卓上ゲームエロパロ総合スレ7

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1名無しさん@ピンキー
カードゲーム、ボードゲーム、TRPG・・・
この世にある全ての卓ゲーには影に隠れ淫靡にまみれし恥部があった!!

ここは卓上ゲームを元ネタとするエロパロを総合的に扱うスレッドです。
元ネタ及び表現するジャンルは不問!小説、イラスト、コミック、あるいは18禁リプレイやら生身やら。
遊戯中にとめどなく妄想を始めて人知れず股間をすり合わせるヒマがあるのなら!さあ!カキたまえ!!

前スレ
卓上ゲームエロパロ総合スレ6
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関連スレなど
卓上ゲーム板
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夜の青い小鳩亭 inソードワールド 6号店
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1122277369/
ロードス島戦記のSS2【クリスタニアも】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1083410959/
2天羅零・リプレイ:2005/08/15(月) 15:32:15 ID:nrFIfMzw
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「『白面の鬼』を読み返してて思ったんだけどさ、緑風、最後の幕間処理で、
〈一番大切なものの死〉を昇華して〈銀鋭への同情〉を獲得してるよね?」
「ああ」
「なーんかこれってズルっこだよね。ほぼ昇華不可な因縁を消すのに、対象を
変更した書き換え、みたいなルール違反の理屈をつけてるんだから」
「まあ、緑風の場合、〈一番大切なものの死〉は初級だったから、数値的な有
利不利が発生しない以上、どーだっていいって判断されたのではないか?」
「公式リプレイでその態度は良くないと思う。だいたい、数値的な変更がない
んだったら、〈一番大切なものの死〉を残しておいても良かったんじゃないか
なぁ」
「その辺は緑風のキャラ表現の範疇だから、他人の口出す幕じゃないな。
 ただ、〈一番大切なものの死〉の昇華が難しいのなら、何でアーキタイプや
サンプルキャラクターという、PCに推奨されたデータに〈一番大切なものの
死〉が普通に含まれているんだ? ガンガン因縁を書き換えていくことを推奨
しているゲームで、昇華しがたい因縁がPCの作成時点で提示されている理由
は? あまつさえ、ルールブックには『〈一番大切なものの死〉をはじめとす
る不幸系の因縁は、忘れることで昇華させることができる、だが、忘れたいの
か?』といったような、如何にも『消すな』と言いたげな記述があるわけだ。
 これを覆して、〈一番大切なものの死〉もスマートに昇華できます、という
手本をリプレイで見せるならともかく、あんなデタラメをやってたんではな」
「困ったもんだよね。とりあえず、〈一番大切なものの死〉を取らないように
するか、初級より上にしないように、というのが公式のスタンスって理解でい
いかな。同様なのが、〈設定:何々〉って因縁だよね」
「公式はどうあれ、遊ぶ方としてはそんな消極的な対策はつまらんだろう。ど
う理由づけて昇華、又は書き換えを行なうか。それを考えてこそ面白いのでは
ないか」
「そうだね、じゃあ、えーっと・・・・・どうしよう?」
「例えばルールブックに例示されている〈設定:幼馴染〉。これは、正確には
〈設定:太郎は幼馴染〉といった風になるのだろうが、これが上級だったとし
て、」
「上級の〈設定〉って何なんだ」
「例だからいいのだ。〈設定:太郎は幼馴染(上級)〉を、そうだな、〈設定
:太郎は幼馴染で戦友(中級)〉に書き換える」
「あ、なるほど、設定を細かくしていくわけだ。対象が同じだからルールの範
疇だし、セッション中に、回想シーンとかで太郎と一緒に戦った描写をすれば
OKだし」
3天羅零・リプレイ:2005/08/15(月) 15:33:22 ID:nrFIfMzw
「そう。そして次々と、〈設定:太郎は幼馴染で戦友でマゾヒスト(初級)〉、
〈設定:太郎は幼馴染で戦友で、仲間みんなのM奴隷(無級)〉と書き換えて
いけば、あっという間に」
「あっという間にワケわかんなく!」
「勿論、もっと簡単かつダイレクトに〈設定〉を昇華する手段もある」
「うん?」
「人違いでした、思い違いでした、嘘を信じてました。これで〈設定〉は無効、
否応なく昇華される」
「確かに簡単ではあるけど・・・味気ないねぇ」
「ほう、では〈設定:花子は血のつながりのない妹(特級)〉という因縁を例
に、味のある昇華というものを教えてやろうではないか」
「特級の〈設定〉って何なんだ!? てゆーか何となくヤな展開になりそうな
予感がギュンギュンするので、〈設定〉関係の例示はもういいよっ。
 で、〈不幸〉系の因縁はどう処理するの? 〈不幸:一番大切なものの死〉
は?」
「一番簡単にできるのは感情系の因縁への書き換え。〈一番大切なものの死〉
を〈一番大切なものへの懐かしさ〉といったように変更する」
「なるほど。ロールプレイ的には『どんなにつらい悲しみも、どんなに激しい
憎しみも、時とともに思い出になるものだな・・・』と呟く、って感じだね」
「あるいは逆転の発想。“一番大切なもの”が、実は生きていた」
「何じゃそりゃ?」
「例えば〈感情:妻への愛〉が妻の死と共に昇華されるように、死んだはずの
“一番大切なもの”が生きていたのなら、〈一番大切なものの死〉は昇華され
る」
「理屈ではそうだけど、あまりに都合が良すぎない?」
「勿論、記憶を失っていたり、悪の陰陽師にサムライに改造されていたりする
わけだ。悲劇の物語、第2幕ってとこだな」
「どこまで行っても天羅は不幸だなぁ」
「だが心配は無用だ。当然のように、PCの熱く! 長く! 深く! 激しい
キッスで真実の愛に立ち返り、正気に戻るのがお約束」
「いやそれは天羅のお約束じゃないと思う」
「ほう、ではPCの熱く! 長く! 深く! 激しいバックアタックで、新た
なる愛に目覚めるのがお約束か?」
「ンなわけないでしょっ。ここでお約束を云々するなら、正面から正々堂々、
戦って勝つ! ってトコじゃないの?」
「つまり小細工抜きの正常位で先に相手をイかせる、と」
「だからどうしてそういう発想になるんだよぅ」
「たとえココロがPCのことを忘れていても、カラダが何もかも覚えている。
そこを糸口に洗脳を解くという筋書きだ」
「ツッコミどころがありすぎて、どこから手をつければって感じ。いいからマ
トモな話をしようよ。
4天羅零・リプレイ:2005/08/15(月) 15:34:55 ID:nrFIfMzw
 リプレイの方はさ、紅那さんのことを口に出して銀鋭に語ったことで、緑風
の中で色んな感情が整理されて、ただただ不幸を引きずるだけではなくなった
んだ、って解釈にしとけば、〈一番大切なものの死〉を美しく昇華できたよね」
「まあ、緑風の場合はもっと楽しく〈一番大切なものの死〉を昇華できるわけ
だが」
「楽しく? って、どーゆーこと?」
「銀鋭の台詞から察するに、緑風の体内にある心珠には、紅那の魂が残念して
いる」
「そっか、心珠にはオニの意識が残っていることがあるんだっけ。もしそれが
悪い方向に行くと妖になったり大変なことになっちゃうけど、紅那さんの場合
は緑風を守ってくれてるよね。文字通り、彼女は今も緑風の心の中で生きてい
る、ってわけだ。それで〈一番大切なものの死〉を昇華するのか」
「いや、それ、楽しいか?」
「楽しいか、って・・・別に楽しくはないけどさ」
「緑風の体内には紅那の魂が宿っている。そして緑風は法術持ちだ」
「わかった、魂返しで紅那さんの魂を召喚するんだ! そっかー、思い出の紅
那さんどころか、本物の紅那さんと直接会話ができるんだよね。たとえ触れら
れなくても、二人はいつも一緒・・・・・。心温まるわー」
「それだけではないぞ? 法術には《折伏》という術がある」
「ええっ!? 紅那さん殴って強制成仏させるのぉ!?」
「《折伏》を使えば魂を殴れる、しかも突き返しも発生する。ここがポイント
だ。実体のない、例えば《光爪》では突き返しは発生しない。即ち、《折伏》
での戦闘は、擬似的に実体化した状態で、近接距離で行われると考えられる」
「いや、だからって恋人を殴るのはどーかと」
「誰が殴ると言った。
 《折伏》の術ならば、死んだ恋人と触れ合える、と言っているのだ。
 思う存分〈枕事〉に励めるだろうが」
「そこかーっ! そう持ってくるかーっ!」
「《不動縛呪》で紅那を金縛りにして恥ずかしいことやり放題。
 すっかりデキあがった紅那を《悪霊退散》で遠ざけて、身悶えするまで放置
プレイ。
 こーんな楽しいことができるなら、いつまでも〈一番大切なものの死〉なん
て因縁を抱えている必要なんてないではないか。なあ?」
「いっそ紅那さんを成仏させてあげてください、《折伏》で・・・」
「折角の《折伏》を、成仏させることなんかに使ってどうする。
 昇天させることに使え」
「・・・お後がよろしいようで」
5天羅零・リプレイ:2005/08/15(月) 15:35:58 ID:nrFIfMzw
 ・・・・・おしまい。

 以上、緑風の〈一番大切なものの死〉はいつどうやって昇華されたんだっけ、
と疑問に思ったところから考えたお話でした。

 里帰り帰り。憑かれた。あとよろしく。ぱたっ。

 あ? 後編? また今度にさせてください。再ぱたっ。
6名無しさん@ピンキー:2005/08/15(月) 19:27:54 ID:SctjvG+F
>>1乙。
>>2-5地鎮祭乙。一瞬真面目な話かと思ったが、結局最後は下世話だなそのふたり。
7名無しさん@ピンキー:2005/08/15(月) 23:59:39 ID:dX+T98CU
だがそれがいい。
そして>>1
8強化人間劇場・いんたーみっしょん:2005/08/16(火) 00:06:47 ID:o+Ja/lrB
まっしー「……ということでまたもや、指令だ」
あかりん「前回で終わらなかったから。後編まで間をもたせろと。あと>>1乙、と」
ま「……今回はザーフィ対策会議の続きを」
優美「そ、そうなの? 助かるわ」
あ「さっき買ってきた【まほらば 〜乙女たちの完全設定資料集〜】を手本に生まれ変わるの」
優「なるほど。……萌えに特化しろ、と。そういうわけね」
あ「さあ、まっしー。出して」
ま「うむ」

つ【うわらば 〜アミバ様の完全新作秘孔集〜】

あ「……萌え」
優「え!? あ、ありなのソレ!?」
9名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 02:10:01 ID:u02ww+IV
>>1
スレ立てお疲れ様です。というか押し付けた形になってすまぬです。
天羅は「そんなキャラだっけ?」「うむ。今そういう事になった」って感じのノリが好きだった。今回のを読んでて、ふとそいつを
思い出した。そしてなんつーか、このふたりに久々に会った気がするぜ。
お疲れのご様子なので、夏風邪などに気をつけて。

>強化人間劇場・いんたーみっしょん
アミバ様が萌えキャラなのは論を待たないとして。
なんか脇二人のせいで打倒(?)ザーフィが遠のいてる気がするのは俺だけか。
10名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 07:05:31 ID:QMPBMf5z
>>1乙ってゆーか

>>2-5 はやっ!?なにそれなにそれ〜っ!?
>>8 貴方もかブルータス!(吐血しつつ死亡)
其処もと、神速過ぎますぞ。

まあそれはそれとしていつものように改変。

優「もうちょっと恋愛要素が必要だと思うんだけど……」
あ「大丈夫、それも用意してある」
ま「これ、だ」

つ【リゾラバ 〜爆風スランプベストセレクションより〜】

あ「……萌え」
優「明らかに使い捨てじゃない!」
11名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 11:34:15 ID:mShIBMuN
≫1-5 ID見ると作品投下したいためにスレたてまで乙。
個人的にはこの二人が大好きなので、これからも活躍を期待しています。

≫8 こちらもGJ。
相変わらず、この3人のコンビネーションもいいですなぁ。

≫10 改変GJ。
こちらも十分神速ですぞ。
12いつも中の人:2005/08/16(火) 22:23:05 ID:+XxmZg/3
>8
優美「なんだかよくわからないけれど、とりあえず『うわらば 〜アミバ様の
完全新作秘孔集〜』を読み込んでみたわ」
まっしー「そうか」
優「そうしたら、『ほれ薬と同じような効果をもたらす秘孔』が載っていたの
で、これを試してみようと思うの」
ま「そんなことだろうと思って、予めザーフィを用意しておいた」
優「ありがとうまっしー、感謝する!」
ザーフィ「何だ何だ、何か用か?」
優「ザーフィ、そこを動くな! えい!」
ザ「うおっ!?」
優「……き、効いたか?」
ザ「優美。愛している」
優「効いたーっ!」
ザ「だが、済まない。俺はラース=フェリアの平和のため、今日も戦う運命な
のだ。お前を愛しているからこそ、お前と共にいてやることはできない。許し
てくれ」
優「そんな、ザーフィ……っ!」
ザ「お前にそんな悲しい顔をさせてしまう、俺のつらさもわかってほしい。俺
は決してお前のことを忘れないが、お前は俺を忘れて幸せになるんだぞ! さ
らば!」
優「ザーフィ、ああっ、ザーフィーっ!」
あかりん「……まっしー、優美。公式サイトで『うわらば 〜アミバ様の完全
新作秘孔集〜』のエラッタが出ている」
ま「エラッタ?」
あ「『ほれ薬と同じような効果をもたらす秘孔』。これは、『ほら薬と同じよ
うな効果をもたらす秘孔』の間違い」
優「え、じゃ、じゃあ、今のは」
ま「ほらを吹いて、体よく逃げていっただけ」
優「キー!」

 ちなみにわたくし、優美さんとまっしーさん存じません。こんな感じでよろ
しいか。
13鋼の戦士&混沌の監視者・外伝:2005/08/16(火) 22:25:19 ID:+XxmZg/3
 獲物を狩らないハンターはハンター失格だ。つまりぼくはヴァンパイア・ハ
ンター失格ということになる。
「こうして人間に手を出すとね、必ずあなたたちみたいなひとがやってくるの。
そうしてわたしの無聊を慰めてくれるわ」
 幼い子供が泣いているように見えた。泣いて喚いてじだんだを踏んでいるよ
うに見えた。母親に向けて「ママそれ取って」と、「それってどれ?」と訊か
れても「それよそれ、それ取って!」と、母親が辛抱強く「だからそれって何
なのか言ってごらん?」と促しても「どうしてわかってくれないの!」と。ぼ
くにもそんな思い出があるから。
 自分に敵する者を前に、ふんわりと笑うきみ。その愛らしい笑顔が、花や小
鳥や、誰か好きな人に向けられてのものならと、ぼくは祈らずにはいられない。
 今まできみが出会ってきたひとたちはどうだか知らない、でも今きみの周り
にいるひとたちの中には、きみが本当に欲しいものをちゃんと言えば、わかっ
てくれて、分かちあってくれるひとたちもいるんだよ。それは例えばぼくの大
切な仲間達のような。そして、ぼくもそうでありたいと願っている。
 過去は変えられないけれど、未来は選び取っていけるから。
「ねぇ。どうして抵抗しないの?」
 きみがぼくの首すじに牙を立てる。
 そう、ぼくは知っていたはずだ。きみは魔物。エゴのかたまり。欲しいばか
りで分かちあう気はないのだと。
 冷えきったきみの心を、ぼくがあたためたかった。つい今しがた枕辺で交わ
した情愛のように、きみが満たされるまできみを抱いていたかった。
 それがちょっと残念で、とても悲しい。
 ああ、いつか誰かがきみを奈落の底から救いあげてくれますように。
 ぼくでは、それは叶わなかったから。
 今はせめてぼくの血が、ひとときでもきみの慰めになればいい。
「ねぇ、どうして?」
 きみはぼくの死体をきみの人形にするのかい? 多分、しないのではないか
な。そこに『ぼく』はいないから。
 ……そんな気がするのは、だけどきっと、ぼくの自惚れでしかないのだろう。
「お願い、答えて、ねぇ……!」
 深く澄んだ湖水の如ききみの瞳から、何故か涙が流れでていて、ぼくはそれ
を綺麗だと思いながら自分の意識が遠のくのを見ていた。
14鋼の戦士&混沌の監視者・外伝:2005/08/16(火) 22:26:57 ID:+XxmZg/3
 ・・・・・おしまい。

 以上、マジで仕事が煮詰まってきたから書いてしまったお話でした。
 ごめんなさい、ふんわりと笑う彼女が可愛かったものですから……。
15名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 01:37:24 ID:K4dye8m+
開始早々ここは高天原ですか?
ところで即死ってどうよ。
16名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 02:01:05 ID:N8BDzvPk
ん、レス数だっけか? 容量だっけか?
ともあれ無駄レスでいいから30レスまで行っとくか?
即死されたらかなわんし。
17名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 04:22:20 ID:lVYyvNiQ
ふと思いついたネタがあったんだがまとまらん。ボスケテ。
ちなみにアリアン。
18名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 05:25:54 ID:Z/SHcyHo
ふむ、では心許ないが助言を。

まず、今は夏。夏と言えばクールビズだ。
そして薄着のサンプルキャラと言えば陽気な射手と遺跡の探索者だ。
どっちもヘソ出し。寝冷えしそうだ。
それから視点を変えタイトルに言及してみる。
そう、アリアンはリリアンに似ているね。
リリアンと言えばリリアン編みだ。
そしてそこから導き出される結論は…そう、毛糸パンツだ。
確かに陽気な射手は寝冷え対策に毛糸のパンツを履いていそうだ。
だが、遺跡の探索者はスパッツ。
下にあの分厚い毛糸パンツを履いているように見えない。

つまり、遺跡の探索者のスパッツの下は履いてn(ryだったんだよ!(AA略
19名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 10:41:05 ID:XqVEAvj6
ベネット「ぱんつはいてないは拙者が既に通過してゴザルよ」
シグ「いいからお前は鎧を着ろ」
ベネット「ゆえにここは『装身具:聖印』を装備して戦う護りの聖者たん希望でゴザル」
シグ「いや、それは普通じゃないのか?」
ベネット「其処はそれ一工夫。聖印が豊穣を司る道祖神な形状と言うことで」
シグ「おい!」
ベネット「動くたびに体内をかき回す聖印。そこから神の御力を受けることによって、ヒールの回復量を増すのでゴザル。
      歩くだけでもハァハァ。分厚いスカートの中とはいえ、仲間にばれないかどうかいつでもドッキドキでゴザル」
シグ「お前、信仰というものを何だと思ってるんだ!」
ベネット「街について宿屋の個室に入ってやっと外せる。それまでの旅の間はずっと入れっぱなし」
シグ「おい!いい加減に止めろっ!」
ベネット「数日間起きてる間も寝てる間もずっと焦らされっぱなしで大洪水の其処に、神様のアレが激しく出入りしてしまう
      護りの聖者たん。その目は遠く神の世界を眺め、身体は法悦にうち震えるでゴザル」
シグ(黙ってメイスを振り上げる)
ベネット「そして、神の領域をかいま見た瞬間。晩飯を告げに来た未来の英雄きゅんがドアを・・・・・・」
シグ(黙ってメイスを振り下ろす)
20名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 12:14:59 ID:Dtorz/NE
>19
ベネットGJ

…オチが我が心の師匠、桂令雄氏を彷彿させてワロタ
21名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 12:34:14 ID:R5YtLRM9
>>12
乙っす! つーか、ザーフィはガチですなw
22名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 22:18:54 ID:CL8CWF9h
>>19
シルヴァ「その道は、私が10年前に通過している。」
ベネット「な、なんだってー。」
シグ「俺と一緒に旅していた頃に、そんなことやってたのか。
道理で"カヴァーリング"させられる機会が多いと思ったぜ。」
シルヴァ「ちゃ、ちゃんとヒールしてあげたから良いでしょ?」
23名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 08:03:44 ID:Dpx0taHr
>>22
まて、それだと同じ神を信仰しているウェルチもやっているのか!?
24名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 08:10:53 ID:zheTedjF
>>23
当たり前じゃないか(くわっ)
25名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 10:58:48 ID:ekyfhEaY
>>23-24
その論法でいくなら、当然シグも(ry
26名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 11:14:58 ID:5d3p+brq
シグは輪っかを嵌めてるんだな。
27名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 11:36:05 ID:VYRaD+j8
戦闘中に痛むのは古傷じゃなく…
28名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 12:16:50 ID:OpJ4uEdn
夏休みを侮ってたぜ……前スレ500からこっちにテレポートかよ
29名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 14:02:13 ID:8RN8KXW4
500kbの制限越えそうだったから新スレに移っただけさ。
30名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 18:20:55 ID:FoPMekvB
で、結局>>17は考えがまとまったのだろうか?
31名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 01:14:54 ID:6c6ZORdp
じゃあ俺も考えよう。



考えた。
スケベイスに座りアンゼとベル(13歳)にダブルフェラされつつ
両手の指はそれぞれ右はくれは、左はポリの膣を掻き回し
晶とガーネットに両乳首を舐められ
ヴィオにアナル舐めをされる柊、とか。

ウワーオ描写ムズカシスっていうか無理
32名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 08:37:26 ID:80zIiN5b
よくあるハーレム図だな。
どっちかてーと、右手のくれはを柊の上に“載せて”、
アンゼとベルは接続部分を舐めさせ
右手は晶のオパーを玩び、口でガーネットの唇を奪うと
ヴィオは背後から抱きつき圧迫すれば、
絵にした時全キャラ配置バランスがよくなる…ハズ。
33名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 09:24:00 ID:lrHgm6gi
よくあるハーレム図、のはずなんだが………
中心にいるのが柊だと思うと、ハーレムというより苦行/奉仕/試練
というイメージの方が先行するのはなぜだろう?
34名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 10:21:32 ID:z+23ySGS
柊はみんなのものだからなぁ…
集団オナニーにも見えなくもない
35名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 11:21:19 ID:YKv2vDC3
くれはがもう少し危機感を持てばラブコメとかも成立すると思うのだが。

しかし、個人的に気になるのが、皇子とにゃふうの夜の生活だ。
Q極バカップルのこの二人がいったいどんなディスコミュニケーションをとっているのか。
36名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 13:03:14 ID:nM6AGvOp
見知らぬ男ににゃふぅ犯させて、
それを楽しむみこにゃふ
37名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 13:06:01 ID:nM6AGvOp
下げ忘れ。スマソ
38名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 13:58:46 ID:GgT3wsNl
見知らぬ女にみこにゃふを犯させて、
にゃふにゃふしてにゃふるにゃふぅ
3931:2005/08/20(土) 20:51:52 ID:DYYrFlYc
ごめん俺としたことが一番大事な要素を忘れてた。
そう! 柊の装備品だ。やはり全裸じゃ防御修正ゼロだものね。
これでパーフェクツさ。

つ[足枷&目隠し]
40名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 21:45:46 ID:uxLpjB7K
>>31,>>32
キサラ!?キサラはーーー!?
ぬう…っ。脳内補姦するしかないのか。
スケベ椅子。つまりはbusるーむ。
自分が可愛がられようと競い合うオナゴ等を尻目に、一人真面目に柊の左腕を胸で洗うキサラ…とか?

>>39を見て妄想崩壊】

しかし、この柊。受け攻めが反対なら某ゲ−ムの魔王みたい。
胸に無理があるけど、リ○ズとガレ○を足して2で割ったのがベルとか。
んで、ゴエ○ー★がグィード。
41名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 21:46:20 ID:egbURFHY
>>31
なぜか「ヴィオにアナル挿し」に見えた。
42名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 22:58:22 ID:mXnoipRI
>>39
馬鹿野郎!
何のために魔殺の帯があると思ってるんだ!
4331:2005/08/20(土) 23:03:47 ID:DYYrFlYc
あとな、決して「本番はさせたげなーい☆」ところがミソやねん。
柊はみんなのものだしね。

ああ、本番に到る場合は無論全員で順番にだけどね。
大丈夫。精力なんてアンゼとベルがなんとかしてくれるさ。
44名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 23:25:45 ID:sA0rqUkY
「今日の貴方の射精回数は、中出し4・ぶっかけ3でなくてはいけないのです」
「そんなに出来るかっ! つーかなんでお前にフィニッシュの種類まで決められなきゃいけねえんだよ!?」
「精力については大丈夫ですわ、こちらに特製の……」
「だから話をそらすな! あと紅茶はいらんっ!」
45名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 23:41:29 ID:z+23ySGS
そこで口移しですよ
46名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 23:59:56 ID:GgT3wsNl
口移しといえばコレだな

ズキュウウウウウンッ
「ふぅははははぁッ!柊蓮司、貴様の始めての相手は我が君赤羽くれはではなくっこの東河燈華だッ―――ッ!」
47名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 00:05:02 ID:K609oGqB
その後泥水で口を洗う柊…
48いつも中の人:2005/08/21(日) 00:17:47 ID:HimxJIB5
 友が皆、我より偉く見える日よ。それにつけても金の欲しさよ。
 そして感想その他を投下。今日は前スレ分のみ。


前スレ>511
 監視者全般に萌え。なんでそんなに可愛いのか。あと、『出たトコ勝負』よ
り手と手ぱぁんの方におやと引っ掛かりました。監視者はHAでのサポートに
終始するのでしょうか。
>二輪四輪(中略)金がかかるのだ。
 鋼の戦士のビンボー具合に萌え。BB本スレで話題になってた「正義の味方
相当のフリーター」を思い出して笑いました。
>「そこまでだ」
 ちっ、そっちか。とモニタ前で無闇に悔しがった金曜日の朝7時。

前スレ>530
 柊の物言いが女たらしみたいw
前スレ>531
 柊のやり口が芸コマw てゆーか勉強になります。メモメモ。
 そしてそこまでくっきりはっきり監視できるカメラとは、いったいどこに、
いくつ取り付けてあるのか。
前スレ>533
 さ、刺さってる……じたばたしてる……。
 そして中ワタが、中ワタが……っ!
 お願い、はえこちゃん私に繕わせてー!!!


前スレ>536
 攻めドリアッドGJ。
 あとペンタゴン可哀相なので、もう少し彼に救いの手を。
 例えば……、そう、エレナの使用済み下着を拾うとか。
「あ〜っ、ペンちゃん、エッちゃんの洗濯物くんくん嗅いでます〜」
「ペンタゴン! 貴様、姫のブラから手を離せ!」
「ちっ、違う、誤解だ、アイマスクと間違えただけなんだ、だってほら、カッ
プの部分があんまりにも平たいから!」
「ペンタゴンの、馬鹿ーっ!」
 (SE:どっかーん)
「あ〜? ペンタゴンの奴、ま〜た吹っ飛ばされただかぁ?」
 ……あれ? おかしい、救われてない……?
49いつも中の人:2005/08/21(日) 00:21:08 ID:HimxJIB5
前スレ>522
「ハガネ、ハガネ」
「何だレン?」
「生ガンダムってどんなのだ?」
「さあ、天羅の生体ヨロイみたいなものじゃないのか?」
「とすると蟲が入っていたり法術で回復したり?」
「ガンダム世界に蟲や法術はないと思うけど」
「股間に大きいのが生えてて、逃げ惑うジオン兵をそれで陵辱してまわるとか」
「どこからそーゆー発想を持ってくるんだ」
「生ジオングと対戦するとき、相手に脚がないから松葉崩しができないとか」
「だからどこからそーゆー発想を」
「飾りじゃないのよあんよは♪」
「歌うな歌うな」
「どちらにせよ、強化人間ともあろう者が絶句したり悲鳴を上げるたりするほ
どのグロさではないではないか。それとも絵の内容がグロかったのだろうか」
「そうだな、……大気圏突入用の冷却シートを取り出す場合に、こんな感じの」

 つ【内臓が見えるほど裂けた腹部から腹膜のようなものを取り出している絵】

「うえ〜ん、こわいよぅ〜」
「ハガネ! てめぇレンを泣かせやがったなぁ!?」
「し、師匠!? 違います違います、俺のせいじゃないです、悪いのはみんな
生ガンダムです!」
「言い訳無用! 死ねぃ!」
「っぎゃー!」
「くすんくすん、こわかったよぅ、ロウ〜」
「よしよし、もう大丈夫じゃぞレン、悪い奴は俺がやっつけたからのう」
「うう、師弟の信頼関係をもあっさり突き崩すとは、恐るべし生ガンダム……
ぐふっ」
50いつも中の人01/02:2005/08/21(日) 00:22:17 ID:HimxJIB5
前スレ>550
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「前スレ>550がさ、柊蓮司のゲームを提案してるんだけど」
「ああ」
「興味ある?」
「ない。あいにく育成シミュレーションも恋愛シミュレーションも苦手なので
な」
「でも、フォートレス・アタックもあるよ?」
「地図の作成とかパラメータの管理とかが面倒臭い」
「それでもゲーマーかっ。
 だったらどういうゲームがいいの?」
「具体的には『どこでもいっしょ』」
「おや、意外とマトモなお返事だね。魔剣ちゃんに言葉を教えてお喋りさせる
ゲームなんだ?」
「その通り。簡単で、癒されて、長時間連続的に遊ぶ必要がない。仕事に趣味
に忙しい社会人に最適」
「『魔剣ちゃんといっしょ』。略して『まけいつ』だね」
「まずは好きな魔剣ちゃんを一本選ぶ。
 そして予め設けられた『人名』『職業』『乗物』等のカテゴリ毎に、新しい
単語を入力していく」
「それで魔剣ちゃんの作った可愛らしい文章を見て楽しむわけだ?」
「まともな単語を教え、『しょうらいはパパのおよめさんになるの』と言われ
て萌えるのもよし」
「うんうん」
「頭の悪い単語を教え、『しょうらいはパパのせいどれいになるの』と言われ
て悶えるのもよし」
「おいおい」
「最終的に、1週間か10日ほど経ったところで魔剣ちゃんは旅に出る」
「どこへ!?」
51いつも中の人02/02:2005/08/21(日) 00:22:53 ID:HimxJIB5
「修行の旅だ。より強い魔剣となるために」
「うあー、『どこいつ』同様『まけいつ』にも涙のお別れがあるのかー」
「あれは泣けるからなぁ。思いきり切ない演出がよい。
 そしてエンディングムービーは、たとえば魔剣ちゃんが仮のあるじとともに
戦いに赴き自己を研鑚している場面とか」
「そんなことするぐらいなら柊蓮司と戦いに赴けばいいのでは」
「寿司屋の子供が自分の家を継ぐ前に余所の寿司屋で修行をするようなものだ」
「なるほど」
「また、別の場面では魔剣ちゃんが、そうだな、ウィザードの刀鍛冶に『自分
を鍛え直して欲しい』と頼み込んでいるとか」
「文字通り鍛え直すわけだね」
「偏屈な刀鍛冶は、仕事を引き受ける条件として、色々なことを魔剣ちゃんに
強要する」
「いろいろなことって?」
「エロエロなことに決まっているだろう」
「や〜め〜てぇ〜」
「『可愛い子には旅させろ』。これが『まけいつ』のテーマ」
「いや、そこに主題を持ってっちゃったら柊蓮司の立場がないでしょう」
「うむ。こうやって魔剣ちゃんが旅立ってしまえば、結局のところ柊蓮司はた
だの『使い』になってしまうのだよ」
「……それって最大級に意味ないし……」
「そこはそれ。全魔剣ちゃんクリアの条件下で柊蓮司×魔剣ちゃんのハッピー
エンディングなスペシャルムービーが」
「ほほう」
「『パパのおよめさんになるの』が出た場合と『パパのせいどれいになるの』
が出た場合とで違う種類のものを観ることができる」
「分岐があるんだ?」
「そう。前者は、『ああん、もう、イッちゃうぅっ!』って感じで」
「はあ!? 何それ!?」
「天国への旅」
「うわお」
「そして地獄への旅は、『お願い、もう、イかせてぇっ!』って感じで」
「調教してどうする調教して!
 てか、まさかそのオチが『可愛い子には旅させろ』ってこと!?」
「その、通りっ!」
「爽やかな笑顔で歯ぁ光らせて親指立てて肯定するなっ!」
52名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 00:28:23 ID:BgIJEB40
>>50-51
なんていいゲームだ>まけいつ
…いつもの中の人…貴方はネ申でつか?!

…同人ゲーとしては育成シュミュレーションが作りやすいけど…
これはこれでありだな…

よしPSPでいっちょう…

【阿呆はソニーチェックのことを忘れている!!】
53名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 00:58:45 ID:RyX4QvOR
>>51 
GJ!
>>46
でも、柊ってとおの昔に奪われてそうですな。生死判定の後あたりで。
彼の唇は羽根よりも軽い。
(ふつーじんこうこきゅうはかいすうにいれません)
54名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 01:18:19 ID:Y13QMu5B
何となく何も考えてないようなエロエロな物を書きたくなったんだが
キャラのリクエストとかってある?
分かりやすいようにサンプルキャラとかだとありがたいかも

内容はベタな所で月匣でエミュレイターに触手攻めを受けるとかを考えてる
55名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 01:22:27 ID:4LGoafTT
NW限定?だったらマユリ…じゃなくてサンプル魔術師
もしくはにゃふぅ。
56名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 02:40:53 ID:IoHEH7Zd
マユリ=サンプル魔術師
にゃふぅ=サンプルバカ
57名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 04:49:34 ID:I2W59ZNR
むしろドリームマンの奥さん=サンプル夢使いキボンヌと言ってみる
58鋼の戦士&混沌の監視者:2005/08/21(日) 07:53:48 ID:pvcnJbir
 少女は思う。
 もし正義なんてものが本当にあるのなら。どうして私の時に、それは現れなかったのだろうと。
 父母が死んで、必死で逃げ延びて、それから姉を探した。ただひとりの肉親だったし、その姉が惨劇の理由であったなんて思い
もよらなかったから。
「貴方さえ居なければ。貴方さえ生まれなければ。私達家族は幸福に暮らせていたのに!」
 やっと尋ね当てた最後の肉親は、少女の顔を見るなりそう言った。
「貴方さえ居なければ貴方さえ居なければ貴方さえ居なければ貴方さえ居なければ貴方さえ居なければ貴方さえ居なければ貴方さ
え居なければ貴方さえ居なければ貴方さえ居なければ貴方さえ居なければ貴方さえ居なければ貴方さえ居なければ貴方さえ居なけ
れば貴方さえ居なければ」
 そこに怯えはなかった。正気すらなかった。残っているのはただ恨みばかりだった。己の罪科を少女の責として憎み続けて、そ
うして凝ったどす黒い呪詛がそこに残留するばかりだった。
 深く嘆息して背を向けた時。
「呪われた子。恐ろしい子。どうして貴方ばかりが今ものうのうと生きながらえてるの?」
 肩甲骨の間から深く体に食い込んだ、刃物の冷たい感触。それを少女は、今も時折夢に見る。
 そうして少女は天涯孤独となって、各地をさ迷い歩いた。どこの土地も少女の境遇には冷たくて、行き先などどこにもないよう
に思えた。そんな少女を拾ったのが船乗りだった。
 船は永遠にして無限の空の航路を彷徨う“王国”であり、船乗りはその主だった。船には同じようにして拾われた魔物が多く居
た。
 男は傲慢だった。少女と同じくひとのうちから立ち返った魔でありながら人を見下し、その命を弄ぶ事を遊戯としか思わなかっ
た。無聊を慰める退屈凌ぎと、そう言い切って憚らなかった。適当な土地に船を泊め、そこの人間を気ままに殺す。その悪逆を止
めよう現れた半魔を返り討って踏みにじり、そして言うのが常だった。
「くだらねぇな、ん?」
 圧倒的な力で完膚なきまでに蹂躙して。
 両手をポケットにねじ込んで敗者を見下ろし、男はどうにもならない憤懣に満ちた少年のようだった。
「オマエが理念を掲げなければ、死ぬ事はなかった。オマエも、オマエの仲魔も」
 そうして決まって、自嘲のように告げるのだ。
「半端な力量で夢を見るからそうなる。理想の残骸に埋もれて朽ちろ」
 男の姿。それはまるで虚勢で、どこかで負けたがっているように見えた。死にたがっているように見えた。終わりを渇望してい
るようだった。
 少女が船を降りようと決めたのは、それを見ていられなくなったからだった。いつしか少女は男に父を重ねていて、“家族”が
死ぬところを二度も見るなんて耐えられないと思ったからだった。例えそれが、男の望んだ幸福だとしても。
「少し、力をくれてやる」
 下船を告げた少女を、引き止めるでもなく男は言った。与えられたのは“王国”。他者に感知されない少女だけの領域。絶対不
可侵とは言えないけれど、船という隠れ家から、ぬるま湯から出た少女にとって、それはせめてもの避難所となった。
 その中に隠れ潜んでいてすら少女を狙う魔物狩りの血を啜る事に、最早それほど罪悪感はなかった。
 そうして幾つもの夜を流されるように過ごして、少し前。風の噂が耳に入った。
 遠い東の国で、船乗りが死んだと。従えていた配下のひとりに叛旗を翻され、そして討たれたのだと。以前から獅子身中の虫を
飼うのが好きな男だったから、その事自体は不思議にも感じなかった。
 ただ――同じ国で同じように果ててしまうのもいいな、と。ふとそう思ったのだ。
 重ねて不思議な事に、彼のくれた“王国”も、少女に残されたままだった。返り討ちにしてきた幾人もの魔物狩りのなれの果て
が、しもべとして存在していた。正義の味方の呼び出し方は、船乗りのやり口を見て知っていた。
 ゲームの実行に何の問題もなかった。
 少女は思う。もし正義なんてものが本当にあるのなら。早く私に現れて、そして罰を下してください。
 だから。
 戦いの、このゲームの勝敗なんて決まっていたのだ。始めから。
59鋼の戦士&混沌の監視者:2005/08/21(日) 07:54:24 ID:pvcnJbir
 最後に放った闇をも掻い潜って、鋼の戦士は少女の眼前に降り立った。降り立った時にはもう、攻撃の姿勢が整っていた。
 腰だめに構えた拳。少女がどう動こうと、その一撃の方が早い。それはそういう距離だった。
 無論、手加減なんてしていない。それが出来るほど器用でも、戦い慣れてもいない。だから彼は純粋に強いのだろう。
 その拳には、信念が籠もっている。きっと幾人もを打ち砕き、更に多くを救ってきた拳なのだろう。
 不死者の備える鋭敏な感覚でそう感じながら、少女は目を閉じる。
 眼裏に浮かぶのは父母の顔。

「意味はあるのよ、きっと」
 どうして自分は“違う”のだろうと泣いた時。母はそう言って抱き締めてくれた。そっと囁いてくれた。
「意味はあるわ、どんな事にも。今はそれが見えないだけ」
  
「大丈夫だ」
 どうしたって自分は魔物なのだと怯えた時。父は眠るまで傍に居てくれた。静かな声で言ってくれた。
「お前は化け物なんかじゃない」
 
 ふたりの優しい感触を、縋るように覚えいてる。
 それは心を暖めるにはあまりにかすかな火だったけれど、けれど確かなぬくもりの記憶。
 次に思い出されたのは姉だった。
「貴方さえ居なければ。貴方さえ生まれなければ。私達家族は幸福に暮らせていたのに!」
 わたしは、と、少女は思う。
 わたしは家族じゃなかったの? あなたにとって、わたしは家族ではなかったの?
「呪われた子。恐ろしい子。どうして貴方ばかりが今ものうのうと生きながらえてるの?」
 だけど。だけどわたしは、あなたが好きでした。
 怖い夢で目覚めると、決まってついていてくれたのは、大事にしている人形を貸してくれたのは、あなただったから。

 ――ああ、いつか誰かがきみを奈落の底から救いあげてくれますように。

 それから、誰かの声が届いた気がした。聞こえたはずもない祈りが。
 その声はひどくよく似ていた。いつまでも心に突き立って痛む記憶に。今も思う。どうして抗ってくれなかったのだろうと。どう
してわたしを終わらせてくれなかったのだろうと。少女はそれが甘えであったと気付かない。
 しかしそれだけの時間を経ても、最後の瞬間はまだ訪れなかった。
60鋼の戦士&混沌の監視者:2005/08/21(日) 07:54:54 ID:pvcnJbir
 少女はそろそろと目を開く。知らずずっと力を込めていた四肢の強張りをほどく。
「――どうしたの?」
 疑問を含んで見上げても、鋼の戦士はただ自然体で立つだけだった。装甲越しに、じっと見つめられているのが判った。
「あなたの勝ちよ。なのにどうして、わたしを殺さないの?」
 彼は静かに首を振った。その姿は、どうしてか悲しげだった。
「希望通りにしてやるといい」
 否定の意志に、かかったのは静かな声。 
「彼女は終わりを求めている。エゴに傾いて己では止まれずにいる。例えば『明日雨になればいい』、『明日世界が終わってしまえ
ばいい』。そういった類の、受動的な終わりを希求する消極的自殺願望だ」
 死神は刹那少女に冷たい目を向け、そして彼に視線を戻した。繰り返す。
「望み通りにしてやりたまえ」
「こいつはオレに、どうしてと訊いた。他人の理由を訊くってのは、迷ってる証左だ」
 鋼の戦士はもう一度、そしてきっぱりと首を振った。
「『残虐は全て弱さより生じる』ものさ。禍根は断つべきとと思うけれどね」
「それは、お前の意見だな?」
「そうだ。ボクの見解だよ」
 返答したのは“ボク”だった。死神ではなく、彼女の私見。ひどくらしい皮肉だと思った。世界はそんなに悲しくプログラミング
されちゃあいない。
「ありがとよ」
 かすかな笑みの気配を声に乗せて、それから彼は武装を解除した。身を装う鋼鎧が低次界下に沈み込んで姿を消す。
「…わたし、ひとだって殺したわ」
 罰するに値する罪だろうと、濡れた青い目が訴える。
「だから?」
 応じは簡単だった。
「オレだって、幾人も殺した。殺してきた」
 鋼の戦士は己が拳に目を落とす。これは彼の生き様。信念であるが故に、信念であると同時に、血塗られたものでもある。
「でも、それは…」
 思わず弁護が口をつく。少女が戦士を見たのはほんの少しの間だけ。でもそれだけで知れてしまうほど、彼は解りやすい人間だっ
た。
61鋼の戦士&混沌の監視者:2005/08/21(日) 07:55:24 ID:pvcnJbir
「結果に変わりはない。オレにもっと力があったら、そうしなくても済んだかもしれなかった」
 そう言って、彼はまた少女を見た。その目はひどく悲しくて、ひどく優しい色をしていた。少女が何も言えなくなるほどに。
「言ったろう。正義ってのは、きっと悲しい事の正反対だ」
 少女に一歩近付く。死を望んでいた筈の不死者の娘が、何かに怯えたように後ずさる。一歩、また一歩。少女の背が壁に当たる。
「俺にはお前が泣きじゃくる子供にしか見えない。そんな奴に鉄槌下すのは、断じて俺の正義じゃない」
「…」
「なんで簡単に諦めるんだ。投げ捨てちまうんだ。さっき、目を閉じた時。お前は体中に力を入れてただろう。それは、そうしない
とオレから逃げてしまいそうだったからじゃないのか。望んだはずの終わりから逃げ出してしまいそうだったからじゃないのか。な
ら、お前はそんなに生きたがってるんだろうが!」
「で、でも…わたし、でも…」
 化け物なのだ、自分は。姉にすら疎まれ憎まれるほどの。
「オレはいろんな奴を見てきた。どうしようもなく世界と相容れない奴もいた。自分がどうにも止められなくなっちまって、オレに
終わらせてくれと願う奴もいた。純粋この上ない自分の正義の為に敵対した奴もいた」
 一呼吸入れて、また拳に視線を落とした。為した行為に後悔はない。それでも。それでも、といつも思うのだ。オレの足がもっと
速ければ。オレの手がもっと遠くまで届けば、と。
「共通していたのは、どいつももうそこから変われなかったってトコだ。だが、お前はそいつらとは違うんじゃないか? お前はま
だ、戻ってこれる場所に居るんじゃないか? なんとなくだが、そう思う」
 監視者は呆れ果てて肩を竦めた。それは君の願望だろう。辛辣気味に心中で呟く。
 現実とは厳しいものだ。どうにもならない悲劇なんて、それこそそこここに転がっている。世界は甘くなんてない。
 そのはずなのに、けれど彼の願いの通りになるのは何故なのだろう。そしてそうなるのを見届けて、少し安堵してしまう自分がい
るのは何故なのだろう。解らない。全く彼の周りには、解せぬ事ばかりが転がっている。
「オレはよくいわれるように馬鹿だから、うまくは言えない。けれどお前は大丈夫な気がする。いや、」
 鋼の戦士は微笑む。そして静かな声で告げた。
「――大丈夫だ。お前は化け物なんかじゃない」
 告げられて、少女の視界がじわりと歪んだ。操りの糸が切れたように、ぺたんと床に座り込む。
 ようやく気付いた。自分はただ、誰かにまたそう言って欲しかっただけなのだ。
 関わりたいくせに他人を懼れて。そんな己を疎み、受け入れてくれぬ世界を憎み、そして。

 ――僕はここにいるよ
 ――君がここにいてよかった

 きっと、それだけでよかったのに。
 長の年月凍ったままになっていた涙は、ようやく零れれば止まらなかった。
62名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 07:56:43 ID:pvcnJbir
世間様のお盆休み期間に合わせてもれなく忙しいってのはどういう事か、このシフト。
とまれ今回はこれでぱたりと寝るですよ。様々はまた後日。
あと上がてんでエロ進行にならないので、ちょいと別物を用意いたしました。
下、NWで魔物使い×夢使い。残暑見舞い代わりにお納めいただけりゃあ幸いっす。
夢使いは口調が使いにくいのでちょっと変更。そこは見逃してくだされ。
あと魔物使いは教師のくせにあんな格好でけしからんよな、と思った。
63魔物使い×夢使い:2005/08/21(日) 07:58:32 ID:pvcnJbir
「おかえりなさいっ」
 マンションの部屋の鍵を開けるなりあたしに飛びついてきたのは、不思議な浅黄の色合いの髪をツーテールにまとめた少女だっ
た。
「わ…っと」
 体当たりにも似た突撃をなんとか抱き止めて、あたしは彼女を観察する。においつけをする猫のように、ぐりぐりとあたしの胸
の辺りに額を擦りつけているこのコは、まだうちの制服のまま。
「こら」
 こつんと痛くない拳骨を落としてから、めっ、とばかりに睨んでみせる。
「今日は職員会議だから遅いし、ちゃんと着替えてからにしなさいって言ったでしょ?」
「だって」
 あたしにくっついたまま、彼女は不満げに口を尖らせる。
「だってセンセに早く会いたかったんだもん」
 それから、家に居たって独りだからつまらないし、と付け加えた。
 拗ねるその所作だけ見れば、何の変哲もない中学生のようだ。でも実はこのコ、あたしと同じくウィザードである。それもウィ
ザードという変わり種の中でも特別の変わり種である夢使い。
 お互いがウィザードだと知ったのは、あたしの勤め先で起きたとある魔術事件の最中。パートナーの事があって魔法だのなんだ
のにも慣れていて、大抵の事には動揺しないつもりだったけど、担任する教え子がウィザードだったのには流石のあたしも驚いた。
 とまれその時の彼女は誰一人頼る仲間もなくて、どうしようもなく孤独で、自分の力に振り回され気味だった。教師と生徒の間
柄でもあった事も手伝って、あたしがその相談に乗って――それ以来なんとなく懐かれるようになって、なんというか、今ではす
っかりそういう関係になってしまっている。
 昔からよく面倒見がいいだの姉御肌だのと言われていたけれど、そういう気があったのは正直自分でも気付かなかった。
 教え子に、しかも同性に手を出してる教師って事になるわけで、まあ罪悪感を覚えなくもないのだけれど。でも誰にも懐かない
猫に懐かれる優越感と独占欲。そんなものと、それから口に出すのはちょっと気恥ずかしい感情とがそれを上回っている。
「あ…んっ」
 鍵をかけ直してから、ちょっと強引に上向かせて唇を奪う。彼女の背中を廊下の壁に押し付けるようにして逃げ場を失くす。し
ばらくじたばたしていた彼女も、ゆっくりと舌を絡めるうちに大人しくなる。息継ぎの度に、ちゅくちゅくといやらしい水音が漏
れる。
「ふぁ…は……っ」
 たどたどしいくちづけをたっぷり堪能してから身を離すと、ずるずると壁に沿って床にへたり込んだ。うーっ、と唸って恨めし
げにこちらを見ている。
「どうしたの?」
「この味キライって言ったのに」
 苦いものでも飲まされたように眉を寄せて。そこで思い至る。ああ、長いばっかりで実りのない会議にいらいらして、つい煙草
の本数が増えてたっけ。
64魔物使い×夢使い:2005/08/21(日) 07:59:40 ID:pvcnJbir
「言いつけを守らなかったから、おしおき」
 そんな実情は包み隠して膝を突き、あたしはもう一度キスを迫る。いやいやをするようにそっぽを向く彼女。その結局屈服する
抵抗が可愛らしくて、ついついいじめてしまうのだ。
 細いおとがいを片手でつかまえて、半ば無理矢理に。空いたもう片方の手でスカートからブラウスを引き出して、背骨をつうと
指で撫で上げる。びくり、と彼女の体が震えた。このコの体は全部あたしが開発したようなものだから、どこをどうしてやればい
いかは皆知ってる。
「んっ、センセ…ぇ……駄目、…汚れちゃうよぉ」
 とろんとした目で訴える彼女に、あたしは出来るだけ底意地悪く応じた。
「へぇ? 玄関先でキスされて、それだけでそんなになっちゃってるんだ?」
 確認に指を忍び込ませようとすると、ぎゅっと足をきつく閉じた。代わりにあたしは内腿の合わせ目をやわらかく指で愛撫する。
「あっ、う……っ…だ、めぇ……」
「この時間はどこも帰宅時だからねぇ」
 舌足らずに喘ぐ彼女の耳の下から鎖骨のラインへ舌を這わせながら、囁いた。
「あんまり大きな声出すと、外に聞こえちゃうかもよ?」
 ちょっとからかうだけのつもりだったのに、こっちもすっかりスイッチが入ってしまった。彼女の体から徐々に力が抜ける。そ
の間隙をついて、あたしの指が大事なところに滑り込む。
「っ!! ふ……っ……ぁん……! んー…っ」
 下着の中で、剥き出しにした彼女の蕾を指先で転がす。その刺激にびくんびくんと敏感な反応を示しながら、両手で口元を必死
に塞いで、彼女は漏れそうになる声を押し止めようとしていた。艶っぽく上気したその顔をじっと覗き込むと、赤い顔をさらに赤
くしてぎゅっと目を閉じてしまう。
 体から官能が色濃く漂っている。おそらく無意識にだろう。ゆるゆると腰を揺すって、もっと大きな快楽を求めている。もうそ
こは大洪水だった。くちゅり。あたしは指を内側に侵入させる。深くに潜り込んで、一際ざらついた部分を強く刺激する。
「ふ、んっ、ん…っ……ぁ、く……んんんっっ」
 くうっ、と彼女の体がつっぱった。あたしの指をきつくきつく締め上げる。それからため息のようは呼気と一緒にくたりと脱力
した。
「イっちゃった?」
 全力疾走の後のような荒い呼吸を繰り返してから、彼女は恥ずかしげにこくんと頷く。
「…センセの、意地悪」
 それから呼吸を整えて、やっとの風情で付け加える。あたしはそれに微笑み返した。
「ご飯はもう済ませた?」
「食べ…きゃうっ」
 頷きかけた首がびくんと仰け反る。あたしが埋め込んだままの指を動かしたからだ。達したばっかりでひどく鋭敏になっている
場所を刺激されて、返答が尻切れになった。
「何? どっち?」
 服の上からやわやわと胸をもみしだきながら、あたしは重ねて問う。
「済ませたの? まだなの?」
「やっ、セン…セ…っ、それ……っ…ズルいよ…ぅ」
 三度目のキスは向こうから求めてきた。あたしの首にぎゅうっと腕を巻きつけて、愛おしいくらい一生懸命すがってくる。
「ふぁ…ん……食べ、食べました……ぁ」
「そう」
 ちゃんと答えられたところで指を抜く。とろりと絡みついた蜜。また蕩けてしまった彼女の瞳が、物足りなそうにあたしを見る。
「じゃ、あたしはシャワー浴びてくるから、ベッドで待ってなさい」
 熱に浮かされたように肢体を押し付けてくるけれど、一旦おあずけ。
「いつもより、すごい事してあげる」
 耳朶を甘噛みしてから囁くと、真っ赤になりながら小さくこくりと頷いた。
65名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 08:07:36 ID:pvcnJbir
うわ、0時台以降の書き込みを見てなかった。
>>54、なんかコンセプト被せちまってすまない。気を悪くしたらごめんな。本当にごめん。
しかも実はこの後の展開、テイマーズソサエティの裏の裏で拾ってきた魔物で触手責めとか考えてた。
間の悪い男ですまねぇ。そちらが仕上がるまで、ちょいとこの話はストップかけておくよ。
6654:2005/08/21(日) 15:02:54 ID:qUFuL+tU
それじゃサンプル魔術師でちょっと書いてみるかな
サンプル魔術師はどうもマユリの印象が強いせいか、ロリ巨乳というイメージが…
…ロリ巨乳の眼鏡っ娘を触手攻めか…うん、いいな
夢使いも良いなあ…なんかネタくれたらこっちも頑張ってみる

>>65さん
お気になさらずに〜
書くのにちょっと時間かかりそうだし、自分も百合の触手攻め見てみたいです
67名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 16:13:59 ID:A5tf/SYh
>>61
オレは泣いてなどいない。
ただ、涙がこぼれぬよう、しばし上を向かせていただこう(T^T)
68名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 18:57:47 ID:NlwaGbIm
>>62
GJ!
中学生に手を出すイケナイ先生ハァハァ。
69名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 22:15:27 ID:eGFftXji
定期的ににゃふぅのSS希望のカキコがあるな。
そこで今回のNW通信でのたうつほど萌えてしまった俺も、ここで声を大にしてキボンしてみる。



にゃふぅ×木下s【地下より暗い何処かに堕ちてゆく】
70名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 22:59:34 ID:/Tsh1Ab+
>>69
いっそ、にゃふうvsベール・ゼファー(CV木下)でどうだ?

ベル「ほーら、ここが気持ち良いんでしょう?」
にゃふ「にゃふぅ、き、気持ちいいよう。」

とか。

しかし、ベル様大人気だな。
71名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 23:17:33 ID:jM77xmBd
あえて言ってやろう
>70よ、その書き方では

ベ ル 様 が 受 け だ
72皇子×にゃふう01/03:2005/08/21(日) 23:22:34 ID:un2NRObh
「今日は少し、変わったことをしようか。摩耶」
「変わったことにゃふ?」
 神条皇子はソルティレージュ、ことにゃふうの髪を指で優しく梳いた。
 世界の歴史をつづった日記。その執筆が一段落ついて、皇子は彼女を寝台の
上に招き寄せたのだ。
「何をするにゃふぅ?」
 皇子は直接それには答えず、にゃふうを膝立ちに立たせ、細長い布を取り出
して目隠しをした。キツくないよう、しかし簡単には外れぬよう、細心の注意
を払って縛る。
「なんにも見えないにゃふぅ〜」
「取っちゃダメだよ、にゃふ子」
 そっと囁きかけ、更ににゃふうの耳にイヤーウィスパーを詰め込む。
「み、みこにゃふ〜ぅ」
 不安でいっぱいのにゃふう。皇子のことが見えていない彼女にそっと微笑み
かけて、彼はにゃふうの服を脱がせ始めた。
 首の後ろのリボンをほどいて胸元をはだける。あまり大きくはない、とはい
え小さいともいえない、白く優美な隆起が皇子の視界にあらわになる。素肌と
素肌で直に愛を交わすようになってから、以前よりも少し、膨らんできたよう
だ。
「にゃ、にゃふ」
 外気にさらされた胸を恥じらい、にゃふうは両腕で抱くようにして柔らかな
乳房を隠す。
 その間にも皇子はにゃふうのスカートに手を伸ばし、下へ引っ張りすとんと
落とす、もはや慣れきった手順。レモンイエローのパンツはおしりをすっぽり
包み込むタイプで、後ろにネコさんのワンポイントが描かれていた。
 それからもう1本、細長い布を取り出し、所在なげにもじもじしているにゃ
ふうの唇に軽くキスをしてから、胸を隠す彼女の両腕をそっと解き、……後ろ
手に縛った。
 何故こんなことをされるのか、不安が嵩じて泣きそうな顔のにゃふうをそっ
と抱き寄せて、彼女を落ち着かせるように、頭を、髪を、頬を撫で、その唇に、
頬に、額に、口づけを落としていく。
「……にゃふぅ」
 にゃふうが現状に順応し、安心感をもって大人しくなった頃。
73皇子×にゃふう02/03:2005/08/21(日) 23:24:10 ID:un2NRObh
 ふいに皇子はにゃふうから完全に身体を離した。
「にゃ!? みこにゃふ!?」
 びっくりしてにゃふうは皇子を捜す。見えず、聞こえず、腕を伸ばすことも
できない状態では、どう捜していいのか自分でもわかっていなかったが、落と
された衣服が絡みつく膝でじりじりと歩いて位置を変えつつ、なんとか皇子の
気配だけでも捉えようと、彼女は無闇にきょろきょろした。そのとき。
 ちゅ、と口づけが降ってくる。肩に。
 あ、と思ったときには鎖骨に。
 固定された腕に。
 太ももに。
 寝台がほとんど振動していないので、皇子は部屋の床の上に立っているのだ
ろうと推測できた。
「みこにゃふ、そっちにいるにゃふ?」
 皇子がいると思しき方へ向きを変えた途端、今度は背中、腰のあたりから背
骨に沿って、ちゅ、ちゅ、とキスが昇ってくる。
「あっ、やっ、にゃふ、にゃふぅぅ〜」
 翼の付け根のくすぐったい部分にふうっと息を吹きかけられ、思わず背なを
反らせた、その直後、前に突き出されるかたちとなった胸の先端を、舌でチロ
リと舐められた。
「にゃふぅっ!」
 急な快感に飛び上がる。
 尖り始めたそこを唇できゅっと挟まれ、
「だ、だめにゃふぅ」
 身をよじって前かがみ、皇子が離れたと思いきや、今度は首筋を舌が這う。
「は……ぅ、にゃふ〜ぅ」
 一事が万事その調子。皇子はにゃふうに声をかけない、抱くことも手で触れ
ることもない。ただ舌で、唇で、予告も何もなしににゃふうの身体を愛撫して
いく。あちらをついばみ、こちらを舐めて、そこにキスをし、ここに甘噛み。
「にゃふっ、にゃふぅ……、にゃふうぅ〜っ」
 予想もできないタイミングで、思いがけない場所に与えられる快楽。逃れる
場所もなく、助けを請う相手もおらず、もてあそばれて翻弄されて、にゃふう
は喘ぐことしかできない。
「み、みこ、にゃふぅ」
 乱れた息の中から、大好きな少年の名を呼ぶ。
「こんなの、イヤにゃふぅ」
 淫らに上気した肌をくねらせ、愛しい少年に哀願する。
74皇子×にゃふう03/03:2005/08/21(日) 23:25:58 ID:un2NRObh
「さみしいにゃふぅ、みこにゃふが見たいにゃふぅ、みこにゃふの声が聞きた
いにゃふぅ、みこにゃふに抱っこされたいにゃふぅ、」
 目隠しの下から、ぽろりと涙がこぼれる。
「みこにゃふを抱っこしたいにゃふぅ〜!」
 心からの叫びに、両頬を包む掌が応え、そして痛みに近いほど激しい口づけ。
挿し込まれた舌が迸る熱情を込めて少女の口腔を犯す。
「んっ、く、ふぅっ!」
 息が苦しくなって、気が遠くなって、ふらりと傾いた身体を腕で支えられて。
 奪うように目隠しが、抉るようにイヤーウィスパーが外され、腕を拘束する
布は一気に引き千切られた。
「摩耶」
「みこにゃふぅ」
 思い切り抱きしめあう。ありったけの想いで。
 分かちあう体温。響きあう鼓動。汗ばむ肌がしっとりと重なる。
「ごめんね、つらかったかい?」
 にゃふうの瞳に映るのは皇子の瞳。それは後悔と、抑え切れない喜びとが、
ほぼ等分に揺れている瞳。前者は泣かせたことに対して、後者はにゃふうの言
葉に対して。
「ん。平気にゃふ。ちょっとだけイヤだったにゃふけど、」
 にゃふうは笑った。たんぽぽの綿毛のように。
「みこにゃふが、まやふぅにしてくれたことにゃふ」
「摩耶」
 もう一度、キスを。今度は小鳥がついばみあうように。
 皇子の手が下がって、にゃふうの腰を包む下着を押し下げていく。片足ずつ
上げてにゃふうはそれに協力する。
 抜き取ったパンツをにゃふうの目の前でうにょんと広げて皇子は、わざと意
地の悪い目つきで彼女を軽く睨んでみせた。
「イヤがっていたわりには、案外、感じていたんだね?」
「にゃふっ!?」
 意外なほど湿った下着を突きつけられて、にゃふうは真っ赤になり、口元を
片拳で押さえて俯いた。
「は、はずかしいにゃふぅ〜」
「じゃあ、さ。こうしようか」
 新しい遊びを思いついたいたずらっ子の口調で。
「同じことを、今度はにゃふにゃふが、僕にしてみて?」
 にゃふうは目を丸くして皇子を見上げて、
「……うん」
 嬉しくなるほどえっちな顔で、にっこり笑って頷いた。
75皇子×にゃふう:2005/08/21(日) 23:26:47 ID:un2NRObh
 ・・・・・おしまい。

 以上、土日もフルタイム+αで会社に出るほど切羽詰っているのに、何故エ
ロパロだけは順調に書きあがるかねぇ。というお話でした。

 でもって投下しようとパソコン起ち上げて。

>>59
 うわ。嬉しい。
 泣きたいくらいに嬉しい。
76名無しさん@ピンキー:2005/08/22(月) 00:32:43 ID:PDZouyx6
>75
(*´д`*)ハァハァ
あいつら見てる人もいないから、かなり大胆なことやってそうとか思った。
77(マルチレス):2005/08/23(火) 06:21:41 ID:qYVngsjd
>鋼の戦士&混沌の監視者・外伝
きっと>>75で書かれている感じと一緒。なんつーかもう嬉しくてどうすればいいのかと。
少年の最後が明確に描写されていないのをいい事に、こっちの話に設定取り込んでしまおうかとも思ったのだけれども、今以上に
冗長になっちまいそうなので、あれだけで断念しました。無念。

>>66
やらかしちまったと凹んでただけに、そう言っていただけると大変にありがたい。サンクス。
んじゃ、俺はなるたけ早めに残りを書き上げておこうと思うさ。

>>71
俺も敢えて言わせてもらうぜ。そこに何の問題があるというのか。
最初は一方的ににゃふぅを攻めるベル。しかしやがてにゃふぅからの反撃を受け始め、皇子直伝のテクニックでで息も絶え絶えに
され。そんな襲い受けの鏡っぷりを披露するベル様に、一体何の問題があるというのか。

>皇子×にゃふう
流石史上最強のバカップル。っつーかエターナル新婚さん。
しかしラブラブっぽくてエロくさいというのに、どうしても「どこのロシア人だ。それは」のツッコミを思い出して笑ってしまう
俺。どうしたものか。
そしてふと思った。かの未来日記にとんでもない羞恥プレイを事細かに記されたりしたら、やっぱりそういう事になるのだろうか。
ベ「仕方ないわね。だって、日記に書かれてしまっているんだもの」
ひ「めちゃくちゃ乗り気じゃねぇかお前ッ!?」
78名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 13:45:21 ID:yGo3/5lz
とりあえずそのプレイ内容の中に秋葉原校屋上輝明神社での秘め事を追加していただきたい
79いつも中の人:感想文1/2:2005/08/23(火) 20:57:46 ID:lXqk9lqE
>>19
 シグGJ! いい仕事してますね文字通り! てかなんか可愛いぞシグ! 
ベネットより萌えた!

