【キノ】時雨沢作品でハァハァしよう7【アリソンリリトレ】

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1名無しさん@ピンキー
立てた直後に落ちた、前前前前前スレ。前回、前々回、前々々回、前々々々回は生き残る事ができた。
作品を発表してくれる神キテル━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
神には感謝を忘れずにおながいします。

過去スレ
◆□キノの旅でハァハァしよう□◆
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1035/10353/1035380014.html
◆□キノの旅でハァハァしよう3□◆
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1045648241/
◆□キノの旅でハァハァしよう4□◆
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1057301973/
◆□時雨沢作品でハァハァしよう5□◆
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1085156970/
【キノ】時雨沢作品でハァハァしよう6【アリソン】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1126260007/

関連スレ
時雨沢恵一総合スレ41 アリソンリリアトレイズキノ
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1134653609/

保管庫
http://members.at.infoseek.co.jp/kinohaha/
http://www.asahi-net.or.jp/~sx8a-skym/mono/index.html
http://kujira.s8.x-beat.com/kino/
2名無しさん@ピンキー:2006/01/18(水) 17:55:01 ID:STSfSq5u
関連スレ
こんな「キノの旅」はいやだ!! その4
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1134482392/
キノの旅Yの後書きを書くスレ
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1092565326/

公式サイト (Flashを鑑賞する時はtop.htmlを省略)
ttp://www.kinonotabi.com/top.htmlOpen

WOWOW
ttp://www.wowow.co.jp/drama_anime/kino/contents.html

メディアワークス
ttp://www.mediaworks.co.jp/

キノの旅の絵師、黒星紅白のサイト
ttp://ww2.tiki.ne.jp/~kuroboshi/

キノ・アリソン絵板
ttp://fox.oekakist.com/KINO/
3名無しさん@ピンキー:2006/01/18(水) 17:57:07 ID:STSfSq5u
前スレが500kオーバーしたので建てました。
初めてのスレ建てですので何か抜けてる所ありましたらご遠慮無くご指摘ください。
タイトルを全部入れるため、半角となってしまいました。不便でしたらごめんなさい。
4名無しさん@ピンキー:2006/01/18(水) 20:00:01 ID:STSfSq5u
ミスってたorz

公式サイト (Flashを鑑賞する時はtop.htmlを省略)
ttp://www.kinonotabi.com/top.html
5名無しさん@ピンキー:2006/01/18(水) 20:52:42 ID:rpJ5ycOU
6名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 00:05:31 ID:H82PKg/R
即死回避しといたほうがいいかな?
7名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 00:13:05 ID:H82PKg/R
即死回避age
8名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 01:48:01 ID:XtiePsa0
>>1乙&前スレの擬人化陸話GJ!
9名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 04:26:06 ID:TnmTkanM
>>1乙

前スレ最後の作品>
非常にカオスな組み合わせでしたが、犬耳大好物なので美味しくいただきました。GJ。
10名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 09:58:33 ID:rZgHRY4t
>>1乙〜

すんません
本当なら最後に書き込んだ俺がスレ立てすべきだったんだろうけど
書き込み終わってから力尽きて寝ちまったんです
ほんま、すんません
11 :2006/01/19(木) 09:59:28 ID:rZgHRY4t
ああんorz
>>10は俺っちです
12名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 11:56:06 ID:gRjYumQN
即死回避っていくつ?
13名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 20:38:13 ID:H82PKg/R
即死回避ってageたほうがいいの?
14名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 22:13:28 ID:0FtBkS2+
即死回避age
15名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 00:15:19 ID:pMk+lBEY
即死回避
16名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 01:17:40 ID:V+fPpSm7
「回避する国」


キノという名の旅人が、モトラドに乗って旅をしていました。
「それでキノ。今から行く国はどんな国なの?」
快調とはあまり言えないエンジン音が森の中に響きます。
「それがね…地図には載ってないんだよ、エルメス。
何人かの旅人から聞いてるし、存在は確かなようなんだけど」
エルメスと呼ばれたモトラドは楽しそうに呟きます。
「へぇー。これがほんとの『星一徹』、かもね」
「…『都市伝説?』」
「そうそれ」
「…。うん、だけど、エルメスの言うとおりかもしれないな」
17名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 01:18:37 ID:V+fPpSm7
「ちゃぶ台返しが横行する国とか?」
キノは笑って否定しました。
「その国はね、いわゆる普通の国とは違うようなんだ。
一つのスレが建つとね、みんなでそこに出向いて、そのスレが
ちゃんと軌道に乗るまでを見届けるらしい。」
「それって『俗世−」
「−『即死回避』。つまりあちこちのスレの最初のほうにいつも
存在していて、決まった国土がない、そういう国さ。
いつも国の痕跡だけは残るけど、実際に"回避中"の姿を見た
旅人はあまりいないらしい」
18名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 01:19:34 ID:V+fPpSm7
「−キノぉ…じゃあ今から行く場所は何なのさ。折角着いても
そこは"回避完了"かもしれないじゃない」
ぶつぶつと文句を垂れるエルメスを、キノはなだめます。
「それがねエルメス。旅人たちの話だと、最近ここらで新スレが
立ったらしいんだ。まだレスも少ない。つまりそこに行けば…」
「幻の国に会えるかもしれない、だね。了解」

森の中の一本道を、キノとエルメスは走ります。

「ところでキノ」
「ん?」
「さっきからここらへんで、人の気配を感じるんだけど…」
キノはそれを聞いて、一旦エルメスを止めました。

「…あ」「あ」
19名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 01:20:45 ID:V+fPpSm7
そこにはたくさんの、素敵な住人さんがいました。
思い思いのレスを打ったり小説を書いたり、それはとても楽しそうです。

「そうか、ボク達はもうとっくに入国してたんだな」
「凄いね。驚き」
キノはにっこりと笑いました。
「ボク達のこの様子も、回避の助けになるといいね、エルメス」


森の中の一本道を、キノとエルメスは走ります。
やがてその姿は小さくなり、砂煙に隠れて見えなくなりました。


「回避する国」
20名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 01:21:31 ID:V+fPpSm7
…ごめんなさい、エロくねー('A`)

回避回避。お目汚しごめんなさい…
21名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 01:26:25 ID:V+fPpSm7
「ところでキノ」
「なんだい、エルメス」
「即死回避って、sageてもいいの?」
「あ…」


ごめんなさい逝ってきます
22名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 07:07:12 ID:saOorqoA
即死回避はsageてもおk
言われてるのは30くらいまで書き込んだら安心…らしい
それまではみんな無駄な雑談でもいいから書き込もう!
23名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 09:27:28 ID:4W4NmJ6L
エロくないけどGJ 。
24名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 17:03:44 ID:RJihV1TS
スレ立て・即死回避乙です。
週末また悪天候だー(;´д`)勘弁してくれ…
25 :2006/01/20(金) 18:52:44 ID:ZzKecxKI
即死回避SSGJ

ゲハハハハ
俺っちはその悪天候の中、外で分譲住宅の案内をさせられるゼ
まったくこの世は地獄だぜフゥーハハハハハ

あーあ、職選間違ったかニャー
土日潰れるのは正直イタいニャー
26464:2006/01/20(金) 20:28:19 ID:Uc4/Y3SH
即死回避GJです。
当方、来週からヨーロッパ巡りです。
27名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 23:13:24 ID:OWNC55yD
>>1 >>16
28名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 02:00:59 ID:uR/gv6gn
ageとく
29名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 13:41:03 ID:WzV2Ii34
新スレ立ってるのに気付かなかったorz
>>1 乙!!

>>前スレ最後の話
GJ!!!
エルメス×陸の組み合わせが新鮮で面白かったです!!
30名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 13:52:38 ID:ZOJA2tpQ
うはwww30getwwww
31SBI:2006/01/23(月) 10:56:04 ID:ikzGcyzS
どうも、遅ればせながら新スレ乙です。
俺も懲りずに書いてきました。くそ長いです。
それでは…。
32SBI:2006/01/23(月) 10:57:14 ID:ikzGcyzS
薄暗い石造りの通路を一人の少年がとぼとぼと歩いている。隙間なく積み上げられた石の壁には窓一つなく、かなりの間隔を置いて灯されているランプが唯一の光源だ。
その薄明かりに照らされた少年の顔は暗い。良く見ればその体はあちこちが傷だらけになっているのに、思いつめたようなその表情は少年はそんな事など気にしていないようだ。
「アリソン……一体どこに……」
ごく普通の学生であるはずのこの少年、ヴィルヘルム・シュルツがどうしてこんな所でこんな目にあっているのか。実のところ、ヴィル自身も事態を把握しきれていない。
幼馴染みにして恋人のアリソンと街を散策していたはずが、突然に現れた白い霧に包まれ、気が付くと見たこともない城壁に囲まれた都市にいた。
見た目の規模とは裏腹に少し寂れたその町の中で、二人は呆然と立ち尽くすしかなかった。
この街の事を尋ねようとしても、街を行く人々は明らかな拒絶の眼差しを投げかけるだけで、二人の相手をしようとはしなかった。
そして、当てもなく見知らぬ街の中を歩き続ける二人の前に、あの少年が現れた。
なんだかやたらと豪華な服に身を包んだその少年は、アリソンとヴィルの顔を交互に覗き込むと、少し首をかしげながら口を開いた。
「んん〜、本当だ。本当に入ってきちゃってるよ。どうなってるんだろ?どうやって城壁を抜けてきたんだ?困っちゃうなあ…」
困ったという割には気が抜けてしまうぐらい明るい口調、端正な顔に浮かんだ表情は目の前の二人への興味を隠そうともしていない。
その様子を無気味に思いながらも、どうやら自分たちが入ってきてはいけない所にいることを察したヴィルが、とりあえず少年に話し掛けようとしたその時だった。
「まあ、どっちでも構わないか。どうせ捕まえちゃうのには変わらないんだし。それっ!!」
少年が懐から取り出したガラス玉をかかげると同時に、町のいたる所から赤いロープの様な物が何本も二人をめがけて飛び出してきた。
「な、何なの!?」
持ち前の運動神経でそれをひらりとかわしたアリソン、しかし赤いロープは自らが意思を持っているかのようにぐにゃりと曲がって、アリソンの体に巻きついた。
「きゃあっ!!?」
「アリソンっ!!」
アリソンに気をとられて足を止めたヴィルも、赤いロープに捕らわれた。
「はーい、一丁上がりだねえ。まあぼくが直々に出て行けば、さっとこんなもんかな」
満足そうに笑う少年の前で、二人に絡みつく赤いロープはその数を増やしていく。
よく見るとそれはロープなどではなく、ドクドクと脈を打ち、ぬらぬらと粘液で表面を覆った、まさしく生物の一部であることがわかった。
33SBI:2006/01/23(月) 10:58:01 ID:ikzGcyzS
「ちょ、離しなさい!!離しなさいよ、コラーっ!!!!」
なんとか縛めから逃れようともがくアリソンの様子を見ながら、少年はなんとも嬉しそうに笑う。
「あはは、無理だよ。そいつはちょっとやそっとじゃ離れてくれないし、それにほら……」
「えっ!?」
少年につられて周りを見渡したヴィルは、周囲の建物の全ての壁にまるで蔦の様に赤いロープがへばりついているのを発見した。この町は、この赤い触手に覆われているのだ。
唯一、街の真ん中にそびえる白い塔だけが、醜い触手の群れから逃れられているようだ。
「ここで逃げ出したって、この国の中に逃げ場なんてないんだから。さっさと観念した方が利口ってものだよ、お嬢さん」
悔しそうに睨みつけるアリソンの視線に、少年は屈託のない笑顔で微笑んで、ゆっくりと歩き出す。触手たちも、二人を捕えたままの状態でのたのたと少年について行く。
もはや事態がのっぴきならない所まで来ているのは間違いない。移動しながらも二人を拘束する触手はさらに数を増して、もはや身動き一つとることもできない。
「いや〜、ここの所獲物がやってこないと思ったらこれだよ。来るときには来るもんだね。これで昨日の娘も捕まってくれれば、かなり楽しめるんだけど……」
すっかり上機嫌の少年の行く手に、石を積み上げて作られた門のようなものが現れた。ぽっかりと口を開けたその中にも触手は続いているようだ。
「それじゃあ、行ってみましょうか!!」
浮かれた調子で門に入って行った少年に続いて、触手たちも穴に入っていく。
どうやらそれは地下へ向かうトンネルらしい。下へ下へと降りていくにつれ、入り口から差し込む日の光が遠のいていく。
地獄の底まで繋がっているんじゃないかと思わせる、その真っ暗な空間を三人が進んでいく。
しばらく進んだところで、不安げに視線を交わす二人を見て、少年がふと足を止めた。
「それにしても、かなり仲良いみたいだね。二人とも……」
振り返った少年はアリソンの顔をまじまじと眺める。
「な、なによ?」
少し焦点のずれた両の瞳に覗き込まれて少し怯みながらも、アリソンは果敢に睨み返す。しかし相変わらず少年は笑顔を崩すことなく言葉を続けた。
34SBI:2006/01/23(月) 10:58:47 ID:ikzGcyzS
「それに、この娘もけっこう可愛いし………なんだか羨ましいなぁ」
くるりと踵を返した少年は、おもむろに近くの壁に手をあてて、もう片方の手で例のガラス玉を取り出す。すると、壁の石組みがスライドして新たな通路が開いた。
「良いよね。仲が良いって、本当に素晴らしいよね」
つぶやきながら少年が、その隠し通路に足を踏み入れる。通路の内側から新しい触手が飛び出してここまで二人を運んできた触手から、アリソンだけを受け取った。
「こらっ!!何やって…きゃううっ!!」
「あ、アリソンっ!!!」
触手の強い締め付けに、アリソンが思わず悲鳴を漏らす。ヴィルはなんとか触手を振りほどこうと暴れるが、自力で脱出するより早く触手はヴィルの体は投げ出された。
「ぐあっ!!」
「ヴィルっ!!!」
「あはは、ごめんね。気が変わったんだ。君らの仲の良いところが見てみたくなった」
床に這いつくばるヴィルを見下ろして、少年は楽しそうに笑う。
壁にもたれかかりながら、痛みを堪えて立ち上がろうとするヴィルの前で石の壁が再び閉ざされ始めた。
「こっちは秘密の近道なんだけどさ、そっちの道も目的地までは繋がってるから、何とか辿り着いて見せてよ。
うっかり迷うと野垂れ死にしちゃうかもしれないけど、この娘のためなら、出来ないはずないよね。愛の力でさ。
あんまり遅くなると、どうなっちゃうかわからないよ?この娘の心も、体も………」
触手に引き寄せられたアリソンの体が隠し扉の向こうに消えていく。
「ヴィルーっ!!!!」
「アリソンっ!!!」
「あはははははは、必死だねえ。離れていてこそ燃え上がる愛、なんだか憧れちゃうよ。じゃあ、ちゃんと見せてよね。君とこの娘の愛の力をね……」
35SBI:2006/01/23(月) 10:59:30 ID:ikzGcyzS
あれからどれほどの時間を歩き続けただろうか?持ち前の記憶力で、しらみ潰しに迷宮を歩き続けたが、アリソンが連れ去られた所に辿り着ける様子はない。
「アリソン…アリソン……くそっ!!」
こんな調子ではいつになれば辿り着けるのかわからない。こうしている間にも、アリソンがどんな目に遭わされているかわからないというのに。
触手に投げ出されたときのダメージは思いのほか深く、体中を襲う軋むような痛みに、ヴィルの焦りに拍車がかかっていく。
硬く握り締めた拳がブルブルと震え、目の端からは涙が零れ落ちそうになる。重く圧し掛かる不安感に膝が崩れ落ちそうになる。
それでも今のヴィルには、前に進む以外の選択肢はなかった。
「待ってて、アリソン。今行く。今行くよ……」
一歩、また一歩と、より深く黒い闇の中に踏み込んでいくヴィルの顔には、一片の躊躇いもなかった。

そのころ、触手に捕らわれたアリソンは少年に連れられて地下迷宮の最も深く、最も暗い場所に辿り着いていた。
「今頃どうしてるかな、君の彼氏。ここの迷宮ってさ、結構危ないところもあるからね…」
「…………」
「罠があるわけじゃないけどさ、とにかく暗くて広くて長くて、道順知らない人間が歩けるような場所じゃないんだよね」
「…………」
「冗談だよ、冗談。彼ならきっと辿り着くよ。偉大だもんね、愛の力ってのは………」
「…………」
「少しは喋ってくれないのかな?」
だんまりを決め込むアリソンを見て溜め息をついた少年は、くるりと振り返ると目の前にある大きな扉に手を掛けた。
「誤解してもらっちゃ困るんだけど、別に遊びで君たちをさらった訳じゃないんだよ。大事なお役目があってね、君たちに手伝ってもらいたかったんだ」
喋りながらも開いている方の手でガラス玉を取り出し扉に向かってかざすと、例によって例のごとく、ガチャリという音がして扉が左右に大きく開いた。
36SBI:2006/01/23(月) 11:00:14 ID:ikzGcyzS
その向こうに現れた物を目にして、少年に敵意溢れる眼差しを向けていたアリソンの目がゆっくりと見開かれ、驚愕の表情のまま凍りついた。
「……………何よ、これ?」
「かみさま、ぼくたちの国を守ってくれる大事な大事なかみさまだよ」
青ざめたアリソンの表情を横目で見て、少年は得意げに笑ってみせる。
そしてもう一度ガラス玉を掲げて見せると、扉の内側から飛び出した触手がアリソンの体に絡みつく。
「きゃああっ!!!」
外にあるものとは比べ物にならないほど太い触手が、今まで絡み付いていた触手も強引に引き千切り、部屋の中へと引きずり込んでいく。
「大事な大事なかみさまだ。しっかりと尽くしてあげてね……」
自らも部屋の中に入ろうとした少年だったが、ふと立ち止まって持っていたガラス玉に目をやった。
「ん?これは………」
ガラス玉の表面には光によって幾つもの文字が浮かび上がっていた。
「そうか、昨日の娘も捕まえたのか………」
少年の表情になんとも言えないワクワクしたような表情が浮かぶ。
「すごいな。これはすごい。久し振りに楽しめそうだよ………」

判断を誤ったつもりはなかった。それでも長く旅を続けていれば、まるで見えない糸に引き寄せられるかのように、危険な場所に足を踏み入れてしまうことがある。
それにしても現在の状況は、最悪の上に最悪を重ねた、今までに体験したこともないようなピンチだろう。
「くっ……くそ!!!……このぉ!!」
相棒のモトラドと共に旅を続けている彼女、キノにとっては、この国のいたる所に現れる忌々しい触手たちは最悪の敵だった。
一本一本は脆弱だが、無尽蔵にあらゆる場所から襲い掛かる触手。対するキノの武器はパースエイダー、つまり拳銃の類だった。
37SBI:2006/01/23(月) 11:01:03 ID:ikzGcyzS
一本を打ち落としたところで、次の一本が襲い掛かってくる。ほどなく捕えられたキノは触手に絡めとられてしまった。
地下へと続く迷宮を下り辿り着いた大きな門の前で、隠し持っていたナイフを使ってキノは脱出した。しかし、逃げ出したキノを追いかけて触手たちはどこにでも現れた。
石造りの通路の中では跳弾の恐れがあるためパースエイダーは使えない。手持ちのナイフで戦い続けたキノだったが、それも限界を迎えようとしていた。
いまやキノの体には何本もの触手が巻きつき、ほとんど身動きが取れなくなっている。
「あ……や…はああんっ!!!…こんなぁ!!?」
触手の一本がズボンの中へと這い入り、その異様な感覚にキノは思わず声を上げた。何とか触手から逃れようと身をよじる間にも、一本また一本と触手が服の中に入ってくる。
ある触手は腹から胸へと這い登り、キノの小さく屹立した乳首にその先端を押し付け始めた。
いつの間にかズボンの裾から入り込んだ触手に絡み付かれて、細い足が粘液でベトベトに汚れていくのがわかった。
さらに数本の触手が、その先端を向けてキノの顔を取り囲んだ。怪訝な表情を見せたキノの前で、触手たちの先端がぱっくりと開き
「な……何?ひあっ!!?ぷああっ!!!?」
どろどろとした粘液が飛び出して、キノの顔を汚した。黒い髪が、薄く紅い頬が、可愛らしい唇が、残らず白濁に汚されてしまう。
生暖かい粘液が滑り落ちる感覚に戸惑う間もなく、小さく開いたキノの口に一本の触手が押し入ってくる。
「んんーっ!!んむぅ!!?んんっ!!!」
キノの舌に絡みつき、思う存分に口腔内を犯した触手は、とどめとばかりに先程の粘液を、今度はキノの喉の奥へと放った。
触手に口を塞がれたままのキノは、他にどうすることもできずに粘液を嚥下する。ついさっきキノの肌を汚した感覚が、今度はキノの体の内側を通り抜けていく。
「…ぷはぁ!!けほけほ…こんな…やぁ……」
服の内側へと侵入してくる触手は、さらに数を増していた。
表面から染み出してくる粘液もいつの間にやらその量を増して、キノの衣服は粘液をふくんでぐっしょりと重みを増している。
しかし、見る影もなく汚されきった自分の姿に愕然とする暇も、キノには与えられなかった。
触手の粘液に汚された肌が、おぞましい白濁液を受け入れた体の奥が、たまらないほどの熱を帯び始めていることに気がつく。
38SBI:2006/01/23(月) 11:01:48 ID:ikzGcyzS
「うああ…らめぇ……こん…なの……らめ…らめだよぉ……」
うじゅる、と絡みついた触手が蠢く様が、さっきよりも敏感に感じられる。徐々に早まっていく自分の鼓動とともに、段々と体が熱くなっていくのがわかる。
「はうぅ!!ひあああっ!!!!」
背中を這い登る触手の感覚に、キノの体が雷に撃たれたように仰け反る。
認めたくはないが、認めなければならないようだった。自分の体に起こっている変化が、一体どういったものなのかを。
(気持ちよくなってきてる?ボクが?)
そう意識してしまうと、体中で蠢く触手の一本一本の動きが、まるで追い詰められたキノの性感を責め立てようとしている様に感じられる。
乳首を軽く押しつぶす触手の先端の動きだけで、強く摘まれ甘噛みされたような感覚がキノを襲う。
首筋を軽く撫でられるだけでぞわりとした電流と共に、甘い吐息が漏れてしまう。
全身から聞こえてくるぬちゃぬちゃという音を聞いているだけで、ショーツの内側が熱い湿りを帯び始める。
「こんな…らめらよ…このままじゃ…ひううっ!!このままじゃ、また…ああんっ!!」
必死で理性を保とうとするキノを嘲笑うかのように、触手の動きは激しさを増していく。
もはや脱出どころの騒ぎではなかった。意思を繋ぎとめようとするキノの力は、確実に削り取られていった。そして……
「ふああああっ!!!やっ!!そこぉ…やめて…やめてぇ!!ひあああっ!!!」
何本もの触手が、ズボン越しにキノの一番敏感な部分に体を擦りつけ始めたのだ。時に激しく時に優しく、緩急をつけながら触手たちは代わる代わるにキノに刺激を与える。
触手の頭がアソコに押し付けられるたびに、キノの頭に白い火花が散り、思考が寸断される。
「ああっ!!らめ…なのにぃ…らめなのに……きゃうううっ!!!」
容赦ない責めに、キノの全身が痙攣を起こしたようにガクガクと震える。
このままされるがままになっていれば、どんな結果が待ち受けているか、それはわかっているのに、キノの体はもはや完全に言う事を聞かなくなっている。
「あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!らめ!!も、らめなの!!ボクもう……」
39SBI:2006/01/23(月) 11:02:31 ID:ikzGcyzS
触手の動きは最高潮に達し、押し寄せる快感の波に耐えるだけの力はキノの中から失われようとしていた。
「ああっ!!や…イクっ!!イクううううううっ!!!!!」
そして触手の最後の一突きが、キノの意識を遠く高みへと運んでいった。
(ああ…ごめん、エルメス……ごめん……)
薄れ行く意識の中で、触手に捕まって置き去りにしてきてしまった相棒の名を呟いて、キノは自らの意識を手放した。

「…………ですか?……じょうぶ…すか?……」
(………?ボクは一体どうなって?)
「…しっかり…てくださ……っかりしてくだ…い…」
(……ボクを呼んでる?)
自分は再び触手に捕らわれたはずだ。あの少年のもとへと連れて行かれたはずだ。だけど、違う。この声は、違う。
(……………誰?)
薄く目を開いたキノの視界に入ったのは、心配そうに自分の顔を覗き込む、茶色い髪の少年の顔だった。
「大丈夫ですか?しっかりしてください!」
快感に痺れきった頭では、何がどうなっているのか、見当もつかない。
ただ一心に自分を心配しているその優しい瞳だけで、キノには十分に安心できるものだった。
キノは一瞬少年に微笑みかけると、この国に入って以来片時も解いたことのなかった緊張を解き、少年の体にもたれかかった。

「やあっ!!またイクぅ!!!またイっちゃうのぉ!!!ああああああっ!!!!」
薄暗く広大な空間に少女の叫び声がこだまする。少女の体は何本もの触手によって捕えられ、手足は何か腐った肉のようなものに固定され身動きすることができない。
完全に抵抗力を奪われた状態で陵辱を受け続けたアリソンの体はボロボロに傷つき、僅かに破れ残った衣服が申し訳程度にその肌を隠している。
40SBI:2006/01/23(月) 11:04:28 ID:ikzGcyzS
触手の発する催淫性の粘液によって幾度となく望まぬ絶頂を迎えさせられ、アリソンの瞳は既に力なく虚ろに中を漂うのみとなっていた。
その様子を満足げに眺めながら、少年がつぶやく。
「ああ、やっぱりこの娘は可愛いよ。ぼくの眼に狂いはなかった」
アリソンの膣内を奥の奥まで犯していた触手が引き抜かれ、子宮を埋め尽くすほどに放たれた白濁液が栓を失って溢れ出る。
「うあ……も、いや…いやあ……」
うめくようにつぶやくアリソン。
しかし、彼女にはひとときの休息も与えられない。引き抜かれた触手と入れ替わりに現れた新しい触手が、アリソンの目の前で見せ付けるように鎌首をもたげる。
そのままアリソンの胸元から腹を撫でるようにして、触手は再び濡れそぼった入り口へとあてがわれる。
「…こんな…ぜった…ひぅ…ぜったいゆるさ…ないんだから…ひゃんっ!!?」
「勝気なところも、たまらないんだよねぇ」
「う…うああ……ヴィル…ヴィルぅ!!」
「こんな目に遭ってるのに、彼氏のことも忘れてないんだ……。素敵だなぁ…」
好き勝手なことを言っている少年の前で、触手はアリソンの反応を楽しむように何度も入り口の辺りを撫で回してから、一息に奥の奥まで突き上げた。
「ひゃうううっ!!あっ!!やあっ!!あああんっ!!!いやああああっ!!!!」
乱暴に突き上げる触手の動きにあわせて、アリソンの体が上下に揺れる。
おなかの中で暴れ回る触手、本来なら苦痛を感じるようなその動きにすら、今のアリソンは快感を感じるようになっていた。
体が変えられていく。犯されて、奥からぐちゃぐちゃに破壊されることがたまらないと感じる体に、作り変えられていく。
「ひあああっ!!やあああああああっ!!!!ヴィルっ!!ヴィルぅ!!」
何度も何度も、自分の愛しい人の名前を呼び続ける。この地獄を耐え抜くこれ以外の方法を、今のアリソンは知らなかった。
ヴィルはやって来る。必ず、きっと自分を助けにやって来る。
41SBI:2006/01/23(月) 11:05:00 ID:ikzGcyzS
止められるなら、止めたかった。こんな危険な目に、ヴィルをあわせたくはない。だけど、きっとそれは無理な話だろう。
ここから一人で逃げ出す。それはヴィルが絶対に取り得ない行動なのだと、アリソンは知っている。
ならばせめて、ヴィルが来るときまでは、せめて自分は正気を失いたくない。快感に押し流されて、全てを見失いたくはない。
ただそれだけの思いで必死に耐えるアリソンを、触手は容赦なく責め立てた。
アリソンの両の胸の前に突き出された触手がぱっくりと口を開き、痛々しいほどに硬くそそり立った突起にしゃぶりついた。
瞬間、アリソンの頭の中を電流が駆け抜けた。
「ふああああっ!!!やっ!!それやめ…あああああああんっ!!!!!」
触手に吸い付かれた乳首を、触手の内側の繊毛上の突起が責め立てる。
微妙な力加減で乳首を撫で回す無数の突起に、アリソンは背中を仰け反らせ淫らに叫ぶ。
「ひうああああっ!!!ちくびっ!!もう、ちくびゆるしへえええっ!!!」
涙を流し、髪を振り乱し、嬌声を上げ続ける。時が経つほどに自分が削り取られていくことがわかる。
膣内を蹂躙する触手の動きは既にクライマックスへと向けて加速をはじめ、アリソンの意識は快感の奔流の中に飲み込まれて消えていく。
「うあああああああっ!!!やああっ!!くああああああああああっ!!!!!!」
触手が熱くたぎったものをアリソンの膣内に吐き出す。打ち付けるように放たれたその熱量が、アリソンを高みへと押し上げた。
内も外も汚され、アリソンの体からぐったりと力が抜ける。
「素晴らしい。本当に素晴らしいよ、君は……」
アリソンの汚れきった姿を眺めながら、少年は感嘆の息を漏らす。
「君は本当に最高の餌だよ。君の絶望、苦痛、ぼくたちのかみさまが育つのにこれ以上の滋養なんてありはしない」
この国の支配者である少年の一族は、代々一つの役目を負ってきた。それこそがこの国を守護するかみさまの世話をすることだ。
町中に張り巡らせた触手で治安を守り、外敵と戦い、そして来るべき時にはそれ以上の力を発するはずのかみさま。
42SBI:2006/01/23(月) 11:05:37 ID:ikzGcyzS
だが、彼らのかみさまは未だ不完全だった。完全な姿を手に入れるには、もっと多くの餌が必要だ。
かみさまが完全な姿にまで成長を遂げれば、いつの間にかさびれ始めたこの国も力を取り戻すに違いない。
この世のものではないかみさまが食べるのは、やはりこの世の仕組みでは推し量れない感情のエネルギー、それもより深く強い力を持つ負の感情が必要だ。
そのためにここには旅人を捕えるなどして、常時いくつかの餌袋が用意されている。触手に捕らわれ、負の感情を吸い出すための道具となった彼ら彼女ら………。
しかし、この少女以上の餌袋はなかなかいないだろう。強く意思を持つがゆえに、その絶望も苦痛も常人以上のエネルギーを産み出す事になるのだろう。
オオオオオオオオオオオオオオオオオ…………
大地を震わすようなこの声、間違いない、かみさまもこの餌に満足しているのだ。
「これは意地でも、もっとあの娘から苦痛を引き出さなくちゃならない」
そう言ってアリソンを見やると、長時間の陵辱に耐えかねたのか、完全に意識をなくしているようだ。
「まいったな。これは別の手を考えるしかないか………」
少年はぽりぽりと頭をかきながら、しばらく考える。
「エッチなのもそろそろ飽きた頃だし、今度は別の苦痛を味わってもらうかな……」
少年がガラス玉を掲げると、どこからともなく先端が吸盤のような形になった触手が現れ、ぐったりとしているアリソンの側頭部に張り付いた。
「眠ったからって、逃げられると思ったら間違いだよ」

埃が降り積もった本棚の間を、キノとヴィルの二人が進んでいく。以前はこの地下施設の資料館だったのだろうか。今ではほとんどの本が朽ち果て残っていない。
「どうして、一緒に来てくれたんですか?」
ずっと考えたことをヴィルは口に出してみた。
ヴィルがキノを助け出したのは、彼の性格のためでもあったが、もう一つ万が一にも地下迷宮の最深部までの道を知っているかもしれないという期待があってのことだった。
しかし、道を聞くだけのつもりが、キノ自身がついてこようとはヴィルも考えていなかった。
43SBI:2006/01/23(月) 11:06:13 ID:ikzGcyzS
「さあ、どうしてなんでしょう?」
実のところ、その理由は当のキノ自身にもわかっていなかった。旅人として自分の身の安全を一番に考えるなら、なるべく早くにここを脱出すべきだったのだ。
だが、お互いの事情を話した後でキノが下した決断は、それとは違うものになってしまった。
(どうしちゃったんだろう、ボクは?)
いくら考えても見当がつかない。他人の問題、それも明らかに自分の手に余るような出来事に、キノは首を突っ込もうとしている。
それでもあえて、理由を述べるというのなら
「ただ、あなたと一緒にいる方がだいじょうぶだって、そう思えたんです」
それ以外に言いようがなかった。
こんな風に感じるのはなぜだろう。自分を助け起こしたとき、本当に心配そうに覗き込んできたあの顔、それが遠い昔に出会ったあの人と何だかかぶって感じられた。
キノを助け、旅に出るきっかけを作り、命を落としたあの人。あの優しい瞳に似ている。懐かしい空気を感じた。
だからこそ、無事に辿り着けるかどうかもわからない地上への道のりでなく、ヴィルと一緒に再び地下に降りることをキノの本能が選び取ったのかもしれない。
「さあ、先を急ぎましょう。アリソンさんが待ってます」
「はい。………ん、あれは?」
突然足を止めたヴィル、その視線の先には埃とぼろぼろの紙切れに埋もれて、一応の形をとどめている本が一冊転がっていた。
必死で逃げ出してきたキノの記憶は、ところどころで当てにならず、二人は何度か道に迷ったりしていた。
もしかしたら、この先の正確な地図が手に入るかもしれない。そうでなくても、安全に脱出するためのなんらかのヒントが……
かすかな期待を抱きながら、ヴィルがそっとめくったページに書いてあったもの。ヴィルと一緒に本を覗き込んでいたキノが、ぽつりとつぶやいた。
「なんだろう、これ?かみ…さまって書いてあるけど?」
そこには人間の身の丈に十倍する巨人の姿が描かれていた。巨大な玉座に座ったその姿。
そして巨人を囲むドーム状の空間はそれ以上に大きい。おそらくこのかみさまとやらの為に、相当な余裕を持って作られたものなのだろう。
44SBI:2006/01/23(月) 11:06:48 ID:ikzGcyzS
巨人の背中からは十数本の鋭い触手が生えている。
「かみさま」という言葉を少年がつかっていたのを、ヴィルはキノから聞いていた。自分たちが今から向かう先にいるのは、きっとこの化け物に違いあるまい。
だが、何かが違う。野放図に町に広がる醜い触手たちと、自分たちを苦しめてきたあの触手たちと、ここに描かれている神々しい姿はまるで別のもののように思える。
「なんだ、何なんだ?」

「いやああああっ!!!!も、やめてぇ!!!やぁ、お願い!!!お願いだから、もうヴィルをいじめないでぇ!!!やぁあああっ!!!!!」
かみさまはいつになく満足していた。
側頭部に張り付いた吸盤状触手は、獲物の精神に干渉することができる。
通常の触手による外部からの干渉だけでなく、こうして悪夢を見せることでかみさまは餌袋たちから最大限の苦痛を搾り出す。
今、少年の姿は部屋にはなく、餌袋たちは一所に集められている。彼らのほとんどは既に精神を破壊され、廃人同様の食べかす、残飯と化している。
ここ数ヶ月、食べかすの餌袋達だけでなんとか過ごしてこなければならなかった彼だったが、久し振りに極上の食事にありつくことができた。
そう、今この部屋の中には新鮮な餌袋が二つもあるのだ。彼らが発する濃い苦痛の味は飢えたかみさまを満たして余りあるものだった。
ただ、問題がないわけでもないが………。
「ヴィルっ!!ヴィルっ!!?いやぁっ!!!いやあああああああああああっ!!!!」
絶え間なく続く悪夢に悲鳴をあげ続けるアリソン、ガクガクと震えるその肩をやさしく抱き締める者の姿があった。
「大丈夫、大丈夫だ」
「ヴィルっ!!ヴィル!!!」
「安心していい。ヴィル君も無事だよ」
「………ヴィルぅ…」
もう一つの餌袋、この長身の青年にかみさまは手を焼き続けていた。
ここ数日、寝ている間も、起きている間も、精神への干渉を続けているが、なかなか思うほどの苦痛を得ることができない。
その上、もう一方の餌袋から搾り出す苦痛も、こいつのせいで明らかに目減りしている。
45SBI:2006/01/23(月) 11:07:22 ID:ikzGcyzS
少し、歯ごたえがありすぎる。
「まだ壊れてなかったんだ、あなた………」
薄闇の中に明朗な声が響いた。あの子だ。また、新しい餌袋を持ってきてくれたんだろうか?
しかし、少年は一人でやって来たらしく、かみさまは期待が外れてガックリとする。
「ここに来て、もう何日目になったっけ?なかなかどうして、タフじゃないか」
「慣れているだけだよ、辛い目に遭うことにね……」
「あはは、なんだか格好良いね。その言い方………」
少年はいつも通りの気楽な様子だが、かみさまにとってはここ数日はこの青年の為に苦労のし通しだった。
「今日は脱走しようとしないんだね。もしかして、この娘のため?」
「まあ、そんな所かな?」
「なんでもかんでも助けようとしたって、人には限度ってものがあるんだ。痛い目にあっても知らないよ?」
「それも、慣れているよ」
その言葉に、少年の顔に笑顔が浮かぶ。一体、何がそんなに楽しいのか、かみさまには見当もつかない。
「あなたはなかなか面白い人だよ、シズさん……」

かみさまの鎮座するドームの門の前、少年は一人待ち続けていた。
「結構ロマンチストなんだよねえ、ぼくは」
待ち人はただ一人、あの少女アリソンを救うために、ヴィルは必ずやって来るはずだ。逃げ出した、などとは考えなかった。
「愛の力ってのを信じてるからね。それに、例の娘の件もある」
触手たちが捕えたはずの旅人の娘が連れてこられる気配がない。この迷宮のなかにいる人間の数を考えれば、自ずと答えは知れる。
「ほらね、やっぱりだ」
まっすぐと続く長い廊下を二つの人影が歩いてくる。限りあるナイフを二人でわけて装備し、どこで拾ったのか材木を手に持っているのが、なんとも健気だ。
46SBI:2006/01/23(月) 11:07:55 ID:ikzGcyzS
「やあ、待っていたよ」
少年が声をかけたときには、キノの体は宙を舞い、飛びかかろうとしていた。ナイフが銀の弧を描き、少年の喉元に迫る。しかし……
「ぐあっ!!?」
少年の下に辿り着く前に、キノの体は石の床に叩きつけられた。
「キノさんっ!?うわああっ!!!」
叫んだヴィルの体も宙に吹き飛ばされる。
「残念だったね。まあ、こうなる事も覚悟の上で来たんだろうけど………」
少年の周りで、部屋の外にあるものよりもずっと太く、速く、逞しい触手がとぐろを巻いていた。かみさま本体から生えている一番強力な奴だ。
ナイフをとり直し、再び身構えたキノとヴィルの前で、少年は得意げにくくくと笑いながら、ガラス玉を掲げる。
同時に扉が勢い良く開いて、部屋の中から先程と同じタイプの強力な触手が無数に飛び出した。
「く、くそっ!!」
「やめろっ!!?」
逃れようとする二人に強引に絡みついた触手は、再びドームの中へと引き戻されていく。扉の向こうに見える薄闇の空間、そこにそびえる巨大な影。
「それなりの勝算や、作戦があって来たんだろうけど、無駄だよ。何しろ、君らが戦わなければならない相手は、ほら………」
少年の声とともにドーム内の照明がついた。そこに照らし出された異様に、キノとヴィルは息を飲んだ。
「こんな……」
それはヴィルがあの本の挿絵で見た姿とは似ても似つかないものだった。ぶくぶくに膨れた巨大な肉塊、いびつな胎児のような化け物がそこにいた。
「あははははは、すごいでしょ。これほどとは思ってなかったでしょ」
化け物はドーム中にまるでロープのように自らの触手を張り巡らせ、腐敗した果物のような臭いを撒き散らしながら、その巨体を震わせている。
絵の中では、相当な余裕があったはずのドームの中が、ほとんど肉塊に埋もれてしまっている。
「これがぼくたちのかみさまさ。なんとも力強い、神々しいお姿だろう?だけど、これでも我らのかみさまは完全なお姿ではない。
完全なかみさまになるためには、もっと栄養が必要なんだ。そこで、君たちにご協力願おうというわけなんだよ」
47SBI:2006/01/23(月) 11:08:30 ID:ikzGcyzS
得意げに話す少年の言葉を、しかしキノはほとんど聞いてはいなかった。確かに敵は自分たちの予想を越えていたが、自分たちの勝利はあの化け物を打ち倒すことではない。
隠し持っていたナイフで触手を傷つけると、体にかかる力が緩んだ。その隙をついてキノは触手から抜け出す。細いのが絡み付いてない分、脱出は楽だった。
「だけど、触手の体液の催淫能力も外とは比べ物にならないんだよね」
言われたときにはもう遅かった。触手から飛び出た緑色の体液を浴びた辺りが、すでに熱くなり始めていることにキノは気がつく。
「くそぉ!!こんな…また!!?」
走るスピードが遅くなったところを狙って、触手たちがキノを再び捕え、粘つく体液をその肌の上に降り注がせる。
「ああっ!!…やっ!!…ああんっ!ひううっ!!!」
叩きつける重いしぶきの感触だけで声が漏れてしまう。辺りに立ち込める異臭に背筋がゾクゾクと震える。このままでは危ない。
しかし、焦って取り出したナイフはキノの手にまとわりついた粘液に滑り、触手に弾かれて遠くに飛んでいった。
「あ〜あ、そんなにはしたない声を出しちゃって……いいのかな?あちらさんが見てるんだけど……」
「えっ!?」
少年が指差す先に、キノは見覚えのある人影を認めた。
「シズさん?」
「キノ…さん?」
「お二人とも、知らない仲じゃないんでしょ?」
「どうして君がそれを知っているんだ?」
「まあ、かみさまの御力ってところかな。ここで夢を見てもらってる間に、頭の中を色々と覗かせてもらったよ」
吸盤状触手をひらひらさせながら、少年は最悪のタイミングでの再会に愕然とする二人の顔を交互に眺める。
「積もる話もあるだろうね。でも、申し訳ないけれど、ぼくのお役目の方を優先させてもらうよ。さあっ……」
「うあああっ!!やあっ!!」
少年の声を合図に、うじゅるうじゅると触手が蠢き始める。衣服の隙間を縫うようにして、触手たちがキノの肌を犯していく。
「さて、再会といえばあちらさんも結構面白くなってるみたいだね……」
48SBI:2006/01/23(月) 11:12:54 ID:ikzGcyzS
少年が視線を向けたその先、触手に捕らわれたヴィルは眼前の光景から目を離すことができなくなっていた。
「……アリソン…」
「ひああ…うぁ…ヴィル…見ないで…見ないでぇ……」
ずっと自分が捜し求めていた大事な人、だがその姿は以前とは大きく違う点が一つあった。
服をむしられたあられもない姿以上に、嫌でも注目せざるを得ないものがアリソンの股間に屹立していた。
「どうかな?きっと、君のモノよりも立派だと思うんだけど……」
それは触手が変化したいびつな男性器のデフォルメだった。ドクドクと脈打つその先端からは、とめどなく先走りが溢れ出し、その滴がアリソンの腿を汚していた。
「ヴィル…見な…見ないで……見ないでぇ!!!!」
その異形のモノをアリソンの細い指先が前後に激しく摩擦している。指にまとわりついた粘つきが立てるくちゅくちゅという音が、妙に大きく辺りに響く。
そして………。
「ひあああああっ!!!またぁ!!また出ちゃうのぉ!!!?」
アリソンの悲鳴と共に異常な量の白濁液が辺りにぶちまけられる。呆然と目を見開くヴィルの頬にも、その飛沫の一滴が飛び散った。
「すごいでしょう。感じるし、ちゃんと出るんだよ。で、ヴィル君だっけ、君にやって欲しいことっていうのは……」
触手に抱えられたヴィルが、アリソンの背中の側に運ばれる。
「アリソンさんを気持ちよくしてあげて欲しいんだ。さっきみたいな要領でね。君だって、やったことはあるだろう?」
「な、何を言って……」
「言っておくけど、君には最初から選択権なんてないんだよ」
そう言った少年の手で、ヴィルの後頭部の辺りにアリソンの物と同じ吸盤状の触手が吸いつけられる。すると……。
「やっ!!ヴィルぅ…やめ…あひいいいいいっ!!!!!」
「な!?体が……」
先程まで自分の言うことを聞いて動いていたはずの手の平が、指先の感覚だけはそのままに、ヴィルの支配を離れて動き出した。
「…うあああっ!!!ヴィル…激しすぎ…やあああんっ!!!」
自分以外の人間、それも最愛の人の指先がそそり立つ欲望の塊を責め立てる。泣き出したくなるような恥ずかしさと、気が狂いそうなほどの興奮がアリソンの仲でせめぎ合う。
49SBI:2006/01/23(月) 11:13:49 ID:ikzGcyzS
自分で慰めていたのより強く、激しく、擦りあげられる度に脳天まで突き抜ける電流がアリソンの理性を奪っていく。
これはヴィルの意思ではないとわかっているのに、わかっているのに………。
「ちょっと他では体験できないような愛の営みだ。どこまで耐えられるか、見させてもらうよ……」
アリソンの熱い吐息が、いきり立つモノの脈動が、細かく震える体が、ヴィルの腕の中で熱く渦巻いている。
何が起こるかわからない。どんな目に遭わされるかわからない。それは覚悟の上でここに来たはずだった。しかし、まさかこんな事をやらされようとは………。
「うあ…ヴィル……わたひ…へんになっひゃう…このままじゃ…わたひ……ひあうううっ!!!」
「アリソン、しっかりして!!」
こんな事は間違っている。だけど、間近に見えるアリソンの上気した顔が、触れた肌の温もりが、確実に自分を興奮させ始めていることにヴィルは気がついていた。
ダメだ。ここで正気を失ったら、アリソンも、僕も……。必死に理性を保とうとするヴィルだったが、その僅かばかりの抵抗すら打ち消される運命にあった。
「ヴィル、ごめんっ!!!わたひ…きもひいいのぉ…ヴィルのゆびでこすられへ…わたひ…わたひぃいいいいいっ!!!!ひあああああああっ!!!!!」
再びアリソンのモノがビクンと脈打ち、堰を切ったように大量の白濁液が溢れ出した。
吐き出しても吐き出しても、それは止むことを知らず、むしろ怒張に集まる熱量はその勢いを増しているかのように感じられた。
一旦高く吹き上げられた白濁液は、重力に従い二人の上に降り注ぐ。二人の体が白く汚れていく。
「ヴィルっ!!!きもひいいいっ!!!きもひいいの…とまんないよほおおおおっ!!!!」
「うああっ!!アリソンっ!!!アリソンっ!!!!」
響き渡るアリソンの嬌声が、ヴィルの頭の回路を焼き切ってしまった。
アリソンのモノを擦りあげる自分の指が、もはや誰に動かされているのかわからなくなってくる。
「あああああっ!!!やあっ!!!ひあああああああああああっ!!!!」
一際大きな叫び声と共に、アリソンのモノは最後の一滴までを吐き出した。二人の体からぐったりと力が抜けていく。
(ああ……僕たちは、もう……)
何もかもが狂っていく中で、ヴィルは全てを投げ出した。
「ごめん……ヴィル」
「アリソン……」
そっと口づけを交わす。全てを失った二人にできるのは、もはやお互いのことを心に映すことのみだった。
50SBI:2006/01/23(月) 11:14:30 ID:ikzGcyzS
「あははは、あれだけ狂っても、お互いの事を忘れないってのはなかなか泣かせるよね……そろそろ、こちらもいい感じに仕上がってきたみたいだし……」
シズの目の前で触手による陵辱を受け続けていたキノ。迷宮の中で味わった以上の責め苦のために、その理性はほとんど失われようとしていた。
「ひああっ!!またイクっ!!イっちゃうのっ!!!シズさんの前なのにっ!!ボク…ボクぅ!!!!!」
体をビクビクと痙攣させ、背中を仰け反らせる。溢れ出す涙や涎をぬぐう事もできず、いまやキノは快感に打ち震えるだけの人形へと堕ちていた。
その光景を眼前で見せ続けられたシズは押し黙ったまま、何かを堪えるように俯いている。
「うんうん、こっちも完璧だ。それじゃあ、始めるとしようかな。とびきりのメインディッシュをかみさまに味わってもらわないと…」
再び触手たちが大きく動き始める。
「うあ……何?…ヴィル?」
「ひあ…まだ…まだ終わらないの?」
触手に運ばれたアリソンとキノが、ドームの扉の前の辺りに引き寄せられていく。なすがままの二人は正面から向かい合わされ、お互いのあられもない姿を直視することになる。
アリソンの股間のモノは未だに熱いたぎりが衰えず、濡れそぼったキノの股間はドームの照明に照らされてキラキラと輝いている。
「ここまでくれば、言わなくてもわかるよね?」
キノの股間にアリソンのモノがぎゅっと押し当てられる。互いの熱が伝わるだけで、二人の背中をぞくぞくするような感覚が駆け抜けていく。
「あ……いやぁ」
「うあ……そんなぁ」
これ以上の快楽に耐えることなんてできない。挿入直前の体勢のまま放置された二人の中に、言いようのない恐怖が溢れ出してくる。
「それじゃあ、せいぜい励んでくれよ。ぼくたちのかみさまの為にね……」
ズブリッ!!そんな音が聞こえたような気がした。普通の男性のモノを遥かに凌駕する大きさのアリソンの怒張が、一気にキノの中へと突き入れられた。
「きゃひいいいいいいいいいっ!!!!こんな…大きすぎ…て…やああああっ!!!?」
「や…はううううっ!!?熱い…熱すぎるよぉ!!!!あああああっ!!!!」
挿入の瞬間焼け付くような快感が背骨を駆け上がり、キノとアリソンの意識は一瞬のあいだ吹き飛ばされた。
たった一度の快感の衝撃が二人に残されたなけなしの精神力を奪い去った。じんじんと疼く体の奥の炎が、二人を内側から焼き尽くしていく。
51SBI:2006/01/23(月) 11:15:08 ID:ikzGcyzS
だが、二人を襲う責め苦はまだ始まったばかりだ。蠢き始めた触手たちは、アリソンの腰をむりやり前後に動かし始めた。
「うああああっ!!!おなかのなかっ…ふといのが…はううっ!!あばれてるぅ!!!」
アリソンの股間に生えた擬似性器は、膣内を文字通り攪拌した。奥の奥まで侵入してきたモノに擦りあげられ、キノの内側は滅茶苦茶にかき混ぜられた。
突き上げられるごとに襲い掛かる痺れが、お腹の内側から神経を這い登るように体中に広がっていく。
「ふあああっ!!!やら…わたひ…とけひゃうっ!!とけひゃううううっ!!!!」
一方のアリソンは、自分の股間に生えたモノを包み込んだ熱によって、半狂乱の寸前まで追い詰められていた。
腰が動かされるたびに、熱い肉壷の中で自分の全てが溶け出していくような感触に、たまらず叫び声をあげてしまう。
「あっ!!ひゃっ!!あああんっ!!!も…ボクはぁ…ボクはああああっ!!!」
「うあああっ!!!とめてぇ…こんな…とめてよぉおおおおっ!!!!!」
何より二人を狂わせていったのは、触れ合ったお互いの肌だった。おぞましい触手の粘膜とは違う、柔らかく、きめ細やかで、どこまでも熱い感触。
見ず知らずの二人の少女は、熱く燃え上がった素肌を介して、高まっていく快感を共有した。
荒い吐息と、肌を流れる汗、嫌でも伝わってくるお互いの興奮に引っ張られて、二人はさらに乱れていく。
「んん……んむっ…くちゅ…ぴちゃ……ああっ…あなたのくちびる…あまいです…とっても」
「ふ…あああああっ!!!…はうんっ!?…ああっ…あなたも…」
もはや自分たちが何をやっているのかすら、二人にはわかっていなかった。快感だけが二人の中の全てになっていく。
「くそ……キノさん…」
「アリソン……」
「あはは、良いよね。やっぱり、エッチの嫌いな女の子なんていないよねぇ……」
快感に壊されていく二人を見ている事しか出来ないヴィルとシズ、そんな二人を横目に少年は楽しそうにくるくると踊ってみせる。
「そこの紳士お二人も結構辛そうだけどさ。まだまだ、この程度の辛さで終わると思っちゃいけないよ。……ほらっ!!」
「何っ!?」
少年の合図と共に、シズとヴィルを拘束していた触手たちが動き出した。シズはキノの背後に、ヴィルはアリソンの背後に、それぞれ運ばれた。
「お前っ!!何を考えて…」
「またまた〜、わかってるんでしょ?出来るものなら止めたいって思ってる行為、その片棒を担ぐのはどんな気分だろうねぇ……」
張り付いた吸盤状触手が細い針のようなものを二人の首筋に打ち込む。瞬間、ヴィルとシズの下半身に今まで感じた事もないような熱が広がっていった。
52SBI:2006/01/23(月) 11:15:45 ID:ikzGcyzS
「くあ……やめ…」
「なんだ……うあ…」
触手によって二人の大きくなったモノが剥き出しになる。
アリソンのぐちゃぐちゃになったアソコにヴィルのモノがあてがわれ、キノのひくつくアナルにシズのモノがあてがわれる。
そこでようやく、行為に夢中になっていた二人の少女は、周囲の変化に気が付いた。
「ふあ……シズ…さん?」
「ヴィ…ヴィルぅ?」
もうどんな抵抗も無駄なのだろう。ヴィルとシズは触手の促すまま、自分の愛する少女たちを腕の中に包み込んだ。再び触手たちが動き始める。
「それじゃあ、存分に楽しんで。カップル同士仲良くね……」
ズンッ!!と突き上げる衝撃がキノとアリソンを襲う。
延々と続いた行為のために剥き出しになったかのように敏感になっていた二人の性感を、予想もしていなかった新たな熱が襲った。
「うああっ!!!おしりっ!!おしりがっ!!?ひはあああああんっ!!!!」
長時間、触手の粘液を塗りたくられ、くちゃくちゃに愛撫されてきたキノのお尻は、いともたやすくシズのモノを受け入れた。
きゅうきゅうと食い締めてくる菊門を、シズのモノは容赦なく蹂躙する。前後を埋め尽くす巨大な肉塊が、より強い官能を求めようとするキノの心を段々と加速させていく。
「ひあああんっ!!わたひの…おとこのこと…おんなのこがいっしょに……きもひいいっ!!きもひいいよぉ!!!!」
男性と女性の快感、本来同時に味わえるはずのない二つの感覚が、アリソンの中を浸食していく。
ヴィルのモノが突き上げられるごとに走る電流が、キノの膣内をかき混ぜる自分のモノをさらに熱くしていくのがわかる。
共鳴し、増幅していく快感に脳の奥までが痺れていくようだ。
「く…そ……キノさん…しっかり…」
「シズさんっ!!シズさん…ボクぅ!!!ボクこのままじゃ…ひああっ…このままじゃおかしくっ…!!?」
「アリソンっ!!アリソンっ!!!!」
「も…らめ…ヴィル……きもひよすぎるの!!!きもひよくて……くるう…くるっひゃうっ!!!」
手足が絡み合い、濡れた肌が擦れていやらしい音をたてる。触手たちの粘液か、滲み出た汗か、それとも溢れ出した愛液か、何とも知れない液体が石床を湿らせていく。
もはや強制された行為なのか、自分の意思で動いているのかもわからない。触れ合うごとに伝わる熱を貪欲に求めて、行為は激しさを増していく。
確かな事は二つだけだ。
この快感に全てを飲み込まれてしまう事は、自分の大切なもの全てを投げ出すのに等しい事。
53SBI:2006/01/23(月) 11:16:21 ID:ikzGcyzS
そして、もはや彼らには自らその流れを止める力は残されていないという事。
「キノさん…もうこれ以上は……っ!!」
「うあ…あああっ!!……アリソンっ!!!」
もう止められない。止まる事ができない。突き入れ、かき回し、肉体を貪りあい、四人の体も心も、駆け巡る熱に飲み込まれ、ついに膝を屈した。
「も…ボク…イっちゃうの!!!イクのぉ!!!ふあああああああっ!!!!シズさぁんっ!!!!!!!」
「ひあああああああっ!!!!やあああああっ!!!!!ヴィルっ!!?ヴィルぅううううううっ!!!!!」
そして溢れ出した最後の熱が、四人の意識の全てを押し流していった。


全てを終えた四人は、触手の縛めを解かれて石床に転がされた。
吸盤状の触手からも解放され、アリソンの股間の擬似性器も溶ける様にして消えたが、誰一人動き出す者はいなかった。
もう何も抵抗する気力も起こらない。ぐったりと横たわるヴィルにできたのは、傍らに転がるアリソンの体を抱き締めてあげることぐらいだった。
(何もできなかった。ただアリソンの苦しみを深くしただけだった。助けたかったのに、一緒に帰りたかったのに……)
「……ヴィル……ヴィ…ル……」
自分の名を呼びながら、すすり泣くアリソンの声が聞こえた。いつだって涙を人に見せることはなかったアリソンが、泣いている。
もう何もかも終わってしまったのだ。このまま、この「かみさま」とやらの餌食になるのが自分たちの運命だったんだろうか?
アリソンの泣き声だけがからっぽになったヴィルの中を満たしていく。アリソンのこんな涙は見たくなかった。いや、どんな形であれ、アリソンに涙を流させるなんて……
だがその時、ヴィルはアリソンの唇が必死にある言葉を発しようとしていることに気が付いた。
「…くや………し……っ…ヴィル…」
「えっ!?」
「……やしい…よ……」
「アリソン……」
そして、ヴィルはアリソンの涙の意味をようやく悟った。
54SBI:2006/01/23(月) 11:19:06 ID:ikzGcyzS
「いやあ、良かった。本当に予想以上だよ。君たちは……」
いかにも大満足といった恵比須顔を見せながら、少年が石床に崩れ落ちた四人のところにやってきた。
疲れきった四人の顔を順番に眺め、一人うんうんと肯きながら、軽い足取りで歩いていく。
だが、少年が四人に背を向けた瞬間、ひゅんと風を切る音と共に銀のきらめきが少年の首筋に襲い掛かった。
少年は間一髪で振り返り、それを片手で受け止めて見せた。
「この瞬間を狙ってたのかい?さすがにしたたかだね、キノさん?」
それはキノが隠し持っていた最後のナイフだった。少年に最大の隙ができる、其の瞬間だけを待ち続けていたのだが……」
「これぐらいどうにかできる自信がないとおもっていたのかな?」
「くっ……」
少年は受け止めたナイフを自分の物として、じりじりとキノに近寄っていく。
「それにしても、触手をほどいたのは迂闊だな……」
しかし、そこにもう一つの声が響いて、少年は足を止める。
いつの間にやら立ち上がっていたシズが、少年に向けて右手を構えていた。握られているのは、キノが取り落としたはずのナイフだ。
「ぼくに勝つつもりなのかい?」
「そのつもりだ……」
キッパリと答えたシズだったが、先程の身のこなしからも少年が並みの使い手でない事はわかっていた。
得意の武器も持たず、消耗しきった自分たちが果たしてどうにかできる相手なのだろうか?
「均衡状態……一応、そういうことにしておこうか?」
二対一、それでも少年の余裕は一向に崩れようとしない。むしろキノ達の方が見えない腕に押さえつけられているようにも感じられる。
じりじりと時間が過ぎていく。それだけのことでも、今のキノとシズにとってはとてつもない消耗になる。
辺りで触手たちがざわめき出し、じわじわと距離を詰め始めている。結局ここは少年のテリトリーで、脱出など空しい望みだったのだろうか?
相も変らぬ笑顔を崩さぬまま、少年が再び一歩を踏み出す。その時だった。
「……ぐふぉっ!!!?」
横なぎの見事なパンチが少年を顔にめり込んだ。まったく予想外の攻撃に、少年の体が宙を舞う。少年は石床に惨めに崩れ落ちた。
「君は……ヴィル君じゃないか…」
少年を殴り飛ばしたのは、力尽きたはずのヴィルだった。
55SBI:2006/01/23(月) 11:19:41 ID:ikzGcyzS
「そんな事するタイプには見えなかったけどなあ……」
「これはアリソンの分を代理しただけです。やっぱり、あんまり良い気分じゃないけど……」
『くやしいよ』あの時、アリソンは確かにこう言った。
辛いでも、苦しいでも、悲しいでもない。自分を、ヴィルを、あの少年の思うがままにされている事が我慢ならなかった。
完膚なきまでに打ちのめされて、それでも許せないものを許せないと言える。何も変わっていない。失われていない。
あれだけの仕打ちを受けてなお、アリソンの一番大事な物は変わっていなかった。そして、それを成し遂げる力が今のアリソンに無いというなら……。
「僕が代わりに………っ!!!」
叫んで飛び掛って来たヴィルに向かって、少年はナイフを構えた。しかし、ヴィルは少年の数歩手前で踏みとどまった。
「このぉおおおおおおおっ!!!!!!」
「なっ!?」
ヴィルの足が、石床に転がっていた丸いものを思い切り蹴り上げる。
それはヴィルのパンチが決まったときに少年の懐からこぼれ落ちたもの、触手たちをコントロールするために使っていたあのガラス球だ。
気持ち良いぐらいに高く飛んだガラス玉は、巨大な肉塊に跳ね返って触手の群れの中に消えた。
「さあ、今のうちに逃げちゃいましょう!!」
ヴィルに言われて、呆然としていたキノとシズも慌てて動き始める。アリソンを背負ったシズを先頭に、4人は扉へと走る。
ナイフを片手に追い縋る少年をのたうつ触手が阻んだ。コントロールを無くして完全に混乱しているのだ。
「このっ!!邪魔だよっ!!!」
次々と自分に群がってくる触手に手を焼く少年の視線の先で、廊下の先に続く闇の中に4人は消えていった。

「なんであんな所にいるのかと思ったら、入国するなり捕まっちゃってたんですか!!」
「ごめんなさい、キノさん」
「あの刀、ボクのパースエイダーなんかより、よっぽどあの触手に効き目がありそうなのに、なんでそうなっちゃうんですか?」
「ごめんなさい、キノさん」
「その上、陸君もティーちゃんもどうなったかわからないって、何やってたんですか?」
「ごめんなさい、キノさん」
何だかうるさい後ろの二人の事を気にもせず、道案内役のヴィルは一行の先頭を全速力で走っていた。
56SBI:2006/01/23(月) 11:27:29 ID:ikzGcyzS
一度道筋がわかってしまえば怖いものなど何もない。複雑な迷宮の中を、ヴィルは一度として迷うことなく進んでいく。
もう行く手には迷宮の入り口から差し込む外の光が見えている。
「ここを抜ければ……出たっ!!!」
久々に浴びる太陽の光はまぶしかった。突き刺すような西日に目がくらむ。だが、開放感に浸っている暇も、ヴィル達には与えられなかった。
「そういえば、外にもいましたね……」
ゆっくりと四人の周りに集まってくる触手を見て、キノがつぶやいた。少年の命令を受けていないため動きは緩慢だが、今の彼らには十分な脅威だった。
じわりじわりと距離を詰めてくる触手をさえぎるように、ナイフを構えたシズが先頭に立った。
一触即発の状況、だがその沈黙を唐突な爆音が打ち砕いた。四人を囲む触手の群れの一角が、爆炎と共に吹き飛ばされたのだ。
もうもうと立ち込める煙の向こうから、キノとシズにはお馴染みの声が聞こえてきた。
「シズ様、無事ですか?シズ様!」
「あれーっ!キノ、随分はしたない格好しちゃって……どしたの?それにそっちの二人は?」
キノの相棒のモトラド、エルメス。その荷台にはシズの忠犬、陸がしがみついている。そして、運転しているのは
「…………おかえり」
ちゃっかりとキノの帽子をかぶり、ゴーグルをつけたティーだった。
「ティー……」
「……………はい、これ」
ティーが放り投げた愛刀が、シズの手に収まる。引き抜いた刃の輝きを映して、シズの瞳がギラリと光ったように見えた。
「汚名返上、といこうか………」

「塔が奪われたって、一体どうしたっていうんだ?」
この国の支配者である少年の居城、町の中央にそびえ立つ白亜の塔が僅か数人の賊によって乗っ取られたのだという。
「なるほど……確かにあそこには触手は手を出せないが………」
国民への支配と防衛の手段である触手は、支配者の暮らす塔の中にまでは張り巡らせていなかった。
ながらく触手に仕事を奪われ、形ばかりになっていた兵達は突然の襲撃に対応できず、いともたやすく塔は占領されてしまったのだという。
「だけど、それからどうするつもりなんだ?あの人たちは………」
重点的に触手を張り巡らせた城壁を突破するのは、確かに無謀な事だったかもしれない。しかし、塔に閉じこもっても何も変わらないではないか。
塔の奪還に向かった兵隊たちは、精密な狙撃によって次々と負傷し、怖気づいて使い物にならなくなっている。
57SBI:2006/01/23(月) 11:28:22 ID:ikzGcyzS
一度街に下りてくれば、こちらの絶対優位。むこうがどれほどの手練れでも、触手たちを総動員すれば物の数ではない。
一体何を考えているのか…………。
「まあいいか。このまま占領され続けてるんじゃ、ぼくの権威に関わる。もともとぼくのものだし、居座られるのは癪だ」
何を思いついたのか、少年の口元が楽しそうに歪んだ。
「普通の触手じゃ歯が立たないなら、いいだろう。おどろかせてあげるよ……」

高い塔の最上階、街を見下ろす窓辺に椅子を置き、頬杖をついたキノとアリソンがぽつりぽつりと言葉を交わしていた。
アリソンは塔の中で見つけたぶかぶかの服を頭からかぶって、なんとか体裁を整えている。キノもべとべとになった服を脱ぎ、新しい服に着替えている。
「本当、ヴィルったら何考えてるんだか……。こんな所に居座り続けたって、どうにもならないだろうに」
「そうですね。ここなら確かに、あの触手たちも手を出せないけど……」
一体どこに逃げ出したらいいのか、キノたちが思案に暮れていたとき、この塔に立てこもる事を提案したのはヴィルだった。
「だけど、彼らにはまだかみさまがいる。地下に眠るあのとんでもない化け物なら、たとえこの塔の中にいたって……」
そう言ったキノは、散々自分たちを痛めつけた怪物の姿を思い出し、ぞくりと身震いをする。
「まあね。でも、ヴィルがこんな事を言い出すときには、大体何かがあるのよねえ……」
と、呟いてはみたものの、アリソンにもヴィルが何を考えているのか見当がつかない。
しかたなく考えるのをやめてアリソンが横を向くと、自分の顔をじっと見ていたキノと目が合ってしまった。
「え、あっ……どしたの?」
「いや、その……なんでもないです……ただ…」
「ただ?」
「アリソンさん、きれいだなって……」
「えっ?うあ…そんな……それを言ったらキノさんだって、すっごく可愛いと……」
そのまま目を逸らせなくなって、二人の少女が見つめ合う。気まずい様な、恥ずかしいような、なんとも微妙な空気が二人の間を流れる。
頬が紅く染まって、ドキドキしてくる。そう言えば、これと近い状況を、ついさっき経験したような……。
「………ご、ごめん!」
「…ごめんなさいっ!!」
二人同時に思い出したのは、地下で肌を合わせていたあの時の事。いたたまれなくなった二人は、ばっとお互いから顔を背け、背中あわせに座りなおす。
「な、なんだか妙な出会いかたしちゃったわね。私たち………」
「はい………」
58SBI:2006/01/23(月) 11:29:20 ID:ikzGcyzS
一方、同じく塔の最上階の別の部屋では
「あの、本当にありがとうございました」
「いや、礼を言うなら私のほうだよ。君がいなければ、脱出なんて到底考えられなかったんだから……」
ヴィルに深々と頭を下げられて、シズが困ったような笑顔を浮かべていた。
「いえ、その事だけじゃなくて、アリソンからもありがとうって………。あの人がいたから、怖い夢を見せられても我慢できたって……」
「そ、そうかい……」
思い出すと、あの時のアリソンは既に全裸に近い状態だった。
やむを得ない行為だったと言えなくもないが、手の平に残る柔らかな肌の感触を思い出すと、感謝してくれているヴィルに対してなんだか決まりの悪さを感じてしまう。
そう言えば、わざとじゃないけど、胸にも触ってしまった気がする。
赤くなった顔についてヴィルに突っ込まれる前に、シズは別の話題に移ることにした。
「ところでヴィル君、君は一体どういうつもりで、ここに立てこもってるんだい?」
「そうですね。そろそろ話そうかと、僕も思っていたところなんです」
正直、現状から抜け出す策をまったく思いつけていなかったシズは、こともなげに言って見せたヴィルの様子に少なからず驚いた。
「僕たちが生き残るためには手段は選んでられない。だから僕は、この国に壊れてもらおうと考えています」
「…………っ!?」
思いがけない発言に、シズは言葉を失う。
「もっと正確に言うなら、この国の根幹、もっとも中心的なものに壊れてもらいます」
「それは……」
「あの怪物、かみさまをやっつけるんです!!」

一夜が明けた。朝日を浴びて輝く塔を、少年は一人見上げている。
「ほとんど使ってなかったとはいえ、もともとはぼくの物だ。あいつらにとられるぐらいなら………」
すでに街の中心部からは人払いをしてある。思う存分にやらせてもらう。
少年は天に向かって高々と手をかざす。そこに輝いているのは、昨日苦心して触手の群れの中から取り戻したガラス球だ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴっ!!!!!!!!
地面が唸り声を上げ、町全体が震えた。
59SBI:2006/01/23(月) 11:30:00 ID:ikzGcyzS
「逃げられるなら逃げてみろ!!どうにかできるなら、やってみせろ!!!ぼくは、ぼくのかみさまは絶対に許しはしないぞ!!!」
地面を割り裂いて現れた天をつく異形。その力強い姿に少年は満足げな笑顔を浮かべ、自分の絶対的な勝利を確信した。

「勝った……」
同じ頃、同じ異形を見たヴィルが抱いたのも、全く同じ思いだった。

かみさまは張り切っていた。外の世界で戦うのは一体何百年ぶりだろう。あの塔を壊すのが今の自分に与えられた役目らしい。
自分より大きいが、大したことはない。いままでこの腕にかかって倒せなかった敵などなかった。
近づいて抱きつぶしてやる。そう思って一歩目を踏み出したかみさまは、塔に異変が起こっている事に気が付いた。
斜めに倒れようとしている。
なんだ?どうして自分が手を下す前に、こんな事が起きて………

「嘘だろう?」
少年の手の平から、ポトリとガラス球が落ちて、地下施設の存在のため傾いてしまっていた道の上をころころと転がっていった。
「嘘だ。こんなこと、あり得ない……」
塔を破壊すべく動き出したかみさま、だが一歩目を踏み出した瞬間、その威容が歪にゆがんだように見えた。
事態を理解できない少年の前で、もう一歩前に進み出たかみさまの体はぐにゃりと折れ曲がり、周りの建物を破壊しながら地面にどうと倒れ伏した。
「これで終わりです。全部がおしまいです」
背中の方から聞き覚えのある声がした。ゆっくりと振り返った少年が目にしたのは、優しい目をした、どうという事もない普通の少年。
「ヴィル君、これが君の狙いだったのか……」
「そうです」
「何をしたんだ?ぼくのかみさまに何をした?」
「何かをしたとも言えるし、何もしていないとも言えます」
青褪めた顔に脂汗をびっしょり浮かべた少年、ヴィルはその瞳を真っ直ぐ見据えたまま言葉を続ける。
「僕がしたのはただ一つ、塔に立てこもってかみさまを使わざるを得ない状況を作り、かみさまを地上に出てくるようしむけた。それだけです」
「嘘をつくな!!」
何をわけのわからない事を言ってるんだ、コイツは?何もしないで、かみさまがこんな風になるわけがないんだ。
今にも飛び掛りそうな少年に、ヴィルが一枚の紙切れを渡す。そこに書かれていたのは、ドーム内の玉座に座った巨人の姿だった。
60SBI:2006/01/23(月) 11:30:41 ID:ikzGcyzS
「なんだ、これは?」
「かみさまです。あなた達のかみさまの本来あるべき姿、あなたの言う完全体です……昨日迷宮の中で拾った本から破ってきました。ごめんなさい」
「ふざけるな!!!大体これじゃあ、全然小さいじゃないか!!」
「はい……今のかみさまと比べると、五分の一もないと思います」
「だから何でそれが完全なんだっ!!かみさまはまだまだ大きくなるんだぞ!!完全な姿に向けて、もっと強くなっていくんだ」
「それが間違っているんです。あなたのかみさまは、もう腐っているんです」
「なにをっ!!!」
全く理解できない事を話し続けるヴィルに、少年は飛びかかろうとする。しかし、その直前で少年はヴィルの肩越しに自分に狙いを定めている銃口の存在に気が付いた。
キノだ。周りを見れば、いつの間にやらヴィルの仲間たちに囲まれている。
「その絵が載っていた本のお陰で、かみさまについて多少なりとも知ることができました。かみさまは本来、人間の感情のエネルギーなんて食べていなかったんですね……」
初耳だ。そんな話は聞いたことがない。
「やっぱり、知らなかったんですね。……かみさまは、もう何百年も前からこの国を守ってきました。その圧倒的な力で国は繁栄した。
だけど、果たして何がきっかけだったのか。強大になっていく隣国の軍隊に対抗するためだったのかもしれません。
この国の支配者、あなた達の一族は、かみさまをパワーアップさせなければならなくなった」
ヴィルは少し悲しげに声のトーンを落としながら、話を続ける。
「だけど、それが間違いの始まりだった。かみさまのために与えられた食べ物、負の感情エネルギーは強力すぎた。
肥料を与えすぎた植物と同じように、かみさまはパワーアップするどころか、その形を歪に変じていった。
だけど、それを明らかにするわけにはいかない。そこであなたの祖先は一つの嘘をついたんです。かみさまは成長の途上でいつか必ず完全な姿になる、と
だけど、それが嘘である事自体が時の流れの中で忘れされれていった」
これは現実なのだろうか?頭がぐらぐらする。これが本当の事なら、自分がかみさまの為にやってきたことは……
「あなたの一族、あなたがやってきた事は、長い長い時間と、数え切れないほどの人間を犠牲にして、かみさまを腐らせ続ける事だった」
気が付いた時には少年は地面に膝をついていた。それでも容赦なく、ヴィルの言葉は少年の頭の上から降り注ぐ。
「あの怪物がまともに動けない体なのは一目瞭然でした。ドームの中に自分を支える支柱の触手を張り巡らせなければ、あの形を維持する事もできなかった。
僕たちにとってはあの触手は脅威でしたが、戦争に使えるようなレベルのものじゃない。
だから僕は、かみさまが自ら滅びるように、かみさまを地上へとおびき出し、そして作戦は見事成功しました」
61SBI:2006/01/23(月) 11:31:59 ID:ikzGcyzS
頭の中に浮かべる否定の言葉は全て、ヴィルの説明が進むごとに打ち砕かれていった。ぐしゃり、背後辛き超える腐った肉の崩れていく音が、全てを証明した。
「諦めてください。かみさまは、死にました」

崩れ去っていく。消えてしまう。自分がいなくなってしまう。自分の状況をできないかみさまに出来たのは、ただうろたえる事だけだった。
体を直さなければ、国を守らなくては、そのためには栄養だ。とびきりの餌袋が必要だ。
残された触手で辺りをさぐったかみさまは、ほどなくそれを見つけた。
極上の、これ以上ない餌袋……。

「でたらめを言うなぁ!!!」
全てを奪い去られた少年には、眼前に立つヴィルの姿が全ての破滅の元凶のように見えた。殺してやる。命に代えても、この手で、必ずっ!!
「ヴィル、危ないっ!!!」
「くっ……!!」
だが、その拳はヴィルに届く事はなかった。
「なんだ、何が起きて?」
崩れかけた腐肉から飛び出した数本の触手が少年の体を捕えていた。滅びかけたかみさまが選んだ極上の餌袋、今この場で最も大きな精神の苦痛を感じている人間。
「ああっ!!?うああああああああ!!!!!」
さらに湧き出た触手が少年にまとわりつく。崩れ行くかみさまには少年の苦痛を得るための方法など、選んでいる余裕はなかった。
「ぐあ…ぐげあああああっがっ!!!?」
無数の触手に押しつぶされた少年の断末魔。
最後の最後で極上の甘露を味わったかみさまは今度こそ全ての力を失い、辺りに残されたのは赤く濁って異臭を放つヘドロだけだった。

「結局あれってなんだったのかしらね?白昼夢ってやつだったのかな?」
首都のアパートの最上階、テーブルにうつ伏せにもたれたアリソンが、今日何度目かの言葉を口にした。
答えるものはない。テーブルの向かいに腰掛けたヴィルは、すやすやと寝息を立てている。
最初がそうであったように、終わりもまた唐突であっけないものだった。
あの後、シズやキノと一緒に逃げ出そうとしたヴィルとアリソンの前に、ふたたびあの白い霧が現れたのだった。
別れの言葉を言う暇もなかった。気が付いた時には二人はもといた場所に、もとの格好でぼけーっと突っ立っていた。
あまりに突然に消え去った全てに、アリソンはすっかり現実について行く気力を無くしてしまった。
まだ、戻れない。あまりに鮮明な記憶が元の現実に戻る事を許してくれない。
あれがたとえ夢だったとしても、その夢の中で失われようとした物はあまりに大きすぎた。なかった事にするには、あまりに………。
安らかなヴィルの寝顔がちょっと忌々しい。睨みつけてやったが、もちろん反応はなく、アリソンの顔に苦笑が浮かぶ。
「そういえば忘れてた。ちゃんと言ってなかったわね。私の代わりに仕返ししてくれて、ありがとう。
慣れない事させちゃって、ごめんね………」
口に出してみると、肩に圧し掛かっていた重みが少し軽くなったような気がした。そこでアリソンはヴィルが片手で持っていた本の存在に気が付いた。
「随分熱心に読んでたけど、なにかしら?」
栞が抜け落ちないように慎重に本を手にとる。ブックカバーをそっと外した向こうにあった表紙のイラストを見て、アリソンの目がまん丸に見開かれた。
そして優しげな微笑が、その顔に浮かぶ。
短い黒髪の少女が、拳銃を構えたその横に、その本のタイトルは書かれていた。
『キノの旅 the beautiful world』
62SBI:2006/01/23(月) 11:35:48 ID:ikzGcyzS
こんな感じでしたが、長すぎですね。
どうして俺は自分の手におえないような物を書こうとしてしまうんでしょうか。
それでも、幾分かでも皆さんに楽しんでいただければ本望なのですが……。
今度、こういうのをやるなら、ギャグっぽい奴のほうがいいかな、なんて思っています。
それでは、また……。

おまけ
アリソン「……それにしても、あのかみさま」
ヴィル「何?」
アリソン「巨神兵?」
ヴィル「それ言っちゃダメーッ!!!!」
63名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 12:07:36 ID:jM3STa7A
GJ!!
64 :2006/01/23(月) 12:11:06 ID:hu5HzLW2
ヴ「アリソンはこの手を好きだと言ってくれる、働き者の綺麗な手だと言ってくれます。」
ア「ガンシップは風を切り裂くけど複葉機は風にのるのだもの......」

ですか?


