ファイアーエムブレム&ティアサガ第18章

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531名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 18:02:39 ID:Ft0K5FVj
ホリン×アイラ
セリス×ラクチェ
アーサー×フィー
マルジュ×メリエル
フランツ×アメリア

が激しく読みたい
532名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 19:05:32 ID:9aZGH6Ca
>>531
気が合うな
TSだけは分からんが
533名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 19:55:48 ID:6/i6CvcF
>>531
ホリン×アイラなら倉庫に二つあるぞ。
534前スレ625:2005/09/30(金) 06:51:03 ID:tgobODBs
失礼します、前にツイハーク×イレース書いた奴です。
蒼炎再プレイ中にふと浮かんだ話をひとつ投下させて下さいな。

どうもあんまエロくないかもだけど、一応……強姦注意で殺伐雰囲気注意。ジョフレが激しくヘタレ。
ちょっと長め。
ではどうぞ。
535君主の資格:2005/09/30(金) 06:53:58 ID:tgobODBs

 それは、今にも地に覆い被さりそうなほど重く垂れ込めた雲が出ている日のことだった。

 空の彼方に雷雲が見えるということで、クリミア軍はその日の行軍を一時取り止めた。
 平野で雷などに降られては、飛行兵が避雷針になってしまう。
 だがそれがなくとも、先のデルブレーにおけるクリミア兵救出の戦いの疲労や怪我が癒えていない者があまりに多く、出立はもう少し伸ばすかという話が出ていたので、計画に大きな差し支えはない。
 むしろ、雨が降り雷が鳴れば敵襲の可能性も減るのが嬉しかった。

 やがて雨粒が弾となり窓を叩き始めた。
 すぐにそれは霧のように、窓の外の景色をぼやけさせる。

 あの日もこんな感じだった。
 デルブレー城の深奥にて、今や国の主となることを余儀無くされている王女エリンシアは、椅子に腰掛けてただ外をぼんやり眺めていた。
 あの日……クリミア城が陥落した日。
 そこから全てが狂気に包まれた。
 そしてその時も今も、眼下には目を閉じたジョフレがいる。
 デルブレーを死守することで囮となりエリンシアたちを逃そうとした時の疲労がたたって、戦いの後から数時間臥せっている彼を、エリンシアは具合を見ているだけしかしてやれずにいた。
 乳兄弟であり臣下である彼にとっては囮も当然のことであったが、両親も叔父も亡くした今ではもはや最後の家族ともいえる彼とその姉を失っていたかもしれないと思うと、彼女は苦しさで息が詰まりそうになった。
 そこへ、部屋のドアをノックする音が響く。
 「どうぞ」と声をかけると、「失礼致します」と、ジョフレの親友でもある文官ユリシーズが入ってきた。
 「エリンシア様、あとは私が看ていましょう。姫も戦いの気にあてられて疲れておられるでしょう? どうぞ、お体御自愛下さいませ」
 「あ、でも……」
 「お気持ちは嬉しいのですが……無理をなさって姫が体調を崩されては、ジョフレが目を覚ました時にそれに驚いて、また倒れてしまいますぞ」
 ユリシーズは大袈裟に頭を抱えてみせた。
 よく気の回る彼が明るく言うのなら大丈夫なのだろうと、エリンシアはあとを頼んで部屋を出た。
 ドアが閉まったあと、ユリシーズはジョフレの頭を軽くつつき「もう起きていいぞ」と、言った。
 決まり悪そうに起き上がるジョフレ。
 「我が輩までも騙せると思うな」
 「思ってはいなかったさ」
 「愛する姫に、疲れて冴えない顔で礼を述べるのが恥ずかしかったか?」
 「そっ……そんな訳では……!
 ただ、その、激戦のあとだったとはいえ姫の目の前で倒れるなどとあまりの失態を見せてしまったからな、それをどう謝ろうと考えていたら起き上がる機会をなくした」
 ぐしゃぐしゃと、美しく細い水色の髪の毛を手でかき乱し、照れてうつむくクリミアの将軍に、ヒゲの道化師は呆れてため息をついた。
 「………ホントにおまえは………不器用だな……」
536君主の資格:2005/09/30(金) 06:55:33 ID:tgobODBs

 ジョフレの部屋を出たあと、エリンシアは供も連れずに城内を歩き回った。
 すぐにその姿を発見したミストとヨファが近寄ってくる。
 「どうしたんですか、エリンシア様?」
 「あ、ミストちゃんヨファちゃん……ちょっと、皆様の様子をと思って……あなたたちのお兄さんたちは具合はどう?」
 エリンシアが不安げに尋ねると、ふたりはすぐに明るく答えた。
 「うちのお兄ちゃんは、戦いが終わった時と全然変わりませんよー。
 ちょっと寝て、お肉いっぱい食べたら疲れも吹っ飛んじゃったみたい」とは、ミスト。
 「オスカーお兄ちゃんも、ボーレも、元気だよ。
 ボーレなんていつでも怪我してるもん、だから治りも早いんだよ」と、ヨファ。
 「そう。良かったわ」
 と、エリンシアは微笑んだ。
 しかし、アイクもオスカーもボーレも先の戦いを最前線で闘っていたのだ……その疲労たるや並みではないのは、帰りを待っていただけのエリンシアにも察することはできる。
 ボーレに至っては、彼も彼の斧も恐ろしく血まみれで、歩いていなければその辺の死体となんら変わらない様子で帰還してきたときいていた。
 それでも彼等は闘い続ける意思を捨てはしなかった。
 何故なのかと聞かれれば、護る為と答えるだろう。
 家族を、仲間を、生まれ育った国を。
 勿論、エリンシアにもその気持ちは多分にあった。
 だが、それがどれだけの覚悟が要ることなのかは、彼等と一緒に歩き始めるまで分からなかった。
 彼等と出会うまで、心の底から『生きたい』と思うことも……なかった。

