33 ID:71adqM1u
>>706
あんた面白すぎるよwwwwwwwwwwwwww

やばい…らいてう先生のあたりとかまじツボったwww
726名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 18:08:54 ID:otUMu0ej
しかし、ある意味究極的に幸せなファントムとも言える。
727名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 18:08:58 ID:aHnsPLbE
>>706
GJ!GJ!
マスター、原作のイメージから大分若返っても、やはりサカリのついた16歳の娘には勝てませんなw
じゃあ私からも差入れを
つスッポン
728名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 18:46:19 ID:sYXLN+ir
>>706
笑い堪えすぎて腹筋がイタイw
「コピペ」とか「らいてう」とかマジワロスwww

私も差し入れ
つ夜のお供にウナギパイ

クリスの方が好みそうだな。
729名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 18:52:40 ID:otUMu0ej
「わぁ、美味しそう。マスター、いただいてもいい?」
とか言ってクリスが食っちゃったらどうするのだ。

ちなみに「玉を転がすような美しい声」って二重の意味に
なっているんだよね?wwww
730名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 18:55:42 ID:8BDqIyJg
すっぽん鍋をつついた後、デザートは夜のお菓子うなぎパイと蝮ドリンクか…
先生、クリスには食べさせない方がいいぞw
731名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 19:39:02 ID:y+Sr2FjI
笑いに堪え震えておりましたが
ヨッコラセで吹き出しそうになり、小鳥ちゃんで完全に吹いてしまいました。

つチョウザメの卵
732名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 20:32:07 ID:w48qn+Du
ネバネバ攻撃
つ【おくらなっとう&やまいも】
733名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 21:38:03 ID:iJXXtBfX
>>706
うはwwwwww爆笑したwwwwww
濃厚なエロSSの随所に散りばめられたユーモア、堪能したお

重厚な文体、全体に流れる雰囲気、その常人ならぬ知識にエスプリ。
拝読しつつふと感じたのですが、
・・・もしや作者様は自虐マスターの天使様でしょうか?(誤りでしたらすみません)
734706:2006/04/07(金) 21:40:05 ID:LoUtt8pW
たくさんの感想、ありがとうございます。
好意的なお褒めの言葉?に我ながらビックリ。
皆さまの差し入れでファントムが死の淵から生還したら、
養生させた後、また何かネタを考えてみます!
735706:2006/04/07(金) 21:55:36 ID:LoUtt8pW
実は私は「中年ファントム」の筆者です。
自虐マスターの天使様をはじめ、木登り天使様、ファンカル等を書かれた
天使様、ならびにイラストの某天使様に、了解を得た上で、ネタ、
エロ描写などを一部拝借させていただきました。
あらためて天使様方、ありがとうございました。
そして、申し訳ございませんでした! orz
736名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 23:00:02 ID:amdtE6BF
仲良きことは美しいもんすな
これからも面白いもの楽しみにしてますけん
737名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 23:25:19 ID:PpeUGGVG
どうりでフランス語やら読書家なのが分かるSSだと思った。ギャグもテラウマスwwww
てか天使様たちいったいどこで話してんだろう…不思議だ。

名前でたから便乗するけど自虐マスターの天使様はもう投下しないのかな。
木登りの天使様も焦らしプレイが放置プレイになりつつあるし
ファンカルの天使様も鞭の天使様もMマスターの天使様も去ってしまったんだろうか。
738名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 23:40:43 ID:5vbLHbN2
自虐マスターの続編キボンヌ
あれは自分の中で一番。
739名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 00:52:00 ID:34JmuUmG
>30>426>644の天使様方の続きをずっと待っているんですが・・・
740名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 02:02:38 ID:sKdWl4OU
>>737
チャット
741ペルシャにて:番外。:2006/04/08(土) 03:48:52 ID:wlR2fXfp
つ愛のゆりかご

すいません、ファンカルも私です…。
自サイトに感けていたもので、つい投下が滞りがちに。
新しい環境と時間割に慣れるまで、また筆が遅くなりそうですが…。

奴隷の独白。エロ無し2レス。
本当に鬼畜として楽しみたい方はスルーがオススメ。
鬼畜は嫌! 甘い方がイイ! という方だけどうぞ。
742ペルシャにて:番外。:2006/04/08(土) 03:51:22 ID:wlR2fXfp
 わたくしが初めてあのお方をお見かけしたのは、太后様の横でございました。
もちろんずっと前からあの方のお噂は後宮の奥深くにまで届いておりましたが…。
シャーが異国の方を重臣に取り立てただとか、見たことも思いつきもしないような手品をするだとか、
大変人を殺すのに慣れているだとか、そのびろうどの仮面の下は二目と見られないようなものだとか…。
それでも世間から隔絶された後宮の中で、その噂に恋をする者も少なくはございませんでした。
 そのころわたくしは奴隷市で後宮に買われて以来、ずっとシャーの妻になるべく教育される日々でございました。
昼間は太后様の下女としてお使えし、夜は音楽や舞踏、褥での技などを学んでおりました。
そんな日のことでした。…あの方が後宮にやってこられたのは。
 シャー以外は陽物を切り落とした宦官しか入ることのできないこの後宮に、あの方はやってこられました。
太后様の命で、太后様のためだけの手品をするために。
あの方の噂に胸をときめかせていたわたくしには、本当に幸運としか言う事のできない機会でございました。
日に透けるような見事な金髪、優雅な立ち振る舞い、甘いお声…。
まさにわたくしの想像していた通りの殿方でした。
熟したまま腐り落ちるのを待つようなこの後宮で、あの方はまさにわたくしの夢そのもののようでございました。
わたくしは本当に何も知らない、恋に恋をする子供だったのでございましょう。
その夢が見たこともないような悪夢に変わるなどとは思ってもおりませんでした。
あの時、太后様があの方の仮面を外すように言われるまでは。
743ペルシャにて:番外。:2006/04/08(土) 03:52:54 ID:wlR2fXfp
 人のかんばせではございませんでした。
本当に、悪魔としか言いようが無いほどの醜さ…。
でも、わたくしは見てしまったのです。
その悪魔のような顔にぎらぎらと光る、あの方の眼差しを。
人の醜さを嫌と言うほど知る事ができる後宮においても、あの方ほど悲しみに満ちた眼差しの方を、わたくしは見たことがございません。
太后様を見つめるその目は恐ろしいほどの怒りと憎しみに満ちておりましたが、
それでも純粋で、子供のような悲しさを纏った瞳だったのでございます。
 わたくしはあの方の目を見た瞬間、悲鳴を上げる事も忘れ、見とれてしまう有様でした。
そして二度とあの方が仮面を外されるようなことにならないよう、心の中で祈っておりました。
仮面を取り去る事であの方が傷つくのなら、もう二度とそんなことがないように。
素顔の…というよりもあの方の本心を知り、わたくしはよりいっそうあの方を好きになりました。
 だからこそ、シャーのお戯れとはいえあの方の許にゆくことになったときは天にも昇るような心持ちでございました。
本当にわたくしは、幸せだったのでございます…。


続く
744名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 18:25:57 ID:j23C0xGf
いいなあ・・・いやあこの話、内容といい文章といい好みだ
続き楽しみにしてるよ GJ!GJ!
745名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 23:05:20 ID:34JmuUmG
いい子だな〜女奴隷タン可愛いし。
このまま甘々なままで進んでほしいんですがハァハァ
本当に楽しみです!
746名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 23:33:17 ID:HwRawfEz
ちょ…女奴隷タン テラセツナス……(ノД`゚)゚。
先生もちついてやさしくしてやって…ついでに気持ちよく。
天使様GJ!続きいい子で待ってます。
747名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 00:07:21 ID:6PI7rWX0
投下します。

・ファントム×クリスティーヌ
・SM的描写あり
・今後、レイプ描写があるかも知れません
・完結していません

以上のスペックがダメな方はスルーでお願い致します。
748マスカレードの夜:1:2006/04/10(月) 00:08:08 ID:6PI7rWX0
マスカレードに現れた懐かしい師のもとにそっと近づいたとき、
クリスティーヌはよもやその師がこれほどの怒りと暗い企みとを持っていたとは
思ってもみなかった。
突如として眩い光が閃いた瞬間、クリスティーヌは師の胸に抱かれたまま切り穴の
奥へと連れ去られてしまった。
驚きとともに師の腕から逃れようともがくクリスティーヌの口元に白い布が
あてがわれる。
薬をかがされ、遠のく意識のなかで、クリスティーヌはあのとき不用意に
この男に近寄った自分の軽率さを悔やんでいた。

クリスティーヌは、気を失ったまま、後ろ手に戒められた状態で岩屋に吊るされていた。
垂れ下がった栗色の髪が顔を覆っているが、その隙間から見える愛らしい顔は、
これまで男が愛してきた弟子の無垢な寝顔そのままで、
しかし、この無邪気な弟子は彼の秘密をやすやすと幼馴染だという子爵に打ち明け、
あまつさえ、彼から守ってほしいとまで言った。
長い睫毛がその翳を頬に落としている。次にその睫毛を上にあげるときが来たら、
きっと涙で濡れさせてやろう……、そう男は暗い決意を固め、
さらにクリスティーヌの姿を舐めまわすように見つめた。
……マスカレードのために子爵が用意したらしい薄い薔薇色のドレス。
胸元には婚約の証である指環がぶら下がっている。
「秘密の婚約」と嬉しそうに子爵に告げていた声が耳に蘇る。
誰に秘密にするつもりであったのか……、無論、この私にであろう。
彼は憎々しげに指環に手を伸ばす。
しかし、わずかにその指環を引っ張るそぶりを見せながら、男はその手を引っ込めた。
眸には相変わらず暗い怒りが燃えている。

「おまえに私の屈辱のほどを教えてやろう……、
これならば、死んだほうがましだと思うほどの屈辱を」
男が口の中で呟き、そっとクリスティーヌの傍から離れていった。
749マスカレードの夜:2:2006/04/10(月) 00:10:25 ID:6PI7rWX0
クリスティーヌの目覚めた気配に男が気づいたようだ。

「目が覚めたかね?」
これまで歌の指導をしてきたときと変わらない穏やかな口調で言って、男が近づいてくる。
しかし、その声に含まれた微かな怒りの色合いを敏感に感じ取って
クリスティーヌは恐怖に身悶えた。
地下の礼拝所で何度となく聞いた師の声……、その声だけを頼りに十年もの間、
指導を受けてきたのだ。
師が何を考えているのか、師がどんな心持ちでいるのか、他の人間にはわからなくとも
クリスティーヌにはわかる。

うなだれたままその声を聞いていたクリスティーヌの前に男が立った。
「目が覚めたかと聞いているのだ」
頤を持ってクリスティーヌの顔を上げさせると、男が先ほどより幾分冷たい声で問うた。
「はい……、マスター」
「気分はどうかね、クリスティーヌ?」
「…………」
ふ、と口の端だけで哂って男が頬に唇を寄せる。
「たいして良くはないか、……なに、今にうんと良くなる……」
そう言いざま、男はクリスティーヌのドレスの胸元に小刀を挿しいれ、
一気に下まで刃を振り下ろした。

絹地の裂ける音とクリスティーヌの悲鳴とが岩屋に響き渡る。
胸元の花飾りは千切れて床に落ち、裂けたドレスがだらりと垂れ下がっている。
男がさらに数度刃を閃かせると、既にその用をなさなくなったドレスの布地が
クリスティーヌの足元にどさりと蟠りを作った。
「マスター、マスター、許して、許して……」
恐怖と羞恥に噎び泣きながら哀願するかつての愛弟子の姿を、
男は冷たい視線で上から下へと眺め渡した。
「ふ、女の衣裳とはご大層なものだな……、まったく面倒な代物だ」
独り言のように呟いて、足元に蟠るドレスの残骸を足で遠くに蹴り遣ると、
さらに一歩クリスティーヌに近づき、ペチコートとバッスルを外して放り投げる。
その間、クリスティーヌはひたすら悲鳴を上げ続け、
涙声で「お願い、お願い、許して、許して……」と幾度も同じ懇願を繰り返していた。
男が右手に持った小刀をはっしと左手に移し変えた瞬間、肉を打つ乾いた音が岩屋に響いて、
一瞬クリスティーヌの悲鳴が止んだ。
750マスカレードの夜:3:2006/04/10(月) 00:11:51 ID:6PI7rWX0
「喚くな」
弟子の頬を張った手をそのまま頤に掛け、ふたたびクリスティーヌの顔を上げさせると、
怖ろしい変貌を遂げた師から逃れるように顔を背けようとする弟子に息がかかるほど近づき、
ゆっくりと噛んで含めるように言い聞かす。

「おまえはこれから、私に聞かれたときだけ返事をするのだ。
聞かれもしないのに声を出すことは許さぬ。わかったな?」
頤の手を外す。クリスティーヌがさらに顔を背けた。
「……返事は」
返事はない。眸を伏せて涙をこぼすクリスティーヌに、容赦のない平手打ちが飛ぶ。
「返事は」
「……はい」
ふたたび空を切る音がして、反対側の頬にも平手を張られる。
「返事は」
「……はい、マスター」
「そうだ、いい子だな、クリスティーヌ」
突然に優しげな声で慰撫するように言う師を、
クリスティーヌは改めて怖ろしいと感じていた。
751マスカレードの夜:4:2006/04/10(月) 00:13:04 ID:6PI7rWX0
男が、シュミーズにコルセット、下穿きだけになったクリスティーヌを改めて眺め下ろす。
これからどれほどの恥辱がこの美しい身体を襲うのか―――、
それをこの無邪気な弟子はまだ知らない。

男の手がコルセットに包まれた乳房に伸びた。
「…………っ!」
先刻頬を張られたばかりのクリスティーヌは声にならない声を上げ、
涙の溜まった眸でその手を見下ろした。
モスリンの生地を押し上げる双丘の頂を難なく捉えた指先が
ゆっくりと円を描くように生地を滑っていく。
わなわなと唇を戦慄かせ、頬に涙を零し始めたクリスティーヌは、それでも平手を恐れてか、
悲鳴を上げることもせず、されるがままになっている。

「苦しくはないか」
ふいに男がどこか優しさを滲ませた声でクリスティーヌに問うた。
「……いいえ、マスター」
「これほどに締め付けられて、さぞや苦しいに違いない」
さらに優しい声音で言い募る師の意図を正確に理解したクリスティーヌは涙ながらに訴える。
「いいえ、マスター、苦しくなどありません、」
しかし、男は自ら発した問いに必死で答える弟子の言葉に耳を貸す様子も見せず、
「楽にしてやろう」と言って、ナイフを閃かせた。
「やあっ………!」
ナイフを下から入れられ、レイシングをすべて切り離されたコルセットが床へと落ちる。
752マスカレードの夜:5:2006/04/10(月) 00:14:36 ID:6PI7rWX0
「この三月の間に成長したのではないかな?」
恐怖を感じさせるほど優しい口調で言って、ゆっくりとシュミーズの上から
乳房を廻すようにしながら揉みしだく。
いまだ男の目に触れてはいないクリスティーヌの乳房だったが、
男がこのまま布地越しの陵辱で満足するはずはなく、クリスティーヌは師の一言一言が
次なる恥辱への前奏曲であるような気がして恐怖に怯えた。

