【アンジェ】【遙か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え6

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1名無しさん@ピンキー
【アンジェ】【遙か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え6

アンジェリーク、遙かなる時空の中で、金色のコルダ関連のエロ萌えスレです。
女王候補、神子、女子高生の皆様。
本業を忘れてあの方とのめくるめく一夜に(*´д`*)ハァハァしまくりましょう〜。

・雑談、なりきり、SSエロ萌え妄想なら何でもOK
(SS職人様ご降臨お待ちしております)

・マターリsage進行でお願いします。

※SS職人様へのお願い。

・「○○なんだけど、投下していい?」などの誘いうけは必要ありません。
「○○を投下します。××なので、だめな方は**をNGワードにしてください」
との注意書きレスのあとに、即投下をお願いします。

前スレ
【アンジェ】【遥か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え5
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1121264231/

過去スレ
【アンジェ】【遥か】【コルダ】ネロマンスでエロ萌え2
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1098091822/

【アンジェ】【遥か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え3 
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1105293580/l50

【アンジェ】【遥か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1108300670/

絵板&過去ログ
http://kyoto.cool.ne.jp/miko-haruka/

2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.gozaru.jp/
2名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 22:36:42 ID:p0VDuwMq
ヘタレ字書きサイト晒しスレ その7
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/doujin/1121072491/l50
3名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 22:55:39 ID:lOWKKU/P
1乙〜!
4名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 23:27:10 ID:7GHcctsV
乙です!!
5名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 00:32:03 ID:YfYR9qFe
モツカレ
6名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 01:02:09 ID:VrwU2xgN
少ない言葉で仕事の早い>>1萌え
7名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 08:30:57 ID:OXy+B6Bi

職人さん待ってます
8名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 08:38:35 ID:Kjp2QDmO
乙!
前スレの金やん×香穂子の人また来てくれないかなぁ。
9名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 11:37:39 ID:JqZyAnCX
乙〜
10名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 11:42:48 ID:OXy+B6Bi
1さんも乙だが過去ログ倉庫の管理人さんも乙
はええ
11名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 15:15:52 ID:mSsPqBzM
>>10
すげぇw惜しみない乙を各方向に送っとこう。
12名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 18:48:10 ID:XnABk3Np
乙〜

カフェ俺さん続きお待ちしてます
13名無しさん@ピンキー:2005/12/17(土) 00:24:24 ID:6FZMsdvS
乙!
投下途中の職人さん達や、新規職人さん達の作品もコソーリ待ってます。
14名無しさん@ピンキー:2005/12/17(土) 18:52:23 ID:TPBIl+dz
乙華麗
15名無しさん@ピンキー:2005/12/17(土) 23:41:36 ID:kbNkD/tQ
即死回避乙
16名無しさん@ピンキー:2005/12/17(土) 23:46:23 ID:tvLQUH0q
文才ないので即死回避しかできないけど。
乙です。
17名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 01:40:55 ID:Zy8Mux9+
即死回避乙

続きものワクテカで待ってます
18名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 08:45:03 ID:rekHQYqS
保守
19名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 09:54:54 ID:bdVzGzEO
乙!
職人さんが来ないと、脳内で自家発電になっちゃうよ…
20カフェ俺 ◆ZFykxLZniE :2005/12/18(日) 10:00:05 ID:oQgabje0
こんにちは。新スレおめでとうございます。前回レスくださった方、どうもありがとうございました。
空気読めなくて申し訳ない。前後書き等は以後気をつけます。
スレ移行ということで、一応再度注意書きを書きます。注意書きも少しまとめました。

●十六夜記 泰衡×望美(精神的には逆っぽい) 激無駄に長文
●ポートピア信者の半壊ギャグ気質な凶暴望美
●ヘタレツンデレの泰衡。かなりヘタれるのでご注意ください。
●銀BADルート偽造のトンデモ展開悲恋気味。
●前半は仲間も含めたアホギャグ。あのルートがどうたらスチルがどうたら言い出す無節操ギャグ。
後半ほぼ二人だけのシリアス。
●銀ファンの方はすいませんご遠慮ください。
●後半エロ以外でひとかけらグロ入り(たいしたことないと思うのですが・・・)
●NGワードはタイトルの『夢のほとり、後悔の跡』でお願いします。

今回は前回投下の途中で切れた調整分を落とします。エロなしです、すいません。
21夢のほとり、後悔の跡:2005/12/18(日) 10:02:35 ID:oQgabje0
さて。好きになったと自覚したはいいが、後はどうするか。
伝える――といっても、反応があまりに恐ろしい。
きっと毒キノコでも喰らったんだろみたいな冷凍光線を浴びせてくるのだろう。
厚い氷壁に遮られて望美など相手にもされないのだ。結果はわかっている。
まさに言うだけ無駄という部類の想いなのだろうな・・・。
とは思いつつ、このままただ秘めているだけなんて望美らしくない。
それに、告白がきっかけとなってあの仏頂面にも何らかの変化の兆しが表れるかもしれないじゃないか。
ものごっつい前向きさを武器に、泰衡へ恋心を伝えてみた。

――――そして深く後悔した。

そう、例えるなら。毒キノコと一口に言っても、望美の世界でいう“りぼんに咲くどくだみの花”の
異名を持つあの巨匠の世界に繁殖する例のキノコでも喰らったか、のような感じ。
凄まじいとしかいいようのない拒絶をしめされた。
声こそ荒げず肉体的な暴力は与えてこないものの、散々豊富な言葉の知識でもってこき下ろされ、
槍のような眼力で串刺しにされ、黒いオーラで吹き飛ぶほどの威圧を受け。
一体自分に惚れたと告白する女にどうしてそこまでできるのかと同性さえ怯えるだろう位にしてから
何事もなかったかのように無表情で去っていった。
跡には、精神的にボロきれと化した望美が一人ぐったりと残された。
22夢のほとり、後悔の跡:2005/12/18(日) 10:04:43 ID:oQgabje0
その日は流石に守ってあげたいとかいう優しい気持ちはかき消され、自分の男の趣味の悪さを
嘆くしかなかった。
「泣かないで、私の神子」
仰向けで大の字になって腐っていたら、白龍(大)が慰めにきてくれた。
「ううっ、ありがと白龍・・・今日もチャイナ服がまぶしいよ・・・」
「泣かないで。私にも手伝えることがあればいいのだけれど・・・ごめんね、神子」
「えっ?何いってるの!白龍はぜんっぜん悪くないんだからね。謝らないで。
・・・・と、いうか。むしろ問題は私だよ・・・。
よく考えたらこんな魅力的で素敵な人たちがズラリ勢ぞろいの真っ只中にいて、なんであんな
東北産ツンデレを・・・。へへッ、笑っちゃうよ自分を」
望美がさらに腐ると、純粋な龍は真顔で口を開いた。
「神子。五行に相生・相剋があるように、人の心にもどうしようもない決まり事があると思う。
八葉は皆本当に気持ちの良い人たちだ。
それぞれに良いところがあり、それぞれに人をひきつける何かを備えている。
けれどあなたという神子が求めるものとは違った。鍵が合わなかったんだ。
それだけだよ。良いとか、悪いとかいう問題ではない」
「白龍・・・それはつまり私が、俗にいうツンデレ属性ということかしら・・・」
「人の言の葉むずかしい」
「・・・・・」
23夢のほとり、後悔の跡:2005/12/18(日) 10:06:19 ID:oQgabje0
いや、そもそもあの男にデレの部分なんてあるのだろうか・・・そんなこと口にするだけでムチで
しばかれそうなんだが・・・
「けれど、神子。あなたが泰衡を見る目はとても自然でいいと思う。あなたは優しいけれど、
どこか『そうしなければいけない』という思いを常にはらんでいるからね。
でも、あの泰衡に向けているのは『そうしたい』だ。それはすごくきれいで、あたたかい。
人の心は移ろいやすいものだけれど、あなたのその想う心と誠実な眼差しは変わらないもので
あってほしいと願うよ」
「・・・白龍」
少し驚いた。この自分を守護する龍にはそんな風にうつっているのか。
・・・この苦労と忍耐の毒々しい日々をきれいとか言われるとちょっと悲しいものがあったりするが。
「けれどね神子。どんなことがあってもこれだけは忘れないでほしい。困ったら相談して。頼って。
打ち明けて。みんな神子の力になりたいと願っている。私たちは常にあなたのそばにいるのだからね」
その優しい笑みに揺り動かされて、再度目が潤んでくる。
ああ、白龍。私の輝く美しい龍。
あなたは無印ではEDスチルを二つも持つ存在だったのに。
(大)時の格好と言動と傷舐めスチルがアレだったせいなのだろうか、追加ディスクでは
男性キャラなのに新ルートもなく恋愛サポートキャラに徹するハメになってしまって。
――それなのに、なんてまぶしい笑顔を向けてくれるんだろう。なんて優しい龍なんだろう。
私だったらちゃぶ台ひっくりかえして夜の屋台で管巻いてる。

だいたい、あんな庇護欲かきたてる可愛らしさの化身そのものの(小)最初に出しといてからに、まったく。
・・・せめて初めからこの似合ってるチャイナ服ならなあ・・・
特にあの通常時のベルトの龍はないと思う。
あんまりではないだろうか、紅・・・・・・・ゲフンゴフンゲフン。い、以下略。

「神子どうしたの?」
「ううん何でもない。白龍・・・あなたの神子はあなたのこと、大好きだからね」
「??うん、私も神子が大好きだよ」
望美は目をごしごしこすると、決意の表情で己の龍を見上げた。
「これから起こす行動で、きっと白龍の守護する京にも永い平安が訪れるから。
どうか信じて。私に、奥州に力をかしてね」
「うん、わかっているよ神子。あなたは私の神子。私はあなたを信じている」
「パイロン!」
「神子!」
龍とその神子はひしと抱き合い、絆を確かめあったのだった。
24夢のほとり、後悔の跡:2005/12/18(日) 10:07:28 ID:oQgabje0
次の日。泰衡は「迷いは消えたか」と冷たく問いかけてきた。
「ええ、ますますブチ堕としてやりたくなりました」――と返した。
望美は己に心底から自嘲する深いため息をつくしかなかった。
逃げられると追ってしまうのだ。性だ。どうしようもない。


その後も。彼自身も、彼を快く思っていない人々の残酷な噂話も、時に望美を傷つけた。
それでも彼女は勇気を出して、隔てる氷海を渡ろうと小舟を漕ぎ出してしまったのだった。
親友が絶対無茶だから戻ってきなさいと呼び止める姿に、大丈夫ちゃんと氷割りながら進むから
――と元気よく手を振って。



――後から思い返すと、あの男のうんざり顔の向こうには、様々な感情がうごめいていたと気付ける
のだけれど。



かくして、周囲にはバレないよう気を使いつつもの壮絶な気持ちの追いかけっこが始まった。
もっとも見られた所で冗談としか捉えることができないものだったが。
九郎などは二人が移動の際も時を惜しんで激しい鍛練を重ねていると思いこみ、
少しばかり二人の株をあげつつも、
(ああ、望美、泰衡殿、真剣なんだな・・・。・・・当然か・・・。それに比べ俺は・・・)
と、思い悩みを深くしていた。
確かに望美のこの頃の毎日は激しかった。
好きだと言えば気のせいだと素っ気なく、
気になるといえば俺はまったくと鼻で笑われ、
私を見てほしいと言えば強烈すぎて直視できんと真顔で切り捨てられる日々。
後半は望美もちょっとヤケ入ってきた。
25夢のほとり、後悔の跡:2005/12/18(日) 10:08:43 ID:oQgabje0
しかして。
毎日恋心を伝えられる方の身になってみれば、少しばかりは過剰な意識を持ってしまう
ものかもしれない。
「俺などより――あなたには、おそばに使い勝手の良い方が幾人も控えておられるのだから・・・
このようにお暇を持て余しておいでなら、お相手してさしあげたら如何でしょうか?神子殿」
こればかりは言ってはいけなかった。
年頃の少女が想い人を見上げる優しさを帯びた瞳と、少々の熱をもった柔らかい表情。
なんだかんだでそれを望美は泰衡に向けていたのだが、突如、一瞬で失われた。
まるで遮光のカーテンを乱暴にひいたようで。
目を見開いて凍りつく望美に異質を感じて流石に失言に気付いたのだろうが、もう遅い。
「・・・」
顔の色を失くしたままに、望美は手を振り上げる。
パン。
容赦なく自分の頬を打った。
「・・・」
「・・・」
「・・・痛い」
「だろうな・・・」
はたから見たら訳のわからない状況だったろう。泰衡にもよくわからない。
望美は頬に手を当てしばらく微動だにしなかったが、やがて今にも絶えそうな声で呟いた。
「・・・今のは、自分への罰です。今の台詞を引き出させたのは結局私だから。私が言わせたも同然
だから」
目を伏せたまま、ばっと勢いで頭を下げる。
「ごめんなさい!そんなに嫌だったなんて、
・・・ちょっと気付いてたけど、気付かないふりしてしまいました。
もう、やめます。本当にすいませんでした。
・・・だから、申し訳ないけど。今日はもう自由にしてください。
明日にはちゃんと白龍の神子に戻ってますから、・・・お願いします」
言い捨ててその場から猛然と逃げ去ろうとしたが、こんな時まで揺らぐことをしない低い声が耳に
届く。
「明日は早いぞ。――しっかりと整理をつけてきてくれ」
さすがに、酷いと思った。涙腺がゆるみそうになる。
いたたまれなくて、少しでも早く泰衡から遠のきたいとばかり願い、わきめもふらず逃げ出した。
後にぽつんと残されたのは、頭は良くても不器用で馬鹿な男が、唯一人。
26夢のほとり、後悔の跡:2005/12/18(日) 10:09:43 ID:oQgabje0
大事な仲間達を一人一人思い浮かべ、一人一人に脳内で謝罪する。
走り走ってもういいだろうと思うと、望美はゆっくりと足の速度を落としてゆき、しまいには
トボトボと道を進んでいた。
・・・。
あーあ。かっこ悪い、意味不明。
さらに変な奴と思われただろうな。・・・ふん、お互い様だから別にいいけど。
・・・・・・。
冬も終わりに向けて静かに動き出している。目に入る白が少なくなった。
地面にのしかかる積雪量がかなり減少したのを感じる。ホッとしたような大地の姿が、頭と心から
何か重いものが抜け落ちた自分の気持ちとかぶった。
なんか、私。ひょっとして・・・むきになっていただけかもしれない。本当に好きだったのかな。
失恋したはずなのに、何でこんなに軽くなった気がするんだろう。
爽快感と少々のむなしさを身にしみこませ、望美は大きく深呼吸をした。
・・・さあ、気持ちを切り替えなきゃ。明日からまた毎日顔を合わせるんだから。
この話は終わり。次いこう、次。
ところで。


「――ここはどこ?」

・・・・・・・・・・・。
ヤ。ヤバい。迷子になった。
ま、間抜けすぎる。ある意味さすが私。いや、そうじゃなくて。
迷子になっただなんてあの人にバレたら、またに嫌味&眉間にしわの凍てつく波動をあびせられるではないか。
イヤー!!と頭をかかえたところで、はたと気付く。

・・・また、『あの人』か、私。

自分にため息をつく。駄目だ。離れようと決意しても心が離れてくれない。
――嫌な男だ。どうしてこんなに私を惹きつけて放さない。――忌々しい。
27夢のほとり、後悔の跡:2005/12/18(日) 10:10:31 ID:oQgabje0
次の瞬間。
馬の嘶きが穏やかな空気をつんざいたのを耳にして、はっと我に返った。
平泉ご自慢の駿馬の鼻面が目前に迫っていて、驚く。・・・乗っているのは。
望美は信じられなくて思わず口をふさいだ。
(・・・嘘)色々な意味で信じられない男が馬の上から見下ろしている。
「どういう足をしているんだ・・・ここは奥大道の入り口だぞ・・・」
呆れを通りこしてドン引きしています。
どう見てもバッドエンドです。本当にありがとうございました。
「・・・その女の足に馬でやっと追いつく人に言われたくないです」
望美は無表情なままやさぐれた心そのものを言の葉で押し返した。
泰衡は思いきりムッとしたようだが、例のごとく表情に出るのは微量だ。
空間にバチッと火花が散った。とてもほれたはれたの話に発展しそうもない。
(あれ、でも・・・追いかけてきてくれたのか・・・しかも自分で)
それに気付くと、つい望美は反省の色を顔にのせてしまった。相手も喧嘩をしにきたわけではない
ので、それを見るとすぐに怒気をひっこめる。しばらく気まずい空気が流れたが、馬から降りた
泰衡が背を向けたまま「――悪かった」と吐き捨てるのを聞いて、望美も顔を伏せ「あ、いや・・・
私も・・・すいませんでした」と返してしまった。
再度の沈黙が訪れる。
謝った。この男が。信じられない。私はそれほどまでに重要な手駒か。
・・・いや、そんな言い方は良くない。きっと重要な・・・存在なんだ。
相棒としてだけど。
・・・駄目だ。いつまでもこんな考え方していられない。
望美は泰衡の前にたたっと走って回りこむと、ぎこちない笑顔を浮かべて和解を促してみた。
「じゃ。えっと、これからもよろしくお願いします。
もちろんもう変なことは言いませんから安心してください」
多分握り返されることのない片手をためらいがちに差し出す。案の定相手は微動だにしない。
望美が呆れて半目になるのと、予想外の答えが返ってくるのが同時だった。
「俺でいいのか」
「へ?」
「本当に俺でいいのか、と訊いている」
苛立ちの混じった低い声が放たれた言葉は、望美の瞳を大きく見開かせた。
――それって。
望美が呆然としていると、相手は心底面倒くさそうににがいため息をついた。
「蜘蛛の巣にかかるとはまさにこのことだな・・・」
・・・本当に忌々しい。
28夢のほとり、後悔の跡:2005/12/18(日) 10:11:26 ID:oQgabje0
「――まあいい。とにかく早急に戻るとするぞ神子殿。この忙しい時分にとんだ余興を感謝するよ」
いや、“まあいい”とかで締めくくれる話じゃないはずなんだが・・・しかも余興・・・さらに口調が
憎々しげ・・・・・・し、視線が氷柱のよう・・・

・・・。えーと。OK・・・もらえたんだよね?これって・・・

望美は行き場のないツッコミの手をさまよわせながら、ガクッとうなだれた。


それでも。かぽ、かぽと馬に揺られながら、背中に想いの通じた(と思いたい)人の存在を感じている
時間というのは、なかなかに悪くなかった。
左手をちらと見やる。
手綱をひく手と、あでやかな金糸で丁寧に刺された下がり藤の刺しゅうが黒地に広がる。
ああ、近いなあ・・・と再認識して、(一応)特別な相手になれたんだなと実感し、ついつい赤くなってしまう。
そんな夢見心地の望美に、想い人は耳元で三つの条件を要求してきた。

一つは、とにもかくにもまず第一に鎌倉攻めを念頭に置くこと。
一つは、忙しいからそんなに相手できないということ。
一つは、どうせすぐ終わる付き合いだから深く考えるなということ。

「・・・・・・・・・・・・・・。」
胸ぐらつかんで馬上から一緒に転がり落ち、殴り合いの大乱闘に持ちこみたいという気持ちをぐっと
こらえ、望美はひきつった笑顔で泰衡の話を愛の力で聞き流した。


結局望美はいろんな意味で舞い上がっていて、忙しいと毒づいた人間が操る馬の足がとてもゆったり
したものだったことに気付くことをしなかった。
そして、あまりにもふざけた三つの条件が、望美にではなくどちらかというと吐いた本人に向かった
戒めの言霊だったことにも気付かなかった。
そうすると、当然、長く孤独だった心の闇色に突然月の光が射しこむなどという狂気の恐ろしさ
にも気付くことはできなかった。
もちろんそれらを全て承知した上で、望美の心に離れていってほしくないと願ってしまった相手のことも。



29カフェ俺 ◆ZFykxLZniE :2005/12/18(日) 10:13:08 ID:oQgabje0
以上です。またよろしくお願いします。後二回の分割投下になります。
30名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 11:16:58 ID:oRLAKvQh
乙〜

>りぼんに咲いたどくだみの花


誰だ・・・?
31名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 11:29:58 ID:Zu0GyF5D
>30
岡田アーミンのことかと。
懐かしいフレーズだなしかし…
32名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 12:35:04 ID:489nyFWJ
今回もおもしろかったです。
こちらこそまたよろしくお願いします。
33名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 12:40:20 ID:vreuPFzt
続きキタ―――!!(・∀・)
望美カワイス。ヤスモエス。

後、前回の「犯人はヤス」とか「遁甲様」とか今回の白龍ベルトネタとか
随所に散りばめるられてる本スレネタにネタ好きの自分はニラニラしっぱなしですわw

さて、後半はシリアスだとか、そちらも楽しみにしてますね!
34名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 14:12:54 ID:GOnUVHjR
乙! 続きワクテカして待ってます

前スレと言い、今週末は職人さんのお出ましがあって嬉しいな
新規さんも待ってますノシ
35名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 14:48:18 ID:Fa6CbFcY
GJ!
ツンデレヤス&漢らしい望美イイヨー
ちりばめられた小ネタにもわらかしてもらいました。
続き楽しみにしてます(・∀・)
36名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 16:09:56 ID:EM4IJ+DZ
先生、笑いが止まりませんノシ
カフェ俺氏GJ&乙です
37名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 23:24:46 ID:dOkqaj38
前スレの知望GJ!
獣神子な感じですごい良いなあ。本スレじゃ言いにくいが獣神子も好きだよ。
でもってカフェ俺氏もGJ!
ギャグもいいけどシリアスにも期待してます。ヤス萌えにも目覚めそうだ。
38 ◆jrosS.6ip2 :2005/12/18(日) 23:57:33 ID:ZTiIgPfk
…前スレの梅のつもりで書いていたのですが、どうやら書き込めなくなってしまった様で…こちらに途中からお邪魔させて頂きます。
念のためにもう一度

八葉&白龍&知盛×神子
ギャグです。
世界観とキャラぶち壊しな可能性大です。
39 ◆jrosS.6ip2 :2005/12/18(日) 23:59:09 ID:ZTiIgPfk
……ん?
将臣くんに九郎さん。ヒノエくんに、弁慶さん。讓くんに、景時さん。敦盛さんに、白龍…知盛は既に売約済み。

と、言う事は…私の相手って……。
「神子。」
後ろから聞こえてきた低い声に、体がピクッと反応する。
「……先生…。」
「私は……お前なのだな。」
「は、はい…。そう…みたいですね。」
「お前は…私では満足出来ぬか?」
「いえっ!そんな事は決して!!」
「そうか、ならば良かった。」
何だか、やたら嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか。
突如、マスクを取る。手袋めいた物も外し、マントまで取ってしまった。
「せ、先生?」
「どうした、神子?」
「…何故、私は抱っこされているんでしょう?」
しかも、お姫様抱っこ。
皆がまだいる中、これはかなり恥ずかしい。
「無論、お前を寝所まで運ぶ為だが。」
「なっ…!?」
「先程、私では満足出来ぬ事は無いと言っていたではないか。」
……そういう意味でしたか。
それならそうとはっきり…と言ったら言ったで問題あるけど。
私は何の抵抗の術も持てずに、そのまま寝所まで連れて行かれた。

40 ◆jrosS.6ip2 :2005/12/19(月) 00:07:33 ID:AhTFCL6T
その夜。


「将臣…くん。やっ、もうダメェ……。」
「暫く離れていたんだぜ?もう少しお前を味わわせろよ。」
「だって…もう三回も…。」
「まだ、三回だ。…これっぽっちで三年分埋まるなんて甘いぜ。」
「やあっ…んっ…。」


「九郎さん…。」
「のぞ、み……。くっ!」
「い、痛い…よ。」
「こ、これでか!?」
「は、早く…抜いて……。」
「し、しかし、まだ入れたばかりだぞ!?」
「んじゃ…は、早く…して。」
「し、しかし…。」
「お願いだから…早くして…。裂けちゃうよ…。」
「わ、わかった…。」



「ヒノエくん…。いい、よ…気持ち…いい…。」
「お気に召したなら、幸いだ。もうちょい動いても大丈夫そうかい?」
「う、うん…多分、大丈夫…?」
「痛かったら、すぐ言うんだぜ?」
「んっ……ああっ!」


「弁慶さぁん……。」
「おや、どうしました?まだ、御奉仕が終わっていませんよ?」
「弁慶さんが…欲しいの……。」
「まだだと言うのが聞こえませんでしたか?いけませんね。それとも…お仕置きが必要ですか?」
「んっ…んん…。」
「そう、それでいいんですよ。素直な人は大好きですから。」

41 ◆jrosS.6ip2 :2005/12/19(月) 00:11:14 ID:AhTFCL6T
「ゆっ、ずる…くん…。」
「先輩……俺…俺はっ!」
「いい…よ。とても、気持ち…いい…。」
「先輩…。」
「もっと…激しくしても大丈夫だよ?」
「先輩…先輩……っ!」
「ああんっ……讓…くん。」
「せん、ぱい……くぅっ!」


「の、望美…ちゃん。」
「気持ち…いいですか?」
「駄目だよ…そんな、君が上なんて…。」
「私はいいんです。…景時さんが気持ち良ければ……。」
「望美ちゃん…。」
「一緒に…いきましょう?」



「み、神子…駄目だ。」
「どうしてですか?」
「わ、私は汚れているから…神子に触れる訳には…ああ!」
「大丈夫です。私も汚れないし、あなただって…とても綺麗だから。」
「神子…。」
「一緒に、気持ち良く…なりましょう?」
「……ああっ!」



「神子……。」
「やっ…、そんなに激しくしたら…おかしくなっちゃ…。」
「私は…とうの昔におかしくなって…いる。お前を抱きたいと…こうなる事をずっと…望んでいた。」
「せんせ……ああっ!」
42 ◆jrosS.6ip2 :2005/12/19(月) 00:15:06 ID:AhTFCL6T
「神子…神子の中はとっても気持ちがいい…。」
「白龍…。駄目…。」
「どうして?私のは…気持ち良くならない?」
「そうじゃ…ないよ。気持ち…いい。とても…。」
「そう、…良かった。神子が気持ち良くならないと、私も気持ち良くない。」



そして、また。


「知盛……。」
「何だ…もう、限界か……?」
「もう、さっきから言ってる…じゃない…。」
「剣ではそう簡単に降参しないだろうに…。」
「だって…ホントに…もう…。」
「ならば…やめるか?」
「意地悪……。」
「…クッ。わかったよ。神子殿のお望みのままに…してやるさ。」
「あっ…ああん……知盛……。」



知盛の部屋で望美の悲鳴が上がり。

京邸では、九人の望美の嬌声が大合唱となって響き渡ったと言う。



43 ◆jrosS.6ip2 :2005/12/19(月) 00:16:53 ID:AhTFCL6T
終わりです。
色々見辛かった箇所もあったかもしれません。
申し訳ありませんでした。そして、ありがとうございました。
44名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 00:24:30 ID:uFwFvxho
GJGJ!
笑わせていただきました!
ちゃんと神子がそれぞれの性格で面白かったです。
45名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 00:27:20 ID:EoZ3RnP3
ちょwテラオモシロスww
敦盛の時神子攻めになってるしw
GJですた(*´д`)ハァハァ
46名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 01:57:40 ID:LR7Vpmrh
私は…とうの昔におかしくなって…いる

って!ちょっ!吹いた!
GJ(*`Д´)b
47名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 08:11:21 ID:LXcOMTFW
九郎にハゲワロスw
48名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 10:02:37 ID:SkviHrkH
エロと笑いって両立するんだなーと、しみじみ感じ入った師走の朝
49名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 11:48:03 ID:Q07fcNEI
私は節操なく色々なスレ行ってるからわかるんだが
結構エロと笑いの両立作品て多いよー
ここもバリエーション豊かになってくねえ
色々な方向性のものを読めるのはうれしい限り
50カフェ俺 ◆ZFykxLZniE :2005/12/19(月) 19:15:29 ID:Di575jZT
こんばんは。投下させてもらいにきました。
注意事項は>>20をよろしくお願いします。
長くてすいませんが今回で前半終了です。
しばらくあまりPCに向かえなくなりそうなので後半も近いうちに落とします。
51夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:16:31 ID:Di575jZT
三章  蜜月のころ


初めての時は、まず最初に手のひらを差し出された。その上におずおずと自分の手を重ねるとすうと
引きよせられて、手の甲へ静かな口付けを落とされたので、似合わぬ紳士ぶりに驚愕した。
「ひっ」
思わず小さな悲鳴を上げる。
緊張で頭の中がパニック状態の望美に不機嫌な声が問いかけてくる。
「――おい、何だその ひっ てのは」
「だ、だって・・・もう何がなんだか」
目の前がぐるぐる回って焦点が定まらない。身体は意識しすぎてガチガチに固まっているし、何で
自分がここにいるのかさえ記憶が飛びそうになる。
加えて。相手は数ヶ月前の望美なら絶対にありえないと絶叫しそうなこの男。
「・・・黒くない泰衡さんなんて初めて見たし・・・」
よくわからない言い訳を口ごもる。
でも、けれど、初めて見る黒衣以外の姿が真っ白い寝着一枚で、これもあと少し時間が経ったら以下略
で、その前に多分私が以下略で、ああもう知らないよ馬鹿ー略。
腰より丈のある長い黒髪の束が肩に少しもたれかかってから前の方へと流れている。純粋な和人の血
から創られる黒と、心の在り方を指し示す色である白の調和がいやになまめかしく瞳に映る。
いやだ。エロい。無駄にエロい。この人のキャラの方向性からえらい外れている。この人にこんなのは
求めていない。
望美が文字通りの真っ赤な顔をして視線をそらしていると、ためらいがちに伸びてきた手が望美の頬の
手前で停まり、軽く曲げた人差し指と中指の背で皮膚を優しく撫でてきた。
「怖いか」
なだめるような呟きが普段の調子とは全く違う。あなた誰ですかとつい心の中で一人つっこむ。
――この人は、、私の心臓を破裂させたいだけなんじゃないだろうか。とさえ、勘繰ってしまう。
「何を思っている。言ってみろ。・・・まだ、聞いてやれるぞ」
こんな状態になっても一歩引いて状況を見ることができるのだけは流石に少々関心してしまった。
望美の思考回路はもう滅茶苦茶になっていたが、気持ちは伝えないとと顔を上げた。
思ったより接近している。眉間にしわさえよせていなければ綺麗に整っていて、女を惑わす影をつくる
顔立ちだとよくわかる。
――つい、せっかく交えた視線を放り出す。
「あ、あの・・・ごめんなさい、いや、大丈夫なんだけど。ちょっとだけ、心の準備が・・・」
「――そうか」
ホッとしたようだ。拒んだら本当に引いたのだろうか、少しだけ疑問に思ったが、多分嘘ではないのだと
何故か確信してしまう。私もこの人に相当おかしくなってしまっていると、望美は自覚している。
この男はどうなのだろうか。
望美本人が思うのもなんだが、――私より、格段にヤバいと思う。
52夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:17:20 ID:Di575jZT
そもそも、こんな人だったなんて思いもしなかった。
もっと冷淡で身勝手で、絶対に振り回されるんだと覚悟していた。
結局の所は望美も泰衡を、孤独の中でも凛と立ち続けていられる一輪咲きの花だと思いこんでいたのだろう。
他人などかけらも必要ない人間だと。
望美側だけ勝手に心配して走り回って疲れ果てて、この人は大丈夫だと思い知らされて。
間抜けに終わる付き合いになるかと思っていた。
彼に抱いてしまった弱さへの不安を踏みにじってほしかっただけなのかもしれないとさえ思う。
しかし、実際は案外普通の男だった。
もちろん表面は相変わらず冷徹で、何を考えているかわからないのも事実だが。
もっとも人なんて心の柔らかな部分に踏み込んでしまえば皆こんなものかもしれないと思う。
・・・まあ、望美の場合は壁の外で駄々をこねてしぶしぶ裏口の戸を開けてもらった・・・みたいな気も
するが。きっと気のせいだ。
それでもこの仏頂面の下がり藤、最初は何か望美がたくらんでいるのではとえらい無駄な警戒をしていた。
比較的早く打ち解けていったのは、望美の方がええいどうせ短い付き合いなら何とかして楽しんでやる、
と氷点下攻撃にも負けず積極的にふるまった効果が大きい。
大前提で神子としての立場を最優先という決め事があったので逢える時間は限られていたが、なかなかに
面白味が強く密な数週間が流れた。皮肉の応酬も何だか違った内容を帯びていくのがわかる程に。
誰にも変わらない対応をする冷たい外面からも色々読み取れるようになった。
それをもとに接し方を変えると、向こうも何だか変わっていく。いちいちすごく嫌そうだが。

なんだか、これ以上心の中に入ってくるな――と言ってる気が節々でしたけれど。
この期に及んで諦めが悪いというものだ。
この男にとって望美が神子という存在以上のものになってしまっていることが、
もうずいぶん前からだった――ということは、すっかりばれてしまっているのだから。
53夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:19:30 ID:Di575jZT
適当な付き合いと言い放ったわりには何かしら与えたがる男だった。
奥州の誇る黄金文化の髄を極めた金細工やら金箔入りの漆塗りやらに心を奪われて見惚れていたら
隣に音もなく現れて、
「どれがいい。全てか」
どうでもよさそうにさらりとした顔のまま軽々とのたまう。
そうなのだ。黄金の都。白い肌。黒い長髪。高慢ちき。といえば、どこぞのおおおーなエジプト王。
・・・は多分関係ないが、
この男は金色の光で満ちる平泉の、いうなれば王子様ではないか。
そうだった。望美はぽんと手を打つ。ある意味すっかり忘れてた。なんて陽の部分をつい忘れさせるのに
長けてる男だ。
しかし常日頃から『飽きたらポイ捨て』を懸念している疑心暗鬼の望美には手切れ金をちらつかせている
としか思えず、むかむかしながらも「いらんからもっと逢いにこんかいこのボケツンデレが」のような
ことをエセ健気乙女オブラートに幾重にもくるんで伝えたら、さすがにこの王子様も驚いたようで、
姿を現す回数が増えた。泰衡相手に作戦勝ちしたみたいで望美はちょっとうれしかった。
欲しくなかったわけではない。けども、望美とて何も知らぬわけでもない。栄耀栄華の都の金産出量は、
現在かなりの減少数値をしめしているはずだ。その事実に加えて、
実兄から汚名をきせられ追捕されようとしている九郎一行の一員として、この平泉にはまさに恩しかない。
――そんな身で、もらえるものではないだろう。
だいたいただでさえ戦神子という立場で平泉入りしたのに、かんざしさして豪勢なべべきてへらへら
笑えるか、泰衡の馬鹿。この奥州バンコランが。

後になってみれば、好きな女に贈り物をして喜ばせたいとか、綺麗な装飾品を身につけたところを見たい
なんて、男心としては全くおかしくはないと思うのだが。

でも親密になってきた頃、流石に奥州の華である特産物をいらないなどと否定し続けるのはまずいと
思い、意を決して初めて一つ特注加工品をねだってみた。
――「お前たまに俺で遊んでるだろ」と思いっきり頬をつねられた。
なんなのだ。金ぴかの等身大くがね像がほしいといっただけだ。どこがふざけているのだ。
あれは未だに納得できない。飼い主のくせに生意気だ。
54夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:21:43 ID:Di575jZT
甘味の足りない逢瀬の繰り返しではあったが、想い人は時折とても素敵な一面をちらりとのぞかせて
くれるので、恋をしている少女はそれだけで十分満足だった。
――まあ、あまり多くを望んでいないというのも一因だったが。
なんせ『すぐ終わる付き合い』宣言されてたし。

一度、後白河の義経追討の院宣にどうしても憤慨を抑えきれず泰衡に八つ当たりしたことがある。
「もう本当に信じられない!!熊野で怨霊から助けてあげたのは誰だと思ってるの!?
今度あのじいさんに会ったら速攻で院宣取り消させた後、問答無用であの頭ツヤが出るまで磨いて
やるんだから!泰衡さん止めても無駄ですからね!私は本能のままに磨きます!
はあーきゅっきゅっ」
球体を磨くそぶりをする望美は、絶対馬鹿にされると覚悟の上での
さあかかってこいやあな言動だったのだが、
当の泰衡は表情も身体も微動だにせず返してきた。
「そうか。
ではその時に備えて、京からきた工人どもにでも上質なつや出しの技法を教わってくるといい。
あなたが磨くのならさぞ望月と見まごう程の満ちた光を放つのだろうな――
どんな腹黒い狸のハゲ頭でも」
そう言って、少しだけふわりとした優しい笑みを見せた。
望美はついそれに乙女心をときめかせてしまう。
嗚呼。この、たまに見せてくれる極悪なノリの良さが、私の芸人の部分をつかんではなさない
のね――と、頬を染めるのだった。

――恋心などというものは所詮タチの悪い麻薬の一種である。
ラリる望美の目がもし正常であったなら、黒衣の恋人の
ものごっつい凶悪で人を馬鹿にしまくったニタリ笑いしか見えなかったはずなのだ。
恋は盲目とはよく言ったものだと感心する。
55夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:22:41 ID:Di575jZT
男は表情無く眉間にしわをよせ続けてその闇夜を保とうとするが、
女はそれに染められることはない。
最初は自分だけ笑っているのがつらかった。空しいと思っていた。
だけど、そうじゃない。それは違うと気付いた。
この人の心は自分から外されることなくちゃんと追ってきてくれていると、わかってしまった。
その動かぬ頬に手を添えて、彼の為だけに花咲くような笑顔で笑う。
相手は微塵も変化を表さないけれど、振り払うことも、眉根をよせることもない。
初恋を実らせた、無垢で幼く純真な月の光は、次第に暗がりの世界を照らし出していく。
それが良いことだと信じているからこそ、凶暴な程に。



そんなこんなを纏めると。
話をして、ケンカになって、皮肉を言い合って、ケンカをして。馬に乗って出かけた先で大ゲンカして、
仲直りして初めて口付けをして、やっと恋人のようになれたと喜んだらまたケンカをふっかけられて。
時折忠犬くがねの絶妙なキューピットサポートに助けられ、それでもケンカして。
九郎はちょっと頭がアレだという点で意見が一致して二人でため息をつき、秀衡がうれしそうにくうっと
泣きながら物陰より見守っているのにも気付かず、望美がポートピアを熱く語り犯人がひきつり、
ケンカして、目が合って、そのままで――――
気がついたらこんなことになってました。という、長々やったわりにはくだらないオチだった。
56夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:23:49 ID:Di575jZT
四章  似た闇からの警告


想いが実りゆく中途、気にかかるエピソードが一つ発生していたけれど、望美はあまり気に
留めなかった。留めるべきだったのに。
この恋心は朔と白龍にしか打ち明けていなかったのだが、事を明確に察知してしまっていたりする
黒い・・・いや鋭い人間も、八葉の中にはいたりするわけで。
武蔵坊弁慶その人なのだけれど。
「君はいけない人ですね」
と、お決まりのフレーズを口にして、哀しげに染めた端正な顔立ちを向けてくる。
「二人で休む間も惜しんで戦の準備をしていると感心していたのに。まさかそのようなことに
なっているなんて」
「ごごごごめんなさい。でも」
「わかっていますよ。もちろん鎌倉攻めが最優先という決め事はしっかりあって、恋仲として逢える
時間は限られているのでしょう?」
くすっと笑う。
か、かなわないこの人には。と望美は縮こまる。
結局口外しないという約束の代償として、次の日を丸一日弁慶に預けるというはめになった。
な。なんなんだろう。びくつきながらついていくと。
――なんのことはなかった。あの仏頂面と望美が対等に付き合えるのか、と心配してくれていたのだ。

午前中は、「何か強迫的な言動をしてきた時はこれで迎撃を」と言って、一体何処から仕入れてきたのか
泰衡の子供時代から現在に至るまでの様々なアレな小話、逸話を多数伝授してくれた。
・・・その中にはどう考えても他人が見ているはずのない場面のものを含め、実に種々取り揃えてあって、
改めて弁慶だけは敵に回したくないと思い知らされた。

昼になると、
「まあそういうこともありますから、せっかくですしついでに。
もちろん君は何も悪くなんてないのですけれど、その望月の光に愚かに惑う男というものは
これから先も必ずいるでしょうからね」
と多分な甘言と共に、男に襲われた時の効果的な対処法などを教えてくれた。
「・・・いやでも弁慶さん、男の人ってこれすっごくキツいんじゃないですか?」
「何をいうんです望美さん。むしろすり潰してやるぐらいの勢いでいってください」にっこり
「ひいい――!!」

午後は午後で、「こういう時薬師を生業としていて良かったと思いますね」とかなり踊る声色で
明らかに常人には必要ない薬その他を並べられ、効能の説明を受けた。
・・・これ絶対個人的に使ってみてほしいだけなんだろうな。さすがに望美でもわかる。
何だかうごうご動く物体やモザイク必至の何かに囲まれて、あっという間に夕暮れになった。
この日一日で望美は何だか人生観が変わった。
はい、弁慶さんに逆らおうなんて一生涯思いません。
57夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:24:43 ID:Di575jZT
帰り道。鮮やかに夕日で染まる空を見上げながら、弁慶はぽつりと呟いた。
「ねえ望美さん。君は九郎と泰衡殿が似ていると言ったそうだけれども。九郎という同じ光に
焦がれ、その光が多くあたる場所にいたいと願ってしまう点では、僕と泰衡殿はとてもよく似て
いるのかもしれません」
「そうなんですか?」
「ええ。ある意味強烈ですから、九郎は」ふふっと微笑む。
「もっとも形はまったく違いますけれどもね。泰衡殿の表現方法は僕には少々理解致しかねます」
「・・・」
何を言いたいのか手に取るようにわかって悲しい。
「・・・九郎は。
今はまだ少々、兄上兄上と煩いかも知れませんが・・・そこが九郎の人を惹きつける、信じ
貫こうとする純粋さという輝きの基の部分なのかもしれません。時間がないのはわかっていますが、
お願いですから、もう少しだけ――待ってあげてくださいね」
「・・・はい。弁慶さんがそう言うなら」
お互いに少しずつ笑みを多めにのせて、頷きあった。

もうすぐ高館に着くというころ。
望美が今日一日のお礼をのべようとすると、
「ああいけません、お礼なんて言ってはいけないんですよ君は」
と止められてしまった。
「何故ですか?」
「だって望美さん。今日は泰衡殿が君のために丸一日を空けた日だったんですよ?忙殺の合間を
縫って。朝方文が届いたのですが、僕が握りつぶして君をさらってしまったというわけです」
これ以上ないというくらい輝かしい弁慶スマイルの背後に、見事な花々が咲き乱れる。
沈黙。
「ええ――――――っ!?べべべ弁慶さんそんな――――――っ!!!」
「ふふっ、許してくださいね望美さん。
僕もそれなり忙しくて、今日くらいしか空きが見つからなかった、というのは本当ですよ。
それにね――
求め焦がれたもう一つの光、満月の方は――
これだけつけていた差をあっさり抜かれて持っていかれてしまったんですから・・・
このくらいの意地悪はさせてもらわないと割があいません」
・・・どこまで本気なのだろう、この男も。
「さて日も暮れてきました。これから伽羅御所へ向かうというなら僕もお供させてもらいますよ」
・・・なんだ、それは。弁慶さんVS.泰衡さんの構図になるのか、つまり。
・・・この世の深淵にある暗闇でも呼ぶ気か。
「このまま帰ります・・・」
「そうこなくちゃ」
にっこり。
・・・ぐうの音も出なかった。
58夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:25:40 ID:Di575jZT
高館前。弁慶の歩がふと止む。数歩先に進んでしまった望美が振り返ると、潔い決意の表情を
した地の朱雀がそこにいた。
「望美さん、君は決めた。進むべき道を。僕は。――いえ、僕達は」
間をおき、重さをつけて言い放った。
「君を信じています」
唐突すぎて驚きを隠せなかったが、望美もまた真正面で対峙して誠意で返答した。
「はい」
弁慶は少し悲しげにうつむき、軽く丸めたこぶしを額に当てていった。
「『人の恋路を邪魔する奴は馬に』――などと言いますが。正直、この状況下で君達のような二人が
性急に近づいてしまうのはあまりおすすめできませんね――
・・・君達の性分からすれば仕方ないことかもしれませんが。
望美さん、所詮闇は光に勝てません。所詮孤独はぬくもりに――勝てないのですよ」
何を言っているのかその時はまだよくわからなかった。
ただ、心配してくれているのだけはよく伝わってきた。
高館前の仁王立ちの死。あまりにも有名な、それを避けるため選んだ道でもある。
望美は無意識に弁慶の黒い布をぐっとつかみ、無言で目を見つめ、あなたも私が必ず守ると訴えた。
対する弁慶は目を丸くする。
「おやおや。他の殿方と穏便に付き合っていくための手ほどきをしたばかりだというのに。
君という人はそんな目で僕を見上げるのですね」
そういいつつも弁慶は、何の他意も含まない微笑を望美のために浮かべてくれた。
「君は本当にいけない人ですね」
穏やかな二人の間を、弁慶のキャラソンがBGMとして何気なく流れていった。

この数日後、ついに九郎は懐柔されることとなる。
皆それぞれに頑張ったけれど、やはり弁慶の働きが最も大きかったのは言うまでもない。
59夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:26:31 ID:Di575jZT
ところで。望美的に、弁慶とすごした次の日は地獄だった。
瞬間冷凍しそうな視線をモロに浴び続けながらただただ謝り倒す、長い長い時間を泰衡に強いられたので。
文を持ってきてくれた者のせいになどできない。
ましてや実は弁慶さんが以下略なんて口が裂けても言えない。
弁慶自身は庇うことを全く望まなかったが、平泉に黒い灰を撒くことは避けたかった。
必然的に文を受け取った望美がただ忘れてただけ、という嘘の結末に陥る。
望美はこの日一日で、泰衡なら某キグナスのダイヤモンドダストを絶対撃てると確信した。
色は黒だろうけど。泰衡の馬鹿。どうせなら伝説のキグナス白鳥音頭も是非舞ってください。
いや泰衡さんなら黒鳥か。
・・・だったら私を責める前にオディール32回転きっちりスピンしてみせなさいよ!
だいたい私がひろみなら泰衡さんはお蝶夫人でしょう!?
今は二人で手を組んでダブルスの試合の真っ最中なのよ!
コートにいるのは私一人じゃないはずよ!馬鹿ー!!
と思考がカオスワールドへ逃げ出してしまうくらい大変だった。
あまりにも無視されるので流石にかちんときて、移動途中の泰衡の前に立ちふさがり、
ええいっとばかりにぎゅうと手を握ってみた。
どうだ、何か反応してみなさい。にやりと上目遣いで笑ってみせる。
面食らうとばかり思っていたのに、泰衡は変わらずの零度の眼差しで「それで?」と吐き捨ててきた。
その挑発にのってしまい、望美は目もとまらぬ速さで近づいて、これでどうだと今度は口付けてやった。
そしたらそのままぐいと物陰にひきよせられて、続けろと命令された。

付き合い始めてから始めて、長く長く抱き合っていた。望美は泰衡の首に手を回して、泰衡は望美の
腰に手を回して。口付けてはにらみ合い、口付けては皮肉を飛ばしあう。一体どんな恋仲なんだと
己でも呆れたが、まあこれが私達のかたちなのかなあと思い、そして格段嫌でもなかった。
60夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:27:05 ID:Di575jZT
――余計なことをしたかな。
風に吹かれてそう思う。
弁慶としては確かに余裕の、勝算ある賭けではある。
泰衡には悪いが、所詮弁慶達と泰衡とでは共にくぐって来た苦境の数が違うのだ。絆が違う。
少し心配なことにはなったが、望美は絶対に自分達を捨てられまい。
それ以前に。彼女も泰衡も、そこまで愚かしくはない。
――この地を発つまでには、きっちりと決着をつけてくれていることだろう。

ただ。
二人が最終的に被る精神打撃量を換算すると、さすがの策士も心苦しくなってしまうようだったが。
初めて男を想う少女と、延々と感情を封じてきた闇色の主。
想いあうには二人ともあまりにも、心痛むほどに幼すぎる。
それでも。
『馬に蹴られて死んじまえ』なのだろうな――と目を伏せた。



ちなみに。結局弁慶が伝授した対泰衡用迎撃マニュアルは――
望美が奥州の王子様と対等に付き合っていくための凶悪極まりない飛び道具として、これでもかと
いうくらい役に立った。
昼に受講した文字通り必殺の残虐破壊攻撃(男限定)と、
効果を聞くだけでついひきつるヤバい薬の出番だけは、さすがに最後までなかったが。

61夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:28:07 ID:Di575jZT
五章  源九郎義経

 
数日後。九郎に連れ出されて、他に誰もいない雪だけが残る静かな大地の上にいた。
共に立ち上がる決意を真摯な眼差しで伝えられた。
ただでさえ嬉しいのに、まず伝えるのは望美から、と思ってくれたのがさらに望美の胸を満たした。
いつもまぶしい彼の破顔がさらに輝いてみえた。

「・・・ところで、望美。お前にこんなこと訊くのも何なんだが・・・
泰衡殿とも近しくなったお前なら、もしかしたら、と思うので訊きたいんだが・・・」
言いにくそうに目を伏せ胸に拳をあてて、やや身体を傾ける九郎。
「何ですか?何でも言ってください」
望美は優しい声を出して先を促した。
「・・・・・・あのな。・・・・・・・。弁慶と泰衡殿って・・・・何か、似てないか?」
沈黙。
「似てます」
「そっ、そうか!お前もそう思うか!良かった!本当に良かった!!こんなこと普通誰に言った
ところで理解などしてもらえんからな――」
ものすごい喜びようを示す九郎に、理解者望美は驚く暇もないほど同情を感じていた。
だって。――この堅物九郎が感激に任せて望美の両手指に自分の同じものを絡めて強く握っている。
それだけでもう。
普段の九郎が大量に蓄積している、いやさせられているストレスの蠢きを感じざろうえない。

ああ、九郎さん。
勇猛果敢な英雄のあなたも、
ちょっと阿呆っぽいと言われ続けるあなたも、
赤い彗星のごとくギャグシリアスあっち方面と何やらしても使い勝手の良い素敵なあなたも、
やっぱり一人の普通の人間なんですね・・・

でもね、九郎さん。
九郎さんは九郎さんで大変なのはよくわかってるんですが、私も立場的にせつなかったりするんですよ・・・。
例えばほら、好きな男のキャラソンとか、キャラソンとかキャラソンとか・・・
だってあんなんアリですか?乙女ゲーですよ?普通は野の花でしょ?
さあ好きに解釈してくれと言わんばかりの熱い友情ソングですよ?しかも九郎さん限定ですよ?
ドキドキしながら聴いてたのに、もう私そのまま真っ白になるしかなかったですよ。
ああ、今ならわかる。わかるんです。
真っ白に燃え尽きたジョーの気持ちが、真っ白になった対戦相手のホセの頭が・・・

62夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:29:02 ID:Di575jZT
望美がフフフフと怪しげな微笑で真っ白い世界へ逃避している間も、御曹司の苦悩の告白は続いた。
「そう、何処がと問われると困るんだが――二人とも、俺にはかけがえのない人間には間違いない
――それは永遠に変わらぬものといっていい――だが、だが――・・・」
「・・・なんか、アレなんですよね?なんか黒いモノが自分のまわりでうごうごしてるみたいな感じ」
「そう!そうなんだ!!わかってくれるか望美!!」
「弁慶の笑顔がたまに無性に怖い」
「そう!!!」
「泰衡殿に至ってはおどろおどろしいとしか言い様のない怨念まがいの視線を常に送ってくる」
「望美――――――――――ッ!!!!!」
今明らかに九郎の中では例の星が爆発的に打ちあがっているのだろう・・・
・・・こんなんで好感度あがっても決してうれしくはないが・・・。
・・・この兄弟子のことはできる限り支えてあげなくてはならないな・・・心と精神の方を。
望美は半目になってハハハハと心のない乾き笑いをこぼした。
そんな望美の額に己の額を押し当てて、九郎は目を閉じ苦しげに吐き捨てる。
「ああ望美・・・何故俺はあいつらから一歩でも遠のきたいと願ってしまうんだ・・・・!!」
「九郎さん・・・。ああ九郎さん、わかります。きっと牢に閉じ込められてるくらいつらいんですね。
でも九郎さん、いいんですよそれで。そうやって吐き出せば。
大切な人達だからといって丸ごと全てを受け入れなくてもいいんです。
そんなことしてたら九郎さん、壊れちゃいますよ。
私だって泰衡さんに、背後から全力でかめはめ波撃ってやりたい時があります。
だから、これからはそういう心にたまっちゃうことは、ばんばん私にブチまけてくださいね。
私ききたいです。九郎さんが楽になれればうれしいから。・・・仲間なんですから」
歪んでいた九郎の顔からすうと苦悩が消されていき、晴天が広がっていく。
その両目には、微笑む望美が映っている。
「望美・・・ありがとう。恩にきる。本当に俺は良い仲間に恵まれているな。
そうだな・・・俺はこの幸せをもっとかみしめるべきだな」
二人、口端をあげたまま、無言でこくりとうなずきあう。
ここでやっと九郎は自分が彼女にありえないほど猛接近していることを自覚する。
す、すまん!!と例の照れ姿を見せてズザザと遠のく兄弟子が、あまりに可愛らしくてくすと笑う。

そしてついでに気付かなくてもいいことに気付く。
63夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:29:39 ID:Di575jZT
ん。あれ?
ちょっと待って?
ひょっとして九郎さんがここまでのブラコンに陥った原因て、
・・・まわりがこんなだったからも一因だったりする?

・・・・・・・・。
えーと。
・・・まあいいや。
英雄だって、そう!たまには弱音も吐かなきゃ駄目だよね!そうそう!!
く、九郎さんも私が守ってみせるっ!!
覇道を歩む決意をした神子は、無理やりに話をまとめ強制終了をかけた。


・・・・わかってます。お願い。よくわかってるから。何も言わないで。頼みます。このとおり。


帰り道を二人でたどる。隣を見やると兄弟子がふっと微笑む。
息がぴったりだと言われた時の事を思い出す。
反論する台詞もタイミングも同じで、さらにからかわれたっけ。今となれば良い思い出。
この道は、トンデモモンゴルルートでも、見る者を萎え殺すアニメの待ち構える許婚絶叫ルートでも
ないけれど。
生き続け、輝き続ける源九郎義経の力になることができて、この純粋な信頼と友好の笑顔をずっと
注いでもらえる人生というのは、なかなか素敵なものなんじゃないかと思った。

できることなら。
一秒でも一瞬でも長く、――好きな男と共に、その幸福を分かち合いたいと願う。


・・・まず少しは九郎の身になって己の視線を省みてみるということを教えなきゃいけなそうだが。



64夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:31:04 ID:Di575jZT
六章  交わる熱


最初は勢いでどうとでもなるが、しばらくもすれば経験の差がありありと表れて両者を分ける。
この男が初めての相手である望美には始めから分が悪かった。
口付けるばかりにも飽きてくると、男などという生まれついての馬鹿は調子にのるもので。
その唇は望美の顔の所々になだらかに移動しては時折軽い音を立て、横にある耳の柔らかな部分を
甘咬みし、小さく息を感じさせるとそのまま首筋をゆっくりと降りていった。
動きの遅さがかえって一つ一つの愛撫の感触を強めるので、似合わぬ優しげな甘さはさらに増して伝わる。
望美の両腕は既に絡めを解いたというのに、望美の腰はしっかりと固定されていて動かない。
さすがに見も心も火照ってきて焦る。
首から上だけしか触れられていないのに、全身が疼いてたまらない。
「やっ、泰衡さっ、ちょっ・・・あっ。ふあっ・・・」
自分でも初めてきく己の甘い声が響く。きかれた、と思うと恥ずかしさで軽い目まいを感じた。
「反省したか?」
訊ねられてはっとして、感じていた甘みをはね飛ばす。
「してます!超してますハイ!だ、だからもうやめてー!」
「下手に他人など庇いだてするとろくな事にならん、と学んだか?」
「ハイもうとっても!!・・・・・・・・ん?・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・何?庇いだて?って言いました?今・・・・。

・・・・き、気付いてたんですか――――――――ッッ!!!?」
「流石に八葉のどいつかまではわからんがな」
良かった!!
いや違う!!
「ひっ酷・・・」
猛烈な反撃を試みて口を開く。
が、背に回された腕にぐいと距離を縮められ、再度の口付けで不満を塞がれてしまった。
「うう、んむ・・・っ」
ずるい。何だかすごくずるい。なだめるように優しく舌を絡めてくるのがさらにずるい。
65夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:31:49 ID:Di575jZT
「――で?
俺があなたの再三にわたる『一日くらい一緒にどこか遊びにいこう』の猛攻に惨めに屈したというのに、
そのために用意した一日を見事に蹴り飛ばされた、というのはなんら変わることのない事実なのだが?
――八葉がしでかした事の埋め合わせは勿論あなたがなさるのだろうな?神子殿」
「ううう、わかった、わかりました、何でもするから今は離して・・・」
支えられていなければ今にでもふにゃりと崩れ落ちそうだ。もしくはでろでろ溶け出しそうだ。
「今宵は共にすごせるか」
「はい!はいもういくらでも・・・・・   こよい?」
我にかえる。今宵。今夜。今晩。・・・・・・共に。
「え・・・」
流石に意味のわからぬ年齢ではない。
驚きで染まり、大きな目をさらに見開いて相手を見つめる。変に線が細く繊細に映った。
顔と顔が近い。細めた目のまつげの一本一本までよくわかる。
・・・冗談でかえせない。
「あなたを抱きたい」
皮肉屋なはずの想い人は、蛇行もせず嫌味も含めずに真っ直ぐな言葉を口にした。
ぐらりと傾く。
目まいがひどくなる。
「・・・嫌か」
――ずるい。
どうせ、断る理由を持っていないのがわかっている。



・・・正直床までいく仲へ進展するとは思っていなかったのだ。
深く付き合う気はないって言い捨て続けてたくせに。
何故そんなに身をよせて、顔をのぞきこむ。私が視線を与えるのを望んでいる。――宝物のように扱う。
現に今、望美の方が軽くひいてしまっているくらいの想いを寄せられている。
この人は変わった。表面からはけしてわからないが、変わった。望美が変えたのかもしれない。
落ち着くまでこうしていると優しく抱かれているだけで、望美はもう十分おかしくなりそうで。
春近しとはいえ未だ雪の名残る奥州の冬。凍てつく大地は人と人との距離を縮めさせるのだろうけど。
遠く、遠くからその腕の中へとたどり着いた望美には、抱きしめるぬくもりが余計に伝わってしまうことを、
多分この土地を深く愛しているこの男は知らない。
66夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:32:35 ID:Di575jZT
「もういいですよ。――うん、落ち着いた」
そうか、と短い了承。
広がる白布の上に寝かされると、しゅる、と小気味良く封印がほどかれる音。
落ち着いたと言ったわりには思わず心の内でぎゃあああああああきたついにきたあああああと
開始の合図をわめき散らした。
あまりの気恥ずかしさについ腕で覆い顔をかくす。
変な表情を笑われたり皮肉を言われたりしたら、喧嘩を仕掛けてしまいそうで。
だから、顔が見えないと不満げに呟かれた時は本当にどうしようかと思った。
泰衡は「大丈夫」と、何度繰り返したかわからない三文字を再度口にして、戸惑う望美の手首を持ち上げる。
「笑いも皮肉ったりもしない。――怯えるな」
見透かされてる、と頬にさらなる紅をさす望美の唇を、泰衡の軽く開いた口からのぞく赤い舌がかすめたが、
拒まれていないのを空気で読み取ると深く入ってきて口内で絡んだ。
優しい。気持ちが静かな波を取り戻してゆく。軽い音と共に離れていってしまうのが名残惜しかった。
(・・・中に誰か別な人、入ってるわけじゃないよね・・・)
うっとりとしながらもとんでもなく失礼な疑念を抱いてしまい、あわててかき消そうと目前の男の名を呼ぶ。
「やっ、ややや泰衡さん、あの・・・!」
「・・・?」
「えーと・・・その・・・」
用があったわけではないので後が続かない。困った。
『は、犯人はヤス!』とか言ってごまかしたらまた思いきりつねられそうだし。
――結局、頭の引き出しからはこれしか出てこなかった。
「ええと――す、好きです。大好きです――泰衡さん」
何か返してくる前に、がばっと彼の首に両腕を回し必死にしがみつく。絶対からかわれるとふんだ
己の紅潮しきった顔を見せまいと躍起になっていると、背中の向こうでは小さな笑い声がしばらく
続いた。
67夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:33:58 ID:Di575jZT
寝着を解いて現れた裸体はなめらかな絹織のようで、透る白い肌と潤む宝玉の瞳をはめこんだ震える
表情は男の乱暴な衝動を強く駆り立てるものだったけれど、望美に触れる手のひらは彼女の
初めての怯えをよくわきまえていて、ただただ欲しいという欲求まかせになることをしなかった。
弾力で返す柔らかなふくらみをもみしだかれ、その先端を口に含まれたり指で弄ばれたりする。
「・・・・っん、・・・・・っ」
舌はざらと熱く、指は無視しようと試みても、意地悪く快楽を呼んできた。
漆黒の黒い髪が望美の肌の上でうねり、広がる。この男を選んだのだと、今更ながら自覚する。
そのうち下肢に手が伸びると、自分の世界で横行していた下卑た雑誌によくある『やっ!そこ汚いよ・・・』
みたいな台詞が本当に出そうになった。格段に跳ね上がる快楽の波にあっという間に押し流されて
消えてしまったが。
「うう・・・っ、ん・・・ん、んぅ・・・あっ、・・・」
先程から内側にとどめたいのに漏れゆく声が、こもった音で外に出て行く。自分の太股の間からは
唇ごと秘部を刺激する舌が、初夜の望美には耐えがたい淫猥な音を静かな部屋の中に投げ出していた。
途中、無理にとどめないで声を上げた方が楽になると言われてしまい、これ以上困らせないようにと
大人しくうなずいた。初めてで仕方ないとはいえ、いっぱいいっぱいそのもので申し訳ない気持ちになる。
気遣ってくるから、余計。
舌の次に侵入ってきた長い指に身体がのぞける。我慢するまでもなく跳ねるような声があがった。
秘肉の壁が指に絡みつき締めつけて、その入り口からは指の動きとともに熱過ぎる愛液がとめどなく
あふれ出す。
のぞける身体が吐く息が熱く甘くなっていく。
外部からの刺激に加え、今好きな男の目に自分がどう映っているのかと心にかけると、目にはうっすら涙が
にじむ。普段は喧嘩ばかりで皮肉を飛ばしあう相手の女が、全てをゆだねて自分の送る快楽ごとに
身をよじらせるというのは――一体どう感じるものなのだろう。耐えきれず、目をぎゅっとつぶる。
68夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:34:32 ID:Di575jZT
それにしても。
先刻から耳からの刺激にも身構えてるというのに、全然言葉で乱暴してこないのはどういうことだろう。
この男の皮肉はオプションだから、散々な言葉攻めに遭うと覚悟していたのだが。
どうしてだろう。戸惑う嬌声をあげつつも、気恥ずかしさからの逃避も兼ねて理由を追いかけてみる。

 ひどいことはしないから、ということなのかな。
 だから気持ちを言葉にしない分はわかってくれ、ってことだろうか。
 つまり、ずっとこのまま大事にするから、となって・・・

 最終的には。
 もうどこにもいくな、と。
 
 ああ、そういうことか。


わかりにくいなあ、もう。・・・この人らしいけど。

一瞬だけ穏やかな気持ちに満たされたが、それもすぐ下肢への新しい快楽の波でかき消された。

やがてゆっくりと入ってきた指はゆっくりと出ていき、抜け出す時にひときわ大きな甘いしびれを
残していった。身も心も薄紅の彩に染まった望美は今、自分が息をのむしかない程の艶やかさを
帯びているのがわからない。身体ごと浮遊しているような錯覚。とろんとした瞳は当てもなく宙を
さまよっていた。
ただ、ああ次かな、とだけ思う。
69夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:35:35 ID:Di575jZT
力を抜くよう言われても、やはり破瓜は強い痛みを伴ってやってきた。
奇声に近い悲鳴をあげてしまい、自分に覆い被さる身体に無我夢中でしがみつく。
大丈夫、と何度も約束してくれたのを必死に信じようとする。
柔らかな肉の壁はゆっくりと挿入を受けとめて、だんだんと奥の方へと沈めていった。
「・・・うあっ、っ、あぁ・・・」
それでも、やはり。ほんの少しだけ、逃げられるものなら逃げたいという思いが脳裏をよぎる。
やめて、という言葉がのどまで迫り上げた。
「――――はぁ、はっ・・・」
荒い息遣いのまま顔を横に倒すと、行き場を求めて自分が放り出した片手に別の手が絡んできたのに
気付いた。指と指とが交わって、大きい手の方が少し自分と絡めを強くしたのが瞳に映る。
驚いた。手が、つながってる。――この人の方からつないできた。
改めて身体だけを求められたのではないと知る。
おぼつかない意識の中、正直何をされるのか――と怯えていた事実を少しばかり恥ずかしく思った。
けれど。
あまりにも甘くて優しすぎて、――逆に惑う。
本当に。どうやら、知らぬ間に。ほんの少しでもいいから近づきたいと彷徨う間に。
――かなりやばい所まで足を踏み入れてしまったようだ。
その彷徨いの暗い森の主は、望美が少し落ち着きを取り戻したのを察したらしい。
彼女の頬に軽く己の頬をよせた後に幾度目かの口付けをしてから、
「――――少し、動く」
とだけ言って、腰に手を添え少量の交わる快楽を求めだした。
痛みの芽は摘み取れないが、動かれると酔わされるような甘美が訪れて下肢から全身へ広がる。
物理的に与えられる甘味ではなく、心の方に注がれる甘酒と見守られる視線が律動により
効いていくのだとわかる。
初めての躯は締めつけるのだろうか。少々苦しげな面持ちで、相手が小さく呻いたのを耳にした。
もう一度、黒い髪の緩やかに流れる首に手を回した。ひきよせると簡単に望美のもとに落ちてきた。
熱が交じる。鼓動が伝わる。吐息がまた少し熱くなる。
絶頂の近い上の空な頭で好きな男の名を何度も呼んだ。何度も何度も。
お互いの髪がさらさらと何度も絡み合う。
「――――っ・・・」
望美がついに限界まで昇りつめてくたりとなると、彼女を気遣いながら攻め立てていたものは
早々に躯から引き抜かれ、熱いものが外で吐き出された。
愛液と血にまじり、白い皮膚の上で情交の跡になって残る。
終わった、という安堵と解放感と、心からあふれて満ちる幸福感とを混ぜこぜにした大きな息がもれた。
・・・少し、何故か違和感がよぎったけれど。
頭を撫でられこめかみに口付けられると、何もかもどうでもよくなる。
好きな男が優しくてとてもうれしかった。
だから、まあいいやですませてしまった。
70夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:36:19 ID:Di575jZT
「・・・一つ、言わせていただきたいのだが」
心臓がとびあがる。
「はい・・・」
胸を高鳴らせて言葉を待った。
初めての秘め事の後、ささやかれる言葉といえば大抵甘いものと相場は決まっている。

――――普通なら。

この男ときたら、心底から嫌そうに望美を睨みつけて苦情を吐いた。
「・・・うるさい。突然狂ったみたいに人の名前を連呼するな。甘ったるい声で・・・耳障りだ」
すごいです。
初夜からダメ出しです。
さすが鎌倉侵攻なんてトンデモ行動一緒に起こす心強い相棒です。本当にありがとうございました。
あっけにとられる望美の目前で大きなため息をつき、また彼女に倒れこんだ。乱暴に一言投げ捨てる。
「・・・頭の中が真っ白になった」
・・・。
ええと、それは。
怒っていいのかわからなくなった。なんだか非常にずるい。
「えーと。それはどうも・・・すいませんでした」
釈然としないものはあるけれど、ついそう言ってしまった。
71夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:37:19 ID:Di575jZT
もう眠ろう、ということになった。後始末まで手ほどきを受けるとさすがに目を合わせづらい。
無言でうんうんと首を縦にふる。
終わったらもう用はないとばかり背を向けられるかと心配していたが、ちゃんと共に夢へおちるまで
抱いていてくれる気らしいので安心した。
良い初夜だったと思う。
名残る痛みさえも自然に感じる。この人で良かったと思う。
――夢のほとりでもまた逢いたいと思う程、心の中での存在比率が高まっている。
「・・・おやすみなさい、泰衡さん」
「ああ」
返事をした。当然といえば当然なのだが何だかくすぐったい。
「・・・また明日。神子殿」と、望美の髪を一度だけ撫でつけた手のひらの主はささやいた。
しかし、どちらかというとその声は、明日も目覚めたらまたこの女に逢えるという幸福が勝手に
口から出た、といった感じであった為。
「ひいいっ!!」
その好きな女は再度全身ひきつることとなった。
「・・・・」
焦がれてやまない甘いムードなどというものをかなりの割合で自分で踏みにじっているのに、
この望美は悲しいかな、最近気がついた。
「何だ・・・今度は・・・」さすがに疲れた顔にのせる呆れの色が濃い。ぐったりと低い声で問う。
もうどうにでもなれといった風である。
「すすす、すいませんだって今の、全然いつもの神子殿って呼び声と違ったんだもん・・・」
ドキマギとしてまた赤く染まる頬をのぞきこみながら、相手はまたやれやれと言いたげな息をつく。
「――それでは逢瀬時の俺は、直にあなたの名を呼んでも許されるということだな」
「え・・・」
異存などあるわけがない。むしろ呼んでほしい。
そんな強引なもってき方しなくても別にOKなのにと思う。
・・・が。
「泰衡さん・・・私の名前ちゃんと正確に覚えてますか?間違えたら私多分暴れちゃいますよ?大丈夫
ですか?わざと他の女の人の名前呼ぶとかいう意地悪もなしですよ?」
「・・・あなたは時折とんでもなく萎えることを言うな・・・」例の星がボロボロ落ちる音がする。
「・・・間違えたらそれこそ暴れるなどと言わず、ご自慢の剣で一突きになさるといいだろう」
耳元で呟かれた名は正しかった。
が、先刻の『神子殿』より、遥かに――まったく何処から出してきやがったのか――
艶やかで蜜の濃い甘い声だった。
絶対わざとだと思った。
結局またひいいいっと鳥肌をたてる望美に覆い被さって、何度も呼ぶ口元が笑っていたから。







だんだん だんだん 壊れていったのだ。この人も、私も。気付かぬうちに。
暖かな陽だまりに放置され、音もなく腐りゆく果実のように。

72夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:38:03 ID:Di575jZT
朝。時折響く小鳥のさえずりの中、思いは自分の世界の歴史の中にいる男へ向かう。

そういえば自分の世界での泰衡さんて、最後には源頼朝の要求に屈して、兵を高館へさしむけて・・・
その後結局家来に裏切られて討たれちゃうんだよなあ・・・で、無残に晒し首。
中尊寺蓮――泰衡が蓮。そうだ、以前インターネットで見かけたことがある。大輪の美しい古代蓮。
八百年ずっと泰衡の首と眠っていた種子は数年前目覚め、鮮やかに花開き、大地を彩っている。
信じられないぐらいきれいで清浄な花。
思い出して、望美はついぶるりと震えた。――あちらでの話だ。こちらではその花は存在さえしない。
・・・そう、関係ない。
奥州藤原氏百年の栄華。終止符を打ってしまった四代目。
兎角マイナスイメージの強い人物だが、最近では見直しの動きも結構あるらしい。無能、優柔不断と
誤解され続ける彼の生涯を紐解こうとする人達がいてくれるのを、直接関係ないとはいえこちらの
世界での泰衡とこんなことになった望美はつい嬉しく思い、感謝してしまう。
しかしつくづく理解されない男だ。あっちでもこっちでも。

――まあ、何にせよこちらの泰衡さんに縁遠い話には違いないんだよね。
九郎九郎九郎超九郎って感じだし。
うん、そうそう。

・・・そう。
73夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:38:38 ID:Di575jZT
あまり動かしたくない身体を横たえたままに隣の男に見入る。上半身だけ起こしてけだるげにしていた。
疲れているはずだ。最中ずっと、すごく気をつかってくれていた。
白んできた空の光が部屋にも届く。黒衣姿とは違う素の造形の良さが輪郭を強める。
実際誰をも息をのませることができるくらい彩と艶の備わった容姿なはずなのに。
「――なんだ」
全てをブチ壊すまがまがしいオーラと凶悪なまでの流し目をよこしてくるんだから、
本当どうしようもないお兄さんだと思う。
望美は慣れたからもうあまり気にならないけれど。
「いえ――綺麗な人だなと思ってただけですよ」
「・・・からかっているのか」面白くなさそうに眉根をよせる。
「そんなまさか――本当にそう思っていたんです。
もっとヒョロヒョロしてガリガリでホネホネロックかと思ってましたから」
「・・・・」
「いでででででで」
結局つねられた。
「そ、それにしても・・・昨夜は何というか、ありがとうございました」
「何が」
無粋なつっこみを入れるなというのに。望美は昨晩ほどではないが赤くなり、頬の痛みも忘れて言葉を
つなぐ。
「ええと、優しくしてくれて――ずっと安心して任せていられました――という理由で、ありがとう
ございました」
気持ちを伝えたくて、ぱぱっと正座してから頭を下げようと身を起こすと、下半身に痛みが走り思わず
うめいてしまった。
「おい、何をしてる。動くな。大人しくしてろ」
「は、はい・・・」
間抜けな言動になってしまったことに少々情けなさを感じたが、横になるとすう、と手が伸びてきて
髪や額、つねった頬を撫でていってくれるのが何ともいえない。
交わる快楽とはまた違う、ふわふわした浮遊感に酔う。
すると、ぽつり。
「・・・逃げられたくないからな」
望美的には意外な“ありがとう”の答えが返ってきた。
頬を撫でていた大きな手に自分のひとまわり小さな手を添えて、くすと笑う。
「何処へですか?もう同じ道しか私達には残ってないでしょう?それすっごく無駄な心配ですね」
――ずっと一緒ですよ。これは飲みこんだ。まだ少し重い言葉な気がして。――まだ。
74夢のほとり、後悔の跡:2005/12/19(月) 19:39:20 ID:Di575jZT
「では、俺はもう行くぞ。お前は今日はゆるりと休め。いいな」
「・・・はい」
つい心のままに素直な返事をしてしまう。視線が合って、向こうがふいと逸らした。
(――あ、今、照れた)
ちょっとだけ可愛い人だなどと、普段はかけらも思わぬことを思ってしまい、微笑がこぼれる。
服を着込む布の音だけ。会話はないけれど、なくても大丈夫という安心感が漂う。
――なんか。いいなあ、こういうの。満たされる。
今度の時は私が髪をくしけずってあげたいな。嫌がるかな。そんなことないよね私達、もう。
出掛け。ねだる望美に面倒そうにもう一つだけ小さな口付けをおとすと、出口へ歩を進めていった。
「あの・・・次は私も何かしますね。泰衡さんばかりがんばらせるの、悪いし」
振り返る。
「・・・みこど・・・望美が?」
「はい、がんばりますからっ」
破顔する望美とは真逆に、泰衡は何故か神妙な顔つきになった。
そして一言。
「いや、いい。・・・ねじり切られそうだ」

   何 を 。

・・・晴れやかな笑顔のまま固まった望美の顔はだんだん黒いものを帯び、身体はわなわなと震えだした。
「や、泰衡さん・・・今私にも明らかに頬をつねる権利が発生したと思われます。ええ、確実に」
「そうだな。俺もそう思う」
「ですよね!さあ、こっちへきてください!!」
「断る」
「泰衡――――――――――――――――――ッッ!!!!!」
雪が枝からぼろぼろ落ちる。清らかな空気がさらさらと流れ込む、あたたかな朝の光で満たされた――
奥州平泉は藤原家次期当主、泰衡の一室にて。
75カフェ俺 ◆ZFykxLZniE :2005/12/19(月) 19:42:08 ID:Di575jZT
今回は以上です。ありがとうございました。
またどうぞよろしくお願いします。
76名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 21:18:59 ID:uFwFvxho
毎回ワクテカしながら読んでます。
続きもお待ちしております。

九郎さんに癒されますた
77名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 21:32:57 ID:XS9c3jtR
GJです〜。
続きも楽しみにしてます。
78名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 22:29:01 ID:JwkagpSw
GJです!
禿萌えさせてもらいました。
後半楽しみにしています!
79名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 23:53:40 ID:ihEJNun1
GJ〜
金ピカの等身大くがね像と意外に苦労性の九郎に吹きますたw
80名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 00:09:30 ID:zMGB0Ek8
ぐぁあ何だこれーすげー面白い…!
カフェ俺氏GJ!
81名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 00:48:34 ID:54wkaBV+
GJ!今回はツンデレのデレの部分をしっかり堪能させて頂きましたーw

しかし時折落とされる不吉な影を思わせるフレーズの部分を読む度に
注意書きの「悲恋」の文字が頭を霞め、続きをすっごく読みたいような
二人がラブラブで幸せな今の所までで読むの止めちゃいたいような葛藤に
ヤス最萌えの私は陥り、ぐるぐるしています。ヒー
82名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 13:18:30 ID:fTrnxnQY
>>81
同じく、ヒー
ここで読み終わりたいような、そうでないような…
デレヤスにモッテカレター…
83名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 18:03:37 ID:FwGCXQt2
82タンの心を奪っていった犯人はヤス

>>81、82
禿しく同意。
こんなに萌えてしまうと悲恋だと予告されていても
何とか幸せになって欲しいなとか思ってしまう。
84名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 18:09:39 ID:nwo1r1Af
悲恋だなんて ツンデレだけに次はなさそうで切なスギ。

提案ですが デレで終わるヴァージョンも落としてくださるなんていかが?