 死にたかったのに、死ねなかった。
 死ぬ訳にはいかなかった。
537君主の資格:2005/09/30(金) 06:56:37 ID:tgobODBs

 あの日、今にも雷が落ちそうな空の下、あの男は現れた。
 瞬く間に空も地も黒い鎧に埋め尽くされ、気付いた時には遅く、卑劣な力にクリミアはなす術もなく敗北した。
 その魔手はエリンシアにも例外なく伸ばされた。
 「もう長くはもちません……せめてこの回復の杖を持ち、逃げなさい、エリンシア!」
 「ジョフレ、あとは頼んだぞ。レニングにもしものことがあれば、世継ぎはエリンシアのみとなるのだから」
 「………かしこまり……ました……!」
 館を包む混乱の中、真っ先に駆け付けた将軍ジョフレに王と王妃は運命を委ねた。
 泣き叫ぶ娘に、両親は微笑んでキスを与えた。
 嫌がるエリンシアを抱えて、ジョフレは駆け出す。
 王たちには、別れは告げずに武運だけを祈って。
 だがその直後、窓を破る激しい音と空を切り裂く音、男女の断末魔が聞こえた。
 全てを察し、ジョフレは倒れ込むような勢いで、外に隠してある自分の馬のもとへと急いだ。
 彼に担がれたままのエリンシアは、錯乱しかけた精神状態ながらも周りの状況を何故か克明に記憶していた。
 自分を抱えたジョフレの行く道を開く為に、持ち合わせの装備で敵兵のなかに飛び込んでいくクリミア兵たち。その彼等の最期の姿。
 彼等が遮れきれなかった攻撃を受け血を流しながらも、走る勢いを止めることはないジョフレの、必死の形相。
 つい数時間前までとても穏やかで美しかった城が壊れていくさま。
 いつしか涙も止まっていた。
 「姫、お気を確かに! 外へ出ます……」
 不意に呼ばれ、降ろされて手を引かれた。
 気付けばそこはもう隠し通路の出口で、普段は人が滅多に出入りしないそこの扉をジョフレが押し開けようとしていた。
 しかし外の光が差し込むと同時に、突風と轟音も吹き込んだ。
 そこに広がっていたのは、有り得ない光景だった。
 吸い込まれそうなほど黒い膚の飛竜が翼をはためかせて地上まで降下し、それが着地するのを待たずにその背に乗った大柄な男がマントを翻らせて飛び下りる。
 あっと思った時には、ジョフレの腹をその男の剣が刺し貫いていた。
 声も上げず、彼が床に倒れて血が辺りに飛び散る。
 その様子は、エリンシアの目にはまるでスローモーションのように映った。
 彼が血を吐き、呻く声をきいて彼女もようやく我にかえり、泣くことも忘れて彼に駆け寄った。そして、母に持たされていた回復の杖をかざして一心に祈る。
 しかし……
 「他人の心配よりも、我が身を案じたらどうだ。クリミア王女エリンシアよ」
 回復途中でその腕を掴まれて詠唱を止められ、びくっと彼女は声の主を見上げた。
 青い髪を後ろに流した、大柄でいかつい男。身に纏っている立派な鎧は、一般兵士のそれではない。
 今まで直接出会ったことはなかったが、肖像画や人の話で姿は見知っている者だった。
 これが王都陥落を狙った奇襲としても、普通こんなところまで単独で乗り込むとは思えない者。それが目の前にいる。
538君主の資格:2005/09/30(金) 06:57:49 ID:tgobODBs
 「デイン国王………アシュナー……ド……」
 「そうだ。よく知っていたな。
 その男は何だ? おまえの部下か?」
 「だったら何だと言うのです……! 離して……ジョフレが……ジョフレが……!!」
 杖のおかげで危うく命の危険は免れたようだったが、いまだ浅い呼吸が続き気を失いかけている乳兄弟の姿に取り乱し、エリンシアは必死でアシュナードの手を振りほどこうとした。
 「その男が余程大事とみえる。安心しろ、そこまで回復したなら死ぬことはない」
 「あなたが刺しておいて何を……!」
  思わずアシュナードを睨み付けようとしたエリンシア、その綺麗に結い上げられた緑の髪を彼は手荒く掴み、突然口付けた。
 予想もしなかったことに、エリンシアは抵抗どころか何か考えることも出来なかった。
 戦いの音が耳から遠ざかっていく。
 ショックでぼやけた意識を、胸に走った痛みが引き戻した。
 服の上から強く胸を掴まれて怖気が背を走る。髪の毛も掴まれたまま唇に噛み付くような口付けもまだ続き、湿った唇の感触があるのに口の中は乾いて張り付くような感じをおぼえた。
 嫌悪感から、泣いて彼を突き飛ばそうとするも、あまりに体格が違いすぎて適うはずもなかった。
 「叫べば、そこの男が目を覚ますぞ」
 と、アシュナードは彼女を壁に叩き付けてジョフレを指差す。
 思わず黙った彼女のドレスの胸に手をかけ、彼はそれを引きちぎった。

 どうしてそれをこの混乱のさなかで行わなければならなかったのか、彼女には分からなかった。
 普段着とはいえ複雑な構造のドレスは男が完全に脱がすことは難しく、白い胸だけが外気に晒される。
 血の匂いの立ち篭める異常な空間においても、それを恥ずかしいと思う気持ちは起こり、唇を噛み締めて目をきつく閉じて、彼女はただ下を向いた。
 そんな彼女の片腕を掴み、アシュナードは空いた手で直に胸を撫で回した。
 普段は体のラインを整える為の下着で抑えられている胸は、それから解放されてみると、人並みよりも少し大きくふくよかで、何よりも町娘とは比べ物にならない肌のキメ細かさが美しい。
 それを遠慮なく押しつぶし、こねまわす大きな手。
 「ひっ………」
 思わず顔を正面から背け、体を引こうとするも、壁に阻まれてならない。
 逃げようと体を捻れば更に無防備な姿を晒すだけになり、何より血だまりのなかで倒れているジョフレが目に入って余計に苦しくなる。
 また、万が一逃げられたとしても、その場合はジョフレが殺されるのは明らか。
 もはや、何をどうすることも出来なかった。
539君主の資格:2005/09/30(金) 06:58:40 ID:tgobODBs

 抵抗する気をなくしたエリンシアに、アシュナードは口の端を歪めて僅かに笑った。
 その目は、快楽を求めている訳ではない。
 ならば何故?

 彼は乱暴に彼女の長いスカートの裾を捲り上げて、下着に手をかける。
 靴下と靴下留め……ガーターベルトはそのままに、ショーツだけを引きずり降ろした。
 「……!!」
 エリンシアの顔が恐怖におののく。
 せめてもの抵抗に両足をしっかり閉じていたが、それも虚しく、誰にも見せたことのない場所を曝け出すことになった。
 「いや………!」
 力なく枯れそうな声で訴えるエリンシア、それを聞いてアシュナードは嫌らしく笑う。
 「ふん、やはりまだ生娘なのだな」
 「いた……っ、いやあっ……」
 彼女の足の間、薄い緑の茂みの奥を、無骨な指が探っている。
 白い肌のなか、赤く色付いたひだを捲り、膜を突く。
 今まで自分の指も入れたことのない乾いたそこは、小指さえも入りそうにないほど狭く、滑らない。
 「いや、助けて……」
 やっと、何をされようとしているのか実感してきたエリンシアの目から、とめどなく涙が溢れる。
 「目などより、こちらを濡らすのだな。貴様が痛いだけだぞ」
 彼は、彼女の頬を伝う雫をざらついた舌で舐め取ると、彼女の太股の付け根を強く押さえた。
 「う………」
 「ならば初めては、おまえのお気に入りらしいあの男で済ませるか?
 別に我はおまえの初めてが欲しい訳ではない、これでは流石に面倒だしな……入れ易くなるに越したことはない。
 あれも気を失っていても、そこは男だ。おまえ次第で、どうとでも出来るだろう」
 「……あっ……それ……だけは……!!」
 それまでうつろな目でどこかを見ていた彼女だが、途端にアシュナードの服を爪が食い込むほど強く握りしめて拒否を示す。
 「それなら」
540君主の資格:2005/09/30(金) 06:59:46 ID:tgobODBs

 もとより、そうさせるつもりだった。
 だが、曲がりなりにも王女、ただ殴るだけでは言うことをきかないだろうと……ジョフレを生かしていた訳だ。
 傷が完全に回復した訳ではないため、浅い昏睡状態が続いているジョフレはまだ目を覚ます様子はない。
 もし今起きたとすれば、眼前の惨状に逆上して斬り掛かるか、理解の限界を越えてまた倒れるかだろう。
 彼が護るべき姫は、いま、敵国の王のまえにひざまづき、体躯に比例して立派でそして体液でぬめり黒光りする一物に奉仕させられていた。
 「歯をたてるな」
 「………んっ……ふ……」
 屈辱に顔を赤くし目を潤ませて、精一杯エリンシアは相手を悦ばせようとした。
 上から言われるままに、艶やかな赤い唇に含んだモノを吸い上げ、小さな舌で筋をなぞり、細く白い指で揉みしだく。大きなそれを口に含みきれず、唾液が口の端から漏れる。
 「んぶっ……く……」
 「やればできるものではないか」
 相手の満足そうな声に、また涙がこぼれた。
 それからは、何だかもうどうでも良かった。
 ただ「おまえが自害すれば、その男もあとを追わせる」という言葉に縛られていた。
 「ひぅ……あ……」
 戦いの音が小さくなるなかで、エリンシアの悲鳴が少しずつ大きくなる。
 彼女の足の間は破瓜の血が滲み、癒す間もなくアシュナードの自身が秘肉を擦り、狭いなかを突き、痛みが断続的に押し寄せる。
 それを我慢しようとしているのがわかると、彼は更に強く腰を打ち付けた。
 「ひっ……!!」
 激痛に、思わず憎い男の背にしがみつく。気が遠くなってゆく。
 「痛いか? 我が憎いか?
 だが、力のないおまえが悪いのだ」
 「そん……な、そんな……こと……!」
 「力がないゆえに、おまえの父も母も死んだ。
 いずれ、王弟レニングも”いなくなる”だろう。おまえが唯一の、クリミア王家を継ぐ資格のある者となる。
 だから………おまえは、死ねないはずだ」
 「……………?」
 「死ねば、この城でこの国で貴様のために死んだ者全てが犬死にとなるのだ。死ねるはずはなかろう?」
 「あ………」
 その言葉に、体の痛みも薄れるほど衝撃を受けるエリンシア。
 力をなくした彼女の両足を更に開かせて、彼は激しく小刻みに突き上げた。
541君主の資格:2005/09/30(金) 07:00:37 ID:tgobODBs
 「んぐっ……あ、やめてっ……!!
 いぁっ、あっ、痛ぁぁ!」
 先ほどまで男を知らなかった体にそれは凶器とも言えるようなものが、乾いた肌を切り裂く。彼女には、いや彼にも、快感はあるのか分からなかった。
 なのに中はしっとりと柔らかく、それを押し戻そうときつく締め付ける肉壁がまとわりつき、逆効果となり、体内のモノはやがて限界を迎える。
 「え……あ……!?」
 体の芯を汚す熱い波に、エリンシアは状況を理解し目の前が真っ暗になった。
 アシュナードがそれを引き抜くと、血に混じって白いものが二人の足の間を流れた。
 彼は着衣を整え、呆然とする彼女を後目にさっさと立ち上がる。
 「これで、我を忘れようと思っても無理だろう。
 おまえには、より強い憎しみの念をもって我に向かって来てもらわねば困るのだ。それには、王たちを殺しただけでは足りぬ」
 「そ……んなことで……お父様……お母様……
 いやああっ!」
 激しく混乱し、泣き崩れる彼女だったが、意識を取り戻し始めたジョフレの苦しそうな声が聞こえて動きを止めた。
 「ジョフレ……だめ……今は起きないで……」
 「まずはその男にどう言い訳をするかだな。
 では次に出会う時は、出来るだけ多くの手下を連れていることを願うぞ」
 そう言って彼は笑い、扉の外へ出ていった。
 
