王宮夜想曲@乙女ゲの萌え小説 第2曲

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643名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 03:12:26 ID:72+6qKRR
638です。除夜の鐘とともに煩悩を吐き出すつもりが遅くなりました。
このゲーム再プレイはきついし、今プレイ中の姉上は
このスレにいないっぽいですね。やっぱり。
国名は無しにしました。国の位置関係も適当。
注意:
・エドガー求婚断りエンド救済。
・公式SSは読んでますが、特典CDのエドガー家出話は聴いてないので
設定がずれてたらすみません。
・板の趣旨に反し、エロ描写の比率が少ないです。
作品の似非ドイツ風が気にいっているのでタイトルはEis。
ドイツ語で氷の意味です。
綺麗な話にしようとしたのに、最後ドタバタになってしまった
大団円妄想なんですが、しばらくお付き合いください。
644Eis 1:2007/01/04(木) 03:18:31 ID:72+6qKRR
夕方から降り始めた雪は、次第に風を伴って轟々とうなりを上げる
吹雪になり、数メートル先も見えない。
そんな中、エドガーは、城に向かって街道沿いに馬を走らせていた。
冬の短い日はとっくに落ちてしまい、遠くに城の高い塔の明かりが見えるの
だけが頼りだった。
少し前に町の灯りを見たとき、もう、ここで休んで城に帰るのは、
明日にしようという考えが一瞬頭をよぎったが、姫に会いたいという気持ちが
身体を支配して、気がつくと馬を前に進めていた。
国一番の乗馬の名手とはいえ、間に合わせの馬で積もったばかりの雪の上を、
強風を身体に叩きつけられながら進んでいくのは至難の業だった。
何度も新雪に足をとられ、危うく落馬しそうになりながらも、何とか
城に到着したときにはすっかり夜中になっていた。
驚く門番を尻目に、眠っていた馬番をたたき起こして馬を預け、雪まみれに
なったマントを取って、向かったのは自分の部屋でなく、姫の部屋だった。
即位式が終わったあと、姫はどういう相手に嫁いでもやっていけるように、
これから身の回りのことは全部自分でしたいと、カイルに申し出て従者の
エミリオも昼間以外は離れてさせていた。
この申出はカイルだけでなく、エドガーも驚かせ、姫の真意がどこにあるのか、
頭を悩ませる種となったが、求婚を断られた後も、隙を見計らって姫の部屋に
忍んで行くエドガーには、とても都合が良い状況だった。
645Eis 2:2007/01/04(木) 03:19:33 ID:72+6qKRR
姫の部屋に近づくと、いつものカツカツとした足音を抑え、控えめなノックの後、
低いが良く通る声で、ささやいた。
「姫、起きているか」
一瞬、静寂が返ってきて、もう眠ってしまったのかと溜息ついたが
ドアに駆け寄る軽い足音がして、ドアが開かれるとそこには、
柔らかい髪を降ろした夜着姿の姫の姿があった。
「エドガー、入って」
この部屋に何度もエドガーを迎えることに慣れた姫は、天井の高い石造りの
この城では廊下で話をするのが、一番、響くのだということを学んでいた。
静かにドアを閉めて、暖かな暖炉の傍まで動いてから姫は、おもむろに口を開いた
「エドガー、もしかして、今、戻ってきたの?」
気がつくとエドガーの髪に凍り付いていた氷はいつの間にか解けて、
暖炉の炎に照らされた水滴が、金の髪をますます輝かせた。
「ああ。昼にアーデンで雪が降り始めたのだ。地元の者が、これから本降りになって、
二、三日は道が凍ると言うので、馬で帰ってくることにした」
姫は奥から拭くものをもってきて、渡しながら聞いた。
「でも、馬車で行ったのではなくて?」
王の名代ということで、視察には王宮の馬車が使われていた。
「ああ、御者は、前国王夫妻の事故があってから、慎重が過ぎる。