>>22
 ルルブ不所持なのでルール的なことはよくわからないのですが、ここでいう
「シグがシルヴァをカバーリング」というのは装身具:聖印から与えられる刺
激を受け止めかねるシルヴァの代わりにシグがその刺激を受けるということで
あり、つまりシルヴァがイく代わりにシグがイくという理解でよろしいでしょ
うか。

>>31>>32
 一人はみんなのために、みんなは一人のために。という言葉を思い出しまし
た。即ち、柊(一人)はヒロインズ(みんな)のために、ヒロインズ(みんな)
は自分(前記一人とは別人だが、とりあえず一人)のために。

>>35
 この記事がきっかけで>>72を書いたのですが、満足していただけているとい
いなぁ。

>58-61
 モンスターメーカー(聖斧の方)の公式リプレイで、ラスボスを殺すか否か
でパーティが真っ二つに分かれたエピソードを思い出しました。色々と考えさ
せられて脳みそがパンクしそうです。生殺与奪の権利は、勿論戦闘に勝利した
鋼の戦士にあるのだけれど、なんか、なんか、う〜ん……。
 そう、「気持ちよく拍手が送れない、拍手しないのも気持ち悪い」って感じ。
仮眠中の夢の中でまで悩んでいたほどに。

 それから、
>――僕はここにいるよ
>――君がここにいてよかった
 魔獣の絆だなぁと思いました。

 ……で。
 そろそろエロですね? エロですねっ!? 4Pですねっ!?!?
 いやここは吸血鬼ちゃんも仲間に入れてあげて5P【誰かこいつを止めろ】
80いつも中の人:感想文2/2:2005/08/23(火) 20:58:34 ID:lXqk9lqE
>「言ったろう。正義ってのは、きっと悲しい事の正反対だ」
「こらっ、どこへ行くつもりだレン!?」
「放してくれハガネ、ツッコミを、お願いだから彼にツッコミを入れに行かせ
てくれ! 彼は一度もそんな台詞を口にしてはいない、『悲しい事の真逆』、
『悲しい事の正反対』が夫々1回、地文で語られていただけだ!」
「ダメだダメだ、シリアスな雰囲気がいっぺんに壊れるだろうが」
「ええっ!? ここは彼の程よいマヌケさ加減を一服の清涼剤とする場面では
ないのか!?」
「ンなわけあるか。ほら、帰るぞ」
「みーっ! みーっ! 後生だから放してぇぇぇ!」

>>63
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「このお話の中の人ってさ、えっちなシーンを書いてるとこっぱずかしくなっ
て逃げ出したくなるとか前スレで言ってた人だよね?」
「ああ」
「それなのに、こーんなえっちで可愛いエロパロをさくさく書いて、こうやっ
て出してきてるんだよね? 同じことはむげふぁんの中の人にも言えるけど、
要はあれって韜晦とか謙遜とかだったんだ?」
「違うな、恐らく……いや、こんなことを言っていいのか、下手するとセクハ
ラと受け取られかねん。というわけで、この件についてはノーコメントだ」
「え〜? 勿体ぶらないで教えてよぅ、あとで謝っておいてあげるからさぁ」
「仕方ない、教えてやろう。察するに、」
「察するに?」
「恥ずかしいのが気持ちイイんだ!」
「ええええっ!?」
「即ち一人羞恥プレイ! あるいは一人言葉責め!
 SSを書きながら自作に悶えてイく! まさに自給自足!」
「そ、そんなアホな!?」
「しかも彼ら/彼女らの場合はそれにとどまらず、書きあがったSSをスレに
投下することによってGJや感想、賞賛を得、得られたそれらの快楽に萌えて
イくということも可能である!
 そう、一粒で、もとい一作で二度美味しい! 実に羨ましい制作環境だ、是
が非でもあやかりたいものだな、はっはっは!」
「ごごごごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいもう言いません
もう言いませんもう言いませんから許してぇぇぇ!>気恥ずかし同盟御中」
81鋼の戦士&混沌の監視者・おまけ1/2:2005/08/23(火) 20:59:14 ID:lXqk9lqE
「なぁハガネ」
「何だレン?」
「何故、あちらの世界の鋼の戦士は半魔なのだ?」
「意味がわからないな、何が言いたいんだ?」
「彼は自分の与かり知らないことにさえ責任を感じている。かの姉妹の窮地を
知ってからあとのことならともかく、知る前のことにさえ、俺がもっと強けれ
ばとかもっと速ければとか自責している。自分の理念に殉じた奴とか、自分で
勝手に自分が止められなくなった奴とか、そんな連中に関してすら同じように
自責している。普通、そこまで深く気に病む必要などないではないか」
「それだけ彼は正義感が強いんだよ、きっと」
「ならば何故、彼はまだ半魔なのだ?」
「……半魔だとおかしいか?」
「おかしいだろう。何故さっさと奈落に落ちて悪魔に転生しないのだ? 悪魔
になってしまえばHAは持ち放題、アーツだって使いたいだけ使いまくれる。
弱きものを護るための力も、強きものを挫くための力も、死者を甦らせる力す
ら、思うがままではないか。
 何故、限定的な力をしか持ち得ない半魔で在り続けようとするのだ?」
「それは正義の押し付けでしかないからだろう」
「だって彼は言ったではないか、『呼んでもいないのにやってきて、親切の押
し売りをするのが正義の味方だ』と。即ち彼の正義はエゴ。押し付け上等のは
ずだ」
「そう言われてみればそうだな」
「正義を世界律とするドミニオンのドミネーター。悪魔化した執行者の転生先
はそれではないか。ドミネーターになったら、」
「ドミネーターになったら?」
82鋼の戦士&混沌の監視者・おまけ2/2:2005/08/23(火) 21:00:13 ID:lXqk9lqE
「アポスル100人できるかなっ♪」
「富士山の上でおにぎりでも食べる気かっ」
「いや、彼は一年生ではないのだから、もっとアダルトな感じで」
「アダルトな感じ?」
「例えば、えーと……100人で輪姦」
「誰をだ。てゆーか言うに事欠いてなんつぅ例を挙げてくるんだ」
「え、じゃあ……100人『を』輪姦?」
「それは輪姦とは言わない。ただのハーレムだ」
「わかった、100人『に』輪姦だ!」
「彼が輪姦されてどーするっ!」
「うわっ、お耳キーンてなった。なにも怒鳴らなくたっていいではないか」
「なら怒鳴られるようなことを言うなっ」
「冗談はともかく、たくさんアポスルがいれば、それだけ彼の『手』の届く範
囲も広がるということで、喜ばしいことだと思うのだ」
「なるほどな。
 ……いや、レン。ひとつ問題がある」
「ほえ?」
「悪魔化した彼は、『悲しいことの正反対』が何なのか、判断できるのか?
 人の心を亡くして、そもそも何が『悲しいこと』なのか判別できるのか?」
「それは……」
「彼は理屈の人じゃない。情の人だ。心を失い、情を理解できなくなるくらい
なら、仮に奈落に落ちたとしても、彼は断固として悪魔化を拒否し、闇に還る
ことを選ぶだろう。少なくとも俺にはそう思えるよ」
「う〜、でもでも、ドミネーターになると、とってもいいことがあるぞ?」
「いいことって?」
「あっちの世界の監視者をアポスルにして、世界律で縛って、あーんなことや
こーんなこともヤりたい放題し放題!」
「何ィ!?」
「つまり食べるのはおにぎりではなく監視者というオチ!」
「おいおい、あとであの二人が殴りに来ても知らんぞ」
「ドミネーターになったら、ドミネーターになったら、
 アポスル100人できるかなっ♪
 ひゃーくにーんで『食べ』たいなー、富士山の上で監視者をー。
 ……って、輪姦の上にアオカン!?
 侮れないなドミネーター! 羨ましいなあっちの世界の鋼の戦士!
 彼が悪魔化した暁には、是が非でも見学に行かねばな!」
「さて、と。
 ツッコミ・インパクトナックル、マックス・ブレイクッ!!!」
「っぎゃー!」
83鋼の戦士&混沌の監視者・おまけ:2005/08/23(火) 21:01:32 ID:lXqk9lqE
 ・・・・・おしまい。

 以上、前々回分が投下されたぐらいからずっと疑問に思っていたことをネタ
とするお話でした。折角なので自問自答。的外れでなければいいのだけれど。

 だって客先から資料が来ないんだもん! 資料が来なけりゃ仕事にならない
んだもん! そりゃこんなアホなお話も考えつくさ! それでどうして締切は
延ばしてくれないんだろう! 嗚呼!
84BBNT本編7話目・後編01/09:2005/08/23(火) 21:04:34 ID:lXqk9lqE
 俺の足の間に彼女を座らせて、背中から抱きかかえる格好で。波が周期的に
足下を洗う、平らなようでいて少し斜めに傾いだ岩場。
 先程と同じに、唇で、舌で、掌で、指先で、肌のあちこちにじわじわと。た
だし、時折思い出したように強く。俺のつけた赤い印が白霧に舞う花びらのよ
うに彼女の身体に散らばっていく。
「や、やっぱり、何、か、間違っている、ような、気がする・・・っ」
「何を今更」
 ようやく少しばかり取り戻したような理性で、俺を言いくるめられるものな
らやってみるがいい。
「だって、こんなの、よくない・・・っ」
「大丈夫だ、お前の身体はちゃんと『よく』なってきている」
 左の脇腹を下から上へ、指でそっと撫で上げただけで、びくんと大きく跳ね
上がる。それだけなら単にくすぐったいだけだと言い訳もできようが、直後に
はあっと漏れ出る甘い吐息がその言い訳を封じている。
「ほら、な?」
「君なんか・・・・・大っ嫌いだ」
「好きなくせに」
 下着をやや強引に引き下ろすと、射すような陽光の中、彼女の白い胸が眩し
く浮かび上がった。自分自身の衣服に拘束されて、胸の膨らみがきゅっと持ち
上がる。どうぞお召し上がりくださいと言わんばかりだ。遠慮なくいただくこ
とにする。
 布地の移動に反応して小さく立ち上がった両の尖端を、指で撫で、摘み、は
じき、転がす。あくまで優しく、むしろいたわりを込めて、ツンと固くなるま
で。一旦そこへの快楽を憶え込ませてから、次は敢えてそこを避けた上で、両
手の指で、掌で。彼女のものの柔らかさ、滑らかさ、そして弾力を、彼女自身
に教えるように。
 彼女はぎゅっと目を瞑り、俺の愛撫を努めて無視しようとしている。俺から
逃げられず、そして俺を止め得ない以上、彼女の可愛らしいプライドを守るす
べは、確かに無視以外に有り得まい。
 無論、無視などできるはずがない。何故なら俺がそうさせないから。
 今は真夏の日向で戯れているとはいえ、先程まで水に浸かっていたのだ、体
温を奪われて冷えている分、こうやって与えられる刺激は焦れったいものだろ
う。酷く感じるほどではない、だが決して感じないわけでない。海と断崖絶壁
とに囲まれて人の視線はないにせよ、真っ昼間の岩場で生乳を曝されたまま、
いつ果てるとも知れず執拗に執拗に攻め続けられて、さあ、どこまで耐えられ
る? お前・・・・・。
「く・・・ん、ん、んうっ」
「キツいだろう、喘ぎ声を我慢するのは?」
85BBNT本編7話目・後編02/09:2005/08/23(火) 21:05:35 ID:lXqk9lqE
「何を・・・馬鹿な・・・は、うっ」
「感じるままに、大声を上げてもいいのだぞ? ここには俺しかいないのだ、
誰に憚ることもない」
 彼女はギリッと歯を食いしばった。全く、強情な奴だ。
 彼女の腰を包む下着に手を掛けると、俺の動きに協力するかの如く、彼女の
尻が少し浮き、お陰で容易に抜き取ることができた。
「なんだ。こんなことなら、お前自身に脱いでもらえばよかったな。それとも
俺に脱がされた方が興奮するか?」
「黙れ・・・っ」
「わかった、では、俺は黙ってやろう。・・・俺は、な」
 言った通り俺は黙った。打ち寄せる波の音、俺達のいる岩の上に乗り上げて
はじける泡の音だけが辺りを支配する。
 俺は彼女の足を自分の足に絡ませて、大きく左右に広げさせた。彼女の抵抗
力は微小で、嫌がる素振りも半ば形骸化している。
 俺は右手を彼女自身に沿わせた。ぬるつくもので思った以上に濡れているそ
こに、最初は気遣わしげに指を浸し、ちっ、ちっ、と音を立てさせ、やがて、
くち、くち、くちゅ、くちゅ・・・否応なく彼女の耳に、そのいやらしい音が
聞こえるように。
「は・・・は・・・っ」
 音の高まりと共に、彼女の息づかいが荒れてくる。
 くちゅ、くちゅ、ぢゅっ、ぢゅっ・・・ぐちゅっ!
「・・・・・っ!」
 急に挿れられ抉られて、それでも声を上げなかったその努力は認める。が、
そこまでだ。俺は更に手の動きを激しくしていく。中と外。俺の指と掌とが彼
女の柔肉を揉みほぐすように。
 ぢゅっ、ぐちょ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅっ!
「お、王者、王者、やめ、やめて、いや、いや、いやっ」
 たまりかねたように彼女が声を上げる。
「やっ、嫌だ、音が、王者、あっ、いや、やめて、お願い、だから、やめっ」
 首を激しく横に振る。身体をくねらせて逃れようとする。その動きが、より
一層俺の手をお前にこすりつけていると、本当はお前は知っているのだろう?
「お願い、王者、いや、やめて、いやぁ・・・っ」
「俺に黙れと言ったのはお前だろう? 『俺は』黙った、その代わりにお前に
『喋って』もらっているだけだ」
「・・・っ、あ、謝る、から、だから、あぅ、あ・・・っ」
 このままだと軽くイきそうだな。
「そうまで言うならやめてやろう」
 俺はすいっと指を抜いた。
86BBNT本編7話目・後編03/09:2005/08/23(火) 21:06:36 ID:lXqk9lqE
「あ・・・あ、あ、・・・・・は」
 高められた快楽の源が唐突に失われて、彼女の感覚は大混乱を起こすはずだ。
 小刻みに震える身体、自分自身を強く抱いて。肉の疼きを鎮めようというの
か? 無駄なことを。
「どうして欲しい? お前・・・」
「な・・・に?」
「俺にどうして欲しい?」
 彼女のもので濡れた指で、彼女の唇をなぞって。
 小さく開いた口を割り、中へと突っ込み、掻き回す。唾液と愛液とが彼女の
中で混じる。
「この可愛い口で、己の欲望を、正直に答えてみろ」
 それをすくい取って彼女の胸の尖端になすりつける。もっともっとと言いた
げに胸を突き出し左右に揺らす、彼女の表情は、その理性がとろとろにとろけ
ていることを如実に物語っている。
「俺に。どうされたい? お前」
 彼女は。
 見上げたことに、ぐっと口をつぐんだ。まだ抵抗する気力があるとはな。
「答えないなら、それでもいい」
 俺は彼女の最も敏感な部分をのみ集中して攻め始めた。
「く、う、う、ふうっ」
 限界まできて、なお喘ぎを噛み殺す彼女の顔。なんと色っぽいことか。ぞく
ぞくする。たまらなくぞくぞくする。
 入り口の周りに指先を遊ばせる。欲しくて欲しくて仕方がなさそうに彼女が
腰を揺らす、俺の指を誘い入れようとでもするかのように。だが、そんな艶技
に俺は引っかかりはしない。あくまでも、お前の口から言わせてくれる。
 上と下の尖りを、同時になぶる。強く。
「は、はぅっ、はあ、うっ・・・!」
「さあ、俺にどうして欲しい?」
「う、あ・・・挿れ・・・て・・・・・っ」
 してやったり。俺はほくそ笑む。
「聞こえんな、もう一度だ」
「お願、い、挿れてぇっ」
「それが人に物を頼む態度か?」
「お願い、します、挿れてくだ、さい・・・っ」
 いいコだ。だが俺はまだまだ満足していない。
「どこに挿れて欲しい?」
「・・・・な・・・中に・・・私の、中、に・・・っ」
87BBNT本編7話目・後編04/09:2005/08/23(火) 21:07:22 ID:lXqk9lqE
 一拍の逡巡ののちに答える。ふむ。それがお前の表現の限界だな。羞恥のあ
まり、もう壊れそう、といった顔をしている。けれども俺は、
「中というのは、この中か?」
 彼女の口に指を突っ込む。
「それともこの中か?」
 尻の間を撫で上げ、その途中で後ろの門を軽くつつく。
「さあ、言え。どこに挿れて欲しい?」
 これはとどめの意地悪だ。彼女は、流石にそこまで言うことができず、許し
てくれ、と請うに違いない。そうしたら望み通りに、と思っていた。だが。
 驚いたことに、彼女は俺の手を取って。
「こ・・・ここ、に・・・・・さっき、みたいに、して・・・・・」
 熱く潤びた自分の入り口へ導いた。
「早、くぅ」
 狂おしいほど予想外の淫らさ。俺の理性は木っ端微塵。彼女が欲しがってい
るのは俺の指だとわかっていながら。
 貫いた。俺自身で。彼女の腰を抱き上げ、下から思い切り。
「あああああああああっ!?」
 それは悲鳴か、それとも歓喜か。
 強く強く抱きしめる俺の腕の中で、痙攣に近い彼女の動き。熱い体温。甘い
体臭。ことごとくが物語る、
「すごいな、挿れられただけでイッたのか、お前」
「・・・・・っ」
 ぽろぽろとこぼれ落ちる涙。それには何の意味があるのか、彼女の気持ちを
思いやる余裕は、俺にはもう、残ってはいなかった。
「泣いてもやめんぞ」
 舌先で、その涙を拭って。
「今度は、俺がイく番だ」
「い・・・や・・・・・」
 か細い声が聞こえた。
「何が『嫌』だ?」
 彼女を四つん這いにさせて、俺は律動を開始する。自分でも速すぎると思う
ほど。いつもなら、挿れてから後こそじっくり嬲ってたっぷり焦らすのが俺の
流儀だというのに。
「いや・・・いやあ・・・っ」
「お前はいつも『嫌』としか言わんのでな。本当に『嫌』なのか、『いい』の
裏返しなのか、俺にはわからんよ」
 嘘だ。イッたばかりの彼女が、すぐに中で動かれて『いい』はすがない。
 わかっていたが、止まれなかった。
88BBNT本編7話目・後編05/09:2005/08/23(火) 21:08:30 ID:lXqk9lqE
 止める気もなかった。
「お、願い、します、王者、やめて、やめて、くださいっ、ああっ、許して、
いや、いやなの、いや、いや、いや、いやぁぁぁっ!」
 哀願がどんどん切羽詰まってくる。それと同時に、彼女は俺の動きに合わせ
て嬉しげに身をくねらせ始めた。加速する快美感。自分で自分が制御できない。
「済まん、俺も・・・もう少し、だからっ」
 打ち付ける。激しく、もっと、もっと激しく。
 俺の全てが壊れるまで。
 彼女の全てを壊すまで。
「あっ、あはあぁっ!」
 ひときわ高い声と共に、再び彼女が達したのを見た。仰け反る優美な身体の
ライン、締め付けられる俺、強く、熱く、艶めかしく。
 そして、俺もまた。
「うあっ、はあっ、・・・・・っ!」
 ブン殴られるような肉の快楽。
 放出の絶頂に陶然となった俺を正気に引き戻したのは、場違いに思える水音。
見れば、彼女の下から流れゆく液体が岩肌を伝って海へと還っていく。
「お前・・・・・」
 震える彼女の身体がビクッとなった。まるで粗相を咎められた子供のように。
「まさか、イッたとき漏らした、のか?」
 ぱあん!
 その体勢からどうやって、と、後から幾ら考えても納得のいかない、それは
生まれて初めて喰らう強烈な平手打ちだった。
−−−
 互いの姿が完璧に隠れてしまう大きな岩の向こうとこちら。
 俺は頭部以外を鎧ったなりで、腕を組み、岩に凭れて立っている。
 いつもの長衣を着直して、彼女は、・・・・・岩の向こうから延々とすすり
泣きの声が聞こえてくる。あれからずっと、彼女は泣き続けている。
 溜息。
 度し難いことに、俺は今回の件を全く後悔していないのだ。何しろ2連続で
イかせて、あまつさえ放尿までさせた大快挙である。誇りこそすれ、悔い改め
る理由などない。泣かせてしまったのは、まあ、失敗だが、この次は上手くや
ろうとさえ考えている。
 ふと、俺は顔を上げた。
 何の気配も感じなかったというのに、いつの間に現れたのか。
 『そいつ』は俺を見下ろす岩の上に尻を落としてぺたんと座っていた。
 髪型、髪の色、瞳の色、服装、体格。まるで彼女を真似たかのような。それ
以上に、懐かしいほど記憶のどこかに引っ掛かる印象なのだが、どうしても、
それが何なのか思い出せない。
89BBNT本編7話目・後編06/09:2005/08/23(火) 21:09:33 ID:lXqk9lqE
 俺と目が合い、『そいつ』はにこっと笑った。無邪気な笑顔だった。まるで
屈託のない幼女のように。
 魔物か、さもなくば半魔だろう。敵意は感じられない。むしろ親しげだ。た
だ、『そいつ』は本来そこに『存在していない存在』なのだということが、理
屈抜きでわかった。
「何者だ?」
『えっとね、』
 俺の誰何に、『そいつ』は小首を傾げて、暫く考えたあと、
『思い出せないな』
 と、楽しげに答えた。口元は動いているが、伝わってくるのは声ではない。
なんだか、俺自身が頭の中で、彼女の声を使って、舌っ足らずな口調で『そい
つ』の台詞を組み立てているような感覚さえある。
「そこで何をしている?」
『多分ね、生きるか死ぬのを待っている』
 『そいつ』の答えはおかしなものだった。
『もしも次の一撃で毒竜にとどめをさせたら、「渡した力」でハガネが甦らせ
てくれるはずだ、つまり「生きる」。万が一とどめをさせなければ、ハガネは
「渡した力」でとどめをさすことになるだろう、そうしたら私を甦らせるすべ
はなくなる、即ち「死ぬ」』
「毒竜だと?」
 俺は身構える。
「お前の仲間が戦っているのか? どこだ?」
『ここだ』
「ここだと?」
『ここだ、だけど今ではない。遠い過去か、遥か未来に』
 台詞自体は不可解なものだったが、『そいつ』が真面目に答えていること、
そして、この近辺で戦いが起こっているのではないことだけは理解できた。事
実、俺の五感や六感に、戦いの気配は微塵も感じられないのだから。
 俺は緊張を解いて会話を続けた。
「ハガネ、というのは、お前の仲間の名前か」
 再び『そいつ』は暫く考え、
『・・・思い出せない』
 今度は残念そうに首を横に振った。
「王者? そこに誰かいるのか?」
 会話に気づいたか、俺の声を訝しんだか、彼女がこちらへ回ってきた。目元
に泣きはらした跡、涙もまだ乾ききっていない。それでも、何か危険があった
ら、と、俺を心配して来たのだろう。ええい、可愛い奴め。
 彼女は俺の視線を辿って『そいつ』を認め、言った。
90BBNT本編7話目・後編07/09:2005/08/23(火) 21:10:26 ID:lXqk9lqE
「・・・君が、歌っていたのか」
 質問形の確認に対し、
『歌? この歌のことか?』
 『そいつ』は歌の一節を口にした。十億の言葉を費やしても、君への想いは
語り尽くせない。確かに、あの歌だった。
「それをどこで憶えた?」
 俺の問いかけには、謎めいた答えが返った。
『ここに「来た」ときに「思い出した」。とても綺麗な歌だ』
 ずっと憶えていられたらいいのに、と、悲しげに付け加えて。
『ケンカをしていたのか?』
 今度は『そいつ』が質問してきた。俺達は答えをはぐらかしたが、まあ、順
風満帆に仲良くやっていたようには見えまい。
『ちゃんと謝って、早く仲直りしないとダメだ。ロウは親子喧嘩したまま家族
と死に別れて、とても苦しい思いをした。だから私とケンカしても、私の方が
悪くても、いつもすぐに自分から謝るのだ。君達も、ケンカしたまま死に別れ
てつらい思いをしたくなければ、何はともあれ自分の方から謝るべきだ』
 何故そんなにも一生懸命なのか、と不思議になるほど一生懸命に語りかけて
くる。なんだか自分の子供に夫婦喧嘩を仲裁されているような複雑な気分だっ
た。
『ほら、早く。素直に、ゴメンなさいって言うのだ』
 『そいつ』の言葉に後押しされたように彼女が俺の方を見て、ちょっと拗ね
た感じで、
「ゴメンなさいは?」
 と言った。『そいつ』の語り口が移ったみたいな、どこか幼い口調で。
「ああ」
 俺は彼女の頭を抱き寄せ、その手でくしゃくしゃと撫でて謝った。
「俺が悪かった」
「これからは、もう、あんなことはしないか?」
 あんなこととは、具体的にどのことだ。と問い返せる雰囲気ではなかった。
「・・・しないよう、前向きに善処する」
「ばか」
 彼女が俺の胸にコツンと自分の額を当てる。許してくれたらしい。
 再び目を向けたとき、『そいつ』は既に姿を消していた。
「何だったのだ、あいつは?」
「私にもわからないけれど、君によく似ていたね」
 彼女の言葉に、俺は驚いた。
「俺に? どこが」
「面立ちが。それから子供っぽい雰囲気」
91BBNT本編7話目・後編08/09:2005/08/23(火) 21:11:17 ID:lXqk9lqE
 面立ちが似ている? そう言われてみれば、ガキの頃の俺の顔立ちに通じる
ものがあったような気もするが。
「・・・子供っぽいか、俺は?」
「子供っぽいよ、とても。意地っ張りで負けず嫌いで好奇心が強くて独善的で
自分勝手で、常に自信満々のくせに予想外のことが起きると微妙に調子を狂わ
せるあたりなんか特に」
 ここぞとばかりに言いたい放題だな。・・・てゆーかどこかで聞いたような
人物評なのは気のせいか?
 俺は逆襲してやる、
「そんな俺に惚れたくせに」
 勝手なことを言うな、とでも応えて、照れた顔をそむけるぐらいはする、と
思いきや。
「うん。大好き」
 彼女の真っ直ぐな微笑みに、俺の方こそ、照れた顔をそむけた。
−−−
「何を歌っているのだ?」
 完全武装状態で片膝をつき、崖の端から眼下の海を眺めていた俺は、ほんの
一瞬前には誰もいなかったはずの斜め上から声を掛けられた。いつものことだ、
最早この程度で驚きはしない。俺は彼女を振り仰ぎ、答える。
「あの歌を、だ」
 十億の言葉を費やしても、君への想いは語り尽くせない。
「戦いを前にして恋歌とは、随分と余裕だな?」
 頼もしい限りだ、と彼女は笑う。
「そうでもないさ」
 俺は自らの拳を見つめて、自嘲を込めて笑う。もう、かつての力など片鱗も
残ってはいない。あとどのくらい戦えるのか、いや、この戦いを乗り切れるの
か。自分でも心許ないほどだ。
「最近は昔の思い出ばかりが甦る。たとえば、あの夏の日」
「どの夏の日だ? 君との思い出は多すぎて、私にはいつのことだかわからな
い」
「そう、だな」
 俺は拳を開き、もう一度、強く握る。失われたものは数え切れないほどで、
その代償はあまりにも大きい。だが、今、この手に握り込むべきは、失くした
ものへの哀惜ではない。
 海面に不自然な泡が、急速に量を増して。波間を貫き、鎌首をもたげる海蛇
状の怪物。毒竜。奈落に冒され堕ちた竜。この世界の調和を乱す異形。端的に
言って、邪悪な存在。
「戦いを前に怖じ気づくのは私も同じだ。君を失うかも知れない、その恐怖を
思えば足がすくみ心が萎える」
92BBNT本編7話目・後編09/09:2005/08/23(火) 21:12:09 ID:lXqk9lqE
 吼え猛る竜の声。音波による物理的な衝撃が、空間全体を打ちのめす。
「なべて戦いは最大の凶事。死にして破壊にして喪失にして破滅。だからこそ
命の懸け甲斐を求めて、我らは戦いに意味を見出すのだよ。それは例えば正義
のため、それは例えば世界のため、それは例えば」
「未来のためだ」
 俺は立ち上がる。軽く地を蹴り、急降下、一直線に飛びかかる、敵へと。
 俺は真っ直ぐ前だけを見、ひたすら前へと進めばいい。俺はこの世界を守っ
て戦う、それだけ、ただ、それだけ。
 たとえ死すとも俺との約束は彼女が守ってくれる。永き時間の狭間で、俺の
遺志を継ぐ者を待つために。歴史の監視者と呼ばれる伝説、死という名を与え
られた概念の神、不運をもたらす者にして、俺の最高の『幸運』。
 インパクトナックル起動。魔気の解放、《無限の法則》。
「マックス・ブレイク!」
93BBNT本編7話目:2005/08/23(火) 21:12:56 ID:lXqk9lqE
 ・・・・・おしまい。

 以上、暑いから海の話、という単純な理由で考えたお話でした(6月に)。
 今回、海辺なら布団は汚れないからという妙な考えで放尿物に挑戦。それな
ら風呂場でもよかったんではないかと思いつつ。
94BBNT本編7話目・外伝01/05:2005/08/23(火) 21:23:15 ID:lXqk9lqE
◇犬も食わないぞ

「・・・・・おっと」
「うわっ!」
「ふぎゃ! ・・・チッ、よけられたか」
「何がチッだ。てゆーかどこから降ってきたお前達」
「とりあえずさっきまで君がいた辺りの真上から。このまま落ちたら君にブチ
当たって面白いことになると思ってわくわくしていたのに、寸前で回避するの
だものなぁ。流石は“鋼の王者”、一筋縄では行かない」
「レン〜いいから早いトコ俺の上からどいてくれ〜」
「あ、ごめん」
「で? 何をしにきた?」
「この前の外伝では君達の方が私達の時代に化けて出たので、今度は私達が君
達の時代に化けて出ようかと」
「死んでもない奴らが化けて出てどうする」
「それもそうだ。では化けずに出てきたということで一つ」
「一つ何なんだ。そうじゃなくて、何の用かと訊いているんだ俺は」
「用。用って・・・ハガネ、何か用はあるか?」
「別に。俺は、お前が過去への時空間跳躍に挑戦するなぞと馬鹿なことを言い
出すから、お目付け役としてついてきただけだ」
「そうか。・・・というわけだ、王者。我々に用はない!」
「帰れ」
「帰ろう、ハガネ」
「ああ、帰ろう」
「待て待て待て待て、せっかく来たのにお約束のツッコミを喰らったぐらいで
素直に帰るなっ」
「フッ、その言葉を待っていたのだ」
「くっ、お約束返しかっ」
「・・・あんたら、妙にウマが合うな・・・」
「それはともかく、お前達、この場に監視者がいないことを疑問に思わなかっ
たか?」
「どーせまたぞろ王者がいじめて、その結果、どこかその辺で泣いているのだ
ろうと思った」
「まさにその通りだ」
「あんたなぁ。1回で懲りろよ1回で」
「懲りてはいるのだが、・・・泣いている姿もそそるもので、つい、な」
「それは懲りているとは言わない」
「鬼だあんたは」
「二人がかりで手痛いツッコミを入れるな。とまれ、わざわざ過去の世界まで
来たのだから、監視者にも挨拶していけ」
95BBNT本編7話目・外伝02/05:2005/08/23(火) 21:24:23 ID:lXqk9lqE
「で、その監視者はどこにいるのだ?」
「そこの岩戸の中だ」
「うわ、なんて頑丈そうな岩盤なんだ。しかもこの入口の岩、こちらからじゃ
開けられないようになっているぞ。まるで天岩戸じゃないか」
「ふ〜む、これは一種の閉鎖ドミニオンだな。ここまでしっかり閉じこもると
は、王者、君はよっぽど酷いことをしたのだな? ちなみに何をやった?」
「特に大したことはしていないが」
「あんたには大したことがなくても、監視者にとっては大したことだったから
こうなったんだろう? いいから、何をやったか言ってみろよ」
「最初に(テキストデータ640kb分の説明)、それから(テキストデータ
1.0Mb分の説明)、最後に(テキストデータ1.44Mb分の説明)した
だけだ」
「か、監視者−っ! 聞こえるか、そんなところに引きこもっている暇があっ
たら今すぐ出て来てこの男と別れろ、その方が絶対に君の身のためだー!」
「いやむしろ世のため人のため、ここでこいつを倒しておくのが正義というも
んだ! 如何に王者が強大とはいえ3対1でHAをブチ込みまくれば必ず勝て
る、出て来てくれー!」
「はっはっは、冗談キツいぞお前達」
「「そんなシャレにならんことをしでかしておいて、冗談キツいとか言えた義
理かー!」」
「だから二人がかりで手痛いツッコミを入れるなと言うに。
 さて、事情はさておき、」
「「さらっと一言で流すなっ」」
「無視する。事情はさておき、監視者をここから出すことに協力してもらいた
い」
「目的は違えど、監視者をここから出すことには賛成だ。まずはこの岩盤をブ
チ破ろう。インパクトナックル起動、メタル・ブレイク! ・・・っ痛〜!」
「そりゃ痛かろう、俺でさえブチ破れなかった岩盤だ」
「そーゆーことは早く言ってくれぇ!」
「やれやれ、愚かだな。これは一種のドミニオンだと言っただろう、即ちドミ
ネーターである監視者の心理が反映されている。君達のしようとしたことは、
閉ざされた心の殻を力づくで割り破るも同然の行為だ、上手くいく方がおかし
い」
「じゃあどうすればいいんだ?」
「例えば、天岩戸の故事に倣って、岩戸の前で七枚の衣の踊りを踊って聖者の
素っ首をはねる」
「おいおい、ウズメがサロメにバケてるぞ」
「日本の神話にキリスト教圏の話を混ぜるレンもレンだが、そうまで乖離した
ボケに的確にツッコミを入れるハガネもハガネだな。いいコンビだ」
96BBNT本編7話目・外伝03/05:2005/08/23(火) 21:25:14 ID:lXqk9lqE
「とにかく、無理矢理引きずり出したのではダメなのだ。納得の上でも妥協の
結果でも止むにやまれずでも構わないから、自分から出てくるように仕向けな
いと」
「止むにやまれず、というと?」
「理性ではいけないとわかっていても、感情がそうしてしまうような感じ」
「もう少し具体的に」
「仮に、王者が何かネタ振りをしたとする。続いて私がボケをかます。そこへ
ハガネがヌルいツッコミを入れる。
 監視者は伝説の住人だ、そのツッコミのヌルさに耐えかね、反射的にツッコ
ミを入れに出てくる!」
「「おお〜、なるほど〜」」
「・・・今、岩戸がガタッて言わなかったか?」
「恐らく、『ンなわけあるかっ!』とツッコミを入れに出そうになって、すん
でのところで思いとどまったのだろう。流石はレン、監視者と同じ伝説の住人
だけのことはあって、目の付け所がいい」
「えへへ〜、王者に褒められた〜」
「時に、レン」
「何だ王者?」
「ナニをする方とナニをされる方ならどちらが好きだ?」
「とーとつに何を訊くんだ王者」
「する方」
「即答かよレンっ。てか、お前は女の子なんだから、普通はされる方だろ?」
「じゃあユメコは?」
「済まん、俺の認識不足だった」
「やっぱりね、『相手に幸せにされてる〜』っていうのよりも『相手を幸せに
してる〜』って方がヤり甲斐があると思うのだ」
「うむ、俺の目に狂いはなかった。思った通り見所のある奴だ。
 というわけで、俺が言葉責めの極意を伝授してやろう」
「わーい、言葉責めだー」
「わーいじゃないだろレンっ。
 王者、あんたレンを第2の王者にするつもりかっ!?」
「女の子は父親に似ている方が幸せになるというぞ?」
「後天的な学習で似せるのもありなのかっ、それ!?」
「勿論だ。さあレン、懇切丁寧に教えてやろうではないか、手取り足取り」
「テトリス足取りす」
「クリ取」
「それ以上は言わせんぞ王者っ、ツッコミ・インパクトナックル、クリティカ
ル・ブレイクっ!」
97BBNT本編7話目・外伝04/05:2005/08/23(火) 21:26:11 ID:lXqk9lqE
「・・・痛いじゃないか」
「わーっ、ハガネのバカー! もうちょっとで監視者がツッコミに飛び出して
来そうだったのにぃ!」
「し、しまった、あまりにもくだらなすぎて、カラダが勝手にツッコミを!」
「お前は邪魔だよハガネ。インパクトナックル、メタル・ブレイク」
「ぐふっ」
「がーん、ハガネがたったの一撃で【かりそめの死】に! ひどい〜、ひどす
ぎるぅ〜、王者のばかぁ〜」
「これで心置きなく言葉責めの極意を教えてやれるぞレン、・・・お前の身体
に、な」
「わーん、放せ〜」
「暴れても無駄だ、お前の力では俺の拘束を逃れることはできんし、ハガネが
死んでいる以上、助けに来る者もない」
「やだーやだー」
「養父殿、ロウといったか? 彼に、手舐めは教わっているのだろう?」
「お、教わってるけどぉ」
「では俺の手にやってみせろ」
「うえ〜ん」
「泣いてどうにかなると思うな? ・・・さあ、俺の指に、お前の舌を這わせ
てみろ」
「うう・・・」
「ほう、なかなか上手いな。
 そうやって、男のモノも舐めしゃぶっているのか?」
「そんなことしてないぃ。16歳になるまではそーゆーことしちゃダメだって
言われてるぅ」
「だが、実物を見たことはあるのだろう?」
「・・・あるぅ・・・」
「では今度は2本だ。お前の口の中に全部くわえ込んで・・・・・そう、そし
てゆっくりと抜き差しするんだ、歯を立てないように、何度も」
「んっ・・・んっ・・・んっ・・・」
「目を閉じて。想像してみるがいい、今、お前がくわえ込んでいるものが、俺
の指ではなく、愛しい男のモノである、と」
「ん・・・んんっ・・・!」
「誰のモノを想像している? ロウか、ハガネか、それとも・・・?」
「ああっもう我慢できない! 王者! 私という者がありながら、事もあろう
に実の娘に手を出すとはっ!」
98BBNT本編7話目・外伝05/05:2005/08/23(火) 21:26:59 ID:lXqk9lqE
「「「うっそでぇ〜す」」」
「・・・・・嘘。・・・嘘、だって?」
「嘘も方便、功罪両面、今のはぜ〜んぶお芝居〜。迫真の演技に拍手ぅ〜」
「お・・・おし、ばい? 演技・・・・・?」
「監視者? あのー、監視者? ひょっとして、怒ってる?」
「ひょっとしなくても怒っているだろうあれは」
「あっ・・・あんなことしておいて、今度は何? 子供達まで巻き込んでこの
私を愚弄するのか・・・・・っ?」
「じ、じゃあ王者、監視者! 縁があったらまたね!」
「うわっ、俺を置いていくなレン!」
「ハガネ、レン、自分達だけ時空間跳躍で逃げるとは卑怯だぞ!?」
「お・う・じゃ? どこへ、行く気だ?」
「あ、いや、監視者。怒った顔も実にキュートだが、お前には笑顔が一番よく
似合う、俺のために笑ってくれ」
「言いたいことは、それだけか?」
「・・・・・とりあえず、それだけだ」
「そうか。・・・《聖撃》&《伝説の魔力》&《名ゼリフ》&《裁きの光》!
 王者! 光になれぇ!」
「っぎゃー!」
99BBNT本編7話目・外伝:2005/08/23(火) 21:27:46 ID:lXqk9lqE
 ・・・・・おしまい。

 以上、なんでこんなアホな話を仕事中に思いついたんだろう?(7月に) 
というお話でした。

 はー! 出すもん出してすっきりした! 連投ごめんね皆の衆。
 さ、風呂入って寝よや。
100名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 22:45:35 ID:m7tNp+ci
ぐっじょぶwwwwwwww
わらたよwwwwwwwwww
101名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 23:21:55 ID:7Q0ipZN9
娘を差し置いて母のほうが可愛い件について

GJ
102名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 01:37:19 ID:NsFS9Mc0
レンエロ可愛いよエロ可愛いよレン。

それはそれとして、先日BBNTを初プレイしたのだが、あれってサンプルキャラでサンプル
シナリオやるとすごく辛くない?
当方PL3人でやったせいかもしれないが、ぶっちゃけ生き残ったの1人だけでしたよ。
そして生き残った1人も奈落墜ち。エゴが「独占」だの「加虐」だのといったものばかり
だったので、きっと色欲に溺れてるんだろーなと言われたり。

と、チラシの裏を無理矢理エロパロに絡めてみるテスツ。
103名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 00:58:35 ID:ny8D9ua7
では強化人間劇場外伝・ポーリィ編完結ですよ。
後編いきまーす。
104できあがりはホットチョコレート 1/7:2005/08/25(木) 00:59:38 ID:ny8D9ua7
site of 三匹が斬る

「……お」
「耳元で何か囁いた」
「な、なんて言ったの? 聞こえなかったけど」
「……あかりん」
 コク、と頷き懐からリモコンを取り出す灯。
 ところでこいつらいつからニックネームで呼びあってんだ。
 つ[:::] <ピ☆
『も、もう大丈夫だよな? 俺も限界だ』
「おお」
「え。なになに限界って」
「処女は、黙って見てて」


site of ポーリィ=フェノール

「俺も限界だ……挿れていいか」
 あ、来た。
 今のスゴイのでまだ頭がクラクラぐるぐるしてるけど、柊が何を言わんとしているかは解る。
 って、はわわそんなシリアスな目で見つめないでよー。
 目をそらしながら、あたしは小さく頷いた。
 柊の手があたしの肩の横に突かれた。
 柊の腰の位置が、あたしと重なっていく。
「はわ」
 い、今、触ったにょー!? な、なんか熱いような硬いような弾力あるような!?
 あ、先っぽだ。そうださっき見たなんかプニっとしてそうなアレの先だ。
 その、柊の男性自身が今あたしの割れ目を探ってる。
 と、それがピタリと止まった。位置は――あたしの、入口。
「一回イって柔らかくなってるから多少マシだと思うけど……痛かったら我慢すんなよ」
 という台詞とともに、あたしの中に、なんというか、こう、熱? そう、熱そのものが侵入してきた。
105できあがりはホットチョコレート 2/7:2005/08/25(木) 01:03:07 ID:ny8D9ua7
「ひっ……ん」
 痛っ。
 何も入ったことのない、あたしだって知らないトコまで押し広げて、それは入ってくる。
「あ。あ。あ。あああ」
 ぐぐぐ、と体の中を広げられる感覚。
 でも決してそれは嫌なものではなく。
「――んんー、あっう……」
 お腹の、中に。
「んああっ……ああぁぁぁ……」
 あー……なんか、なんかー。
 優しさ? なんだろ、満足感? ……を持った、熱?
 そんな塊が、隙間を埋めているようで。
「――全部入った。痛く、ないか?」
「へ?」
 そういえばもう痛くない。押し広げられてるときは結構痛みがあったのに
「血も、出てないみたいだな」
「え、ホント? なんでー?」
 初めては痛くて血が出て、っていうから覚悟していたのに。
 柊は『?』って顔してる。
「痛くないにょ。ポリ、はじめてだよー?」
「いやそれは感触で解る。何も入れたことないだろ、ここ」
 解るんかい。まあ、今は不問にしとこう。
「ああオマエ、戦士だからかな。なんか聞いた事あるぞ」
 曰く、普段から激しい運動している女性にはこういうことがあるらしい。
 運動で処女膜が破ける、というか膜状になってくっついてるヒダヒダが剥離するというか。
「はわー、痛くなくてラッキーかも」
「で、どうだ?」
 どうだ? どうだとは? ええええええええええ?
「ろ、ロロロロストバージンの感想聞いてるにょ!? はわサイテーにょ柊」
106できあがりはホットチョコレート 3/7:2005/08/25(木) 01:04:08 ID:ny8D9ua7
「いや、入ってるのが辛くないか訊いたつもりなんだが」
 あ、気を使ってくれてたのか。
「だいじょーぶ、みたい」
「動いても?」
 う、動!? って、そういうものだものね。うー、どうなんだろー。
「わかんない。今は痛くないけどそれだけに何とも」
「あー、……だよな」
「だからー、一度動いてみるのはどうかな」
「チャ、チャレンジャーだなお前……」
 いやもうこうなったら、ね?
 とか考えてる間にも、つー、とお腹の中から柊のが抜けていく感覚。
 そして、つー、と圧迫される感覚。あ、入ってきてるのか。
 なんだかゆるゆるとした何ともいえない感覚が、お腹の中を行ったりきたりしている。
「んー、だいじょうぶー……」
 狭い中を往復するその感じは、不快じゃない。
 えーと、モノの本なんかだとこう、『ああっ! いっぱい擦れて気持ちイイよぉお兄ちゃん!!』とか言ってるもんだけど、現実はこうなのかな。
 なんか、クリトリスへの刺激に比べたらこう、なんというか布一枚ぶん上から触られてるときの感覚というか、その。
 あ、リューナが言ってたっけ。
『ナカで感じるのは、そうなるように開発しないと難しいですね。そうなれたときの感覚は……格別ですよ?』
 ああ、あれはこういうことなんだ。
『えっちで気持ちよくなるのは、体の感覚もそうですけど気持ちです気持ち。今、信頼して自分を預けているヒトが、自分の中にいる感覚。嬉しい、愛しいっていういい気持ちを集中すれば、未経験でもちゃんと気持ちよくなれますよ?』
 えーと。なんてタイミングで都合のいいアドバイス思い出すにょ。
『最初っからナカで感じる人は、まあ稀ですね』
 あー。でも。
「――はっ、はっ、はっ、はっ」
 はわ。柊の動きが変わった。
 さっきまでの全部を抜き差しする動きじゃなくて、小刻みに、あたしの内側に擦りつけてくる様な感じに。
「あー。あー……っふひゃん!?」
 な、なになになに今の!? ちょっと浅いところを擦り付けられた瞬間、電気が通り抜けた、ような。
 びくり、とあたしは腰を浮かしてしまった。
107できあがりはホットチョコレート 4/7:2005/08/25(木) 01:05:24 ID:ny8D9ua7
site of 名も無きぬいぐるみ

《あ、跳ねた。Gスポットに当たったわね》
 なんすかソレー?
《言ってみれば膣の中の急所。医学的にはそんなところに神経が集中してるはずがないからそんなモノ存在しないって言われてる場所。そこから受けた感覚だけ脳の方で快感として処理されてるかもしれないのに、身体構造だけ見て言い切ってしまうのが人間の学者の愚かさね》
 ムズかしッスー。えーと。えーと。弱点?
《まあそんなところね》
 わー。
《さて、ここは感じさせてあげるのが男としての優しさよ柊蓮司。まあ見物させてもらうわ》
 大丈夫ッスよー。ご主人男前だからー。

site of ズッコケ三人組

『……ひ、ひーらぎっ!? や、そ、そっ……こ、うぁっ、んぁっんぅぅぅ!!』
「き、急に声上げ始めたわよ!?」
 元ロンギヌスリーダー姫ヶ崎、耳まで真っ赤にしながら画面に釘付け。
「……左上。テーブル下のカメラを、見ろ」
「はい? ……うわ」
 左上のサブウィンドウには柊とポーリィの結合部が大写しになっていた。
「ちょうどソファから水平」
 毛も少なく恥丘もあらわな秘部を、柊の男根が出入りしている。
 その動きは小刻みで、侵入している深さはさほどでもない。
「ああやって、Gスポットを刺激してる」
「……丁寧だな。私と夜ノ森にはこういう気遣いは必要ない、が」
「が?」
「性感が未熟な場合は、有効」
「徐々に慣らしていくの」
「は、はあ」
 画面の中では2人が激しく絡み合っている。
 そこから決して目を離すことなく下世話な講義を展開する二人に、優美はあっけにとられていた。
「命も、最初は痛がっていたけど。徐々に気持ちよくなるように」
「え? えーと、真行寺よね? 男性が痛がるの?」
 灯はこくり、と深く頷いて答えた。

「直腸」


108できあがりはホットチョコレート 5/7:2005/08/25(木) 01:06:32 ID:ny8D9ua7
site of ポーリィ=フェノール

 やっ、はぁっ、んんんっ!?
 そ、そこばっかり擦っちゃ、やっ、そんな、ふぁっ……。
 だ、ダメだにょ、ひ、ひーらぎぃっ、んんんあああああっ。
「うあっ」
 はわっ!?
 や、あ、ふ、ふぅ……んっ、んぁっ、はっ!?
 あっ。あんっ。
 うあっ。
「ひゃうっ」
 あっ、あっ、あっ、あっ、あああっ!
 くぅ……ん。
 え……? あああっ!?
 っ! あ! にゃうっ! はわっ! あんっ!
 はぁっ!!
 んあっ!!
「ポ、ポリっ!」
 ひ、ひーらぎ?
 んぁんっ!
「お、俺……限界っ」
 瞬間。
 今まで浅いところで暴れていた柊が、ずい、とあたしのお腹の奥まで。
「は……いって、え、え、えぇ!?」
 ああああああっっ!!??
 ああああああああああああああああああああああっっ!!??

 ――――――――――――――――――――――――――――……ア。

「で、出るっ」
 慌てて引き抜かれた柊のソレから白いものが飛び出る。
 やけに冷静に観察しながら、そこであたしの記憶は途切れた。
109できあがりはホットチョコレート 6/7:2005/08/25(木) 01:08:21 ID:ny8D9ua7
site of 名も無きぬいぐるみ

 はい、あたしッスよー。もう本体は離れてったッスー。
 えーと。えーと。
 さっきご主人が出て行ったところッスー。
 あのあとイっちゃってるちびっ子の体を拭いてあげてー。
 そんであの子が起きてー。
 ご飯食べに行こうってことで行っちゃったッスよー。
 やー。そんなこんなで3時間ッス。
 あ、帰ってきたようッスね。
「服までなんか悪いにょ」
「あんだけ遠慮なく食っといてそこは遠慮かよ」
「ああ食べる分に関しては別」
 変な切り分けがあるようッスね。
「この前は服どころかゲーム機まで買わせたクセして……」
 ないようッスね。
「あはは。……あー」
「うん?」
「えと、そのね、柊」
「おう。どした」
 と、ご主人が言った直後。
 ちびっ子の目の前に光の玉が現れたッス。
「はわわっ」
 それは瞬く間に、いくつも、いくつも。
「あー。時間、来ちった」
「きゅ、急だな!?」
「仕方ないにょー。願いが叶ったから、アイテムの効果が切れちゃった」
「おい……いや、そっか。わかった」
 ご主人が何か言いかけたけどやめたみたいッス。
 よくわかんないけど、多分、この子が笑ったから。
「巨大魔王なんて絶対プチ殺してやるにょ」
「おう。行ってこい!」
 いよいよ光が強くなり、……あ、時空震。
 ラース=フェリアへの扉が開いたッス。
「あのさ、ひーらぎ」
 扉に消える瞬間。
「ん?」
 刹那に交わされた言葉。
「――ありがと。またね」
 それは確かに、約束、だったッス。
 光が消えてからご主人は暫くその場で放心したように立ち尽くし。
 一度目を瞑り。
「またね、か。ああ、そーだよな」
 フ、と笑ってリビングに戻っていったッス。
 って、あれ? 戻った? あたし無視ッス? やー。
 ごしゅじーん。ごしゅじーん。
 抜いてー。これ抜いてー。
 じたばた。
110できあがりはホットチョコレート 7/7:2005/08/25(木) 01:09:58 ID:ny8D9ua7
site of 強化人間たち

 放課後の教室、というには既に遅い時間。
 巨大スクリーンはもとの黒板に姿を戻し、明かりをつけた教室には3人の少女。
「フタヒトマルマル、監視目標のラース=フェリア帰還を確認しました。世界観に対する影響は限りなくゼロ。――はい」
 緋室・灯は0-phoneでことの顛末を報告した。
 無論、秘め事の部分は抜きで。
「了解。現時点で状況を完了します」
 ピ、と電話を切る。
「終わったわ」
「……よし」
 真白が頷いた。
「では改めて第65回姫ヶ崎によるザ(ry」
「ちょ、ちょっと!? まだやるの!? もう夜よ!?」
「当然」
「……今日は土曜日だ」
「いやそのなんていうか話がオチてなくない?」
「……やはり私はせっくすあぴーるが必要だと、思う。まずはこれを――」
 不毛な夜は、更けていく。

 ちゃんちゃん。
111強化人間劇場の中の者:2005/08/25(木) 01:11:47 ID:ny8D9ua7
さてさて。柊の視点を全く入れないだけでこんなに苦労するとは。
射精までの主観的な描写ができない、というのは随分な足枷になりますね。
男性的な快感だとグワーっと盛り上がって破裂して一気に盛り下がるというカタルシスにいけるのですが。

どうでもいいが俺様つけるタイトルが毎度毎度ひと昔前の少女漫画みたいなのはいかがなものか。
「魔王と君と(ry」とか今回のとか、思いっきりこっ恥ずかしいわい。

あとBBNTやら何やら新スレ始まっていきなり皆さんエロいですね。
こっちも負けないようにエロを書かなきゃダメですか。そうですか。
強化人間劇場とか外伝とかもこれからは性器&汁描写180%アップ(当社比)ですか。
うーん。うーん。お、思いついた。
『パチンコ CRナイトウィザード』
……うおおダメだ。ではまた、次は「柊、不良であることを思い出しパチンコ店へGO!(仮)」にて。(ぇー
112名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 01:33:55 ID:PQqfV+MF
完結乙、なんか初めてまともにポリ萌えできたよw




話は変わるがライター天の新作の主役、ツッコミ役、不幸、女に振り回されるってひいr(ry
113名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 21:51:23 ID:OmTazBRm
GJ!
ポリと柊、後ろのこと忘れてないか、とか。(無粋)
『魔王と(ry』の後柊に何があったんだ、とか。
ベルぐるみが魔器人化(相当)を習得するのは何時ですか!?とか。
命……(ほろり)
などと、突っ込みたいところ目白押しですが!GJ!
114名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 22:05:03 ID:eUPzlwS+
ポーリィ可愛いよ 可愛いよポーリィ

それはそれとして、強化人間三人娘の会議はあれか。
単に優美をいじるのが目的かw

それはそれとして『人生ゲーム 柊蓮司版』とかどうですか?だめですか。
115名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 22:08:00 ID:ZnP41OVD
一マスごとにイベントが設置されてそうな人生ゲームだな
116名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 23:04:05 ID:IQji+p4z
>>115
「サイコロを振って出た目の数だけ学年が下がる。むごし。」とかある訳ですか。
117名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 23:10:20 ID:PQqfV+MF
「サイコロ振って出た目の数だけPL田中天のキャラに付きまとわれる、あはれ」とかあるのか
118名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 09:24:53 ID:m1vN1aGB
「異世界に飛ばされた。サイコロ振って出た目の数だけ休む」とか。

柊:ちょっとまてー!! バッドイベントだけかよこの人生ゲーム!!
119名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 11:09:50 ID:/wOXAj5U
まっさか〜。もちろん、いいこともありますよ。

くれはの手料理を振舞われたり〜。
ポーリィとデートしたり〜。
皇子と喧嘩したにゃふ〜が家に転がり込んできたり〜。
晶とキサラが戸籍謄本持ってきたり〜。
ベルとアンゼと3Pしたり〜。
ジーンと中身が入れ替わったり〜。
グィードと結婚したり…。
120名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 15:29:48 ID:dJz1Hf4y
なるほど。最後の勝敗はどれだけ下がったか、で決めるんだな
121名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 15:34:06 ID:PEZSnUiQ
>>120
なるほど下方判定で勝負が決まると

【阿呆は分かったようなことを言った】
122名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 20:07:40 ID:m1vN1aGB
>>119
> くれはの手料理を振舞われたり〜。
→ 腹が下る。

> ポーリィとデートしたり〜。
 →散々飲み食い買い物されて経済力が下がる。

> 皇子と喧嘩したにゃふ〜が家に転がり込んできたり〜。
 →浮気されたと勘違いした皇子が暴走・魔王化、その討伐のために
 再びレベル下げられる。

> 晶とキサラが戸籍謄本持ってきたり〜。
 →「重婚?」「浮気?」「認知?」とご近所での評判が下がる。

> ベルとアンゼと3Pしたり〜。
 →HPが下がる。

> ジーンと中身が入れ替わったり〜。
 →ジーンin柊ボディが普通にザーフィと親しげにして、ホモ・オカマ疑惑
が浮上する。

> グィードと結婚したり…。
 →そんな柊を優しく見守り包み込む存在に………
 不幸のどん底に叩き落される。


むむむう、上がるのは一個だけ。流石は下がる男、スキがない。
123名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 20:40:00 ID:OMBV1GOS
つか晶キサラとの3Pが読みたくなったよ
124名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 22:06:04 ID:YkzeBcCg
ふと思ったこと。

晶inキサラボディ(キサラの精神は覚醒)。

…ぐは(吐血
125名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 22:10:53 ID:ey3FDtWi
>> グィードと結婚したり…。
> →そんな柊を優しく見守り包み込む存在に………
> 不幸のどん底に叩き落される。

包み込む?こんな感じ?

「うあ……グィードの中すごくあったけぇぜ……」

うを……自分で想像しててアルティメット気持ち悪くなっちまった…
126名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 22:18:31 ID:WMxIxdF5
>>125
生まれて初めて、笑いながらリバースという芸当をしてしまった。
どうしてくれるw
127いつも中の人:感想:2005/08/27(土) 22:05:23 ID:Uq+i0GZM
>104-110
 ああっ、ち、違っ、ここはポリに、ここはポリに萌えるべきとこなのにっ!

>抜いてー。これ抜いてー。
>じたばた。

 うあああああ萌えぇぇぇぇぇぇぇっ!
 いやーっ何この破壊力ーっ! たまんなーい! たまんなさすぎーっ!

 ……はふう。ごちそうさまでした。もうおなかいっぱい。他のものの入る余
地なし〜。

>111
>タイトル
 えー? 3つできれいにまとまって、いいタイトルじゃないですか。

>113
 柊蓮司の人生ゲーム。オモテ面は日の当たる道(全年齢対象)。
 ウラ面は地下(21禁)。みたいな?
128いつも中の人:感想:2005/08/27(土) 22:06:33 ID:Uq+i0GZM
 アンカーミス。113じゃなくて>114でした。失礼。
129鋼の戦士&混沌の監視者・異聞 01/05:2005/08/27(土) 22:08:13 ID:Uq+i0GZM
◇微笑みは光る風の中に

 その若者は、青い湖畔の村で生まれた。
 村の周囲には、緑深く大きな森があった。
 湖の恵みと森の豊かさとが人々の心をも潤し、ほとりに住まう人ならぬ魔女
とも、付かず離れず頼りつつ頼られつつ密やかに共存していた。
 銀色の長い髪、乳白色の肌。濡羽色の大鴉を常に従える魔女は、元気いっぱ
いに笑いさざめく村の娘達ほど若くも瑞々しくもなかったが、ぬばたまの黒い
瞳を伏目がちに、控えめに微笑む美しい顔が人々の心を癒した。
 長じて若者は魔女に恋をし、少なからぬ葛藤の末、彼女も彼を受け入れて、
穏やかな情愛が二人の固い絆となるのを、村人達は黙認のかたちで祝福してい
た。
 若者は、狩りと樵の仕事とに忙しく、湖のほぼ反対側にある魔女の小屋まで
足繁く通うわけにはいかなかった。だから、たまの逢瀬は息せき切って、彼女
の下へと駆け寄るのだった。
 昼下がりの木洩れ日を受けて、干した薬草を籠に盛り、魔女が小屋へ入ろう
としたとき、
「魔女殿!」
 挨拶の時間も惜しげに、若者は背中から魔女を抱きしめた。魔女の繊手から
籠が滑り落ち、床一面に薬草が散って、若者の足が乾いた緑の葉を何枚か踏み
つけにした。
「魔女殿、会いたかった」
「まあ、いけません、この薬草は村の人に……」
 何事か言いかけた柔らかな唇を盗んで、会えなかった日々の寂しさを埋める
ように、長い長い口づけを。その間にも彼の腕は休むことなく、彼女の身体を
強く強く撫でた。だがそこに乱暴さはない。旅の芸人達が自らの手に馴染んだ
楽器を大事に大事に扱うように、彼女を大切に想う気持ちが如実に現れた動き
だった。
「……構わないか?」
「ダメと言っても聞かないのでしょう?」
 魔女は窘めるように苦笑し、戸口のホウキに向けてちょいと指を振った。ホ
ウキは独りでに薬草を掃き集め、器用に籠へと放り入れていくのだった。
 小屋の奥には魔女の寝室があって、若者は自らが先頭に立ち魔女の手を引い
て中へと突進した。絹にも似た魔女の長衣、左右の脇の合わせに片手ずつ突っ
込んで、魔女の腰を覆う革製の貞操帯をまさぐり始める。貞操帯の革紐は、前
回彼が結んだままの結び目を固く固く保っていた。
 その結び目は固すぎて、結んだ本人もほどくのに苦労する。じれて苛つく若
者の上着のボタンをみんな外して魔女は、軽くはだけた逞しい胸に、頬に、首
筋に、唇に、小さなキスを何度も落とす。
130鋼の戦士&混沌の監視者・異聞 02/05:2005/08/27(土) 22:10:22 ID:Uq+i0GZM
「お、女がそういうことをするのは、はしたないと思う。魔女殿」
「はしたないわたくしはお嫌?」
「嫌、……じゃない」
 貞操帯が床に転がり、魔女は寝台に転がされ、働き者の固い手で衣服を捲り
上げて若者は、吸い寄せられるようにして、魔女の眩しい胸元に頬を寄せた。
 しっとりと息づく女のあわいに若者の指が性急に這う。先ほどの口づけで興
奮したか、体奥からにじみ出す花蜜が花弁を甘く濡らしていた。熱情が先走る
不器用な愛撫。いとおしすぎて、壊したいほど。
 導くような魔女の腕、若者を、あるいはとどめ、あるいは抱き寄せ、決して
押しつけがましくはないのに、若者は自然と彼女の術中にはまって、望まれる
ままに動いてしまう。悔しいような、嬉しいような。
 上気した彼女の顔を心に楽しみながら、彼女の中へと入っていく。熱く絡め
取られて、思わず知らず腰が蠢く。あえぎが混じりあう。
「いい、ああ、いい、気持ちいいっ、あああ……っ!」
 額に、胸に、珠玉の汗。陶然と目を閉じ、仰け反る背中。寝具は重く湿り、
ぎゅっと掴まれて大きくしわを寄せる。
「魔女殿……魔女殿…………ッ!」
 今ここに二人でいる、その幸せが、その幸せこそが生きている証、生まれて
きた喜び。二人は愛いっぱいの閃光の中ではじけ、熱い一つの塊となり、……
……再び二つに分かたれるまで、うとうとと夢うつつにたゆたう。
 小屋の屋根の上では、魔女の大鴉が午睡から覚めて、バサバサと羽ばたき、
カアと一声鳴いた。
 そんな平和な森に、……千年紀の終わりが来た。
―――
 ……っと。
 机の前で、彼女は暫くうとうとしていたらしい。老いてなお衰えを見せない
魔法医だが、流石に疲れがたまれば居眠りのひとつもしてしまう。
 老婆は頭を振って、ゆっくりと立ち上がった。広げていたカルテを閉じ、棚
に片付ける。今日の仕事はこれで終わり。そろそろ寝るとしようか。
 そのとき、窓ガラスをビリビリ振動させて、屋根の上で鴉が鳴いた。こんな
真夜中に、普通の烏は鳴きはしない。
 客かね。それとも。
 ばあん! と遠慮のかけらもなく開かれる玄関の音。鍵を掛けておいたはず
だが、この分だと壊されてしまっただろう。
「婆さん! 急患だ!」
 近所迷惑という言葉を知っているかと小一時間問い質したい大音声。
 どかどかと足音は乱暴なほどで、いっそ傍若無人に診察室へ突っ込んでくる。
 老婆の眼前でドアが開いて、開口一番、
「レンフィールドに襲われた、診てやってくれ」
131鋼の戦士&混沌の監視者・異聞 03/05:2005/08/27(土) 22:13:31 ID:Uq+i0GZM
 年の頃12、3の少女を抱きかかえた体格のいい青年が言った。
 またアンタかい、と魔法医は大仰に溜息をついてみせてから、どれどれ、と
少女を覗き込んだ。目に付くところに外傷はなく、気を失っているだけのよう
に見えた。が、実際はどうだか。そして心の方は。
「ふむ。まずは気つけにハーブでも嗅がせてみるかね」
 壁側のベッドに少女を寝かせるよう青年に指示してから、老婆は戸棚のガラ
ス戸を引き開けて、薄荷めいて匂いたつ香炉を取り出した。
―――
 世界は脆い。誰かが守らなければ、誰かが戦わなければ、瞬時に侵蝕され崩
壊してしまう。ドミニオンは、ただ存在しているだけで他のドミニオンとの軋
轢を生じる。それは世界でさえ、即ち地球ドミニオンでさえ例外ではない。
 だから世界には守護者が居る。守護者が、要る。地球ドミニオンの使徒。世
界各地へと秒単位で転移し、地球ドミニオンを破滅に導くことごとくと戦い、
障害を排除し、侵略者を片端から撃退していく。
「自分のために生きるわけでもない。誰かのために生きるわけでもない。そん
なもんじゃ千年も戦い続けられないんだ。わかったか、坊ず?」
 紀元1000年、イェルサレム。若者は銃を受け取った。男の手の中にあっ
てさえ大きい、それは2丁の拳銃。想像を絶する破壊力を秘めた、世界を守る
ための武器。
 世界を守るためと称して、数多の命を奪う武器だ。
「どうして!?」
 魔女は激しく詰問した。地球ドミニオンの守護者を。
「どうして彼でなければいけないのですか!? 何故、彼が守護者の役を引き
継がなければならないのですかっ!?」
 手足の先からボロボロと、乾ききった粘土細工の人形の如く崩れていく守護
者は、今にも泣きそうな、だが涙も枯れ果てた瞳でこう答えた。
「俺は知らんよ。ドミネーターが決めたんだろう。この地球ドミニオンを創っ
た【悪魔】が」
「そんな、嘘です! この世界にドミネーターなどいないと聞いています!」
「なら、それが世界の選択なのさ」
 若者が、生まれて初めて手にした銃を守護者の心臓に向ける。ガクガク震え
ながら、それでも真っ直ぐに。
 守護者交替の、儀式。
「世界に住む者、これから世界に生きる者、かつて世界に存在した者、そいつ
ら全ての選択なのさ。お前も含めた全員が、守護者の役を押し付けたのさ。俺
一人に、奴一人に、な」
 銃声。決意を込めて引き金が引かれた。
 運命の引き金が。
132鋼の戦士&混沌の監視者・異聞 04/05:2005/08/27(土) 22:17:01 ID:Uq+i0GZM
 やがて景色が切り替わる。地球ドミニオンのボトム。そこはあの森の中に酷
似していた。木洩れ日に包まれた魔女の小屋。それが若者の、心の深層である
らしかった。
「……行ってくる。魔女殿」
「わ、わたくしも! わたくしも一緒に!」
 駆け寄った魔女を、若者はそっと押し留めた。首を横に振る。迷いも、逃げ
出したい気持ちも、後ろ髪を引かれる思いも強すぎて、その上で、きっぱりと
彼女の同行を拒否した。
 彼はもう、彼女を抱きしめようとはしなかった。
 これ以上は、苦しくなるばかりだから。
 苦しめるばかりだから。
「きっと守りぬいてみせる。だから」
 万感の想いを乗せた眼差しを交わして。
「その子を、……頼む」
 無意識のうちに、魔女は下腹に手を添えていた。
 新しい命。二人の血を引く子供。
 連れていくことはできない。千年の修羅。絶え間ない地獄。それがどういう
ことなのか、若者は完全には自覚していなかったけれど、この子まで巻き添え
にするわけにはいかないと。
 若者は魔女に背を向けて、小屋の戸を開け、中へと入っていった。
 彼が最後に見せたのは、笑顔。
 思わず笑み返したくなるような、大きな大きな笑顔だった。
 斯くして次代の守護者がその任に就いた。第二千年紀が始まったのだ。
「守護者……様」
 魔女は祈った。神にでも、悪魔にですらなく。
 愛する男に、祈った。
「あなたの千年間が、どうか少しでも穏やかなものでありますように」
―――
 そして繰り返される千年の悲劇。
 今度の守護者は若い女だという。守護者が彼女に交代してから、世界は大き
く変わった。昼と夜との境目が曖昧になり、厳然として別個の存在だった人と
魔とが、今はまだ一部とはいえ、混じり合うようになった。
 それがいいことなのか、悪いことなのか。魔女にはわからない。わかろうと
も思わない。
 けれど新たなる激動の時代にあって、若き守護者だけではない、決して少な
からぬ者達が、僅かなりとも世界を支えようとしている。
 罪に満ち、悲しみの絶えない、この世界を変えていこうと。
 それが世界を守るということであり、それゆえに世界は守られていると。
 自分でも甘いと感じつつ、魔女はそう信じずにはいられない。
133鋼の戦士&混沌の監視者・異聞 05/05:2005/08/27(土) 22:18:40 ID:Uq+i0GZM
「守護者様」
 彼女が守護者と呼ぶのは、人間だった頃に未羽と呼ばれていた娘ではない。
「あなたは……いいえ、今はただ」
 今はただ、安らかにお休みください。あなたが命懸けで守りぬいた世界は、
次の世代に確実に受け継がれております。
 わたくしは見守り続けましょう、世界を。支え続けましょう、世界を守る者
達を。この命、ある限り。それがわたくしにできる、せめてもの……。
「だからっ、そうじゃなくて!」
 少女の声に被せるように、魔法医はぴしゃりと言った。
「病室で騒ぐんじゃないよ、正義かぶれのひよっこが」
「騒いでたのはオレじゃな……」
「近頃の男は言い訳までするのかい? 恥を知りな」
 そして青年に一枚の地図を突きつけて。
「どうせまた行き先も判らずに駆け出そうとしてたんだろう? そこだろうさ。
居るのは小娘の不死者だと聞いてる。海外産だろうねぇ」
 彼の遺した子供は、魔性を持たない普通の人間だった。だから魔女は平凡な
母親として子供を育てた。やがて子供は成長し、普通の人間と結ばれ、普通の
人間の子供をもうけた。そしてその子もまた、…………。
 長い長い、生命の連鎖。彼と彼女の血脈が、巡りめぐって流れつき、ここ、
東洋の島国で、かすかにだけれど息づいている。
「大丈夫だ」
 泣き出しそうな少女の頭を撫でて、青年は彼女に笑顔を浮かべてみせる。彼
の面影など欠片もない、それでも彼の面影を重ねてしまう、大きな笑顔を。
「正義は、必ず勝つんだ」
 ったく、彼に似ず、……いや、彼に似て、か? 本当に、馬鹿なのだから。
 気をつけておいき、と魔女は呟いた。その声は、誰にも聞き取れなかったが。
彼女自身にさえも。
「だから考えな。自分の弱さに浸るよりも、今の自分の手札で何ができるかを
考えな。私ゃ縋って頼って守られてるだけの女は大嫌いだよ」
 魔女は笑う。笑って少女を諭す。
「いい女ってのはおよそ男を奔走させるもんだけどね。人間の価値ってのは、
他人を動かしたあと自分がどうするかで決まるのさ」
 それは自戒の、言葉。
134鋼の戦士&混沌の監視者・異聞:2005/08/27(土) 22:19:44 ID:Uq+i0GZM
 ・・・・・おしまい。

 以上、前任の守護者で何か書けないかなぁというところから始まって、最初
はミストレスを予定していたのに、高田馬場の鴉のばあちゃんの方が子孫オチ
使えていいや、と思い至ったため勝手に借用した、というお話でした。
 毎度毎度ごめんなさい。>鋼の戦士&混沌の監視者の中の人(長ぇよ)
 でも更にごめんなさいなことがあるんです。
 そちらの鋼の戦士×混沌の監視者で1本イチャイチャを書き上げてしまいま
したので、そのうち投下しようかとw
 なんにせよ、設定がバッティングしていないといいなぁ。

 それにしても、仕事で追い詰められると筆が進みますな。暇になってからも
このテンションが維持できるなら、わたしゃ1週間で10本は書けますよ。
135鋼&混沌・言い訳風雲編:2005/08/28(日) 07:28:22 ID:fjVRydjN
まとめてうだうだと。どうでもいいひとは読み飛ばし推奨。
>「言ったろう。正義ってのは、きっと悲しい事の正反対だ」
プロットにあった戦闘場面、実はばっさり切りました。件の台詞はそこで言ってる。なんてこった。
「教えて。あなたが味方する正義って何?」
「さあな。オレにもよくは判らない」
「判らないクセに味方をするの?」
「ああ。だがオレは信じてる。それは悲しい事の真逆なんだろうと。誰も泣かないで済むような、そんな概念なんだろうと」
そんな感じ。ああちゃんと見直せよ俺!
悪魔ではない理由。
会話形式にしようかと思ったけれど脱線しそうなのでだらだら書く。
鋼の戦士はエゴ:努力(固執)、絆:勇気(信頼)くらいのイメージで書いてます。
全部救いたい、でも出来るわけがない。ならどうするか。そこへの二種類の答えくらいのつもりで。
エゴに沿うなら、正しく交わされている会話の通り悪魔になるでしょう。自分だけの正義を遂行して自己満足に浸る。住人は助けら
れるだけ、助けられて当然のドミニオンが出来上がるでしょう。肝心の判断が出来ないのも言われている通り。
絆の方はちょっと違う。「ヒーローなんて特売のネギでいい。安く皆に行き渡るのが一番だ」。そんな感じ。
困ったら誰か助けてもらえばいい。それは間違いじゃない。でもそれだけじゃ少しも前に進まない。ちょっとの勇気、決意で出来る
事もある。自分の行動で誰かを勇気付けられたら、その誰かが別の誰かに勇気を奮う理由を与えられれば。そうして自分の行動がつ
ながっていくなら、世界はちょっとした正義の味方で満ちて悲しくない感じになるんじゃないか。そんな考え。それがあるから、そ
れを信じているから、鋼の戦士は半魔なのです。多分。お前が多分とか言うな。
カットした部分よりちろっと。真理のeで死者の微笑みを止める場面。
「凄いのね、その鎧。あなたが受け継いだ力は」
「オレが託されたのは鎧じゃあない。力でもない」
「受け継いだのは誇りだ。そして、少しの勇気だ」
それが犬の話につながり、魔女が「ただ助けられて何もしないのか」と妹に報償を求めた理由になるのです。一応。
この辺り、話の中で全部わかるようにできない俺が駄目っつー話。うへぇ。
しかも眠い頭での文章ゆえ、これでも伝えられていないのではないかという不安が。うっへぇ。
136(マルチレス):2005/08/28(日) 07:31:31 ID:fjVRydjN
>BBNT本編7話目・後編
何ですかこのやたらエロいいじめられっこは。王者の女性遍歴が勘繰られます。
やはり子はかすがいなのだな。歌い手はさて、卵が先か鶏が先か。
>>91の辺りがとても好き。小細工はいつだって真っ直ぐな言葉に打ち砕かれるもんさ。

>BBNT本編7話目・外伝
ウズメとサロメの下りが妙にツボに。ヨカナーンがお祭り騒ぎに気をそそられて、覗き見に首を突き出したところをばさりとやるの
ですね?
子の代になるとツッコミ担当が入れ替わってるんだなぁ。そして俺の中で王者がどんどんエロ親父に。ダメ父さんに。

>できあがりはホットチョコレート
ポリの一人語り部分が秀逸だな、と思った。地の文と会話文の使いが巧みというか。
っつーか柊はやたら場慣れてますね。伊達に世界世界に女を作ってませんね。そういえば彼、不良でしたね。
やたらぬいが可愛らしいのには俺も同意。そして最後に。命南無。

>人生ゲーム The☆柊
ひ「なんだよこの『26マス戻る』って指示はよっ!? ルーレットまだ一度しか回してねぇぞっ!?」
グ「落ち着きたまえ、少年。ちゃんとふりだしの後ろにもマスがあるだろう?」
ひ「ありえねぇだろこのゲームっ!? ホントにゴールにつけんのかよっ!?」
そんな光景が脳裏を過った夜更け。製作元にはきっと皇子絡んでる。

>鋼の戦士&混沌の監視者・異聞
あの婆様にそんな過去が!? そして戦士と監視者のイチャイチャがっ!?
元々NPCなので設定があるにはありますが、ここじゃこれがあの婆さんの過去で決定ですよ。
しかしながらその筆の速さが羨ましい。いよっ、憎いねこの。憎い憎い。…憎いぜちくしょうマジ憎い。妬ましいったらありゃしねぇ。
むきーっ。後者を楽しみにしております。俺も負けてらんねぇ。

しかしやっぱりエロってむつかしいなぁ。なんとか使い×使いの残りを明日くらいに上げられれば、と思う今日この頃。
とまれ、また続きが出来上がったら。
◇おやすみ

 彼女はどこにでも現れ、そしてどこにもいない。
 ……気がつくと、彼女はそこにいた。
 長い坂道を登りきった場所。コンクリートで固められた崖の上。
 眼下の街を背にして落下防止用の柵に座って、混沌の監視者はアスファルト
の道を駆け登って来る誰かを見ていた。
 日は傾いて、赤橙色の夕焼け。東の方から夜の蒼色が空を覆い始めている。
 そう、彼女は為すべきことを“捉え”、その相手の下に“跳ぶ”存在。
 殺すためか、生かすためか、選択を与えるためか。
 慰めるためか、嘲弄するためか、ただ、見守るためか。
 それは知らない。彼女にもわからない。伝説の住人、歴史の監視者。彼女は
自動的な現象に過ぎず、そこに意志の介在する隙はないのだから。
 今度は何を為せばいい? 何を誰に為せばいい?
 それがわかったのは、登り来る男の顔を見分けた瞬間だった。
 お人好しでお節介で大間抜けで、馬鹿で愚かで救いようがない好青年。
 自然と、笑みがこぼれる。今は皮肉の色はなしに。
「鋼の戦士」
 男の通称を呼ぶ。彼の顔色が変わった。混沌の監視者がいる、となれば、
「何かあったのかっ!?」
 息せき切って尋ねる語気の強さは、彼がここまで走ってきたせいではない。
「君が来たな」
「何っ?」
「君がここに来た」
 彼は眉根を寄せた。
「意味がわからねぇよ、何があったんだ?」
「君が、ここに来た。それ以上でも、それ以下でもない」
「……からかってやがるのか?」
「だとすれば、今ボクの為すべきは、君をからかうことなのだろう」
 クスクスと、子供めいて楽しそうに。
「飲むかい?」
 どこに持っていたのか、キンキンに冷えた缶入りのスポーツドリンクを差し
出す。
 ありがとよ、と彼は受け取り、プルトップを引きあけて一気に半分ほど飲み
干した。トレーニングの途中だからこそ、水分補給は重要だ。
 彼女がこんなところでぶらぶら遊んでいる以上、きっと世界は平和なのだろ
う。少なくとも、どこかの正義馬鹿が駆けつけるべき事件はないに違いない。
 スポーツドリンクを飲む彼を、いとし子を慈しむ母のように眺めている彼女。
その視線に気づいて彼は不可解げに片眉を跳ね上げ、そして、ふと気がついた。
「お前の分は」
 飲み物の話だ。
 彼女は無言で、彼の手からスポーツドリンクを取り上げ、何の躊躇いもなく
1口、2口、喉を潤して、指で缶の口元をぬぐい、そして彼の手に戻した。
 残りはどうぞ、と勧められて彼は、あっという間に全部を飲み干し、片手の
中で缶を潰した。くしゃくしゃと紙のように小さく丸めてポケットに突っ込む。
辺りにゴミ箱はないから。
「そういえばお前、いつもはどこで何をやってやがるんだ?」
「随分と大雑把な質問だ。もう少し具体的にはならないか」
「ええと、だから、何をして稼いでる? やっぱどっかで働いてんだろう?」
「恐らく君の想像しているようなことは、全く何も無い。ボクは伝説の住人。
何となく人に紛れて人間社会の中で暮らしていくのは、伝説の住人の基本『性
質』のようなものだ。例えば、」
 彼女の細い指の先に、銀色のコインが光る。
「小銭が必要ならば、ボクは必要な小銭を持っているし、家が欲しければ、何
故かそこに土地付き家屋の権利書が転がっているのさ」
 ピン、と弾かれたコインが消えた。
「そうかい、そいつぁ羨ましいな」
 あからさまに心とは裏腹の台詞を吐きつつ、彼は柵を使って、脚から背まで
を伸ばすストレッチ。一時だってじっとしていられないらしい。
「何か要る物があるなら君に贈ろうか、それともこの『力』自体を貸してあげ
ようか」
「冗談じゃねぇ。出どころのはっきりしない金なんて、気色が悪くて使えねぇ
よ」
 だろうと思った、と彼女は言った。出どころのはっきりしないスポーツドリ
ンクを、さっき飲んだばかりだろうに、と指摘することはやめた。
 夕日の残光が徐々に暗い色を帯びていく。 
「んじゃ、オレはそろそろ行くぜ。スポドリごっそーさん」
 片手を挙げて、駆け出そうとした彼の背に、彼女の声がかかった。
「置いて帰るつもりかい?」
 足を止め、不機嫌気味に振り返る鋼の戦士。
「たまにはお前の方から誘いやがれ。いつもいつもオレからってのは、なん
つーか」
 頭をガリガリ掻き、腹立ち紛れにも似た口調で言った。
「オレばっかりアレみたいじゃねぇか」
 アレとは何だ、と突っ込むほど、混沌の監視者は野暮ではない。
 彼女はふわりと柵から降りて、後ろ手に手を組んで、てくてくと彼に近づい
た。
「あいにくと、ボクは口下手でね」
「はあ?」
 何言ってやがる、と言いかけた彼の唇を、口下手な唇がそっと押し塞いだ。
−−−
 一人でも狭い部屋。二人ならもっと狭いベッド。
 それでも彼女は、ここが一番落ち着くと言う。
 シャワーを浴び、先にベッドに腰掛けて待っている彼女は藍紫色のバスロー
ブ姿。風呂上がりの彼は、腰にタオル一つを巻いたなり。どうせすぐに脱いで
しまうのだ、ローブを羽織る手間すら勿体無い。が、まさか真っ裸でうろつく
わけにもいくまい。妥協案として、この格好なのだ。
 何も言わずに彼女に近づき、彼女がこちらに向けて顔を上げたところで彼は
彼女にキスを落とす。始まりの合図。いつもの儀式だ。
「今日は“ボク”のままか?」
「“私”の方がいいか?」
「いいや。何度か言ったと思うが……オレは、されるよりする方がいい」
 もう一度、キスを。ん、と鼻に抜ける彼女の甘い声。
 バスローブの結び目を解いて、左右にはだける。藍紫色の下には、意外なこ
とに、すぐさま白い裸身があった。
「今日は下、着てねぇんだな?」
「着けていて欲しかったのか?」
「別に、オレはどっちでも」
 するりと滑るままに落とすバスローブ。淡い黄色のシーツの上に、補色の紫
が咲いた。
 隣に座る。片腕で抱き寄せると、どこか媚態を含んでしなだれかかってくる
彼女。風呂上がりの汗ばむ肌がしっとりと重なって、体温が行き来する。鼓動
が想いを伝え合う。
 無骨というべき男の指が、繊細な女の身体をなぞっていく。
 殴るために鍛えた硬い手が、柔らかな身体をなでていく。
 腰、脇、背中。
 肩、首筋、顎。
 上を向かせて口づけを、今度は深く、遠慮なく。
 舌先の小さな争い。初撃は女が。素早く侵入し、男の舌にからめる。反撃は
男が。あっさりと押し戻し、そのまま侵入し、女の歯の裏をくすぐる。
 吐息と共に離れる。二人をつなぐ銀の橋、切れる寸前、また求め合う。
 男の指は、彼女の首から、鎖骨を過ぎて、胸に。
 隆起の間を通り、臍をつついて、下肢の茂みへ。
 その指を、そっと押しとどめる掌。
 少しだけ顔を離して、
「……嫌」
 たしなめるように、わがままを言うように。
「もっといっぱい、……して」
 ああ、と頷く彼の手の甲を持って導き、その掌を、自分の胸に添える。
 持ち重りのする乳房の感触を楽しみながら彼は言った。
「ったく、こんなときだけは素直なんだからな」
「はっきり言わないと、君にはわからないだろう? それとも、ほのめかしが
通じるような、自分は気の利いた人間だとでも?」
「……どうせオレは馬鹿だよ」
 微苦笑。自分で自分を馬鹿という言葉に、幾らか肯定的なニュアンス。それ
が彼の彼たる所以だ。
 彼は彼女の両の乳房を寄せ上げ、その一方を口に含んだ。赤ん坊がするよう
に乳輪部分を全部飲み込み、唇でやわやわと揉みこねながら、舌で舐めあげ、
くすぐって、
「っは、んうっ、あ……」
 やがて尖った先端を、きゅっと噛んでやると、
「ゃうっ!」
 なんて無防備な喘ぎ声。
 混沌の監視者、“ボク”。ひねくれ者で皮肉屋で。その顔をしか知らない者
は、よもや誰かのベッドの上で彼女がこんな甘ったるい表情を見せるなどと、
夢にも思わないに違いない。
 オレだけが知ってる彼女。独占の喜びに彼の頬が緩む。
 再び指が南下していく。今度はするりと、
「あっ」
 女がびくんと飛び上がる。
 男の声に混じる驚き。
「おいおい、もう『これ』かよ?」
 ひだを掻き分ける必要もなかった。乾いた指先がたちまち湿り、濡れていく。
「本当に、今日はどうした?」
「知ら……ない」
 はう、と吐息をもらす、妖しいくらいに朱い頬。
「わからないけど、」
 君が欲しくてたまらないんだ。
 ささやかれて彼は、うあ、と一言うめき、自分の頭をわざと柱に打ち付けた。
ゴツン。まるで何か強い衝動を、それにすり替えるかの如く。
「そーゆーことイキナリ言うのはやめてくんねぇか」
 ガバッといきそうになるじゃねぇか。
141鋼の戦士&混沌の監視者・別伝 前編:2005/08/28(日) 19:16:11 ID:fwkgDI0H
 前後編です。後編はまたそのうちに。


