.hackのエロパロ vol.8

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1名無しさん@ピンキー
さまざまなメディアに展開している.hackシリーズの18禁SSスレです

過去スレ
.hackのエロパロ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1033821005/
.hackのエロパロ Vol.2
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1046059657/
.hackのエロパロ Vol.3
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1053232107/
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.hackのエロパロ Vol.5(死亡)
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1080929260/
.hackのエロパロ Vol.6
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.hackのエロパロ Vol.7
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SS保管庫
ttp://ginkan.e-city.tv/ --旧まとめサイト
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関連
hack 人物辞典
ttp://akiko.s6.xrea.com/hack/chara/
2sage:2005/08/09(火) 13:53:38 ID:RYc6Ks6G
2get

>>1
乙ですッ
3名無しさん@ピンキー:2005/08/09(火) 13:53:53 ID:Zcs3nCnO
2
>>1
4名無しさん@ピンキー:2005/08/09(火) 13:55:41 ID:RYc6Ks6G
>>3
おっと俺のが15秒速かった(`・ω・´)

・・・sageを間違えてますねorz
sage直します すまそ(´・ω・`)
5名無しさん@ピンキー:2005/08/09(火) 14:49:53 ID:V2kTrv/7
≫1
乙。まあ食え。
つ[梅干し]
6名無しさん@ピンキー:2005/08/09(火) 15:30:34 ID:Gs8uNTrm
>>1
7名無しさん@ピンキー:2005/08/09(火) 15:57:13 ID:vrHPEcbO
>>1
乙。
8名無しさん@ピンキー:2005/08/09(火) 18:03:04 ID:kv2vCweC
〉〉1
乙カレー
918Rの鷹:2005/08/09(火) 21:42:18 ID:i9hoowqk
>>前スレ435の続き

「さあ、どうぞ」
 鍵を開けた翔子がドアのところで招いている。
「おじゃましまぁす」
 あいさつをして家に上がり翔子の部屋に入った。
 女のコの部屋にしては飾りけがなく、ものが少ないなぁ、と思った。
「そこに腰掛けて」
 翔子が指したのはベッドだった。黙って従うしかない。翔子はぼくの1mほど前に立ち、ゆっくりと上着を脱いでいった。
「しょ、翔子さんっ。な、な、なにを!?」
 慌てふためくぼくを後目に、翔子は無言のままスカートを落とし、シャツのボタンを外していった。
「ごくっ」
 生唾を飲み込む音が自分の耳にやけに大きく響いた。翔子はぼくの気持ちを煽るかのようにゆっくりソックスを脱いだ。身につけているのは下着だけだ。
「どう? 私。魅力ある?」
 ぼくを見つめる翔子の瞳は、吸い込まれそうな妖しい輝きを放っている。翔子の問いに、ズボンの一部分を押し上げるムスコが答えていた。
 しかし、頭のほうは何が起こっているのか理解できず困惑していた。翔子の狙いがまるでわからず、どうしていいのか、何を言えばいいのかわからず、固まっていた。
 翔子は一歩ぼくに近づき、
「抱いて。私を満足させてくれたら、写真、消してあげる」
「そ、そんな…、そんなこと…」
 困りまくるぼくに、翔子は強い口調でとどめの一撃を与えた。
「きみに選択肢はないわ。さあ、抱いて」
 セックスすることが解決に結びつくとはとうてい思えなかったが…。覚悟を決めるしかない。ぼくは立ち上がり翔子を抱きしめた。翔子の腕がぼくの背中にまわされたのがわかった。
「あぁ…ぁ…」
 吐息をもらそうと顔を上げた翔子の口をふさぐ。満足させろ、と言われたからには躊躇している余裕などない。心の片隅には、なんでこんなことになってしまったのか、という疑問と後悔…それに、
(こんなきれいなひととできるなんて、夢を見ているみたいだ)
 ほっぺたをつねりたくなるような自分の身に降りかかった幸せ(?)に震える気持ちがあった。
10名無しさん@ピンキー:2005/08/10(水) 08:28:19 ID:5tB6L/R/
まとめを全て徹夜で読んだ俺が来ましたよ(´・ω・`)マジ神達だな…
≫1乙!
さて眠るか…
1118Rの鷹:2005/08/10(水) 20:38:34 ID:8wXCJxbS

 同時、だった。唇を割って舌先が遭遇する。互いに相手の出方をうかがうように舌先を突つきあう。
「ぅん」
 先手を取ったのはぼくだった。翔子の舌を吸い込み、自分の口内に迎え入れた。いっぱいに伸ばされた翔子の舌に自分の舌を絡みつけ、唇ではさみつけた。
「ん…ふぅ…、んっ! ぅぅん…」
 眉を寄せて切なげな表情を見せる翔子。晶良にはない、大人の色香が漂っている。
「んんっ、ぅぅ〜ん、ぅんっ!」
 翔子の舌を解放し、今度はぼくが翔子に攻め入る。唇の裏側をめくるように嘗め、歯を、歯茎を味わった。きつく抱きしめると、翔子の体からふっと力が抜けた。
「あ…はぁ…」
 唇を離す。唾液のアーチがかかり、重力に負けて真ん中で切れ落ちた。翔子の潤んだ瞳が、先に進めと命じている。
 ブラジャーを右手の親指と人指し指2本で器用に外し、晶良のより2まわりほど豊かなおっぱいをむき出しにした。
「あぁ…、すごく…」
 翔子が艶まじりの声でもらす。
「じょうず、ね。きみ…」
 あらわになった胸を隠そうともしない翔子が、ぼくの服を脱がしていく。あっという間にパンツ一丁の姿になっていた。
「大きい…。あぁ…、パンツを履いてても、はっきりわかる…」
 うれしそうにつぶやいた翔子がぼくの前にひざまずく。一点を見つめながら手を伸ばし、パンツを引き下ろす翔子。
 ムスコはすっかり勃起していた。パンツから飛び出した反動で1回だけ大きく上下し、ぴたりと天を指して止まった。
「あぁ…、あぁ…、ほんとに…、ほんとにおっきい…、あぁ…」
 笑みさえ浮かべて上目遣いでぼくを見つめる翔子の目は、ゾクリとするほど艶にあふれていた。
 右手でムスコを握りしめ、しごくように動かす翔子。冷たい掌の感触に、思わずかがんでしまいそうになるが、意志の力でこらえ胸を張るようにしてムスコを突き出す。
「…すごい…、はぁぁ…」
 翔子の熱い吐息がムスコにかかる。脈打つ肉棒を愛おしそうに眺め、舌を這わせてくる翔子。
12名無しさん@ピンキー:2005/08/11(木) 19:54:46 ID:nqS1IPag
ホシュだから結構前にちょっと投下したやつでもいい?

「こら。誘ってるのか」
「そうだよ」
コーヒーを持って部屋に入ってきた司は一糸まとわぬ裸だ。
ベアはここ数日かかりっきりだった原稿に向き合うのをいったんやめて、司のほうを見た。
低くパソコンが唸っている。灰皿は吸殻であふれていた。
「だって、もうずっと触ってくれてない」
締め切り間際で、それなのに展開はちっとも進まず。
落とすわけにはいかなかったし、担当の電話で催促されるのもごめんだった。
だから、司の言うとおり、ベアはほとんどの時間を仕事に費やしていた。
す、と司の白い腕が伸びて、デスクにコーヒーカップを置く。
白い湯気が黒い飲み物から立ち上る。
煙草とは違う香ばしいにおいにベアの目は自然と細められた。
「お仕事忙しいのはわかってる」
「そうか」
「ごめんね」
「淋しかったか?」
「うん」
「それで」
「誘ってみようと思って」
「……悪かった」
それ、ダメって意味? と司の顔が哀しげに歪んで、笑う。
違うそうじゃないとベアはそれを否定して、両手を広げて呼んだ。
「おいで」
途端彼のものになる柔らかな白い身体。
女、それもまだ瑞々しく若い、少女というべき人間の器。
ぎゅうと抱きしめると、腕の中の司が嬉しそうに身じろぎした。
くすくす笑いながら、男の胸に手をそっと這わす。
「……誘われた?」
「ああ、まいった」
「ふふ」
すべすべした背中を撫でた。
くすぐったいのか寒いのか、司は微かに震えた。
淋しかったのは――ベアも同じだ。
13名無しさん@ピンキー:2005/08/11(木) 19:56:04 ID:nqS1IPag
腕を腰に回して、キスを落とす。
コーヒーが香った。唇が甘い。
「……甘いな」
「あ、えっと、僕もさっきコーヒー飲んだから」
「ああ」
砂糖とミルク入りのコーヒー。
もっと味わいたくなって、ベアはキスを深いものに変える。
「……ん」
ねだるような司の声にいとしさがつのって、ますます深く、もっと深く。
顔を離しふと目を下に落とすと、ピンク色の乳首はもうその形を主張し始めていた。
少し意地悪く尋ねてやりたくなって、ベアは耳元に顔を寄せた。
「キスだけで感じたか?」
「っ、違うもん、寒くて、そのせいだよっ」
むきになって否定する司を膝の上に抱き上げる。
「……ズボン、汚れちゃうよ?」
「洗えばいいさ」
「洗濯するの誰だと思って――」
きゅ、と薄桃色をつままれて、司の文句が止まった。
しょうがないなぁと呆れたように、でも気持ちよさそうに、ベアの指に身を任せている。
物書きの彼の指は大きなペンだこがあって、ちょっとごつごつしている。
司の手とはぜんぜん違う、男の人の手だ。
その手が司の胸をまさぐり、感触を楽しむように軽く揉んでいる。
「ん……」
司がうっとりとため息を吐き、ベアの首筋に口づけようとしてきたが、
男が慌てて身を引いたためにそれはかなわなかった。
「?」
「汗をかいてるから、やめたほうがいい」
不思議そうに視線で問いかけてくる司に、ベアはそう説明した。
「僕はそんなに気にしないけど」
「……。いや、オレがいたたまれないから」
「んー、そう? じゃあいいや、やめとく」
なんとか思いとどまってもらうことに成功し、ほっと胸をなでおろす。
いったい司はこんなに年の離れた自分のどこがいいのだろう。疑問に思う。
司ぐらい若くて可愛ければ、わざわざ自分のような「オヤジ」を相手に選ばなくてもいいだろうに。
「こーら、なんか変なこと考えてるでしょ」
だが司の言うとおり、今こんなことを考えるのは無粋だ。
そう、今は。甘く柔らかなこの時間に、没頭しよう。

即死防止 でした。ではノシ
1418Rの鷹:2005/08/11(木) 23:33:47 ID:EyzxCGHx
>>11の続き

「あっ! いいっ! しょ、翔子さ…ん、あぁっ!」
 翔子の舌使いに思わず声が出てしまう。
「ん…んぐっ…、んんっ、んぐぅ…、んっ、んっ、んっ」
 ぼくの反応に気をよくしたのか、翔子の顔の、口の、舌の動きが激しさを増していく。
「あっ…あぁぁっ、あぅっ…、い、いいっ! いいよっ! あああっ!」
 翔子の黒髪に手をまわし、腰を突き出す。翔子はむせることもなく喉の奥までぼくを迎え入れてくれる。
 翔子の腕に力が込められ顔が持ち上げられる。ゆっくりとムスコが口からこぼれ出た。先走り汁の透明なアーチが窓から入る陽光にきらめいている。
 唇を唾液とぼくの汁で濡らした翔子が手で口元を拭い、おもむろに話しかけてくる。
「シャワー。浴びてきたの?」
「えっ?」
 とっさに言ってる意味がわからなかった。確かにシャワーは浴びてきたが…。
「なにを期待してたの? 晶良とするつもりだったの?」
「いっ、いやっ、そ、そんなつもり…だったり」
 したかったのは事実だ。しかし、高校と晶良の家の位置関係から、さすがにきょうはできないだろうと思っていた。まあ、キスだけはどうしてもしたかったが…。
「ほんとに、おっきい。晶良、こんなの、受け入れてるんだ」
 ひとり言のようにつぶやいた翔子は、
「きみの番よ」
 と言ってベッドに腰掛け、ぼくの目を見つめてきた。
 ぼくは翔子の唇を吸いながら、そっと体重をあずけていった。体を重ね、じっくりとキスをする。唇を唇ではさみ、舌でなぞった。それから一気に舌を翔子の口内に侵入させ、ねぶりまわした。
 右手で翔子の柔らかで弾力にあふれたおっぱいを揉む。吸いついてくるような感触に、つい夢中になって力が込もってしまう。その胸を口で責めようとキスを解く。翔子がかすれた声で話してくる。
「私の彼ねぇ、フェラチオ好きなくせに、してあげたらキスは嫌がるの。むかつくでしょ? それ」
 ぼくだってホントはヤですよ、とは言えない。
「気持ちよくしてもらった、お礼」
 照れ笑い、いや、ウソをついたことに対する苦笑いを浮かべて言うと、翔子はうれしそうに言った。
「いま、写真、消去するね。…それでも、続き、してくれる?」
「もちろん! 翔子さんみたいな素敵な女性とエッチできるなんて、夢見てるみたい」
1518Rの鷹:2005/08/12(金) 20:14:08 ID:DarB9+iP

 本心だった。どうして翔子が自分としたかったかなんて、わかるわけがない。ただ、いまの自分は下半身でものを考えていた。欲望にものすごく忠実だった。
 翔子はぼくの体を押しのけ、自分の携帯電話を持ってくると、またベッドに腰掛けた。それから、ディスプレイをぼくに見せながら、なつめとのツーショットを慣れた手つきで消去した。
「安心した?」
 微笑みかけてくる翔子の顔は冷たさなどかけらもなくなり、ただただきれいだった。
「はい。ありがとうございます」
 ぼくも満面の笑みを浮かべてお礼を言った。
「ほんと、かわいいね、きみ。食べちゃいたい」
 大げさに舌なめずりをする翔子。そんな仕草に興奮を抑えきれず、ぼくは翔子をベッドに押し倒し、のしかかった。
「翔子さん、きれいだ。食べちゃいたいよ」
 耳元でささやき、耳たぶに歯を軽くあてた。
「はぁ〜、い…いい。あんっ、あぁんっ」
 舌を耳に這わせ、唇ではさみ、歯をたてる。翔子の口から艶っぽい喘ぎが漏れだした。
 横になっても形をそこなわないおっぱいを揉みしだく。もう一方のおっぱいに吸いつき、赤ちゃんのように乳首をむさぼった。
「あっ、あぁっ! あんっ、あ〜んっ、んあっ!」
 翔子は大きくのけぞって、ぼくの愛撫に激しく反応する。両手で左右のおっぱいを楽しみつつ、体をずり下げていく。舌を滑らかな肌に這わせていき、体を翔子の足の間に割り込ませる。
「あ〜、い〜…、あぁっ…いいっ! んあ〜っ」
 パンティの上から舌を押しつける。唾液がパンティを濡らし、黒々とした茂みを透かしている。
「あぁ…、じらさ…ない…で」
 翔子がじれったそうに言う。要求にこたえるべく、ぼくはパンティを一気に取り去り、左右の足首をつかんで大きく広げた。
「あっ、あ〜っ、あぁ〜っ」
 恥じらう翔子にますます欲情する。ぼくは頭をすっと下げ、茂みに頬ずりをした。
「んあぁぁっ!」
 顔をまっすぐにして、一番敏感なところ、クリトリスを尖らせた舌で突つく。たまらず翔子はぼくの頭を太腿で挟んでくる。
1618Rの鷹:2005/08/13(土) 01:45:36 ID:i9Yemm46

 じゃま、といわんばかりに右手で太腿の後ろを押し上げ、舌に自由を与えてやる。秘裂をべろりと嘗めあげてやると、
「ひっ! あひっ! ぁひっ! ひぃぃぃっっ!」
 翔子はぼくの頭を両手で自分のアソコに押しつけながら、あられもない喘ぎ声を吐き出し続けた。
「…ぃ…、ひ…ぃ…ぃ…」
 口をすぼめ、翔子のクリトリスを強く弱く吸った。翔子の両足がピンと伸び、それからゆっくりとベッドに落ちた。
(翔子さん、イっちゃた…?)
 顔を上げ翔子の様子を観察する。眠れる全裸美女といった容姿にうっとりと見入ってしまう。
「…じょうず、ね。きみ、ほんとに、えっち…、うまい…。晶良が…うらやま…しい」
 途切れ途切れにそう言って、翔子は再び目を閉じてしまった。
「翔子さん?」
 心配になって呼びかけると、翔子は面倒くさそうに目を開き、言った。
「少し、待ってね。あんまり、よかったんで、動け…ない」
 素直に言うことを聞いてもよかったのだけど。脅かされた仕返しというか、弱った美女をいじめたいというか、火のついた欲情に素直になるというか…。ともかく、翔子の膣に指を挿入してみた。
「ああんっ! だめ…だったらぁ…、あぁぁぁっ、はぁ〜ん」
 くちゅくちゅと音をたてて翔子をかきまわす。
「すごく熱い。それに、すっごく濡れてるよ、翔子さん」
 蜜はとめどなく染み出てくる。
「あひっ! ぁひぃぃぃっ! いっ…ぃく…、いっちゃうぅぅぅっ」
 翔子の全身に入っていた力が不意に抜け落ちた。もう指を抜き差ししても反応はない。いや、アソコだけは別の生き物のようにヒクヒクとぼくの指を締めつけていた。
 2度目の絶頂を迎えた翔子はなかなか意識を取り戻さなかった。しばらくしてから、
「…ぁ…ぁぁ…、ぁぅぅ…、はぁぁぁぁ…」
 すすり泣くような声とともに覚醒した。そっと体を合わせ、額と頬に唇を軽く触れるだけのキスをした。翔子はぼくの体にまわした腕に力を込めようとするが、うまくできないようだった。
「きみも、気持ちよくなろ?」
「えっ?」
 翔子の言ってることの意味がよくわからない。
17名無しさん@ピンキー:2005/08/14(日) 15:33:03 ID:HP7Zhn8p
保守。
1818Rの鷹:2005/08/15(月) 01:51:13 ID:UZfPNAvl

 ようやく力が入りだした腕で、翔子はぼくを裏返そうとする。その動きを手伝う…というか、自分から翔子を抱きしめて女性上位のポジションをとった。
 翔子はムスコを握り、ゆっくりと体をずり下げて顔を近づけていく。そうして、熱っぽい息をムスコに浴びせながら、
「フェラされるの、嫌い?」
 と聞いてくる。ぼくはぶんぶんと顔を横に振り、
「そ、そんなこと、ないです。お願いしますっ」
 上ずった声でせがんだ。翔子はくすっと笑い、すぐに真剣な表情で息子を見つめ、
「ほんとに大きい…」
 つぶやいてから、口をいっぱいに広げてムスコを呑み込んでいった。
「ん…、んぐ…、んっんっんっ、んぐぅ…」
 翔子の口の中で舌がムスコに這いずりまわっている。あまりの快感に声が出てしまう。
「あっ! あっあっあっ、あ〜っ、いいっ! あぁ〜っ、気持ちいぃぃぃっ」
 添えた右手を上下に動かして、さらに快感を高めてくれる翔子のテクニックに翻弄される。
「気持ちいい?」
 いったんムスコを口から出し、唇をいやらしくぬめらして翔子に聞かれる。
「は、はいっ。すっごく」
「ふふふっ。口で出したら…」
「えっ、なに?」
「コロス」
 鋭い目つきでにらまれ、首をすくめる。
(マジだ、翔子さん。でも、気を抜いたら出ちゃうよぉ)
 高校1年生にしては経験を積み重ねてはいるものの、射精のタイミングをコントロールできるほどセックスを極めているわけではない。肉体と精神の我慢比べだ。
 だが、翔子は思っても見なかった行動に移り、ぼくを驚愕させた。
「ねぇ、きみも…して」
 翔子のお尻がどんどん近づいてくる。やがてお尻はぼくの顔の上を通過した。目のやり場に困り左右を交互に見ると、白く滑らかな太腿がそびえたっている。
「してくれないのぉ」
 右手でムスコをしごきながら翔子がねだってくる。真上で黒い茂みが揺れている。
1918Rの鷹:2005/08/15(月) 20:44:39 ID:UZfPNAvl

 ぼくの両手が上に伸びて、翔子のお尻をつかんだ。柔肉に指をくい込ませ、ぐいと引き下げる。
「あっ」
 短く声をもらした翔子だが、もちろん抵抗などない。縮れた毛が鼻に触れ、アソコが眼前に広がった。愛液でてらてらと濡れ光り、ぼくを誘うようにひくついている。
「ひぃっ、あひっ!」
 舌先でクリトリスを嘗めると、翔子が身悶えて声をあげる。
「ん──────っ、ん〜ん〜ん〜っ、んぐっ! んっ!」
 唇を、舌を、そして指を翔子の愛液が濡らしていく。ムスコは翔子の唾液でべとべとだろう。見えないけれど感触でわかった。
 翔子の秘所をなぶりながら、頭の中でもう一人のぼくがつぶやいた。
(初めてのシックスナイン…。初めては、また晶良さんじゃなかった…)
 シックスナイン──男女がそれぞれの陰部をともに口唇で愛撫しあう行為。
 知識はあった。でも、経験するのは初めてだった。でもでも、できれば晶良としたかった。
 ペチャペチャ、ぴちゃぴちゃ、ずりゅっずりゅっ、ぬずっぬぷっ、ぐちゅぐちゅ…、…、…。
 淫靡な音が部屋に響く。思いとは別に行為に没頭していた。
 クリトリスを強く吸うと、翔子は亀頭がしぼんでしまうのではないかと思えるほど、きつく唇ではさみ、吸い込んだ。次の瞬間、翔子はたまらずムスコを口からこぼし、喜悦の絶叫を響かせた。
「ん…んあ────────っ、あ─────っ、あ…────っ!」
 外にまで届くのではないかとひやひやするくらい、大きな声だった。翔子はムスコをぎゅっと握りしめたまま3度目の絶頂を迎えた。
 体を支える力を失った膝が崩れ、翔子の秘所が重みを持って顔に覆いかぶさってきた。
「むぐぅ」
 口と鼻をアソコでふさがれ、窒息しそうになってじたばたする。翔子のウエストを両手でしっかりつかみ、なんとか翔子を裏返すことができた。
「はっ、はっ、はっ、はぁっ、はぁっ、はぁ〜っ」
 荒い息を繰り返す。翔子はまだ息を吹き返さない。ぼくは翔子の体を抱きかかえ向きを180度変える。枕に翔子の頭を乗せ、足をM字型に開かせた。早く挿入したくて、しかたがなかった。
 せかすように唇を重ねてみる。反応はない。
(冷たい)
 翔子の唇には体温が通っていないかのように冷えきっていた。
20名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 17:11:25 ID:F014Zu1i
スレ違い臭いのはわかってるけど、サインの流れと主要キャラ&プレイヤー軽くでいいから説明してくれない?
司ってグラ見る限り男だし、ネナベ?
21名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 18:49:45 ID:PTsHclXy
>>20
公式サイトにシナリオ公開されてるよ。
2218Rの鷹:2005/08/16(火) 20:40:57 ID:IqhIFz3K
>>19の続き

 ぼくは体温を送り込むように翔子の唇に自分の唇を押しつけた。なかなか意識を取り戻さない翔子に焦りを覚えたとき、ようやく
「あぁあぁあ…、ぅうん…」
 翔子のもらす吐息を唇で感じることができた。
「翔子さんに、翔子さんの中に入りたい」
 意識が戻りきっていない翔子に率直に告げる。
「…ちょ、ちょっと…」
 待てるほど余裕はなかった。しかし、ムスコをあてがおうとするぼくに、
「待ってたら。避妊、するわ」
「あ…、うん」
 従うしかない。翔子は枕の下から薬のようなものを取り出し、袋を破いてぼくに手渡してきた。それをじっと見つめて、問いかけた。
「…これ、いったいなんですか?」
「新しく発売された最新の避妊薬よ。それを女のアソコに入れれば、精子を皆殺しにしてくれるの」
「へぇ〜。知らなかった…」
 感心していると、あることに気がついた。
「ってことは、スキン、しなくてもいいんですか?」
「そおよ。生で出していいのよ」
 肘をついて上体を起こした翔子が、足を大きく開いてぼくをうながす。
「さあ、それを、アソコの奥深くに、入れて」
「うん」
 緊張して震える指で薬をつまみ、翔子の濡れたアソコに慎重に挿入していく。かきまわすように奥へと運び、ぼくは翔子を見た。
「いいわ。きて」
 コクンとうなずき、右手でムスコを押し下げて翔子にあてがう。そのまま腰を前進させると、
「あぅっ! あぁっ! あぐぅっ、き…ついっ、おおきいっ! あぅぅっ」
 肘が崩れベッドに背中をつけた翔子が顔を左右に振って喘いでいる。ムスコの求めるままさらに翔子をえぐっていった。
「あっあっあっ! あぅっ! あぐっ! あ〜っ! こわ…れるぅぅっ」
 翔子の反応を見ながら、ぼくは首を傾げていた。
23名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 21:39:55 ID:F014Zu1i
>>21
d。逝ってみる
24名無しさん@ピンキー:2005/08/17(水) 04:59:18 ID:B1YypTlE
おっとっと、前スレ終わってた
2518Rの鷹:2005/08/17(水) 19:52:19 ID:hHJdWt3d
>>22の続き

 てっきり経験豊富だと思っていた翔子が、痛がりこそしないものの、まるで処女のような反応を示している。みっちり奥まで挿入したが、これからどうしようか戸惑ってしまう。
 動かずに、翔子に覆いかぶさる。翔子はぼくに抱きつき、
「あぁ…、あぁ…、あぁっ! こんなの…、あぁ…、初めてぇ」
 荒く息をして途切れながらもらす。
「あの、だいじょうぶ、ですか?」
 強烈に締めつけられているムスコは、なにやってんだ、とばかりに脈打って抗議してくる。それをなんとかなだめつつ、ぼくは翔子を気使った。
「う、ん。だいじょうぶ、だけど…。あっ、あぁん…、こんなに大きいの、初めてだから…。あぁぁ」
 少し腰を動かす。
「あぐっ! ぐぅぅっ! はっ! あっ!」
 きれいな顔がゆがむ。その顔も妖艶で欲情を駆り立てる。
「動くよ」
 言い終わらないうちにムスコに最大戦速を命じた。猛り狂ったムスコが喜々として翔子を蹂躙し始めた。
「あぐぅぅぅっ、ひっ! あぅっ! あんっ、あんっ、あぁんっ、あぁ〜っ!」
 体を起こし腰に自由を与え、さらにストロークを大きくして翔子を責めたてる。宙をさまようように動く翔子の左手をつかんでシーツに押さえつけ、右手はおっぱいが変形するほど強く揉んだ。
「んぐぅっ! あひっ、あひぃぃぃっ、ひぃ…いいぃぃぃぃっ!」
 両足を伸ばし全体重をムスコに乗せる。深く、深く、突き立てる。
「あぐぅぅぅっ、あぁぁぁあぁっ! ふ…か…い…ぃ、深いのぉぉ…、あぁぁっ! あっ! んあっ!」
 けものじみた喘ぎ声をあげ続ける翔子。艶やかな長い黒髪が白いシーツに広がり、その妖しさ艶やかさにくらくらする。
 足をたたんでベッドにひざまずき、翔子の足を閉じるように膝をつかんで前に倒す。小刻みなストロークで出し入れを繰り返すと、翔子のアソコはぐちゅぐちゅといやらしい音をたてた。
 ストロークを徐々に大きくしスピードも上げていく。翔子のおっぱいが波打つように揺れる。
「あ──っ! あ〜っ! あっ! あっあっあっあっあっあっ、…あぁ───っ!」
 翔子のおっぱいがぼくに催眠術でもかけているかのように揺れている。
 汗をびっしょりかきながら、それでもさらなる快感を求めて翔子をえぐった。
(あぁ…、翔子さんの中、きつくて、やわらかくて、熱くて、いいっ! すっごく、いいっ!)
2618Rの鷹:2005/08/18(木) 20:23:33 ID:JLZsdk6Z

 浮気の証拠写真はすでに消去されている。満足させろとの条件は、クリアしようがしまいがもう関係なかった。だが、翔子を満足させたい、と心底思っていた。
(もっと、もっとだ。まだイくもんか)
 いったん動きを止めて息を整える。
「はぁはぁはぁ、はぁ〜、はぁ、はぁ、はぁぁ」
 翔子も目を閉じて大きく息をしている。
「あぁ!?」
 不意をついてムスコを引き抜く。翔子は不審そうな眼差しを向けてくる。
「翔子さん、うつ伏せになって」
 翔子は口元を少しあげてゾクっとするほど魅惑的な笑顔を見せ、それからくるりと反転してくれた。
「きて」
 言われなくても、いく。閉じた翔子の太腿をはさみ込んで、その間にムスコを割り込ませる。先端が正確に膣口をとらえ、再びムスコが埋没した。
「あっ! い…いいっ! あたってるっ、奥にあたってるっ!」
 翔子のもらす言葉に興奮する。さらに奥深く侵入させようと翔子の尻をつぶしていった。
「あぁぁっ、あんっ! あ────っ! いいっ!」
 腕立て伏せの体勢をとり翔子を見下ろす。白く滑らかな肌に広がる黒髪が性欲をかきたてる。
「あ〜っ、あ〜っ、あ〜っ」
 右手で黒髪を撫でる。しっとりした背中が掌に吸いついてくるようだ。
「あっ! あっ! あっ! あぁっ! あっあっ、あっ! あぁぁぁっ!」
 腰を始動させる。翔子は短い喘ぎを吐き出し、拳をつくって快楽をむさぼっている。
 深く挿入したまま腰をぐるぐると回転させる。右回転、左回転を繰り返す。
「うぅ〜っ、あぅっ! あひぃぃぃっ、いいぃぃっ、んあっ!」
 ぐちゅぐちゅと音をたてて翔子のアソコは蜜をあふれさせている。そこを乱暴にムスコがかきまわす。
「ふっ、ふぅっ、はっ、はっ、はっ!」
 自分の体を支えながらの激しい行為に、ぼくは声を出して息を継ぐ。翔子の呼吸はさらに激しくなるばかりだった。
 往復運動で突きたてる。ぐぽっ、ぐぼっといやらしい音をたてる翔子のアソコ。
「ひっ! あひっ! あっ! いいっ! も…っと…、もっとぉっ!」
 髪を振り乱してねだってくる翔子。その願いをかなえるべく、ぼくは翔子のくびれたウエストを両手でつかんで引き寄せ、膝をたたせた。
2718Rの鷹:2005/08/19(金) 19:53:02 ID:h4eagHFH

 四つん這いになった翔子が腰を振っているように思えた。実際は急にひざまずかされて足が震えているだけだろうけど。
「そんなにほしいの? じゃあ、もっと突き入れてあげるね」
 豊かなお尻をかかえ、いきなり最大戦速で責めたてる。
 パンっパンっパンっパンっ、グボォ、パンっ、パンっ、グビ、ブビィ…
 部屋に淫靡な音が反響する。それに混じって聞こえる翔子の喘ぎ、いや、よがり声がいやらしさを増幅した。
「んあっ! んあぁぁぁっ! あっ! いいっ、いいわっ! あひっ! ひぃぃっ! ん…んあっ!」
 右手で翔子の肩をつかみ崩れそうになった姿勢を直してやる。弓なりにそった背中の曲線も目を楽しませてくれる。
 左手もお尻から離し、両手で肩をつかんで翔子をえぐり続けた。手を離しても、翔子がムスコを求めて腰を押しつけてくるため、抜け出てしまう心配はいらない。
 今度は両手をおっぱいにもっていき揉みしだく。
「あうっ! うぅん、あんっ、あぁ〜、はぁ〜ん、あんっ! あ〜ん、あんっ!」
 くりくりと乳首をつまむと翔子の音色が変わる。ムスコを快楽の海に深く沈めながら、手と指での愛撫を楽しむ。
「ここは…、触られるの、好き?」
 翔子の髪に向かって問いかける。かろうじて聞き取れたのだろう、翔子が顔を横に向け、
「え? な、なに?」
 声に期待と不安を少しにじませて聞き返してきた。
「ここ…」
 右手はクリトリスを撫で始めていた。翔子はビクっと大きく体を揺らし、
「あっ! そこっ! んあっ! やっ! あひっ! ひ───っ!」
 予想をはるかに超える反応に少しひるんだが、指は丁寧に大胆にクリトリスをねぶっていた。
「ひぃぃぃっ、いいぃぃぃっ、あぁぁぁぁっ、いいぃぃぃぃっ、ひっ!」
 ブルブルと体を小刻みに震わせ翔子が前衛峰に登りつめた。
 腰の動きを緩める。
「はぁ、はぁぁ、はっ、あぁっ、あぁ〜ん」
 甘い余韻に浸る翔子のかすれた声が艶っぽい。ぼくは翔子とともに最高峰を極める決意をした。
「そろそろ…出したい。翔子さん、ぼくもイかせて」
「うん…、うんっ! いっしょに、一緒にイこっ!」
2818Rの鷹:2005/08/20(土) 19:28:46 ID:0KLmM0gw