案・・結末はあなたの心の中で。。。
85名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 20:23:24 ID:HXkk8erX
皆餅付け、悲恋気味、と悲恋、はまた別だ。
86名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 00:59:38 ID:Jn0V7r7X
それはそうなんだけど、蓮のエピとか日向の腐ってく果物とか今後の悲劇への伏線みたいで
次がないならまだいいけど何かヤス死ぬんじゃないかとガクブルしてるよorz
原作でもヤスは野の花ED以外は切ないので
せめて神子と恋仲になった運命ぐらいでは幸せになれるといいな
87名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 02:17:07 ID:PEUj3Cgv
泰に限らず、なんだかゲームが絶望的な雰囲気なのでこのスレで萌えさせてください神子様がた・・・・
88名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 08:59:22 ID:+3Evy13Y
>>87
あの新情報のお陰で気力奪われて……。
何で気力回復して良いのかすらわからん状態に
陥ってますよ。
創作意欲すら奪い去る公式スゴス……
89名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 15:26:04 ID:2sYJZBhr
え、いったい何があったの?
公式行ったけどよくわからんかった。
教えてチャンですまんが、説明プリーズ。
90名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 15:27:49 ID:h8R7pRk+
>>89
公式じゃなくて、3スレ行ってみ
91名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 15:35:02 ID:2sYJZBhr
>90 サンクス、行ってきた。

……絶望した! 紅玉の商魂に絶望した!
買っちゃうんだろうなあ……でも……あああああ。
92カフェ俺 ◆ZFykxLZniE :2005/12/21(水) 19:01:10 ID:4rEQWJe0
こんばんは、最後の投下にまいりました。
注意事項は>>20をお願いします。今回は
●エロが最初少々強引気味
を付け足させてもらいます。
前回投下分の1.5倍程あります。長くてすいませんがよろしくお願いします。
なお自己判断ですが、話はそんなにひどいことにはなってないと思います。
93夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:02:40 ID:4rEQWJe0
七章  はがれおちる想い


望美が疑念を確かなものにしてしまったのは、この穏やかで優しい・・・そしてちょっと間の抜けた、
愛おしい時間の逢瀬を重ねすぎてしまったのに気付かされた時だった。
「――九郎?」
とても嫌そうな表情になる。近くで見るとわかりやすい。眉根のよせ方が違う。
この男にとって源九郎義経は絶対の執着対象である唯一無二の存在だ。
多分望美でも九郎の代わりには決してなりえないだろう。
その点では特に嫉妬なども起こらない。大切の種類が違うし、何より望美も九郎がとても大事だ。
「そうだよ。昨日喧嘩してたでしょ。私は偶然通りがかったんだけど。ふふっ、また九郎さんに
馬鹿って怒鳴られてたよね」
望美が笑うと泰衡はそっぽを向く。面白くないらしい。
「うるさい。俺が馬鹿ならあいつは阿呆だ」
無駄に的確な表現である。
望美は背筋を伸ばして正座して対面する相手を真摯な眼差しで見据えていた。
彼女の瞳の中の想い人は明らかに困惑の色を隠しきれなくなってきている。目を合わせない。
九郎を出されてはどうしようもないのだろう。
――伝わり始めている。
「私ね。以前は、泰衡さんのいう友って全然見当さえつかなかった。誰のことだろうって。
九郎さんのことだってわかって驚いた。だって九郎さん、以前高館にくがねが遊びに来た時に私が
泰衡さんと九郎さんって似てるって言ったらさ、ものすごく神妙になっちゃって、俺も慎まんととか
怖い顔で言い出して・・・そんなに嫌なのかってその時は思った」
「・・・」
「けど、違うんだね。表面的な目に入るものばかりじゃない。九郎さんはよくわかってた」
少しだけ、悔しい。うつむいた視線の先の両こぶしに無意識の力が入っている。本来なら自分が一番に
気付くべきことだと思うからだ。
「昨日、九郎さんに言われたこと覚えてるでしょ」
「戯言だ。気にかける方がどうかしている」
「そうかな。もう一度思い出して」
94夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:03:31 ID:4rEQWJe0
望美は静かに眼を閉じて、昨日衝撃で脳裏に焼きついた兄弟子の台詞を復唱した。

  どうしたんだ。こんな時に、泰衡殿らしくもない。
  何がって・・・その目だ。信じられんくらいに穏やかで・・・お前とは思えないぞ。変な物でも喰ったか。
  ふざけてなんかいるものか。
  平泉が安泰ならついに御館のご子息としての風格がようやく表れてきたかとやっと思う所だが・・・
  今は違うんじゃないか?
  おい、はぐらかすな。本気で言ってるんだぞ。
  そんな目で人が斬れるのか?
  大丈夫なのか?
  あの鋭い切っ先はどこへやった。錆びついたのか熱で熔かされたのかはしらんが、
  その剣に今のお前の顔は正常に映るのか?
  もういい、馬鹿。・・・一人でよく考えろ。
  この馬鹿。

空気は静かなまま二人の間を張りつめていく。それを無理やり突き破ろうと、泰衡は鼻で笑う。
「話にならんな。
数日前、俺達が些細なことで言い争いになり小競り合いに発展した時のことを思い出すがいい。
通りかかった九郎は何と言った?あのはちきれんばかりの笑顔で――」
「・・・『おっ!望美、泰衡殿、新しい術の訓練か?完成したら俺にも見せてくれ!楽しみにしている!』
・・・・・・・とおっしゃいました」
「そういう男だろうが」
「でも、あれは私もスーパーサイヤ人ばりの拳と蹴りを繰り出してたし・・・
泰衡さんも実は夜の本業の方ですかってくらいのすさまじいムチさばきだったし・・・
そう見えないこと・・・もない・・・ような・・・気が・・・しない・・・ような・・・気がしないでもなくない?」
「しない」
「・・・。でもさ、九郎さん、すごく喜んでたよ。望美のが終わったら次は俺と泰衡殿で協力技でも
作ってみるかって。俺くらいしか相手いないだろうからなって、笑ってた。優しい顔だった」
「・・・・」
「九郎さんの言うことは私達、大事にすべきだよ・・・」
95夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:04:11 ID:4rEQWJe0
再度の沈黙が訪れる。共通の一人の大事な人間を通して、奥州全土に心が広がってゆく。
九郎が抱く不満は限りなくこの大地と人々に暗雲を呼ぶものであることに、間違いはないのだ。
やってきたこと、やろうとしていること。あまりに重すぎて耐えきれず、面と向かうふりをしつつも
目を逸らし、甘く浮遊させてくれる恋心に浸かっていたかっただけのような気さえする。
少なくとも望美はそう思う。自分では全く自覚がなかったのが、非常にたちの悪い病気の進行を
思わせる。
「とにかくあなたが何と言おうと――今日で終わりにします。ずるずるひきずるとかえって良くない
と思うから」
有無を言わさぬ強い眼差しを向けてから、頭を丁寧に下げた。
「ごめんなさい。私、あなたを惑わせたかもしれない――」
そう言い終える、次の瞬間。

「やめろ。見当違いも甚だしい」

心臓に凍てつく衝撃を与える低い声が望美をぞくりとさせてから、ものすごい勢いで通り過ぎていった。
――きた。
望美は意識をしっかり持てと自分に言い聞かせながら顔を上げる。
とてもではないが恋仲の二人の間を走るとは考えられない緊張がバチバチと音を立てる。
怒鳴ったりはしない。怒りに顔をゆがめることもない。けれど、冷たい瞳に青い炎のゆらめきと
湧き上がる憤りを隠そうともしない泰衡の姿が望美の大きな瞳に映っていた。
――なんだかんだで、怒らせると怖い。
96夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:05:12 ID:4rEQWJe0
「――ふうん?すべて俺のせいというわけだな。しかも言うに事欠いて俺がお前に溺れているせい
だと?ずいぶんと言う様になったものだな白龍の神子殿も。余程この泰衡があなたに振り回される醜態を
お気に召されたと見える。楽しんでいただけたのなら光栄だよ」
嫌な言い方をする。けれどもこちらとて退けない。
「そんな言い方しないで。言い方を変えても本当のことだから仕方ないです。それにすべてあなたのせい
だなんて一言もいってない。私も・・・とてもじゃないけどこれから戦場におもむく戦神子とはいえない。
あまりに雑念がすごくて」
「なんだ雑念とは」
即でつっこまれて望美はついうろたえる。とても直には言えないことだったから。
「答えられぬか。そうだろうな。その場限りの思いつきに色を加えろなどといっても早々頭は回らん
ものだ。つぎはぎをあてるより答えぬ方がまだ利口に見えんでもない」
鬼かこの男は。
「望美――」
「もう望美って呼ばないで!!私は白龍の神子に戻るの!いい加減わかってよ!!」
口では勝てないと思い知らされて、つい辺りをつんざく程の大声を張り上げてしまう。
肩で息をする望美を、大声に微動だにしなかった泰衡はクッと嘲笑った。
「都合が悪くなれば怒鳴ればすむ、か。流石うつけの基礎が成っておられる」
すいません言い直させてください鬼ですこの男。
「本当に――本当に、やばいんです私達――意地悪しないで聞き入れてください。
私だって、本当はこんなこというの嫌なんです」
好きな女にギリギリだと言わんばかりの悲しい声を出されると、少しは苛立ちの炎が小さくなったの
だろうか。腕組みをして、されど細めた非難の目は相変わらずのままで続ける。
「ならば他にいくらでも道を思いつきそうなものだがな。
仮に――口にするのも腹立たしいが――俺がお前の言うとおりの状態としようか。
口頭の注意でもいい、お前の言うことならどんな戯言だろうが幾らでも心に留め置いてやる。
落ち着くまで関係を預けると言ってもいい。――まず不安を打ち明けるとか、相談するという形が
最もありがたかったのだが、今となっては虚しい限りだな。
・・・いくつでも出てくる。
すべて素っ飛ばしか。俺には何の権利も発言も与えられずか。あなたにとって――そんなものか」
「泰衡さん・・・」
「変わってなどおらぬ。この大事な時期に穏やかになど、むしろなれるわけがない。
――九郎にも後できつく言わねばならんな」
「・・・」
一見するだけでは確かにそのように見える。望美もつい勘違いだったと思いこみそうになる。
けれど黒の氷塊は溶け出している。
もうすぐあれほど強情に言い張った決意さえぐらついてしまうんだろう。
自己を押さえこんできた反動は大きい。
平泉の民や九郎のためになればそれでいい。そう頑なに心を閉ざして保っていた強さは、
望美という、優しい光を放つあたたかで無邪気な女の手を握り返すことで融解を始めた。
――判断を違え、たくさんの命を巻き添えにして、その許されざる弱さを露呈することになる。
望美さえ。
彼女さえ、自分に微笑むこの花が一輪手元にさえあれば、何を失おうとも構わなくなる。
97夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:06:21 ID:4rEQWJe0


  いいじゃないの、それで。何がいけないの?好き合っているのでしょう?
  他人のために何もかも犠牲にすることなんてないわ。心のままに、寄り添っていればいいの。
  そうね、ここではない、何処かででも。

心の中で、くすくすくす、と誰かが笑う。
望美の心からはがれおちる気のない、あの神を宿した鎌倉の御台だ。
強烈に意識に残り、表面だけ優しいあの冷酷な笑いを永遠に続けようとする。
――そうはいかないよ、政子さん。私はもう決めたんだ。


望美の変わらない決心の顔と向かい合ううち、泰衡はやがて困ったような苦笑いをほんの少しだけ
口元に浮かべた。ふっと空気が緩んだのに望美も気付く。よせた眉根は普段とは違う理由でしわを
作っているように見えた。極々たまにだが、この男はこういう顔をして望美の心を鷲掴む。
すう、と言葉もなく近寄ってくる。どうしたらいいかわからない。ただ、目だけは逸らした。
その間、望美は忘れていた。
――これがそんな素敵に素直な良い男であるわけがないことを。
それまでのやりとりで、すっかり気落ちしたと思いこまされ油断した。
何度も重ねた逢瀬で望美の弱点はほぼばれている。
ばれる度気恥ずかしい思いをしてきたが、その中でも一番思い出したくないのはとにもかくにも
初夜のあれ。
蜜がかった甘たるい声で耳元で名前を呼ぶ。という――
この男だからこその対望美用超必殺コマンド入力の秘技を、またかまされた。
熱く高めた息まで吹きかけられるともう鳥肌どころではない。
しかも、なんか朱雀組レベルの似合わない睦言も添えてきた。

「ぎゃあああああぁぁああああああ゛ぁあああああっあああああ!!!!」

咆哮に近い悲鳴。
思わずギャグマンガキャラと張り合えるくらいのズザザザーッという音つきで弾け飛び、床の上を転がる。
・・・本当にこれは逆ハーゲームヒロインの扱いなんだろうか?
98夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:07:21 ID:4rEQWJe0
・・・・・。
乱れる心音を抱え、ガクガク震えつつ荒い息と共に数十秒経過。耳まで真っ赤。
向こうの方から『ざまあみろ』をたっぷり含んだ
「阿呆」
という声が氷柱のごとく突き刺さってきた。
・・・見下す視線でにやにや悪人面しているのが見なくてもわかる。
(こ・・・・・この、この、かなりどうでもいい隠しパラメータ保有者があああああああ――――
私をおちょくるためなら口先の人格まで変えてきやがりますか――――――!!)
身体がわなわなと震え始める。悔しさと、悲しみで。
また最初から説明しなければいけないのだろうか。
ここまで言っても、だめなのか。
なら、どこから始めればいい。どうして伝わってくれない。わかろうとしてくれない。
・・・私だって、つらいのに。
私だって、本当は――
冷えきった床に突っ伏して拳を握りしめていると、衣擦れで人の動く気配がした。
「望美」
声が急に重く近くなった気がした。え?と思った矢先。
ものすごい勢いで引っ張り上げられて、加速された身体がドンという衝撃とともにしっかりと抱き留め
られる。その瞬く間の接近を望美が理解できたのは、口内に他人の舌の侵入を感じてからだった。
それでも頭はついていくことができず。
その間にも既に乱れた白布の上に戻されて、抱えられたまま押し倒される。
息が苦しくて眉根をよせてしまいそうになったころに唇は解放され、代わりに耳元でもう一度名を
呼ばれた。今度は甘さなどかけらもない。
正に“呼びつけた”という言葉がぴったりくる、心まで伸びる声で。
「――望美」
視線が圧力をもって望美を束縛してくる。
「取り消せ」
久方ぶりにこの男の氷塊の部分と対面した気がして、望美は息をのんだ。
99夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:08:19 ID:4rEQWJe0
チャラララララララ・・・・・・・・
ヤスがおそってきた!
ノゾミは1のダメージ!!
チャー・・・・チャーチャーチャー、チャッチャララーン・・・

――馬鹿!あんまりにもびっくりしたからってRPG風に現実逃避してる場合じゃない!!
・・・目が、本気だ!!
「やっ、泰衡さん、ちょっと、やめて!」
「すぐにでもやめてやるぞ。取り消せ」
「だっ!だから――」
動揺する望美に再度口付け、その内を貪る。平素はともかく褥では野の花を愛でるかのごとく
扱われてきた望美には、強引に口を割って入ってくる舌はさらなる混乱を呼ぶものでしかなかった。
心音は異常な程速くなるが、頭の方は芯からしびれていく感覚に襲われ、思わずぎゅっと目をつむる。
唇が離れても、望美の荒れる呼吸だけが空間を踊っていた。
「――言え」
「やすひ・・・」
「ほら。・・・早くしないと歯止めがきかなくなるぞ」
「や、――ひあっ・・・!!」
思わず弓なりに身が弾ける。面白がっているような妖しげな声色と、乱された寝着から侵入してくる
手が撫でる内股への刺激が、望美の意識を遠い所まで放り投げようとする。手のひらはさらに足のつけ根
へと滑り、もう片方の手は何度も触れてよく知っている胸の双丘を愛撫し始めた。おしよせる快楽の
波に何とか耐えつつも、望美は吐息とともに懇願の声をあげるしかなかった。
「やめて――話をきいて」
「話ならもうきいた。後はお前が一言、言の葉にのせればこの話は終わりだ」
有無を言わせてくれる気はないらしい。久しぶりに高慢な一面が顔をのぞかせる。
とんでもない駄々っこだ。
けれど、それにはもう付き合えないのだ。
しかも、こんな爽やかな光射しこむ朝陽の中にことを始めようというのだから、月と雪の光や薄明かりの
中の逢瀬しか知らない望美には刺激が一段と強い。ただでさえ突然、無理矢理身体でつなぎとめようとする
などというらしくない行動に惑わされているというのに、羞恥で文字通り顔から火が出そうだ。
「何を今更」
見透かすような細目で顔を近づけてくる。
「もうそんなことを恥じらう仲でもないだろう?」
少しだけ、口元に皮肉のまじる笑みを浮かべる。
望美は息をのんだ。毛越寺で、大社で、あの十六夜の下で――さんざん脳裏に焼きつけさせられた、
まつろわぬ民の総領が見せたあの冷たい挑発的な微笑。
己の道の障害はすべて取り除くという決意の刻印が押された冷酷な選択の証が、目前に迫る。
怖い。本能的にそう思った。正直な表情になった顔を思わず真横に背ける。
捕らえられた、そう感じた。
あの時と同じように。
――逃すものかと。
100夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:09:32 ID:4rEQWJe0
「・・・」
答えが返ってこないことに苛立ったのか、傷ついたのか。さらに口元が歪む。
何故己を想う女が答えを返してこれないのかさえ、考えようともしない。
「――いや、か。ならそうはっきりと言え。もうお前なんぞに触れられたくもない、と」
「そんな・・・」
「半端ですまそうとするならやめんぞ」
「・・・・・・・・・っ」
首筋にいくつも口付けがふってくる。一度円を描くように乳房をもまれ、その先端を長い指先で弄ばれた。
下半身の茂みに侵入してくる数本の指は巧みに花心をなぞって快楽へと導き、粘りのある液は卑猥な
音をたてながら湧き出てきて望美の肌を伝い、汚した。
反応してしまい艶のある声はあがるが、心の方はとても空虚で涙が出そうだった。
「やめ、ひ・・・あっ、ああ・・・――んああっ!んっ、・・・やだ、・・・やだ・・・」
これではまるで――犯されているようだ。
どうしても怯えと不安が色濃く出る喘ぎが漏れてゆく。耳に届いているはずなのに、どうして手を
止めてくれないという思いで満たされ泣きたくなる。今まであんなに大切にしてくれたのに
――自分の意にそぐわないと即こんな仕打ちをする人だったのだろうか?

――違う。絶対に違う、そんな人じゃないよ。

「ふ、う・・・っ、泰衡さん――こんなのやだよ泰衡さ、んん・・・っ!やすひ、・・・はあ・・・っ――」
うわずった声で何とかやめさせようともがく。けれど溶かされかかった身体はそううまく動かない。
「やめて」頼むから。「やめ・・・」お願いだから。本当は――行きたいのだ、手をひかれるままに、
この余所見をしようともしない想いに抱かれたままに、その道を。でも。
その先には。
緊張が心臓を勘違いさせていつも以上に身体中を熱くさせる。頭にも霧がかかって朦朧としてきた。
「あ・・・はぁ、やすひらさん、やすひらさん・・・っ」
甘たるく咲いた呼び声の花にひかれ、乳房を含んでいた口が戻ってきて、言葉からあふれた気狂いの
蜜をなめとった声で返してくる。
「望美・・・」
求めてくる声はせつなさを帯びて、余計に甘く響いて余韻を残す。
たった一言名を呼ばれただけなのに。
その耳への快楽と心の奥まで届く視線を感じ、本気でおかしな世界へ迷いこみそうになった。
101夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:10:16 ID:4rEQWJe0
もうだめだ。全部、何もかももってかれそうだ。――この人の望むままに。
――。
だめだ、それだけはだめだ・・・・・
望美の決意がふらりと顔を出した時と、彼女と破滅の道を歩もうとしていることにすら気付かない程
溺れてしまった男の視線が一瞬だけ交錯した。


「目を逸らすな。――俺を見ろ」
逸らしてなんかいないのに。
あごをつままれてぐいと真正面を向かされる。望美は思わず小さな怯えの悲鳴を漏らした。
光の下でお互いの表情がよくわかる。
どう見ても、どう考えても望美の方が不利で酷いことをされている立場なはずなのに、より哀しげに
眉根をよせているのは乱暴をはたらく相手の方だというのは少々滑稽だった。
けれども本心をあまり語らないこの男のする仕草や表情は、一つ一つから直に望美へと何かを訴えてくる。
「言え。取り消すと」
迫る命令口調の低い声は、裏側に何ともいえない哀願の念がうかがえて女をせつなくさせる。
「飽いたのでもない、他に想う先があるわけでもない。ただ他人がおかしいといぶかしむから終わる
のか。違うんだろう?本当は。それを教えろと言っている。そうでないなら――早く取り消せ」
「・・・やっ、泰衡さん、・・・」
「銀か」
瞬間、時が停止する。
――何といった。今。
いやいやをしていた望美が突然白目をむく程に凝視してきたので、相手は真意を捉えようともせず
自嘲気味な笑みを浮かべた。
「図星か」
・・・何を。何を、言い出す。
「“許さない!私は絶対にあなたを許さない!!”だったか?
――俺が奴を斬り落とした時のあなたの台詞は」
そんなこと、もう。――もう。決して許してはいないけど。でも。
「やすひ――」
「当ててやろうか」
さえぎってのしかかるように望美に体重を与えてくる身体には、いつもの優しさのかけらも見当たらない。
「俺の志には同調するが、銀を殺めた事実はどうにも許せるものではない。復讐しようとしたところで
先のことを念頭におき考えれば俺に傷を負わせるのは得策とはいえない。
だから――心に侵入った。
頃合をみて、それらしい原因を俺の側に作り終焉に持ち込む。まあ、原因の造りは滅茶苦茶だがな。
――こんなところか?」
もう呆然とするしかない。やはり頭がいいと余計なものまで組み立ててしまうのは定説なんだろうか。
己の言葉が望美を凍りつかせているというのに、それを勝手に確信まで持ち上げて彼女を責める。
「ああ、俺は確かにお前に踊らされていたな。情けない姿をさらしながら幾度もお前に口付けて。
さあ、惚れた男の敵が討てて満足か?」

惚れた男。
102夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:11:12 ID:4rEQWJe0
・・・いや、それより。
「・・・泰衡さん」
そんなことより。
「泰衡さんて」
我を忘れた憎々しげな眼光に、怯えさえも忘れた苦しげな震え声で返す。
「・・・そんな馬鹿げたこと考えながら、今まで私とこんなことしてたんだ・・・」
思わず無意識に黒い髪をひっつかむ。もう片方の手は――手首を床に押し付けられていて、動かせない。
「あんまりだ・・・銀のことは確かに許せないけど・・・絶対に許せないけど、許せないのはあなたと
こんなことになった自分も含めてに決まってるじゃない。何でわかろうとさえしてくれないの?」
目が涙でにじみ世界が歪む。
「わっ、私は・・・すごく好きになっちゃったんだよ、あなたのこと。だからこんなに苦しいのに。
お別れだって、本当は言いたくなんてなかったのに。なのに」
当の泰衡は、未だ望美があの優しげに微笑む綺麗な男の影を残していると疑っていたわけだ。
――信じてくれてなかったのだ。
「なんだ、すごくお互い様じゃない。ねえ・・・謝る必要なかった。はは、ある意味お似合いだね私達。
・・・・・・馬鹿みたい」
急激に空しさがこみ上げる。通じたと思っていた心も全てまやかしだった気になってくる。
もういい。何もかもどうでもいい。泣いてやる。あの時みたいに泣きわめいてうんざりさせてやる。
もしかしたら発動した加虐心を煽るだけかもしれないが。
ぽろぽろと、ぎゅうとつぶった大きな瞳から透明の悲しみが水玉になって落ちていく。
伴う嗚咽が小さく空間を波打った。
さすがにかの泰衡といえどかなり効いたらしい。
女の涙と、予想外の本音と、普段ちょっとアレな恋人の別な意味での痛々しい姿というトリプルコンボに、
少しは平常を取り戻したようだった。
束縛を弱め、なだめようと顔をのぞきこんでくる。
望美はそれこそ今更だとばかり手を払いのけた。
「もういいです・・・」
「泣くな。――やりすぎた」
「もういい・・・」
「――望美」
103夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:11:57 ID:4rEQWJe0
意外だ。困ってる。ついほんの少しだけ、悔しいからもっと困らせてやりたいなどと思ってしまう。
けれども、この男の抱いた不信も理解しかねるものではない――と思わざろうえなかった。
常時望美の心を疑っていたわけではないだろうことは、さすがに何度も重ねた視線の灯火でわかる。
別れを切り出したことで奥底から噴出してきたのだろう。
なんせたどってきた経緯が経緯だ。彼の立場になってみれば確かに不安は隠せない。
己が人形と嘲った存在は、別の意味で大きな姿になり、何処にも消え去ることはなかったのだ。
まさに自業自得だ。泰衡さんにとっても、
――――私にとっても。
けれど、それでいい。命を奪った者がそれを忘れる日々など許されるはずもない。
だから。

「・・・お返し」
頬をぎゅうっとつねってやった。
面喰らったとばかりの顔をして、されるがままになっているのが何だかおかしい。
「本当は拳とムチ舞う大喧嘩再びといきたい所だけど・・・元気がありません。
誰かさんのせいで」
「・・・」
「ああもうわかった。わかりましたよ・・・
全部あらいざらい吐き出さなきゃ私の好きな人は納得してくれないと。はい、わかりました!
白状すればいいんでしょ全部。
けど滅茶苦茶失望するからね私に。知らないよ?・・・あーあ、きれいに終わらせるなんて所詮無理だったか」
はああ、と重い諦めのため息をついてから、つねった手でつねった頬をなでつける。
「あっという間に嫌いになるかもね。私のこと」
自嘲して皮肉げに笑ってみせる恋人が、自分を許そうとしてくれている雰囲気を読んだらしい。
「俺が、お前を?」
無表情で狭まった距離をさらに狭めてくる。
「・・・ありえんな。まず、ない」
望美は顔から皮肉の色を消してくすと笑う。
「言い切れるんだ」
「――当然だろう?」
少々ためらいを表情にのせたが、吐いてしまえとばかりに投げやりに続いた。
「言ったろう。荼吉尼天に喰われたと」
何を言いだすのかと面喰らったが、どこかで聞き覚えのある台詞に浅く記憶をたどる。
・・・先刻跳ね起きた時のフレーズだったか。
「あなたがもう終わりだなどと言うから――」
「痛かったの?」
「言の葉になどのせきれん。急襲だった。九郎が無事だとわかって息をついて振り返ったら――
あなたは――」
――頭からボリボリと。
104夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:12:31 ID:4rEQWJe0
・・・。
おい、私ですか喰われたの。
と望美はついこん身のつっこみを入れそうになったが、乱暴に腕を回され強くかき抱かれては
とてもではないができなかった。

「夢とはいえ――あんな思いは――二度と、ごめんだ――」

その切れ切れに吐き出される語気の脆弱さに、改めてぞくっとさせられる。
とても望美に浄土へなど続かぬ道うんぬんなどと提案した、あの大社にいた者と同一とは思えなかった。
このまま道を進んだらどうなってしまっていたんだろう。再度背筋に冷たいものが走っていく。
気付いてよかった。気付けてよかった。
この人壊れてる。いや違う、私が壊したのか。
九郎の懸念はやはり本物だった。
弱すぎる。――こんなの、この人らしくない。
突然望美の心に暗闇が訪れ、中央であの蓮の花が鮮やかに咲いた。目を見開いて、直後強くつぶる。
怖くなって、彼が今すぐ消えてしまいそうに思って、泰衡の名を呼び抱きしめ返す。
自分より広い肩幅さえ狭く感じた。
「そんな声で呼ぶなら二度とおかしなことを言うな」
心の底から自分を呼ぶ望美の耳元に、苛立ちをこめた返答を返す。
「――二度と、拒むな」
さらに深く抱いてくる腕。求めてくる痛々しい声。すべてが望美を容赦なく絶望の淵まで追いやる。
ああ、やっぱり、本当にもう駄目なんだと思い知らされて、観念したとばかり相手の肌に顔をうずめた。





終わるんだな、私達。
105夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:13:15 ID:4rEQWJe0
さらけ出して、この人は弱くなっている。
だが今の状態を逃すことはできない。悲しくても、進みたくなくても。
けれど、最後に。
最後に、もう一度だけ。
ふらつく頭に喝を入れ、両手を伸ばして頭を抱きよせ口付ける。
された側は突然の主導権剥奪に驚いていたようだが、望美の方から求めてきたという
安心からか、少しだけ気持ちがやわらいだようだった。と共に、まとう空気が正常の方へとゆっくり
引き寄せられて、落ち着こうとしていくのがわかる。
一度だけ、空気を求めて距離をつくった時に望美はささやいた。
「――私が好きなのはあなたですよ」
返事はなく。
跡に残ったのは舌の絡む甘い湿った音と、望美の豊かな髪を撫でつける普段通りの手のひらだった。

糸を引く唇が離れていくと突然気持ちのひもまでゆるむ。
望美の目は瞬く間にもう一度潤んで、原因を作った男を睨みつける。
「――すごく怖かったんだけど」と恨めしげに口をとがらせると、
「とっとと観念しない方が悪い」悪びれないどころか逆ギレしてきた。
(こっ!このやろ、この状況で開き直るか・・・)
かみついてやろうかと思ったが、はあ、と息をつく。言い争うのはもうこりごりだ。折れてあげよう。
・・・どうせこれで幕引きの縁だ。
何より。望美にはそれが本心からの言葉ではないことが、長い黒髪の隙間からこぼれる寂しげな
表情から読み取れてしまうので。
首に手をまわしてもたれかかり、甘える。
「つらいでしょ。いいよ、して」
「・・・いいのか」
「いいも何もこんなにされちゃ――私だって最後までしたいよ・・・」
「・・・」
耳元でほんの小さく消え入るような声で、悪かった、と聞こえた。
――本当に素直じゃない。
「けど、もうしないでよ」
と念を押してから、はっと気付く。しまった。次なんてもうないのに。
これではただの痴話喧嘩をおさめる戒めでしかないじゃないか。
しかし取り消す猶予は与えられなかった。再度抱き寄せられて返答をされてしまったからだ。
「ああ。しない。――死ぬまでしない」

・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
それは一体どう受けとめればいい発言なんだろうか、理解に苦し・・・・・
・・・・・苦しめない。
106夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:14:43 ID:4rEQWJe0
既に受け入れる準備が整っている茂みの奥を、ためらいがちな長い指がつうとなぞっていく。
敏感になっているのでちょっと間隔をおいてからのその刺激に、それだけで意識が飛びそうになった。
きっと罪悪感があるのだろうけれど。そこに口付ける過程はもういいよ、と先を促す。
――本当におかしくなりそうだよ、と好きな男をせつなげに求める。
お互いあの気のふれた蜜はまだ効いているようで。
視線を絡めたのは合図。
遠慮なく貫かれて身が弾けた。
快楽を貪るだけの、つながったままの交わりが始まる。
様々なところに口付けがふってきては、白い肌に小さな赤い花をいくつもいくつも咲かせていく。
応えるように自らも気付かないうちに腰が波うってしまっている。もっともっとと欲しがっている。
理性などもう微塵も残さず吹き飛んだ。
――今は、知らないよそんなもの。ただ、この人が欲しい。
「ああっ!ひっ、ああ――・・・あ――――っ。はあ、・・・やっ!!やああっ!!・・・」
狂気を含む嬌声を留めることなく打ち上げる。
時折ほぼ悲鳴に近い喘ぎを漏らし、黒い髪ごと後頭部を鷲掴んで己の肌と密着させる。
突かれる度に、動かれる度に締めつけては生まれる快楽に声は艶色を磨くので、一度会話で冷めた
熱もあっという間に戻された。
何度も何度も角度を変え、まんべんなく花心の内すべてに刺激を与えられる。
弱いところも感じるところも全て。もう触れられていない箇所なんて望美にはない。
一度入り口付近まで引き抜かれたと思ったら、再度一気に深い挿入を受けた。
「あああああああっ!!」
ひときわ高い嬌声。
もう羞恥を気遣う余裕さえない。
淫らな声と伝わる粗熱が感情を麻痺させ、互いに止まらないのを認識する。
「望美」
「ああ――あああっ。いいよすごく、すごく・・・・――や、やす・・・ひ、あああっ!!
・・・・・・はあっ、は・・・・・・んっ・・・泰衡さん・・・」
「――望、美」
この人がこんなに名を呼んでくれるなんて初めてで、何ともいえない気持ちになる。
頭を抱えるようにして歯列を割り唇を貪った後、顔をよく見たくて両の頬に手のひらを添え包み込んだ。

107夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:15:34 ID:4rEQWJe0
「・・・何故・・・そんな顔をする」
せつなさで潤む表情を何故と問われてもどうしようもない。
これが最後。
なら、ずっと覚えていられるようにしてほしい。熱を思い出せるようにしてほしい。
どちらかに訪れるであろう、最後の瞬間まで。
愛しさに任せて頬ずりをする。
首筋に流れていく唇の感触に熱い吐息を吐く。
「ああっ、泰衡さん・・・好き。好きだよ・・・・」
溶かされて、つい素直な心が勝手に口を伝い出てゆく。
一息の間、交わる動きが停止して。
耳元に初めて、泰衡からの、ちゃんとした恋情の答えが返ってきた。
目を見張ったけれどもはぐらかすように次の悦の波は大きく。
もう一度言ってと願おうとした望美の想いもかき消されてしまった。
胸の先端への甘咬みと強い吸い上げに、また一つ音程の高い反応を示す。
交わる速度も絶頂に向かっていく。限界がくると本能で理解する。
「あぁ・・・泰衡さん、もうだめっ・・・」
両腕を背に絡めるとすぐにきつく抱きしめ返される。互いの汗で滑る程に皮膚が熱を発していた。
ここまで乱されて達するのは初めてで少しだけ不安がよぎったが、積み重ねてきた逢瀬に全て
ゆだねて身を任せる。
昇りつめ、果てた。行ったことのない高さまで。
互いに息が荒い。呆然とした面持ちでもう一度視線と舌を絡める。
銀糸をひきつつ望美から離れた唇は頬ごと首筋におしつけられて、愛おしげに体温の中に埋まっている。
交わる時間は過ぎたのに想いだけがいっそうあふれ出す。
あまりにつらくて、望美は思わず強く自分にまとわりつく長い黒髪の持ち主の躯を
離したくない、何でもするから――と願ってしまった。
108夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:16:53 ID:4rEQWJe0
壁によりかかる泰衡に、さらによりかかっている。髪を弄ばれる軽い感覚を頭皮に感じていた。
しばらく望美の方は放心していたが、だんだん現状を理解してくると急激に恥ずかしさがこみあげて
きた。
「本当に今更だな」
だから見透かすなというのに。
望美が少々むっとしたのに感づいたのか、和らげようとする手のひらが彼女の髪を撫で付ける。
「次の逢瀬には、以前望美が言った『何か』でもしてもらうとするかな。
――もう少し共に高く昇れそうだ」
優しい声音も今は痛々しく心臓に響くだけだった。次は無い。もっと早く言ってほしかった。
何でもしてあげられたのに。
悲しげにうつむく望美の身体を少し離すと、いつもの腕組みと眉間にしわの体勢を作る。
「さて。では――ご高説を賜るとするか。
白状しろ。全てだ。・・・俺は説き伏せられる気はさらさらないがな」
・・・論破する気満々なのが手に取るようにわかる。
しゃべりたくなかった。
こなければいい。終わりなんて。いくら喧嘩してもいい、傷つけあってもいい。この人といたい。
でも陽は昇り、空は明るくなってきた。この夢のほとりの逢瀬にも潮が満ちてしまった。
早く脱出しないと溺れ死ぬ。
もし望美達が二人きりだったらそれも一つの選択だろうが――
死ぬのはまず指示を受け従うしかない、戦慣れとは縁遠くなっている奥州の雑兵達からだ。
そんなことは許されない。
望美の虚ろな目は、泰衡の肩からぱらぱらとこぼれ落ちる黒髪に、戦火の儚い命達を重ね合わせていた。
109夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:17:41 ID:4rEQWJe0
「高層ビル」
「・・・?」
「私たちの世界はね、そういう空に近い建物がばんばん建ってるって、前話したよね。それから、
ゲームね。平らな画面の中の絵が動くんだよ。携帯っていって、すっごく小さな画面でもプレイできる
作品があるの!すごいよねえ。あー、泰衡さんにやってほしいなーポートピア。ふふ・・・
続編はないんだけど同じ製作者の別作品にヤスのその後が・・・あっ、けどその作品にもね!
にしむらさんっていう名物キャラがいて、それもまた記憶に残る言動を・・・」
「・・・望美?」
「ねえ、泰衡さん・・・」
もう駄目だ。ごまかせない。本音を吐露しなければこの人は納得しない。たとえ呆れられても。
ガタガタと心のまま震える身体。見上げると、異変を感じて守るように抱く腕の中にいる。
こんなに優しい人とは思わなかった。こんなに近づいてしまうとは。
こんなに、好きに。




「いつ、死ぬの?」
110夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:18:35 ID:4rEQWJe0
「マハーカーラ、闇の力・・・あなたは手を出してしまった、代償を要する強大な力を。
・・・自然の死は迎えられない」
泰衡は思いもよらない方向からの攻めに驚いたようだったが、表面は眉間のしわを増やしただけだった。
「そんな簡単にはくたばらん。――くたばって、たまるか。先は長い。こんな半端な状態を放りだせるか」
あなたが腕の中にいてくれるのに。表情から心の声が聞こえてしまう。
あまりにせつなくて望美の顔からは勝手に微笑がこぼれる。
「そうだね。けど、私はこういう関係になってから――恋人になってから、そのことを考えると、
見る間に心を恐怖が支配するようになってしまった。
いつ死ぬ。どんなふうに。・・・その時私はどうするのだろう。
泰衡さんが散々あの十六夜の月の下で嘲笑った涙を、また流すんだ。――しかも泰衡さんのために。
みじめだな、それ。と思って、気付くの。ああ、そうか。私ももう罰を受け始めているんだなって
――こんな経緯をたどってきたくせに、あなたという人を好きになった罰を」
「・・・」
「いやな夢ならね、私も見てるよ。
春。あったかくて、すごくいい天気で。私、将臣くんと譲くんと一緒に無量光院から自分の世界へと
帰ることになってた。え?なんでどうして?って。よくわからなくて。私帰れないのにって思って。
あわててあなたの所に戻ろうとそこから逃げ出したの。
途中、ひとけのない道で・・・お花もった女の子とすれちがって。その先に、あなたが・・・
血だまりの中で倒れてて・・・息してなくて・・・
手元に野の花の束がおいてあってそれをじっと見下ろすしかできなくて全然動けなかった。
あなたを想うほど怖くなる、心がくじけそうになる。いつそれが、現実になるかと思うと――」
111夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:19:12 ID:4rEQWJe0
愛する人を失うことへの不安から生まれてしまう、脳内に訪れる幾つもの死。
異様に生々しく己の世界の死と溶け合って現れることもある。
中尊寺。四代目の首。目を閉じ口端から血をたれる、首だけになった大事な人。
抱いてふらふら歩いているのは、その男を深く深く想ってしまった、壊れた望美。
地には静かに平和を祈るあの優しい古代蓮が宝石のように散らばる。
天には嘲笑う十六夜の月の石が、冷たい光を投げ捨ててくる。
傷だらけにされた首の頬に頬をすりよせる。瞳から湧き出でる透明の水晶が好きな人へと伝う。
いくつも、いくつも。
「私が支えなきゃでしょ、何いってんの。しっかりしろって思うんだけど・・・いつもどうしても
不安に負けてしまう。そうするとね――」
泣き出しそうな顔で見上げる。ここまで駄目な自分を初めてさらけ出す。
泰衡は――固まっていた。平敦盛ほどではないが、この男もまた己のような孤独な男を選び手を
差し延べそばで笑っていてくれるこの女に、尊敬を超えた軽い崇拝の念のようなものを抱いて
しまっていた。それがボロボロとくずれ、剥がれ落ちていく。
そしてやっと。好きな女がどんな思いで『嫌いになる』と言ったかわかって、目が醒めた。
大事にしていると思っていたその女にのしかかり過ぎていたことに、
今こうして潰してしまったことに。
次には、ぞっとしていた。立場もわきまえず近づいてしまったこの距離に。
明らかにおかしくなっていた自分に。
望美にはその変化が手に取るようにわかったけれど、のどから血をはく思いでさらに追い討ちをかける。
112夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:19:59 ID:4rEQWJe0
「思ってしまう。助かる道は、この運命から逃れる術は――
あなたさえ、あなただけでいいなんて思ってしまう。
自分さえ良ければいいと思うただのろくでもない女になる。――その自分が、怖いの。
有り得ない空想に逃げこんで・・・
いつの間にか、自分の世界に戻ってる。隣にはあなたがいて。
あなたはきっとその長い髪を切って。きっと最初は少しくらいは戸惑うんだろうなって。
私は全然大丈夫だよって笑って。
私がいるからねって。
どんな服が似合うかなって、きっと最初は私が選んであげるんだろうなって。
いろんな場所に行って。いろんなものを見て。でもきっとあなたはあまり自分をくずさない人だから、
私の世界にもすぐ慣れて、いつもどおりで。
ふらり何処かへ行ってしまって少し不安になっても、結局は私のもとへ戻ってきてくれて。
無駄な心配をするなって、つまらなそうに言ってくれるんだろうね。
きっと二人で出かけたら、高い建物に登って地上を見下ろす場所なんかへも行くだろう。
夜、あなたに寄り添いながら空を見上げてると、大きな十六夜の月が冷たく笑いかけてきて――
あなたはいなくなってしまう。
そこでとぎれるの。そんなことばかり・・・」


外で子供の笑い声がした。
冷え切った息苦しい空間を楽しそうに横切って、そのまま行ってしまった。
昨日までなら、よりそいながらその平和の音に二人小さく微笑んだりもできるのに。
道を切り開くことで、その平穏を永久に二人で守ろうと誓い合うこともできるのに。




もう。
113夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:20:45 ID:4rEQWJe0
「ねえ、私のことそんなに好きでいてくれるなら――うなずいてくれるの?
私と私の世界へきてくれるの?ねえ・・・」
自分でも狂女のようだと自覚できるほどにすがりつく。けれど相手は何も返してこなかった。
冷淡な瞳が答えを言っている。できるわけがないと。逃げたところで呪いが届かなくなるという
保証さえないのだ。
――それ以前に。この男はこの地の、この民全ての守り手。それだけは揺らぐことなき真実。
急激に冷まされて、うつむいた。
心にためこんだ狂気を吐き出す時間はとうに終わったと思い知る。

後は、あの時に戻るだけ。

「ね、だめでしょ。・・・だから」
出来うる限りの決意の色を瞳に現す。
「私を白龍の神子に戻して。何の迷いなくあなたの隣で胸をはって剣の柄を握り締めていられる
戦神子に戻させて。何があっても動じない決心をさせて。
あなたから逆鱗を戻されてあの白い光を放った時の決意を呼び戻させて。
終わりに――してください」
泰衡は何も答えてこない。それは望美にはよくわかる答えだった。
沈黙に耐えかねて、つい、ほんの少し声を出してくすくす笑う。
「ありえないけど・・・もっと早く、この地にくることができたら。あなたに逢えたら。
・・・違ったのかな」
時空を越えてゆく別の私は、きっと、ゆけるのだろう――この先へ。勇ましく決意を強く秘めて
この人のために道を開き、跳んでいくのだ。
少なくとも、それは決して私ではない。私はただその女を見上げているだけだ。
私はもう、この人のそばから一歩も離れられなくなってしまっている。
「ごめんなさい、ごめんなさい――、一番苦しいのはあなたなのに・・・」
それとも、共に鎌倉侵攻を選び恋仲になる私でも、もっとうまくやれる私がいたのだろうか。
そう思うとさらにいたたまれなくなった。
失望と哀れみ、深い悲しみに堕ちた二人の間は既に終焉を迎えていた。
望美は泰衡にすがりつき、ただの愚かな女となって泣きじゃくる。
ただ、わあわあと。
114夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:21:35 ID:4rEQWJe0
泣き疲れて少しばかり眠ったらしい。
目が覚めると既に着替え終えた黒衣の男がちらとこちらを見やる。
「俺はもう行くぞ」と言う。抑揚のない無表情な声で。
「うん・・・」けだるい声で返事をする。
「・・・」
泰衡は目を閉じしばらく黙り込んでいたが――腕組みをした指の先で金糸を弄ぶ手が一瞬止まった。
「目が醒めた。感謝する――神子殿」
望美は驚いて即座に反応しぱっと顔を上げた。
「泰衡さん・・・」
「もう大丈夫だ、安心してくれ。だからあなたも――早々に心の整理をつけてほしい」
悲しみも苦しみも映らない表情。また奥底に閉じ込めてしまったのだろう。多分ずっとそうしてきたのだ。
「あまりはっきり言うのも何だが――あまりにあなたをかいかぶり過ぎていたらしい。もう少し
ばかりは状況を把握した上で接してくださっているものとばかり思い込んでいた」
「・・・」
「萎えたよ。・・・ひと吹きで冷めた」
ほんと、はっきり言うなあ。・・・この人らしいや。
「うん、わかってる。当たり前だと思う」
「では」
「うん。さよならだね」
お互い顔は見なかった。見ようと思っても見れなかった。
「本当に――重症だったようだな」
自嘲をこめて口元を歪める。
「あなたの空想とやらが、――悪くないなどと思ってしまった」
それだけ言うと、幾度となく望美をあたためてくれたあの黒い布をひるがえして出ていってしまった。
115夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:22:24 ID:4rEQWJe0
終わった。これで本当に。
望美はぱたと倒れしばらく天井を見つめていたが、関係が終わったのに長居も悪いと思い置かせて
もらっていたいくつかの荷をまとめると伽羅御所を――泰衡の居館を後にした。
春風がきている。馬で追いかけてきてくれた時を思い出し、しばし目を閉じてその息吹を身体で
受けとめた。――思えば、あの時あの軽くなった心こそが何らかの警告だったのかとさえ思う。
後悔をしていないと言えば嘘だ。見事にぽっかり心に穴があいた。ズキズキと痛むのも隠せない。
けれど、きめたのは血塗られた道のはず。私はそれでも昇らねばならない月のはず。
この地上を照らさねばならぬのに、無数の星たちを巻き添えにする破滅の要素をいだき続けたい
なんて月など――許されるわけがないのだ。
これが正しい選択なはずだ。用意された清浄の道を外れ、修正しようと時空を跳ぼうともしない、
私という白龍の神子の。
「あら。望美・・・望美じゃない?」
ふと。凛とした音色を含む呼び声がする。向こうの方で大事な友人の尼僧が手をふっているのが、
花咲くような笑顔と共に見えた。
望美はかけだした。同じように咲きほころぶ笑みを返しながら。
勢いで抱きついてしまい、朔の驚き顔と共に数回くるくると回る。
察しの良い友人は、離れてもうつむいたままの望美に心配そうに問いかけてきた。
「望美どうしたの?――泰衡殿と何かあった?」
「んー、あったっていうか――終わりにした。別れた」
出来る限り明るく振舞いたくて、口の端だけにっこりと笑ってみせた。
「え・・・っ」
朔は息をのみ数秒固まっていたが、すぐに事態をのみこんでくれて、望美の顔を微笑でのぞきこむ。
「高館に戻りましょう。みんなきかせて頂戴。お茶を淹れて、ゆっくり話をききたいわ。
――帰りましょう。私たちの戻る場所へ」
優しすぎて、かえって涙があふれそうになって。ただうんうんと頷くしかできなかった。
そうだ、私は守らなきゃ、この友人を。こんなことになっても許し続けてくれるこの大切すぎる
花を手折るなんて、できるはずがない。許されるものか。
戻ろう、私のきめた守るべきもの、私の大切な人たちの元へ――心を連れて、帰ろう。


116夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:23:09 ID:4rEQWJe0
八章  花びら落ちて、花芯残る


東北の地に遅い春が訪れた。
別れて十数日。特にこれといって表面上の変化はない。
当然だけれど、戦の匂いは日に日に濃くなる。次第に気分も高揚してくる。
自分は戦神子なんだと心から思う。
まとう空気も眼光も、だんだんと戦場向きのものへと移行していく。


ふら。と、あの人の部屋に入った。
忘れ物をとりにいけと命令された、と言えば恐ろしいほど誰も疑いすらしない。
望美はもう完全に平泉の神子として受け入れられている。
凍える東北の地に住まう人達の心はあたたかい。本当にそう思う。
泰衡にていよくこき使われてると思うのか、同情や苦笑する人すらいるのが何だかすごい。
――こんなものなんだなと思う。
117夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:24:22 ID:4rEQWJe0
八葉の面々は口にこそ出さないけれど、望美の恋が始まり、そして終わったことにほぼ気付いて
いたと思う。気遣ってくれるのが嬉しいけれど、少し痛む時もある。
こんな良い人達に囲まれて――わがままだ私、とつい反省する。
中でも、意外にも九郎は一番最初に気付いていたようだった。
だがそれは何となく程度のものだったらしく、ずっと気になってはいたようで。
先日二人で剣の打ち合いをしている時に中断して、ためらいがちに尋ねてきた。
彼には素直に話すべきだろうと思い、包み隠さず打ち明けた。
「そうか・・・」
こんな時に一体何を――と叱咤が飛んでくるものとばかり思っていたのに。
九郎は苦しげにうつむいただけだった。
激怒を覚悟していた望美はあまりにも意外で拍子抜けする。
「なあ望美――その、お前に別れを決意させる決定的な言の葉を吐いたという俺が
言えることではないのかもしれんが――
冷めた、というのでないのなら――もう少し、別の道を選べなかったのか・・・・・?」
意外が重ねてやってきた。
「選べません。半端なことしてたら私達、また元の位置に戻りたいと願ってしまうから」
「・・・そうか・・・」
己のことのようにうなだれる九郎に戸惑い、会話をつなげようとする。
「けど九郎さんから見ても泰衡さん、元に戻ったでしょう?九郎さん怒ってたじゃないですか、
こんな時にそんな穏やかな目をしているとは何事だって。
なのに――何が駄目なんですか?」
「ああ、確かに戦場に出向くには不似合いの穏やかさは消え去ったな。覇気も戻った。
――戻りすぎだ。元々怜悧なのに、あれじゃ修羅だ。状況が状況だから不必要とまでは言わんが。
しかし今の泰衡殿は、――泰衡は・・・・・・・」
「さあ、そこまでですよ九郎」
言葉が遮られる。いつの間にか弁慶がその場に居合わせていた。
「しかし弁慶」
「子供ではないのです。自分たちで話し合い下した決断なのですから。
二人とも己の問題は自力で解決できる力を持った人です。信じなさい九郎。
だから今は――そっとしておいてあげましょう」
数秒間弁慶と目で会話した九郎はやがて目を伏せ、
「・・・ああそうだな」と呟いた。その動作は何とか己に言い聞かせているように見えた。
九郎は望美に向き直り、そっと微笑んでみせる。
「すまなかった望美。・・・俺達はずっとお前と共にあるぞ。それは忘れないでくれ」
「そうですよ望美さん。僕達を守るというのなら、当然僕達も同じ気持ちでいるのをどうぞお忘れなくね」
二人の醸し出す優しい空気に包まれると、望美は無意識にこくりと一つ頷いていた。
118夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:24:55 ID:4rEQWJe0
いつもの挨拶、いつもの会話。
戦の足音は近づいてくるけれど、大切な生活の基本のところは何も変わらない。
今日も出掛けに譲がわざわざ門の外まで見送りに来てくれて、親愛をこめて言ってくれる。
「行ってらっしゃい先輩」
「うん、行ってきます譲くん」
・・・と思ったら、突然がばっと首に腕を回されて。
同じ人間にもう片方の腕で同じことをされている譲と同時、つい驚きの声を漏らす。
してやったり。将臣は二人をがっちりと抱いて、明快に笑い声をあげる。
「おーっし!今日も元気に行ってこいよ望美!!俺も剣の鍛練に励む!」
「にっ兄さん何だよ突然!」
「・・・頼朝にはじめの一太刀をあびせるのはこの俺だからな」
「突然シリアスになるなー!」
ぎゅうぎゅうとせわしげに、幼馴染三人の顔が近くなったり遠くなったり、まるで子供の頃のよう。
望美もつい二本の腕でそれぞれ二人を抱え込み、空を向いて高く笑ってしまった。
・・・何も変わらない。
「姫君俺も俺もーっ!!ある意味譲なんてどうでもいいから!その抱擁、俺には一人で頼むよ?」
自分も確実に便乗できるであろうおいしい場面に遭遇し、微笑みながら神子達の様子を見つめていた
敦盛を片手でひっつかんで、ヒノエが明るい笑顔を湛えて軽快に駆け寄ってきた。
「ちょっ!何だよそのある意味どうでもいいってこら!おいヒノエ」
「おっ、悪い譲。そうだよな。殺人的にどうでもよかった」
「ヒノエ――――!!!」
「ほら敦盛せっかくのチャンスだぞ恥ずかしがってる場合じゃねえだろ」
「ままま将臣殿頼みますから引っ張らないでみみみ神子が穢れ」
そんな仲間達に声を立てて笑って。
あまりに満たされる空間の中、幸せの涙がこぼれないよう見上げた空。
こんなに青くきれいと思ったことはなかった。
119夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:25:34 ID:4rEQWJe0
こもった空気を解こうと障子を開け放つ。
あの人に会いたかったわけではなかった。先刻もあの九郎が頭を抱えるほど皮肉合戦の言い争いを
したばかりだから。
ただ、二人で共にすごした残り香が見せる記憶と、あの部屋から見える景色をもう一度だけ目に
したかった。
多分。あの人の父君である御館も気付いておられたと思う、変わりゆく息子の変化を。
それが失われたにもきっと気付かれた。
先日望美がお目にかかった時、対面している間は普段の豪快さを保ってくれていたのだけれど、
その後帰ろうとして振り返ると、そこには信じられない位小さくなってしょぼんとなされるお姿があって。
とても申し訳なくて、いたたまれなくて、逃げるようにその場から離れた。
あんな仕打ちを受けたのに、未だ息子に注ぐ愛情は微量も変質していないらしい。
陸奥の王の懐は深いな、と軽い感動まで覚える。
春まで名残る根雪のような厚みある深さだと思う。
――私の浅さとは大違いだ。

昨日、望美達の世界では秀衡塗と呼ばれるあでやかで品の良い小椀をそっと手にとって、思った。
丸みを帯びたふっくらした造りの椀からは、大胆な文様が織り成す力強さを感じさせられる。
その輝く漆塗りからは同時にしっとりとした気品と重厚な量感の奥深さも伝わってきて、
ああ、これが御館のご子息である泰衡さんの基礎になった部分なのかと妙に納得させられた。

ふと、乾いていたはずの小椀に水滴がついているのに気付く。
何だろう。と思った矢先、ぽたぽたと自分の手の甲にまた数滴、無意識のせつなさが落ちた。
目を逸らし見ないふりをする。
私はもう十分泣いたはず。しっかりしろ。
120夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:26:27 ID:4rEQWJe0
ただ、思い出だけはすうと引きよせられてやってきて、勝手に記憶の幻を見せてゆく。


   大きいな。あなたの双の瞳は。
   俺はいつまでその対の水晶にこの身をおさめていただけるのだろうな。
 
   何ですか何ですか?唐突に。詩人ですね泰衡さんてば。似合いませんよ?

   すぐそうやって茶化す。
   本当は何を考えている。

   泰衡さんのことしか考えてませんよ?神子でなく望美でいられる時はね。ふふっ。

   ・・・。

   目も泰衡さんしか見てませんよ。本当はわかってるくせに。
   ほら。もっと近くにくればわかりますよ。誰が映っているのかなんて。
   もっとそばにきてください。




   ね?
 