 途方に暮れる時間もなく、彼女は汚れを少しでも消そうとするように、痛みも忘れて精液をかきだし、奴が触れたところを服の端で拭った。
 スカートで、陵辱のあとは見えない。辺りに漂う強い血の匂いのせいで、他の匂いは分からない。
 服の破れた理由を言い繕うため、重い体を引きずって廊下の兵士の遺体から短剣を拝借してくると、それで軽く自分の肌を傷つけた。
 浅く斬られたのを重傷のふりをして逃れたとでも言おうと。
 あとから思えば、よくこの時に気を失わずこんなことが出来たものだとエリンシアは不思議だった。
 きっと、ある意味ジョフレを守らなくてはと思ったせいなのだろう。
 そして、やがて目を覚ましたジョフレに連れられ、国外へ逃亡するべく城を出た。
542君主の資格:2005/09/30(金) 07:01:28 ID:tgobODBs

 一方、クリミア城を陥落させ玉座に落ち着いたアシュナードは、エリンシアたちのその後の足取りの報告を受けたのち配下へ指令を出していた。
 「クリミア王女は、しばらくの間は追う素振りだけしていれば良い。勝手に向こうから向かってくるはずだ。
 それよりも、それとはぐれたというジョフレ将軍とその部下の行方を見失うな。
 あれは、いつか罠に使うことも出来るだろう……」
 そう言って彼は、不敵に笑うのだった。

 ……それから半年以上が経ち、デルブレーへの奇襲という罠も発動したが、仲間に恵まれたことでエリンシアはそれも切り抜けた。
 幸いにもあれから体には異変はなく、傷も残ってはいないし、あの時のことをジョフレに気付かれた様子もない。
 一時、兵士の鎧を見るだけで体が震えることもあったが、色んな傷をアイクたちが癒してくれるおかげで今までやってこれた。
 そしてまたジョフレたちに出会えたことで、心底思ったのだった―――生きていて良かったと。

 そんなことを思いながら、気付けば兵士宿舎まで来ていた。
 予想に反して、騒がしい声があちこちから聞こえる。
 「ボーレ、動かないで下さい! まだ半分も治ってないんですよ」
 「ずっと寝てたら体が鈍るっての! それよかあんなに精神力使ったらお前の体力のほうが危険だろ、怪我人は俺だけじゃないんだしさ」
 「そうだよ、ここまで大声出せるんなら大丈夫だ。守備を疎かにしたボーレが悪い」
 「兄貴こそ、タニスさんに助けられなかったら湖の中だったとか聞いてるけどなあ?」
 「…………」
 「いててて、そこ痛い痛い!」
 「何やってるんですか!? オスカー」
 「落ち着けよガキども〜。俺に比べたら全然ひよっこのお前らが何しでかしたって、恥じゃねえって」
 「翼にそんだけ包帯巻いた奴に言われてもなあ?」
 「何だとこの赤頭!
 だーれのせいで怪我したと思ってるんだよ」
 「だから助けてやったろうが!? 見たかよ、俺様の華麗なダイビングキャッチ」
 「そいで一緒に崖から落ちなければカッコよかったんだけどな」
 「「うるせえ!」」
 廊下まで響く笑い声。
 みんな包帯姿は痛々しいけれど、さすがにこれまでの戦いを切り抜けてきただけあって動じてはいないようだった。
 手が足りないようならば少しでも役に立ちたいと思って来たが、無用な心配だったようで良かったと息をつく。
543君主の資格:2005/09/30(金) 07:02:08 ID:tgobODBs
 次の部屋を見に行くと、部屋の中から今度は悲しそうな声が聞こえた。
 「兄さんのバカ!
 何であんな無茶したのよ……いつも、死なない程度に適当にやるよ〜って言ってたじゃない!」
 「いやだって、なあ……おまえが捕まっちゃうのだけは避けたかったからさあ」
 「捕虜になったって……すぐには殺されないわよ……兄さん、死んじゃうかと思って、私……」
 「いま生きてるからいーじゃん、あはは」
 「バカ!」
 「……いやマジでさ、兵士がみんなケビンみたいな騎士道精神の塊みたいなのだったら問題ないんだけどさ……俺、気質よくない奴らのとこで傭兵やること多かったから分かるんだ。
 おまえみたいに若い女が、男ばっかりの集団に捕まったりしたらさ、それが例え正規軍でも……どうなることか。
 街なかでもめ事起こして捕まるのとは訳が違うんだ。
 人を殺してものを壊して気が昂ってる状態でさ、ずっと戦場にいて女っ気がなかったら……おまえが想像もしないことが起きる」
 「兄さん……」
 それから、しばし部屋は静かだった。

 エリンシアは、会話を聞いていて自分の胸も張り裂けそうな思いをしていた。
 いつかこの軍の参謀セネリオに、『王族が負けるというのはとても罪深いこと』と言われたのも良く分かる。
 自分が死んで軍が負ければ、あの時自分が味わったような思いを彼女たちにもさせてしまうのだ。それだけは避けたい。
 ぐっと手を握りしめるエリンシアの前に、誰かが立った。
 面を上げれば、優しく微笑む水色の影。
 「姫、御迷惑おかけして申し訳ありませんでした……もう大丈夫です。
 付き添って頂いたこと至極光栄に思います。この礼は、命に代えてでも」
 「ジョフレ……」
 その顔を見ていると何だか込み上げてくるものがあって、エリンシアは思わず彼の胸に顔を埋めた。
 「姫?」
 「……すみません、少しだけ……」
 そう言って彼の服を握りしめる彼女を、彼は何も言わず肩を抱いた。
544君主の資格:2005/09/30(金) 07:02:43 ID:tgobODBs

 そして―――

 「……アシュナード……」
 「くくくくく……
 久しぶりだな、クリミア王女よ」
 軍靴に踏み荒らされた、かつての美しい思い出の庭で、エリンシアは彼の敵と再び会い見えた。
 剣を握る手に迷いは無い。
 「……お、おまえを……おまえを倒すために……戻りました……。
 これ以上、我がクリミアを好きにはさせませんっ!」
 激昂し、叫ぶエリンシア。
 「それは勇ましいことだ……しかし、我の相手はおまえではない」
 「……っ、どこまで私を愚弄すればっ……!」
 「これを経てもおまえが生き残っていたならば、今度はもう少し丁寧に可愛がってやろう。
 なかなか面白い駒を見つけてきてくれた礼としてな」
 「……!!」
 アイクとジョフレの前でそのようなことを言われ、思わず動きを止めて表情を歪ませる。息も止めてしまいそうだった。
 そんな彼女の前に、その二人が躍り出る。
 「アシュナードっ! 姫様には指一本触れさせん!」
 「それ以上口を開くな! お前の野望は俺の手で止める!」
 アイクの手に光る神剣ラグネルに、アシュナードの口の端が喜びで歪む。
 飛び去るアシュナードをいまいましげに見送ったあと、二人は自分の主君へ振り向いた。
 「エリンシア!
 俺の最重要任務はあんたを守ることだ。だから、あんたを悲しませる奴は許さない。
 信じて待っていろ、仇をとってきてやる!」
 「今度こそ……お側を離れません。何があっても守り抜きます」
 彼等はそう言うと、ひとりは攻めて守る為に前線へ飛び出し、ひとりは盾になり守る為に側に立った。
 エリンシアも、天馬の手綱を強く握りしめる。