 翔子の返事がどうであれ、イく気満々だった。イかずにはいられないほど昂まっていた。
 左手を翔子のウエストにくい込ませ、右手は遊びのつもりで髪の毛を束ね軽く引き寄せた。
「あっ、乱暴、しないで」
 翔子の怯えたような声がぼくに火をつけてしまった。さらに右手を引いて翔子の顔を起こすと同時に、ムスコを深々と突き入れた。
「あぁっ! あ〜っ!」
 大きく口を開けて、快楽の喘ぎをもらす翔子。秘所を貫きながら思った。翔子の艶やかな唇を、薄く弾力あふれた舌を、ムスコに味わわせたい。口の中で出してしまいたい。そんな衝動にかられていた。
 しかし、自分は2人いるわけではないし、2か所に発射するのは無理。それに、口内発射したらコロスと言われていた。
(あぁ、気持ちいいっ。中で出してもいいって言われたけど…、あの黒髪に白い液が飛び散る光景もいやらしくって…。あぁ、それもいいなぁ)
 光の波を反射させて揺らめく翔子の長い黒髪。ぼくは丁寧に髪を背中に置いた。
 両手で翔子の両足を限界まで広げ、荒々しく突きまくる。ぐちゅぐちゅ、ぐぽっと響く音が興奮を限界まで引き上げた。
「あ─────っ! ひぃ─────っ! あひぃ─────っ!」
 両肘をシーツにつけて拳を握りしめ、顔を枕に埋めて翔子は絶頂を迎えようとしていた。
 刹那、ぼくにも臨海が押し寄せた。
「あっ! 翔子さんっ! いくよっ! あぁっ、出るっ!」
 奥の奥までムスコを埋没させ、一瞬だけ止まってからぐいと引き抜く。天に向かって雄々しく屹立しようとするムスコを右手で押さえ、翔子の黒髪めがけて熱い精液を激しく噴出させた。
 艶やかな漆黒のキャンバスに白い花が咲いていく。
 熱い液がかけられるたび、翔子は体をびくっと反応させた。
 すべてを出し終えたぼくは満足感に包まれて、しりもちを突くようにベッドに腰を下ろした。すぐそこには、避妊薬なのだろう、白濁した泡をこぼす翔子のアソコ。
「はぁ、はぁぁ、はぅっ」
 声を出して息を吸っていた翔子がゆっくりと崩れた。ベッドにうつ伏せになった翔子を、ぼくはなにも考えられず、ただ見つめていた。
 少しして我に返ったぼくは、立ち上がってティッシュを取り、ムスコを拭った。翔子のものではない、ねっとりとした液体が付着し、なかなかとれずに焦った。
 ようやく後処理を終え、ベッドに腰掛ける。ティッシュを引っ張り出す音で気がついたのか、翔子がだるそうに目を開けた。
2918Rの鷹:2005/08/21(日) 19:46:30 ID:cMyUlJs7

「もぉぉぉ、こまったちゃんねぇ。中に出していいって言ったのに」
 そう言う口調は全然不満そうじゃなく、むしろ満足しきってうれしそうですらあった。
「ごめんなさい」
 髪に射精してしまったことを謝る。翔子は小さく顔を横に振り、
「いいのよ。どうせシャワー浴びるし。でも、ちゃんと拭いてね、自分で出したザーメンは」
「あ、はい」
 手に持ったティッシュで丁寧に精液を拭き取っていくが、髪に絡みつくようにこびりついていて、うまくいかない。つい力が入ってしまう。
「痛いって、そんなに強くしちゃ。もう、いいわ。それより、ねぇ…」
「えっ? なんですか」
「キスして」
 体を起こし、ぼくにもたれかかってきた翔子を胸に迎えいれる。そっと抱きしめ唇を吸った。
「ほんとにじょうずだったわ、きみ」
「あ、そ、そおですか」
 唇を離したぼくの目をしっかり見つめて翔子が褒めてくれる。
「あの、ほんとに、ってどーゆー?」
 ぼくの疑問に翔子はくすっと笑い、
「晶良に聞いたの、きみのこと」
「え〜っ!? エッチのことなんかも話しちゃったんですか、晶良さん」
 びっくりして声が大きくなってしまう。
「ふふふっ。なんでも話せるのが親友というものよ」
 顔が青ざめていくのがわかった。と、翔子の表情がふっと緩んだ。
「なんてね。冗談よ」
 一気に脱力する。顔に血の気が戻るのを感じた。
「はぁ〜、びっくりしたぁ」
「半分はほんとだけどね」
 またまた青ざめる。
「ど、ど、ど、どこまで、知ってるんですかぁ!?」
 声が裏返っている。
「ふふふっ。それは晶良に聞くことね。翔子にこう言われたって、聞いてみればぁ。あははは」
 聞けるわけがないじゃないかあ! 心の中であげる血の叫び。
3018Rの鷹:2005/08/22(月) 22:00:03 ID:H1rLoZv7

「きみ、ほんとにエッチの天才ね。あ〜あ、私もきみみたいにセックスのうまい彼がほしいなぁ」
「翔子さん、彼氏いるんじゃ…」
「うん。いるわよ。でもねぇ、これがまた、短小で早漏ときてるんだよねぇ。もう別れちゃおっかなぁ」
 翔子は立ち上がり、自分のポーチからタバコを1本出して火をつけた。
「ふぅ〜。あんなに気持ちよくなるものなんだね、セックスって」
 答えようがない。押し黙っていると、
「きみ。晶良しか知らない、わけじゃないよね?」
「えっ!? そ、そんな」
 ことはないです、ではウソをつくことになる。
「大さん橋の娘ともしたんでしょ? そうそう、文和くんの彼女とも…」
 図星を指され絶句していると、
「手をつないで歩いていたみたいだったけど、まさか、ね。まさか、そんなことはないか」
 まさか、するわけないと思われることをやっている…。
「私とは…、きょうだけね。脅迫する材料は消去しちゃったし」
 にっこり笑って言う翔子。続けて、
「晶良とはずっと親友でいたいからね。…あ、でも、私が『妹』か。きみとの関係では」
 笑えない。顔が引きつっている。
「時間、いいの? 晶良と約束してるんでしょ」
 唐突に話題を変えられる。ようやくぼくは解放されるみたいだ。
 コクンとうなずき、あたふたと服を着た。翔子はタバコをもみ消し、
「もう一度、きみとキスしたいけど、晶良とキスしたらタバコくさいって疑われちゃうよね」
「ガム、もってるから」
 そう言って唇を重ね、ねっとりと舌を絡めて唾液を交換しあった。タバコの香りがした。
「それじゃあ、帰ります」
 翔子は全裸のままベッドに腰掛け、軽く手を振って、
「さよなら。あんまり浮気しちゃダメよ。って私に言う資格はないか」
 冗談めかして言って笑った。それから、
「天罰が下るわ、きっと」
 きれいな顔にふさわしい冷たい瞳でぼくを見て、当たってほしくない予言をつぶやいた。
 翔子の家のドアを閉め、ぼくは深く大きく息をついた。走りたい気分だった。
31名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 08:01:31 ID:JqTeVF05
タバコはともかく、勇者様、体臭が相当についていそうな気がするんですけど…。
32名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 13:19:30 ID:pfqB5Mtt
>>30 いつもながらすばらしい!GJ!!!!!!
3318Rの鷹:2005/08/24(水) 04:33:12 ID:mMXGkp0M
>>30の続き

「ん〜。お腹すいたぁ。ね、ラーメン食べにいこ」
 メイドの格好をした文化祭初日を終えて晶良が無邪気に誘ってくる。
「うん。そーだね。食べにいこう」
 笑顔で晶良に答えながら、冷えきった自分の声を頭の中で聞いていた。
(晶良さんの親友と寝たんだよ、ぼく)
 優柔不断が呼んだ過ち。それがさらなる過ちをもたらした。その事実が重く、重くのしかかる。
「安いけど、量が多くて、お得なんだ、この店。味はまあ、それなりかな」
 ラーメン屋のカウンターに並んで座り、晶良がぼくに笑顔を向ける。
「おっと、速水ちゃん。言ってくれるねぇ。きょうはサービスなしっ!」
「ぶぅ〜。せっかく売り上げに貢献してあげようってのにぃ。ひっどぉ〜い」
 店のおやっさんと軽口をたたき合い、晶良が笑っている。ぼくはそれをすごく遠くに感じていた。
「ねぎ味噌チャーシュー麺2つとチャーハン1つ、お待ちっ! 餃子はサービスだっ、食ってけ」
 食べることに集中できなかった。味がわからなかった。
「速水ちゃんが彼氏を連れてくるなんてなぁ。おっちゃんはうれしいよ、泣いちゃうよ、え〜ん」
 晶良の食べっぷりに目を細めていた店のおやっさんが冷やかしてくる。
「面白いお店でしょ、ここ」
 晶良はラーメンを箸で持ち上げて、ぼくに笑顔を向けてくる。
「うん」
 半分ずっこしたチャーハンをもそもそと食べながら心ここにない返事。晶良は気にしていない。
「アンタさぁ、どこで時間つぶしてたの?」
 ギクリとする。笑顔をつくって、
「学校の近くを散歩してた。あんまり遠くにいくと道に迷いそうだから…」
 近くであっても、迷った。そう「人の道」に。
「そーなんだ。…で、どっか、いいとこあった」
 晶良が顔を寄せ小声で聞いてくる。
「え? いいとこ、って?」
 きょとんとして聞き返す。晶良は店のおやっさんが中華鍋と格闘しているのを確認すると、
「2人きりになれそうなとこ」
 ちょっぴり顔が赤くなっているのは恥じらいからか、それともラーメンのせいか。
「う〜ん。2つめのバス停の先に公園はあったけど…」
「あ〜、あそこはダメ。隠れられるとこ、ないもん」
3418Rの鷹:2005/08/24(水) 20:55:47 ID:mMXGkp0M

 割り箸を置いて腕組みをして首をひねる。いま、こんなことで悩んでいられるのは、ある意味幸せといえるのだが…。
「ま、いっか。ちょっとウチに近いのがあれだけど、心当たりあるから。さ、食べよ食べよ」
 なんとか具だけ全部平らげ、麺は3分の1ほど残してしまった。サービスの餃子はやっとのことで3つ食べた。チャーハンも少し残した。
「ごちそうさま。おいしかった」
 社交辞令ではなくそう言いはしたが、残してしまったことが申し訳なくて、店のおやっさんとは目を合わせられなかった。
「ん〜。どしたぁ。いつもの食べっぷりじゃないじゃん。具合悪い?」
 心配そうに聞いてくる晶良。
「い、いや。そ、そんなことないよ。さっき、学校でいろいろ食べたからかな。はは…」
 ごまかす。晶良は出されたものをすべて平らげ満足そうだ。
「あ〜、おいしかったぁ。おっちゃん、ごちそーさま」
「お、速水ちゃん。いつも気持ちのいい食いっぷりだねぇ。つくった甲斐があるってもんだ」
「えへへ。お腹へってると、なんでもうまい!」
 コケるおっちゃんを見て笑い、晶良はお勘定をすませた。
「晶良さん、いいの、お金」
「いーって、いーって」
 お姉さんっぽく言って、得意そうな晶良。それから晶良は両手を口の前にもっていき、はぁっと息を吐いてそれをかいだ。
 ポケットからガムを取り出し晶良に渡す。
「はい、これ」
「サンキュっ」
 におい消しに2度も役立った。
 ラーメン屋を出て歩く。
「アタシの通学路。いつもはだいたい自転車通学なんだけどね。…でもさ、アンタと一緒にこの道を歩くなんて、考えたこともなかったな」
 ぼくは笑顔を返事代わりにする。
「…そこ、曲がって」
 急に小声になった晶良がぼくの手をぎゅっと握ってくる。黙って従う。
3518Rの鷹:2005/08/25(木) 22:12:54 ID:U23T2iAG

 人目につかない路地裏。ぼくは晶良を抱きしめる。きつく、きつく。
「ちょ、ちょっ…、ん…んん〜っ」
 唇を押しつけ、すぐに舌を入れる。晶良の舌を絡めとり吸った。ぼくの胸を押し返そうとする晶良の手をとり指を絡め、左手は腰をしっかりと抱く。
「ん〜、ん〜、…ぅんんっ!」
 大きく顔を振って顔を離す晶良。左手を腰から晶良の頭に移し、強引に唇を求めた。
「ん…、もぅ…」
 抵抗を緩め、ぼくの要求にこたえてくれる晶良。いとおしくて仕方ない、たまらない。
 長い時間、重ねていた唇をようやく離す。半分だけ開いていた晶良の目に生気が戻る。不安げな視線をまっすぐに向け聞いてくる。
「どおしたの? なんで涙…」
 泣いているわけではなかった。でも、頬をつたって涙がこぼれ落ちていった。
「…あ…きら…さん…」
 嗚咽をもらしながら、やっと言葉が口をついた。
「どしたぁ? なんかあったかぁ?」
 心配が晶良のかわいい顔に影を落としている。それを見ていたら、また涙があふれた。ぼくは声を押し殺して、晶良の胸に飛び込んだ。
「あらあら。ほんとにどうしたの、きょうは。久しぶりに会ったから、かな? あっ、アタシのメイド姿に感動した?」
 やさしくぼくの髪をなでながら、子守唄でも歌うように話しかけてくれる晶良。
 恋人が急に泣きだすという状況に、心中穏やかでいられるはずはない。それなのに、いつも以上に落ち着いている晶良だった。
「う…うぅ…」
「いいよ。なにがあったかなんて聞かない。アンタはアタシを心配させたりしないって知ってるから」
「あきら…さん…」
「泣きたければ気のすむまで、いいよ」
 泣いた。人目も気にせず声をあげて泣いた。晶良はずっとぼくの頭を撫でていてくれた。
「晶良さん、晶良さん、晶良さんっ!」
「うん。アタシはここにいる」
 ようやく顔を上げたときに見た晶良の顔は生涯忘れられないだろう。
3618Rの鷹:2005/08/26(金) 20:00:01 ID:ux1Qsmrj

 なつめとしたときも、千春としたときも、こんな気持ちにはならなかった。
 本気なのは晶良だけだ。だから、浮気は浮気。そう開き直ることができた。
 でも、きょうは違った。翔子に脅され、そして交わっただけ──では、すまなかった。
 不安──晶良を失うかもしれない不安がドス黒く広がっていくばかりだった。
(こんなことばかりしていたら…、晶良さんと別れることになっちゃう。そんなの、いやだっ。いやだっ、いやだっ、いやだっ! いまの、この幸せを失いたくない)
 翔子が話すわけはない。それはよくわかっていた。でも、だけど、バレなければいい、という問題じゃない。自分が、自分のしてきたことが、許せなくなっていた。




 ようやく、わかったのだ。晶良を失いたくない、と。






思えばこれが、ターニングポイントだったのかもしれない。
だけどこのとき、ぼくと女性たちとの関係は、
とっくに遊びの域を超えていたんだ。

もう後戻りはできないところまで、
かかわってしまっていたんだ…。

自分を救い、恋人を守ると誓ったとき、
ようやくぼくは、自分がすべきことを理解したんだ。

…本当の『愛』に、やっと気づいたのだ。






          .hack//関係拡大 vol.3          <了>

          to be continued to vol.4//Final Story

37名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 00:22:52 ID:3v+dugak
いやー、素晴らしかったですな。激しく乙華麗です。



つぎの題名が絶対包囲だったら勇者様大ピンチ。


38名無しさん@ピンキー:2005/08/28(日) 12:11:11 ID:K3NqRLDG
CATVの.hack//SIGN 一挙14時間放送鑑賞し終えて
昴がカオちんにPKされるときネカマの彼にめちゃくちゃに犯されるシチュを思いついたんだけどいまいち妄想が広がらない……
 
 
SIGN見終えて思ったのは昴ストーリーだけ最高だったこと
それとクリムがカッコよすぎなこと
この2点かな
 
ゲームやってないんで最後のunisonはわけわかめだった
39名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 01:19:55 ID:XrU/K1nf
>>38
ここにも出たかバルムンクって感想。
40名無しさん@ピンキー:2005/08/30(火) 03:54:00 ID:rn9J0TLq
>>36 神GJ!!
いよいよ物語も佳境へと進んでゆく…

ああもうワクテカして夜も眠れない
41名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 23:50:22 ID:HMaHIwLa
>>36 GJです!いよいよ次で最終章ですね。

ところで黄昏氏の続きもずっと待ってるんですけど・・・
42名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 14:50:53 ID:Im9HPPMb
鷹さんの帰還が待ち遠しい…。
43名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 23:53:26 ID:oaPme3aF
あげ
44名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 00:21:35 ID:qWas+hf2
鷹氏が帰還すりゃほっといても上がるスレを
なんでわざわざ上げるかなぁ。
45名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 02:42:38 ID:GFF8H7hh
ほっ、しゅ、ぅ……
46名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 01:44:21 ID:sn3BMFT5
HOSYU!!
4718Rの鷹:2005/09/12(月) 00:00:08 ID:ii/nKYm/




    旅人よ、心せよ。
    夜明け前がもっとも暗いのだ、と。
       <パロルド・フューイック>




          .hack//Missing Ring vol.4          <開始>




──「始まり」はここからだった。

『隠されし 禁断の 聖域』

「終わり」もここで迎える──。




4818Rの鷹:2005/09/12(月) 00:01:04 ID:xgic4MHF

♯1《Declaration》


 紅葉が散り落ち、冬もののコートを出したころ、彼女からメールが届いた。あまりにも唐突だったから、メーラーを見た瞬間はスパムメールじゃないか、と疑って削除しかけた。
 差出人は、アウラ。

──お久しぶりですね。
──どうしても…
──あなたたちと話す必要があります。
──今夜20時に『隠されし 禁断の 聖域』に
──いらしてください。

 2度読んで首をひねる。
(あなた「たち」って…、ぼくと…だれだろう? それに)
 そこでケータイが鳴りだした。
「はい。晶良さん?」
 間抜けたことを言ってしまう。ディスプレイには彼女の名前が表示されていたはずだ。
「そーよ。アタシよ。ねぇ、見た?」
 目的語がない。でも、晶良の言っていることはすぐに理解できた。
「うん。見た。あなたたちの『たち』って、晶良さんだったんだ」
「あったりまえでしょー。それとも、アンタにはほかにだれか心当たりがあるとかぁ?」
 意地悪なもの言いも晶良にとっては戯れだ。それはわかっているのだが、心当たりがないわけじゃない、というか、あり過ぎた。
「あははは。いやぁ、フィアナの末裔、って線もあるかなぁ、なんて思った」
「まぁね。あの2人なら呼ばれてても不思議じゃないよね。究極AIの成長速度ってわかんないけど、アウラももうお年ごろなのかもね」
「えっ…と。それって、どーゆー?」
「お婿さん探しかな、って。でも、オルカはむさくるしいし、バルムンクは朴念仁だし…」
(うわぁ、晶良さん、はっきり言い過ぎ。ひどっ!)
 続ける晶良。
「アンタが一番いい男だけどさ。アタシがいるからねぇ」
「あは。いい男かどうかはわかんないけど。7時半にマク・アヌのカオスゲート前で待ち合わせ、でどう?」
「うん、いーわよ。ザ・ワールドかぁ、ひっさしぶりだなぁ。まっすぐ歩けるかなぁ?」
「だいじょぶ、でしょ? 世界に咲いた黒薔薇さま、だもん」
「おーっ! よーし、いくわよっ」
 ザ・ワールドでは、いつだって出たとこ勝負、だった。今回もそうだ。ぼくはパソコンから離れた。
49名無しさん@ピンキー:2005/09/12(月) 00:06:08 ID:k7fK9N9B



      キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!


50名無しさん@ピンキー:2005/09/12(月) 00:44:22 ID:L30pbBZ8
ついにキタァァァァァァァァ
51名無しさん@ピンキー:2005/09/12(月) 10:22:32 ID:bRl+KYTi
鷹様、お待ちしておりました!!
5218Rの鷹:2005/09/12(月) 20:16:50 ID:lNgzsMEW
>>48の続き

「あれ? おかしいなぁ」
 ログインしたぼくの耳に真っ先に聞こえてきたのは、初心者らしき呪紋使いのそんなつぶやきだった。
「なんで、あんなな〜んもないフィールドがプロテクトされてんだよぉ」
 パーティーを組んでいる重斧使いが悪態をついている。
(プロテクトエリア…。そこに行けるのはぼくだけのはず。いや、ぼくのいるパーティーか)
 だとすれば、アウラが呼び出しをかけたのは、ぼくとブラックローズだ。そこに、
「おっす。相変わらず早いね、くるの」
 ぼくは黙って(笑)を表示させ、
「行こう!」
 と、まじめな顔で晶良…ブラックローズに向かって言った。
【カイト>>パーティー編成希望!】と誘うと、すぐさま彼女が応じる。カオスゲートのほうに振り向いて、エリアワード『隠されし 禁断の 聖域』を選択する。
 やはり。警告表示がFMD(フェイス・マウント・ディスプレイ)に現れる。
「プロテクトエリア〜!? な、なんでよ」
 ブラックローズが驚きの声をあげる。
「彼女は、ぼくたち2人だけに用があるみたい」
 そう答えながらウィルスコアをセットする。久しぶりのゲートハッキングだ。
「だいじょぶ? コア、足りてる?」
 心配そうに聞いてくるブラックローズ。ぼくは笑顔を向けて
「よゆー」
 と答えた。ほどなくして画面が真っ白になり、ぼくたちは石造りの大きな建物の前、教会にしか見えない静謐な場所へと転送された。
 向かって右側の開き戸だけが、半開きのままになっている。
 扉をくぐった。
 ほんの一瞬で、画面は、聖堂内のマップに切り替わる。
「いつきても、ここって辛気くさくてさ。なんか嫌い」
「ぼくは、そんなに嫌いでもない」
 なにげない会話をして、ぼくはあることに気がついた。足を止めブラックローズに問いかける。
「気がつかない?」
「なに?」
「この聖堂のマップに入ってから、ボイスチャットが、パーティーモードからトークモードに切り替わっている」
「あ…そういえば」
「自動的に、そうなった。ほかのモードを選ぶこともできない」
「ほんとうだ…なんでだろう」
「"神"の御前では、隠しごとも、ないしょ話も、うそも許されない──そういう設定か」
 からからに渇いた喉から絞り出すように声を発していた。嫌な汗がキーボードに落ちた。
5318Rの鷹:2005/09/13(火) 20:20:17 ID:S840UQco

 以前、ここには8本の鎖に縛られた女の子の像が立っていた。いまではそれもない。2年前のクリスマス。究極AI、アウラが再誕したときに像は消えた。
 静寂が支配していた。パイプオルガンの音もきょうは聞こえない。
「お久しぶりですね」
 天空から声が響いた。
「アウラ!」
 ぼくとブラックローズはユニゾンで、少し驚いたような声を出した。
「ひ、久しぶり。あ、元気、だった?」
 ブラックローズの問いにアウラは天使のような微笑みを返してきた。
「おとなになったね、アウラ。とてもきれいだ」
 究極AIがほんのり頬を染めている。表情など人間以上に人間そのものだ。CGグラフィクスだなんて、とても思えない。
 アウラのリアクションに目を細めていると、殺気に満ちた視線を感じた。
「アンタっ! アタシの前でほかの女を『きれいだ』なんて言わないでくれる?」
 トークモードのため、怒気をはらんだブラックローズの声が高い天井に反響する。アウラはおかしそうにくすくすと笑っている。
 無駄と知りつつウイスパーモードへの切り替えを試みる。
(やっぱりダメか…。え〜い、こうなったら、最後の手段)
「ごめんっ!」
 ひざまずき両手を頭の上で合わせて謝る。ブラックローズは、しようがないなぁ、のポーズ。助かった…。
 ほっとしていると、アウラが本題をきりだしてきた。
「フラグが立ちました」
「えっ?」
 ユニゾンで聞き返す。アウラは小さくうなずいて話し始めた。
「母親。子供。わたしにその2つの言葉が浮かんできました」
「母親…」
 ぼくはなんのことかわからずにつぶやいていた。
「子供…?」
 ブラックローズもそう口にして、やはり首をかしげている。ぼくは思ったことをアウラにぶつけてみる。
「そのフラグって、アウラが『子供』を産んで『母親』になるってこと、かな?」
 あきれたようにブラックローズが
「アンタねぇ、アウラってAIでしょーに。そんなこと、できる、わけ、が…」
 そこまで言ってブラックローズも気がついたようだ。相手はAIではない、究極AIなのだ、と。そして、ここは彼女そのものともいえるザ・ワールドなのだ、と。
5418Rの鷹:2005/09/14(水) 20:16:35 ID:ILf3GOtF

 アウラは目を閉じて小さくうなずいた。
「わたしもそう理解しました。それから、ヒントなのでしょうか、『ゼフィ』という言葉が示されました」
 ブラックローズが声をあげる。
「それ…、アウラの子供の名前?」
「それは…わかりません」
 うつむいて横を向くアウラ。
(母親になるってことは…、アウラもだれかとセックスするってこと? い、いや、まさか。ザ・ワールドがいっくらリアルに近いからって、これはゲーム、だよね。そんなことするわけないか)
 自分の考えにほっとするとともに、少し残念な気持ちにもなった。
(えっ!? まさか、ぼく…アウラとしたい、とか…。そ、そんなこと、違うよ、ね)
 動揺してしまう。PCのカイトが余計な動きをしないようにコントローラーから指を外す。
「そのフラグが立ってから、わたしはいろいろなPCから役に立ちそうなデータを収集しました」
「へぇ〜」
 アウラの話に感心して聞き入る。
「でも、役に立ちそうな情報はありませんでした。ザ・ワールドの有名PCの2人は、リアルでは…」
 バルムンクとオルカだ、とすぐにわかった。
「異性の話がまるで出てきませんでした」
 うんうんと納得するぼくとブラックローズ。アウラは話し続ける。
「PCは男性呪紋使いと女性重斧使いなのに、リアルでは女性同士で愛し合っている、というケースも。わたしのフラグには役立たないですよね」
 寂しそうに目を伏せるアウラ。愁いを帯びた美少女という風情も、ブラックローズ…晶良には申し訳ないが、やっぱりきれいだ。
「ある女性は、5つ年下の男のコの筆おろしの相手をしたとか。…あの、筆おろしってなんですか?」
 アウラが純真無垢な瞳でぼくの目を見て聞いてくる。困る。
「え? え…っとぉ、あぁ、あの、その…、ぁ〜、初めての相手をする、ってこと、かな」
 しどろもどろで答える。よくわからないとアウラの顔にはあったが、それ以上の説明を求められることはなく、安堵の息をつく。
(でも、いまの話って…レイチェル!?)
「恋人のいる男性を好きになってしまい、ずるずると関係を続けているという女性もいました」
(そ、それって…)
 アウラはどんな基準でPCを選び、情報を収集したのだろう。それを思うと汗が噴き出した。
「関係とは、どのようなことを?」
 語尾を上げて質問であることをわからせるアウラ。
55名無しさん@ピンキー:2005/09/15(木) 10:23:37 ID:dXY8SEel
爛れた現実社会乙wwwwwww
5618Rの鷹:2005/09/15(木) 20:49:33 ID:SOzTH+nX

「フリン、不倫ってゆーのよ、そーゆーの。人のものを盗もうって根性が気に入らないわ、アタシは」
 怒りの感情をあらわにするブラックローズ。
「そういうものなのですね、人とは」
 困惑した表情ながらも、ブラックローズの勢いに気圧されて納得したようなアウラだ。
 アウラの語りが途切れたのをいい機会に、ぼくは聞いてみる。
「アウラ。いま話したPCって、どうやって選んで、どうやって情報を得たの?」
「お父さんはわたしの成長のために、PCの情報を獲得するシステムをザ・ワールドに組み入れました。その方法は、例えばアイテムの売買、NPCとの会話、いろいろです」
 いまさらながら、ザ・ワールドとは奥の深い、というか、得体の知れないゲームだと考えさせられる。
「わたしは"人"と交流することで成長してきました。さらなる進化を遂げるためには多くのサンプルデータが必要なのです」
 ぼくもブラックローズも黙ってアウラの話を聞いている。
「フラグが立ってから、わたしには多くの情報が集まってきます。そのほとんどは即ゴミ箱行きです。残ったのが紹介した情報です」
 安心した。
(ぼくに関係のあるPCですよ、なんて言われないでよかった〜)
 胸をなでおろす。大きく息をつくと、ブラックローズはそれを聞き漏らさず、
「ん〜? なんでアンタがため息ついてんのよ?」
 疑惑の視線をぼくに向けてくる。
「い、いや、べ、べつにぃ。きゅ、究極AIって、アウラって、すごいなって、思っただけだよ」
「ふぅ〜ん。ま、いいか。ねぇ、アウラ。もっとほかになんかないの」
 明るく言うブラックローズ。
「はい。とある女性剣士は…」
 ドキっとする。心臓の鼓動が大きく速くなる。
「彼のお姉さんの恋人と寝た、などと。ただ寝ることが自慢になるのでしょうか」
 心臓が爆発するんじゃないかと思った。コントローラーを落としそうになり、ぎゅっと目をつむった。
「信じらんない。体を許すってのは心も許すってことでしょ。セックスフレンドなんて、アタシはイヤっ! 考えらんないっ」
 爆発したのはブラックローズだった。PCの目に怒りの炎が燃えさかっている。
(ひぃ〜。もぉ、やめてぇ)
57名無しさん@ピンキー:2005/09/15(木) 23:23:19 ID:TSG5f0aU
カイトこのままだと胃に穴があくな…。
58名無しさん@ピンキー:2005/09/16(金) 00:32:54 ID:6Oj2l/gQ
ずいぶんと膜に穴あけたんだから、それくらいは甘受しなさい勇者様。
59名無しさん@ピンキー:2005/09/16(金) 09:36:25 ID:rtXKMHSH
はげしく期待してまってますw
6018Rの鷹:2005/09/16(金) 20:43:43 ID:Sr3w0UMW
>>56の続き