長編GJです
読み応えありますねー
ああ、でも、ギャグまでSBI氏に取られたら俺にはもうシュールしか無い・・・・のかっ!?
でも、是非ともSBI氏の本気のギャグも読みたいなー、と
65名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 03:01:25 ID:Qsd/zJ/P
GJ!!! 
66SBI:2006/01/24(火) 20:41:47 ID:FDkCRJ6J
先日投下したエロパロを改めて読み返してみました。
で、少し考えてしまいました。俺の長すぎやしないか?エロ以外の部分は必要なのか?
というより、俺の書いてるもののエロ以外の部分は、このスレを読む人に読むための労力を割かせていいほどのものなのか?
第5スレあたりでも同じこと言ってましたが、前スレでキノの長編を書いて以来、俺のエロパロに肥大化傾向がついてしまいまって、また悩んでるわけです。
実はここのスレ以外のエロパロにはそんなに目を通してないので、自分じゃあんまり判断つかないんですが。
やっぱ長すぎじゃないか?そして、俺の主観じゃ気づかないだけで、実はみんな迷惑してるのでは、なんて考え出すと…。
まあ、こんなこと書かれるのがみんなにとって一番の迷惑なんですが、あえて問います。
俺のエロパロ大丈夫ですか?
67名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 22:16:28 ID:dds+tHsP
エロ以外を抜いたらエロパロじゃなくて、ただのエロ。
俺は必要だと思うな。
68名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 23:52:40 ID:b3L5vfSH
俺は楽しめました。もっと胸を張っていいと思います。
書きすぎるのが(そんなに長いと思いませんが)つらいなら、
どこかで気分転換でもしてはどうでしょうか。
69 :2006/01/25(水) 12:03:01 ID:T/IKqdSZ
いきなり唐突に

「ああ・・・・だめっ!陸さ・・・・舐めちゃ・・・やぁぁ!」

とか始まられても何がなんだか分からないっすよw

その行為に至るまでの経緯、キャラクターの心情、ストーリー込みで「エロ」なのだから
その心配は杞憂だと思いますよ?>SBI氏

大体、そんな事言われた日にゃあ俺のSSなんて「エロ」すら無い時あるんですからw
俺も含めて、みんなSBI氏のSSを毎回楽しみにしてるんですから
上をしっかり向いて胸張って書いてくださいよ
70SBI:2006/01/25(水) 19:40:09 ID:zW3pyM6g
皆さん、ありがとうございます。
お騒がせして申し訳ないです。
とりあえず、皆さんのコメントを読みながら、なんであんな事を言い出しちゃったのか、いろいろ考えました。
で、どうも自分は「焦りすぎている」のではないか、なんて思いました。
それは「書かなきゃいけない」という強迫観念とかそういうのではなく、
むしろこのままじゃ「書けなくなってしまう」という感覚が自分の中にあるようです。
やっぱりエロパロを書く上でまずは自分の納得のいくものを書くというのは大きいと思うのですが、
書いている最中にとにかく急いで仕上げなければ、自分の納得行くものが書けなくなるのではないか、そんな焦りが生まれてしまうようです。
今書いているものを「書かせているモチベーション」というか「勢い」みたいなもの逃したくない。
その焦りがアイデアを形にする段階で、構成上自分で納得のいかない部分を生み出し、
結果、作品を外に出したとき、余計なものを書いてスレに迷惑をかけてるんじゃないかと疑心暗鬼に陥ってしまう。
どうにも未熟です。人間として。
てか、こんな悩みは自分でなんとかしろと。
ちょっと、自分の文章の書き方を見直していこうかと思います。
ともかく、皆さん改めてありがとうございます。
長文で失礼しました。
それでは、また……。
71 :2006/01/26(木) 10:01:35 ID:H9o5Igzn
でも凄いっすね〜 色々考えて文を書くなんて
俺は基本的に手が勝手に動いてるだけなんで・・・
頭で書く才能があるってのはホント凄いと思いますよ
自分が見せたい情景や事象、想いを文章として再現できるって事だから

俺はね こう
頭の中に幾つか世界があって、そこを覗いて見えるモノを手が勝手に自動手記してるだけっつうか
気づいたら一作できあがってた、ってのばっかりだから反省のしようがないし
指摘された事を反映させるのも難しくて・・・・

焦って疑って書いて、自分が面白くないと思える作品ってのはやっぱり評価されにくいけども
でも、そういった事を自分で見つけられるのは文書きにとって大切な事だし
すでにある程度の評価を貰ってる中でそれを出来るのは素晴らしい事です
でも、文章を書く上で、特に「パロディ」で大事なのは「作品を書き上げる」でも
「作品を評価してもらえる」ではなく
「どれだけ元作品に対しての想いを乗せて伝えられるか」だと自分は思いますよ
一度自分の書きたいように「読んでる奴の事?知った事かぁ!」って書いてみたらいかがでしょう
発表する、しないは考えずに
色々発見出来るかもしれませんよ?

と2度も偉そうにスンマセン
リアルに物書き仕事干されてる俺に言われる筋合いは無いっすね
いや、ほんとスンマセン
72SBI:2006/01/26(木) 11:11:11 ID:9Lmj0buw
「楽しみ」として書いている以上は、なによりまず自分の納得いくものを書きたい。
「うあーっ!!コイツら良いなぁ…」と自分の内でたぎるものを形にしたい。
で、そこでつまずいてしまう、思う様に行かないってのは、そう珍しいことでもないと思うんですが、
キモっ玉の小さい俺はそこからさらに、周りも俺のせいで困ってるんじゃと妄想し始めたからサァ大変というとこなんでしょう。
自分の書きたいように、それをちゃんとできるようになる事が今の俺には必要なんでしょう。
度々、親身に答えていただけて、有難かったです。
本当にありがとうございました。
73名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 23:05:30 ID:ACL2Ic4d
保守
74 ◆KdBcwmQ4/6 :2006/01/28(土) 01:04:46 ID:CvqwVkhY
前スレ252です。スレッドが変わったので一応トリップつけておきます。
ここまで保管しました。皆様お疲れ様です。
75 :2006/01/28(土) 10:26:21 ID:lslieN18
GJですよ・・・・・( ´;ω;)ウッウッ
76名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 09:51:34 ID:QMHG/p+Y
「師匠」
「なんですか」
「最近、なんだか妙に暇ですね。そんな気しません?」
「・・・・・」
「変ですね。いつも通り旅をしているのに───」
「・・・きっと」
「?」
「きっとそれは、神が解消してくれるでしょう」
「・・・・は?」
77SBI:2006/01/29(日) 17:07:41 ID:QRr5A6WB
>>74 GJです。
えっと、なんだかんだとお騒がせしたあと、いろいろ考えながらもう一度書いてみました。
場面ごと、言葉ごとの意味を一歩一歩確かめながら、とにかく形にしました。
100%の出来とは、もちろん言えませんが……。
ともかく、投下します。
リリトレの話です。
それでは……。
78SBI:2006/01/29(日) 17:09:31 ID:QRr5A6WB
朝起きると、私の頭に犬の耳が生えていた。
「な、なにこれ?」
髪をとかそうと鏡の前に立った私は、凍りついた。慌てて頭に手を伸ばし、恐る恐るに触れたその感触は……
「あったかいし……」
間違いなく、本物の犬の耳だ。一体、何がどうしてこんな事になっちゃったんだろう?呆然と立ち尽くす私の前で、鏡に映った犬の耳はピクピクと小さく上下している。
とその時、私の部屋のドアをノックする音が響いた。
「リリアちゃ〜ん、起きてるぅ?」
「えっ?マ、ママ!?」
気が動転していた私は、慌ててドアを開いた。しかし、その瞬間、今の自分に起こっている変化の事を思い出す。
(あっ、マズイ……)
と思ったときにはドアは大きく開かれていた。そこで私が目にしたのはさらに衝撃的な光景だった。
「ママ、なにその頭……?」
「うぃ?私の頭なにか変?」
変も何もない。ママの頭上にあったのは、私とおんなじ犬の耳だった。
一瞬、何を言っていいのかわからなくて黙ってしまった私。その顔を不思議そうに見ながらも、ママは私にもう一度話し掛けた。
「私の頭に何かついてる?……まあ、いいや。ママ、朝まで軍の仕事してすっかり疲れちゃったから、これから眠っちゃうのでリリアちゃん後の事よろしくね〜」
さっさと用件だけ伝えてしまうと、すっかり固まってしまっている私にクルリと背を向けて、ママは寝室の方に向かう。
ふらふらと歩くその後姿、そこで左右に揺れるものを見て私は危うく気絶するかと思った。
「マ、マ、ママ……それ?」
「えっ、な、なに?リリアちゃん?」
「………しっぽが……」
「私のしっぽが、どうかした?」
もう何も言葉は出てこなかった。ママの髪の毛の色とおそろいの、金色の犬の耳と犬のしっぽ、それは紛れもない事実だった。
「う〜ん、リリアちゃんさっきから変よ?リリアちゃんも寝不足?夜更かしばっかりしていると美容に悪いわよ」
79SBI:2006/01/29(日) 17:11:22 ID:QRr5A6WB
全く当たり前と言った口調で話すママの声が、なんだか段々遠くに聞こえてくる。
「ふあ〜、まあとにかく、おやすみなさい。ちゃんと睡眠とるのよ……」
バタンと閉じられたママの寝室のドアが廊下に響いて、私はその場にガックシと膝をついた。

「うん、リリアの作ってくれた朝ごはん、やっぱり美味しいよ」
「そう……」
モグモグと朝ごはんを食べるトレイズの声を背中で聞きながら、私は窓の外、アパートの下の道を行き交う人々を、ぼーっとした目つきで眺めていた。
何を急いでいるのか早歩きの紳士も、ふと立ち止まり眩しい朝日を見上げた青年も、旦那さんを見送る若い奥さんも、みぃんな犬の耳と犬のしっぽを忘れず装備している。
クラクラする頭を抱えて振り返れば、向かい合ったこいつの頭とお尻にも………。
「リリア、今朝は元気がないなぁ。調子わるいの?」
「………別に……」
テーブルに突っ伏した私をじっと見つめるトレイズ、私のことを心配してだろう、彼の頭に生えた耳がペタンと垂れてしまっている。
「……なんなのよ、これは〜?」
私が眠った一晩の間に、世界はすっかり姿を変えてしまったらしい。今この首都で犬耳犬しっぽに違和感を持っているのは私だけのようだ。
腹いせとばかりに、半分食べたところで放置してすっかり冷めてしまっていた私の分の朝ごはんを、ガツガツと一気に平らげる。
何もかもが憎たらしい。しっぽも、耳も、街行く人々も、ママも、そしてなにより目の前で怪訝な顔をして私を見ているコイツ。
「リリア、なんだか怖い顔になってるぞ。本当に大丈夫?」
無視。
別にトレイズに非がある訳ではないので多少心が痛むけれど、それでもこの苛立ちは如何ともしがたい。
何も言わない私を見つめるトレイズ、頭の犬耳は今の心境を表すかのようにペタンと垂れてしまっている。
不覚にも「ちょっと可愛いな」とか思ってしまったが、顔には出さぬよう、つとめてポーカーフェイスを維持する。
こんなのって、あんまりだ。みんなして私をのけ者にして………いや、本当はそうじゃない事はわかってるけど……でも…………。
「はあ………」
「ふぅ………」
ため息がハモった。ハッとして顔を上げた私と、トレイズの瞳が一瞬交差する。
80SBI:2006/01/29(日) 17:12:47 ID:QRr5A6WB
「何?どしたの?……トレイズも何か悩んでるの?」
「いや、悩んでるってわけじゃないんだ。………ただ、残念だなって……」
「残念?」
トレイズは肯いてから、ポケットから茶色の封筒を取り出して、テーブルの上に置いた。その中には何かのチケットが入っていた。
「首都にある美術館の入場券だよ。なんとかっていう画家の作品を集めた企画展示をやってる」
「ああ、聞いた事あるわ。私も結構興味あったんだけど………でも、なんで二枚?」
「それはっ!!………その…」
急にトレイズの声が小さくなる。そわそわと、せわしなく左右に揺れるしっぽの様子が、座っていても見て取れる。
「…………リリアも……一緒にどうかなんて……」
ピクンッ!!私の犬の耳が大きく跳ね上がった。トクトクと少しだけペースを速めた心臓の動きにあわせて、ゆっくり、ゆっくりと私のしっぽが左右に振れ始める。
「でも、気分が乗らないんなら、無理に勧めるのもアレだし………」
顔を赤くしながらボソボソと喋るトレイズの視線は、明後日の方向をあても無く泳いでいる。
対する私も返答に窮して、トレイズの顔と机の上の二枚のチケットを交互に眺めている事しか出来ない。
それはあまりに直球なデートの誘いだった。それこそ、もう少し捻ったやり方を考えろ、とツッコミたくなるような、真っ向勝負のストレート。
今までだって度々、私について、あーだこーだとトレイズは言ってきた。プロポーズがどうだのと、いけしゃあしゃあと言った時には張り倒してやろうかと思ったけど……
(……こんな……こんな風に誘われるなんて…)
困る。困ってしまう。こっちの迷惑も考えろってのよ、バカヤロー!!!なんでトレイズなんかに……トレイズなんかと………
本当に参ってしまった私は、頭を抱えてテーブルにうずくまる。
(断らなくちゃ……断らないと、私………)
だけど、「気分が悪いから今日は無理」、その一言が言葉になってくれない。口から出てきてくれない。言わなくちゃいけないのに、どうして?
そんな私の内心の葛藤をよそに、ピクリとも動かない私の全身の中で唯一つ、だんだんと大きく動き始めているものがあった。
揺れている。揺れている。私のしっぽが、右に、左に、振り子のように揺れている。その度に胸の奥の辺りで、ムズムズと何かが疼いている。熱くなっていく。
「……わ、私は……その……」
「えっ?」
気が付いたときには口が動いていた。端から答えてくれるなどと思っていなかったのだろう、トレイズの目が驚きに見開かれる。
81SBI:2006/01/29(日) 17:19:00 ID:QRr5A6WB
喉元まで出かかった言葉を何とか押しとどめようとする私、それを嘲笑うかのようなしっぽの動きとともに、私の中に熱い思いが込み上げる。
「……つきあったげても、かまわないわよ。暇だし……」
言ってしまった。どーすんのよ、私!!なんで、その、トレイズなんかと………デートしなきゃ……
うう、初めての男の人とのデート、その相手がトレイズなの?
グルグル回る頭の片隅で、私はようやく思い出していた。
犬は嬉しいときにしっぽを振るのだ。

フリフリ、フリフリとしっぽが振れる。私の前を歩くトレイズのしっぽが嬉しそうに左右に振れているのを見ながら、私も歩く。
一歩進むごとに私のしっぽも揺れる。ムズムズと止めようのない感覚に押されて、左右に大きく振れている。
私はそれをトレイズに見られるのが嫌で、トレイズの後を、トレイズに背中を向けないように、気をつけながら歩いていく。
「………犬がしっぽを振るのは、別に嬉しい時ばかりじゃ無かったわよね」
そんな話を教科書か何かで読んだ気もするが、少なくとも興奮してなければ犬だってしっぽを振らないはずだ。
だったら、私は………。
「何だか良いな、この絵」
「ああ、それはこの画家さんの代表的な……」
美術館行きは単なる口実ではなくて、トレイズもそれなりに今回の企画展示に興味をもっていたらしい。
ただ、この画家に関する知識は全く持っていないようなので、自然と私が解説をしてあげる事になる。
ただ、通常展示のコーナーでは、むしろトレイズの方が解説役になっていたので、これはお互い様といったところだ。
「ふうん、結構すごいんだ」
「当たり前よ。イクスの方じゃどうか知らないけど、こっちじゃ有名なんだから……」
関心したように何度も肯きながらこちらを向いたトレイズと目が合う。とたんに私もトレイズも顔を赤らめて、視線を逸らす。
良い雰囲気、そう言ってもいいのかもしれない。不覚にも、楽しい。でも、それがなんだか悔しい。
こんなはずじゃなかったんだ。別に私には、トレイズなんかと一緒にいて、ドキドキしたりソワソワしたりするような理由はないのだ。
だけど、それなのに、心とは裏腹なしっぽの動きに引っ張られて、心が軽くなっていく。踏み出す一歩がまるで雲を踏んでいるようにフワフワして感じられる。
全部、この憎たらしいしっぽのせいだ。このしっぽのせいで動揺したりしなければ、こんな気持ち絶対に…………っ!!
82SBI:2006/01/29(日) 17:33:17 ID:QRr5A6WB
たっぷりと時間をかけて美術館の中を巡り、外に出たときにはすっかり赤く染まった太陽が西の空をゆっくりと沈んでいくところだった。
「来て良かった。うん、大満足だ」
「そうね……うん。良かった」
駐車場のトレイズのサイドカーが停めてある場所までの道を、二人で歩く。夕日に背を向けた二人の影が、黒く長く歩道に伸びていく。
「良かった。トレイズと一緒に来られて………」
トレイズの足が止まった。
そこでようやく自分の口から出てきた言葉の意味に、私は気付く。
だって………そんな………でも………だけど…………
顔が赤く染まっていくのがわかる。
信じられない、というようなトレイズの顔からバッと目を逸らして、私は駆け出した。
変だ。今日の私は絶対おかしい。どうしてこんな事を、心にもない事をポンポンと喋ってしまうんだ?こんなしっぽのせいで、ちっぽけなしっぽのせいで………。
「リリアっ!!!」
乗せてもらって来たサイドカーも無しで、一体どうやって帰るつもりだったんだろう?それでも私は方角も確かめないまま闇雲に走る。
激しく上下する脚の動きにあわせて無茶苦茶に振れるしっぽがみじめで、私は心の底から消えてしまいたいと思った。
だけどそんな私の手の平を、必死で追い縋ってきたトレイズの指先がぐいと掴んだ。
「リリアっ!!…はぁはぁ……リリア、待ってよ!!!」
真っ向から覗き込んできたその瞳に私は言葉を失った。本当に心配そうに、私のことだけを見つめているその瞳………。
「必死」なんだ。トレイズは突然訳もわからず駆け出した私の為に、「必死」になってくれたんだ。
「ごめん、トレイズ………私」
緊張に震えて私の手を握るのもおぼつかないトレイズの手の平を、きゅっと握り返した。
「私、こんな………ごめん」
「いいよ、リリア。気にしなくっても、俺は平気だよ。まあ、なんていうか、慣れてるし………」
トレイズの手に引っ張られて、二人肩を並べて、今度こそサイドカーの方に向かう。
そう言えば、昔はこんな事もたくさんあった気がする。
83SBI:2006/01/29(日) 17:34:59 ID:QRr5A6WB
私が無茶してトレイズが助けてくれたり、あるいはその逆だったり、二人一緒に馬鹿な事してみんなに迷惑をかけた事も……。
「今日は本当に楽しかった。ありがとう、リリア」
「こちらこそ………ありがとう、トレイズ」
踏み出す一歩の軽やかさと、楽しげに振れるしっぽがシンクロする。
ああ、そうだったんだ。私はトレイズのこと、嫌いじゃなかった……………。

「え〜なになに、『片付いたと思ってた空軍の仕事にもう一度行かなければならなくなったのでママは今夜も留守にします。ごめんなさい。
っていうか一度電話で起こされてから二度寝したのでもう時間がヤバイよ。どうしようどうしよう。
ともかく、トレイズ君とはくれぐれも仲良く、ラブラブでよろしく!!  あなたの愛しのママより』ですって」
「らぶらぶ………じゃなくて、アリソンさんも大変だな」
私とトレイズが家に帰り着いてみると、既にママの姿はなく、かわりにテーブルの上にこの手紙が残されていた。
私とトレイズ以外誰もいない家に二人きり。ついさっき、あんなやり取りをしたばかりの私たちは意味も無く緊張してしまう。
「今度ある試作機のテストの準備がけっこう難航してるらしいのよね。体壊して、さあ飛ぶぞってときにダウンしなきゃいいんだけど。まあ、ママなら大丈夫かな?」
そう言ってから、何気なく、本当に何気なく、私は体を傾け、トレイズの胸板に背中を預けた。
「………あっ」
「リリア……!?」
またしても、やってしまってから自分のしでかした事のとんでもなさに気がつく。
昔は、一緒に遊んだ子供の頃は、気兼ねなくぺったりくっついている事なんて珍しくはなかった。何だか今日の一件のせいで、二人ともあの頃の感覚に戻ってしまったようだ。
でも、違うのだ。私たちはもう、無邪気に抱き合ったり手を握ったりできるほどには、子供ではなくなっている。
それでも私たちは、くっつき合ったまま互いに離れようとはしなかった。
「…………ごめん、このまま」
「…………うん」
二人黙りこくったまま、窓の外の夕闇に比べて、妙に頼りない部屋の電球の下で、互いのぬくもりと心臓の音を感じる。
なんだか、鼻の奥をくすぐってくるような良いにおいを感じた。懐かしくて、胸を締め付けられるような、不思議なにおいだ。
84SBI:2006/01/29(日) 17:35:37 ID:QRr5A6WB
においの源は明らかだった。今、私の体を背中から支えてくれている男の子。なんだかんだと言いながらも、ずっと仲良しでいてくれた幼馴染み。
(そういえば、犬って鼻もよかったんだっけ)
懐かしいのは当然だ。犬の鼻ほど鋭くはないけど、小さな頃からずっと感じてきたんだもの。間違えようが無い。
「トレイズの………においだ」
気が付いた時にはトレイズの方に振り返って、その体にぎゅぅうううっと抱きついていた。あたたかな胸に顔をうずめ、肺の中いっぱいにトレイズを吸い込む。
「リ、リリア……ちょっと」
トレイズの鼓動が聞こえる、トレイズの体温が伝わってくる、トレイズの声が体中に染み渡っていく、トレイズの全部が私を埋め尽くしていく。
抑えようの無い嵐の吹き荒れる私の胸の中、その全てを一身に表す様に、私のしっぽがお尻の上で激しく振れる。
戸惑ったように私の肩に置かれた指先が震える。それでもトレイズはまるでいたわるように私の体に腕を回していく。
ゆっくりゆっくりと、躊躇いに腕を引っ込めそうになりながら、震える腕が私を包み込んだ。
胸の奥に燃える炎は最高潮に達しようとしていた。その炎が私を追い立てる。
あんまりにも当たり前にありすぎて、今まで気付こうともしなかった自分の気持ち、それを言葉にしてしまえと私に迫る。
言っちゃえ!!言っちゃおうよ!!もう、言うしかないよ!!!
トレイズがはるばる首都までやって来たあの日、野宿を重ねた旅の無茶さに呆れもしたけれど、心のどこかで喜んだ私が確かにいた。
「ああ、コイツらしいな」って、特に意味もないのに嬉しくなっていた。
仏頂面のまま乗せられた側車の上でブツブツ文句を言いながら、トレイズに見えないようにちょっとだけ笑顔になった。
本当にどうしようもない腐れ縁。ただ何となく縁があっただけ。それでも、そうだとしても私は、トレイズの事を、トレイズの良い所をたくさん知っているんだから………。
「ねえ、トレイズ………私……私ね」
「リリア?」
強く目をつぶったまま呼吸を整え、最後の決心を固める。大きく息を吸い込んで私は顔を上げた。
「私……あなたの…こと………あっ…うあ………あれ?」
だけども、真っ向から目に入ったトレイズの顔を見た途端、肺の奥深くから外に出るのを待つだけだったその言葉は、靄に隠れるように見えなくなってしまった。
「……なんで?どうして?…そんな、私………」
さっきまで言えたはずの言葉が、私の指の隙間をするりと抜けて、心を吹き荒れる嵐の中に戻っていく。
言いたいのに、言えたはずなのに、言葉が私から逃げていく。
85SBI:2006/01/29(日) 17:36:22 ID:QRr5A6WB
トレイズの顔を見つめたまま動けなくなった私は、陸に揚げられた魚のように口をパクつかせる。
一瞬前の高揚感が嘘のように、死んでしまいそうなほどの絶望が私を包む。でも、その時、私を抱き締めるトレイズの腕にぎゅっと力がこもった。
「リリア、好きだ………」
私がどうしても言う事の出来なかった言葉を易々と口にして、トレイズの唇が私の唇にそっと重なった。
しばらくの静寂の後、あたたかくて甘い感触だけを残して、トレイズの唇が離れていく。その意味を悟ったのは、その一瞬後だった。
「……うああ………トレイズ…トレイズぅ……私ぃ」
「ずっと好きだった。リリアの事ずっと好きで、だけど言えなくて………ありがとう。嬉しいよ、リリア」
今度は自分から唇を差し出して、もう一度キスを求めた。さっきは訳のわからないまま通り過ぎていった優しい温もりを、今度はじっくりと味わう。
「んむ……くちゅ……う、んうう……トレイズ……」
「はぁはぁ……リリア……」
もっとトレイズに触れてほしい。そんな気持ちが私の心を埋め尽くしていく。トレイズにもっと私のことを知ってもらいたい。
私はトレイズの右手をとり、自分の胸の上に持っていった。トレイズの指先が私の胸の弾力の中に沈みこむ。
「ちょ……リリア!?」
抑え切れない衝動が私の中を掻き乱していく。本当は死ぬほど恥ずかしい。自分がこんなに大胆で、いやらしい事をするなんて思っても見なかった。
今の私は普通じゃない。得体の知れない熱に浮かされて、正常な判断なんてできなくなっている。
だけど、私は知っている。今の私を惑わせているこの心の熱さは、きっと私にとって何よりも大切なもののはずだ。
「トレイズ……お願い」
見上げた頬の赤さと、触れた右手から伝わってくる震えが、トレイズの中で巻き起こっている葛藤の大きさを私に教えてくれる。
やがて、不安げに彷徨っていたトレイズの瞳が私を真っ直ぐ捉えた。右手の震えが少しだけ小さくなる。
「わかった、リリア……」
胸元からお腹の方に向かって、トレイズの右手がすーっと私の体を撫でた。服越しに触れられただけなのに、トレイズの指先の通った後が熱をもち始める。
「リリア…リリア、好きだ……」
「あっ……ひあっ…トレイズ……あぁ!!」
私の胸の二つの膨らみが、トレイズの両手で覆われる。軽く優しく全体を揉まれると、気持ち良いのかこそばゆいのか、どちらとも判別できない不思議な感覚に襲われる。
興奮のためか荒くなってきたトレイズの息が耳元に聞こえて、それにつられて私の呼吸も荒くなっていく。
86SBI:2006/01/29(日) 17:37:15 ID:QRr5A6WB
二人とも、だんだんマトモではいられなくなっていく。
「…はぁ……あっ!…うああ…あんっ……や…ひああっ!」
トレイズの舌先が私の首筋を這い登り、耳たぶを甘噛みされた衝撃に、私は声を上げる。
段々と激しさを増していくトレイズの愛撫に身を任せている内に、体の内側も外側もじんじんとした痺れに覆われて、考える力さえ奪われていく。
「…はぁはぁ…リリア……上着、脱がせるよ……」
「……あっ…ひう……う、うん……いいよ…」
ぷちりぷちりと上着のボタンを一つずつ外されていくごとに、冷たい外気が入り込んで、トレイズの愛撫で敏感になった私の体を責め立てる。
脱がされている間に指先が止まってしまうのがもどかしくて、私は自分の体を何度となくトレイズの体にすり寄せ、トレイズの作業の邪魔をしてしまう。
それでも私の肌を覆う布地の面積は徐々に小さくなっていき、最後に私が少し躊躇いながらブラジャーを外してしまうと、私の体を隠す物は何も無くなった。
トレイズもいそいそと自分の衣服を脱ぎ捨て、私たちは生まれたままの姿で向かい合う。
ちょっと恥ずかしくて伏し目がちにトレイズの方を見ると、トレイズも顔を赤くして動くに動けなくなっているのが見えた。
「えっと………その…あの………どうかな、私?」
「あっ……う、うん……だと思う」
「えっ?」
「………リリア……きれいだよ。きれいだと…思う」
一瞬、呼吸が止まった。自分で尋ねておきながら、そんな言葉が返ってくるなんて考えてもいなかったのだ。
「……あっ……うあ……トレイズ?」
トレイズの腕が言葉を無くした私を抱き寄せる。手の平の熱さを、指先にこもった情熱を、今度は直に感じる。
「あっ…やっ!!ひあああっ!!!……ああっ!!……とれ…いず……ほんとに?…私のこと……きれいって?」
「うん………リリア、すごくきれいだよ」
トレイズのその言葉を聞きたくて、途切れがちな呼吸の合間に何度も問い掛ける。
嬉しい。嬉しいよぉ。
そうなんだ。トレイズは本気で私のことをきれいだと思ってくれてるんだ。トレイズは私のこと、本気で好きでいてくれるんだ。
ツンと立ち上がった私の胸のピンクの突起を、トレイズは丹念にこね回す。軽く指先で転がし、ちょっと痛いぐらいに摘み上げ、絶え間ない刺激で私を翻弄する。
「……あぅ…ああんっ!!…ひああっ!!!…ひゃぅうううっ!!?……」
87SBI:2006/01/29(日) 17:38:58 ID:QRr5A6WB
お尻を、背中をトレイズの手の平が何度も往き来する。触れ合った肌がトレイズの体温を伝えて、体の隅々までが否応無く燃え上がっていく。
トレイズの舌が、指先が、私の体中を滑っていく。触れられた所から広がっていく痺れに、私の体が征服されていく。
私がトレイズに染まっていく。
「……っあ!!…はんっ……んくぅ……ああっ!!?…トレイズ?……そこ…まだぁ!!?」
トレイズは私の大事な部分にまで侵入しようとしていた。入り口辺りを撫で回した指先が、溢れ出していた湿りにくちゅりといやらしい音を立てる。
恥ずかしい。死にそうなぐらい、消えてしまいたいぐらい、恥ずかしい。
だけどその恥ずかしさすらも、背筋をぞくぞくさせるような快感に変換されて、私の神経を焼き尽くしていく。
「…あっ……んあ!!…んくぅ……ひああっ!…こんな……やぁ!!!」
浅く入り込んだ指先が私の内側をかき回す。その度に焼け付くような快感が私の体を責め立て、くちゅくちゅという水音が私の心を責め立てる。
その間にも休み無く続けられる他の場所への愛撫と増幅しあって、私の頭をその感触だけが埋め尽くしていく。そして………。
「ひゃううっ!!!やあっ!!うあああっ!!!なにかくるっ!!きちゃうのぉおおおおおおっ!!!!!」
高まり続けた快感が、一気に体を突き抜けたかのような感覚が私を襲った。体に力が入らなくなって、くてんとトレイズの胸に体を預ける。
今まで味わった事も無いようなめくるめく快感の連鎖、頭も体も言う事を聞いてくれなくなるほどに痺れ切っている。
それでも、私の体に燃える炎は勢いを弱めようとはしていなかった。
「トレイズ………きて」
「………うん」
軽い虚脱感に襲われた私の体を、トレイズは優しく支えてテーブルに寄りかからせ、ちょうど渡しのお尻をトレイズの方に突き出させる形にした。
まるで、…………そう、獣の様な体勢だ。
…………あれ?ちょっと待て?なんだか変だぞ?
「な、なんで後ろからなの……!?」
「?……これが普通なんじゃないかな?まあ、俺もよく知らないけど……」
またしても犬だ。私のしっぽが小馬鹿にしたように軽く左右に振れる。
(こんなとこまで犬と同じなの〜!!?)
トレイズのモノが私の敏感な部分に触れて、そこを中心にじんじんとむずかゆい感触が広がって、どうにも我慢できなくなっていく。でも…………。
88SBI:2006/01/29(日) 17:40:08 ID:QRr5A6WB
「ごめんトレイズ…やっぱりこの体勢は……」
「あっ…リリア」
私はくるりと体を回転させて、テーブルを支えにトレイズと真っ向から向き合うような体勢を取る。
「………トレイズの顔が見たいの」
「……わかったよ」
とはいえ、真正面から見つめ合うというのは、なんとも、その………。
「リリア……赤くなってるぞ、顔……」
「トレイズだって……耳まで真っ赤……」
お互い、目の前の相手に10秒と視線を定めていられない。微妙な体勢のまま、二人して固まってしまう。
「………リリア」
先に動き出したのはトレイズの方だった。いたずらをする子供のように、ちょっと目線を逸らしながら、私の体を抱き寄せる。
「リリア……いくよ」
「………あっ…」
押し当てられていたトレイズのモノが入り口を押し割って、その先端を私の中に埋める。そのままゆっくり、奥へ奥へとトレイズが私に侵入してくる。
「………痛っ」
「……リリア、大丈夫?」
私の体の奥を、最初で最後の痛みが襲う。想像していたより少しだけ強い痛みに、私の顔を一筋の汗が伝う。でも………。
「……くぁ…だいじょぶ……へいき…ぜんぜん平気だから……」
ぎゅっと抱き締めたトレイズの体の確かな感触が痛みを和らげるてくれる。腕の中に広がるこの温かさがあれば、大丈夫、頑張れる。
目の端に涙を浮かべながら、私はトレイズにそっとキスをする。トレイズはその腕で力強く私を抱き寄せ、ゆっくりゆっくり、私をいたわるように動き始める。
「…ひあっ…ああんっ!!…やっ……はふぅ…ひあああっ!!!」
小さく前後に動かされるたび、言い表しようの無い感覚が私を貫く。その感覚に押し流されぬよう、私はトレイズの背中に必死にしがみつく。
だけど、苦痛だけじゃない。私の大事なところを奥の奥まで埋め尽くしたトレイズが動くたび、ほとばしる何かが私の体を熱くしていく。
「はっ!!ひああっ!!…うあああっ!!!トレイズぅ……私ぃ!!」
89SBI:2006/01/29(日) 17:40:48 ID:QRr5A6WB
段々声が大きくなっていく。体中にじんわりと汗がにじみ始める。溢れ出してこぼれ落ちた滴が小さな水溜りを作り始める。
トレイズがペースを上げ始めて、もっとぎゅっとトレイズが抱き締めてくれて、もっとぎゅっとトレイズを抱き締めたくなる。
「あああっ!!!やあっ!!あああんっ!!!……トレイズぅ!!!きもちいいっ!!…わたし、きもちいいよぉ…………っ!!」
「リリアっ!!…ああっ…好きだっ!!大好きだっ!!!!」
熱くかき回されるつながりだけじゃない。流れる汗が、降りしきるキスの雨が、呼び合う声が私たちをもっと一つにしていく。
奥の奥まで貫かれて、突き上げられて、擦られて、かき混ぜられる。トレイズの熱が私の中を滅茶苦茶にして、それがたまらないぐらい気持ちよくなる。
トレイズは私だけを、私はトレイズだけを見て、お互いがお互いに溺れて、夢中になって、全てがとけあってゆく。
「トレイズっ!!…トレイズぅ!!!トレイズっ!!……トレイズっ!!!…ああああああっ!!!!」
「リリアっ!!…リリアっ!!!リリアぁあああっ!!!!」
愛しさがとめどなく溢れ出して、愛しさが胸を埋め尽くして、トレイズのこと以外の何も考えられなくなる。
もっとトレイズと一緒にいたい。一緒に気持ちよくなりたい。トレイズのぜんぶが、私の中にほしい。
「リリア……俺、もうっ!!!」
「トレイズ、きてぇ!!!ぜんぶ私の中なかに……っ!!ぜんぶぅぅううううっ!!!!!」
私の声に弾かれたようにトレイズが大きく突き上げた。瞬間、背骨を駆け上がった快感の電柱が、私の中も外も、全てを焼き尽くした。「
「あああっ……リリアっ!!!!!」
「あああああああああああっ!!!!!!!!トレイズっ!!トレイズぅうううううううっっ!!!!!」
強く抱き合ったまま、私たちは絶頂に達した。

薄く目を開くと、私は絶頂感に痺れきった体をトレイズ支えられ、その腕の中に抱き締められていた。
目の前には優しく微笑むトレイズの瞳、私といっしょになれたことを心の底から嬉しいと思ってくれているその表情。
私はふらつく体に精一杯の力を込め、自分のおでこをトレイズのおでこに、コツンとくっつけた。
幸せだった。ずっと昔からのトレイズとの思い出が頭の中に蘇ってくる。全てが今この時へと繋がっていたんだ。
さっきは言えなかった言葉、どうしても言ってあげなくちゃいけない言葉、今なら言える。そんな気がした。
90SBI:2006/01/29(日) 17:41:58 ID:QRr5A6WB
「トレイズ………あのね…私あなたのことが…す……」
全ての勇気を振り絞る。ただ一言、この言葉に私の全てを込める。
だけどその時……
「……リリア?」
わたしに問い掛けたトレイズの言葉が、私の言葉を一瞬だけつまらせた。
「あ……うあ……」
「な、何?」
コンマ一秒にも満たないその瞬間に、私の中の弱虫に主導権を奪い返されてしまった。私にはもう、愛の言葉を口にする勇気はなくなっていた。
最高のタイミングが、最大のチャンスが、私の頭上を悠々と飛び去っていった。
後に残されたのは、どうしようもない悔しさ、恥ずかしさ………。
「ばかぁ!!!」
「えっ!?」
「トレイズのばかぁ!!!!」
気が付いた時には、トレイズの体を思いっきり引き剥がしていた。私の態度のあまりの急変ぶりにトレイズの顔に驚愕の表情が浮かぶ。
さらに、私の手の平がバシーンッ!!!とトレイズの横っ面を張り倒す。赤く手形のついた頬を押さえながら、トレイズが私に問い掛ける。
「リ、リリア……どうして?」
「知らないわよぉ!!!!!」
叫んだ私は、逃げ出すように部屋を飛び出て自分の部屋に飛び込み、聞こえよがしに大きな音を響かせてドアを閉めた。
真っ暗な部屋の中、私は自分のベッドにバタリと倒れ込んで
「なんで、こんな………」
手探りで毛布を引き寄せて頭からかぶると、ようやく自分がトレイズにした仕打ちがどれほどの物であるかがわかってきた。
暗い部屋の中で、ひとりぼっちの私が叫ぶ。
「ごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめん……………トレイズ、ごめん。好きだよ。大好きなんだよ」
一人の部屋、毛布に包まった暗闇の中なら、いくらでも言う事ができるのに………。
トレイズはきっと死ぬほどの勇気を出して、あの言葉を言ってくれたのに………。
91SBI:2006/01/29(日) 17:42:50 ID:QRr5A6WB
しっぽが無ければ気付けもしなかった。トレイズのまっすぐな瞳の前では、自分の気持ちの一欠けらだって言葉に出来なかった。
惨めでちっぽけな私は、自分の体を抱きかかえるようにして眠りに落ちていった。

目を覚ますと、犬耳も犬しっぽもきれいさっぱり消えていた。
なるべく音を立てないようにドアを開けて廊下に出る。忍び足でママの部屋に行くと、自分の金髪に埋もれて寝息を立てるママの姿があった。
もう、私の本当の気持ちを教えてくれる物も、私の背中を押してくれる物も無くなってしまった。
「なにやってんだろ、私………」
その時、私の鼻腔をくすぐるにおいが、キッチンの方から流れてくるのに気が付いた。何かを焼いているフライパンの音がする。
恐る恐るキッチンを覗くと、コンロの前で朝食の支度をしているエプロン姿のトレイズが見えた。
「…………おはよ」
「……お、おはよう」
テーブルについた私は、それ以上何も言えなくなってしまう。朝日の差し込む部屋の中に気まずい空気が流れて、じゅうじゅうとフライパンの音だけが聞こえる。
やがて二人分の朝食を持って、トレイズがテーブルの方にやって来た。
「………はい、朝ごはん」
「あ、ありがと……いただきます」
もそもそと朝食を食べ始めた私たちの間にやっぱり言葉はない。
ただ、トレイズが作ってくれた朝食はどれもなんだか美味しかった。半熟の目玉焼きが舌の上でとろけて、優しい温もりがお腹の中に広がっていく。
ようやく、トレイズに何か言ってあげることができそうな気分になってきた。私の気持ちをほんの少しでいい、伝えられるかもしれない。
「好きだな……」
「えっ!?」
「この朝ごはんの味………私、好きだな」
私の言葉に顔を上げたトレイズが、ガックリと肩を落とす。それに少し罪悪感を感じながらも、私は言葉を続ける。
「この目玉焼きだって、ほんとに丁寧に作ってあるし、味付けもきっと私より………」
「な、何だか褒めすぎじゃないか?」
「そんなこと無いわよ。私は好き…………トレイズが、トレイズの作ったこの料理が……」
「いや、その、照れるんだけど……」
「好き。本当に好きなんだから……」
今はきっとこれが限界、トレイズほどの勇気を持てるには私はまだまだ未熟で、自分の気持ちに向き合う事さえ出来ない。
だからごめんね、トレイズ。本当は正々堂々、面と向かって言ってあげたい。私の気持ちを伝えたい。
そうよ、私はトレイズのことが
「大好き……」
「ありがと……」
トレイズが困ったように、それでも本当に嬉しそうに、私に微笑んだ。その笑顔が何だかまぶしくて、本当にまぶしくて…………。
私のお尻の上のあたりで、見えないしっぽが軽く揺れた気がした。
92SBI:2006/01/29(日) 17:48:28 ID:QRr5A6WB
こんな感じでした。
アリソン、キノに比べると書く頻度は少ないですが、この二人も結構好きです。
たびたびしつこいですが、先日は失礼いたしました。そして、ありがとうございます。
俺の拙いエロパロを読んでくれる全員に感謝の気持ちを捧げたいです。
それでは、また……。
93名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 21:52:30 ID:wtY5UR9d
い、いいいいいい犬耳キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
94 :2006/01/30(月) 09:48:10 ID://vYLR34
何だ、やっぱり面白いじゃないっすか!
しっぽの使い方が上手いっすわ〜!
95名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 12:28:48 ID:8XZbUD2O
面白いし上手いとは思う。犬耳シッポもイイ!
ただ、一人称で心理描写に深く入りすぎてるせいだと思うけど、口調を似せてもキャラに違和感がある。
原作が結構淡白な書き方だから仕方ないんだけど、どうしてもね。
96 :2006/01/30(月) 17:31:19 ID://vYLR34
と〜りあえず超ショートショートいきます
何か頭に浮かんだんで書いときます
すんませんね〜、エロ無し意味無しですよ〜
あひゃひゃひゃ、そろそろ住人様達に村八分にされそうだ
しかし、俺は謝らない

いや、やっぱ謝る
ごめんなさい
97 :2006/01/30(月) 17:33:15 ID://vYLR34
「ずっと怖いと思い続けるのと・・・怖さに慣れてしまう事・・・・」
鬱蒼と茂る森の中
冬の、凛とした空気の中に一つ
心なしか寒さに震える声が流れる少女とも少年ともとれる声
「一体、どっちが不幸なんだろうね、エルメス」
一人の旅人と一台のモトラドが焚き火を間に向かい合わせている
「さあ?怖いと思い続ける方なんじゃないの?」
もう一つの声が問いかけに応える
「・・・・どうして?」
「ん〜、やっぱりいつまでも怖い思いをしつづけるから・・・かな」
パチ、と火がはぜる
旅人は傍に置いておいた枝切れで焚き火の中ををつつく
「でも、怖いと思わなくなったらソレが自分には荷が重いって事も分からなくなってきちゃうよ?」
「そうかな?だってキノはいつだって平気な顔してるし、文法王な仕事しかしないじゃん」
「・・・・分相応?」
「そう、それ!」
焚き火の中から出した枝切れの先には小さいラグビーボールのような物体が刺さっていた
ソレを手袋を付けたまま硬さを確かめる様に触る
「・・・まだ・・みたいだね・・・・・・・そんな事は無いよ、エルメス ボクはいつだって怖い」
旅人は再び焚き火の中にラグビーボールの様な物を戻す
「・・・もう少しだよ、キノ・・・・・・・・・・でも、キノはいつも表情変えずに相手撃ってるじゃん」
「それはね、むしろ怖いからなんだよ」
「どゆこと?」
「ボクはまだ死ねない、死ぬわけにはいかないんだ もっともっと見たいモノがあるしね
  だから、ボクは精一杯虚勢を張ってるのさ」
「ふーん、でも多少は慣れてきたんでしょ?」
「流石にね いつまでも慣れない人は旅人なんかにはなれっこないよ」
「でも怖いの?」
「うん ボクはね、エルメス 慣れ過ぎるのも慣れなさ過ぎるのも駄目だと思う
 旅人は常にニュートラルでなきゃ駄目だ、と思うんだ」
「ふ〜ん」
「そして、それは何にでも言えると思う 慣れっていうのはある意味、進化と言えるんだろうけど
 進化しすぎた生物って、少しでも環境が変わるとそれに対応出来ずに滅んでしまう
 もちろん、進化出来ないモノも同じ だから常に気を配る
 自分が危険に慣れ過ぎてやしないか、いつまでも適応できずにはいないか、ね」
「・・・・・・それが料理の方にも向けられれば良かったのにね〜」
「・・・・・・・・・・・それは、魚が空を飛べないのと同じ事だよ」
「へ?」
「得手不得手って事だよ」
「確かに、キノの料理の腕が上達するなんて、鯨が陸を歩くようなモノだね」
「つまり?」
「無理って事さ」
「む・・・・・・・」
「あ、そろそろ大丈夫だよ」
「そう?それじゃ・・・・」
旅人は再び枝切れを焚き火に突っ込み、ラグビーボールの様なモノを取り出す
それを両手で持ち、真ん中から二つに割ると、中から香ばしい香りと湯気が昇る
「で、キノ キノはどっちが不幸だと思う訳?」
「ん〜・・・・そうだね」
火傷しないように息を吹きかけ、一口齧る
「ふは、ふぁふひゃいもふほうひゃへ」
「・・・・・・何いってるかわかんないよ」
「ん・・・・ふう・・・・・・どっちも不幸だと思うよ」
「どうして?」
「怖さに慣れたらスリルもへったくれもないし、慣れなかったらただ怖いだけだからだよ」
「で、それとサツマイモの何が関係あるの?」
「だって、熱いのをいつまでも怖がってたら冷めたモノしか食べれないし
 熱いのに慣れちゃったら、ハフハフ言いながら食べる醍醐味も薄れちゃうでしょ?」
「・・・・・さいですか」
「そう言うことさ・・・・・ふひゃあふひ・・・・うん、おいし♪」         -冬の森にて・IMO-終
98SBI:2006/01/30(月) 19:42:11 ID:5YDq5ceJ
>>95 う〜ん、キャラに入れ込みすぎる俺の性質にも問題がありそう。一歩引いた視点も必要だったかな?
   ただ、今回は一人称でこっぱずかしいヤツがテーマだったもんで……。
>>97 相変わらずGJです。
   なんか、この語りの真面目さと、イモ関連のお気楽さが非常にキノらしくて良かったです。
99名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 03:28:36 ID:PKT7MuE5
あんましあんあん言われると萎える…(´・ω・`)
100 :2006/02/08(水) 11:46:20 ID:45GQam3t
ネタが無い
101名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 17:53:30 ID:EM2yjhpY
>>100
戦車の宝刀が子供の処女を奪う
102 :2006/02/10(金) 13:56:13 ID:XkDtdXXx
いや、それと同じような話書いてたら
世にもおぞましいグロ話が出来てしまったのよ・・・・・
103名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 16:33:52 ID:9ZD6jwlj
よし、投下しろ。
104 :2006/02/11(土) 16:47:05 ID:7S6QRloQ
いや、さすがにコレは投下する勇気はないよ
どうみても鬱です。ありがとうございました。 的な内容だし
戦車、最後中出し(劣化ウラン)で木っ端微塵にしちゃうし
つうか最近そんなんばっかし書いてるし
某社にオリジナル持込みしたら
「チミチミィ、持って来るトコロ間違ってるよ?ここはティーンズ向けノベル雑誌の編集部だよ?うん?」
「こんな鬱な作品載せたら首括りモノだよ つうか死ねば?」
って感じで追い出されたしな

つうわけで暫らく書くのを休んで読者に専念します
105名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 17:21:37 ID:cYAMS3zw
>>104
ワクテカしてたんだぞ、責任もって投下しろ。
106名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 18:26:00 ID:1UgOB+n7
そうだそうだ
それに心配することはない
此処はティーンズ向けノベル雑誌の編集部ではない
21禁のエロパロ板だ(」`□´)/
107 :2006/02/11(土) 19:59:26 ID:7S6QRloQ
分かった・・・・・
だけど、ちょっと時間をくれ
最低限の直し入れてせめてエロパロといえるモノにしたいから・・・・
今んとこただのグロパロだから・・・・
書いてて吐き気したのん・・・・

でも、仕事忙しくて時間がないのん
引越しもせにゃいかんし、事務所も改装するし、病院にも行かにゃいかんし・・・・・
そんなわけで、マジ時間くれ
逃げも隠れもせんから
108名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 20:23:11 ID:85SxYKDH
OK
今はただ待とう
109名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 09:23:39 ID:G3JnCWBk
待つのも愛
110SBI:2006/02/12(日) 10:09:57 ID:nQGsbIFy
>>107 お疲れ様です。ゆるゆると待っていますので、無理はしないで。
待ち時間は拙作でお茶でも濁しましょう。
いや、なんだか微妙なネタが出来てしまったもので。
それでは……。
111SBI:2006/02/12(日) 10:10:40 ID:nQGsbIFy
とある国、時刻が遅くなるほどに賑わいを増していく夜の街、その一角に一軒のバーが店を構えていた。
店内に入ると、カウンターには体格の良い、いかにも恐ろしげなマスターが一人。
マスターの顔の左半分には大きな傷が縦に走り、並みの人間なら一瞥されただけで動けなくなってしまいそうだ。
だが、その表情にはなにやら今は困惑の色が浮かんでいるようだった。その原因はマスターの真向かいで、カウンターにうずくまっている一人の客だ。
そこそこ客も入って賑わう店内でただ一人、どんよりとした表情でただ一人酒を飲み続けているその客、それだけならありふれたたちの悪い酔っ払いなのだが………。
「キノさん、これ以上は体に毒です。いい加減にしたらどうです?」
「ば〜ろ〜!!ボクはおきゃくさんらぞぉ。もんくいわずにさっさと酒をだせぇ〜」
問題の酔っ払い、旅人のキノは、どう見たって10代の半ば、まだ子供と言ってもいいような年頃だった。
しかも、来店してから延々と撒き散らし続けている愚痴の内容から判断するに、どうもこの子は女の子であるらしい。
使い古されたコートを身にまとい、髪もそれほどのばしていない男性のような格好。
華奢な体はしているが、女性らしい柔らかな膨らみがまったく見られないプロポーションなので、一目見ただけでは成長途上の少年のように見える。
しかし、彼女はれっきとした女の子で、そんな娘が夜の酒場で浴びるように酒を飲みながらくだを巻いているとくれば、誰でも対応に困ってしまうというものだ。
長い間このバーを切り盛りしてきたマスターにとっても、こんな客を扱うのは初めてのことだった。
「うぃ〜〜〜、ほんとのまなきゃやってられないってのぉ〜」
グラスの中を再び満たした琥珀色を一気に流し込むと、既に真っ赤であったキノの顔がさらに赤味を増していく。
どこで飲んできたのかは知らないが、この店にやって来たときには、キノは既に相当酔っ払っていた。
こんな娘一人を追い出すわけにもいかず、他の客に絡まれないように気を配りながら、マスターは一人でキノの相手をした。
この年で旅をしており、かなりしっかりした少女であるらしいキノが、どうしてこんな無茶苦茶な飲み方をしているのか。
酒を飲む合間に呂律の回らぬ舌で喋り続けた内容を整理すると、おおよそこういう事らしい。

入国審査を終えて城壁の中へと入ったキノは、町の雑踏の中に見覚えのある人物を見つけて駆け寄った。
自分たちが定住できる国を探して旅をしている青年シズ、すらりと高い身長と腰に下げた独特な刀、傍らにはティーと愛犬の陸もいる。
間違いないあの人だ。
しかし、キノは奇妙な違和感を感じていた。あの後姿から感じる雰囲気は確かにシズのものなのに、何かが違う気がする。
112SBI:2006/02/12(日) 10:11:25 ID:nQGsbIFy
身に付けているものも同じ、髪型だって前と変わらない。それなのに、何かが致命的なほどに変化している。
「シズさんっ!」
キノが呼びかけると、シズはゆっくりと振り返り、見覚えのある顔が目に入った。
何だ。やっぱりシズさんじゃないか。人違いなんかじゃなかった。
しかし、完全にキノの方を向いたシズの全身に目をやったとき、キノの笑顔が凍りついた。
「えっ!?…………シズさん?」
「…………や、やあ、キノさん」
申し訳無さそうにうつむくシズの前で、キノは何度も目を擦る。眼前の光景はあまりに信じ難く、言葉に表せないほどの驚愕にキノの思考回路が一瞬停止する。
「えっと、驚かせたみたいだな。なんていうか、その、妙な事になってしまって………」
以前に二人が会ってからそれほどの時間は経っていないはずだ。だが、僅かばかりの時間の経過がシズにもたらした変化は、あまりにも凄まじいものだった。
今、キノの目の前に立っているシズの体。かつて分厚く鍛えられていた胸板の代わりに、堂々と鎮座するのはそれぞれがメロン大の丸い膨らみ。
そこから視点を下に移すと、腰に至るラインは曲線を描いて細くくびれ、肉感も豊かなヒップが目に入る。
再びシズの顔に目をやる。確かにシズだと識別できる顔つき、だがそれは以前より丸みを帯び、繊細な美しさを持ったものに変わっていた。
「キノさん、今の私は………女なんだ」

女体化病。
一般にそのように呼称される奇病がこの国には存在した。文字通り、人間の性別を180度転換させてしまう恐るべき病。
幾人もの研究者がこの病気について研究してきたが、その原因はいまだ全く持って不明の状態である。
ただ、放置しておけば1,2週間でもとの性別に戻る事が出来るため、この国の人々は嫌々ながらも女体化病を受け入れてきた。
「ともかく衛生上の問題からも、完治するまでこの国から出てはいけない事になっているんだ」
突然に襲いかかった災難、女体化病についてのシズの説明を、キノは遠い目をして聞いていた。
どうやらオカマなんぞになったわけではない事がわかってキノは安心したが、シズの部屋に呼ばれて話を聞いている内に別の不安がキノを襲い始めていた。
(今のシズさんって…………)
キノが虚ろな目つきで眺めているのは、シズの緑のセーターをぱんぱんに膨らませて、その威容を誇示している二つの物体。
いい加減、もう年頃のはずのキノが持っていないソレ。
113SBI:2006/02/12(日) 10:11:59 ID:nQGsbIFy
(………すごい巨乳だ)
男性としての体格の良さが、すべて女性としてのプロポーションに変換されているようだ。
出るところは出て、引っ込むところは引っ込んだ理想的なボディ。手に触れなくても、服の上から見るだけでも、その柔らかな感触が伝わってくるようである。
声は以前の印象を確かに残しながらも、まるでどこかの歌い手のような耳に心地よい、女性の声に変わっている。
さらに顔だって、もともとの端正な顔つきを反映して、長らく色々な国を巡ってきたキノでも目にしたことの無いような美人になっている。
振り返って自分の体を見てみると、胸から腰へとストーンと一直線に繋がるライン、女というより女の子といった方がしっくりくる顔つき。
はっきり言って完敗である。本当は男性であるはずのシズに、正真正銘の女性である筈のキノが手も足も出ない。
如何ともしがたい敗北感に、キノの口数はめっきり少なくなっていた。
いつものキノならば、この程度の事はいくらも気にしないのだろう。人は人、自分は自分と割り切る事が出来るだろう。
だが、今のキノの目の前にある異常事態は、それを許さない。相手がもともと男性である事が、キノに必要以上に自分の中の女性を意識させていた。
その上、シズはキノのそんな内心の気持ちにはお構いなしで、嬉しそうに笑い、話し掛けてくる。
この気持ちをわかれと言う方が無理なのだろう。
キノと再会できた嬉しさもあるだろう。
必ず直ると言われているとはいえ、聞いた事も無い奇病にかかり、自らの根本をなす要素である性別が変わってしまった不安もあるはずだ。
シズには悪意は一欠けらも無い。
必死に自分にそう言い聞かせても、シズが一つ動作を起こすごとに揺れる胸を見ていると、キノの心の奥底に何とも言えない苛立ちがつのっていく。
「キノさん、お茶のおかわりはどうです?」
「…………えっ、あっ、はい。お願いします」
人間にとって、女性にとって、真に必要なのは外見などではないと自分を励ましてボーっとしていたキノに、シズが話し掛ける。
慌てて持っていたカップを差し出すと、シズはティーポットを持ってお茶を注ぎ入れる。
再びポットをテーブルに戻そうとしたとき、前屈みになったシズの大きな胸が釣鐘のように揺れる。
たゆん。
キノには確かにそう聞こえた。シズが動いた瞬間、その勢いで左右に揺れた膨らみが、まるで中に甘い蜜でも詰めているかのような音を立てた。
(…………人間の出せる擬音じゃないっ!!!)
我が耳を疑うような悪魔の音色がキノのハートにクリティカルヒットする。
114SBI:2006/02/12(日) 10:12:41 ID:nQGsbIFy
シズの一挙一動を見ているだけで、まるで魂をドリルで削られていくような心持ちだ。
「どうしたんだい、キノさん?顔が青いぞ」
「ほんとだ。そういえば、さっきからあんまり喋ってないし。大丈夫なの、キノ?」
キノを心から心配しての、シズとキノの相棒のモトラド、エルメスの言葉。それだけに余計に腹が立つ。
(……ボクの気持ちも知らないでっ……!!!)
ティーカップの中身をぶちまけてやりたい気分をギリギリの所で抑え付け、キノは力ない笑顔を浮かべる。
「……いえ、大丈夫ですよ。ただこの国に来るまでに結構疲れちゃったので」
ここが一番の踏ん張りどころだ。ここでキレてしまっては、それこそ女性らしさのかけらだって自分の中にはない事になってしまう。
疲れているのも一応は事実だし、ここはさっさと自分の部屋に引き上げて、シャワーでも浴びて眠ってしまうのが一番だ。
「そうか……なら、無理に引き止めてしまうのは悪いな」
よし、良い流れだぞ。
もう少しでこの耐えがたい苦痛から解放される。自由になれる。
「……すみません。ボクも出来ればもっと長く話したかったんですが……」
その馬鹿みたいな胸さえなければね、と心の中で付け加えてキノは立ち上がる。
同じく立ち上がったシズの胸がまたも大きく揺れて、たゆん。とキノの鼓膜に向け強力な一撃を放つが、これも何とか堪える。
(今日は日が悪かった。シズさんが男に戻るまで待つ事も出来ないだろうけど、せめて明日になれば、もう少し落ち着いて話せるはず……)
ふらつく足に力を込めて、キノはなんとか一歩を踏み出す。エルメスのハンドルに手をかけ、キノはシズのほうに振り返った。
だが、そこにはキノを襲う最大最悪の罠が待ち構えていた。
「…………シズさん?」
「ん、なんだいキノさん?」
「……………………何してるんですか?」
それ一見してどうという事もない動作だった。
シズが自分の肩の方に手をやって、その肩凝りを揉み解している。
「いや、この体になってから妙に凝ってしまって、参ってるんだよ…………」
115SBI:2006/02/12(日) 10:13:15 ID:nQGsbIFy
そう言って苦笑して見せたシズ、彼は自分が致命的な間違いを犯した事に気が付いていなかった。
シズを苦しめている肩凝りの原因、それは誰の目にも明らかだ。この場にそれを推理できない者はいないだろう。
圧倒的な質量を誇るシズの巨乳は、当然のことながらシズの肩に並々ならぬ重量を掛けることになる。その結果起こる猛烈な肩凝り。
それは、キノには絶対に起こりえない現象だった。
「……………当てつけですか」
「えっ!?」
間の抜けた声を出したシズ、その顔をキノは地獄の悪鬼のような目つきで睨みつけた。
わざとで言ったはずがない。当てつけなんかでは有り得ない。それはわかっている。わかっているのだが………。
「皮肉のつもりですか?」
「キノさん、何を言って?」
「そりゃあ、ボクには胸なんて無いに等しいですよ!!!でも、そんな遠まわしな嫌らしいやり方で文句を言われるような覚えはないですっ!!!!」
一度火がついた怒りは止め様が無かった。怒りの炎がキノを内側から焼き尽くすような勢いで燃え広がる。
今まで旅先で受けたどんな侮辱だってこれほどではなかった。
なんでよりにもよって、こんな男に、自分より弱いヘタレ剣士にこんな事を言われなければならないんだ。
「キノさん、落ち着くんだ」
差し伸べられたシズの手の平を思いっきりはたく。それでも縋ろうとするシズにキノは腹の底からの声で叫んだ。
「ボクの気にしてることをぉををををおおおををぉおおっ!!!!!!!!」
こんな腹立たしいヤツの部屋に、もう一秒だって居てやるものか。愕然とするシズを置いて、キノは脱兎のごとく廊下に飛び出した。
「シズさんのぉ馬鹿っ!!!バカっ!!ぶぁくわああああぁああああああああっ!!!!」
宿屋の内部どころか、外にいたって聞き取れそうな大声で叫んびながら、キノは廊下を駆けていく。
一人部屋に残されたシズは………
「どうしてキノさんをあんなに怒らせてしまったんだ?」
やっぱり、全く事情を呑みこめずにいた。
116SBI:2006/02/12(日) 10:14:00 ID:nQGsbIFy
宿屋を飛び出したキノは、腹立ち紛れに慣れない酒に手を出して、ベロンベロンになるまで飲み続けた。
どうやって今いるバーに辿り着いたのか、キノ自身も覚えていない。
慣れない酒を浴びるように飲むほど、キノの胸を虚しさが締め付ける。何も知らないシズに当たって何になる?結局は自分ひとりが勝手に怒っているだけの話ではないか。
間接照明を反射して輝くグラス、そこに映る酔いつぶれた自分の顔はなんと情けないのだろう。
人は中身が全てで外見などどうでもいい、とまでは言えないにしても、自分ではどうすることもできない体の事を、これ以上思い悩んで何になるのか?
だが、もう一度自分の胸を見やるとため息が出てくるのを抑えられない。
「ボクはどうして……こんなムネちっちゃくて…」
もういい加減、お酒を飲むのも億劫になってきた。酔いは悩みを深めるだけで、一向にキノの助けになってくれそうもない。
キノはカウンターテーブルに上半身を預け、壁にかかった時計を見るとも無く眺める。もう夜も大分遅い。店内に既にキノ以外の客はいなくなっていた。
いつもなら横にいるはずのエルメスも宿屋に残してきてしまった。今のキノは正真正銘のひとりぼっち、孤独が身に染みてこのまま消えてしまいそうだ。
と、その時、キノの体の上にふわりと毛布がかけられた。
「……あれ?もーふだ」
「今更追い出すわけにもいきませんしね、サービスですよ」
毛布をかけてくれたのは困ったように微笑むマスターだった。
「あ、ありがとうございまふ……」
呂律の回らない舌でお礼を言って、毛布を自分の体にきゅっと巻きつけた。ふわふわと優しく暖かい感触に包まれて、キノの心持ちも幾分か和らいぐ。
その様子を見て満足そうな表情を浮かべたマスターは、キノの隣の席に腰掛けた。
「人の価値は外見なんかじゃないって言っても、余計に辛くなるだけなんでしょうね、今のキノさんには………」
こわもての外見とは裏腹な穏やかな言葉、優しい瞳に見つめられて、キノは素直に肯いた。
「その気持ち、わかりますよ」
マスターは苦笑いを浮かべながら、自分の顔の左半分に醜い爪痕を残す傷を指差した。
「これじゃあ、カタギには到底見えませんよね。本当は単に子供の頃、事故でつけただけの傷なのに………」
人間にとって一番肝心なのは内面の美しさである。これまでどれだけの人間が言ったかわからないこの言葉には一面では真実も含まれているのだろう。
ただ、他人が外見を見て下す判断は、往々にしてその人の内面まで引っ張ってしまうのも事実だ。
気にしてはいけないと思っても、どうしても気になる。
117SBI:2006/02/12(日) 10:14:38 ID:nQGsbIFy
「その年頃では、どうしたって気になってしまいますよね。でも、知ってますか?キノさんはとてもきれいな顔をしてるんですよ」
「……ほんとですか?」
「ええ、本当です。自分の目で見ると、自分の中には欠点しかないように思いがちです。でも、本当はそうじゃないんです。それに……」
「それに?」
「自分が欠点だと思ってるところだって、本当にそうなのかはわからない」
マスターはそっと目を閉じ、何か遠い昔を懐かしむような表情を浮かべて、顔の傷を優しく撫でた。
「この傷を好きだと言ってくれる人だっていました」
マスターの瞼の内側には、そう言ってくれた『あの人』の笑顔がありありと浮かんでいた。その一言があっただけで、自分の気にしていたことが全てちっぽけなもののように思う事が出来た。
「根本的な解決になってないのはわかっています。でも、外見も内面も、全てで一番になるのはとても難しい。
自分のことを好きだといってくれる誰か一人のための一番ではいけませんか?キノさんにもいますよね、そういう人」
「えっ?ボクは………」
「話に出てきたシズさんという人のこと、随分気にしていたみたいですけど………」
「そんなことは………」
「比べる対象がその人だったからこそ、いつもなら気にならないことが気になったんじゃないんですか?」
完全に言葉を失ってしまったキノの頭を、マスターは優しく撫でる。
もしかしたら自分は最初から気がついていたのかもしれない。
と、その時………。
「すみませんっ!!こちらにキノさんという旅人は来てませんか?」
店の扉が開く音が響いて、夜の街の音とともに、聞き覚えのある声が飛び込んできた。
「どうやら、キノさんはあの人にとっての一番だったようですね」
ずっと走り通しだったのだろう。荒く切れる呼吸にあわせて、肩が大きく上下して、体からは湯気が上がっている。
それでもその人は、シズは、店内に佇むキノの姿を認めると、その顔を嬉しそうにほころばせたのだった。