   ・・・ああ、そうだな。あなたの言うとおりだ。

   それにしても大きな瞳だ。馬鹿げたことを言わせてもらえば・・・
   こぼれおちてしまわないかと、無性に心配になる。


そんな望美にはよく理解できない心配をしていた想い人の心は、もう近くにはない。
そして、その心配は現実になった。
望美の泰衡を映していた目からは、その影がいくつもの透明の涙に移り、時折ぽろぽろと
こぼれおちていく。
121夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:27:37 ID:4rEQWJe0
夢だったのかも――本当に。最近ではそう思うほど遠くに行ってしまった気がする。それでいいの
だけれど。それが当然なのだ。私たちの間には常に張りつめた空気の糸があっていい。あんなに
近づいてお互いぬくもりを愛おしみ安らいでいたのが、――そう、異常だったのだ。
「幻か?」
入り口の方で声がした。どきりとしてふりむくと、部屋の主が不機嫌そうに立っている。
しまった。また冷えた雷を落とされる。
望美はあわてて取り繕おうと、両手を左右にふった。
「ごっ、ごめんなさい!ただちょっと、懐かしくて――すぐ出てくから、ほんとごめん――」
「――なんだ」
壁に軽くよりかかり、泰衡は小さく笑ってみせた。望美は凝視したまま驚きで己の時を止めてしまった。
初めて見る顔、初めて聞く声。氷をまとわない素の姿だったと思う。
ボロボロだった。
「――期待をさせないでくれ」
笑っているのに、今にも泣き出しそうに感じた。

その時、何だかすべて理解できたような気がした。
何故最初あそこまで拒まれたのか。
この、とても九郎と同じ年とは思えないほど疲れ、年輪を刻んだような顔をした人に、
何をしてしまったのか――

ただただ、この結末を恐れていたのだとわかった。

たとえどんなに堅く強い決意を秘め、一本筋を通して曲がる気のない人間でも、
隙などというものは必ずどこかに潜んでいる。
思いもよらないようなこそから侵入して内から破壊してしまえば、
どんな人間でももろくなってしまうのだろう。

どこから襲いかかってくるかわからない絶対の死。
そんなものをただ待つなんていう覆い隠せぬ不安をいだく者なら、尚更。

望美は恋心の名のもとに、その不安を少しでも和らげたいと言い張り、無邪気に押し入って――
固く結ばれた紐の目をいくつも解いてしまったのに。
やっぱりごめん私には支えきれないと、出て行ってしまったのだ。
自分からさしのべた手をふりほどいて。
122夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:28:14 ID:4rEQWJe0
望美には朔や白龍や八葉、大切な人達がいくらでも言葉をかけてくれ、支えてくれる。
けれど、この人には無い。――何もない。あるけれど、受け入れることができない。
ずっとそうだったから。
彼にとって望美は本当に、唯一人の、心へ入ることを許すことができた特別な人間だったのに。
いなくなってしまった。
多分今この人の心は、最期まで与えられ続けると思っていた月の光を失ったことで均衡が取れず、
湧き出す闇に引き裂かれてズタズタだ。
表面を取り繕う氷さえ保てなければ早々に崩れ落ちるだろう。
「幻なら――」
すう、と泰衡の身体が動く。
思わず固まってしまう望美の身体は、脳から恐怖という信号を送られたに違いなかった。
何をされても文句は言えないことをしたと知ってしまったから。
そして多分、この男はとても怒っているだろう。
けれど。
「捕らえぬうちに――消えろ」
望美の真横を、まるで何もなかったかのように通り過ぎて奥へと行ってしまった。

ごめんなさい。
うまく口にできたかどうかわからない。言われたままに望美は部屋を飛び出した。
123夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:28:52 ID:4rEQWJe0
走った後を、あの人はもう追いかけてはこなかった。当たり前だ。くるわけがない。
こんな女のために、もう二度と。
心臓が痛い。気持ち悪い。不安と後悔、罪悪感がめちゃくちゃに絡み合って平穏の居場所を壊す。
――銀か。
ふいにあの言葉がよみがえる。ぎゅうと目をつむり頭を抱える。連鎖反応を起こしまた一つ理解する。
当然と言えば当然かもしれない。望美があの日朝まで泣き喚く原因を決断し実行したのは他ならぬ
泰衡だ。己が斬り落とした男の愛した女を心の中に招きいれたのだから、それ相応の覚悟はきっと
あったのだろう。
それはもしかしたら、銀という男を失った望美という女の復讐かもしれない。
罠かもしれない、裏切りかもしれない。
その気になったところで、彼女は散々な嘲笑や罵声を浴びせてくるのかもしれない。
そんな女を受け入れようだなんて。
なんて泰衡らしくない賭けだと思った。

――否。賭けではない。
――賭けではなかったのだ。

震えて、とまらない。
多分あの人は――望美を信じてみようと思ったに、違いない。
長く孤独の内に閉じ込めておいた人への想いを、自分に同調し理解しようとしてくれる満ちた月が
差し出した手のひらを信じて、新たな一歩を踏み出そうとしたのだ。

――結果は、これだ。
二人の世界に陥りすぎて、戦場へ向かう統率者の道を踏み外しかけた。
お互いがお互いをあまりにも理解できていなかった所為による、深い痛手を負っての終焉。
124夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:30:01 ID:4rEQWJe0
銀。
彼にも、あの優しい人にも懺悔の念しか浮かばない。
前を向かなければならないなんて奇麗事をあまりにも都合よく捉えすぎていた。
今ならわかる。望美を助けようとして主君に追いつかれ、抵抗もせず斬り落とされたあの麗容な人の気持ちが。
銀にとって泰衡は、自分を拾ってくれて、自分に名を与えてくれた人というのに変わりはなかったんだ。
そんな主人と望美の板ばさみになってどんなに悩み苦しんだことだろう。
それでも望美を残して斬られることを受け入れたのは、望美を助けるためで。
それは、そうしても大丈夫と主人を信じていたからで。
自分が起こした行動と、自分を蝕む真実を隠したことで、氷をまとう主君が心の内ではどう感じたのかも
理解した上での判断、そして覚悟だったのだろう。
知っていたのだ。刀を振り切ったその瞬間、斬った側の心にも相当の深手を負わせることに。
泰衡にとっても銀はどうでもいい存在などではなかった。だから自らの手で決着をつけるべく斬った。
裏切られたことへの憎しみまかせなら、もっと酷いことだっていくらでもできたはず。
心からの誠意を尽くす忠実な銀なら、ずっと目にしていた孤独な主人のことがきっと分かっていたのだと思う。
だから、あの状況で、私を残して。

そうだ、銀が最後に一瞬望美に投げかけてくれた笑顔は、大丈夫ですからね――という証だったのかもしれない。
ずっと私を見ていてくれて、私が話すことも良く聞いていてくれた銀には、私がこの道を選ぶことがうっすらと
わかっていたのかもしれない。
多分その上で、すべてを受け入れ選んでくれた結末なのだろう。

・・・・・・。
・・・ああ、でも。それがなんだ。
それに気付いたところでなんになるというんだ。
銀が崖から落ちてしまったのに何ら変わりはないじゃないか。
十六夜の月は後は欠けゆくだけの月には違いない。
けれどあの月はもしかしたら、
本当は、また昇る月ではなかったのか――――
「・・・・・・・」
泰衡だけを責められない。
むしろ、本当に残酷なのは――
「・・・・・・・・・・」
125夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:30:41 ID:4rEQWJe0
罰だ。この逃れられない苦しみは――
己で己に刻み込んだ罪への、永劫に消えることなき報いだ。

あまりに重くて、息ができない。苦しい。でも当然かもしれない。
銀はもうしたくでもできないのだから。
銀もあの人も自分の大切なものへととても誠実で真っすぐだったのに。
私だけ。私だけが。
――最悪な女だ。本当に。振り回すだけ振り回して、勝手に一人で潰れた。
後悔がめぐる。ぐるぐると、己を傷つけながら。惨状をさらす傷跡をも容赦なくえぐる。

・・・・そうだ、戻ったら。
逆鱗の力を使ってやり直したらどうだろうか。
がたがたと震える手で胸元をさぐる。

けれどその白く光を放つはずのものを握っても、時空を跳ぼうなんてかけらも思うことができない。
逆鱗を握り締めた震えるままの拳を額に当てる。理由はわかっている。
今存在する、あの人を――藤原泰衡を捨てていくなんて望美には到底無理だ。
どうしても、どうやっても、忘れ去るなんてできない。
喧嘩したことも口付けたことも髪をくしけずったことも抱きしめられたことも抱きしめたことも
くがねを共に愛でたことも小さな笑顔も遠出した思い出も手のひらも――先刻の傷ついた姿も
皆望美をこの時空へとしっかりと縫い止める。
この期に及んで未だかけらも想いを消せていないことに気付かされる。
情けなくて、悔しかった。
なにをやってるんだ、私も、そしてあの人も。どういう立場だかわかっているはずじゃないのか。
二人で進めば喜びは倍に、悲しみは半分になんて間柄になれるわけもなかった。
当然ではないか。選んだのは血にまみれる道――常人に約束される祝福なんて用意されていないのだ。
「・・・泰衡さん・・・」
想いが音を成して口からこぼれる。
愚かすぎるだと身にしみていても、内側にいる己の神子の部分に激しく罵倒されても。
こんなに近くにいるのに、もう触れることも触れられることもないなんて地獄だ。
不器用な遠まわしの言の葉も、奥の方で小さくあたたかく灯る眼差しも、二度と与えられることはない。
ぬくもりに焦がれて、望美は本当におかしくなるかもしれないと思う。
・・・あの人の方は今、何を思い、何を考えているのだろう。
なんとなくおぼろげに心の形が見えてしまうのがつらい。あの、のばした黒髪で隠す寂しげな表情が。
行きたい、そばへ。許されるなら今すぐにでも駆け戻りたい。両の腕で二度と放す事ないよう抱きしめて、
目を見て。頬を手のひらで包み、心のままを伝えられたら――――
――だめだ。だめだだめだだめだだめだ。
「だめだ・・・」
消沈し、うなだれる。
126夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:31:33 ID:4rEQWJe0
その時。
背後でかさっと音がして、望美をびくりとさせた。
振り返ると、まばらに芽吹く若草の上に優しい色合いをした犬の姿。
尻尾を振りつつ望美を見つめている。
「くがね・・・」
大きなずんぐりした犬がワンと返事をし、そしてクウン…と気遣ってきた。
「くがね、違うよ。こないで。・・・もう尻尾ふる相手じゃないんだよ、私」
よってこようとするのでつい後ずさる。
「くがね、私さ・・・あなたにそんなふうに可愛い目で見上げてもらえるような人間じゃないんだよ?
あなたのご主人様にひどいことしたんだから。ものすごく、ひどいこと。
何回くがねに噛みつかれても文句言えないくらいのことしたんだよ。くがね」
ほぼ独り言のように自虐を連ねた。
「怒って。あの時みたいに、うなってよ。ねえ。お願いだから――」
それでもその年を重ねた犬は柔らかい足取りでよってきて、望美を見上げてくれた。
くりくりした小さな瞳に映されると肩の力が抜け、何だか脱力する。
座りこんでくがねの頭を撫でてやると、頬をペロペロとなめられた。
いつの間にか泣いていたのに気付く。
「・・・ありがとね、くがね」
微笑んで、のどもとを撫でてやった。
九郎が言っていた、くがねが拾われた時の弱って震える小さな姿を思い浮かべる。
――あの人の手のひらに庇護されて、すくすくと育って、こんなに大きくなったんだね。
わかりにくく誤解されやすいけれど、その実は深く誠実な愛情を受けたのは、そう、この子も同じなんだ。
「ある意味私の先輩にあたるよね」と小さく笑うと、くがねは望美に身体を押し付けるようにして座り込んだ。
あまりにあたたかくて。
その背をなでながら、望美は泣いた。
賢い犬だ。そしてやさしい。――飼い主によく似ている。

「・・・ああ、そうか・・・そうだね、くがね」
そして望美はもう一つのことに気付くことができた。
自分とくがねの間にもう一人、先輩がいたことを。
彼は斬られることを選び、望んで、己の道をきめた。
恩義ある主人への忠節を果たし、望美を助けてくれた。
生きてほしいと願ってくれた。
そこまでしてくれた人が、望美の延々と停滞する時間など喜んでくれたのだろうか。
こんなふうに後悔したまま泣きじゃくる状態をずっと続ける生き方なんて、
きっと望んでくれてはいないだろう。
そんなことをさせるために助けたんじゃないのだから。

127夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:32:15 ID:4rEQWJe0
ああ、そうか。朔が言ってくれたのはこういうことだったのか。そうだったんだ。
そうだったんだね、銀。


ええ、そうですよ――


あの日から初めて、心の中の彼がふわりと笑ってくれた気がした。
勝手だとはわかっているけれど。
「ありがとう・・・」
嗚咽の合間に、そう呟かずにはいられなかった。


――さあ。


お進みください、神子様。



散々泣いた後に、ゆっくり大地を踏みしめて立ち上がった。
白く穢れない翼は自分で駄目にしてしまったけれど、前に進むための足はしっかりと残っている。
私のために銀が残してくれた足。
残った羽根はむしって――翼なくとも私は舞い上がろう。
泰衡と望美の大事な人である九郎はついに重い腰をあげ、甘言を垂れ流すばかりの肉親への情を
切り捨てて共に立ち上がる決心をしてくれた。
それでも足りない分は、私が補おう。
異国の神という強大な後ろ盾を失った源頼朝。
その神を再度封じた藤原泰衡。彼と手を組んだ源九郎義経。
勢いにのり士気高まる奥州の大軍。
その姿に、所詮は忠義奉公といったところで己が保身第一の地位ある連中は揺らぎ始めている。
そして――白龍の神子。
自分の世界の史実とは明らかに違ってきている。流れはこちらを向いている。
――仲間のみんなと、奥州の人たちと、

――あの人のために。
128夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:33:50 ID:4rEQWJe0
浄土。・・・望美の世界の泰衡の首桶から出てきた蓮の花は、今でも平和を祈り咲いているのだろう。
私はあの清浄の花にはもはや程遠い。だったら、あの人を守り抜く剣となる。
死なせなどしない。死なせてたまるものか。
あの恒久の輝きにはなれないけれど、私だって――朽ちてなどやらない。
この想いの全てで守り抜いてみせる。
開き直りといわれても。
まだ全てを後悔する時じゃないはずだから。

「行こうか、くがね」
尻尾をふる犬に微笑する。見おろす先の小さな瞳がうれしそうに輝く。
数歩進んで、一度だけ振り返って、もう一度だけ。
空に向かい、ありがとうと呟いた。

そんな望美の後ろ姿をずっと見守っていた男が、すうと心地よい風の中に姿を現す。
「道は定まったようだな、神子」
存在を感じて振り返ると、いつの間にかリズヴァーンが腕を組んで立っていた。
「先生・・・はい。ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」
きりっとした表情で師を見据えてから丁寧にお辞儀する。
「私に礼など不要だ」
短いが、あたたかさのにじむ言葉に導かれて目線をあげると、
今その青い灯火が望美に注ぐ視線は静かな安堵で満ちているのに気付く。
「・・・お前はついに己の答えへとたどり着いたようだな。
それでいい。どの思いも、無理やりに消し去ることはない」
望美の身に起こる嵐が一つ過ぎ去り、そして無事に乗り越えたのを知ってくれているのだろう。
その穏やかな微笑みに、望美は「はい!」と、破顔一笑で返した。
129夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:34:49 ID:4rEQWJe0

もう銀を思い出して苦しく思うだけの毎日は捨ててしまおう。
もちろん忘れるというわけではなくて。
私が彼からもらった、小さなきらめきが舞い続けるあたたかい記憶と笑顔まで
奥底にしまいこんでしまうのは、もうやめよう。

だって。今日もこうして、私は彼が開いてくれた道の上で生きている。
130夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:35:35 ID:4rEQWJe0
終章  長いお別れ


春、無量光院。
空は高く青く澄みわたって広大な大地を光で満たし、草花はいっせいに芽吹いて緑の楽園を築いた。
本当にきれいな土地だ。萌える黄色のたんぽぽをつんと押しやると、大きな頭が可愛らしく振動する。
「ねえ、ここに座って」
こんなところにいたのか――と、この明るく照り輝く春の陽射しに導かれて望美をさがしだした
泰衡に隣の地面をぽんぽんと叩いてしめす。
思ったより素直に腰をおろしてくれたのでほっとする。
二人きりでこんなに近くにいるのも久しぶり。少々の意識をどうしてもしてしまい、照れ隠しに
膝をかかえる腕の中に頭をつっこむ。
夢を見ていたみたいだ。――だけど夢じゃなかったね、私達。
頭を膝に置いたままにそっと泰衡の方へと顔を向けてみる。いつもの冷たい流し目と視線がぶつかった
ので、つい微笑んだ。不意打ちだったようで速攻でそっぽを向かれたけれど。
――ああ。今日も生きてる。
動いて、存在している。命の色がともっている。言の葉を紡ぐ。まばたきする。私を瞳にうつす。
――これで十分だ。
「・・・・・・ずいぶん表情が自然になった」
「え?」
「俺と一緒の時は何かと無理をしていると思っていたからな」
・・・この男は。まだそんなことをいうのか。
呆れたが、同時にふっと優しい微笑がこぼれてしまうのをとめられない。
――可愛い人だ。
131夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:36:30 ID:4rEQWJe0
「・・・皆が色めいている。白龍の神子様は最近格段と美しくなられた、と専らの評判だぞ」
意外な自分の噂に目を丸くする。
「本当に?」
「ああ。まあ近寄りがたい美しさだという者もいるがな。神気が急激に高まっているとおののいていた。
『冷たく妖しげに輝く冬空の月のごとく、常人を逸脱され我らを導く氷塊の戦神子へと変貌
なされたのだ』――と興奮している連中を見かけた」
「・・・ものすごいね」苦笑する。
そんなことを言う人もいるんだ。神子として人気が出るのはありがたいが、何と思えばいいのか。
ただ白龍はその神気の高まりを無邪気に喜んでくれている。
自分の龍の見せるあの純粋な澄んだ笑顔を向けられると、望美もどうしてもうれしくなる。
彼は望美に、あなたの想いは昇華したね、と言った。
どういうこと?と訊ねたら、想う心は変わらないけれど形を変えたということだよと返してきた。
――あなた達は似ている。泰衡もきっと今、あなたと同じだよ。
――そうなのかな。
「自覚はないと見える」
「ないねえ・・・まあ平泉の神子としてそれなりの自覚は芽生えたのは確かだから、そのせいなのかな」
ふうと息をついて。
「まっ!何と言われようと――」
身も軽く立ち上がり、顔を見られないよう真っすぐ空を仰いで告白する。
「泰衡さんさえ近くによってきてくれるなら、私はそれでいい」
甘く薫る風が吹き抜けていく。
「泰衡さんから見ても私って変わった?」
「まさか。あなたはあなただ――なんら変わることなどない」
落ち着いた、何の皮肉も混じらない声。心から心へと伝わる言葉。今の望美には、至上の幸福。
「ね、泰衡さん。一つ言っときたいんだけど」
くるっと振り向く。
好きな男が何度も指で梳いた長い髪をゆらし、
今も想うその男を何度も映した大きな瞳にやさしい笑みを灯して。
132夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:37:28 ID:4rEQWJe0
「絶対はなさないからね。何のために終わりにしたかっていえば、あなたと少しでも長く一緒に
いるためっていうのもあるんだから。
生きてよ。諦めないで。
私はあなたを守る。生かしてみせるよ、どんな不条理が襲ってきても。神子として力続く限り
加護を与え続けます。
それこそぼろ雑巾って嘲られるくらいになっても、本当にどうしようもなくなっても、血まみれに
なっても――終わらせてなんかあげないからね。血を吐きながらでも背負い上げて前に進んで
やるんだから。覚悟しといてよ?」
かなりすごい台詞を連ねているつもりなのだが、泰衡は微動だにしない。
――お見通し、か。
「まあ、そういう女に惚れられたと思って諦めてちょうだい」
「やれやれ。恐ろしいことだ。楽には死なせん、とおっしゃるのだな」
「当然」
腰に手を当てにっこりと笑う望美に、彼女の想い人はほんの少し、もう遠い向こうにある思い出の
表情で、笑った。
「あまり気負うなよ。あなたなしの俺がどうなってしまうかなんて――それこそ誰にもわかるまい」
微笑と告白の不意打ちを受けて、望美はつい赤くなる。
二人とも、別れたといっても互いを大事に想う心が消えてしまったわけではない。


握り返してくるかはわからなかったが、望美は手を差しのべてみた。紫の手甲をした手が重ね
られたので軽く引っ張り上げると、距離がまた縮まる。耳元に音を感じた。
さようなら、ときこえた。
言葉が心の奥までしみてゆく。望美は目を閉じ、静かに頷いた。
やがて暗闇からまぶたを開けて光の世界へ戻ると、覇道を共に歩むことを決めた相手が自分を
真摯な眼差しで見据えていた。
「はなれるなよ?」
「はなれませんとも」
即答して、強い眼差しを与え返す。固くつながったままの手をお互いの視界に半分入るくらいの
高さまで持ち上げる。その向こうに見えるお互いの顔を向け、同時に、にやっと笑った。
133夢のほとり、後悔の跡:2005/12/21(水) 19:39:19 ID:4rEQWJe0
こうして想い合う二人の時間は二人の手でかき消された。
寄り添い温もりを感じ合えばお互いしか見えなくなる想いなど、戦場では無用を越えて命取りだ。
今、弱くなるわけにはいかない。
だからもう愛しさをこめた目で互いを見ることを捨ててしまった。
そしてもう互いに見られることもない。
傷跡は酷く時折ずきりと痛むだろうけれど、まだ気にしていい時ではないとも思う。

癒えることはない。

けれど傷はゆっくりと回復していくはず。

まだ、隣からいなくなったわけではない。まだ、こんなに近くにいる。やれることを精一杯やろう。
深い後悔の跡はお互いのためにお互いを強くした。
どちらも結局非情にはなりきれなくて、最果てまで堕ちゆくこともできない弱さを持っている。
だから二人、なのだろう。


道の向こうに――夢のほとりに、そこでお互いがお互いを待っていてくれることを、
続く道が開けてゆくことをひそやかに願いながら、二人並んで道を進む。






134カフェ俺 ◆ZFykxLZniE :2005/12/21(水) 19:41:03 ID:4rEQWJe0
以上をもって終了です。
お付き合いくださった神子様、皆様方、長々と本当にありがとうございました。
いただいたレスとてもうれしかったです。ほんとにどうもでした。今回は良い経験になりました。
最後に一つ失礼して
俺などのリズ神子読んでみたいとありがたいお言葉をくださったレスの方、
字を書く者としてはそんな風に言っていただけてうれしかったです、ありがとうございました
申し訳ないですが今回は本スレやこちらでたまに出る「犯人はヤス」に触発されて一度参加
したかった女性向への炎を燃やしその勢いで書かせてもらった、ということで勝手ながらご容赦ください
それでは重ねてありがとうございました。またたまにROMにこさせてもらいます。
135名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 19:49:59 ID:ukt3NcId
お疲れ様でした。
面白くて切なくてなんというか感無量です。

なんかもう涙でモニタがかすむよ……
ありがとうございました。
136名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 20:31:23 ID:blopCoGN
長編お疲れさまでした。そして超GJ!!
笑ったり、萌えたり、切なくなったりと楽しませてもらいました。またどこかで氏の作品に逢えるといいなぁ。
作品のきっかけが『犯人はヤス』ってのはワラタ
137名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 20:50:33 ID:g1Y/q7aK
文から伝わる書き手としての気概にひれ伏しますた。
このスレ見ててよかった。
禿萌。カフェ俺氏に惚れたよ。
GJ。ありがとう。
138名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 21:02:36 ID:ioOWVGvy
カフェ俺さんの長編を読めて本当にラッキー。
3無印も十六夜もやっていないのに、このツンデレヤスに惚れた。
神子にも惚れた。
話には萌えも燃えも感じさせて貰いました。
本当にいいモノ読ませていただけてました、ありがとうございました。
またどこかでお会いできたら嬉しいです。





このスレ読んで春になったらおそらく発売されるであろう
無印十六夜運命迷宮同梱パックを、いや同梱パック発売
されなくてもこの3ソフトを買うことに決めた漏れは負け犬だろうか。
139名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 21:13:05 ID:8YfQlQKh
カフェ俺さん、長編お疲れ様でした。
笑いあり涙ありで本当に楽しく読ませてもらいました。
ラスト切ないけれど、前向きな別れで、ただただ感動…。
素敵な作品、ありがとうございました。
140名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 21:59:54 ID:2oq6+euw
>>134
どう見ても名作です
本当にありがとうございました。
141名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 22:09:18 ID:0aC6hKlA
137さんも言ってみえますが、
密度濃くつめこまれた細かな描写と話の造りに、
書き手として読み手を楽しませようとする心意気を感じました。
御本人も楽しんで書いておられるのが伝わってきます。

話にもキャラにも萌えさせてもらいました。
続きを待ちながらも読み終わるのが惜しく思われるほどでした。
良い作品を読ませて頂いて有り難うございました。
142光宙 ◆4upeeexzKc :2005/12/21(水) 22:15:43 ID:2n4nYjvV
良い流れの所にごめんなさい。
続きは投下できなさそうになってしまったので、
もし待って下さっている方がいたら申し訳ないと思い、
ご挨拶に参りました。
望美受けも好きだし、読めばすごく萌えるのですけれど、
最近どうにも書けなくなってきて…(ここ以外ではオリ神子書きなので)。
ここには投下しませんが、オリ神子に修正して続きは書くと思います。
パクだ何だと荒れる原因になってしまうと申し訳ないので
出来ればまとめの方からは消していただけると嬉しいです。
中途半端になってしまってごめんなさい。
これからはROMに戻ります。
143名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 23:08:31 ID:gNFGAGso
カフェ俺さんGJ!
良い作品をありがとう!読み終わった後じーんと余韻の残る作品でした!
よかったらまた書いてくださいね
144名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 23:47:35 ID:w62en9DF
カフェ俺氏、いい仕事をありがとう!
泣いた超泣いた。マスカラ落ちて痛いよママン

笑って泣いて感動してぐちゃぐちゃです
とにかくGJGJGJ!
素敵な創作をありがとう〜!
145名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 00:06:13 ID:MPHGJX/B
カフェ俺氏の力量は半端ないです。だからこそ言わせて下さい。
「思わざろうえない」じゃなくて「思わざるを得ない」だと。
しかし他神子も言っておられるけどマジで笑って泣いて萌えられる名作でした!GJ!!
146名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 00:44:15 ID:8xgX/cWY
癒されましたありがとう……!!
147名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 01:04:55 ID:igScTa+4
ごめんなさい、始めヌルーしてしまってたんだけど皆のコメントで賞賛の嵐だったんで
遅ればせながら今日一気に読ませて頂いたんだが、もう何でこんな名作ヌルーしてたんだよ馬鹿野郎自分め。
個人的にはネタが細か過ぎて爆笑しましたwwwwww もう突っ込んでない所無いんじゃないかってぐらい詰め込んであって。
最後は切なくて自分も胸いっぱいですよ。

何というかここに投下されるSSを読む度に「あーネオロマやってて良かった!」と心から思うぐらいだ、
もう本家よりこっちが本編なんじゃないかと思い始めてきた

ところで光宙氏、自分めちゃくちゃファンなんで読めなくなるのは悲しい…(((´・ω・`)カックン…
オリ神子はここに投下し辛いとしても、捨てアドでも何でも晒すんで読ませて頂けたら嬉しい…
無理難題は承知の上なんですが(´・ω・`)
148名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 01:52:26 ID:DHms8EM8
カフェ俺氏、お疲れ様です。
銀のフォローがあって、良かった!愛を感じました。
すっごい萌萌して感動して
読みすすめるのが気恥ずかしくて、意味無く部屋をぐるぐるしてしまったw
また機会があれば是非読ませてください!
149名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 02:12:13 ID:zU5BHaOw
カフェ俺さんお疲れ様でした。
途中切なさに胸が締めつけられましたが、勇気を出して最後まで読み進みましたら
救いのある前向きなラストにこちらの気持ちも救われました。

ヤスの心情に合わせての『あなた』と『お前』の使い分けとかキャラをよく掴んでらっしゃって
ゲームをやり込んでいるのが伝わってきて感服しました。
もうマイ神認定させて頂きましたよ。
またふいっとお気が向かれましたら
カプは何でも構いませんので降臨してくださったら嬉しいです。

そして〆はやっぱりこの言葉で
犯人はヤス!感動をありがとう!

感動のあまり長文すみませんっ
150名無しさん@ピンキー :2005/12/22(木) 12:33:09 ID:Ey4UhXqb
カフェ俺さん、お疲れ様でした。
泰衡に興味があまりなかったのに、とても引き込まれました。
しかも、望美・泰衡以外のキャラもよかった。
お恥ずかしながら、泣けてしまいました。
また読めるといいな。

光宙さんも、楽しみにしてたので、残念です。
続きを書かれる予定はあるとのことなんで、
どこかで読めることを楽しみにしてます。
151名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 13:57:36 ID:VM++ZPIC
いやー面白かったっす。そしてセツナス。
ありがとう。
152名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 15:53:50 ID:LsbsILZx
カフェ俺さん素晴らしい!ヤバい、涙が…(つД`)
チラ裏ですが、『スクラップ〜別れの詩』という歌ががすごくこの話にあってる気がする
153名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 23:43:37 ID:fO+hgaby
カフェ俺さん、ありがとう。そしてお疲れ様でした。
ひたすら笑って、ひたすら泣きました。
言いたいことはたくさんあるけど、うまく伝えられる文才がないので、
ひとこと、G O D J O B ! と叫ばしてください。

本当にありがとうございました。
154名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 10:20:16 ID:o3dIOsGP
脳内でこの作品が公式ヤスルートになりつつある。

世界中のGJという言葉をかき集めてカフェ俺氏に捧げたいです。
155名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 11:48:08 ID:Sh9cvoQA
カフェ俺さん、いいお話ありがとうございました。
登場人物の心情がよく出てて引きこまれました。

ヤス野の花EDを見てない自分バカバカー!
これからやってきます。
見てからもう一度読み直して再萌え、という
お楽しみが増えました。

本当にありがとう、よかったです!
156名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 13:33:44 ID:izjudDP8
カフェ俺氏素敵な作品有り難う!!
ヤスが更に好きになりました。
157名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 16:08:07 ID:+tB/n64u
良スレの匂いにつられて怨霊がやってこないうちに
GJレスは打ち止めにしよう。
158名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 18:16:21 ID:MY0X7kqb
夢のほとり、完結しちゃってテラサビシス
カフェ俺さんのお陰で益々ヤス萌えが加速して
今日も、十六夜引っ張りだして平泉の仏頂面の顔拝んでました。

ポートピアにまで手を出そうとする始末ですが、私の携帯にはまだ未対応でしたorz
残念。肩に痣のあるヤスにも会いたかったよw
159名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 18:51:58 ID:+TqAeRHe
>>158
ヤスはFC版の方が美形だぞw
160名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 18:58:53 ID:4Nit52u7
ワロスw確かに
つかみんなFCの方が美形だよねポートピア

冬祭り準備で職人さんも忙しいのかなあ
雑談ネタでもふりたいがどうも今頭にはラビリンスしか(ry
161名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 19:16:24 ID:MY0X7kqb
え、そうなんですか!?
しかし、携帯ならアプリ代だけで気軽に手を出せるけど
FC版だとハードごと揃えなきゃいけないからなぁ…
と、思いつつ、既にFC版の購入を検討し始めてる自分がコワイですw
162名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 20:20:41 ID:X1y/lxnb
ネオアンでフライング妄想してるヤシ挙手ノシ

・・・自分だけかorz
163名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 20:26:52 ID:KcEllXUY
>>162
おいたされちゃう銀アンの妄想は出来るんだが、
いかんせん相手が想像出来ません…。
自分は今のところ、銀アンしか興味無いようだ……
164名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 22:35:16 ID:atUec3xl
「主人公の成長を心から願う」肉ス辺りに育成orおいたされたい(;´д`)ハァハァ
よく見たら主人公、絶対領域あんのな。
狙いすぎだ。
165名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 09:16:50 ID:W4vxL+H+
遅まきながら、前スレ886、GJでした!

ひとつだけ。

【確立】かくりつ
物事の基礎・立場・計画・方針などをしっかりきめること。
不動のものとして定めること。
【確率】かくりつ
一つの事象(出来事)の起こり得る確からしさ(可能性)の度合。
また、その数値。

これ、なぜか間違える人すごく多いから…。
2ちゃんでは2ちゃんらしく、意味を知ってて
わざと間違えてる人もいるかもだけど。
でも、虹サイトでもかなり間違えてる人いるか。
886にある文章なら、下の「確率」が使われるべき。
166名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 09:45:01 ID:jaFNsaSn
以前からたまにあったけど、全年齢板でここの話題を出すのは控えてホスィ
とある二次創作、くらいならともかく限定されるような書き方はちょっと
167名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 10:19:15 ID:d6+P4Y1t
だね
まあ良かったっていう気持ちはよくわかるんだが
このスレでとどめといておくんなまし
168名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 13:17:09 ID:23RH5Fpd
レゲーやゲサロでたむろってる老兵どもなら
たとえば萌えスレでエロパロの話しても間違いはまず起きないけど、
そもそも本スレの場所も客層も全然違うからねー。
普通は本スレで持ち出せるような話題じゃ無いのを判ってるのかどうか。
169名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 13:59:43 ID:qoQYGfxO
>>168
そもそも全年齢板と大人板がわかって無いから話題に出すんだよ。
板名言って無いから良いジャンとか言われそうだが、
ああいう書き方したら、誰かが絶対質問するんだし。
誰もが二次に興味があるわけでも、誰もが大人板に
行ける年齢でも無いってことを考えることが出来ない。
170名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 15:48:39 ID:4jqn/dOk
じゃその件はあっちで書いちゃった人はこれから注意ってことでそろそろ終了

ネタないな・・・
なんかふろうかと悩んだが遙かしか知らんので
あの黒ジャン兄貴と親父くさい譲で頭をひねったが何も出てきませんでしたorz
171名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 16:07:35 ID:d6+P4Y1t
あれでネタ出せたらそれもすごいがなw
172光宙 ◆4upeeexzKc :2005/12/24(土) 16:36:51 ID:uPp1aDUR
もう出てこないつもりだったのですが、お返事だけさせて下さい。
最悪なタイミングで出てきたのにも関わらず
嬉しいお言葉をありがとうございました。
サイトでもファンだなんて言われることないですw
普通にサーチに登録しているサイトですから、
オリ神子でも萌える方なら普通に回っていればいつかはお会いできるかと。
お探しいただくほどの物でもありませんし、
捨てアドなんてお手間かけるのも申し訳ないですし、
またご縁があったらよろしくお願いします。

これで完全に名無しに戻ります。
スレ汚し申し訳ありませんでした。
173名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 19:46:46 ID:N7iRUysV
みんな年末だしコミケ前で忙しそうだね。
保守
174名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 00:41:55 ID:/zBu5G42
保守
175名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 01:21:07 ID:9JZKB7j/
今年お世話になったこのスレに何かしたいのだが
文章書けないんで絵板に行ってみようかと思うんだけど
せっかくだったら正月休あたりで絵描きの人たち新年祭やらないか?
176名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 09:02:10 ID:IEYuPN0q
うおー
やってほしい
楽しみにしてる
177名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 11:25:08 ID:ht1eiXbN
自分は逆に絵が書けないから楽しみにしてます〜
178名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 06:48:18 ID:4WOsMneW
身バレするからパス。
179名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 08:55:09 ID:zozpcmc4
ああそれがあるか絵師さんは

次賑わうのはネオ案ラビリンス発売後かなー
いつでも職人さんも絵師さんも待ってます
180名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 20:50:05 ID:TKkXy6zy
ここでいなくなった職人さんのサイト幸でハケーンしたw
新年早々幸先が(・∀・)イイ!!!!!
ここで感想言うのもおかしいが(*´Д`)'`ァ'`ァですた。
181名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 21:16:42 ID:CoCLo8WZ
気持ちはわかるが荒れる元だし、
直接感想いったほうが書き手さんも喜ぶよー
182名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 00:07:01 ID:q2oJih4a
はげど
てか何故ここに書く?
183名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 00:13:34 ID:8PAruvHs
まあまあ、スルーしようぜ。
184名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 14:55:18 ID:iDx8MmJk
ここのSSって保管庫に保管されてたんだな。
過去ログ倉庫の方しかみてなくて、一体続きどこなんだよヽ(`Д´)ノ ウワァァンつってた自分はアホだ。
保管庫見れば放置されてるの一発でわかったのにな_| ̄|○
185前スレ503:2006/01/05(木) 11:16:14 ID:uq9y4+F3
知盛×望美(エロなし)

年明けを小ネタでお祝い。
186前スレ503(1/2):2006/01/05(木) 11:18:51 ID:uq9y4+F3
「初詣、行かない?」
 正月三が日が過ぎ、そろそろ街は日常を取り戻しつつあるが、まだ学生の身分
である望美にはそれはあと少し先だ。
「誰が?」
 もごもごと口の中に餅を入れているくせに、器用にしゃべる男はひどくうんざりと
した顔つき。
「わかってるくせに。私と知盛以外にいないでしょ」
 整っているだけに凄みを増す普通の人間なら怯みそうな眼光にも、望美はまった
く臆さず、隣に腰かけていたソファの上に膝立ちになってにじり寄る。
「……面倒だ」
「言うと思った。ねー、カビ生えちゃうよ?」
「生えるものか」
 くいと手にした杯をあおり、空になったそれを望美の目の前に突き出す。
「遠くじゃなくて良いから」
 むーと唸りつつも、テーブルの上にある酒を注ぐとにやりと笑われた。
「そう急がずとも、神社仏閣は逃げまい」
 半ば予測していたとは言え、あまりにしれっとしたその態度にだんだん腹が立って
くる。
 好きな人と二人で、一年の初めを過ごしたいと思うのはそんなにつまらない事な
のだろうか。
 少なくとも望美には、楽しそうだと思えるのだけれど。
「第一、この前はお前の要求を呑んだんだぜ? 今回は俺の話を通させてもらい
たいものだな」
 確かに、クリスマスは快くとは言わずとも承諾したのだ。
 だからこそ、なぜ今回、こうも外出を嫌がるのかわからない。
「じゃ、いつなら行ける?」
「……そうだな」
 考える時の癖なのか、少し上を向いた視線に知らず高まる期待。
 横から感じる熱心な気配に、知盛は思わず咽喉を低く鳴らした。
「可笑しな物だ。お前こそ、どうしてそう俺と行きたがる?」
「だって、年初めだよ? これでも、知盛が人込み嫌うから、年始早々は我慢して
たのに」
 いつもなら元旦には近くの鶴岡八幡宮に、いつものメンバーで行っていたはず
だった。
 今年もどうするか聞かれた時、こうなる事もわかっていたのに、どうしても一緒に
行くのは知盛がよくて断わったのだ。
 それなのに、なんだかはっきりとしない理由でのらりくらりと逃げられるのは、怒
る以前に悲しくなってきた。
「もういいよ。そんなに嫌なら」
 はっきりとワントーン落ちた声。
 表情もがっかりと言う文字が透けて見えるほどしょぼくれていると、自分でも分か
り、湿っぽいことこの上ない。
 こんな顔を見られたくなくて、うつむいた顔を上げずに知盛に背を向けた。
「今日は帰るね」
「おい」
 来る時につけていたマフラーを探す望美に、知盛の腕が伸びる。
187前スレ503(2/2):2006/01/05(木) 11:20:16 ID:uq9y4+F3
「馬鹿が。何を考えている」
 背後から抱き寄せられて、すぐ耳元で聞こえる声に慌てて身をよじるが、がっし
りと腰に回った腕が取れるはずもない。
「ちょ、帰るんだから離して」
「別にお前と行くのが嫌なわけじゃないさ」
「でも、面倒なんでしょ?」
「まぁ、それもあるが……」
 否定しろよ、と突っ込みたい気持ちをかろうじて押さえるのは、こんな男だとわ
かっている望美だから出来た芸当だろう。
「お前、休みはいつまでだ?」
「は?」
 あまりに唐突で、さすがにこれにはどう反応して良いのかわからない。
「いつまでだ?」
 答えない望美に幾分焦れたような知盛が重ねて聞く。
 こんな風に急かすのは、彼にしては珍しい。
 いや、ほとんどないと言って良いぐらいだろう。
「9日、までだけど」
 一体何事かときょとんとしたまま答えた望美は、もう、逃げようとしておらず、知
盛も腕の力を抜いた。
「じゃあ、8日、9日と空けておけ」
 その代わり、長い髪を指先で遊ばせる。
「なんで?」
 不審気な声に、どこまで信用がないのか言われたようで笑いたくなるが、どうや
ら先ほど気分を害したらしい事を思い、唇に笑みを刷くだけに止めた。
「行きたくないのか? 初詣」
 決定的な言葉に、望美の身体はパッと向きを変える。
 その動きに手からすり抜けた艶やかな手触りが惜しかったが、驚きと歓喜の混
じった瞳に免じて、もう一度手を伸ばす。
「行ってくれるの? って、あれ? もしかして泊まり?」
「そうなるな」
 またしても疑問を浮かべた顔に手を添え、耳からかきあげるように指で梳く。
「食ってるぞ」
 すいと指を通すと、唇から線を描いて微かに濡れた感触のする一筋が手の中に
落ちた。
 その微かな温もりだけで、ぞくりとする。
「あ、ありがと」
「この近辺でないところへ行くからな。どのあたりがいいか……」
「わざわざ?」
「嫌か?」
「ううん、嬉しい。でも」
 どうして、と繋がる言葉はわざと塞いだ。
 言える物か。
 自分の知らぬ少女の気配が色濃く残る土地に、柄にもなく嫉妬しているなど。
 きっと唇を離せば、酒臭いと怒るであろう。
 それさえも、楽しく思えるのだから、共に過ごすのを厭うわけがないというのに。
「姫始めを、先に済ませてしまうとするか」
 あざとい笑みにこれ以上ないほどの情をのせ、薫りに酔ったか、とろりとした視
線を向ける望美の肢体に手を伸ばす。
 こんな正月も悪くないと思いながら。
188前スレ503:2006/01/05(木) 11:21:23 ID:uq9y4+F3
以上です。
今年一年、よいスレであります様に。
でも一発目からエロなくてゴメン_| ̄|○ <チカラブソク
189名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 18:44:42 ID:DcQ3l3pb
ホシュ
190名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 00:45:45 ID:26WCvXFJ
餅を口ん中入れてもごもごさせてるチモ、モエーモエー
前スレ503さんのチモってどうしてこうツボなんだー。
191名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 01:50:54 ID:/4VJe7iK
503GJ!
192名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 00:05:15 ID:WNY+teCc
こんな甘い知望って珍しい
いつもはケモノだとかハモノだとか変態だとかから離れねーからなw

幸せそうでこっちまで嬉しくなりました。GJです。
193前スレ503:2006/01/11(水) 17:26:17 ID:dEUgxGMx
前スレのスウェット知盛の続き投下します。

知盛×望美で
またしてもエロなし。
194前スレ503(1/3):2006/01/11(水) 17:27:13 ID:dEUgxGMx
「怒るほどの事か。それとも、神子殿は俺を妬かせたいのか?」
 はめられたのは自分であるというのに、知盛の関心は望美とは全く違うところに置

かれているらしい。
「は?」
 何の事を言っているのか不思議で仕方がないと訴えてくる瞳に、知盛は苦い笑いが

こみ上げてくる。
「俺の腕の中で、他の男の名を呼ぶなど。煽っていると……解釈するが?」
 望美にそんなつもりがないことなど、百も承知している。
「何言ってるの? 将臣くんだよ?」
 してはいるが、こうも無邪気であると、その唇を喰らいつくしてやりたくなるのは

自分のせいではない。
 勝手な結論を出している知盛はすでに臨戦態勢で、望美がいくら胸を押し返して距

離をとろうとしても、無駄な抵抗でしかなかった。
「その名が、お気に召しているのか?」
「もう、違うってば」
 尖らせ不服を訴える鮮やかな赤さが何よりの誘惑なのだが、それはもう少し、あと

少し待った方が甘くなると、知盛は知っている。
「では聞かせて頂こうか。お前が呼ぶべきは、誰の名か」
 じっとりと絡みつくような視線に晒されて、何も触れていない唇がにわかに熱を持ち始めた。
 それは多分、望美もまた待ち望んでいるからだ。
「知盛」
 来て、と両腕を伸ばし寝癖のついたままの髪に指を入れれば、満足そうに眼を細め

た知盛が望美の唇を塞いだ。
「ん……」
 すぐに深くなるキスに、望美の唇が知盛を招き入れる為に開く。
 当たり前のように遠慮なく侵入してきた温もりに触れれば、軽くあしらわれて、奔

放に舐め回される。
 翻弄されるのが悔しくて夢中で追いかけていると、濡れてこすれる音と熱の篭った

吐息だけが耳に聞こえて、それだけで体の奥がざわついた。
 コクリと咽喉を通って行ったのは、注ぎ込まれた甘い蜜。
 けれど、もっと欲しい物がある。
 物足りないと目蓋を開けば、同じように知盛も望美を見下ろしていた。
 口内の戯れよりも、もっとあからさまな情欲をのせて。
 そして、隅々まで味わおうとするぬめりは、もっと奥へと伸びてくる。
 その執拗さに頭の中まで蹂躙されそうで、もつれたように絡み付くのを髪を振り乱

して何とか逃れた。
「もう、降参か?」
 はずれたのを惜しむように、知盛は自分の唇を指でぬぐった。
 まだまだこれからだ、と。
「ふ……ぁ」
 だが、望美は痺れたように言葉を発することも出来ず、ただ、知盛の裸の胸に頬を

寄せ、足りなかった酸素を行き渡らせるだけ。
 一方知盛は、力を失った望美をそのまま支えながら、邪魔な服はさっさと脱がせて

、遮る物のなくなった華奢な肩に淡い花を咲かせる。
195前スレ503(1/3):2006/01/11(水) 17:28:43 ID:dEUgxGMx
 肩から浮き出た鎖骨へと唇を移動させながら、引っかかっていたブラを取り去り、
もうすっかり全てを預けている体を組み敷いた。
 白い柔肌は手を添えれば吸い付くような滑らかさだが、内包している瑞々しさが中
から拒むように知盛の指をはじく。
 それが、ことさら少女を敏感にさせているのだろう。
「そういえば、まだ途中だったな」
 撫でるように腰から大腿へ手を下ろしていくだけで、望美の柳眉が切なそうに寄せ
られた。
「なに、が?」
 見上げた男が何を言っているのかわからぬままに、冷たいシーツと熱い体に挟まれ
て、背筋をかけた寒気はどちらに反応した物か。
「着替えだ。俺の服を脱がしてくれるんだろう?」
 濡れそぼった望美の下唇を、薄く笑った口が食む。
 口付けとは違う、一方的に敏感な皮膚を舐められる行為は、少しも容赦していない
視線が間近にあるため、他のどの部分への愛撫よりよけいに淫靡だ。
「脱がせて、欲しいの?」
「ああ、ぜひとも」
 合わせた瞳に映るのは、紛れもなく互いを求めている姿。
 隠しもしない本能に、淫らだと眉をひそめる人もいるかもしれない。
 けれど、それが何より自分たちの本質だと知っているから、望美の腕はためらわな
かった。
 持ち上げた手を、硬い筋肉に覆われた背から引き締まったわき腹へとおろして行く。
 すると、指先に引っかかったのは、思った通りの伸び縮みするスウェットの腰回り。
 無駄な肉など全くついておらず、申し分ない体躯を包んでいるのに。
 それがなんだか情けなくて、笑みがこみ上げてくる。
「やっぱり、おかしいよ」
 望美の動きの妨げにならない程度に、ゆるく肩や首筋に唇で愛撫を降らしていた知
盛が不審気に顔を上げた。
 それは、認めるのは癪だけれど、どこからどう見ても文句の付けようのない、整っ
た顔だ。
 でも、望美が脱がせようとしているのは、ゴム入りズボン。
 試しに中に入れた手を広げてみれば、当然のことながら、びょんびょんと伸びる。
 そのあまりに激しすぎるギャップが、望美には妙にツボに入ってしまった。
「駄目。笑っちゃう」
 くすくすと体を震わせて笑う望美に、知盛の興も削がれる。
 なんとなくこのまま事の及ぶのが、馬鹿馬鹿しくなって来たのだ。
 体の下にいる望美の瞳を覗き込んでも、そこにはただ、無邪気な色があるだけ。
 これでは自分ばかりががっついているようで、どうにも面白くない。
「なるほど。この格好では、お前を『その気』にはさせられぬらしいな」
 大きな大きな溜息をついて、知盛は本日二度目となる中断をせざるを得なかった。
「え、どうしたの?」
 どうしたじゃない。
196前スレ503(3/3):2006/01/11(水) 17:31:01 ID:dEUgxGMx
と、出かかった言葉を飲み込んで、まだおかしそうに笑っている望美をベッドに残
して、知盛はのっそりと立ち上がった。
「今日はやめだ」
 燻る熱はまだ残っている。
 だが、こうも何度も止められると、投げやりにもなろうというもの。
「あれ? いいの?」
 誰のせいだと思っているのか。
 思わず睨みつけた知盛だったが、責めるほどでもないと代わりに脱がせた服を
放り投げた。
「さっさと服を着ろ」
 見事に顔にぶつかったそれに、望美の機嫌が悪くなる。
「ちょっと、乱暴にしないでよ」
 怒りながらこちらに背を向けて服を身に着ける姿に、性懲りもなく手を伸ばして
しまいそうになって、舌打ちひとつで誤魔化した。
 あの調子では、今日一日は思い出し笑いなどもされるだろう。
 その度に止められる方が、堪らない。
「まったく……」
 脱がせるように仕向けられたのはよかったのだが。
 これではいただけない、と思いながら着替えに手を伸ばした知盛は、鋭い声に
動きを止めた。
「知盛! ストップ!」
 見ればベッドの上の望美が、中途半端に服に袖を通したままで固まっている。
「どうした?」
「その手に持ってるのって……」
 見据えられた視線の先。
 まさか、と思う。
「……有川だ」
「やっぱり!」
 なにやら知盛には理解し難い価値観で、少女は怒り心頭。
 服をきちんと着る間もなく、取り出した携帯を睨むようにして誰かを呼び出して
いた。
 やはり今日は、そういった巡り会わせだったようだ。
 けんけんと電話口に向かって怒鳴る少女を横目に、知盛はごろりとベッドの上
に寝転がった。
 着るに着れない服を片手に。

 ちなみに知盛が手にしている着替えは、望美にとっては学校で見慣れすぎて
いる不吉な柄であった。
 その胸元には「有川」の刺繍が。
197前スレ503:2006/01/11(水) 17:33:09 ID:dEUgxGMx
以上です。
動きがなかったので、どうかとも思ったんですけど
エロなしでも投下させてもらいました。
御粗末さまでした。
198名無しさん@ピンキー:2006/01/11(水) 19:10:55 ID:zOeO25UV
十分にエロかったです。ありがとう本当にありがとう。

てか芋ジャーw
チモの擬音「のっそり」ってサイコー
いわゆる世間様のチモもカコイイのですが
あの喋りから想像させられる、鷹揚さが
前スレ503さんの文章にはすごくあって自分にはツボだす。

探せば色違いのジャージ(譲の)があったりしそうだこの部屋。
199名無しさん@ピンキー:2006/01/11(水) 23:46:26 ID:rn7TZtzF
むしろ譲のジャージを着ているに3,000点
丈が足りなくてつんつるてん
200名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 01:15:59 ID:4MqwQ2Wg
最近のジャージは自分の高校時代よりは幾分マシになってるのだろうか・・・
譲の学年カラーが鮮やかな緑とかだった日にはもう。
201名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 01:25:03 ID:k2WZLWgH
ステキジャージにステキ私服…
譲に幸あれorz
202名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 11:05:32 ID:XqQCyOHa
>>200
漏れの高校の頃のジャージは、男女ともに蛍光緑だったぞw
203名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 11:52:45 ID:4MqwQ2Wg
青、エンジ、緑ってなとこかね
204名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 12:11:04 ID:roaAhPPa
3本編の衣装から察するに、小豆色だよな<ジャージ
205名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 12:13:42 ID:4MqwQ2Wg
あれは中学の時のジャージだったりして
206名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 18:14:13 ID:3M2D+Ydv
知盛+餅+芋ジャージ=萌え(*´Д`)ハアハア
503あんたすげーよ
207名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 22:19:00 ID:X5pwIrfW
>>198>>206
(゚∀゚)人(゚∀゚)人(゚∀゚)ナカーマ

オンでもオフでもイイから
どこかで503に出会いたい
まさか2chでこんな気持ちになるなんて思ってもなかった

ついでに自分の高校はオレンジジャージだ
近隣からはみかん色と呼ばれていたさ
208名無しさん@ピンキー:2006/01/13(金) 00:26:37 ID:DHfIeDbm
自分も会いたいよ……でもここでこっそり応援しておく。

話の流れで自分とこのジャージが譲の頭と同じ色だったのを思い出した…。
着たら両方蛍光グリーンで眩しそうだ。
209名無しさん@ピンキー:2006/01/13(金) 14:25:40 ID:iu3SOz2j
なんか緑色の物体が近づいてくると思ったら譲でした。という事にw
210金澤×日野 ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 17:53:55 ID:8PemneFV
遙かなる時空の流れを断ち切ってコルダ投下。
金澤×日野、砂吐きゲロ甘同人ファンタジー全開のはじめて物語。
引っかかる方は、鳥かIDでNG指定よろしこ。
211金澤×日野(1/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 17:54:44 ID:8PemneFV
 アレグレットの靴音が、青空に吸い込まれていく。
 香穂子が駆けているその路地は、金澤のアパートへの近道だった。
人通りも少ないし、来るならせめて大通りから、と金澤はいつも言うのだが、
香穂子がそれを聞き入れたことは一度たりとてない。
『だって、ここを通ってくれば、先生の部屋のテラスが見えるじゃないですか』
 部屋の様子も分かるし、何よりできるだけ早く顔を見たいのだと笑って、
金澤のため息を誘うばかりだ。
「どうにかならんもんかなぁ……」
 呟いて、金澤は煙草をくわえ直す。そのテラスへと続く窓を開け、窓枠にもたれた
体勢のままで。
 人気のない道をやってくる香穂子のことは心配だが、堂々と送り迎えができる
身分でもない。それならせめて見守るくらいは──そんな思いから生まれた習慣
なのだが、外から金澤の姿が見えるせいで、結局のところ香穂子に裏道を選ばせて
しまっていることに、金澤自身は気づいていなかった。
 そして、今日も今日とて、行く手に金澤の姿を見つけた香穂子は、そこからは
全速力で走ってやってくる。呼吸や髪、衣服の乱れなどは一切気にかけずに。
「お邪魔しまーす」
 解錠しておいた玄関のドアを開け、ひと声かけて靴を脱ぎ始める。その声を合図に、
金澤は火の点いていない煙草を携帯灰皿に押し込んだ。それから少し考えて、
香穂子が苦い顔をするのは承知の上で、わざと携帯灰皿をテーブルの上に置いてみる。
 案の定、上がり込んできた香穂子は、金澤の手元を見て小さく眉をしかめた。だが
それも一瞬のこと。小さく息が吐き出された後には、仕方がないとでも言いたげな
苦い笑みになる。
 灰皿の贈り主が、他ならぬ彼女自身だからだろうか。喫煙の痕跡を責めるでなく、
かといって許容している訳でもなさそうなその反応を、金澤は勝手にそう解釈していた。
212金澤×日野(2/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 17:55:20 ID:8PemneFV
「冷蔵庫、借りますね」
 勝手知ったる他人の家。言うが早いか、香穂子はキッチンへと足を向けて、
コンビニ袋の中身を冷蔵庫に移しはじめる。ちらりと見えた中身はペットボトルの
緑茶が2本。毎回毎回律儀なことだ、金澤は小さな苦笑を香穂子の背中に向けた。
 趣味は料理だが、美味い料理に合う飲み物も、金澤の家には常備されているのだ。
コーヒーも紅茶も酒も──最後はさすがに、香穂子に出すわけにはいかないが。
「コーヒーでも淹れるか。お前さんも飲むか?」
「あ、それはちゃんと別に」
 冷蔵庫を閉めて振り返った香穂子は、金澤の問いかけに答えると、ごそごそと
自分のバッグを探る。目当てのものはすぐ見付かったとみえて、香穂子は嬉々と
した様子で金澤を見上げ、次いでバッグの中からミニサイズのペットボトルを取り
だした。両手に持ったそれを金澤に見せながら、満面の笑みを浮かべて口を開く。
「じゃーん! 限定ゆずはちみつミルクティー!!」
「……いつも思うんだが、お前さんはどこでそんなものを見つけてくるんだ?」
「え、コンビニとかで普通に」
 あまりにも微妙なその商品名に、金澤はどこか遠くを見るような目つきになった。
だが香穂子は気にした様子もなく、平然とオレンジ色のキャップを捻る。そうして、
飲み口に鼻を近づけてくんくんと臭いを嗅いでから、意を決したようにボトルを傾け、
中身を口に含んだ。
 こくり。細い喉が上下した一瞬あとに、柚子の匂いが金澤の鼻腔を刺激する。
「で、ご感想は」
「んー、微妙だけどまずくはない」
 問われて香穂子は、小さく首を傾げて答える。
「柚子の匂いがするでしょ。でも飲んだら甘くて、甘いなって思ったあとにまた柚子の
匂いが鼻に」
 身振りを交えながら、香穂子は感想をどうにか金澤に伝えようと試みる。だが、
金澤の手がひょいとそれを遮った。香穂子の手からペットボトルを取り上げ、自分の
口に運ぶことで。
 あ。香穂子の間抜けな呟きが、喉仏の動きに重なった。
213金澤×日野(3/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 17:55:52 ID:8PemneFV
「……なるほど、こりゃ甘いな」
 直後、金澤は嘆息と共に低い呟きを吐き出した。
 だから言ったのに。言いつのる香穂子に苦笑とペットボトルを返して、そのまま
金澤はキッチンへと向かう。湯を沸かしてコーヒーを淹れるために。
 だが、香穂子の手がそれを押しとどめた。金澤のシャツを掴んでくいと引き、
自分に注意を向けさせる。そうして、金澤が立ち止まって振り返るのを待ってから、
自分は俯いたままで口を開いた。
「先生のばか」
「何だ、いきなり」
「いきなりなのは先生のほうじゃない。こんな、その」
 ──間接キス。
 消え入りそうな香穂子の声は、それでもしっかりと金澤の耳に届いた。
 意外な言葉に驚いて、金澤はまじまじと香穂子を見つめる。よく見れば、俯いた
せいで表情は隠れているものの、耳も薄着の胸もとも、目に見える香穂子の肌は
見事に真っ赤だった。
(しまった)
 ここまで免疫がないのか、こいつは。金澤の脳裏をそんな考えがよぎる。いや、
何もしてないんだから免疫なんざつきようもないんだが、それでもたかが間接キスだ。
学生どうしで普通にやることじゃないのか。
 だが、既にやってしまったことはどうにもならない。これからはもっと気を遣わんと
なぁ、と結論づけて、金澤は香穂子の手からペットボトルを取り上げた。
 香穂子がハッと顔を上げる。向けられた不安げな瞳に、金澤は穏やかに笑いかけて、
おどけた調子で口を開いた。
「んじゃ、これは俺が責任持って飲んでやるから。お前さんには普通のミルクティーを
淹れてやろう」
 論点をずらした答え。金澤にできるのは、そうやって逃げることくらいだった。
214金澤×日野(4/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 17:56:24 ID:8PemneFV
 本音を言えば、恥じらう香穂子の姿はかわいらしかったし、もっとそんな姿を見たい
とも思う。だが、こうして特別な関係になったとはいえ、いまだ教師と生徒でもある以上、
それは踏み越えてはならない一線だ。大人なのだから、その線引きは自分がして
やらなければならない。
 衝動を抑え込んで、金澤はキッチンへ向かおうとする。だが、香穂子の指は
相変わらず金澤のシャツを掴んだままで、それ以上離れることを許さなかった。
「日野」
「いや」
 それどころか、ますます指先に力を込めて、金澤を引き留めようとする。
「なんだ、カフェオレのほうが良かったか? それとも」
「そんなことじゃなくて」
 じゃあどんなことだ。答えの分かり切った疑問を、金澤は口にすることができなかった。
答えを求めれば、自分にも相応の態度が求められる。
 ──大人だから、なんてのは言い訳に過ぎない。意気地がないだけだ。先へ進む
勇気も、なかったことにしてしまう思い切りも。
「そう言われてもなぁ」
 だから、曖昧な拒絶だけを返して、香穂子に察してもらおうとする。
 そんな金澤の意図を汲むつもりは、もちろん香穂子にはなかったのだが。
「大丈夫。だから、私」
「日野」
「先生、私を甘く見てるでしょ」
 頬を染めたまま、それでも香穂子は背伸びをして、金澤の顔に自分のそれを
近づける。金澤が慌てて押しとどめようとしても、香穂子の空いた手はそれをさらに
抑え込んだ。取り上げるんじゃなかったか、手の中の熱を金澤は苦々しく思う。
「そりゃさっきは驚いたけど。……覚悟、できてるから」
 香穂子の言葉は、耳より先に唇に届いた。続いてやわらかな感触。唇を押しつけ
られたのだと、近すぎて焦点の合わない視界で金澤は気づく。
 接触はほんの一瞬で、香穂子の唇はすぐに離れていった。
「男のひとの家にひとりで来るのがどういうことかくらい、分かってる」
215金澤×日野(5/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 17:56:55 ID:8PemneFV
 それが覚悟か。金澤は内心で苦々しく思う。香穂子は嘘をついているつもりは
ないのだろうが、言葉と実際の反応にあまりにも差がありすぎる。
 こんな拙いキスで、抱かれる覚悟はできていると言われても、まるで説得力が
ない。
 真っ赤になりながらも目を逸らさないあたりは、よく頑張っていると思うが。金澤は
内心で嘆息して、この事態を収拾する方法を考えはじめる。
 いっそ本気で抱いてしまおうか。過激な考えは即座に却下した。だが、それ以外に
香穂子を納得させる方法となると、これがなかなか思いつかない。女子高生のよく
回る口に、金澤は勝てる自信がなかった。
(──仕方ない。これくらいは)
 ならば。次善の策として浮かんだのは、これもまた実力行使に近かったが、それ
くらいはしないと香穂子はまず納得しないだろう。そう自分に言い聞かせて、金澤は
香穂子の手を振り解き、骨ばった指先で香穂子の顎を持ち上げる。
 今度は目を閉じて触れた唇は、やはり柔らかくふっくらとしていた。その合わせ目を
舌先でなぞると、ひゅっと唇の両端が引き結ばれる。だが構わず、強引に舌を
ねじ込んだ。同時に指先を後頭部に回し、香穂子が逃げられないように固定する。
「ん……っ、」
 きつく吸い上げてやると、歯列は簡単に道を空けた。金澤の舌は遠慮なくそこへ
割り込んで、口蓋をざらりと舐め上げる。くぐもった水音がふたりの脳裏に響いた。
 金澤のシャツを掴んでいた香穂子の手が滑り落ちる。そこでようやく、金澤は唇を
離し、香穂子を解放してやった。途端、へなへなと香穂子の膝が崩れ落ちる。
「これに懲りたら、覚悟なんて簡単に言いなさんな」
 皮肉げな笑みを浮かべて、金澤はぽんと香穂子の頭を叩く。そうして、今度こそ
湯を沸かすべく、キッチンへと体を向ける。
 ──はずだった。
「日野」
「へいき、だから」
 そうできなかったのは、香穂子に触れられたからだった。
 スラックスに小さなしわをつくった指先。ただ触れているだけで、何の強制力も
持たないそれに、だが金澤は確かに引き留められていた。
「はなれないで。もっと──そばに、きて」
216金澤×日野(6/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 17:57:26 ID:8PemneFV
 どこから自分は道を踏み外していたのだろう。
 硬直したままで金澤は思う。挑発に乗ったせいか、気を抜いて間接キスなんか
したのがまずかったのか。香穂子がここに来ることを許した時か。
 まだ多くはない香穂子との思い出が、次々と脳裏に甦ってくる。そのどれもが今の
状況を導き出した原因にも、そうでないようにも思えた。いっそ出会ったこと自体が
原因かと、ファータに責任転嫁してみる。コンクールがなければ、こんな想いを抱く
ことはなかったのだと。
 だが、それを今更掘り返したところでどうしようもない。
 賽は投げられた。そして、もう目を変えることはないのだ。
「……日野」
 今日4度めに呼んだ名前は、明らかに今までとは違う響きをもっていた。それを
敏感に聞き取って、香穂子がゆっくりと顔を上げる。
 真っ赤な顔は、笑みの形に歪められていた。
「覚悟ってのはな、そう生やさしいもんじゃないぞ。……言葉にも態度にも、絶対に
出しちゃいけない」
「そんなの、最初から」
 どこか苦々しい顔で、金澤はゆっくりと香穂子に語りかける。だが香穂子は、
前置きはもううんざりだとばかり、その言葉を遮った。
「私がここにいる時点で、そんな線は越えてきてるんだから、もっと進んだって同じ
ことじゃない」
「お前さんの屁理屈には、ときどき感心するぞ」
「茶化さないで」
「おいおい、これでも誉めてるんだぞ」
「嘘ばっかり」
「嘘じゃない」
 金澤は畳に膝をつき、同じ高さからまっすぐに香穂子の目を見据えた。いつになく
真面目なその表情に、香穂子の心臓がトクンと音を立てる。
「よくもまあ、次から次へと俺の理性をぶち壊してくれるもんだ」
217金澤×日野(7/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 17:57:57 ID:8PemneFV
 ──それって。
 問うよりも先に、香穂子は唇を塞がれていた。
 はじめは軽く触れるだけ。だが、あまりにあっさりとしたその接触に物足りなさを
覚えて、香穂子は金澤の唇を追う。からかうように金澤が舌を出して、香穂子の唇を
ぺろりと舐めた。
 ぴちゃり。ふたたび唇どうしが触れ合って、軽い水音が立つ。だが、それを気に
かける間もなく、金澤の舌が侵入してきて、香穂子の意識はかき乱されていった。
 器用な舌先が、丁寧に口腔をまさぐっていく。その感覚だけでいっぱいいっぱい
なのに、かき回されるぐちゃぐちゃという音が、酸素と一緒に脳へダイレクトに届いて、
香穂子の羞恥心を煽った。
「んふうっ」
 その上に、衣服の上から胸をまさぐられて、たまらず香穂子は小さくうめく。
 ふくらみの大きさを確かめるように、骨張った指が広げられる。かと思えば、すっと
布地を滑った中指が、胸の頂をかすめていった。その瞬間、身体に電流が走ったかの
ような刺激に見舞われて、たまらず香穂子は唇を離し、息を継ぐ。
「あんっ!」
 こぼれ出た高い声に、驚いたのは香穂子自身だった。こんな、雑誌の体験談とか、
こっそり読んだそういうマンガみたいな。そんな声が本当に出るなんて、知らなかった
のだ。
 金澤とて驚かなかったわけではない。だが、場数のぶんだけ立ち直りも早く、
そしてどうすればいいのかも心得ていた。
 香穂子の様子に全神経を集中させ、少しでも反応が見られれば、そこを重点的に
刺激する。その繰り返しで金澤は香穂子から嬌声を引き出し、かわりに身体の力を
奪っていった。
 そして、熱を上げた身体から衣服を取り去ろうとして、そこでふと気づく。
「あー……そうか、ちょっと待ってなさい」
218金澤×日野(8/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 17:58:28 ID:8PemneFV
「……せん、せ?」
 香穂子を組み敷いた体勢から、金澤は上半身を起こす。急に開いた距離に、
香穂子が不安げな声を上げた。それを宥めるように軽く髪を撫でて、金澤は努めて
穏やかな口調で話す。
「畳だからな。このままだとお前さんがすり傷だらけになる」
 それに、このままでは余裕がなくなりそうだ。理由の後半は呑み込んで、金澤は
布団を取りに立とうとした。せめて敷き布団だけでも出してやった方がいいだろう。
 だが、その動きはまたしても、香穂子の指先に引き留められる。
「いや」
「おいおい、すり傷なんか作ったら演奏にだって」
「はなれるのは、いや」
 金澤の弁解は、言い切る前に遮られた。それもとびきりの破壊力で。
「……お前さん、あんま可愛いことを言いなさんな」
「え、」
 やれやれ。金澤は心中で呟いて、それからバサリとシャツを脱いだ。そうして、
香穂子を促して少しだけ背中を浮かせ、その隙間に脱いだばかりのシャツを滑り
込ませる。香穂子の方から足のつけねくらいまでなら、これで何とかまかなえるだろう。
 それからようやく、金澤の手が香穂子の衣服の下に滑り込む。裾をたくし上げ、
露わになった肌にキスを落とすと、香穂子の身体がぶるりと震えた。決して寒さの
せいではなく。
「ひゃ、あんっ」
 ゆっくりと肢体が暴かれていくのを、香穂子は恥ずかしくも、もどかしくも思う。金澤の
手が優しいのは嬉しいけれど、じっくり見られているようで落ち着かない。けれど、
完全に裸にされてしまえば、それもやっぱり恥ずかしいのだろう。熱に浮かされた頭で
そんなことを考える。
 そんな香穂子の心を知ってか知らずか、秘所を覆う布一枚を残して、金澤の手は
動きを止めた。
219金澤×日野(9/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 17:58:59 ID:8PemneFV
 先生。香穂子が呼ぼうとした矢先、静かに唇が重ねられる。
 それは今までのどれとも異なる口づけだった。挑発でも警告でも、かといって
ただの接触でもなく──言うなれば、合図。
 仰向けに寝転がっているせいで、少しばかり形のくずれた胸を、金澤の手は
整えるように揉む。その感触と、指先から直に伝わってくる熱が、さらに香穂子の
体温を上げた。どうにかそれを逃がそうと、汗と、意味をもたない音の羅列を香穂子は
こぼす。
 そして、もちろんそれだけではなく。
「ああっ!!」
 白い肌を滑り落ちた指先が、薄布ごしに茂みをなぞる。そこは既に、隠しきれない
ほどの熱と蜜を孕んでいた。
 ひときわ高い嬌声とともに、香穂子の背が弓なりに反る。その反応に金澤は、
興奮と共に奇妙な安堵を覚えていた。少なくとも、緊張で感じないということは
なさそうだ。それより先は、自分の腕と香穂子の体質次第だが。
 薄布をわずかにずらして、金澤の指が香穂子の秘所を探る。大小の花びらに
守られた狭い入口を探し当てた頃には、指先はすっかり香穂子自身の蜜に濡れて
いた。
 だが、それを生み出す蜜壺は、いまだ固く閉ざされたままだった。わずかに指先を
押し込んでみると、ぎちぎちと容赦なく締めつけてくる。これではまだ早いと、金澤は
あわてて指を引き、少しばかり前へと滑らせた。中指と人差し指、2本の指が、ほどなく
香穂子の肉芽を探り当てる。
「っ──!!」
 組み敷いた身体ががくがくと震える。痛いか、質問には首を横に振って返された。
それに少しだけ安心して、金澤はわずかに指先を動かす。弱く、ほんとうにかすかな
刺激だけを与えられるように。
 それでも、香穂子の反応は金澤の予想を超えていた。こらえるように四肢を突っ張って、
なのに顎だけが耐えかねたように天井を向いている。声は既に出ないと言うよりは
出せないといった様子だった。ただ口を開いて、時折ひきつったような音をこぼす。
220金澤×日野(10/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 17:59:31 ID:8PemneFV
 気持ちいいか、とは聞けなかった。ここまで分かりやすい反応をもらっておいて、
そこまでやると言葉責めの域だ。それに、またどんな爆弾を投下されるかも分からない。
 そうなってしまえば今度こそ、金澤は自分を律する自信がなかった。
 こうしている時点で手遅れなんだろうが。自嘲気味に思いながら、金澤は一気に
香穂子の下着を取り去る。恥ずかしさにか、すらりとした脚を閉じようとする仕草は、
両脚の間に膝を挟むことで邪魔をした。そうして、無防備に晒されたそこへと、今度は
顔を近づける。
「やっ……あ、ああっ!!」
 香穂子は腰を引いて逃げようとするが、金澤が両脚を抱えたのが先だった。秘所を
襲った熱い感触に、香穂子はふたたび甘い声を上げる。金澤の腕の中で、抱え込んだ
両脚がびくびくと暴れた。
 ぴちゃぴちゃといやらしい水音が香穂子の耳に届く。香穂子自身がこぼした蜜と、
金澤の唾液が交じり合った音だ。それらが混じり合って香穂子自身を汚し、だが
香穂子に伝わる刺激を緩和している。
 金澤は何も言わない。言えばそれは香穂子の羞恥を呼び起こしそうだった。だから
ひたすら、舌で香穂子の快楽を引き出すことに専念する。
「あ──はぁっ……、やっ、も、いあああああっ!!」
 香穂子がそれに屈するまで、そう時間はかからなかった。
 びりびりと、強い痺れが広がって、香穂子の身体をけいれんさせる。全身がまるで
火のように熱く、触れられれば痛みを感じるほど敏感になっていた。
「……はぁ、っ……あ……」
 荒い息をつく香穂子は、焦点の合わない瞳で天井を見上げている。それを気遣って
金澤は声をかけ、畳の上に広がった髪を優しく撫でた。途端、そこにも神経が通って
いるかのように、香穂子はびくりと身体を震わせる。
 少しの間は、触らずにおいたほうがいいか。そう判断して、金澤は香穂子の上から
身体を退ける。香穂子の膝が崩れ、日に灼けていない脚が畳の上に投げ出された。
無防備なその姿に、金澤の下半身が強い疼きを覚える。
221金澤×日野(11/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 18:00:04 ID:8PemneFV
 ここでやめておくべきじゃないのか。金澤の中の冷静な部分が、ふと浮かび
上がってくる。最後までやらなくても、これだけ乱れさせることができれば、最初と
しては上出来だろう。
 けれど。金澤の本能は正直に、そして冷静に動いて、クロゼット下の引き出しを
開けさせる。
 使うこともないだろうと思いながら、いつだか買っておいたコンドーム。
 それを役立てる日がこんなに早く来るなんて。ビニールのパッケージを引き開け
ながら、自嘲気味に金澤は思う。
「……せんせ」
 その背中に、細くたよりない声が投げかけられた。
 倒錯的だ。そうは思っても、今さら止まることなどできはしない。小さな箱から取り
出した避妊具を、ひとつだけ切り取って金澤は振り返る。視線の先では、金澤の
シャツの上に身を横たえた香穂子が、必死に顔を金澤の方へ向けようとしていた。
「大丈夫か、お前さん」
「ん、すこし落ち着いたから……ね、」
 弱々しい声に招かれて、金澤はふたたび香穂子のそばに腰を下ろす。髪を梳いて
やると、香穂子は嬉しそうに目を細めた。
 と、唐突にその指先に香穂子の手が触れる。
「どうし、」
「もっと近くにきて。──やめない、っあ」
 香穂子の望みは、すべて言葉になることはなかった。金澤の指先に耳をくすぐられた
せいだ。いちど高みへとのぼりつめた身体は、そんな小さな刺激でも、すぐに鋭敏さ
を取り戻す。
「お前さんはよっぽど、俺を堕落させたいとみえる」
 そんな香穂子の反応は、金澤を煽るには十分だった。言うが早いか香穂子に覆い
被さり、濃厚なキスを仕掛ける。その間にも右手は下肢を這い、いまだ湿り気を帯びて
いる叢をまさぐった。
 亀裂をなぞると、指先に蜜がからみついてくる。それがますます指の動きをなめらかに
して、香穂子にさらなる快感をもたらした。こらえきれず、合わせた唇の隙間から、
くぐもった喘ぎがこぼれはじめる。
222金澤×日野(12/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 18:00:35 ID:8PemneFV
 頃合いを見計らって、金澤の指が蜜壺への侵入をはかる。愛液の助けを借りて、
第一関節まではどうにか埋め込んだものの、はじめて異物を受け入れたそこは、
驚いたようにきつく金澤の指をしめつけてきた。とてもではないが動かせない。だから
金澤は、無理に香穂子の中をかき回そうとはせずに待つ。
「痛いか?」
「ううん、なんか……へんな感じ」
 痛みはない。だが異物感も否めない。そんな不思議な心地で、香穂子は金澤の
問いに首を振る。
 ふぅ、と香穂子が息を吐くと、指への圧迫が少しだけ緩んだ。その隙をついて、
金澤は慎重に指先を進めていく。狭いながらも、じゅうぶんに濡れた通路は、その
動きに応えて少しずつ抵抗を弱めていく。
 けれど、それだけではまだ不十分だ。金澤は遊んでいた親指の腹を使って、さっきは
舌でこね回した肉芽に触れる。あくまでわずか、かすめる程度に。
「っや! あ、そこ、は、」
 ひときわ高い嬌声と共に、香穂子の身体がびくりと跳ねる。同時に、金澤の指を
くわえ込んでいる肉壁が、ドクンと大きく収縮した。その動きにつられて、埋め込んだ
ままの指先が、香穂子の身体の奥へと入り込む。
 金澤の中指はいまや、ほぼ根元まで香穂子の中に埋まっていた。そのことに
ちょっとした感動を覚えながら、金澤は香穂子に軽いキスを落とす。いたわりと、
少しだけ申し訳ない気持ちを込めて。
 時間をかけ、慎重すぎるほどじっくりと、金澤は香穂子の身体を開いていく。まるで
飴とムチだ、快楽にしびれた頭で香穂子は思った。心地よい刺激をエサにして、
じわじわと異物が入り込んでくる。けれど、それを嫌だとも思えない。そんな思考は
既に麻痺していた。
 ぬぷ。くちゅ、くちゅ、ずぷ。2本に増えた指の抜き挿しに合わせて、淫猥な水音が
耳を打つ。
 それに煽られたのは、香穂子よりもむしろ金澤のほうだった。そろそろ大丈夫だろうか、
だいぶ壊れかけた頭で思う。初めての香穂子のためとはいえ、やせ我慢もそろそろ
つらくなってきている。
 さて、しかしどうやって切り出したものか。答えを求めるように、金澤は香穂子の顔を
見遣る。すると、涙の薄膜の向こうから、金澤を見つめる視線に出会った。
223金澤×日野(13/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 18:01:06 ID:8PemneFV
(──もっと、近くに)
 さっき香穂子が言った言葉が、不意に脳裏で甦る。
 金澤はそっと指先を引き、香穂子の胎内から抜け出す。それが合図だった。何を
言葉にしたわけでもないのに、香穂子がゆっくりと頷く。その唇にキスを落として、
金澤は一度身を起こした。手早く衣服を脱ぎ去って、張りつめた欲望をゴムで覆う。
「無理かもしれんが、力を抜いてるんだぞ」
 香穂子の秘裂に、熱い昂ぶりが押し当てられる。今ごろ緊張を思い出したかの
ように、組み敷いた身体がこわばった。
「──香穂」
 金澤はそこへ、とっておきの爆弾を落とす。
 不意をつかれて、香穂子の思考が一瞬止まる。その隙をついて、金澤はぐいと
香穂子の中に己を侵入させた。
 指とは比べものにならない質量に、香穂子の身体が悲鳴を上げた。あるいは、
それは破瓜の音だったのかもしれない。ふと馬鹿な考えが金澤の頭をよぎる。
 初めて男を受け入れた身体は、金澤自身を半ばほどまでは呑み込んだものの、
それ以上の侵入を頑なに拒もうとする。その上、既に埋め込んだ部分までもはじき
出そうとするかのように、きちきちと強く締めつけた。
「息、吐いて」
「む……りぃっ……」
 これではさすがに、金澤のほうも痛みが先に立つ。一度抜くべきか、そんなことも
思ったが、腰を浮かせかけた途端に香穂子が「いや」と小さく首を横に振った。
「嫌ったってなぁ、お前さん……」
「だいじょぶ、だから……っと、だけ、って」
 もうちょっとだけこのままで。香穂子のその意見を拒めるわけもなく、金澤は
中途半端な体勢を強いられることになった。おかげで片手が手持ち無沙汰になって、
手慰みに香穂子の髪など撫でてみたりする。これで少しでも落ち着けばいい、
そんな勝手な希望も込めて。
 浅い呼吸をくり返しながら、香穂子はその手に意識をやる。乱暴な質量によって
こじ開けられた痛みが、少しだけ和らいだような気がした。下肢はもうじんじんという
痺れを訴えるばかりで、痛いのか苦しいのか、それさえもよく分からなかったけれど。
 ただ熱い。そして、愛しい。
224金澤×日野(14/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 18:01:40 ID:8PemneFV
「ねえ、」
 香穂子が甘く呼びかける。金澤はそれに応えて、やわらかな唇をそっと塞いだ。
 肌の触れ合う面積が増えて、また少しだけ金澤が奥に進む。だが、香穂子は
それを嫌だとは思わなかった。むしろもっと、可能な限り深い場所まで入ってきて
ほしいとすら願う。
(あー……ヤバいぞ、これは)
 一方の金澤も、香穂子の様子が変わったことにはすぐ気が付いた。
 ただ締めつけるばかりだった内壁が、圧迫を緩め、埋め込んだ金澤自身を奥へと
導くようにうごめく。あやうく達しそうなほどの快感を覚えて、金澤はあわてて下腹に
力を入れた。そうして射精感をやり過ごし、またゆっくりと香穂子の様子をうかがう。
 探り合いの視線は容易くぶつかって、小さな笑いをふたりにもたらした。だが、笑った
ことで生まれた身体の震えが、お互いの身体に刺激を与える。
 くっ、と金澤は声を漏らした。さざめくように揺れた内壁が、金澤自身を強く刺激
したせいだ。声だけでどうにかこらえられたことが、むしろ奇跡に近い。
 あ、と香穂子は声を上げた。力など抜けたはずの身体が勝手に反る。それに一拍
遅れて、いま自分は快感を覚えたのだと気が付いた。金澤自身を受け入れることで、
痛み以外の感覚を得たのだと。そう自覚して、無意識のうちに口もとがゆるむ。
「日野?」
 表情の変化を目に止めて、金澤は香穂子に呼びかける。香穂子はゆるゆると首を
横に振ってそれに応えた。そうして、訝るような表情の金澤に、少しかすれた声音で
告げる。
「も、いっかい」
 思わぬ言葉に金澤は面食らう。だが、すぐに香穂子の言わんとするところを悟って、
少しばかり頬を赤らめた。まったく、油断するとすぐにとんでもないことを言い出す。
 けれど、そんなところも含めて、自分は彼女に惚れたのだ。金澤は自分に苦笑して、
それから香穂子の耳もとに唇を寄せた。
「今だけだぞ。──香穂」
225金澤×日野(15/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 18:02:54 ID:8PemneFV
 ゆっくり、ゆっくりと、金澤が腰を押し進めてくる。
 薄膜越しにも伝わってくる熱に、香穂子はぶるりと身を震わせた。投げ出された
指先は、縋るものを探して畳の上を彷徨う。そこへ、金澤の手が重ねられた。
 身体の内も、外も、すべてが金澤の熱を感じている。そのことがやけに嬉しくて、
香穂子は指先にわずかな力を込めた。ただ重ねられている金澤の手を、しっかりと
握り返すように。
「つらかったらすぐ言うんだぞ」
 気遣いの声には首を振って、落とされたキスに目を閉じた。香穂子の身体の奥で、
ズ、と熱の塊がうごめく。
 その律動に合わせて、香穂子はまた少しずつ体温を上げ──やがて、何かが
弾けるような感覚と共に、自らの意識を手放した。
226金澤×日野(16/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 18:03:26 ID:8PemneFV
 目を覚ますと、まずコーヒーの香りが鼻についた。
 してみると、コポコポという軽い音は、コーヒーメーカーのものだろうか。ぼんやりと
考えながら香穂子は目を開けて、見慣れない天井の模様に驚く。それに慌てて身を
起こすと、下腹部にズキンと鈍い痛みが走った。思わず手で押さえてからようやく、
香穂子は意識を失う直前のことを思い出す。
 ──ああ、そうか。
 見回してみれば、そこは何度か来たことのある金澤の部屋だった。布団に寝て
いたから気がつかなかっただけで。
「お、目が覚めたか」
 物音に気づいたのか、キッチンと部屋を仕切るガラス障子の向こうから、金澤が
ひょいと顔を覗かせる。どことなく上機嫌な声音に対して、表情はやや苦々しい。
器用なものだと、香穂子は妙な感心を覚えた。
「ちょうどコーヒーが入ったところだ。お前さん、運がいいぞ」
 カフェオレでいいな。そう言って金澤は踵を返そうとする。その後ろ姿に、香穂子は
無意識のうちに呼びかけていた。
「先生、」
「逃げやせんよ。……だから、服は着てくれ」
 小さく笑って、金澤はふたたびガラス障子の向こうに消える。言われて見てみれば、
香穂子の格好はひどいものだった。身につけているのはぶかぶかのシャツ一枚、
それも嫌になるほど見覚えがある。おまけに自分で着た覚えはないときた。
 今日、香穂子を出迎えたときに、金澤が着ていたシャツだった。
227金澤×日野(17/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 18:03:59 ID:8PemneFV
「──さて」
 小さなちゃぶ台にマグカップがふたつ。ひとつはカフェオレ、もうひとつはブラック
コーヒー。
 それらを挟んで、香穂子と金澤は向かい合って座っていた。その中で、会話を切り
出したのは金澤のほう。香穂子は黙って、その続きを待つ。
「あー……まあ、こんなことの後で言うのも何だが」
「先生と私は、教師と生徒。でしょ」
 だが、あまりの歯切れの悪さに、香穂子は早口で言葉の続きを引き取った。
 まさに今言わんとしていたことを先に言われて、金澤がぽかんとした表情を見せる。
だが、それも一瞬のことで、すぐに「分かってるんなら話が早い」と片目だけを細めて
笑った。
「ったく、お前さんに好きにさせてると、秘密ばっかり増えていくな」
「嫌?」
「そういうことを聞くな、こら」
 金澤が右の拳を固め、香穂子を殴るふりをする。香穂子も、当たらないのを知って
いながら、頭をおさえてよけるふりをした。教師と生徒の、他愛のない悪ふざけ。
 と。パフォーマンスを終えてコーヒーを取ろうとした右手に、香穂子の手がふと
伸ばされる。
「日野?」
「ね、先生」
 骨張って、すこし大きな手。それをしげしげと眺めながら、香穂子は金澤に呼び
かける。
「灰皿、もういらないんじゃない?」
228金澤×日野(18/18) ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 18:04:31 ID:8PemneFV
「は?」
 予想外の展開に、金澤は今度こそ目を丸くした。
 なんでいきなり灰皿の話になるんだ。金澤が目まぐるしく思考を巡らせる間にも、
香穂子の言い分は続く。
「やめたでしょ、タバコ」
「お前さんを待ってる間、俺はタバコをくわえてたんだが、見えてたか?」
「火はついてなかったでしょ。においも残ってないもの」
「そうは言うがな、お前さんが見てないところでは」
「吸ってないでしょ」
「……なんで断言できるんだ、お前さん」
 実のところ、香穂子の言うことが正解だ。もう一度歌ってみよう、そう決意した瞬間
から、タバコは一本たりとも吸っていない。さっき、香穂子を待っていた時のように、
時折口にくわえることはあるけれど。
 だが、それを香穂子が断言できるのが解せない。そう訊ねると、香穂子は少し頬を
赤らめて答えた。
「だって、甘かったもの。先生のキス」
 ──それは柚子はちみつミルクティーとやらのせいじゃないのか、日野。
 突っ込む気力も奪われて、金澤は左手でコーヒーの入ったマグを掴み、一気に
半分ほどをガブ飲みする。いまキスしたら苦いと言うだろうか、そんなこともふと
考えた。実践する気力はなかったが。
(それに、口さみしくなんてさせてやらないんだから)
 そんな金澤を見て、香穂子が密かにそう思ったのはここだけの話。
229 ◆0ERM13gae2 :2006/01/13(金) 18:05:07 ID:8PemneFV
以上で投下終了です。お目汚し失礼致しました。
230名無しさん@ピンキー:2006/01/13(金) 18:45:40 ID:LVvng3Sc
GJ!
231名無しさん@ピンキー:2006/01/13(金) 21:05:38 ID:BD7noyVw
>◆0ERM13gae2
乙!GJ!かなり萌えさせていただきました
金日(・∀・)イイ!!
232名無しさん@ピンキー:2006/01/13(金) 21:26:11 ID:Xj1P8y3m
GJ!GJ!
233名無しさん@ピンキー:2006/01/13(金) 21:53:06 ID:+3gePP7P
GJ!
コルダ好きだー!
234名無しさん@ピンキー:2006/01/13(金) 23:02:52 ID:PulOUSP5
愛しくて甘くてねちこい金やんのエチー
b(・∀・) GJ!!
235名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 02:20:14 ID:ebZWyv+p
感動した!
最近ええ話が続いてウレシス
236名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 12:31:00 ID:amBSUSIQ
久しぶりにここきたら、
金日キテタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
GJ!!