少しでも天候が悪いと、馬車を出そうとせん」
エドガーはそのときのやり取りを思い出し怒りを新たにしていた。
「それならば、俺が一人で行くといったら、青ざめて止めていたが…。
フン、臆病者達は、しばらく足止めだ」
「ああ、なんてことを、エドガー」
姫は珍しく、感極まった声を出して、顔を歪めた。
646Eis 3:2007/01/04(木) 03:20:35 ID:72+6qKRR
「こんな吹雪で道も見えないような夜更けに…。道を踏み外しでもしたら…」
「俺の馬術の腕を忘れていたのか、姫は」
「でも…。父上や母上のように…。」
今にも泣き出しそうに小さく震える姫の姿に驚き、髪を拭く手を止めて抱きしめた。
「ああ、悪かった。お前の両親の事故を思い出させてしまったようだな」
腕の中で、自分を見上げる姫の潤んだ瞳を見つめると、冷え切った身体に、
熱い血がたぎっていく拍動を感じた。
「しかし、お前が俺のことで、それほど取り乱すとは、少々意外だ」
姫は王女として厳しい躾を受け、自分の言動がどれほど周りに影響を与えるかを
知っているため、めったに感情を表に表さなかった。
それをぼんやりとしていて、情操に乏しいのだと誤解していた時期もあった。
「身体がまだ冷たいわ。何か温かい飲み物を…」
エドガーは自分の腕から逃れようとする姫を抱きとめた。
「そんなものよりも、もっと身体を温める方法があることを教えたはずだが…」
熱い口付けをかわすと、姫は抵抗することなく、受入れた。
「会いたかったぞ、姫」
「エド…」
何度も繰り返される、深いキスで次第に足元が怪しくなった姫を抱きかかえて、
寝台に運んだ。
「今夜は顔を見るだけにしようと、思っていたのだが…」
自嘲気味にそう、つぶやきながら、そんなことは無理だと最初から分かっていたのだ。
これまで、視察旅行といえば、その時に付き合っている愛人が勝手について来ることが
多かったし、あわよくば側室にという野心家の女達が宿に入り込んでいたり、
地元の有力者が自分の娘を差出したり、といろいろと賑やかなものだったが、
今回は、気がつくと全て遠ざけてしまっていた。
647Eis 4:2007/01/04(木) 03:21:13 ID:72+6qKRR
エドガーは誠意をもって接すれば、姫が自分の求婚を受け入れるのは、
時間の問題だという漠然とした自信を持っていた。
しかし、数ヶ月たっても依然として弟が立派な王になるまではと、
自分の求婚を受け入れようとしない姫に、少し焦りを感じはじめていた。
以前から国王に嘆願されていた、冬季に北の辺境地方の様子を見るという視察に
代理として自分が志願したのは、しばらく姫から離れて冷静になろうと思ったからだった。
だが、離れていれば、薄まると思ったのは逆効果で、他の女を抱く気にはなれず、
それどころか視察先では、氷で作られた姫の彫像に見惚れる有様だった。
一点の曇りもない透明な氷で作られた等身大の像は、見事な出来栄えもさることながら、
頑なに求婚を拒む姫の氷の心を見ているように思えてならなかった。
それとは裏腹に今、腕の中にある姫の身体は誰よりも熱くエドガーを誘う
という悩ましい混乱は、喉が焼け付くような激しい渇望を募らせた。
眠るとき締め付けるものを身に着けない姫の習慣は、男にとっては無防備この上ない。
ガウンをはがして、ボタンをはずし、柔らかい夜着の中に手を滑り込ませ
首から唇を這わせながら、袖を引き降ろすと薄い肩があらわになった。
しなやかな白い肌に伸ばした手は動き。張りのある形の良い乳房を揉みしだくと、
甘い芳香が立ち上り、エドガーを狂わせた。
舌を秘裂に指を掛けると、温かい粘液と粘膜が絡みついてきた。
いつもは、指と唇で姫の声が枯れるほど上り詰めさせた後、
楔を打ち込むのだったが、今夜は禁欲生活の続いたエドガーの怒張が激しく脈打って
悲鳴を上げていた。