 ……女神アスタルテよ、全ては私が無力で無知だったことの報い。
 だけれど、私が成長したのであれば……この戦いの勝利と、そして本当の”初めて”を下さい……

 そして皆は戦場に駆け出し、かくして最後の戦いは幕を開けた。

 end.
545625:2005/09/30(金) 07:05:34 ID:tgobODBs
以上でございますー。
色々とアレで投下迷ったけど、一気に書き上げた自分の謎の情熱に驚いたのでつい。
普段は和姦好きですし、いつかもっとえろいのとかアホなのとか書いてみたいです。
それでは、お目汚し失礼致しました。
546名無しさん@ピンキー:2005/09/30(金) 07:11:51 ID:CbWSSznM
リアルタイムGJ。エリンシア強くなった
547名無しさん@ピンキー:2005/09/30(金) 07:15:10 ID:I1heObWd
リアルタイム乙っなんでこんな時間帯に起きてんだろう。

エリンシア×ジョフレ派なんでこれは短い文ながらグッと来た。
それよりもマカロニ兄貴のほうがググッと来たのは気のせいか。GJ。
548名無しさん@ピンキー:2005/09/30(金) 18:33:54 ID:EzBvHwz6
蒼炎やった事無いけど、この話読むだけだとトレック的キャラなのか?
ダメ男ダメ男呼ばれてたから激しく敬遠してたんだけど
549名無しさん@ピンキー:2005/09/30(金) 22:07:45 ID:UaKPiWGU
この二人は、同年代のエイリークとゼトというかんじだ
550名無しさん@ピンキー:2005/09/30(金) 23:03:00 ID:6LhSqhtA
不老不死の薬と騙されて水銀を毎日飲むエイリークを想像・・・ハァハァ
魔除けといわれて強力な放射性物質で作ったアクセサリーをつけたエイリークを想像・・・ハァハァ
ワインの苦さが苦手なエイリークに、鉛を入れたらおいしく飲んでくれたのを想像・・・ハァハァ
肌にいいパウダーと騙されてアスベストを毎日パタパタ、そして吸引するエイリークを想像・・・ハァハァ

おまいらどれに萌える?
551名無しさん@ピンキー:2005/09/30(金) 23:21:04 ID:RuvS+GLw
痩せると聞いてゴーヤ茶飲んであまりの苦さにむせるエイリークだな
552名無しさん@ピンキー:2005/10/01(土) 06:14:16 ID:08wlRq56
上でクローンゲームの話がちょっと出てるけど、早い話がパクリゲームの事な。
素材やデータを原作からそのまま持ってきたりしてるから、一般的な同人作品に比べて雰囲気は限りなく近くなる。
ストーリーの組み立てが上手な人が作ってるのなら、本家と同じくらい楽しめる作品も結構ある。

但し、上にも書いたけどパクリなんで結構問題になることもあるみたい。
素人にもお勧めだがある日突然サイトごと消滅とかもあるんで過度の期待は厳禁な。
553名無しさん@ピンキー:2005/10/01(土) 22:15:54 ID:fDK2zFcS
>>552

誤爆するエイリークに萌エス
554名無しさん@ピンキー:2005/10/01(土) 22:24:26 ID:1h5OlWC+
>>545
ジョフレ×エリンシアイイヨイイヨ〜
何となく姫にはアイクじゃない(アイクは傭兵団に帰る男だから)なと
思っていたので燃えた
亡国の姫様にはこれくらいの物語がついてる方が好きだな!
555名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 05:16:59 ID:c2aqtCXR
普段ROM専で文章は書きませんが
>>531を見て書きたくなったので勢いでアーサー×フィーを投下します
稚拙とは思いますがご容赦ください

注意:
・かなり長い割にヌルイ・軽い・シリアスではない
・キャラに相当主観が入っている
・服とかは資料がないので適当に考えた

・アーサーが生足でない
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

この中で何かが引っかかった方はIDでNGワード登録お願いします
556特別:2005/10/02(日) 05:20:43 ID:c2aqtCXR
グランベルの空に、そろそろピンク色の雲が混じり始めてきた頃、天馬に乗ったフィーは真下に銀髪の若者が
ひとり馬を進めているのを見た。既に戦いは終わっているらしく、彼は仮の傷の手当てをして、軍が仮の拠点とした
ヴェルトマー城のある方向へ馬の首を向けている。

上空から見る限り、他の兵士もまた号令を受けたのか、それぞれ陣を正して戻っていく。相手は仮にも帝国の
正規軍であり、ゲリラではない。そしてこちらも解放という大義を掲げている以上、日が暮れると戦いはしない、
という約束は守る必要があった。もっとも、トラキアが同盟軍としてこちらに付き、イシュタルやマンフロイ、
そして十二魔将が倒れた今、帝国の指揮官と言えるものは、最早ユリウスしか残っていない。

彼の双子の妹であるユリアがマンフロイによる洗脳をとかれ、ロプトウスを倒しうるナーガの書を手にしたという噂は
敵軍自軍問わず速やかに伝わっていた。その敵軍兵士には明らかに戦意を喪失しているものすらいる。
この戦争は、確実に終わりを告げようとしていた。

フィーは愛馬マーニャの手綱を引き、低空飛行に切り替えて
彼女の相棒であるこの魔道士の若者に声をかけることにした。
「アーサー、何してるの?」
アーサーが上を見上げると、白いバンダナをした緑髪の少女が、天馬の上から不思議そうに彼を見つめていた。

「何って、戦っているのに決まってるだろ…フィーは気楽でいいな」
「あら、気楽じゃないわよ。私はさっきまで偵察に行って来たところなんだから
 これでも疲れているの!ちょっとは労わりなさいよ」

フィーがマーニャを地面に着地させると、その大きな翼の動きを周囲の空気が避け、風が起こる。
フィーの短い髪も、アーサーの男にしては長すぎる髪も、それに合わせて揺れた。
天馬は地面を歩き出し、アーサーの騎乗する馬の隣に並んだ。しかし、何となくその首は下を向き、
今日の彼女の行軍がいかに過酷であったかを物語っている。

「うーん…まあそれはそうだな、どうやらマーニャも疲れてるみたいだし」
「でしょう、随分遠くまで飛んだもの。
 行きがけに遠距離魔法が飛んできて、かなり無茶な急降下もさせちゃったし…ごめんね、マーニャ」

首を撫でられると、マーニャは分かっていると言いたげに、少しだけ後ろを振り返った。
共に育った二人には通じ合うものがあるのだ。

「今日はもう日が落ちるし、これ以上の行軍はなしだ。
 マーニャは先に天幕に帰らせてやればいいじゃないか。
 フィーを乗せたままじゃ重たい…」

魔道士の若者の言葉が終わらないうちに、ぼこっという鈍い音があたりに響く。

「殴るわよ!」
「もう殴ったじゃないか!」
「ふんだ、今のはライブの杖よ!次は雷の剣だからね!」
「それは斬るって言うんじゃ…」

フィーは戦火に乗じた山賊たちから周囲の村を守る役目を負っている為、様々な武器や杖を携帯している。
流石に得意の槍でアーサーを刺す気はないようだが、怒らせるのはまず得策ではない。
そもそもこういうことでフィーに口では勝てない。それ以上の反論はせず、彼は黙り込んだ。
557特別:2005/10/02(日) 05:23:35 ID:c2aqtCXR
「まあでも、確かにマーニャは一人で帰れるよね。
 ここまでの弓兵はもういないはずだし、あたしの鎧もこれで結構重たいし…」

先ほどの言葉を多少は気にしたのか、フィーは折りたたみ式の槍だけをマーニャの鞍に取り付けると、
愛馬から降りてとんとんとその首筋を叩いた。マーニャは心得たようにヴェルトマーの方角へと翼を向けた。
再び風が起こった。警戒を怠らないのか、低空飛行のその姿が地平線に消えるのを見届けると、
フィーはアーサーを見上げて言った。