金やん、好きだー!
237名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 19:03:11 ID:0XovG+Ds
神光臨!!超GJ!
金やんボイスで聞きたい。
238名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 22:46:16 ID:3IWDYNiq
はるか投下しまつ
朔×望美
朔半壊、片思いSSです
エチーは女同士ではやらんので、百合といっていいのか微妙ですが、嫌いな方はヌルーでおながいします。
前半はエロ無しです
239238:2006/01/15(日) 22:48:40 ID:3IWDYNiq
〜モノローグ・朔〜


あの娘が刀を手に戦場に駆け出す、その後姿を見てるだけで、気が狂いそうになる。


先程まで穏やかだった表情は一転し、瞳の奥に炎に似た強い光が宿る。
刀を振りおろす度、宙に舞い躍る長い髪。
ぴんと張り詰めた背筋。
しなやかな腕から繰り出される剣技。
どれもこれも、ゾクリとするほど美しい。

だけどあなたが傷つくのは嫌。
流れた一筋のあかい血は、戦場に立つあなたを一層きれいに飾りたてるけれど。わたしの胸は樹氷の矢で射抜かれたように凍りつき、目の前が暗黒で覆われる。

きっと、出逢ったその時から。
この目には、あなたしか映っていない。

わたしの愛しい戦神子。

あなたを無くしたら、わたしは死ぬ。
万物が陰陽で成り立っているならば、あなたが光でわたしは闇。
片方だけでは成立し得ない、対極の存在。
故に焦がれる。
自分ではどうしようもないほどに。


黒龍を失った時、わたしはもう二度と誰にも恋心を抱かないと誓った。
心の臓が芯まで冷えていくような、あの感覚。
あんな思いは二度と御免だと。
そして固い決意のもとに出家し、尼僧となった。

なのに…。

あなたに惹かれていく心を、とめる事は出来なかった。
性別なんて問題じゃない。理に背いて、天から罰を受けたとしても、怖くなんかない。

ただひたすらあなたを求めている。

好き。
好きなの。

愛してるの、望美……
240238:2006/01/15(日) 22:49:44 ID:3IWDYNiq
「あの…あのね、朔。相談があるんだけど……」

頬を紅く染めた望美が、そう切りだしたのは、夕餉の後片付けをしている時だった。
女手であるわたし達二人が炊事場に残り、肩を並べて皿を洗う、いつもの光景。
ただ、望美の様子がいつもと違う事には気がついていた。
食事の間も箸を運ぶ手を止めたままぼうっと上の空だったり、さっきは注意力に欠けて皿を三枚も割ったりした。

「なあに?どうしたの?」
優しく微笑んで、望美を見る。
戦の時とはまるで別人。もじもじと恥ずかしそうに肩を揺らす姿は、十七の普通の少女だ。

「将臣くんの事なんだけど…」

その名に、ひやりと嫌な予感が走る。

「前に、将臣くんがわたしにとって特別な人なんじゃないかって聞いたでしょ。あの時は自分でも、まだわからなかったんだけど……」

やめて。
その先は聞きたくない。
皿を持つ手が小さく震える。

「わたし…将臣くんが好きみたい。
…幼なじみじゃなくて、ひとりの男の人として」


241238:2006/01/15(日) 22:51:08 ID:3IWDYNiq
その時、わたしはどんな顔をしていたのだろう。
「………」
「?朔、どうしたの…?」近くにいるはずの望美の声が、ずっと遠くの方で聞こえる。


『将臣くんが好き』

そんなこと。
知っていたわ。
望美が自分の気持ちに気づく、もっと前から。
だってわたしは、あなただけを見ていたんだもの。
その視線の先を。熱を。
むけられている相手が、とても憎かった。

けれど一方で、安堵もしていた。
天に背いた罪で地獄に墜ちるのは、自分だけでいい。望美を巻き添えにしないで済むと。
そう思った。


「まぁ、そうなのね。勿論前面的に協力するわ。わたしは望美の味方よ」

「朔…?」
「そうと分かれば、すぐに行動に移さなきゃね。ここはわたしに任せて、望美は将臣殿のところへ行って頂戴」
「えっ…えええ―?!」
「さっ、早く早く」

半ば強引に望美を押しやり、ぴしゃりとひき戸を閉めたその刹那、涙が関をきったように溢れはじめた。

よかった。
こんな顔、望美には見せられない。

こぼれ落ちた涙の粒が、一瞬足元に黒い染みをつくり、音もなく消えていった。



242238:2006/01/15(日) 22:53:02 ID:3IWDYNiq
それから数日後。
想いが成就したのだと、望美が嬉しそうに報告に来た。
わたしは貼付けた笑顔で、終始それを別世界のお伽話のように聞いていた。
精神が事実として受け容れるのを拒否しているのか、まるで現実感がない。
今のわたしには、それだけが唯一の救いだった。


二人の仲は周囲には秘密という事になっていたみたいだけれど、遅咲きの桜が京の都で満る頃には、皆に知れ渡っていた。
望美に恋慕の情を寄せる譲が、唇を噛み締めてじっと何かに耐えている姿は、我が身を見ているようで、とても痛々しかった。
でも、彼もわかっていた筈だ。
この想いは叶わない。
愛した女が自分以外の男に惹かれていく様を、何も出来ずにただ見ているほかなかったのだから。

…彼女の、一番近くで。

243名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 00:16:14 ID:VL/3w+W2
キター(・∀・)−!イイヨイイヨ!
244名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 00:16:16 ID:BX8cBdjz
GJGJ!!!!!最近神降臨しすぎだ!嬉しい(゚∀゚)!
朔…イイ!こんな姉ちゃん欲しい…
245名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 04:00:55 ID:Qk+pW6HU
ちょぃ亀ですが、>>211-228GJでした!!金や〜んww

遥か…は2までしか持ってないけど、ここ見てたら欲しくなったw
246名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 10:50:36 ID:FqHmavMJ
>>238
GJ!
注意書き読んで、読むかどうか迷ったんだけど、
エチーはナシってことだったんで読んでみた。

読んでよかったよ、朔いいよ朔。
1も2も黒龍の神子には全然興味なかったんだが、
朔はすごく好きだ。
247名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 12:42:37 ID:EPRXAZyH
>>238
女同士のエチは無し、ってことは後半、将望エチが入るのかな?
248名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 21:43:53 ID:NSdOhZ8W
切ねぇー!
1と2の黒神子はただイライラするだけだったのが
朔はものすごく可愛くて好きなんだ。
続き期待してるよ
249名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 16:00:03 ID:A2eVcfhn
>>238
もう約四日になるが…
続きみたい
250名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 19:14:06 ID:nQfqsNxr
たった四日ジャマイカ
251名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 22:28:31 ID:cvCTsZJy
4日どころか月単位で正座して待ってますが何か
252名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 23:21:31 ID:RbS9x3uN
>>251
足が壊死するぞ。無理をせず崩しなさい。
253名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 00:05:21 ID:S8Dh20oX
師匠キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
254名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 01:55:08 ID:KBHor4AJ
わ、私の足が壊死する程度で投下があるのならば……
255名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 08:51:07 ID:jupegJps
ちょwwww
256名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 18:34:24 ID:A4iaJk8g
噴いたwww
何やってんだ玄武
257238:2006/01/20(金) 18:56:54 ID:DVzd7zZo
レスくださった皆様、ありがとうございます。
職人様達に触発されて勢いで書き込んだものの、もっと書き溜めてからにするんだったよ…スミマセンm(__)m
出来ている分だけでも投下させていただきます。
間があくと思うので、どうか豚切りでおながいします。
まだエロ入ってませんが、最終的にマサオミノゾミって事で、駄目な方はNG願います。

258238:2006/01/20(金) 18:58:04 ID:DVzd7zZo
夕暮れ。
えんがわに座って、譲が望美の為に整えた春の庭を見ていた。
西の空は茜。東の空は濃紫。
間もなく山のむこうに完全に陽が落ちる。

「ここは冷えますよ」
不意に背後から声をかけられて振り向くと、庭の手入れ主が立っていた。

「桜、もうじき散ってしまうわね」
「でも次の季節の花が咲きます」
「そうね。
…わたし達の願いは花咲く事なく、枯れてしまったけれど」
わたしは意地悪を言った。
譲は少し顔を歪ませ、
俺は枯れたつもりはありませんと呟いて、そっぽを向いた。
その横顔があまりにも幼かったので、思わず声をたてて笑ってしまった。

「なっ…なんで笑うんですか!」
「譲は真っ直ぐなのね。
じゃあ…どうするの?あなたの兄上から望美を奪う?」
「―――っ」
譲が言葉に詰まる。

「…朔が、こんなに意地の悪い人だとは思わなかったな」
拗ねたようにそう言って、手に持っていた布をこちらに寄越した。
広げてみると、それは萌黄に染められた羽織りだった。

259238:2006/01/20(金) 18:59:13 ID:DVzd7zZo
「それ、着てください。このままじゃ風邪ひきます」
羽織りは、真新しくはないけれど上等な布で出来ていて、紅糸で施された桜の刺繍が美しかった。
手先が器用な譲の事だ、どこからか古絹を見つけてきて自分で仕立て直したのだろう。
きっと、あの娘に喜んで貰う為に。

そんな彼の気持ちを思うと、袖を通すのはなんだか気が引けた。

「いいから着て下さい。明日も早くから鞍馬へ出掛けるんでしょう。
道中倒れられでもしたら、皆の迷惑だ」
察したのか、らしくもない憎まれ口を残して、譲は屋敷の中へと戻って行った。
その不器用な優しさが、なんとも彼らしい。

「―――ありがとう」

わざと譲に届かぬようにささやいた言の葉は、桜の花びらと共に薄闇の空へ吸い込まれた。
抱きしめた羽織りから、花の香のよい匂いがした。
260238:2006/01/20(金) 19:02:00 ID:DVzd7zZo
「悪りぃ。所用を思いだしちまった。俺、一旦抜けるわ」

鞍馬からの帰り道。
この近くに名湯があるので息抜きに立ち寄って行こうと皆で話をしていると、将臣がそんな事を言いだした。

「ええ〜っ…そんなぁ…」
望美ががっくりとうなだれる。
「ゴメンな。こっちも色々と面倒事が多くてな。
夕飯までには邸に戻るから、心配するなよ」
幼子をあやすように望美の髪を二、三度撫でると、ひらりと身をかえし、将臣は一人何処かへ行ってしまった。
望美はそのうしろ姿をしばらく見送っていたけれど、
「まぁ、しょーがないかぁ…。将臣くんの気まぐれは、今に始まった事じゃないし。
わたし達は温泉を楽しもうね、朔」
無邪気な笑顔でそう言って、わたしの手をとり、源泉へと駆け出した。



261名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 02:59:36 ID:myyq+ZL2
おお、結構早い段階での話なんですね。
二章あたり?
譲切ないよ譲。

ところで、投下がいったん終わったら、その旨書いてもらえるとありがたいです〜。
262名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 03:23:14 ID:i4ek12uD
続き待ってるよー!
263名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 13:27:09 ID:1tfGDP8a
>>258
朔の譲の呼び方は、呼び捨てじゃなくて「譲殿」ですよ。
264名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 13:40:37 ID:8v2vf50M
鞍馬の帰りに温泉って言うのは?
265名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 16:27:33 ID:lCoF3Kl8
鞍馬温泉じゃね?
266むた ◆rEtdWXJvJ6 :2006/01/21(土) 18:40:54 ID:R1RrcOAk
こんばんは。十六夜記の景時×望美を投下させていただきます。

・十六夜記 景時×望美 
・平泉でシリアス甘甘。ちょっと殺伐としているかもしれません。
・銀ルート終章からいろいろ捏造(銀は出てきません)。

苦手な方はスルーでお願いします。

――うん、私、絶対に諦めたりしないよ――

銀に案内された大社の上からは、平泉の雪景色が一望できる。
真っ白な銀世界。だがほどなく戦が始まれば、血が多く流され、この清浄さは失われるだろう。
吹きすさぶ寒風に長い髪を弄らせながら、望美は泰衡を振り返った。

「いいですよ、協力しても。でもそのかわり欲しいものがあるんです」

その言葉に、泰衡は意外そうな目を向ける。
こんなにあっさりと望美がこの話を飲むとは予想していなかったのだろう。
源氏の軍を焼き払う為に、陽の気の塊――白龍の逆鱗を使いたいという申し出に、諾と答えるとは。

「これは驚きだ――もう少し強情な方だと思っていたのだがな」
「私がうんと言わなくても、泰衡さんはそうするでしょう? 無理矢理にでも。
 だったら、お互いに協力した方がいいと思って」
「交換条件という訳か。存外したたかなものだな――で、見返りに何を望む?」

泰衡は僅かに笑って望美を見遣る。その視線を望美は正面からしっかりと受け止めた。
しばしの沈黙の後、望美の口から出た言葉に、泰衡はまた目を見張る羽目になった。

「私の欲しいものは――源氏の、軍奉行」
「……正気か?」
「うん、正気だよ? ねぇ、泰衡さん。あなたにはあなたの、守りたいものがあるんでしょう?」
「……ああ、そうだ」
「私にも、守りたいものがあった。今は――取り戻したいの」

そう答えて、望美は明るく微笑んでみせる――鮮やかに、艶やかに。
それはまさに、軍勢を勝利に導く戦神子の微笑み。

「もう、私は決めたの」

言って、望美は紅潮した顔を上げ、雪景色の彼方に視線を向ける。
呪術的な事は望美にはよくわからない。
だが大社の神気と、逆鱗の陽の力が互いに作用しあい、高まりあっていくのが、肌で感じられた。
それに釣られるように、自分の精神も高揚していくのがわかる。
この高揚感は、血塗られた戦いへの興奮からなのか、それとも『彼』に会える期待からなのか。
その『彼』は、平泉の入り口、奥大道にいる。梶原景時――源氏の軍奉行が、数多の兵とともに。
最後にぐっと唇を噛み締めると、望美は泰衡を振り返る。

「約束ですよ。絶対に、源氏の軍奉行を私にくださいね?」

満面の笑顔を浮かべる自分に、泰衡が少々たじろいでいるのがわかって
――それでもなお眉間の縦皺は健在であったが――それが少し可笑しかった。
思わずくすくすと笑い声が零れ、そしてそれは次第に大きくなった。
笑いが止まらない。可笑しいから? 違う――そうだ、嬉しいから。
もうすぐ『彼』に会えるから。

(景時さん、私は、絶対に)

それが嬉しいから、だから、こんなにも笑えて――こんなにも身体が震える。
もうすぐ、もうすぐだと、身体中の細胞がざわめき、囁いている気がする。
笑いながらも、望美はぎゅっと拳を握る。それは決意の表れでもあった。
一人の男の為に、修羅の道へと歩む決意の。


――絶対に、私はあなたを取り戻す――


冬の奥州は予想以上に寒かった。
まだ初冬だというのに、雪は深く、風の冷たさといったら鎌倉の海辺など比較にならないほどだ。
この牢に吹き込んでくる隙間風も、勿論例外ではない。

「――っくしゅっ」

昼過ぎからこの牢に捕らえられている男は、大きなくしゃみの後、ずず、と洟をすすった。
男の服装は、肌に張り付くほどの薄手の着衣の上に、陣羽織を羽織っているだけというもので、
いかにもこの地には相応しくない。さぞ寒かろうというものだ。

「う〜、寒〜」

緊張感もなく、その男――梶原景時はそう呟いた。
はぁ、と息を吐くと、その息は当然の如く白い。
虜囚の身であるから、当然手首は後ろ手に縛られていて、
逃げだす事はおろか、手を擦り合わせて暖を取る事すら叶わない。
この状況では、己の処遇について、つらつらと考えを巡らせる事ぐらいしか、出来る事はなかった。
薄暗い牢の壁にもたれ、景時はまた溜息を吐いた。

(にしたって、まさか捕虜になるとは思ってなかったな〜……)

正直、今生きている事に実感があまりない。
この戦では奥州を攻め落とすか、
でなければ命を落とすか、どちらかしかないと思っていたからだ。
そう、本来ならば、死んでいてもおかしくない筈なのだ。
大社から放たれたあの光の所為で、当初の源氏有利だと見られた情勢は、完全に覆った。
まず比企と千葉の軍勢が焼き払われた。
そして二度目の攻撃の折に、大社に向かった政子が捕らえられ
――彼の神を知る者としては、それもまた信じがたい事ではあったが――
一旦、退く為に陣を立て直していた所に、三度目の攻撃を受け、源氏軍はほぼ壊滅した。

(それにしても、あれは……やっぱり、望美ちゃんが……)

景時は、本陣に切り込んできた時の望美の姿を脳裏に浮かべた。
あの時の彼女の姿は、正直今思い出してみても――鳥肌が立つ。


無数の剣戟と鬨の声が溢れる戦場の中、
生き残りを束ね、兵を退く為に必死で指示を飛ばしていた時。

『どいて! あなた達に用はないのっ!』

聞き覚えのある声が耳に届いたかと思った瞬間、眼前の幔幕がばさり、と真っ二つに斬られる。
たたたっ、と一直線に駆け込んでくる足音に、慌てて銃を構えたが既に遅く。
一陣の風がざざぁっと吹き抜けた、その刹那、もう間合いに入られていた。
突きつけられた刃の先がきらり、と光る。その先には。

『やっと会えましたね、景時さん』

長い髪をなびかせ、微笑む望美が、いた。
内側から白い光を発しているかのように、眩く神々しい彼女。
自分の喉元に剣を突きつけられているというのに、一片の恐ろしさも感じなかった。
ただ、綺麗だなと、埒もなくそんな事を考えた。

『どうして、望美ちゃんが……』

そう呟いて、なんて間抜けなんだろう、と頭の隅でそんな風に思った。
源氏の軍を焼き払った、あの眩い光。あの時感じた、陽の気の偏り。
それらの意味を少し考えれば容易にわかる事実。望美が――白龍の神子が、奥州についた事。

大社からの使いが政子を捕らえたと伝えてきた時も、正直信じられなかった。
よもやあの荼吉尼天を封ずる手立てがあるとは、予想もしていなかったのだ。

(かの神を封印する手立てを、奥州は手に入れていたというのか……)

だからこそ、白龍の神子も――望美も、奥州についたのかもしれない。
そして、あの力を使った。全てを焼き払う神の光。
肉の焦げた臭いを思い出し、景時はごく、と唾を飲み込む。
あんなにも強い力を、人が使役してよいものだろうか。
本来清浄であるべき力を殺戮に用いた事で、神子に――望美に、咎はないのだろうか。
 
(それとも、神子だから、許される?)

そうであって欲しい、と景時は切に願った。
あの真っ直ぐで、揺ぎ無い瞳を持つ少女に、神の罰が与えられる事など、あってはならない。

「……望美ちゃん……」

もう何度目かの溜息を吐いて、景時がそう呟いた時、牢への入り口がきぃ、と開いた。
一人分の影が、こつこつと足音高くこちらに向かってくる。
そして、景時のいる牢の前で、ぴたりと止まった。

「神子殿に会う事をご所望か、軍奉行殿?」

ぴしり、と鞭を鳴らしてみせたその影は、奥州藤原氏の総領、藤原泰衡、その人だった。



長い廊下を泰衡は歩く。後にいる景時の事など、気にも留めていないかのようだ。
いや、呪術を得意とする彼の事だ、無防備に見えてなんらかの策を採っているのだろう。
でなければ、折角捕らえた敵将の戒めを解いた上に、背中を見せている理由がわからない。
ここは、こちらの動きを誘っているのだと考えるのが妥当だろう。手を出さぬのが吉だ。

「それが賢明だ、軍奉行殿。妙な事は考えない方がいい」

まるで景時の思考を読んだように、泰衡は言う。
廊下を曲がろうとするところで、ふと視線が合い
――不敵に笑うその顔に、景時は言いようもない苛立ちと困惑を覚えた。

「泰衡殿。一体オレを、何処へ連れて行くつもりなのか、説明してもらえるのかな」

ぴたと足を止め、苛立ちを隠そうともしない景時に、泰衡はやれやれ、といった風に肩を竦める。

「……白龍の神子殿のお召し、といえばわかるか?」
「白龍の……って」

望美が自分と会う事を願っている? ―― 一瞬、状況も弁えず心が浮き立ちそうになる。
が、景時はすぐにその想いを封じ込める。罠、かもしれない。
考えてみれば、泰衡がどのように望美を扱っているのか、こちらは知らないのだ。
自分にとっても、そして望美にとっても、弱みになるような事は晒すべきではない。

「……余計わからないな」

用心深くそう言い、首を傾げる景時を、泰衡はふ、と鼻で笑ってみせる。

「大分と鈍感なようだな、地の白虎殿は。それとも、警戒しているのか?
 ――まぁ、わからないではないがな。恐ろしい女だ、あれは」
「なっ……!」
「もう構わないだろう、軍奉行殿? 俺は忙しい。さっさと済ませてもらおう」

取りつくしまもなくそう言い放つと、泰衡は足早に先へと進む。
景時としては、最早大人しくついて行くより他になかった。


しばらく無言で歩いた後、とある部屋の前で立ち止まると、泰衡は咳払いをした。
途端、待ちかねていたかのような声が、嬉しげにそれに答えた。

「泰衡さん? どうぞ」

声の主を認識する間も無く、そのままなし崩しに部屋に通される。
比較的豪華に設えられた部屋の真ん中には、長い髪の少女。
こちらを見るとぱぁっと顔を輝かせ、立ち上がった。

(! 望美、ちゃん……)

景時の動揺には気づかなさげに、望美は泰衡と話している。
その表情は生き生きとして、どこか浮き立っている風だ。
今は戦装束ではなく、柔らかな色合いの着物を身につけている望美は、
こうしてみると普通の少女となんら変わらない。

「泰衡さん。ちゃんと約束守ってくれたんですね」
「当たり前だ。俺は一度交わした約束は守る。
 それに神子殿の機嫌を損ねて、平泉を焼き払われては敵わん」
「どんな理由でも嬉しいです。あ、じゃあ私も守りますね、約束」

はい、と、望美は泰衡に何かを手渡した。
ちらと見えた乳色のそれからは、強い陽の気が感じられる。
見覚えのあるそれは、望美が肌身離さず身につけていた、首飾りだった。

(これが――あの白い光の?)

「逆鱗、今度使う時まで、預けておきますね。勝手には使わないで」
「わかっている」

一件無造作にそれを受け取ると、泰衡はそのまま部屋を出て行こうとする。
景時は慌ててそれを呼び止めた。

「泰衡殿、これは、どういう――」
「言っただろう、白龍の神子殿のお召しだ、と。後は神子殿に訊いてくれ」」

相変わらずの仏頂面で、心底面倒だ、というように泰衡は答えた。

「さぞ話したい事でもあるのだろう。
 なにせ龍神の力の見返りに『源氏の軍奉行』を望んだほどなのだからな」



足音高く泰衡が去ってしまうと、もうこの部屋には望美と二人きりだ。
景時は困惑しきっていた。状況が読みきれない、というのもあるし、
何より、泰衡の最後の台詞が耳について離れない。

(『源氏の軍奉行』――オレを、望んだって……?)

もしそれが本当だとすると、望美は景時と会う為だけにあの力を使ったことになる。
その真偽を訊ねようと開きかけた口は、突然の事にそのまま開きっ放しとなった
――望美が、まるでぶつかるような勢いで抱きついてきたのだ。
その勢いを受け止めきれず、
よろけて座り込んでしまった景時の胸に、そのまま望美は縋りついている。

「景時さんっ……会いたかった……!」
「……! 望美ちゃ――」
「やっと、会えた……!」

望美の声は隠し切れない喜びを滲ませていて、それがますます景時を困惑させた。

『やっと会えましたね、景時さん』

脳裏に蘇る、怜悧な声。
戦場で出会った時とは、あまりにも違いすぎている。
もしかして、あれは夢の中の出来事だったのかもしれない、そう思わせるほどに。

「望美ちゃん、その、ね? 少し落ち着こう?」

とりあえずそう声をかけると、望美はこくり、と頷いて面を上げる。

「ごめんなさい……二人きりになれたから、嬉しくて」
「あ〜、うん、そっか。ありがと」

我ながら間抜けな返事だな、とそんな考えが脳裏を掠める。
が、突然手首をぎゅっと握られ、また鼓動が跳ね上がってしまう。

「あ! 景時さん、手首。跡がついてる!」
「えっ、これ? うん、その、縛られてたから」
「もう酷いなぁ、泰衡さんってば。あれほど捕虜扱いはやめてって言ったのに」
「捕虜扱いはやめてって……オレ、捕虜じゃないの?」

そうだ、そもそも虜囚にしては解放されるのが早すぎる。
詮議も何もなく、白龍の神子たる望美と敵将を二人きりにするという泰衡の態度も解せない。
首を傾げる景時に、望美は実に明るく答えてみせた。

「だって景時さんは、鎌倉を攻めるんだもの。私達と一緒に」

まったく予想の埒外であったその台詞に、景時は暫し思考停止に陥ってしまった。

(……鎌倉を、攻めるだって!?)

「ちょ、ちょっと待って! 望美ちゃん、話が見えないよっ!」

漸く叫ぶようにそう言って、まじまじと望美を見つめる。
にこにこと笑う望美が、その心持ちが――まったくもって、理解できない。

「このまま和議を為すのもありですけど。どうせまた、戦力が回復したら鎌倉は攻めて来るでしょう?
 だったら今この勢いのまま、攻めたほうがいいかなって、そういう話です。
 景時さん、軍奉行だったんですから、鎌倉の戦力とか、いろいろ知ってますよね?
 そうだ、景時さんの情報網ってば手強かったですよ? 私たち何度も追い詰められちゃいました。
 その調子で平泉でも活躍して下さい。うん、大丈夫、上手くいきますよ!
 九郎さんを源氏の嫡流として立てれば、名目は立つって泰衡さんも言ってるし
 ――って、九郎さん説得するほうが先なんですけどね。
 あとは後白河院ですよね。こちらが逆賊にならない為には院宣が必要なんですって?
 大丈夫かなぁ。熊野で怨霊から助けてあげたけど、あの時は私たち、源氏でしたものね。
 一応ヒノエ君と弁慶さんが熊野方面から当たってみるとは言ってくれてるんですけど――」

「望美ちゃんっ!」

笑顔を張り付かせたまま、立て板に水、と言った調子ですらすらと喋り続ける望美に、
何故か焦燥と苛立ちを感じて、景時は大声で名を呼び、肩をぐっと掴んだ。
途端、ぴた、と望美の口が止まる。笑みがはらり、と剥がれ落ちた。

「……なん、ですか、景時さん?」
「その、今言った事、全部君が考えた事なのかい? もしかして泰衡殿に無理矢理――」
「違います。全部、私が自分で選んだ事です」

わからない事は教えてもらったけど、と望美は呟く。
いくつか方法はあったけれど、でも選んだのは私ですから、とも。

「望美ちゃん、自分が何を言ってるのかわかってるの?」

望美の肩を掴んだ掌に、ぎゅうと力が入る。
痛い、と小さな声がして、慌てて景時は手を放した。

「……そんな大きな声出さなくったって聞こえてます」
「ご、ごめん。でもなんで、君がそこまで――」
「景時さんを、鎌倉から、取り戻す為です」
「オレ、を?」

望美はこくん、と頷く。生真面目な、思い詰めた表情。
ついさっきまでの明るい笑顔は、既に鳴りを潜めている。
その極端な変わりようが、景時の胸をざわつかせた。

「どんなしがらみがあるのか、私にはわかりません。
 けど、頼朝さんや政子さんが、景時さんを縛り付けるのなら、私は鎌倉を倒します」
「そんな、望美ちゃん――」
「もう、決めたんです。だから止めないで」
「……なんで、オレなんかの為に。だって、オレはもう八葉じゃないのに――」

言いかけた景時の頬が、ぱしっと高い音をたてる。望美が平手で景時を叩いたのだ。
打たれた頬がひりひりと痛む。だがそれ以上に景時の心を痛めたのは、望美が泣いている事だった。

「望美、ちゃん……」
「馬鹿っ! 景時さんの馬鹿っ……八葉だとかそんなの、そんなの関係ないっ……!
 私は、景時さんと、一緒にいたいだけなの……っ」

溢れかえる涙をぐしぐしと手の甲で拭いながらも、望美は景時を睨みつけ、しゃくりあげる。

「景時さん、全然わかってない……私が、どんな思いで、逆鱗をっ……」

望美のその言葉に、景時は息を詰めた。不意に泰衡の台詞が蘇る。
『――恐ろしい女だ、あれは』
どうして泰衡はあんな事を言ったのだろう? 
その理由も、望美の話を聞けばわかるだろう、そんな気がした。
景時は黙ったまま辛抱強く座して、望美が落ち着くのを待ち――そして程なく、望美は話し始めた。
先程のように流暢にとはいかず、所々でつかえながら。

「大社から、狙いをつけたの……出来るだけたくさん、鎌倉の軍を削がなきゃって。
 ……でも、私は今から大勢の人を殺すんだって、そう思ったら身体の震えが止まらなくて。
 泰衡さんに協力するって決めてから、覚悟してたつもりだったのに。おかしいですよね?
 結局、遠いから、私には見えないから平気だって、そう必死で思おうとしたんです。
 ……でも、でも、ね? わかっちゃったんです。
 逆鱗の光が辺りを焼き払った瞬間に、こう、頭の中にたくさんの声が通り過ぎていって
 ――熱い、って、死にたくないって。いっぱい、声が聞こえて、きて……怖くて、嫌で。
 でも、一番嫌だったのは、それに慣れていく自分、だったんです。
 二回、三回って繰り返すたびに、たくさんの声も全部、ただ素通りするだけで、
 なんとも、思わなくなって。それが、嫌だったの。だから、何にも考えないようにしようって」

望美は自分の肩を抱き、俯く。
その声が、肩が震えているのは、景時の気のせいではない。
戦場での怜悧な声と微笑みの理由を、景時は漸く理解した。
あれは、必死の微笑みだったのだ。崩れそうになる心を支える為に、戦神子を演じて。

白龍の神子の力は、本来人を殺めるための力ではないのだ。
怨霊を浄化する、清浄なる力だ。人の血で穢れていいものではない。
鎌倉から平泉を護るという大義名分があったとて、大量の血が流されてしまったのは事実で
だから逆鱗は、死にゆく者の声を望美に伝えたのかもしれない。この力を穢すなと。
それは望美に与えられた罰なのだろう――やはり、この少女は咎を背負う事になってしまったのだ。
そして、それはすべて。

(オレの、為に)

ただ、この自分の為だけに。
泰衡が『恐ろしい女』だと表現したのも、ある意味当たっている
――たった一人の男の為だけに、多くの命を葬る事も厭わなかったのだから。
景時は半ば茫然として、目の前の少女を見た。
泣き濡れた表情は年相応に幼くて、戦場での凛々しい姿とはまるで別人のようだ。
乱れた髪にそっと触れると、望美の肩がぴくり、と震えた。華奢な肩。
この双肩に、自分は何を背負わせてしまったのだろう? ただ守りたかった、それだけなのに。

(本当に守られていたのは――オレ、なんだ)

込み上げてくる想いに突き動かされ、景時は手を伸ばし、目の前の少女を抱き締める。
柔らかな身体は、自分の胸の中にすっぽりと収まってしまうほど、細く、頼りない。
――そんな事は、あの夏の川辺でわかっていた筈だったのに。
自分は一体、何を彼女から奪ってしまったのだろう?

「……望美ちゃん、望美ちゃん……っ!」 

悔やみきれない悔恨と、泣きたくなる程の愛しさと。
溢れかえる想いは上手く言の葉にはならず、ただ名前だけを繰り返し呼んだ。

(――守るから。これからは、ずっと傍で君を守るから……!)

守りたい。もう二度と離れたくない。傍にいたい。強く、全身でそう願う。



その刹那――光が、爆ぜた。
望美の胸元から飛び出した、白い光。
それは景時を包み込み―― 一瞬の眩さを残して、そして、唐突に消えた。
何が起こったのか、すぐには理解できずに、二人は茫然と顔を見合わせた。

「今のは――」
「! 景時さん、宝玉(ぎょく)が……!」

望美の言葉に、景時は慌てて胸元を探った。鎖骨の真ん中に硬い手触りが触れる。
――宝玉が、戻っていた。その周りを巡る紋様も。

「これは、一体……宝玉はオレを八葉でないと判じた筈なのに……」
「――やっぱり。やっぱり、景時さんは私の八葉です」

腕の中の望美が、そう言って景時を見上げる。
擦った為に赤くなった目が痛々しい。だがその眼差しは、今は喜びに溢れていた。

「今までも、これからだってずっと、景時さんは私の八葉で――大切な、人です」
「……オレは、君の傍にいてもいいのかな。君を苦しめてきたオレが、今更」

自信なさげに呟いた景時に、望美は答える。
景時の戸惑いや疑問を吹き払うような、鮮やかな微笑みで。

「勿論です――おかえりなさい、景時さん」

目の端に残る涙のきらめきを、そっと指先で拭き取ってやると、望美は照れくさそうに笑う。
その様に、愛しさが募った。もう離れたくない――離したく、ない。
だがその前に、きちんと伝えなければならない事がある。
望美の気持ちはわかり過ぎるほどにわかっていて、自分の気持ちも勿論変わっていない。
だから、心のままに抱き締めても構わないだろうと、
そう思う気持ちを抑えつけ、景時は望美の顔を覗き込む。

「望美ちゃん。オレ、君に言いたい事があるんだ――その資格があるのか、わからないけど」

続きを促すように、望美が頷く。それに勇気を得て、景時は先を続けた。

「ずっとね、言いたかったんだ――望美ちゃん、好きだよ」

二人並んで、満月を見上げた時から。
あの夏の川辺で、抱き締めた時から。
この心は、身体は、彼女の温もりを求めて止まなかったのだ。

「はい……私も、ずっと、ずっと……っ」

また涙がぽろぽろと望美の瞳から零れ落ちる。
何よりも美しいそれを、唇でそっと拭い去り、そして、その続きのように、さりげなく頬に口づける。
胸に縋る手に、きゅっと力が込められたのがわかって、
だが望美の瞼は、まるでその先を促すかのように、閉じられたままだ。
その誘いに乗って、景時は軽く、口づける――今度は、唇に。

「……ん……」

僅かに開いた口からは小さな声が漏れ、
それに勢いづけられて、何度も啄ばむような口づけを繰り返す。
いつしか望美の身体からは力が抜けて、柔らかな身体がくたり、と腕の中で崩れた。
口づけから一旦望美を解放してやると、うっすらと目元を染めて、望美がこちらを見上げてくる。

「望美ちゃん……?」

請うように、でもその実、断られる事はないと踏んでいるかのように、景時はその名を呼んだ。

「……やです」
「どうして?」
「……だって、酷い顔だもの。いっぱい泣いちゃったから」

散々口づけを交わした後だと言うのに、望美はそんな事を言って俯こうとする。
その頬を両手で包み込むようにして、景時はちゅ、とまた音を立てて口づけた。

「どんな顔でも可愛いよ、望美ちゃんは」
「……ばか」
「馬鹿でも、いいよ……大好き、望美ちゃん」
「……私も、好き――景時さんが、大好き」

だから、と望美は頷いて、恥かしげにまた瞼を閉じる――もう、止める事など、出来そうにない。
抱き締めて、舌を絡めて、互いの唾液すら交わし甘露として飲み下して。
早く、一刻も早く、肌を重ね合わせたくてたまらない。
最早、衣は互いの肌を隔てる邪魔でしかなく、だが身体を離して脱ぎ捨てる間も惜しい。
夢中になって唇を貪りながら、無意識に互いの着物に手を差し入れ、素肌をまさぐりあっていた。

「ん……景時さん……すき……っ」
「……オレも……好き……望美、ちゃん……っ」

口づけの合間合間に交わす睦言も耳に心地よく。
情熱の導くままに倒れこもうとしたけれど、ふと板敷きの床が目に入る。

(ああ、このままここで抱いちゃったら、望美ちゃんに辛いかもしれないな)

背中、痛くなっちゃうだろうし。
そんな事を意識の隅で考えて、景時はふわり、と望美を横抱きに抱え上げた。
きゃ、と上がった小さな悲鳴に構わず、部屋を見回せば隅の方に几帳がある。
その影に設えてある寝床まで望美を運び、丁重に横たえた。あとはただ――口づけの、嵐。
会えなかった日々、ただ月を眺め、名を呼ぶだけだった日々の分だけ、口づけを贈った。
熱を帯びた白い肌からは、ほのかに甘い匂いが立ちのぼる。梅花の香。
遠い春の日、梅の香が好きだと言った事をずっと憶えていてくれた、その事実が甘く景時の心を満たした。
嬉しくて嬉しくて、その想いを返すかのように、唇で望美の身体中に触れる。
髪に、耳朶に。なだらかな曲線を描く乳房に、その桜色の先端に。そして内腿の奥の、秘められた場所に。
たくさんの口づけに蕩かされた身体は、ただ素直にその愛撫に肌を震わせ、蜜を零した。

「ぁんっ……あ、待って、景時さんっ……」

間断なく与えられる快楽に、息も絶え絶えになりながら、望美は景時を呼んだ。

「……どうしたの、望美ちゃん?」
「その、私にもね……キスさせてください、景時さんに」

『キス』とはおそらく口づけのことだろうと、そう理解してしまえば、その願いのなんと愛らしいことか。
景時は嬉しそうに微笑むと、目を閉じて望美の口づけを待った。
――そっと、躊躇うような口づけ。額に、瞼に、頬に。そして、唇に。
ふと思いついて、閉じていた瞼をいきなり開いてみる。
思わぬ不意打ちに仰け反った顔は、ますます赤くなる。拗ねたような表情で望美は景時を睨んだ。

「……景時さんの、意地悪」
「ごめんね? 望美ちゃんの顔、見たくてさ」
「もう。意地悪な景時さんなんて――食べちゃうんだから」

そう言うと望美は顔を景時の胸元に寄せ、
景時の鎖骨の間に戻った宝玉(ぎょく)に、そっと唇で触れた。
途端、言い表しようもない感覚が、景時の背筋を走る。

「……っく」
「会えなかった時にね、時々キスしてたんです――宝玉に」

そう言って、望美は宝玉を口に含んだ。
温かく柔らかい舌先で、硬くつるりとした表面を舐められる
――それだけで、ぞくぞくと快感が駆け上ってくる。
まるで、敏感な粘膜を優しく撫でられているかのようだ。

「! っ望美ちゃん――」
「景時さん、好き……んっ……」

望美の愛撫は次第に熱を増していった。
宝玉だけでなくその周りの文様にも丹念に舌を這わせていく。

「……もう宝玉は、なくならないですよね……ずっと傍に、いてくれますよね……?」

そんな呟きに、景時の何かが焼き切れた。これ以上は駄目だ――愛しすぎる。

「――望美ちゃんっ……!」

景時は衝動のままに、望美をきつく抱き締める。
驚く望美には構わず、無茶苦茶に『キス』の雨を降らせ
――そして、溢れ出す蜜の源に己を突き入れた。

「!……んっ……」

逸る気持ちを出来るだけ抑えたものの、やはり少々性急であった事は否めなかったようだ。
破瓜の痛みに、望美は一旦は身体を強張らせ、新たな涙を眦に浮かべる。
だがその瞳から零れる涙は、痛みからだけでは、勿論ない。
――漸く結ばれた喜びを滲ませたそれは、今の景時の眼には何よりも尊く、美しいものに映った。

「また、泣いちゃいました」

景時に気遣わせまいとしてか、そんな事を言って望美は微笑む。そんな様も、いじらしい。

「ごめんね、また泣かせちゃったね……痛い?」
「ん、少し痛いけど、いいんです。だって」

ふるふると首を横に振り、望美はきゅ、と景時の肩にしがみつく。

「――やっと、一つになれたんだもの」

だから離さないでと、そう囁かれ――もう何もわからなくなった。
ただ、泣き出したい程の切なさと愛しさが、奔流となって景時を飲み込む。
それに突き動かされ、柔らかな身体を抱き、腰を動かす。余裕など微塵もなかった。
喉奥から漏れるか細い声。背に食い込んだ爪。滑らかな肌。褥に広がった乱れ髪。しなやかな肢体。
望美に付随する全てが、景時を高みへと追い上げていき
――やがて限界が訪れ、景時は己の猛る欲情の全てを望美に注ぎ込んだ。

「……はぁ……っ」

荒く息をつき、ゆるやかに解けていく身体を抱き締め、また口づけを贈って。
互いに目を合わせて、照れたように微笑みを浮かべて。
好きだと、愛していると、声にならない言の葉を交わしあって。
甘い香りに包まれたこの時の、なにもかもが優しく、そして、愛しかった。

――ほのかに梅の香りがする。
うっとりと夢見心地で、景時は腕の中の望美の髪を撫でた。
本当に、夢なのかもしれない。
何度もそう思ったけれども、腕の中の温みは心地よく景時を暖めている。それが嬉しかった。

「……ね、景時さん、今、何考えてるんですか?」
「ん? うん、幸せだなーって、思ってた。
 望美ちゃんはあったかくて、いい匂いがするし――これ、梅花の香だよね?
 ほんと、桃源郷っていうのがあったらこんなのかな、って思うよ」
「なんだか、可笑しいですね。桃じゃなくて、梅の香りなのに、桃源郷だなんて」
「そういえばそうだね。うん、じゃあそうだ……月の都、かな」
「月の?」
「うん、仲秋の名月の晩、銀の橋を渡って月の都に遊ぶって伝説があるんだよ」
「遊ぶって、何するんですか?」
「ん〜、ご馳走を食べたり、音曲を聴いたり……あとは、望美ちゃんと今してるみたいな事かな?」
「! もう……景時さんは」

恥かしそうに言いながら、望美は軽く景時の頬を抓る。
その指先を手にとって、ちゅ、と口づけると、見る間に望美の顔が赤くなる。
今日だけで、もう何度口づけただろう?
そんな事を思うと、不意に泣きたくなるような気持ちに駆られる。
それを誤魔化すかのように、景時はさらりとした望美の髪を指で梳いた。

「ね、望美ちゃん。お願いがあるんだけど」
「なんですか?」
「オレ、望美ちゃんと一緒にいたいんだ。全部が終わっても、ずっと。だからさ、だから――」
「はい、いいですよ」

言い終わる前に、にこやかに頷かれ、景時は目を丸くする。

「な、なんでわかっちゃったの、オレの言いたい事?」
「だって私も同じだもの」

望美は景時の胸の中で幸せそうに微笑んで、そして、朗らかにこんな事を言ってみせる。

「おかえりなさい、景時さん――これからは、ずっと一緒です」

その言葉に、景時の
胸の奥が喜びに満たされていく。
――ああ、そうだ。随分と回り道をしたけれど、漸く、帰って来たのだ。この温もりの中に。
万感の想いを込めて、景時は望美に答える。

「ただいま、望美ちゃん」
奥州の春は短いが、だがやはりそれなりに春めいている。
空は何処までも高く、青く。そしてその空の下、鳥は囀り、花は綻ぶ。
高館の庭に植えられた草木も、盛りの時を迎えようとしていた。
薫る花の香に導かれるように高館に姿を現した泰衡は、
その庭で繰り広げられている光景に思わず黙り込む。

「あれ、泰衡殿」「泰衡さん」

目の前にいるのは、呑気そうに洗濯物を干す元・源氏の軍奉行と、白龍の神子。
泰衡にとっては理解し難い行為だ。珍しくその口から呆れたような溜息が漏れた。

「……何をしている?」
「見ての通り、お洗濯です」
「……余裕だな。鎌倉に侵攻する日が迫っているというのに」
「だからだよ〜。戦になっちゃうと洗濯も出来ないからさ。
 今のうちに、洗濯日和を堪能しておかなくっちゃね〜?」

へらり、と笑ってこんな事を言われては、他に返しようもない。

「……本当に、あなたという人は読めぬ男だ……」

仕方なく、泰衡は眉を顰め、また溜息を吐く。
が、それも一時の事、すぐさま冷静な、総領としての表情を取り戻した。

「……命の洗濯の最中に大変申し訳ないのだが、もうすぐ軍議が始まる。お二方にご同席願いたい」
「わかりました、泰衡さん」「ん、わかった。すぐに済ませるよ」

頷きあい作業の手を早める二人を、泰衡はしばし眺めていたが
ふと何を思いついたか、二人に話しかけてきた。

「鎌倉では、話の種だろうな。平家を裏切った男が、今度は奥州についたと」

特に皮肉のつもりもないようだったので、景時も軽くそれに答えてみせる。

「まぁね、どうせオレは裏切り者の犬だし〜」
「大丈夫ですよ。だって泰衡さん、犬好きですし!」
「では神子殿のご期待に応えて、鉄(くろがね)とでも呼んでみせようか」
「ひどいよ〜、二人とも」

景時が大仰な身振りで嘆いてみせて、望美が朗らかに笑い声を上げる。
この二人はどうにもよくわからない、とそんな風に考える泰衡の表情も、普段よりどこか柔らかかった。

「ああ、例の件だが、上手くいったぞ。無事に鎌倉を出て、一路平泉へと向かっているようだ。
 おそらく、進軍の途中で落ち合う事が出来るだろう。そんなに時間はとれないがな」

鎌倉に残されたままだった景時と朔の母が、銀の手引きで、無事に鎌倉の勢力圏から逃れたという。
その喜ばしい報せに、二人は驚き、そして顔を綻ばせた。

「よかったですね、景時さん! あ、私、朔に知らせてきます!」

そう言うや、望美は身を翻し駆けていく。
その後姿を見送りながら、景時は泰衡にあらためて向きなおり、一礼した。

「泰衡殿――本当にありがとう」
「……憂いを断っただけだ。いざという時に、人質の為に寝返られても困るからな。
 本当に感謝しているなら、せいぜい役に立って貰いたいものだ」
「うんうん。頑張っちゃうよオレ! 任せといて〜」
「……本当に、あなたは……それは素なのか?」
「いや、でも本当に、頑張らせてもらうよ、本気でね」

一筋の決意を笑顔に表し、景時は頷く。
本気の全力で、鎌倉と戦う。もうとっくにその覚悟は出来ている。
生まれ故郷に裏切り者として攻め入る事に、胸が痛まないと言えば嘘になる。
だが、もう決めたのだ。
自分の為に、望美に背負わせてしまった咎の為に戦うと。
戦って、そして、手に入れてみせる。望美と共にある未来を。


景時は中天に差し掛かった太陽に右手をかざす。
かつては、夜空にかかった月には手が届かないと、嘆いた事もあった。
だが今、陽光に透けてみえる己の手には、確かに熱い血潮が流れている。生きている証。
生きていれば、なんだって出来る気がする。月を掴む事すらも。

かざした掌を、ぐっと握り締め拳を作る。
まるで勝鬨を上げているようだ――そんな風に思って、景時は一人微笑む。

そうだ、貪欲に手を伸ばせ。
この空の下、堂々と、生きる権利を勝ち取ってみせる。
もう諦めない。たとえ地に伏し、泥に塗れる事があっても、空に伸ばした手を下げるまい。
諦めず、望み続けて、どんな事だろうと成し遂げてみせる。
そうだ、きっと。


――望めばきっと、月にだって手が届く――




284名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 19:10:51 ID:R1RrcOAk
以上です。
読んでくださった方ありがとうございます。
ではでは。
285名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 19:18:36 ID:M0fh+3cl
むた神キタ Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!
リアルタイム投下遭遇にwktkして更新しまくりました
今回も大変美味しゅうございました
GJ! GJ!!
286名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 19:46:52 ID:GYZC2fV/
GJ!GJ!! 今回も楽しませて頂きました!