648Eis 5:2007/01/04(木) 03:22:20 ID:72+6qKRR
「今日は、少し急がせてもらうぞ」
熱い猛りをあてがうと、エドガーの腰は自分でも驚くほど、荒々しい、
性急な動きで姫を侵食し、動き始めた。
押し寄せる快感に耐えるようにエドガーは目を閉じ、耳をくすぐるどこまでも甘い
姫の喘ぎだけを頼りに、全身を打ち付けるような勢いで姫を攻め立てた。
この数ヶ月で生堅かった姫の身体は、荒れ狂う男の激情を柔らかく包みこんで
悦びと感じるほどすっかり拓かれていた。
「…くっ。う…いくぞ」
「あっ、あっ…。エド」
最奥に思いのたけを放ち終えると、細い腕をエドガーの首に伸ばして、
絶頂の余韻に打ち震えながら、自分にしがみついてくる姫の様子に、
エドガーは深く満足していた。
しばらくして、エドガーは自分の腕の中で小刻みに震える柔らかな
髪の動きが止まったのを見計らって、姫に話しかけた。
「姫、まだ、俺のことをカイルに話す気にはなれないのか?」
エドガーに話しかけられて、姫はまどろんでいた目を大きく見開いた。
「俺から見ても、立派に王としての勤めを果たしている。
どうして、そこまでお前が心配するのか、分からん。異常だぞ」
「それは…」
姫は長い睫に縁取られた目を伏せて、うつむいた。
649Eis 6:2007/01/04(木) 03:23:32 ID:72+6qKRR
「それに、お前がいつまでも結婚しないとなると、
逆に、お前のことがカイルの心配の種になるとは考えないのか」
姫の父親である前国王の存命中から、ブラヒストの王子をはじめ
いろいろと縁談の話はあったし、エドガーも候補の一人であった。
国王夫妻の事故死という特別な事情があったにせよ、もう喪も明けて
おり、姫の年齢では結婚を急がねばならなかった。
「そうかもしれない…。でも、でももう少し待って。
せめて一年、王としての行事を一通りやり終わるまでは…」
求婚を断った後、姫は自分の部屋を訪れるエドガーを戸惑いながらも
受け入れてくれたが、そのうち飽きて他の女性の
ところに行くだろうと、どこか冷めている様子があった。
もう待てないから他の女と結婚する、と告げてみたら笑顔で祝福するのかどうか
試してみたいと思う衝動に何度も駆られたことがあったが、もう二度と
姫を傷つけることだけはしないと自分に誓っていたので、その気持ちを押し留めていた。
エドガーに犯されても、表面上は態度を崩すことのなかった姫に驚き、
そして焦燥を募らせたが、その後に起こった様々な事件から、前国王夫妻の死後は
王女としての責任感を優先して感情を凍らせていたのだと理解することが出来た。
しかし、カイルが無事即位した今、普通の若い女性としての血の通った感情が
少しずつ戻ってきているのをエドガーは感じていた。
650Eis 7:2007/01/04(木) 03:24:34 ID:72+6qKRR
だから、痛々しいまでに思いつめた姫の様子を見て、
これ以上を追い詰めるのは止めようと、エドガーは表情を緩めて、つぶやいた。
「お前は弟のこととなると、まるで赤子をもつ母親のように心配性だからな」
姫の頭を撫でて、引き寄せると、やさしく口付けた。
「その半分でも、哀れな求婚者に対しても慈悲深いと良いのだが…」
いつも尊大な態度のエドガーから、子どもの様に拗ねた言葉を聴くのが
おかしかったのか、姫は小さな笑い声を立てた。
「くすっ。じゃあ、今晩は、眠るまでついていてあげるから…」
この上もなく愛情深い笑顔で姫は話しかけたが、
エドガーは眉間に皺を寄せて憮然とした表情を見せた。
「本当に、お前は…。まだ、俺という男が全く分かっていないのだな」
組み敷いて、何を怒っているのか見当がついていない様子の姫に
ますます苛立ちをつのらせた。
「俺がそんなことを望んでいるように、見えるか?」
記憶を失って幼児のようになっていた弟ならば、喜んだであろう、
その言葉を自分に向ける姫の無神経さに苛立ち、耳元に熱い吐息