「じゃあ、乗せてくれるかしら?」
「ああ、うん、そうだな」
妙に曖昧な返事を返したあと、何故かアーサーはさっさと自分の馬から下りた。そのままじっとフィーを見上げる。

「? …なにやってるの?」
「いや、やっぱフィーが手綱を取ってるほうが落ち着くかと思って」
飽くまでも淡々とした言葉で少女に労働を強いるアーサーに、思わずフィーが声を張り上げる。
「はあ!!?さっき言ったじゃない、労わってって!」
「俺はマーニャは労わったぞ」
「なにそれ!…」

数分の言い合いと軽いリライブの杖による殴打を経ても、
なおマイペースなアーサーに勝つことが出来ないフィーが結局は手綱をとることになった。
フィーが思うには、軽い口げんかなら自分は彼に勝つことが出来るが、彼が頑固に自分の主張を通そうとする
場合には、口の達者な彼女がいくら言っても、アーサーは絶対に聞かない。言い合いにならないのだ。
だからつい折れてしまう。よくあることだった。

「他人の馬に騎乗、しかも二人乗りなんて、余計緊張するわよ」
「まあまあ…みたとこ、この辺の敵軍は一掃されたようだし。
 さっきの狼煙見たろ?セリス様ももう戻られたみたいだ、安全だよ。俺の魔道書もあるし。
 それにフィーも普通の馬に慣れとかないとな」
「あら、どうして?」
「さあね。でも必要なときがくるかもしれないだろ」
「何よ、はっきりしないわね」

空を覆う桃色の雲が、一層その彩度を増していく。雲の合間に見える空は未だ明るいが、
そこに薄く白い月が既に顔を出していた。
もう少ししたら一番星の見えるころだ。フィーは少しだけ懐かしいものを感じた。
558特別:2005/10/02(日) 05:26:04 ID:c2aqtCXR
「きれいね…血の流れた戦場だなんて思えないわ。
 ふふふ、おかしいな。あなたを後ろに乗せてイザークまできたことを思い出しちゃう
 …あ」

急に思い当たり、フィーは後ろを振り向いた。さっきの頑固な彼の主張は…

「ひょっとして、そのこと考えたの?」
「まあね。前みたいに、たまにはいいかなって思ってさ」

当たり前のように、アーサーが答えた。いつものとおりの整った、それ以上に飄々とした表情だ。
フィーはシレジアで彼を拾ったとき、長い銀髪のせいで女の子かと思ったことを、頭の端で思い出した。
しかし今の彼は、あの時と大して変わらないのに、何故かとても女の子には見えない。
彼女は何かを振り切るようにさっと前を向いた。

「…わからないわ、あなたって。
 あまり他人のこと考えてないって感じなのに、時々へんに優しいし、気遣ってくれたり。
 ふりなのか、そうじゃないのか…」
「ふーん」

真剣に話しているのに、気のない返事だとフィーが感じたそのとき、うつむいたフィーの耳元に
アーサーの息がかかった。その空気がかすかに振動して、鼓膜を揺らすのすら手に取るように分かり、
そんな自分にフィーは少なからず驚いた。そして彼女は突然、アーサーの体が自分と隙間なくくっついていることを
自覚した。彼とはイザークに来るまで、何日となく共に天馬に乗ったのだ。
しかしあのときはこんなことが気になったことなど一度もなかった…

「や、やっぱり、降りる」
「なんで?歩きは遅くなるぞ、疲れてるんだし」
「いいの!とにかく、降りたいの!」

無理やりにアーサーの馬から降りようとするフィーを、魔道士にしては強いアーサーの手が引き止めた。
グローブをしたその手は、初めに見たころより大きく感じられた。
フィーは(そういえば最近アーサーは剣を扱うようになったんだ)と場違いなことを思った。
彼はかなり前に―――彼が妹と再会した頃だ―――歩兵から騎兵になると決め、その際に剣術の修練も始めた。
すぐに騎士となり、自分の馬を持ち…だからフィーがアーサーを天馬に乗せることは、あれから一度もなかったのだ。
フィーが自分の考えにふけりそうになったそのとき、思いのほか真剣な声が、再び彼女の鼓膜を揺らした。

「あの時言ったろ、フィーが特別だからだって」
「な、なんのことよ…」
言葉ではしらを切っても、アーサーのあの時、という単語がいつの事を指すのか、フィーには分かっていた。
あれはアルスターの城の近くでのことだ。そう、ちょうど彼が剣術の稽古を始めたころ。自分を心配する彼に、
アーサーが誰かを気遣うなんて珍しいと揶揄したら、それはフィーが特別だからだと
彼が小さな声で付け足したのだ。フィーはそれについて今まで深く考えなかった。考えることが出来ずに、
聞こえなかったふりをして、以前と同じように彼と接してきたのだ。
しかし今、アーサーはそれについてなにかを言おうとしている。
聞きたくない、聞いたら怖い、でも聞きたいという矛盾した気持ちのまま、フィーは振り向いた。

「俺は、確かに他人のこと考えてないように見えるかもしれない。
 でも例外もあるって言ったんだ。分からなかった?」
「そんなの知らないわよ!だって、…声が小さかったんだもの!」
「あははっ、なんだ、じゃあやっぱり聞こえてたんじゃないか」

自分の演技は、とっくの昔にばれていたらしい。それ以上に、アーサーの言葉が何を導き出すのかについて
考えようとすると、恥ずかしさでフィーの頬は熱くなった。
同時にいつまでも続く笑い声が、耳にざわついたおかしな感触を伝えてくる。それがどうしてもこらえきれず、
身をよじりながら、フィーは無理やり怒った声を出した。

「み、耳元で笑わないで!」
「ごめんごめん、…ふっくくく、あははははは…!」
559特別:2005/10/02(日) 05:30:39 ID:c2aqtCXR
ひとしきり笑ったアーサーだが、フィーの後姿が小刻みに震えているのに気がついた。
よほど恥ずかしいのかとも思ったが、「フィー?」と声をかけるとびくりと身をすくめる。
特徴的なピアスの振れが止まらない。それが馬の背に乗っているから、ではないことが一目で分かった。

「…フィーって、ひょっとして耳が弱いとか…」
「しゃ、喋らないで!お願いだから」

これは面白い。いつも口の達者なフィーが、自分に対してこんな態度をとるのを見るのは初めてだった。
いや、誰に対しても、こんな風に小さくなるフィーなんて見たことがない。
「…」
しばらく黙って、そして出来るだけ体を離してフィーの後姿を見る。誰がどう見ても、肩に力が入っている。

遠くに視線をやると、おそらくスカサハだろう、歩兵剣士の抜き身の剣が夕日にきらりとひかった。
他には誰もいない。あらかた撤収は終わったらしい。荒野が終わりを告げ、辺りに樹が現れ始めていた。
アーサーは金属製の棒をいくつかポケットから取り出し、組み合わせてそれが光るように意識を集中すると
空に掲げた。スカサハも同じように何かの組み合わせを返した。そして岩陰に消えていった。
日は山の少し上に輝いていた。

あれきりフィーは黙ってしまった。意識しているのが誰にも分かるぐらい、かちかちにかたまったままだ。
そういえば、フィーは胸当てと肩のプレートぐらいしかつけていない。翼の揚力に頼る天馬に負担をかけないためか、
その装備自体もあまり大きくはなく、肌が見えている部分すらある。
アーサーは何気なさを装い、一部がむき出しになっている太ももに触れた。冷えた足が、緊張に硬くなる。
やめて、と言いたげに、水分を含んだまつげが頬の向こうで揺れた。しかし彼女の口は何も発さなかった。

フィーは混乱していた。この手はなんだろう、わざとなのかそうでないのか?
いつもどおりふざけているだけなのか?
手の甲が白くなるほどに手綱を握り締める。真剣に、慎重に、自分で世話をしたことがない馬の機嫌を
損ねないように、ただそれだけを念じながら、次第に深くなってきた木々の間に馬を進める。

魔防の糸で刺繍の施されているグローブが不埒な動きを見せたら、すぐにでも飛び降りて、今度こそ雷の剣だ。
それなのに、先ほどよりずっと体は離れているし、手は動かない。あの何だかよく分からない感触の吐息も
耳元にはない。後ろに乗っているはずの相棒が遠い。意図が全く読めない。