「――食べちゃうんだから」 激萌え。ミコカワイス ハァハァ!!
287名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 21:38:36 ID:L4EjTAWl
久々に景神子キタ━━(゚∀゚)━━!!
むたさんの作品は安心して読めます。
ありがとうありがとう。
288名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 22:34:00 ID:+CJrbGzZ
景望キター!しかも十六夜で。ゲームの方の端折りっぷりにorzだったから余計嬉しい。
むたさんの望美は強いしかわいいしで好きだ。幸せになって欲しいよ。GJでした。
289名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 23:06:46 ID:nkgFMsfH
…確かにすごかったな景時ルートは…ハハハハ
290名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 00:30:16 ID:uFrc6BsF
GJ!十六夜の景時ルートよりむたさんの話の方がずっといい
291名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 00:34:30 ID:Iid1QrqD
兄上カワイス。
むたさんの話はいつも読み応えあってうれしいっす。
投下ありがとう〜
292名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 00:43:16 ID:iSgfdgp9
>>290
本家に唾吐くそういう発言はどうかと。
293名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 01:41:32 ID:e2M1Z5Oh
密かにヤスが可愛くてもえますた!
ありがとうございます面白かった!
景望はほのぼのしていて好きだー
294名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 01:52:48 ID:uFrc6BsF
>>292
マンセーしなきゃファンじゃないってか?
本スレでの十六夜記八葉ルートの評判の悪さ知らないのか?
十六夜は八葉ファンはファンほどヘコむ手抜きぶり。
本家がぶっ飛び超展開なんだから、批判されても仕方ない。
ゲームプレイした時のorzな気持ちを補完してくれて
景時最萌えの自分は救われた思いだよ。
こっちを脳内公式にしたいくらいだw
295名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 01:56:21 ID:5H9t4tOl
>>294
ここはそういうことを議論する場じゃねぇから、余計な火種は撒くな。
296名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 02:10:22 ID:uFrc6BsF
>>292
寧ろ最近の案化してく紅玉には1リットルの唾を吐いてやりたい( ゚Д゚)、ペッ
297名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 02:36:41 ID:ayGQPp6s
むた信者、態度悪すぎ。
298名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 09:43:43 ID:xCnSRB+o
本家のグチは他所でやってくれ
十六夜景時ルートには言いたい事は山ほどあるが
ここはそういう場じゃないだろ

むた氏、GJ!
はじめてまともに読んだけど、良かったよ
299名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 09:51:45 ID:312wbdg3
>>297
正直ちと同意
300名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 11:11:53 ID:b516KGXF
>>298
一切触れるな、ってことではなくて、あんまりに攻撃的だったり
長々とするのは板違い、ってことだよな。
別にゲーム本編と絡めて感想書くなってわけじゃなくて


>>254
投下があったおかげでエコノミークラス症候群程度で済みそうですね
301名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 11:53:34 ID:s9/KkWz+
うんうん。まあ作家さんの迷惑にはならないようにしなきゃね。
302名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 15:18:41 ID:nbnUFUMk
むた氏サイト持ってるんだから、信者連れてそっちでやってくれ。
作品は神でも信者が厨だと迷惑だ。
303名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 16:25:36 ID:O3uAN59l
なんかすげースレになってるな
なんだこれ
304名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 17:08:42 ID:b516KGXF
あんまりやりすぎると、単発ID乙って言われるよ。
書き手がサイト持ってようがなんだろうが、それは個人の自由だろう。
書き手に非がないのに反応が少々あれだからって排除しようとするんじゃ、板の存在意義すら無いよ
305名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 18:54:12 ID:312wbdg3
だからそういうふうに
最初の一行で煽れば同罪だと
なんでわからんorz
306名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 20:09:52 ID:GKPdKN0F
>297 >299 >302
何、結局むた氏に
『すいません、サイトに引きこもってここには二度と投下しません』
とでも言わせたいのか? 
正直読み手の感想なんて、書き手にはどうにも出来ないだろうよ。



307名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 20:23:19 ID:JKb1Kk+Q
こういう流れになったら投下しづらいだろうしね。
308名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 20:28:06 ID:312wbdg3
>>306
いやばっちり書いちゃってるのおまいさんじゃん…orz
頼むスルーして
309名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 20:28:21 ID:bqQ+GnEY
どーでもいいよ
次の神光臨まだかなー
310名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 20:40:29 ID:xS7P0Ccq
>308
イタタレスしてる藻前さんがよく言うなww
311名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 20:42:20 ID:D9xEDlkE
>309
この流れで投下できたらまさに神。
312名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 20:59:09 ID:312wbdg3
>>310
やべばれたかwwww
でもイタタはオマエモナーを返す
313名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 21:00:07 ID:Iid1QrqD
空気変わるような投下をしたいが文才がまるでない
314名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 21:17:36 ID:PRyYWCmW
>306
前スレでもこういうレス見た気がするぞ。
擁護してるふりしてはっきり言っちゃってるの。
315名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 21:29:33 ID:xS7P0Ccq
>313
藻前ならきっと出来る(`・ω・´)!!
316名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 21:49:34 ID:jezYZ6vQ
何事も無かったかのように次の方ドゾー
317前スレ503:2006/01/22(日) 22:34:18 ID:E7poYsOP
知盛×望美
途中なんですけど、とりあえず投下。
エロ無しの前半部分。
318前スレ503(1/2):2006/01/22(日) 22:36:46 ID:E7poYsOP
 ほわほわと白い湯気の上がる湯船につかりながら、望美は両手すくった乳白色のお湯
が指の隙間から逃げていくのを眺めていた。
 磨りガラスの向こうにある人影から、そっと目線を反らしつつ。
 ガラリと音を立てて戸を開いた知盛は、やはり望美の思った通り。
 視界の端に映るのは人肌の色だけで、少しも隠そうとなどしていない堂々とした姿勢だった。
 人に左右されぬ気質のせいか、単に隠すのが面倒なのかは知らないけれど、知盛は
裸体を晒すことを特別視しない。
 抵抗大ありの望美には、もちろん頓着せずに。
 奇妙な沈黙の中に、湯船に落ちる水音ばかりが耳につく。
 こちらも半ば予測していた知盛は、シャワーを浴びながら半眼で望美を見下ろし、
頑なに視線を上げようとしない様子を堪能した。
 湯につかった全身から感じられる、いかにも意識している気配は、誤魔化し下手な少女
らしい。
 いつまでも慣れぬのは、いささか呆れもするが。
「おい、つめろ」
 ざっと流した体を湯船に沈めるべく声をかけると、占拠していた望美がすすすと横へ動く。
 不自然に固定された視線はそのままで。
 すくった水は、さっきよりも早く手の平からなくなってしまい、望美は何度もすくい直さな
ければならなかった。
 本当は、すぐそこにいる知盛が気になって仕方がないのだ。
「また、濁り湯にしたのか?」
 小さな手からこぼれる湯を片手で受け止めて笑えば、ようやく拗ねた視線がこちらへ向く。
「だって、見えちゃうし」
 この期に及んでの台詞にやれやれと、望美の手から受けて少しぬるくなった湯を細い
肩へとかける。
 なに?と問いかける眼を覗き込み、円やかな軌跡を残し流れ落ちていく雫の後を指で
なぞった。
 思い知らせるように。
「見る以上のことをしておきながら、今更だな」
 視界に触れぬ湯の中で、柔肌がピクリと緊張を孕んだ。
「それとこれとは、別」
 高く結わえられた髪からこぼれた後れ毛が、白いうなじに絡んで艶を与えているのに。
 勝気に見返す瞳が、ただ抱かれるだけで満足する女ではないと睨みあげてくる。
 一度抱けば飽きるかと思ったが、存外、まだまだその兆しは現れなかった。
「ほう、どう違うのかお聞かせ願いたいが。第一、お前の肌は見るに値する物……だと思う
がな」
「なっ!」
 ばしゃりと、正面からかけられた湯は熱くはないが、眉を寄せるには十分。
「お前な。たまには大人しく口説かれろ」
 忌々しそうに片手で顔をぬぐう知盛が睨んだ先には、ネコならば背中の毛を逆立てて
そうな勢いの望美がいた。
「やだ!」
「……まったく」
 厄介なことだが、それを厭わないのが一番の厄介なのだろう。
 仰いだ天井は、柔らかそうな湯気で満ちていた。
319前スレ503(2/2):2006/01/22(日) 22:39:40 ID:E7poYsOP
 胸の膨らみをなぞるように動いていた唇の動きが唐突に止まり、そのままでふと笑みを
刻んだのが、湯で温ままったせいか、それとも散々嬲られたせいか、敏感になり始めてい
る肌でわかった。
「ど、したの?」
「いや、なに……」
 そう言って顔を上げた知盛の唇には、望美が感じた通りの薄い笑みが浮かんでいる。
 焦らすように愛撫をとめる事はあるが、まだ追い上げられていない状況での中断は珍しい。
「今宵は趣向を変えてみようかと、思っただけだ」
 落とされた照明の中で、唯一許された暖色の淡い灯り。
 その頼りない、けれども見極めるには十分の光を弾く知盛の瞳はどこまでも硬質だ。
 食い入るように見つめても、楽し気であること以外、奥にある感情をおいそれとは見せて
くれないが、それでも声音に潜む穏やからしからぬ響きに望美の表情は曇る。
「何する気なの?」
 思わず取った警戒の気配に、知盛の瞳が細くなり、対照的につりあがる口端。
 上機嫌だ。
「取って食いやしないさ。そう……怯えるな」
 すぐにでも泣かせたくなる、と低く呟いて歯をたてられた耳朶は痺れるような鈍痛を伝える。
 それがただの痛みだけでないのは、思わず漏れた悲鳴に混じる甘さが証明していた。
「も、知盛!」
 悪戯を叱るように声を出すが、内心、望美は少し悔しかった。
 ベッドの中では、どうしても知盛の方が一枚も二枚も上手になるからだ。
 普段ならば怯えてなんていない、と言い切れるのだがそれさえも出来ずにいる。
 キスの仕方も、重ねた身体の熱さも、乱れて我を忘れる快楽も、全てこの男に教え込ま
れた。
 もう無理だと思う強い刺激の、その更に上まで連れて行かれるのは、気持ち良いを通り
越して、どこかへ飛ばされそうで恐い。
 それだから、必死にしがみついた知盛の背に、爪あとばかりを残してしまうのだ。
 お前を抱いた後は寝にくい、と渋い顔をして言われたりしても、無意識なのだからしょうが
ないではないか。
 だから当然といえば当然なのだろうが、慣れないことをさせられるのも正直、遠慮したい。
 と言うよりも、自分がどうなってしまうのかがわからない恐怖の方が先に立つ。
 それが顔に出ていたのだろうか。
 知盛が音にせずに、唇の動きだけで囁いた。
『欲しい』と。
 落とされた空言葉を包むのは、隠されていた瞳の奥でゆらりと揺れる、影よりも濃い暗さだ。
 その深みから逃れる事は、もう、出来ない。
 何よりも、望美自身が堕ちる事を望んだのだから。
 例え身を投じても、その闇を埋める事は出来ないだろうと知りながら、それでも両手を
伸ばさずにはいられなかった。
「知盛」
 名を呼ぶと、答えるように降りてくる身体。
 離されないままの視線は、近づくごとにその色をはっきりとさせていく。
 求められるのは至福。
 人は誰しも、幸福になりたい生き物なのだ、と誰かが言っていた。
 ならば、自分は間違ってなどいないはず。
 引き寄せた知盛の唇にキスした時、そんな言葉が胸に宿った。
 何を以ってして、正解とするかは知らないけれど。
320前スレ503:2006/01/22(日) 22:40:32 ID:E7poYsOP
以上です。
続きは来週あたり。
321名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 22:47:11 ID:5H9t4tOl
前スレ503乙!
いいねいいね〜。続きワクテカしてます。
322名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 23:01:39 ID:Iid1QrqD
風呂上がって来てみれば・・・
隠すことすら面倒な男キタ----!
323名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 00:51:24 ID:8ZCg5H4/
GJ!!お風呂いいよーお風呂
わー続きは来週か…ワクテカしながら待ってます。
324名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 21:50:12 ID:f0yLyQ2M
>302 正直私怨っぽい。
いきなりサイト持ちなのばらしたりして。
325名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 21:51:36 ID:f0yLyQ2M
……ごめん、315からリロってなかったorz
326名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 22:11:17 ID:KB4VX/Cl
ちょwwwおまwwwwww


ところで3ヶ月待っても続きがない話は諦めた方がいいですか
327名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 22:13:18 ID:KB4VX/Cl
3ヶ月どころじゃなかった_| ̄|○
328名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 22:27:59 ID:3RpVXDKd
気長にお待ちなさい。ふらっと出てくるかも試練よ。
神にもよるしね。

さぁ続きを妄想してハアハアするのだ。
329名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 01:47:12 ID:HzEk9xrD
>>327
まあ一緒にのんびり待とうや
つ旦~旦~旦~旦~
330名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 02:12:04 ID:pUBUL4XZ
3か月ってどの話だ??
331古今:2006/01/24(火) 02:55:28 ID:mxsmjbSe
弁×望←九投下します
九郎が痛い話で途中鬼畜弁慶入る予定
332古今:2006/01/24(火) 03:34:02 ID:mxsmjbSe
水面(みなも)に映る月1
「九郎はさあ、結婚とかしないの?」
景時がポツリと唐突に訊ねた。
所要で梶原邸を訪ねていた九郎は、今宵の月が綺麗だから…と景時に誘われ
そのままただぼんやりと月を眺めながら酒を酌み交わしていた。
思わぬ問いに口に含みかけた酒を噴出しそうになる。
「なんだいきなり!?」
「あ、ごめんごめん。いやつい何となくさあ〜」
頭に手を当ててあははと軽く笑う。
九郎はそれを面白くなさそうに軽く睨み、再び酒を飲み直す。
「…お前こそどうなんだ…気になる娘でもいるのか…?」
「いやいや、俺には可愛い妹もいるし。当分はいいよ」
あ、なかなか手厳しいけどね、と付け足す。
「ただ…」
それまでの影時の表情からは打って変わって少し寂しそうな表情で
月を見上げ、そして庭の池に目を落とす。
暗い夜空に丸く白く、真珠のように輝く満月…望月が水面に
波で少し歪んで映っている。
「ただ君の心にはまだ…あの水面の月のように、彼女が…
望美ちゃんが映っているんじゃないかと思って…ね」
その言葉に九郎は一瞬目を大きく見開く。
「…」
「知ってたよ。君が彼女を思っていたこと。…そしてそれは今も…」
見ていればわかる、と少し眉をひそめて無理に笑う。
「もうそろそろ…忘れたほうがいいんじゃないかな?君のためにも、
望美ちゃんたちのためにもさ」
九郎はガッと立ち上がった。杯が音を立てて
「…くだらん!俺があいつを?そんなこと…ある訳がないだろう!?
それにあいつは…もう三月も前に弁慶と一緒になったんだ。
悪いが帰らせてもらう。今後同じようなことを言うようならお前でも
許さんぞ!」
そう言ってドカドカと、いかにも不機嫌そうに帰って行った。
残された影時は一人、再び月を眺めていた。
「俺が君が…君達が心配なんだよ…」
333古今:2006/01/24(火) 03:35:20 ID:mxsmjbSe
今日はここまでです。まだほんの一部ですが。
一日に一話ずつ書き込む予定。
334名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 07:00:37 ID:2xSODbHD
良さげな作品ぽだけど、一日一話って…どれだけスレ占領するつもり?
その間は他の作者タソとかが投稿しにくくなるってこと考えようよ。
自サイトじゃないんだから。
21才以上なら余計にね。
335名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 09:10:42 ID:byP2LQ6X
空気を変えるつもりで出来てる分だけ投下したのかもしれんが、
正直>>334に同意だ。
連載は投下間隔が読み難くて他の人が投下しづらくなる。
336名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 12:36:00 ID:HzEk9xrD
書けた分だけ(勿論ある程度の量を)投下、というのには反対しないし、個人の自由だけど(誘い受けっぽいコメントさえなければ)、
1日一回、しかも何日続くかわからないとなると、ちょっと他の人は投下しにくくなるよね。
とりあえず書きあがった分だけでも落としてくれまいか。
ここらへんは、スレによっても違ったりするかもしれないけどねー
337名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 13:16:11 ID:oSocgVmA
そういやとある過疎スレは一日一レスどころか
数日一レスで今40レスくらい使ってるよ。
ただほんっとーに過疎スレだからなぁ。その人一人しか職人いないっぽい。

338名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 13:18:26 ID:oSocgVmA
あ、もしかして一レスなのは今回だけで、
『一日に一話』=『一日一レス』とは限らんのかな?
だとしたら的外れすまん。
339名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 13:47:51 ID:DHchtPtk
ここは書き手に厳しいインターネットですね。

そりゃ、一日一話連載はちょっとアレだと思うが、
気に入らなかったらスルーすればいいよ。
他のスレでも一日一スレ、とかぶつぎり連載とかする書き手はいたけど
感想がなければ自然と消えていくもんだし。

今までだって、やれGJが自演臭いとか、誘いうけがうざいとか、
携帯からぶつ切りはちょっと、とか
前書き後書きがうざいとか、サイト持ってんならすっこんでろとか。
ねちねちねちねち細かい事ばっかりあげつらってさー。
連載の投下間隔云々よりそっちのが投下しづらいって。
職人マンセーしろとは言わないけど、ちょっと高尚すぎない?




340名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 14:05:23 ID:WgIqFEhw
一日一話をスルーして、>>333が消えていくのを、
または他の職人が投下しづらくて消えていくのを
おとなしく待てというわけですね?
341名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 14:08:35 ID:H/zkhwqb
>>339
すげぇ同意。
元書き手だけど、今の流れのこのスレに投下したいとは思わない。
342名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 14:42:01 ID:HzEk9xrD
何事もなかったかのように次ドゾー
343名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 15:10:50 ID:fghhkPzh
案・貼るか・金コル
何でもいいので投下お待ちいたしておりまする
344うどんの國:2006/01/24(火) 16:58:42 ID:odwK3avY
望敦投下致します
345うどんの國:2006/01/24(火) 16:59:45 ID:odwK3avY
薄暗い部屋の中、私と敦盛さんふたりきり。
先程から、敦盛さんの抵抗は弱々しいものになり、今ではただ私の指の成すがままになっている。
「…っ…あっ……」
「声、我慢しなくてもいいんですよ敦盛さん」
かすかに揶揄の色をうかべた声音でそう言うと、敦盛さんは紅くなっている頬を、更に羞恥で染め上げた。
こんな淫らな行為をされているというのに、彼は清雅な美しさを失ってはいなかった。そんな彼を見ていると、昔育てた蝶を思い出す。
種類は忘れてしまったが、彼とおなじ深い気品のある紫の色彩を纏う蝶だった。
「気持ちいいですか、敦盛さん?」
「………」
答えない彼に笑みが深くなるのがわかる。
そう簡単に屈服してもらってはつまらない。
扱く手の速度を速め、刺激を強くすると、彼の呼吸がつまる。
そうして次の瞬間あっけなく、手の中の彼は白く濁った液体を勢いよく吐き出して、はてた。
女の子のような顔をしていてもやっぱり、付くものは付いてるし、出すものは出すのね。
今更ながら思いつつ、手のひらにべとりと飛び散ったそれらを余さず舐めとった。
ふと気付くと彼のからだがふるふると震えている。
顔をあげてみると敦盛さんは青い顔をして、かすかに涙を滲ませていた。
「わた…私はなんということを神子に…」
そのさまに、私は再び思う。
やはり彼はあの蝶に似ている。
紫の蝶は、私によってその羽を千切られてなお美しかった。
あの蝶を思いださせるこのひとも、地に堕ち汚濁に呑まれてもきっと美しいままだろう。
いや、かれの美しさは汚辱のなかにあってこそ際立ち、輝くのだ。
恥辱にまみれた彼を思うと私のソコは、はしたない蜜であふれる。
神子であり清浄で神聖である筈の私が、怨霊である筈の敦盛さんよりよほど穢れてる。
その事実にも、穢れきった私は嘆きも、悲しみもわかず、ただ倒錯だけを感じていた。
346うどんの國:2006/01/24(火) 17:00:31 ID:odwK3avY
お目汚し失礼しました
347名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 17:23:51 ID:xYlEhaNy
ふるふる震えてて可愛い。GJ!
348名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 18:44:17 ID:rnWK6iHD
グッショブ!!!
何故か笑いもこみあげるw
敦盛かわいいよ敦盛
349古今:2006/01/25(水) 00:15:26 ID:VSCD27HK
なんか空気読めてなかったみたいですみません。
考えなしだったよ。
2,3日後に続き(全部は無理だけど)まとめて投下させてもらいます。
駄文だが読んでいただけたら光栄です。
すんませんでした
350名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 00:26:14 ID:xgzsrg4b
>349
ラビリンス発売前でみんなピリピリしてるんだよきっと
気にするナー
351名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 01:06:23 ID:ez4625LV
何はともあれ、いろんな職人さんの投下が
楽しみでワクテカしてます
238氏と古今氏はまだまだ続きそうなので
前スレ503氏が一番最短で完結するのかな
352名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 08:35:43 ID:Mp4CmgLg
>>349
ワクテカワクテカテカテカ
353名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 09:25:15 ID:/F/ShQ4P
>349
ドンマーイン
そしてwktk
354名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 22:53:26 ID:WgSxgoFD
さりげなく遙か2の東宮キボン
355名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 19:53:29 ID:MykilWnD
前スレ503さんとこのチモは株やってたみたいだが、大丈夫だろか・・
356名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 23:10:09 ID:pal++fnx
野生の勘もとい、獣の勘で乗り切ったでしょう、きっと
357名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 00:56:39 ID:3W2u1Vh0
東宮の話書いてみたんだが、予想以上に暗い話になってしまったので
投下控えます…スイマセン。
またいつか手直ししてから投下するかも。
358名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 01:03:28 ID:QXTgXO+z
>>357
そゆグチは「そんなことないですから投下お願いします!」
と言われるのを期待しているみたいで、みっともないよ。
投下しないならだまってROMってればいい。
359名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 01:44:30 ID:XoWPPGL2
まあ、そんなにこういう言葉に
飢えてるなら、いいじゃないかw

そんなことないので投下お願いします〜
…犬のエサみたいなこんな言葉で
よければ拾えやw
360古今:2006/01/27(金) 02:54:51 ID:g+sjHy3Q
水面に映る月2
『望美さん、僕はあなたが好きです。どうかこの世界に…
僕と一緒に残ってくれませんか…?』
ーあの時周囲の目をはばかりもせずに弁慶がそう言った…。
『はいっ!もちろんです』
望美はそう答えを返して…二人は抱き合った。
かたく…かたく

思えばあの時だったのだ…俺の中で完全に何かが目覚めたのは。
胸の中で何かが確かに灯ったのは。
…気づいてしまったのは…。


『知ってたよ。君が彼女を思っていたこと。…そしてそれは今も…』
先ほどの影時の言葉が脳裏を過ぎる。
「…俺も、まだまだのようだな。誰にも…誰にも打ち明かすまいとしていた
ことがこうもやすやすと…」 
きゅっと唇をかみ締める。自分が腹立たしい…なのにそこからは何故か笑いが
こみ上げてくる気さえする。
『もうそろそろ…忘れたほうがいいんじゃないかな』
わかっている。そんなこと…。自分が一番よく…。
けれど頭によぎるのは…あの少女の花のような微笑、勇壮な出で立ち、
艶やかに舞う姿…そして真っ直ぐに澄んだ瞳…。
忘れようとすればするほど…。
忘れられない…何をしても、どうしても。
目に焼きついて消えない…っ。

これは遅すぎた…この気持ちが気付くのが遅すぎた俺への罰なのだろうか。
「こんな想いに今更気付いても仕方ないというのに…」
ー確かにここに灯ったこの想いは…風に吹かれて、静かに消えていくのだろうか。
  

361古今:2006/01/27(金) 02:55:26 ID:g+sjHy3Q
水面に映る月3
「望美さん、もう大丈夫ですから先に家へ帰っていて下さい。
もうずいぶん熱も引いてきましたし…僕も夕刻までには帰りますから…」
「え…でも」
少し大きな声で返事をした望美の口元にしっと指をやる。
スーと寝息を立てて老婆が横たわっている。
「いいから…、眠いんでしょう?昨夜は夜通し看病をしていたんですから」
弁慶と望美は昨日から、高熱を出していたこの老婆の家を訪れていた。
看病を続けるうち日は暮れ、星が瞬き、そして朝が来て…とうとう昼を
少し過ぎてしまっていた。
「そんなっ、弁慶さんだってあんまり寝てないのに…私だけなんて無理です」
先ほどよりも声を潜めて反論する。
「私もここにいさせてください。いえ、ここにいます」 
それを見かねて弁慶は、ふぅ…と小さくため息をつく。
ふわっと望美を引き寄せ耳元で囁く。
「いい子でまっていてください。ゆっくり休んだあとで…君にはもう
一働きしてもらいますから…ね?」
みるみるうちに望美の顔が林檎のように赤くなっていく。
「もうっ!弁慶さんなんかしらないっ」
と言って慌てて小屋を出て行こうとする…。
と、戸を閉めかけた手を止めてぶすっとした表情で
「…早く帰って来てくださいね」
「はいはい」
こちらは対照的に満面の笑みで答える。
…それはいつもの日常風景。

362古今:2006/01/27(金) 02:57:50 ID:g+sjHy3Q
すみません。続き投下させてもらいました。まだ投下できる分あるのですが
家人にまだ起きてることがばれたのでひとまずここらで
退去します。続きはまた近々…
363名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 05:03:57 ID:AOUwzFZN
とりあえず、景時な
364名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 09:43:29 ID:mcyayg44
なんか壷ポエム臭が…
365名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 10:04:42 ID:egl77Fwf
おじいさんのグラスホッパ〜
366名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 10:46:13 ID:egl77Fwf
誤爆orz
367名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 14:14:20 ID:VwEf3A8L
>365
名曲だね。

>358
気持ちはわからんでもないが流そうよ
368名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 13:31:37 ID:vmAKIjmq
温泉スチルの下半分を見るにはどうしたらよいのでせうか。
上から見ても下から見ても心眼で見ても一向に透ける気配すらありません。
18禁ぎゃるげーのような仕様は望めないのですか、そうですか
369名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 16:29:45 ID:woUN9S6Z
>>368
それは無理だけど、忠度殿のモロ出しスチルなら、先生ルートのどこかにあるらしいよ。
先生ルートだと、忠度殿は先生が勝手に倒しちゃうから、その辺じゃない?
370名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 17:21:20 ID:UKTbdodv
ちょっwwww

でも温泉スチルって
スクロールで左右に動いて他の6人が見えるかもとか
なんとか見ようと画面はじをのぞきこんだとか
笑える神子様を色々見たなあ
平泉でもマップがひろいんで銀ヤスの同様のサービスがあるはずだああとか
371名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 21:38:46 ID:/ltLW7mK
あれはもういっそ覗けばいいのに、と。
それこそギャルゲーよろしく、覗こうとした男子に対して
桶攻撃を繰り出す朔と望美のスチルがあれば
372名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 00:40:17 ID:/A8x2/ox
暗い東宮のエロ手直し投下
チン☆⌒ 凵\(\・∀・) まだぁ? (プ
373名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 02:34:04 ID:iyQUBYWT
>・「○○なんだけど、投下していい?」などの誘いうけは必要ありません


久々に来てびっくりした。
いつからこんな殺伐としたスレになったんだ・・・
374名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 02:39:34 ID:z7rRaAF6
>いつから
過去スレを順に見ていけば分かりますよ。
375名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 02:51:57 ID:FBDsnCy+
376名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 03:26:05 ID:GTk/SR3n
まあ、あっちで色々言われてるから
こっちでまで突っ込む必要は
377名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 00:03:06 ID:xrnvRGoI
何が盗作なんですか
378hahaha:2006/01/30(月) 01:57:33 ID:mQSy7+kW
357さんじゃないけど東宮話書いてみた。
こっちも暗い系…じゃなくて黒い系だけど
379hahaha:2006/01/30(月) 01:58:11 ID:mQSy7+kW
「ガラじゃねえけど…これお前にやるよ」
そう言って彼は駆けていった…。まだ夕暮れとはゆうに浅い、空の下。
私の手に…彼の夕焼け色の髪のような、名もなき赤い花を残して…。

私は彼を想う。この花の赤のような思いを秘める。
この思いが変わることはない。決して、何があっても。
ー何があってもー


「お帰りなさいませ、神子様」
「ただいま〜、紫姫」
いつものように四条の邸に帰ってきた私を迎えてくれる紫姫。
いつもの何気ない風景…のはずだった。
「神子様、つい先ほど彰紋殿がいらっしゃって…神子様に
大事なお話がおありになるそうで…」
「彰紋君が…!?」
花梨は正直とても驚いた。
「奥にご案内しております。さ、神子様」
紫姫が女房に取り次がせる。
花梨は少し困惑の色を浮かべながらそれに付いて行く。
手には赤い花を握り締めて…。
(どうして…だって私…彰紋君に…)


「こんにちは、花梨さん」
そこにはいつも通りの優しげな笑顔を浮かべる彰紋がいた。
「それでは我々はこれで…」
案内を務めた女房達が下がっていく。
それを見計らったかのように彰紋は口を開く。
「…本来なら、まだ…このような所に来てよいような身ではないのかも
しれませんが…」
「…」
下を向いて押し黙る花梨。
「…大丈夫ですよ。人払いをしていただきましたので、このあたりには
誰もいません。気になさらず、あなたの意をお聞かせください」
「ごめん…なさいっ、ごめんなさい彰紋君…私、私っ!」
突然口を開いた花梨の目から少し涙が零れ落ちる。
それを彰紋は申し訳なさそうに…だがどこか冷ややかな瞳で眺める。
「…どうか泣かないで。あなたの気持ちはあの時はっきりと伺ったのです。
僕はあなたの気持ちを十分承知の上だったんです」
優しく…その雫を拭ってやる。


『花梨さん、あなたが好きです。どうか僕にあなたの心のうちをお聞かせください』
『…ごめんなさい…私は…彼のことが、イサト君のことが好きなんです』
380hahaha:2006/01/30(月) 01:59:28 ID:mQSy7+kW
「少し落ち着きましたか…?」
時はもうすっかり夕刻を迎えていた。赤い光が部屋の中を徐々に照らす。
「…はい、ごめんなさい。取り乱したりして」
「いえ、僕こそ突然…」
ふと花梨の膝横においてある一輪の赤い花に目をやる…。
彰紋の中にその燃えるような色とは対照的な冷ややかな想いが蘇る。
「ーその花は、彼から…イサトからの贈り物ですか?」
おもむろに、わかりきったことを訊いてみる。
「…うん。ついさっき…」
花梨はふいの問いに何を答えてよいのかわからず口篭り、その花を持ち上げようと
すると。
すっと彰紋はその花を先に持ち上げ見つめる。
「…綺麗ですね。まるでこの夕焼けの空のような…」
「彰紋君…?」
「そして彼のような…赤い…花」
そう言った彰紋の表情は…切なげで、だが確かにそこには何かがあった。
「…哀れなものですね」
「!?」
その瞬間、彰紋はその花を片手で軽く握りつぶす。ハラハラと赤い花びらが…。
彼の想いの欠片が散っていくかのごとく…花梨の目の前を舞う。
「な…にを?彰紋君!?」
思いもよらぬ事態に花梨は困惑する。
「…哀れだと言ったのです。一生懸命咲いたのに、こんなに簡単に手折られてしまう
この花を…彼を。そして…」
そこにはもう先ほどまでの優しげな彰紋はいない。
「…あなたを」
381hahaha:2006/01/30(月) 02:18:42 ID:mQSy7+kW
「…そうは思いませんか?花梨さん」
そう言って花梨の顎をくいっと引き寄せる。
微笑を浮かべるその表情は凍りつくように冷ややかで…。
花梨は一瞬背筋にゾクリと悪寒を感じる。
「は…放して!!」
パシッと、反射的にその手を払いのける。
「あ、あなた彰紋君じゃない…!さっきから…変だよ」
力ない声で言う。
彰紋はその様子を無表情で見つめ、
「彰紋じゃない…ですか、僕は僕ですよ?ずっとあなたを見てきた…。
そう、彼よりもずっと…ずっと前から」
「今ここにいる僕が僕じゃないというのなら…あなたは僕の何を知っている?
何も知らない、知ろうとも…しなかったのだから」
ガッとこんどは後ずさる花梨の腕と腰を引き寄せる。
「やだっ!!」
もう一方の手で抵抗しようとするが、隙を取られガタッと組み敷かれる。
「やめて…彰紋君、こんなの…」
花梨の目に大粒の涙が零れ落ちる。
「…あなたは、彼のことで頭がいっぱいだったろうですからね!」
382hahaha:2006/01/30(月) 02:56:10 ID:mQSy7+kW
夕日が二人を照らす…赤い花びらが床に散らばって…
「んっ…」
彰紋が花梨の唇をまるで貪るかのように塞ぎ、口内を犯す。
その小さな舌を絡めとリ、ピチャピチャと淫乱な音を立てる。
と、そのとき、ガッと花梨が歯を立てた。
彰紋の唇に微かに血が滲む…。
だが、それは彰紋にとってはささいな抵抗にすぎない…。
「…駄目ですよ?花梨さん。おいたは?」
ぺロッとそれを舐め挙げる。
「ひ…人を呼び…っ」
そう言いかけてふと気付く。…そうだここには誰もいない。彼と私だけ。
「…っ」
歯をかみ締めて尚も涙を流す。
「そう、無駄ですよ。ここには誰もいない。それにいたとしても…ね?」
「!?」
スルッと花梨のスカートの中に手を忍ばせる。
一枚の布の上から秘部の亀裂をゆっくりと何度も何度もなぞっていく。
「ひやっ…あっ、っ」
びくっと花梨の体が反応し、みるみるうちに顔が赤くなっていく…。
それを満足そうに眺め
「花梨さん、別の世界から来たあなたに…僕がこの世界でどのような地位に
いるのかご存知ですか?」
「!?」
その瞬間、秘裂をなぞっていた指が止まり、濡れてきたそこに
ずぼっと指が一本入れられる…。
「あぁ…っ!あ、あ、やめてやめてやめてぇ…っ!」
「僕が思えば…思い通りになれぬことなど…そうはないのですよ…?」
耳元で囁く。
「あなたの体は…今宵我が思いのままに…」
383名無しさん@ピンキー :2006/01/30(月) 05:35:28 ID:E/lRWxUk
黒東宮もいいですねえ。
hahahaさん、続き楽しみにしてます。

しばらく待ってみたが、続きは、しばらく投下されないようなんで、
同じく東宮ネタというか、>354を見て
勢いで思いついた花梨←東宮×女を一つ。
苦手な方は2レスほどスルーしてください。
384花梨←東宮×女:2006/01/30(月) 05:36:09 ID:E/lRWxUk
「あっ…あんっ」
御簾をおろした部屋に、女の嬌声が響く。
外は望月。月明かりに照らされた、整えられた庭が御簾越しに見える。
自分の組み敷いた女は、豊かな胸乳とよくしまる秘部で包み込み、迎え入れてくれる。

来る者は拒まず、去るものは追わず。
孕ませることのないよう、細心の注意をはらってはいたが、
少しでも多くの人が幸せになれるのなら…。
そう思い、気づけば通う女は片手では足りない数になっていた。
女と交わるのは、援助のせめてもの返礼として申し出があるからで、
お互い気持ちよくなれたら、それでよいのだと思っていた。
それなのに、この右の手に龍の宝玉を得て、龍神の神子と行動を共にするようになってから、
どの女と床を共にしても、何かが足りない。
385花梨←東宮×女:2006/01/30(月) 05:37:28 ID:E/lRWxUk
自分の下にいるのが、こうして声を上げるのが彼女だったなら。
あの汚れなき唇を貪り、巻貝のような桜色の耳を、細い首を味わうことができたなら。
いとけない指を自分の指に絡め、花びらのようなつま先を愛で、
恐らく誰も触れたことの無いであろう茂みの奥の、さらにその奥に触れることができたなら。
自分を求め、淫らな表情をする彼女を独り占めできたなら。
ふと、そんなことを想像してしまった。
「東宮さま…っ、また大き…あんっ」
女の声に我に返り、愕然とする。
足りないのは彼女……なのか?
今まで、殿上する貴族の男たちとの話に出てくるような、
女性を欲する気持ちが理解できず、上辺だけ笑顔で頷いていたのに。
初めて欲する女が、清らかであるべき龍神の神子であるとは。
「東宮さま、どうされました?ご気分でも…?」
どうやら、考えに捉われ、腰の動きが止まっていたらしい。
「いいえ、失礼しました。何でもないのですよ。」
微笑みと共に謝罪し、再び快感を追いかけるべく、動きを再開する。
しかし、一度、頭に浮かんでしまったことを振り払うことはできず、
瞼を閉じて彼女の幻影を追った。

おわり。
386名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 12:49:34 ID:3XoSJ001
1つめの東宮花梨、一人称と三人称混ざってるは
短い間隔で視点がコロコロ変わるは、てにをはマトモに使えてないはで非常に読みにくい。
好きカプだから読んでみたけど正直後悔。
387名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 14:18:33 ID:uOLSKexm
別に投下全部にGJ出せとは言わないけど、
読んでダメだったのならスルーすればいいだけで、
それをわざわざ書き込むっていうのはどうかと思うのだが。
386みたいな書き込みが職人さんたちの投下を減らしてると
考えたりしないのか?
ここはほんと投下に対して批判意見がよく書き込まれるよな。

もう、いい加減にしろと。
388名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 15:05:36 ID:NFacXWAd
>387
禿同。読ませて貰ってる分際で>386は何言ってるんだか。なぜわざわざ文句をタラタラ書き込むのか意味不明。
職人さん、こんな批判気にせず作品投稿してください!ワクテカしながら待ってる!(´・ω・`)
389名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 15:15:44 ID:euEbNMqF
批判に対する批判は一回言えば十分だから、
あとはそれ自体スルーしようや…。
390名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 22:54:15 ID:WxCKe17T
同意
でも気持ちはわかる
391名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 23:35:32 ID:FqiP1tTu
何、この殺伐とした流れ。
女ってイヤーーー。
392名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 00:35:42 ID:rYbXqUcX
まあまあ。
393名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 00:43:43 ID:BoNl2Pmm
ここはヘタレに優しいインターネットですね^ ^
日本語崩壊してる駄作・駄文も、さあみんなでマンセーマンセー
394hahaha:2006/01/31(火) 01:10:31 ID:fpYCfyNP
つい昨日そのへタレ文投下した者だが、ここの流れ見てると続き投下して
よいのかどうかホントわかんなくなってくる。
書くほうとしては、批判も感想もこれから書くに当たって
いい参考になるし勉強にもなると思う。
それはいいとして
皆さんに訊きたいのだが、自分のような書くことに慣れてない初心者でも
ここに書いていいのだろうか?
へタレは大人しく傍観者になっていたほうがいいのか。
うざい問いかもしれんが意見聞かせて欲しい。長文スマン
395名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 01:18:38 ID:niv88hEx
悪く言う人もいるので辛いかもしれないが、頑張ってほしい。
396名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 01:20:07 ID:7e6WGUvF
書きたければ書いて投下。
批判や変な絡みに耐えられないと思うならやめる。
397名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 01:22:59 ID:9R7yPk0H
漏れも頑張ってほしいと思う(´・ω・`)
というか、本当のヘタレは文句ばっか言って作品投下しない人でFA?
とにかくみんなマターリ行こうぜ。
398名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 01:24:22 ID:mKJH+GOR
投下する自由も、読まない自由もあるはずなんだから
好みじゃないのをスルー出来ない人のほうが問題ありだよ
399名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 01:30:37 ID:ogSVJlxg
>>394
頑張って欲しいな〜
東宮萌えだから密に楽しみにしてたんだよね
400hahaha:2006/01/31(火) 01:42:31 ID:fpYCfyNP
皆意見聞かせてくれてありがとう。
じゃあ遠慮なく、2,3日中には続き投下させてもらうよ。
自分なりに続きの文章ちょっと改変してみる。
なんかちょっとあったかいな。
最後に…なんか私がスレ占領しちゃってスマン。
他の書き手や読み手の皆さん、気にせずどうぞ


401名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 06:25:30 ID:BoNl2Pmm
誘い受けUzeeeee!!!!!!
何が、じゃあ遠慮無くだよ?
それ期待してしおらしぶって質問したくせに(プッ
402名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 10:16:00 ID:YgecnTqy
>400
漏れも元書き手で今は投下してないんだが。
読み手は一瞬で読み終える文でも、書き手はそれなりにネタ考えて
ストーリー練って、文や語考えて書くわけじゃないか。
それが変に粘着されたり絡まれたら、イタイし辛いし悲しいし落ち込むよな。
でも、それで書くの止めた漏れは=粘着、絡みをのさばらした一因なのかな・・・と鬱。
そんな負け犬な漏れだがhahahaタンの勇気ある行動に敬礼!
hahaha氏の話、漏れは正直面白いと思た。
くじけず頑張ってくれ。
漏れは応援してるぞ。

長文スマソ
403名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 10:21:17 ID:kCw8H8In
>>1を見るに、ここは「投下してもらう」スレなんだよな?
「投下させてやる」スレだと思い込んでる人がいるようだ
404名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 11:03:27 ID:8BAxxjuZ
してもらう、でも、させてやる、でもなく、
したいひとがするもんだ<投下
書き手と読み手の間に上下関係なんて存在しない。
ちょっと違うかもしれんが「お客様は神様です」の心構えはサービスをする側が持てばいいので、
受ける側が「自分は神様お客様だぞゴルァ( ゚Д゚)!!」という態度でいろという意味じゃない
405名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 12:35:44 ID:oS8QagqU
久し振りに来てみたら…
どしたの、この流れ
なーんかお子ちゃま紛れ込んでねーか?
406名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 12:54:03 ID:ytnxeRn0
それだけならいいけど荒らしに真正面から対決しちゃってるからなぁ、今のここ…

hahaha氏ガンガレ
407名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 13:37:32 ID:Z7rGsa6U
ゲーム上ではフーンだったカプもここの作品読んで初めて萌えたカプも多いしな…。

職人さんはめげずにがんがって欲しい
408名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 15:24:07 ID:/BVH1iqY
噛み付いてくるのは僅かな人数だから
気にせず書いて〜
409名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 18:04:45 ID:2Ve2TDF0
うんうん。
変に荒らしてるのは今のところ一人だけ。
hahahaさんも他の執筆者さんたちもガンガレ。
410名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 19:51:21 ID:DVPGL/ey
とりあえずhahahaをNGワードに登録した。
411名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 20:06:36 ID:8Azln3Ba
hahahaさんの作品で気になったのは擬音…
なんか雰囲気を壊してるような気がする

「んな事ねーよ」だったらヌルーしてくれ
412名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 20:45:07 ID:8dZdEz8A
前スレ?の銀望美を書いた神の続きは投下されないのかなー。。
重と望美が御簾越えしてたら、の話のやつ。
もいっかい読みたいんだけど、前スレのhtml化を待つしかないんでしょうか?
413名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 20:51:30 ID:2Ve2TDF0
>412
これには入っていない?
ttp://red.ribbon.to/~eroparo/game10.html
414名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 21:50:31 ID:8BAxxjuZ
415名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 22:23:33 ID:9R7yPk0H
過去ログ読もうと思うんだが『移転しました』とか表示される…orz
携帯からのアクセスだからか?
416名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 00:28:05 ID:Atms2xs2
>>411
いや、確かに擬音のセンス無いと思う。

>ガタッと組み敷かれる

>ずぼっと指を

上は普通に変だし、下は雰囲気ぶち壊しな上に
どれだけ太い指なんだよと悪いがハゲワロテシマタw
417名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 00:41:14 ID:8uNpu0fO
そりゃ完成度高いもの読めたら最高に嬉しいが
違和感感じるようなら放置するけどな・・つか自動的に脳内で処理されちゃうし。
過疎ってるので投下あるだけでも有難いよ
NGワード報告とかイラネ
418名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 01:31:22 ID:J2biy3VN
ただでさえ人口の少ない乙女ゲマなんだし、
投下してもらえるだけでも、自分はすごく嬉しいよ…
多少のアラがあるのくらい仕方ないじゃない。プロじゃないんだし。
そんなに職人を減らしたいのか。減らしたいんだろうな。
419名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 02:57:43 ID:oy6jdyvu
煽るつもりは無いんだが
人の書いたものが気に食わないなら
自分の萌えは自分で書いて発散させるといいよ
コレマジオススメ
だって自分の脳内の萌えは自分が一番良くわかっているんだし
それと一語一句違わない話なんて自分で書かない限り存在しないと思うし

420名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 18:04:43 ID:+59G2YuA
2ちゃんで投下するような勇者は煽り上等じゃなかったのか?

いつの間にか変容したようですな
421名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 19:29:53 ID:8uNpu0fO
>420
空気嫁
422名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 19:37:54 ID:IzOaNIdl
ネオアンなり迷宮なりがでたらどうにかなるかな〜この流れ。
423名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 20:07:56 ID:7+GLiZE4
むしろこの流れのまま新作ラッシュ迎えるのが心配なわけだが
424ちゅん ◆EwwRseKMM6 :2006/02/02(木) 01:42:15 ID:mnkZA/Gw
402です。
空気変える為にもSS投下します。
弁×望で始まりますが、最終的に法皇×神子か
湛快×神子になる予定。
凌虐、監禁レイプシーンありますのでお嫌いな方はスルー願います。
425水底の貝のように:2006/02/02(木) 01:44:33 ID:mnkZA/Gw
「望美さん、あなたは本当にいやらしい人ですね?」
「ふぅぅぅんっ!!うう・・。」
反論しようにも口には皮の紐で猿轡をかまされて、声がだせない。
私が、舌を噛み切らないように・・・・って言ってたけど、
本当は、私があなた以外の男性の名前を口にするのを恐れてるんだよね?
でも、なんとかして、この縛めを解かなきゃ。
目の前で消えいく白龍を思い出す。
敵の口から伝えられる、皆の死。
嫌だ。
2度と、皆を傷付けたくはない。
弁慶さんも・・・。
もう、あの過去を繰り返したくはないのに。
でも。
弁慶さんの指が、唇が、舌が、私の体を翻弄するたびに
全てがどうでもよくなってしまう。
刹那の快楽に身を任せてたらダメだよ。
そう思うのだけれど。
今日こそは。
426水底の貝のように2:2006/02/02(木) 01:47:46 ID:mnkZA/Gw
ぎぃい。
薄暗い土蔵の戸が開けられる音がした。
階上から降りてくる足音、あの人だ!
嬉しいという気持ちと憂鬱な想いが交差する。
「望美さん・・・・。」
不機嫌そうな声・・・。
「今日も、食事を取られてないんですね。」
私は、狂おしい輝きを放つ目から瞳をそらした。
「どうしたら、食べてくださいますか?」
しめた!
「んんん。」
ボディランゲージで答えようにも両手は後手に縛られている。
「大人しく・・・・してくださいますか?」
うなづくと、手の戒めが解かれた。
「ああ・・・君の白い肌にこんなに赤い痕が。
許してください。君が僕から逃げ出さないか心配で。」
言いながら赤い痕に舌を這わす。
ぞく。
それだけで夜毎、快楽を教え込まれた体は反応を示す。
「ふ・・・うん。」
手で猿ぐつわを外して欲しいと示す。
皮の紐が外された。
「弁慶さん、聞いてください!」
弁慶さんの目が妖しく光った。
やばい!
言い方、考えなくちゃ。
「あの、その、九郎さんたち今頃・・・・。」
弁慶さんが無言で髪を解いた。
「九郎・・・?」
弁慶さんは髪紐を私の口にくくりつけた。
「や、まって!」
私の話を!!
「君の口から・・・・・・
他の男の名前なんか、聞きたくないんですよ。」
駄目っ聞いてっ!!
弁慶さんに翻弄されながら涙があふれた。
もう、悲しみの所為か快楽の所為かもわからない。

427水底の貝のように3:2006/02/02(木) 01:49:34 ID:mnkZA/Gw
階上へと登る足音が聞こえた。
ケダルサが体中に残る中、体を動かそうとした。
らっきぃ。
手は後手に拘束されているけれど
今日は首輪の鎖が外れている。
体をひねって、前に食事の際に床に投げつけて割った後こっそり隠しておいた
陶器の欠片を取り出した。
なんとか、切れて。
お願い。
嫌だよ。
もう、皆が死んでいくのは!
ぐっと腕に力が入った。
ぶち
やった。
拘束されていた革紐から手を引き抜くと
血がぽたぽたと落ちた。
・・・これくらいの血・・・・。
死んでいった皆に比べたら。
寝台に敷かれてた布を細く破り取ると傷口に巻きつけた。
ぐいっと
端を口で縛り付けた。
残りの布を体に巻きつける。
負けない。
きっと、今度こそ皆を救ってみせる!



今日はここまでです。
428名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 02:53:21 ID:1NtqlRZB
ちゅんさんGJ!!
まだ、話がつかめてないけど、続きワクテカしながら待ってます。
429名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 05:35:55 ID:znCO73O1
また遥か3で新作出るな
京の雰囲気がすきだったんだが現代版とかは微妙な(´・ω・`)
430名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 09:43:29 ID:bQT8UGJt
ちゅんさんGJ!
続き待ってるヨ―(・∀・)!
431名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 10:47:07 ID:VuA/8Qyz
話が見えないのは序盤だからか?
432名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 12:26:50 ID:G96VPCOW
うーん、微妙だね
もうちょっとまとめて投下してくれたら嬉しかったかも
433名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 12:47:47 ID:QT1wt08N
ここからどうやって
法皇×神子か湛快×神子になるのか予想もつかない……。
ともあれ、楽しみにしてます!
434名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 18:28:28 ID:2K4M2Xoo
つまんね
435名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 18:53:04 ID:oflf3Qcn
578 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2005/09/20(火) 12:05:51 ID:pon83jmm
相変わらずエロに飢えてる婆そろいだな

579 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2005/09/20(火) 23:10:12 ID:Q5FkulSM
エロへの欲求に年齢もくそも無いw

580 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2005/09/21(水) 01:20:06 ID:COqs0ubm
>>578
スレ覗いているお前も『エロに飢えてる婆』の1人。
とどのつまり、ここにカキコする奴なんてそんなもんw

581 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2005/09/21(水) 11:12:41 ID:KazcN3bu
578は自分は婆だと思ってないのね。鏡見てみなって(w

582 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2005/09/21(水) 11:12:42 ID:mfJVUTyi
>>580
エロに飢えてる婆が、指摘されて言い訳に必死wwwwwww

583 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2005/09/21(水) 11:18:15 ID:O/JO/9/5
エロに飢えた婆を批判する枯れ果てた婆の姿が素敵♪ 

584 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2005/09/21(水) 11:22:43 ID:t2/tEeD4
めくそ・はなくその違いですね。
飢えていようが枯れていようが所詮どちらも婆さん。
現実の男からは必要とされていないのでネオロマのような妄想ゲームにハマル。
なんでネオロマファンの年増女はこんなにキモいのが多いのかね?
436名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 21:08:09 ID:cBhWqQBC
20代既婚女性ですが何か?
437前スレ503:2006/02/02(木) 22:08:07 ID:INuRWrMT
以前途中投下した知盛×神子
出来たので投下します
書き足したため、一部前回と重複(1/10と4/10)
438前スレ503(1/10):2006/02/02(木) 22:10:28 ID:INuRWrMT
 ほわほわと白い湯気の上がる湯船につかりながら、望美は両手すくった乳白色のお湯
が指の隙間から逃げていくのを眺めていた。
 磨りガラスの向こうにある人影から、そっと目線を反らしつつ。
 ガラリと音を立てて戸を開いた知盛は、やはり望美の思った通り。
 視界の端に映るのは人肌の色だけで、少しも隠そうとなどしていない堂々とした姿勢だった。
 人に左右されぬ気質のせいか、単に隠すのが面倒なのかは知らないけれど、知盛は
裸体を晒すことを特別視しない。
 抵抗大ありの望美には、もちろん頓着せずに。
 奇妙な沈黙の中に、湯船に落ちる水音ばかりが耳につく。
 こちらも半ば予測していた知盛は、シャワーを浴びながら半眼で望美を見下ろし、頑な
に視線を上げようとしない様子を堪能した。
 湯につかった全身から感じられる、いかにも意識している気配は、誤魔化し下手な少女
らしい。
 いつまでも慣れぬのは、いささか呆れもするが。
「おい、つめろ」
 ざっと流した体を湯船に沈めるべく声をかけると、占拠していた望美がすすすと横へ動く。
 不自然に固定された視線はそのままで。
 すくった水は、さっきよりも早く手の平からなくなってしまい、望美は何度もすくい直さな
ければならなかった。
 本当は、すぐそこにいる知盛が気になって仕方がないのだ。
「また、濁り湯にしたのか?」
 小さな手からこぼれる湯を片手で受け止めて笑えば、ようやく拗ねた視線がこちらへ向く。
「だって、見えちゃうし」
 この期に及んでの台詞にやれやれと、望美の手から受けて少しぬるくなった湯を細い
肩へとかける。
 なに?と問いかける眼を覗き込み、円やかな軌跡を残し流れ落ちていく雫の後を指でなぞった。
 思い知らせるように。
「見る以上のことをしておきながら、今更だな」
 視界に触れぬ湯の中で、柔肌がピクリと緊張を孕んだ。
「それとこれとは、別」
 高く結わえられた髪からこぼれた後れ毛が、白いうなじに絡んで艶を与えているのに。
 勝気に見返す瞳が、ただ抱かれるだけで満足する女ではないと睨みあげてくる。
 一度抱けば飽きるかと思ったが、存外、まだまだその兆しは現れなかった。
「ほう、どう違うのかお聞かせ願いたいが。第一、お前の肌は見るに値する物……だと思うがな」
「なっ!」
 ばしゃりと、正面からかけられた湯は熱くはないが、眉を寄せるには十分。
「お前な。たまには大人しく口説かれろ」
 忌々しそうに片手で顔をぬぐう知盛が睨んだ先には、ネコならば背中の毛を逆立て
てそうな勢いの望美がいた。
「やだ!」
「……まったく」
 厄介なことだが、それを厭わないのが一番の厄介なのだろう。
 仰いだ天井は、柔らかそうな湯気で満ちていた。
439知盛×神子(2/10):2006/02/02(木) 22:13:14 ID:INuRWrMT
 湯船の淵に後頭部を載せて、眼を閉じたまま動かなくなった知盛の横顔に、ちらちらと
向けられる視線。
 わかっていて無視を続けていると、やがて遠慮がちな声がかかった。
「先に……出てくれない?」
 ピクリと頬が引きつるように動き、知盛は望美の方へ一応向き直ったが、不機嫌という
様子を隠しもしていない。
 無言の圧力に一瞬気圧されそうになりつつも、不満だと文字が書かれてそうな眼差しに
、負けるわけにはいかなかった。
「すぐに行くから」
 了承だけを求める望美に、知盛はただ溜息をついて、誰かさんのせいで額に濡れて張り
付く前髪をかきあげた。
 長く湯につかっているのは自分のほうであるというのに、その申し出。
 筋金入りの強情さを知っているから、わざわざ不審に思う必要など知盛にはなかったのだ。
「嫌だ、と言えば、お前はのぼせるまで我慢するのだろう?」
 問いと言うよりは確認に返って来たのは、すでに茹だったように赤い顔の小さな頷き。
「全身がこのようにふやける前に、来て頂けるのを大人しく待つとしよう」
 すでにしわしわになっている指を手に取り、知盛が咽喉で笑う。
 からかわれてムッと睨み返すのも束の間、望美はすぐにプイと横を向いてしまった。
「ならないよ」
 ここでは外出を渋る知盛と、何とか連れ出そうとする望美の立場が、いつもと全く逆である。
 揶揄を含んで見下ろされる事に腹が立たないわけではないが、ここで挑発に乗ってはいけない。 
 嫌なものは嫌なんだもんと呟いて深く身を沈め、望美はそれ以上話す気はないと示した。
 その紅色に染まった横顔に眼をやりつつ、つくづく我の強い女だと苦く思う。
 誰にも流されぬ所は、嫌いではない。
 嫌いではないが、可愛げがないのも確かだ。
「好きにしろ」
 付き合いきれんと風呂から出た知盛は、適当に水気を拭いた体にバスローブを羽織る。
 それはさも当然のような仕草だが、本人には置いた覚えなどさっぱりなかった。
 だから、入る前に望美が準備したのであろう。
 慣れ親しんだ単衣に似た形であるそれは二つ用意されていて、自分が着たのと対であ
る一回り小さく、薄桃色の少女の分が畳まれて残っている。
 あまりにもきっちりと整えられた形が、逆に込められた思いを汲み取らせるというのを、
わかっていないのだ。
 知盛の眉間には、知らぬうちに皺が刻まれていた。
「それほど……躊躇うのか」
 こんな布切れを最後の砦として、肌を晒すのを。
 睦む行為自体には激しい拒絶を見せ事がないだけに、余計に望美の真意を掴みにくかった。
 ただ恥ずかしいだけならば、あれほど頑なにはならないだろう。
 一度、明かりをつけたまま事に及ぼうとしたら、本気で泣かれた。
 固まった体と押し殺した涙声には、さすがに萎えるばかりで、二度と味わいたくない後味の
悪さを体験させられたのだ。
 それは見事なまでの初体験。
 女を手篭めにする趣味は元々なかったが、ああも気が滅入ったのには正直驚いた。
 そして、思い知らされた気がした。
 知らぬうちに、大切になっていたのだ、と。
 あの強情で、可愛げがなく、とんでもない無茶をする女が。
「俺も、腑抜けたな」
 自嘲とも苦笑ともつかぬ笑みを浮かべながら、まだ湯船にいる望美を思う。
 だからこそ。
「こうなった責任は取ってもらう、がな」
 さしあたっては、この無粋な物を御身の代わりに攫ってしまうとするか。
 ひょいと肩にかついだ可愛らしい色は、知盛にはまったくもって不釣合いで、鏡に映った
己の姿は滑稽以外の何物でもない。
 押さえた笑いはその情けなさに浮かんだものか、それともこの後の少女の様子を想像
してのものか。
 どちらにせよ、随分楽しそうであるのは間違いなかった。
 生死を分ける戦のない、この世界で。
440知盛×神子(3/10):2006/02/02(木) 22:15:27 ID:INuRWrMT
 たまったものでないのは、残された望美だった。
 体をふき終わるまで全く気づいていなかったけれど、何度見回してもそう広くない脱衣
所に、バスローブを見つける事は出来なかったのだ。
 着替えは今まさに洗濯機の中でぐるぐる回されていて、とてもではないが着れるわけがない。
「知盛!」
 体にバスタオルを巻きつけて、半分ほど開けた扉から呼んでみるが、暗いリビングからは
もちろん返事はなくて。
 それなのに、返って来る無音の中に知盛の存在を嫌でも感じる。
 待っているのだ。
 知盛がいるであろう寝室で、静かに静かに、全神経をこちらに向けて。
 緊張感さえ覚える濃密な空気に、望美の左胸が大きく唸る。
 それは怒りとはまったく別の高鳴りで、早くなる鼓動はうるさいほどだ。
 一歩進むごとに、息苦しさと重みさえ増していき、閉ざされた扉の前に立った時は、
肌の上を静電気のような痺れが走った。
 それは恍惚だったに違いない。
 誤魔化しようがないほど、望美の体は剣気にも似た鋭さを感じて喜んでいた。
 知盛の気持ちが向けられている。
 それが、触れられてもいないのに燻る熱を奥から呼び覚ます。
 広がる熱を逃がしたくて、ついた吐息はすでに甘く、唇が溶けそうだった。
「……入るよ」
 ゆっくりとドアを開くと、ベッドに腰かけた知盛の半身が闇の中にぼんやりと見える。
「存外、早かったな。お前のことだから、もう少し……ごねるかと思ったが」
 光を受けて片方だけ見える瞳が小さく笑うと、足元に伸びた輪郭のない薄い知盛の影
が、望美の爪先にちらりと触れる。
「嘘ばっかり。そうさせない為に、気配で呑んだくせに」
 踏み出した足が、自分の目の前で影に染められた。
「お見通し、か。……それでも逃げなかったな」
「逃げる必要なんて、ないもん」
 背中で閉めたドアの冷たさが少しだけ、冷静さを取り戻してくれる。
 そうすると、バスタオルの頼りなさがやけに気になり出した。
 胸もお尻も下手に動くと、すぐに見えてしまう長さしかないのだ。
「ところで、いつまでそこにつっ立っている? それとも、迎えを御所望か」
 スプリングを鳴らし知盛が立ち上がると、ついに薄闇が望美を覆いつくした。
 それだけで、大きくしなやかな体を求めたくなる衝動に身を焼かれ、反射的に首を振っていた。
「い、いい! 自分で行くから」
 勢いがつきすぎてくらくらするが、かまってはいられない。
「ではお手をどうぞ。お嬢さん」
 咽喉を鳴らしながら、優雅な仕草で伸ばされた腕までは、五歩。
 右手で挟み込んだ上の部分を、左手でめくれそうになる裾を押さえて、呼吸を整えな
がら小さな歩で慎重に進む。
 五歩と見えた距離は普段の歩数だったようで、ゆうに十歩を越えてようやく望美は知盛
の目の前に辿り着く事が出来た。
「なるほど」
 まるで大きな仕事を終えたような達成感に浸っていると、それまでやけに大人しかった
知盛が、何かに納得するように頷いた。
「なに?」
「見えそうで見えない、というのもなかなかそそられるな。チラリズム、と言うのだったか?」
 誰がその言葉を教えたのかは、大体の検討がつくけれど。
 恨みたくなるのは、学習能力が妙に高い知盛だ。
「変な言葉ばっかり、覚えるんだから」
「そうでもないさ。……キス、は好きだろう?」
 耳元の囁きと顎に添えられた手は、図星を突かれたからといって払えなかった。
 だって、図星なのだから。
 そっと目蓋を閉じた望美は、唇にキスの感触を感じた時には、柔らかなベッドに体を
横たえられていた。
「知盛も、好き?」
 バスローブを脱ぐために身を起こした知盛に尋ねると、片方の眉を上げて見せる。
「……さあ、な」
「もう」
 意地悪くはぐらかしておきながら、天邪鬼な男の二度目のキスは長く優しかった。
441知盛×神子(4/10):2006/02/02(木) 22:17:11 ID:INuRWrMT
 胸の膨らみをなぞるように動いていた唇の動きが唐突に止まり、そのままでふと笑みを
刻んだのが、湯で温まったせいか、それとも散々嬲られたせいか、敏感になり始めている
肌でわかった。
「ど、したの?」
「いや、なに……」
 そう言って顔を上げた知盛の唇には、望美が感じた通りの薄い笑みが浮かんでいる。
 焦らすように愛撫をとめる事はあるが、まだ追い上げられていない状況での中断は珍しい。
「今宵は趣向を変えてみようかと、思っただけだ」
 落とされた照明の中で、唯一許された暖色の淡い灯り。
 その頼りない、けれども見極めるには十分の光を弾く知盛の瞳はどこまでも硬質だ。
 食い入るように見つめても、楽し気であること以外、奥にある感情をおいそれとは見せて
くれないが、それでも声音に潜む穏やからしからぬ響きに望美の表情は曇る。
「何する気なの?」
 思わず取った警戒の気配に、知盛の瞳が細くなり、対照的につりあがる口端。
 上機嫌だ。
「取って食いやしないさ。そう……怯えるな」
 すぐにでも泣かせたくなる、と低く呟いて歯をたてられた耳朶は痺れるような鈍痛を伝える。
 それがただの痛みだけでないのは、思わず漏れた悲鳴に混じる甘さが証明していた。
「も、知盛!」
 悪戯を叱るように声を出すが、内心、望美は少し悔しかった。
 ベッドの中では、どうしても知盛の方が一枚も二枚も上手になるからだ。
 普段ならば怯えてなんていない、と言い切れるのだがそれさえも出来ずにいる。
 キスの仕方も、重ねた身体の熱さも、乱れて我を忘れる快楽も、全てこの男に教え込まれた。
 もう無理だと思う強い刺激の、その更に上まで連れて行かれるのは、気持ち良いを通り
越して、どこかへ飛ばされそうで恐い。
 それだから、必死にしがみついた知盛の背に、爪あとばかりを残してしまうのだ。
 お前を抱いた後は寝にくい、と渋い顔をして言われたりしても、無意識なのだからしょう
がないではないか。
 だから当然といえば当然なのだろうが、慣れないことをさせられるのも正直、遠慮したい。
 と言うよりも、自分がどうなってしまうのかがわからない恐怖の方が先に立つ。
 それが顔に出ていたのだろうか。
 知盛が音にせずに、唇の動きだけで囁いた。
『欲しい』と。
 落とされた空言葉を包むのは、隠されていた瞳の奥でゆらりと揺れる、影よりも濃い暗さだ。
 その深みから逃れる事は、もう、出来ない。
 何よりも、望美自身が堕ちる事を望んだのだから。
 例え身を投じても、その闇を埋める事は出来ないだろうと知りながら、それでも両手を
伸ばさずにはいられなかった。
「知盛」
 名を呼ぶと、答えるように降りてくる身体。
 離されないままの視線は、近づくごとにその色をはっきりとさせていく。
 求められるのは至福。
 人は誰しも、幸福になりたい生き物なのだ、と誰かが言っていた。
 ならば、自分は間違ってなどいないはず。
 引き寄せた知盛の唇にキスした時、そんな言葉が胸に宿った。
 何を以ってして、正解とするかは知らないけれど。
442知盛×神子(5/10):2006/02/02(木) 22:20:05 ID:INuRWrMT
 確かに、そう思っていた望美だったが。
「それって……」
 知盛が持ち出した物に、早くも心がぐらつきそうになる。
 やはり間違いだったのかもしれない、と。
「まさかそれを使うの?」
 正気なの?と言外にありありと聞いている響きを、知盛は持ち前の図太い神経で、なん
ともないと聞き流す。
「生憎、俺には無用の物だったが、兄上に頂いたものを使わないのも悪いだろう?」
 そんな事は断じてないし、悪いなど微塵も思っていないだろうというのは、にやりと
笑っている顔から判断するのは難しくない。
 けれど、本気か冗談かを区別するのは無理だった。
 いつも戯れのような口調で、本音を言う男だから。
 だからどうしても、望美の体はじりじりと遠ざかり始める。
「どこへ行く気だ?」
 もちろん見逃してもらえるとは、思っていなかった。
「知盛のいないところ」
 鋭く言って、覆いかぶさる知盛を押しのけた判断は、誰が見ても正しいだろう。
 アイマスクを意味ありげに見せられて、誰が喜ぶか。
「そんなの、絶対つけないから」
 普通ではないと思っていたけれど、まさかこんなにあっさりとあちら側に行ってしまうとは。
 百歩譲って行くのは勝手だとしても、巻き込まれるのだけは断固として拒否の望美は、
最終手段の急所攻めをしてでも逃げる気であった。
「ああ。お前は付けなくていい。俺が、するんだからな」
 だから、あまりに思っていたのとは逆の台詞を、瞬時に理解するのは無理だったのだ。
 何度もまばたきを繰り返す間に、知盛の瞳が目の前でどんどん細められていく。
「そこまで驚くとは、失礼な奴だな」
 低い声と、這い上がるような不機嫌オーラは、間違いなく現実だ。
「……知盛がするの?」
 それでもまだちょっと飲み込められなくて、開いた口が間を置くのはどうしようもなかった。
「どう勘違いしていたのかは大体見当がつくが、俺に見られるのが嫌なのだろう? たまには
配慮してやろうと思ったのだが……要らぬ世話だったようだな」
「そ、そんなことないよ」
 投げやりになりそうな知盛の機嫌をとりつつ、もう少しで変態と罵しりそうだった事は
黙っておこうと固く心に誓う。
「だって、そんな事言うなんて思わなかったから」
 こんな風に気遣われたのは初めてで、嬉しいと言うよりも落ち着かない。
「逆ならば在りそうだ、と……思ったか?」
「うん」
 こんな時ばかり素直になる望美に、知盛のキスは仕返しの分だけ容赦なかったけれど、
じわじわと沸いてくる喜びの前に苦しさは吹き飛んでしまった。
 離された唇が惜しくて、切れた銀糸を繋げるように追いかけると、触れた途端に笑われた。
 でもきっと、重なった唇は同じ形をしているはずだった。
 信じられないぐらい、幸せだったから。
443知盛×神子(5.5/10):2006/02/02(木) 22:28:40 ID:INuRWrMT
 しばらくの間はその気持ちで一杯で、どこを触られても小さな笑い声がこぼれるほどであった望美も、次第に呼吸を浅く小さくし始めた。
「っん」
 耳ざとく聞き逃さなかった知盛が、もう一度声を上げさせようとするが、望美がはめた紺色のアイマスクで、視界は完全に隠されていてすぐには見つける事が出来ない。
「ここ……ではないな。こちらか」
 まるで、砂浜の中でたった一つ違う砂を探すように、肌を撫でる指先に意識を集中させる。
 華奢な体は起伏に富んでいて、輪郭は丸くどこまでもなだらかだ。
 上質の絹にも負けぬすべらかさは、手を止めると途端にしっとりと吸い付くように変わるのが堪らなく心地いい。
 それでいてその奥には、熟れる手前の体が持つ硬さがあって、早春の芽吹きの香さえ漂ってきそうであった。
 実際には、先ほど風呂場で嗅いだ花のような薫りが、ほんのりと残っているだけなのだが。
 知盛は知らぬ所などないと、むしろ本人より熟知していると思っていた体が、こんなにも幼さを残していたのに正直驚いていた。
 これでは、確かに閨の習いになかなか馴染めぬのがわかる。
 何度も抱いていたはずなに、全く気づいていなかったのは、それだけ惑わされていたからか。
 思い上がりは、普通に眼にしていたはずの指にさえあった。
 背中に食い込むから、どれほど強固なのかと思えば、暗闇の中爪は薄く小さく、試しに歯をたてると指先と同じように柔らかかった。
「ぁ…」
 感じたのに驚いた望美が腕を引かなければ、全部の指に噛みついてやったというのに。
 面倒になったら途中で目隠しなど、放棄してやろうと思っていた知盛だったが、予想外に面白くなってきていた。
 まだ何かが隠されているような気がして、どこもかしこも確かめたくて堪らない。
「なん、か。いつもと違うよ」
 常の煽る愛撫とは程遠い、どこか余裕のない触り方に、望美は戸惑いを感じずにはいられないのだろう。
「いつも通り、とはいかないさ」
 不安そうな声にキスをしてやりたくても、利かない視界ではままならない。
 こういう時は、やはりやめるかと思わないでもないが、とりあえずやり過ごす。
 そして、首筋から辿って見つけた唇を塞ぐと、強く押し当てられた。
 どうやら、待たせてしまっていたらしい。
444知盛×神子(6/10):2006/02/02(木) 22:29:49 ID:INuRWrMT
「もどかしいか?」
 それはどちらかと言うと、知盛の気持ちでもあった。
「……少し」
 だが意外にも、正気を残した望美が珍しくねだったものだから、ちょっとした思い付きが
浮かんだ。
「なら、お前が教えろ」
 シーツの上に逃れていた手を探り、自分の手を重ねると、意図を察して振りほどこうともがく。
 逃げられるともう一度探さなければならないのが煩わしくて、知盛は強引にその手を縫
いとめた。
「してみろよ」
 動けぬようにすると観念して力を抜くが、全身は強張ったままだ。
「で、出来ないよ。そんなの」
 押さえつけた手首はドクドクと血潮が脈打ち、頬を真っ赤に染めているのが容易に想像
できる。
「俺には見えん」
「でも…」
「なら、このままお付き合いいただこう」
 俺は構わんからな、と言って離した手は予想通り引きとめられた。
 それでも、そのまますぐに動き出せないのは、まだ迷いがあるからだろう。
 羞恥と情欲の間で揺れて、どんな顔をしているのかが知りたくて、知盛のもう片方の手
が望美の頬に触れる。
 震える睫毛は、心を決めかねて落ち着きなく彷徨う視線のせい。
「欲しくないのか?」
「……欲しい、よ」
 途切れ途切れに訴える望美の声は、あと一押しで崩れそうなほど艶を帯びている。
 それでもなかなか堕ちてこないのは、やはり強情さゆえか。
「だから、くれてやると言っている」
 顎から額へなで上げただけで、小さく息を呑んで身をよじる癖に。
 見えていないから隠せていると思っているのかもしれないが、感じているのは明白。
 どうやら勝利は目前らしく、知盛の口角が上がった。
「知盛と違って心の準備が要るんだから、ちょっと待ってて」
「……仰せのままに」
 指で確かめた唇は、ふざけると噛みついて責めてきた。
 あんまりにも効果がなくて、かえって笑えるだけだが。
445知盛×神子(7/10):2006/02/02(木) 22:31:29 ID:INuRWrMT
 そうして、ようやく望美が知盛の右手を導いたのは、胸の膨らみだった。
「知盛」
 力をいれずに乗せているだけでも、形を押しつぶしてしまうほどの柔らかさ。
 その中に唯一頂だけが、手の平でもわかるほど固く張りつめていて、つんと限界まで
立ち上がって、触れられるのを待っているのは健気ですらある。
「ここ、か?」
 問いかけには震える体が答えた。
「っ、……ぁ」
 触って欲しくて仕方がないと。
「仰せの、ままに」
「あっ…」
 そこを手の平でこするように揉んでやると、気持ち良さそうな吐息が噛まれた指に触れた。
 どうやらもう、からかいに興ずるのも無理らしい。
「この程度で、可愛らしいことだ」
 望美の体に篭っていた熱が、触れた場所から徐々に解放されていくようで、感じさせれ
ばさせるほど知盛にも伝わってくる。
 それに引きずられるように徐々に上がる体温と乱れる呼吸に、知盛はこれではどちらが
翻弄しているのか怪しい物だと、乾いた唇を舐めた。
「声を、出せよ」
 見えない分を求めて、引き結ばれた唇を指で割ると、口内は肌よりも数段熱く、濡れた
指にはせわしない吐息が余計に感じ取れた。
「ふ、んっ」
 きっと体を繋ぐときには、もっとたぎる様になっているのだろう。
 そう思うだけで、じわりと汗が滲む。
 女を知り始めた頃でさえ、もっと余裕があったはずで、こんな風に簡単に煽られたりは
しなかった。
「いい……声だ」
 けれど、暗闇に響く声をこの手で乱したいと思うのが、今の自分だ。
 何ひとつ、恥じることではない。
「あ、あ……あっ」
 閉じさせぬ唇からは、息を吐くたびに喘ぎが一緒に紡がれる。
「よさそうだな。だが、まだ足りないのだろう?」
 浮き出た鎖骨から舐め下ろしていき、ゆるやかな曲線に逆らわずにのぼれば、それは
唐突に触れた。
「あんっ!」
「まだ、掠っただけだぞ。今からそれでどうする」
「ちょ、まって…」
 もう片方の胸でも、やはり待ちわびられていたのだ。
 知盛の低い愉悦の声に、望美はますます背を反らす。
 だが、それでは逃げようとしているというよりも、もっとと求めているようにしか思えない。
 体の震えにあわせて揺れているのを唇で喰み、舌先で転がせば、組み敷いた体がたま
らないとばかりにビクビクと跳ね上がる。
 別段性感帯でもない頬への刺激にも反応していた体には、ただでさえ敏感な部分への
同時攻撃はいささか辛いのだろう。  
「おい、逃げるな」
 しかし、わざとではないにせよ、ぬめる知盛の舌は何度も振り切られていて、思う存分
味わう事が出来ないでいた。
 その度に探さねばならないのだから、恨み言も言いたくなるというものだ。
「そんな…む、り……んあ」
「…仕方ない」
 逃さぬように含んだまま吸い上げると、更にひくつく体とあがる嬌声。
 それはいっそ、痛々しいほどでもあったけれど、ここまで来て遠慮などしていられる奴
がいるなら、その男を嘲笑ってやる。
 惚れた女を欲しがらないなど、冗談にもならない。
446知盛×神子(8/10):2006/02/02(木) 22:33:27 ID:INuRWrMT
「んんっ、あ、あ…あ」
 止まらない声をどうにかしたくとも、突然の事に対処のしようがなかった望美は、顎に力
を入れると感じる弾力にすくむばかり。
 それに痺れるような快楽に意識のほとんどが囚われていて、どうすればいいのか考え
られない。
 どうにか押し出そうと舌を使ってみるが、それがいけなかった。
 いつもは深い口付でしか感じない絡みつく動きを、知盛が指で再現し始めたのだ。
 十分濡れた指は関節を上手く使って、望美の逃げ場を封じる。
「んぅ……はっあ」
 いつもよりしっかりとした感触は、溶け合う陶酔を与えてくれないけれど、その分だけ知
盛を強く感じて羞恥が増す。
 長くて形良い指に、こんな風に口内を蹂躙されるのは、誰の眼にも触れる部分なだけに
余計に淫らに思えた。
 そう自覚すればするほど、腰の奥がはしたなく疼く。
 まだ一度も触られていないはずのそこが、どれだけ濡れているかなんて、膝をすり合わ
せなくてもわかった。
 それはもう、恥ずかしいなんてものではない。
 意識は正気でしかないのに、体はとっくに陥落されているのだから。
 目隠しをした知盛の触り方は丁寧というよりは熱心で、思わぬところを思わぬ風に触ら
れるから、望美にとってはたちが悪い。
 それも、長い時間をかけられては尚更。
「あっ!」
 ちゅっと音をたてて離された胸の先端に軽い痛みが走り、思わず力を入れた歯が知盛の
指に食い込んだ。
「っ…」
 呑んだ息と一瞬腕に走った緊張が、アイマスクの下では見えない眉が寄せられている
のだろうと確信させた。
 その程度で文句を言うような狭量な男ではないが、きっと痛かったはず。
 ごめんね、と指に舌をはわせるとやはり浅い窪みがいくつかついていた。
 積極的に舐め始めると、先ほどとは違う意味で知盛の表情が変わった。
「あまり煽るな。もう少し、お前を確かめさせろよ」
 悔しそうな、いつもの鷹揚さのない顔。
 肌に語るその息は荒く、広い背に腕を回すと湿りを帯びていた。
 太腿に触れる熱もずっと熱いままを保って、時折震えているような気もする。
 感じてくれてるのだと思うと、いっそう指に絡みつきたくなった。
「ふぅ……ん」
 鼻にかかった声を漏らし、やめるどころか吸い付く望美に苦笑を浮かべた唇からも、
息が漏れる。
「大した…お嬢さん、だな。お前は」
 間違いなく、知盛の背が腕の中で震えた。
 もちろん今までだって、こうして欲情してくれていたのかもしれないが、その頃の望美は
いつも朦朧としていて、確かめることなど夢のまた夢だ。
 今日なら、高みに連れて行かれるのが恐くないかもしれない。
 望美は自分ばかりがひとりで昇らされていたと思っていたけれど、知盛はずっと一緒に
いてくれたのだとわかったから。
447知盛×神子(8.5/10):2006/02/02(木) 22:36:32 ID:INuRWrMT
 大丈夫、見えてない。
 ちらりと見上げた知盛は、相変わらずアイマスクをしたままで。
 望美を押し止めるものはそこにはなかった。
「どうした?」
 もぞもぞと意思を持って動いた望美に、知盛が不思議そうに問いかける。
「ん…」
 口内から引き抜かれた指とは、銀糸で繋がれたけれど、ぬめりの足らないそれはすぐ
に切れてしまった。
 それを残念に思いながらも、今はもっと違う事で心が埋められて、追いかける気には
なれなかった。
「とも、もり」
 見えてない、見えてない。
 呪文のように心の中で唱え、自ら知盛を迎え入れるために膝を立てて開いていく。
 した事のない行為に、見られていないとわかっていても、かあっと体中が燃え上がるよ
うに熱くなって、ますます動きが鈍くなりそうになるけれど、止めようとは思えなかった。
 その頃には知盛にも何がしたいのかがわかったようで、軽い驚きを浮かべながらも緩慢
な動作を肩や胸へ口づけながら待ってくれた。
 濡れそぼった箇所を思う位置に導くのは、すんなりとはいかなくて、失敗するたびに二人
同時に息を飲む。
 そのつど、知盛の食いしばった顎の線が望美の目の前で浮き出て、なで上げてしまい
たくなった。
 感じてくれているのが、素直に嬉しいのだ。
 もちろん余力がないので、それは考えるだけで終わったが。
「入れて…い、い?」
 ようやく切っ先を入り口にあてがえた時、もう互いの呼吸の乱れはどうしようもないところ
まで来ていた。
「…ああ」
 けれど、最後まで好きなようにさせてくれるつもりらしく、知盛は呻きに近い声で望美を
許して、まだ少し開き足りなかった膝をそっと割った。
 恐る恐る腰を押し付けるように力を入れると、張り出た部分がとろとろに溶けたように
なっていた入り口を、少しずつ押し開いていく。
 そのたまらなさに、望美は咽喉をさらす。
448知盛×神子(9/10):2006/02/02(木) 22:37:53 ID:INuRWrMT
「ん、っん〜」
 そして、明らかな異物感は、自分の身に起こっていることをリアルに教えてきた。
 潤んだそこは痛みなど感じずに、呑み込める事に喜んでいる。  
「っく」
 何の前触れもなく、大きい部分がするりと通り向け、知盛の体がぶるりと震えた。
「あ、あ……すごく感じる…知盛が、は、入ってる」
 広げられる感触も、包み込んだ形がわかるのも初めてだった。
 翻弄される熱としてではなく、知盛の一部として。
 小刻みな震えが止まらない体を、長い腕が巻きつくように抱きとめる。
 散々嬲られて隆起した胸の先端を厚い胸板が押しつぶし、頬と頬がすりあわされて、
汗で張り付いた髪が払われた。
 それだけで体に力が入り、中の知盛をきゅうと締め付ける。
「入った、だけじゃない。……咥えてるぜ。ほら、な」
 少し腰が沈んでは引かれる動作だけで、知盛の体で開かれている膝ががくがくと震えた。
「ダメ! いっちゃうから、ダメ!」
 ぞわぞわと鳥肌が立つのを振り切るように、大きく首を振る。
「我慢するな。もう…限界だろう。俺も、だがな」
 泣いているような声に知盛がなだめるが、望美は頑として聞こうとせず、ただ首を振り
続けた。
 見えていないことなど、もう、頭の片隅にもなかった。
「だ、って…まだ、知盛のこと全部、感じてない」
「全部?」
「ちゃんと、奥まで……来て」
 望美の哀願に、頬に触れる知盛の息が苦しそうに引きつった。
「知盛?」
「俺に、恥をかかせる気か。……もう少しで失態を犯すところだったぞ」
 ふうーと大きく溜息をつくと、何とか衝動をこらえきれたようで、ゆっくりと固いままの知盛が
望美の中を進んでいく。
「あ、あ、あ、ん…うん」
 渦巻く熱の解放を求める体には、物足りない刺激。
 泣きたくなるような切なさに苛まれて、腰を揺らしたくなるのを耐えて、望美は待った。
 一番深い場所で、知盛を感じるために。
449知盛×神子(10/10):2006/02/02(木) 22:39:58 ID:INuRWrMT
「全部、感じられたか?」 
 突き当りを押し上げるようにして埋め込むと、望美は気がふれたように、知盛の名を
泣いているのは間違いない声で繰り返し呼んだ。
「望美」
 息をしているのか疑いたくなるような呼気の中。
 呼ばれる名前の甘い凶暴さに、抱き殺したくなる。
「…ぞ、み」
 もう、見ないでなどいられるか。
 かなぐり捨てたのは、視界を隠したアイマスクなどではなく、きっと。
 愛しさを隠す愚かさだ。
 必死に縋る爪が背中に食い込むのも気にならず、細い足を肩にかついで大きく揺らす。
「と、も……ああ! ふっぅん…あ、あ、んぁ」
 まるで食いつくような絡みつきを見せる望美に、這い上がってくる本能の疼き。
 ほとんど串刺しにするような勢いは、華奢な体を壊しそうだったが、どこか狂わされたよ
うに止められない。
「ひっ、ぁ……あ」
 声にも息にもならない響きと、激しくきしむスプリングの音に追われながらの突き入れに、
望美の瞳からは涙が溢れる。
 それを哀れと思うより先に、シーツに染みこんで消える雫に湧いた独占欲が、唇を落と
させた。
「俺にも……全部、くれよ」
 一滴も逃すまいと目尻を舐めた感触に、つられて目蓋が開き、その奥の瞳が知盛を
見つめ返す。
 もう声を出すのも無理なのか、開いた唇は何の言葉も紡がなかったけれど、何より鮮や
かにその眼差しが知盛に伝えた。
 離さないでほしい、と。
「誰、がっ…」
 離すか。
 押しつぶしかねないほど体重をかけて深い場所をえぐると、肺の中の空気を全部出す
ように高く啼いて、腕の中に閉じ込めた体がきつく強張った。
 その中で脈打つ欲望が放たれる快楽に身を預けながら、観念にも似た心地になる。
 結局、強情で、可愛げがなく、とんでもない無茶をする女が。
 大切なだけでなく、愛しくてたまらないのだ。