シズに背負われて宿屋の自分の部屋に辿り着いたときには、夜風にあてられたこともあって、キノの酔いは大分さめていた。
今日一日の自分の行動も客観的に見る事が出来る状態になっていたが、先程までの調子が抜け切らずに憎まれ口ばかりが出てしまう。
118SBI:2006/02/12(日) 10:15:28 ID:nQGsbIFy
「シズさんみたいなへたれけんしに、おんならしさでまけるよーそなんてなんですよぉ、ボクはぁ〜」
「はいはい」
「へんじはいちどでよろしい!」
「はいはい」
延々と文句を言いながら頭をポコポコ叩いてくるキノを、シズはそっとベッドに横たえてやる。そして自分もベッドの端の方に腰掛けた。
「今日はなんだか、気付かない内に失礼な事をしてしまったみたいだな。すまない、キノさん………」
「いーですよ、べつに。じじつじゃないですか………」
何で今の自分はこんな事しか言えないんだろう。いつもなら、こんなに自分を見失うような事はないのに。
そう思ってみても、目の前で心配そうに見つめてくるシズの、女性のものになった顔がどうにも憎らしくて、自分の事を顧みると余計に腹立たしくなってしまう。
「おんなのこらしさなんて、うまてたときに、おかーさんのおなかのなかにおいてきましたよーだ!!」
ベーっとシズに向けて舌を出して見せる。完全に子供の行動。しかしシズは、そのふくれっつらに困ったように微笑んで、キノの頭を優しく撫でた。
「じゃあ、キノさんには女性としての魅力なんて全くないと?」
「そーです!!そのとーりです!!」
「そうか、それなら………」
投げやりなキノの言葉を聞いて、シズの表情が急に真剣なものに変わる。唐突なその変化に、キノは一瞬息を飲む。
そうして何も言えなくなってしまったキノ、その唇にシズの唇がそっと重ねられた。
「……………うあ」
「………それなら、キノさんに魅力が無いというなら、どうして俺はこんなにキノさんのことが好きなんだろうな……」
女性の唇でされたキスは、なんだか甘い香りを含んでいるように、キノには感じられた。
シズの手の平がキノの頬にそっとそえられる。そこから伝わる感触を楽しみながら、シズの手の平が何度も往き来する。
「キノさんを見るだけで、なんだか無性に嬉しくなって、足取りが軽くなって………あれも嘘なのか?」
「そんな……その」
「素敵な女性だよ、キノさんは……」
それだけ言い終えたキノは、今度はキノの額に軽くくちづけして、立ち上がろうとする。
「それじゃあ、おやすみ。キノさん」
119SBI:2006/02/12(日) 10:16:20 ID:nQGsbIFy
「……待って!シズさん」
気が付いた時には、シズの腕にしがみついていた。
「キノさん?」
「えっと、その、あの………」
その行動に一番驚いていたのは、キノ本人だった。シズを引き止めてはみたものの、次にどうして良いかがわからず、頭の中で混乱がぐるぐると渦を巻く。
その渦はキノの心を追い立てて、さらに突拍子も無い行動を引き起こした。
「……ひゃあっ!!?キ、キノさん?」
むぎゅう。
そんな音が聞こえてきそうな勢いで、キノはシズの胸の二つのメロンを鷲掴みにした。
手の平から伝わってくるのは、心地よいあたたかさと、ほどよい弾力、圧倒的な量感はキノの心に清清しいほど強烈な敗北感を与える。
でも、それさえもがキノには愛しかった。
どんなに姿が変わってもシズはシズで、そのシズに素敵だと言ってもらえる自分なら、それもいいのではないか。初めてそう思う事が出来た。
「きょうのボクはろくでもないヨッパライで、つまりエロエロなろくでなしなんです」
「キノさん落ち着いて……って、ひあああっ!!」
「にがしません。………にげちゃいやです。シズさん……」
豊満なバストをキノの指先が揉みくちゃにする。男では絶対に味わえない感覚に(まあ、キノも味わった事はないが)シズの体が弱弱しくベッドにへたりこむ。
「で、でも、今のこの体じゃ、キノさんの相手なんて……」
「いいんです。シズさんなら………シズさんがいっしょにいてくれるなら」
それだけの事を言うのも恥ずかしくて、キノは顔を隠すようにシズの胸に顔を埋める。
すると、なんだかもっと恥ずかしくなって、シズに抱きつく腕にさらに力がこもって、それがもっと恥ずかしくて。
ぐるぐると連鎖する恥ずかしさの中で、キノの胸の中が熱くなっていく。
「いっしょにいて、ボクにさわって、ボクのことステキだって、もっといってください」
「ひゃ、あああっ!!……キ、キノさん!…それ、やめ……ああっ!」
緑のセーターと、慌てて買ったせいか微妙にサイズのあっていないブラジャーをたくし上げると、先端を硬く尖らせて震えるシズの胸が露になった。
キノは一切の容赦もなしに、その弾力に小さな手の平を沈み込ませ、指先で乳首を転がし、吸い付いて舌先で弄ぶ。
120SBI:2006/02/12(日) 10:17:03 ID:nQGsbIFy
「……くちゅぴちゅ……ああ…シズさんのムネすごい……」
「ふあっ……あああっ……こんな、へんに……うあああっ!!!」
シズの胸を揉みしだく内に、脳裏に『年上のお姉さんに迫る少年』というワードが浮かんで危うく落ち込みそうになるが、キノはなんとかそれを振り払う。
慣れない愛撫に没頭しようと指の動きを激しくしていくと、わかりやすいぐらいにシズからの反応が敏感になっていく。
無我夢中で続けられる愛撫は次第に胸から他の場所にも広がっていく。
背中からお尻にゆっくりと手の平を這わせると、伝わってくる曲線のなめらかさに、キノは思わず息を飲む。
キノの愛撫で、シズが感じているのは明らかだった。上気した頬が愛しくて、キノは何度もキスをしてあげた。
以前に出会って、夜を共にした時とは完全に攻守が逆転した奇妙な時間。それがキノ自身の体をも熱くしていく。
「ああああっ!!!シズさんっ!!シズさんっ!!!」
「くうっ!!あああっ!!!…キノさ………あああああっ!!!」
味わった事の無い快感が、シズの全身の神経を焼き尽くした。戸惑い、翻弄されるだけのシズを、キノは休むことなく責め続ける。
そして…………。
「うあああっ!!!ひあああっ!!!…すご…あああああああああっ!!!!」
シズの脳裏を駆け抜けた、一瞬の白い電流。操り人形の糸が切られるように、シズの体からは力が抜けベッドにぐったりと横たわる。
荒い呼吸に喋る事もままならないシズ、その体にピッタリと寄り添い、キノは激しく上下する胸の谷間に顔を埋めた。
「シズさん…………」
伝わってくるぬくもりに全てを委ねているだけで、キノの胸を言い表しがたい幸せが満たしていく。
ようやく落ち着いてきたシズは、まるで母親の胸で眠る子供のようなキノの姿を認めると、ふっと微笑んで頭を撫でてやる。
「私なんかの言葉が役に立つのかはわからないけれど、それでもキノさんがほしいと言うなら、何度だって言おう」
キノが顔を上げる。真っ向から目に入ったシズの優しげな瞳の色、語りかけられた簡単な言葉が、キノの心の中に残っていた最後のしこりを溶かした。
「好きだよ、キノさん。大好きだ」
シズの腕がキノを抱き起こす。シズはキノの背中の側に回って、今度は自分の方からキノの服を脱がせにかかった。
手早くボタンを外され露にされるキノの裸の胸は、どう贔屓目に見ても大きいとは言いがたい。
背中に当たるシズの大きな胸の感触と比べると、どうしたって見劣りしてしまう。
「きれい……だな」
121SBI:2006/02/12(日) 10:17:48 ID:nQGsbIFy
だが、シズにとってはそんな事はどうでもいいことだった。指先に触れる頼りない手触りは、何よりもキノを実感させてくれる、シズの大好きな感触だった。
まあ、最近は自分って小さい胸のほうが好みなんじゃないかと自覚し始めてもいたが……。
「可愛い胸、小さく震えてる私の大好きなキノさんの胸だ」
「ふあっ……や……ああっ……シズさん…やっぱりロリコ…ああんっ!!」
やっぱりキノさんからもそう思われてるんだ、と妙にがっかりしながらも、シズはキノの胸を丹念に愛撫する。
小さくて、繊細で、ちょっとした事で壊れてしまいそうで、キノの逞しい生き方とは正反対な幼すぎる膨らみ。
小さな突起を大事に大事に指で摘みながら、薄い胸全体を揉み解す。その度に駆け抜ける甘い衝撃がキノの視界に何度も星を飛ばす。
「…ああっ!!やあんっ!!……ああああっ!!!シズさ…ん!?」
首筋を舐め上げる舌の動き、執拗に乳首を転がしてくる指先、女性の体になって繊細さを増したシズの責めが、キノの体にじわじわと快感を染み渡らせる。
次はココ、その次はソコと、キノの快感のポイントを知り尽くしたように、シズの指先がキノの体中を滑り、快感の花を開かせていく。
触れ合った肌に感じる柔らかさと熱、絹を思わせるなめらかな表面を汗が濡らし、互いの体温が混ざり合い一つになっていく。
「あああっ……シズさん…すご…んむぅ…んぅ…ああっ!…はぁはぁ……」
「キノさん!!……キノさん!…んっくぅ…んんっ……キノさんっ!!」
互いの舌が蕩けるほどにねっとりと絡み合うディープキス。息継ぎの合間に熱に浮かされた瞳で見つめ合うと、それだけで大事なところが湿りを帯びてくる。
本来なら有り得ないはずの、擬似的な同性愛体験は愛し合う二人の神経を否応もなく昂ぶらせ、与え合う快感をさらに大きくしていく。
肌を擦り合わせ、手足を絡め合い、互いに相手の事だけしか考えられなくなっていく。
「ああ……うあっ!…はぁはぁ…やあ…キノさ…ああああんっ!!!」
「シズさ…ん……すご…すごい!!きもちいいですっ!!!きもち…い…」
いつしか二人は互いの最も敏感な部分を擦り合わせていた。迸る汗と、奥からとめどなく溢れ出してくる蜜を潤滑油に、二人の行為は加速していく。
くちゅくちゅ、くちゅくちゅと、糸を引くほどに粘りをもった液体がかき混ぜられる。ガクガクと勝手に動いてしまう腰を止める事が出来ない。
こちらの都合などお構い無しに、許容量を遥かに超えて高まる快感が、二人の理性をどろどろと跡形も無く溶かし去ってしまう。
「ああああっ!!!シズさん…も…ボク…ボクぅ…やあああっ!!!」
「…キノさん……キノさん……もう…私は……くあああっ!!」
気持ちよすぎて訳がわからなくなってしまう。視界に何度も飛び散る火花が、押し寄せる快感が二人を巻き込み、押し流していく。
腰の動きはさらに激しいものとなり、ヒートアップしていく行為の中で、キノとシズはついに限界を迎えた。
「キノさんっ!!キノさんっ!!!!ひああああああああああああっ!!!」
「ああああああっ!!!シズさんっ!!好きですっ!!!好きですぅううううううっ!!!!」
弓なりに反らせた体を激しく震わせて、二人は同時に絶頂へと登りつめた。
122SBI:2006/02/12(日) 10:18:32 ID:nQGsbIFy
夜が明ける。差し込む朝日の眩しさに目を細めながら、キノはベッドの上に起き上がった。
傍らから聞こえるシズの穏やかな寝息、ふとシズの寝顔が見たくなったキノは寝息の聞こえる方に顔を向けた。
「あっ…………!」
シズの姿は男のものに戻っていた。鍛えられ引き締まった体つきは、以前のシズのものと寸分も変わりが無い。
「そっか………まあ、シズさんはこっちの方がいいな」
一人肯いたキノは、着替えをしようとベッドの上から降りる。着替えを収めた鞄の方に足を踏み出したその時、キノは妙な下半身に違和感を感じた。
「なんだろ?」
違和感の正体を確かめようと下を向いたキノ、その表情が一瞬で凍りついた。
「な、な、な、な、な………なんだ、これ?」
キノの視線の先にあったもの、それは………。

女体化病は正式な名称ではなく、世間一般に呼び習わされている俗称に過ぎない。
実際、この病気はかなり低い確立ではあるが、女性においても発症するのだ。
「ボクが男の子になるなんて………」
昨日の店の、昨日と同じ席に座って、キノは深くため息をついた。女体化病という名前に騙されて、自分がそんな災難に見舞われるとは考えてもいなかった。
シズが男に戻った直後に、それと逆の事が自分に起こるなんて、たちの悪い冗談だとしか思えない。
だが、男の子の体になった事自体がキノを苦しめる最大の要因ではなかった。
「それにしても、なんでボクの体、女の子のときとほとんど変わらないんだろう………」
今のキノと、昨日のキノを比べて、その変化に気がつく事が出来る者は少ないだろう。
プロポーションは女の子のときとほとんど変わらず、股間のアレがコレに変わったことぐらいが、唯一の目立った変化だと言えた。
はっきり言ってショックである。やっぱり自分は女性失格ではないのだろうか?
そして、キノ悩みのタネはさらにもう一つあった。
「元気を出してください、キノさん」
「ますたぁ〜、なんであなたまで……」
キノの目の前にたったマスターの姿は、顔の左半分に縦に走る傷がちょっと怖い、「女性」だった。
123SBI:2006/02/12(日) 10:19:09 ID:nQGsbIFy
しかも相当な美人だ。顔の傷すら、その美しさを引き立たせるスパイスになっているようだ。
その上、どうやらこれがマスターの本当の姿であるらしい。
「気持ちはわかると言ったでしょう」
そう言って微笑むマスターの笑顔は、なんと魅力的な事だろうか。
マスターはつい一週間前に女体化病にかかった女性だったのだ。姿が変わっても店を休むわけにはいかないので、男の姿でカウンターに立っていたのだ。
なるほど、昨日親身にキノの相手をしてくれたのも、同性であるが故の共感があったのだろう。
だが、性別が同じでもキノとマスターには決定的な違いがあった。
「マスターも肩が凝る側の人間だったんですねぇ〜」
恨めしげなキノの視線の先には、威風堂々と君臨するスイカ大の球体が二つ。
騙された。裏切られた。こんなのをぶら下げてる輩に、自分の気持ちなどわかってたまるものか。
「でも、私も昔はなかなか胸が大きくならなくて悩んだ事もあったんですよ」
「いつの時代の話ですか!!どうせ、12、3歳の頃の話なんでしょ!!」
「うふふ、まあ、そうなんですが………」
ムキになって叫ぶキノの顔を見て、くすくすと笑うマスター。上体が軽く揺れて、大きな胸が左右に震える。
たゆん。
悪魔の音波がキノの脳天を直撃した。
「うわあああああああああああああんっ!!!!みんな大嫌いだぁあああああっ!!!」
キノの悲痛な叫びが、夜の街に大きく響き渡った。
124SBI:2006/02/12(日) 10:20:39 ID:nQGsbIFy
こんな感じでした。
やっぱシズで女体化ネタってのもどうだったんだろう?
それでは、また……。
125名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 11:45:00 ID:VSDFngPp
126名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 13:53:22 ID:2PRH89vp
よかよか。
なかなかツボにはまる話でした。
127名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 19:37:19 ID:BVkvEhmx
>>SBI氏
激しくツボに入りました。GJ。
128名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 22:44:55 ID:yEHvk2lp
女体化なら女体化と前書きに書いて欲しかった(´・ω・`)
129 :2006/02/13(月) 13:51:53 ID:9c8S8eEQ
SBI氏GJ!
シズ女体化って・・・・
つうか飲んだくれのキノって・・・・・
ちっくしょう!そんな面白ネタがあったなんて!

あああああ〜
流石に仕事と引越しの合間に手直しは無理やんな
またよりによって五輪で唯一見るハーフパイプが昨日やってるとか
神様はそんなに俺を寝不足にしたいのですか?
意識朦朧のまま手直ししてたらほとんど別物に・・・orz
一番の見せ場の子供二人破壊シーンとかラストとか
もう、キラートマトとチャイルドプレイ位違うモノになっちまった・・・・・
でも、そんぐらい書き換えないと、とても人様に見せられるもんじゃないし・・・・
いや、今度は別の意味で見せられないモノになっちまったけどさ
キャラが使いづらいし・・・・一発キャラでパロは無謀ですな
エロさもグロさも270%offで、駄文度120%upですか?
まあ、でも、投下するって約束しましたし・・・・
一応投下してみますけど・・・・・
時間的にこれがいっぱいいっぱいだったんで・・・・怒らないでくださいね?
130 :2006/02/13(月) 13:53:53 ID:9c8S8eEQ
旅のお方 魂喰らい、ソウルイーターというのを知ってるかね?
―そういう化物が居るという話は多かれ少なかれどんな国でも聞きましたが
そうかね でも、この国でのソレは少し違うんじゃよ
―そういう前口上もよく聞きました
ハハハ、手厳しいの
だがの、旅のお方 この国ではソレは固有名詞ではなく、一種の病気ととらえておるんじゃ
―病気?
いや、憑き物のほうが近いかの
つまり、魂喰らいが居るのではなく魂喰らいが発生するのじゃ
元々は善人だった者が、ある日突然魂喰らいになるんじゃ
勿論、人だけではなく、物も、動物も、植物も・・・・
―原因は分かっているんですか?
原因?そんなものは無い
ただある日突然そうなるんじゃよ
ある者は家族に裏切られた悲しみで、ある者は仲間が居なくなった寂しさで、
ある獣は主人を殺された恨みで、ある物はその存在を否定された絶望で、
ある者は己の暗き処にある欲望を満たした喜びで、ある者は己の目的を果たす使命感で
あらゆる感情も、過ぎれば闇となる
魂喰らいはその闇から生まれるんじゃよ
―では、貴方々はどうなんですか?
クックック、もちろん当の昔に魂喰らいじゃよ
でなければあんな事はできまい?
そもそもおかしいと思わんかね
あんなにすぐ軍隊が動き、しかも全て根こそぎ吹き飛ばしちまう
そして住人達はみなソレを見て大喜びじゃ
ワシらはな、常に待っておるんじゃよ
奴が現れるのを
奴を狩るのをな
―狂ってますね 貴方々は狂ってる
そうとも、狂っておるよ
だが・・・・ソレがどうしたのかね?
狂った化物は、同じ狂った化物共が狩るのが一番良いんじゃよ
あの戦車をそのまま放って置くよりはな
でなければ、次は他の国に行って同じ事を繰り返すかもしれん
その国に軍隊がなければそれでお終いじゃろ?
化物の尻は化物が拭う それが一番良いのじゃよ
―・・・・・・・・・・・
さ、もう行きなされ旅のお方
この国に居ては貴方も狂ってしまう
何かを壊すのが楽しくて楽しくて堪らなくなってしまう
この土地は呪われておるんじゃよ
だから、その相棒さんをワシらが壊してしまう前に行きなされ
―そうさせてもらいます
131 :2006/02/13(月) 13:54:36 ID:9c8S8eEQ

戦車長殿・・・・どうして・・・どうして貴方は・・・・

音の五倍以上の速さで飛び出した砲弾が飛び出して晴れた空の向こうまで消えて
暫らくたって
二人の子供はまだはしゃいでいました
「すごいー!」
「"ずどーん"だー!」
「戦車、元気になったー!」
「なったー!」
緑の草原の真ん中にぽつんと建った工場
その脇にある張りぼてではない方の戦車は、砲口から紫煙をくゆらせたまま一言も発しませんでした
いや、良く耳を澄まさなければ聞こえないくらいの小さな声で呟いていました
「どうして・・・・・・・・どうして・・・・・・・」
微かに、間にノイズの入った声で呟く戦車に二人の子供は駆け寄りました
「戦車、元気になったー!」
「よかったー!」
「戦車、格好良いー!」
「良いー!」
砲塔の上によじ登り、装甲をパンパン叩きながら二人の子供は言いました
しかし、戦車はまだ黙ったままでした
「戦車、どうしたー?」
「どこか痛いの?」
しかし、戦車は応えませんでした
エンジンの振動もありませんでした
「あれー?」
「戦車、壊れた?」
戦車は、あまりのストレスでシステムダウンしてしまったのです
しかし、二人の子供は、ハード面に強くてもソフト面はからっきしでした
だから
「戦車、直そう!」
「どうやって?」
「わかんないけど、出来る事だけやってみよー!」
「うん!」
「今よりいっぱい強くしたら、戦車、目を覚ますかも!」
「そしたら、また"ずどーん"になる?」
「なるよ!」
「じゃあ、すぐやろー!」
「おー!」
「おー!」
二人の子供は工場から鉄屑を持ってきて、戦車を直し始めました

132 :2006/02/13(月) 13:55:09 ID:9c8S8eEQ

戦車長殿・・・・・・どうして・・・・・

―おうい、どうだこれ 格好良いだろ?
―戦車長、なんすか?
―ヘヘヘ、今日は3台ヤったからな そのカウントだ
―普通、星じゃないんすか?なんでこんなカエデの葉だかなんだか分からない
―・・・・・・コイツは星だ!
―え、見えな・・・
―貴様には基地内第二サウナでの裸踊りを命ずる!
―え、あそこだけは・・・・俺にその気は・・・・
―駆け足!
―サー!
―まったく・・・お前はどうだ?やっぱり嫌か?
いえ、戦車長殿、戦車長殿がなされる事は私の歓びです!
―はっはっは、お前は忠誠心では我が軍一だな!
お褒めに預かり光栄であります!サー!
―しかし、正直に言ってくれ この絵は下手か?どうだ?
その・・・・申し訳ありませんが・・・・・
―やっぱり・・・下手か?
いえ、私は自力でその位置を見る事が出来ないので・・・・
―あ、そうだったな 悪い悪い えっと・・・たしかデジカメが・・・・・・よし、これでどうだ?
・・・・・・これが・・・・星・・・・ですか?
―・・・・・・・・・・・・・
私には戦車長殿がいずれ胸にかける銀星勲章に見えますが
―は!お前、俺が銀星勲章だと?言うようになったじゃねえか!
私は思ったままを言ったまでです
―てめぇ!おい!技術班!こいつをピッカピカに磨いてやってくれ!天然オイルもだ!
―一等綺麗にしてくれたら全員の今日の呑み代、俺が出してやる!

―くそ、どうなってやがる!
前方敵主力戦車5、後方2脚移動砲台2 囲まれたようです
―味方は?
分かりません 索敵範囲外まで退却したようです
―・・・・おい、良く聞け もし、俺が死んだら砲塔の右脇に3本の赤い縦線があって
―左側に獏の絵が描いてある戦車を見つけて、破壊するんだ
・・・・・・・え?
―いいか、砲塔の右脇に3本の赤い縦線、左側に獏の絵だぞ
分からない・・・見つからない・・・・・・
―ほら、今お前の目の前に居る奴だよ
え・・・・あ・・・・・・・あああぁぁぁぁ・・・・・

ああぁ嗚呼亜a阿ああああぁぁぁああぁあAAAああ!!!
どうして!どうして!!!!
133 :2006/02/13(月) 13:55:40 ID:9c8S8eEQ
「どうして!」
「うわー!」ガン!ゴッ!
「わー!」ズベッ!ジ〜ン!
戦車が急に大きな声をあげ、ビックリした二人の子供は、
男の子は落としたスパナがワンバウンドして弁慶の泣き所にあたり、
女の子は戦車から滑り落ちて着地した時に足がジ〜ンとなってしまった
「いたいー!」
「にゃー!」
二人の子供はしばらく傷みに身悶えていた
「急におっきな声ださないでよ!」
「びっくりー!」
しかし、戦車は謝罪どころか一言もしゃべらなかった
「それより、戦車 どう?」
「どう?」
「戦車が歓ぶと思って、いっぱい改造したよ!」
「すごいよ!」
二人の子供は、自分が書いた絵を親に見せるかのように
自分達がした仕事を戦車に言った
「前と横にマニュピレータ付けたんだよ!」
「インパクトドリル2つとフォールディングアームが8本!」
「自動装填式81mm迫撃砲も2門付けたよ!」
「たまたまあったのー!」
「すごいでしょー!」
「しょー!」
二人の子供が自慢している
しかし、戦車は心此処に在らず、ただ呟くように言う
「・・・・どうして・・・・どうして」
二人の子供は、それを自分達に言っていると思い、答える
「強くしたら戦車歓ぶとおもったのー!」
「思ったのー!」
「これで戦車、どんな敵もやっつけられるの!」
「一発なのー!」
それを聞いた戦車は驚愕する
「どんな・・・敵も・・・・」
「これで戦車が探してる敵も倒せるよー!」
「"ずどーん"だよー!」
「私が・・・探してる・・・・」
二人の子供が良かれと思った行為
しかし、それが戦車を壊してしまった
「どうして・・・ドウシテ!」
134 :2006/02/13(月) 13:56:20 ID:9c8S8eEQ
フォールディングアームが走り、二人の子供の四肢を捕まえ持ち上げる
ギリギリと腕や足に食い込むアームには手加減などなかった
「痛いー!」
「離してー!」
「ドウシテ!戦車長殿!ドウシテ私ヲ!」
もし、彼が人間だったら
その顔には深い、深い絶望に染められた顔をしていた事だろう
滂沱の涙を流し、泣き叫んでいた事だろう
しかし、戦車である彼はそれが出来なかった
だから、彼は変わりに狂うしかできなかった
「ドウシテ!ドウシテ私ヲ殺スノデスカ?!」
「う・・・ゲ・・・ああああああああああ!!!」
少年を吊り上げていたアームに力が篭る
四方に引かれ、白目を剥き傷みに喘ぐ
腕が、足が、ミチミチと音をたてた
少女はそれを見ながら、何が起きてるのか理解できなかった
「私ヲ・・・アナタタチモ私ヲ!殺スノカ!」
「ぎぃぃぃ・・・・・あ・・・・あああああ!!!」
「ダッタラ・・・私モアナタタチヲ殺ス!」
「ゲァァァァァァァァギガギャァァァァァ!」
今までよりも、よりいっそうの力を込めてアームが少年の腕を引きちぎった
夥しい量の血液が噴出し少年は絶叫する
戦車は残った(しかし既に脱臼し、肉離れと内出血を起こしている)足からアームを離し、少年を解放する
地面に放たれた少年はバタバタと、日に焼かれる蚯蚓の如くのた打ち回る
少女は、しかし目の前の光景が現実のものと判断出来ないのか
キョトンとして少年を見ている
が、やはり恐怖を感じてはいたのだろう、失禁した尿が足を伝って地面に染みを作っていた
「アアアアア!アアアアアアアアアアア!」
「私ヲ!ナンデ!ナンデ殺ソウトシタノデスカ!ドウシテ!ドウシテェェェ!」
地面をのた打ち回る少年を意に介せず
いや、もはや自分が何をしているかも分からない戦車は次の獲物に向かう
アームで手足を固定し、大の字にした少女をに砲身を向ける
その時、やっと少女は己が身を襲う危険を理解した
「ヒィ!い・・やぁ・・・・・助けて・・・・」
「オマエモ!オマエモ私ヲ!」
「いやぁ!殺さないよ!戦車を殺したりなんてしないよぉ!」
「オマエモ!ドウシテ!」
大の字にした少女の、尿で濡れた股間に砲身を押し付ける
まるでその砲身を少女の体内に挿入しようとしているかの如く
「いいいいぃたいいぃぃぃ!!!足ぃい!やぁぁぁぁぁっ!!」
引きちぎれんばかりに足を引き、猛烈な力で砲身を押し当てる
その痛さに少女もまた白目を剥き絶叫する
しかし、戦車は力を抜くことなく、やがて
ゴリィッ!
「っいああああぁぁぁああああああ!!」
鈍い音と共に少女の股関節は外れ、その傷みに再び失禁する
力が抜け、だらりとした少女の身体を砲身から離し、ゆっくりと持ち上げる
「あ・・・・・・あ・・ああ・・・・・・」
傷みから解放され(脱臼した其処はもちろん痛むが)、ほんのすこしだが安堵の表情を浮かべる少女
戦車はその少女を砲塔の左後方まで持ち上げ、大きく足を開かせた
少女はただ、これ以上の恐怖から逃れられる様、目を瞑り祈る
だから、気づかなかった
今、自分の真下にあるモノに
そして、そのまま戦車はアームを勢い良く降ろし、少女に一気にそれを突き刺した
「ひ・・・・・・が・・・・・・・・あ・・・・・・」
80mm迫撃砲の砲身が深く少女の中に突き刺さる
少女の身体はもちろん、そんなものに耐える事は出来ず
メキメキメキ、と音をたて、肉が千切れ、引き裂かれ、骨盤を砕かれ、大量の血が其処から噴出した
「ゲ・・・・・・ぇ・・・・・・・・・」
その衝撃に見開いた目の瞳孔は開き、口はパクパクと開閉をするだけ
135 :2006/02/13(月) 13:57:01 ID:9c8S8eEQ
全身から汗が吹き出し、口の端からは泡を吐く
しかし、戦車は無常にも少女の身体を激しく上下させた
「ぃ・・・・・・・ぎ・・・・・・」
ズチズチと血の音が響き、少女から砲身が出入りするたび出血は増してゆく
言葉も叫び声も出す事の出来ない少女は、もう痛みすら感じてはいないだろう
ただガクガクとアームの動くままにされている
「あぇ・・・・・・ゲ・・・・・・ぶぁ・・・・・・・・・」
一切の躊躇無く、奥底まで突かれ、子宮はズタズタに潰され
砲身を突きこまれる度に、腹がその形に膨れる
内臓までも圧迫され、少女の口の端に溜まった泡はやがて赤く染まっていく
そこに、
カン!、と音をたて戦車のからだに火花が散った
その先には黒髪で茶色のコートをきた精悍な顔立ちの旅人が銃を構えていた
「・・・・・その子を離しなさい」
しかし、戦車は意にも解さず少女を殺し続ける
「・・・君は既に近くの国の軍に包囲されてる もう助からない」
なにも応えない
「早くその子を離せ!」
「待ちなさい」
その時、茂みの中から軍服姿の老人が現れた
「旅のお方 そんな事をしても無駄ですよ」
「しかし、まだあの子の命くらいは助けられます」
「無駄ですよ だって、ほら」
老人が指差した方向から、一瞬何かが光り、
ッドン!!
飛んできた砲弾が少女と、戦車を諸共に打ち抜いた
少女はアームに掴まれた手足を除き、ほぼ全てが肉片となり辺りに飛び散った
やがて、
ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!
何発も何発も砲弾が飛来し、
あるものは地面に横たわる少年の骸を
あるものは工場の脇にあった戦車そっくりの張りぼてを
あるものは近くにあったお墓を
あるものは戦車本体を
あるものは工場を
あるものはそのへんの地面を
抉り、吹き飛ばし、貫き、消し飛ばせ、
粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、
粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、
粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、
粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、
粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、粉砕し、
やがて、砲弾の雨が止んだ時には
焼け焦げた大きな窪地と
戦車のものだと思われる、焼け焦げた残骸が少々散らばっているだけだった
136 :2006/02/13(月) 14:03:05 ID:9c8S8eEQ
それを眺めながら老人と、砲弾を浴びせた戦車に乗っていた男達は破顔一笑した
「いや〜、すっきりしたなぁ!」
「まったくだ ほんとうに良い仕事をしたなぁ」
「しかも相手は怪物だもんな!罪悪感なんて無いし、最高のゲームだよ」
「でも、そのガキ共は残念だったなぁ」
「ま、仕方無いさ どうせ助けても元には戻らんしな」
「ちげぇねぇ!」
「それに、これがコイツの仕事だしな!」
「ああ、ただ壊す為に作られた自動戦車だからな!」
「壊すもんが無くなったら、最後は自分まで壊しちまう化物だもんな!」
そういって、男達は戦車の上で笑い合った
「・・・・どうして、子供達を見捨てたんですか」
「旅のお方、彼らは怪物に食われたんだ ああなってはもう助けようが無い」
「でも、まだ生きてた」
「で、どうやって助けるつもりだったんだね? 近づけばあんたが危ない目にあっておったぞ?」
「だけど、ただ見捨てるよりはマシです」
旅人はそういうと彼らが乗る戦車を睨み付けた
砲塔の右脇の縦線の数は其々違うが、左脇には皆一様に獏の絵が描かれた戦車を

                                       -何の救いも無い話・もしくは喜劇-終
137 :2006/02/13(月) 14:10:54 ID:9c8S8eEQ




えー、多分みなさんの殆どはこう思うでしょう

「訳分からん!」

うん、分かりません 分かる訳ありません
だって意味も意図も無いんですから
元々意味の無いただのグロ話からグロさを抜いて
ムリヤリ終わらせただけですから
でもね、いや、言い訳なんですけど
コレを悲劇と思うか喜劇と思うか
何かを見つけるか何の意味も見出せないか
この話に関してはそういうの、どうでもいいんで
何故なら・・・・・・・!
ここからさきは貴方々其々で考えてくださいな



お目汚し申し訳御座いませんでした
今回の批評云々によっては流石に進退考えよっかな・・・・
138名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 14:50:22 ID:qi/Af1Is
なかなかよかったよ。
139名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 17:42:14 ID:+3NrezDu
幻想水滸伝?
140名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 18:50:32 ID:I+yBy9Dd
不覚にもたった
141SBI:2006/02/13(月) 19:07:30 ID:hPfVLmSR
暗いもの黒いものに惹かれる人間なので、面白く読ませてもらいました。
あまりに悲惨で皮肉な運命は、一回りして喜劇にさえ見えるってとこでしょうか。
半角二次元のキノスレに書かれていたものや、こちらで多分初めて書いた作品の『不幸せな天国の国』なんかもそうなんですが、
救いのない話にするときは、かなり徹底してるように思えます。
俺は陵辱ネタで書いても、なんだかんだで丸く治めちゃう人なので。
ちょっとした小話、繰り出されるギャグなんかの間にふとその影が除くのが作品の魅力になってるんじゃないんでしょうか。
あと、同じような戦車がいっぱい、ってあたりは少ない材料からよく考えられるものだなと思いました。
なんか、今回の作品の話というより、_氏の作品全般の話みたいになっちゃいましたが、そろそろこのへんで。
それでは、また……。
142名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 13:48:11 ID:PA3rXnxG
ちっと遅いが漏れも読んだよ。
結構良かったと思う。自信持っていいのでは?
143 :2006/02/16(木) 19:10:33 ID:kyGlpyu1
大変ありがた〜い!
最近忙しくて
「そういや、キノスレどうなってんねやろ?」と思って来て見たら嬉しいレスsが!
マジで嬉しい!thx!

>>139
どのへんが?
っつうか1と2しかやってないから、それ以降のストーリーは知らんねんけど
・・・・あ、もしかしてソウルイーターの事かえ?
今回使ったソウルイーターってのは、魂=精神を喰っちまう化物
つまり心の中にある、ある種の癌細胞的な思考を指して使ったんですが・・・・
西洋的なソウルイーターではなく、インディアン系の擬神信仰的なソウルイーターっつうことでひとつ

>>141
>あまりに悲惨で皮肉な運命は、一回りして喜劇にさえ見えるってとこでしょうか。

うん、実際それもあるんだけどね
書いてる時に意識してたのは「その時の読み手の状況により変わるって感じ」の方が大きかったね
読み手が普通の、っつうか特に悲劇的な経験(主観によって差はあるけどね〜)無く読んだ場合
これは娯楽であり喜劇(悲劇的ストーリーであってもソレを娯楽として読む事が喜劇)であると思うし
逆に悲劇的経験、もしくはストーリーに似た経験をした読み手にとっては
それはまさに悲劇であるが、それもまたある意味では喜劇っつう感じ
分かるかな〜 分っかんないだろうな〜

まあ、ようは
ある人間の人生全てが、別の人間にとっては喜劇であり、また別の人間にとっては悲劇である
(ここが、「もしくは喜劇」の部分ね)
しかし、全ての人間にとっては必ずしも喜劇にはなりえず、また悲劇にもなりえないっつう感じ〜
(ここが「救いようの無い」の部分っす)

まあ、どうでも良い事なんだけどね
書いてて他の人が分かってくれるかどうかしんぱいだ〜


もすこし時間的余裕ができたら新作投下しまっす
こんどはもう少し良い意味にとれるものをば・・・
もしくは全編ナンセンス・ギャグで固まったヤツを
ではでは

ノシ
144SBI:2006/02/18(土) 10:32:23 ID:O2U940Jc
>>143 わかる…………気がする。頭の中にあるものが果たしてピッタリ同一なのかわからないので、「うんうん、良くわかる」と景気良く言えないけど。
まあ、言われて初めて、やっと気が付いたわけですが。「その時の読み手の状況により変わるって感じ」ってのは思いつかなかった。
むむ、難しい………。

さて、実はまた懲りもしないで書いてきました。しかも今回は本当の意味で新作とは言えません。
キノスレに初めて書いたアリソンのエロパロのリニューアルバージョンってとこでしょうか。
アリソンとヴィルが、ベネとフィーに酷い目にあわされる話です。
初めて書いたものだけに、文章も今よりさらにアレなんだけれど、シチュだけはとにかくエロくて………。
まあ、あくまで俺主観なので、他の人にとってどうなのかは微妙なんですが……。
ただ、最初の作品だけあって短く、もちっとエロを追加したいと思っていました。
類似シチュで別の作品を書くことも考えましたが、最初の状況設定も含めて俺にとっては最高にエロで萌えなので
結局、もとの作品に大幅に書き足し、書き換え、生まれ変わらせることにしました。
多分に俺の趣味が入ってます。果たしてみなさんのお口にあうでしょうか?
それでは………。
145SBI:2006/02/18(土) 10:33:53 ID:O2U940Jc
ぴちゃぴちゃと薄闇の中に粘着質な音が、絶え間なく続いていた。
窓から差し込む僅かな星の明かりが、ベッドの上に重なり合う二つの影を浮かび上がらせている。
「…も、やめ……やめて…くださ……うあっ!?」
影の一つ、短い茶色の髪の少年ヴィルヘルム・シュルツは、ぐったりと力の入らない体を震わせ、荒く切れる息の合間に必死に哀願の言葉を繰り返す。
ベッドの上に横たわるヴィル、ズボンを脱がされて剥き出しになった彼のモノにもう一つの影の舌がいやらしく絡みつく。
「……くちゅ…ぴちゃ……うふふ…ヴィル君のとっても熱くなってるわ……」
必死の思いで紡がれるヴィルの言葉を無視して、もう一つの影は意思とは裏腹に固く熱くそそり立つヴィルのモノをうっとりとした表情で眺める。
その顔を見るたびに、ヴィルの中に渦巻く困惑は深まっていく。
何故?
どうして?
一体なんでこの人は、僕にこんな事をするのだろう?
どうしてこんな事になってしまったのだろう?
「……どうして?…どうしてなんです?……フィオナ…さん……」
名前を呼ばれたもう一つの影、フィオナは顔を上げてほのかに微笑んだ。昼間に見るのと変わらない、彼女の心の優しさとまっすぐさを感じさせるその笑顔。
それは、この異常な状況のもとにあっては何か悪い冗談のようにしか思えない。
今にして思えば、最初から、この歪な違和感にヴィルは気付いていたのかもしれない。
ベネディクトとフィオナの二人から便りが届いたのは2週間ほど前の事だった。内容はヴィルと、彼の幼馴染みのアリソンを彼らの家に招待するというものだった。
もちろんアリソンとヴィルに大切な友人二人との再会を拒否するような理由は無かった。二人は予定を調整して、なんとかまとまった休暇を作り、はるばる彼らの暮らすイクス王国へと向かった。
だが、久方ぶりの再会に喜ぶアリソンの横で、ヴィルはどうにも言葉に表せないような、奇妙な感じを拭い去る事が出来なかった。
目の前で微笑むベネディクトとフィオナの顔が、手厚いもてなしが、交わされる言葉の一つ一つが、なにやら作り物めいているようにヴィルには感じられた。
それを長旅の疲れと無理矢理に納得させたヴィル、しかし異変は夕食を食べたあとに起こり始めた。
体全体を覆うだるさと、奥から滲み出すような体の熱さ、最初は風邪でも引いたのかとヴィルは思った。だが、それは間違っていた。
腕が、足が、体全体に力が入らなくなっていく。少しでも体を休めようと横になったベッドの上で、ヴィルは動けなくなってしまった。
そして、そのタイミングをあらかじめ見越していたかのように、ヴィルの部屋のドアがゆっくりと開いて、フィオナが姿を現した。
「…やめ……こんな…くぁっ!……こんなの変です……変ですよ……」
146SBI:2006/02/18(土) 10:34:45 ID:O2U940Jc
思うように動いてくれない腕に力を込めて、ヴィルはなんとか体を起こそうとする。しかし、フィオナの巧みな舌使いが僅かばかりの抵抗力をも奪い去っていく。
「…くちゅくちゅ……全然変じゃないわ……男の子なら当然の反応よ……」
絶え間なく襲い掛かる異常な快感。絡みつく舌の感触が、伝わってくるフィオナの体温が、モノを濡らす唾液の粘りが、ヴィルの神経を焼き尽くしていく。
もはやどうする事も出来ず、目の端に涙を溜め、ヴィルは終わる事の無い責めに耐える。
「やめて…ください………はぁはぁ…こんなこと……もうしないで…ください……」
もう殆どうわ言の様に、ヴィルがつぶやいた。
ぴちゃぴちゃと続いていた音が、不意に止まる。
「違うわ。私はなにもしない…。するのはあなたよ…」
そう言って顔を上げたフィオナの意味ありげな微笑み、その表情の奥に隠されたどろりとした何かが、ヴィルの背筋を凍らせる。
何?まだ……何かあるというのだろうか?何を考えているというのか、この人は?
「あら……」
その時、部屋へと通じる廊下を、誰かの足音が近づいてくるのが聞こえた。
誰かが、この部屋にやってこようとしている?ダメだ。今、こんな状況の部屋に入ってこられでもしたら………。
ヴィルは祈るような気持ちで、足音の主が立ち去ってくれるよう念じる。だが無情にも、ドアのちょうど手前で足音は立ち止まった。
「……だめだ」
精一杯に伸ばした腕も、ドアにまでは届かない。青褪めるヴィルの横で、しかしフィオナは嬉しそうに笑って見せた。
「向こうも準備が整ったのね」
「えっ!?」
フィオナの言葉にヴィルがハッと顔を上げる。
しかし、その意味を問う暇も無いまま、廊下に立つ何者かの手の平がゆっくりとドアを押し開いていく。
思わず顔を背けたヴィル、その耳に入ってきたのは、彼にとって最も馴染み深い人物の声だった。
「…………ヴィル?」
それはヴィルの幼馴染み、アリソンの声だった。考え得る限りで最悪の事態だ。アリソンには、彼女にだけは自分のこんな姿を見られたくはなかった。
だがしかし、ヴィルはここで妙な事に気が付いた。
聞こえてくるアリソンの声の様子がいつもと違う。息も絶え絶えといった様子の力ない言葉、まるで今のヴィルと同じような弱りきった声…………。
147SBI:2006/02/18(土) 10:35:42 ID:O2U940Jc
恐る恐る開かれたドアの方に、ヴィルは顔を向ける。
「………うあ……はぁ…ヴィルぅ……」
「………ア、アリソン?」
現れたアリソンは一糸まとわぬ姿で、後ろからベネディクトに支えられてようやく立っていた。
「……や…見ないで……お願い……」
蚊の鳴くようなか細い、涙交じりのその声。これがアリソンの言葉だというのだろうか。
ヴィルは、アリソンの後ろに立つベネディクトの顔を必死の思いでにらみ付けた。
「どういう…ことなんです?アリソンに何をしたんです?」
ヴィルの視線を全く気にする様子もなく、ベネディクトは部屋に入ってくる。
「夕食に…、何を入れたんです?どう見たって…アリソンの様子は普通じゃない…」
部屋の中ほどまで進んで、ベネディクトはヴィルに微笑みかけた。
「とても良いお薬を少し…。アリソン君には効きすぎたみたいですが…」

……………………気が付いた時には押し倒されていた。
春に行った大陸横断鉄道の旅では、ヴィルとアリソンは同室に置いてもらえたのに、今回のイクス訪問では何故か二人は別々の部屋があてがわれる事になった。
それだけでもアリソンには十分に不愉快な事だったが、それに加えて先程からのこの体のだるさである。文句を言いに行こうとしても体に力が入らない。
動くに動けない苛立ちと、僅かばかりの不安の間で揺れていたアリソン。だがその時、ドアが開く音と共に、見知った顔が部屋の中に入ってきた。
「ベネディクトさん!?」
突然の来客に驚くアリソン、呆然とする彼女の前にベネディクトは一気に詰め寄って
「きゃあああっ!!?」
太い腕で無理矢理アリソンをベッドの上に引き倒し、抵抗する暇も与えず乱暴に衣服をむしり取った。
「ちょ……何考えて!?」
覆い被さってくるベネディクトの体を引き剥がそうと、アリソンは必死で腕を突っ張る。
だが、もとより圧倒的な体格差がある上に、今のアリソンの体の状態は普通でなかった。なす術なく下着まで脱がされて、ヴィルにさえ見せた事のない大事な部分が露になる。
そして、ベネディクトの荒々しい指先は、躊躇うことなくそこへと伸ばされた。強引に侵入される苦痛と、言い表しがたい快感がアリソンを襲う。
148SBI:2006/02/18(土) 10:36:58 ID:O2U940Jc
「……あ…嫌ぁ……」
浅く突っ込まれた指先にかき回されて、大事な部分がくちゅりと音を立てる。アリソンの秘裂からは既にしとど蜜が溢れ出していた。
「……うあ…そんな…なんで?」
ここでようやくアリソンは、自分の体に起きていたもう一つの異変に気が付いた。神経をむき出されたような体の痺れが体中を覆っている。
「や…こんな……ああっ!!ひぅ!?」
指先が肌の上をなぞるだけで、アリソンの体を電気が走りぬける。脱力感はさらに深まって、それと引き換えにするかのように体が敏感になっていく。
胸を揉まれ、乳首を指先で転がされ、いやらしく這い回る舌先に肌を唾液で汚される。
本当なら耐えがたいはずの一つ一つの感触がアリソンの体に信じがたいほどの快感を与える。頭の芯が痺れて、何も考えられなくなっていく。
「……ああ…うあ…ヴィル……ヴィルぅ……」
その言葉にベネディクトの手が、不意に止まる。
「………心配しなくてもいい。一番大事な役割まで、俺は取ったりしないさ……」
そう言ってベネディクトは、アリソンの後ろの穴へと指を侵入させ始めた。
意味ありげなその言葉への疑問は、アリソンの頭に一瞬浮かんでから、襲い来る異様な感覚の前に押し流されていった。

そして、体の隅々を指先で弄られ、汚され、前も後ろも判らないほど快感で頭を蕩かされたアリソンを、ベネディクトはヴィルの部屋まで運んできたのだった。
「……なんで?…どうしてなんです?……どうしてこんな酷いことを……」
信頼していた。一緒にいた時間はさして長くは無かったが、それでもベネディクトとフィオナはかけがえの無い友人だと、ヴィルもアリソンも思っていた。
今、この絶望的な状況にあっても、二人が自分たちにこんな仕打ちをしているという現実が受け入れられなかった。
「やはり誤解されてしまったようですね。私は何もしていません。何かするのは私ではありません」
ベネディクトがアリソンを、股を大きく開くようにして、子供に小便をさせるような格好で抱き上げた。
「君がするんですよ。ヴィル君…」
一瞬、その意味が理解できなかった。
だが、アリソンを抱えたベネディクトが、ヴィルの横たわるベッドへと歩みだして、ヴィルの頭に恐ろしい予感が浮かぶ。まさか………。
「やはりお互い初めては、愛する人と結ばれたいでしょうからね……」
同じように察したのか、アリソンも必死で首を横に振り、せめてもの抵抗の意思を示す。
149SBI:2006/02/18(土) 10:37:52 ID:O2U940Jc
しかし、体に力が入らず、なすがままの二人には殆ど抵抗も出来なかった。
ベネディクトに抱えられて、アリソンの体がヴィルの真上に、アリソンとヴィルの秘部が触れ合うような距離に移動する。
「こんな…やだ、ヴィル…」
「……アリソン…」
もうほとんど泣きそうな顔で、二人は視線を交わし合う。
互いの思いを確かめ合ったあのリリアーヌの町での思い出が、二人の脳裏をよぎる。
結ばれる、確かにそう誓った。
それがどうして、こんなおぞましい形で成就されなければならないのか。
「ベネディクトさん……」
すがるような目つきで、ヴィルが言った。
「私もフィーも、大切な友人二人がもっと仲良くなるように願っているだけです」
ベネディクトが残酷に微笑み、フィオナが頷く。
愕然とするヴィルの前で、アリソンの体がゆっくりと下ろされた。
「ひあっ……」
ヴィルのモノがアリソンの中に入り込んでいく。身を縮めて耐えようとするアリソンの体から、不意にベネディクトは手を放した。
ズブリ!と、ヴィルのモノが一気にめり込む。
その瞬間、全ての思考が吹き飛んだ。自分のモノを覆った溶け出しそうな熱が、背骨を駆け抜け脳まで痺れさせるのがわかった。
絶望も、困惑も、ヴィルの頭に渦巻いていた何もかもが、襲い来る快感の波の前に、まるで泡のように弾けて消える。
ヴィル以上に薬の影響を受けていたアリソンの反応は、更に酷いものだった。
「うあああっ!!やら……ああっ!!……やぁ!!…ひあああああっ!!!」
破瓜の痛みとうねるような快感が、アリソンの意識をぐちゃぐちゃにかき混ぜる。
薬に溶かされきった体は貪欲に快感を追い求め、アリソンの支配を離れて淫らにくねり、痙攣を起こしたかのように腰が動く。
絶え間なく襲い掛かる快感と痛みはいつしか渾然一体となって、アリソンの神経を蹂躙し尽くす。
「やあぅっ…、きえるっ!…わたひ!?…ああっ!わたひぃ……きえちゃうのぉ!!」
150SBI:2006/02/18(土) 10:38:43 ID:O2U940Jc
未知の感覚に飲み込まれる恐怖に、アリソンは髪を振り乱し叫ぶ。
嫌なはずなのに、押し寄せる快感の奔流に抗えず、心と体は溶け出していく。自分の体が内側から、外側から少しずつ壊されていくのがわかる。
(やだ……こわい…こわいよ……)
縋れるものは一つしかなかった。崩れていく自分自身を繋ぎとめられる確かなもの、いつも一緒にいてくれた、ただ一人の最愛の人……。
「うあああああっ!!!ヴィルぅ!!ヴィルっ!!!」
弱弱しく泣き叫び自分の名を呼ぶアリソンの声が、快感に溶かされてからっぽになったヴィルの頭の中を満たしていく。
(アリソン……泣いてる?)
今まで、泣いてるとこなんて見た事なかったのに。意地っ張りで、どんなに悲しくても辛くても、じっと涙をこらえていた。そんなアリソンだったのに………。
悲しいんだね。辛いんだね。苦しいんだね。
僕も……悲しいよ。
慰めてあげたかった。安心させてあげたかった。アリソンの頬を流れ落ちる涙を、これ以上見たくなかった。
全てが混沌に沈んでいく中、ヴィルはアリソンの背中を必死で抱き締めた。
「……アリ…ソン……アリソン……アリソンっ!!」
互いの名を呼び合い、汗ばむ肌を、震える手足を絡ませながら、狂ったような熱の中で二人は交わり続ける。
その傍らで、ベネディクトとフィオナは満足げに笑っていた。
「初々しいですね……」
「ええ、本当に……」
ベネディクトの言葉に肯いたフィオナは、ヴィルの部屋にきたとき足元に置いた袋を取り上げ、その中から両の手の平に収まる程度の大きさの瓶を取り出した。
「それは?」
「前に言ったことがあったでしょう?あの二人のために、村のみんなに頼んで用意しておいたの」
「なるほど……」
瓶を受け取ったベネディクトは、それを軽く揺らしてみる。内部を満たしていたどろりとした液体が波打つのが見えた。
「なるほど、これは素晴らしいですね……」
嬉しそうに目を細めたベネディクトは、瓶を小脇に抱えたまま、アリソンとヴィルが交わり続けるベッドの脇に立った。
完全に快楽に呑み込まれ、行為に夢中になっている二人はそれに気がつかない。
151SBI:2006/02/18(土) 10:39:35 ID:O2U940Jc
「愛し合う二人に割り込むのも無粋な気がしますが………もう少しだけ、私にもお手伝いさせてください」
瓶の蓋を開け放ち、その中身を二人の上にとろりと垂らした。
「ああっ!!や…ひああっ!!………っ!?あああああああああああああああっ!!!」
最初にそれを浴びたのはアリソンだった。粘りを持つ液体が背中を滑り降りた直後に、それは突然襲ってきた。
「…なに!?…なんらのぉ!!?…やら…こんな…あつひぃいいいいっ!!!!」
肌を焼くような激感、それから一瞬遅れてやって来たのは、じっとしているのが耐えられないような激しい疼きだった。
流れ落ちていく液体に犯された部分に触れられるだけで、脳髄の奥まで突き抜けていくような快感に襲われる。雷に撃たれたかのように体が震える。
「…アリ…ソン?…ああっ!!…うああああああああああっ!!!!!」
アリソンの肌の上を滑り降りた液体は、ヴィルの体までも侵略していく。
「これは、二人に飲ませた薬の原料の植物を、何年も漬け込んだ蜂蜜なのよ」
二人の反応を見て十分に満足したのだろう。うんうんと肯きながら、フィオナが説明を始めた。
「皮膚を経由して体に効率よく薬を吸収させて、普通に薬を飲んだときとは比べ物にならないぐらいの快感を与えてくれるのよ。
ただ、作るのに手間と時間がかかりすぎて、今回用意できたのはその一瓶だけだったのよね………」
弾むような口調で蜜の効能を語るフィオナの言葉も、今の二人の耳には届かないようだった。
瓶の中に入っていた蜜の半分以上を振り掛けられた二人の体は、全身の感覚器官をただ快楽を感じるためだけのものに堕とされてしまった。
催淫蜜は絡み合う二人の体を隅々まで覆い尽くし、潤滑油となって触れ合った肌を滑らせる。
ぬるぬるとした感触と、薬によって無理矢理に高められた体温は、二人を想像を絶する快楽の泥沼へと引きずり込んでいく。
「ああっ!!……アリソン……んむ…くちゅ…ぴちゃ……はぁはぁ…」
「や…はああっ…ヴィルぅ…んぅ…んんっ…くちゅ……」
今までした事もなかったような、舌をねっとりと絡ませあうディープキス。理性は熱せられたバターのように溶け出して、二人の頭の中から流れ出ていく。
もう抵抗の意思など残っていなかった。何に抗えば良いのかすら、今の二人にはわからなくなっていた。
ただ、死ぬほど体が熱くて、死ぬほど気持ちよくて、それなのに、死ぬほど悲しくて涙が止まらない。
「あっ…やあっ!!……ごめ…ん…ごめん…ね……ヴィル……わたし…」
「……アリソン…ごめん……ごめん……」
二人にわかるのは、一緒に歩んできた道のりも、一緒に掴む筈だった幸福も、もう取り返しがつかないほどに壊されてしまったという事だけ。
152SBI:2006/02/18(土) 10:40:21 ID:O2U940Jc
そして、その虚ろをねっとりと満たしていく、快楽だけだった。
淫らに腰を振り、訳が判らなくなるまで突き上げる。
強制された事だったのか、それとも自分の意思だったのか、逃れられぬ糸に絡み取られた今となっては、もはやどうでもいいことだった。
「…ひあああっ!!…すご…すごひのぉ!!…わたひ…きもひいいのぉ!!!!!」
「……くあ…うあああっ!!!」
泣きながら、叫びながら、お互いがお互いを壊していく。
それは、二人だけの地獄だった。
やがて二人の体も心も、限界へと追い詰められていった。
「あっ!…うあぁ……も…これ以上は……出る!?…射精してしまう…アリソンの中に!?……だめ…だ……」
体の奥から駆け上ってくる感覚が、少しだけヴィルの正気を呼び戻した。なんとか膣内で出してしまうことだけは回避しようと、ヴィルは必死で脱出を図る。
しかし…………。
「ダメですよ。アリソン君はこんなにもヴィル君の全てを欲しがっているのに………」
ベネディクトの手の平が、アリソンの体を、その下でもがくヴィルごと押さえつける。
「もっと素直になってあげてください。愛し合った結果なら、決して恥ずかしい事じゃないんですから……」
そう言ったベネディクトは、瓶の中に残っていた蜜の全てを、二人が繋がりあうその接合部へと注ぎ流した。
「やああっ!!?も…ひゃめ!?あああああ―――――――――――っ!!!!」
「くぅ…あああっ!!?あああ―――――――――――――っ!!!」
既に限界を超えて責め続けられた体、許容量を遥かに上回る快感を与え続けられた二人の神経、ギリギリの所で持ちこたえていた二人に耐える術などあろうはずもなかった。
意識は真っ白な地平へと連れ去られ、二人は自分の中で何かが弾けるのを感じた。
「うああああああっ!!!射精るっ!!?射精るぅうううううううっ!!!!?」
「ひああああああああああっ!!!イクっ!!イクぅ!!?イっひゃうのぉおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」
アリソンの膣内に、ヴィルの精液が一滴も漏らさず注ぎ込まれていく。
堕とされた体はその感覚さえゾクゾクするほどの快感に変換し、小さな絶頂の連鎖が二人の中を埋め尽くしていく。
アリソンとヴィルには、それ以外の何も残されてはいなかった。びりびりと肌の上を、体の中を駆け抜けていく疼き以外は何一つとして…………。
こうして、二人は全てを失った。
153SBI:2006/02/18(土) 10:41:19 ID:O2U940Jc
精根尽き果て、繋がったままぐったりとしているアリソンとヴィル。
唾液と汗と蜜と涙、それらが混ざり合った液体で汚された頬を寄せ合って、切れ切れの呼吸で必死に酸素を取り込む。しばらくは立ち上がる事さえ出来ないだろう。
力なく虚ろな瞳にはかつての輝きは欠片も残されていない。ただ、時折こぼれ落ちる涙だけが、薄暗い部屋の明かりを反射して鈍く輝いていた。
そんな二人の様子を飽く事無く眺めていたフィオナとベネディクトだったが、不意に立ち上ってドアに向かう。
息も絶え絶えのヴィルはその姿をぼんやりと眺めていた。
その時、ドアを開きかけて、何かを思い出したようにフィオナが立ち止まった。何を思いついたのかクスクスと笑い、部屋の中、ベッドの方に戻ってくる。
「…フィオナ……さん?」
にっこりと笑いかけるその表情に、相変わらず悪意の存在は影も感じ取れない。
フィオナはその指先をアリソンの背中の上に這わせ、ヴィルのモノが挿入れられたままのアリソンの秘裂へと強引に差し込んだ。
「フィオナ…さ……なにを!?」
フィオナの指がアリソンの中をぐちゅぐちゅとかき混ぜ、同時にヴィルのモノにも刺激を与える。
「…ひっ!!」
それをきっかけに二人はまた腰を動かし始めた。体力などもうとっくに尽きているのに、止めることが出来ない。
先程の絶頂でさらに敏感になってしまった体が、凶暴さを増した快感に反応し、蹂躙される喜びに打ち震える。
「やあっ…も…ゆる…して…ゆるしてぇ!!…いやあああああっ!!」
「うあああああっ!!!」
再び地獄へと叩き落された二人。その姿を、本当に愛しそうに眺めてから、今度こそフィオナとベネディクトは廊下へと出て行った。
部屋の中には、止まる事の許されない行為を強いられた二人だけが残された。
154SBI:2006/02/18(土) 10:54:38 ID:O2U940Jc
こんな感じでした………。
実はアリソン単体で酷い目に遭わされるやつは、興味がないというか苦手なくらいなんですが、ヴィルとまとめてだとなんか燃えちゃうんです、俺。
これまでのアリソン陵辱話では必ずといっていいほど、どこかでヴィルも酷い目にあってます。
苦境にあって、それでも思い合う二人ってのがポイント見たいです。エロいです。萌えます。まあ、あくまで俺にとってですが……。
ラブラブがヴィルとアリソンの基本なんですが、二人への愛情が妙な方へ暴走すると、こんな話を考えちゃいます。
……………変態ですか、俺って。
アリソン「当たり前よ!!!」
えっ!!?
ヴィル「アリソンにあんな酷いことを……いつもと違ってオチに救いがないし」
いや、それはキャラへの愛ゆえに……。
ベネ「大体、なんで私とフィーが悪党なんです?」
フィー「ゆるせないわ!!」
うわ〜〜〜〜!!
アリソン「ヴィル、撃っちゃえ!!」
ヴィル「わかった、アリソン」
バキュン!!バキューン!!!
こ、殺されるぅ〜!!ごめんなさ〜い!!!
そ、それでは、また〜〜〜〜〜!!!


アリソン「まったく………らぶらぶな奴ならいくら書かれても問題ないのに……」
ヴィル「アリソン?」
155名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 14:58:32 ID:jQqITC2a
エロい人乙 >144-154

時事ネタ絡みで
フィーさんご懐妊情報に接し、ワル夫婦して
幼馴染を仕込もんでもらおうと企んだのだったり・・・? >悪意なき悪意

まさか双子だとは思ってなかった。用意が足らなかった
156名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 01:19:20 ID:06KEmsH/
子供が戦車を救ってくれたらいいなと思ってたので、読んでへこんだ。
作り話は読んで心地よくなれるのがいい、と自分では思うので。
でもこういう救われない話も作品としてはアリなんだし、
高い技術を持った作品だし。
作品を披露してくださったことに感謝したい。
またお願いします。
157名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 01:30:05 ID:06KEmsH/
158SBI:2006/02/19(日) 11:09:19 ID:7c65ShMb
>>144-154の完全蛇足なエピローグを追加します。
まずはバッドエンド

僕とアリソンはベネディクトさん達の所有物になった。
二人でよく話し合って決めたことだ。
あれから僕たちがどんな事をされたのか、今でもよく思い出せない。ただ、体の奥深くにまで刻み付けられた疼きが、僕たちに選択の余地などないと告げていた。
アリソンは空軍をやめ、僕は大学への進学と上級学校の卒業を諦め、もろもろの手続きを終えて再びイクスにやって来た。
今日は僕とアリソンの結婚式だ。
といっても、服装は普段通りで、立ち会うのはベネディクトさんとフィオナさんの二人だけ。結婚の宣誓だけを行う簡単な式だ。
ベネディクトさんは僕たちを祝福して、贈り物をくれた。
僕たちの首元で、日の光を鈍く反射する、真新しい革製の首輪だ。『ヴィル』、『アリソン』、それぞれの名前が彫られた金属プレートが金色に輝いている。
アリソンの肩を抱いて、僕は外に出る。
ずっと外で待っていたベネディクトさんとフィオナさんは、僕たちを見ると本当に嬉しそうに笑ってくれた。僕たちの結婚を心の底から祝ってくれている。
僕らは二人の前で、永遠に愛し合う事、永遠に服従し続けることを誓った。
二人に促され、僕たちは誓いのキスを交わす。
唇を離すと、アリソンの頬を一筋の涙が伝うのが見えた。肩に乗せた手の平から、かすかな震えが伝わってくる。
アリソンの手の平が僕の頬にそっと添えられる。
ようやくそこで、僕は自分も泣いているのだと、気が付いた。
互いの背中に腕を回し、僕たちは強く抱き締めあった。そうでもしなければ、声を上げて泣きじゃくり、この場に泣き崩れていたに違いない。
ぽろぽろ、ぽろぽろと止まってくれない涙が、僕の視界に霞みをかけて、抱き合って近くにあるはずのアリソンの顔さえ見えなくなっていく。
感極まったベネディクトさんとフィオナさんの拍手が、僕の耳にはどこか遠い場所の音のように聞こえた。
もう一度心の中で、僕はアリソンを永遠に愛し続けることを誓った。この地獄の底で、アリソンだけを愛し続けると、固く心に誓った。
159SBI:2006/02/19(日) 11:10:43 ID:7c65ShMb
お次はハッピーエンド、じゃなくて駄目っぽい脱出エンド

窓から差し込む朝日で目を覚ましたベネディクトは、ベッドの上に起き上がり、なんとも爽やかな気分で伸びをする。
「いい朝だ……」
昨夜は本当に楽しかった。本当に心ゆくまであの二人を可愛がる事が出来た。
横で眠るフィオナに目をやると、こちらも心底幸せそうな顔で、すやすやと寝息を立てている。
「さて、今夜はどうしてあげようか……」
考えるだけで心が弾む。
今度は見ているだけではつまらない。フィオナと共に行為に参加すべきだろうか。いや、それとも…………。妄想は膨らむばかりだ。
と、その時ドアをノックする音が部屋に響く。
「誰だ?良い所だったのに……」
ぼやきながらドアを開けた時ふと気がつく。今この家にいるのはベネディクトとフィオナを除くと………。
「アリソン君、ヴィル君………」
完膚なきまで快楽漬けにして、今頃は疲れ果てて眠っているのだとばかり思っていた二人が、そこに立っていた。
「おはようございます、ベネディクトさん」
「おはよ」
にっこりと笑って挨拶をして見せたアリソンとヴィル。さすがのベネディクトにも返す言葉がない。
「………あ、ああ……おはよう…ございます」
何とか挨拶を返すが、それ以上何か言葉を口に出す事が出来ず、三人の間に気まずい沈黙が流れる。それでもアリソンとヴィルはにこにこ笑っていた。
そのあまりに屈託のない笑顔に加えて、何とも異様なのは今の二人の姿だ。服を除く全身にくまなく、なにやらガビガビしたものがこびりついていた。
「………目が覚めたらこうなっていたのよ」
「昨日の蜜が乾いて固まったみたいです」
絶え間なく続く快楽の果て、絶望に泣き濡れてアリソンとヴィルは気を失った。意識が途絶える瞬間、もう二度と元の自分たちには戻れないだろうと、何となく思った。
だが、ほぼ同時に目を覚ました二人が、お互いの顔を見て最初に浮かべた表情は……
160SBI:2006/02/19(日) 11:11:29 ID:7c65ShMb
「……アリソン、それ…」
「……うあ…ヴィルも……」
間の抜けたような苦笑いだった。
ガビガビに固まった蜜で滑稽に化粧された顔。同じく蜜のせいでボサボサのまま固まった髪の毛。
昨夜はアリソンとヴィルの体を淫らにねっとりと濡らした蜜が、乾き固まって二人の姿をすこぶる情けないものに変えてしまっていた。
体から力が抜けて、背中にずっしりと疲れがのしかかって来る。
なんだこりゃ?
そして、著しい虚脱感は、二人の中で次第にふつふつと煮えたぎる怒りへと変わっていった。
「という訳なので……」
「お二人とも覚悟していただきます……」
アリソンが目配せすると、ヴィルが手に持っていた大きな瓶の蓋を開ける。その中でとろりと波打っている液体は……。
「昨日のアレと同じ物です。村の人に頼まなくても、実はこの家にあったんですよ」
瓶を持った腕を大きく振りかぶるヴィル。ベネディクトの顔が凍りつく。
「フィオナさんのおじいさんの薬棚で見つけたの。さすがに、お医者さんね………」
じりじりと退くベネディクトだったが、ベッドの脇にまで追い詰められる。
「僕たちだけ楽しんでるのも悪いので……」
「せいぜい二人でよろしくやんなさいっ!!!」
ドバーッ!!!!
瓶の中から飛び出した蜜が、ベネディクトとフィオナの上に降りかかる。
161SBI:2006/02/19(日) 11:12:03 ID:7c65ShMb
「きゃ!?……何?…どうしたの!!?」
「おわあああああっ!!!!」
バランスを崩したベネディクトの体が倒れこんできて、フィオナが目を覚ます。
さらにヴィルとアリソンはパニックに陥った二人をよそに、ベッドのシーツの四隅を持って
「それ!!」
「よいしょ!!」
ベネディクトとフィオナを包んで結び、巨大な巾着袋を作り上げる。早くも薬の効果が出始めて、閉じ込められた二人は内部で激しくもがく。
「ふう、こんなもんかな?」
「上出来よ」
完成した間抜けな未確認物体を前に、アリソンとヴィルが満足そうに微笑む。
出してくれと哀願するベネディクトとフィオナの声を無視して、足取りも軽く廊下へと出て行った。
しかし、アリソンだけが急に引き返してきて
「おりゃあっ!!!」
巾着袋に一発蹴りをいれて、再び部屋の外へと飛び出していった。
部屋の中には、なんだか良くわからない物に成り果てた二人だけが残された。
162SBI:2006/02/19(日) 11:21:22 ID:7c65ShMb
こんな感じでした。
やっぱり、脱出エンド駄目っぽい。緊張感ゼロだわ、これ。
でも、ぶっかけられたのが蜜なら、乾いたら大変だろうなって思いついちゃったんですよ。
エロエロな状況も、一歩引いて見てみると、なんだか間抜けに見えることがあると思うんですよね。
でも、これはナシだろう。ナシですよね……。やっぱり、ナシですね。
バッドエンドは妄想大爆発です。っていうか、所有物ってことはこの跡も二人は………。
アリソン「………ふ〜ん」
おあ、ヴィルの銃口が無言でこちらに向けられて……。
えっと、そろそろ、逃げたほうがいいみたいです。
それでは、また………。
バキューンッ!!!
163 :2006/02/19(日) 12:13:02 ID:LSlCzKjB
遅ればせながら読ませていただきました

いやぁ、エロいねぇ
ゴイスー!ゴイスーでデンジャー!
俺の股間にメガヒットですよ?

俺もこんなの書けるようになりたひ・・・orz


>>156
そういうのも嫌いじゃないんだけどね〜
そもそも改訂する前の作品が
「失望(絶望にあらず)の果て」ってコンセプトだったから・・・
次はガンガル


ズクとかの方じゃないよ?
164SBI:2006/02/19(日) 16:30:38 ID:7c65ShMb
この上、今更ながら訂正したい所が……。申し訳ありません。

>>152
ここの
>既に限界を超えて責め続けられた体、許容量を遥かに上回る快感を与え続けられた二人の神経、ギリギリの所で持ちこたえていた二人に耐える術などあろうはずもなかった。

という文章を

限界を超えて責め続けられた体を、許容量を遥かに上回る快感を与え続けられた神経を、凄まじい衝撃が襲う。
ギリギリの所で持ちこたえていた二人に耐える術などあろうはずもなかった。

に訂正します。

どうも、スミマセン。

165名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 00:52:56 ID:KUC3/v/U
バットエンドの奴隷とかした二人のその後が気になる…
いやね、こういうネタ好きなんですよ。
166 :2006/02/20(月) 10:35:59 ID:+h41kE/q
あいあ〜い

SBI氏の邪魔になるのを恐れず
ショートショート逝きます 逝きます
すごいよ
書き上げ最短時間更新ですよ
所要時間7分!びっくり!

では、どうぞ
167 :2006/02/20(月) 10:36:55 ID:+h41kE/q
ある国に一人の科学者がいました
その科学者は「いつでも好きな夢を見る機械」を作っていました
その国の人々は皆、その科学者を馬鹿にしていました
「もっと現実を見ろ」
「夢で腹が膨れるか」
「まさに夢想家、いや夢創家かな」
しかし、科学者がその機械を作り上げてしまうと、人々は皆口々に褒め称えました
「素晴らしい発明だ」
「世界に誇れるモノだ」
「彼を国長にしてはどうだ」
しかし、科学者はその機械を作り上げてすぐに死んでしまいました
彼が残した設計図を元に機械は大量生産され、
彼が作った機械の第一号は博物館に展示される事になりました
その国は、機械のおかげでストレスで自殺する人が減少し
性犯罪や子供が犠牲になる犯罪もみるみる少なくなっていきました
人々は皆、幸せな夢を見ながら暮らしました


ある国に一台の今にも壊れそうな車がやってきました
その車には長髪の女性とハンサム顔の男が乗っていました
国の人々は
「我が国には素晴らしい機械がある」
「どんな夢でも見ることが出来る機械だ」
「貴方々も是非体験すると良い」
「きっと、この国に住みたくなる筈だ」
「貴方々はどんな夢を見たいですか?」
と言いました
すると、女性と男はパースエイダー(注:銃器の事)を人々に向けてこう言いました
「では、とりあえずその機械を車に積めるだけ頂きましょう」
「すいません おとなしく言う事を聞けば殺しませんから」
機械は結構な大きさだったので、車に2台しか積めませんでした
女性はブツブツ文句を言いながら、次の国へと去って行きました


ある国に一台のバギーがやってきました
そのバギーには、緑の剣士と白い少女と白い犬が乗っていました
国の人々は
「我が国には素晴らしい機械がある」
「どんな夢でも見ることが出来る機械だ」
「貴方々も是非体験すると良い」
「きっと、この国に住みたくなる筈だ」
「貴方々はどんな夢を見たいですか?」
と言いました
すると、緑の剣士は興味深そうに尋ねました
「本当にどんな夢でも?」
「はい これは本人の脳にある情報を元に・・・・・・・・・・」
大変長くて難解な説明だったので、白い犬以外理解できませんでした
「・・・・というわけです 貴方が望むどんな夢でも見ることができるのです!」
そこで、緑の剣士は
「では・・・・キノさんとの」
と言いかけた所で、いきなり辺りが爆音に包まれました
緑の剣士と白い少女と白い犬は、
国の中にかつて夢を見る機械だった残骸と、国の人への火傷と
爆煙と硝煙と手榴弾のピンを残して風のように去って行きました



168 :2006/02/20(月) 10:38:03 ID:+h41kE/q
ある国に一台のモトラド(注:自動二輪車 特に金田バイク以外の物を指す)がやってきました
そのモトラドには、精悍な顔をした旅人が乗っていました
そのバギーには、緑の剣士と白い少女と白い犬が乗っていました
国の人々は
「我が国には素晴らしい機械がある」
「どんな夢でも見ることが出来る機械だ」
「貴方々も是非体験すると良い」
「きっと、この国に住みたくなる筈だ」
「貴方々はどんな夢を見たいですか?」
と言いました
すると、旅人とモトラドは
「それは素晴らしいですね 一度体験してみたいです」
「ほんっと、ニンゲンって面白い事考えるね〜」
と言いました
国の人々は喜び勇んで旅人を案内しようとしました
しかし、旅人は
「ああ、その前に美味しい食事とあったかいシャワーとフカフカなベッドがある安宿はありませんか?」
「ボクの燃料もね!」
「それに弾薬と携帯食料 勿論安い所だと嬉しいです」
「前の国はタダで整備してくれたよ!」
「あと、今までの国で買ったモノを買い取ってくれる場所も なるべく高く」
「そろそろタイヤ交換したいなー」
「それらさえ揃って、さらにタダで飲み食いさせてくれれば夢のようです」
「キノにとっては天国だね」
人々は半ば呆れながらも
この国では旅人が買い物や宿に泊まる時は無料である事を告げました
すると旅人とモトラドは
「素晴らしい国だ!」
「素晴らしい国だね!」
と、まるで夢を見てるかのような顔をしました
結局、旅人は滞在した3日間、ひたすら食べて飲んでシャワーを浴びて
貰えるだけ貰ってその国を満喫しましたが、機械は
「時間が勿体無い」
と言って一度も使いませんでした


それでも、その国の人々はその機械を手放そうとはしませんでした
一度どっぷりと浸かった夢の世界は手放すにはあまりにも惜しかったのです

博物館に展示してある、ある科学者が作った機械
その一部分に、微かに文字が刻んでありました

-素晴らしき現実は時に夢すらも凌駕する快楽である-
    私は悲願であるこの機械を作り上げた
     この喜びに勝る夢などあろうものか!