 遅ればせながら更新お疲れ様です。>まとめサイトの中の人

>こういう視点
 地下スレ住人としてはスタンダードな姿勢かとw

>135
>「ヒーローなんて特売のネギでいい。安く皆に行き渡るのが一番だ」
 目鱗。ならばアンパンマンワールドはまさに理想郷。

 好きなお話の裏話を聞くのはとても楽しく。自分の場合と照らし合わせて参
考になることも多く。問題は、下手するとスレ違いになるということですか。
嗚呼。

>136
>元々NPCなので設定がある
 なに、公式設定と内輪のセッション結果が矛盾したら、その矛盾を解消する
方向で、又は何故そんな矛盾が生じたかをネタにシナリオを1本組めばいいだ
けのこと。エロパロもまた然り。
 ささ、遠慮なさらず真の設定準拠で婆様のSSプリ〜ズ。

>後者を楽しみにしております。
 これが社交辞令だとしたら、わたしは真に受けた挙句即座に投下したアホと
いうことになるな。

>エロってむつかしい
 困ったときにはリアルエロ。ネタは拾えるし、実体験の裏付けがある描写は
書きやすいし、充実パワーでがーっと書けるし、マジおすすめ。
 って、そういえば、使い×使いは触手物って言ってたよーな。
 …………えーと。
 頑張ってください。


 ところで。
 ……天羅の蟲の話を考えようと言っていた人とか、BBNTでロウ×レンを
書くって言ってた人とか、札×瞳のハヌ/ソラの人とか、……。
 まだかなぁ。みんな夏休みの宿題の追い込み中でお忙しかなぁ。
 読みたいです。待ってます。
142魔物使い×夢使い:2005/08/29(月) 08:05:23 ID:2Xga2C9z
 髪の水気を一渡り拭ってからバスローブを羽織る。これを買ったのはあのコがうちに泊まっていくようになってから。気ままな
女の一人暮らし、暑い時は素裸でうろうろしていたのだが、可愛い恋人の前でそれはどうにも色気がない。
 教師の安月給には見合わずに、あたしの部屋はそこそこ広い。半ば以上がウィザードとしてのこなした仕事で入る副収入のお陰
だ。そもそもは父と一軒家に暮らしていたのだけれど、この職についてから自立する形で引っ越した。
 家にはいい思い出がないのだ。教授職の父は研究熱心というか、研究しか目が入らないような人間で、母を早くに亡くしたあた
しは、家にひとりで放っておかれる事が多かったから。
 彼女も、同じようなものらしかった。生まれつき魔術の才を開花させていた娘と、普通人の両親。亀裂は想像に難くない。現に
こうしてあのコが無断外泊を繰り返しても、担任のあたしに相談の電話ひとつかかってこない。もっともそのあたしが、娘に悪い
コトを教え込んでるなんて夢にも思ってはいないだろうけど。
 ひょっとしたらあたしたちの関係は、似たふうに歪んだふたりが、お互いの傷を舐めあっているだけなのかもしれない。でも弱
くない人間なんて、一瞬だって弱くなる時のない人間なんているはずがない。そういう時ふっとよりかからせてくれる存在の甘美
さは、他の何ものにも変え難い。でも、そんな理由は多分全部後付けだ。だって、恋とは落ちるものなのだから。
 廊下を渡って寝室を覗くと、途端に拗ねた甘え声が飛んできた。
「遅いよ、センセ」
 ぱっと顔を輝かせて、それから口を尖らしてみせる。普段はまとめている髪をすっかりおろして、寝台の上で掛け布団に包まっ
た格好だ。合わせ目から覗くのは華奢な鎖骨。一見してその下がもう生まれたままの格好なのが判る。敢えて説明書きを添えるな
ら、「どうぞお召し上がりください」ってトコだろう。
「よいしょ、っと」
「えへへー」
 あたしが隣に腰を下ろすと、満面の笑みですかさず抱きついてくる彼女。まったく、何がそんなに嬉しいんだか。
 相変わらず所有権を主張する猫みたいに、あたしの胸に額を擦り付ける。
「こらこら。まだ髪乾いてないから、もうちょっと待ってなさいって」
「えー、いいよぅ」
「…もう、しょうのないコだね」
 くしゃくしゃと髪をかき混ぜてやると、許可を求めるような上目遣い。ひとつ頷くや、するりとローブの合わせに手を滑り込ま
せてきた。その動きで彼女の肩から上掛けが落ちて、細い裸身が露になる。
 小さな手が、あたしの胸を下から持ち上げるようにやわらかく刺激する。
「センセの、おっきくていいな」
 ちらりと自分の胸に視線を落として。
「そんなにいいモンでもないけどね」
 あたしが返すと、うーっ、と不満げに唸る。
「でも、男子はセンセの胸の事ばっか話してるよ? …センセは、ワタシのセンセなのに」
 バスローブの下に腕を巻きつけて、はだけさせるように体を寄せる。それから赤ん坊のように音を立ててあたしの乳首を吸った。
ぞくりと、甘やかな感覚。
「ん…っ」
 たどたどしいながらも懸命な愛撫に、あたしの呼吸が荒くなる。いつになく積極的だけれど、教師の威信にかけて、このままや
られっぱなしじゃいられない。彼女のおしりに背中側から手を伸ばす。
143魔物使い×夢使い:2005/08/29(月) 08:06:26 ID:2Xga2C9z
「ひゃうっ!?」
 つう、と。尾てい骨からぼんのくぼまで撫で上げる。遅すぎず早すぎず、強すぎず弱すぎず、繊細なタッチで。彼女が悲鳴のよ
うな声を上げて仰け反った。
「お預けされていたからかな? いつもより敏感みたい」
 ちゅ、と頬にくちづけて、あたしは彼女を押し倒す。次は唇に。軽く触れ合わせて離して、舌を伸ばしてゆっくりと唇を舐める。
やがて求めるように開いた口に忍び込む。ざらざらと蠢く。絡み合う。甘くて熱くて深いキス。
「ん、んんっ…ぅん……ぷはぁっ」
 ふたりの間を細い唾液の糸が繋いで、そして途切れる。ようやく解放された彼女の、切ないくらいに荒い息。
 身を起こしたあたしは、もどかしくローブを脱ぎ捨てた。もう一度覆いかぶさるようにしてから、その長い髪を梳く。
「んー…自分で慰めてるかと思ったんだけど、もしかしてちゃんと我慢してた?」
 こくん、と頬を染めて頷く彼女。
「だって…センセが待ってろって言うから……あっ!」
 可愛い。それこそ食べてしまいたいくらいに。きっとあたしは、相当昂ぶった顔をしている。両手を使って、まだ未成熟なふく
らみを指の腹で丹念にこね回しながら、
「手伝ってあげるわよ」
「あ、やんっ…あ、あ…ふぇ?」
「言説にあるでしょ? 揉むと大きくなるって。ホントかどうかは知らないけどね」
 桜色の先端を摘んで、解放する。切なげな息を漏らしながら、彼女は物足りなそうにふとももを擦り合わせた。
「あ、う…んっ……ああ……っ」
 谷間の汗を舌で掬う。熱い息を唾液をまぶしながら、ゆっくりと降りていく。彼女の泉へ。
 足を押し広げると、恥ずかしげに横を向いて、けれどされるがまま。濡れた蕾にくちづける。ちゅ、ちゅ、ちゅぱ、くちゅ。あ
たしが蜜を啜るいやらしい音。
「きゃうっ…ああ…っ…や、やだよぅ…そんな、音立てちゃ…」
 シーツをぎゅっと握り締めて。けれど口とは裏腹に、せがむような動きで腰がうねる。
「あ、や…やぁっ、センセ、くんっ、だめ…」
 ぷっくりと充血した敏感な芽を含むようにして責めると、一際高く声が上がる。もっと聞きたい。もっと鳴かせたい。
「センセの、舌…んっ、あっ…気持ち、い……んん…っ! あああ…っ!」
 くちゅり。限界が近いと見て、あたしは舌だけでなく指での愛撫も追加する。
「やぁ…指…動かさ、ない…でぇ…っ! ああっ、センセ、センセ…ぇ…!」
 さほどもたずに、くたりと全身の力が抜けた。ぼーっと横たわる彼女の顔に、あたしは愛液を絡ませた指を突き出した。
「汚れちゃった。こんなに」
 ゆっくり指を広げて、糸を引く様を見せ付ける。そしてそれを彼女の唇になすった。
「キレイにして?」
「ん…」
 あたしに言われるまま、やわらかな舌先がおずおずと指の形をなぞる。人さし指、中指、薬指、小指。それから戻って親指。丁
寧に舐め上げると、今度はあたしの手首をまるで宝物のように掴んで、それから同じく一本一本を口中に含む。
 時折軽く歯を立てながら、ゆっくり、ゆっくり舌が這う。まるであたしの指を、飴か何かのように舐め溶かしてしまおうかとで
もいうふうに。犯しているのに、犯されているような感覚。
144魔物使い×夢使い:2005/08/29(月) 08:07:27 ID:2Xga2C9z
 あたしが指を引き抜くと、ため息のような声が漏れた。上気したままの彼女の頬に手のひらを当てる。耳の後ろをくすぐりなが
ら、顔を近づけて、そっと。
「まだまだこれからよ。言ったでしょ。いつもよりすごい事してあげる、って」
 囁いたあたしの月衣から、幾本もの白い触手がぬめり出た。
「え? や、何っ!?」
 流石に怯えて身を竦めようとするけれど、もう遅い。そいつらはあたしの意思に従って、彼女の手足を絡めとり動きを拘束する。
「セ、センセ? …やだ、やだよ、怖いよっ」
 逃れようと身をくねらせるけれど、束縛はびくともしない。手首や肘に巻きついた触手がバンザイのような格好で腕を上に吊り
上げ、膝やももに絡んだ連中が両足を浅く開いた格好で寝台の上に膝立ちにさせる。
「怖くないのよ」
 今にも泣き出しそうな彼女の顔を両手に挟んで、そっとキスをする。
「あたしのパートナーは知ってるでしょ? あのコと似たようなものだから。あたしの指示通りに動くわ。ちょっと違うのは、完
全にあたしと一心同体ってトコロかな」
 あたしがそうしようと思っただけで、触手の一本が反応する。粘性の強い液体を滴らせる表皮が、ぬるりと彼女の入り口を這った。
「っ!」
 びくりと彼女が身を震わせる。まだ助けを求めるように、あたしに縋る瞳。
「だから、怖がらなくても大丈夫よ。この全部があたしの舌で、あたしの指みたいなものだから。これからこれ全部を使って、キミ
を気持ちよくしてあげるだけだから」
 この魔物を見つけたのは、テイマーズソサエティの裏の裏でだった。
 形状は糸こんにゃくと表現するのがぴったりだ。白色透明で、一本の直径は指二本分くらい。片側には丁度タコやイカの吸盤のよ
うに、ざらついた繊毛が密集して生えている。毛の短い歯ブラシ、と言えば一番近いだろうか。
 自由意志を全く持たず、魔物使いのプラーナを与える事で成長し、その意のままに動く。触覚は魔物使いのそれと完全にリンクし
ており、その繊毛が滴らせる粘液は強い催淫効果を含む。
 そりゃあたしも魔術を応用したそのテの魔導具がこっそり販売されているのは知っていた。誰がなんに使うんだか、世界ふたつ分
の有効距離を持つリモコン付きローターとかまであるらしい。
 ただまあ、そういう意図に特化した魔物まで開発されてるなんて思わなかった。最初に見つけた時は、男ってのはホントにどうし
ようもない生き物だと脱力した。数日考えてから支払いをしてしまった自分には苦笑しか出なかった。
 でも、なんていうか、ねぇ?
 すっかりあたしの触手に捕まってしまったこのコを見てると、なんていうか、はまってしまいそうな気がする。
 桜色に上気した白い肌。早く熱く甘い呼吸。切ない、蕩けるような喘ぎ声。華奢な裸身に分泌液がぬめぬめと絡んで、とんでもな
く艶めかしい。
「あ、あんっ、や、いやぁっ…う、あ……んーっ!」
 毛先で秘所を擦ってやる度に、びくびくと彼女が身を捩る。無論愛撫しているのはそこだけじゃない。
 首筋も、腋も、胸も、その先端も、わき腹も、腿も、おしりも、どこもかしこも、全部。触手が絡みつきながら、やわらかくも丹
念に念入りに、ざらつきと粘液をなすりながら這い回る。体中を汚していく。
 与えられる刺激に肢体が跳ね回る。あたしの手のひらには彼女の火照った肌の感触。本当に自分の指で触れているような感じ。
145魔物使い×夢使い:2005/08/29(月) 08:08:23 ID:2Xga2C9z
「……やだ、こんなの…あぅっ、やぁっ!」
 もうどこに触れられても気持ちがいいのだろう。触手を蠢かすその度に、切なげなソプラノが漏れる。
 胸に巻きつく。もみしだくように締め上げて、ざらつきでつんと尖った先端を。
 足。膝裏からおしりまで、幾度も這い登り、這い降りる。殊更敏感な内腿は、別の触手で強く弱く舐め回す。
 わき腹から背中にかけて、粘液をぬりたくるように。さらさらの髪がべとべとにされた肌に張り付く。
 彼女の秘裂にぴたりと身をあわせた一本は、ゆっくりゆっくり同じ動きで、けれど執拗にそこを愛し続ける。ぽたぽたとベッドに、
愛液と粘液が入り混じって零れた。
「だめっ、だめぇっ…も…ゆるし…て…ふぁ、あ…あ…ああぁっ!」
 彼女は完全に快楽に酔わされてしまった風情だった。とろりと焦点のあわない瞳。顔を真っ赤にして、甘い喘ぎを繰り返す。もう
幾度も絶頂に押し上げられているに違いない。ふっと悪戯心が沸いた。
「んっ…ダメ、そこ…おしり…ふぁっ」
 意図に応じて一本が動き、双臀の間を擦り上げる。後ろの門の入り口に分泌液を塗りたくられるうち、最初は逃れようとしていた
動きが変化する。もっともっと、いわんばかりの快楽を求める仕草に。
 触れずとも判るくらい、あたしのアソコもぐちゃぐちゃだった。この光景にものすごく興奮している。糸こんにゃくの一本をあた
しのそこに這わせてみた。
「んっ! くぅっ…!」
 思わず声が漏れる。やばい。これ、すごい。電流のような刺激だった。これで延々撫で回され続けたら、そりゃめろめろになって
しまうのも判る。自慰にも似た行為を続けながら、あたしは彼女の顎をくいと持ち上げた。
 切なげな瞳があたしを見返す。繰り返される浅くて早い呼吸。熱に浮かされたような。催淫作用の所為ですっかり官能の虜だ。少
女ではなく、女の顔になっている。唇を重ねた。頭の中で響く舌と唾液の絡まる音。ふたりの泉から漏れる粘液と蜜のいやらしい音。
 キスが、それだけてイってしまいそうに気持ちよかった。
「ふぁ…ん…セン、セ……ワタシ…壊れちゃ…」
 息も絶え絶えに訴える。あたしの中で少し意地悪の気分が頭をもたげた。一番敏感なところを、彼女の芽と入り口とを責めていた
触手が動きを止める。
「…え? あ…やめちゃ、やだよぅ…ん…っ」
 望む感覚の供給を断たれて、彼女はもどかしげに腰を揺らめかす。他の触手も愛撫を弱める。ただ肌にまとわりついて不完全な、
今の彼女には弱すぎる刺激ばかりを加える。
「や…やぁ…やだやだ…っ……お願い、熱いの、ヘンになっちゃうよ」
 手足を拘束されているから自分で慰める事もできない。身体を侵すどうしようもない熱に浮かされて、彼女は涙を零しながらあた
しに哀願する。
「イきたい?」
 頬を伝う涙滴を舌ですくって訊ねると、こくこくと何度も頷いた。
「お願い…助けて、センセ」
「よしよし、いいコ」
 頭を撫でてやってから、華奢な身体を抱き寄せる。後ろのすぼまりに指をあてがう。
146魔物使い×夢使い:2005/08/29(月) 08:09:15 ID:2Xga2C9z
「…え? あ、きゃうっ!?」
「こっちはまだ教えてなかったっけ?」
 軽く力を入れただけで、粘液に助けられたあたしの指は簡単に内側へ侵入を果たした。中でくねらせる度、きつい締めつけが伝わ
ってくる。
「や、そんなトコ…汚いよぅ……あ、動かない…で…ぇっ」
 勿論、聞く耳なんて持たない。彼女の首筋を強く吸ってキスマークを。耳朶をまた軽く噛み、耳の中に舌を差し込む。
「でも、まだ足りないでしょ? これじゃ物足りないでしょ?」
 熱い息を吹き込みながら囁くように。
「キミの中に、入りたいな」
 言葉と同時に、おとなしくしていた触手の一本が頭をもたげる。彼女の入り口を軽くノックした。しばしの逡巡のあと、
「ん……センセ、来て」
 そっと頷いたのを見届けて、あたしは恋人の中に侵入を開始した。
「んん、あぅっ!」
「ふ…あ…っ!?」
 彼女の中へ入った途端、あたしも思わぬ快感に声を上げた。今まで触手の感覚は、全て手のひらでのものとして感じられていた。
無数の指で愛撫を行っているような具合に認識していた。
 けれど今、前触れなしの強烈なのがいきなり腰の奥に来た。本当にそれがあたしの男性器で、彼女に締め付けられているような感
覚。無数の濡れた襞にきつく締め付けられる快楽。そしてそれよりもずっと大きな、征服の愉悦。
「…平気? 痛くない?」
 指ではたくさん可愛がってきたけれど、奥までものを受け入れるのは初めてのはずだ。
「うん…あのね、センセのだからかな…? ワタシ…あんっ…気持ち、いいよ」
 あたしは触手をゆっくりと回転させるように捻じらせて、彼女の内側を繊毛で擦り上げていく。時間をかけて、じわじわと深いと
ころへと進んでいく。
「あ、ああっ…ん、センセ、んんっ……深いよ…ぅ…ふぁ」
 やがて最奥につきあったったのが感じられた。同じだけの時間をかけて、また入り口まで引き戻す。抜けそうなぎりぎりまで後退
して、また奥へ。深くへ。いつまでも味わっていたい、焼けつくように甘い官能。中毒になりそうだった。あふれて来る彼女の愛液
と触手の分泌液で、どんどんと滑りがよくなる。
「く…ぅ…ん…あっ……ああっ」
 少し慣れてきたのだろうか。まだ骨っぽさの残る細い腰を、彼女は律動に合わせて揺すり始めた。
 抱き合うあたしたちふたりを絡めとって、残りの触手たちが愛撫を再開する。どろどろのひとつの生き物に変えていく。
「センセ、もう…もう…っ」
「ん、あたし…も…!」
 一体感。恋しい相手とひとつになっている感覚。そしてくちづけ。
「ふぁ、ん、あっ…ん…ー…っ」
「あっ…あっ…ああっ…ああぁぁっ」
 目の前が真っ白になる。ふたり揃って一際高い波に攫われる。あたしの満足を感知したのか、触手が月衣の中へと引き下がる。解
放された彼女の身体があたしの胸に倒れこむ。
 ふたり官能の余韻のまま、荒い呼吸が整うまで、ぎゅっと抱き合ったままでいた。
147魔物使い×夢使い:2005/08/29(月) 08:10:24 ID:2Xga2C9z
 結局ふたりともべとべとになってしまって、シャワーを浴びなおす破目になった。
 足腰立たなくなってしまった彼女の身体も綺麗にしてあげて、今はソファーでクールダウン。
「ごめんごめん。ちょっと調子に乗りすぎた」
 ぐったりと体を預けてくるこのコの額に、ひとつキスをして詫びる。
「ん…いいよ、センセだから」
 あたしの腕を自分のもののように抱え込んで、彼女はにこーっと笑顔を浮かべて見せた。揃いの色のバスローブ越しの、やわらか
な感触。洗い髪から漂うシャンプーの香りが鼻先をくすぐる。
「それに、」
 言葉を切る。少し心細そうな、けれど期待するような眼差し。ちょっと迷って、息を吸い込んで、
「責任、とってくれるんでしょ?」
「うーん…どうしようかな?」
「あっ、ヒドイ」
 顎に手を当てて考え込む振りをすると、即座に不満そうな声。むにゅーっとあたしの頬が左右に引っ張られる。
「こらこら、やめなさい」
「だってだってっ」
 駄々っ子めいて頬を膨らませる彼女を、よっこらしょっ、と膝の上に座らせる。あやすようにぎゅっと抱いて、その体を左右に揺
らしてやる。
「冗談に決まってるでしょ? 頼まれたって離してなんてあげないわよ」
「…ホント?」
「本当」
 ぽうと頬を染めるこのコが可愛くて、あたしは軽くキスを盗む。安堵したように、えへへーと彼女が笑み崩れる。
「センセ、あのね」
 もぞもぞと体勢を変え、あたしの耳元に口を寄せて、そっと。
「大好き」
 自分の顔がかっと熱くなるのが判った。嬉しそうに彼女がまたくすくすと笑う。
 捕まえたのか捕まったのか。どうも判断が難しいところだと思った。
148名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 08:12:11 ID:2Xga2C9z
これにて終了。なんとか終了。
このところ俺は地下成分が足りないものばかりを書いていたので、せめて補填になれば。
仕上げるので精一杯だったので、その他はまた今度。もうぱたりと落ちるですよ。
149名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 16:10:42 ID:cCezjmpq
>>148
あぁもぉ、GJだけども今から仕事だってのにこんなえろいの見せられてどうしろと言うのですかっ。
【こんな時間にスレチェックするのもどうかと思います。】
ホント魔物使い先生はえろいなぁ。でも可愛いなぁくっそぉ。

次回、教え子が『現の夢』で先生にお返しと云うのはどうでしょうかだめでしょうか。
150名無しさん@ピンキー:2005/08/30(火) 14:13:50 ID:uUhMhms3
触手マンセーGJ
151名無しさん@ピンキー:2005/08/30(火) 19:01:12 ID:a5OmeHDc
あの浅黒い肌のナイスバディと真っ白な肌のロリータボディが触手と粘液でドロドロですよ。
もーたまりませんよ。エロですよ、エロ。
152いつも中の人:感想:2005/08/30(火) 23:51:03 ID:U6d+8zbS
>142-147
 えっちでかわいいなあとかいう感想でも、GJでも、乙ですらなく、一読し
て「負けてたまるか」と思ってしまったわたしはかなり度し難く。つい直前ま
で組み立てていたSSの構成をすっかり放棄して触手物のプロットを練り始め
た自分が凄く嫌。ちょっと頭を冷やさねばと自戒。そのぐらい衝撃的でした。
なんつって褒め称えりゃいいんだ、くっそぉ。
153名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 02:25:17 ID:ZuoefITQ
GJ
夢使いがかわえーなぁ
ロリに開眼してしまいそうだ
154ハヌ/ソラ言ってた人:2005/08/31(水) 21:01:36 ID:tTlmPTyO
>141様
すみません、仕事がリアル修羅場継続中プラス、休日は田んぼに駆り出され。
自室に帰ってもぐったりしてます…って言い訳ですね。
通勤時間とかに地道に練ってるのでがんばりますorz

…ただ、逆に眠い頭の中だけで練ってたら気付いたら別人になってたり話全体が違ってくる罠。
どうしてくれようか。しかも考えるほどエロ分が消えていく。


>職人の皆様
乙です。非常に楽しませてもらってます。
…せめて一言感想だけでも書こうと思ったら今月、合計で半分位はアク禁喰らってました…げふっ。
なので纏めてのお礼でご容赦を。
155メガテン覚醒篇vsX01/03:2005/08/31(水) 21:09:34 ID:q/NjGCQf
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「メガテンX、買ったんでしょう?」
「ああ」
「どんな感じ?」
「別に、フツー」
「……気のない返事だねぇ。気に入らなかった?」
「どちらかというと、そうだな。
 貨幣単位がマッカになったのはめでたいが、スワップダイスは復活しなかっ
た上に、DMがGMになっていた。しかもピクシーがパトラを持っていない。
まずはそれらが気に食わん。
 確かに、『次は何ヵ月後にセッションができるかなぁ(遠い目)』といった
現状ではメガテンXが手頃かも知れん。特にDM、いやさGMをやるならな。
 だが、PLとして参加するなら、俺はやはり覚醒篇がいい」
「だって、ノクターンと違ってXはCOMP使いができるんでしょ? だった
ら文句はないんじゃないの?」
「サマナーはできる。COMP使いはできない」
「というと?」
「1Lvで悪魔召喚はできる。が、アナライズはできない」
「ええっ!?」
「標準開始レベルの5Lvではコンピュータ操作による情報収集ができず、追
加技能で取るしかない。しかもコンピュータ操作での情報収集には8MPかか
る」
「はあ!?」
「悪魔召喚は命運の消費が必要で、一度に1体しか召喚できない」
「何それ!?」
「しかもサマナーと仲魔のMPは共有」
「さいあくーっ!」
「PCは情報収集と悪魔のナンパに集中、直接戦闘は仲魔任せで、敵の構成に
応じて変幻自在に対処、戦闘以外にも仲魔を活用、という俺好みのスタイルを
貫くのがキツくなったということだ」
156メガテン覚醒篇vsX02/03:2005/08/31(水) 21:10:59 ID:q/NjGCQf
「ああ、一般人を無力化するのに、仲魔のハッピーダンスや子守唄を駆使して
いたっけねぇ」
「倒したオオツキACT3の下半身をブン盗って、機械修理で一人乗り用の
ヴィークルに改造、戒厳令下の首都を爆走、ということもできなくなった」
「それは許可してくれたDMに感謝すべきところでしょ」
「見た目は中学生ぐらい、という設定があったとはいえ、魅力+30%のため
に、防御力、及び恥と外聞とを捨てて、19歳にしてセーラー服を着続けると
いうイタさ加減も再現できなくなった」
「そんなの再現するなよぅ」
「COMP使いはMPが余るので、超能力に覚醒して幽体離脱を取得、更に情
報集能力を拡大、という手も使えなくなった」
「ああ、DM泣かせの能力だったねぇ」
「新婚夫婦の出歯亀に最適だったのだが」
「あーあーやってたねぇそんなことっ!」
「あと、キューピー3分間ハッキング〜とか歌いながらCOMPで監視カメラ
を乗っ取って出歯亀ってのも」
「やってたやってたヒンシュク買いながらっ!」
「楽しかったなぁ……」
「自分はそうかも知れないけどねっ!」
「DDS−デュオでピクシーとノッカー同時召喚もできなくなった」
「前衛と後衛を一気に増やせて助かったよね、あれ」
「『ああん、おじいちゃんすっごぉ〜い』
 『ホッホッ、まだまだ若いモンには負けんよ、そぉれ』
 『いやぁん、壊れちゃう〜』
 ……みたいな」
「いや『みたいな』じゃなくて。
 ピクシーとノッカー同時召喚して何をヤらせてるんだ何を」
「格闘戦」
「……深くは問わないけどさぁ……」
157メガテン覚醒篇vsX03/03:2005/08/31(水) 21:11:57 ID:q/NjGCQf
「ケルベロス・エンハンサーがないのも寂しいよなぁ」
「あのね、ケルベロス・エンハンサーは誕生篇だから。覚醒篇にはないから」
「命運消費でケルベロスの守護を取れば似たような状況は再現できる」
「それもそうか」
「悪魔カード、って言い方も好きじゃない。デジタルデビルって感じがしない
じゃないか」
「メモリカードって言い換えれば? メモリスロットが1つだから1体しか召
喚できないんだよ、きっと」
「なるほどな。
 しかし、CPを収集し管理する楽しみもなくなり、また、COMPにパワー
・メモリーをかまして仲魔を12体集めることもできなくなったわけだ」
「別に、悪魔カードを12枚集めるのと同じじゃないの? 逆にさ、集めるだ
けなら枚数制限もなさそうだし」
「だが、命運を12点も消費可能な手段に乏しい以上、12体連続、あるいは
同時召喚はほぼ不可能と言える」
「そりゃそうだけど、そんなにゾロゾロ召喚してどうするのさ?」
「1体2時間の割で連続召喚して、24時間耐久セックス」
「何ィ!?」
「あるいは12体を同時召喚して3Pならぬ13Pに挑戦」
「ちょっと待てちょっと待てちょっと待てー!」
「簡易さを求めてCRPGに近づけたがゆえ、このように多彩な楽しみ方がで
きなくなった。それがメガテンXの欠点だ。だから俺は覚醒篇を推す。という
わけで次回は覚醒篇のセッションだ、心しておけ」
「……ゴメン、マジ御免、大人しくメガテンXやってて、お願い……」
158メガテン覚醒篇vsX:2005/08/31(水) 21:12:52 ID:q/NjGCQf
 ・・・・・おしまい。

 以上、メガテンXの感想を含めたお話でした。

>154
 修羅場にアク禁、ご愁傷様です。以前もアク禁でお悩みではなかったでしょ
うか。お気を落とさず無理をせず、頑張ってください。楽しみにお待ちしてい
ます。
159名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 10:29:41 ID:Yz+PhcOi
512kb制限喰らったのでこっちへ。

前スレ>>590
戦艦が稼動状態にある場合は言語機能が回復してるみたいだから、
ボス戦でブレイクした状態から始まるエロスを考えるんだ!
160名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 21:11:52 ID:+0IcJ+Iw
>>155
おれもメガテンは鈴木大司教が関わってた時代の奴のほうが良いと思います。

>>159
洋ピンだとおもえばガイジンロールもへっちゃらですよ。
161メガテンX01/02:2005/09/01(木) 22:01:37 ID:JY1+CeMj
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「メガテンXにアウトサイダーってクラスがあるよね?」
「ああ」
「あれって、要するにペルソナ?」
「そうかも知れない、そうでないかも知れない。まあ、ベルベット・ルームも
あることだし、そのノリで考えてもいいんじゃないか?」
「覚醒篇ルールをいじってペルソナキャンペーン、って遊んだことなかったっ
け」
「あー、そういえばそんなこともやってたなぁ。
 PCに玄奘三蔵を憑依させてジャン・ドン・サーで攻撃した憶えがある」
「『SF西遊記スタージンガー』ネタ!? 今時わかる人いるの!?」
「DMがペルソナ・データを出して来たとき、『J・D・S』と書いてあった
にもかかわらず、俺はすぐさまピンと来たが」
「なんて特殊な脳みそなんだっ。
 それはともかく、サンプルキャラクターのアウトサイダーって、ウィッカか
らアウトサイダーに覚醒して、ユニコーンになって戦う女の子なんだよね? 
如何にも清らかな乙女〜って感じの」
「そうだな」
「なんか狙いすぎでヤなんだよね。あのデータ、男PCで使ってもOK?」
「詳細には確認していないが、ルール上は問題ないはずだ」
「いや、でもさぁ、ユニコーンが男と契約するかなぁって心配があってさぁ」
「サンプルキャラクターの小娘が処女であるという保証はないぞ?」
「うっ」
「あるいは契約後に処女を喪った場合は?」
「そ、それは……」
「大体、現代において処女か否かで女を差別していたらセクハラで訴えられて
も文句は言えまい?」
「セクハラで訴えられるユニコーン……情けなさすぎだよぅ」
162メガテンX02/02:2005/09/01(木) 22:03:01 ID:JY1+CeMj
「ま、ユニコーンってやつは、硬く長大なブツを頭に頂くセクハラの象徴みた
いな悪魔だから、今更そんなことで動じはすまいが」
「いや別にセクハラの象徴ってわけじゃ」
「悪魔変身=悪魔との同一化、と見るなら、男がユニコーンと同一化するのは
むしろ自然なことであるし、逆に女がユニコーンと同一化するとフタナリにな
らんか?」
「じょ、女性内男性、アニムスってことで一つ!」
「尤も、処女だけがユニコーンと契約できる、というのはネタとしては美味し
いな」
「うん、ネタとしてはね。処女以外でもユニコーンと契約できるアイテムの探
索、みたいなイベントも起こせそう」
「さてユニコーンは、どうやって相手の処女性を見極めるのか」
「そりゃあ、……何となく直感で、じゃないの?」
「角で女穴を貫いて血が出ればOK、とか」
「ぎゃー!? やめてやめて、想像するだけで痛い怖い気色悪いっ!」
「出血すれば契約成立、ディアで傷を治してもらえる。その際、膜も再生すれ
ば処女性は維持されるので無問題だ。
 一方、出血しなければ契約は不成立、その女は穢れと見なされ、そのまま角
で引き裂き殺されるという具合に」
「そんなぁ!? だって、たとえ処女だって出血のない人もいれば、スポーツ
なんかの衝撃で既に膜が破れてる人もいるっていうよ?」
「そう、悪魔の力を得るために、死のリスクをも敢えて受け入れ、命を賭して
儀式に臨む。原作のカオスヒーローの悪魔人合体にも通じる悲壮な話ではない
か、なぁ?」
「ああ、涙が出てくるよ、明後日の方向に悲壮すぎて……」
163メガテンX:2005/09/01(木) 22:04:16 ID:JY1+CeMj
 ・・・・・おしまい。

 以上、メガテンXのお話でした。
164名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 22:25:28 ID:+0IcJ+Iw
「むしろソードワールドの話のような気がするんだけど」
「気のせいだ。ってゆうか、そう言うことにしておけ」
165名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 00:53:44 ID:MyJrHuZO
六門世界のリプレイでもそんな描写があったな。つまりSNEのユニコーンは。
166名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 01:48:58 ID:PirOG0AQ
つまりSNEは。
167名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 11:13:15 ID:/kBCLKEJ
「すごくナンパでエロい」の略だったんだよ! (AA略
168名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 16:13:50 ID:ape4EMvT
なんだってー!? (AA略
169名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 17:23:04 ID:oWgfcfwz
>>159
 ヴィオレットのお尻とか背面のデザインが見てみたい
170名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 22:47:30 ID:PobMTOE/
>>156
アヤシゲ、げふん、PLのイマジネーションによって真価を発揮する技能といえば、なんと言っても無印でしょう。
例:タオ覚醒者LV10「玉女喜神術」
婦女の衣服を脱がせる術。効果時間中は衣服を身に纏うことができない
※導師以上では対象を複数に変更できる。
・・・どう使えとorzそれより悪魔合体ルール乗せてくれよ鈴木大司教orz

>魅力+30%のために、防御力、及び恥と外聞とを捨てて、19歳にしてセーラー服を着続ける
初代だと「若い女性の裸」でも+15%だったというのに・・・セーラー服はハダカに勝るのでしょうかw

ルールがどんどん戦闘特化していくなあ・・・コレも時代の流れか・・・
171名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 00:43:19 ID:saTMWnnb
<脱がせの鬼>ですら、意味をもつ時代だからな……
172名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 01:13:08 ID:cGNKpeaL
ところで、今日ゲヘナリプレイ3「弓と笛と放浪者たち」を買ったんだが。

なにこのナチュラルにエロいリプレイwwwwwwwww
173名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 02:16:44 ID:r+TbWrg9
帯の色とか全体のイメージで、
初見時に「美少女文庫辺りの新刊か?」と思ったのは秘密だ

パルヴィーンと違ってイウサールの所々から漂う世慣れた汚れ臭が妙なエロさの原因かしらん
174名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 07:51:17 ID:paGVP0+0
アッシュの「枕事」技能とダヒカの「拷問」技能。
後は、アザゼルの性格がエロさの原因だと思いますが、その程度で
天然ヒロイン属性のパルヴィーンきゅんを越えられると思うなよ。
175名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 08:36:43 ID:qHrcNvMS
越えられないからこそ別方向から攻めてきてるんですよ。
いいぞもっとやれ。
176BBNT本編7話目・外伝追加01/04:2005/09/03(土) 09:03:32 ID:pmGX3bBa
◇犬も食わないってば

「「おはよう、王者」」
「ハガネ、レン? また来たのかお前達」
「前回はゆっくり話ができなかったから、今度こそはと思って」
「あれ? また監視者がいないっ!?」
「ああ、安心しろ。仕事に出掛けているだけだ」
「王者は一緒に行かなかったのか?」
「フッ、如何に俺達の仲とて、いつもかつも共にいるわけではない」
「また何がしか怒らせて、置いてきぼりを喰わされたのか?」
「……それはともかく」
「「図星かいっ」」
「相変わらず二人がかりで手痛いツッコミを入れる奴等だ。で、話とは何だ?」
「んっとね、>136が王者の女性遍歴について勘繰っているので、そこの辺りを
一くさり語ってもらおうかと」
「嫌なことを訊く奴だな」
「嫌なのか? 答えたくないのか?」
「そうだ。そのような事どもを話すとなれば、嫌でも滅びた故郷を思い出す。
あまり、愉快なこととは言えぬよ」
「女性遍歴が故郷にまで遡るとは、きっと王者はよっぽどたくさんの女の人を
泣かせてきたのだぞ、ハガネ。それこそ思い出せないくらいに」
「まかり間違って監視者の耳に入ったら、またぞろ壮絶な夫婦喧嘩が始まるこ
と請け合いだな、レン。面白いから何が何でも白状させてやろう」
「お前達、そういう相談はせめて俺に聞こえないところでやれ」
「でも、そう簡単に口を割るかなぁ」
「大丈夫、父親ってやつは娘のおねだりに弱いもんだ。師匠がいい例だ」
「なるほど」
「だからお前達、そういう相談はせめて俺に聞こえないところでやれと」
「ぱぱー。レンにおはなししてー」
「…………………………」
「みーっ!?」
「待て待て待て待て待て待て待て待て待て待てっ! 小脇にレンを抱え込んで
どこへ駆け込む気だ王者っ!」
「寝室」
「わざわざ寝室なんかに連れ込む必要ないだろうがっ!」
「みーっみーっ、なんかひしひしと身の危険を感じるよぅ〜」
177BBNT本編7話目・外伝追加02/04:2005/09/03(土) 09:06:06 ID:pmGX3bBa
「なに、寝物語に父の昔話を語り聞かせてやろうというのだ。よくある親子の
情景ではないか」
「こんな朝っぱらから寝物語も何もあったものかっ」
「こんな朝っぱらだからこそ、寝室以外でヤるのは問題だろう?」
「単に昔話をするだけじゃないのかっ!? 何をする気だ何をっ!」
「……ハガネ」
「な、何だ王者?」
「お前も一緒にどうだ」
「だから何をする気だぁぁぁ!?」
「いや〜っ、放せ〜っ、降ろせ〜っ」
「冗談はさておき、」
「心底冗談だったというなら、今すぐレンを解放しろっ」
「まあそう言うな、抱き心地が監視者そっくりで実に気持ちが」
「いいから放せっ!」
「別にいいだろう、減るものでなし」
「それ以上ふざけた真似をするというのなら……ッ!」
「五月蝿い奴だ。……ほら、行くがいい」
「うえーん、ハガネぇ、こわかったよぅ〜」
「よしよし、レン、もう大丈夫だからな」
「随分な言われようだ」
「「自分のせいだろうっ!?」」
「だから二人がかりで手痛いツッコミを入れるなと何度言えば」
「とにもかくにも話を元に戻して、故郷の女性遍歴はともかく、地球に来てか
らはどうなんだ」
「勿論、監視者一筋だとも」
「「ウソくさい」」
「何だ何だ、そのあからさまな疑いの眼差しは」
「今の台詞、監視者の目を真っ直ぐに見て言えるか?」
「当然だろう。なんなら試してやってもいいが?」
「じゃあ試してもらおうじゃないか」
「忘れたのか、今は監視者は留守だ。残念だったな?」
「ままー。レンとあそんでー」
「かあさーん。ちょっと来てくれないかー」
「おいおい、あの監視者が、そんなことでひょいひょい出てくるとでも思って
いるのか」
178BBNT本編7話目・外伝追加03/04:2005/09/03(土) 09:07:47 ID:pmGX3bBa
「はぁ〜いママですよー、母さんですよー」
「……出てきた」
「わーい、ままー」
「かあさん、お久しぶりです」
「ママ……母さん……ああ、この私がこんなあたたかな呼び方をされるなんて
……生きていてよかった…………っ!」
「死んでるけどな、本編では」
「何か言ったか王者っ!?」
「いや別に。てかお前、仕事の方はどうした」
「済ませてきた」
「たった一人であの混乱をどうやって治めてきたのだ。俺がいたとて手を焼い
ただろうに」
「ん? ああ、あれね。
 両陣営全滅」
「親指グッと立てて自慢げに話す事柄かっ」
「そうか、こういう場合は親指を下に向けるのだな」
「そういう問題ではないっ!」
「ままカッコいい〜。私も見習う〜」
「そーゆーとこは見習わなくてもいいんだぞレン」
「ハガネ、その台詞ちょっとナマイキ。母さん怒っちゃうゾ、えいっ」
「うわっ、かあさん!?」
「あっ、いいなーハガネ、監視者にぎゅーってしてもらえて」
「あとでレンにもしてあげる」
「あとではイヤぁ。今がいい〜っ。ままだっこぉ〜」
「しようのない子。ほら、おいで」
「わーい、レンもハガネも一緒にぎゅーっ」
「こらっ、じゃれるなお前達、俺の監視者から離れろっ」
「わーん、せっかく抱っこしてもらえたのに、もうひっぺがされたよぅ」
「何をするのだ王者。母として、たまに会う息子と娘を抱きしめて何が悪い」
「娘はまだしも、息子とはいえ他の男に抱きつくなっ。そもそも帰ってきたの
なら、まずは家長の俺に挨拶をすべきだろうっ?」
「要するに王者は監視者に、真っ先に抱っこしてもらいたかったのだな?」
「違う。俺は『抱っこしてもらいたかった』わけではない」
「じゃあ何なのだ?」
「『抱っこしたかった』のだ」
「ハガネぇ、王者があんなこと言ってるぅ」
「いや俺に振られても困るが」
179BBNT本編7話目・外伝追加04/04:2005/09/03(土) 09:09:25 ID:pmGX3bBa
「更に言うなら、妻を子供と分け合う気はないっ」
「は〜、建前ってもんを取り繕わない親父だなぁ。いっそ清々しいよ」
「ばかっ、子供に妬いてどうするっ。そんなことより、実の娘にイヤらしいこ
とをしようとした君の行動をこそ問題にすべきだ!」
「あんなものはただの冗談だ!」
「冗談、へえ、君の故郷では冗談の一言で何事も済まされるのかい!?」
「……段々雲行きが怪しくなってきた。レン、離れていよう」
「了解。ちょっと逃げ逃げ」
「大体お前は自分勝手なんだ!」
「自分勝手というなら君こそ!」
「それは俺が!」
「だから私は!」
「《無限の法則》!」
「《伝説の証明》! 《聖撃》&《裁きの光》!」
「《真理のe》!」
「うあー、ハイパーアーツ夫婦喧嘩だー。ご近所迷惑だよぅ〜」
「レン。ちょーっと寝室の扉を開けてきてくれないか」
「はぁい。…………開けたよ、ハガネ」
「ご苦労さん。さて。
 王者」
「何だハガネ、今は忙しいんだ」
「監視者」
「悪いがハガネ、あとにしてくれないか」
「そういう話は中でやれっ!」
「「うわーっ!?」」
「…………はい閉めたっと。凄いなハガネ、二人まとめて投げ込むとは」
「まあその程度はな」
『いや、確かに俺のせいだ。悪かった、監視者』
『私こそ、意地を張って済まなかった、王者』
「早っ!? もう仲直りしたっ」
「ま、そんなもんだよ」
『とはいえ、一人で勝手に出掛けて俺を寂しがらせた件は、まだ許してはいな
いぞ?』
『え? ……君が、寂しかった……?』
『ああ、寂しかったとも。だから今日はずっとお前を抱いていてやる。明日の
夜明けまで、一睡だってさせはしない』
『そんな、さっき日が昇ったばかりで、ん…………っ』
「「やれやれ、モメたりハメたり忙しい夫婦だ」」
180BBNT本編7話目・外伝追加:2005/09/03(土) 09:11:03 ID:pmGX3bBa
 ・・・・・おしまい。

 以上、単にレンに「ぱぱー」とか「ままー」とか言わせたかったというお話
でした。
181名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 10:28:25 ID:cGNKpeaL
>>180
そんな萌えどころを自分で言われてもなー。




あーちくしょうアンタの思惑通りだよガッデムグッジョブ!
182強化人間劇場の中の者:2005/09/03(土) 14:25:50 ID:FtmUUqnq
>>180
>単にレンに「ぱぱー」とか「ままー」とか
そんなこと言われたってねー。
鼻血が出るだけだよねー。(マジック総帥がシンタローを見つめる顔で)グッジョヴー。

じゃあ行ってみようか。エロ?ごめん今回は(今回も?)ないんだ。
でも次はベル、ポリに続く中篇第3弾を書いてるところだから。エロだから。
183強化人間劇場:2005/09/03(土) 14:29:35 ID:FtmUUqnq
灯「ときはメディアミックスが当たり前の時代」
真白「というわけでナイトウィザードも、外伝コミック」
優美「主人公は貴方よ、柊蓮司」
柊「……そうなのか!? いやお前らはどーなんだよ」
あ「NPCでいろんなシナリオで活躍中。全国で」
ゆ「ロンギヌスにコネが載ったから私も活躍中。全国で」
ま「PCで出続けなければならないのは、お前だけ」
柊「お、お前はどーだってんだよ」
ま「私はPC版一発キャラ、だ」
柊「……悪かった」
ま「PCゲーム ナイトウィザード〜魔法大戦〜 はRUNEから発売中。……買え」
柊「さりげなく宣伝かよ」
あ「では本題」
ゆ「アンゼロット様の作った地獄のパチンコ台、
【CRナイトウィザード】にひとり立ち向かうは輝明学園きっての問題児、柊蓮司!」
柊「ほう」
ゆ「作品タイトルはその名も【賭博黙示録 レ ン ジ 】」

 ざわ……
    ざわ……

柊「ちょ・・・ちょっと待て・・・・・・ッ!」
あ「作画は・・・・・・」
柊「ふ、福本氏か」
あ「しりあがり寿・・・・・・!」
柊「くっ・・・・・・ありえない・・・・・・ッ」
ま「参考・・・文献・・・・・・」
柊「と、賭博黙示録カイジとか・・・・・・アカギとか・・・・・・」
ま「スーパーヅガン・・・・・・!」
柊「ま・・・・・・負け確定・・・・・・!?
  くそう・・・ッ! やっていられない・・・・・・ッ!」

ちゃんちゃん。

ま「……ん。ざわざわ、だ。忘れていた」
柊「まだあんのかよ」
ま「まことに残念ですがゲームは18歳以下の方はご購入できません☆……と、いうことだ」
柊「いやこの板建前上21歳以下はいねえから」

ギャフン。
184名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 14:38:51 ID:8mbgY3a4
>>180
……ナニこのおもろい夫婦……。
ハイパーアーツを夫婦喧嘩で消費しないで下さいと。

と言いつつBBNTは未プレイ&ルルブ未購入なのですが。
このスレの参考資料の為だけに買ってしまいそうな俺が居ますよ。
185暇潰し:2005/09/03(土) 15:30:49 ID:YtUup6qy
186名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 15:56:40 ID:ofi35gHX
クイーンズブレイドのエロもこちらでいいでつか?

187名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 16:39:59 ID:oxUw4ldY
>>186
まだ発売されてはいないが、まぁ問題ないと思われ。<クィーンズブレイド
188鋼の戦士&混沌の監視者:2005/09/04(日) 07:40:48 ID:ZTPPZuJH
 彼女は走る。息を切らせて。
 道案内は鴉。低く雑踏の頭上を飛ぶ彼は、時に舞い上がって旋回し、時に街灯に止まって足の遅い少女が追いつくのを待ってい
る。懐にはどっさりの呪具。自分にも役立てる事のできそうなものを、と頼み込んで借り受けてきた。扱い方もちゃんと教わった。
使った分にはきちんとお金を支払う約束だ。
「まったく、とんだ迷惑だね」
 手ほどきしながらそう呟いて、魔女は不機嫌を装っていた。
 彼女は決して行動的な性質ではない。どちらかというなら大人しい、内向的な性格だ。いうならば嵐が来たなら頭を引っ込めて
それが過ぎ去るのを待つようなタイプである。体だって特に鍛えている訳ではない。走れば息もすぐに切れるし、道行くひとにぶ
つかって頭を下げる事もしばしばだ。
 それでも、彼女は走る。
 いつも自分を庇い立ててくれる姉に感謝はしていた。けれど意識すらしない無意識で、それを当たり前のようにも思っていた。
 どうして、今まで気付きもしなかったのだろう。考えもしなかったのだろう。
 その傲慢を知覚した時。それを恥と感じた時。彼女は自分の子供時代に終わりを告げた。
 立ち上がるべきなんだと思った。
 自分でも信じられないような威勢で魔女に掛け合い、そして姉と吸血鬼の居場所を、ヒーローの行き先を聞き出した。そのまま
では何もできないのは明白だからと、呪具までも借り受けた。
 この手には何もない。けれど、何かできるかもしれない。猫の手が役立つ事など、それこそ1%以下の確率なのかもしれない。
けれど立ち上がらなければ、それは確実に0なのだ。
 故に、彼女は走る。

 走りながら彼女は考える。姉の事。そして、ヒーローの事を。
 あのレンフィールドという輩に囲まれた時、姉は言った。走って、と。
 姉は自分の事など考えてもいなかった。妹の事しか考えていなかった。滅茶苦茶に暴れて、そうして彼女を逃がす為の道を開いた。
 一等大好きで、一等尊敬していた。けれどこれまでは見上げるだけだった。
 今は違う。自分の足で立とうと、そう思う。これまでの姉の優しさに、ちょっとでも応える為に。
 追いつかれてもう駄目だと時、ヒーローは言った。そこまでだ、と。
 彼とは一面識もなかった。それでも自分の怯えを読み取って、助けを求める無言の呼びを聞き取って、彼はやってきてくれた。一
瞬も迷わず、一瞬も臆さず。
 安堵のあまりで意識を手放す瞬間、彼女はその背を見ていた。その時の自分が、何を考えていたのかは思い出せない。
 けれど。
 けれど、今は憧れていた。利害も損得も関わりなく、ただ自分を貫く背中に。助けを求める相手に手を差し伸べる、そんな当然の
ような強さに。だから、決めたのだ。ヒーローにはなれないだろう。でも、自分の歩幅で出来る範囲の事をしようと。そう決めたの
だ。
 彼女は走る。道案内は鴉。懐にはどっさりの呪具。そして胸に、少しばかりの勇気を灯して。
189鋼の戦士&混沌の監視者:2005/09/04(日) 07:41:34 ID:ZTPPZuJH
 ぱん、と威勢のいい音が鳴り響いた。姉がつかつかと近付いて、不死者の娘の頬を勢いよく張った音だ。
 流石にぎょっとして割って入りかけた鋼の戦士の足の甲を、余計をするなとばかりに監視者が踏みつける。
「いやだってお前…」
「黙って見ていたまえ。彼女こそが当事者で、我々は脇役に過ぎないのだから」
 小声で不満を告げる彼に、監視者もまた小声で返す。
「よし」
 呟いて姉は胸を張るようにする。少女はといえば、痛みよりも驚きが先に立ったようだ。今更ながら叩かれた頬に手を当てて、
ぱちくりと瞬きをしている。姉はそんな少女に目を合わせて、
「これで許してあげる」
「…え…?」
「怖かったし腹も立ったし今だって足震えてるけど! …でも、まあ許してあげるわよ」
 訝しげな目を向けられて、照れたように視線を彷徨わせる。安堵からだろう。その身が小さく震えているのは事実だった。
「なんか、聞いちゃったしね。それに泣かれちゃったし。これで根に持ってぐちぐち言ってたりしたら、私の方が悪役みたいじ
ゃない」
 あちこちを流離っていた視線が、ふたりに止まる。
「それに、えーと…そう、助けてくれた正義の味方の意見を差し置くってのもあれだしね」
 明らかにとってつけた言い訳に、鋼の戦士が破顔する。そして送った目礼を受けて、姉は少し頬を赤らめた。監視者はなんとなく
不満そうな顔をするが、彼も自分自身もそれには気付かない。
 少女はそっと、伏し目がちに微笑んだ。そうして深く頭を垂れる。
「ごめんなさい。ご迷惑をおかけしました」
 魔物としての力を振るわねば、それは容姿端麗な少女だ。見た目ならさして年の変わらないそういう相手に慇懃にされて、姉は狼
狽したようにぱたぱた手を振った。
「あ、う、うん、判ればいいのよ。あとはうちの妹にもちゃんと謝ってくれれ…」
 世界が、少女の借り物の“王国”が大きく揺らいだのはその時だった。
 まるで地震のような衝撃。それも一度ではない。二度三度と、連続して世界は揺れる。
 監視者がもたれていた壁から背を離し、鋼の戦士が身構える。
 この“王国”は閉鎖隠蔽が基本の代物だ。先に鋼の戦士が世界の壁を打ち砕いて侵入したが、その傷も今はもう口を閉じている。
しかしながら一度打ち砕かれた部分は、魔術結合的に脆くもなっていた。
「何何一体何!?」
 悲鳴を上げた姉を庇うように、少女が一歩前に出る。
 衝撃はその箇所を狙いすますように連続的して打ち込まれていた。空間に波紋が走り、次でそれが亀裂へと変じる。あり得べから
ざるひびは四方八方へと伸びて、“王国”の壁は再度打ち砕かれた。
190鋼の戦士&混沌の監視者:2005/09/04(日) 07:42:07 ID:ZTPPZuJH
 鴉がロビーを横切っても、息を切らせながら彼女がフロントを駆け抜けても、ホテルの従業員は制止すらしなかった。エレベータ
ーに乗り込むと、肩に止まった使い魔が器用に嘴で階層を指定する。
 階表示に灯るオレンジがもどかしい。到着を待ちかねて足踏みのひとつもしたくなるが、ぐっと堪えて呼吸を整える。ドアが開く
のと当時に一羽と一人はまた駆け出して、そして目的の場所へと到達した。
 
 ――いいかい。魔物の“王国”ってのは厄介でね。普通の手段じゃ入り込めやしないんだ。

 ずしりと重い袋を手渡しながら、魔女はそう言った。

 ――その壁を打ち破るのは強い思いだけだよ。アンタのありったけの気持ちで思いな。『姉さんに会いたい』ってね。

 受け取った袋に詰まっていたのはビー玉サイズの宝石。思いを宿してきらきらと青色に輝くその呪具を、少女は鴉の示した壁へと
投げつけた。何も起きなかった。視覚的には。けれど、ずんと腹に響くような衝撃が、確かに少女に伝わった。次、と言わんばかり
に鴉が鳴く。促される度に彼女は投げた。見えないけれど、そこには確かに壁があるのだと判ったていた。
「邪魔しないで!」
 今まで助けられるばかりだったけれど。守られるばかりだったけれど。
「あたしはお姉ちゃんを助けに行くんだからっ!」
 断固たる決意の叫び。自分だけでは到底救出などは叶わないと知っている。だがヒーローが居るはずだった。彼女の為に、彼女の
姉の為に、躊躇なく走り出してくれたひとが居るはずだった。
 せめてその助けにはなるのだと。自分だって頑張ったのだと胸を張って姉に言えるようにしようと。そう彼女は決めている。
 鴉が翼をばたつかせた。まるで彼女の意に押されたように空間に漣が走り、直後それは亀裂へと変じる。
 砕け散る世界の壁。その向こうに、定かではない人影が見えた。固唾を飲み込む。ぐっと拳を握る。やはり怖い。けれど、目を閉
じて飛び込んだ。
「そ、そ、そこまでです!」
 一度だけ聞いたヒーローの台詞を、震える声で模倣する。せめて勇気を分けてもらえるように。上ずってはいたけれど、それでも
その言葉は凛と響いたように思えた。怯えた目をまた開くには、十分な力だった。
 呪符を引き抜く。これを彼に渡して――。
「あ…あれ?」
 ぽかんと彼女は口を開けた。レンフィールドと呼ばれた、姉を捕らえ自分を追った奴らの姿は見当たらない。居るのはヒーローと、
その隣の不思議な格好の女性。人形のように綺麗な少女。そして、彼女の姉。
 全員が無事なようだった。そしてその全員が、彼女を注視していた。彼女はまず真っ赤になり、次いで状況を悟ったと思った。
 遅かったのだと、彼女はうなだれる。全部無駄な事だったのだ。自分なんかの分には過ぎた意気込みだったのだ。ただ空回りして
いたのが情けなくて、涙が出そうになる。
「ありがとな」
 声は、そこに響いた。一声鳴いて、慣れた動きで鴉はその肩に止まる。
「オレを助けに来てくれたんだろう? ありがとう」
 ヒーローに笑顔を向けられて、彼女はますます赤くなり――それから小走りに駆けて姉の背に隠れた。
191鋼の戦士&混沌の監視者:2005/09/04(日) 07:42:46 ID:ZTPPZuJH
 猫の目のように場面は変わる。そこはひとりでも狭い部屋。ふたりならもっと手狭で、けれどどこよりも落ち着く場所。
「おかえり」
 ベッドに腰掛けたままそう言うと、帰宅したばかりの鋼の戦士はがしがしと頭を掻いた。事後処理に駆け回っていた彼の顔には、
流石に疲労の色がある。
「なんで合鍵も持ってないお前が、オレの部屋でもうくつろいでんだよ」
「知っているだろう? ボクはどこにでも居て、そしてどこにも居ない」
 返しながら、混沌の監視者は憮然とした顔の彼にミネラルウォーターのペットボトルを投げる。ありがとよ、と片手で受け取る戦
士。そのまま親指と人さし指だけを使って、器用にキャップを開けて容器を呷る。
「…それで?」
 ある程度の量を飲み干して一息つくのを見計らって、彼女はそう問う。
「あの姉妹は家まで送ってきた。姉の方にも、ある程度の説明はしておいた。今頃帰りが遅いと怒られてるかもしれないが、友達の
お兄さんを語って弁解してきたから、そうひどくも叱られないだろう」
「もうひとりは?」
「婆さんに預けてきた。もう大丈夫だろうとも思うし、あの婆さんトコなら万が一もないからな」
 監視者はなんとも言えない息をつく。もしも彼があの少女を連れて帰ってきたら、その時はどうしてやろうかと考えていたのだ。
「しかし、役得だね」
「? 何の話だ?」
「あの姉妹、随分くだくだしく君に礼を言っていたようだけれど」
 安心半分で皮肉も出る。しかしまるで通じないのがより腹立たしい。不死者の娘も勘定に入れれば、両天秤どころか三股だろうに。
「お前、時折訳の分からない事を言うな」
 彼が鈍くて、本当に良かったと思った。妹の方は明らかな憧れで見つめていたし、姉の方もはっきりと態度が違った。気付かない
のはこの正義馬鹿くらいのものだ。
「助けたのはボクなのだから、もう少しボクに感謝してもよさそうなものだ、という話さ。折角監視者の枠をはみ出して、物語に寄
与したというのにね」
「違いない。あの子を助けられたのは、皆お前のお陰だよ」
 別の理由で拗ねているように見せかけると、簡単に引っかかる。
 まったくこんな馬鹿のどこに女性は惹きつけられるのだろう。あの姉妹はふたりとも、眼科に行った方がいい。不死者ももっと男
を見る目を養うべきだ。彼女は表には出さずに呟く。
192鋼の戦士&混沌の監視者:2005/09/04(日) 07:43:31 ID:ZTPPZuJH
 そんな心中を当然悟りもせず、
「お前のお陰だ。足りないなら、成り代わってオレが礼を言う」
 それから付け足した。まるで子供のように、得意そうに。
「だがお前が出たってのに、誰も不幸にならずに済んだな。深みに嵌まるって予言の方も外れたようだ」
 冗談口めいたその後に、起き上がりになっちまった連中は駄目だったけどな、と、そう小さく呟く。馬鹿げた心労だ。彼がそこま
で抱え込む必要などまるでない。
「あの不死者は、彼女は身を守ってくれていた殻を脱ぎ捨て、現実に立ち向かわざるをえなくなった。これ以上の不幸がどこにある?
一生涯そのままでいれば、茫漠と幸福だったろうに」
「…そういう幸せは、間違っていると思うぜ」
「誰もが、君のように強くはないのさ」
 戦士は。少し、悲しそうな顔をした。直視できずに目を逸らす。
「――君の命と引き換えに、全世界が救えるとしたら、どうする?」
「なんだよ、いきなり」
 唐突な質問に、さしもの彼も驚いたようだった。けれどそれは常々彼女の心中に蟠る疑問だった。
 彼はよく正義と口にする。しかしそれがエゴに近いものだと、行使するのは“彼の正義”だと気付いているのだろうか。
「ふと思ってね。もしそんな選択肢があったら、君はどうするのかな? 救うの定義は任せよう。君の望む形になるものとする」
「死ぬだろうな」
 応えて、それから恥じるように、笑んだ。
「それなら安心して、オレはオレのいない明日の為に死ねる。オレは弱いんだ。自分の痛みは平気だ。我慢が効く。だが他人の痛み
は見ているしかできない。だから自分が傷つこうと思う。そいつはエゴなのかもしれない。でも、それでもオレは、ひとの笑ってる
顔の方が好きだからな」
「…」
 監視者はじっとその目を覗き込む。瞳に嘘偽りの色はなかった。ああ、馬鹿だ。
「なんだよ、その顔」
「意外にものを考えているのだな、と思っただけさ」
「…ほっとけ」
 流石に今回の皮肉は通じたらしい。小さく笑って問いを重ねる。
「で、それで君は満足なのかな? 誰一人君の為した偉業を知らず、そうしてのうのうと続いていく世界に満足できるのかな?」
 重ねてから、彼女は小さくため息をついた。

 ――ボクは君のいない世界なんてごめんだ。

 それは声にしない本音。この馬鹿に、自分の死を悲しむ相手が居るだろうと夢想だにしない大馬鹿に、心底から腹が立つ。この馬
鹿に輪をかけた土星馬鹿に、つける薬なんて最早ないに違いない。
193鋼の戦士&混沌の監視者:2005/09/04(日) 07:44:01 ID:ZTPPZuJH
「知って欲しくてするわけじゃねぇ。幸せになって欲しいからするんだ」
 何かに感づいたように、彼は隣に腰を下ろした。ぎしりと安い寝台が軋む。
「それにな、お前がいるだろ」
 手を伸ばして、彼は監視者の髪をくしゃくしゃとかき回した。
「お前が居るだろう、歴史の記録者。どんな場合でも、お前だけは知っているはずだ。オレが何の為に死んだのか」
「…」
 彼女はそっぽを向いて鼻を鳴らした。照れたのだろう。
「ってやめやめ。なんだってこんな辛気臭い話になったんだ」
 一応彼とて、自分が無粋者だとの自覚はある。あるクセに改善はしないのかと言われてしまえばそれまでだが。
 彼女の肩を掴んで、こちらへ振り向かせた。
「それで、その、今夜はどうなんだ?」
“大仕事”の後は泊まっていく。それはいつしかふたりの間で出来上がった通例だった。

 ――ひとの側に留まる為に、ひとのぬくもりが必要なのさ。

 かつて、彼にそう言った。奈落へ落ちぬ為に。例え行きずりでも仮初めでも、絆が必要なのだと。

 ――別に一緒に居て、他愛ない話をするだけでいい。でも君は健全な男子なのだから、こういう行為の方がいいだろう?

 そう言って、彼に抱かれた。それが何度目の邂逅の後だったかは覚えていない。それはちゃちな見栄で虚勢だった。ただの理由付
けだった。彼に惹かれる自分を騙す為の言い訳だった。
 だってもし彼に恋を告げてしまったら。いつか死を告げる時、一体どんな顔をすればいいのだろう。
 それに例え彼女が告死したところで、彼の態度は変わらないだろう。多分少しだけ笑う。その後言いそうな台詞まで想像がつく。
きっと「看取るのがお前でよかった」だ。彼女の甘えまで含めて、彼は何もかも受け入れてしまうだろう。それが許せなかった。
 ならばどうして欲しいのかと問われれば困る。分からない。
 そんな運命は認めないと自分を打ち倒して生き残って欲しいようにも思う。
 死にたくないと泣いて縋ってその果てに自分に溺れて欲しいようにも思う。
 どうしようもなく好きで好きで恋しくて、だからこそどうにも業腹で、素直には言えなかった。馬鹿は馬鹿だから、理屈をつけれ
ば簡単に騙されるだろうと思ったのだ。なのに。

 ――オレはそういう理屈で割り切れるほど器用じゃない。覚えといてくれ。
 ――オレは、お前に惚れてるからお前を抱くんだ。お前がオレをどう思ってるかに関わりなく。悪いな、卑怯で。

 馬鹿なのに、馬鹿の癖に、どうしてそうなのだろう。欲しい言葉をいつだって簡単に投げかけてしまえるのだろう。

 ――また、な。

 最初の別れの時、彼はそう言ったのだ。誰もが邂逅を避ける、死の先触れたる自分に向かって。
 きっとその時から、この恋は始まっていた。
 ゆっくりと瞬きをする。問いへの答えの代わりに、彼女は彼の首へ、そっと腕を絡めた。
194名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 07:46:43 ID:ZTPPZuJH
ひとまずここまで。なんか最近疲れ果ててて駄目な感じっす。もう歳か。
引き伸ばしばかりであれですが、感想書きは今夜にでも。
195いつも中の人:感想:2005/09/04(日) 08:49:38 ID:6NhYF7qU
>183
>スーパーヅガン
 なんでスペオペヒーローズのアーキタイプやねん。
 と呆れたわたしは、念のために検索をかけてみて自分自身に呆れた。
 しかしパチンコっつーか賭博って、高校生で、しかも17歳ではダメなので
ははいかと。
 ああ、だからこそ柊蓮司の「不良学生」という設定が生きてくるのか。なる
ほど。
 あと、「輝明学園きっての問題児」たる彼の「問題」の大半はアンゼロット
の責任のような気がしないでもない。

 柊蓮司の年齢を確認するためにGF誌7thVol.2を引っ張り出してき
て気付く。リューナはこの板まだ入れない。なんかシンセンなオドロキ。

>188-193
 2週間! 2週間お待ちしておりましたぁぁぁ!

