1 :
いけない姉上:
2005年9月22日に発売された「王宮夜想曲」のエロパロスレです。
『王宮夜想曲』
ジャンル:育成恋愛シミュレーションアドベンチャー(18禁)
発売日:2005年9月22日発売
対応機種:Win&Mac(ハイブリッド)
*職人さん投下無い時の雑談、SSエロ萌え妄想ならOK
*マターリsage進行で
*読んでいる人は、好みに合わない・苦手等の場合はスルーしてください。
*何を投下するのも書き手の自由。何を読むのも読み手の自由。
皆で楽しみましょう。
■作品投下してくださる方へ■
・投稿時には、名前欄or冒頭に以下の記述をお願いします。
「カプ名」(例:●○×▲△)
「作品傾向」
※苦手な人が多そうでNGワードになりそうなものは表記してください。
(陵辱、グロ、死にネタ、異物挿入、スカトロ、SM等)
※このスレは21禁です。本スレ、したらばでの誘導、アドレス貼りつけはしないで下さい。
キタワァ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:* ミ ☆
>1乙華麗!
即死防止!
>2
姉上、早いなw
登場人物紹介とか貼った方がいいのかな?
・登場人物
カイン=マクリール(20歳) CV:ゆき まさゆき 主人公の弟/次期国王
ジーク=イーヴェイン(28歳) CV:月代 綾人 典医(学問)
エドガー=ジペルディ(25歳) CV:黄金原 光輝 国王補佐(帝王学) ※当スレでの通称:薔薇
リオウ(21歳) CV:風阿 紅夕 宮廷楽士(品位)
アストラッド=フレーヴ(36歳) CV:神田 浩介 神官(習俗)
ヴィンセント=アンサラー(30歳) CV:山口 武 騎士団長(武術)
ロデル=レオナーグ(18歳) CV:蒼月 稜 祷師見習い(社交性)
エミリオ=ベルモント(18歳) CV:松 茸夫 侍従
コゼット=ジペルディ(18歳) CV:城玉 きな子 エドガーの妹
オースティン=ジペルディ(43歳) CV:凛理 戒 国王補佐、エドガー・コゼットの父親
シモーヌ=ジペルディ(42歳) CV:水戸 沙哉 エドガー・コゼットの母親
フランシスカ=ゼノン CV:はら まき 騎士
ユージーン CV:山伏 修 ???
5 :
転載:2005/10/06(木) 20:41:29 ID:61In6KpG
即死回避の為、乙女ゲーエロパロ総合に投下された
>297姉上の作品を転載させて頂きます。
勝手に申し訳ない。
**
場所をお借りします。
18禁PCゲーム「王宮ノクターン(要日本語)」の
僕カイン×姫 です。
王宮SSの発展を願って投下します。
本作以後の話になります。
このゲームを知らない方のために警告を。
これはある意味 近 親 相 姦 ものなので、
苦手な方は超華麗にスルーしてください。
6 :
僕カイン×姫1:2005/10/06(木) 20:42:14 ID:61In6KpG
今日も月が美しい。
窓越しにそのさびしげな光を浴びていると、コンコンとかなり遠慮したノックが聞こえた。
彼が来た。
「姉上、今、いいかな・・・・」
いつもそう言って私の部屋に入ってくる。
今日はきっと来ると思っていた。
長期の視察から帰ってきた日は、必ずこの部屋に来るからだ。
そして、私もそれを心待ちにしていた。
「姉上・・・・よかった。ちゃんといてくれた・・・・」
彼はそう言うと、私を強く強く抱きしめる。
そして、少し薄めの唇で、私に深く口付ける。
私の魂まで吸い上げてしまうのではないかと思うくらい深く吸われると、
この体は少しずつ彼のために体を開き始めた。
彼は私の弟。それも双子の半身。
髪の色も同じなら、目の色も同じ。
流れる血でさえ同じ・・・・
違うのは性別、男と女であること、ただそれだけだから・・・
だからこそ、彼は間違ってしまった愛なのではないかと悩み、また、
それが理由で彼の目が届かないうちに私が消えてしまうのではないかと怯えているのだ。
7 :
僕カイン×姫2:2005/10/06(木) 20:42:55 ID:61In6KpG
あの即位式の夜。
私はその日を待っていた。
しかし、そんな日が来るはずもないと思っていた。
即位式・・・・無事終えることも望んでいたが、待っていたのはそれだけではない。
彼が葛藤を乗り越え、私の元に来てくれる日のことを私は待っていた。
そんな夢のような話があるわけないのに・・・
でもそれは訪れてしまった。
その日、彼は私を抱きしめて愛していると言ってくれた。
この愛は真実であると。
そして、私たちは一線を越えた。
結ばれてしまったこの関係は、私に安息の日々を与えてくれた。
彼は私のもの、私は彼のもの。
しかし、彼の悩みは、結ばれてしまったために深くなってしまったのだろうか。
そのためなのか、長い間私の元から離れる日々から開放されると、今日のように、彼はすぐさま私を求めに来る。
私の首筋に熱くほてった唇を押し当てながら少し乱雑に服を脱がし、
生まれたままの姿となった私を横抱きに抱えるとベッドまで運ぶ。
ゆっくり横たえ、しばらくの間添い寝した状態で髪をすいてくれた。
彼に髪を触られると心地よくて眠ってしまいそうになる。
だけどそれは彼が許さなかった。
また唇に熱が落ちる。
耳元にも、首筋にも彼の舌が沿うと、私の羞恥心は枷がなくなり、知らず知らずに吐息が漏れる。
全身が総毛だち、快楽の始まりを告げた。
8 :
僕カイン×姫3:2005/10/06(木) 20:43:30 ID:61In6KpG
「姉上・・・・僕のこと、ちゃんと待っててくれた?」
「ええ・・・カイン、待ってたわ・・・」
耳元でささやかれ、私の返事を聞くや否や、私の耳のふちを甘咬みする。
「あぁ・・・」
自分の意思に関係なくあふれるこの淫らな声を隠そうと、あわてて両手を口にあてた。
しかし、その手は彼に奪われ、彼は私の左手を持ち上げると薬指にくちづける。
それは彼にとってただの愛撫であったのだろうか。
「声・・・・殺さないで。聞きたいんだ・・・」
彼はそのまま薬指を口に含み、舌で舐めあげたり、口腔に出し入れしたり、私の指を慈しむように丁寧に扱う。
その姿はいつもの精悍な顔立ちから、淫を帯びてた妖しい雰囲気に変わる。
私は美しいその姿をいつまでも見ていたいと思った。
彼は執拗な指への愛撫をやめると、手を私の胸に添え、ゆっくりとまさぐり始めた。
その頂を口に含み、舌でころがす。
時折触れる彼の髪が私の体をなぞり、その少しの刺激でさえ私は心地よかった。
彼は、時折私の顔を覗き込んでは、唇を落とす場所を変える。
「姉上、顔・・・すごく赤い。かわいいよ・・・」
「・・・・んっ」
彼が強く抱きしめてきた。
「僕・・・もうたまらないんだ・・・」
9 :
僕カイン×姫4:2005/10/06(木) 20:44:03 ID:61In6KpG
体を起こし、彼の服を一枚、一枚と脱がすと、彼の肌が見えてきた。
しっかりした骨格に綺麗に巻きついた筋肉の流れと肌の張り。
私を守るためだと日々鍛えていることを知っている。
彼の熱い体温を感じたくて、胸板に手をあてた。
手のひらに早鐘のような鼓動が響く。
「僕、姉上を抱くの・・・まだ緊張するんだ・・・・」
「私もよ、私も緊張してる・・・」
彼の服をすべて脱がし終えると、彼は大きく息をついた。
「はあぁ・・・」
「どうしたの?」
「いや、別に・・・」
「ん?」
「・・・・ちょっと・・・きつかったんだ・・・」
顔を赤らめて彼は言った。
ふと下を見ると、彼の分身は猛々しく自己主張していた。
これだけ大きくなってしまっていたら、さぞかし狭い中では辛かったのだろう。
私は彼を手で包んで、少しずつ動かした。
「あっ・・・」
今度は彼が吐息を漏らす。
その姿がかわいくて、彼自身に口をつけた。
口の中に広がる彼の味。
吸い尽くしてしまいたい、それこそすべてを。
そんな欲求に駆られ、ひたすらに彼を貪った。
「あぁ・・・姉上・・・いつもと違う。・・・どうして・・・・」
「カイン、あなたに抱かれたくて仕方がなかった。ずっと待ってた・・・」
「姉上・・・」
10 :
僕カイン×姫5:2005/10/06(木) 20:44:37 ID:61In6KpG
彼は私の両肩をつかみ、彼から私を引き離すと、再びベッドに私を横たえた。
「そんなことを言われたら・・・・歯止めが利かなくなるじゃないか・・・」
私の下半身に体を割り込ませ、私の太ももに何度も口付けたあと、
そろそろと中心に舌を這わせ始めた。
「ああっ・・・・」
「姉上の味がするよ・・・・甘い・・・」
「やだ、言わないで、恥ずかしい・・・」
「恥ずかしくなんてないよ・・・・・それにここ、もっとしてって言ってる」
柔らかい舌が敏感な芽をさすりだした。
全身が快感に襲われて頭の中からすべてのものがなくなってくる。
優しく、それでいて執拗に同じ部分を往復する彼の舌。
それに流されていると、ふと私の中に何かを感じた。
彼の指であることを理解するのに、思考が奪われた私の脳では時間がかかった。
「ここ、すごく熱い・・・それに・・・・いくら口でぬぐってもあふれてくる・・・」
最後に残っていた羞恥心を捨て、恐る恐る目を開き、私の中に顔をうずめる彼を見た。
その動きを察したのか、彼と目が合う。
すると、目を合わせたまま、彼は愛撫を続けた。
意地悪く見つめる視線にさえ、私の体は快感を覚える。
彼は私が何か言うのを待っている。
恥ずかしくて何もいえないと思ったけれど、体のほうが正直だった。
「カイン・・・私、このまま溶けそう・・・・」
「うん・・・ここはもう、溶けてるみたいだ・・・・そろそろいいかな・・・」
これを合図に、彼は私を体全部で包んだ。
「もう、僕が我慢できないんだ・・・・中に入って・・・いい?」
「うん・・・来てほしい・・・」
11 :
僕カイン×姫6:2005/10/06(木) 20:45:09 ID:61In6KpG
彼の指と舌で緩められた私の中は、すっかり彼を迎え入れるために開いていた。
彼は場所を確認しながら、行くよ、と一言いい、ゆっくりゆっくり私の中に入ってきた。
「ああっ・・・」
打ち込まれた彼の楔は硬くて熱く、それだけで、彼自身が私のために性急にならないよう我慢してくれていたことが分かった。
「はああ・・・姉上、痛くない?大丈夫・・・?」
「うん・・・大丈夫・・・・」
「動く・・・よ・・・」
熱い息を吐きながら挿入を始める。
私を気遣っているのか、非常に緩やかに動く。
ゆっくり与えられる彼の熱は、私の快楽の波を徐々に荒立ててきた。
次第に、全身に帯びてきた彼の汗が、私の体にぽたりと落ちてくる。
必死に私を愛してくれている、その姿がいつもいとおしいと思う。
快感のために切なそうに眉をひそめる彼の顔をながめると、私自身の快感も高まる一方だった。
彼の律動に身を任せ、己の欲をつかもうと必死になってしまう。
「ああっ・・・姉上っ・・・もしかして、すごく感じてくれてる?」
「ん・・・・ど・・して?」
「中、僕に絡まってきて、僕を離してくれないよ・・・・たまらない・・・」
「そんなこと・・・言われても・・・・あぁ・・・・私、分からない・・・」
「そう・・・なんだ・・・・ああっ!・・・ほらまた・・・」
「んッ・・・ごめん・・・」
「謝らないで・・・・すごくいいから・・・・。でもごめん」
「カインこそ・・・・なんで謝るの?」
「僕、もう駄目だ・・・・・」
12 :
僕カイン×姫7:2005/10/06(木) 20:45:40 ID:61In6KpG
彼は私の頬に手を添えて、にっこりと微笑むと、
「ちょっと乱暴になるかも・・・でも、我慢・・・してほしい」
そう言って私の両方の太ももをしっかりと持ち上げた。
激しく、強く打ち込み始める。
「姉上・・・・好きだ」
「姉上・・・愛してる」
「僕の傍から離れていかないで・・・」
彼はうわごとのように言いながら、私の中に己を送り続ける。
うん、私もよ・・・そう言いたいのに、彼の激しさに揺さぶられ、答えることができない。
それどころか、与えられるその激しさに、自分自身さえ抑えられなくなってくる。
快感に耐えようと彼に強く抱きついたとき、彼自身が私の中で大きさを増した。
「あ、ねうえ・・・ああっ・・・んんっ!」
彼が私の中で大きく痙攣し、精を放った。
「あっああッ・・・・!!!」
私の中で波打った彼を受け止めたとたん、私の頭の中は真っ白になった。
大きく膨らんでいた快感がはじけとんだ瞬間だった。
13 :
僕カイン×姫8:2005/10/06(木) 20:46:10 ID:61In6KpG
「姉上。また明日から視察なんだ。またしばらく留守になると思う」
「うん、知ってるわ」
「姉上も連れて行けたらいいのに・・・僕、本当は行きたくないよ・・・でも・・・」
「うん、分かってる。帰ってくるの、ちゃんと待ってるから安心して・・・・」
「その後はしばらく、視察ないから・・・・」
「大丈夫よ・・・カイン」
微笑んで彼を見つめると、彼は少し落ち着いたのか、目を閉じて寝息を立て始めた。
私はすっかり彼のものだというのに、いつまでたっても彼の不安が拭われることがない。
姉弟という関係が彼を躊躇わせるのなら、その不安を拭い去ってあげたい、そしてそのための言葉を私は知っている。
私のために心を揺れ動かしながら、それでも私を抱き続けるその彼の姿は、いつも私に罪悪感を与える。
彼に抱かれながら、安心してその愛におぼれることができるのは私だけ。
私だけなのだ。
14 :
僕カイン×姫9:2005/10/06(木) 20:46:40 ID:61In6KpG
「あなたは弟ではない」
彼はカインであってカインでない。
弟であるカインと姿形が全く同じ、ただの男。
彼はカインの代わりに造られた人なのだから。
私は弟であるという倫理を乗り越える事もなく、愛する彼の腕に抱かれることができる。
過去も共有せず、私に対する記憶も取り巻く環境のことも全く知るはずのない彼。
そんな彼の教育と称して日々付き添いを続け、彼のことを弟としてみられなくなった日はあっという間に訪れた。
いや、もしかしたら初めて彼を見たあの日、真っ白な彼を見た瞬間に、私はもう恋に落ちていたのかもしれない。
彼に「あなたはカインではない、弟なんかではない、ただの私の愛しい人なのだ」そう言うことができたら・・・・・
でも、彼にそのことを伝えることができるはずもない、ただの自己満足でしかない。
「私は充分幸せなのだ」と彼に伝わる日を願うことだけが、今できること。
すっかり眠りに入ってしまった彼にそっと毛布をかけた。
私の大事なカイン・・・・おやすみなさい。
私も彼の胸に頭をのせて、穏やかな眠りについた。
15 :
転載:2005/10/06(木) 20:49:28 ID:61In6KpG
以上です。
多レス使用、誤字脱字あったらスマソです。
こんなのカインじゃないやい!とおっしゃられる方、華麗にスルーをお願いします。
怒られたらマジでへこみます。
せめて、王宮SSが増えるきっかけになれば幸いです。
では、王宮SSの発展をお祈りしております。
>1 姉上乙! GJGJ!!
>297 姉上、ご馳走さま。
今夜は投下待ちしながら、BAD ルート
二重生活だ
即死回避保守
>297姉上に転載許可貰ってないので気を悪くされないといいのですが。
でも凄く萌えました!GJ!
スレタイとか勝手に決めてしまったので変更した方がいいとかの意見もお願いします。
あと>1以外のルールについてもあればお願いします。
2ゲットした私は乙女のスレ>297でつ。
こちらに入れてもらえてうれしいです。
あちらでもGJ入れてくださった姉上たち、ありがd!
姉上たちの起爆剤になれたようで、それが一番うれしかたyo!
乙女スレに誘導入れておいたほうがいいかもしれませんね。
20行けば即死防止かな?
では、このスレの発展を祈りつつゲームに戻りますw
>20
勝手に転載したのに暖かいお言葉ありがとうございました。
姉上愛してる!(*´∀`*)
では乙女スレに誘導入れておきますね。
乙。
即死って30じゃなったっけ?
後で、自分も貼りに来ます。
>>1 乙です!ついにエロパロスレまで…ウレシス(*´∀`*)
>1 >2 姉上方、愛だな
漏れもスレの発展祈りつつBADに戻りますw
あ、IDが3Pに…w(ノ∀`)+
乙女スレ誘導してきました。
>26
ID記念に3PSSをww
30まであとちょっと〜
29
30
即死防止終了。
では初めての俺カイン堪能してまいります。
乙女総合297姉上とかぶってそうなんですが…
僕カイン×姉上
即式その後…エロなしです。
オフィ特典ドラマCDと絡めて書きました。
勝手に王宮小夜曲というタイトルつけました。
今回投下するのと、もう1つあります
(もう1つは後日)
「おはよう姉上、今日は視察だよ」
1年の育成期間を終えて、カインは無事に即位することができた。
今では立派な国王として政務をこなしている。
姉である私は、カインの補佐としてそばにいる。
カインの一番近くにいる、それが私の幸せだ。
いつものように、カインが私を迎えに来る。
休息を兼ねた視察に、週末は出かけることが私達の日課となりつつあった。
「今日はどこへ行くのかしら?」
「うん、アーデン地方へ行こうと思うんだ、姉上」
「ええ、わかったわ。行きましょう、カイン」
>何を投下するのも書き手の自由。何を読むのも読み手の自由。
エロ無しもOKなんだよね?
馬車に乗り、アーデン地方へと向かう。
アーデンはお母様の生まれ故郷。お母様から、小さな頃の思い出話を聞いたものだ。
また、私達が幼い頃には、お父様、お母様、それにカインと一緒に視察に行ったこともある。そう言えば、あの時がアストラッドと出会ったはじめの日だったと思う。
「さあ、着いたよ姉上。足元に気をつけて、そう僕の手につかまって」
馬車を降りる時はいつもこうしてカインが手を引いてくれる。
カインの優しさを感じて微笑むと、カインからまぶしい笑顔が返ってきた。
「じゃあ、私達は視察に行って来る。大丈夫だ、姉上は私が守るし、これでも武術は得意なんだ」
お付きの人にそう告げると、カインは私の腕をそっと自分の腕に絡ませ、歩き出した。
「ねえ覚えてる? この湖。初めて姉上と一緒に視察でもなんでもなく、外出した場所だよ」
「ええ、よく覚えているわ」
あの時のカインは、いきなり水に飛び込んで。
「あの時の僕の言葉、覚えてるかな、姉上。……やっぱり僕には姉上が必要なんだって、即位してから余計に感じるようになった。姉上がいなければ、僕がこうして国王としてやっていくことはできなかった」
「そうね、私にとってもカインが必要よ」
「姉上……」
カインの目が少し潤んでいるように見えた。
私と同じ色の瞳、髪、けれどずっと逞しくて大きな腕で私を守ろうとしてくれる。
ずっとずっと一緒に育ってきた私の弟。
あの恐ろしい事故でお父様とお母様が亡くなり、カインまでが……。
カインを私のたった一人の半身を失ってしまったと、身も千切れんばかりの思いをした。けれど、カインは還って来てくれた。真っ白で無垢で、もちろん私のことを憶えているわけもないカインだったけれど。
1年間ずっと一緒に勉強して、視察に出かけて、貴方とお話して。
カインとの時間がこんなにも大事で、必要な物だと深く実感させられた。
いつからか、カインは私の弟であるだけの存在ではなくなっていた。
カインは私の弟、何度もそう言い聞かせた。でも、無理だった。
私の生きる道はカインと共にある。そう気付いて、でも想いを隠して。
けれど、カインも私と同じ思いでいてくれたことを知ってとても嬉しかった。
もうこの想いは止められなかった。
カインを愛している。
いけないことだとはわかっていた。
もしこんなことが知れたら、私はきっとカインから引き離されてしまう。
それでも、カインを求めずにはいられなかった。
>>1姉上乙!
わーい来ちゃったw即死の意味がやっとわかった(*'ω`*)
ネタバレ876から来ましたー!いつか投下させて頂くかもです…では
「姉上、どうしたの?」
カインの顔がすぐそばにあった。
「ごめんなさい、なんでもないの」
「姉上……愛してる」
ええカイン、私も貴方を愛している。
何度繰り返しても足りないほどに、貴方を欲してしまう。
カインの顔がさらに近づいた。私はそっと目を閉じる。
触れ合う、柔らかい唇。温かくて、優しくて。
カインの手が私の背に回る。
かなうなら、ずっと、こうしていたい。
「おまえ達! 何をしているのだ!?」
二人の時間を邪魔するように、突然大きな声が静かな湖畔に響き渡った。
「エドガー!?」
「どうしたんだい、エドガー」
絡めた手と体を離し、カインは私を背に回し、突然現れたエドガーに誰何する。
「それはこちらの台詞だ」
エドガーの顔は赤く、怒りに染まっていた。
「エドガー……君、確か国を出たんじゃなかったないのか?」
カインはとても冷静に、堂々とエドガーに対峙している。
「そ……それはだな」
エドガーは何かを言いかけてやめた。
「それよりもだ……」
「駄目だよエドガー、話題を変えることは許さない。
王国の重臣である君がある日突然、なんの断りもなく消えた。みんな心配していたんだ。シモーヌ様やコゼットは気も狂わんばかりだったよ。オースティン様だって、口には出さないがやっぱり心配だったと思う。
僕も即位後はエドガーが助けてくれると思っていた。なのに突然失踪して。
それに、姉上だってすごく心配なさって」
「姫が……?」
一瞬酷く驚いた顔で、私の方をエドガーがうかがった。
エドガー……もしかしてエドガーの失踪は、私のせいなのかしら。
〜回想〜
「姫、俺と結婚して欲しい」
いつになく真剣で、優しくエドガーは言った。
私の年上の従兄。
頭が良くて、いつも自信に満ち溢れ、光り輝いているエドガー。
そのエドガーが、少し不安そうな顔でこちらを見ている。
「でもエドガー、私のことなんて……今までそんな素振り見せたことないじゃない」
自信たっぷりに、私が何か失敗する度に少し傲慢に見下ろしてきた。
エドガーのことは、嫌いじゃない、だけど。
「悪かった。だが姫、俺はもうずっと前からおまえのことが好きだった」
信じられない。
エドガーが頭を下げていた。
悪い冗談ではないらしい。
だけど、私のこの胸にはもう違う人の影が住んでいた。
「ごめんなさい……」
ただ、そう言うしかできなかった。
「そうか、すまなかったな。そんな顔をするな、俺の不徳の致す所だ。もういいから、このことは忘れてくれ」
そのままそそくさと、エドガーは立ち去って行ってしまった。
それからエドガーの姿が見えなくなったと大騒ぎになったのは、数日後のことだった。
〜回想終わり〜
「フン、どうだっていいだろう。おまえ達には関係ない」
「関係ないはずなどない!」
びっくりした。カインがすごく大きな声でエドガーに向かって言った。
「エドガー、君はローデンクランツの栄えある国王補佐という重要な役割を担うべく人だ。
そして今は、私が国王だ。君は王の命令を聞く立場にある」
「……」
エドガーが気まずそうな顔をする。だけどすぐに、
「言うようになったものですな、国王陛下。それにしては、いまだ私の父母に様付けか。貴方様らしいですが」
膝を突き恭順の意を示しながらも、いつもの不敵な笑みが戻ってきた。
「うん……エドガー帰って来てくれたんだよね、僕は嬉しいよ。ね、姉上?」
「ええ、お帰りなさい、エドガー」
「あ、ああ……いや、その、あのだな、それよりさっき……」
なんだか赤い顔をしながら、何かを言いかけて、
「エドガー殿! どこへ行かれたかと思ったら……これは陛下に姫。ご視察ですか?」
エドガーの後を追ってきたと言うヴィンセントの出現によって、その言葉はさえぎられた。
「ヴィンセントがエドガーを連れ戻してくれたんだね、ありがとう」
「はい……もったいなきお言葉」
ヴィンセントはいつものように背筋を伸ばして、カインに対する。
「風が冷たくなってまいりました。そろそろお帰りになってはいかがでしょうか。私達も供させて頂きます」
「うん、そうだね、帰ろうか姉上」
「ええ、帰りましょう」
――私達の王宮に。
「姫……」
先に行くカインと私が離れた頃を見計らうかのように、エドガーが声をかけてきた。
「どうしたの、エドガー」
「俺は……何も見ていない、からな」
そっとささやいて走り去ってしまう。
まさか、見られてしまったのかしら。
でも。エドガーは、見ていないと言ってくれた。
「さあ、姉上、お手を……」
行きと同じようにカインが手を差し伸べる。
私にはこの手が必要で。
たとえ、誰かにそしられようとも、この手を放すことはできない。
おわり
42 :
王宮小夜曲:2005/10/06(木) 21:49:28 ID:wFIY5ppF
お目汚ししました。
妄想街道まっしぐらでした…
失礼します
43 :
34:2005/10/06(木) 22:03:54 ID:7ghZ8JB5
途中で遮って申し訳なかった>32姉上…orz
そして俺カインキタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(。A。)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!
>32 姉上、GJGJ!!
自分、滅特典だったからうれしいよ
謀反帰りで凹んでたけど、投下に再萌え
>32姉上GJ!
僕カインタンヨカターヨ・゚・(ノД`)・゚・
薔薇が純で萌えス!
この後、薔薇はカインタンと姉上をコソーリ応援していくんだろうなあ・・・・・・
・・・・・と思う反面、これをネタにレイーポだったら薔薇本性フカーツ!!・・・・
スマソ、私ノ頭ノ中ハエロ変換標準装備・・・・orz
次号待ってます。
今日はwktkしながらここに張り付いてます
姉上GJ!!
傷心薔薇(*´д`*)ハァハァ
>>32 またまた神がキタワァ*・゜゚・*:.。゜(n‘∀‘)η゚・*:.。 ゜゚・* !
ちょっと黒めの僕カイン?がツボだ。そして薔薇せつねー!
続き楽しみにしてます姉上!
48 :
ジーク×姫:2005/10/06(木) 22:29:04 ID:VFa4GXd7
地味にしかも微エロなジーク×姫です。
自サイトに出すか迷いましたが、コンテンツ作成に手が回らないので
こちらに投下させて頂きます。
ジーク駄目な方はNGどぞ。
49 :
ジーク×姫:2005/10/06(木) 22:29:38 ID:VFa4GXd7
「こちらへおいでなさい、カイン、姫。」
先ほどから謁見の間、扉の奥から視線を感じていたが、
ハインツ国王に促され入ってきたのは、何とも美しく愛らしい二人の小さな王族だった。
「初めましてジーク。僕は、カインといいます。それと、こちらは僕の姉上!」
将来の王となるに相応しい、太陽の様な眩さを感じる笑顔で迎えてくれた王子。
そしてその双子の弟から誇らしく姉だと紹介された姫は、
王子と面差しは酷似しているものの、その雰囲気はまるで正反対の、
優しい月の光を纏ったような、美しい少女だった。
己に生きる希望を見出せなくなったのなら、
今を生きる子供達を導いてやって欲しいと、王は請うた。
そして私は、私の罪を知る数少ない人物からの
涙が出るような暖かな願いに…応じた。
そしてその数年後…この国の存続を憂いた王からのただ一つの願いにも応じた…。
だが一つ処に長く留まる事は出来ない身の上。
10年…10年を区切りにこの王宮を出る。…出なければならない。
いずれ王宮内にこの変わらぬ姿を目の当たりにし、
不審に思う方々が出てくるのは明白であったから…。
そしてその思いは王陛下へも伝えていた。
50 :
ジーク×姫:2005/10/06(木) 22:30:23 ID:VFa4GXd7
10年が過ぎた。
あっと言う間であった…。
典医として、若年の王子、王女の指南役としての暖かな時、
永劫の生の中、その幸せな時間はあっという間に過ぎ去った。
あの時私に新たなる生きる希望を見出してくれた王陛下はもういない。
優しい眼差しで全てを知りながらも無言で見守ってくれていた麗しき王妃も、もういない。
そして…カイン様も、もういない。
だが、私はまだこの王宮にいる。
何故だ?
王一家の悲劇があったからか?
王陛下に請われて誕生させた新たなるカイン様の行く末を案じたからか?
…答えは否。
最近のカイン様は目を見張るほどの活躍を見せている。
最早彼の姫の助けがなくとも、生前のカイン様同様、
むしろそれを凌ぐ勢いで公務をこなされているのだから。
ならば何故私はここにいるのだ…と想いを馳せれば答えは一つ。
初めて逢ったあの時に…既に彼の姫に囚われていたのだ。
だから私は未だこの王宮に留まっているだけなのだと思い知る。
51 :
ジーク×姫:2005/10/06(木) 22:31:04 ID:VFa4GXd7
「ああ……ジークっ!!」
真っ暗な室内で月の光を背に、あなたは絶えず私の上で踊っている。
「あ、ぁ…もっ…も…駄目……お願…い……は…はぁっ…」
私に貫かれながら、強請る様な腰つきで私の胸に手を付き乳首を弄る貴女が眼差しで請う。
もっと奥まで刺激が欲しいのだと。
視察で訪れた他国の賓客が、さながら天使の様と称える貴女を…
私の手でこの様に淫らな女性にしてしまった。
あの時…貴女は拒まなかった。
私の背負った罪全てを知っても、この先に彼女と共に歩む未来等無いのだと言っても、
それでも私の全てを受け入ると、どこまでもついて行くと、そう言った。
拒める筈もない…その言葉を心のどこかでいつも待っていたのだから。
気付けば泣きながら私に縋りつく貴女の唇を…激しく貪る私がいた。
月が雲に隠れても、貴女の白い肢体が闇夜に浮ぶ。
貴女の腰をグっと引き寄せると息を飲む吐息が聞こえた。
繋がったまま向かい合わせに座り、
豪奢なベッドが揺れる程、互いを高めあう為に腰を振る。
揺れる度に上下する艶かしい乳房に吸い付くと、
私の頭をかき抱き、身を捩りながら貴女は絶えず嬌声を上げる。
繋がれた部分からは粘着質な淫らな音、私を求める貴女の声、
貴女を求める私の息が木霊する。
52 :
ジーク×姫:2005/10/06(木) 22:32:08 ID:VFa4GXd7
何度も何度も貴女の中を行き来し、
最後を迎える為に膝裏に両の腕を通し、貴女を押し倒す。
上から腰を叩きつけ、最後の一瞬に向かって動きだすと、
貴女の中から溢れ出た愛液にまみれ、まるで私を束縛するかの様に
貴女の中が急速に締まりだす。
「あ、…ああぁ…ジーク、…私、もう…っ」
「…ええ、姫……っ、共に、…参りましょう…っ」
先ほどまで淫らに私を誘っていた貴女はどこへ行ってしまったのやら…。
腕の中には無垢な天使が眠っている。
明日、私達はこの王宮から姿を消す。
…カイン様は全てをご存知なのだという。
全てを知った上で黙してくれているのだと。
姫は病によりアーデンよりさらに北方の、
祖母方の縁の修道院に入るという算段になっているのだと言う。
私の中にまた一つ罪が生まれた。
かつて生きる希望を見出せなかった私を、
さながら家族の様な愛情で持ってこの王宮に迎えいれてくれた王陛下、王妃。
彼らの愛娘を永遠の檻に閉じ込める。
だがこれは何と言う甘美な罪なのだろうか。
私はきっと離さないだろう。この美しい天使の手を。
以上です。
文章変なとこ多々ありお目汚し失礼致しました。
54 :
37:2005/10/06(木) 22:41:13 ID:IbW2gU5b
>>32-
>>42姉上乙です!薔薇優しい(*´д`*)
途中割り込みしてスマソ orz
>>48-
>>53姉上、エチにドキドキしますた!
>>48 姉上乙!!冒頭の幼少双子いいな…
今夜は(*´Д`)ハァハァ 祭だ
うれしいよ、姉上
>>48 ( * 'д`)ハァハァハァハァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ ノ \ア ノ \ア / \ ア / \ ア!!!
ごちです!!幼少双子テラカワイス!そしてエチーにドキドキですた…
今日は祭りだな
王宮に浮かれて初めてSSに挑戦してみました。
拙い文章のうえ、無駄に長く、読みづらいと思いますがご容赦下さい。
これは、典医Bad Endのパラレル「眠り姫編」です。
典医ルートではあるのですが、どちらかというと姉上×典医寄り(?)の典医VSカインになります。
エロは殆どありません(僅かに有り)。
物語は姉上がカインを庇い重傷を負った場面から始まっています。
1
背中が燃えるように熱い。
それすらも一瞬のこと―――。
後は、ただ、闇、闇、闇。
私は闇の中に沈んでいく―――。
何処かでカインが呼んでいるような気がした。
2
王女の背中から溢れ出す生暖かい液体がカインの白い上衣を深紅に染める。
薄明かりの中、それは殆ど黒と言っても良かった。
王子と王女を徐々に斑な闇色へと染め上げていく。
「姉上っ。姉上っ。」
その声に反応するかの如く王女の瞼が僅かに動き、美しい瞳の色がチラリと覗いた。
震える白い指先が、弟を求め弱々しく持ち上げられる。
「……っ…た…」
言葉にならない声が唇から零れた。
安堵したような微笑みを浮かべるとその瞳は再び固く閉じられる。
―――カインが無事で良かった……
姉の指先は弟に触れることなく力無く落ちていく。その頬を一筋の雫が伝っていた。
カインは力が失われていく姉の身体をその腕にかき抱く他無かった。
「姉上っ。姉上っ…」
繰り返す呼びかけも只虚ろに響く。
「姫!」
誰かの声が姉弟の間に割り入った。
カインは姉を抱く両腕に力を込め、声の主へとノロノロと視線を向ける。
「…血が…姉上の血が…止まらないんだ。」
王子の瞳が縋るように典医を見つめる。
「なぁ…ジーク。姉上を助けてくれ。お願いだ…姉上を、姉上を…助けて…」
最後は声にならない悲痛な叫びだった。
「カイン様、退いてください。」
日頃の立ち振る舞いからは想像も付かないような力強さで、ジークはカインを押しのけた。
愛しい人を抱く両手が直ぐに朱に染まる。
この命の火は幾ばくもない。
ジークの両腕に震えが走った。握りしめた右手の小瓶が強く掌に食い込む。
左手で王女の上体を支えると、小瓶の蓋を銜え力任せに引き抜き床に放った。
蓋は厚手の絨毯の上に音もなく転がる。
王女の唇に小瓶の口を押し当て中の液体を送り込もうとするが、既に嚥下する力は無いのか唇の脇から雫となって床に落ちていった。
「お願いです。この薬を飲んでください。あなたが助かるには、もうこれしかないのです。
あなたにどんなに責められようと構わない。どんな責め苦も負いましょう。
ただ、私はあなたを失いたくないのです。」
典医の涙混じりの懇願は王女の耳に届かない。
王女は徐々に色を失っていくように見える。
ジークは小瓶の中の液体を呷ると王女の唇に自らの唇を重ねた。
固く閉ざされた唇を割り、無理矢理王女の口中へと薬を送り込む。
行き場を失った液体の一部が重なり合った唇から零れ、王女の喉を濡らす。
僅かだが王女の喉が鳴った。
「姫…」
典医が王女の耳元に囁きかける。反応は…無い。
「……姫…」
抱きしめる手に力を込める。
「……ひ…め…?」
腕の中の身体が僅かに動いたような気がした。
王女の唇に寄せたジークの頬に暖かい空気の流れを感じる。
よく見るとゆっくりと胸が上下していた。
―――死地に赴く前に間に合った…のか?
安堵がジークを包み込む。
「ジーク、姉上は…?姉上は一体どうなったんだ?」
両手を深紅に染めたカインがジークに詰め寄る。
まるで典医から奪うかの如く、姉の身体を強く抱くとその胸に自分の耳を押し当てた。
心臓の音は聞き取れないが、その胸が上下していることは確かだった。
「姉上…良かった…」
その姿を眺めながらジークは奇妙な感覚に囚われていた。それが嫉妬だと気付くのに時間は入らない。
「姉上…」
王子が王女を呼ぶ。
「姉上…姉上…」
王女は応えない。
「姉上…?」
王女は目を覚まさない。
長い、長い眠り。終わりの無い夢―――。
王女は瞳を閉じたまま…
3
「姉上に触るなっ。」
王女の頬に触れようとしていた典医の指先がビクッと震え、硬直した。
「…いや、御免。ジークには感謝しているんだ…
でも……嫌なんだ。姉上に誰かが触れようとするのは…」
「カイン様…私は医者ですよ。
カイン様が姉君を大切にされるお気持ちはわかりますが、触れないと診療できません。」
寝台には王女が横たわっている。その瞳は長い間、固く閉じられたままだ。
あの日から王女の瞳の色を見た者はいない。
「カイン様、いくら弟君といえども診察中は退室願えますか?」
「あ、ああ…」
頬を染めながらも王子は渋々といった様子で部屋を後にする。
ジークに向けられる視線が医者に向けられるものとは異なるように感じるのは彼の思い過ごしだろうか。
天蓋付きベッドでは眠り姫がジークを待っている。
眠り姫の白い頬に指を滑らせると唇から僅かに声が漏れた。
今にも瞳を開けるのではないかと期待せずにはいられない。
僅かに開かれた唇から息が漏れる。
ジークの指が紅く色付く唇をなぞった。
「……フッ」
溜息とともに己を現実へ引き戻す。自分は医者なのだと。
王女の首筋に指を這わせる。
上半身を起こし、夜着を肩から落とすと形の良い双丘が露になった。
そっと両手で包み込む。両の掌に当たる突起の感触が愛しい。
王女の口から吐息が漏れた。
左の乳房を支えるように手を添えると規則正しい鼓動が伝わってくる。
垂らされた髪をかきあげ、白い背中へ指を這わせるとジークは顔を顰めた。
指先があの日の傷跡を描く。
ある筈のない傷。
あの薬を服用したのなら、こんな傷はとうに消えていても良い筈だ。
薬の量が足りなかったのか。それとも―――
ジークが診察を終え、部屋の扉を開くと、カインが壁に寄り掛かり待ち構えていた。
典医に向けられる視線はどこか厳しい。
「ジーク、姉上はいつ目を覚ますのだ?」
何度も繰り返された問いかけに、いつもとは異なる言葉を返したのはカインの射るような視線の為かも知れない。
「…今すぐか、一年後か…十年後か………それとも…百年後かも知れません。」
カインの顔にあからさまな不審が浮かぶ。
「ジーク、百年などと馬鹿にするにも程がある。その頃には皆死んでいるではないか。
ずっと貴方を信頼してきた。それを裏切るというのか?」
「私は冗談を言っているのではありません。あの薬は―――」
ジークは己の身の上を淡々と語った。
「あの薬を用いねば、姫は死出にあったでしょう。私は後悔などしていません。
いつか必ずや目覚めさせて見せます。」
その言葉は静かな自信に溢れていた。
「…」
暫しの沈黙ーーー。
「…ジーク、頼みがある。」
無言でジークの話に耳を傾けていたカインは、少し考え込んだ後、口を開いた。
「その薬…僕にも飲ませて欲しい。」
その瞳に迷いはない。
「いけません。カイン様。悠久の時を生きていくということは、堪え難い程辛い事なのですよ。」
「しかし、姉上はどうなる!姉上が目覚めた時、側には誰も居ない…
そんな辛い想いを姉上にさせるというのか!?」
カインは激昂して声を荒げた。
―――私が居ります。
ジークはそう声に出そうとして思いとどまる。
「カイン様、姫が悠久の時を生きていくのかはまだ分かりません。
薬を服用した場合が場合ですから、普通に歳を重ねていく可能性も残されています。
今、決断を下される必要は無いでしょう。五年後、十年後でも十分に間に合いますよ。
それまでにカイン様のお考えも変わっているかもしれません。」
「考えが変わるなどということがあるものかっ!」
反論しようとするカインを押し止め、ジークは言葉を続ける。
「それよりも、カイン様が為さねばならないことがあります。王になるのです。
それが姫の望みであり、ひいては姫の為になるのです。」
「姉上が隣に居らぬ玉座など、何の意味があるというのだ。」
姉の存在があってこそ、記憶を失った弟は今まで頑張ってこれたのだ。
「カイン様は、姫の居場所を作らねばなりません。
貴方が王である限り、姫の居場所は守られるのです。」
―――いつか目覚める姉上の為に…
「もし、王になることを拒否したら…?」
「私が姫を連れて城を去ることになるでしょう。貴方から姫を奪います。」
ジークは何の躊躇無くキッパリと告げた。
4
即位式の日を迎えた。
王女が目覚めないという異常な事態の中、一時は延期が噂されたものの、
これ以上空位にしてはおけないと予定通り執り行われることとなった。
盛大な式典でありながら、どこか物悲しい。
視界に入る不在の席が哀しい。
王の隣で微笑む幻影を瞳は映し出す。
―――姉上…いつかその瞳を開けて僕に微笑んでくれるよね…
式典は滞り無く進行する。
新国王は、国民に対して、臣下に対して、そして愛しい者のために宣誓する。
この国を統べていくことを…
「私、カイン=マクリールは―――」
今日から王子は王になった。
5
白い花を摘んで花冠を編む。
何処までも緑の大地は続き、青い空にはゆったりと白い雲が流れていく。
草原を渡る風が心地よい。
未だ幼い私は、編み上がった冠をカインの頭に載せた。
「カインは王様ね。」
私と同じ色の瞳でカインがにっこりと微笑む。
その微笑みが嬉しくて、思わず私も笑顔になる。
「じゃあ、姉上は?」
私は、一生懸命考える。カインが王様なら私は?
「うーん…女王様!」
「女の人は王様になれないんだよ。」
「えーっ!」
私の残念そうな顔にカインは慌てたように言う。
「でも、でもっ。そうだ!父上と母上みたいに僕とずーっと一緒に居ればいいんだよ。」
「お母様みたいに?」
「うんっ。」
カインが力一杯頷く。
「えーっと、えーと…それじゃあ、私は王妃様ね。カインの王妃様。」
「うん、姉上は僕の王妃様だよ。」
そうして、幼い私たちは互いの顔を見つめ、にっこり微笑んだ。
穏やかな日差しの下、じゃれ合う私たち。
大きな木の側にお母様の白いパラソルが見えた。
緩やかな風が私の髪を揺らす。
『――――』
ふと、誰かが私の名前を呼んだ気がした。
私を名前で呼ぶのは―――お父様?―――お母様?
『――――』
私を呼ぶのは誰?
「誰かが…姉上を呼んでいる……ね。」
カインが呟いた。
空は何処までも、何処までも蒼い。
気が付くと目の前の幼かったカインがいつの間にか成長して私を見下ろしている。
「どうやら姉上は、帰らねばならないようだ。」
優しい微笑みを浮かべ成長したカインは言う。
その瞳がどこか寂しげなのは私の気のせいだろうか…?
『――――』
繰り返される私の名前。
『――――』
呼ぶのは誰――――?
……………
…………
………私はゆっくりと瞳を開ける――――――
<Fin>
おまけ:「バラのアダージョ」
姉上×エドガーの(中途半端な)エロです。
ちょっと鬼畜だと思うので苦手な人はスルーしてください。
月の光だけが部屋を照らしていた。
男の舌先が女の唇の上を紅をさすかの如く蠢く。
艶かに色付く唇に吸い付くように男は唇を重ね、更に奥に入り込もうと舌を動かす。
呼吸を妨げられた可憐な唇は新鮮な空気を求め僅かに開かれた。
「んっ…」
消え入りそうな声が漏れる。
その隙間を逃さず男は舌を奥へと進めた。
長い、長い口付け…
男は唇を離すとと悔しそうに顔を歪めた。
「物語の姫君は口付けで目覚めるものではないのか?」
エドガーは眠れる姫君へ悲しげに言葉を落とす。
頬に掛かる髪を枕元に落とすと可憐な耳が露になった。
舌を這わせ、耳たぶを甘噛みすると眠り姫の唇から吐息が漏れる。
「お前は、それ以上を望むか…贅沢な奴だな…」
耳元で優しく囁くと姫君の上体を起こし、その顔を胸に抱いた。
「そう言えば、古の物語では姫君は口付けで目覚めたのではなかったな。」
手慣れた手つきで着衣を脱ぎ捨てると、月光に引き締まったエドガーの体躯が浮かぶ。
次いで、眠れる姫君の夜着を肩から落とすと白い二つの膨らみが目に飛び込んできた。
その先端は薄紅色に染まり、エドガーを誘う。
指で摘むと腕の中の姫君が身じろぎした。
膨らみを捏ねると、突起が固さを増し掌を刺激する。
「フフッ…眠っていても感じるか…」
エドガーは突起を口に含み舌先で転がした。
軽く歯を立てると姫君の身体がピクビクと反応する。
エドガーの人差し指は胸から下半身へ向け身体の線をなぞり、
姫君の夜着の下で太ももを何度も行ったり来たりした。
そして、それに飽きると茂みの奥に指先を導く。
「ぁ…」
眠り姫からか細い吐息が漏れる。
「どうした。声を上げないのか?お前の声が聞きたい…」
エドガーがそう声を掛けるが反応は返ってこない。
姫君の秘部に何度も指を這わせるとその指先が濡れてくる。エドガーの指はさらに奥へと滑り込む。
「古の姫君は―――確か眠ったまま子を産み、その子が姫の指を吸ったことで目覚めたのではなかったか…」
エドガーは眠れる姫に軽い口づけをすると、固くなった己自身を姫の入り口へと宛てがいゆっくりと侵入していった。
<End>
今日は祭だワショーイヽ(´∀`)人(・ω・)人( ゚Д゚)人(・∀・)人( ̄ー ̄)人(´_ゝ`)ノ
脳内萌えメータが振り切れそうでつよ・・・
>48姉上
ナニガビエロダヨー( ´∀`)σ)Д`)
ガッチュンじゃないですか!
典医むっつりエチー萌え
本作の姉上もここまでエチーだったらなぁ
GJですた!
>57
パラレルGJ!
やっぱり典医はムツーリ(*・∀・*)エッチー!!
男キャラ×姫←カイソの設定はやっぱり(・∀・)イイネ!!
ご馳走様でした!
>>57 乙です姉上GJGJ!眠り姫、初めに話してた時から楽しみにしてましたよ
あ〜三角関係萌え!
そしておまけの薔薇にも(*´Д`) '`ァ'`ァ
今日はご馳走だらけだよー!!
漏れも久しぶりにSS書いたので投下させてもらいまつよ。
注意!!マジで近親相姦です。
実弟カイン←姉上
エロが無い上に暗いです。
ゲーム内での姉上の気持ちみたいな話です。
「姉上。」
私を呼ぶ声も、顔も、髪の毛の色も同じ・・・。
「カイン・・・。」
私が呼ぶ名前さえも同じなのに、目の前の人はあの人ではない。
今、目の前にいるのはあの人のかわり・・・。
でも、私の愛したあの人にかわりはいない。
姉弟だとしても、たとえ結ばれることができなくても一緒にいるだけで幸せだったのに
どうして・・・死んでしまったの。
カイン・・・あなたは誰にも気づいてもらえないまま土の中で眠っている。
目の前にいるこの人がカインと呼ばれるのを聞くたびに、
あなたが存在していたことを否定されているようで
私の胸は締め付けられて苦しい。
いっそのこと、私もあの夜にあなたやお父様、お母様についていって死んでしまえば良かった。
「姉上・・・悲しいの。」
「ご・・・ごめん・・・なさ・・・カイン。」
でも私は死ぬことはできない、あなたと約束したから。
目の前にいるこの人を見守ると約束したから、
私はこのカインを支えていく強い女になると決めた。
でも・・・ごめんなさい。
「カイン・・・ふっ・・・うっ・・・。」
これで最後にするから、強い女になるから、
今は、あなたを想って泣かせてください。
71 :
69:2005/10/07(金) 00:46:41 ID:KhsHR6lr
短くてスマソ。
姉上方のお目汚しにならなければいいが・・・。
実はこの話
裏設定が『実弟カイン←姉上←カイン』なんだ。
最初はカイン視点で書こうと思ったが
姉上が書きたくなったのでこっちにしてみた。
姉上方の温かい萌えの中に暗いもの落として本当にスマソ。
>20
僕カイソあちらでも感想書きましたがGJ!
>32
薔薇最萌なので切ないが嬉しい…。
カイソタンがしっかり王様に成長してるのも嬉しい!GJ!
>57
最後切ない…でもエエ話や。姉上アリガトン 。・゚・(ノ∀`)・゚・。
>70
切ないですね…
でも姉上の葛藤、弟を想う気持ちが伝わってきたですよ!
ゲームやってる最中、夢の中本物カイソタンが登場したもんだから余計に…。
実は漏れも全く同じ設定のss書いているのですが、
後ほど投下させて頂きます。
近親相姦…本当にヤってるだけの話なのですが…。
>>69 実弟キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!ごちです!
実弟も禿萌えなんだ。事故前の仲睦まじい所も見たいハァハァ
そしてカインが報われる事を祈るよ…
>>73 実弟?!(*´Д`) '`ァ'`ァ楽しみにしてまつ
たまらぬ!(*´Д`)'`ァ''ァ
なにこれもう萌え殺される!うざいけど全レスしちゃえ
僕カイン×姫 姉上 情景の浮かんで来るその表現がたまらぬ!
王宮小夜曲 姉上 悩む姉上とおいしい所を攫って行くエドガーがたまらぬ!
ジーク×姫 姉上 嬉しげに自慢そうに姉上を紹介するカインがたまらぬ!
そして淡々と綴られるジークの描写がたまらぬ!
眠りの森の王女1 典医VSカイン 姉上 全身から血という血が吹き出すかと思う程萌えてたまらぬ!
典医姉上、カイン姉上、実弟カイン姉上、薔薇姉上網羅ってあなた…もうたまらぬ!
実弟カイン←姉上 姉上 実弟カイン←姉上←カイン萌え!!そうだよ、こういう描写がなくて残念だった私にはたまらぬ!
ありがとう、スレがあってよかった
(*´Д`)ハァハァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ ノ \ア ノ \ア / \ ア / \ ア
まあとりあえず藻前らもちつけと。
77 :
48:2005/10/07(金) 03:37:28 ID:osKEXsoG
何やら幼少双子が評判良かった様で…。
実は48で投下したジークssの前に書いてあったのが今回投下するssなのですが…
73でも申しましたが、カイソタン×姉上の完全近親相姦ものです。
分身カイソタンではなく生前のカイソタンとのちょっと生々しい性描写があるとです。
苦手な姉上方はNGワードに 近親相姦 と入れてください。
ちなみにちと長いので、それもウザイ方はスルーしちゃって下さい。
78 :
近親相姦1:2005/10/07(金) 03:38:46 ID:osKEXsoG
遠慮がちなノックに目を覚まし、そっと扉を開けると弟が枕を抱えて佇んでいた。
「姉上、眠れないんだ。…一緒に…寝ても、いい?」
父王、母后が他国へ出向き不在にする度、
カインはよく私の部屋に来てはこうして同じベッドで眠りたがった。
ベッドの中で手を繋ぎ、今日あった出来事や、絵物語の話をする為に。
「姉上、ごめんね?きっと明日女官長に叱られてしまうね。」
それでもカインはどこか嬉しそうに微笑むと、私の手をぎゅっと握り締め、目を閉じる。
「10歳を過ぎた男女が同褥してはいけません!」
女官長のいつかの小言が思い出されるが、それでもかまわなかった。
端が呆れるほどに仲のいい姉弟だったのだ。
79 :
近親相姦2:2005/10/07(金) 03:39:47 ID:osKEXsoG
遠慮がちなノックに目を覚まし、そっと扉を開けると…
逞しく成長した美しい弟が、憂いを帯びた瞳で私を見下ろしていた。
「姉上…。」
薄い夜着に覆われた私の肩に手をかけ、
するりと室内に潜り込んでくる。
胸を押しのけて必死に外へ追おうとするが無駄に終わり、
後ろ手にドアを閉め、施錠した弟に懇願する。
「…カイン、お願い、部屋へ戻って頂戴。こんな事、駄目。何度も言うけれど私達は…っっ!」
最後まで言葉を発する事を許されず、カインに唇を覆われた。
両の頬を強く挟まれ、無理矢理上向かせられ、抵抗する間もなく。
何度も何度も唇を押し付けられ、吸い上げられ、
こじ開けられた歯列の隙間から熱い舌が進入し、ねっとりと這い回わる。
息つく暇さえ与えられない情熱的な口付けが始まると、最早抵抗など出来なかった。
それが終わる頃には息も絶え絶えになり、身体を預けるしか術がなくなるのは、
…いつもの事だった。
80 :
近親相姦3:2005/10/07(金) 03:40:45 ID:osKEXsoG
16歳を過ぎた頃だろうか。
私にブラヒストと並ぶ大国の王族との婚約話が持ち上がった事があった。
結局相手国の情勢が良くないという理由で無かった事にはなったのだが…。
その頃からだ。カインの様子がおかしくなったのは。
以前は無邪気に私と接していた彼のその眼差しの中に、
言い知れない熱い感情が垣間見える様になった。
謁見の最中、公務視察の合間、王宮の中…
彼はいつも私を見つめていた。
…怖かった。
それはカインに対する畏怖ではなく、
遠くない未来に過ちを犯してしまうのではないかという確信めいた予感、
そしてそれをきっと許してしまうであろう私自身が怖かった。
そしてそれは…現実となった。
81 :
近親相姦4:2005/10/07(金) 03:41:48 ID:osKEXsoG
「姉上…美しいよ。」
溜息混じりに全身を鑑賞され、羞恥で頬が熱くなる。
既にカインによって一糸纏わぬ姿で寝台に運ばれていた私の身体は、
掌で肩から胸、わき腹をゆっくりと撫で摩られていた。
全身が震える様な、何とも言えない快感が目覚める。
こめかみに小さく口付けられた後、耳を舐められ、舌を挿入された。
「…っ!ぁ…。」
手の甲で口を押さえ、声を上げない様にするので精一杯なのだが、
それを見たカインは仰向けになっている私の両手首を上で拘束し、
まるで胸を差し出す様な体勢にさせた。
「い、いやっ!」
遠慮の欠片もなく乳首に吸い付かれ、身体に電流が走ったかの様な刺激を与えられた。
そのまま優しく舐め上げられ、食まれを繰り返されると、もう声を押さえる事など出来ない。
「あぁ…っ、あ、カ…イン…っ!」
力の入らなくなった両手は解放され、
乳首を貪るカインの柔らかい髪に指を差し入れ、抱きしめながら身を捩る。
82 :
近親相姦5:2005/10/07(金) 03:42:55 ID:osKEXsoG
乳首への愛撫だけで愛液が溢れているのを気付かれたくなくて膝を擦り合わせるが、
ふいに身体を離したカインは私の両足首を掴むと大きく左右に割り、
露わにされた恥部へ息を吹きかける。
「姉上…嬉しいよ。喜んでくれているんだね。…ほら、こんなに溢れてる。」
割れ目に沿って指を這わせ、糸を引き愛液に塗れた指先を私に見せ付ける様に舐める。
「…!い、いやっ。」
「いや、じゃないよね?姉上。」
嬉しそうに恥部に顔を埋めたカインはジュルジュルと音を立て、
愛液を啜り、唇全体でソコを吸い上げる。
敏感な花芽を指で丁寧に剥き出すと、小刻みに舌で愛撫された。
そのまま何本かの指を胎内に挿入され、内側を掻き出す様に動かされると…
「ああぁっ、カ、イン…っ!も、もう私…わ、たし…ああっ!」
堪らなくなった私の目の奥に真っ白な閃光が走り、どこまでも落ちる。
自分ではコントロール出来なくなった身体が痙攣を繰り返した。
83 :
近親相姦6:2005/10/07(金) 03:43:47 ID:osKEXsoG
「姉上…可愛い。」
恥部から顔を上げ、私の愛液で塗れた唇を手の甲で拭いながらカインが言う。
ぐったりとした私を労わる様に抱きしめ、何度も背を摩られた。
荒い息が収まった頃、それを察したカインに右手首を掴まれ、逞しい分身に触れさせられる。
「姉上、もう大丈夫?…いい?」
目元を赤く染めながら弟が乞う。
互いに見つめあいながら、触れさせられた肉棒を優しく握り締め、ゆっくりと上下に扱く。
「…は……っ…あね、うえ…」
何度もそれを繰り返すと、目を潤ませたカインがクっと眉を寄せ、快感の溜息をつく。
掌に包まれた肉棒は熱さと大きさを更に増し、先端から快楽の液を流し始めていた。
私は徐にカインの股間に顔を埋め、目の前のいきり立つ分身に舌を這わせる。
形に沿って舐め上げ、少しでもカインが反応する部分には唇で強い刺激を与えた。
先端を口に含み、窄ませて吸い上げると、
「あ…っ…あね…上、いいよ、すごく…いいっ!」
私の頭に手を添え、全てを口に含む様催促をして来た。
84 :
近親相姦7:2005/10/07(金) 03:44:38 ID:osKEXsoG
グっと根元まで飲み込み、吸い上げる様にして先端まで戻るを繰り返す。
もう片方の手で肉棒の下にある袋の部分も優しく摩ると、
カインは堪らなくなったのか、自ら腰を振ってきた。
「姉上、は…ぁっ…あね、う、え…っ!…愛してる、愛しているんだ、貴女だけを!!」
その言葉に答える様に頭を上下させ、激しく愛撫した。
そしてカインの内股がピクピクと痙攣し始めたかと思うと、
突然両頬を掴まれ、私の口からずるりと肉棒を取り上げる。
そのまま膝立ちになったカインは肉棒を数回扱き上げ…
「姉上、姉上…っ……はぁ…っ…っぁ……っ」
硬く目を瞑り顎を上向かせながら、私の胸に断続的に射精を繰り返した。
私はその光景をうっとりとしながら見つめる。
絶頂を迎える瞬間の弟の何と美しい事か。
85 :
近親相姦8:2005/10/07(金) 03:47:33 ID:SCTNokkN
その瞬間を見られていた事の羞恥からか、カインは私をぎゅっと抱きしめる。
快楽の波が去り、シーツの上でまどろんでいると、
ふとカインは今までに見せた事が無い様な切ない瞳で私を見つめてきた。
「いつか…姉上と…一つになりたい。」
何も答える事は出来なかった。
どの位の沈黙だったか。私が押し黙ったままでいると、ごめんと謝ってきた。
初めてカインの求愛に応えた日、私は条件を出したのだ。
もし身体を愛し合う事が出来たとしても、身体を重ねる事だけは出来ないと。…怖いのだと。
苦しげな表情だったのを記憶しているが、それでもいいと、カインは言った。
哀しげな眼差しを私に送りながらカインは続ける。
「一つになる…それが叶わなくてもいい。だから約束して、どこへも行かないと。
そして僕も約束する。この国と、姉上を一生守り通すと。」
86 :
近親相姦9:2005/10/07(金) 03:48:17 ID:SCTNokkN
カーテンの隙間から差し込まれる朝の光に目を覚ます。
すでに半ば着替えを済ませたカインが振り返った。
「ああ、姉上、起こしてしまった?…もうすぐ6時だから、行くね。」
今日は父王、母后に伴なってカインも視察へ出かける日だったのを思い出す。
まだ薄ぼんやりとしている私の瞼に口付けを一つ落とし、
「じゃあ、行って来るよ。待っていてね?」
そう言った弟を、ベッドの上から微笑んで送り出した。
それが、私の記憶にある弟の最後の姿になった。
87 :
近親相姦10:2005/10/07(金) 03:48:58 ID:SCTNokkN
そして…
ノックの後に続いてカインが扉をあける。
「お早う、姉上。」
「お早う、カイン。また一週間頑張りましょう。」
日課になった挨拶。
だが来月はとうとうカインの即位式を迎える。
亡き父王がジークの秘術によって誕生させたカインの分身。
父王、母后、そして何よりもカインの死が信じられずにいた私にとって、
このカインの世話に明け暮れる日々は何よりの慰めとなった。
あれから凡そ一年半…。
この子はカインであってカインではない。
それは身近にいればいる程にわかった事実。
端から見れば生前のカインと何の変化もないのだろう。
元の性格は驚くほどそのままだ。
だが今のカインは私の前では幼少の頃の彼がそのまま成長した様な印象。
そして公務の場では落ち着いた、どこか理知的な印象を思わせるという二面性もある。
あの、私への感情を押さえられずにぶつけてきたカインとは、違うのだ。
とうとう最後まで、私の口から愛していると告げる事はなかった弟…。
だが私は気付いてはいけないもう一つの感情が自分に芽生えている事も自覚している。
一人でそっと思いを馳せていると、
「姉上…どうしたの?」
不安げにカインが私を覗き込んでいた。
その揺れる眼差しにかつての彼を思い出し、吸い込まれそうになる。
突然泣き出した私を、カインがそっと抱きしめてくれた。
何でもないから、と身体を離そうとした私を、
予想外の大きな力で再び引き寄せられ、潰れるほどに抱きしめられる。
「姉上、何でも僕に言って。今度は僕が、必ず姉上を守るから。」
その言葉に再び涙が溢れ出し、暫くの間そうして抱き合っていた。
88 :
近親相姦11:2005/10/07(金) 03:49:51 ID:SCTNokkN
即位式は無事滞りなく幕を下ろした。
カイン・マクリール新国王の御世の幕開けでもある。
カインの式典での見事な宣言には、
あの評価の厳しいエドガーやシモーヌ様でさえ賞賛を贈っていた程だ。
こうして私の役目は終わった。
部屋へ戻った私は、ずっと窓の外を眺めていた。
今は闇夜に覆われ視界に入らない霊廟のある方角を。
私は胸の中で懺悔した。
…かつて愛していた弟よ。
最後まで告白する事は出来なかったけれど、
私はあなたを姉ではなく、唯一人の女として愛していました。
あなたがこの世を去って今…、私にはもう一人愛する人が出来ました。
ごめんなさい。
それはあなたであってあなたではない、カイン。あなたの分身です。
この手で育てた、私だけのカイン。
この想いはきっと報われないだろうけれど、
報われてはいけないのだけれど、
あなたにだけは、ちゃんと報告しておきたかったの…。
ふいに遠慮がちなノックが聞こえ、扉の奥からカインが現れた。
「姉上、今いいかな…。…姉上…今まで言えなかったことがあるんだ。
でも、どうしても姉上に聞いて欲しい…。」
89 :
48:2005/10/07(金) 03:50:54 ID:SCTNokkN
以上終了でございます。
お目汚しな上長々話で失礼しますた。
リアルタイムで読ませて頂きました。
実弟がこんな良いものだとは…(*´Д`)
姉上とダブルカインの関係、最高に萌えです。
EDに繋がりそうなラストもまさに絶妙。惚れました!ゴチです!
寝てた間にまたネ申降臨してたヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノ
姉上たちの脳内補完のすばらしさ、とにかく(・∀・)チゴイネ!
良くぞかたちにして表に出してくれた!
>70姉上
GJ!
こういうの、好きだ!
本物カインタンの夢見て、このSSよむとまじでセツナウツクシス。
少し暗くてもまったくおkなのが王宮クオリティ!
>78姉上
本物カインタン黒エロ杉。
最後までやらなかったあたりシチュ的にエロい。
本作と上手にリンクしているところなんてもうGJ!
うまいなあ・・・・GJGJ!
今起きたけど、投下続いてたんだね。
(*´Д`)ハァハァ 祭りは終わる気配なし。
あとでじっくり読ませてもらうよ、姉上
いけない姉上達、GJGJ!