                                           -夢の国-終
169 :2006/02/20(月) 10:41:49 ID:+h41kE/q



そういやあ、実際にとこぞのメーカーがこんな機械本気で作ってますね
バカですねー
日々を楽しく生きてれば、眠るのがむしろ惜しくなるものなのにねー
夢に逃げるより、現実で幸せを「見つける」努力をした方がよっぽど
自分自身の為になるのにねー

ではでは また暇になったら書きます
170名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 11:11:44 ID:tpKSOA6x
GJ
楽しんだ
171名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 15:05:38 ID:kUwpogcm
>167-168

「追憶うります」  なかなかダターヨ >166氏
172名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 22:23:48 ID:LHe5+55o
>>168三行目は異物混入?
173 :2006/02/21(火) 09:54:28 ID:bex0HAFj
>>172
ありゃ、本当だ 
雪○じゃあるまいしw


すまんが脳内削除よろしく
174SBI:2006/02/21(火) 11:05:01 ID:mrms4PDd
三者三様の対応、面白かったですよ。
好きな夢を見れる機械って、なんか使えば使うほど不幸になりそう。
辛くて夢に逃げても、夢が思い通りなぶん、現実のきつさが重みを増しそうで。
175名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 23:35:03 ID:p24c8Fkn
黙々。
176名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 01:58:46 ID:lByonl5t
 ◇────────────────────────────────
 ◇リリアとスレイブIII イクストーヴァの一番長い日<上>
 ◇   【著/時雨沢恵一 イラスト/黒星紅白】
 └────────────────────────────────
「あぁ……ッ!リリア、コレ抜いてえッ!お…お願いだから!」目隠しをされたトレイズは
大声で叫んだ。だが、リリアは舌で上唇を湿らしながら「駄目よ…」と言った。
時雨沢恵一&黒星紅白による書き下ろし長編。
177SBI:2006/02/23(木) 18:11:59 ID:WBt8CgD+
>>165
>バットエンドの奴隷とかした二人のその後が気になる…
俺も気になったので、書いてみました。
ベネディクトとフィオナの所有物になったアリソンとヴィル、二人の運命は?
それでは……。
178SBI:2006/02/23(木) 18:13:28 ID:WBt8CgD+
雪かきの仕事を一通り終えた俺が家に戻ると、もうすっかりお馴染みになった彼女の声が出迎えてくれた。
「おかえりなさい、ベネディクトさん。お疲れ様ね」
「ただいま、アリソン君」
アリソン君と彼女の幼馴染みヴィル君がこのイクスの隠された村で暮らすようになって、2ヶ月以上が経過しようとしていた。
俺とフィーだけではなんだか寂しいこの家の中も、彼ら二人がいてくれることで随分と明るい雰囲気になったようだ。
ただ、彼らにこの村に移住してもらうにあたって、彼ら自身の夢を断念させてしまった事、そして説得に少々強引な手段をとってしまった事は、少し申し訳なく思っている。
「ヴィルは一緒じゃなかったのね」
「ああ、ヴィル君は集会所の方に行ってるよ。どうしても彼じゃなきゃいけない仕事だとかでね」
ここに来てからの、ヴィル君の仕事の飲み込みの速さは目を見張るものがあった。
吸収力も応用力も一級品で、今ではいくつかの仕事が彼の存在無しには立ち行かなくなっている。
「だけど、お陰で私はすることがない。寂しい限りだよ」
俺は苦笑しながら、首を横に振ってみせる。
それを見ながら、アリソン君の顔がほころぶ。ヴィル君の活躍を自分のことのように喜んでいる、本当に嬉しそうな笑顔だ。
見ているだけで、こちらの心も和んでくるようだ。
そこで、ふと俺はアリソン君が手元に視線を落とした。丸い枠にはめられた布、指先に持った針にはきれいな糸が通されている。
「それは?」
「ああ、刺繍よ。フィオナさんに習って、特訓中なのよ」
この村に来るときに空軍の仕事、飛行機のパイロットを辞めることになったアリソン君だったが、現在の村での日常の仕事もそれなりに楽しんでくれているようだった。
少しの間でも、同じ場所にとどまっていられない彼女の性格を鑑みて、家事の類はそれほど得意ではないと踏んでいた。
しかし、意外や意外、持ち前の猪突猛進ぶりが家事にも発揮され、仕事に対する集中力はなかなかのものだ。
ただ、彼女が今取り組んでいる仕事だけは、少し話が違うようだった。
「でも、やっぱり、これだけ細かい仕事はてこずっちゃうわね。お裁縫は一通りできるつもりでいたんだけど……」
そう言った彼女は少し恥ずかしそうに、絆創膏だらけの指先を見せた。どうやら、相当な回数しくじったらしい。
「まあ、何事も最初から上手くいくわけではないよ。めげずに頑張ることだ」
「もちろん!これぐらいで、ギブアップはしないわよ」
179SBI:2006/02/23(木) 18:14:25 ID:WBt8CgD+
私の言葉にアリソン君は元気一杯の返事を返し、少しおどけた仕草で敬礼をしてみせた。
それから再び暖炉の前で、裁縫に熱中し始めたアリソン君の背中を見つめながら、私はしみじみと思う。
最愛の人と、最も大切な友人である少年少女。
少し奇妙な組み合わせではあるが、大好きな彼ら彼女らと共に過ごせるこの村での時間は、俺にとって何にも代えることの出来ない、かけがえのないものだ。
「………幸せ者だな、俺は」
久しぶりにベゼル語で呟く。胸の中に広がっていく気持ちは、なんと暖かい事だろう。
足取りも軽く、自室に向かおうとしたところで、大切な事を思い出した。
「…………そうか、今日だったな」
くるりと振り返ると、アリソン君は相変わらず刺繍に熱中している。俺は彼女の背後にゆっくりと近づいて………
「きゃうっ!?…や…ベネディクト…さん?」
分厚い布地の上から、無理矢理に右手で胸を鷲掴みにし、さらに強引に左の指先をズボンの中、ショーツの内側まで侵入させる。
「…あ…やめ……ひあっ!…やめ…ベネディクトさ…」
俺の腕の中から逃れようと、アリソン君は必死でもがく。しかし、俺はそれにお構いなしで愛撫を続ける。
与えられる感覚に耐えることが出来ず、指先から力が抜け、刺繍道具がぱさりと床の上に落ちて転がる。
「随分、敏感になったみたいだな…」
「…いやぁ……そんな…言わないで……」
俺の指先の動き、その一つ一つに、アリソン君の体は面白いぐらいに反応してくる。
軽く乳首の上を撫でてやるだけで悩ましげな吐息が漏れ、大事な部分の入り口を弄んでやると背筋を震えが走っていく。
ついこの間まで、これを知らなかった人間の反応とは思えない。
堪え切れずに漏れ出す喘ぎ声を存分に楽しんでから、俺はとどめとばかりにアリソン君の秘裂の奥深くにまで指を突っ込む。
「……あっ!?…うあ…やあああああああああっ!!!」
その瞬間、アリソン君は背中を仰け反らせて、切ない悲鳴とともに絶頂へと上り詰めた。
よほど気持ちよかったのだろう。体からはぐったりと力が抜けて、俺の方へともたれかかってくる。
服装は乱れて、はだけた襟元から、彼女とヴィル君がおそろいで身につけている首輪が顔を覗かせている。
俺が彼等二人の結婚祝いにプレゼントしたものだ。彼ら二人の永遠の愛の証であり、俺とフィーへの永遠の服従の証だ。
180SBI:2006/02/23(木) 18:17:12 ID:WBt8CgD+
取り付けられた金属製のプレートには、『アリソン』、と彼女の名前が彫りこまれている。
俺は、その金属の冷たい感触を指先で弄びながら、アリソン君の耳元でささやいた。
「……今日はあの日だ。わかっているね……」
アリソン君は荒く息を切らせるだけで、俺の言葉には答えようとはしない。だが、それも仕方ない。
「恥ずかしいのはわかる。つい最近までこういう経験もなかったんだ。すぐに慣れるというわけにもいかない」
そこが君たちの可愛いところなんだが、と心で付け加えてから、俺はアリソン君の顔を覗き込んで言葉を続ける。
「君達と一緒にいられる、それだけで嬉しい。……私もフィーも今夜を楽しみにしています。心行くまで君たちとすごす、楽しい夜を………」
それだけ言ってから、俺は立ち上がって、アリソン君の下から立ち去る。
部屋を出るときに振り返ってみると、アリソン君は椅子の上に崩れ落ちて、背中を震わせていた。
うん、やっぱり可愛らしい。
俺は今夜のあれこれを想像しながら、ウキウキと足取りも軽く、自分の部屋へと戻っていった。

「…あっ!!…やっ…はぁ…ああんっ!!?」
薄明かりの部屋の中に、アリソン君の嬌声が響き渡る。甘く切なく耳の奥に染み渡るその声に、俺の興奮も否応なく高まっていく。
突き上げてやる度に、俺のモノに貫かれたアリソン君の体が、電流でも流れたかのように震える。
例の薬を与えておいたこともあって、アリソン君のアソコは俺のモノをしっかりと食い締め、しとどに蜜を溢れさせている。
「…うああっ!!?…こんなぁ…へんに…へんになっひゃうのぉ!!!!」
「なってしまえばいいさ。ほらっ!!」
アリソン君の言葉に答えるように動きを速めてやると、行為のあまりの激しさに彼女の金髪が舞い散り、弱い灯りを反射してキラキラと輝く。
「ああああっ!!!…ひぅううっ!!?…やぁああああああっ!!!!」
ああ、なんて美しいのだろう。
青い瞳からこぼれた涙、白い肌を伝う汗、秘裂から流れ出て太ももを濡らす蜜、彼女を濡らす雫の一つ一つがまるで宝石のように見える。
絶え間ない快楽に美しく歪められたその表情を見ていると、我を忘れて行為に没入してしまう。
本当に美しい。言葉を失うようだ。
この気持ちはきっと、横にいる彼も同じなのだろう。
181SBI:2006/02/23(木) 18:18:01 ID:WBt8CgD+
「…あっ……う…あああっ!!?…アリソンっ!……アリソン!!!」
俺とアリソン君の行為を見ながら、ヴィル君は自らを慰めていた。
俺とフィーがそうするように命令したのだ。
彼はアリソン君と同じ薬を与えられた上に、その薬を漬け込んだ蜜をモノに塗りつけられている。(貴重なものなので、少しお湯で薄めたが)
「可愛いわよ、ヴィル君」
「くぁ…ああっ!!……んんっ!?…んむぅ…んぅ…」
激しく体を駆け巡る熱のため、途切れ途切れの呼吸を繰り返すヴィル君。フィーは微笑んで彼の唇を自らの唇でふさぎ、口腔内を思うさまに嬲る。
薬の効果のため朦朧として、瞳は濁った光を宿す。そこから溢れる涙は頬を流れ落ち、全身を濡らす汗と混ざって消える。
「どうかしら、ヴィル君?アリソンさんが犯されるところを見ながらオナニーするのって、気持ちいい?」
フィーが耳元で囁く。
その言葉にヴィル君の顔がうつむく。
辛いんだろうな。おそらく、俺が想像するよりもずっと…………。
体をとことんまで快楽漬けにされ、これ以上ないくらいまで堕とされて、それでもアリソン君を思いやり、愛し続ける。
それは、俺の腕に抱かれたアリソン君も同じなのだろう。
健気で、ひたむきで、純粋。彼等が互いを想う気持ちが、俺には愛しくてたまらなかった。
もっと見たい。感じたい。彼等の心を………。
「手が休んでるわよ、ヴィル君」
「…ああっ!?…やめ…うああああああっ!!!!」
目の前で繰り広げられる行為に釘付けになり、止まりそうになっていたヴィル君の手に代わって、背後に回りこんだフィーの指先がヴィル君のモノを激しく摩擦する。
たまらずに悲鳴を上げたヴィル君の耳元で、フィーは先ほどの質問を繰り返す。
「ねえ、気持ち良いんでしょ?アリソンさんが犯されて、泣き声をあげるの見て、とっても興奮してるのよね?」
「………うあ…そんな」
「素直になりなさい。でないと、アリソンさんにもっと凄いことさせちゃうわよ」
その言葉にヴィル君の表情が凍りつく。
「アリソンさんに言ってあげなさい………ちゃんと自分の手でしごきながら、アリソンさんを見ながらオナニーして、とっても気持ちいいですって」
182SBI:2006/02/23(木) 18:19:22 ID:WBt8CgD+
ヴィル君のモノから、フィーはゆっくりと手を離す。
数秒のあいだ躊躇ってから、ヴィル君は自分のモノに再び手をかけ、ゆっくりと前後に擦り始める。
それでもしばらくの間、自分が言うべき言葉が口から出てこず、ヴィル君は魚のように口をパクつかせていた。
額に浮かぶ玉のような汗が、流れ落ちて床に染みを作った。重苦しい沈黙が部屋を支配する。
そして、そんな状態を数分続けた後、ヴィル君はその言葉を、自分の喉の奥から搾り出した。
「……き…もち……いです………」
「何?聞こえなかったわ」
「…きもち…いいです……アリソンが…犯されるのを見ながら……オナニーして……すごく……きもちいいです……」
なんとか言い終えたヴィル君の瞳から、大粒の涙が零れ落ちる。涙は彼の頬を流れ落ちて、キラキラと輝く軌跡を描き出した。
なんとも感動的な光景だ。
「良く言えたわね、ヴィル君。アリソンさんも喜んでるわ」
フィーは満足そうに肯いてから、再びヴィル君のモノに指を絡め、今度はヴィル君の指と一緒になって刺激を与え始める。
フィーの言った通りなのだろう。さきほどのヴィル君の言葉を聞いてから、アリソン君の反応は確実に、より大きなものになっている。
「君も興奮してるようだね。自分の姿をヴィル君にオカズにされて……」
「……や…も……ヴィルを……ヴィルを…いじめないで……」
耳元で囁きかけてみるが、アリソン君は俺の言葉には答えようとはせず、同じ言葉を繰り返しながら、ふるふると首を横に振っている。
こう見えて、アリソン君は意外にシャイなのだ。これは彼女のチャームポイント、いや、美徳と呼んでもいいかもしれない。
俺も、それはアリソン君の大きな魅力だと思っている。だが、こういう場所では、もっと素直に自分をさらけ出す事も必要だ。
ひとつ手伝ってあげるとしよう。
「そこまで頑なにならなくてもいいだろう?それなら……」
俺は自分のモノを一旦抜き、体勢を変えて、アリソン君の体がヴィル君と真正面に向かい合うようにしてやる。
「…はぁはぁ……ああ……アリソン…」
「…あ……ヴィル…」
二人の視線が一瞬交錯した後、アリソン君はヴィル君の視線から逃れるように、顔をそむけて左の方を向く。
183SBI:2006/02/23(木) 18:20:05 ID:WBt8CgD+
だが、俺は彼女の顎をくいとつまんで、再びヴィル君の方に顔を向けさせた。
「ヴィル君も素直に自分の気持ちを言葉にしてくれたんです。アリソン君も素直になってあげたらどうですか?」
それでもアリソン君の口からは、どうしてもその言葉が出てこない。触れ合った肌からは、彼女の体が細かく震えている様子がわかる。
ならば、こちらから心を溶かしてあげるしかないだろう。
俺は自分のモノをアリソン君のアソコにあてがい、間を置かずに一気に奥まで突き入れた。
「…っあああああああああ!!!!…や…いきなり!?…ふああっ!!!」
再び快感の衝撃に襲われて、アリソン君が思わず大きな声を上げる。
突き上げるごとに背筋がビクンと震える。真正面からのヴィル君の視線を意識して、アリソン君の体がさらに敏感になっていることがわかる。
先程までよりも激しく、俺はアリソン君の中をかき混ぜて、思う様に蹂躙する。
「ひあああっ!!…はぅ…ヴィル…見ないで……おねがい…見ないで……」
「…うあ……アリソン…アリソン……」
必死で紡がれる哀願の言葉にも力はない。お互いの痴態から目をそむける事もままならず、二人はどんどんと快楽の深みにはまっていく。
大事な部分をぐっしょりと濡らす愛液と、とめどもなく溢れ出す先走りは二人の網膜に焼きついて、心の奥底までを快感が塗りつぶしていく。
抗うことなど出来はしない。今、この二人の全てが俺の手の平の上にあるのだ。
「どうしたんだい、アリソン君?ヴィル君の方を向いてから、一気にしまりが良くなったみたいだが……」
「いやぁ…そんな……そんなこと……ふああああああああっ!!!」
俺に反論しようとするアリソン君の言葉を、叩き付けるような突き上げで断ち切った。
アリソン君のなめらかな肌の上で、縦横無尽に指先を滑らせ、息をつく暇も与えずに愛撫を続け、じわじわとアリソン君の理性をこぞぎ落としていく。
「…あっ!!…んあ!…ふあぁ……ひゃ…ひうぅ!!?」
やがて、呂律の回らぬ舌からは、意味のある言葉を生み出すことも出来なくなっていく。どうやらもう、自分の意思で言葉を紡ぎ出す事もままならないようだ。
俺に犯され、その快楽に身を焼かれ、心を蕩かされて、アリソン君はただ喘ぎ続けるだけの存在に変わっていく。
そろそろ頃合だろう。俺は少しペースを落として、アリソン君の耳元で語りかける。
「そろそろ良いんじゃないですか?認めてしまっても………」
「…あ…はぁ……みと…める?」
「そう、認めるんだ。自分は恋人の前で犯されて感じてしまう、淫乱の変態ですって……」
184SBI:2006/02/23(木) 18:20:53 ID:WBt8CgD+
少しいじわるな俺の言葉に、アリソン君は弱弱しく首を横に振る。だが、もう言葉で否定はしてこない。
もう一押しだ。
「もう言葉で言わなくたって、十分に証拠は挙がってるんだ。今更アリソン君自身が認めたところで大した違いはないよ」
「……あ…でも…」
「誤魔化したって無駄だ。ヴィル君だって、君のその姿をもう嫌というほど見せつけられたんだから」
何か言い返しそうになったヴィル君の口を、再びフィーの唇がふさぐ。
その光景を見たアリソン君は悲しそうに目を伏せて、床に視線を落とす。そのまましばらく逡巡してから、顔を上げ、ヴィル君を真正面に見据えて、呟いた。
「…ごめん…ね…ヴィル…」
そして瞳を閉じて、その言葉を口にする。
「きもち…いい…です………ヴィルに…みられながら…おかされて…すごく…こーふんします……」
聞き取れないほどのか細い声、だがそれはこの部屋にいる全員の耳に、確かに届いた。
辛そうな表情で、ヴィル君がうつむく。俺とフィーは視線を交わして、微笑み合う。
さあ、仕上げにかかるとしよう。
俺は再びペースを上げ、激しく腰をグラインドさせて、アリソン君の中をぐちゃぐちゃと攪拌する。
「…あっ…ひああっ!!…すご…きもひいいっ!!!きもひいいよぉ!!!!!」
最後の支えを失ったアリソン君の体は従順だった。俺の上で自らも激しく腰を動かし、張り裂けそうに声を上げ、貪欲に快感を貪る。
ヴィル君も、フィーの手の平で視線を固定されたまま、自分のモノをこすり上げる続ける。
「…あはぁ…こわれるっ!!…こわれひゃうぅ!!?……わらひ…も…こんな……げんかい……」
もうアリソン君はいくらも持たないだろう。私もクライマックスに向けて、どんどんと腰の動きを加速させていく。
激しい熱と快楽の波がアリソン君の心と体を滅茶苦茶にかき乱し、翻弄する。
そして限界まで張り詰めていた糸を、最後の衝撃が断ち切った。
「うあああああああああああっ!!!アリソンっ!!!アリソンっ!!!」
「きゃぅううううううううううっ!!!!ヴィルっ!!!ヴィルぅうううううっ!!!!」
お互いの名前を呼び合いながら、アリソン君とヴィル君は同時に絶頂に達する。
俺のモノから放たれた熱が膣内に叩きつけられ、ヴィル君の白濁が降り注いで、アリソン君は内側も外側もどろどろに汚された。
185SBI:2006/02/23(木) 18:21:57 ID:WBt8CgD+
完全に脱力した二人の体は、床の上に投げ出される。
「お疲れ様、ベネディクト」
「ああ、そちらこそお疲れ様、フィー」
俺が腰掛けるベッドの方にフィーがやってくる。そして、俺が横に移動して作ったスペースに座り、いきなり俺の顔をぐいと覗き込んでこう言った。
「それにしても、アリソンさんの中で出すのが好きなのね、あなた」
「あっ……いや…それは……」
「別にいいんだけど………もし、あなたとアリソンさんの子供が出来ちゃったら、私もヴィル君と作っちゃおうかしら」
意地悪に微笑むフィーに、俺も苦笑するしかない。
アリソン君は、一度は結婚まで考えて、プロポーズまでした相手なのだ。どうしても入れ込みすぎてしまう部分はある。
「アリソンさんが欲しいのは、やっぱりヴィル君の子供なんだから、少しは自重しなさい!!」
「心得ました、女王陛下」
おどけて答えた俺の額を、フィーの拳がコツンと小突く。
ぐーで殴られてしまったな………。
なんとなくバツが悪くて、俺はフィーから視線をそらし、アリソン君とヴィル君の横たわる床の方に目をやる。
そこにあった光景を見て、俺は自分の頬が思わず緩んでしまうのを感じた。
「本当に仲が良いんですね」
そこには、いつの間にやら抱き合って、互いの肩に顔を埋めるアリソン君とヴィル君の姿があった。
俺もフィーも、しばらくその微笑ましい光景を、うっとりと眺める。
「………たすけて………たす…けて……」
アリソン君の口からは、聞こえるか聞こえないかの小さな声で、こんな言葉が繰り返されていた。
私はアリソン君の耳元に顔を寄せ、そっと囁く。
「大丈夫だ。安心して良い。私もフィーも、ここにいるんだから………」
アリソン君の言葉が止まり、かわりにすすり泣くような声が聞こえ始めた。ヴィル君はそんなアリソン君の肩を、何度も、何度も、いたわるように撫でていた。
本当に良い子達だ。改めて、そう実感していた。
186SBI:2006/02/23(木) 18:22:43 ID:WBt8CgD+
「小さい頃、小鳥を飼っていたんだ。小さかった私の手の平に乗るぐらい小さな、とても可愛いやつだったよ」
寝室のベッドの中、俺は昔の思い出話を、フィーに聞かせていた。
「とてもきれいな声で鳴くんだ。一日中何もせず、籠の前に座って声を聞いたこともあった」
フィーは俺の腕を枕にして、うっとりとした表情で話を聞いている。俺は彼女の髪の毛をもてあそびながら、ポツリポツリと言葉を重ねる。
穏やかな時間が流れていた。
(…………うぁ……ああ…………くぁ……)
(………や……ひあ………ああんっ……ヴィルぅ…)
時折壁を越えて届く小さくか細い声は、隣の部屋に置いてきたアリソン君とヴィル君の悲鳴だ。
楽しむだけ楽しんだ俺たちは、最後に二人の体に例の蜜を塗りたくり(これも勿論お湯で薄めたものだ。貧乏くさい話だが)
正面から向かい合うように立たせたままの状態で、左右の壁に手錠で両手両足を繋いで、放置してきたのだ。
彼等が快楽に肌を焦がされ、身をよじり、悶える様が目に浮かんでくるようだ。
俺は少し微笑んで、話を続ける。
「だけど、小鳥は逃げてしまった。ある日一緒に遊ぼうと籠から出したときに、私の手の平からふわりと舞って、窓の外に消えていった」
呆然と窓の外を眺めていた思い出が蘇る。あの時は、涙が枯れるかと思うほど泣いた。
もう一度耳を澄ませる。隣の部屋からは、時折途切れそうになりながらも、二人の声が絶える事無く聞こえてくる。
大丈夫だ。ちゃんとそこにいる。
二羽の小鳥の鳴き声は、今も確かに聞こえている。
あの時の俺は子供だったから、迂闊にも小鳥を外に出してしまった。
だけど、今は違う。
今の俺はもう大人なのだから、大丈夫、もう二度とヘマはしたりしない。もう逃がしたりなんかはしない。
俺たちの大事な籠の鳥を………。
かすかに聞こえる切ない悲鳴を、美しいさえずりを子守唄代わりに、俺たちは安らかな眠りに落ちていった。
187SBI:2006/02/23(木) 18:30:44 ID:WBt8CgD+
こんな感じでした。
穏やかに、ただ穏やかに、しかし確実に狂った日々はこれからも続いていく。って感じでしょうか。
それでは、また………。



アリソン「だから、らぶらぶな話書けって言ったでしょうがぁ!!!」
ヴィル「アリソン落ち着いてぇ〜」
188& ◆7HzXis1DRo :2006/02/23(木) 18:44:06 ID:Yh7OsENv
GJ!!
たまにはラブラブ以外もいいって〜♪
189名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 20:00:37 ID:pocTe5pn
ごめん、正直初めてSBIさんの作品が面白くないと思った
190165:2006/02/24(金) 09:05:53 ID:2yy3mTzi
GJ!!
まさか本当に書いてもらえるとは…
イイよ!最高だよSBI氏!
191 :2006/02/24(金) 12:01:09 ID:H6ILw/xu
>>SBI氏
うわぁ まるでエロの宝石箱やぁ

ヒコマロの褒め言葉は一切誠意が感じられなくて良いね!
いや、俺は心からエロくて面白いとおもってますよ?


はぁ・・・・俺もエロい作品書きたいのぉ・・・・・・・・
時間ができたら書くかのぉ・・・・
192名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 23:51:59 ID:8Za5Mm1G
さ〜た〜あんだぎ〜あげ
193SBI:2006/03/04(土) 16:38:51 ID:gPgJQ7Ix
また懲りもせずに書いてきたんですが……。
じつは今度もアリソンネタです。
ごめんなさい。
しかも状況設定や展開が以前に書いたやつとかぶってることに、書き終わってから気が付きました。
ごめんなさい。
それでも、もったいないので投下していきます。
それでは……。
194SBI:2006/03/04(土) 16:39:52 ID:gPgJQ7Ix
首都の一角のとあるアパート、真夜中を過ぎてほとんどの部屋の明かりが消えている中、ただ一部屋、最上階の部屋にだけぼんやりとした薄明かりが灯っている。
中から聞こえてくるのは、その部屋の住人である少年と少女が交わす会話と、くちゅくちゅと粘つくような水音…………。
「……どう?アリソン、おいしい?」
「…くちゅ…ぴちゃぴちゃ…んんむ…おいひい……ヴィルの…おひんひん…とっへも…んぅ…」
声と音の主、ヴィルとアリソンの二人は居間にいた。
昼は明るい陽射しが、夜は暖かな電球の明かりが照らすこの部屋も、今は一本だけの蝋燭の弱弱しい光の中で怪しげな雰囲気に包まれていた。
ヴィルは椅子に腰掛け、四つん這いになったアリソンの奉仕を受けていた。大きく硬くそそり立ったヴィルのモノの上をアリソンの舌が滑っていく。
「…は…んむ……ん…くちゅくちゅ……ふあ…ヴィルの…あつい……」
熱に浮かされたような瞳でヴィルのモノを眺めながら、アリソンはうっとりとした表情を浮かべる。
サオの部分に丹念に舌を這わせ、透明な液体を迸らせる先端に何度となく刺激を与える。
口に含んで口腔内全体で締め付け、舌を絡ませてあげると、ヴィルのモノがさらに硬く、熱くなっていくのを感じる事が出来た。
その時、おもむろにヴィルがアリソンのお尻の方へと手を伸ばす。
「…はむ…んぅ……っ!?…んむぅ!!?…ぷはぁっ!!…ひああっ、ヴィルぅ!!!」
ヴィルはアリソンの熱く湿った大事な部分に、自分の指を強く強く擦りつけてやった。突然襲い掛かった快感に耐え切れず、アリソンは思わず声を上げる。
「すごい……ズボンの上からでも濡れてるのがわかるよ、アリソン。僕のを舐めてるだけで興奮しちゃったんだね……」
「……ふあ…や…ヴィル……ちが…」
「違わないよ。こんなビショビショにしておいて今更言い訳なんて………。アリソンはとってもいやらしくて、エッチで、スケベなんだ。それが事実じゃないか……」
「…や…そんなこと……ん…ふむぅ!!?」
反論しようとしたアリソンの口に、ヴィルは再び自分のモノをねじ込む。今度は自分の手でアリソンの頭をつかんで、無理矢理前後にストロークさせる。
「…んんっ!!…んふぅ!?……くちゅくちゅ……んぁ…ふむぅ!!!」
「…ああ。いいよ、アリソン。アリソンの口の中は最高だよ……」
口の中で確実に増していくヴィルのモノの熱量は、否応なくアリソンを興奮させた。先程ヴィルの指で触れられた所が熱く疼いて、たまらず自分の指で慰め始める。
上と下の両方が焼けるような熱にさらされて、アリソンは頭の奥までが痺れていくような感覚を味わう。そして………。
「……そろそろ出すよ、アリソン!!」
「……………っ!!!?」
195SBI:2006/03/04(土) 16:41:33 ID:gPgJQ7Ix
熱く迸った欲望が口から溢れそうになって、アリソンはヴィルのモノから口を離そうとする。しかし………。
「……駄目だよ、アリソン……」
「……んんっ!!!!?…んくぅ!!……んぅ!!……んぅうううっ!!!」
頭を押さえつけるヴィルの手の平は逃げ出す事を許さず、こぼれんばかりの白濁がアリソンの口腔内を容赦なく埋め尽くした。
発射が終わってもヴィルはアリソンを放そうとせず、アリソンはたっぷりと時間をかけて粘つく液体を嚥下した。
「…よくできたね、アリソン……」
「……ぷはぁ…はぁはぁ……ヴィル?」
しゃがみこんでアリソンの顔を覗き込むヴィル、その顔にはいつも通りの優しげな笑顔が浮かんでいる。
「僕の精液、美味しかった?」
「……えっ?…あっ…」
先程の衝撃が未だ抜けきらず、ぽーっとした表情のアリソンは答える事が出来ない。
「美味しいに決まってるよね。なんたって、アリソンはエッチな事が大好きでたまらない、本物の変態なんだもの……」
「……や…そんなこと…な……」
「でも、美味しかったんでしょ?」
「…あ…うあ……」
「美味しかったんだよね?美味しくて、興奮してるんだよね?」
詰め寄られたアリソンは、数秒間躊躇ってから、観念したようにこくりと肯いた。ヴィルは満足そうに微笑んで……
「それでいいんだよ、アリソン。アリソンは僕の大事な大事な………ぺ………ぺっ………っ………………」
「どしたの、ヴィル?」
アリソンがヴィルの顔を覗き込むと、ヴィルはブンブンと頭を振って……
「うああああああああああっ!!!!!こんなの言えない!!言えるわけないよ!!!」
叫び声を上げた。
「もう無理!!もう限界だよ!!!僕にはこんなの無理だったんだよ!!!!」
「ちょ、ヴィル!!……落ち着きなさいって…」
頭を抱えるヴィルの肩に、アリソンがそっと手を添える。
196SBI:2006/03/04(土) 16:42:30 ID:gPgJQ7Ix
「台本なんだから、お芝居なんだから、そんなに悩む事ないじゃない……」
「お芝居でも台本でも駄目!!僕はあんな事言いたくないのに……」
そもそもはアリソンからの提案だった。
エッチな事をする時に、用意した台本を元にやってみようという、およそヴィルが食いつきそうにない計画を、アリソンはしつこいぐらいの説得で実行まで漕ぎ着けた。
しかし、相手はあのヴィルヘルム・シュルツである。史上最大級の朴念仁にとって、それは少しばかり、いや、かなり重い荷物にだった。
どこぞの三文エロ小説のまる写しのような台本の内容を、ヴィルは今の今まで鉄の精神力で演じてきたのだが、それももう限界である。
「とにかく、僕はもうこんなの嫌だからね!!」
「……のわりには、結構ノリノリで演技してたようにも見えたけど………」
「…………なっ!?」
愕然とするヴィルの耳元でアリソンが囁く。
「さあ、さっきヴィルはなんて言う筈だったのかしら?そう、確か『アリソンは僕の大事な………』」
「ちょ、待って!!」
もはや完全に攻守は逆転、台本もへったくれもなくなっていた。青褪めるヴィルの前で、アリソンはニヤニヤ笑いながら、言葉を続けようとして……
「『僕の大事なペットでオモチャで、そして……』」
「うわあああああああっ!!!!」
あまりの仕打ちに涙目になったヴィルが、なんとか発言を止めようとアリソンに飛び掛った。
ガタンッ!と音を立てて、椅子が倒れ、二人の体は床の上に転がる。
「きゃっ!?」
「…ア、アリソン……僕は…僕は……」
ヴィルの体がアリソンの上に圧し掛かり、密着状態の超至近距離で二人は見詰め合う。
互いの鼓動が嫌と言うほど伝わって、頬が真っ赤に染まる。自分たちのしていた事が、突然恐ろしいほどに恥ずかしくなってくる。
「……ア、アリソンは……僕の、僕の大事な……大事な……」
「………ヴィル、何?」
「アリソンは…アリソンは……僕は……」
「……?」
197SBI:2006/03/04(土) 16:43:15 ID:gPgJQ7Ix
「僕はアリソンが大事だぁあああああああああああああっ!!!!!!」
そして、ついにヴィルがキレた。
頭に血が上って、リミッターが外れる。アリソンへの思いが、一切の検閲無しで片っ端から言葉にされ始める。
「好きだ!!大好きだ!!!アリソンっ!!!」
ぎゅううううううううううううううっ!!!!っと、アリソンの体を抱き締めて、さらに唇をとびっきり熱いキスで塞ぐ。
「……あ…うあ……ヴィル、ヴィルぅ……」
もちろんアリソンも平気ではいられない。夢中でキスに応じて、ヴィルの背中にきゅっとしがみつく。
今の二人に、台本はどうした?などと聞いても、無駄だろう。もはやお互いの事しか見えなくなっている。
布地越しに伝わる体温がもどかしくて、二人は激しく互いの体を擦り合わせる。
「ああっ…はぁ……ヴィル……きて……」
ヴィルの愛撫を受けながら、自分のズボンとショーツを脱ぎ捨てたアリソンが、甘い吐息に途絶えそうな声で囁く。
もちろんヴィルに、躊躇う理由などない。
すでにぐしょぐしょのアリソンの大事な部分に、ヴィルの大きくなったモノがあてがわれる。
「いくよ……アリソン…」
「…うん……」
くちゅり、いやらしい水音と共に、アリソンの秘裂は苦もなくヴィルのモノを飲み込む。
はじめはゆっくりと、次第に激しく、ヴィルのモノがアリソンの中をかき混ぜる。
「ああっ!!アリソンの中すごく…熱い……」
「ひあっ!!……や…ふあああああっ!!…ああんっ!!!!」
もとより長い前置き、前座芝居を続けてきた二人の神経は、どうしようもないほどに昂ぶってしまっていた。
雨のように降りしきるキスと、絶え間ない愛撫、ピストン運動は限界知らずに激しさを増していき、二人は互いの肉体に溺れていくかのようだった。
「ああっ!!はあっ!!ヴィル…すご…ひあああああああっ!!!!」
「…くぅ…ああっ…アリソンっ!!!」
絶え間ない快感に翻弄されて瞳を濡らした涙。
それを通して見たヴィルの姿が薄明かりの中にキラキラ輝いて、肌が触れ合っただけで体に電流が走って、アリソンはどんどん夢中になっていく。
198SBI:2006/03/04(土) 16:44:11 ID:gPgJQ7Ix
体が熱い。止まる事を知らずに溢れ出す熱が混ざり合って、二人の体が溶け合ってしまいそうだ。
心が熱い。焼け付くような思いが湧き上がって、自分の事を思ってくれる相手の胸の熱さが伝わって、心がヤケドをしてしまいそうだ。
そして、ただ、目の前にいるこの人が愛しい。
…………そして、ダムが決壊を起こしたように、二人の中でその熱が弾けた。
「…っああああっ!!!!アリソンっ!!アリソンっ!!!!」
「ふああああああああああっ!!!!ヴィルっ!!ヴィルぅうううううっ!!!!」
二人は同時に絶頂へと登りつめた。

ぐったりと力の抜けた二人は、互いの体を寄せ合って、うっとりとした時間を過ごす。
「う〜ん、やっぱり台本なんて上手くいかないものね……」
「………う、うん…」
「ん、どうしたの?」
微妙に歯切れの悪い返事に、アリソンはヴィルの顔を覗き込む。すると、ヴィルは少し顔を赤らめながら…
「じ、実を言うと……いや、僕があんな事言ったりするのは嫌なんだけど……でも……」
「でも?」
「……ああいうアリソンも、可愛かった……」
バツが悪そうに目を伏せたヴィルの前で、アリソンの顔も再び急速に赤くなって……
「ヴィルぅうううううっ!!!!」
ぎゅううううううううううううううううっ!!!!!
ちゅっ!!
そんな擬音が聞こえて、その後は……まあ、その、なんだ……ご想像にお任せするしかない。

………首都の一角のとあるアパート、その最上階にただ一部屋だけ灯った明かりは、夜が明けるまで消える事はなかったという。
199SBI:2006/03/04(土) 16:48:37 ID:gPgJQ7Ix
えっと、キノスレずっと見てる人なら、なんか読んだ事があるって感じの話でした。
読み返せば読み返しただけ、以前のものと似たところが見つかってキツイ。
以前のものは第5スレの作品なので保管庫には無いのがせめてもの救いか……。
まあ、馬鹿ップル大暴走は、書いてて楽しかったですが……。
それでは、また……。
200名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 01:13:39 ID:o4/Urf/G
GJ!
201名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 01:26:42 ID:03F+zAqa
GJ!気にするな!
202名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 19:43:37 ID:XNCK833U
 満天の星空の下、女性が毛布を掛けて寝そべっていました。
 辺りは見渡す限りの砂岩地帯。灼熱の日中とは打って変わって、乾燥した冷気が満ちています。
 女性が目を開けました。
 その先には星空ではなく男の顔。若い男性の顔がありました。
 そしてその間には――
「なにをしてるのです?」
「ありゃ……起しちゃいましたか?」
 カチリ、とリヴォルバーの檄鉄が上がる音がします。
「なにをしてるのです?」
 女性は男の鼻先に銃口を突きつけたまま、もう一度聞きました。
「本気ですか?」
「……」
 女性は答えません。
「師匠に俺が撃てますかね?」
「……」
 周囲に音は無く、かすかな風が頬を撫でるだけです。
 まるで時間が止まってしまったような様子です。
 男が慌てて声を上げました。
「分かりました。分かりましたよ! ほんの冗談ですよ。だからその「撃ちたくはありませんが、仕方ありませんね」って顔はやめてください。俺だってまだ死にたくないですから」
 女性はまだリヴォルバーの狙いを外しません。銃口がピタリと男の上唇を打ち抜く位置を指したまま静止しています。
「なにをしているのですか?」
 男はそこでようやく右手を挙げました。右手は仰向けに寝ていた女性の側頭部、肩の上辺りに置かれていました。
「サソリですよ。師匠も聞いたでしょう? この辺りのサソリは毒性が強くて、刺されればあの世行きは免れませんって。大方焚き火が消えたせいで、近寄って来たんでしょう」
 先に針のついた尾の部分をつまんで、女性の前に掲げます。サソリはキリキリキリと硬質な音を立ててもがいていました。
女性はそこでようやくリヴォルバーを下ろします。
「そうですか……」
「いやあ冷や汗が垂れて、シャツがビッショリですよ。あ、焚き火付けときますね。汗も乾かさなきゃいけないし、サソリがまた近寄ってきても面倒ですからね」
 女性に背を向けてテキパキと準備を始める男に、女性は興味を失ったように寝返りを打ちます。
「ところで……」
「はい?」
 女性はそっぽを向いて寝転んだ姿勢のまま聞きます。
「なぜ私が”撃ちたくは無い”ことがわかったのですか?」
「これだけの付き合いになれば分かりますよ。師匠のあんな悲しそうな表情、見たことありませんからね」
「そうですか」
203名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 19:44:53 ID:XNCK833U
 やがてパチパチパチと火の粉が爆ぜる小気味良い音と共に、朱い光が辺りに溢れます。
「ところで……」
「はい?」
「さっきのサソリですが、どうしました? まだ生きていたようですが……」
「あっ、いけね……そういえばどこ行ったかな? まだその辺に――」
 ド―――――ン!
 大口径のリヴォルバーから放たれる轟音が、夜の静寂を破って響き渡りました。
 男が座るお尻の横一センチの場所に、なんだかよくわからないぐちゃぐちゃな欠片がちらばっていました。そして大きな穴が穿たれていました。
「あの……師匠?」
「刺されては大変なんでしょう?」
「ええ、ですが……」
「ならもう問題はありません。あなたも早く寝なさい。明日も早いですよ」
「まだたしかもう一匹……」
 カチリ。
「わわわわっ! いません! もういませんですってば! おやすみなさい!」
 
 
 
 ギラギラと照りつける太陽の下、一台の車が走っていました。
 今にも崩壊しそうなほどボロボロで、ときおりプスンプスンと不吉な音を立てています。
「うひーっ。あっついですね……。師匠、よくそんな涼しい顔をしていられますね」
「暑いですよ。ですが暑いと口にしたところで涼しくはなりません。そういえば……」
「なんです?」
「確かこの前の国でサソリ毒中和剤を買い込んでたはずでしたよね? 夜は危ないからと言って」
「うっ……」
 男は暑さのせいではない汗を顔中に浮かべて、ごまかし笑いをしました。
「あー……あ、そんなことありましたっけ? ちょっとよく覚えてないです」
「ではこれも覚えていませんか? 確かその街の張り紙に、あなたそっくりの顔写真が載っていましたね。その下にはとても興味深い額の懸賞金が記入してありました。まだ次の国でも有効だと思いませんか?」
「えっとその……あの……」
 あたふたと慌ててなんとか説明しようと、男はしばらく口をモゴモゴしていましたが、
「そんなに悲しい顔をしていましたか?」
「だからですね……えっとそれはですね……え?」
 きょとんと聞き返す男に
「なんでもありません」
 女性はそう答えました。
204SBI:2006/03/08(水) 16:51:06 ID:Scr/Iva/
GJ!!
いいなぁ師匠、かわいいよ。
205 ◆KdBcwmQ4/6 :2006/03/09(木) 01:46:27 ID:BNulMwzb
ご無沙汰しています第三保管庫の人です。
ここまで保管しました。皆さんGJ!!
俺もエッロいの書きたいなあー……

てか、保管庫のページを見るためになんだか広告がでっかく入ってしまいました。
ページ下部の、「ファイルはこちらです」をクリックして入場してください。

http://kujira.s8.x-beat.com/kino/
206ID:XNCK833U ◆GoDVkOjRdU :2006/03/09(木) 13:39:05 ID:XqSD2E+X
GJありがとう(;´Д`)
うれしかったので本気で書いてみました。


-本物の国-
 

 鬱蒼と生い茂る密林の畦道を、一台のモトラド(注*二輪車。空を飛ばない物だけを指す)が右に左にと車体を

傾けながら走っていました。
 でこぼこの地面にタイヤを取られないよう必死にバランスをとりながら運転しているのは、茶色いコートを着て、

鍔と耳を覆うたれのついた帽子をかぶり、ところどころが剥げた銀色のフレームのゴーグルをかけている人間だ

った。年は十代半ば。短い黒髪で、精悍な顔をしていた。
「すごい荒れ道だね。キノ……転ばないように気を付けてよ」
「静かに。今話し掛けられると、手元が狂って転んでしまうかもしれない……ボクもここまでひどい道だとは思わ

なかった」
「さいですか」
 モトラドは何度も転びそうになりながら、密林を奥へ奥へと進みます。
 奥へ進むにつれて、道はだんだん広くなり、人の生活の気配がしてきました。
「そろそろだ……」
「ねえキノ。本当かなぁ? 前の国の人の話だと確か……」
「ああ、だからとても楽しみだ。ぜひこの目で確かめたい」
「でも、本当は信じてないでしょ?」
「……ちょっとは」
「『ちょっとは』どっち?」
 キノと呼ばれた人間は答えません。
 やがて目的の国の城門が見えてきました。
 太い木でできた杭を立てて、国をぐるりと囲う城壁に仕上げていました。その杭には赤い染料でまだらな模様

が描かれていました。
 
「入国の手続きは?」
「そんなもの必要ありませんよ! 我ら『選ばれし民』には、旅人さんが悪さをする人ではないことが分かってい

ますから!」
「武器等の持ち込みは?」
「もちろんOKです! だってそうでしょう? 我ら『選ばれし民』を相手に、パースエイダーなどなんの役にも立ち

ませんよ!」
「泊まる所はありますか? それと旅に必要な物が買える場所と、食事ができる場所、そしてモトラドの整備をし

てくれる場所……できれば安く」
「ええ、それはもう! すべてご用意できます。 まずは国の庁舎にお越しください!」
 キノとエルメスはほとんど審査らしい審査も受けずに、あっさりと入国することができました。
 ホテルはないので、国の庁舎に泊めてもらえることになりました。食事もとてもおいしく、ベッドもふかふかで買

い物もとても安く済ませることができました。
「いい国だ……」
 キノはベッドに顔をうずめて、幸せそうにつぶやきました。
「本当。腕のいい整備士も揃ってるね。進んだ国だ。案外、うわさなんてアテにならないもんだね」
「実際来て見ないと本当のことは分からないものさ」
「百聞は一件に敷かず?」
「音は合ってるんだけどね……」
 キノはそれ以上何も言わずに、眠りにつきました。
207ID:XNCK833U ◆GoDVkOjRdU :2006/03/09(木) 13:42:01 ID:XqSD2E+X
「やあ旅人さん! おはようございます。どうです? よく眠れましたか?」
 朝、ロビーで食事を摂っていると、国の役人と名乗る男の人が声をかけてきました。
 キノは部屋がとても快適だったこと、食事もとてもおいしいこと、値段もとても安いくて大変感謝していると言いました。
「どうでしょう、よかったらこの後観光でも? 僭越ながら私が案内を致します」
 キノは快諾しました。
 キノは観光の道すがらこの国の歴史について役人から色々と聞きました。
 この国はまだ歴史が浅く、他の国からあぶれた流浪の民族が集まってできたこと。しかしそれはあぶれた訳ではなく、『選ばれた』こと。
神に選ばれた人々は、他の人間にはない特殊な能力を持っていて、そのために他の国から侵略を受けることも無く、疫病や飢饉に苦しむこともなく平和に暮らしていること。
「ですから、私たちはこの国に辿り着いたこと――『選ばれた』ことをとても誇りに思っているのです。能力というのは……そうですね、陳腐な言葉ですが『魔法』や『超能力』がそれに近いでしょうか」
「へえ……じゃあおっちゃんも何か変わったことができるの? 例えば何もない所で空を飛ぶとか、手から火を出すとか、帽子から鳩を出すとか」
 エルメスがおもしろ半分で聞きますが、役人は笑顔のまま言います。
「ははは。エルメスさんは何か勘違いをなさっているようですな。いえ、気分を悪くしないでもらいたい。ああそうだ、ちょうどこれから『儀式』が行われるので、ごいっしょにいかがですか? お時間は取らせません」
 キノはしばらく考えたあと、特に何も要求されることがないなら見学したいと言いました。
「ですが、その『儀式』について、どんな内容かは分かりませんが、手伝うことはできませんが、いいですか?」
「もちろんです。いやあよかった! 旅人さんの参加は久しぶりだからきっとみんな喜びますよ。ぜひこの国の素晴らしさを知ってもらって他の国に伝えてください」
 キノとエルメスと役人は『儀式』の会場だという国の中央の広場へ向います。儀式には国中のほとんどの人が参加するのだと言います。男も女も子供も老人も、みんながみんな欠かさず毎月参加するのだそうです。
「おらっ! どけよ! 俺たちはこれから大事な『儀式』に出席するんだ。能無しは道の隅っこでくたばってろよ!」
 広場へ行く途中、そんな罵声が聞こえてきました。
 見ると三人の男女が一人の男の子を蹴ったりぶったりしていました。
「あれは?」
「やあこれはとんだお見苦しいところを……あれはですね、いわゆる『選ばれなかった者』でして、なんの能力もないダメなクズなんです」
 キノはしばらく、罵声を浴びせられながら殴られたり蹴られたりしている男の子を見ていました。
「彼は『儀式』の参加資格がない?」
「いえ、そんなことはありません。彼も出席します。……というか国王の息子なんですね、彼は」
 キノは目を丸くしました。
「おっちゃん、そんなお偉いさんなら、止めに入った方がよくない?」
「ボクもそれがいいと思います。国王の息子なら、何か面白いお話が聞けるかもしれません」
 暗に自分の話は面白くないと言われた役人は肩を落として、しぶしぶ仲裁に入りました。
 よろよろと、それでも腕を引かれるのは断って、男の子はキノの前までやってきました。
「ありがとう、旅人さん。聞こえてたよ。止めに来てくれるよう頼んでくれたんですね」
 男の子は背は低いが歳はキノより上、もう青年といっていいくらいの若者でした。
「私の名前はショウ。覚えてくれるとうれしい」
「ボクはキノ。こっちはエルメス」
「よろしくね」
208ID:XNCK833U ◆GoDVkOjRdU :2006/03/09(木) 13:43:24 ID:XqSD2E+X
 やがて広場へ入ると、そこは人でごったがえしていました。中央に設けられた一際高い壇上に、立派な服を着た中年の男性が立っています。
「あれが父です」
 ショウはちっとも誇らしくない感じで言いました。
 やがて壇上の男性の合図の下、『儀式』は始まりました。
「さあみなさん。今年は不作が続いています。それというのも、今月に入り雨が少なく、畑に十分な水が行き渡らないからです。念じましょう。みなさんの力で雨を降らせるのです」
「みんなで雨を」
 広場中の人々が唱和します。
「これは……雨乞い?」
 キノが呆れたように言って、何がおかしいのかショウはくすくすと笑っています。
「おほん……いえ、違います。そのへんの低俗な国の風習と我々の行う『儀式』は別物です。我々は祈るのではありません。力を使って雨を降らせるのです」
 威厳を少しでも出そうと咳払いをしたあと、役人は力説します。
「では雨はすぐに降るのですか?」
 キノが訪ねます。
「ええ、今すぐにでも。そろそろ降り始めると思いますよ」
 しかし、雨はまったく降る気配がありません。空は雲ひとつ無い青空です。
「ねえおっちゃん。これってインチキじゃないの?」
 キノがエルメスのタンクをぶっ叩きましたがもう遅かったようです。
 周囲の人は一瞬、水を打ったように静まり返り、すぐにざわめきはじめました。
「なんてことだ……旅人だからって、何を言ってもいいと思っているのか?」
「こいつっ! 我々『選ばれし民』を侮辱するのか。殺してやる!」
「ひどいわっ! 謝って! 今すぐ謝罪しなさい!」
 人々は殺気立ち、その気配はすぐに広場中へと伝播しました。
「そうだ! きっと雨が降らないのもこいつのせいだ! 侮辱されて、我々の力が神へ届かないからだ」
 そうだそうだ、と人々はキノの周りを囲み始めます。
 キノはパースエイダーを出そうか一瞬迷いましたが、この人数が相手ではとても弾が持たないと諦めました。
 今にもキノの肩が掴まれそうになったとき、ショウがあきれるくらいの大声で叫びました。
「父上に申し上げる! この旅人を特別な裁判にかけ、然るべき処罰を与えるべきだ! 今ここで住民のリンチにかけるのは、『選ばれし民』の誇りに傷をつける行為だろう」
「何をこいつ……能力のない分際で」
 誰かがそう言いましたが、国王が合図して黙らせ、ついてくるように命じました。
 こうしてキノたちは国王の王宮へ連れていかれました。
 王宮と言ってもそこは、一般の民家よりやや大きいくらいの質素な佇まいでした。
 国王はイスを示し、キノに座るように言います。
「そうだ。ショウ、旅人さんにお茶をお出ししなさい。それとなにかお菓子も」
 ショウは自分の父親を見ようともせずに、返事もしないで部屋を出ていきました。
「旅人さん、驚かれたでしょう」
 国王は柔和そうな表情で語りかけます。
「では、あの儀式は」
 国王は頷きます。
「ええ、まったくのウソです」
 エルメスが「やっぱり」とつぶやいてキノがタンクを蹴ります。
「よく今までバレませんでしたね」
 キノが不思議そうに聞くと、
「よくぞ聞いてくれました」
 国王はやや身を乗り出して
209ID:XNCK833U ◆GoDVkOjRdU :2006/03/09(木) 13:44:25 ID:XqSD2E+X
「最初はやはり今回のように日照り続きのある日のことでした。私は『儀式』をでっち上げて「こうすれば雨は降る」と公言したのです。ああ……今になって思えばなんであんな真似をしたのか……」
 国王は頭を抱えて言います。
「雨は降りました。みんなは喜びました。しかし喜びはあまりに大きく、そして『儀式』も繰り返されました。あるときは病気の人を治す儀式、あるときは他の国が攻めてこない儀式、あるときは地震を静める儀式……何度も何度も繰り返されました」
「なるほど」
「ふぅん」
「そしていつのまにか人々は「自分達は選ばれた人間だ! 神に選ばれた特別な人間だ!」と言い始めるようになりました。毎日のようにあることないこと奇跡をでっち上げて、自分の手柄のようにまくしたてます。旅人さんはもう聞かれましたか?」
「いえ、あまり……」
「あのおっちゃんは『能力の無い人』だったのかもね」
 エルメスがちゃかして言い、キノが「ああ、そうだ」と訪ねます。
「そういえば息子さんだけは能力がないことになっていますが、あれはあなたが? そしてそのために国の人にいじめを受けているのも知っていますか?」
「そうです。息子にだけはこんなウソだらけの役目は負わせたくなかったんです。もし事実が明るみに出れば、私はタダでは済まないでしょう。息子はそんな目には合わせたくなかったんです」
「お話、大変よく分かりました。あの……」
「ですが、残念ながら旅人さんは、タダで帰すわけにはいきません。住人の目もありますし、何よりこの話が旅人さんの口から漏れることを私は一番警戒しています」
 処遇は明日発表しますので、きょうはどうかぐっすり休んでくださいと、キノは客人用の個室へ案内されました。
「あんまり、寝心地のいいベッドじゃないな」
 シーツの上に横になってキノはつぶやきました。
「どうする? キノ。今日からタッパ?」
「強行突破?」
「そうそれ」
「そうだな……」
 キノが上体を起した時、ガチャリと部屋のドアが開きました。
「ごめん、驚かせちゃったかな」
 入ってきたショウは頭をポリポリ掻いて申し訳なさそうに微笑みました。
「父は明日間違いなくキノさんを処刑します。出国するならこのタイミングだと思って、慌てて来ました」
「それで……ショウは『説得』しに来たの?」
 エルメスが言い、キノは腰に吊ったパースエイダーを抜きました。
 ショウは「困ったな」と笑い、目の前に突きつけられたパースエイダーは無視してキノを見つめました。
「キノさんには明日までいてもらいます。ですが、必ず安全に出国させます。……弾は出ませんよ」
 キノは片方の眉毛だけを上げて、次の瞬間表情を凍りつかせました。
「まさか……そんな……」
「どったの? キノ」
 ゆっくりとパースエイダーを降ろすキノを見て、エルメスは不思議そうに声を掛けました。
 ショウは申し訳なさそうに表情を曇らせます。
「いるとは思わなかった……あなたが、『本物』なんですね……」
「えっ、本物って?」
 エルメスが不思議そうに聞き――
「奇跡の正体さ。不思議に思ったんだ。『儀式』をすれば必ず結果が出る。結果が外れればみんながみんな、信じるとは限らないはずだ」
「そうです。雨乞いの儀式の時は私が雨を降らせ、病気の人は私が治しました。地震も、余震のうちに押さえ込むことができました……あれは苦労しましたが」
「やはり……」
「そしてキノさんをこのまま出国させるわけにはいきません。しかるべき『理由』を作って追放処分にします」
「理由……とは?」
210ID:XNCK833U ◆GoDVkOjRdU :2006/03/09(木) 13:45:23 ID:XqSD2E+X
 ショウは少し頬を赤らめて
「お恥ずかしいことなのですが、私は一目見たときからキノさんのことが気に入っていました。ですから、キノさんは『強姦』処分にしてから追放という形になります」
 ショウはゆっくりと近づいてきます。キノはその間、自分の服に手をかける悪漢を見ていることしかできません。
「あちゃあ、キノ。今回は相手が悪かったね。超能力者が相手じゃキノも太刀打ちできないよ」
「ああ、そうだ。エルメス君は悪いけど、少し眠っていてもらおうかな。私は恥ずかしがりやなのでね」
「……」
 ショウが視線を向けると、もうエルメスは何も言わなくなりました。
「少し痛いかもしれませんが……できるだけ優しくしますので……すみません」
「……っ!」
 キノは顔を真っ赤にして眉をしかめ、ショウを睨みつけました。
 やがてジャケットのボタンが一つづつ外され、汗の匂いの染み付いたアンダーウェアが現れます。
 ショウはキノのまだ発育途中の胸の辺りに顔を近づけ
「ああ、いい匂いだ……これがキノさんの匂いなんですね」
「……っ!」
 キノは唇がちぎれるほど口を引き結んでいました。
 ショウの雪のように白い指先が、アンダーウェアを脱がされ露になったキノの健康そうな肌の上を、なめらかに滑ります。
 小さなふくらみの頂点をつままれたとき、キノの表情が変わりました。
「感じたなら、声を出してもいいですよ」
「ひゃっ……」
 ショウがそう言った瞬間声が戻ったのか、キノは小さな悲鳴を上げました。それは紛れも無く一人の女の子の悲鳴でした。
「すごい……キノさんの体は、鍛えられているのにこんなに柔らかい。そして……分かるかい? 私の愛撫ですっかり熱くなっているよ。感じてくれてるんだね?」
「そんなこと……あっ!」
 ショウの指がヘソの下の、ズボンの隙間に差し込まれました。
 突然の不意打ちにキノは思わず声を上げます。
「さあ……見せてもらうよ。くんくん……ああ、すごい臭いだ。今日はまだシャワーも浴びてなかったからね」
 ズボンを一気に脱がすと、むわっとした臭気が広がります。それはキノの匂い。濃密に圧縮された女の子の匂いでした。
「では、直接触りますよ」
「……っ! あっ……」
 キノはさらに顔を真っ赤にして、目を堅く閉じて、襲いくる未知の刺激に耐えていました。
 それは初めて知る女の悦び。まぎれもない純粋な快感でした。
「キノさんはここが弱いのかな? いや、私には分かるよ。ほら、ここをこうすると……」
「!!!!」
 キノの両の太ももの真ん中に差し込まれた手が、向きを変えて蠢きます。
 人差し指と親指でクリトリスをこすり、中指で陰唇のすぐ内側を、ほぐすように優しく掻き回します。 
「はぁぁぁ……っ! 声がっ……」
「声を出してもいいんですよ。悪いことではありません」
「ひゃぁっ! うぁはぁぁぁぁ……」
 キノは涎をたらして首を大きく振って喘ぎます。
「だいぶほぐれてきたね。ほら、聞こえるでしょう。にちゃにちゃにちゃにちゃ、とってもいやらしい音がしてる。気持ちいいって言ってるよ」
「そんなことないっ……! そんなこと……はぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
「軽くイッちゃった? キノさんは本当に感度がいいんだね。可愛いよ」
 ショウが手を引き抜くと、そこにはべっとりと大量の愛液が付いて、ぬらぬらと光っていました。
「もう大丈夫そうだね……じゃあ行くよ」
「……えっ?」
 『大人』のことはよく分からないキノは、ショウが何をしているのか分かりませんでした。
 ですが、凶悪にそそりたつそれが、自分の股間に押し付けられたとき、にわかに理解しました。
211ID:XNCK833U ◆GoDVkOjRdU :2006/03/09(木) 13:46:06 ID:XqSD2E+X
 ぬ……じゅぬぅぅぅぅぅぅぅ。
 それは意外なほどすんなり、にゅるっとキノの中へ吸い込まれていきます。一度イカされ、すっかりほぐれきったキノのアソコは、すでに準備が整っていたのです。
「う……さすがにキツイな。でも……すごい名器だ。ぴったりくっついて、私のちんぽを隙間無く包み込んで離そうとしないよ。なんてえっちなおまんこなんだ!」
 そしてついに、処女であることの証。その結果がシーツに広がりました。
 ですが、キノは痛みは全く感じません。それどころか――
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁはぁぁっぁぁ……」
 世界が反転するような信じられない快感が爆発しました。
 息をすることすら忘れるほどの快感絶頂。
 目の前で何度も何度も火花が散っては膨れ、またフラッシュします。
「ふふ……いいようだね。よかったね、キノさん。相手が私じゃなかったらきっと痛くて泣いてるところだよ。でも今は……ちょうどその逆の刺激を感じているはずだ」
「ひぁぁぁぁっ! あああああっぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「それ……動かすよ。もしかしたら狂っちゃうかもしれないけど……そのときは許してくれよ」
「ふやぁぁぁぁぁぁひゃぁぁぁぁぁぁぁっ! あああああぁぁぁぁぁぁ!!」
 ショウのそれに絡みつくキノの膣壁は、とても複雑な動きで締め上げ、撫でさすり、揉みほぐしてきます。そのあまりの気持ちよさに思わず呻き声が漏れました。
「うっ……すごい。本当に……キノさん……これはすごすぎる。気持ちよすぎるっ!」
 キノも何も考えられなくなった思考の中で、ひたすら快感を貪ることしかできません。
 いつのまにかショウの動きに合わせるように腰をいやらしく振っています。
「うああっ。もうイク! イクよキノさん! キノっ! おおおおおおおおおっ!」
「ああああああぁぁぁはぁぁぁぁぁ! ボクもっ! ボクもっ! ああああああああっ!!!!」
 
「ごめんねキノさん。でも本当に好きになった。もう二度と会えないだろけど、願わくばキノさんの旅に、末永い幸運を……」
 寝息を立てるキノは、その呟きも、閉まるドアの音も聞こえませんでした。
 
 
 
 その日、国のテレビで映像が流されました。
 それはベッドの上で絡み合い、激しく交わる男女の映像です。
 男性の方の顔はなぜか映らないアングルで撮られた映像でした。ですが、女性の方は一昨日入国した無礼極まる旅人であることが、誰の目にも明らかでした。
 テロップで、旅人は国で一番の罪人に犯される罰を与えられ、今日国外追放処分になる、と説明されていました。
 みんなは納得し、哀れなその姿を見て満足しました。
 キノはその頃、国を出てしばらくの場所にいました。
「お風呂に入り忘れた……。朝起きたらジャケットのままだった。もったいないことをした」
「さいで」
「でも意外だったね。あの様子だと処刑されるかと思ったのに」
「うん、ボクも『説得』する必要があると思った」
「あれ、キノ。そのポケットに入ってる紙、なんだろ?」
「ん……手紙だ……なになに――」
――キノさん、昨日は大変申し訳ありませんでした。キノさんにヘンな夢を見せてしまって。
 ですが私の力だけで全部の映像を作ることは難しいので、キノさんに協力してもらいました。
 しかしこれで安全に出国することができるはずです。数々の無礼お詫び致します。それでは――
「夢? 映像? なんのことだろ……キノ?」
「ボクにも分からないよ。行こう、エルメス」
「あいよー」
 エルメスに跨ったキノの唇から、赤い筋が一筋垂れて落ちました。
212ID:XNCK833U ◆GoDVkOjRdU :2006/03/09(木) 13:47:31 ID:XqSD2E+X
1ページ目改行ヘンになったスマソ
213名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 19:58:35 ID:6DUTSsUp
どうってことないさぁ〜
214名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 22:03:01 ID:p3ujoXor
うわあああああああああああああああああああああああああああ
215名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 22:33:35 ID:Z1/hnhD6
シズキノ書いてたら超長くなった…orz
まだ途中だけど、ここにべらべら貼るよりは
どっかにまとめてうpした方がよい?
216名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 00:36:00 ID:WVBEbMB6
>>215
ここに貼っちゃって良いんじゃない?
217名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 14:40:03 ID:II8iFfKQ
リリトレVキタコレ
218名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 23:13:47 ID:TppVTQzF
>>215
最近シズキノに飢えてるから読みたい(;´Д`)ハァハァ
219SBI:2006/03/16(木) 18:31:42 ID:G8sH0EOV
また書いてきたけど、エロ無しだよ。駄目駄目だよ。
リリトレの話だけど、リリア出てきません。
でも一応読んでもらいたい。読んでください。
それでは………。
220SBI:2006/03/16(木) 18:32:31 ID:JPMtbX6t
バシャバシャと水しぶきが上がる。両の足がしっかりと水を捉え、鏡のような水面を切り裂くように泳いでいる………はずだった。
華麗に泳いでいるつもりで実は10メートルも進めていなかった少年は、水の中で見苦しくもがくのをやめ、岸に上がる。
「進歩しないよな、俺………」
うつむいて地面に座り込んだその少年、トレイズの口から、深い深いため息が漏れる。
幼馴染の少女、リリアとの旅行から帰ってきて以来、彼は毎日のように泳ぎの練習を行っていた。
旅行中に巻き込まれた事件の最後で、リリアとトレイズの乗った飛行艇は湖に沈んでしまった。
カナズチだったトレイズはおぼれてしまい、リリアに死ぬほど心配を掛けて、死ぬほど格好悪いところを見せてしまった。
情けなくて涙が出てきそうな思い出、それがトレイズを一念発起させた。俺だってやれば出来るはずだ。見事泳げるようになって見せようじゃないか。
やる気満々の練習は着実に成果を見せ、水に入るのも怖かったトレイズが、今ではなんとか少しは泳げるようになってきている。
周りに泳ぎを教えてくれる人間もおらず、独力でここまでたどり着いたトレイズの努力は結構大したものなのだが、彼自身はどうしても満足できないようだった。
もっと格好良く、もっと速く、もっと上手に泳げなきゃいけないのに………
焦りばかりが募って、気持ちが空回りする。
自分のやり遂げた事が視界に入らず、まだ出来ないことばかりが頭の中を支配する。そして、その結果………
「うあ〜、俺はヘタレだよう………」
双子の妹(暫定)のメリエルがいつも自分に言ってくる言葉を、知らないうちに口にしている。
見上げれば憎らしいぐらいに青い空、爽やかな日差しが自分をあざ笑っているように感じられる。
ごろんと地面に大の字になると、自分の無力さが見に染みた。
無力………。
旅先でのもう一つの思い出が、トレイズの頭の中に蘇る。
旅先でトレイズが巻き込まれた事件、その裏にあったのはどこまでも残酷な企みだった。
幾つもの思惑が絡み合っていたその事件の表面で、無力なトレイズはただ一人踊っていただけだった。
真実を知っていたとして、自分に何が出来ただろう。
仕方が無かったのだ。
どうしようもなかったのだ。
たとえ納得がいかなくとも…………。
221SBI:2006/03/16(木) 18:34:49 ID:G8sH0EOV
トレイズの脳裏に、事件の裏にあったものを教えたあの人の顔が浮かぶ。
悲しそうに笑いながら、淡々と語っていたあの表情が……。
「今頃どうしてるんだろう?トラヴァス少佐……いや、ヴィルさん」

そのトラヴァス少佐は、ただいま恋人であるアリソンの家のダイニングの椅子に腰掛けていた。
その表情はなにやら硬く強張って、顔色は真っ青、日差しの強い外とは違って室内はずいぶん涼しいはずなのに、玉のような汗が顔を流れ落ちていく。
「……えっと…その……アリソン?ちょっと…どいてくれないかな?」
「……うにゅ〜…ヴィルぅ………好きぃ〜……」
ヴィルの体に軟体動物のようにへばりついて、両の腕で恥ずかしげも無くきゅ〜っと抱きついているのは、ご存知アリソン・シュルツ大尉である。
稀に見る美人であるはずのその顔は、今は幸せのあまり情けないえびす顔になっており、周囲の状況すら見えていないようである。
実は現在、アリソンの中である深刻な事態が進行していた。
それは、重度のヴィル不足である。
ここのところ、一日中べったりヴィル=トラヴァス少佐といられる機会が無かったこと、これはアリソンにとって大きなストレスとなっていた。
それに加えて、彼女が従事していた試作機のテストが天候やらなにやら、人の努力ではどうにもならない類のアクシデントで難航したのだ。
二つのストレスが激しく化学反応を起こした結果が、現在のこの状況であった。
はっきり言って、今の彼女にはヴィルしか見えていない。
そして、並んで座るトラヴァス少佐とアリソンの真向かいには………。
「………というわけで、この件についてはこの方向で処理することになりました……」
「…あ、ああ…良くわかったよ……アックス」
トラヴァス少佐の部下である20代半ばほどの女性、アックスが書類を広げていた。
トラヴァス少佐の確認が必要な案件が急に生じたため、休暇中だった彼を探し回り、ようやくこの家に辿り着いたのだったが……
(……な、なんでアリソンの事に突っ込まないんだろう?)
部屋に入ってきたアックスは、アリソンにへばりつかれた情けないトラヴァス少佐を見て、一瞬表情を曇らせた後、淡々と必要な要件だけを伝えてきた。
なんの感情も読み取れない無表情が、とにかく恐ろしい。
どうしてこんな事になってしまったんだろう?
222SBI:2006/03/16(木) 18:35:53 ID:JPMtbX6t
いくら考えてもわからない。部屋を支配する重苦しい空気が、トラヴァス少佐をじわりじわりと窒息させようとしているようだ。
正直、今のアックスが発している妖気のようなものの正体が、トラヴァス少佐にはわからない。
それも仕方が無い。『心から愛している』なんて、台詞が吐けるようになったといっても、所詮トラヴァス少佐の正体は天下御免の朴念仁ヴィルである。
スパイとしての仕事を通じて様々な経験を積み、多少は男女のことも分かるようになったつもりのトラヴァスだが、その中に自分を当てはめて考えることが出来ずにいた。
頭の中にアリソンのことしかない彼にとって、浮気という言葉も現実感のあるものとしては捉えられていなかった。
この夏、初めてアックスに会ったアリソンに「浮気なんかしてないでしょうね」と言われて、やっとそういうものが他人事ではないと理解できたぐらいである。
今の状況を打破する術など、持ち合わせている筈も無かった。
ともかく、さっさと用件だけ終わらせてしまうしかない。そう考えたヴィルは、震える指で必死に書類をめくる。
と、その時玄関からドアの開く音が聞こえた。
「…………しまった」
この家で暮らしているのはアリソンだけではない。実はトラヴァス少佐自身の娘であるところの、あの少女の存在を失念していた。
やがて彼女は、この時間の凍りついた部屋にその姿を現す。
何もいえないトラヴァスに代わって、アリソンが間の抜けた声でその名を呼ぶ。
「あ、リリアちゃんおかえり〜」

「…………リリア」
鬱々とした気分に沈み込もうとしていたトレイズの脳裏に、彼にとって一番大切な少女の顔が浮かんだ。
子供たちが乗った飛行機を落とそうとしていた男たちに向かって、彼女ははっきり、堂々と『悪党』叫んで見せた。
あの時のリリアは滅茶苦茶格好良かった。惚れ惚れするようだった。
少しだけ体に力が戻ってくる。
確かに世の中、裏も表もいろいろあって、誰もがそれなりの事情を抱えている。
だけど、それでも納得できないこと、退いてはいけないことはあるのだ。
彼は以前、東西の戦争を終結させた壁画の発見について、その発見者である父から聞かされたことがある。
壁画の洞窟の入り口で、自分たちを殺そうとしていた男の命を、その時はまだ少年だったトラヴァス少佐、ヴィルが撃ち殺した。
誰よりも優しく、暴力を好まなかった彼の手で、男は殺された。
223SBI:2006/03/16(木) 18:36:36 ID:G8sH0EOV
その後、彼は泣き出しそうな表情で呟いていた。
『僕には正解がわからない』と
トラヴァス少佐の悲しげな微笑が蘇る。
多分、彼はまだ悩み続けているのだろう。
どちらが正解なのかわからない。彼はその狭間に立って今でも苦しみ続け、しかし、それでもなお、自分のやるべき事を諦めようとしていない。
トレイズは大きく勢いを付けて、一気に起き上がった。
湖の上を渡る風が、トレイズの頬を優しく撫でる。穏やかな湖面に太陽の光がキラキラと反射する。
トレイズは再び、湖に向けて歩き出した。
簡単に答の出る問題じゃない。
でも、だからこそ、逃げずに立ち向かうのだ。
苦しむだけ苦しめば良い。それ以外の方法を、自分は知らないのだから。
もう一度、リリアの笑顔を頭の中に浮かべる。
うん、大丈夫だ。
水際に立って、軽く柔軟体操。
実はまだいくらか残っていた水への恐怖心が、いつのまにか自分の中から消え去っていることに気がつく。
「なんだ。俺って結構やるじゃないか」
勢いをつけて飛び込むと、派手な水しぶきが上がる。
無様に、もがくように、それでも着実にトレイズは泳いでいく。
絶え間ない苦悩の狭間を、休む事無く、少しずつ、トレイズは進んでいく。

…………そんな彼にはもちろん、首都のアパートの一室でトラヴァス少佐が、3人の女性の狭間で苦しみ続けていることなど、知る由もなかったのだけど……。
224SBI:2006/03/16(木) 18:39:49 ID:JPMtbX6t
……こんな感じでした。
まあ、やっぱりヴィルですから、こんなもんだろうと思ってます。
果たしてトラヴァス少佐の運命やいかに?
続かないけどね。
それでは、また………。
225名無しさん@ピンキー:2006/03/17(金) 17:55:25 ID:t2Sdau+0
>>224
GJ!
3人の板挟みに遭うヴィルテラワロスw
226名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 00:02:01 ID:kZmebEBG
ところで「掲示板の国」みたいなタイトルで実際に三日間2chの一つの板に留まってから小説を書くって面白そうじゃね?
何時になるかわからんけど書いてみたいな
227名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 03:28:49 ID:h9XbJWx3
>>226さん頑張ってどっかのスレに三日後投下して下さい。
228226:2006/03/19(日) 14:04:48 ID:BeMcTJJ4
>>227
むしろいろんな書き手さんがいろんな板に行ってからそれぞれが書いたほうが面白そうじゃね?
229名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 21:13:04 ID:MtNUcwSE
>>226
面白そう
230名無しさん@ピンキー:2006/03/21(火) 00:06:57 ID:hPRAYnjf
じゃあここ
http://pc7.2ch.net/jisaku/
231 :2006/03/23(木) 10:33:08 ID:h/nF9uH1
うわ
しばらく留守にしてる間に結構SS溜まってるな
素晴らしい事ですな
時間が出来たらゆっくり読もうかのぅ