 一読して、戦士の足ふんづける監視者に!
 人間姉妹や吸血鬼ちゃんにヤキモチやく監視者に!
 戦士の部屋でのやりとりに!
 今朝は自分の枕にダイブした挙句バンバン叩いて萌え転がっていたので旦那
にギョッとされました。そして洗濯してくれつつ「ネットしてる暇があるなら
朝飯の支度をしろ」という旦那に、どうかこれだけはと頼み込んで、とるもの
とりあえず感想を投下している次第。

 は〜。
 ごはんすんだらもっぺん読も〜。
196いつも中の人:言い訳:2005/09/04(日) 15:07:09 ID:PNchPSG9
 さて。
 戦士×監視者の組み合わせで書くなら>136の時点でストップかけてください
よぅ中の人。と責任転嫁してみる。あれこれ推理を働かせ、『鋼&監視者』本
編では彼らのカップリングだけは無いに違いない! と早合点した結果が別伝
前編の投下という次第で。
 余計なことして申し訳ないです。
 後編の方は校正も済んで投下待ち状態ですので、またそのうちに落とします。
待ってる人がいらっしゃったらゴメンなさい。
197メガテンX・前編01/05:2005/09/04(日) 15:09:31 ID:PNchPSG9
◇ニャンニャン

 世界の中心・イェルサレムより端を発せし竜脈が、大地の底へと沈みゆく、
ここは東の果ての果て。
 そは日出ずる竜の島、魔都を擁する国、日本。
 その真ん中の街の外れの空き地を囲む塀の上。
 1匹の黒猫がゆらりゆうらり尻尾を揺らして両の眼を閉じていた。
 星の少ない都会の空に、月は満月、光の狂気。今宵、悪魔と呼ばれしモノが、
破壊に猛って血に狂う。
 人の造った灯りの下で、深みを増しゆく闇の中、風のまにまに悲鳴と咆哮、
遠くに近くに、ちぎれて消える。
「ヒーホー! いい月夜だホー!」
 元気一杯、傍若無人なまでに声をかけられて、黒猫が片目を開けた。金の瞳
に射抜かれた、それはまるまっちっこい人間の男の子。
「おっと、この姿じゃわからないホ?」
 ぽむん、と音を立てて、青い頭巾と襟飾り、足には茶色い革の靴、黒い目玉
に白い身体の雪だるまめいた悪魔がそこに。
 ジャック・フロスト。霜男。冬のさなかに人を凍らせ、その死を笑う都会の
妖精。神族はダヌー。
 ただ最近は、人間とは、殺して眺めて楽しむよりは生かして眺めて楽しむ方
が数倍愉快であると知り、無闇に殺すことをしなくなった。
「……こんばんはミャ」
 猫は人語で挨拶し、これまたぽむんと音を立て、白い羽根付きの赤い帽子に
赤いマントを羽織った姿、そのマント留めはおさかなで、ベルトに釣ったおも
ちゃのレイピア、赤い長靴がよく似合う、毛並みは黒より濃紫、二足歩行の猫
に似た悪魔。
 ケット・シー。猫妖精とは呼ばれるが、なりは小さくとも立派な魔獣。神族
は、これまたダヌーである。
「何の用ミャ」
 塀の上に座ったまま、不機嫌に揺れる長いしっぽ。
「ヒマかと思って遊びに来たホー」
「ヒマはヒマでも、きみと遊ぶ気はニャいミャ」
「そう言うなホ。いい話があるホ」
「いい話、ミャ?」
「あの男が、救世主候補を世に送り出したホ」
 とびっきりの内緒話、と言いたげなヒソヒソ声に、呆れ果てた声が返る。
「またミャ? これで何人目ミャ」
「わすれたホー」
 能天気にブンブン腕を振り回して。
198メガテンX・前編02/05:2005/09/04(日) 15:11:54 ID:PNchPSG9
「今度の奴も、前の奴と同じようなアームターミナルを着けて、今は吉祥寺を
徘徊してるホー」
「ふん、今度は何日保つかミャ?」
 猫は興味なさげにあくびをひとつ。
「どうせすぐ死ぬミャ」
「迷惑な話よねー」
 金粉めいた光の粒子を撒き散らし、星が流れ落ちるように夜空から降りてき
たのは蜻蛉めいた四枚羽、身体にぴったり張り付く草色の装束、少女に良く似
た外形の。豊かに膨らんだ胸の谷間やおしりの上半分を惜しげもなく露出させ
たコケティッシュ、それでいて妖艶さよりさわやかさが先に立つ。
 ピクシー。ダヌー神族の妖精である。神の御手に連なる洗礼を受けることな
く死んだ子供、穢れとされる魂が転生した姿。あるいは男を知らずに死んだ生
娘が、死んでも死にきれずに化けて出たとされる妖怪。
「救世主候補もどきが出るたびに、あたしの仲魔がこき使われるの。たまった
もんじゃないわ。いい加減にしてって感じ」
 雪だるまは丸っこい指をチチチと横に振ってみせた。
「いやいや、オイラの見立てじゃ今度のは結構保ちそうだホ」
「ほう、それは凄いミャ」
 言葉とは裏腹に全く信じてなさそうな。
「ホントに、今度こそ本当の本物だといいわねー」
 並みの悪魔より心が人に近いゆえ、降り注ぐ満月の光に遭っても理性を残す
3体。夫々人間の子供程度の背の丈ではあるが、身に秘めた魔力は決して低い
ものではない。
 真の救世主候補が現れたとき、彼又は彼女と、現世に転生した女神を探す旅
を共にすると運命づけられている。
 救世主候補が救世主となり得るか、それとも。
 その結末を見定める宿命を負っている。
 それが使命ならばとケット・シーは。
 そうすれば自分も強くなれるとジャック・フロストは。
 それはきっと楽しいことなのだろうとピクシーは。
 苦楽を共有すべき救世主候補を心待ちにして、未だ叶えられずにいる。
「それはそれとしてケット・シーちゃん」
「何ミャ。てゆーかちゃん付けするニャと言ったはずミャ」
「気にしない気にしない。そんなことよりケット・シーちゃん、」
 ピクシーは一呼吸おいてから、
「あなた本当は女の子なんだって?」
「ヒーホー!? こりゃびっくり!」
 唐突な話題にジャック・ランタンは仰天し、ケット・シーは理不尽な物言い
を聞いたような顔でフンと鼻を鳴らした。
「本当も何も、男だなんて嘘ついた憶えはニャいミャ」
199メガテンX・前編03/05:2005/09/04(日) 15:13:09 ID:PNchPSG9
「でもその格好は男だホ? 男の格好してるなら、男だって嘘ついてるも同じ
だホ」
「我が一族における、重要な使命を帯びた者の正装ミャ」
 ジャック・フロストのツッコミを受け流して胸を張る。他者には理解し難い
矜持があるらしい。
「要するに男装の麗人、じゃない、麗猫なのね?」
 ポン、と手を叩いてピクシーが喜ぶ。
「ステキ、リボンの騎士みたい」
「褒められて悪い気はしニャいミャ。けど、」
 台詞の前半は鼻高々に。後半は鼻の頭にしわを寄せるように。
「何をしてるミャ」
「すりすりしてるの」
 ケット・シーに身をすり寄せて、ピクシーは彼女に頬擦りしたり、撫でまわ
したり。
 喉の下をこしょこしょと。頭の上をくしゃくしゃと。
「うミャあん」
 くすぐったいのも気持ちよくって、ついゴロゴロと鳴いてしまうのが猫の性。
「ああ、このふわふわ感、ぬくぬく感。思った通りサイッコー」
 ぽふ、と抱きつく。
「ケット・シーちゃんが本物の女の子でよかったー。いくら可愛いからって、
流石に男にこーゆーことするのはちょっとヤだもんねー」
 ちゅ、と頬にキスする女の子同士の無邪気なスキンシップ。なんか羨ましい
ホー、とジャック・フロストが指をくわえた。そのとき。
 うきゃー! と悲鳴を上げるようにして、
「何か付いてるミャー!?」
「ん?」
 文字通り跳び上がってケット・シーは、小首をかしげるピクシーから離れ、
塀の上からジャック・フロストのいる空き地へと降り立った。
「何か付いてるって、何?」
 きょとんとしてピクシー。
「……アレのことだホ?」
 ジャック・フロストが指さして、ケット・シーに確認した。
 身体にぴったり張り付く服に堂々とテントを張る、小妖精の股間の隆起。
「や〜ねぇ、このくらい」
 ぱたぱた手を振って、あっけらかんとピクシーは笑う。
「こーんな綺麗な満月の晩に、可愛い女の子に触ったんだもん。おっきくなっ
て当然当然」
「そうかホ?」
 試しにジャック・ランタンはケット・シーの腕の辺りを撫でて、自分の股間
を見下ろし、
200メガテンX・前編04/05:2005/09/04(日) 15:14:29 ID:PNchPSG9
「……おっきくならないホー……」
 残念がった。
「そーゆー問題じゃニャいミャ!」
 総毛を逆立ててケット・シーは、
「ピクシー! きみは女の子じゃニャいのミャ!?」
「うーん、多分ね、あたし、」
 考え深げにピクシーは言った。
「前世は洗礼を受けずに死んだ男の赤ちゃんだったと思うの」
「だから何ミャー!」
「さもなくば、女を知らずに死んでしまって、欲求不満で化けて出た童貞?」
「そ、そんな伝承は聞いたことニャいミャ!」
「あら、日本じゃ絵馬を作ってその霊を慰める習慣があるほどなのよ? 祟る
と怖いんだから」
「ダヌーの伝承の話をしているミャー! 死んで妖精になるのは処女と相場が、
てゆーか男なのに何でそんなに胸がおっきいミャ!?」
 ケット・シーの尤もな質問に、ピクシーはフフンと微笑を浮かべて答えた。
「ホルモン注射してるの」
 猫ずっこけた。
「あ、悪魔にも効くものニャのミャっ!?」
「傷薬とか効くんだもん、ホルモン注射くらい余裕で効くって」
「そ、それもそうかミャ……い、いや、何か騙されてる気がするミャ……!?」
 まずは何故ホルモン注射なんぞをしているのか訊くべきだろう。
 ところでジャック・フロストは、
「……オイラはおっきくならないホー……」
 まだ残念がっていた。
 もしかしたら、でかい=強いと勘違いしているのかも知れない。
 気の毒に思ったピクシーが慰める、
「きっとあなた、触るより触られる方が感じるタイプなのよ」
「なるほど、そーゆーことかホ。ケット・シー、オイラを触ってみるホ!」
「冗談じゃニャいミャ!」
 近寄るジャック・フロストをぺん! と叩いてから、
「二人とも今夜はおかしいミャ! わたしはもう帰るミャ、落ち着いてからま
た会うミャ!」
 逃げるようにタッと駆け出したケット・シーの背中に、
「ブフ」
 いきなり氷結魔法が飛んだ。
「うミャっ!?」
 命中、片足を地に氷づけられ、その場で動けなくなる猫妖精。
 彼女の前に回り込んで、ぴょんぴょん飛び跳ねるジャック・フロスト。
「さあさあ、オイラを触ってみるホ! おっきくするホ!」
201メガテンX・前編05/05:2005/09/04(日) 15:16:07 ID:PNchPSG9
「嫌ミャと言ってるミャ!」
 FREEZEの枷を割り破り、ギッと延びる爪、ザッと掻き裂くひっかき。
霜男の白い顔に赤いバッテンマークが幾重にも刻まれた。
「い、痛いホ〜」
 慌てて自分にディアを連発、傷が全快するまで。
「ダメよー、ジャック・フロストちゃん。無理強いはいけないわ」
 腰に手を当て、小妖精が彼をたしなめる。
「こーゆーことは、お互いが楽しむものなんだからね。ハピルマ」
「っく!? ふミャあぁ」
 へなへなと、腰の力が抜けたようにその場にへたり込む濃紫の猫。
「はミャ〜。いい気持ちミャ〜」
 精神系。至福のバッド・ステータス。ぽかぽか陽気、小春日和の縁側で、の
んびり昼寝をしているような、幸せ気分のケット・シー。
「そのいい気持ちを、あたしたちにも分けてね?」
 三角お耳にそっと囁かれ、ふみゅ〜と頷く仔猫めいた仕草。
 ピクシーは手馴れた早さでケット・シーの帽子を、マントを、ベルトを外し
てポイポイ捨てる。やがてそこには、一族に使命を託された凛然たる魔獣では
なく、1匹の愛らしい猫妖精の少女がいるばかりとなった。
「ケット・シーちゃん、いま発情期?」
「全然違うミャ〜。まだまだ先ミャ〜」
「そっかー、残念〜。自分からおしりを振ってくれるトコ見たかったんだけど
なぁ」
 大して残念がってもいなさそうに、ピクシーは背中側からケット・シーに腕
を回し、喉元を、腹部を、そして脚の付け根の付近を淫らに撫でまわしはじめ
た。
「ま、あたしがヒートさせてあげる方が楽しいわね」
「ヒートって何だホ?」
 ぺろり、と獣めいた舌なめずりをしてピクシーはジャック・フロストの問い
に答えた。
「発情」
 子供じみた霜男は納得したのかしていないのか、大きな頭を揺らして、
「ピクシーがケット・シーを触るホ? オイラは触ってもらえんホ?」
「んー、あとで呼ぶから、しばらく待ってて?」
「待ってるホ〜」
 空き地の真ん中で機嫌よく踊り出す。BGMは、少しずつ甘ったるさが混じ
り始めるケット・シーの鳴き声。
「ニャ……うミャあん、あぅ、なあん……」
 疎らに雑草の生える踏みならされた地面に、ジャックフロストのステップに
合わせて霜の輪が生じた。まるでフェアリー・サークルのように。
202メガテンX・前編:2005/09/04(日) 15:17:21 ID:PNchPSG9
 残りは後編。また今度。
203名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 16:48:10 ID:6yZXGkYY
猫耳ー!ロリー!
てゆうかピクシーにホルモン注射する病院って何処じゃーっ!?
204名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 19:52:22 ID:1tt6i2sL
後編が楽しみだ…
205(マルチレス):2005/09/05(月) 05:37:41 ID:9yVO9X03
毎度遅ればせの感想文とか。そしてこれも毎度ながら、レス下さった方々に感謝を。
文言は繰り返しだけれど、気持ちが褪せてるわけじゃない。
ところで「教え子が『現の夢』で先生にお返し」ってのは、「生やして頑張る」ってな解釈でいいのかしらん。

>鋼の戦士&混沌の監視者・別伝
開口一番>>196へ平謝り。いやタイトルはこのふたりだし、きっと承知の上だと。×じゃなくて&だったのが原因か。
だがこれは保管庫さんの表記に従ったまで! と更に責任を転嫁する俺。
とまれ他の方が書いたこのふたりを見てみたかったのですよ。俺が書くとこの上ののような、心温まらない会話しか交わさないの
で、どういちゃつくのかと。いちゃつかせるのかと。ぶっちゃけ出出しの「君がここに来た」でやられましたさ。

>>154
俺も出来上がりを楽しみに待ってるっすよ。
で、別人になってても話全体が変わっててもいいじゃないか、と。きっとそいつが書きたいものに一番マッチした代物なのですよ。
エロに関してはあれだ、俺、ひとの事に言及できないから!

>メガテン
このスレを眺めていると、色んなルールブックに手を出したくなって困ります。
あのゲーム、俺も無茶はこなしたけれど、でもそこまではしなかった。そう叫びたくもなった。
聞くだにCOMP使いは微妙になりましたなぁ。悪魔とのアドリブ交渉がある意味醍醐味だったのに。
そして気になるアウトサイダー。実は俺、妖魔夜行をいじってペルソナルール作って内輪でキャンペーン敢行した大馬鹿者である。

>BBNT本編7話目・外伝追加
なんかね、このママはどうしてくれようかってくらいに可愛らしいですね。ばっか、全然だよ。まるで萌えてなんていないよ。本音
なんて言わないよ。悔しいから。とりあえず王者と飲みに行きてぇと思った。

>強化人間劇場
ツッコミまで即座にあの調子とは、芸達者な奴よ柊。
「お客様、年齢の確認できるものはお持ちですか?」
「あ、う、いや、ちょっと待ってくれ! これ攻略しないと世界が滅ぶってアンゼロットが…っ!」
ってな光景が脳裏に浮かんだ。執筆中の中篇第三弾、期待しております。

>メガテンX・前編
なんだこのエロ妖精。侮り難しダヌー神族。
アームターミナルで救世主って事は真の世界観なのかしらん。気になるぜX。そして後編。
「ところで鋼の戦士。君はカボチャは好きかな?」
「なんだ、また唐突に」
「先ほどワールドオーダーが入った。少し遠出をして、>>198>>199から余計なカボチャを間引いてきた。どう料理するのが一番良
いかと思ってね」
「…いいから返して来い。そんな陽気なカボチャ、食えば間違いなく腹を壊すぞ」
206名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 08:01:05 ID:VLAPxOJF
  _  _
 つ  × )つ

べるぐるみ
207名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 08:05:03 ID:VLAPxOJF

 ハ_ハ_ハ
 つ  × )つ

前髪つけた

208名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 19:49:54 ID:Kzn+ozvK
ごめん、なんだかほっぺのかたちがふぁんぶるに見えた。
 彼は手を伸ばし、作りつけの棚から取り出した紙箱をごそごそと開ける。
 いつもの物とパッケージが違う、と彼女は箱の蓋をひょいと引っ繰り返して、
あ、と呟く。
「憶えていてくれたのか」
「まーな」
 以前、枕辺で交わした会話。ゴムはスレて痛い、ポリウレタン製のコンドー
ムならスレる感じがしないそうだ、と。
 憶えていてくれただけでなく、まさか買ってきてくれているとは。普通の物
より高いのに。そんなちょっとしたことが嬉しくて、胸がきゅうっとなる。
 喜びを顔に出すのが照れくさいので、彼女は、
「これは男の方も気持ちいいらしいな?」
「あー。薄いとか熱伝導率がどーとか言ってたな」
「ただ、伸縮性が低いので、サイズの大きい者は痛くて嵌められないとか」
 ひょいと覗き込む。きちんと装着されている。
「ま、標準サイズということか」
「ほっとけっ」
 そんな馬鹿話をした。平凡な恋人達みたいに。
 軽く肩を押して彼は彼女を押し倒す。抵抗はない。むしろ彼を引き込むかた
ちで、自然と彼女が下になる。
「悪い、すぐ挿れたい」
「……いいよ。来て」
 可能な限りの思いやりを込めて、彼は彼女に侵入していく。思ったほどには
濡れ足りなくて、とてもスムーズとは言えなかったが、それでも。
「入っ……たぞ」
「う、ん」
 締め付けられる痛み、押し広げられる痛み。その感覚が鈍って、疼くような
温度に変わる、挿入の余情。
「大丈夫か? 痛くはないか?」
「ん、平気」
 抱きしめあう。互いを引き寄せるように。
「……不思議な、感じがする」
「何が?」
「ボクの手の中に、こんな温かな命があるなんて」
 人肌のぬくもり。想いあう相手の安心感。
「君も、いつかは死ぬのだろうな」
「そりゃそうだ、それが生きてるってことだ」
 不吉な物言いに、気にする風もなく。
「その死を見届けて、お前は生きていくんだろう?」
「ボクは生命ではない。ただの現象だ」
「お前が命でないってのなら、」
 彼は彼女の両頬を包む。素肌が心を通わせる。
「オレだって命じゃねぇだろうよ」
 下手な物言いだった。彼自身、自分が何を言わんとしているのか、はっきり
わかってはいまい。だが、それで充分だった。
「そうだね。ボクは、……生きている。これからだって、生きていく」
 微笑みはひそやかな風のように。
 彼の腕の中で、いとおしいほど彼女は一人の女となる。

 慰みに、気まぐれに、誰かと肌を合わせたことなら星の数ほど。
 それは、しかし、常に『望まれて』のことだった。
 死を、望まれてのこと。
 死神の抱擁は、血の通う肉体をただの肉塊にする。
 冷たい骸にしてしまう。
 だけど、君は違う。
 これはボクが『望んで』のことだから。
 もしも、ボクが先に死ぬなら。
 とどめは君がさしてくれ。

「馬鹿言ってんじゃねぇ」
 噛み付くようにキスをして、彼女の身体を求める。
 彼女の心を求める。
 小細工はもう必要なくて。
 単純な、でも彼女の呼吸に合わせた前後運動で。
 熱く追い詰める。高く追い上げる。疾走する興奮。悦楽の美酒。
「うっ……あ、はぁ…………っ!」
 急激に乱されていく彼女に、彼の征服欲が満たされていく。わけもない優越
感。蠱惑の瞳に陶酔。
「や……もぅ……イきそ……っ」
「先に、イけ。オレも……すぐに」
 彼女の意識が飛ぶ。それを認めて彼もまた、……そのはずだった。
 達した“ボク”が気を失った、その機にさらりと神懸かり。
 混沌の監視者、“私”。両脚で鋼の戦士の動きを封じて、
「うわ!? な、何をしやがる!?」
「残念。君はまだイかせない。私が許すまではね」
 男を捕らえる女の身体。僅かな動きで男の肉体をなだめすかして、萎えるこ
とはない、そのくせ決して達しきらない、頂点ギリギリの位置で焦らす。
「攻める方が好きだと言うけれど、攻められる方も嫌いではないのだろう?」
「冗談じゃねぇ……くぅっ!」
 あっという間に下の女が上の男を支配する。それはあたかも使役にも似て。
 悩ましく、理想郷へと男を追い込み、手が届くかと思わせて、容赦なく、現
実世界へと男を引き下げ、このまま落ちると思わせて、再び男を追い立てて、
それは巧みに執拗に、繰り返される快美な責め苦。
「い、痛ぇっ、苦し……っ、は、早くイかせろぉ!」
「まだまだ」
 滴り落ちて肌を伝う男の汗を艶かしく舐めとり、意地悪く、くつくつ笑う混
沌の監視者。
 つらいなら私を突き飛ばして、勝手にイけばいいものを。彼女は思う。女一
人に縛られて、限界を超えても律儀に爆発を堪えつづける、……本当に、なん
て興味深い、なんて監視し甲斐のある、なんて愛しい、男。

 どんなに近くにいても、心はどこか遠くを走りゆく男。
 視線を交わしていてすら、遥か彼方を見詰めている男。
 捕まえることなどできない。束縛しては意味がない。
 だけど今、この瞬間は。

 ……私だけのものだ。

「頼む、オレ、もう……ッ!」
「ああ。構わない。思う存分……」
「っくあぁっ!」
 許しの言葉と共に熱い迸りを内に受け止め、彼女は満足げな笑みを浮かべた。
それは豊かな実りと引き換えに血の生贄を求める恐ろしき地母神のようであり、
一夜の夢を与えて全ての愛を奪う美麗な淫魔のようでもあり、苦しみの生から
解き放ち救いの死を授ける慈悲深い聖霊のようでもあった。
−−−
 のしかからなかったのは、彼の最後の理性。
 両肘と両膝とで自分の体重をかろうじて支えて。彼女には最低限の圧迫しか
掛かっていないはずだ。
 彼の下で、ふ、と彼女が両眼を開く。その瞳は既に“私”ではなく“ボク”
のそれだった。
「……ったく。何てことさせやがる」
「え……?」
 どこか寝惚けたように、ぼんやりと彼を見上げる。
 “ボク”は憶えていないのか、先ほどまでの激しい愛戯。“私”が彼に強い
たこと。
 ちょっと腹が立ったので、彼はつながりを解き、手早く自分の後始末を済ま
せた。それから問答無用で彼女の花弁を掻き分けて、可愛い雛尖をグイと剥き
出しにする。外気と彼の目線とにさらされる、小さなルビーの蕾。
「やっ、何を、……ああっ!?」
 イッたばかりの余韻が残る敏感なそこを、直接は触らないように気をつけつ
つ、周囲から強めの振動を小刻みに与える。
「あっ、ぁ、あ、あっ、あああっ、やめ、いや、あはっ!」
 仰け反る背中。見開かれる瞳。たちまち汗が吹き出して、彼女の身体が淫ら
に暴れる。
「っきゅ……はああんっ!」
 喘ぎは派手だが、経験上、彼女がこれでイけないことは知っている。刺激が
キツすぎて、かえって酔えないのだ。
 さあてどうしてくれようか。このままいじめてやるのもいい。許してイかせ
てやるのもいい。ほら、彼女が腰を振り始めた。せっかくの求めであるなら、
応えてやるのもいい。
「……っ!」
 夜気をつんざき、そのとき、悲鳴が聞こえた。魔物の聴覚で、ようやく捉え
られたほど遠くからの声。
 助けを求める声を掻き消すように、野獣めいた唸りも聞こえた。
 バッと彼が身を翻す。ほとんど脊髄反射で、衣服を拾い、即座にまとう。
 ベッドの上には、真っ赤に上気した彼女。しどけなく彼を見上げて、泣きそ
うなほど潤んだ瞳。
 済まんと謝り、バスローブを掛けていくだけの気遣いは見せたのだから上出
来だ。彼は疾風のようにドアから飛び出していった。
 バタン、と大きく鳴る音。閉じられたドアは二度と開かず、それはあたかも
断固たる彼の意思のように。
 切なげに、彼女の片手が自身のはざまに伸びる。せめて自分で自分を慰めた
くて。
 その手を、すんでのところで引き戻し。
 ……だめ。ボクにそういうことをしていいのは、彼だけ。
 混沌の監視者は自分自身を抱く。放り出された快楽の残滓を、のがすまいと
でもするかのように。
 シーツに移った彼のにおい。甘やかなうずき。しびれそうな夢見ごこち。
 彼女は彼を追いかけなかった。今回、彼女の出番はないのだ。出番があるな
ら、とうの昔に彼女は事件現場にいるはず。
 任せてしまおう、彼に。
 休ませてもらおう、少しの間。
 彼は夜明けに戻るだろう。その頃、きっとボクはここにいない。
 世界がまた、ボクを呼ぶから。
 タオルケットみたいにしてバスローブにくるまって、何度か寝返りを打って。
 一番落ち着く姿勢を見つけて、愛を交わした名残の中で、彼女はとろとろと
眠った。
213鋼の戦士&混沌の監視者・別伝:2005/09/05(月) 21:31:08 ID:FK5bSr2w
 ・・・・・おしまい。

 以上、「監視者が“ボク”と“私”を切り替えて責めたり責められたり」の
状況に挑戦。前々スレ>551の浪漫回路に感謝。というお話でした。
 なお、ここへレンとハガネが降ってくればBBNT外伝3話目になります。

 というわけで別伝。中の人ご本人がさして気にしておられないようなので、
とっとと投下します。
 「×」と「&」の違いだけで早合点したわけではないのですが……くだくだ
と言い訳できないのがもどかしくもあり。でも言わぬが花かも知れぬこと。

 戦士側の心情(ぶっちゃけノロケ)はベッド・シーンで描かれるのでしょう
か。あくまで監視者視点でしょうか。
 次回の投下を楽しみにお待ちしております。
214いつも中の人:2005/09/05(月) 22:36:17 ID:RE5pCGJI
>206-207
 あ、どきゅんちゃんが来てる。と思った。済まぬ。

>205
 かわいいなぁ監視者ちゃん。いつもそんな風に、戦士に対して素直に普通に
喋ればいいのに。何でもかんでも一人で抱え込むからつらいんだよ。きっと。
215名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 06:41:30 ID:ERWMRSnU
>>205
……心、読まれてるっ!?>生やして頑張る
そしてその確認はいずれは期待して宜しいって事でしょうか。ワクワクテカテカしつつ待ちますよ?

>>213
ばむっ! ばむっ! ばむっ!!【溢れる感情をクッションに叩き付ける音】
(この人は一人称『私』>『ボク』の切り替わりに弱い御様子です)
(特に好きな人の前だけで一人称が変わったりすると、もぉ)
(ともあれGJでございます)
216名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 09:44:40 ID:abe9vRbY
>>215
お前は俺か?
217いつも中の人:お誘い感謝:2005/09/08(木) 06:08:01 ID:oHwvJ6Rf
「王者〜」
「なんだレン、今度は一人で来たのか。……俺にいたずらされに?」
「い、いざとなったら人狼バリア張るもん! まま呼ぶもんっ!」
「それは色々面倒だ。で、何の用だ?」
「あのね、>205がね、王者と飲みに行きたいって」
「それは困ったな」
「どうしたのだ王者? 飲みに行くのが嫌なのか?」
「歳のせいか、どうにも俺は酒には弱くてな。しかも、酔うと口が滑りやすく
なる」
「きっとそれを見越して飲みに行こうと言っているのだ。ほら、>205って王者
の女性遍歴を気にしていた人だし、ごんごん飲ませて、ここぞとばかりに話を
聞き出す気だぞ?」
「やれやれ、今の俺が>205の酒に付き合いきれるかな」
「別にいいのではないか? かる〜くたしなむ程度で」
「そうだな。ウォッカのドレミファ一気を一升瓶で、程度なら何とかなるな」
「ウ、ウォッカを、ドレミファ一気、しかも一升瓶で!?」
「若い頃は一斗樽でやっていたものさ」
「死ぬよ普通っ!?」
「まあ、過去の所業から考えて、酔ったはずみに>205の首根っこ引っ捕まえて
七日七晩ブッ通しでノロケ続ける可能性が最も高いと思われるが」
「うわ〜、七日後に>205が生きているといいなぁ」
「あと、万が一にも>205が監視者に似ていた場合は貞操の保証もしかねるが」
「酒の上の不埒ってやつだね。とりあえず三者合意の上ならいいと思うけど、
>205と監視者が合意しないんじゃないかな?」
「なに、そのときは3Pに持ち込むまでだ」
「どうしてそういう結論になるのかよくわからない。誰かに教えてもらおう。
 まま〜」
「こら、そんなことで監視者を呼ぶなっ」
「はーい。……チッ、夫婦喧嘩に持ち込み損ねた」
「何か言ったか」
「別に〜」
「とまれ、>205には、それでもよければと伝えておいてくれ」
「うん、やめておきたまえと伝えておくよ、心から」
218いつも中の人:御指摘感謝1/2:2005/09/08(木) 06:09:14 ID:oHwvJ6Rf
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「>205でさ、あっちの地球ドミニオンの監視者と戦士とがさ、余計なカボチャ
がどうのって言ってるんだけど」
「ああ」
「何のことだろう?」
「……まさか…………ああ〜っ!? ちっくしょう、撃ち漏らしがありやがっ
た!」
「え? 何? 何? >198-199? って、うわー、フロストの中にランタンが
混じってるぅ。えーっ、こんなのも気づかなかったのぉ? 恥っずかし〜」
「くっそぉ、これだからX仕様のCOMPは嫌なんだ、フロストとランタンを
誤認識しやがる!」
「DASの事故値が下がってんじゃないの? こまめにヴァージョン・アップ
しときなよー。前編がこれじゃあ、後編の方にもランタンが混じってる可能性
大だねぇ」
「ああもう、面倒臭いが念のためにもう一度ランタン狩りに行ってくる!」
「ところで、あっちに連れてかれちゃったランタン達はどうしよう?」
「イレギュラーで顕現した悪魔だ、こちらに戻されても処遇に困る。煮るなと
焼くなと好きにするよう向こうの監視者に伝えといてくれ。ではな!」
「ではな、って、ちょっとちょっとランタンは……! ……ああ、行っちゃっ
た」
「ただいま」
「早っ!? もう行ってきたの!?」
「ああ。エネミーソナーが反応しなかったから後編の方は大丈夫だ」
「いいのかそんなチェック体制でっ」
「ところでさっきは何を言いかけていたんだ?」
「え、ランタンは熱にも火にも強いから、煮ても焼いても食べられないよ、っ
て」
「そっちの心配か」
「それにほら、ランタンはカボチャっつっても頭の中身はくりぬいてあるし、
マントの下はほとんど空っぽだから、きっと食いでがないよ」
「そうかもな」
「でね、この際、合体材料に使ってもらうのはどうだろう? 余計なお手数を
お掛けしたお詫びにCOMPとDDRとをプレゼントしてさ」
「どういうことだ?」
219いつも中の人:御指摘感謝2/2:2005/09/08(木) 06:10:35 ID:oHwvJ6Rf
「だってほら、鋼の戦士って攻撃のダメージ属性〈殴〉だけでしょ? 物理系
一辺倒だと心もとないから、魔法系のダメージ属性が欲しいじゃない?」
「だから混沌の監視者と組んでいるんだろうが」
「そりゃね、こっちのレンみたいに絆/エゴの欄が7つとも絆で埋まっていそ
うな家族いっぱい仲間もいっぱいの監視者ならともかく、あっちの監視者って
トモダチ少なそうじゃない」
「さらっとキツいなおい」
「まあ、彼女、7つとも鋼の戦士関連で埋まってるって可能性はあるけどね。
 それはともかく、人間性をガシガシ削る《聖撃》をあんまりガンガン使わせ
るのはマズいかと思って。その点、戦士の方は、普通に殴るだけならタダだか
ら、人間性の融通が利くでしょ。ランタンと合体して〈炎〉属性の拳とか飛び
道具とか持てば、物理系のダメージが効かない敵と戦うときでも監視者のフォ
ローに回れて万々歳だよ」
「あのな。あちらに捕まっているランタンが2匹ということを忘れていないか」
「忘れてないけど……何?」
「どうせなら、その2匹を合体させて、合体事故を起こしてスライムにさせた
方がいいだろう」
「何でまた? 折角のランタンをわざわざスライムに?」
「ローション代わりに使ってヌルヌルプレイにおすすめ」
「するなっ! デスタッチとかひと休みとかするローションなんて嫌すぎるで
しょっ!」
「ならば同種族合体でウンディーネを顕現させて」
「どうするの?」
「ウォーターベッドに使う」
「ブフラオン飛ばしてくるウォーターベッドがどこの世界にあるっ!?」
「なに、疲れたときにメディアが飛んでくると思えば。二人とも回復して2回
戦3回戦と」
「せんでいいっ!」
「そもそも合体に関して言うなら、鋼の戦士はもう充分間に合っているだろう」
「へ? どうして?」
「本編次回に監視者と合体するはずだからな」
「てーいハガネ直伝ツッコミ・インパクトナックルぅ!」
220名無しさん@ピンキー:2005/09/09(金) 22:02:39 ID:jHWNn3al
GF誌ゲット

結局ローラは何してたんだろう?
221(マルチレス):2005/09/10(土) 00:50:59 ID:aPBDG8ub
GF誌買ってない俺としては、上が気になって仕方ありません。

>鋼の戦士&混沌の監視者・別伝 後編
いきなりですがあれですよ、コンセプトに反するようですが! 俺は人称入れ替わりよりも、断然ラストがぐっと来ました。
余韻と温度が残るベッドで、ごろごろ寝返りした挙句丸まって(←勝手な妄想)まどろむ監視者。
個人的にとても好きな印象のシーンでした。さり気なく世界呼び出しがなくてそのまま惰眠を貪って、戻ってきた戦士に起こされて
寝惚けてたりすると更によし。なんだ自分の趣味ばかりか。

>>215
へーい、了解。鋼×混沌が終わったら、ちょいと書いてみようかと思います。
っつーか何故かこの小忙しい中、プロットだけはもう出来ていたりする。摩訶不思議。

遅くなりそうだけれども、続きが出来たら、また。
222メガテンX・後編01/05:2005/09/10(土) 07:51:05 ID:56sH+UqM
「んふふ、とってもいい声よ。ケット・シーちゃん、気持ちいい?」
 ピクシーは深い毛皮に隠された小さな胸を捕らえて、じっくり乳首を弄び、
転がし、つまみ、はじく。
「あん、ミャう、はぁんっ」
「ね、どう? どんな感じ?」
「はうん、しあわせミャぁ〜」
 それはハピルマの効果だけではない。物理的な刺激が性的興奮を呼び覚まし、
彼女の心をますます混濁させている。濃紫の猫の子は、淫乱妖精にすっかり侵
蝕されていた。
「じゃあ、こういうのはどうかなっ?」
 猫が交尾を行なうようにピクシーは、四つん這いにさせたケット・シーの首
筋に背後から噛み付いた。ややきつく、痛いぐらいに。
「なああああんっ」
 恋鳴きめいて喘ぎを上げて、背なを反らせておしりを上げて。
「ふふ、メスネコは発情するとマゾになるって本当なのね」
 面白い悪戯を思いついた小悪魔のように、くすくす笑いをもらして。小妖精
は、猫妖精の泉の部分に指を伝わせ、ちゅくちゅく、と花蜜の量を音ではかっ
た。
「ん〜、まだちょっと濡れ足りないかな?」
 一瞬だけ考えて、
「その方がいいわね」
 手早く自分の服をはだけて、取り出した剛直をムリヤリねじ込んだ。
「ぎニャぁぁぁっ!」
 拒絶の絶叫。
 侵入するくさびを押し出そうとするかのように、狭隘な門がぎゅうぎゅうと
その塊を締めつける。それが更なる刺激となって、哀れな子猫を痛めつける。
「痛いミャ痛いミャ、痛いミャあっ!」
「痛い? そんなに痛い?」
 ピクシーの表情が明らかに変わった。先程までの余裕ある態度が薄れ、紅潮
した顔にしっとりと汗を浮かべて、自分もまた性の高みに追い上げられつつあ
るサディストの顔。
「ねぇ、痛いの? あたしので、痛くなってるの?」
「い、痛いミャあ……っ!」
 はう、と苦しげに吐き出す息、口の端からこぼれる唾液。
「嬉しい。あたしがあなたを痛くしてるなんてね。でも」
 はむ、と耳殻を甘噛みして、優しく囁く、
「本当に痛いの? それとも」
 ぐい、と更に突き込んで。
「……気持ちイイ、の?」
223メガテンX・後編02/05:2005/09/10(土) 07:52:23 ID:56sH+UqM
「い……いい、ミャ……」
 固く固く男を拒否していた門が、柔らかく濡れそぼち徐々に開いてゆく。
「気持ち、いい、ミャあ……っ」
「あたしも……ふふっ、気持ちイイよ……!」
 重ねて痛みを与えるように、あるいは快楽を植え付けるように、少女の姿に
似た妖精が、並みの男も斯くやのモノで、猫じみた魔獣の内壁をゴリゴリとこ
すりあげる。
「あっ……は、すご……あなたの中、ザラザラして、うにうにして、熱くて…
…ぬるぬるよ……っ」
「うニっ、ふニャっ、うミャっ、なあん、なあああんっ」
 ピクシーの抽送に合わせて、ケット・シーの腰が艶かしいリズムを取り始め
る。
「気持ちいいミャ、気持ちいいミャ、気持ちいいミャあっ!」
「そう、じゃあ、もっと、よくしてあげる……ジオ!」
 電撃、ビシリと猫に衝撃。
「っ!」
 悲鳴も上げずに跳ね上がる、熱くとろけたその身体。数秒びくびくっと震え
て、やがてガクリと前足を折る、地面に頬をつけて喘ぐ、息を吐く。
「あら。イッちゃった?」
 ゾクゾク背筋を這い昇る快楽に、もはや理性を明け渡しているピクシー。
「なんてイヤらしい仔なの」
 それはケット・シーに、そして自分にも聞かせるための言葉責め。
「そんな淫らな生き物が、この世に存在していいとでも思ってるの?」
「う……ミャう……」
 余韻にひたる小さい猫に、支配の言葉を吐きかける。
「もっとイヤらしくしてあげる。もっともっとイヤらしくしてあげる。他のこ
となんか何にも考えられないくらい、イヤらしくしてあげる。いいこと?」
 ケット・シーはぐったりとして、何もできない、応えない。
「返事はっ!?」
 ビシリ、再度のジオに打ちのめされて。
「は……い、ミャ」
 潤んだ黄金の瞳。振り向いたそこには服従の色。心の底から飼い馴らされた
従順な小娘のように、あるいはマリンカリンでCHARMされたかのように。
「もっともっと、イヤらしくしてください、ミャ」
 ほくそ笑みを含んで鷹揚に頷くピクシー。
「おぅい、まだかホ〜?」
 踊るのにも飽きたジャック・フロストが呑気に訊いた。
「お待たせ、ジャック・フロストちゃん。こっちの準備はできたから」
「ホ!」
 いそいそと走り寄ってくる霜男。
224メガテンX・後編03/05:2005/09/10(土) 07:53:55 ID:56sH+UqM
「そこに立って、ううん、ケット・シーちゃんの真ん前、そうそう。そこで、
あなたのおちんちんを出してちょうだい?」
「わかったホ」
 まるで雪を集めてその立体形状を作るかのように、ジャック・フロストの股
間に小さいモノがぶら〜んと垂れ下がった。
「ケット・シーちゃん。やることはもう、わかってるわね?」
「はい、ミャ」
「牙を立てちゃダメよ? 舌で優しく、ね?」
「わかり、ました、ミャ」
 何をしてくれるのかホ〜とわくわくしているジャック・フロスト。彼の前に
這い寄るようにして濃紫の猫が顔を寄せ、
「ん……っ」
 精一杯に舌を伸ばし、霜男のそれをねっとりと舐めあげた。
「ホ〜〜〜〜〜!?」
 初めての経験に、まんまる雪だるまが一瞬細長く伸び上がる雰囲気。あっと
いう間に大きくなる股間。
「うおう、おっきくなったホ、おっきくなったホ、月夜に可愛い女の子に触ら
れるとホントにおっきくなるんだホ〜!」
「やぁね、まだまだこれからよ」
 ピクシーに、ぺし、とおしりを叩かれることで促されて、ケット・シーがよ
り一層の奉仕を始める。
 ざらついた舌にたっぷりと唾液を乗せて、霜男を更に大きく、固くしていく。
「ヒーホー! 気持ちいいホ、すっごく気持ちいいホ〜!」
 躍りあがって大喜び。
「上手ね、ケット・シーちゃん。じゃあ、ご褒美」
 きゅ、と爪先で乳首を抓る。
「ミャうんっ!?」
 痛みに感じて跳ね上がる、その舌がジャック・フロストから離れる。
「ダメよ、ちゃんと続けて」
「は、はいミャ」
 猫妖精は、今度は失敗しないようにとジャック・フロストのモノを口の中いっ
ぱいに頬張った。そして、彼の先端を、胴体を、付け根を、ぬめった舌で突つ
き、舐め、強く、優しく、愛撫する。
「うヒョホ〜」
 ジャック・フロストの歓喜に大満足で、ピクシーはケット・シーの柔らかな
身体に傷つくほどの痛みを与える。噛み付く歯で、引っかく指で、固くたぎる
男根で。仔猫はそのたび悦楽にミャアミャア鳴くが、男のそれをくわえこんで
いる今は、喉の奥で低い喘ぎとなり、霜男のものに微妙な振動を与えるだけだ。
「気持ちいいホ、気持ちいいホけど……」
 やがてジャック・フロストの様子がおかしくなった。
225メガテンX・後編04/05:2005/09/10(土) 07:55:07 ID:56sH+UqM
 黒い目玉がぐるぐる回り、顔が真っ赤に火照りかえって、
「あ、熱い、ホ、熱いホ〜」
 氷雪の妖精。真夏には弱体化するほどの彼が、互いに熱を与えあい高めあう
性の交歓に耐えられるはずもなく。
「ヒ〜、ホ〜……!」
 ばたーん! と後ろにひっくり返った。
 雪だるまの熱暴走。頭のうえにはぴよぴよヒヨコ。ピクシーは心底おかしげ
に大笑いして、介抱しようともせず彼を放置した。
「ぷハっ!」
 口いっぱいのモノから解放されたケット・シーは、口唇奉仕の粘膜刺激とピ
クシーの悪戯とで完璧にできあがった状態。
「く、ください、くださいミャ」
 切なげに振り返ってピクシーに懇願する。
「イかせてください、ミャ。もう、もう我慢でき……ニャい……」
「うふふ、本当にイヤらしくなったわね。……イイコ」
 にんまりと、ピクシーは満面の笑顔。
「いくわよ?」
 予告して、返事も待たずに前後運動。
「ニャう、はう、はニャ、ふミャっ!」
「あはっ、いい、いいわよ、ケット・シーちゃん! あは、あはは、あははは
はっ!」
 狂った哄笑、狂った喘ぎ。
「きゅう、ふミュう、ふミャあ、うミャああっ!」
 たっぷり高めて高まって、二人は自分の限界を超え。
「さあ、イきなさいっ!」
「きゅニャあっ!」
 激しいジオと、中いっぱいの放出と。つながる隙間から、蜜と精とがあふれ
出てくるほどに。
「ミャ……ふミャあ……」
「あ……は、ふう……っ」
 しびれる余情、酔いしれる快楽の残滓。
 名残を惜しむようにゆっくりと蜜壺から引き抜かれたそれはぬめぬめと濡れ
光って、未だ固さを保ったまま、それでも徐々に軟化していく。
「よかったわよ、ケット・シーちゃん……」
 小妖精は猫妖精の頭をさらさらと撫でた。
 ……と。
 戦闘終了によりHAPPYから回復したケット・シーが身体ごと振り返り、
かなり不満たらたらの顔で、じ〜っと見詰める、それはピクシーのイチモツ。
「え? な、何?」
 気おされて問いかけるピクシーを、濃紫の仔猫は下目遣いで睨めつけて一言、
226メガテンX・後編05/05:2005/09/10(土) 07:56:01 ID:56sH+UqM
「粗チン」
 冷たい刃で斬り捨てるように。
 がんがらがんがんが〜ん! アルミバケツがコンクリートの床に蹴り飛ばさ
れたかの如き幻覚の音が、ピクシーの脳内でこだました。
 ケット・シーはヘッと鼻先で小馬鹿にするように、とっとと自分の衣服を拾
いあげ、さっさと身なりを整えて、
「あれでおしまいミャ? ハン、つまんニャい男。お呼びじゃないミャ、ちん
ちんにトゲを生やしてからおいで」
 バッ! とマントを翻し、振り向きもしないでスタスタと立ち去っていった
のだった。
 妖精だろうが魔獣だろうが、ケット・シーとは猫なので。
 そして彼女はメスの猫。
 最高の悦楽を伴うオス猫のブツを、本能的に求める。
 具体的にはトゲ付きのそれ。
 空き地に取り残された、未だ失神しているジャック・フロスト、そして返す
言葉もないピクシー。
「流石に……トゲを生やす注射なんてのは、ないわよねぇ?」
 呆然と呟き空を見上げると、満月がそろそろと西空へ傾きかけていた。
227メガテンX:2005/09/10(土) 08:03:07 ID:56sH+UqM
 ・・・・・おしまい。

 以上、うちのDMの「ケット・シーはリボンの騎士みたいな男装」という言
に基づいて考えたお話でした。

 ……なんかさみしいので、他の人のSSとか雑談とか、もっと読みたいです……。

>182>221
 待ってますよ〜ぅ。
228ベルと柊とくれは:2005/09/10(土) 23:09:03 ID:RYcCKIXa
妄想を書いてみるテスト。エロくないです。
〜〜

「はわ〜〜」
赤羽くれはの今日の気分は最悪だった。
学校のテストは良い結果を出したが目の前の紙がくれはを憂鬱にさせていた。
預言書の断片と呼ばれるそれは、読んだ瞬間に未来が確定する代物だった。
「……柊……」
その予言に書かれてるのは官能小説のような内容で赤裸々な事が書かれていた。
そこに書かれてるのは、柊と大魔王ベール=ゼファーの事で自分の事は一切書かれていない。
「…ベルに心を奪われちゃ駄目だよ」
そう言ってくれははその断片をそっと胸元へと隠した。

放課後、屋上。予言はここでベルと柊が「やる」と書いてあったので、そのまま待機する。
「あら、星の巫女じゃない偶然ね」
後ろから声が聞こえて、くれはが振り向く。そこには制服の上にポンチョを纏ったベルがいた。
「柊に何かしに来たの!?」
問いただす。普通の空間である以上イノセントが来る可能性はあるのだ。
「……なぜそこで彼の名前が出てくるのかしら?」
疑問を投げかけてくるベルに対してくれはがしまったという表情をする。
「……まあ良いわ、今回はちょっとプラーナ集めに来たんだけど……」
そう言ってベルが妖艶な笑みを浮かべた。
「『彼』のを搾り取っちゃおうかしら」
229ベルと柊とくれは:2005/09/10(土) 23:11:42 ID:RYcCKIXa
「むーむーむー」
数分後、くれはは首輪と鎖で犬のように繋がれた上に口枷をはめられてだらしなく唾液を流していた。
巫女服はそのままだから余計に達が悪い。
「なるほど、貴方はこの預言書に従ってここに来たのね」
服を半ば脱がされたくれはの預言書を奪い取ってベルは諦めとも喜びともとれぬ表所を浮かべて、
「預言書に従うしかないわね」
と言って、そわそわしながら待っている。0-Phoneに連絡を入れたのですぐ来るだろう。
「ベル!!一体どういうつもりだ!!」
ドアを蹴破って柊が屋上のドアを蹴り開けて月衣からワイバーンを取り出す。
「むーむーむー」
くれははうめく事しかできずに柊に注意を促す。

ロンギヌス00は優れた戦士だ。アンチマテリアルライフルを抱えて、超巨大エミュレーターを長距離から一瞬で撃破した。

「くれはを離せ」
そう言って柊はベルとの距離を測る。
がベルは何も無いように柊の方に近づいてきた。
至近距離で魔剣使いと戦うとなるとそれなりの格闘戦が必要となる。ベルが得意とするのは遠距離からの魔法だ。
柊が剣を大上段に構える。ベルは魔法を使うそぶりさえ見せない。
振り下ろそうとした瞬間、柊の後頭部に何らかの衝撃波が激突した。
そのまま前のめりに倒れてベルを巻き込んでその弾みでキスをしてしまった。
「むーーーー!」
くれはが声を最大限まで張り上げて言う。
「違うんだくれはこれは……」
「預言書の通りよ柊」
そう言ってベルがまるで婚姻届のように柊の前に出す。
「私と貴方はこれをする運命にあるの」
そう言ってベルが柊の学生服に手をかける。
「もし貴方が運命に逆らうというのなら私は星の巫女を殺すわ。それこそ徹底的に苦しめて」
そう言ってベルは柊を抱き寄せる。
「これは取引よ。運命に逆らって二人とも死ぬか。運命に従い私と添い寝するか」
もとより、柊に選択の余地など無い。

こうして、柊のプラーナと××を吸収してつやつやとなったベルと、
吸い尽くされてふらふらな柊、それを膝枕で支えつつ涙目のくれはが残された。

〜肝心な所がキングクリムゾンされたが完〜
230名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 00:43:40 ID:gL9Kb2ON
ゲヘナ。
何故公式リプレイで到達感覚の拡大ルールの指針(もち【枕事】で!)を示してくれないのか。
いや、いっそダヒカたんも【枕事】覚えて協力判定を!
これでイウサールが【舞踊】覚えたらちょっと泣く。

何が言いたいのかと言うと、ゲヘナリプレイ3のSS読みたいです先生。
231鋼の戦士&混沌の監視者・別伝の別伝1/5:2005/09/11(日) 01:21:41 ID:8HsqsRcj
◇おやすみ Another Ending

 混沌の監視者。
 いつもはどこにいるとも知れない。呼べば出てくるわけでもない。望めば姿
を見せるということもない。
 彼女を招き寄せるのは、世界律に基づく宿命。即ち世界そのものだ。だから
彼女は神出鬼没。彼女自身の意思すら無視して。伝説の伝説たるゆえん。
 ならば彼女がここにいるのは、俺が世界に求められているからなのか、と。
 こんな朝には、少しだけ自惚れたくもなる。
 枕辺で彼女との情愛を深める夕べに、にもかかわらず鋼の戦士は、誰にとも
なく助けを求める見知らぬ声に応えて自室を飛び出した。数時間に及ぶ死闘と
事後処理のため、全てを治めて帰宅したのは既に夜が白々と明け染める頃だっ
た。
 彼女はもう、いないと思っていた。彼が自らの信念のため人知れず闘うよう
に、彼女も自らの使命のため人知れず戦う半魔だ。ささやかな安らぎの時間を
共有できる、そんな余裕は滅多にない。恐らく世界に呼び出され、いずこかへ
跳んだことだろう。彼の知らない場所、彼の手の届かない場所、彼が辿り着け
ない場所へ。
 それに何より、彼女をこそ優先すべき立場にあった昨夜の彼は、なのに彼女
を捨て置いたのだ。愛想を尽かされるに充分な理由。一方的に断交されたとこ
ろで文句を言える筋ではない。
 それでも。
 万が一、億が一の可能性に賭けて、彼は走りに走った。そして。
 彼の部屋。一番奥のベッドの上で、絹糸めいた髪を淡い黄色のシーツに広げ
て、彼の恋しい人は、すうすう寝息を立てていた。
 安堵の息が、彼の口から漏れる。強張った肩の力が抜ける。件の死闘で限界
まで削られた魂が、一気に回復する兆し。
 彼女は下着さえ身にまとっている様子がなく、藍紫色のバスローブがかろう
じて巻きついているだけ。ったく、無防備というか無邪気というか。小さく苦
笑して見下ろした寝顔。“ボク”だな、と思った。眠っているとき、彼女は大
概“ボク”だと、彼は最近勘付いた。
 童話に語られる眠り姫とは、あるいは今の彼女のようであったろうか。世界
の何も知らぬげに、ただ健やかに夢を見ている。
 姫を目にした王子は、もしかすると今の彼のような気持ちであったかも知れ
ない。込み上げる愛しさで胸がいっぱいになる。
 ちょっとだけ。ほんの少しの、悪ふざけ。
 口づけを落とす。
 かすかに触れ合う唇の柔らかさ、温かさ。
 夜気に守られ月下美人が花咲くように、そして彼女は目を覚ます。
232鋼の戦士&混沌の監視者・別伝の別伝2/5:2005/09/11(日) 01:25:39 ID:8HsqsRcj
 悪戯を見咎められた悪ガキの心境、焦って彼は身を引いた。大慌てでごまか
す、
「ったく、人にばっかり働かせて、自分は惰眠を貪ってんじゃねぇよ」
 わしわしと彼女の頭を掴むような手で髪をくしゃくしゃにして、
「飯にでもするか? 雑炊くらいならすぐ作れるぞ?」
「…………ゅ」
 仔猫が頼りない四肢で立ち上がるように、ゆるゆる身体を起こした彼女は。
 きゅーっと彼に抱きついた。
「……ぃ」
「え? 何だって?」
「また会えて、嬉しい……」
 その体勢で、目を閉じる。そのまま再び眠ってしまいそうな雰囲気。
「おいおい、寝惚けてやがるのか? また会えても何も、夕べ一緒に」
 彼の台詞が聞こえぬ様子で、彼女は更に、半ば寝言の言葉を紡ぐ。
「……もう、置いていかないで……」
 お前それは。彼女を支えながら、彼は心中で頭を掻き毟る。
 物凄い殺し文句だぞ。
 罪悪感と、それを遥かに上回る幸福と。
 昂ぶる気持ちを持て余しながら、彼は彼女の隣に座った。彼女は何の衒いも
なく、彼に身体を預けてくる。
 嗚呼。ダメだ。おさまりがつかない。
 彼女の吐息は寝息に近いというのに。
 唇を合わせる。深く挿し入れるキスを。存分に中を掻き回す。
 どうにも堪え性のない自分を、脳内の彼女が声高に罵る。人の寝込みを襲う
なんて、最低の卑怯者だ!
 うるせぇ、お前が俺に抱きついてきたんだろうが。彼の反論に、脳内の彼女
は、即ち彼の良心は。即座に黙ってしまった。
 夢と現の両方をたゆたいながら、舌を絡め取られて彼女は、ん、と僅かに反
応した。唾液が彼女の口内を満たし、こくん、と喉が動く感触。
 そっと顔を離す。彼女の頭を抱いたまま。
 目を覚まして欲しくもある。このまま眠っていて欲しくもある。
 美しい身体を隠している無粋なバスローブを、彼は無慈悲に剥ぎ取った。
 ほんの四半日前に、あれほど愛し合ったばかりだというのに。窓の外から、
飛び立つ雀や開くシャッターなど、朝を告げる様々な音が聞こえてくるという
のに。
 カーテン越しの陽光が爽やかに部屋を照らす中で、彼の男はどうしようもな
く高まる一方で。
 罪滅ぼしのようにそっと、彼女の身を横たえて。
 脚を広げさせ、狭間に舌を這わせる。
 彼女を感じさせるというより、それはほとんど、ただ濡らすだけの行為。
233鋼の戦士&混沌の監視者・別伝の別伝3/5:2005/09/11(日) 01:28:58 ID:8HsqsRcj
「あ……、はぁ……ぅ」
 それでも彼女は小さく喘いで、徐々に花蜜を分泌していく。彼の想いに、精
いっぱい応えている。
 その声に煽られて、舌の動きが性急になり。
 その動きに伴って、彼女の素肌が朱に染まりゆく。
 やがて喘ぎというよりも、彼の与えるリズムに乗って小刻みに繰り返す呼吸
となり。
 華麗なほど咲き乱れた彼女のあわいに、彼はスキンを被せた自分自身をあて
がった。
「悪い、このまま」
 挿れさせてくれ。
 頬に手を添え、彼女に語りかけ。
「……私に会ったな」
 熱さとも錯覚する冷たさ。その瞳は見る者を突き刺すかの如く。
「人の寝込みを襲うとは、いい度胸だ」
 げ、となって身を引いた、だが遅かった。
 単純膂力を比べるならば、混沌の監視者は鋼の戦士に敵うべくもない。だが
しかし、若干ひねくれてはいるものの人間味のある“ボク”とは違い、伝説的
存在、死の概念神たる“私”には、彼はついつい気圧されてしまう。いわゆる
位負けをするのだ。
「ちょ、ちょっと待て、ちょっと待てお前! 言い訳ぐらい聞く耳を持て!」
「弁解の余地なぞ、君には無かろう?」
 あっさりと、押し倒される。否、引き倒される。狭いベッドの上で、器用に
上下が入れ替わる。
「私に会った以上、」
 混沌の監視者は、いつもの笑いを浮かべる。くつくつと底意地の悪い、その
くせ実に楽しげな。
「不運は降りかかるのだよ。君であれ、誰であれ」
 すらりと艶かしい裸身が、彼に覆い被さる。
「夕べの続きだ。また楽しませてくれたまえ」
「だからちょっと待てって、うわあっ!?」
 かくして不吉をもたらす者の淫花は、世界一不幸な幸せ者の樹液を連続三度
にわたって搾り取った。
 一滴たりとも、余すことなく。
−−−
 いつもの長衣をきちんと着込み、ベッドにもたれて床に座った彼女はぷいと
横向いたまま。作り置きの麦茶をコップに入れて差し出すと、黙って受け取り
飲みはした、が、礼の一言もない。
 彼はピッチャーのまま麦茶を飲んで、一息ついてから心を決めて、彼女の前
に正座した。
234鋼の戦士&混沌の監視者・別伝の別伝4/5:2005/09/11(日) 01:31:13 ID:8HsqsRcj
「……悪かった。本当に、悪かった」
 潔く頭を下げる。
「調子に乗りすぎた。悪ふざけにも程がある。済まなかった」
 一応本番は未遂であり、しかも“私”にお仕置きを喰らってはいるが、本来
被害に遭ったのは“ボク”。彼女には、彼はまだ罪を償ってはいない。
「もう二度と、こんなことはしない。だから」
 一旦言葉を切って、彼女の横顔を見据えた。
「できれば、許してもらえないだろうか」
 彼女はそっぽを向いたまま、ちびちびと麦茶を飲んで。
 コップの中に囁くように、言った。
「欲しい物が一つ、あるんだ」
「何?」
「それをくれたら。許してあげてもいい」
「そんなことでよければ、……と言いたいとこだが」
 彼女の台詞に困惑し、彼は頭を掻く。
「あんまり滅茶苦茶高価なモンを言われても、俺には……」
「……君の。持ち物だよ」
 恥じらいの表情で彼女が言い、彼は更に困惑した。
「ってお前……さっき“私”であんなにヤらせたくせに、次は“ボク”でヤろ
うって気なのか?」
 余人には、あまり知られていないことではあるが。
 混沌の監視者には白兵戦の心得もある。
「……失言だった」
 床に座った体勢で、そんなタイトな装束で、手に持つお茶をこぼしもせずに
よくぞ、と感心するほど、それは素晴らしいストレートパンチであった。ヒッ
トしたのは戦士の顔面。ちゃんと冷やしておかないと、あとで鬼のように腫れ
上がるに違いない。
「わかればよろしい」
 彼女はお茶を飲み干して、照れ隠しのように怒った口調で言い放った。
「ボクが欲しいのは、この部屋の合い鍵だよ」
「合い鍵だ?」
 確かにそれは彼の持ち物。
 恋愛面の鈍さでは人後に落ちない彼も、彼女にこの家の合い鍵を渡す意味、
彼女がそれを受け取る意味ぐらいは流石に知っている。まして、空間を自在に
跳び渡り、主の許しもなく入室できる彼女が、それでも合い鍵を欲しがるとも
なれば。
 一挙動で彼は立ち上がり、戸棚の奥をゴソゴソと探った。小物入れに使って
いるアルミケースの中、銀色の真新しい鍵を見つけて摘み上げる。
 それをひょいと差し出すと、彼女は一瞬躊躇ってから、願った。
235鋼の戦士&混沌の監視者・別伝の別伝5/5:2005/09/11(日) 01:36:48 ID:8HsqsRcj
「できれば、いま君が使っている鍵がいいな……」
 へ? とマヌケに聞き返し、聞き間違いでないことを確認してから、そこら
辺に脱ぎ捨ててあってズボンのポケットから小銭入れを引っ張り出し、キーホ
ルダーに吊り下がっている鍵を外す。錆びてこそいないが、毎日のように使い
込まれてすっかり色変わりした鍵。
「本当に、こんなモンでいいのか?」
「いいや」
 彼女は小さく首を横に振って、微妙なニュアンスを訂正する。
「これが、いいんだ」
 両掌で受け取った鍵をぎゅっと胸に押し当てて。
「……ごめん。『呼ばれた』。もう、行かなければ」
「ああ」
 別れの挨拶もそこそこに、彼女の姿が忽然と消えた。
 ……いや、そうではない。
 別れの挨拶は必要ないのだ。彼女は戻ってくるのだから。きっとこの部屋に。
必ずこの家に。だからあれは、行ってきますの挨拶。
 いつでも出迎えてやるよ、と彼は思う。ただいまと言う彼女を。両手を広げ
るようにして、おかえり、と。
「にしても、」
 真新しい鍵をキーホルダーに取り付けながら、誰にともなく彼は呟く。
「遠慮しないで新しいのを持ってけばいいのに」
 窓の外、朝のカラスが声高に、あほーと鳴いて飛び去った。
−−−
 そして蛇足のお話。
「幾ら何でも、別の地球ドミニオンの混沌の監視者を休ませるために私やハガ
ネが借り出されるのは理不尽に過ぎるっ!」
「レン! 喋ってる暇があるならこっち来て手伝ってくれ!」
 さりげなく世界呼び出しがなかったツケは、どこかの誰かが払わされている
というオチで、どっとはらい。
236鋼の戦士&混沌の監視者・別伝の別伝:2005/09/11(日) 01:38:15 ID:8HsqsRcj
 ・・・・・おしまい。

 以上、ワールドオーダー>221というお話でした。ご満足でしたら鋼&混沌、
使い×使いに加えてBBNT別バージョンかメガテンをリクエスト。
 嘘です戯言です深刻には受け止めないでください。

 流石に疲れました。おやすみなさい。
237名無しさん@ピンキー:2005/09/12(月) 20:16:08 ID:dzu/+OQg
>>222
おおう!ま・さ・に、「仔猫」ちゃんなケット・シー!エローイ。
というわけで、是非次はシリコン埋め込んで再戦を!(まてい


***キングクリムゾン!レスは肝心なとこが描写されるまで消し飛ばされるっ!***

>>230
なぜか、アッシュよりダヒカの方が人気高いよな。
やはり時代は幼女か。幼女なのか。(犯罪です)

>>231
なんかどんどこ世界が増えてってる気がします。
・・・・・・にしても、エロエロ同棲生活じゃのう。
238ベルと柊肝心な所:2005/09/12(月) 22:53:01 ID:oBCGG4RA
「さてと……預言書によると」
「何でそんなに嬉しそうなんだよ!」
ベルはそんな柊の台詞を無視して柊を屋上で押し倒す。
「外して」
気だるそうな声でそう命令して黒い手袋のついた右手を出す。
「ちっ」
くれはを人質にとられたのなら何も出来ない。仕方なく柊は乱暴に手袋を外し始めた。
「こちらもお願い」
そう言って左手も出して手袋を外させる。
「女の子はもうちょっとやさしく扱うべきよ」
文句の一つを言ってベルは柊に何処を脱がすべきなのかを指示する。
最終的にはベルは上半身はポンチョのみ、下半身はストッキングだけと言う姿になり、
柊に対して無防備な姿を取る。
「今なら、貴方の魔剣で殺せるかもよ。それとも下の槍で貫きたいのかしら?」
「てめえ……」
挑発的な台詞で柊が何もしないとわかるとベルは柊に向かってよっていって、月衣から、
ホイップクリームを取り出すと、それを胸に撫で付ける。
「舐めなさい」
柊に逆らう事などできない。まずは右の胸に顔を近づけてそっと舐める。
「クリームが余っちゃったじゃない。もっと思いっきり舐めなさい」
そう言ってベルが柊を左胸に抱き寄せる。
ぴちゃっぐちゃっ。淫靡な音が鳴り響き、柊がベルの胸を舐め始める。
「ううんっもっと強くても……」
快楽に身悶えながらベルが柊が舐め終わるのを待つ。
舐め終わった後に柊のほっぺたについたクリームをベルがそっと舐める。
239ベルと柊肝心な所:2005/09/12(月) 22:55:24 ID:oBCGG4RA
「むーーーーーーーっ!」
くれはが何か叫ぶ。
「これは、預言書に無いんだけどね」
「だったらするなよっ!」
「あら、良いじゃない」
クスクスと笑いながらベルがそっと柊のほっぺについたクリームを手にとって舐める。
「預言書どおりだけの人生なんてつまらないでしょう」
そう言って次にベルはクリームを自らの秘所に撫で付けて、そのまま柊の口の上に持ってくる。
「舐めなさい。これは預言書の通りよ」
そう言ってベルが柊の口の上にクリームまみれの秘所を押さえつけ始める。
ネチョッグチョと音と共に柊の上に乗っているクリームが少しずつ消えていく。
「ああっそんなに強くなんて予言……ううん!」
秘所からの快楽を止められずベルは脂汗を流し始める。逃げようにも少しずつ体が下がっている。
やがては秘所に柊の舌が入り込み、ベルは苦しそうに逃げ出そうとするが、逃げようとすると
柊の舌がほのかに動き、ベルの体を痺れさせ脱出できないように捕まえる。
「うううあっ」
脂汗を全身に浮かべながらベルはようやくの事で罠から脱出し、て立ち上がる。
「よくもやってくれたわね、柊」
「てめえがやり始めた事だろうが!」
突っ込みを無視してベルは柊の股間のジッパーを降ろして塔を引きずり出す。
そっと足で踏みつける。
「ここまで太くなんて……これじゃあ星の巫女と楽しむ前に彼女を傷つけちゃうんじゃないかしら?」
半ば立ち始めた柊の塔を黒いストッキングでつつまれた足で踏みつけてさらに隆々と立たせる。
突如として発射された白い液体にストッキングが汚されるがベルは気にする事無く、足で紳士撫でつけ、
月衣から鋏を取り出すと、それで自らのストッキングに鋏を入れる。
強引にびりびりと破ると今度は素足を柊の口の前に持っていって押し込む。
240ベルと柊肝心な所:2005/09/12(月) 22:57:26 ID:oBCGG4RA
「舐めなさい」
しばらくして、ゆっくりと恐る恐ると言った感じで指と指の間に舌の感触が入る。
「うんっあっ」
立っているので上手くバランスが取れないが、ゆっくりとした舌使いはベルに想像以上の快楽を与えていた。
ふらふらする体を何とかしながらベルはキュッと手を握り締めた。
突如として柊の舐める所が変わった。
土踏まずと言われるそこを舐められくすぐったさと快楽で立つ事が出来ず倒れようとする。
まだだ、まだ最後の仕上げが残っている。
ベルはくれはに近づくと、その巫女服を強引に奪い取り、身に纏う。
「立ちなさい柊蓮司」
柊がふらふらとなりながら立ち上がると、柵の傍にそっと立たせる。
髪を結ぶリボンを外すと柊の両手を柵に結びつけた。
「何してるんだ!」
「あなたについてる不運を払い落とすの」
「できるかあああああああああ!」
突っ込みを無視してベルは柊の物にしゃぶりつく。
ちろちろと先端を舐められたかと思えば大胆にキャンディーを味わうように裏側を舐める。
桁外れのテクニックに柊の息子はさらに立ち上がり、ベルは止めとばかりに柊の玉に噛み付いた。
「!!!!!」
流れ出る白い液体、そのままベルの髪や顔にかかり巫女服ごと白濁の液に包まれる。
「んっ」
なおも流れ出る精液を強引に飲みつつベルは柊からプラーナを奪っていく。
「はあはあはあ」
一度収まったかと思えばちょっとした反応でまた立ち上がり始める。
「待ってよ……まだ出すの……」
だが、その言葉に拒絶の意味は無い。嬉しそうにそう言うとベルは柊の物にしゃぶりついた。

4度目の射精の後、柊は体の大半のプラーナを奪われぐったりとしていた。
「美味しかったわ」
そう言ってベルが柊とくれはの拘束を外しながらいう。
精液の匂いがつんと花につく。
「そうだ、この服はしばらく借りとくから」
ベルが呪文を唱えて姿を消す。くれははまるで子犬のように柊に駆け寄ってきた。
「柊ッ目を覚ましてよ柊っ!!」
涙が出てきた。もしかしたらベルに魂さえも奪われたかもしれないと言う恐怖。
柊がいないと言う日常が来ると言う恐怖。そして柊がここまでしたのに自分は柊に何も出来ない恐怖。
無数の恐怖にくれはは押しつぶされてくれはの心はボロボロになっていた。

〜〜とりあえずバッド風味で完了〜〜
241名無しさん@ピンキー:2005/09/13(火) 19:51:26 ID:6AnehgkQ
>>237
アッシュは素でエロい事になってるから別段どうこうしてくれって感じがしない。
勿論作ってくれる御仁(御嬢)がいれば大歓迎だが。
242ねがい陵辱:2005/09/14(水) 21:15:16 ID:hsC/oR8B
未来からの預言書関係で一つ投下。白御子っす。

「やめてよねがい……」
「動かないでよおねえちゃん、これはおねえちゃんの事を思ってやってるんだから」
そう言って要いのりはファイヤーワークスにねがいの両足を押さえつけさせながら、
ねがいの体に赤いリボンを巻きつけていた。

事の始まりは、ねがいの部屋に落ちてきた『未来からの預言書』だった。
そこに書いてあった事は簡潔だった。
『要ねがいは今日陵辱される』
それだけである。誰に犯されるともどこで犯されるとも書いていない。
「あっ、京介?こっちは準備ができたから早めに来てね」
いのりがそう言って携帯を切ろうとする。
『ほんとに良いのか?』
「じゃあちょっと、お姉ちゃんに聞いてみるね」
そう言っていのりがねがいの耳元へ携帯を持っていく。
「ねがい、良いのか」
簡潔に聞いてくる京介にねがいは只頷く事しかできなかった。

ねがいの部屋、ねがいはベッドの上でリボンに包まれていた。
両足は左右対称に螺旋状に巻きつけられ、腰を回るリボンと巻きつき秘所を幾重にも隠している。
胸から上は胸が隠れるように巻きつけている。腕もリボンで包まれていて、それがまた怪しい。
首にはまるで黒いリボンが巻きつけられ、怪しさ大爆発である。
243ねがい陵辱:2005/09/14(水) 21:16:32 ID:hsC/oR8B
いのりも、似たような格好をしてるが、こっちは何故かリボンの量が少ない。
「何でいのりもいるんだよ!」
「京介がなにをするのかなーって思ってさ」
そう言っていのりがぺろりと舌を出す。
「京介……優しくして」
こわごわと言うねがい。
『何を言ってる、マスターの姉。優しくしたら陵辱じゃないだろう。ここは私の愛剣否愛ランスで……』
股間を願いに蹴られて喋るのを止めるファイヤーワークス。
「……わかったよ、ねがい」
そう言って京介が耳元で囁く。
「優しく、じっくりやるよ」
そう言って京介はねがいをベッドの上に押し倒す。
「きょうす……」
口を口でふたがされる。しっかりと張り付いたそれはねがいの言葉を封じてそのまま消し去る。
「ファイヤーワークス、そっちお願い」
そういうといのりがねがいの両手を押さえた。ファイヤーワークスは縛られてる両足だ。
優しいキスがねがいの口から首筋にかけて行われる。
それと同時にリボンの上から中学生とは思えないほど成長した胸をそっと掴まれた。
「マシュマロみたいに柔らかいや」
「京介……」
ねがいが涙目で非難するように京介を睨むが京介は気にする事無くねがいの体を触る。
「二人だけで楽しむなんてずるいよ」
いのりの両手を押さえつつねがいが二人の間に割ってはいる。
いのりは京介にキスをすると、そのまま京介の口に舌を入れた。
「いのり……」
ねとねとと舌が絡み合う音が鳴り響き、いのりの顔が真っ赤に染まる。
244ねがい陵辱:2005/09/14(水) 21:17:59 ID:hsC/oR8B
「お姉ちゃんにもやってあげて」
そう言っていのりがねがいを指差す。
「止めて京介!」
『止めたら陵辱じゃねえだろう』
ねがいの言葉に一瞬止まった京介をたきつけるファイヤーワークス。
京介はそっとねがいに口づけをすると、そのまま舌を押し込んだ。
何とか京介の舌を追い出そうとするねがいの舌。だがねとねとした唾液の中では難しく、
二つの舌は絡みつくように音を立てあう。
そっといのりがねがいのほっぺたにキスをして、そのまま京介に抱きつく。
「ん!」
ようやく押し出したかと思えば逆に舌を引き出され、京介に噛み付かれた。
「むぅん!」
それだけでは済まない。京介は自分のお尻をそっと抓ったのだ。
舌を京介が離した後に口をしっかりと閉じる。
「お姉ちゃん顔を赤らめちゃって〜〜そんなに気持ちよかった?」
いのりがそう言って、うりうりとねがいのほっぺたを指でつつく。
「いのりっ」
「良いのよ良いのよ、どうせ相手は京介だし」
「どうせってなんだよ!」
突っ込みを入れるが気にしてはいない。
上半身のリボンを少しずつ外し始める。
ねがいはもはやなすすべも無く体がこわついている。
やがて胸の全てのリボンが外されると大きな胸があらわになり、そのまま京介はそれにかぶりついた。
「んっあぁぁぁっ」
245ねがい陵辱:2005/09/14(水) 21:19:43 ID:hsC/oR8B
痛みとも悦楽とも取れる声が鳴り響きねがいは両手をじたばたさせるが、何もおきない。
「京介ええええ!」
かまれた所を舐められてねがいは叫び声をあげる。
「いいなあ、お姉ちゃんは噛まれるだけの胸があって」
そう言っていのりが、ねがいの胸をゆっくりと撫で始める。
何でこんな事になってしまったんだろう。なぜ私の中に入ってくるの?
その原因になった紙を握り締めてねがいは涙を流そうとする。
「ねがい」
そう言って京介がねがいの耳元で囁く。
「好きだ」
それだけで体中が熱くなり始める。もっともねがいの心が犯される。
「わ………」
『マスターの前でいちゃついてるんじゃねええええええ!』
たしも京介のことがと言おうとした所で、ファイヤーワークスが京介の後頭部に蹴りを入れた。
たちまちのうちに倒れる京介。
「それじゃあ、今日も終わったし、これまでにしようか!」
いのりがそう言って、ねがいを巻きつけているリボンを解く。
「それじゃあおねえちゃん、一緒にお風呂いこ!」
ベッドの上で倒れている京介をファイヤーワークスにまかせて、ねがいといのりはお風呂場へと出かけた。

〜とりあえず完了〜
246名無しさん@ピンキー:2005/09/14(水) 21:43:33 ID:azKQZeCo
***そしてレスは動き出すっ!***
>>236
おおぐっじょぶ。そして勝手に続きとか書いてみる。

「う、・・・・・・くれは、か?」
精と共に大量のプラーナを吸い取られた柊が微かに呻く。
「柊ッ!」
打ちのめされたくれはの心に一筋の光が差す。命までは奪われなかったという希望の光が。
「柊ッ!ひいらぎっ!」
互いの格好も気にせずくれはが愛しい幼馴染に抱きつく。流れはじめた涙は止まりそうになかった。
「ひいらぎっ、ひーらぎぃ・・・・・・」
泣き声か、呼びかけか、それとも祈りか。本人にも判然としない叫びを一通り落ち着くまで吐き出すと、くれはの耳に何かが届いた。
とても微かな柊の、声。
「か・・・・・・」
「『か?』かがどうかしたの?柊!?」
「・・・・・・回復魔法」
其処にいたってやっと、くれはは自分に出来ることに気付く。淡い光が手の中に灯った。

「『やり』すぎて重傷になるってあるんだなあ・・・・・・」
月衣の中から取りだした替えの制服をいそいそと着込みながら柊が呟く。
数々の戦いをくぐり抜けた彼ではあったが、流石に腎虚で死亡判定をしたのは初めてらしい。
ともかくも柊は身だしなみを整えると、同じく着替えたであろうくれはに振り向いた。

 ぽすん

胸に温かいものがぶつかる感触がした。見下ろすと、つややかな黒髪。
彼の幼馴染が胸に抱きついてきていた。
下着姿のままで。
「ちょ、ちょっとまてっ!?落着けくれは!い、いったいなにお・・・・・・」
「魔王になんか負けないもん・・・・・・」
肉は少ないが、柔らかい少女の身体に先ほどの陵辱も忘れて柊はどぎまぎする。
「回復すればまた出来るみたいだし・・・・・・」
柊の物がまた力を取り戻す。そこにくれはは太腿を擦りつけた。互いの熱を熱いぐらいに感じる。
「倍の8回はしてもらうわよ」
有無を言わさぬ笑顔が柊を凍らせた。
247名無しさん@ピンキー:2005/09/15(木) 18:07:10 ID:JwZZRCHF
「というわけで、あの憎き魔王、パイ=レモーンに私の居城を制圧されたのです」
「で、俺の部屋に入り込んで、ティーセットを広げるのと、どういう関係が?」
「何って。泊めてください」
「出てけ!?」
「そんな!? か弱き令嬢な私に、この寒空の中出てけと? 当然、エミュレイター
にも追われてます。もしつかまりでもしたら……」


守護者は遂に、エミュレイターの軍勢の手に落ちた。
「ほう、間近で観ると――」「ヒヒ、いい尻してんぜ――」「乳は小せえな」
虜囚の戒めの中。好色そうな視線に晒され、少女――アンゼロットは毅然と唇を噛む。
下衆たちはたじろぎもしない。遂には、欲望のままにアンゼを引き掴み、群り始めた。
「貴方達、何を―――!?」
漆黒のドレスに手を掛けられ、音を立てて引き裂かれる。白い裸身を撫でずさせられ、
慎ましやかな乳房をもみしだかれた。嫌悪感に、少女の美貌が歪む。
「お願い、やめて……い、いやああああああああああ」
前戯もなしに、醜悪な男根が少女の秘所に突き込まれる。絶叫と激痛の中、破瓜を
迎えた。
248続き:2005/09/15(木) 18:20:00 ID:JwZZRCHF
その絶叫は、下衆たちの肉欲を掻き立てるだけだった。

幾多の下衆たちが、華奢な少女を貪っていく。
女陰はもとより、菊座も犯され続けた。美しい口での奉仕を強要され、何本もの男根
の相手をさせられる。守護者陵辱の宴は、いつまでも続き――


「そしていつしか、私は自分から腰を振って―――! そんな事態になったら、責任
取ってくれますか!? 認知してくれますか!?」
「いや、その、全部お前の妄想じゃねえか!?」
「……貴方は、私にそのような事はありえない、女性としての魅力が無い。そういうの
ですね?」
「いや、そういう訳じゃないけどよお………」


「というかだ。レベル無限のあんたが、どうやったらそんな目に遭えるんだ、おい!?」
その問いに、守護者は沈思黙考すること数秒。
「………あの憎きベール=ゼファーが、《小さな奇跡》を使えば、あるいは?」
「すげえな、《小さな奇跡》」
249名無しさん@ピンキー:2005/09/15(木) 23:24:40 ID:MdO0ESNI
>248
認知って……w
250名無しさん@ピンキー:2005/09/16(金) 05:35:56 ID:VqokQXPd
なんだか芸風がJANUSたんっぽい。
251柊蓮司は口を滑らせた。:2005/09/16(金) 17:48:21 ID:Yz4srQM0
「……貴方は、私にそのような事はありえない、女性としての魅力がない。そういうのですね?」

「うん。ぶっちゃっけ、そう」





その後、柊蓮司の姿を見た者はいない。
彼を監視…盗聴…見世物…もとい、見守っていたヴィオレットは、何かに脅えるようにミッドガルドへ帰還したという。

そして、グィード・ボルジアは後に呟いた。
「あれはいい尻だった」と…。
252名無しさん@ピンキー:2005/09/16(金) 20:11:35 ID:7t/Rcjyy
グイードの生け贄か。ヴィオがガクブルして逃げるほどの激しさなんだろうな。
253名無しさん@ピンキー:2005/09/16(金) 20:25:14 ID:ef7nJ8MB
>>251
鬼ですか、貴方は!(w
ありそうで怖いですな、マジで。(がくがくぶるぶる)

>>247
アンゼ、何気に御尻に自信あるんですねぇ。

柊「安産型ってやつか?」
アンゼ「確かめてみます?」
柊「何でそうなるんだ!?怒れよ!馬と同等の扱いしたんだから!」
アンゼ「まだ日も高いですからカーテン閉めないと外から見えちゃいますね。あ、窓も閉めないと」
柊「聞けよっ人の話!」
アンゼ「私、初めてですから後始末は柊さんにお願いしていいですか?」
柊は逃げ出した。
しかし、回りこまれた!
柊「うおっ!?素早っ!!」
アンゼ「頭が悪いですね、柊さん。ほんとに私から逃げられると思ってたんですか?」
柊「うるせえよ!つか、おまえ、自衛以外実力発揮できないんじゃなかったのか!?自衛じゃないじゃん、これ!?」
アンゼ「私の純潔がかかってますから」
柊「意味わかんねぇよ!」
アンゼ「はい。では、今日の教訓は『駆け引きは相手を見てから仕掛けよう』ということで締めにしましょうか」
柊「イ、イヤアアアアアアァァァ…」

アンゼを部屋から追い出そうとして、逆にあっさり食べられる柊であった……
254名無しさん@ピンキー:2005/09/16(金) 20:38:59 ID:ef7nJ8MB
ふと、思ったんですが、これって某作品と同じ出だし?(w
神様っ、カムバァァァァァック!