ここはパラダイスだよ(*´Д`)=З
自分も未熟ながら祭りに参加させてもらいます。
微エロの団長×姫
トラウマ解放ルート発見記念という事で。
94 :
ヴィン×姫:2005/10/07(金) 08:57:49 ID:pbBm61f/
それはまるで夢を見ているようだった。
触れられる彼女の体温、流れるような栗色の髪、時折切なげに甘い声で
名を呼ばれれば、冷静でいられる男などこの世にいるはずもない。
ああ、こんなにも誰かを愛しいと思う事が再びこようとは思いもしなか
った──あの時、知ってしまった身体を切り裂かれるような痛みを思い出
す事も無いように、深く、心の奥深くにしまい込み、このまま朽ち果てる
つもりだったというのに。
「ヴィンセント……」
回された腕に少しだけ力が込められ、ヴィセントは彼女を気遣うように
動きを止めた。すると痛みを堪えるように彼女はヴィンセントに抱きつい
てきた。
ヴィンセントは彼女を抱きかかえるように身体を起こし、自分の胸元に
寄りかからせた。
「お辛いのですね」
彼女は初めてだった。その事にヴィンセントは内心、驚いていた。彼女
ほどの女性であれば、経験があってもおかしくはない。貴族の女性達が美
しい男性の教師を雇い、彼ら相手に恋愛の相手もするような話を小耳に挟
んだ事もあったせいかもしれない。
だが、彼女は違っていた。王国一美しく、淑やかな女性と謳われた王妃
の影響なのか、それとも彼女をその気にさせる異性が現れなかったのか、
ヴィンセントには判らない。
今のヴィンセントに分かる事といえば、どう口にすればいいのか分から
ないぐらい、自分が彼女を愛している事と、その想いを彼女が受け入れて
くれた事だけだ。それだけで、ヴィンセントには十二分だった。
「しばらくはこうしていましょう。少しは楽になるかもしれません……」
すると王女は首を横に振り、
「平気です、ヴィンセント。ただ……こんなにも深く貴方を感じる事があ
るのかと……驚いているだけなのです」
しかしそう告げる彼女は酷く苦しげで、今も、もたれかかるようにヴィ
ンセントに寄りかかっていた。
95 :
ヴィン×姫:2005/10/07(金) 08:58:57 ID:pbBm61f/
そんな彼女の優しさがヴィンセントは堪らなく嬉しかった。だから、そ
の想いに少しでも応えたかった。だが、不甲斐ない自分はその方法を知ら
ない。気持ちだけが空回りしそうな自分を必死に抑えつけ、ヴィンセント
は詫びるように華奢な彼女を抱きしめた。
こんなにも彼女は小さいのに、どうしてこんなにも自分を満たしてくれ
るのだろう──。
「……姫」
ヴィセントは俯いていた王女の顔を上向かせると、やんわりと濡れた唇
を塞いだ。少しだけ力をこめて、彼女の身体を引き寄せると、彼女はあっ
と小さく声を漏らした。
女性が一番感じやすい部分を当たるよう動かされていると気づいたのだ。
腰を押さえつけられ、密着させられたそこから生み出される甘い疼きに、
王女はむずかる子供のように頭を左右に振った。
だが、それが嫌悪感から来るものではないのだとヴィンセントは気づい
た。彼女の中からじわっと染み出してくるのが判った。それは僅かな隙間
から溢れ出し、乱れたシーツに染み渡っていく。
それに彼女も気づいたのだろう。耳まで赤くさせ、俯いてしまった彼女
の初々しい仕種にヴィンセントは溜まらず、動きを早めてしまった。
驚き、顔を上げた彼女と不意に目が合い、ヴィンセントはその唇を荒々
しく奪う。
もう、気持ちを抑える事など、できそうにない──ヴィンセントは溢れ
だして止まらない想いを、そのまま彼女に曝け出してしまった。
96 :
ヴィン×姫:2005/10/07(金) 08:59:31 ID:pbBm61f/
できる事ならば、陽が昇るまで一緒にいたい──叶うならば、一日中、彼女
の傍にいたい。
だが、そんな事が出来るはずもない。
ヴィンセントはこの国の騎士団長であり、彼女は王国の王女だ。御伽噺
の世界でもなければ、決して結ばれる事は叶わない関係だろう。
しかしそれを実際に口にする勇気はヴィンセントにはなかった。一時の
幻でも、実らない関係であっても、今のという時間がヴィンセントにとっ
ては掛け替えの無いものである事には違いなかった。
カーテン越しだが微かに空が明るくなりつつある。そろそろ本当に戻ら
なくてはならない──既に夢のような時間は終わりを告げているのだ。
ヴィンセントは隣で眠っているはずの彼女を起こさぬようにゆっくりと
身体を起こすと、己の胸に彼女の手が置かれている事に気づいた。
「姫……ずっとこうして……」
あまりに自分と違いすぎる彼女の手は、ヴィンセントが掴めば壊れてし
まいそうなほどにか細い。
ヴィンセントは壊れ物を扱うようにぎこちなく彼女を手に己の手を重ね、
眠りに付く前の一時を思い出していた。
97 :
ヴィン×姫:2005/10/07(金) 09:00:29 ID:pbBm61f/
気だるく甘い時間、王女はその胸の傷を気にしているように触れていた。
いや、彼女でなくとも、ヴィンセントの過去を聞けば、その傷を気にする
はずだ。
「姫、お気になどならさずに……」
それは見られたくないという思いから来るものではなく、今のヴィンセ
ントにとって、その傷の痛みは癒されたものに変っていた。他でもない彼
女の存在によって──だからこそ、その彼女に気を遣わせたくなかった。
すると王女は俯いたまま、
「……貴方はこれほどの傷を受けても、尚、私を好きになってくれたので
すね……」
ヴィンセントの受けた傷は決して消え去る事はないのだろう。身体の傷
は塞がったとしても、心の受けた傷は永遠に残るはずだ。
もしヴィンセントの立場に自分が立たされてしまったら──きっと彼の
ようには振舞う事などできないだろうと王女は思う。そして再び、人を好
きになる事も、恐れてできなかったはずだ。それだというのに、彼は私を
愛してくれた。なんて強い人なのだろうと思うと同時に、その道を選んで
くれた事が嬉しかった。
彼の強い想いをもっと受け入れたい──王女は掴まれた手をそのまま、
彼の胸元に顔を寄せた。
「ひ、姫……?」
次の瞬間、ざわりとしたものが駆け上がってくる感覚にヴィンセントは
驚いた。よく見れば、彼女が痛々しい傷跡をなぞるそうに唇を当てている
のだと気づき、慌てて止めさせようと彼女の肩を掴んだ。
だが、彼女は止めてはくれなかった。
もう塞がったはずの傷跡は、彼女の柔らかな唇が触れられると、まるで
再び傷口が開いてしまったかのように熱くなった。全身の血が煮えたぎる
ように駆け巡る感覚にヴィンセントは眩暈がした。
しかし流石にこれ以上は堪えられそうにない──ヴィンセントは強引に
彼女を引き離し、
「姫、お止めになって下さい! このままでは……!!」
「このままでは……?」
こちらを伺うように見上げた彼女にヴィンセントは思わず赤面した。こ
んな風に彼女がものを尋ねる時、既に彼女は気づいている。これ以上、見
透かされてしまう事が無いようにあえて顔を背けたヴィンセントに、王女
は躊躇がちに身体を預けた。
「そんな貴方が見たいと言ったら……軽蔑しますか?」
少しだけ憂いを帯びた彼女の顔にヴィンセントは言葉を失ってしまった。
自分よりも十も年下のはずの彼女が酷く大人びて見えたのだ。
98 :
ヴィン×姫:2005/10/07(金) 09:00:59 ID:pbBm61f/
そして、ヴィンセントは持て余す己の感情を認めた。
彼女の問いかけの言葉を本当に口にしたいのは、ヴィンセントも同じな
のだ。
一度抱くだけでは足りない。もっと彼女に触れていたい。彼女が自分以
外の男性に目を奪われるようがないように、彼女を縛り付けてしまいたい。
それは酷く傲慢で後ろめたい感情だった。
それを彼女に知られてしまう事がヴィンセントは怖かった。一度でも失
う事を知ってしまった自分は、何事にも臆病になってしまった。
「姫、私は……」
上手く言葉にする事が出来なくて、思わず口篭ってしまったヴィンセン
トに王女はくすりと笑った。
「いつもヴィンセントはそうやって口を閉ざしてしまいますね」
彼が口下手な事も、こんな風に気持ちを表に出す事も不得意なのだと王
女は知っている。あの冷厳で堅実と言われている騎士団長に、こんな一面
があると部下達は知ったら驚くに違いない。
彼に悪いとは思いつつも、自分にだけに見せてくれるそんな彼の態度が
王女は密かに嬉しかった。少しだけ彼を独り占めしているような気持ちに
なってしまう。
「でも、今は教えて……私はありのままの貴方を知りたいの……」
決して拒みはしないから──そう告げるに王女は自分からヴィンセント
の唇を塞いだ。
それからの事を思い出し、ヴィンセントは寝台の上で一人、顔を赤くし
てしまった。まるで覚えたての少年のように何度も彼女を求めてしまった
のだ。彼女は初めてだったというのに、辛くはなかっただろうか──いや、
辛くないはずがない。それでも彼女は堪えてくれたのだ。その想いがヴィ
ンセントには堪らなく嬉しく、そして愛しかった。
「姫……私はこの上ない果報者です……」
敬愛してやまない王を失ったというのに、もうすぐその王位にカインが
就こうとしている。最近の彼はまるで覇気のようなものをまとっているよ
うにも感じられ、その力量を疑う者は誰一人としていない。あのエトガー
ですら、彼の采配に満足している節がある。
一時期、傾きつつあったローデンクランツは再び息を吹き返そうとして
いるのだ。
その愛する国の為に働ける事に、そして再び人を愛する事を教えてくれ
た彼女と想いを交わせた事に、ヴィンセントは心の底から感謝を覚える。
だから、今は、これ以上は望んではいけない。
今はカインの即位を無事に済ませ、彼女が以前のように穏やかな日々を
送る事が叶えば、それでいい。彼女との関係が一時の幻でも、この温かな
記憶があればヴィンセントには十分だった。
過去から逃げるように、目を瞑り、耳を塞いで生きていきた事が周囲に
どれほど痛々しく見えたのか──今になってようやく気づいた。全て彼女
が教え、癒してくれた。
だから、これ以上は望まない。自分の存在が彼女の負担になるなど、そ
んな事はあってはならない。
全ては無事にカインが王位に就いてから──。
ぐっすりと眠っている彼女の手を取り、ヴィンセントはその甲にそっと
唇を落とすと、静かに部屋を後にした。
<おわり>
団長!!!!(*´д`)ハァハァ (*´Д`)/lァ/lァ (*` Д´)//ア//ア!!
姫の喋り方に品があっていい!!
不器用で優しい、ちょっと臆病な団長萌え。
そしてチョト小悪魔な王女もエエ。
GJ!おいしく頂マスタ。
神がいっぱいだ…皆様GJ。
姉上方GJ!!
(*´д`)ハァハァが止まらないYO!
いつか見習いのSSが上がる事を祈りつつ
自分も構想練ってみることにする。
Wikiも一晩でほぼ組みあがってたのをみて(・∀・)チゴイって思ったけど、
ここも一晩ですごいな。
気になってちょろちょろのぞくたびに新作がアップしてるよ。
>93
団長(*´Д`)スバラスィ ...ハァハァ
団長を癒す姉上(*´д`*)モエー
団長のお家柄は姫君が降嫁してもおかしくない名門らしいので(by薔薇)
姉上はドドーンとそのぶあっつい胸に飛び込んでホスィ。
GJ!
個人的最萌である薔薇ss投下させて頂きまつ。
幼少時の薔薇と薔薇母その他の捏造過去話や、
例の7月9日のレイーポ事件を題材にしておりまして、
二人の関係もすれ違ったままの甘くない中途半端なEDとなっとります。
なので読後不快感がある可能性大ですので
ダメポな姉上はNGに 薔薇の棘 と入れて下さい。
104 :
薔薇の棘1:2005/10/07(金) 14:59:23 ID:kFw5mBLd
「姉上!……あ…。」
王宮庭園でエドガーと午後の散策をしていた時だった。
この国の王子であり、私の弟でもあるカインが声を掛けてきたが、
隣にいたエドガーを見遣ると、急に意気消沈してしまった。
私からも声は掛けたものの、言葉少なにそのままカインは宮殿へと帰ってしまった。
「…何だ?今のは。」
隣にいたエドガーは訳がわからないと言った様子。少々気分を害してしまった様だ。
苦笑いを禁じえない。
きっと、今のカインにとっては母親を取られてしまった心境なのだろう。
…生まれたての無垢なカインの魂を今私が育てている最中なのだから。
勿論エドガーにそんな事は言えない。
「ごめんなさいね?エドガー。きっと最近の激務で体調が悪かったのだと思うの。」
カインに悪気はないのだということ、失礼な態度を取った弟の非礼も私から詫びた。
でも何故か、そうすればそうする程に彼の機嫌が悪くなっていくのは何故なのだろう?
「…姫、もうよい。部屋まで送ろう。」
くるりと背を向け、足早に私の部屋のある塔へと足を向けてしまう。
小走りに彼の後を追うけれども、もう会話らしい会話は望めなかった。
彼の美しい端整な横顔が厳しく歪み、話し掛けられるのを拒んでいたから。
105 :
薔薇の棘2:2005/10/07(金) 15:00:01 ID:kFw5mBLd
開けた扉が大きな音を立てて閉まる。
チェストからコニャックを取り出し、乱暴にグラスに注ぐと一気に煽った。
忌々しい…。
何なのだ。あの姉弟は。
何なのだ……あの女、は。
俺の母は大国ブラヒストの元王女。
そして父はローデンクランツ王弟。
例えこの国の国王一家とて我らを蔑ろには出来ない身分である。
父と母はそれなりに仲睦まじかったが、幼少時からの母の口癖はいつもこうだった。
「エドガー、よく覚えておきなさい。本来この国の王妃となるのは、この母だったのです。」
その意味は幼かった俺にはわからなかったが、
後に父の手付きの女官から色々と教えられた。
ブラヒストの王女であった母はこのローデンクランツ王家当時の第一王子、
後のハインツ国王と内密に婚約していたのだという。
だがハインツ王子は視察で出かけたアーデンの地方伯爵の娘と恋に落ち、
そのまま皇太子妃として迎え入れてしまったのだという。
それがルチアナ王妃だった。
この国一番の美姫と呼ばれていただけあって、清楚で可憐な女性であった。
…今思えばそれも母がお気に召さない要員の一つであったのだろう。
5歳年下の従兄弟となる、双子のカインと姫が生まれ、
庭園を睦まじく散策している国王一家を遠目に見ては、
「あの様に身分卑しい女から生まれた王子などより、私のエドガーこそ玉座に相応しい。」
俺の頭を撫でるその手が…震えていた。
自尊心の強い母は、女としての嫉妬に燃えていたのだ。
106 :
薔薇の棘3:2005/10/07(金) 15:00:36 ID:kFw5mBLd
初めて会話を交わしたのは何時の事だったか。
実はあまりよく覚えていない。
カインとは一部の教育係が一緒であった事もあり接する機会は多かったが、
姫とは会話らしい会話をした事はなかったように思う。
ただいつも仲睦まじい姉と弟であるなという認識と、
母から刷り込まれていたからだけではなく、いくら5歳年下といえど、
王族としての嗜みに欠ける幼すぎる姉弟に憤りの様な感情を持っていたのは確かだ。
だが俺の記憶に焼きついているのは……触れた掌の熱さ…華奢な腰つき。
真っ白な指先が朱を帯びて、小刻みに震えていた。
引き寄せた身体からは清楚な花の香りが漂っていたのを思い出す。
蘇った感触に身体の一部が熱くなり、
乾きを満たすように空いたグラスに再度コニャックを注いだ。
数年前の舞踏会だ。
あいつ…姫の踊りの拙さには吃驚したものだ。
社交界へのデビューも未だであったコゼットの方が余程優雅に踊れていたのだから。
俺は確かこう言った。
「王族の姫ともあろう者がダンスのステップも満足に捌けないのか?
覚えておくが良い。社交会とはただ楽しむだけの場ではない。外交の場でもある。
他国の来賓とて大勢いるのだぞ?王陛下と王妃、
王位継承者でもある弟の顔に泥を塗りたくなければ、…しっかりと踊る事だ。」
「……っ!………はい。ごめんなさい。」
下から聞こえてきた小さな震える声に視線をやると、
大きなインペリアルトパーズの瞳にうっすらと涙を湛えていた。
それでも俺のステップに最後までついてこようとする姿が…健気で愛おしかった。
そして先日の舞踏会。
盛装したあいつはあの頃より一層美しくなり、目を見張った。
来賓からも熱い視線が向けられているというのに、本人は全く気付かない様子だ。
そして…偶然にも俺の手を取った。
久方ぶりに踊った彼女は足取りも優雅に俺に付いて来る。
昔の嫌であろう思い出話をしてやると、気分を害す訳でもなく、
ただ耳までほんのりと赤く染め、少し俯いていた。
その反応が堪らなく可愛らしいと、そして美しいと…素直にそう思った。
107 :
薔薇の棘4:2005/10/07(金) 15:01:27 ID:kFw5mBLd
満たされない。気に入らない。
何なのだ、あの女は。
かつて一人の女の事でこれ程までに気に病んだ事など一度も無い。
あいつが俺の側にある事が不愉快なのか?…いいや、違う。
たまの休日にはあいつが訪問するのではないかと密かに心待ちにしている俺がいる。
そしてあいつとの一時は、この上なく心地よく感じている。
俺が不愉快に感じているのは…そう、カインの存在だ。
記憶を失ったカインは必要以上にあいつに接し、独占しようとする。
他の男が近付こうとするや、何とも表現出来ない不快な感情を露わにするのだ。
あれは紛れも無く「男」の目。…それも、嫉妬に燃えた。
俺の知らないカインが存在する。…あれは…誰だ?
果たして本当に記憶を失っただけなのだろうか?
小さな疑問は俺の胸に止むことのない波紋をもたらした。
建国式を明日に控えた夜、無用心にも部屋から出てきた姫に声をかけた。
偶然だった。無体な事をするつもりなどなかった。
少し脅して…カインに対する不信感に決着をつけたかったのだ。
閉じ込めた室内、薄い夜着にガウンを纏っただけの姫。
そして俺がカインに対して某かの疑いを持っている事を告げると…
姫の顔が一気に青くなった。
小刻みに唇を震わせて、それでも尚、弟を必死に庇おうとする姿を目の当たりにし…。
俺の中の何かが弾け飛んだ。
嫌がる姫の夜着を剥ぎ取り、押さえつける。
カインの名を出し、何も言わない代償として身体を差し出せと、脅迫した。
108 :
薔薇の棘5:2005/10/07(金) 15:02:06 ID:kFw5mBLd
指が食い込む程に白い臀部を掴み上げ、押し開く。
後ろから優しさの欠片も無い力で持って肉棒を挿入した。
小さな花びらからはほんの少量しか愛液は生まれず、紛れも無い処女の証が散っているのに。
内部の固い狭さは激痛に耐えているからであろう。
それでも声も上げずに俺に尻を差し出し、されるがままになっているのは。
……カイン故か。
目の奥が真っ赤になる程の怒りを覚え、更に深く突き刺す。
大きく腰を振り、最早声さえあげられなくなった姫の最奥に、
俺の欲望を全て撒き散らした。
腕の中で微動だにせず、じっとしている姫を見て、深く後悔する。
この手で抱いた事ではない。
…もっと、優しくしてやりたかった。
事後に俺の思いを伝えはしたが、この状況だ。さぞ空々しく聞こえた事だろう。
彼女は告白した俺の目を、哀しみを湛えた瞳で見つめ返してきただけなのだから。
だが、本心なのだ。心底この女が欲しいと、そう思っての行為だった。
…嫉妬に燃えていたのはカインではなく、俺の方だったのだ。
あの幼い日、震えていた母の手。
嫉妬とはこの様に醜く、苦いものなのか…。
明け方部屋まで送り、閉ざされた扉の前でじっと立ち考えた。
彼女は一度も俺を罵倒しなかった。
いくら弟の為とはいえ、好きでもない男に身体を差し出し、
あいつはそれで平気なのであろうか、と。
109 :
薔薇の棘6:2005/10/07(金) 15:02:47 ID:kFw5mBLd
いつからだろう。私の瞳が彼を追うようになったのは。
5歳年上の私の従兄弟。申し分ない家柄。明晰な頭脳。
そして端整な容姿からは想像もつかない程にその剣技は冴え渡るのだという。
家柄を誇りに思っていても、それに頼らず自分に厳しく生きる彼。
己の手で道を切り開き、自信に満ち溢れる彼には素直に尊敬し、憧れた。
そして。社交界へ出る様になってからは、午後のサロン、夕方の庭園で
美しい大人の女性達と優雅に会話を交わす彼を見かけた。
そして思わず耳を覆いたくなる様な赤裸々な噂も聞くことになる。
一時彼のお相手に選ばれたとある男爵夫人は、
レイノル湖の別荘で3日3晩服も着ずにベッドルームから出ることはなかった、だの。
そんな話ばかり。
それでもエドガー・ジペルディのお相手に一度でも選ばれるという事は特別なのだと言う。
私とは到底世界の違う人なのだと、そう思っていた。
あの日までは。
数年に一度主催される大々的な舞踏会。
ダンスは大好きだった。弟のカインとも良く宮殿で踊っては両陛下から褒めて頂いた。
でもこの日は、ほんの少し背伸びして選んだ靴が足に合わず、
高めのヒールに足を取られ、歩くことがやっとだった。
最悪な事にこの日私のパートナーを務めてくれるのが…エドガーであるという。
音楽が演奏される。目の前には背筋を伸ばしたエドガー。
手と手を合わせ、腰を抱かれて胸が高鳴るというよりも、
きちんと最後まで踊りきれるだろうかという不安でいっぱいだった。
踊り始めて数秒としない内に彼の口からは溜息が零れる。そして…。
「王族の姫ともあろう者がダンスのステップも満足に捌けないのか?
覚えておくが良い。社交会とはただ楽しむだけの場ではない。外交の場でもある。
他国の来賓とて大勢いるのだぞ?王陛下と王妃、
王位継承者でもある弟の顔に泥を塗りたくなければ、…しっかりと踊る事だ。」
全くその通りである。私は恥ずかしく、そして余りにも幼い自分自身が惨めになった。
「……っ!………はい。ごめんなさい。」
返事をした瞬間、鼻の奥がツンとした。だが泣いている場合ではないのだ。
外交の場でもあるというならば、このまま行けば今日のパートナーである彼にまで
迷惑をかけてしまうかもしれない。私は痛みを必死に堪え、踊った。
そして演奏が終了。
何とか最後まで彼についていく事が出来、安堵の溜息を漏らしたその時。
「フッ、よくやった。」
そう言って真っ直ぐに私を見下ろすエメラルドグリーンの瞳と視線があう。
ほんの一瞬だったのだけれども。
今まで向けられた事の無い優しい微笑みを見せてくれたのだ。
私はこの時、恋をしたのだ。エドガーに。
110 :
薔薇の棘7:2005/10/07(金) 15:03:45 ID:kFw5mBLd
カインがあの様な事になり、幸か不幸かエドガーと顔を会わせる機会が増えた。
あの優しい笑みを見せてくれる事はなかったけれど。
それでも彼を見かけると、あの日抱いた感情が思い出されて胸が熱くなった。
これから彼とどうにかなりたいなどと望んでいる訳ではなかった。
…初恋だったのだ。
そしてあの日。
建国式の前の晩、夜風に当たろうと抜け出た部屋。
その直ぐ先に、彼がいた。
「いやっ、やめて、やめて、エドガー!」
何度懇願しても彼は行為をやめようとはしなかった。
その最中にカインの名を出され…言い様の無い悲しみに包まれた。
何度目であろうか、もう掴まれ叩きつけられている腰の感覚すら覚束ない。
獣の様な屈辱的な体勢を取らされている私。
自分の喉から漏れ出る弱弱しい息の音、耳元に聞こえるエドガーの熱い吐息。
私の中から噴き出した粘着質な水音、肉と肉がぶつかり合う音。
意識が遠くなった。
これは、取引だというのに。
私を脅し、辱めるだけの愛情などない行為だというのに。
それでもエドガーに抱かれているという事実に、
心のどこかで歓喜している自分がいた。
そして迎えた初めての絶頂。
それから暫くして私の背後で彼が頂点を極めた。
私の中にエドガーから射出した熱い液体が当たる感触がする。
そんな事にさえ女としての喜びを見出してしまう自分が浅ましく…とてつもなく惨めだった。
行為の後、先ほどまで激情をぶつけてきた相手とは思えない程の優しさで
私を腕に包むエドガー。
優しく髪を梳きながら、私が欲しかったのだとそう言った。
彼は愚かな人ではない。今日の強引な行為を反省しているのだ。
そしてその言葉はジペルディ家を守る為のものであって
私への愛情から出た言葉ではないのだと解釈する。
とても、哀しかった。
でも、私は後悔していなかった。
彼に抱かれた事を。
だから、なかった事にしようと。そう決意した。
111 :
薔薇の棘8:2005/10/07(金) 15:04:27 ID:kFw5mBLd
建国式では暗殺未遂が発生、
その後暫くは事後処理に追われ顔を合わす事はなかった。
扉がノックされる。
あの日以来久しぶりに顔を見る事になる。
「お早うございます、エドガー。今日も宜しくお願い致しますね。」
部屋に入ってきた彼女は弟を従えて花の様な微笑みを浮かべていた。
私は、上手く微笑む事が出来ているのだろうか…。
カインの即位式まで、あと半年。
以上でつ。
中途半端なのですが、
この後姫が他のキャラに転んでしまうやもしれない、
でも薔薇とくっつくかもしれない、
というところで終了させました。
昨日から散々萌えを吐き出させて頂きました。
読んでくれて感想くれた姉上方アリガトン
薔薇キター!(*´Д`)ハァハァ
萌えさせていただきますた。
本編にない部分も丁寧に語られてて読みやすい。
乙でした!
素敵な薔薇をありがとう…!
是非2人にはくっついて欲しいよ。
>>103 薔薇キタ━━━━━(゚(゚∀(゚∀゚(☆∀☆)゚∀゚)∀゚)゚)━━━━━!!
これってふつうに元ネタじゃないの?ってぐらい自然でスゴス!
本作にこれを入れ込んでいても全くおかしくないとおもた。
姉上たちすごいよ、ホント・・・・・
GJGJ!
116 :
王宮小夜曲:2005/10/07(金) 19:05:55 ID:LpG8GhcZ
王宮小夜曲1のつづき(?)です。
しかし今回は俺カインの一人称です。
ちょっとだけ、滅背の話と絡んでます。
ものすっごいご都合主義です。
こんな宗教あるか〜! という突っ込みは勘弁してください。
妊娠ネタです。
嫌な方はスルーでお願いします
しかし姉上方すごいなあ。
自分絶対エロかけそうにないやorz
「カイン、お話があるの」
ある日姉上が言った。
いつものように、視察に出かけた先で二人きりになると、姉上はようやく話をしてくれた。
それまで、なんだか顔色も悪く、何度聞いても「なんでもない」と言う言葉で、姉上は話をしてくれなかった。
「うん、どうしたんだ姉上?」
「……カイン、実は……」
歯切れが悪い。
こんな姉上初めて見る。
「やっぱりどこか調子が悪いのか? 休んだ方がいいんじゃないのか」
「違うの、カイン」
でもやっぱりその顔色はとても良くない。
「よく聞いて欲しいの。私、私のお腹に赤ちゃんができたの……」
「赤ちゃん……まさか子供!? もちろん俺達の、だよね」
「え、ええ、そうよ、もちろんだわ、カイン」
「やった、うわ〜嬉しいな。愛する二人が結ばれると自然に子供ができるって、ジ……いや、なんでもない。とにかくいいことじゃないか」
こんな嬉しいことがあるだろうか。
俺は姉上を愛している。もちろん姉上だって、俺のことを愛している。
愛する二人の子ができたんだ、きっとジークやアストラッドだって喜んでくれる。
なのに、姉上の顔色は優れない。それどころかさっきより悪くなっていた。
「カイン、貴方が喜んでくれるのは嬉しいわ。だけど、私達は姉弟なのよ、どんなに愛し合っても結婚できないの」
「……」
一気に谷底に突き落とされたような気分になった。
そうだ、俺達は姉と弟で、俺がいくら国王だと言っても、この国では結婚が許されない。
「どうすればいいの、カイン……」
子供ができると、次第にその腹は膨れるのだと言う。
姉上のお腹は、まだそんな兆候は全くなかった。
だけどそれも時間の問題だろう。
そうなってしまえば、未婚の姉上に子供ができたと大騒ぎになるだろう。そしてその相手が俺だと、俺は大きな声で言うことができない。
俺はいい。だけど姉上は? きっと姉上は、この国にいられなくなってしまうだろう。
そんなこと、俺が絶対にさせない。
「カイン……?」
姉上が震える声で俺に声をかける。
「大丈夫、俺がきっとなんとかするから」
今は何の手立てもなかったけど、きっと良い方法を見つけて見せる。
俺は姉上も、俺達の子供もきっと手放さない。
姉上の小さな肩を抱いて、そう決意した。
外套を頭からすっぽり被り、夜半に部屋を出た。
王宮の中にある、神殿に向かう。
懺悔室専用の扉から中に入った。建前上は、だれが罪の告白をしに来たかは分からないことになっている。
さらに懺悔をしに来たことを知らせる小さな呼び鈴を鳴らした。
小さな扉が開き、アストラッドがやって来たことを知らせた。
「すまない、こんな時間に。懺悔したいんだ、頼む……」
「いいえ、時間などかまいませんよ。さあ、胸のうちにあるものをお話しなさい、そして神に許しを請うのです」
「実は……私は、道ならぬ恋をした。そしてその女性に、子供が出来た」
ただ、事実をありのままに話した。
アストラッドは、ただ聞き入れるだけで、決して返事を返したりしない。
「その女性との関係は公に出来ない。だけど彼女を愛しているんだ。
彼女も私も、お互いに他の誰とも結婚はしないと約束した。
だけど、つらいんだ……このままでいいのか?
このままの状態で彼女は本当に幸せになれるのだろうか。
そして今回の彼女の妊娠が発覚すれば、彼女は追放されるかもしれない。
でも、そんなことは絶対に、俺が許さない!
俺達はただ、二人で幸せになりたいだけなんだ。
だけど、俺にはそれすらも許されない……」
それだけ言うと、もう何も言えなくなってしまった。
「どうなさいましたか?」
「いや……以上です。ありがとうございました」
「貴方の心に平穏のあらんことを……」
胸のうちに秘めていたものを吐き出した。けれど、俺は姉上のために何が出来るのか、ますますわからなくなっていた。
〜幕間〜
「今の声は……カイン様でしたね。
公に出来ない女性との恋。
そしてお子が出来たと言うこと……お相手は身分の低い方か、それとも。
しかしカイン様はこの国では至上の御方。
望めばどんな女性でもお妃に迎えられそうなものですが……しかしご結婚はなされないと。
はて、どうしたものでしょうね……」
カインの去ったあと、夜の静けさの中、神官が独り言ちた。
〜幕間おわり〜
結局、なんの手立ても浮かばず、姉上と俺は日々が流れるに任せるしかなかった。
「大丈夫、しばらくはなんとかごまかせるわ。
お腹にさらしを巻いて、スカートの膨らんだドレスを着るの。きっと誰も気付かないわ」
そう姉上は笑ったが、なんだか姉上一人に重荷を背負わせたようで心苦しく、またいっそうに姉上が愛しく思えた。
それでも、時がたつにつれ、次第にそんなごまかしも効かなくなってきた。
「お姉様、最近お太りになられたのではないかしら?」
姉上は少女のようにほっそりとしていて、かえって今くらいの方がふっくらして可愛いくらいだ、と俺は思う。
しかしアストラッドに言わせると、女性に体形のことを言うのは無粋のなせる業なのだそうだ。
しかし同じ女性として、コゼットの発言はいかがなものか。
「ええそうね、どうも太ってしまったみたい。今度、私も痩身術に挑戦してみようかしら」
「え……ええ、そうですわねお姉様」
なんだかコゼットが憮然としている。
女性と言うのはよく分からない、難しいものだ、いや姉上はそんなことないと思うけど。
「姫、確かに最近、少々急激にお太りになられましたね。
どこか具合の悪いところはございませんか?」
ジークが姉上に尋ねる。
「こらジーク、女性にそのようなことを尋ねては……」
「いいのよ、アストラッド。
ええそうね、最近ちょっと太ったみたい。
お菓子の食べすぎかしら?」
小首をかしげる姉上は、ものすごく可愛かった。
「そうでしたか。しかし念のため、診察いたしましょう。後ほど診療室に来ていただけますか?」
「あ、ジーク。それは不味い! えっと……」
「何か不都合でもございますでしょうか、カイン様」
「そうだ、今日は視察があるんだ。姉上と一緒に!」
「そうですか、ではまた後日、診察させていただきますね、姫」
「ええ、その時はお願いね」
姉上はなんとか笑って見せたが、ちょっと顔色が悪かった。
「大丈夫ですか、お顔の色が心なしか悪いように見受けられますが」
「本当に大丈夫よ、ジークは心配性ね」
「お加減が悪いようでしたら、おっしゃってくださいね。特製の薬草を煎じさせていただきます」
「え、それは……でもジークのお薬って苦いんですもの」
そう言った姉上の頬は少し赤く染まり、さっきよりもずっと顔色が良くなっていた。
「だいぶお顔の色もよろしくなりました。
お気をつけていってらっしゃいませ」
ふう、本当に心臓に悪い。姉上ごめん、本当は俺が姉上を助けなきゃならないのに。
「カイン様、今よろしいでしょうか」
ある晩、もう眠りに就こうとしていた頃だった。
「ジーク? どうしたんだいこんな夜遅くに」
扉を開けて入ってきたジークの顔は暗かった。
「カイン様はご存知だったのでしょうか」
「何をだ? 悪いけど、今日は眠いんだ。明日にしてもらえないか」
「いいえ、重大なお話です。カイン様、貴方のお姉様に関する重要な事項について話しに参りました」
「え……姉上?」
嫌な予感がした。
まさか、ジークは。
「姫は、ご懐妊なされています」
「……」
今俺は、どういう顔をしているだろう。
それをジークはどう思って見ているのだろう。
「カイン様、ご存知だったですのですね。姫のお相手はどなたなのです!?」
ジークの顔は険しく、いつになく激昂している。
「カイン様ならご存知ですよね……このまま姫に未婚のままでご出産されるという不名誉は……。
今ならまだ間に合います。早急にご結婚なされれば」
「嫌だ! そんなことは許さない、姉上は結婚したりなんかしない!」
「……カイン様、まさか」
ジークには分かってしまったかもしれない。だけど、このまま姉上が他の男のものになんて、そんなこと考えられない。
「ああ、なんてことを……ハインツ様……」
「何をやっているのだ、このような時間に。まる聞こえだぞ」
いつの間にかエドガーまでが部屋の中にいた。
「エドガー殿、まさか貴方は、今までの話を……」
「全部聞こえた」
「ああ、どうしましょう……エドガー殿、くれぐれもこの件は御内密に」
「承知している。それよりどうするのだ? このような醜聞、他に漏らすわけにはいかぬだろう」
醜聞。
そうなんだ、俺と姉上がいくら愛し合っても、それが理解されることはかなわない。
やっぱり、姉上を連れて、ここから逃げようか。どこか、誰も俺達を知らない所へ。
「相手がいるのだろう?」
「そうですね、お相手が必要です」
「なんのことだ?」
二人はなんの相談をしているんだ。俺には全然伝わってこない。
「だったら、ここに適任がいるではないか」
「ここに、とおっしゃいますと?」
「だから、この俺だ。俺と姫ならばなんの不足もあるまい。
姫の腹の子も、俺の子だということにすればよい」
「エドガー殿、それは本当ですか!?」
エドガーの声がやけに弾んでいるのが気になった。
それにジークも、なんだかほっとしているような感じがするのがわかっていらつく。
なんで、俺じゃ駄目なんだ。姉上を愛しているのは俺だ、姉上が愛しているのは俺だけだ。
そして、姉上のお腹の子は、他の誰でもない俺の子だ。
「駄目だ、そんなこと許さない」
「カイン様、そのようなことをおっしゃらずに。
エドガー殿の申されていること、よくお考えください。
姫にとっても、御子にとってもこの上もないことだと思います」
「嫌だ、絶対に駄目だ。姉上は俺だけのものだ。
絶対に誰にも渡さない、俺も絶対に姉上以外のものにはならない。
それが許されないと言うのなら、俺はこの国を壊してでも姉上との愛を貫いてみせる」
「そのうようなこと、軽々しく口にするな!」
気付いたら、エドガーの平手が、頬に飛んでいた。
「すまない、気付いたら手が出ていた。だが、おまえはこの国の王なのだ。
今後、そのような発言は控えろ、二度とは許さん。国王補佐としての一度きりの忠告だ」
「ああ、エドガー悪かった、俺あんまりにも考えなしだった」
「だが、姫の為にも何が一番よいのか考えることだ、俺はこれで失礼する」
「カイン様……」
「ジーク、すまないが出て行ってくれないか、一人になりたいんだ」
何かジークが呼びかけてきたが、聞こえない振りをして、寝台に飛び込んだ。
大きな枕を抱えて、姉上を思う。
姉上、姉上、姉上……。
どこから話が漏れたのか、それともあの夜の話が、エドガーの言うように、王宮内に筒抜けになっていたのか、姉上が身ごもっていると言う噂は、一気に王宮内を駆け抜けた。
姉上のお腹をじろじろと見る者、あからさまに噂を口にする者。
俺が一緒にいる間は、それも控え目だったようだが、陰ではかなりひどいことを言われているらしい。
「くそ……」
また、誰かが姉上を中傷している。
違う、姉上が悪いわけじゃない。
その子供の父親は、俺だ!
そう言って飛び出そうとした時、腕をがっちりとつかまれた。
「陛下、ご自分の立場はお分かりだな?」
「エドガー……」
くっ。俺には姉上を守ることも許されないのか。
「だから、俺に任せろといっただろう、カイン。
俺ならば姫を幸せにできる。生まれてきた子供もおまえに抱かせてやろう。
もしも生まれるのが男児であれば、次代の国王となれる可能性も高いだろう」
エドガーの申し出は、確かに魅力的だ。
俺と姉上以外の者から見れば。
そうするのが一番丸く収まるのだと、分かる。
だけど、俺はそうしたくない。
仮初めだとしても、姉上が他の男のものになるなんて許せない。
「駄目だ……」
「そうか、手遅れにならぬうちに決断した方が良いと思うがな」
それを言ったら、もうこの気持ちは、手遅れだ。
もう取り戻せない、姉上以外は何もいらない。
だけど、姉上を苦しめることも出来ない。俺はどうすれば……。
「カイン様?」
廊下でしばらくぼうっとしていた気がする。
何度か、アストラッドは声をかけてくれたらしい。全然気付かなかった。
「悪かった。今日は建国祭だな、アストラッドの教えはちゃんと覚えている。きちんと務めは果たすさ」
「ええ、陛下ならばご立派にお役割を果たされましょう。
ところで、建国祭の最後に、私に少々お時間をいただきたいのです」
「今じゃ駄目なのか」
「ええ、陛下のお時間を、というより、本日お集まりの皆様のお時間をいただきたいのですよ」
「そうか、わかった。良い時を見計らってくれ、アストラッドに任せよう」
「ありがたき幸せにございます。さあ、カイン様、皆様がお待ちです」
アストラッドの笑顔を見たら、心がほんの少し軽くなった。
こんなことで、俺は落ち込んで入られない。
苦しんでいるのは姉上だって一緒だ、いや、姉上の方がもっと苦しまれているに違いない。
苦しくても、俺は決断せねばならないのかもしれない。
姉上にとって、生まれてくる子にとっての幸せを。
心は痛くて痛くて仕方がないけれど、俺は姉上のためなら、何を犠牲にしてもかまわないと誓ったのだから。
「お集まりの皆様に、お知らせがございます」
一通りの儀式が終わると、アストラッドが微笑を浮かべて、衆目を集める。
「先日、信託が下されました。我がローデンクランツの国王陛下の姉君である王女殿下に、御子が宿りました。
この御子は神から授かりし御子。決して蔑ろにすることなく、大切にお育てするようにと。
また、無事お生まれになった暁には、陛下の御子としてお育てし、時期国王位を継承させん、とそのように宣託を受けました」
アストラッド……。
一気に注目は姉上に集まった。
「さあ、陛下。殿下をこちらへお迎え下さい」
「あ、ああ……アストラッド、ありがとう」
「……? なんのことでしょうか。すべては神の御心のままです」
彼は穏やかに微笑むばかりで、俺の感謝の意を受け取ってはくれなかった。
「姉上、こちらへ」
「ありがとう、カイン……」
姉上の目は潤んでいた。今にも涙があふれそうなのを必死にこらえている。
大丈夫、俺がそばにいる。触れた手から、俺の気持ちがすべて伝わっているといい。
「我がローデンクランツに幸いあれ!」
その場にいた全員の声で国の繁栄を願って唱和した。
どうか、姉上と我が子に幸いのあらんことを。
おわり
姫追放なく、出産するにはこれくらいしか思いつかなかったです。
本当にこんな国でいいんか、そんな神託あるもんかと自分で突っ込みながら書きました。
それでは失礼いたしました。
>116
更新ボタン押しながらリアルタイムで読んでたよ。
面白かった!一人であわてんぼうなカイソタンてば可愛い。
そしてアストラッド。おいしい所をもっていきやがりましたねw
GJ!
>>77 実弟キタ━━━!待ってました!!
最後まではしないってとこが良いですな。禿萌え…'`ァ'`ァ
ラストは本作思い出してホロリ。理想の三人だ。
>>93 団長キタ━━━!'`ァ'`ァ
姉上がいい女だ!!思わず団長に感情移入しまくりだたよーw
傷舐めがツボですた…。
>>103 薔薇キタ━━━!'`ァ'`ァ
初恋の幼馴染イイ!切ないよ姉上!これは二人くっついて貰わないと…。
いい所で終わっててw続きが見たくなるyo。
ここは楽園だー!神な姉上達アリガd!
本当に本作に入っていてもおかしくないものばかり。
ご馳走様でした!!
>>116 また神が舞い降りた!GJGJ!
ニヤニヤしながら読ませていただきましたよ!いい男ばかりだw
カインの「愛する二人が結ばれると自然に子供ができるって」が可愛いすぎる!
妊娠ネタ密かに待っていたのでウレシス!
皆、無茶苦茶表現が上手いね。凄すぎるよ!
SSは殆ど読まないのだが、普通こんなにレベル高いものなの?
王宮萌えフィルターが掛かって評価甘いとしても姉上達、皆凄いよ。
エロ有りも無しも、切なさに溢れているし、文章綺麗だよね。
それに比べ、自分の稚拙な文が恥ずかしい…
自分、眠り姫投下したけど、脳内世界に付き合ってくれた人ありがとう。
蛇足になるけど…
おまけの薔薇は、単に「バラのアダージョ」という題を付けたい為だけに作成しました。
(やっぱり、眠れる森の〜といえば、バラのアダージョだよねw)
既にお気づきと思いますが…作成途中で 飽 き ま し た。
スミマセン。
根性があればチビッ子楽士でもう1本上梓できたら…とは思っております。無理かな…
それじゃ姉上達、次の作品を期待しております。
>>116 キリスト教では自分が離婚する為に英国教会を作った国王もいるくらいだから
モーマンタイ。
つか、カインタンが新しい教会を作って姉弟間の結婚を認めさせるオチかと
思ってたよ。
これはこれで綺麗な終わり方だな。GJ!
>>132 眠り姫、そして薔薇の内容から、「アン・ラ○ス」の眠れる森の美女を思い出しますた。
姫を眠りから覚ましたのは、王子のキスではなく○○だったという、衝撃的な小説なのだが・・・・ww
>>116 またまたキタワァ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:* ミ ☆
妊娠話は好物なのでよかったです、GJ!!
姫のことを母と呼び、王のことを父と呼ぶのか・・・・
ええなあ〜
しかし、王宮はみな中田氏だもんなあ。
世界観からどうしても避妊なんて考え付かないしさ・・・・
>>134 元々のいばら姫は、姫が眠ったまま出産(双子だったようなボンヤリとした記憶が…)、
姫の指をその子供が吸うことによって毒(?)が抜け、目覚めるという話らしいです。
つまり、王子は初めて見た、しかも寝ている姫に不埒な行いをしたという・・・な奴な訳で…
実はその王子と薔薇を重ねたという… ごめんなさい。薔薇&薔薇好きの皆様
136 :
116:2005/10/07(金) 21:51:54 ID:LpG8GhcZ
感想などありがとうございます。
勢いで書いたので、最後の神官強引杉かと思いましたが…
それからカインが姉上とつぶやきながら抱いていた枕は、もちろん姉上からもらった誕生日プレゼントです。
いばら姫気になって、ぐぐりました。
うはっ、相手不倫エロ親父らしい?
自分知ってたのペローのだけど、姑が鬼婆ですげえなあ、と思いつつ読みふけった小学生時代。
代理転載です
**
姉上方の文章にいつも(*´Д`;)'`ァ''ァさせてもらっていまつ。
ここの姉上方の文章は、情景が目に浮かぶようで、本当読んでいて楽しいです。
読んでいたら漏れも、描きたくて仕方なくなってきたので、神官独白SSを投下させていただきまつ。
神官エロ後の様子なので、短いし、エロはないし、糖度も薄めですorz
それでもおkな姉上のみどうぞ。
他の姉上達から比べると、かなりボミョンなので、どうかと思ったら華麗にスルーオナガイシマス(´・ω・`)
嗚呼、私はいつのまにこんなに、欲深い人間になったのだろうか
私の腕の中で紅潮し、打ち震えていた身体は、ようやく落ち着いてきたのか、安心したように瞳を伏せた。
その愛らしさに見とれながら、まるで慈しむように姫君の髪を撫でていた指先は、花弁を思わせる唇をたどった。
「…ん……」
夢の中を彷徨っているのか、僅かに瞼をひくつかせたあと、再び規則的な呼吸を繰り返した。
それだけで、貴方が此処に生きていることを実感させられる。
「本当に…可愛い人だ…」
あのひとの生き写しのようによく似ていて…それでも、他の誰でもない。かけがえのない御方。
そんな貴方に、私を受け入れてもらえるなどと、思いもしなかった。
数時間前の出来事を、私の名を呼ぶ姫君を、思い出すだけで胸が熱くなる。
もしかしたら…あの時から、私は貴方のことを忘れられずにいたのかもしれませんね。
私は美しく成長した貴方の頬を撫でながら、はじめて姫君に会ったときの事を思い出していた。
数年振りのアーデンの祭事。
久し振りに再会した幼馴染は、相変わらず美しく、そして母親ゆえの強さをたたえ、目が離せなかった。
仲睦まじい様子を目にするたびに、幸せそうな様子に安心するのと同時に、
心の奥に潜んでいる闇が呻き声を上げながら、侵食していくのがわかった。
ルチアナの幸せを願ったはずなのに、それでも心はどうしようもなく渇き、締め付けられてしまう。
「……お兄様?」
不意に服の裾を引っ張られ振り返れば、そこには幼き姿の姫君がいた。
母君そっくりの大きな瞳は、不安げに此方を見上げている。
「…どうかしましたか、姫君。…なにか怖いことでも、あったのですか?」
少女に視線を合わせようとしゃがみこみながら、不安げに揺れる瞳を見つめ、そう尋ねた。
「いいえ、そうじゃなくて……お兄様、どうしてそんなに悲しいお顔をしているの?」
正直、驚きました。
幼いながらに、なにかしらの不安を感じ取ったのでしょうか。
私の想いを見透かされたような気がして、軽く首を横に振った後、再び姫君に向き直った。
「姫君はお優しいのですね。…でも私は大丈夫ですから、お気になさ……っ!……」
そう言って頭を撫でようと手を伸ばした瞬間、頭が真っ白になってしまった。
姫君が私の首に手を回し、抱き締めていたからだ。
「……ッ……姫君…?…」
「こうすると…お父様も、お母様も、カインも…みんな笑ってくれるの。だから、お兄様にも…元気になれるおまじない」
そう言って姫君は、私の頬に唇を落としてきた。
心のなかを覆っていた闇に、一片の花弁が舞い落ちゆくような、そんな暖かい感情が溢れてきた。
「………貴方は…本当にお優しいのですね…」
幼き姫君を抱き締めながら、そっと頭を撫でていると、ふと視線を感じ、その先にはカイン様がおられました。
そのときの瞳を、私は忘れることはないでしょう。
まるで愛するものを見つめるかのような、甘くて、でも強さの残る瞳。
敵対心を露にしたその瞳から逃げるように微笑みを浮かべた後、あやすように姫君の背中を軽く叩き、立ち上がった。
「姫君、ありがとうございます。とてもよく効くおまじないですね?…お陰で元気になれました」
頭を撫でれば、まるで花が咲いたかのような満面の笑顔を向け、走り去っていってしまった。
藍色の空が白に溶けていく。
夢の終わりは、どうしてこんなに切なくなるのだろう。
あんなに熱を共有し、求め合ったというのに、今、こうして触れていても、白い肌が朝に溶けていきそうな、そんな気がしてしまう。
叶うはずはないと、望んではいけないことだと、判っているのに。
貴方は一国の王女で、そして私は神に仕える身。
元々交わることなどない線が、重なることが出来たのだ。
それだけでも、私にとっては奇跡なのだから。
貴方を知ることで、私は歩き出すことが出来た。
これ以上、貴方を望んでしまっては…罪になる。
遠くでメイドが朝の支度をする音が聞こえた。…そろそろ、行かなくては。
心の奥底に感じる己の欲望を打ち消すように軽く首を横に振った後、姫君を起さないように立ち上がり、
深く閉ざされた貴方の瞼に唇を落とした後、私はそっと姫君の部屋を後にした。
以上でつ。
お目汚ししつれいしました。
そして、このスレにうまく書き込みが出来ず、代理UPしてくれた姉上に感謝!
このスレにちゃんとカキコできる頃には、典医EDパラレル完成できるといいな(´・ω・`)
**
代理終了。
かわいい(*´∀`*) 典医パラレルもお待ちしてるよ、姉上!
>>137 神官キタワァ━━━━━(n‘∀‘)η━━━━━!!!良い雰囲気。
ちび姉上テラカワイス!隣に居たであろうカインもびっくりだねw
ごちです、典医も楽しみにしてまつ!
>>137 神官キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
「明け方帰ってきたんだわ」ってのが補完されてる!!
それまでの描写(ヽ゚д)クレ って思ってたから、すごくいい!
それにしても、ちび双子は萌えるなあ
GJ!典医待ってます!
代理投下してくれた姉上、ありまd!
SS倉庫に保管お願いしたいのですが、
投下してくれてる姉上方、いかがでしょうか?
まとめ読みしやすいので是非登録したいのですが。
145 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/08(土) 16:07:39 ID:3j8qPvm7
もうちょっと増えてからのほうがいいかも
あげちまった…スマソ…orz
>>137 神官の艶っぽいお声が想像ついちゃうよ、姉上。
幼少双子テラカワイス! GJGJ!! 典医待ってるよ
自分エロ投下準備中だ
エロ投下します。
NG 近親相姦 微レイーポ誤字脱字
NG に引っかかった姉上スルーお願いします。
王宮フィルターのかかった
心の広い姉上、よろしくお願いしまつ。
駄文ですが、王宮SS発展を祈り勇気を出して投下します。
設定 俺カインなりたての頃 俺カイン視点
俺カイン×姉上
1 夕べの行為は間違いではなかったと、信じている。
この女性を慈しみ続けるのは俺だけだから…
「姉上、いる?」
「カイン…?どうぞ。」
「…」
「カイン?」
今まで触れることさえできなかった、姉上の身体をそっと背後から抱き締める。ほんのりと甘い
香りが漂い、俺の下半身を疼かせる。今まで気づかなかったよ姉上、華奢だったんだな…
俺と同じ色の髪をかきあげ、首筋に頬を寄せる。
「あね…う…え」
「いや、やめて、カイン…」
「やめないよ。」
ドレスの上から胸の膨らみを確かめるように撫でまわすと、細く力ない姉上の手が俺を阻止
しようと懸命に動いている。その懸命に動く手が愛おしく、更に俺の欲望を刺激しているの
を貴方は気づかないのだろうか…?
姉上の下半身に俺の左手が伸び、同時に右手は自分の上着を脱ぐのに必死になっていた。
一瞬甘い香りが遠のき、今まで温もりを感じていた胸に冷たさが奔る。
姉上?!俺は上着を脱ぎ捨て、追いかける。右手で姉上の手を掴み引き戻し、
強引に抱き締める。
「無駄だよ。」
「やめないと言っただろう…」
2 姉上の震える唇に罪悪感を抱きながら、自分の唇と重ね合わせる。
もう、引き返すことは出来ないだろう…
自分の舌を巻き付けるように絡ませながら、ドレスのファスナーに手をかける。
ふと、我に返り細い肩を両手で引き離し、自分と同じ色の瞳を見つめると、
潤んだ瞳だけが俺を責めていた。声を荒立てることさえせずに…
その瞳を直視できずに、姉上の顔を自分の胸に引き寄せることしかできない、俺。
華奢な身体を抱き寄せたまま、耳を澄ましていると何かをつぶやいている声がする。
「私たち兄弟なのよ、カイン…」
そうさ、わかっている…
「…姉上、すまない…でも」
ドレスのファスナーを下げると、白い身体が目の前にあらわになった。
顔を背けながら、また、小さな声でつぶやく。見ないでほしい…と。
初めて見る女性の裸体。俺は緊張しながら、姉上を抱き上げベッドへと連れて行く。
裸体をベッドに静かにおろし、改めて唇を重ねる。そして、指を艶やかな髪にはさみがら
首筋に口を這わせ、美しい肌を舐めまわしていく。
「あね…う…え、綺麗だ」
俺は導かれるように、乳房を揉み突起を舌と指で弄び、姉上の反応を待っていた。
突起が固くなると同時に、姉上の声が漏れる…
「ん…あぁぁ」
「姉上、感じてくれてるの…?」
頬を赤らめて感じている姉上を見ていると、ますます下半身が疼きだし、俺は邪魔な服を
脱ぎ捨てた。欲望のままに下半身に顔を埋め、姉上を味わおうとすると内膝が抵抗を始める。
3 「力を抜いてくれ…姉上」
内膝が緩みだす…俺は姉上を味わうことに快感を覚えながら、舌で蕾を弄り刺激した。
「ん…あぁぁ…ん」
「姉上、気持ちいいの?」
「カ…イン…」
「姉上を愛しているんだ。誰にも…触れさせない!」
「……」
「俺を受け入れてくるのか?」
「……」
沈黙の答えをどう受け止めていいのか分からなかったが、戸惑いよりも欲望が俺を支配して
いた。再び温かい内膝に顔を向け、溢れ出す姉上を吸い上げ蕾を舌で弄び始める。
言葉ではなく身体が応えてくれていた。安心した俺はぼんやりと過去を振り返る。
姉上を初めて見たとき驚いたんだ。俺と同じ顔に…でも同じだったのは顔だけで、姿形はまるで
異なっていて…何も分からない俺は姉上しか頼れなかった。今までこんな華奢な身体が俺を守っ
ていのか…これからはどんな危険なことが姉上を待っていても、俺が姉上を…フッ、危険?
そんなこと、気づかせることもさせない。
姉上さえいてくれれば、何もいらない俺なのだから…
4 「あぁぁ…うっ…」
甘い吐息が夢のような現実を呼び起こす。身体を起こし、白い身体の上に重ねる。
美しい髪を撫でながら、可愛らしい耳元で俺は精一杯の愛を囁き続けていた。
かすかに頷き、唇が動き出すのを眺める。
「私も…望んでいたのかも…しれない」
「?!」
「もう一度、言ってくれ」
「私も、カインを…愛している…」
うれしい…のに、気持ちの整理がうまくつけられない。頭の中が真っ白なまま、欲望が支配して
いくだけだ。俺の指先は温かく湿った場所で小刻みに動き、悪戯に中を入ったり出たり
繰り返す。
「…あっ」
「もう、声を殺さないで。もっと聞かせて欲しいんだ」
次第に熱を帯び解放されていく姉上の、内膝に入り自分自身を押し付ける。
「少し痛いかもしれないけど…入れるよ」
「…ん」
既に濡れている場所に自分自身を挿入する。キツい…時間をかけながら入り口を突破する。
「うぅっ…くっうぅ…はぁあっ」
全身に電流と快感が迸った。恐る恐る腰を振っていたが我慢できずに、俺の両手が細い脇腹を
強引に掴み自分へ引き寄せる。喘ぎ始める愛しい女性を見下ろし、征服感を満たそうとするが…
「あねう…え…俺は…欲張りだ…な」
5 繋がったまま細い手を強引に引き、俯せにさせる。
柔らかい下腹部を支え欲望のまま腰を振り続けた。
「はぁ…はっぐっ…うぅ」
「気持ち…いいよ…姉上の中…熱くてたなら…ない」
既に快感と征服感で満たされ、俺は絶頂を迎えようとしている。
「あね…う…え もう…我慢できな…い」
「いく…よ…ぐっ…う…はぁ…はぁ…あぁ…」
交わす言葉は途切れ途切れになり、次第にお互いが眠りにつく…
「姉上、起きて。朝だよ」
気怠そうに俺にもたれかかりながら目を開ける姉上は、儚くて消えてしまいそうだな…
一線を越えられた俺は喜びに満ち溢れながらも、姉上が消えてしまわないように抱き締める。
姉上と一緒にいられる時間の全てを、大切にしたかった。
「今日は湖に行こう」
まだ力の入らない身体を支え、着替えを手伝う。
「フフッ…まるで着せ替え人形だな。」
しなやかな足首をそっと持ち、小さな靴を履かせる。
ひざまずいていた俺は、ふと顔を上げ愛しい女性に微笑みかける…
以上でつ。
お目汚しスマソ
最後まで付き合ってくれた姉上アリガトン
俺カインタンキタワァ━━━━━(n‘∀‘)η━━━━━!!!
>>148姉上,GJ!!GJ!!
積極的なカインタン檄モエ。
無理矢理想いを遂げようとするカインタンもいいねぇ。
>>148 俺カインタソキテタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
積極的なカインタソ(´д`*)
姉上、GJ!
ED迎えたばっかりなので萌え萌えさせていただきました。
>148
俺様カインだわ〜!GJ!
いつの間にカインタンはそこまでエチーを覚えちゃったんだあ?ってくらいエロい(*´д`*)ハァハァ
カインはどうして天然でエロいんだろう・・・・・(・∀・)モエッ
>>148 俺カインがキテタ━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━ !!!!!
GJGJ!!カインたんは積極的なくらいがイイ!
あああ男前。ご馳走様でした…ハァハァハァハァ
159 :
148:2005/10/08(土) 22:50:43 ID:FPqVeYva
160 :
闇に拐う月:2005/10/09(日) 06:44:14 ID:Ghry/bIj
朝っぱらから失礼します・・・
「姉上、楽士に攫われるの巻」をうpしたいと思います。
姉上視点です。エチは(まだ)ありません。
カインがアボン?なのはちょっとでもお嫌な方はスルーして下さい。
タイトルだけはカッコつけて『闇に拐(かど)う月』です。
最初に言い訳しときます(;ω;)
こういうの書いたの初めてなので、ズブズブのド下手です ○| ̄|_
勢いでヤッチャッタので誤字脱字日本語ところどころ変かも…スマソです
やたら長かったので途中までになります。
他に投下された姉上方に比べられると(´・ω・`)ショボーンな内容ですが、
寛大な姉上たちに甘えさせて頂きます・・・ではよろしくお願いします。
161 :
闇に拐う月1:2005/10/09(日) 06:45:05 ID:Ghry/bIj
――どのくらいの時間が経ったのだろう。
自分が今いる場所すら、もう・・わからない・・・。
手と足とに縄目が食い込み、きつく布を噛まされた唇の端に、
うっすらと血の味がする。
暗闇に目が慣れると、揺れる馬車の目張りされた窓の隙間から、
少し欠けた円の月が見えた。
今夜はこんなにも雲一つ無い夜空だったのかと、
およそこの姿に似つかわしくないことを、ぼんやりと思う。
自分の身に何が起こったのか。
まだ体に残る痛みに気付き、それは嫌でも思い起こされる。
あまりにも突然で・・・なんだか遠い夢だったような気もする。
いつもと変わらぬ一日を、カインと共に過ごし、
いつもと変わらない夜が、過ぎて行くはずだった。
いつもと変わらぬ夜に眠り、目覚め、明日へと続いて行くはずだった。
『彼』が来るまでは。
162 :
闇に拐う月2:2005/10/09(日) 06:46:23 ID:Ghry/bIj
予感、だったのだろうか。
今夜に限って、カインの部屋を訪れたのは。
――コンコン。
ノックしてみるが・・・返事はない。
「カイン、もう眠ってしまったかしら?」
ドアを開けた瞬間、カインの叫び声が耳に刺さった。
「ダメだ姉上、来るなッ!」
「えっ・・・?!」
驚き目を向けると、そこには、強張った面持ちで私を見つめるカインと、
もう一人見覚えのある、闇を纏ったような、黒服の男性が立っていた。
「カイン・・え?これは一体・・・」
「これは姫・・・お久しぶりです。相変わらず・・お美しくていらっしゃる。」
歪んだ不敵な笑いを浮かべ、彼は暗い瞳を私へと向けた。
そこにいたのは、私がよく知っている・・・否、あの人とは違う。
『あの夜』に見た、同じ顔をしたまったく別の『彼』だった。
「まさか・・・リオウ・・。」
がくがくとひざが震え、背筋に緊張が走る。
冷たい汗を感じながら、私はリオウから目を逸らすことが出来なかった。
163 :
闇に拐う月3:2005/10/09(日) 06:47:15 ID:Ghry/bIj
「くっ!貴様・・・姉上に手を出したら、僕はお前を許さない!!」
かつて見たことがない程、カインが怒りに打ち震え、激昂しているのがわかる。
「フッ。」
「なにが可笑しいっ!?」
「いや・・・カイン様、貴方は・・何もわかってらっしゃらないようですね。」
「何?」
リオウはまるで余裕だとでもいう様子で、一層低い声音で続けた。
「貴方が討たれた後、いったい誰が・・・貴方の大切な姫君を守るのです?」
クックッと笑いを噛み殺し、リオウはカインを挑発するように見やる。
「ああ、心配しないで・・・姫に手を懸けるようなマネはしません。ただ・・僕はこのまま
帰るわけにはいかなくなってしまった。」
「リオウ!?何を・・」
唇に舌を這わせると、リオウはスッと、私の方に近付いてきた。
「言ったでしょう?君は僕の・・」
「リオウ、やめて!」
リオウの言葉をさえぎるようにして、ようやく懇願する。
脅えて動けぬままの私に、リオウは一瞬、悲しげな表情を見せたが、
その刹那、私の胸の間に鋭い拳を打ち当てた。
「あぅっ・・!」
「まさかここで君にお会いするとはね。・・・君は見ないほうがいい。」
衝撃と、咄嗟何が起こったかわからず、激し過ぎる痛みに、呼吸さえままならない。
恐怖なのか怒りなのか、それとも悲しみなのか、自然と涙が溢れてくる。
立っている事が出来ずに、私は床に崩れ落ちた。
164 :
闇に拐う月4:2005/10/09(日) 06:47:54 ID:Ghry/bIj
「姉上ーっ!?」
まるで胸を裂かれそうな、カインが私を呼ぶ声が聞こえる。
(大丈夫・・・私は大丈夫よ、カイン。)
そう言って安心させたいのに、ひゅうひゅうと喉が鳴るばかりで、声が出ない。
「・・・あ・・カ・・ッ!!・・うぅ・・」
どんなに叫んでみたところで言葉にはならず、ただ息が詰まり、苦悶の声が漏れるだけだった。
「リオウ!!貴様ぁーっ!」
おぼろげな視界の中で、リオウがカインに向き直って、短剣を振りかざすのがわかった。
(駄目、リオウっ!やめて!やめてーっ!!駄目ぇーっ!)
「王子!お覚悟っ!」
(カイン、危ないっ!)
「うわあぁっ・・!!・・ぐっ・・」
(カイン!?嫌あぁーーっ!!)
涙で滲んだ視界の中で、ゆっくりと倒れて行くカインが、まるで幻灯のように見えて、
やがて・・・消えた。
「そん・・な・・カ・・イン」
あの時・・・意識を放つ時。
「ごめん・・・」と聞こえた小さな声は、一体誰だったろう。
ただ、抱き留める腕の心地よい優しさに、私は目を閉じた。
165 :
闇に拐う月5:2005/10/09(日) 06:49:44 ID:Ghry/bIj
あれからどうなっただろう・・・。
カイン・・・。
あのまま・・あなたは死んでしまったの・・・?
普通の人、ならば。
だけれど・・・カインは違う。
ジークは『普通と違う体』だと言った。
怪我を負っても、回復が早く、傷跡さえ残らない。
それは今まで何度か目にしている。
だから今度も・・・きっと大丈夫。
きっと生きている。生きていてくれる。
どうか無事でいて・・・カイン。
祈るような気持ちで私は、どこまでも追いかけてくる月を見ていた。
166 :
闇に拐う月6:2005/10/09(日) 06:50:37 ID:Ghry/bIj
ゴトゴトと、道なりに揺れていた馬車がようやく止まり、
御者台から人の降りる気配がした。
「うーっし!着いた。さあて、お姫さん大丈夫かな?」
乱暴に扉が開き、ひんやりと夜風が肌に触れる。
「よせ、ジーン!触るな!」
「っンだよ。・・・へーへー、わかりましたよ!まかせりゃいいんだろ。」
入れ違いに乗ってきたリオウが、私に噛ませていた布をはずし、縄の拘束を解いた。
「・・・大丈夫?痛くなかった?」
きつく縛られていたためか、手足が痺れて、思うように動けない。
「ごめん・・・赤くなってるね。」
リオウは私の手首に残る少し腫れた痕を、そっと指先で撫でた。
ひどく申し訳なさそうな呟きと、躊躇いがちに触れたその手が、何も言えない私を
気遣かってくれているように思えた。
「歩けるかい?・・・降りるよ。さあ、僕の肩に掴まって。」
なかばリオウにもたれかかる様にして馬車を降りると、鬱蒼とした藪の中に紛れて、
ぽつんと古びた小屋が建っていた。
目にした途端、何故か言いようのない恐怖が蘇り、無意識のうちに、私は叫び声を上げていた。
「あ・・きゃああーーーッ!!嫌ぁーーーっ!!ああーーっ!!」
「おっと・・。姫、叫んでも誰も来ませんよ。もっとも、こんな森の中じゃあ、
いつ狼が聞きつけて狙ってくるか、わかりませんけどね。」
言葉とは裏腹な、力強いリオウの手で、たちまち口を塞がれる。
狼が・・?いったい私は、どこまで連れて来られたんだろう・・・。
ふとそんな思いをめぐらすと、私の叫びはようやく収まった。
「フフッ、素直ですね。好きですよ、そういう所。」
「おおーい!何騒いでんだよ!早く来いよ。」
「ああ、今行く。・・・では行きましょうか、姫。」
167 :
闇に拐う月7:2005/10/09(日) 06:51:26 ID:Ghry/bIj
小屋の中は、思ったより整然としていた。
木製のテーブルと椅子が並び、あとはベッドが一つだけ。
テーブルの上に吊るされたランプの灯りのみの、飾り気のない部屋だった。
「ここはローデンクランツのずっと外れの、僕の隠れ家ですよ。隣国までは目と鼻の先の、人目につかない
絶好の場所です。さあ姫、どうぞご遠慮なく・・・とは言っても、絢爛な王宮で暮らす姫君には、
このような貧小な所は、お気に召さないかもしれませんが。」
「ははは!そいつは違えーねえや!」
「・・・・・」
「おおー?お姫さん、かなりご機嫌斜めのようだぜ。」
「やめろ、ジーン。からかうな。」
「へーへー。・・・しっかしよー、早馬を囮に使って貴族の馬車で逃げるとは、
なかなか名案だったよな。おかげでここまで、誰にも怪しまれずに来れたもんな。
さっすが、切れ者のリオウ様ー!」
「ジーン・・・。」
「あーもう、怒んなって。・・・さて、と。そんじゃ、邪魔者は退散すっか。お前もあんま、
ハメ外すなよ!・・・じゃーな、お姫さん!」
「・・・まったく。」
「そうだ・・・おい、リオウ。」
「何だい?まだ何か?」
「お前、おかしな事考えんなよ?」
「フン・・・何を今更。」
「ならいいけどよ。・・・ま、とりあえずまた明日来るわ。じゃーな!」
168 :
闇に拐う月8:2005/10/09(日) 06:59:51 ID:Ghry/bIj
バタン――と扉が閉まると、シンと静まった部屋にリオウと二人だけになった。
「お掛けになったらどうです?姫。立ったままじゃお辛いでしょう?」
「・・・・・」
「・・・そうですか、ではお好きに。・・さて、姫。僕に何か言いたいことがあるんじゃないですか?