>>226
ほうほう
なかなか面白そうじゃマイカ
時間が出来たら参加したいのぅ


しかし何しろ時間が無い・・・・
明日から仕事で一週間、比律賓へ行ってきます いや行かされてきますorz
帰ったら一本くらいSS書く時間できるかも

一週間・・・ネット無し・・・・・・・・・・
232SBI:2006/03/26(日) 11:14:44 ID:wgIAJcIX
えっと、懲りもせずにまた書いてきましたよ。
犬耳キノさんなお話です。
それでは……。
233SBI:2006/03/26(日) 11:16:24 ID:wgIAJcIX
そよ吹く風邪が広がる草原を波打たせる。流れる小川が穏やかな春の陽射しを反射して、キラキラと輝く。
それほど高くない山と山の間に囲まれて、その国はあった。ぐるりと丸い城壁に囲まれた、いかにも平和そうな、どこにでもあるような国だった。
しかし、今日ばかりは少し様子が違うようだった。国の中への入り口、城門の辺りがなにやら騒がしい。
「貴方のような人間を入国させるわけにはいきません」
「そ、そこをなんとか…」
「くどい!!」
怒鳴り上げる声が響いて、草原の静寂が少し破られる。それからいくらかの間をおいて、エンジン音と共に一台のバギーが城門から出てくる。
「また入国拒否されてしまった……」
その運転席に座っていたのは緑色のセーターを着た長身の男、しょんぼりと肩を落としてため息を付いている。
「……………」
運転席に座る男の隣、助手席に納まっているのは年の頃12歳ほどの、白い髪の女の子。
そして、いつも笑ってるような顔をしてるけど、いつも笑ってるわけじゃないお馴染みのあの白くて大きくてフワフワモコモコの犬じゃなくて……
「まったく、こう立て続けだと困っちゃいますよね。ワン!」
精悍な顔をした旅人の女の子、パースエイダーの有段者、みんな大好きつるぺた娘、キノがそこにいた。
しかもキノさん、なんだか知らないがいつもと様子が違っている。頭とお尻になにやら白い犬の耳と犬のしっぽをそれぞれ生やしているのだ。
さらにその上、今のキノさんはなにやら言動もおかしいようで
「ワン!じゃないですよ。キノさん……」
「何言ってるんですか、今のボクは陸君ですよ。ワン!」
「キノさぁんっっ!!!」
「だから、陸君ですって」
こんな調子で自分の事を陸だと主張するのだから、シズの心労は推して知るべしだろう。
もうウンザリといった口調のシズの横で、キノは平然とした表情で犬耳をピコピコさせている。
「………ああ、一体何がどうなってるんだ?」
俯いてハンドルに寄りかかったシズが呟く。
そんなシズの様子を見ていたキノは、ふっと微笑んでこう言った。
234SBI:2006/03/26(日) 11:17:09 ID:wgIAJcIX
「そんなに肩を落とさないでくださいよ、シズさん。ボクだって頑張りますよ。シズさんのいる所がボクのいるべき所なんですから、ワン!」
優しいキノの言葉を聞いて、シズの口からまた大きなため息が漏れる。
本当にどうしてこんな事になってしまったのか?
事の起こりは1週間ほど前にさかのぼる。

ちろちろと二回ほど、暖かく湿った何かが頬を撫でるのを感じた。夢と現の狭間を彷徨っていたシズの意識が、その感触の心地よさで覚醒に向かう。
誰かがシズの頬を舐めているのだ。
「んん、陸か?」
今のシズの近くでこんな事をしてくるのは、シズの旅の相棒である犬の陸しか考えられなかった。
いつもはほっぺたを舐めてくるような甘えん坊ではないのに、今日はどうした事だろう。シズの目を覚まさせるのなら吼えるだけで十分な筈だし。
「ふぁ〜。陸、おはよう」
寝ぼけ眼を擦りながら体を起こす。しかし、シズの前にはここにいるはずの陸の姿が見えない。しばらくぼんやりとしたまま辺りを見回すが、やっぱりいない。
と、突然シズの背中に何者かが覆い被さった。
「……なっ!?」
寝ぼけていたとはいえ、半端な賊の接近を許すようなシズではない。それがこうも簡単に後を取られていたとは。
まさか陸は既にやられてしまったのか?ならば先程シズの頬を舐めたのは?
一瞬の間にシズの頭の中を駆け抜けた思考は、背中に覆い被さった賊の声で打ち消された。
「おはようございます。シズさん」
「えっ!?」
聞き覚えのある声、十代半ばほどの少女の声、シズはこの声の主を知っている。
「キノさん!?」
振り返ったシズの目の前には、今も彼の脳裏に鮮やかに焼きついているその少女の姿があった。
短めに切った黒髪、ぺったんこな胸、間違えようがない、彼女は旅人のキノさんだ。しかしこのキノさん、何か余計なものがついているような気が……。
「違いますよ、シズさん。ボクはキノじゃありません」
235SBI:2006/03/26(日) 11:18:13 ID:wgIAJcIX
真っ白ふさふさの犬耳犬しっぽが、キノの頭とお尻で揺れている。
なんだ、これは?
全く自体のつかめないシズに対して、キノはこう言って微笑んで見せた。
「今のボクは、陸君なんです。ワン!」
よく見ると犬耳キノの首には、鎖付きの皮製の首輪がつけられている。首輪に取り付けられたネームプレートにはご丁寧に『陸』と書かれていた。
「…………………キノさん」
「はい?」
「やっぱりキノさんじゃないですか。キノさんなんでしょう!!」
「いやいや、まあ確かにそうなんですけど、今のボクはキノである前に陸君なんですよ」
「何言ってるんですか!!大体こんな首輪なんかして、本物の陸は首輪なんてつけていませんよ!!!」
「でも、ボクは見ての通りしっぽと耳以外は人間のまんまですから、シズさんの飼い犬としての雰囲気を出すために」
「だからなんでキノさんが私の飼い犬なんです?そもそも陸はどこに行ってしまったんです?」
「さあ、ボクにもさっぱり……」
凄まじい剣幕で叫び続けたシズは息を切らせてへたりこむ。
なんなんだ?一体何がどうなったら、こんなイカれた状況が……。
一転して黙り込んでしまったシズの肩に、キノは優しく手を置いて、少し恥ずかしそうにこう言って
「えっとシズさん。なんていうか…その……ふつつかものですが、よろしくお願いします。ワン!」
カチャン、と首輪についた鎖の先の金具をシズのベルトへと取り付けた。

まあ、それだけなら良かったのだ。それだけなら……。
「なるほど、シズさんにティーさんですか。それから、お隣のその子は……」
じっとりとした入国審査官の視線がシズの横に座った犬耳キノへと注がれる。
「あ、あの、彼女はキノさんと言って……」
「ボクはシズさんの飼い犬の陸君と言います。ワン!」
しどろもどろに答えようとしたシズの言葉を、キノのはきはきとした言葉が遮った。
236SBI:2006/03/26(日) 11:19:02 ID:wgIAJcIX
面食らった入国審査官はその言葉の意味をしばらく吟味して、仲良く並んで座るシズ、キノ、ティーを順に眺めてから……。
「残念ですが、貴方たちの入国を許可する事はできません」
冷酷に、その言葉を言い放った。
「そんな!」
「残念ですが、わが国は貴方たちのようないかがわしい人間を入国させる事はできません」
「い、いかがわしいって…」
「個人的な趣味というのは仕方がありません。ロリコンってのはどうかと思いますが、旅人の方にまでわが国の価値観を押し付けるわけには参りません。しかし……」
入国審査官はありったけの軽蔑を込めた眼差しで睨みつける。
「奴隷商人、人買いの類はそもそも法律で入国を禁止されています。幼女二人を手篭めにして何考えてるのか知りませんが、この国に貴方の居場所はありません」
もう、シズはぐうの音も出なかった。
「まったく、人間を犬呼ばわりして、鎖なんかで繋いで、許されるものならこのパースエイダーで貴方に風穴開けたいぐらいですよ」
というわけで、シズ様ご一行は城壁の外へと放り出される。
「元気出してください、シズさん」
暖かくありがたいキノさんのお言葉、しかし打ちのめされたシズは、しばらくはまともに喋る気にもなれそうにない。
一体これで何度目だろう?
現在シズ達が旅をしている辺りの国々は、総じてモラルが高いようだった。
人間を首輪で繋いで犬呼ばわりの、ロリコン変態を入国させてくれる奇特な国はこれまでのところ存在しなかった。
なんとか穏便に済ませようとしても、キノが執拗に自分を飼い犬だと主張する。外しても外しても、シズのベルトに首輪の鎖を繋いでくる。
実際のところ、シズは陸を飼い犬じゃなくて頼りになる相棒だと思っていたし、鎖なんかで繋いでもいなかったのだが、キノさんはお構い無しのご様子である。
このままではヤバイ。どこにも入国できないのでは旅をしている意味がないし、そもそも食料を始めとした消耗品が不足し始めている。
ウンザリとした気持ちで助手席の方を見ると、シズの横顔を見つめていたキノと目が合う。その頭の上で揺れている犬耳を見て、さらにウンザリ。
(……ああ、キノさんを見てウンザリするなんて……)
このままキノさんを嫌いになってしまったら……。考えたくもない未来を想像して、シズはさらにさらにウンザリに取り込まれていく。
泣きたい気分だった。
どうにかしなくてはいけないのだけれど、どうする事も出来ない。
237SBI:2006/03/26(日) 11:19:41 ID:wgIAJcIX
完全に手詰まり、袋小路の行き止まり、チェックメイトで打つ手無し。
シズに出来る事はせいぜい、海よりも深くため息をついて、こう呟く事だけだった。
「……………はぁ、何でこんな事になってしまったんだ?」

なんて、一人で疑問を抱えていても何の解決にもならない事は目に見えている。何事においても問題を解決するには、その原因を探るところから始めなければなるまい。
というわけで当事者に質問してみることにした。
もう何日目になるかわからない野宿の夜、焚き火を前にしてシズが、キノに問い掛けてみた。
「ボクが陸君になってしまった理由ですか?う〜ん、見当もつきませんね」
「少しでもヒントが欲しいんだ。思い当たる事があれば何でもいい」
「そうですね………」
しばらく尻尾をパタパタやりながら考え込んでいたキノが、何を思い出したのかふいに顔を上げる。
「そういえば、関係あるかどうかは微妙なんですけれど、つい先日立ち寄った国で……」
キノがこんな状態になるほんの少し前に、彼女は森の中に小さな寂れた寺院を見つけた。
もうほとんど遺跡と言ってもいいほどボロボロな寺院だったけれど、どうやらまだお参りに来る人もいるようできれいな花なんかが供えられていた。
しばらくその場に佇んで、辺りを流れる穏やかな空気を楽しんでいたキノだったが、不意に後から声をかけられた。
「あんた、旅人さんかね?」
振り返ると長い白ひげを生やした老人が一人いた。「ええ、そうです」と答えたキノに、老人はこ寺院の事を説明してくれた。
「これはな、ここいらの神様をお祭りしとる建物でな。そいでな、この神様というのがなかなか有難い神様でな……」
「というと?」
「ウム、昔からいわれとる事なんじゃが、この神様にお願いするとな、何でも自分の望みのものになることが出来るんじゃ」
老人によると、ここの神様のお陰で王様になった靴職人、偉い僧侶になった百姓、願いがかなった者の伝説は山ほどあるのだという。
「なかなか豪気な神様じゃろ?自分のあり方なんて、そもそも簡単には思い通りにならんと言うのに。あんたも、ホレ、何か願い事をしてみんか?」
というわけで言われるままに、キノは願い事をしてみた。
「それで、ボクは……飼い犬になってみたいと願ったんです」
「飼い犬に?何故です?」
238SBI:2006/03/26(日) 11:20:49 ID:wgIAJcIX
「……それは、その、前日にお金持ちに飼われて随分贅沢そうな暮らしをしてる犬を見たので……その、少し羨ましかったんですよ。沢山ご飯を食べてたし……」
悪戯の言い訳をするように、自分が犬になることを願った理由を説明したキノ。シズはなんだか納得がいかないような表情で腕組みをして
「なんだか、変ですね。本当にそんな事を願ったんですか?」
「はい、願いましたよ」
「なんだかキノさんらしくない願いですね……」
するとキノは少しだけ不機嫌そうな表情を浮かべて反論する。
「別に、ただの気まぐれですよ」
「そうですか?」
「それに、ボクらしいとか、らしくないとか、それこそあんまり意味のある話だとは思えません」
ちょっとだけ、ムキになったような口調だった。シズはなんとなく言い返せなくなってしまう。
「ボクにだって、ボク自身の全てがわかるわけじゃない。ボクじゃないシズさんなら、なおさらでしょう?」
確かにその通りだった。
「とにかく、ボクが陸君になってしまった件について、思いつくのはそれぐらいですね……」
そう言って一方的に話を打ち切ったキノは、シズの横で犬がするように丸くなって、シズの膝の上に頭を置いた。
「キ、キノさん?」
「今のボクは犬なので、こういうこともします。ワン」
と言って、シズがうんとも、いやとも言う前に、目を閉じて眠りに落ちていった。
無理にどけるわけにもいかず、シズは動けなくなってしまう。どうにもキノさん、気まぐれ加減は犬と言うより猫のようだった。まあ、どうでもいい事だが。
「神様へのお願いか。確かにこの状況、少しばかり神がかってはいる」
神様の力だとしたら厄介である。元に戻す術がない。キノが犬のままで、態度も今のままならば、当面どこもシズ達を受け入れてくれないだろう。
「………となると、一体どうやって食いつなごう?」
考えてみたが暗い未来予想図が浮かんでくるばかりだったので、シズは諦めて、キノを抱きかかえたまま眠りに付く事にした。

と思いきや、事態はあっけなく解決に向かった。
「どうぞどうぞ旅人さん、歓迎しますよ」
239SBI:2006/03/26(日) 11:23:26 ID:wgIAJcIX
審査とも言えない様な簡単な審査を終えて、シズ達はその国の中に足を踏み入れた。
あれだけ思いつめたのが嘘のように、すんなりと入国を許されて、シズは素直に喜んで良いのか微妙な表情を浮かべていた。
まあ、入れないより入れるにこした事はないだろう。国の顔であるはずの入国審査官が、顔に斜めに傷の走った悪人面だったのは気になるが。
「ともかく、今夜の宿を探すとしよう」
入国する時にもらった地図を頼りに、宿への道を急ぐ。恐ろしく小さな国だったので、迷うことなくシズ達はその宿に辿り着いた。
そこは………。
「な、何だこれは?」
そこにあったのは一見お城のような、しかし致命的に安っぽい建物だった。
この雰囲気にはシズも見覚えがある。盛りのついた男女が二人して、仲睦まじく共に夜を過ごす場所、っていうか……
「……ラブ……ホ……」
みなまで言うまい。いや、もう言ってるようなものだけど……。
何度も地図を確かめる。シズは確かに、国一番の宿だと聞いてここに来たのだ。しかし、どうやら地図もシズも間違いは犯していないようだった。
そこでふとシズは気が付く。
「いかがわしい事を理由にどの国でも入国拒否された私たちが、この国に限っては簡単に入国する事ができた。これは、もしかして……」
ぐるりと辺りを見回すと、道行く人の腕に刺青、でっかい傷、ビョウのついた服、皆一様にどこか擦り切れたような雰囲気を漂わせている。
誰も彼もがカタギには見えない。と言うよりこの国にはいわゆるカタギの人間は存在していないようだ。
いかがわしいシズ達を受け入れた国もまた、どうやら十分にいかがわしいようだった。
「ははは、面食らってるようだネ。お兄さん」
と、突然後から声をかけられて、シズは振り返った。ヨレヨレのタキシードに身を包んだ、胡散臭い男がそこにいた。
「あ、すみません。私は…」
「うちのお客さんだロ。さあ、入った入っタ」
強引な男に引っ張られて、シズ達は安っぽい城の中に入る。
「ま、アンタが何言いたいかはわかるヨ。いかがわしい事この上ないからネ。このホテルも、この国も」
「いや、そんな事は……」
「んな、無理しなくていいヨ。面食らってるのはコッチも同じ。幼女二人も連れて、豪気なロリコンもいたもんだネ」
240SBI:2006/03/26(日) 11:24:01 ID:wgIAJcIX
やっぱり、そう思われてるのか。なんて落ち込んでる暇もなく、シズ達はホテルのロビーのボロソファーに座らされた。
男は奥に引っ込んでから、人数分のお茶を用意して戻ってきた。
「ささ、冷めない内にどうゾ」
注がれた紅茶の芳しさに、最近は食いつなぐのがやっとで、嗜好品からはとんとご無沙汰になっていたシズ達はゴクリと唾を飲み込む。
最初に口をつけたのはキノだった。
「……美味しいです。こんな美味しいお茶は初めてです」
「ははは、喜んでもらえて嬉しいヨ」
キノの言葉に、男は顔をくしゃくしゃにして笑う。
「ま、この国は見てくれはともかくサービス充実、犯罪も少ないホントいい国なんだヨ。誰でも分け隔てなく受け入れてくれるしね。そう、例えば人買いロリコン男だって」
あまりに露骨な男の言い方に、シズは思わずお茶を吹き出す。
「ち、違いますよ。私は人買いなんかじゃなくて…」
「そうです!!ボクはシズさんの飼い犬なんですから、ワン!!」
うっかり『ロリコン』の方を否定し忘れたシズの言葉を、キノが遮る。
「って、キノさん。それは違うでしょう!」
「シズさんこそ、今のボクは陸君だって何度言ったらわかるんです?」
それはこっちの台詞だと叫びたい気持ちを無理矢理押さえつけ、シズは男に向かってこれまでの事情を説明した。
「それは、なんとも不思議な話ですネ」
「ええ、それからはもう苦労のしっぱなしで……」
どうやら男は納得してくれたようで、シズに対する人買い奴隷商疑惑も払拭されたようだった。
「なるほどなるほど、それなら尚の事、みなさんにはしっかり休んで貰わなければなりませんネ。御3人のためにとっておきの部屋を……」
と立ち上がった男の腕を、シズの手がぐいと掴む。
「む、どうかしましたカ?」
「いえ、その……」
シズは傍目から見てちょっとおかしいぐらい躊躇いながら、こう言った。
「部屋の事で少しだけ、注文があります」
241SBI:2006/03/26(日) 11:24:44 ID:wgIAJcIX
「どうしてですか?シズさん」
ホテル最上階の廊下で、ポツリとキノが呟いた。
「どうしてボクだけ、この部屋なんですか?」
「キノさんに十分、休養を取ってもらいたいからだよ」
シズがこのホテルのオーナーにした部屋に関する注文、それはまあ、聞いてみればどうと言う事のないものだった。
シズとティーは普通の部屋を、そしてキノだけはこのホテルで一番の部屋をあてがってほしい。たったそれだけだった。
しかし、部屋の等級が違えば、当然配置も異なってくる。となると、キノの部屋とシズの部屋は当然離れ離れになるわけで……。
「…………鬱陶しかったんですか?シズさん……」
「誤解だ、キノさん」
「ごめんなさい。正直、はしゃぎすぎていました。ずっとシズさんの旅の邪魔をしてしまって……」
「そんなことはない」
どれだけ言ってもシズは認めようとしなかったが、要するにキノだけが、シズから遠く離れた部屋に入ることになったのだ。
「わかりました」
くるりとシズに背中を向けて、キノは自分の部屋へと向かっていく。ペタンと潰れた犬耳と、すっかり元気を無くして垂れ下がるしっぽが、どうにも痛々しかった。
「ごめんなさい、シズさん。本当ごめんなさい………」
部屋に入る直前、ちらりとシズの姿を見てから、キノはもう一度謝罪の言葉を口にした。
シズは答えなかった。
バタンとドアが閉まって、廊下にはシズだけが取り残される。その手は何かを耐えるように硬く握り締められて、細かく震えていた。
「俺は……馬鹿だ……」
魔が差したとしか言いようがない。気が付いた時には、キノだけを良い部屋に入れるように、ホテルの支配人らしき男に告げていた。
疲れていたのだ。
四六時中キノといっしょにいて、それで何もかもが上手くいかなくなって、そういう状況にウンザリして……。
そんなウンザリが怖かった。
シズは本気でキノの事が好きだった。だからこそ、そのキノに自分が『ウンザリ』なんて感情を抱く事が怖かった。そのウンザリへの恐れがまたウンザリを増幅させた。
だから、シズは自分がウンザリに飲み込まれる前に、キノを自分から引き離した。この連鎖を断ち切るために。
242SBI:2006/03/26(日) 11:27:16 ID:wgIAJcIX
それがどんなショックをキノに与えるか、わかっていたはずなのに………。
「陸がいたら、怒るだろうな……」
なんて、今はいない相棒の名を呟いても虚しいばかりだった。

素直に部屋に戻る気にもなれず、シズはいつの間にかホテル一階のロビーにまで降りてきていた。
そこにはまだホテルの支配人のタキシード男がいて、ニコニコと得体の知れない笑顔を振り撒いていた。
自分から話し掛けることも出来ず、所在なげにソファーに見を預けていたシズを見かねたのか、男が話を振ってきた。
「あの、ちょっといいかナ?アンタがたが話してた神様、私知ってるヨ」
そもそも話し掛けられるなどとは思っていなかったシズが、驚いて顔を上げる。
「ウン。すっかり忘れてたんだけどネ。私その辺の国、住んでたヨ。今日の話聞いて思い出しタ」
「え?」
たやすく話しに食いついてきたシズに気を良くして、支配人は身を乗り出すようにして、ニコニコと話を続ける。
「ただネ、あのお嬢ちゃんの聞いた話、かなり大雑把になってるヨ。大事な部分が端折られてル」
「そうなんですか?」
「アア、そうだヨ。あれじゃオチの部分がすっぱり抜けてるんだヨ」
支配人の記憶によると、神様の力でなりたい者になった人間は、どれも必ず最後には自ら元の状態に戻るのだと言う。
「願いがかなってもいい事ばかりじゃなイ。失うものもあったんだヨ。元の生活にあった良い部分を失ってしまうんダ」
そしてお話の登場人物達はそろってそれに耐えられなくなる。お話の最後、王様は元の靴職人に、偉い僧侶も元の百姓に進んで戻ってしまう。
「人間ってのはなにしろ、矛盾だらけだからネ。相反する願いを持ってしまう事なんて当たり前、だから苦しいんダ。
願いだけじゃなイ。資質も同じだヨ。
私だってマトモなホテルやりたいのに、持ってるノウハウがアレだったもんで、気張って自分でデザインしたホテルが完成したら、この通りだヨ」
そこで少しだけしょげたように、支配人はわざとらしく肩など落としてみせる。
「この国もネ、見ての通りのちょっと道を外れた奴らの集まりだヨ。国民のほとんどは何かの理由で国を追い出された奴だヨ。
みんな本当はごく普通に暮らしたかったのにネ。ちょっとした運命のさじ加減で出来なかったんダ。そんな人間がやり直しを決意してやってくるのがこの国」
みんなと同じ道を行っても、道から外れて一人になっても、苦しくてくたびれてしまった人間の集まり。
243SBI:2006/03/26(日) 11:27:52 ID:wgIAJcIX
願いも能力も矛盾なく、ピッタリはまってくれる場所があれば、誰も苦しまずにすんだのに。
でもそんな場所はなくて、こっちを取ればあっちを失い、あっちを取ればこっちを失い、なんだかんだで多くのものを失ってしまう。
「あの神様はネ、そんな人たちを助ける神様。今持っているものを失うのは辛いから、色んなものを諦めた人のことを、大丈夫だって見守ってくれル。
失う事を覚悟で、勇気を持って踏み出そうとする人に、せめてそのためのチャンスをあたえようとしてくれる神様」
話を聞きながら、シズはぼんやりとキノの事を考えていた。
キノの一番の願いとは何だろう?
それはやっぱり旅をする事ではないか?エルメスに跨って、孤独に旅を続ける事ではないのか?
しかし、今彼女は、彼女の望む形の旅をしていない。バギーに3人で揺られる旅は、彼女の望む一人旅ではないし、シズ達の旅はそもそもキノの旅とは目的が違う。
だけども一緒に旅を続けている間、彼女は実に楽しそうだった。本人も言っていたことだけど、かなりはしゃいでいた。
キノが自分のための旅、一人きりの旅をするために犠牲にしたものが、シズ達との旅にはあったのだ。
親しい人間と過ごす旅の時間。
多分それこそが、あの神様が受け取った、キノの願い。
「やっぱり馬鹿だ、私は……」
うるさい位に自分の事を陸だと主張して、その影で彼女は何を考えていたのだろう。
不安だったのかな?
不安だったんだろうな。
突然、不思議な力で成就されてしまった願望は今にも崩れ落ちてしまいそうで、そこが自分の本来いるべき場所じゃない事が切々と身に染みて………。
はしゃいで、引っ掻き回して、今自分がシズ達と旅をしているという事を感じたくて、無茶苦茶なことばかりをした。
せっかく願いが叶ったのに、それ以外どう振る舞って良いのかがわからなかった。
シズがやったのは、そんなキノの叫びに耳を塞ぐことだった。
なぜならシズも、それ以外にどうして良いのかわからなかったから。
キノと一緒にいられて嬉しいのに、突然現れた彼女に何をしてあげればいいのか、全くわからなかったから。
「だが、まだ遅くはない………」
シズが立ち上がり、支配人の方に向き直る。
「面白いお話、ありがとうございました。私は……行ってきます」
244SBI:2006/03/26(日) 11:30:32 ID:wgIAJcIX
「そうかイ。楽しんでもらえたら、幸いだヨ」
一礼してから、シズは足早にエレベーターの方に向かう。ボタンを押してすぐ扉が開いて、中に乗り込もうとしたところでシズは振り返り
「ここに泊まれて良かったです。なるほど確かに、この国一番のホテルです」
面食らったような顔をした支配人に一礼してから、再びキノの部屋がある階へと昇っていった。

シズに避けられてると気付いてから、キノはすっかりボーッとしてしまっていた。
どれぐらいボーッとしていたかというと、コンコンとドアをノックする音を聞いた時、
「はい、シズさんですか?」
「さっきはすまなかった、キノさ…うわああああああっ!!!?」
「へ?」
「キ、キ、キノさん、キノさん服は……っ!!?」
シャワーを浴びていた事すらすっかり忘れて、ほとんどスッポンポンの状態で出てきてしまうぐらい、ボーッとしていた。
「ご、ご、ご、ご、ごめんなさいっ!!!」
などと叫んでからドアを閉めて、急いで衣服を身に着けてから、改めてシズを部屋の中に招き入れる。
キノと話をしようと意気込んでやって来たシズは、これですっかり出鼻を挫かれる形となった。正直、気まずくて何も話すことが出来ない。
というわけで二人は、仲直りをする事も出来ず、でっかいベッドの上に微妙に距離を置いて座る。
「…………」
「…………」
お互い会話には踏み出せずに、なんだか拷問じみた時間だけが、豪華な内装の部屋の中を流れていく。
動いているのは左右に一定のリズムで振れるキノの犬しっぽと、ときおりピクンと動く犬耳ぐらいのものだった。
それでもまあ、沈黙なんてものも、そうそう長く続けてはいられないものだ。
「………っ…っは…はくしょっ!!!」
最初に均衡を破ったのは、キノのくしゃみだった。なにしろ慌てて着替えたもので、濡れた頭をほったらかしにしていたのだ。体もすっかり冷え切っていた。
「………大丈夫か、キノさん?」
「……くしゅっ…だ、大丈夫です。大丈夫ですから……」
245SBI:2006/03/26(日) 11:31:05 ID:wgIAJcIX
ベッドの上に放り出されていたタオルを片手に、シズがキノのすぐ隣に座りなおす。頭の上からそのタオルをかぶせて、キノの髪の毛についた水をごしごしとふき取る。
「……ん、こんなものかな」
シズとしては結構丁寧に拭いてあげたつもりだったが、タオルをどけたキノの頭は髪の毛はボサボサで、犬耳もすっかりへたれてしまっていた。
ちょっと悪いかな、なんて思いながらも、シズはそんなキノの顔を見てくすりと笑う。
つられてキノも、ふっと微笑んだ。
そこでようやく二人は、自分たちがほとんどピッタリと言っていいぐらいに、くっついている事に気がつく。
「………キノさん」
「………あ」
ごく自然にシズは、キノの体を抱き締めていた。キノは素直に、その腕の暖かさに身を委ねた。
「……体も冷えてしまってるな。慌てて着替えさせて、すまなかった」
「いいですよ、シズさんの腕があったかいですから……」
優しく優しく、シズの手の平がキノの背中を撫でる。その度にわずかに犬耳としっぽが揺れて、二人はまるで本物の犬と飼い主みたいに見えた。
「困らせてばっかりで、ごめんなさい。シズさんと一緒にいられて嬉しかったから、ボク………」
「それなら私だって同じだ。キノさんの気持ちを、全く考えていなかった……」
「……それに、嘘もついていました。あの神様にボクがした本当のお願いは……」
キノが言い終わる前に、シズの唇がその言葉を遮る。
言わずともわかる事だった。キノが今ここにシズと一緒にいる事を考えれば、そのお願いが何であったかなど、簡単に知れる。
「ずっと会いたかった。話がしたかった。だから、ありがとう。キノさん……」
ベッドの上に、キノの体を押し倒す。なるほど最高の部屋らしく柔らかいベッドに、抱き合った二人の体は沈み込んでいく。
「…………ボクもです」
ようやく、二人とも素直になれた。
ぷつりぷつりとボタンを外し、先程急いで着たばかりの服を、シズの手の平が脱がせていく。
予想以上に湯冷めしていて、キノの体は冷え切っていたが、冷たい肌をシズの体温が温めていく感触は、キノにとって心地の良いものだった。
紅く染まったほっぺから、首筋をなぞって鎖骨を撫でて、ちっちゃな胸の上を、平らなお腹の上を、シズの指先が滑っていく。
「……あ…は…シズさん……シズさんの…ゆび……」
246SBI:2006/03/26(日) 11:33:16 ID:wgIAJcIX
思わず口から漏れ出た吐息すら、自分のものにしようとしているようなシズの甘いキスがキノの唇を何度も濡らす。
言葉に出来ない思いの全てを託すかのように、何度も何度も舌を絡ませ合う。
震えるしっぽを、揺れる犬耳を指で撫でてやるたびに、キノの体は敏感に反応して、シズの腕の中で身をくねらせる。
「…あっ…ふあ……そこ……ひああっ!!」
両の胸の上で精一杯に自己主張する可愛いピンク色の突起を、シズの指先が摘み上げ、押しつぶし、転がし、弄ばれるたびに走る電流だけで、キノの思考は蕩かされていく。
既に早鐘を打つように高鳴っている筈なのに、シズに触れるたびに加速していく鼓動は一向に静まってくれる気配もない。
体中が熱くて、痺れて、気持ちよくて、訳がわからないぐらいに押し寄せる感覚の洪水の中で、キノはただただ翻弄される。
唯一つ確かなのは、今この感覚を与えてくれる人が、愛しくて愛しくて堪らないということだけ。
「ああっ!!…ふあっ……ひあああっ…シズさぁんっ!!」
無我夢中でシズの体にしがみつきながら、キノはシズのズボン、既に大きくなった彼のモノでパンパンになった股間に手を伸ばす。
布地越しにでも伝わってくるその熱さに、キノの口からため息が漏れる。
「……ああっ…シズさんの……熱い…」
「……キ、キノさん…」
震えるキノの指先が、ゆっくりとファスナーを下ろしていく。
「…ボクにも…させて……ください…シズさん……」
シズはキノの促すままに体勢を変え、ベッドの上に仰向けになる。その股間のあたりに顔を埋めるようにして、キノはシズのモノを口に含んだ。
「…あ…んむ…んぅ……くちゅ…ぴちゅ……」
小さな彼女の口で扱うには少し大きすぎるシズのモノに、キノは懸命に舌を絡ませ、熱くたぎる怒張に少しでも刺激を与えようと奮闘する。
根元の部分から先の方へと何度も舌を這わせ、先端部分を舌先でつつき、口に含んだ亀頭に唾液を絡ませる。
たどたどしいけれど一生懸命なキノの舌遣い、顔を紅くして頑張るキノの必死な表情が、シズのモノをどんどん熱くしていく。
「くぁ…ああっ……キノさん…もう…」
「………っ!!?」
そしてついに限界を迎えたシズは、白く濁った熱をキノの口腔内にぶちまける。
「……はぁ…んぅ…んんっ…シズさん…すごく濃い……」
喉の奥へと打ちつけるようなその勢いに少しむせながら、キノはねばつく白濁液をゆっくりと嚥下した。
247SBI:2006/03/26(日) 11:34:17 ID:wgIAJcIX
シズは必死の奉仕でクタクタになってしまったキノの体を、そっと抱き寄せてやる。
「……えへへ…気持ちよかったですか?…バター犬…です……」
なんて軽口を叩きながら、キノはパタパタと嬉しそうにしっぽを振る。
「…ああ、気持ちよかったよ。ご褒美を、あげなくてはな……」
こちらも嬉しそうに笑ったシズは、キノを仰向けに寝かせて、再びその小さな体の上に覆い被さる。
見上げるキノと、見下ろすシズの視線が交わった。
「好きです」
「好きだよ」
ふっと微笑んで、どちらともなくキスを交わして、また微笑む。
「………シズさん、来てください」
こくりと肯いたシズは、自分の熱く脈打つモノを、キノの熱く湿った大事なところにあてがう。先の部分が入り口のところを撫でて、くちゅりと音を立てた。
「…キノさん、いくよ」
シズの瞳を真っ直ぐ見据えたまま、キノも肯く。
ゆっくりと、シズは挿入を開始した。柔らかく熱い肉の壁を押し割るようにして、シズのモノがキノの中に沈みこんでいく。
もっと深く、もっと奥へ、根元まで埋もれたシズのモノを、キノのアソコはきゅっと食い締め、熱く濡れた肉で包み込む。
「動かすぞ、キノさん」
優しく、穏やかに、シズは自分のモノを前後に動かし始める。
何度も何度も、互いの存在を確かめるようにキスを交わす。途切れ途切れの息の合間に互いの名を呼び合い、またキスをする。
知らず知らずの内に二人の体から迸る熱は大きくなってゆく。声が大きくなっていく。互いを求める行為は段々とペースアップしていく。
「…あっ!…ひあああっ!!シズさ…シズ…さんっ!!…ああああっ!!!」
突き入れられるごとに、キノの頭の奥に火花が舞い散る。快感が津波のように襲いかかり、理性はキノの指の隙間から零れ落ちていく。
我を失い、夢中になって、行為にのめり込んでいく。嵐のような快感の渦の中で、キノはただ必死でシズの体に抱きついていた。
ぎゅっと背中にしがみついてくるキノの細い腕、それが震えるのを感じながら、シズは何度もキノの中をかき回す。かき混ぜる。
「…ふああああっ!!シズさぁんっ!!シズさんっ!!…きもちいいっ!!!きもちいいよぉ!!!!」
「くぅ…ああっ!!…キノさんっ!!!」
248SBI:2006/03/26(日) 11:34:51 ID:wgIAJcIX
シズがキノを抱き締める腕の力も、段々強くなっていく。
抱き締めてみると、キノの体は細くて小さくて、シズの腕の長さが余ってしまいそうなほど頼りなくて、今にも消えてしまいそうで、それが本当に愛しくて……。
触れた肌は絹のようで、見つめる瞳は星空のようで、そんなキノの全てを一欠けらだって手放したくなかった。
体の奥からこみ上げる熱に浮かされて、シズはキノの体を必死で突き上げた。
「ふあっ!?…ああああっ!!!……シズさんっ!…ボクぅ!!!ボク…もう……っ!!!」
「うあ……キノさん…私も……もう…」
体が、心が、弾けてしまいそうなほどに熱くなっていく。おかしくなってしまいそうな、熱と、熱と、熱。
それでもただ目の前のシズが、腕の中のキノが愛しくて、二人は夢中で、腕を、脚を、肌を、互いの最も熱い部分を、その熱を絡ませ合う。
お互いがお互いの熱を、愛しさを増幅させていく激しい嵐の中、ついに二人は、その高みへと登りつめた。
「ふあああああああっ!!!!シズさんっ!!!シズさぁああああああんっっっ!!!!」
「キノさんっっ!!!」
痙攣を起こしたように体を震わせ、背中を仰け反らせて、キノは絶頂に達した。シズの熱が、キノの中で弾けて、キノの中を満たしていく。
「…あ…うあぁ…シズ…さぁん…」
くてんと力の抜けた体で、それでもシズの名を呼び続けるキノを、シズは優しく抱き締めた。
ぺたんとした犬耳を、震える背中を、さすがにぐったりとしたしっぽを、シズの手の平がいたわる様に撫でる。
厚い胸板、優しく包み込む腕の中で、キノは聞き取れるか聞き取れないかの、か細い声でつぶやく。
「…好き…です…シズさん…好き……」

ジリリリリリリリリリリリッ!!!!とけたたましい電話のベルで、シズは目を覚ました。
起き上がったベッドの上には、シズ、キノ、ティーが仲良く川の字になっていた。あの後、シズはキノを連れてティーの待つ部屋に戻ったのだ。
ほったらかしにされて腹を立てたティーが手榴弾片手に暴れるのをなだめて、なんだかんだで三人一緒のベッドで眠る事にしたのだ。
それにしても、モーニングコールなど頼んだ覚えはないのだが……。
考えながら、シズはすやすやと眠る二人を起こさぬよう、手早く電話の受話器をとった。
電話の相手はホテルの支配人、なにやら慌てている様子だ。最初は訳のわからなかったシズだったが、話の内容を理解するにつれて真剣な表情になっていった。
「はい……はい?…人間の言葉を喋る犬?…それが私の名前を?…どこにいるんです?」
249SBI:2006/03/26(日) 11:35:35 ID:wgIAJcIX
電話の受話器を置いて、シズは立ち上がる。同じように目を覚ましたのか、キノが目を擦りながら状態を起こす。
「どしたんですか?シズさん」
そう言ったキノの頭に、既に犬耳がなくなっているのを確認して、シズはキノに電話の内容を告げた。
「どうやら陸が見つかったようだ。それも、エルメス君と一緒に……」

ホテルの前の人通りを眺めながら、長身の男と、真っ白い大きな犬と、12歳ぐらいの女の子が佇んでいた。
「はい。その神様には、私もお願いをしました」
久しぶりに自分の定位置、シズの傍らに戻ってきた陸は、ぽつりぽつりとシズから離れていた間の事を話していた。
どうやらキノが犬耳になっている間、陸は二足歩行の犬人間になって、エルメスに跨って旅をしていたらしい。
「どうして、そんなお願いをしたんだ、陸?」
「それは………私は怖かったんです。シズ様と旅を続ける事が……」
長い間復讐を唯一の目的として旅を続けていたシズ、彼はいつでもその果てに自分が死ぬ事を考えていた。
シズと一蓮托生、どこまでもついて行くと誓った陸だったけれど、その日が来るのを思い描くのは怖かった。
大切な主人が、シズが死んでいく事を想像して、何度も眠れない夜を過ごした。
しかし、キノのお陰でシズは命を失わずにすんで、全ては一件落着したように思えたのだけれど……
「シズ様がティーに刺されて死にそうになったあの時以来、以前ほどではないですが、またあの恐怖を思い出すようになりました」
ふとした偶然で、キノが祈ったのと同じ神様の祠を見つけた陸は、誰にも言えないその思いを、どこにいるとも知れないその神様に語った。
言葉にして吐き出す事で、少しでも楽になりたかったのかもしれない。
「だけど、私はどこかで、失ってしまうなら最初から私一匹の方が、いっそ楽じゃないかと思ってしまった。だから、こんな妙な事になってしまった……」
沈んだ口調で話す陸の頭を、シズは優しく撫でる。
どこの誰とも知れない神様は、それぞれ正反対の願いを抱いていたキノと陸の立場を、気まぐれに入れ替えてみたらしい。
全ては人の身であるシズには想像もつかない出来事だ。
「辛い思いをさせていたんだな……」
陸はその言葉には答えずに、ただシズの手の平に撫でられながら、甘えるようにシズの足へと体をすり寄せた。
「まあ、二足歩行の陸は見てみたかったが」
250SBI:2006/03/26(日) 11:36:51 ID:wgIAJcIX
「行く先々で子供にたかられて大変でしたよ」
ほとんど、きぐるみのような二足歩行の陸が、子供たちに引っ張られたり、しがみつかれたりしている様子を想像して、シズはくすりと笑う。
とその時、エンジン音と共に道の向こうから、こちらも久々にエルメスに跨ったキノがやって来た。
「……でさー、そこでまた、あのバカ犬がね…」
などと、どうやらエルメス、陸の悪口を言っていたらしいが、シズ達の真ん前で停車したので、当の陸にもそれが丸聞こえになってしまった。
「こら、ポンコツまた変な事を言ってたな」
「ん、バカなバカ犬、そんなとこにいたんだ。聞こえてた?気付かなかったよ、ごめん」
もちろん、わざとだ。
ギャーギャーと吼えたり叫んだりし始めた犬とモトラドは置いておいて、エルメスからおりたキノはシズの前に立つ。
「行くのかい?」
「はい、三日間がボクのルールですから……」
キノの頭から犬耳が消えて、彼女の本来のルールを外れた時間は、既に終わりを迎えてしまった。
ほんの少しの間だけ、同じ方向に向かっていた二人の道は、再び別々の方向へとのびていく。
今度はいつ、会うことが出来るのだろう。
そもそも、果てしない旅の空の下で、もう一度会う事なんて出来るのだろうか。
そんな思いをちっとも顔に出さず、向かい合った二人はただただ優しく、少しだけ寂しそうに微笑み合っていた。
「楽しかったよ」
「ボクも、楽しかったです」
シズの大きな手の平が、キノの小さな頭をくしゃくしゃと撫でる。その間だけキノの微笑から寂しげな影が抜けて、嬉しそうな笑顔に変わる。
251SBI:2006/03/26(日) 11:39:17 ID:wgIAJcIX
「行く先々で子供にたかられて大変でしたよ」
ほとんど、きぐるみのような二足歩行の陸が、子供たちに引っ張られたり、しがみつかれたりしている様子を想像して、シズはくすりと笑う。
とその時、エンジン音と共に道の向こうから、こちらも久々にエルメスに跨ったキノがやって来た。
「……でさー、そこでまた、あのバカ犬がね…」
などと、どうやらエルメス、陸の悪口を言っていたらしいが、シズ達の真ん前で停車したので、当の陸にもそれが丸聞こえになってしまった。
「こら、ポンコツまた変な事を言ってたな」
「ん、バカなバカ犬、そんなとこにいたんだ。聞こえてた?気付かなかったよ、ごめん」
もちろん、わざとだ。
ギャーギャーと吼えたり叫んだりし始めた犬とモトラドは置いておいて、エルメスからおりたキノはシズの前に立つ。
「行くのかい?」
「はい、三日間がボクのルールですから……」
キノの頭から犬耳が消えて、彼女の本来のルールを外れた時間は、既に終わりを迎えてしまった。
ほんの少しの間だけ、同じ方向に向かっていた二人の道は、再び別々の方向へとのびていく。
今度はいつ、会うことが出来るのだろう。
そもそも、果てしない旅の空の下で、もう一度会う事なんて出来るのだろうか。
そんな思いをちっとも顔に出さず、向かい合った二人はただただ優しく、少しだけ寂しそうに微笑み合っていた。
「楽しかったよ」
「ボクも、楽しかったです」
シズの大きな手の平が、キノの小さな頭をくしゃくしゃと撫でる。その間だけキノの微笑から寂しげな影が抜けて、嬉しそうな笑顔に変わる。
252SBI:2006/03/26(日) 11:55:57 ID:wgIAJcIX
ミスってしまった。
>>250は間違いです。
ご迷惑をおかけします。
それでは、正しい続き、ラスト数行ですが、どうぞ……。
253SBI:2006/03/26(日) 11:57:17 ID:wgIAJcIX
「……それじゃあ、ボクはそろそろ」
「そうか」
再びキノがエルメスに跨り、エンジンをかける。
「………あのさ、バカ犬。結構、楽しかったよ」
「………まあ、私もそれなりに……」
1台と一匹の間にすらしんみりとした空気が流れる。別れの時だ。
帽子をかぶり、ゴーグルをかけて、キノの瞳が自分の行く道をまっすぐに見据える。
「また会おう」
「はい」
それは全くもって当てにならない約束だったけど、シズとキノは心の底からの言葉で、その約束を交わした。
ドルン。
滑るようにモトラドは走り出す。
「本当に、楽しかったです。ワン!」
口の中でそう呟いて、キノはエルメスのスピードを上げる。シズとキノ、二人の間の距離が段々大きくなっていく。
やがてシズの視線の先で、モトラドは道のはるか向こうへと消えていった。
254SBI:2006/03/26(日) 12:11:40 ID:wgIAJcIX
こんな感じでした。
てか、さっき訂正するべきだったのは>>250じゃなくて>>251の方だったか?
まあ、同じ内容を二度書き込むんだだけだから、どっちでも大した違いはないけど。
改めてゴメンナサイ。
ところで、第3保管庫に先日収録された『犬!(仮)』、このスレの>>78-91の事なんですが、
あの作品はリリアとトレイズのパロディ作品だったのですが、アリソンのパロ作品という事になって、他のアリソンパロと一緒の場所に置かれています。
第3保管庫管理人の方、ご覧になっていたら修正しておいていただけると有り難いです。
お願いします。
それでは、また……。
255名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 18:30:43 ID:Q1NpTQ0v
グッジョブ!
犬はいいものだ
256名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 23:40:39 ID:PToYc2R+
大したこと無い文章しか書けないのに
調子こいててうざい
あとがきくらいはさげろ
257名無しさん@ピンキー:2006/03/30(木) 00:12:43 ID:Eno1ng0w
そうですね




次の方どうぞ
258名無しさん@ピンキー:2006/03/30(木) 17:00:01 ID:lfTmQMOY
なんでこんなにSBIの文章(ってか作文だな)が神扱いされているか
わからない人間の数→(2/20)
259名無しさん@ピンキー:2006/03/30(木) 18:12:08 ID:0IPFC3+1
なんでこんなにSBIの文章(ってか作文だな)が神扱いされているか
わからない人間の数→(3/30)
260名無しさん@ピンキー:2006/03/30(木) 19:06:40 ID:5xmeM/k7
そうか…もう春か…
261名無しさん@ピンキー:2006/03/30(木) 19:08:12 ID:5xmeM/k7
春ですね
262名無しさん@ピンキー:2006/03/30(木) 20:22:41 ID:lfTmQMOY
>>260=261
見苦しいぞ、5xmeM/k7
263名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 01:28:27 ID:tckcAwwn
どうせSBI本人だろ
264名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 02:57:47 ID:GGv7T/Xr
日々シズキノに飢えてる漏れからするとほんとSBI氏は神
いつもありがとうハァハァ(AA略)
265名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 03:14:37 ID:/+wlD9zf
しかし、シズの子を孕んだ時どうなるんだろうか?
いや、シズの車にチャイルドシートがつくのは間違いないのだろうが
266名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 04:24:52 ID:tckcAwwn
SBIの作文は読みづらいし、いつもワンパターン。
話の流れも非常に不自然でいらいらするから、最近は読み飛ばしてる。
そのくせくっそ長いので無駄に「あぼ〜ん」が増えるし
たまにNGを解除してみれば、超舞い上がった自信過剰のまえがき+あとがき。
くだらねー部分で差し替えとかどうでもいいよ。
ってかオマエの作文なんか保管庫に入れてもらえるだ有難いと思え。
267名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 06:53:07 ID:aKyqnbvq
こういう煽りを覚悟して、無償で投下してくれてるんだから、
やっぱりSS書きの人は偉いね。
虹の絵師さんもそうだけど。
268SBI:2006/03/31(金) 11:24:17 ID:v7lWIEHm
これまで延々と長居し続けて申し訳ありませんでした。

>こういう煽りを覚悟して、無償で投下してくれてるんだから、
やっぱりSS書きの人は偉いね。

だけれども今回は、指摘された全ての事柄が、俺自身がうなずいてしまう様なものばかりなので、もう仕方がない。
もっと早くに気がつくべきでした。
大変ご迷惑をおかけしました。
失礼します。
269名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 12:01:13 ID:sw96wfWx
煽りに負けずにがんばってくれ。俺は好きだよ。
270名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 12:29:38 ID:wuqRcLSu
本人来た
これに懲りて(〜検 閲〜)ほうがいいと思うよ
慰めも所詮おまえを見下している意味合いなんだし。

がんばれ? カワイソウ? 全てが見下している表現じゃないかw
唯一は 応援している や 期待している か?
ふw
271名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 13:24:15 ID:tckcAwwn
>>268
どうせそうやって「そんなことないよ、俺は応援しているよ(ry」
みたいなレスを待っているんだろ?誘い受け。
ホントに反省してるんだったら、こんなとこ書き込んでないで
ひっそりいなくなるべ?
コテつけてるのも
「自分が書きました!!!前のもサイコーだったけど、今回のもイイでしょ!!!」
って主張したいからだろ?褒めてほしいからだろ?
いっちょまえの職人気取ってんじゃねェよ。その駄文でよ。
ハッキリ言うけど、お前キモイしウザイ。
こういう板だからちやほやするフリをされているだけ。
舞い上がるな。
272名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 15:24:49 ID:99xFPnBY
五行以上あるとどうしても縦読みしてしまうのは俺だけじゃない筈だ
273名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 17:01:58 ID:Z4DGQ2Di
今酷い自演荒らしを見たよ
274名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 17:07:55 ID:wuqRcLSu
おまいら我慢しろよ
俺だって作者士ねとか言いたいところずっと我慢していたのに('A`)


FFXIスレよりWYXE
275名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 21:41:35 ID:riGpNzve
第三者が不愉快になるのを忘れるな
276 :2006/03/32(土) 13:38:37 ID:a1u9k/1y
うっわぁ・・・・
やっと時間出来たから来てみたら・・・・・
こりゃあ春休み終わるまでしばらくナリ潜めといた方が良さげですな
277名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 02:20:42 ID:Alyc2iA8
何しろ春ですから


読みたくなければ来なければいいのにね('A`)

ついでに読みたいものは自分で書けばいいのにね('A`)

「無ければ作る」って精神を忘れちゃいけないよね('A`)





('A`)
278名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 05:25:10 ID:WGwuv2BG
まぁそうなんだが確かにSBI氏の話は長い。長すぎる。
読み飛ばそうにも長すぎてしんどいし、やたらスレが伸びてるかと思えば全部
それだったりでなー。でもSBI氏の話事態は嫌いじゃないんだよ。
279名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 09:24:21 ID:U7AvxhQi
ちょっと横から失礼。
SBI氏を擁護するつもりではないんだけど、俺も結構文が長くなる傾向がある。ここでは投下したことは無いけど。
やはり書き込みにしろ作品にしろ(作品と呼べるかどうかは別として)、長文はウザがられるもんなのか?
280名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 12:26:15 ID:XVaiESzI
とりあえず、俺はおいしくご馳走になったから続投を待つ。
281464:2006/04/03(月) 00:13:09 ID:0ZNYeCIw
おはよう。フランスから生還。
282名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 10:23:54 ID:07x8STby
長文は読む側が普段から読み慣れてないときついかもね
でも書き手には色々タイプがあるわけで
文章を切り詰めるのが苦手なタイプや、逆に_氏みたいな盛り上げが苦手なタイプも居てる訳だし
そもそも批判しかしてないやつは一体何様なのですかと
それだけ言われるのであれば貴方様はさぞかし素晴らしいSSをお書きになられるのでしょうね

(完読、読中問わず)読んだ上での批評ってのはものすごいプラスになると思うですよ
ココは削っても大丈夫では?とか、キノはもっとこんな感じちゃうん?とか、お前エロ無さ杉wうぇwwうぇwwwとか
そういう声があって初めて書き手は成長するものだと昔あるSS神は言ってたよ
だけど、ただただ一方的な批判は書き手にもスレにも悪影響になるだけじゃあないのかな
批評と批判を一緒のポケットに入れちゃあいけないと基地司令も言ってたよ
283名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 10:27:18 ID:QOH78vv0
>>281
長旅お疲れ様。
春が終わるまであと6日ぐらいになっております。
はぁぁぁ、待つか。
284名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 19:16:20 ID:dcP8VGa1
別に長文禁止のスレじゃないんだから。
さすがに2スレ全部使うとかなら別だけど、そうじゃないだろ。
285名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 19:30:32 ID:9GEIsZj0
チラシの裏
何故、素直に投下してくれるコトを喜べないのか。
例え自分の好みと違っても、作品があるだけでスレが盛り上がるのに。

と、超過疎の某スレの住人のぼやき
286464:2006/04/03(月) 20:06:34 ID:0ZNYeCIw
>>283
そうか・・・春か・・・
ロシアの次にオーストラリア行ってたから頭が死んでる。
287名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 22:10:35 ID:5EVOoW2e
ここんとこ忙しくてしばらく見れなかったんだけど
SBIさん居なくなっちゃったの?
288名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 00:37:27 ID:WRlw5Vzl
289名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 19:56:20 ID:/3plQlE/
セルフあぼーんしたらいいと思うのは私だけ? まさか。
それとも携帯電話ですか。それならp2を…。ちょっと面倒だけど。
290名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 12:19:07 ID:JSGxEGiV
よっしゃー、やっと春終了っぽい。
ツー事で職人さんカモン とか言ってみるテスト
291名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 14:43:52 ID:YQo4cbai
まだ春はおわらんよ…
292名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 22:13:01 ID:oZI1rkjI
だいたい10日か9日だったきがする
293名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 01:11:24 ID:P9+ux2JD
まぁいろいろ文句言う奴は自分がかけなくていらいらしてる奴ジャマイカ?

と、アリソンでSS書こうとしたけど挫折したものが言ってみるテスト
294名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 03:35:57 ID:+pif9S72
お前らなんだかんだで「職人さんカモン」なわけで
SBIは歓迎してないんだな。チョットワロタ
295名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 16:37:17 ID:OALct9aD
>>294
入ってるに決まってるジャマイカ
296名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 20:00:47 ID:0MJCN2BW
SBI氏まちです シズキノの潤いをくれ・・・
297名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 22:34:40 ID:N4pMwbIi
ことわる!
298名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 02:27:23 ID:CJioQmIl
まだ春なんですネェ…
まぁスルー推奨で。

リリトレの4巻目が出たらアリソン×リリアもの投下するから期待して待っててくれ。
299名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 21:50:31 ID:ZmFPAfp3
一番スルーできていないヤツがいるな。
まあ、「期待して」なんて言うんだから自信過剰で頭悪いカンジなんだろうけど。
300名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 00:01:36 ID:LFwMyFGi
逆にこれでちゃんと投下してしかも面白かったら格好いいな
301名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 01:56:21 ID:uoSNF2Xb
>>299
春休みの宿題終わったの?もうすぐ学校始まるでしょ?
302名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 10:26:03 ID:4UzlY5Gn
春休みは宿題無いんじゃね?
303名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 13:33:35 ID:VSBbDB55
>>302
あったと思うが・・・忘れたな

どーでもいいが
 キノ×シズ

 師匠×ハンサムだけど背が少し低い男
とどっちがいい?
304名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 21:29:41 ID:yHVOB8cs
キノ×シズはいっぱいあるから、師匠以下略の方が好まれると思われ


でも、作者のかきたいものをかくのが一番だよ
305名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 01:17:08 ID:jolWmBD8
ハンサム×師匠を書いてみたい…と思っている
306名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 02:20:25 ID:Asw7YVWm
じゃあ書いてくれ
307名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 10:00:26 ID:6yZV1Rfz
キノシズが欲しい ノ
308名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 10:52:51 ID:5bjaSnoA
SBI来ないかな
309名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 14:50:59 ID:TveIxLfz
くるわけないだろヴォケ!
310464:2006/04/10(月) 15:52:05 ID:yBc+T5M4
掲示板にヴォケとか書いて相手を威圧できてると思ってるヴォケがここにも一人
311名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 17:11:42 ID:TveIxLfz
>310ーーっ! クッキー クッキー!!!
312名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 19:21:58 ID:MdeU9bQt
ハンサム!ハンサム!
313001:2006/04/11(火) 04:03:28 ID:roOPvmjK
師匠×ハンスムになっちまったが
長くなりそうなのでとりあえず半分くらい投下してみる。



ある街を訪れたときの出来事。
珍しい旅人たちの来訪に街をあげて歓迎され、俺たちはVIP待遇で出迎えを受けた。
お世辞にも愛想の良くない彼女だが、また金勘定でもしていたのかもしれない。

市長の住む、大きな建物の中の接客室に通される。
ゆったりとしたソファーに腰掛け、向かい合った市長と他愛の無い話題を交わす。
訊かれることは決まっている。どうせ、道中の苦労話やなんかだ。
黙ったまま壁や棚の装飾品に物色の視線を送る彼女を他所に、
俺は調子よくぽんぽんと喋り続けた。

テーブルには3つのティーカップが置かれていた。
育ちの良くない自分でも、趣味の良いものだとわかる。
その中で、俺の前に置かれたカップの中身だけが
減っては注がれ、減っては注がれを繰り返していた。

「ほどほどにしなさい」

彼女が咎めたが、喋りすぎで喉がカラカラだった俺は
何杯もお代わりを注文した。なかなか香料の強いお茶だった。

それが、全ての発端だった。
314002:2006/04/11(火) 04:04:12 ID:roOPvmjK
一通り話し終えると、既に窓の外は暗闇に包まれていた。
市長は官邸に泊まっていくように勧めたが、彼女が断ると
俺たちは市の中心にあるホテルに案内された。
実に高級そうなホテルだったが、費用は全て街が持つと聞かされ
彼女は「ロイヤルスイートを一部屋」と頼んだ。
『無料なのになぜ一部屋なのか?』 少しの間悩んだが、
普段は安宿のきゅうきゅうな一部屋に二人で泊まっているのだし
深くは考えないことにした。

エレベータを上がり、ホテルマンに案内された部屋は
まったくもって至れり尽くせりだった。
大型のテレビスクリーン、オーディオ、広く深いバスタブに温水洗浄トイレ。
そして、ふかふかの羽毛布団に包まれたベッドがふたつ。

俺たちは順番にシャワーを浴びると、備品のナイトガウンに着替え
ベッドに倒れこむようにして眠った。
315003:2006/04/11(火) 04:05:01 ID:roOPvmjK
……そのはずだった。

目がぎらぎらと冴えて眠れない。おかしい。
やがてカラダ中が熱く火照ってきた。まるで、全身の血が沸騰してしまったようだった。
そしてその血流はカラダの一部に集中し、ナイトガウンの下腹部をこんもりと高く盛り上げた。

「マズイ、これは……」

おそらく先ほど飲んだお茶の成分が作用しているだろうことは、推測できた。
何故そんな悪趣味なお茶が旅人に振舞われるのかは、自分の知ったところではないが
とにかく”コレ”を収めなくてはならない。

俺は音を立てないようにベッドの外へ掛け布団を押しやると
彼女と反対の方向に体を向け、ナイトガウンの前をはだけさせた。

いきりたったイチモツに手を添え、反対側の手でゆっくりとシゴき始める。

「うう…、俺なんで旅先でまでこんなコト…」

情けないと思いつつも、コトをやめるわけにはいかず、
目を閉じ、オカズになりそうな記憶を探す行為に集中する。

最後に抱いたオンナ、誰だったかなぁ…。
あの国で会ったオンナ、いいオンナだったなぁ…。
師匠の目を盗んで遊びに行こうと思っていたけど、見つかっちゃったんだっけ…。
そういや、師匠も結構いいオンナだよなぁ…。
あの生意気な口にちんぽ突っ込んで、ひぃひぃ言わせてやりたいよなぁ…。

「……だから言ったでしょう」
「!!!」

びっくりして瞼を開け、跳ね起きると
ベッドの脇に座り込んだ彼女──師匠がこちらを見上げていた。
316004:2006/04/11(火) 04:05:45 ID:roOPvmjK
「ししししし、師匠!!?」

俺は咄嗟に枕で股間を覆い隠すと、ベッドの上に足を揃えて座った。

「ね、寝たんじゃなかったんすか?」
「さっきあなたが飲んだお茶は、この国で産出される特殊な茶葉で淹れられていて
神経を昂ぶらせる成分が含まれているんです。まあ、媚薬みたいなものです」
「はぁ…。それで、師匠はダイジョブなんすか?」
「私も市長さんも、カップには一切口をつけていません」
「……」

そういえば、そうだった。

「……手伝いますか?」
「は?」

彼女の突然の問いかけに、俺は随分と間の抜けた声を出してしまった。

「手伝うか訊いているんです」
「何をっすか?」
「あなたの自慰行為をです」

きっぱりと言い放った。

「も…もちろんっす!!!」

俺は間髪入れずウンウンと首を縦に振ると、ベッドの上に彼女が座るためのスペースを空けた。
彼女はベッドに上がり、アメニティーのウエットティッシュを手に取って、優しく甘い声で言った。

「枕を退かしなさい」

股間の枕を慌てて床に放り投げ、俺は改めて彼女に向き直った。

「よ、よろしくお願いします!」

彼女はふっと笑うと、自身の口元と目前にそそりたったソレをきれいに拭き、
ゆっくりと唇を近づけていった。
317名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 15:19:28 ID:MvFjmvF9
イイヨイイヨー
318名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 23:07:04 ID:yMYe0Wov
GJ!
後半にも期待。
319名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 20:04:19 ID:gpId/cBV
もう少し時間かかると思うので、
他の作家さん方、遠慮なく投下したり
皆さんで雑談されたりしていてください。
320SBI:2006/04/14(金) 17:45:36 ID:BVrwubaN
お久しぶりです。
逃げるようスレを去っておきながら、腹を立てている方も多いと思いますが、少しだけ、失礼します。
あの時言われたままに、ほとんど脊髄反射のようにして謝り、姿を消したことを今更ながらに悔やんでいます。
俺の行動に人を不快にさせるものがあった事は確かでしょう。特に文章が長すぎた事は、皆さん誰もが指摘した通りだと思います。
それらの自分のした事について、大した検討もなしに投げ出した事が本当に良かったのか?
もう一度ここで何かを書いてみたいとも思っているのですが、スレ住人を不快にさせてしまうのではないか?
そう、考えています。
ともかく、皆さんのご意見を伺えないでしょうか?よろしくお願いします。
321名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 18:56:19 ID:hqWfhfje
書いてくれるならそれでいい
322メロン名無しさん:2006/04/14(金) 19:10:01 ID:xEyZoSU8
意見を言えだと!!?


貴様…書いてくださいm(._.)m
323322:2006/04/14(金) 19:14:34 ID:xEyZoSU8
名前が…orz
324名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 05:17:01 ID:WcVpwKc2
また誘い受けか
325名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 07:05:20 ID:vgYyU8QU
良いも悪いも意見は気にしないで、どんどん投下すればいいじゃない。
エロSS書くのが楽しいんだろ?
ちやほやされたいだけなわけじゃじゃないんだろ?
だったら人の目なんか気にするな。

俺はあなたのSSで抜いてたから熱烈にキボン。
326名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 08:27:33 ID:GEl4pyeq
なんだかんだでこのスレはSBI氏のおかげでここまで来れたようなものだし…俺は応援してるよ。
もちろん他の職人さん達も期待しております。
327名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 08:52:45 ID:A0zILX7s
とりあえず一言、
早くSSキボンヌ
328 :2006/04/15(土) 12:36:40 ID:4vFsMuaf
お、やっと春が終わったみたい・・・・・いやまだか


とりあえず
書きたい人間は書くべきでしょうな

まあ、最近じぇんじぇん書いてない俺が言うのもなんだけどね
そもそも批判をマジに受けてもしょうがないでしょ
「批判は殺し、批評は生かせ」と、よくアシに行ってた作家さんが言ってたよ


俺が言えるのはこんだけ
決めるのは貴殿自身ですよ
329SBI:2006/04/15(土) 17:31:12 ID:J1aUYyjC
お答えいただいてありがとうございます。
またエロパロ書いてみようと思います。やはり、何か書いてみたいというのは正直な気持ちなので。
何か書けたら、また姿を現すと思うので、よろしくお願いします。
お騒がせして、申し訳ありませんでした。
330名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 20:56:22 ID:NPFRc/u1
何か書けたとしても騒がせたと言うなら
こないほうがいいと思うよ。どこぞのスレの
れいを見るまでもないけどね
331名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 22:15:19 ID:f+cB4rQT
そんなに見たくないならNGにしておけ
帰ってきて欲しいと歓迎する気もないが、出てけという気もない
332名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 22:11:08 ID:iwDVrKnO
保管庫から来たけどSBI氏のエロパロには愛を感じるよ愛を・・・
あと>>331氏へ、立て読みじゃないの?
333名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 22:17:10 ID:YKMp7nWw
 SSを作るのが職人であって、質問を振るのが職人じゃない。
黙って作品を投下してくれるだけで良い。
文句の中の参考になる部分を拾って自分の作品のレベルを上げるか、
全く無視して投下を続けるか、
自分が作品を投下する事はスレの迷惑になるからと思って身を引くか、
それは職人自身が決める事であり、名無しに意見を求める事じゃ無いのでは?