いや、自分が意識しすぎているのか。フィーを特別だというアーサーには、「特別に信頼できる相棒」という以外に
全く他意はないのではないか。
それでは、自分のこの態度はあからさまに不自然に写るに違いない。
明日になったらいつもどおりのただの相棒に戻れるだろう。そうだ、そうならなければならない。
アーサーに遠慮させてはいけない。なにもかももとどおりにできる。顔色も戻る、後ろにいるのはただの―――
560特別:2005/10/02(日) 05:34:03 ID:c2aqtCXR
「フィー」
フィーが反射的に身をすくめる。彼女から肯定の意は聞けなかったが、確かに耳が弱いらしい。
それを見て、アーサーの手がすばやく少女の腹部に回った。布越しに平らな線を確かめるような動きが、
張り出した腰骨へ移動して、そこをくまなく撫でた。

一連の動作の間、腰に佩いた雷の剣にまでは、フィーの手は伸びなかった。
半ば馬の首にすがるような姿勢で、手綱を必死に握っている。しかし足に妙な力が入っているせいか、
馬は惰性で歩いているだけで、もはや殆ど距離は稼げていなかった。

アーサーはフィーの背中にある胸当てと肩の装甲のベルトをやや乱暴に緩めた。服と鎧の間に隙間ができると、
彼は殆ど何も考えずにそこに手を入れた。小柄な体躯から想像したよりずっと柔らかな感触が、指を押し返す。
そこではじめて、フィーが言葉を発した。

「やだ、やめて」
その声が涙でかすれていることに、アーサーは気がついた。
気がついたが、わざと敏感な耳に口をつけるようにして、じゃあやめるか、と聞いた。
するとフィーのからだがビクビクと軽く痙攣した。同時に苦痛を感じているといっていいほどに
表情を歪ませたが、その頬は今や真っ赤に上気して、息が上がっていた。
冷たかったはずの足が、酷い火照りを持っていた。

「だって、だれか、見てる」
見ているはずはない。先ほど友人であるスカサハに送った信号は、軍で決めたもので、「殿をつとめる」
という意であった。対してスカサハは「ゆっくりでいい」と返してきた。自分たちが共にいること、
そしてそれ以上の何かを目のいい彼は察したのだろう。

ここよりずっと先までの区域の駆逐を任された彼が、あのように悠長な返事を返したということは、
この辺りは既に戦場でないということだ。戦いに関して慎重なスカサハは、これ以上ない信用できる存在だ。

もちろん、伏兵の可能性は無くはない。だがその心配はもう少し日が暮れて時間がたってからするのが
妥当だろう。既に相手の戦意は殆ど失われているし、遠距離魔法に関してもフィーの魔法防御に心配はない。
また何かあれば、魔道書が手元に無くとも、どうにかする余裕がアーサーにはあった。


もともとアーサーには、フィーを強制的にどうこうするつもりはなかった。
フィーは勝気だが、基本的に素直で共にいると心が休まる。彼女を好きだとも思う。だが、この距離はしばらく
縮まらないだろうとも思っていた。彼女にはどこか無垢なところが残っていたからだ。
つまり端的に言ってこういうことに鈍いのだ。
しかし、今日のフィーの反応を見ていると、どうやら考えを改めるべきかもしれないと彼は考えた。

「降りて」
「でも、帰らないと」
「いいから」

アーサーが先に降りてフィーの手をとると、彼女は緊張を解いてぐったりと体を預けてきた。
それを抱えるように降ろす。
馬を少し離れた枝に繋ぎ、水をやり、下生えを食ませた。二人乗りは負担がかかる。しばらく休ませるべきだ、
ととってつけたような理由を考えた。
戻ってくると、呆然と己の肩を抱いて立っているフィーの姿が見えた。鎧は脱げかかり、着衣も乱れている。
自分がそうしたとはいえ、これでは暴漢に乱暴を受けた女性兵士だ。しかし、彼女に怯えたような様子はなかった。
561特別:2005/10/02(日) 05:38:07 ID:c2aqtCXR
フィーはただ驚いていた。
確かにあの時思ったはずだ。今、手を伸ばせば、雷の剣に魔力を込めることが出来ると。混乱はしていたが、
魔力を調整すればアーサーに大した怪我を負わせることもなく、
その後いつものように怒鳴りつけられたはずだ。もっと簡単に、柄で殴りつけるとか、グーでパンチとか…
他にたくさんの選択肢があったにも関わらず、結局自分が選んだのは、こんなことはしないはずと信じていた
相棒にされるがままになる、というものだった。

(あたしって…)
不思議と行為は不快ではなかった。アーサーが腰や胸を触ったときの手つきは、フィーの嫌いな、
場末の酒場の酔っ払った嫌らしいおじさんと大してかわらないものだったはずなのに。
理由は一体なんだろうか。この違いの理由は。
じっとりと汗で濡れた白いバンダナを額から外し、握り締め、ついに彼女は思い当たり、愕然とした。

(ひょっとしてあたしって、こういうの、好きだったのかしら…)

アーサーが思ったとおり、フィーは鈍かった。


そのとき、アーサーが戻ってきた。これから自分たちが一体どうなるのか、それともどうにもならないのか、
フィーには見当もつかなかった。
アーサーの表情はやや暗いためよく分からなかったが、銀色の長い髪に縁取られたそれは
いつもと変わらず整っているように見えた。
あのきれいな顔で自分にあんなことをしたのかと想像すると、生々しい指の動きまでが鮮明に思い出されて、
フィーのぼんやりとしていた頭は急にめまぐるしく回転しだした。

「あ、あのね、アーサー」
どもり気味の自分の声にさらに焦り、自然と早口になる。

「ちがうの。あたし、べつに、そういうつもりとかじゃないのよ」
アーサーの手が肩に伸びる、その手が完全にベルトを外して、肩のプレートが、胸当てが、地面に落ちる。

「そういうって、どういう」
口調が怒っているように聞こえるのは気のせいだろうか。ついに自分の上着すら脱ぎだしたアーサーに、
悲鳴を上げそうになるのを必死の思いでこらえて、フィーは叫ばんばかりにして答えた。


「あたし、違うの!あの、だから、誰かに見られるのが好きとか、
 襲われても平気とか、こういうのが好きとか、とにかくそんなのじゃないのよ!」
562特別:2005/10/02(日) 05:44:46 ID:c2aqtCXR
自分を見上げる少女の必死の告白に、アーサーは危うく眩暈を起こすところだった。
そんなつもりじゃないという台詞から、フィーが恐らく自分自身を取り戻して、
ここまでさせるつもりはなかった、勘違いするなと言うのだろうと考えたのに、
彼女はさらに想像の遥か彼方上を考えていたらしい。

素直な彼女は確かに好きだ。だが、アーサーは驚きを通り越し、軽く腹が立ってきた。
勝手な八つ当たりとは分かっているが、あそこまで言わせて、させて、尚且つここまで通じていないとは…

「フィー、手」
「え?」

条件反射か、素直にフィーが手を出すと、アーサーはフィーがぼんやりしているうちに、両手首を
彼女のバンダナで縛ってしまった。

「ちょっと、何…!」
「声落として。向こうに人がいる」

無論嘘である。しかしアーサーは自分の意地が悪いのを自覚しつつ、耳元で続けた。
「見られるかもな。でも本当はこういうのが好きなんじゃないの?」

樹に縛った手をつかせ、フィーの後ろから手を回し、胸の合わせ目から素肌に触る。
ひっと鋭く息が吸い込まれた音が聞こえたが、意識的に無視した。
胸当てがないせいで、先ほどよりずっと触りやすい。手に余るほどの豊かさを感じて、
アーサーは自分のグローブを外した。自由が利くようになった手でフィーの胸のボタンを外し、下着を掴み、
上着ごと肩から落とした。程よく筋肉がついているためか、胸の形は崩れず、弾力を持っていた。

故郷シレジアの雪のように白い背中が、薄暗さを持ち始めた風景から浮かび上がって見える。
円を描くように胸を揉み、人差し指と中指でその先を軽く転がすようにすると、
フィーの体は肘が樹の幹に付くほど前傾していった。彼女の足は自由なはずだが、抵抗はなかった。