 心の中で血の叫びをあげるぼくを無視して、アウラの話はまだ続いた。
「自分の彼に満足できず親友の彼と試しに寝てみた、なんて言う呪紋使いの女性もいました」
 サーっと血の気が引く。怖くてブラックローズを直視できなかった。
「ったく! まともな人間はいないんか、ザ・ワールドには」
 単にアウラの話に出てくるPCに激怒しているブラックローズに、ぼくは複雑な気持ちになる。
(いまの話って、おそらく、たぶん、絶対、全部ぼくがかかわってるんですけどぉ)
 まずすぎる状況を打開しようと、ぼくは強引に話題を変えることにした。吉とでるか、それとも…。
「あ、あのさ、アウラ。それで、ぼくたちを呼んだのは、なぜ? わざわざこのエリアにプロテクトまでかけてさぁ」
 アウラは落ち着いた表情を取り戻してうなずき、ぼくの問いに答え始めた。
「あなたがた2人はザ・ワールドで知り合いました。ザ・ワールドがなければ出会うことはなかった、とも言えるんじゃないでしょうか」
 黙ったままうなずくぼく、そしてブラックローズ。アウラは続ける。
「ザ・ワールドが生んだベスト・パーティー、いえベスト・カップルならば、わたしに良いサジェッションを与えてくださるのでは、と考えたのです」
 アウラの話を聞き終えて、
「ぼくたちがきみのお役に立てるのなら、とってもうれしいことだよ」
 笑顔を見せつつ軽い気持ちで答えていた。
「うん。アタシたちなんかでいいのかな、って思うけどさ。で、どうすればいいの?」
 ブラックローズもアウラに穏やかな笑みを向けて言った。
「はい。では、ブラックローズ。こちらへ」
 少し高い位置に浮遊していたアウラがブラックローズの目の前に降臨する。
「…してください」
 アウラがささやく。なにを言ったのか、ぼくには聞こえなかった。ブラックローズはアウラの両肩をつかむと、ゆっくりと顔を近づけていく。そして、唇が重なった。
 2人の顔の周りを色とりどりの「0」と「1」が舞い踊っている。
(データドレイン!? いや、そんなわけないか)
 女性同士のキスシーンに心臓が高鳴る。リアルでは頭をぶんぶんと振って冷静さを取り戻そうとした。
(そうか。ああやってデータを吸い出してるんだ。…ってことは、次はぼくがアウラとキスするのか)
 ゲームの中で究極AIとキスをする、なんて考えたこともなかった。心臓の鼓動が速くなった。
6118Rの鷹:2005/09/19(月) 20:06:55 ID:AGX0c/dK

 キスは数分に及んだ。ようやく顔を離す2人。ブラックローズの目はトロンとして焦点が合ってないようだ。
 ブラックローズの…、晶良のデータを吸い出したアウラは、
「ほんとうに幸せな人生を歩んでいるのですね、あなたたちは。うらやましい…。わたしもまだ見ぬ子供に幸せな人生をあげられたらいいなって思いました」
 これまで見たことのない、女を感じさせる笑顔でそう言った。それから、ぼくのほうに向いて
「次は、カイト。あなたの番です」
「うん」
 歩を進めアウラの正面に立つ。右手を伸ばして柔らかな髪に触れ、そっと引き寄せる。唇が重なった。
 脳が真っ白になった。思考が完全に停止した。感覚はもちろんない。
 数秒後。アウラが大きく目を見開く映像が脳に飛び込んできた。
「?」
 急に視界が戻った。目に映ったのは、嫌悪と憎悪に揺らめくアウラの瞳だった。
「な、なんと…いう、こと…を…」
 暗いトーンで言葉を吐き出すアウラ。
「なに? なになに? なんなのなん」
 ブラックローズは激しく動揺している。ブラックローズの存在を思い出したかのようにアウラは、
「あなたは、ここにいるべきではない」
 とつぶやき、ブラックローズにしゃべるヒマさえ与えず強制的にログアウトさせてしまった。
「これ以上、見たくありません! …でも、見せていただきます。さあ、続きを」
 抵抗はできなかった。ぎゅっと閉じたアウラの唇を奪い、舌を入れた。ぼくが「0」と「1」に変化して彼女に流れ込んでいった。
 はっと気がついたとき、ぼくはアウラから離れていた。静かな目をしたアウラがかえって怖かった。
 沈黙をアウラが破った。
「ひどい…。これほど、ひどい人に、わたしは力を与えてしまった…」
「アウラ…」
「初めに言ったはずです。思い出せますか?」
 言葉が出てこない。
「そうですか。忘れてしまったのですね」
 アウラは悲しげに目を伏せ、絞り出すように言った。
62名無しさん@ピンキー:2005/09/20(火) 02:20:39 ID:FWUftA9w
こうしてカイトは…





トライエッジとなったのであるw
なんてGUにリンクして言ってみたり。
勇者様最大のピンチ!
6318Rの鷹:2005/09/20(火) 22:16:41 ID:EBl8SSJp

「強い力…。使う人の気持ちひとつで、救い、滅び、どちらにでもなる」
 忘れていたわけではなかった。
 しかし、まさか、女性たちをひきつけたのが腕輪の力だったとは…。
 アウラが半信半疑のぼくにとどめを刺す。
「ザ・ワールドがリアルに及ぼす影響。知らない、とは言いませんよね?」
「…あっ!」
 そうだった。思えば、ネットとリアルのあり得べからざる相互作用こそがぼくを勇者たらしめ、ぼくとブラックローズを結びつけたのではないか。
「ただれた過去を消すことはできません」
 厳粛な"神"の声が響く。怯えと焦りが自分を支配した。震える声で"神"に問う。
「ぼくは…、ぼくはどうすればいいの?」
「その答えは、あなた自身のなかにあるのでしょう」
「ぼくのなかに…」
「救いはあります。運命のひとはただひとり。そのひとを大切に」
 翔子を抱いたあと、遅まきながら気がついたことだった。いまさらながら、後悔という言葉が「後になって悔いる」と書くのだと気付かされる。
(遅かった…。なにもかもが遅かった…)
 肩を落とし、うなだれたぼくにアウラの決意が降りそそぐ。
「わたしは探します。フラグはすでに立ちました。だから探し続けます。『母親』『子供』それに『ゼフィ』…。これらの言葉がなにを意味するのか、なにをもたらすのか。わたしはそれが知りたい」
 ゆるゆると顔を上げたぼくの視界に、アウラの凛とした顔が飛び込んできた。ぼくを慰めるように、諭すように語りかけてくる。
「愛とはきれいごとではないのかもしれませんね。思えば母さん…、モルガナのしたことも愛だったのでしょう。あなたのしてきたことも愛なのでしょう。でも、わたしは、わたしの信ずる愛を探します」
 愛という言葉が心にしみこんでくる。
「アウラの信じる愛?」
 ぼくのつぶやきを聞き逃さなかったアウラがきっぱりと言いきる。
「純粋なもの、そう信じています」
(それは…そうだ。ぼくも経験する前は、そう信じていたはずだよね)
 晶良に対する気持ちは神に誓って純粋だ。
64名無しさん@ピンキー:2005/09/20(火) 22:18:05 ID:AtswDZ9R
貰った時に言われた言葉か。
どうする、カイト
6518Rの鷹:2005/09/22(木) 03:32:30 ID:k638j3zg

「ぼくは失格だったけど、アウラは、アウラの信じる愛に、きっといつかめぐり会えるといいね」
 自分にそんなことを言う資格があるのか、とも思ったけど素直に言葉が出ていった。
 アウラはうなずき、少し考えてから話してくれた。
「わたしが信じ求めていく愛。それは…男女の愛ではないのかもしれません。例えば、双子…兄妹…。運命により引き裂かれた肉親のそれ…。いまのわたしには漠然としたイメージしかありませんが…」
「ぅ〜ん」
 イメージが湧かない。腕組みをして首をかしげ考え込んでしまう。そんなぼくを見てアウラはくすりと小さく笑い、
「いつか、探し求める愛を見つけることができるでしょう。いえ、どのような手段を使っても見つけてみせましょう。…そうですね、ふふふ、あなたたちのことを利用することになるかもしれませんね」
 あっ気にとられているぼくをよそにアウラは楽しそうだ。
(なんか…、さっきの件、ぼくの女性関係は不問かな。これなら、いままでどおりザ・ワールドで遊ぶことができそう…。はぁ〜、よかったぁ)
 ほっとしたぼくの気配を敏感に察したアウラが表情と態度を一変させる。ぎくりとするが、PCはいつものカイト。動揺しているのはリアルのぼくだ。
(やっぱり、ダメだよね。でも、罰はちゃんと受けなきゃ)
 アウラは厳しい眼差しでぼくをにらみつけるように見て、厳かに判決を下した。
「これ以上、腕輪の力を悪用されるのは困ります。かといって、一度託した腕輪を消滅させることは不可能です」
 アウラは目を閉じて考え込んでいる。しばらくして考えがまとまったのか、アウラはぼくをまっすぐに見て言い放った。
「ザ・ワールドの安寧と平和を司るアウラの名において宣言します。あなた、カイトと彼女、ブラックローズのアカウントを無期限に停止といたします」
 ショックはなかった。むしろ安堵のため息をついていた。
「ありがとう。アウラ」
 本心からそう言えた。よけいなことかもしれないが、ショートカットキーを操作してPCのカイトに微笑ませたりしてみる。
 アウラは答える代わりに愛らしい微笑みを返してきた。その顔は、これまで見てきたどのアウラよりも美しく輝いていた。
 次の瞬間、ぼくは光の輪に包まれ強制的にログアウトさせられていた。
6618Rの鷹:2005/09/22(木) 23:48:20 ID:k638j3zg

♯2《Compensation》


「いったい、あのあと、どーなったのよ?」
 神罰が下されてから、どのくらいの時間がたっていたのだろう。
 スクリーンセイバーが規則的に描く模様を見るとはなしに眺めていたら、先にザ・ワールドから追い出されていた晶良からケータイに連絡が入った。
「あぁ、うん…。まぁ、なにも…」
「なんにもなかったわけ、ないでしょ! あれから何度もログインしよーとしたのに、ぜんっぜん無理。ようやくザ・ワールドにつながったと思ったら、アカウント停止だって! なによ、それ」
 息吸ってないんじゃないかって勢いでまくしたてる晶良。まだ話し足りないみたいで、ふぅーっと大きく息を吸い込んだあと、
「アンタっ、アタシがログアウトさせられてから、なにやったのよ。アウラを怒らすようなこと、なにかしたんじゃないのぉ?」
 大きな声で核心を突いてきた。
 でも、ぼくは…。
 晶良の声が遠くに聞こえていた。それにもまして、考えることがひどく面倒だった。
 晶良の問いに答えられない。考えが全然まとまらなかったせいもあるが、正直にすべてを話す勇気がなかった。
「あ、うん…。べつに…そんなことは、してない…と思う」
 ボソボソと歯切れ悪く答えるぼくに、晶良は業を煮やして、
「あ"〜、ホント、イラつくっ。アンタねぇ、今夜はゆっくり寝て、あした、ちゃんと答えなさいよっ。じゃあね、おやすみ」
 返事をする間も与えず、晶良はケータイを切ってしまった。
 パソコンを落とし、ベッドに横になる。なぜだか、ひどく疲れていた。気力、体力ともエンプティな感じだ。
(腕輪がなくなればフツーの男。腕輪が消えて勇者は死んだ)
 同じ言葉を2度繰り返したところで眠りに落ちていった。
6718Rの鷹:2005/09/23(金) 20:07:29 ID:MxYkKliW

 翌日。目が覚めてから日曜日だということを思い出した。
 起き上がる気持ちが湧いてこない。活力がゼロになってしまったのだろうか。もう一度、目を閉じることにしたが、今度は眠れない。
 なにも考えまいとするものの、夕べのことが頭に浮かんでくる。
(喪失感…ってゆーのかな。ザ・ワールドあってのぼくだったもんなぁ)
 昼近くまでベッドで過ごし、母親の怒声でようやく起きだす決心がついた。歯を磨き顔を洗っても、まだぼんやりしている。
「あんた、きょうは冴えない顔してるわねぇ。年上の彼女にフラれちゃった?」
 ぼそぼそとトーストを食べていると、母親があきれ顔で言ってくる。はっとして顔をブンブン振って否定する。
「そ、そんなことないよっ! ちょっと疲れてるだけだって」
 とはいえ、自分の変調はよくわかっていた。冴えない顔なのは寝起きだからだろう、と軽く考えていたが、食後に鏡をのぞいてガク然とした。
(うわっ、ひっどい顔だぁ。なんか…ヤスヒコに誘われてザ・ワールドを始める前の顔だ)
 2年前、黄昏事件。オルカがスケィスのデータドレインによって倒れ、ヤスヒコが意識不明となって入院。そして、ぼく…カイトはアウラから黄昏の腕輪を託され、事件の解決を目指した。
 大きなうねりに巻き込まれる前、ぼくは目立たない平凡な中学生だった。いじめられたりはしなかったが、頼りにされることもなかった。いるのかいないのかわからない、空気のような存在だった。
(腕輪を手に入れてから、ずいぶん変わったよね、ぼく)
 ザ・ワールドに割く時間は少なくなかったが、成績は落ちることはなく、むしろ上昇した。積極性が出たというか、クラスメイトとも話す機会が増えるなど生活は一変したものだ。
 2年前のクリスマス、"薄明"を迎えたときからは、いわゆる"モテ期"に入ったかのようだった。
「はぁ〜ぁ」
 思い出に浸っていてもしようがないことに気づき、大きなため息をもらす。
 と、ケータイが着信を知らせる電子音を奏でている。
「はい。あ、晶良さん。おはよ」
「おはよー。ご気分はいかがですか? ん?」
 冗談めかして聞いてくる晶良。用件を切り出される前に、ぼくは話しだす。
「正直、気分は良くないんだ。夕べ、アウラに腕輪を取り上げられちゃったからかな」
「そっか。勇者さん卒業だね」
 なぜ、そうなったのかを聞かない晶良。ほっとするよりも恐怖が先にたつ。
6818Rの鷹:2005/09/24(土) 20:23:21 ID:f5dhouVl

 少し悩んでから話を再開する。
「無期限でアカウント停止、だって。晶良さん、ブラックローズもそう?」
 アウラは2人に罰を下したのだが、あらためて本人に聞いてみる。
「そうよ。きょうもログインしようとしてみたけどダメだった。メーラーは生きてるんだけどね」
 アカウント使用料の割引はあるのかなぁ、などと考えてしまう。頭を左右に振り、気を取り直して呼びかける。
「あ、晶良さん…」
「スト〜ップっ!」
「えっ、えぇ?」
 言い訳も聞いてもらえず、このまま別れを告げられたら…どうしよう? うろたえる。
「きのうも言ったけど、アタシ、浮気とか二股とかって大嫌い。だから、自分が好きになった人は、そんなことしないって信じてる」
「…うん」
「いい? 信じてるから、ね」
「うん」
 涙が出そうになった。少し間を置いて晶良が話し始めた。
「ザ・ワールド…、腕輪…。いろんなことがあったね。アタシは感謝してるよ。つらいこともあったけどさ。でも、アンタと会えたから…」
「晶良さん…」
「2度目はないからね」
 強い口調の涙声、だった。ぼくはケータイを耳に当てたまま深々と頭を下げる。
「はい。ぼくが愛してるのは晶良さんだけ。これまでも、これからも」
「ほんっとに…バカ…なんだか…ら」
 晶良のすすり泣く声が聞こえてくる。頭を上げられない。しばらく沈黙が続き、ようやく晶良が鼻をすすってから話しだした。
「ザ・ワールドの勇者に代わりはいても、アタシにはアンタしかいないんだかんね。そこ、よ〜く認識しといてよね」
「ぼくもそうだよ。カイトとブラックローズは、ドットハッカーズは、永遠に不滅だよ」
「そんなこと言ってぇ。パーティー組んだ女性PC、いっぱいいたよね?」
 やきもちを焼いてくれるのは、ある意味うれしいけれども。いま、この状況では過去の過ちを責められているようで、なにも言えなくなってしまう。
69名無しさん@ピンキー:2005/09/24(土) 20:46:18 ID:KGhVI/XU
http://ex9.2ch.net/test/read.cgi/ad/1126183912/93

手間暇をかければ、大抵のエロは無料で手に入るらしい
7018Rの鷹:2005/09/26(月) 20:01:18 ID:sgpE4bMg
>>68の続き

「あ、そうだ。来週の土曜日なんだけど。ウチ、こない?」
 唐突にきりだされ、レスポンスできなかった。少し間が開いたが
「う〜ん。ちょっと待って」
 と考えるふりをして、手帳を取り出しスケジュールをチェック。
「日曜日はアルバイト入れちゃったけど、土曜日はだいじょぶだよ」
「よかったぁ」
 本当にうれしそうな晶良の声が耳にしみいる。
「ぼくもうれしいよ。文化祭以来だよね、会うの」
「うん。そうだね」
「晶良さんの家におじゃまするなら、なにか買っていったほうがいいよね。し、翔子さんとこのケーキがいいかな?」
 脅されたとはいえセックスをしてしまった相手の名前、それも晶良の親友の名前を口にするのはかなりためらわれたが、つっかえながらもなんとか言えた。
「あ、翔子ね、もうあの店でバイトしてないんだ。それに、気を使わなくてもいいよ」
「え?」
 てっきり年下のぼくにお金も気も使わせないように言ってると思った。しかし、
「実はね、その日、ウチ、だれもいないんだ」
「え? えぇっ?」
 晶良の言ってる意味がよくわからない。
「お父さんとお母さんは?」
 声をうわずらせて聞いてみる。
「お父さんはね、みなとみらいで会議なんだ。お酒、飲んでくるだろうから、帰りは遅いと思うの」
 晶良が明るい声で答えた。
「ふぅ〜ん。そーなんだ」
 この前、晶良の家で初めて会ったお父さんの人のよさそうな笑顔が思い浮かんだ。
「うん。でね、お母さんは幸太を連れて町内会の日帰り旅行なの」
「文和くんは?」
「あ、文和の予定、聞いとくの忘れてた。でも、いいや。千春ちゃんと受験勉強でもしてこいって追い出すから」
 けらけらと笑いながら話す晶良。
(ひどいお姉さんだ…)
 心の中でため息をついて弟くんに同情する。…が、2人きりになれるのは、やはりうれしい。
7118Rの鷹:2005/09/27(火) 20:02:19 ID:ZH5vzQxd

「で、晶良さん? 何時くらいにおじゃますればいいのかな?」
 できれば昼食は外で食べたい。そう思いながら、そう口には出さず、聞いてみた。晶良が聞き返してくる。
「お昼ごはんはどーする? どーしたい?」
 言葉に詰まる。
(ここは…、晶良さんの料理が食べたい、って言うべき? いや、それは自殺行為…)
「ねぇ、どーしよっか」
 せっかちな性格の晶良らしく、もう一度聞き返すその声には多少のいらだちが感じられた。
「うん。晶良さんの家までの道順、覚えてるか自信ないや。だから、駅まで迎えにきてほしいなぁ。ねぇ、晶良さん。駅の近くでなにか食べようよ」
 つとめて明るく言う。
「スーパーで食材買ってぇ、アタシが料理しよっか? で、アンタ、なにか食べたいものある?」
 晶良の楽しげな口調で、ぼくは気がついた。
(晶良さん、ぼくを困らせようとしてるな)
「ぁ、あ、あぁ、それもいいけど。アルバイトの給料日のすぐあとだから、ぼくがごちそうするよ」
 うそにならず、晶良を怒らせない、ぎりぎりの返答だ。
「ふぅ〜ん。ま、アタシもあんとき、お弁当つくってから料理なんてしてないし。そんじゃあ、ごちそうになっちゃうぞ」
 ほっと安堵の息を漏らして、
「うん! 晶良さんの手料理はまた今度、食べさせて。お願い」
「ふふん。んなチョーシいいこと言ってぇ。アンタ、お正月はウチにあいさつにきなさいよ。ことしはアタシもおせち料理つくんの、手伝う約束したんだから」
「えっ? お母さん、そんなむぼぅ…、んん、げほっ、い、いや、その」
 思わず口を滑らしかけて言葉を詰まらせる。
「うんにゃ。お父さんだよ、おせちつくんの。体育教師なんて冬休みは料理と大掃除くらいしか役に立たないもんねぇ。で、アタシに速水家秘伝の味を伝授するって張りきってる」
(お母さんも料理上手そうなのに…。料理の腕って遺伝じゃないよね、やっぱり)
 極端な味付けの晶良のお弁当を思い出し、急に喉が乾いてきた。
「お正月かぁ。なんか、ずっと先のことみたい」
 晶良にではなく自分に話していた。どんな気持ちで新年を迎えるのか、不安が渦巻いていた。
7218Rの鷹:2005/09/28(水) 20:27:14 ID:umCf9dEb

 約束の土曜日。いつものように、少し早めに待ち合わせの駅に着く。晶良の姿はまだない。
 風は身を切るように冷たく、冬の到来をあらためて実感させられる。ダウンジャケットのポケットに両手を突っ込み、肩をすくめていると、
「おまたせ」
 寒さを吹き飛ばしてしまいそうな笑顔を見せて、晶良が小走りで目の前に現れた。
 その顔を見たら、しみじみうれしくなって言葉が出てこない。
「? どしたぁ」
「うん。やっぱり晶良さんはかわいいな、って」
「ばか。でも、うれしいな。アンタに『かわいい』って言われるの」
 晶良の頬が少し赤くなった。
「これから、いっぱい言うよ。それと、あと、きれいだ、って」
 ますます顔を赤らめた晶良は下を向いてしまった。少しして気を取り直したように顔を上げ、
「ごはん、食べにいこ。あったかいものがいいよね」
 手袋をした手でぼくの腕をつかんで言った。
「そーだね。きょうはほんと寒いや」
「おそば屋さんでいいかな。すぐそこなんだけど」
「うん。行こう」
 ぼくと晶良は手をつないで歩きだす。おそば屋さんの暖簾をくぐると、お昼の少し前だったからか、すぐに席に座ることができた。
 おしながきに目をとおし、壁に張ってある写真を見て注文を決める。ぼくは鍋焼きうどんとカツ丼のそれぞれ単品を、晶良は鍋焼きうどんと炊き込みご飯のセットを頼んだ。
「あつ、あつ、ずっ、ずずっ、あふ、おいひい」
「ん、ん、ずっずーっ、あっつぅ、はふ、はふぅ、んま」
 2人、汗をしたたらせながら頬張る、すする、食べる。
「ふぅー、あぁ、おなかいっぱい」
「おいしかったぁ。ごちそうさま」
 ハンカチで汗を拭いながらお茶をすする。
 お勘定をすませ、外に出る。冷たい風が心地よく感じられるほど、体の芯まで温まっていた。晶良と手をつなぎ歩きだす。
7318Rの鷹:2005/09/29(木) 20:18:03 ID:rC+jPYcT

「もしかすると…、晶良さんも腕輪の力に惑わされてるだけなのかも…」
「んもぉ〜っ! バカっ。アタシはちゃんとアンタのこと、見て決めたんだかんねっ」
 晶良の手に握力が込められる。それをゆるめ、まっすぐ前を見ながら晶良が話を続ける。
「そりゃあ、さ。ザ・ワールドのアンタはさ、カッコよかったよ、すっごく」
「ロール…してたって、考えなかった?」
 顔をのぞきこむように身をかがめて聞いてみる。晶良は視線をくれない。まっすぐ前を見据えている。
「考えなくはなかったけど…。ずっと一緒だったアタシには、なんとなくわかった」
 しっかりした口調で話す晶良。ドキドキしながら聞き返す。
「わかった? ぼくが?」
「うん。そう。アンタはいいひとだって。アタシの…、その…、あの…」
 歯切れ悪く口ごもる晶良。
「なに?」
「アタシの、ね。運命のひとだって。確信は…ちょっとだけあったかな」
 そういって晶良はようやく笑顔をぼくに向けてくれた。
 晶良と話してはいたが、迷うことなく速水家に向かって歩けた。足は行き先を記憶していた。
「そこ曲がって、んと、あと少しだね、晶良さん」
「なんだ。しっかり覚えてるじゃない、道順」
「あは。晶良さんに迎えにきてほしかったんだ。今度は一人でこれそうだよ」
 ぼくの言葉に晶良が笑顔を向けたところで、速水家の前に到着した。
「たっだいま〜」
 元気よく玄関を開ける晶良。
「えっ、晶良さん、だれか家にいるの?」
「ん〜、いないわよ、だれも」
 なんとなく胸をなでおろす。
「おじゃましまぁす」
 ぼくも元気に言って家にあがった。晶良に先導されて2階に上がる。晶良の部屋に入りドアを閉めるなり、ぼくは晶良を抱きしめ唇を求めた。
「んもぉ、せっかちなんだからぁ」
 言葉とはうらはらに晶良が背伸びして唇を重ねてきた。
 久しぶりのキス。コートも脱がずに互いに唇をむさぼり、舌を絡め、唾液を吸いあった。
74名無しさん@ピンキー:2005/09/30(金) 04:07:50 ID:WoRMFVpy
なんとなく、勇者様ベッドに拘束されて、晶のお仕置きモードが始まりそうなヨカーン。
7518Rの鷹:2005/09/30(金) 21:16:54 ID:vB9jaQhb

 どのくらいキスを続けていただろう。晶良の目が現実に戻り、手でぼくの胸を押してくる。まだまだキスしていたかったが、晶良の口内をかき回していた舌を後退させ唇を離す。
「暖房、つけるから…ちょっと待ってて、ね」
 申し訳なさそうにあごを引き上目遣いでささやくように言う晶良。上気した頬とぼくの唾液で濡れた唇が悩ましい。
 ぼくは離れようとする晶良の腕をつかんだままでいた。
「どおしたの?」
 晶良はだだをこねる幼子を諭すような目をして、やさしくぼくに聞いてくる。
「愛してる」
「うん。アタシも。アタシも愛してるよ」
 いかにも切羽詰まった言い方をしたぼくに対し、晶良はあくまでやさしくこたえてくれる。
「もっと…、もっとキスしていたい」
「うん。いいよ。でもね、寒いよ? 暖房つけてから。ね」
「…ぃゃだ…」
 永遠に別れなくてはいけなくなる、どうしてだか、そんな不安に駆られていた。
 晶良は少し困った顔に小さく笑みを浮かべ、黙って背伸びをして唇を重ねてくれた。再び長いキス。ぼくは晶良の華奢な体を、ベージュのダッフルコートの上からきつく抱きしめた。
 しばらくして落ち着いたぼくは、ようやく唇を離すことができた。
「好きだよ…」
 解放された晶良の口から、ぼくが望んでいた言葉がこぼれ落ちる。
「ぼくも。ぼくも晶良さんが大好き。愛してる」
 晶良はにっこりと満面の笑みを見せ、
「暖房、入れるから、ね。ちょっと待っててね」
 もう大丈夫だった。晶良が離れても不安が襲ってくることはなかった。晶良に気付かれないよう、そっと息を吐いた。
 ピっ、ピピっ。晶良が暖房のリモコンを操作する。すぐに晶良はぼくの胸に戻ってきてくれた。
「ねぇ…」
 今度は晶良に唇を求められる。喜んでキスをした。背後でブィ〜ンと音がして首筋に風を感じた。それはやがて温かな空気となり2人を包んでいった。
 キスを中断し、ぼくは晶良のコートを脱がす。それから自分のダウンジャケットを脱ぎ捨てた。焦っていたのか片方の袖が裏返っている。
7618Rの鷹:2005/10/01(土) 19:32:08 ID:F+uarn9h

 晶良はかがんでダウンジャケットを拾いあげると、丁寧に袖を元に戻す。
「おっきな子供なんだから」
 とがめるではなく、うれしそうに言って世話を焼く。それから自分のコートとともにハンガーにかけてクローゼットに入れた。見るとはなしに中をのぞく。
(晶良さん、おしゃれには興味がなかったって言ってたけど、そこそこ持ってるじゃない)
 自分と付き合いだしてから、晶良のなかの「女」が目を覚ましたのだということまでは、思いが及ばなかった。
 ザ・ワールドと出合ってぼくは変わった。そして、晶良と出会ってまた変わることができた。でも、それは「体」だけだった。内面は高校1年生に少しだけ毛が生えたくらいのもの、だった。
 変わったのは晶良も同じだった。しかし、その変化は微妙に違っていた。男女の差もあった。2歳という年齢差ももちろんあった。
 思えばこの1年、大人への階段を駆け足で上ってきた。しかし、やることをやれば大人になれるわけではない。心が、精神が伴っていなければ、大人になったなどとはいえない。自明のことだ。

 いま、自分がいるのは、晶良の部屋。家族はだれもいない。2人きりだ。
「晶良さん、愛してる」
 晶良を抱き寄せ圧力をかける。ベッドに押し倒す。
「だ、だめっ。や、だ」
 恥ずかしいのだろう、抵抗は形だけ、だと思った。
「だ…めぇ…、だめだったらぁ」
 拒絶の言葉を吐く口をふさぐ。唇を硬くし、あくまでぼくを拒む晶良。
(な、なんで? どうして?)
 激しく動揺する。動揺がぼくを獰猛にする。理性が失われていく。
 晶良の両手首をつかみベッドに押し付ける。顔を下降させる。横を向く晶良に、わけのわからない感情が湧き出てくる。
「なんで? なんでだめ? ぼくが…きらい?」
 涙が晶良の頬に落ちる。
 力の抜けたぼくの手から逃れ、晶良がぼくの顔に手を伸ばす。そっとぼくの頬に掌をあて、ささやきかけてくる晶良。
「自分の都合ばかり押し付けるのは子供、よ。もっと、ね。大人になりなさい」
「え? あ、うん」
 返事はしたものの、晶良の言ってる意味がわからない。
77名無しさん@ピンキー:2005/10/01(土) 19:35:17 ID:boWZwtHQ
さぁ、夜明け前の暗きが顕著化してきたな
7818Rの鷹:2005/10/02(日) 19:40:35 ID:geBcoZ1M

「きょうは、ね。だめなの。ここまで」
 晶良がきっぱりと言う。目に宿る力に気圧され、ぼくは体を起こした。
「ぼくのこと…、嫌い…になった?」
 眼下の晶良がかすんで見える。うすぼんやりとする視界のなかで、晶良の笑顔だけがやけにはっきり見えた。
「ん〜ん。大好きよ。だけどね。きょうはできないの」
 晶良の言ってる意味がわからなかった。沈黙するぼくに、晶良はその理由を話してくれる。
「オンナのコの日、なんだ。だから、だめなの」
 はっとした。相手のことをおもんぱかれなかった自分に恥じ入る。
「あ、あの、その、ごめんっ!」
 慌てて体を起こし晶良から逃げるように離れる。晶良はゆっくりと起き上がり、ぼくの顔を両手で挟んでじっと目を見つめてくる。
「キスして。いっぱい。アタシはそれだけで幸せだよ」
 目を閉じた晶良の顔が近づいて、すぐに距離はゼロになった。
 どれくらいキスしていただろう。夢中。まさに夢の中にいるみたいだった。部屋はすっかり暖房がきいて暖まっていた。
 顔を上げて晶良の顔に見惚れていると、唐突に晶良に聞かれる。
「そんなにしたいの?」
 怒りではない、恐れでもない、あきれているわけもない、そんな微妙な表情の晶良。返答に窮する。
「え? いや…、あの、その…。でも、なんで?」
「だってさ。アタシの太腿にさ、硬くて大きいモノが当たってるんだけど…」
 視線を外して恥ずかしそうに言う晶良。
「い、いや、その…。あ、あんまり、晶良さんがかわいいから…」
 できないとわかっていても、そんなにききわけのいいムスコではない。それに、そのことをどう説明しても、女のコの理解を得られるはずもない。
 晶良が体を起こそうとする。ぼくは慌てて晶良から離れ、ベッドに座り直した。晶良はぼくの胸に顔を埋ずめて、じっとしたままだ。
「!?」
 と、息子に快感が走る。
「あ、晶良さん!?」
7918Rの鷹:2005/10/03(月) 20:49:20 ID:P+wcMiWm