 漏れはSBI氏の作品がすきだし、復帰してくれるなら歓迎する。
ただ、>320、>329のようなウジウジした厨房、工房みたいな態度は取って欲しく無い。
そういう態度を取る限り、>256-266のような煽りが入り続けるのは避けられないと思う。
334名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 00:28:28 ID:FsyJJWxR
誰もいないのか?
335名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 02:26:23 ID:y5LwkjF4
なんか急に静かになったな。
嵐の前の静けさか?
まぁ前から神々によるうpだけで進んできたような名スレだからいいんだけど。
336名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 00:18:28 ID:j1yaPCWr
保守
337名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 14:27:43 ID:srlFeFIR
SBI氏もトリップ付けるか続き物の途中はsageて、オチでageるようにすればいいのでは・
338SBI:2006/04/24(月) 19:42:48 ID:lHZi7cgZ
とりあえず、また書いてきたので、投下してみます。
339SBI:2006/04/24(月) 19:43:55 ID:PH9EDLpm
どことも知れぬ暗い部屋の中、キノはシズと激しく交わっていた。
ギシギシと軋むベッドの音、汗ばんだ肌や濡れそぼった粘膜の立てる水音、荒く切れる息、喘ぎ声。薄暗い部屋の中で音の洪水に溺れ、キノは快感の中に沈んでいく。
細い腰が自分の意思を離れて激しく動き、下腹部から快感の波が押し寄せるその度にキノの頭の中は真っ白になる。
ブツ切れになった思考を満たすのは唯一つ、愛しい人の名前だけ。
「シズさんっ!!…あっ…シズさぁんっ!シズさん……っ!!!」
呼び声に答える代わりに、シズはキノの唇を塞ぐ。ぐちゅぐちゅと音が出るような激しさで舌を絡ませ合った後、唇を離すと唾液が糸を引く。
シズは次第にペースを上げて、容赦なくキノの身体を突き上げる。断続的な快感の波がひとつの大きなうねりとなる。キノの頭の中で、張り詰めていた糸がプツンと切れた。
「うあああっ!!!シズさんっ…ボクぅうううううううっ!!!!!!!!」

そこでキノは目を覚ました。
ガバッと起き上がり辺りを見回す。月の無い夜空、辺りの草むらとその中から聞こえてくる虫の声、焚き火の跡、眠る前となんら変わらない光景が目に入る。
最後に傍らに佇むエルメスの姿を確認してから、キノはふうっとため息を漏らす。
「………まただ」
眠りの隙間に入り込んだ淫らな夢の為に、真夜中に目を覚まされる。ここ数日、キノはこのパターンを繰り返していた。お陰で随分、睡眠不足になってしまった。
「欲求不満……なのかな?」
シズと幾度か夜を共にした以外は、大して経験の無いキノには、その言葉は現実感が無くて、何だか誰か別の人間の話のように感じられる。
しかし、キノは確かにこの淫らな夢を見続けている。この夢をもたらす欲望が、キノの中で確かに息づいているのだ。
キノが安らかな眠りを手にするには、それを鎮めるしかない。
「……んっ……はぁ…あ…」
夢の中で味わった体の火照りが残るショーツの中に、キノはそっと手を差し入れる。入り口を指先で撫で回すと、甘美な電流が走る。
「……このままじゃ……ボク…ほん…とに……えっちになっちゃ…う…」
そう呟きながら、キノは自分を慰める行為にのめり込んでいった。

結局、一週間以上が経過しても、事態は全く好転しなかった。
毎晩夢から覚めた後、すっかり興奮してしまった身体を自らの手で慰める。そんな事が続くと、段々と今までの刺激に対する感覚が麻痺していく。
340SBI:2006/04/24(月) 19:44:52 ID:PH9EDLpm
そしてキノの身体は今まで以上の刺激を求め、それに答えるように、夢の内容は過激さを増していく。欲求がエスカレートしていく。
「……っあ!…はぁ…そんなに深く入れられたらぁ!!」
今夜の夢の中でキノはシズが握ったキュウリをアソコに突き刺されていた。実はこのキュウリ、昼間キノが通り過ぎた畑にあったものと同じである。
最近の二、三日は、その日現実で見たものが夢に登場するようになっていたのだ。特に何か太くて長い棒状の物などを見ると、たちまち夢に現れてしまう。
そんな精神状態で現実を眺めていると、なんだか目に映るもの全てがいやらしい物に見えてきてしまう。
道端に転がっている角張った大岩が三角木馬に見えた。
橋を吊り下げるワイヤーを見ると、それで縛られた自分を想像してしまった。
これまで当たり前のものだったエルメスのエンジンの振動が妙に意識された。
キュウリ、人参、大根、バナナ、どれもこれも太くて長くて………。
頭の中が妄想で一杯になってしまう。
現実が夢に、夢が現実に、両者は混ざり合い、溶け合って、次第にキノの頭の中をエッチな事だけで満たしていく。寝ても覚めても逃げ場はないのだ。
「ふあああっ!!!はぁ…イクぅうううううっ!!!!!」
淫らな夢に捕らわれたキノは、後の穴をキュウリで塞がれ、前の穴をシズのモノでかき混ぜられて、絶頂の叫びを上げた。
そしてキノの意識は再び現実へ。ハッと目を見開き起き上がって、しばし呆然と周囲の様子を見回す。
「……また今夜もボクは…」
今まで見ていた夢の内容を思い出して、その恥ずかしさにキノは頬を赤くして俯く。
「……消えてしまいたい」
しかし、ポツリと呟いたその言葉とは裏腹に、既にキノの指先は熱く湿ったショーツの中へと入り込んでいた。

そんな事を毎晩続けていたのだから、寝不足になってしまうのも仕方がない事だった。やっとのことで目的の国に辿り着いたキノは、すっかり疲労困憊していた。
「…も、もうダメだぁ〜。はやくベッドにぃ〜」
「キノ、しっかり」
皮肉な事に、朦朧とする意識はキノにとって上手く働いた。意識がハッキリしなければ、余計な物が目に入らない上、妄想が際限なく広がっていく事も無い。
このまま何も目にする事無く、宿に辿り着く。そして真っ白なシーツの上で、淫夢でさえ追って来れないほどの、深い深い泥のような眠りに落ちるのだ。
右に左にフラフラと揺れながら、エルメスを押して大通りをキノが行く。その歩みが、突然止まった。通行人にぶつかってしまったのだ。
341SBI:2006/04/24(月) 19:46:02 ID:PH9EDLpm
「あ……ごめんなさ…」
慌てて謝ったキノは、ぶつかった相手の顔を認めた途端、その表情を凍りつかせた。そこにいた人物は、キノを毎晩悩ます夢に必ず登場する男性だった。
「やあ、キノさんじゃないか」
嬉しそうなシズの声が聞こえた瞬間、キノの頭のネジはどこか遠くへ吹っ飛んで行った。

「本当に久しぶりですね、キノさん」
「…は、はい」
「こんな所で出会えるなんて……本当に運が良い」
「そう……ですね」
「ところで、キノさん……」
「はい?」
「なんで、さっきからずっと私に抱きついているんですか?」
少し困ったような笑顔を浮かべて、シズが言った。指摘を受けたキノは、顔を赤くしながらも苦笑い。
「いや……なんていうか…あははは…」
二人は今、とあるホテルの一室にいた。シズが陸やティーと離れて行動していたのをいい事に、キノが半ばムリヤリ連れ込んだのである。
部屋にはちゃんとした椅子やテーブルもあるのに、二人はピッタリとくっついてベッドの端っこに座っている。
エルメスはホテルの駐輪場に厄介払いしたので、今この部屋はキノとシズの二人っきりだ。さすがのシズも、そんなキノを少し変に思っているらしい。
「いえ、その……ボクもシズさんと会えて嬉しいんですよ……」
本当は、それだけの理由ではないのだけれど……。
なにしろ毎晩の淫夢に現れて、散々キノを焦らし続けた相手が目の前にいるのだ。落ち着いていられるわけがない。
しかし、キノの様子がいつもと違う事に気が付いているはずなのに、シズは他愛もない世間話をするだけだ。
(夢の中ではすぐにボクを押し倒すくせに〜)
一方、すっかり頭に血が上っているキノは、夢と現実を混同して怒りを膨らませていた。
もうこれ以上待つ事はできない。心も体も限界だ。ぐっしょりと濡れたショーツの奥から湧き上がる熱が、次第にキノを追い詰めていく。
「キノさん、どうしたんだ?そんな怖い顔をして」
342SBI:2006/04/24(月) 19:47:37 ID:PH9EDLpm
相変わらずキノの思いを少しも察してくれないシズの態度に、キノは決意を固める。
こうなったら、ボクはもう、変態になってしまおう。
「シズさん、ごめんなさいっ!!!」
「えっ!?うわあああああっ!!!」
キノの腕が、シズの身体をベッドの上に力いっぱい、強引に引き倒した。事態を理解できず呆然とするシズの上に、キノがのっかる。
「シズさんっ!シズさんっ!!シズさんシズさんシズさんシズさんっ!!!!!」
大声で叫んでから、シズと唇を重ねる。積極的に舌を絡ませ、力一杯の首に抱きつくと、ようやくといった感じでシズの腕がキノを抱きしめ、キスに応じ始めた。
「キノさん、何故、いきなりこんな……」
「ずっと、ずっとこうしたかったんです。シズさんと……」
欲望に任せての行動が少し恥ずかしくなったのか、キノはシズの視線から顔を逸らす。しかし、その腕はシズの身体をぎゅっとつかんで離さない。
「ずっと毎日夢を見てました。シズさんの夢を……そして、今日やっと会えた。もう我慢なんて出来ません」
一方のシズはどうして良いやら見当も付かず、ただ目を白黒させるばかり。
「シズさんの匂い、シズさんの体温、ああ………」
シズの胸板に頬ずりしながら、キノはシズのズボンのファスナーをゆっくりと下げていく。
「シズさんの…熱くなってる……」
パンツの下から現れたシズのモノを、キノは小さな手でそっと包み込んだ。手の平一杯に伝わるその熱にうっとりしながら、前後にしごき始める。
細く滑らかな指の一本一本が生き物のように絡みつき、シズのモノに刺激を与える。最初は柔らかさを残していたモノが、キノの手の平の中でだんだんと硬く大きくなっていく。
堪え切れずに先端から滲み出た先走りを、キノの舌が美味しそうに舐め取る。そして、そのまま自分の口の中へと導き入れた。
「…はむ…んんっ……んちゅ…くちゅ…」
「く……っ、キノさん……」
自分の股間に顔を埋めて、夢中になってしゃぶり続けるキノ。彼女を無理に引き剥がす事も出来ず、シズはほとんどキノにされるがままの状態となる。
キノの舌遣いは拙かったが、なにしろ熱気が違った。激しく絡み付いてくるキノの小さな舌は、シズを着実に快感の高みへと導いていった。
「すまない、キノさん……もう…出るっ!!!」
「……………っ!!!?」
放たれた白濁が口の中で暴れ、喉を打つ。思わずむせそうになるキノだったが、何とか耐えて粘つく精液を嚥下する。
「……っはぁ…あぁ……シズさんの……濃くて…おいし…」
口の中から溢れ出て指に付いた白濁を舐め取りながら、うっとりとつぶやいていたキノだったが、いつのまにか体を起こしていたシズの視線に気付く。
ちょっと困っているようなその笑顔に、キノの正気が少しだけ戻る。
343SBI:2006/04/24(月) 19:48:49 ID:PH9EDLpm
「…あ、シズさん……」
改めて考えるまでもなく、自分の行動は滅茶苦茶だった。シュンと肩を落として、キノが謝る。
「……ご、ごめんなさ……」
しかし、謝罪の言葉は唐突に遮られた。シズの唇が、キノの唇を塞いでいた。シズはそのままキノをベッドに押し倒し、その上に覆い被さる。
呆然とするキノを真上から見下ろして、シズは微笑んだ。
「まあ、その………正直驚いたし、今もまだ戸惑ってる」
「……は、はい」
「でも、嬉しくもあった。形は何にせよ、キノさんが、好きな人が俺を求めていてくれた。夢に見るほどに……」
「いや、でも、ほんと単なるいやらしい夢だったし……」
「構わないさ」
ぷつりぷつりと、シズの指がキノのシャツのボタンを外していく。夢ではない。キノが自分から求めていったわけでもない。シズの意思によって、キノは裸にされていく。
「俺だって、キノさんとしたかった」
胸の上からお腹の方へと、シズの指がキノの肌の上を滑った。今まで何度となく見た夢を遥かに凌駕する存在感に、キノは息を呑む。
(シズさんの指が、触ってる……)
下腹部へと到達した指先はそのまま、閉じられていたキノの太ももを押し割って、一番敏感な部分に触れる。
「ふあっ!?…や…あああああああああっ!!!!」
自分でも戸惑うくらいに大きな声が出てしまう。
夢とはまるで違う。比較にならない。誰かの指で触ってもらう事が、こんなに気持ちよかったなんて……。
「もう、びしょびしょだな、キノさん」
「ひっ…や…そんなぁ…」
「どんどん溢れてくる。まるで洪水みたいだよ」
耳元で囁かれる。熱い息が首筋に当たる。体中がゾクゾクして、変になってしまいそうだ。
いやいやと言うように、首を振るキノ。しかし、シズは容赦をしない。
「さっきとは反対だ。俺が責めさせてもらう」
シズの唇がキノのほとんど平らな胸の上で自己を主張する、ピンクの突起に吸い付いた。しゃぶられ、歯を立てられ、キャンディーのように舌先で転がされる。刺激が走るたびにキノは背中を弓なりに反らせ、堪えきれない悲鳴を漏らす。
濡れそぼった秘裂にシズの指先が蠢く。クリトリスを摘まれると頭の中が真っ白になり、気絶してしまいそうなほどの快感に襲われる。
このままでは本当におかしくなってしまう。そう思っても、焦らされ続けた体は快感に従順で、キノはシズの腕の中で喘ぐ事しか出来ない。
344SBI:2006/04/24(月) 19:49:49 ID:PH9EDLpm
「そろそろ、いいかな……」
シズのモノがキノのアソコへと押し当てられる。ジンジンと伝わってくる熱さと硬さを感じているだけで、鼓動が早まっていく。
こんな状態で、こんなモノを入れられたら自分はどうなってしまうのだろう。不安と期待がキノの胸中で交錯する。
「いくよ、キノさん」
キノがコクリと肯くのを見てから、シズは挿入を開始する。
ズプリ。ジュプジュプ。肉を押し割り、奥へ奥へとシズのモノが突き進む。焼けるように熱い肉の杭が、キノの一番深い所までを埋め尽くした。
「…は…ひあぁ…あ…シズ…さん……すご…い……」
キノが息をつく暇も与えぬまま、シズは自らのモノを突き上げ始める。キノの内側から際限なく溢れる愛液がグチュグチュといやらしい音を立てる。
ズンズンと下から伝わってくる激しい快感の衝撃。膣も子宮も痺れて、わけがわからなくなる。狂おしい熱の前に、キノの体は内側から蕩けていくようだ。
キノはシズの背中にぎゅっとしがみつき、狂熱の中で何度も悲鳴を上げる。
「ひあっ…はぁああああっ!!!!…シズさん、ボクぅ…やああっ!!!」
絶える事の無い快感の嵐。汗ばんだ肌を絡ませて、全身で相手の体温を、存在を感じ取る。
今、キノの中をかき混ぜているのは、夢の中の儚い虚像でも、キノ自身の幼い指でもない。本物のシズなのだ。
「シズさんっ…好き…ですっ!!…っあああ!!!好きっ!好きぃいいっ!!!!」
止めようもなく、言葉が迸る。今、ここにいるただ一人の愛しい人に向けて、思いが溢れ出る。
「…キノさん、愛してるっ!!」
激しく、一心不乱に、ただ目の前の相手のことだけを考える。他のものは何一ついらない。
突き上げ、かき混ぜ、また突き上げて、濡れそぼった肉と肉が絡んで溶け合い、限界に達した熱と快感が、ついにキノの中で弾けた。
「ひうっ…はっ…やあああっ!!シズさんっ…イクッ…イクぅうううううっ!!!!」
激しく絶頂を迎え、全身の力が抜けたキノは、シズの体にくてんと寄りかかる。シズは荒く息を切らすその背中を、優しく撫でてやる。
このまま二人だけの穏やかな時間が続く。シズはそう思っていたのだが……。
「………シズさぁん」
「えっ!!?」
唐突にシズの首元をぎゅっと抱きしめたキノは、ニッコリと笑ってからこう言った。
「もっと……しましょう」
「ええっ!!!?」
かくして第2ラウンドの、いや、これから始まる果てしない戦いの幕は切って落とされたのだった。
345SBI:2006/04/24(月) 19:50:44 ID:PH9EDLpm
滞在期間である三日間たっぷり、キノはシズと二人きりで過ごした。朝も昼も夜も、片時も離れず、同じベッドの中にいた。
そして三日目の夕方、ティーと陸にシズを引き渡してから、キノは国を後にした。
ピンを抜いた手榴弾を持った無表情な少女と、低く唸る白い大型犬に引きずられていったシズがどうなったのか、今のキノには知る由もない。
置き去りにされてすっかりへそを曲げていたエルメスも、なんとか機嫌を直してもらう事に成功した。
欲求不満は今や完全に解消され、キノにとっては万事メデタシの結果となった。
その筈だったのだが……。
「ふあ…や……なんで…またぁ……ああっ!」
とある森の木の陰に、いつかのように淫らな夢から目覚め、いつかのように自らを慰めるキノの姿があった。以前と違うのは、自慰行為にふけるキノの乱れ様だった。
以前より激しく手の平で秘所を弄り、以前より大きな声で喘ぐ。
「なんでぇ……どうしてぇ…はああっ!!」
それはある意味当然の結果と言えた。
人間の欲望には終わりなどない。満腹になっても、また空腹は襲ってくる。どんなに寝ても、その内眠くなってくる。性欲もまた然り。満足しても、また欲しくなってくる。
そして、人間は誰しも、どんな大きな刺激にも慣れてしまうものである。シズと過ごした三日間の為に、キノは以前の刺激では物足りなくなってしまったのだ。
「…………うるさいよ、キノ」
暗闇の中に突然、キノ以外の声が響いた。
「…あ…エルメス……起きてたの?」
「あんな大声出されちゃ、そりゃね……」
心底呆れ返ったという感じで、エルメスが答える。
「人間の性欲の事はわかんないけどさ。ちょっと、キノは普通じゃないよ。それに、キノの声を聞いて、変態さんがやって来たらどうするの?」
ぷりぷりと怒るエルメス。しかし、今のキノにはその声も届いていないようだ。それより、何より、この身体の熱を鎮めなくては……。
「……というわけだから、少しは控えてよね。キノも女の子なら節度というものを……って、キノ何やってるの?」
いつのまにやら、キノはエルメスの上に乗っかっていた。シャツははだけて、ズボンを膝まで下ろして肌も露なその姿、裸のお尻が、アソコがシートに触れる。
「そっか、見てたんだ。興味あるんだ。……エルメスも一応、男の子だもんね。うふふふ」
「ちょ、何考えてるの?キノ!?」
「…ああっ…エルメスぅ〜」
暗い森に悲鳴が響き渡る。夜はまだまだ、終わらない。
346SBI:2006/04/24(月) 19:52:15 ID:PH9EDLpm
以上でおしまいです。
あんまり進歩はしてないような気はしますが。
それでは、失礼します。
347名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 20:22:20 ID:/g+M1KNh
GJ!!
348名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 22:58:53 ID:DDXClO55
とりあえず淫乱キノに萌え。
349名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 06:09:58 ID:iybqpmMX
発情期かぃ(w
350名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 19:13:34 ID:XSlGbJ53
>346
乙カレー いんじゃないでしょうか  ハゥハゥ...
351名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 19:27:12 ID:skDe+c+7
うっしゃ復活キタこれ
とりあえず捧げる言葉はGJ
352名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 23:41:17 ID:6qr/yTWo
棒枯らしの お木乃、とか 棒枯らされの お静 とかアホな言葉が思い浮かんだ。
353名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 17:15:22 ID:YqIhMbLd
まってました
GJ!!!!!!久しぶりにごちそうさまでした。
354名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 18:34:08 ID:K78HfiPo
眠い
けどSBI氏の小説で目が覚めた
GJな小説これからもヨロシク
355名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 04:07:24 ID:owtTmFVa
>313の続きをwktkして待ち続けている
356名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 11:36:56 ID:9fz1ZQD9
GJだw
357名無しさん@ピンキー:2006/05/01(月) 00:21:38 ID:oFhBl4Xi
てか本当に作品の投下以外でスレが進まんな。まぁいいが。

それよりおまいら。学園キノがノベルになるぞ。
358名無しさん@ピンキー:2006/05/01(月) 06:04:08 ID:5q+2rhQ8
GJすぎるよ
359名無しさん@ピンキー:2006/05/03(水) 00:09:42 ID:Y4mxyf+m
360名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 15:22:47 ID:uxhNgXwe
ageます。
GWだって言うのにこの過疎りよう・・
GWだから過疎ってるのか?
361名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 00:20:49 ID:ynUKx6XD
そしてまた誰もいなくなった。
362名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 16:19:54 ID:QYAbAhjj
んで居なくなったときに作品投下
       ↓
     GJの嵐
       ↓
   房が来て荒らす
       ↓
      過疎る
       ↓
       (ry
363名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 16:50:39 ID:W/mebChN
>>362
あれ、そういうスレだろ?
364名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 22:43:02 ID:6gmRwp/D
傍観者として過疎していくのは悲しいな・・・。
とにかくSBIサンGJです!!
365名無しさん@ピンキー:2006/05/11(木) 23:46:40 ID:PSiMIy9K
コテハンまんせーな雰囲気あるから
新参の人が投下しづらいんじゃないかと思ったり
366名無しさん@ピンキー:2006/05/12(金) 00:06:15 ID:CwBkA01y
いや、単にコテの人以外の投下があまり無いだけだし。
367名無しさん@ピンキー:2006/05/12(金) 03:40:09 ID:s7LjyQK2
2週間経ってもGJGJレスついてたら
そりゃ投下できないよなあ
368名無しさん@ピンキー:2006/05/14(日) 04:07:00 ID:x5CpY7dJ
369SBI:2006/05/14(日) 14:25:05 ID:gn0qo3nf
また書いてきたので、投下してみます。
370SBI:2006/05/14(日) 14:26:38 ID:z0gR5mlK
以前に来た時に比べると、その村はなんだか随分寂れて見えた。
「どうしたんだろう?」
ヴィルはそう呟いて、小首を傾げた。
「むう………」
ヴィルの隣で周囲の様子を見回しているアリソンも、なんだか不審顔だ。
二人は、友人であるベネディクトとフィオナの誘いを受けて、彼等が暮らすイクス王国のとある村にやって来ていた。
前回この村を訪れたのは雪の降り積もる冬の事で、今はすでに春になっていた。季節の変化は村の姿を大きく変えていたが、それを差し引いても村の変化は奇妙だった。
村全体を覆う何とも言えない倦怠感、流れていく気だるい空気。
寂れている。いや、もっと正確にこの雰囲気を言い表すならば、むしろ………。
「なんか、村全体が疲れてるみたい……」
疲れきった村の中に、二人は一歩を踏み入れる。丁度、家の中から出てきた村の住人が、彼等の姿を認めて声を掛けてきた。
「おや、あなたがたは」
「お久しぶりです」
ぺこりと会釈をするアリソンとヴィルを見て、その老人は笑顔を浮かべた。かつての事件でフィオナを助けてくれた二人の来訪を心底喜んでくれているようだった。
しかし、その笑顔もどこか覇気が無い。なんだか抜け殻みたいな頼りない朗らかさ。アリソンとヴィルの疑念はさらに深まるが、老人はそれに気付いた様子も無い。
「そうか、もうお着きになっていたのですな。お出迎えも出来ず申し訳ない。フィーも英雄さんも心待ちにしていましたよ」
「あの、二人はどちらに?」
「ああ、フィーは確か先ほど家の裏の方に……」
老人は先頭に立って二人を案内する。アリソンとヴィルは老人の後をとことこと追いかけて、思い出深いフィオナの家へと向かう。
「こんな形の家だったのね。前は雪に埋もれて良くわかんなかったけど……」
「そもそも、じっくり眺める余裕も無かったしね」
なんて事を話していると、家の角のあたりで先頭に立っていた老人が突然立ち止まった。
「どうしたんですか?」
ヴィルが話し掛けても、老人は答えない。完全に固まってしまって殆どうわの空、角の向こうの何かを見ながら、わなわなと肩を震わせている。
「何なの?フィオナさんはいたの?」
「…………………はっ!?い、いえ、その……いる事にはいたのですが…その……」
アリソンの声で漸く我に返った老人は、額に冷や汗をにじませてモゴモゴと口ごもる。何かとてつもなく説明しにくい事が起こっているらしい。
「どしたの?ハッキリ言いなさいよ?」
「いえ、それはちょっと……なんというか…」
こんな態度を取られて、暴走戦闘機娘のアリソンが納得する筈も無い。煮え切らない老人の脇をすり抜けて、アリソンも角の向こうを覗き見て……。
371SBI:2006/05/14(日) 14:27:42 ID:gn0qo3nf
「……………うあ!?」
同じように固まった。ギクシャクした動きで顔を引っ込める。
「アリソン?」
アリソンは答えない。さっきまでの威勢はすっかりどこかに吹き飛んで、真っ赤になった顔を俯けている。
一体、彼女は何を見てしまったのか?この二人から語る言葉を奪うほどの何かが、そこにはあるというのだろうか?
ゴクリと唾を飲み込み、覚悟をきめてヴィルは角の向こうを覗き見た。
「えっ!?」
そこにはフィオナがいた。壁画発見の英雄ベネディクトの姿もあった。春先に相応しい明るい色合いの服を着た二人が確かにそこにいた。
そして、二人はキスの真っ最中だった。
ヴィルが見ていることなど気付きもせず、二人は互いの唇を味わい続ける。深く、長く、夢見るような瞳で二人だけの世界に浸りきっている。
「あら?」
一体何十秒が過ぎたのだろうか。名残惜しげに唇を離したフィオナが、自分達の方を見たままカチコチに固まっているヴィルに気付いた。
「ヴィル君早かったのね。お久しぶり……」
「やあ、久しぶりだなヴィル君」
ショックのあまり、頭の上から爪の先まで真っ白になってしまったヴィルに、二人が微笑みかける。
キスシーンを見られた事も、全くお構い無しと言った感じの屈託の無いその笑顔。
(なるほど、村の様子が変わった原因って………)
朦朧とする意識の中で、ヴィルは漸く事の真相を悟った。

要するにそれは、バカップルの為せる業だった。
元々、王族であるフィオナを守るためだけに作られたこの村。特に最近は、住人の高齢化が進んで色気もへったくれも無くなっていた。
その手の事にすっかり耐性を無くしていた村を、フィオナとベネディクトの熱々、ラブラブぶりが襲ったのである。
所構わず自分たちだけの世界にイっちゃう二人の前では、タフネスが売りのおばさん連中も為す術が無かった。生真面目な男衆など相手にもならなかった。
あっちでチュー!こっちでチュッ!時間も場所も二人の愛の前では大した問題では無い。穏やかに流れていた村の時間を、空気を、二人の愛が切り裂いた。
満ち足りた愛の日々を謳歌する二人をよそに、村は元気を無くしていった。
そして今日、嵐の如き愛の魔窟に迷い込んだ、哀れな子羊たちがいた。
「つかれた……」
「バカップル恐るべしね……」
それぞれ与えられたベッドの上で、ヴィルとアリソンはぐったりと横になっていた。なんだか今日一日だけで何歳も年を取ったような気分だ。
なんだかんだ言いつつも結構純情なアリソン。朴念仁の代名詞とも言うべきヴィル。二人とも、とてもベネディクトとフィオナにはついていけない。
372SBI:2006/05/14(日) 14:28:47 ID:z0gR5mlK
食事の途中、会話の途中、そんなふとした瞬間、気がつけば彼らだけの世界が展開されている。逃げ場所などどこにも無い。
こちらまで恥ずかしくなるような台詞がポンポン飛び交って、数え切れない口づけが交わされる。ヴィルとアリソンはひたすら耐え忍んだ。
それでも、この苦難に満ちた一日は終わりを迎えようとしていた。明日の事を考えると頭が痛かったが、とりあえずは小休止である。
「それじゃあ、おやすみアリソン」
「おやすみ、ヴィル」
もぐりこんだベッドの安らかさよ。旅の疲れもあって、すぐにでも眠りに落ちてしまいそうだ。完全に眠気に身を委ねる前に、ヴィルはちらりとアリソンの方に視線を向けた。
アリソンもこちらを見ていた。目が合った。互いの頬が赤く染まるのが見えた。なんだか変な気恥ずかしさを感じた。
どうやら、自分たちはかなりあのバカップルに当てられているらしい。
二人は慌てて部屋の灯りを消し毛布を頭からかぶって、眠りの世界へと逃げ込む。誰も手を出せない夢の世界へと………。

何か物音を耳にしたような気がしてヴィルは目を覚ました。
むくりと起き上がって辺りを見回す。部屋の中を見回しても特に変わった様子はない。せいぜいアリソンの足がベッドを飛び越えてヴィルの枕に乗っかっていた程度のものだ。
「アリソンの寝返りの音かな……?」
とりあえずの結論に行き着いて、ヴィルは再び毛布の中に包まろうとする。その時また、何かの物音がヴィルの耳に届いた。続いて誰かのか細い声のような音。
「……?こっちから…壁の向こうから聞こえてる?」
大した考えも無しに、自分のベッドが面する壁に耳を当てた。
(……あっ…は……ああっ……ベネディクトぉ……)
それが誰の、何をしている声なのかを悟って、ヴィルは壁から飛び退いた。
(…っあ…や……ひあああああああああああっ!!!)
追い討ちをかける様に、甲高い悲鳴が上がった。今度は壁に耳をつけていなくても聞こえた。間違いない。これは、ナニをナニしてる声だ。
「ど、ど、ど、どうしよう………!!?」
一旦それとわかってしまうと、意識していなかった音までもが気になり始めた。衣擦れの音までが聞こえてくるような気がする。ギシギシと軋むベッドの音が聞こえる。
(ああ、可愛いよ、フィー……こんなにして、よっぽど気持ちよかったんだな……)
どんなにしたんだ?
(……や…そこ……汚いわ…ああっ……)
どこの話なんだ?
(そんなことないさ……ほらっ……)
一体何をやってるんだ?
(……ひっ…あ…はああああああっ……)
だから何をやってるんだ?
373SBI:2006/05/14(日) 14:29:41 ID:z0gR5mlK
(ぴちゃぴちゃ…くちゅ……ぴちゃ…ぴちゅ……)
「な、何を舐めてるんだ?」
うっかり口に出していた。思いがけず大きく聞こえた自分の声に、ヴィルの体が小さく飛び上がった。慌てて辺りを見回すと、隣のベッドがもぬけの殻になっているのを見つけた。
「………ねえ、ヴィル?」
後ろから聞こえた、聞き慣れた馴染みの声。ヴィルが叫び出さなかったのは、ほとんど奇跡だった。
「……ア…ぁ…アリソン!?」
上ずった声でかろうじて答えて、ヴィルは振り返る。ヴィルのベッドの上にぺたんと女の子座りしたアリソンは、所在なげに、モジモジとシーツを弄っていた。
気まずい空気が流れる。お互いに、相手が何をしていたか、正確には何を聞いていたかはわかっていたので、話そうにも話し掛けられないのだ。
「……あ、あはは……なんか、その…困っちゃうよね、こんなの……」
「……う、うん」
勇気を振り絞ったアリソンの一言も後へは続いてくれない。二人が黙ってしまうと、隣の部屋の声がより大きくなった気がした。
壁一枚をはさんだその向こう側で、一体どんな事が行われているのだろうか?こんな状況では嫌でも想像させられてしまう。
多分、ベネディクトもフィオナもわざわざ今夜、こんな事をするつもりは無かった筈だ。
灯りを消してベッドに潜り込んでも、なぜだか眠くないかった。ただ、それだけだったのだろう。
眠れない夜を持て余して、何となく隣で眠る愛しい人の顔を覗き込む。そこには同じように、自分の事を見つめる相手の瞳があった。
その後は言葉はいらなかった。隣の部屋で眠る年若い友人たちの存在は、むしろ彼等を燃え上がらせる事になった。互いの肉体に溺れていく二人………。
ざっと、こんな感じだったに違いない。
「はあ………」
ヴィルがため息をつく。今までも色々と困った事、危ない事はあったけれど、こんなのは初めてだ。一体、どう対処したら良いのやら。
ちらりとアリソンの表情を覗き見る。恥ずかしそうに下を向いて、すっかり小さくなってしまっている。
(こんなアリソン見るの、初めてだな………)
恋人同士である二人は、多少はエッチなことだってした事もあった。しかし、今のアリソンの様子は、そう言うときに見せる、はにかんだ表情ともどこか違っていて………。
これはこれで、ちょっと可愛かった。
もう少し近くで見たいと思った。四つん這いでアリソンの方ににじり寄る。その気配に気付いて、アリソンが顔を上げた。
「…………ヴィル?」
滅多に見せない、少し不安げな表情。カーテンの隙間から差し込んだ月の光が白い肌を際立たせ、潤んだ瞳がキラキラと輝く。
すごく可愛かった。驚くほどに綺麗だった。抱きしめたいほどに、愛しかった。
だから、そうした。
「……ア、アリソンっ!!」
「…………ふあ!?」
374SBI:2006/05/14(日) 14:31:09 ID:z0gR5mlK
腕の中に包み込んだアリソンの体の柔らかさ、温かさ。頬に触れた髪の毛のサラサラした感触。甘い匂い。アリソンの匂い。
突然の抱擁に戸惑っていたアリソンの腕が、ヴィルの背中にするりと回される。どちらからともなく唇を重ね合わせ、夢中で互いの下を絡ませ合った。
溺れていく。どこまでも溺れていく。愛しい人の体の、その感触に溺れていく。
隣の部屋の物音はいつの間にか遠くに消えて、目の前に広がるのは、二人だけの世界。
「……っあ…はぁ…ヴィル……私、なんだか変な気持ちになって………エッチな気持ちになって………ヴィルも、そうなんだよね?」
「……う、うん…僕も同じだよ、アリソン」
熱に浮かされたような視線を、二人は絡ませ合う。ヴィルの腕が、アリソンの体をベッドの上に優しく押し倒した。
服を脱ごうなんて思いつきもしなかった。
相手の体から腕を離す。ボタンを外して、上着やズボン、下着を脱ぎ捨てる。そんな事をするよりも、もっと抱き合っていたかったのだ。
服の布地を通してしか互いの体温を感じられないもどかしさ。それすらも今の二人を燃え上がらせるだけだった。
(……アリソンの事しか、考えられなくなってく……)
露になっている襟元の肌、首筋や鎖骨に舌を這わせながら、ヴィルは思った。
(もし、ベネディクトさんとフィオナさんをバカップルと呼ぶのなら、僕達も全然変わらない)
場所も時間も関係無しにお互いに夢中になれる二人。一度そうなってしまったら、誰が何をしようと止められない。それは正に、今の自分達の事ではないのか。
(僕達もきっと……バカップルなんだ………)
服がくしゃくしゃになるほどにアリソンの胸のふくらみを揉みしだき、布地の上からでも構わず乳首を甘噛みした。交わしたキスの回数は両の指では足りない。
今のヴィルを、アリソンを突き動かしているものは、単なる性衝動だけでは説明できない。もっと熱く、深く、胸の奥で燃え盛る気持ち。
「アリソン…好きだよ……大好きだ!!」
「ヴィ…ルぅ…私も……私も好きぃ!!」
密着した状態で、ヴィルのズボンの奥で大きく硬くなったモノが何度もアリソンの太ももや、足の隙間に当たる。
指先で撫でたアリソンの股間は、溢れ出した液体によって湿り気を帯びていた。
お互いがお互いの体に、心に興奮している明白な証拠。堪えきれない欲望の証を何度も擦り合わせる。
「……アリソン…………アリソンの中に、入れたい……」
耳元で囁いた。
「きて…お願い……私もヴィルのが…ほしいの……」
ヴィルの背中を抱きしめる腕に、きゅっと力を込めた。
ヴィルの手の平がそっとアリソンのズボンとショーツをずらす。濡れそぼった秘めやかな部分が露になる。
ヴィルは今にも破裂しそうな心臓を抑えて、自らのはちきれそうなモノをそこに押し当てた。
「いくよ」
ゆっくり、ゆっくりとアリソンの中へと侵入を開始する。
375SBI:2006/05/14(日) 14:31:59 ID:z0gR5mlK
「……っああ…ヴィル……ヴィルぅ…」
アリソンの体の奥深く、根元まで差し込まれたヴィルのモノを、アリソンの柔肉がきゅうっと締め上げる。
ドクンドクンと脈打つ鼓動と、頭の芯まで蕩けてしまいそうな熱さを、二人は感じていた。まるで互いの全てを共有しているかのような感覚。
もう絶対に離さない。そう本気で思っていた。
「…は…ふああっ…きゃう……あああっ…」
軽く腰を動かしただけで迸る快感の奔流。耳元にかかる相手の荒い息。切なげな喘ぎ声。その全てが二人を夢中にさせていく。
「…や…きゃんっ!!…ああっ…ヴィル…私…気持ちいいよぉ!!!」
「…アリソン…すご…可愛い……」
思ったこと、考えた事がそのまま口に出てしまう。二人の間で渦巻く狂おしい熱の中で、いつもは押し止められ、胸の奥で眠っていた思いまでもが溢れ出す。
突き上げるたびに駆け抜ける快感の電流に何度も頭の中を真っ白にされながら、二人は交わり続ける。口づけを交わし、体中を愛撫して、何度でも腰を動かす。
うっとりとした眼差しで、自分だけを一心に見つめる相手の顔が、瞳が、ただただ愛しかった。
「…っはあああああっ!!!ヴィルっ!!ヴィルぅ!!!私、もう………っ!!!!!」
押し寄せる快感の波は既に二人がこらえきれる限界をも越えようとしていた。それなのに、腰を止めることが出来ない。激しく。さらに、激しく。行為は加速していく。
突き抜けた快感に、痙攣したように体を震わせて反応するアリソン。飛び散った汗はキラキラと輝き、長い金髪がそこかしこに舞い散る。
目の前の少女への愛しさに突き動かされるまま、ヴィルは一際強く激しくアリソンの体を突き上げた。そして………。
「……くっ…アリソンっ!!アリソンっ!!!」
「…ふああああああっ!!!ヴィルぅ!!…や…ああああああ――――――――――――っ!!!!!」
一際大きな叫び声を上げ、二人は同時に絶頂に達した。張り詰めていた熱が、快感が弾けて、二人の中を満たしていく。
全精力を使い果たした二人は、抱き合ったままピクリとも動けない。
「……はぁはぁ……ヴィル…すごい…よかった……」
「うん………」
息を切らしながら言ったアリソンの額に、ヴィルはそっとキスをしてやる。アリソンの頭を撫でてやりながら、ヴィルはふと考える。
(このまま……こんな風にするのが癖になったら……僕たちはどうすればいいんだろう…)
だけど、それはそれで結構素敵な事の様にも思えた。
(構わない……やっぱり僕達もバカップルだもの……)
そんな事を考えてから、疲れ果てたヴィルは眠りに落ちていった。今度こそ、深く満ち足りた眠りへと………。
376SBI:2006/05/14(日) 14:33:09 ID:z0gR5mlK
ホカホカと湯気の立ち上る美味しそうな朝食。四人分の皿が並べられたテーブルを挟んで、二組のカップルが席についていた。
それぞれのカップルの様子は対照的だった。元気はつらつといった感じのベネディクトとフィオナに比べ、アリソンとヴィルはどうにも元気が無い。
ぐったりと今にもテーブルに崩れ落ちそうなヴィル。ただでさえ朝が弱いアリソンは、既にテーブルに突っ伏していた。
「ていうか、昨日あれだけやって元気な方がおかしいわよ……」
ベネディクトとフィオナには聞こえないように、アリソンがつぶやく。
壁一枚を挟んで同じようにイチャついていたはずなのに、どうして彼等は平然としていて、自分たちはこんなに疲れ切っているのだろう。
なるほど自分たちもまた彼等と同じバカップルなのかもしれないが、だとしてもこちらと向こうではどうやら次元が違っているようだ。
二人だけの世界への浸り具合も、周囲に与えるダメージの大きさも、その他諸々全てにおいて、彼等の方が何枚も上手のようだ。
はっきり言って勝負にならない。
「か、格が……違いすぎる」
そう呟いて、ほとんど朝食に手をつけることも出来ず、ヴィルがテーブルに崩れ落ちる。
完全に沈黙してしまった年若い二人を横目に、最強のバカップルは
『ちゅっ!』
今朝から数えて4度目のキスを交わしたのだった。
377SBI:2006/05/14(日) 14:40:56 ID:z0gR5mlK
リリトレでのベネフィーのラブラブぶりは本当にすごいですよね。純朴な村娘のフィーはどこへ行ったのやら。
ていうか、ベネフィーもちゃんと書いてやればよかった。
ともかく、以上でおしまいです。失礼しました。
378名無しさん@ピンキー:2006/05/14(日) 21:03:54 ID:9S5qzWw6
じーじぇーです
379名無しさん@ピンキー:2006/05/15(月) 01:21:34 ID:oR/WRlgv
そしてまた過疎ると……
380名無しさん@ピンキー:2006/05/15(月) 20:44:44 ID:gBppxhLb
過疎の国
381名無しさん@ピンキー:2006/05/15(月) 20:56:22 ID:eYykl2sO
リリトレ最新作普通にヨカタ。特に金髪お化けとか
382名無しさん@ピンキー:2006/05/18(木) 11:45:27 ID:T4O6cbBe
age
383SBI:2006/05/18(木) 17:43:50 ID:NJV45H0+
また書いてきました。アリソンネタです。
384SBI:2006/05/18(木) 17:46:01 ID:NJV45H0+
もうどれくらい、こんな風にしているだろう。
どれくらいの時が過ぎたのだろう。
わからない。何もわからない。
ただわかるのは、這いつくばった石床のヒヤリとした感触と体中の痛み、視線の先に散らばっている自分の金髪の鈍い輝きだけ。
また彼はやってくるのだろう。私を捕えて、衣服むしり取り、朝と無く昼と無く陵辱を加え続けた人物。
『ヴィル』がやってくる。
そしてまた、私を犯すのだ。
今の私に出来るのは、その時が出来るだけ遅く訪れるように祈ることだけ。石床に貼り付けた耳が、近付いてくる足音を拾う事が無いように祈る事だけ。
薄暗い部屋の中、無様に床に横たわる私は、瞼を固く閉じて祈り続ける。
来ないで……………。
もちろん、そんな願いが聞き入れられるはずが無い事も私はよく理解していた。
扉が開く。
薄暗いこの部屋よりもさらに黒い廊下の闇から、染み出すように幾つもの人影が現れる。
『ヴィル』がやってきた。
私を犯すために、『ヴィル』達がやってきたのだ。
「ッハハハハァ!!!お待ちかねだぜ」
黒い影が、『ヴィル』達の影が私の周りを囲む。毛むくじゃらでゴツゴツした、何本もの『ヴィル』の腕が私を押さえつける。
腕の一本が私の口をこじ開け、いつもの薬を私の口の中に押し込む。
それを飲んだらどうなるか知っているのに、今の私には抵抗する事ができない。ただ瞳を閉じて、得体の知れない薬品が私の喉を通り過ぎていくのを感じる。
「随分おとなしくなったよなぁ、お前も。俺ぁ前みたいに元気があった方が楽しいんだけどな」
『ヴィル』達の一人が私の足を大きく開き、もう数え切れない回数の欲望を受け止めてきた私のアソコに、まるで凶器のようなモノをあてがう。
「ここが寂しかったんだろう?大丈夫、また満足させてやるさ」
「おいおい、話し掛けんのもいい加減にしとけ。今のコイツにゃどうせ何言っても無駄なんだから」
「だな。女だてらにパイロットだったらしいが、今じゃコイツを入れられることしか考えられねえんだもんな」
好き勝手に私を罵る『ヴィル』達の言葉。
今の私には反論する事も出来ない。反撃する気力など残されていない。
捕まって、それでも必死に抵抗して、戦って、戦って………。ついにそのための力は、一滴残らず私の中から使い果たされてしまった。
「へへ……行くぜ」
「…………!?…っは…あああっ!!?」
『ヴィル』が乱暴に挿入を開始する。剛直が私の体を引き裂き、奥へ奥へと押し割っていく。その感触に思わず、かすれた喉から声が漏れる。
「…あ……うああっ!!…や…は……」
『ヴィル』の太い腕に抱き上げられた私は、突き上げられる度に人形のようにガクガクと体を揺らす。
私の息が切れる事も気にせず、熱く太いソレが私の中を滅茶苦茶に掻き回す。
「相変わらずヤラシイ顔してんなぁ。ホレ、俺のも面倒見ろよ」
周りに群がる幾人もの『ヴィル』達が、私に向かってそれぞれの大きくなったモノを突き出す。
385SBI:2006/05/18(木) 17:47:11 ID:NJV45H0+
無理矢理に手の平に握らせ、口の中に押し込み、体中の色んな所に擦り付ける。
「…ん…んむぅ……っはぁ…あああっ!!?…や…ああああああっ!!!!」
むせ返る牡の匂いと狂おしい熱の中で悲鳴を上げながら、私は思う。
どうしてこんな事になったのだろう?
私は捕まってからずっと、絶対負けないつもりでいた。なけなしの力で抵抗を続けた。
『ヴィル』の事だけを考えて、ずっと我慢した。
何度も飲まされたあの薬が私の理性を奪い去って、マトモな思考をどんどんと削り取って、それでも私は耐え忍んできたのに………。
何がいけなかったんだろう?
どうして私は、『ヴィル』にこんな仕打ちを受けてるんだろう。
『ヴィル』はどうして私に、こんな事をするんだろう。
「…や…ヴィル……も…やめ…っはあああああああっ!!?」
「そう言うなって、そろそろ薬も効いてくる。楽しいのはこれからなんだぜ」
私の体の中で溶け出したあの薬が、私の体の隅々に染み渡っていくのを感じる。それに押し退けられるようにして、また少しだけ私の大切な何かが消えていく。
体の奥から、欲望に汚されきった私の大事な部分から、熱こみ上げてくる。
「…うあ…はああああっ!!…こん…な……すご…すごひのぉおおおおっ!!!!」
悲鳴が嬌声に塗り替えられる。
熱い蜜が奥から溢れ出す。
口の端から流れた涎が気にならなくなる。
『ヴィル』達のモノを握る指に力がこもり、浴びせられる白濁の感触を体が求め始める。
頭の中が何度も真っ白になる。
「…うあああっ!!…もっと!!もっとぉ!!!!…もっと…ちょうだいぃ!!アリソンに…もっと熱いのぉ……!!!」
「ようやくノって来たな。良いぜ、もう一本くれてやるよ!!」
後の穴にも熱く太いソレが、私の体が死ぬほど欲しがっているものがねじ込まれる。
完全に私の手から離れた体が、前後の穴を灼熱の棒でかき混ぜられる度に、激しく痙攣する。背中を反らせて、淫らな言葉を何度も叫び続ける。
揺すぶられるだけだった腰はいまや際限ない快楽を求め、私の意志を無視して淫らにくねる。
「…あああっ!!あああっ!!?…イイのぉ…これ…すごく……」
もう嫌だよ。
「もっとぉ!!!もっと…かけてぇ!!!アリソンを真っ白にしてぇえええええ!!!」
もう無理だよ。
「…っあ!?…すご…こんなぁ……きもひ…よすぎるのぉ…ふああああっ!!!!」
誰か助けてよ。
「…あああああああああっ!!!!!…ひあああっ!!?…やあああああっ!!!」
私を、助けて………。
この地獄から、私を………。
お願い、助けて、ヴィル…………。
386SBI:2006/05/18(木) 17:48:20 ID:NJV45H0+
ほんの僅かな心の叫びは、体を駆け上っていった快楽の衝撃にかき消された。
私の前後を貫く二本の剛直は、容赦ないピストン運動で私の頭の中までをかき混ぜた。
快感の電流が流れるたび、頭の中で飛び散る火花。
叫びながら、腰を振りながら、かき混ぜられながら、突き上げられながら、私の意識を飛び散る火花が満たし、全てが白い光の中に消えていく。
「ふあああっ!!!…わらひ…イクのぉっ!!!!イっひゃうのぉおおおおおおおおおっ!!!!!!」
その白い光の中で、私の全ては崩れ去った。

そして再び目を覚ます。
頬に伝わる石床の冷たさ。体中の傷の痛み。鈍く輝く金髪。お馴染みの陰気な部屋。
そして、手の平には優しく暖かい誰かの指の感触。
懐かしい誰かの手の平。
昔散々引っ張りまわした、お馴染みの手の平の感触。
「……………誰?」
すすり泣く声がした。
痛む体に鞭を打って、その声の主を確かめる。
私の手の平を握ったまま、彼はそこで俯いていた。
「……ヴィ…ル?」
助けに来てくれたんだ。
私の手を握っているのとは反対の手には、拳銃が握られている。部屋の中を見回すと、血痕や、それを残した男たちの亡骸が横たわっていた。
外の明かりが差し込んで、もう少しだけ明るくなった部屋の中、私の手を取ったままヴィルは泣いていた。
「……ごめ…アリソン……僕が…僕がもっと早くに…助けに来れたら……」
肩を震わせ、何度もしゃくり上げる。
ヴィルの顔をつたい落ちた滴が、ポタポタと私の手首を濡らす。
せっかく助けに来た王子様が、泣いてしまってどうすんのよ?
なんて突っ込んであげたかったけれど、出てきたのは今にも消えてしまいそうな弱々しい声だけ。今の私にはそれだけの言葉を口にする体力も残されていなかった。
仕方が無いから、震える手の平でヴィルの頬を撫でてあげた。涙の後を拭ってあげた。
ゆっくりとヴィルが顔を上げる。
とても悲しそうな顔。ヴィルにはそういうのは、あんまり似合わないと思った。いつもみたいに優しく笑ってる方が、ヴィルにはきっとよく似合う。私は知ってる。
でも、それだってたまには仕方が無いのかもしれない。
私だって、次から次へと溢れてくる涙を止められずにいるのだから。
今日だけはきっと仕方がない。
私の手を握るヴィルの手の平にぎゅっと力がこもる。私も精一杯の力で握り返す。
暖かくて、痛かった。
確かにヴィルはここにいるんだ。これ以上、何もいらない。
長く続いた悪夢から、ようやく私は戻って来た。
387SBI:2006/05/18(木) 17:49:56 ID:NJV45H0+
『あの程度』で済んだのはむしろ幸運だった。
全ての真相を知った後では、そう思わざるを得なかった。
心と体をボロボロに傷つけられ、汚されて、それでも私たちは生きていたのだから。
死ぬよりも辛い地獄に堕とされる事だって、十分にあり得たのだから。
たとえ、ロクシェに、生まれ故郷に居場所がなくなるとしても、それに納得するしかない。
私たちが関ったのはそういう事件だったのだ。
今、私たちはイクス王国に、ベネディクトさんとフィオナさんの暮らす谷に身を寄せている。二人は危険を承知で私たちを受け入れてくれた。
この1ヶ月間ほどで手早く準備を整えた私たちは、明日の朝早く西側に旅立つ。きっともう二度と、ルトニを越える事は無いだろう。
私はヴィルと同じ部屋で、ベッドの端っこに腰掛けて、同じようにベッドに座って俯いているヴィルの様子を見ている。
あの日から、私はヴィルの笑顔を見ていない。
あの時自分が間に合わなかった事を、ヴィルは悔やんでいるのだ。手遅れになる前に助けられなかった自分を責めているのだ。
全然、そんなことは無いのに。
手遅れじゃなかった。あの時、ヴィルは間に合ってくれたんだ。かなりギリギリだったけれど、私を救い出してくれたのだ。
あの事件が私に刻み付けた深い傷が、私を苦しめる以上に、ヴィルを苦しめている。
確かに私はボロボロになった。
あの時の事を思い出すと今でも身がすくむし、真夜中になぜだか怖くてしょうがなくなってすすり泣いてしまうことだってあるけれど。
あの時、ヴィルは私の手を握ってくれたんだから。
その腕でまた光の当たる所に、引っ張り上げてくれたのだから。
ねえヴィル、あなたはちゃんとわかっていますか?
もうこれ以上ないくらい怖い記憶でさえ、あなたが横にいてくれるなら、私に傷一つつけることは出来ないって。
あなたが私の手の平をきゅっと優しく握ってくれるなら、もう私は絶対誰にも負けないんだって。
あなたが私にどれだけの元気や、勇気や、その他の生きるために必要な諸々を与えてくれたか、ちゃんとわかってますか?
あなたが私にとってどれだけ大切な人なのか、知っていますか?
388SBI:2006/05/18(木) 17:51:21 ID:NJV45H0+
……なんて事を目線で訴えかけても、下を向いたままのヴィルにはそもそも私が視界に入っていない。伝わるはずが無い。
意を決して私は立ち上がり、ヴィルの前で膝をつく。これなら嫌でも、私の顔が目に入るはずだ。
真正面から見据えたヴィルの瞳は、力なく悲しげだった。1ヶ月前、あの部屋で見たのと同じ表情。
今度は私が、ヴィルを助ける番だ。
私はその悲しげな顔に、精一杯の笑顔で微笑みかけて
「………アリソン?」
ヴィルの頭を私の胸元で、ぎゅっと抱きしめた。
「…む……むぐぅ?」
ヴィルの頬がちょっとだけ赤くなった。
おっと照れてるな。良い反応だ。
「ヴィル………」
私の胸から開放されたヴィルは、しばらくの間ぽーっとした表情で私の顔を見つめて
「…ア、アリソン……」
「何?」
「ありがと……」
久方ぶりの微笑み。私の大好きな優しい笑顔を浮かべる。
「それでよろしい」
あとはもう、言葉はいらなかった。
重ね合わせた唇が、全てを伝えてくれたのだから。
389SBI:2006/05/18(木) 17:53:17 ID:NJV45H0+
これでお終いです。
暗すぎですね。ごめんなさい。
それでは、失礼します。
390名無しさん@ピンキー:2006/05/18(木) 18:17:00 ID:FTEqwJla
GJ!なかなか良かった
391名無しさん@ピンキー:2006/05/18(木) 18:48:04 ID:+pig3dGQ
GJ!なのはいいんだが、ここの保管庫は停止していく運命なのか・・・・
392名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 02:24:03 ID:E+AX6xXL
GJ!!いや普通にほろりとしましたよ…
毎度ながら乙です!!!
393名無しさん@ピンキー:2006/05/21(日) 14:10:44 ID:5FXBzhMP
まぁ、とりあえずage
394 ◆KdBcwmQ4/6 :2006/05/21(日) 15:25:09 ID:TNZEL9WD
GJ!

お久しぶりです、第三保管庫の人です。
ここまでの作品を保管しました。ついでに保管庫改装しました。
更新遅れて済みませんでした。

http://kujira.s8.x-beat.com/kino/
395名無しさん@ピンキー:2006/05/21(日) 15:48:57 ID:1q1AqWrj
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396 :2006/05/21(日) 16:50:33 ID:M7Acg4Xt
SBI氏及び保管庫の人GJ!

先週から普通四輪免許を取りに学校に通っているんでつが
乗っててつまんないですね
普通二輪は前から持っててんけど
やっぱり、走ってる!って感じは二輪のほうが強いですな

んで、そういうこと思ってたらやっぱりまた勢いでエロ無しヘボSS書いちゃって
で、懲りずに投下して非難ゴーゴーうけようと思い立った所存でございやす

暇つぶしにでもなれば幸いって位なブツなので
生暖かい目で見てやってください
397 :2006/05/21(日) 16:51:22 ID:M7Acg4Xt
また夢を見た
あの夏の日の夢を
思い出そうとしても思い出せず
しかしその場に今存在しているかのように鮮明なキヲク

あの時、ただ風雨にさらされ塵芥になろうとしていたキヲク


あの時ボクは廃棄されて随分と経っていた
前の持ち主がとある国に永住を決め
お役御免となったボクは解体され塵捨場に放置されていた

其処に彼が来て、そして彼女が来たのだ



見渡す限りの緑
遠くに山々を望み点々と花が群生する、見るからに平和そうな草原
しかし、ソレは日中の話
今は夜の闇が辺りを覆い、静寂のみが其処に佇んでいる
その中に、ぽつん、と辺りの闇からすれば小さな灯り-よくよく見ればそれが焚き火の灯り
だと分かる-がともっていた
「ねえ、キノ」
少年の様な独特の中性的な声が響く
「ねえ、キノ ボクたまに思うんだけどさ」
焚き火の傍には一人の若者と一台のモトラド(注:自動二輪車の事 主に浪漫飛行しない物を指す)が居た
そのモトラドが、若者に喋りかけていた
「なんでキノはわざわざモトラドで旅をしようと思ったのさ?」
キノ、と呼ばれた若者は「?」と云う表情を浮かべモトラドを見る
「また今更な質問だねエルメス」
若者はそう、エルメスというモトラドに言葉を返した
視線こそエルメスに向けているが、手元は休まずシリンダー式のハンドパースエイダー(注:銃器の事 この場合は拳銃)の整備を続けている
見た目から窺える年齢からは想像しがたい適格な手さばきで
「いや、ふと思ってね」
エルメスが更に続ける
「だって、四輪の方が安全だしさ、荷物も沢山のるし利便性も圧倒的に上じゃん それに」
「それに?」
「・・・・・・ううん、やっぱイイや」
「そう?変なエルメス」
そういうと、キノは再び視線をパースエイダーに戻す
それからは二人とも会話も交わさず、キノは整備を終わらせると寝袋に潜り込み早々に寝てしまった


また、夢を見てる
コレは誰の夢?
ボクの夢?それとも別の誰か?
キミは誰?キミはボク?それとも違う・・・・


398 :2006/05/21(日) 16:53:47 ID:M7Acg4Xt
あの時ボクは廃棄されて随分と経っていた
前の持ち主がとある国に永住を決め、お役御免となったボクは解体され塵捨場に放置されていた
其処に彼が来て、そして彼女が来たのだ

「××××、ココでいいのかな?」
「そうだと思うよ、×× いや、それにしてもすごいね」
何か・・・話してる・・・・・・誰・・・名前が聞き取れない・・・
「この部品はまだまだ使えるよ」
「こっちは?」
「それは・・・・駄目だ もう死んでる」
「そう・・・あ、じゃあこれは?」
「へえ、こいつはいけるよ」
誰・・・・ボクは・・・・・・もう使えないのに・・・・・
「! キミ、まだ心が残ってるんだね」
何を・・・するの?
「キミさえよかったらキミを使いたいんだ いくつか必要なパーツが足りなくってね」
ほん・・・・とう・・・・・?
「うん、ボクの名前は×× 是非キミをボクの相棒に使いたいんだ」
また・・・走れるの?役に立てるの?
「うん!そうだよ でも、もしかしたらキミは今までのキミではなくなるかも知れないけど・・・」
・・・・・・・・
「もちろん、キミが嫌だというんなら無理強いはしない」
・・・・・・・・・・・・・・一つだけお願い
「なんだい?」
今度は、捨てないで・・・・・今度は、大事にして・・・・・・
「もちろんさ!おーい××××!見つかったよ!」
××××・・・・・誰・・・・・・
ああ、そうか
ボクの名前・・・・・・違う・・・・・・キミじゃない・・・・・それは・・・・

「ボクがエルメスだ!!」
「ひゃあっ!?」
不意にエルメスが大声を上げ、日課である早朝練習中のキノは思わずパースエイダーを向けた
「な、なんだ 脅かさないでよエルメス」
安堵の表情を浮かべ、キノは銃身を下げる
「え、ああゴメン、キノ  おはよう」
「おはようエルメス 今日は馬鹿みたいに早いね、悪い夢でも見た?」
再び抜き打ちの練習をしながらキノは応える
「夢・・・・うん、夢なのかな」
「大丈夫?こないだから何か様子おかしいけど・・・・・」
「ううん、大丈夫 多分こないだ修理に使ったパーツにある心の残滓の所為だと思う」
「ああ、前の国での・・・・そうか、だから昨日の夜あんな質問を」
「彼の捨てられた恐怖が移ってるんだよ 人間でもあるでしょ?心臓移植した人の嗜好が変わったりとか」
「フーン・・・そんな事があるんだ」
キノは少し感心しつつ、練習を続けた
一通り終わらせると、野営の後始末をし、荷物をエルメスの後部に縛りつけた
「今日中に次の国に行かないとね」
「腕の良い修理工が居るといいなぁ・・・これ以上変な夢はゴメンだよ」
「そうだね」
キノがエルメスの心臓に火を入れ、アクセルを絞り走り出した
暫らく無言で走った後、思い出したようにキノはエルメスに話しかけた
「ああ、そうそう 昨日の質問だけどさ」
「うん?」     
「頬に風を受けて二人で走ると気持ちいいから、って答えじゃ駄目かな?」
「・・・・・・・・・」
「エルメス?」
「・・・・・・・・キノ」
「何?」
「・・・・何でもない!」 
                       -インターバル(幕間劇)・荒野にてふと思う戯言-
399 :2006/05/21(日) 16:58:09 ID:M7Acg4Xt



まあ、所詮はぽっと出の暇人である私にはこの辺が限度ですか?
エロパロ板なのにねぇ・・・・
ほんとにもう・・・・
  
400名無しさん@ピンキー:2006/05/22(月) 07:17:32 ID:jaU5sgz0
んにゃ、GJ
401SBI:2006/05/22(月) 16:17:37 ID:wx9SgR58
相変わらず素敵でした。GJ!
402名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 03:49:52 ID:yFhMYxNe
職人様が光臨して下さるまでのホシュついでに
今度出す本のネタをちょいと改変してエロくして投下してみようかと思うのだが・・・
これっておkですか?
403名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 09:08:36 ID:AeCrqPwG
もちろんおk
404名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 20:35:52 ID:7bP+AKKi
まってるぜ
405名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 00:30:07 ID:rmKmI/gf
では、投下させていただきますよ〜。
駄文なのでスルっと読み流していただけたら幸いです。

〜人間しか入れない国〜

「大変申し訳ありませんが、わが国は人以外の入国を許可していないのです。」
若い男が一人の旅人と一台のモトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけをさす)
に、申し訳なさそうに頭を下げた。
「僕は動物は連れていませんが・・・」
「あなたはモトラドに乗っているでしょう?」
「え、じゃぁ僕はキノが入国している間は置いてきぼりなの!?」
「うん・・・多分そうなるんじゃないかな・・・」
さらっと呟くキノを見て、エルメスは駄々をこねている。
確かに、3日間もの間一人でいるのはこのお喋りなモトラドには苦痛であろう。
「いえ、モトラドさんもモトラドではなければ一緒に入国することができますよ。」
「・・・・どういうことですか?」
キノが不思議そうに首をかしげると、入国審査官が嬉しそうに答えた。
「要するにモトラドさんが人間になればよいのです。私も、もともとは馬だったのですから。」
少し自慢げにそう言い終ると、かなり重量のある車体をいとも軽々と持ち上げ、
審査官はエルメスを城壁の中に無理矢理担ぎ込んでいった。
「ちょっと、どこに連れて行くのさ!キノ、助けてよ〜」
キノはその光景をただ見ているだけ。
エルメスの叫び声は城壁の向こうに消えていきました。

暫くすると城壁の門がゆっくりと開き、中からさっきの審査官と一人の青年が出て来ました。
「お待たせしました旅人さん!どうぞご入国下さい!」
「おまたせ〜」
「あの・・・・僕の乗っていたモトラドは・・・」
「僕、僕だよキノ。エルメスだよ。どう?凄いでしょう!」
「どうです旅人さん。わが国では動物や機械の思考回路をそのまま人間の体に移植することに成功したのです。これは偉大な発明ですよ!」
「・・・・あの、ひとつ質問しても良いですか?」
「はい、なんでしょう?」
「この国の物価は・・・」
「そんな!旅人さんからお金なんて取れませんよ!食料も燃料も、必要なものがあれば好きなだけ持って行って下さって結構ですよ!」
キノはふぅと安堵のため息をついた後に小さな声で呟いた。
「エルメスが人間でも人二人分の食料代とホテル代は気にしなくていいんだ・・・良い国だ。」
「もしお金が必要だったら僕の分はどうするつもりだったのさー?」
「そんな。国の外に置いて行くに決まってるだろう?」
「ひどいなー」
406名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 00:31:06 ID:rmKmI/gf
二人は街を観光しながら、旅に必要な荷物や携帯食料を一通り揃えた。
「ねぇキノ。僕がモトラドに戻ったときの燃料はどうすればいいのかな?」
「出国する際に城門の所で補充できるらしいから心配しなくていいみたい。」
「そっかーよかった。でもさ、キノ・・・・」
「何?エルメス。」
「さっきからガソリンが切れかかってるっていうか・・・そんな感じがするんだけど・・・」
「お腹すいた?」
「人間の感覚って初めてだからよく分からないけど、多分そうかも。」
「じゃぁ、どこかレストランに行こうか。それからホテルに行ってシャワーを浴びたら休もう。」
「賛成。」

二人は入国の際に審査官から聞いたオススメのレストランで昼食をとる事にした。
しかし、流石は人気店。店の前には長蛇の列ができていた。
「だいぶ待たなきゃいけなさそうだね。」
「うん。でもせっかくタダなんだから。おいしいもの食べていかなくちゃ。」
「キノってホントにびんぼーしょーだね。」
店の前の行列にほとほと並び疲れてきた頃、見慣れた色のセーターがキノの視界に入った。
「あ・・・・」
「あれ?キノさんじゃないか!」
「お久しぶりです。シズさん、ティーちゃん。それと・・・・」
ティーの隣に会った事の無い青年の姿があった。
ティーより少しばかり身長が高く白い髪と澄んだ黒い目を持っている。
「お久しぶりです。キノさん。」
「・・・キミはもしかして・・・・・・」
「キノ、こんな馬鹿犬と話すとノミがうつるよ。」
「失礼な!今は犬じゃありません!」
そう、陸もエルメスと同様、入国の際に人間の姿になっていた。
「もしよかったらお昼、一緒にどうですか?」
「ええ。喜んで。」

キノ一行は大量に注文した料理を次々に胃に収めていく。
「キノってばずるいよ。僕の目の前でいつもこんなおいしいもの食べてたんだ。」
「しょうがないさ。エルメスはモトラドなんだからご飯食べなくたって平気だろ?」
「おいしいね。どうだい?陸、ティー。」
「はい。犬の舌は味覚があまり感じられないのですが、人間の姿だと味がよく分かるので嬉しいです。」
「・・・・・・」
ティーと呼ばれた少女は無言で料理を食べていたが、その表情はいつもより嬉しそうに見えた。
「シズさん、宿はもう決めてありますか?シャワーつきでベットがある所を探しているんです」
「それなら俺がさっき予約してきた宿はどうだい?なかなか綺麗で空調も効いていたよ。」
「決まりだね、キノ。」
食事を終えた一向はシズが見つけた宿に泊まることにした。
シズがいっていた通り、内装も綺麗でなかなか良い宿だった。
シズ達の部屋は605号室、キノ達の部屋は604号室と、隣同士であった。
お休み、とそれぞれの部屋で休んだ。
407名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 00:34:40 ID:rmKmI/gf
「じゃ、シャワー浴びようかな。」
「僕も僕も!シャワー浴びてみたい!」
はしゃいでキノの後についてくるエルメスを、キノは軽く蹴り飛ばした。
「何するのさ!いつもキノが水浴びしてる所だって普通に見てるじゃん!」
「一緒に入るわけ無いだろ?今エルメスは人間なんだし、・・・・男の子だし・・・」
「あ、そっか。ごめんごめん」
キノの姿は浴室へ消えていった。

(なんか・・・今日のエルメス・・なんだかかっこよかったな・・・・)

(なんか・・・今日のキノ見てたらやけにドキドキする・・・人間てこうなのかな?)

キノと入れ替わりにエルメスがシャワーを浴びた。
キノは部屋に用意されていたバスローブを、エルメスはTシャツを着て、
ソファーに座りながらお茶を飲んでいた。
「ねぇキノ、これ見てみて!」
「・・・エルメス、なんだいそれ。」
「露天のおじさんにねぇ・・・あの女の子と二人で来てるのか?って聞かれてさ、そうだよって言ったらくれたんだ。陶器のお皿にこのオイルを垂らしてっと・・・」
エルメスは変わった形の陶器の皿の部分に小瓶に入った液体を垂らすと、
下にある空洞の部分に小さな蝋燭を入れて火をつけた。
部屋中に甘い匂いが立ち込める。
「いい匂いだ・・・」
「でしょ?茶の間でダービーってやつだね。」
「・・・アロマテラピー?」
「そうそれ!寝る前に火をつけっぱなしでも蝋燭が一時間位で消えるから安心だしね。」
「じゃぁつけておいたままでいいね。そろそろ寝ようか。」
「そうだね。おやすみ、キノ。」
「おやすみエルメス。」
こうして二人は安らかに眠りにつく・・・・はずだった。
408名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 00:36:13 ID:rmKmI/gf
「ん・・・ふぁっ・・・・・」
「どうしたの、キノ?またいつものあれ?」
「違っ・・・何だかっ・・体が熱・・ぁっ」
「僕には構わず心行くまでどうぞ〜。」
「嫌っ・・エルメスがいたら恥ずかしいよぉ・・・」
体の奥から湧き上がる熱と欲望を必死に抑えようと自分の体をぎゅっと抱きしめる。
いつもなら躊躇しながらも迷わず自分で慰めるのだが、
今目の前にいるエルメスは人間の姿をしている。
そんな彼の前でするなんて、とてもじゃないが恥ずかしくてできるわけが無い。
「ふっ・・あぁぁぁあぁ・・・ダメなのにっ・・・」
身悶えているキノを眺めていたエルメスがふと口を開いた。
「あのさ、キノ。人間の性欲についてはよく分からないけど・・・分からないんだけどさ・・・なんだか・・・・・・我慢できないっ!ごめんキノっ!」
「えっ・・・エルメス!?」
エルメスがキノの腕を上のほうで押さえつけ、組み敷くような体勢になる。
キノも、そしてエルメス本人も何がどうなっているのか分からない。
ただ、息が止まりそうになる程に互いの舌を絡ませて深くキスをした。
そかし、それぞれの生理的欲望に飲まれていることは確かだった。
エルメスの手がキノのバスローブの中に滑り込み、指先が胸の突起に触れる。
「ふぁっ!ちょっエルメスぅ・・・・・」
「キノ・・・いつもと違って可愛い。」
もともとモトラドであり、人間の性欲はあまりよく理解していない。
だが何をどうするかくらいは、いつものキノの行為を見て知っていた。
エルメスの指が下の方へと伸びると、キノの一番敏感な部分に触れる。
「あぁあっ!そこはっ・・・だめらよ・・・ひぁぅぅうぅぅっ・・・」
軽く触れられただけでもキノの全身に計り知れない快感が襲い掛かる。
しかしさらにそこへエルメスの指先がゆっくりと進入してきた。
「キノはやっぱりえっちだね〜。もうびしょびしょだよ?」
「いやっ・・ふぅっ・・だめぇ・・!」
「イヤって言ってるけど本当は喜んでるじゃないか。」
指の本数が2本、3本と増え、キノの中をぐちゃぐちゃにかき回す。
その度に甘い声が部屋の中に響く。
「エっ・・ルメス・・もう・・だめぇっ・・」
「えっ!あ・・・じゃ、・・じゃぁ・・・いくよ、キノ。」
エルメスの自身がゆっくりとキノの中に埋まってゆく。
「ふあぁあぁぁぁあぁっ!エルっ・・メスの・・大きいっ・・」
エルメスは人間の本能のままに腰をすばやく動かし始めた。
突き上げるような快感がキノの体に走る。もうすでに限界は近かった。
「あっ!っはぁああぁ!エルメス!あぁあぁぁっぁぁぁ!!!」
「キノっ!僕ももう・・・あああっ!」
二人は同時に達し、ベッドにへたりと崩れた。
「はぁっ・・はぁっ・・え・・ルメス・・」
「キノと一緒にするなんて・・・なんか不思議な・・感じだね。
「へへっ・・・」

その次の日の晩も二人はベッドで夜を共にした。
出国の際、エルメスはモトラドに戻ってしまうのが少し惜しいような気がしたが、
今日からまた速く速く走れるぞ!と、おどけながら言った。
キノもそんなエルメスをみて一緒に笑った。


しかし、夜のキノの様子がおかしかったのは
露天のおじさんがおまけしてくれた媚薬入りアロマオイルだったようだが。
二人はそんな事は知る由も無かった。

蛇足だが隣の部屋に泊まっていたシズが
壁越しに聞き耳を立てながら「キノタン・・・ハァハァ」と呟いていたようだが。
そんな事も二人は知る由も無かった。
409名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 04:30:37 ID:so3zhlQl
GJです!!
410SBI:2006/05/29(月) 09:45:39 ID:1Af1v1V1
>>405-408
う、うおおおおっ!!GJ!!エロかった!エロかったぁ!!!
俺も続いて投下させていただいてよろしいでしょうか?少し長くなってしまったのですが…。
では、いってみます。
411SBI:2006/05/29(月) 09:46:43 ID:KgXfLuoR
この国で一番人通りの多い繁華街を歩くボクは一人きり。
荷物は一つも持っていない。身に付けているのはいつものブーツに、帽子に、ホルスター、そしてコートが一枚きり。
そう、コートがただの一枚きり。
この国に来て手に入れた茶色のロングコート、その前をしっかりと合わせて、ボタンの隙間から、足元から吹き込んでくる空気に震えながら街を行く。
コートの下が丸裸である事に気付かれないよう気をつけながら、でも心のどこかでそれを期待しながら、一歩一歩ボクは進んでいく。
おっと、これだけじゃなかった。他にもまだ身に付けている物はあった。
コートの下の素肌をぎゅっと締め付けている荒縄、乳首を絶えず刺激してくるローター、アソコの中で暴れまわっているバイブレーター、それから……
『気分はどうかな、キノさん?』
耳元で『彼』の声が囁く。
外れたりしないようにピアスのようにして耳たぶに固定された小型の受話装置、そこから『彼』が囁く。
「…はぁ…はい……すご…きもちいいです……」
小さなボクの呟きを、首輪につけられたマイクが拾って『彼』の耳に伝える。
『そうか、それは良かった』
嬉しそうな『彼』の声。
うん、本当に良かった。僕もそう思う。
頭がおかしくなりそうなくらい気持ちよくて、もうこれ以上ないくらい気持ちいいのに、気持ちよさはその限界を越えてさらに高まっていく。
理性が剥がれ落ちて、今まで恥ずかしかった事が恥ずかしくなくなるのが気持ちいい。気持ちいい事しか考えられなくなっていくのが気持ちいい。
お気に入りの犬みたいな首輪を巻いて、犬でもしないような恥ずかしい事をしている自分が気持ちよくてしょうがない。
『彼』に飼われて、本当に良かった。
『キノさん、街の人たちの視線はどうだい?誰かキノさんの事に気が付いた人はいたかい?』
「は、はい…ときどきコートの裾の方とか…赤くなってるボクの顔を見て……変な顔する人がいます……じろじろ見る人も……」
『それで、キノさんはどう思ったのかな?』
わかってるくせに、『彼』は知らないふりで聞いてくる。
「……気持ち…よかったです……見られてるだけなのに…背中…ゾクゾクして……」
ボクの答えを聞いて、『彼』が満足げに笑う。浅ましく快楽を貪るボクを嘲笑っている。
『彼』がボクを見下し軽蔑している事すら、今のボクには快感となる。
ボクは雌豚になったんだ。いやらしい事しか考えない、エッチなことで頭が一杯な雌豚。
なんて素晴らしいんだろう。
見慣れない旅人が、季節外れのコートを身にまとって歩く様子を、街の人たちは怪訝な表情を浮かべて見送る。
この中の誰か一人でも声を掛けてきたら?興味本位でコートを引っ張ってきたら?コートの下で快楽に震える肌を目にしたら?
それを考えただけで、バイブに塞がれた柔肉の奥から蜜が溢れてくる。濡れて滝のようになった内股がすれてピチャピチャ言っている。
「……あっ……は…や……あぁ……」
知らないうちに声が出ていた。
『おいおい、そんな調子じゃ本当に気付かれてしまうぞ?』
気付かれる?
この大通りでボクのいやらしい本性が暴かれて、みんながそれをじろじろ見て、口では非難がましいことを言いながら、頭の中でボクを滅茶苦茶に犯して……。
412SBI:2006/05/29(月) 09:48:11 ID:KgXfLuoR
一瞬にして、ボクの頭はそんな想像で一杯になった。そして……
「………ふぁ…ひ……あああぁっ!!!?」
道の真ん中でボクは、背中を痙攣させてイってしまった。
なるべく声は抑えていたつもりだったけれど、通行人のいくらかは気付いたようで、信じられないといった表情でボクを見ている。
そんな人たちの様子をウットリと見回していたボクは、雑踏の向こうに見覚えのある背中を見つけた。
「シズさん……」
人ごみの中でもシズさんの長身はよく目立った。何を探しているのかキョロキョロと辺りを見回すその様子が、なんだかとても懐かしかった。
『シズさん?知り合いがいるのかね?』
「……はい…シズさん……好きぃ……」
『なるほど……』
ボクの答えを聞いた『彼』はしばらく考え込んで
『それじゃあ、挨拶をしなくちゃいけないな。知らぬ振りなんて失礼だろう』
「あ、そうか……」
『キノさんが今どれくらい幸せなのかも見せてあげないといけないな』
今のボクの本性をシズさんの前でさらけ出す。想像しただけでイってしまいそうだ。
シズさんはどんな顔をするだろう?
やっぱり驚くだろうな。驚いて、失望して、それからやっぱり街の人と同じように……
胸が高鳴る。
早く見てもらいたい。雌豚のボクを見てもらいたい。
自然とボクは早足になって、コートの裾が少しめくれたけどボクは気にしなかった。
「シズさん…シズさんっ……」
気配に気付いて振り返ったシズさんはボクを見て、一瞬驚いて、嬉しそうに微笑んで、それからボクの様子が変な事に気付いたのだろう。怪訝な表情を浮かべた。
「キノさん?」
「…あ…シズさん…はぁ…お久し…ぶりです……」
ボクを見下ろすシズさんの視線には明らかに戸惑いが見て取れた。でもシズさんは真面目だから、ボクのコートの中の事なんて想像も出来ないんだろうな。
まるで悪戯する前の子供のような興奮。
「…いきなりなんですけど……シズさんに…見て欲しいものがあるんです……」
さあ、早く見せてあげよう。本当のボクを……。
「キノさん、どうしたんだ?何を……」
コートの襟元のボタンを一つ外した。鎖骨から胸元へと落ち込む肌と、そこを縛り付ける縄が露になる。シズさんの視線が釘付けになった。
そして、二つ目のボタンを外そうとした時
「……うわっ!?…シ…ズさんっ!!?」
ボクの肩を強引につかんで、シズさんが走り出した。ボクはシズさんに引っ張られて、人通りのない裏路地に連れ込まれた。
訳がわからず呆然とするボクを、シズさんの腕が壁に押し付ける。
「……ちょ…シズさん!?」
「キノさん、何があった?誰がキノさんにそんな事をしたんだ!!!」
ボクを真っ向から見据えてくるシズさんの瞳、そこに浮かんでいたのはボクの予想した感情ではなかった。
413SBI:2006/05/29(月) 09:49:25 ID:1Af1v1V1
そこにあったのは、強い怒り。
全てを焼き尽くす程の、燃えるような怒りだった。
「…あ………うあ……」
射るような視線に貫かれたまま、ボクは何も言えなくなる。
二人とも身動き一つせず、言葉一つ発せず固まった。表通りのざわめきがやけに遠く聞こえた。
「……すまない、キノさん。言いたくないなら、今はそれでいい」
短く、長い一瞬が過ぎて、シズさんはボクを解放した。
「……とにかく大変な事態である事はわかった」
俯いたシズさんの横顔からは、深い悲しみが見て取れた。
どうしてボクは気付かなかったのだろう?
シズさんと一緒にいた時間はとても短いけれど、それでもボクは知っていた筈だ。
シズさんがどんな人なのか、ボクは知っていた筈だ。
「俺に全て任せてくれ。キノさんをその状況から、必ず助けてみせる……」
そう言ったシズさんの言葉には、悲壮なぐらいの決意が満ちていた。
体中を満たしていた熱も、疼きも、どこかへと消えていた。
ボクは泣いていた。
『なるほど、キノさんが好きになるわけだよ……』
だが、再び『彼』の声が耳元に響いた。ボクの心の内に張り巡らされた蜘蛛の糸が、ボクを再び絡めとった。
脳みその奥を揺らす甘い響き。ずっと味わい続けた快楽の源。内股にまた蜜が溢れ出す。
『キノさん………彼を殺しなさい……』
何でもないような調子で言った『彼』の言葉に、ボクの背筋が凍りつく。
「……何…言って……!?」
『キノさんこそ何を言っているんだ?彼が好きなんじゃないのか?』
「……好きです…だけど何故……?」
『好きな人は殺さなくちゃあ……。当然の礼儀じゃないか……』
明らかに狂った論理。間違いだとわかっているのに、聞けば聞くほど頭の芯が痺れて……。
『それともキノさんは、彼を悲しませたいのかい?』
「シズさんを…悲しませる……?」
『……彼は待っているんだ。わかるだろう、キノさん?』
ボクから少し離れた所で、シズさんは一人俯いていた。打ちひしがれたその背中。その横顔………。
『さあ……キノさん』
もうこれ以上悲しませたくない。
裸の腰に巻きつけたホルスター。そこから静かに森の人を引き抜く。
カノンがあれば良かったのだけど、ボクのアソコを掻き回すのに使われて今は『彼』の屋敷に、薄暗い部屋の床に転がっているはずだ。
でも、大丈夫。思い切り近くから撃てば。シズさんの刀でも弾けない距離から撃てば……。
「……キノさん?」
振り返ったシズさんの顔を見て一瞬足が止まる。指先が震える。
ダメだ。
414SBI:2006/05/29(月) 09:50:36 ID:KgXfLuoR
シズさんを殺さなくちゃ……。
シズさんを殺してあげなくちゃ……。
でも……だけど………
「シズさんっ!!」
懐に飛び込んで、引き金を引く。それだけだった。
「……っがはっ!!?」
くぐもった銃声。呻き声。シズさんの体が倒れる、ドサリという音。
生暖かい血液で、ボクの指先が濡れて……。
「……あ……ああぁ……シズさん?」
ボクはようやく、自分のやった事の意味を悟った。
「…う…あ…あああ……ああああああああああああぁああああぁぁぁぁっ!!!!!!」
耳の受話装置から、どこかで笑い転げる『彼』の声が聞こえた。
どれだけボクが悲鳴を上げても、耳元で響き続ける『彼』の楽しそうな笑い声は打ち消せなかった。