 気を失ってしまった望美を腕に抱えて、自分もけだるさに眼を閉じようとした知盛は、
ふと視界に引っかかったある物に眼をとめた。
 白いシーツの端にぽつんとあるのは、夜の闇には少し届かぬ暗い紺色。
「………」
 満足しているはずの心が、胸にかかる浅い息によからぬ考えを思いつく。
「お前にも、教えてやろう」
 闇の中で違いを感じる喜びを。


 どこかでレベルアップの音が聞こえる。
 知盛はアイマスクの(間違った)使い方をおぼえた!
450前スレ503:2006/02/02(木) 22:41:07 ID:INuRWrMT
以上です。
今後は重複しないよう気をつけます。
451名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 22:53:56 ID:+nheCLcx
前スレ503氏GJ!
氏の知神子本当に萌えるなぁ
しかし全体しっとり艶やかなのにオチ禿ワロスww
452名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 22:59:31 ID:go27MO87
503神GJ!
細かな描写にどきどきしながら読み進めていたら…
オチで吹いてしまったよw
気が向いたらその後の望美の受難?を投下して下さると嬉しい。
453名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 23:06:33 ID:bQT8UGJt
ネ申キタ――(・∀・)――!!
GJです!スレの悪い雰囲気壊してくれてアリガトです!
454名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 00:02:58 ID:zZKtZne9
うわー待ち望んでたのキター
くそエロくてサイコー!
GJ!
455名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 00:15:11 ID:VVrYaRCR
GJGJ!!!!
456名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 00:54:01 ID:E7pjvtwt
イイヨイイヨ〜エロいよハァハァ
チモ神子最高!
457名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 03:13:44 ID:KTpmTWT1
>「俺に、恥をかかせる気か。……もう少しで失態を犯すところだったぞ」
萌え死ぬかとおもった
458名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 20:38:13 ID:i1R29D3c
前スレ503ってコテ?

459名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 22:51:23 ID:zZKtZne9
>458
攻撃対象ロックオン?勘弁してよ
460名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 02:15:40 ID:/7NdPl1L
>458
消えろ
461名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 02:56:04 ID:rdNeNn1F
GJGJ!
462ちゅん ◆EwwRseKMM6 :2006/02/04(土) 12:13:58 ID:/coLnaSc
続き投下させていただきます。
しつこいようですが神子の集団暴行等の表現があります。
ラストもハッピーエンドにはならないと思われます。
お嫌いな方はスルー願います。
463水底の貝のように4:2006/02/04(土) 12:16:04 ID:/coLnaSc
外に出て確信した。
ここは熊野の近くだ。
しかも初夏の。
九郎さんや朔、白龍達に会えるはず!
とりあえず熊野本宮を目指せば、皆と合流出来る筈。
街道沿いなら勝手がわかるんだけれど、
素肌に白い布を巻きつけただけの姿では人前に出れない。
下着を履いてないのって、こんなに心細いんだ。
スースーするのが気持ち悪い。
なんとか、衣服が手に入るといいんだけれど。
早く、皆と合流したい。
ずっと耳元であの時の惟盛の声が響く。
消えていく白龍の瞳が目に焼きついている。
一人現代に戻った時の無力感・・・。
もう、いやだよ。
皆をあなたを失うのは!!
464水底の貝のように5:2006/02/04(土) 12:18:16 ID:/coLnaSc
何故、こんな事になったんだろう・・・・。
目の前で消えていく白龍から逆鱗を受け取り、現代に戻った私は、
どうしても皆を救いたかった。
時空を越えた熊野で、先生に貰ったアドバイス「河の源流に遡れ」。
私は再度、時空を越えた。
私に取っては懐かしい皆なのに、初対面で。
皆が生きていてくれるのが嬉しい。
皆にできるだけの事をしたい。
そんな時に、ふと想い出したのは2月11日が弁慶さんの誕生日だったと聞いた事だった。
譲君と朔に相談して、ケーキとご馳走は二人が担当してくれることになった。
景時さんには花火を打ち上げてくれるように頼んで・・・。
一番厄介だったのが九郎さんだった。
九郎さんは、すぐ顔に出すから。
何度、バレルかな・・・ってハラハラした事か・・・。
『お誕生日おめでとうございます。』
そう言ったときの弁慶さんは一瞬唖然とした。
『驚いたな、人にそんな風に祝って貰った事なんてなかったものですから。』
『え・・・・、どうして?』
『僕は・・・・・・・・・そう、望まれて産まれた子ではありませんでしたから。』
その言葉が哀しくて、私は弁慶さんを抱きしめた。
『私は・・・・・弁慶さんが八葉でいてくれた事が嬉しいです。
ううん、八葉じゃなくったって弁慶さんが今ここで笑ってくれているのが嬉しいんです!!
だから・・・・・・・だから・・・・・産まれて来てくれてありがとうございます。
お誕生日、おめでとうございます。』
弁慶さんは、一瞬顔を真っ赤にさせた。
『・・・・・・・・有難うございます。』
わぁ、照れた顔の弁慶さんって初めて見た。
・・・・・・・・・・・・・かわいい・・・・。
『お祝いに、何か贈りたいんですけど。』
『そうだな、一つだけ欲しいものがあります。』
そう言って弁慶さんは少し怖い顔をした。
『え、何ですか?』
『君・・・・ですよ。』
それが始まりだった。
九郎さんと剣の手合わせをしていると、気が付けばいつもそこに弁慶さんがいた。
譲君と庭先で花の手入れをしている時も。
景時さんが洗濯している時に談笑している時も。
弁慶さんは、静かに微笑むのだけれど、その笑みはどこか怖さを含んでいた。
そして、それは割りとスグに起こった。
六波羅で合流したヒノエくんが夜更けに私の部屋に忍んできた。
桜を見に行こうと。
花は夜明け前が一番だと。
二人で手を繋ぎ庭に出た。
『いま、何処から出てきたんですか、ヒノエ?』
あんなに冷たく笑う弁慶さんを、初めて、見た。
465水底の貝のように6:2006/02/04(土) 12:21:41 ID:/coLnaSc
『約束・・・・しましたよね。誕生祝にあなたをくださると。
なのに、何故あなたは他の男とばかりいるんです?
なんで、僕以外の九郎や、景時や、ヒノエや、譲君と
あんなに嬉しそうに喋るんですか?
楽しそうに傍にいるのは何故なんですか?
誰も、君の傍からいなくなるといい。
そう、僕だけを見つめて・・・・・・・・。』
無理矢理の口付け。
その時、口の中になにか苦いものを押し込まれた。
遠ざかる意識。
気が付けばあの蔵の中だった。
『君が僕に溺れるまで、やめませんよ。』
そう言われて、無理矢理体を繋げられた。
痛みと、恐怖感だけだった。
『僕だけを見て、僕だけを感じてください・・・・。』
なのに、毎晩抱かれる度に、痛みが薄らぎ。
恐怖感の代わりに恍惚感を覚えた。
覚えた快楽と同じくらいに焦りを感じた。
過ぎていく時間が怖い。
もう一度、あの歴史を繰り返したくはない。
何時になったら外に出してくれるの?その質問に弁慶さんが暗く微笑った。
『早く僕の子を孕むといいですよ、望美さん。
あなたはお優しいから、自分の子を残して逃げたりなんかできないでしょう?』
466水底の貝のように7:2006/02/04(土) 12:24:36 ID:/coLnaSc
足を木の根に取られそうになる。
この道、ほとんど人が使ってないみたい。
服を手に入れなきゃ、本街道に早くでたい。
こんな裏街道なんて、まっとうな人は使いそうにない。
その時、後ろから足音が聞こえた。
自分の身を守っているのが一枚の布だけというのが今更に心細く感じた。
道の端に落ちていた手頃な木の枝を拾う。
これだけで、どれ程戦えるかはわからないけれど。
ないよりはましだよ。

後ろの足音は複数。
前に回り込まれたら厄介だ。
危険だけれど道を外れた方がいいかも。
道を外れ、崖に近い土手を滑り降りる。
「逃げたぞ!」
「気付かれたか!」
「追え!!」
やっぱり・・・付けられていたんだ。
枝をつかむ手に無意識に力んだ。


「いたぞ!!」
声はすぐ後ろから聞こえた。
―――こうなったら、やるしかない!
私は木の枝を構え、声のほうに向き直った。
「ほぅ、上玉じゃねぇか。」
・・・っ!
野盗!!
相手が剣を引き抜こうとした隙に棒を、相手のみぞおちに叩き込んだ。
「ぐぇっ!」
駆け出した背後から声がする。
「こっちだ!」
「逃がすな!!」
冗談じゃない!
あんな人達に捕まったら、何をされるか・・・!!
467水底の貝のように8:2006/02/04(土) 12:25:39 ID:/coLnaSc
その時、木影から現れた手に右手を掴まれた。
「くっ!」
凄い力!
絶えられずに開いた手から棒が落ちた。
「こらっ!てめぇら!!大事な商品に傷付けて、どうすんだ!」
「御頭!」
「御頭!!」
この人が首領・・・。
左手であごを持ち上げられた。
私は睨み付けるしかできない。
「くっ!こいつは上玉だ。
野郎共、足と手ぇ押さえな!」
やっ、やだっ!!
こんな所で売られたらっ!!
皆を助けられないっっ!!
離してっ!!
「見ろよ?こいつの肌、雪のように白いぜ?
痕があるって事は、おおかた、熊野参りの
お貴族様のおもちゃが逃げ出してきたってとこか?」
下衆びた笑いを浮かべて、男の手が身に纏っていた布に伸びた。
「どれ?野郎共、眼福を拝むとするかぃ?」
やだぁっっ!!
嫌!!やめてぇぇぇっ!!
男の手が布を剥ぎ取った。
しん・・・・・とした静寂の中で男達が飲み込む生唾の音が響いた。
涙なんか流したくないのに、こいつらを喜ばすだけだろうに、止まらなかった。
「こいつは・・・・極上だな・・・。
どれ、前の主人にどれだけ可愛がられたか・・・試してみないとな。」
嫌っ!!
こんな男となんて絶対いやだ!
やっ!
いきなり口に布を押し込まれた。
「舌でも噛まれると厄介だからな。
なに、姉ちゃん、すぐに天国に行かせてやるよ。」
やだっ!
「さ、お前らにもいい物見せてやるよ?
右足と左足、引っ張れ。」
いやっ!!弁慶さんっ!
膝に力を入れたけれど、そんな抵抗は役にたたなかった。
「見ろ!凄ぇ、桃色だぜ?」
「へへへ、今晩が楽しみだ。」
「あの乳の形を見ろよ?」
こんな人数の前で自分の体が晒されてしまった事がショックで力が入らない。
ぐちゅ。
呆然としていた私はいきなりの異物感に体を仰け反らした。
さっきの男の指が私の胎内へと侵入していた。
いや。
いやっ!!
こんな・・・見知らぬ男に触れられるなんていやっ!!
男のもう片方の手が胸をつかんだ。
指は深く浅く行き来する。
やぁ・・・・ッ・・・・ああっ。
夜毎に弁慶さんに貫かれた体が反応する。
「ふふふ・・・感度もいいな。ここが吸い付いてくるぜ?
じきにオレが欲しいとよがるようになるぞ?」
やだっ!
触れられるのも嫌な男に快楽を感じてしまう自分の体を呪った。
もう、死んでしまいたい。

今日はここまでです。
468名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 13:08:03 ID:cwzs/FIQ
469名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 18:56:49 ID:MrCI7gO/
ちゅんさん、GJ!!
やっと話の展開が見えてきました。
続きが気になる〜
470名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 20:25:35 ID:B1q4nrtY
凹凸
471名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 22:12:41 ID:wjQpdvT9
黒い弁慶さんが素敵です★
472名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 23:33:45 ID:wEkMsM6j
神子が弁に無理チューで薬盛られて拉致されてる間横でヒノエは何してたの?
変なの…
473名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 00:43:16 ID:3f0Fo1N7
チモみこやべぇ
超GJ!!!
マジで神です。
チモリのセリフで萌え死にしたよ。

弁みこ神も乙。
続き楽しみにしてます!
474名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 00:58:45 ID:aDkERCl0
>>472
5と6の時間軸は違うんじゃない?
475名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 01:11:21 ID:4m3dsXmD
読みづらいし分かりづらい
476名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 02:14:46 ID:Av9FBfMW
六波羅でヒノエと合流前だと神子の回想は1、2章。
冬の宇治川で源氏と出会って京に着くのは春なので
2月の弁慶の誕生日は行軍中だろうからご馳走とケーキ付きで祝うのは無理があるな。
477hahaha:2006/02/06(月) 01:37:26 ID:y2/Z7GRm
黒東宮話、改変してみたので投下します。
今回はまだこの間投下した分の修正バージョンです。
同じ内容のものを2度も投下し、申し訳ありません。
ちょっとでも読みやすくなってたらいいなと思ってます。
…更にわかりにくくなってたりして。
エロはまだですが黒東宮話で無理矢理系です。
478赤い花1:2006/02/06(月) 01:40:57 ID:y2/Z7GRm
…あなたが好き。
明るい…太陽のようなその屈託のない笑顔、困った顔や怒った顔、
不意に見せる優しさと寂しさ…
全部大好き。

私の心に灯った、あなたがくれたこの赤い花のような、燃える想い。
私の身に何があっても…きっとその灯火が消えることはないだろう。絶対に。
あなただけ…イサト君…



「お帰りなさいませ、神子様」
邸に帰ってきた私を、いつものように満面の笑みで迎えてくれた紫姫。
「ただいま、紫姫」
つられて私もにっこりと笑った。
いつもの光景、いつもの会話。でもその時紫姫は、「いつも」とは違う
それに気がついた。
私が左手に携えていた、その日イサト君から貰った赤い花だ。
「まあ神子様、その赤い花は…?」
「え…これはね、えへへ、さっき貰ったんだイサト君に」
私が少し照れたように顔を赤くして笑うと、
「それは素晴らしいですわ」
紫姫もにこやかに笑った。
私のこの気持ちを知っていたんだろう。彼女は幼いが、なかなか鋭い。
 
「失礼いたします、紫姫様」
二人で今日の出来事についていろいろ話していると
女房が御簾の向こうから紫姫に呼びかけた。
「どうしました?」
「はい、東宮様がおこしになられました。なんでも神子様に大事なお話が
おありだとか…」
「彰紋様が…?」
紫姫が彼の名を呟いた時私の胸はドクン、と一度高鳴った。
なんで、どうして…そんな思いが頭を駆け抜けた。
あんなことがあったのは、つい三日前なのに…。
女房との話を一区切りさせた紫姫がこちらに振り返った。
「神子様、今日はお疲れでしょう。…どうなさいますか?」
私はあの花を少し見つめ、左の袖の内に…そっとしまった。
「せっかく来てくれたのに申し訳ないよ。通してあげて」
「はい、ではこちらに…」

女房に案内されて歩く廊下は…なんだかとても長く感じた。
いや、そうであって欲しかったからなのかもしれない…。


ー『花梨さん、僕はあなたが好きです。ずっと、ずっと前から…』
『私、あなたの気持ちに答えることはできないの。ごめん、ごめんね
彰紋君…』ー
記憶が…脳裏を過ぎった。
479赤い花2:2006/02/06(月) 01:44:39 ID:y2/Z7GRm
「こんばんは、花梨さん」
女房に案内されて御簾をくぐると、そこにはいつもの柔らかな瞳で微笑む
彰紋君がいた。
「…こんばんは、彰紋君」
私は上辺だけの笑顔を浮かべた。
けれど心の中の戸惑いや困惑の色を隠しきっているとは自分でも
到底思っていなかった。
「では、私共はこれで」
女房等は礼をして御簾の向こうに消えていった。
彰紋君はそれを見計らい、ゆっくり口を開いた。
「すみません、花梨さん。もう宵の口だというのに。
けれど、今一度あなたと話がしたかったのです」
「ううん。謝るのは私の方。だって私…この三日間ずっとあなたを
避けてきたんだ」
私はギュッと着物の袖端を掴み、頼りない眼差しで彰紋君を見つめた。
「…わかっていました。あなたが僕を避けていたこと…。けれど、あなたに
そうさせるような原因を作ったのは僕だから…やはり僕に非があるんですよ」
「…」
そう言って優しく微笑む彰紋君を見ていると、私はなんだか泣きたくなった。
「…今宵僕にあなたの時間を少しくださいませんか?花梨さん。
あなたの意をもう一度ちゃんと聞きたい。…人払いをしていただきましたので
心配は無用ですよ」
この時、優しくそう問いかけた彰紋君に…私は何の疑問も持たなかったんだ。
明るく柔らかな瞳の奥に隠された…何かには気付かずに。
480赤い花3:2006/02/06(月) 01:49:44 ID:y2/Z7GRm
「…あの時僕はわかっていたんです。あなたのイサトへの気持ちを。
あなたの心は手に入らないのだと知っていて…僕は想いを告げたんです」
「彰紋君…」
私は何を言えばいいのかわからなかった。こんなことは初めてで…。
「あなたのイサトへの想いは、変わることはないのでしょう…?」
不意の問いに俯きかけていた私はハッとし、彰紋君の顔を見ると
彼は真剣な眼差しで私を見ていた。
そうだ。私はここでちゃんと自分の意思を伝えなくちゃいけない。
でないと私も彰紋君も…いつまでも終われない。
そう思って、重い口を開いた。
「うん…。ごめんね、彰紋君。あなたの気持ちは嬉しいよ。
でも、でも私はイサト君が好きなんだ。この想いはきっと変わらない。
もうずっと前から…」
彰紋君は目を瞑って私の言葉を聞いていた。
「…僕はその言葉がもう一度聞きたかったんです。あなたの揺ぎ無き想い…
その花も、イサトから貰ったものなのでしょう?」
「え…?」
彰紋君の視線の先にあったのは、さっきおもむろに袖の中に入れた
小さな赤い花。
袖口から少し出てしまっていたんだ。
反射的に慌ててそれを隠そうとした私に彰紋君はこう言った。
「隠す必要はありませんよ。少し…見せてもらってもいいせすか?」
「う…うん」
戸惑いながら手渡したその花を、彰紋君は目を少し細めて見つめ、
「綺麗ですね。小さいけれど…赤々と燃えるような花を咲かせている。
まるでイサトの赤い髪のような…」
「…彰紋…君?」
「その姿は意地らしくも美しく、どこか儚げだ。…こうして簡単に手折られて
散ってしまう運命にあるというのに…」
彰紋君は私の目の前でその花を軽く握った。
彼の想いをのせていくかのように…ハラハラと、舞い落ちていった赤い花びら…。
「!?何を…」
そういって振り上げようとした私の腕を、彰紋君はガッと掴み
思わぬ力で引き寄せた。
「ねえ、まるであなたの…あなた方のようだとは思いませんか?
花梨さん…」
そう言った彰紋君は今まで見たことも無いような、背筋が
凍るような冷たい瞳をしていた…。
481hahaha:2006/02/06(月) 01:51:45 ID:y2/Z7GRm
今日はここまでです。
視点がコロコロ変わるとのことだったので花梨視点にしてみました。
482名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 02:12:06 ID:jSriCedV
文頭のクサイ壺ポエムだけで投げた
483名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 02:18:22 ID:jSriCedV
正確には壺ポエムじゃなくて壺ポエムもどき、か…
いっそポエムのラストはI・S・A・T・Oはぁと でw
484名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 02:32:51 ID:iCDavCqF
…うーん…………。
ここは小説を推敲するスレじゃないんだが…。
485名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 02:40:55 ID:uX7u967m
GJ!
486名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 03:13:18 ID:ckq9opjZ
GJ!
続き気になる。
でもこの際一気に投下のほうがよかったかも
487名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 11:42:07 ID:0v2cSTBL
おおー、読みやすくなった!
続きが気になるので次は一気にお願いします。

あと文頭の
『―』は長音記号の 『ー』ではなく『ダッシュ』で変換するといいですよ。
488名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 14:20:12 ID:bODHRiV2
黒東宮キター!
正座して続きを待ってます。
楽しみ!
489名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 15:32:47 ID:eO0eH3B6
東宮様カムバックキター!!!

裸になってワクテカしながら続きをお待ちしております!
ただいま気温は氷点下ですが
490名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 15:35:27 ID:ZsjOq7gz
風邪ひくなよーw
491名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 17:48:44 ID:x2UB3oeN
つーか死ぬw

hahahaたん乙。続きまってるよー
492名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 18:57:57 ID:7bfuVbX6
>>491
そこは、歯ぁ磨けよーじゃないのかw
493名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 19:46:10 ID:x2UB3oeN
>>492
ド/リ/フかyo!
すまん気づかんかった…orz
494名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 22:00:02 ID:2EbLKzTw
おまいらワロスwww
495名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 00:28:42 ID:bpSxXNiG
>>483
それ何てありりん?

ポエムっぽい文章書く椰子ってリアルでも自分に酔った有沢みたいなメガネブスか
一昨日のカラクリの焼き肉相談亭に出てたデブオタみたいな女が多いな
496名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 00:50:23 ID:RFnqPIlk
粘着キモス
497名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 02:23:32 ID:AHgIwcEj
>>496
きっと友達もいないかわいそうな奴なんだよ。
そっとしておいてあげなよ。
498名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 05:15:40 ID:wohOvEgk
>477
私は●●した。
私は××した。
私は△△した。

単調で小学生の作文みたいでカワイイですね^ ^
499名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 11:05:56 ID:SBTeW6uc
確かに壷ポエムだな。
リアが管理人の携帯サイトのSSっぽい。
500名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 13:20:16 ID:XXtdFJHc
のん
501名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 13:31:36 ID:6Z9XYPQJ
学校の作文じゃないんだから
改変してまで投下するくらいなら
もっと事前に推敲することを覚えた方が良いね。
502名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 21:14:09 ID:05odGC6n
>501
禿げ上がるほどドウーイ
503名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 21:25:50 ID:zR4tz3CB
もう誰も投下しなくてイイです
ここの住人相手に投下するなんて
もったいない
504名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 22:15:33 ID:4Y3bRFUH
職人さんがた、バカが多くてほんとごめんなさい…
505名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 22:17:31 ID:IxbHvyw1
壷ポエムって何だ?元ネタ何?
506名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 22:50:27 ID:4Z2QExr5
もうこのスレも終わりかな。
職人さんに、こんな状態のスレに投下してくださいなんて言えないもんね。
507名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 23:19:44 ID:/RKkf2ar
>504
いや、多分馬鹿は一人でしょ。粘着ガナー
508名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 23:22:56 ID:8W8rwvaf
叩くだけなら誰でも出来る
文句言ってる人、ぜひ投下してみてください:p
509名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 00:28:07 ID:cj+v80xW
hahaha1人への批判をさも職人全体が批判されてるかのように
すりかえようとガンガッテルアフォは何なんだ?
同列にしちゃ真当な職人さんに失礼だろ
510名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 00:35:08 ID:YbnU3i+S
投下されている二作品の続きがすごく読みたいです。
職人さんガンガッテください。
511名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 00:51:36 ID:EWQuFg8D
なにゆえhahahaさん一人が粘着批判されるかがわからん
粘着批判文書くより自作萌え文を書くほうが楽しいYO!
512名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 01:25:16 ID:DeR3zdvb
>>510
漏れも古今さんとちゅんさんの続きが激しく気になる。
お二方、萌えをありがとう!!
創作ガンガって下さい。
513名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 02:07:01 ID:ql7EUI4Z
レス専門の分際でこれはどうだあれはどうだってイチャモンつけるなよ
叩いてばっかりなら自分で投下しろ
514名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 03:09:17 ID:g4k3FVFi
作品以外のレスは専ブラであぼーん。問題ない。
515名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 20:49:03 ID:w8afwLyf
hahahaさんの作品、凄く読みやすくなっていました。
字書きからみれば、批評自体はありがたいです。凄く勉強になります。
でも話の落ちや伏線も考えて書いてるのだから
最期まで読んでから批判してくれたらいいのに・・・と思います。
hahahaさんの作品、待ってる人も多いと思いますので
挫けず投下してください!!

>>476
タシカニ。
すいません、ちょっと設定に無理がありました。
この話は保管庫に入れないでくれたらありがたいです。

続き投下させていただきます。
本当にしつこいですが、今回レイプシーンのみですのでお嫌いな方はスルー願います。

長文スマン
516水底の貝のように9:2006/02/09(木) 20:51:24 ID:w8afwLyf
男の顔が近づいてくる。
嫌ッ!
顔を背けた途端、ぐいっと腰が引き寄せられた。
グチュ、グチュ。
私の中に男が挿入してくる感触が、信じられなかった。
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
キモチワルイ、キモチワルイ、キモチワルイ、キモチワルイ、キモチワルイ、キモチワルイ。
「嫌ぁっ!!抜いてぇぇぇっ!!」
「嗚呼ッ、信じられねぇ。すげぇ吸い付いてくるぜ?
俺を締め付けて離さねぇ。
こいつはすげぇ!
いいぜ、いいぜ、姉ぇちゃん?」
周りを囲んだ男達から生唾を飲み込む音が響く。
男が腰を振るたびに、嫌悪感しか感じられない。
どうして?
無理矢理、私を抱いたのは弁慶さんも同じだったのに?
・・・・・・・ああ、そうか。

私、弁慶さんの事が好きだったんだ。

自分の気持ちに気付いたとき、ツゥっと涙が頬を伝わった。
517水底の貝のように10:2006/02/09(木) 20:52:28 ID:w8afwLyf
「おおっと、ついあまりの気持ちの良さに我を忘れていたぜ。
すまんな、姉ぇちゃん。
今から、ヨガラセテやるよ。うへへ、極楽に連れて行ってやるからよぉ。」
男の舌が胸の飾りを舐め上げる。
チロチロと、焦らすように。
男の腰がのノ字を書くような動きに変った。
チリチリとした焦燥感のような物が胸の先に広がる。
男と繋がっている箇所から蜜があふれ出して来るのがわかった。
蜜は腿を伝わり、ボトボトと落ちる。
「くっ!」
声なんか出さない!出せばこいつらを喜ばすだけだと理解しながらも。
「はぁ・・・・はぁ・・・・っ!んッ!!」
どんどん量が増え、落ちていく蜜のように、私までが堕ちていくかのようだった。
「姉ぇちゃん、我慢は体によくないぞ?」
男がグッと抜いたかと思うと、腰を押さえつけ一気に再奥まで貫いた。
「はぁぁぁぁぁっ!!あああっ!!」
「へへっ、良い声だ、姉ぇちゃん。
ほらよ、もっと良い声で鳴きな?」
男は私の腰を持ち上げてグリグリと腰を回す。
「だ、ダメ・・・・・っ!ああああっ!!
やぁぁぁッ!!ふ・・・・う・・・・・・んッ!!
あんっ!!も・・・・やめ・・・・あああっ!!」
脳裏に弁慶さんの笑顔が浮かんだ。
それは、黒さなど微塵も感じられない、出会ったときの優しい笑顔・・・。
その時、絶頂感が襲った。
「ああああああああんッ!!」
男が出し抜けに抜きさったと思ったら、
私の胸や腹に白いモノを撒き散らした。
「へへへ、大事な商品を孕ましちゃぁ、大変だ。」
男がどいた。
・・・と、今度は別の男が覆い被さってきた。
「嫌っ!」
「おおっと。へっ、こいつはもう前戯はいらねぇな。」
男が言い終えないうちに男のモノがねじ込まれてきた。
「いや、やだ!!」
「すげぇ、御頭、俺、こんな良い女抱いたの初めてですぜ?」
「いやぁぁっ!!」
体は嫌なのに、さっき絶頂感を味わったばかりの体は素直に反応しだす。
「ううっ、すげっ!!」
「ああ・・・・ッ!!」
無理矢理犯されているのに、感じてしまう自分の体が嫌でならなかった。
それどころか、どうせ逃げられないのなら、
この際楽しんでしまえ・・と訴えてくる。
・・・・・私って淫乱なんだ?
「へへっ、この女、自分から腰使ってるぜ?
無理矢理犯されてるってのによう!!
かわいい顔して、こりゃ相当な好きもんだぜ!!」
男達がニヤニヤと笑う。
5人いた男達全員が私の体を弄り、もてあそび、欲望を吐いた。
518水底の貝のように11:2006/02/09(木) 20:53:27 ID:w8afwLyf
やっと、終わった。
そう思ったとき、さっきの御頭がやって来て、私の両足を広げた。
男は自分のものを出し、私の秘割に何回も擦り付けていく。
「・・・・はぁ・・・・・んっ!!」
何回も開かれた体が即座に反応する。
蜜が誘うかのようにボタボタと滴り伝う。
男がカリの部分だけ挿入した・・・・かと思った途端、天地が逆転した。
私は寝転がった男の股間に跨らせられていた。
「姉ぇちゃん。俺の腰はお前が欲しがるまで動かねぇぜ?」
そう言って、男は下衆びた笑いを浮かべた。
私からなんて、絶対っ!!
感情と理性はそう叫んでいるのに、私の体は違う事を叫ぶ。
もっと腰を落とせ・・・と。
この男に哀願して快楽を味わえ・・・・と。
その時、男が胸の先端を弄りだした。
「ああああっ・・・どうしてっ!動かないってっ!!」
「動かないったのは腰だけだ。」
男の両手が捏ね繰り回すように胸を嬲った。
「いやぁっ!!!あああん!!」
誘惑に勝てずに、私は腰を沈めて行った。
男の物を飲み込んでいく程に、今で味わった事のない快楽が広がった。
「ああんんっ!!ふぅ・・・んっ!!ひんッ!!」
私は夢中で腰を動かした。
「あんっ、あんっ、あんんっッ!!いくぅぅッ!!」
私は男の体に倒れこんだ。
「へへへっ。姉ぇちゃんはいい女だぜ。」
男が私に覆い被さってきた。
今度は体の訴えるまま、素直に男を迎える。
男の背中に、手をしがみ付かせることさえした。
「あああんっ!!いい!いいの!!、もっと、もっと!!」
今日抱かれた男達の中では、この御頭が一番身体の相性がいい・・・と思った。

今日はここまでです。
519名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 00:17:28 ID:ixJ7c8LE
ごちそうさまです!
心の陰茎超勃起中(*´Д`*)
続き楽しみにしてます。
520名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 00:51:29 ID:asl7t9NT
ちゅんさんの続きキタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!
続きが気になって悶えてますた。
エロくてちょっとグロ表現なのに、大変おいしく戴けました。
ありがとうごいざいます!!
続き、また待ってます。 ノシ
521ちゅん ◆EwwRseKMM6 :2006/02/10(金) 04:11:46 ID:5lTZ+Gre
続き投下させていただきます。
今回エロなし。
後、2回投下分くらいで終わると思われ。

なるべくハッピーエンド目指します。
522水底の貝のように12:2006/02/10(金) 04:14:08 ID:5lTZ+Gre
川で身体を洗われた私は、男の一人が着ていた服を脱ぎ与えられた。
男たちが知らない間に用意してきた馬に口と後ろ手を縛られて乗せられた。
「大事に扱えよ。この姉ぇちゃんなら金一袋くらいは稼がせてくれるからな。」
私、どうなっちゃうんだろう。
逆鱗もなく、このまままたの歴史を繰り返してしまうんだろうか。
それだけは、嫌だった。
馬が牽かれゆっくりと歩き出した。
胸が苦しい。
ああ、そうか。
私、弁慶さんに助けに来て欲しかったんだ。
朝と晩に老婆が食事を差し入れに来る以外は弁慶さんしか訪れる人もなかった。
それに弁慶さんが訪ねて来るのはいつも夜更けだった。
きっと、まだ、私のいなくなった事すら気付いていないだろう。
それでも、弁慶さんが駆け寄ってくるような気がして、私は幾度も後ろを振り返った。
523水底の貝のように13:2006/02/10(金) 04:16:26 ID:5lTZ+Gre
性交後のけだるさと逃げ惑った疲れとで、
私は何時の間にか馬の首にもたれ掛かり、うとうととしていた。
馬の歩みが止まっている事に気付き、まどろみから覚めた。
御頭が路の真ん中で押し問答しているようだった。
「お前の言うことなぞ聞いてられるか!まどろっこしい!」
棄て台詞を吐いた御頭は強行突破したようだった......。
あれ?たしかこのシーン何処かで見た?
少し進んだかと思うと、武士団の群れに道を阻まれた。
「さわがしいのぉ、一体何事か?」
そう言って現れたのは、後白河法皇、その人だった。
馬上の私と法皇様は一瞬、眼が会った。
「ほぉ・・・・そなたは・・・。お主らは女衒か?」
男たちは顔を見合わせて、躊躇した後に頷いた。
「この娘、気に入った。わしが戴こう。」
「で、でも、旦那。この娘は上物で・・・。」
「お主達は5人おるの。金、5袋でどうじゃ?」
「き、金、5袋ぉ?」
この世界の相場はよく解らないけれど、
男たちの驚き具合からいくと相当な値のようだ。
御付きの人が用意した小袋を男たちは血走った眼で受け取った。
「どれ、酷いめにお会いされたようじゃな。」
法皇様が馬から降りるのに手を貸してくれた。
法皇が武士の一人に目配せすると、武士が縛られた紐を切ってくれた。
「ありがとうございます、法皇様。」
「げ!?法皇!」
「あの姉ぇちゃん、何者だ!?」
男たちは慌てたように、馬を牽き、来た道を駆け下りていった。

「とりあえず、神子の事もある。
本宮にも向かえない事であるから、
本日は近露王子に戻り、宿とするぞ?」
「はっ!」
「誰ぞ、近露へ先触れを。」
ざわめく中、惚けたように立ち尽くしていると、隣に来た法皇が肩を抱いてきた。
「神子、そなたは歩くのは無理そうだ。わしと同じ籠に乗りなさい。」
その後の事はぼぉっとしか想い出せない。
運び込まれた宿は、こんな山間にあるというのに、梶原邸より贅を尽くしていた。
女房二人に連れられ、に連れられ、身体を洗われた。
頭が、霞がかかったようで物事が何も考えられなかった。
その夜から、私は高熱を出した。
524水底の貝のように14:2006/02/10(金) 04:20:28 ID:5lTZ+Gre
何日、寝込んだんだろう。
ようやく熱が引き、起き上がれるようになった頃、
朝餉にお粥を持ってきてくれた女房が告げた。
「法皇様がお暇を持て余しておられるのです。
ご一緒に貝合わせのお相手をしてさしあがりませんか?」
「・・・・わかりました。謹んで・・・・・。」
朝食を食べ終わると、女房3人が煌びやかな着物を抱えてきた。
熱で汗をかきまくった身体を湯を含んだ布で清められた後、
着物を着せられ、髪を結われる。
「できましたわ、神子さま。」
女房に告げられたのは食事を終えて2時間も経ったんじゃないかという頃だった。

案内された部屋には、幾枚もの貝が置いてあった。
「綺麗・・・・・。」
私が手に取ったのは、青い輝きを放っている貝殻だった。
「ほぉう、そなたはその貝が好きか?」
そう言いながら、法皇が戸を開けて入ってきた。
「あ、はい!あの。法皇様、この度は助けて頂き、ありがとうございました。」
「礼には及ばぬ。その貝は九郎に献上された物だ。」
九郎さんに?
「九郎が越後の国に行ったときに、海で拾ったらしい。
あ奴、中身はその場で食いました。と答えおったぞ?」
そう言って笑った法皇に、つられて笑った。
九郎さんらしい。でも・・・。
「可哀想・・・。」
「可哀想?これは異な事を。
源氏の御曹司に食われ貝はことのほか幸せだったに違いない。」
そうかな?
私なら・・・・・・・・・。
「九郎の元に帰りたいか?」
九郎さんの元に?
あの人の・・・・弁慶さんの元に?
見知らぬ盗賊に輪姦されたというのに、私は自ら腰を振りながら
あまつさえ、『もっと』と欲望を求めた。
私は、俯き、唇を噛み締めた。
「そういえば、何故この宿に留まっておるか知っているかの?」
「熊野川が原因不明の増水を起こしているからですか?」
「ほう!流石、白龍の神子。じゃがな、理由は他にもあるのじゃ。
この宿から遠回りして本宮に向かう道で男が5人惨殺されての。
薙刀で玩ぶかのように突き刺されまくっておったそうだぞ?
御蔭で、穢れに触れてはいかんという事でここに足止めじゃ。」
薙刀!男五人!!
・・・・・・・弁慶・・・さん?
525水底の貝のように15:2006/02/10(金) 04:22:16 ID:5lTZ+Gre
「どうじゃ、神子?
帰る気がないのなら、以前にも申し出た事があるが
わしの白拍子にならぬか?
絹や珠でも、欲しいものは何でも与えてやろう?」
突然の申し出に手の中の貝を落とした。
法皇には考えさせてくれ、と伝え、貝合わせを付き合った後、部屋へと帰った。
部屋で一人になるとグルグルと思考がまわる。
弁慶さんだ。絶対に弁慶さん。
それはもう、確信だった。
そして、法皇の申し出。
白拍子になるって事はあれだよね?
法皇の女となるって事だよね。
その時、ふと思い出した。
『何でも欲しい物を・・・・・・・。』
私の欲しいもの。
それは・・・・。
処女を失くした時、あれ程いつも傍に感じた白龍の気配が消えた。
今の私には、きっと白龍の神子としての力はない。
あったとしても微々たるものだろう。
だったら、今の私にできることは?

翌朝も、貝合わせにとの誘いを女房を通して受けた。
部屋に入ると既に法皇がいた。
昨日の青い貝殻が、また眼に入った。
貝に、人間の身分なんか関係ない。
でも・・・・人間には。
見知らぬ男に犯された自分を思い出した。
法皇が助け出してくれていなかったなら、
きっと遊里にでも売られ、客を取らされていたのだろう。
それと同じことだ。
既に私の身体は汚されている。
私は必死に自分に言い聞かせた。
「法皇様、昨日のお話、お受けいたします。
ただし、私の欲しい物は並大抵ではございません。」
「ほう、なんじゃ申してみよ?」
「源氏と平家の・・・・・和平です。」

今回はここまでです。
526名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 04:25:10 ID:vUHQtm2k
イイ!!
リアルタイムで読ませて頂ました。続きをwktkしながら待ってます!
527名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 07:00:55 ID:TrH8vPzW
そ、そうきたか…!>和平の取引
続きお待ちしておりますー!
528名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 12:21:21 ID:ro4hx9+E
>お相手をしてさしあがりませんか?

日本語でおながい
529名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 14:16:52 ID:Z6l/7/xC
>528
っし!
530名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 17:01:23 ID:D6DDD3SQ
GJGJ!!!
誰も考え付かなかったシナリオにますます続きが待ち遠しいです!
保管庫に入れないでとちゅんさんがおっしゃてるけど、勿体無いのでは…?
531名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 17:21:29 ID:jOJOMk3K
>>530
IDスゴス
532名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 17:49:55 ID:RGdQFHuO
>>531
おまいさんもスゴス

気持ちはわかるが保管庫は職人さんの希望だし流してあげよう
533ちゅん ◆EwwRseKMM6 :2006/02/11(土) 23:39:39 ID:p0Yh0ySw
続き投下させていただきます。
後、一回で終わらせる予定です。

神子、淫乱気味なのでお嫌いな方スルー願います。
534水底の貝のように16:2006/02/11(土) 23:43:22 ID:p0Yh0ySw
その日、法住寺で源氏と平家の和平調印が行われた。
平家からは平経正、平忠盛、二位ノ尼。
源氏からは九郎さん、景時さん、政子様。
争い続けていた二つの勢力が後白河法皇のとりなしを受けて和平を受けた。
私は、御簾の影からその光景をそっと見守っていた。
九郎さんも景時さんも微笑んでいる。
よかった、でも・・・・・。
弁慶さんがいない事に安堵と落胆を同時に感じた。
皆、元気かな。
涙が、零れ落ちそうになる。
でも、これでいいんだ。
たとえ、もう傍にいる事ができなくっても、
あの笑顔を二度と見ることができなくても。
生きていてくれたら、いい。
その為なら、私はなんだってする。
九郎さんと経正さんが和平状に署名するのを見届けた私は自室へと戻った。
ずっと張り詰めていたからだろうか、安心した所為かフラフラする。
寝具に倒れこむように入ると泥のように眠った。

「おはようございます。まぁ、神子様、お顔の色が?」
「うん・・・・なんだかだるいんだ。」
そのままズルズルと寝込んでしまった。
熱が・・・・・・下がらない。
隣室で私の為に詠まれるお経も、ただ五月蝿いだけだ。
ふらふらと起きあがり、簀子に出て庭を眺めた。
・・・・・・・・・・・・月が、綺麗だ。
その時、視線を感じた。
刺すような、鋭い視線。
覚えがある。
私は庭の方に身を乗り出し、その人の名前を呼ぼうとした。
「神子様?
まぁ、神子様、こんなところに。
いけませんわ、お熱も下がらないというのに。」
535水底の貝のように17:2006/02/11(土) 23:45:04 ID:p0Yh0ySw
部屋へと戻ると、法皇が訪ねて来ていた。
「法皇様、この度は源氏と平家の和平調印、まことにありがとうございました。」
「何、わしからしたら屁のようのものじゃ。
それより、身体の方は大事無いか?」
私が頷くと、法皇はパンパンと手を叩いた。
女房が持ってきたのは、湯気のあがる茶碗だった。
「この京一の薬師に作らせたでの。」
受け取った茶碗から、懐かしい怪しい臭いがただよう。
私は、ゆっくりと苦い薬湯を飲み干していった。
「苦いけれど、一休みしたら元気が出そうです。」
きっと直るよ。
だって、この薬湯を作ったのはあなただよね?
「あの、少し火照っていますので廂の襖を開けてもよろしいですか?」
法皇が女房に目配せすると襖が開けられた。
弁慶さん、聞いてる?聞こえてる?
「法皇様、私も約束を果たしとうございます。
明日、舞殿で舞を舞ってもよろしいでしょうか?」
弁慶さん、私、明日は貴方の為に舞うよ。
だから、どうか見ていて?
536水底の貝のように18:2006/02/11(土) 23:46:48 ID:p0Yh0ySw
案内された湯殿で、湯からあがると、女房が4人寄ってきた。
身体や髪を4人がかりでごしごしと洗われる。
香を焚かれた衣を着付けられ、白粉をはたかれ、紅を塗られる。
映りの悪い鏡の中の私は、知らない人のようだった。

舞殿の周りには、既にかなりの人が集まっていた。
舞殿の正面にある、屋敷の座敷に後白河法皇の席が設けられていた。
私は法皇に向かってお辞儀した後、人々を見渡す。
・・・・・・・・・いた!
人ごみの隅っこで揺れる黒衣。
たとえ、どんなに離れていても、すぐにわかるよ。
弁慶さんに・・・・・・・・・伝えたい。
私の、今の気持ちを。
惹かれていたのはあなただけじゃない。
私も・・・・・・・・・・あなたが好きだった。
でも、守りたいから。
もし、弁慶さんが私を連れて逃げたら。
きっと、タダじゃすまない。
私は、あなたを死なせたくはないから。
後白河法皇の白拍子になります。
・・・・・・・・・お別れだよ、弁慶さん。
大好きだから、愛しているから。
私の想いが、弁慶さんに届いてくれますように。
ポン・・・・と鼓の音が響いた。
その音に誘われたように身体が自然に動き出す。
こちらの世界に来てから、譲くんが九郎さんに和歌を教えるのに便乗して覚えた歌を思い出す。
「あかねさす紫野行き標野行き 野守は見ずや君が袖振る」
だから、もう、来ないで。
弁慶さんと、眼があった。
「しずやしず、しずの苧環(おだまき)繰り返し、昔も今に、なすよしもがな」
あの頃に戻れたら、どんなにいいだろう。
目頭が熱くなり、弁慶さんの姿が、滲んだ。
537水底の貝のように19:2006/02/11(土) 23:48:33 ID:p0Yh0ySw
「見事な舞であった。」
「ありがとうございます。」
舞の感想を聞き流しながら、注がれた酒を一気に喉に流し込んだ。
初めて飲んだ、酒のきつさに咽た。
「大丈夫か、神子?」
そう言って法皇は私の肩を抱き寄せた。
・・・・・・・・・キモチワルイ。
「病が癒えたばかりの身で辛かったであろう。
さ、寝所を用意しておる。
休むがよいぞ?」
「はい。」
でも、休ませてくれないんですよね、法皇様?
襖が開くと、そこには御簾に囲まれて、二組の寝具が敷かれていた。

「さぁ、源氏と平家の和平の褒美をいただくとしょうかの?」

538水底の貝のように20:2006/02/11(土) 23:51:49 ID:p0Yh0ySw
覆い被さってきた法皇の、老人特有の臭いに嫌悪感が沸いた。
皺だらけの手のひらが袷の間から潜り込んで来た。
ざらざらとした触感に鳥肌がたつ。
「ほおぅ、なんと滑々とした肌よ。
なのに、手に吸い付いてきおる、餅肌とはそちのような肌をいうのじゃな。」
ざらついた手が胸を揉み上げ、先端部を捏ねた。
「はぁぁんっ。」
気持ち悪い。
そう思うのに、久しぶりに与えられた愛撫に身体は素直に反応する。
「神子はここをこうされるのがお好きかの?」
「あっ・・・・ああんっ!」
ねっとりとした愛撫に今まで封印していた欲望が目を覚ます。
「ほう、いい声じゃ、どれ、もっと鳴いてもらおうかの?」
法皇の舌が首筋を、耳朶を、胸の谷間を、そして胸の飾りを嘗め回す。
「やぁぁっ!!あんっ!あ・・・っ!!」
キモチワルイ・・・そう思えば思うほど、何故か快楽が高まる。
「感度もええのぅ。」
裾を開いた皺だらけの指が茂みを掻き分けてきた。
「ほう・・・・既にこんなにわしを感じておるのか?」
クチュ・・・。
年の所為で浮腫んだ指が陰唇に潜り込んだ。
「くっ!!はうっ!!」
指が一本、挿入っただけだというのに、甘く痺れるような感覚に囚われた。
指は探るように内部をこね回す。
「あっ・・・・ああんっ!!ほ、ほぅ・・おう・・さまぁっ!」
口から出た言葉は自分でも信じられないような
甘く、媚を帯びた舌ったらずな口調だった。
「ここか?」
「あ・・・っ・・・、ふ・・・・うんッ!!」
法皇の指が探り当てた場所を執拗に攻め立てた。
「ああっ・・・あああああんっ!!はぁっ!もう、もうっ!!」
頭が真っ白になる!!
「おお、神子。そちはほんに感じ易い。もう逝ってしもうたか。」
法皇が指を抜くとねっとりとした体液が溢れた。
「もったいないのう。白龍の神子であるそちの蜜じゃ。
味わえば、長寿はまちがいなしじゃ。」
毛の一本もない頭が股間に埋まる。
その光景にゾッとした。
なのに・・・。
ジュルッ。
「はぁぁんっ!!」
舌が溢れた蜜を舐め取っただけで、背筋に痺れが走った。
「神子、そちの蜜は甘いのぅ。」
ざらついた舌が先ほど攻められまくった箇所を嘗め回す。
「ひぃ!やぁぁんっ!!」
しばらく、男の人と肌を合わせていなかったから?
それとも、当代切っての遊び人と呼ばれる法皇のテクニックなのか。
次から次へと送りこまれる感覚に、ただ荒い息を継ぎながら喘ぐことしかできなかった。
539水底の貝のように21:2006/02/11(土) 23:53:57 ID:p0Yh0ySw
「法皇様・・・・っ!も・・・・・堪忍して・・・・くだ・・・さ・・・・。
お願い・・・・・頂戴っ!!挿入てぇっ!!」
無意識に、私は叫んでいた。
「ふふふ・・・・・愛い奴よ。」
胎内に少しずつ、法皇の男根が挿入されてきた。
じわじわと・・・・・・。
「あんっ、あんっ、あんっ!!」
やっぱり、さっきの場所を集中的に攻めてきた。
もう、気がヘンになりそうだった。
「よいのか、よいのか、神子?」
「ああああっ!!いいです、すごくっ!!」
「昼は清純な顔をしておるのに・・・・。
閨で、そちがそないにヨガリ狂うとは思わなんだぞ?
こちらのしまり具合も絶品の名器である。
わしは、いい取り引きをしたようじゃの。
神子、もうわしの腕からは逃がさぬぞ?
それ、どうじゃ?神子。よいかの?」
「あああんっ!いいです、いいっ!!ああ、もうおかしくなっちゃうっ!!」

法皇の閨から開放されたのは翌日の、昼もまわった頃だった。
自室に戻り、気が付いた。
文机の上に置かれた萎れかけた花・・・・。
紫の花・・・・・・・。
「紫の匂える妹をにくくあらば 人妻ゆえに吾れ恋ひめやも・・・・・・。」
弁慶さんっ!!
私は花を抱きしめて、泣いた。

今回はここまでです。
法皇の一人称「余」ですと、指摘を受けました。スイマセン
540名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 00:31:55 ID:42s+fI2q
法皇テクニシャン(*・∀・*)
続きワクテカしてます。
541名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 01:17:56 ID:KKcx2odQ
便乗指摘。
前回分、法皇は籠なんか乗らん。輿だ輿!
542名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 01:27:34 ID:mL1hqmdn
GJです〜。
神子は弁慶と幸せになれるのかしら。
543名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 03:48:22 ID:XomNkq+s
ちゅんネ申キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!
連日の投下、夜中に(;´Д`)'`ァ'`ァしています。
エチ-な神子もカワイス。
最後の展開が楽しみです!!
544名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 16:49:10 ID:V2K072HW
グジョーブ!!!
じじいワロスwww
545ちゅん ◆EwwRseKMM6 :2006/02/13(月) 00:44:03 ID:XEhrMnFb
続き投下させていただきます。
546水底の貝のように22:2006/02/13(月) 00:48:56 ID:XEhrMnFb
月日は流れた。
弁慶さんは源氏の軍師として九郎さん、景時さんと共に、鎌倉へと向かった。
頼朝が落馬事故で死亡してからは、九郎さんの執権として
現実には政の実権を握り、取り仕切っている。
それでも、時々京を訪れた折には、五条河原で薬を配っているという噂を聞いた。
・・・・・・・・・・・弁慶さんらしいな。

私は、本の間に挟まれた、色褪せた紫の花の押し花を取り出した。
何を忘れても、これだけは持っていかなくちゃ。

平家は一地方勢力として安芸の国に定着している。
安徳天皇が帝位を退いたのち、後鳥羽天皇が践祚した。
戦は終わった。
法皇が私に異常なまでの執着を抱き、片時も傍から離さなかったので
復興した京の様子はまったくわからなかったけれど。
宿下がりした女房から聞く話で、賑やかで活気のある街の様子が窺い知れた。
「どれ、神子。わしの為に舞を舞ってくれるかの?」
それが、まぐわいの合図だった。
私が舞うのは閨の上皇の腕の中だった。
法皇の男根が起たなくなってからも、私は毎夜、法皇の閨に呼ばれた。
何時の間にか、法皇は張り型を作り、私はその冷たい感触の木のおもちゃに
よがり狂わされた。
法皇の性欲と執着心はどんどん増して行っていた。
その、死の前日まで。

法皇の葬儀も崩御に準じた式典も全て終わり、私は今日ここを出る。

暫く生活できるだけのほんの少しの宝玉と、紫の押し花そして、
あの青い貝殻を荷物にいれ後は全てを残して門をくぐった。
547水底の貝のように23:2006/02/13(月) 00:51:31 ID:XEhrMnFb

当座の棲家をどうしょうかと、ずっと悩んでいた。
五条に・・・・。
でも、もし会ったらどうするの?
夜毎に法皇に抱かれたこの身体で弁慶さんに会えるの?
・・・・・・・・・・答えは否・・・だ。
なるべく、京から・・・・五条から離れた処がいい。
私は宇治の三室戸の近くにある小さな庵を選んだ。
だれにも見つかりそうにない場所・・・・と。

途中、市で食べ物を買い求め、庵に向かった。
既に2度ほど訪れ、掃除して、最低限の家財は揃えてあった。
市で買った干し魚を焼き、菜を茹で、米を炊いた。
今まで食べていたものに比べると、質素だけれど美味しかった。
「・・・・一人きりなんて、本当に久しぶりだな。」
荷物から、押し花を取り出すとそっと香りを嗅いだ。
あの日からの癖だ。
もう疾うに消えてしまっているであろう弁慶さんの残り香が匂うような気がして。
私はこれからもずっと、弁慶さんの面影を追い求めて生きていくんだろうな。
その時、表戸を叩く音がした。
この場所は女房にも誰にも告げずにいた。
こんな時間に一体誰が?
とっさに灯りを消し、そっと戸に駆け寄ってみたけれど、何の気配もない。
とりあえず、無視しょう。
明日、覗き窓かなんか作ったほうがいいかな?
その時、ガタッという音が部屋の中に響いた。
何、まさか盗賊?
私は押し花を握り締めた。
背後に誰かいる、そう気付くのと口を押さえられたのは同時だった。
548水底の貝のように24:2006/02/13(月) 00:54:47 ID:XEhrMnFb
「誰か解らない客人には戸を開けない。いい判断ですね。
でも、窓を開けたままにしておいたのはよくないな。」
ふわっと流れた懐かしい香り。
薬草と書物と香の匂いの混じったこの匂いは・・・・・。
「べん・・・・けい・・・さん?」
「そうですよ、お久しぶりですね。望美さん。」
不意に灯りが燈った。
本当だ。弁慶さんだ。
弁慶さん・・・・・・・。
口を開こうとするのに、言葉がでてこない。
言いたい事は・・・・伝えたかった事は山ほどあった筈なのに。
「もしかして、これからあなたの愛しい人が訪れるのですか?」
思ってもいなかった言葉に、首を振った。
その言葉に、胸が痛んだ。
「なら、今夜は君一人ですか?
・・・・・・・・・・好都合だな。
後鳥羽天皇の女御にとの望みをお断りされた位だから君の想い人は素敵な方なんでしょうね。」
弁慶さんが翳く笑った。
なんで、そんな事まで・・・・。
その時、弁慶さんの視線が私の手にそそがれた。
「それは・・・・。」
視線の先にあるのは、色褪せた押し花。
解かなきゃ、誤解を解かなきゃ。
「ずっと・・・・・心の支えにしていました。」
私が呟くと、弁慶さんの顔が泣きそうに歪んだ。
「望美さん・・・・・。」
弁慶さんの指が、私に触れようと動く。
「ダメっ!」
「どうして?それとも、やっぱり君の心にはもう違う人が?」
「違います!!私はずっと・・・・っ!!
きっと、弁慶さんが思ってるより前から弁慶さんが好きで・・・・っ!!
でも・・・・・・・でも・・・・・・・・・私はもう汚れているんです!!
弁慶さんから逃げ出した後、盗賊に輪姦されて。
嫌だったのに、私・・・・・感じてしまって・・・『もっと』って。
自分から・・・・・・・・腰も使って・・・・・・。
法皇様の白拍子になってからも・・・・・毎晩・・・・・・・。」
「望美さん、望美さんっ!」
弁慶さんが私を抱き寄せた。
弁慶さんの手が、そっと髪を撫でる。
「望美さん、僕が悪かったんです。もう言わなくてもいいんですよ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・許してください。
君に・・・・・・・・・辛い想いばかりさせて・・・・・・・。
僕のした事、全てが、君を・・・・追い詰めて。」
549水底の貝のように25:2006/02/13(月) 00:56:27 ID:XEhrMnFb
弁慶さんの唇が髪に押し当てられる。
――おでこに、頬に。
「弁慶さん、駄目!」
「どうして駄目なんですか?
拒絶の言葉ばかり紡ぐ口は閉じてしまいますよ?」
―――――――唇に。
「う・・・んっ・・・・・く。」
歯列を割り、舌が侵入してくる。
絡められた舌をきつく吸い上げられた。
「ふ・・・・・うぅん・・・・。」
それだけで、泉から蜜が湧き上がるのがわかった。
シュル・・・・・。
弁慶さんが帯を解いた。
着物が広げられる。
「君は相変わらず、美しい・・・。」
「美しくなんかないです!!私は・・・汚れて・・・・。」
続けようとした言葉は唇で塞がれた。
「それ以上、言わないでください。
僕も・・・・・・・僕は君以上に汚れていますよ。
僕は権力が欲しかった。
どうしても、欲しい物があったから。
権力さえ掴めば、それは手に入ると信じて。
九郎を将軍職に就け、北条家を牽制し、策に嵌め、弱体化させ・・・・・。
僕の両手は血に染まっていますよ?」
私は弁慶さんの手を取り、頬に摺り寄せた。
「弁慶さんの手は綺麗です。
ううん。喩え、この手が血に塗れていたって
私は、この手が愛しいです。
それに、弁慶さんの手は人を生かすこともできます!
そうですよね?私、知ってます。五条河原のこと。
ううん、弁慶さんの噂、聞きまくっていました。」
弁慶さんの指が、私の涙を拭った。
「弁慶さんが欲しかった物って?」
「いま、僕の腕の中にあります。」
―――――ッ!
馬鹿だよ、弁慶さんは。
源氏の軍師を本当は嫌々勤めていたのは、私にもわかった。
弁慶さんは、薬師として生きていきたかった筈なのに・・・・。
「望美さん・・・・。」
弁慶さんの指が、そっと胸に触れた。
「随分、大きくなりましたね?」
弁慶さんの言葉に、頬が染まる。
「初めて君を抱いたときには、手のひらに納まったのに
今は収まりきれませんよ。ほら。」
弁慶さんの手が胸を捏ねた。
550水底の貝のように26:2006/02/13(月) 00:57:56 ID:XEhrMnFb
「ああ・・・・・っ!!」
弁慶さんが揉み扱く度に、胸は形を変えていく。
弁慶さんが乳頭を口に含んだ。
「あんっ!!」
先端を口で転がされる。
弁慶さんは胸にきつく吸い付いた。
赤い花が胸に、腹部に、太腿に散っていく。
押し広げられた両足の付根は、既に溢れかえった蜜にまみれている。
「ああ・・・・君のここは変らず、綺麗な桃色ですね。」
そっと、亀裂に添って指をなぞられただけで気がへんになりそうだった。
「あああっ!弁慶さんっ!弁慶さんっつ!!」
「こんなに、溢れさせて・・・・いけない人ですね。
でも、僕も君を可愛がって差し上げる余裕がないかな?」
弁慶さんが手を添えたかと思うといきなり私を貫いた。
「はうぅぅぅっ!!」
弁慶さんは餓えた獣のように動き出した。
「望美さんっ!望美さんっ!!ああ、僕がどれだけ・・・・ッ・・・・・君を・・・・・。」
「あああああっ!!!べ・・・・んけ・・・・・・・さ・・・・ッ!!」
張り型に慣らされた身体には、弁慶さんの熱さだけでも逝ってしまいそうだった。
ううん、違う。
心も身体も充実したSEXは産まれて初めてだ。
「す・・・・っ、好きッ!!あああんっ!!好き、弁慶さん、大好きっつ!!」
好きだと気付いた人に抱かれるのも。
好きだと告げながらの交わりも。
「僕も・・・・・・・・・愛しています・・・・・のぞ・・・・みっ!!」
愛していると・・・・囁かれるのも。
551水底の貝のように27:2006/02/13(月) 00:58:54 ID:XEhrMnFb