「今晩は、一晩中つきあってもらうぞ。覚悟をすることだ」
「そんな…。エドガー疲れているんでしょう?」
651Eis 8:2007/01/04(木) 03:27:07 ID:72+6qKRR
身体のあちこちに疲労が残っているのは感じていたが、
それを上回る熱がエドガーの身体を支配していた。
「そんなことは気にならんな」
再び、濃厚なキスの嵐を浴びせると、姫の身体は敏感に反応して、
すぐに息が絶え絶えになった。
「あっ…。でも、あしたは朝から…」
「なんだ?」
「たっ、大使に謁見する予定が…」
「そんなことは気にするな。王の仕事だ。お前が、出なくとも構わん」
「そんな…。でも…」
一度欲望を吐き出してしまい余裕のできたエドガーは、
いつものペースを取り戻して、すっかり知り尽くした姫の身体の隅々を
愛撫しはじめ、二人は理性を手放して快楽の淵に落ちていった。
652Eis 9:2007/01/04(木) 03:28:13 ID:72+6qKRR
翌朝、王宮の大広間には、ブラヒストを挟んで向かいに位置する
小さな国の大使が新任挨拶をする姿があった。
王への表敬訪問ということで、自国の国王からの信書を携えた大使を迎えたが、
今朝の行事は儀礼的なもので、大使は壇上の王座に座るカイル、その横で補佐するエドガー、
そして壇の下には立っている姫に順番に礼法にかなった挨拶をして、去っていった。
大使の足音が遠ざかり、会場の皆の緊張の糸が切れたとき、
姫が上体を揺らして、ゆっくりと崩れるように床に倒れた。
「姫!」
「姉上!」
エドガーとカイルは同時に姫に駆け寄ったが、王座に座っていた分だけ、
カイルのほうが遅れをとってしまった。
「大丈夫か、姫」
エドガーが背中支えて抱き起こすと、顔には血の気がなかった。
「あわわ…。姫、大丈夫ですか」
「エミリオ、何をしている!お前は、典医を呼びにいけ!」
部屋の隅から慌てて飛んできたエミリオにエドガーは怒鳴った。
「…大丈夫よ。エド、自分で立てるから」
エドガーの肩に手を掛けて、姫は自分で立ち上がろうとしたが、
手足にはまるで力が入らず、声も弱々しかった。
「こんな状態で意地を張って、どうする!」
エドガーは昨夜、あれほど自分の腕の中で乱れた姿をさらしておきながら
カイルの前では毅然とした態度を崩さず、少しも甘えようとしない姫に
苛立ちを覚えた。
653Eis 10:2007/01/04(木) 03:29:05 ID:72+6qKRR
姫の膝裏に手を入れて抱きかかえ、扉に向けて歩き始めたエドガーの前に
カイルが立ちはだかった。
「どいて!エドガー、姉上は僕が運ぶよ」
「カイル、お前はこの後、軍を謁見する予定があるだろう。
王が私事を優先してどうする」
「お願い。カイル、私は大丈夫だから。ちょっと、めまいが…しただけなの」
「姉上、後ですぐ行くからね」
カイルは一瞬、子犬のように心配そうな顔をしたが、
すぐに王としての毅然とした態度に戻っていた。
「では、エドガー、姉上のことを頼んだよ」
「ああ」
軍の謁見が終わり、カイルは姫の部屋に様子を見に行ったが
大事はないということで、午後の大臣会議には予定通り、
エドガーと一緒に出席することになった。
本来の議題に入る前に、司会を務めるオースティンが皆に説明した。
「皆も心配していると思うが、姫の体調は軽い貧血だそうだ。
休めば回復するだろう」
その言葉を聞いた大臣たちは一堂に安堵した。
「しかし、大使に倒れるところを見られなく不幸中の幸いでしたな」
「確かに。病弱だという噂が立ったら、姫の縁談に差し支えること限りない」
「今度の新任大使は切れ者らしい。どうも、姫を見定めるのが役目のようですぞ」
「おお!そういえば、あの国の王子はちょうど良い年頃でしたな」
「ぜひ一度王子を招いて、歓迎の舞踏会を催さなくては」
「あの国では良質な小麦が取れるのです。食料の安定のためにぜひ、縁組を