 晶良がズボンの上からムスコを撫でているではないか。ぼくは晶良の名前を呼んだきり絶句した。
「出したい? 男のコって…、出さないとつらいよね?」
 晶良は顔を上げず、まるでムスコに語りかけるかのように聞いてくる。
「い、いや、そんな!」
 激しく狼狽したが、ぼくはすぐに欲望に素直になった。
「…うん」
「しかたないなぁ…」
 あきらめをまじえていながら明るさをにじませて晶良はつぶやいた。
「してあげる」
 ゆっくりと晶良がぼくに顔を向ける。目が潤んでいて実に艶っぽい。ごくりとつばを飲み込んだ。
 晶良はぼくのセーターをたくし上げ、ベルトを解いていく。ファスナーを下ろして、
「腰、上げて」
 ベッドに手をついて腰を浮かす。されるがままだ。息が荒くなっていくのが自分でもわかった。
「寒くない?」
 脱がしたズボンを椅子にかけ、晶良が聞いてくる。
「うん。全然…。あ、暑い、くらい」
 予期せぬ状況にとんでもなく興奮している。声が上滑りする。
 晶良がパンツに手をかけ脱がそうとするが、いきり立ったムスコがじゃまをしてうまくできない。もどかしそうに晶良はパンツに手を突っ込み、ムスコを握ってパンツを引き下ろそうとする。
「あっ…、あぁ…」
 晶良に握られ、さらに亀頭にパンツがこすれた快感が脳天に突き上げてきて、思わず情けない声が漏れてしまう。
 よく考えずとも、立ち上がって自分でパンツを脱げばいいのだが、冷静にいられる局面ではない。
 なんとか右足を動かしてパンツから抜く。左ひざのあたりでぶら下がっているパンツが、なんか間抜けだ。
「ほんとに…おっきぃ」
 晶良の言葉が熱い息にまじってムスコにかかる。これからされる行為にたいする期待に震えるように、ムスコが晶良の掌のなかで脈打っている。
「あぁ、晶良さん…」
 両手を後ろにまわしベッドにつく。すべてを晶良にまかせる体勢をとった。
8018Rの鷹:2005/10/04(火) 21:22:37 ID:oDuxqeXX

 晶良はぼくの右横で床にひざまずいている。
「どうすれば…いいのかな?」
 ひとり言のようにつぶやく晶良。が、ぼくが何か言う前に、晶良はムスコをじっと凝視しながら右手をかなり速く上下させた。
「あっ! いいっ! あぁ〜」
 顔をのけぞらせ喘ぎ声を上げる。
「気持ち…いい?」
 晶良が顔を上げ潤んだ瞳を向けて聞いてくる。右手は動かし続けている。
「うん! いい、いいよっ、晶良さん。あぁっ、あっ!」
 息をするのが速く、そして荒くなってきたのがわかる。
「ねぇ…、なんか、出てきたよ。…透きとおってる」
 晶良はムスコを左手に握り替え、鈴口から滴る先走り汁を右手の指ですくった。
「ねばねばしてる」
 ぎこちなく左手を上下させながら、右手の人指し指と親指の間にかかった透明なアーチを不思議そうに見つめている。
「口で…、晶良さんの口で、してほしい」
 こらえきれずに、ぼくは晶良にリクエストする。晶良は少しだけぼくを見ると、そっと顔を下げていった。
「あぅっ!」
 しびれるような快感が走った。晶良のかわいい唇に挟まれたムスコが歓喜に震えている。
「んっ、んんっ、ん〜」
 晶良のくぐもった吐息がさらにぼくを刺激する。晶良はさらに口内深くにムスコを飲み込んでいった。
「あ…、あぁ…、いい、すっごく、気持ちいいっ」
 突き上げるように腰が浮いてしまう。体が勝手に動く。ムスコの先端が晶良の喉に到達した。
「んぐ」
 うめいて顔をもち上げ、ムスコを口からこぼす晶良。
「苦しいよ…、動かないで、ね」
 嫌がられて、ここでおしまいになったら…、なんて思ったが、晶良の目はやさしかった。
「うん」
 続きを最後までしてもらいたいから素直に返事する。
8118Rの鷹:2005/10/06(木) 00:24:14 ID:cxQpwhV0

 再び晶良が口を大きく開いてムスコをくわえる。目を閉じてゆっくりと顔を上下してくれる。上下の唇がカリを通過するたび、強烈な快感が走りぬける。
 晶良の痴態が見たい、と思った。体を起こし、ムスコを口にふくんだ晶良の顔をじっと見る。きっと、血走った目をしてるんだろうな、そんな考えが頭に浮かんだが一瞬で消えていった。
「ぃゃ…、恥ずかしぃ、見ちゃいや、だめぇ」
 ぼくの視線に気づいた晶良が頬をさらに赤らめ言ってくる。でも、その懇願には応じられない。
「続けて、お願い」
 晶良の頼みを無視して、ぼくは晶良の顔を見つめたまま言った。目に抗議の色は見えたが、晶良はムスコをくわえてくれた。心地よい上下動が再開される。
 ぼくは我慢できなくなっていた。いや、精を放出したくなったのではない。晶良に触れたかった。晶良の体をまさぐりたかった。
「ぅぅん…んー」
 右手を伸ばして晶良の胸を服の上から揉む。晶良は逃れようと身をよじった。
 ぼくの腰は小刻みに上げ下ろしされ、晶良がムスコを口から出さないようにする。だめと言われたって、もうやめられそうにない。
「ん! んん、ぅん〜、ぅん、ぅぐぅ」
 器用に晶良の着ているシャツのボタンを外し、素肌に手を這わす。うまくブラジャーをかわして直接かわいい胸を揉むことに成功する。ムスコに口を支配された晶良はうめくのみだ。
 晶良はぼくの手の攻撃から逃れようとして体をずらす。ぼくの両足の間にすっぽりと収まり、抗議の色を強めた目でぼくをにらんだ。
「…」
 首をすくめるぼく。何か言えるはずもなく、言える言葉など持ちあわせていない。ただ快感に、晶良の口による愛撫に、身をまかせていたかった。
 そんなぼくの欲望の強さにあきらめた様子の晶良は、行為に没頭してくれた。右手を幹に添え、頭を上下してムスコに刺激を与え続けてくれる。
「はっ、はぅ…、あぁ…、いいっ。晶良さん、いいよ、気持ちいいっ」
 と、晶良がいきなりムスコを口から出してしまう。晶良は左手で自分の口を拭い、呼吸を整えるようにじっとして動かない。
「ちょっと、待っててね」
 と言う晶良に素直に従う。
82名無しさん@ピンキー:2005/10/06(木) 09:33:52 ID:8LnKplnR
いつもいつもGJです
もう、名無しはかける言葉がなくて困ってますw
8318Rの鷹:2005/10/06(木) 21:26:15 ID:5dFIzfz+

「ねぇ、どお?」
 ムスコを右手で握りなおし、大きくストロークさせて、晶良が聞いてくる。
 最初、晶良が何を聞きたいのか、わからなかった。でも、すぐに理解した。
「うん。もう、すぐ。すぐに出る、よ」
 ぼくの答えににっこりと微笑んだ晶良が手の動きを速める。
「あぅっ! あっ、いいっ! 出、出そうっ」
 晶良に出してもらえるなんて夢を見ているみたいだった。自分でする自慰に比べて、いや比べものにならないくらい強い快感が津波のように襲ってくる。
 ムスコが臨界点まであと少しと迫ったとき、晶良の頭がすっと下がるのが見えた。
「?」
 あまりの気持ちよさに、まともに目を開けていられなかったぼくだったが、視界の片隅に晶良の動きが見えた。すぐにムスコが感覚の変化をとらえ、さらなる大波がぼくを飲み込んだ。
「!」
 晶良が再びムスコをくわえ、かわいい唇で挟んで大きく速く上下させている。
 晶良の唾液で濡れたムスコ、晶良の唇、それらが目に入った瞬間、ぼくは弾けた。
「あぁっ! いくっ! 晶良っ、あぁっ…、出る、出る、出…るぅっ!」
 生まれて初めて、口の中に大量の精液を出された晶良は、反射的に逃れようとして頭を上にずらす。
 しかし、晶良の頭はあるところで止まった。いや、ぼくの両手ががっちりと晶良の頭を押さえ、晶良を逃さなかった。最後の一滴まで愛しいひとの口の中に放出したいという男の本能だった。
 腰まで突き上げ、何度も精液を噴出させた。
 ようやく欲望を出しきり、ぼくはへなへなとベッドに腰を沈めた。
「はぁ、はぁ、あぁ…、はぁぁぁ、はぁ、あぁ」
 いやいやをするように頭を振る晶良に気づく。慌てて頭を押さえていた手をぱっと離すと、晶良はゆっくりと頭を上げていった。鈍く光ったムスコが晶良の口からこぼれ出る。
「ありがとう、晶良さん」
 まだ荒い息を抑えつけ、ぼくは心の底から言った。
 晶良はぼくの言葉にうなずくが、表情はなんともいえないものだった。どうしていいのかわからないというか、困ったような顔をしていた。
 数秒後、晶良はすっと目を閉じて少し上を向くと、口の中のものをこくりと飲み下した。
「晶良さん…」
8418Rの鷹:2005/10/07(金) 21:56:33 ID:sAZMU/Hd

 愛しいひとの予期しなかった行動に戸惑ってしまう。
 晶良は少し白濁した液を端からこぼした口を開き
「う"〜、ま"す"い"ぃぃ…」
 本当にまずそうに言った。それから晶良は口を右手で押さえ
「ちょっと、ごめん」
 わざわざ断って、小走りに部屋から出て行った。少し離れたところから、晶良がうがいする音が聞こえてきた。それから歯を磨く音…、それもかなり大きな音が聞こえる。
(あれ飲むのって…、そーとー気持ち悪いんだろうな)
 しばらくして晶良が戻ってきた。ぼくはなにを言っていいのかわからず押し黙っていた。
「よかった…かな? アンタ、満足した?」
 すっかり元どおりになっている晶良が、ちょっぴり不思議だった。
「あ、うん。あの…、晶良さん…」
「ん? なに?」
「愛してる」
「ん」
 ぼくの言葉を聞いて満足そうに微笑む晶良。聖母のような笑みだと思った。
 晶良はぼくの隣に落っこちるように腰をおろし、バウンドが収まるとぼくの目を見すえて言う。
「なんで、あんなことできたのか、自分でも不思議」
「うん」
「やっぱり、アンタのことが好きなんだなって、歯を磨きながら思ってた」
「晶良さん…」
「ん」
 晶良はぼくに言わせたい言葉があるのだろう。じっと待っている。
「愛してる。すごく愛してる。本当に愛してる。これまでも、これからも」
 晶良は満足したのか、すごく魅力的な笑顔をぼくに向けてくれた。そうして、
「アタシも。愛してるよ、カイト」
 ものすごく久しぶりに名前を呼ばれた。「アンタ」以外の言葉で呼ばれるのっていつ以来だろう。
「アタシね、世界の…ザ・ワールドの偶然に感謝してる。アンタと出会えてよかったって、心の底から思ってる」
「ぼくも。ぼくも晶良さんと出会えて、その、すっごく幸せ」
「腕輪所持者がカイトでよかった。最初に声をかけたのがカイトでよかった。最後までともにした仲間が…恋人がカイトでよかった」
 晶良は涙をこぼし声を詰まらせながら言ってくれた。
 あまりにも非日常的な行為をしたせいだろうか。2人とも興奮しているというか、妙に感情が表に出ていた。
85名無しさん@ピンキー:2005/10/08(土) 00:53:03 ID:vtoES9K6
鷹さんの作品は違和感がほとんどない
エロが入ってても素直に公式でもその後の展開ってこんな感じだろうなwと見れるわ
86名無しさん@ピンキー:2005/10/10(月) 10:26:49 ID:G9W0hjcP
鷹さんどうしたんだろ。
毎日のように見てたから気になるな
8718Rの鷹:2005/10/10(月) 19:38:57 ID:133YEci2

 しばらくしてから、ぼくは気になっていたことを確かめようとして口を開いた。晶良も落ち着いたようだった。
「晶良さん。聞いていい?」
「ん? なに、かな?」
 邪気のない大きな目で見つめられる。思わず恥ずかしくなって顔をそむけ口ごもる。
「なによぉ?」
 晶良が顔を寄せるようにして身を乗り出し聞いてくる。
「うん…。あのさ、あの…、どうして、さ…、その、最後…ぼくが出したときなんだけど、なんで…どうして口で…してくれたの?」
 手でイかされても、ぼくはものすごく満足しただろう。元気よく飛び散る精液で満足を表せただろう。でも、晶良は口で受け止めてくれた。あまつさえ飲んでくれた。
(あんなにぼくのこと、好きだって言ってたなつめだって飲めなかったのに…)
 晶良は恥ずかしがったりせずに、ぼくの問いを受け止めている。そして、小首をかしげて考えてから答えてくれた。
「う〜ん…。あのまま出しちゃったら、服、汚しちゃうって思ったから。…それに…」
「それに? なに?」
 答えを急かすように聞き返すぼく。晶良は目を閉じて再び考え込む。少し間を置いてから目を見開いてきっぱりと言った。
「アンタのこと…、愛してるから。だから…愛してるなら飲める。そう思ったんだ」
「あ、ありがとお」
 晶良の言葉に涙が出そうになるほど感激した。その気持ちは言葉では言い表せない。ぼくは行動で示そうと唇を晶良に寄せた。晶良も顔を上げ迎え入れてくれた。
 長く濃厚なキスを終え、晶良が話し始める。
「あれ…、子供のもと、なんだよね」
 子供のもと、か。確かに晶良の言うとおりだ。ぼくは軽く頭を下げる。
「うん。晶良さんの子供かぁ、きっとかわいいんだろうな」
 遠くを見つめてつぶやくと、
「アンタに似たら、やんちゃ坊主か、お転婆娘だね」
 晶良が楽しげに笑って茶化す。
「え〜っ!? お転婆さんは母親似だよぉ」
 知らず知らずのうちに、2人は将来について語り合っている。それも、ともに手をとって同じ人生を歩くのが規定路線であるかのように…。
(晶良さんと結婚して、子供を授かるなんて、まるで夢物語だ)
 およそ現実感のない話なのに、2人ともあしたのデートをどうするかみたいな調子で話していた。それに気づいて、ぼくは急に言葉を失ってしまった。照れくさくて晶良を直視できず目をそらす。
8818Rの鷹:2005/10/11(火) 21:19:42 ID:jRU6w7IX

 ぼくの態度の変化を見てとって、晶良も自分たちが何を話しているかに気がついたようで、
「ずっと…、ずっと一緒にいれたらいいね」
 うつむいて、ひとり言みたいにつぶやいた。
「そーだね。ぼくはずっと晶良さんと一緒にいるからね。ずっと、いつまでも」
「それ…って、さ。プロポーズ、だよね?」
 息を飲み込んだついでに唾まで吸い込んでしまい、
「げっ、げほ、げほっ」
 せきこんでしまう。
(プ、プ、プ、プロポーズ!? ま、まあ、いつかはしたいけど…、考えてなかったぁ)
 晶良が背中をさすってくれる。
「もぉ〜。そんなにびっくりすることないでしょ。ジョーダンよ、冗談」
 顔を真っ赤にして早口で晶良が言う。続けて、
「高校1年生に求婚されても、ちっとも現実味がないわ」
 照れ隠しなのだろう、ぷいと横を向いてだれにともなく話している。
 ようやく落ち着いたぼくは、
「でも、いつか…。いつかきっと」
 晶良の横顔に向かって語りかける。晶良は顔を向けてくれない。
「な、なによ? いつか、どーするの?」
 晶良の声はそっけなく、言い方は突き放すようだったが、期待がにじんでいた。それにこたえようとして勇気をふるい言葉をつなぐ。
「晶良さんにふさわしい男になって、そのときは…」
「うん。なに?」
 晶良が姿勢を正して、ぼくのほうに向き直り、ぼくの次の言葉を待っている。
「その、いつになるか、わかんないけど。でも、いつか、絶対…」
 照れくさくって、恥ずかしくって、なかなか言いたいことが口にできない。晶良が焦れてきているのはわかったが、言えないものは言えない。
「なによ! 男のコでしょ、はっきりなさい!」
 ついに命令が下った。ぼくは深呼吸をしてから意を決し、
「晶良さんをもらいにくるよ、ここに」
 返事はなかった。代わりに唇がふさがれ、ぼくの頬を晶良の熱い涙がつたうのがわかった。
89名無しさん@ピンキー:2005/10/12(水) 07:30:43 ID:ZLwNeRnf
いつもGJです。
鷹さんってもしかして本職の小説家さんですか?
90名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 00:23:59 ID:p4JoW5r8
2ちゃんのエロパロスレにほぼ毎日かかさずSS投下する本職小説家なんておらんのじゃないか…。

いたら、本業のほうはどうなんだと聞きたいぐらいなんだが。
9118Rの鷹:2005/10/13(木) 01:05:02 ID:ObMS3BHK
>>88の続き

♯3《Catastrophe》


 別れ話をきりだす。この、絶対にしなければならない命題を前に、ぼくは無力だった。いや、根性なしの、意気地なしの、ことなかれ主義者の、弱虫だった。
(ザ・ワールドの勇者が聞いてあきれる…)
 自嘲気味な言葉が頭に浮かんで、そのままいついてしまう。
 パソコンを立ち上げメーラーを開いたまではよかったが、送信先に「大黒なつめ」を選べないまま30分が過ぎていた。
「はぁ〜ぁ」
 あまりの情けなさに大きなため息がもれる。ケータイでメールなら、と考えたがやっぱりだめ。さらに15分を無駄にしただけだった。
 あきらめてベッドに体を投げだす。
(このままで、いいわけ…、ないよね)
 それは、わかっている。でも、
(なつめ…、素直に「はい、わかりました」なんて言ってくれるわけ、ないよね)
 ため息ももう品切れだ。
(泣かれちゃう、だろうな。なつめの悲しむ顔、できれば見たくない…。それでも、言わなきゃ)
 言わなければ前には進めない。でも、一歩が踏み出せない。
「あぁ、もぉ!」
 天井に向かって悪態をついた。
 そのとき。
 ほっぽらかしていたパソコンから「ぽ〜ん」と気の抜けたようなメール着信音が鳴った。
(だれだろう?)
 ドアの上にある時計を見ると、日付けが変わろうとしている時間だった。
 まだ高校1年生。夜更かしなど、めったにできない。しない、のではなく、できないのだ。睡魔の誘惑は晶良のそれよりも強烈だ。もっとも、晶良のほうから誘惑されたことはなかったが…。
 おまけにきょうは日曜日。起きたら新しい週が始まっている。いつもだったら、いつにもまして早寝している日ではあった。
 睡魔が寄ってこないほど悩んでいたのかと、時計を見て思う。
(いまきたメール見て、早く寝なきゃ)
 足を上げ反動をつけて起き上がる。マウスを操作し、メーラーをクリックして…、ぼくは固まった。
 送信者は──、
9218Rの鷹:2005/10/13(木) 20:32:23 ID:ObMS3BHK

 なつめ、だった。
 心臓が凍りついて鼓動を止めるんじゃないかと思うほどドキっとした。

件名:ごめんなさい!

──あの…、わたしから、連絡はしないって、言ったけど。
──ごめんなさい。
──最初で最後。だから、許してください。
──大事なお話があります。会えないでしょうか?
──次の土曜日。お願いです。

(…)
 頭に言葉が浮かんでこない。3度、読み返したが、なにも考えられない。
(と、とりあえず…、返信…、しとかなきゃ、だよね)
 あれほど思い悩んでいたのがバカみたいな展開だ。なつめの用件がどんなものかは知る由もないが、自分からメールするのと返信するのとでは天と地ほども差があった。

件名:Reごめんなさい

──おっけぇ。いいよ。土曜日だね。
──どこで待ち合わせしようか?
──なつめにまかせるよ。

 別れ話をしようとしている男が送る文面ではないな。送信してから読み返して、そう思った。
 なつめからのメールはすぐにきた。

件名:午後2時に

──東京プリンセスホテルのロビーで待っています。

 簡潔な、必要事項だけを記したメールだった。いつものように、文面から会えることを喜ぶ感じが微塵もない。得体の知れない不安がのしかかり、ますます眠れそうにない。
 了解を伝えるメールを返して、ぼくはパソコンと部屋の明かりの電源を落としベッドにもぐりこんだ。
93名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 22:09:54 ID:rtguF1oR
どんどん暗くなってきたな。
鷹氏GJ
9418Rの鷹:2005/10/14(金) 20:41:46 ID:MDxK5W9l

 土曜日。
(2時に待ち合わせ、ってことは…、昼ご飯は食べてこいってことだよね。あのなつめが食事を用意してこない状況…。大事な話…。う〜ん、胸騒ぎがするぅ)
 ネガティブな考えばかりしていたのでは気が滅入ってしようがない。頭を2度3度振って、楽しかったころの思い出に浸ることにした。
(東京プリンセスホテルかぁ。あれは夏休みに入ったばっかり、だったよね。三十郎さんがサウスダコタから来日して…。ミストラル…黒川さん母子と、晶良さんと、屋形船で花火を見たんだ)
 自然と顔がほこんでくる。いい精神状態になったところで、母親に昼ご飯ができたと告げられた。
 夕べの残りのおでんと茶飯をお腹いっぱい食べ、部屋でひと休みしてから家を出た。
 JRに乗り浜松町で下りて東京タワーを目標に歩く。目的の東京プリンセスホテルまでの道、風は耳が引きちぎれそうなほど寒い。
 ずっと前にあった他所の事故のせいで回転ドアは使えないから(それなのに遺跡のように残ってはいたが)、自動ドアを通って暖房のよく効いたホテルに入った。
 ロビーには小さななつめがぽつんと座っていた。思い詰めたように一点を見つめ、色白な顔が蒼白になっているように思えた。
「な…」
 呼びかけようとしたとき、なつめが自分のほうにゆっくりと顔を向けた。ぞくりとした。
「やあ」
 つとめて明るく言おうとしたが、声は引きつって上ずってもいた。
 なつめの笑顔も無理してるっぽかった。それを隠すようにペコリとお辞儀をして、妙に早口で言ってきた。
「きょ、きょうは、ご、ごめんなさいっ」
 少し不安になる。
(どんな話をされるんだろう…)
 汗が額に浮かんできているのは暖房のせいではない。
「い、いや。いいよ。ぼくもさ、そろそろなつめに会いたいと思ってたんだ」
 いろいろな意味を含んだ都合のいい言い方だ、と思った。
(この期に及んで、なつめを抱くことさえ考えているぼくって…)
 ごまかすように言葉を絞り出す。
「あ、なんか飲む? そこのラウンジに行こっか?」
「はい」
 なつめはいつものように素直に従う。でも、普段とはまったく違う固さが感じられ、それがぼくに伝染してくる。ぎくしゃくと歩いてラウンジの椅子に座るまで、とてつもなく長い時間に感じられた。
95名無しさん@ピンキー:2005/10/15(土) 00:36:51 ID:OkIWI+b5
うっわキッツ…怖ッ…
て言うか章のタイトルが怖ッ
9618Rの鷹:2005/10/15(土) 20:20:34 ID:/aCeRHsY

 オーダーしたコーヒーと紅茶が運ばれても、沈黙はしばらく続いた。
「あの…、きょうは…」
 おずおずと話しだすなつめ。それをさえぎるようにして口をはさんだ。
「いいよ。いいんだ。だから、ごめんって言わないで」
 謝らなければならないのは自分だ。そう思いながら、なつめの話を聞こうとしてじっと目を見つめた。
「…わたし、もう自信がなくなって…しまいました」
 なつめは目をそらし、ティーカップをスプーンでかき回し続ける。ぼくはなにも言えず、なつめの言葉を待った。
「つらいんです」
 顔を上げるなつめ。涙で目がいっぱいになっている。
「う…ん」
 あいまいに返事をする。なつめの頬にひと筋、涙がつたった。
「あなたのこと、好きです。たまにしか会えないけど、あなたにやさしくされると、わたし…、死んでもいいって思えるほど、幸せ…でした」
 過去形で言われたことに、ぼくは気づけなかった。
「あなたの1番じゃなくてもいい、ずっとそう考えてました。…でも、つらいのっ」
 感情を無理に抑えて話しているのだろう、そのせいで涙があふれている。
 なつめはハンカチを出して涙を拭い、たかぶった気持ちが落ち着くのを待っているようだ。ぼくには沈黙を破る勇気はなかった。目をそらさずにいることだけが、ぼくにできることだった。
「…きょう、わたしは、自分の気持ちを確かめたかった」
「うん」
 ようやく声が出せた。
「あなたに会って、あなたの笑顔を見れば…、つらい気持ちに負けない…かも…しれない…って」
 またなつめの目から涙がこぼれた。
(なつめから別れようって…言われるの!?)
 願ってもない展開なのだが、ぼくは複雑な思いに駆られていた。
(なんか…、ヤだな。ぼくが嫌われるなんて、ヤだな)
 なんでも欲しがり、自分のものは手放したくない。子供だ。少なくとも大人ではない。いや、ガキだ。
「カイトさん…?」
 ぼくから発せられたであろう負のオーラを感じとったなつめが不安そうにつぶやいた。
9718Rの鷹:2005/10/16(日) 19:49:40 ID:1ZSGFWCM

 何か言わなきゃ。焦ったぼくは感情に支配されたまま話し始めてしまった。
「なつめさぁ。こないだ話してた大学院生のほうがよくなったんじゃないの?」
 しまったっ! と思ったときは遅かった。言葉を出したことで興奮し、怒りの感情を増幅してしまった。心に魔が棲みついていた。
 言葉の刃は止まらない。相手を切り刻み、深く傷つける。
「もお、さ。やっちゃったの? その彼と」
「そ、そんな…」
「どーせ、ぼくはガキだよ。いまも…こんな…、情け…ない」
 ガキだと自覚して、それを口に出した瞬間、はっとして我に返ることができた。しかし、出ていった言葉を戻すことはできない。
「ごめんっ! なんてこと言っちゃったんだろ!? ごめん…」
 なつめはふるふると頭を振り、
「いいんです。カイトさんも…つらいんだなって思えたから、わたし、少し楽になりました」
 小さく寂しく笑った。心に突き刺さるような悲しい笑いだった。
「…それに…、大学院生のあのひとのこと…、嫌いになれないのも事実」
「会ったの? …あ、い、いや、べつに、こんなこと…、ぼくに聞く権利、ないよね。ごめん」
 ぼくのみっともない言い訳など気にもとめず、なつめから答えが返ってくる。
「はい。会いました。2度、会いました。でも、あのひと…、手も握ってこないんです」
(そんな童貞野郎に、ぼくはなつめをとられちゃうの? 負けちゃうの?)
 もちろん、こんなこと言う権利もなければ思う資格もない。バカを通り越して情けなかったが、理屈じゃなかった。
「…」
 言葉が出なかった。怒鳴りそうになったが、何かわからない気持ちがそれを押しとどめた。
 目の前になつめのふっきれたような笑顔があった。
「わたし、だめですね。弱虫のまま。全然、変われなかった」
「そんなこと、ないと思うよ」
 弱々しく否定したぼくに、なつめはうれしそうな笑みを返した。
「出ましょう」
 なつめが立ち上がる。
 結論は? 関係継続にしろ、別れるにしろ、答えは先送りなのだろうか。ぼくは席を立てずにいた。
「ここは、わたしが払いますね。さ、いきましょう」
「あ、うん。ありがとう。ごちそうさま」
 支払いをするなつめの後ろで、ぼくはただつっ立ったままだった。
9818Rの鷹:2005/10/17(月) 20:49:07 ID:91CBCpan

 ラウンジの前。ぼくは立ちつくすなつめの背中を見ていた。なつめが何かを話す気配はない。歩きだす気配もない。
 ぼくは目を閉じて思う、考える。
(終わりにしなくちゃ。きょう、終わりにしなければ、きっとだめだ)
 自分が優柔不断だったゆえに招いた事態だ。
(男だろ! しっかりしろっ)
 おのれを叱咤し、目を開けてなつめの背中に呼びかける。
「なつめ。ぼくの話を聞いてほしい」
「はい」
 いやと言って泣かれるかもしれないと思っていたが、そうはならなかった。意外にもなつめは素直に返事をしてくれた。
 ほっとして目を閉じたぼくに、なつめの決意が降り注ぐ。
「…その前に」
「な、なに?」
 ゆっくりとぼくのほうに向き直ったなつめは、感情をすべて消し去った顔で言った。
「わたしを抱いてください」
「!」
 絶句した。硬直した。絶体絶命のぼくになつめが追い討ちをかける。
「部屋をとってあるの」
「…だ、だめ、だよ」
 途切れ途切れではあったが、やっと言葉が口から出せた。でも、なつめは聞いてくれない。ぼくにとどめの一撃をくらわす。
「最後。もう、おしまいにします。だから、抱いて」
 ほんとうにおしまいになるのだろうか。疑問が渦巻く。
 なつめを抱きたくない、とはいえない。性欲が昂ぶる。
 ほんの数秒で覚悟を決めた。いや、欲望に負けた。
「わかったよ。いこう」
 なつめの肩に手をかけ歩きだした。なつめは体をぼくにあずけ、ぴったりと寄り添う。ぼくのなかで疑念が大きくなっていく。
(ほんとうに、ほんとうに終わりにできるのかな!? この関係…)
 でも、もう後戻りはできない。
9918Rの鷹:2005/10/18(火) 20:57:41 ID:8eUM6mdD

 チェックインするためフロントの前まできたところで、緊張からか急に便意が襲ってきてトイレに行きたくなる。
「な、なつめ。ちょっと、ごめん。トイレ」
「あ、はい。こっちにありました」
 なつめはぼくの手を引いてトイレに連れて行ってくれた。
「ここで待っています」
 限界に近かったぼくは、ありがとうも言えず、笑顔を向けることもできないまま、トイレの個室に駆け込んだ。
「ふぅ〜っ」
 用をすませ、ハンカチをくわえながら入念に手を洗う。
「おまた…せ」
 トイレから出たぼくの目に入ったのは、身じろぎもせずに壁を見上げているなつめの背中だった。
「なつめ?」
 ぼくの呼びかけも聞こえていないようだ。
「なつめ」
 もう一度、呼びかける。ようやくなつめが振り向く。
「これ…、カイトさん、ですよね」
「えっ?」
 なつめの後ろにある壁に慌てて目をやる。若いカップルが幸せそうな笑顔を浮かべて見つめあっている結婚式のポスター、だった。
「?」
 わからなかった。目を凝らして見ているうちに、やっと気がついた。
「あっ、あ、あ…」
 砂嵐三十郎が来日して、彼に会うため夏休みにここにきたときのことだ。晶良と2人で急きょモデルを頼まれ、撮影されたことを思いだした。
(…でも、自分が見ても、これがぼくだってなかなかわからなかったのに)
 撮影用に化粧していたのと、ポスターにする際に画像データを加工したのだろう、どう見たって別人にしか思えなかった。
(それなのに、なつめ、これがぼくだってわかったんだ)
 その事実がぼくを黙らせる。
100名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 22:00:38 ID:mas/VS41
精子去来
放蕩快楽
一線超時
楽楽萌萌
10118Rの鷹:2005/10/19(水) 20:45:06 ID:qyMU+g34
>>99の続き

「カイトさんと…、相手の女性が、ブラックローズさん」
「…」
 肯定も否定もできなかった。なにも言えなかった。
「かなわない。わたしなんか、じゃ、かないっこ…ない」
 悲しい笑みを浮かべて言うなつめ。その頬を涙がこぼれ落ちていく。ぼくは言葉を失ったままだ。
 泣いてはいるが、なつめの表情はふっきれたように晴れやかで、瞳には力が感じられた。
 なつめは目を閉じて大きく息を吸い込み、ゆっくりとした穏やかな口調で告げた。
「…やめました。あなたとは、もう会うこともやめました」
 ぼくの脳は考えるということを放棄してしまったようだ。なつめの言葉を受け止める。
「なつめ。これまで、ごめん」
「そんな。わたし、あなたのこと、ほんとうに好きでした。だから、後悔なんてしていません」
「…ごめん」
 それ以外に言葉が出てこない。
「わたし、幸せでした。あなたのことは絶対に忘れない」
「ありがとう、って言っていいのかな」
「はい。カイトさん、幸せになってくださいね、絶対」
 そう言って、なつめは後ろに顔を向け、もう一度ポスターを見た。それから、ぼくのほうに顔を戻し、
「だいじょうぶ、ですよね。こんなに素敵なカップルですもの」
 にっこりと笑んで、自分に言い聞かせるように言った。そして、
「わたしも幸せになるぞぉ、なんて。えへへ、これではゲームのなつめと同じですね」
 涙のあとの残る頬がほんのり朱に染まる。それを見て心底ほっとした。
(ハッピーエンド、とはいえないけど、よかったんだよね、これで)
「それじゃあ、帰ろうか」
 最後のエスコート。ところが、なつめはその場を動こうとしない。
「どうしたの?」
「わたしは残ります。あと2時間したら、彼がくるんです。わたし…、きょう、あのひとに抱かれるつもりです」
「そっか。いい結果になるといいね」
「はいっ! 絶対に幸せになりますっ。その…、カイトさんたちに負けないように」
「じゃあ、ぼくは帰るね。いままで、その、あの、ありがとう!」
 頭が床のカーペットにつくんじゃないかというくらい深々とお辞儀をした。
「わたしのほうこそ、ありがとうございました」
 なつめも負けずに深いお辞儀を返した。
10218Rの鷹:2005/10/20(木) 23:50:54 ID:oKvNj0Xm