弁慶さんが胎内で震えるのがわかった。

交わりの後の、ピロートーク。
それも私には初めての体験だった。
「執権は景時に譲り、僕は一介の薬師に戻るつもりです。
それでも・・・・僕に付いて来てくださいますか?」
「もちろんです!
それに私、執権の妻より薬師の奥さんの方がいいです。」
弁慶さんがフッ・・・・と笑った。
「君の夫となる薬師は嫉妬深いですよ。」
私は久しぶりに、心からの笑顔を浮かべた。
「知ってますよ、そんな事!」
部屋の片隅で貝殻がキラッと輝くのが、目に入った。
「でも、毒を盛ったりはしないでくださいね?」
ずっと、水底の貝のように、自分の想いを閉じ込めて
蓋をして沈めておくつもりだった。
「どうしょうかな。むしろ、僕は媚薬を使って悶える君が見たいかな。」
好き、大好き、愛してる、あなたを。
この想いを。
「もう!弁慶さんったら!!」
ずっと・・・・・・・沈めておくつもりだった。
でも・・・。
「ふふっ・・・・冗談ですよ・・・多分ね。」
「もぅっ!弁慶さんなんて大ッ嫌い!!」
でも・・・・・・・・・。
「僕は愛していますよ?」
もう、封印を解いてもいいんだ。
「嘘です・・・・・嫌いなんて・・・・・
私も・・・・・・・ずっと・・・・・・・・・。」
キラ、ほらまた貝が光る。
本当はずっと寂しかった。
ずっと、ずっと、貴方に会いたかった。
「ずっと・・・・好きでした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・愛しています。」
封印が解ける。
「嬉しいな・・・・・・・・でも、君にそんないけない眼で見られると、僕は・・・・・・・。」
唇が重なる。
弁慶さんが抱きしめてきた。

視界の隅で貝がキラキラと輝きを放っていた。
・・・・・・・もう、離れないよ。


【完】
552名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 01:04:48 ID:tPL2B9dA
553ちゅん ◆EwwRseKMM6 :2006/02/13(月) 01:08:06 ID:XEhrMnFb
久々にここで投下させていただいて刺激になり勉強になり
とても楽しかったです。
ありがとうございました。

一年前、このスレを訪ねた時、私は文なんか書いたこともありませんでした。
当時スレの住人だった読み手さん達が教え導いて下さったお蔭で
私は文を書くことの楽しさを知りました。
またこのスレでSSを書くことの楽しさを覚えてくれる字書きさんが出てくれたら・・・。
このスレが良スレとして繁栄してくれるのを願いつつ、名無しに戻ります。
554名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 01:08:07 ID:4KGORtEt
ちゅんさん大作GJ!
これ結局法王×神子入ったけど、湛快×神子だったらまた流れぜんぜん違ったんだろうな〜
そっちも読んでみたかったです
乙でした!
555名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 01:12:46 ID:FeFBOq9b
リンカーンされても、爺に囲われても、監禁レイポした最初の男が忘れられないの☆
犯されまくって見つけた真実の愛ミャハ☆
性コミのDQNヒロインみたいな望美に萎え('A`)
556名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 01:26:40 ID:sa9oetFB
まあ、乙
557名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 01:31:25 ID:S0qz88VP
おつ
558名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 01:44:08 ID:YIwwNgem
559名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 01:48:43 ID:Rzi76q7o
あーのさあ。
だから萎えとか叩きちっくなの辞めようや。
マンセーばかりもアレだが、批判する位なら最初から読まなきゃいいだろ。
560名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 02:14:02 ID:ySmbhr96
2chだから辛口批評もありだろうよ
けど、528とか>555とかホントにいい年の大人が書いてるのか?
職人さんと読み手は同等なんだろ?
だったら職人さんを見下すような感想やめてくれよ
561名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 02:34:17 ID:Ojs6J39e
562名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 02:59:54 ID:IoDy6cNV
叩き書込は全部ツンデレだと思うといい。
ツンデレ属性があれば、書き込んだ奴が可愛く思えてくる。
563名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 03:02:17 ID:4KGORtEt
>>555
では藻前が皆が萌えるような望美の話を書いて投下してくれ!
遠慮は要らないぜ! さぁ、カモーン!!
564名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 03:20:19 ID:OgTI26n5
ちゅんさんGJ!
ハッピーエンドで良かった。・゚・(ノ∀`)・゚・。

スルーできない自分も厨だけど…
批評批判と叩き煽りは違うし、実年齢がいくつであろうと厨は厨。
職人さんたちが気の毒なのはわかるけど、
言って聞く人(たち)じゃないんだからスルーしようよ。
565名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 05:36:30 ID:4MSfCuZj
ちゅんさんグッジョブでした!!!.+゚ヽ(´∀`)ノ。+゚
普段はバッドエンドバッチコイなんですが、最後に弁慶といっしょになれて安心しました。
最初に「水底の貝」の意味がわかりませんでしたが、最後にうまくまとめてあって
「なるほど〜」と納得しました。
566名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 06:30:49 ID:ArvucEsP
乙でした
567名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 15:27:49 ID:LYXgnPK9
和平はいいけど、龍神と龍脈はほったらかし?
568名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 17:20:53 ID:m8UI93hT
普通に感動しました!
弁慶さん、切なくて格好良かったです。
良かったら、また作品書いてください!
是非読みたいです。
569名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 17:25:06 ID:/GKnnxUf
「強盗だ!・・・おう!」を読んだときと同じ気持ちになりましたw
570名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 17:41:03 ID:M+bbnoBZ
かなりマユタン風味だったけど、乙。
571名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 18:04:12 ID:YbbkjfWy
>569
wwww
572名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 18:53:07 ID:3/ArEerd
>>570
何か思い出すなと思ってたんだ
それだ
573名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 20:35:57 ID:HX2Hep1F
>>553
ところどころに出てくる違和感のある言葉がなければもっと良かったと思う

長編乙彼
これからもここでなくても書き続けてください
574名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 21:52:54 ID:OUj9AogX
いい意味でぱぱっとさらっと軽く読めました乙でした!
575名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 22:55:25 ID:rV6bwFjS
乙女ゲー板の3スレでも少し話題になったけど、
後白河は自称占い師のハーレムオヤジにそっくりだ。
576名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 00:24:55 ID:HNp6GwIM
誰にも告げてない家の場所を勝手に調べあげ
引っ越し早々のこのこやって来て不法侵入した挙げ句
今夜君が一人なのは好都合とほざきながら闇笑いを浮かべる弁慶は
どう見ても再犯目的で侵入したストーカーです。
本当にありが(ry
577名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 03:44:32 ID:SLJ9fAxt
>>576
上2行だけ見てDQの主人公かとオモタ
578名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 09:12:24 ID:wGigz+/0
>>577
よく薬草見付けるあたりは合ってるかもしれない。

出遅れたけど神GJ!!
思いがけない展開で良かった!
579名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 11:28:12 ID:e8X0TrYJ
>>577
棺桶引き摺って歩くのが似合ってそうなあたりw
580名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 17:14:18 ID:BNaczwQc
ハーレクインチックだった
581名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 17:59:18 ID:AEfvYXi5
あやまれ!
ハーレクインにあやまれ!
土下座してあやまれ!!
582名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 18:21:30 ID:HNp6GwIM
>>577
一瞬DQNの主人公に見えたw
583名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 01:11:45 ID:iBpyp6rp
>>577
自分はRPG全般の主人公を…。
とあるゲームじゃ、人の家の物を持ち去ろうとすると
家人に怒られる設定されてたがw
584名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 04:26:25 ID:hT84l8Dw
舞のくだり、九郎ルートのパク…もといインスパイヤwwww+大団円÷2って感じ
「しずやしず〜」まで、まんま頂いちゃって随分安直だなオイwww
この歌、九郎ルートでは政子に教えてもらってたが
源義経も知らなかった様なヴァカ神子がこの話では便乗で自力習得
うはwwアリエナスwww
585名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 08:54:22 ID:ktZ9k9AZ
計算間違ってますよ。
÷2→÷20 ですよ。
586名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 13:33:20 ID:RQgDZS/6
まぁ、取りあえずアレだ。
ゲームスレとかで自演で荒らしても最近は
スルーされ気味なんで、今度はこっちに来て
荒らしてるんだなw
みんなここでも以降はスルーでヨロ。
職人さんも単なる叩きは気にせずガンガレ
587名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 14:37:29 ID:VPuLodh5
ゲーム本編でも思ったが
「しずやしず」に関しては静御前の名前に掛けた歌だから
望美が歌った時点で大きく意味が変わる訳でw
寧ろ「のぞやのぞ」と歌ったらネ申だw
588名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 01:26:05 ID:PcW+pb4O
望美アンチがこんなとこまで…
589名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 10:08:45 ID:ZBdam7md
hahahaさん、古今さん来ないね。
ま、新規職人さんも「誘いうけ」云々の説明書きと
最新50みたら引くだろうし。

このスレももう・・・。
590名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 10:52:25 ID:jPo3KBjx
ヽ(`Д´)ノウワァァン!!
職人さん粘着なんか気にしないでくれ

新規じゃなくても、最近だと503氏とか
保管庫の職人さんたちも好きなのに
もう来ないかな
591名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 11:57:49 ID:haIy5q2E
職人さんに一方的に「誘いうけ」云々だけだからね。
これじゃ職人<読み手と勘違いするおバカさんも出てくるわな。
職人も読み手も対等なものなのに。
平等に行くなら読み手にも注意書き入れるか?
「読む読まないは自由。読んだ後で気に入らなかったからってガキみたいにいちゃもんつけるな」
みたいなさ。

まぁ、そんなあたりまえのお約束をこの21禁スレでわざわざ書かなきゃいけないってのも
いかがなものかと思うがね。
592名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 12:24:32 ID:jeyoe5yj
>591
それで書かない事にしたんじゃなかったっけか。
 >あたりまえのお約束をこの21禁スレでわざわざ〜

でもやっぱり軽い注意書き程度は入れたほうがよかったのかね。
ま、厨房なんざ注意書き読まんけど。
593名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 12:47:10 ID:D4v1nPo5
そうやって騒ぐこと自体も雰囲気悪くしてないか?
もっと萌え語りするとか、ネタ出すとか、
そういうことしてたほうがよっぽどいいと思う。
594名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 13:23:57 ID:XezRE5Fj
ならばネオ案と迷宮に(*´Д`)ハァハァしておくか。

ただ両方とも、私室があるわけじゃなさそうなので人目を気にしなきゃいけないんだろうと思うと……




















余計萌える
595名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 20:47:05 ID:0uoxEilh
やっぱ、迷宮になると普通にラブホとか使う八葉も出てくるんだろうか。
それとも望美の部屋or青姦or学校とかか?
有川兄弟(特に兄)なら彼の自室若しくは体育倉庫なんかも是非期待したい。
不憫を承知で言わせてもらうなら将臣×望美を譲の部屋で所望するw
596名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 21:08:57 ID:icms3hqP
テラヒドスwwwwww
597名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 22:41:17 ID:eoWFIzvi
譲が部活中だったり食事の支度中だったりするときにこっそりと……
で、譲がいるものと思って景時が入ってきたり、
当然のように朱雀が隣の部屋でコップあててたりして、
知らぬは本人ばかりなり、なんだろうな。
やばい不憫すぎて萌えるんだけど、誰かぜひそれで書いてくれwww
598名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 23:45:01 ID:l4+hJDfN
九郎にラブホの説明しながらってのも読んでみたいかも・・・
599名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 20:39:00 ID:OozngkT5

    ぐ  る         ―    ̄   __     ∩2z、
    る   ん   _ -  ̄    ∧_∧   ― ニ二./  /
 十  ん               (´Д` )        /`/
      ,  '    _   l´   '⌒ヽ-‐  /  /  } }  +
    / /     /       リ     |  |   /  ノ
 C、/ /        ╋  /      |  |/  /  //
&  \____/      /     ノ/ _/―''
 ⌒ヽ-、__/   ̄ ̄ ̄`ヽ   '´   /   十
      /  ̄ ̄`ー- ...,,_災__,/| /        +
              /   ノ {=   | |
 +            ∠ム-'    ノ,ィi、ヽ、
        ぐ
    ぐ  る         ―    ̄   __     ∩2z、
    る   ん   _ -  ̄    ∧_∧   ― ニ二./  /
 十  ん               (´Д` )        /`/
      ,  '    _   l´   '⌒ヽ-‐  /  /  } }  +
    / /     /       リ     |  |   /  ノ
 C、/ /        ╋  /      |  |/  /  //
&  \____/      /     ノ/ _/―''
 ⌒ヽ-、__/   ̄ ̄ ̄`ヽ   '´   /   十
      /  ̄ ̄`ー- ...,,_災__,/| /        +
              /   ノ {=   | |
 +            ∠ム-'    ノ,ィi、ヽ、



600名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 17:31:37 ID:G6rc1anQ
大股開きに誘われてやってきました、こんにちは
601名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 19:14:31 ID:q81PSeNy
ラビリンスもいいが一足早いネオ案を楽しみにしてる
職人さんきてくれるといいな
私は留値とピザに期待
602名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 22:35:24 ID:fbugWQRI
>>599
災にテラワロスww
603名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 15:50:00 ID:qfCInVRh
このスレって…
たいしてカウンタも稼げない哀れなピコピコ作家が
素人叩いて楽しんでるスレにしか見えないんだが。
たちがわるいのはポコ作家より投下作家のが出来がいいっていうwwwww
604名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 21:46:28 ID:N0wgmyP9
うん、分かったからsageて。
605名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 22:38:52 ID:JO+Yvr6b
「作家」に、「素人」ねぇ…w

もしかしてヲチスレから流れてきたリア厨ちゃん居着いちゃった?
サイト餅、2ちゃん投下問わず同人虹書きなんざ殆んどが皆素人ですよ
稀にプロデビューしてからも、趣味で虹サイト続けてる人もいるがほんの少数
606名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 23:13:23 ID:38vRST9N
三月からネオ案ラビリンスとくるわけできっと職人さんもきてくれるだろうが
その前に以前から思ってたこと書いてみる
ちょっとスレルール話し合った方がよくないだろうか
前スレはここに来れる年齢なら自覚を持ってということで終わったが
結果はこのとおり職人さん叩き天国
職人崇めろなんて言わないがあんまりだろこの実状
607名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 23:34:45 ID:QAQ9vQck
書き手は「俺は萌えを吐き出してるだけ。こんな俺の妄想に付き合ってくれてありがとう。」
みたいに読み手>書き手と考え、

読み手は「俺はこういう風に妄想なり萌えなりを昇華する事はできん。職人ガンガレ」
と書き手>読み手と考え
お互いに尊重しあいましょう


他スレからの転載だか、頷くものがあった。
あとは、

・完結してない話を頻繁に細切れ投下すると、スレ占有と見られかねませんから注意してね。
・荒らしが来たと思ったら徹底的にスルー。
 「嵐はスルーしろ」「はいはいスルースルー」などの書き込みは、スルー出来ていない証拠です。

とか?
608名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 02:39:26 ID:fo5uh2QN
>>607
上2つの注意書きいいね。すごく大事だと思う。

読んだものは自己責任。
苦手なもの、合わないものはスルーして、過度の叩きはやめましょう、とか?
609名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 04:44:48 ID:AcTzLEyC
フィギュア見ようと思って待ち時間久々にここにきたら読みふけってしまって
ふと気付いたら最終滑走者が終わってましたよ…'`,、('∀`) '`,、
610名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 04:48:50 ID:AcTzLEyC
と思ったら今からだった…スレ汚しゴメソ
>>607イイ!(・∀・)と思う 尊重っていい言葉ね
611名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 10:01:58 ID:xNqqpdmE
>609
素晴らしい試合だったのにw
612前スレ503:2006/02/22(水) 17:43:33 ID:x4XnEHkb
ルール話し合い中、豚切って
将臣×望美を投下します。
十六夜エンド設定。
613前スレ503(1/9):2006/02/22(水) 17:48:33 ID:x4XnEHkb
「お〜い、望美。掃除終わったかぁ?」
 ぶつけそうになる頭を少しかがめながら、将臣が開いていたドアから教室内をのぞ
くと、ちょうど箒を道具入れにしまい、よしとばかりに手を叩いていた望美と目が合った。
「ナイスタイミング、ってか」
 茶化すように笑いかける将臣につられて、望美も鞄を手に取りながら笑う。
「そうかも」
 同じく掃除当番であった友達に手を振って、待っていてくれた将臣の隣に並んだ。
 そうすると、身長差があるので望美が真っ直ぐ前を向いていると視界に入るのは、
崩して着ている制服の生地ばかりになってしまう。
「今更だけど、将臣くんって背、伸びたよね。昔は私と一緒か、私の方がちょっと高
かったのに」
 望美の言葉に、考える時の癖で視線を上げる将臣の顔は、改めて見てもやはり
少し遠い。
「そういやそうだな。中学に入って急に成長したからな。しかも、まだとまらねぇし」
「だよ、ね」
 二人で見合わせる視線の意味は、三年後の将臣の姿を思い出しているから。
 今でも十分、望美が見上げなければならない長身だけれど、あちらの世界で見た
将臣は目の前にある同い年の姿よりも大きく見えた。
 体つきも、成り行きとは言え武将として暮らさざるをえなかったせいで、逞しく鍛え
られていたから、受ける印象では一回りほど違う。
「望美はもう、伸びそうにないな」
 頭に置かれた大きな手にくしゃりと髪を乱され、嬉しいはずのじゃれあいが、ほん
の少し気にかかる。
 子ども扱いされているようで。
「わかんないじゃない」
「いいじゃねぇか。今ぐらいで、ちょうどいいだろ? あんま背が高くてもいい事なん
かないぞ。よく頭ぶつけるしな」
「それは将臣くんがうっかりしてるだけでしょ。譲くんも高いけど、そんな失敗してる
の見たことないよ」
「あ、お前。それを言うか?」
 痛いところを突かれたと言うように、将臣が苦笑する。
 その顔は見慣れない笑顔で、望美は知らずうつむいていた。
「譲は俺と違って、出来が良いんだよ」
「誤魔化そうとしてるー」
 紛らわすように明るく言うのはよく知る将臣で、望美の唇は自然と受け答えをして
いた。
 心は別のことを考えていて、上の空であったから習慣とは恐ろしい。
「俺は石頭だからいいんだ」
 妙な理屈がおかしかったのは本当なのに、望美は将臣が前を向いたままでいて
くれた事に感謝しながら笑った。
「変なの」
 そっと盗み見た将臣は屈託なく笑っているのに、望美の笑顔は明らかに陰りを帯
びてこわばっていたからだ。
614前スレ503(2/9):2006/02/22(水) 17:53:01 ID:x4XnEHkb
 元々三人の中では一番お兄さん的な存在だけど、少なくとも記憶の中で制服の
将臣はあんな風に、大人びた表情を浮かべたりはしなかった。
 そして、そんな事に気づくようになっている自分。
 体はどれだけ元に戻っても、過ごした歳月が確実に将臣にも自分にも流れていた。
 それが、ふとした瞬間に共に過ごせなかった空白の時間を垣間見せる。
 お互いに、記憶のない頃から一緒にいたのに、いつからあんな笑い方をするよう
になったのかも、どうしてそうなったのかも、望美にはわかりようがない。
 認めてしまえば、将臣に置いていかれたようで寂しいのだ。
 だから、奥の方が苦しくて心から笑えない。
「明日も掃除当番だったか?」
 あと少しでお隣同士の二人の家に着くというところでそう尋ねられて、今日、一緒
にいられる時間の終わりを知った。
 なんだかこのまま離れるのがひどく不安になり、望美の手は自然と伸びていた。
 将臣は、制服の袖に小さく力がかかったのに気づき、いつの間にか少し遅れて
歩いている望美を振り返る。
「どうした?」
 尋ねても答えはなく、首をひねるしかない。
 しかし、あまりにわずかで見逃してもおかしくなさそうだったが、それは三度繰り
返されて、確かに意思があるのだと教えてきた。
 立ち止まって発信源である望美を見下ろすと、差し込む夕日で長く尾を引いてい
る影が、民家の塀にへばりついているのが視界に入った。
 あまりにいびつに伸びすぎていて、どちらがどちらの影かもわからない。 
「お母さん、料理教室で遅くなるの」
 小さな声だったし、背後の影に気を取られていた将臣は、己の耳を大いに疑った。
 それぐらい、ありえない言葉だったのだ。
「ん?」
 聞き間違いにしても、願望が強すぎる自分が情けなくなってくる。
「家、寄ってく?」
 だから、ゆっくり持ち上がった望美の頬が夕日の赤さより赤くなっているのも、恥ず
かしそうに視線が微妙にそらされているのも、現実味がまるで感じられない。
「……いいのか?」
 それなのに、言葉は妙に冷静だ。
「ん」
 ちゃんと返事も出来ないで頷くだけの望美の手を、都合よく見ている幻じゃないん
だと確認したくて、制服の袖から奪って握り締めていた。
 汗ばんでたのは、きっと二人ともだ。
 お互いに学生という事もあって、望美と体を重ねるのはそう簡単じゃない。
 ラブホテルなんかはかかる金がバカにならなかったし、そうなると残るはどちらか
の家になるが、これもなかなか思うより難しいのだ。
 大体が家族の誰か一人は家にいたり、また、親同士の仲がいいせいもあって、
留守といえど裏口から勝手に上がりこむなんて珍しくないのである。
 普段かかっていない鍵がかかっていれば、おかしく思われるだろうし。
 それでもなんとか間を縫って、ようやく数回。
 だが、見つからないようにこっそりとだから、どうしても気ぜわしくなっていたし、
特に望美は尻込み気味だった。
 無理矢理は将臣も気が進まなかったから、正直足りないと思っていても、言い出
しにくかったのだ。
615前スレ503(3/9):2006/02/22(水) 17:56:09 ID:x4XnEHkb
 それが、望美の方から誘ってくるなんて。
 どういった理由からかはわからなかったが、ここで躊躇するほど将臣は枯れて
いない。
 降って湧いた状況にいつも以上に高ぶる気持ちを押さえるのは難しく、望美が玄
関に鍵をかけた音を聞いたとたんに、我慢がきかなくなった。
「っ…ん」
 わざと視線を合わせないようにうつむいていた細い顎を捕まえて、苦しい体勢にな
るが振り向かせて深く口づける。
 足元に落ちた鞄が派手な音を立てたが、気にしてはいられなかった。
 望美が欲しがる触れるだけのキスをすっ飛ばしているのに、背中から抱きしめた
体は、一瞬驚いたように固まっただけで押しのけも、逃れもしない。
 口内で絡む舌が熱くて、それだけで腰の辺りに溜まる熱が脈打った。
 夕日に温められた制服ではなく、望美自身の温もりに触れたくなって唇を離すと、
腕の中で方向転換した望美が囁く。
「部屋、行こ」
 肌蹴ていた首元にかかる吐息が甘くて、溶かされそうだ。
「今日のお前、やばい」
 体を離して二階へと移動している間も、灯った情欲は一向に冷める事無く、かえって
声と一緒に肌を掠めた唇の濡れた感触とか、首筋から薫ったいい匂いなどの些細な
事を思い出させる。
「え?」
「手加減してやれねぇかも」
 というか、もうすでに無理そうなのだ。
 その上、釘を刺す意味で煽るなと忠告したのに、それはむしろ将臣を追い詰める
結果となった。
「いいよ。……いっぱい、して」
 なんという事か。
 台詞だけでも一杯一杯になるのに、望美は先に部屋に入った将臣の無防備な背
中に抱きついてきたのだ。
 固い布越しにも柔らかな膨らみが、押し付けられているのがわかる。
「っちょ、反則だろ」
 しかも先ほどの玄関での口づけとは逆に、将臣の背後から伸びた望美の手が、
崩してあった制服を更に崩すべくボタンにかかっていた。
「ダメ?」
 慌てた将臣を怒ったと勘違いしたのか、望美の声が不安そうに揺れる。
「ダメじゃねぇけど、俺にも脱がせろよ。フェアじゃないぜ」
「う、うん。でも、あんまり見ないでね」
 暮れかけの空から差し込む光は、カーテンが引かれていてもまだ明るい。
「わかってるって」
 そう言って向き合ったが、目の前の光景に自信なんて微塵もなくなった。
 自分の指しか外したことのないボタンを、白く細い指先が不慣れな様子でひとつ
ずつ外していく。
 ありえなさに、口の中がどんどんと乾いていった。
 潤したくても唾も出てこない。
 見え透いた嘘にも気づかない望美に手を伸ばして、上着をゆるめるとその下の
ブラウスに浮き出た陰影が、胸の膨らみを強調していた。
616前スレ503(4/9):2006/02/22(水) 18:18:13 ID:x4XnEHkb
 手の中でどんな形にも変わるのは知っているが、こんなにはっきりと見るのは
初めてになる。
「お前、着やせするよな」
 ボタンを外すたび、白いシャツの間から淡いブルーが見えてきて、案の定、
目が離せなくなった。
 谷間はくっきりとあるわけではないけれど、薄い影が形良い丸さを見せ付けてくる
ものだから、こんなの、平気でいられる方がおかしいだろ。
「将臣くんも、どっちかと言うとそうじゃない?」
「そうか?」
 何もかもが見えてしまう明るさが生む緊張感を、他愛ない会話で誤魔化したかっ
たが、ボタンを外し終えてしまうとそうも言ってられなくなる。
「スカートと上着、落とすぞ」
「うん」
 腰の横にあるホックを外すと、望美の足元に乱れたプリーツの波が広がり、その
上に肩から落とした重い上着がのった。
「見ないでってば」
 スカートの中に入っていて、外せなかった下のボタンが三つだけ止まっている
シャツだけになった望美は、居たたまれないように合わせ目を握り、もう片方の手
では晒された脚と下着を隠そうとする。
「わり。でも俺も言ったはずだぜ。手加減できないって」
 やたら飾りの多い制服と、望美にボタンを外されたシャツを脱いで、その手首をと
らえた。
 騙せる余裕がないのをさんざん痛感したから、払われても仕方ないと思いながら
の行動。
 そうなったらそうなったで、盛大に後悔するのだろうが、これ以上嘘をつけなかった
のだ。
「そう……だったね。シャツ脱ぐから、手、離して」
 半分以上そうなると想像していただけに、あっけなく許されては違和感を覚えない
わけがない。
「あ、ああ」
 それに、とりあえず返事をしながら見た指は、残っていたボタンを少し震えながら
外していた。
「望美、お前。無理、してんじゃねぇか?」
「ううん。明るいからちょっと、恥ずかしくって」
 ごめんね、と困ったように笑う顔は確かに嫌そうではない。
「本当にダメだと思ったら、言えよ」
 もう戸惑う事無くシャツを脱いだ望美は、心配そうな将臣を大きな眼でまじまじと
見上げる。
「そんなにすごいことする気なの?」
「……しそうなんだよ」
 溜息をついてみせる将臣が可愛くて、ふき出すように望美は小さく声を出して
笑っていた。
 そこに、あの重い不安感は全くなかった。
「いいって言ってるのに」
「俺がよくないんだ。お前を泣かすのだけは嫌だからな」
617前スレ503(5/9):2006/02/22(水) 18:20:52 ID:x4XnEHkb
「そういう所は、昔から変わらないね」
「嬉しそうに言うなよ」
「嬉しいんだもん」
 ガキのころのことを言われるのが妙に気恥ずかしいのは、自覚があるからだ。
 今も昔も、呆れるほど大事にしていると。
「ばあさんに洗脳されたせいだぜ、絶対」
「もう! そこで好きだから、とか言えないの」
 拗ねて尖らせた唇に、さっきしなかった触れるだけのキスをして、下着のみに
なった体を抱き寄せる。
「わ」
「もう我慢できねぇ。ベッド、行こうぜ」
 腰の昂ぶりを腹部に押し付けられた望美は、ようやく赤みが引いた頬にまた熱が
集まるのを感じながら頷いた。
 二人分の体重に大きくしなるスプリングが、倒された背中から体中に響く。
「ね、本当にスミレおばあちゃんのせい?」
 思ったより気にしているの望美が可愛く思えて、少しくすぐったいような面映さを
将臣は覚えた。
「バカ。お前が好きだからに決まってんだろ」
 でなきゃ、見てるだけでこんなに反応するかよとは、さすがに格好悪くて言えな
かったが、あんまり望美が嬉しそうに笑うから、もっと素直に伝えたくなる。
 好きだという言葉では足りないほどの想いを。
「望美」
 真剣な表情で見下ろす将臣に望美は眼を伏せると、慎ましく体を隠していた下着
を自分で取り去って、ベッドの下へ落とした。
 優しい光の中に、見るからに柔らかそうに膨らんだ胸と、くびれた腰、そこから伸
びる脚へのすんなりとした線があらわになる。
「私も好きだよ」
 将臣の気持ちを受け取ろうとしてくれている唇を塞いで、遮る物のなくなった肌を
思う存分撫で回す。
 白い肌の上では、浅黒い手はくっきりと浮かび上がっていた。
 胸の飾りを摘んだり、なだらかな体を触っているのは自分だとわかっていても、
眼に見えて蹂躙している感じがたまらない。
「あ、ん。やぁ…」
 ぴたりと閉じられて隠されている足の間に忍ばせた指には、淡い茂みを少し進ん
だだけで湿りが絡んだ。
 軽い驚きを覚えると同時に、感じてくれてる喜びが胸を占める。
「こんなに濡れてる。もう、ぐしゅぐしゅだぜ」
 添うように降ろしていくほど、それは濃密になっていった。
「や、言わないでよ」
「俺が言わなくてもわかるだろ? ほら」
 耳を塞ぎたくなるほどの恥ずかしい音は、将臣が指を動かすたびに容赦なく聞こ
えて、どうにかしたいと思うのに、ますます大きくなっていくのを止められなかった。
「んんっ、ん。あっ!」
「指、入れてもよさそうだな」
「待っ、あぁ!」
618前スレ503(6/9):2006/02/22(水) 18:24:52 ID:x4XnEHkb
 望美は訴えを無視して埋め込まれた衝撃をこらえるように眼を閉じているが、
反面、唇は薄く開いて将臣には誘っているとしか思えない。
 いつも入れたときにこわばる中も、今日はもっと奥へ招くようにひくつくだけで、痛み
はないようだった。
 試しに中で関節を曲げて入り口あたりを往復させると、凝視している望美からは甘い
声がもれ、息も忙しなくなっていく。
「あ、あ、ふぁ」
 小さく震える体は、迫る予感に腰を浮かし始めた。
「逝きそうか?」
「ん、ん。も…だめ」
 薄っすらと開いた瞳を潤ませて、ねだってくる。
 それは、屈託ない笑顔ばかり見せる望美からは、とても想像できないほど艶めい
た表情だった。
「すげ、エロイ顔」
 目じりに滲んだ涙に口づけて笑うと、いやいやと言うように望美が顔の上で両手を
交差させた。
「隠すなって」
 片手でひとまとめに出来てしまう細い手首を頭上に縫い付け阻止したが、恥ずか
しそうに横を向いただけで、怒ってはいないらしい。
「ま、将臣くんのせいじゃない。他に誰もこんな事…あっん」
「当たり前だろ。俺以外に見せるかっつーの」
 弱いと知っている箇所に指を押し当てると、閉じられていた膝がほろっとゆるみ、
加速をつけるのも難しくなくなった。
 そこを、一気に攻め立てる。
「あ、あ、ああ!」
 抵抗する暇もない強烈な快楽に一際大きくしなった背がベッドから浮き上がり、
押さえつけられた手をきつく握り締めて、将臣の見ている前で望美は上り詰めた。
 その時の表情は、眉を寄せ苦しんでいるようにも見えたが、可愛いだけじゃない
女のあでやかさは、将臣のなくなりかけていた耐久力にとどめを刺した。
「俺もう、限界だわ」
「はっ、ふぅ」
 力を失ってベッドに沈んだ華奢な体は蕩けきっていて、中に入れたときの気持ち
よさを瞬時に想像させる。
 動物的だと思うが、小学生のおたふく以外病欠らしい病欠をしたことのないほど
健康優良児である将臣にとっては、視覚効果も相まって、これ以上の我慢しろと
いう方が無茶だった。
「ゴム、ここだったか?」
 ベッドに備え付けてある棚に置いてある、でかい目覚ましの横。
 首に赤いリボンをつけた茶色い熊がのせられた、クッキーが入っていたと思われ
る缶に将臣は手を伸ばした。
 その動きを眼で追いながら、望美はまだ余韻に震える体を持て余していた。
 本当は少し休ませて欲しいのだが、そんな事を言ったら、多分将臣はひどく困る
のだろう。
 ちらりと向けた視線の先では、はかれたままのズボンの上からでも、その下にあ
る物の形がわかるのだから。
619前スレ503(7/9):2006/02/22(水) 18:28:55 ID:x4XnEHkb
「……ない」
 それはこの世の絶望を形にしたかのような、暗い暗い声だった。
「え?」
 つられて身を起こした望美は、呆然としている、いや、抜け殻になりかけている
将臣の虚ろな視線にぶつかった。
「そういや、前のときに使い切ったんだった」
 何度振ろうとも打ち出の小槌でもなかろうに、カラはカラでしかない。
「ま、将臣くん?」
 思わず望美が心配してしまうほど打ちひしがれている様子の将臣だったが、
はっきり言って臨戦態勢の今、引くことは考えられなかった。
 後退する事が出来ないなら、あとは進むだけ。
「望美、悪い」
 唐突に謝られた意味は、再度押し倒されてからわかった。
「ダ、ダメだって!」
 慌てる望美の広げられた脚の間で、将臣がベルトをゆるめているのだ。
 逃げようとしても、腰に絡んでいる腕が強くて上半身をよじるしか出来ない。
「ヤダ!」
「大丈夫だって」
「そんな無責任な事、言わないでよ」
 将臣に軽々しく扱われたのがショックで、望美の視界がみるみる歪んでいく。
「入れるつもりなんて最初からねーから、安心しろって」
 不安にさせてごめんなと耳元で困ったように笑う顔に、嘘のようだがぴたりと涙が
止まった。
「入れ、ないの?」
「お前のこと大事だからな」
「でもじゃあ、どうしてズボン……」
 まだぬぐいきれていない不信感に、将臣は苦笑するしかない。
 信用ねぇなぁと。
「だからさ、ちょっと我慢して欲しいんだ。……こうするの」
「やん、な、なに!」
 今までに感じたことのない感触を受けて、望美の体に緊張が走った。
「素股」
 その言葉も、初めて聞くものだ。
「す、また?」
「ああ。こうやって擦るだけ。な?」
 すっかり立ち上がっている将臣の熱い物が、望美の濡れた下肢で前後に動いて
いるのはわかるが、耳慣れない単語は不思議で、自分の身に起こっている事実と
しては簡単に認められない。
 そのおかげで、望美は拒否するタイミングを完全に失ってしまった。
 それに。
「あ、んぅ」
 ピクンと震えた体は、去ろうとしていた快楽を呼び止めていた。
「そっか。ここ、当たるから気持ちいいのか」
「ふっ、あん……ん」
 先の引っ掛りが、望美のふっくらと色づいて存在を主張する実を刺激するものだ
から、体を駆け巡る痺れが、爪先や疼く腰に蓄えられていく。
620前スレ503(8/9):2006/02/22(水) 18:32:33 ID:x4XnEHkb
 そのなんとも言えない焦れったさに、動かないでいるのがひどく苦しくなってきて、
ベッドの上で身をよじるが、それぐらいで何とかなるものではなかった。
 身の内にくすぶる切ない感覚を解放する術は、ひとつしか知らない。
「ま、さおみ…くん」
 無意識のうちに強い感覚を欲した望美は、腿を閉じてもっと強く押し当てようとし
ていた。
「ちょ、挟むなって」
 気持ち悪がられるかと思っていただけに、嬉しい反面、思いがけない反撃は将臣
のただでさえ危うくなっている理性を大きく揺さぶった。
 せっかく望美も感じてくれているのだから、出来れば逝かせてやりたい。
 そんな健気な思いを抱いて、甘い声が上がるところを特に狙って腰を動かすと、
将臣の手を握っていた望美の指がぎゅっと絡んできた。
 見下ろす視界の中では、押し寄せる感覚にこらえきれず、体を震わせるのも頻繁
になってきている。
 ゴールまであと少し、と油断したわけではないが。
「なん、か、…すごいエッチ。股の間を将臣くんのが、出たり、あ…ん、入ったりして
るのが見える」
「なっ!」
 なんて事を言うのかと叫びたかったが、不意打ちにしなりそうになった背を止める
のに懇親の力を必要としたので、言えたのは最初の一音だけだった。
 がんばれ、俺。
 と、歯を食いしばりながら瞬時に百回は唱えた将臣は、無自覚に煽る望美を半分
涙目で睨む。
 しかし、快楽に蕩け切ってとろりとした視線は、内股を雫で汚しながらひくついて
いる物に釘付けだ。
 見なければよかったのか、それとも見れてよかったのかはわからなかったが、
さっきよりも数段エロイ顔に、将臣の我慢は本当に限界に来ていた。
 神様、仏様、このさい白龍でもいいから、俺に力を!
 と、将臣が願ったおかげかどうかはしらないが、どうにか持ちこたえている間に、
望美の方も余裕がなくなり、内股に加わる力も強くなってきた。
「ん、も…イッちゃう」
「俺ももう、出る」
 というか、もう出させて欲しいのが本音。
「あっ、んんん!」
 痙攣する柔らかな太腿に絞られて、こらえにこらえていた将臣もついに吐き出す
事が出来た。
 その一瞬は、気持ちよさを飛び越えた何も考えられなくなる感覚に陥って、制御を
失った体はがくんと落ちた。
 肘をついたおかげでぎりぎり、望美を潰す事にはならなかったが、すぐに動くのは
少し辛い。
 それは望美も同じのようで大きく息をつきながら、余韻に浸る体を将臣の下で
大人しく横たえていた。
 それがあんまりにもぐったりとしているので、続けざまに逝かせたのはまずかった
のかと、不安になってくる。
「大丈夫か?」
 頬を撫でると、望美は照れくさそうにはにかんで笑う。
621前スレ503(9/9):2006/02/22(水) 18:36:25 ID:x4XnEHkb
 そんなところは驚くほど昔と変わっていないが、もう騙されないぜ、と将臣は硬く
心に誓っていた。
 今日の望美には翻弄されつくして、ほとんど手におえなかったのだから。
「ちょっと、ぼーとしてるけど、大丈夫。……あ」
 話している最中に、望美の瞳が下を向く。
「どした?」
 怪訝に思ってその視線を追うと、平坦な下腹部にかけられた粘液が、肌の上を
少しずつを移動していたのだ。
「ああ、わり」
「ティッシュ取ってくれる? シーツに垂れちゃうから」
 身動きできない望美に代わってベッドから降り、指差された本棚の上にあった
ティッシュを、箱ごと手に持って振り返った将臣は、本日何度目かの強い衝撃を
受けることとなった。
「な、何してんだよ。嫌じゃないのか?」
 すっかりうろたえてしまった将臣の目の前で、望美は腹にのっていた残滓を指に
絡らめて、しかもそれをじっくりと眺めている。
「だって、落ちそうだったから。それに将臣くんのだし、やじゃないよ」
「そ、そっか?」
「将臣くん、耳まで真っ赤。もしかして照れてる?」
 いつも飄々としている将臣にしては、それはひどく珍しい反応だった。
 それが嬉しいのか、望美は随分と機嫌がいい。
「いたたまれねぇんだよ」
 なんとなく、ものすごく悪い事をしてしまったような気になるのは、小さい頃から
知っている相手だからこそだろう。
 お互いに、こんな風になるなんて思わずに過ごしてきた期間の方が、ずっと長
かったのだから。
「自分がしたのに」
 そう言って寝転んだままの望美は、完全に動けなくなってしまった将臣をよそに、
新たにすくい取った指にちろりと舌を伸ばした。
「っ!」
 好奇心旺盛にもほどがある。
「変な味」
 そんなところばかり変わらないで、顰めた顔をこちらに向けて笑う望美に、将臣は
全面降伏。
「勘弁、してくれ」
 天井を仰ぎながら呻いた将臣には、元気を取り戻し始めた分身を、いかになだめ
たらいいのか見当もつかず、途方に暮れるしかなかったのだ。
 だから、その時浮かんだ提案に飛びついたのは、相当切羽詰っていたからだと
理解してやって欲しい。
 彼は、大変苦しんだのだから。
「譲にゴム買ってこさせたらダメか?」
 愛の告白のときよりも真剣さ二割増しの将臣に、勿論、望美の返事はOK。
 な、わけもなく。
 ベッドの上に転がっていた例の缶が、将臣の額にクリティカルヒットした。
 ちなみに、角がへこんだその缶の中には、後日、補充された避妊具のほかに
絆創膏も追加されたらしい。
 それの出番があったかどうかは、各々の心の中で。
622前スレ503:2006/02/22(水) 18:38:21 ID:x4XnEHkb
以上で終わりです。

↓ルールのお話の続きドゾー
623名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 18:39:05 ID:q0VQb/uj
リアルタイムで堪能できました〜!!
624名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 19:37:41 ID:dh63+wvF
GJ!!
625名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 19:55:37 ID:AcTzLEyC
幸せそうな二人にほのぼの〜ですね!GJです!
あいかわらず譲カワイソスw
626名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 19:59:49 ID:2RRepAHV
なかなか大人っぽくも初々しい感じがたまりません!GJ…
と思ったら最後テラワロスwww
627名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 23:30:46 ID:cbhmjQmc
あーやっぱりテンプレ追加必要という流れになったか…
まあ無理ないか
各自自主規制でつっても限界あるもんなあ
628名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 09:25:52 ID:RsM/pj9v
あったほうがいい
なんたってまさかの前書き後書き規制入れようとしたスレだもんな
629名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 23:42:48 ID:dRkIc0kg
なんか静かだな
503に叩きがつかないのは叩くところが見つからないからか?
今までがんばって叩いてたのになw
粘着が消えたのならいいんだけど

とりあえずテンプレは
>>607に一票
前書き後書きの規制はどうする?

誘い受けはうざがられますのでほどほどに

とか?
630名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 00:43:48 ID:DujCzCTH
多少なら、書き手がコテでレスつけてもいい気はするけどね。
感想やご指摘ありがとうございます、程度なら。

全レスなんてのは論外だが
631名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 02:07:02 ID:qesT7GC0
読み手の意見ばっかでてるようだけどさ
書き手の意見はどうなのさ?

書き手も意見出さなきゃ、均等な関係は崩れたままだぜ。

ここでは誘い受けうざがられるけど自分には簡単な投稿予告兼ならむしろありがたいがな。
632名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 02:35:08 ID:ep5Vec66
「書き手だけど〜」なんて言って意見が出たら出たで
また荒れそうな気もする。

テンプレをくわえるよりも、>>2あたりに
>>607の上5行をそっと貼っておけばいいと思う。
633名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 06:16:53 ID:xOKc+8af
>>629
そうじゃね>叩くところが見つからない
じゃ無差別に叩いてたんじゃなくて
叩くところの有るヘタレのみを選択して叩いてたってことだな
634名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 11:09:18 ID:FMRZzcNw
>629は何気にヘタレの傷に更に塩塗ってるのなw
635名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 15:48:35 ID:K4Zwk9bS
単に好きカプだったとか、純愛だったからとか、そういう理由だろ。
636名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 16:38:19 ID:3m5SZoF4
前スレラストでスレの読み手>書き手の現状をはっきりさせた前書き後書き問題をまだ
「どうする?」なんつってる椰子がいる時点でもうだめだろ…
なんか書き手の意見が出てこないのが書き手の怠慢みたいに言ってる椰子もいるし
議論の段階でもう読み手様が上座なのにスレ荒れるなっていう方が無理だわ
637名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 17:16:55 ID:hlNy3/xD
書き手の怠慢とはいってないとオモ
スレよくしようとして意見出してるだけだろ
ただ、書き手は少ないから意見はそうそうでないだろうな
叩かれやすいし
638名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 18:00:42 ID:472AU6pd
>>632の言うように、書き手だなんて名乗ればそれもまた荒れる原因になるし、
名乗ってないからって、書き手が意見出してないってことでもないとオモ。
639名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 18:23:41 ID:zTpWv5fQ
書き手への無言の圧力っつーかちょっとでもヘマすると何倍にもして返しますよ
って感じだもんな今のこのスレ
640名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 19:21:14 ID:sq1OtMAD
>>632でいいじゃん
641名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 23:41:49 ID:MMhfbcmu
初心者の書き手さん向けに、2あたりに控え室スレへのリンクを貼るのはどうか。
よく誘い受けとかぶつ切り投下とか、そういう事についてもよく話題になるし。
控え室は流れが速いから、スレのまとめサイトでも。

書き手が「投下してもいい?」みたいに聞いちゃったりするのって、誘いうけ云々とかだけではなく、
あまり書いた事がなくて自信がないから、つい訊いてしまう場合もあると思う。
投下に慣れた人、他のスレもよくロムってる人なら「注意書きして即投下」を最初から出来るだろうけど。

>639
同意。
読み手が、書き手の投下姿勢から選別に入ってる感じがする。
642名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 14:05:59 ID:CToDaBP3
「投下していい?」→「駄目」→荒れる
のやりとりを防ぐために、
注意書き後即投下の注意書きは残しておいて欲しい。
643名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 16:39:00 ID:a+RQSU9y
>>629は血も涙もないな。ヘタレ職人カワイソス
644名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 17:58:04 ID:ZECZYw92
レスがすすんでたから新作投下かと思ってワクテカしてきたのに(´・ω・`)
645名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 00:21:23 ID:4tk8CBJ9
一番ひどいのは>>633だろう
646名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 02:11:56 ID:9oz6rwJm
そうだね。629が暗に言ってたことを誰にでも解るように翻訳しちゃったんだから。
647名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 13:34:42 ID:/R76crKn
取りあえずアレだな
>>633とか>>643とか>>646とかの、
人の意見をねじ曲げる根性悪は
荒らしと同一視して良いと思う今日この頃
648名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 14:54:58 ID:lnHRhiGb
>>642

漏れはなくした方がいいと思う。
あの文は書き手<読み手な臭いプンプンだ。
649名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 19:15:47 ID:tfUVUTmc
前にも言われてたが誘い受けは板全体で見ても嫌がられてるから
荒れ防止のためにはテンプレにあっていいと思う
ただテンプレに入ってる文章自体がどうかと思うのは同意
もう少し文章直した方がいいと思う

あとやっぱスルースキルだろうなあ
作品に文句いいたい人もそれをたしなめたい人も
どうしても一言いいたい人が多いようだが、それが荒れの一因なわけで
650名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 22:42:12 ID:GZo3/+VE
漏れとか使うやつが何言っても(ry
651名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 23:49:58 ID:cvMyoi2X
ネオロマ各避難所にお伺い立てて、
そっちにスレ立てて(上がらないようにして貰えるし)、
一時このスレ無くした方が良いよ。
今何言ったって煽り荒らしがくるし、
作品投下されたって叩き荒らしになるだけだ。
勿論スルー出来ない住人も問題だし(もしくは荒らしの自演だが)
652名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 00:56:16 ID:89Y2bWu1
>>651
そんな最終手段に出るほど荒れてはいないと思うけど
653名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 03:25:39 ID:kx++mjcM
>>652
同意
かなり落ち着いてると思う
粘着の書き手たたきはもうしょうがないよ
2なんだし
654名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 03:44:59 ID:lAKu+6dF
>>651

その方がいいと思う。
今のままでは今までの職人さんほとんど帰ってこないし
ネオアン、迷宮で新たな職人さん来てくれても
また叩かれて最後まで読めなそうだし・…。
好みなのに粘着されて消えていった話がどんだけあるか・・・・・。
655名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 07:40:05 ID:Fk2LE/pA
移転は反対。
過疎化が進むだけだ。
656名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 12:49:35 ID:rmGDDYdk
同じく<移転は反対

ここは21歳以上対象板なんだから、それを全年齢板の避難所にもっていくのもどうかと
657名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 12:55:37 ID:u9+lrFD7
>>655
十分過疎ってると思うけどね。
ここ最近は滅多に職人さんが投下しないし、
しても叩き荒らしが来て、更にスルー出来ない住人がそれにレスを付ける。
思いっきり荒れるよりも、グダグダしてて現状の方が性質悪いよ。
非難所云々の651以降は話し合いとしても、>>650までのここ最近は、
誰がどんな発言しても悪意の応酬か、細かいあら探しみたいになってるし
658名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 14:13:30 ID:Sfa4xkds
過疎で投下がないって言うけど、先週投下されてるんだよね…。
このスレって、2・3日投下がないだけでマダーとか、
毎日投下があるのを普通だと思っているのか?
659名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 14:58:32 ID:SO0XUVey
これだけ意見出てるのに651以降しか話し合いとして認めないってのもどうよ
あと避難所はやめといた方がいい
無駄に偉ぶって全年齢を盾にする教えてあげる厨の暴言の餌食になるだけだよ
660名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 17:15:07 ID:lAKu+6dF
pink板専用避難所できてるぞ。
661名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 20:32:12 ID:OhUYXXQO
流れを読まずに呟き。
今日は金やんの誕生日だとふと思い出して、
「プレゼントは私」な金澤×日野を妄想した。

へぼんにも程があるよ自分('A`)
662名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 21:00:09 ID:kVBBMOMR
ベタだな(-ω-)〃
…だけど、書いてくれる人が居るなら是非読みたい(人´∀`)
663名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 23:06:15 ID:UaKWtjIe
卒業まであとわずか、
卒業すれば何の問題もないのだから、それまで待つか、
それともこの誕生日にいただいてしまうか
激しく悩む金やんが見たい。
664名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 00:12:19 ID:kMZCSHGg
>>659
各避難所知ってるがそんな奴見たこと無いが?
一応18禁スレもあるがスレ上がらない設定にしてるし、
問題のある物は管理人が削除してる。
665名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 00:49:36 ID:/CkECmSd
>>663
昔、嫁さんが元生徒だという先生が
「三月一日が卒業式でも三月いっぱいは学校に籍があるし、
 かといって四月からいきなりじゃあからさまだから五月からだった」
 という話をしてくれたのを思い出した……。
666名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 00:50:27 ID:9nKMgw8Q
フィギュア観戦で燃え尽きて
一週間ぶりに来て見れば・・・
前スレ503さん降臨してたー!

買い置きなくて鬱になるまさおワロス
譲に買ってこさせるなんて発想、鬼すぎる。
667名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 08:12:17 ID:YPN3XJLX
>>664
見たことないだけだろ基本的に遙かスレ関係はイタタだからな
つかにちゃんだし当然かもしらんが
668名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 08:41:08 ID:2b+LVFmS
>>665
何その萌える話。
金やんと香穂子に当てはめるとすごく萌える。
669名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 08:48:42 ID:eMHxHLpO
>>667
どっちにしろ今のここの状態なら、
職人は来てくれないとだろうけどね
670名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 09:55:23 ID:tgXYMTvn
>>667
……何で遙か限定なんだ?
気に入らない遙か関連の創作叩いてたのお前かよw
671名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 16:12:53 ID:T0yZyCSF
>664
遙か避難所は管理人がジャンル変えしてから殆んど放置状態。
出会い系の宣伝書き込みがあっても
だいぶ経ってから削除される程度で完全放置ではないが対応は遅い。
そのせいかどうか知らんが、元々過疎だったのが更に寂れ
今じゃ本家が新スレ立てても、リンクスレには去年の7月を最後に
引っ越し報告もない状態だが…

案の避難所は何したいのか知らんが、アク解なんぞ付けてるから敬遠してるヤシも多い。
荒らし以外は気にしないだろうと言う意見もあるかもしれんが
エロ書きは解析付きの所に投下するのは気が進まないだろな。
672名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 22:51:43 ID:jxV361sN
>>665
4月じゃあからさまだからと、
解禁日(初エチー)が5月1日だったりしてなw
673名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 23:53:27 ID:FHlOMm91
>672
その時期なら、GWに絡めてお泊まり旅行でもいいなw
674名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 00:36:24 ID:kCvGNjJO
その避難所とやらで
思う存分自治を話し合っていればいいと思う。永遠に。
675名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 10:47:22 ID:dil6vB71
で、結局どうする?
テンプレ話も決着付いてないし、このままで行くの?
676名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 12:59:19 ID:uxsjbqXZ
>>607>>632でいいんでは
677名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 15:03:57 ID:o/4kLQ5w
賛成
678名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 15:29:07 ID:GxaikuRR
自治厨の殺伐とした遣り取りの中コルダスキー達のマイペースっぷりに和んだw
679とりあえずこんな感じ?:2006/03/03(金) 19:16:10 ID:LKlYT8cL
・書き手へのお願い。
「○○を投下します。××なので、だめな方は**をNGワードにしてください」
との注意書きレスのあとに、即投下をお願いします。

・読み手へのお願い。
荒らしが来たと思ったら徹底的にスルー。
「嵐はスルーしろ」「はいはいスルースルー」などの書き込みは、スルー出来ていない証拠です。

書き手は「俺は萌えを吐き出してるだけ。こんな俺の妄想に付き合ってくれてありがとう。」
と、読み手>書き手と考え、
読み手は「俺はこういう風に妄想なり萌えなりを昇華する事はできん。職人ガンガレ」
と、書き手>読み手と考え

お互いに尊重しあいましょう

---------------
とりあえず、誘いうけの文字だけは消してみた。
適当に改変よろ。

ところで迷宮公式にサンプルボイス追加されたね。
ネオアンも明日発売か〜。両方やる姐さんがたは出費が大変だろうな。
680名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 01:18:49 ID:eFV0Pwh+
実際まだまだスレ容量あるからねー。
テンプレ話はこれくらいで、以下萌え話ドゾー。
681名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 17:11:21 ID:xTqbsWwo
前スレで銀×神子書いたものです。

迷宮に銀髪兄弟が出なそうで寂しいな。
そんな訳で銀髪兄弟×望美(エロは重サイドのみ)投下いたしますです。
682名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 17:12:11 ID:xTqbsWwo
それが例え、戦場であっても。宴の晩であっても、客人がようとも。
濡れ縁に出、欠けた月を見上げる事は、欠かす事のない、大切な習慣。

欠けた心を、欠けた月で満たす事はできず。
今日も、明みを帯びた空を見上げて彼は大きなため息をついていた。
彼の人を待ち詫びて。


「重衡」

自分とよく似た声とよく似た容姿を持つ兄。
幼少の頃、数多くいる兄弟のなかでも特に父に可愛がられていたこの男に複雑な思いを抱いていた事は否定できない。
が、すっかり大人になった今、再びこの目の前の人物に、重衡は一言では語り尽くせない思いを持っている。


「お久しぶりでございます…兄上。お変わりないようで」
「そうそう変わるものでもなかろうに…母上には挨拶してきたのか?」
「いえ、これからです。出陣の際にご心配をおかけしてしまった手前、早く向かわねばとは思っているのですが…」

そう言う重衡の足は、母のいる房と反対へ向いている。
あぁそういえば…知盛はあまり細かい事を覚えている主義ではないのだが、末弟が欠かさなかった習慣を思い出す。
そう、弟の足は中庭に望む渡殿へと向いているのだ。

「たまには…月見酒というのも、悪くないかもしれない、な」

女房へ酒を持ってこさせるついでに、心配性な母へ息子が無事帰還した事を伝えてやろうか。
何故本人が来ないのか、と重衡を呼ぶだろうな、あの人ならば。
母に追求されて戸惑いつつもその理由をどう説明すべきか困る弟の顔が目に浮かび、知盛は湧き上がってくる笑いを堪えていた。

本人は隠しているつもりなのだろう、月の姫やらとのただ一度の逢瀬を。
しかし、宮中の空気を好む、あの噂好きのご嫡孫殿がこんなにも面白いネタを黙っている訳がなかろうに。
あの重衡の出陣の夜、奴を連れ戻しに行った筈の惟盛が、一人でうきうきと宴の席に戻ってきた事を知盛は覚えている。
うわさ話に勤しむ殿上人を好ましく思った事なぞないが、弟の恋煩いについて、彼はしっかりと聞き耳をたててしまっていたのだ。
683名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 23:23:29 ID:AZaXOGos
続きは?
684名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 01:25:11 ID:AVe3xNnf
接続切れちゃったとかかな?
685名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 01:53:33 ID:nofoDXqy
アク禁くらってるとかかもね。
とりあえず続きワクテカ
686名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 06:27:46 ID:4jM58Lp+
たまにきてロムるだけの奴が言うのも何だが
なんかいつも問題を半端に終わらせようとするなこのスレ
テンプレだってまだ案が出ただけなのに
スレ良くするための意見を自治厨なんていう奴までいやがるし

適当にしとくとしばらくしたらまた職人虐待始まるだけだと思うぞ
687名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 09:52:12 ID:1yrq/Ixs
空気嫁よウザー('A`)
一定期間おいても反対意見出てないんだから、テンプレは679で大体決まりだろ
688名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 10:08:09 ID:4jM58Lp+
空気読めてないのはなあなあにしようとしてる香具師のほうだと思うが
テンプレ作ってくれてる689自体改変よろって書いてんのにむりに終わらせようとしてるし。誘い受けとやらはどうすんのよ

ま確かにたまにくるくらいの自分の口出しすることじゃないかな
689名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 10:54:07 ID:1yrq/Ixs
だから、改変意見出ないの自体それが一つの答えだろうよ
大体テンプレなんかに抑止力はない
どんだけガチガチに厳しくしようと荒らすヤシは荒らすだろ
大切なのはテンプレの長さじゃなく住民がスルー徹底出来るかどうかだ

せっかく雰囲気戻りつつあり、投下もあったのに…

口出しすることじゃないと思うなら黙ってろ
690名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 15:57:28 ID:r9zGkRpL
>686
>スレ良くするための意見

良くして頂かなくていいよ。その言葉自体ひっかかる。
いい作品が読めればそれでいい。興味ないものにはスルーすりゃいい。
多分ここは>686にとって居心地のいい場所にはならない。
今後も絶対に。
だからもう見ない方がいいよ。
691名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 17:23:48 ID:RtpFnfdZ
おまいらマジでもちつけよまさかマジでいってんじゃないだろな
確かに口は悪いが686と688はどう読んでもただの
 ま っ と う な 正 論 だぞ
ていうか>>689これだけみんなが意見だしたものを「テンプレなんかに抑止力は
ない」?マジでふざけんなよ
別に686がスレ良くするなんて書いてないのに自分の都合のいいようにねじまげて
ただ叩きたいだけの690の方こそもうこのスレみないでほしい

たまにロムの香具師がちょっとまともなこと言うと常駐がこれかorz
そりゃ荒れるな

692名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 20:25:13 ID:Pie1ONq7
686=688=691
句読点の打ち方って知ってる?
693名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 20:30:30 ID:saeNS+4j
ここに残る人には勝手に残ってネチネチしてもらって
他はお引越しを考えたらどうだい?
694名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 21:19:48 ID:h6TNIg91
【アンジェ(ネオアンジェ)】【遙か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え

後裔のネオロマンスゲーム(アンジェリーク(ネオアンジェリーク)&遙かなる時空の中で&金色のコルダ)
関連のエロ萌えスレです。
女王候補や神子や女子高生etcの皆様、
本業を忘れてあの方とのめくるめく一夜に(*´д`*)ハァハァしまくりましょう〜。

◇雑談・なりきり・SSetc、エロ萌え妄想なら何でもOK (SS職人様ご降臨お待ちしております)
◇マターリsage進行でお願いします。
◇荒らしや煽り等は徹底的にスルー。
 「嵐はスルーしろ」「はいはいスルースルー」などの書き込みは、スルー出来ていない証拠です。

※SSについては> 2
※前スレや関連スレは> 3

---------------
それじゃーって事で、自分の意見をテンプレとして出してみますょ(`・ω・´)
気にいらなかったらスルーしてね!(・▽・b
基本的にココって投下専用スレじゃないし
嵐とか煽りに対してはSSに限ったことじゃないと思うし
今の1はちょっと長いんじゃないかと個人的に思ってるんで、
関連スレとSSに対するお約束ごとは別にして最後に荒らしと煽りをスルーしろっての(>679さんの)を加えてみました。
それ以外は、基本的に今の1にネオを加えてアンジェは女王候補じゃないのもいるのでちょっと訂正したぐらいのはずです。
695名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 22:17:21 ID:mRkhgQE1
いいんじゃないかな? スレタイにネオアンジェ、を入れると長くなっちゃうから、
>>1だけに入れるようにしたり。
あとは、数字を半角に直すくらい?
696名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 22:20:14 ID:re9SYw9L
>>691
中学校の学級会でなら正論だろうけど、
それがここで正論となるとは限らないんだよ。
すばらしいテンプレを作るより、
粘着がこのスレを去ってくれるほうが、スレにとっていいに決まってる。
テンプレがいらないとは思わないが、
実際問題、いくらテンプレに荒らし禁止って書いたって、荒らす奴は荒らす。
テンプレ作りに夢中になって投下しにくい雰囲気を作るより、
荒らしや粘着の話題に触れないでスルーして、
そいつらが去るのを待つのだって立派な手だろう。
皆がそういう方向を狙っているときに>>686の意見は、
静まりかけたものをひっくり返す元にしかならないんだよ。
697名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 12:13:02 ID:JHmGBKGR
句読点使えない平仮名だらけの文章といい、場にそぐわない青臭い正論振りかざしといい
コイツリアか?と疑っていたが、>>691の「マジで」三連発で疑いが確信に変わったよw
なので、21歳になるまでこんな板来ないで学級会の司会でも
やってなさいと言おうと思ったら、>>696に先に学級会って書かれててワロタw
受けた印象は同じか。
698名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 01:41:57 ID:nB/m64x2
流れを読まずにコルダ投下キボン
遥かや案のように新作でないから創作で補充するしかないんだよ(´・ω・`)
699名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 00:07:38 ID:WXG0Kq8Q
コルダ漏れもキボン
自分、まだ金やんと土浦と火原しかちゃんと攻略してないけど
そのうち火原辺りを書こうかなと思ってる(だけw
どうでもいいけど、火原って絶対童貞だよなw
700名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 09:20:56 ID:cvZeJiMX
禿しく同意
あと月森も多分…
701名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 09:47:42 ID:adeuHidH
王崎もだろうな
体験談(という名の愚痴)を友人に聞かされまくりで耳年増だったら笑えるがw
702名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 10:54:48 ID:yyzQuXat
そんなこといったら土浦と金やん以外全員になりそうだw柚木は家のせいで付き合ったりしてなさげだし。
王崎先輩はなにげに経験済みっぽい
703名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 18:31:11 ID:cFnSYjWj
いや、柚木は付き合ったことはなさそうだが、経験はありそう…
お弟子さんとか…w
704名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 02:03:32 ID:w3CShOEO
何故誰も志水について触れないのかww
正直、二十歳以上のキャラについては済みであって欲しい。

ところで>>252-254はそろそろ足が壊死するころだろうか。
それとも師匠の言いつけを守っているのか
705名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 02:08:28 ID:GKOK7bqB
しみずんはもう一生チェリーでいいよ。
そしてフェアリーになるといいよ。

と素で思ってしまう自分は、はたして本当に志水ファンなのだろうか…
706名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 02:57:10 ID:ea7/TGQJ
柚木×香穂子とかキボン
707名無しさん@ピンキー :2006/03/09(木) 12:50:19 ID:ph+WIxNl
コルダ投下も待ちつつ、
>682の続きもwktkで待っているのだが…何かあったのだろうか。
これでは、>254も足を崩していいのか、迷ってしまうことだろう。
708名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 15:32:17 ID:XTkaeTGL
志水は姉の友人に(ry

出来心で言った。
経験済みなら何でも良かった。
今では妄想している。
709名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 22:04:39 ID:GV9lmeRb
無知な志水に香穂子が手とり足とり…(*´д`*)
710名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 02:20:01 ID:GvJa2OoO
手取り足取りするにはまず、彼女自身が経験を積まねばならんわけで

>>707
むしろ今壊死寸前と予想
711名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 09:41:13 ID:eMWqE+ZE
ふたりでたどたどしく、探り合いながらのエチーとか。
712名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 11:34:48 ID:gDMM1cXH
711>
ウワァ…そういうの大好き…(*´д`*) ハァハァ
713名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 20:48:01 ID:m4oXeocU
コルダでモブに話し掛けたら、「柚木のフィンガーテクニックはすごい(要約)」と言われた
リアルで ちょwwおまwwwくわしくwwwwww と口に出しつつ
天羽ちゃんばりにメモった…

無論フルートの指運びについてだったわけだが
714名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 23:44:46 ID:J30TIP3P
柚木=神の手保持者
もしくはゴールデンフィンガー?
715名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 20:27:59 ID:hasmX4qb
香穂子の体を甘く奏でる!(・∀・)イイ!!
716名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 00:10:32 ID:qLLrs9ag
それはいいが、何故このスレを上げた?
717名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 00:46:36 ID:TpBsVtnp
答えられない
718名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 02:10:21 ID:vFKASgz7
>>717
先生…!!
719名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 02:43:50 ID:ljBWyqA+
職人様方、ネオ案作品投下、お待ちしております…。
一通りエンディングを見た人も多いだろうし。
720名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 03:09:50 ID:Mcf+gn3a
定期的に先生が現れるスレだなここはwww

>>719
ジェイドネタを思いついたがあまりのテンプレ具合に
自分で書いてて鬱った
721名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 18:18:22 ID:OiLqddtI
>>720
ジェイド最萌えなので是非読みたいです…!
722名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 18:30:32 ID:sBItWMfK
ジェイドがマジで好きで色々妄想しているが
そもそも彼はセクースできるのだろうか…
723名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 18:50:29 ID:eqSSnEJA
逆に、××(ネタバレを考慮して伏字)だからこそ、
通常では出来ないようなことが出来るかも。
724名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 18:59:59 ID:sBItWMfK
なるほど…それは盲点だった
妄想の幅が広がったよ、ありがd
725前スレ503:2006/03/12(日) 23:32:23 ID:cvuIA4LZ
ネオアンで盛り上がり中、失礼します。

保管庫の作品の削除をお願いします。
5-503の5本になります。
未収録作品の将臣×神子についても、保管はなしで。
どうぞ、よろしくお願いします。
726名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 00:43:02 ID:nZnJTk9r
このスレももう終わりか・・・色々いい作品をありがとう職人さん達
727名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 02:50:24 ID:KIeUP22K
いやいや、まだ50KB近く余裕あるから
728名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 22:24:21 ID:yehP9aOA
726が言ってるのはそういう意味じゃないだろう・・・・・・。
729名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 01:09:04 ID:7Gt4/D9J
これからどんどん過疎化が進んで最後には放置
または1000で終わり…。なのかな
730名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 09:30:54 ID:gW/Kip/G
ある意味終わってるスレには間違いない
それでも投下してくれる職人さんを待ち続けるお
731名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 23:47:02 ID:h+Gxp0zW
ネオアン投下待ち…。
いえ、ネオロマなら何でも構いません。職人さんカモン
732名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 00:07:07 ID:7p9eN1t7
ぶっちゃけここで職人さん待ってるより
サーチくぐって個人サイトで小説読んでるほうがいいよな
733名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 00:19:39 ID:Jj+KyPh+
>732
サーチをくぐるおまいさんスゴス!!
734名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 00:33:57 ID:wF1AM8jB
鼻息荒かった自治厨はどうしたのよ。
これがお望みの展開?
735名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 07:29:15 ID:ok/xJbT9
その言葉そっくりそのまま自分で受け入れてくれ
結局いろんな「どうしても一言嫌味をいいたい人」が我慢してくれずに
こうなった
736名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 15:45:53 ID:wF1AM8jB
('A`)
737682:2006/03/15(水) 23:19:40 ID:fbSC0pZK
682です。
同人板話題になってるウィルスにやられ、パソが使えませんでした。
そのパソは未だ使えず…

代理パソで内容思い出しつつ新たに書きました。
とりあえず体力残る限り投下します。

682の内容も残っておらず、ネットもできなかったので内容変わってたらごめんなさい。
銀×望美オンリーになりますた。。
738682:2006/03/15(水) 23:20:24 ID:fbSC0pZK
その習慣は、この場所でも変わってはいない。