何と言っても僕は、君の愛する弟を殺した張本人なのだから。」
バシッと音をたて、リオウの頬が赤く染まる。
反射的に叩いたジンジンとする手の平よりも、胸の痛みの方がずっと大きかった。
「ひどい・・・。」
こんな時になっても私は、カインを手にかけたのが、私が知っていたあの人と同じとは思いたくなかった。
「・・・ああ、やっと喋ってくれましたね。君の声を普通には聞けないんじゃないかと思いましたよ。
ククッ。・・・いや、こっちの話です。」
打たれた頬を構う素振りもなく、愉快気に話すリオウの真意が、よくわからなかった。
「・・っ・リオウ!・・どうして・・・」
「・・・君にはいつも、知られたくないことを知られてしまう。まさかあそこに君がやって来るとはね。
どうやら君と僕とは、よほどの縁があるらしい。」
リオウはそう言うと私の腕を掴んで、強く引き寄せた。切ない位熱いその手を、振り解くことも出来ない。
「嫌っ、離して・・・」
「カイン様の暗殺は僕の任務・・・こんな日が来ることは、わかってらっしゃると思ってましたが?
例え僕でなくとも、依頼が継続される限りは、代りの者がまた襲うだけです。」
「何故カインは・・・あなたなら知っているんでしょう?誰が一体こんな事を・・?」
「さあ・・・依頼人は僕も知りません。あいにくそれが掟なのでね。たぶん・・・君の弟が王位に就くのを、
快く思っていない人がいるんじゃないですか?そう、例えば・・・君の従兄殿とか。」
「そんな!?エドガーはそんな人じゃないわ!まさか・・」
「おや?考えたこともなかったんですか?少し考えればわかる、一番単純明快な線だと思いますが?」
「・・・・・」
「まったく、君という人は。仮にも未来の国王を補佐していらしたお方が、人が好いのも考え物ですね。
・・・まあ、あくまでも可能性の話です。信じる信じないは、君の自由ですから。」
掴んだ私の手の甲を、リオウは摺り寄せるように唇に近付けた。
「あ・・・」
「姫・・・僕は、カイン様を恨んでいた。」
「!?」
「・・どうして?カインは貴方を信頼して・・私だって・・・」
「フフッ・・・わからない?君のせいだよ。」
「え・・?」
思ってもみなかったリオウの言葉に、私は驚きを隠せなかった。
「知ってる?僕はいつも、君達二人を見てた。君はいつでもカイン様と一緒で・・・イライラしたよ。
僕の知らないたくさんの君を、彼は知ってる。君も・・随分楽しそうだったよね?まるで恋人同士みたいに。
・・・僕の気持ちも知らずに。見ているこちらが姉弟であることを忘れるぐらいに、ね。」
「そんな・・だって・・・カインと私は双子で、いわば半身みたいなもの・・。それに、
今の私の家族はカインただ一人・・・お互いになくてはならない存在だから・・」
「・・・建国祭の前の晩の事、覚えてる?」
「・・・・・」
戸惑いながらも、私は小さく頷いた。
「僕はずっと・・君が欲しいと思っていた。あんな取引を持ち出すくらいにね。
ああだけど・・・君には断られてしまったね。残念だったよ。」
「リオウ・・・」
「全部・・君がいけないんだ・・・」
169 :
闇に拐う月:2005/10/09(日) 07:08:57 ID:Ghry/bIj
・・・以上です。お付き合い頂いた方、どうもありがとうございました。
オチがなくってすみません。
最初に「ゲーム中リオウがカインの部屋を襲撃した時に発生するイベント」の捏造ルート
だということを書くの忘れていましたorz・・・すみません(ノД`)
序盤ゲーム本編のセリフとかぶるトコがあるのもお知らせするの忘れましたゴメンナサイ・・・
許されるならいつか続き(エチ有)をうp出来たらと思います。
乱文失礼いたしました。
リオウキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
>>160姉上GJGJGJ!!
朝日が目にしみる中、リオウとユージーン好きなので美味しく
読ませて頂きました。
リオウはこういうBADルートっぽいのも大好物です。ハァハァ
続きもワクテカしながら楽しみに待ってます!
>>168姉上GJGJ!!
続きが気になりまつ。黒リオウいいな、チラ甘好きだ
ここはパラダイスだよ(*´Д`)ハァハァ
特典付き買った自分を褒め讃えてやりやたいよ
姉上方の愛も深いしなウレシス(*´∀`*)
>>160姉上GJ!
リオウスキーなんで嬉しいよ(*´Д`)
朝からいいもの見させてもらいますた。感謝!
>>160 楽士キタワァ*・゜゚・*:.。゜(n‘∀‘)η゚・*:.。 ゜゚・* !!!!
あああこういうBADなら良いかなとも思ってしまいましたよ。楽士スキーなので。
でもカインたんは無事でありますように!致命傷でも大丈夫…なんだよね!
この後カインタンが必死に姉上探しをしたり…と妄想。
ご馳走様でした!
>>160姉上乙!
ただこれカイン死んでても辛いし、カインが無事なら無事で
某バッドED時の痛ましさを思い出すんで、ちょっと凹む。
細かいこといって済まんが、出来ればこういうのは
初めにそこらへんの注意書きかなにかを入れといてもらえると
嬉しいな。
176 :
175:2005/10/09(日) 13:16:17 ID:RvyFn3Tx
>>160姉上
済みません! 初めにばっちり注意書き書いてありましたな。
なんで勘違いしたんだろう自分。本当に申し訳ないことしました!!
ロデル姫SS投下準備中。
夜には投下できると思います・・・が!!!
エチは無いです・・・姉上ゴメンヨ
>>160 初リィタン、乙!
できたら続きキボン!もちろんエロ込みでwww
リィタンは天然でエロいんだがw
リィタンと友人はいい相方同士だな。GJ!
>>176 私も特殊設定については分かりやすく表記してもらうのキボン!
できたら、以下の特殊設定も次回のテンプレに入れてもらえたらうれしいなあ。
鬼畜 複数P 百合 当て馬 ライバル設定 主以外の女キャラ×男キャラ 801にあっては板違い
近親相姦にあっては、このスレでは標準だったりする?w
>>177 wktkしながらまってるよ〜
94: いけない名無しさん [sage] 投稿日: 2005/10/09(日) 11:30:12 ID:???
死にネタだけははっきり注意書きしてくれと呟いてみる
・・・カインタン・・・_| ̄|○
95 名前: いけない名無しさん [sage] 投稿日: 2005/10/09(日) 14:27:15 ID:???
>>94 エロパロのSSの事かな…?
だとしたら、ちゃんと「カインあぼん」って
注意書きあったと思ったけど…
違うことだったらスマソ
97 名前: いけない名無しさん [sage] 投稿日: 2005/10/09(日) 15:25:35 ID:???
>95
あぼん、ならわかったが「アボン」じゃ見落としても仕方ないのでは…と、
カインが「アホ?」と見間違えた私が通りますよ。
どうでもいいがSS保管するなら、できれば「・・・」は「…」にしてほしい。
>>160 つ…続きを。
本編の黒楽士に物足りなさを感じてたんで、これくらい黒く
屈折してるのが好みだ。キチークはむしろ望むところ。ハァハァ
楽士と同じくらいカイソも好きだが、彼の生死はボカして
書いてるんであんまり気にならなかった。ゴメンカインタン…
エロ有りの続編楽しみに待ってる。
カプリング ロデル×姫 特記事項 特にナシ・・・と思われ
カイン即位後。ロデルと姫は付き合ってますが、清いお付き合いのままです。
「こんなんちがーう!!」「日本語変じゃ!!」「誤字脱字ばっか!!」と思われる姉上様は、華麗なステップでスルーをお願い致します。
初SSなので、姉上方の心の広さで包んでくだされ・・・。・゚・(ノ∀`)・゚・。
エフサスの塔から、高らかな鐘の音が響き渡る。
カインの即位式が無事終了して、暫く経ったある日。
ローデンクランツの空は晴れ渡り、絶好の外出日和。
窓の外を眺め、ふと思いを馳せる。
つい先日までは、弟のカインの教育で慌しい日々を送っていたのだが、
そのカインも無事即位し、補佐役として付き添っていた私にも、ゆったりとした日常が戻ってきた。
ほっとしたような、少し淋しい様な、不思議な気持ち・・・。
すると、それまで心の奥底にしまっておいた、あの人への想いが、
ふわりと浮かんでくる。
ロデル・・・今頃何をしているのかしら・・・
最後に会ったのは、カインの即位式。
その後、即位後の式典やら雑務やらに追われ、まったく会う事が出来なかった。
ロデルに会いたいな・・・。渡したいものもあるし、会いに行こうかしら。
・・・決めた。会いに行こう!
前もって用意しておいた質素なドレスに着替え、髪をまとめ、深めの外套を纏うと、
手荷物を抱え、そっと城を抜け出した。
「おまっ・・・!」
私の顔を見るなり、叫びそうになったロデルの口を慌てて塞ぐ。
唇の前に人差し指を立てて、後手に扉を閉める。
「シー!・・・大声出したら、周りに気づかれてしまうわ」
「おまえ、その格好・・・なんだ、王宮の侍女の服じゃねぇか。それに、カインはどうしたんだ?」
「今日はお忍びなの。だから、他には誰もいないわ」
「そっか・・・じゃなくて!おまえ王女なんだから、一人で歩き回るんじゃねぇ!一言連絡くれれば、迎えに行ったのに・・・」
「ごめんなさい、心配かけて・・・でも、吃驚させたかったの・・・」
「いや、何ともなかったんだから、いいんだけどよ・・・。次からは絶対オレを呼んでくれよな?」
その言葉に頷くと、ようやくロデルに笑みが浮かぶ。
「んじゃ、遠慮なく上がってくれ!・・・ちょっと部屋ん中散らかってっけど、まぁ勘弁な?」
久しぶりに訪れるロデルの家。外套と手荷物をテーブルの上に置き、
お茶を用意してるロデルを手伝おうと、手を伸ばす。
「・・・いいって!おまえは姫さんなんだから、お茶入れさせる訳にはいかないだろ」
「私がロデルに入れてあげたいの。何度かカインの付き添いで来てるから、要領もわかってるし。
それに今日は、ロデルにと思って、珍しいお茶の葉を持ってきたのよ?」
手荷物を解くと、茶器に葉を入れ、湯を注ぐ。茶器を布で包み、暫く待つ。
その間に、カップと茶菓子をテーブルに並べてゆく。
ロデルが感心したように言う。
「はー、手馴れてるな〜。王宮でもやってるのか?」
「友人など来たとき、おもてなし程度には出来ないと困るでしょう?それに、なるべく自分で出来ることは
したいし・・・。でも、お茶を入れるのと、お菓子を作るので精一杯なんだけれど」
カップに茶を注ぐと、爽やかな香りが部屋中に漂う。
それを、ロデルと向かい合ってゆっくりと味わう。
「このお茶いいな!胸の辺りがスッキリする」
「でしょう?この間初めて飲んで、ロデルが好きそうだなって思ったの。疲れにもいいんですって」
カップを置き、手荷物の中から、花柄の包装紙の包みを取り出す。
「あとこれ・・・ロデルに。開けてみて?」
「ん?何だこれ・・・って、ええっ!?」
包みから出てきたのは、少し網目が不揃いのマフラー。
「誕生日にプレゼントした、手袋とお揃いなの。急いでたから、あんまり上手に編めなかったんだけど・・・ごめんなさい」
「・・・これ、おまえが作ったのか、オレに!?すっげー嬉しい!!でも何で・・・」
「 ロデル・・・鍛祷師試験、合格おめでとう」
「!!!」
「エミリオから聞いて、吃驚したのよ?私には何も言ってくれないんだもの」
「・・・ごめん。でも、おまえカインの即位とか色々あって、忙しそうだったから、何となく言いにくくなっちまってよ・・・
本当に悪かった!」
「ううん、いいの。怒ってないから・・・本当に合格して良かった。私もすごく嬉しいの。さ、一緒にお祝いしましょう?」
「おぅ!ありがとな。おまえに祝ってもらえて、オレ、世界一幸せ者だな!!」
それから暫く、昔の思い出話や最近の出来事などを話しながら、暖かな二人きりの時間を過ごした。
気が付いたら、窓の外は真っ暗になっていた。
ロデルと過ごした時間が幸せすぎて、時間が経つのを忘れていたみたい・・・。
「うわっ、もうこんな時間か。すっかり遅くなっちまったな〜、送っていく!」
外へ出ると、吐く息が白い。昼は暖かかったのに、冬だから夜は急に気温が冷え込む。
家の裏から、馬を引いて来たロデルの首に、さっきプレゼントしたマフラーが早速
巻かれていた。
「早速巻いてくれてるのね。嬉しい」
「暖かいな。おまえが編んでくれたから余計にな!って、おまえ手袋は?」
「・・・忘れちゃったみたいなの。でもすぐ王宮につくし、平気よ?」
「平気よじゃねぇ!・・・ほらこれ、オレの使えよ」
自分の手袋を脱ぎ、私の手に嵌めてくれる。
誕生日にプレゼントした手袋・・・使ってくれてるのね。嬉しくて瞼が熱くなる。
「帰り道、ちょっとだけ、遠回りしてもいいか?」
「え?」
「久しぶりに、おまえとマロリーの丘へ行ってみたくてよ。そんなには遅くならないし・・・ダメか?」
「ううん、大丈夫よ。行きましょう!」
ロデルの背中から、胸に腕を回し、風を感じる。
頬を押し付けると、思っていたより、ずっと広い背中。
こうしていると、普段の彼からは想像できないくらい、
大人の男の人なんだという事を意識してしまう。
回した掌から、少し速いロデルの鼓動が伝わってくる。
私の鼓動も、ロデルに伝わってるのかしら・・・?
マロリーの丘へ着くと、ロデルが手を貸して降ろしてくれた。
夜空を見上げると、無数の星たちがきらめきを放ちながら、鮮やかに輝いている。
「綺麗・・・!!」
「だろっ?これをいつか、おまえに見せたいと・・・おまえと一緒に見たいと、ずっと思ってたんだ」
「連れてきてくれて、ありがとう!すごく嬉しいわ!!」
草むらに腰を掛けながら、言葉もなく二人で夜空に見入る。
暫くして、ロデルが私に問いかけてきた。
「おまえさ・・・王宮で何かあったのか?」
「え?」
「今日、玄関開けたときに飛び込んできたおまえの目が・・・何だか・・・」
「・・・・・・!」
「上手く言えねぇけど、オレに訴えかけてる、そんな感じがしてさ・・・」
「・・・・・・」
「何か悩みがあるんだったら、遠慮なく言えよな・・・?オレたち、い、一応その・・・付き合ってるんだしよ・・・」
言いながら、頬を染め、照れくさそうに頭を掻くロデル。
「・・・どうして、ロデルには何でもわかっちゃうのかしら・・・」
「そりゃ、オレがおまえを好きだからだろ?わかって当たり前」
私はクスリと笑って、一旦呼吸を整えると、昨日いきなり叔父上から聞かされた話を打ち明けた。
「叔父上が・・・昨日、突然見合い話を持ってきたの・・・」
『見合い』の三文字に、こぼれ落ちそうな位、目を見開くロデル。
静かなマロリーの丘に、突如絶叫が響き渡った。
「はぁっ!?み、み、見合い〜!?なんだそりゃ!!!」
「カインも無事即位した事だし、次は姫が・・・みたいな事を言われて・・・」
段々と語尾が弱くなっていく。結局最後まで言えずに、膝を抱え俯いてしまう。
自然と涙が零れてきて、ドレスを濡らしてゆく。
そんな私の背中を、ロデルが後ろからふわりと抱きしめた。
背中にロデルの暖かさを感じながら、暫くの間私は声もなく泣き続けた・・・。
ロデルの腕の中にいると、徐々に落ち着いてきた。彼の胸に
身を任せて夜空を見上げると、星々が変わらず、美しく煌いている。
少し身動ぎすると、ロデルがぽつんと呟いた。
「おまえ・・・この耳飾り、着けてくれてるんだな」
私の耳元の耳飾り。誕生日にロデルから貰った、大事な宝物。
「おまえが、この耳飾りを着けていてくれるのは・・・おまえの心がオレに向かってるからだって・・・
思っちまってもいいのか・・・?」
その台詞に吃驚して、思わず振り返る。
「私の気持ちは、ずっと変わらない・・・あの時、貴方に告白されたときから、ずっと・・・」
そして、これからも・・・。
ありったけの想いを込めて、ロデルの両手を包み込む。
「オレ・・・ずっと迷ってた。身分の違いもあるし、何不自由なく暮らしてるおまえに、苦労させちまうとか、
色々考えてた」
「ロデル・・・」
「でも、そんなのは関係ねぇ。今わかった。何よりも大事なのは、オレがお前を失いたくないって事だ」
ロデルの腕が、私を引き寄せ、抱きしめる。頬が、ロデルの胸へ押し付けられる。
早鐘をうつ鼓動。ロデルの命の音・・・。
「おまえを失うかもしれないって聞いた時、オレの息が止まるかと思った・・・オレ、おまえがいないと
生きていけねぇんだ・・・だから・・・」
オレの手を、取ってくれないか?
「ロデル・・・!!」
「まだ、一人前の鍛祷師とは言えないけど、オレの所に、嫁に来てくれないか?」
「もちろんよ・・・!!」
嬉しさの余り、涙でくしゃくしゃになった私の顔を見て、ロデルが無邪気に笑う。
「絶対絶対、幸せにするからな?覚悟しとけよ?」
「うん、うん・・・私も、ロデルを幸せにするわ!」
固く抱き合う二人を、祝福するかの様に、星明かりがやわらかく包み込む。
夜空の中で、ひときわ輝く、三つの星。
お父様、お母様、そして・・・もうひとりのカイン・・・。
どうか、見守っていて。
私は、この人と一生を歩んでいきます・・・!
やがて、愛し合う二人の唇が、静かに重なった・・・。
おわり
うわー妄想万歳!!!
突っ込みどころ満載ですが、どうかスルーで宜しくお願いします。
お目汚し失礼しました!!
(*´д`*)ハァハァ祭りはまだまだおさまるところをしらないのか!w
何回萌え氏んだか・・・・
>>181 リアル更新で読ませてもらいました!
初見習SSGJ!
イイヨイイヨー、見習も姫も純でカワイス!
本作も18禁とは思えないくらいさわやかだったけど、そのさわやかさが続いてて萌えた。
甘い事などありません。
エミリオ独白SS投下します。
**
エミリオの日記
○月×日
痛ましい事故から半年が経ち、やっとカイン様にお目通りが叶いました。
ご記憶を失くされていらっしゃるので時々突拍子もないことを仰いますが、お元気になられて本当に良かった。
姫様も事故のショックから多少は落ち着かれたご様子。
△月×日
ご記憶をなくされたカイン様の為に色々な方が協力して下さる事になりました。
姫様も毎日予定を立てたり、政務や行事をこなしたり、忙しく…毎日頑張っておいでです。
カイン様がだいぶ落ち着いてこられたご様子。最近は、姫の表情にも明るい物が増えました。
△月▽日
姫様の様子が最近変なのです。
お尋ねしても『なんでもない』と仰るばかりで。一体どうなさったのでしょう?
私ではお力になって差し上げることはできないのでしょうか…
☆月△日
姫様が塞ぎ込んでいらっしゃいます。
無理もありません。信じていた方に裏切られたのですから。
私もあの方にはお声を掛けて頂いた事があります。
大変礼儀正しい、素敵な方だと思いました。
それがこんな事に…こんな時こそ私がお二人を支えて差し上げなくては。
どれほど力になれるかわかりませんが精一杯お勤めさせて頂きます
☆月×日
姫様に元気がありません。
やはり先の一件が相当に堪えられたご様子。
顔色もあまり優れません。
△月○日
姫様が!体調が悪いのに無理をなさってとうとう倒れておしまいになられました。
私がもっと早くに気付けれいれば…!
典医のジーク様によると一週間の絶対安静が必要との事。
早く快復して頂けるよう私も頑張ります。
△月×日
あの方がお見舞いに来られました。
私が気付いた時にはもう部屋にいらっしゃって。
すぐに出て頂こうと思ったのですが姫様が久々に楽しそうにしておいでなので…
もうしばらくは目を瞑る事に致します。
▽月▼日
姫様がお元気になられました。
一週間の遅れを取りもどそうと一生懸命になっておいでです。
私などにも笑顔を向けて下さり、以前より楽しそうなご様子です。
★月○日
最近姫様は大層お美しくなられました。
いえ、今までもお美しかったのですが、この頃はより一層お綺麗になられました。
それに毎日とても楽しそうです。
▲月☆日
姫様がエミリオだけに、とそっと教えて下さいました。
姫様には想うお方がいらっしゃるそうです。
この頃お綺麗になられたのはあの方に恋をしていらっしゃるからだったのですね。
☆月∵日
エミリオは見てしまいました。
姫様があの方と一緒に居る所を。
いつのまにかあんな、女性らしい表情をなさるようになられたのですね。
∵月○日
他の誰が反対なさろうとエミリオは姫様の味方です。
姫様の幸せを願っております。
○月*日
即位式がつつがなく終了いたしました。
これで私も姫様も一安心です。
≠月§日
姫様が行ってしまわれました。
式の前日にお話はあったのですが…やはり少し寂しいです。
でもそれが姫様の幸せなら私はいくらでも応援いたします!
∞月∞日
姫様、お幸せに暮らしていらっしゃいますか?
私は姫様と一緒に過ごした月日をまるで宝物のように思っております。
一時でも一緒に過ごせてエミリオは幸せ者です。
最後に一度だけ。
姫様、エミリオは臣下の分をわきまえず、姫様を愛しておりました。
事故の後…空元気を出したかっただけなのかもしれませんが
『私にはまだエミリオもカインも居てくれるのだもの』と言って下さった事。
私などを家族のように扱って下さった事。
それだけで十分に過ぎる程でございますよ姫様。
私は血を分けた家族ではありませんが、姫様に他に想う方が居てもいつまでも私はあなたの味方です。
姫様がこれからの人生をお幸せに過ごされる事を、同じ空の下からお祈りしております。
どうか彼の人の前に幸いあらん事を!
〜Fin〜
以上です。
>187の名前欄は関係ないです。
神官SSの姉上申し訳ないです。
すみませんでした!
>193
いい!こういうのいい!
エミリオって×姫にはならないんだけれども
大事に思ってるのは間違いない訳で…
…漏れ基本的にエロしか書けないから、こういう
暖かい話読みたかったのです。
195 :
160です:2005/10/09(日) 22:23:57 ID:Ghry/bIj
様々なコメントありがとうございました。感謝です。(*'ω`*)
嬉しくもあり、大変参考になりました。胃が痛くなる想いです。
NGワード判りにくかったようですみませんでした。
徹夜明けで朦朧としてて、自分舞い上がってました…○| ̄|_
カイン死ネタについては、もし続きうpがある場合、話の進行上…という感じでしたので、
「カインアボン?」程度の表現で複線を張ったつもりでいました。ゴメンナサイorz
姉上方にいらぬ悲しみを味あわせてしまい、反省してます…凹
自分的には基本楽士ルートで大団円になる予定でいたのですが、言葉足らずで申し訳なかったです。
ネタ明かしすると、カインは死にません。自分カインもユージーンも大好きなので…。
続きをお許し頂けたので、公約(?)通り、なるべく早くエチルートうpしたいと思います。
あんまり長くなってもウザイでしょうし、割愛・推敲してからになりますので
しばしお待ちください('ω`) 長文スマソでした
>>181 ロデル×姫SSの姉上乙です!
ロデルはさりげなく甘いこと言うのが上手いですよねw純情モエ(*´д`*)
>>187 乙です!エミリオイイ(*'д`*)
なんて愛いヤツなのでしょうw姉上の思う方はあの方かしら…と想像モエしました
>>181>>187GJGJ!!姉上方、続けて読ませていただいた。
姉上方が気を悪くしたら申し訳ないが、たまたま続いての投下が
(*´Д`)ハァハァ 祭りのミラクルを起こした気さえしている。
メイン全員集合のミラクル?(・∀・)
このW投下最強だよ…
ロデルの一途さとエミリオの健気さが、漏れの中では融合?マジ泣きでつ
さっきまでエロ妄想SS考えてたけど、今はピュアな気持ちさ(*´∀`*)
>>194姉上、エロの投下も頼む!!
素敵な三連休を過ごしております、姉上方(*´Д`)
もう、このまま思い余ってサイトでも作ってしまおうかと本気で
思いつつある自分が怖です……
>>198 三連休バイトなのに、作ってしまった人がここに居ますよ。
面倒だからブログで立ち上げたけど、余計時間かかった。
睡眠不足でもこのスレを読んでいると元気でるw
200 :
101:2005/10/09(日) 23:12:52 ID:sTWW/RNv
>>181 見習いキタ━━━(゚∀゚)━(∀゚ )━(゚ )━( )━( ゚)━( ゚∀)━(゚∀゚)━━━!!!!
姉上GJ!!
漏れもがんがる。
>>187 切なエミリオ禿萌エス。
GJ!
ここに居る姐上達ってキティークとかレイポってダメ?
ゲーム内の薔薇や笛の無理矢理じゃ温いと思ってる人間がターバン×姉上の
レイーポコースイッてみようかと思ってるんだけど正直どうすか
誘い受けスマソ
>>201 漏れは全然オッケーでつ。
ていうか激しく読みたい(*´д`*)
>>187 GJ!GJ!
エミリオらしくてとにかくいい!
ほんとエミリオには癒されるんだ・・・・
禿げ萌えますた、そして癒されますた。。
>>201 いや、本作は達しかにヌルだったもん、エチに関しては。
普通のエロでさえ、もっとハードでって感じで脳内変換バシバシだもんで。
ぜひおまちしております。
>>201 NGワードと作品傾向を最初に入れてくれれば、
苦手な姉上はスルーしてくれると思う。
姉上、漏れ読みたい(*´Д`)ハァハァ
>201
適度な誘い受けは自分はオッケーですよ。
最初に注意書きつけて投下お願いします。
>160
別に悪い事した訳ではないと思うよ?
ちゃんと注意書きしてあったし。
ただ、もう少し解り易かったらよかったかもね。
私は楽しく読ませてもらいました!dd
人いない隙にエロなしカイン小ネタ投下しますよ。
**
姉上が、他の男と楽しそうに歩いている姿を見た。
僕に気付いた姉上が声を掛けてくる。
「カイン…どうしたの?こんな所で」
気に入らない。
学習に行った時も、この男は姉上の事ばかり見ている。
「姉上こそ、何をしてるんですか?」
口調が荒くなる。
あっ……しまった。
姉上が困っている。
困らせたいわけじゃないのに。
逃げるようにその場を後にする。
姉上の視線を背中に感じるけど振り向かない。
きっと酷い顔をしている。
それもこれも、みんな…姉上が、僕じゃない男に向かってあんな風に微笑んだりするから…
あれ?
姉上が他の誰と仲良くするのも、姉上の自由じゃないか。
僕達は双子だけれど別の人間。
僕が姉上の気持ちを、行動を制限する事なんて、出来ない。
うん、それは解る。
では、僕はどうしてこんなに気持ちが荒れているのだろう?
…姉上が他の男と楽しそうに、
楽 し そ う に 笑っていたからだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
姉上が楽しそうなのはいい事じゃないか?
そう、だよな?
理解は出来るのに気持ちがついて行かない。
もやもやする。
「ジークに……」
相談してみようか、と思う。
――やっぱりやめた。
もう少し、この感情を自分で考えてみたい。
以前の僕だったら、こんな時どうしていたんだろう?
思いながら大きく伸びをする。
でも。
姉上になら翻弄されるのも悪くない。
〜Fin〜
神な姉上がいっぱいキテタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
全レスしてしまって申し訳ないけど、姉上方、GJ!!
>>181,187
一途な見習いイイ!!姫も可愛くて初々しくてイイ!
エミリオも健気で切なくて萌え。
>>201 ぜひお願いします。
注意書きあれば大丈夫だとオモ。
>>207 嫉妬してるカインタン可愛くて萌えでした。
ジークに…のくだりは本当にゲーム中にありそうですた。
210 :
楽士×姫:2005/10/10(月) 03:44:32 ID:r7eDyJUF
1回目の強制えちイベントの後の楽士×姫
エロなし、暗い話です。報われません。
NGな方はスルーお願いします。
**
「君が僕のものになってくれるなら……」
カインの身の安全と引き換えに取り引きをした。
その事については後悔していない。
2度もカインを失うなんて考えられない。
ただ――――私は彼のことが好きなのだろうか?
211 :
楽士×姫:2005/10/10(月) 03:46:01 ID:r7eDyJUF
休日に部屋でぼんやりとしているとノックの音がする。
きっと、彼だ。
いつも穏やかに笑っている。
でも私は知っている。
あの笑顔が作り物だと言う事を。
「姫」
扉を開けた彼がにっこりと微笑んで私を促す。
外に出かけるのだろう。
私は何も言わず、出かける支度をする。
数ヶ月前は私もこの笑顔に騙されたのだ。
とても、いい人だと、思っていた。
私の目にさえ魅力的に映っていた様に思う…あの日までは。
「今日はどこへ行くの?」
答えの返って来るか解らない問い。
何と言われようと私は彼に従うしかないのだからあまり意味はない。
「王宮庭園に、行きましょうか」
あっさりと返事が返って来る。
なんだか、今日は機嫌がよさそうだ。
いつもは馬車を出して遠出をし、私に触れたがるのに今日は城の中だなんて…?
と少し訝しむも私には拒否権なんてない。
212 :
楽士×姫:2005/10/10(月) 03:47:13 ID:r7eDyJUF
週末毎に逢瀬を重ねる恋人。
周囲にはそのように映っているのかもしれない。
庭園を寄り添って歩く。
これでは本当に、仲睦まじい恋人同士のよう。
実際はまるで違うのに。
私と彼は取り引きをしただけなのに。
「……姫?お疲れになられましたか?」
むっつりと黙り込んでしまった私を不審に思ったのか、彼が私の顔を覗きこむ。
心配そうな表情。
いけない、笑わなければ。
カインの命を脅かす存在を消す為なら私はどうなってもいい。
私にはもう、あの子しかいないのだ。
彼の不興をかえば、カインは…
無理に笑おうとすると涙が出そうになる。
「ごめんなさい……」
言って顔を逸らすと、彼は少し悲しそうな表情をする。
これまでもこんな事はあった。
こんな時、彼は怒る事はせず、ただ、黙って悲しそうな表情で私を見るのだ。
でも、これからもそうとは限らない。
だから私は笑わなければいけない。
「何でもないの、ただ、眼に塵が入ってしまったみたいで」
「それはいけない、擦らないで、見せて」
優しく上を向かせて私の眼を覗きこむ。
また、心配そうな表情。塵が入ったなんて嘘なのに。
私はこの顔に騙されてしまいたくなる。
お願い。優しく、しないで。
213 :
楽士×姫:2005/10/10(月) 03:48:22 ID:r7eDyJUF
だってそれは本当の顔じゃないのでしょう?
アーデンの、あの夜に見せたあの表情があなた本来の姿なのでしょう?
カインを、私を殺す為に王宮に入りこんだのでしょう?
今、目の前のあなたも、嘘なのでしょう?
人当たりのいい態度に好感を持ったわ。
穏やかに微笑むあなたに安らぎを感じたわ。
カインに付き添って会うたびに嬉しかったわ。
一緒に、あちこち回って…楽しかったのは私だけなの?
涙が止まらなくて、私はとうとう本格的に泣き出してしまう。
淑女として、声を上げる事だけはしない。
ただ、声を押さえる事でより一層、涙がこぼれてしまう。
「姫……」
声と共に暖かさが私を包む。
彼が、私を優しく抱きしめる。
そんな様子にも、私は苛々してしまう。
優しくしないで欲しい。
そんな風に触れないで欲しい。
大事な物を扱うかのように私に触れないで。
期待してしまいそうになるから。
でも抵抗はしない。
私は彼のされるがまま。
彼のお人形なのだ。
私は籠に閉じ込められたのだ。
自由も、許されず。
だからこの状況は私が望んだ物ではない。
私を包む暖かい腕が気持ちいいなんて事も、ないのだ。
214 :
楽士×姫:2005/10/10(月) 03:49:47 ID:r7eDyJUF
全てはカインの為。
でも、私はそんな犠牲的精神の持ち主だっただろうか。
解らない。
ただ、涙が溢れてくる。
早く泣き止まなくては。
彼は何も言わず、私を抱きしめている。
信じられない。
何も。
自分も、彼も。
でも、カインは、2度も失いたくない。
そんな事耐えられない。
ならば、する事は一つ。
気力を振り絞って心を落ちつけると、漸く涙が引いてくる。
「何でもないの…ごめんなさい」
私に利用価値があるのなら、好きなだけ使えばいい。
私だって王家の娘。政略には慣れている。
涙を拭って彼から離れる。
彼の腕は私が身を捩ると簡単に外れた。
身体の感じていた温かさが急速に冷えて行く。
「あ……」
辛そうな、表情をする彼。
私はそれに気付かない振りで無理に微笑む。
「そろそろ冷えてきたわ、帰りましょう?」
言って先に立って部屋へ向かって歩き出す。
彼が、付いて来る足音が聞こえる。
私は振り向かない。
215 :
楽士×姫:2005/10/10(月) 03:50:37 ID:r7eDyJUF
私は彼が好きなのだろうか?
そして、彼は私のことが好きなのだろうか?少しでも。
答えは、出ない。
〜Fin〜
以上です。
なんか萌えに任せて連投して申し訳ないです。
見て下さった、感想下さった姉上達ありがとう。
他の神の降臨お待ちしてます。
217 :
181:2005/10/10(月) 05:14:51 ID:FyJI/eOf
姉上方、感想聞かせてくれてありがとう!!
拙作ではございますが、読んでくださってありがとう。・゚・(ノ∀`)・゚・。
これからも精進しますですだ!!
以下次号!!!(あるのか?)
218 :
181:2005/10/10(月) 05:18:32 ID:FyJI/eOf
って、なんでIDかわってるんだろ・・・謎
>>210 楽士も姫もすれ違いだね、切ない(。´Д⊂)
お互いに不器用だね。誤解が解けて幸せになって
くれるといいなと思わずにはいられない。
良いもの読ませてもらいました。
>>218 日付変わるとIDも変わるよ。
>>210 乙です!
姫と楽士の関係イイですね!!
ゲームでは割と姫がそれほど引きずらないので、
SS読んでいて切なくなりました。
この先この二人のすれ違いがどのような道を進んでいくのか
すっごく気になります。
私も初投下させていただきます。
姫襲撃夜のカイン一人H(描写薄)SSです。
- - - - -
今週は姉上の付添い無しで、俺は落ち着かなかった。
せめて、おやすみの挨拶をと向かった姉上の部屋。
ガラスの割れる大きな音と、姉上の悲鳴が響いた。
侵入者!? 姉上を狙ってか!
『姉上! 姉上! どうしたんだ! 大丈夫かっ!』
俺が襲われたように、姉上も命を?
いや、姉上は魅力的な女性だから、邪まな輩だったのかもしれない。
『姉上に少しでも触れてみろ! すぐに地獄に送ってやるぞ!』
俺の剣幕に怯んだか、不審者はすぐに逃げた。
エミリオに指示し、三階奥の客室が用意された。
姉上の不安そうなまなざし、少し震えている唇。
俺は抱きしめて、いたわり慰めたかった……この離れがたい思い。
心配だけではない気持ちで、今夜は姉上と共にいたかった。
姉弟なんだしと、俺が嫌だと感じはじめている関係を盾にしても。
急遽用意した客室は、少しひんやりとした空気が漂う。
やっぱり、ひとりにしないで良かった。
俺が、傍にいるから……
眠っても、ずっと……
ベッドに横になり、姉上のまぶたが落ちた。
安らかな寝息に引き寄せられるように、俺は姉上に顔を近づける。
心惑わす甘やかな香り、指で触れれば誘うかのように薄く開く口元。
「姉上……。」
たまらずに口づけたくちびるは、柔らかく俺を受け止める。
あぁ、この甘美な感触は、何故俺のものではないのだろう。
『何があろうとも、姉上には指一本触れさせやしないよ!』
それは、俺の未だ知らぬ相手への嫉妬。
姉上に対する独占欲。
『俺だけの……姉上なんだ……。』
俺が顔を離すと、姉上のくちびるは小さく熱い吐息を漏らす。
鼻先を掠めたその熱に、俺は更なる欲望を掻き立てられる。
「あっ…姉上」
教えられた訳でも無い行為なのに、己を満たすべく手は自然と下半身に伸び
既にはちきれそうになった自身を解放する。
左手で姉上の髪に触れながら、右手は自身を握り上下に刺激を加える。
「…うぅ、…はぁ……」
このまま姉上を抱きしめて、俺のものにしてしまいたい。
その白い胸元に俺が印をつけて、俺自身を姉上に包まれたい…
「…あぁ…あ、ねうえ……っぅ…」
俺は、俺はっ!
たまらず果てて、俺が迸らせた欲望が飛び散った。
「はぁ…あっ……」
大きく息をついて、姉上を見る。
ぐっすりと眠ったままのようで、俺は安堵するが、姉上が目覚めたとき
客室の異変に気づいてしまうだろうか?
俺の行為を感じ取り、嫌われてしまうだろうか?
急に悪いことをした気持ちに陥って、俺はあわてて身じまいをした。
エミリオを呼び、姉上の部屋が片付いたことを確認する。
明方、目覚める前の姉上を俺は部屋に運んだ。
俺の行為を隠すのと、姉上を抱ける両得でもあった。
ねぇ、姉上、俺はね……俺自身の願いはね、ひとつだけ。
姉上―――だよ。
*Fin*
投下慣れしてないので、番号最初付け間違えた orz
ごめんなさい!
>221
おお!待ってました〜って感じの作品です!
以前したらばでカイソタンは絶対一回位姉上おかずに
一人エチーしてるはずだ的な話しをしたことがあったもんですから、
すんごい嬉しいです。
226 :
楽士×姫:2005/10/10(月) 13:34:58 ID:r7eDyJUF
>221
おお!私も待ってましたー!
教えられた訳でも無いっていうのがいいよねー
しかも俺カイン(*´Д`)ハアハア させて頂きました。
私も投下します。
エロは雰囲気だけの温い楽士×姫です。
取り引きものが好きですよ。
そして姫がちょっと馬鹿です。目が眩んでます。
強引エチの事をこれっぽっちも?引き摺ってません。
出てこないけどカインの扱いがひどいかも。
カイン好きな姉上ごめん。私カインも好きだ。
NGな姉上はスルーお願いします。
**
取り引きだから。
その言葉は簡単に私の心に目隠しをしてしまう。
カインの為だから、私は望まぬ行為に身を委ねる。
いいえ。
それは嘘。
だって私は心の底ではそれを望んでいるから。
227 :
楽士×姫:2005/10/10(月) 13:35:40 ID:r7eDyJUF
宮廷楽士と王女。
普通ならば身体の関係を持つ事などないだろう。
しかも、彼は暗殺者なのだ。
私と、カインの命を狙う。
私しか知らない。
別の顔を持っている事。
それは重大な秘密で、敢えて口止めされたわけではなかったが…私には話すつもりがなかった。
ジークや、アストラッドにでも話せば、リオウは捕まるかもしれない。
ヴィンセントやエドガー、ロデルだってこんな事には黙っていないだろう。
言えばリオウは必ず捕まるだろう。わが国の騎士団は優秀だ。
だけど、遠からず新しい暗殺者がやって来る。
リオウでない誰かが、私を、カインを殺しに来る。
それは、嫌だ。
どうせならリオウがいい。
彼が私の前から消えるなんて嫌。
彼が何者でも。
隠しても仕様がない。
私は、彼が好きなのだ。
あの晩の、ずっと前から。
228 :
楽士×姫:2005/10/10(月) 13:36:45 ID:r7eDyJUF
あの日から2ヶ月程が経った。
正直に言って、あの日の事はよく覚えていない。
でも覚えてないながらに忘れられない事でもあった。
唇を重ね合わせた後にリオウが呟いた、「唇は、本当に好きな人とだけ」という言葉。
それは私の事を好きだと、そう思っていいのかしら?
彼はその後特に何も言ってはくれなかったけれど、私に触れる優しさがそれを証明している様で幸せだった。
次の日からも私は彼の下へ通った。
笑顔で。以前と何も変わる事なく。
表向きは取り引きに応じて。
でも本当は、彼と一緒にいたかったから。
身体が辛くなかったわけではない。
でも、そんなに無理をしたわけでもない。
時には、望まれて身体を重ねる事もあった。
でもそれは決まって土曜日。
私の身体の負担を考えてくれている…とは自惚れかしら?
229 :
楽士×姫:2005/10/10(月) 13:37:16 ID:r7eDyJUF
今日も土曜日。
私が訪ねた方がいいかしら、と腰を上げかけた所へノックの音。
「姫、今よろしいでしょうか?」
リオウだ。来てくれた。
嬉しくなって自分で扉を開けて招き入れる。
「どうぞ、入って」
リオウは少し驚いた顔をして、それからゆっくりと苦しげな、切なげな表情になって――いつもの表情を取り戻した。
私がはしゃげばはしゃぐ程、好きだと態度に出す程、彼はこんな表情の変化を見せる。
リオウは自分で自分を責めている、と思う。
私も宮廷の女だから人の表情から感情を読み取る術には長けている。
だから、たぶん間違いではない…と思う。
「今日はどうしたの?」
話を振るとリオウは王宮庭園にと誘ってくれる。
「もちろん行くわ」
私が笑顔で頷くと、また、複雑な表情をする。
それは嫉妬と、失望と…不安?
支度をして振向いた時には、いつもの穏やかな笑みで私を見つめていた。
「では、姫。行きましょうか」
230 :
楽士×姫:2005/10/10(月) 13:38:11 ID:r7eDyJUF
庭園に着くとリオウはどこか連れて行きたい所があるのか、私の先に立って導く。
出来れば肩を並べて歩きたいけれど…なんて贅沢は言ってられない。
「姫、ここからは目隠しをして頂いていいでしょうか?」
少し不安げにリオウが問う。
「ええ、いいわ」
躊躇わず頷く。
そんな表情しなくていいのに。
あなたは私に強制する事も出来るのよ?
リオウが薄い布を取り出す。
視界が閉ざされる。
不安になる前にリオウの左手が私の腰を抱いて右手は私の右手を握ってくれる。
手が、少し冷たい。
「姫、足元に気を付けて…進みますよ?」
リオウに身体を預ける様にして進む。
今、どんな表情をしているのかしら?
作る必要がないから表情を消しているかしら?
それとも…?
ふと、知っている匂いが鼻を掠めた。
歩みが止まると同時にリオウの身体が離れた。
少し残念。
「姫、もう目隠しを外していいですよ」
すぐ後からリオウが、レイノル湖やエフサスの塔で私を呼ぶ時のような、甘い響きで私を促す。
私、この呼ばれ方がとても好き。
そっと目隠しを外して目を開ける。
暗闇に慣れた目には陽射しが眩しくて思わず目を細めた…が、すぐに思いきり見開く事になった。
231 :
楽士×姫:2005/10/10(月) 13:39:00 ID:r7eDyJUF
そこには、周囲を埋め尽くす様にして、私の好きなあの花が咲き誇っていた。
「姫が…この花をお好きだと伺ったので…ここにお連れしたくて」
噎せ返るような花の香りと、リオウの心遣いに胸がいっぱいになる。
「お気に…召しませんでしたか?」
話さない私に少し不安げにリオウが問いかける。
「いいえ、いいえ!素敵!とても嬉しいわ、リオウ!ありがとう!」
振り向いて、そのまま思わず抱きついてしまう。
「あっ……」
女の側から抱き付くだなんて淑女と言えないわ。
「ご、ごめんなさい…」
慌てて離れようとするとリオウの腕がそれを阻んだ。
「姫がお嫌じゃなかったら…もう少し、このままで」
優しく抱きしめられる。
あなたの顔が少し赤く見えるのは、私の気のせいじゃないわよね?
まるで本当の恋人同士みたい。
リオウ、私嫌じゃないわ。
嬉しい。
それから私達は芝生に腰を下ろし、歓談に耽った。
リオウはマントを外して私のドレスが汚れない様にと敷いてくれる。
私は気にしなかったけど確かにドレスが汚れればメイドには叱られてしまうし、何よりリオウの気持ちが嬉しかった。
リオウは私に色々な話をしてくれた。
知り合いになった庭師に私の好きな花を聞いた事、誰も知らないこの場所を教えてもらった事。
宮廷内の事なのに知らない事も多くて驚いた。
それに、こんなにリオウの方から話してくれるのは久し振りで私は時間を忘れた。
232 :
楽士×姫:2005/10/10(月) 13:39:39 ID:r7eDyJUF
太陽が山際に消えようとしている頃、私とリオウは自然と身を寄せ合っていた。
リオウは私の肩を抱いてくれる。
「風が、冷たくなってきました。そろそろ……」
楽しい時間には終わりが来る。
でも…まだ離れたくない。
今日、心の距離が縮まった気がするのに今離れてしまえば明日には元に戻っていそうで。
見上げるとリオウもまた私を見つめていた。
しばらく見詰め合う。
「……僕の部屋に、来ますか?」
溜息を吐くようにリオウが言う。
その言葉の意味は明白だ。
これまで、何度か繰り返されて来た事。
「ええ、行くわ」
これまで、何度も繰り返されて来た返事。
でも、何かが変わる気がしていた。
「どうぞ」
先に私を入れてリオウが後ろ手に扉を閉める。
鍵を閉める間ももどかしい様にリオウが私の体に触れる。
強く、抱きしめられる。
痛い程。
「姫……!姫……」
切ないように呼ばれる。
それが、リオウが私を求めている証のような気がして、嬉しかった。
私はそっと目を閉じてリオウに身を委ねた。
233 :
楽士×姫:2005/10/10(月) 13:40:29 ID:r7eDyJUF
**
月明かりの中、目を覚ます。
行為の後、眠ってしまったようだ。
カーテンが開いたままだった事に今更気付く。
そんな余裕はなかった。
求めて、求められた。
少しだけ、心が通い合ったように思う。
私の隣で眠っているリオウの顔を覗き見ると、苦しげな表情。
夢の中でもまた、自分を責めているの?
意に添わず私を苦しめてしまっていると?
私はとっくにあなたを許して、あなたに奪われてしまっているのに。
私は彼が好きなのだ。
あの晩の、後もずっと…今も。
身繕いをして、そっとリオウの部屋を出る。
自分の部屋に帰る道すがら考える。
やはりこんな関係の続け方はフェアじゃない。
このまま彼を苦しめるのは嫌。
彼も言ってくれないけれど、私も、何も言っていない。
明日、手紙を書こうと思う。
そして、エミリオに届けてもらうのだ。
リオウは、何と言うかしら?
少しは、笑ってくれるかしら。
〜Fin〜
以上です。
見てくださった姉上乙です。お付き合いありがとうございました。
そろそろ呆れられるだろうから裏が白いチラシを探してきます。
チラシ!チラシ!
>>221 一人カインタンのもどかしげな感じがイイ!!
姉上が起きたらどうするんですか(´д`*)ハァ
>>ID:r7eDyJUFの姉上
たくさん萌え、GJ!!
楽士×姉上はすれ違いの切なさとほんのり甘さがいい…。
全レスしてもよかでつか?
>>208 カインタン、まだ初恋が何たるかもわからないのよね・・・・セツナス!!GJ!
>>222 カインタン一人エチ(;´Д`)スバラスィ ...ハァハァGJ!
というか、絶対姉上想って何度もなんども・・・・w
で、今度は姉上目の前でここぞとばかり・・・・ww
>>210>>226 姉上、すごいな・・・・・
よくもまあ、そこまでのSSを文字にしてくれた。
楽士への愛があふれてるよ。
薄暗い雰囲気がやっぱりいいよな、このルートの話は。
GJGJ!
237 :
116:2005/10/10(月) 19:41:10 ID:lNHe/LEX
団長と姫のその後の話、です。
団長のへたれパパっぷりを書きたかった。
ほとんどコメディです。
育児ネタで、王宮の世界では出て来なさそうなものとか出てきますが、そこの突っ込みはなしでお願いします。
蛇足的に、微エロあります。
自分初めての微エロw
238 :
団長育児ネタ:2005/10/10(月) 19:41:47 ID:lNHe/LEX
「では貴方、行って参ります。……ああ、でも心配だわ貴方。本当に大丈夫なの?」
「姫、貴方はそのような心配をなさる必要はありません。万事私にお任せください」
「……そう、わかりました。では、お願いしますね。私も出来るだけ早く帰ってきますから」
「いえ、本当に大丈夫です。どうぞごゆっくりと、お友達と旧交を深められるといい」
「こちらの手帳に、必要事項を書きしたためました。それから、そのように貴方一人で頑張り過ぎなくても……」
「ですが、これは私に与えられた任務……」
「……任務って。ああ、心配だわ。やっぱり行くのをやめようかしら」
「そのようなことおっしゃられては、お友達が落胆されます。是非行って頂かねば」
「では行って参ります……」
夫がいくら口で大丈夫といっても、若き奥方はとても不安そうな顔をしていた。
しかし、やがて刻限が迫ってきたこともあり、奥方は何度も夫を振り返りながら、ようやく出立したのであった。
「さあルチアナ。母上は出かけられてしまった。今日、父と2人で過ごさねばならぬ。お利巧にいたすのだぞ、いいな?」
赤ん坊をベッドから抱き上げ、ヴィンセント・アンサラーは前国王妃と同じ名を持つ娘に言い聞かせる。
約1年前、ヴィンセントは現国王の姉姫と結婚した。
2人は互いに愛し合ってはいたが、周囲がじれったくなるほど不器用に、交際を続けていた。また、身分の差もあって、ヴィンセントは始終遠慮しがちで、中々結婚に踏み出せずにいた。
だが、1年前、ヴィンセントは最愛の姫が自分の子供を身ごもったことを知り、ようやく2人の恋は結婚へと成就したのだ。
そして、約4ヶ月前に娘が生まれ、その祖母に当たる人から名をもらい、ルチアナと名付けられた。
今日は彼の姫、いや今はアンサラー家の若き奥方の旧い友人が結婚するということで出掛けて行ったのだ。
当初は夫婦そろって出掛ける予定だったが、赤ん坊を連れての外出は何かと大変だからとヴィンセントが留守番を申し出た。
その申し出に奥方は当初かなり難色を示した。
夫は騎士としては優秀だし、無骨ながらも優しく、彼女を支えてくれる。
だが、赤子の面倒を1人で見ると、頑として譲らないのだ。
家人の中には子育て経験者もいるからと言っても、自分の娘は自分で面倒を見られると言い切ったのだった。
239 :
団長育児ネタ:2005/10/10(月) 19:42:29 ID:lNHe/LEX
最初の一刻ほどは何もかも順調だった。
しかし、先ほどからルチアナがぐずりだした。
「どうした、ルチアナ?」
とりあえず、おむつを換える。
「ええと……、どこへ行ったのだろうか」
換えのものを先に用意すればよかったのだが、あせってしまいヴィンセントは、娘のおむつを外したままにしてしまった。
「ああ、ここか」
探しあぐねた後、小さなベッドのその下にあるのを発見し、換えようとしたのだが……。
「ルチアナ……」
ヴィンセントはため息をつき、とりあえず娘のおしりにまず新しいおむつを当てた。
濡れたままの自分の顔を拭くのは後にして。
「ほら、お腹がすいたのだろう」
適温に冷ましたミルクを娘の小さな口に近づける。
口がほんの少しとがり、それから口が開いた。そこへ乳首を入れ……ようとしたが、拒まれた。
「どうした、腹が減っているのではないか!?」
父はあせった。
母である妻が乳をやる時には喜んで飲んでいた。おかげで少しぽっちゃりとやわらかい腿がかわいらしい。
だが、あせればあせるほどぷいと顔を背けるばかりだった。
「何故だ……このままでは、姫が帰られる前にルチアナが……餓死してしまう!!!」
王宮では鬼と恐れられる騎士団長は、娘のベッドの前でがっくりと膝をついた。
240 :
団長育児ネタ:2005/10/10(月) 19:43:16 ID:lNHe/LEX
「る〜る〜るるるる〜♪、ルチアナや。今日も元気でおるか?」
ご機嫌そのもの、といった感じで、老人が部屋に入ってきた。
「ち、父上!?」
「おうヴィンセント、姫は出かけられたそうだな。先ほど挨拶にみえた。今日はおまえがルチアナの面倒を見るとか。本当に一人で出来るのか? ん?」
「……」
知っててわざわざ来たのではあるまいか、とヴィンセントは勘繰ってしまった。
「それにしてもほんに可愛いのう。ルチアナ、爺と遊んでくれるな?」
「いえ父上、今はミルクの時間ゆえ、少々お待ちいただきたい」
「そうなのか? では爺の手からやろうではないか、どれよこしてみろ」
自分の子供に対しては、一切育児に手を出したことなどないアンサラー家先代は、いつもの強面を緩め、孫の小さな体をそっと包んだ。
「ほれ、早くしろ」
哺乳瓶を渡せと要求され、仕方なしに手渡す。
きっと父がやったところで無理だろうとあきらめながら。
「よーしよし」
背を軽くたたきながら、素早く口に乳首を放り込む。
ルチアナはその一瞬の出来事のせいか、それを受け入れ吸い始めた。
「よし、いい子だ」
「なんと……」
父親の面目丸つぶれだ、とヴィンセントは頭に手をやる。が、
「おいどうした? 何故飲まぬ?」
吸い始めこそ勢いがよかったものの、だんだんと動作が緩くなり、しまいには乳首をぷっと口から吐き出し、もう後は何度やってもうまくいかなかった。
「なんと……頑固な子だ。ヴィンセント、おまえに似たのだぞ」
よかった、自分だけではないのだ、とこっそりヴィンセントは喝采したのだが、頑固なところがそっくりと言われ、少し憮然とする。
頑迷さは父親譲り、といつでもエドガー殿に言われている、とヴィンセントは思うことで溜飲を下げた。
241 :
団長育児ネタ:2005/10/10(月) 19:43:57 ID:lNHe/LEX
「ふむ、どうしたものか。そうだ、いい物を持ってきた。食べるか?」
と言って先代が取り出したのは、クッキーだった。
「昨日、そなたの母御が作ったと持って来てくれたのだぞ。そなたの父にはもったいない嫁御なのだぞ」
さっきから何かと突っかかるようなことばかり言われるが、ヴィンセントはひたすら耐えた。
しかし、父は何を持って来たと言った?
「それ、口を大きく開けて……」
「父上、なりません!」
つい声が大きくなってしまった。
ついでにその手に持っていたクッキーも勢い余って投げ捨ててしまう。
おかげで父は驚きのあまり椅子から落ちかけたし、ルチアナも大きな声で泣き始めた。
「も、申し訳ございませんでした」
「そなたの父はけちだの……」
「いえ、けちだとかそういうことではございません。赤子の食料は乳と決まっております。このような時期から菓子を食することなど出来ませぬ」
胃の負担になるから無理だと、説明してようやく先代はあきらめた。
「失礼します。何かございましたか?」
ドアの外からノックが響いた。
入ってきたのはヴィンセントが子供の頃から世話になっている女性だった。
姫も育児については、彼女から学ぶものが多くあったと言う。
きっと今回の外出に際して、彼女に言付けてあったのだろう。
「ルチアナに菓子をやろうとしたのだが、こやつが怒鳴り散らして泣かせたのだ」
「あらあら……大だんな様、それは坊ちゃまのおっしゃることにも一理ございますわ。そうですか、ミルクを嫌がられるのですね、そう……きっとルチアナ様は哺乳瓶がお嫌いなのですよ」
そう言えば、姫のたっての願いで、ルチアナは乳母もつけることなく、母乳のみで育ってきた。
「ルチアナ様はちゃあんとお母様のことが分かっていらっしゃるのですね」
哺乳瓶の乳首では嫌なのだと自己主張しているのだと説明されると、先代は自分に似て頭の良い子だと絶賛した。もちろんヴィンセントは、黙して耐えた。
「しかしそれでは……姫が帰られる前に、ルチアナは餓死してしまうのでは……」
大きな体を身震いさせて、ヴィンセントは眉根に皺を寄せる。
「ふふふ、大丈夫ですよ。本当にお腹がすけば、赤ちゃんだって我慢されてお飲みになります。まあ、ご心配なのですね、坊ちゃまは。でしたら、匙を使って差し上げるのはいかがですか? 案外うまくいくかもしれませんわ」
急遽厨房から匙を取り寄せ、新たに作り直したミルクを載せて、口に近づける。
「……」
はじめは、新たに口に入れられたそれに驚いたが、そのうちに慣れたか、喜んで口をあけるようになった。
「よかった……姫に申し開きできなくなるところだった」
大げさな、と二人はヴィンセントを笑ったが、彼には冗談でもなんでもなかった。
そして、なんとかルチアナを寝かしつけ、先代たちが退散した後、彼は部屋の隅に落ちたクッキーを拾い、それを口にした。
「申し訳ありませんでした、姫……」
そう謝罪をこめて。
242 :
団長育児ネタ:2005/10/10(月) 19:44:35 ID:lNHe/LEX
ヴィンセントはいつの間にか眠っていた。
ルチアナの寝姿を見守って座っているうちに、椅子の上で寝てしまったようだ。
だが、部屋の中で何か気配を感じた。
腰の剣に手を当てる。何があってもルチアナは守らなくてはならない。
「何者だ……」
振り向きざまに、剣を抜こうとして、
「このような室内で振り回すものではないなヴィンセント」
「すまない、何度かノックしたのだが……」
意外な来客の姿に手が止まった。
「フフン、剣を抜かずにおいて正解だったな。国王陛下の尊き御身に傷を負わせたとなれば、アンサラー家も取り潰しだな」
「エドガー、笑えない冗談はやめた方がいい。第一、そんなこと僕がさせないよ。姉上の為にもね」
「フン、姫の為、か……」
「ところでお二人は、今日はどうなさったのですか?」
「うん、近くまで視察に来たんだ、それでちょっと寄らせてもらった」
なんでこういう時に限って招かざる客が来るのだろう、と思ってしまい、しかしそのような不遜なことを考えてはならないと、ヴィンセントは自分を戒めた。
「姉上はお出かけだったよね。でも、今日はいいんだ、ルチアナに会いたかったからね」
と、いまだ昼寝中のルチアナのベッドにカインが近付く。
「赤子とは、本当に小さいものだな」
エドガーも興味深げに寝顔を見つめている。
その二人の後姿を見て、ヴィンセントはなんだか少し嫌な予感を覚えた。
「ねえ、ルチアナ? 早く大きくなるんだよ。きっときれいになるんだろうな、姉上に似て。そうしたら、その時に君さえ良ければ、僕のところにおいで、叔父ちゃまが王妃様にしてあげるからね」
「おい……本気か?」
二人がこそこそと小さな声で交わした会話の内容は、小さなルチアナの父の耳にまで届かなかったのは幸いだった。
結局、若き国王と、その補佐官はルチアナが目を覚ます前にアンサラー家を辞した。
その後は、特に来客もなく、ルチアナも酷く機嫌を損ねることもなく夕方になった。
が、空が赤くなり暗くなるにつれて、ルチアナの機嫌が悪くなり、とうとう大きな声で泣き出し、止まらなくなった。
ミルクをスプーンでやろうとしても受け付けない。
243 :
団長育児ネタ:2005/10/10(月) 19:45:15 ID:lNHe/LEX
「ああ、戻ってきたのですね。お帰りなさい。さっきからなかなか泣き止まないのですよ……どうしたものでしょう。やはり貴方がいなくては駄目ですね。さ、早くこちらへおいで下さい。二人して今か今かと貴方の帰りを待っていたのですよ」
弱り顔で、ルチアナを抱き上げていた夫が、帰って来た妻を迎えて言った。
「貴方、ルチアナ、ありがとう。今日は本当に感謝しているわ」
二人の顔を見て、さっきまであった緊張の色がその顔から消えていた。
ルチアナも、母が分かるのだろう。抱かれたとたんに泣き止み、乳を吸い出したら、あっという間に寝付いてしまった。
「フフフ、今日は楽しかったけれど、結婚してから貴方とルチアナとこんなにはなれていたのは初めて。実はちょっと不安だったの。でも、こうして帰って来て、二人に迎えてもらえることがこんなに幸せなこととは思わなかったわ」
「姫……」
ルチアナをベッドに戻すと、二人はそっとキスした。
「愛しています」
244 :
団長育児ネタ:2005/10/10(月) 19:47:44 ID:lNHe/LEX
蛇足の微エロ
「実はね、ずっと胸が張って痛かったの」
ヴィンセントが彼女の胸に触れると酷く熱かった。
「小さな子供の声を聞くと、ルチアナが泣いているのじゃないかと、そのたびに胸が張るの」
そう言いながら、姫の目から涙がこぼれる。
「どうしたのですか?」
心配そうにヴィンセントが尋ねた。
「幸せだな、って思ったの。なんでもない、小さなことも全て、みんな幸せだと感じられるの。そう思うと胸がいっぱいになって涙が出てしまったみたい。……あっ、痛い」
胸は相当痛むらしい。
「ほとんど一日おっぱいをあげることが出来なかったから……」
「失礼します……」
「あっ……」
ヴィンセントの口が乳首を吸っていた。
「……美味しくない、わよね?」
「はあ……牛の乳などとはだいぶ違いますが」
そう言いながらも、ヴィンセントはそれを口から吐き出すことなく、胸が楽になるまで吸い続けた。
「ねえ貴方、今日はルチアナとどんなことをなさったの?」
「そうですね、夜は長い。ゆっくりお話しましょう……」
二人は再び口付けを交わし、夜の闇に溶け込んでいった。
おしまい。
すみません、自分、エロは書けそうにありません。
あと、百合って需要ありますか?
自分女ですが、コゼット好きなんだ…
>>116 ヘタレパパ可愛いじゃないかヽ(`д´)ノ 幸せそうだな、コンチクショウ
カインの一言もいかった。ちょっと本気そうな所とかw
団長はシリアスよりラブコメが似合うな……。
自分も女だがコゼット好きだ。
百合いいじゃないか、ドントコーイЩ(*`д´*)Щ
>>237 スマソ、マジでワロタ。
へたれなパパンが良く似合うよ、団長は。
途中のカインの声、中の人でばっちり脳内再生されました。
GJ!
創作意欲が湧くのに、内容もだいたい考えているのに、文章にならないなあ。
こういったのってネ申が降りてこないとかけないんだよなあ・・・
ヒント探しにもう1ルートしてくるか。
>237
団長パパイイヨイイヨ〜。
カイソタンと薔薇の訪問。二人の会話が更によかった!
>>237 団長モエス!
こういうのもいいね!!微妙にシスコンを匂わせるカイソにワロスw
>>237 団長SS姉上お疲れ様でした!
ご馳走様でした!!!
さりげなくカインにモエますたヽ(´ー`)ノGJ!!
以前、団長と姫の話、投下させて頂いた者です。
ちゃんと見直したはずなのに、誤字脱字があってすみません。
稚拙な文ですが、感想有り難うございました。
三連休で猛烈に王宮熱が高まってしまったようで、また投下
させて頂きます。
一本はエロ無。もう一本は本番未遂です。
もうこのレスから目が放せません。
責任取って嫁にもらってくれ( *´д`)=3
251 :
ヴィン×姫:2005/10/10(月) 22:41:27 ID:NalJGTbQ
「あら、団長、いいことでもあった?」
振り返ると、にんまりと笑ったゼノンが上官であるはずのヴィンセント
を見ていた。そのあまりに嬉しそうな表情にヴィンセントの顔はとたんに
険しくなった。剣の腕前だけならば自分と引けを取らないであろう彼が、
ヴィンセントは苦手なのだ。雲のように掴み所の無い彼の性格に、どう接
すればいいのか分からない。自分が真面目すぎるのも原因の一つなのかも
しれないが、この歳になって今更、性格を変えられるはずもない。
「そんな事はない」
下らない、とヴィンセントが一蹴すると、ゼノンはますます楽しそうに
口元を緩め、
「ふぅん……団長、自分で気づいてないのね。最近、凄く嬉しそうよ?