 笑顔をつくって右手を上げながら出口に向かおうと体を反転させる。もう一度、ポスターを見た。そこに写っているのは間違いなく自分なのだが、別人に思えてしかたなかった。
 歩きだして、ぼくは思う。
(なつめにとっては、あの写真のほうが実像だったのかもしれない。あるいはゲームのカイトが実像。いま、ここにいるぼくは虚像。だから、ポスターを見て、すぐにぼくだとわかったんじゃないのか)
 自動ドアをくぐると、寒風がぼくを迎えてくれた。思わず首をすくめる。マフラーを忘れたことを激しく後悔した。
 空はどんよりと暗い雲に覆われ、まるで自分のいまの気持ちを表しているかのようだ。
「う〜、寒いぃ。雪でも降るんじゃないか」
 口をついて出る言葉もどこか愚痴っぽい。背中を丸めて歩く惨めな姿は、これがザ・ワールドの伝説の勇者のリアルだとは、だれにも信じられないだろう。
 逃げ込むようにJRの浜松町駅に入る。ホームに上がると寒風が顔に突き刺さる。駅の入り口をくぐったことで、いったん気を抜いたのが風の冷たさをさらに強く感じさせた。
 ホームに滑り込んできた電車が身を切るような風を運んできた。たまらず乗ってしまう。反対側のドアにもたれていると、電車の暖房が体にしみてきて身も心も弛緩していくのがわかった。
 涙が床に落ちた。
 いくつの駅を通り越しただろう。そのなかに自分の降りる駅があったかもしれないが、どうでもよかった。
 別れがこんなに悲しいものだとは想像できなかった。
(自分が望んだ結果なのに…。どおして…、こんなに…、つらいんだろう)
 さらに駅が過ぎていった。涙はもう枯れ果ててしまったようで、床にできた涙のたまりもすっかり乾いていた。
 30分以上はたっただろう。ある駅で人がいっせいに降り、また多くの人が乗り込んできた。また数駅が過ぎていく。そこでは大勢が降りたが、乗ってきたのは少数だった。
 他の人と体が触れなくなってホっとする。うつむいてため息をついたぼくの横で、聞き覚えのある声がした。
「おにいちゃん? おにいちゃんじゃない?」
 千春だった。
「やあ。カズくんとデートの帰りかな」
 無理に笑顔をつくって話しかけた。
103名無しさん@ピンキー:2005/10/21(金) 20:25:32 ID:/HiBduUs
黒薔薇以外の全員との関係を初期化するのか。勇者様頑張ってるねぇ
10418Rの鷹:2005/10/22(土) 20:40:31 ID:j16ud3yF

「うん! わたしはそうだけど…、おにいちゃん、なんか元気ないね」
 アイデンティティだった腕輪を封印され、なつめに別れを告げられた事実が頭に浮かび上がってくる。
「まぁね。いろいろあるんだよ、ぼくにだってさ」
 力のない声で言ったら、またため息がもれた。
「そっかぁ」
 ぼくのことなど、あまり気にしていない様子の千春。
(きっと文和くんとラブラブデートを楽しんだろうな)
 などと考え、またまたため息。千春は大きな目でじっとぼくを見つめている。何か話さなきゃ、と焦って、
「と、ところでさ、いま、どのへん、なのかな」
 乗っている電車の現在位置を把握していないなんてかなり変だ。しかし、千春は
「新宿を出たとこ、だよ」
 と普通に答えてくれた。
(新宿か…。やっぱり乗り過ごしちゃった)
 続けてため息をついた。さすがに千春もおかしいと思ったのか、
「どーしたの? きょうのおにいちゃん、なんか変」
 心配そうな目をして聞いてくる。
「あ、あぁ、ちょっと、その、元気ない、かな」
「まぁ…」
「千春さぁ。ぼくのこと、なぐさめてくれる?」
 自暴自棄、やけくそ。
 ところが。
「うん! いいよ。次の駅で降りよ? ね、おにいちゃん」
 ニッコリと愛らしい笑みを満面に浮かべ、千春はぼくの誘いを受け入れた。
 ほどなく電車は駅に滑り込んだ。停止するとき、かなり乱暴なブレーキ操作をされて乗客がよろけたが、千春は両足を踏ん張ってこらえ、ぼくにすがってくるようなことはなかった。
 電車から降りる。千春はぼくと手をつなごうともせず、距離をとって歩いていく。
(友達と会うかもしれないとか…、きっと、そうだよね。なぐさめてくれるって、言ってくれたし…)
 階段を下りたところで、千春は立ち止まり言った。
「ここ」
「? えっ?」
10518Rの鷹:2005/10/23(日) 21:43:01 ID:ozQ0p8H5

 ファストフードのお店だった。千春はぼくの手をとって入り口に向かっていく。振り返って、
「きょうはね、ちはるがおごってあげる! おにいちゃん、なに食べてもいーよ」
「え…、あ、うん」
 屈託のない千春に従うしかできない。
「ストロベリーシェイクとぉ…、ん〜、おにいちゃんはぁ?」
 カウンターで注文する千春がぼくに聞いてくる。
(千春の体…とは言えないし…)
 バカなことが頭をよぎる。
「ダブルチーズバーガーのセット、コーヒーで。それと、エビカツバーガーも」
 食べものの名前を口にしたら、急にお腹がすいてきた。
(人間って、悲しくてつらくても、腹の減る生きものなんだなぁ)
 妙なことに感心している。
「お待たせしましたぁ〜」
 舌っ足らずの声の女のコがトレイに注文したものを乗せて告げる。千春がポーチからサイフを出し支払いをすませた。
 向かい合わせの席に座って、ぼくは小声で千春に話しかける。
「ほんとにいいの? お金。ぼく、出そっか?」
「いーの。おにいちゃんにはいろいろお世話になったから。お礼」
「うん。じゃあ、遠慮なくごちそうになるよ」
「それに、デートすると文和がぜ〜んぶ出してくれるから」
 食べる前からごちそうさまだ。邪気のない千春の笑顔を見ていたら、ぼくの煩悩も消えていた。
「きょうのデートは楽しかったみたいだね」
 おにいちゃんの口ぶりがやっとできた。
「うん! 文和、2回目なのに、すっごくじょうずになったんだよ」
「ぶっ」
 飲みかけたコーヒーを吹いてしまう。
「もぉ〜、なにやってんの、おにいちゃん」
 ナプキンで口元を拭いてくれる千春はまるで母親のようだ。
(女のコって、母性本能があるんだなぁ)
 などと感心したが、すぐに記憶が巻き戻される。
10618Rの鷹:2005/10/24(月) 22:22:37 ID:Wq0ZQQeg

「に、2度目、って?」
「あっ、言っちゃったぁ」
 ぺろっと舌を出し、頬を赤くする千春。それでも話したくてしようがないといった感じで、
「高校受験が終わるまで待てなかったんだぁ。えへ」
「って、ゆーことは…」
 待ってましたとばかりに千春が話しだす。
「しちゃったっ。晶良お姉さんに文和がどっか行ってなさいって家から追いだされた日」
(その日って…、ぼくが晶良さんちに行った日!? だよね)
 きょうはつくづく絶句してしまうことの多い日だ。間抜けそうに口を開けたままのぼくを無視して、千春は自分の体験談を話し続ける。
「文和とね、新宿のホテルに入ったの。あ、もちろん、おにいちゃんと入った部屋とは別よ」
(ぼくは…なぐさめてもらえるんじゃ…なかったの?)
 喜々として話す千春の笑顔を眺めながらエビカツバーガーにかぶりつく。
「エレベーターの中、文和、しっかりと抱きしめてくれた。すっごく男らしかった」
 うっとりと目を潤ませて甘い思い出に浸る千春。
「ベッドではねぇ…、あぁ〜思いだしちゃうっ。すっごくやさしくって、時間もたっぷりかけてねぇ、いっぱい愛してくれたんだぁ」
「…そぉ…」
 それだけ口にするのが精いっぱい。
「あんなに感じたの、初めて!」
 声が大きくなっていく千春に目くばせをする。気づいた千春は首をすくめ、小さく舌を出した。
(あの、ピンク色のかわいい舌は、もう文和くんだけのもの…)
 捨て鉢になって千春の幼い肉体に欲望をぶつけようとしたぼくの浅はかな考えは、もののみごとに打ち砕かれたみたいだ。
 なぐさめてもらうどころではない。早く千春と別れて、この場から逃げだしたかった。
 しかし、千春の話は終わらない。席を立つきっかけを見出せないまま、ぼくは甘い話を延々聞き続けるしかなかった。
「…でねぇ、その日は、よんかい、しちゃったんだ」
 顔を近づけて小声で言う千春。
(す、すごい。ぼくだって1日4回なんてしたことない…)
 急にものすごく年をとった気がしてきた。
107名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 01:24:51 ID:Bt0kFjM3
文和がうらやましい…
108名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 03:27:55 ID:RYaL6OXt
勇者様、亜鉛とビタミンB系サプリか含有食品、そして良質たんぱく質必須だな…。

ファーストフードばっかり食ってると、ナトリウムやリンといっしょにその手の精力の素が
排出されちまうど〜。
109名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 09:35:26 ID:w5l7QfbM
勇者様哀れ
11018Rの鷹:2005/10/26(水) 18:46:45 ID:XBeaxdyT
>>106の続き

「じょうずとかぁ、へたとかぁ、関係ないんだなぁって思った。やっぱり、大好きな人と結ばれるってことが大切だったんだなって、よぉくわかったんだ」
 まじまじと千春の顔を見る。ずいぶんと大人びた表情になっていた。
「よかったね。千春を見ていたら、ぼくもなんだか元気になってきたよ」
「よかったぁ。元気のないおにいちゃん…、ん〜ん、ちはる、もうおにいちゃんって呼ばない。カイトさんが元気になってくれて、ほんとによかった」
「ありがとう。きょうはごちそうさま」
「ん〜ん、いいの。カイトさん、これまでいろいろありがとうございました」
 礼儀正しい千春。これまでの小悪魔の表情や態度など、これっぽっちも感じさせない。ぼくはホっとするとともに、一抹の寂しさを感じていた。
(ラブホテルでの奔放な千春は、もう文和くんだけのものか…)
 千春とはそこで別れ、逆方向の電車に乗り直して帰路についた。
 お腹はいっぱいになったが、胸にぽっかり穴が開いたみたいな気分だった。
 家に着くと疲れがどっと襲ってきた。少し熱っぽい。自分の部屋に入りベッドにもぐりこむ。
(これでよかったんだ…よね?)
 肉体関係のあった2人の女性との別れを、まさか1日で味わうなんて想像だにしなかった。
(一番いい結果になったはずなのに…。なんだろう、この気持ち)
 涙がこぼれた。
(悲しい、よ。つらい、よ)
 再び思う。別れとはこれほど自分にダメージを与えるものなのかと。
(もしも晶良さんと別れることになったら…。いやだっ! そんなこと、絶対にいやだっ)
 考えたくもないことが頭をよぎる。頭を左右にブンブンと振ったが、頭痛が増しただけだった。
 ぼくは自分に誓いを立てる。
(もう、絶対に、浮気なんてしない。するもんか)
 バレなければいい、などと考えていたこともあった。つくづくバカだと思う。
(晶良さん、会いたい。会いたいよ)
 メールしようと思ったが体が動かない。どうやら風邪をひいたようだ。
 その夜は一晩中、悪夢にうなされた。
 翌日から3日間も寝込んでしまい、その週は高校に通うことができなかった。
111名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 20:29:05 ID:Mi1do68R
頑張れ勇者様、だな。
しかし、鷹氏の文才には心底感服させられる。

何か致命的な誤爆をした……
11218Rの鷹:2005/10/27(木) 20:15:28 ID:/j5UniY0

《The Eve》


 久しぶりに晶良と歩く新宿の街は、いつもと比べて浮かれた空気が流れていた。それもそのはず、きょうはクリスマス・イヴ。
 風はなかったが空は雲に覆われ、ホワイトクリスマスを予感させた。それによる期待感からか、街の雰囲気をやけに陽気にもしていた。
「アンタ、風邪ひいて寝込んでたのぉ? どおりで3日もメールに返事がなかったわけだ」
(こういう言い方はしたくはないが…)セックスフレンドのなつめと千春に別れを宣告された日。ぼくは体調を崩してしまった。
 晶良と会いたい気持ちはあったが、それ以上に弱りきった自分の姿をさらしたくなかった。
 だから、火曜日(寝込んでから4日めだ)にようやくパソコンを立ち上げて晶良からメールがきていても、風邪をひいたと本当のことを書いて返信することができなかった。
「で、もぉいいの? 体…」
 心配そうな顔でぼくの顔をのぞきこむ晶良。恋人の仕草というより、弟を案じる姉だ。そんな晶良をしばらくぶりに感じて、ぼくはくすりと小さく笑う。
「ん〜。なによぉ。人がせっかく心配してあげてるのに〜」
 照れているのだろう、頬が赤くなっている。
「ごめん、ごめん。お姉さま」
 茶化して言うと、晶良は
「すっかり元気になったのはよ〜くわかったわ」
 あきれたように言った。
「でもさぁ、メールしてくれれば、お見舞いに行ってあげたのに」
 少し残念そうに言う晶良。考えてみれば、自分の家に晶良を招いたことはなかった。なんとなく照れくさいのと、大学受験を控える晶良に配慮しているせいだった。
「いや、お風呂にも入れなかったし。それに…」
「それに、なによ? お父さまとお母さまにはアタシのこと、話してるんでしょ?」
 晶良は不満そうだ。
「あ、うん。家に連れてきなさいって、いつも言われてるんだけどさ」
「だけど、なによ?」
 せっかちなうえに、ぼくが答えにくそうにすると詰問調になるのは最近わかってきた。
「愛するひとには、自分の情けないカッコは見せたくなかったんだ」
「んもお、バカなんだから。愛してるからこそ、そーゆーときに役に立ちたいものなんだってば」
 まあ、晶良の言うことのほうが正論ではあるんだけれども。男心だって複雑だ。
11318Rの鷹:2005/10/28(金) 20:25:04 ID:X4cnjeuP

「で、きょうはどこに行くの? アルバイトも休んでたんでしょ。きょうはアタシにプレゼントを買わなきゃならないし、ね(笑)。アタシが出すから映画でも見にいこっか?」
 屈託のない笑顔を見ていると不安になる。
(晶良さんには、ぼくなんかよりももっとふさわしい男性がいるんじゃないか…)
 そんなネガティブな考えが頭をよぎる。晶良が返事を催促するように言ってくる。
「映画。どーするの? 見にいくの、嫌なの?」
「あ、うん。そーいえば、あの監督の新作アニメ、見たかったんだ」
 ぼくだって普通の高校生。アニメも好きだし、スポーツだって見るのは好きだ。できれば恋人と同じ趣味だといいんだけれども。
「えぇ〜。アニメぇ!? ラブロマンスがいいなんていわないけどさぁ、アクション映画とかにしようよぉ」
 あからさまに不満そうな口調の晶良に押されて、
「うん。晶良さんが見たいのにしよう」
 素直に従ったのに、晶良はさらに不満を深めた表情をする。
「? どーしたの? ぼく、なんかした?」
「べっつにぃ。いいんだけどさ。アンタ、もっと自己主張したほうがいいよ」
「あ、うん。でも…」
 性格的にできそうにない。
「あたしのほうが2つ上だけどさ、引っ張っていってほしいときもあるんだ」
 視線を落として、ひとり言のようにつぶやく晶良。
(やっぱり晶良さん、ぼくじゃものたりないんだろうな)
 またネガティブな思考に支配される。会話が途切れたことに気づいた晶良はハっとして、
「あ、ごめんっ。気にしないで。アタシ、そのままのアンタが好きだから…」
 無理に笑顔をつくっているのがわかる。いや、そう考えてしまう。
「ぼくが悪いんだ。優柔不断だし…。晶良さんにふさわしくないよね、ぼくなんか」
 言葉が進むにつれ、ふてくされた口調になっていってしまう。
(ほんとはこんなことが言いたいんじゃないのに…)
 そう思った瞬間、目の前に晶良がまわり、ぼくの歩みを止めた。
「アンタっ、怒るよ!? 本気でそんなこと言ってんの。あんまり情けないこと言ってると」
 まくしたてる晶良。ぼくは別れを告げられるのではないかと狼狽し、怖くて晶良を見ることができなかった。
「ご、ごめん。ぼく、晶良さんに嫌われたくない。ごめん」
 目をつぶって謝ることしかできない。
「もーっ! いい加減にしなさいよね! ホント、イラつく!」
 すがるような目で晶良を見る。てっきり怒りに満ちた表情をしていると思った晶良は、静かで穏やかに微笑んでいた。
11418Rの鷹:2005/10/29(土) 20:22:21 ID:7FaVw4Q0

「アンタだから、いままでやってこれたんだよ? 完全な人間なんていない。とくにアタシはあれもダメ、これもダメ。アンタだって不満があると思う]
「そ、そんなことないよ!」
 ムキになって否定するぼくに、晶良はゆるゆると顔を横に振り、
「いまは気がつかないだけかもしれないし、わざと目をそらしているのかもしれない。でもね、我慢するってことは、健康によくないでしょ? 心にも体にも」
「うん」
 晶良の言ってることはなんとなく理解できた。付き合いはじめたばかりの彼女とつまらないことで別れてしまったクラスメイトのことを思いだした。
「だからね。アタシ、我慢しないことにしたんだ。なんでも言いあえるのがホントの恋人ってものじゃない?」
(確かに晶良さんの言うとおりだと思うけど…、8対2くらいの割合でいっぱい文句言われそう)
 8対2どころではなく、少し不満をもらすと倍になって返ってくることになるとは、このとき知るよしもなかった…。
 なにはともあれ、仲直り。ぼくたちは手をつないで歩きだした。
「ねぇ、晶良さん。さっき、ぼくが情けないことばかり言ってると、どうするって言おうとしたの?」
 気になっていたことを恐る恐る聞いてみる。
「え? な、なんだっけ」
 とぼける晶良。
「晶良さん、最後まで言わなかったから気になってるんだ。別れる、っていう気だった?」
「バ、バカ。別れるなんて言うわけないでしょ」
 晶良は顔を赤らめて否定する。
「じゃあ、なんて言おうとしたの?」
「んもぉ、しつこいなぁ。いいじゃん。気にしない気にしない」
「そんなふうに言われると、よけい気になっちゃうよ」
 ため息をつく晶良を見ていたら、かわいそうになってきた。
(あんまり追い込んじゃまずいかな)
 そう思ったが、晶良はもじもじしながら、いかにも話しづらそうに、ぼそぼそと口を開いた。
「あのさ…、んっとね…」
「うん」
 ごくりとつばを飲み込んで晶良の次の言葉を待った。
11518Rの鷹:2005/10/31(月) 20:58:06 ID:ZeP81ijm

 さまざまな雑音、騒音が入り乱れる新宿の雑踏。耳に全神経を集中させていなければ聞き取れないほど小さな声で、晶良が途切れ途切れに言う。
「…させて、…あげない、…から、…なんて」
「はい〜?」
 思わず顔を晶良に向けて聞き返したが、耳まで真っ赤にした晶良はもうしゃべらなかった。
(させてあげないって…、セックスのこと? だよね。う〜ん、別れるよりつらいかも…って、そんなわけないじゃん)
 自分でボケて自分でつっこんでいる。
(バカだ…。い、いや、そ、そんなことよりも! しばらくしてなかったから、晶良さんも…ごくっ)
 握った手に力が入ってしまう。
「痛いってば、そんなに強く握っちゃ」
 晶良に抗議され我に返った。
「あ、ご、ごめん」
 そうこうしているうちにシネマコンプレックスの前まできた。
「ん〜。次の上映は…、満員ですぅ? ダメじゃん」
 こういうときこそイニシアチブをとったほうがいい。
「その次の上映を見よう。指定席の前売りチケット買っておけばいいんじゃないかな」
「うん。そーだね。ちょっと待ってて。アタシ、買ってくる」
 即断したぼくに満足げに笑んで、晶良は小走りでチケットを買いにいった。ほどなくして戻ってきた晶良がうれしそうに言う。
「キャンセルがあって、隣り合わせの席が取れたよ」
「へぇ。よかった」
「だよね。隣で見なかったら意味ないもんね。ね、どこで時間つぶそっか?」
 今度は即答すると、ちとまずい。
(ホテル! とは、いいにくい…けど、晶良さんのこと、抱きたい)
「歩こっか」
 晶良にうながされ手をつないで歩きだす。行き先を決めている感じではない。
 少し歩いたところで人だかりができているのが目に入った。
「あそこでなんかやってるみたい。なに、やってるのかな?」
 歩くスピードを少し上げて、人だかりの後ろにとりつき、つま先立ちをしてのぞき込んだ。
11618Rの鷹:2005/11/01(火) 20:49:21 ID:S6pT1ZN1

「ちゅい〜っす!」
 いきなり元気な女性の声が響いた。
(この声、この言い方…、まさか)
 続いて、
「どぉもぉ〜」
 カン高い男の声がした。どうやら漫才かなにかの路上ライブをやっているようだ。
「面白そう、かな。ちょっと見てこーか?」
 晶良が目を輝かして言ってくる。異論はない。いや、声の主を確かめたかった。
 深々と頭を下げた男と女のコンビは、まじめな調子で『枕』をふってくる。観衆の反応、イマイチ。
(つかみは…うまくいってるとはとてもいえない…。とゆーより、面白くないよぉ〜)
 晶良も反応に困っている様子だ。
「よーし、ほんじゃそろそろいってみようか!?」
 話が進むにつれ、観衆が一人、また一人、輪から離れていく。ぼくたちは押し出されるように少しずつ前にいき、つま先立ちしなくても見られるようになるのに時間はかからなかった。
 ひたすら自分たちのネタを繰り出すコンビだが、周囲から聞こえてくるのは、笑いといっても失笑もしくは苦笑のみだった。
 なんといってもボケとツッコミという漫才の基本が守られていないのが致命的だ。いや、そんなものをブッとばすパワーがあれば問題ないのだが、それもない。
 ここ『笑うトコ』という場面ではことごとくボケとボケの応酬が繰り返され、惨憺たるライブとなってしまっていた。
 袖を引っ張られ、かがんで晶良に顔を近づけると、
「いこっか」
 とうながされるが、立ち去りがたい気持ちを抑えられない。
「もうちょっと」
 片目をつぶりお願いする。晶良はしかたないなぁといった表情を浮かべ、舞台に視線を戻してくれた。
 そのとき、舞台の上の女性を目が合った。厚い化粧をしているが間違いない。
(やっぱり、レイチェルだ)
 忘れられるはずがない。『初めて』の女性。懐かしさとともに複雑な思いが頭をよぎった。
(編集長を目指したほうがいいよ、レイチェル。漫才は…、サムいよ)
 そのときの位置はぼくとレイチェルが向き合い、その中間50pほど右にずれて相方の男性の背中が見えていた。
11718Rの鷹:2005/11/02(水) 21:04:00 ID:IHClOAHz

 レイチェルの射抜くような視線は微動だにしない。ぼくは身じろぎもできなかった。
「なんやぁ、シケたツラしくさってぇ!」
 それまでのフニャけた漫才の口調とはガラリ一変した女性の声が響く。それがぼくに向けられているのは明らかだ。
 いきなりやってきた緊張感に観衆が再び舞台に集中した。
(こんな展開、あり!?)
 金縛りに遭ったように動けない。視線すらもずらせない。
 困っているのはぼくだけではなかった。相方の男の人も困り果てた様子で、ボケるどころかツッコミすら放てないでいる。
「せぇっかくオトコにしてやったちゅーのに、なんっつぅなっさけないツラしとんのや」
「アホぉ。オレは生まれたときから男だっつーの」
 レイチェルの言葉はぼくに向けられている。だけど、それをわかっているのは2人だけだ。
 ボケることもできず必死に対応しようとする相方。
「じゃかましいわ!」
 上段まわし蹴り一閃。見事なノックアウトキック。相方は一撃でリング…いや舞台に沈んだ。
 なぜか大ウケの観衆に背を向けたレイチェルは、
「しまいや、ボケっ!」
 と捨てゼリフを残して引っ込んでしまった。ボー然とするぼくに晶良が話しかけている。
「なんか、よくわかんなかったけど、最後は笑えたね。あーゆーの、ドツキ漫才っていうのかな」
 舞台ではまだ相方の男がのびていた。それを見て晶良がまた笑う。
「本気でやってるんだねぇ。笑いをとるためにカラダ張るって、なんかすごいね」
 晶良に合わせて笑いたかったが、顔が引きつっている。
(あれ…、さっきの…、やっぱ、ぼくに言ってるんだよね、絶対)
「どしたの?」
 敏感にぼくの変調を察知して聞いてくる晶良。
「あ、いや、なんでもないよ。うん、なんでもない…」
「そっか」
 追求されずホっとする。次の出しものはないようだ。その場にいるわけにもいかない。
118名無しさん@ピンキー:2005/11/02(水) 21:08:20 ID:ECjqpTVx
勇者様、そろそろ胃に穴が開きそうな予感……。
がんばれ勇者様。
119名無しさん@ピンキー:2005/11/02(水) 23:05:26 ID:tSKOV0od
当然の報いさ
12018Rの鷹:2005/11/03(木) 20:07:57 ID:m5MIrSrB
>>117の続き

「いこう」
 晶良の手をとって歩きだすが、あてがあるわけではなかった。いまはその場を離れたかった。考える時間と場所がほしかった。
 でも、デートの最中にそんなことは無理。一緒にいる晶良に気を使わないわけにはいかない。いまできること。つとめて明るく振る舞うこと。
「ね。どこかいきたいとこある? ぼくは晶良さんへのクリスマスプレゼントを買いにいきたいな」
 かなり頑張ってつくった笑顔を向けて話を振るが、晶良が乗り気でないのがわかる。
「どおしたの? 晶良さん」
 心配になって聞いてみる。我ながら心細げな声だ。晶良は少し考え、それから言う。
「アタシ…。アンタと2人きりになりたい。プレゼントはうれしいけど、あとでもいいよね…」
「うん…」
 映画が始まるまで時間は、ある。考えごとは映画館でしよう、そう決めた。
「いこう」
 目的地が決まったいま、ぼくはそれに向かって突き進む。
 ホテルが建ち並ぶ街の一画にきて、なにかがいつもと違う気がした。
「あれ?」
 立ち止まり"異変"の正体を探ろうとする。
「どしたの?」
 怪訝そうに聞いてくる晶良。周囲は体をぴったりと寄せて歩くカップルばかりで、ぼくたちのことを気にしているのは一人もいない。
「あの…『満』って、なんだろう」
 ホテルの入り口には赤く『満』の文字が光っている。よく見ると、その上には『空』の文字が暗くなったいるのがわかった。
「満室、ってことかな。『空』は空室あり、ってことか」
 晶良にではなく、自分に向かってつぶやく。
「なんか、どこもいっぱいみたいだね」
 あきれたように、不満そうにいう晶良。
「と、とにかく、いつものとこにいってみよう」
 再び歩きだし、もう5回もきている(晶良とは1度しかきていないが…)ホテルを目指す。
「あっ、『空』って出てる。やった!」
 小躍りしたい気分だ。声を弾ませると、
「そんなに、はしゃがないの」
 顔を真っ赤にした晶良にたしなめられた。
12118Rの鷹:2005/11/05(土) 00:21:26 ID:VUfO5P52

 入り口をくぐり中に入る。部屋を選ぶパネルを見上げて絶句した。1つしか明かりがついていなかったからだ。
「なんか、すごい、ね」
 そう言いながら晶良がボタンを押した。選択の余地がないからできたのだろう。
 4階の部屋だった。入ったことはない。
(全部屋コンプリート・キャンペーンとかあればいいのに)
 などとバカなことを考える。それがあったとして、浮気の証拠をさらけだすだけなのに。
 エレベーターの中、いつもと違って手をつないでいるだけ。2人とも気持ちを高めていこうとするかのように、なにもしゃべらない。たがいの息遣いが興奮を誘っている。
 部屋に入ってからも焦らない。コートを掛けてからソファに並んで座る。それから、じっと見つめあう。視線を絡めるだけで室温が上がった、気がした。
 どちらともなく顔を近づけていった。荒くなった息が顔を撫でていく。2人の距離がようやくなくなった。
 唇が重なると同時に抱きしめあう。腕に晶良を感じ、体にも晶良を感じた。
 舌がゆっくりと絡みあう。
 いつもと違う。これまでのキスは相手を屈服させるかのごとく、だった。相手の思考を奪い、力が抜けるのを待って肉体をむさぼるためのような、そんなキスをしていた。
「愛してる。晶良さん、愛してる」
「あぁ…、うれしぃ。アタシも…、好きだよ。愛してる」
 もっとしていたい、というタイミングで唇を離し、愛をささやく。瞳を潤ませた晶良が漏らすせつなそうな声が、どうしようもなくぼくを昂ぶらせた。
 セーターを脱がす。静電気がパチパチと音をたてて、晶良の髪を乱した。手ぐしをいれようとする晶良の仕草が色っぽい。
 シャツのボタンを外す。晶良はされるがまま。シャツを脱がし、背中に手をまわしてブラのホックを解除する。
 されるがままでは恥ずかしかったのだろう、晶良は自分でブラを取り去った。腕を上げて胸を隠そうとするが、その動きより速く、ぼくは顔を近づける。
「あぁ、あぁ…、あぁん」
 乳首を口に含んで舌でころがすと、晶良は顔を下げ吐息を漏らした。ぼくの口の中では乳首が次第に大きくなっていく。
「ん…、んあぁっ、あっ!」
 左手がやわらかなふくらみをさすり、撫で、揉む。晶良の声が上ずってくる。
12218Rの鷹:2005/11/06(日) 02:28:35 ID:04UuYDeB