お願いしたい」
654Eis 11:2007/01/04(木) 03:30:21 ID:72+6qKRR
大臣たちの話が途切れたのを見計らって、静かにカイルが切り出した。
「皆が、姉上の縁談を心配してくれるのはありがたいとは思っている」
即位して三ヶ月の王とは思えない、あたりを払うような
威厳のこもった声でカイルは話し始めた。
「だけど、僕は姉上の結婚を政略に使うつもりは、全くない。
姉上がずっと結婚しないというなら、それでも構わないし、
望んだ相手なら人物を見て、身分に係らず歓迎する。
とにかく、姉上の意志を尊重する。それが王としての命令だ」
堂々としたカイルの宣言に大臣たちは、そのまま押し黙ってしまった。
その様子を見て、オースティンは本当に前国王とそっくりだ、と感慨深げに何度も頷いた。会議が終わり、廊下を歩いていたエドガーは後ろから来たカイルに話しかけられた。
「さっきはああ言ったけど姉上には、もう、好きな人がいるじゃないかな」
「さぁな…。俺には分からん」
姫から、きつく言われているのでカイルには二人の仲は隠し通さねばならなかった。
「最近、本当に弟の僕が見てもドキドキするほど綺麗だもの」
そんなことは、お前に言われなくても俺が一番分かっている、と言いたい気持ちを
抑えて、エドガーはぶっきらぼうに答えた。
「お前の付き添いがなくなったせいで、自分のことをする時間が出来たせいだろう」
昨年の姫の日程は、確かに多忙だった。
それに喪中ということもあって、自分の身の回りに構わず暗い服ばかり着ていたのに
比べれば、最近は格段に垢抜けたというのは、口の悪いコゼットすら認めるところだった。
「そう。女性に詳しいエドガーがそう言うのなから、気のせいかもしれないね」
何気に毒を含んだ言葉を投げかけて、カイルは去っていった。
655Eis 12:2007/01/04(木) 03:31:18 ID:72+6qKRR
その後、エドガーが人目を盗んで姫の部屋にたどり着いたのは、
夜も更けてからのことだった。
「姫、起きているか」
寝台の上で、天井を見つめていた姫は、昨日よりも敏感で小さな音も聞き逃さなかった。
「エドガーなの?」
「立ち上がって、大丈夫なのか」
エドガーは、ドアを開けた姫を抱き上げて寝台に戻した。
「もう平気よ。食事も普通に取れたし」
クッションを背にして上体を起した姫の顔色は、かなり赤みを取り戻していた。
「悪かった…。俺が少しは、お前の言うことを聞いて手加減するべきだった」
「そんな…。寝不足のほかも、最近食欲がなかったりして、少し変だったの」
「そうか…。すまなかった。お前の都合も聞かず、無理をさせてしまった」
「もう、大丈夫だから、そんなに気にしないで。エドガー…」
「お前の顔を見て安心した」
エドガーは倒れた姫をこの部屋に運ぶと、侍医のジークにそうそうに追い出され、
大したことはないと報告を聞いてからも、ずっと生きた心地がしなかった。
「だが、昨日の二の舞になってはいかんな。そろそろ退散しよう」
「待って、エドガー。その…。忙しくなければもう少し、ここに居て話をして。
昼寝をしてしまったから、今夜は眠れそうにないの」
「ああ、いいぞ」
「昨日は全然、話を聞く暇がなかったけれど、北の地方の視察はどうだった?」
「視察か…」
656Eis 13:2007/01/04(木) 03:32:31 ID:72+6qKRR
視察先での土木工事の陳情や国境防衛の軍備配置の話などは
姫に聞かせても、気に病むだけだと思ったエドガーは地元の民衆の心のこもった
素朴で心暖まる美しい歓迎式典のことを話すことにした。
「そうだな、式典に飾られていた氷の像が素晴らしかったな」
「何の像だったの?」
「住民はカイルとお前が来ると思っていたようだ。だから、お前たち二人の像だ」
「そうだったの…。エドガー、気を悪くしなかった?」
エドガーが怒って、住民たちが平身低頭に謝っている姿を想像したのか、姫は恐る恐る聞いた。