シズさんが病院に運ばれるのを見届けてから、ボクはその場を離れた。
今はまだ、警察に捕まるわけにはいかない。
『彼』を殺さなくてはならない。
ボクを捕え、屋敷の地下室で調教し続け、快楽の奴隷に変えてしまった男。
泣き叫ぶボクの前でエルメスに銃弾を何発も撃ちこんで、ボクの中に数え切れない程の白濁を吐き出した男。
もうこれ以上、『彼』の玩具になっている訳にはいかない。
『彼』はこの国でも最大の権力を持っているという。
『彼』を生かしておけば、今も病院で生死の狭間を漂っているシズさんも、この国のどこかにいる筈の陸君やティーちゃんも無事では済まないだろう。
『彼』を殺して、全てを断ち切る。
『彼』に奪われた物を取り返す。
ボクの手元にあるのは、森の人が一丁とナイフが一本きり。それでも、『彼』の命を絶つには十分だ。
夜の闇を駆け抜けて、『彼』の屋敷へとボクは急ぐ。

辿り着いた屋敷には人の気配はなかった。いつもは灯っているはずの明かりも消えて、屋敷の中は耳が痛くなるような静寂に包まれていた。
だけど、『彼』はここにいる筈だ。
あの人を馬鹿にし切ったような笑いを浮かべて、この屋敷のどこかでボクを待っている。
長い廊下を通り抜けて『彼』の書斎へ、本棚の裏の隠し階段からボクが閉じ込められていた地下室に降りる。
『やあ、おかえり……』
耳元で『彼』の声が聞こえた。
彼に与えられた道具の中で、それだけは外す事の出来なかった通信装置。金具でしっかりと固定された受話装置が『彼』の言葉を伝える。
『遅かったじゃないか。心配していたんだよ……』
この装置を使って『彼』は地下室にいない時でも一日中、ボクの耳に語りかけた。
快楽と絶望でズタズタにされた心の隙間から入り込んで、じわりじわりとボクを壊していった悪魔の囁き。
振り払おうとしても振り払えない声。
415SBI:2006/05/29(月) 09:51:43 ID:KgXfLuoR
「…るさいっ……うるさいっ!!」
階段の下の長い廊下、その突き当りの分厚いドアを力任せにブチ破る。薄暗い部屋の奥で『彼』はいつもの薄笑いを浮かべて立っていた。
『今夜も楽しもうじゃないか、私の可愛いキノさん……』
数メートルは離れているはずなのに、『彼』の言葉はボクの耳元で響く。
嫌というほどに聞き馴染んだ雑音交じりのその声に反応して、ボクの体が、心が、調教によって刻み付けられた欲望に揺れる。
だが、ここで負けるわけにはいかない。
ボクは無言のまま森の人を抜き、彼にめがけて銃弾を放った。しかし……
『おっと、危ない』
銃弾は『彼』から大きく外れて、後の壁の漆喰にめり込む。
「な……っ!?」
続けて撃ちこんだ弾丸全てが見当はずれな方向に飛んでいく。自分の周りを飛び交う弾丸を気にもせず、『彼』は平然とボクに話し掛けた。
『当たるわけがないよ。君はもう以前の君ではないんだ』
自信に満ちた声を聞いただけで指が震えた。照準のブレはさらに大きくなって、見当外れの場所にばかり穴が開く。
『君はもう、凛々しいパースエイダー使いのキノさんではないんだ』
残りの弾丸は4発、3発、2発………っ!!!
『媚薬とセックスに溺れて、いやらしい事しか考えられない雌豚。レイプされてヨガリ狂う最低の変態、それが今のキノさんじゃないか』
最後の弾丸が壁にめり込んだ。森の人がボクの手の平から床へと転がり落ちる。
『うんうん、哀れだね。お似合いだよキノさん……』
呆然と立ち尽くすボクに優しく語りかけながら、『彼』がこちらに歩いてくる。
『そのコートの下はもうグショグショになっているんだろう?わかっているさ……』
「…や……ちが…」
『違うものか。銃弾が外れて、自分が無力だと思い知らされる度に君がどんな表情を浮かべていたか、教えてあげようか?』
「……やめ…くる…な……」
『また犯されたくてここに来たくせに、どうしてそんな強情を張るんだ。頭の中はコイツをぶち込まれて、かき混ぜられる事しか考えていないのに……』
「……うそ……う…そだ……」
『私の言葉で、感じているんだろう?』
…………事実だった。
『淫売め!淫乱め!肉欲で頭を腐らせた生きる価値の無い虫けらめ!そら、どうだ気持ち良いか?私に罵られて気持ち良いか?』
耳から入り込んだ彼の言葉が、ボクの神経を直に突き刺してくる。頭の芯が痺れて蕩けて、ボクの中にあった怒りも決意もグズグズと崩れ落ちていく。
溢れ出す蜜を止められない。体中が熱くて、もどかしくて、たまらずに自分の指で弄る。
「……っあ…嫌……嫌らよぉ……ボクぅ……」
『さあイけよ。イっちまえ。今のお前にはそれしかないんだ。認めてイっちまえ』
「…うあ……ああっ!?…ひ…やああああああっ!!!」
限界だった。これ以上、ボクはボクを抑えられない。
熱が、欲望が、快楽が、ボクの頭の中でスパークする。
「…あっ!?あああっ…あああああああああああああああああああっ!!!!」
言葉だけで、ボクは達してしまった。体中の力が抜けたボクは、糸の切れた人形のように床の上に崩れ落ちる。
416SBI:2006/05/29(月) 09:53:04 ID:KgXfLuoR
『……ほら、やっぱり君は私の可愛いキノさんじゃないか』
勝利を確信した『彼』はボクの上に覆い被さり、コートのボタンを引き千切る。ボクの眼前に迫る『彼』の顔には、『彼』自身の欲望がドロドロと渦巻いて見えた。
その薄汚い表情に重ねるように、ボクはシズさんの顔を思い出した。ボクの為に真剣に怒り、悲しんだ、シズさんらしいあの顔を……。
駄目だ。このままでは終わらせない。
袖口に隠しておいたナイフを、『彼』に気付かれないようしっかりと握る。
押さえつけられたこの体勢では十分に力をかける事は難しいが、頚動脈を狙えば……。
渾身の力を込めて、ボクはナイフを振るった。
『……何っ!?』
『彼』の顔が驚愕に歪む。
しかし、ナイフの軌道は『彼』の喉を捉える寸前で
『……痛いな』
『彼』の腕に突き刺さって、止まった。
ナイフはボクの手の平からむしり取られ、ついにボクは全ての力を失う。
『素直じゃない所も可愛いと思っていたが、これはやり過ぎだ。もう少し教育が必要なようだな』
腕から流れ出す血にも構わず、『彼』はボクの足を押し開き、いきり立つ『彼』のモノをボクのアソコにねじ込む。
「…ひ……や…ふああああああっ!!!」
唐突で強引な挿入。しかしジュクジュクと熟れた果実のように濡れそぼったボクのアソコは、それを簡単に受け入れてしまう。
『ほら、この通りだ。もう手遅れなんだよ、キノさん。君はもうコレなしでは生きていけなくなったんだ』
脈打つ怒張がボクの膣内で暴れまわり、ボクの中を嵐のような快感が駆け巡る。頭の中が何度も真っ白になって、まるで自分のものではないようなヨガリ声が口から漏れる。
涎を垂らし、悶え、喘ぐだけとなったボクの口を『彼』の唇が塞ぎ、いやらしくまとわりつくその舌でボクの舌をムチャクチャに嬲った。
「……っああっ!!…や……ひああああっ!!!!」
嫌なのに、死ぬほど嫌なのに、今のボクには何の抵抗も出来ない。
心も体も、この燃える様な快楽に屈服させられて、それに喜びを感じてしまっている。
この太くて硬くて熱いものでボクを壊して欲しい。もう本当に戻れなくなるまで、頭の中を気持ちいいことで一杯にしてほしい。
そんな事すら願い始めている自分に気がつく。
「…も…らめぇ……これ…いじょ……ボクぅ…」
シズさん……。
ごめんなさい、シズさん……。
頑張ったけど、駄目でした。
「うあああっ!!?イクぅううううっ!!!!ボクぅ、イっちゃうのぉおおおおおおおおっ!!!!!」
背中を仰け反らせ、ビクビクと痙攣しながら、ボクは絶頂に登りつめた。
放たれた『彼』の熱を体の奥に感じながら、ボクは死体のように床に横たわる。
『…ようやくいつも通りになったな、キノさん』
満足そうに言った『彼』は、ボクの体のあらゆる場所にキスをする。口づけられる度に、ピクン、ピクンとボクの体は反応する。
しかし、しばらく続いた『彼』の行為は唐突に断ち切られた。
『……がっ……ひっ…ぐぅ……』
突然に響いた『彼』の呻き声。怪訝に思ったボクは視線を彼の背後に向ける。そこに立っていたのは……。
「……遅くなった。すまない、キノさん」
417SBI:2006/05/29(月) 09:56:30 ID:KgXfLuoR
血で濡れた刀を片手に、シズさんは佇んでいた。
『……うがっ…ぎっ……痛い……痛いぃ…』
苦痛に身をよじる『彼』を蹴り飛ばし、シズさんはボクの体を抱き起こした。
「…シズさ……生き…て…?」
「勿論だ。足もちゃんとついている」
上着のお腹の辺りには血が滲んでいた。かなりの無理をしている筈なのに、シズさんは苦痛を一切顔に出していない。
『……おいっ!!貴様ぁあああああっ!!!!』
いつの間にやら部屋の奥まで逃げ延びていた『彼』が、パースエイダーを片手に叫んだ。
シズさんは慌てずにボクを床の上にやさしく寝かせてから
「……すぐ終わらせる。待っていてくれ」
ゆっくりと振り返った。
『死ぃいいいねぇえええええっ!!!!』
『彼』のパースエイダーが火を噴く。一ミリのブレも無くシズさんの額を狙う。それと同時にシズさんの刀が煌いた。
『えっ?』
刀に弾かれて、銃弾が壁にめり込む。
信じられない表情で、『彼』は引き金を引き続ける。一発目よりも雑な照準の弾丸は、全てシズさんの刀になぎ払われてしまう。
みるみるうちに、残弾は減っていく。
その度に『彼』の表情は、怒りから焦燥、恐怖、そして絶望へとその色を塗り替えられていく。
「なるべく苦しませてやりたかったが、時間が勿体無い」
『うわぁ!!?うわあああああああああああっ!!!?』
最後の弾を撃ち切る前に、シズさんの刀が『彼』の胸に突き立った。アバラの隙間を通り抜けた刃が、心臓を、命の源を断ち切る。
それで全てが終わった。
「大丈夫か、キノさん?」
再びシズさんの腕に抱き起こされるボクの体。
だが、ボクにはこの優しい温もりに身を委ねる権利はあるのだろうか?
「……シズ…さん……ボク…シズさんを…シズさんを撃って………」
ボロボロと涙をこぼしながら、ボクが言う。
「急所は外れていた。だから、こうしてここにいるんだ……」
「……でも…」
「……本当は撃ちたくなかったんだろう。知っているよ………」
そう言ったシズさんの微笑みが眩しくて、喉から声が出なくなって、ボクはただウンウンと首を縦に振った。
シズさんの胸がぎゅっとボクを抱き寄せる。
きっとシズさんはボクよりも苦しい筈。痛い筈。それがわかっているのに、今のボクには溢れ出す涙を止めることが出来なかった。
シズさんの腕の中で、ボクはあまりに無力だった。

エルメスが直るかどうかは、本当に分の悪い賭けだった。だから、久しぶりにエルメスの声を聞いた僕が、人目も憚らず彼に抱きつくのも、まあ仕方の無い話だろう。
「エルメスっ!!」
「キノ、どしたの?何なのさ?どうして泣いてるんだよ?」
多少泣き虫になってしまっても、まあ仕方が無いだろう。
418SBI:2006/05/29(月) 09:58:25 ID:KgXfLuoR
エルメスが直った事を伝えにシズさんの病室に向かった。ベッドの上に起き上がって、シズさんはボクを迎えてくれた。
「そうか、エルメス君も元通りか。本当に良かったよ」
シズさんが入院している病室は、現在のこの国の最高権力者が与えてくれたものだ。
意図していなかった事とはいえ、この国を牛耳っていた『彼』が消えた事で、目の上のたんこぶが消えた形になった。
その見返りとして、今回の事件はウヤムヤにされ、ボクたちは十分な治療を受ける事が出来た。
「そういえばキノさん、パースエイダーの方は?」
「そっちも元通り、以前より調子が良いぐらいです」
あの時ボクの撃った弾が命中しなかったのは、連日の調教による心身の衰弱の為だったらしい。
完全に回復した今なら、あれぐらいの射撃を外す事はありえない。だけれども……。
「でも、少しだけ思うんです。あのままパースエイダーが使えなくなっていたらって……」
「どういう事だい?」
それはあまりに馬鹿げた考えで、その上身勝手な考えだったので、シズさんに言うのは少し気が引けた。
あの日、シズさんの腕に身を委ねたボクが、束の間見た夢。
「ボクが弱くなって、一人で旅が出来なくなったら、シズさんはどうしますか?」
「えっ?」
「たとえ一人では無理だとしても、一緒に旅してくれる人がいるなら……」
それ以上は言えなかった。所詮、今となっては叶わぬ夢、儚い幻なのだから……。
「ごめんなさい、忘れてください」
そう言ってシズさんの膝に顔を埋めたボク、その頭をシズさんは優しく撫でてくれた。あの日と同じ暖かくて大きな手の平で何度も、何度も。
困ったように微笑むシズさんの顔が、見えないはずのその表情がありありと脳裏に浮かぶ。目元がじんわりと熱くなる。
ああ、ボクは泣き虫だ。
本当にボクは、泣き虫になってしまった。
そんな事をしみじみと噛み締めながら、ボクはずっとシズさんの膝の上に顔を埋めていた。
少しだけ、ほんの少しだけ、泣き虫も良いと、そう思った。
419SBI:2006/05/29(月) 10:00:34 ID:KgXfLuoR
これで終わりです。
長い上に、暗かったですね。
それでは、失礼します。
420名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 11:19:20 ID:aVSKrKtS
あえて言わせてもらおう、GJと。
421名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 01:28:29 ID:oqDunsjI
お・・・・ぉぉぉおおおおおおおお!

SBI氏、GJであります。
422名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 14:39:17 ID:dOV1X5p6
GJでした!!
423白雀:2006/06/01(木) 21:09:29 ID:9odAO/K9
はじめまして。時雨沢スレに顔出すのは初めての者です。
SBI氏を初めとする職人の皆様の作品読ませていただきました。イヌミミ属性のある私にはツボだった作品もあり大満足です。
元々リリトレのカルロは好きなキャラだったのですが、リリトレ4巻あとがきの成長したカルロが個人的にヒットしたので、離れていたSSのリハビリがてらちょっと書いてみました。
成長したカルロ(本名カルラ)×トレイズのご都合主義モノなので合わない人はお気をつけください。あと限られた時間の中でSS久しぶりに書いたので短いです。

タイトル:カルロ(カルラ)とトレイズ
内容:18禁(本番無し)
424カルロ(カルラ)とトレイズ 1:2006/06/01(木) 21:16:03 ID:9odAO/K9
 ここはエロパロ板の世界。時雨沢氏によって作られたあとがきの世界と趣を同じくする、世界から外れた捻じれた世界である。故に、時間の流れも場所の隔たりも本編とはまったく関係が無い。
 だから、今はトルカシアにいるはずのだいたい12歳の少年のような少女・カルロが背も髪も伸び、少しオトナの少女の姿になっていても、
 ましてやカルロ…いや、カルラがベッドの上で少し意気地のなさそうな少年・通称ヘタレの…いやイクストーヴァのトレイズを押し倒していようが、この世界では何の問題もない。
「いやいや、問題大有りだろ!」
「おいおい、せっかくこうして再会できたのに、つれねーこと言うなよお兄ちゃん」
 マウントポジションをとった体勢から、カルラの大きな目がトレイズの瞳を覗き込む。
 いまだに少年の面影を残した中世的な顔立ち。
 しかしお気に入りの帽子から覗く、少しくせっ気のある赤い髪は艶やかに伸ばされ、薄いとはいえ服の上からでもはっきりと認識できる胸の膨らみは立派にカルロがカルラちゃんとして女に成長したことを証明していた。
「いや、いいか落ち着こうカルロ。いやカルラ。俺とお前がここにいる事情は納得はしてないけど理解した。再会できたのはとても嬉しい。それにお前は綺麗になった。それならリリアもきっと驚く。
 だから降りよう。うん、ベッドの上で女の子が男の上に乗るのは教育上よろしくない」
 早口にまくし立てるトレイズの言葉に、しかしカルラは口元にネコのような笑みを浮かべ、
「それがダメなんだよなー。この世界に呼ばれた以上、オレはお兄ちゃんと××××しなくちゃいけないんだ。誰が望んだのかわかんねーけど、この世界はそのためだけに用意されてオレとお兄ちゃんはその役者として選ばれたんだから。
 それにオレはお兄ちゃんとなら構わないし。いうわけで、やさしくしてくれよなお兄ちゃん」
 つ、とカルラの人差し指がシャツの上からトレイズの胸板をなぞる。くすぐったさに一瞬トレイズが身を震わせた。ちなみに××××とは、とてもカルラのような女の子が口にしてはいけないような言葉である。
「うっ…ま…待て待て! そもそもこういう事は、結婚を前提とした恋人どうしがするものであって、一時の感情に身を任せてするようなことではないというかなんというか」
「いーじゃん。どうせこの世界から戻れば、現実世界では何も無かったことになってるし。リリアお姉ちゃんといざするって時の練習だと思いなよ。どーせお兄ちゃんのことだから、まだリリアお姉ちゃんとそういう関係になってないんだろ?」
「うぐっ」
 図星を突かれ、トレイズは目をそらす。
「リリアお姉ちゃんとのせっかくの初めての夜に、うまく出来なくてお姉ちゃんを怒らせたりしたらどうすんだお兄ちゃん? お姉ちゃんからヘタレのトレイズ呼ばわりされたら男として大変だぞ?」
 実はもう俺がヘタレなのは周知の事実です、というツッコミをトレイズはかろうじて飲み込んだ。だって、口に出したら本気で涙が出そうだから。
「と、いうわけで。このカルロ様…いやカルラ様がお兄ちゃんとリリアお姉ちゃんのためにひと肌脱いでやろうってわけだ。お兄ちゃんもいい加減覚悟きめなよ」
 んしょ、という声と共に、カルラは着ていた上着を無造作に脱ぎ捨てた。
「……うわぁっ!? カカカカルラ、おおおお前……」
 トレイズが上手く言葉に出せないほどに驚いたことに、カルラは下着を着けていなかった。
 男物のトレーナーが体から離れると、まだ膨らみきっていない、しかし確実に女の子と分かる僅かな二つの膨らみが、そして頂点に申し訳程度についている小さな突起があらわになる。
 男のサガか、脱ぐところを見まいとしても目が勝手に追ってしまったトレイズは無防備に晒されたカルラの胸に赤面する。
「だってよー。まだオレにはブラジャーなんてめんどくさいモン必要ないし。そりゃオレだってもう少し胸は欲しかったぞ。最低でもリリアお姉ちゃんくらいは欲しかった。
 けど残念ながら今のオレにはこれが精一杯だ。小さなおっぱいだが我慢してくれお兄ちゃん」
 あらわになった胸を手で隠そうともせず、むしろ女の子の証を見せ付けるようにほれほれを突き出すカルラ。
 見ちゃダメだ俺にはリリアがいやまだリリアには告白どころか正体暴露すらしてないけどなどと思いながらも、女の子の柔らかそうな裸から目を離す事が出来ない。
425カルロ(カルラ)とトレイズ 2:2006/06/01(木) 21:18:46 ID:9odAO/K9
「さあ、というわけでお兄ちゃんも脱げ」
 カルラの細い指が器用にトレイズのジャケットのボタンを外していく。
「あ、ちょっ…うわっ、あっ…」
 ジャケットの前を開くと、その下には程よく鍛えられた引き締まった体が晒される。はー、とカルラが感心の溜息を漏らした。
 かっこいい、というよりは美しい、と表現した方がしっくりするトレイズの上半身は、雪国イクストーヴァの育ちのせいか健康的な色白さでカルラの目を引き付ける。
 ひととおり鑑賞したあと今度は手を後ろに伸ばしズボンのボタンに手を掛ける。ズボンの上からカルラの指が性器を擦る。
「くうっ」
 思わずトレイズが声を漏らす。目を瞑り、頬を染めて恥ずかしさに耐えながらか細い声を出すトレイズの姿はまるで女の子のように扇情的だった。
 ……どう考えても一般の男女とは立場が逆である。
「女みたいな声出すなよ……なんか、もしかしたらオレとお兄ちゃんって生まれたときに神様が性別を間違えて取り替えたんじゃないかと思ってきたじゃないか」
「お、俺だってもう少し男らしくなりたいとだな…ま、待てカルラ。話せば分かる。お前にはまだそこは早い!」
 トレイズの必死の説得も何処吹く風、カルラは腰を浮かせると向きを変え下半身へと体を向ける。鼻歌混じりにトレイズのズボンを下ろし、既に硬くなったもので内側から盛り上げられている下着に手を掛ける。
 ひっかかりに苦戦しつつ、何とか下着を脱がせることに成功したカルラは……そこで驚きのあまり鼻歌を止めた。
「……うわ」
 たとえトレイズ以上に男らしく振舞っていても、カルラはやはり女の子である。男の、しかも勃起した状態の男性器など見るのは初めてのことだった。
小刻みに震えながら、少しずつ大きさを増し天を仰ぐように角度を上げていくその不思議な肉棒にカルラは思わず瞬きを忘れ、食い入るように眺め始める。
「そ、そんなにじっくりと見るものじゃないぞ」
 本気を出せば、仮にもトレイズは鍛えられた男。カルラの細く軽い体など簡単に跳ね飛ばせるのだが、相手が女の子であること、何よりこの状況に主導権を握られていることが相まって、カルラを腰の上に乗せたままトレイズはされるがままになっていた。
「これが……お兄ちゃんの……」
 女顔のトレイズからは想像もつかない、大きく赤黒い肉の棒。半分ほど皮が被ってはいるが、先端はすっかり剥けてその姿を外気に晒している。
 カルラはトレイズの上に馬乗りになったまま、顔を近づける。少し頬を染めながら目をそらすことなくじっくりと観察していく。
 それは、自分についてないものへの憧れでもあり、同時に愛しいトレイズの大事な部分への愛着からであった。
 トレイズからはカルラの健康的な白い背中が見えるだけで、カルラの体に隠れて今自分のモノがどうなっているのか分からない。しかし逆にその不安と、目を離すことの出来ないカルラの綺麗な背中が嫌がおうにも興奮を高める。
 カルラの目の前で、トレイズのモノがさらに大きくなっていく。
「……えいっ」
 我慢しきれなくなったのだろう。トレイズに了承を得ることなく、唐突にカルラがトレイズの男性器へと手を伸ばす。両手で感触を確かめるようにそっと握ると、カルラの小さな手の中で一際驚いたようにそれがビクンと反応した。
「うわぁっ!?」
「うおっ」
 両者がそれぞれ驚きの声を上げる。もちろん(一般の男女とは逆に)トレイズのほうが声が大きい。
「ままま待てカルラ、お前それをどうするのか分かってるのか?」
「ん? あー、よくわかんないけどとにかくコレを気持ちよくさせればいいんだろ?」
 なんとカルラは見た目は大人、しかし精神年齢は子供のままだった。それはさすがにいろいろとまずいだろいや犯罪だろとトレイズは思うが、下半身から伝わってくる快感が彼の言葉を奪う。
 他人に触られたことのなかったトレイズにとって、他人の、しかも柔らかく温かい少女の手が性器に与える感触はこれまで味わったことの無いものだった。
426カルロ(カルラ)とトレイズ 3:2006/06/01(木) 21:22:31 ID:9odAO/K9
「ぐっ、カルラ、ちょっ…」
「すげえ……お兄ちゃんの、固くてあったかくて……」
 大きさを増し、半分被っていた皮も完全に剥けたトレイズのそれを両手で包むようににぎにぎと握り、すべすべした手のひらで亀頭を撫でる。
 指先で付け根の部分を押し、やさしく棒についている袋の中の玉をマッサージするように揉んでいく。子供が新しい玩具に夢中になるように、カルラはトレイズのモノをあますことなくいじくり続ける。
「っはぁ、んんっ……」
 馬乗りになっているカルラの体に隠れて自分のモノが見えないトレイズには、次にどんな刺激が来るのか予想がつかない。
 亀頭に、玉に、裏筋に、新しい刺激が不意に加えられるたびにトレイズは目を瞑り、両手両足を限界まで伸ばし、両手でしっかりとシーツを掴み、全身を走る快感に耐える。
 やがてコツを掴んだのか、両手の指を絡ませ、カルラは硬く勃起したトレイズのモノを上下にしごきはじめる。上から下へ、下から上へ。
 柔らかい手が一往復するたびにトレイズの下半身に飛んでいきそうなほどの快楽が刻まれる。
 やや釣り目気味だったカルラの視線は熱に浮かされたようにとろん、と下がり、希少動物を見るかのような夢見心地の目で手の中で大きさを増すトレイズのモノを見つめていた。
「あ、う、くっ……だ、ダメ……カルラ……」
 トレイズも自慰の経験がないわけではない。しかし自分以外の、しかも鍛え続けた無骨な手ではなく柔らかく滑らかな少女の手でしごかれる快感は自分でするときとは天と地の差があった。
 もはやトレイズはされるがまま、情けない喘ぎ声を出しながら必至に快楽に耐えていた。
「…………ん?」
 夢中でトレイズのモノをしごき続けていたカルラの手に、ぬるりとした液体の感触が伝わる。染み出してきた我慢汁が次第に溢れ、竿を伝わってカルラの手へと到達していた。
 そのぬるりとした感触がカルラの手全体に広がり、手の感触と粘液の感触が加わりさらにトレイズに刺激を与え、それがまた我慢汁を大量に出させると言う循環を作っていく。
 自身の我慢汁でコーティングされたトレイズの男性器は、上品な赤黒い色でテカテカと光り、カルラが火傷しそうなほどに熱を帯び、カルラの小さな手では包みきれないほどに極限まで大きくなっていた。
 鈴口には染み出る我慢汁が山のように溜まり、後から後から溢れる分が竿を伝ってカルラの手へと流れていく。その小さな山のように鈴口に溜まった透明な液に、カルラの目がキラリと光る。
「れろっ」
「―――っ!!」
 可愛らしいカルラの舌が溜まった我慢汁を舐め取る。ネコがミルクを飲むように、舌先がペロペロとトレイズの先端を往復していく。
 カルラの口内に、しょっぱいような、苦いような、複雑な味がじわりと広がっていく。同時にむせ返るほどのオスの匂いが口から鼻から進入し、カルラの頭をクラクラと酔わせる。
 尖った舌先が鈴口を刺激し、唾液の絡んだ舌の腹が亀頭の周囲を走る。カルラの熱を帯びた荒い息がすぐそこにあるトレイズのモノにかかり、ゆっくり、そして急激に、時間差でトレイズの脊髄に何度と無く電流の如き快楽を与え続ける。
「か、カルラ……ダメだ……もう……」
 トレイズからは見えないが、愛しげにトレイズのモノを舐め続けるカルラの表情には、既に少年の面影は無い。かといってそれは男を喰らう女の顔にしてはまだ幼く、どちらかというと母ネコにエサをねだる無邪気な仔猫を思わせる。
 そして、果たしてフェラチオと言う行為を知ってか知らずか――おそらくは知らないにせよ女としての本能からか――カルラは意を決したように口を大きく開けると、歯を立てないように気をつけながらトレイズのモノを口に含んでいく。
「っあぁぁぁぁっ!!」
 それまで部分的に攻められていたモノが、亀頭からカリ、竿まで全体を一気に攻められる快楽に未経験のトレイズが耐えられるはずもない。
 男の味など知らない柔らかい唇が竿を優しく包み、舌の腹が裏筋を溶かすように蛇の如く絡み、突き出すように尖らされた舌先が限界まで感度の高まった根元をつついて刺激する。
427カルロ(カルラ)とトレイズ 4:2006/06/01(木) 21:25:29 ID:9odAO/K9
「だ、ダメだっ! もう……!!」 
 全身に拡散していた快感が下半身へと集中する。それらは一気に爆発し、既に準備を整えていた射精を押し上げる。カルラがトレイズのモノを咥えてわずか3秒で、トレイズはカルラの口から自身を抜く余裕も無く精を放つ。
 一発目、熱くたぎった濃い精液が勢いよく飛び出しカルラの喉の奥にぶちまけられる。
「あぁぁっ!! んっ! はぐうっ!!」
「んん゛――――!? っぷはーっ!!」
 突然口内起きた暴発、そして喉の奥を叩く熱い塊に、思わずカルラは表情をゆがめ頭を引く。口から唾液まみれのトレイズのモノが引き抜かれた瞬間第二射が起こり、カルラの顔に向けられていた発射口から勢いよく精液が放たれる。
「うわっ、うわっ、うわっ」
 顔に叩きつけられるトレイズの精液。猫のような愛らしい癖毛に、上半身が裸になっても決して脱がなかったお気に入りの帽子に、そして細い首筋や薄い胸元に、興奮して控えめに自己主張を始めた小さな乳首に。
 いまだカルラがしっかりと両手で握ったままのモノから放たれた精液は、ペイント弾のようにカルラの上半身を余すことなく白く汚していく。
 カルラがいくら度胸があって好奇心が強くても、もちろんこんなことは初めてのカルラにとって完全に不測の事態。噴き出す精液をどうしたらいいのか分からず、ただあわてながらとにかく自分の顔と手で飛び出す精液を受け止め続ける。
「っ! っあ!! カルラぁっ!!」
 トレイズも、あまりの快感に意識が飛びかける。故郷イクスの雪景色のように、視界が白く染まる。全身を痙攣させ、奥歯をしっかりを噛み締めて必至に意識を保ちながら快楽の終わりを待つ。

「…………ふぃー」
 トレイズが人生で一番長く感じた射精がようやく収まったときには、カルラの全身は精液でべとべとだった。顔にも髪にも帽子にも胸にも大量の精液が飛び散り、両手にもどろりしとした濃い精液が大量に付着している。
 出し終わりもとの姿を取り戻したトレイズのモノを呆然と眺めながら、カルラは思い出したように口の中に残った第一射目の大量の精液を飲みこむ。
 舌や喉にひっかかって一瞬咳き込みそうになったのをこらえ、口内愛撫のときに大量に溜まっていた唾液とからめてなんとかお腹の中へと流し込む。
「お兄ちゃん……気持ちよかったか?」
 腰を浮かし、トレイズの下半身に向いていた体を再びトレイズの上半身へとむける。半ば放心状態にあったトレイズはその一言で我に返り、先ほどまで自分の大事なモノを愛撫し続けてくれた少女の姿を視界に納める。
 過去に経験がないほど放出した大量の精液で汚されたカルラの半裸は、少女として、そして女として、トレイズが思わず見惚れるほど美しかった。
「あ、ああ……すごく」
 余韻に浸りながらか細い声でトレイズは答える。リリアごめん俺はまだ子供のカルロいやカルラちゃんを欲望のままに汚してしまいましたこんな俺を許してください戻ったら三日間断食しますなどと心の片隅で最愛の少女に頭を下げ続けていたが…。
「カルラ、汚してしまって悪い。何か体拭くもの……」
 少し余裕の出たトレイズが、カルラの姿を見て気づく。全身、特に手や綺麗な髪の毛、大切にしているであろう帽子にびっしりとこびり付いた精液は早くふき取らないとまずい。
 しかし時間の流れも世界のカタチも元の世界とは違うこの二人だけの世界には、出口の無い部屋に置かれた大きなベッド以外には何もなかった。
「大丈夫だよ。どーせ元の世界に戻ればなかったことになってるし。それにお兄ちゃんのでいっぱいってのも、なんか嬉しいぜ」
 そう言って、カルラは手のあちこちに付着した精液を舌で舐め取っては飲み込む。自分が出した精液で白く汚された胸をさらけ出したまま、自分が出した精液を舌で舐め取る姿はまたトレイズの想像以上に官能的だった。
「けどお兄ちゃん、オレやっぱさっきの言葉撤回するぜ」
「さっきの?」
 カルラの小さな口に精液が含まれる光景に見とれていたトレイズはその言葉で我に返る。
「ああ。さっきオレ、お兄ちゃんがヘタレ呼ばわりされたら大変だって言ったけど…」
「言ったけど?」
「あれ撤回。お兄ちゃん、既に十分ヘタレだ。出すの早すぎ。男ならもう少し我慢しろ」
 初めてなら止むを得ないこととはいえ、男としての尊厳に関わる言葉にちょっぴり泣きたくなったトレイズだった。
428白雀:2006/06/01(木) 21:41:24 ID:9odAO/K9
以上です。ちょっと途中でPCがフリーズしてしまいましたが何とか投稿終了です。
本番まで書くとえらく長くなりそうだったのできりのいいところで止めました。久々に書くとSSは難しいです。
迷ったのが、カルロをカルロと表記するかカルラと表記するか。あとがきではカルロでしたが、女の子としての本名はカルラでしたからどっちにしようか悩みました。
トレイズはカルラと呼んでいたので、カルラで統一しましたが皆さん的にはどっちのほうがよかったでしょうか?
読んでくれてありがとうございました。それではまたです。

P・S 本番は時間があれば書いてみたいです。今回のもかなり時間がかかったので…期待しないでいてください。そもそもカルラの需要があるかどうかすら怪しいですし。
429名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 02:29:41 ID:JtB/VFNc
乙〜
難しいことはよーわからんけど自信持てばいいと思うよー
私なんかもっとひどいの書くから(鬱)

マイナーでも需要はある、人がいる限りマイナーは存在し続ける…。
430SBI:2006/06/02(金) 14:43:01 ID:yOqc67CW
GJ! 素敵でした。ノリだけで書いてるどっかのSBIとは大違いですよ。
カルラ可愛かった。
でもそれ以上に、なんかトレイズもヤバかったような……。攻められっぱなしだし。
トレイズ萌えのヒトじゃないんだけど、なんかコレは……。
431名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 20:52:53 ID:IbpHzTTM
乙うぅぅー!!
432名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 00:10:47 ID:VFWtxaj6
アリソンIII - 第3章 P133ぐらいから始まるシーンのパラレル物を妄想中
SS書いたこと無いけど上手くまとまったらここに貼ります(・ω・´)
433名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 03:23:07 ID:efDXka1P
「キノ、起きてよキノ。ねぇキノってば!」
「ん・・・おはようエルメス・・・って、ここどこ!?何で僕縛られてるの!?」
「覚えてないの?川で水浴びして丘に上がった後後ろから睡眠薬を嗅がされて・・・」
「っ・・・・!油断してた・・・」
がちゃりと部屋のドアが開く音がした。
部屋の中に白衣を着た男達が数人入ってきた。
その中でも最年長と思われる男性が、立ち止まってキノを見た。
「旅人さん、驚かせてしまって申し訳ありませんでした。私達の無礼をお許しください。」
「大丈夫です。少し驚きましたが気にしていませんよ。それより縄をといてもらえませんか?」
「残念ながらそれはできません。旅人さんにはこれから我が国の実験に付き合って頂きます。」
そこまで言い終わると男は注射器をキノの右腕に刺した。
「っ・・・一体何の薬なんれすか?・・・あれ?」
キノは呂律が回らない事に驚き、白衣の男達をキッっと睨む。
「大丈夫。体に悪いものではありませんよ。」
「ふぁっ!なにこれ・・・熱いっ・・・し・・眠っ・・・」
「人間がどれだけ眠らずにいられるかを調べるんです。是非協力してください。」
注射器を持った男が合図をすると、奥にいた若い男があるものを持ってくる。
体の力が抜けて身動きが取れないキノは、数人の男達に服を全て脱がされてしまった。
若い白衣の男が持ってきた男性器を模った長くて太いそれは、キノの前と後ろ、両方の穴に差込まれ、キノは苦しそうに喘ぐ。
「あとはカメラで部屋の様子をチェックするだけなので、私達はこれで・・・」
男達は部屋を去り、薄暗い室内には一人のキノと一台のモトラドが残された。
「キノ・・・どうする?こんな状態じゃパースエイダーだって使えないじゃないか。」
「っ・・だって・・熱くて眠くてっ・・・・ふぁぅうああああっぁぁああ!!」
突然キノの中に差込まれた物が激しく振動する。
睡魔に襲われながらも刺激が激しすぎて眠ることなんてできやしない。
両方の穴を攻められて悶えているキノを、エルメスはただ見ていることしかできなかった・・・・・


・・・・・という夢を見たwww
夢ネタなんでかなり中途半端スマソorz 続きはおまいらの御妄想にお任せします。
こんな夢を見る漏れはもうかなり終わってるんじゃまいかと思いつつ>>432に期待。
434名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 08:48:27 ID:SeScKNW1
禿GJ
435SBI:2006/06/08(木) 19:55:17 ID:660Lyx+E
>>433 な、なんて良い夢だ。うらやましい……。

夢ではないけど、俺の妄想もついでに投下してみます。
では……。
436SBI:2006/06/08(木) 19:56:33 ID:660Lyx+E
容赦なく瞳を突き刺す強烈な照明を浴びて、アリソンは目を覚ました。どことも知れぬ部屋の真ん中で、彼女は手術台の上に乗っかっていた。
壁には窓一つ無く、部屋の中はなにやら得たいの知れない機械によって埋め尽くされている。
「おはよう、アリソン・ウィッティングトン伍長」
アリソンの頭上から声が響く。視線を上に向けると白衣をまとった若い男が一人。その表情は眼鏡が光を反射して目元が見えないため、いまいち判然としない。
「気分はどうだい?なんて聞いても今の君は答えられないだろうけど」
男を怒鳴りつけたいアリソンだったが、それは叶わぬ願いだった。彼女の口に装着された大げさなマスクのせいだ。
一体男は誰なのだろう?自分は何をされようとしているのだろう?様々な疑問と不安を言葉にする事も叶わず、アリソンは男を睨みつける事しか出来ない。
(基地にいた時に、突然黒服の男たちがやって来て、軍上層部の命令だって私を連れ出して、そこまでは覚えてるんだけど……)
自分を捕えた奴らの、そして目の前のこの男の目的はわからないが、どうせろくでもない事に決まっている。アリソンの額にじっとりと汗が滲み始めていた。
「そんな怖い顔をしないでくれ。これはちゃんとした命令の元に行われている事なんだ。どうしても君の協力が必要なのさ」
アリソンに睨まれても、男は一向に悪びれる様子も無い。そして、軽い調子のまま、男はアリソンにとんでもない事を告げる。
「そう、ちょっと協力してもらうだけだよ。君の体を改造させてもらうだけさ」
背筋に氷を当てられたような戦慄が走った。
アリソンは手術台の上で必死にもがくが、手足はベルトにガッチリと固定されビクともしない。男はその様子を見て、楽しそうに口元を歪める。
「大丈夫、すぐに終わる。我がロクシアヌーク連邦のためだ。しばらく我慢してもらうよ」
男が手元の機械のスイッチを入れた。アリソンの口にはめられたマスクから、なにか甘い匂いのするガスが噴き出す。
それを吸い込んだアリソンの手足から、たちまち力が抜けていく。
(…………あぁ……ヴィル………っ)
最後に愛しい人の名前を心の中で叫んでから、アリソンの意識は絶望の闇へと消えていった。

そしてその翌日、アリソンはとある空軍基地の格納庫の隅にいた。
赤く泣き腫らした目と憔悴し切った表情意外は、一見して昨日までの彼女と変わらないその姿。
しかし、頭から被った毛布のその下で、悪魔の爪は確実に彼女の体に傷跡を残していた。
「それで、気がついたら基地の医務室のベッドに寝かされていて……。もう私どうしたらいいのか……」
アリソンは目の前に腰掛ける同僚の女性に向かって、自分の身に起こった事の一部始終を伝えていた。女性はアリソンの話に真剣に耳を傾けている。
「……なんて話なのっ!!」
一通りの話を聞き終えた女性は、アリソンを襲った非道な仕打ちに怒りを燃やしていた。こんな少女の体を、尊厳を弄ぶような事が許されるはずが無い。
「大丈夫、アリソン。私も、この基地の他のみんなだってそんな事を許しはしないわ」
力強い女性の言葉にもアリソンの表情は晴れない。無理も無い話だ。女性はどう言ってやれば良いのかわからず、しばし二人の間を沈黙が支配する。
しばらくして、アリソンが口を開いた。
「…………とにかく私、あいつらに体をいじられて……それで、その……」
どうやら、自分に施された『改造』についての話らしい。いつものハキハキした口調はどこへやら、何度も口ごもる様子が女性の目には痛々しく映った。
「アリソン、今無理をして言う必要はないわ」
「いえ、でも……とにかく、これだけは見ておいてもらわないと………」
確かにそれは確かめておくべき事柄だった。女性はしぶしぶながら引き下がる。
「驚かないでくださいね……」
アリソンの手がゆっくりと頭の上の毛布を取り去った。極悪非道な人体実験、その結果が白日の下にさらされる。
437SBI:2006/06/08(木) 19:57:40 ID:660Lyx+E
「………こんなにされちゃいました……」
そこにあったのは可愛らしい猫の耳だった。輝く金髪に映える白く美しいネコミミが鎮座していた。お尻には可愛いしっぽが揺れている。
動物と人体を融合させる禁断の技術。まさしく悪魔の業である。女性の瞳が戦慄に見開かれる。そして…………。
「きゃああああああああっ!!!アリソン、アリソンっ!!なにそれ…ちょ……滅茶苦茶カワイイじゃないっ!!!!」
格納庫内に黄色い悲鳴が響き渡った。居ても立ってもいられなくなり、女性はアリソンの体をぎゅうううっと抱き締める。
「すごいすごいすごいすごいっ!!!!なんでこんな可愛いのよ、アリソン〜!!!」
アリソンとネコミミのマッチングは絶妙だった。色合い、大きさのバランスも申し分ない。アリソンに施された改造は、彼女を究極のネコミミ美少女に変身させていた。
さっきまでの深刻さはどこへやら、女性は軟体動物のようにアリソンに纏わりついて、抱きしめる。すっかりネコミミなアリソンに骨抜きにされてしまった。
「…………だから、驚かないでって言ったのに………」
アリソンの呟きも、もう女性の耳には入っていない。まさにこれこそが、恐るべき人体実験のもたらした成果なのだった………。

首都の喧騒の中で、アリソンは一人家路を急いでいた。その顔の不機嫌そうなこと。すべて例のネコミミのせいだった。
「伍長、なんだ、その………可愛いな…」
「…すご……似合いすぎだぞアリソン……」
「このネコミミ、ほんとにあったかい………」
「……萌え……」
「……結婚してくれぇええええええっ!!!!!!」
どんなに真剣に、人体実験の非道を訴えてもこの有様。ネコミミを見た途端、今まで真剣にアリソンの話を聞いていた同僚たちは、一瞬にして態度を変えてしまった。
基地司令などアリソンを本物の猫扱いして、オイルサーディンの缶まで開けようとした。その背中に一発蹴りを入れても、アリソンの怒りは収まらない。
「なんで誰もまともに取り合ってくれないのよっ!!!」
ネコミミへの改造なら、いくらでも人の体をいじって良いとでも言うのか?可愛ければそれで問題ないとでも言うのか?
本当に怖かったのに、本当にもう駄目かと思ったのに、本当にもう二度とヴィルに会えないと、そう思ったのに…………。
そうだ、ヴィル……。
「…………ヴィルなら、ちゃんと聞いてくれるよね?」
この胸に渦巻く不安も、怒りも、まとめてヴィルにぶちまけよう。この事件のことを全部話して、知恵を貸してもらって、一緒に奴らに反撃するのだ。
考え直したアリソンは一刻も早く家に辿り着こうと歩みを速くする。ヴィルの笑顔を思い浮かべただけで、幾分か気持ちが落ち着いたような気がした。
首都の一角、アパートの最上階、長くて急な階段を一息に駆け上る。勢いよくドアを開けて、アリソンは我が家に帰り着いた。
「ただいま、ヴィルっ!!」
「おかえり、アリソン」
お馴染みのヴィルの声が今日は一段と愛しく感じられた。着替えるのももどかしく、アリソンはヴィルに事件の話をしようとして、気が付いた………。
「ヴィ、ヴィル?」
アリソンの目の前で、ヴィルは固まっていた。その視線はアリソンの頭上、そこで揺れる二つのネコミミに釘付けになっている。
この次にヴィルが何を言うか、アリソンにはもうわかっていた。
「ア、アリソン……可愛い……」
最後の砦は崩れ去った。もはやアリソンには安息の地などどこにも残されていなかった。
438SBI:2006/06/08(木) 19:58:37 ID:660Lyx+E
というわけで完全にふてくされたアリソンはベッドに潜り込んでふて寝を決め込んでいた。
「なんなのよ、ヴィルまで……」
可愛い、そんな事をヴィルに言ってもらう日を夢見てきた。朴念仁の彼だから、なかなか難しい願いだとはわかっていたけど、それでもずっと夢見続けてきた。
だけどその願いはこのネコミミにあっさりと攫われてしまった。いつもの自分にはなかなか言ってくれないくせに、こんな付属品がついただけでいとも簡単に……。
本当に言ってもらいたい言葉だった。だからこそショックだったのだ。
ヴィルも空軍のみんなももう知らない。ちょっとネコミミがついたぐらいで態度を変えるような奴らが信用できるものか。
広い世界に一人ぼっち、今のアリソンの心境はそんな感じだった。
その時部屋のドアがゆっくりと開いた。中に入ってくる誰かの足音。どうやらヴィルがやって来たらしい。アリソンは毛布の中に逃げ込んだ。
ヴィルは無言のままベッドに近づき、その端っこに腰掛けた。
「アリソン、起きてる?」
なんだか本当に心配そうな声でヴィルが言った。アリソンの心が少し揺れ動いたが、それでも歯を食いしばりだんまりを決め込む。
「あの頭に、しっぽ、何があったの……」
今更何を言っているんだか。最初にそれを聞くのが筋だろうに……。
「何か嫌な事、辛い事があったんだよね。ごめん、あの時は本当に驚いてて何にも聞いてあげられなかった」
そうだ、ようやくわかったか。まあ、ヴィルの『可愛い』を聞くなり、すぐに逃げ出した私も悪いのだけれど……。
「アリソン大変だったのに、そんな時に『可愛い』だなんて………」
いつも通り、アリソンにちゃんと向き合ってくれるヴィルの言葉。聞いているだけで、ヴィルが自分のことを真剣に心配してくれていることは、アリソンにはわかった。
わかっていて、それでもベッドの中から抜け出す気にはなれなかった。
本当はヴィルが自分のことをどんな風に見て、どんな風に思ってくれているか、ちゃんと知っていたから………。
『アリソンの髪は太陽に透かしてみると、キラキラしてきれい』
そう言ってくれるヴィルだと、ちゃんとわかっていて拗ねたのだから。わかっていたけど、どうしても自分の感情をコントロールできなかった。ただそれだけなのだから……。
毛布越しにヴィルの手のひらがアリソンの背中を撫でる。優しくて、自分を心の底から安心させてくれる感触………。
「アリソンが僕のことを好きだって言ってくれて、それからずっと悩んでたんだ。ほら、僕って鈍感だから女の子にどう言ってあげたらいいのかわかんなくて……。
そんな事考えてたら、今度は最悪のタイミングで言っちゃうし、本当にどうしようもないよね…………」
そっと毛布の下から、アリソンは目だけを覗かせた。
ヴィルの笑顔が見える。ちょっと頼りないけれど、本当は他の誰もかなわない強さと優しさを秘めたその表情。アリソンが一番大好きな笑顔。
いつだって先走って無茶をするのは自分ばかり、それでもヴィルは必ず後ろについて来てくれた。そんなヴィルを信じなくて、他に誰を信じるというのか。
アリソンの心は決まった。目を閉じて数秒間、自分の中のありったけの勇気を奮い立たせる。そして……。
「……うわ!…アリソン!?」
ガバっと起き上がり、アリソンはヴィルに思い切り抱きついた。
「ヴィル……っ!!私っ!私ぃ!!!」
ちょっと驚いていたヴィルだったけれど、ようやくアリソンが姿を見せてくれて、随分と安心したようだった。
ヴィルはアリソンの背中にそっと腕を回し、優しく抱きしめた。
「本当にごめん、アリソン……」
「もういいわよ、私の方こそヴィルに無茶言って……」
照れくさそうに笑うアリソンの顔からは、さっきまでの不安な表情は消えていた。ネコミミへの怒りも、すっかり収まっていた。
439SBI:2006/06/08(木) 20:00:41 ID:660Lyx+E
「そんなに可愛い?ネコミミの私って……」
なんて微笑みながら言って見せたりさえする。
「うん、可愛いよ。でも………」
言い淀んだヴィルをアリソンが不思議そうに覗き込む。
「僕はいつもアリソンのこと、可愛いって思ってるから……」
しれっと言って見せたヴィルの言葉に、アリソンはしばし呆然。
「大好きだよ」。
その上、そんな事を言われながらほっぺにキスなどされたものだから
「ふにゃぁああああっ!?」
全神経がショート、頭から湯気を吹き出して、アリソン、ついにオーバーヒート。
「…ヴィ、ヴィルぅ」
甘えたような声で、ヴィルの体にしなだれかかる。ヴィルの背中に腕を回し、きゅっと抱きつきながら、唇を重ねる。
「……んぅ…ぷあ…はぁ……ヴィル…好き。私も好きぃ……」
「…アリソン……」
唇を離した二人はうっとりとした表情で見詰め合う。
アリソンの頭からは、人体実験がどうだとか、ネコミミへの怒りがどうだとか、そんな話はすっかり吹き飛んでいた。
再び熱いキスを交わす二人。今度はさっきよりも熱く、長く、お互いの口の中を味わい、ねっとりと舌を絡ませあう。
離した二人の唇の間に唾液が糸を引いて、部屋の明かりを反射してキラキラと輝く。
「アリソンかわい…」
「…はぅ…あ、あう……ヴィルぅ…」
どうしようもなく熱くなった体を、少しでも早くヴィルと触れ合わせたくて、アリソンはぷちぷちと自分のシャツのボタンを外していく。
ボタンを外して露になった鎖骨、火照った白いその肌の上に、突然ヴィルの舌が触れた。
「…ひゃっ!?ああっ!!?…や…そこ、だめぇ!!」
その言葉には答えずに、ヴィルはアリソンの鎖骨に、首筋に、うなじに、舌を這わせる。ねぶる。しゃぶりつく。
「…っああぁ!…ひゃんっ!?…ふああっ!!」
その刺激が肌の腕を滑ってゆく度にアリソンの体がピクンと反応する。ぞわぞわした快感の強さに耐えかねて指先が震えて、服を脱いでいく事すらままならなくなる。
そんなアリソンの手に代わって、ヴィルの手がアリソンの服を脱がせていく。
アリソンの肌を責めながら、器用にするすると、魔法のような手際で、ヴィルはアリソンを裸にした。
そして自らも手早く上着を、シャツを脱ぎ捨てて、裸の上半身でアリソンの体を抱き締める。
「知ってる?アリソンの体って、抱き締めるとすごくいい匂いがするんだよ」
なんて囁きながら、ヴィルはアリソンの肌のぬくもりの中に埋もれていく。アリソンもヴィルの肌の暖かさに体の全部を包まれていく。
ヴィルはアリソンの体を抱き上げて、ベッドの上に寝かせて体勢を変える。
「こうすると、アリソンの体の綺麗なところが見渡せるね。キラキラの髪も、空の色の瞳も、白い肌も、おっぱいも、脚も、手の平も全部……それに」
ヴィルはアリソンの脚の間から腕を伸ばして、ふさふさの猫しっぽをその手の平の中に収める。
「ひあっ!?…や…ヴィル、それ!?」
「コレも、それにこっちも可愛いよ」
ネコミミにもヴィルはそっとキスをしてあげる。
「…ひゃうっ!?」
440SBI:2006/06/08(木) 20:01:27 ID:660Lyx+E
「すごい……猫のところはすごく敏感なんだね……」
そう言いながらヴィルはアリソンの猫しっぽを手の平で弄ぶ。
根元から先端まで、何度も手の平の中でしっぽを滑らせる度、アリソンの体は面白いぐらい敏感に反応する。
さらにその間も休まず、ネコミミにキスをし続ける。
「…はぁん!!…や…も…ふああああっ!!!」
昨日までは影も形も無かった敏感なパーツを責められる。本来ならありえない筈の場所から、快感が絶え間ない波となってアリソンに襲い掛かる。
しっぽの先から根元の方に向かって走った電流は、そこでは止まってくれず、そのままアリソンの背骨を駆け上って全身を貫く。
ネコミミにヴィルの息が吹きかけられるだけで、アリソンの体が悩ましげにくねり、口元に甘い吐息が漏れ出る。
責められるアリソンも、責めるヴィルも、汗に濡れた肌と肌の合間で、お互いの体温に、我を忘れて溺れていく。
「ひあっ!!あはぁ!!?…あ…ヴィルぅ…あああああああっ!!!」
「アリソンっ!!…ああっ!」
いつしかヴィルの指先は、幾度往き来を繰り返したか知れないしっぽを登り、うしろのすぼまりの上を優しく撫でて、アリソンの一番敏感なところに辿り着く。
触れた指先に滴が伝う。
ヴィルはしとどに蜜を溢れさせるその中へと、指先を侵入させていく。
「……っ!?…や…まだそこ…ふあっ!!はうぅ!!」
ヴィルの指先が動くごとに、内側から湧き上がる熱が、アリソンに強烈な快感を与える。
しかし、体中の他のどの部分よりも熱くなったそこを満たすには、それだけではあまりに物足りなくて、切なくて……。
堪えきれないもどかしさに突き動かされるまま、アリソンはヴィルの耳元で囁いた。
「……ヴィル…私もう…ガマンできな……お願い…ヴィルのを、私に……」
涙目のアリソンの訴えに、ヴィルはコクリと肯いた。
張り詰めて今にも弾けそうな自分のモノを取り出し、ヴィルはそれをアリソンの濡れた入り口にあてがう。
「いくよ」
柔肉を押し割り、ヴィルはアリソンの奥へ奥へと入り込んでいく。滴り落ちるほどの蜜で濡れたアリソンの膣は、それを苦も無く飲み込んでいく。
「は…あああああああっ!!ヴィル、すごいよぉ……」
自分の内側を満たす熱、脈打つ血管の動き、確かにヴィルと一つになっているのだと感じさせるその存在感。アリソンはそれらに自分の全てを委ねる。
ヴィルの腰が動くごとに走り抜ける電流に歓喜しながら、アリソンはヴィルの体にきゅっと抱きつく。
「ひああっ!!ヴィルっ!!!ヴィルぅうううううっ!!!!」
「うあっ!…ああっ、アリソンの膣内、すごく熱い…熱くて、僕は…っ!!」
アリソンの体の外側と内側、両方がとても熱くて、とても愛しくて、ヴィルは一旦動き出した腰を止めることができない。
ただ、無我夢中の状態でアリソンの膣内へ、突き入れ、かき混ぜ、イヤというほど唇を重ねて舌を絡ませ合う。
さらに右の手の平で、二人が動くたびに激しく暴れるアリソンのしっぽを捕えた。
「ひゃうっ!?…うあ…ああっ!ヴィル…そんな、そこまで触られたら私ぃ…」
先程までよりも激しく、荒々しく、ヴィルの指先にアリソンのしっぽをしごかれて、アリソンの脳裏にいくつもの白い花火が上がる。
ヴィルは再びネコミミにキスをして、本物の方の耳にも甘噛みして、首筋から鎖骨に舌を這わせてきらきらと輝く唾液の軌跡を残す。
余った左の手の平は、小さいながらも健気なぐらいにその存在を主張するアリソンの乳首を、容赦なく転がし、思う存分に弄ぶ。
「…も…らめぇ…ヴィルっ!!…こんな…されたら…も…ふあああっ!!?」
体中の敏感な部分を責め立てられて、膣内をぐちゅぐちゅになるまでかき混ぜられて、快感に翻弄されるだけのアリソンには、もういくらの余裕も残されていなかった。
441SBI:2006/06/08(木) 20:05:05 ID:660Lyx+E
目の前の愛しい人の熱に溺れ、夢中になって腰を動かし続けたヴィルにとっても、それは同じだった。
二人の動きが一段と加速されていく。抱き締めあう腕にぎゅっと力がこもる。二人の体がクライマックスへと登りつめていく。
そして。
「くぅ…うああああっ!!!アリソン……っ!!!!!!」
「ふあああっ!!ヴィル、私…イクぅ!!!イクのっ!!!…あああああああああああっ!!!」
最後に大きく叫んで、二人は同時に絶頂へと達した。
まるでダムが決壊したかのように勢い良く、ヴィルの熱がアリソンの内側を白濁で満たし、それでも収まらずに接合部から外に溢れ出した。
体力の全てを出し切って、力尽きた二人は、繋がったままぐったりと折り重なる。
「………ヴィル、ありがと……」
結局どこまでも、自分はヴィルに迷惑をかけてしまうらしい。まあ、それはそれで幸せな気分だったけれど……。
しかし、気分は落ち着いたものの、アリソンを取り巻く状況は大して変わっていない。果たしてどうやって反撃したものだろうか?
「アリソン、ちょっと………」
考え込んでいたアリソンの耳元に、ヴィルがそっと囁きかけた。
「……っていう事を考えたんだけれど、やっぱり無茶だよね?」
自信無さそうにヴィルが話し終えたときには、アリソンの顔には怒ったままの顔で笑う例の表情が浮かんでいた。
「……ア、アリソン?」
「うふふふふ、そうね。そういう方法もあるのよね。いいわ。やってみせるわ!!」
もはや何を言ってもアリソンの耳には届かないだろう。青く燃える炎がアリソンの瞳に宿るのを、ヴィルは見たような気がした。

軍の研究施設の片隅、一人の男が札束を数えながらにやついていた。アリソンをネコミミに改造した例の男である。
「実験は大成功、まったく最高だよ」
ネコミミ美少女は彼の長年の夢だった。この実験を行うためにどれほど苦労をした事か。
許可を出し渋るお偉いさん達にネコミミの魅力を説いて回り、この不道徳極まりない計画を実行まで漕ぎ着けた。
その苦労がようやく報われたのだ。
なにより完成したネコミミ美少女、アリソン伍長の可愛さが彼に有利に働いた。
どんな人間も一目見ただけで骨抜きにする愛らしさ。計画の反対者たちも彼女の写真を見た途端、今までの自分への評価を改めた。
まったく、世の中に萌えに勝るものなどありはしない。
実験の第二弾も準備中。手術後、アリソンが目覚めるまでに撮影した寝顔の写真もバカ売れでポケットマネーも潤った。本当に笑いが止まらない。
来るべきネコミミ美少女の王国を夢見てしばらくウットリとしていた男だったが、外から聞こえるざわめきに妄想を中断させられてしまう。
どうも今日は外が騒がしいのだ。すっかり気分を壊された男は、外の様子を確かめようと立ち上がった。
分厚いカーテンと埃まみれの窓を開いて外の様子をのぞき見る。そこにあった光景は、男の想像を絶するものだった。
「な、なんだぁ!?」
人、人、人、人、そこら中黒山の人だかりである。数え切れない人間が施設の周囲を取り囲んでいる。だが、それ以上に異様だったのは彼らの姿と、叫んでいる言葉。
「アリソン伍長を泣かす奴は、俺がぶっ殺す!!!」
「いや、私がっ!!!」
「俺に殺らせろぉおおおおっ!!!」
Tシャツにウチワにハチマキ、手に手にネコミミアリソングッズを持った軍人たちの群れがそこにいた。彼らの目は一様に血走っている。
彼らはアリソンの訴えの元に集まった、ネコミミアリソンのファンなのであった。涙目で自分の受けた仕打ちを訴える彼女の言葉に、彼らの魂は燃え上がった。
442SBI:2006/06/08(木) 20:05:56 ID:660Lyx+E
彼女を泣かせる不埒な輩に鉄槌を!!!ネコミミアリソンの旗印の下、彼らの心は一つだった。
「な、なんでだよ?私が何をしたって言うんだ!?」
爆音を上げる戦闘機の編隊が、施設の屋根すれすれの低空飛行で飛んでいく。よく見ればあちこちに戦車の姿も見える。
さらに突然鳴り響く電話のベルで男は飛び上がった。震える手の平で受話器を取ると、
「君には失望したぞっ!!!とんでもない食わせ者めっ!!!!」
鼓膜が破けそうな怒鳴り声が、男の耳を直撃した。しかもこの声、このしゃべり方、男の計画を支援している空軍幹部のものではないか。
「ま、待ってください。何なのです、この騒ぎは?一体どうして私がこんな仕打ちに!!」
「貴様、アリソンたんを泣かしただろうがぁああああっ!!!!」
その言葉に男は愕然、どうやら受話器の向こうの彼も外の連中と同じ状態らしい。正気の沙汰ではない。受話器を手から落として、男は後ずさる。
しかし、部屋からも出られないうちに男の背中が何かにぶつかった。
「どこに行く気ですか?」
振り返った男の目の前にいたのはヴィルヘルム・シュルツ、男もアリソンの経歴に関する資料でお目にかかったことのある、アリソンの幼馴染み……。
「アリソンに色々と酷い事をしたみたいですね」
「いや、私は上からの命令で仕方なくだね……」
「計画の主導者があなただってことは、もうとっくに分かっています」
ヴィルの口調はあくまで淡々としたもので、男にはそれが却って怖かった。穏やかな表情を崩さぬまま、一歩、また一歩とヴィルが進んでくる。
すっかり気圧された男は思わず後ずさったが、彼の背後、窓の外では無数の群集が雄たけびを上げている。
もはや男に逃げ場はなかった。まさに前門の狼、後門の虎。いまや男は完全に追い詰められてしまっていた。
「計画を中止して、今すぐアリソンを元に戻してください」
ネコミミアリソンの人気を利用して味方を作り、男を追い詰めてこちらの要求を飲ませる。それがヴィルの考え付いた作戦だった。
ただ、当のアリソンがノリノリになってしまって、レコードデビューや各種グッズの発売など話がやたらと大きくなってしまったのだけれど……。
しかし、今回の件はこれぐらいで調度いいのかもしれない。
なにしろ、いつもはニコニコと温厚なヴィル自身も詳しい話をアリソンに聞いてから、かなり腹に据えかねていたのだから……。
すーっと胸いっぱいに空気を吸い込み、ヴィルは男を怒鳴りつけた。
「アリソンを泣かせたら、僕がぶん殴ります!!!」
普段ほとんど怒らないヴィルなのでイマイチ迫力に欠けていたが、それでも恐慌状態にある今の男には十分すぎるほど効果があった。
ヴィルの目の前で気絶した男の体が崩れ落ちる。
「終わった?」
部屋の外で様子を伺っていたアリソンが、ドアからひょこりと顔を覗かせた。
「うん、気絶させちゃったから、すぐに元に戻してもらうわけにはいかないけど…」
「まあ、しょうがないわよね。散々怖がらせちゃったし。ちょっと、可哀想なくらい…」
などと言う割には、アリソンの表情は愉快でたまらないといった様子だ。
「ところでさ、さっき言ってたこと本気なの?」
「何のこと?」
「ほら、『アリソンを泣かせたら、僕がぶん殴ります!!!』なんて、珍しく大きな声出して……」
アリソンは正直、ヴィルがあそこまで言うとは思っていなかったのだ。しかし、それはヴィル自身にとっても同じようで
「あ、いや……勢い言っちゃったんだけど……でも…」
「でも?」
「……本気だったよ…本気でぶん殴るつもりで、言ったんだ……」
そう答えたヴィルの表情はやけに真剣で、それが妙に可笑しくて、嬉しくて、すっかり固まってしまったヴィルの前でアリソンはくすくすと笑って見せたのだった。
443SBI:2006/06/08(木) 20:07:08 ID:660Lyx+E
これで御仕舞い。お粗末さまでした。
それでは、失礼いたします。
444名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 22:35:14 ID:XyT6hQif
想像したらめちゃくちゃ可愛かったです>アリソンネコミミ
最初の改造シーンとその次の告白シーンで、まさか男のアレを生やされたのかと一度思ってしまっただけにいい意味で予想外の展開GJです。
445名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 18:37:01 ID:O7NEsd74
もうGjとしか云いようがない。萌えす
446名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 01:20:45 ID:MqP+e+fq
職人様GJ
447名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 22:23:54 ID:g6d7MrHW
なんだよ・・・このスレは・・?
ヌイちゃったじゃないか〜〜〜!!!!!
448名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 02:25:15 ID:sXoA4hTy
初めて本格的なエロ書いたので神SSに比べたらドヘタだが
それは大目に見て ありきたりな監禁モノ
449名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 02:26:07 ID:sXoA4hTy
ある国に滞在中、宿泊のホテルでキノは旅の疲れから油断して就寝中にさらわれて監禁されてしまった。
気が付くと地下の監禁部屋に全裸で皮の拘束具で縛られていた。
キノは脱走を試みようと機会をうかがったが、それは困難だった。手足は拘束されていた。
状況からさらった者達の目的は理解した。その日から三人の男たちがキノを陵辱した。
男たちがキノを犯す時でも裸で寸鉄も帯びずにキノを押さえつけた。抵抗が不可能と悟ると
キノは黙って犯されるままにされた。男たちも無理にキノの膣に男根を挿入しようとはせず、
ゆっくりとキノの花弁が濡れて開くまで、愛撫した。不思議なもので気持ちは頑なでも感じて
キノの秘部は濡れ始めた。最初は痛みが走ったが、次第に痛みは和らぎ、快感を感じるようになった。
男たちはキノに色々な体位や恥ずかしい格好をさせ、乳房や体を弄んだが、乱暴な事はしなかった。
しかし最初から男たちはキノの膣に精液を吐き出すことを忘れなかった。それは毎晩3人づつ交代で
繰り返された。キノはそのうち妊娠することを恐れた。身重になれば脱出はますます困難になる。
男たちの目的が快楽目的ではなく自分を妊娠させる事なのだと段々理解した。
そしてその晩も男たちはキノを犯した。いつものようにゆっくりと優しく愛撫してから、キノの体に
男根を挿入した。押し広げられた足の間に太い男の男根がキノの股間に出たり入ったりしているのが
キノの目からも見えた。しだいに感じてきたキノは初めて喘ぎ声をあげた。
450名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 02:27:05 ID:sXoA4hTy
あん・・・」
キノはハッとして顔を赤らめた。その時初めて男が話した。
「ああ よかった やっと気持ちよくなっていただけたのですね!」
今まで何も喋らなかった男が急に喋りだしたのでキノは驚いた。
「どうしてボクにこんなことをするんです?」
「もうしわけありません。この国の習慣なのです。この国では女の子の出生率が何故か低いのです。
そして積極的に移民政策を取っているのですが、なかなか女性が増えません。そこで旅人に女性が
いらっしゃったら、こうしてご協力いただいているのです。」
「ボクの体はまだ未熟でご協力できません。」
「そんなことはございません。最初は男性かと思われましたが、もう十分な女性としての資格を
お持ちです。もちろんご協力していただいた女性には国からの謝礼を差し上げてます。もちろん
移民をご希望でしたら、優遇政策をとって生活は安泰が保障されます。」
「ボクは移民も妊娠も希望してません」
「移民をご希望されない場合でも、謝礼は差し上げております。ただ出生率の向上の為に無理に
ご協力はしていただいております。もうしわけありません。」
そう言いながら、男は再び腰を動かし始めた。
キノの膣の中で脈打つ男根がうごめくのが感じられた。
「うっ しっ失礼ですが、貴方様のモノは大変素晴らしいモノをお持ちです。はあはあ・・・」
「そっそんな恥ずかしい事、ボクに言わないでください!」
男にそう言われてキノは急に恥ずかしさに襲われて顔を真っ赤にした。
「やっやっぱりイヤ!好きでもない男の子供を産むなんて『わたし』イヤ!」
キノは自分の言葉に驚いた。何年も使っていなかった『わたし』という言葉に・・・。
そして激しく身をよじらせて抵抗した。
「そっそんなに体をよじらせて腰を動かされますと・・・ああ、すごい きもちいい・・・」
そう言って男は一層激しく腰を動かし、両腕で細いキノの腰を体ごと持ち上げた。
「ああ・・・もうだめです。もうイキそうです・・・もうしわけありません・・・うっ」
そうして男は絶頂に達した。キノの膣の中に熱い男の精液がドクドクと注ぎ込まれるのを
キノは感じた。そしてキノは全身の力がぬけたようにぐったりとして、シクシクと泣き出した。
451名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 02:28:18 ID:sXoA4hTy
おわり〜
452名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 02:31:48 ID:OTOPpNP2
リアルタイムで見たけど乙ですた!
453名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 20:42:24 ID:mpCusmGk
なかなかですな(;´Д`)ハァハァ
乙!
454聖母の国:2006/06/18(日) 01:55:55 ID:cXdhAzlL
出だし書いたら、最後まで妄想されちゃったので>>449-450の続きタイトル
付きで書いちゃいました。投下する人いなきゃしばし投下時間頂くっすよ
微エロは書いたことあるが、エロは消耗が激しいね。
455聖母の国:2006/06/18(日) 01:57:32 ID:cXdhAzlL
「はあはあ・・・、貴方様の体が素晴らしい為に『義務』を忘れるところでした・・・
何か私どもに不手際がごさいましたら、お申し付けください!どうかお泣きにならないでください」
オロオロしながら、男たちは本気で泣き出すキノの身を案じているようだった。
「グスグス・・・どういうことか『わたし』に説明してください・・・」
キノは再び自然に出た『わたし』という言葉に驚きながらも男たちに質問した。キノはなにか自分の
なかにずっと封印していたものが現れた気がした。

「はい・・・先ほども説明しました通り、この国には女性が極端に少ないのです。その訳は・・・」
男たちの説明は次のようなものだった。この国は放射性の希少金属の輸出で潤っていた。しかし
飲料水や生活用水、また農業用水として使用する地下水にもその金属成分が溶け込んでいて、それが
出生率を偏らせているという事らしかった。
「それ以外に人体に悪影響は無いのです・・・。ですが世代を重ねるごとに次第に男女比が偏ってきて、
それを移民政策で補おうとしましたが、それも限界にきました。」
「どうしてですか?」
「わたしたち男性は幼少の頃から女性を尊敬し、お仕えするように教育されます。国の女性は国母と
呼ばれ、国から支給された五人から十人くらいの従者・・・夫を持ちます。そしてたくさん子供を
産んだ女性が、特に女の子を産んだ女性は名誉と特権を与えられます。」
「え?じゃあ、好きな人同士が自由に一緒になるんじゃないんですか?」
「ええ、わたくしどもの結婚制度は他国では変な風習らしく・・・、それを知った移民の女性は逃げ
出してしまったのです。中には順応して残る方もいらっしゃるのですが・・・」
456聖母の国:2006/06/18(日) 01:58:10 ID:cXdhAzlL
「何か問題が?」
「それが・・・この国に生まれた女性たちは幼い頃から大事にされ、チヤホヤされて育ちます。
わたくしたちもお仕えするのが喜びと教えられて育ちます。ですから国母たちには我儘な女性が
多いのです。移民の中には貧しい国から口減らしで来て、ご苦労された女性もいらっしゃいます。
そうした女性の方は、わたくしどもの奉仕に感激なされて、わたくしどもにも優しくなされます。
移民の女性をわたくしどもは尊母と呼ぶのですが、当然尊母の方が男性たちの中で人気が高まります。
それが国母たちの嫉妬を買い、尊母たちに嫌がらせをするのです。わたくしたちは女性たちの争い
に荷担する事は許されません。それでやはり・・・逃げ出す方も・・・」
「・・・子供が産まれない、産まない女性はどうなるのです?ボクは以前、子供の産めない女性を
殺す遊牧民に会ったことがあります」
「!!そんな野蛮なことはいたしません!! 幸いこの国は豊かです。女性の意思は尊重されます。
特権や優遇制度は無くなりますが、それ以外は普通に尊重されます。しかし国母たちの風当たりが
強く、自然とそうした女性は国外に出ます。その場合でも国から十分な年金が支給されて外国でも
生活には困りません。ただ、移民を拒否された旅人の方と同様、この国の風習の事は知られると
外国では卑しい目で見られるそうですので、黙ってる方が多いそうです・・・」
「・・・だから旅人たちの口にこの国の噂がのぼらないのですね・・・」