 晶良の右のおっぱいを舌が愛撫する。こちらはいきなり乳首を攻めるのではなく、麓から迂回するように嘗め上げていった。
 右手は大きくなった左の乳首をつまんで、さらに硬さを加えさせていく。
「あぁ〜、あぁ…ぁ…あっ! あんっ!」
 唇がついに乳首を挟んだとき、晶良はびくっと体を震わし、一際大きな声をあげた。
 両の乳首がこれ以上ないほど硬くしこったのを舌と指で感じとり、ぼくは次の段階に移行する決意をした。
 そっと体を離し、晶良の"熱"が下がらないように素早く服を脱いだ。パンツ1枚になる。
「晶良さん、ベッドにいこう」
「ぅん」
 迎えるように上体をかがめると、晶良はのろのろと腕をぼくの首にまわしてきた。
 軽々と抱き上げる。すぐにはベッドに向かわず、その場で熱のこもったキスをする。晶良が腕に力を込めるが苦しさは感じない。むしろ、もっと強く締めあげてほしかった。晶良を感じさせてほしかった。
 舌を深々と晶良の口内に差し入れたまま、ぼくはベッドへと歩みだす。
 舞い落ちる羽根のように、晶良をベッドに降ろす。間接照明の薄明かりで肢体をじっくり観察したかったが、晶良は離してくれない。キスに没頭している。
 舌を絡め互いの唾液を混ぜあう。と、ぼくの舌が強く吸われ、晶良の腕からふっと力が抜けた。
 絡みあった舌がほどけ、ぼくは顔をあげてキスを解いた。
「あ…ぁ、あぁ…、は…ぁぁ、はぁ、はぁぁ…」
 軽い酸欠だろうか。そういえばぼくも少し苦しい。目を閉じて深く息を吸い込み、大きく吐き出す。
「ふぅぅぅぅ…、…はぁぁぁあ…」
 目を開けると、泣いているんじゃないかと思えるほど目を潤ませた晶良と視線が絡みあった。
「愛してるよ」
 満足そうに目を閉じ微笑む晶良。目の端から本当に涙がこぼれた。
「…うん」
 晶良がコクンとうなずいた。ぼくは顔を下げていき、晶良の左右のまぶたに5秒ずつ口づけをした。
 続いて頬に唇を落とす。唇を少し開き、そこから顔をのぞかせた舌先が少しずつ移動する。
「はっ! はぁぁん」
 すぐそこで聞こえる晶良の喘ぎは熱を帯びている。ぼくの興奮を引き上げる声が発せられた艶やかな唇が、次のターゲットだ。
12318Rの鷹:2005/11/06(日) 20:11:44 ID:r81WDFU0

 晶良の薄い上唇を自分の唇で強弱をつけて挟み、舌先でつつき、そして嘗める。
「んっ! ん〜、はぁぁぅ」
 めくり上げるように舌を使い、上唇の裏側や歯茎を舌で愛撫する。くぐもった晶良の喘ぎが、これはこれで悩ましい。
 上に比べてぽってりと柔らかな下の唇も楽しむ。ただ重ねているだけで気持ちのいい晶良の唇を思う存分味わった。
 チュっと音をたててキスをして、唇は終わりだよと告げる。次は耳だ。
 はぁっと熱い息を吹きかける。
「はっ! …はぁぁぁ…」
 びくっとして目をぎゅっと閉じる晶良。耳たぶに歯を当て甘がみすると、
「ぅうんっ! あんっ! あ…あぁ…」
 思った以上の反応だ。
「あいしてる」
 息で撫でるようにささやく。
「んあっ! あ──っ!」
 もう一度。
「愛してるよ、晶良」
 さん付けはしらける気がして、後で怒られてもいいやと言ってみる。
「あっ…、ふぅ」
 晶良から力が抜け落ちていった。じっと動かない晶良の首筋を唇と舌を駆使して愛撫する。反応がないのは少し寂しいが、晶良の肌を十分に堪能できるのはうれしい。
 右手が晶良を求めている。その求めに応じて、おっぱいに運んでやる。喜々として揉み始めるぼくの右の掌。ぼくの右手の指。弾力あふれる柔肌に指がくい込む感触がたまらない。
 少し乱暴だったか、意識を取り戻した晶良がうめく。
「う…ぅうん、あんっ…、あぁ、も…っと」
「えっ?」
「あぁ、もっと! もっと強くっ!」
 戸惑いながらも晶良の要求を聞き入れ、おっぱいが変形するほど強く揉みしだく。
「あぁ、いいっ! いいのぉっ!」
12418Rの鷹:2005/11/07(月) 20:19:48 ID:uKGkcWVT

 すべすべの肌にじんわりと汗と浮かび、きらきらと輝いている。
 晶良の体を隅々まで味わうぼくの舌は歓喜に打ち震えている。指と掌は弾力に喜び感触を堪能する。
「んあ──っ!」
 ついにぼくの唇が乳首に到達。軽く歯を当てた瞬間、晶良は大きくのけぞり声をあげた。
「あっ…、あっあっあっ、あぁっ、んあ──っ!」
 硬くしこった乳首を包み込むように舌を動かすと敏感に晶良が反応する。強く吸うと感極まったあえぎがこぼれる。その声がぼくに自信をもたらしてくれる。
 無駄な脂肪などいっさいついていないお腹を嘗めまわし、おへそを中心に円を描くようにキスの雨を降らす。
「あふっ、あっあっあっ…あ──っ、あぁんっ」
 ここでぼくは"順番"を変更。体をずり下げ、晶良の足を攻めることにする。
 姫にかしずくようにうやうやしく足首をもち、甲に音をたててキスをする。そのまま唇を押し付けて痕が残るほど吸う。
「あ…、あぁ〜」
 体に感じる快感より気持ちが満足していくのがわかるような晶良の声。
 ぼくの唇と舌は足首からふくらはぎ、膝を経て内腿に到達。ここまでと違った柔らかな感触が官能中枢を大いに刺激する。舌を大きく伸ばしペロペロと嘗めると、晶良の声が大きくなった。
「あぁっ! あ…あぁぁっ! あんっ! あ〜んっ!」
 晶良の両足を大きく広げる。"目的地"はすぐそこだ。でもぼくは焦らない。いや、晶良を焦らす。
 右足も同じように、足首から愛撫する。
「あ〜んっ」
 少しじれったそうな晶良だが、どこをどうしてほしいかを口にはしない。そんな恥じらいがますますぼくを興奮させていく。
 晶良の両足の間に体を割り込ませ、晶良の秘所を下から上へ一気に嘗め上げる。
「ひあっ!」
 晶良の体がのけぞるが、ぼくの両手がくびれたウエストにしっかりくい込み、動きを制限していた。
 あそこにチュっとキスをしてから顔を上げる。
 右手がウエストから外され次の使命を待っている。人差し指を立てて割れ目に押し当てた。
(熱い)
「あ───っ、あぁっ、あ───っ!」
 晶良の声に後押しされて、指が熱い蜜壷に埋没していく。
12518Rの鷹:2005/11/08(火) 20:58:43 ID:B/RZs5bL

(晶良さん、すごく濡れてる)
 中の熱さ、こぼれ出てきそうなほどあふれている愛液に驚く。人指し指はするりと入っていくが、途中で締めつけの強さに気がついた。
 潤滑がよすぎて、そのことがなかなかわからなかったが、指2本を入れることが不可能と思えるほどだった。
(こんな狭いところに、ぼくの、入っちゃうんだ…)
 いまさらながら女体の神秘に感嘆する。
 いやらしい行為に夢中になっている間、晶良はあえぎっぱなしだった。
「んあっ! んあぁっ! あ〜んっ! あんっ! あっ! あ───っ!」
 指に加えて口が攻撃参加する。
 染み出てくる愛液を嘗めとり、クリトリスをチロチロと舌先で撫でていく。
「んくっ! やっ! だめっ! あっ! い…いいっ!」
 別人のような晶良のあえぎが壁に、天井に反響する。
 いますぐ挿入したい気持ちと、前戯をもっと楽しみたい気持ちが葛藤していた。ぼくは怒張しきったムスコに、
(もうちょっと待ってろ)
 と命じ、後者を選択した。
 膣を指でかきまわしながら、左手が晶良の足首をつかみ、体を裏返していく。
「ん…あっ!?」
 予想していなかった行為に晶良が戸惑っている。
「うつ伏せになって。晶良さん」
「えっ!? そ、そん…な…、やぁ、だめぇ」
 指の出し入れの速度を少し速めると、晶良はあっさり陥落した。力が抜け落ちたのがわかった。
「あ〜ん、やぁ」
 丸くてかわいいお尻の間にぼくの指が見え隠れする。晶良の足の間に膝を割り込ませ、さらに左手で太腿の後ろを押していく。動かしやすくなった人指し指にひねりを加え、いままでよりも深く挿入。
「んあっ! あっ! ひっ!」
 晶良は両手でシーツをぎゅっと握り、羞恥と快感に耐えている。
 大人の女のなめらかさはないが、弾けんばかりの肌に目を奪われる。
 指は入れたまま晶良に覆いかぶさるようにのしかかる。首筋から肩にかけて唇でついばみ、舌を這わせ、我慢できずに歯をたてた。
「あぁ〜、あふぅ、あっあっ、あーっ」
 背骨に沿って嘗め下げると、晶良の声が1オクターブ高くなった。
12618Rの鷹:2005/11/09(水) 20:27:29 ID:6CM+u3nm

 晶良のお尻にキスしながら、ぼくはどうしようか迷っていた。
(このまま四つん這いにはなってくれないよね、晶良さん。指を抜かないとお尻を持ち上げられないし…。う〜ん)
 悩んだ末、指を抜くことにする。名残惜しいので、思いきり奥まで挿入して、かきまわすように動かしてから一気に抜いた。
「あっ! はぁぁぁっ」
 残念そうというより、ほっとした感じの晶良の吐息。しかし、ぼくは休む暇など与えない。
「んあっ!? えっ? やだっ、恥ずかしぃぃ」
 晶良のウエストをつかんだ右手に力が込められ、晶良のお腹をシーツから引き剥がし始めた。秘所が丸見えになっていく。晶良は抵抗するが、それを許すことはできない。
 両膝で晶良の足を大きく広げ、左手も動員して一気にお尻を突き出させた。
「やっ! やだってばっ。ばかっ! はずかしぃよぉぉ」
 真っ赤になった晶良の頬をなるべく見ないようにして、ぼくは顔を下げた。
「だっめぇぇっ! だめっ! やぁっ!」
 あそこにキスをして、舌で割れ目をまさぐる。
「あんっ! …や…ぁ…、ひっ! あっ!」
 活発に動く舌がもたらす快感が羞恥を凌駕していく。
 もう一度、人指し指を入れる。あふれ出る愛液に濡れた指の腹でクリトリスを強くこする。
「ひぃ───っ! あっ…あ────っ!」
 入れたかった。熱い秘所に雄々しく猛ったムスコを突き立てたかった。もう我慢の限界だ。
 舌と唇での愛撫を続けながら、ぼくはムスコにスキンを被せていく。
 数秒後、白くて丸くてかわいくて、そして欲情をそそる晶良のお尻を眼下に見すえていた。ムスコに目をやりスキンがちゃんと装着されているかを確認。準備はOKだ。
「あぁ、あぁ、あぁぁ」
 挿入の期待を晶良の息に感じる。左手で晶良のウエストをつかみ、天を衝くように勃起したムスコを右手で握って押し下げ晶良のあそこにあてがう。
「いれるよ、晶良さん」
 言い終らないうちに腰を前ににじり出した。
「はっ…あぁ───っ! あ───っ!」
 亀頭が沈み、ゆるゆると幹が埋まっていった。
12718Rの鷹:2005/11/10(木) 20:48:57 ID:P2K8qAEG

(あ…熱い…、すごく熱い、晶良さんの中)
 1ミリも余さずムスコのすべてを晶良に埋没させた。ぼくは晶良の感触を味わうためにじっと動かなかった。
「あっ、あぁっ、あんっ! あぁっ、あ…あっ」
 ビクビクと脈打つムスコが晶良に声をあげさせる。久しぶりに入った晶良の中に慣れてきたこともあり、
「動くよ」
 と、ぼくは宣言する。返事はない。
 腰を引くと、ムスコが空気に触れる。両手でつかんだウエストを引き寄せると同時に腰を思いきり前に突き出した。
「あ──────っ!」
 晶良の絶叫が響いた。シーツが引っ張られる。
 ぼくは徐々にスピードを上げて晶良を攻めたてていった。ムスコが熱い蜜壺を喜々として往復する。ぐずぐずに濡れていても、押し入れるとき、引いてくるときの抵抗感は格別なものがあった。
「あぁ、いいっ! 晶良さん、いいよっ」
 腰を前後に激しく揺すっていると、あまりの快感に声がもれてしまう。それは晶良も同じだった。
「あっ! あひっ! あっあっあっ…あ───っ! あっ! んあ────っ!」
 指1本だけでもきつきつだったのに、やすやすとムスコを呑み込み受け入れている晶良のあそこ。ぐちゅぐちゅという"悲鳴"をあげさせつつ、ぼくは感動していた。
(おんなって…すごいっ。なんか、うまくいえないけど…すごいっ!)
 どうすれば空気なんか入るんだろう。時折聞こえる
「ぐぼっ、ぐぽぉっ…びぃ、ぶびぃ」
 という音がひどくいやらしい。その音がもれるたびに発せられる晶良の羞恥にあふれたあえぎが、また興奮を引き上げる。ムスコの硬度を引き上げる。
「ぅあぁっ! やっ! やぁっ! …あっ、あんっ、…ぃやっ、あんっ、あ──っ!」
 若さのすべてを直線的な動きにぶつける…が限界はすぐにきた。射精をこらえられなくなったわけではない。息があがっていた。奥の奥まで突き入れ小休止することにした。
「はぁ、はぁ、はぁぁ、はぁーっ、はぁ、はぁぁあ」
 肩で息をする2人。落ち着いたところで、ぼくは前かがみになって晶良の耳元でささやく。
「愛してる。愛してるよ、晶良さん」
「あぁ…、アタシも。アタシもよ」
 振り返ろうとする晶良のほうに顔を寄せ唇を求めた。
12818Rの鷹:2005/11/11(金) 22:22:24 ID:uVlMiySS

 右手でおっぱいをまさぐる。
「ぅうん…、んっ、んあっ、あ〜んっ」
 乳首を人指し指と親指でつまむと、晶良の目がぎゅっと閉じられる。その反応を楽しむが、せっかく絡めた晶良のかわいい舌が引っ込んでしまう。
 唇を離し、腰の動きを再開する。今度は少し腰を回転させるようにして出し入れする。ウエストをつかんでいた左手も離し、左右のおっぱいを揉みしだいた。
「あんっ! あっ、あぁんっ、あんっ、あ〜んっ」
 ほんとうにかわいい声だ、と思う。少しかすれてきているのも艶っぽさを含んで、実にそそる声になっていた。
 体位を変えたいと思った。後背位は好きだけど、晶良の顔を見ながら交わりたかった。
 晶良のおっぱいを解放し、お尻に手を置いてムスコをぐぃーっと引き抜く。
 ビンっと音をたてそうな勢いでこぼれ出てきたムスコは晶良の愛液でてらてらと光り、最大仰角で反り返って自分のお腹にくっつきそうだった。
「あぁんっ」
 背後から晶良をやさしく抱き、ベッドに寝かせる。手を握り指を絡ませ見つめ合う。先に言葉を発したのは晶良。
「愛してるよ」
「ぼくも。晶良さん、好きだ。愛してる」
 満足そうに目を閉じた晶良が再び目を見開いて言う。
「きて」
 晶良の両足の間に入り、両手で体を支える。真上から晶良を見下ろす。その瞳に吸い込まれそうだと思った。
 もぞもぞと腰を動かし、亀頭の先端で晶良の秘裂を探る。すぐにわかった。いったん動きを止め、それからムスコが再び晶良の中に入っていった。
「んっ! …あ…あぁ…、あっ! あぁっ!」
 晶良が顔を横に向け、目を閉じてムスコの侵入に耐えている。晶良の手はぼくの腕をつかみ、完全にムスコが自分の中に収まったのち、ぼくの首にまわされた。
 晶良の手がぼくを引き寄せていく。ぼくたちの体は密着し、おたがいの体温と鼓動を共有した。
「あぁぁ、好き。アンタ…だいすきっ!」
 くっついた頬と頬。晶良の喜びの声が振動とともに伝わる。
「愛してる。愛してる。愛してる。愛してるよ、晶良さん」
 それ以外に何を言えばいいのだろう。ぼくの頭にはその言葉しか浮かばない。
12918Rの鷹:2005/11/12(土) 20:20:48 ID:eA94nabF

 シーツにつま先立ちする感じで、ムスコを晶良の秘所に送り込み、そして引いてくる。浅く浅く、そして一気に深く、を繰り返す。奥まで突き入れると、晶良の腕がぼくの首をきつく絞めた。
「あっ、はっ、あんっ! はっ、はぁっ、あ〜んっ! んっ、んあっ、あ──っ!」
 晶良の腕をほどき真横に広げてシーツに押しつける。上体を起こして晶良の顔に見入った。
(かわいい。ほんとにかわいい。離したくない。離さないっ)
 ストロークが大きくなっていく。浅くでは我慢できなくなっていた。大きく腰を前に出し、欲望のすべてを晶良の股間にぶつけた。
「あ──っ、あ──っ、あ──っ」
 晶良のあえぎが単調になってきたのを察知し、ぼくはより深い挿入を求めて晶良の足を持ち上げるように広げていった。
 少し晶良のお尻が浮き上がるところで固定し、激しい前後運動を再開。下を向くと結合部が見えた。
 晶良の肉色のあそこにヌラヌラと光るムスコが出たり入ったりしている。
 全体重をかけて息子を押しつけ、ねじ込むように腰を動かす。
「んぐぅっ、あひっ、あ──っ、んあ──っ!」
 顔をのけぞらせ悲鳴にも似た声をあげ続ける晶良。左右の手はなにかつかむものを探してシーツの上を滑っている。
 晶良の足を両肩にかつぐ。
 ぬちゅっ、にちゃっ、ぐちゅっ…。晶良のあそこがいやらしい音を奏でる。どんどん興奮していくのがわかった。
 ぱん、ぱん、ぱんという音がリズミカルに壁や天井に反響する。
「ひっ、ひあっ、んあっ、あぐっ、んっ! んあっ! ひぃっ!」
 千変万化する晶良のあえぎもなまめかしい。
 いくらコンドームをしていて感覚が鈍化しているといっても、久しぶりに味わう晶良とのセックスは強烈な刺激だ。
 もう体位を変えようという気にはならない。最後のときに向けて、ぼくはよりいっそうのスピードアップを腰に、ムスコに命じた。
 体を起こしてのピストン運動はムスコに角度がついて痛いほどだ。晶良の足を離し、上体を下げて体を密着させた。
「あぁ…、はぁ…、はぁぁ…、はぅ…、あ…あぁ…」
 晶良の顔を間近に見ながら、息が落ち着くのを待つ。
13018Rの鷹:2005/11/13(日) 20:43:53 ID:FPzvfuQ2

「あっ、ぅんっ、ぁんっ、い…ぃいっ、はぁっ、あっ!」
 晶良の息が荒くなくなったのを見てとり、ぼくはゆっくりと腰を動かす。晶良がぼくの背中に腕をまわしてくる。
「ね…ぇ…、あっ…、あっあっあっ…、キ…キス…、あっ、し…て…」
 声を出し続けたせいだろう、晶良の唇は乾いてた。外がカサカサで中は柔らか。シュークリームが食べたいな、と思った。
 動かなくてもムスコには快感が与えられている。晶良の中にいるだけで満足だった。でも、だからといって、射精までいかないわけでは、もちろんない。
(あぁ…出したい。晶良さんの中で…中であってそうではないけれど…。出したい)
 そっと唇を離し、ぼくは晶良の目を見つめた。晶良はぼくがどうしたいのかを察してコクンとうなずいてくれた。
 両肘で体重を支え、ムスコの出し入れを再開する。最初は小さくゆっくりと。
「はっ! あっ、いいっ! んっ…、んあっ!」
 かわいい顔が快楽にゆがみ、かわいい唇からあられもないあえぎ声が吐き出されていく。
 腰の動きは大きく速くなっていく。抜け落ちそうなところまで引き、突き破らんばかりに奥まで侵入する。ムスコが、亀頭が快感に打ち震えだしているのが自覚できた。
「んあっ! んあぁっ! あぁ───っ!」
 晶良の絶叫が頭をくらくらさせる。背中にくい込む晶良の爪の痛みが、少しだけ射精の時間を遅らせた。しかし、それもつかの間、反り返るような2次曲線を描いて快感は限界を突破した。
「あっ! いくっ! いくよっ」
「んあ────っ! あ────────っ!」
「いくっ! 晶良っ! あきらぁぁあっ!」
「──────────っ!」
 深く深く挿入したまま、ぼくは何度も射精した。
 真っ白な世界が広がっていく。
 目を閉じて晶良の肩のあたりに頭を落とした。
「はぁはぁはぁ、はぁ、はぁぁ、…はぁ、…はぁぁぁ、ふぅ、はぁ」
「ん…」
 晶良は気を失ってしまっていた。息が普通に戻って、ぼくはやけに重く感じる頭を持ち上げ、眠っているような晶良の顔をずっと見つめていた。
131名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 00:05:50 ID:jYfUk0v3
昴たんハァハァ
132名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 09:25:55 ID:rYJcpRZT
コンドームつけてる時点で萎えた
13318Rの鷹:2005/11/14(月) 21:10:46 ID:YhznFsaL
>>130の続き

「ビーっ」
 無粋な音色のブザーが鳴り明かりが落とされた。
 心地よい疲労感と満足感に浸りながら、シネマコンプレックスのシートに座っていた。隣の席に目をやると、瞳を輝かしてスクリーンに見入っている晶良がいる。
 時間ぎりぎり、ダッシュで駆け込んだため、ほっとする間もなく上映時間となった。それでも手にはコーラとポップコーン。やっぱり映画にはこれよね、と晶良に言われ大慌てで買った。
 あとで晶良と話すときに困らない程度に映画を鑑賞。あらすじと手に汗握るポイント、笑うトコはしっかり押さえて、ぼくは考えをめぐらせていた。
(さっき、なんでレイチェルはあんなに怒っていたんだろう?)
 答えは浮かばない。いや、答えの選択肢すら思いつかなかった。もう一度、レイチェルの言葉を思いだす。
(せぇっかくオトコにしてやったちゅーのに、なんっつぅなっさけないツラしとんのや…だったよね)
 レイチェルには感謝していた。初めてが彼女でよかったとすら思えた。未熟な自分をやさしく導いて男にしてくれた。自信を与えてくれた。
 はっとした。
(…じ、しん? 自信? …そうか!)
 正解かどうかはわからない。でも、トンネルの先に光が見えた、気がした。
 恋人との別れに怯え、現状を守ることばかり考えていた。それは、けっして好ましい結果を生みだしはしないのに。
(そおか! …でも…)
 ふたたび答えの出ない悩みに包まれる。
 人の感情はもともとネガティブにできている、という。そのほうが生存に有利だから、だ。ポジティブに考えようとするといつも裏切られる、からだ。
 だから、こう考える。考えてしまう。
(ぼく…、自信なんか、ないよ)
 考えれば考えるほど深みにはまっていった。なんで晶良が自分の恋人でいてくれているのか、それこそが疑問だ。
──疑問ではない。それこそが答えなのだった。自分と晶良が恋人であること。これで十分なのに。
(晶良さんはかわいくて、素敵で、チャーミングで、気持ちよくて…。ぼくには、もったいないよね)
 映画のクライマックスシーンはうわの空になってしまった。
134名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 22:08:41 ID:LdS3/slm
>>18Rの鷹氏
SSはワード等でまとめてから投降汁
135名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 22:42:59 ID:iKWcxEmx
既にtxt等で保存してて小出ししてるんジャマイカ?
漏れ的にはこれが好きだが
鷹氏いつも乙です
136名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 23:01:14 ID:LdS3/slm
>>135いや、好きとかじゃなくて
他の職人がSS投稿しづらいだろ?今は居ないが
137名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 23:37:39 ID:1T9FJz7K
>136
今は居ないなら、イインジャネ?
138名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 01:16:53 ID:OYjlv3e8
>>137こう連続で日ごとにSS投下されたら雑談もしにくくないか?
このスレのほとんどがSSとその感想だろ
もっと雑談もしやすい雰囲気が欲しいというか
139名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 01:17:42 ID:Km4OL/hH
>>138
ちゃん半年ROMった?
140名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 03:23:49 ID:ZYBlc2w4
つったって、GUネタで語れるほどでもないしなあ。
141名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 03:34:46 ID:K2UqMNPw
完結ももうすぐっぽいし、もう少し辛抱しようや。
142名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 04:49:24 ID:vDPr8sIm
鷹氏の小説を夜、布団の中で携帯から読むのが日課になってるのは俺だけ?
143名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 17:40:20 ID:bMh2eCc+
>>139
横から口出しスマンが他のスレではこういうやり方すると
「まとめて投下汁」って言われて叩かれることが多いぞ。
まぁこんな過疎スレなら構わんと思うがな。
144名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 20:04:07 ID:GQrJ95Az
読みに来てる人は結構いると思うけど
ま、このスレではこれが普通ってコトで
14518Rの鷹:2005/11/15(火) 23:49:03 ID:7wp9K2sf
>>133の続き

 クリスマス・イヴのディナー。高層ビルのレストランで夜景を見ながら『君の瞳に乾杯』なんて、高校生の身ではできるはずもない。といって、そこらのラーメン屋では味気なさすぎだ。
 ぼくたちは順番待ちの列に30分並んで洋食レストランに入った。ぼくはハンバーグステーキのディナーセットとカルボナーラ・スパゲティを、晶良はオムライスのセットを食べた。
 食後のコーヒーを飲んでいると、頬杖をついた晶良が話しかけてくる。
「ことしはいろいろあったなぁ」
「そーだね」
「去年はアンタが受験で、デートどころじゃなかったもんね」
「うん。あっ、晶良さん、受験勉強は?」
 その話には触れるな、そう言われると予測する。が、
「自分なりにね、しっかりやってるから、きっと大丈夫だと思う。人知は尽くしたから、あとは天命を待つわ」
 表情に自信がにじんでいる。
「さすが。やっぱり晶良さんはすごいや」
「へへへ。まっかせなさ〜い、って言いたいところだけど、ほんとはね…」
 晶良は紅茶を口に運んでから、つぶやくように言った。
「自信なんてない、よ。でもね、自分を信じなければ、ほかに頼れるものなんてないでしょ」
 それはそうだと思うが、自分には決定的に自信が欠けていた。
 思えば、ザ・ワールドで"黄昏"の謎を追っていたときも自信なんてなかった。ただ、とりあえずいいと思えることからやっていただけだ。そうすることでしか前に進めなかったから。
 結果として、すべてがうまくいった。解決の決め手となったのは腕輪だった。
 その腕輪は最終局面を前に、クビアという強敵と引き換えにして失われた。それでも最後の敵、コルベニクを倒すことができた。
 腕輪に代わるものがあったかと問われれば、否と答えるしかない。しかし、腕輪がなくなったからといって、あきらめるわけにはいかなかった。やるしかなかった。
 あきらめない気持ち。前向きな気持ち。失敗を恐れない気持ち。それがいかに大事か、思い知ったはずだった。
 いま、再び腕輪を失って、ぼくはうろたえていた。
 目の前にいる晶良は微笑んでいるというのに、ぼくの心はネガティブな影に支配されようとしていた。そのとき、晶良がぼくの目を射抜くように見つめていった。
146名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 01:52:41 ID:DTmh54xU
珍しくレスが多いと思ったら…

>>142
俺もだ
寝る前に布団の中でこのスレをチェックするのが日課
1471ファン:2005/11/16(水) 05:30:24 ID:gAWvkM6a
>>145
鷹氏
添付ミスですよ
続き待ってます
>>143
少しづつ読むのもまたオツなもの
14818Rの鷹:2005/11/16(水) 20:28:57 ID:Q4cOM8YL
>>145の続き

「アタシさ、笑ってるアンタが好き。アンタの笑顔を見てると、なんか安心するんだ。だから──」
 いまのぼくにできるのは引きつったつくり笑いが精いっぱいだ。
「もっと自信を持ってほしい」
 悩みの核心をずばりと突かれ、ぼくはテーブルのコーヒーカップに目を落とした。そこに答えはなかった。当たり前だが…。
「そりゃぁさ、自信過剰なのはダメだけど。頼りないのはもっといやだな」
「うん…」
(わかってるよっ、わっかってる…けど)
 晶良に授かった自信は、その晶良の存在の大きさゆえに揺らいでいた。
「アンタ…」
 晶良の声に影がさした。
「アンタ、なんか変だよ。ん〜、こないだのウチの高校の文化祭のときから」
 心当たりは、大ありだった。なつめとの密会を目撃した翔子に脅され、言われるままに関係を持ってしまった。そして腕輪の喪失──。
 晶良という恋人がいる。そのことからくる自信が呼び込んだ悪夢だった。
 自信を持つことで悪い結果を生んでしまったいま、再びぼくに自信は戻るのだろうか。
 恐る恐る顔を上げ、晶良を見た。そこにはいつものやさしい晶良がいた。しかし、期待とはうらはらに晶良の言葉は冷たいものだった。
「だぁーかぁらっ。そんな捨てられた子犬みたいな目で見るなっつーのっ!」
「ご、ごめん」
 うろたえるぼくを突き放すように晶良は言う。
「アタシはね。我慢するのやめたの。そんだけ」
「晶良さん…」
 ぼくはどうしたらいいんだろう?
「ねぇ。アタシたちって恋人同士、だよね? アタシ、思ったんだ。なんでも言い合えるのが恋人同士なんだなって。うん。文和と千春ちゃんを見てたら、そー思った」
「ぼくは…。…そーだね。ぼく、言いたいことがあっても我慢してた…かも」
「ん〜? なに、アンタ。アタシに対してなにか我慢してるってぇのぉ!?」
「げっ…。い、いや、べ、べつに、その…」
 じたばたするぼくを見て、晶良はとてもおかしそうだ。
14918Rの鷹:2005/11/17(木) 21:48:39 ID:eUCte1s9

「あ〜ぁ、せめてあのときの半分でも自分に素直になればいいのに…」
「えっ!? 晶良さん、いま、なんて? あのとき、って?」
 口を滑らせた晶良が我に返って頬を染める。
(ま、まさか、セックスのときって意味なんだろうか?)
「アタシってば…。い、いくら恋人同士だって、言っていいこととそーでないことってあるよね」
 まして人前では、そのとおり。目だけ動かして周囲をうかがっていた晶良だが、だれにも聞かれた様子はなく、ほっと息をついた。
(やっぱり。…でも、セックスしてるときは自分に素直、ってゆーか、なんの迷いもためらいもない…気がするなぁ、ぼくって)
 晶良の言うとおりだと思ったら、もやもやが晴れていく気がした。いろいろなことを経験して、成長したのはセックスだけ。中身は子供のままだ。だが、いまはその事実を受け入れられる。
(まだ高校1年生だもんね、ぼく。そんなにすぐに大人になれるわけない。ゆっくりと歩いていこう。そう、晶良さんと)
 晶良の失言のおかげで(あとで、あれはぼくがあまりにも暗かったからワザと言ったのっ! と強調されたが…)、ぼくは暗黒のネガティブ・ゾーンから脱けだせた。
「ありがとう」
「なにがよ?」
「いろいろ」
「そお」
 これからも自信たっぷりというわけにはいかないだろう。普通にしていられること、それが大事なのではないかと考えた。
「やっと、アンタらしい目に戻ったね」
 晶良がうれしそうに言う。
「晶良さん。これからもよろしく」
「急にどうしたの、あらたまっちゃって。ふふふ。うん。こちらこそ、よろしくね」
 ほんとうにうれしそうな晶良の笑顔。これまでしてきたことを悔いつつ、自分の胸の奥底に死ぬまでしまっておこうと決意した。
「ほかに好きな人ができたのかって思ってた」
 晶良が真顔になって言う。
「そんなこと! あるわけないよ。ぼくには晶良さんしか見えないよ」
「こらっ、声、大きいって」
 今度は何人かがこちらを見てくすくす笑っている。ぼくたちは真っ赤になった顔を下に向けて、そそくさと席を立った。
15018Rの鷹:2005/11/18(金) 20:08:01 ID:ExzQ46wR

 外はもう真っ暗、いや街並を彩るイルミネーションがまぶしいほどの存在感を放つようになっていた。空気は冷たかったが、つないだ手から伝わる晶良の体温が心まで温めてくれるかのようだ。
「立ち直りが早いのって、アンタのいーところ、だね」
「えっ、そんなことないよ。ぼくって結構引きずるほうだよ」
「ふぅ〜ん。そうは見えないけど、アタシに気ぃ使ってたりする?」
「う〜ん。まぁね。晶良さんに心配かけたくないし」
 どこに向かうでもなく夜の街を歩いていた。ずっと晶良と一緒にいたかった。その気持ちは晶良も同じだと思えた。
「あんまり無理しないよーにね。アタシってば、いっつもだれかの心配してるみたいだしぃ」
 冗談めかして言ってくる晶良の心づかいが身に染みる。
「ありがとう。晶良さんにはほんとに感謝してる」
「あっ、だめだめ、シリアスは。ねっ、ずっと笑っていて」
「それじゃあ、変な人みたいじゃん(笑)」
 やっと軽口をたたけるようになった。晶良もうれしそうだ。
「ねっ、何に悩んでたかは聞かないけど…。さっきは、なんで立ち直れたの?」
 不安を隠すように、わざと明るく聞いてくる晶良。ぼくは前を向いて答える。
「晶良さんのおかげ、だよ」
「もぉ。はぐらかさないで。ちゃんと答えて」
 今回はごまかせそうにない。照れくさくて答えにくいんだけど…。
「自信…」
「そっかっ。自信、持てたんだ、自分に」
「いや…」
「えっ!? 違うの?」
 晶良の手に力が込められる。受験勉強漬けでテニスラケットはしばらく握ってないはずなのに、ぼくの指が軋んだ。痛みをこらえて話す。
「まあ。自信は…あんまり持てそうにない、かな」
「ふぅ〜ん。ま、しょーがないか。そこがアンタのいいとこ、かもね」
 晶良のほうに顔を向ける。満面の笑顔が迎えてくれる。ぼくは歩みを止め、冷えた空気を胸いっぱいに吸い込んで、晶良に向き直った。そして答える。
「わかったんだ。何かを見たくなければ、目を開けばいいって──」
15118Rの鷹:2005/11/19(土) 20:11:27 ID:iW3LQ7DL

「意思の力で、ただ意思の力だけで、ぼくは自分を押さえつけようとしてたんだ。でも、それは、怖くてしようがなくて、不安でしようがなくて、寂しくてしようがないからだったんだ…」
 言葉が震えながらこぼれ出てくる。自分の弱さを恋人に見せるのはつらかった。でも、晶良なら、きっと受け止めてくれると信じてもいた。
「アタシは、ここにいる」
 ぼくの目をしっかり見すえて晶良が言いきった。やさしい眼差しながら力強さがあった。
「うん」
「だから、ね。これからも一緒に歩いていこ、ずっと」
 うれしかった。涙がこぼれそうになり慌てて上を向いた。
「あっ、あれ…」
 かすんだ視界に光の波が飛び込んできた。
「ん〜、なに?」
 ぼくの視線を追って晶良も顔を上げた。
「わぁ…」
 いくつもの超高層ビルに『クリスマスツリー』が浮かび上がっていた。光のページェントだ。
 そして、雪が舞い降りてきた。
「ホワイトクリスマス! すてき」
「メリークリスマス、晶良さん」
 心はじんわりと温まっていく。でも、雪が舞うだけに寒さが染みてきた。
「う〜、さむ。ねぇ、晶良さん。あったかいもの、飲まない?」
「アタシ、ココアがいいなぁ」
 角にあった自動販売機が目に入り、ぼくたちはそこで缶のココアを買って飲んだ。一口飲んだところで晶良が、
「あ、そーだ。出がけにこれ届いたんだけど、アンタのところにもきた?」
 思いだしたように聞いてくる。
「なに?」
 晶良がバッグから封筒をひっぱり出す。のぞき込むと『東京プリンセス・ホテル』のマークとロゴの入った封筒が目に入った。
「なにが入ってるの?」
 そう聞くぼくに晶良は、
「まだ開けてないんだ。ちょっと待って」
 言うなりビリビリと封筒を破って中のものを取り出した。
15218Rの鷹:2005/11/21(月) 00:09:35 ID:s0RgrOgO

 まず出てきたのは1枚のCDだった。それから定形サイズの封筒が1通。その中には便箋にしたためられたお礼状と、さらに小さい封筒が入っていた。
「ん〜。なになに。…えっと」

──速水晶良様
そのせつはお世話になりました。
おかげで弊社のブライダル・コーナーは大変な好評をたまわっております。
(正直、ビックリするほどの人気です!)
あのとき、撮影させていただいたときに頼まれました写真データ、そして作品をお送りさせていただきます。時間がかかりましたことをお詫びします。でも、そのぶん腕によりをかけました。
きっと、ご満足いただける仕上がりになっていると自負しております。
なお、同封させていただいたのは、弊社のささやかな御礼です。
ご笑納いただければ幸いです。
(待ってるからね!)