「いいえ、そんなこと―――」
「奴に愛撫されて成長したということはないのか」と師が愛弟子の言葉に被せるように
詰問した。
「そんな―――!」
「本当にないのだな?」
いつの間にかふたたび右手に持ち替えたナイフを豊かとは言えないが
充分な大きさの胸の曲線に沿って動かしていく。
頂上に向かって滑っていくナイフの切っ先をクリスティーヌは本能的な恐怖と戦いながら
見つめていた。

「本当にないのかと聞いている」
ナイフの尖った先で頂きをそっと押しながら男が問う。
「あ、ありま……せ……ん……」
「ふ、」と口の端だけ上げて男が哂った。
「見てみなければ判らんな」
言いざま、シュミーズの肩の辺りに刃を入れた。
「いやあぁぁっっ…………!!」
クリスティーヌの恥辱に満ちた哀しい泣き声と共に、白い総レースの下着が
はらりと床に落ちていった。
753名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 00:16:10 ID:6PI7rWX0
<続く> と入れるの忘れました。すみません。

続きはいずれ投下致します。
読んでくださった方、ありがとうございました。
754名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 02:12:01 ID:DYj54HwP
>>753
GJGJGJ!!!
素晴らしすぎる!
続きが待ち遠しくて眠れません

755名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 15:55:18 ID:9YTXyv0q
かなり待ち遠しいです!
素晴らしいですー!早く投下されることを待ってます!
756名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 22:27:42 ID:1REFJEdL
クリスの顔ぶっちゃったんだ…キレまくってるよマスター(( ;゚Д゚)))
このまま鬼畜に向かうんでしょうか。
どんな結末がふたりを待つんだろう、続き待ってます!
757名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 20:47:51 ID:C4tP73rh
>>753
GJ!!
容赦ない鬼畜マスターって初めてみたカモ
幽霊っつか、より怪人らしいとオモタ

続き待ってます(*゚∀゚)=3 ムッハー!!
758名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 21:35:32 ID:ervpqggV
3ヶ月間、オペラ書きつつじわじわ怒りを溜めてたんだな…
759名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 23:06:39 ID:R1gAmS8s
>735 GJGJ!
もしや599の方ですか?そうだったらお待ちしてました!
そしてまた次回の投下をお待ちしていますor2゛

>742を読んでて思ったんだけど、太后ってエリックの素顔を見て
唯一ビビらなかった(且つ興味まで持った)唯一の女性なんじゃないか
760名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 02:05:36 ID:FdDmBNPF
>753です。
レス下さった方々、ありがとうございました。
続きはいずれ投下しますので、しばらくお待ち下さい。

>759
はい、>599です。
ちょっと躊躇いがあったのですが、レスを頂けましたので投下することにしました。
761名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 23:56:39 ID:xXTpdy1s
ファントム×クリス
既にラブラブという状態
エロは教育的指導
しかも完遂していません
7621/5:2006/04/13(木) 23:57:14 ID:xXTpdy1s
「つまらないわ」
クリスティーヌは楽譜を置くと立ち上がった。
急な用事を思い出したとかでファントムが出かけてから、どれくらい経っただろう?
すぐに戻ると言ったのに一向に帰ってくる様子がない。
「つまらないったら!」
岩壁に叫んでみても、主のいない地下の宮殿は僅かに湖面を波立たせるだけ。

立ち上がったものの特にすることもなく、クリスティーヌは辺りを見回した。
絵や書きかけの楽譜や、用途の見当もつかない何かが、
あちこちに雑然と置かれている。
片付でもしていれば気も紛れるのだろうが、
師はそのあたりのものに触れられるのを好まない。

ソファの背に掛けようとして、ふと思い立って羽織ってみた。
師は確かに長身であるから、もちろんマントは長くて大きい。
裾をずるずると引きずりながら呟く。
「私も"オペラ座の怪人"に見えるかしら」
ファントムのやるように裾を翻そうとして、その重量に思わずよろけた。
バランスを崩しすとんとソファに尻餅をつく。
巻き込まれて動いた空気が、マントに残っていたコロンの香りを帯びる。
クリスティーヌは溜息をついて瞳を閉じた。
(まるでここに、あのひとがいるみたい)
いつもこうやってマントにくるまると、ファントムは後ろから優しく抱き締めてくれる。
力強い腕が腰に廻され、温かい唇が髪に触れる。
そしてそのまま唇は耳朶に移り、低い声が鼓膜を小さく震わせる。
(クリスティーヌ…)
ざわと背中の産毛が逆立つような感覚を覚え、クリスティーヌは息を飲んだ。
胸の鼓動がやけに大きく聞こえ、肌の表面を不穏なざわめきが這いまわる。
(クリスティーヌ)
そしてそのまま、あの指が、首筋から胸、腰、そしてその下へと降りてゆくのだ。
意識せぬままクリスティーヌの手は、いつも師の辿る道筋をなぞる。
7632/5:2006/04/13(木) 23:58:02 ID:xXTpdy1s
「あ…!」
服の上から身体の中心に自らの指が触れ、びくりと背が反る。
その瞬間クリスティーヌは、はっと我に返った。目を見開くと、慌ててマントを肩から落とす。
暴れまわる心臓を落ち着かせるように押さえる。
大きく深呼吸しながらゆっくり顔を上げたとき、そこにあるはずの無い、薄い緑の瞳にぶつかった。
「!!」
声にならない悲鳴を上げ、クリスティーヌは弾かれたように立ち上がる。
真っ赤に染まった顔を背けて走り去る直前、師の大きな手が細い手首を捉えた。

そのままぐいと腕を引かれ、あっという間に後ろから抱きすくめられる。
逃れようと身体を捩るが、全く手足に力が入らない。
「私のマントで何をしていたのかね?」
項をほとんど息だけの言葉が擽る。
「な、何も、ただ…」
「ただ?」
クリスティーヌは涙を浮かべながら必死に首を振った。
「ただ片付けようと思って…!」
「それは寂しいことだ」
腰に腕を廻し、しっかりとクリスティーヌの身体を押さえ込んだまま、
ソファの脇に滑り落ちたマントに視線を送る。
「私のことを想っていてくれたかと思ったのに…ただ片付けようと手にしていただけとは」
意地悪く囁きながら真っ赤に染まった耳朶を噛む。
「私はいつでもおまえのことを考えているのに…」
「違うの…違…」
ファントムは握ったクリスティーの手を彼女自身の胸元へと導いた。
小さな掌が服の上からゆっくりと胸を探る。
「お前は1人でいるとき、私のことなど思い出しもしないのか」
「いいえ、あ、あ…」
7643/5:2006/04/13(木) 23:59:15 ID:xXTpdy1s
手首を掴んでいた男の大きな掌が、少女の掌を包んだ。
「ならば、教えてやろう」
すっと首筋を濡れた舌で舐め上げられ、じわりと下腹に熱が湧く。
熱い液体が体の奥から滲み出てくるのが分かり、
クリスティーヌはスカートの中で腿を擦り合わせた。
「1人のときに、どうやって私を思い出すのかを」
クリスティーヌを後ろから抱えたまま、ファントムはソファに腰を降ろした。

「指を出しなさい。人差し指と、中指と」
言われるままに伸ばした指に男は長い指を添え、そっとスカートを引っ掛ける。
「さあ…力を抜いて」
響く声に誘われるように閉じた足が緩んだ。
大きな手に包まれた小さな手がスカートを膝にたくしあげ、折り重なる布地の隙間から潜り込み
下着越しに湿った布の上から、合わせ目を何度もなぞる。
「いつも私がしているようにやればいい。わかるね?ほら、腰を浮かなさい」
息を荒げ、目を固く瞑りながらも、操られるように腰を浮かす。
男の道具と化した自らの手は、下着を一気に引きおろした。

「こんなところまで零れ出しているぞ」
笑みを含んだ声とともに、男のものではない掌が濡れた腿を撫で上げる。
「…ひ」
溢れる泉の中心に、少女の指先を差し入れてファントムは握った手をじわりと押し込んだ。
「いや…いやぁ…」
小さな水音を立てて、すっかり解けたそこは2本の細い指を易々と飲み込む。
「あぁ…っ!」
「お前の…自分の形、を確かめてみろ」
耳にかかる熱い吐息と言葉。
ざらつく内部の、思いのほか複雑な地形を確かめるように指でなぞってゆく。
指先が窪みや膨らみや襞の存在を探り出すたび、抑えようもなく腰がうねった。
「動かしてごらん…指を、中で」
促されるままに指で自分の内部を押し広げる。
途端に頭まで突き抜けた刺激に、クリスティーヌは息を詰めた。
7654/5:2006/04/13(木) 23:59:56 ID:xXTpdy1s
「ああ、急いではいけない。ゆっくりとだ、ゆっくり…ほら、この指を曲げて」
ファントムの指がクリスティーヌの中指の付け根を擽る。
きゅっと寄せられた眉からクリスティーヌが指示に従ったことを知り、
そのまま柔らかく握ったクリスティーヌの手をゆっくりと引いた。
「ひ…」
曲げたままの指が内壁の上部を引っかく。
クリスティーヌは声を立てて仰け反った。
奥から熱い液体がとろりと溢れ、自分とファントムの手を濡らす。
「いい子だ、次はこんな風に」
ぎりぎりまで引き抜いた指を、埋め戻す。
ぐちゅ、と押し出された蜜が腿を伝った。
声を出すこともできずに、腰に回されたファントムの腕に指を食い込ませる。

「…ここも弄ってほしそうにしているが?」
濡れた掌が緩められ、親指がすっと敏感な突起の上を掠った。
「ああっ!」
鋭い声を上げて頭をファントムの肩に押し付ける。
仰け反り晒された白い喉を満足そうに見下ろし、ファントムは囁いた。
「自分で、しなさい。…できるだろう?」
「い、いや…」
握り締めていた少女の手を放し、顔を遠ざける。
「さあ、ひとりで、するんだ」
少し身を引き、クリスティーヌの様子を伺う。
「1人でできるだろう?私がいなくても、1人で……」
その言葉に、しかし少女は体を強張らせた。

「いや!」
クリスティーヌは激しく頭を振った。
ファントムの放ったのは何気ない一言だったのに
鼻の奥がツンと痛んで、どうしようもなく涙が溢れる。
「ひとりはいや」
「クリスティーヌ?」
「2人でいるのに、1人はいや、なの…」
7665/5:2006/04/14(金) 00:00:45 ID:xXTpdy1s
涙を零しながら男の腕にしがみつく。触れ合っている暖かい胸に、背中を押し付ける。
「ひとりは、いや…」
男の動きがぴたりと止まった。凍りついたような沈黙に、クリスティーヌは身を竦める。
やがて腰に回されていた腕が解かれた。
横にずらすように膝から下ろされる。
そのままクリスティーヌをソファに残し、一言も発せずファントムは立ち上がった。
「あ…」
子供のようなことを言ってしまった。
きっと怒らせたに違いない。
クリスティーヌは俯いた。スカートの上にぽたぽたと涙が染みを作る。
何か言わねば、謝らなければと思うが口を開くと泣き出しそうだ。
唇を噛んだとき、頭の上で、ファントムが感に堪えぬというように呟いた。

「お前の言うとおりだ」
「…あの…」
驚いて見上げた瞳に、師が微笑むのが写った。
「ひとりの必要はない、ふたりでいるのだから…もう1人ではないのだから」
「マスター…」
覆いかぶさるように抱きしめられ、思わず息が止まりそうになる。
「独りではないから…」
「マスター!」
広い背中に腕を回したとたん、腰に手が回りひょいと抱き上げられた。
「きゃ!」
あわててシャツの背を握り締める。
「マスター?」
問いかけるように顔を上げると、ファントムの瞳にからかうような光が浮かんだ。
「1人でないならば…続けるにはこのソファは少々狭くはないかね?」
「あ…」
顔に血が上り、思わず顔を伏せる。
その巻き毛に顔を寄せ、ファントムは低く囁いた。
「寝室でじっくりと聞こう…お前が本当は私のマントで何をしていたのかを…」
「!」
火が出そうな顔で身を縮めながらも、クリスティーヌはファントムの背にしっかりとしがみ付いた。
767名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 00:36:25 ID:kMDond4w
GJ!
ひとり怪人ごっこでマントの重みによろけるクリスかわいい……。
768名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 00:50:27 ID:endZRcLv
おいおい、勘弁しろよ>>766



こんな甘い話で人をときめかせやがって…
萌え殺す気か!
769名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 00:58:27 ID:L5bnusLh
GJ!!GJ!!! ほんとここネ申スレだ
DVD見返したばっかだったから、ファントムの「もう1人ではないのだから」に思わず泣きそうになった
よかったねぇファントム・゚・(つД`)・゚・

こういう終わり方も個人的には妄想かき立てられるので大好きなんだが、
やはり天使の書かれるものも読みたいわけで。

寝室編キボンww ( ・∀・)
770名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 01:47:40 ID:pT9NLbXe
自分も寝室編キボン!!(*´Д`)ノシ
是非とも教育的指導お願いします。

師匠の真似して遊ぶクリスに
今までにない位萌えた…
自分でもびっくり。
771名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 02:28:47 ID:iJPyW6FR
教育的指導と聞くと柔道を連想するワシって・・・
どんな寝技をハァハァ

本スレでもあるが、まじ106先生のMP3のうPキボン
772名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 03:01:47 ID:UzI4uQTm
>>761
GJ!!
素晴らしいSSです!モニターの前で萌え転がってしまいますた(;´Д`)ハァハァ
773761:2006/04/15(土) 10:10:56 ID:DYhP4CE/
読んで下さってありがとうございます。

続けたいけれど、あんまり教育的指導が過ぎると
706氏の「小鳥ちゃんv」になる諸刃のナントカ。
そして亀だが、741氏の「愛のゆりかご」朝っぱらからぐぐって吹いたw
こんなの導入したら、ますます腹上死まっしぐら。
774名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 14:44:08 ID:xV+yaflJ
>771
本スレにうp来てるよ
775名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 15:06:38 ID:iJPyW6FR
アリガト774タン
神音楽聴きながら神SS読めるなんて幸せ
776名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 15:12:31 ID:WmgeINYV
人大杉でみれない…
777名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 00:45:59 ID:sOYXA8yO
本スレが微妙に荒波立ってる…
誰だSS読めるなんてカン違ったアフォは。
778名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 00:55:21 ID:X7foiMWR
いつココの名前がでるかとビクビクしてる…
779名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 01:10:46 ID:30o4K+CV
本スレもう大丈夫みたいだな。自分も今NWWに落とせて感動してる。
106先生もここの住人だったらいいな
780名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 11:52:01 ID:S7EKgbyD
本スレって何処ですか?
無知ですみません・・・
781名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 12:16:42 ID:QWsHeT0H
>780 オペラ座の怪人でぐぐってみるとでてくるかもだぜ?
782名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 13:04:37 ID:0UVaZ8eN
思ったより住人かぶってないのか。
783706:2006/04/16(日) 18:19:02 ID:NEknDVMc
投下します。
ギャグ、エロ有り。「愛のために死す」後日譚です。
基本はファントム×クリスティーヌ
フィルマン、ラウルも登場。2人のファンの方、申し訳ございません。
スーザン版「ファントム」ファンの方にもお詫びします。
そしてもちろん、ファンクリ愛!の皆様、申し訳ございません。
全部で9レス分あります。
784ファントム残日抄 1/9:2006/04/16(日) 18:21:49 ID:NEknDVMc
ここはオペラ座地下深く、昼なお暗いファントムの宮殿である。クリスティーヌは稽古で
いない。だからという訳ではないが、ファントムはくつろいで次作の構想を練っていた。
彼はオペラ座と契約を交わし、オペラ作家になっていたのだ。いつの間に――?