キノはようやくこの国の事情に納得がいった。
「でもボクは協力するのは嫌です。妊娠する前に解放してください。」
男たちは泣き出しそうな表情でキノに懇願した。
「乱暴な方法を取ったことは謝ります!あなたはお強い。おそらく普通に戦ったら軍隊で特別に
訓練を受けているわたしたちより強いでしょう!普通の説得では理解いただけないと思ったのです。
できれば尊母たちの代表となって尊母たちを国母から守っていただきたいと思ったのです。」
キノはオロオロする男たちが可笑しくふきだしそうになるのを堪えた。普段の自分なら冷たく突き放す
ところなのに封印していた『わたし』がまた目覚めだした。
「そんな事言って・・・本当はボクを辱めたくてしょうがなかったんじゃないんですか?」
そう言ってキノはギュッと男の股間のものを握り締めた。
「あっ! いや、そんな、わたくしたちは『義務』と『責任』に従って・・・」
「ふーん ちょっとよく見せて。へー、こんな形してるんだ。知識はあるけど、近くで見たのは初めて。
あっ!また大きくなった。すごい、こんな大きいのがボクの中に入っちゃうんだ!」
キノは代表格の男のペニスを弄繰り回してシゲシゲと眺めた。弄くられている男もそれを傍で見ている
二人の男もその光景に仰天し、興奮の表情を浮かべた。女性に奉仕する術は教え込まれたが、女性から
このような奉仕を受けた事が無かったからだ。
457聖母の国:2006/06/18(日) 01:58:43 ID:cXdhAzlL
キノの白く小さい華奢な手が男のペニスを這いまわる。
「舐めまわすとどうなっちゃうのかな?」
そう言って意地悪い表情を浮かべながら、キノは怒張し血管の浮き上がった男の男根を紅い小さな舌で
舐めまわした。唾液でヌルヌルになったペニスを指でゆっくりと弄繰り回し、キノは先端の切れ目をジー
と見つめた。男はプルプルと震えながら、息を荒げた。
「へえー この先から出るんだ。出るとこ見てみたいな」
無関心な『ボク』に代わって好奇心旺盛な『わたし』が言った。とうとう堪えきれず、男はうめき声を
上げながらキノの顔に白濁液を放出した。キノの顔は白濁液にまみれ、それが口元に滴った。キノは
口元に滴るソレを舌なめずりして飲み込んだ。
「ふーん こんな味がするんだ」
「あ・・・あ・・・なんと失礼な事を・・・欲望に負けて、このような・・・」
男は放心状態になってその場に崩れ落ちた。傍にいた二人の男たちはその様子にワナワナと震えて、
堪えきれずにキノに覆い被さった。
「どうか、わたくしたちにも・・・」
「慌てないで、順番に・・・」
キノは妖しい表情を浮かべて微笑んだ。そして思った。しばらく『わたし』に体を預けて、『ボク』は
見学させてもらおうかな・・・。

四つんばいになったキノを後ろから一人が後背位で犯している。もう一人は怒張した男根をキノの顔の前
に突き出し、手をのばしてキノの小さい乳房をゆっくりと愛撫した。突き出された男根をキノはその小さな
口でしゃぶっている。しゃぶりながらキノはこう言った。
「ねえ、『もっとけつをあげろ メス犬!』って乱暴な口調で言ってください・・・」
「こっこうですか?『もっとけつをあげろ メス犬!』」
「うん、そう こうでよろしいですか?」
キノはおしりをきゅっと突き上げた。
「じゃあ、あなたは『おら、もっと首をふって奥までしゃぶれ!』って言ってください。」
「よろしいのですか・・・おっ『おら、もっと首をふって奥までしゃぶれ!』」
「すいません、こうれよろひいれすか・・・」
とキノは目の前の男の男根をしゃぶりながら言った。
女性に奉仕する事を幼少から教えられ、女性に乱暴な口調を聞く事の無かった二人の興奮は
同時に絶頂に達し、キノの口と膣の中に精液を解き放ったと同時に気を失ってしまった。
458聖母の国:2006/06/18(日) 01:59:15 ID:cXdhAzlL
その後、結局『協力』してしまった事が判明した。三人はその間かいがいしくキノに仕える。
キノは奉仕のお礼を口でしてあげた。『協力』後、キノは三人は別れを告げた。

「考え直してはいただけないのですね。」
「ええ、女の人たちの嫉妬の争いに係わるのはゾッとしますから。」
「せめて、名前だけでも。」
「・・・じゃあ、×××××って名づけてください。」
「わかりました。ご安心ください。我々がお守りいたします。」

キノは謝礼とこの国の特権を証明する証明書を受け取り、エルメスを返してもらった。

「ねー。何でこの国に三日以上滞在したのさー。」
「言いたくない・・・」
「?なんで泣いてるの?」
「もう一人の『わたし』とお別れしてきたからね。」
「ふーん」
エルメスとキノは単調な一本道を黙りこくりながら走りつづけた・・・。
459聖母の国:2006/06/18(日) 02:00:16 ID:cXdhAzlL
おしまい
460名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 19:11:23 ID:53c+AVxu
GJ!とだけ言っておこう
461パラレル・人を喰った話:2006/06/20(火) 01:19:14 ID:vz9M86ih
連投スマソ。熱に浮かされて書き上げたけど、アニメ見て、三巻までしか
読んでない似非読者。タイトルの通り、もしも話、陵辱、暴力的表現ありなので
苦手な人はスルーして。こうしてキャラを汚してSS書けない病になる漏れ・・・。
熱病の投げ捨てのようなものなので、できの評価は大目に見て。原作のような
グロテスクさは避けたつもりなんですが。一部原作表現あり。
462パラレル・人を喰った話:2006/06/20(火) 01:19:48 ID:vz9M86ih
ぱぱぱん!と乾いた破裂音が三つ続いた。その音にその場にいた者全員が凍りついた。
(しまった・・・)
キノの目の前には、額からうっすらと血を流している三十代の男が、パースエイダーを構えながら
呆然と立ちすくんでいる。背後では兎が小走りに逃げ去っている。キノの反応の早さが仇になった。
背後の兎の気配に反応して、正面の敵の標準を外してしまった。
「うっ動くな!」
背後から二十代の男がパースエイダーを構えて叫ぶ。キノは観念して最後の武器を地面に捨てた。
「ゆっ油断のならねえ奴だ!」
そう言って四十代の男がキノを背後から羽交い絞めにして、取り押さえた。
「おい! 他に武器を持っていないか、探せ! 妙な真似したら遠慮なくぶっ放せ!」
四十代の男はそう言って、キノの手を後ろ手に慣れた手つきで縛り上げた。そして二十代の男と
一緒にキノの体を触って身体検査をした。二十代の男がキノの胸をまさぐり、そのわずかなふくらみ
に気付いた。
「?おめえ・・・。まさか・・・。」
四十代の男もそれに気付き、二十代の男と顔を見合わせた。
「おい、押さえとけ! 動くんじゃないぞ!」
四十代の男はキノのズボンのベルトに手をのばし、ガチャガチャとはずすと乱暴にむりやりズボンを
ひきずりおろして、地面に投げ捨てた。そしてあらわになったキノの下半身を見て驚いた。
そして背後からキノを押さえていた二十代の男も慌ててキノのシャツを上にまくしあげた。そして
小ぶりな乳房を目の当たりにして、ごくりと息を飲んだ。
「キノさん・・・、あんた、女だったんですかい・・・。」
「・・・・・・」
キノはその質問には答えず押し黙ったままだった。
男たちの息遣いが荒くなり、衆目に晒されたキノの日に焼けてない白い肌を見て、つばを飲み込んだ。
すでに男たちの股間はズボンがはちきれんばかりに隆起ししていた。体力は戻った。食欲は満たされた。
九死に一生を得た男たちが次に求めるものは当然性欲だった。キノは男たちの目の色の変化に気付き、
きゅっと唇をかみしめた。
463パラレル・人を喰った話:2006/06/20(火) 01:20:38 ID:vz9M86ih
男たちは雪の上に、毛布を敷き、その上に乱暴にキノを押し倒した。
「商品には手を出さないのがプロなんじゃないんですか。」
キノは無表情に言った。
「ああ、そうでさあ、キノさん。でも『もう一回商品に手を出してしまってる』んで、一回も二回も
同じでさあ。村に無事にたどり着けば、商売は再開できやすし。じゃあ、失敬ですが、猿ぐつわさせて
いただきますよ。舌をかまれちゃあ、楽しくありませんからね。」
そう言って、四十代の男はキノに猿ぐつわをした。キノには男の言葉の意味がその時には理解できな
かった。
「さあ、俺の娘ッ子と同じくらいじゃあ、いまいちだがこの際贅沢は言えねえ。」
そう言ってそわそわと、四十代の男はズボンを下ろし始めた。
「よく言うぜ。一番最初するくせして。」
明らかに二十代の男は一番最後に順番を回され不満げだった。
「まあ、そう言うな。年の功というからな。」と三十代の男は言った。
「悪いな。それじゃあ・・・。」
四十代の男はキノの肌に舌を這わせながらキノに語りかけた。
「キノさん・・・。あんたは命の恩人だ。大丈夫、力を抜いてください。傷つけたり、乱暴はしません。」
そう言って、男はベロベロと舌をキノの秘部の割れ目に入れて、舐めまわした。そしてザラザラした手を
キノの肌のいたるところに這わせた。キノはぐっと目をつぶってそれに耐えた。
「じゃあ、いきますよ。大丈夫、痛いのは最初だけでだんだんよくなりますから。と男は怒張したペニスを
手に持ち、キノの秘部にあてがって、一気に押し込んだ。
「!!!」キノは猿ぐつわされた口から苦痛のうめき声をかすかにあげ、背中をのけぞらした。
「大丈夫です。大丈夫です。最初だけです。最初だけです。」
男はゆっくりと腰をふりながら、ハアハアと息を荒げた。股間から流れる破瓜の血が毛布を伝って雪を
紅く染めた。もぞもぞと動いているうちに最初の男はキノの中に果てた。
「うっ、はあーー。キノさん・・・。これでキノさんも立派な女性だ。キノさんにご恩返しができて
嬉しいですよ。」
男はそういって鮮血に染まったペニスを抜き取って、雪でその血をぬぐった。キノはぐったりとして
その場に放心しながら横たわった。
464パラレル・人を喰った話:2006/06/20(火) 01:21:21 ID:vz9M86ih
「早かったんじゃないのか?」と三十代の男はからかった。
「馬鹿言え。処女はしまりがきついし、溜まっていたからな。ああ、だが処女はやっかいだ。」
そう言って血のついたペニスを拭いながら四十代の男は言った。
「俺はそんな乱暴はしませんよ。キノさん。」
そう言いながら、三十代の男もズボンのベルトをガチャガチャ音を立てながら、ズボンをさげた。
そしてそそり立ったペニスを剥き出しにした。言葉通り三十代の男はゆっくりとやさしくキノを
扱った。乳首に舌を這わせて、吸い付くように、舐めまわし、舌の先で乳首をいじくりまわした。
キノは乳首の先端に刺激を感じて、乳首が硬くなるのを感じた。男はさらに雪で血をぬぐいさり、
やさしく、キノの股間の割れ目に指を這わせた。体が火照ってきて、そこを雪の冷たさの刺激が
陰部の痛みをやわらげた。キノはようやく気持ちを落ち着け、状況を冷静に判断することができる
ようになった。そして後ろ手に縛られている腕に、兎の骨が当るのに気づいた。キノは男に気付かれ
ないように、それを手に握った。ナイフで解体した兎肉の骨が、鋭くとがって毛布に引っかかっていた。
しかし四十代、三十代の男はベテランらしく隙がなかった。だから縛られてるロープをゆっくりと時間を
かけて、切り始めたが、機会は二十代の男の時だとキノは思った。
「キノさん、あんたには食べ物の世話からこっちの世話まで、返しきれない恩を受けたな。高くいい所
に売ってあげるから、心配しなくていい。なに、こっちのほうも傷物なんて言わせねえ。十分に仕込んで
ますって言えば、買い手の主人からも可愛がられるよ。」
そう言って、男はキノにペニスを挿入した。最初の時よりは出血も痛みも無かった。腰を振りながら、
男は恍惚の表情を浮かべた。
「こいつはいい・・・。こいつは高く売れるぞ・・・。おおう、うお、はあはあ」
男はキノの腰をつかんで、より深くキノの中に自分のものを押し込みながら、叫び声を上げて、たっぷり
溜まっていた欲望をキノの中に吐き出した。キノはその熱いものが自分の奥深くまで達するのを感じて、
口惜しさに唇をかみ締めた。
465パラレル・人を喰った話:2006/06/20(火) 01:22:12 ID:vz9M86ih
「やっと俺の番かよ。残り物ばっかりだな。」
「そう言うな。余り物にはなんとやらと言うだろう。」
一番若い男は不平を言いながらも、一番ジリジリしながら順番を待っていたので、不平は止め、すぐに
キノを犯しにかかった。キノから奪ったパースエイダーを腰に下げたまま・・・。
「この姿勢じゃ疲れるな。後ろ向いてくれよ。後ろからやるから。」と二十代の男は言った。
キノは冷や汗を流した。背中に隠している兎の骨が見つかったら終わりだ。もうチャンスは無い。
キノは首を振りながら、腰を上げ足を大きく開いて笑った。
「正面からの方が良いって? もう気持ちよくなったのかよ。わかった。前からやってやるよ。」
キノは笑って頷いて、若い男の前に自分の陰部をつきだした。
一番若い男は堪えきれずに無我夢中でキノを犯した。前の二人もキノを輪姦して、すっかり落ち着いた
らしく、談笑している。キノが女の子であると知り、すっかり征服した気になっていたので、
安心しきっていた。キノは腰を浮かしながら、ロープの縛めを切断した。若い男はキノが積極的に
腰を振っていると思って、油断していた。キノは手が痺れて動かないかどうか確認した。幸い手は
痺れていない。手は動く。チャンスはもう無い。キノは冷静に正確に行動するよう神経を集中した。

一瞬の内に、キノは若い男の首の頚動脈を鋭利な兎の骨で切断した。若い男はしばし呆然とした
表情を浮かべ、それから口から血を噴出して倒れこんだ。鮮血がキノの顔に降りかかる。男は絶命
すると同時に、キノの中に射精した。だがキノはそれに動じる事無く、正確に次の行動に移った。
そばに投げ捨てられていたパースエイダーを手に取った。

談笑していた二人の男は一瞬何が起きたか分からず、ボーとしていたが、慌てて三十代の男の方が
長いパースエイダーをキノに向けて発砲した。キノは覆い被さる男の体を盾にした。三十代の男が
持つそのパースエイダーには貫通力が無い事を知っていた。キノは慌てず正確に反撃した。
三十代の男は鎖骨を撃たれて、後ろに吹っ飛んだ。四十代の男は後ろを向いて逃げたところを
キノに狙撃されて倒れた。
466パラレル・人を喰った話:2006/06/20(火) 01:23:08 ID:vz9M86ih
キノはよろよろと立ち上がり、二十代の男の股間にパースエイダーをぶち込んだ。そして倒れている
男たちの傍に近づいて、男のパースエイダーを遠くに放り投げた。
三十代の男はよろよろと這いながら逃げようとした。キノは男の股間にパースエイダーをぶち込んだ。
「痛え・・・。痛え・・・。」
股間を押さえながら、三十代の男は雪の上を這いまわった。後には血が線になって這っていた。
キノは正確に男の後頭部にパースエイダーの狙いを定めて引き金を引いた。

キノはパースエイダーに弾を込めなおしながら、ゆっくりと最後の男の傍に近づいた。
「たったすけて・・・家には・・か・・」
男が最後まで言い終わる前に、キノは股間にやはり同じように撃ちこんだ。
雪の上をもがき回る男の顔にキノはパースエイダーを向けた。

轟音、白煙と同時にキノの右手が跳ね上がり、男の歯がいくつかポップコーンみたいにはじけた。

「・・・・・」
キノは黙ってへたり込み、震えだした。
「珍しく下手を打ったね。」
エルメスが、後ろからキノに言った。
「大丈夫?」
「なんとか・・・。」
キノは短く言って、すぐに
「怖かったよ。終わってしまうかと思った。」
そう付け足した。
それからしばらく、キノは『カノン』を右手に持ったまま立っていた。
澄んだ青空と輝く銀世界の間で、キノの奥歯がかちかちかちかち鳴っていた。

キノは平静を取り戻し、汚れた体を拭って、服を着なおした。そして男たちの
『もう一回商品に手を出してしまってる』という言葉の意味を理解した。

(以下 原作と同じ描写にて略)
467パラレル・人を喰った話:2006/06/20(火) 01:24:02 ID:vz9M86ih
「兎さんは無駄に命を無くしたね。」
エルメスは皮肉っぽくキノに言った。
「・・・そんなことは無いよ。ボクの命を救った。」
「何で助ける気になったの?」
「さあ・・・何でだったっけ?」
キノはぼんやりと言った。そしてポケットに入っていた指輪に気付いた。
「あ・・・。しまった。持ってきちゃった。」
「貰っとけば? 次の国で病院に行く足しにしちゃいなよ。」
「・・・そうだね。色々と検査してもらわなくちゃね・・・。」
「ねえ・・・エルメス・・・。ボク達は人間なんだね・・・。」
そう言いながらキノは雪原の中、モトラドを走らせた。
468パラレル・人を喰った話:2006/06/20(火) 01:25:36 ID:vz9M86ih
終わりです。これで終わりで。熱病から解放されたはず・・・。
469名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 18:35:09 ID:fPmkMX+Y
自分的にはかなりいいと思う。
言う言葉があるとすればGJ
470名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 01:02:29 ID:M01PO5i/
ちょwおまっwww「人を喰った話」を読んでて、
もう少しキノが油断してたらきっとあんな事やこんな事に・・・と思ってはいたが、
まさか書いてくれる職人殿が居るとは・・・!GJ!GJ!
471 ◆KdBcwmQ4/6 :2006/06/22(木) 23:23:12 ID:/lzfkOMY
第三保管庫デス。ここまで保管しました。

http://kujira.s8.x-beat.com/kino/
472名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 23:30:03 ID:LCx7D6P6
管理人さん乙です
473名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 00:04:13 ID:JdScS+Vm
管理人殿乙であります
474名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 03:42:41 ID:MDiucr8e
>>471
隊長!
□鼓動と体温(仮)と□アリソン脚本によるヴィルのバーチャル夜這い大作戦(仮)が
ごっちゃになっている気がするのですが・・・
475SBI:2006/06/24(土) 14:56:58 ID:kR1D7Bs9
管理人さん乙です!!GJです!!

俺も懲りずに、投下してみたいと思います。
476SBI:2006/06/24(土) 14:57:51 ID:kR1D7Bs9
熱いシャワーで今日一日の汗を洗い流す。色んな事があったこの一日、驚いて、ドキドキさせられて、叫んで、跳ねて、本当に目が回るようだった。
濡れた体をタオルで拭いて、髪をまとめて服を着て、私は部屋のドアに手を掛ける。ヴィルが、私の恋人が待っている部屋に戻るのだ。
そうだ。そうなのだ。
「ヴィルと同棲かぁ……」
あの時、みんながいなくなった後で、ちょっと強引にキスをして、思いの丈をぶちまけた。
『ねえ、私のこと好き?ずっと一緒にいてくれる?』
精一杯の勇気を込めた私の言葉に、ヴィルはしばらく呆然としていた。
たった数秒の沈黙が随分恐ろしく感じられた。やっぱり駄目だったのかな、なんて事も考えた。不安に耐えられなくて思わず目を閉じた。その時……。
『………うん』
これ以上ないくらいはっきり聞こえたのに、一瞬自分の耳の方を疑ってしまった。
でも、恐る恐る開いた瞳の前にあったのは、見た事が無いくらい嬉しそうなヴィルの笑顔。
それからは本当にもう大騒ぎだった。
夢じゃない事を確かめようとヴィルのほっぺをギュウギュウ引っ張って、痛いよって言いながら笑ってるヴィルに抱きついて………
まさに、人生最良の一日だ。
「でも、これだけじゃ終わらないわよ」
なにしろ、パパの事件のせいで列車の旅は台無しになってしまったのだ。明朝の飛行機で、私たちはロクシェに戻らなければならない。
その前にやるべき事がある。同棲はまだまだ先の話だ。このチャンスを逃せば、次はいつになるかわかった物ではない。
ヴィルと、ヴィルと一緒に、一つのベッドで………。
私は勢いよくドアを開いた。だが、しかし……。
「…………あれ?」
意気込んで戻ってきた部屋のベッドの上で、ヴィルはすやすやと寝息を立てていた。豪華列車で過ごしたあの夜と同じだ。
「まあ、ヴィルはヴィルだもんね………」
恋人になったからって、すぐに態度を変えるわけも無い。まあ、仕方が無いのだろう。
それに今日は、私とパパのために随分頑張ってくれたのだし、疲れてしまうのも無理はない。
「でも、少しは私の気持ちも考えなさいよ……」
なんて事を言いながら、それでも私は笑顔だった。
毛布に包まったヴィルは、私の方に背中を向けてすっかり熟睡中。そんな朴念仁の後ろ頭を撫でながら、私はけっこう良い気分だった。
こうして側にいられる。それだけの事がこんなにも嬉しい。
私はヴィルのベッドに横になって、毛布に潜り込んだ。ぴったりとくっつけた体から伝わってくるのは、あの夏の冒険の最中に一緒のベッドで寝た時と同じぬくもり。
「蹴っちゃうかもしれないけど、それぐらい我慢してよね」
一人で言って、クスクス笑った。私は今、本当に幸せなんだ。
「おやすみ、ヴィル。大好きよ」
耳元で囁いて、私は瞼を閉じた。
477SBI:2006/06/24(土) 15:00:21 ID:kR1D7Bs9
本当に幸せそうで穏やかなアリソンの声を耳元に聞きながら、一方の僕は全然穏やかな心持ちではなかった。
心臓がバクバク言ってる。恥ずかしいのか嬉しいのか訳が解らなくなりそうで、胸の内を吹き荒れる嵐に僕は完全に翻弄される。
全部、今日の出来事のせいだ。
(アリソンが、本当に僕の事を…………?)
時間が経つにつれて、段々と解ってきたアリソンとのキスの意味。その重大さ。
触れた唇は甘かった。キラキラ輝く髪と、吸い込まれそうな青い瞳。魔法のようなあの言葉を紡ぎだした唇の動きのひとつひとつ。
あの時のアリソンの笑顔を思い浮かべるだけで、胸がきゅーっと締め上げられる。
アリソンの気持ち。自分の気持ち。それだけで僕の心は完全に混乱してしまっていた。
その上、今のこの事態。
(うわあああぁああぁああっ!!?アリソンがっ!!アリソンがぁ!!!?)
今日の出来事ばかり考えていた僕は、僕のベッドに座ってくるまで、アリソンに気付いていなかった。
驚いた僕は何も言えなくなって、身動き一つ取れなくて、気がつけばこんな有様。
沢山言いたい事があった。だから、眠らないで待っていたのに………。
耳元に息がかかる。柔らかい指が僕の肩口をきゅっと握っている。さらさらした髪の毛が頬に触れる。背中全体にアリソンの体温を感じている。
どうしようどうしよう?本当にどうしたらいいんだろう?
自分の中に初めて見つけた、こんなにも激しく、壊れてしまいそうなほど切ない気持ち。出会ってから今日まで僕が見てきたアリソンの全て、それが頭の中に次々に映し出される。
声を聞きたい。キラキラ輝く髪を、柔らかな頬を撫でてあげたい。どこまでも青いあの瞳を見つめて、アリソンの唇にもう一度………。
(……って、僕は何を考えてるんだ!?)
どう考えても異常だ。今日の僕は絶対変だ。
考えがまとまらない。アリソンが触れているのは背中の側だけの筈なのに、全身が熱を帯びて、じっとりと汗をかいてしまう。
………うああっ!!ダメだダメだダメだっ!!こんなの絶対におかしいっ!!!
僕の気持ちは、ずっと変わらなかったのに。
今までもこれからも、きっと変わらないのに。
それなのに、今の僕はこんなにも戸惑って、混乱して、まるで迷子の子供のようで。自分の気持ちが、抑えられなくなっていく。
『ねえ、私のこと好き?』
僕を見つめて問い掛けた言葉。
『おやすみ、ヴィル。大好きよ』
ついさっき、優しく囁いてくれた言葉。
嬉しかった。とても、もの凄く、これ以上ないくらい嬉しかったんだ。
アリソンが僕と同じ気持ちでいてくれた事が、本当に嬉しかったんだ。
「…………好きなんだ」
抑えきれずに言葉になってしまうほどに………………って、あれ?
(僕は今、ひょっとして…………!?)
恐る恐るベッドの上に起き上がり、ゆっくりと振り返る。
「えっと、…………ヴィル?」
そこにあったのは予想通り、僕と同じようにベッドの上に起き上がって、僕を見つめる幼馴染みの女の子の姿だった。
「………ヴィル、起きてたの?」
「う、うん」
「………聞いてたの?」
「うん」
僕が肯く度に、アリソンの顔が赤く染まっていく。恥ずかしそうに俯いて、声が小さくなっていく。
言葉に詰まったアリソンの代わりに今度は僕が口を開いて
「でも、僕がさっき言った事も、聞いちゃったんだよね?」
「………うん」
アリソンと同じように耳まで真っ赤になった。
見知らぬ異国のホテルの一室、同じベッドの上に座った僕達は、いつもの幼馴染みの気安さはどこへやら、完全に固まってしまっていた。
お互い、言うべき事などとっくに解っているのに、高鳴る鼓動に心を掻き乱されてなかなか言葉が出てこない。
「えっと………………うん、そういう事なんだ」
「え、あ、何?」
「さっき僕が言った事。僕はアリソンのことを………す、す、好きだから……」
「う、う、う、うん。私も」
「それで、だから……だから、その……」
いつの間にやら、互いに身を乗り出していた。
だけども、顔を真っ向から見るのが恥ずかしくて、二人とも上目遣いに相手の顔を窺う。
どぎまぎと落ち着かない様子のアリソンはとても可愛くて、だから、僕は………。
「あ、アリソン………大好きだっ!!!!!」
478SBI:2006/06/24(土) 15:01:34 ID:kR1D7Bs9
…………私、抱きしめられてる?
「好きなんだっ!大好きなんだっ!!!」
ガバッと大胆に、本当にもういつもなら有り得ないぐらいに大胆に、ヴィルは私を抱きしめた。
「嬉しかったんだ。ずっと好きだったアリソンが、あんな風に言ってくれるなんて思っても見なかったから………」
私の体を包み込んだヴィルの腕は、かすかに震えていた。
うわずったその声には、いつものヴィルの落ち着いた様子は感じられなかった。
胸の奥から搾り出すように、ヴィルは言葉を重ねていく。
「昼間はちゃんと言えなかったから、もっとちゃんと伝えたかった。だけどこんなにドキドキしたの初めてで、上手く切り出せなくて…………」
たどたどしいヴィルの言葉を聞きながら、私はただただ呆然としていた。
ああ、こういう事なんだな。
私はヴィルの事が好きで、ヴィルは私のことが好きで、二人の想いが一方通行じゃなく、お互いに向けられて……。
張り裂けそうなこの想い、胸の奥で燃え上がる熱い感情、それが一人だけのものじゃないという事。
二人が愛し合ってるという事。
「だから言うよ、何度でも………。アリソン、大好きだ」
震える声の奥、確かに感じる優しさ。
ああ、やっぱりヴィルはヴィルなんだから………。
「私も、好き………」
「………アリソン」
ヴィルの唇が、私の唇に触れる。瞳を閉じて味わう、甘いひととき。
昼間とは違う。ヴィルが望んで、私にくれた初めてのキス。
抱きしめる腕が緩んで、私がヴィルの顔を見上げて、ヴィルが私の瞳を見つめる。
見た事が無いくらい赤くなって緊張しきっているヴィルの顔。きっと私も同じ顔だ。
今、心に願う事もきっと同じ。
「…………ねえ、ヴィル」
「何?」
きゅっと拳を握り締め、覚悟を決めて、私は私の願いを口にする。
「……………いっしょになりたい。ヴィルと、いっしょに……」
私の言葉に、ヴィルはこっくりと肯いて
「…………うん。」
恥ずかしそうに笑って見せた。
鼓動が速まっていく。ドキドキ、ドキドキと私の胸の中で早鐘が鳴る。ずっと夢見て来た瞬間がついに訪れた、その事を告げる鐘が、私の中で鳴り響く。
私は震える体をヴィルの胸に預けた。ヴィルの腕が私の体を抱きしめて、そして…………。
「………………あれ?」
そのまま、何も起こらなかった。ヴィルは腕の中の私を、ただ抱きしめているだけ。
これは、ひょっとして………っ!?
「ヴィル、さっき私が言った事の意味わかってる?」
「うん。僕もがんばるから、首都で一緒に暮らそう。二人で、一緒に」
にっこり笑うヴィルの顔の屈託の無さは、本当にもう憎たらしいぐらいだった。
男の子らしく私にドキドキしてくれたと思ったら、どうやらヴィルの想像力は抱き締めあって、キスするまでで止まってしまっているらしい。
「あのねえ……」
「今から楽しみだよ。また一緒アリソンとにいられるなんて」
いや、そう言ってもらえるのは嬉しいのだけれど、今私が言いたいのはそれじゃなくて
479SBI:2006/06/24(土) 15:03:09 ID:kR1D7Bs9
「あ、愛し合ってる男女が一緒にする事と言ったら、他にもっとあるでしょう!!?」
「えっ?それってどういう……」
「だ、だからぁ………」
真っ赤を通り越して、顔から火が出そうだ。
「……だから、ヴィルと私がいっしょに……」
「いっしょに?」
「……いっしょに……いっしょに……」
いくらなんでも、これ以上言うのは無理だ。堪りかねた私は大声で叫ぶ。
「お、女の子にこれ以上言わせないでよっ!!!!!」
その言葉で、ようやくヴィルは理解してくれた。事の重大さに口をぽかんと開けてしばらく凍りついた後、たどたどしく私に問い掛ける。
「それって、もしかして………」
「お察しのとーりよ」
「でも、まだ、僕たち………」
「まだも何も、家にいたころから、もう長い付き合いじゃない」
「大事な事だよ。すごく、大事な事だ」
「わかってるわ」
「お互い初めてなんだよ」
「そりゃあ、誰だって同じよ」
そこまで言ってしまうと、陸に揚げられた魚みたいに口をぱくつかせていたヴィルが、きゅっと目を閉じて
「本当に、僕でいいの?」
言った。私の答えは、ひとつっきり。
「もちろん」
ずっと前から、決まっている。
「好きだって。そう言ったでしょ、ヴィル?」

結局、なんだかんだでいつものペース。同じ気持ちでいるつもりでも、やっぱりどこかがズレている。だけども、それがとても愛しい。
それでも私は、私たちは、ここまでいっしょにやって来た。
寝間着を脱いで、私は下着姿。目の前には、同じく下着姿のヴィル。長い付き合いでも、あんまり見せた事の無いお互いの姿に、二人して照れてる。
「どう……、かな?」
「う、うん。きれいだよ、アリソン」
あんまり素直に、ヴィルがそんな事を言うものだから、さらに私が照れてしまう。
「………下着は、ヴィルに取ってもらいたい」
ぼそぼそと言う私に答えて、ヴィルが私のブラに手を伸ばす。今回のために用意しておいたコレ、本当にヴィルが外してくれるなんて、少し前なら想像も出来なかった。
「………うわ」
露になった私のおっぱいに、ヴィルが感嘆の息を漏らした。恐る恐るの手の平が、それを包み込む。その瞬間、痺れるような感覚が駆け抜ける。
「ひあっ!?」
触れられたところが、こそばゆくて、痺れて、じんじんと伝わってくるヴィルの体温を燃えるように熱く感じてしまう。
「すご……あったかくて、やわらかくて……」
段々とヴィルは私の胸を揉みしだく事に夢中になっていく。恐る恐るの空気が薄らいで、次第に大胆にヴィルは私の胸を責め始める。
「…あっ……ひゃああっ…や……ヴィ…ルぅ……」
あくまで優しい手つきで、しかし確実に、私が反応するところへ愛撫を重ねる。強くも弱くもない微妙な力加減の指先が私の乳首を転がして、おっぱい全体をこねまわす。
初めて触れ合う互いの体に夢中になった私たちは、まともに言葉を発することも出来ず、耳に入ってくるのはお互いの荒い息遣いだけ。
「……ひっ…あああっ!…ヴィルっ…そこぉ………っ!!!」
いつのまにやらヴィルの指先は、汗と、それ以外の液体でじんわりと湿り始めたショーツの内側に這い入っていた。
私の恥ずかしいところの入り口をヴィルの指先が撫でる。その度に聞こえる、くちゅり、という音。
「………これが、アリソンの……」
私のアソコに触れた指先を目の前に、ヴィルがため息をつく。指先を濡らした露が、部屋の照明にきらきらと輝く。
恥ずかしさでどうにかなってしまいそうな私に追い討ちをかけるように、ヴィルは私のショーツに手をかけて、下のほうへとずらす。
私の敏感な部分に、部屋の冷たい空気が触れて、ぞくりと電気が背骨を駆け上がる。露になった私のアソコは、ぐっしょりと濡れて、輝いていた。
「……や…はずかし……」
たまらず手の平で顔を覆った私。だけど、ヴィルはそんな私にお構いなしで、濡れそぼったその部分に指を這わせる。
「きれい、だよ……」
「うそぉ…」
「ううん、きれいだ。はだかになったアリソン、すごくきれいだと思う」
私の耳元で囁きながら、ヴィルは柔肉の間に浅く指を差し込んで、何度もかき混ぜてみせる。
480SBI:2006/06/24(土) 15:04:21 ID:kR1D7Bs9
「あっ…くぅ……は…ひあああああっ!!!!」
我慢できずに声を漏らしてしまう私の唇を、ヴィルの唇が塞いだ。ヴィルは私のアソコを指で撫でて、かき混ぜて、同時に私の唇も味わった。
敏感な突起を指で突かれて悲鳴を上げて、首筋をなぞる舌先に体を震わせて、私は何度もいやらしく声を上げた。
初めて味わう快感の中で、私はどんどんエッチになっていく。
どんどんエッチになって、もっとヴィルの事が欲しくなっていく。
「……ヴィルぅ…ヴィルのが…欲しいよぉ……」
自分で信じられないくらい甘えた声で、私はヴィルに訴えかけた。
もっと体の奥でヴィルを感じたいと、訴えかけた。
「うん……僕も…アリソンが欲しい……」
ヴィルは答えて、大きくなった自分のモノを私のアソコに、その入り口にピトッとくっつけた。
苦しそうなぐらいに張り詰めて、ドクドクと脈打つヴィルのモノ。私のことを考えて、私の体温を感じて、あんなに大きくなったんだ。
「………いくよ」
「……うん」
短い受け答えの後、ヴィルはゆっくりと私の中へと入ってきた。
肉を裂く痛みと共に、奥へ奥へと、ヴィルが進んでいく。ヴィルが私を埋め尽くしていく。
「…ふあああっ!!……ヴィルっ…今、私たちいっしょになってるんだよね?」
ヴィルの背中に必死で抱きつくと、ヴィルが私をぎゅううっと抱き締めてくれた。ヴィルに満たされて、包まれて、私は今、ヴィルと一つになっている。
「動いて……いいよ」
ヴィルの耳元で囁く。
「うん」
ヴィルは肯いて、それでも私を気遣って、痛みを紛れるように愛撫を続けながら、ゆっくりと、本当にゆっくりと腰を動かし始めた。
互いを味わうような長いキスを何度か交わして、互いの名前を呼び合って、次第に私の中で、痛み以外の何かが疼き始める。
「…きゃ……ああんっ!!…ふあぁ!!…ヴィルっ!!ヴィルぅうううっ!!!!」
ヴィルの熱いモノが私の中を、前後に動いて、かき混ぜて、その度に私の体の奥に電気が走る。熱が弾ける。
ヴィルは次第に動かすペースを速めて、熱い痺れが何度も駆け抜けて、私の頭の中は何度も真っ白にさせられた。
「…すご…きもちいいっ!!きもひいいよぉっ!!…あああああああああっ!!!!」
体の中が、外が、ヴィルに触れたところ全てが熱い。蕩けて、痺れて、喘いで、私はどんどんヴィルに溺れていく。
もう何度目かもわからないキスを交わし、ヴィルが私の耳元で囁く。
「愛してるよ、アリソン……」
そうして微笑んだ笑顔は、私の良く知っている、私が一番大好きな、あの笑顔だった。
「私…も……ヴィルの…ことぉ…」
抱き締めあう腕に精一杯の力を込めた。ヴィルがさらにペースアップして、私はさらなる快感に飲み込まれていく。
「くぅ……アリソンっ!!僕…もうっ…」
「私もっ……ヴィルぅうううっ!!!!」
張り詰めた熱が限界の近いことを告げていた。だけど、高まっていく気持ちが、燃え上がっていく体が、私たちを加速させていく。そして………。
「うああああっ!!!アリソンっ!!イクよっ!!!!!」
「ひああああああっ!!!!ヴィルぅ!!きてっ!!!きてぇえええええっ!!!!!」
荒れ狂う熱の最中で、私とヴィルは絶頂へと押し上げられていった。
481SBI:2006/06/24(土) 15:05:40 ID:kR1D7Bs9
すやすやと眠るアリソンの頭を撫でながら、僕は何をするでも無く薄暗い天井を見つめていた。
「夢じゃ、ないよね………?」
体が、心が、なんだかふわふわして、まるで現実のように感じられない。僕もアリソンも、あまりに無我夢中にこの夜を過ごしたから………。
穏やかなアリソンの寝顔が、なんだか僕に問い掛けている様に思えた。あの日出会った妖精が、あの日から変わらないキラキラの笑顔で、僕に言った言葉。
ねえ、私のこと好き?
「大好きだよ」
ずっと一緒にいてくれる?
「うん、一緒にいよう。ずっと二人で、一緒に………」
言ってから、僕はアリソンの肩をきゅっと抱き寄せる。
僕を戸惑わせ続けた胸の中の嵐はいつのまにか静まって、今の僕の心の中にあるのは、ただただ穏やかで、じんわりと温かいひとつの感情。
アリソンを、愛している。
もう、このままずっと、アリソンを抱きしめていたい。そんな事を思った。
そのまま何秒が過ぎただろうか?突然、アリソンの体が、ぷるぷると震え始めた。
「えっ?な、何!?」
驚いて起き上がった僕の前で、アリソンはガバッと顔を上げた。
「ごめん、起きてたっ!!!」
「えぇっ!!!?」
「いや、うとうとしてたのは本当なんだけど、でも、ヴィルが耳元であんな事言ってくるもんだから………」
たちまち僕は赤面、胸の中に嵐が舞い戻って、心臓がバクバクと音を立て始める。
「……でも、まあ、嬉しかったんだけど………ね?
はにかみながら言ったアリソンは、結構満更でもなかったみたいで………。
「………ねえ、もう一度言って」
僕の顔を覗き込んで、アリソンがとんでもない事を言った。
聞かれてた事が解っただけでもこんなに恥ずかしいのに、今更面と向かって言うなんて、想像するだけで頭がクラクラする。
「もう一度聞きたいのっ!!!ヴィル、お願いっ!!!!」
「いや、その、でも、その………」
もはや、『ただただ穏やか』だの、『じんわりと温かい』だの、そんな騒ぎではなくなっていた。パニックは再燃、僕にはもうどうしようも出来ない。
キラキラと瞳を輝かせて、アリソンが僕を見つめている。
「…………す……き………だよ…」
やっと喉から搾り出せたのは、聞こえるか聞こえないかの小さな一言。
「ヴィルぅうううううっ!!!!」
それを聞いた瞬間、弾かれたようにアリソンが飛び出して、僕を抱き締めた。柔らかな胸で、僕の頭をぎゅうううっと抱き締めた。
「私も好きっ!!大好きよ、ヴィルっ!!!!」
柔らかなアリソンのおっぱいがぎゅうぎゅうと僕の顔に押し付けられる。しゅうしゅうと湯気を立てて、僕の頭はオーバーヒートした。
完全にアリソンのペース。無抵抗。なすがまま。結局、僕はどこまでも僕のままだった。
(もうちょっと、ちゃんとアリソンの気持ちに向き合って上げられると思ったのにな……)
そんな事を考えながら、アリソンの胸の中の僕はそれはそれで、とても幸せなのだった。
482SBI:2006/06/24(土) 15:08:45 ID:kR1D7Bs9
ついでに、>>477の一番最後、「あ、アリソン………大好きだっ!!!!!」のところから分岐するエロなしバージョンもどうぞ


「えっと、…………ヴィル?」
起き上がって私の顔を見た瞬間、顔を真っ赤にしてヴィルは気を失ってしまった。
一人取り残された私は他にする事もないので、ぐったりと横たわるヴィルの顔をぼんやりと見ている。
真っ赤な顔のヴィルは苦しそうにうなりながら、時折うわ言を口走る。それらの言葉はもごもごとして聞き取りにくく、私には何を言っているのか解らない。
「それにしても、何も気を失わなくたって……」
お化けを見たのでもあるまいに、まったく失礼だったらありゃしない。ロマンチックな気分も台無しだ。一体何に驚いたのやら……。
しかし、今ここで、これ以上その事を気にしても何もならないだろう。細かい事は、明日の朝にでも聞けばいい。
「まあ、ヴィルはヴィルだしね」
今日二度目のその台詞を口にしてから、私は再びヴィルの隣で横になった。その時………
「あ……ありそ…ん……だい…すきらっ……」
「えっ!?」
ハッと顔を上げたときには、その言葉は部屋の空気の中に溶けて流れて、後には何も残っていなかった。
私の耳がおかしいのでなければ、
「まさか………まさか、ね?」
再び毛布をかぶろうとして、ふと気が付く。
そういえば、ヴィルが気絶する前に言った言葉、何となくだけど、こんな風に聞こえた気もする。
『………好きなんだ』
カーッと頭に血が上る。真っ赤を通り越して、顔から火が出てしまいそうだ。
もしかして、まさか、やっぱり…………。
「ふ、ふ、ふわあああああああああっ!!!!!」
逃げ込んだ毛布の中にまで、容赦なく伝わってくるヴィルの体温。否応もなく心臓が高鳴る。どうやら、どこにも逃げ場はない。
「…ヴィルっ!…ヴィルぅ……っ!!」
二人っきりのベッドの上、私はもじもじと身悶える。
どうやら今夜は眠れない夜になりそうだ。

おしまい
483SBI:2006/06/24(土) 15:10:26 ID:kR1D7Bs9
今回、意気込んで書いた割りにいろいろグダグダで申し訳ない。
いっそ、エロなしの方が良かったかも……。
ともかく、これにて失礼します。
484名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 17:46:32 ID:DDA161/c
>>483
GJ!&乙です
485名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 22:35:13 ID:jFjtd8Ej
>>483
GJ!
486名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 23:20:38 ID:8HJ1HP/m
>>483
テラスバラシス
487SBI:2006/06/30(金) 09:25:19 ID:ZCCQmMnJ
また書いてきました。投下してみます。
488SBI:2006/06/30(金) 09:26:26 ID:ZCCQmMnJ
熱い泥の中に沈んでいく。そんな感覚に包まれている。
逃げられるとも思っていないし、逃げるつもりもない。ここが、この場所こそが、やっと見つけた安息の地なのだから。

その部屋にいたのは二人の女性だった。
むき出しのコンクリートの壁に囲まれ、裸電球の黄色い光に照らされて、ベッドの上の二人の女性は裸のまま、お互いの肌を、手足を絡ませて激しく交わっていた。
二人のうち片方は、長く艶やかな黒髪の妙齢の女性。もう一人は、こちらはまだ少女といっていい年頃の、短い黒髪の女の子。
長い黒髪の女性はベッドの上に四つん這いになり、彼女よりも随分幼い体つきの女の子に後ろから肉棒を突き入れられ、はしたなく声を上げていた。
「…っあぁ!…ひぅうううっ!?…キノぉ!!!…もっと!!もっと突いてくださひぃ!!!!」
それはおよそ現実にはありえない光景だった。キノと呼ばれた少女の股間には、じゅくじゅくと濡れた女性器とともに、まぎれもない男性の肉の棒が屹立していた。
並みの男性のモノより大きくさえ見えるソレで、キノは女性の濡れそぼった秘部を犯し、夢中になって腰を振っていた。
「…ひあっ!…はっ…ししょ…ししょぉおおっ!!!ししょうのなかぁ、あつすぎゆのぉっ!ボクの、とろけひゃうぅうううっ!!!」
歓喜の表情を浮かべ腰を振り続けるキノの瞳に、もはや理性の色はない。キノに犯される女性も同様だった。
キノは組み付いた背中から女性の乳房を揉みしだき、首筋や耳たぶに一心不乱に吸い付き、ねぶり、女性の体を味わった。
女性はキノの与える快感に見も心も溶かされきって、涙や涎でグズグズに汚れた顔に悩ましげな表情を浮かべ、嬌声を上げ続ける。
何日か?何週間か?何ヶ月か?……それとも何年か?
肉欲に溺れ、快楽に脳髄を溶かされた彼女たちにとって、時間の経過はたいした意味を持たなかった。
ただ目の前の狂おしい熱の中で、迸る快楽を貪り続けるだけ。
「…ふあああっ!!も…らめぇ…ししょうのなかぁ…また…らひちゃうぅうううううううっ!!!!」
叫び声を上げ、背中を仰け反らせて、キノは己の欲望を女性の中へと吐き出した。通常を遥かに超えた量の白濁が、女性の膣内で暴れまわる。
「…はぁああっ!!?また出されてるっ!?…また…熱いのいっぱい…出されてるぅっ!!!」
ビュクッ!!ビュクッ!!!と、音を立てて吐き出される白濁の感触に、女性は身震いして何度も絶頂に達した。
肉棒を抜かれ、女性が脱力した体をベッドに横たえると、彼女の胸にキノが縋り付いてくる。女性は何も言わず、キノの体を抱きしめる。
甘えたような表情のキノはやや強引にキスを求め、女性もそれに応じる。くちゅ、ぴちゃと音を立ててお互いの唇を味わい、舌を絡ませあう。
長い長いキスを終えて、唇を離したキノは、まるで子供のような表情を浮かべ、女性の胸で眠りに付いた。
そんなキノの頭を撫でながら、女性は思い出す。目の前の少女が、今の自分が絶対に出会うはずのない人物であることを。
キノは自分の将来の弟子。年老いて老婆となった自分が、旅の中で生きていく為の技術を教え込んだ少女。
彼女と出会うのは、まだ見ぬ未来での事のはず。
だがそれも、快感に痺れきった今の彼女の頭には、どうでもよい事に思えた。
未だ知ることの出来るはずのない未来の出来事を、どうして自分が知っているのかも、全てはどうでもいい事だ。
「………キノ、おやすみなさい…」
キノの耳元でそう囁いて、女性は瞳を閉じた。耳元で聞こえるキノの安らかな寝息を聞きながら、女性は本当に穏やかな心持だった。
何も問題などありはしない。
今、自分の傍らにこの少女がいる事、それだけが大切なことなのだ。抱き寄せた少女の確かなぬくもり以外、今は何も必要はない。
たとえ、腕の中の少女がいつか自分の元を離れて一人旅立つのだとしても、今の女性には関係のないことだった。

鎖が立てるジャラリという音に、女性の心は妙に浮き立った。
外に出る。散歩に行く。ただそれだけの事だというのに、逸る心を止められない。
「じゃ、師匠、いきましょうか」
後ろから声を掛けられる。振り返った女性の視線の先には、彼女の旅の相棒であるハンサムで少し背の低い男。彼が手に持った鎖は、女性の首元へと繋がっている。
鎖。首輪。口を塞ぐギャグ・ボール。後ろに回された手には銀色に光る手錠。股間でうなりを上げるバイブレーター。
ブーツ以外は何も身につけていない女性の裸身を、それらの道具が縛り付けている。その圧倒的な安心感の中で、女性は恍惚としていた。
腕を使えない女性の代わりに、男が先頭に立ちドアを開く。その背中を追いかけて、女性は外の光の中に出て行った。
489SBI:2006/06/30(金) 09:28:22 ID:ZCCQmMnJ
どことも知れない街。のっぺりとして特徴のない建物が立ち並び、どこまでもまっすぐな道が続く。晴れ渡った空の下、道行く人々の顔はみな笑顔。
幸せそうな人々の視線を浴びながら、女性は男の後ろを歩いていく。
腕を封じられ、バイブの振動に体を震わせる女性の足取りはフラフラと安定しない。男は急ぎすぎないよう、倒れたときにはすぐに助けられる位置をキープして歩く。
「だいぶ暑くなってきましたね、師匠。こりゃあ、本格的な夏が来たらどうなることやら……」
そんな事を言いながら振り返った男の笑顔に、女性は視線だけで答える。
それだけで十分に言いたい事は伝わる。ギャグ・ボールを噛まされて喋れなくても、気持ちは通じる。
なにしろ、結構長い付き合いなのだ。
とある国でめぐりあったこの男と、女性は幾つもの国を巡ってきた。
相棒としての彼の腕前に女性はそれなりに満足していたし、なにかとトラブルの絶えない女性との旅を男も楽しんでいるようだった。
良いコンビ、そう言ってもいいのかもしれない。だが、今の女性は知っている。二人の旅もいつか終わりが来る事を。
遠い未来、女性も男もそれぞれ一人きりで生きる事になる。
女性の知らないどこかの国で暮らす男の命は、飲まれて、溶けて、流れて、最後には消えてしまう。それでお終い。気持ちいいぐらいに何も残らない。
だけど、今は違う。その時ではないのだ。
「…んっ……んぅ………ふ…うん…んん―――――っ!!!!!」
バイブの振動に身悶え、口に噛まされたギャグの為に叫ぶ事も出来ず、鎖に引かれるままに女性は街の中を歩いていく。
突き刺さる人々の視線が、そのまま快感に変換される。公衆の面前に淫らな姿を晒し、全てのプライドを捨て去って、女性の心はどこまでも満たされていた。
これまで築いて来た自分の全てがグズグズと崩れ去り、快楽だけを考える肉の塊へと堕ちていく。他の事など何も考えられない。考える必要などない。
自分の全てを、鎖を握る彼に委ねて、女性の心は快楽の海へと溶けていく。
「うわ〜、もうこんなにビチョビチョだ。師匠、よっぽど感じているんですね」
言いながら男は、女性の乳房や、しずくの流れ落ちる股の内側、首筋や鎖骨、お尻に太ももと、体中のあらゆる場所を触ってくる。
触られた場所にゾクゾクと切ない刺激が走って、体の奥がキューッと熱くなる。自分で触って慰めたくても、封じられた腕ではそれも叶わない。
死にそうなくらいにもどかしい。バイブの振動は女性を満足させるには単調すぎる。もっと深く、滅茶苦茶に、アソコをえぐって、突き上げられたい。
もう歩く事なんて出来ない。燃え上がる体を押さえ切れず、女性は道端に膝をついた。
「…んっ…んん――――っ!!!んうぅ……ふぅんっ!…んうぅうううっ!!!」
長い髪を振り乱し、道の真ん中で快楽に喘ぐ女性。男はその傍らに膝をついて、巧みに指を使い、女性の体を絶頂へと導いていく。
気持ち良い事、それしか考えられない。自分の全てを投げ出して、全て彼に委ねて、彼の腕の中で快楽に踊るだけ。
ああ、なんて幸せなのだろう。
「ほら、師匠。思う存分叫んでください。」
男の手が女性の口にはめられたギャグ・ボールを外す。涎まみれのソレから解放されて、女性の口元に浮かんだのは恍惚の笑み。
男がバイブを一気に奥へと押し込んで、膣を、子宮を突き上げられて、女性の頭の中で白い光がスパークした。
「ひっ…あぁああああっ!!!!イクぅうううっ!!!イきますぅううううっ!!!!」
白昼の街中に歓喜の声が木霊する。信じ難いほどの解放感に体を打ち震わせて、女性の体はその場に崩れ落ちた。

それからまた幾日が過ぎたのか………。
部屋の中で、外で、相棒の男とキノは代わる代わるに女性を犯した。女性は幾度となく絶頂を味わい、白濁を注ぎ込まれた。
犯されて、喘いで、貫かれて、突き上げられて、腰を振って、ただそれだけを延々と繰り返す。時間の感覚はさらに曖昧になって、心はさらに混沌の中へと埋もれる。
今、女性は部屋の中、頼りない電球の灯りの下で、男とキノの二人から同時に愛撫を受けていた。
二人の与える快感に蕩けきった表情を浮かべて、女性は自分のぷっくらと膨らみ始めたお腹を撫でていた。そこに宿った命をいたわるように、優しく、優しく………。
「ふふ……どっちの子供なんでしょうね?」
女性にとってそれは目の前の二人との繋がり、その証のように思えた。いつか出会って、いつか離れていく二人、でも今はここにいる。自分のそばにいてくれる。
もしかしたら、ずっとここにいれば、二人と別れる事もないのかもしれない。この快楽の泥沼の中で、この二人と一緒にずっと漂っていられれば………。
490SBI:2006/06/30(金) 09:29:37 ID:ZCCQmMnJ
そこまでで、女性の思考は遮られた。
「…ん…ふぅ……キノ…んっ…」
キノに唇を塞がれ、舌を嬲られて、女性は悩ましげな声を漏らす。頭の芯が痺れて、思考が、理性が溶け出す。
真っ白になった頭の中で考える事はたったひとつ。もっと二人に触られて、くちゃくちゃにかき混ぜられて、どこまでも堕ちていきたい。
「ほら、師匠、きてください」
男に促されて、女性はベッドの上に座った彼の腰の上に跨る。男の腕に抱き締められて、彼の股間にそそり立つモノの上へ、ゆっくりと腰を下ろしていく。
じゅぷり、と音を立てて、熱く濡れた柔肉を押し割りながら、男の怒張が女性の体の奥へと侵入してくる。
「…は…ひぃいいっ…うあ…あ…すご……」
その様子を傍らで眺めていたキノは
「…あ…ししょ…ボクもいっしょに……」
女性の背中に抱きついて、自分のモノを後ろの穴に押し当てる。
「…あ…うしろぉ…だめ………ひぁあああああああっ!!!?」
女性が言い切るより早く、キノのモノが後の穴の奥へと押し込まれた。既に何度となく使われていたそこは、容易くソレを根元まで飲み込んでしまう。
前後の穴を焼ける肉の棒に貫かれる。その感触に震えながら、女性は男の体に必死にしがみついた。自分の体の内側で脈打つ存在感だけで、脳髄が蕩けてしまいそうだ。
「…師匠の中、すごく熱くてぬるぬるして、最高に気持ち良いですよ」
「…あ…は…ああっ…あなたのも…すごくあつくて…おおきくて……」
「師匠も気持ち良さそうで、俺も嬉しいですよ」
「……うごいて…かきまぜて……わたしのことぐちゃぐちゃに…してくらさいぃ……」
「…………はい」
こっくりと肯いて、男は腰を動かし始める。同時に後のキノも動き始めて、女性の体は前後からかき混ぜられる事となる。
二本の怒張は女性の膣内で圧迫し合って、内側の柔肉をこそげ落とさんばかりの勢いで暴れ回る。
まるで嵐の中に放り出された小舟の様に、女性の体は二人の動きに翻弄された。後ろの穴を突き上げられて悲鳴を上げ、前の穴を貫かれて背中を仰け反らせる。
「…う…はあああっ!!…きも…い…すご……きもちいひいいいっ!!!!」
前も後も快感で満たされて、とっくに脈絡を無くしていた女性の言葉から、さらに知性の色が抜けていく。
快楽のしもべ、欲望に従順な肉の塊、盛りのついた獣、女性の心は、体は、彼女自身の望んだものへと変えられていく。
「…ああっ!!…や…ひああああっ!!!?…わたしのなか…とけひゃうのぉおおっ!!」
あられもなく叫ぶ女性の姿を見ながら
「…うあ……ししょう…かわい……」
ウットリと囁くキノの声
「…くぅ、師匠がこんなにエッチだったなんて知りませんでしたよ」
満足げに笑いながら、男が言った言葉。
それらの一つ一つが、まるで媚薬のように女性の神経を昂ぶらせ、さらなる快楽の境地へと連れて行く。
空っぽになった頭の中を快楽だけで満たされて、女性は今、心の底から幸せだった。
快楽の底なし沼に深く深く沈んでいく。そして、この二人と一緒に自分は溶けて、そうすればもう自分を脅かすものは何も無い筈だ。
溶けて、崩れて、絡み合って、誰にも分かつ事ができなくなるまで、この二人と交わり続けよう。
「…ひあっ…あ…ふたりともぉ……もっと…もっとついてくらさい……どろどろに…おかして…わたひを…ダメにしてくらさいぃいいっ!!!!」
そう叫んだ女性の言葉に応える様に、前後の二人はペースを速める。より強く、より速く腰を動かし、女性の中を攪拌する。
その度に駆け抜ける快感の大きさ、激しさ。女性は何度も背中を仰け反らせ、歓喜の声を上げた。
下腹部に宿り続けた熱はその密度を増していく。そして、それはついに、激しさを増す男とキノの突き上げの前で限界に達した。
「ふあっ!!ああああっ!!イクぅっ!!…わらひ…も…イっひゃうのぉおおおおおっ!!!!」
絶頂に達した女性の体がビクビクと痙攣する。同時に前後で放たれた白濁が、女性の体の中をたまらない熱で満たしていく。
491SBI:2006/06/30(金) 09:30:40 ID:ZCCQmMnJ
「……ああっ…あついの……いっぱい……」
満たされて、汚されて、女性の顔には至福の表情が浮かんでいた。
このままずっと、二人と一緒に、誰も触れることの出来ない沼の底で過ごそう。気持ち良い事だけの世界で、永遠に、どこまでも………。
この上ない安心感の中、女性は穏やかに瞼を閉じた。

そして、あまりにも呆気なく夢は終わりを告げた。

最初に目に入ったのは、夢の中でも散々目にした人物の顔だった。
「師匠、気が付いたんですね?」
少し背の低い、ハンサムな男。女性の弟子。相棒。旅の道連れ。
「私は…一体……?」
男の手を借りて、女性は自分の横たわっていた金属の台の上に起き上がる。周りを見渡すと、暗い部屋の中は得体の知れない機械と、無数のコードで埋め尽くされている。
その内の何本かは女性に絡みつき、なにやら怪しげな機械を首筋やこめかみに押し付けていた。
そうだ、思い出した。偶然見つけた怪しげな遺跡。無人の建物の奥から飛び出したコードに絡め取られて、女性と男はその内部に運び込まれたのだ。
「俺も今、別の部屋で目を覚ましたばかりなんですけど、とにかくここはヤバイ。早く外に出ましょう」
段々と記憶が戻ってくる。ぼやけていた頭脳が、事態を理解し始める。
しかし、女性の心の一部はまだ夢の世界を引きずっていた。もはやどんな事があったのか、はっきり思い出す事は出来ないのに、心があの夢を求めているのだ。
「出る…逃げるんですか?」
「そうです。こんなとこ、いつまでも居られませんよ!!」
「でも、そうしたら、私は………」
あの世界は、ただただ快楽に満ちて、何も失う事はなく、誰と分かたれる事もない。
目の前の彼も、いつか出会う誰かさんも、ずっと一緒にいてくれる世界。
だけど、夢は夢のまま砕け散った。現実に引き戻された女性は、どうあがいたって、いつかは必ずひとりぼっち。
その時突然、呆然とする女性の前で機械の一つが作動し始める。
「な、何だ!?」
機械の上部から溢れた光が、像を結ぶ。白いヒゲの老人の立体映像が忽然と姿を現した。老人は二人を一瞥して口を開く。
「×××××、××××××××××。×××××………」
遥か昔に失われた言葉。文明の残滓。女性にも、男にも理解できない言語だった。
意味不明の言葉を使い、二人に語りかける老人の口調は穏やかだった。だが、女性は気付いていた。穏やかさの裏に見え隠れする黒い感情を……。
「……優越感?…私たちを、見下している?」
整った笑顔のほんの端っこが、小さく歪んで見えた。瞳は下卑た好奇心に満ちていた。遺跡が、この機械装置が女性に何を見せたのか、全てを知った上で男は話している。
やがて歪んだ笑顔は顔全体に広がり、堪え切れないとでも言うように、男は笑い始める。
「ヴァハ、ヴぁヴぁヴぁヴぁっ!!!ヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁっ!!!!」
口を大きく開け、男は笑う。腹を抱え、笑い過ぎの涙を手の甲で拭い、笑い声を部屋中に響き渡らせる。
「悪趣味、ですね………」
女性はパースエイダーを引き抜き、立体映像装置に向かって構える。喉の奥から湧き上がる叫びを抑え込みながら、引き金を引く。
次々と放たれる銃弾は、装置にめり込み、その外装を砕いて内部を破壊する。火花が飛び散り、黒煙が吹き上がる。それでも、歪む立体映像の中で老人は笑っていた。
「ヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁ…ヴぁ…………ヴぁっ……」
やがて装置が完全に停止した後も、その笑いは部屋の中を埋め尽くす機械の狭間に響き続けた。
492SBI:2006/06/30(金) 09:31:38 ID:ZCCQmMnJ
全ては彼の遊び、だったのだろう。
人の心の隙間に潜り込み、その願望を歪んだ悪夢に仕立て上げる。それに惑い、揺れる人の心を嘲笑う為だけに作られた悪趣味な機械。
途方もない技術と知恵を、ただ人を苦しめるためにつぎ込んだ最悪の悪戯。
「……………」
金属の台の上に腰掛けて、全弾を打ち尽くしたパースエイダーを握ったまま、女性は俯いていた。今の自分の顔を、相棒に見られたくはなかった。
出会って、別れて、死んでいく。
それは誰もが常に心のどこかで恐れている事。世界中のどんな人間も、それについて相応の覚悟をして、時に耐え、時にやり過ごし、その一生を乗り切っていく。
それは、女性にとっても同じ事だった。
ありふれた当たり前の悩み。いまさら抉り出されたところで、どうって事はない。その筈だった………。
「………師匠」
心配そうに男が呟いた。それでもガタガタと震え続ける体を止められなかった。立ち上がる力が湧いてこなかった。
別離の悲しみ、そこからの解放という甘い蜜をちらつかせ、最後にその幻想を砕いて見せた。全く、単純ながらも良く出来ている。見事と言うほかない。
ありふれているからこそ、根も深い。与える傷も深い。
当たり前だ。最初から解っている。
「こわい………私だって、こわい……」
床にパースエイダーを落とし、両の手の平で顔を覆い、女性はそれだけ、やっと吐き出した。
ふと顔を上げる。目に入るのは男の笑顔。いつもより幾分か憔悴した様子を見せながら、それでも男は微笑んでいた。
「そろそろ行きましょう、師匠」
そっと差し伸べられた手に、心の奥で女性は怯えた。ここで握っり合った手の平も、いつかほどけて、離れて、消える。もう二度と、出会うことはない。
沈黙が、二人の間を流れていく。呆然と自分の手の平を見詰め続ける女性を、何も言わずに男は待ち続けた。
男の指先も震えていた。その胸の奥にあるのは女性と同じ恐怖なのかもしれない。
それでも、どうせいつかは彼の前から消える彼女に、男はずっと手の平を差し出していた。それ以外に、自分の意思を示す方法を、男は持たなかった。
やがて震えたままの女性の手の平が、ゆっくりと男の手に重ねられて
「そうですね、行きましょう」
いつかは消えて無くなるその手の平を、女性はしっかりと握り締めた。
493SBI:2006/06/30(金) 09:33:23 ID:bSHncucs
これでお終いです。失礼しました。
494名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 13:29:47 ID:gzG//yGt
質問。
ここは非エロは書いてはいけないのですか?
495名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 15:07:02 ID:/DQTH44e
>>494
エロじゃなければ、相応のスレがあるしな。
時雨沢ネタはよくわからないけど。
496名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 04:12:20 ID:/E5MGKI6
短ければ可
497名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 19:47:25 ID:qT6PPTcL
>>495
あるの?
498SBI:2006/07/07(金) 09:08:20 ID:cHBf2eoP
久しぶりの熱いシャワーで旅の汚れを洗い流したキノは、大きなバスタオルをかぶって、わしゃわしゃと頭を拭いていた。
体についた水滴をあらかた拭き取ったところで、キノはハッとしたように顔を上げて周囲を見回した。誰かが後にいる。そんな気配を感じたのだ。
シャワーカーテンの陰や天井の通気口など、物陰になる場所を確かめてみるが、もちろん誰もいない。この狭い室内で、人が隠れる事の出来る場所は殆ど存在しないのだ。
「………気のせいか」
だが、妙な気配はいまだに部屋の中に漂っていた。見えない誰かの舐め回すような視線が、キノの背中に突き刺さる。
この場を早く立ち去りたい。その一心でドアノブに手を伸ばしたその時、キノはある物に目を止めて、その場に凍りついた。
キノの視線の先にあったのは、壁に据え付けられた大きな鏡。そこに映る自分の姿だった。
「………な、なんだコレ?」
鏡の中で、同じポーズ、同じ表情で立ち尽くすキノの姿。ただ一つ違うのは、その手足に巻きついた幾本もの触手の存在だった。
ウネウネと蠢く触手は体を這い登り、絡め取り、いやらしい粘液で肌を汚していく。鏡の中のキノは段々と触手に覆われていく。
乳首や耳たぶ、首筋に鎖骨、小さなお尻の割れ目と股の内側、体中の敏感な部分を触手が愛撫する。
やがて、立ち尽くす本物のキノの目の前で、鏡の中のキノは触手の与える快楽に呑まれ、悩ましげな表情を浮かべて喘ぎ始める。
言い表しがたい恐怖に駆られて、キノはシャワールームのドアノブを回した。だが、ドアは開かなかった。鍵が掛かっている訳ではない。ノブもドア自体もピクリともしないのだ。
閉じ込められたのだ。おそらくは、鏡の中でキノを嬲る、得体の知れないモノによって。
目の前で、自分の体が汚されていく。異形の愛撫を受けるその顔に浮かぶのは、歓喜の表情。荒い息遣いが、切ない喘ぎ声が、耳元まで届いてきそうだ。
「…嫌……嫌ぁ…こんなの……ボクぅ…」
そう言いながらも、キノが興奮しているのは明らかだった。鏡に映る自分の姿から目を離すことが出来ない。水滴を拭った筈の内股が湿りを帯び始める。
いつしかキノは、自分の指で体を愛撫し始めた。鏡の中で触手がするように、乳首を摘んでこね回し、大事な部分の入り口を何度も擦り上げた。
熱を帯び始めたキノの体に呼応するように、鏡の中で繰り広げられる行為は激しさを増す。
そしてついに、一本の触手が足の間を這い登り、キノの小さな割れ目にその頭を埋めた。
「…あ…ああっ…はいってるぅ……ボクのなか…うねうねがいっぱい……」
背中を仰け反らせ、触手の突き上げに体を揺らす鏡の中の自分が、キノには羨ましくてたまらなかった。太く逞しい触手に比べ、キノの指はあまりに細くかよわかった。
早く逃げろと理性が警告する一方で、キノの心の一番原始的な部分が囁きかけてくる。
どうせドアは開かない。逃げられない。それよりも今、必要なものがあるはずだ。体の奥の熱い疼きを、埋めてくれる圧倒的な質量。
499SBI:2006/07/07(金) 09:09:00 ID:cHBf2eoP
「…う……あ……欲しい…うねうね…欲しいよぉ…」
床に這いつくばり、両手を使ってアソコをかき混ぜながら、キノは哀願した。
「…ボクを…犯してぇ……ボクのアソコをメチャクチャにしてぇ!!!」
その瞬間、キノの体を見えない何かが貫いた。
「……ひ…や……あああああああああああっ!!!!!」
キノが叫び声を上げた。見えないけれど確かに感じる。太くてヌメヌメのいやらしいソレ、お望みのものが自分の大事な部分を犯している。
いや、それだけではない。腕に、足に、乳首に、お尻に、体中に纏わりつく触手が、ねばつく粘液が、すぐそこにあるように感じられる。
圧倒的な存在感で体中を責め立てる触手の感触に、キノは泣き叫ぶ。
「…うああっ!!気持ちいいっ!!ボク、気持ちいいよぉっ!!!」
いまや鏡の中の虚像と現実のキノの姿は完全に一致していた。向かい合った顔に浮かぶ淫らな表情まで、何一つ変わらない。
やがて、キノを弄ぶ見えない触手は、キノの体を鏡の方に引き寄せ始める。圧倒的な快楽に理性を剥ぎ取られたキノは、その事に全く気付かない。
触手の責めに涙を浮かべ、嬌声を上げるその顔には、快楽を貪る雌の本能だけが浮かんでいた。
自ら腰を使い、短い黒髪を振り乱して、キノは絶頂へと昇り詰めた。
「ああっ!!?…イクぅ!!…らめぇっ!!…ボク…も…イっちゃうのぉおおおおおおおっ!!!!」
激しく痙攣し、叫び声を上げたキノ。その体は触手に引き寄せられるまま、鏡の中に沈んで、跡形もなく消え去った。

一台のモトラドと衣服を含めた全ての荷物を残して消えた旅人の事件は、その後しばらく国を騒がせたが、やがて彼女の存在もろとも人々の記憶から忘れ去られていった。
だが、それも今のキノにはどうでもいい事だった。どことも知れない闇の中、絶え間なく与えられる快感だけに満たされた彼女は、間違いなく幸せだった。
500SBI:2006/07/07(金) 09:09:55 ID:cHBf2eoP
以上でおしまいです。失礼しました。
501名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 11:17:28 ID:H+nZtc+W
GJ!!!
502名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 17:28:33 ID:Xx33qrCh
書いた駄文を片っ端からスルーされていくSBIにテラワロス
つーか、ここが過疎るのもコイツがでしゃばるせいだと思うのだが
さっさと消えりゃ、それで清々するのに
503名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 20:12:02 ID:whSQrIuL
久しぶりに覗いたら、なかなかエロチックなSSが多くて感動。
gj.
504名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 02:35:11 ID:Rtf5FQmt
毎日何を食べて育ったらそんなエロティックなネタが次々と思いつくのか子一時間(ry
GJ!!
505 ◆KdBcwmQ4/6 :2006/07/09(日) 19:45:31 ID:BAmsLgCQ
GJ!!

ここまで保管しました。
第三保管庫 http://kujira.s8.x-beat.com/kino/
506名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 23:08:19 ID:84jdgJd7
>>505
お疲れ様です。
507SBI:2006/07/10(月) 10:02:18 ID:LUbddKgN
>>505
GJ!!!お疲れ様でした。
508名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 16:38:18 ID:l3mZpi7s
七誌で書けばまだ他の書き手に迷惑がかからないのにね
509名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 20:27:47 ID:GuuefVoe
>>498
GJ!キノと触手ってなんか合う気がする
510名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 22:11:32 ID:gEujUCFA
特にエロいとは思わん。
511名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 04:41:10 ID:GwGLGVHC
いつもご馳走様です。
512名無しさん@ピンキー
ある日の夜の出来事です。
空に輝く大きな月とは対照的に、その村の家々の窓はどこも真っ暗でした。だけど、寝静まった村の一角に一つだけ、明かりの灯った窓がありました。
机を照らすランプの下で、一人の女性がカリカリと鉛筆を紙の上に走らせていました。
「何を描いているんですか、フィー?」
後ろから声をかけられてフィーと呼ばれた彼女、フィオナは振り返りました。
「あら、ベネディクト。起きていたの?」
そこにいたのは彼女の夫、ベネディクトでした。
「ああ、、どうにも寝付けなくて。邪魔でしたか?」
「いいえ、そんな事ないわ。ほとんど描きあがったところだったし。それに……」
フィオナは優しく微笑んで、先ほどまで自分が何かを描いていた紙を取り上げ、ベネディクトに手渡しました。
「この絵について、少し意見をもらいたいと思っていたところなのよ」
どれどれ、とベネディクトが絵を覗き込んで、言葉を失いました。
「これは……」
そこに描かれていたのは、一人の少年の姿でした。ヴィルヘルム・シュルツ、二人にとって大切な友人で、とても優しい良い子です。
ただ、絵の中のヴィルは少し様子が違っていました。
まず、頭の上にぴょこんと猫の耳が生えています。ついでにお尻にもシッポが一本。その上、ヴィルは上半身裸でした。いつもの制服のズボンだけを穿いて、頬を赤らめています。
しかもズボンにベルトは無し、ボタンは外れておりファスナーも半開き、そこから覗く下腹部のラインの描きこみは偏執的なほどでした。
恥ずかしそうに裸の上半身を腕で隠し、上目遣いにこっちを見てますが、それよりも下をどうにかしてほしいです。
「今度出す本の表紙のラフなの。やっぱりネコミミって最高よね」
ネコミミ以外にもツッコミ所満載の絵ですが、フィオナは気にしていません。
「ねえ、どうかしら?可愛く描けてたかしら?」
なんて、目をキラキラさせて感想を聞いてきます。
ベネディクトは手元の絵に目を落としたまま沈黙していましたが、やがて搾り出すように声を出しました。
「とても、よく描けていますよ。ただ………」
「ただ?」
「ネコミミはあえて本物である必要はないと思います」
「どういうことかしら?」
「ネコミミつきのカチューシャとか、元からネコミミだったんじゃなく、コスプレしてくれた所に萌えるわけです」
ベネディクトの説明にフィオナがポンと手を打ちます。
「なるほど、それはそれで…」
「着替えシーンとか、妄想も膨らむと思います。まあ、あくまで好みの問題ですが」
そこまで言ったベネディクトは、絵をフィオナに返して、廊下へのドアに向かいます。
「それじゃあ、私は先に寝ています。あまり根を詰めすぎないように」
「ええ、わかってる。それから、あなたの意見とっても参考になったわ。ありがとう」
「どういたしまして。それじゃあ、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
ベネディクトに軽く手を振ってから、再び鉛筆を手に作業を始めようとしたフィオナでしたが
「って、ちょっと待ったぁ!!!」
ようやくベネディクトの様子がおかしい事に気づいたようでしたが、すでに後の祭り。部屋の中にベネディクトの姿はありません。
とんでもない疑念と一緒に、フィオナは部屋に取り残されてしまいました。
……そして寝室、ベッドの上でひとりぼっちのベネディクトは
「ヴィル君………」
フィオナが以前に作ったヴィルの抱き枕を抱えて、切なそうにつぶやいたのでした。