もちろんフィーに言ったことはないが、アーサーには多少経験があった。彼女と旅をする前、
母や妹と別れた後は、彼はシレジア国内を一人で渡っていた。
その母に似た髪の色は、シレジアでは帝国を想像させるに難くないものだったので、隠し染めていたが、
面差しは変えようがなかった。こちらが声をかけなくとも、酒場の「おねえさん」たちが
彼に色々なことを教えてくれたのである。すさんだ生活であったうえ、その頃年端のいかない少年だった彼は
これまで色事に関してあまり積極的なところはなかったが、それでも経験だけは積んでいた。


そして今や彼はその経験を最大限に発揮していた。

「ん、んんん、う…!」
肘に下がってきた衣服をかんで、フィーは耐えている。彼女は本来索敵能力に優れているのだが、
健気にも「人がいる」ことを信じているのだろう、声は出さない。
だが、しきりに太ももを擦り合わせ、行為に対して感じているのは隠しようがなかった。
アーサーがそこに硬くなった自分のものをわざと押し当ててやると、白いうなじがびくりと反った。

間違いなく、フィーは自分のおかれた状況を分かっている。分かっていて、抵抗せず流されているのだ。
563特別:2005/10/02(日) 05:48:39 ID:c2aqtCXR
天馬騎士の動きを妨げないつくりになっているホットパンツを降ろすと、下着がじっとりと湿っているのが、
アーサーの手に伝わってきた。

「濡れてるよ」

小さな声で、しかし確実に少女の耳に聞こえるように言ってやる。かわいそうだとも思うが、口が止まらない。
「凄いな…これ、ひょっとして、俺の馬に乗ってたときから?」

答えはなかったが、彼女の耳が一層赤くなった。

フィーが腰から下げている、薄く軍旗の刺繍の入った布を捲り上げて、下着の上から秘所を撫ぜると、腰が跳ねた。

「や、やだっ!そこ、やめて!」
「声が大きい」
「でも、だめ、変になるから、いやっ…!」

悲鳴のような苦情を聞き入れず、アーサーは体格の違いを利用して後ろから覆いかぶさった。
その拍子に散った涙をなるべく見ないようにして、逃げ場をなくして腰を固定し、下着に直接手を入れて、
案の定硬く勃起していた小さな突起を嬲る。決して乱暴にはせず、既に溢れている愛液をまぶし、
指の腹で円を描き、あるいはなぞりあげる。そして緩やかに自分のものもこすり付けた。

片方の手では、胸を押しつぶすように掴み、緩め、それを繰り返す。
そう時間のたたないうちに、フィーの膝がガクガクと揺れた。足から力が抜け、少女は尻餅をつくようにして
地面に倒れこんだ。腕の自由が利かない彼女の体が傷つかないように、アーサーは軽く体重を支えてやった。

「イっちゃった?」
「…」

肩で息をしているフィーは何も答えなかった。
564特別:2005/10/02(日) 05:52:52 ID:c2aqtCXR
達するということに関して、友人の女の子たちからの情報ぐらいしかフィーは知らなかったが、
恐らく彼の言うとおり、自分はそうなってしまったのだろう。
人の見ているかもしれない―――恐らくあんな声を出したら気がつかれただろう―――前で、
はしたなくよがった末に、達した。

自分のこんな所を、アーサーにだけは見せたくなかった。家族は嫌だし、他の男の人も友達も嫌だけど、
アーサーには特に、見られたくなかったのに。

何故か相変らず彼に対して嫌悪感はなかったが、そのことが余計にフィーを失意に追い込んだ。
あたし、ほんとにこういうの、好きなんだ。見られて、縛られて、無理やりされたのに、嫌じゃないどころか
…イっちゃうなんて。
最低だ。もう、セリス様達の所には帰れないかもしれない。みんなにインランって言われても仕方ない。

「ぇ…っく」
最中には我慢していたのに、とうとう、嗚咽が漏れた。いや、いい。もう泣くしかない。
フィーは壮絶に乱れた格好のまま、わあわあと子供のように泣き出した。最早何が悲しいのかよく分からない。
が、自分の手首を縛ったままのバンダナで拭っても拭っても、涙だけは延々と出続けるようだった。
歪んだ視界の中のアーサーは、困っているように見える。だが少なくとも、このままフィーを捨て置いていく気はないようだ。
希望的観測かもしれないが、それでもフィーは嬉しかった。もうやけくそで、思いついたことを喋るだけだ。

「ひっく…ごめんね、アーサー」
「…は?」
「あたし、…ヘンなんでしょ、インラン女って思ったでしょう!
 こんなの初めてなのに、嫌じゃなかったもの!襲われたのに、抵抗しないで、気持ちよくなっちゃうなんて!
 正直に言ってよ、こんなあたしのこと嫌いになったでしょ!こんなのが相棒だったなんてって思ったくせに!」
「いや、ちょっと待…」
「アーサーのばかーーーーーっ!あたしのおおばかーーーーーーーっ!わああああああああああん!!!」

酷いことをしたのはアーサーなのに、自分が謝るとは滑稽な姿だが、
何故か際限なく自分が悪かったような気がしてくる。あの時も、今も、身を守ることは出来たはずなのに、
なぜそうはせず、あんな姿をさらしてしまったのか?少女らしい潔癖さが、フィーの頭から思考を奪っていた。

「フィー、ちょっとでいいから俺の話聞いて」
「何よっ…!知らないわよ、あなたなんか!」

涙をいっぱいに浮かべた瞳で精一杯に睨みつけると、アーサーが自分のコートをむき出しの白い肌にかけた。

「俺は、嬉しかったよ、フィーがイったんなら。きみが好きだから」
「いっ…」
思わず復唱しそうになったフィーの涙が引っ込み、再び顔が赤くなる。

「意地悪な事を色々言ったのは謝る。あと少し嘘もついたな。人はいなかった。安心していい。
 ただ、こういうことを自分で聞くのはなんだけど…」
「な、なによ…!」
「フィーは、俺のことが好きじゃないの?俺が勝手にそう思ってるだけなら謝る。
 でも、そういう風に見えるんだ。そうやって考えたこと、ないの?
 きみが特別だと以前も、さっきも俺は言ったし、きみにも本当には分かってもらえてたと思ったから、
 ずるいとは思ったけどそれに甘えて、無理にしてでも確かめたかった。嫌なら嫌だという人だろ、きみは」

アーサーが噛んで含めるようにして喋りだしたとたん、フィーは金槌で殴られたような衝撃に見舞われた。
突然の行為で、ずっと信頼してきた相棒に裏切られたと感じ、ショックで深く考えることが出来なかったが、
しかし「特別に信頼のできる相棒」ではない、ただの「特別な人」だと聞いた途端に、あっさりと全てを理解した。

フィーはああいった行為でアーサーとの関係が壊れたと思ったからこそ、悲しかったのだ。
特別な相手になるか、性的な相手になるか―――なんであれ、自分とアーサーの関係が変わってしまうことを恐れ、
全てから一切目をそらしていたことに全く気がつかなかった。

よくよく考えてみれば、嫌じゃないのは、嫌じゃない人がしたことだからだ。酒場のおじさんのセクハラは嫌だと
さっき思い出したばかりだというのに。何と混乱していたのだろうと自分でも呆れる。
565特別:2005/10/02(日) 05:56:03 ID:c2aqtCXR
「それと、ああいう風にした俺が言うのも説得力がないけど、
 フィーはまだ本当には犯されてないんだから、俺が嫌いなら、やりなおすことは…」

「じゃあ、やりなおしましょう」

「………?」
「最初からやり直すの!
 あたし、ショックだったんだから、いきなりあんなことされて!
 …でもね、あたしがさっき咄嗟に謝っちゃったのは、
 きっと、あなたにちゃんと向き合ってなかったの、自分でも何となく分かってたからだと思う。
 怖かったから。あなたのことを、男の人として好きだなって思っちゃったら、
 何かが変わっちゃうんじゃないかって、勝手に思って」

そこまで聞いて、アーサーはややぎこちなく笑った。
「フィーは自分でも気がついてないかもしれないけど、かなり生真面目だからな」
「それは今日ちょっと分かっちゃったわ。お母さまに似てないけど似てるって、時々言われるし。
 でもね、あなたが悪いのも本当なんだから。本当だったら勇者の槍☆100よ、言っとくけど。
 だけどまあ、今回はこれで許すわよ」