細かいことを問うてはいけない。ここは『ご都合主義』が支配する、何でもありのエロパ
ロ界。シャンデリアも落下せず、ブケーもピアンジも健在である。ジプシーの親方を殺っ
た罪など、とうの昔に時効であった。しかも愛しい天使は彼にぞっこん――ファントムは、
我が世の春を謳歌していた。

「己が人生にかような幸せが訪れようとは、考えてもみなかった。ふっ……」
湿った感慨を独りごち、彼は皮肉な笑みをおもてに刷いた。そうでもせねば、頬が緩みっ
ぱなしになるのを止められない。
だが、長年しみついた独り語りの癖だけは、いまだ残っているようだった。

オペラ座厨房から届いた食事をすませ、彼は濃い色の薬酒を口にする。さよう、契約条項
には、厨房からのケータリング・サービスも含まれていた。彼の手にかかれば、ブリア・
サヴァランも礼讃したであろう美味なる馳走など、お茶の子さいさいだが、まずは完全復
活が最優先である。
それにしても、いささか小癪ではあるが、この契約をまとめ上げたマダム・ジリーの辣腕
には、ファントムも脱帽せざるを得なかった。ただし取るのは帽子のみ。今や彼は、名実
ともにオペラ座の『座付き作家』となっていた。無論、家賃もタダである。

やや癖のある甘みを持つ養○酒は、三度の食後に欠かせぬファントムのお気に入りである。
極度の消耗からあわや冥界の入り口へと追い込まれ、棺桶に片足を掛けていた彼へ、あま
たの大和撫子から思いもよらぬ差し入れがあったのだ。
この薬酒のほかにも、蝮ドリンク、スッポン、うなぎパイ、チョウザメの卵、おくら納豆&
やまいも、etc...  心優しきジャポンの乙女たちの熱き激励に、彼は溢れる涙を禁じ得な
かったものである。

真心からの――と彼が信じる贈り物で死の淵から生還を遂げ、順調な回復途上にある今、
ファントムは残り、あるいは追加注文したものを棺桶ベッドにしまい、クリスティーヌの
目の届かぬところに秘匿していた。銀幕には映らなかったが、原作より継承されてきた由
緒あるベッドは、確かに存在していたのだ。
冬へ向け、スッポンは秘密の生け簀で今日も元気に泳いでいる。すべては有事への備えで
あった。彼は経験から学んでいた。いつまた『愛の嵐』が襲ってくるか知れないと。なお
かつ、如何なることがあろうとも、これらをチャンポンに摂取してはならないと。彼の危
機管理能力は、余人の追随を許さない。
785ファントム残日抄 2/9:2006/04/16(日) 18:24:10 ID:NEknDVMc
このところ愛しい天使は、さかりのついたサル状態――いや、官能の炎(できれば「ほむ
ら」と読んでいただきたい。エロス度が上がるように思えるからである)もやや鎮まった
とみえ、ファントムは日に二度のお務めを無難にこなしている。目元の隈も、ほとんど目
立たぬまでに薄れていた。
ハ○クも真っ青の、超人的な回復力である。繋がれていた運命の鎖を引きちぎり、愛と幸
せに満ちた人生を自らの手で掴みとった彼ならばこそと言えよう。
だが超人であり、この宇宙の神秘をすべて捕らえていた筈のジーニアスも、女体の神秘に
だけは疎かったのである。

「彼女の情熱は、何らかのバイオリズムと関係があるのやも知れぬ……」
お得意の独り語りをしつつ、ファントムは今日も届いたジャポンからの荷物を開ける。
「……『愛のゆり○ご』……?」
大きな箱には、二つの座席が向かい合わせになった、電動式と思われる不可思議な形状の
装置が収まっていた。枠のパイプが蝋燭の光を反射して、未来的な輝きを放つ。彼は説明
書を読み始めた。日本語解読など、彼にとっては赤子の手をひねるが如し。――無論、こ
れも比喩である。

「……ふん、くだらぬ。この私に、高齢者向きの補助具など無用の長物。片腹痛いわ!」
送り主は、精力増強系の薬品を専門とする『赤ひ○薬局』の地図を送ってきた人物と同じ
である。この小娘の差し入れだけは、なぜか素直に喜べなかった。
彼はいまいましい機械を湖へ蹴り込もうとしたが、ふと思い直し、棺桶ベッドにしまった。
薬局の地図とともに。
「万が一ということも、あるからな……。捨てては環境汚染に繋がるやも知れぬし……」
胸にきざした一抹の不安を、巧みにすり替えるファントムであった。
786ファントム残日抄 3/9:2006/04/16(日) 18:26:24 ID:NEknDVMc
ふと新しいリズムが閃き、ファントムは立ち上がった。腰回りがいまだ緩いため、近頃は
ズボン吊りを愛用している。シャツにズボンという軽装の彼は、両の親指をズボン吊りに
掛け、鏡の前で軽くステップを踏んでリズムを取った。タン、タン、タタン……。なんだ
かちょっと小粋である。ひと回り以上は細くなった身体も、へこんだ腹も、軽快さをいや
増している。

「……このままの体型を保つか……」
数カ月前にはデバラなどと陰口を叩かれたのが嘘のような、惚れ惚れする男伊達である。
彼はさらに靴音を立て、リズムを刻んでみた。タン、タン、タタン、タン、タタン……。
作曲だけでなく、踊りの振り付けもイケそうである。
「このダンスには、クラヴァットより蝶タイが合いそうだな……」
ファントムは独りごちながら、自身が出演する気になっていた。はからずも登場した『勝
利のドン・ファン』では、初めは戸惑っていた淑女たちも、しだいに眼差しが艶めき、熱
い吐息を洩らしていたのが思い出される。その後には、全世界から読み切れぬほどのファ
ンレターが届き、彼は己がフェロモンとオーラの威力を初めて知ったのだった。

「顧みればクリスティーヌの愛を得られたのも、あの自作自演のおかげかも知れぬ……」
今はアブない意味を持つ言葉を平然と用いているのは、ファントムが十九世紀の人間だか
らであろう。愛しい天使の妖しい眸、濡れた唇、蕩けるような表情を思い出し、胸の鼓動
が速くなった。その後に、あの狂おしくも疲労困憊の日々が訪れた訳ではあるが。
ちなみに、受け取ったファンレターは棺桶ベッドの底にしまってある。いや、他意はない。
決して、ない。――あのオペラの展開が如何なるものだったか、それは読者の想像におま
かせしよう。

靴音を生かすため、底に硬いものを付けてみようと思いつき、ファントムはある置物の台
座を利用することにした。鈍色に光るあの彫刻は、金属製だったのである――本作の世界
では。置物の鷲が目に入り、彼は忌まわしい記憶を消し去るように頭を振った。
一部のうつけ者の間では、この台座の彫刻が鰹節に見えるだの、ハゼの甘露煮に見えるだ
のと愚劣な噂もあるようだったが、馬鹿げた話である。
「ふん、芸術を解せぬ痴れ者どもが……!」
だが、ある角度から台座を眺めた時、彼の横隔膜はにわかに痙攣し始めたのだった。

いずれにせよ、この置物にはろくな思い出がない。ファントム的には予想だにしなかった、
愛しい天使の仮面剥がしに _| ̄|○ 状態で涙に暮れたのも、この場所であった。あまつさ
え、置物をこのまま放置しておけば、いつなんどきクリスティーヌがあらぬ妄想に囚われ
るか、分かったものではない。
ファントムは手早く台座の一部を削り取り、置物ごと今度は湖に蹴り込んだ。

「Adieu... 荒鷲……」
鈍色の彫刻は、ゆっくりと水中に沈んでいった。彼の忌まわしい記憶とともに――。ここ
は膝にも届かぬ水深だなどと思う者は、彼のキック力を知らぬのであろう。荒鷲は遥か彼
方まで飛翔し、そして水没したのだ。ファントムは蹴球にもかなりの冴えを有していた。
787ファントム残日抄 4/9:2006/04/16(日) 18:28:43 ID:NEknDVMc
彼は器用な手つきで金属片を靴のつま先、かかとに装着した。史上初のタップチップ誕生
である。ジーニアスは常に時代を先取りしていた。欧州にも伝わり始めた軽快なダンスを
オペラに取り入れるまでに。これぞ新機軸――?
これはひとえに、彼の身体が身軽になったためであろう。有り体に申さば、筆者の頭にフ
ァントムのタップ姿が降ってきたからにすぎない。

とにもかくにも、ファントムはやる気満々であった。脳裡には、愛しい天使と二人でタッ
プを踏む姿が、白昼夢のように浮かぶ。トップハットにテイルコート、そしてステッキ、
胸元は小粋な白の蝶タイ、締めはもちろん、全世界の女性を悩殺した、あの『ドン・ファ
ン』仮面。
「クリスティーヌにも似合いの仮面を作ってやろう。作品名は『アンコール・マスカレー
ド!』とでもするか。前回は彼女との踊りは叶わなかったからな……」

独り語りはますます冴え渡り、ファントムは横に仮想・クリスティーヌを立たせ、タップ
の振り付けに余念がない。肝心の音楽はどうなっているのか? 無論、彼の脳内には、凡
百の徒には伺い知れぬ、至上の旋律が鳴り響いているのであった。
「ジンジャー&フレッドも顔色なからしめる、華麗なタップを披露せん……!」

注) ジンジャー・ロジャース&フレッド・アステアを知らぬ者は、お母さんかお祖母さ
んにでも聞いてみよう。時代性を懸念する必要などない。『二十一世紀の性革命』を標榜
する電動○ックスマシーンさえ登場する本作なのだ。

つい力が入りすぎたか、いささかの疲労を覚え、ファントムは温泉へ向かった。さよう、
彼が掘り当てた『オペラ座の湯』である。無理は禁物、今夜もお務めが待っているのだか
ら。湯に浸かりながら、フィルマンとの会話が甦る。

「先生、この温泉はいけますな。『オペラ座レジャーランド計画』の目玉となりましょう。
無論、先生へは温泉権料に加え、入湯代からの歩合もお支払いいたしますとも。この辺り
で如何かと……」
五つ玉の算盤をぱちりと弾き、フィルマンは言い添えた。
「ただし、今回の契約はマダム・ジリー抜きで……。無駄なマージンは省くのが宜しいか
と……」
「ふっふっふっ……、フィルマン、お主もなかなかのワルよのう……」
すかさずファントムは、算盤の玉をひとつ上げた。
「い、いや、それは厳しい。……いいでしょう、先生には今後もお世話になりますからな」
「では、よしなに……」
788ファントム残日抄 5/9:2006/04/16(日) 18:30:29 ID:NEknDVMc
事業拡大計画に加えて新作の構想もまとまり、彼の五体に心地よい満足感が拡がる。
「タップチップ用のアルミ合金も、フィルマンに用意させよう。クズ鉄屋のあいつには似
合いの仕事……」
アイディーアルな思いつきを独りごち、ファントムの唇が皮肉げに歪んだ。
と、その時――。

「ただいま、マスター」
彼の愛する天使の声が、ほの暗い巌屋に谺する。
いかん! いかん! いか〜〜ん……!!
あれ以来、ファントムの体力を考慮して、楽屋裏へのお見送り・お出迎えは免除されてい
たのだが、それにしても迂闊だった。身体をふく暇もあらばこそ、彼は腰にバスタオルを
巻き付け、船着き場まで馳せ参じた。水もしたたるデンジャラスな男っぷりである。

「おかえり、クリスティーヌ、愛しい天使……」
「まぁ、マスターったら……、もう臨戦態勢でいらっしゃるのね、うふ……」
「う……む、むぅ……!」
危うく息の詰まるような口づけをされかかる。
「ま、待て……! モチツケ、クリスティーヌ、新作の構想がまとまったのだ。早速だが、こ
れからレッスンをしよう……ぜぃぜぃ」
「わあっ、楽しみぃ〜!」
なんとか彼は、クリスティーヌの興味を他へ向けることに成功した。バスタオルを剥ぎ取
られぬよう片手で押さえつつ、愛しい天使の手を引いて奥へと進む。初めて彼女をここへ
連れてきた時のように――。いささか格好が様にならぬのは、この際いたしかたない。

「あら? マスター、ここにあった荒鷲さんの置物は……?」
「その言葉は忘れなさい。あれは、ちょっとした作業に使い、処分したのだ」
「え〜〜〜、クリス、あの荒鷲さん、大好きだったのにぃ……」
「だから、その言葉は忘れるのだ。……いずれ、もっと良いのを用意してやるから……」
「は〜い……」
疑うことを知らぬ愛弟子の単純さ、いや、素直さに助けられ、なんとかファントムは第一
関門をクリアした。だが『荒鷲』という言葉を口にした時、彼女の眸に揺らめいたものに、
彼の背中を冷や汗が伝う。彼女の情熱バイオリズム曲線は、再び上昇傾向にあるのだろう
か――? 
789ファントム残日抄 6/9:2006/04/16(日) 18:32:11 ID:NEknDVMc
「クリスティーヌ、靴を貸してごらん。今度のダンスにはひと工夫があるのだよ」
素早く衣服・仮面その他を身につけた彼は、恋人の靴に新発明のタップチップを装着する。
跪いた彼の腿には、天使の素足が乗っている。彼の肩に掴まって、天使のつま先がにじに
じと前進してきた。さよう、ファントムの休息中の荒鷲へ――。
「あれあれ……、クリスティーヌ、おいたはいけないよ」
かろうじて余裕の態度をとり繕い、彼は愛しい天使の情熱攻撃を阻止した。もはや曲線の
向きは疑う余地もないようである。
……タップのレッスンで、うんと彼女を疲れさせねば……。

タン、タン、タンタンタン、タタッ、タタタッ、タン、タタン……。筆者の筆では描写し
きれぬ、軽快かつ新機軸のリズムが巌屋に響く。基本だけを模範演技してみせたファント
ムは、椅子に座って恋人へのレッスンを続けた。無論、体力温存のためである。
「うふん……、とっても楽しいわ、マスター」
愛しい天使は息も乱さず、早くもタップをものにしていた。小ぶりながら形の良い美乳が、
リズムに合わせて躍動する。失いかけていた劣情が、彼の下腹部をちらと疼かせる。
……メグ・ジリーに踊らせるのも、いいかも知れぬ……。