って、神父様っ、貴方を呼んだわけじゃ…
アタイはただ当時感想書いたらオチと絡みそうで書けなかった無念を、い、いやああああああああ…あン♪

【馬鹿は新たな世界に開眼した!】
255名無しさん@ピンキー:2005/09/18(日) 12:50:38 ID:lZIzNHw8
>>254
 某作品って、なに?
256名無しさん@ピンキー:2005/09/18(日) 15:00:45 ID:5y/BpA2m
>>255
Day Mo●nです。アンゼが柊を頼ってくる理由が>247さんと同じなんですよぅ。
あのアンゼは萌えですぜ?多分、中の人は小暮さん。(wアンゼの言葉回しが微妙に紅巫女になってますから。
アタイの書いた文が同じ出だしだったわけじゃありません。紛らわしい書き方ですみません。orz

ちなみに、アタイが妄想したオチはくれは?関連です。
作中で彼女は夕食を作りに柊を訪ねてきました。
柊はアンゼの事を隠そうと、彼女の荷物を押入れに突っ込みます。ちなみに、その時アンゼは入浴中。(w
でも、玄関のアンゼの靴を隠した描写がないんですよね。(w
柊に迎えられたくれはの様子も変だったし、もしかして……ニヤっ。

しかし、くれはって料理下手でしたよねー。命拾いしたな、柊。
あー、続きが読みたひ。orz
(なお、このかきこみは247さんをせめるようないとはないですー)
257名無しさん@ピンキー:2005/09/18(日) 21:22:16 ID:syaZ44G8
流れぶったぎってテオドラさんのエロSS希望
258名無しさん@ピンキー:2005/09/21(水) 00:47:30 ID:KBd4Qlyx
アルシャード世界におけるヴァルキリーのエロパロ的可能性について
259名無しさん@ピンキー:2005/09/21(水) 00:50:54 ID:yrLigqF8
芳香剤に萌えるのは・・・なぁ?
260名無しさん@ピンキー:2005/09/21(水) 00:51:31 ID:KBd4Qlyx
アレは除外する方向で一つ
261名無しさん@ピンキー:2005/09/21(水) 01:47:23 ID:SGg9ieMG
じゃあ、俺が挑戦

「セッカクメイド服モ着タ事デスシ、ゴ主人様ニゴ奉仕シマァース」
「うわ!?やめっ!こら、てめえ!」
「…」
「…」
「…ha--------hahahaッ、イッツ!ナイッスジョォォォクッ、グッジョ---------ッ!!」
「何がジョークだこの野郎ッ!?」

…無理ですた。
262名無しさん@ピンキー:2005/09/21(水) 02:10:32 ID:AnRyqB2y
じゃ、じゃあ折角なんで俺も挑戦

「ご主人様、予期せぬ問題が発生しました」
「……………………………………………………………言ってみろ」
「ブレイクの反動で、ボディが通常では考えられないほどの熱量を帯びています」
「……で、俺は何でお前に押し倒されているんだ……?」
「ご主人様には、熱くなった私に接続し、ヒートシンクの役割を担ってもらいたいのです……」

……ごめん。よくわかんなくなった
263名無しさん@ピンキー:2005/09/21(水) 02:41:00 ID:Hlfl5uWy
>>262
接続して大火傷を負う柊が見えた
264名無しさん@ピンキー:2005/09/21(水) 20:13:40 ID:v4+Zflkl
愛玩用ヴァルキリーとかいたのだろうか?
もしあるとしたらとーぜんアルフ用なのだろうが。

つまり、女性型が多いのは(ry
もしかして、アルフの出生率低下って本物の女に(ry
フィギュアに飽きたらず、ウートガルドで全覚没入の電脳ファッ(ry

うむ、レリクスは危険だな。
265アルシャ無印:2005/09/21(水) 21:18:15 ID:aB8vhBGi
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「>258にお題が出てるんだけど。『アルシャード世界におけるヴァルキリーの
エロパロ的可能性について』」
「ああ」
「以前にアルフがらみのお話でヴァルキリーネタを使ったから、あれ以外で。
なんか可愛いやつ可愛いやつ可愛いやつお願いっ」
「何度も繰り返して強調せんでよろしい。
 しかし、ヴァルキリーで可愛らしいネタ、なぁ?
 あいつらは、要はアルフのレリクスだから、超技術の賜物ですと言ってしま
えば何だってOKだろうに」
「たとえば?」
「アタッチメントでちんちん付けてフタナリとか」
「それのどこが可愛いっ!?」
「3歳くらいの男の子のちんちんなら、ほ〜ら可愛い」
「か、可愛いの方向性を間違えてるよっ!」
「股間のパーツを換装してまんまんを作るとか」
「だ……だっちわいふ……!?」
「乳房に牛乳を仕込んでみるとか」
「へ? 授乳機能をつけるってこと? てか赤ちゃんプレイ用!?」
「いや、液体を内蔵することにより、触れたとき手に感じる自然な重みを再現
する」
「なるほど。って、だったら水でもいいわけじゃない。何で牛乳?」
「イッたときに乳首から謎の白い体液がドピュッ! という性的ファンタジー
を満足させるために」
「そんなことまでしなくったって!」
266アルシャード無印:2005/09/21(水) 21:19:59 ID:aB8vhBGi
「では、特殊な通信装置を介して相手と精神的にリンクし、ヴァーチャル・リ
アリティでセックスを満喫」
「はあ、それなら何とかなりそうな」
「通信障害で相手と精神が入れ替わってさあ大変。入れ替わるどころか一人に
二人分が混線してさあ大変。残る一人は頭ン中からっぽになってさあ大変。通
信途絶で精神データが消去されてさあ大変」
「『さあ大変』ばっかりじゃない!」
「ではヴァルキリーの人格データを性交専用の別ボディに移し変えてからセッ
クスを満喫」
「あー。いわゆるセクサロイドになるわけねー」
「元の戦闘用ボディが奪われてさあ大変」
「だから『さあ大変』はもういいってば」
「お話のネタとしては、人間との恋に悩むヴァルキリーが、フォモールや堕ち
たヴァルキリーから、人間の身体に近いボディが手に入るぞと甘い誘いを受け
て云々、といったあたりが考えられる」
「うーん、ラブコメにもシリアスにもなりそうだ」
「まあ、ヴァルキリーはそのまんまで、人間側から歩み寄る方法もあるわけだ
が」
「たとえば?」
「視覚的なアプローチによりオカズになってもらうとか、聴覚的なアプローチ
により言葉責めをしてもらうとかしながら一人エッチを楽しむ」
「ああ、例のアルフ話の変形例ね。あれは触覚的に手伝ってもらう一人エッチ
だったよね」
「あるいはいっそ」
「あるいはいっそ?」
「放置プレイ」
「……それが一番問題なくていいかもね……」
267アルシャード無印:2005/09/21(水) 21:20:50 ID:aB8vhBGi
 ・・・・・おしまい。

 以上、一時期の過剰制作→投下の反動か、ここんとこずっと谷底でしんなり
していたというのに、>258-263の流れで一気に書き上げたお話でした。

'05.09.21.作成
268名無しさん@ピンキー:2005/09/21(水) 21:46:07 ID:TPcSQOsX
>アルシャード世界におけるヴァルキリーのエロパロ的可能性について
石田や井上による芳香剤の乳は凄まじく魅力で乳ずりプレイに最適なのだが、
中の人を考えると―
ヴ「haーーーーhahahahahahaっ!?ザーメンガビュ、ビュ言イマシターっ!?」
柊「それのどこがおかしいんだよっ!!」
―ダメだ…
269名無しさん@ピンキー:2005/09/21(水) 22:04:35 ID:AYdHfQcJ
>「放置プレイ」
Σ( ゚Д゚)ハッ

神話の時代に作られ、ラグナロクと共にカプセルに入れられ地中深くに埋葬されたのだが、
機能維持のために全身に隈なく配置されたパイプから伝わる振動に、なぜか慣れることなく幾千万の年月を待たされた挙句、
クエスター達からめでたく発見されるも身体が付いていけずにヘナヘナと座り込んでしまい、
「マ、マスター……久しぶりだから……でしょうか……、ボディが上手く……、上手く機能しなくて……」
と、見知ったばかりのあまり親しくない者達の目の前で、調整されつくされて絶好調の身体を存分に持て余すヴァルキリー。

……さすがアルフ。長いスパンで物事を考えていらっしゃる。
270名無しさん@ピンキー:2005/09/21(水) 22:28:34 ID:ZZESgiCi
>>269
当然カプセルからはウートガルドにその一部始終が送信され続けているわけだ。
これがアルフクオリティというものかー!
271名無しさん@ピンキー:2005/09/21(水) 22:29:50 ID:ljJb4Bc6
>>269
アルフの超大過ぎる計画に驚愕した
272名無しさん@ピンキー:2005/09/21(水) 22:36:39 ID:AYdHfQcJ
ごめん埋葬してどうするんだ埋蔵だ埋蔵。
273名無しさん@ピンキー:2005/09/22(木) 00:47:34 ID:/WRxo38p
>>272
アルフの最近の流行
「埋葬プレイ」


死体愛好家?
274名無しさん@ピンキー:2005/09/22(木) 20:52:56 ID:/Stnn0s/
トイレの芳香剤用ヴァルキリーがいるということは
便器用ヴァルキリーもいたのか?
275名無しさん@ピンキー:2005/09/22(木) 22:40:45 ID:z0vpk+P2
名前がサンポリアとドメスティアでどうか
276名無しさん@ピンキー:2005/09/22(木) 22:43:07 ID:sbp4N/Lc
ブルーレットの方が語呂が良さげ
277名無しさん@ピンキー:2005/09/22(木) 22:50:50 ID:sbp4N/Lc
……ごめん
278名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 01:17:39 ID:t3r5w5MI
置くだけ…やはり放置プレイか。
279名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 13:23:47 ID:dWOVbjIK
戦艦の便所に放置されるトゥアレタ型ヴァルキリーハァハァ
280名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 14:53:40 ID:+UzX8+Xb
お前はつまり精液便所と言いたいのかと。
281名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 16:31:46 ID:mi+CymAK
 上から(水を)ぶっかけられて、「ああん、とけちゃうぅ〜!」って感じでは。
282名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 19:59:37 ID:UZQZa7m1
防具はトイレットペーパー製の方向で一つ
283名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 20:46:04 ID:LfJ6TEtN
>>275
 単体でもそこそこ強いが互いの体液が混ざり合うとそれはそれは恐ろしいことに。
なんだか妖魔夜行向きやもしれんw

サンポリア:透明感のある銀髪に緑色の肌の美女
ドメスティア:同じく透明感のある銀髪に青色の肌の美女

 悪漢らとの戦いで正体を現して戦うが罠にかかって捕まってしまう二人。
悪漢たちは彼女らに陵辱の限りを尽すが調子に乗って二人にレズるように強要する。
「もうどうなっても」
「知らないからね」
 二人の声と唇が合わさると…
284名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 22:33:49 ID:0u5hDPZo
へっぽこーずのコミック読破。

エキューがマウナのアルラウネを作ってあんなことやこんなことをやるというお話を思いついた
285名無しさん@ピンキー:2005/09/24(土) 03:38:40 ID:jI7qEEhX
NW with S=F_Exの無茶ルールセッション終了。
ベルぐるみがPC2に成り上がった&PLが重度のアレなのでエロ方面で凄いことに。

キーワード:
・「魔器人化」
・「もともとベルのつくった簡易知性」
・「うおっ!? べ、ベルがふたり居やがる!? いや、つーかアレだかたっぽはすごい糸目だな!」
・「ごしゅじーん。ほらほらー女の子ッスよー。ぴらー」
・「そ、そんなところ不用意に広げるんじゃありません!」

最近こんなんばっか。フツーのプレイがしたいですサンタマリア。
具体的にはすごいトラップ満載のフォートレスでGMの俺がゲラゲラ笑うようなヤツ。
面子がみんな「RPGはロックだ!」が合言葉な連中なのが悪いのか、、、orz
ネタにはするけどさぁ。
286名無しさん@ピンキー:2005/09/24(土) 14:04:01 ID:9jSiVxl4
最近、PLたちが人類の為に戦う気力を無くして、魔王さまの為に戦う裏切り者
ウィザードしかやらず、最後はアンゼロット様にぶちのめされるシナリオをしかやらない
ウチのサークルよりはマシさ。
287アリシアン独白:2005/09/24(土) 14:28:41 ID:F0RTW5HQ
突然ですが、ケイン×アリシアンなどを投下してみます。
あんまエロくないかも。

「ね、ね、あれ、うまくいくか賭けなーい?」
「んー、どうしよっかなぁ〜?」
弾むような友人二人の声がする。あたしはその声につられて顔を上げ、二人が見ている方に目をやった。
好奇心剥き出しで見つめる二人の視線の先には、ちょっと可愛い女の子と、それに必死で声をかけるあいつの姿があった。
酒場の喧騒に紛れて、あっちの会話の内容はわからないが、どうせナンパに決まっている。その熱心さは評価するが、今までにそれが成功したことは無い。
あたしは苦笑して言った。
「やめなよ、二人とも。賭けるだけ無駄だって。」
すると、二人―――ケッチャとユズが、あたしの顔を見て、何か言いたげな笑みを浮かべる。
その顔は、酒が入ったせいか、二人とも普段より少し赤い。
もの言いたげな笑いが、なんとなく勘に触って、あたしは唇を尖らせた。
「…何よ、二人とも。」
「んー、べっつにぃ〜?」
「ねー、ケッチャ♪」
うふふふふっ、と二人は顔を見合わせ、同時に笑った。いかにも、『女の子らしい』何か秘めた笑い方だ。
二人とも、大好きな親友だけど、悪いけどこういうところはあんまりあたしには合わない。
何事かと理由をつけては、ケッチャもユズも、ケイン君とあたしをくっつけようとするのだ。
あの、お気楽エルフと。
冗談ではない。
何しろ、『あの』ケイン君だ。
エルフらしく、精霊の使い手としての確かな実力と、黙って真顔でいればそれなりに…まぁ、ハンサムの範疇に入る顔をしてるかもしれない。童顔だけど。
タラントの王宮が危機に陥った時に、絶妙のタイミングで魔神の嘘を発覚させたところなんか、やるじゃんと思った。ちょっとだけど。
だけど、それらをすべてぶち壊すかのような、お気楽で能天気な性格と、どうにも頼りない行動を同時に兼ね備えた、『あの』ケイン君なのだ!
あたしの好みは、もうちょっと、渋くって、お金持ちで、腕の立つ、頼りになる男なんだ。
確かに、他の仲間よりも、あたしが一番ケイン君と一緒にいるし、何かと世話を焼いているかもしれない。だけどそれは、手の掛かる弟の世話をしているようなもので、二人が邪推するようなものでは絶対ない。
…と、普段から二人には強調しているのだけど…。
「あのさぁ…、あたしとケイン君は、あんた達が期待してるような関係じゃないわよ。」
不機嫌そうにあたしが自慢の金髪を掻きあげると、二人は視線を合わせて『ねぇ?』とでも言いたげに微笑み合う。
それにまたむっときて、あたしが口を開こうとしたのとほぼ同時だった。
「あ…。」
笑いながらちらりと横に視線を走らせたユズが小さく呟く。
つられてあたしもそちらを見ると、あいつが、さっき声をかけていた女の子と連れ立って席を立ち、店の外へと向かっていっていた。
瞬間、あたしの心臓の鼓動が、一瞬だけやけに大きくなった気がした。
あいつは、見るからに鼻を伸ばした表情で、その子の分の代金を、トレードマークの猫ポーチから支払おうとしていた。
傍で、お礼を言っているらしい女の子。
可愛い子だ。
あたしみたいなすれっからした雰囲気の子とは違う、ごくごく普通の、でもちょっと奢ってもらってラッキーという下心も見えるような、女の子らしい子。
「……。」
無言でその様子を見つめるあたしに気付いたのか、あいつがへらへら笑ってこっちにピースサインを向ける。
その、いかにも浮かれた表情が、無性に癪に障った。
「あっれぇー!?なーんだ、ケイン君ってば、うまくいってるじゃーん!やるぅ♪」
ようやく気付いたらしいケッチャが、明るい声を上げて、向こうに手を振った。あいつはそれにご機嫌に応じた後、連れの女の子と話しながら、―――多分あたし達との関係を釈明しつつ出ていった。
「行っちゃったねー。ケイン君だと、お金だけ出させられてバイバイ、なんてなりそうだけどね。」
あははははっ、と笑いながら言うケッチャ。あくまでケッチャは面白半分に楽しんでいる。
それとは対称的に、ユズが、あたしの表情を伺うような目でこっちを見た。あたしはどうやら随分不機嫌そうな表情をしているらしい。
ユズの、他の人に気配りのできるこういうところは好きだけど、時折余計なお世話だと感じる時もある。いっそ、ケッチャみたいに、あくまで人事として笑い飛ばしてくれたほうがいい。
ユズの視線を遮るように、あたしはジョッキに残っていたエールを一気に飲み干した。
ぬるくなってしまったエールは、随分まずく感じた。

288アリシアン独白:2005/09/24(土) 14:29:44 ID:F0RTW5HQ
その後。
あたしは一人、宿屋で天井を見つめていた。
宿屋に仲間は誰もいない。
あたし達とは別行動で用事を済ませていたディーボとザボが後合流したので、河岸を変えて他の店で飲みなおすことになったのだ。
ユズが熱心に飲みなおそうと誘ってくれたのだけど、なんだかそんな気分になれず、あたしだけ先に部屋に帰らせてもらった。
男部屋と女部屋に分かれて取った部屋は、一人ではちょっと広すぎる。
なんだか眠れないので頼んだワインは、栓を開けたままほとんど手をつけられずにサイドテーブルに置きっぱなしになっていた。
「……。」
ごろりとベッドの上で寝返りをうつ。認めるのは悔しいが、こんなにイライラしている原因はあたしにもわかっていた。
あいつのせいだ。
自覚したのはいつ頃からだろう。
最初は、あまりの頼りなさに放っておけなくて、まるで弟の世話を焼く姉のような気持ちだった。
その、ピンチの時でも笑っていられる能天気さが、だんだん逞しく感じられるようになったのは、いつからだったのだろう。
不覚だ、としか言い様が無い。あたしの予定では、もっとお金持ちで、頼り甲斐のある男を捕まえるつもりだったのに。
なんだって、よりによって、あんなすっぽこな鈍感女好きエルフなんて好きになっちゃったんだろう。
仲間はいつも一緒のあたし達を見てからかうけれど、実情は出会った頃と大して変わり無い。出会った頃のまま。世話を焼くあたしと、焼かれるあいつ。
枕に顔を埋め、あたしはそっと自分のやや長めの耳を撫でた。
あたしはハーフエルフだ。人間とは違い、ずっと長く生きる。
今の仲間達はみんな気のいい連中で、大好きだけど、いつかはあたしよりも先に年老いて、別れの日が訪れるだろう。
辛いけど、仕方の無い事だ。
命の短い人間の仲間達が、歳を取り、それを看取る事になっても、あたしはきっとまだこの姿のままで生き続けることだろう。
それでも、最も長寿な純粋のエルフであるあいつとは、どれだけの間一緒にいられるんだろう。
人間よりはずっと長い時間だけれど、いずれは必ず訪れる別れまで―――五十年?百年?
それまで、あたしはずっとこんな中途半端な気持ちでいるんだろうか?
…こんな事をぐるぐる考えて、随分時間が過ぎたような気がするが、本当はそんなに経っていないような気もする。
途中から、自分だけ悩むのが悔しいので、あえて何も考えないように、天井の木目などを数えて気を紛らわせていた。
しかし、どうやらそれも限界に来たようだ。
全く眠たくは無かったが、堂々巡りも疲れるので、仕方なく寝ようと改めて毛布を被ったその時だった。

289アリシアン独白:2005/09/24(土) 14:32:25 ID:F0RTW5HQ
「…?」
わずかながら隣の男部屋から物音が聞こえた。
ザボ達が戻ってきたかと思ったけれど、それにしては静かだし、ケッチャ達がこっちの部屋に戻る気配も無い。
あたしは、万が一だけど泥棒の可能性も考えて、そっとベッドを抜け出し、隣室に向かった。
そんなに高級な宿じゃないから、廊下もちょっときしんだけれど、こんなもの、本職の盗賊であるあたしにかかればどうってことない。難なく隣室の扉の前まで忍び足で近付いた。
ちょっと扉を観察してみると、鍵穴から明りが漏れている。物音も、わりと大きめに立てているみたいだから、泥棒じゃないみたいだ。
あたしは思い切って扉を開けてみることにした。
「誰っ!」
すると、返ってきたのは馴染みのある声だった。
「うわわわわっ!?―――あ、アリシアンか。」
部屋の中にいたのはあいつ―――ケイン君だった。
突然の声に随分びっくりしたようで、思わずぴんとエルフ特有の耳が立ってしまったみたいだけど、相手があたしとわかって、ゆっくり耳の角度が落ちついてゆく。
「な、なんだよいきなり…。びっくりしたじゃないかぁ。」
驚かせたあたしに抗議するケイン君。そのぶーたれる姿はいつも通りに見えるが、どこかぎこちない。目がちょっと泳いでいる。
「あ…れ?ケイン君、…デートじゃなかったの?」
呆気に取られたようなあたしの疑問に、ケイン君は痛いところを突かれたように言葉に詰まった。
「い、いや、彼女、なにか用事があるとかって…。」
「……ふーん。」
どうやら、ケッチャの読みは見事当たったようだ。あたしは忍び笑いを隠し切れず、思わずニヤニヤと口元を緩めてしまう。
…我ながら、嫌な性格だと思う。
これにはさずがのケイン君もむっときたようで、唇を尖らせて不機嫌に言った。
「なんだよ。笑うなよなー、アリシアン!僕はちょっと傷ついてるんだからさ!」
その、勢いのある言葉とは裏腹のしょぼくれた様子に、あたしは堪らずプッと吹き出してしまった。
「笑うなってば!もう!」
ケインが抗議するが、自分でも腹筋がぴくぴく動くのをなかなか抑え切れずに、あたしは片手で口を塞いだまま謝る。
「ぷっ…あはは、ごめんごめん!だってさぁ、あんまりにもケッチャの予想通りで…。」
笑いが止まらなかったのは、ケッチャの予言が見事当たったのも、ケイン君の情けない表情もあったが、今の状況が、あたしとケイン君との関係を如実に現しているかのようで、なんだかおかしかったのだ。
何かやらかして、しょぼくれるケイン君と、それをからかいつつ慰めるあたし。
笑いながら、あたしはさっきまでの逡巡はどこへやら、こんな関係もいいか、と思い始めていた。
少なくとも、あたしの位置に立てる子は、なかなかいないはずだから。
そんなあたしの気持ちを知るはずも無く、あたしの笑いがようやく治まる頃には、すっかりケイン君は不機嫌そうに耳を下げ、ふてくされてしまっていた。
その子供のような横顔に謝りつつ、あたしは親指であたし達の部屋を指した。
「ごめんってば、ケイン君。お詫びに、ワインがまだ残ってるから飲みなおさない?あたしが奢るよ。」
ケイン君は横目でちらりと不審そうにあたしを見る。
「…もう笑わないー?」
どうやら、さっき盛大に笑ってしまったことが、結構堪えたようだ。
「だからぁ、ごめんってば。笑わない笑わない!」
「あ、ほら、今笑ってるじゃんかぁ!」
あたしは同じような謝罪を繰り返しつつ、そしてケイン君もあたしの笑いに抗議しつつ、なんだかんだで仲良く二人で部屋を移動した。
290アリシアン独白:2005/09/24(土) 14:34:37 ID:F0RTW5HQ
それから、二時間ばかり経過した。
あたしは、酒のせいかよく回らない頭で、今の状況を必死に考えていた。
部屋には元からあったワインの他、何度か注文した酒瓶が何本も転がっていて、随分と酒臭い。酒に弱い人なら、匂いだけで酔ってしまうかもしれないほど、濃密な酒の匂いが充満している。
あたしは酒には強い方だけど、それでも頭の芯がぼんやりしてしまっているから、かなり飲んでしまったのだろう。
ケイン君は、あたしよりエルフの血が濃いせいか、酒にはあんまり強くない。だから、普段はそこまで飲まないのだけど、今日は女の子に振られたのもあってか、あたしに合わせてよく飲んでいた。
早々にその色白の肌を首筋まで朱に染め上げつつ、愚痴と共に杯を重ねていたのを覚えている。
そんなケイン君の話を聞いたり、ザボとケッチャの関係について噂したり、この間聞いた、ディーボの面白い寝言なんかを肴に、飲みながらみんなの帰りを待っていたはずだったけど…。

この状況は一体何なのだろう。

ケイン君が、あたしの上に覆い被さっている。
「アリシアンー…。」
ぼそぼそと、ケイン君の唇が言葉を紡ぐが、あまり呂律が回らない。完全に酔っている。
あたしも同じ様に、酒に濁った目をしてるのだろうけど、ケイン君の目は宙を見つめているようにも、ギラギラした熱を帯びているようにも見える。
その視線に怯えたわけではないが、あたしは恐る恐る、自分を抑えつけている男の正気を問い掛けた。
「ケイン君、ちょ、ちょっと、どうしたの?」
あたしの語尾はひょっとして震えていたかもしれない。自分でも、酒だけのせいではなく、声が上ずってしまったのがわかる。
ケイン君は、真っ赤ではあるものの、普段なかなか見せないような真顔で、ベッドに組み敷いたあたしの目を見下ろしている。その真剣な眼差しに、あたしの心臓は外に聞こえるのではないかと思うほどに激しく鳴ってしまう。
あたしの問いには答えず、突然ケイン君がぐっとあたしに体を近付けた。
「んー…。」
「わ、ちょ、ちょっと…!」
襲いかかる、と言うにはあまりにぐにゃりと、ケインが崩れ落ちるようにあたしの体の上にのしかかる。
思わず手を伸ばしたものの、ケインの体を受けとめきれず、そのままあたしはケインを抱きしめるような形で受けとめてしまった。
あたしはケイン君の華奢な体を腕の中に感じながら、その重たさと体温に動けなくなってしまった。
普段ならば、弱っちいケイン君の体など、すぐさま跳ね除けるのだけど、あまりにもあまりな状況に、あたしは指先すら動かせない。
さっきまでの酒はすっかり抜けてしまい、どくどくと脈打つ心臓だけになってしまったかのような錯覚さえ感じる。多分今あたしは、酒のせいではなく耳の先まで真っ赤だろう。
自分の顔のすぐ横にあるケイン君の髪の匂いを感じる。呼吸も、体温も。
あたしはうぶな生娘ではないけれど、こんなにドキドキしたのは初めての時以来かもしれない。
今の仲間達と組んで、しばらくこういった事には御縁が無かったけれど、ケイン君だったらいいかもしれない。
あたしは…ケイン君がそうしたいなら、してもいい。
ともすれば、また上ずってしまいそうな声をどうにか意志で落ちつかせ、あたしはそっとケイン君の耳元に囁いてみた。
「ケイン君…、する?」
少しくぐもった、ひそやかな声。
久し振りだったけど、あたしにしてみれば、これでも精一杯に色っぽい声だったと思う。
「……。」
あたしにのしかかったままのケイン君は答えない。
あたしはケイン君の体をそっと抱きとめながら、返事を待った。その時間は、ずいぶん長く感じられたので、イエスかノーかだけではなく、今にも扉をノックして仲間達が戻って来やしないかと、内心戦々恐々ともしていた。
そして、あたしの耳に、ケイン君の声が届いた。
291アリシアン独白:2005/09/24(土) 14:35:13 ID:F0RTW5HQ
「…ぐー…。」
寝息だ。
あきらかに寝息だ。
しばらく間を置いて、ふつふつと何かこみ上げるものが、あたしの中に渦巻きはじめた。
怒りだ。
「…こんの、寝ぼすけエルフッ!!」
「のぅわっ!?」
恥ずかしさと怒りがないまぜになった気持ちを隠すこと無く、あたしはずっしりとあたしの体の上で眠りかけていた貧弱エルフを突き飛ばした。
いい気持ちで眠りに入ろうとしていた所をベッドから叩き落されて、あたしに妙な期待をさせた男が床の上にしりもちをついた。
「な、な、なんだよぅ、アリシアン!」
突然の仕打ちに驚いた奴が、目を白黒させながら抗議するが、あたしの目を見て黙る。
「……。」
どうやら、あたしはかなり怖い表情をしているようだ。
無理も無い。さっきから、この男に振り回された怒りと、勝手にあたしが一人で盛り上がってしまったことに対する気恥ずかしさで、あたしの心には嵐が吹き荒れている。
あたしの背後に怒りの精霊の姿でも見えたのか、ケイン君が、まだ酒が少し残ってはいるものの、ちょっと我に返ったような表情で恐る恐る尋ねてきた。
「あ、あのー、アリシアン、どうかしたの…?」
そのあまりにも、艶めいた方向とは無縁の口調に、あたしは思わず怒りも忘れ、はぁーっ…と長い長い溜息をついてしまった。
全く、何を勘違いしてんだか、あたしは。
「?」
ケイン君が、さっぱり意図が掴めない、といった表情で、いきなり今度は落ちこんだあたしを見つめているのがわかる。
ケイン君本人にしてみれば、姉みたいな存在のあたしに、酒の勢いでついつい体ごと甘えてしまったというのが真相だろう。自覚は無い。
どっちかと言えば、それを勝手に勘違いして、一人でドキドキしていたあたしの方が間抜けだったのだ。
なんだかなぁ。…もう、嫌になる。
「…僕、さっきなんかした?アリシアン?」
心配そうに、あたしを見上げるケイン君。まるで主人の心配をする犬のようだけど、そうやって心配されればされるほど、みじめな気分になってしまう。
「…うぅん、違うの。…ゴメン、突き飛ばしたりして。」
言いつつ差し伸べた手に捕まって、ケイン君がよっこらせと立ちあがり、ベッドに腰掛けるあたしを見下ろした。その瞳には、どこかまだあたしを気遣う色がある。
「本当に大丈夫?アリシアン?」
「…大丈夫だって。気にしないで。」
気遣われれば気遣われるほど、なんだか自分が惨めになった気がして、あたしの声はずいぶん沈んでいたかもしれない。
そんなあたしを心配してか、ケイン君はそっとあたしの隣に腰掛けて、じっとあたしの様子を見つめていた。
その、あくまでも仲間を心配する視線に、なんだか申し訳ないような気がして、あたしは何も言葉を紡げず、ただじっとベッドの端を掴んでうつむいていた。
うつむいているせいか、溢れはしなかったものの、なぜか涙がじわりと目の端に浮かんでしまう。
なんだか、あたしが惨めで、馬鹿みたいで、どうしようもなくて、ぐるぐるとした感情が、その行き場を見失ったかのようにただ悲しみとして感じられた。
もう少しで、涙が玉となって流れ出しそうなその時だった。
突然あたしの頭に何か優しい感触があった。
「よしよし。」
ケイン君があたしの頭をまるで子供のように撫ではじめたのだ。
びっくりして顔をあげたあたしの前に、歳相応の落ちついた目の色をしたケイン君の顔があった。
「…よくさぁ、僕が落ち込んでるときに、アリシアンがこうやってくれるじゃない?一回、僕もやってみたかったんだよね。」
そして、えへへと子供のような顔で笑った。
「あんまり無いよね、逆の立場ってさ。」
あたしはただ子供のように撫でられながら、今日ぐらいは素直になっていいかな、と思った。
あたしは、この人が好きなんだ。
頼りなくって、鈍感で、失敗ばっかりして、そしてたまに頼りになる、ケイン=クレンスが好きなんだ。
そう思ったら、あたしの行動は一つだった。
292アリシアン独白:2005/09/24(土) 14:37:40 ID:F0RTW5HQ
すみません、エロ直前までですが、今回はここまで。
のんびり書いてますのでよかったら気長にお待ちください。
293名無しさん@ピンキー:2005/09/24(土) 15:08:44 ID:lRs+ch17
GJ。
だが、SWは個スレがあるんだ。
一応貼っておくから、任せる。
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1126869407/
294名無しさん@ピンキー:2005/09/24(土) 17:16:37 ID:16kdPfp5
どうでもいいけどサンポールの女性形はサンポーラじゃないのかな。
ティア&ポーラと略せばそれっぽくていいかも
295名無しさん@ピンキー:2005/09/24(土) 18:31:51 ID:jI7qEEhX
いや…
サンポーリィ……サンポーリィだ!

つまり中の人がみかきのうわ何をするやめ亜qwせdrfgyふじこlp;@:「
296名無しさん@ピンキー:2005/09/24(土) 23:01:55 ID:x8siI/az
>>292
雰囲気作りが上手いなぁ。グッジョブです。
続きを大いに期待しつつ気長に待ってます。
297名無しさん@ピンキー:2005/09/25(日) 19:54:34 ID:qdg3DUyr
アリシアンかーいーよ
かーいーよアリシアン
298名無しさん@ピンキー:2005/09/25(日) 20:11:27 ID:NkVphCIc
ぼくがはじめてTRPG関連の書籍を買ったのはアリシアンの裸がきっかけでした。(1巻買わずに2巻買った)
ぼくがはじめてライトノベルを買ったのはディードリットの裸がきっかけでした。(1巻買わずに2巻買った)

しょうがないじゃないか!若かったんだから!!
299名無しさん@ピンキー:2005/09/25(日) 22:04:39 ID:MMNt6Y9r
漏れはもう若くないがエロイラスト目当てでTRPG関連の書籍買うことはザラだよ。
300名無しさん@ピンキー:2005/09/25(日) 23:54:16 ID:o6KVir0u
>>299
地雷とかカルテットとか噂されつつも絵師目当てでギガントマキア購入確定の俺が来ましたよ。

……間垣先生にはむしろエンギアで描いて欲しかったとかガタガタ言わない。
301戦士×監視者+α前編1/4:2005/09/26(月) 08:44:33 ID:5eUk51vT
◇二人でクッキーを食べよう

 【伝説の住人】。其は幻影の魔物。
 ボクは世界律を守護する歴史の監視者の一人。魔の力に人の心を有する半魔。
伝説にあっては“混沌の監視者”とその名を呼ばれる。
 ボクは自動的な現象。為すべきことが生じたときに、為すべき相手の前に神
出。為すべきことが終わると同時に、為した相手の前から鬼没。計画性なし。
意思も無視。世界律に従い、ただ世界の望むままに。
 それを運命というのなら、ボクは運命そのものだ。ボク自身、冗談まじりに
それを称して「出たトコ勝負」と皮肉る。
 斯くしてボクは現れる。今日は何を為せばいい? 何を誰に為せばいい……?
―――
「か〜んししゃっ」
 ぎゅう〜。
 唐突に後ろから抱きつかれた。両腕をボクの首に回して、肩越しに振り向く
と案の定そこには満面のにこにこ顔。「大きいお姉ちゃんに甘える小さい妹み
たいだなぁ」と表現したのは誰だったか。
 この子は、というべきか、彼女はレン。不運の象徴、歩く凶兆、死の概念を
司る神、甘美な不吉の都市伝説たる【伝説の住人】、要はボクと同じく歴史の
監視者だ。ボクらは互いに【魔の姿】。色合い以外は似て非なる、藍紫の長衣
が二人分、街を見下ろすビルの上に翻る。
 ただし、発生してから百年単位の時間が過ぎているボクとは違い、この子は
ほんの3年前に生じたばかりの新参だ。とはいえ歴史の監視者は、どこにでも
現れ、そしてどこにも居ない。彼我の距離も、その間にある障壁も全くの無意
味にする空間跳躍能力は、それゆえ歴史の監視者の基盤にして基本であり、年
齢はどうあれ、レンもまた跳躍能力を有している。だからこそ、ボクの後ろに
唐突に現れることもできるというわけだ。
「何の用だ?」
 ボクが訊くと、レンは実に屈託なく言ってのけた。
「出番待ちでヒマなのだ、遊んでくれ」
 この街から遠く隔たる街を活動拠点にするレンは、しかし、たまーに時間を
見繕ってはボクのところへ遊びに来る。かつて彼女の住む街から逃げた魔物を
追ってこの街へ来たときに、ボクと知り合って以来のことだ。一体何が面白く
てボクのところへなど来るのだか、ボクにはさっぱり理解できない。
 ああ、思い出した。あのとき「大きいお姉ちゃんに甘える小さい妹」と表現
したのは、レンの実の兄を自称する半魔だった。
「監視者も出番待ちでヒマなのだろう?」
302戦士×監視者+α前編2/4:2005/09/26(月) 08:47:22 ID:5eUk51vT
 暇と言っては語弊がある。連中の動きがあるまで、ボクは監視を続けなけれ
ばならない。が、忙しいというわけでもないのは確かだ。ここで彼らの気配を
感じてさえいれば、何かあったら自動的にそこへ跳ぶことになるのだから。
「お茶とお菓子を持って来たのだ、また何かお話を聞かせて欲しい」
 コップが両端に付属している大ぶりの魔法瓶と、綺麗にラッピングされた大
量のクッキーとを、どこからともなく取り出して。このクッキーは、やはり半
魔であるレンの養父の手作りだそうで、世界で一番美味しいのだぞ、と、心底
嬉しそうに勧めてくれた。
 一つ、いただく。なるほど、本当に美味しい。さくさくと香ばしく、玉子と
バターの風味が口の中にふんわりと広がる。
 時刻は、12時間前ならばちょうどおやつの時間。半分とはいえ魔に属する
ボクらにしてみれば、アフタヌーン・ティーに遅すぎるということもあるまい。
そして、茶話会で他愛のない会話を交わすのはマナーの範疇である。
「何の話が聞きたいって?」
「そりゃもう君と戦士の恋物語を微に入り細に渡って! ……ってゴメンなさ
いもう言いませんほんっとーにもう言いませんっ!」
 レンの怯えようからして、自分でもどんな顔をしたのか怖いぐらいだ。
 3年とはいえ、半魔に育てられてボクよりもよほど人間の傍で暮らしている
レンの感性は、同じ歴史の監視者であるボクよりは、むしろ平凡な人間に近い。
おマセな女の子が大人の恋愛に憧れるように、レンもそういう、いわゆるコイ
バナをとても好む傾向にある。だからといって、ボクが実体験を話してやらな
ければならない義務はない。
「え、ええと、最近起こった魔物関係の事件で興味深い事例などをひとくさり、
できれば鋼の戦士も出てくる話がいいなぁ、なんて、ダメ?」
 やれやれ、ビクビクしながらひきった笑顔でそんな台詞を吐くぐらいなら、
もっと無難な話題を選択すればよいものを。内心苦笑しながらボクは答える。
「その程度なら、構わないけれど」
 やた! とレンは飛び上がって喜び、ボクは数秒間だけレンから目を離して、
ビルに臨む街並みを眺めた。
 眼下を占める窓、窓、窓。
 その中の一つ、ここからは見えない位置に、彼の部屋の窓もあるはずだ。
「不死者の娘の話は、まだしていなかったね?」
―――
 明確に誘われたわけでも、勿論誘ったわけでもない。なのに、他には考えら
れないくらい自然な流れで、ボクは戦士と二人きりでそこにいた。
 一人でも狭い部屋。ボクがいるから更に手狭で、すり切れた絨毯に直に腰を
下ろすのでなければ、ベッドに腰掛けるしかない部屋。物は少ないのに雑然と
した生活感のある部屋。
 初めて入る、彼の部屋。何故か落ち着く部屋。
303戦士×監視者+α前編3/4:2005/09/26(月) 08:48:41 ID:5eUk51vT
 作りつけの棚の下に配されたベッドは、二人が座ると如何にも安物の軋みを
立てた。
「本当に、オレでいいのか?」
 君だから、いいんだ。心の声を捻り潰してボクは、平然と応じた。問題はな
い、と。
「ひとの側に留まるために、ひとのぬくもりが必要なのさ。言ったろう? 奈
落へ堕ちぬために、たとえ行きずりでに仮初めでも、絆が必要なのだと」
「ああ」
 彼が重く頷く。
「別に一緒に居て、他愛ない話をするだけでいい。でも君は健全な男子なのだ
から、こういう行為の方がいいだろう?」
 遊びに慣れた女のように、ボクは彼に唇を寄せる。
 彼は愚直な男だ、こう言えばあっさり信じ込むに違いない。これは奈落堕ち
を避けるための処理。ただの作業ではつまらないから少しはお楽しみを持とう。
それだけの、本当にそれほどの意味しかない行為なのだと。
 嘘で固めて。自分を騙して。見栄で虚勢でもいい、それで鎧っていなければ、
ボクは叫びだしてしまいそうだったから。
 好き。好き。大好き。大好き。恋しい。愛しい。一緒にいたい。
 体温を感じるほど唇を近づけた、その瞬間、いきなり両肩をぐっと掴まれて
彼から遠ざけられ、ボクは愕然とした。
 嫌われてしまったのかと、心底怯えた。
 だけどその気持ちは、表情には出ていなかったはずだ。あくまでも、誘惑を
跳ね除けられて意外に思った、そんな顔を取り繕って。
「オレはそういう理屈で割り切れるほど器用じゃない。覚えといてくれ」
 目の前の、真剣な顔。
 ああ。おとこのひとだ。
 そんなこと、当たり前なのに。知っていたはずなのに。
 そのとき初めて、彼を男だと意識した、そんな気がする。
「オレは、お前に惚れてるからお前を抱くんだ。お前がオレをどう思ってるか
に関わりなく。悪いな、卑怯で」
 そして、口づけられた。
 心臓を掴まれたかと思った。死ぬんじゃないかと思った。死んだ方がマシだ
と思った。嬉しくて、幸せで、もうどうしていいかわからなくて。自分が情け
なくて、自分が恥ずかしくて、もうどうしていいかわからなくて。
 ――オレは、お前に惚れてるからお前を抱くんだ。
 欲しい言葉。ずっと欲しかった言葉。その言葉を、こんなにも簡単に投げか
けてもらえて。
304戦士×監視者+α前編4/4:2005/09/26(月) 08:49:59 ID:5eUk51vT
 ――お前がオレをどう思ってるかに関わりなく。
 そんなこと。そんなことない。恋は、想いは、ボクの方が、ボクの方こそ。
 ――悪いな、卑怯で。
 卑怯。卑怯だなんて、君には一番似合わない言葉。卑怯者はボクだ、言葉で
君を傷つけて、だのに訂正もしないで。
 触れただけで、彼の唇が離れた。何を困っているのか、そのまま暫く動かな
い。
 彼が不慣れであるのは見ればわかる、よもや海千山千であるまいし、ひょっ
としたらこれが初めてのことであるのかも知れない。
 しかしながら、彼の瞳に揺れているのは慣れぬことゆえの戸惑い、というよ
り、躊躇いのように感じられた。
 誰かに耳元で囁かれた気がした。彼も自分を騙しているぞと。
 彼は鈍いから。ボクは卑怯だから。両想いだと知っているのはボクだけで、
彼の認識では未だに彼は片想いのまま。「オレは、お前に惚れてるからお前を
抱くんだ。お前がオレをどう思ってるかに関わりなく。悪いな、卑怯で」。だ
からそれは、彼が自分を騙すための言葉。
 お前がオレをどう思ってるかに関わりなく。その台詞が心底からのものなら、
勢い任せにボクを押し倒しても構わないはずだ。なのに一方的な想いを押しつ
けてしまって本当にいいものかと悩み、そのせいで躊躇っている。卑怯という
言葉で自分を悪者に仕立てて、無理にでも想いを遂げようとして、結局は自分
を騙しきれずに、彼は躊躇っている。
 馬鹿。そんなこと、気にする必要ないのに。
 彼に想いを伝えたい。彼に恋を告げたくない。
 相克する気持ちに板挟みの心で、だけどボクは、今度は離されないようにと
彼の首に両腕を回して、ボクの方から深い口づけを求めた。
305戦士×監視者+α前編:2005/09/26(月) 08:51:52 ID:5eUk51vT
 最後の投下から昨日で三週間。神様、待ちきれなかったわたくしをお許しく
ださい。
 残りは中編と後編。またいずれ。

 なんかいっぱいスレ進んでて嬉しいけれど、法事帰りでばたんきゅー。寝る。
 旦那のお里にまでノートパソコン持ち込んでこれを書きあげた挙句、義妹に
「お仕事ですか?」と訊かれて困った自分にブラボー。
306名無しさん@ピンキー:2005/09/26(月) 10:26:45 ID:mgxgRkhU
>>300
間垣すっか…。なるほど、地雷覚悟で購入決定すね。

あの乳が〜あの尻が〜あの太腿が悪いんじゃ〜〜!
307名無しさん@ピンキー:2005/09/26(月) 11:06:30 ID:c53rYf4w
おつですー、いつもながらに「あっま〜〜〜〜〜〜い!」

ところで。
無印DXの人とか切り札×ヒトミの人とか、最近見なくて寂しい。
308名無しさん@ピンキー:2005/09/26(月) 16:06:17 ID:dbUsu53L
>>305
GJ。
甘いのぉ甘々じゃのぉあんちゃん、ギギギ(死)な感じで。そして安らかな顔で昇天。7日後に再誕。
両想いなのにお互いに壁を作ってしまう切なさが堪らないんじゃあ。

>>306
間垣絵でトゥアレタ+シュネルギアイェーガー(パワードアーマー装備)とか夢見た頃が俺にもありました。

……とか言ってたら「ネコミミ先生居るじゃん」と突っ込まれた罠。あふん。
ま、まぁ石田センセにはアルシャードやNWで頑張って頂く方針でっ。サツキ可愛いよサツキ。
309異能の指先妄想:2005/09/27(火) 03:03:17 ID:a0sgnLbT
DXネタの妄想が走ったので投下してみる。ダーク陵辱系。本番は次回から。

 自分の肋骨がヘシ折れる音を少女は聞いた。のど首の筋肉に食い込んだ細い指に、その先にある小さな肩によって、
子供がぬいぐるみを振り回して遊ぶように軽々と黒板に叩き付けられたのだ。
 それで、勝負はついた。話にもならなかった。近付かれての奇襲。その上、場所が悪すぎた。少女の能力は強力だが、
引き絞った“閃光”は貫通力が高すぎ、拡散させて放つ“雷”は余波が大きすぎる。周囲を巻き込まないよう戦えば、動き
が大幅に制限されるのは当然だ。だが、そうせざるを得なかった。自分が彼らを傷つけるなんて、出来る筈がなかった。
 《ワーディング》――オーヴァードの体表から散布される特殊な化学物質の結界に囚われて、彫像のように身動きを
止めたクラスメイト達を。

 力尽きて項垂れた少女は、にィと口の端を吊り上げる白衣の女を見た。
 生物室の教壇の上、磔にされた女子生徒は、さながら教材か何かのようだ。虚ろな生徒達の目が、揃って彼女を注視
している。長く靡いた、髪質の細いブラウンの髪。華奢な四肢。瞳を濡らす涙と口元を汚す血泡がなければ、“人形めいた”
とでも形容するべき硬質の細面。だらりと全身の力を抜いて呻き声すら上げられずにいるその様は、そうでなくても人形
じみている。
 細い喉を締め上げる白衣の女は――笑っていた。
「随分呆気なかったわね、“白き閃光”」
 言いながら、少女の左腕を右手の指で刺し貫く。濡れた音。教壇に鮮血が散り、少女の肘は半ば切断された。
 激痛に瞠目し、びくんびくんと痙攣する小さな体躯。ショックと酸欠で、顔色は青に染まりつつある。
「あらいけない、気絶させては元も子もないわね」
 と、女は腕を一振りし、“白き閃光”を教壇へ投げ出す。同時に右手を緩めて血管と気道を解放する。
 げほ、げほと大きく咳き込み、少女は反射的に酸素を貪った。トびかけていた意識が戻ってくる。
(な、にが……)
310異能の指先妄想:2005/09/27(火) 03:03:58 ID:a0sgnLbT
 何が起きたのだろう、と、彼女は思考した。敵に襲われた。それは分かる。けれど、この女は味方ではなかったか。この
高校の生物教師で、イリーガルエージェント、コードネーム“紫紺の華”。学者肌で少々突飛な言動を見せるけれど、本当
は思慮深くて、ナイーブで、優しい女性。クラスメイトとの付き合い方に悩んでいた少女に、一緒になって悩んでくれた人。
 その人が……いつものように教卓に立って授業を始めて、教科書を読み上げて、丁寧に内容を補足しながら板書して、
それを皆が自分のノートに書き留めて……何気なく教壇を下りて、少女の隣に立った。
 異変は瞬時に起こった。教室中に《ワーディング》が散布され、「え?」と思った瞬間には、女の指が振り下ろされていた。
正しくは指の尖端から肉を食い破って突き出た骨の刃が。
 咄嗟の動きが遅れた。それが致命的だった。電場を操って空中に逃れられればまだやりようはあったのに、傷つけては
いけない障害物だらけの教室で格闘に持ち込まれてはなすすべがなかった。
「あ、なた、は……」
 回復した声帯を震わせて、囁くほどの声で、少女が言葉を紡ぐ。
 呼吸と共に、その両眼に光が戻っていく。鋭利に輝く、怒り。
「せん、せいを……どうした、の…ッ」
「さァ、どうしたと思う?」
 エグザイル・シンドロームには、他者の姿を写し取るエフェクトがある。少女のマシンのように冷静な部分は初撃でその
ことに思い当たっていた。“紫紺の華”は《骨の武具》を使えない。ただ、そこへ覆い被さった暖かな何かが理解を拒んだ
のだ。彼女の姿をしたものが自分を攻撃したということを。それが一瞬の混乱を産み、隙を生じた。
「貴方ならどうする? こんな風に姿を変えて誰かと入れ替わるなら。そしてその誰かが、自分にとってとても危険な“敵”
だとしたら……」
 彼女そのものの声で、彼女そのものの口調で、教えを請うても答えを教えてはくれず、当人が考えるようにとやんわり
距離を置いてきたように。
 次第次第に明瞭になっていく思考は、即座に最悪の可能性を導き出した。
311異能の指先妄想:2005/09/27(火) 03:04:39 ID:a0sgnLbT
「う、あああ、あああああ……ッ!!」
 ばし、ばし、と総身の神経が火花を散らした。大きく背を仰け反らせ、目の端から苦痛のためだけでない涙を流しながら、
少女は喘ぐように慟哭した。瞬転、双眸に凄絶な殺気を宿して、少女の右腕が弾けた。
「あああああ――ッ!!」
 不自由な姿勢から振り抜かれた拳が女の顔面を叩き、スパークが両者の皮膚を焦がした。けれど女は少女の首を抑え
たまま、微動だにしない。笑みを消してすら、いない。
「知っているわ……貴方の能力。体内電流をコントロール、収束して放つ荷電粒子のレーザービーム。威力は大したもの
だけれど、それだけのパワーを生み、かつ完全に制御するのは難しい……貴方のレネゲイドは左腕に器官を集中、全身
の他の部位を補助に回すことで、体を連動した砲台のように機能させ、問題を解決させている。
 だから左腕さえ壊してしまえば、ろくに放電ができなくなる……でしょう?」
「なん、で……」
「なんで知ってるか? ふふ、今朝方訊いたの、“紫紺の華”当人からね」
「……!!!」
「あら、怖い目。でも安心なさい。彼女は涙を流して喜びながら教えてくれたわ。貴方も……そうなる」
 女の手が、するりと動いた。喉を撫でて、うなじを掬い上げる形に。
 何を、と訝しむ暇もなく、迫ってきた女の口が、“白き閃光”の唇に食らいついていた。
312異能の指先妄想:2005/09/27(火) 03:05:42 ID:a0sgnLbT
以上、お粗末。
313名無しさん@ピンキー:2005/09/27(火) 17:33:03 ID:M40qUQw3
乙。
異能の指先→擬態の仮面のコンボか、邪悪な奴め。
エグザイルエフェクト総動員してエロくやりそうな次回に期待。

そういや、白き閃光はブラックドッグも取ってたな。
やりすぎると引く人が出そうだが個人的に異世界の因子も期待してみよう。
314名無しさん@ピンキー:2005/09/27(火) 19:48:07 ID:ZCkEVMMF
エグザイルはエロエフェクト満載だとは以前から言われていたが、
SSになるのは初めての気がするな〜〜。

GJ
315名無しさん@ピンキー:2005/09/27(火) 20:40:47 ID:4teo1UAv0
激しくGJ
316名無しさん@ピンキー:2005/09/27(火) 21:04:54 ID:3+GOkfYc0
GJ〜
さらにここに疾風の一撃が乱入希望
317戦士×監視者+α中編1/5:2005/09/28(水) 19:24:44 ID:YTKOlQw7
 あとは堰を切ったように。情愛の淵へと雪崩れ込む。
 たどたどしい、下手なキス。貪るような、噛み付くようなキス。一所懸命な
キス。甘い甘い、キス。
 腕を背中に回されて。抱き締められて、横たえられる。淡い黄色のシーツ。
彼のにおいがするベッド。二人分のあたたかさを感じながら、ボクは天井を背
にした彼を見上げる。ボクの視界の中、興奮ゆえだろう、心なしか紅潮して。
緊張しているのか、とても生真面目な顔。
 こわい。
 死神として、死を望む者に、あるいは死に怯える者に抱かれた憶えなら数え
切れないほどある。中には彼のように不慣れな者もいた。強姦まがいの乱暴者
すらいた。それでもこの行為が『こわい』だなんて、思ったことなどなかった
のに。
 なんて、こわいのだろう。
 見知らぬ場所に、一人きりで放り出されたような頼りなさ。
 こわくて、不安で、それなのにどうして。
 こんなにもいとおしいのだろう。
 こんなにも嬉しくてたまらないのだろう。
「この部屋、寒いか?」
「え?」
 寒くなんかない。身体の奥から、むしろ熱いぐらいだ。
 彼が心配そうに言う。
「お前、ちょっと震えてるだろ?」
 ああ。そうか。わかった。
 ボクは、こういう行為は初めてではない。むしろ経験豊富と言えるだろう。
 だけど。
 恋しいひとに、自ら望んで抱かれるのは。
 本当に、これが初めてのことなのだ。
「寒いわけではないよ。……けど、」
 ボクは彼に両手を差し伸べた。
 素直な、想いが口をついて出た。
「ぎゅって、して……」
 抱かれて、縋って、縋りついて。
 離さないでとボクは祈った。
 ボクは不幸をもたらす者。不吉の先触れ。最凶の死神。
 祈りは届かない。願いなど叶わない。奇跡なんて起きない。そんな『当たり
前』のこと、知りすぎるほど知っていながら。
 ボクは祈る。願いが叶いますように。奇跡が起きますように。
 ずっと。ずっと。
 彼と一緒にいられますように……!
―――
318戦士×監視者+α中編2/5:2005/09/28(水) 19:26:38 ID:YTKOlQw7
 あの頃のボクは知る由もなかったけれど。
 やがてボクは出会うことになる。叶わぬ願いなら叶えればいい、絶望の未来
なら打ち砕けばいい、と明るく笑い合う兄妹に。
―――
 彼は手を伸ばし、作りつけの棚から取り出した新品の紙箱をがさがさと開け
る。この状況で、中身は見なくともわかる。
 今日のために、……なんて自惚れ過ぎだろう。きっと誰か他のひとのために
買い置きしてあったのだ。ちょっとだけ、……ばかなことだけれど、ちょっと
だけ、胸が焦げつく痛み。
「何だよ、何か変か?」
 無自覚のうちに、ボクはじーっと見入ってしまっていた。
「別に。ただ、君はそんな物を使うのだなと思って」
「普通だろ。このくらい」
 子供なんてできるわけないのだから、好きなようにすればいいのに。言おう
と思って、やめる。何故か、その事実は彼を悲しませるような気がして。
 代わりに言う。冗談めかして。
「性病予防かい? 信用ないのだな」
「そういう問題じゃねぇだろう?」
 真面目で。生真面目で。融通の利かない男。
 ふと、いたずら心が起きる。
「ボクが着けてあげようか?」
「いっ?」
 気圧された顔が、かわいい。
「ほら、貸したまえ」
「い、いいって、自分でやるから、うわ、よせ、こらっ」
 ベッドの上で、暫しの揉み合い。結局はボクが折れて、彼は自分で着けるこ
とになった。ベッドの端に座って、ボクに背を向けて、ごそごそしている。
 その背にボクは寄り添う。広くて汗ばんでいて、頬を寄せると少しひんやり
した感じ。
 いつも誰かを護っている背中。いつも誰かを庇っている背中。
 いつも誰かを支えている背中。
 傷つき、疲れて、たとえ死しても、きっと、それは変わらない。
 頬を添えたまま、そっと撫でる。いたわりの気持ちを込めて。
 憧憬を、込めて。
 恋に落ちた、あの日から。ボクはずっとこの背中を追いかけている。
 いつかは追いつきたい。いつかは君の隣を歩きたい。
 たとえ叶わぬ夢だとしても、夢見るぐらいはいいだろう?
「……何でお前はそんな」
 こちらを向いた彼が、苦い顔をしている。
「オレのこと、誘惑ばっかするんだよ」
319戦士×監視者+α中編3/5:2005/09/28(水) 19:27:37 ID:YTKOlQw7
 誘惑ばっか? 何のことだ? ボクが誘惑めいたことを口にしたのは、今夜、
それも先程の台詞が初めてのはずなのだが。
「あ、いや、お前にその気はないのかも知れねぇけど、オレが勝手に誘惑され
てるだけなんだろうけど」
 再び押し倒される。先程よりは、強引に。
「言っとくけどな、オレは今日が初めてなんだからな、上手くできなくても、
歯止めが利かなくなっても知らねぇからな!?」
 語気強く。照れながら。ちゃちな見栄を張らない、その正直さが大好きだ。
「いいよ」
 ボクは自分を明け渡す。
「君の好きにして」
 すぐにでも侵入を開始しようとして、彼は思い出したように、先に口づけを
くれてから、ゆっくりとボクの中へ入ってきた。
「ふ……ぁ」
 自分の中が彼のもので満たされる充足感。
 奥まで届いて、その頃には彼の呼吸は荒れて乱れて狂おしいほど。
「お前、さ」
 浮かされたような瞳で。喰い入るようにボクを見つめて。
「なんか……すごく綺麗、だな」
 頭の中がオーバーヒート。カッと熱くて、ことばが全部とろけてしまう。よ
うやく返せたのは、こんなつまらない一言だけ。
「ば……ばかっ、変なこと、言うなっ」
 だのに彼の笑顔は、やけに誇らしげで。なんだか負けたような気がして、そ
の悔しさが心地よくて。
 素肌と素肌が重なり合って、やがてボクらは一つのリズムで動き始める。
 音も。においも。感触も。
 全てがボクを彼に縛り付ける。
「あっ……や……ぁっ!」
「嫌、か? 嫌って言ったのか?」
 彼の愛撫に独占され。
「違、もっと……もっと優しく……っ」
「……悪ぃ、止まれねぇ……お前、可愛、すぎて……畜生っ」
 彼の眼差しに支配され。
「ぅあ……オレ、イき、そ……っ」
「っは…………!」
 彼の熱情に征服され。
 ボクには、それが何よりの幸せに思えた。
―――
320戦士×監視者+α中編4/5:2005/09/28(水) 19:28:59 ID:YTKOlQw7
 ボクとレンは同じ歴史の監視者だが、その能力は微妙に異なる。たとえば空
間跳躍。レンは、特別な唯一の例外を除いて他人を連れて跳ぶことができず、
誰かに身体のどこかを掴まれているだけでも跳躍に失敗する。その意味で、レ
ンはボクより跳躍能力に劣るのだ。
 また、レンは最悪の結末を示す予言を専らとし、ボクは死を確約する告死の
力が強い。ボクらの出現は不吉の兆し、誰もが自身を試される物語の始まり。
だけど、如何に可能性が低くとも回避し得る不運と、回避し得ない不幸とでは、
それをもたらされた者の受ける印象は完璧に異なる。
 パートナーとしてどちらが役に立つか。
 共に生きるならどちらか。
 考えるまでもなくレンの方だろう。自分一人しか運べずとも、ほぼ自由自在
に跳べることには変わりない。それになにより、何か悪いことが起きると予め
わかって、一緒にそれを変えていくことができるのだから。
 だのに何故、彼は死そのものであるボクを、パートナーとして選んだのだろ
う。不幸それ自体であるボクと、共に生きようとするのだろう。
「君は監視者のどこが好きなのだ? 監視者のどこに惚れたのだ? 何で好き
になったのだ?」
 あれは初めてレンを戦士に引き合わせたときだった。少し話しただけで彼の
人となりをざっくりと把握したらしい彼女は、こういうことを訊いても彼なら
怒らないとふんだのだろう、遠慮も物怖じもせず、初対面の彼を質問攻めにし
た。
 傍にいながら、ボクは敢えてレンの不作法を止めなかった。彼女の質問は、
ボクの疑問でもあったから。
 幼稚園児が駄々をこねるように、教えてくれ教えてくれと散々にせがまれて、
彼は心底窮したに違いない。ややあって、開き直ったように彼は、きっぱりと
答えた。
「一目惚れだ。理由なんて後付けだ」
 ああ、もう、馬鹿だ。世界で一番の馬鹿だ。
 地球ドミニオン広しといえども、古今東西、彼を超える馬鹿はどこにもいな
いに違いない。
 レンは自分が言われたみたいに嬉しげに赤くなって、あんなこと言ってるよ、
あんなこと言ってるよぅとボクを掴んでガクガク揺さぶった。君なんかよりボ
クの方がよっぽど気恥ずかしいんだけどな、と他人事のようにうつろな気分で、
やけに晴れあがった空をボクは眺めていた。
―――
 目覚めると、彼の寝顔。
 狭いベッドで、抱き締められたまま、ボクはうとうとしていたらしい。
 こんな体勢で、彼はよく熟睡できるものだ。くーくーと、深い寝息を立てて
いる。まあ、それも仕方ないかも知れない。ボクは途中で“私”と切り換わっ
たから。荒事に慣れた体力自慢の彼も、流石に疲労困憊したのだろう。
321戦士×監視者+α中編5/5:2005/09/28(水) 19:30:16 ID:YTKOlQw7
 半魔であるボクの、大雑把に言って“ボク”は人の側面、“私”は魔の側面
である。だから、というわけでもないのだが、“私”にはやることなすこと容
赦というものがない。“私”が彼に何をしたのか、記憶を辿って……自分でも
わかるくらいに赤面する。あのさ、初めての夜なのだから、もうちょっとこう、
お手柔らかに『致す』べきだったと思うぞ、“私”……。
 彼を起こさないように細心の注意を払って、ボクはベッドから抜け出した。
 目を落とすと、ボクの胸に刻まれた所有の印。愛が目に見えるものなら、こ
れはその欠片だ。
 ずっと……彼のものでいられたらいいのに。
 今回の『物語』も、そろそろ終わる。ボクは活動休止状態に入り、この空間
上には存在しなくなる。次にボクが現れたとき、この印は消えてしまっている
だろう。勿体ないけれども。
 藍紫の衣を自動的にまとって、ボクの視界から彼が、彼の部屋が消えようと
したとき。
 いつの間に目を覚ましたのだろう、半身を起こして彼は、少し笑ってボクを
見送っていた。
「また、な」
 ボクは。
 微笑えただろうか、最後に。笑顔を彼に残せただろうか。
 ――また、な。
 その言葉を胸に抱いて、あまりの幸せに泣きそうな気持ちで、ボクは活動休
止状態に入った。
―――
322戦士×監視者+α中編:2005/09/28(水) 19:31:10 ID:YTKOlQw7
 陵辱物のあとに甘々物を投下。読み手の頭が混乱するかな。
 残りは後編。エロは無いけど。またいずれ。
323異能の指先妄想:2005/09/29(木) 02:56:05 ID:JuYAf7m4
レスくれた方々にTHX。
ただこのSSは、当初の予定通りダーク陵辱路線を目指してひた走るつもりデ。
……赤点男で駄目彼氏な“疾風の一撃”と優等生でクラス内では“疾風”のお目付け役が定着した“白き閃光”のベタベタな話
とかいうのもいいなあと思うが、ここは一つ。

>>317
GJ。純愛GJ。そして直後にやはりこんなんでスマソ。


 ずるり、口腔に濡れた舌が滑り込んでくる。咄嗟に噛み千切ろうとするが、女の舌は異様な弾力で咬撃に耐えると、食い
しばられたままの少女の歯をものともせずに強引に滑り込んできた。エグザイル・シンドローム発症者の能力――肉体の
変異強化が、この女の場合は舌にも発現しているのだ。絡みついてくる。根本から締め上げられる。未体験の異様な痛み
に、少女はくぐもった唸りを上げた。非力な右腕で懸命に女の髪を掴み、引きはがそうとした。女は意に介さず、柔らかな
口唇をぐりぐりと押し付けながら少女の舌を締め上げた。
『初めて?』
 舌を絡めたまま、女は言った。いや、言ったように錯覚した。声帯で喉を振るわせたのではなく、ありもしない声のイメー
ジを感じて、それが耳からのものだと脳が勘違いしているのだ。幻覚剤による意思伝達――ソラリス・シンドローム発症者
の能力にそういうエフェクトがあることを、少女は思い出す。
『キスは初めてか、って聞いているの』
 舌の裏をぬるりと粘性の肉が這い、小ぶりな唇をねぶられる。ぞくりと得体の知れない何かが背を伝い、頭がかっと熱く
なった。視界いっぱいに広がる、女の瞳――
(キ、ス……)
 馴染みのない言葉だった。使ったことのない言葉。どこか遠い、ガラス窓一枚隔てた場所にある出来事だと思っていた。
 それが今、唐突に暴力的に目前へ引き出されている。きぃんと耳鳴りがして、気が遠くなる心地だった。濡れた肉が休み
なく蠢いて口内で互いの唾液を混ぜ合わせるたび、頭の中も同時に掻き回されているようだ。
『その様子じゃ初めてみたいね。ふふ、なら、うんと丁寧にシテあげる』
 ぬるり。一際丁寧に舌全体を舐められ、味蕾一つ一つに唾液を擦りつけられる感触。仄かに甘ったるい味。ぞくり。また
背筋が震えて、「んっ」と鼻から息が抜ける。それに気をよくしたのか、蠢きはそれまでに増して激しく執拗になる。口いっ
ぱいに広がる芳香。それが舌を伝って垂れ落ちてくる唾液の匂いだと気付いた時には、“白き閃光”の体はどうしようもな
く侵されてしまっていた。
 頬が、熱い。赤面しているのが自分でも分かる。心臓が早鐘を打っているのは、“先生”を害した敵に対する憎悪だけで
はない、肉体がどうしようもなく高揚している。肉体の最奥が疼き出し、肌と服が擦れ合う感触までもが怪しく神経を撫で
始める。
324異能の指先妄想:2005/09/29(木) 02:57:52 ID:JuYAf7m4
(ソ、ラリス、シンドローム…のぉ……っ)
 少女の小さな口腔を貪る口付けは、徐々に徐々に確かな悦楽をもたらしつつあった。女の唾液腺で精製された薬物が
塗りつけられ、粘膜を弄ばれるそのことが、否応ない快感となって少女をとろかしていく。しなやかな背中がひくんひくん
と反り返り、強く閉じられた瞼からは涙の粒が落ちた。重ねられた二人の口元を、零れた唾液が濡らしていく。
『良い感じ……ふふ、貴方、自分がどういう呼吸をしているか分かる? はふ、はふ、って可愛い息遣い……眉もきゅっと
寄って……目もうるうる』
 嘲笑う《声無き声》が、瞬間、ハッと正気を呼び戻した。このままではいけないという危機感が冷水のように酔いを醒まし、
デタラメに四肢をもがかせる。皮一枚で繋がった左の二の腕が激痛を訴えるのがいっそ有り難い。肩をぶつけ、何度も
女の顔を殴りつけ、自分のそれもろとも絡みつく舌に噛み付いた。だが女の唇は少女を捕らえて離さない。どれだけ激しく
暴れても、ゴムのように柔軟な女の身体はまるで意に介さない。
『まだ抵抗する元気があるの? 流石に精神制御訓練を積んだ“チルドレン”……と言いたいけれど』
 うなじに添えられた女の左手が、そっと動く。
 人差し指から、針状に変異した骨が突き出す。
『無駄なのよね、コレには』
 遊ばせていた右腕が俊敏に少女の背を抱き締めた。再生途上の肋が軋むほど強く。
 抵抗が止んだその一瞬に、女は頸骨めがけて針を突き入れていた。
 ちくりと鋭い痛み。一呼吸の間を、置いて――
「んっ、んんんんーーーーっ!!!」
 絶頂が、少女の奥を焼いた。きゅぅっと子宮が捻れ、零れた粘液が下着を汚す。電気ショックを受けたように大きくのけ
ぞって胸を突き出し、びくびくと痙攣する。女はだめ押しとばかりに舌を舌で捻り潰し、濃厚な薬物をたっぷりと経口で流し
こんだ。くしゃくしゃに怜悧な顔を歪めて、少女は口を塞がれたまま噎び泣いた。
325異能の指先妄想:2005/09/29(木) 02:59:04 ID:JuYAf7m4


「ぷはぁっ」
 ――妖しい香りが満ちる中、震えの収まった“白き閃光”の唇を、女はようやく解放した。どろりと濃い唾液が二人の舌先
で糸を引く。放心状態で切なく喘いでいる少女は、既に身体の奥から新たに湧き上がる熱を感じつつあるようだ。
 女の左手指は、いまだに少女の頸骨に繋がっている。
「脳神経に直接、私の神経を差し込んだわ。ふふ。頭が真っ白になったでしょう。ただ差し込むだけだとショックで狂って
しまうから、たっぷり準備運動をした後にエクスタシーを与えてあげながらするの。そうすると上手くいくのよ……ああ、
聞こえていないかしら」
 うっとりと瞳を濡らしながら、女は右手を一閃する。鋭利な骨刃がブレザーの襟首から裾までを正確に裂いた。小ぶりな
乳房を包む下着もろともに。興奮で薄桃色に染まった、きめ細かな肌が露わになる。
「ふふ……さて、これからが本番、よ」


 続きはまた近日中に。お粗末。
326名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 03:32:51 ID:tdHOfOJL
えろーす!
GJ。
エグザイル/ソラリスか、いぢめっこに特化してるなあ。
続き楽しみにしとこう(w
327名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 20:04:00 ID:4oT2s2Sg
なんだこのダダ甘と激辛のコラボレーションw
両人GJ!
328名無しさん@ピンキー:2005/09/30(金) 01:26:46 ID:Rl0+n1oS
それはあたかも本格インドカリーとラッシーの如く。
お二人ともぐっじょぶです。
329名無しさん@ピンキー:2005/09/30(金) 23:26:15 ID:5iVzvebD
アリシアン独白の作者です。
素でスレ間違えてたのに今日気がつきました…orz
すいません、あっちに書き込みますので、続きを読まれたい方は良かったらswスレを覗いてみてください。
330いつも中の人:大まとめ感想篇:2005/10/01(土) 00:01:23 ID:bCqaIF/+
>228-229,>238-240
 唐突に出て来るロンギヌス00のエピソードに「?」となった直後、これが
伏線として消化される辺りが秀逸だと思いました。