「そんなことは、ない。俺は国王の代理で行ったのだから、
特にお前の像はしみじみ見させてもらった」
確かに、自分の方が王にふさわしいと思っていた頃なら、怒って帰ってしまったに違いない。
しかし、今は王となったカイルを補佐していくという言葉に、心底偽りはなかった。
「私の像なんて、ちょっと恥ずかしいわ」
「カイルの肖像は国王就任のときに各地に配られたが、お前の姿は
十年前に国王夫妻が訪問したときのルチアナ王妃に似せて作ったと言っていたな」
「まぁ、母上の!」
「お前の腰はもっと細く、抱きしめると折れそうだと教えてやったぞ」
「本当にそんなこと言ったの?」
姫は顔を真っ赤にしながら、聞いた。
「冗談だ」
人を疑うことを知らない姫を、からかうのは楽しかった。
「もう!それから、他には?」
顔を赤らめて怒る姫の姿はエドガーには新鮮だった。
657Eis 14:2007/01/04(木) 03:33:09 ID:72+6qKRR
「そうだな、式典の余興で、子どもたちが松明を持って、列を作って、
歌いながら氷の上を滑っていた」
「子どもが?危なくないのかしら?」
「ああ、あの地域は歩き始めると、同時にスキーもスケートもやるのだそうだ」
「きっと、可愛いでしょうね。私も、一度見てみたいわ」
姫は、いかにもという感じで目を細めた。
「お前は子どもが好きなのだな」
「あ、子どもと言えば…。前から、一度、エドに聞きたいことがあったのだけど…。
その…」
姫は何かを言いかけたが、一瞬考え込んで、顔を赤くして、口ごもってしまった。
「なんだ?何でも聞け。遠慮はいらん」
その言葉に促されて、姫は少し上ずった声で、質問した。
「あのね、エドには沢山、恋人がいたけれど子どもは居ないのかしら?」
「何を心配しているのかと思えば、そんなことか」
エドガーは、やれやれといった感じで溜息をついた。
「そんなものは居ない。王位継承権のある俺が、あちらこちらに隠し子を作れば、
混乱する。そんな不用意なことはするわけがなかろう」
「ああ、そうよね。きっと、そうだとは思っていたのだけど…」
桜色に染めた顔を、上下させて、姫はうなずいた。
658Eis 15:2007/01/04(木) 03:34:24 ID:72+6qKRR
「そんな下らぬことを心配して、今まで俺との結婚を躊躇っていたのか?」
エドガーはいまさらながら、自分の女性関係の噂が広く知られていたことに苦笑した。
「ううん。私、何も知らなくて…。母から、いろいろと教えてもらう前だったし…。
やっぱり、ちゃんと方法があるのね。その…、妊娠しないようにする方法とか…」
深窓育ちとはこんなものだろうか。年齢の割に恐ろしく世間知らずな姫の言葉に
姫の母親である前王妃ルチアナも、少々浮世離れした女性だったことを
エドガーは思い出していた。
「言っておくが、お前にはその方法を取っていないぞ。結婚を決めた相手に遠慮はしない」
「えっ!エドガー、今、なんて…」
「お前はいつ妊娠してもおかしくないと言ったのだ」
「…あの…あの…、ジークには恥ずかしくて言ってないのだけど、
私、このところ、月の障りがなくて…」
「本当か!それは、めでたいな」
エドガーは寝台に上がり、やさしく姫の身体を抱きしめた。
「エドガー…」
姫は天を仰いだ。
「こうなれば、もう、先延ばしはできんな。明日、カイルに報告に行くぞ」
この上もなく嬉しそうな表情を浮かべて、言った。
「ああ…。カイルは何ていうかしら…」
「まぁ、手足の二、三本は覚悟するが、あまり酷いことにならないように祈ってくれ」
「そんな…」
エドガーは再び顔色を青くしそうになった姫の両頬を挟んで、微笑んだ。
「お前は何も心配しなくていい」
659Eis 16:2007/01/04(木) 03:50:01 ID:72+6qKRR
昨日の吹雪が嘘のような、静かな夜空には青い月の光が浮かび