「ねぇ、マスター、トップハットも素敵だけれど、ストローハットも合うんじゃなくて?」
……ストローハット……カンカン帽……フレンチ・カンカン……。
彼の脳裡に、年代を無視した艶やかな妄想が浮かび上がる。オペラ座の踊り子総勢が、ス
カート振り振り伸びやかに脚を高く上げる様が――。だが、彼は思い直して頭を振った。
「いや……、このオペラ座には斬新に過ぎるな……」
「え、なーに? マスター」
「何でもない……。衣裳については、改めて考えよう」
順調な回復をことほぎつつも、威厳を失いかねぬ迂闊な独り語りを、厳に戒めるファント
ムであった。
790ファントム残日抄 7/9:2006/04/16(日) 18:33:54 ID:NEknDVMc
そして今宵も褥へと――。
「ふぅ……ん、あ…あぁ……、ああぁ……あぁっ、いぃぃ………うぅ…ん……」
バックを取ったファントムは、舌を這わせ指を蠢かし、懇切丁寧に愛しい天使を攻めたて
る。先手必勝がカギである。くちゅくちゅぴちゃぴちゃ、あんあんうんうん、彼の天使は
全身くまなく愛撫され、恥ずかしい水音やら淫らな喘ぎ声やらを上げ立てまくり、何度も
何度も昇天する。

『指先の魔術師』ファントムの面目躍如といったところか。彼の指使いには、ショパンも
リストも裸足で逃げ出すであろう。
……歓喜の声なぞ、己が舌と指をもってすれば、いくらでも上げさせてみせるわ。『愛の
○りかご』何するものぞ……!
彼はぷりんとした臀をおもむろに動かし、胸中で自信に満ちた独り語りを呟いた。無論、
最終兵器の『囁き声』も使いどころを過たぬ。

「さあ、クリスティーヌ、腰を上げてごらん……。そう……びしょびしょに濡れているじ
ゃないか……」
「いやん、マスター……、クリス、恥ずかしぃ………あ、あぁぁ……」
今さら何が恥ずかしいのか知れないが、ファントムが繰り出す耳元への『囁き攻撃』に、
愛しい天使は腰を捩って身悶える。猛った荒鷲を突き上げると、柔肉の襞目がもじもじや
わや……(前作と同じ)。伝家の宝刀は最後に抜くのが常道というもの――。

「あ…あぁ……あぁっ……、ふぅ……ん、はぁ………は…はぁっ……!」
使い回しのひときわ高い喘ぎ声を上げ、ファントムの天使は今夜いくど目かの絶頂を迎え
た。彼もまた、前作と同じく搾り取られるように己を解き放った。房事の前のドリンク1本
は、今も欠かせぬファントムの必須アイテムである。

レッスンの効果もあったのか、さすがの絶倫天使もノックダウンし、そのまま眠ったよう
だった。今夜のミッションを無事完遂し、困憊しながらも彼は最後の仕上げを怠らない。
すなわち、着込んだ下着の紐をしっかり結び、寝間着のボタンをいちばん上まで留めるこ
と。完全武装したファントムは、快いというにはやや過ぎた疲れに身を委ね、気を失うが
如く眠りに引き込まれた。
791ファントム残日抄 8/9:2006/04/16(日) 18:35:29 ID:NEknDVMc
――明けて翌朝。
「じゃあ、マスター、行ってきま〜す!」
疲れ知らずのタフな天使を見送ると、ファントムは朝のお務め後の○命酒を傾ける。十時
のお茶にはうなぎパイも欠かせない。
「そろそろ、ジャポンへの追加注文をせねばな……」
などと独りごち、新作に取りかかろうとした、その時――。
罠の発動を知らせるチャイムが巌屋に響いた。すでに仕掛けも解除してあった筈なのだが、
いかなる事態か? 訝りながら、彼は地上への階段を辿る。カッ、カツーン、カッ、カツ
ーン、カッ、カツーン……、靴に付けたタップチップが、この場にそぐわぬ軽快な音を立
てる。

階段の中ほどでファントムは立ち止まった。例の切り穴が開いている。水牢でもがいてい
るのは、性懲りもないあの男であった。
「ファントム! た、助けて〜〜〜!」
「経験から学ばぬたわけ者めが! 『工事中』の立て札も目に入らぬとは……!」
「気付いてたけど、足許がふらついて落っこっちゃったんだよぅ〜、……あっぷあっぷ」
……ふらついた? その言葉と、妙にやつれた男の様子が気になり、彼は久しぶりの縄術
を用いた。

シュルッ!
男が落ちたと同じく不可思議なマジックをもって、彼はいまいましい天敵を鉄格子の下か
ら吊り上げた。
どさっ、ムギュッ!
「お、重い……、ええい! その身体をどかさぬか!」
支えきれずによろめき倒れたファントムに、男の身体が重なったのだ。数字板風味の萌え
要素など皆無の、荒い息遣いが二人の男から上がる。
792ファントム残日抄 9/9:2006/04/16(日) 18:37:19 ID:NEknDVMc
「ぜぃぜぃ……、ラウル・ド・シャニュイ、随分とみすぼらしい姿で、何用だ……!」
傲然と言い放つファントムに、頬もこけ、目元の隈も痛々しいラウルが、力ない声音で答
えた。
「ぼ、僕は、とても荒鷲さんにはなれない……。クリスティーヌは諦める。いや、のしを
付けて君に進呈するよ……」
「その言葉は使うな! ……い、いや、今なんと言った?」
「だから……、僕の小鳥ちゃんは、彼女の求めに応えきれなかったんだ……」
「#%&$?¥@………!!! き、貴様もクリスティーヌの毒牙に…、いや、彼女と致した
というのか……!」
「このところ、君とは日に二回しかできないからって……。君はすごいなぁ、ずっとお務
めを果たし続けているんだね。とても真似ができないよ……。僕はただのパトロンでいい。
いや、そうさせて欲しい! それを君に頼みにきたんだ……」

……クリスティーヌの純潔は、私だけのものだと思っていたのにぃ〜〜〜〜!

_| ̄|○ ○| ̄|_

大の男が二人して、ツラ突きあわせて落ちこみ合う――、描写するのも厭わしい光景であ
る。こんな時、顔文字の効用を絶賛せずにはおれない。
ファントムはゆらりと立ち上がると、ラウルの臀を蹴り上げて水牢へ突き落とした。再び
水中でもがく男を冷然と見下ろし、吐き捨てるように言い放つ。
「This thing...、貴様はそこで勝手に溺れておれ……!」

心配は無用、『オペラ座・アドベンチャー・ツアー』用に改造なった水牢は、一定時間の
後に、愚か者ごと『オペラ座の湯』大浴場へ流れ込む仕掛けになっているのだ。社会復帰
を遂げたファントムは、憤怒に駆られはしても、金づるを殺めたりはしない。

といえども、彼の受けた衝撃は、なまなかのものではなかった。もはや新作どころの騒ぎ
ではない。
「……いくらテクを駆使したとはいえ、日に二度のお務めで事足れりとした己が愚かであ
ったか! いっそ別シリーズの如く、あやつを1行で事故死させておくのだった……」
血を吐くような慟哭が、彼の口から洩れて出る。
……い、いや、少なくとも私は、彼女の最初の男! そして最後の男たらん……!
拳を握りしめ、唇をわななかせ、ファントムは熱き決意のほどを心中で表明するのだった。

マントをばさりと翻すと、彼は階段を降りていく。カ、カツ……ン、カ、カツ……ン、カ、
カツ……ン……、軽快たるべき靴音の響きも、今は鈍い。あたかも彼の胸中を物語るかの
ように。
「……『愛のゆり○ご』の説明書を、もう一度読んでみるか……」
悲愴な呟きを残し、ファントムの孤影が闇に消えていった―――。


<終わり> 
793783:2006/04/16(日) 18:39:32 ID:NEknDVMc
以上です。読んでくださった方、ありがとうございました。
冗長になり、途中で疲れてしまったため、いささか尻切れとんぼ気味に
なりました。申し訳ございません。ファントムの新作の件は忘れてください。
794名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 19:59:12 ID:ktHoDzOK
ラウルギブアップw
若いのにこれじゃ、やはりマスターの行く末は腹上死しかないな。

しかし、愛のゆり(ryは、それだけはwww
ってか、クリスがロデオマシーン状態になっている図しか
浮かびません…
795名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 20:52:35 ID:ppcIp01l
『オペラ座の湯』実現キボン(;´Д`)
あれやこれやの怪しげな効用がありそう
パリの深層地下水は温かくてそれを利用した温水プールが幾つもあるって聞いたことありますが

ジンジャー・ロジャース&フレッド・アステア、知らないのでググってみました。
ちょwwwwwwwwwwwwうちの親も生まれてない年代じゃないかwwwwwwwwww
793さんの凄まじい博識さのモトが何となく分かったような・・・
796名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 21:32:29 ID:Nby00wR4
読んだ途端爆笑が抑え切れませんでした。外出先じゃなくて本当によかった。
投下発見が夜中じゃなくてよかった。ご近所迷惑になったに違いないです。
天使様、新たな呪いをありがとう。

>大の男が二人して、ヅラ突き合わせて
に見えて読み返しました。
AAもそれっぽいなとか本気で思った。


そして706様、赤ひげとかゆりかごとかいろいろバラさないでwwwwww
797名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 22:32:37 ID:3+jrEVxR
>>783
映画本編より面白いかも。オペラ座の湯ワロス!
腹筋がねじれそうなSSをありがとう天使様!

ところでエンジェルス・イン・アメリカのDVDに、パトリックの小鳥ちゃ…もとい
ナニがしっかり映ってるね。いや真面目なシーンなんだけど。
正直ドラマそのものより最もインパクトがあった。
798名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 23:24:22 ID:NPya5fxH
>>783
すごいことになってんなw
ちなみに養○酒は食後ではなく食前に飲むのでありんす。
にしても面白かった。
799名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 01:09:32 ID:19f0avnl
面白すぎるよ天使様……www
そしてまた腹上死への階段を一歩上がるマスター頑張れ。
800名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 01:28:40 ID:UXQI7PQn
わーい おいらの差し入れもはいってる〜w

超gj!なんという面白おかしさ。
なんだか意味がわからない部分もあったけど
また1週間頑張れますw
サンキューー天使タマ
801名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 11:08:30 ID:GwxOnKff
細かいトコだが
>ただし取るのは帽子のみ
が妙にツボに入ったwww腹イタwww
802ペルシャにて。:2006/04/17(月) 19:30:53 ID:6z2V2YKG
エリック×女奴隷
いつぞやの続き。遅くなってすいません。
本番あり。鬼畜風味。
全部で4レス。やっと完結。携帯からなので投下速度は平にご容赦いただきたく。
803ペルシャにて。:2006/04/17(月) 19:33:39 ID:6z2V2YKG
 獣じみた欲望に支配されたまま、女奴隷を寝具へと押し倒す。
「…お前は私の顔を見たくないのだったな…」
 小さな身体をひっくり返し、うつ伏せの身体を押さえつけ、腰を掴む。
「エリックさま……エリックさま、まだ…!」
 女奴隷の言葉を無視し、潤いきっていないそこに己をあてがう。
恐怖だろうか本能だろうか、私の下から逃げようとする女奴隷を、私は一気に貫いた。
「っ…!? あああぁぁぁああっ!!」

 熱い。柔らかい。感じた事はまずこの二つだった。
潤いきっておらず、軋むように私の侵入を受け止めるそこは、まさしく未知の領域。

口でされているときとはやはり違う、温かさと狭さ。
その幼肉を割り、最奥まで突き進む。
私と言う楔を打ち込まれた女奴隷の表情は見て取れないが、小さな手がきつくシーツを掴んでいる。

「くぅ…、うっ…」
 小さく呻いて身体を震わせる女奴隷の蕾は私で完全に押し広げられ、行く筋か血を滴らせている。
これが、自分には叶うことの無いと思っていた肉の悦びか…。
他人の温かさとは、思っていたよりもずっと心地良い。
逸る気持ちに突き動かされ、私は腰を動かし始めた。

「うぅ、っ……ぐ…っ」
 私が内壁を擦るたび、女奴隷がくぐもった声を上げる。
だんだんと速度を上げてゆくと、女奴隷は声を上げる事もしなくなった。
痛みを堪えるためだろうか、女奴隷が腹で息をするたび、私をきつく締め上げる。
804ペルシャにて。:2006/04/17(月) 19:35:36 ID:6z2V2YKG
「先程私の仮面を外す事を拒まねば、お前はこんな思いをすることも無かったのだ
…」
 女奴隷は何も言わない。
その顔を覗き込んでみると、シーツを噛み、必死で声を立てないようにしている。
「そこまで、私が嫌か…!」

 私の中にまた憤怒の炎が燃え上がる。
だが、どんなにこの娘が私の事を厭おうと、この娘の命は私の手の中にあるの
だ―――!
怒りに任せ、まだ脂の乗り切っていない尻に、思い切り腰を打ち付ける。
「んぅ! くぅ…っ!」
 私が女奴隷の最奥を突き上げるたび、苦しそうな声を上げる。
最初は軋むように滑りの悪かったそこも、血などで随分と滑りがよくなってきていた。
己の先端にこりこりとした子宮口を感じながら、尚も激しく突き上げる。
そのうち女奴隷の髪から簪が抜け落ち、豊かな黒髪が背中へと広がった。

「お前の所有者はお前自身でなくこの私なのだとよく覚えておくがいい!」
 少し波打った黒髪を掴み、身体を無理矢理反らせる。
「あ、ぁ……エリック、さ、ま…!」
 すすり泣くように女奴隷が私の名を呼んだ。
「お前は誰のものなのか、言ってみろ」
 髪を引き、顎を上に向けてやる。
だが、女奴隷は苦しそうに喘ぐばかりで、何も言おうとはしなかった。
私は女奴隷の左の尻を、思い切り平手で打った。
「ああぁっ!」
 女奴隷が悲鳴を上げ、より一層私を締め付ける。

「お前は、誰のものだ?」
 もう一度問いかける。
女奴隷は喘ぎながら、途切れ途切れに呟いた。
「…わたくしは……わたくしは、エリックさまの物でございます…」
805ペルシャにて。:2006/04/17(月) 19:37:08 ID:6z2V2YKG
 泣いているのか呻いているのか解らない女奴隷の尻を幾度か打ち、中の動きを楽しむ。
ほんの一時前までは優しくしてやろうと思っていた相手に、よくこんな仕打ちができるものだと自分でも思う。
だが、どれだけ女奴隷を痛めつけても気がすまないほど、私の暗い炎は燃え滾っていた。
この悪魔のような癇癪に流されるまま、今はただ欲望に従っていたい。
私を拒んだからいけないのだ。私の醜い顔を拒んだから―――!
本当に愚かな娘―――。