>242-245
 ファイヤーワークス楽しすぎと思いました。

>246
>腎虚で死亡判定
 笑いました〜。

>247
>そしていつしか、私は自分から腰を振って
 妄想もそこまでたくましいと芸だなと思いました。

>251
 ここぞとばかり、ヴィオが柊をミッドガルドへ連れ去ったのかと思いました。

>253
>しかし、回りこまれた!
 ドラクエ4コマのノリだと思いました。

>269
>調整されつくされて絶好調の身体を存分に持て余すヴァルキリー
 その状況下で新たなマスターにもやっぱり放置プレイされ、より一層身悶え
するのだろうと思いました。

>283
 特にうちの旦那に大ウケでした。

>287-291
 続きを期待してSWスレもチェックするようになりました。

>309-311,>323-325
 本格的だと思いました。

>赤点男で駄目彼氏な"疾風の一撃"と優等生でクラス内では"疾風"のお目
>付け役が定着した"白き閃光"のベタベタな話
 でもって個人的にはこちらが楽しみ。
 なんか上の方で召喚呪文が唱えられているようだし、久々にDX無印で考え
てみようかとも思いつつ。
331戦士×監視者+α後編1/5:2005/10/01(土) 00:08:06 ID:bCqaIF/+
「『君の命と引き換えに、全世界が救えるとしたら』?」
 面白い問い掛けだね、と考え深げにレンは言った。ボクは話を続ける、
「『もしそんな選択肢があったら、君はどうするのかな? 救うの定義は任せ
よう。君の望む形になるものとする』
 ボクがそう尋ねると、彼は即座に答えた。
 『死ぬだろうな』
 それからこうも付け加えた。
 『それなら安心して、オレはオレのいない明日の為に死ねる。オレは弱いん
だ。自分の痛みは平気だ。我慢が効く。だが他人の痛みは見ているしかできな
い。だから自分が傷つこうと思う。そいつはエゴなのかもしれない。でも、そ
れでもオレは、ひとの笑ってる顔の方が好きだからな』」
「へーえ」
 感心したのか、呆れたのか。
「ハガネとは考え方が全く違うのだな」
 ハガネ。レンの兄。戦士と同じく正義の味方を標榜している、自他共に認め
るヒーロー。
「君の兄上なら、死なないと答えるかい?」
「てゆーかきっと、根本的にその問い掛けが間違っていると答える」
「……というと?」
「ハガネは、誰か一人の命と引き換えに救わなければならないほど、この世界
が酷いものだとは思っていない。そんな阿呆な世界なら、わたしだって守ろう
などとは思わない。いつだったかハガネが言っていた、皆が頑張って支えてい
る世界の、ちょびっと綻びて、ちょびっと繕いにくいところを何とかして繕う
のが、ヒーローの、俺の役割だよ、って」
「そうか」
 戦士は世界を悲観的に捉え、ハガネは世界を楽観的に捉えている。であれば、
同じ問い掛けに対する答えは自ずと異なるし、そもそも同じ問い掛けをするこ
と自体に意味がない。
 ただ、今の世界に対する姿勢がどうあれ、未来に希望をいだき、幸せな明日
を信じていることに違いはなく、だから彼らは正義という名の概念に味方し、
今までもヒーローであり、これからもヒーローであり続けるのだろう。
「好奇心から訊きたいのだが、彼は……鋼の戦士は、正義を、『悲しいことの
真逆』『誰も泣かないで済むような、そんな概念』と位置づけている。君の兄
上は、正義をどのように考えている?」
 レンは口元を笑いの形に曲げた。
「正義って何だ、とハガネに訊いたらビデオを貸してくれた。とりあえずこれ
で勉強しろって、『ウルトラマン』と『仮面ライダー』と『ギャバン』と『ガ
オガイガー』と『魔方陣グルグル』と『はれときどきぶた』と」
332戦士×監視者+α後編2/5:2005/10/01(土) 00:09:31 ID:bCqaIF/+
 それはまた実に具体的な回答だ。てか最後の方は正義とどう関係するのだ。
勉強と称して、妹を自分の趣味に染めているようにしか見えないのだが。
「随分と英才教育を施されたものだな?」
 皮肉を言ったが、通じなかった。
「シーボーズと矢玉アナがいっとー好きっ」
 これらを通読、もとい通視聴して、迷子の怪獣とツッコミお天気お姉さんに
のみ共感しているようでは、正義の英才教育としては失敗だろう。
「冗談は置くとして、ハガネは言っていた。『正義ってのは、どうしても譲れ
ない、譲っちゃいけない一線のことだよ』。わたしは訊いた、ではその一線は
どこに引いてあるのだ? ハガネは答えた、『愛とか夢とか勇気とか希望とか、
在れば生きていけるってわけじゃないけど、無いと生きてはいけない、そうい
うもののところに、だな』」
「ほう?」
「つまり正義の味方というのは、心の一線の味方なのか? と訊いたら、」
 多分、そのときの彼の真似なのだろう、茶目っ気たっぷりに片目を瞑って、
ボクの眼前に拳を突き出して。
「『正義の味方っていうのは、悲劇の明日を破壊する、俺の拳のことさ』」
 なるほど。楽天的な彼に相応しい回答だ。
 ところでお話の続きは? と先を促されて、ボクは言を継いだ。
「『で、それで君は満足なのかな? 誰一人君の為した偉業を知らず、そうし
てのうのうと続いていく世界に満足できるのかな?』
 彼の答えはこうだった。
 『知って欲しくてするわけじゃねぇ。幸せになって欲しいからするんだ。そ
れにな、お前がいるだろ。お前がいるだろう、歴史の記録者。どんな場合でも、
お前だけは知っているはずだ。オレが何のために死んだのか』」
 レンは大口をあんぐりと開けて、は〜、と長い長い溜息をついた。
「知って欲しくてするわけじゃないって、幸せになって欲しいからするんだっ
て、そんなこと言って、その舌の根も乾かないうちに、お前だけは知っている
はずだ、オレが何の為に死んだのか、って……何なのだそれは。矛盾している」
 どこか怒ったような風情で言う。
「知って欲しくてするわけじゃないって本気で言うのなら、幸せになって欲し
いって本当に願うのなら、戦士の望む理想の『明日』、『救われた世界』から
は、戦士に関する記憶、戦士が生きていた証、全てを抹消しておくべきだ」
 違いない、とボクは思う。世界のために、いや、世界のためでなくてもいい、
誰かのために、何かのために、あるいは単なる犬死であれ、死んだあとに遺さ
れた者の悲しみや重責を、彼はわかっていないのだ。……これっぽっちも。
 レンは更にずけずけと感想を述べる。
333戦士×監視者+α後編3/5:2005/10/01(土) 00:10:41 ID:bCqaIF/+
「『自分の痛みは平気だ。我慢が効く。だが他人の痛みは見ているしかできな
い。だから自分が傷つこうと思う』。戦士が口にする痛みや傷は、要するに、
肉体的なもの、彼の眼に見えるものでしかないのだな。彼に見えない傷、彼に
感じられない痛みは平気なのだ。自分が死んだあとのことは自分には見えない
から、遺された者がどんなに傷ついても悲しんでも平気なのだ。戦士が傷つく
ことで、監視者が苦しんでも平気なのだ。だって彼には見えていないのだから。
見ようともしていないのだから」
 感想、否、それは糾弾の語調。
「よくもそんな男と一緒にいるものだな、君は?」
「違う!」
 考えての台詞ではなかった。ただもう、矢も楯もたまらなくて。
「違う、そうじゃない。彼は馬鹿だけど、本当に馬鹿だけれど、でもそれだけ
じゃない。それだけじゃ……」
 言葉が上手く見つからない。どう言えば伝わるのかわからない。だけどそれ
でも考えた、このままでは彼が誤解されてしまうから。
「馬鹿で愚かで救いようがなくて、だけど彼は……、だからこそ彼は……、」
 迷って、躊躇って、やっと口にできた言葉は。
「尊敬すべき馬鹿、愛すべき馬鹿なのだ」
 数分、否、数秒の沈黙。そして。
 にっまぁ〜っ。
 レンが大きく相好を崩した。してやったり、とゴシック体の書き文字が背景
に現れんばかりに。
「君が取り乱すところなんて、初めて見た」
 誘導尋問……!
 ボクに思い切り殴られた脳天を擦りながら、レンは器用にも、おなかを抱え
て大いに笑い転げた。
「それでも好きなら、そんなにも好きなら、馬鹿とか何とか言わないで、馬鹿
なんて言葉で誤魔化していないで、ちゃんと『大好き』って言えばいいのに。
好きなものは仕方ないって、諦めて素直に『大好き』って言えばいいのに」
 まったく。なんて生意気な子だろう。
 笑いすぎで涙を流しながらレンは続ける、
「前にハガネが言っていた、人を馬鹿だと言う奴は、自分の方がよっぽど馬鹿
なんだぞ、って」
 言外に、戦士を馬鹿だ馬鹿だと断じるボクの方が、戦士よりよっぽど馬鹿だ
と含ませている。流石にムカついたが、……認めざるを得ないのは、確かなよ
うだった。
「ボクがどうあれ、彼が馬鹿であることには言を待たないだろう?」
 素っ気なく言い放ったボクの台詞に、レンはふるふると首を横に振った。
334戦士×監視者+α後編4/5:2005/10/01(土) 00:12:06 ID:bCqaIF/+
「そんなことはないぞ? だって、そんなにも君に好かれている彼が、馬鹿の
わけないではないか」
 真っ直ぐで、何の衒いもない、下手すると根拠すらない、それは信頼。
「ちょびっと言葉が足りないだけで、表に現すのがほんの少し下手なだけで、
きっと彼はちゃんとわかっている。遺される者の傷も痛みも、監視者の苦しみ
も、わかっていて、それでも、やらなければならないときには死を賭してでも
やり遂げる。そういうことなのではないか? だから監視者には、監視者にだ
けは、オレを信じていて欲しい、支えていて欲しい。戦士は、そう言いたかっ
たのではないか?」
 レンは予言者だから、自分の予言を読み解くためにも、言葉の深読みが好き
なのはわかる。
 だけど、どうしてそんな風に、良い方へ好い方へと解釈できるのだろう。
 照れくさくなるほどの、羨ましくなるほどの、嬉しくなるほどの。
 あたたかな感情。
「今日も面白い話をどうもありがとう。本当に、ご馳走様でした」
 ご馳走様、は手土産のクッキーをいただいたボクの台詞であるはずだが、レ
ンのいう『ご馳走様』は、食べ物をいただいたことに対するものではない。
 ああもう、まったくこの子ときたら。
「いつか、ハガネと戦士を会わせてみたいな」
「そうだな」
 レンがハガネと二人連れで来た最初のときは、戦士と顔を合わせる機会がな
かったのだ。でも、それで良かったのかも知れない。何となく、戦士とハガネ
の二人には接点がないような感じがする。全く同じものを、全く別の側面から
見ている者同士であるがゆえに。
「まあ、彼らはあまりウマが合わないのではないかという気もするけれど」
「そうか? 直情径行二人揃って、世界の果てまで爆走しながら、途中で困っ
ている人に出会っては手助けの旅、って風になりそうでとても面白げだぞ」
 ……やたらリアルに想像できた。やっぱり会わせない方がいい。
「そろそろ出番だ。残りは戦士と分けっこしてくれたまえ」
 持って来た大量のクッキー、まだたっぷり9割方は残っているのに、そのま
んま置き土産にして、芝居がかった一礼の後、空間跳躍、レンは消えた。自分
の街に帰ったのだ。
 やれやれ、とボクはクッキーをラッピングし直した。
 ボクの方ももうすぐかな、と思っていると、ふいに視界が切り替わった。あ
あ、跳んだな、とわかる。そこはボクが今までいたビルの、カウンターウェイ
トに設けられたアレナ。
 多勢に無勢、魔獣の群に、臆することなく歩み寄る彼の背中にボクは声を
掛ける。
「行けば、また深みに嵌るよ」
 聞かずとも返答はわかっている、『それがどうした。いつものことだ』。
335戦士×監視者+α後編5/5:2005/10/01(土) 00:12:51 ID:bCqaIF/+
「それがどうした。いつものことだ」
 ほら、ね。
 死神に一目惚れした男。死神に一目惚れされた男。
 今日も彼は生き残るだろう。死ぬのはボクが許さない。
 そうしたら、帰ってクッキーを食べよう。一人でも狭くて、二人ならもっと
狭くて、けれどどこよりも落ち着くあの部屋で。
 世界で一番の馬鹿と、その馬鹿が大好きな馬鹿との二人で。
 二人でクッキーを食べよう。
336戦士×監視者+α:2005/10/01(土) 00:13:28 ID:bCqaIF/+
 ・・・・・おしまい。

 以上、レンと監視者のおんなのこなおしゃべりと、戦士×監視者の初Hと。
書きたい話が2つあって、どちらも単体ではおさまりが悪かったからクッキー
ならぬサンドイッチにした、というお話でした。
337名無しさん@ピンキー:2005/10/01(土) 00:51:54 ID:Ul4aX2cq
なんかー……癒し効果(w
それぞれのキャラの違いもよく判って良かった。
GJ!
338名無しさん@ピンキー:2005/10/01(土) 19:10:51 ID:ZfRnhil5
かわいーかわいー かーわーいーい〜〜
339名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 01:02:10 ID:8x9cZUbC
某所でベルの得ろ画像キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
340魔器人化でGO!:2005/10/02(日) 01:05:21 ID:h8cW1/V0
 柊宅。居るのは、リビングに少女が二人だけ。
「……ったく、そんなことばかり覚えてこの子は」
 2人のうち、幼い外見の少女は頭が痛い、というように頭を振る。
 11〜12歳に見えるが、その仕草は道理を知った大人のそれだ。
「えー。えー。だってご主人の役に立つッスよー」
「だーかーらー。アンタの主人は私でしょ!?」
「違うッスー。ただの本体ッスー」
 ぷう、と少女が頬を膨らませた。見た目16、7歳だろうか。
 2人はほぼ同じ、整った顔だちをしているが、こちらの方は糸のように目が細い。
「はあ、もういいわ」
 幼い少女はあきらめたかのように紅茶に口を付けた。
 と、そのときだ。
「あー平和は素晴らしい!!」
 無遠慮にドアを開けてリビングに入ってきたのは部屋の主、柊蓮司。
「あ、ご主人ッスー。おかえりなさいー」
「遅いわよ、柊蓮司」
「……」

ttp://akm.cx/2d2/img/11254.png

「なにを固まっているの?」
「どうしたんスかーご主人ー?」
 口をパクパクさせる柊。
「べ、べべべ」
「ベ?」
「あーわかったッスー。べったらホラガイさんー」
「違ぁう! べ、ベルじゃねえか! しかもふ、ふたりぃぃぃぃぃぃぃッ!?」
341名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 01:07:48 ID:h8cW1/V0
はい、ここまで。
中篇を書くといっておきながら全然進みませぬ。
今回は強化人間レッツゴー三匹出てきません。

>>339
なにぃドコだ!?
つうか俺もちょっと前に新隔離で描いた記憶があるが。
342名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 02:24:58 ID:Te1aZS2d
>>340
絵まで用意するアナタを崇拝するw
343名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 02:35:48 ID:V2O+3WqY
>>340
……本体の方が (外見が) 幼いのか。
344名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 03:55:42 ID:fySr4UtP
>340
絵が見れねぇ……orz
345名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 06:28:58 ID:c9nD6W6w
>>340
何ですか、この変則的フタコイオルタナティブ。

本体より魔器の方が性格的にも外見的にも萌えな件はどうしろと。【どうもこうも】
……16〜17って事は柊と同世代だよなー。今回はそう云うアプローチ?
346いつも中の人:感想:2005/10/02(日) 08:18:57 ID:duL+xNsY
>340
 ああもうこの子は、なんでまたそんな可愛いかねぇ!
 続編期待しつつGJ〜。

 さて落とすかね。今日はこれ〜↓
347スターレジェンド:2005/10/02(日) 08:20:34 ID:duL+xNsY
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「SF分野の話題ってさ、あんまり、てかほとんど手ェ出してないよね?」
「ああ」
「スタレ辺りで何かない?」
「たとえば?」
「たとえば、>220に対する回答とか」
「ああ、寝室にいるらしいローラをダンが夜更けに盗聴してたやつな」
「盗聴ってのは人聞きが悪いよ。せめて、ローラの様子がおかしいと心配した
ダンが、マイクとスピーカを用いて無断で集音していた、とかさぁ」
「今のでどの程度フォローできたと思ってる?」
「え〜? フォローになってないかなぁ?」
「まあいい。要するに、聞かれて恥ずかしい状況を挙げればいいのだな?」
「そうそう。できればあんまりエロくなくてラブコメちっくなやつをお願い」
「芋でも食って屁ェこいていた」
「それのどこがラブコメだー!? 単なるギャグじゃないかぁ!」
「転校前にピンポンダッシュな告白をかますギャルゲで使われていたらしきネ
タだが」
「あ、ちゃんと先駆者がいるんだ、世の中すごいね。でも告白のピンポンダッ
シュってなんかヤだなぁ」
「告白のヒット・アンド・アウェイというと更にわけがわからなくなるぞ」
「いや何もワケわからなくしてくれなくていいから。もうちょっとこう、萌え
な感じのラブコメちっくなやつをお願い」
「寝苦しい夜、夢と現の端境」
「ふんふん」
「寝言でダンの名前を呟きつつ」
「うんうん」
「うとうとしながら指でくちゅくちゅ」
「おい」
「イッた自分のよがり声で目が覚めて『あ、あたしったら……!』とまっかっ
か」
「だからあんまりエロくないやつって言ってるのにぃ!」
「一人でヤるぐらい、大してエロくもなかろうが。エロくさくするなら、股間
にマタタビ酒を塗って教授に舐めさせる、ぐらいは言うさ」
「ひーっ!」
「ローラの方も下の口から酒を摂取してぐでんぐでん、酔ってなお冴え渡る教
授の舌技にもうめろんめろん」
「急性アルコール中毒になっても知らないよっ!? てかアップリフトされて
るのに、教授にマタタビって効くの?」
348スターレジェンド:2005/10/02(日) 08:21:54 ID:duL+xNsY
「知らん。俺はルールブックすら不所持だ」
「そういやそうだった」
「尤も、たとえルルブに『マタタビ無効』とあったところで何らの問題はない
のだが」
「どうして?」
「マタタビでなく、これは宇宙マタタビだからOK! と断じればよい」
「何でも宇宙を付ければSFっつって誤魔化せると思ってるだろっ!」
「何を言う。船に宇宙を付ければ宇宙船、人に宇宙を付ければ宇宙人。ほーら
SFだ」
「そんなことで騙されるもんかっ」
「そしてSEXに宇宙を付ければ宇宙SEX」
「もぉ、またそっちへ持っていくぅ」
「無重力空間におけるSEXは、まさしくSFだろうが」
「そうかも知れないけどさぁ」
「何はともあれ空中に飛び散った体液による窒息死に注意だ。放尿プレイなど
もってのほか」
「いいから話を元に戻してよぉ」
「どこまで話したっけかな? 『ローラの股間にマタタビ酒を塗って、教授に
舐めさせる』だったかな?」
「そこに戻すの!?」
「そしてローラの粘膜は、ヤスリの如き猫の舌に傷つけられて血塗れに」
「あまつさえスプラッタ!」
「応急手当パッチの減りが妙に激しい、とダンが首を傾げて、心当たりはない
かとローラや教授に尋ねることになるわけだな」
「ひどーい、ラブコメじゃないよ、ラブコメじゃないよぅ」
「寝苦しい夜、ダンの写真を抱えて溜息の繰り返し」
「い、いきなり話を変えたね? 何?」
「ベッドの上に正座して、枕の上に乗せたダンの写真に向けて」
「お」
「一人ひそかに告白の練習」
「おお〜! それだ! そのノリだよ!」
「『ダ、ダン、あ、あたし、ダンが、す……す……、
  ああーっ、ダメ! 言えない! 写真にだって言えないのに、本物のダン
 になんてぜ〜ったいに言えないよぅ!』」
「可愛い可愛い、その調子! 頑張れローラ!」
「『勇気を出すのよローラ、いい?
  ダン、あたし……ダンが、す……す……、
  すけすけぱんつ穿いてるとこ見ちゃったの!』」
「何を告白してるんだーっ!」
349スターレジェンド:2005/10/02(日) 08:24:04 ID:duL+xNsY
 ・・・・・おしまい。

 以上、>220に対する回答なお話でした。
350名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 14:30:43 ID:26ACkyhW
>>340
盛り上がってるとこ悪いが、ルール的な話を一つ







[魔器人化]で人化できるのは魔器指定された“武器”だけだぞ?(ォ
(「悪魔の蠅」は、種別:その他。“武器”ではない)

まぁ、面白いからいいけどw(ォ

>>339
ありましたね〜、ベルのエロ絵w TRPG関係のエロ絵は少ないから、
ああいうのはありがたいですなぁ(シミジミ
351名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 16:40:45 ID:Y+Qie7sM
>>339 >>350
某所がどこかおしえてくださいorz
352名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 16:52:09 ID:26ACkyhW
>>351
URL直接のせて問題ないかな?(オヒ
 っ ttp://www.ume.sakura.ne.jp/~gedou/hikaru/nanika/na34/beal01.htm
 >>339さんが言ってるのも多分此処    だと思う(汗
353340 というか強化人(ry:2005/10/02(日) 17:02:41 ID:h8cW1/V0
>>350
あー、いやそのとおりなんだけどね。
この前ウチでセッションしたときにべるぐるみをPCでやることになって、
演出としてそういった表現を用いたのですよ。
「PCならやはり人間サイズでないとエロができん。
そうだ魔器人化を拡大解釈しよう! ベルの端末だし魔王さまの魔力でなんとかなるべ(←コラ)」
今回のはそれを元ネタにしてます。
説明不足で申し訳ないです。

文句はあまりにロックンロールなウチのPLどもに言ってくれい。
俺もGMで苦労したんじゃよー
354名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 18:04:51 ID:dPzGqfak
>>353
良いビートを刻んでいるな、そいつ(PL)等。
355名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 21:14:15 ID:Zd1vJubA
でも「武器名:ベルぐるみ 武器〜相当の品」なら問題ないわけで、つまりは

ベルぐるみで戦えばいいんだ!

「ご主人〜人間形態のアタシを足もってぶん回さないで欲しいッスー」
ごちん
「おでこ、おでこイタイっすー」
命の刃、発動
「ご主人のが、流れ込んで、アツイ、っすぅ〜」
みたいな?
356戦士×監視者+α外伝1/2:2005/10/02(日) 23:53:57 ID:JksHWwAN
「嬉しいな。嬉しいな。違う『世界』の同一サンプルキャラから違う『街』の
同一サンプルキャラに設定が移って、いつでもどこでも本編でも、気軽に遊び
にいけるようになったのだ」
「畜生、何でこんなことになっちまったんだ!?」
「おいおい、何を苦悩してるんだ? 別に悩むことないじゃないか」
「お前はいいさハガネ、元々『こっち』の出なんだから。俺達は勝手に『こっ
ち』へ連れて来られて、勝手に好き放題いじり回されてるんだぞっ?」
「あのな、戦士」
「な、何だ?」
「不幸なんてモンは楽しむ以外に使い道ないんだ、悩むより楽しめー」
「不幸ってな使い道を探すようなモンじゃねぇだろ!?」
「そんなに嫌なのか。あんたがいてくれると、俺は凄く助かるんだけどなぁ」
「そう頼りにされると悪い気はしねぇが、オレが何の役に立ってる?」
「レンと一緒だと、常に俺がツッコミ役なんだ。あんたがいれば、俺もボケに
回れて実に楽しい」
「人をツッコミ専用機にすなっ!」
「大丈夫だ、あんたがボケたときにはちゃんとツッコミ入れてやるから」
「それで慰めてるつもりかっ!?」
「まあ落ち着きたまえ戦士。もう『ここ』に連れて来られた以上、諦める以外
にないことは君とてわかるだろう?」
「いやだってお前……」
「ただし、待遇の改善は要求させてもらう」
「ほほう、では中の人になり代わり、我ら兄妹がお聞きしよう」
「もう少し、原作に近づける努力をお願いできまいか。たとえばボクは、その、
こんなビミョ〜に情けない性格ではないと思うし、戦士とて、こうもツッコミ
気質で、ええと、強引えっちな感じではないと思う」
「中の人のイメージ差と、キャラ立ての問題と、エロパロ縛りという前提条件
があるから仕方ないのだ。わたしやハガネも、差別化のために割と設定を調整
されているぞ?」
「相手のいない俺や16歳までH禁止の3歳児」「3歳児ゆーなっ」「ではエ
ロ成分が皆無に等しいので、恋人同士であるあんた達がいてくれると、中の人
的には色々させることができて非常にありがたいらしいんだ」
「何をさせる気だ何を」
「あはは、そんなもの、ナニをさせる気に決まっているではないか」
「レン……君は随分とお父上に似てきたな?」
「お褒めに与り光栄の至りっ」
「褒めていない。ダメ父さんなエロ親父くさいと言っているんだ」
「だって王者が『女の子は父親に似ている方が幸せになるというぞ』って言っ
ていたのだ。だからわたしは幸せになれるのだ」
357戦士×監視者+α外伝2/2:2005/10/02(日) 23:55:48 ID:JksHWwAN
「確かに幸せだな。もう目一杯幸せだ」
「うんっ」
「……ったく、皮肉の言い甲斐のない……」
「とまれ、エロ親父くさいとまで言われてしまったので、わたしは監視者にセ
クハラをしようと思う」
「思うなっ! おい、何とかしろよハガネ、お前の妹だろうっ!?」
「何とかしろ、か。よし、やってみよう。……レン」
「何?」
「頑張れ」
「応っ!」
「煽るな馬鹿兄!」
「兄馬鹿ならまだしも、馬鹿兄だと完全に悪口だよなぁ」
「だから悪口言ってんだよっ!」
「大丈夫だ、戦士。この子のセクハラ如き、どーせお子様風味な、ど〜ってこ
とない代物に違いない」
「言ったなー? 覚悟しろー」
「具体的には何をやるんだレン?」
「監視者が主人公のバリエロなSSを、耳元で朗読してやるー」
「は、やはりその程度か。幾星霜を生きたボクが、そんな可愛らしいセクハラ
ぐらいで動じるものか」
「君ではない。戦士の耳元で朗読するのだ」
「オレかよっ!?」
「劣情を催した戦士が君に何をするかわからんぞ、どーだ怖かろー?」
「そ、それは流石に怖いなっ」
「いやありえねーから、ありえねーからそんなこと!」
「てゆーかレン、相手が戦士だと監視者は悦ぶからセクハラにはならないぞ?」
「あっ、そっか。致命的な欠陥だ、計画を練り直さないと」
「練り直してないで撤廃しろ撤廃っ」
「大体、幾ら相手が彼だとて、何でもかんでもボクが喜ぶと思ってもらっては
困る」
「そうなのか? たとえば戦士に(ぴー)とか(ぴー)とかされるのは嫌?」
「うっ」
「そーゆーこと言うのがセクハラなんだレン! 引いてるだろうが監視者が!」
「で、でもそのくらいなら、強引にセマられたら許すかも……」
「お前もノセられてんじゃねぇーっ!」
358戦士×監視者+α外伝:2005/10/02(日) 23:57:13 ID:JksHWwAN
 ・・・・・おしまい。

 以上、船中で腹を下して夜中に七転八倒しながら書いたお話でした。
359名無しさん@ピンキー:2005/10/04(火) 19:54:49 ID:iHUFxll5
>>340
ベルとはえこ(仮)は感覚を共有してるわけで。つーことはたとえばベルのオパーイを「ふにっ」としたら
二人が同時に「んっ」「はうっ」となるわけで。はえこ(仮)の足の親指の間を「くにゅ」としたら二人が
同時に「だ、だめッスー」「や・・・んっ」になるわけで。

・・・・・・期待してます。

>>347-348
それだああああっ!!(何がだ)。蛇足だが、加うるに
「ダン・・・・・・ダン!ああ、・・・・・・そんなダメッ!」

「次の即売会に出す『教授×ダン』本が間に合わない!」(そんなオチか)

>>358
や、お大事に。
つ【正露丸】
360天羅零 1/7:2005/10/05(水) 21:34:08 ID:F3aY8txN
◇鏡よ、鏡

 誰もが世界は硬いものだと信じてる。
 ……そんなコトないよ。
―――
 絶対に泣くものか、と固く固く決意したつもりであったが、一人きりになる
と、やはり泣けてきた。
 認められていると思っていた。期待されていると信じていた。
 寝所に招かれ素肌を求められたときには、愛されているとまで感じていた。
 だけど知ってしまった。全ては錯覚。わかってしまった。一人決めの幻。
「所詮戯れに拾った餓鬼よ。陰陽のなんたるか――“美”のなんたるか、真に
理解しているとは思えぬ」
 障子の向こうの酒宴。師が客に向けて上機嫌で放った言葉。客人達の、お追
従じみた笑い声。師に対する同意と、わたしに対する蔑みと。
「行く末は二流の“式打ち”だろうよ」
 機面鏡を用いて術式を組むのが式打ちであるというのなら、わたしは敢えて
式打ちを名乗ろう、その名称に侮蔑がこもっていても。
 だけど師の言葉には耐えられなかった。
 ……いや。違う。
 面白い式を打つよなと、口先一つで褒めたとて、師は本音ではわたしを小馬
鹿にしていると。わたしは、とうの昔に気づいていたのに。
 認められていると思っていたかった。期待されていると信じていたかった。
 性欲処理の道具にされても、愛されているのだと感じていたかった。
 そう、知っていた。全ては錯覚。わかっていた。一人決めの幻。
 知らない振りをして、悲しい現実から目を逸らしていた。
 それなのに、疑いようなく師の言葉として、その現実を突きつけられて。
 衝動的に屋敷を出た。荷物は少し。機面鏡だけは忘れずに。
 飛び出したのが夜だったので、街の外れで早速一泊することにした。丁度、
古ぼけたお堂があったから、そこに入って床に身を横たえた。
 薄汚れた、冷たい板の間。
 つい昨日まで、あたたかな布団で眠っていたのに。
 師の傍らで眠っていたのに。
 それでも、帰りたいとは思わなかった。
 わたしの術が二流かどうか、確かめてみましょう。結果を、ご覧じろ。
 無知は罪なり、智は力なり。わたしには力がある。わたしが、式打ちが、二
流だなどと、それは師の無知でしかない。そのことを証明してみせる。必ず。
 頭は熱く冴えていたけれど、泣くと疲れる。疲れると眠る。
 だから寝惚けたのだと思った。名前を呼ばれて。
361天羅零 2/7:2005/10/05(水) 21:35:10 ID:F3aY8txN
「四季」
 弟子に取り立てられたときに、師にいただいた名だ。四季。式。同音異義語。
期待されていると信じた根拠の一つ。今にして思えば、なんと単純で投げやり
な名前だろう。
 目を開ける。扉の向こうから月光が差し込んできて、堂内は意外と明るかっ
た。
 身を起こす。目元から水滴が落ちて、寝ながらまだ泣いていたのだと、自身
の受けた衝撃の大きさに驚いた。
 そして更に驚いた。真横に、わたしを見下ろして、若い男が座っていた。
 旅の道連れを伴った憶えはない。誰なのだ、この男。
 一瞥して、惚れ惚れするほど紅顔の美男子。
 よくよく見れば、見慣れた顔立ち。
 わたしとそっくり同じ顔!?
「うわ。美形」
「自分で言うな」
 苦笑混じりの声は、大声でもないのに耳に響くと兄姉弟子に不評だったわた
しの高く通る声とは違い、低く、どこかくぐもった感じの男声だった。
 わたしは男に向き直り、言った。
「名乗るのであればお聞きしよう」
「お聞かせできぬな、儂の名は」
 少々ふざけた台詞に、男は気を悪くしたふうもなく、これまたふざけた調子
で返す。
「お前さんには儂の正体を当ててもらわねばならぬのだから」
「それはまたどうして」
「正体を当てぬと、お前さんは儂に取り殺されるのだよ」
「なるほど」
 妖か。若い女の一人旅、順風満帆にいくはずもない、が、まさか旅の初日か
ら、いきなり事件に出会すとはね。
 わたしは腰に手を当て……ギョッとした。式紙も筆も墨壺もない。寝るとき
も、風呂にすら持ち込む機面鏡と露板もない。無くてもお手上げではないが、
心細いに違いはない。
 取り上げられたか。平静を装いつつ男を睨めつける。
 男の表情は、優しいとさえ言えた。親しい者の情愛に似た眼光。ゆったりと
寛いでいる風情。
「ふ……あ〜ぁ」
 わたしは遠慮なく欠伸をした。屋敷にいた頃は、師匠の視線を気にして欠伸
もこっそりしていたけれど、もう、そんな必要もない。いぎたなく寝乱れた装
束もそのまんま。妖物相手に恥らう気はないから。
362天羅零 3/7:2005/10/05(水) 21:36:08 ID:F3aY8txN
「やれやれだ。勝手にお堂に泊まったのは悪かったけれど、そのぐらいで取り
殺そうとは狭量だとは思わんか」
「別段、この堂房に泊まったことから儂が出て来たわけではない。もとより儂
は折りを見てお前さんの前に姿を現すつもりであった、そこが旅籠であろうと
野の原であろうと」
「ならば狐狸の類か? 犬猫の精か? それにしては」
 鼻先で臭いを嗅ぐ。
「昔話で言われるような、獣臭さは感じぬな」
「そうであろうともよ」
 そういえば、男の服装はわたしの格好とよく似ている。陰陽師の弟子がよく
着せられる、長ったらしい割には結構機能的で動き易い装束。長旅には不向き
だから、次の宿場ででも何がしか服を仕入れねばなるまいが。
 男がわたしににじり寄り、真っ直ぐにわたしの眼を見据える。
 眼前に、わたしと同じ顔の男。
 ……ちょびっとだけ、惚れそうだ。本当にちょびっとだけだけど。
 人間だったらよかったんだけどねぇ。
 惜しいけどねぇ。
「夜が明けるまでの間に、3度のうちに、儂の名を当てよ。さもなくば、お前
さんは儂に、殺される」
 男は念を押すように言う。時間制限は夜明け。回数制限は3度。随分と不利
な条件だ、が、気のせいか、当ててくれ、と頼んでいるような口調だった。
「当てなければ殺される。では、当てたときには?」
「命を拾う」
「それだけか?」
「不満かな?」
 不満に決まっている。
 でもまあ、妖のやることなんてそんなものだ、当てたら逆にわたしに利益が、
なんて甘いことを考えない方がいい。
「『ヒント』はないのか?」
 一般人には無理だが、陰陽師には意味が通じる隠語を使ってみる。
「ヒントか。ヒントは」
 通じた。ということは。
「特に無い」
 がっくり。
「それでは答えようもないな」
「ふむ。ならば取引といこう」
 男が妖しく目を光らせる。
「取引材料は、お前さんの身体」
 慈しむようにそう言って。両掌でわたしの両頬を包んだ。
 清かに口づけが降ってきた。
363天羅零 4/7:2005/10/05(水) 21:37:12 ID:F3aY8txN
「儂は狐狸でも犬猫でもない」
 男は、人と変わらぬ柔らかさとぬくもりとを持っていて、そのくせ、どこか
硬く冷たい印象。
「使われはする。飼われはせぬ」
 ふと、男に触れてみる。
 男をじっと、覗き込んでみる。
 信頼できると直感した。
 わたしは記憶を刺激された。
 そうだ、あのときも、わたしは。
「儂はお前さんを見ていた」
 男の手が、わたしの帯に触れる。何をしようとしているのかは明白で、それ
なのに、わたしはその行為を受け入れている。
「師の床に組み伏せられ、夜ごと狂わされるお前さんを見ていた」
 するり、と帯が解かれた。
「師の腕に絡めとられ、日ごと乱されるお前さんを見ていた」
 はらり、と衣服が落ちた。
「そのたびに、儂は……儂こそが、お前さんを狂わせたいと。乱したいと」
 素肌に口づけられた。
「たとえ、命の懸かった謎掛けをお前さんに強いることになろうとも」
 これから妖物に犯されようというのに。わたしは逃げるどころか、抵抗もし
ないで。
「儂に心など。あるはずもないのに。魂など。あるはずもないのに」
 この『男』は……信頼できる。ああ、それともわたしは。
 扉を介して外を透かし見る。
 あの月光に、酔わされているのかも知れない。
「師に連れられて屋敷に来た幼いお前さんを見ていた」
 床に寝かせたわたしを抱いて、男はわたしの過去を語り始める。
「あれもこれもと雑用を言いつけられ、陰で密かに泣きながら、それでも懸命
に働くお前さんを見ていた」
 指が、舌が、身体中を這う。
 思わず師匠の動きと比べる。
「見よう見まねで式を組み上げ、見事に起動させて大はしゃぎしていたお前さ
んを見ていた」
 触れられる毎、わたしの身体は過敏に反応。はう、きゃう、と声を上げてし
まう。自分で自分が意外なほど、とても素直な心持ちで。
 師に抱かれるときには、何故だろう、声を出すのを必死で我慢したものなの
に。
「弟子に取り立てられ、寝る間も惜しんで貪るように書を読みふけるお前さん
を見ていた」
364天羅零 5/7:2005/10/05(水) 21:38:24 ID:F3aY8txN
 男のそれを愛撫と呼ぶなら、師匠のそれは虐待に近い。女とは、こんなにも
気遣われながら抱かれるものなのだと。初めて知った。実感した。
「数ある弟子のなか、めきめき頭角を顕わにし、底抜け、天井知らずの才を、
どんどん開花させるお前さんを見ていた」
 構わないかと視線で問われて、躊躇うことなくわたしは頷く。
 男が自分をわたしにあてがう。
「初めて機面鏡に触れたときの、お前さんの目の輝きを見ていた……!」
 門だ、とわたしは思う。わたしは門だ。堅く閉ざされた門。
 その門が、少しずつ、ゆっくりゆっくり開かれて。
 ああ。身体が開く。
 わたしが開いていく……!
「はぁ……っ」
 心の底から、吐息がもれる。熱い。なんて熱い。火でも、日でも、体温でも
なく、ただただ熱くてたまらない。
 深々と、奥まで男に貫かれ、わたしは幼子のように両手を伸ばして男を抱き
寄せていた。
 せつなくて。満たされて。
 涙。ぽろぽろ零れて。
「痛いのか? 苦しいか? それとも儂が」
「違う」
 違う違う。
「嬉しい……っ」
 寂しかった。ずっとずっと寂しかった。だけど。
「嬉しいか? 儂なぞに抱かれて?」
「安心する……よ。とても、落ち着く」
 愛しいと想う気持ち。共にありたいと願う気持ち。
 幸せな、気持ち。
 相手は妖。人外のモノ。きっとわたしは、もう狂っている。
「落ち着かれては、困るのだがな」
 男の笑みに魅かれる。欲しい。とても欲しい。
「儂はお前さんを思いきり鳴かせたいのに」
「なら……お願い」
 恥ずかしい、と思った。恥ずかしい、でも。
「動い、て」
 何度も師に抱かれていながら、こんな想いは初めてのこと。おずおずと、で
も確たる意思で、腰を振り、男を誘う。
 男がちょっぴり目を丸くして、それから小さく頷いて。
 口づけ。遠い日の約束のように。
365天羅零 6/7:2005/10/05(水) 21:39:42 ID:F3aY8txN
「師の寵愛を、庇護を失おうとも、お前さんは儂を選んでくれた、だから」
 わたしの中で男が動く。始めはゆるゆると。
「ん、く、は、はぁ」
 やがては強く、激しく。打ち込むように。
「うあ、あっ、あっ、あはぁっ!」
 人ならぬ者の腕の中、身悶えするほど法悦。
「だから今度は、儂がお前さんを……!」
 わたしの中で男が膨らむ。近いのだろう、頂点が。
「いや! やめないで、もっと、もっと動いて!」
 わたしは、わたしは、なんて度し難い。
「まだダメ、まだいや、もっと、もっと、もっとがいいのぉ!」
「済まぬ、儂は……四季、ああ、四季、四季……ッ!」
 わたしの中で男が達する。わたしの名前を呼びながら。精の全てをぶちまけ
て。
「いやぁ! もっと、もっと、もっとぉ!」
 叫び続ける自分の声に、きゅうっと引っ張りあげられて。
 そしてふうっと力が抜けて。
 月の光が傾いていく。抱き合う、身体ごと。交し合う、口づけ。
「大丈夫、か? 四季」
 荒い息と共に問われて、わたしはぼぉっと男を見上げる。
 四季。そうか、それがわたしの名前。
 なんだ。いい名前ではないか。心の中で、わたしは微笑む。
「儂一人で、悪かった。けれど」
 ほつれて頬にかかった髪を、男の指が梳いて解く。
「お前さんには、本当に、興奮させられる」
 慈愛にも似て、撫でられる、髪。
 なんと心地よいひとときだろう。
 わたしは男に囁きかける。
「機面鏡」
 男が息を呑むのがわかった。
「あなたの正体は、わたしの機面鏡だ」
 泣きそうなほど、男の顔が緩む。
 ことん、ことん、とわたしの周りに、奪われていた露板や筆、墨壺等が現れ
た。
 わたしの胸には、1枚の機面鏡。
 それがあたたかいのは、多分、わたしの体温が移ったからではない。
「ズルい、な」
 先にイって、それで消えてしまうなんて。そりゃあ女は中ではイきにくいけ
ど、それなりに色々と、ヤりようというものがあるだろうに。
366天羅零 7/7:2005/10/05(水) 21:41:22 ID:F3aY8txN
 夜明けはまだまだ遠くて、こんなことなら答えを先延ばしにして、ちゃんと
イけるまで抱いていてもらえばよかったと、わたしは一人でくすくす笑う。
 妖の謎かけ。難しく考えなければ、簡単な話で。
 同じ顔、同じ服、それでいて男女は反対という暗示。狐狸でもない。犬猫で
もない。飼われぬが、使われる。つまりは器物、人が用いる道具。これで、鏡
と推察した。
 このお堂とは関係ないなら、わたしがこの場に持ち込んだ鏡。
 陰陽師の隠語を理解して、わたしの過去を知っていて。
 師の寵愛を、庇護を捨てても、わたしが選んだ物。
 ならば即ち、それは機面鏡。
 わたしの大切な。
 ただ、確信はなかった。男が機面鏡の化身なら、妖の分類でいうところの憑
喪神に当たろう。しかし、憑喪神とは幾星霜の年月を経た器物に、人の思いが
こごって生まれる妖のはず。まして、廉価品とはいえ天羅屈指の技術の粋、明
鏡の写したる機面鏡が妖化するなぞ、陰陽道の祖たる小角や月詠でさえ夢にも
思うまい。
 だからわたしは、理屈より先に、自分の直感を信じた。
 信頼できると直感した、自分自身を信じた。
 そう、あのときも、信頼できると直感したのだ。初めて機面鏡に出逢った、
あのときも。
「満足したか? わたしを抱いて?」
 わたしは機面鏡に話し掛ける。
 答えは、ない。
 ヒイロ金の鏡は、静かに月光をはじいていた。
 ……それはそれとして、さっき中に出された物は何なのだろう。まさか子種
ではあるまいが。うーん気になる、ちょっと調べてみよう。
―――
 誰もが世界は硬いものだと信じてる。
 そんなコト、ないよ。
 居場所が無いなら探せばいい。それでも無ければ、創ればいい。
 誰かにわたしを認めさせよう。みんなにわたしを認めさせよう。
 想いを遂げるため、自らを妖に変じた機面鏡のように。
 意思を強く持って。どこまでも道を求めて。
 望むがままに。
 世界を変えよう!
「鏡よ鏡、天羅で一番の式打ちは、だぁれ?」
 朝日に透かした機面鏡には、きらりと輝いて、元気一杯に笑うわたしの姿が
映っていた。
367天羅零:2005/10/05(水) 21:42:21 ID:F3aY8txN
 ・・・・・おしまい。

 以上、強化サンプルキャラクター陰陽師のお話でした。
 前回はsage忘れて申し訳ない。今後は気をつけます。多分。
368名無しさん@ピンキー:2005/10/05(水) 22:25:45 ID:8Tfm0dui
いい仕事だな。
369名無しさん@ピンキー:2005/10/05(水) 22:55:36 ID:kQewqq7A
このナルシストめ!!(全力で褒め言葉)
370名無しさん@ピンキー:2005/10/05(水) 22:57:26 ID:Io3f9yvN
すヴァらしい。
371DX無印:2005/10/07(金) 23:44:21 ID:g0iRESjo
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「>307から召喚呪文が聞こえてくるんだけどさ」
「ああ」
「札×瞳を参考にしてさ、面白くて燃えも萌えも泣きも入ったお話を書いてく
れないかなぁ?」
「悪いが陵辱物は苦手だ」
「誰がバッドエンドの方を参考にしろと言ったか! そうじゃなくて、DXで、
なんかラブラブなの書いてってば」
「俺はDX無印のルールブックしか持っていないが、まだ使っていないサンプ
ルキャラクターはあるか?」
「……無いね。チョイ役も含めれば、全部出ちゃってるよ。
 あ、待てよ、確か……あったあった、これこれ、GF誌で追加されてるじゃ
ない、紅蓮の刃ってのが」
「ほう、ではどのキャラクターと絡める?」
「そうか、お相手がいないのか……がっかり」
「まあ、キャラ設定をオール・リセットして頭からやり直しというのも考えた
のだが」
「へえ?」
「しかも全員性別逆転」
「はあ! それ面白そうじゃない! どうしてそうしないの?」
「コードネームに困るからだ。鋼の乙女、メタル・メイデン」
「……困るね。男にそのコードネームはめちゃくちゃ困るね。あと朱に染まる
薔薇、ブラッディ・ローズなんかもちょっとね。あ、でも、ナルシーな感じの
優男になら合うかな?」
「思い切って、薔薇族の兄貴にする予定だった」
「や〜め〜て〜ぇ」
「不確定な切り札、ワイルド・カードは仇名が可愛くイルカちゃん」
「どうして」
「ワ『イル』ド・『カ』ード」
「納得」
「イルカ、いるか、海豚、入鹿、どう表記すべきか悩んでなぁ。挫折した」
「そんなトコどーだってええでしょーに」
「彼女は猫好き少女。趣味は道端で出会った猫にゃんのナンパ」
「ああ、可愛い可愛い」
「キュマイラのエフェクト、《獣の臭い》が発症することを非常に恐れている。
そんなことになったら、一発で猫に嫌われるからな」
「うんうん、可愛い可愛い」
「完全獣化で服が破れて素っ裸になってしまうため、とても恥ずかしい思いを
する」
372DX無印:2005/10/07(金) 23:45:14 ID:g0iRESjo
「ああ、そうか、隠さなきゃいけないところが多い分、男より女の方が悲惨な
んだ」
「あまつさえ、複雑微妙なお年頃。それでなくとも自分の容貌に劣等感をいだ
きがちな少女が、ましてや見る者に畏怖しか与えぬ怪異な姿に成り果てた日に
は」
「力を使いたくない、戦いたくないという思いは男より余程、ってことだね。
なーんだ、女の子にした方がダブルクロスのテーマに沿うんじゃない」
「考えることが多すぎて面倒臭い。キャラ造形的に男の方が楽だ」
「そこで投げ出すか!」
「恥をさらそうが鬼や獣になろうがそれでも、という悲壮な決意は、『少女』
や『女』よりも『母』に似合うと俺は思う」
「それはちょっと重くなりすぎなのでパス」
「さて、カップリングの話に移ろう。考えたのは紅蓮の刃、クリムゾン・エッ
ジと、黒い天使、エンジェル・ノワール」
「ああ、チルドレン二人の比較でお互いを掘り下げるパターンだね。同じ『非
日常』の出自でありながら、普通の生活、普通の人々に対する態度が全く異な
る二人。違和感なく『日常』に溶け込んでいるクリムゾンに、ノワールは苛々
させられながらも好意を……みたいな?」
「一応その路線で書いてみたんだが、」
「ダメだったの?」
「二人の間に接点がない。例えば、イルカとクリムゾンが連れ立って、元気一
杯どっか遊びにいく傍ら、ノワールが淡々と暗殺任務をこなしている、とか」
「パロにはなるけどエロにはならん、ということか」
「かと言って、ローズを使うと801板に行けと言われるしなぁ」
「使わないで〜お願い〜ぃ」
「とりあえずネタ繰りのためにキュマイラのエロパロ的可能性を考察してみた」
「《一角鬼》でフタナリ、みたいな?」
「甘いな。どうせなら《増腕》を重ねてちんちん2本、前と後ろの穴2つに同
時挿入、ぐらい言えんのか」
「言えんわっ!」
「《完全獣化》で猫娘、犬娘、狐娘等。その際、《アルゴスの眼》や《大蛇の
尾》で、おそろいの瞳とシッポを追加」
「ある意味可愛いかも」
「勿論《大蛇の尾》はオナニーにも使用可」
「自分の中に挿れろと!?」
「《世界との調和》で自分が消えることによって目隠し無しの目隠しプレイ」
「う、上手くいく、のかなぁ?」
「両手を使い、暴れる相手を《獣の力》を重ねた《グラップル》で押さえてお
き、《奥の手》に《鬼の一撃》を重ねてフィスト・ファック」
「ぎゃおぉ〜」
373DX無印:2005/10/07(金) 23:46:37 ID:g0iRESjo
「《復讐の刃》」
「な、何に使うの?」
「突っ込まれたとき、すかさずブツを締め付け返す」
「ど、どうだかな〜」
「そして絞めつぶす」
「復讐しすぎ復讐しすぎっ」
「《第二の口》で複数対象へのフェラ」
「二口女かっ!?」
「《狼牙》を重ねて咬み千切る」
「だから妖怪化するなってば!」
「楽しいな、キュマイラ・シンドローム」
「いやあんたは楽しいのかも知れないけどさ」
「実用的なのがブラム=ストーカー。これぞ女性の味方。精密なる体液制御に
より、7日の生理を3日に短縮。横漏れ、後漏れ等の失敗もなく、多い日の外
泊も安心」
「そ、それいい、それ羨ましい! って、それがどうしてエロと関係あるの?」
「従来は1週間我慢させられていたものを、この場合は3日のインターバルで
Hに励める。どうしてもというなら、1日で終わらせるとか、子宮内で経血を
止めておくとかすればいい」
「そこまでしてヤりたい奴もどうかと」
「また、ブラム=ストーカーは、中出しされた精子や突っ込まれた雑菌を異物
と判断して体外へ排出することができる。少なくとも直後にこれをやっておけ
ば、避妊及び性病予防に有効。最悪、受精卵やら胎児やらを排出してしまえば
いい」
「大人の事情って生々しいね」
「確実に避妊したい場合は、五感を共有した従者を作ることだな。従者の方を
男に抱かせれば、女の側も気持ちいい上、妊娠の心配は皆無だ」
「……割り切ったクールな関係なら、それでいいのかも知れないけどね……」
「美女の従者を悪漢どもに差し出し、強姦、輪姦、ヴァーチャル体験。ヤな奴
にヤられる自分に背徳的なコーフン。最後は悪漢どもを前だの後ろだので咥え
込んだ従者をぼーんと自爆させて一件落着」
「そーゆーことやりたい人っているんだろうか」
「彼氏の姿の従者を作ってHの練習。自己開発に最適」
「ああ、彼氏の指なら別にいいのに、自分の指を自分の中に入れるのは抵抗あ
るって人もいるからね。そういう人でも、これなら平気かも」
「勿論、好きなアイドルや、彼氏以外の男の姿の従者でも良く。あくまで一人
Hだから、浮気にならんのがミソだ」
「……ま、まあ、気の持ちようだと思うよ? 想像だけでも、彼氏以外を思い
描くのは浮気って考える人もいるだろうし」
374DX無印:2005/10/07(金) 23:48:27 ID:g0iRESjo
「そうそう、彼氏と従者とで3Pって手もあるな。自分の姿の従者を作って、
変則69。即ち、彼氏に自分をクンニさせ、従者に彼氏をフェラさせて」
「彼氏が納得してくれるといいね」
「なに、双子プレイと思えばいいのだ。『二人一緒じゃダメですか?』ってや
つ」
「ダメでしょ、人として」
「バイブ型の従者とか、《赫き剣》で双頭ディルドーとか。相手の行動を《ブ
ラッドミスト》で制限しつつ《血の呪縛》で簡易束縛とか。《冥府の棺》で腹
上死ごっことか。《かしずく歯車》で君も今日からテクニシャン、とか」
「ああもう何がなんだか」
「事程左様に、発症するならブラム=ストーカーがお得! ちょいとそこ行く
おねえさん、お一つどうだいっ!?」
「当初の目的どこ吹く風だぁ……」
375DX無印:2005/10/07(金) 23:49:01 ID:g0iRESjo
 ・・・・・おしまい。

 以上、>307のリクエストになんとか応えようと努力したお話でした。
376名無しさん@ピンキー:2005/10/08(土) 21:05:15 ID:z5XgXiMH
や、いつもながらのクオリティだすな。GJ。
377307:2005/10/09(日) 01:06:46 ID:mFykVsSO
ありがたやありがたやありがたや。

でも、使ってないサンプルキャラがいないと言わず、今まで出たサンプル達もぜひ活用してやってほしい!
個人的には切り札君にもやもやしてる黒い天使とかがツボだっただけに。

つかー、買っただけでぜんぜん使ってない自分のDX2ndのルールブックを贈呈したい。
そうしたら、あのキャラとこのキャラがいやいやもしかしたらあのキャラとあのキャラさえもあまつさえあのキャラ
まで出た日にはああああああもう辛抱たまらん!!!

【 馬鹿は衝動判定に失敗しまくり。】
378鋼の戦士&混沌の監視者:2005/10/09(日) 07:34:53 ID:PSPi3QSR
 重ねる唇。重なる呼吸。逢瀬の時は限られて短い。お互いにそれが判っているから、行為は自然と熱を増す。
「んっ…ふ…っ」
 息を継ぐ度、漏れる息の温度が高くなる。戦士の首周りへ巻きつけるようにした腕は、ぎゅっと彼の頭を抱え込んで幾度目と
も知れないくちづけを求めた。
 背中には彼の腕が回されて、その強さはまるで彼女をどこにも逃がすまいとするかのようだった。息苦しいくらいの抱擁。既
に互いは素裸で、恋情と欲望を遮るものはどこにもない。着衣の時から想像するよりも大きめの双丘が彼の胸板にやわらかく潰
れる。耳に大きく響くのは彼の鼓動か、彼女の鼓動か。
 互いの舌が互いを求めあう。戯れるようにつつきあい、ぬるぬると執拗に絡まる。じんじんと頭の芯が痺れてくる。体の奥が
熱を持つ。誰かが言った。世界を消してしまうのは簡単だ。恋しい相手と抱き合えば、それでいい。
「は…ぁ…っ」
 どれくらいそうしていたろう。くちびるが離れ、すっかり脱力した彼女はくたりと彼に体を預ける。
 抱擁がそっと解かれた。一方は優しく髪を撫で始め、もう一方は背中から下へ、ゆっくりと体の線を辿っていく。触れるか触
れないかの感触で、焦らすようにそろそろと撫でていく。
 彼の胸にもたれたまま、彼女の息が切なくなる。堪えきれずに漏れ始める甘い声。まだ直接的な事は何一つされていないのに。
 火照るような羞恥で、彼女は内腿を擦りあわせた。長く交わしたキスだけで、こんなになってしまっている。
 もっと。もっと深く繋がりたい。彼のものになりたい。ボクのものにしたい。
 軽く、彼の鎖骨に歯を立てた。驚いたような彼の顔を、とろんと蕩けた瞳が見返す。
「…」
 声にならない声。浅く早い吐息。
 意識しているのかいないのか、淫靡と表現して差し支えない動きで身をくねらせる。誘うように、甘えるように。彼の体に自
分の体を押し当てる。彼のものも、もう大きくなっているのが感知できた。
 自分の噛み痕をちろりと舐める。
「君が欲しい」
 それから少し顔を上げて、今度は頬を。懐かない猫が、ふと甘えて見せるように。
「君が、欲しいよ」
「…お前な」
 一瞬彼は絶句して、それからひどく照れたような笑みを見せた。一旦身を離そうとした彼を、繊手が押し止める。
「以前も言ったろう? ボクに気を使う必要はないよ。そのままでいい」
 所詮魔に生まれを持つ者とひとに起源を持つ者。その血が交じって受胎する事はないだろうと、彼女はそう思っている。何よ
り己は伝説の住人。噂により生まれ、言説に縛られる者。伝説そのものが書き換えられぬ限りにおいて、その身に変化は起こり
えない。思う様にして構わないとそう言っているのに、いつだって彼はそれを忘れるし、かすかに怒ったような顔をするのだ。 
「そもそも子供は愛情の結晶という。そんなもの、我々の間にはないだろう?」
「…なら、オレの片思いなんだろうな」
 小さく息を呑む。それには気付かず、まるで放り投げるような荒々しさで、彼は彼女を押し倒す。ぎしりと寝台が軋んだ。
 電気を消しておいてよかったと思った。彼の言葉の所為で、頬が熱い。
379鋼の戦士&混沌の監視者:2005/10/09(日) 07:35:39 ID:PSPi3QSR
「――随分と性急だね?」
 一呼吸入れてから告げた口がまた吸われた。今度のくちづけは物足りないくらいに短くて、彼女は思わず身を起こして彼を追
う。その挙動を遮るように、彼の両の手が胸に触れた。再び寝台に押し戻される。やわらかな白い丘を、十本の指が思う様こね
回しては弄ぶ。
「…っ……ん………………ぁ」
 硬く尖った桜色の先端をつままれて零れそうになった喘ぎを、監視者は唇を噛んで押し堪えた。けれどびくりびくりと敏感に
撥ねる肢体の反応までは誤魔化せない。
「思うんだが、お前」
 耳元へ囁いてから、またキスが降り注いだ。期待する場所をわざと外して、焦らすように。
 それから赤子のように乳首を吸う。
「少し乱暴にされる方がいいんだろ?」
「あぅっ! く、ん……や…ぁ……噛んじゃ……だ、め…ぇっ」
 軽く歯を立てられて、体が弓なりに反る。言われた通りなのかもしれない。痛みすらも、彼の与えてくれたものなら。この身
は貪欲に快楽として飲み込んでしまう。
「ああ……あっ、あぁ…ん……ふ……あっ…」
 戸惑うような心持ちのうちに、彼の手が一番鋭敏な部分に触れていた。少し荒い指の動きが、剥き出しになった芽を逆撫でし
ていく。別の指がわざと焦らせて浅く潜り込む。
 もう、声を堪えは出来なかった。体だけが気持ちいいのじゃない。心が彼を求めているのだ。言い訳のように彼女は思う。
 だから、だからこんな。
 くぅっと高みに持ち上げられるような、燃え上がるような感覚。その隙間で囁かれた。 
「もしもの時は、意地でも責任取るからな」
 どこか怒ったような声音。そして。
「うあ、く…っ……ん!」
 硬く張り詰めたものが侵入してくる。強引さに身を縮めながら、性急さに少しだけ安堵した。これ以上は何も言われない。
 予言を繰るのも死を告げるのも、本来彼女の方こそだけれど。
 でも、彼にこのまま囁かれたら。きっと、言葉で殺される。
380鋼の戦士&混沌の監視者:2005/10/09(日) 07:36:39 ID:PSPi3QSR
 気だるいまどろみのうちに思う。
 当然というべきだろうか。彼も健全な男子だから、不健全な欲求は当然内包していた。だから、抱いたのは彼女が初めてとい
う訳ではない。学生の時分に、二人ばかりと付き合った経験がある。
 だが、どちらも長続きはしなかった。
 ひとり目には「他にもっと好きなひとが出来ました」と、そう言われた。それならさっぱりした方がいいだろうと、分かった
とだけ返事をして背を向けた。どうして背中でむせび泣く声が聞こえたのか、彼にはよく解らなかった。
 ふたり目はもっと直接的だった。
「いつも誰か、他の女と較べてるでしょ」
 そう怒鳴られて、頬を張られた。心当たりがなくもなかった。別の女、生身の女性ではないけれど、恋人よりも何よりも優先
順位の高いものが、自分の内には確かにある。
 もう恋はしないだろうと思った。
 自分には咄嗟に、恋や愛より大事にしてしまうものがある。彼女たちにだって、ちゃんと惚れていたのだ。それでも。
 きっと己はとてつもないエゴイストなのだろう。己の誇りを完遂する自分が好きで、他人の心情など心にもとめない。
 誰も泣かせたくないのに、好いた相手を泣かせてしまうのは矛盾だと思った。正義を語るなら、無私であるべきだろうとも。
 だからもう恋などするまいと、そう決めた。
 やがて鋼の王者と出会って、それは盲信に近いものに変わった。彼の力を受け継いで、ならば殉ずるべきだと信じた。己の事
は全く滅して、必ず為されるべき正義という概念になるべきだと。
 その考えが変わったのは、初めて混沌の監視者と見えた時だった。
 それは概念だった。しかし彼女は彼が信奉する正義と同じようにただの概念でありながら、限りなくひとだった。
 そして彼女もまた、完全に概念に殉ずるものではなかった。彼と同じように悩み、疑問を抱え、そして葛藤していた。
 同族嫌悪と、それから何とも知れぬ感覚に、ぞくりと身が震わせた。前者は一瞬で過ぎたが、後者は解らぬままに長く残った。

 ――また、な。

 言ったのは、彼が再会したかったからだ。例え同意を得ない約束だろうと、ないよりはマシだと思ったからだった。
 そう、多分。一番の深みに嵌まったのは、多分その時だ。
 混沌の監視者の噂は耳にした事があった。不幸の象徴。不吉の別名。不運と名づけられた死。難儀な女だと知ってもいた。口や
かましいし問答は難解で理解を損ねれば機嫌も損ねる。おまけにひねくれて素直じゃない。
 それでも、気がついたら惚れていた。たまらなく惹きつけられていた。性質の悪い事この上ない。
 そしてその恋情に気付いた時、ふと唐突に、それでいいのだと胸に落ちた。正義の味方も、誰かに恋する自分も。等しく一人の
己なのだと。突然にそう達観し、楽観し、自由になった気がした。
381鋼の戦士&混沌の監視者:2005/10/09(日) 07:37:39 ID:PSPi3QSR
 彼独りで全てを解決できるほど、世界は甘くもない。
 だが彼独りで全てを解決しなければならないほど、世界は冷たくもないのだ。
 100キロ平方四方に一人くらいは、もしかしたら10キロ平方に一人くらいは、自分のような馬鹿がいるだろう。誰かの涙を
止める為に走り、皆に何も知らせない為に血を吐こうとする者がいるはずだ。
 或いは、自分の後に続こうと思ってくれる者が出るかもしれない。自分は未熟で不完全だけれど、それでも志は本物のつもりだ
った。もしかしたらそれに感銘を受けて、自分も立とうと、そう思ってくれるものが出るかもしれない。
 背負い込まずに、そういう連中を頼ればいいのだ。きっとその程度には、世界は優しい。
 蓋いて後に即ち定まるという。青天を褒めるなら夕暮れを待てという。自分の為した事の評価なら、死んだ後に誰かが勝手にす
るだろう。彼の中ではいつからか、そしてなんとなく、その誰かとは口うるさくてひねくれて素直じゃなくて、けれどひどく可愛
い女だというふうに決まっている。
 取り留めのない思考を辿り、それから彼はひとりの少女を思い返して微笑した。

 ――そ、そこまでです!

 怯えながらもそう言って、姉を助けたい一念で“王国”の壁すら破ってみせた少女。できると判っている事を為すのは簡単だ。
戦えると知って走り出す自分の行為は、決して勇気ではない。
 まるで無限の壁のような絶望に立ちはだかられて、それでも前に進もうと思う気持ちこそを勇気と呼ぶのだ。震えながら、竦み
ながら、それでも振り絞るそれこそが尊い。
 だからその姉の行為も含めて、彼女たちは大したものだと、尊敬すら交えて彼は思う。
 願わくばあの姉妹の行く先に、幸いのあらん事を。
「いてッ!?」
 胸中にそう呟いた途端、二の腕に鋭い痛みが走った。
「今、別の女の事を考えていただろう?」
 枕にしていたものを抓った爪を離し、死神はにんまりと笑ってみせる。
「眠っちまったのか?」
 すぐに判った。あいつはこういう笑い方をしない。“私”だ。
 彼女は問いに頷いてからころんと寝返って天井を仰ぎ、
「“ボク”に変化が起きている」
 詩でも読むような静かな口調で言った。
「おそらく――自分の事なのにおそらくなどと付加するのはおかしいけれど、まあおそらく、“ボク”は君が好きなんだろう」
「……。お前、それって反則だと思ったりしないか?」
 ただの一度だってあのひねくれから、好意を告げられた事はない。最初にこっちから言われるのは、そこはかとなくだが心外だ
った。だが無論、彼女がそんな意を解するはずもない。
382鋼の戦士&混沌の監視者:2005/10/09(日) 07:38:33 ID:PSPi3QSR
「私はより強い死神の面だ。基本として情を持たない。逆に“ボク”は対外交渉用の面だ。私も独りでは生きられない。絆を持た
ねば奈落堕ちは免れえない。その為の少し親しみやすいパーソナリティだ。だから、」
 ふっと紫紺の瞳が戦士を射た。
「例え君でも、その時と判れば私は殺す。だが、ボクはそれが耐えられないのさ」
「そうやすやすとは死なないけどな」
 茶化して言うと、監視者はおかしそうに目を細める。
「世界を救う為になら死ぬのだろう?」
「盗み聞きは感心しないな」
「私に喋っているのも同じさ。“ボク”ばかり贔屓するのはやめてほしいものだね?」
 ぐっと彼が黙るとまた微笑み、手のひらを己の眼前に上げる。
「…最近“ボク”は、私に隠し事をしようとしている。元よりひとつの私たちで、そんな事は叶いはしないというのに。例えば今
しがたの話を、君と“ボク”だけの思い出にしたいと思っている。この分離が進めばどうなるのか、ちょっと私にも見当がつかな
い。けれど」
 その手が、やわらかに彼の頬に触れた。
「けれど、判らない、という事は素晴らしいものだ。そうなると決まりきった予言などより、ずっと」
 くちづけ。静かに、戦士はそれを受け入れる。そろそろと彼女の手が上掛けの中で動いた。白くて細い指が彼の下腹部にのびて、
不穏当な動きを開始する。
「ちょ、ちょっと、お前…っ!? う、わ…ッ」
 くすくすと悪戯めいた笑み。
「まだ若いのだから、もう終わりという事はないだろう?」
 うっすらと残る愛咬の痕に、もう一度歯を立てる。まるで嫉妬のように。
「“ボク”だけ可愛がるのは不公平というものだよ。私達は同じなのだから」
 狼狽を楽しむように囁いて、今度はするりと掛け布団の下に潜り込んだ。
「だ、だから、し、死神のくせに、どこでこんな…」
「エロスとタナトスは、古くから不可分にして密接なものさ」
383鋼の戦士&混沌の監視者:2005/10/09(日) 07:39:16 ID:PSPi3QSR
 ゆるゆると水泡が水面へ漂うように。“ボク”の意識が覚醒する。
 そっと目を開けばまだ彼の腕の中。ほっと小さく息を吐き、次いで顔を引き締めた。

 ――ああ、時間だ。

 休息はいつだって束の間だ。ゆっくり腕を解いて、寝台の脇に立つ。
「無理矢理殻を引っぺがされてナメクジにされるカタツムリの気分だ」
 いつかの冬に、彼が布団から這い出るのを嫌ってそう言っていた。これも丁度、そんな気分。
 髪に軽く手櫛を施す。いつの間にか彼女は裸身ではなく、いつもの格好に戻っている。伝説は伝説であるが故に、判りやすい姿
でなければならない。必要となった瞬間、常に決まった姿というものがその身に立ち現れる。
 逆説的に言うならば。ならば素裸のあの間こそ、彼以外は誰も知らない、混沌の監視者ではない、本当の彼女という事になるの
だろう。
「…」
 時間がない。急がなければならない。けれど、彼女はじっと彼の寝顔を見下ろした。
 目を開けて、「行っておいで」と告げて欲しいとも思う。
 このまま気付かず仕舞いなのが、彼らしいようにも思う。
 胸の底から、そっとため息に似た息を吐き出す。
 彼は、正義とは悲しい事の真逆だという。では、それは幸福とはどう違うのだろうか。もしそれが幸福を意味するものだという
のなら。だとしたら。

 ――私の正義は、ここに在る。

 シャッターでも切るように、ゆっくりと目を瞑る。その寝顔を焼き付ける。
 彼が寝返りを打った時、もう彼女の姿はその部屋にない。
384名無しさん@ピンキー:2005/10/09(日) 07:40:32 ID:PSPi3QSR
クソ忙しいが、ようやく忙しいくらいに落ち着きました。
待っていてくださった方がいらしたら、遅くなってごめんなさい。
一先ずもう寝る。作品が多数投下されているようなので、今夜辺り、遡って拝読してくるですよ。
385名無しさん@ピンキー:2005/10/09(日) 07:49:36 ID:lDttFpZ3
おっきした直後におっきした
386いつも中の人:2005/10/09(日) 08:19:08 ID:RI6hDrIj
>384
 5週間お待ちしておりました。今日あたり、泣き言レスを投稿しかねない心
情でした。てか、泣き言テキスト用意して、もしもの可能性を考えて、前回投
下の時間帯を過ぎてからアクセスしました。
 良いお話をありがとうございました。また後で読み返します。
387天羅零2本目前編1/3:2005/10/09(日) 08:28:50 ID:RI6hDrIj
◇旅のはじまり

 夕方、日も暮れてすぐ。
 何の油か、ちろちろと火の燃える部屋。
 素裸で、わたしは布団の上に膝立ち、足を広げさせられた。
 素肌にちくちく刺さるのは、拘束蟲の脚。痛い、気色悪い、気持ち悪い。
「約束じゃぞぉ、あんた、や、ヤクソクじゃからなぁ?」
 頭の弱そうな、しかし身体の丈夫そうな蟲使いがわたしに異様に念を押す。
「そう、だな……約束だ」
 自分の律儀さに涙が出そうだ。
 山道を、散策気分でほてほてと歩いていたら、出会い頭に斬りつけられた。
落ち武者の集団、殺気立った連中と、呑気を決め込んでいた式打ちとでは勝負
にならない。一撃の下に致命傷、どうやって逃げ出せたのか自分でも定かでは
ない。気がつくと辺りに人気はなく、作り置きの式札がごっそりと無くなって
いたから、何枚かは使って、何枚かは落としたのだろう。機面鏡と露板が無事
だったのは何より。だがこのままでは死ぬ、死んでしまう、と目の前が真っ暗
になったとき。
 運良く、蟲使いの住処に辿り着いたのだった。
 再生蟲と、薬草粥とで、わたしは瞬く間に元気になった。が、介抱の代償に
要求されたのは……わたしの身体。新型蟲の実験にでも使う気か、と青くなっ
たが、単に普通に抱きたいだけと言われて思わず承諾してしまった。
 人間は相対的な生き物。大きい不幸と小さい不幸とを比べて、後者の方をつ
い選んでしまう。前者よりはマシだ、と自分を慰めながら。
 わたしは再生蟲を、傷を治すためとはいえ、丸呑みにしたのだ。あの生理的
嫌悪感の塊みたいな芋虫が我慢できたのだから、男の腰の芋虫程度、我慢でき
ないはずもあろうか。大丈夫大丈夫、きっと平気。
 ……甘かった。蟲使いは用心深い性格で、わたしが途中で嫌がって暴れるこ
とを怖れてか、式紙、筆、墨壺、そして機面鏡と露板とを、布団からはちょっ
と手の届かない位置にまとめて置かせ、服を脱がせて真っ先に、拘束蟲をけし
かけたのである。自慢にならぬが非力な身体、これでは暴れるどころか、姿勢
を変えることすらままならない。
 男はわたしの背中側に回った。後ろから犯す気か、と思ったら、何かごそご
そ気配がして。
 うわ。わたしの足の間に、男の頭がこんにちは。にた〜っ、と笑う。
「ええ眺めじゃのぉ」
 なんたる恥辱か、こん畜生。蹴ってやろうかと思ったが、拘束蟲がギリリと
締め付け、身じろぎするのが関の山。
「久しぶりの観音様じゃぁ、たっぷりとぉ……」
 拘束蟲に強制されて、わたしは少し腰を落とした。ちょうど、男の顔の上。
388名無しさん@ピンキー:2005/10/09(日) 08:31:06 ID:TitvZC8k
はっはっは、しょうがないねえ。
…おーい山田君、朝っぱらからお盛んなこの二人に真水ぶっかけてやんなさい。【垂れる鼻血もそのままに、円楽師匠っ面で】

座布団代わりのGJって事ですよ。
389天羅零2本目前編2/3:2005/10/09(日) 08:31:14 ID:RI6hDrIj
「ひぃっ!?」
 いきなりしゃぶりつかれた。わたしの雛尖、一番の弱点を、男の舌が、舐め、
転がし、突付き、……。
「ひ、あ、ああっ、ひああっ、ああああっ!」
 逃げようにも逃げ出せない。むしろ男の上で腰を振って、傍目には悦んでい
るように見えたかも知れない。
「ふ、ふは、は、はう、はふう」
 空気を求めて喘ぐ口に、拘束蟲の頭が突っ込んできた。ちくり、噛んでから
すぐに出て行くが、噛まれた舌から徐々に徐々に、身体中が痺れてきた。
「拘束蟲の……麻痺毒……っ!?」
「おお、よう知っとるのぉ。流石は陰陽師じゃのぉ」
 いやこれは事情通の範囲内で。てか用心深いにも程がある! そんなに他人
が、女が、わたしが信用ならんか!?
 やがて腰が、足が痺れて、自力では立てぬほどになった。わたしの身体は拘
束蟲が支えていて、だから男は何の支障もなくわたしのあそこを舐め続けてい
る。
 徐々に開き始めた門に、伸ばした舌を捻じ込んで。
 ずずう、じゅるるう、啜り上げる音が聞こえる。
「おお、ええのぅ、ええのぉ、若い娘っこの、おお、この味ときたらぁ!」
「う、うあ、うぁあ……」
 ふと、部屋の隅に目が行った。式紙、筆、墨壺、露板、機面鏡。
 わたしの機面鏡に、わたしの姿が映っていた。
 なんて淫らな格好だろう。師匠にさえ、こんなことはさせられなかったのに。
 あの妖だって。機面鏡の化身であるあの男も、こんなことはしなかったのに。
 や、もう、どうでもいいやぁ、って気になってきた。もう、勝手にしてぇ。
わたしは知らん。立ちもしない、動きもしない、何もしないから、どうぞご自
由にぃ。
 投げやりな気持ちで、与えられる刺激に、ただはぁはぁと息をする。
 ずりずりと、わたしの下で這いずる音。男が位置を変えて、自分のイチモツ
を勃て、わたしの入口に向けて照準を合わせた。
「い、挿れるぜぇ、挿れるぜぇ?」
 答えなんて期待していないくせに、疑問形で言うな、馬鹿野郎。
「うあああっ!」
 突き込まれた。叩き込まれた、と言うべきか。門に破砕槌。そんな感じ。
 初めてじゃないのに、一応はちゃんと濡れているのに、この、この痛みは!
「お、大きい! 大きすぎる! やだ、裂ける、裂けちゃうぅ!」
「狭いのぉ、小さいのぉ、おおっ、締め付けてきよるぅ、おおぅ、おおおぅ!」
 あっという間。出すだけ出した男は、とっとと自分をわたしから引き抜いた。
 どろり、内股に垂れる粘液の感触。
390天羅零2本目前編3/3:2005/10/09(日) 08:32:14 ID:RI6hDrIj
「い……たい、痛……」
 うわ言のように繰り返すわたしの口に、蟲使いは再生蟲を突っ込んだ。やや
あって、股間にうじゅうじゅした感触。どうやら本当に裂けていたらしい。そ
の傷口を、再生蟲が塞いでいるのだ。
 拘束蟲がわたしから離れて、男の口の中にずるりと呑みこまれた。わたしは
布団の上に放り出される格好。麻痺しているから、後始末どころか、掛け布団
を引っかぶることすらできやしない。
「なかなかよかったぞぅ。んじゃ、ゆっくりしてけぇ」
 男が部屋を出て行く。
「ああ、ここにおる限り、朝晩1回ずつなぁ?」
「……冗談じゃ、ない……」
 わたしの言葉は、奴に届いたか否か。
 体力気力、共に限界。わたしは眠る。それ以外にできることもない。
 このままでは、明日の朝にも求められることになりそうだ。ああ、ヤだなぁ。
391天羅零2本目前編:2005/10/09(日) 08:33:06 ID:RI6hDrIj
 前後編です。残りはいずれ。
392ねがいと京介:2005/10/09(日) 16:42:08 ID:s+JPn+kN
流れを無視して、白御子のを書いてみます。2レスです。
===

「と言う事で、これから実際に相手の夢の中に入ってもらう」
そう言ったのは、目の前のマントと眼帯をつけたがたいの良い男だ。
通称ナイトメア、本名鈴木太郎……。要ねがいの師匠として、そこにいた。
「本来なら、ロンギヌスイレギュラーの一人にお願いする予定だったが、
 しばらく地球に帰れない任務についていてな。元メンバーの一人に急遽役を代わってもらった」
「地球に帰れない任務ですか?」
「うむ」

邪神達がサイノグラーシュと呼ぶ場所で、一組の男女がロボットに乗っていた。
「ふにゃ〜〜柊なんかねむい……」
「くれはーーー!寝るなーーーー!」
アンゼロットが徹底的にカスタムした超大型A−K(何故か生活空間付き)
のせいでそこまで行ってしまった二人は、なんとか地球に戻ろうとはりきっていた。

「そういうことで、知り合いの方が気が楽だろう。と言う事で彼に頼んだ」
そう言ってナイトメアがファイルを出した。そのファイルに書いてあった名前は……

山瀬京介はまどろみの中で待っていた。
夢、楽しい夢辛い夢悲しい夢……。
そんな夢の狭間で待っていた。愛しい『彼女』を……。
「京介」
「ねがい?」
そう言って京介は後ろを振り向く。どこかもじもじとした雰囲気で立っている要ねがいを見つけた。
服装は輝明学園の制服に黒いマントをつけた、いたってシンプルなものだ。
「一人?」
「うん」
そう言って京介の横に座る。
393ねがいと京介:2005/10/09(日) 16:44:48 ID:s+JPn+kN
「そのマントは??」
「あのね、ナイトメア先生の奥さんが用意してくれたの」
「へえ…似合ってるよ」
「似合ってないわよ!下水着だし!」
京介の言葉にポカをしてしまい真っ赤になるねがい。京介も自分が変な事を言ってしまった様で、情けない顔をする。
「……下みたい?」
ねがいがそう言って、京介の顔を覗き込む。
「良いのか?」
「うん」
そう言って輝明学園の服をそっと脱ぎだす。それをきちんと折りたたみそのまま後ろを振り向く。
スクール水着でマントをはおり所々ベルトをつけた姿は十分に扇情的だった。
「……代金は……」
「取る……」
キス。ゆっくりとしたキスを京介とねがいはする。そっと離れてからねがいは言う。
「……抱いて、京介の温もりを感じたいの」
そう言って京介の胸に飛び込む。
心臓同士が不協和音を上げて高鳴る。
京介はそっとマントの下から背中に手を伸ばすとそのままねがいを抱き寄せ、ほっぺたにキスをする。
「ねがいの胸、本当にやわらかい」
「そう?」
そう言ってねがいは京介に強く胸を当てる。
「当たってるんだけど」
「当ててるの」
太陽のように微笑みながら、ねがいはそっと京介のほっぺたにキスをした。
394名無しさん@ピンキー:2005/10/09(日) 18:25:35 ID:l3UOHfvb
何このラッシュ
395いつも中の人:2005/10/09(日) 22:23:49 ID:RI6hDrIj
>388
 ンで山田くんが、>388の鼻血っ面に真水をブッ掛けてオチというわけですな。

>392-393
 かわいいお話です〜。GJ!