前みたいに、いつもピリピリしてないもの。……ははぁん、さては恋をし
たのね、団長」
「な……! そ、そんな事は断じてない! 馬鹿な事をいうな……!!」
「ははっ、もう、そんなに慌てちゃって、可愛い!」
「ゼノン!!」
上下関係の厳しい騎士の中で、上官をからうなど言語道断だ。力の限り
ヴィンセントが怒鳴ると、ゼノンは怖い怖いとそれでも笑ったまま、上官
の下から去っていった。
252 :
ヴィン×姫:2005/10/10(月) 22:42:32 ID:NalJGTbQ
「やはりここは苦手ですか?」
その問い掛けにヴィンセントははっと我に返った。目の前には決して派
手ではないが彼女を引き立たせるには十分な蒼いドレスを身にまとった、
この国の王女が座っていた。
既にカインが王座に即位し、彼女の生活もまた以前のように穏やかなも
のに戻っていた。決して表立って行動する事はないが、最近は国内外の書
物を読み耽り、いざという時の為に弟の手助けになりたいと、様々な知識
を蓄えている。
ヴィンセントの方はといえば、以前と相変わらず騎士団長として月の大
半を城内、もう半分は城外と──終わる事がない任務に日々、追われてい
る。
それでも会えない日が随分と続くと、躊躇いがちに王女はヴィンセント
の部屋を訪ねてくれるようになった。以前のように遠出をする事は出来な
いので、もっぱら城内で時間を過ごすのだが、それでも二人には大切な時
間だった。
カインが無事に即位したあの日の晩、ヴィンセントは王女に求婚した。
それは王家に仕える騎士としてはしてはならぬ事だったのかもしれない。
決して実ってはならない恋だと己に言い聞かせ、ずっと父の教えが全てだ
と信じていたヴィンセントが初めてその教えに叛いた瞬間だった。
だが、その事にヴィンセントは後悔していない。
若き王の隣で優しく微笑む彼女を見てしまった時から、覚悟は決まった。
どんな結果になろうとも、この気持ちを彼女に知ってもらいたかった。彼
女がこの胸の傷を癒し、再び、人を愛する歓びを教えてくれた。その感謝
の想いだけは伝えたかった。
そして王女は真摯なヴィンセントの想いに応えるように、また自分も同
じ気持ちなのだと──求婚を受け入れた。しかし、まだカインは即位した
ばかりで、忙しい彼の手を更に煩わせる事だけは避けたかった。だから、
それは二人だけの口約束でしかなく、何の効力も持たない、二人だけの誓
いでしかなかったが、それで二人は十分だった。急ぐ事も、焦る事もない
のだから。
湧き上がり気を狂わすような独占欲も、今のヴィンセントには無い。任
務は忙しく身体は酷く疲れるが、心はとても満たされているようだった。
253 :
ヴィン×姫:2005/10/10(月) 22:43:09 ID:NalJGTbQ
「姫、そうではないのです。確かに苦手なのは事実ですが……」
今、二人は王宮の庭園が見渡せるテラスでお茶をしていた。以前、居場
所が無いような話をヴィセントがした事を王女は覚えていたのだろう。そ
れだというのに、この場所を選んでしまった事を王女は気に病んでいるの
だ。
だから、ヴィンセントの言葉を聞いても、王女の顔は晴れる事はなかっ
た。そんな表情をされてしまうと、ヴィンセントも誤魔化しが効かない。
ヴィンセントはわざとらしい咳払いを一つして、
「先ほど、ゼノンに言われた言葉を思い出していただけなのです」
「フランシスカですか?」
ええ、と答えるヴィンセントは気難しい顔になったが、王女は彼に好意
を持っているのか、憂いた表情から一変して、興味深そうに、彼を見つめ
た。それがヴィンセントにとっては面白くない事なのだとは、フランシス
カと同性として接している王女が気づくはずもない。
彼らのやり取りに興味があるのか、王女は、
「何と言われたのですか?」
「……最近、私が嬉しそうな顔をしていると……」
そう口にして、そんな事は断じてないはず──と、ヴィンセントは心の
中だけで付け足した。騎士団長としての任務をまっとうする為にも、己の
感情をそう易々と表に出す事など、あってはならない事であるし、今まで、
そう努めてきたつもりだ。
しかめっ面のまま、ティーカップを口に運んだヴィンセントだが、
「それは貴方が恋をしたから?」
思わぬ王女の言葉に、口に含んだ紅茶を思い切り咽てしまった。
「大丈夫? ヴィンセント?」
「ひ、姫、どうしてそれをゼノンが言ったなど……!」
本気で驚いているヴィンセントに王女は彼に気付かれないように苦笑し
てしまった。
それは城に身を置く者ならば誰でも知ってる噂話だ。
あの寡黙で硬派な騎士団長が最近、穏やかな微笑むようなったとは思わ
ないか? 王女がそれを小耳に挟んだ時、そんな噂が立ってもそれは当然
だと彼女自身も感じた。
普段の任務に就いている彼の険しい表情は変わらないままだが、それで
も時折、周囲に見せる穏やかな表情は以前にはなかったものだ。
噂好きの女性達がその事に気付かないはずもなく、ヴィンセントの知ら
ないところで一気に広まってしまったのだろう。
王女が知った時には、あの堅物の騎士団長を射止めた相手は、どこぞの
麗しき貴族の娘だとか、賊討伐で出向き助けた素朴で純情な村娘だとか─
─そんな話があちらこちらから聞こえきてしまうほどの熱の入れようだっ
た。彼らからすれば、またとない噂話だったのかもしれない。その様子に
王女ですら、驚き、純粋にヴィンセントに同情を覚えてしまったほどだ。
てっきりヴィンセント自身も知っているとばかり思っていたのだが……。
254 :
ヴィン×姫:2005/10/10(月) 22:43:53 ID:NalJGTbQ
「皆がそう噂していました」
そう王女が教えると、ヴィンセントは顔を真っ赤にしたまま、その場で
固まってしまった。
その姿に、意地が悪い言い方だったと王女が少し後悔していると、ヴィ
ンセントは持っていたティーカップを置いて、生真面目な顔を彼女に向けた。
「姫……それで私の相手というのは……」
ヴィンセントが何を気にしているのか、王女は気付き、困ったように笑
ってみせた。
王女は相手に自分の名は上がってはいるが、皆、本気にはしてないよう
だと告げると、ヴィンセントは安心したような、だが困惑した顔付きにな
ってしまった。
二人の関係は知られては困るが、それでも頭ごなしに否定されるという
のも楽しいものではない。
だが、彼らが本気にしない理由も分かる。
ヴィンセントはカインの即位するまでの一年前の間、誰よりも双子の側
にいる事が多かった。彼らを狙う間者の存在もそうであったし、カインは
双子の姉の安全を酷く心配した事もある。カインには彼らと戦う剣がある
が、姉には身を護る術がない。王に即位してからは、姉の傍にいられる時
間も限られてしまっている。カインが直々に騎士団長であるヴィンセント
にその事を頼んだという話は周知の事実であったからだ。
だから王女の傍にヴィンセントがいても、周囲は不審がる事はなかった。
逆に言えば、それだからこそ、二人は誰に気付かれる事なく、想いを育て
てこれたのだ。
気付かれない事はそれはそれで助かるのだが、それも素直に喜べそうに
ない。自分の中でも矛盾していると判っているのだが──。
思い詰めるように無言になってしまったヴィンセントに王女は反対に嬉
しそうに微笑んだ。
「でもね、ヴィンセント。私は嬉しいの」
「そのような噂を、ですか?」
怪訝な顔つきの彼に王女は満面の笑みで答えた。
「ええ。だって、貴方はとても優しい人だから。誤解が解けて嬉しいわ」
ヴィンセントは他人に対して感情を出す事が苦手なたげで、決して冷た
い人でもなければ、怖い人でもない。それを王女は誰よりも知っているつ
もりだ。
だから、純粋にその誤解が解けて嬉しい。
そんな口さがない噂ぐらいで二人の関係が崩れるはずもないのだから、
何も心配する事などないのだ。
揺るぎない信頼を向けられ、ヴィンセントは彼女に魅入ってしまったよ
うに言葉を失ってしまった。そして、はたとその視線から逃げるように顔
を背けてしまう。それはヴィンセントが照れている何よりの証だった。
「姫、そのように見つめないで下さいと……いつも申しているではありま
せんか……」
そう口にでは言ってみるものの、彼の表情は何処となく嬉しそうで、王
女はそんな彼の裏腹な態度に、くすくすと笑った。
255 :
ヴィン×姫:2005/10/10(月) 22:44:33 ID:NalJGTbQ
数日後、ヴィンセントの下にカインが意気揚々とやってきた。
剣の手合わせをして欲しいと告げられ、ヴィンセントは喜んでそれを承
諾した。
今のカインは事故で記憶を失った時の弱々しい彼からは想像も出来ない
ほど変わっていた。以前と同じ、いや、剣の腕前ならば、以前よりも上に
なっているかもしれない。美しく、強く、聡明な若き王は、今や国内外の
女性達の憧れの的になりつつある。
「随分とお強くなられましたね、カイン様」
騎士団長に認められ、若き王は嬉しそうに笑った。
「ああ、私が弱くてはいざという時、姉上をお守りできないからな。姉上
は私の為に多くの苦労させてしまった」
そう口にするカインは少しだけ苦しそうに顔を顰めた。二人の強い絆に
ヴィセントは自然と目を細めてしまう。あんな風に幼い頃、自分も兄を慕
っていたのだろうか──そんな記憶がふと蘇る。
「カイン様……」
次の瞬間、カインはぱっと顔色を明るくさせ、
「それにアストラッドやジークに聞いたんだ。女性を嫁がせる時は、その
女性の父と結婚相手の男性が手合わせをし、嫁がせる相手に相応しいかど
うか見極めるのが慣わしだと。姉上の場合は、父上がもういらっしゃらな
いからな。そうなると俺が相手をしなければならないだろう? 俺も不甲
斐ない相手になど、姉上を渡せないからな。……どうした? ヴィンセン
ト」
突然無言になってしまってしまったヴィンセントにカインは不思議そう
に首を傾げる。
「い、いいえ……何でもございません」
「さあ、まだまだだ。いくぞ、ヴィンセント!」
自分と手合わせをする度に強くなる若き王を前に、ヴィンセントはあの
愛しい姫君を手に入れる為には、とんでもない強敵が待ち構えている事に
ようやく気付くのだった。
<おわり>
「移動中は馬車の中でゆっくり出来ますからね」
普段、寡黙や朴念仁などと揶揄される彼からは想像も出来ない発言で、
王女は顔を赤らめてしまった。
久しぶりの休日、王女は母の故郷でもあるアーデンを訪れていた。アー
デンは山間の鄙びた農村であるが、自然に恵まれ、美しい森や湖が多くあ
り、それを目当てに出向く者も多い。
王女もアーデンを気に入っていて、時折、お忍びで出向く事がある。だ
が流石に一人で出向くという訳にはいかず、カインは姉の為に、護衛役と
して最も信頼のおける騎士団長に頼む事が多かった。
だから、こんな風に二人で外出する事も初めてではない。だけれども、
周囲の目を気にしてなのか、それとも任務だからなのか、ヴィンセントの
顔は険しいままだ。
王女はもう少し気を緩めてもいいのではないかとも思うのだが──そう
しようとしない彼も、やはり生真面目な彼らしくて、王女は彼と一緒にい
れる時間を感謝していた。
アーデンから城に戻るにはかなりの距離があり、馬車にいる時間もやは
り長い。城にいる時は何かと忙しい二人であるから、こんな風に二人だけ
という時間は早々作れるものではない。
確かに言われてみれば──こんな風に彼の隣にいる事など滅多にあるも
のではないのだ。
そう思うと、途端に胸が高鳴りを覚えてしまった。
「どうかしましたか?」
俯いてしまった彼女に気付き、ヴィンセントが伺うように尋ねると、王
女は困ったように顔を背けてしまった。
「貴方があんな事を言うから……」
「あんな事というのは……?」
「移動中は馬車の中でゆっくり出来るだなんて……」
ああ、とヴィンセントは頷き、
「ですが、事実でしょう?」
はっきりと告げられてしまい、王女はますます顔を赤らめてしまった。
「……こんな風に一緒にいられる時など、滅多にありませんから」
ヴィンセントはそう口にすると、王女の手をそっと掴んだ。いつもの奥
手ぶりからは想像も出来ない大胆さだ。だけれど、やはり想いを口にして、
態度に示してくれる事は嬉しい。王女は自分も同じだと教えるように頷き、
そっとその手を握り返した。
すると、王女の顔に大きな影が差し込んできた。それがヴィンセントの
身体が日差しを遮っているだと気付く前に、王女は唇を塞がれてしまった。
「……ヴィン……んっ……」
こんな場所で──王女は思わず彼から逃げようと身を引いたのだが、ヴ
ィンセントはそれを容易に押さえ込んでしまう。微かに開いてしまった口
元から、ぬるりとヴィンセントの舌が入り込み、彼女の舌を絡め取るよう
に吸い上げる。
びくり、と大きく震える彼女の身体を抱きよせ、それでもヴィンセント
は名残惜しそうに唇を離した。
「も、もう、ヴィンセントったら、こんな場所で……!」
「誰も見てなどおりませんよ」
ヴィンセントは小さく笑い、小さな窓から御者の後姿を見た。確かに箱
型馬車は小さな部屋のように区切れた空間だ。だが、それだからといって、
こんな場所でするなんて──王女は少しだけ拗ねたように顔を背けてしま
った。
「……こんな風に貴方と共にいれる事は久しぶりで……気持ちを抑えきれ
そうにないのです……」
少しだけ抱きしめられた腕に力がこめられた事に王女は気付いた。確か
に、こんな風に二人きりでいる事は久方ぶりだった。カインに付き添い、
会う事は度々あっても、言葉を交わす事はあまりない。元々、生真面目な
ヴィンセントであるから、自ら王女の部屋を尋ねる事など滅多になく、会
う時間を作ったとはいえ、それは限られた時間の中だけだった。
「あの日から一人になると貴方の事ばかり考えてしまうのです。あの晩、
貴方が私だけに見せてくれた姿を、私は何度夢に見た事か分からない……」
「……ヴィンセント……っ!」
ひたり、とドレスの裾から這い上がるものを感じ、王女は息を殺した。
ヴィンセントの荒々しい手の平がまるで焦らすように脚を這い上がってき
たのだ。
「やっ、あ、ぁ……っ、」
必死に声を殺そうとしても、抑え切れない声が馬車の中に響く。純白の
ショーツの上から秘部をなぞるように動かされ、王女は耐え切れずにヴィ
ンセントにしがみ付いた。
やめて欲しいと口に出そうとしても、次の瞬間、与えられる快楽に言葉
が出ない。逆に忘れていた快感を呼び起こされ、身体が疼いてしまう。こ
んなにもはしたない姿などした事がない──そう思うと、羞恥で気が狂い
そうだった。
「ヴィンセント、駄目──っ、」
そう口にした瞬間、ヴィンセントは、更に強請るように秘部を直接触れ
てきた。無骨な太い指が王女の弱い部分を的確に攻め立ててきた。
濡れぼそった蜜を指ですくい取り、小さく芽吹いた花芽に押し付ける。
女性に最も繊細な場所なのだからと労わるように、ヴィンセントはその根
元の部分を優しく指の腹で触れている。そのあまりの優しさに王女は切な
げに頭を振った。既にそれ以上の快楽を知ってしまっている身体に、それ
は残酷すぎる行為だ。
だが、それを王女が口に出せるはずもない。ガタガタと揺れる馬車の振
動がそれに拍車をかける。
「やぁ……あっ、」
入り口付近をなぞるだけだったヴィンセントの指がぬるりと中に入って
きた。指だけだというのに、その圧迫感から王女の口元から甘い声が漏れ
る。
まだ経験の浅い王女には、強引に奥を責められるより、感じやすい部分
を責められる方が痛みは格段に少ない。入り口付近をぐるりと円を描くよ
うに動かされ、くいっと第一間接を曲げられ、中の凹凸を探るように触れ
られると、王女の脚はガクガクと震えが止まらない。
このまま我を忘れて行為に溺れてしまいたい──それは永遠に続くかと
思えるほどに、王女を責め立て続けた。
それがどれぐらい続いたのだろう──気付けば馬車は既に城下に入って
いた。だが、朦朧とした意識の中で王女はそれに気付けなかった。
「ヴィンセント様。到着致しました」
御者の声に王女ははっとする。はしたない姿を隠そうと身体を起こそう
とするが、それをヴィンセントは止めた。見れば王女の姿は普段と全く変
わりない。先ほどまであんな行為に及んでいたなど思えないほどに。
「姫、失礼を」
そう告げるヴィンセントは命令を受け、それを実行するような冷たい口
調だった。その姿は王女の忠実な護衛以外の何者でもない。
「ヴィンセント……!」
どういうつもりで──そう王女が問い質そうとする前に、ヴィンセント
は彼女を抱きかかえ、耳元でそっと囁いた。
「このまま出て行かれては、気付かれてしまうかもしれませんよ」
それは先ほどの受け答えとはまるで違う、少し意地の悪い低い声色だっ
た。瞬時に王女の顔を紅く染まり、彼の胸元に顔を埋めてしまった。
ヴィンセントはごく自然に当たり前のように彼女を抱きかかえると馬車
から降りた。そして平然と、
「王女は長い間、馬車に揺られていたせいで、ご気分が優れないようだ。
私が部屋まで運ぶとエミリオに伝えてくれ」
彼らの帰りを待っていた使用人達はヴィンセントの言葉を疑う事はなか
った。
ヴィンセントは誰にも怪しまれる事なく、王女を抱き上げたまま、彼女
の部屋に入る事に成功したのだ。
「だ、誰かに見つかったらどうするつもりだったの……!?」
優しく寝台の上に寝かされた王女は開口一番、ヴィンセントにそう問い
質した。だが、ヴィンセントはさも楽しそうに口元を緩め、鎧を身につけ
たまま、王女に覆い被さった。
「そのような失態は致しません。ご安心を」
「そ、そうではなくて……!」
自分の言いたい事はそういう事ではないのだ。王女はこのまま流されて
しまいそうな雰囲気を抑えようと必死にヴィンセントから離れようとする
のだが、大柄な彼に覆い被されてしまっては、逃げられるはずもない。
ヴィンセントは少しだけ意地悪く微笑み、王女の手を取ると、その細い
指先をぺろりと舐めた。たったそれだけの事だというのに、王女の身体は
面白いように反応してしまう。ちらりと見えるヴィンセントの舌がとても
艶かしくさえ見えてしまう。
「貴方が隣に私がいても平然とした顔をなさるのが……堪らなく恨めしか
ったのです。私は貴方を前にすると、これほど心がかき乱されるというの
に……」
切なげにヴィンセントは呟くと、彼女の手の甲に唇を落とし、彼女を解
放した。だが王女は放された手を下ろす事なく、ヴィンセントの頬に触れ
た。
「私が平然としてるなんて……貴方の思い違いです。私だって貴方の傍に
いる事がどれほど嬉しかった事か……」
「……姫」
「それだというのに、あんな場所で……」
拗ねるように王女がヴィンセントを睨むと、
「申し訳ありません。姫。貴方といると私はつい胴欲になってしまう」
「ど、胴欲!?」
その言葉はあまりにも普段のヴィンセントからは、かけ離れているよう
な気がして、王女は驚くように口に出してしまった。そんな彼女をヴィン
セントは愛おしそうに見下ろし、
「それが嫌でしたら、姫、どうか私を護衛役からお外しになって下さい」
「そのような事を……私が出来ると思うのですか?」
あんな意地の悪い行為をされても、今、彼が傍にいる事が、こんなにも
嬉しいと感じてしまっているのに──王女は全てを認めるように彼の首に
手を回し、その先でしっかりと組んだ。
「……宜しいのですか?」
耳元でそう尋ねられ、王女は仕方のない人だといわんばかりに、
「聞かなくても知っているくせに」
そして暫しの間を置いて、王女はヴィンセントを酔わせてやまないその
甘い声で──許します、そう囁いた。
<おしまい>
>>250姉上
リアルタイムで読ませて頂きました!!
馬車団長最高!!!父親がわりカイン最高!!GJです!!!
団長萌えたYO!
まったくこのむっつり朴念仁めっっっ。
>250
是非嫁に来てくれ!
それにしたって団長ss二本テラモエス!
前作の感想でも言ったけど、250姉上が書く姉上は非常に品があって好きだ。
>>250 エロいな、この団長w
(*´д`*)ハァハァしますた。
話の組み立てもうまい、エロもうまい、そしてただひたすら感心してる。
姉上、スゴイス。
真昼間の誰もいないうちに・・・・・・
典医とフランの会話です。
フランの登場が少ないので、私なりに物語に絡めてみました。
・・・・・・んが、結果はギャグ?コメディ?
エロ無し、だけどY談あり。
典医の性格がかなり改造されています。
というか、おβακαになってしまったかもしれません。
クールビューティーな典医がお好きな方はススーッとスルーしてくださいね。
「最近ますます悩ましげにおなりじゃないかしら・・・・?」
以前から王宮に出入りする貴婦人達の噂の的によくなりがちであったが、
ここ数日、ますます彼の話に拍車がかかっているようだ。
彼自身が普通の表情のつもりでも、知的で美しいその顔立ちは、いつも何か考え込んでるいるかのように見えるらしく、
博識博学だからこそ、頭の中は何か大事なことでいっぱいなのだろうというのがもっぱらの彼の評判だった。
彼の名はジーク・イーヴェイン。
そして、その噂に関しては実は当たっていたのである。
ジークは悩んでいた。
それも、どうしたらよいのか分からずにいた。
自分は医者だというのに、今までの知識が全くといっていいほど役に立たず、
自分のこの気持ちが分からずに持て余していた。
「あ〜らジーク、噂は本当ねッ」
仕事を終えたフランシスカが王宮通路を歩いていたジークの元へやってきて、
挨拶をしたかと思えばいきなりそんな風に切り出した。
「ああ、フラン!今日の任務はおしまいなのですか?ところで噂って何のことでしょう?」
何も知らない顔で答えるジークに、フランは「へー知らないんだ」とつぶやき、まるで芝居がかった口調で語り始めた。
「宮廷一の博識家でいらっしゃる典医殿が、最近何やらふか〜い悩みを抱えているようなご様子。
そして、その陰を帯びた表情はいつにも増して艶っぽく、その悩める姿にさえ女心を刺激され、
あの女性も、この女性も、いかにして彼を癒して差し上げられるのか、
私で癒すことができるのならいつでもお相手を・・・・ってう、わ、さ」
「!!な、何ですか、その噂は!私が悩んでいるなどと!」
その異様なうろたえように、女(?)の直感が働いたのか、フランはジークをからかってみたくなった。
「あら〜?なんだか変な慌てようね。フフッ、ほんとに悩んでるんだ!」
「フラン!」
案の定何かあるようだ。
フランはふふんと薄ら笑いを浮かべ横目でジークをにらみ、「ははーん」とつぶやくとジークの耳元に口を添えてこう言った。
「ジーク、まーたお姫さんのことで悩んでるんでしょ!やーらーしーぃ」
ジークはビクッと肩を震わせ、フランをにらみつけた。
「な、何でそんなことを!というか、フラン、あなたには関係ないでしょう・・・・」
「なぁんだー、図星だったの?やあねえ、相変わらずむっつり隠れて悩んでるんだから。
そういう悩みならフランシスカさんにお任せあれよ。さ、行きましょうか?」
「行くってどこへ!?」
「決まってるじゃない、ジークの部屋よ、酒くらいあるんでしょうね、ちょうどアタシ、暇なのよねー。
じーっくり話聞いてあげるわっ」
「フラン!ちょっと!!」
フランはジークの腕をしっかりとホールドすると、ひきずるように歩き出し、ジークはその強引さに負けてしまった。
結局のところ、ジークは自室にフランを招きいれ、酒をグラスについでフランに差し出すと、ジークも一気にあおった。
「はああっ・・・・・・」
深く息をつくと意を決したのか、ジークはフランに語り始めた。
「さて・・・・・・、もうこの際です。私も覚悟を決めました。本当に聞いてくれるんでしょうね、フラン」
「あら、イヤに真剣ね。ま、貴方が悩むといったらよっぽどのことなんでしょうけど。はい、なんでもどうぞ!」
「前に貴方にいいましたよね、私はこれからもずっと姫のお傍近くで過ごしたいと思っていると・・・・・・」
「ええ」
「そして、姫の申し出を喜んで受けてしまったと・・・・・・」
「そうだったわね、で?また同じ事で悩んでいるわけ?『姫の未来が私の未来と交わらないー!』とか」
「いえ、それはもういいのです。姫は、姫は分かってくださいました。
そして、私のこの複雑な心境も理解してくださって・・・・・そして、私は決心したのです。
姫の思うままに、姫の申し出どおりに何事も受け入れる覚悟を・・・・・・」
「じゃあ何よ、何で悩んでるわけ?」
(のろけを聞きに来たんじゃないわよ)と少々ふてぶてしい態度でフランは聞く。
「……です」
肝心なところになると急に声を落としてしまうのでジークの声が聞き取れない。
「はぁ?聞こえないわ」
「フラン、切実に困っているのです、私は。いったいどうしたらよいのか分からないのです」
「だから何?」
「200年も生きてきていて、いや、本当はそれが原因で・・・・というか、フラン!」
ジークはフランの両肩をつかむと、うつむき加減にしていた己の顔をすっと持ち上げ、
頭の上にケトルをおいたら沸騰してしまうんじゃないかと思うくらい赤面しながら、彼は言った。
「・・・・・・私は姫を抱くことが可能なのでしょうか?」
フランは口をつけていた酒を飲み込みそこない、ゴホゴホッとむせ返ると、その後はあっけにとられて言葉も出ない。
その背中を軽くさすってやりつつ、ジークは黙々と続けた。
「姫の愛を受け入れるにしたがって、私の愛は形を変えて欲はますます増すばかりで。
姫を見るたびにこの腕に抱きしめたい、そして我がものにしてしまいたいと、そのことばかり考えるようになってしまいました。
日中、姫とお出かけしてそのときはとても楽しくて、心はいつも晴れやかなのに。
姫をお部屋へお送りした後、いつも私の心は薄暗く影が落ちる・・・・・」
ジークが堰を切るかのように心の内を話すものの、
(やっぱりのろけてるだけじゃない!)とあきれて、話半分でフランは相槌を打つ。
「それって普通のことじゃないのぉ?」
「それが普通でないのですよ、私の場合は。
この200年、私はただこの身を呪い、人から隠れるようにして生きて来た。
その間、女性と全く何も関係がなかったとは言わないけれど、
最後にその……女性と交わったのはもう、何十年前なのか分からないくらい昔のこと。
姫が同じ気持ちでいてくれるのなら私は姫と交わりたい、そう思う反面、私自身は役に立つのか、それが怖くて……」
フランが眉をぴくりと持ち上げる。
「はあ?もしかして悩みって『勃つか勃たないか』ってこと?!知らないわよそんなこと!
貴方はお医者様なんだから、自分で調べなさいよ!」
しかし、ジークは止まらない。
ジークの顔が赤いのは恥ずかしさからだけじゃない、酔っているからだとフランは気がついた。
「フラン、貴方はその、どうですか?もう恥も外聞もない、はっきり聞きます。
貴方は女性と関係を持てていますか?
女性との交わるそのやり方は200年の間に変わることはないのでしょうか?
それから何年も何十年も関係を持たなかったとき、ちゃんと役にたちましたか?」
「ああーーー!!そんな生々しい質問を矢継ぎ早やに畳み掛けてこないで! それにアタシは女よ、お、ん、な!」
「貴方が女の振りをしてるのは美意識だけの問題なのでしょう!分かっています。
それに、いまさら女だと逃げるのは無しですよ。相談に乗るといったのは貴方のほうですよ、フラン。
私には・・・・・・私にはこんなことを相談できる相手がいないのだから……」
酔いも手伝ったのだろうが、ジークが話す声は鼻声に変わり始め、その目からとうとう涙がぽろぽろとこぼれはじめた。
「あーーーー、だからジーク!どうして貴方はすぐ泣くの!こんなことくらいで涙腺緩めてるんじゃないわよ!
仕方がないわね、もう。これだから男は……情けないったらありゃしないわ」
(そういばジークは昔っから酔うと駄目なのよね。変に頑固でそれでいてへたれちゃう。仕方がない、一肌脱ぎますか)
フランはそう思うと、
「ふうっ・・・・」
と大きくため息をひとつつき、ジークにハンカチを差し出した。
「役に立つかどうか、試してご覧なさいよ。私の言うままに・・・・・・」
「試す・・・・・・とは・・・・?」
「じゃあ、ジーク、まずは目を閉じてご覧なさい。そして、想い浮かべてみて・・・・・・」
フランの言うままに、ジークは濡れた瞳を閉じた。
優しい声色で、フランはゆっくりと語りだす。
「ジークの大事な姫が夜分この部屋にやってくる、『ジークの顔が見たかったの・・・・』なんて言いながら。
彼女ももう20歳。その美しいお顔は、すっかり少女から大人の女性に変わってしまった。
いつもは分厚い布で作られた豪華なドレスを身にまとっていて分かりにくいけれど、この時ばかりは違う。
薄い夜着にショールを羽織っただけの姿・・・・・・。
普段の様子からは分からないその体のラインも、その姿なら手に取るように分かる。
彼女が貴方に抱きついて、『ジーク、貴方を愛してるわ、私は貴方の愛が欲しい』そう言う姫を貴方は抱きしめてみる。
その体は想像以上にふんわりと柔らかく、体に当たるその双丘の感触から、すっかり彼女の体は成熟していることが分かる。
そして羽織っていたものを床に一枚、一枚と落としていくと、もう彼女を隠すものは何もない……」
「あああーーーーっ!!フラン!!貴方は何を言ってるんですか!私に、私にそんな姫を想像しろというのですか!」
ジークは閉じていた目を見開くと、フランの言葉を絶叫で食い止めた。
「何言ってんのよ、想像して役に立つかどうか自分で確認してみたらいいじゃないの。基本でしょ、基本!」
「なんということをさせるんですか、フラン!
姫を想像して一人でその・・・・・・なんて、おこがましくてできない!そんな・・・・・・」
ジークの顔は、もう必死そのものだ。
フランはすっかり呆れ顔でこう言った。
「ジーク・・・・・・貴方の奥手具合も超一流ね。思春期の男の子相手にしゃべっているみたい。
本当に200年も生きてきたわけ?
もういっそのこと、このお姉さまが手ほどきしてあげようかしら?」
「ふざけないで、フラン!・・・・しかし、姫をそのように思い浮かべてなんて、あまりに・・・・」
「矛盾してるお医者さまだこと!さっきは彼女を抱きたいと言いながら、その同じ口で、
彼女を想って一人でするのはできないとかなんとか。
じゃあ、もうひとつ考えてご覧なさいな。
カイン様が貴方に相談してくるわけよ、
『好きな人がいるんだ、その人のことを考えて日々いけないことを一人でしてしまう。もしかして僕はおかしいんじゃないのか?教えて欲しい』
ってね。あなたならどう答えるわけ?」
「それは・・・・男としてただ普通のことと教えるのではないかと・・・・・・」
「ほら!貴方は答えを自分で分かっていて、結局自分でふたしてるだけなのよ!このおバカさん!」
「フラン・・・・」
「それにね、意外にいざ本番ってやってみたらうまくいくものなんじゃないの?
案ずるより産むがやすし、駄目ならまた今度。明日は明日の風が吹くってね。
あのお姫さんが一度や二度、勃たなかったからってどうこう言う視野の狭い子には見えないわよ。
大体、あのお姫さんが男性と通じたことがあるかどうかぐらい、
今までお傍についていたのなら貴方は分かってるんでしょう?
途中までやってみて、役に立たなかったら『続きはまた今度』とでも言って段階踏んでる振りすればいいじゃないのよ。
とにかく、貴方も見栄を張らずにやってご覧なさいな。
それに、やり方なんて何百年たっても同じよ、気にするだけ無駄!無駄無駄!!」
フランが説教をすると、ジークはしばらくうつむいて何かを考えているようだったが、顔を持ち上げると、
「フラン・・・・貴方の言うとおりです。私は何にこだわっていたんでしょう・・・・・・?」
そうにこやかに笑顔で答えた。
「今日貴方に会えてよかった・・・・目からうろこが落ちました」
「そう、良かったわ」
「フラン、また貴方に借りができてしまったようですね。貴方は本当に、私の心からの親友ですよ」
「ジーク・・・・・・私も同じ気持ちよ・・・・・・でも、今度は私の悩みでも聞いてちょうだいね。貴方ののろけはもうたくさん・・・・」
「フフッ、ええ、勿論。フラン、貴方が今この国にいることに感謝します」
そうして、男同士?の密会は閉幕となった。
その日を境に、憂いがちだった表情は一新され、終始にこやかな典医殿に変わってしまい、
それはそれで、貴婦人達はこう噂した。
「ジーク様、すっかり颯爽とした雰囲気になられたみたい。
本当に大きな問題が解決なさったのでしょうね。あの晴れ晴れしいお顔の美しいこと。
陰のあるジーク様も良かったけれど、あのようにさわやかなジーク様も素敵ですわ」
とある日、ジークが王宮廊下を歩いているとフランが声をかけてきた。
「ひさしぶりね、ジーク。しばらく会わなかったけれど、元気にしてた?」
「ええ、長期の遠征お疲れ様でしたね、フラン」
「で、その後、どうなったわけ?」
「・・・・・んっ!」
間髪入れずに聞くフランにジークはびっくりして言葉に詰まった。
「や、野暮なことを!」
「ふーん、そうなんだ、やっちゃったんだ!」
「そんな品のない言い方はやめてください、下世話ですよ、フラン!」
「あら、ふふっ、ほんとにうまくいったのね。おめでと!」
フランはジークの背中をぽんと叩く。
ジークは軽くため息をつくと、今度は表情を笑顔に変え、
「ふうっ・・・・フラン、貴方のおかげですよ。貴方が背中を押してくれたから」
と言った。
「あらそう?そういうのなら、いい男の一人や二人、紹介しなさいね」
「機会があれば・・・・フフッ」
そう冗談を交わしていると、
「あ、貴方のお姫様がこっちに来るわよ」
と通路の奥を歩く姫をフランが見つけた。
姫に近づくと、フランは気さくに声をかける。
それを嫌がらない姫をみると、姫なりにこのフランを気に入っているのが分かり、ジークはうれしく思った・・・・・
が、そのいきなりな内容に、今度はとんでもなくあせる羽目になった。
「あ〜ら姫君、ごきげんよう!姫?つぼみが急に開花したように美しさをお増しになったようだけど、何か秘訣があるのかしら?
できればその秘訣、私にも教えてくださらない?」
「フラン!!」
「なによぉジーク、女同士の話に突っ込んでこないでよねっ!姫?今度お茶でもしましょうね、私と姫のふたりでね。
ジークばかりがお相手じゃ、姫も陰気くさくなっちゃうわよ」
ジークの「余計なことは言うな」という目の会話を受け、フランはこの場から退場することにした。
「でも今は私がお邪魔虫のようね。早々に退散するわ!さようなら、かわいい姫様!」
フランはジークと目が合うと、最後にペロッと舌を出して「じゃあね」といって訓練場に向かって行ってしまった。
「ジーク?」
全く流れの読めない姫が、ジークに声をかけた。
「姫はお気になさらず・・・・・・フランはいつもあのように私を困らせて楽しんでるだけですよ。
さあ姫、今日は仕事が片付いてしまいました。姫がお暇ならどこかに行きましょうか?姫の望むままに・・・・」
以上です。
投稿してから、もう少し改行して、もう少し区切って投稿すればよかったかと・・・・・orz
読みにくかったらスマソです。
誤字脱字もあったらスマソです。
シリアスなSSの合間に少しでも笑っていただけたらそれで本望です。
また修行して、エロ王宮街道に舞い戻ってきます。
>264
姉上最高!フランテラモエス
こういうのが特典CDだったらなぁ…とか思わずにはいられません。
フランの説教大好き〜。いいなぁこの二人の関係。
読んでてふと思ったのですが、
…もし間違ってたらスマソなのですが、団長ss書かれた御仁ですか?
>265
ジーク可愛いよ、ジーク!(*´Д`)ハアハア
フランいい奴(*´∀`)
姉上GJ!読みにくい事も私にはなかったとです!華麗なステップお待ちしてる!
>272
それを聞いてどうするんだ?
名無しである事も利点の一つだと思うし、書き手さんを詮索するのはやめないか?
育児ネタ書いた者です。
感想などありがとうございました。
>>271姉上
笑わせていただきました。
フランが良い味。
一緒にギャグ街道走りましょう?
自分やばいんじゃないかってくらい、王宮ネタばっか書いてる。
次はカイコゼに見せかけた(?)百合。
エロはやっぱりありません。
百合もコゼットも嫌な方はスルー推奨です。
>>245姉上に捧げます。
ああ、どうしてなのかしら。
国王陛下と王妃様、それにカインが馬車で事故に遭って、運良くカインは助かったのだけれど、全ての記憶をなくして、再び私の前に顔を見せてくれた時には、私のことなんてちっとも覚えていてくれなくって。
カインは前にも増してお姉さまと一緒にいる時間が増えてしまった。
こんなにも私は貴方に恋してる。
なのに貴方はちっとも気付いてくれない。
二人の仲の良い、そっくりな髪、瞳を見ていると、胸が切なくなる。
どうしてこんなにもいらいらするのだろう。
「兄様ぁ、コゼットのお願い聞いていただけますわよね?」
私の兄様エドガー・ジペルディ。私と同じ金色の髪、翡翠色の髪。とても華やかで、自信に溢れ、国王補佐としても信頼と実績を築き上げている。私の自慢の兄様だ。
当然のごとく、兄様は女性から大変もてた。
でも、コゼットだけは兄様の特別なの。
どんな御用があっても、コゼットを一番に優先してくれる。
大好きな大好きな兄様、もちろんカインの次だけれど。
「なんだ、コゼット?」
「ええと、あのね……」
背の高い兄様がコゼットに合わせてかがんでくれる。そうして耳元で内緒のおしゃべり。
「だからね、カインがお姉様にべったりなのは、お姉様がおもてにならないせいよ!」
「そうか? あれでも一応王女だしな、最近は男共の間でも……」
「そうよ! お姉さまはきっとお寂しいんだわ。だから、兄様がお相手なさるといいわ、その間、私がカインと一緒にいるから、ね?」
兄様が何か言いかけたけれど、とにかく兄様はコゼットのお願いを聞いてくれた。
「さ、早速お姉さまをお誘いして、ね?」
おかげで、私はカインと一緒に過ごす時間が増えたわけだけれど、最近、兄様ったら、必要以上にお姉様と過ごす時間が増えている。
ちょっと面白くないわ。
二人が庭園に出ているのを見つけて、思わず飛び出して行ってしまった。
「兄様……カインがね、コゼットのお誘いを断ったの」
カインに断られたと言うのは本当、でも今日じゃないんだけれど。
とにかくあにさまとお姉様が二人で一緒にいらっしゃるのが、なんだか気に食わなかった。
思わず、二人を邪魔する言葉が口をつき、二人を引き離し、兄様をお姉さまの前から連れ去ってしまった。
「兄様? 最近、お姉さまと一緒のお時間が多いのではなくって?」
先ほどまで出していたハンカチをしまって、兄様の目をじっと見つめる。
「うん……? そうか、そうだな、気付くと姫と一緒に休日を過ごすことが多いな、最近は」
そうしたら兄様ったら、すこし頬を赤くして、答えたのよ!!!
一体どういうわけ?
この国一の女泣かせの名がすたりますわよ!
「姫といるとな、不思議と気持ちが安らぐのだ」
その上、のろけのような言葉まで聞かされてしまう。
くっ……なんてこと!?
カインとお姉さまを引き離す為に兄様にお願いしたのに、今度は兄様がお姉様に急接近なんて。
心がちくちく痛んだ。
どうしてかしら?
私はカインが好きだったはず。
兄様のことが大好きなはず。
なのにどうして?
私の心の中で、一番輝いている人は……。
ああ、信じられない。
私が、このコゼットがこんなにも気にかけてしまう方は、本当はお姉様だったなんて。
お姉様は女の方なのよ?
コゼットしっかりするのよ、こんなのは一時の気の迷い。
だって、カインと結婚して王妃様になるのが私の願い。
そうじゃなくちゃ、私はきっとお母様に他国へお嫁にやられてしまう。
大好きなこの国に残るには、カインと結婚するのが一番いいのよ。
そう言い聞かせても、駄目だった。
ああ。
私はお姉様が好き。
自分の心に正直に、そうつぶやいたら、信じられないほど胸が軽くなった。
どうしよう。
このまま黙って、この恋をあきらめる?
ううん、コゼットはあきらめたりしない。
伝えよう、私の気持ちを。
「お姉様、コゼットは……」
お姉さまの部屋を訪い、胸の内を打ち明けようとしたのに、最後まで言い切れなかった。
こんなこと突然言い出したら、お姉様は驚くかしら。
それともコゼットが、今まであんなにも意地悪だったから、コゼットのこと嫌ってらっしゃるかもしれないわ。
「どうしたの、コゼット泣かないで、ね?」
ご自分のハンカチを取り出して、涙をぬぐってくださる。
ああ、やっぱりお姉様はお優しいわ……きっと、コゼットだけに、じゃないのだろうけど。
「ごめんなさい、お姉様にいつも意地悪なことばかり……コゼットは悪い子です」
「そんなことないわ、そんなふうに思ったことはないのよ、本当よ」
「じゃあ、コゼットのことはお好き?」
お姉様の目を見るのが怖くて、うつむいてしまう。
お姉様が答えるほんの数秒がとてもとても長く感じられた。
「ええ、もちろん。コゼットのことは大好きよ」
大好きって言って下さった。
ああ、お姉様、コゼットもお姉様が大好きです。
「本当に、本当に?」
「本当よ」
「じゃ、カインや兄様よりも?」
「……」
さすがに、この質問にはお姉様は戸惑われたようだ。
「私はお姉様が好き。兄様よりも、カインよりも」
でも、こう言って、やっと伝わったみたい。
「コゼット、本当に?」
「ええ、お姉様が大好きです」
「ありがとう……」
「お姉様、それは肯定の意と取ってもよろしいのかしら」
「……正直、今すぐお返事は出来ないわ。でもコゼットのことは大好きよ。もしかしたら、コゼットと同じ気持ちになる日が来るかもしれない……」
そのお答えは曖昧なものだったけれど、良かった、お姉様はコゼットの気持ちをいい加減に取っていたのではなかった。
「今はそれだけで結構ですわ。いつかきっと、お姉様にも私のこと、一番好きだって言わせて見せますわ。コゼット、自信がありますもの」
「あっ……」
私が頬にキスしたのを、お姉様は驚かれたようだ。
でも、今度はお姉様からコゼットにして頂くから。
お姉様に私の気持ちは伝えた。
残る問題は、お姉さまの魅力に参ってるらしい兄様、それから私をお嫁にやろうとするお母様。
でもコゼットは絶対負けないの。
女同士では結婚できないって言うのなら、私がこの国を変えて見せるわ。
国王陛下亡き後、王位に近いのはカインと兄様。
だけど、お姉様はカインよりも早く生まれている。順番から言ったら、お姉様にその権利があったっておかしくないんだわ。ただ、女だって言うだけで、権利がないのはおかしいもの。
お姉様が女王陛下になったこの国、それを想像するだけで、うっとりする。
コゼットがきっとお姉様を女王陛下にして差し上げます。
本当よ、本気だから、お姉様?
おしまい。
短いです。
エロももちろんありません。
姉上とコゼットのエロなんて嫌だ…
失礼しました。
コゼットたんカワイイヨ!
GJ!
コゼタンかわええ( *´д`)ノ
姉上とコゼに翻弄される薔薇もかわえぇ……
>274
コゼカワエエ…
カイコゼEDやってくる…
281 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/11(火) 22:11:24 ID:AQTLR3Qw
.
何で上がってるの…しかも何で書き込んでるの…スマソ
>274
コゼ、かわいい(*´д`;)…
本作でもカイコゼはそんなにダメージなかったものだから、あのエンディングはコゼはかわいかった・・・・
その雰囲気が残ってて(*^ー゚)b グッジョブ!!
典医フラン、感想くれた姉上方、ありがd!
気が向いたら、本作の典医のエチーをプレイしていただいて、
その中の典医の台詞「はぁーーっ」だの「ふうーーーっ」ってところで(ああ、良かった、何とかなりそう・・・・)って感じの
典医心情台詞を脳内再生していただければww
・・・・っていうか、この話の発端がそれだったのでwww
>>272 違いますとだけお答えしておきますね。
私は光栄ですが、こんなへっぽこ書き手と間違われたらその姉上に失礼ですからw
またしても神な姉上がいっぱい…!
団長は可愛いし、ジークにフランも可愛いし、
何と言ってもコゼットが可愛すぎる。
姉上方、GJ!GJ!
カイコゼ怖くて見れてないんだが、今なら見れそうだ。
コゼ、可愛いな。
本編でもこんな姿が見たかったよ。
しかし、次々と投下があって姉上達すごいな。
自分も今ss作成中だが全然、進まんよ。
姉上達の萌えが過ぎ去った後に完成しそうな予感。
>285
一緒に頑張ろう
まだ攻略してないキャラがいるのにSS書きまくってるよw
薔薇×姫の、結婚後ヤってるだけのアホss投下致します。
最後は羞恥プレイに走るので、苦手な方は
NGに【家庭円満】と入れてください。
288 :
家庭円満1:2005/10/11(火) 23:57:04 ID:VuMBbgZo
「…あ、んんっ……駄目っ…ぁ…誰か…来ちゃう…っ!…」
「誰も来ない。…何の問題も無い。」
王宮内執務塔。その一番奥の一室。
まだ陽も高い時間から、椅子に腰掛けている俺の膝の上で身悶えている女。
かつてこの国の王女であったが、今は俺の妻だ。
紆余曲折あったが、ようやっと結婚した。
婚儀は盛大に執り行った。
両親は…まぁ過去に色々あった為、思うところもあったのだろうが、最後には喜んでくれた。
ましてこの俺が新国王の補佐をするのだ。
最早時代は変わったのだから、この先何があろうとこの二人に手出しはさせぬ。
コゼットは、意外にも誰よりも喜んでくれた。
その心の裏ではカインから姫を引き離せたというのが大きい様だ。
気の無いカインを飽きもせずに追い回している。
カイン…国王陛下は相も変わらず「姉上姉上」と言っては、
公務の合間に俺たちの邸に出入りしているが。
289 :
家庭円満2:2005/10/11(火) 23:57:52 ID:VuMBbgZo
コルセットを外し、上半身むき出しの背後から乳首を摘まむ。
もう片方の手でドレスの裾を捲り上げ、美しいレースが縁取られたショーツの上から
割れ目に沿ってなぞってやると、既にしっとりと湿り気を帯びていた。
「フフッ、ここでは嫌だという割には…いつもより感じているのではないか?」
耳元で囁いてやると、肩の辺りがふるりと震える。
「っ!エド…お願い…悪戯は…もうやめて?」
潤んだ瞳で懇願されるが、聞かぬ。
ショーツの脇から直接彼女の恥部へと指を這わせれば、
ぬるりとした潤沢な愛液の感触。
襞を掻き分け愛液を絡めた指で、入り口上の敏感な芽に擦り付けてやる。
姫の一番感じる場所だ。
そのまま芽にも当たる様に二本の指を割れ目に沿って大きく上下させると、
愛液の滑る淫猥な水音が響く。
「ああんっ!…や…っ…はぁ……エド…、エドガー…っ!」
最早拒絶の言葉はなく、身悶えて腰を揺らしている。
指を数本胎内に差し入れて、中の襞を掻き出す様に刺激し、
空いている親指で芽も強めに擦ってやる。
「あ、…っんぁ…あ、もう、それ、以上したらっ…駄目、駄目っ!」
何が駄目なものか。この俺が手ずから奉仕しているのだ。前戯といえど軽い絶頂など許さぬ。
胎内の指をバラバラに動かし、
先ほどからの愛撫で赤く膨らんだ芽を更に強く擦る。
耳の中へは舌を挿入させ、時折いやらしい言葉を囁いてやり、
この体勢で出来る愛撫という愛撫を施してやると…。
「あ、お願いっ!やめ…っ…、やめてぇっ……ぁ…ああああっ!」
姫の絶頂を極める声が響き、胎内からは透明の飛沫が数度噴き出した。
俺に背中を押し付け、仰け反る様に白い首を晒し、
波間に打ち上げられた美しい魚の様に姫が跳ね…痙攣を繰り返していた。
暖かな太陽の光が差し込む穏やかな昼下がり。静かな執務塔。
その一室で、妻は絶頂を極め、快感に打ち震えていた。
290 :
家庭円満3:2005/10/11(火) 23:58:40 ID:VuMBbgZo
姫の腰に優しく腕を絡ませ、体重を全て俺に掛ける様に促す。
こめかみから耳たぶ、首すじに、労わる様にたくさんのキスを贈った。
彼女を見遣れば、頬は紅潮し瞳を潤ませ、小さな桜色の唇から熱い吐息を忙しなく吐き出している。
俺の視線に気がつくと、その何とも言えない艶っぽい眼差しで可愛らしい抗議をして来た。
「…っふ…ぅっ…エド…、や、めてって…言ったのに……ドレス、汚して、しまったわ…。」
あなたが初めて買ってくれたドレスなのに、と。まったく、可愛い女だ。
「フン…服などこれから幾らでも買ってやる。…まぁ、このまま帰す訳にも行くまい。
後で邸のものに着替えの手配をしてやるから、それまで我慢しろ。それで問題なかろう?」
少し拗ねてしまった様子だったが、俺が髪を撫でてやるとそのまま目を閉じ、
子猫の様に腕の中でうっとりとまどろんでいる。
291 :
家庭円満4:2005/10/11(火) 23:59:23 ID:VuMBbgZo
…。……。………。
姫には悪いが勿論このままで終わらせる訳には行かない。
姫は満足させたが俺は最高潮に達しているのだ。
この状況で「続きは帰ってから」などと考えられる筈もない。
早く彼女の中に挿入したいし、あの堪らなく熱い肉襞に包まれたい。
俺は本能に従う。
姫を膝上に乗せたまま、椅子に浅く座りなおし、背もたれに後頭部を押し付ける。
その感情の赴くまま、まどろんでいる彼女の腰を少しずらし、ショーツを膝までずり下ろす。
そして既に用意の整っている自身を取り出す、と。
体中から力の抜けきった姫の両股を後ろから大きく抱え込み、
急な体勢に驚いて振り向き俺を凝視している姫にニヤリと笑い掛ける。
肉棒に手を添え、一気にいきり立った俺を突きたてると、
「いやあぁぁぁぁっ!」
あまりに刺激が強かったのか、彼女が悲鳴を上げた。
既に濡れ塗れている彼女の胎内は何の躊躇もなく最奥まで誘ってくれる。
最初の一突きで俺の肉棒の先端が彼女の胎内の奥の壁まで当たった感触がした。
堪らなく熱く、狭い彼女の肉襞が俺を愛撫する。
そのままグリグリと腰を擦り付けると、
「…っ、は…ぁ……っ…!」
姫は口を半開きにしながら懸命に呼吸する。
太腿に廻した腕に力を込めて彼女の身体を上下させ、
腰のばねを使って下からも容赦なく突き上げる。
とたんに姫の胎内からは新たな愛液が噴き出し、
どれほどの快感を得ているのか言葉にせずとも教えてくれる。
下半身からは腰をこすり合わせ、叩きつける音、最早何の言葉もいらない。
肉棒を深く押入れ、抜け落ちる寸前の先端まで出す作業を繰り返す。
彼女の理性も飛んだのか、俺に貫かれながら更なる快感を得る為に、
自身の指で芽を擦っていた。
互いの身体から糸を引くほどにいやらしい液に塗れさせながら、それでも懸命に腰を振り続ける。
座っている椅子の足が軋む音を立てている。
すると姫の胎内の奥が急速に締まり出し、俺を圧迫し始めた。
堪らぬ。何と甘美な締め付け。絶頂の兆し。
「エド、エドッ!!…私、…あ、あ、…も、…もうっ!!」
「…姫…っ、いいっ…最高だ……いいぞ…そのまま…っ!くっ、…俺もっ!!」
292 :
家庭円満5:2005/10/12(水) 00:00:19 ID:6Vy9rtg4
…その時だった。
「失礼致します、エドガー様。陛下の公文書、…に、…ついて………。」
暖かな太陽の光が差し込む穏やかな昼下がり。静かな執務塔。
その一室に、かつて妻に仕えていた侍従が爽やかな笑顔で入室してきた。
…妻は極みを迎える寸前の腰の動きを押さえられる訳など無く。
「!!!!!!!!!!っ、あ、いや、いやぁ…、見ないで、見ないでぇぇっ!!」
俺とて射精感を伝える腰の動きを抑えられる筈も無く。
「!!!!!!!!!!っ、う、うぁ、…っ…ああっ!!」
そのエミリオの前で、…不覚にも夫婦で達してしまった。
その爽やかな笑顔を貼り付けたまま。
静かに「…失礼を。」と一礼。
更に、静かに、静かに閉まった執務室の重厚な扉。
残されたのは床に平伏してさめざめと泣く妻と。
その妻になんと声を掛けていいものか途方に暮れる俺だった。
ご結婚されても、そのお相手がハインツ国王時代から政務では相容れなかった
ジペルディ家のご長男であるのが心配でしたが。
「ご夫婦仲が良く、エミリオは嬉しゅうございます。」
姫の幸せな姿(?)を拝し、エミリオは終始ご機嫌であった。
以上でつorz
エロエロ夫婦な上に最後が…。
お目汚し本当にスンマソン。
でも一度書いて見たかったとです。
エミリオは見た!みたいなの。
リアル更新キタワァ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:* ミ ☆
それも薔薇のガッチュン!薔薇の一人称。
最後のオチで禿げ藁させてもらいましたが、終始(*´д`*)ハァハァいたしますた。
サイコーですた。GJ!イイユメミレソウ・・・・
GJ!
最後に思わず笑ってしまったよ。
エミリオに……見られちゃったんだ……
>>287姉上、GJ!
薔薇の一人称、イイ!(*´д`*)ハァハァ
私も思わず最後で笑ってしまった。
エミリオも幸せそうで……
ここでSS読むたびに脳内で声が再生されるのは、
萌えもあるけど、姉上方がうまいからか。
しおり作成お疲れ様です。
読んだ姉上の数だけ解釈があっていいと思うのだけれど、こう書かれると
書いた方の意図とは変わってしまったな、と思ってしまう。
ここに書かれるって事はある意味断定だと思うから。
自分に力量が無いからそういう分け方されてしまったわけだけど。
ごめん(´・ω・`)
自分の考えたものとちょっと違った解釈が出てきたって事か?
感想かしおりの説明かよくわからんが…。
>>301 SS投下された姉上ですかな?
登場人物関係とエロ有無、タイトル無しの場合は投下時の内容紹介に基づいてるのでは?
自分も「闇〜」投下したけど、別に無問題ですが…
>>297 なんて素晴らしい姉上・・・ありがとう!
しおり作成姉上サンクス。
>>288 薔薇一人称に萌えつきた。薔薇は実際やりそうだなこういうのw
買ってもらったドレスを気にする姉上がかわええなー。
愛の軌跡って名前にワロタw姉上GJ!
ところでSS保管ってしてもらうんですか?
前話題にあがってたけど、自分のだけ収録してもらわないとかってありかな?
ここに上げたけど自サイトの方にも上げたので保管してもらわない方向で考えたいんですが。
自分も308姉上と同じく、サイトを立ち上げる予定ですので、
出来れば保管して頂かない方向がいいのですが・・・
どうでしょうか?
>>301 もしかして、エロ有り無し、カプ、タイトルなんかで>301姉上と違う意図で表記してしまいましたか?
専ブラ入れてる人ならポインタ当てるだけ、ブラウザで見てる人ならクリックしてまとめ読みができたらいいなと思っただけなんだ。
説明書きに沿って書いたつもりだったけど、間違った表記で姉上を悩ませてしまったのならほんとにスマンカッタ・・・・orz
>308
>309
必ず保管しなければならないってことはないよ。
ただdat落ちしたら過去作品読めなくなる環境の人もいるし、
まとめ読みするのに便利だから。
投下してくれる神姉上達やスレ住人の許しなく保管してもらう事はないので安心してクダチイ。
皆様それぞれ事情もあるでしょうし。
ちなみに勿論掲載して欲しくない人の作品は、
管理人さんに言えば避けてもらえるよ。
あと、誤字脱字直したいとかタイトル変えたいとかも。
他レスだと、保管は保管サイト、自サイトは自サイトと
両方に置いてある所もありますが……コテハンもトリップも
無いからこれが自分が書いた作品だと主張できないのかな…。
自分は作品が両方にあっても別に構わないんだけど
でもエロパロスレの保管だとエロ無しの作品を置いてもらうには
ちょっと気が引ける……。
>312
コテハンもトリップもなくても
自分の作品だと証明はできるよ、今の2chなら
昔はその証明できなくて盗作やらパクリやら横行してたけど
エロパロSS保管庫にエロ無しを入れてもらうのはやっぱり恐縮する。
エロ有り無しが混在しているこのスレは、エロパロの中では結構特殊なほうだと思うのですが。
そこで、提案なのですが、王宮単独で保管庫作るのはいかがでしょうか?
他のエロパロスレでもしてるところがあるけれど、Wikiを保管庫として使って誰でも収納できるように。
それなら、補完したくない人は「作者意向により保管せず」でいいわけで。
だめかな?
>314
それいいかも。
勿論保管して欲しくないって姉上方の作品は掲載しないってことで。
>314 それだ!!(・∀・)
317 :
314:2005/10/12(水) 17:37:39 ID:5G18U8iO
Wiki言いだしっぺの314です。
一応借りてみました。
で、せこせことメニューを作っているところです。
大まかに流れを作っておきますので、使いやすいよう訂正を入れていただければうれしく思います。
ある程度の骨組みができればアド貼り付けますので、しばらくお待ちください。
あと、保管したくないSSあれば、申告をお願いしたいのですが。
その方法はここに報告でよろしいでしょうか?
>>314姉上様
181の作者なのですが、サイトに載せるのでSSの保管から
外してください。お手数をおかけ致しますが、宜しくお願い致します。
>>314の姉上乙です。
>>70 なのですが、漏れは一応自分のサイトにSS載せました。
Wiki入りは別に構いませんでつ。
314姉上乙です。
>>33(王宮小夜曲1)、
>>117(王宮小夜曲2)、
>>238(団長育児ネタ)、
>>275(百合)です。
もしかしたら自分のとこに載せるかもしれませんが、Wikiに載せてもらってかまいません。
>>314の姉上、お疲れ様です。
団長と姉上(
>>94>>238>>251)の話を書いた者です。
自サイトを開設した時は、こちらにも載せる場合もあるかもしれ
ませんが、それでも宜しければ、Wikiに保管して下さっても
構いません。
エロ無の作品もありますが、Wikiの内容によって載せるか
どうか等も、お任せ致します。
>314姉上度々スマソ
>>149 いちを報告しておいた方がいいのかな?
自サイトに載せるかもしれません…
326 :
314:2005/10/12(水) 22:17:55 ID:5G18U8iO
一応、外枠はできたのですが、肝心のテキストの段階で戸惑ってます。
そのままコピペでいけるはずなのに、段落を認識してくれないので悪戦苦闘中です。
すこし悩みますので、しばしお待ちください。
現在報告いただいた分で、NGの分は了解しました。
今はおkだけど、後に自サイトに載せるときに削除したいときは、
その旨Wikiに記載していただいて削除いただければと思います。
いまのところ、キャラ別でしか分けていません。
掲載NGの申告がない限り全て載せます。
しばらくお待ちください。
投下待ちの姉上がもしいらっしゃったら、ぜひドゾー
段取りつき次第アドレスを貼りに来ますので。
相変わらず話が進む時は行動が早い姉上達スゴ!
>314姉上
以下のSS書いた者ですが掲載無しでお願いします。
姫←侍従 エロ無 「エミリオ独白SS」
>>187-192 姫←カイン エロ無
>>207-208 楽士×姫 エロ無
>>210-215 楽士×姫 エロ無
>>226-233 見事に全部エロ無しだアッヒャッヒャ!ヽ(゚∀゚)ノアッヒャッヒャ! エロパロなのにすんませんorz
しおりの姉上使わせてもらったよーありがとう
328 :
314:2005/10/12(水) 23:49:08 ID:5G18U8iO
ttp://www6.atwiki.jp/nocturne/ とりあえず100レスめぐらいまでのSSについては保管しました。
投稿に当たり、手直しが必要になったところについては手を加えています(段落を認識しない点)
うまく手直しできていないと感じられましたら、各書き手様で訂正をお願いします。
適当に約束事とか作ってます。
足りない分とかは補足していただきたいです。
あと、タイトルも適当です。
いい案があればよろしくお願いします。
デザインについても攻略と同じになっていますが、これが一番見やすかったもので、
おいおい変更できればと思っています。
ロボット検索等にかからない設定にしております。
それではひとまず休止して、席を離れます。
>314姉上、ありがとうございます。
>>221-224 姫←カイン エロ有 「カイン一人SS」 を投下した者です。
同じ流れのSSでエロ無しにした方ものを手持ちにはあげてます。
エロは置けないので、こちら投下のは保管おまかせします。
>328姉上SUGEEEEEEEEEEEEEEE!!
素晴らしいです。GJGJ!
マジで作業早い。ホントにありがとう。
ついでに気が早いけど次スレにも登場人物テンプレ貼るなら
ロデル=レオナーグ(18歳) CV:蒼月 稜 祷師見習い(社交性)
になってるのを
ロデル=レオナーグ(18歳) CV:蒼月 稜 鍛祷師見習い(社交性)
に変更して下さい(1文字抜け)
331 :
323:2005/10/13(木) 02:12:55 ID:4rsmCydm
あ゛ー
>>322の姉上、ごめんなさい。
番号、間違えしまった……。ご気分を悪くさせてすみません。
>>314の姉上、ご苦労様でした。
攻略のWikiと一緒なのですね。とても見易いと思います。
332 :
314:2005/10/13(木) 08:00:52 ID:+SzHsLaO
今までの分、保管終了しました。
これから投下分については、保管NGの場合は説明書きついでに添えていただければいいかなと。
私もできるだけ保管作業をして行きたいとおもいますが、
もし作品投下時にお手すきの姉上がいらっしゃいましたら、
その時折で保管作業していただけたらなと思います。
デザインやタイトル変更やその他、ログイン関係の仕様に関しての場合はここで呼びかけていただいたら
対応したいと思っています。
Wiki立ち上げのため、多レスの使用申し訳ありませんでした。
それでは名無しに戻ります。
>>314姉上GJGJ!!華麗です。
本当にありがとうございました。読みやすいでつ
ウレシス(*´∀`*)
早速ですが、
自分のSSで気になっていた誤字を訂正させていただきました。
(*´Д`)ハァハァ Wiki 朝から堪能してきまつ。
314姉上本当にGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGJ!!
漏れは
・初ジーク×姫の微エロss、
・カイン×姫の近親相姦、
・薔薇×姫の薔薇の棘、
・薔薇×姫の家庭円満、
を、投稿させて頂きました作者です。
個人的はこちらに投稿させて頂き、皆様に読んで頂いた作品を
いずれ自サイトで発表させて頂く予定ですが(只今準備中)、
削除対象には致しませんのでご報告までに。
途中送信してしまったので再度失礼致します。
検索避処置を施すなど、
処理的には簡単なことであっても手間のかかる作業をして下さったのも、
こちらに投稿した作者皆様全ての気持ちを配慮されたからこそ出来る技ですよね。
漏れは基本的に書き方稚拙ですし、暗くてしかもエロしか書けませんけど、
王宮本スレ、ここスレ、素晴らしい姉上方と萌え共有できて、本当に嬉しいです。
314姉上様は勿論、皆様ありがとうございました。
…個人的チラシ裏スマソ
336 :
322:2005/10/13(木) 12:01:21 ID:CX5svnbo
>>331 こっちこそ、細かくてすみません。
きっと間違えただけだろうと思ってました、ゴメソ。
314姉上ありがとうございました!
本当に感謝です(全くエロのないものばかりですみませぬ)
自分の、誤字など直しておきました。
遅ればせながら「闇に拐う月」書いたものです。
>>314姉上、大変乙でございました!!仕事早っ!つ∀`*)・゚・。・゚゚・*
エロ全くなかったんで恐縮ですが、保管ありがとうございます!
続きを今日〜明日ぐらいに投下したいのですが、これも直接あちらに
追加保管してしまって良いのでしょうか?
すいません途中送信してしまった・・・
誰にも詠んでもらってないうちから自分で保管とか言うのもおこがましいんで
どうかと思うのですが、姉上のお手間を考えると直接のがいいのかな?と・・・
とりあえず投下して様子見ますね
<長文スマソ。>
名無しに戻るとか言っておきながら、ここはID出るのでバレまつね(;´∀`)
私の空回りのように保管庫立ち上げさせてもらったにもかかわらず、たくさん激励いただきましてありがとうございました。
ほんとに、温かい心の持ち主の姉上が多いからこそなんでも協力したくなるというか。
私なぞは自サイトを持たない、エロパロ投下型書き手(未熟)なので自サイト経営されている姉上たちは尊敬の念でいっぱいですyo。
その知的財産を惜しげもなくこちらに投下していただくだけで、どれだけ萌えが広がるか。
と、改めて姉上たちに惜しみないGJ!を…
>335
ここのWikiを調べてみると、アダカテ禁止もなく、また検索よけやらが初期設定でできるとあったので選んだだけですよ。
とくに何もしてません。
全く別件になりますが…>335姉上のエロでしたか!その4作は。
細部にわたって私好みのエロ具合で、脳内エロメーターが振り切れて何かが出そうになりました。
根っからのエロパロスレ住人なので。
あ、もちろんエロ無しもすきなのですが、もともと属性がエロなのでw
>337
保管庫は急ぎませんので、投下してみてしばらく待ってみては?
直したい部分があれば直して保管してくださっても結構ですしね。
投下してからああーーーーっ!!ってなことはよくあるものです。
つづき、wktkしながらまってます!
</長文スマソ>
>>314=339
姉上乙です。
自分、眠りの森の王女を投下した者です。
名無しのままでいようかと思ったのですが、皆様名乗られているようなので自分も一応名乗っておきます。
眠りの〜は、したらばの延長で作成したものなので姉上達に捧げます。(自分は自サイト持ってませんし、作る予定も無いですし…)
只今、調子に乗って楽士と姉上の子供の頃(誘拐)の話を作成しているのですが、遅々として進んでいません。
(未だ二人が出会っていない…orz)
完成したら投下させて頂きますので、暖かい眼で見てやってください。
>>340姉上
うはっ。今まさに自分も楽士と姉上の子供の頃の誘拐話書いてるところだった!