「苦しいか」
 問いかけても答えは無い。
すすり泣くようなかすかなうめき声しか女奴隷が口にする事はなかった。

「お前がどれだけ私を嫌おうと、所詮は無力な小鳥に過ぎんのだ」
 それでも、私の顔を見せずに抱いた事は、唯一の優しさ。
怯えた女奴隷の目を見るのが、嫌だった。
「お前はもう私から逃げられん。それこそ私が飽きるまで、な…!」
 初めての快感が背筋を撫でる。
頭の中が白く弾けてしまいそうだった。
無我夢中で女奴隷の腰を掴み、激しく己を打ち付ける。

「エリックさま……エリックさまぁ…!」
 女奴隷が泣くように私の名を呼んだ。
その声音が耳をくすぐり、私の劣情に追い討ちをかける。
私はついに耐え切れず、女奴隷の小さなそこに、欲望の全てを解き放った。
806ペルシャにて。:2006/04/17(月) 19:38:21 ID:6z2V2YKG
 寝具にぐったりと横たわる女奴隷を尻目に、私は着衣の乱れを直した。
女奴隷の蕾からは血の混じった私の欲望が溢れ出て、珈琲色の肌との対比を成している。
涙で化粧など全て落ちてしまったであろう顔は、髪で隠れて伺うことはできない。
時々すすり泣くような声が聞こえるが、それはただ耳障りなものにしか過ぎなかった。

「今後良く覚えておくがいい。お前の命は私の手の中にあるのだと」
 そう言い放っても、女奴隷は何の反応も返そうとはしない。
「逃げようなどとは考えるな。そうでなければ好きにしていい」
 どうせ女の身でここから逃げ出せるわけも無いが。
私を嫌いきっている相手でも、ぬくもりを分かち合えた事がほんの少しだけ嬉しかった。

「お前がどれだけ私を嫌おうと―――それでも、お前は私のものになったのだ」
 何も言わない女奴隷に背を向け、私は部屋を出た。
途中で機嫌の悪い私に出会った哀れな下男に言付けをする。
あの女奴隷に湯浴みをさせて薬と食事を与えてやるように、と。

 叶うことの無いと思っていた欲望が満たされたはずなのに、嫌な虚しさだけが私の心を満たしていた。


<終>
807ペルシャにて。:2006/04/17(月) 19:39:33 ID:6z2V2YKG
以上です。一応の完結。
お読み下さった方、ありがとうございました。
808名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 20:14:37 ID:LgpG0teM
>>807
携帯からの投下、大変乙でした〜
荒々しいエロエロご馳走様でした(;´Д`)ハァハァ

えっ、これで完結( ゚д゚)ポカーン
ほんとに色んな意味で鬼畜ですね_| ̄|○
エリックよ、アフターケアもちっとしてやってくれ○| ̄|_ 続編キボンヌ・・・
809名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 22:50:50 ID:oB/INRg6
>807
GJ!
女奴隷タンはエリックが好きなんだよね?
後日、誤解が解けてふたりが甘々なエチーをするってことはないのかね?
810名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 23:14:54 ID:JHG+5zKY
身体は満たされても心は満たされないエリックGJ!
>私を嫌いきっている相手でも、ぬくもりを分かち合えた事がほんの少しだけ嬉しかった。
↑これ、切ないなぁ…

いや、ホント、女奴隷タンに独白の内容しゃべらせてあげて!
811名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 23:22:52 ID:IpMqyKiu
エリックと女奴隷のハッピーエンドってもしかしてまだない?
完結とされていますが、よかったら本当続き待ってます。
いつになっても良いですから
812名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 00:13:08 ID:aXiXgk/2
私はこのまま完結にしておくほうがいいなぁー。
どちらに転ぶか色々考えさせてくれるから。
無理に続けなくっても、これでも充分。
813名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 09:49:27 ID:HIcN+Eu6
>807
切ないお話だあ。天使さま、携帯からGJ!
私もこのまま完結の方が想像の余地があっていいかなと思う。

>793
ちょwwww
笑死にさせられるかと思ったじゃないか!
クリスはエンジェルっつーより、カラミティだなw
814名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 10:42:56 ID:UdiB5ceF
>807 GJGJ!
お互いに片思い、すれ違いが悲しい。
鬼畜エロエロなだけに、余計に。
本当にエリックは、嫌悪以外の他人の感情に
疎いというか、鈍感というか、慣れてないというか…

>813 カラミティ=疫病神か。
女奴隷の天使さまのアンチモンとか、
ジンジャー&フレッドとか、具ぐれば賢くなれるスレ。
…愛のゆり○ごとか、オ○ガスターとか、
ドン・ファンはあるがファントムはないのか?とか
具ぐるの履歴を見られたら、死ねるw
815名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 12:42:12 ID:4ndkX17H
続くかどうかに各論出てるな…
自分は続き希望した一人だが、その理由を自己分析してみた
このスレの他のSSは殆ど綺麗にオチがついているから、それに慣れちまったのかなと
そう思い当たってから、このSSはこのままでも良いし、続くかどうかは天使様の意のままに…と今は思う

ただ一つだけ、事後の奴隷っ娘の感想も読みたかったな
エリック氏ね、しか無いかもだがw
816名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 13:34:22 ID:hKqW38fB
>814
おいらジンジャー&フレッドは好きだけど、
ファントム先生が作曲しているのは「足長おじさん」のような気がするw
これは相手役がレスリー・キャロンなんだよね。
アステアと先生はヅラ仲間っ♪
817783:2006/04/18(火) 16:53:25 ID:YeHZk8YF
感想、ありがとうございました。お礼が遅れて申し訳ありません。
798さん、養○酒は食前ですか! すみません、飲んだことがないもので……、メモメモ。
795さん、私もジンジャー&フレッドと同時代人ではありません。
いくらなんでも……。_| ̄|○
『ザッツ・エンターテインメント』やグー○ルでの調査結果なので、そこのところ、
宜しくお含み置きください。(・∀・)
816さん、アステアはヅラでしたか! メモメモ……ハッ、何のために?

なお、『愛のゆ○かご』を使用する予定はありません。
818名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 17:07:10 ID:cfzRiEow
>>807 GJ!
実は奴隷タソを大事に思っている、
でも手荒く扱ってしまう先生が哀しかったよ・゚・(ノД`)・゚・
奴隷タソはこの先何度も先生にやられるんだろうが、そのたびに先生を
愛せばいいとオモ
続きはあってもなくても、大満足だ

819名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 23:01:02 ID:EBTFDZZH
>811
第3幕801氏のssは、ハッピーエンドと言ってよいと思う。
つか、あのふたりの再会編が読みたい……。
820名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 00:30:58 ID:xyARPEig
すばらしいペルシャモードの最中、投下してもよいでしょうか?
821名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 01:24:37 ID:ppX+pNge
ぜひともお願い!!!
822名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 01:27:18 ID:YSPJU33j
820さん、ぜひ投下して〜! or2" or2" or2"
823820:2006/04/19(水) 02:30:03 ID:xyARPEig
レスくださったお二人、ありがとうございます。
今気づいたす_| ̄|○

投下します。
>>452 続きです。
824机上編 1/6:2006/04/19(水) 02:33:04 ID:xyARPEig
私は、いつものように机に向かい、クラヴァットを弛めながら対の椅子に腰掛けた。
ルイ=フィリップ様式のこの机は、暗い茶色の、木目の美しい硬い材質で造られている。
机上は十分な広さと奥行きがあり、書物を積み上げ、書きかけの楽譜や書面等を広げても、
手狭にならずにオペラのプランを練ることができる、私の愛用品のひとつである。
その私の愛用品の上にはいま、私と向かい合うように、クリスティーヌが坐っている。
祈るように胸の前で組んでいた両手は、今は体の後ろで一纏めにきつく戒められているため、
突きだされた乳房も、ぴたりと閉じた両脚の間からわずかにみえる茂みも、隠すことはできない。
蝋燭の明かりしかない薄暗いこの地下で、クリスティーヌの無防備な裸体は、
いっそう白く浮き立っていた。
「くくっ・・・。まるで人形のようだよ、クリスティーヌ。かわいらしい」
私はクリスティーヌのほっそりとした脚をさすりながら、芝居がかったような言葉を囁く。
何度かさすった後、彼女の足首を両手で掴み、そのまま上へと持ち上げる。
机上のクリスティーヌは、膝を胸につけた格好で、戸惑いの表情を浮かべた。
825机上編 2/6:2006/04/19(水) 02:35:06 ID:xyARPEig
私はクリスティーヌの足首を両手で掴み、ぐいと左右に拡ていく。
「・・・っいや、」
クリスティーヌが慌てて声をあげる。
だが、私がそんな小さな抵抗に耳を貸すはずもなく、彼女の両脚は拡いていってしまうばかりだ。
やわらかな太股の内側がみえるほど大きく拡かせて、私は彼女の顔を見上げる。
クリスティーヌの瞳は至極うつろで、相変わらず涙で濡れている。
これから待ち受けている事への不安と恐怖、そしてごく微かな、おそらく彼女自身も
気づいていないほど心の奥底にある甘い期待のためなのか。
「クリスティーヌ」
そっと呼びかけると、うつろなクリスティーヌの瞳が、私の顔で焦点を結ぶ。
私は彼女の瞳を見返し、「目を離すな」といくらか厳しい口調で告げた。

クリスティーヌと視線を絡めたまま、体を屈め、大きく拡かれた脚の間に顔を近づけていく。
反射的に閉じようとする彼女の両脚を、膝の裏側に両手をかけて押さえ込む。
そのまま、踵が宙に浮いてしまうほど、ぐいと持ち上げると、
「・・・っっ!ぃゃぁ・・・、」
羞恥に満ちたクリスティーヌの声があがった。
826机上編 3/6:2006/04/19(水) 02:36:15 ID:xyARPEig
私の目の前に剥き出された紅い秘裂は、溢れかえる蜜でてらてらと光り、
淫らな甘い匂いを放つ。
「いやらしい娘だな、クリスティーヌ・・・、ここをこんなにぐしょぐしょにして・・・、」
私の言葉に、クリスティーヌの秘裂がひくつく。
その様子を観察するように見つめながら、私はさらに言葉で犯していく。
「・・・今度は私の愛用品を濡らすもりなのかね?」
「ち、ちが・・・っ!」
クリスティーヌが泣き出しそうになりながら、否定する。
もっとも恥ずかしいその部分を、息がかかるほど間近で、舐め回すように男の視線に犯され、
屈辱的な言葉を囁かれる。
消えてしまいたい程の羞恥心は高まるばかりなのだろう、クリスティーヌの秘裂からは、
新たな蜜がとろりと溢れる。
私は秘裂に舌を這わし、クリスティーヌの蜜を味わった。
「・・・っぁ!い、いやぁ・・・、」
敏感な部分に、電流が走るほどの刺激を与えられ、クリスティーヌの体は跳ね上がる。
与えられる感覚に戸惑い、拘束された体を必死に揺する。
声にならない声をあげ、抵抗にならない抵抗を繰り返す。
私は、そんな彼女の姿を楽しみながら、紅い秘裂に舌を這わせ、
愛芽を舌でと転がし、あふれ出る蜜をじゅるっと音を立て吸いあげる。
時折「ぁぁ・・・っ」と切なげに漏れる甘い悲鳴が耳に心地よい。
やがて、クリスティーヌの甘い悲鳴と入り口の収縮が大きくなっってきた頃、
私は秘裂から顔を上げた。
827机上編 4/6:2006/04/19(水) 02:37:34 ID:xyARPEig
クリスティーヌの踵を再び机上に置き、私は彼女の脚から両手を移動させる。
右手でさわさわと茂みを撫で、もう一方は乳房に這わせた。
ふっくらとした乳房の感触が気持ちいい。
勃ち上がる乳首には触れてはやらず、私はただ乳房をゆっくりと優しく揉みこみ、
その乳房のやわらかさを楽しむ。
やさしすぎる、乳房と茂みへの愛撫は、あと少しのところで核心から逸れる。
じれてきたのか、クリスティーヌが切なそうに吐息の混じった息を吐く。
どうやら頃合いのようだ。
私は、茂みを撫でる手をそっと下へと移動させると、中指をクリスティーヌの中心に突き立てた。
「・・・っっんん・・!」
初めてもたらされる異物感に、クリスティーヌが驚きと恐れの混ざった声をあげる。
だが、開ききった彼女の入り口は、先刻からの絶え間ない辱めによって
蜜で溢れかえっており、なんなく私の指を飲み込んでいく。
828机上編 5/6:2006/04/19(水) 02:38:44 ID:xyARPEig
さらに私は無慈悲にも、ゆっくりと指を動かしはじめる。
指の腹を上方にし、少し折り曲げ、
クリスティーヌの膣内を確かめるように、抜き差しを繰り返す。
乳房への愛撫を掴むような乱暴なものに変え、痛々しいほど勃ち上がった乳首を
ようやく口に含んでやると、
「ふぅっ・・・あぁ・・・あ!」
クリスティーヌは、苦痛の──だが、確かな欲望の混じった──声をあげ、
涙で揺れる瞳で、何かを訴えるように私を見つめる。
「怖がらず、感覚に身を任せればいいのだ。逝きなさい、私の天使。私がお前を支えよう。」
乳房を揉み、乳首を嬲り、膣を指で激しく犯しながら、私はクリスティーヌを
安心させるようなやさしい声で囁く。
机上にあげられて以来、初めて聞くその私の声に、クリスティーヌの瞳の端から涙が溢れる。
すると、彼女の膣が私の指をいっそう強く締めつける。
白い喉を反らし、荒い息を吐きだしながら、
「いやぁぁ!・・・っん、あ、あぁぁぁぁぁぁぁ!」
クリスティーヌは絶頂と共に意識を手放した。

私は、くったりと力の抜けたクリスティーヌの細い体をしっかりと抱き留め、
まだ私の指を締め付ける彼女のそこからそっと指を引き抜いた。
大量の蜜がからむ己の指を口元に持っていき、そっと口に含み味わった。
829机上編 6/6:2006/04/19(水) 02:40:46 ID:xyARPEig
クリスティーヌを抱き上げ、ベッドにそっと横たえる。
柔らかな上掛けをかけてやると、クリスティーヌがいくらか穏やかな息を洩らす。
眠る彼女の表情が、とても幼くかわいらしい。
私は体を屈めて手を伸ばし、そっと彼女のやわらかな頬を撫でる。
と、ふいに絶頂を向かえたときの彼女の声が甦ってくる。
快楽に戸惑い抗いながらも、結局はそれに溺れていくしかなかったクリスティーヌ。
逝く瞬間の狂気じみた高い声は、まるで「許して」と懇願するかのようだった。
鞭の痛みに被虐的な感覚を覚えたことにより、与えられたこの罰。
罰によって・・・、快楽によって逝くことを、あるいは神に許しを乞うていたのか。

あらためて思う。
私は、お前に”罰”という方法以外、悦びを与えてやる術をもたない。
だが、いつか”罰”ではなく、
喜びに満ちた快楽を、ともに分かち合える日が来るのなら、私は・・・・・・。
彼女のふっくらとした唇に指先で触れる。
瞬間、抑えがたい衝動が私を襲う。
──私がこの唇を奪ってはならない理由などない。
彼女の体に、私の刻印を刻みつけてはならない理由などない──
クリスティーヌにとって、私は天使であり、師であり、とうに心を捧げた存在なのだから。
クリスティーヌ、私は・・・!