その光が窓から差し込み、姫の目に浮かんだ涙を照らしていた。
その涙を見て、エドガーは、はっとした。
「うっ…。手段を選ばなかった俺のことを怒っているか?」
「いいえ、なんだか気が抜けてしまって…。私、こんな世間知らずなのに、それなのに・・・。
立派な王になった弟のことを心配するなんて…。そんな偉そうなことしていたのね。
本当に…。愚かで恥ずかしいわ」
姫は両手で顔を隠し、一気に堰を切って流れ出した自分の感情をコントロール
できなかったのか、子どものようにしゃくり上げながら言った。
「俺は、お前のそういうところを愛している」
エドガーは姫の頬につたった涙を指でぬぐった。
その涙は暖かく、氷の中に閉じ込められていた姫の心が解放されたことを伝えていた。
「さぁ、そろそろ、泣くのは止めろ。腹の子に差し支えるかもしれん」
「私、本当に母親になるの?」
「そうだ。だが、その前に俺の妻になる必要があるな」
姫は、不安げだったがエドガーは賢くて優しく、誰より素晴らしい
母親になることを確信していた。
寝台を降りて、ひざまずくと、うやうやしく手を取った。
「改めて言う。エドガージベルディの妻になってくれるか?」
「はい」
こうして、例年より少し早くローデンクライツの春が訪れを告げるころ、
三ヶ月遅れの求婚が受け入れられたのだった。
660名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 03:54:16 ID:72+6qKRR
以上です。
姫がちょっと御馬鹿?ってのも注意に入れておくべきでした。
661名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 20:25:06 ID:p9FOBdrb
>>660
久々の投下と潤いGJ!

なんだけども…さすがにカイルはないよ OTZ
あと、エドガージベルディ、ローデンクライツはただの誤字だと信じたい
662名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 23:34:31 ID:oJafGvXL
ローゼンクロイツとも、よく間違えられているよね
663名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 23:57:55 ID:DYgY70Tj
最低限のキャラ名だけは頼む。
公式行けばあるんだし。
それだけの情熱すらかけられないってならそれは二次と違うような
664名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 23:26:41 ID:myIqjzKG
エドガーに愛が感じられた。
あとブラヒストには王子はいないはず
公式のアリア同様別口なのかもしれないが
665名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 16:51:46 ID:8UlEXbAQ
ああああぁぁ、勿体ない・・・・
666名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 13:36:01 ID:IXKpwB7d
すぐ文句かよ;
667名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 20:48:15 ID:65ERd+Yj
これなら「惜しい」とか言われても仕方ないと思う。
主要キャラの名前覚えてないならゲーム板行けば全キャラ載ってるし。
エドガーに萌えただけにもったいないべ。
668名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 23:37:56 ID:fA/7oPU7
ここさ、500KBとか1000行くまでに落とせば?