すごい辛気臭くなりそう…
自分コメディとかギャグ専門なのにorz
楽士と姫の誘拐物語、すごくネガティブです。
3年前、楽士がやってきた頃のお話です。
その中に回想として昔の誘拐話があるという感じです。
なので、当然エロはありません(というか元から書けないんですが)。
君は覚えているだろうか。
三年前、僕は一族の長老達の命で、王宮に潜入することとなった。
使命は、国王一家の暗殺。
期限は特に切られていないらしい。
国王の暗殺となると、警備は強固、簡単に出来るものではない。
とにかくこの王宮で信頼を得、確固たる立場を築く必要があった。
王宮へ宮廷楽士として住まうことが許された翌日、僕の笛を披露する場が設けられた。
そこには国王、王妃、時期国王となるカイン王子、その姉にあたる姫も出席していた。
いつものように笛を吹く。
この笛を吹いている間は、僕は何もかもを忘れられる。自分が暗殺者だと言うことも、自分が捨てられた子供だということも。
「素晴らしかった、リオウ」
ハインツ国王は、手をたたき、にっこりと笑いながら僕に言った。
国王という身分にありながら、妙に気取ることのない、温厚さを感じる方だった。
だが、僕はこの人を殺す為にここに来たのだ。
どんなに身分が高かろうと、どんなに優しい人だろうと、死んでしまえば同じだ。
この国でハインツ国王と言えば、誰からも愛され、慕われる偉大な王というのが定評だ。だが、僕はここに来た、暗殺者として。
誰にだって暗部はある。この偉大な国王を殺したいと思う人間がこの国にはいるのだ。
「リオウ……どうした」
僕としたことがつい、思いにふけってしまっていた。
「失礼いたしました」
「よい、慣れぬ王宮で緊張しているのだろう」
「お気遣いいただき、ありがとうございます。お詫びに、もう一曲吹かせて頂きます」
それは夜の曲。
冷たい月。
静寂が支配する。
僕の手は血塗られている。
今宵は貴方たちを慰める曲とて、死を授けるその夜には葬送曲と変化する。
さあ、皆眠るがいい。
永遠という名の深い深い眠りに。
「とても素敵だったわ、ありがとう、リオウ」
夜会が終わったあと、僕が片付けをしていると、王女が一人で声をかけてきた。
ルチアナ王妃に良く似た、ほっそりとした少女だ。
屈託がなく、僕に対してなんの警戒心も頂いていない。
たとえば、この会には王弟一家も出席していたが、王弟オースティンは全く興味がなさそうだったし、その妻シモーヌは、僕の事を下賎の者として見ているのが分かったし、息子エドガーは僕を検分するように見ていた。唯一コゼットだけは純粋にこの会を楽しんでいたようだが。
「ありがとうございます、姫」
その目を見ると、吸い込まれそうなくらいに透き通っていた。
おきれいな何も知らない姫。世には僕のような暗殺を生業とする人間がいるなんて、知りもしないのだろう。
もしもこの姫の前で、父母、弟を殺したら、どんな顔をするのだろうか。泣き叫ぶだろうか、罵るかもしれない、それとも心をなくすかもしれない。
きれいな曇りのない瞳はまっすぐで、なんだか目を合わせているのがつらくなった。
視線をそらした先には、首飾りがかかっている。
大きな宝石。庶民にはとても手の届かない代物だ。
ん?
あれは!
どこかで見たことのある……まさか。
それは、ある夜のお話。
アーデン地方、そこは鄙びた田舎町で、人も少なく、それ故に隠れた犯罪も多い。
今日僕達がここに来ているのも、子供を攫い、新たに一族に迎える為だった。
僕はまだ子供だから、町の子供達に近付き、遊び仲間になるという囮の役。
相手の信頼を得るまで、約一週間そこに滞まった。
最後の日、子供達と夕方まで遊び続け、その後、探検をしよう、そう囁くだけでいい。
すると標的は目を輝かせ、ひょこひょこと僕の後について来た。
そうやって子供を連れ去り、集め、そこを立ち去るはずだった。
「よう、リオウ。首尾はどうだ?」
一族の中で一番歳が近く、よく一緒に仕事することが多いユージーンとは待ち合わせの場所を決めていた。
ジーンはこちらに手を上げて、笑っている。
どうやら彼の方は上首尾だったようだ。
「ほら、見ろよ、可愛いだろ? なんかさ、結構いい服着てるしさ……」
そう言われて彼が連れてきた子供を見る。
綺麗なドレスを着ていた。胸には大きな宝石のついた首飾りをしている。
「ふうん、でもいいとこのお嬢様だったら不味くないか?」
「……あっちゃぁ、やっぱ不味いかな」
ふと興味を覚えて、その子供の顔を覗き込んだ。
僕より少し幼いだろうか。
大切に育てられたのだろう、そんな品位さえ感じる。
茶色の長い髪、琥珀色の透き通る瞳。
その瞳と出会ったとたん、僕の心臓は早鐘を打つようになった。
何もかも見通すように澄んでいる。
邪気などなく、にっこりと僕に微笑みかけてきた。
僕が、怖くないのだろうか?
「君……名前は?」
つい尋ねていた。
「おい、リオウ。何聞いてんだよ。まさか惚れちまったとか? うはぁっ、このマセ餓鬼」
「自分もいい加減餓鬼だろう」
「へえへえ。そんな顔で睨むなよ、ほら、怖がってんだろ」
その子は、少し震えていた。
「ごめん、怖かった?」
「……」
だけど、その子は違うと言いたげにふるふると首を振る。
「そんな……悲しい顔をしないで?」
「え……」
僕の手に触れ、そう言った。
驚いた、僕は物心ついてから、こちらが意図する時以外、誰にも体を触れさせた覚えがない。
なのに、この子は。その上、僕が悲しい顔をしていると言う。
その目をもう一度見た。
ああ、なんだろう。胸が苦しい。
「大丈夫、君は僕がおうちに帰してあげるからね」
ジーンに聞こえないようにそっと囁いた。
「ジーン、この子は帰した方がいい。恐らく、いい家の子供だろう。この子を攫ったら、きっと大掛かりな捜索が行われる。足がつくぞ」
「げっっ、それってやべえよな? うわ、長老に大目玉食らう? な、リオウどうしよう!?」
「僕に任せておいて」
顔に笑いの仮面を貼り付ける。
一族の中で一番仲のいいはずのジーンに対してだって、僕はこうして自在に表情を装える。
「すまない、恩に着るぜ!」
単純なジーンは僕の言葉をすっかり信じ、僕が連れてきた子供を代わりにに集合場所に連れて行くことになり、僕は彼女を連れ帰ることにした。
「さあ、おうちに帰ろう」
小さな手を引き、暗い道を歩く。
途中深い森を通らなければならなかった。
彼女の手がぎゅっと僕の手を握る。本当は僕も、怖かったのだ。けれど、彼女がそこにいると感じると、少し心強く感じだ。
森は木々が茂り、天を仰ごうにも空さえ見えない。
足元は暗く、夜目が利く僕にもつらい道だった。それでも彼女は文句一つ言わずついてくる。
しばらく歩いていると、向こうから光が見えてきた。
こんな時間になんだろう。
彼女を捜索している者だろうか。それならば、僕の役目はここまでだ。ここで彼女と別れればいい。
でも、そう思ったとたん胸が締め付けられるような気がした。
しっかりしろ。
僕とこの子じゃ、違いすぎる。僕はこんなに綺麗な子の側にはいられない。
思いを振り切り、彼女に別れを告げようとして、しかし前から来る光に、何か嫌な予感を感じた。
――同類だ。
気付くのにだいぶ遅れていた。
今日の僕はどうかしている。
「へっへ、子供がこ〜んな時間にこんな所で何をしているのかな?」
いやらしい笑みを浮かべて、じろじろとこちらを嘗め回すように見る。
彼女をとっさにかばって後ろに隠す。
「ああん? 何隠した。ほほお、別嬪さんじゃねえか。こいつは! 絹のドレスだぜ、庶民にゃ縁のない代物だ。こっちの子供も身なりは悪いが上物だ。二人まとめて売り飛ばすか、さもなくばこっちの嬢ちゃんは身代金がふんだくれるだろうよ」
だが、それもむなしく、他の仲間が後ろに回りこんで品定めして来た。
彼女は僕が守る。
彼女だけは綺麗なままでいて欲しい。僕のようにはなって欲しくない。
「……ごめん」
「ああ? 何言ってる、怖くてちびっちまったか?」
煩い。
早く黙らせたい。
だけど、その前に。
君にだけは見られたくないんだ。その綺麗なお月様のような瞳には。
もう一度胸の中で謝罪してから、彼女の首の後ろを軽く叩いた。
「おい!? 何しやがる、この餓鬼!」
「何も? おまえ達は煩い、さっさとここから去れ。それが出来ないとあれば……」
「ふざけたこと抜かしやがって!」
やっぱり煩い。
森を穢したくはなかったけれど、我慢出来そうになかった。
「黙れ!」
懐に隠してあった針を取り出す。
こういう数だけに頼む雑魚どもにはちょうどいい。
「ひっひ、おまえみたいな餓鬼なんぞ……うっ」
狙いは過たず、次々と奴らの喉元に刺さっていった。
一瞬で絶命。簡単な物だ。
命なんて、こんなに簡単に奪える。
特別の命なんてないんだ……ねえ、君?
君の血の色は綺麗なのかな、君の目みたいに。
僕の手はこんなに汚れている、君の綺麗な手とは比べるべくもないほどに。
いっそここで君を…・・・そうしたら亡骸だけでも、僕のものに出来るんじゃないか、そんな考えがよぎって、けれどそれが馬鹿馬鹿しい考えだとすぐに気付く。
死んでしまったら、終わりなのだ。今はこんなに美しい彼女も、生が息を止めたとたんに失われてしまうのだ。
涙が伝っていた。
君と一緒にいたい。
だけど、一緒にいられない。
いつかまた、君に会いたい。
絶命した者達の喉から針を回収し、懐紙に包んだ後、眠ったままの彼女を負ぶった。
意識のない彼女はとても重く感じた。
だけど、これが彼女の命の重さなのだ。
森を足早に駆け抜け、アーデンの町まで戻った。
こんな小さな町でも、神殿はまだ開いている。
中を覗くと、壇上の燭台のろうそくが小さく揺れていた。
気配をうかがう。誰もいないようだった。
ここならたぶん、大丈夫だ。
彼女を床の上に下ろして、すぐ側の路地に隠れる。
やがて、彼女が倒れているのに気付いた神官が医者や町長を呼び寄せた。
もう、大丈夫だ。
僕がしてあげられるのは、ここまでだ。
さよなら、僕の優しいお月様。
あれから何年がたったのだろう。
今日出会った姫。
あの時の女の子と同じ首飾りをしていた。
そして同じ琥珀色の瞳、いまだ穢れることなく澄んだままだった。
けれど。
僕が貴方を、貴方の家族を殺すのが運命。
あれは遠い夜のお話。
もうずっとずっと、遠くに置いて来てしまった御伽噺。
君はもうきっと忘れている。
そして僕も、忘れることに決めたのだ。
僕の手は真っ赤に染まっている。この心は冷たく凍っている。
君の息の根を止める為に僕は、この王宮で貴方を見つめ続ける。
おしまい。
>>340姉上、ネタ被りですみません。
これって確かバッドで分かる真相でしたよね。
切ないけどいいEDだった…
失礼いたしました。
>>342 GJ!
楽士の過去話読みたかったんだテラモエス!
また楽士ルートやりたくなってきたYO
349 :
340:2005/10/13(木) 22:56:01 ID:18GBXOn4
>>341 姉上、GJ!
王宮は切なさが根底にあるから良いんだよね。
リオウは姉上に救われるんだなあとしみじみしてしまったよ。
誘拐ネタ、被ってしまったけど、自分はこんな風に奇麗に纏まってないです。
自分のは無駄に長い。兎に角、長い。で、当然濡れ場無し…orz
誘拐の状況も全く異なるし、雰囲気違うから同じ誘拐ネタでも許されるかな…と勝手に思って居ります。
といいつつ、いつ投下できるかわかりませんが…
(それ以前に完成するのかも謎…)
>340姉上GJ!
プレイした人の数だけ解釈はあるものだから
読んでる方としてはネタぶりは全然(゚ε゚)キニシナイ!!
というわけで341姉上も気長にお待ちしてます
(屮゚Д゚)屮 カモーン
こんなの読んじゃうとまた楽士から離れられなくなっちゃうよ!
姉上GJ!
いろんな誘拐ネタも読んでみたいな。
あとはコテコテに甘いのとか読んでみたい。
352 :
341:2005/10/14(金) 00:08:11 ID:MXr4X5Hb
皆様、暖かいお言葉ありがとうございます。
340姉上のネタもゼヒにお待ちしております。
さきほどWikiに上げてきました。
少々改変して、何故かキスオブザドラゴンになってます。
完全に自分の趣味丸出し…
楽士ネタの神が増えてて嬉しい!!
>>341 姉上GJ!チビ楽士&ユージーンが良いです!リオウ子供なのにスゴ腕(*'д`*)
>>340 是非読みたいですー!
>>339 レスdです。様子見の方向で行きます。もう少しかかりそうですし。
収録NGのネタは投下しにくいな
保管無しでお願いします。
ジーク×姫←フラン
NGな方はスルーでお願いします。
**
薄暗い酒場の片隅でグラスを傾ける。
どこに行ってもアタシ好みの酒場は案外あるものだ。
アタシはフランシスカ・ゼノン。
親しい人はフランと呼ぶわ。
あなたも、よければそう呼んで頂戴。
念の為に言っておくけどこんな言葉遣いでも男よ?
そんな事、ここ何年も意識した事なかったのに。
ナンパが目的だった?ふふ、お生憎様。
え?男が男を意識しないで生きてられるかって?
ああ、訳が解らないわよね。
チョット長い話になるんだけれど、よければ聞いてくれるかしら?
アタシね、不老不死なの。
あら、やっぱり皆笑うのね。
冗談だと思ってるでしょう?
でも本当よ。
こんな容姿だし、長い事一つの場所には居られないから…
あちこちを転々としてね。
でもこの間行った国ね、あそこはいい所だったわ。
そこで、久しぶりに人を好きになったの。
ちゃんとお相手は女の子よ。
それがさ、笑っちゃう事になんとお姫様なのよ。
ちょっとした縁で親しく話し掛けてもらえる事になって。
で、その子には好きな男がいてね。
それがまたアタシの幼馴染なのよ。
その男も不老不死なんだけど。
最初は幼馴染の話を聞いてるだけだったわ。
この男がまた暗くて溜めこむ性格でね。
姫のことが好きなのに私では相応しくないとか言っちゃって。
馬鹿よね。
幸せになれるチャンスがあるなら掴めばいいのよ。
素直に。
何年生きてもあの性格は変わらないわね。
全く、しょうがないんだから。
姫もね、そいつがいいって言ってるんだからとっとと纏まればよかったのに。
アタシももどかしくなっちゃってね、いろいろお節介焼いたワケよ。
そうしたら、ホントにいい子なのよね。
そいつが惚れるのも解るって言うか。
辛い事があっても皆の前では笑顔でいたし、王女としての務めも立派にこなしてたわ。
何事にも一生懸命で…国の皆から好かれてたわ。
優しいだけかと思ったら、言うべき事はちゃんと言ったりしてね。
アタシ、そういう性格って大好き!
ある日ね、姫のところを訪ねたら落ち込んでたの。
落ち込んでる姿なんて見た事なかったから驚いたわ。
私の幼馴染に嫌われたかもしれないって。
そう言って、泣くのよ。
ちょっとした行き違いだったんでしょうけど、やっぱり恋する女の子ね。
好きな人のちょっとした仕草で不安になる。
あの男の為に泣く、その姿を綺麗だと思ったわ。
そして怒りが込み上げてきたの。
“アタシなら、こんな表情はさせない!泣かせたりしない!”ってね。
あー男って単純だわ。
最初から他の男の方を向いてる女の子に惚れるなんてアタシも大概バカだわ。
その後?
もちろん二人は仲直りして…今頃は二人で幸せになってるんじゃないかしら?
その為の布石は打てるだけ打ってきたしね。
幸せになってなかったらアタシが許さないわ!
でも…正直な所見てるのが辛くなったっていうのもあるのよ。
それに、相手はお姫様だからどこに居ても情報は入ってくるでしょうし。
さて、そろそろ宿に戻るわ。
今夜は久々に楽しかった!色々聞いてくれてありがとう。
縁があったらまた会いましょう。
行き摺りの、酒場でのたった一夜の語らい。
でも、アタシも誰かに聞いて欲しかったのかもしれない。
あの日――
彼女が幸せになるまで見届けたかったけど、他の男の物になるのを見ていられるほど強くもなかった。
たとえその相手がかけがえのない、大事な幼馴染だったとしても。
幸せを願える内に、この国を出ようと思った。
「フラン…行ってしまうの?」
姫…!
ローデンクランツを出る日、彼女は見送りに来てくれた。
ジークとではなく、一人で。供も連れずに。
ジークのお姫様。
ジークの、お姫様なのに。
連れて行ってしまいたくなる。
「ええ…ジークに聞いたでしょ?アタシもジークも同じ所に長くは居られないの」
後ろに下がってわざと距離を取る。
「でも、もう少しくらい…」
姫がこちらへ1歩、踏み出す。
連れて行ってしまいたい。
衝動に身を任せたくなったのなんて何年ぶりだろう。
振り切るように馬に跨る。
「ここはいい国だったわ。ありがとう。元気でね、お姫様!」
馬を走らせる。1度だけ振りかえると、彼女はまだ見送ってくれていた。
たんだん、小さくなって行く彼女。
「さようなら、アタシのお姫様!」
あの日、連れて行ってしまえばよかったかしら?
ジークなら、私に譲ると言うかもしれないわ。
馬鹿よね、ホントに。一人で見送りに行かせたりして。
アタシが連れてったらどうするつもりだったんだか。
あれは、きっと、……好きだって、ばれてたんだろうな。
…アタシも恋がしたいな。今度は幸せになれる奴。
アタシのお姫様はどこに居るのかしら?
ジークの所に女の子が生まれたら貰いに行こうかしら。
あ。これはちょっとイイ考えかもしれない。
まずはジークを見付けなくちゃ。久々に姫にも会いたいし。
待っててね、アタシのお姫様!
〜Fin〜
以上です。
フランも好きなので捏造。
こんな時間からすみませんでした。
>>354 収録NGでもおkおk!
投下があってこその保管庫なだけで、その逆はない。
収録なくてスレ落ちした後でも、読みたいヤシは過去ログ探ってでも読むしな!
無問題。
>>342 楽士GJ!
過去にいろいろ因縁があるからこそできる話だな。
チビ楽士テラツヨイス!!
>355
(;´Д`)スバラスィ ...ソシテセツネー
フランやっぱイイヨイイヨー、GJ!
次の再会の姿が目に浮かぶようなSSですた!GJGJ!
364 :
341:2005/10/14(金) 07:18:51 ID:MXr4X5Hb
>>355姉上GJ!
なんかフランに語りかけられてるって感じがして良かったな。
にしても、フランって昔からあんなだったのだろうか?
スチル見た感じだと今とだいぶ雰囲気違うし。
いろいろ思いめぐらせられました。
しかし、本当に王宮はやばいよ。
しょっちゅう夢に見てる…ヤバス
>354
正直収録やめて欲しい意味がわからない
どの道別場所で収録されなくて表面上dat落ちしたって
キャッシュで2chスレなんて永続的に残るんだし
許可なし保管サイトは腐るほどあるんだよね〜
やめて欲しいなら最初からこんなとこで落とさな(ry
>>365 漏れもコソーリ同意。
補完させずに自サイト載せたって、読んでる人は既に読んでるんだから身バレは必至だし
サイトのカウンタ回したいなら、最初からこんなところに投下しないだろうし
ほんとわからん。
ちょっとちょっとマターリお願いしますよ。
確かに2chに投下されている時点でキャッシュやらなんやらで残るので、
あんまり意味は無いと思うが、保管庫にあらためて残すのでは重みが違う
ってのもわかる。
作者さんが抵抗あると思うならそれは仕方ないのでは?
落としてくれている人は好意でやってくれているわけだし。
スマソ。言い方に棘があったかも試練。
別に文句つけてるんじゃなくて、本当にただ疑問なんだよ。
話し豚切りスマソ
俺カイン×姉上ができたのでこれから投下させていただきたい。いささか長くなってしまったので2日に分けて投下しようと思ったが、
エロネタだけに切りづらい…NGは誤字脱字ぐらいに思われ一気に投下します。
ちなみに本編18禁で満足された姉上方スルーされた方が無難とオモ…
スルー希望の姉上方長くて申し訳ない。
時期 薔薇レイーポ直後
俺カイン×姉上
370 :
俺カインエロ:2005/10/14(金) 18:08:23 ID:lhUGOXhH
1
「姉上、こんな時間に何処へ行くつもり?」
「カ…イン…」
ーー海に囲まれた自然豊かな島国、ローテングランツーー
亡き国王の美しき双子の姉弟には、国をも揺るがし兼ねない大きな秘密がある。
そしてまさに今、秘密がもう一つ増えようとしている…
広い宮殿内の一室。重厚な深紅が基調とされた、豪華な部屋に夜風が吹き抜ける。バルコニーに独り立つ双子の姉
は、昨夜の出来事を振り返る。自分がまだ小さかった頃、ほのかな思いを寄せていた幼なじみでもあり、従兄でもある
エドガーの強引過ぎる行為。最近のカインの様子を疑うエドガーに、即位式を遅らせる疑問を突きつけられ、不安が
胸を霞めたのだった。愛しいカインのためと自分に言い聞かせたが、体を許してしまった自分を責める。
輝く星空と満ちた月を眺めながら傷ついた心を癒していた姉は、ふと喉を潤すため水が欲しくなり、侍従のエミリオ
を呼ぼうと部屋へと戻る。が、既に時計は深夜を示していた。深夜に侍従を呼ぶのも気が引け、部屋を出る時だった…
部屋のドアを引くと長い右足が行く手を塞ぐ。見上げると自分と同じ髪の色をした次期国王、カインの姿があった。
いつも穏やかな表情で姉の傍に寄り添うカインが、愛しいはずの姉の姿を凍てつく表情で見下ろす。
「何処へも行かせないよ、姉上…」
「どう…した…の…?」
いつもとは違う弟を恐れ、後ずさる。カインの組んだ腕の指先が苛立を現す。
「今まで我慢していた…でも誰かに姉上が抱かれるなんて!」
強引に腕を引かれ姉は、ベッドに押し倒される。
2
ーーコン…コンーー
「エドガー、いる?」
ドアを開けると、返事の無い執務室の奥にある部屋から女性の喘ぐ声が微かに聞えた気がした。
「エドガーは取り込み中か…明日でも……はっ?!この…声…」
もしやと思い、奥の部屋に近づいたカインの目に衝撃が奔る。そこには四つん這いになった淫らな姉の姿があった。
自分の目を疑いながらもドアの隙間から氷のような冷えきった視線を送る。疑いが真実になったときの堪えきれない
怒り、悲しみ、胸を貫く例えようの無い苦しみがカインを襲う。そして、二人の淫らな行為を背に、足音を殺しながら
エドガーの執務室から消えていった…
カインは今まで考えたことが無かった。姉にも結婚相手が出来ること、男に抱かれること…自分にとっての姉は
不可触の天使だったのだ。つい先程までは…
「姉上も女だと…いうこと…なのか…?」
姉の傍にいられれば、それだけで満足だった過去が今では懐かしさすら感じることはできない。他の男に寝取られ
るくらいなら、いっそ俺が強引にでも姉上を手に入れるしかない。愛するが故の決断であった…
372 :
俺カインエロ:2005/10/14(金) 18:13:16 ID:lhUGOXhH
3
ベッドに押し倒された姉は驚愕し、冷たい瞳の先を見透かすかのようにカインを見つめる。昨夜のエドガーの
ことが頭をよぎるのは、共に同じだった。しかし、ドアの隙間からカインの視線があったことなど、姉は知る由
もない。と同時に自分のためにエドガーに体を許したという姉の皮肉な事実もカインは知らなかった。
自分の上着を脱ぎ捨てるカイン。武術で鍛え抜かれた筋肉がしなやかに動く。
かつて無だった双子の弟…その弟と毎日を共に過ごし、見事に勇ましく変わっていく姿を見ていくのは姉に
とっての快感であった。姉弟という立場の壁が姉の気持ちに立ちはだかり、感情を押し殺してきた。
「愛している、姉上、誰にも…渡さない…」
「私も…よ…」
「?!…エドガーとの…昨夜…」
「もしか…して…カイン…」
「…ああ……今夜も…エドガーのところへ行くのかと…」
姉は恥ずかしさと、後悔で泣き崩れた。カインを傷つけまいとした行為だったが、やはり過ちだったのだ。しかし、
真実を話すことによってカインの中に、エドガーを憎む感情があらわになってしまう。それだけは避けなければ
ならない。次期国王たる立場の弟に、側近であるエドガーを憎ませてはいけない。昨夜のことは自分の中で消し
去ってしまおう。エドガーを恐れる気持ちも…カインのために…そう自分をを納得させ、真実を伏せることを決める。
一つの事実だけをカインに、ポツリ、ポツリと話しだす。姉弟という越えられない壁を。
「あね…う…え…」
華奢な体の上に馬乗りになり、カインは姉の唇を激しく求めてきた。やがて舌が絡み合い、先程まで乾いた姉の
喉がカインの唾液で潤される。細い指先はカインの背筋をなぞる…お互いが、待ち望んだ瞬間だった。カインは
同じ色の髪を指で梳き、同じ色の目から流れ落ちる雫を吸い、頬に優しく口づけをする。頬から額へ、艶やかな
髪へ、そして首筋へゆっくりと進む。唇へと戻ると、今度は舌が歯列を這い、更に深く絡ませる。やや小振りな胸
を揉み、指先で突起を転がし弄ぶ。硬くなったカインの下半身が姉の内膝にあたる。姉が悪戯に指で触れると、
突然カインが身を起こした。姉は驚いて口を開く。
373 :
俺カインエロ:2005/10/14(金) 18:16:24 ID:lhUGOXhH
4
「嫌…だった…?」
「違うんだ、姉上…俺…もう窮屈で…」
照れた表情でカインは姉を見つめる。先程までの凍てついた視線はもう何処かに沈んでしまったかのように、
跡形も無い。姉弟という壁を乗り越え、きっとエドガーを許したんだと姉は理解した。すると、カインは全てを
脱ぎ去り再び体を重る。姉を一糸まとわぬ姿にさせ、柔らかな胸元に自分の頬を寄せる。
「姉上、綺麗だよ」
胸元で甘える弟が愛おしく、そっとカインの頭を両腕で包み込む。カインは目の前にある柔らかな胸の突起
を舌先を駆使して、姉に快感を与え始める。
「ん…ん…」
「姉上、気持ちいい…?」
「ええ…気持ち…いいわ…カイン…」
胸から脇腹、下腹部へカインの口が這い、時折強く吸い上げ、美しく白い肌に赤みを残していく。
そして姉の秘部へと顔を近付けるカイン。そこには透明な姉の愛液が自分を誘っていた。堪らずに手の甲で
秘部をなぞり姉に見せる。
「姉上、もう…こんなに…なってる」
「恥ずかしいわ…カイン…お願い、やめて…」
自分の光る手の甲をカインは愛おしそうに舌先を伸ばし、姉に見せびらかすように舐める。
「恥ずかしがることなんて無いよ、姉上……」
敏感になっている秘部の中にある突起を、カインの舌が捕らえ刺激しながらも丹念に愛撫し、そして、
指は熱が帯びる場所の奥へと進む。カインの指先は淫らな曲線を描くように動いたかと思うと、今度は
熱い入り口をこじ開けるように、指が激しく動き出す。姉は快楽に身をよじりながら急速な疼きを我慢しきれず
吐息を漏らす。
「あぁ…ん……はぁ…あぁ……ん…」
静かな部屋に響き渡る水音と愛する女性の喘ぐ声に、カインは興奮し声が漏れる。
「はぁ…は…ぁっ…あね…うえ…」
374 :
俺カインエロ:2005/10/14(金) 18:19:16 ID:lhUGOXhH
5
どれほどの間が経ったのか、カインは自分自身を受け入れる温かい場所を念入りに、段階を踏んで準備していた。
少しでも姉が痛みを感じないようにと…そんな思いを察したのか、激しく動く指を白く細い手が止める。
ゆっくり起きると姉はカインを膝立ちにさせ、無言のまま硬く反り露をこぼしだしている下半身を愛撫し口に含んだ。
「あっ駄目だ!姉上!あぁ…はぁ…あっ…」
今まで感じたことの無い強烈な痺れがカインを襲い、ビクッと体が跳ねた。
「うぅ…はぁ…あっ…」
初めての快感に我慢しきれずに腰を引き、力が入ってしまう腕がシーツを掴んでいる。しかし、もう片方の手は
震えながらも姉の髪をかきあげ頭を撫でるカイン。
「あねう…え…はぁ……はぁ…」
大胆な行為を止める言葉に耳を貸さずに、可愛らしい舌が下から上へとチロチロと動く。眉間にしわを寄せながら
身悶えるカインを見つめ高揚している姉。
「もう…はぁ…はぁ…あ…限界だ、あねう…え」
喉が詰まったように、途切れ途切れに言葉を漏らしながら、カインは姉の頬を両手で包み、自分の下半身から
そっと引き離す。そして、息が弾んで苦しいながらも優しく深い口づけをしながら、華奢な背を抱え込み、
体を倒していく。カインの全身からは汗が薄らと滲み、端正な顔立が妖艶さを際立たせていた。
「姉上と…はぁ…あぁ…ひとつに…なりたい…」
姉に刺激を加えられカインの脈打つ下半身は、今にも弾けてしまいそうになっていた。
375 :
俺カインエロ:2005/10/14(金) 18:21:47 ID:lhUGOXhH
6
「姉上、っはぁ…はぁ…いい…?」
「ん…」
熱い入り口を慎重に抜け、奥へと進む。
「う…はぁ…ぐっ…う…あねう…え…の中…が…熱い…」
硬くなったカインの下半身が自分を貫いた痛さで、姉は少し顔を歪める。
「痛いの…か…あねう…え……すまな…い」
「んん…だいじょ…うぶよ…カ…イン…はぁ…っあ…」
カインは決して急がない。
「動いて…も…大丈…夫なのか…?」
「ん…」
細い腰を持ちゆっくりと動き出す。次第に腰の動きの速さが増し、姉は激しく突き上げられる。姉の秘部は
カインを受け入れ強く痙攣し、吸い付く。
「あねう…え…最高…だよ…もう…くっ…」
そう声をこぼすと、自分の引き締まった胸に姉の顔を押し付け頂点に達しようと激しく腰を振る。
「はぁっ…あっ…も…う…駄目…だ…」
頭の中が真っ白に弾け飛んだカインは、共に絶頂を迎えた姉に目をやり語り始める。
「この先、貴方にきっと何度も言ってしまうだろう………愛している…」
「俺は…貴方を愛している…」
そうカインは語り終えると、恍惚の姉に全身がとろけるほどの甘い口づけをした。
ーー海に囲まれた自然豊かな島国、ローテングランツーー
亡き国王の美しき双子の姉弟には、国をも揺るがし兼ねない大きな秘密がある。
そしてまたひとつ、秘密が存在することになるのであった。
376 :
俺カインエロ:2005/10/14(金) 18:26:11 ID:lhUGOXhH
「俺カインエロ」保管オk
こんな題名したか浮かばないスマソ
保管は自分でした方がよいのかな?不安でつ
少し行を空けたい部分があったので、
修正は自分でしたいのですが…
自分、俺カイン×姉上のエロしか浮かばない(´・ω・`)
本編もカインのループだ!!全てのED見られそうも無い…_| ̄|○
もはや王宮の負け組だな…でも(゚ε゚)キニシナイ!
一言入れ忘れました。
最後まで読んでくれた姉上、アリガトン!!
>>369 いいもの見せてもらいました!
俺カインは根っからえちーい!
これくらいゴーインでないと奥手の姉上はゲットできないわけで。
エロGJ!
保管してますので、きがねなく訂正のほうどっぞー!!
>>378 仕事早っ、姉上。感謝です。
早速訂正してきました。
自分マカーだからかな、名前が文字化けしてしまう…
名無しなら大丈夫なんだけどな
気になった姉上、スマソ
>>369 姉上GJ!
筋肉俺カイン(*´Д`) '`ァ'`ァ
>376
むしろあなたは勝ち組!GJ!(*´Д`)ハアハア
ここから別の話
>365-368
ここに投下するのは萌えを吐き出して多少なりとも共有したいから。
一応身バレもキャッシュで見れるっていうのも個人的には問題なしです。
でもやっぱり保管庫って私には敷居が高いのです。
2chは掲示板で自分が投下すればいいだけですけど、
保管庫は管理等、他の人の手を煩わせる事にもなると思うので。
不快な思いをした皆さんすみませんでした。
手間がかかる、とは保管する人も考えてないと思うよ。
好きでやっているというのが根っこにあるものだし。だからといって
甘えすぎてもいけないのだけども。
管理人が何代も交代している保管サイトもあるしね。
Wikiだともっと広い意味で沢山の管理人がいるようなものだし。
でも敷居が高いと思う気持ちも分かるので、恥かしかったらスルーして
もらえばいいんじゃないのかな。そのうち、保管して欲しいと
思うようなったら、こっそりと入れちゃばいいじゃないか!
それがWikiには出来ると思うし……便利なツールが出来たもんだよなぁ。
最近、あえて嫌われるような選択をして、楽しんでいる。
嫉妬イベントとは違う意味でドキドキするw
>376
>力が入ってしまう腕がシーツを掴んでいる。しかし、もう片方の手は震えながらも姉の髪をかきあげ頭を撫でる
この描写が絵になって頭の中にいきなり飛び込んできますた(*´д`*)ハァハァ
俺カイン、えろい、エロ過ぎる…!
GJ!
ここから長文チラ裏
萌えの吐き出し方は人それぞれ。
自分では二次書けない読み専門がせめて保管作業だけでもお手伝いしたいと思うのも、
ある意味萌えの吐き出し方であると思われ。
マターリおもいやりが王宮スレクオリティ。
昨日から、全てのキャラのエチシーンのみ再生してみた。
その結果思った一言、「攻略キャラ視点で姉上を拝みたい…」
姉上萌えに火がついた一日だった。
さて、開眼したついでにここに投下できるようガンガッテ来るよ
前回投下しました『闇に拐う月』の続編になります。
カナリ長くなってしまったのですが、あのままだと後味が悪いので思い切って投下します。
引き続き姉上視点です。途中インターバルあるものの「長期戦エロ」です。(初書きなのにorz
設定としては
・楽士×姉上
・姉上は実は以前楽士に、ほんのり好意を持っていた
・カインは当て馬っぽい(大好きなのにゴメソ)
・カインとユージーンは出てきませんが死にません
・エロ度数 中濃<これ<濃 (自分判定評価ですのであらかじめご注意ください)
な感じです。
尚、『 鬼畜 陵辱 死 ねちっこいエロ 下手な長文 橋田ドラマ並に楽士が喋る 』
などの表現が含まれている恐れがありますので、
苦手な姉上は華麗なワルツを踊りつつ、スルーでお願いします。
なんでもまかせろドンと来い!な姉上の方推奨です。
誤字脱字笑って見逃していただけるとありがたいです。
385 :
闇に拐う月9:2005/10/15(土) 22:46:38 ID:0mLmbHWc
突然、掴まれた腕を背中に捻られ、私はテーブルに突伏していた。
「…痛っ……リオウ、何を…」
「……君はどうしてカイン様の部屋に?こんな夜着のままで、夜遅く男の部屋を訪ねるなんて、
どういう事かわかってるのかな?」
背後から覆いかぶさったリオウの顔が、私の髪に埋もれ、首筋を熱く湿らす。
必死に押し退けようと身を捩っても、更に重くのしかかられて、ますます体の密着を誘った。
「何を言っているの…?カインは私の…双子の弟よ?」
「それでも……男と女だよ。」
リオウの言っている意味がよくわからない。だって…カインは私の弟なのに…?
「わからない?じゃあ…僕が教えてあげる。時間はたっぷりあるんだし、ね。」
リオウは素早く私の襟元に手をかけると、そのまま腰まで引き摺り下ろし、肌を露にする。
摺り下ろされた夜着は、手首の辺りでちょうど手枷のようになり、私はまた腕の自由を奪われてしまった。
「あ……いやっ…」
顔が見えない分、リオウの表情が読み取れず、不安が余計に高まる。
「ああ…思った通り……とても綺麗だ…」
まるで手と唇で確かめるように、リオウの舌が這い回り、掌を滑らせて、むさぼるような口付けを落としていく。
「君の肌…滑々して気持いい…」
熱い吐息を洩らす唇が、肌に吸い付き、濡れた舌が這う。耳の奥がびりびりとして、息苦しさで喉が熱い。
素肌に直接感じる人の体温が、こんなに熱いなんて…。体中の産毛が逆立つような感覚に、目の前がクラクラしてきた。
「こうして君に…ずっと…触れたかった…」
腰から項をなぞるようにつうっと舐めあげ、リオウの両手が胸を掴んだ。
指先が胸の突起を探り当て、円を描いて弄び始めると、くすぐったいようなむず痒さに、思わず声が出てしまう。
「あ…ああ…いや…っ…」
「……どう?一介の殺し屋にこんな事されて、ゾクゾクしない?…フフッ…僕はするよ。一国の姫君ににこんな事
出来るなんて…すごく……ゾクゾクする。」
リオウの声が低く笑い、鼻先が耳朶をくすぐる。
夜着の裾から差し入れた、汗ばんだ掌が、太腿を舐めるように滑り落ちる。
下着の上を探って、リオウの細くしなやかな、指が蠢き始めた。
「あ…だめっ…」
お腹の奥がザワザワするような何かが、リオウの触れている部分から湧き上がってくる。
怖いけれど、行ったことのない場所へ行ってみたいような、不安と心地良さが混じって、頭が混乱する。
「姫、そんなに固くならないで。もっと楽にしてごらん…」
指が下着の中に入り込んで、直接、熱の芯に触れる。焦らすように、ゆっくりと円を描きながら…。
少しずつ擦るように奥に進むと、くちゅっとかき回すような音が聞こえた。
「…あっ…んんっ…」
体の中の異物感に、思わず声が洩れる。
リオウは悪戯に笑うと、ふと思いついたように、私の中から指を引き抜き、それを目の前にかざして見せた。
「これ…なんだかわかる?君の中から溢れてきたんだよ。ほら…こんなに…。君が…感じてる証拠だよ。」
指先にはきらきらと濡れた、蜜のようなものが絡み付いていた。
恥ずかしさと、抵抗もなくリオウの指を受け入れてしまったその場所に、悔しさがこみ上げて、顔を背けた。
「…フフッ…強情なお姫様、だね…」
耳元で囁くと、リオウは裾を捲って、夜着の中に潜り込んだ。
私の下着に手がかかり、考える暇もなく脱がされる。あまりの呆気なさに、抵抗することも忘れてしまった。
「君のこと…もっと見せて…」
生温かい舌のぬめりが、一番敏感な場所で、ざらざらと激しく動き回る。
剥き出しになった自分が、リオウの目の前に曝け出されていると思うと、激しい羞恥と、生まれて初めて味わう
めまぐるしい感覚に耐えられず、全身の血が沸騰しそうだった。
「あ…リオ…ウ……やっ…駄目…っ」
まるで聞こえていないように、あわただしくリオウの舌が、私を責め続ける。
切ないような息苦しさで、喉の奥から思わず洩れる艶めいた声が、私のものだとは信じたくなかった。
感じたことのない痺れが、足の付け根から少しずつ広がり、ジワジワと快感に変化している。
怖い……。膝ががくがくと震え、立っているのも辛くて、ただ目を閉じて、テーブルの端を掴んだ。
恥ずかしさでどうにかなりそうな気がした時、その痺れが頂点に達して、瞼の裏で真っ白になった。
「…ぅ…ん…」
ぐったりテーブルにもたれ、呆然としていると、リオウの動く気配がした。
「………このままでも良いけど…君の顔が見えないからね…。」
リオウは独り言のように呟いて、私を抱えあげてベッドまで運ぶと、そのまま覆い被さって来た。
「今度は僕に、君を感じさせて……」
咽喉仏が上下し、はだけた胸元に汗が浮かんでいる。
まだ熱の残る私を、荒い息で見つめ下ろす瞳は、意外なほど穏やかな色をしていた。
今ここにいるリオウは、一体誰だろう?
私が知っているリオウ?それとも、カインを狙った組織の暗殺者?
いろいろな感情が一遍に入り乱れて、悔しくなってリオウを睨み付けた。涙が今頃になって、止めようもなく流れ出す。
泣き顔を見せた途端、リオウは突然困ったような表情になった。
「姫……僕が…嫌い?」
嫌い。大嫌い…。私の知っているリオウはこんな事はしない。私が…好きだったリオウは…。
大きく息をつき、私の体から離れると、リオウは背を向けてベッドの縁に腰掛けた。
「ごめん…君にそんな顔させるつもりじゃなかった。僕は…」
寂しそうにうつむく姿が、叱られた子犬のように見える。
「こうしていられるのもこれで最後だから…どうしても、君が欲しかったんだ。」
「……最…後?」
どういう意味だろう…?この後リオウは…私も殺すから…?
「…僕はね、姫…出来なかったんだ。僕は……カイン様を殺せなかった。」
「…え…?だって…」
意外な言葉に、思わずシーツを纏い、起き上がる。
「安心して…急所は外しておいたから。今頃は安静にして、お休み頂いてるはずですよ。」
「ではカインは…生きているの?本当に?」
リオウは黙ったまま…だが、しっかりと頷く。ホッとして、体の力が抜けると、抑えていた想いが溢れて、嗚咽した。
「……ああ…良かった…」
「結局、君を泣かせてしまったね…本当にごめん…」
リオウは辛そうに私を見つめると、顔をしかめた。涙を掬うように伸ばしたリオウの指が、私の頬に触れる。
「…でも…どうして?」
「言ったでしょう?君のせいだって。…確かに今夜が決行の日でした。さっきここに居た男――ユージーン、
彼は僕の連絡係兼監視役みたいなものですが、二人で王宮に乗り込んで、あいつは見張り役、僕が実行する
手筈でした。それなのに…あそこで君に会って僕の理性は崩れてしまいました。せっかく…迷いを断ち切った
決意が、鈍ってしまったんです。非情になりきれない刺客じゃあ、何の意味もありません。…君のせいですよ。」
リオウは私に微笑みながら、片目をつぶってみせた。
その顔は紛れもなく、久しぶりに見る『私が知っているリオウ』そのものだった。
「あの場でカイン様だけを殺せば、恐らく君は一生傷を背負って生きていくことになる。僕には出来なかった。
君をそんな悲しみの底に追い込むなんて。彼は君に残された、たった一人の肉親だから。そんなこと最初から
わかってたはずなのに。……第一僕には君を殺すことなんて…到底、無理なことでした。」
「だったら…どうしてあんな…?」
「時間稼ぎですよ。あそこにはジーンもいたし…失敗して、何もせず帰れば僕は抹殺、一族は別の奴を寄越す。
そうなれば、もう君たちを守ることも出来ない。いずれわかるにせよ、あの時点ではどうしても、暗殺が決行された
ことにしなければいけなかった。例え、一族を裏切ることになっても…。」
「リオウ……」
「…カイン様には、申し訳ないことをしました。致命傷ではないとはいえ、怪我を負わせた上に、愛する姉上まで
僕が攫ってしまったのだから。」
「カインを恨んでいたっていうのは…?」
「ああ…あれは…拗ねていたんです。君たちがあまりにも仲が良いから…羨ましかったのかもしれない。カイン様は、
僕の欲しかった家族の愛を一身に集めていた。あの事件で君と二人きりになってからは、ますます君を独り占めして…。
だから…たぶん嫉妬したんだ。」
自嘲気味に話すリオウが、抱えてきた心の奥底を初めて見せてくれた気がして、嬉しさと同時に、胸が締め付けられた。
「…でも、どうして私をここに?」
「姫、まだ言わせるんですか?……一緒にいたかったから…最後に…君と…」
こころなしか、頬を紅潮させて、リオウは目を逸らしながら言った。つられて私も顔が熱くなる。
「君は僕の…闇にしか生きられなかった僕の中に、光を照らす月の光だったから。たとえ叶わないと判っていても、
どうしても手に入れたくて…。そうしたら、何かが変わる気がしたから…。君を無理やりでも僕のものにすれば、
僕は君の記憶の中で生き続けられる…そんな勝手なことを思っしまうまでにね。だからジーンに頼んだんです。
『王女を始末する代わりに一晩だけ二人きりにさせて欲しい』と。勿論、君を手にかける気なんて毛頭ありません。
うすうす気付いていながら…ジーンは僕に一晩の猶予をくれた。…あいつは…そういう奴だから。」
「リオウ……。これから…どうするつもりなの?」
「カイン様に、僕の知っている全てを話します。すんなり御目通り適うとは思いませんが…。」
「そんな…」
「暗殺組織の裏切り者、王子暗殺未遂実行犯…どちらも同じことです。逃げ遂せるとは、さすがの僕も思ってはいませんよ。
どの道捕まるなら、君たちを守るために、少しでも役に立った方がいい。暗殺組織を一網打尽に出来るなら、僕の命も
まんざら捨てたものじゃないでしょう?」
「そんな言い方しないで…」
「ごめん…でも大丈夫。心配しないで。明日、君のことはちゃんと無事に、王宮に送り届けるから。例え…ジーンと
刺し違えることになっ……!…」
私はリオウの両頬に手を添えると、そのまま自分から口付けした。それ以上言わなくていい。言わせたくない。
「…ん…っ……」
唇を離すと、驚きに満ちたリオウの目が、激しく瞬いていた。
「どうして…?こんな僕なのに…。君は…許してくれるの?僕を…」
答える代わりに、私は目を閉じた。だってここにいるのは…やっとまた会えた、私の『好きな人』だから…。
「姫っ……」
リオウは私を抱きしめ、唇を重ねた。口付けはだんだんと深くなり、唇の隙間から息が洩れ、舌が割り込む。
鼓動が高まり、新しい熱が生まれる。お互いの熱を確かめるに、きつく抱き合い、ベッドに沈んだ。
「いいの?……後悔しない?」
リオウの瞳を見つめながら、深く頷く。
リオウは服を脱ぎ捨てると、私の上に重なった。痩せて見えるけれど、鍛えられた男らしい躯。
そういえば、そんなことも私はまだ知らなかった…。もっともっと、この人のことが知りたい…。
「…あぁ…嬉しい…君は本当に…綺麗で……」
唇が、首筋から胸元に落ちる。胸の先端を、リオウの唇がついばむように含んでいく。
唾液で濡れた舌で突起を転がされ、甘く噛むように歯で挟み、音を立てて吸い付いている。
恥ずかしさで身を捩ると、リオウはそれを許さないとでも言うように、私の背中に腕を回して引き寄せる。
さっきの指とはまた違う、リオウの舌先一つに翻弄されて、抑えきれぬ声に恍惚を隠せない。
「…姫…君のその声…聞きたかったんだ…」
「…あ…リオウ…っ…」
優しく胸を包む、繊細だけれど大きなリオウの掌が、脇や下腹に移動するのを追いかけるように、
唇が触れ、鼻先が辿っていく。肌の上をくすぐる髪から、甘いリオウの香りがした。
閉じた両足の隙間に、遠慮がちに手が忍び込むと、緊張で体が強張る。
「大丈夫…?まだ…怖い?」
私を見つめる穏やかな瞳が、不安な気持ちを溶かしていく。首を横に振ると、ホッとしたように微笑んだ。
再び触れた熱い中心は、来るべき時を待つように、リオウの指を導いていく。
「ごめん…姫。もう…我慢出来そうにないよ…。」
呻くように言うと、リオウは私よりも更に強い力で、太腿を押し開いて、体を割り込ませた。
「……入るよ。ふ…ぅ…くっ…きついね……くっ…」
少しずつゆっくりとした動きで、リオウの昂りが、徐々に私の中に進み、その物量にギリギリまで引き攣られる。
と…次の瞬間、一気に貫かれ、ぶつかるような衝撃と、激しい痛みが体を駆け抜け、耳の奥がキーンと響いた。
「…ッ!痛…いっ…」
「…あ…ごめん……もう少し…我慢できる?」
申し訳なさそうなリオウがなんだか可愛らしく思えて、痛みを堪え、私は微笑んでみせた。
私の様子を測りながら、リオウが動き始める。ゆっくりと探るような動きから、規則正しい旋律に変わっていく。
奥へ奥へと目指すように、より深く、私の中を掻き回していく。
私の中に突き立つそれは、ますます熱く、強く脈打ち、存在を力強く感じさせた。
「は…うっ…んっ…ああ…君の中…蕩けそうだ…っ…すごく…っ…ああっ…」
鈍い痛みを堪えるうち、お腹の中が浮くような、不思議な感覚が襲ってきた。
揺れる度に、熱い痺れが広がる。腰から下が、自分の体ではないような錯覚を起こす。
リオウに突かれる度、胸が上下し、思ってもみない声が出て、恥ずかしいのに止められない。
「あ…あ…んっ…ああっ……」
怖くなって、思わずリオウの躯にしがみ付く。荒い息を吐き、熱を持った躯が、じっとりと汗ばんでいる。
「はぁ…っ…すごい…締め付けられる…うっ…んっ……」
リオウは、私の片足を肩に担ぎ上げた。汗の雫が、腕の筋肉に沿うように流れ落ちる。
私の中を貫きながら、踊るように、リオウの腰の動きが激しくなる。
リオウの動きに合わせて、私もフワフワと浮かび、どこまでも落ちて、また浮かぶ…。
掴まっていないと、どこかに流されそうで、リオウの手を強く握った。
「ひめ…っ…いく…よ…っ…」
見上げると、リオウの眉間に苦痛の色が浮かび、切なげに私を見つめていた。
「あ…リオ…ウ…だめ…っ…壊れ…っ…ああっ…」
体が震え、灼けるように熱く繋がった場所が、ぴくぴくと痙攣する。
「はぁっ…っ…ふっ…んっ…うっ…ああっ…」
リオウが低く呻き、私の奥でびくっと震えると温かい何かが流れ、私の意識と一緒に、真っ白に溶けていった。
「…ごめん、つい…夢中になって…」
私の胸に、まだ火照ったままの頬を、摺り寄せるようにしてリオウが呟く。
たまらなく愛しくなって、両腕でぎゅっと抱きしめた。
「これでやっと…君が…僕のものになった……姫…愛してる……」
蕩けるような笑顔で囁くと、リオウはそのまま、小さな寝息を立てて微睡む。
眠ったリオウの、汗で額に張り付いた髪をそっと撫でる。
本当は、もっとずっと前から、私の心は、この人のものだったのかもしれない。
「私も…あなたが好き…リオウ…」
闇の中で光る月は、本当はあなたなのだろうと思う。どんなに暗い闇の中でも、決して消えない、光を放つ月。
もう、この人には誰も傷つけさせない。何があっても、二度とこの人を離しはしない。
誰に何を言われても、この人は必ず私が守ろう。
今度は私が、この人を守る番だから…。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
私を王宮に連れ帰ったリオウは、捕えられ、カインに全てを告白した。
リオウの一族は、末端の一部を除くほぼ全員が拘束され『暗殺計画』の容疑者らは逮捕、投獄あるいは処刑となった。
事件の首謀者は伏せられたままだったが、一部王宮関係者も関わっていたとみられ、引き続き厳重な調査と警戒が必要とされる。
ごく限られた王室内部のみによる密室裁判の結果、国内の最大にしてともいえる地下組織を壊滅に追い込んだことと、
王女である私の、カインへ直々の説得・嘆願の為か、異例の恩赦により、極刑を免れたリオウは『国外追放』の処分となった。
そして、私は……
「姫、見てごらん!イルカが泳いでるよ!」
「リオウ、危ないわ!船から落ちてたらどうするの!…それに…私はもう姫じゃないのよ…大きな声で呼ばないで」
「ああ…そうだったね。フフッ。ではお嬢様、こちらへどうぞ…。」
「もう…普通に名前で呼んでって言ってるのに…」
「フフッ…わかってるよ。・・・・・、さあ、行こう。これからは、ずっと一緒だよ…。」
〜END〜
お読みいただいた姉上、ありがとうございました。
長文、読みづらかったと思います。(*'ω`*)
もはやSSじゃなくてすいません。ユージーン出せなかった…チラ裏。奴はドサクサで逃げました
無理やりラストに持ってったので、いろいろとありえない展開ですが突っ込まないで下さい…。
最後ギャグかよとかユージーンどこ行ったとか(ry
こういうの書いたの初めてなのですが、いろいろ妄想して楽しかったので、
この場を設けてくれた姉上たちに大感謝です!
お目汚し失礼しました!
>>390 SS続き来てた!GJ!
リオウへの愛があふれてますな!
>>390 GJ!グランドモエス!!!
最後ハッピーエンドで良かったーごちそうさまですた
ちょ、ネ申降臨キタ━━━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)゚Д)━━━━━!!!
GJGJGJGJ!!乙でした姫!
誰もいない隙に…コソーリ…
たらしんかん×ひめ
11月27日wwのお話です。
もう、最初の前置き以外は終始エロです。それも長い。延々やってます。
ちょっとスウィーツデムパ入ってますが、それでも良いよって言ってくださる心の広い姉上だけご覧ください。
396 :
神官×姫1:2005/10/17(月) 00:16:14 ID:PuZnvQjU
コツ、コツ。
彼の部屋の扉が鳴った。
彼は読んでいた書物をテーブルに伏せ、椅子から立ち上がると扉に近づいた。
「どなたでしょうか?」
「私です、アストラッド……」
「姫! 姫なのですか? 今鍵を開けますからお待ちになってください」
彼が扉を開けると、ランプを片手にうつむき加減で姫が立っていた。
「遅くにごめんなさい、お邪魔じゃなかった?」
「いえ、全くそんなことは。外は寒い、さあ、中にお入りになって……」
「ええ……」
彼は部屋の中に姫を通すと、先ほどまで自分が腰掛けていた椅子を引き彼女を座らせた。
「アストラッド、何をしていたの?」
「本に目を通していたのですが、どうも頭の中に入らず文字を上滑りしていただけで……
少しワインでも飲んで眠ってしまおうかと考えていたところですよ。姫はどうなさったのです?」
「……あの…………」
姫は椅子に腰掛けたまま、下を見つめて何か言い出せなさそうな顔をしている。
よく見ると、彼女は簡単な部屋着にストールを巻きつけただけでここに来たようだ。
あわてて飛び出してきたのだろうか…よっぽどの何かが…
はやる気持ちを抑えて彼は彼女を見つめた。
「姫、こんな夜更けに一人でこられては危ないですよ」
「ごめんなさい……」
「怒っているのではないのです。姫が一人、ここに来られた理由があるのでしょうから。
しかし、使いを出していただければ私からお伺いしますよ」
姫の前にワインを注いだグラスを置くと、彼自身も別の椅子に腰をかけた。
姫は差し出されたワインに口をつけると、静寂な夜、ランプだけの明かりの中、グラスを置く音が響いた。
397 :
神官×姫2:2005/10/17(月) 00:17:20 ID:PuZnvQjU
「アストラッド……。貴方はまだ、私の中の母を愛してらっしゃるのでしょうか?」
うつむいたまま姫はそう言った。
「……!」
「今日博物館で、貴方が母の絵を長い間見つめているのを見てしまいました……。
そして、私が見たことも無いくらいやさしく微笑んで……」
「…………」
「貴方が昨夜私を求めてくれて……貴方とひとつになれて幸せでした。けれど……貴方のあのお顔を見てしまうと……
やはり私ではなく、私の中の母の面影を探しているのではと……それでいてもたってもいられなくなってしまって……
部屋を飛び出てきてしまいました」
姫の瞳はすぐに潤み出した。
彼は、彼女の頬を伝うしずくを見ながら、彼女を泣かせてしまったことを心から悔いていた。
「誤解…させてしまいましたね、姫。あの場を見られてしまっていたとは……」
彼はテーブル越しに手を差し出すと姫の頬にあて、零れ落ちた涙をふき取ると「こちらに来ませんか?」
と空いた手で己のひざを指した。
「さあ……」
姫の手を強く引き、椅子に腰掛けた自分のひざに座らせ背中から抱きしめた。
「姫、私は今日、ルチアナにお礼を言っていたのです。その全て、今ここで貴方に話すのもお恥ずかしい限りなのですが。
貴方に誤解され続けるのだけは困る。情けない顔を見られると恥ずかしいので、このまま聞いていただけないでしょうか?」
398 :
神官×姫3:2005/10/17(月) 00:18:21 ID:PuZnvQjU
夕暮れ時の博物館。
誰もいないはずだったそこで、彼は王妃の肖像画の前に立った。
今は亡き王妃の前で、凪のように穏やかな心でいられることに彼自身驚いていた。
しかしその理由は分かっている、彼は絵の中の人に声をかけた。
ルチアナ……
君の事を思い出さない日が一日、そしてまた一日と増え、今ではとうとう君を恋しいと思う日は無くなってしまったようだ。
君との思い出は、楽しかったことも辛かったことも全て、胸の奥の引き出しに綺麗に片付けられてしまったらしい。
王の元へ嫁ぐ貴方を引き止められなかったこと、それ以上に貴方に私の想いを打ち明けられなかったこと、
その全てに後悔をし続けていたけれど、それさえ運命の流れに課せられた試練だったのだと今は思う。
そう、全ては貴方が残してくれた姫。
貴方が夫を愛し、子どもらに惜しみない愛情を注いだからこそ、王子と姫はあのように美しく、気高く、
愛にあふれた人として成長したのだから。
貴方に私の想いを打ち明けていたら、私はこうして王宮に来ることも無く、貴方の最後を見送ることもできず、
そして、姫と出会うことも無かった……
そして……貴方の姫が、いつまでも過去に囚われていた私を解放してくれることも無かったのだろうと……
そのことに気がつくのに、いったいどれだけの時間がかかったのか。
ずいぶん姫を困らせてしまったかもしれない。
私自身、姫を貴方に重ねて愛してしまったのかもしれないと勘違いしていたのだから。
ルチアナ……
貴方への想いは真実であったけれど、また新しい真実ができた。
貴方の面影が残る姫ではなく、貴方の血を引く姫でもなく、ただ、私の胸の内を掴んで離さない女性として姫を愛しているという真実。
この私が姫をもらってしまっても、貴方は許してくれるだろうか……
399 :
神官×姫4:2005/10/17(月) 00:19:22 ID:PuZnvQjU
月明かりが窓越しに差し込む彼の部屋で、姫は彼に抱きしめられながら、ただその告白を聞き続けた。
彼女を抱きしめる腕の力が強くなった。
「姫……こんな私を女々しいとお思いか? 貴方と昨夜結ばれて、私は心のけじめをつけなければと思ったのです。
しかし今日、ルチアナの肖像画に向かい合って私は驚きました。
私はとっくにけじめをつけてしまっていたことに気がついたから……
結局は貴方に不安を与えてしまった私ですが、これからは私を信じて傍にいてほしい…」
「アストラッド……私……、母がいつまでも貴方の心を離してくれないのかと思っていました。
そして、貴方のあの穏やかな笑顔を見てしまったら、私の入り込む隙など無いのではないかと……」
「姫……貴方への想いが、私の心を穏やかにさせてくれるのですよ……」
彼は背後から姫のあごに手をかけると、くいと持ち上げ姫の唇をすくった。
突然の口付けに姫は驚いたようだが、そのまま瞳をそっと閉じて彼を唇を受けた。
彼は姫の肩にかかる髪をかき分け、あらわになったその首筋を幾度か手の甲でなでると、今度はそこにきつく吸い付いた。
「……んっ!」
チクッと軽い痛みが走り、姫が声を上げると、彼が唇を離した白い肌には紅くしるしが浮かび上がる。
「姫……今宵も貴方を求めてもよろしいか? 昨日の今日でお辛いでしょうが……」
「…………」
「貴方がやきもちを焼いてくれているその姿がかわいらしすぎて……私はもう、年甲斐も無く心が踊っている……」
「アストラッド……」
「それに、女性がそのような薄着で夜更けに男の部屋を訪ねるという意味も………。
貴方は私の欲にまた火をつけてしまいました。本当に罪なお人だ」
姫は軽くうなずいた。
「アストラッド……私を…てください」
「……姫……?」
「私、そのつもりで来ました。貴方が私を愛してくれていると信じることができれば、そのまま貴方に包まれたいと……」
「……ふうっ……貴方は私を何度惑わさせれば……もう、私は止まりませんよ。覚悟、なさってください」
「はい……」
400 :
神官×姫5:2005/10/17(月) 00:20:42 ID:PuZnvQjU
彼はワインを口に含むと、そのままもう一度姫に口付けをする。
彼から彼女の口腔に注がれた紅い液体は、コクリと音を鳴らして姫の細い喉を通り過ぎた。
飲みきれなかったその液が、口の端からつつっとこぼれ胸元まで流れる。
彼はその流れを止めるべく、胸元から首、そして唇へと舌で這いあげると、熱い舌の流れに沿って訪れた快感に、
ざわざわと姫の全身が粟立った。
彼女に巻きつくストールを取り払い、胸元のボタンをはずすと、コルセットがはずせる程度までドレスをずり下げ、
隠すものが無くなった肩にいくつもの赤いしるしを残していく。
「今日の貴方の肌、とても熱い……でも、それが心地よくて……。さあ、こちらを向いて……」
向かい合ってひざにまたがらせ、再び唇を合わせる。
「ああ……姫、昨夜の貴方は可憐で、愛らしくて、それでいて艶やかで私を虜にしてしまった……
今宵姫が来るまでの間、私は何かを考えては何にも集中できなくて、
挙句の果てに酒の力を借りて眠ってしまおうとした理由、もうお分かりか?」
姫の首筋に顔を埋め、熱い息を吐きながら唇を沿わせ、時折鎖骨に軽く歯をあてる。
コルセットの上から片方の乳房をまさぐりつつ、もう片方は背面にある止め具をはずす。
コルセットはただの布に戻って、床に滑り落ちた。
「あっ……」
姫は開放感に襲われたと同時に、今まで包んでいたものが無くなることに少しの肌寒さと不安を覚えた。
代わりに彼の体温が欲しかった。
彼が与えてくれる乳房への愛撫の合間に、手を伸ばして彼の服のボタンをためらいがちにはずし始めた。
「姫……」
彼女が自分の服を脱がせやすいように体の向きを変えてやり、最後に袖から手を抜くと、
裸になった上半身を彼女のそれにぴたりと合わせ強く包んでやる。
「アストラッド……温かい……」
「貴方こそ、淡く色づきはじめていて……美しい……」
軽く開いた姫の口元に深く唇を合わせ、彼女の舌を少しずつ絡めとる。
歯列の流れを味わうかのように姫の咥内をいたぶり、姫の肩の力がすっかり抜けたの感じると、
口付けは外さずに両手で乳房を包む。
大きな手で包まれると、快感と同時に安心感も得るのはどうしてなのだろう、
彼を愛しているからなのか? 信じているからなのか?