私はクリスティーヌの唇に、己の唇を寄せていく。
だが、その時、クリスティーヌの唇が僅かに動き、私は身を硬くして、ふふ、と卑屈に笑った。

罰。
それが、クリスティーヌと私を結びつけるたったひとつの方法なのだ。
それ以外、なにもない。

私はクリスティーヌの唇をもう一度指先でなぞり、そっと彼女をみつめた。
今この瞬間だけは、唇に触れることをどうか許してほしいと心の中で祈りながら。


終わり

830名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 02:43:00 ID:xyARPEig
以上です。
読んでくださった方、ありがとうございました。
831名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 04:02:59 ID:sBodSsx7
GJ!
エロい罰は与える事が出来ても、
キスは出来ないマスターが切ない.゚.(ノД`).゚.
832807:2006/04/19(水) 08:18:49 ID:22Mxeji1
天使様GJ!
MOTNのクリスをベッドに寝かせた時のファントムが浮かびました。
いつか報われる事を希望…!


感想、ありがとうございました。
続きをどうしようか迷ってましたが、落とすことにします。
皆様の意見の間を取って、結末が判らない程度に投下予定で(・∀・)

ただ、私事が忙しいのでいつになるかは判りませんが…orz
833名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 17:05:35 ID:npTpzlc1
エ…エロお仕置きgj!
Sで命令口調なのに、肝心なところ弱気なマスター萌え
834名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 22:39:59 ID:PZrNWedt
GJGJ!!切ないけどエロいよマスター。可愛いよクリス。
835名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 23:03:27 ID:HSgFaoyC
>830
GJ!
マスター、切ないね……。
キスもなければ最後の一線も超えていない。
ただ、罰を与えるだけなんて。
836名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 23:03:39 ID:yhsPGNNG
>830
もうブチュっといけよブチュッと!゚(ノД`)゚。
837名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 23:41:09 ID:6lAmlpZH
>>830
せ、切ない…!
でもこの一線を超えられないギリギリ感大好きだ!GJ!

>>832
奴隷の天使様!
良い子にしてwktkしながら待ってますw
838830:2006/04/20(木) 02:53:14 ID:N8/XHI2l
レスくださったみなさん、ありがとうございました。
ヘタレなマスターほんとにですみません_| ̄|○
あまりにヘタレすぎるので、
もしかしたらなのですが、続編ということでマスターを救済しようかと
思っている次第です。
せめて、クリスとヤラせてあげたい・・・w
839名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 15:45:54 ID:4LSfgFOE
>838 またえらいストレートにwww
…でも、ヤれるといいねマスター…
840名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 18:44:20 ID:N8/XHI2l
頻繁に書き込んで申し訳ないす。
838ですが、下品な言い方してしまってすみませんでした。
841名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 22:05:39 ID:qqqnBHpu
何も気にしないでエンジェル
ストレートな天使様が大好きだ!ガンガンやらせてあげて
842839:2006/04/20(木) 22:33:01 ID:JUvGUrF3
>838
ああ、違うんだ、ギャップが面白かっただけなんだ。
別に下品だとか嫌だという意味じゃないです天使さま。

誤解させるような書き方をして申し訳ない_o/|_
&もしかしたらでもいいので、続編お待ちしておりますor2゛
843名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 09:21:19 ID:HEag0K0g
さて今460KB
次は480overあたりで立てますか
844名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 09:25:00 ID:6rqDaGEs
「下品な言い方」ねぇ・・・
散々エロ妄想書き散らしてきておいて今更そう取り繕ってみせるとは( ´,_ゝ`)プッ
845名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 15:32:49 ID:I7FrZeQ+
その妄想を読む844、わざわざ書き込む844 アイタタタ( ´,_ゝ`)プッ
846名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 17:45:48 ID:6rqDaGEs
>>845
俺は良い子面する奴が大嫌いなんだよ、それだけ
それで、おまいもそのSSが「妄想」だということは認めるんだな
確かにどこかの二番煎じみたいなSSだったからな・・・
テクニックだけオリジナリティ溢れてても話としてはツマンネ。もう耳にタコでーす('A`)
847名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 18:26:35 ID:TO3RGCSq
妄想じゃない二次創作なんてないだろ 
不思議なお方がおいでだねえ 俺はどんな話も書き手サンの個性が出ていて好きだが
848名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 20:20:35 ID:6rqDaGEs
「妄想」の意味を辞書で再確認してきた
確かに語意を突き詰めれば全てのSSは妄想と見なせるんだな
では他の表現に変え・・・ることも出来るんだが
もう止める
本当はこんな所まで書くつもりじゃなかったのに血迷っちまった
今まで気に入らないSSがあってもスルーに徹してきたのにヽ(`Д´)ノウワァァン

838さんスマソ
貴方には大勢ファンが居るんだろうから、どうか俺のことは気にしないでくれ
スレ荒らしてスマソ、俺はここで消えますノシ
849名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 20:45:16 ID:lbXkIf6V
>843
えっと新スレは立てていただけるので?480KB超えたらぜひヨロシク
早いねえもう6幕か。
850名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 22:17:41 ID:Lbf+OLLc
投下します。
エロなしの短編ですが、よろしかったら読んで下さい。
332の続きという設定です。
851不意打ち:2006/04/21(金) 22:19:18 ID:Lbf+OLLc
父を亡くしてこのオペラ座の寄宿生として生活を始めた七つの頃から始まった
皆が寝静まってからの二人だけの秘密のレッスン。

レッスンの後、私たちは夜更けの散歩を楽しむことがあった。
それは、彼の住まいの湖のほとりをそぞろ歩くことであったり、屋上に出て星空を眺めることだったりした。
そして、ごくたまに彼の仕立ててくれた馬車でオペラ座を出て、ブローニュの森を散策することも。
そう、今夜のように。

音楽の天使として幼い私の前に現れてくれた彼が、天使などではなく一人の実在する男性なのだということを理解できる年齢になったのはいつのことだったのだろう。
もちろん初めはお父様が私に約束通りに遣わせて下さった音楽の天使なのだと信じて疑わなかったし、お父様の面影を彼に重ねて甘えてもいた。
けれども歳を重ねていくにつれて、いつの間にか私のなかでの彼は、父でもなく、天使でもなく、かといって音楽の師という一言では言い表せない、自分でもよく分からない存在になっていた。
もちろん今でも彼が私の素晴らしい音楽の師であることに変わりはないのだけれど
小さい頃のように、無邪気に何でも打ち明けたり、彼の前で涙を流したりすることもなくなっていた。

涙といえば、最近のことだが、
レッスン中にどうしても自分に納得がいかなくて、夢中になって歌い続け、
ようやく歌い上げたとき、緊張の糸が切れて彼の前で泣いてしまったことがあった。
そして、気付いたら彼の胸の中にいたのだ。
もう10年近くも彼と過ごしてきているのに、考えてみたら彼が私に触れたのはあれが初めてだったなんて。

初めて会ったときから彼は右の頬を白い仮面で覆っていた。
幼い私でさえ、それは触れてはいけない彼の秘密、おそらく悲しい秘密なのだと理解できた。
だから今までずっとそのことは私たちの間で話題にも上がらなかったし、いつしか私もそれが彼の一部なのだと何の違和感もなく受け入れてしまっていた。
いつしか、オペラ座の少女たちから、オペラ座の怪人なる謎の人物の噂を耳にするようになり、
おそらくそれは彼のことなのだろうと自分の中で繋がりもしたが、特に嫌悪感も抱かなかった。
もうその頃には、彼と私の間には他人には計り知れないであろう信頼関係とでもいうものが構築されていたのだから。
ただ、そんなに深く精神的に結びついていると自分では思っていた彼が私に触れたのがたったの一度、
あの日が初めてだった、そのことに軽いショックを覚えてもいた。
852不意打ち:2006/04/21(金) 22:20:34 ID:Lbf+OLLc
そんなことをぼんやりと考えながら、ふと気付くと向かいの席に座った彼が私を見つめていた。
「疲れたか、クリスティーヌ」
「いいえ、ごめんなさい。ちょっと考え事をしていただけ。」
それきり私は黙ってしまった。
なぜ私はショックを受けているのだろう。彼の胸の中は暖かく、ここにいれば何者からも守られるという絶対的な安心感があった。甘く、心地よい・・・。
安心感?いいえ、それだけじゃない。それ以上に高鳴る自分の鼓動にあのときの私はすでに気付いていたはず。
けれど、こんな風に私が考え込んで黙りこくってしまっても、彼はいつもと変わらず静かに見守るだけ。彼にとって、私は単なる音楽の生徒であって、決して彼の気持ちに波風を立たせることなどできない存在・・・

頬を涙が伝う。
ああ、また彼の前で泣いてしまった。けれど今日の涙の意味は彼には決して分からない。
涙を彼に気付かれたくなくて、景色を見るふりをして窓の外に目をやろうと睫を上げようとしたそのとき
頬に伝う私の涙は彼の唇で拭われた。
驚いて彼を見ると、あの穏やかだったはずの緑の瞳の奥に、私を射抜き身動きできなくさせるような鋭い光が宿っていた。

「お前に口付けたい」

私の答えなど聞く間もなく、大きな掌で私の頭を引き寄せて彼は口付けた。
痛いくらいの噛みつくようなそれは、私にとって生まれて初めての口付けだった。
レッスンのときは確かに厳しいけれど、いつもは穏やかに私を見守ってくれていた、
その彼が今夜は別人のようにも感じられた。
けれど、不思議と恐ろしさはなかった。甘い痛みと緑の光に支配されたまま
彼にとっての私が女性として存在していいのかもしれないという微かな期待に胸が震えていた。
853名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 22:22:00 ID:Lbf+OLLc
以上です。
読んで下さった方、ありがとうございました。
854名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 22:30:25 ID:HxaraOMR
>853天使様 GJ
855854:2006/04/21(金) 22:38:48 ID:HxaraOMR
すみません。
唸っていたら途中で書き込み押しちゃいました。
改めて、GJです!
続き希望!
マスター、ちうだけで満足できんでしょう!
856名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 23:45:32 ID:lbXkIf6V
GJ!映画のマスターもクリスが小さいうちに姿を現してあげてたら
よかったのにな。
マスターに大人の女性として認められたい…健気だねクリス
857名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 23:51:38 ID:VMgTRmwx
>>853
GJ!!
「ぬくもり」から引き続いて、大人なマスターですね。
でも最後は、返事聞かないでちゅーする余裕無しマスターに変貌。(・∀・)イイ!!
天使様、萌えの投下ありがとう。
858名無しさん@ピンキー:2006/04/22(土) 02:58:14 ID:NnIeuVgo
ちゅーしたいって意思表示に('▽`*
859名無しさん@ピンキー:2006/04/22(土) 20:03:14 ID:DbMupcOY
853です。
レス本当にありがとうございました。

引き続き天使様方のご降臨お待ちしております。
860名無しさん@ピンキー:2006/04/22(土) 23:57:19 ID:mQfOiYFG
853氏の優しい萌えの後がこんなで申し訳ないが

ネタ、エロは未遂。
ファントムがヘタレかつ引篭もりかつチェリ(ry
…スマンorz
8611/4:2006/04/22(土) 23:57:55 ID:mQfOiYFG
黒鳥のベッドに横たわり、クリスティーヌは潤んだ瞳で師を見上げていた。
鮮やかな薔薇色のシーツが、その肌をますます白く輝かせている。
そっと身を屈めて口付けると、目元がシーツと同じ色に染まった。
その初々しさに思わず息を飲み、そしてファントムは固まった。
次は、何をすればいいのだろう。

自慢ではないが彼は20年近い引き篭もり。そしてこれは自慢だがクリスティーヌ一筋。
もちろんそれは男なので、ヤリた…やるべきことは解っている。
既に何度もイメージトレーニング済みだ。
先ず邪魔な布切れを総て脱がせて、美しい全身を舐めるように眺めたあとで、
丁度片手に余るくらいであろう(サイズ確認済み)胸の感触を思う存分堪能し、
さらに口で舌で柔らかさと滑らかさを味わうと同時に手で腿を撫でまわし…ん?ストッキングは
いつ脱がすのだろう、まあいい、最初に脱がしたことにしてさらに手をその奥へ…

…思わずいつもの偉大な夜のパワーに身を委ねそうになっていたファントムは
己を呼ぶ声に我に返った。

「マスター?」
見下ろすと、首を傾げる愛しいクリスティーヌ。ふとその手元に目が止まる。
「何だね、それは?」
厚いクッションに埋もれるように、本の端が覗いている。
「あ、これは…マダム・ジリーが持たせてくださったの」
「…見せてみなさい」
差し出す本のその厚み、表紙を見てみると「ダール社刊 淑女のための家庭百科第5巻 結婚」
あの人は…と脱力しかけて気を取り直す。
彼女の思惑はどうあれ、何らかの助けになるかもしれない。
ぱらりと開いてみる。
8622/4:2006/04/22(土) 23:58:29 ID:mQfOiYFG
「第1章 女性の価値は夫で決まる」
「第3章 周りに妬まれない婚約報告」
「付録5 より高価な指輪を贈らせるために」
…生々しい。と、そのうちの1ページに目が止まる
「初夜の過ごし方」ああ、これだ。
なになに
「丁寧に湯浴みをした後、新しい下着と夜着を身につけます。」
ほうほう。
「軽く髪などを整え、必要ならば薄く紅をさすのも良いでしょう。」
ふむふむ。
「ベッドに、夫に寄り添うように横たわり(夫の利き腕の逆側が望ましい)――」
おお、いよいよか!
「あとは目を閉じ、殿方のリードに任せましょう。翌朝は―――」
ああ!使えない!なんと使えないのだダール社め!明日にでも社屋に何か落としてやる!
ここが屋上であったなら、迷いなく石像の上に駆け上るものをと、
拳を震わせるファントムに、クリスティーヌがのんびりと呟いた。
「あ、そういえば」
上半身を起こし、枕もとを探る。
「忘れてましたわ。マダム・ジリーが、これをあなたにって」
「マダム・ジリーが?私に?」
小さな四角い紙包み。やはり本のようだ。
開きかけて、はたと思う。
わざわざ包んだからには、クリスティーヌに見られぬほうが良いのかもしれない。
「クリスティーヌ、少し待っていなさい」
そう言い残し、自室に戻ると包みを開く。
「これで彼女もメロメロ!ご婦人を悦ばせる100のテクニック〜実践編(ダール社刊)」
(…とりあえず、何か落とすのは止めておこう)
心中深く頷くと、ファントムは椅子を引き寄せながらページを捲った。
8633/4:2006/04/22(土) 23:59:19 ID:mQfOiYFG
暫くの後、自信に満ちた表情で彼女のマスターは姿を現した。
初めて彼女の前に姿を見せたときと同じく、そっと差し出された手に
クリスティーヌは自分の手を重ねた。