 CDはいま、ここで見られない。でも、ぼくには思いだしたくない記憶として、東京プリンセス・ホテルのポスターがあった。
「待ってるからね! って…どーゆう意味だろう…」
 晶良は便箋をじっとにらみつけ考え込んでいる。
「ねぇ、晶良さん。小さい封筒にはなにが入ってるの?」
「ん〜。ちょっと待ってて」
 閉じられていなかった封筒を開けて晶良が取り出したのは、
「ん…っと。『結婚式披露宴(60名様)半額券』だって…」
「えーっ。それって、いくらになるんだろう」
「わかんない。けど、かなり高額よね」
「そーだね。あっ、それじゃあ、待ってるから、って、ぼくたちのこと?」
 晶良が驚いたように顔を上げる。
「これ、アタシの名前が入ってる。ほら、ここ。『速水晶良』って…」
「ほんとだ。金券ショップとかにはもっていけないね」
「んなこたぁしないけど。それより、これと同じもの、きっとあんたのところにもきてると思うんだ」
 はっとする。
「じゃあ、もし、将来ぼくと晶良さんが結婚したら、披露宴はタダでできちゃうってこと?」
「わぁ〜っ」
 晶良は目をきらきらと輝かせている。
15318Rの鷹:2005/11/21(月) 21:38:13 ID:ZF6JPt8g

 結婚なんて考えたこともない。ずっと先のことだとしか思えない。それが、いきなり現実的なものとなって飛び込んできたのだ。こんなサプライズはこれまで経験したことがなかった。
 ボー然としていたぼくの横で、うつむいた晶良のつぶやきが聞こえた。
「…待ってる。アタシも待ってる」
「えっ!?」
「なるべく早くね」
「う、ん」
 照れくさい。結婚は意識したけれど、それが現実のものとなるのはまだまだずーっと先の話だ。法律的には最低でもあと2年は待たなければならない。
 照れ隠しに口を滑らせる。
「でもさ、この半額券、別々に使ってもいいんだよね?」
 晶良がぼくよりいいひとを見つけたとき、そうなるだろうという悲観的な考えを言ったつもりだった。ところが、
「なに言ってんのっ。アンタ。アタシ以外の女とこの半額券、使うつもりぃ?」
 あまりの剣幕にたじろぐ。
「い、いや、そんなつもりはこれっぽっちもないけど…」
「けど? けど、なによぉ」
 目が釣り上がっている。怖い。
「ぼくよりいい男はいっぱいいるし。ぼくじゃ晶良さんにふさわしく」
 ない、は言えなかった。晶良がぼくの言葉を制して言う。
「アタシにはアンタが一番いい男なのっ。それがわからないから情けなくなるんだってば」
 うれしかった。自分で思い悩んでいたのでは絶対に出ない答えが思いがけなく得られたのだ。
「うん。ありがとー」
「それにね。ふさわしくないって思ってんなら、ふさわしい男になってよね」
 晶良も照れくさくなったのだろう、プイと横を向いてしまう。
「ごめん。ぼく、頑張る」
 ちらちらと横目でぼくの様子をうかがっていた晶良は、頑張るという言葉にようやく満足したようで、
「ん。しっかりしてくんなきゃだめだぞ。世界の勇者さん」
「もう勇者じゃないよ。でも、もし勇者になれるとしたら、晶良さんだけの勇者になるよ」
 じっとぼくを見つめていた晶良になにか言われるかと思ったが、晶良はくるりと背を向け、
「いこっ!」
 と言って、ぼくの手をとって歩きだした。
15418Rの鷹:2005/11/22(火) 21:29:14 ID:Gl8+zhLB

「早くCD、見たいなぁ」
 スキップでもしそうなほど明るい晶良。
「晶良さんのウエディングドレス姿、きれいだったぁ」
 目を閉じて思いだす。
「なんか、恥ずかしくなってきたぁ。アンタは見ちゃだめっ」
「えーっ!? ひどいぃ。ぼくだって見たいよ。でも、自分の写真は照れくさいなぁ」
 駅へ向かってふわふわと歩いていたぼくたちは、
「ちゅいっすっ!」
 という大きな声に思わず足を止めた。
 さっきも見たストリート・ライヴがいままた始まろうとしていた。雪が舞うなか、先ほどよりも露出度を大幅アップしたサンタクロース姿のレイチェルが、少ないギャラリーに笑顔を振りまいていた。
「少し…見ていっても、いいかなぁ?」
 晶良は早く帰りたそうだったが、すぐに笑顔でぼくの手をとってほとんど最前列にまで進んだ。
「この先、すっごく有名になったりして」
 晶良は片目をつぶって話しかけてきた。
「ははは」
 乾いた笑いがぼくの口からこぼれる。そのとき、ステージに足を引きずった相方が登場。先ほどくらったレイチェルの上段まわし蹴りのダメージが残っているのは明らかだ。
「ちぃ〜すっ」
 という掛け声も全然ハリがない。ボケ役のはずのレイチェルがつっこむ。
「どないしたんや?」
「お、おう。いや実はな、知的なしゃべくり漫才がウリのオレに向かってドツキ漫才を仕掛けた女がいてな…」
「ほぉ〜。さよか」
 うまくボケてるじゃないか、と思ったそのとき。レイチェルと目が合った。
「…なんや。ずいぶんいい顔になったやないか」
 ニッコリと笑んで話すレイチェル。
「いい顔って…、あのなぁ。オマエの蹴りのせいで男前が台無しじゃ」
 話がうまくつながっている。レイチェルはぼくと手をつないでいる晶良に一瞥をくれ、
「やっぱり相方がいいと、男はしっかりするもんやねぇ」
 自分で言って自分でうんうんと納得している。
15518Rの鷹:2005/11/23(水) 19:13:41 ID:bGG4jDSG

 きっと、いつもとペースが違うからなのだろう、相方が戸惑っているのがよくわかった。とはいえ、そんなことがわかるのはぼくひとり。少ない観衆は…ウケていた!
「ったりまえだろっ! オマエがうまくボケられんから、オレが身を挺してだな、ドツかれてやったんだってば。…ほんとに、わかっとるんかい」
 一度つかんだウケの波を離すまいと相方がさらなるツッコミをブチかましていく。
 レイチェルは、というと──。
「パートナーちゅうのは運命のひとや。せいぜい大事にせな、あかんよ」
 お構いなしだ。
(ありがとー、レイチェル。ぼくと晶良さんを祝福してくれてるんだね)
 主導権を奪われたままの相方は開き直ったようにバク転を決め、ファイティングポーズをとった。
「っしゃあぁぁ。そんなら最後まで付き合ってやろーじゃないかっ。ドツキ漫才のスタートだっ!」
 さらに盛り上がるギャラリー。笑い声につられた人が足を止め、観客の輪はかなり大きくなっていた。どんな展開になるのか、ドキドキしてきた。ところが、
「あかんっ。あかんのや」
 踏み込んだ相方がずっこける。観客はまた爆笑。
「な、な、な、なんでだぁぁぁ」
 そっと右手を自分のお腹にあてたレイチェルは、その手に視線を落としてつぶやいた。
「赤ちゃんが、おるんや」
「えぇっ? え────っ!」
 驚いて変なポーズをとる相方。予想し得ない展開に観客もどよめいている。
「オ、オ、オレの…、オレの子供か?」
 相方は漫才そっちのけでレイチェルに問いかける。それを聞いたレイチェルが怒声を響かせ、回し蹴りを放った。
「どアホーっ! ったりまえやろぉ。アンタの子ぉや!」
 不意を衝かれたわりには見事な十文字受けで蹴りを受け止めた相方が、上ずった声でさらに質問を浴びせる。
「オ、オ、オマエ。だって、春先にコーコーセーを食った、とかって自慢してたじゃないかぁぁぁ」
「だからアンタはアホやっちゅーねん。あたしが浮気で妊娠するなんてヘマするわけないやろっ。それになぁ…、春にヤって妊娠しとったら、いまごろはこーやろぉ」
 お腹のところで大きな山を撫でるように手を動かしたレイチェルが、
「ハっ!」
 気合一閃。いきなり踵落としを繰り出した。クリーンヒット。
「ぐえっ」
 カエルが踏み潰されたようなうめきをもらし相方は崩れ落ちた。
15618Rの鷹:2005/11/26(土) 01:08:48 ID:PVoMgh8y

 観客たちは笑っていいのか戸惑っている。それは晶良もぼくも同じだった。
(これって…、もう漫才じゃなくなってるよね。どーなっちゃうんだろー?)
 レイチェルは相方を抱き起こし、背中に膝を立てて活を入れた。
「うぐぅ」
 うめくようにして息を吹き返した相方がのろのろと立ち上がるのを待って、レイチェルが静かに告げた。
「アンタの子ぉや。…な。納得したら、言うこと、あるやろ」
「あぁ」
 姿勢を正した相方がレイチェルの両肩に手を置き、まっすぐに目を見つめて言った。
「愛してるぜ。これから、オレたちは夫婦ドツキ漫才で再出発だ。なぁ、け、け、結婚…しよう!」
 とんでもないオチだと思った。あっ気にとられていた観客のなかから、ぽつりぽつりと拍手が鳴りだし、それはすぐに耳が痛くなるほど大きくなった。
「いいぞぉーっ!」
 この寒さのなかで、なぜかアロハシャツを着たオジさんが両手を口にあてて声援を送っている。それにつられてまた万雷の拍手が鳴り響いた。
「よぉ…言うてくれた…なぁ。あたし、うれしいわ」
 相方はレイチェルの肩を抱き寄せ、ぼくらの頭上の遥か先を指差し、言いきった。
「さあ! オレたちの新居に行こうな」
「あんたぁ」
 目から星を飛ばすレイチェル。彼女にちらりと視線を送り相方が決めゼリフを放つ。
「あの先の公園の、ダンボールハウ…ぐぇっ!」
 レイチェルの肘打ちが相方の水月の急所をとらえていた。前のめりに倒れた相方の頭のまわりを星と月が回っていた。
「お亡くなりや…。ほんまに、しょーもない。こりゃ苦労しそうやわぁ。ふぅ」
 レイチェルは肩に相方をかついで舞台のソデに下がっていった。ぼくも晶良も、それに観客たちも、あっけにとられていた。
「終わったんだよね、これ。ね、いこっか?」
 晶良に袖を引っ張られ、
「あ、うん。そーだね」
 ぼくたちは駅に向かって歩きだした。
15718Rの鷹:2005/11/26(土) 21:36:19 ID:k+D8UnIt

 しばらく歩くと、道の端にアクセサリーを売っている露店が見えた。
(あそこって、前に千春にペンダントを買ってあげた…)
「ちょっと見ていこうか?」
 ぼくの提案に晶良は素直に同意した。
「アクセって、あんまり興味なかったな〜」
「なかった、ってことは、いまはあるの、興味?」
「うん。ちょっと気になりだしたかな。でも、受験勉強の"代償行為"なのかな」
 はにかむ晶良がかわいい。
(なんにしても、晶良さんがきれいになるのは、ぼくもうれしいよ)
 これから化粧を覚え、おしゃれになって、どんどん美しくなっていくであろう恋人を想う。
「指輪かぁ」
 晶良のつぶやきで現実に引き戻される。慌てて指輪が並べられている台に視線を移動した。
 ある指輪に釘付けになった。手を伸ばしてその指輪を取り、目の前にもってきて凝視する。
「似てる…」
「ん〜。なになに。なにに似てるって?」
 晶良が真剣に指輪に見入るぼくを不思議そうに見ながら聞いてくる。
「腕輪…。ザ・ワールドの腕輪のデザインによく似てるんだ、これ」
 晶良に指輪を手渡す。晶良は目の高さに指輪をもっていってじっと見て言った。
「へぇ、そーなんだぁ。光ってたりしてたんでカイトの腕にあるのはわかったけど、アタシたちには見ることができなかったんだよね、腕輪。ふ〜ん。こーゆーのだったんだぁ」
 きらきら輝く晶良の瞳を見て、ぼくは決めた。
「どうかな? これをクリスマスプレゼントにしたいんだけど。だめかな」
「だめなんてことない。アタシもこれがいい」
 店のお兄さんが怪しい日本語でサイズはOKか? と聞いてくる。すると、晶良が左手をぼくに突きつけた。
「え…っと。どの指に?」
「決まってるでしょ」
 戸惑うぼくに、じれったそうに言う晶良。困る。
(と、言われても…)
 晶良は無言で薬指を動かし、たまにする命令口調で言った。
「この指!」
 ぼくだって知ってる。女性が左手の薬指にする指輪の意味。
15818Rの鷹:2005/11/27(日) 22:04:53 ID:so8c/khJ

 店のお兄さんが突然歌いだす。
「パパパパ〜ン、パパパパ〜ン、パパパパ〜ン、パ〜ン、パーパ、パパ〜パパッ、パンパ〜パ、パ、パッ」
 結婚行進曲だ。ぼくと晶良は同時にお兄さんをにらみつけた。顔から火が出そうだ。お兄さんは知らんぷりをして結婚行進曲の続きを口笛で吹きながら背中を向けてしまった。
 指輪に視線を戻した晶良がはっきりと言う。
「アタシ…、これ、ほしい!」
「うん。わかった。あのぉ、これ、ください」
 お兄さんは顔中で笑い、サンキューを連発して金額をぼくに告げた。それから、指輪に2人の名前を入れるか? と聞いてくる。
「あ、お願いします」
 と晶良。お兄さんは紙切れをぼくに渡し2人の名前を書かせた。それから慣れた手つきで指輪の裏側にアルファベットで2人の名前を刻んだ。
 指輪をお兄さんから受け取った晶良は大事そうにバッグの奥にしまい、
「あのぉ。これと同じものをもう一つ、ほしいんですが…。ありますか?」
 さらなる売り上げに満面笑みのお兄さん。ちょっと待てとポーズで晶良に伝え、後ろに置いていたバッグから同じデザインの指輪を取り出した。
 晶良は、サイズOK? という質問に首を振り、
「これはペンダントにしてほしいんですが、できますか?」
 とリクエストする。晶良の希望を理解したお兄さんは右手の親指を突き立て、胸をドンとたたいて指輪をペンダントに改造する作業にかかった。
 3分もかからずに細かいチェーンがつけられた。しかも2人の名前も入っている。晶良はお金を払ってペンダントを受け取ると、ぼくを促してお店から離れた。
 駅のすぐそばまで無言で歩いていた晶良が急に立ち止まる。とうせんぼするようにぼくの正面に立ち、かったばかりのペンダントを差し出す。
「はい。アタシからのクリスマスプレゼント」
「ありがとう、晶良さん。すっごくうれしいよ」
「アウラがくれた腕輪には負けるけどね」
「そんなことないよ」
「いつもつけてなくてもいいから。でも、あたしと会うときは絶対つけること」
「うん。わかった」
 ペンダントを首にかける。晶良はニッコリと笑み、
「似合ってるよ」
 と、はにかんだ声で言ってくれた。
15918Rの鷹:2005/11/28(月) 20:18:50 ID:oZ1wrLm/

 あの腕輪にそっくりの、いまはペンダントトップになった指輪を見ながら、ぼくは思う。
 ぼくにとって腕輪は、子供から大人への通過儀礼だったのだ、と。
 そして、ぼくは指輪に誓う。
(いつかきっと晶良さんにふさわしい男になってプロポーズするんだ)
 雪はいつの間にか降るのをやめていた。そのぶん空気は冷たくなったようだったが、不思議と寒さは感じない。むしろ心の底から温かさが湧き上がってくるようだ。
 ふと視線を感じて顔を上げる。晶良がじっとぼくのことを見つめていた。
「あ、ごめん。ちょっと考えごと、してた」
「うん」
 なにも聞かず、ただ微笑んでいる晶良。少し間を置いて、いかにも照れくさそうに消え入りそうな声でつぶやく。
「あのね。もう一つ、プレゼントあるんだ」
「え、なに、かな?」
 それは、一生続くプレゼント。
「アタシのことね、これからは、さん付けしなくていいよ。晶良って…呼んでいいよ」
 うれしくって、ドキドキして、すぐに反応できなかった。目を閉じて深呼吸を一度。再び見開いた目には期待に瞳を輝かしている晶良が飛び込んできた。
 これから、ずっと、そう呼ぶことになるだろう。お正月に晶良の家に行ったとき、そう呼べるかはちょっと自信がないけれど…。
 もう一度、深呼吸。
 街中に、いや世界に響け、と思った。
 心の中で『愛してる』とつぶやいてから、ぼくは叫んだ。


「晶良っ!」





                      <完>




16018Rの鷹:2005/11/28(月) 20:20:00 ID:oZ1wrLm/

◆初出一覧◆

<.hack//新妻悶絶 vol.1>
投下開始 2004年6月17日 .hackのエロパロ Vol.6 レス番号152 名無しさん@ピンキー
投下終了 2004年7月18日 .hackのエロパロ Vol.6 レス番号257
全47レス
《CONTENTS》
 カイト×晶良 バスルームで口内発射
 カイト×寺島良子 エピソード
 カイト×晶良 ベッドでセックス→中出し
 カイト×晶良 キッチンで立ちバック→中出し

<.hack//処女陵辱 vol.2>
予告編 2004年7月30日 .hackのエロパロ Vol.6 レス番号269 18Rの鷹
投下開始 2004年8月8日 .hackのエロパロ Vol.6 レス番号283 18Rの鷹
投下終了 2004年10月27日 .hackのエロパロ Vol.6 レス番号458
全86レス
《CONTENTS》
 カイト×晶良 初体験→失敗
 カイト×レイチェル 初体験→ゴム出し
 カイト×晶良 晶良処女喪失→ゴム出し
 カイト×晶良 バスルームで2回戦→尻射
 カイト×なつめ なつめ処女喪失→顔射

<.hack//関係拡大 vol.3>
投下開始 2004年11月8日 .hackのエロパロ Vol.6 レス番号481 18Rの鷹
投下終了 2005年8月26日 .hackのエロパロ vol.8 レス番号36
全285レス(Vol.6 31レス、Vol.7 236レス、vol.8 18レス)
《CONTENTS》
・第1章
 イベント「モンスター街侵入」
 オフ会→晶良コスプレ&屋形船で花火見物
 カイト×晶良 セックス2回→ゴム出し&中出し
 カイト×ガルデニア エピソード→初キス
・第2章
 カイト×なつめ フェラ口内発射/セックス→ゴム出し
 カイト×千春 セックス3回→中出し
 カイト×晶良 セックス1回/晶良視点→ゴム出し
 カイト×晶良 テニス大会デート/速水家
 カイト×千春 セックス2回→中出し
・第3章
 カイト×なつめ セックス2回→外出し/ゴム出し
 カイト×翔子 セックス1回→外出し

<.hack//Missing Ring vol.4>
投下開始 2005年9月12日 .hackのエロパロ vol.8 レス番号47 18Rの鷹
投下終了 2005年11月28日 .hackのエロパロ vol.8 レス番号159
全71レス
《CONTENTS》
 カイト×アウラ ザ・ワールド追放
 カイト×晶良 フェラ口内発射
 カイト×なつめ 別れ
 カイト×千春 別れ
 カイト×晶良 クリスマス・デート/セックス1回→ゴム出し

総レス数 489
161名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 20:40:32 ID:Gawin3zJ
本当に乙。
こうして見るとこの板屈指の大長編だ…。
162名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 22:02:49 ID:mRn3Dozr
>>18Rの鷹さん

本当にお疲れ様です
このクオリティで、これだけの長編SSを執筆するのは
並大抵のことではないと思います

終わってしまって寂しいですが、今まで本当にありがとうございました
163名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 22:06:32 ID:1RJtOL3K
本当に、本当にありがとうございました。
毎日スレを見るのはひとつの楽しみだなぁ。
164名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 22:21:40 ID:fe4UZ1p8
鷹様、お疲れ様でした。
165名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 22:33:02 ID:iuCGKxfr
お疲れさまです(´・ω・`)
長い間本当にご苦労様です。
166名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 22:41:55 ID:746vM0oy
>>鷹様

Thank you for your writing!!

本当に、本当にありがとうございました!!
167名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 22:55:19 ID:mRn3Dozr
俺的ベストシーン

カイト×ガルデニア
マジで泣いた
168名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 00:06:30 ID:QteaRSTz
お疲れ様でした
18Rの鷹さんは御自分のHP持ってないとの事ですが・・・
いつか御自分のHPを持って そこに載せようとかお考えでしょうか?
何だか保管庫は新旧共に更新止まっちゃってるし 俺もいい保管庫作る自信なくて
凄く気になっていたのですが
169名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 00:51:16 ID:+R12k8z9
お疲れ様でした
170名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 01:00:20 ID:G83X2kRI
こう・・・言葉じゃいえない、何かが鷹氏の文章には感じられました
お疲れ様でしたっ!!
171名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 09:21:32 ID:3BK4JQjZ
鷹さん、お疲れ様でした
そして、ありがとうございました
エロ部分だけでなく、それ以外も含め、ひとつの小説作品として本当に面白かったです
再度一気に読み直したいところです
172名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 13:15:48 ID:Hg/Ejjg3
もうなんつうかブラボーとしか言いようがない

だがこれであなたの作品が読めなくなると思うと…

な…泣いてなんかないぞ…
173名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 16:13:13 ID:mFJFVVmt
ほんとお疲れ様でした!
今までROM専でしたが鷹氏の作品がめでたく終了ということで
書き込ませてもらいました。
174名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 17:19:01 ID:dBZpCD9H
フラグメント出てた事に気付かなかった俺ガイル。

ともあれ18Rの鷹氏乙!!
175名無しさん@ピンキー:2005/11/30(水) 18:02:55 ID:yWMrLGNC
だれかvol.7うpしてくれませんかね?
それだけ持ってないので。
176名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 00:15:27 ID:Dw1qKAHg
ゲームのノベライズ版の方も終わったね
177名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 00:28:00 ID:Vp11VTgu
G.U.始まったら鷹氏が舞い戻ってくると勝手に期待
178いばら:2005/12/01(木) 02:28:05 ID:91xU2nG1

「服脱いで」
「なっ…何言ってんのよ!そんなこと出来るわけないでしょ!」

私の名前は蒼穹。職業は斬刀士。性別は女。

髪の色は晴れた空のように青く、藍色に近い色。この髪の色はかなり気に入っている。
長さはショート。
(髪を決めるだけで三十分掛かった)
顔はあまり興味無かったので、すでに用意されている顔の中から適当なのを選んだ。
もちろんこれはTheWorldというゲーム中のもう一人の私の姿だ。
リアルでも女という事は変わらないが、少し、
いや、かなりゲームが好きな事以外は、普通の女子高生だ。

「何で?」
そう聞き返してきたこのPC、名前はギン。職業は拳術士。性別男。
見た目はかなりカッコイイかな。
(私はタイプではないけど…)
拳術士という事でリアルのボクサーみたいに全体的に引き締まった体格をしている。
「何でって…、助けてくれたのは嬉しいけどそんなの…」
179いばら:2005/12/01(木) 02:33:52 ID:91xU2nG1
すいません。

投下してから気づいたんですけど、オリキャラってダメですよね?