戒められ、傷付いた体。
周囲の白い軍旗。

この、源氏に捕われた身を、十六夜のあの方は何と思うのだろうか。



源氏軍に福原を攻められた平家は雪見御所を後にし、戦に赴いていた兵は還内府・平知盛の指示によって皆散り散りに逃げた。
逃走の際、馬を失い、乳母兄弟に見捨てられ武運を失った重衡はあまりの衝撃に自害することすら、忘れていた。
いや、忘れていたのではなく、始めから意識に無かったのかもしれない。

武門の出である以上、生き恥を晒すならば自らの命を捨てる事惜しくあってはならない、と育てられてきた。
敗兵となった暁には、最後を立派に遂げなくては、と誓った。

そう生きてきたはずなのに、何故。



答えはわかっている。
自分は死にたくない、否、死ねないのだ。
739682:2006/03/15(水) 23:21:08 ID:fbSC0pZK
大罪を背負った自分でも、逢いたい人がいる。
また逢えると言ったあの人の言葉を信じたい自分がいる。
もう一度逢うまで死ねない、と思い、戦場を彷徨っていた。

そして思いは遂げられる。
長い髪に小ぶりの剣、すゞやかな声をしたあの人と、重衡は再会する。

見窄らしい自分を見せたくなかったという臆病な羞恥心。
最後に逢う事ができてよかった、これで死ぬ事ができるという安堵感。
いくつもの混ざりあった不可解な気持ちが彼を満たしていた。

死んで、あの罪から逃げる事と、もう十六夜の月の姫との逢瀬が許されなくなる事。
そのどちらを選べばよかったのだろうか。
戦場に戻ろうとする自分を、月の姫は止めなかった。
それは悪意なるものだったのかもしれない。
けれど重衡には、それはありえないことかもしれないが、彼女の瞳はまるで幾千もの戦場を駆け抜け生き抜いた武士の光が宿っていたように思えたのだ。

生きろ、と。

そう、語っているように思えた。
740682:2006/03/15(水) 23:22:58 ID:fbSC0pZK
だからこそ今、こうして体は縄に縛られ、周囲には怨みつらみの避難の目を浴びているのだ。
彼らは生きて捕らえることができた、と勇んでいるが、重衡が生きて捕まった事、それは彼らの手柄ではない。
重衡は始めから自害する気はなかったのだから。

経緯はどうであれ、彼は囚われの身の上。
まして憎き平家の(元)頭領、清盛の子息である。
鎌倉方の捕虜武将を連行せよ、という指示の元、軍奉行による監視はあれど、一兵らの暴挙は歯止めを知らなかった。
家族、友人、国…それら失った人々への想いが、彼らを突き動かし、自分を責め立て、物を投げ付け、罵声を浴びせている事を、重衡はよくわかっていた。

そしてそれは自分への罰なのだ、と感じていた。
同時に、もう逢う事叶わないであろう彼女。
逢えない事が、体の痛みよりも胸の痛みが、彼にとって最大の罰であった。

741682:2006/03/15(水) 23:24:29 ID:fbSC0pZK
「なんか、あっちの方、騒がしいね」

身の汚れを川で流した望美が不思議そうに朔に尋ねた。

「今日は強行軍の勝ち戦だったから、皆昂っているんじゃないかしら」
「それにしても…今までこんな騒ぎはなかったのに…」
「あら、あなたはこの戦が初陣でしょう?今までもなにもないじゃない」

思わず口からこぼれた言葉に深い意味を取れなかった朔が笑う。
望美は内心あたふたしながらも笑うことで場をごまかした。

「で、でも、あの騒ぎは凄いよね。何があったのかな!?」
時空を超えるという、誰にも言えない秘密を抱えてから、自分は作り笑いが上手くなったと思う。
秘密にしなければいけない理由はないけれど、信じて貰えないし、何より何度も説明しなければならないのがおっくうで口を噤んできた。

「そうね、ちょっと普通ではないようね」

…果たして億劫なだけ、だろうか。
つい、朔の言葉を聞き流してしまう。
時空を初めて越えた時、誰かとの再開を繰り返した時。
その度に望美の胸は痛んでいた。

自分の知っている相手が、自分をしらない事。
共有していた筈の思い出が、自分だけのものだと気付かされた事。
歴史を繰り返すということは、血を流し誰かに気付いて貰えない分、痛みは長く癒えを知らない。
だから、怖いのかもしれない。
時を超えるという神の領域に、自分がいる事を誰かに伝えるのは。

「望美?気分でも悪いの?」
いつまでたっても返事をしない望美を不安に思ったのか、俯いてしまっていた自分の顔を朔が覗き込んでいる。

「だ、大丈夫!!ちょっと考え事してて…」
「本当に?戦場なんて、慣れる場所ではないし、疲れてしまうのも最もよね。
 少しゆっくりしなさい?朝まで動く事はないようだから」
「そう…だね。少しその辺ふらついて気分転換でもしてくるよ」

言うや否や、その場を駆け出す。
慌てる朔の声は最早後方だ。

「ちょっと望美!?危ないわよ、女の子が夜に戦場を歩くなんて!!のぞみーー!」

駆け出した望美の足が向くのは、あの、騒ぎの元凶。
胸の奥がざわざわする。
何故か行かなくてはいけない気がするのだ。



少し離れたある丘に、白い源氏の軍旗と高い塀に囲まれた異様な場所があることを、望美はこの陣に到着した当初全く気付かなかった。
小競り合いが各所で始まった頃、気付いたらできていたのだ。
けれど自分には何の関わりもないようだったし…何より八葉は皆この場所の意味を知っているのに隠そうとしているようだったので、気に止めないようにしていた。

後から思えば、隠そうとした理由は、とても簡単だった。
九郎がこの場所、というか、この存在を忌み嫌っていたようだったのも、納得がいく。

この場所は…捕虜を捕え、責め上げる拷問のような場所だったのだ…。




742682:2006/03/15(水) 23:25:22 ID:fbSC0pZK


朔と別れどのくらい走っただろう。
望美の背を軽々とこえる高い塀に囲まれた、そう広くない陣。
野太い人々のざわめきが漏れ出している。
出入り口を求め、塀づたいに足を進め、見慣れた顔にあたった。

「ど、どうしてここにいるのー!?」
「景時さん!何してるんですか?」

景時にばかり気をとられてしまったが、彼の後ろにはやけに警戒態勢を強いられた兵が配置されている。
突然の来訪者に戸惑いを隠せないでいる景時に、この中に隠しておきたい何かがある、ということを感じる。

「九郎さんが探してましたよ。どうしたんですかって聞いたら、お前には関係ない、分からない事だって言われちゃったんで、戦とか軍の事なんじゃないですか?」
言葉巧みに、嘘を並べる。
「治療にあたってた弁慶さんも呼ばれてたみたいだし…何かあったんでしょうか?」
「ほんと?だったら連絡が来る筈なんだけどな〜…」

あと一押し。

「朔が、兄上は空気が読めない方だからって怒ってるかもですよ」

「ちょっと行って来るね!後を頼んだぞ」
743名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 06:01:57 ID:wavZep97
ちょ、続きがむちゃくちゃ気になるんですが
744名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 07:39:10 ID:k7DENkQZ
あああのウイルス蔓延中ってやつか
早いパソコンの復帰を祈ってます
745名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 20:54:13 ID:E8C2s0nF
思い出しながら書くの大変でしょうが、ぜひ続きを見たい。
あいにくの雨模様ですが、裸になって待ってます(`・ω・´)ノシ

できれば「今日はここまで投下」とか書いてもらえれば嬉しいかも。
746名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 21:54:09 ID:HjM6cVmD
銀(重衡)×望美オンリーになって嬉しいや。
続きお待ちしてよるよ(・∀・)
747682:2006/03/16(木) 22:55:21 ID:Ko0vxLFp
m
748682:2006/03/16(木) 22:58:23 ID:Ko0vxLFp
また同じ症状がでました。
バックアップにうつってたようで、軌道が遅く…
すみません、明日以降に店に行ってきます
749名無しさん@ピンキー:2006/03/17(金) 20:46:23 ID:sdcgqp/S
がんがれー
750名無しさん@ピンキー:2006/03/18(土) 14:18:52 ID:Yw/rW78w
前から気になってたんだが
裸で待つってなに?
751名無しさん@ピンキー:2006/03/18(土) 17:08:23 ID:SGLLHCWV
数ある2chの決まり文句
752名無しさん@ピンキー:2006/03/22(水) 23:45:38 ID:bi+qbZ2+
みんなラビリンスに迷い込んでるのか
私は明日からだ…
ネオ案と合わせて新作期待待ち
753名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 03:34:57 ID:a5vnRXCN
ここ読んでなんか書きたくなってきたんだが、
どうせなら全部まとめて投下したほうがいいよな?
754名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 04:14:13 ID:EF+LdHkf
できるならまとめたほうがいい
あとはログ読んで判断
まずはsageを覚えてから
755名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 21:33:33 ID:hyRqEm6Z
漫画からそうだったけど、望美胸おっきいよ望美。
……漫画よりおっきくなってるよw
756名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 22:35:17 ID:6uSQGNQg
ついに張るかも流行に乗ったか>神子巨乳化
757名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 00:26:49 ID:X2msN0Hu
だめだ、おまいらのせいでもう、
将臣ルート最終決戦前のスチルは神子の巨乳を堪能しているようにしか見えねぇ_| ̄|○
758名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 00:50:13 ID:Sf62eNL9
無印と十六夜もスチル見直してみたお
無印将臣EDとか、十六夜景時EDとかどうみても巨乳です>神子
通常着物に陣羽織だから気が付きにくかったのか…。
迷宮のスチル見てると、朔よりもあるw
759名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 00:52:14 ID:aRbCuygD
新作関連で投下してくださる神は、しばらくの間(本スレ)
名前欄なり注意書きなりでネタバレ宣言してくださると嬉しい
個人的にはネタバレは全然OKなんだが、嫌な人もいるだろうから

もちろん旧作関連もwktkでお待ちしてます
  ∧_∧  +
 (0゜・∀・)
 (0゜∪ ∪ +
 と__)__) +
760名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 00:54:48 ID:aRbCuygD
しまった途中送信
「期間は本スレに倣う形でいいんだろうか」
という主旨の事を書くつもりだった
761名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 00:55:00 ID:pX3NhrxZ
巨乳好きにはたまらんので
投下 щ(゚ロ゚щ)カモーン
762名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 00:56:21 ID:pX3NhrxZ
すまんリロってなかった _| ̄|○


巨乳にまみれて、逝ってくる
763名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 05:23:16 ID:LXD0gsPU
神子が巨乳って、マジにそうだよ…。
漏れ神子のコスやってるけど、あの服は陣羽織だけでも体のライン出にくいのに、
下が着物だから全然胸あるように見えない。
Eカップでも目立たないって…。
ゴメン、スレ違い?
764名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 06:57:54 ID:8GOn0+lr
遙か3関連は乳フェチモノキボンヌ
765名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 08:23:40 ID:0oYJIHYb
白龍、兄貴はきょにう好きっぽいと思ってるのは私だけだろうか
766名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 16:41:14 ID:X2msN0Hu
確かにあの二人はおっぱい星人ぽ。兄貴は語らせたら長そうだ、形とか。
逆にスレンダー好きそうなのがヒノエとか景時。
多少筋肉質なのがいいのが知盛。
767名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 17:56:05 ID:Fc8l4uvF
兄貴は洋物AVが好きだ。きっと。
768名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 18:20:55 ID:8GOn0+lr
>766
チモは現実の現代人で云ったら藤/原/紀/香みたいな体型好み?
あの人はグラマーというよりがっちり体型だ。
神子の体型も二次創作の書(描)き手や、この八葉にはこういうタイプが似合いそう
等の想像によって書(描)きわけてもイイかもね。
769名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 23:18:47 ID:xgifr3Hv
兄貴は爽やかにエロそうだからなw
男のロマンを九郎に語ったとおも
770名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 01:18:30 ID:HBrJRsZ2
…何でか知らんけど、朱雀コンビや銀髪兄弟より
個人的にはエロく見えてしょうがない…>兄貴
上記4人よりエロなセリフがあるワケでもないし、
そんな展開も無いのに。

毎回抱き寄せスチルがあるせいだろうか?
てか、歳時記と良いスキンシップ好きか?
771名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 02:22:37 ID:ko4Amk++
スキンシップという名の前振りばっかりで先へ進めないへたれ、だったりしたら萌ゆる<兄貴


けどきっと現代帰ってきたら八葉AV鑑賞会を主催するだろう兄貴……
772名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 02:29:05 ID:1992WsUe
鑑賞会にて、敦盛は興奮しすぎて水虎化し暴れだすわけだなw
773名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 02:32:49 ID:i/eJ1u+S
あー、するだろうね…
赤面して焦ってる九郎さんが目に浮かぶよ'`,、('∀`) '`,、
774名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 03:02:53 ID:/uVA73Tb
一人トイレに駆け込む譲16歳
そして、息子が反応しないことにひとり愕然とする師匠35歳
775名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 11:45:36 ID:ko4Amk++
いや、35にもなればAVくらいには大して反応しなくても普通なんだから気にしなくても……つーか参加してんのかよ師匠!


もういっそのこと将臣や九郎あたりが神子とやってるのを皆で出歯亀でもするだろうよこのエロ八葉達は……
776名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 11:50:18 ID:ko4Amk++
うはwwwこんなところで同IDwwwwwww








_| ̄|○
777名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 15:11:22 ID:hSgutMyy
生`。なんか最近他板でも同ID多いみたい。
778名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 16:02:51 ID:sr1TIg/X
先生のは神子専用だから反応しなくていいんだよwww
779名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 19:05:32 ID:Qr1Y8JhA
そうそうw
たとえAV見ても、神子と比較して無反応ってのが良い。
780名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 19:06:12 ID:hAUZNCVJ
朱雀二人は平然と見てそうだなw
781名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 00:05:07 ID:yqllyx7p
九郎は「息子が元気になる前に鼻血の海に沈む」に10000兄上
782名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 00:14:40 ID:cHX0ougC
でも意外とヒノエはドキがムネムネしてるかもしれん
だって17歳だもん
783名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 01:26:50 ID:BfFfVvNE
トシは若くてもヒノエチェリーはありえんだろう。
784名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 01:57:52 ID:H5OpacmR
>>783
チェリーじゃなくて、ドキムネはするだろ、若いんだから
785名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 11:38:23 ID:SBFJLLkO
>>781
九郎は出血多量で死亡しますた
786名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 11:43:39 ID:z6qqJ9N4
某サイトで八葉でAV鑑賞というのがあったんだが、敦盛が「私たちはこうして産まれたんだな」
といって、感動して泣いていたのには禿ワロタw
787名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 11:44:23 ID:z6qqJ9N4
スマソ、上げちまった
788名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 15:05:06 ID:KnnjQsTj
>>786
あっつんと、あと先生は天然ぽいしその路線でいいかもしれんな
全然出てないが景時とかはどうだろ
789名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 16:50:13 ID:egNJRg1t
>>786
たとえすでに閉鎖しているサイトでも、
特定サイトのネタをここで出すな。
790名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 17:33:34 ID:Jchnir+B
3では何かと乳に注目されてる神子ですが、
4では美尻の神子なんてどーでしょう。スカート丈も今より短くして
FF12のア−シェみたいに。
791名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 18:11:46 ID:TT+0Gg2K
赤い布切れは勘弁してくださいorz
792名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 23:54:22 ID:NuvUlL3+
もう次は美乳でいいじゃん
793名無しさん@ピンキー:2006/03/27(月) 09:35:17 ID:0S6JYO4S
乳の大きさ
望美(F)>あかね(B)>花梨(A)
でFA?
794名無しさん@ピンキー:2006/03/27(月) 12:28:51 ID:+qa2qHqt
今まで出た水野絵総合するとそんな感じだね
795名無しさん@ピンキー:2006/03/27(月) 13:24:15 ID:mYwLrm/J
花梨も水着あかねくらいの胸の絵が数枚あるんだよな…
>ララデラ掲載のラフ
かと思えば薄着で全く無いのもあるし
まぁアレだ、みんなの脳内設定で好きにしるって感じ、
あからさまに大きい望美以外はw
796名無しさん@ピンキー:2006/03/27(月) 14:05:57 ID:+qa2qHqt
正にその薄着で全く胸無い花梨の絵しか見たことない自分
なので、あのそろそろ初ブラをママンが用意しようとしてる
小学5年生みたいな胸のラインで花梨のイメージが固まってしまったwわはは
797名無しさん@ピンキー:2006/03/27(月) 18:21:18 ID:gw+YgG+w
誰か望美の名前をティファに変えてプレイした方います?
798名無しさん@ピンキー:2006/03/27(月) 20:48:32 ID://6bjtO8
つかネオ案もだけどラビリンス攻略スレの勢いのなさに驚いてる
職人さんはいっぱいきてほすい…
799名無しさん@ピンキー:2006/03/27(月) 21:22:48 ID:gw+YgG+w
頼久「神子のマンコー!」
天真「あかねのマンコー!」
頼久&天真「ハメハメ志望でーす!!」

将臣「望美のパイオツー!」
九郎「望美のパイオツー!」
将臣&九郎「舐め舐め志望でーす!!」
800名無しさん@ピンキー:2006/03/27(月) 22:38:54 ID:wZnEV0qr
迷宮は攻略簡単だからなぁ…盛り上がらなくても無理ないかも。

譲√の意味ありげな展開がえろくて萌えたので
荼吉尼天×譲キボンヌ(*´д`*)
801名無しさん@ピンキー:2006/03/27(月) 23:31:56 ID:XTfPhzj0
尻の話題が出て気づいたが、迷宮リズエンドの神子、
ウエストめちゃ細いのに、お尻のおっきな女の子だな……。
802名無しさん@ピンキー:2006/03/27(月) 23:41:15 ID:IVl4iHTo
>>801
ギンチモスチルとか、九郎の馬鹿スチルとか
譲EDスチルとかリズリススチルとかも見てみるんだ。
望美はボンキュボンなんだよ。
剣スチルなんか、着物に陣羽織なのに、
腰がきゅーってなってる。

……おかしいな…初期ラフとか、無印の時に
雑誌に掲載された制服姿はスレンダーで
胸無い子だったのにw
いや、どっちも好きだけどね〜
803名無しさん@ピンキー:2006/03/28(火) 00:11:52 ID:xYJmCZyk
最後の言い方が景時ぽくてワロス萌えw


迷宮からの脱出に久々八葉抄プレイでなんか1萌えキタ
今更1で複数ものとかでもおk?
あれなら人物名ぼかして該当シチュスレに投下するんだが
804名無しさん@ピンキー:2006/03/28(火) 00:16:31 ID:I9INkTsH
>>803
個人的にはオケ。
旧作もスレ住人としてはクレクレ状態w
複数は注意文つければだいじょぶだとオモ。
805803:2006/03/28(火) 00:16:41 ID:xYJmCZyk
誘い受けなレス失礼
スルーで。
806名無しさん@ピンキー:2006/03/28(火) 06:57:31 ID:BfCFTr5X
>802
3漫画の私服でも標準サイズの胸にしか見えないのだが…
向こうの世界に飛ばされて胸が大きくなったのか。
807名無しさん@ピンキー:2006/03/28(火) 08:03:32 ID:xqFSmT4L
八葉に揉まれておおき(ry
808名無しさん@ピンキー:2006/03/28(火) 20:01:07 ID:3oG+7BQo
>>803
ここでいいがな〜
809名無しさん@ピンキー:2006/03/28(火) 22:58:47 ID:DsL66e2o
>>807
九郎なんかは無駄にがんばって揉んでくれそうだな

「私、胸が小さいのが悩みなんです」
「なに! それなら俺が……べ、べつに下心があるわけじゃないぞ。
ただ、その、兄弟子としてだな…ゴニョゴニョ」

って感じでw
810名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 00:07:20 ID:0e6j7VD5
「こ、こんな具合でいいのか…?」
「はい……あ、いたっ!」
「す、すまない!力を入れすぎたか!?」
胸が痣になってないか確認しようとして着物の袷を開いてしまい、
そのまま雪崩れ込む展開に5000兄上。

いいね、この単位。
何か気に入ったよ。
811名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 02:09:20 ID:ikvwTd4x
私も気に入ったが、なんだか行為を兄上にのぞかれてるかのようだ
812名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 07:22:30 ID:Uj3VuEhx
大量の兄上が気になって望美と上手にいちゃこら出来ないと悩む(言い訳する)ちぇりーな九郎さんに朗報!!
兄上を柿にすることで万事解決
でも、自分の拙い技術を兄上で言い訳出来なくなるから望美に呆れられちゃうかも☆ミ

でも柿って語呂悪いな…
813名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 07:48:44 ID:0e6j7VD5
あにうえ……4文字か。
じゃあ新作ぽく「桃缶」はどうだろう?
5000桃缶……妙に和むなw
814名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 16:59:53 ID:NaGUqRSW
なんとなく苦労は貧乳派かと思ってた
将臣が巨乳派だと勝手に脳内設定してるのと同じように
815名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 18:59:21 ID:nfwK0OhZ
兄貴は好きそうだな巨乳
私は九郎は普通〜貧乳好きなイメージ
あっつんはあんまりムチムチ相手だと気後れしてそうな感じかな

何でもカマンは十六夜組
816迷宮リズ神子【ネタバレ】:2006/03/29(水) 19:18:38 ID:RFTw8JPS
迷宮クリアしたのでその勢いのまま書き殴りました。

迷宮ネタバレまくり、ちょっとダーク&ほぼエロなし
ポエムも入ってるかも。
ラストも救われてません。
嫌な方はスルーでヨロ。
817迷宮リズ神子【ネタバレ】:2006/03/29(水) 19:20:02 ID:RFTw8JPS
「神子…。」


柔かな唇に触れる。
何時もの彼女であったなら、例え手のひらでも赤らめるだろうに。
ピクリとも反応しない。


これが心を食われた、と言う事なのだろう。
…私はまた、救えなかったのか。
変えられぬ運命だと言うのか。


ぽつり、と彼女の頬に雫が落ちる。

透明なそれは次から次へとぽつりぽつりと落ちて、頬を流れていく。


彼女はこんなに温かかいのに。
前の運命みたく冷たい体ではないのに。
その時以上に冷えきってしまったようにも感じる。



「神子……。」

着物を脱がし、胸に手を当てると鼓動も感じられるのに。

それを揉んでも、口に含めても。
何の反応もせず、ただなすがまま。

まるで、生きる屍の如く。

「神、子……。」


『なあに、先生?』

くすくすっと後方から声がした。
声や姿は神子そのものだが、神子ではないものの声。

『先生さえお望みなら、抱いてもいいんだよ?先生だったら私──。』


「───黙れ。」


私は神子をそっと床に寝かせ、剣を抜いた。


『私に剣を向けるの?あなたの望み通り動かせられるのに?』
818迷宮リズ神子【ネタバレ】:2006/03/29(水) 19:24:22 ID:RFTw8JPS
「───黙れ。」


私は神子をそっと床に寝かせ、剣を抜いた。


『私に剣を向けるの?あなたの望み通り動かせられるのに?』


「要らぬ。」


私が望むのはただ、神子が「生きて」いる事──それだけだ。


「変えられぬ運命ならば、その先の未来で、神子を生かすのみ。」


それから、茶吉尼天との戦いで深手を負い。
私は神子を逆鱗の力で未来へ行かせた。


これでいい。
これで、神子は幸せになれる。
もう、あの運命を繰り返す事はない。


迷宮が崩れ落ちる中、彼女の優しい声が聞こえた気がした。

『先生。明日、どこかへ出かけませんか?』

『私、先生にいつも助けられてばかりで──だから、少しでもお役に立てたらいいなって。』

『先生……ごめんなさい。』


「望、美………。」


天井も崩れ落ち、視界が真っ暗になった。
819名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 19:28:38 ID:RFTw8JPS
これで終わりです。
一つにしたかったけど改行多くて無理ぼだったので二つに分けました。
お目汚しスマソ


あとは乳の話に戻って下さい↓
820名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 19:50:45 ID:c66T+Prx
歴代神子の体型は
あかね:バランス良い
花梨:細い(折れそうな手足)
望美:ないすばでぃ(ムチムチぷりん?)
でFA?
821名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 20:29:16 ID:iHlULPF+
>>816乙!
ちょうど先生クリアしたとこだったからウレスイ
ただ、茶吉尼じゃなくて荼吉尼ね。細かいとこつっついて木綿。

>>820
マジレスすると、明らかに大きく描かれてる望美以外はお好みで、でFA。
ないない言われてる花梨も、着痩せするタイプってことで変換可能。
822名無しさん@ピンキー:2006/03/30(木) 00:11:51 ID:6fNPbJGi
銀神子の続きが気になる…
823名無しさん@ピンキー:2006/03/30(木) 02:09:02 ID:TuPAK3m6
>>822
裸で正座して足が壊死しそうな位待て。

自分は今日の吹雪で壊死どころか凍死しそうだ
824名無しさん@ピンキー:2006/03/30(木) 23:23:36 ID:DIcEU0Mi
神子、とりあえず靴下は履きなさい
825名無しさん@ピンキー:2006/03/30(木) 23:44:49 ID:bZxSt0+f
師匠キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
826名無しさん@ピンキー:2006/03/30(木) 23:49:40 ID:4NRsBOvO
全裸に靴下・・・師匠は黒川並のマニアだ!!
827名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 00:25:02 ID:v3cvMoXb
いや色が黒ならセーフだろう
紺ならオタク
白ならマニア
白三つ折りならソックスハンターだな
828名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 01:26:20 ID:llPMpSaP
つ クルクル巻いたドーナツ靴下
829名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 02:19:31 ID:2Bi+hu45
ニーソックスとか出されたりして
830名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 03:40:47 ID:xQeVY5JW
ニーソは絶対領域用なので、全裸にニーソは却下です
831名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 05:16:18 ID:6lIy3pAC
発売翌日からやっててようやくまさおオワタ
脳内ホッペ祭り開催中
832名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 14:00:40 ID:twThqdeB
ソックスハンター達の会話でオモタ。
1〜3の全ての神子sに色々コスプレさせてみたい…
>制服系とか
取りあえず、望美はアンミラで

ちょい話外れるけど、迷宮特典のスチル、無印から全て見て気付いた。
譲と銀は、不幸であればある程萌える自分に。
この板としてのネタとしては、別の誰かと神子との
エチを見てしまってショック受けるとか苦悩するとか。
どうしてだ、2人とも大好きなのに……
833名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 16:24:45 ID:1v/UXq7P
>>832
それ分かる!
漏れも2人には不幸でいてもらいたい
デスクトップは銀の呪詛った顔w
834名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 20:17:40 ID:5+R77ZAM
私もよくわかる
でも私はその二人につけくわえ、ヒノエにも不幸せになってもらいたい
厳密に言うと、ヒノエにぎゃふんと言ってもらいたい
多分無印のヒノエルートがあまりにも順風満帆すぎたからだろう…
835名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 21:46:07 ID:5/0sVYd+
みんな鬼だなw
と言いつつ私は先生に苦悩してて欲しい
不幸になって欲しいわけではないんだが
836名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 23:45:33 ID:IY3SvHDj
先生は、神子がよその男とくっつこうが自分が死のうがなんだろうが、
神子が生きていてさえくれれば幸せなんだよな……。・゚・(ノД`)・゚・。

自分としては、若き恋敵三人が牽制しあってるところを、ひょいと別の誰かが神子をかっさらって
三人まとめてorz というのを見てみたい…
837名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 02:53:53 ID:vGh/iY8c
その場合、誰が掻っ攫っていくんだろう…w
838名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 04:04:49 ID:PdRP6Xgd
弁慶とかだと意外性がないというか三人も警戒してそうだし、
意外なところ、まさかこいつが!みたいな相手だと面白いかな。
朔とか。
839名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 08:16:05 ID:XodzWqCq
話的には青龍きそう
840名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 08:29:31 ID:7+ewTW1f
望美の名前を「綱手」とか「織姫」とか「乱菊」に変えてプレイしても面白そうですね!
841名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 08:54:52 ID:scc63ICX
>>837
つ 麿
842名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 09:50:46 ID:TGgjLdYR
麿かよwww
843名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 10:08:52 ID:scc63ICX
じゃあ堪快
844名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 10:21:44 ID:yFaqTKnC
なんとなく迷宮で想像してたからふいた<麿
845名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 11:06:41 ID:scc63ICX
小娘、麿はそなたを…いや、なんでもないでおじゃる。なんでもないったらないでおじゃる!
いつまでそんな所にいるつもりでおじゃるか?仕事の邪魔でおじゃる、退くでおじゃる!
え、行っちゃうのでおじゃるか…?ま、待つでおじゃる!べ、別に一緒にいたいとかじゃないでおじゃる!勘違いするでない!!
846名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 15:08:27 ID:noIsAglL
ワロス
なにげに遙かシリーズで最初のツンデレキャラだったのかw<麿
花鳥で麿トラックがあったのには当時びっくりしたな

……正直麿よりも帝をフューチャーして欲しかった
帝と神子とかナシですか。永泉の話を聞くうちにとかナシですか。
永泉の片思いも含めてとかナry
847名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 19:10:39 ID:RyoQTEkb
>>846
禿萌えた!!
帝神子←永泉いいね!!
848名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 20:22:42 ID:0aiNU9Ip
入内かー
849名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 22:28:32 ID:Fi72FkTP
帝神子←友雅ってのは、二次で結構見かけたなぁ…
850名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 00:10:31 ID:Dm6JOdCg
1プレイ中ずっと、なぜか
「帝=悪ラム」だと思いこんでいた漏れが通りますよ、と。
851名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 00:27:08 ID:o1gMt99a
遙かしかやってないが欲望をすべて吐いてみる
遙か1は宮司さんと麿と帝と漫画の狐さんと虹の精
遙か3はヒノエパパンとミタチと金とヤスと重衡とコレモリーヌと経正

をブチおとしたい
2は紫たんの兄貴を殴りたい
3は頼朝刺したい
852名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 00:35:50 ID:o1gMt99a
しまった
流れ勘違いしてたorz
↑はスルーお願いしますスマソ
853名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 00:53:48 ID:qb5Du1Sl
>851=852
気にするなよ。流れなんて変わるものさ ミ(´ー`)ミ

そして全文同意
加えてコルダの火原兄を。夢はおっきく、兄弟どんぶ

どんぶらこ
854名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 01:40:41 ID:0EgIxupg
>>853
じゃあ私はその顔文字の人とその弟で、兄弟どんぶ

どんぶらこ
855名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 02:01:03 ID:k4SXL1vt
>>854
その兄弟でなおかつ弟優勢なのをキボン
856右馬寮守:2006/04/02(日) 11:07:44 ID:c3l+WJQy
入内とな?
あの小娘のことを想うと、麿のマラはこんなにもうずくというのに…
主上に先んじて小娘を麿のモノにするにはどうしたらよいものでおじゃろうか。
皆の者、麿に妙案を授けて賜れ。
857名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 13:01:49 ID:CRKaO0oS
まろのまら…
だじゃれみたい
858名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 14:12:39 ID:p/2IKIfD
誰もつっこまないので言ってみる。
>851 金かよ!w
859名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 19:49:07 ID:H0ZIakFh
>>858
Σ(゚Д゚;≡;゚д゚) この時代バターはないから蜂蜜で??
860名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 20:41:19 ID:zmjMj66k
蘇じゃないかな〜
861名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 21:02:34 ID:c3l+WJQy
>>860
神子のマムコがチーズ臭いってことか!
862名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 22:58:05 ID:o+aVf0EG
チーズよかやっぱ蜂蜜がいいよ・・・
863名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 22:59:22 ID:o+aVf0EG
あげちまってスマソ・・・妄想の世界に逝ってくるorz
864名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 23:04:53 ID:vizf+eO8
蘇はチーズみたいに発酵(?)してないからチーズ臭はしなかったはず
ミルク臭がしたはず
あくまで、はずなので詳しい姐さん後はよろしく
865名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 01:32:01 ID:RQIuZ+6h
聞きかじりで良ければ。
蘇は当時の作り方が残ってないはずだよ。
現在復刻されてるのは3の天地白虎が話してた通り、牛乳だけをひたすら煮詰めたヤツ。
味は牛乳の甘さが凝縮されてて甘いけど、匂いは火が通ってるんで香ばしいらしい。
そうか……神子は香ばしいのか(w

実際売ってる店もあったはずだけど、なかなか手に入らないらしい。
一度くらい食べてみたいんだけどね。
866名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 01:46:20 ID:RQIuZ+6h
追加。
蘇の作り方は諸説あるので、そこんとこヨロ。
特殊製法のチーズって説もあるんで、チーズ臭でもどっちでも好きな方で(w
867名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 02:18:54 ID:NIaDHKkt
蘇なら奈良?の店で売ってるよ。ぐぐれば店のHPも引っ掛かる
自分は煮詰める方法で作ったけど、何も入れなくても甘味は確かに感じた
ちなみに蘇は時間が経つと冷蔵庫に入れなくても固まるらしいので
時間を置いちゃうとバター代わりにはならないかとww
868名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 13:31:51 ID:wVRHCO46
そもそも誰が作るんだ
譲かw
869名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 17:21:22 ID:umrM9leN
もういいよ。裸体神子に練乳でもまぶしてハアハアすればいいさ。
そして中にもティムポにも塗りたくって潤滑剤の代わりにしてしまえ。
最後に全部舐めとるのはお約束。

・・・職人さん、このネタで作ってくれないかな・・・
870名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 19:30:23 ID:E6inGA2C
ところで、迷宮のエロネタって八葉限定なの?
銀髪兄弟&望美in教会ネタがものすごく読みたいんだが…やっぱイレギュラーなんだろうか。
871名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 19:32:31 ID:lgbc/CsG
迷宮も出たことだし、現代ならではのチョコレートプレイなんてどうかな
先生、敦盛とかはもったいないとか言って拒否しそう…
逆に弁慶、ヒノエ、ちも、シロガネーゼは喜んでやるだろうな
あと甘いものが好きな白龍(小)
872名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 20:47:16 ID:X92DS1nF
「譲くん、○○さん(くん等)とのプレイに使いたいから、チョコとか練乳とか用意できないかな?」
ひどいな、神子…。
873名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 20:49:07 ID:umrM9leN
>>870
イレギュラーなんかじゃないよ。
むしろ漏れなんかさらにイレギュラーにもヤスを脳内の教会に登場させている。
無論、花はバラじゃなく野の花だ。
十六夜最萌えにとっちゃ迷宮での妄想はキツイな・・・。
でも職人さんには書いて欲しい。
874名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 21:17:26 ID:mmo2TAd6
美形は資産だから、迷宮になんとかこじつけでも、出してくれるもんだとばかり思ってた
ヤス…
十六夜に野の花EDとかあっても良かったんじゃないか
隠しで銀ルートから行けるとかさ
銀BADは後味悪いからBADからの分岐じゃなく、銀にも祝福されるようなEDで…
夢のまた夢だがな
875名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 22:31:25 ID:E6inGA2C
870だが、sage忘れスマソ。


あと、思いつきだが、
迷宮でヤスネタは、ノーマルルートの望美一人で乗り込みシチュでどうにか出来るかもしれん。
鐘楼で迷ったw望美が地下まで行っちゃって、
そこで偶然平泉と時空が繋がってヤスと御対面…みたいなものなら、かなり無理あるが一応可能ではないかと。

ただ、その場合、どうあってもダキニ乗っ取られかけ神子になるが。
876名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 23:01:11 ID:nQFdP10d
ヤスがその状態の神子を助ける。そして…みたいなww
877名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 23:03:22 ID:NIaDHKkt
迷宮でヤスネタとかwwいくらなんでも厨すぎてワロタwwwwww
878名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 23:39:31 ID:SsacmC5t
迷宮でヤス…

もんすたあ さぷらいずど ゆう
と書いてあったりするのかwww
879名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 23:58:46 ID:Mc4+CGe9
あの地下花園でヤス出現待ってた私が通りますよ
880名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 00:25:03 ID:AGzfI6sB
地下花園、意味ありげな場所だったのに特にイベントなくてガカーリしたよね
ヤスのスチルが追加されたと喜んで見てみたらよりによってあのシーンだし…orz
881名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 00:42:34 ID:4co+YvAC
確かに地下花園は絶対なんかあると思っていたのに
何にもなかったw

花園の意味ねーww
882名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 00:56:26 ID:bt+h4DXt
>>878
えっヤスって犯人だったのか…w
883名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 01:05:02 ID:UkczWIgo
このスレのおかげでヤス神子が最萌えになった漏れ
迷宮にも絶対出てくると思ったのに・・・orz
ヤスでもチモ銀並みの語りが訊きたかった。キャラがもったいねー

ところで職人さん、来ないな・・・なんか書いてみようかな・・・
884名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 01:43:09 ID:k06d+HHv
ヤス祭り中、スマン

蜂蜜ネタを金で書いてみた。
嫌な人は「蜜三つ」をNGワードに
885蜜三つ:2006/04/04(火) 01:45:09 ID:k06d+HHv
 強まった呪詛のせいでほとんど一日中横になっていた望美だったが、日も暮れ
かける頃になると、なんとかひとりで立ち上がれるまで回復した。
「よかった。明日は何とかなりそう」
 今日一日は無為に過ごしてしまったが、とりあえず見えた復調に望美は安堵していた。
 だが、広い平泉の町を呪詛を探して歩き回るには、体力が必要になる。
 そうわかっているから何か食べなくてはと思うのに、朝から何も口に入れていないにも
かかわらず、一向に食欲らしい食欲は湧いてこない。
 台所に行き、朔に頼めば粥などの食べやすい物を作ってもらえるだろうが、手間を
かけさせてもほとんど食べられないのでは、申し訳なさすぎる。
 けれど、このままでいれば明日の捜索は、思うよりはかどらないのは手に取るよう
に明らかだ。
「あ、そういえば」
 と、望美の脳裏にひらめいたのは昼間、見舞いに来てくれた銀が置いていってく
れた小さな瓶。
 枕もとに膝をつき、置かれていたそれを手に取ると、陶器のざらりとした手触りと
一緒に、意外にずっしりとした重みが伝わってきた。
 それだけ、中身がつまっている証拠だろう。
 栓をされていた蓋を軽くひねってあけると、狭い口からでも香りは存分に楽しむ事が
出来る。
「本当に、蜂蜜だ」
 久しくめぐり合う事のなかった、嗅ぐだけで幸福になる甘さに、望美の口元は綻ん
でいた。
 心なしか、先ほどまでなかった食欲もほんのわずかに湧いてきたように思える。
 瓶の横に用意されていた木さじにそっと傾けると、なめらかな琥珀色が細い糸に
なって落ちていく。
 彫りの浅いさじに満たされた、ほんの一すくいを口に含んだだけで、濃厚な味は
口内一杯に広がった。
「ん、甘い」
 体温に溶けてますます増した甘みは舌に絡むように残り、しばし眼を閉じて味わ
うことも出来るほどだ。
 そうして、大事に大事に三度、口に運んだ望美が、四度目をどうしようかと半分
ほどになった残りと相談していた時、どこからもぐりこんだのか、金が足元に走り
よってきた。
 今まで雪の中を駆けていたのか、頭の上と鼻筋は薄っすらと白い。
「金、どうしたの?」
「くぅーん」
 大きな図体をしているくせに頼りない鳴声をあげては、すりすりと湿った鼻を望美
の膝にすり寄せた。
 どうやら、心配してくれていたらしい。
「ありがとう」
 雪国の厳しい環境に鍛えられぶ厚く身体を覆っている毛皮に指を埋め、撫でて
あげると、嬉しそうにふかふかの尻尾が根元から揺れた。
 くるりと巻いたままの形で振るものだから、お尻も一緒に振ってしまっている。
「ふふ、可愛い」
886蜜三つ:2006/04/04(火) 01:47:00 ID:k06d+HHv
 最初はその大きさに望美も戸惑っていたが、金は仕草も表情もまるで仔犬だ。
 そのあたりを飼い主である泰衡は、好んでいないようだが。
 しかし、それが今回ばかりは災いした。
 どれほど金が無邪気で可愛らしくとも、その体長は望美とほぼ同格。
 むしろ、横幅などは毛のせいもあるだろうが金の方が勝っていたのだ。
「と、金。あんまり押さないで。こ、こけちゃ……あっ」
 喜びすぎてぐいぐいと身体を押し付けてきた金に、力の戻っていない望美はあっと
いう間にころりと床にひっくり返されてしまった。
 幸い、ひかれたままの褥の上であったから痛みはなかったけれど、それよりも問題
が発生していた。
「あ〜ぁ。こぼれちゃった」
 手に持っていた瓶を落としてしまったのだ。
 それも、自分の身体の上に。
 腰の辺りに広がったとろりとした感触は、薄い生地越しに水で濡れるよりもはるか
に重たく感じられた。
「もう、金ったら」
 急に目標を失った金はおろおろと耳を伏せ、申し訳なさそうに望美の周りをうろつ
いていたが、甘い香りの源に興味が移ったらしく、しきりに鼻をこぼれた蜂蜜に向け
ている。
 しかし、望美はそれには全く注意を向けていなかった。
「せっかく朔にもわけよ……っ!」
 着替えようと身体を起こしかけた時、急に敏感な部分に感じた感触に驚きのあま
り息を呑み、そうなって初めて危機感を覚えた。
「ちょ、金。ダメ」
 じわじわと布に染みこんでいく蜂蜜を、平たく薄い舌が舐めて取っているのだ。
 それも、その味がよほど気に入ったらしく、念入りに。
「あ、ダメってば」
 無作為に思いついたままに動く金に悪気など欠片もなく、ただ、美味しい蜂蜜を
味わっているだけだろうに、それは望美のとってはあってはならない状態でしかない。
 布越しとは言え、よりにもよってあんなところを犬に舐められているのだから。
 しかし、逃げようと腰をずらせば、それはますます蜂蜜を零す結果となり、乱れた
裾から内肌にまで伝い落ちた。
「あ!」
 感じたことのない感触に、瞬間身体を強張らせたのがいけなかった。
「だ、だめ!」
 蜂蜜のあとを、金は素直に追ってきていたのだ。
 信じられなかった。
「っ、ん」
 こうして金に舐められていることも、それに紛れもなく感じてしまっていることも。
 そして何より、もう止める気持ちがそれほどないことも。
 異常な事態が興奮を誘い、いけないことと思えば思うほど背徳感が、快楽を押し
上げる。
「……んん!」
 ビクリと身体を震えさせた痺れと、思わず漏れた声はあたりを満たす甘い香りよりも
ずっと甘かった。
 望美の急な動きに怒られたと思ったらしく、金は機嫌をとるように、脱力している
望美の横にお座りをして尻尾を振っていた。
「もっと早く、そうしてよ」
 恥ずかしさと自己嫌悪に起き上がれないでいる望美が、そう文句を告げた時。
「!」
 不意に目の前に人影が現れたのだった。
887名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 01:48:27 ID:k06d+HHv
金が書きたかっただけ
今は反省している
888名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 03:55:03 ID:J4XuTm27
金モエス。激しくモエス。なでなでしたい。
889名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 07:43:56 ID:jhQTyHUb
わほ
890名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 11:10:44 ID:5miEOr5X
金って何犬?神子よりでかいってその大きさだと飽田か?
ゲムの色だと芝だと思ってたんだが
芝はそんなにでかくない。(うちにもいる)
891名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 12:00:04 ID:LEj9Smtp
金のおかげで遙かの新境地が開けた感じだなww
892名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 16:30:12 ID:AvA0MVzf
金テラカワユスwwテラモエス
思わず、続きまーだーチンチン(AA略)と言いたくなる良作でした。GJ!

>>883
YOU、書いちゃいなyo!
893名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 18:30:05 ID:T7cpD0cA
>858の時点では 獣姦プレイ を想像していた私が通りますよ
なるほど、金ネタってこっち方面だったのね。金カワイス
894名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 20:45:12 ID:whN/dbOR
ちょww金ワロスwGJ!!
895名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 23:23:37 ID:XInll/tF
>>887
読ませてもらった身で言うのは図々しいと思うんだが言わせてくれ
 不意に人影が〜
こんな気になるところで切るな、頼むから…
反省なんか一生しなくてかまわない
だから続きを…
続きを読ませてくれ
白の三つ折りソックス一丁でずっと…ずっと待ってるから…
896名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 23:25:31 ID:GfN+dXNN
厚かましいのか謙虚なのかwwwww
897名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 23:27:05 ID:hYw8LIup
>>890
土地的にも、アイコンのグラフィックの目の大きさ見ても
多分飽田のような気がす>金
色は芝っぽいけどさ…
898名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 01:55:48 ID:9wyTW1Xf
>>895
人影の正体

無難に九郎
飼い主の泰衡
金属つながりで銀
みんなのお父さんな御館

お好きなのをどうぞ
899名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 02:08:09 ID:sNJ4iUpz
泰衡ならそのまま調教プレイに雪崩れこみそうな悪寒
きっと真っ赤になってあたふたするであろう九郎も捨てがたいが。
900名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 02:35:37 ID:PlI+loP1
ヤスだと先々まで皮肉られそうな気がする。
しかし、九郎ではあたふたしすぎて他の仲間たちにまでバレそうだ。
かといって、御館だったりしたらあまりにも居たたまれない…
銀が一番無難そうな予感。
901名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 03:33:30 ID:Bhgcm1be
人影が一人とは限らん。

よって
ヤス、九郎、御館、銀
全員バッチコーイ!
902名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 03:34:22 ID:Jepr5ZRM
工エエェェ(´д`)ェェエエ工





(;゚∀゚)=3
903名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 07:57:51 ID:NrdzBxlG
ヤスをはじめとして地方出身者達が方言つかって神子といちゃつくエロパロがみたい
もしくは京出身者達の京言葉でのいちゃついたエロパロ
904名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 21:01:50 ID:DDL7bKHc
>>895
禿同!自分も、紺の三折りソックス一丁で付き合うぞ
905名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 21:02:04 ID:xu8itBy/
楽しそうだけど、ネイティブの職人さんじゃないとむずかしそうだな
906名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 21:02:49 ID:xu8itBy/
おおっと。
>905は>903へのレスね
907名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 21:41:15 ID:9uYvH4LV
うどんの民の私が挑戦してみるとこうなった
弁慶
「あんたはいかんひとやね…」
九郎
「鎌倉殿を呼び捨てせんといて!」
ヒノエ
「オレら運命の赤い糸で結ばれとんちゃう?」
「カモメにならんか?」
知盛
「獣にまっついな女やな」
私のじゃ致命的なほどに萌えない
でも関西女性の一人称「うち」を神子達がつかってるのを想像したら禿萌えられる
908名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 22:30:01 ID:XHfUXVnH
ヤス祭り中に乱入したので、ヤスで書いた
エロなしだから
ソックスは脱いでくれw
909名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 22:32:18 ID:XHfUXVnH
「や、泰衡さん」
 一瞬、影に見えたのはその黒い衣装のせいだったらしく、泰衡が例に漏れず眉
間に深々と皺を刻んだまま望美を見下ろしていた。
 その足元に喜ぶ金がまとわりついているが、全くの無視だ。
 無邪気に振られる尻尾は、朗らかさとは対極にある泰明の表情とはまったく噛み
あっていないのが、笑えるような笑えないような。 
「神子殿に、そのような趣味があったとは驚きましたな」
 しかし、珍妙さに気を引かれていた望美は、ニヤリとどこからか聞こえてきそうな
泰衡の冷笑に、室温が下がったかのような錯覚を受けるほど衝撃を受けた。
 あるいは、その笑みには呪詛かなにかがかかっていたのか。
「しゅ、趣味って……違います!」
 一番最悪な方向に向かった状況に、バクバクと心臓が嫌な音を立てて高鳴って
いるし、おかげで血潮の巡りの悪くなった指先など冷たくなっている。
 最も厄介な人物に見咎められたのは、やはり、道徳から外れた報いだろうか。
「私には犬に舐められ、悦に入っていたと見えたが?」
「それは不可抗力で、わざとなんかじゃ」
 どうやら最後の方だけ見られていたようで、尚更、分が悪い。
「隠さずとも良いのですよ。神子と言えば神聖なる物。男との交わりは禁忌でしょう
からな。けれど、生身の身体では欲の捌け口を求めるのは当然」
 言葉では認めるような事を言いながら(認めてもらっても嫌だが)人を馬鹿にした
ような表情は嘲っているのを隠そうともしていない。 
「だから、違うってば!」
 この石頭と続けなかっただけまだ、望美は冷静さを持っていた。
「しかし、獣との淫行にいそしむのは、呪詛を見つけてからにしていただけると助か
りますな」
 どこまでも人の話を聞かない相手に、弁解する意欲がみるみるしぼんで行く。
 話すだけで、これだけ気力を使わせられる人がいるとは新たな発見ではあるが、
ここで口をつぐんでしまえば認めることとなってしまい、それだけはどうしても避け
たかった。
 そこで、心の中で泰衡にいろいろな文句を浴びせながら、望美は先ほどの出来
事を再現してみせる事にしたのだ。
 百聞は一見にしかず。
 その言葉の使い方は間違っていても、他に妙案も語彙も浮かばないのだから仕
方ない。
「……金、おいで」
 名前を呼ばれた金は軽い足取りで呼ばれた望美のところへ行くと、伸ばされてい
た手の平に、撫でてくれと自主的に身体をすりつけた。
 金には力を込めた気はまったくないのだろうけれど、体重をかけられた望美は
あっけないほど簡単に倒されてしまう。
「あの時はこうやって、倒れたところに蜂蜜が零れて…っ」
 ベタついて太腿に張り付いた単衣に落ちる蜂蜜の微かな重みだけでも、一度上
りつめた身体には大きな刺激だ。
 気づかれないように声は殺したが、頬が紅潮しているのを誤魔化すには、薄暗く
なり始めている部屋の暗さに頼る他ない。
「ほぅ?」
 面白そうと言うよりは、馬鹿な事を始めたとでも言うように、泰衡は腕組をして眺
めている。
 普通、ここまですれば納得して止めるのではないだろうか。
 と、思いつつも今更後には引けなくなった望美は、泰衡を気にしてしきりに背後
に耳を傾けている金の黒々とした鼻先に蜂蜜を絡めた指を持っていった。
910名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 22:35:01 ID:XHfUXVnH
「金、ほら、蜂蜜……」
 フンフンと匂いを嗅ぎ、それが美味しい物であると確かめると、尻尾が嬉しそうに
振られる。
「もうなくなった? こっちにもあるよ」
 何も味がしなくなった指に、名残惜しそうに鼻を寄せている金を導くように単衣の
上を指差したが、そこで金は躊躇した。
 やはりどうしても泰衡が気になるらしく、いいの?と聞くかのように振りかえるのだ。
 それを無理にこちらに向けるわけにも行かず、どうしたものかと望美が考えてい
ると、泰衡がゆっくりと息を吐いたのが聞こえた。
 濃くなってきた闇のせいで、泰衡はその姿がほとんど背景と同化しつつあり、表
情もよく見えないが、どうやら何か言いたいらしいのはその溜息からわかった。
「なるほど、神子殿の言い分はよくわかりました。つまり偶然だった、と?」
「そう。そうです」
 なんの奇跡か、ようやく望美が伝えたかった事が伝わったかに思えたが、やっと
見えた突破口は更なる裏道への道しるべでしかなかった。
「では証を見せていただきたい」
「あか、し?」
「望んでしたわけではないと言う事は、あなたは喜んでなどおられなかったはず。
ですが生憎、私にはそうは見えなかったのですよ」
 それってもしかして……。
 そこまでは考える事の出来た望美だったが、それ以上は脳が拒否した。
 つまり、完全に停止。
 舐められているのを堂々と見てるつもりである泰衡に、むしろそちらの正気を疑
いつつある望美だった。
「泰衡さん、それ……本気ですか?」
「ふっ…まさか。冗談ですよ」
 あんなのを冗談だと言い切るのは豪胆ゆえか、それとも本気で冗談だったのか。
 つくづく、理解し難い男である。
「しかし、あなたも我の強い方だ」
 ほんの少し、いつもの冷たさが和らいでいるのは呆れているからだろう。
「泰衡さんほどじゃないと思いますけど」
 今更ながら込みあがってきた恥ずかしさに、乱れた単衣を直したりしても、本当
に今更だ。
 乗せられやすい性格が、これほどに恨めしかった事はない。
「もしも本気だ、と言えばあなたの事だ。して見せてくれたでしょうな」
 くく…と押さえた笑い声に、望美は驚いて泰衡の顔を見たが、やはり暗闇迫った
部屋の中では、ぼんやりとした輪郭しか見えない。
 せっかく、笑ったのに。
 あの仏頂面がトレードマークになっている泰衡が。
「思いがけず長居してしまいましたが、これで。金、行くぞ」
 バサリとマントが翻る音がして、出て行く気なのだとわかった。
「あの、こんな事になっちゃいましたけど、蜂蜜、ありがとうございました」
 恐らく背中に語りかけてたのだろうが、その背は意外にも立ち止まってくれた。
「……なぜ私に礼を?」
「だって、泰衡さんがくれたんでしょう? 銀が持ってきてくれたけど、蜂蜜なんて
高価な物がそこらへんで売ってるわけがないし」
「神子殿は、思いこみも激しくていらっしゃる」
 馬鹿にした言い方にむっとしたけれど、ほんの一瞬、見えた光景に望美の言葉
は呑まれてしまった。
 開きかけた妻戸から漏れた外の灯りに照らされた横顔は、微かに笑っていたのだ。
 返事も待たずに出て行った泰衡は、もうそこにはいなかったけれど、望美はしばし
そのまま固まったままであった。
 そんな望美を発見した朔は、その望美以上に驚く事になったが。
911名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 22:36:25 ID:XHfUXVnH
調教しようとおもったけど
金が可哀想になって止めた
蜂蜜は虫歯になりそうだなーと
912名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 22:40:28 ID:9wyTW1Xf
リアルタイムで読ませていただきましたよ。
GJでした
913名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 23:11:52 ID:DDL7bKHc
GJ!GJ!早速ありがd、紺のソックス脱いだよw
人の悪いヤスに萌え
実は蜂蜜の送り主だったというツンデレオチも(・∀・)イイ!
914名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 23:44:09 ID:MvBFv2Qw
TU?ND?E?RE!!
白の三つ折りソックス脱ぎ捨てたよ
915名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 00:34:06 ID:Snz0Us2Z
>>905
ネイティブの人間にだって実は難しいぞ!
……言葉通じなくなるんだよ…
(と東北出身が言ってみる)
916名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 00:47:51 ID:8UJf/Wal
「悪いごはいねがー?!」と高館に乱入してくる御館。
917名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 01:20:22 ID:cPUg4RkB
((((;゚Д゚))))) ガクガクブルブル
918名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 02:49:55 ID:AKmg9Agi
平泉ってケセン語のとこだっけ?
919名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 04:13:15 ID:MZHqgSg6
908GJ!!!!ハアハアしますた
漏れの最萌えがヤスだということを改めて思い知ったよ

・・・だが現実を見てorzになる
もうパロで補完するしかないのか、ヤスEDは・・・
920名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 11:33:56 ID:7x3Fwtqn
>919
禿げあがる程同意。
ヤスと幸せになりたい!
921名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 12:58:28 ID:AH/NcJnu
>>916
違和感ナサスw バロス
922名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 23:03:48 ID:G6VdCwJa
次スレどうする?
923名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 02:58:26 ID:6bXPvEti
>>679あたりをテンプレ追加でいいんじゃないか?
ごめんテンプレ作りたいけどもう限界なんで誰か頼む
924名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 03:03:49 ID:HR0u6B8O
過去ログ倉庫の管理人さん、ログ保存は済んでるのかな?
ちょっと気になった
925名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 03:12:16 ID:vAt5XPeh
【アンジェ】【遙か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え7

アンジェリーク、遙かなる時空の中で、金色のコルダ関連のエロ萌えスレです。 
女王候補、神子、女子高生の皆様。 
本業を忘れてあの方とのめくるめく一夜に(*´д`*)ハァハァしまくりましょう〜。 

・雑談、なりきり、SSエロ萌え妄想なら何でもOK 
(SS職人様ご降臨お待ちしております) 

・マターリsage進行でお願いします。 

・書き手へのお願い。 
「○○を投下します。××なので、だめな方は**をNGワードにしてください」 
との注意書きレスのあとに、即投下をお願いします。 

・読み手へのお願い。 
荒らしが来たと思ったら徹底的にスルー。 
「嵐はスルーしろ」「はいはいスルースルー」などの書き込みは、スルー出来ていない証拠です。 

書き手は「自分は萌えを吐き出してるだけ。こんな自分の妄想に付き合ってくれてありがとう」 
と、読み手>書き手と考え
読み手は「自分はこういう風に妄想なり萌えなりを昇華する事はできん。職人ガンガレ」 
と、書き手>読み手と考え 

お互いに尊重しあいましょう 

前スレ 
【アンジェ】【遙か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え6
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1134653168/

過去スレ 
【アンジェ】【遙か】【コルダ】ネロマンスでエロ萌え2 
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1098091822/ 

【アンジェ】【遥か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え3  
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1105293580/

【アンジェ】【遥か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え4 
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1108300670/ 

【アンジェ】【遙か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え5 
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1121264231/ 

絵板&過去ログ 
http://kyoto.cool.ne.jp/miko-haruka/ 

2chエロパロ板SS保管庫 
http://sslibrary.gozaru.jp/ 



取り合えず>>1>>679をほぼそのままくっつけてみた
926名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 03:16:10 ID:vAt5XPeh
あれ、外部へのリンクがおかしい…
修正

【アンジェ】【遙か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え7 

アンジェリーク、遙かなる時空の中で、金色のコルダ関連のエロ萌えスレです。  
女王候補、神子、女子高生の皆様。  
本業を忘れてあの方とのめくるめく一夜に(*´д`*)ハァハァしまくりましょう〜。  

・雑談、なりきり、SSエロ萌え妄想なら何でもOK  
(SS職人様ご降臨お待ちしております)  

・マターリsage進行でお願いします。  

・書き手へのお願い。  
「○○を投下します。××なので、だめな方は**をNGワードにしてください」  
との注意書きレスのあとに、即投下をお願いします。  

・読み手へのお願い。  
荒らしが来たと思ったら徹底的にスルー。  
「嵐はスルーしろ」「はいはいスルースルー」などの書き込みは、スルー出来ていない証拠です。  

書き手は「自分は萌えを吐き出してるだけ。こんな自分の妄想に付き合ってくれてありがとう」  
と、読み手>書き手と考え 
読み手は「自分はこういう風に妄想なり萌えなりを昇華する事はできん。職人ガンガレ」  
と、書き手>読み手と考え  

お互いに尊重しあいましょう  

前スレ  
【アンジェ】【遙か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え6 
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1134653168/

過去スレ  
【アンジェ】【遙か】【コルダ】ネロマンスでエロ萌え2  
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1098091822/

【アンジェ】【遥か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え3   
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1105293580/

【アンジェ】【遥か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え4  
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1108300670/

【アンジェ】【遙か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え5  
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1121264231/

絵板&過去ログ  
http://kyoto.cool.ne.jp/miko-haruka/

2chエロパロ板SS保管庫  
http://sslibrary.gozaru.jp/
927名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 04:10:33 ID:XfMbDkpB
>>924
ノシ
928名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 14:09:47 ID:W98zGQXk
>アンジェリーク、遙かなる時空の中で、金色のコルダ関連のエロ萌えスレです。
>女王候補、神子、女子高生の皆様。

この辺は直して欲しいのだけども……。つ>694-695
929名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 14:19:48 ID:HR0u6B8O
根本的に変えるのか、それとも「ネオアンジェリーク」「オーブハンター」って単語をいれるか、か?
930名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 00:53:01 ID:W5vg7cr3
足すんでいいんじゃない?
今後どーんと立場の違うヒロインが増える事もないだろうし
931名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 01:32:47 ID:JqEYgIKh
じゃあこんな感じか?


【アンジェ】【遙か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え7  

アンジェリーク、ネオアンジェリーク、遙かなる時空の中で、金色のコルダ関連のエロ萌えスレです。   
女王候補、オーブハンター、神子、女子高生の皆様。   
本業を忘れてあの方とのめくるめく一夜に(*´д`*)ハァハァしまくりましょう〜。   

・雑談、なりきり、SSエロ萌え妄想なら何でもOK   
(SS職人様ご降臨お待ちしております)   

・マターリsage進行でお願いします   

・書き手へのお願い
「○○を投下します。××なので、だめな方は**をNGワードにしてください」   
との注意書きレスのあとに、即投下をお願いします。   

・読み手へのお願い
荒らしが来たと思ったら徹底的にスルー。   
「嵐はスルーしろ」「はいはいスルースルー」などの書き込みは、スルー出来ていない証拠です。   

書き手は「自分は萌えを吐き出してるだけ。こんな自分の妄想に付き合ってくれてありがとう」  
 と、読み手>書き手と考え
読み手は「自分はこういう風に妄想なり萌えなりを昇華する事はできん。職人ガンガレ」   
と、書き手>読み手と考え
お互いに尊重しあいましょう。

前スレ   
【アンジェ】【遙か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え6  
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【アンジェ】【遥か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え3    
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1105293580/
【アンジェ】【遥か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え4   
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1108300670/
【アンジェ】【遙か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え5   
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1121264231/

絵板&過去ログ   
http://kyoto.cool.ne.jp/miko-haruka/

2chエロパロ板SS保管庫   
http://sslibrary.gozaru.jp/


一応アンジェシリーズなのでアンジェの後に追加しておいた。
最新作なので最後にもって行ったほうがいいようだったりそのほかいい入れ方あったら修正ヨロ。
932名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 01:33:41 ID:OuvKGeun
じゃあちょっと逝ってくるよ
933名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 01:51:52 ID:OuvKGeun
ごめん無理だった
どこで切ってもサブジェクト長すぎって怒られるよ
だれか
934名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 01:56:43 ID:JqEYgIKh
じゃあちょっと逝ってみる
935名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 02:07:48 ID:JqEYgIKh
立ちました

【アンジェ】【遙か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え7
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1144602369/

初めてスレ立てた…
936名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 12:21:01 ID:7BzSQgJ2
乙です!
次スレでも職人さん待ってます
937名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 20:45:08 ID:C5w8VhvL
倉庫に入ってないSSある気がするんだが・・・
気のせいか?
938名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 20:59:01 ID:fdbQaD9Y
職人さんが保管庫に入れないでって申告したやつじゃなくて?
939名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 00:18:12 ID:yDTFoZeN
消してくれって言われたのもあるしな
940名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 15:01:56 ID:AaaCrNG9
それはさっくり消えてるみたいだね
941名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 07:26:55 ID:yniyjNli
それがまた名作だったりするのでカナシス
942名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 11:01:03 ID:d+ggJjSK
テキストでログ保存してある漏れは勝ち組
943名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 13:40:42 ID:MO2JJnJ2
ウラヤマシスorz
944名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 14:03:12 ID:ZGSQHcKQ
>>943
何のための過去ログ倉庫なのかと
945名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 19:43:19 ID:FAAqoGtS
ちなみに、にくちゃんねるで1と5だけログ拾えるよ。

2ちゃん専ブラでログ残るから、
IEとかで見てる人はログ保存用に専ブラ導入検討してみては?
946943:2006/04/13(木) 20:56:19 ID:YczuUNet
>>944-945
dクス!!
倉庫の存在をすっかり忘れてたよ。恥ずかしい。
さっそく保存しに逝って来る(`・ω・´)
947名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 00:10:33 ID:L1vW0ipc
次スレを見ていて、
不景気だ不景気だと騒ぎ過ぎると、
皆が「そうか、今は不景気なのか、じゃああんまりお金使わないようにしよう」と思ってしまい
不景気が加速してしまう。
という話を思い出した。
948名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 10:52:30 ID:mk9d8FyB
なんかさ、他スレでも粘着イタタちゃんが暴れてたみたいだね?
ここの粘着さんと同一人物かね。
949名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 11:23:09 ID:L1vW0ipc
うちはうち、よそはよそ。
他スレの揉め事に首突っ込むな。
火の粉が飛んできたらどうする。
950名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 21:22:31 ID:yAvonfnx
あああの誘い受けと決めつけて教えてあげるチャンの香具師か…
本当職人さん側には米粒ほどのミスも許されないんだな
951名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 16:44:21 ID:APv0Ii1q
スレで出会った職人さんのサイト見つけた!!
文体似てるからもしかして?と問い合わせてみたら
キタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!!!
もう読めないと思ってただけに
嬉しすぎる
952名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 17:03:42 ID:xyDxR+BJ
>951
そう言うことは自分の胸だけにしまっとけ
職人さんに迷惑だろう
953名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 21:00:33 ID:c9brwSVL
>>951
そうかなとは思っていたがやはりなw嬉しいことだね
ただ、ここにはもう書かない方がいいと思うよ
>952さんの言うように迷惑かけちゃうから
954951:2006/04/17(月) 22:17:29 ID:APv0Ii1q
そうだよな
浮かれすぎだよ自分_| ̄|○
955名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 00:02:50 ID:gdaK9knR
どんまいどんまい。
956名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 00:04:29 ID:Z0PwEiD9
最近遙か3の作品ばかりだが、他のって需要ある?
957名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 00:06:53 ID:3ShVWawr
あうある
958名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 00:07:35 ID:3ShVWawr
…浮かれて書き込んだら…
あうありゅ→あるある
959名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 00:09:36 ID:joXFD5Xb
「遙か以外の」って事かな?
そうでなければ遙か2のを是非読みたいのだが…。
960名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 01:05:59 ID:bdtbaysY
956ではないが、コルダを書いてはみたものの遥かな流れに投下躊躇

むしろ遥か祭よもっと盛り上がれとwktkしているw
961名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 11:42:56 ID:QYnp/8cs
「うわぁ、コルダ大好きなんです!
そんなことないですから投下してくださいね!待ってますから!!」
962名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 21:19:29 ID:fTRdVqkq
コルダ読みたいなあ。廉価版で参入したんで二次に飢えてる。
遥かの流れを切っちゃうような感じで、投下しにくいのもわかるんだが。
気が向くか覚悟ができたら投下してほしいな。
963名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 22:16:05 ID:UE9Ad3Nd
ここって500kbまでなんだっけ?
964名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 22:29:37 ID:b0qMe62f
コルダカニメ化かorz
965名無しさん@ピンキー:2006/04/22(土) 15:36:23 ID:aUyqHmsx
そうだね。      orz
966名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 04:07:19 ID:mg/Yl8gX
ドソマイ  






orz
967名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 18:40:08 ID:BzKOMz8A
ドンマイケル!




orz
968名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 20:49:01 ID:x0FsmyRW
書きたいけどネタがNeeeee!!orz
キャラソンとか買おうかな・・・エロいネタがあればいいんだが
969名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 01:18:22 ID:8/oirybx
遙かはともかく案とコルダのキャラソンにここで使えるようなネタはないような…
と肥の思う壺にほぼコンプな自分が呟いてみる

違う意味でのネタなら一杯なのでお勧めはするけどw
970名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 21:10:25 ID:kWWBo53s
漫画版コルダ最新巻の表紙、土浦と火原の腕が
明らかに香穂子のおっぱいに当たっている件について
971名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 00:09:34 ID:qpnIeFSL
ちちもげ疑惑に最新刊をイメージぐぐるでさぐってみたら
ゲーム画像や中の人のサムネイルに混じって
ttp://www.dengekionline.com/2005newyear/af/img/yamamaya.gif
が出てきてファータ追いかけてる香穂子かと思ったw
972名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 23:18:31 ID:b5wepPMY
>>969
そうか、遙かはそれっぽいのか・・・
情報集めてみるノシ
973名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 23:21:43 ID:rE8CGgFl
遙かのは結構狙ってるって言うか、意味深なの多いよなw
974名無しさん@ピンキー:2006/04/27(木) 22:45:59 ID:TyLpSi+K
>>973
一番のオヌヌメCDはなに?
975名無しさん@ピンキー:2006/04/28(金) 01:23:30 ID:ebJPNoGh
973じゃないけど、1.2.3問わないんなら
個人的には「花をとめ」がオススメ<ちなみにこれは2
976名無しさん@ピンキー:2006/04/28(金) 03:11:40 ID:Yl2LML3X
>>975
d
そういや評判いいって聞いたことがある
できれば次点も教えて欲しい
977名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 22:13:07 ID:VALMDKdV
3のは?
978名無しさん@ピンキー:2006/04/30(日) 15:42:31 ID:ag7/ifPx
3のは…ありあけの弁ソングくらいか?
979名無しさん@ピンキー:2006/05/02(火) 11:38:19 ID:dab1Z5UA
花宵の弁ソングもいいよ。
3の朱雀は二人とも二曲目のほうが好きだな。
あと白龍(小)の曲、エロさはないがめちゃくちゃかわいい。
980名無しさん@ピンキー
親切にありがd!ドラマとの抱き合わせってのがつらいが・・・買ってみる