「クリスティーヌ…」
愛しい少女を見つめながら衣服を取り去る。
露わになった彼自身は、既に痛いほど張り詰めており
クリスティーヌの視線は、初めて目にするその器官に吸い寄せられた。
造形的に美しいとはいえない…むしろグロテスクなそれも
彼女にとっては愛しい人の一部である。
「クリスティーヌ…触れてくれ、私を感じておくれ…」
優しい声に導かれその強張りにそっと触れると、びくりと震える。
「ああ…」
彼女の師は低く、そして酷く甘い声で呻いた。
「怖いか?クリスティーヌ」
ファントムの問いかけにゆっくり首を左右に振る。
「…大丈夫…」
耳まで赤く染め、クリスティーヌは息をついた。
「マスターなら…何をしたって怖くないわ…それに…」
はにかむように笑って、触れたままのソレをゆっくりと撫で、
そうして、思い入れもたっぷりに致命的なその一言を呟いた。

「マスターのこれ…ちっちゃくて、とってもかわいらしい…」
8644/4:2006/04/23(日) 00:00:05 ID:yz0dVUOD
そういう意味ではなかったと、今更言ったところで何になるだろう。
初めて見るものの大小など比べようがないではないか。
どちらにしろクリスティーヌは自分の発した言葉の意味を、
そのときは理解できなかったのだから仕方がない。

驚愕に目を見開き、問い掛けるように唇を震わせ
そして顔を背けてしまった師を、呆然と見詰める。
「…行け…!」
「あの、マスター…?」
「行くんだ!私を一人残して!」
混乱がはっきり伺える言葉を残し、顔を覆ってよろよろと出て行った後の
揺れるカーテンを暫く眺め、クリスティーヌは溜息をついた。
どうやら自分の言動の何かが、師の機嫌を損ねてしまったらしい。
が、いくら思い返しても何が悪かったのかは解らない。

「…いいわ」
考えても分からないものは仕方ない。
ぼふっとベッドに背を埋める。
なんだか緊張していた分、急に眠たくなってくる。
「とにかく、明日にしましょう」
明日になったらすべてをマダムジリーに話して、
何が悪かったのか聞いてみよう。
メグに話して、アドバイスしてもらうのもいいかもしれない。
もそもそとシーツにくるまりながらクリスティーヌは大きく欠伸した。
865名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 00:56:11 ID:z8AEM8O3
マスター…クリス連れてくる前にしっかり勉強しておこうよ
もしかして一晩中泣いてる?
つくづくすれ違う二人だなあ…天使様GJ!
866名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 01:21:05 ID:vKGPifw1
>>860
GJです天使様!
このスレ的には新鮮wなマスターかもしれないww
867名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 01:33:28 ID:o1yCwt/u
童貞系なマスターっていいよな
ということで
>>866 GJ!!
868名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 06:57:29 ID:pUwtZxmQ
うはwwwwww860タンGJ!(・∀・)
無知って時たま残酷だね・・・
869名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 13:24:03 ID:87xdWJ9I
>860
面白かったGJ!!
頑張れマスターくじけるな!
・・・ってあんな事言われたらさすがのマスターもねw

870名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 14:41:14 ID:B7dFeCJo
>>866 GJ!
こういうの好きだ。面白かった〜w
871名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 14:41:53 ID:B7dFeCJo
間違えた、>>860でした。失礼。
872名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 14:48:58 ID:XRTyHPo+
部屋の隅っこで膝抱えて泣いてるマスターw
873名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 16:38:38 ID:Xt6DOigs
今後の展開があるのだろうか?w
ワクテカGJ!!
874名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 17:16:44 ID:hcogozqq
>860
GJ! マスターが可愛いwww

>「行くんだ!私を一人残して!」
映画の呪いが増えた悪寒……。
875名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 18:15:18 ID:9zPx3Fat
>>860GJ!
>偉大な夜のパワーに身を委ねそうになっていた
バロスwww 
876名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 22:24:17 ID:JoEL1plj
さてただ今478KB
ボチボチ次ぎ立てようと思うけど、テンプレとか今のままでおk?
877名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 22:47:51 ID:z8AEM8O3
今のままでOKだと思います、ヨロシク
878名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 23:10:26 ID:yAiJATS0
次スレよろしくおながいします
879名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 23:16:59 ID:gzycZReS
立てました

【仮面】オペラ座の怪人エロパロ第6幕【仮面】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1145801742/l50

BOX5はどなたか、よろしく
880名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 23:39:33 ID:z8AEM8O3
スレ立てお疲れ様です。
では投下は6幕にということで、今からここは埋め雑談しても良いかな?
881名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 00:13:06 ID:Er+PFb3Q
ドゾー
882名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 00:27:18 ID:k6l4SctH
>>879
乙です!
映画公開から早や1年3ヶ月経つけど、スレの存続は嬉しいなぁ。ヽ(´∀`)ノ
883名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 00:28:54 ID:Er+PFb3Q
ラスト上げ
884名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 00:38:29 ID:yf4KLdCg
>879
スレ立て乙です。
前回は埋め雑談できなかったんで(スミマセンでした)、今回、楽しみです。
885名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 06:19:04 ID:8mkcl5Vc
あちらじゃアレなんでこちらで呟かせてもらう
新スレ一発目の投下について…
世の中にはいろんなギャグ感性の持ち主が居るんだな…としみじみ思った…。
886名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 08:42:07 ID:/XvNnicV
↑自分は結構好き。
前にどなたかも書いてたけど、勢いがあるの好きなんだ。

新スレ5番ボックスはちゃんとO.G.氏が座った!
887名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 13:25:46 ID:qw5D+QSH
>884
このスレ立てられた天使様ですか?
お疲れ様ですノシ

何か(エロに)使えそうなモノがないかと
マスターのお部屋を見てみたけど
散らかりすぎてて何が何だか…
片隅にさり気なく愛のゆり(ryがあっても分からんよあれじゃ
888名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 13:48:17 ID:r784wW+O
船着場から見える場所には
サンタ変装用の三角帽子、赤のウェアが
無造作に置いてあった…と呟いてみる
889名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 14:19:36 ID:YG5TpuL2
マスターの部屋、一番不可解だったのは大きなアンモナイト。
何の為に?
890名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 19:17:47 ID:38XScUZx
>889
あれは自分もずっと謎だった。
まさか、あの岩盤にある巨大化石じゃないよね?
891名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 20:06:40 ID:E1zwbipc
もとからあった化石なのかと思ってた。
だって地下深いし

埋めネタなので許して
以前死ぬほど笑った「人類最強の男のガイドライン」の元ネタには
面白い続きがあったようなので改変してみた
892名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 20:08:35 ID:E1zwbipc
前回全能のオペラ座の怪人を目指したが挫折してしまった私は
全能のオペラ座の怪人になるためにはどうすればよいのか再び考えた
全能のオペラ座の怪人なのだからどんなこともできる
手始めに全裸にクラヴァットと靴下のみで玄関を飛び出す
お向かいのマダムが杖を持って呆然としている
マダムに側転で近づき杖を奪い取るが全能のオペラ座の怪人なので気にしない
杖をお尻に差込み四つん這いで「子ぎつねヘレン!子ぎつねヘレン!」と絶叫
マダムは全力疾走で逃げどこかに電話している
だがまだまだ全能にはほど遠い
次はロッテンピッテンサッテンと叫びながらパリにくり出す
すれ違う通行人は次々と固まっていくが全能のオペラ座の怪人なので無視
酔っ払ったフィリップ伯爵の腹肉を鷲掴みにし上下運動させながら
「アブトニック!!アブトニック!!」と絶叫
フイリップ伯爵はその場で腰を抜かした
確実に全能のオペラ座の怪人に近づく
後ろから追ってきたダロガに「アンソニー!会いたかった!」と叫びながら
フライングクロスチョップで突撃
ダロガがもんどりうって倒れている間に路地裏に
カバディカバディといいながらフェイドアウト
ダンボールの中にまだ目も開かぬ捨て猫を発見
捨て猫を抱きしめ私は泣いた

人類最強の男のガイドライン
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/gline/1078465490/4
893名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 20:09:48 ID:E1zwbipc
失礼した
雑談の続きをお願いします
894名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 21:06:25 ID:ewAYEECQ
ワロス
・・・でもアンソニーの意味がわがんね(´・ω・`)
もしかしてこの人?→ ttp://t.pia.co.jp/battle/interview/anthony.html
895名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 21:16:50 ID:ewAYEECQ
ぬお、ネタ元の49に書いてあった
少女漫画のキャラクター・・・?
896名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 22:38:51 ID:eKhSIIT0
>>892
有無を言わさない迫力があってワロタw
897名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 14:42:47 ID:+A4e5d4V
>>894 誰だよw

アンソニーつったら「キャンディキャンディ」だろう。
そっばっかっすっ♪なんてっ♪気ーにっしっないーぅわっ♪チャララ〜
898名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 15:42:15 ID:19L5tBgS
ガイドラインも邪神改変も、正直そんなに違和感がない…ってのは良いんだか悪いんだか。

自分は突っ込んだら負けだと分かっているけれど、どうしてもスワンベッドが気になる。
作ったのか、だとしたら溶接とかしたのか、
通販なのか、だとしたらどうやってあそこに設置したのか。
船の後ろにロープで繋いで、ぷかぷか湖を渡ったのか
…まあジーニアスだから、で総て片付く気もするが。
899名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 16:08:06 ID:xw5yNY9H
>898
実は自分も気になってた、スワンベッド…。
しかも、あれ、ちゃんと脚を伸ばして寝られないっぽく見える。

自分は舞台の大道具をパクって来たのだと思っているのだが。
きっと分解できるようになっていて、部品を少しずつ運んだのだと脳内補完。
900名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 17:31:03 ID:iOHQi56A
スワンベッドに関しては、作ったにしてもパクって来たにしても
そのセンスはどうなのかと小一時間(ry
901名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 18:35:33 ID:AmEILDVi
>900
仕方ないんじゃないか?
だって原作からして「棺桶ベッド」だもんな・・・
クリス・フィギュアを作った事といい、髑髏の剣といい、
ファントムのセンスには疑問がなくはない。w
902名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 19:57:01 ID:Iajh2n8X
スワンベッドは楽勝なのでは
大道具の廃材でフレームを作って、使い古しの布団or寝藁をふんだんに使ってクッション性を持たせ、
緞帳を作った残りのベルベッドの布で包んで丁寧に型造れば、ハイ出来上がり。
地球に優しいファントム。
・・・てか自分はパイプオルガン&その上方から振ってくる光の方が謎だ
903名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 21:35:35 ID:5azB0fx9
>>902
確かに。
舞台だともうちょっとコンパクトな、それこそ分解して運んで
組み立てたようなオルガンなんだが・・・。
904名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 21:59:26 ID:ROPdE5Qn
分解して地下に運んで組み立てる…
マスターだったらひとりで余裕で出来そう。映画の大きいオルガンもベッドも。
なんだか、昔聞いた
『完成したビルの屋上のクレーン車の降ろし方』を連想した。
あれも分解して降ろすんだよな
905名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 22:55:05 ID:mHNO3q2Q
映画のマスターはどうしても大工仕事のイメージが…w

このスレ的にはクリスを寝かせたとき、やけに片側にスペースを
開けていたことをツッこんだ方がいいのかね
後で潜り込むつもりかと思ったよ
906名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 23:54:51 ID:EyLxeeGr
棺桶ベッド=自分用
スワンベッド=来客用
客と言ってもクリスしかいないわけだが
907名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 00:05:55 ID:QfUQXdf8
オルガンが気になって調べてみた訳だが

現代のオルガンはコンセントに繋いでファンを回して空気を送ってる。
昔のオルガンは手動やら足踏みやらで鞴を動かして空気を送ってる。
教会とかの大きなオルガンはそれこそ成人男性数人で鞴を動かさなければ音が出ない。

じゃあ電気も何も無いあの時代、ファントムのオルガンは何で空気を送ってたんだろうか。
ぶっちゃけ、電気じゃないオルガンは一人では鳴らせない。
超ファントムに向かない楽器。

さらには映画のオルガンだと音もしょぼいし大きさの強弱もつけられない。
だからあれはただ飾りでパイプがついたリートオルガンなんじゃなかろうか。
908名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 01:01:55 ID:ZyXeVExn
つ【水力】
いや、燭台上がったり、格子上がったりしてるから
あ、廊下の腕の人が空気も送ってくれてるのかもw
909名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 06:40:59 ID:BuHjWyEq
人力www
そうか、クリスが起きた時にオルガンの音が悪かったのは
裏方の腕たちが長時間の作曲に付き合わされて疲れてたせいだったのか
彼らがウンパ・ルンパの仲間に見えてきた…
910名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 20:44:28 ID:055T5iP0
「オペラ座の殺人」※※※金田一少年とは全く関係ありません

それは数日後にオペラ新作の柿落としを控えたある晩の出来事。
今にも雪が落ちてきそうに重く垂れる空の下、一人の男が撲殺された。
石造りの屋上に流れ出る鮮血が淡白い初雪の上に濃紅の花をいていく。
翌朝その死体が発見されるが、現場は死人以外は出入り出来る筈のない密室状態だった。
警察の捜査も成果を上げず、人々は怪人の仕業ではないかと囁きあう。
オペラ座は不安な空気に包まれたまま初日を迎えるが、その時第二の殺人が起こった。
しかも、再び密室殺人。恐慌状態に陥るオペラ座。
殺人犯が怪人でないと信じるのは、今やマダム・ジリーただ一人。
解決を期するファントムの手足となって彼女は密かに調査を始める。

・・・みたいなのはどうかな、とミステリヲタがそっと呟いてみる。
しかも、エロい箇所はしっかりエロいの。
そういうの書いてくれるネ申様いらっさらないかなぁ(;´Д`)ハァハァ
911名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 20:48:35 ID:055T5iP0
>910の訂正
5行目最後「花をいていく」→「花を描いていく」で。ごめん○| ̄|_
912名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 23:32:37 ID:o1FMJfGJ
GJ!
ていうかアナタに書いてほしいよ!
金田一少年の最新刊、上下とも読んだ(...漫喫でだが)
ttp://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=07162445
結構おもしろかた
913名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 23:41:06 ID:o1FMJfGJ
うはIDにGJが出た!
914名無しさん@ピンキー:2006/04/27(木) 19:57:39 ID:FsNYUwgm
>912
うーあー、それは勘弁して下さい
ただのミステリなら何とか書けそうだけど、エロとの両立となると想像もつかなくて_| ̄|○
エロエロなミステリというのも今まで出会ったことないですし。
↑もしどなたかご存知でしたらぜひご教授下さいまし
915名無しさん@ピンキー:2006/04/27(木) 23:18:23 ID:H/IvQ+bY
もし気が向いたらヨロシク
GWに突入だなあ・・・旅行とかでここも人いなくなって
寂しくなるんだろうか
それとも反対に賑わって投下しまくりだったらいいな
916名無しさん@ピンキー:2006/04/28(金) 14:02:55 ID:08JFd5Ey
ネタはあるが書く暇が無い。GWはほぼバイト予定。
でも働いてお金貯めて夏休みにパリ行ってくるつもりです。
そしてSSのネタを仕入れたい。