>「あのね、ナイトメア先生の奥さんが用意してくれたの」
 お古ってのも色々想像を掻き立てられていいなぁと思う今日この頃。
396DX無印1/4:2005/10/09(日) 22:25:23 ID:RI6hDrIj
◇紅と黒

 この世で最も恐ろしいのは正体不明ということだ。昔の人は、恐怖の対象で
あって、しかし何だかわからないモノに、「もののけ」と名を与えて安心感を
得た。
 心を占める、心を縛る、この気持ちを何と呼べばいい。もやもやと不定形で、
熱くて痛くて、苦しくて切なくて、だけど手放せない。手放したくない。この
気持ちを何と呼べばいい?
「よ、お待たせ」
 遊び仲間と待ち合わせをしていたかのように、気楽に手を挙げ軽く声を掛け
る、“紅蓮の刃”を“黒い天使”は振り返った。
「……予定より、1分25秒、……遅い」
「途中で襲撃されたんだ、というのは言い訳にならないかな?」
 肩をすくめてみせる、その上着の袖にざっくりと斬られた跡。
「キュマイラ系のオーヴァード、もといジャームが3体。とどめを刺して、死
亡も確認した。さてこれを、君はどう判断する?」
「……成功確率、67%に上昇。……31分11秒後に状況を開始する」
「やれやれ、君がいて、僕がいて、3体もジャームを排除して、それでなお成
功確率67%かい? 分の悪い賭だね?」
 “黒い天使”は無言で“紅蓮の刃”から視線を外した。
 中川河川敷。土手の中腹に座る制服少女の隣に、派手なケンカでもした直後
なのか、大きく破れた制服姿の少年が座る。面立ちの美しい少女は、怒ってで
もいるのだろう無表情で、少年の方は、まるで少女をなだめてでもいるかのよ
うな笑みを小さく浮かべている。この光景を、事情を知らぬ大人が見たら、甘
酸っぱい青春の一コマであろうと微笑ましく思ったに違いない。
 夕方。状況開始予定時刻には、もうとっぷりと日が暮れているはずだ。
 彼らの背後、土手の上の道路を、たまーに自動車が通っていく。
「この“シナリオ”が終わったら、また出向するんだって?」
 “紅蓮の刃”の問いかけに、“黒い天使”は無言をもって応える。
「その代わり、僕がここに居残るんだってさ。僕の方こそ一時出向だったはず
なんだけどねぇ?」
 言いながら、川面に石を投げる。ぽちゃん、と音がする。意外と深い音。
「代わってあげようか」
 その台詞に、“黒い天使”は一瞬だけ“紅蓮の刃”を見返した。
「同じ学校にUGN関係のオーヴァードが二人、てのはいいとして、その両方
がガチガチの近接戦闘系じゃ相性が悪い。前衛後衛、役割分担ができる方が有
利だ、何かと。今回、僕が君の援護に呼ばれた理由と同じで、ね。ならその旨
を上申すれば、“上”も考え直すだろ?」
「……もう、決まったことだから」
397DX無印2/4:2005/10/09(日) 22:27:07 ID:RI6hDrIj
「支部長レベルの決定さ、鶴の一声で何とでもなる。君は知らないかい? 局
長ってさ、割とそーゆー色恋沙汰系で人を動かすのって大好きなんだぜ?」
 日本支部監査部局長“リヴァイアサン”。
「……お陰で、嫌な“シナリオ”を振られた」
 時に軽薄なほど、いつも陽気な“紅蓮の刃”。ノイマンであり彼の幼馴染み
でもある“黒い天使”がようやく気づけたぐらい僅かに、苦く表情を変えた。
それはいっそ憎悪に近い、嫌悪の表情。
 “黒い天使”は参考までに報告書で読んだだけの事件、謎の殺人鬼“パフィ
オペディルム”の一件。確かに、彼には酷な任務であったろうと彼女は思う。
『日常』に溶け込むために、意図的に作ったペルソナを被る、被る必要がある
ほど『非日常』性の高い自分と違い、素顔のまま『日常』を呼吸している“紅
蓮の刃”には。
 “黒い天使”は、しかしそのことには触れずにおいた。
「……能力的な相性の問題と、色恋沙汰で人を動かすという話は、文脈が合わ
ない」
「ああ、ゴメン。論理的に話をするのって苦手でさ。ええと、だから、能力的
な相性っていうのは大義名分の方で、色恋沙汰ってのは実質の方。OK?」
「……何故、色恋沙汰が絡んでくるの?」
「君の恋情に配慮して、という意味さ」
「……恋情?」
「慕情でもいいけど。そういうことなんだろう?」
 言いながら投げた石は、1度、2度、3度と水面を切って、沈んだ。
「……私には、わからない」
「ノイマンでも、どんな優秀なオーヴァードでも、計算できないものはある。
誰が言ってたんだっけな、こないだ会ったどっかの支部長だったかな、とにか
くそういうわけだから、局長には1回ぐらい無理を言って通してもらえる可能
性が高いと思うんだ。ど? この話?」
 明るく尋ねてくる“紅蓮の刃”を真っ直ぐに見返して、“黒い天使”はきっ
ぱりと首を横に振った。
「そっか。ならいいんだ別に」
 二人は同時に視線を外す。彼は空へ。彼女は水面へ。同じ陽光を受けて、し
かし異なる色合いを映す景色へ。
「あの子、可愛いよなぁ」
 唐突に話題が変わった。
「名前、何てんだっけ? まだよく知らないけど、うん、可愛い可愛い実に可
愛い。クラス委員長ともなれば、転入した僕の世話も甲斐甲斐しく焼いてくれ
るだろうし、そうしたら簡単に仲も深まるよなぁ。……“不確定な切り札”が
割り込めないくらいに、さ」
 弾かれたように“黒い天使”が顔を上げた。
「……何を、するつもり?」
398DX無印3/4:2005/10/09(日) 22:29:31 ID:RI6hDrIj
「自由恋愛さ、ただの。チルドレンだからって、そこまで制限される謂れはな
いしねぇ。人の領域にとどまるために、人のぬくもりを求める。オーヴァード
として、正しい姿勢さ」
「……彼を、傷つけないで」
 少女の無表情な仮面にヒビが入る。そこから垣間見えるのは、怒り。自分の
ためでなく、誰かのための怒り。
 その怒りを煽るように“紅蓮の刃”は薄っぺらい笑顔を作った。
「へぇ? 僕が恋愛すると、どうしてあいつが傷つくことになるんだい? 僕
はノイマンじゃないから、よくわからないなぁ?」
 噛んで含めるように、“黒い天使”は言葉を紡ぐ。
「……彼女は、彼の想い人だから」
「単なるお隣さんって聞いたぜ? あいつ自身の口から、さ」
「……“紅蓮”。……貴方は、そんな人じゃ、ない」
「僕の大事なお姫様のために、邪魔な石ころを取り除いてあげようっていうん
だよ。お姫様は石ころが怖くて、前にも進めないようだからね」
「……会話に、無意味な比喩を混ぜないで」
 ぶつかりあう視線。一触即発の緊張。
 ピピッ、ピピッ、と電子音。おや、と“紅蓮の刃”は自分のケータイを取り
出した。液晶表示を確認し、……ニッと楽しげに笑う。
「“不確定な切り札”が来る」
「……!?」
「何故、って顔だね? そりゃ勿論、誰かさんが故意に情報をリークしたから
さ。今回の“シナリオ”と、君の弾き出した成功確率をね。さてこれを、君は
どう判断する?」
「……成功確率、92%に上昇。……13分23秒後に状況を開始する」
 その声は、怒っているのか、泣く寸前なのか、快哉を叫びたいのか、複雑な
ものだった。
「何だかんだ言って、根はいい奴だよな、あいつ。あんなトーヘンボクに、君
が勿体ないって気もするけど、それと同じくらい、君が惹かれたわけも、僕に
はわかるような気がするよ」
 “黒い天使”は頷く。小さく、自分にも気付かないくらい小さく。
 だけど声に出したのは、とても事務的な内容だった。
「……メンバーが3人に増えたのなら。……一人は囮とすべき」
「うん、それがいいね。てか、囮役が作れるから成功確率がガーンと上がった
んだろ?」
「……それも、あるけれど。……彼は、この支部の切り札的存在だから」
「彼は『君の切り札的存在』さ」
 彼女の頭に掌を置いて。強くくしゃくしゃと撫でて。
「無理すんなよ? 無理なんかしてないと思い込むなよ? 僕が言いたいのは、
要するに、そういうこと」
399DX無印4/4:2005/10/09(日) 22:31:50 ID:RI6hDrIj
 暫し、沈黙が落ちて。
「……“紅蓮”」
「何?」
「……さっきの、話。……この“シナリオ”が無事に終わったら、局長に……」
 おずおずと申し出る少女に、少年は嬉しげに破顔してみせた。
 “紅蓮の刃”は一挙動で立ち上がり、
「んじゃ先行してくるわ。囮役は僕がいいだろう? イリーガルの彼に、そこ
まで任せるわけにはいかない」
「……5分6秒後に、ターゲットと接触。……一撃で、決めて」
 “黒い天使”の声を背中で受け、了解、と言い残して河川敷を走っていった。
まるで彼が夕日の残光を連れ去ったかのように、辺りに闇が降りてくる。
 残された少女も立ち上がった。
 心を占める、心を縛る、この気持ちを何と呼べばいい。もやもやと不定形で、
熱くて痛くて、苦しくて切なくて、だけど手放せない。手放したくない。この
気持ちを何と呼べばいい?
『君の恋情に配慮して、という意味さ』
 そうか。そういうことなのか。
 何が変わったわけでもない。それでどうなるものでもない。
 だけど、安心した。その気持ちに、名前が付いたから。
 名付けて、見つめて、向かい合ったから。
「……ありがとう」
 姿のない背中に、呟くように礼を言う。
 土手を駆け下りてくる足音。振り返って、恋しい少年に向けて、彼女は小さ
く微笑みを浮かべた。薄闇の支配する空間、彼には見えないとわかった上で、
彼女は笑顔を浮かべたのだった。
400DX無印:2005/10/09(日) 22:32:55 ID:RI6hDrIj
 ・・・・・おしまい。

 以上、>377のリクエストにお応えしたお話でした。流石に即興じゃあエロを
入れる余地はなく。その点は済まぬことですが、天羅の方にエロ分があるとい
うことで、お目こぼしください。
401名無しさん@ピンキー:2005/10/09(日) 23:14:02 ID:6NS62l27
ぐは(喀血

うぉぉぉぉGJ!
つーか、黒い天使、健気過ぎて萌えすぎるんですが。
402名無しさん@ピンキー:2005/10/10(月) 02:17:40 ID:2wyCVnUP
ぜんぶ分かってて黒天ちゃんを応援しつつ身を引く紅蓮くんも切ないよな。せめて生き残れw
・・・紅蓮くん、“彼女”を救えなかったんだな。つくづく不憫よのう。
403名無しさん@ピンキー:2005/10/10(月) 10:06:11 ID:6+7DoWOg
ぐ、ぎゃああああああああっ!?身体がっ!身体が萌えるっ!?
404377:2005/10/10(月) 19:46:16 ID:GMRnAAdi
>>396-400
萌えた悶えた萌えつきた。
っていうか神の光臨をこの目で認識した。
仕事早すぎのグッジョブすぎの光栄すぎでございますですはい。

>>401-403
そうか……アレを望んでいたのはオレだけじゃなかったんだな……
共に萌えつきようぞ同志達よ!!
405魔器人化でGO! 2:2005/10/10(月) 22:20:40 ID:gCsQFt52
「違うッスよごしゅじーん。あたしッスー。ほらこっちー」
「な、なんだってんだよ!?」
 大きいほうのベルが柊の袖を引く。
「ああ、その子貴方にあげたぬいぐるみよ」
 小さいほうのベルが優雅に紅茶を啜りながら言った。
「えっ!? ああああああああ悪魔のハエなのかコイツが!?」
「えへー。そッスよー」
「ま、魔器人化は武器だけなんだぞ!? 大体俺はまだその能力とってない!」
「私が何者だか忘れたのかしら、柊蓮司」
「いちいちフルネームで呼ぶな! 魔王だろお前」
「それはまあ役どころね。クラスは大いなるもの、よ」
「小さな奇跡ー」
「そうね。今回は奇跡によってルールを多少」
「おいおいおいおいおいおい!? ってか何しに来たんだ?」
「そうね。私はね、今楽しいのよ。そしてそれは今だけなの」
「はあ?」
「永き時を生きる私たちにとってはね、貴方の一生なんて一瞬のようなもの。
だからこの楽しさはね、いつかは消え去る今だけの魔法の時間」
「ういッスー」
「悪魔の蝿を通して見ていたけど、随分とご乱交のようね」
「ちょっ」
「その全てが受けシチュだということは突っ込まないでおくわ」
「な、なんだよ」
「ぶっちゃけると一時の快楽に耽りに来ました。この子はサービス。さあ脱げ」
「ほらほらーご主人ーおっぱいッスよー」

ttp://akm.cx/2d2/img/11575.jpg

「な、なんだお前ら俺の体が目的なのかようわ何をするやめくぁwせdrftgyふじこlp;@:」

406名無しさん@ピンキー:2005/10/10(月) 22:23:30 ID:gCsQFt52
と、ブツ切りですが続きでした。多分まだ続きます。

なんかちょっと離れていたうちに滅法いっぱい投下されてますね。
これから読みます。蝶ワクワクですよ?
どうでもいいけど部屋が見つかりません。
23区内はどうしても高価だね。今は買い手市場って言うけどさー。
407名無しさん@ピンキー:2005/10/11(火) 00:33:43 ID:qj36xQz6
うわーい、新作ラッシュだ!
どちら様もグッジョブです。


連休終わったらまた静かになるのかな(ぼそ
408名無しさん@ピンキー:2005/10/11(火) 03:59:31 ID:NFS+bggP

 ――ふと視線を頭上に向けると、澱んだ空から音もなく白い雪が舞い散るのが見えた。
「……冷える訳だな、おい」
 ボソリとぼやけば白く染まる自分の吐息を見てしまい、上月司は顔をしかめて足を早める。
 S市の繁華街。そのいつもより速い人の流れを縫うように早歩きで進みつつ、司は目的地の雑居ビル
に逃げ込むように入り込んだ。
 目指す階数は三階。エレベーターは使わずに非常階段を軽快に昇りきると、重苦しい鉄扉を開く。す
ると、そこにはエレベーターの扉と何も書かれていないドアがある。
 ポケットから手を抜き、インターホンを二回押す。ピンポーン、という電子音が二回繰り返され――
が。
「……何だ? 留守かよ」
 返答のないインターホンに愚痴を漏らしつつ、試しにドアノブに手をかけてみた。
「おっ?」
 ガチャ、とあっさりと開くドアに逆に拍子抜けしたように、司は声を上げる。
「無用心……つーか、こりゃあ」
 かすかに、司の表情から気だるさが消えた。
 司が知る限り、ここの主≠ヘメリハリのある人物だ。「日常」でなら、こんなドジもやらかすだろ
うが、この「非日常」の場所においてそんなミスは決して、しない――。
「――――っ」
 司は完全にポケットから両手を抜いて、呼吸を整えた。ただでさえ鋭い目に、抜き身の刃のような凍
りつくような鮮烈な光を宿し、気配を消してドアをくぐる。
 廊下は薄暗かった。だが、だからこそ明かりが漏れている一室がすぐにわかる。
 司は全身に緊張を張り巡らしたまま、その部屋に近づいていく。ドアは半開きになったまま――。
「……な……っ!?」
 そのドアの隙間から覗くものに、司が声を凍らせた。
 白く細いよく見慣れた形のソレ――そこに一本の腕が、転がっていたのだ。
 カッ、と司の視界が赤く染まる。自分の中で行われた連想――しかもこれ以上ない最悪の結果を思い
描き、司が凍りついた声を怒声でぶち壊すように、叫んだ。


「――支部長っ!!」
409408:2005/10/11(火) 04:00:15 ID:NFS+bggP

 カタカタカタ、という間の抜けた音を立てて、土鍋の蓋が弱々しく自己主張。
「………………」
 それに対して仏頂面でそれを眺める司と。
「………………」
 申し訳なさそうに縮こまったパジャマ姿の薬王寺結希の姿がそこにはあった。
 UGNS市支部にある給水室――といってもへたな食堂並に器具はそろっているのだが――そこでは
しばらく司が調理を行う音だけが響き渡る。
 そのどこか気まずい沈黙を破ったのは、結希の方だった。
「あの……司さん……」
「あんだ?」
「怒って……ますよね?」
「どう見えるよ? あんたの目には」
 それは、怒っているようにしか見えません――とは言えず、結希はしゅんとして違う言葉を紡いだ。
「すみません、ご迷惑をおかけしてしまって……」
「――っ! そんなん、いいから! 迷惑かけてると思うなら、湯冷めする前にとっとと寝てろ!」
「……………………はい」
 司の半眼に肩を落とし、落ち込んだような年相応の少女の表情で結希は廊下へと姿を消した。
「………………ったく」
 その後姿を見送り、数十秒。完全に消えたことを知って、司は重いため息をこぼした。

 ――時間は、少し遡る。

『……つ、かさ……さ……んっ……』
 あの時の司の叫びに、部屋から覗いていた腕は何と弱々しくながら手を振り返したのだ。
 司が部屋にたどり着けば、そこには倒れた結希の姿があり。事情を聞けば何と言う事もない――風邪
をこじらせ、高熱を出して倒れていたのだという。
 ファルスハーツやその類にでも襲撃されたか、と思っていた司にとっては拍子抜けこの上ない結果で
はあったが、試しに測って見れば三九度にも及ぶ熱を出していたことが発覚したわけで。
 仕事が残っている、という結希の言葉を完全無視して、シャワーだけでも浴びさせてその間に司はお
粥を調理し始めて次第だ。
 司は小さく、ぼやいた。
「……何だかなあ、おい」
 結希には怒っているように見えただろうが、それは違う。司は、戸惑っていた。
 彼女の死を連想したその瞬間、自分の中に込み上げた感情の強さと――それが上げさせた、悲鳴のよ
うな声……。
 それは、あの時――自分の肉親の死を直視した時と同じものだった。
 思い出すだけで、背筋を引き裂くような怖気と胸をえぐるような絶望が蘇る――それを司はねじ伏せ
るように、全否定。
「……チッ。強くなったんだろうがよ、俺は……っ」
 舌打ちとともに、苛立たしげに司はコンロの火を乱暴に止めた。
410408:2005/10/11(火) 04:01:02 ID:NFS+bggP

「味は、保証しないからな」
 そんな言葉と共に渡されたお粥に、ベッドで上半身を起こしたままの結希は心の底から首を横に振る。
「そんなこと、ないですよ……すごく、美味しいです」
 細かく刻んだネギの入ったお粥は本当に美味しかった。
 お粥で一番難しいのは、何より米粒を潰さないように柔らかくふっくらと煮る事だ。土鍋は最初の内
は米がはりついてしまいやすく、焦げ目が付きやすい。それだけでなく、丁寧に丁寧に水を含ませなが
ら丁度良い加減に米の状態にするにはかなりの注意がいる。お粥とは意外と手間がかかる料理なのだ。
「は……あつっ……ん」
「……慌てずに食えよ」
 口に入れたお粥の熱さにハフハフと口を開閉させる結希に、司は苦笑。
 ふと、思い出したように司はあまり物のない結希の部屋を見回し、時計を見つけた。時刻は午後の八
時三十分を少し回った程度だ。
「ケイトに、連絡しとくか? 支部長」
「えっ、は、はにゃ!? そ、それは駄目です、絶対、駄目!!」
 何気なく言った司の言葉に、あたふた、と予想以上の慌てぶりで結希が止めに入った。
「駄目って……何で?」
「あの、ケイトさんに、心配、かけたくありませんし……その、あの……」
「あんだ? 歯切れ悪いな……あいつがそんなもん、気にするような奴かよ?」
「そ、それは、そうかもですけど……」
 その、あの、でも、とお粥をスプーンでかき混ぜつつ、結希は俯いてしまう。
 司は呆れ返った様にため息をこぼし、半眼した。
「――ようするに、あれか? 風邪引いた原因があいつにあるって事か? もしかして」
「ち、違いますよっ!! 悪いのはケイトさんじゃなくて、無理言った私で……っ!?」
 反論しかけて、結希がハッと口をつぐんだ。司は、今日何度目かも解らなくなったため息をこぼし、
頭を掻いた。
「えっと……この間の日曜日、雨だったじゃないですか!? その時に、私が無理言っちゃって、その
……あの……」
「……いい、もう、いいから。ケイトには黙っといてやる。だからもう、黙って食え」
「……はにゃ」
 返事にならない返事を返し、結希はスプーンを再び動かし始めた。
 それを見ながら、司は微苦笑。
「食い終わったら、そこに置いとけ。今日はきっちり薬飲んで寝とけよ、支部長」
「あ、はい。ありが」
「礼はいらん、礼は」
 遮るようにパタパタと手を振る司に、結希がクスリとくすぐったげな笑みをこぼした。
「…………あんだよ?」
「あ、いえ……もし、お兄ちゃんがいたら、きっと司さんみたいなのかなあって」
 クスクスと笑みをこぼす結希にばつが悪げに息を飲み――照れ隠しに司は苦笑しかけて。


 ――ド、クン……!


 な……っ!? と、自らの胸を押さえた。
 それはまるで海に落ちて、深海にまで何か∴きづり込まれるような感覚――司には、その感覚に
身に覚えがあった。
 視界に床が広がる。自身が倒れたのだ、と気付くより先に、視界の片隅で何か声を上げたらしい少女
に司は声にならない声を上げた。


 ――逃げろ、支部長……!!
411408:2005/10/11(火) 04:05:07 ID:NFS+bggP

 こんな時間に何をやっているのでしょう?orz

 ダブルクロスの第一期キャラクターで、今ごろ、何とはなしに、やってみました。
 次回は、初っ端エロから突入です……広い心で読んでやってくださいまし。

 つーか、需要を考えるのもアレだけど……あるのかなあorz
412名無しさん@ピンキー:2005/10/11(火) 05:31:29 ID:bxMxdeAQ
 ああもう腹を切れ俺。383の下から3行目。私→ボクに訂正。これは直したと思ったのだがなぁ。
 しかも379と380の間がひとつ抜けてる。以下が投稿し損ねの分っす。申し訳ない。
 しかしなんというか、ものすごい勢いで作品が上がってますな。なかなか追いつかないぜと嬉しい悲鳴。
 感想もまた、おいおいのうちに。
413鋼の戦士&混沌の監視者 補遺:2005/10/11(火) 05:33:12 ID:bxMxdeAQ
「ふ……ぁっ……は……っ」
 馴染ませるようにゆっくりと動き出せば、それだけで彼女の口から甘い声。
 組み敷いた裸身は、この上なく美しいものだと彼は思う。
 神秘的な紫瞳は快楽に侵されてとろんと潤み、汗ばんだ肢体に艶やかな金色の髪が貼りついて艶めかしい。まるで内から透ける
ように白い肌は薄桃色に上気して、深く肉の楔を打ち込まれる度愉悦にくねった。
「…っ……んんっ……んぅっ」
 性的な快楽に酔っている事を認めたくないのか、彼女は唇を噛み目を閉じて、いやいやをするように頭を振る。
 ゆるゆると貫き、同じだけの時間をかけて引き抜く。電流のような感覚を享受ながら、彼はその頬に触れた。不意の感触に、び
くりと彼女が目を開ける。
 そのまま頭の後ろにまで手を回し、首だけ持ち上げるような格好に。
「見えるだろ、繋がってるの」
 かあっと頬に朱が差した。肌身を重ねるのはもう幾度目とも知れないのに、彼女時折は生娘のような反応をする。その泣き出し
そうな顔が、流されまいと必死に耐える顔が、どうしようもなく愛らしいとは自覚していないのだろう。
 抱え起こしていた頭を離し、ぐいと更に奥へと突き込む。
「あうっ……あ、あぁ……!」
 白い喉を見せて、くうと肢体が仰け反った。
 いつもは落ち着いた、冷たくすら聞こえるソプラノが熱に乱れる。とろりと溶けかかった氷の痴態が、情欲を一層に昂ぶらせた。
細い腰を両手にとらえて、彼は徐々にペースを上げていく。
「あ、あっ……ああ……ん…っ」
 深く強く攪拌すれば、その奥から絡みついた蜜が溢れて零れた。
 熱く蕩けた襞が、ねっとりと締め付ける。
「ああぁっ、や…だ……こんな……ああ……激……し……っ」
 白い腕が下から伸びた。彼の首に巻きついて、抱き寄せる。その力に抗わずに従って、ふたりはまた唇を重ねる。
 もっとしっかり繋がりたくて、女の脚が男の腰を抱え込む。
 先刻までの自制はどこへやら。舐めあう舌の間に熱い喘ぎを織り交ぜながら、彼女は自分から快楽を求めて腰を揺らす。互いの呼
吸が切迫していく。
「んあっ……ああ……あっ…ボ、ク……もう……! あっ、あ、ん…ああああっ!!」
 きゅうっと強張る彼女の身体。その深奥へ、彼は熱い飛沫を吐き出した。
 荒い息が、やがて落ち着いていく。指を絡めて握りあった手。今気付いたかのように彼女はそこへ目をやって、それから少し恥じ
らう仕草で、彼の胸に頬を寄せた。
414名無しさん@ピンキー:2005/10/11(火) 22:48:11 ID:LtciupoA
怒濤の如きGJ。
415いつも中の人:感想編:2005/10/11(火) 23:12:38 ID:hC+PqX+G
>379
ロウ「なぁにが『もしもの時は、意地でも責任取るからな』じゃ! 本気で覚
 悟があるなら籍を入れてからにしよし籍を入れてからに! デキ婚なんぞ、
 無責任にも程がある!」
アン「ロウ、ロウ、余所様の鋼の戦士ですから。あなたの弟子ではありません
 から。そう怒らないで、落ち着いて」
ハガ「てか、籍を入れるも何も、監視者に戸籍なんか無いんじゃないか?」
レン「大丈夫、監視者は【伝説の住人】だから。必要ならば、戸籍だって在る。
 わたしの戸籍と一緒一緒」
ロウ「しょうがねぇ。とりあえず、リュウに頼んで偽造の婚姻届でも出してお
 くか」
アン「それが刑事のやることですかっ!?」
ハガ「大体、『責任取る』っつっても、『結婚する』とか『できた子供を一緒
 に育てる』とは限らないわけだし、なぁ?」
レン「みーっ、ハガネが黒いよぅ〜」

>380,>383
ハガ「『無理矢理殻を引っぺがされてナメクジにされるカタツムリの気分』がわか
 るのに、女心がわからないとは、あんたも不思議な男だな?」
戦士「ハガネ……お前の辞書に『比喩』という言葉はないのか?」

>405
 本日の萌え〜。
>「ぶっちゃけると一時の快楽に耽りに来ました。この子はサービス。さあ脱げ」
 は、はえこちゃんならともかく、蝿本体に萌えてしまうとは……くっ、まだ
まだ修行が足りんかったようだ。

>「ほらほらーご主人ーおっぱいッスよー」
 いや、萌えるのと勃つのとは違うから。お嬢ちゃん。
 ……などとツッコミを入れたくなるGJさ加減でした。続編お待ちしており
ます。
416いつも中の人:感想編:2005/10/11(火) 23:15:47 ID:hC+PqX+G
>407
 あんたいっぱい書きよしw

>408-410
 需要がないどころか、「GJ!」と立てた親指を掲げつつ続編に期待。でも
司×結希ですか? 結希×司ですか? 風邪のときには汗かいて治そうシチュ
ですか? あとでケイトに殺されませんか? どきどき。

>あの時――自分の肉親の死を直視した時
ケイ「ええと、つかちゃんのお母さんはつかちゃんが生まれてすぐ亡くなられ
 てるんだよな?」
結希「確かそうです。ですから、ここでいう『肉親』とは、司さんのお父様の
 ことだと思います」
兄貴「ええっ!? ええええっ!? 兄ちゃんじゃないのか!? 兄ちゃんの
 ことじゃないのか!? 兄ちゃん、もっとたくさん死んでるぞ? 司の前で
 も死んでるぞ? そうか、そうか死に足りないか、兄ちゃん死ぬのが足りな
 いか、でわ死のう」(SE:ズキューン、バタッ)
つか「馬鹿やってねぇでリザレクトしやがれぇぇぇぇぇ!」

>379,>413
いつも「なんだ、そこまでヤるのか戦士。むしろそこまでさせるべきなのか、
 なら遠慮する必要などなかったな、次はもっと激しいシチュで書いてやろう」
ふたり「いい加減もう遠慮しろっ!」
417異能の指先妄想:2005/10/12(水) 05:45:22 ID:hZNSi3Ud
 なんか流れが激しいところへ続き投下。間が空いた上に今回ぇろ少なめでゴメンナサイ。
 今回と次回で終わる予定。


 小難しいヒトだった。
 人付き合いが苦手で、教員達の間でも浮いた存在だった。職員室にいることは滅多になく、いつも生物準備室に陣取っ
ていた。誰に対しても距離を置いて、よく「冷たい」とか「変わり者」とか言われていた。
 元々は、どこかの大学の研究者だったのだという。どうしてそれが高校の教師になったのか、そしてUGNのイリーガル
にスカウトされたのか、少女は知らない。一度尋ねたことがあったが、曖昧に笑っただけで彼女は答えなかった。
 ただ、研究者という肩書きが消えても、彼女の内面はさほど変わらなかったらしい。レネゲイド・ウィルス。オーヴァード。
彼女の興味はいつもそれに向いていた。危険なイリーガルの任務をこともなげに請け負うのは、或いは自身の戦闘行為
を検証と考察の材料にしていたためではないかとさえ思われた。実際、UGNが擁する研究機関からかかった招聘を、彼
女は断ったことがあるという。そういう人物であるから、高い能力の保持者として彼女を認めながらも、支部の責任者達は
危険視していた。それは、少女にとっても同じはずだった。
 “ホーム”という特殊な出身を持つ“白き閃光”にとって、例え外部協力者であっても遵守しなければならない機密項目は
十指に余る。高校潜入前、支部長は学生生活で問題が起きた場合の相談役として彼女を紹介したが、同時に、容易く気
を許してはいけないという旨の忠告をそれとなく付け加えられもした。
「何を考えているのか、よく分からないところのある人ですから……」
 ノイマン・シンドローム発症者であり、プロファイリングを得意とする“水晶の瞳”らしからぬ言葉だった。
 だから校内で顔を合わせるたび、所用で生物準備室を訪れるたび、何か詮索されるかと初めは身構えていたものだった。
 結局のところ、何も聞かれなかった。
 学内で彼女が“こちら側”の話をすることはなかったし、少女の過去やプライベートに踏み込んでくることもなかった。
初めての学生生活に戸惑う少女へ、要領よく高校の仕組みを教え、勉強の相談に乗ってもくれたが、必要以外のことは
あまり口にせず、いかにも事務的な態度を通していた。いつもぼぅっと考え事に耽っている雰囲気があった。目の前に立っ
てもこちらを見てはいないような、遠くを見る目。
 ――けれど彼女は、話しかければ答えてくれた。相談をすれば、真剣に考え込んでくれた。
 ひょっとしたら、不器用なくらい生真面目な人だったのかも知れない。
418異能の指先妄想:2005/10/12(水) 05:46:26 ID:hZNSi3Ud
 任務では、同行することが多かった。格闘戦において“髪”で優位に状況を運べるが決定打を持たない“紫紺の華”と、
威力はあるが速射が効かないため接近されると著しく不利になる“白き閃光”の能力は、欠点を上手く補い合えたからだ。
 レネゲイドの高ぶりのせいだろうか。任務の間だけ、普段は物静かな彼女がしばしば饒舌になった。唐突に口を開いた
かと思うと、吟じるように思索の欠片を零れ落とした。
 いつだったか、言っていた。
 生物のメンタリティは、それぞれ固有の生態に因るものなのだと。
 世界に適応し、生きていくために。自分の肉体のことを知り、世界との折り合いの付け方を知り、積み重ねていく経験や
知識の高度な集積が知性であり精神なのだ、と。
 では、オーヴァードはどうなのか。
 ヒトの肉体の限界を超え、明らかにヒトではない力を持つのなら……精神もまた、ヒトを外れるのが自然ではないのか。
ジャーム化と呼ばれる変異こそが、実はオーヴァードのあるべき姿ではないのか。ヒトでもなくジャームでもない我々は
……どっちつかずの裏切り者(ダブルクロス)ではないのか。
「やめて下さい」
 怒気を孕んだ鋭い声で少女が遮るが、彼女は構わずに続けた。
「肉体操作型のレネゲイド発症者は、身体機能の変異が著しい。特にエグザイル・シンドロームの場合は人体を根本から
別のモノにしてしまう……病状の進行次第では、それこそ“不定形”と言っていいほどに。顔を変え、体格を変え、声帯や
代謝――体臭さえ変えて別人に成りすましたり、擬似的とはいえ植物に変態した症例すら報告されている。
 そんな彼らが……人間本来の形に囚われることに、意味があるかしら?」
「……」
419異能の指先妄想:2005/10/12(水) 05:47:51 ID:hZNSi3Ud
「私の身体もそう……本来筋肉も神経も存在しないはずの毛髪を、両手の指より繊細で力強く動かせる。なら、この両腕
にはなんの意味があるの? 私が私という形を保つことは、本当はとてもいびつなことなのかも知れない。なのに、固執
している……それはこれまでの肉体の在り方に合わせて精神が形作られているから。
 けれども……いずれそれも変質していくでしょう。心は肉体に合わせて象られるものだから。
 ――いまや、私という存在は一つの混沌。定められた形も従うべき法則もない。
 心も体も不定形になっていくなら……私は、もはやどこにもいない……そういうことにはならないかしら」
 少女は叫んだ。やめて下さい、と叫んだ。今まで生きて来た中で、一番大きな声を出した気がした。
 怒りとも恐怖ともつかない震えで、全身が硬直していた。目を見開いていた。耳鳴りがして、鼻の奥がツンと痛んだ。
 彼女は少しきょとんとして、それから曖昧に微笑して、
「ゴメンナサイ」
 と謝った。
 なんとなく、悲しそうに見えた。
「ちょっとした言葉遊びのつもりだったんだけど……ふふ……悪ふざけが過ぎたみたいね。
 ……ああ、ねえ、そんな泣きそうな顔をしないで。私が悪かったから」

 潜入から少し経った頃、少女にも友人らしい友人が出来た。
 席の近い女性徒で、まだ多少ぎこちないながら、休み時間となればお喋りの一つもできるようになった。
 ある日、彼女は尋ねてきた。
「ね、ね。あなたってさ、生物準備室、よく行ってるんだって?」
「……うん」
「何しに?」
「本、見せて貰ったり……授業の質問とか」
「ふぅん……よく行けるねぇ。あたしゴメンだな、あの先生と二人っきりなんて」
「……どうして?」
「だってさあ。あのヒト変わってるじゃん。冷たい感じで、なんか……目が怖いっていうか」
 少女は考え込んだ後、不器用に微笑して言った。
「話してみれば、そうでもないよ……」

 ――全てが、過去形のこと。
420異能の指先妄想:2005/10/12(水) 05:48:36 ID:hZNSi3Ud
「ァ……」
 胸を慰撫されるゾクリとした官能で、少女は我に返った。
 最初に感じたのは肌寒さ。それから――
「嫌……嫌、嫌ぁ……」
 か細い悲鳴を上げ、力の入らない右腕で裸の胸元を隠そうとするが、背後から伸びた手に掴み止められてしまう。
 座らされているのはパイプ椅子だ。教員用に、黒板の脇に備えられていたものだった。ブレザーもシャツも脱がされて、
脇に放られていた。胸元には下着の残骸がまとわりついているだけになっていた。
 肉付きの薄い双丘をさらけ出したまま――少女は、クラスメイトの虚ろな瞳を見ていた。
 教壇の前に座らせられて、黒板を向いたまま硬直している生徒達と対面させられていた。
「恥ずかしい? ……ふふ。大丈夫、見えてはいないから。ちゃあんと私が《ワーディング》してるもの」
 すぐ後ろ、耳元で女が囁く。“紫紺の華”の声で。吐き気がした。
 首には女の骨が刺し込まれたままなのだろう。痛みと得体の知れない熱さがないまぜになった、じんじんという疼きを感
じた。前を見ていられずに視線を落とすと、服を脱がされた拍子に落ちたのか、足下に左腕が転がっているのが見えた。
傷口はもう塞がっていて、痛みはなかった。
「……『腕を拾ってくっつけられれば』、って思った? 私を倒すことはできなくても、窓の外に一発撃って味方に異常事態
を知らせるか、これ以上何かされる前に自殺できるって、思った?」
「え? んっ、はぁぁ…っ」
 怪訝に思う暇もなく、ぱくりと耳朶を甘噛みされる。過敏になった神経は、それだけで行き詰まるような快感をもたらした。
左腕の力が抜けると、女は右手を少女の乳房に移してやわやわと揉みしだく。桃色に染まった柔い肉が五指に弄ばれて
奔放に歪み、剥き出しになった背中は堪えかねて大きく反った。肌が汗でぬめっていき、艶やかに照り輝く。
「あふぅっ…ひっ…はあぁっ……あふぅっ!」
 胸を侵し、脊髄を伝って体奥へ流れ込んでいく熱さに身も世もなく喘ぎながら、少女は涙で歪んだ視界に映る級友達の
視線を感じていた。薬で高ぶらされて、陵辱されて、望まぬ快楽に悶え鳴いているところを、見られていた。
「いや、ぁっ…い、ぁ……」
 仮初めの日常、命じられたからそこにいるだけの虚偽の生活、居るべきでないところ……初めてのことばかりで戸惑っ
て、どうしていいか解らなくて、でも、なんだか楽しくて。
 “ホーム”の外で初めての友達が出来た。授業のことや、休み時間のお喋りの話題で悩んだ。
 少しずつ理解して、自分の居場所と思えるようになっていった。
 それを今、全部汚されている気がした。
 喘ぎに嗚咽が混じり、そんなことはお構いなしに、身体は高みへ昇っていく。
 頬を落ちる少女の涙を舐めとって、女は笑った。
 どこか悲しげな、曖昧な微笑だった。


 以上、お粗末。
421名無しさん@ピンキー:2005/10/12(水) 10:12:05 ID:iB9DAV5p
おつ。
これは……この「紫紺の華」の正体が気にかかるな。
422DX2 梓×和樹の中の人:2005/10/12(水) 21:08:56 ID:6vr53tzO
またまた2ヶ月あけてしまってすみません
プライベートで非常に忙しかったので・・・

これで、前編は終了で次から中編、後編へと入る予定です
エロシーンまでは長い道のりですが・・・

ちなみに補足しますと、このキャラたちはダブルクロス2ndの巻頭コミックのキャラです
わからない人がいたみたいなので、一応補足を

遅筆で本当に申し訳ない・・・
423DX2 梓×和樹:2005/10/12(水) 21:10:48 ID:6vr53tzO
〜2日目 9:03 商店街〜
夏休みに入り、じっとりとした風に悩まされる季節。長い髪がこういう時には邪魔に感じる。しかし、そんな不快感も表には出さず、私はUGN支部に向かう。昨日の事件の事で真希から支部への呼び出しがあったからだ。
「あ・・・、高宮さん!」
呼ばれ、振り向くとそこに、眼鏡をかけたさえない学生・・・にしか見えない瀬戸和樹が立っていた。その瞬間、昨日の思いで、それも抱きしめられた感触がリアルに蘇る。
「おはよう。高宮さんも呼び出し?」
「あ、ああ、お、おはよう、瀬戸」
動揺を隠すのには失敗したが、なるべくぶっきらぼうに答える。
「まあ、支部にはちゃんとエアコンが入ってるから。夏場には助かるんだけどね」
「ふむ、そういう考え方もあるか」
他愛のない会話の滑り出しには成功。なんとか自分のペースを取り戻せたらしい。
そうだ、昨日助けてもらったお礼を言わなければ・・・。
「瀬戸・・・」
「昨日はごめん、あんな事して」
424DX2 梓×和樹:2005/10/12(水) 21:11:56 ID:6vr53tzO
機先をとられた!!私は言葉を一瞬失う。
「いや、・・・助けられたのは私の方だ。その、罵ってしまった私の方が謝らなければ・・・」
う、声がうわずっている。なんでこんなにも彼の台詞一つで動揺するんだ、高宮梓!!
自分で思わずツッコミを入れたくなる。
「別に気にしてないよ・・・それに・・・」
「それに?」
和樹はにっこり笑い
「高宮さんが俺を罵るなんていつものことだろ?」
一瞬きょとんとする私。その次の瞬間に思わず笑いの衝動に駆られた
「ふふ・・・そういえばそうなのかもしれないな」
彼の台詞で、何故か自分の中にいた「身構えてしまう自分」がいなくなったような気がした。いつもの自分・・・そんな物に縛られなくても良いような、彼といるとそんな心地良さを感じるのだ。
彼は、私が笑うのを見て一瞬惚けたような顔をした後、一緒になって笑った。
「さて、そろそろ急がないと遅刻してしまうぞ」
私は時計を見て和樹を促す
「そうだね、急ごう」
私たちは支部に急いだ・・・。内心ではもっと彼と話していたかったのだが・・・。
425いつも中の人:感想編:2005/10/13(木) 21:11:00 ID:/oWL7EHi
>417-420
 乙ですー。
>生物のメンタリティは、それぞれ固有の生態に因るものなのだと。(中略)
>……そういうことにはならないかしら」
 この辺りの内容は、なるほど一理あると思いました。面白い発想ですよね。
 ……「紫紺の華」の正体の伏線と見たw

>423-424
 日常描写がホッとしますね。GJです。
 ああDX2のルールブックが欲しいーこのお話をもっと理解したいー誰か
要らんのちょうだいー。
426天羅零2本目後編1/5:2005/10/13(木) 21:15:01 ID:/oWL7EHi
 目覚めると、かすかに血の臭いがした。
 真夜中らしい。辺りは真っ暗。
 身体は、意外とすっきり全快。なんだ、これなら今からこの家を出れば明日
の朝には蟲使いの相手をしなくて済む。指を鳴らし、爪の先に光を灯す。陰陽
術の応用、人体に含まれる紗を使った明かりとりの術だ。
 白濁した物がガビガビと貼りついている足を、なんとか手ぬぐいで拭きとっ
て、服と、旅の荷物と、それから式紙、筆、墨壺、露板、機面鏡……。
 無い。
 機面鏡が、無い。
「機面!」
 機面鏡だから、機面。適当な名前に、
「呼んだか、四季」
 返事がきた。
 破れ障子がスラリと開いて、陰陽師めいた白地の衣、惚れ惚れするほど紅顔
の美男子。
「またそんな、人の姿に化けて……」
 呆れたわたしに、寛いだ風情で微笑みかける憑喪神。
「風呂を沸かした。入るか?」
「入る」
 即答。
 入ってからでも、まあ逃げ出すには充分だろう。とっとと汚れを落として、
着替える。それから荷物を取りに戻ろうとして。
 ふと、何かの予感。手近の扉を開ける。鼻腔を突く、濃厚な血臭。
「この臭いは……?」
「気にするな」
 いつの間に傍に来たか、機面鏡が言う。
「お前さんを害するものではない」
「あの蟲使いが、何か?」
「あの蟲使いに、何か、だ」
 ニタリと笑う。忘れていた、こいつは妖物だ。人の道徳、倫理観など、持ち
合わせているはずもない。
「まさか……!?」
「ああ、殺した。先ほど。見るか?」
 言われるまでもなく駆けて行った先、蟲使いの寝所には、凄まじい力で引き
裂かれたような、男の死体がドッと倒れていて。
 それ以上は見ていられなかった。彼の飼っていた蟲だろう、寄ってたかって、
死体を食い散らしていた。
 ゾッとする。吐きそうだ。バンと扉を閉める。
「お前さんを苛めた罰だ」
427天羅零2本目後編2/5:2005/10/13(木) 21:16:40 ID:/oWL7EHi
 罰、って、そりゃあ不快な思いもしたけど、殺すことはなかったのに。命の
恩人だったのに。あのことだって、一応は、納得の上の取引だったのに。
「もっと早くに、そう、奴がお前さんを抱く前に、殺してやってもよかったの
だがな」
 機面の瞳がわたしを捉える。血の興奮に、情欲に、燃え盛る瞳だと思った。
「他の男に犯されて喘ぐお前さんを見るのも……愛しい」
 口づけ。軽く唇が触れて。
 すりあわされる。柔らかな感触。あたたかな温度。
 そのくせ、どこかが硬くて冷たい。
「今度は儂に犯されて……喘いでみるか、四季」
 耳元で低く囁かれ、ゾクリと背中を這い昇る期待感。
 ああ、本当に。わたしときたら、度し難い。
 こんなときに、こんなことがあったのに。
 体奥が、熱く濡れてくる。
 男を、妖物を、ううん、彼を、機面を。
 否が応にも、わたしは求め、欲している。
 機面が離れる前に、わたしは彼の首に腕を回し、身体中で擦り寄り、無言で
訴えた。もっと、もっと、もっとぉ……っ!
 腰を抱かれて夢見心地、廊下を歩いてわたしにあてがわれた部屋へ。ぼんや
りする頭。小さな灯りが部屋を満たす。どこに火が、と思ったら、さっき作っ
た明かりとりの術がまだ効いているのだった。ふい、と投げる。ホタルのよう
に移動して、ぽ、と行灯に火を灯す。じりじりと、油の焼ける臭い。
「先程と同じようにするか?」
 疑問形の、だけどそれは命令形。
 わたしは自ら衣服を落とす。素裸で、膝立ちになって、布団の中央に。
 広げた足の間に男の頭。強制されたわけでも、導かれたわけでもないのに、
わたしは自分自身を男の顔に近づける。
 わたしの感じる雛尖を、男の口に明け渡す。
「あ……っ」
 舐め上げられて、声が出る。だけどあの蟲使いのようには、彼はむしゃぶり
つかない。足の付け根に沿ってゆっくり往復し、それから徐々に、徐々に徐々
に近づいてくる。
「ん……は……あ……」
 茂みを濡らされ、ヒダを分けられ、気持ちいい、気持ちいいけど、……どう
して? どうして、それをくれないの? わたしのそこに、くれないの?
 避けられている? 焦らされている?
 舌の動きを予測して、わたしは少し、腰を動かす。過たず、
「ひゃうっ!」
 ビリッと来た。ほんのちょっぴり、かすっただけで。
「欲しいのか?」
428天羅零2本目後編3/5:2005/10/13(木) 21:18:05 ID:/oWL7EHi
 わたしの下で、声がする。欲しい、と素直に言うのは、流石に恥ずかしかっ
たから。
「……察しろ」
 そう応えたら、彼はくつくつと、喉だけで笑った。そして。
 わたしの一番の弱点を、舌が、唇が、舐め、転がし、突付き、挟み、吸い、
「あ、ひぁっ、ふぁっ、ふああん、ひあうぅっ」
 ああ、ダメ、立っていられない。膝だけで身体を支えきれずに、わたしは前
屈みになって、床に両手をつく。
「は、は……あ、はっ、ふああっ、ぁは……っ!」
 彼の上で、大悦びで腰を振って。まるで犬ころ。シッポを振る犬ころ。
「仔犬のようだな」
 同じ感想を、彼もいだいたらしい。
「ワンと鳴いてみろ」
「誰、がっ」
 ロクに言い返すこともできないぐらい、わたしは感じて、感じすぎて。
 男の腕が下から伸びてくる。両の乳房をきゅうと掴まれ、揉み上げられて、
こねられて、
「あっ、や、そんな……」
 指先でさすられ、先端を勃てられて、勃ったそこを強く弾かれ、摘まれた。
「っきゅぅぅん!」
「本当に、仔犬のようだ」
 あなたはわたしの機面鏡。わたしの道具。道具の主はわたし。道具のくせに、
主に対して生意気なことを言うな。
 そう思うのだけれど、どうしても、逆らえない。
 逆らいたくない。
 為すがままにされて、どうしてこんなに心地よいのだろう。
 傍にいるひとだから?
 ずっと傍にいてくれるひとだから?
 さみしい心を癒してくれると、ううん、彼がいるからさみしくないと。
 わたしは、そう認識しているのだろうか?
 相手は妖物。人間ではない。
 知性がそう断言しても。
 人と妖とが関係するなぞ、おぞましいにも程がある。
 理性がそう断罪しても。
 だから何? と感情は問題にしない。
 誰にも必要とされず、たった一人。それよりおそろしいことが他にある?
 わたしは必要とされている。わたしが必要としているものに。
 それ以上に嬉しいことが他にある?
 息苦しくて、大きく口を開けて、そこからは自分でも切ないくらいの呼気が
繰り返し漏れる。
429天羅零2本目後編4/5:2005/10/13(木) 21:19:46 ID:/oWL7EHi
「っは……っ……は……っは……は……っ」
 唇の端からつう、と唾液が垂れて落ち、なんてみっともない、だらしない、
と頭の中で誰かに罵られても、快楽に流されて、止められなくて、止めようも
なくて。
 すっかり開いた門。奥まった部分が甘く痺れて、あとからあとから濡れてく
るのが自分でもわかる。
 門の中、舌を差し込まれて、ずず、じゅる、啜り上げる音が聞こえる。その
淫らな音が、わたしの耳に届き、わたしの身体に響いて、わたしを興奮させる。
「ね……」
「ん?」
「どんな、味……する……?」
 訊いてみた。陰陽師は好奇心が原動力。
 自分の味を、わたしは知らないわけではない。師に貫かれたあと、おぬしの
もので汚れた、清めよと、ぬめったそれを舐めさせられたことなら幾度でも。
何だか変な味だった。自分から舐めようなんて、絶対に思わない。
 ただ、その味が男を、彼を興奮させるのかと、わたしはそれが訊きたかった
のだ。
 じゅるるぅ、ひときわ高い音がして、男は私の身体に手を添え、体位を変え
させた。上にいるのはわたしのまま、腰の位置をずらして、互いの顔が対面す
るように。
 口づけ。とろりと粘りのある液体が、舌を伝ってわたしの口に。
「お前さんの味だ。どんな味がする?」
 なんと具体的な質問返しか。
 わたしの味覚が訴える。
「イヤらしい味……っ!」
 まるで媚薬のようだ。ますます火照って熱くなり、わたしは男の唇を貪る。
腰を動かし、自分自身に、猛った男のものをこすりつける。
「これ……これ、欲しい。欲しい、の……っ」
「欲しいのか? 四季。挿れて欲しいのか?」
「うん……うん……、挿れてぇ……!」
 願いは叶えられた。下から上へ、突き上げる充足感。
「っはぁああっ!」
 期せずして仰け反る背中。腰が痺れる。熱くて、溶けそう。
「自分で動くか? それとも儂が」
 答える余裕などなかった。挿入の余韻で、もうそれだけで満足で。
「四季?」
 彼が身体を起こして、わたしを抱き締める。
「このまま出して、構わぬか?」
「い……いいよ、もぉ、出し……」
「また儂だけイくことになるやも知れぬが?」
430天羅零2本目後編5/5:2005/10/13(木) 21:21:07 ID:/oWL7EHi
「いい、構わない、もう充分、いい……あはっ……いいよぉ……」
 腰を持たれて。揺すられて。
「あっは、あはっ、きもち、きもち、いい……、いい、いいよ、いい……っ」
「本当に、お前さんには……興奮させられるよ!」
 叩きつけられた。男の欲望を。受け止めてわたしは、満足感に意識を灼かれ
た。
―〜―〜―
 向かい合い横たわり、彼の腕の中で、わたしは髪を撫でられている。
「これからも、他の男に出されたら、すぐさま儂が犯ってやろう」
 幸福感に、揺られ揺られて、わたしは半眠半覚醒状態。
「儂のもので、他の男の精を殺してやる」
 それは比喩? 事実としての機能? どっちでもいい。どうでもいい。
「子供など作らせぬよ。子供ができたら、女は母になる。だがお前さんは、母
になる必要など、ない。ずっと、ずっと儂の女でいればよいのだ」
 物凄い独占欲だな。てか誰が『儂の女』か。
 ……まあいいか。訂正しなくても。
 ザワリ、不気味な気配が外部から、この部屋を囲むように。
 機面はわたしを片腕で抱き上げた。大の大人を裂き殺すだけに、力は強いの
だなと妙に感心した。その上、自分一人だけ、いつの間にやら服を着ていて。
便利だな、妖。素裸に寝間着を、帯も巻かずに羽織っただけのわたしとしては、
羨ましい限りだ。
 感覚結合した式の目を通して見ているように、どこか他人事の景色。機面は
わたしの荷物をまとめて拾い上げる。その直後、障子を破り、蹴倒して、大量
の蟲が雪崩込んで来た。蟲使いを、飼い主を失い、暴走したか?
 つい、とわたしは足を動かし行灯を蹴る。倒れた行灯の皿から油がこぼれ、
そこに火が移り、嘘のようにバッと燃え広がった。
 彼が笑う。
「派手な脱出行になりそうだ」
 わたしは頷き、彼にしっかと抱きついた。
「行くぞ」
 どこへ行くのか、どこまで行くのか。長い長い旅路は、きっとまだ、始まっ
たばかり。
431天羅零2本目:2005/10/13(木) 21:23:54 ID:/oWL7EHi
 ・・・・・おしまい。

 以上、式打ちの四季ちゃん再び、というお話でした。
 さらっとスルーされちょるようじゃが前編は>387,>389-390じゃぜー。
432名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 21:45:04 ID:A+Lmln4g
激しくエロス&GJ。
遅まきながら前編もGJッした。
433名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 01:02:53 ID:lDx6kTup
>>422-424
ツンデレ! ツンデレ!


>>426-430
インビ! インビ!
434鋼の戦士&混沌の監視者・外伝追記1/5:2005/10/14(金) 20:43:04 ID:9IlcTpEo
 彼女は、彼が何故その腕に自分を抱くのか全く理解していなかった。
 精々、追い詰めた獲物を嬲って楽しむ、ハンターの趣味ででもあろうと考え
ていた。
 彼女は待ち望んでいた。その刃が閃いて、自分の命を絶つ瞬間を。その銃が
火を噴いて、自分の心臓を打ち抜く瞬間を。
 待ち望んでいるのだと、思っていた。
 最後まで、彼女は気づかなかった。彼は最早ハンターではなく、少女を愛す
る一人の少年であったことを。
 彼を殺しても、彼がその死を受け入れても、ついに気づくことはなかった。
―〜―〜―
 ヴァンパイア・ハンターなどという危険極まりない仕事には全く不釣合いな
ほど、彼は繊細な少年だった。陽だまりで詩集を紐解き、穏やかに時を過ごす
方が、きっと彼には相応しかっただろう。
 それでも彼は、剣でもあり銃でもある魔器をその手に携えて、レンフィール
ドとの戦いにおいては苛烈な斬撃を哀れな起き上がりどもに叩き込み、あるい
は冷徹無比な弾丸で彼らの身体を撃ち砕いた。
 彼は強かった。生ける死者の創り手にしてあるじたる不死者の少女に比べ、
戦技の冴えも、踏んだであろう場数も、遥かに陵駕していた。
 彼女の“王国”にしつらえられた寝台。その上で、彼女は1枚、また1枚と、
その衣服を脱がされていった。
 少年は、革製の防具を放り捨てただけの格好。自分だけが素裸になる羞恥に
少女は頬を染め、その身をよじったが、優しいながらも少年は、彼女の恥じら
いに躊躇はしなかった。
 軽く重ねる唇。何度も重ねる唇。背中に両手が回されて、少女の身体が少年
の身体に押し付けられる。着衣を介して感じ取る彼の鼓動の早さに、少女は何
故か、安心できた。
 “船乗り”の夜伽を務めたことなら幾夜とも知れず。迸るような彼の激情に、
ただ翻弄されるだけの時間だった気がする。そう、嵐の海に放り出された一艘
の小船のように。
 少年の愛撫は、まるで凪いだ日の湖。小船は湖面になめらかな波を残して、
静かにすべるように進んでいく。
 彼の手が、指が、唇が、舌先が、少女の素肌にそっと触れる。強いることな
く、焦ることなく、ゆっくりと、でも繰り返し繰り返し。
 気持ちいい、と思った。
 強烈な刺激は一切与えられていないのに、“船乗り”に抱かれたときよりも
どきどきした。自分の胸のときめきが、不思議なくらい嬉しくて、恥ずかしく
て、だからそれだけでは物足りなくて、少女は自ら少年の首に腕を回した。遠
慮がちに引き寄せて、でもその仕草は確かにキスをねだっていた。深い、激し
い、口づけを。
435鋼の戦士&混沌の監視者・外伝追記2/5:2005/10/14(金) 20:44:35 ID:9IlcTpEo
 少女の無言の想いに応えて少年の舌が唇を割る。先ほどまでの優しさに、ど
こか抑えがちな熱情を込めて、少女の中を擦っていく。
 違うの。そうじゃないの。
 少女は少しだけ顔を離して、潤んだ瞳で、蕩けた声で、彼を誘った。
「……もっと」
 もっと強く、して、欲しいの。
 少年の目が一瞬だけ丸くなって、
「嬉しいよ……」
 誇らしげな笑顔で、口づけを。
 少女の望むままに。少女の願うままに。
 快楽に耐え切れず、押し出されるように、少女は自分の舌を少年の中に挿し
入れようとして。
 不意に少年が身を引いた。目を閉じたまま少女は、一人、思い切り舌を突き
出した格好。気づいて目を開け、……慌てて舌を引っ込め口元を両手で押さえ
た。くすくす笑う少年。泣き出しそうに真っ赤な少女を、彼は組み伏せるよう
に押し倒した。
「や……いやっ……」
 形ばかりの抵抗を気にもとめずに、少年の掌が少女のふくらみを揉みしだく。
彼の吐息も今や隠せないほど乱れて、その乱れを更に増幅して少女に伝達する
ように。
「……ぁは、……は……ぁっ」
 呼吸に合わせて上下する、少女の尖端に、甘噛み。
「ぅあっ!?」
 可愛い喘ぎは淫靡な誘惑。満足げに聞く少年の顔も、興奮にとろかされてい
く。
 少年の指先が少女の狭間を往復する。かすめるように撫でるだけ。じっくり
と、彼女自ら開くまで。
「あっ……あっ……」
 ぴり、びり、敏感な蕾に与えられる間接的な刺激。痛いような、怖いような、
もっと、もっと欲しいような。
 少女がきゅっと足を閉じる。それは拒絶ではなく、彼の指を、より強く自分
に触れさせるための動き。心得たように彼の指先が彼女の花弁へ深く潜り込み、
萼につつまれた小さな蕾に幾分キツめの力を加えた。
「はぅうっ!」
 跳ねるように全身が仰け反る。彼女の感じた快美な電流が、ぞくりと少年の
背筋にも伝わるほど。
「気持ちいいかい?」
436鋼の戦士&混沌の監視者・外伝追記3/5:2005/10/14(金) 20:46:38 ID:9IlcTpEo
 少年が問い掛ける。少女は黙って首を横に振る。認めたくない、そういう意
思で。上半身が懸命についた嘘は、しかし、僅かながらではあったが少年の手
に自分自身をこすりつける下半身の淫らさに、あっさりと裏切られた。
 じんわりと溢れ出した蜜を逆に辿って、彼の指先がついに蜜壺の入口に到達
した。中指を浅く第一関節までもぐりこませて側壁をノックするように。彼女
が小さく頷いて見えたのは、彼の錯覚ではなかった。
 熱い彼女の内奥が自分の指に慣れるよう、第二関節までは緩やかに、じれっ
たいほどに。
「は……はぁ……は…………」
 そこから根元までは一気に、性急なほどに。
「あぅっ!」
 彼の自制も限界寸前。昂ぶる心の命ずるままに、彼女の内側を激しく蹂躙し
た。じゅっ、ぐちゅっ、イヤらしい音が部屋中に響くほど。指はそのうち2本
に増えて、突き込む、引き出す、掻き混ぜる。
「やっ、ああ、いや、や、め、あう、あっ、は、……!」
 熱い塊が自分の中心から喉元へとせり上がり、呼吸を止めてしまう。窒息の
恐怖、なんと甘美な、それは愛しい快楽だろうか。
 やがて少年の指は、ただ一点をのみ攻め始めた。容赦ない動き。果ての果て
へと彼女を追い詰める速さ。
「…………!」
 悲鳴を上げたくて、悲鳴も上げられなくて、少女の繊手がシーツを掻き乱す。
 飛ばされてしまう。消されてしまう。嫌だ。怖い。一人は嫌……!
 そのとき、少女の視界に少年の眼差しが映った。
 怖い……けれど。
 一人では、ない。
 ついに少女は意識を灼かれて、くうっと全身をこわばらせ……、くたりと力
なく横たわった。
 袖口まで、少女が噴いたものでぐっしょりと濡らされた少年は、ようやく上
着を脱ぎ捨てて、痛々しいほど縦横に傷痕の走る素肌で彼女を抱き寄せた。
 幸福感につつまれながら、やがて、少女の意識が浮上した。
 身体の奥からぽかぽかと温まる熱に、心の中まで満たされていた。
 じん、と痺れる夢見ごこちのまま、うっすらと目を開けた少女の眼前に、少
年の首すじがあった。
 吸血衝動。流される、エゴに。
 その欲望を食い止め得る絆も。その欲望をさえ上回るエゴも。
 今の彼女にはなかった。
 たとえあったとしても、無意味だった。彼女は吸血衝動を抑える心積もりな
ど全くなかったのだから。
437鋼の戦士&混沌の監視者・外伝追記4/5:2005/10/14(金) 20:48:18 ID:9IlcTpEo
 きしり。
 少年の首筋に、彼女の牙が喰い込む。
 痛みと、血潮という生命力の象徴そのものを貪り食らわれる精神的な衝撃と
に、少年の身体がビクリと跳ね、引きつった。
 反射的に少年は魔器を手に取り、…………。
「ねぇ。どうして抵抗しないの?」
 訝しげに少女が顔を上げる。その唇の端ににじむ鮮血の色が、いっそ淫蕩で。
 少年は、大切な魔器を自分の手の届かないところへ放り投げた。魔器は使い
手に『捨てられた』ことを悟り、新たな使い手を求めてその姿を消した。もう、
少年には戦うための武器は残されていなかった。
「ねぇ、どうして?」
 少年は、ただ微笑んで少女を見詰めていた。彼女が再び彼の首すじに深く牙
を突き立てても、ほんの一瞬、痛みに眉をひそめただけで、その微笑みは変わ
らなかった。
 諦め。悲しみ。そんな透明な感情の中に、彼女への大きな大きな想いが込め
られていたのだけれど。……彼女の心には、それを受け止めるだけの『器』が
用意されていなかった。
 取り返しのつかないところまで彼の血を啜り上げて、その食欲と血の性欲と
が満たされてから、ようやく我に返ったかのように少女は声を上げた。
「どうして抗ってくれないの? どうしてわたしを終わらせてくれないの?」
 それは怒りの叫びであった。それは悲痛な嘆きであった。
「お願い、答えて、ねぇ……!」
 涙のあふれる少女の眼には、少年の死に顔はぼやけてよく見えなかった。
―〜―〜―
 彼女は、愛することと甘えることの区別を知らなかった。
 彼女は、愛されることと救われることの違いを知らなかった。
 彼女は、愛したいと、愛されたいと願いながら、そのくせ、ただ甘え、ただ
自らのエゴを満たす救いをのみ切望していたのだった。
「この化け物め!」
 ハンターとしての務め、又は少年の仇を討つため、彼の仲間達が“王国”に
突入し、……少女はそのことごとくを返り討ちにした。
「殺されてなんか、やらない」
 彼女は微笑んでいた。
「あなた達になんて、殺されてあげない……」
 同じ殺されるのなら、もっと強い、もっと優しい、もっと真っ直ぐな、誰か
にこそ。
 落命した魔物狩り達は、少女の血を分け与えられて、彼女の意のままに動く
“人形”と化した。その中に、――彼女自身、何故なのか不思議だったのだけ
れど――あの少年の姿をした“人形”だけが無かった。
438鋼の戦士&混沌の監視者・外伝追記5/5:2005/10/14(金) 20:49:25 ID:9IlcTpEo
 それでも。
 最後まで、少女は自覚をしなかった。自分はただ、死んでいないから存命し
ているだけで、死のうとすることも、生きようとすることすら、他人に決断を
任せようとしているのだと。
 出自を呪って、世界を恨んで、呪った出自に、恨んだ世界に、甘えているの
だと。
 その生き方の、何と浅ましく、なんと楽なことか。それこそが、彼女を魔物
となす大いなるエゴ。彼女の中の、奈落そのもの。
 不幸なわたし。可哀相なわたし。自己憐憫に酔って、彼女は漠然たる幸せの
中を漂っていた。彼女はまるで生まれることを拒む胎児。彼女を包み、彼女を
守る、エゴという名の“卵の殻”は、とうとう割れることはなかった――愛で
は。愛によっては。
 ならば彼女の“殻”を割り砕く、その概念とは何なのか。
 ――ああ、いつか誰かがきみを奈落の底から救いあげてくれますように。
 その祈りが聞き届けられるまでには、今しばらくの歳月を要した。
439鋼の戦士&混沌の監視者・外伝追記:2005/10/14(金) 20:50:15 ID:9IlcTpEo
 ・・・・・おしまい。

 以上、この少年の仲間の生き残りが少女に復讐……って話のプロットを打っ
たらやたら長大な物語になってしまったので、その一部のみ抜粋したって感じ
のお話でした。>>13に不足していたエロ分の補充も兼ねて。
440名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 23:15:14 ID:lDx6kTup
グッジョブ。
しんみりしみじみといいお話でした。
ハンター君の魂に救いがあるといいなぁ。
441いつもの二人:2005/10/15(土) 21:24:40 ID:BQLEGbUN
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「>440がさ、『ハンター君の魂に救いがあるといいなぁ』って言ってくれてる
んだけど」
「ああ」
「早速、ハンター君の魂を救ってあげてくれない?」
「ほう、たとえばどうやって?」
「たとえば、そうだなー、トレーニング中の戦士がランニングしながら、半魔
として頑張って生活している不死者ちゃんの姿を通りすがりに見つけて、ああ
よかったなぁって思うわけ」
「それで?」
「ふと前を見ると、見知らぬ少年が立っていて、戦士に向かって頭を下げる」
「ふむ」
「誰だっけ、それとも他の人に挨拶したのか、って戦士が少し視線を泳がせた
隙に、少年はいなくなってしまう。でも、そのとき爽やかな風が吹いて、雲の
切れ間から清らかな光が、……みたいな」
「は、その程度。本編の中の人に、エンディングシーンとして追加してくれと
頼め。以上」
「そんな薄情なぁ〜」
「大体ハンターの少年は、指挿れのみで本番前に殺されたという実に報われな
い奴だ、どうやったって救いようないだろうが」
「やめてぇ、余情ぶちこわしだよぅ〜」
「少年と呼ばれるほどの年齢でありながら、戦技はもとより指技さえも、女に
潮を噴かせるまでの冴え……惜しい男を亡くしたと俺も思っているさ」
「そういう惜しまれ方されてもなぁって気がするよ」
「ところで先ほどのストーリー、『頑張って生活している不死者』の辺りを詳
細に書いていいなら、考えないでもないぞ?」
「てゆーと?」
「そうだな、例の姉妹の姉娘と同じ学校に転入」
「あ、いいね、それ」
「世話になった鴉の婆ちゃんトコでお手伝い」
「うんうん、いい、いい」
「ちなみに妹娘も治療費や呪具の代金が小遣いでは支払えなくて、学校のない
日にお手伝い」
「楽しそう」
「人形の如き美少女と、守ってあげたいタイプのロリータ、二人の魅力で患者
の客引き」
「ちょっと待てぇい!」
「ナース姿で患者さんの腫れた部分を触診」
「何の店だ何の!?」
442いつもの二人:2005/10/15(土) 21:26:02 ID:BQLEGbUN
「妹娘は真夜中に担ぎ込まれたはずだから治療費も上乗せされるだろうし、呪
具なんて安いはずもない。そのぐらいせんと、何年かかっても借金は返せんぞ」
「そーゆー問題じゃなくてぇ」
「そんなこんなで不死者の娘と例の姉妹は、温かな友情をすくすくと育み、」
「……うん」
「結託して戦士を篭絡に走る」
「おいっ!?」
「不死者の娘が監視者を牽制している間に姉妹二人が戦士を“王国”に拉致。
如何に戦士が強いとはいえ、3対1なら素っ裸にひん剥けるはずだ」
「剥いてどうする! 大体、彼女らにそんなことできるわけないでしょ!?」
「何を言う。かの事件の教訓は、できないと思っていることをヤる勇気、だ」
「んな勇気を教訓にするな! そもそも戦士が断るでしょうに、そういうのは」
「大丈夫。ああいう男は女の押しの一手に弱い」
「う、ありそう」
「やがて何とはなしに折れる戦士」
「ああっ浮気か、浮気するのか戦士っ」
「だがしかし、三人娘の固い絆にヒビが」
「え、どうして」
「誰が最初に挿れてもらうかでモメてなぁ」
「脆いな女の友情!」
「結局早い者勝ちってことになり、三者三様戦士に襲いかかるが!」
「ああっ戦士くん貞操のピーンチ!」
「どかーん! “王国”の壁を蹴り破って監視者乱入。《聖撃》の一撃で戦士
を真っ黒焦げに。『帰るぞ』と首根っこ引っ掴んでズルズル引きずって退場。
チッ、と舌打ちする三人娘」
「な、なんか非常に様式美なパターンだね」
「騒がしいほど賑やかなラブコメのドタバタ。草葉の陰からそれを眺めるハン
ターの少年。ほろりと涙を流して、『きみが幸せになってくれて本当によかっ
た』」
「いやよくないから。全っ然よくないから。そもそも幸せになってないから!」
「なに、監視者に首輪カマされてるよーな戦士に不死者の娘が片想いし続ける
限り、少年の想い人たる彼女が他の男に身を任せることもないわけで、つまり
ハンター君は嫉妬の心とは無縁に、心安らかに死んでいられる。かくして彼の
魂に救いがもたらされるのだった。まる」
「救いようのないオチだ……」
443いつもの二人:2005/10/15(土) 21:26:52 ID:BQLEGbUN
 ・・・・・おしまい。

 以上、この話マジで書いたろかと思いつつ『いつもの二人』形式で我慢した
というお話でした。
444DX2 梓×和樹 中編1:2005/10/15(土) 23:33:39 ID:R/1yMLMm
〜2日目 9:30 UGN支部〜
「いきなりだけど、仕事の話するよ」
UGNの支部長席にすわる真希、その表情はいつもの明るいそれではなく、支部長、ノイマンとしての顔だった。
「昨日の現場から回収したデータによると、この地域のFHエージェントを統括している場所が特定されたの」
和樹と私の顔が強張る。また戦いになると・・・いうことか・・・。
「しかも、大がかりな施設で。うちの支部単独での制圧は不可能だと思われるわ」
「施設? しかも大がかりな物とくれば今まで発見できなかったのは何故だ?」
私は当然の疑問をする
「FHは、大型のタンカーを根城にしていたの。しかも正式な登録があり。通常業務をちゃんとしているような船会社。実際には洋上の要塞ってところね」
和樹が驚いたように言う
「要塞? でこの事は本部に報告したんでしょ? 本部の動きは?」
真希は冷静に返す
「本部からはエージェントチームを送ってもらう事になったけど、この周辺の支部からも応援が来るはずよ」
「それだけ、大がかりな施設なわけだ・・・、昨日の事件があった以上、敵が移動を開始している可能性があるが?」
「すでに、うちの支部のエージェントが監視を行っているわ。やはり出港準備を始めたそうよ」
445DX2 梓×和樹 中編1−2:2005/10/15(土) 23:34:52 ID:R/1yMLMm
その言葉で和樹が、テーブルに拳を打ち付ける
「じゃあ・・・、エージェント集結までに逃げられてしまうじゃないか!!」
たしかに、現状、すぐにでも踏み込まないと敵は遙か洋上まで逃げおおせてしまうだろう。
だが、この支部のエージェントだけで制圧できる施設とは思えない。
「港湾局に圧力をかけて出港を遅らせているけど、それもいつまで持つか・・・」
真希も悔しそうに頭を振るだけだ
「船がわかったのなら、こちらも船を調達し洋上で襲撃をすればいいのではないか?」
私はもっともな意見を言う。これを真希が考えないはずがない。
「………そうね、日本支部もその方向性で動いてはいるわ……でも、何かいやな予感がするの」
真希が顔をしかめる、「予感」……ノイマンである彼女にしては理論的でない言葉だ。
「大きい施設だけにこちらの被害もでかくなる。そういう予感じゃないの?」
「そうかも………しれないけどね」
真希は相変わらずくらい顔をしている
「1時にはUGNがクルーザーを調達するはずよ。それまでに準備をして港に向かってください」
「向かってください? 真希はいかないのか?」
私は意外な顔で真希を見つめた。真希が現場に出ないのは珍しい。
「日本支部から陸上での待機を命じられたの。作戦後の部隊回収や政治的な駆け引きや港湾局、海上保安庁への押さえ。そんな仕事よ」
446DX2 梓×和樹 中編1−2:2005/10/15(土) 23:35:35 ID:R/1yMLMm
つまり、現場に出られないことも彼女の不安の原因の一つという訳か……
「まあ、昨日敵エージェントの手強いのはほとんど倒したはずだから、警戒しすぎって居もするんだけどね」
真希はいつもの明るい笑顔に戻して言った。あからさまに無理をしているそんな感じがする。
「真希………」
「和樹くんは備品を用意してくれる? 梓はちょっと残って」
「? 了解」
和樹は自分だけ外されるのを疑問に思いつつも、真希に従い備品庫へ向かう。
「どうしたんだ、真希。おまえらしくもない」
「うん、梓に頼みがあるから……」
頼み………?
「和樹君のこと」
「は?」
何故か鼓動が早まる。羞恥心?不安感?わからない感情
「この事件の、あの施設を統括しているのは……マスターレイスよ」
「!! で、ではもしかして」
一瞬で血の気が引いた。マスターレイス・・・FHの上級エージェント。その力は一人でUGN支部をつぶすことなど造作もないほどの力の持ち主、そして
「彼の妹が施設に居る、可能性もあるわ」
447DX2 梓×和樹 中編1−4:2005/10/15(土) 23:37:25 ID:R/1yMLMm
和樹との因縁が浅からぬ男
「では、なぜそれを和樹に伝えない!!」
彼の行動理念は「妹を救う」事が中核にある。
「……もし『妹』に気をとられて作戦が失敗する可能性があるから。そして彼はこの件においては暴走する傾向が見られるわ。自分の命を省みずに」
冷たい声………ノイマンとしての戦術家としての意見。かつては私も同じように考えただろう。だが、彼と会ってからその考えを改め始めた。彼はその戦術さえ乗り越えてしまう。そんな男だからだ。
「戦場で出くわして動揺する方が作戦の失敗率が上がる!!」
「今伝えたら、彼はなりふり構わず、一人でも停泊中の船に乗り込むわ!! 整った後知らせるべきでしょう!!」
珍しく感情的になる私と真希。彼が関わると何故か私たちはこういう状況になることが最近増えてきた。
「………そういうことか」
和樹の声、二人で青ざめて支部長室のドアに振り向く
「か、和樹君!!」
「瀬戸・・・」
真希は決まり悪そうにうつむく。私も冷水をかけられたような気分になる。
「大丈夫だよ、二人とも。俺はもう暴走したりしないから」
多少強張った笑みを浮かべて、和樹は拳を固める
「迷惑はかけない。妹を取り返すためには。準備が整った方が良いだろうと言うことも解っている。心配しないでくれ」
声が固い。自分を押さえている。そんな感じがひしひしと伝わってくる。
「和樹君、その…」
「ちょっと、風に当たってくる」
踵をかえし、部屋から出て行く和樹……。
「真希は、準備を進めてくれ。私はあいつの側に居る。あいつが何かしでかさないようにな」
真っ青になっている真希を部屋に残し私は和樹の後を追った。

448DX2 梓×和樹の中の人:2005/10/15(土) 23:43:01 ID:R/1yMLMm
中編1です。なんかミドルフェイズって感じで・・・
そろそろ書いていて、なんか本当にエロに持って行けるのか不安になってきました
微妙に方向性を見失ってるような気もし始めました。大丈夫でしょうか?