それ以上に私を愛してくれていることが伝わってくるからだと、姫は思った。
「んっ……、やっ!」
彼の手が強く乳房の頂をつまみあげた。その先を爪ではじくように触る。
そのリズムと同じように、姫の体も甘い振動に踊らされ、軽く跳ね上がる。
今度は両方の乳房を強く寄せ、その両方の頂を同時に含んで舌で転がした。
「ああっ…、アスト…ラッド、そんな風にされたら私……私……あっ!」
「感じますか? それなら我慢せず身をゆだねて……。
今の貴方のお顔、見ているだけで押さえがきかなくなりそうなくらい淫らだ……」
「だめ……そんなこと言わないで……ああっ、私……」
401 :
神官×姫6:2005/10/17(月) 00:21:45 ID:PuZnvQjU
一心に彼の愛撫を受けていた姫が、ふと何かに気がついたような表情で彼を見た。
「アストラッド……?」
「どうかされましたか?」
「……貴方の……が、私に……当たって。……痛く……ない?」
姫が服越しに合わさっているお互いの局部を見て、顔を赤く火照らせた。
「……ああ、私の意思に関係なく姫に悪さをしているようですね……脱いでしまいましょうか……」
姫をひざから降ろし、腰に引っかかっていた姫の服と自分の服を床に落とすと姫を横抱きに抱えた。
「ここでは姫を充分に愛せそうにありません。寝台へ行きましょう」
そのまま彼の寝室に運ばれ、寝台にそっと姫を横たえた。
「綺麗に色づきましたね、姫。どこもかしこも薄く桃色で…私が貴方をこうさせたかと思うと……」
「恥ずかしい……見ないで……」
「見るなと言われますか? 難しいお願いですね。しかし、姫が恥ずかしいと思う気持ちも汲んであげなければ…」
彼は姫をうつぶせに寝かせて、体重をかけないようにまたがると、耳元に口を寄せ、
「これで恥ずかしい気持ちも少しは治まりませんか?恥ずかしいと思えば枕に顔をうずめればいい……」
「……はい」
「だけど……私が恥ずかしいことをしないとは言っておりませんから…」
「……えっ?」
背後から姫の手と己の手を固く結び、口は触るか触らないか程度に背骨に沿わす。
彼の長い髪をまとめていた布も知らぬ間に解け、流れ落ちたその髪は、姫の背中に優しく落ちる。
微妙な刺激にも敏感になるくらい、姫は全身で彼の愛撫を受け入れた。
腰の辺りから這い上がってきた彼が、再び姫の耳元に寄せ、「触れますよ」というささやきとともに
姫の太ももの内側に手を差し入れた。
唯一残された下着越しにでも、もうすっかり濡れそぼっていることが分かる。
彼はうれしそうに「良かった……これだけ潤っていたら痛みは少ないかもしれません」と、
下着の端から中に手を滑り込ませた。
あふれてくる姫の愛液を手にまとわりつかせ、ぷっくりと膨れ上がった秘芯を指の腹でなぞる。
「ああっ……!!」
「かわいい声が出てきましたね、もっと聞きたい……」
そう言うと、彼は往復させるその指の動きを少し早くした。
しっとりと姫の背中に汗が滲み出す。
「ああっ……アストラッド……私、おかしい……声が…止まらない……」
「おかしくなどありませんよ、我慢なさらないで。ここには私しかいないのですから」
「でも……自分がどうにも…ならなくなりそうで……怖い……」
「では……そのようなこと、考えられなくしてさしあげましょう…」
402 :
神官×姫7:2005/10/17(月) 00:22:56 ID:PuZnvQjU
彼は彼女から下着を剥ぎ取り腰を抱くと、姫を四つ這いにさせ臀部を高く上げさせた。
「……んっ!待って、やっ!」
「待ちませんよ、姫。覚悟しなさいと始めに私は言いました。そろそろその羞恥心を捨て去ってもいい頃ですよ…」
彼女の秘裂を押し開き、舌がそこを上下し始める。
太ももに垂れてきた彼女の蜜を綺麗に舐めあげ、秘芯を舌で突付く。
入り口に尖らせた舌を差し入れては、あふれて止まることを知らない彼女の一部をすすり上げる。
姫はうねる舌で続々と与えられる快楽の波を抑えきれず、枕に顔を押し当てて必死に声を押し殺すようにあえいだ。
「こんなもの邪魔ですね、取ってしまいましょう」
唯一、姫が自制心を保つための手段だったその枕を簡単に取り上げ、寝台の下に落とした。
もう、彼女が掴めるものは敷布しか残っていない。
それを強く握り締め、再び彼の執拗な愛撫に翻弄される。
声を抑えるものはもうここには無く、赤くふっくらとした口唇からは絶えず甘い吐息が漏れる。
姫は自分の中に彼の長い指を感じた。
指で中の一部始終を確認するがごとく、最奥も入り口も触られながら、秘芯への舌の愛撫はまだ続く。
「すごい、指を持っていかれそうだ…もう昨日の痛みはありませんか?」
姫が答えることのできない状況であることを彼は充分に分かっていた。
「あっ、フフッ……昨日私がここにつけたしるしがまだ残ってますよ……
これが消えるまでに姫を再び抱ければと望んでおりましたが、消える間などありませんでしたね」
彼の言葉の端々に淫猥な韻を感じながら、快楽の波の訪れに絶えだえになり、
姫は何かがはじける瞬間が近いことが分かった。
それは、昨日同じ人から与えられた新しい感覚と同じ…。
「ああっ……アストラッド、……私……私……」
「え? もうお終いなのですか? 感じやすいお人だ……それもまた貴方の魅力のひとつ……。
さて、このまま一度昇りつめてしまいましょうか……」
彼は中に入れている指の本数を増やし、出し入れするその動きを増し、舌で与える刺激もますます強くした。
「んんっ!!!ああっ……!アスト……ラッド……ああっっ!」
姫は敷布にうずめていた顔を持ち上げると、切なげにひそめた眉をますますひそめ、声を高くあげ、
大きな波にすっかりとさらわれていった。
全身に入っていた力が一瞬でがっくりと抜け、支えていたひざもその機能をなくし、
寝台にパタンとそのままうつぶせに倒れこむ。
快楽の波は幾度と無く彼女を痙攣させ、彼は彼女で濡れてしまった口元を手の甲でぬぐいながら、
彼女の乱れた髪を直してやりつつ、満足げにその姿を楽しんだ。
403 :
神官×姫8:2005/10/17(月) 00:24:12 ID:PuZnvQjU
「やはりかわいいお方だ……さて、私もそろそろ限界が近い。今度は私を受け入れてもらえるかな?
これで終わるとは思ってらっしゃらない……ですよね」
ぐったりとした姫を抱き起こすと、先ほどまで座っていた椅子と同じように姫をまたがらせ、
「いいですね」と彼自身を姫の入り口に押し当てた。
ゆっくりと進入してくる彼の熱い分身を根元まで銜えこみ、また先ほどとは違った快楽の始まりに、
姫は身をふるふると震わせた。
「んっ……ひ、め…、大丈夫…ですか? 痛くない?」
「…は…い…」
「昨夜、あまりに気持ちが昂りすぎて……姫に無茶をしてしまったのではないか…と不安でしたが……良かった……」
彼が腰を押し上げ始める。
彼女の中は妖しくうごめいて、彼は一瞬めまいがした。
昨日、自分が破瓜させたばかりとは思えないほどに誘い込むその動き。
もっともっとと彼は欲を満たすべく、姫に押し入ろうとした。
………が、自分を支えきれない姫は彼の首に手を巻きつけて、ぴったりと張り付いてしまった。
「ああ……そんなに抱きつかれると…動けない、困ったな……」
彼女の中から自身が抜け落ちないように注意しながら彼女を寝台に倒して、上から覆いかぶさった。
「この方がいいですか?」
うなずく彼女を見届け、彼は再び律動を繰り返し始めた。
そのたびに姫の口からは意味のない言葉が漏れる。
姫ははしたないという気持ちはあれど、もうそれを抑えることができず、また、その声を聞くことで彼はますます昂った。
静まり返った夜、聞こえてくるのはお互いの声と、卑猥に響く抽送の水音。
もうここには、ただ快楽の渦に巻き込まれた二人しかいなかった。
時には速く、時には遅く彼女の変化に合わせて彼は自身を押し込み、うっすらと涙を浮かべる姫のまぶたに口付ける。
404 :
神官×姫9:2005/10/17(月) 00:25:13 ID:PuZnvQjU
「ああっ…姫、貴方の中が…熱い……私をどうされるおつもりか…」
「……んっ!」
「そんなに力を入れて締め付けられると……んんっ……すぐに果ててしまいそうだ…」
「はあぁ…んっ…」
「姫、お願いですから…力、抜いて……」
「……で、き、ない…う…うんっ……」
つい先ほど昇りつめたにもかかわらず、姫はまた彼によって高みを極めようとしていた。
「アストラッド……私、やはり怖い…自分が怖くてたまらない…お願い、強く抱いて…そして私をつなぎとめて……」
「ああっ…大丈夫、大丈夫ですよ……私はここにいます、一緒に……」
彼が強く姫を抱きしめてやると、姫は足を彼の腿に巻きつけた。
与えられる快感の強さにおびえているのか……昇りつめることで自分を見失うのが怖いといったところなのだろうか。
その姿があまりにも新鮮で、彼自身、その姿を見るだけで限界が来そうだった。
姫の片方の太ももを持ちあげ、よりいっそう深くまで彼女に入り込む。
「姫……姫……」
言葉にならず、ただ相手を呼び求め、強く強く挿入を繰り返したその瞬間、先に彼女がはじけとんだ。
「あああーーーっっ!!!んんっ!!」
姫の最後の時、彼女の肉壁は彼を本能のままに締め付け、そのあまりにも甘くうねるその動きに彼も己の箍をはずした。
「…んんっっ!!」
中から自身を引き抜き、手で数度扱きあげると、姫の白い肌に白濁した精を撒き散らした。
405 :
神官×姫10:2005/10/17(月) 00:26:58 ID:PuZnvQjU
「はぁ…はぁ…はぁぁ……」
彼は肩で大きく息をし、姫の横に倒れこむと「すまない…こんなところに吐き出してしまった…」とつぶやき、
一呼吸整えてから、まだ朦朧としている姫の胸元に残っていた残骸を懐紙で丁寧に始末した。
「どう…して?私、あなたのものなら…全て受け入れても良かったと思ってる……」
姫はまだ整わない呼吸で、彼に向かって言った。
「姫…それはいけません…昨日ははばからずも自制心が効かずに流されてしまって、
結局あのような無茶をしてしまいましたが…」
「ううん……今日も貴方を受け入れたかった……」
「姫…そう言っていただけるとうれしい、うれしくて流されてしまいそうだ。
しかし、私はまだまだあなたを抱きたい。何度でも…何度でも。まだ抱き足りていない…」
「………」
「貴方がもし、私の子どもを授かって下さったとしたら、きっと天にも昇る勢いでうれしいと思う。
しかし、もうしばらく貴方を…貴方だけを抱いていたい。
貴方の前に立つと、私は年の差など関係なく、ただの若者に戻って闇雲にあなたを求めたくなる」
「………」
「いずれその時が来るまで、姫と二人で愛をはぐくみたい………いけませんか?」
「ううん……アストラッド……貴方の気持ちが今、うれしかった…」
姫は軽く彼の唇に口付けを落とした。
「いっぱい、いっぱい愛してくださいね…」そう言いながら。
彼は姫を抱き寄せ、また大きく彼女を包み込む。
「姫…今夜はこのまま朝まで、この部屋で眠っていただけませんか?
昨夜は貴方の寝顔を心ゆくまで楽しませてもらいましたが…
今日は貴方の香りに包まれて、穏やかに眠りたい…」
「………はい、貴方の思うままに……」
お互いの鼓動しか聞こえないほどの静寂の中、二人は寄り添って眠りについた。
ルチアナ……
貴方に出会えてよかった。
貴方と過ごせた日々、離れてしまった幾年、そして再び王宮で過ごした日々。
全てが今こうして、姫に繋がってる。
姫を愛しいと思うこの気持ちには全く偽りは無い………
だから……姫を私に………委ねてはくれないか……
夢の中で彼は許しを請うた。
ルチアナは何も言わず、ただ静かに微笑んでいた。
以上です。
すいません、長たらしいエロで。
今度こそ短くても萌えと(*´д`*)ハァハァが混在するSSが書けるよう、修行してまいります。
姉上GJ!
ミタヨー(*´Д`)GJ
神官エロース!GJ!
今まで数多の女性にぶつけていたエロ気が
これからは姉上一人にぶつけられるのですねw
>>395 たらしんかんエロス!姉上GJ!
不安になって焼きもちを焼く姉上が(・∀・)カワイイ!
半日たってなお、妄想ばく進中スマソ。
休みになると脳内妄想が激しくて、吐き出す場所を捜し求めます。
したらばネタバレに書き込んで逃げてきたのはこの私です。
薔薇×姫(髪フェチ)
結婚後のバカップルならぬ、ばか夫婦です。
エロはないです(;´Д`)ごめん…
412 :
薔薇×姫1:2005/10/17(月) 12:06:53 ID:PuZnvQjU
湯浴みを終え寝室に戻ると、夜着に着替えた妻がベッドで待っていた。
満面の笑みを浮かべ私を見つめているところを見ると、また今日も……か。
つい溜息が漏れてしまう。
今か今かと待ちわびていたようで、私が妻と目が合うや否や、熱に浮かされたように潤んだ瞳で、
「エド、早く……こちらに来て」と急かす。
「またなのか? はぁ……お前は……飽きないやつだな」
「駄目…? 私、こうして貴方に触れるのが楽しくて……」
「俺は一向に楽しくない、それよりも……夫婦二人きりの語らいとは他にもあるだろうに…」
妻に口付けようとしたら、手のひらで遮られてしまった。
「それは後で……」
「後でと言っておいて、ここしばらく約束を守ってもらったことがないのだが……」
「あ・と・で……」
私の妻になってからというもの、姫はベッドに入る前、私にあることをよくねだる。
私の髪を手入れしたいというのだ。
いつも猪毛でできたブラシを持って、私が寝室に入ってくるのを待っている。
観念した私がベッドに腰掛けると、私の髪を幾度も繰り返して、傷めないようにブラシを通す。
何が楽しいのかよく分からないが、これだけで妻の機嫌がいいのなら、
溜息をつきつつも好きなようにさせてやろうと思っている。
それに、姫の細い指で髪をいじられるのは嫌いではない。
くすぐったいような心地よさがあることも事実だ。
だが、それを言うとところかまわず触れようとするのは目に見えている。
だからあえて、嫌がる振りをしているのだが……
「ねえ、エド…編んでもいい?」
「は?」
「貴方の髪、編んでもいいかしら?」
「もう、好きにしろ…」
「フフッ…うれしいわ…」
今度は私の髪を後ろでひとつに束ね、櫛でいくつにも分けると交互に編みこんでいく。
今日はなかなか時間がかかっているところを見ると、また誰かの入れ知恵で新しい編み方を学んで来たに違いない。
最後に、用意していたらしい深紅の布で縛ると、姫は「はぁ…」と息をついた。
「エドのブロンドには、やっぱり深紅が似合うわ…」
「フンッ、そんなことはどうでもよいが、終わったらほどいてくれ」
「そんな、もったいないわ、せっかく綺麗に編めたのに…」
「だめだ。ほどいておけと言っている。先日俺は恥をかいたのだ。
髪を結われていることに全く気がつかず、うっかり表に出てしまったことがあったであろう!」
「あのときは別に変わった編み方ではなかったわ! 貴方に良く似合ってたもの…」
「そうではない! 姫に手入れしてもらったのかと周りに冷やかされたのだ!」
「本当のことじゃないの…」
「国王補佐とあろうものが、毎夜妻からこのようにもてあそばれているなど、どうして表にさらせよう……だから、ほ、ど、け」
「ではもう少しこのままね」
「はあぁ…」
413 :
薔薇×姫2:2005/10/17(月) 12:07:55 ID:PuZnvQjU
この俺が、妻にこうして翻弄される生活が来るとは思ってもみなかった。
幼き頃からこの姫を見てきたが、二人きりになるとこうも無邪気になるというか甘えてくるというか。
そういう娘だったようには到底思えなかった。
いや……それはそれで可愛いのだが……。
……そうじゃない!
そういうことを言いたいのではなく!
ここしばらく、夜の営みを断られるのはどうしてなのだ?
ここまで私に張り付いて、髪を触るだけ触って甘えておきながら、最後には「明日ね」と言ってすやすやと眠ってしまう。
私をいったい誰だと思っている、我慢にも限界が来るというものだ。
本気で襲ってやろうかと幾度か思ったが、本気で姫を襲ったことがある私には、
冗談でもそのようなことは二度とできるはずもない。
「エド……」
妻が背中に抱きついて、腕を絡めてきた。
「エド……ブロンドの豊かで美しい貴方の髪が大好き……」
「そうか、姫が気に入ってくれたのならそれでよい」
「私のこの髪の色、赤みがかかった栗色でそれはそれで嫌いではないのだけど……」
「………ん?」
「おなかの赤ちゃんは、貴方と同じブロンドがいいわ」
「そうか………って、お前っ! 今何かさらりと重大なことを言わなかったか?」
驚いて振り返り、妻を見るとにっこりと微笑んでいる。
「おなかの赤ちゃんが貴方と同じ色の髪だったらいいなと言ったのよ…ふふっ…」
この女、そのような札を隠していたとは!
やられた、完全に完敗だ。
この私が、この女の前では感情を隠せぬただの男に成り下がる……
「エド、ごめんなさいね、貴方のお誘い断ってしまってて…。ちょっと調子が悪かったものだから…」
「何故早く言わぬ!」
「だって……心配かけたくなかったんですもの。もう大丈夫……なんですって」
「大丈夫って……。ほんとに…ここに俺の子がいるのか?」
知らぬ間にほんの少しふっくらとしている姫の下腹部に手をあてる。
全く気がつかなかった……不覚だ…。
しかし、ここに私の子がいるというのは全く持って不思議な感覚。
「来年の今頃には、エドも父様になるのね。私、それがうれしくて。……あっ! エド? どうしたの?」
「何がだ?」
「エド……、そんなに喜んでくれたのね?」
妻はそういって私の頬にハンカチをあててなにかをぬぐってくれた。
自分で気がつかぬ間に、少し頬を伝って落ちたらしい。
「エドったら……ふふっ」
「あの、だ………」
「うん……?」
「もう抱いてもいいのか? その…子がいるお前を抱いても……」
「乳母達はもう大丈夫って…」
「そうか…。では……かなり我慢したからな……」
「ごめんなさい、エド……」
「いや…かまわぬ、理由が理由なのだから」
「あと、……できたらその結い上げた髪はそのままでいてね」
「!………結局はそれなのか? まあよい…今宵はそなたのわがままも許してやろう…」
「ふふっ…」
さて、しばらくぶりに妻の体を心ゆくまで慈しんでやろう。
しかし、孕んだ妻をどこまで攻め立てていいものか私には分からぬ。
相談できそうな相手を思い巡らすも、どうも適任者がおらぬことに私は少々気を病んだ。
以上です。
薔薇が馬鹿っぽくなると激しく萌えるのはどうしてでしょうか?
甘甘でどうもすみませんでした。
ああ、誤字脱字、間違いを多数発見。
いずれちまちまと直しておきます。ん?とおもた方、スルーしてくだされ。
>>407-410姉上
GJ!ありがdです。
いただいたGJ!を励みに、ここに萌えSSを多数投下できるようカンガッテきます。
>411
フォォォォォォォォォォォォ!!(AA略
姉上GJGJ!!
もう薔薇大好物なのですよ。
冒頭エロなしとかいいながら描写が妙にエチ臭かったり、
姫に翻弄される薔薇が可愛くて笑わせてもらいつつ、
(特に、本気で襲ったことがある、のくだり)
そして薔薇オンリーに甘えたさんな姫がカワエエv
しかも最後はほのぼの。
読んでて幸せになれますた。アリガトン!!
連続スマソもう一つ。
>しかし、孕んだ妻をどこまで攻め立てていいものか私には分からぬ。
>相談できそうな相手を思い巡らすも、どうも適任者がおらぬことに私は少々気を病んだ。
え〜フランなぞいかがでしょう?
>>411 GJ!
実際の描写がないんだけど、かえってエロい。
なんか微笑ましいような、笑えるような(スマソ
典医とかに相談したら、かえってしどろもどろされそうで、想像するだけで笑える。
なんか最近自分もエロ書きたくなってきました。
書いてる途中で、今まさに…ってとこまで来て停滞中。
姉上、エロなんて書けるのかな、本当に…
ちょわーキタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
あんま〜い☆
たらしんかんも薔薇もハァハァ
姉上イイヨイイヨー(・∀・)GJ!
>>416-419姉上
薔薇×姫も読んでくださった上、GJ!頂きまして、本当にありがとうございます。
説明書きに、すっかり 「ギ ャ グ で す!」 と入れるのを忘れておりました。
笑っていただけたようで本望です。
>416姉上の言葉を受けて、Wikiの方に少しおまけのSSを足してみました。蛇足だったらスマソです。
>418姉上
エロは難しいです。でも、楽しいです。いまだ修行あるのみなのですが。
姉上のエロ作品が投下されるのを首を長くして待っております。
姉上作業早いな!
笑わせてもらったよ、追加分!フラン好きだー(*´∀`*)
>418姉上のエロも待ってるよー
>>420姉上すげえ!
神だ!!!
Wikiのおまけ見てきた。
反転のところがすごいよ。
うまいなあ、すごく自然にフランが話してるところがいい。
薔薇、あと1年以上は忍の一字だね。
エロはいちおう書き終わりました。
が、すごく微妙。
かなり恥ずかしい出来栄えだ。
今まで落としたのも微妙だったが、それ以上にヤヴァイ。
ひらきなおる覚悟が出来たら投下する鴨
>>420姉上
可愛い薔薇GJGJ!
甘える姉上にもハァハァ
おまけのフランもいいなー。
>>422姉上
ワクテカしながら、投下待っております。
エロもそうでないものも投下щ(゚Д゚щ)カモォォォン
425 :
416:2005/10/18(火) 04:02:08 ID:5xLsoxHA
>420
おお、後日談加筆して頂いたのですね!
会話も歯に衣着せぬフランらしい助言の仕方でイイ!
最早明け方と言えるこの時間に、
wiki見ながらフォォ〜フォォ〜言ってしまいますた。
もう姉上GJの嵐です。アリガトン!!
426 :
390:2005/10/18(火) 06:46:05 ID:uKVP7P0S
Wikiにうpして下さった姉上、ありがとうございました。
ついでに修正・加筆いたしました。
すごくすごく迷ったのですが、ものすごく微妙ですが、エロ投下(イマナラキットダレモイナイ
姫×楽士です。
取引という名目で姫が攻です。
嫌な方はNGにしてスルーして下さい。
428 :
姫×楽士:2005/10/18(火) 10:47:39 ID:NnnBYFn7
「姫……僕は貴方の大事なものを奪ってしまった」
悲しそうな顔のリオウ。
「いけないって分かっていたのに。感情のままに貴方を抱くなんて。何度謝っても許されることじゃない」
違う、そうじゃない、そう言おうとしても、リオウは首を振るばかりで話を聞いてくれない。
「取引なんだって、そう言い聞かせて。僕は本当にずるくて酷いことをした。
僕は意気地なしなんです、貴方に正面からぶつかっていくことも出来ず、貴方を脅して無理矢理あんなふうにすることしか出来ませんでした」
そこで、今までうつむいていたリオウが何かを決めたかのように、顔を上げ、私の目にしっかり視線を合わせた。
「僕は償いをする、貴方にもカイン様にも。今回の暗殺の件、依頼者を見つけてやめさせる。一族も君たちに手を出せないように……」
それは、どういうことなのだろう。
「申し訳ございませんでした、姫。僕のことなど、忘れて下さい」
忘れる?
忘れられるわけがないわ。
酷い、リオウ。あの晩よりも、今この時、貴方の告げた言葉の方が私を深く抉る。
「行かせないわ、リオウ。私は、貴方を許しません」
精一杯虚勢を張って言った。
「姫?」
「貴方をどこにも行かせたりはしない。もしも私から逃げると言うのならば、私は貴方を告発します。貴方のことも、貴方の一族のことも……」
悲しい。私は何故こんなことを言うのだろう。
「取引よ、リオウ?」
「……」
429 :
姫×楽士:2005/10/18(火) 10:48:21 ID:NnnBYFn7
「どうなさるおつもりです?」
リオウは諦めたという顔で、問う。
「衛兵にでも引き渡しますか?」
そんなつもりは元からない。そんなことをしたら、永遠にリオウは私の元から離れて行ってしまうだろう、その心までも。
「いいえ、私が欲しいのは……貴方、リオウ」
「……!」
そう言って口付けた。
「ごめんなさいリオウ。口付けは本当に好きな人としかしてはいけないって……でも、したくて仕方なかった」
リオウ、貴方私のこと、とんでもない悪女だって思ってるかもしれない。
だけど、貴方が欲しくてたまらない。貴方をここに引き止める為ならば、なんでもするわ。
「姫、僕は……」
「駄目、しゃべらないで。貴方は、私の言うことを聞かなくてはならないはずよ……」
言いながら、虚しさを感じる。
こんなことして、リオウの心が手に入れられるとは思えなかった。それでも、貴方をどこにもやりたくない。
私だけを見つめて。どこにも行かないで。私だけのものでいて。
貴方をここへ引き止められるのならば、貴方に恨まれたっていい。いつまでだって、貴方を閉じ込めておいてしまいたい。
私は狂っている。狂おしい恋心に突き動かされ、心は鬼と化していた。
430 :
姫×楽士:2005/10/18(火) 10:50:41 ID:NnnBYFn7
リオウは逆らわなかった。
ベッドにリオウを横たえる。上衣のボタンを一つ一つ外した。
綺麗な肌、服を着ているときには分からないのに、その腕も胸も逞しくて、とても私がこの人を自由に出来るわけがなかった。
なのに、彼は逆らわない。
「んっ……」
胸の小さな突起に触れる。
男の人でも感じるんだわ、そう思って指で転がした。
舐めてみたい、そう思った次の瞬間には、本当にそうしていた。
自分の行動が信じられない。
これが私? 王女としてつつましく、上品を旨に教育されてきたはずなのに。
「あ……っ、姫」
こらえきれない、と言うように彼が声を出す。
その声を聞くだけで、なんだかぞくぞくした。
私は貞淑な女なんかじゃなかったのだ。今、こんなにもリオウが欲しくてたまらない。
愛してる――その思いは胸の内にある。でも口には出せなかった。
胸にあった手を、そろそろと下ろした。腰の辺りに手をずらすと、リオウは小さく呻き、びくんと動いた。
小さな形のいいおへそ。いたずら心で、そこも舐めてしまう。
「ああ、ううっ……」
目をぎゅっとつぶり、声を殺している。
空いている手で、ズボンの紐を解き、それからゆっくり下ろしていった。
――あっ……。
「どうしました、姫?」
動きが止まった私に、上からリオウの声がかかった。
どうしよう、怖い。
でも、リオウをどこにも行かせたくない、リオウの全てを私のものにしてしまいたい。
とても恥ずかしいけれど、こんなことをしたら、リオウは私を嫌いになってしまうかしら。
431 :
姫×楽士:2005/10/18(火) 10:51:55 ID:NnnBYFn7
「ああっ……姫、そこは!」
リオウの声が聞こえるけれど、顔を合わせられなかった。
呆れているかしら。
こんなふうに大きな口を開けて、リオウのものを含んでいるなんて。
歯を立てないように気を付けながら、それをほおばり、口を動かした。
口をいっぱいに開けても息が苦しい。
でも、リオウがとても愛しくて仕方がない。
こんなふうに、取引なんて言い訳をしないと、大胆に振舞うことも出来ず、けれど、あの日リオウに触れられてから、私はリオウが欲しくて欲しくてたまらなかった。
「姫、も……もう駄目です、もう離して……」
先ほどよりも、さらに喉への圧迫を感じる。
リオウの息も上がっていて、なんだか苦しそうだった。もう限界なのかもしれない。
「だ……め、このまま」
何とか声を振り絞って、リオウに告げる。
このまま貴方を解放するつもりはないと。
「うっ……」
リオウの体がのけぞったと思うと、私の口に喉に、熱い液体が溢れかえった。
それを全て搾り取るように吸う。零れ落ちたものも全て舐めとる。
「ああ、姫、僕はまた貴方を汚してしまった」
リオウの深いため息が聞こえた。
いいえ、違う。これは私の望んだこと。
貴方がそのように思うことは一つもない。
「リオウ言ったはずよ、これは取引なの。私が貴方に無理強いしただけ。だから貴方は気に病むことなどないのよ」
言いながら、何故か頬に涙が伝っていた。
いやだ……駄目よ、リオウに涙なんて見せてはいけない。
本当は分かってる。
リオウがあの時、取引といった意味も、本当はとても優しくて臆病な人だってことも。
「姫……」
「あ、リオウ……」
その涙をそっとすくい取ってくれる。
「泣かないで姫……貴方の気持ちは、分かりました」
優しく髪をなでるその手が心地よかった。
姫は眠ってしまった。
僕を真似て、取引だなんて言ったけれど、実際彼女が僕を告発するとは思えない。
ただ、臆病な僕を、あんな酷いことをした僕を引き止める為にしてくれたことだと、僕は自惚れてもいいだろうか、姫。
おしまい。
すみません、微妙です。
自分にはこれ以上は無理だorz
いつごろの話だとかの突っ込みはなしでお願いします
>427
|Д`*)・・リアルコーシンデミテタヨ
攻められるリイタン(*´д`*)ハァハァ
精一杯攻めるも姉上(・∀・)イイ!
いや、充分エロかった……GJ!
姉上よくぞガンガッタ!
そして姫、更によくぞガンガッタ!!
…顎の骨大丈(ry
なりふりかまわずリィを引きとめようとする姫イイヨイイヨ
姉上GJGJ!!
強引攻め姫かっこいい!!
うんうん、ほんとよくガンバッタネ!!
自分楽士スキーで、さっき楽士を二股の挙げ句振ってきた
ところだったのですが、攻め姉上のおかげで傷心が癒されましたw
昼間ッから何してくれてるんですかいけない姉上ですね。
仲間に入れて下さい(*´Д`)'`ァ''ァ
姫にハァハァするよ、しちゃうよ。
姉上GJGJGJ!!
436 :
427:2005/10/18(火) 21:39:31 ID:NnnBYFn7
>>432 アワワ、ミラレチャッテタノネ…
>>433 あ、顎の骨?
わたくしは存じ上げませんが、何か?
>>434 え、こんなので癒されましたか?
>>435 昼間から失礼しました
ここの姉上はみんな優しいよ…ありがd
エロはしばらく書けそうにもないよ、萌え尽きたよ…真っ白に
やっぱり自分にはギャグの方が向いてるよ
今度は薔薇を弄くるギャグでも書こうかな
全レスは厨くさいのでやめてくれまいか
なんか投下したのと似たやつ見つけてしまった・・・
>>438 元ネタが同じだと妄想の行き着く先は、同じだったりするしな、書き手が違っても。
「このSS,私が最近書いたやつとシチュや組み立てが同じ!同じこと考えるヤシがいるんだな」
と思いきや、とうの昔に自分がちょろっと投下したSSだと気がついたときにゃ、おのれの成長度の低さに涙が出たものさ。
チラ裏ごめん。
あーここに投下しててサイト持ったふざけた名前の?
元ネタが一緒でもこっちが先じゃない。
なんかやだな。
>>440 そことはもしかしたら違うサイトかもしれんが、シチュも違うしネタって言うより表現が被ってたんで、
それ見た人がこっちがパクッたみたいに思ったらヤダナ、と…まあ439姉上が言うように
似てしまう事はあるからと思ってもらえれば…自意識過剰だったなゴメソ
…チラ裏スマソ
>>438の思ってるところとは違うかもしれないが、
>>440のやつなら分かった気がする。
たしかに多少モニョッた。
439ではああやって書いたけど、パクりパクられのことが分かる人にはちゃんと分かると思う。
私は
>>438を応援している。大丈夫、ガンガレ!
443 :
438:2005/10/19(水) 14:36:36 ID:FJB9NMns
気になっても一回見てきたら、うpした日からしてどうも作ったの向うが先っぽい。
洩れの後…つーか同じ日だ_| ̄|○
……精進しよう。いろいろモニョッてスマンカッタ。ROMに戻ります。
たぶん違う人を思い浮かべてる気もするが、439d!
444 :
438:2005/10/19(水) 14:37:52 ID:FJB9NMns
×洩れの後
○洩れのが後
ここで投下してふざけた名前…自分のとこだろうか。
正直被っているかどうか分からなかったので、いろいろ見比べたのだけれど
もしかしてネタ被ってるのだろうかと思うのがありました。
パクるとかそういうつもりはないですし、正直それを見て書いたということももありません。
しかし、かぶってて嫌な感情を与えてしまったのだとしたら申し訳なく思います。
ここを見て黙っているのも嫌なので、とりあえずそれらしきものは消しておきます。
そういうのはまず本人同士で解決しようよ……
相手がサイト持ちなら連絡の取れるんだし。
こんな所で愚痴をこぼすのは反則だろ。狭い世界なんだから
気付かれるの承知の上って思われちゃうよ。
こういうのって本人より、周囲が面白可笑しく騒ぎ立てる
場合もあるんだし。
一語一句同じなら流石に首を傾げるけど、ネタが被るぐらい
よくある事だろ。沢山ある作品の中で、この作品を好きになって
そのキャラを好きになったぐらい、感性が似ているんだから
ネタで被る可能性だってあるだろ。俗に言うお約束ネタというのも
世の中にはあるんだし。
チラシの裏の内容だけど、ちょっとこの流れはどうかと思って
書き込まずにはいられなかった。すまん。
それで金取るってならまた話は違うけど
こういうのが書きたいっていうのがかぶるのはありなんじゃない?
見てわざとやったなら考えが足りない人だな、とは思うけど。
|ω・`)<こんなんで荒れるのは嫌だよ、姉上
ストーリーが似てるってだけでパクリってのは
ちょっと判断が難しいと思う。
文章がそのままってのはそりゃヤバイけど。
449 :
438:2005/10/19(水) 21:56:20 ID:FJB9NMns
ROMしてるつもりだったけどあまりにもスレの雰囲気悪くしてしまったので謝ります。
気分を悪くさせてすみませんでした。ネタ被ってたのとは少し違いますが自意識過剰でした・・・
>>445 私が言ってたのはたぶん姉上のところではないです。嫌な思いさせて申し訳なかったです・・・
本気ですみませんでした・・・
団長×王女。エチ無 ホノボノネタ 投下させて頂きます。
お約束ネタ、早い者勝ちネタっぽいです。被ってしまうかも
と思ったのですが、こういうネタ大好きなので自分に正直に
なりました。
451 :
団長×王女:2005/10/20(木) 00:15:45 ID:GUekWhDL
ヴィンセントはその日も時間通りに城の一角にある騎士団の館にやって
くると、日課である剣の稽古を一人もくもくと始めた。まだ誰もいない稽
古場は驚くほど静かで、ヴィンセントはそれを密かに気に入っていた。
身体に染み付き日課になっている朝稽古だが、今日は違っていた。昨晩
からの出来事を思い出すと、自分が冷静でいられなくなってしまいそうな
のだ。こんな気持ちを持て余す事は初めてのようで、ヴィンセントは動揺
を隠しきれないでいる。こんな事では、本当に護りたい相手すら、護れな
くなってしまうというのに ──。
一通り身体を慣らす頃には部下達もやってくるようになり、彼らと何度
か手合わせをしていると、約束の時間になってしまった。今日はカインが
剣の手合わせをしにやってくる予定なのだ。
怪我から回復した当初はこちらが戸惑うほどに変わってしまったように
思えたカインだが、最近は以前にも増して王子としとの振る舞いがさまに
なってきている。
国政でも、オースティンやエトガー達と前にしても、見劣りするような
事はなくなっていた。剣の腕前も以前と同じぐらい、いや、以前よりも上
達しているようにも思える。短期間の間でこれほど上達するのだから、や
はりカインが元々もっていた才能は、ヴィンセントの想像していた以上の
ものだったのだろう。
手合わせをする度に、どんどんと上達していくカインを見ていると張り
合いがある。以前のように油断していては、こちらが一本とられる日が来
てしまうかもしれない。それはそれで家臣としては嬉しい事なのかもしれ
ないが、騎士団長に就いている身としては、それもまた情けない事に違い
ない。
452 :
団長×王女:2005/10/20(木) 00:16:17 ID:GUekWhDL
「ヴィンセント、待たせたな」
騎士団長の執務室で待っていると、カインが普段と変わらない様子で意
気揚々とやってきた。ヴィンセントは若き主を振り返り、ゆっくりと頭を
垂れる。
そこでふと普段ならばいるはずの彼女がいない事に気づいた。いつも弟
を心配し、付き添う彼女の姿が今日は無い。こちらをじっと見つめるヴィ
ンセントにカインは気づき、
「ああ、姉上か? 姉上は身体が不調らしくてな、休んでもらったんだ。
いつも俺を気遣ってくれて、無理が続いたんだと思う。姉上は無理矢理に
でも休ませないと、休んでは下さらないからな」
「……確かに。姫は私達が目を見張るほどに気丈であらせられます」
両親を失い、その上、唯一の肉親であるカインまで失ってしまうかもし
れないという状態の中で、彼女は独り堪え続けた。その辛さは想像以上の
ものだっただろう。カインもまた辛そうに目を伏せ、
「ああ、もっと俺さえしっかりしていれば、姉上に辛い思いなどさせなか
ったというのに……!」
悔しそうに呟いたカインにヴィンセントは優しく反論してみせた。
「今のカイン様ならば、姫もご心配にはなられますまい。むしろ、力が入
りすぎて怪我をなさらないか、私などはそちらを心配してしまいます」
するとカインは目を大きくさせ、そして困ったように笑った。
「ヴィンセント。お前まで姉上と同じ事を言わないでくれ」
何だか似てきたぞ? とカインが茶化すと、ヴィンセントは困っている
かのように、口元を手の平で覆った。
453 :
団長×王女:2005/10/20(木) 00:16:59 ID:GUekWhDL
その晩、ヴィンセントは王女の部屋の前に立っていた。
ノックをしようかどうか何度か迷った挙句、こんな姿を誰かに見られる
事の方が問題だとやっと自分を言い聞かせ、
「……姫、いらっしゃいますでしょうか?」
そう小さく尋ねると、ゆっくりと部屋のドアが開いた。
「ヴィンセント……」
驚いた様子でヴィンセントを見上げる王女は、一見すると普段と変わり
ないようだったが、動作一つ一つが気だるそうだった。
「お身体を悪くされたと聞きまして……そのように起きていても、大丈夫
なのですか?」
心配そうに見つめる彼に、王女は驚き、そして酷く困っているように顔
を伏せてしまった。
「心配させてごめんなさい、ヴィンセント。……でも、身体を悪くした訳
ではないの」
「では、ご気分が優れないのですか?」
「そうではなくて……」
珍しく言い淀む王女を前に、ヴィンセントは少なからずショックを受け
た。彼女とは何でも話せる仲だとばかり思っていたのだ。自分が辛く悲し
い過去を彼女にだけは話せたように、彼女の中でも自分は特別な存在だと
思っていたのかもしれない。
だが、そんな仲でも言いたくない事の一つや二つある事ぐらい、ヴィン
セントも判っているつもりだ。しかし、やはりそれでも実際それを目にし
てしまうと、寂しいと感じてしまった。
彼女を前にすると、どうしてこんなに自分は弱くなってしまうのだろう
──こんな時、ヴィンセントは無性に湧き上がってくる不安を拭い去りた
くなってしまう。昨晩のように、彼女の傍で、彼女の体温を感じ、自分の
名を呼んで欲しい──そんな衝動に駆られてしまう。
そんな自分の感情が酷く見苦しいものに思え、ヴィンセントはおもむろ
に顔を逸らした。自分がこんな醜い感情を抱いているなど、彼女は思って
もいないはずだ。そう思うと、途端に知られてしまう事が怖く感じた。
「申し訳ありません、姫。……貴方を困らせるつもりなど無かったのです」
いたたまれず、ヴィンセントが頭を下げ、去ろうとする事に気付き、王
女は、慌てて彼の腕を掴んだ。
「そうではないの、ヴィンセント! 貴方の思っているような事では……」
王女の張り上げた声に、ヴィンセントは驚き、まじまじと見つめてしま
った。こんな事は初めてかもしれない。彼女自身、はっとしたように掴ん
でいた手を放し、とりあえず彼を部屋の中に迎い入れた。
454 :
団長×王女:2005/10/20(木) 00:18:26 ID:GUekWhDL
「そのですね、ヴィンセント……私の身体の調子が悪いのは、病気の類で
はないのです」
何度か深呼吸をした王女は意を決したように話し始めた。
「では、一体……」
まさか呪いの類なのかと一瞬ヴィンセントは脳裏をかすめたが、彼女の
言葉はヴィンセントの想像とは全くかけはなれたものだった。
「……昨晩、貴方と床を共にしてから、股の間に何か挟まったままのよう
で、上手く歩く事が出来なかったのです……それをカインが勘違いしてし
まって……」
ちらりと王女が伺うよう見上げると、目の前にいるヴィンセントは彼女
が驚いてしまうほどに赤面していた。そんな彼を見てしまうと、口にした
王女の方が恥かしくなってきてしまう。
「心配させてごめんなさい、ヴィンセント」
「い、いいえ……」
ヴィンセントは自分のあまりの鈍感さを呪わずにはいられなかった。彼
女にこんな事を言わせてしまうほど追い詰めてしまうなんて、鈍いにも程
がある。詫びる言葉すら見つけられない自分の不甲斐なさにヴィンセント
は恥じるしかない。
「申し訳ありません。貴方にそのような事を言わせてしまい……本当に……」
傍から見ても困惑している彼の姿を前に、王女は首を横に振った。紅く
染まった頬をそのままに、
「そう謝らないで、ヴィンセント。私は何一つ後悔していないのだから……」
優しく微笑む王女の姿は本当に愛らしくて、ヴィンセントは言葉を失い、
目を奪われてしまったかのようだった。こみ上げてくるこの想いは言葉に
などする事ができなくて──ヴィンセントは堪らず華奢な彼女を抱きしめ
てしまった。
だが、想いのあまり、ヴィンセントは力を加減する事を忘れてしまい、
王女は小さく悲鳴を上げてしまった。
「ヴィンセント、苦しい──」
「も、申し訳ありません……! つい、」
王女の言葉に、反射的にヴィンセントは離れた。苦しさから解放される
ように王女が何度か深く呼吸をしている間、ヴィンセントは手持ち無沙汰
のように、両手を宙に浮かせたままだった。
そんな彼の姿は普段の騎士団長としても冷静沈着な彼からは想像も付か
ない。部下に厳しく、自分にも厳しい騎士団長の姿は、凛々しく、逞しい
──と、女性達は密かに噂しているけれど、彼女達はその騎士団長がこん
なにも不器用だとは知らないのだろう。
そんなところが可愛いなどと王女が思っているとは、ヴィンセントは思
ってもいないはずだ。もし気付いてしまったら、困り果てて、この場から
逃げるように立ち去ってしまうかもしれない。
455 :
団長×王女:2005/10/20(木) 00:19:09 ID:GUekWhDL
どうしようかと迷っているヴィンセントを前に、王女は小さく笑って、
その身を彼に預けた。
「ひ、姫……!?」
抱きつかれるような格好になったヴィンセントといえば、強引に彼女を
引き離す事も出来ずに、その場で固まってしまった。
鎧越しであっても彼女の柔らかな温もりが伝わってきてしまう。自分と
は違う良い匂いが鼻をくすぐり、自分でも顔が赤くなっていると判ってし
まうほどに動揺していた。
彼女を護る為に誰よりも傍にいた自負はあるが、こんな風に躊躇いがち
に甘えられた事は昨晩が初めてだった。慣れるなんて事が出来るはずもない。
「ヴィンセント。貴方が来てくれて……嬉しい……」
誰よりも真面目で、周囲の目を気にする彼が、それでも自分を訪ねて来
てくれた事が王女には嬉しかったのだ。
二人を繋ぐものは互いに誓った言葉だけで、それ以外は何もない。それ
なのに、王女の身体には今もまだ彼と交じり合った跡がはっきりと残って
いる。きっとこの鈍い痛みを王女は生涯、忘れる事はないのだろう。もし
かすると、彼の胸に残る傷跡の痛みとそれは似ているのかもしれない。
こんな気持ちをヴィンセントはずっと十年もの間、一人で抱えていたの
だ。もし自分が彼の立場に立たされてしまったら──そう考えるだけで怖
い。自分には心許せるジークや魂を別ち合ったカインがいるが、彼はたっ
た一人だったのだ。その心情など、王女が想像するよりも辛く悲しいもの
だったに違いない。
人は大切なものを失ってから初めてその大きさに気付くのだから。
「……姫」
そう告げたヴィンセントの声色は酷く穏やかなものだった。恐々と華奢
な王女の背中に腕を回し、確かめるように手を置いた。栗色の美しい髪を
指で絡ませ、ぎこちなく、その髪を撫でた。
「そのようなお言葉を軽々しく、口に出さないで下さい」
「え……?」
「私は単純なのです。だから……その気になってしまう……」
苦虫を噛み潰したように顔を顰めたヴィンセントに、王女は目を何度も
瞬かせた。そして少ししてようやく彼の言葉の意味に気付き、頬を赤らめた。
その顔があまりにも愛らしくて──ヴィンセントは己の単純さを改めて
思い知らさせる。
「ヴィンセント? ちょ、ちょっと待って──あっ!」
王女が騎士団長まで務める男に敵うはずもなく、王女はあっという間に
寝台の上に寝かされてしまった。
その後、当分の間、騎士団長は王女の部屋に入る事を禁止されたとか、
なかったとか……。
<オワリ>
>>450 GJ!GJ!
団長が単純でいい!
ほんとは単純じゃなくて、素直なんだよなあ…団長ってば。
姫の言葉がそのままダイレクトにスイッチになっちゃう……
姫しばらく歩けないだろうなあ…
ああ、そんな姫にも禿げ萌えますタ
>>450姉上
GJ!
団長可愛すぎ…ハァハァ
やっぱり団長は素直なのがいい。
そんな団長を可愛く思っている姫も萌えでした。
>>450 団長カワイス(*´Д`)モエー
チラシの裏
450姉上の書く俺カインたん漢らしくて好き
>>450 団長と姫がほのぼのでいいなあ。何だか似てきたぞ〜のくだり激萌え。
姫も団長も可愛いなー。不器用な団長がイイ。
自分には萌えを文章にする能力がないので、
このスレを読むと、頭の中の妄想が解消されていくようで助かる
ありがとう姉上達!
不器用で単純で力加減し忘れる団長萌え!!
>>460 わかる、保管庫で作品一気に読んでマジ泣きしたり、マジわらいしたりで本気で萌え消化されている。
この場所があることにホント、感謝している。
さて、日付変わる前に投下します!
見習×姫 +αでカインタンと薔薇
エロはほんの少し、後、カインタンと薔薇の性格は改造されているかもしれません。
即位式後ぐらいの日常です。
462 :
見習×姫1:2005/10/20(木) 23:55:16 ID:10lep/az
カッ、カッ、カッ、カッ……
王宮の廊下に響く靴の音がどんどん大きく響きだす。
ただの無機質な連続音にもかかわらず、国王陛下はその音の主がすぐに分かった。
この部屋の扉の向こう側で、カツンという音が最後になると今度はノックの音。
それも「儀礼的にだが一応鳴らした」という程度のもので、中の人物に入室の是非を問う間もなく扉が開いた。
「陛下、失礼する!」
「やあエドガー、すごい剣幕のようだけどどうかしたのか?」
「おい、カイン! 王女はどうした!」
先ほどは陛下と言っておきながら、扉が閉まると同時にもうカインと呼ぶ。
現国王のカインは、そんな従兄弟がおかしくてクスッと笑った。
このような態度をとりつつも、その実自分に忠誠を誓ってくれているのだから、カインはそんな従兄弟が可愛くて仕方がない。
年上で兄のような存在を可愛いと思うのもどうかと思うのだが……
「え? 姉上? 姉上なら今日もノルガースに行ってるよ」
「今日"も"? やはりあの噂は本当なのか、カイン?
城中では、王女があの鍛祷師見習いとできていると醜聞が広がっているぞ!」
エドガーはいきなり本題を突きつけ、カインに詰め寄った。
「ああ、ロデルのこと? ロデルはもう見習いじゃないんだ。この間の鍛祷師の資格試験に合格したからね。
それも主席合格なんだ、すごいと思わないか?」
「そんなことは聞いてはおらぬ!」
「それがね、ロデルが言うには姉上のおかげなんだそうだ。
姉上が日参して試験勉強を手伝ったおかげではかどったとかなんとか。さすが姉上だね…」
「だからそうではなく…!」
「僕も姉上のおかげで即位出来たようなものだし、やっぱり……姉上はすばらしいよ」
カインはここにはいない王女をただひたすら褒め上げた。
「カイン……! 俺の話を聞いているのか?」
「聞いてるさ、何もそんなに怒らなくたって……」
「なら、俺の質問の回答はどのように答えるつもりなのか?、答えていただこう、国王陛下」
463 :
見習×姫2:2005/10/20(木) 23:56:22 ID:10lep/az
エドガーは片眉をピクリと持ち上げ、低い声でカインに問うた。
エドガーの怒りは最高潮のようだ。
カインはその質問に答えた………のは最初だけだった。
「姉上はロデルのところに嫁ぐつもりなんだそうだ。エドガー、どう思う? ノルガースはすぐそことはいえ、この城から姉上がいなくなるのはやはり…さびしくなるよね」
「さびしいだと!? 問題はそんなことではない! 王族が平民に嫁ぐなど、恥さらしもいいところ! 王女は本気なのか?」
「姉上が嘘をつくとでも言うのか? エドガー。僕は姉上が幸せになるのならかまわない………んだけど、やっぱり辛いんだ。毎日姉上の顔を見るのが今の楽しみなのに……」
「カイン! 話をはぐらかせるのはいい加減にしないと………」
エドガーの言葉の端に、あからさまな怒気が含まれてくる。
しかしカインは、今度は何を思い出しているのか、少しうっとりとした表情を浮かべている。
「楽しみといえば! 最近姉上が特に綺麗なんだよ。知ってたかい? 特にロデルの話をする時など……
なんかこう、美しいって言うのが一番合ってるかなあ…… 見てたらこう、胸がたまらない気持ちでいっぱいになるんだ…」
「………おい」
「で、姉上に聞いてみたんだ、最近ますます綺麗だねって。そしたら姉上『毎日が楽しいからかしら』とか言うんだ。
それってロデルと会う毎日が楽しいって事なのか? それともロデルは、毎回姉上に何かして楽しませてくれてるんだろうか……。
ねえエドガー、どう思う? 姉上、とても美しくなったと思わないかい?」
「カイン…?」
「えっ……、もしかして、そんなことはないとエドガーは言うつもりなのか?」
「……いや、そうではなく………」
「だよね! 美しくなったよね、ますます! ……はあっ、あんな素敵な姉上がいなくなるなんて……
エドガーがさびしくなる気持ちも分かるんだ」
「なっ…! 俺がいつそんなことを………!」
「え? エドガーはさびしくないのか? 姉上がここからいなくなるんだよ!」
とうとう、エドガーは眉間押さえながら肩を落とす。
(こいつに王女の話をした俺が間違っていたのか…?)
もはや、自分で何が言いたかったのか分からなくなり、また、それを言葉にするのも億劫になってきたらしい。
464 :
見習×姫3:2005/10/20(木) 23:58:32 ID:10lep/az
「でね、ロデルと話したんだ。鍛祷師としてひとり立ちしたら、僕に仕えないかって。
そしたらそれなりの称号でも何でも与えてあげるから、姉上と結婚して宮廷内で暮らせばいいって」
やっとまともな回答が出てきたとエドガーは思ったが、もう、すっかりまともに対応する気力がない。
「……それで…?」
「いい考えだろう? レオナーグ家は鍛祷技術の名工一族だからね。
ロデルは姉上と公に結婚できる、王室には一流鍛祷師が来てくれる、そして何より、
僕やエドガーは毎日姉上と会うことができる、一挙三徳だろう?」
「何故私がそこに入るのだ……」
「本当は『仕えないと姉上をあげないよ』って脅しても良かったんだけど……そんなことを言ったら姉上が怒るだろうし」
「…………」
「で、ロデルが言ったんだ。『カインのために剣を鍛えることはいやじゃないけど、宮廷にあがりたいとは今は思えない』って」
「それで、鍛祷師見習いは王女のことはあきらめたのか?」
カインはうなだれて、その首を横に振った。
「最後にさ、姉上のことは絶対あきらめない、奪ってでも手に入れるって宣言してくれたよ……」
「は…?」
「僕だって姉上のことを思う気持ちは誰にも負けないと思ったんだけど、
ロデルと会った後の姉上があそこまで綺麗になっては僕の出番がないんだ……
今日だって……」
「今日? まだ何かあるのか?」
「馬車で街まで送らせたんだけど、姉上、とっとと馬車を帰らせて一人でロデルといるんだよ」
「なにっ! 誰も付けておらぬというのか!」
「付いていった者がこう言われたって言うんだ、『人の恋路を邪魔する人は馬に蹴られて何とやらなんですって!知ってる?』って……」
「……! 王女、何か変わったな……」
「そうかな? 姉上は前からそういう奔放なところがあったよ。エドガーの前では気取ってたんじゃないかな?
エドガーって何かと口うるさいし……」
「なにっ!」
「エドガー? 姉上はもうロデルのものなんだよ、ロデルだから姉上は自由に生きていけるんだ。
………さびしいのはエドガーだけではないんだよ……だから、あきらめようよ……」
カインは寂しさを紛らわせるかのように、フウッと溜息をついた。
その横で国王補佐も大きく「はあっ……」と溜息をつき、
「カイン……、王女のこととなると、お前と話をするのは非常に疲れる………今日はもうよい。
しかし、王女には今後のことをどう考えているのか詳しく聞かねばならぬ。その事、しっかり伝えておくように」
そう言うと、カイン天然の毒気に完全にやられたのか、いかにも頭痛がするといった素振りで、
来たときの半分の力もない靴音を鳴らして国王の部屋から立ち去っていった。
扉が閉まるのを見届け、ほっと息をついた国王陛下は、
「姉上……とりあえずエドガーは適当に何とかしておくから、今は心行くまで楽しんでおいで。
それに、後のことも僕が何とかしてあげる………」
と、ここにはいない王女に向かって語りかけた。
「しかし、やっぱりさびしいなあ……いっそのこと、僕もノルガースに住もうか……」
465 :
見習×姫4:2005/10/21(金) 00:00:04 ID:10lep/az
エドガーの問い詰めに、カインがのらりくらりとかわしながら彼をからかっていたちょうどその頃、
太陽はだんだんと赤色を増し、海の向こう側に落ちる準備を始めていた。
そして、二人の会話の元だったロデルと王女は、城下町の一角にたたずむ一軒家の中、二人きりで部屋にいる。
窓には隙間のないようにぴったりとカーテンを引き、外がもう夕焼けで包まれ始めているとは本人達は全く知らない。
分かっていることといえば、目の間にいる男と女が、お互いをむさぼっているというただそれだけだ。
「ロデル…! ああっ……っ! 私っ…、わた、しっ…!」
「なあ、もっと…っ、オレの名前…、呼べって…、なあっ……んんっ…!」
「ロデル…っ! 私っ…… もうだめっ……ああっ!」
「何…言ってんだよっ……んんっ! まだまだ…だろ? オレっ、まだ足んねえよっ…」
王女におおいかぶさった新人鍛祷師が、激しくその娘を攻めたてる。
窓も締め切っているためなのかその動きの激しさからなのか、二人ともすっかり汗にまみれ、
しかしそんなことは一切気もせずにただひたすら頂点を求めあう。
「ロデル…っ、ほんとに…ああっ…私っ…、もう…お願いっ! ロデルっ! もう許して……」
王女は先に昇りつめる許可を、目の前の男にただひたすら請うた。
「マジかよっ?……んっ……しかたっ…ないなっ……!」
ロデルは王女の両足を自分の肩にかけると、彼女の手をとってお互いの指を絡ませ、
残った手のひらで王女の額をなでながら、唇をあわせて淫らにあふれる声をふさいでやる。
角度を変えたその挿入で腰の動きをますます早め、彼自身で彼女の最奥をひたすらに打ちつけた。
ロデルの動きにあわせ、王女自身も腰を動かして彼を迎え入れ、中で波打つそれを感じる。
声が漏れなくなった部屋の中に響くのは、時折もれる熱い吐息と、お互いの局部がぶつかり合う音、
それにまとわりつく水の音。
閉めた窓越しに聞こえる街のけん騒も、今の二人にとっては無音に等しい。
「んんっ!!…ううっんんんっっ!!!………んんっ!!!」
意識を解放させ、弾けて空虚な世界へ落ちていく王女の極みの声は、
ふさがれていた唇を通して振動となって彼の体内へと消え、
それと同時に、彼女の中はくわえ込んだ彼の全てを搾り取ろうと激しく収縮を繰りかえした。
「うっ…わっっ!! やばっ……んっ!! ちょ………っ、おまえ………っ! オレっ!!」
ロデルは慌てて口付けをはずし、体にまとわりつかせている王女の手を振りほどいた。
王女の中から自分を引き抜いて自分でそれを握り締め、
「うくぅっ……っ…!!」
と、喉の奥から締め上げたような声をひとつ漏らすと、ぐったりと横たわる王女の白い腹の上に精を吐き出した。
466 :
見習×姫5:2005/10/21(金) 00:01:11 ID:10lep/az
「げっ! もうこんな時間かよ。もう完全に夕焼けだぜ。早く帰らねえとカイン……、心配するな……」
ベッドの上で、けだるさが襲う体で寄り添いながら、ロデルはすぐ傍のカーテンを少しめくって外を覗いた。
「おまえ、もう大丈夫か? 送っていくから、そろそろ用意、したほうがいいぜ?」
汗にぬれた王女の髪を直してやりつつ、体を起こす。
「うん……ロデル……、このまま一緒に眠りたいわ……」
「それを言うなよ……オレも同じ気持ちだし、ホントはこのまま帰したくないんだけど……
オレたちを信頼して、おまえをここに寄こしてくれるカインに迷惑かけらんねえからな」
「うん……」
横たわっている王女に口付けをひとつ落とすと、彼女を引き起こして抱きしめた。
「試験は合格したんだ、後はこの腕をあげて一本立ちできりゃそれでいいんだから。おまえ、それまで待ってくれる……よな?」
「うん……待ってる……いつまでも待ってる…」
「おい、いつまでもってオレはそこまでおちこぼれじゃねえぜ? ま、ここ1、2年のうちには親父にだって認めさせてみせるさ」
「そうよね、ロデルは優秀だもの」
「親父さえ認めてくれたら、オレ、ちゃんとおまえ、迎えに行くから」
「うん」
「そしたらここで暮らしてもいいよな? 街の暮らし、どうだ? 慣れていけそうか?」
「うん、私、ここの暮らし嫌いじゃない。毎日楽しそうで……」
「そっか……カインはそのときが来たら宮廷で暮らしたらいいって言ってくれたけど、まだそこまではオレ、考えられねえ……」
「ううん、ロデルがここで暮らしたいのならそれでいいの。それに、そのときに考えたらいいんだもの。
でも今は……こうして貴方に会えるだけで幸せだから……」
王女がロデルの体に腕を巻きつけた。
それに答えるようにロデルは王女を抱きしめている腕の力を強めたが、その力が意外に強く、王女は何事かと彼の顔を見た。
すると、その表情は眉間にしわを寄せ、顔を赤らめてしまっている。
467 :
見習×姫6:2005/10/21(金) 00:03:00 ID:10lep/az
「ロデル……?」
「おまえ………、そういうことさらっと言うな……。その……またやりたくなるだろ?」
「やだっ! 何言って……!」
「それでなくても、最近……、なんってんだ? その……ヤバいんだよ……」
「……やばい?」
「そそる」
「………!」
「なあ、ホントにおまえ、何もしてないときでも雰囲気がヤバいときあるんだぜ!
他の男の前でそんな感じでいられたら……おまえ、襲われっぞ?」
「だって、そんなこと言ったって…」
「なあ、オレがそうさせたのか? ならオレ以外の前でそんな顔するな……そんなそそる顔、他のやつに見せるのいやだ!」
「そんなの私に分からない……………。あっ、でもカインが最近、私に綺麗になったって何度も言うの……、
それもロデルにあった後は特にって……」
「……っ! あっちゃー、もう絶対カインにばれてる、ばれてるなぁ……。あー、もう今日は早く帰れ、用意するぞ!」
「何、何なの?」
「おまえ、ほんっとに鈍感だな……。おまえがここに来るたび、こんなことしてるのがばれてるっつーの!
ならなおさら心配かけらんねえよ、なあ?」
「………!!」
二人はいそいそと身支度を整え、自宅横の工房に立ち寄り、王女はロデルの両親に挨拶をしてノルガースを後にした。
手をつないで王宮へと家路を急ぐ。
だんだんと終わりに近づく二人の時間に、会話も途切れがちになり、最後にはとうとう無言になってしまいそうだった。
その静寂を破らなければと、ロデルが胸の内を、ポツリポツリと語りだした。
「オレ、本当はいずれ、カインのために剣を鍛えてやりたいって思ってるんだ……
だけど、まだそれだけの力がないのも分かってる。
自分の力に満足できていないのに、王宮に仕えるなんてできねーだろ?
そこまでにいくにはオレ、いつまでかかるか自分でも分かんねえ……」
「うん……」
「だけどオレ、それまでおまえを手に入れられないのは耐えられないんだ……
だから…結局おまえに全てを捨てさせてしまうことに……」
「うん………」
「本当にいいのか? おまえが良いって言ったら、1年後にはおまえを奪いにいくぞ?」
「……もう私はあの日にそう決めたもの、貴方とともにありたいって」
「うん…うん。そうだったな……」
「それに、カインだけは応援してくれてるもの、だから私は大丈夫!」
「ならよしっ! 今日はこれでおしまい! な?」
つなぎあったその手の熱が、お互いへの信頼を証明をしてくれているようだった。
警備の隙をついて二人は城内に入り、ロデルは部屋近くまで王女を送った。
部屋に入って窓を開け、顔を覗かせる王女に「またな!」と窓越しに言うと、
ロデルは身軽にいたるところを乗り越えて王宮の外へと消えていった。
王女は、その姿が全く見えなくなるまで、窓に身を乗り出して彼を見送った。
468 :
見習×姫7:2005/10/21(金) 00:04:34 ID:10lep/az
その様子の一部始終を、カインは自室の窓からほほえましく覗いていた。
そろそろ帰ってくるかなと思っていたら案の定だ。
まさかカインが覗いているなんて思いもしなかったのだろうが、
その二人の、こそこそとしつつも場所をはばからない幸せそうな顔を見て、カインは顔がほころぶ。
「あーあ、姉上ったら、ふふっ。またそんな艶っぽい顔して帰ってきて……、 何しに行ってたんだか。
噂が広がる理由も分かるよ……」
カインは、数回首を横に振って、何を思い描いたのかそれを払拭させると、
今度はフンッ!と両手のこぶしを胸の前で合わせて気合を入れた。
「さて! こんな調子で姉上が行き来するのもそろそろ限界かな?
本腰あげて、姉上を嫁がせる準備でも始めるとしようか……」
とひとりごちた。
「本当は姉上を誰かに差し出すための作戦なんて考えたくもないんだけどなあ、姉上も罪な人だ……。
姉上を幸せにできるのは結局のところ、僕だって分かってもらいたいね、ほんと」
と天を仰いでぼやいてみたものの、勿論誰も聞いているわけでない。
とりあえずの難関、あの国王補佐をどうやってやり込んで味方につけてやろうかと、
楽しいいたずらを計画するがごとくうきうきと心を弾ませる国王陛下だった。
以上です。
途中、やっぱり改行を失敗してました。
横に長くてスマソ。
薄いエロ、長い文章に誤字脱字もスマソデス。
>>461姉上GJ!GJ!
見習の話はあんまり見ないんで嬉しい
何気にオイシイとこ取りのカインタンもイイ(*´д`)ハァハァ
>>461姉上GJ!
姉上バカなカインタン萌え(*´Д`)
>>461 見習いもカインもかわいいなぁ(*´∀`)
ついでに口うるさい薔薇にモエスw
>>461 薔薇とカインタンの
暖簾に腕押しなやり取り(・∀・)イイ!!
誰もいないかな?この隙にコソーリ投下。
薔薇×姫
レイーポ後、2回目エチまでの間のどこかぐらい。
特殊設定 「薔 薇 が 完 全 に へ た れ !」
半分はエチー。
ツンデレの薔薇が大好きな姉上はスルーヨロ。
475 :
懺悔1:2005/10/23(日) 01:13:55 ID:YlwyRLsw
今、姫が私の胸の中にいる。
ほんの少しの隙間さえも作らないように、ピタリと顔を貼り付けて。
しがみついた両手は私の身ごろを固く握り締め、震えるその肩を見るととても痛々しい。
布を通して感じる姫の吐息が熱く、そして痛く身に突き刺さる。
ほんの一瞬のことだった。
姫がこの場から去っていく、ただそれだけのことが私を深い澱みに突き落とす。
その息苦しさを感じたくないと、この手は自然と姫の体を引き寄せてしまった。
腕の中に姫を包み込むと、その苦痛は甘美なものへとすりかわり、私はそれに酔いかけた。
しかし……。
当の姫は私に怯えて身を震わせている。
抵抗すれば大事なものを壊されかねない私への恐怖と、あの忌まわしい夜の再現。
その恐怖を彼女に植えつけた悪しき存在はこの私なのだと気がつき、
姫にまわした手は自然と下へと落ちた。
もう一度、この腕で彼女を抱きしめたい。
しかし、私にその資格はない、あるはずがない。
抱きしめてしまったが最後、私はまた彼女を壊すだけだ。
どんなに私が慈しみを込めて抱きしめても、想いが通じるはずもなく、ただ姫を崩していくのみ。
476 :
懺悔2:2005/10/23(日) 01:15:34 ID:YlwyRLsw
「姫、そのままでは窒息しかねんぞ……。いや、そうではないな、悪いのは俺だ。すまぬ……」
「エドガー……、私」
「……よい、何も言わなくても。ほんの気の迷いだ。どうこうしようとは思っておらぬ」
姫の肩に手をかけ体を離すと、彼女はうつむいたままで、その表情はどのような
顔をしているのか垣間見ることもできない。
しかし、離れて震えが治まったその体を見やれば、私からは畏怖なる思いしか
得られなかったのだと分かった。
「さて姫、部屋まで送っていこう。こんなに遅くまで悪いことをした。
そなたといる時間はあっという間に過ぎる」
「私は……」
「いいのだ、無理をしなくても。もうこのようなことは二度とせぬと誓おう。
するなというのであれば、もう触れもしない。憎んでくれてもかまわない。……しかし……」
「………」
「しかし………、俺を拒絶だけはしないでくれ……」
「エドガー…!」
一体私は何が言いたいというのだ。
突然自分の口から漏れた言葉に、自分自身で驚愕した。
これ以上言葉を続けたところで何も解決にならないことは分かっている、
過去は変わらないのだ。
しかし、理性と心は連動しておらず、体は忠実に心に従っている。
いったん口の端にのせた言葉は、次々と堰を切ったように溢れて流れる。
「姫、俺は苦しいのだ。あの夜の間違った選択を……。
戻れるものならばあのひととき前に戻り、姫を……。姫に………。
いや、駄目だ。そんなことを言ってももう遅い……」
477 :
懺悔3:2005/10/23(日) 01:17:38 ID:YlwyRLsw
熱い液体が頬を流れ落ちる。
涙だと分かったのはその熱の流れを自分で感じてからだ。
しかし、それをどうやって拭うのかなど私は知らない。
今の今まで、涙など流したことなどなかったのだから。
「エドガー…、その続き、聞かせて……」
姫がおそるおそる手を伸ばし私の頬に触れた。
しっかりとしたまなざしで私を見つめている。
「あの夜のことを悔いてくれているの? その涙はどうして? 貴方自身が苦しいから?