乙女ゲにまた合流しようよ
669名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 23:43:08 ID:PAr/lAmR
合流は無理。
670名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 22:39:07 ID:g+fd8UiU
自分字書きだけどもし投下するならここではなく乙女ゲでだよ。
671名無しさん@ピンキー:2007/01/30(火) 07:07:07 ID:6z4BiFzw
なんで?
672名無しさん@ピンキー:2007/01/31(水) 00:49:30 ID:RBjKJI47
>671
投下時間が輝いているわ!
でも確かに乙女ゲでは無理ではないかと
673名無しさん@ピンキー:2007/01/31(水) 22:53:45 ID:wMMZGP7K
で、結局どこに次スレ立てるの?
674名無しさん@ピンキー:2007/01/31(水) 23:20:09 ID:7uIJIOrb
いらんとちゃう?
675名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 12:15:46 ID:FgfvoRWx
ほしゅ
676名無しさん@ピンキー:2007/02/21(水) 22:14:19 ID:KJPVAKkM
677名無しさん@ピンキー:2007/03/08(木) 21:05:39 ID:4egDdd+J
保守
678名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 01:58:06 ID:j0djQp+o
保守!
679名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 16:07:03 ID:iWWG0jHD
もう投下もないだろ萌えも次回作あの糞絵でガカーリ
680名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 18:04:11 ID:ZBPimeDd
本当にな…
681名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 07:30:34 ID:6/+tAex/
 
682名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 01:43:38 ID:idT8uVEZ
保守
683名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 21:46:38 ID:y1Nwchb6
これの新スレ立てるくらいならビタミンスレ立てるべきだよな。
684名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 23:19:44 ID:h2AM94Y8
>>683 なんだかんだ言いながらホシュしやがって (´∀`)σ)A`)・∵.
685名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 00:14:35 ID:iSk9HR2H
保守
686名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 01:01:28 ID:ttnPJXxm
細村香奈という中学2年生の女の子が夜道を歩いていると男3人にレイプされました。
彼女は必死で抵抗しましたが男3人の力に勝てるわけでもなく、まだ14歳という年齢で知らない男達に犯され、口封じとして殺されました。
男達は別に罪の意識など少しも、欠片もありません。
彼女は成仏出来ないまま、自分を犯した男達を探し続けています。

この話を全部読んでしまった人は必ず、他のスレ5個に同じ内容のレスを貼り付けて下さい。さっきも言いましたが、ここまで読んでしまったなら張り付けるほか方法はないです。殺されてもいい人は関係ない話ですが…。
・有村奈津実
・清中みずき
・鈴鹿陽一
・村上梓
・畠山龍夜
・野口太一

上の人たちはこのチェーンレスを貼り付けなかった為に殺されました。
細村香奈に…。
687名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 00:03:31 ID:hmRHSjWL
もうないのかしらね
688名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 01:26:33 ID:CNFPXkAC
落としたければどうぞ
689名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 20:00:59 ID:l3jfRGs/
>>419

今までありがとう
690名無しさん@ピンキー:2007/07/01(日) 03:26:20 ID:G4lc5p81
さびしいねぇ
691名無しさん@ピンキー:2007/07/13(金) 14:50:11 ID:/CeFExxT
ところでコンボは使わず、
一撃一撃を確実に当てて戦うスタイルの人っている?
って聞かれたからヒューゴーって言ったんだけど
俺が全裸になれるなら 望むことはひとつさ〜♪
萎えないチンポばたつかせ 君をイカセ続ける〜♪
692名無しさん@ピンキー
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