フィーは泣きはらした瞳を閉じて、少しだけ微笑んだ。
「アーサー、あたしもあなたのこと好きよ。
 ちょっとヘンだけど、今度は順番間違えないでね」

アーサーはフィーの言わんとしている事を瞬時に理解した。
意識的に、先ほどはフィーとは唇を合わせることはしなかったのだ。大体の態度でフィーは意地を張っているだけで、
自分を好いてくれているとは分かっていたが、万が一のことを考えて、決定的な行動は避けた。
指すら入れなかったのもそのためだ。大事にしたつもりだが、しかし、このことはきっとフィーを傷つけただろう。

「ありがとう」とだけアーサーは言うと、彼は目の前の薄い唇に自らのそれを押し当てた。
暫く角度を変えながらも、決して深くはしなかった。予想はしていたが、それよりもはるかにフィーは奥手だ。
これ以上怯えさせるのは、本意ではなかった。

唇を離すと、フィーは彼ににっこりと笑いかけた。鼻は赤いし、目元に涙は残っていたが、
かわいい顔だとアーサーは思った。
566555:2005/10/02(日) 06:07:42 ID:c2aqtCXR
ここまでで半分ぐらいです。本当に長くてすみません。
が、どうも最後まで投下すると512KBを超えそうなんで、どうしたものか…
とりあえずキリがいいので、ここでいったん止めますね
567名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 09:52:14 ID:1jpVZ8Mc
GJ
私は>>555にこの言葉を贈るとしよう
568名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 10:31:13 ID:SmuLv7HB

どなたか次スレを・・・・・・
569名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 10:42:12 ID:+7jaKPCc
初めまして。どなたか、ホリンのキャラクター設定に詳しい方はいませんか?
創作小説を実行しようと考えているのですが、幼少期や血族関係について分からない
部分が多いので困っています。無いのなら、オリジナル要素を含めていこうと
思っているんですが、出来るだけ原作に近い方がいいと思っているので…

カップリングはあくまでもホリン×アイラですが、どちらかというとホリンvsアイラ
になりそうな予感。(エロ無しの可能性)
570名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 11:10:50 ID:W3zpnbRn
ファイアーエムブレム&ティアサガ第19章
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1128218993/

ほい、立ててみたよ。
571名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 11:15:58 ID:W3zpnbRn
ついでにテンプレもはっといたが、
このスレのまとめは誰かたのまあ。あばよ。
572名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 12:16:55 ID:1QKaVd+X
>>555
GJ!GJ!!
あー久々に聖戦やりたくなってきた。
続き楽しみにしてます。
573名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 14:55:36 ID:Lk0+TYvX
18章まとめ

>9-12 ルイーズ奥様の3分クッキング(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>31-36 オスカー×タニス >37 おまけ(30)
>41-43 プリシラの一年クッキング(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>63-65 レイヴァンの3分クッキング(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>71-78 続・オスカー×タニス(30)
>87-95 今日も元気に営業中<アベルの武器屋>(
>101-102 レベッカちゃんの12時間クッキング(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>112-124 2日目日没 ロイ×エキドナ
>127-131 リン、フロリーナ、セーラの3分クッキング(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>209-217 >220-224 >226-228 2日目夕食
>248-249 >277-280 ヨファの日記(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>255-266 外伝パオラ&カチュア強姦未遂事件&百合未遂SS(
>270-272 フォルデ×ヴァネッサ(270)
>291-307 >309-310 >315-332 蜃気楼の影 希望の行方 >334 おまけ(花泉の亜茶)
>367-369 >371-381 Mighty Blow(998%マシン
>402-404 2日目ゆめ
>434-442 >444-450 2日目夜 ロイ×ララム
>461-467 >469-473 プラハの春(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>504-507 2日目夢 一部ロイ×キャス
>535-544 君主の資格(前スレ625)
>556-565 特別 アーサー×フィー(555)

どなたか補完をお願いいたします。
574名無しさん@ピンキー:2005/10/03(月) 01:32:01 ID:jrRQ7RQR
まとめやったことないもので…分かる範囲で補足しました

18章まとめ

>9-12 ルイーズ奥様の3分クッキング(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>31-36 オスカー×タニス >37 おまけ(30)
>41-43 プリシラの一年クッキング(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>63-65 レイヴァンの3分クッキング(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>71-78 続・オスカー×タニス(30)
>87-95 今日も元気に営業中<アベルの武器屋>(外伝 ◆9QlRx9nooI)
>101-102 レベッカちゃんの12時間クッキング(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>112-124 2日目日没 ロイ×エキドナ (17章119)
>127-131 リン、フロリーナ、セーラの3分クッキング(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>209-217 >220-224 >226-228 2日目夕食 (17章119)
>248-249 >277-280 ヨファの日記(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>255-266 外伝パオラ&カチュア強姦未遂事件&百合未遂SS(外伝 ◆9QlRx9nooI)
>270-272 フォルデ×ヴァネッサ(270) 未完
>291-307 >309-310 >315-332 蜃気楼の影 希望の行方 アストール×イグレーヌ >334 おまけ(花泉の亜茶)
>367-369 >371-381 Mighty Blow ミーシャ陵辱(988%マシン ◆ka5BrNUzcE)
>395 エリンシア小ネタ(395)
>402-404 2日目ゆめ (17章119)
>434-442 >444-450 2日目夜 ロイ×ララム ロイ×イグレーヌ(17章119)
>461-467 >469-473 プラハの春(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>495 馬鹿子世代 聖戦子世代小ネタ(495)
>504-507 2日目夢 一部ロイ×キャス (17章119)
>535-544 君主の資格 エリンシア陵辱(17章625)
>556-565 特別 アーサー×フィー(555)未完

これで合ってそうなら次スレに張りますが
あと17章も修正がいるかな
575555:2005/10/03(月) 21:14:22 ID:jrRQ7RQR
うわっ すいません今更訂正です

>>557の11行目最後の
そのままじっとフィーを見上げる。
の部分は
「見上げる」→「見下ろす」の間違いでした
この調子だと他にもある気がしますが…目を逸らしてください

>>569
5章でのホリン自身によるもの
(ソファラの領主の子でアイラを小さい頃から知っている)以上に
彼の設定を詳しく説明している本などは知る限りはないようです
576名無しさん@ピンキー:2005/10/09(日) 12:18:21 ID:YylSvoFt
18章まとめ

>9-12 ルイーズ奥様の3分クッキング(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>31-36 オスカー×タニス >37 おまけ(30)
>41-43 プリシラの一年クッキング(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>63-65 レイヴァンの3分クッキング(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>71-78 続・オスカー×タニス(30)
>87-95 今日も元気に営業中<アベルの武器屋>(外伝 ◆9QlRx9nooI)
>101-102 レベッカちゃんの12時間クッキング(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>112-124 2日目日没 ロイ×エキドナ (17章119)
>127-131 リン、フロリーナ、セーラの3分クッキング(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>209-217 >220-224 >226-228 2日目夕食 (17章119)
>248-249 >277-280 ヨファの日記(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>255-266 外伝パオラ&カチュア強姦未遂事件&百合未遂SS(外伝 ◆9QlRx9nooI)
>270-272 フォルデ×ヴァネッサ(270) 未完
>291-307 >309-310 >315-332 蜃気楼の影 希望の行方 アストール×イグレーヌ >334 おまけ(花泉の亜茶)
>367-369 >371-381 Mighty Blow ミーシャ陵辱(988%マシン ◆ka5BrNUzcE)
>395 エリンシア小ネタ(395)
>402-404 2日目ゆめ (17章119)
>434-442 >444-450 2日目夜 ロイ×ララム ロイ×イグレーヌ(17章119)
>461-467 >469-473 プラハの春(ダミアン ◆.lt5gYzbQ)
>495 馬鹿子世代 聖戦子世代小ネタ(495)
>504-507 2日目夢 一部ロイ×キャス (17章119)
>535-544 君主の資格 エリンシア陵辱(17章625)
>556-565 特別 アーサー×フィー(555)未完

これで合ってそうなら次スレに張りますが
あと17章も修正がいるかな
577名無しさん@ピンキー:2005/10/10(月) 21:14:16 ID:FmoACLmi
>>576乙カレ
578名無しさん@ピンキー:2005/10/10(月) 23:31:24 ID:UpGvp2E5
次スレに再誘導
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1128218993/l50

これで埋まるかな
579名無しさん@ピンキー:2005/10/11(火) 19:16:26 ID:URVkyuk6
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580名無しさん@ピンキー
まだかな?

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