親には死んでも言えないバイト理由…orz
917名無しさん@ピンキー:2006/04/28(金) 23:16:08 ID:Z68crqOt
>>916
学生さん?
ガンガレ!パリ仕込みのSS、期待して待ってるよ〜!
918名無しさん@ピンキー:2006/04/28(金) 23:52:40 ID:ZGcsR6sx
>>916
良いネタ仕入れて帰ってきてくれ
そして萌えssを…!
919名無しさん@ピンキー:2006/04/30(日) 22:13:12 ID:8FTqI9X8
6幕の投下関連だけど、
映画でもあれくらいのときのファントム、
テンション上がりまくりだったんだろうな。
打った手が次々当たって、愛弟子が主役で舞台デビュー。
1人ではしゃいでたに違いない。
920名無しさん@ピンキー:2006/05/01(月) 14:27:45 ID:jTnz6yB+
>919
>1人ではしゃいでたに違いない

地下の住処でニヤニヤしながらぴょんぴょん飛び回っているマスター。
うっかりマントで蝋燭を倒してしまい、慌てて消化活動。
俺様ってジーニアスだからwwww
と、慣れた手つきで鎮火。
小躍りしながらスワンベッドへ赴き、真っさらなシーツと枕カバーに交換。
セクースを想像して、恥ずかしさに身悶えつつ忍び笑いがやがて高笑いに変わり地下中に反響。
そのテンションのまま軽い足取りで階段を二段づつ駆け登り鏡の裏に到着。
やっぱり俺様ってジーニアスwwww
と、自画自賛して笑顔のまま待機するマスター。

こんなマスターを思いうかべてしまった。

921名無しさん@ピンキー:2006/05/01(月) 16:52:20 ID:on7akfYd
>919
シーツ換えたベッドに、ばふっと飛び込んでみたり、
その際に脚を縁にぶつけてオォゥと
脛をおさえて無言で床をごろごろしたり
でもその脚で2段飛ばしw
あの階段結構長いよなww
922名無しさん@ピンキー:2006/05/01(月) 21:27:20 ID:GwuTC/Da
>>920-921
嫌スレのような妄想ワロスw
923名無しさん@ピンキー:2006/05/01(月) 23:13:08 ID:c4thcVOT
嫌スレ的SS、大好物。
>920
>忍び笑いがやがて高笑いに変わり地下中に反響。
これ、しょっちゅうやってるとオモwww
924名無しさん@ピンキー:2006/05/02(火) 00:59:56 ID:r1eEUjie
そういえばドンファンの舞台模型をごーごー燃やしてたけど、あれは
足元に防火用水と書かれたバケツが置いてあったりしたんだろうか。
それともある程度火が収まったところでエイヤッと温泉、もとい地底湖に
丸ごと投げ込んだのかな。
925名無しさん@ピンキー:2006/05/02(火) 14:59:02 ID:Fztq69zr
クリスティーヌを無理やり連れて戻ってきたら
…地下火の海。凄い火勢。
紙とか蝋燭とか、可燃物の山だからね
926名無しさん@ピンキー:2006/05/02(火) 22:39:40 ID:ZyGk8uVr
だがあの汚部屋を片付けるには焼け野原にするのが1番早そうだ。
でも楽譜とかしけってそうじゃないか?

ちょっと前にオルガンの事を書いたんだが、やっぱりどう見ても映画のオルガンはパイプ少ないよ…。
一段6オクターブぐらいあるならパイプの数はその『鍵盤数×複数』なわけで。
1音しかないオルガンは無いらしい。
やっぱりあれはリートオルガンな気が…。

>917、918
はい、学生です。
長期休みがある間にやっぱり見ておきたくて。

でも自分が書きたいのは舞台がパリじゃない不思議。
亀でごめん。
927名無しさん@ピンキー:2006/05/03(水) 21:04:39 ID:vR2Y7SLj
>926
パイプは飾りってことか。見た目にこだわるマスターらしい。
で、涼しい顔で弾きながら、足は必死にペダルを踏んでいる…w
928名無しさん@ピンキー:2006/05/03(水) 22:03:35 ID:mcw6m18o
本スレにトム先生が降臨されたので今すんごい興奮してる…!
でもなんだか荒れそうな予感。
トム先生はここの存在を知ってらっしゃるのだろうか。
929名無しさん@ピンキー:2006/05/03(水) 22:12:35 ID:7wwciSWV
いかん。次からI Rememberで吹いてしまいそうだ
930名無しさん@ピンキー:2006/05/03(水) 23:35:54 ID:KT7tDDsm
梅なのに着々と呪いが増えてゆく…
931名無しさん@ピンキー:2006/05/04(木) 18:33:45 ID:QA+ZRySB
ロンドンでミュージカル版観てきたー。
やっぱライヴはすごいっす。
カルロッタがまるまるとしたプリマドンナで、マダムが影の支配者っぽくて、
何よりファントムの美声にめろめろでした。

あ、議論になってたオルガンは、ふいごで動いてたよ。
932名無しさん@ピンキー:2006/05/04(木) 21:20:26 ID:kZx+y+9v
>931 おお!いいなぁ、ロンドン!
やっぱりマダムが支配者なのか…w
で、ふいごは…ふいごは誰が動かしてました?!
933名無しさん@ピンキー:2006/05/04(木) 23:15:36 ID:fmOfkCIT
羨ましいロンドン!
CDは毎日のように聞いてるけどやはり一度は行って観たいものだ。
そういう私は今日四季を観てきて満足なわけですが
934名無しさん@ピンキー:2006/05/04(木) 23:37:36 ID:Y79I/xiU
>>931
自分は舞台はBW版しか観たことが無いけど、そちらのマダム・ジリーは
ロッテンマイヤーさんに雰囲気がそっくりだったよ。
今にもクリスに「アーデルハイド!」とか言いそうだった。
935名無しさん@ピンキー:2006/05/05(金) 01:07:09 ID:kBsafNQT
>931
マスターがオルガンを弾きだすとふいごがオートマチックに動き出しました。
ジーニアスだから? それともウンパルンパ?w

>934
うんうん、ロッテンマイヤーさんだったw
皆のおしゃべりを止められない支配人ズが「マダムお願いします」、
マダムの手にした杖で床を一突き。静まり返る舞台。吹きそうになった。

科白入りの映画版CD何回も聴いてるのにヒアリングろくすっぽ出来なかったよ……。
936名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 13:41:03 ID:Bvk4yWc6
四季も取りやすくなってるみたいだから、おすすめ。ファントムは高井さんが、セクシー。
937名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 00:08:39 ID:p0OS8dUR
ファントムは、何を着て寝ているのだろう
と考えたことがある。
…何を着てても全裸でも、なんだか色々マヌケそうで…
938名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 00:31:41 ID:nTFfHSvX
眠姿、全裸マスクって書くと卑猥ですね。
939名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 01:01:16 ID:nDeuK6h/
まぁ最強なのはムーミンパパですな
裸にシルクハットに蝶ネクタイにステッキって…
ホントにいたらド変態ww
940名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 01:09:11 ID:9TIltL9z
>>939
それを言ったらムーミンママなんか裸エプロンじゃないか?w
941名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 01:17:02 ID:nDeuK6h/
そうでちた(・ω・)
942名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 01:44:10 ID:CEVIcnyo
じゃあ間を取って、裸エプロンにマスク姿で寝てる、ということで。
943名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 01:52:09 ID:nDeuK6h/
マスターとんでもないヤローだなww
想像するとヤバイwww
944名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 21:47:51 ID:VUC7w5bY
ここの面子の会話って……
好きだ。
945名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 22:32:00 ID:ZtHDElIm
うん、好きw
>>942、何の間を取ったんだw
946名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 22:49:50 ID:hKGf3lJD
とりあえず寝る時ぐらいマスクは外していると思うなぁ
付けたまま寝たら起きた時顔に妙な寝癖が付きそうじゃありませんか?

と、時々喉の乾燥防止に水で濡らしたマスクを付けて寝てる自分がマジレス
947名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 22:53:28 ID:1vIahM/q
>>946
扁桃腺の介人ってとこですな
948名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 23:01:32 ID:ZtHDElIm
おやすみ用仮面とかあるんじゃ?
パイル地とかの。
で、ヅラの代わりにお揃いパイル地の
三角ナイトキャップもかぶる。
949名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 23:22:58 ID:1vIahM/q
>>948
ヅラの代わりってww…悲しすぎる;;;
950名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 23:50:13 ID:/b0XpEPC
この会話wwwww
本人(先生)が聞いたら、間違いなく、カースユーだ罠w
951名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 23:53:26 ID:1vIahM/q
なんか妙に賑わってきたねww
952名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 23:59:47 ID:f4muuUog
みなさん旅行から無事お帰りしたのね
あと5KBか。
953名無しさん@ピンキー:2006/05/08(月) 00:22:47 ID:0OBQrDXR
今抹茶とコーヒーがぶ飲みで旅行帰りの天使様待ち
ってココ5幕…そろそろHDに保存する時期ですな
954名無しさん@ピンキー:2006/05/08(月) 14:10:00 ID:XM5NW4JZ
>>948
パイル地のおやすみ仮面&ナイトキャップワロタ

…おやすみ用1/1抱きクリスもいたりしてな。
もちろんパイル地。
955名無しさん@ピンキー:2006/05/08(月) 15:22:35 ID:zuvfcQ/F
>954もちろんいますね。毎晩抱いて寝てますね。全裸で。
956名無しさん@ピンキー:2006/05/08(月) 20:15:21 ID:xzOeCm4+
全裸にあんまり違和感ないのがアレだなw
957名無しさん@ピンキー:2006/05/08(月) 20:52:29 ID:DYk3ot3L
先生のナイトウェアは全裸決定かよww
958名無しさん@ピンキー:2006/05/08(月) 21:39:57 ID:OPqtdBJn
全裸なのにヅラ+仮面着用でパイル地1/1抱きクリスを抱えて
白鳥ベッドに寝るマスターをうっかり想像。

('A`)
959名無しさん@ピンキー:2006/05/08(月) 21:58:47 ID:ZbA7pxOR
全裸で寝る健康法って昔なかったっけ?
そんな格好で熟睡してるマスターをクリスが発見、そーっとむき出しのお尻を
触ってみる。
ヴーンと手を払いのけられてしまうが無邪気なクリスは面白くなって
もっと手を奥に延ばしてみる…
960名無しさん@ピンキー:2006/05/08(月) 22:22:16 ID:XM5NW4JZ
今498KB
すぐ落ちないよう上げさせてくれ
961名無しさん@ピンキー:2006/05/08(月) 23:06:58 ID:9zdXa168
>959
1/1クリス抱き枕(パイル地)も見つけちゃう?
962名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 01:29:56 ID:0NYz3aeo
花嫁衣装の1/1リアルクリス人形(可動式)を見た後では
抱き枕程度はあっさりスルーされるんじゃないか
963名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 07:19:01 ID:P1lf+B9Z
>959
クリス、遂にふにゃちんを発見か?w
964名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 10:39:18 ID:Dfk71C01
>963 誤)ふにゃちん→正)小鳥ちゃん
965名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 17:41:53 ID:AI8u5/6o
1/1クリス抱き枕(パイル地)を毎晩全裸で抱いて寝てたら、
部分的に傷みそうだな。
ちょうど先生の小鳥ちゃんのあたry
966名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 22:30:41 ID:PYlioWQo
抱き枕と聞くと、漏れはつい二次元萌えな方向に連想しちまう。
「クリスちん、お風呂に入れてあげまちゅね〜」(デレデレ)
「クリスちん、おお可愛いよクリスちん」(ハァハァ)
※参照URL ttp://www.hh.iij4u.or.jp/~okayama/makura/syoya_r.htm
967名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 22:47:20 ID:k03rutjY
このスレももうそろそろ終わりですな…本当に天使様いつもいつもありがとう
第6幕も賑わいますように……
968名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 22:58:08 ID:0n4CMUGP
>>366
その日記というか記事、なんか涙が出てくる・・・

オゥあと1KB!
500KBはマスターにとって欲しいな
969968:2006/05/09(火) 22:59:59 ID:0n4CMUGP
↑アンカー間違えた
正しくは>>966だスマヌ
970O.G.:2006/05/10(水) 15:29:19 ID:22ZKQkxl
失敬な、寝む際隣に横たわるのは
抱き枕(パイル地)などという紛い物ではない!
本物だ!本物のクリスティーヌ1/1フィギュアだ!
971名無しさん@ピンキー:2006/05/10(水) 17:46:14 ID:3zGOsbC3
マスターキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!


972名無しさん@ピンキー:2006/05/10(水) 17:56:28 ID:70kHerFy
でもマスター、「本物」の使い方間違ってますから。

クリスに似てるだけと言う点では抱き枕もフィギュアも次元変わらんがな
まあ「クリスに雰囲気の似ていた」ぬいぐるみやらテディベアやら
アンティークドールやら
ずらずら並べられてもイヤだけど。
973OG:2006/05/10(水) 22:46:21 ID:9XwcYJwv
では新スレにて……!
974PHANTOM:2006/05/10(水) 23:16:24 ID:l6xK8Ijy

"The Phantom of the Opera"
                    is there . . .

     inside your mind . . .
975ファントム

  ,        ,..__,..-、__,,..,,_
   |`:、      ゝ:: ::: ::..`:、_,,.へ`ヽ.
   };; ヽ  ,..,_/.:.にニ=-─ー;:-'`Y' `:、__,/~~)
   l;;;,  `:、 y`ー--'`ー-=-'~:::.ヽ.::::;/`' /`'  __,.,
   ヽ.;;,,  `';;;, `ー'"`-'" ,,,,.....  >'`-'─'''~  ト
    `;;;;,,  ;;;;;;,,    ;;;;;;;r-,,..--'"~,,;;;,,, /.:::  ∫ _,,..
     l;;;;,__  ;;;;;;,,   ;;;;;;/      ''''';;/.::::   l r',/
   ∧(,..-ニヽ.''';;;;,,  ;;;;/        ;;;;|::::::  ///
   ヽヽ.`:、 ゝヘ'';;;;, ;;;;/        ;;;;;|:::: ,//
    \,..ヘ `ゝ ヽ;;: ;;/        '';;l-'",/
      \ゝ ヘ__  } ;く      ,;;;;;, /''/
       `ヽゝ< レ ヽ    ,,;;;;;;;/'〆
         `ゝ_ `ヽ`ー-`,.,___,,-''_,ゝ
           `ー-,,.._../ `y.  ..:::`ー--..,,_
              ヘ.:  / `ー‐-‐''~ ̄~ ̄
               /.: /
              /.: /
              /.: /
             /.: /     /~~  ,   `y'~
             /.: /     /~~ O /~  / O υ ・ ・ ・