ううん、そうじゃないこと、私は分かってる……」
「姫を……愛していたのだ、あの時すでに……。どんなにそのことを伝えたくても、
今ではもう罪を隠すための自己満足と同じ。ただ姫を苦しませるだけだ。
俺はもう身を引くべきと分かっている。だが俺は………」
姫は、私の頬に触れた手で私の口を軽くふさぎ、首を横に振った。
「私はもう貴方を憎んでない。あれから貴方が変わったことを知っているから。
懺悔の言葉ならもういらないの。ねえ、エドガー……来て?」
姫が両手を広げて差し出した。
魔法にかかったように姫の胸に吸い込まれしがみついた。
その胸の中に頬を寄せ、包み込まれてしまうと、私は溢れる涙を止めることができず、
ひざまずいて姫の胸にただすがりつき、子どもに戻ったかのように泣いた。
そして、流した涙はこのように止めてもらうものなのだと初めて知った。
「エドガー……私が今、少し震えてるの……分かる?」
「………怖いか、俺が……」
「ちがう……私、貴方がこうして私に触れている、そのことがたまらなくうれしい……」
「…………何故? 先ほども、俺が怖くて震えていたのに……」
「それもちがう……、貴方がやっと抱きしめてくれたこと、うれしかったから……」
「…………てっきり俺のことが怖いからだと」
478 :
懺悔4:2005/10/23(日) 01:19:10 ID:YlwyRLsw
姫もひざをついて私と目を合わせから、今度は首に手を絡ませてきつく抱きしめてくれた。
「貴方があの夜のことを悔いて、私に、カインにどれだけ尽くしてくれたか知ってる。
貴方は本当は不器用なだけなのよ……エドガー。私は貴方を……
あの夜よりもずっと以前から愛していたわ…」
「姫……」
「目……閉じて……?」
言われるがままにまぶたを閉じる。
頬に甘い吐息がかかったのを感じたとたん、何か濡れた温かいものがまなじりに触れた。
姫の舌だと分かったのは、驚いて目を開けてからだった。
「なっ………!」
「エドガーの涙なんて見たことがなかったもの。貴方の涙はどんな味がするのかなって……」
「……姫っ」
「よかったわ、ちゃんとしょっぱかった………甘い味がしたらどうしようかと思った」
「俺を何だと思っているのだ……」
姫はフフッと笑いながら「うん、その調子よ」と満面の笑みを見せ、
今度はその口で私の唇をすくい取った。
私は再び目を閉じ、その柔らかい唇を楽しむように口付けを返す。
あまりの心地よさに、初めて口付けを体験した少年のように何度も何度もついばむ自分が
恥ずかしく、ふと目をあけると、私と同じくらい気持ちよさそうに口付けを受ける姫がいた。
長く続く口付けが途切れた。
そして、姫が言った。
あの日の夜を……今、やり直して……と。
479 :
懺悔5:2005/10/23(日) 01:20:30 ID:YlwyRLsw
姫を抱えると、書斎に隣接する寝室の扉を蹴って開き、今度は背中で押して閉めた。
その乱雑な私の振る舞いにクスクスと声を立てて笑う。
「いつものエドガーらしくないのね」
「言うな。今の俺には微塵ほどの余裕もない」
「イヤに素直だわ、今日は」
「あまり減らず口が続くようだと、その口、ふさいでやる」
寝台に姫を横たえ、早速口をふさぐ。
お互いの舌を絡ませ、姫の口からこぼれるどちらかとも分からない唾液をすする。
火照った唇を軽く噛んでは強く吸い上げると、同じように姫も返してきた。
前髪をあげて額に口付ける。まぶたにも、耳にも、首筋にも。
鎖骨や、私に絡まろうとする腕と白く細い指。
今露出している肌という肌には全て唇でなでた。
もう邪魔でしかない自分の服を乱雑に脱ぎ捨て、姫の服のボタンも全てはずし、
その豊富に布を使われた服もその中の布切れも全て剥ぎ取った。
新たに露出した背中に、最初に指でなぞるように触れ、その後に舌でなぞると、
姫は時折ビクッと体を震わせて熱い息を吐く。
白く透き通る肌にところどころきつく吸い上げ、私の証を残していくと、
全身に桃色の花びらが落ちたかのように姫を彩り、とても妖しく美しい。
背に流れている栗色の髪をよけ、うなじに口付けると、初めて「あぁっ…」と
愛撫を受け入れた声を漏らしてくれた。
その声に、下半身から脳まで一気に欲望が駆け上がる。
480 :
懺悔6:2005/10/23(日) 01:22:18 ID:YlwyRLsw
双丘を下から持ち上げるように柔々と揉むと、その柔らかさに驚いた。
吸い付くような肌も、今はじっくりと味わうだけの余裕がある。
薄く色づくその頂きも、口に含めば硬くしこり、もっと触れろとばかりに主張する。
あの時とは全く違うその変化に、姫が自分に心を開けばここまで全身で愛を受けてくれたのだと
思い知った。
しかし今は、後悔しても何も始まらない。
ただ、姫が漏らす喘ぎに合わせ、強く、弱く、私がいかに姫を思っているのかを
全てかたちに変えて与える。
「エドガー…私を起こして……」
背中を支えてやると、姫が上半身を起こし私自身を手で包んだ。
もうすでに、大きくはちきれんばかりなうえ、恥ずかしいぐらい先走りで濡れ、
少し触っただけの姫の手を汚した。
「姫……やめておけ。あのときの俺はどうにかしていたのだから……」
「エドガー? 私たちは今が最初なのよ……」
そう言い、私の先に唇をあてた。
「くっ……ああっ……」
先をぬるぬると唇でなぞった後、口に含む。
姫の咥内の体温の高さが全身に快感を送り込む。
舌で舐めあげ、先を吸い上げ、精一杯に私を愛してくれる。
愛しい女がこのように私自身を愛撫するというのは、こんなに簡単に理性を手放させるものなのか。
初めて知ったこの感情は、なぜか胸の内を熱くする。
酷なことをさせてしまうと思いながらも、姫の頭に手を添えて続きをせがんだ。
ますます昂る波が限界を知らせる。
「姫……もう、そろそろ離せ……」と言ったのに、私を咥えて、離すどころかますますいやらしくすする。
481 :
懺悔7:2005/10/23(日) 01:23:42 ID:YlwyRLsw
「ううっ………!!うあぁっ……!」
その瞬間に姫の口の中から無理に抜き取ると、ドクドクとあふれる欲望の飛沫で、
姫の上半身を汚した。
腰が快感でがくがくとする。
姫がなんともいえない艶かしい表情で、私を観察するがごとく眺めていた。
深く呼吸をして荒立った息を整え、何か言おうとしたが、先にいかされたことが恥ずかしく
言葉が出ない。
姫は今、何を思っているのだろうか。分からないし聞けない。
少々女と寝た数が多かろうが、それは想い人の前では全く経験として役に立たないことと知った。
「次は姫の番…だな……」
少し強がって言葉にしてみる。
姫の両足の間に割り込んだ。姫はあわてて足を閉じようとするが、
それはさせてなるものかと完全に身をよじ入れ、あらわになった恥丘や秘列をそろそろと
指でなぞった。
左右に押し開くと愛液が溢れて零れ落ち、敷布を濡らしはじめる。
「姫、感度が良すぎるな……」
といやらしくささやいてやると、姫は「だって、エドガーのさっきの顔が可愛かったから……」
と言い訳をした。
こちらがいくら辱めてやろうと思っても、今日辱められるのは私のほうらしい。
482 :
懺悔8:2005/10/23(日) 01:24:58 ID:YlwyRLsw
中心に触れないように、外側から彼女のものをすくいとるように舌を這わせる。
抱えた太ももが、舌の動きに合わせてふるふると震えた。
いくらでも溢れるものがとどまることを知らないその入り口に、尖らせた舌を差し入れ、
その上の秘芯の皮を指で剥くと、赤く充血した中身が顔を出した。
それを指の腹で擦ると、姫の口からはますます喘ぐ声が高まった。
今度は入り口を指で触ってやる。
肉壁の襞の一つ一つを確かめるように、少しずつほぐしてやりながら、
剥きだしになった芽を舌先でなでる。
「あああっ! だめっ……エドガーっ!」
「何がだめなものか……ここはもっと欲しいようだが……」
出し入れする指の数を増やし、少し速めに挿入させ、舌の動きもやや強くしてやる。
姫から漏れる喘いだ声は、どんどんと意味のない言葉となり、やがて、
私の名前を連呼しだした。
「エドガーっ!! ああっ! エドガーっ!!」
指に絡まりつく内壁が、締め上げる力を強めだした。
姫が絶えず挙げるその声に刺激されたのか、私自身はもう完全に回復し、
そのうえ、この中に早く埋め尽くされたいと切に願っている。
もうそろそろいいのだろうか。
「姫、そろそろ、いくぞ…?」
「エドガー……」
「エドだ。エドと呼べ。いいな?」
自身に手を添え、少しでも姫が楽に受け入れられるようにと、姫の愛液を塗りつけるように
入り口に擦り付ける。
時折芽にあててやると、そのたびにビクンと背を弓なりにそらせ、可愛く喘ぐ。
痛みの少ないように、少しずつ少しずつ埋め込んでやった。
483 :
懺悔9:2005/10/23(日) 01:26:27 ID:YlwyRLsw
違う、無理に押し開いて捻じ込んだあの時とはやはり違う。
熱く、ぬるぬると、そして柔軟に俺を締め上げる。
「痛い…か?」と聞くと、首を横に振り、大丈夫よというそぶりで微笑むが、
目の端に涙が浮かんだのを見てしまった。
「無理…しなくていいのだぞ?」
「ちがっ…う…、やっと想いが繋がったのねって思ったら……」
「………っ!」
どうしてこの女は私の急所をつくのだろう。
もう、ただたまらない、いとおしくて仕方がない。
それと同時に、この姫の前では全く余裕が無い自分を認めた。
「姫……俺はもう、姫をいたわって進める余裕が全く無い……。
俺があまりにもひどいようだったら殴ってでも止めろ、よいな?」
それだけ伝えると、繋がったまま姫をかき抱き、あとはもう自分が押さえきれず、
ただ一心に挿入を繰り返した。
自身にまとわりつく姫の中が熱い。熱すぎる。
ぬるぬると締め上げられて、いったい俺をどうしたいというのか?
途中ふと意識を戻し、姫が辛くはないかと見るが、心地よさそうに声をあげ、私の名を呼ぶ。
「エドっ!!ああっ……!!エド…っ!!」
姫は何度か意識を飛ばしたらしく、幾度も私を締め付けたが私にはまだ足りない。
もっともっとと貪欲に姫を求める。
慣れない体にひどいことをしていると分かっている。しかし目の前にその瞬間を見てしまった以上、
私はもう止められなかった。
「ひっ…め…っ!!ううっっ……くっ!」
姫の最奥に突き立て、それと同時に頭の中が白く弾けると、彼女の中に己を吐き出していた。
ビクビクと繰り返すその快楽は、恍惚とした波に姿を変え、しばらくの間私を襲い続けた。
484 :
懺悔10:2005/10/23(日) 01:30:49 ID:YlwyRLsw
私の胸の上に頭を預け、すうすうと寝息を立てて姫は眠っている。
安心しきると、女という生き物は眠ってしまうのか?
こんな狼の前でも。
しかし、今の狼のほうが良いかもしれないなと自嘲した。
あの時私は悪鬼だったのだから。
きっとすさまじい形相で姫を抱いたはずだ。
今日は姫を優しく抱いてあげられたろうか。いや、最後はやはり無理をした。
あの日から抱えてきた後悔は消えることは無いが、彼女の慈悲が、
自問自答と懺悔の日々から救ってくれた。
私は、この王女に身も心も完全に囚われたことを知り、それが運命というのなら甘んじたいと
心から願う。
ふと自分の胸を見ると、赤いしるしがあった。
いつの間にか、姫が私につけたらしい。
姫が私のものだと主張して、この私につけたのだろうか。
そのしるしを指でなぞると、胸はまた何かで温かく満たされていった。
以上です。
長いのに最後まで読んでくれた姉上、どうもありがdでした。
薔薇がへたれでごめんなさい。
少しでも(*´д`*)ハァハァできたら幸いです。
GJGJGJ!!
エドかわいいよエド(*´д`*)ハァハァ
薔薇エッチが大好物な自分は禿げ萌えしました!
>>474姉上GJ!!
(*´д`)ハァハァさせてもらいました。
薔薇好きの自分にはたまらんです。
488 :
487:2005/10/24(月) 00:01:18 ID:w6N3ftKT
スマソ、sageじゃなくて、segeにしてしまった・・・
申し訳ない。
(*´д`*)ハァハァ 薔薇いいよ薔薇 (*´д`*)ハァハァ 。
490 :
461:2005/10/24(月) 09:38:16 ID:kGdqhJp0
見習×姫 読んでくれた姉上たち、ありがとうですた!
丁寧に編集して保管してくれた姉上、スペサルサンクスです。
勢いで書いて勢いで投下したのでテンポがあまりにも悪く、読み返して情けなかったので、
Wikiのほう、とりあえず程度ですが加筆修正させてもらいました。
こういうとき、Wikiはありがたいですね。
思いきって投下させていただきます。
姫×エミリオ、エチなしです。
モノローグがエミリオっぽくないかもしれません。
あと、姫が少々黒くてごめんなさい。
492 :
姫×エミリオ:2005/10/24(月) 22:35:03 ID:iJeK5p1T
「姫様、入ります」
扉を開け、私は光差し込む穏やかな空間へ足を踏み入れた。
「姫様、本日はマルヴェイル際でございますよ」
そう告げると窓辺に立つ美しいあの方は満面の笑みを浮かべる。
「・・・大切に思う異性と、飴を交換することで相手の幸せを願うお祭りですね。」
大切に思う異性・・・もう既にいらっしゃるのだろうか・・・。
いや、その様なことは考えない。
私は侍従として精一杯お仕えするだけで満ち足りている。
これ以上何を望むというのだろう。
493 :
姫×エミリオ:2005/10/24(月) 22:36:03 ID:iJeK5p1T
辛い思いを打ち消そうと頭を軽く振ると、
「エミリオ、もっとこちらへいらっしゃい」
そっと白く細い指を揺らし、私をご自身の傍へ誘う。
私はもちろん抗う術も無く、吸い寄せられる様に窓辺へ進んだ。
「エミリオ、グリュックリヒ ターク フェアレーベン!」
えっ・・・
「私と交換していただけるかしら?」
ま、まさか・・・
口を開けポカンとしている私の顔に、不思議そうに首を傾げた。
「・・・エミリオ?」
「ひ、姫様、私などと・・・そんな・・・」
「もう既に他の方と交換してしまったのかしら?」
予想だにしない展開に、私は動揺を隠せない。
「い、いいえ、そうではありませんが・・・」
「それなら良いでしょう?・・・それとも私では駄目なのかしら・・・」
「そ、そんな、滅相もありません!私、身に余る光栄で・・・。
本当に私などでもよろしいのでしょうか・・・?」
すると、澄んだ瞳を一層輝かせ、私の目を真っ直ぐに見つめた。
「もちろんよ。私は、あなたの幸せを願いたいから。」
っ!姫様・・・!
その言葉を聞いたとき、不覚にも思わず涙が溢れてしまった。
「・・・!エミリオ、どうしたの?!」
「も、申し訳ありません」
咄嗟に袖で顔を拭い、笑顔で答える。
「姫様、私と交換いただけるとは、本当に夢の様です・・・!
用意しておりませんでしたので、自室に戻ってもう一度こちらに伺ってもよろしいでしょうか?」
「ええ、待っているわ。・・・それとも、私もエミリオの部屋までついて行こうかしら?」
悪戯っぽい笑みを浮かべ、私の目を覗き込む。
「とっ、とんでもありません!直ぐに戻りますので、どうぞ暫しお待ちくださいませ!」
言い終わるか否かで、私は部屋から飛び出した。
心臓が未だかつて無い程激しく高鳴る。
姫様、姫様、エミリオは本当に幸せ者です・・・・・!
「フフ、エミリオったらあんなに慌てて・・・。
・・・・・早く戻ってきて、大好きだから。
そうしたら今度はキスして欲しいってお願いするわ。
・・・でもそんなこと言ったら、彼、どうなってしまうかしら?」
・・・以上です。
すみません、1と2を表記モレしてしまいましたorz
お目汚し、失礼いたしました。
あ、あなた姫が天然魔性っぽい(*´Д`)ハアハア
GJ!!!
>>491 エミリオ、カワイス!
この後の展開が気になるSSですな?
姫も、黒いというより498の言うように天然の小悪魔ちゃん。
飴もってきたエミリオを、じりじり壁に追いやって襲ってほしいww
GJ!!
>491
全体的な雰囲気はほのぼの甘甘なのにっ…
姫が王族の姫らしい良〜い感じです。
もうその後はキスとは言わず(ry
>>491 キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!
エミリオスキーにはたまりませんです。
このまま姫の手の平で転がしちゃって下さい。GJ!
502 :
まえがき:2005/10/27(木) 19:51:44 ID:1JQ6yV0y
子供の頃の王女誘拐ネタ(ちび王女×ちびリオウ)を投下させて頂きます。
(>343姉上、被ってしまって申し訳ないです。)
『エロは一切ありません。』
(ちょっとリオウがエロガキかも…ですが…)
そして、兎に角、長いです。嫌になるくらい長いです。すみません。
興味のない方はスルーでお願いします。
タイトルは本家の夜想曲に則して(?)
「『王女と宮廷楽士』による序奏と変奏曲」です。
(別にタイトルは何でも良いのですが、便宜上付けておきます。)
『王女と宮廷楽士』による序奏と変奏曲
1.『im Wald――森の中』
未だ日が高いというのに、木々が黒い影を落とし辺りは薄暗い。
張り出した巨木の根が幼き者の歩みを妨げる。
「ねぇ、待って、カイン。」
長い裾が足に絡み付き、徐々に弟の背中が遠ざかってゆく。
「姉上は遅いなあ。はやく、はやく。」
弟は、大きく手を振って、遅れがちな姉を急かした。無邪気な笑い声が徐々に木立の中
に消え、葉擦れに変わってゆく。
「もぉ、カインったら、あまり遠くへ行っちゃダメって言われているのに…」
姉君は愛らしい頬をぷっくりと膨らませた。
同じ道を辿っている筈なのに弟の姿は見えてこない。二人でいた時はまるで気にならな
かった葉擦れや、鳥の鳴き声などが嫌に耳につく。
無情にも自分が森の中、一人取り残されたのだと気づかされた。
「カインっ、…どこにいるの?」
姉君の張り上げた声に反応して鳥たちが騒ぐ。聞き慣れない奇妙な鳥の鳴き声と羽ばた
きに足が竦んだ。
「…」
両手で柔らかな藍の着衣をぎゅっと握りしめ、黄玉の瞳から涙がこぼれ落ちないように
我慢する。
「…泣いちゃだめ。」
とにかく、道なりに行けば弟のいる場所には辿りつける筈だ。
でもその最初の一歩がなかなか踏み出せない。
その時、草叢が大きく揺れ、何者かの気配がした。
「…カイン?」
なかなか姿を見せぬ姉を心配して弟が探しに来てくれたのだろうか?
草叢をかき分ける音が徐々に幼き姫へと近づいてくる。
「カイン…なの?」
再度、弟の名を呼びかけるが、返答はない。
「…?」
目の前の草叢を割り現れた存在が幼き姫君に影を落とした。
現れた姿は幼き王子の姿とはあまりにもかけ離れている。遥かに高い身長、太い腕、浅
黒い肌、そして何より異なるのはその表情だった。決して王子に浮かぶことのない冷酷な
表情。
予想だにしない人物の登場に王女は驚きの眼で見つめた。
相手もまた、予期せぬ子供の存在に驚きを隠せない。
一瞬である筈なのに長い刻ーーー。
先に呪縛が解けたのは王女であった。
「あ、あの…ごきげんよう…」
一人前の貴婦人の如く、ドレスの裾を持ち上げ、どこか場違いな挨拶を行う。その顔に
は邪気のない笑顔。
小さな淑女の親愛の籠った挨拶に男は虚を衝かれ狼狽えた。
それもつかの間、背後から迫りくる喧噪に現実に引き戻される。
「…チッ。」
男の顔が酷く歪み王女を怯えさせた。茂みから勢いよく飛び出すとその腕を王女へと伸
ばす。無骨な掌で小さな口を乱暴に塞ぐと、そのまま押し倒すように草叢へと身を潜め
た。力の入った指が王女を締め付ける。しかし、痛いと声を上げるのも叶わない。華奢な
顔を覆う大きな手の隙間から怯えた瞳だけが覗いた。
乱暴に茂みを掻き分ける音、乱れた足音、甲冑のぶつかる音、怒号と怒声。
それらが入り乱れ辺りを乱していく。
「おいっ、居たかっ!」
「いや、…畜生、どこに行きやがったッ!」
生い茂る草木の影から抜刀した屈強な男たちの姿が見え隠れする。
押さえつける男の手にさらに力が籠り、囚われの姫君の視界が霞んでいった。
王女自身のものか、それとも押さえつけている男のものか分からぬ鼓動が頭の中で木霊
する。薄れいく意識の中、王女の瞳には男の袖口を染めた朱が酷く色鮮やかに映った。
「おい、向こうを探すぞっ。」
「街道の封鎖は未だかっ!」
声が徐々に遠ざかっていく。
乱雑な足音が去り、鳥のさえずりが戻ると、男は鋭い眼差しで用心深く辺りを窺い草叢
から上体を起こした。その腕の中にはグッタリとして身動きしない幼き存在がある。
男は王女の身体を軽々と片腕に抱えると、暗い森の奥へと溶け込むように静かに姿を消
した。
無作法な風が木々を揺らし、老いた葉を散らす。
獣達は煌々とした眼を闇に浮かべ、息を殺す。
森は日常を装う。
此処デハ何事モ起コラナカッタ。
「…あねうえーっ」
どこかで弟が姉を呼んでいる。
2.『Ko¨igsschloss――帰らぬ姉に、弟は心を痛める。』
<Dummes Gerede>
クスクス…クス…
耳障りな含み笑いと衣擦れの音。
『お聞きになりまして?先日の狩りでの一件。そう、***の御領主が何者かに命を奪わ
れたアレですわ。』
クスクスクス…
金糸、銀糸。孔雀の羽の豪奢な扇が口元を覆う。
『本当に恐ろしい事。でも、あの方、何かと黒い噂の堪えない方でしたもの、良からぬ事
を考える不埒な者があったとしてもおかしく無いですわね。』
『本当に…』
クスクスクス…
『…ええ、そうですわ。あの場には国王陛下も王子もおいでになられたのですわ。陛下と
王子に大事が無くて本当に良かったこと。まあ…何方かは、王子に何事もなくて残念に
思っているかもしれませんけど…』
『まあ、お人が悪い…』
クスクスクス…
咽せるような香水の匂い。
『あら、でも…王女が連れ去られたと聞きましたわ…飽くまで噂ですけど。王妃も臥せっ
て居られるとか…』
クス…クスクス…
翠玉、紅玉、青玉。胸元の宝玉が光を反射する。
『まあ、何て恐ろしい噂。その噂が真実としたら、近衛の者は何をなさっていたのでしょ
うね。』
クスクス…
『騎士団は大失態ですわね。大体、最近の騎士団長は様子がおかしいと聞いて居ります
わ。何でも誰かに懸想して任務が疎かになっているとか…あら、噂ですわ。噂。でも……
こんな失態を演ずるのですもの…ねぇ。』
クスクスクス…
更紗、繻子、レースの襞。女人が笑う度、絹のドレスの表面に光が揺れる。
『でも、勾引されたのが王子で無くて本当に宜しかったこと。』
『本当に、王女で良かったですわね。』
…クスクス…
…………………クスクス…クス…
………クス…………………………クスクスクス
<Br歸er>
庭園には燦々と陽光が降り注ぎ、花々はその美しさを誇る。蝶は花々の間を舞い平穏な
日々を演出していた。
しかし、執務室は灰色の陰に沈む。
薄暗い室内で王と王弟は静かに対峙していた。眉間に寄った皺が王の心痛を物語る。
「この度の一件…騎士団長の処分は如何なさるおつもりで?
そもそも、騎士を纏めるには、アレは若すぎたのでしょう。」
王弟が静かに言葉を放つ。
「私が玉座に就いたときにもそう言われたものだ。」
王はしかつめ顔で呟いた。
「陛下とは器の大きさが異なるのですよ。」
「…あれは失うには惜しい男。騎士団長への処分は、事が片づいてからだ。
それに…この度の事、私にも責任が無いとも言えぬ。王子と姫をあのような場所に同行
させたのは、私なのだからな…。
とにかく、今は姫の捜索に全力を尽くしてもらわねば。」
彼はまだ若い。故に可能性を秘めていると王は感じている。
「姫が無事に戻ればお咎めなし…とお考えですか?相変わらず甘いことを…」
王弟は口の端を歪め、皮肉めいた口調で続ける。
「まあ…対外的には起こっていない事件ですからな。」
悪魔の笑みが浮かぶ。
「それにしても賢明な処置でした。王女は有効な外交手段、口の堅い者に姫と年格好の似
た娘を用意させましょう。数年の後、その娘を王女として他国に嫁がせればよい。王の娘
であるとのお墨付きがあれば別に血のつながりなど…」
ドンッと大きな音がして白い紙片が散る。
「オースティン!口を慎め!」
王は両の手を机に叩き付けた。瞳は怒りに燃え、無神経な弟を睨め付ける。
固く握りしめた両手が小刻みに震えていた。
「フフッ…王はそのくらい元気があった方が良い。何時までも覇気のない顔で居られては
皆の志気が下がりますからな。」
不敵な弟はニヤリと笑った。
「さて、私は姫の捜索状況でも確認して参りましょう。朗報が届いているやもしれませ
ん。」
一礼すると退室せんと扉に近づく。扉を開いた状態で王弟は振り向いた。
「………陛下。陛下は姫が無事に戻られると本気でお思いですか?」
残酷な問いを投げかける。
「…帰ってくる。必ず。」
王弟の顔が僅かに綻んだような気がした。
「私もそう思いますよ…兄上。」
扉が閉められた。
<J殤gerer Buder>
コン…コン…。
遠慮がちなノックの音が王を幽愁の国から引き戻す。弟が戻ってきたのかと思ったが、
瞬時に否定する。彼がこの場を訪れるのにこのように控えめである筈がない。
重厚な扉が鈍重に開かれる。その扉に隠れるように現れたのは幼き王子の姿であった。
その顔に泣き腫らした様子が伺い知れる。
「…ちち…うえ…」
日頃のやんちゃぶりからは想像も付かぬような消え入りそうな声で王を呼ぶ。
開け放された扉の向こうでは、帯剣した近衛兵が直立していた。まだ年若く、十五、六
と言ったところか。
国王の瞳が己の姿を見つめていると知って少年騎士の顔は紅潮した。
今回の事態を受けて、王宮の警備は厳戒体制を敷いている。
騎士団の主立った者達は王女の捜索にあたっており、有事の際に即座に駆けつけること
は難しい。この度の誘拐劇に乗じて、良からぬ事を企む者がいるとも限らないのだ。
王女誘拐の真意が分からぬ現状では、本来の標的が王子でないとは言い切れない。
先日のような事が繰り返されてはならぬと、王子の側にも近衛の兵を配置することに
なったのだが…。
―――フッ…どうやら、我が息子のお守りを押しつけられたようだな。
知らず王の顔に笑みが浮かぶ。
「…名は何と申す?」
少年騎士は王直々の言葉に身体を硬直させ、頬を更に紅く染めた。
「はっ、はいっ…ア、アンサラーです。ヴィンセント=アンサラーと申しますっ。」
その声が少し上擦っていたのもご愛敬だ。
「ほう…では、あのアンサラー家の?」
代々優秀な騎士を排出しているアンサラー家の出身であれば、若くして騎士団に居るの
も頷ける。
「あのアンサラー家が、何処のアンサラー家か存じませんが、そのアンサラーです。」
若い騎士は緊張のあまり自分が何を口走っているのかさえ分からない。その様子を慈愛
を湛えた王の瞳が見つめる。
「そうか、アンサラーの名に恥じぬよう鍛錬に励むが良い。」
「はいっ、では自分は此処に控えて居りますので!」
そう言うと歳若い騎士は無作法にも執務室の扉を勢い良く閉めてしまった。
幼い王子はその唐突な行動に眼を丸くする。
部屋の中には国王と王子の二人だけ。
「さて、息子…どうした?」
父親の一言に息子の瞳から涙が滂沱として流れだした。
「ちち…うえ……ごめん…なさい。ごめ…ん…な…さい。ひっく…ひっく…」
父親と二人きりになったことで堪えていたものが溢れ出したのだろう。小さな身体を震
わせて王子は謝り続ける。国王は愛しき我が子をぎゅっと抱きしめた。小さな背中を幾度
か軽く叩く。
「カイン、お前が謝る事なんて何も無いぞ。」
「でも…でも………ひっく……ぼくの…せい…で…あね…うえ…が…ひっ……」
あの日、狩りに行くという父親に我が侭を言って連れて行ってもらった。狩りに興味が
あったのは勿論であるが、それよりも従兄のエドガーが同行するという事が何より羨まし
かった。弟が行くと言えば、姉も当然の如く同行する。幼い子供達が狩りに参加できる訳
も無く、結局、子供達は邪魔にならない所でたわい無い遊びに興じることになったのでは
あるが…
あの時、父親の様子を見に行こうと護衛の眼を盗んで森に入って行ったのは自分だ。
遅れがちの姉の手を離してしまったのは自分だ。
あの手を決して離してはいけなかったのに…
姉上は森から帰ってこない。
姉上は森で消えてしまった。
幼い王子は自分を責め続けた。
「……カイン、お前だけでも無事で良かった。」
息子を抱きしめる父親の両腕に力が込められる。カインはノロノロと父親の腕から逃
れ、潤んだ瞳でその顔を見つめた。
「…んで…」
王はその言葉を聞き取れなかった。
「なんで、父上までそんなこと言う…」
皆が王子に対して無事で良かったと言う。居なくなったのが王女で良かったと。
何故そんな無神経なことを言うのかカインには分からなかった。王女もまた唯一無二の
存在であるのに…。
ただ、これだけは感じていた。姉を守れるのは自分だけであったのだと…。
それなのに…自分はその手を離してしまったのだ。
「あね…うえぇ…」
再び涙が王子の頬を濡らした。
「カイン………泣いても姫は帰ってこないぞ。
お前もいずれ玉座に就かねばならない。強くなれ。強くなって今度こそ姫を守れ。
姫は必ず帰ってくる。父が約束しよう。」
王子の小さな手が王の上衣の裾をしっかりと握った。
「約束だよ…約束…」
唇がそう呟いていた。
3.『in einer hellen Mondnacht――王女は少年に出会い、取引する。』
<Diese Halunken>
洋燈の灯りが粗末な木製のテーブルを照らしている。卓上には萎びた林檎と鈍く光るナ
イフが一本。それを囲むように揺らめく炎が生み出す幾つかの影。
「…ったく、あんな手みやげ持って帰りやがって、アンタ何考えてるんだよ。」
若い男の罵り声が狭い部屋に響いた。
「顔を見られたからな。」
罵られた方は飽くまで冷静に応える。
「その場で処分すりゃー良かったじゃねえか。大体、ガキの証言なんて何気にする必要あ
んだよ。ったく、猫の仔みたいにホイホイ拾ってくるんじゃねえよ。」
「子供に手を掛けるなんて俺の主義に反する。」
「けっ。殺し屋風情が、なに奇麗事言ってやがる。」
壁に映った影が飽きれたように両手を上げ、肩を竦める。
「ああ、煩いねぇ。攫ってきたモンは仕方ないだろう。そうだね…イイとこのお嬢さんみ
たいだし、身代金でも要求するかい?」
少し年嵩らしい女の声が割って入った。
「俺達は誘拐なんてやらねぇーよ。」
若い男の声が直ぐさま否定する。それは、本心というより、女への反抗心から出た言葉
のようだ。
「何マトモなコト言ってんのさ。じゃあ、あの娘はどうするんだよ。」
「やっぱり、処分しちまうしかねーんじゃない?」
テーブルの上にあったナイフが、いつの間にか若い男の手に握られている。そのナイフ
は男の手から放たれると、テーブルの上の萎びた林檎に突き刺さった。
「それこそ、アタシら、金にならない殺しはしないんだよ。」
「じゃあ、うちのチビどもと一緒に一人前にしちまうか?
女は閨で仕事ができるもんな。あのお嬢ちゃんなら、将来、相当の別嬪さんになるぞ。
閨事の方は追々、俺が仕込んでやるよ。」
「この変態っ!」
女の叱声が飛んだ。
<Nocturne>
格子の嵌った小さな窓から淡い月の光が差し込むと、部屋の中の粗末な寝台と小さな
机、乱雑に積み重ねられた木箱が浮かび上がった。木箱からはだらしなくロープがはみ出
ている。
寝台の上の塊がモゾモゾと動き、小さな顔が覗いた。月明かりの下、印象的な琥珀色の
瞳が映える。少女はキョロキョロと辺りを見回し、そこが自室でないことに酷く落胆の色
を見せた。
―――夢ではなかったんだ…
そう思うと自然と瞳が潤んでくる。あれからどれだけ泣いただろう。
既に一生分の涙を使い果たしたように感じるのに、涙は涸れ果てるということを知らな
い。
「…いつまでも泣いてちゃダメ。」
そう自分に言い聞かせるものの、言葉に反して瞳は潤む。
「姫は、カインのお姉さんなんだもの…泣いちゃダメなの…」
必死で涙を堪えようとするが、雫が頬を伝う。
「…お父様…お母様……カイン………どこぉ…」
堰を切ったように涙が溢れ出した。
ふと月が翳ったように感じ、少女は濡れた瞳を上げた。
何者かの手が窓の格子を握っている。そして、その横には月光を遮る黒い影。
少女は目を丸くしてそれを見つめた。
「ねぇ…泣いてるの?」
割れたガラス窓の隙間から優しい声が掛けられる。格子を掴む手は白く未だ幼い。目を
凝らすと灰色に塗り潰された顔も幼い子供のものだと分かる。そして、その顔がとても綺
麗だということも…。
少女はその顔をただ無言で見つめる。
「一人で寂しいの?」
声が再度問いかけた。少女は静かに頷く。
「ちょっと待ってて。」
そう告げると四角い窓から影が消え、少女は急に不安になった。
―――このまま、あの子が消えてしまったらどうしよう。
何故かそう思った。じっと窓を見つめていても、その姿は戻ってこない。
ガタッ。
何処かで物音がした。
窓からではない。
鈍い音を立てて木製のドアが開き、少女と同じ年頃の子供が姿を現した。粗末な衣に身
を包みながらも、どことなく気品を感じさせる。優びる面差しが中性的な印象を与え、少
年にも少女にも見えた。
「…」
少女の黄玉の瞳は闖入者から逸らされる事はなかった。その瞳には涙の痕がはっきりと
残っており痛々しい。
「可哀想に…独りぼっちで寂しかったんだね。」
白い指先が囚われの姫君の柔らかな髪を撫でる。その行為に少女は一瞬驚きの表情を浮
かべたものの、直ぐに天使と見紛う程の微笑みで応えた。
―――笑った…
もっと笑顔が見たい。そう思わずにはいられない。
「あ、あの…少しの間だったら、僕が側にいるから…」
きょとんとした表情で少女は目の前の人物を見つめる。
「男の子…なの?」
小首を傾げて問う。
その言葉で少年は、自分が女の子と勘違いされていたことに気づき、悔しさに顔を顰め
た。
「…いいよ。僕、もう帰るよ。」
踵を返して戸口へ向かおうとする。その上衣の裾を強く引く手があった。
「待って、行かないで…お願い…」
その真摯な瞳で見つめられると少年は何故か胸の昂まりを感じた。
「仕方ないなあ…少しだけだからね。」
月光に照らし出された少女の顔が明るく輝く。
「うん。ありがとう。」
少女の真っすぐな視線を受けて、少年は頬が熱くなるのを感じる。陽の下ならば紅く染
まった顔が露になっただろう。
舞い上がった心を隠そうと場繋ぎの言葉を探した。
「どうしてこんな所に居るの?」
幾分上擦った声が出る。そんな陳腐な言葉しか浮かばない事が子供心にも情けない。更
に、その言葉が少女の顔を曇らせたことで後悔の念は深まる。
「カインと森を歩いていたの…でも…カインが先に行っちゃって…それで…」
少女の瞳が潤い大粒の雫が浮かぶ。
「ご、ごめん。泣かせるつもりなんてなかったんだ。ねぇ、泣いちゃだめだよ。僕がそば
にいるよ。」
懸命に元気付けようとしている少年の気持ちが嬉しくて、少女は少し伏し目がちに微笑
む。その際、少年の腰の辺りで月光が何かに反射するのが眼に入った。
「…?」
少女の瞳がそれを注視する。少年は少女の視線に気づくと腰に差していたものを手に
取った。
「これが気になるの?これは笛だよ。」
「笛…?音が鳴るの?」
見た事の無い異国の笛を前に少女は首を傾げる。
「ちゃんと鳴るよ。聴きたい?」
「うん。」
素直に頷く少女を前に少年はちょっと悪戯っぽい表情を浮かべた。
「この笛は僕にとって大事なものなんだ。それなりのタイカがいるよ。」
「タイカ?」
「うん。取り引きにはタイカが必要なんだ。この笛の音が聴きたいなら、何か代わりのも
のを貰わなくちゃね。」
少年は最近覚えた言葉を使う。大人は取り引きの際、対価を求めるものなのだ。
「代わりのもの…」
少女が対価となるものが無いか自分の姿を見下ろすと、胸元に下がっている大きな石の
付いた首飾りが眼に飛び込んでくる。月の淡い光が映って美しい。少女は咄嗟に小さな両
手でその宝石を覆い隠すように掴んだ。
「これはダメ。お母様から貰った大切なものなの。………でも…他に何も持っていない
…」
少女は名残惜しそうに少年の手の中の笛を見つめる。その悲しそうな顔を前に少年は口
を開いた。
「別にそんなのいらないよ。そうだなあ…」
それまでの優しげな表情を一変させ、ニヤッと悪戯な笑みを浮かべる。
「それじゃ、ここに口づけしてよ。」
瞳に妖しい光を湛え、少年は自分の唇を指し示す。
「……ダメ………お口は一番好きな人としかしちゃダメなのよ。お母様が言ってたも
ん。」
「一番好きな人?それじゃ、君は誰が一番好きなのさ。」
少女の拒絶に知らず拗ねた口調になる。
「………うーんと……カイン。カインが一番好き。」
自分の知らぬ男の名前が出て来た事に少年は寂しさと苛立ちを感じた。
「………仕方ないなあ。それじゃ、ここでいいよ。」
柔らかな唇の感触が差し出した少年の頬を掠める。その暖かい部分にそっと手を当てる
と自然と顔が綻んだ。
―――ま、いいか…
祖末な寝台の客席に腰掛けた小さな観客の為に異国の横笛を構える。幽玄な音色が緩や
かに流れだす。それは曲と言い難い単音の繰り返しにすぎなかった。
稚拙で所々調子外れなのはご愛嬌だろう。
「………すーっ」
いつの間にか唯一人の観客は寝台に横になって静かに寝息を立てていた。
少年はそっと上掛けで小さな身体を覆いその寝顔を覗き混む。
「おやすみ。また来るね。」
小屋の戸が閉じられると差し込む月の光が遮られた。
月は天頂に達し、直接小屋の窓から光を降らせる事は無い。
薄暗い部屋には囚われの姫君が一人静かに眠っている。
―――もっと練習してちゃんと弾けるようになろう。
笛に刻まれた自分の名前の由来である“李歐”の二文字を指でなぞる。
ちゃんと演奏するには彼の手はまだ小さすぎた。
大人達に少女のもとを訪れたことを悟られないように閂を元通りにする。
リオウは後ろ髪を引かれる思いで月夜の道を自分の寝所へと向かった。
4.『Modeulation――子供達は遊びに興じ、大人達は困惑する。』
<Schlechter Freund>
「ちっ、太陽がまぶしいぜ。」
雲一つない空を見上げユージーンは独り言ちる。
そのまま後ろ向きに倒れ、草原に大の字になると、逆さまの世界の片隅に遠ざかる背中
が見えた。
「何だあいつ…」
最近、リオウの様子が変だとユージーンは思う。
日頃の鍛錬はそつ無く熟しているが、どことなく落ち着きが無い。夜中に眼を覚ますと
リオウの寝台が空だということもあった。
「やっぱ、あいつ変だよな。ぜってー何か隠してる。」
太陽を遮って影絵の鳥が飛んで行く。
ユージーンは眩しさに眼を細めた。
此処には数人の子供が居る。常に同じ顔触れではなく度々入れ替わるのだが、リオウと
ユージーンは物心つく頃からずっと一緒にいる。それだけに、リオウに自分の知らない秘
密がある事が我慢ならなかった。
「このユージーンさまの目をあざむこうとは、ふてえ野郎だ。」
ブツブツと空に向かって呟く。その耳には数人の子供の歓声が届いていた。
此処で彼らは特殊な訓練を受けている。幼い子供達は完全には理解してはいなかった
が、それは、いずれ人の命を奪う為の訓練だ。
今日は監視する大人の眼がないので、これ幸いと子供達は訓練の手を休め好き勝手に遊
んでいた。その子供達の中にリオウの姿はない。
「今日こそ、どこで何してるか突き止めてやる。」
ユージーンは飛び起きるとリオウの後を追う事に決めた。
リオウの背中は既に森の中に消えている。兎に角、道形に進むことにした。
森の中は思ったより明るい。
木漏れ日の差す道を抜けると粗末な小屋が見えてくる。
この小屋は普段、倉庫として使用されているのだが、子供達は罰として監禁される牢獄
と認識していた。勿論、好んで近づく子供などいない。しかし、その獄舎の閂は外され、
少し開いた戸から子供の声が漏れ聞こえる。
―――みぃーつけた。
ユージーンは意地の悪い笑みを浮かべると音を立てずに小屋の戸口へ近づいていった。
「リオウちゃん。みーっけ。」
悪友の突然の登場にリオウの顔は忽ち曇った。軽い口調とにやにや笑いが憎々しい。
傍らの少女は闖入者に怯え、リオウの影に隠れた。リオウは彼の上着の裾をぎゅっと握
る小さな手を愛おしく感じる。
邪な視線から守るように少女を背中に庇うが、ユージーンはひょいとリオウの背中を覗
き込んだ。
「ん、お前、誰だ?」
琥珀色の瞳が不作法な子供を見つめる。
「うひゃあ。また、えれぇ可愛いな。」
その言葉を聞いてリオウは訳も無く不機嫌になった。知らずユージーンの惚けた顔を冷
酷な瞳で睨み付ける。視線の意味をどう捉えたのかユージーンは慌てて言葉を続けた。
「あ、あーでも、リオウが一番べっぴんさんだよ。」
そう言うと、目の前にいるリオウの肩をバンバンと叩く。
「何だよそれ…」
リオウは益々不機嫌になった。
「…お友達?」
リオウの耳に唇を寄せて少女が尋ねる。何だかくすぐったい。
「……………仲間…」
リオウは苦労して言葉を探した。
「それにしても、随分上等なもん着てんなぁ。それに何だこの石、すっげー高そう…」
「きゃっ」
僅かに目を離した隙にユージーンはリオウの背後に廻り、少女の胸元で光る石へ手を伸
ばしている。
「触るなっ!」
その手をリオウが払いのけた。
「ちぇっ、いいじゃん少しぐらい。リオウのけーち。」
いかにも悪戯っ子という風情でユージーンが口を尖らす。ちらっとリオウを横目で見る
と拗ねた口調で挑発的な言葉を吐く。
「あーあ、しっかし、こんな薄暗い小屋の中で何やってたんだろうねーっ。リオウったら
やらしー……痛てっ!」
真っ赤に頬を染めてリオウはユージーンの臑を蹴った。
「痛ってえな…何するんだよっ。」
「ジーンが悪いんだろうっ。」
険悪な雰囲気が二人を支配する。
その時、対峙する二人の袖を引っ張る者があった。
「あ、あのね。お話してたの。姫が寂しくないようにって、いっぱい、いっぱいお話して
たの。」
少女は諍いが起こるのを必死になって止めようとする。
「何だ、お前、自分の事“姫”なんて呼んでるのか?」
少女は慌てて自分の口を押さえる。頬がほんのりと薔薇色に染まった。近頃は、自分の
事を“私”と言うように教えられていたのだが、無意識に“姫”と言っていたらしい。
「ちくしょーやっぱ可愛いなー。お前、ずっと此処にいるのか?」
その言葉に少女の顔が曇った。リオウが心配そうな視線を少女に向ける。
彼女はずっと帰りたがっている―――そう思うとリオウの心は痛んだ。
「なあ、ずっと此処に居ろよ。俺たちの秘密の場所に連れていってやるから。奇麗な花
だっていっぱい咲いてるぞ。」
「お花?」
少女の心が揺れ動く。
「行こうぜ。な、ひ・め。」
「うん、行こうよ姫。」
リオウは姫君に手を差し出した。その手を小さく柔らかな手が握る。
<Intermezzo>
お集りの紳士淑女の皆様―――
そこは貴族や要人の情報を得るのに格好の舞台だった。
そこには彼らの顧客と標的が集う。
死の請負人は喧噪に身を潜め耳を澄ます。
貴顕紳士の裏側が明らかになる。淑女の痴態が知れる。
ここでは秘密は秘密ではない。
「あくまで噂だが―――」
王宮内では王女誘拐も公然の秘密。
「まさか…嘘だろう…」
女は顔色を変え言葉を飲み込んだ。石壁の感触が背中に痛い。
「間違いない。」
路地の日陰部分に黒い服の男が潜んでいる。男の口調は飽くまで冷静だ。
「テメェで攫って来やがったくせに何余裕噛ましてんだか。」
腕を組んだ若い男が石積みの塀に寄りかかっている。
「で、あのお姫さんどうするんだよ。下手に見つかったら事だぜ。何たって王族誘拐だも
んな国家反逆罪とかに問われんじゃねーの?面倒だし、いっその事、殺っちまうか?」
「冗談じゃない。王族を手に掛けてごらんよ。それこそ、騎士団が目の色変えて追ってく
るよ。一銭の得にもならないのにそんなの御免だね。」
若い男の提案を女が即座に却下する。
「黙っていれば王女だと分からんだろう?」
黒服の男が静かに呟くが、女は首を振って否定する。
「馬鹿だね。王女はこの国一番の美女と誉れも高いルチアナ王妃によく似ているという話
だよ。それにあの珍しい瞳の色だ。見る人が見りゃ、一発でばれちまうね。」
王女を手元に置くのは危険過ぎる。
「とにかく、アタシらの手に負えないよ。上に判断を任せようじゃないか。」
「ちぇっ。結局そうなるのかよ。」
一応の結論が出ると三つの影が路地裏から消えた。
<Kap>
蒼い空に碧い海、緑の草原、そして、白い花。
目前には白い花が一面に咲き誇っていた。海からの風が花々を揺らす。
姫君は感嘆の声をあげた。
「あれが、俺たちの城だぜ」
赤毛の少年が指し示す岬の突端には、崩れかけた建造物が見える。
それは、城というよりも塔の残骸だった。
元々は燈台だったのか、物見櫓だったのかそれは分からない。だたそれは其処に在る。
傍らの少年が姫君に白い花を一輪差し出す。
姫君はその少年の瞳が深い紫水晶の色をしていることに初めて気づいた。
吸い込まれそうな深い、深い紫…
姫君は花を受け取った。
―――そうだよ。このまま、ずっとずっと僕と一緒にいるといいんだ。
5.『in den Umschlag―――ナイフと白い封書と王女の涙。』
<Bekenntnis>
夜陰に乗じ影が動いた。
その手の白い書簡だけが闇に浮かぶ―――。
官吏は書函へ手を伸ばした。
毎日、国王補佐へ書状の束を届けるのは彼の仕事だ。
書函には何札もの書状が今にも崩れ落ちそうに重ねられている。今朝、隣国の伝令が携
えてきたものもこの中にあるのだろう。
ふと足下を見ると白い封書が1封落ちていた。書函から滑り落ちたにしては少々離れた
戸口付近にあるのだが、官吏は何の疑問も抱かず書函の一番上に載せる。
普通の書簡にしては少し変わった触り心地だと思いつつ…。
官吏は書函を手に執務室へ向かった。
国王補佐のオースティンは封書を小刀で開封すると目を落とす。
「…フン、治水対策の陳情か。」
どれもこれも代わり映えのしない内容だ。
一読した書類を目の前の文箱に落とし、次の封書を手に取る。
嫌に厚みのある封書だった。
「これは…あからさまに不審だな。」
鈍く光る小刀で封を切る。
パサッ。
「………」
封状から何かが零れた。
鳶色の糸の束。
否、その色は鳶色よりも明るい。
一房の髪―――。
それは、見覚えのある伽羅色の髪―――。
<Tr穫e>
微細な空気の震えが少年を訳も無く不安にさせる。
粗末な小屋の戸を開けると直ぐに少女の異状が知れた。
―――あの子が泣いている。
暗がりに少女の嗚咽が漏れる。
悪鬼から身を隠すように踞る少女の姿がリオウの胸を抉る。
胸が痛い。
「なん…で?」
リオウは困惑する。何故彼女は泣いているのだろう?
昨日の彼女は微笑んでいた。
少年は昨日の記憶を探る。
海は何処までも碧を湛え、空は果てしなく蒼い。空と海が融合し水平線が消失する。
降り注ぐ陽光の下には白い花が咲き乱れ、穏やかな風が渡る。
そして、少女の笑顔。
少年は昨日を思い出す。
軋みながら徐々に閉ざされる小屋の戸、その隙間から覗く少女の憂いを帯びた眼差し。
その瞳は、じっと少年を見つめ…。
哀しい瞳―――それでも、涙は無かった。
少女は儚げに微笑む。
初めて出会った時以来、リオウは少女の涙を見ていない。
小屋の戸を開けるといつも嬉しそうな顔が目に飛び込んでくる。
それなのに…
あれから―――彼らと別れてから一体何があったというのか。
「何か…あった…の?」
リオウの声が掠れ勝ちになる。伸ばした指先が少女の肩に触れると、僅かにその身体が
震えた。
―――僕のこと、怖い…?
それは、とてもとても悲しい。
「………りぃ…っ」
少女は伏せていた顔を上げるといきなり少年に抱きついた。その身体に回した腕に
ぎゅっと力が籠る。
「あっ…」
突然の事態にリオウが声を漏らした。
「ご、ごめんなさい…」
少女は慌てて身体を離す。リオウはそれを酷く残念に思った。
俯いた少女の瞳から零れ落ちる涙の軌跡を少年は目で追う。
少女の姿にどことなく違和感を覚えた。少女の胸元で輝いていた宝石が無い。
「あ…首飾りが………まさか…ジーンが?」
昨日、悪友が物欲しそうに少女の首飾りに手を伸ばしていたのが思い出される。
「違うの…」
少女は慌てて首を振る。
考えてみれば、ユージーンの筈がない。昨日から彼は常にリオウと共に行動しており、
先刻まで大人の監視の下、共に訓練に励んでいた。リオウの目を盗んでユージーンがこの
小屋を訪れる機会などない。今この小屋を訪れているのはリオウの方なのだ。
「…ナイフを持った男の人が………」
その時の状況を思い出したのか、少女の顔に怯えが走る。
思わずリオウは少女を抱きしめていた。指先に柔らかな髪の感触。そして、それが無惨
にも刃物で一部切られていることに気づいた。
「…ひどい」
許せないと思った。
―――髪を切ったのはアイツに違いない。
リオウの脳裏に男の顔が浮かんだ。先程まで子供達を監視していた男。あのナイフ使
い。
「待ってて…僕、首飾りを取り戻してくるよ。」
少女を抱きしめていた両手を解き、リオウは彼女に誓う。その時、細い指先が少年の袖
口をしっかりと掴んだ。
「置いていかないで…一緒に行く…」
その手は小刻みに震え、不安げな瞳がリオウを見つめる。
少女は独りで残される事に怯えている。
「うん、一緒に行こう。君は僕が守るよ。」
子供達は暗い小屋を抜け出した。
6.『Dissonaz――悪党は宝石を奪い、少年は聞き耳を立てる。』
<Burgstadt>
城下町は喧噪に包まれている。石畳を引っ切り無しに行き交う馬車の車輪と蹄の音。
路地には様々な露店が並び威勢の良い掛け声が飛び交っていた。ある者はそれらの店を
冷やかし、ある者は店主と交渉を行う。子供達は小遣いで駄菓子を買い、頬張りながら辺
りを駆け回る。繰り広げられる平穏な日常。
男は通りの雑踏に身を任せていた。足取りは軽いがその瞳は鋭く辺りを窺う。
「その角に二人、あっちに一人。向こうにも二人…っと。」
平穏な街に不似合いな鎧を身に纏った屈強な男達の姿があちらこちらに見える。歩哨の
兵士のように街角に佇む騎士の姿からは威圧感が漂う。
「あ〜あ、如何にもって感じだね。その程度で防げると思ってるのかねぇ。」
男はニヤッと笑うと手に持っていた上衣を羽織り、再び雑踏へと身を投じた。帯剣した
騎士の側を素知らぬ顔で通り抜ける。そして、露店の一つに近づくと何食わぬ顔で店頭に
置かれている緑色のリボンが結ばれた包みを手にし、懐に入れた。
「おいっ!貴様っ!」
一人の屈強な騎士がその姿を見咎め大声を上げる。男は慌てる素振りを見せず雑踏の中
へと滑り込むようにその身を隠した。騎士がその後を追おうとするが、人の群れが彼の進
路を阻む。先程の大声に反応した別の騎士が男の逃げ道を塞ごうとするが、身軽な男は難
なくその手を逃れた。流石にこの雑踏では自慢の剣も抜く事は叶わず、騎士達は人混みの
中をただ翻弄されるのみ。
男はすでに雑踏に埋没し、騎士達の視界から姿を消していた。
「くそっ…」
騎士達は各々雑踏から抜け互いに顔を見合わせる。
「………あいつ、巧くやってくれるといいが…」
一人の騎士がポツリと呟いた。
路地裏に身を寄せた男は、着ていた上衣を裏返して羽織り直す。
「ふん、ちょろいもんだ。」
懐に入れた包みを取り出し、緑色のリボンを解く。包みの中には指輪や首飾りといった
装飾品に加工される前の宝石がいくつも見える。どれもかなり大きい。
「ひゅー、すげぇ。」
男が感嘆の声を上げた。
「なあ、何がすげぇんだ?」
男が足下に視線を向けると年端のいかぬ子供が彼の服を引っ張っている。見上げる鳶色
の瞳が好奇心でキラキラと輝く。
「ちっ…このガキっ。これヤルからあっちに行ってな。」
緑色のリボンを幼い子供に乱暴に押し付けると、男は包みを懐に戻し逃げるようにその
場を後にした。
「オレは女じゃないやいっ!」
リボンを渡された少年は去って行く男の背中にありったけの大声を放つ。
「ロデルっ、なにしてるのっ!」
「やべっ、母ちゃんに見つかった。」
母親の怒鳴り声に少年は慌ててその場を逃げ出す。
その時、少年の目には男を追うように動く影が見えた。
その道は森に続いている。
男はその道を辿る。
その後を一拍おいて人影が動く。
男は後ろを振り返らない。
鬱蒼とした森が開け、粗末な小屋が数件現れる。
その一つに男が入るのを見届けると、人影は静かにその場を離れた。
<Intrige>
リオウは窓枠に手を掛けて部屋の中を覗き込む。部屋の中には大人が三人。
大きな浅黒い肌の男と敏捷そうな若い男、そして斜に構えた女。
「あの子はどうするんだい?」
女が口を開く。
その言葉にリオウは敏感に反応した。一言も聞き漏らさぬよう耳を澄ませる。
「隣国の貴族が王女を所望だそうだ。」
「ふうん、国内じゃ足が付くから隣国に売るってことかい?
まあ、王女なら色々と利用価値があるだろうからね。それこそ高く売れるんだろうねぇ
…。で、その隣国ってブラヒストかい?」
「そこまでは知らん。」
女の詮索に大男の言葉は素っ気ない。
―――りんごく?ブラヒストに売る?………あの子が売られる?
見知らぬ国で彼女はまた独りぼっちになってしまう。
窓枠を掴むリオウの手が震える。
「そう…」
「何だ?気に食わないのか?」
「別に、上で決めた事には逆らわないさ。たださ、アタシらには何の報酬も入らないから
ねぇ。ねえ、アンタもそう思うだろ?」
女はもう一人の男に同意を求めた。
「え?…あ、ああ。」
若い男の反応に女は怪訝な表情を見せる。
「何か変だねぇ…
ところで…アンタ、ガキども放っといて何処に行ってたのさ。」
「何処でもいいだろ。」
「何か怪しいねぇ…ふうん…その胸には何を隠しているんだい。」
女が男の不自然に膨らんだ胸元を見てにやりと笑う。
「…なんの事だい?」
男は平然を装って誤摩化そうとするが、明らかに成功しているとは言い難い。
「恍けるんじゃないよ。さっさと懐のものを出すんだね。」
「あっ、何するんだ!」
それまで二人のやり取りを静観していた大男が、慌てふためく若い男の懐を暴く。男の
懐から飛び出した包みが床に落ち、中身が辺りにばらまかれた。
散らばる宝石の中に王女の首飾りが含まれている。
男は王女から奪った首飾りを他の宝石と一緒に包みに入れたのだろう。リオウの目はそ
れを逃さなかった。直ぐに窓から手を離すと戸口へと向かう。
女が床に落ちたものを一つ手に取った。
「ふうん…これは、ソルの裸石じゃないか。宝石なら金貨よりも持ち運びが楽ってことか
い?アンタ、勝手なことしたね。何が、『俺たちは誘拐はやらない』よ。聞いて呆れる
わ。」
リオウは音を立てないようにソロソロと戸を開け、僅かな隙間から身体を滑り込ませ
た。
「ちぇっ、いいじゃねえか。折角の金蔓だぜ。手間賃ぐらい貰わないとな。」
「で、独り占めしようとしたんだ。」
リオウの手が床に落ちていた首飾りを掴む。その姿を大人達が見落とす筈が無かった。
「あっ!このガキっ!」
若い男はリオウの姿に気づくと声を上げ、掴み掛かろうとする。それを辛うじて躱すと
勢いよく外へ飛び出した。
―――逃げよう。姫を連れてここから逃げよう。
もうここから逃げるしか無い。彼女が異国へ売られないように此処から逃げるのだ。
リオウは王女が待っている場所へ向かって全力で駆けた。
「待ちやがれっ!」
男が怒声と共に追ってくる。
7.『Unendliche Melodie――かくして、誘拐劇の幕は下りる。』
<Ritterorden>
歳若い騎士は木立の隙間から粗末な建物を見つめていた。
「ヴィンセント、あそこか?」
耳元で低い声が響く。若い騎士は横目で屈強な騎士の姿をちらりと見ると、再び視線を
小屋に戻し無言で頷いた。
「よくやったな。」
無骨な騎士の手がヴィンセントの頭に置かれ髪を掻き乱す。
「………っ」
子供扱いするなと瞳に精一杯の抗議を籠めて睨みつけるが、明らかに無駄な行為のよう
だ。騎士団で最年少の彼はどう足掻いても子供扱いされる。
しかし、今回は騎士団における異例の若さが功を奏した。鎧と剣がなければ傍目からは
剣技に長けた騎士だとは見えない。そこで、騎士団長は彼に身代金を受け取りに来た人物
の跡をつけさせた。該当の人物は鎧を纏った屈強な男達には注意を払ったが、身軽な少年
には警戒を怠ったようだ。
騎士団は王女誘拐犯の隠れ処を静かに窺う。
「国王陛下には知らせたのか?」
「はっ、国王補佐殿を通じて陛下まで連絡が行っているかと。」
「そうか…姫が無事であれば良いが…」
声を潜めて交わされる会話も静かな森の中では、少し離れた位置に居るヴィンセントの
耳にさえ届く。
「大丈夫さ…」
青年騎士の脳裏に幼き王子の潤んだ瞳が浮かんだ。
「おいっ、様子が変だぞ。」
慌てて顔を上げると視線の先に動きがあった。小屋の戸が乱暴に開き、怒声が響く。
騎士達が色めき立った。
「おい、何か変だ…」
窓の外を眺めていた男が呟く。鳥の声が聞こえない。森が静か過ぎる。
木々の間を黒い影が動いたように見えた。
「ちっ…アイツ、馬鹿やったね。」
零れた宝石を拾う手を止め女が舌打ちした。
「お前はガキ達を頼む。」
「アンタは?」
「王女を連れて行く。それにあの馬鹿を何とかしないとな。」
男と女は押っ取り刀で小屋を飛び出した。
<Romanze>
リオウは草叢に飛び込んだ。そこで息を殺す。
「あのガキ、どこ行きやがった。」
男の苛立った声が頭上から聞こえ、心臓の鼓動が激しくなる。
―――早くあっちへ行け…
心の中で繰り返し祈る。
男が草叢を薙ぎ払うように蹴りを入れ、その度に起こる風がリオウに恐怖を運ぶ。小さ
な身体が小刻みに震えた。
「まあ、いいさ。どうせ行くところはねえんだ。帰ってきたら、たっぷりお仕置きしてや
るよ。」
最後に一蹴り入れると千切れた草が辺りに散った。
男が離れて行く気配がする。リオウは男の気配が去ってから一呼吸おき、そろそろと草
叢の奥へと後退した。そして、先程男が居た位置から完全に姿が見えないであろう場所で
立ち上がると、向きを変えて森の奥へと走り出す。
この先は岬に通じていた。そこでは姫がリオウを待っている。きっと独りぼっちで心細
いに違いない。
―――待っていて。今行くよ。
右手に力を込めると握られた首飾りが掌に食い込む。
視界が開けると少女の安堵したような笑顔が飛び込んで来た。
勢い余ってリオウは少女に飛びつく。少年と少女は花畑に倒れ込み白い花を散らした。
「ご、ごめん。痛くなかった?」
リオウは押し倒す形になった少女の顔を覗き込む。突然のことに驚いた少女の顔に直ぐ
に笑みが浮かぶ。
「うん、大丈夫。あービックリした。くすくすくす…」
その笑顔はリオウの悪戯心を刺激した。
「だって、そんな所にいるからだよ。」
「え、姫が悪いの?」
「うん、姫が悪い。」
そうして、二人で笑った。
リオウは立ち上がると少女に手を差し伸べた。そして、起き上がった少女に取り戻した
首飾りを着けてあげる。少女は自分の胸元に石の光が戻ると嬉しさのあまり少年の首に飛
びついた。
「ありがとう。リオウ、大好き。」
少年の頬が紅く染まった。
何時までもこうして居たいと思うけれど、それは叶わない。
「ここから逃げよう。そうしないと姫は…」
―――知らない国に連れて行かれてしまう…
少女の黄玉の瞳がリオウの紫水晶の瞳をじっと見つめる。
「リオウも一緒?」
「うん、一緒だよ。」
少年の指し出す手を少女は強く握りしめた。
再び森を抜けて元来た道を辿らねばならない。
しかし―――
彼らが向かおうとする先には、黒い影が近づいていた。
<Ausreiァers>
「あ…」
青い空をよぎる白い雲が、子供達の先行きを暗示するかの如く灰色の影を地上に落と
す。
岬と集落を結ぶ獣道に二つの影があった。それらは、生い茂る草を掻き分け子供達を求
め徐々に近づいてくる。
岬から外部へ至る唯一の道が塞がれてしまった。
ここから逃れる道はもはや存在しない。
草原では二人の子供の姿を隠すものは何も無かった。
「おい、こっちだ。やっぱり、あのガキが王女を連れだしたんだぜ。全く、ませガキ
がっ!」
先頭を行く影が後方の影に声を掛ける。声を掛けられた方は無言のままだ。
少年は少女と繋いだ手を再度しっかりと握ると踵を返し岬の突端へと駆け出した。
少女は懸命に己を駆るものの、動もすれば遅れ勝ちになる。転びそうになるたび少年の
手が彼女の身体を支えた。
二人の息があがる。
岬の突端、そこには廃墟と化した塔がある。
黒く穿たれた穴で錆びた蝶番がボロボロの木の板を必死で掴んでいる。元は重厚な扉
であったのだろうか?