間隔が開かなかっただけ良しとしてくださいorz
449マルチレス:2005/10/16(日) 06:41:05 ID:gJCfot/q
 どんだけ昔のからだよ、と思いつつ。

>メガテンX・後編
 サドピクシーがやたらと。こう、やたらと。正に悪魔。
 トゲくらい合体でなんとかするんだっ。

>ベルと柊とくれは
 本物の預言書じゃなくても、ベルが柊に手出ししそうに思うのは俺だけですか。
 むしろ預言書は盾。言い訳。舌先で奉仕しながら「こういうふうにするって書いてあるのよ。しょうがないでしょ?」
 ごめんちょっと深夜テンション。

>鋼の戦士&混沌の監視者・別伝の別伝
 戯れ言をちゃんとした形で書き上げていただいて感謝の極み。御礼申し上げるのが遅くなってすみません。そして甘ッ!
 本編のこいつらは、お互い素直になるのにまだ時間が要りそうです。特に監視者。合鍵を貰ったって、きっと意地で玄関からは入
らないに違いない。末尾。だからヒーローは特売のネギがいいのです。休みたい時に代わりがいるから。

>ねがい陵辱
 ああくそ、登場人物が解らないのは歯がゆいな。いずれ文庫にまとまった後にでも、キャラ把握して再拝読する。

>戦士×監視者+α
 ちょっと推敲のぬるい所もあったりするので、考察されるとはらはらします。が、逆にそれだけ読み込んでいていただけると思う
と大変にありがたく。というかアレだ、戦士×(監視者+α)じゃなくてよかった。
 うーむ、しかし人様の書いた混沌の監視者は可愛らしいなぁ。俺のはひねくれてばかりだなぁ。うーむ。
 そしてレンはこの監視者の貴重な話し相手かつお友達なのだろう。あれは知り合い少なそうだから。
「そんなコトまでしてるのか!?」「…ふ、普通だろう?」みたいな会話もありそうだけれど。

 他はじりじりとまた今度。
450鋼の戦士×混沌の監視者:2005/10/16(日) 06:42:09 ID:gJCfot/q
 夢を見ていた。
 それは夢だと、初めから解っていた。
「よう」
 片手はポケットに突っ込んだまま、悪魔はもう片方を上げて見せた。
 その背には大きな船。かつて彼女が起居し、そしてその終焉を見る事に怯えて逃げ出した、仮初めの止まり木。船乗りの“王国”。
 ずきりと胸が痛んだ。彼女は知っている。そのふたつともが、もうこの世界には存在しないのだと。
 立ち竦む少女の元に、悪魔は記憶通りの傲然とした雰囲気でやって来る。不思議とたてがみめいた印象を抱かせる、彼の金色の髪
が歩に合わせて揺れる。アイスブルーの瞳が、やはり記憶と同じく真っ直ぐに彼女を見ていた。
 その色。少女とよく似たその髪と目の色が、彼をまるで家族のように、父のように思わせた。
 身にまとうのは略礼装というよりも、いい加減なタキシード。世界が自分に合わせるのが当然と言わんばかりの、その出で立ちも
変わらない。
「…」
 明晰夢と悟っていながら、少女は言葉を思い出せない。まるで酸欠の魚のようにただ口を開閉するばかりだった。
「――地獄の在り処を知ってるか?」
 靴音が隣で止まる。彼女の額に、とん、と悪魔の指が押し当てられた。
「オマエの、頭蓋の中だ」
「…ええ」
 目を閉じて深く呼吸する。そしてゆっくりまぶたを開けて、けれど彼の彼の顔は直視できずに視線は地を彷徨う。
「ええ、知っているわ。――いいえ。気づいたの」
 悪魔は笑った。少年のように、屈託なく。
「ま、オマエは大丈夫だろうと思ってたがな」
 軽く小突いて指を離し、その手を再びポケットに戻す。思いもかけない言葉に彼女は彼の顔を振り仰いだ。
「なんだ? オレが信用できねぇのか? ん?」
 からかいめいた言葉に、少女はそっと頭を振ってみせた。胸のうちに述懐する。

 ――あなたとわたし、どう違ったのかしら?

 自分はとても弱くて、彼はとても強かった。きっと差異はその一点に帰結するのではないだろうか。
 押し潰された雑草が、やがて頭をもたげるように。
 巨木が強すぎる風に根こそぎされてしまうように。
 何もかもを抱え込んで、けれど泣き出しも膝を突きもしない、危ういまでのその強靭さこそが。誰一人頼ろうともしない、その生
き様こそが。彼を、行き詰まらせてしまったのではないだろうか。
 時に強さとは、孤独の同義になるのだと思った。
「重たいでしょう、わたし?」
 平静を装って告げる。唐突な言葉に、けれど悪魔は意図を悟ったふうににやりと笑った。
「ああ、そうだな。足手まといだ」
「なら、ここでお別れね。わたしにとっても――あなたは、もう邪魔者だもの」
 声は自分の言葉でありがなら、別の誰かが喋っているかのように遠く聞こえた。胸元で締めた拳に、ぎゅっと不自然なくらいの力
がこもる。
「何処へなりと行けばいいわ。あなたの行きたい場所へ。わたしも、わたしの好きにするから」
 悪魔はまた微笑んだようだった。何故だかじわりと視界が歪んで、その笑顔すらよく見えなくなる。船乗りの手が、くしゃりと少
女の髪をかき回した。
「――じゃあな」
 そして、別れが告げられた。いつもの傲慢な風情ではなく、そっと、穏やかに。
 こくんと頷くのが精一杯だった。物を言えば、声が震えているのが知れてしまうから。きっと、涙も堪えきれなくなってしまうか
ら。
451鋼の戦士×混沌の監視者:2005/10/16(日) 06:42:50 ID:gJCfot/q
 寝台の上に身を起こして、やはり夢だったのだと知った。だが同時に、ただの夢ではなかったのだとも。
 いつも彼女を包んでいた感覚。彼に託された“王国”の欠片。
 彼の残滓は、消え失せていた。
 今まで見守ってくれていたのだろうと思った。
「…」
 寝台から抜け出す。魔女の医院の病室は病室とは名ばかりで、まるで普通の家庭の一室のようだった。
 板の間の冷たい感触が素足に触れた。少し逡巡してから、そのまま窓際に寄る。無性に空が見たかった。船乗りと船と旅していた、
あの空を見たかった。
 引かれていたカーテンを開けて、夜空を広げる。夜闇の裾が、ほの白く変わり始めていた。まもなく夜明けがやって来る。
 不意にたまらなくなって、少女は身を乗り出して空を探った。どこかに居て欲しかった。生きていて欲しかった。だが船影などど
こにも見当りはしなかった。彼はもう旅立ってしまったのだ。
 瞑目して考える。それから、ひとり首を振った。
 旅立ったのではない。帰ったのだ。ずっと、在りたかった場所へ。
 結局礼を言いそびれてしまったと、それだけが悔いとして胸に残った。

 ――ばいばい、長い夢。

 囁くように小さく呟く。
 長く身を休めてきた、甘え続けてきた庇は失われた。けれど、今は薄明の下を歩いて行けると思った。
 あの時間は、あの船での時間は、似た痛みを持つ者同士の傷の舐めあいだったのかもしれない。だが今、確かな気持ちでそう思え
るのは、ぬるま湯めいたあの日々があったからこそ。
 歩き出そう。ちゃんと自分の足で。
 意味なら自分で決めればいい。どう生きたいか、何の為に生きていくのか。その意味なら自分で決めればいいのだ。
 そうしてひとつ、心に思い定めた事がある。随分と久方ぶりに、自分で決めて前に進む気がした。
 だから。今だけは泣いてもいいだろうと思った。


 すすり泣きがやがて寝息に変わる頃。
 少女の病室の前で彫像のようだった魔女は、ようやく身じろぎをした。
 魔女は魔女であるけれどもひとの身である。齢は未だ百に満たない。だが年輪の密度は少女を上回っていた。
 だから知っていた。
 泣く事が出来たなら大丈夫だ。
 悲しいのか、苦しいのか。自分がどうなのかすらに判らない状態が一番危うい。
 涙が出たのなら大丈夫だ。そこから、また歩き出せるだろう。
 再度訪れた眠りを妨げぬよう、老婆は静かに踵を返してそこから離れた。
452鋼の戦士×混沌の監視者:2005/10/16(日) 06:43:31 ID:gJCfot/q
 時は不可逆のものであるという。
 しかしながらその流れる速度、即ち“時速”は万物に一定ではない。
 だから。
 だから、こんな事もあるのかもしれなかった。

 払暁のひと時。少年はその病室に佇んでいた。
 寝台に眠る少女はあの時から少しも変わらず、けれど頬は泣き濡れていた。その涙を拭う事はもう彼には適わない。
 だから指を差し伸べる代わりに。
「――」
 少年は、少女の名を囁いた。
 蜂蜜の髪。白皙の肌。湖水の如く澄んで深い瞳。忘れようもない、彼女の名を。
 聞こえるはずもないと、そう知りながら。
「…?」
 けれど少女は半魔だった。正確に声を聞き取る事はできずとも、某かの気配を察したのだろう。ふっと目を開けて、今までの眠
りの残滓などまるで感じさせない動きで身を起こす。それは長く狩人たちに追われ狙われてきた身の上の、習い性のようなものな
のだろう。
 強い警戒心を露に周囲を窺い、誰も居ないと悟って少女は不審げな顔をした。その格好のまま、怪訝そうにもう一度室内を見回
す。だが視線は今度も彼の上を通り過ぎて、やはり自分達は彼女には見えないのだと知れた。
 彼は残念に思う。もう言葉を交せない事を。想い人を腕に抱けない事を。

 ――ああ、いつか誰かが。

 けれど、最後に。この意識の最後の時間に。
 こんな光景を眺められるのならば、彼はそれよりを望むものではなかった。

 ――きみを奈落の底から救いあげてくれますように。

 少女は、彼が恋した魔物は、確かにそこに生きていると見えた。
 少年の目に今の彼女は、暗く凍りついた水が溶け出したようにも、地中で眠り続けた石炭が赤く熱を放ち始めたようにも見えた。
 ならば祈りは。願いは。ここに成就する。
 出来得る事なら、己の手で叶えたかったけれど。
 少年は微笑み、もう一度少女の名を呼んだ。今度は驚かせないように、胸の内だけで。
 それは別れの合図だった。静かに佇む傍らの影に、己が魂を運び去らずにいてくれた事への謝意を込めて頷く。そう、その影は。
その女は、世に語り継がれる伝説。混沌と歴史の監視者。死神、即ち魂の運び手である。
 そうして曙光に溶けるように、彼は静かに消えていった。
453鋼の戦士×混沌の監視者:2005/10/16(日) 06:44:42 ID:gJCfot/q
 電話が鳴った。彼は寝台の中から不精に手を伸ばし、脱ぎ散らかした衣服をまさぐる。ようやく探し当てた時には、既にコールは
十数度を数えていた。
「レディを待たせるものじゃないよ」
 通話を押すなり、不機嫌そうな声。
「ああ、婆さんか。ん? ああ、今は独りだよ。あいつは行っちまった。いつも通りに。そっちは?」
「私のする事にそつがあるとでも思ってるのかい?」
 やはり不機嫌めいた返答を受けて、戦士は破顔した。
「安心した。婆さんがそう言うなら確かだろう」
 素裸のまま胡坐をかく。笑みを消して、それから少しだけ真剣な声になった。
「オレは、0にまでならもっていけると思ってる。異常気象のようにいきなり降りかかった悲しい事を消し去って、ふりだしには出
来るんじゃないかと思ってる。だがその先はオレには出来ない」
 言葉を切って、己が手に目を落とす。いつだって迷っているのだ。彼も。本当にそれが正しいのかと。そのやり方が最善なのかと。
 だから、あの少女が大丈夫だと聞いて心の底から安堵したのだ。
「何が幸福か決めるのはそいつ自身だ。傍から見て不幸で不幸でどうしようもなく不幸せそうでも、本人は幸福かもしれない。境遇
だけ見たって判らねぇ。そいつが幸せか不幸せかは、本人に訊いてみなけりゃ知れないんだ」
 よく彼は馬鹿だと言われる。なんの見返りもなく正義なんて概念に身を張るが故に、馬鹿であると。だが彼とて他人の為ばかりで
してい

るわけではない。決して無私ではないのだ。
 それはある意味彼の存在証明であり、自分で自分に課した生きる意味である。それを言えば尚更お前は馬鹿だと言われる。夢に殉
じるなんて流行りじゃあないと。
 だが。だが、と彼は思うのだ。ある日空を見上げて「こうしていればよかった」と呟くような生き方だけは、絶対にしたくないと。
 だから他人に幸福の押し売りをするのはやめようと、そうも決めている。選択もせずただ投げ与えられる意味と価値の、なんと無
意味でなんと無価値な事か。
「所詮オレは正義の味方で、なら味方程度がするのは、味方程度に出来るのは、それくらいでいいようにも思う」
 言葉は彼なりに辿り着いた真理ではあるのだけれど、魔女はやはり鼻で笑った。
「馬鹿だね、アンタ」
「言われ慣れてるよ」
 やっぱりかと彼は頭を掻いた。だが不思議と、この老婆の悪態には腹が立たない。それからふと思い出した。

 ――君の命と引き換えに、全世界が救えるとしたら、どうする?

「そういえば、昔婆さんに訊かれた事、あいつにも訊かれたよ」
「――それで?」
 しばらくの沈黙。魔女が先を促す。
「答えは変わらなかったのかい?」
「ああ。…いや、少し違うな」
 戦士は中空を見上げた。昨夜の問答を思い返すように。自分の感情を確かめるように。
「オレが何の為に死ぬのか。何の為に死んだのか。あいつには、あいつにだけは、憶えておいて欲しいと思った。知っておいて欲し
いと思ったよ」
 電話向こうで魔女は満足そうに笑った。全く馬鹿な子だね。相変わらず不器用で、生き方の下手な子だ。
 けれどおくびにも出さずに、相変わらず不機嫌めいて言う。
「惚気話なら他所でおやり」
454名無しさん@ピンキー:2005/10/16(日) 06:46:29 ID:gJCfot/q
 この話はあと一回でおしまい。今回あまりエロくなくてすまんっす。この方面に関しては、正義の味方ってのは失策だったやもしれず。
 次に予定してる夢使い×魔物使いで頑張ってみるさ。しかし宿題ばかりが溜まっていくぜ。女神転生はルールブック持ってないか
ら、後はBBNTの別話か。どうしてくれよう。
 週一くらいのペースはせめて堅守したいなぁ、と思いながらも、既にして次がもう危ない予感。
455いつもの二人:2005/10/16(日) 09:19:17 ID:VTCiMHjD
>444-447
 おおっ、ハラハラ展開ですね。GJ。続きを期待しております。

>「真希は、準備を進めてくれ。私はあいつの側に居る。あいつが何かしでかさないようにな」
 よっしゃーその勢いで押し倒せーとか思ってしまったわたしはちょっと壊れ
ている。

>448
>本当にエロに持って行けるのか
>微妙に方向性を見失ってるような
 連載型の書き手さんは、詰まったときに「書きたい(又は書く必要のある)
シーンから先に書く」「いったん執筆を中断して、別の話を書いて気分を変え
る」とかできないから大変なのでしょうね。
 どうしても気になるのでしたら、控え室スレ辺りで連載型の書き手さんに助
言を請うのがよいと思います。

>450-453
 一週間でまた読めたー! 嬉しいー嬉しいーありがとうございますー!
 ハンターの少年をまた出してくださるのは予想していましたが、監視者が彼
の心残りのために、っていう演出が特にありがたく嬉しかったです。
 てゆーか彼をあの世へ連れてく仕事があるから戦士の部屋をあとにしたのか
と思うと、ゴメン戦士、余計なキャラ出して、と思わないでもないw

 あと魔女の婆ちゃん百歳未満ですか。人間ですか。では外伝との齟齬を埋め
るために1本【齟齬を楽しむ余裕を持て】

>449
>「そんなコトまでしてるのか!?」「…ふ、普通だろう?」
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「レンはさ、手舐めの仕方からアナルセックスの注意点まで、本編や外伝でロ
ウにアレコレ教えられてるでしょ?」
「ああ」
「そのレンが『そんなコトまでしてるのか!?』と驚くようなことって何?」
「そうだな、……監視者にジャム塗ったくって戦士が舐める、とか」
「……『!?』付きで驚くようなこと? 特にこういうエロパロ界隈じゃあ、
それこそ『普通だろう?』だと思うんだけど」
「塗ったくるのはヴァギナの中に、だ」
「そんな『トコ』までしてるのか!?」
456408:2005/10/17(月) 12:19:47 ID:flKh4aWA
「司さ……っ!?」
 胸を押さえて倒れる司に、思わず駆け寄ろうとした結希が――。
「――はう!?」
 バフ、というくぐもった音と共に、ベットに押し付けられていた。
 結希の両手を右手で掴み、頭上に押し付けているのは倒れたはずの司だ。倒れた瞬間に起き上がった
とか、倒れる前に動いたとか、そういうレベルの話ではない。
 まるでフィルムを繋ぎ合わせた映像のように、倒れたその瞬間に結希をベットに組み敷いていたのだ。
 オルクスシンドローム――己の因子を世界に宿し、領域≠生み出す力。その知識が結希の脳裏を
かすめた瞬間、唇に熱い感触を感じた。
「……っ!」
 吐く息と吸う息が、喉で衝突した。その唇に感じた感触が司のそれだと気付くいたのは口内に侵入し
たぬめった舌の感触と、ほろ苦いコーヒーの味を感じた時だった。
 キス、接吻、口付け――理解すれば、結希の頭が一気に沸騰した。
 ――だめ、いや……こんなの……っ。
 身をくねらせ抵抗するが、司によって拘束された腕はビクともしない。腕力、などいう生易しいもの
ではない、世界そのものが持つ絶対的な拘束――オルクスの力が、逃げる事を許さない。
 ――どれだけ、唇を奪われ続けただろうか?
 司が体を起こすと、結希は空気を求めて呼吸を行い、むせ返った。
「、カ、ん……司、さ……ど……」
 どうして、という疑問は、司からの返答ではなく、自らの内から返って来る。

 ――衝動。

 レネゲイドウイルスに侵されたオーヴァードは、内にそれぞれの衝動を秘めている。それはレネゲイ
ドコントロールという技能によって、抑え込む事が可能なものではあるが――その身が一度衝動に飲み
込まれてしまえば、本人の意志になど関係なく行動を引き起こしてしまう。
「司、さん! 落、ち着いてっ!? 正気に戻ってくださいっ!!」
 結希の呼びかけに、司は無言――左手で、結希のパジャマのボタンを外しにかかった。
 一つ目を乱暴に、二つ目を苛立たしげに外していく司に、結希は堪えきれず涙をこぼし、呼び続ける。
「司、さん。止め――」
「――うるせえ」
 結希の声を掻き消すように、低く司はうめくと残りのボタンにかまわず、引きちぎるようにパジャマ
の前をはだけさせた。
「――――く、あっ!?」
 その行為に身をすくませた結希は、両手首に突き刺すような痛みを感じた。
 結希の両手を氷によって縛り付けた司は、ベリ……っ! と氷にはりついた右手を引き剥がし、血ま
みれの手を結希の汗にまみれた上半身に這わせて、吐き捨てた。

「俺の――俺の腕の中にいる時ぐらい、俺のモノになれよ……!」
457408:2005/10/17(月) 12:22:39 ID:flKh4aWA
 妙に時間が空いて、妙なタイミングで投稿デスorz

>>416
 こんなノリです、が、いかがでしょう?orz
 司×結希ですね、一応、ええ、一応orz

 うー、今なら直視の魔眼の痛みがよくわかるー>痛みだけってのもやだなorz
458名無しさん@ピンキー:2005/10/17(月) 16:51:31 ID:CHASS+du
そういや最近N◎VAネタがないなあ
レイとかのSSを読んでみたいもんだが
459名無しさん@ピンキー:2005/10/17(月) 21:29:56 ID:AQNO6srJ
漏れはタイガーリリィのSSがいいなあ・・・。
460(監視者+α)×戦士 1/2:2005/10/17(月) 23:40:10 ID:TKG/TMub
「…………なあおい、監視者」
「何かな戦士?」
「↑のタイトルのことなんだが……何なんだありゃ?」
「さあ、ボクにもよくはわからないのだけれど……」
「なんだ、歯切れが悪いな?」
「本編の中の人が>449において『戦士×(監視者+α)じゃなくてよかった』
と言っておられるだろう?」
「ああ」
「戦士×(監視者+α)でダメなら(監視者+α)×戦士にすればよいという、
外伝の中の人の判断に基づくタイトルらしいんだ」
「どういう判断をすればそういう結論に至るんだっ!」
「はぁ〜い、おっ待たせぇ〜。ご注文の品、おっ届けにあがりましたぁ〜」
「レン!? お前、うわわっ、何をどっさり持ってきやがった!?」
「ハードSMセット」
「しれっと物凄いことを言うなっ!」
「大丈夫、【夢蝕み】のユメコに頼んで、厳選された逸品のみを選りすぐって
もらったから」
「俺はそんな話をしてんじゃねぇっ!」
「ほらこれ、監視者用のボンテージウェアとピンヒール。監視者の体型にぴっ
たり合わせて、どんな動きをしても見えそうで見えない微妙な露出具合になる
よう特注した物なのだ」
「うっわー、なんつー服だよ……」
「ちなみにこっちは戦士用の」
「げ、俺にも何かあるのか」
「拘束具」
「縛られるの俺っ!?」
「だってほら、(監視者+α)×戦士だから」
「ちょっと待て。その『+α』ってのは」
「僭越ながら死の概念神たるこのわたし、【伝説の住人】レンが勤めさせてい
ただきます」
「勤めんでいいっ! 何をする気だ何をっ!」
「とりあえずロープワークを。ヤイバ、ああ、魔剣持ちの【吸血鬼】なんだけ
ど、ヤイバを実験台にみっちり修行してきたから、鬱血したりしないよう気を
つけて、ちゃんと冷やせば3日で跡が取れる程度のちょうどいい具合にきっち
り縛ってあげるよ、てやっ!」
「うわーっ!?」
「奥義、瞬間亀甲縛り! 一瞬にして対象をぐるぐる巻きに縛り上げる上級技
なのだ!」
「何で死神が亀甲縛りの才能を持て余してやがるっ!?」
「エロスとタナトスは、古くから不可分にして密接なものさ」
461(監視者+α)×戦士 2/2:2005/10/17(月) 23:42:29 ID:TKG/TMub
「どこで憶えたンな台詞!? くっ、こんなロープ俺の力で引き千切って……
 って、何だこれ、ビクともしやがらねぇ!?」
「だってそのロープ、対魔物用の呪具でもあるのだもの。この道一筋80年の
職人さんが、情念のこもった女の髪を1本1本丁寧に編み込んで綯ったという
貴重な荒縄だよ。すっご〜くお高いんだよ? ユメコのコネがなければ、注文
を受け付けてさえももらえなかったよ。しかも材料は全部こちら持ちでさぁ。
用意するのが本当に大変だった」
「そ、そこまで苦労して用意する必要がどこにあるっ!?」
「勿論、君が逃げ出さな……コホン。勿論、全ては君達の幸せのために。最後
までちゃんと見ていてあげるから、羞恥に悶えて、さあイくがいい戦士!」
「それが子供の言うことかぁっ!? どーゆー教育を受けてやがるっ!」
「んー、明るくオープンでワイルドな性教育とかー」
「親の顔が見てぇよっ!」
「ケータイの写真でよければ」
「そーゆー意味じゃねぇぇぇ!」
「…………レン、これでいいのか?」
「わー、似合う似合う〜」
「監視者ーっ! さっきから黙って何をしているのかと思えば、いそいそンな
服着てんじゃねぇ!」
「しかし折角持ってきてくれた物を、無碍に突き返すわけには」
「……おい。そもそもこの大人のおもちゃセット、」
「ハードSMセットだってば」
「どーでもいいっ! このセット、一体誰が注文したんだ?」
「あっはっは、そんなの、」
「私に決まっているではないか」
「やっぱりお前かーっ!」
「今夜はワールド・オーダーもないようだし、」
「あってもわたしが代わりに行くし、」
「朝までたっぷり楽しもうじゃないか」
「楽しめるかっ! 俺はされるよりする方がいいんだっ!」
「そう言って、いつも“ボク”をばかり可愛がるのだから、たまには私につき
あってくれてもいいだろう?」
「いや、割とかなりいつもお前にだってつきあってやってるがっ」
「駄々をこねる口はこの口かい? レン、ギャグボール」
「はぁ〜い」
「はーいってお前、もがっ!」
「私はやめる気などないよ、君が屈服するまではね…………えいっ」
「むがぁぁぁぁぁぁぁ!」
「こうして戦士と監視者の“私”は、一晩中イチャイチャしましたとさ。
 と、日記には書いておこう」
462(監視者+α)×戦士:2005/10/17(月) 23:43:45 ID:TKG/TMub
 ・・・・・おしまい。

 以上、『戦士×(監視者+α)』って発想が面白かったから、その二番煎じ
に甘んじてみたお話でした。

>454
 済みません済みませんお気になさらず書きたいお話を書いてください、それ
こそがきっとわたしの読みたいお話ですので。

>456
 陵辱物とは気がつかなんだ……。
 続き、頑張ってください。

>459
 以前、どなたか委員長とのカラミで書くって仰ってませんでしたっけ。
463名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 08:09:11 ID:YqfQ8YsQ
( `ω´)y-~ 記念下記子
464名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 15:19:33 ID:DodD+eVe
>408
今こそ!俺が雄叫ぶ時!!
ひゃっほーう涎垂らして続きを待つぜっ!
一期キャラクターの中でも司は大好きなんだ〜いえ〜
465BBNT本編8話目・前編1/5:2005/10/18(火) 21:48:07 ID:mk8vF05t
◇最善の結末

 たとえば疲労、恐怖など、個体の維持を脅かすストレスを受けたとき、動物
は種族保存のため本能的につがおうとするらしい。その顕著な例が、飢饉に際
して爆発的に増加するイナゴであり、幾多の苦難を乗り越えた男女が物語の最
後で結ばれるパターンである。
 ……だとすれば、この腕の中のぬくもりが強烈にいとおしいのも、交し合う
口づけが鮮烈に甘いのも、ただの本能ゆえなのかと斜に構えたくもなるが。
 そもそも互いに絆を求め合うのは人の、半魔の本能ではないか。
 絆で交わす口づけならば、多分、それも悪くないと俺は思うのだ。
「ふ……ぁは」
 熱を帯びた呼気。小さな喘ぎが聞こえるたびに快感が走る。
 更に攻めたてる。その声を、また聞きたくて。
 聞かせてくれ、お前の声を。……ただ一人、この俺だけに。
―〜―〜―
「負けるわけにはいかないんだッ」
 叩きつけるように彼が言う。長く伸びた爪、先端から滴り落ちる血糊。
「俺は、あいつのために生きている。あいつの幸せのために生きている。あい
つを護るために、俺は生きているんだ。負けるわけには……いかない!」
 誰も彼も、背負うものの重さは同じに違いない。潰されそうなほど重くて、
それでも立ち上がり支え続ける想いが、きっと力で、強さということ。
「奇遇だな」
 俺は応える。眼前に拳を掲げて。鋼と称される鎧。血塗られてもなお、貫き
通すべき信念のために。
「俺も、負けるわけにはいかないんだ」
 夜闇に包まれた、公園のアレナ。暖かな陽光に包まれて子供達が、親子連れ
が、恋人達が、笑顔を交わして通りゆくはずの散歩道で、俺達は死闘を交わし
ている。
「来い、ヒーロー! 正義だと!? そんなものが誰かの幸せを壊す権利など、
絶対にありはしないんだ!」
「その幸せが、もっとたくさんの、もっと小さな幸せを壊すなら! 俺の正義
は、絶対にそれを許さない!」
 交差する。爪と拳。俺の戦術は避ける戦術ではない。強固な鎧は、それゆえ
に回避の力を殺ぐ。受け止めて、耐え、返す勢いで致命の強打を与える。
 彼の戦術は、逆に避ける戦術。一撃離脱、小さなダメージを、しかし何度も
何度も重ねて、着実に相手の生命力を奪う。
466BBNT本編8話目・前編2/5:2005/10/18(火) 21:50:29 ID:mk8vF05t
 その彼が、俺との相討ちを狙った。俺の胸板に突き込まれる爪、彼の胸板に
叩き込まれる拳。彼の身体はしなやかで、しかし覆うのは柔らかな毛皮。骨が
折れる手応え。彼の口から血が逆流。そして俺も鋼鉄の面貌の下、こみ上げる
血の塊を吐き出す感触。身体は、もはや痛みを痛みと知覚せず、胸に残る鈍い
熱さだけがダメージの自覚。
 奇跡的に、あるいは残念なことに、どちらも死に至る傷ではなかった。一足
飛びに、だけど傍目には多分フラフラと、互いに距離を取る。
 まだだ。まだ終わらない。
 まだ、終われない。まだ……!
「……なた。あなた――!」
 降りてきた、否、落ちてきた。それは蝶。麗しの羽、麗しの瞳、美しい女性
の背中に蝶の翼翅を有する、それは妖蝶。
 その羽は、最早飛翔の役には立たぬことが一目瞭然のボロボロで、その瞳は、
一方が無惨に撃ち抜かれていて、それでも彼女は美しかった。
 二足歩行の虎、あるいは巨熊の如き、彼の背にそっと寄り添って。共に戦お
うと、最期まで一緒だと、囁きかける、その幸せな微笑み。
 本当に、彼らの幸せを壊す権利が俺にあるのかと、拳が揺れる。迷いが生じ
る。
「権利など。幸せを壊す権利など、誰にもありはしない」
 それは先触れの歌。超然として、告げるように、諭すように。
「だから戦うのだ。誰もが戦うのだ。幸せを得るために、幸せを守るために、
幸せを、失わないために」
 強酸でも掛けられたかのように半ば溶かされた藍紫の長衣。肌は焼け爛れて
赤く腫れあがり黒く焦げついて、見るからに痛々しい。痛みのせいか、悲しみ
のためか、それとも怒りのゆえか、キッと彼らを見据える瞳はいっそ無表情で。
「弱肉強食。力なき者は敗れ、大切なものを全て奪われ、ただ、涙する。それ
が世の常、世の道理」
 その眼差しが俺に向けられて、にこっと笑顔になる。
「なればこそ、力なき者のために、涙を流す者のために。世界には用意されて
いるのだ、絶望にも砕けぬ鎧が、悲嘆をも破壊する拳が」
 全幅の、信頼。俺に預けられる、心。
「それが正義だろう? それが、正義ということなのだろう?」
 ああ、来たのか。来てくれたのか、レン。
 俺の迷いが消える。……いや、迷ったと思った、それ自体が気の迷い。
 決めたことだ。最初から、決めていたことだ。
 命を懸けても。命を奪っても。
 貫くと。この、信念を。
 ならば俺は、俺達は、俺達の正義のために、守るべき幸せのために、
「勝ってみせる……必ず!」
―〜―〜―
467BBNT本編8話目・前編3/5:2005/10/18(火) 21:52:13 ID:mk8vF05t
『汝は我が遺志を継ぎ、破壊の拳を得る者か。我が遺志を拒否し、破壊の拳を
滅ぼす者か』
 二者択一。考えるために与えられた時間はほんの僅かで、だけど俺は一瞬た
りとも選択に迷わなかった。
 “鋼の王者”。彼から受け継いだものは、鋼の鎧と鉄の拳。それは純然たる
力であって意志はなく、だから俺がそうしようとさえ思えば、放棄は容易だっ
た。悪用すら容易だった。俺を縛る枷は、何もなかったのだから。
 だけど彼の遺体に触れたとき、断片として、彼の記憶を垣間見た。見終わっ
た直後にほとんど思い出すことができなくなっていたけれど、憶えていること
だってあった。
 彼の最期、戦いに戦いを重ねた果ての、誇りに満ちた死を。
 彼がこの拳に、この鎧に、後継者たる俺に、未来に、何を託したかったかを。
何を託そうとしたのかを。
 そうして俺は、自分の生き方を決めたのだった。
 しかし正直、その選択は、実に安易なものであったと言わざるを得ない。
 子供の頃からテレビの中の正義のヒーローに、単純に憧れていた。魔物の事
件にたまたま巻き込まれ、『邪悪な』魔物どもが『罪のない』人間達を脅かす、
世界の真実の一端を知り、また、そのとき一人のヒーローに命を救われた経緯
から、奴等と戦う正義の味方の実在を知って、それなのに何もできない無力な
自分に歯噛みしていた。
 つまり“鋼の王者”との邂逅は、俺にとって渡りに船以外の何物でもなかっ
た。幼い頃からの夢がタダで叶えられる、その程度の認識で、気軽に、本当に
気軽に、半魔として、正義のヒーローとして生きる決心をしたのだ。
 やがて俺は知ることになる。現実の厳しさと、世界の真実、その更に奥とを。
 思い込みはあっさりと破られる。理想は簡単に打ち砕かれる。自分はノウン
マンでありながら、『何も知らなかった』のだと思い知らされる。命を削られ
る恐怖。命を奪い取る恐怖。敵だとて、悪だとて、それは命であり、かけがえ
のない重さなのだと、己の命を脅かす一撃を鎧で受け止めるたび、相手の命を
脅かす一撃を拳で叩き込むたび、心が軋んで悲鳴をあげる。魂が磨耗し、自分
の中の人間的な何かが消費されていく、絶望的な喪失感。
 …………奈落堕ちとの、闘い。
 俺は鍛えた。俺は戦った。身体を鍛えれば、場数を踏めば、心も自然と強く
なるだろうと。勝手に決めて、盲信して、そして……。
 それは、“鋼の王者”に出会って、きっかり1年目のことだった。それまで
戦ったどの敵と比べても格段に強い魔物を相手取り、俺は赤子扱い、あっさり
【真の死】寸前まで追い詰められた。
 目深に黒いフードを被った骸骨様の魔物。伝説にいわゆる死神そのものの姿。
天高く鎌が振り上げられ、それが振り下ろされるさまを、俺はつぶさに眺めて
いた。
468BBNT本編8話目・前編4/5:2005/10/18(火) 21:53:57 ID:mk8vF05t
 死ぬのか。俺はここで死ぬのか。
 だったらいいや。ちょうどいい。楽になれる。これで終われる。
 諦めきって、自暴自棄になって、鎌の斬撃を甘んじて受け入れようとした、
そのとき。
「そう簡単に死ぬなんて言うもんじゃねぇぜ、若いの」
 鎌の刃を片手で止めて、そこに見知らぬ男がいた。精悍な顔立ち、がっしり
した体躯、ありふれたスーツを着た、どこにでもいそうな普通の男に見えた。
「……あんたは……?」
「安心しよし、敵じゃねぇ。“法の番犬”ロウ。死霊課のもんじゃ」
 言うなり【かりそめの姿】を捨て、【魔の姿】に変ずる。蒼みを帯びた巨躯
の【人狼】。力自慢の俺でも持つのに苦労しそうなほど巨大な機関銃を、おも
ちゃの銀玉鉄砲みたいに軽々と振り回して。
「死神なら俺んちにも一人おるよ。ちーちゃい子供みたいに可愛い奴でな、あ
いつが迎えに来ちょらん以上、お前さんはまだ死にゃあせんぜ」
 どんな死神だよ、と心の中でツッコミを入れる。
「イヌめが。また邪魔をしに来よったか」
「俺をイヌと呼ぶんじゃねぇ」
 飄々と、拍子抜けするほど気負いなく、彼は俺と奴との間に立ちふさがった。
 しわがれ声の【死神】が殺気立って鎌を構える。
「死を切望し、終わりを求める者の魂を狩る、それが我が役目。二度と邪魔は
させぬ」
 妙な死神と一緒に暮らしているらしい狼男が、呑気に銃を構える。
「人の法、魔の法、その両方から外れたモンを狩るのが俺の仕事じゃ。必要と
ありゃ、何度でも邪魔してやるぜ」
 斯くして【死神】は倒され、危うい命を拾った俺は、無理をおして彼に懇願
した。あんたのように強くなりたい、是非、俺に戦い方を教えてくれと。
 師匠、と呼ばれて困惑しながら彼は、一通り俺の話を、例えばこの力をどう
やって手に入れたのか、この1年間何をしていたのか、今はどこでどのように
生活しているのか、聞いて、やれやれと溜息をついた。
「正義のヒーローなんちゅうもんは、身体が資本じゃろうが。もうちょい栄養
のことも考えて飯を食え。てか作れ」
「いや、俺、料理とかできないし……」
「そういうことなら、」
 ニヤリと笑う。
「確かに俺ぁお前さんの師匠になれそうじゃ」
469BBNT本編8話目・前編5/5:2005/10/18(火) 21:56:19 ID:mk8vF05t
 真っ先に叩き込まれたのが、小学校の家庭科で習ったような朝食メニューの
作り方。御飯、味噌汁、卵焼き、ホウレンソウのおひたし。確かに俺は実家を
飛び出て以来、食事を外食かインスタント、コンビニ弁当やサプリメントでテ
キトーに済ませており、栄養が偏っていると言われればその通りであった。が、
料理なんかしている暇があったら走り込みの1本でもやった方がどれだけマシ
か、師事する相手を間違えたかと、そんな疑念が頭にこびりついて離れなかっ
た。
 炊事の次は洗濯、そして掃除。規則正しい起床、充分な睡眠。ゴミの分別か
ら近所づきあいに至るまで、俺がお座なりにしてきた日常生活のことごとくに
関し、口やかましく師匠は俺を躾けた。晴れた日に布団を干しながら、空き缶
を濯いで潰しながら、町内会のドブ掃除を手伝いながら、こんなのヒーローの
やることじゃないのに、と何度トホホな気分に陥ったことか。
「師匠。要するに、武道の修練と一緒で、基本的な生活態度がしっかりしてく
れば、魔物との戦い方も教えてくれるっていうわけですよね?」
 タマネギを刻んで涙しながら、念のために尋ねると、
「くだらねぇと思うか? こういうことは?」
 質問返し、痛いところを突かれて、俺は返答に窮した。
「実のところ、俺も偉そうには言えんのじゃよ。去年までは、俺もお前さんと
おっつかっつの、だらけた生活をしちょったけんの」
「へえ?」
 だらけた生活。毎日のハードなトレーニングが、だらけたものだとは思わな
かった。むしろ、キツネ色になるまで30分もタマネギを炒め続けている方が、
だらだらと時間を無駄にしているのではないかと思った。
「けどなぁ、娘ができたけんの。間違っても、可愛い娘に自堕落な親父の背中
を見せるわけにはいかんじゃろうが。のう?」
「……はあ。そういうものなんでしょうかね?」
「奈落は恐ろしいぜ。もっと恐ろしいのは、奈落に惹かれる自分自身じゃ。エ
ゴに流れされ、力に溺れる自分自身じゃよ。かといって、奈落から汲み出す力
無しに半魔は半魔でありえねぇ、そこが悩ましいところでなぁ」
 見事な手際で美味いオニオンスープを作って、師匠は大きく破顔した。
「じゃから必要なんじゃ、絆がの。何気ないようで、当たり前のようで、それ
でいて本当に大切なもんが、人間以上に、半魔には必要なんじゃよ」
 師匠の言わんとすることがわかるまで。師匠が何を教えてくれているのか気
付けるまで。すとん、とそれが腑に落ちるまで。情けないけど、俺は何ヶ月も
かかった。
 これこそが、半魔としての戦い方。日常生活、家族、自分。何かを、誰かを
大切にすることが、絆であり、半魔として戦い続ける方法なのだと。
 心の強さ、なのだと。
―〜―〜―
470BBNT本編8話目・前編:2005/10/18(火) 21:57:41 ID:mk8vF05t
 思った以上に尺が伸びたので3分割。残りはいずれ。

>450-453
 不死者がお船を探すシーンがいいなぁ。もともとこの子あんまり好きじゃな
かったのに、“船乗り”生きてたらメッチャ傍迷惑なのに、ちょびっとだけ、
生きて再会させてあげて欲しかったなぁと思った。
 あと鴉の婆ちゃんがとても可愛い。

 貴方のお話が大好き。澄んだ泉水のようで、底に綺麗な小石がたくさんあっ
て、読み返すたびにそれを拾っては自分の書く話に投げ込んでいる感じ。
 貴方のお話が読めなくなるか、自分の話が書けなくなるか、どちらかを選べ
と言われたら、今はきっと、一方が欠けたらもう一方も意味はないと答えるん
じゃないかな。恋だね、これは最早。
471名無しさん@ピンキー:2005/10/19(水) 13:28:42 ID:nUieRUFY
ところで481kなのでそろそろ次スレの準備がいるかも。
472名無しさん@ピンキー:2005/10/19(水) 18:26:43 ID:N6Z8ZzFr
長文多かったからなァ。いいことだ。
473テンプレ案:2005/10/19(水) 21:36:52 ID:pP45mnlv
カードゲーム、ボードゲーム、TRPG・・・
この世にある全ての卓ゲーには影に隠れ淫靡にまみれし恥部があった!!

ここは卓上ゲームを元ネタとするエロパロを総合的に扱うスレッドです。
元ネタ及び表現するジャンルは不問! 小説、イラスト、コミック、あるいは18禁リプレイやら生身やら。
遊戯中にとめどなく妄想を始めて人知れず股間をすり合わせるヒマがあるのなら! さあ! カキたまえ!!

前スレ
卓上ゲームエロパロ総合スレ7
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1124087326/

過去スレや過去作品のまとめはこちら
2ch卓上ゲームエロパロ総合スレまとめサイト
ttp://trpg.h.fc2.com/

関連スレなど
卓上ゲーム板
http://game9.2ch.net/cgame/
夜の青い小鳩亭 inソードワールド 6号店
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1122277369/
ロードス島戦記のSS2【クリスタニアも】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1083410959/

―〜―〜―
 修正なければこんなところで490KB目処に立てようかと思いつつ。
474リンク修正しました:2005/10/19(水) 21:43:56 ID:pP45mnlv
カードゲーム、ボードゲーム、TRPG・・・
この世にある全ての卓ゲーには影に隠れ淫靡にまみれし恥部があった!!

ここは卓上ゲームを元ネタとするエロパロを総合的に扱うスレッドです。
元ネタ及び表現するジャンルは不問! 小説、イラスト、コミック、あるいは18禁リプレイやら生身やら。
遊戯中にとめどなく妄想を始めて人知れず股間をすり合わせるヒマがあるのなら! さあ! カキたまえ!!

前スレ
卓上ゲームエロパロ総合スレ7
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2ch卓上ゲームエロパロ総合スレまとめサイト
ttp://trpg.h.fc2.com/

関連スレなど
卓上ゲーム板
http://game9.2ch.net/cgame/
夜の青い小鳩亭 inソードワールド 7号店
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1126869407/
ロードス島戦記のSS2【クリスタニアも】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1083410959/
475名無しさん@ピンキー:2005/10/20(木) 02:23:40 ID:RTm8oSXr
余裕の2ゲット!!
とか言いたくなるんだよなw
476名無しさん@ピンキー:2005/10/21(金) 15:15:38 ID:iwdydl4I
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/cgame/1127440457/697
職質されるこいのぼりを萌想した。

警官「いけませんね〜。小学生が、こんな時間にモデルガンで遊ぶなんて…」
結希「小学生でも、モデルガンでも、こいのぼりでもありません!」

その頃、電信柱の後ろでは…

永斗「ヤッチャウ! ヤッチャウカ!」
司「って、一般人はリザレクト出来ないんだから止せ!」
永斗「大丈夫! 下のマグナムを使うから!」
司「…それならいいか。」

薬王寺結希…(精神的)貞操の危機!
477名無しさん@ピンキー:2005/10/21(金) 17:05:08 ID:t8+eJV3D
>永斗「ヤッチャウ! ヤッチャウカ!」
>司「って、一般人はリザレクト出来ないんだから止せ!」
>永斗「大丈夫! 下のマグナムを使うから!」
>司「…それならいいか。」

この会話だと警官の貞操の危機だろうが!
478名無しさん@ピンキー:2005/10/21(金) 17:10:30 ID:fJlri3PG
永斗「神崎シリーズを五人全員、下のマグナムでヒィヒィよがらせた話は、したっけかあ?」
司「断じてそのような事実はねえ」
479名無しさん@ピンキー:2005/10/21(金) 18:02:32 ID:FQIW+nWl
>永斗「ヤッチャウ! ヤッチャウカ!」
>司「って、一般人はリザレクト出来ないんだから止せ!」
>永斗「大丈夫! 下のマグナムを使うから!」
>司「…それならいいか。」
……ワーディングしようぜ
《馬鹿は無粋な事を言った》
480名無しさん@ピンキー:2005/10/21(金) 19:01:04 ID:YrqEnQ4/
>479
 確かに無粋だ。
 一般人はワーディングによって無力化されるからな。
 マグロ状態の警官をヤッチャったってつまらないだろう。
 抵抗するのをヤッチャウのがいいんだ。

 そしてその光景を眺める結希が新たな性の世界に目覚【そろそろやめとけ】
481BBNT本編8話目・中編1/5:2005/10/21(金) 20:26:26 ID:YrqEnQ4/
 自分の舌を他人の口に入れるなぞ、又は他人の舌を自分の口に入れられるな
ぞ、冷静に考えれば気色悪いことこの上ない。ぬるつく感触が、とか、唾液に
含まれる雑菌が、とか、そういう具体的な原因を除いても、生理的に我慢がな
らない。
 それなのに。
 ぬるつく感触を、互いの舌で求め合う興奮。雑菌を含んでいるのだろう唾液
が、互いの口中で混ざり合う愉悦。なんて不可解で、なんて不可思議で、なん
て幸せなことなのだろう。
 ちゅ、ぴちゃ、小さな小さな水音が、耳に楽しい、心地よい。
 お前を、たっぷり味わおう。もっともっと、音を立てて。
―〜―〜―
 雨、か。
 冷たい。
 手足の先から体温が奪われる。寒いのだろうな、と他人事のように思う俺。
「……忘れないから」
 それは憎悪の言葉。
「あんたのことは、絶対に忘れない。いつか……いつか必ず、殺してやる」
 失った瞳と残された瞳、その両方で、ただ立ちつくす俺を睨めつけ、そして
彼女はゆるゆると、身体を引きずるようにして、彼の方へと歩み寄った。
 俺の一撃を受けて、既に事切れている彼。その傍らに跪き、彼女は哀しくも
透明な微笑みで彼を見下ろし、……そっと、口づけを。
 自らの胸に手刀を刺し、あふれ出す血で……溶解液で、彼の亡骸を、そして
自分自身を、じゅわじゅわと溶かしていく。
 白煙。鼻を突く異臭。
 恋ゆえに。奈落に堕ちて、奈落に還れず、【悪魔】となって舞い戻り。
 恋ゆえに。他人と、世界と衝突し、どちらかが生き残るために、命を賭して
戦わねばならなかった。
 誰も悪くなかった。愛していただけだ。共に生きていたかっただけなのだ。
 存在自体が世界に許されなかった、恋人達が溶けていく。
 恋人達が混ざり合っていく。
 恋人達が一つになって。
 赤い赤い、涙のように赤いそれが、折からの豪雨に洗われて、あっという間
に流れ、消えていった。
 俺の鎧は。何を守ったのだろう。誰を護ったのだろう。
 俺の拳は。何を破壊したのだろう。何のために破壊したのだろう。
 レンは不吉の予言者。絶望の明日を、悲劇の未来を予知して、人々に知らし
める者。そして、レンの指し示した道をさえ回避すれば、最悪の結末は防げる。
必ず。今まで、それが外れたことはなかった。
 では、最悪ではない結末とは、最善の結末であろうか。
 否。その答えは、否だ。
482BBNT本編8話目・中編2/5:2005/10/21(金) 20:27:44 ID:YrqEnQ4/
 奈落に沈むべき彼らの命をこの世界に保たんがために、多くの命が苦しみの
うちに『消費』される。肥大化する彼らのエゴによって、昼と夜との調和が崩
壊し、世界に滅びの物語がもたらされる。予言者たるレンの告げた、それが最
悪の結末。だから俺は彼らと戦い、そうして……倒した。
 確かに彼らは他人に力で強い、弱者を生み出す強者だった。けれど、それは
彼らが進んで行なったことではなかった。他人のために自分達の幸せを犠牲に
したくはない、そう考えていただけだ。ある意味、とても普通に。
 正義が目指すべきは多分、最大多数の最大幸福。正義が守るべきはきっと、
力に強いられ涙する弱者。では逆に、最大多数に含まれない者に対して、正義
は無力なのか。弱者を生み出す強者は、正義が排除すべきものなのか。
 そんなことはない。そんなはずはない。だから俺は、この結末が最善だとは
思わない。それでも後悔だけはしない。でなければ奪った命に失礼だ。これか
らも俺は正義を掲げて前に進み、最善の結末を求め続ける。
 忘れない。俺も忘れない。
 俺の正義は、信念は、同時に、俺の業でもあるから。
 失われた命、これから失われるかも知れなかった命、それらの重みを背負っ
ていくのがヒーローだと思うから。
 くらり、視界が揺れた。
 ドッ、と背中に衝撃。
 なんだ、倒れたのか? 頭の中で誰かが俺を観察している感じ。後ろに壁か
木の幹でもあったらしく、ずるり、俺はその場に座り込んだ。
 魔獣化が解除された。鎧が、消失した。
 維持できなくなったのか。困ったな、と思った。人の姿でこの雨に曝されて
は、体温を急速に奪われてしまう。
 強烈な睡魔。意識を手放して、このまま眠ればきっと楽に違いない。そうは
思うけれど、このまま眠ればどうなるか、俺にだって簡単に予想できた。
『そう簡単に死ぬなんて言うもんじゃねぇぜ、若いの』
 生きる努力は惜しまない。殺すだけ殺しておいて自分も死ぬなんて、そんな
無責任なこと、ヒーローを自認する限り、俺は自分に許さない。
 けれど、半ば混濁した意識の中で、死神の鎌が俺の首に掛かる冷たさ、鋭さ
を、俺は確かに感じていたのだった。
「……ハガネ」
 唐突に、真横で声が聞こえた。幻覚から我に返る。両足をやられて立てなく
なったはずのレンが、俺の傍らに来ていた。見れば泥だらけ、恐らく腕と膝の
力とで何とか移動したのだろう。膝立ちで、自分を支えるのもつらいだろうに、
懸命に俺を支えようとしている。
「終わったよ、ハガネ。帰ろう、おうちに」
483BBNT本編8話目・中編3/5:2005/10/21(金) 20:29:20 ID:YrqEnQ4/
 そうだ、こんなところで倒れている暇はない、レンを無事に連れて帰らない
と。俺のところへ駆けつけるために、俺を庇うために、レンは随分ダメージを
受けた。放っておけば、半魔だとて危ない。こいつに万一のことがあったら、
俺は師匠に顔向けができない。この先、レンに対して兄貴面だってできやしな
いではないか。
「ああ。帰ろう」
 喉から絞り出した声で俺は応えた。しかし下半身はすっかり麻痺して、目で
見ないとそこにあるのかどうか心配になるほど。感覚の欠如が、臍の辺りから
徐々に、着実にせり上がってくる。胸の鼓動がだんだん小さくなっていくよう
に感じるのは錯覚だろうか。
 痛みも無いのに左手はピクリとも動かない。右腕がようやく動かせた。レン
を支えてやろうとして、抱き寄せるかたちとなる。俺の腕の重みに耐えきれず、
レンが俺に倒れ込んでくる。
 レンのあたたかみで俺は人心地ついた。その代わり、レンの背中にばかり雨
がかかることになる。なんてこった。風邪を引かせてしまうじゃないか。
「ど、どうしよう、ハガネ、どうしよう」
 慌てふためいてレンが顔を上げた。不安に怯える、恐怖に震える、頼りない、
子供の顔。
「跳べない、跳べないんだ、ハガネを連れて、跳べない……!」
 レンは【伝説の住人】、歴史の監視者。世界律を守る、その使命のため世界
から与えられた空間跳躍能力は、彼我の距離を全く無視してほぼ一瞬で移動す
る。通常、レンは自分一人でしか跳躍できないが、唯一、俺だけは連れて跳べ
るようだ。それが何故なのか、レンにも俺にもわからない。
 全く血のつながらない、人と魔という出自すら異なる、俺達が互いを『実の
きょうだい』だと認め合っている、その理由と同じぐらい、不明だ。
 空間跳躍は、しかし、その成功のために厳しい条件が課せられる、ましてや
俺を伴うなら余計に。自在のようでいて、融通は利かないのだ。たとえばレン
が疲労の極致にあれば、跳躍は失敗し、レンは更に疲れるだけとなる。
「お前一人でも、無理か?」
 お前だけでも帰って、師匠……誰でもいい。誰かを呼んで来てくれれば。
「無理、だ」
 レンは首を横に振る。
「だって、それは最悪の結末に至る道だ。空間跳躍でも、そうでなくとも、今
わたしがハガネを置いてこの場を離れたが最後、わたしはハガネではないハガ
ネをしか見つけられなくなる」
 俺じゃない俺。死体のことだろう。レンが誰か助けを呼びに行き、残された
俺は、助けを呼んだ甲斐なくここで独り死ぬ、というわけだ。それが最悪の結
末だとレンは言う。ならば最悪の結末を嫌って、こうしてレンが俺の傍に残っ
ている、この選択の結末は。
484BBNT本編8話目・中編4/5:2005/10/21(金) 20:30:27 ID:YrqEnQ4/
 しかし、それはレンにも予知できないことなのだった。歴史の監視者とて、
当たり前だが全知全能ではないのだから。
「ケータイは? それで誰かに来てもらえばいい」
「あ、そうか」
 跳躍能力者はこれだから困る。自分が行くことしか頭になくて、来てもらう
ことを忘れがちだ。
 だがしかし、レンのケータイは完全に壊れていて、俺のケータイは、師匠の
ケータイにつながったとたん沈黙した。ギャグマンガみたいにナイスなタイミ
ング。呆然とするレンの間抜けっ面が何故だか楽しくて、俺は思わず笑ってし
まった。
 とりあえず応急処置、止血だけでもしておく。これで少しは保つだろう。
 他にできること、他に何かできること。考えて考えて。
「けど、跳んで戻ればお前だけでも助かるんだろう?」
 くだらないことを訊いた。御免、そんな顔をするな、レン。
 楽観するならば、二人とも助け出されて命長らえるのだろう。悲観するなら
ば、二人ともここで死ぬのだろう。
 “鋼の王者”の最期。
 彼の死を看取った、誰か女性がいた。
 彼を愛し、彼に愛された、一人の女性がいた。
 彼のいない世界に取り残されることを悲しみ、それゆえに自らの存在意義を
手放し、ついには彼に看取られて落命した【伝説の住人】がいた。
 その結末は、彼らにとって最善だったのか、最悪だったのか、それとも。
 だけど、ああ、あったかいなぁ。いのちってやつは、本当にあったかい。
 こんなときでも、こんなときこそ、一人でないっていうのはあったかいもの
だと俺は思った。
―〜―〜―
 師匠に出会って1ヶ月ばかりは顔も見ることができなかったのだが、『ちー
ちゃい子供みたいに可愛い死神』の噂は、てか自慢話は、耳にタコができるほ
ど師匠の口から聞かされていた。親バカ、愛娘にベタ惚れの父親みたいに、そ
りゃもうデレデレと話す師匠に、料理の合間、
「そうまで可愛い子を、何で養子にできたんです?」
 尋ねてみたら、ふ、と黙られてしまった。
「……まあ、世ン中にはそういう幸運っちゅうもんもあるってこっちゃ」
 何か、とてもつらい思い出があるのだろう。それはわかったが、それが何か
はわからなかった。
 俺が“鋼の戦士”と呼ばれるように、その子も“混沌の監視者”と呼ばれ、
己に課された使命のために、戦っているのだとも聞いた。
「いっぺん会ってみたいもんですねぇ」
 社交辞令のつもりだったが、やたらマジな目つきで包丁を突きつけられて、
「やらんぞ」
485BBNT本編8話目・中編5/5:2005/10/21(金) 20:31:22 ID:YrqEnQ4/
 思わず言い返す、
「要りませんよっ」
「何ぃ!? 俺の娘のどこが不服じゃ!?」
「師匠、自分の言ってることわかってますかっ!?」
 初めて、師匠に殺されると恐怖した瞬間だった。
「どっちにせよ、今は会わしてやれんぜ。【修羅】を追っ掛けて、あっちこっ
ち跳んどるらしいんじゃ」
 はああぁぁ〜、と深い深い溜息。これだけでも、師匠がその子のことをどれ
だけ溺愛しているか、そして心配しているかがよくわかった。
 【修羅】。怒りのあまりに堕ちた【鬼】。
 ならばその【修羅】を俺が倒して、その子が家に帰れるようになれば、師匠
も俺を見直し、戦技の一つも教えてもらえるかと、下心満載で俺は【修羅】の
ことを調べ始め、……彼が何に怒っているのか、何のために奈落に堕ち、そこ
から這い上がってきたか、知って俺は、だからこそ彼を殺さなければならない
と。
 彼を、止めなければならないと。
「済まんが行ってくれんか、ハガネ」
 師匠は破壊衝動に狂った【自動人形】から街を守るために、死霊課の刑事と
して戦わなければならなかった。
「レンを、助けてやってくれ」
 大規模な事件、その陰で、【修羅】を『救うために』独り跳んだレンを、俺
に託して師匠は、暴走した人型機械に対峙した。
 自分が助けに行きたかったに違いないのに、俺を頼ってくれた。
 だから俺は走った。【修羅】が隠れ潜んでいるという、地下通路のアレナへ。
「お前が師匠の言っていた、“混沌の監視者”レンか」
「君が父の言っていた、“鋼の戦士”ハガネか」
 初めて出会った彼女は、嬉しくて、気恥ずかしくて、泣きたいくらい、懐か
しくて。
 ああ、俺の『きょうだい』だと直感した。
 俺の大切な、魂の片割れだと。
―〜―〜―
486BBNT本編8話目・中編:2005/10/21(金) 20:32:07 ID:YrqEnQ4/
 残りは後編。ではまた近いうちにでも。
487名無しさん@ピンキー:2005/10/21(金) 20:35:31 ID:YrqEnQ4/
 立てました。

卓上ゲームエロパロ総合スレ8
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1129894446/
488名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 03:33:38 ID:VzBPnBwX
それでは、埋め企画。

卓ゲヒロイン(ヒーロー)・コスプレコンテスト
概要:好きな卓ゲキャラと、そのキャラにさせたいコスプレを挙げよ。
票数が多いネタは、職人さんがSSを書いてくれる…かも(他力本願)

例:DX2 玉野椿→女郎蜘蛛(蜘蛛の巣に囚われた隼人付き)
489名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 03:44:43 ID:YsKBX7cB
NW ベール=ゼファー(10歳)→ブラジル水着
490名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 09:03:37 ID:PLiHZpB3
DX2 シザーリオ→ベルばらチックな礼服
491名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 11:20:32 ID:O8tROlsa
NW グィード・ボルジア → ハードゲイ
492名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 11:35:55 ID:UHSYHAGN
>>489
一票追加。
493名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 13:16:32 ID:a6zbH8dO
NW にゃふう→不思議の国のアリス
494名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 15:15:55 ID:NveLX4F3
六門 ニム・カルシア→淑女のエプロン
495名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 18:20:04 ID:/rVLeo9f
RQ ジャ・イール→ボンテージ(受け攻めリバーシブル)
496名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 21:50:38 ID:/rVLeo9f
N◎VA レイ&メモリ→拘束具&ペニバン
497名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 21:58:25 ID:PLiHZpB3
DX2 玉野椿→競泳水着
498頑張りすぎの急先鋒:2005/10/22(土) 21:58:53 ID:Wg9gN7IP
 保管庫の管理人様。更新お疲れ様です。
 SS書くのは楽しいなぁ。投下するのも楽しいなぁ。GJとか感想とかもら
うともうやめられないなぁ。そんな世界へ、どうかおいでくださいませ。

◇オリジン2巻読了
 相変わらず凄い物語です。
 あと、p97の椿ちゃんに萌え。

◇埋め企画
 >488に1票追加。ええと、確かえっちな気分になると女郎蜘蛛に変身するん
でしたよね?
499BBNT本編8話目・後編1/5:2005/10/22(土) 22:02:51 ID:Wg9gN7IP
 両手で俺の左手首を掴んで、はむっ、とレンは、人差し指の先端をくわえた。
「何を、してるんだ?」
「いたずらっ」
 ずぶぬれの地面にぺたんと座り込んで、それは必死な、頼るような縋るよう
な声。
「いたずらなんぞしよったら、俺が飛んでくけんの。なんぼ隠れちょろうと、
俺にはお見通しだぜ、ってロウが言っていたのだ」
 何か悪さをして師匠に見とがめられたとき、そう言って叱られたのだろう。
「4回も見つかった。絶対にバレないって、絶対にこんなところまで来ないっ
て思ったのに、見つかって叱られた。だから」
「何をやったんだ何を」
「えー。うるさいわんこのシッポにネズミ花火くくりつけたりとかー」
 シャレにならんほど悪ガキだな、この3歳児。
「こうやっていたずらしてれば、16歳になるまではダメって、ロウがわたし
を叱りに来るから。絶対に、絶対に来てくれるから」
 戦うため、殴るために鍛えた硬質の手に、柔らかな唇がそっと寄せられる。
 俺の手の甲にキスをして。手の甲へのキスは敬愛のキスだったか。
 俺の手の平にキスをして。手の平へのキスは欲望のキスだっけか。
 自分ででっち上げた都合のいい魔法を真剣に信じる子供。傍目には滑稽で、
それだけに可哀相で、だのに止めもせず、それを眺めているだけの俺は、理性
とか、正気とか、そんなものが失われているようだった。
 そういえば俺も中高校生時分、待ち合わせに来ない友達がいたときは、先に
集まった友達と、わざと悪口を言い合ったものだ。噂をすれば影というジンク
スの実践。そうすれば大概遅れた友達がやってきて、何を言ってやがるー、と
笑い話に済ませたものだった。
「レン」
 俺は右腕をレンに差し伸べた。
「どうせなら、……二人で、いたずらしてた方が、いいだろ?」
 レンは八の字に眉を寄せて、こわごわ訊いてきた。
「一緒に、叱られてくれる?」
 こわごわなのは、師匠に叱られるのをおそれてのことだろう。
「ああ。一緒に、叱られてやるよ」
 だから俺が頷くと、レンは大喜びで俺の胸に飛び込んできた。
 求めたのは、どちらが先だったか。ごろごろと仔猫が甘えるように俺に擦り
寄っていたレンが顔を上げて、唇と唇とが重なるまで、さしたる時間はかから
なかった。
 叱られるどころか。これで助かっても俺は師匠に殺されるに違いない。
 俺は軽く触れるだけのつもりでいたが、ちう、と吸い付くように強めに合わ
せて、あまつさえ舌先で俺の唇をちろりと舐める、レンの積極性に驚いて、
「おい?」
500BBNT本編8話目・後編2/5
「違うのか?」
 短く咎めると、きょとん、と訊き返してくる。
「おとなのキスとはこういうものなのだろう? やり方は、お手々にイチャイ
チャするのと同じようなもんじゃとロウが言っていたぞ?」
 師匠……予備知識を詰め込みすぎですよ。どこまで耳年増に育てる気ですか。
「大好き、ってうーんと想って、自分が気持ちよくなるように、相手が気持ち
よくなるように、二人で気持ちよくなるように、って」
 再びレンは、俺に口づけを落とした。額、まぶた、頬、鼻先、顎、首筋。
 ちゅっちゅっと軽くついばむように、何度も繰り返される柔らかな感触。
 ちろ、ちろ、と勿体なげにアイスクリームを舐めるように、レンの舌先が血
にまみれた俺の顔を清めていく。
 やれやれ、師匠に何度殺されることやら。脳裏でちらりと思い、そういやレ
ンは死という概念を司る神だったなと今更のように思い出す。
『死神なら俺んちにも一人おるよ。ちーちゃい子供みたいに可愛い奴でな、あ
いつが迎えに来ちょらん以上、お前さんはまだ死にゃあせんぜ』
 だとしたら、これは最高のお迎えじゃないか。
 レンが去り、残された俺が独り死ぬ、最悪の結末を回避して。
 最善の結末を、俺達は選択したのだ。
「レン」
 その火傷には触れないようレンの頬に右掌を添えて導き、
「ん……っ」
 舌を絡める、深い口づけを。
 血の味。汗の味。泥の味。酷い味。
 それらが唾液に流されて、やがて甘さに取って代わられ。
 お手々と称する手舐め行為で師匠に何を仕込まれているのやら、我が物顔で
俺を刺激していくレンの動き。優しくて、ヤラしくて、安心するほど気持ちよ
くて、俺はレンのなすがままに任せた。
 ライトなキスなら、遊びのようなものを女の子としたことがあったけれど、
ディープは一応、ファースト・キスなんだけどなぁ。内心で苦笑いを漏らす俺。
 戸惑うような、心待ち。望み通りに与えられる快楽。ぞくぞくと、尾てい骨
から背筋を通って脳髄へ伝わる電流。下半身の感覚などないけれど、勃ってい
るに違いないと思う。
 弱っていたはずの心音は、今や力強い鼓動。
 雨に冷えていたはずの体温が、熱く高まっているのを自覚する。
 半死人をここまで回復させるとは、とんでもない死神もいたもんだ。
 幻覚、俺の首に当てられていた鋭く冷たい鎌の刃が、なんだか呆れたような
感じで遠ざかっていった。
「気持ちいいか?」
 レンは少し身を引いて、褒められるのを待っている仔犬みたいに。