追いつめられた子供達は、ぶら下がる板の隙間から中へ潜り込んだ。塔の中は、空気が
ひんやりとしており、薄暗い。何本もの足を持った虫がカサカサと床を這い石壁の隙間に
潜り込む。少女は思わず少年にしがみついた。
「大丈夫だよ。」
そう少女に囁くと少年は上へと続く螺旋状の階段を見上げた。所々崩れた階段が塔の壁
に蜷局を巻くかの如く張り付いている。
振り向くと扉の残骸の隙間から塔に向かってくる二人の男の姿が見えた。
少年は少女の手を引き、崩れ落ちそうな石の階段を上り始める。足下の石が砂塵と化し
て眼下に降り注ぐ。慎重にならざるを得ないため、なかなか上へ進めない。
然う斯うしているうちに男達が塔まで辿り着いた。
蝶番から垂れ下がる板を蹴破り塔の内部へ入り込む。
「辛気くせえな…」
若い男が吹き抜けの塔の内部を見上げ、壁に張り付く子供達の姿を認めるとニヤッと
笑った。
「悪いこと言わんから。さっさと降りてこいよ。」
男の声が塔の内部で反響する。子供達は無言で上を目指す。
「あっ…!」
少年が踏み出した足下が崩壊する。風化した石が砂塵と化して地上に落ち、男達の頭
に降り注いだ。危うく落下しかかった少年は体勢を立て直す。少女は少年を支えるように
しっかりと手を握っていた。
「ったく、時間がねーんだよ。お姫様をこっちによこしな。」
頭から砂を被った若い男は苛立ち混じりに壁を蹴る。脆くなった壁がパラパラと崩れ
た。
「おい。」
それまで、口を噤んでいた男が短気な男を諫める。そして、顎で階段を上るように指示
した。
「おい、これを上れっていうのかよ。…ちぇっ、分かったよ。で、アンタはどーするん
だ?」
「俺がここを上れると思うか?」
そう言った男はもう一人の男よりも明らかに体躯が良い。子供の体重にやっと堪えるよ
うな石段が彼の体重を支えられるとは到底思えない。若い男は諦めて階段に足を掛けた。
子供達は上を目指す。
そして―――、階段は終わりを迎えた。
そこにあるのは窓だった。風景を四角く切り取った穴。
そこから覗く世界には碧い海原がどこまでも広がっている。
―――ここで、おしまい。
そう思うと少年の瞳から涙が零れそうになった。結局彼らは捕まり、少女は独りぼっち
で異国に連れ去られてしまうのだ。少年は自分の無力さに打ち拉がれる。
「リオウ…?」
少女が心配そうに声を掛ける。その顔を曇らせてはいけない。
―――ダメだ。泣いちゃダメなんだ。
ともすれば潤んでくる瞳を誤摩化すように窓の外を覗く。窓の下に少し張り出した部分
があった。それは塔をぐるりと一周し、巧くすれば隣接する廃屋の天辺に渡れそうに見え
た。
しかし、それはあまりにも危険な賭けと言えた。張り出し部分は極端に狭い上、潮風に
よって風化が進んでいる。そして、眼下は海―――。
それでも彼らに選択肢は無い。
少年は少女の身体を抱きかかえるように支え、窓の外の張り出し部分に乗せた。少女の
スカートが風に煽られる。
知らず少年の手が震える。
少年の身体に回されていた少女の腕に力が籠り、少年の唇に暖かいものが触れた。
それは優しい口づけ―――少女の柔らかな唇が少年の唇に重ねられていた。
「…え……どうして?」
少年は戸惑う。
「一番好きだから。………リオウが一番好き。」
少女がにっこりと微笑んだ。
―――ああ、神様…
「………僕も…僕も姫が一番好きだよ。」
次いで、少年が窓枠を乗り越えようと足を掛けた瞬間、何者かに襟首を掴まれた。
「やっと捕まえたぜ。このガキっ」
「放せっ!」
少年は拘束の手を逃れようと必死でもがく。
「リオウっ!」
少女は少年に手を伸ばす。しかし、その手は虚しく空を切った。
そして―――
風が少女を攫う。
均衡を失った少女の身体はどこまでも落ちてゆく。
「ひめーーーーっ!」
琥珀色の月が揺らめく。
それは少女の瞳。
<im Mondschein>
月が生み出す蒼い静寂。
硬く冷たい床に少年が骸のように横たわっていた。
その顔は無惨に腫れ上がり、唇の端には乾涸びた血がこびりついている。
何度も打たれた頬は痛さを通り越し、ただ熱さが残るだけ。
これは罰だ―――。
伸ばした指先は少女には届かない。
これはあの子を守れなかった罰だ―――。
あの時の残酷な青い空を憎む。
『わああああああああああああああ…』
誰かが耳の奥で叫んでいる。
誰か呪縛の手を逃れようともがく。
コノガキ静カニシロ…騎士二感ヅカレタ、急ゲ、逃ゲロ………王女ガ落チタ…逃ゲロ………助カラナイ…逃ゲロ…死ンダ………ロ………………
入り乱れる言葉の破片。
これは罰だ―――。
『神様はお前なんて嫌いなんだよ。』
僕も神様なんて嫌いだ。
『お前みたいな子供には神様は罰を与えるんだ。』
何度も打たれ、蹴られた。
口の中に錆の味が広がる。
痛くて、痛くて、堪らなかった。
視界が歪み、暗くなる。
これは罰だ―――でも―――
―――アノ子ヲ失ウ以上ノ罰ガアルノダロウカ?
身も心もズタズタに引き裂かれ、少年は床に転がっている。
その瞳からは一筋の涙。
哀れな子供の姿を琥珀色の月だけがじっと見つめていた。
8.『Einsatz――言うなれば、蛇足。』
王宮の庭園に色とりどりの花が咲き乱れる。
「とても奇麗ね。」
未だあどけなさを残す美しい王女は感嘆の言葉を漏らした。庭師によって丹精に育てら
れた花々は華やかな美を競い、甲乙付けがたい。
「でも、姉上はこの花が一番好きなんだよね。」
凛々しい若者が姫君に一輪の白い花を恭しく差し出す。その花は庭園に咲き誇る花々に
比べ、控えめな印象を与えた。
「まあ、カイン。態々摘んで来てくれたの?」
「ふふっ、どうしても姉上の喜ぶ顔が見たくてね。」
そう言うと王子は王女の髪にその白い花を挿した。可憐な白い花弁は、清楚な王女の笑
顔に相応しい。
「ありがとう、カイン。嬉しいわ。でも、私がこの花を好きだと、よく覚えていたわ
ね。」
「この花は、僕にとっても大切な花だからね。」
弟が微笑む。
あの日ーーー
誘拐された姉君が弟君の下に帰って来たあの日。
生死の境を彷徨った幼き王女が再び瞳を開けたあの日。
野で摘んだ一輪の白い花を王女に捧げた。
幼き王子は誓ったのだ。『姉上は僕が守る』と…
―――この花は、誓いの証。
王女は瞳を閉じ思いを馳せる。
あの日―――
幼き王子が寝台の幼き王女に白い花を差し出す。
何故、自分が寝台にあったのか王女には思い出せない。
大病を煩ったのかもしれない。怪我を負ったのかもしれない。
「無理に思い出す必要はないのです。辛い事など忘れてお仕舞いなさい。」
大人は口々に言う。
忘れたい訳ではないのに、思い出せない。
でも、幸せな夢を見ていたように思う。悲しいけれど幸せな夢。
夢から覚めた時、半身である弟が潤んだ瞳で一輪の花を差し出していた。
野に咲く白い花を。
下睫毛で震える透明な玉が雫となって弟の頬を伝う。
「僕が守るから。これからずっと、姉上は僕が守るから。」
記憶の中の琥珀色が色を変える。吸い込まれそうな深い深い紫色ーーー。
誰かが白い花を差し出だす。
『…君は僕が守るよ。』
―――あれは、誰?
百花繚乱の庭を幽玄な笛の音色が漂う。
何処か物悲しいその調べは王女を夢幻へと誘う。
美しい音色に導かれ一本の木の下へ辿り着いた。
そこには横笛を奏でる青年が一人。
まるで一幅の絵画のようなその姿に王女は瞳を奪われる。
笛の音色が静かに辺りを包み込む。
世界はたゆたう。
「…姉上?」
弟が姉の手を強く握る。
「………姉上が………また…居なくなってしまうかと思った―――」
縋るような瞳が王女を見つめる。
「ふふっ、おかしなカイン。私はどこにも行ったりしないわ…」
夢見るような瞳で王女は微笑む。
「行こう…姉上。」
弟は姉を促す。絡めた指先が何だか痛い。
―――…が一番好き。
ふと気配を感じ宮廷楽士は口元から笛を離し瞳を上げた。
何かが光を反射する。
それは少女の胸元を飾る首飾りの石。
それから、白い花が視界に入る。
それは愛おしい野に咲く花。
宮廷楽士は遠ざかる少女の後ろ姿を見つめ、そっと唇に指を触れた。
―――口づけは一番好きな人と…
さあ、物語を始めようか。
心に残るのは、琥珀色の月の残像―――
<Ende oder Fortsetzung folgt…?>
531 :
あとがき:2005/10/27(木) 20:35:07 ID:1JQ6yV0y
無駄に消費してしまい申し訳ありませんでした。
読んで頂いた奇特な方がいらっしゃいましたら感謝です。
横文字が文字化けしていますが、記号のようなものなので気に為さらないでください。
この話が、板の趣旨に反して濡れ場なしなので、濡れ場ありの
「王女がリオウと共に育ち、宮廷楽士となったリオウを追ってくる」
というパラレルものをおまけに作成しようと思ったのですが、
あまりにも本編とかけ離れすぎているので止めておきました。
(どう考えても姉上が別人すぎるし、そもそもエロ書けないし…)
それよりも、お馬鹿なコゼットの話を書きたいかも…です。
では、お目汚し失礼いたしました。
ID:1JQ6yV0y姉上、乙です!
リアルタイムでリロード繰り返して読ませていただきました。
素で感動しました、スバラシイ!
パラレルものも注意書きさえあればいいと思いますが。
少なくとも自分は読みたいです。
533 :
491:2005/10/27(木) 21:37:15 ID:Bl/c3Dwt
暖かいお言葉とても嬉しかったです。
編集頂いた姉上、本当にどうもありがとうございました。
>>502姉上
リオウの健気さに涙・・・、読んでいて切なくなりました。
心からGJ!!!です。
自分もパラレルもの読んでみたいと思います。
豚ギリスマソ。ちょっと聞いても良い?
姉上←カイン×コゼ書き始めてみたんだけどネタ的に投下おKかな?
自分的にトラウマ解消ルートで行きたいんだけども。
書き出す前に一言あればたいがいはOKジャマイカ?
投下自体はそんなに気にすることないんじゃないの?
内容についてある程度説明があればいいと思う
自分にはだめだなと思う話はスルーすればいいだけだし
>534
モレは個人的には大歓迎なネタ!
でもタイトルに避け易いようなタイトルつけるといいかもしれんね。
レスありがとう姉上たち!
なんか書いてるうちに微妙にカイ×コゼからは反れちゃったんですが…
近日中に投下させてもらうかもです。
>>537 スンマセン、タイトルはカイコゼメインじゃないんで、ちょっと違う感じの考えちゃいました(´・ω・`)
>>538姉上
楽しみに待ってます
ガンガレ!
>538
タイトルじゃなくて投下前の注意書きの事だとおも。
投下楽しみにしてる(* ・`д・´)
541 :
502:2005/10/31(月) 19:59:30 ID:FQFHk5UJ
>>532>>533 冗長な文章にお付き合い頂きありがとうございました。
暗い上に本当に長くてすみません。(語彙と表現力の無さが歴然…)
「もし、誘拐された王女がリオウと共に育っていたら〜」というパラレルは、
そのまま私の脳内に収めておこうかと思っていたのですが、
どうやら読んで頂ける奇特な(!)御仁がいらっしゃるようなので、作成を検討中です。
(現金ですが、やはり読んで頂けると嬉しいので…)
ただ、濡れ場メインということでどうなるのか分かりませんが…
………さて、どうしたものか
>>541 wktkでまってるよ〜
最近ここも本スレも賑わいがな…
ま、発売後一月たったし。
でも未だに離れることなく張り付いてるよ。
だからこそ、投下は激しくウレシス!!
>>541 ドッキドキでお待ちします
姉上の文章すごくキレイだったから濡れ場にも激しく期待
544 :
538:2005/11/01(火) 23:19:44 ID:F894e42l
こんばんわ。前に姉上←カイコゼ投下予告した者です。
書き進めてみたら、微妙にカイコゼではなくなってきました…^^;
蓋を開けてみれば、カインタソの「性の目覚めと暴走」というか、青きエロスというか。
カインの性と苦悩を書くつもりが「僕カインなのにやや黒め、ややお馬鹿風味」になってしまいましたorz
会話とカインの独白での進行。テヌキデスマソ。ちょっぴりコゼが可哀想かも。
ガッチュンはないので、微エロ…かな?
危険を感じた姉上方は、スルーでお願いします。
やたら長くなりそうだったので、ひとまず一部投下します。
では、心の広い姉上方、お付き合いください。
どうして貴方なのだろう……
どんなに願ったところで、貴方は…決して僕のものになりはしないというのに。
他のどんな誰よりも、世界で一番近い存在の貴方なのに。
貴方にとっての僕は、世界中の誰よりも近くて、でもこれ以上決して近づくことのない、一番遠い存在。
決して交わることのない、貴方と僕の距離。
それなのにどうして…こんなにも僕は、貴方を求めてやまないのだろう。
心が…想いがちぎれて、気が狂いそうなほどなのに僕は…貴方を……
―――「ねぇ、カインたら!聞いてるの?」
目の前には、僕の顔を覗き込んで拗ねてみせる、可愛い年下の従妹。
「あ……ごめん。聞いてなかった…」
「えーっ!もう。今日はせっかく一緒にいられるのに!さっきから変よ?」
「ごめん…ちょっと考え事してて…」
「ひどいわ、コゼットよりも大切な考え事なんてあるのかしら?!」
「本当にごめん……」
くるくるとよく表情が変わる愛らしい顔に、ふわふわ輝く金色の巻毛。
付きまとうように慕ってくる、春の妖精のような君を愛せたら。
きっと君も僕も、幸せだったかもしれないのに。
どうして、僕は…。
・・・思えば今日は、朝からついていなかった。
********************************************************************************************
「姉上おはよう。さあ行こうか。」
「おはようカイン、今日も一日頑張りましょうね。…では行きましょうか。」
微笑み合う。優しい時間。僕と貴方の、かけがえのない瞬間。
それだけで僕の頼りない一日が、どんなに輝いて見えるか、貴方は知ってる?
――と、不意に誰かがドアをノックする。
悪戯に微笑む少女が脳裏に浮かび、僕はまた嫌な予感が的中することを知る。
「コゼットですわ。入ってもよろしいかしら?」
「あら、コゼット。どうしたのかしら?…はい、どうぞ。」
「カイン!こんなところにいたのね!」
嘘だ。知っていてやって来たくせに。
「ああ…おはよう、コゼット。」
素っ気無く言うと、僕はさりげなく姉上の手を取る。邪魔なんだよな。見てわからないかな。
「今日は私がカインに付き添うわ!行きましょうカイン!…ねぇお姉さま、いいでしょ?」
ほら来た。冗談じゃない。せっかくの姉上との時間を、誰が無駄にするもんか。
「いや、いいよ。ごめんね、今日は姉上と約束してるから…」
「あらカイン、たまには行ってらっしゃい?コゼットもせっかく誘ってくれているのだし」
思わぬ報復に眩暈がする。やめてくれ。何てこと言い出すんだ貴方は。
「コゼット、お願いしてもいいかしら?」
「本当?お姉さま!!」
「でも…」
必死に目で訴える。姉上、僕は行きたくないんだよ。
「私とはいつでも行けるでしょう?私以外の人とも仲良くするのは必要なことよ。」
そう言って、邪気のない顔で微笑む。通じてない……双子でも無理か、やっぱり。
ずるいよ貴方は。僕が逆らえないことをわかっていて、そんな顔するんだね?
「わかった……でも、約束して。僕が戻るまで待ってるって…」
「ええ、待ってるわ。だから頑張って来てね。」
「じゃあ行きましょ、カイン!それでは行って参りますわね、お姉さま。」
姉上は僕と離れても平気なの?
「フフッ、行ってらっしゃい。」
…駄目だ。笑ってるし。手なんか振っちゃって…可愛いんだけど。
「ねえカイン、今日はジーク様のところでお勉強なのよね?」
「ああ…そうだね。」
後ろ髪引かれる僕を全く意に介さずに、屈託のない様子で、王宮の渡り廊下を歩く従妹。
嬉しそうに僕の腕を取るこの可愛い侵入者が、心底憎いわけじゃない。
そうは言っても、眩しく頬を染める顔は一時、微笑みの裏側に隠す僕の黒い感情を、嫌でも浮彫にして、
もっと僕を憂鬱にさせる。
…これで何度目だろう。そういえば視察だって、ここしばらくは行っていないような。
あの人は……姉上は、僕を避けているんだろうか?
―――「…ところで、前回お出しした宿題の論文はお持ちいただけましたか?」
「あっ…いけない、忘れてきた。急いで取ってくるよ。」
「カイン様、それでは次回でも…」
「あら、それならコゼットが…」
「いいんだ、すぐ戻るよ。」
せっかく書いたからというよりも、それを口実に…戻ってちょっと、姉上に会って来よう。
そんな魂胆など知りもせず、やや呆気に取られたジークとコゼットを無視して、足早に部屋を出た。
わざとじゃないけど、今度からこれは使える手かもしれないね。ふふっ。
急いで目的の物を持ち出すと、姉上の部屋の扉を叩く。
「姉上、僕だよ。ちょっと忘れ物して・・・」
――――――あれ?静かだ。
「姉上?……いないの?」
扉の向こうに、求める人の姿はなかった。狭くはないが、十分見通せる部屋。
隠れているのかも…と念のため、寝台の下やクローゼットの中、バルコニーも確かめてはみたけれど。
「いない……どうして…?」
待っていると言っていたのに、一体どこへ?あれは、嘘だったの?
「僕…姉上に嫌われるようなこと、何かしたのかな…?」
呟いた声が思いのほか、自分でも情けなくて、涙が出そうになる。
主のいない寝台に飛び込むようにして、枕に顔を埋めた。
「あ…ね…うえ…っ」
涙で濡れた枕から、甘い匂いを一杯に吸い込む。
貴方の残り香。女の人の匂い。ここでいつも、貴方は眠っているんだね…。
「姉上の体も…あんななのかな?」
以前、アストラッドとジークによる特別授業の資料で見た、女性の裸身図が思い浮かんだ。
白くて、柔らかくて、清らかで温かいもの、気持ちいいものだって言ってたっけ。
………。
目を閉じると、切ないような、堪らない気分が込み上げてくる。
頭の奥がぼうっと熱くなって、苦しくて思わず体を起こした。
「あ…れ?何これ…?」
自分の体の変化に気付いて吃驚する。
服の中で窮屈そうに張り詰めている…僕の下半身。
服を擦り下げて途方にくれる。
女性にはない、男性特有の『性器』というものであるらしいこれは、見たことのない状態に変化していた。
……そうか、これが。
予備知識として聞いてはいたが、実際自分の身に起こると、なんだか不思議だ。
「でも…」
確かに、女性と体を合わせる際に必用な事象だとは言っていたけれど、今はその時ではないし…。
このような場合、どうしたら良いかは聞いていなかった。
どうしよう。早く元に戻さなくては。
慌てて手で、元通りの位置に直そうと押さえつける。
なのに何度やっても、跳ね上がった形のまま、むなしく手で擦っていくばかりだ。
「早く…戻さないと…こんなところ…もし姉上に見られたら……あ…?!」
擦れているものが、僕の意思に反して更に大きく怒張し、跳ね上がっていた。
「何で…?僕…姉上のこと考えただけなのに……あっ…っ…」
僕の手の中のこれが、体中の血が集まったみたいに、激しく脈打っている。
思わず握ると、まるで反応するように、ピリピリと体の奥からざわめく。
なんだろう?…これって…なんだか…気持ちいいみたいだ…。
勝手に手の動きが早くなる。姉上を思い出して腰を動かすと、もっと気持ちよくなる感じがした。
「はあ…はぁ…っ…気持ち…いいっ……姉上姉上…あね…うえ…っ…あぁ……うっ!!」
どくんッ!―――
背筋をビクビクッと衝動が駆け抜けると、極限の快感が僕を貫いた。
「はぁ……汚し…ちゃっ…た」
一瞬の、激しい快感の後は、すっかり力を失った僕の中心部と、そこから迸った熱の滴。
寝台に飛び散らせてしまった、初めて見る白いそれが、姉上自身を汚してしまったようで…。
情けなさと申し訳なさと罪悪感と……なんともむなしい気持ちしか残らなかった。
後悔をかき消すように、丁寧に懐紙で拭き取る。
細心の注意を払って、何事もなかったようにしなくては。
「もう、行かなきゃね…。」
一抹の不安を残しながら、僕はそそくさと部屋を後にする。
………最悪だ。
穢れを洗い流すように、庭園の噴水に両手を浸す。ひんやりとして気持ちがいい。
「気持ちがいい…か。」
かあっ、と頬が熱くなる。…僕は病気なんだろうか?姉上のことを考えながら、一人であんな事…。
なんとなく禁忌な事であるように思えて、誰かに相談する気にもなれない。
「はあ……」
ひとまずジークの部屋に戻ろうと、振り返ったその時。
「あ!……姉上!!」
あんなところにいた!思わず駆け寄ろうとして、隣にいる人物が目に入る。
―――エドガー・ジペルディ。
五つ年上の僕らの従兄で、コゼットの兄。王位継承権第二位であり、それ相応の器もある男。
お互い相容れない存在であるにも関わらず、プライドの高い彼が、僕の補佐を勤めるとは皮肉だけど。
何かと不穏な噂、ことに女性に関して眉を顰める内容の多い彼が、よりによって何故今、姉上と一緒なの?
「カイン、こんなところで何をしているの……?まだ、勉強の時間のはずじゃ…」
「姉上は……?何をしていたの?部屋に…いたはずじゃなかったの?」
自分でもあからさまな程、不機嫌を露にして問い返す。姉上は…初めて目にする、こんな僕に驚いたのだろう。
「え?……私は…」
まるで助けを求めるようにエドガーを見る。大方、無理を言って連れて来られたに違いないが、そんなことどうだっていい。
姉上の態度も、この男も、すべてが不愉快だった。
従兄とはいえ、今まで特別親しい訳でもなかったはずなのに。
一体どういうつもりで一緒にいるの?姉上は、僕よりもそいつの方がいいの?
が、次々に溢れ出てくる醜い感情の中で、はっと気付く。
僕には……そんなこと言う資格なんて…ない。
『弟』だものね。姉上を咎める権利なんて、僕にはないんだ。だけど…僕は…。
「…カイン?」
僕を覗き込む姉上の顔と、快感と共に僕が放った飛沫とが、頭の中で重なって、いたたまれなくなった。
「……っ」
「…あ!カイン、待って!」
ごめん、待てないよ姉上…。
咄嗟の事に、呆れたようなエドガーの声が背中で聞こえたが、無視して走り去る。もう、ここにはいたくなかった。
―――「…ということからも解るように、このような場合のレトリックは……どうなさいました?カイン様。」
「えっ?…あ、いや…なんでもないよ。」
「ですが、さきほどお戻りになられてから、少しお疲れのご様子ですが…。」
「そんなことはない。すまなかった。続けよう。」
「いえ、今日はここまでといたしましょう。…焦らなくて大丈夫ですよ。次回また、頑張りましょう。」
「そうか…。では、またねジーク。」
「はい。コゼット様もお疲れ様でした。」
「…え…終りましたの?…ふわぁぁ…っと。じゃあ、行きましょカイン。」
「あ…カイン様。姫は次回、ご一緒にお見えになりますか?」
「姉上?…さあ、どうだろうね?知らないよ。じゃあね、ジーク。」
「カイン様……」
ジークの声も素直に聞けないほど、僕は余裕がなくなっていた。
***************************************************************************************************
結局…あれから一日、なんとなく顔を合わるのが嫌で、姉上を一度も見ていない。
夜になっても気分は晴れないまま、なかなか寝付けそうになかった。
今頃どうしてるのかな?
僕が…汚してしまった寝台で眠ってるのかな……。ごめんね。
姉上。
生まれる前からずっと一緒だった、僕の半身。
僕は男で、貴方は女。
「一生の間にめぐり会う、心から愛せる異性…か」
僕は貴方を、自分のものにしたいのかな?触れてみたいのかな?
……わからない。
でも…貴方の傍にいたい。
「だけど、貴方は僕の姉上で、家族だから、恋とは…違うんだって…」
血を分けて生まれてきた、ただそれだけの理由で僕は、貴方の前で一人の男であることも許されない。
僕たちは、永遠に重なり合うことのない人生を生きていく。
……嫌だ、そんなの。姉弟なんて実感もないのに。
思い出せることなんて何一つない、真っ白な記憶。
その空白の中にいた僕は、貴方のことをどう思っていたんだろう?
そして、貴方は……
ぼんやり浮かんだ姉上の面影に溺れながら、僕はいつの間にか眠りについていた。
〜第一章終わり〜
549 :
538:2005/11/01(火) 23:31:03 ID:F894e42l
以上でございます。
読んでいただけた方ありがとうございました!
回想や場所が移動してたりやらで、ゴチャゴチャわかりにくかったかもしれません…orz
続きがあるようなないような…。誤字脱字あったらすみません。
お目汚しご無礼しました!
いいねいいね〜!!
ご馳走様でした!
第一章ということは続きもあるのかな?
首を長くして待ってます!
551 :
538:2005/11/01(火) 23:43:45 ID:F894e42l
おわっ!
早速のレスありがとうございます!!ドキドキドキ
続き…実はありまして、三日間の設定で妄想しておりました…
書いてみたらやたら長く、そしてカインがコゼに対してもっと黒くなりすぎて
頭が収拾つかなくなったので……w
どうも自分、好きなキャラは黒くしてしまうようで(*'д`*)(リオウの前科あり
できたら日を改めてチャレンジさせて頂きます。
重ね重ね、ありがとうございました!つД`)・゚・。・゚゚・*:.。..。.:*・゚
>>544 思春期のカイン可愛いなぁ…GJ!です。
続き楽しみにしてますね。
しかし、このスレのお陰で未だに萌え持続中…
GJGJGJ!
発展途上中のカインかわいいよ。
個人的にブラックなキャラ大好きだから、続きも楽しみにしてるよ〜
544姉上のSS、Wikiに保管させていただきましたが
何だか見づらいことに……orz
誰かWikiに詳しい姉上か544姉上ご本人様
うまい事編集お願いします。
ホントニスマンカッタ……・゚・(ノд`)・゚・
555 :
502:2005/11/02(水) 20:08:02 ID:9I75eePs
Wikiに保管して頂いた姉上、ありがとうございます。
本人ですら放置しようかと考えていたくらい長い文なのにお手数おかけしました。
文字化け部分は見栄えが悪いので別の単語に差し替えておきました。
(あとは放置ですが…)
一応、ご報告まで
556 :
538:2005/11/02(水) 22:15:45 ID:ZC/GBxx8
>>554の姉上
こちらこそお手数おかけしましてすみません!dでした!!
今Wikiの方、直して参りました。
ついでにうp用に詰め詰めにしてたので、改行やらまとめてみました。
少しは見やすくなったかな?あと、気になってた部分を所々修正してあります。
>>552>>553 お褒め頂きありがとうございます(*'ω`*)
しかし、カインタン可愛いのもここまで?かもしれません。
この後、鬼度がアップしちゃってどうしたものかと…まだチェリーなのに_| ̄|○
>>555 あれだけ書き上げたパワーと文章力と萌が、すごい!GJ!
(・・・上手い人の後のうpで気が引けましたがw)
私もパラレルwktkで待ってますYO!エロも期待してます(*´Д`) '`ァ'`ァ
557 :
556:2005/11/02(水) 22:20:30 ID:ZC/GBxx8
558 :
代償まえがき:2005/11/09(水) 03:43:00 ID:l/Be/THf
深夜にふと書きたくなって、エドガー×姉上仕上げました。
エドガーに最初に乱暴にされた夜を、私なりに書いてみました。
姉上が可哀想な感じなので、苦手な方はスルーしてください。
559 :
代償:2005/11/09(水) 03:46:03 ID:l/Be/THf
それは、不幸な事故だったのだ――
姫は、逝去した両親のことを思うたび、胸がつぶれる思いをしていた。
誰が悪いわけでもなかった。ほんの少し、運が悪かっただけなのだ。
ローデンクランツの国王と王妃、そして双子の弟が事故に遭い、死んだ。
誰にも予測できない、馬車の事故だった。
ひとり遺された姫に王位権はなく、従兄弟のエドガーと姫が結婚すれば、
間違いなく国は軍事国家としての方向を歩むことになる…頭は切れるが野戦的なエドガーのことだ。
平和な国を望んでいた国王の意思を、ここで曲げるわけにはいかない――
「よいですね、姫」
典医のジークは、嵐の夜にそう言って、弟カインそっくりのクローンを姫に見せた。
「このような時のためにと、国王に言われ、私が造ったものです」
カインに生き写しのそれを見て、言葉もない姫に、ジークは辛そうに言った。
「亡くなったのは国王と王妃のみ。カイン様は奇跡的に命を取り留められた――そういうことにしてあります。
今眠っているカイン様を、時期国王として、私たちが教育するのです。
これは、誰にも知られてはならないこと。無論、このカイン様にもです。
姫、あなたにはできますか? このカイン様も、間違いなく、あなたの弟君なのです。
カイン様を、このローデンクランツの国王として育て上げること、私と約束してくださいますか」
姫はうなずいた。
この先、自分の選択によっては、国が滅ぶかもしれない、禁断の約束。
このカインを王にすることが、自分の役目なのだ。そのためならば、自分は何でもしよう。カインのために、自分の全てを捧げよう。そう誓った。
だから。
「あのカインはなんなのだ? 何故、即位式をここまで遅らせる必要がある?」
カインの教育係として選ばれた何人かの男性の中のエドガーにそう言われたとき、
姫は身を堅くし、自身を強く保たなくてはならなかったのだ。
エドガーは、記憶の一切をなくしたというカインに、帝王学を教える係りだった。
本物のカインが生きていた頃も、エドガーはカインをあまりよく思っていない素振りを何度か見せていたので尚の事、
カインと姫が顔を見せるたびに、嫌そうな顔を隠しもしなかった。
姫は記憶をなくしたと信じ込まされているカインの傍を、片時も離れず、そんなエドガーに怯えるカインの手を、そっと握っていた。
だが何度か式典や来客があるたびに、カインは失敗を繰り返し、そのたびにエドガーが手助けをして事なきを得る機会が多かった。
エドガーの不信感は、その都度たまっていたのだろう。
ある夜、自室に戻る途中の姫に声をかけたエドガーは、単刀直入に聞いた。
黄金色の髪を揺らせ、自信に満ち溢れた野性の王は、姫をがんじがらめにし、逃げることを許さない。
姫はどうすればいいかわからぬまま、エドガーの自室へと入り、エドガーがいかにカインに不審を抱いているかを長々と聞かされ、
このままではカインに即位は任せられないとまで言われ、途方に暮れていた。
不幸な事故だったのだ――
もういない両親のことを悔やんでも仕方がない。姫もカインの補佐として、王女としての教養はある。
エドガーには劣るかもしれないが、何とかうまい言い訳を、動揺する頭の中でひねりだそうとしていた。
「俺にこれ以上、カインのことを詮索されたくないか?」
うつむき、唇を噛み締めている姫の頭上で、嘲笑と共にエドガーの言葉が降って来た。
咄嗟に顔をあげ、姫はドレスの裾を両手でぎゅっとつかむ。
「カインは、記憶がないのよ。あなたもわかるでしょう? 今のカインに即位を任せられないから、
こうしてあなたたちに協力してもらっているの。今はまだ頼りないけれど、きっとお父様のような立派な国王となる。
だからお願いよ、カインの成長を妨げるような真似は――」
そこまで言うと、エドガーは柳眉をひそめ、口をはさんだ。
「ならば、条件がある」
「え…?」
目を丸くした姫に、エドガーはにやりと笑って見せた。
「俺の女になれ」
「……なん、ですって…?」
560 :
代償:2005/11/09(水) 03:47:08 ID:l/Be/THf
「可愛い弟のために、毎日献身的に付き添っている、お優しい姉上のことだ。それくらい訳もないだろう?
光栄に思え。俺は価値のある女しか抱かぬ」
エドガーが何を言っているのかわからなかった。
何故、こんな話を彼が持ちかけるのか見当もつかない。いつもの戯れにしては、彼の目は怪しい輝きに彩られ、まっすぐに姫を見つめている。
咄嗟に後ろに下がる姫の距離を、エドガーは一歩進んで元に戻した。
驚愕と怯えの走る姫の瞳は、近づいてくる傲慢な男の顔を、石の様に見ていることしかできない。
「さあ、どうする? …姫」
「エドガー…あなたは…」
「…俺は」
姫のアーモンド色した艶やかな髪を、エドガーは指に絡ませて、軽く引っ張った。
「俺は、おまえの返事をここで聞く。別にどちらでも構わん。早く決めろ」
視界がぼやけ、顔が熱くなる。こんな男だとは思わなかったと、悔しくて哀しくて、涙が零れた。
エドガーは自信家で、自分を出すことが苦手な姫を、幼少の頃、からかっては遊んでいた。
ダンスの相手をしたときだって、うまく踊れない姫を笑うような男だった。
それでも、こんな汚らわしい条件を持ち出すような男ではないと、何故か信じていた。
顔をゆがめて泣く姫を見て、エドガーは指に絡めた姫の髪を、もう一度引いた。
「泣けば、俺の許しが得られると思っているのか? もう子供ではないんだ。さあ」
姫はしゃくりあげながら、カインのことを思った。
――私しか、カインを護ってあげることはできない。
エドガーが本格的に動き出せば、カインの正体がばれてしまうかもしれないのだ。
例えば突然襲われて、怪我でも負うことになれば、たちまちわかってしまう。
カインの身体は、異様に治癒能力が高い。みるみる塞がる傷口に驚くのは、カイン本人も含めてだ。
そうなったらおしまいになる。今までしてきたことが、全て無駄になる。
――エドガーの気が変わらないうちに、決断しなくちゃ…!
561 :
代償:2005/11/09(水) 03:49:31 ID:l/Be/THf
姫は涙を拭った。
決意した途端、膝が小刻みに震えだす。本当にエドガーは、約束を護ってくれるだろうか。
考えている暇はない。ああ、けれど、震える体は、言うことを聞かない。
「…わかったわ。カインのことを、これ以上詮索しないというなら」
「ほう。さすがだな。そこまで弟のことを思っているとは」
エドガーは笑って、姫の髪を離したかと思えば、いきなり姫の頬をつかみ、引き寄せた。
「ん…っ!」
まだ、心の準備も何もないまま、唇を塞がれた。目を閉じる時間さえなかった。
吐息ごと奪われ、呆然とエドガーの緑の瞳を見つめる。わずかにエドガーの瞳がゆるみ、一瞬顔が離れた。
「エド…っ!」
抗議の声を上げようとすれば、また同じように塞がれる。黙っていろと言うように、後頭部に回ったエドガーの手に力がこもる。
息苦しくて、両手でエドガーの腕をつかむ。だがエドガーはぴくりとも動かず、姫の唇に舌を差し入れてきた。
後頭部にあった手がそのまま下におりて、姫の質素なドレスをはがしにかかる。
「はぁ…っ、あ、いや…っ!」
「親が死んでから、おまえは明るい服を着なくなってしまったな…」
顔を離し、逃げようとする姫を腕の中に閉じ込めたままで、エドガーは遠くを見るような眼差しで、紺色の姫のドレスを下に落す。
「いやっ、放してっ!」
全裸になった姫を抱え上げ、エドガーはベッドの上に姫を降ろす。
「親を忘れることもできず、カインのために働き続け…挙句、弟のために身体まで売るとは…
せっかく王家に生まれたというのに、おまえは不幸だな」
暴れる姫の両腕を頭上でつなぎとめ、エドガーはそんな姫を一瞬痛ましい目で見た。姫は羞恥と怒りに顔を染め、エドガーを睨む。
「安心しろ。…悪いようにはしない」
酷く優しい声だった。
姫が抵抗をやめ、弱々しくエドガーを見上げると、エドガーは何故か穏やかに微笑んで、もう一度、ゆっくりと唇を重ねた。
エドガーの大きな手が、姫の肌をゆっくりと這って行く。その手が乳房の周りを覆うようになると、恥ずかしさのあまりその手を上から押さえた。
「いや…、エドガー、早く済ませてしまいたいわ。あまり触らないで…っ」
エドガーは囁くような声で笑った。
「初めての癖に、生意気なことを言うな。蝶よ花よと謳われた王女の肌だ。存分に見て、味わいたい…」
「んっ」
言い終えたエドガーは、乳房の頂に吸い付いた。言いようのない甘い痺れが、姫の頭に渦を巻いて、はぜる。
「見ろ。俺に触れてもらって、ここは喜んでいるぞ?」
ちろりと舌で転がしてやれば、頂はつんと立ち上がり、その存在をエドガーに見せ付けた。姫はそれを信じたくないと、目を閉じて頭を振る。
「今まで誰にも触れさせたことはないおまえの肌…、象牙のようになめらかで、この闇の中でも輝くようだ…美しい…」
「ふ…っ、あっ!」
片方の手でやわやわと乳房を弄び、エドガーはそうつぶやきながら、頂を転がしていた舌を滑らすように、柔らかな腹部へと移動を始める。
鳥肌が立つようなものが、姫を襲った。
「これからおまえに教えてやろう…俺が与えるものだ…いいな…?」
音を立てて、姫の肌に吸い付きながら、エドガーは掠れた声で言った。姫はぞくぞくと肌を粟立たせながら、ぼんやりとその声を遠い所で聞く。
一番大事な部分が、先ほどからうずいて止まらなかった。腰が妙に浮いてしまいそうになって、何とか我慢している。
これを悟られたらおしまいだと、最後の理性が叫んでいた。
「ふふ…そう力むことはない。俺が触れているのだ。感じないわけがない…」
太ももを撫で回し、姫が嬌声を上げるのを楽しみながら、エドガーはその奥の秘所が濡れていることを確認し、笑みを浮かべた。
「ここだ…おまえのここに、これから俺が入るんだ…」
「ひやあああっ!」
くちゅりと音がしたと同時に、何かが入ったのを感じた。柔らかな疼きと、それを超える痛みに、姫は目を見開いて叫ぶ。
「だから力むなと言っただろう? 俺に全て任せておけ」
562 :
代償:2005/11/09(水) 03:51:38 ID:l/Be/THf
エドガーは指を引き抜き、立ち上がって服を脱いだ。剣や武道で鍛えた身体が、姫の涙で滲んだ視界の中にくっきりと映る。
美術の彫刻のように均整のとれた美しい身体だとぼんやりと思った。力強い腕の太さや、割れた腹筋が徐々に近づいてくる。
美しいと戯れに言われたが、それはこの男のために用意された言葉だ。そんなことを思った。
「姫…」
愛しげに名を呼び、上唇を挟むようにエドガーの唇が触れた。濡れた唇が、離れたとき銀の糸を引くと、エドガーは少し笑って、もう一度深く口付けた。
「忘れるな…おまえを初めて抱くのは、俺だ…」
耳元で、吐息と共に囁かれれば、姫の意識が飛んでいく。知らずにエドガーの逞しい背に両腕を回すと、
エドガーは一瞬動きを止め、それから姫の膝を割って、勢い良く自身を突き入れた。
「…あ……っ!!」
ふわふわと漂っていた姫の意識が、身を引き裂く痛みに瞬時に身体に戻った。
「やめてっ! やめて、エドガー! 痛い…!」
「今更やめることなどできん…ああっ、おまえの中…ん、すごく、いいぞ…!」
エドガーが動くたびに、例えようのない激痛が姫を襲った。息もできないと口を大きく開け、姫は泣き叫んだが、エドガーは止まらなかった。
「いや、いやああっ!」
「すぐ…に、よくなる…! おまえは…熱い…!」
膝をつかみ、エドガーの腰がえぐるように入ってくる。めりめりと身体が壊れてしまいそうで、姫は終わりが来るのをひたすら待つしかなかった。
「いい…こんな…のは、初めてだ…!」
「あっ、あ、あ…! い…た…!」
悦びに恍惚となるエドガーの動きに、知らず姫の口から声が漏れる。痛いのは変わらないが、確実に何か別のものが、混じろうとしている。
「…出す…ぞ…!」
エドガーが歯を食いしばり、腰の動きを一段と速めた。姫は耐え切れない感情の海に流されて、大きくのけぞる。
「……く…!」
ひときわ大きく腰を突き出すと、エドガーは腰を痙攣させ、中に全てをたたきつけた。
「あ……あぁ…!」
熱いものを感じて、姫は四肢を投げ出す。
エドガーは息を切らせ、目を見開いたまま茫然としている姫の頬を撫ぜた。
「おまえ…すごくよかった…こんなに感度がいい女を抱いたのは、初めてだ、嘘ではない…」
エドガーの言葉にも、姫は反応できなかった。ぼんやりと見慣れぬ天井を見ながら、湧き上がる涙が止まらない。
563 :
代償:2005/11/09(水) 03:53:33 ID:l/Be/THf
「姫…」
「…エドガー…」
泣きながら、姫はエドガーを見つめた。
「これで、カインのこと…」
「…!」
その言葉に、エドガーはかっと目を開き、姫の肩をつかむ。
「痛…!」
「おまえは…!」
エドガーの手をつかみ、はがそうとしても、その手はがっちりと姫の肩から離れず、小刻みに震えていた。
「…約束だったな…いいだろう。カインの件については、忘れてやる」
「……ありがとう……」
やがて低い声でそう言ったエドガーの言葉に、姫は安堵して、ほっと息を吐く。
エドガーはそれを睨みつけ、乱暴に姫の肩を放し、起き上がった。
「ただし、わかっているな」
「…はい」
あちこちが痛くて、ぎこちなく起き上がる姫に向かって、エドガーは吐き捨てるように言った。
「俺が呼んだら、すぐに来い。昼でも夜でも、いつでもだ」
「でも…昼間は、カインの」
「おまえはいつまでカインに付き添っているつもりだ? カインは男だ。いつまでも女のお前を頼っているようでは、国王になどなれんだろう」
「……そうね…」
それを聞き、しょんぼりと肩を落とすと、エドガーは乱暴に姫の顎をつかんで、上を向くようにする。
「おまえは俺のものになった。カインのことなど考えるな!」
「何を…!」
「いいな!」
脅すように声を荒げ、顎から手を放すと、エドガーは服を着、不安そうにこちらを見ている姫を見下ろした。
「今夜は俺の部屋で寝ろ。…今日はもう、おまえを乱暴にしない」
「でも、エドガーは…?」
「俺はいいから、寝ろ」
「うん…」
姫はごそごそとベッドの中に入った。エドガーは大きく息を吐くと、姫に言った。
「俺から離れられないようにしてやるからな、覚悟しておけ」
そう言って、部屋から出て行った。
残された姫は、痛む身体を抱きしめて、がたがたと震えだす。
カインのためと、エドガーに抱かれてしまった。
これから何度、こんな夜が来るのだろう。いや、エドガーは時間など気にせず自分を呼ぶと言ったのだ。この地獄から抜け出すことは、エドガー次第なのだ。
何故、エドガーがこんなことをしたのかわからない。
だが自分の存在が、エドガーの目をカインからそらすことができるのならば、耐えなくてはならないのだ。
カインのために。
造られたカインに、大きすぎる使命を与えている自分が受けるべき報いなのだと思おう。
だから、泣くのは今日までだ。
明日から、何もなかったような顔をして、カインの傍らで彼を支えなくては。やることはたくさんある。
姫は無理やり自分の気持ちを落ち着けると、ゆっくりと眠りに落ちて行った。
――それは、不幸な事故だったのだ…
そうだ、不幸な…
終わり
564 :
代償あとがき:2005/11/09(水) 03:56:16 ID:l/Be/THf
愛ある描写にしようとしたのですが、やっぱりこの段階では無理でした。
ゲームでの姉上は、ゲーム上仕方ないとは言え、あっさりしてんなーだったので、葛藤を書いてみました。
それでは失礼します!
565 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/09(水) 12:41:55 ID:tpwwSIQ4
乙age
薔薇×姉上、グッジョブ!
ゲームに忠実に書かれているけどゲームの薔薇よりいいなとオモタ。
細かいとこまで補完させてもらった感じ。
ネタがあったらまた光臨してください。
>>558姉上、GJ!!
薔薇のちょっとした嫉妬っぽいのに(*´д`)
ゲームのあっさり部分の補完ができました。
薔薇がきてたーーーーーー
GJGJ!!
ゲームではほんと描写足りなさ杉。
しっかり補完させてもらえました!
ご馳走様デスタ!
ところで……
いまもう、474KBまできてるんだけど、次スレの心配はいかがなもの?
1000まで書き込めないのか?無知スマソ
確か500KBまでだったような…
だから、この手の長文投下スレは、1000前に書き込み不可になるよ。
そうなの?!
近日投下予定だったんだけどどうしよう…
長くはないけどもし、次スレあるならちょっと待ったほうがいいかな?
573 :
572:2005/11/13(日) 02:45:32 ID:DGYBdpJi
とかいいつつも、次スレあるかどうかもわからんので、待ちきれずに投下。
カインEDルート即位式後の設定の話です。
エロ無し。ギャグというか、おフザケというか。シリアスではありません。
嫌い・苦手な方はスルーお願いします。
深夜ジークの部屋を訪ねたカインの悩みに、ジークが赤くなったり青くなったり。
ジーク視点・語り進行です。
キャラがやや別人っぽくても、たまにはこんなのあってもいいと思われる姉上方
よろしければご覧下さい。
ある夜のこと。
私の部屋の扉を叩く音がいたしました。
―――コンコン。
「はい?…どなたです?」
「ジーク、僕だ…カインだ。」
「カイン様?!」
このような時間に国王陛下直々とは何事か?!と、私はいささか胸騒ぎのする思いがして、
あわてて扉に向かいました。
「カイン様…こんな夜分に、どうなさったのです?」
「すまないジーク、ちょっと話があって…入ってもいいかな?」
「はい、もちろん構いませんが…。すみません、そろそろ休もうかと思っておりましたので、
こんな格好で失礼を……。」
あわてて夜着の前を閉めなおし上着を纏うと、カイン様は、
「あ…ごめん、こんな時間に来た僕が悪いのだから、気にしないで。」
と、国王らしからぬ(と言っては失礼ですが)優しいお言葉で、かえって恐縮しておられるようでした。
「なにぶん散らかっておりますが、どうぞお入りください。いまお茶をお入れしますから。」
中にお招きすると、カイン様は、まるで初めてやって来た子供のように、何故か落ち着きのない様子で
私の部屋を見回し、ソファにお掛けになられました。
「これが女性の部屋ならば、ずいぶん甘美な状況でございましょうね。」
茶器を用意しながら、微笑ましい思いがして頬が緩む私の背中の向こうで、まるで調子の違うカイン様の、
やや重く緊張を含んだお声がいたしました。
「いや…実は、話というのは、その…ことなんだ。」
そのこと?
一体どのことでございましょう?
女性のこと…今ここにいるのは私、男ですね。まあそれはそれとして。
わざわざ深夜に部屋を訪れる状況…とはつまり、あんなことやこんなことや甘美なことをしたい為、
(アストラッドの受け売りですよ!)だとして…。
そのこととは『アノ事』でございますか!?
しばし考え、私ははたとある可能性を思いついて、背中に一筋汗が流れました。
まさかまさかうちのこに限って…etcなどの各ご家庭に良くあるような、親御さん方の
心の叫びに似た気持ち&(貞操の)危機感が、次々と私の内に湧き上がってくるようでした。
…いやたしかに、浮いた話の一つもない私に、実はそっちの方がお好きなのでは?などという、
風の噂を聞いたこともございます。
ですが、ですが、ですがっ!
カイン様に問いかけようと恐る恐る振り返り、目の前にその姿を見つけた時は、私も心臓が止まるかと
思うほどの驚きでした。
「っ!?」
「ジーク…こんなこと、他の誰にも相談できないんだ…。聞いてくれる?」
思いつめた様に私を見つめるカイン様の表情は、とても真剣でございました。
私は気持ちを落ち着かせようと、少し息を整えて、カイン様に向かいました。
例えどんなお話でも、真剣に、誠実にお聞きし、お答えしなければならない。
いかにそれが、驚くべき内容であったとしても。
それが私ジークの、典医として、カイン様の生みの親として(これは言ってはいけませんでしたね)、
そして男としての責任だと!…そう心して伺いました。
「僕は…他に……女性を愛することは出来ないんだ。」
きた!ああ、とうとうその禁断の一言を言ってしまわれたのですねカイン様…!
だがしかし、典医たるもの、ここでうろたえてはなりません。
努めて冷静に、なるべく遠まわしに気付く心遣いをしなくては。
そして出来ることなら、早いうちに軌道修正して差し上げるのです!ええ、私が!
「何故なのですか?その…女性の体を愛する方法(ああ恥ずかしい)は、アストラッドとも特別授業で
お勉強いたしましたし。まだなにかわからないところでも?」
「いや、そうじゃくて、僕が言いたいのは…気持ちの問題なんだ。」
「気持ち…というと?」
ああやはり女性よりも…?聞くのが少し怖いような気がいたします。
でもここでカイン様の心の内を明らかにすることも、きっと愛の授業(いつからでしたか?)の一環でございますね。
「前に言っていたよね。一生に一度心から愛せる人とめぐり合い、恋に落ちた二人が結婚するって。」
「はい、確かに。愛を誓い合い結婚した二人が、共に生涯を支え、家族を持ち、幸せを得るのです。」
「うん……でも、それが無理な場合は?」
「無理とは……何故、そのようにお思いになるのです?…女性に魅力をお感じになれな…」
「駄目なんだ、どうしても!僕が他の…女性をどうしても愛せないから…。だから僕は…誰とも結婚しない!」
「ちょ…ちょっと待って下さいカイン様!突然何をおっしゃいます?落ち着いて下さい!」
「僕は落ち着いてるよ。僕は一生、誰とも結婚するつもりもない。だから…世継ぎも残せないと思うんだ。
それでこの国の将来的に、この先どうしたら良いか、相談に来たんだけど…。」
なんということでしょう!
カイン様ご自身の、色事のお好みの悩みを伺うつもりが(私が早合点していただけですが)、かような重大発言を
お聞きすることになろうとは!
いけません!!
それではせっかくのハインツ様の御遺志も!あの恥ずかしい授業も!すべてが水の泡になってしまいます。
なにより私が丹精こめた秘術の数々が…もとい、あの生まれたての雛のようだったカイン様をここまでご立派に、
無事に即位されるまで支え続けていらした姫が、嘆かれるご様子が目に浮かびます。
せめて形だけでもご結婚を、そして子作りだけでもしていただかなくては!
「決め付けてしまわれるのは良くありません。カイン様がおっしゃるのは気持ちの問題でございましょう?
でしたら一度、その…何と言いますか…女性のお体を…お試しになられてはいかかでございますか?!
何事も経験でございます。お気持ちも変わってくるかもしれませんし、その…自信もお付きになるのでは?
それでも無理とおっしゃるなら…その時は、私が…責任を持って…た、たっ…対処を…」
ああ!私としたことが、何ということを口走っているのでしょうか…。
恥ずかしさのあまり声まで裏返ってしまいましたが、これもすべてカイン様および、王家繁栄のため。
耐え忍びましょう。ええ、そうですとも。
ですが、返ってきたカイン様の答えは意外なものでした。
「ああ、そっちの方は大丈夫。というより、全然問題なかったよ。思ったより上手く出来たかも。」
あろうことか、にっこり満足げに、何故か頬を染めて微笑んでいらっしゃいます。
そのご様子には、なんだか余裕すら漂っておられるようにも見えます。
「え?それは…?」
ひょっとして既にもう実践済み……ということなのでございますかカイン様?
え!?
いつの間に?!
おそらく、豆鉄砲でも喰らったハトのようになっているであろう私に、尚もカイン様は、瞳を輝かせ、
喜びに満ち溢れてお話になります。
「恥ずかしかったけど…嬉しかったよ。いろいろと教わった事も役に立ったし。あんなに触れ合うことが
…良いことだとは思わなかったな。ひとつになるって気持…」
「ああああカイン様!生々しいお話は結構です!…って、それはその、つまり女性と…ということですか?」
そういえば、先ほどからやたらと『他の』女性…、と強調されていらしたような…?
「何言ってるの?あたりまえじゃないか。おかしなこと言うな、ジークは。あはははっ。」
……ああ、そうでした。私としたことが迂闊でございました。
異性と愛し合うとはお教えしていても、同性が愛し合うことがあるなどと授業でお話ししたことなどは、
ただの一度もなかったのです。
だとすれば、純真無垢なカイン様には、男と男が…などとは想像もつかないこと。
…私の取り越し苦労でございましたか。そうですか。
などと胸を撫で下ろし(それにしても、あのカイン様がとうとう…)、まるで父親の気分で感慨に浸っていると、
突如疑問が浮かんでまいりました。
はて、カイン様のお相手とは?
「カイン様……不躾なようですが、どなたか心に想う女性がおありなのですか?」
「うん…実はそうなんだ。ジークすごいね、どうしてわかったの?」
この場合わからない方がある意味すごいと思われますよ、カイン様…。
「コホン…それはともかく、体と体で愛し合っ…いえ、結ばれたお相手は…そのお方でございますか?」
言葉を選びながら、なんとなく聞く方も恥ずかしく…。しかし重要なことですので確認しなければ…。
「いやだな、決まってるじゃないか。愛し合っているから、二人がひとつになるのだろう?」
再び余裕のカイン様が、さらりと言ってのけられます。
経験とは、こうも人を変えるものなのでしょうか。
「まあその…おっしゃる通りなのですが。それでしたら、何が問題なのでございますか?」
「いくら愛し合っていても、どうにもならない壁があるんだ…。」
「カイン様…」
ははあ。これはひょっとして、身分違いの恋ということでしょうか?だから悩んでおられる、と…なるほど。
でしたら、ここは私が一肌脱ぎましょう!私とて、カイン様の父親のようなものでございますし!
「私に出来ることであれば、いくらでも力をお貸ししましょう。いろいろと方法が見つかるかもしれませんよ。」
「ジークは何も知らないから…。無理だよ、絶対に。」
随分と信用がない言われようでございますね、カイン様…。少しジーク(パパ)は傷つきましたよ…。
ですが、ここでめげてはいられません。カイン様のためにも!
「それはそうですが、何も教えていただけないのでしたら、お話の伺いようもございませんよ?」
「そうか…うん、そうだね。ごめん、ジーク。僕は世継ぎのことだけ話を聞いてもらえればいいかと思って…」
「ご結婚のことも大事ですよ。カイン様が想う方とそうしたいのならば、そうできるようにお手伝いしたいと
私は思っております。」
「ありがとう、ジーク。なんだかジークなら、どうにか出来そうな気がしてきたよ。」
「ふふっ、それはどうでしょうか。ちなみに、どんな方なのです?カイン様ほどの方が、心惹かれ魅了された、
その幸運な女性とは…?さぞかし麗しく、素敵な方なのでしょうね。」
やはり、従妹のコゼット様?身近な年の近い女性といえばそれぐらい…あとは、何方の令嬢でしょうか?ふふふ。
「うん。…その人はね、美しくて、とても優しくて、誰にでも好かれていて、心が綺麗で、思いやりがあって、
僕の為にいつも一生懸命になってくれるんだ。何もわからなかった僕に、少しずついろんなことを教えてくれて、
いつでも一番近くで支えて、見守ってくれる。それが、どんなに心強かったか…。」
心に想う方のことを、はにかみながら、柔らかい微笑みで、幸せそうに語られてゆくカイン様…。
なのに…何故か私の心には、一抹の不安がゆっくりと芽生え、渦巻いていくのでした。
「彼女が微笑んでくれるのが嬉しくて、その笑顔を見ていると、僕も頑張れるし、なんだか元気になれるんだ。
毎日部屋に迎えに行くのがとても楽しみだったから、一緒にいられない日は淋しくて…。そんな時我侭を言って
困らせたりもしたけれど、彼女はちっとも怒らないんだ。そんな彼女が、たまらなく可愛く思えてきて、
心に住みついて、頭から離れなくて、僕と同じ色の瞳に見つめられるだけで、なんだか胸がどきどきして、
いつも彼女の姿を目で追って、声が聞きたくて、傍にいたくて、あの髪に触れてみたくて、抱きしめたくて、
口づけしたくて、僕だけのものにしたくて、肌に…」
「カ…カイン様、少し落ち着きましょう…」
いや、むしろ私が落ち着かないと…仮にも私は齢100余年(少しサバを読みました///)の年長者なのですから…。
「ああ、ごめん。つい夢中になって…。でも彼女は、やっと見つけた僕の宝物なんだ。彼女さえいれば、
僕は他に何にもいらない。全てを失ってもいい。一生、互いしかないと決めたんだよ。」
同じ色の瞳の女性。
……なんということでございましょう。
名前こそおっしゃいませんが、カイン様が口にした女性はおそらく『あの方』以外に、私には考えようがございません。
そして『あの方』ならば、結婚出来ない理由は正に一目瞭然、皆目不可能、至極当然と言わざるを得ません。
まさかこんなことが起こるなんて!
ハインツ様…ジークは、よもや夢にも思いませんでした。
「真実の恋は一つなんだろう?例え好きでも、結婚できない場合は?他の誰かと結婚なんかしても、絶対に愛せないし
そんな世継ぎなんて欲しくない。結婚って、自分に嘘ついてまですることなのか?だったら僕は結婚なんてしない!」
おおカイン様、お気は確かでございますか…。
私には…刺激が強すぎて、いまだ信じらぬ気持ちで一杯です。
あああ、ハインツ様…一体私はどうしたら良いのでしょう?
やはり私のしたことは間違いだったのでしょうか?
『あの方』が…生まれたままの姿で、カイン様と甘い吐息に溢れて睦み合い、あんなことやこんなことを…(鼻血)。
はッ!…私としたことが、なんと淫猥な妄想を!
…ですがどうやらお二人が、一線を越えられてしまったのは事実な訳で…(眩暈)。
確かにカイン様はカイン様であってカイン様でなく(なんとややこしい)、厳密に言えば実のカイン様とは違うとも…。
これではハインツ様のご遺志が…しかし直系の血が交わり子が生まれると思えば、それはそれで一石二鳥…?
否々!そんな神をも恐れぬ行為、誰が許しましょう!?(今更私が言えたことではありませんが)
人道的にも…というよりも医学的には…いや道徳的に…とりわけ宗教的に…世間体がぁ…されどお世継ぎは……
「ジーク?ジーク、聞いてる?どうしたの、一人でブツブツ言って…」
「……カイン様、その女性というのは…」
「ああ、駄目だよ。それはジークにも教えられない。気持ちを隠すなんて嫌だけど、いつどこで人の噂になって、
僕たちが引き裂かれてしまうかわからないからね。これは…生涯秘密の恋なんだ。」
内緒にしていらしたおつもりでしたか、カイン様…。
忍ぶれど色に出にけり(というかバレバレ)でございますよ。
「畏れながら、カイン様、このお話を伺ったのは、私だけでございましょうか?」
「そうだけど…。本当はアストラッドの所にも寄ったんだけど、なんだか取り込み中みたいだったから…」
…私は二番手でしたか。
始めに「他の誰にも相談できない」と伺ったのは、私の空耳でしたでしょうか?
まあ、いずれにせよ、アストラッドが取り込み中(どうせコトの最中でいらしたのでしょう)だったのは幸い…。
勘の良い方ですから、上手いこと誘導尋問かなにかで、カイン様のお相手を見抜くことなど容易いはず。
彼は口は堅いでしょうけれど、ついうっかり寝物語に、口さがないご婦人の耳にでも、要らぬ情報が入らない
とも限りませんし…。(コトの後は、男は饒舌になるものですからね!)
「カイン様、お約束していただけませんか?このお話は私ジーク以外、他の誰にも決して口外されないと。」
「あ、ああ。でも…」
「でもも何もございません。これは重要な問題ですが、むやみやたら、様々な人に意見を求める事ではないのです。
どうかこの問題は、私の胸の内だけに。慎重に時間を掛けて考えさせていただきます。ですから……」
「そう…なのか。わかった。ありがとう…ジークに相談して良かった。ちょっと気持ちが軽くなったみたいだ。」
お礼などおっしゃらないで下さいカイン様!
なんだか騙しているようで申し訳ない思いがいたします。
口外して欲しくない一心で言ってみただけで、私とて何の名案も浮かばないのです…。
「それはそうと…ひとつ重要なことを忘れておりましたが、カイン様はそのお方と一生…その…愛し合っていかれる
おつもりですか?その方も、同じお気持ちで…?」
「ああ、もちろん。例え誰にも許されなくたって、僕は彼女を一生守り続けるし、彼女もずっと僕の傍にいてくれると
約束してくれた。辛いだろうけど、何があっても……ジークにだって、邪魔はさせないよ。」
それほどまでに…カイン様と『あの方』の決心は固いのですね。
私は、無理にでもお止めするべきなのでしょうか。
それともこのまま、黙って見過ごすべきなのでしょうか…。
「…ならば、もしその方との間に、カイン様のお子がお出来になったら、どうなさるおつもりですか?」
「あ…!それは…考えてなかったかも…」
「たとえ結婚しなくとも、男女が体を合わせるということは、そういうことも起こりえるのですよ。」
「そうか……では、その子を世継ぎにすればいい。僕の子供なら問題ないのだろう?その方が僕も嬉しいし。」
「カイン様……そんな単純なことではございません!妻のいない国王のお世継ぎなど、皆に…世間になんと言って
説明するのですか!?だいいちその女性が、周囲の目にどう映るか…」
『あの方』が好奇の目に晒されるかと思うと、私にはとても耐えられません…。
「駄目かな…いい考えだと思うんだけど…。ジークなら、何とかできるんじゃないかな?」
「カイン様は私を買い被りすぎです……はあ。これからは避妊の方法なども、いろいろ検討しなければなりませんね。」
「ひ…にん?何それ?」
「女性と愛を交わし合う時に、妊娠しないようにするための処置です。お世継ぎを作られることを第一に考えて
おりましたので、敢えてお話していなかったのですが、私も詳しく調べませんと…」
「なんだ、やっぱりジークはいろいろと知ってるんじゃないか。じゃあ、後のことは、全部ジークに任せるよ。」
「はっ?!カイン様、私はあくまでも一時的な対処法の例として…」
お二人のそのようなご関係を、私は堂々と認めたわけではありませんよ!!カイン様!
「だけどジークになら、僕が思いもつかないような、いい考えが浮かぶ気がする。だから…駄目かな?」
「う…カイン様それは…確かに私は典医として、出来るだけのことはするつもりでおりましたが…」
「ね。だったらいいだろう?あー、良かった。これで安心して眠れるよ。そろそろ寝ないと、明日は視察が
あるからね。姉上と二人で港に行くんだ。ほんとはもっと遠くの方がいいんだけど、それは次の長い休みまで
お預け。ふふっ。…じゃあね、おやすみジーク。良い夢を!」
「あっ、カイン様!お話はまだ…」
―――パタン。
入れかけのお茶と、なかば呆気にとられたままの私を残し、カイン様はなにやら、来た時とはまるで逆に、
上機嫌でご自分の部屋へ戻って行かれました。
これは……どうしたものでしょう…。
今夜だけで、カイン様の色事のお悩みから、果ては国家最大機密級の禁忌に発展しようとは…。
しかも……明日は視察でございますか。お二人で。楽しそうでよろしいことで。
私はこんど『あの方』にお会いしたら、一体どんな顔をすればよいのでしょう。
もちろん、何も知らない風を装わなければならないのでしょうが、果たして平静を保てるか…自信がございません。
後悔と迷いと、失恋の胸の痛みが、ゴチャゴチャと混乱して、何か考えようにも頭が回りません。
嗚呼ハインツ様…私たちが生み出したカイン様は、あなたのご遺志通り、立派に国王として即位されましたが、
それと同時に私に、大きな悩みの種をもたらして下さったようでございます…。
こんな大それたこと、とても私一人で抱えるには耐え難く、かといって誰に相談できるでもなく、ただただ
ため息のみが、むなしく通り過ぎて行きます。
私はこれから、どれだけの眠れぬ夜をすごさねばならないのでしょうか…。
ハインツ様…どうかお見守りください。
私はまだ当分…この国から離れられそうにございません……。
私がジペルディ家の方々の存在を思い出したのは、それからしばらく後のことでございました。
〜END〜
以上でございました。お読みいただいた方ありがとうございました。
稚拙な文・改行で読みづらいと思いますがすみません。
敬語とか謙譲語とか、たぶんいろいろ間違ってると思います。ごめんなさい。
このスレのあるうちに「カイン様〜第二章」をうpしたかったけど、
こっちが先になりました。サイト持ちじゃないのでこのスレはありがたかったです。
>>579 ジークの慌てっぷりがカワエエ(*´Д`)ハァハァ
しかも、さりげなく姫に失恋したとあるのが
姫←ジーク好きな私にとっては大変美味しかったですw
恋は盲目状態のカインに今後も振り回されるに違いない〜
すっごく面白かったよ!
>>579 GJGJ!!
テラワロス!ながらテラ萌え〜。もちろん典医に。
テンポよくてほんとに楽しかったですyo!
本当に典医はやられキャラっすね〜
そんな典医が最高にはぁはぁ…
>579
すんごい面白かったです!
ジークと言えばパパ属性でむっつりで姫スキー!
だと勝手に思っているのですが、見事に表現なされてますw
話のテンポとか言葉回しが絶妙でGJGJですた。
この作品の続きはないんでしょうか?
ところで次スレいかがいたしましょうか?姉上方。
できれば次スレ欲しいです…。
ROM専ですけど、ここに投下される作品は
どれも読み応えがあっていつも楽しみにしているので。
次スレ立てるのはマンセーなんだけど、30レス入れるだけの
ねたがあるかどうかで……即死はこまるっす。
>>580>>581>>582 ありがとうございます!こちらこそ姉上たちの優しい言葉に超萌です(*´∀`*)
夜中にムラムラっとして一気に仕上げたのですが、書いてる時すごく楽しかったので、
喜んでもらえて嬉しく思います。
ジークの人格壊しすぎかと心配だったのですが…萌えて頂けたのは嬉しい予想外でしたw
単発の話なので続きは考えてなかったですが『カイン様のヰタ〜』のカインと同じ子ですので、
そちらの方で続きがあるかも…です。(スレがまだあれば…)
それから一つお詫びが…過去ログ確かめないでうpっちゃったので
>>265の姉上とタイトル被っちゃいましたorz・・・すみません。
586 :
585:2005/11/14(月) 01:32:59 ID:Y+AVz8ak
すいません↑のバカは579でございました…
誰のレスだかわからんじゃんか…orz
アク禁やっと解除…
>585
姉上GJ!
カインとジークが無茶苦茶可愛い。楽しませて貰いましたよw
それにしても姉上、多作にして早筆ですね。
カインの続編も読みたいので新スレ立てたいけど、自分じゃ無理だ…orz
誰かお願いします。
>584
各人の読みたい内容でも、今までの感想でも、何でも、
とにかく1行レスしていけば30くらい埋まるんじゃなかろうか?
すみません。ただいま
579姉上のSSを保管庫に保管中なのですが…
タイトルは「悩める典医の夜は更けて」ですが、
カップリングはカイン×姉上ですよね。
ジークとカイン、どちらの所に入れるべきでしょうか。
話の主役はジークなので、
一応ジークのところに保管しました。
マズかったら訂正orツッコミお願いします。
てか容量的に書き込めなくなる寸前なので次スレ立ててくる。