それだとエロパロになんないし、一応GUの世界なんですけど、誰か答えてくれるとありがたい。
180名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 06:56:39 ID:qhGxqSNq
いんじゃないですか。
誰も書かなくなっちゃったし、雑談もあまり進んでないし。
ここらで新作が出るのはうれしい。
181いばら:2005/12/02(金) 00:23:15 ID:1OT+6j0w
>>180さん
そうですか。それじゃ投下しちゃいます。
書き忘れましたが今投下する分はエロなしです。
182いばら:2005/12/02(金) 00:26:31 ID:1OT+6j0w

なぜ今こんな話をしているかというと、

私はレベル上げのためにランダムで選んだエリアに一人で出た。そこで運悪くPK(PCを殺して楽しんでいるバカな奴ら)に会ってしまった
そのPKは私よりもレベルが高く、私は殺られてしまいそうになった。
その時、この男が、ギンが現れた。
私を殺そうとしたPKをあっという間に倒して、私に向かってこう言った
『助けてやったんだから俺の言うこと一つ聞いてくれない?』
その一つというのが、『服を脱げ』ということだった。でも…
「それにゲームなんだから服を脱ぐなんて出来ないでしょ?」
ゲームの中にはそうゆうものもある。しかし、このTheWorldは違う。
「あれ?やっぱり知らないんだ」
「知らないって、何がよ?」
少し怒り気味に言った。
「R:2に変わってから装備品に『下着』が追加されたんだよ。だから服を脱ぐというか下着を着て欲しいんだ」
「はぁ?なに言ってんのよ。そんなのあるわけないでしょ」
私は、初めてそんな事を聞いた。
BBSでもこういうくだらない話は前作からよく載っていた。幽霊みたいな白い少女を見たとか、倒すことの出来ないモンスターがいるとか、その情報のほとんどがデマだと言われてる。
183いばら:2005/12/02(金) 00:33:13 ID:1OT+6j0w

そして、この男が言った事はBBSに載っているどの情報よりもウソくさかった。

「あるんだよ。下着だけじゃない、カツラとか、リアルで身に付けるものならほとんど手にはいる。そういうのを作ってる人がいるんだ」
(なんでカツラなんか作る必要があるのよ!)
私は心の中でそう叫んだが、今そのことは気にしないでおく。
「ウソ!今までそんなの一度も見たことない。本当にあるんだったら見せてみなさいよ!」
「まぁ普通にこのゲームをしてるPCには一生見る事も、手にいれる事も出来ないけどね」
「それじゃあ…」
TheWorldはゲームといっても、かなり精巧につくられている。
実際に現実で人に会ったり、綺麗な景色を見ているのと変わらないんじゃないかと思う時がある。だから、ここで服を脱ぐということは私にとってはリアルで脱ぐ事と等しかった。それをしなくていいんだと思って私は安心した。
二秒だけ。
「でも俺は普通のPCじゃないから」
そう言いながらギンは自分の道具の中からあるものを選んだ。
「っ!!」
私は一瞬自分の目を疑った。
確にそこには、
『ヒミツの下着』
と表示されている。
(うわ〜オヤジくさい名前だなぁ)
それが、その『下着』を見て私が一番最初に思った事だ。
しかもそれは、
「本当にあるのは分かったわよ。でもなんで、そんなに小さいのよ!なんかスケてるし!」
184いばら:2005/12/02(金) 00:40:00 ID:1OT+6j0w

そう…、ギンが持っている下着は、本来大事な部分を覆うためにあるにも関わらず、それで隠れるのかと思うほどに小さかった。
かろうじて下着の形をして、『下着』と表示されていたが、その表示がなければただの布きれにしか見えなかった。
しかも、それを持つギンの手が布の下にスケて見える。
「それがさ〜、こうゆうのは『闇商』ていうのから買ったりするんだけどその闇商のオッサンの趣味みたいなんだよね。あっ!でも俺もこうゆうの嫌いじゃないから買ったんだけど(^_^)v」
その顔文字を見た瞬間この男を殺したくなった。
ゲームではなく、
リアルで。



とりあえず以上です。
185名無しさん@ピンキー:2005/12/03(土) 11:24:49 ID:TsAqq9VA
続きが気になる・・・
186いばら:2005/12/04(日) 02:32:55 ID:x2SRhs3K

次から>>184の続きですがその前に注意点(言い訳)を。

・今回もエロは無いです。エロ(本番)を書いたのですが上手く書けずにやめました。
このまま無しで良いのか(このスレ的に)誰か教えてw
・エロ無しなのに無駄に長いです。
187いばら:2005/12/04(日) 02:36:06 ID:x2SRhs3K
「はぁ…。何してんだろ…私は」
結局蒼穹はギンに渡された『ヒミツの下着』を着ることになってしまった。
(そうよ!これはお礼なのよ、助けてもらったお礼!だからしょうがないんだ!いやむしろ人助けだと思えば…)
などと、訳のわからない自分なりの解釈をして今その下着を着ようとしている。
ここまで考えるようになるまで一時間程掛ったが。
「ねぇ…まだ着てないの〜?」
「うるさい!!黙れ!」
今蒼穹は草原のフィールドにある木の影に隠れる様にして立っている。
その木を挟んだ向こうがわにギンは座りながら、蒼穹が着るのを待っている。
「でもこんなのリアルでも着た事無いし」
その下着はとても小さく、しかもスケている。
蒼穹はゲームとはいえ、もう一人の自分にこんなものを着せるのにかなりの抵抗があった。
「そっか…。折角助けてあげたんだけどな〜。キミが死にそうだったのを俺が助けたんだけど。
別に助ける必要無かったのに。あっ!別にいいんだよ、イヤだったら。普通は助けてもらったらお礼ぐらいするけどね。」と、ギンは蒼穹を挑発するように一気に言った。
「わかったわよ!着ればいいんでしょ、着れば!」
見事にその挑発に蒼穹はのってしまった。
そして、蒼穹は『プレゼント』された中で今までで一番最悪な物を装備した。
「!!」
ギンが言ったとうりに今着ている服を脱いで本当に装備出来てしまった。(うわっ!本当に着れちゃったよ。…でもこれはダメだろ!)
蒼穹は心の中で自分自身にツッコミをいれた。
「どう?着た感想は」
「うわっ!!ちょっと!何でこっち来てるのよ!」
「だっていつまで待ってもこっちに来ないから、俺が来たV(^-^)V」
と、また人をからかっているような顔文字を使って、ギンは木の影に隠れている蒼穹に近づいた。
「うん!やっぱり似合ってる」
ギンがそう言った蒼穹の姿は、他人から見たらかなり淫らだった。
「やっぱりってどういう事よ!てゆーかそんなにジロジロ見るな!」
今の蒼穹は何も着ていない。
イヤ、実際には『ヒミツの下着』を装備しているはずだった。
しかしそれが意味の無い事の様にほぼ生まれたままの姿をしていた。
188いばら:2005/12/04(日) 02:41:32 ID:x2SRhs3K
胸はあまり豊かとは言えない大きさだが、その形がハッキリと分かり、乳首がブラ越しにかろうじて隠れているだけだった。
下半身は、小さくて薄いショーツが一枚あるだけで、しかもうっすらと髪と同じ色の青い陰毛が見え、その少ない繁みに隠れきらずに秘所も露にされていた。
(何でこんな所まで造りこんであるのよ!百歩譲って胸はいいわよ胸は。でも何で下までこんなに…)
と、TheWorldを作ったCC社がいけないのか、この下着を作ったオッサンがいけないのか誰に怒りをぶつければ良いのか分からなかった。
「まぁいろいろと細かい事は気にしないで」
ギンは蒼穹が思っている事が分かっているかの様に言った。
蒼穹が怒りをぶつける相手は目の前にいた。
「そうよ!あんたが着ろって言わなければ、こんな…こと…に…」
何故か蒼穹は怒るのを途中でやめてしたった。
(あれ…?なんだろ…頭が、ぼ〜とする…)
「ど〜したの?」
ギンが楽しそうに聞いてくる。
「何でも…ないわよ…それより着たんだからもう…いいでしょ…今日はもう…落ちるから」
言葉も切れ切れに蒼穹の息がだんだんと荒くなっていく。
そして、『ヒミツの下着』を外そうとした。
(何でよ!!何ではずれないの!?)
外れなかった。
何度も他の装備に付け変えようとうとしても何故か『エラー』と表示された。
「どう…して…」
蒼穹はつぶやく様な声で尋ねた。
「あれ?もしかして外そうとしたの?でもその下着は俺じゃなきゃ外せないから」
「じゃあ…早く…はずしな…さいよ…」
(どうしよう…何かどんどん変な気持ちに…)
そう、蒼穹はゲームではなくリアルの体が気持ちよくなっているかの様に感じていた。
「ダメだよ。これからが本番なんだから」
そう言いながらギンは一歩ずつ蒼穹に近寄った。
「その下着を作った『闇商』はね7年前の『.hack事件』を調べていた人なんだよ」
「それって…意識不明のプレイヤーがでたっていう話…」
「もっといろんな事があったみたいなんだけど今はその意識不明が重要」「それって…」
蒼穹は嫌な予感がした。
「そう、リアルのキミは今意識不明の状態って事」

「……本当に?」
189いばら:2005/12/04(日) 02:47:02 ID:x2SRhs3K
蒼穹は弱々しく言った。「いや…ウソだけど」
ギンはあっさりと自分が言った事を嘘だと認めた。
「あれっ?信じたの?ダメだよ〜、知らない人の言った事をすぐに信じたら。あ…ゴメン謝るからその剣はしまって(^_^;)」
蒼穹はあまりにもむかついて我を忘れて目の前のバカに斬りかかろうとしていた。
(何なのよこの男の軽さは!)
「で、話戻すけど、その人は調べていく内に意識不明者の共通点を発見した。それを俺は教えてもらった」
ギンはさらに続けた。
「意識不明でもプレイヤーはゲームを続けている、ゲートアウトが出来ない、そして痛みとかの感覚を実際に感じる様になる」
蒼穹は一言も口をはさまずに聞いていた。いや、今は聞いている事しか出来なかった。
「その『痛み』の感覚を装備品に付ける方法をその人は考えて作った、お客の注文も多かったんだって、そいつら頭おかしいよね」
蒼穹はすぐさま、
「あんたも…同じだろ!」
心に抑えきれずに口に出してツッコミをいれてしまった。
「まぁそうなんだけど、(*^_^*)大丈夫?辛そうだけど」
(こいつ…分かっててわざとやってるな!)
ギンはニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら言い続ける、
「でも俺はそれじゃつまらないから、『痛み』じゃ無く、『エロ』を付けてもらった、つまり装備した人が淫乱になる様に」
「それも…ウソなん…でしょ…」
蒼穹は喋るのもやっとの状態でそれだけ言った。
「何か一回コツみたいのが解ればいろいろ変えられるんだって、それに…気持ち良いでしょ。感じてるから息が荒いし、上手く喋れなくなってる」確かにそうだった。蒼穹は自分でも感じている事を指摘され動揺した。
ギンは蒼穹の息がかかるほど顔を近付けた。
「ちっ…近寄るな……そんな事…んっ!」
ギンは自分の唇で蒼穹の口を塞いだ。
「ん…ぅん……っん」
嫌がる蒼穹の唇を吸い、舌も吸い、ギンはさらに舌も絡めてきた。くちゅくちゅと淫らなを音をたてギンは舌だけではなく歯や歯茎さえも、口の中全体を愛撫していく。
190いばら:2005/12/04(日) 02:51:26 ID:x2SRhs3K
「………ん」
そうしていく内に最初は抵抗していた蒼穹はギンのその行為に答える様に口を自ら合わせ舌を絡めた。
(どうしよう…気持ちよすぎる…)
蒼穹はいつのまにかそれしか考えられなくなっていた。そして、
「……あっ」
ギンは急に唇を離した。蒼穹は突然の事に舌を出したまま口を開けてまぬけな顔をしていた。
「あれ〜まだして欲しそうだね」
蒼穹はあわてて口を閉じた。そして、
「そんな事……」
無いと、蒼穹ははっきりと否定出来なかった。今までリアルでもこんな快感は味わった事がなかったのは事実だった。それをまだ終らせたくないと、心のどこかで思っていた。
その言葉をどう解釈したのか分からないがギンは、
「そうだよね…よし!じやぁ今からタウンに行こう」
と言ってタウンに戻ろうとした。
「……………は?意味分かんないんだけど」
蒼穹は当然の反応をした。
「だってその方がおもしろいでしょ!」
「えっと…どこに?」
「今の時間だったらマク・アヌかな。けっこう人いるだろうから」
「どうしてそういう事考えるのか分かんないけどじゃあ下着外して」
「ダメだよ!それじゃ意味ないじゃん!バっカだな〜」

(『死の恐怖』のPKKハセヲって強いって聞いた事あるけど今ここ通ってくれないかな〜こいつ殺してくれたらどんな事でもするんだけど。…はぁ)
などと普段居ると信じていない神様に祈りながら蒼穹はため息を吐いた。その横でギンは、
「いざ行かん!魅惑の街へ!!」
わけの分からない事を叫んでいた。
191いばら:2005/12/04(日) 02:53:31 ID:x2SRhs3K
とりあえず以上です。
続きはこのままで良いのか聞いてから投下したいと思います。
192名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 10:48:09 ID:qfnJLIAW
エロパロだかねえ。あったほうがいいんじゃないかな。
193名無しさん@ピンキー:2005/12/05(月) 01:29:45 ID:HiXBTMv5
あったに越した事は無いけど、個人的にはこの路線でも全然OK
194名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 01:31:49 ID:YdIls6GM
微エロってとこか。
パロ要素が強いのであって悪くはないとおも。

俺もこういうの好きだw

だがセクース描写がないと物足りないのも事実
195名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 11:38:58 ID:kEYqBP4F
鷹氏のログさえあればHP作ってまとめたいのだが
196名無しさん@ピンキー:2005/12/08(木) 22:41:42 ID:EJfNlIcq
応援してます
197名無しさん@ピンキー:2005/12/08(木) 23:59:58 ID:FedsQokp
18Rの鷹氏&>>195
お二人さん 組んでみてはいかが?
もう まとめサイトの更新再開も期待できそうにないし・・・
このスレを一体何人の人が見てるのか解らないけど みんな歓迎すると思いますよ
例え鷹氏一人の作品のまとめHPでもね
19818Rの鷹:2005/12/09(金) 00:30:27 ID:VtIyGFLX
199名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 02:23:31 ID:WpuKEAhN
GJ!!ってかデザインいいし、読みやすいしで文句なし!
200名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 06:00:17 ID:g5vA1Srg
      ,.-ー,,、
     /@'ノ_.ヾ)      グッジョブ!
     /C’" _ゞ))
    ノ_(( `ー, (;(   n
    ;/ )) ., ヽ:)  /ミ)
   / ((  ヽ_ ))//
   / -、.)⌒' ソ./
~~~~~~~`jii〉  ~ 〈 ~~~~~~~~~~
201名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 10:39:04 ID:G16S9pt0
一体どこまで神なんだろうか……
.hackのエロパロスレの後の伝説を垣間見た気がする
202名無しさん@ピンキー:2005/12/10(土) 07:51:55 ID:BFpCCI1S
乙〜
楽しまさせてもらいます
203いばら:2005/12/11(日) 01:03:51 ID:5sP+1s/b
やっぱり18Rの鷹さんは神すぎる
書けたので次から>>190の続きです。
・意見を下さった方、本当にありがとうございます。やはりエロはあった方が良いみたいなので書きました。
・しかし、短いです(エロが)てかエロくないです。どうしたら上手く書けるのか知りたいw
204いばら:2005/12/11(日) 01:06:09 ID:5sP+1s/b
「今日も夕陽が綺麗だなぁ〜」
「…いつもと変わらないけどね」
ギンの言葉を軽くあしらいながら蒼穹はギンの2m程前を足速に歩いている。その姿はいつもと変わらない剣士風の装備をした蒼穹だった。
二人は今マク・アヌに居る。

「そういう事言うなよ。雰囲気が大切なんだから、雰囲気が」
マク・アヌは常に夕陽に照らされ続けている街である。そのいつも変わらない夕陽を見て綺麗などと言うPCはかなり珍しい。
「でも何でタウンに来たのよ?」
振り返りながら蒼穹はギンに尋ねた。
「本当はあの『下着』を着けたままのキミを連れてきて、この大勢の人に見てもらいたかったんだけど…」
「だからそんな事無理だって言ったでしょ!」
思わず大声を出してしまった。周りに居たPCが何人か蒼穹を見た。
まだ正体のよく分からないギンにメンバーアドレスを渡す訳にもいかず、パーティーも組めないので周りにも聞こえる様に話すしかなかった。
「恥ずかしいから大声出さないでよ」
「何言ってんのよ!あんたが出させたんでしょ!」
二人ともさっきよりもかなり小さめの声で話している。
「それじゃ俺のホームに行こうか。そこだったらゆっくり出来るし、大声出しても大丈夫」
「あんたホーム持ってるの?」
ホームとはその名の通りタウンの中にある家の事で、それを持つPCのゲームの中の自宅みたいなものだ。
「持ってるけど…何?俺が持ってたらいけない?」
ホームは借家でその家賃はかなり高く、並のプレイヤーに払える額ではない。しかも、あまり役に立つものでも無い。それを持ってるという事は、
かなりの高レベルPC
ただの見えっ張り
のどちらかだ。
「いや、いけない事はないけど…」
(こいつ有名なPCなのかな…。ホーム持ってるし結構強いし…)
蒼穹は、今一緒にいる馬鹿だと思っていたPCは実は凄い奴なんじゃないかと思い始めていた。
「よし!それじゃ行こう。あれ?どうしたの?難しい顔して…もしかして……便秘?」
その言葉を聞いて蒼穹は考えていた事をすべてリセットした。
205いばら:2005/12/11(日) 01:10:17 ID:5sP+1s/b
二人とも話しをしながら(喋っていたのは九割ギンだが)ギンのホームまで歩いた。
そして、ギンはホームの前まで来て突然立ち止まった。
「どうしたのよ?そこなんでしょ。どうして入らないの?」
立ち止まったギンを不思議に思い蒼穹は尋ねた。「とても大事な事を忘れてた…」
「何よ?どうせくだらない事でしょ」
ギンは真剣な顔をしていたが、蒼穹はどうでもいい感じで聞き返した。
「メンバーアドレスが無いとキミをホームの中に入れられない」
ホームに持ち主以外が入るには持ち主がそのPCのメンバーアドレスを知らなくてはならなかった。
「あー…確かにそれは大事な事ね。そっかアドレスか…」
蒼穹はメンバーアドレスを教えるべきか腕を組んで悩みだした。そうしていると、
「どうしよっか。俺にアドレス教えるのイヤなんでしょ?じゃあ他の所に行くしか…」
ホームに入るのは諦めてギンは歩きだそうとしたが、蒼穹は思いがけない言葉を口にした。
「良いわよメンバーアドレス教えてあげる」

「これはなんていうか…良い趣味ね…」
ギンのホームを見た蒼穹の皮肉を込めた第一声がそれだった。
自分の家を誉められたと思ったギンは素直にその言葉を受け取った。
「そうでしょ。俺も気に入ってるんだ」
「いや…、そういう意味で言った訳じゃないんだけど…」
今二人が居るホームは、良く言えばシンプル、悪く言えば病院の一室の様な部屋だった。セミダブルのベット、少し大きめのテーブル、小さなテレビ、二人掛けのソファーがひっそりと置いてあるだけだった。
誰が見ても普通の部屋としか思わない程普通だった。
「もう少しなんとか出来るんでしょ。壺とかプチグソの剥製とか。何か生活感がないんだけど」
そう言いながら蒼穹はソファーに座った。蒼穹の想像していた部屋とはかなり違うものだったらしい。
「いや…生活感て(^_^;)そんなの求められても困るんだけど」
ギンの言う事は正しかった。自分の家なんだからどうしようが持ち主の勝手だ。
「だってこんな部屋じゃ誰呼んでも同じ事言うでしょ?」
蒼穹は遠慮無しに素直に思った事をそのままギンに言う。
「今まで誰も呼んだ事ないよ」
「え?」
蒼穹は驚いた。今までどんな事を言っても明るく、からかいながら相手を楽しませる話し方をしていたギンが悲しい顔をしている。
「俺のホームに入れたのはキミが初めてだよ」
ギンがさっきよりもさらに真剣な、どこか悲しげな顔をして意外な事を言った
206いばら:2005/12/11(日) 01:13:59 ID:5sP+1s/b
(何でこんな事を私に言うんだろ?あっ!)
「…もしかして友達いないの?」
蒼穹はその場の空気も読まず、しかも、実際にギンがそうだったら傷付きそうな事を言った。
「違うよ誰にも教えたくなかったんだよ。特別な人以外は」
「それって…」
(やばいなんかこの流れは…)
そこでようやく蒼穹はその部屋に流れる空気を読み取った。
「なんかノド渇いたからジュースでも買ってこようかなー…」
蒼穹はソファーから立ち上がり、ドアの方に向かった。このゲームにジュースなど無い。というかノドなど渇くはずが無い。とにかくここから逃げる口実が欲しかっただけだ。
しかし、ギンがそれを許す筈がなかった。
「ダメだよ。ほらこっち来て」
言いながら蒼穹の腕を掴みその体をベットまで引っ張り、背中に手をまわしてやさしく寝かせる。
「わっ…ちょっと待ってまだ準備が…」
「準備?何の準備?こうなるの分かってたでしょ。さっきの続きがしたいからアドレスも教えてくれた」
ギンは蒼穹の体の上に乗って逃げられないようにする。
「それは後で消すって約束したでしょ。だから教えたのよ」
蒼穹はホームに入る前にギンにメンバーアドレスを教えていたが、それは今日一日だけの期限付きという事を約束していた。ギンもそれで良いと言った。
「そんなの本当に守るか分からないだろ。それに何でタウンに戻って来た時にすぐ落ちなかったの?いくらでも出来たでしょ」
「それはあんたが…」
蒼穹はそれ以上言い返さなかった。自分でも既に気が付いていた。あの時…あの下着を着た時の快感をもう一度感じたいと思っている事に。
だからログアウトせず、文句を言いながらもギンのホームまで来ていた。
「もう言う事ない?それじゃあ……」
「えっ!…ほら…あれ…あの…そう!シャワー…っん」
再びこのゲームにありもしないものを言って逃げようとしたが、その開いた口をむりやり閉じる様にギンは唇を合わした。
207いばら:2005/12/11(日) 01:19:21 ID:5sP+1s/b
「んく………ん…」
ギンは優しくキスをしていく。蒼穹も抵抗はもうしなかった。
(あぁ…やっぱり気持ち良い……あれ?そういえば…)
蒼穹はある事が気になり、一度口を離す。
「はぁ…ちよっと待って!私あの下着着てないのに…その……気持ち良いんだけど…」
「そんな事今は考えなくていいから」
「でも……はぅ!」
ギンは蒼穹の乳首をかるく噛んだ。いつのまにか蒼穹は全裸になっていた。
「なんで……あぁ」
ギンは噛むだけではなく、口ではさんだり、そのまま舌で撫でるように舐める。蒼穹はその刺激にあっという間に夢中になっていく。
「あ……んん……あ…あぅ…」
蒼穹は自分自身が出している声が恥ずかしくて両手で口を覆う。
「ダメだよ…もっとキミのかわいい声が聞きたい」
ギンは蒼穹の手を口からはがしてベットに押さえつける。
「うぅ……恥ずかしい…」
そして、再び胸への愛撫が始まり、ギンが手を離しても蒼穹は口を手で隠さなかった。
ギンは次第に胸から下へ、すーっと這うようにして蒼穹の大事な所まで指を降ろしていく。
「ダ……メっ…あ、あぁ…」
ギンはゆっくりと秘所へ指を差し込み内側をこねまわす。蒼穹は顔をゆがめている。それは痛みのせいではなく、秘所の奥から押し寄せてくる快感の波に耐えているからだ。
「んんっ……そ…そんなにしたら…わたし……」している事は自分でするのと変わらないはずなのに胸の奥が熱くなる。
「もう…いいよね…」
ギンはそう言って指を抜き、自分のものを蒼穹の秘所にそっとあてがう。それに気付いた蒼穹は驚いた。
「ちょ…ちょっと!何でそれが付いてるのよ」
「俺男だし」
「答えになってない!!」
蒼穹の質問に笑って答えて済ます。そしてギンは勢いよく腰を沈めた。
「ひあっ!……あ」
蒼穹は放心状態のように口を開けたまま動かなくなってしまった。ギンはそれに構わずに腰を上下に動かして自らのものを出し入れする。
「はあっ、あっ……あっ…んぁ……おかしくなりそぅ…」
さらに激しく蒼穹の奥へと侵入していき、体の一番奥まで突かれた蒼穹は思わずのけぞった。
「あぁーっ!だめだ、だめ……私もう…だめぇっ!」
蒼穹は我慢できずにイッてしまった。
208いばら:2005/12/11(日) 01:21:49 ID:5sP+1s/b
「…きて……起きて…」蒼穹の頭の上から声が聞こえる。
「あ……うぅ…」
かろうじて目を開けて自分の頭の上から聞こえる声の主を探す。
「おはよう」
蒼穹は十秒掛けてその言葉の意味を理解した。
「ちょっとあんた何て事するのよ!」
「え?何の事?」
「何の事って…」
そこでようやく自分の姿を見た。服を着ている。ホームに入った時と変わらない姿のままでベットに寝ていた。
「あんたが服着せたの?」
「何言ってんの?キミがホームに入って来たら急に寝たんでしょ」
「えっ!ウソ!だって…」
蒼穹は何がなんだか分からなくなってきた。
209いばら:2005/12/11(日) 01:24:58 ID:5sP+1s/b
「本当の事教えなさいよ。何かしたんでしょ、変な効果のアイテム使ったとか、ホーム自体に仕掛けがしてあったとか」
今二人はカオスゲートまでの道をゆっくりと歩いている。その姿は二人を知らない人が見たら恋人同士に見えなくもない。
「しつこいなぁ〜。いいじゃん気持ち良かったんだから」
「うっ…確かに気持ち良かったけど……って!やっぱり何かしたんじゃない!!」
「はは!何か蒼穹と話してるとすごく楽しい」
その言葉に蒼穹は少し違和感を感じた。
「そういえば私の事今初めて名前で呼んだんじゃない?」
「あれ?そうだっけ?そう言われるとそうかもしれないなぁ。…もしかしたら好きになったからかもしれない」
「バッ…バカじゃないの!そ…そんな事言っても騙されないわよ」
ギンの言葉に蒼穹は動揺が隠しきれていない。
「好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き…」
「しつこい!!何回も言うな!!」
蒼穹は大声で怒鳴るが、蒼穹を見るPCは一人もいなかった。今はギンとパーティーを組んで二人にしか聞こえない様に話しているからだ。
そして、ゲートに着いた。
「何であんな事出来たのか早く言いなさいよ」
「それは今度会った時に教えてあげるよ。でも、俺は約束通り今日中にアドレスを消すから俺からは呼べないでしょ。その代わりに俺のアドレスを教えとく」
そう言いながらギンは蒼穹にメンバーアドレスを教える。
「どうして?今教えれば良い事でしょ」
「こうすれば約束を守れる……それにまた会いたいし」
ギンは恥ずかしい言葉でも、さらっと言ってしまう。
「アンタよくそんな事言えるわね。…うん、わかった…けど、また呼ぶか分かんないわよ?」
「良いよそれでも。俺は…待ってるから」
二人だけの静かな時間が流れる。そして、その場の空気に耐えきれずギンが別れの言葉を言う。
「じゃあね!バイバイ!」
そう言いながらギンはパーティーを解散して広場まで走っていく。
蒼穹はその後ろ姿を見ながら軽く手を振る。
『きっとまた会う事になる』
と、お互いが想いながら。

その時ギンが振り返り、大きな声で広場にいるPC全員に聞こえるように蒼穹に伝える。
「今度会う時までに便秘治しときなよ〜」
その瞬間蒼穹はメンバーアドレスの欄からギンの名前を消去した。
210いばら:2005/12/11(日) 01:37:11 ID:5sP+1s/b
一ヶ所ミスして短くなってしまいました。スミマセン
この話は一応終りです。ちょっとした続きも考えているんですが、エロ無しになってしまうのでエロを上手く書けるように修行してから投下したいと思います。
では、頭上に星々(ry
211名無しさん@ピンキー:2005/12/11(日) 01:39:06 ID:y2cmuE41
>>1
初リアルタイム
212名無しさん@ピンキー:2005/12/12(月) 01:01:37 ID:eU5sRM/0
>>18Rの鷹さん
HP製作提案しといて作って頂いておきながら
すぐレスできなくてすみません;;
ダメもとの提案だったので何だか夢のようです・・・堪能させていただきます!!

そして いばらさんも頑張ってくださいね
213名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 07:52:55 ID:VtvBlUbx
期待age
214名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 02:29:26 ID:NaV3zwCV
.hack//hoshu
215名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 15:10:04 ID:x/hmBSef
まとめサイトキテルー。これでようやく読める・・・。
どうみても神様です、本当にありがとうございました。
216名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 09:19:20 ID:KbP7IyJK
保守
217名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 13:07:54 ID:QJRp/ikd
過疎りすぎ
218名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 14:44:19 ID:AKRX0IHZ
あけおめ
219名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 00:05:00 ID:x/7eGFBP
保守。保管庫放置何とかならんのかな・・・
220名無しさん@ピンキー:2006/01/10(火) 19:28:37 ID:YaTm18vX
hosyu
221名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 16:29:35 ID:g4mUvv0X
過疎りすぎ
222名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 06:42:20 ID:RnTr96hF
>>217&>>221
このスレに不満があるなら自分で変えろ。
それが厭なら耳と目を閉じ口を噤んで孤独に暮らせ。
それも厭なら・・・・・!
223名無しさん@ピンキー:2006/01/17(火) 09:24:23 ID:TPSRcxCl
agehoshu
224 ◆.HACk4u52o :2006/01/17(火) 13:23:08 ID:X8Esc6wB
期待age
225名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 01:38:25 ID:gQ7ApJbg
保守
226カイd:2006/01/29(日) 03:08:17 ID:fPM8Gmjb
まとめサイトのURLぷりーず
227名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 12:31:12 ID:wieX7bMa
>>226
書いてあるやん…
228名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 22:31:38 ID:PwiZnSnS
>>227
指摘するのに6日もかかるとは・・・・
なんて過疎り具合だ(´・ω・`)
229名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 13:01:51 ID:5lacI27H
保守
230名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 23:32:39 ID:fbMKuCvQ
>>228
G.Uが出ればきっと…
231名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 02:28:22 ID:VcJ35FQj
>>230
あと三ヶ月……
232名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 18:42:37 ID:75GwYaRm
浮上
233 :名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 21:45:43 ID:2Ok8YhiG
GUはまだか…
234名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 00:44:23 ID:RbsvEA1+
保守
235名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 14:45:53 ID:D9MhloXl
age
236名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 10:35:55 ID:Ck0innfY
age
237名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 01:11:08 ID:oNxXkLAN
G,U発売まであと2ヶ月・・・
新キャラ登場で加速必須 
だがその前に落ちないようにせねば




みんながんばって保守だw
238名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 12:18:58 ID:10eWiA/o
そうか、もうそこまで発売迫ってるんだな。
239名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 17:30:16 ID:WKoXIzbO
5月18だっけ発売日?
240名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 21:41:00 ID:v4VQM9/K
age
241名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 22:27:29 ID:1Pa7VFdE
age
242名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 23:52:59 ID:Ds2rD1MP
保守

今回良いな、ハセヲは武器何でも(というわけではないか)使えるし
トライエッジがカッコいいし。
243名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 00:01:27 ID:Hpt7vCdX
そうだな・・・前回は武器の攻撃速度がみんな一緒だったのは悲しかったが
今回はどうだろ?












ってエロパロじゃねぇなw
あ〜ぁせめて18禁の鷹さんが復活してくれれば・・・。
244名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 00:22:15 ID:ymhJFyCF
ムービーすげぇ。さっきはじめて観た。
最後の方の「スケェェェイス!!」で購買決定。
245名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 14:22:27 ID:XHeb2TvL
武器チェンジで凶悪なフォルムのブツ……
とか真っ先に思いついた俺は終わってる。
246名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 01:16:48 ID:M8FUCXsI
>>245
いや・・・始まりだ(爆
247名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 18:00:18 ID:AoC/Ja+B
保守
248名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 21:49:27 ID:bVeWAxUK
保守age
249名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 08:45:02 ID:iWENa2hX
hosyu
250名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 15:38:13 ID:bRpMU6pA
hasewo
251名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 17:15:02 ID:Y70YFfau
保守
252名無しさん@ピンキー:2006/03/22(水) 10:34:47 ID:aIiID2QN
hosyu
253名無しさん@ピンキー:2006/03/22(水) 22:04:30 ID:SAlko1ez
ガルデニアタソ(;´Д`
254名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 11:50:02 ID:THKueP7U
GU発売前にVol1からやりなおしてるおれがいるwww
255名無しさん@ピンキー:2006/03/28(火) 21:29:47 ID:wwQGu8Aa
Vol.1の移動の遅さと言ったらもぅ…oTL
256名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 16:19:39 ID:b1ju/2oO
確かにクソトロイわな……。
『時』シリーズはVol2以降でないと無理な気がする。
257名無しさん@ピンキー:2006/03/30(木) 01:53:53 ID:WFUT+V2n
GU、なんか女キャラ少なくね?
258名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 00:06:04 ID:81OcnzG0
保守
259名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 16:23:14 ID:zizejP01
谷繁捕手
260名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 01:04:09 ID:sYPtWB3M
保守
261名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 13:41:46 ID:C3dA2Amk
パイってさ巨乳だからパイって名前?
262名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 01:21:32 ID:iIOJfSfg
別にそれが理由ではないと思うが、まぁネタには持って来いだな・・。
しかし保管庫なんとかしたいな・・・。
263名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 19:30:29 ID:EddluIps
ずっと更新停止しちゃってるしな
しかもVol.4とVol.5見れないから続きがわからん作品あるし・・・orz
264名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 01:34:58 ID:YYlRiHJq
保守
265名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 15:26:12 ID:nDXwP9VE
 気分転換に

 カイトの日記 ○月×日(なつめ偏)

PM7時00分
  久々にザ・ワールドをプレイするも操作方法を忘れ、敵に殺されGAME OVER 
7時15分
  操作もなれてきたので、パーティーになつめを入れてダンジョンに向かう
7時16分
  なつめの行動に胸キュン。萌え萌えだ 
7時23分
  下から母が、夕飯ができたと言ったのでゲームをそのままにして夕飯を食べにいく 
7時35分
  戻ってみると全滅させられていてGAME OVER。使えない奴だ
7時38分
  なつめに再び会うが怒られる
7時50分
  説教中 
7時55分
  楚良の双剣を渡し何とか許してもらう。現金な奴め
8時00分
  再びダンジョンへ
8時01分
  なつめの行動に胸キュン。燃え燃えだ………間違った萌え萌えだ
8時01分10秒
  なつめのかわいさに我慢の限界
8時02分
  なつめを襲うもなつめの楚良の双剣のダイイング効果によりGAME OVER。封双剣・心を渡せばよかった……反省
266名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 20:04:08 ID:AEhaP8Qx
10秒しか持たないのかよ我慢w
267名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 22:12:58 ID:dyXoinZH
なつめのかわいさには同意
268名無しさん@ピンキー:2006/04/27(木) 13:50:25 ID:xM+OVo2e
志乃たんかわいい。
269名無しさん@ピンキー:2006/04/27(木) 18:13:31 ID:vq28Rehm
てかエンデュランスがエルクで確定したな。
270名無しさん@ピンキー:2006/04/27(木) 23:41:54 ID:9tzg4kqF
リミナリティのとかエロ絵とかないんですか?有紀ちんとか
271名無しさん@ピンキー:2006/04/28(金) 01:48:52 ID:LzwGF+LF
俺もリミナリティーキャラが見たいが中々見つからないな

>>269
まだわからんよ
仮にエルクだとしてもあれAIDAのせいで壊れてるだろw
272名無しさん@ピンキー:2006/04/30(日) 21:14:33 ID:KCuWfTJX
リミナリティのキャラでは誰が一番人気あるのかな?
俺は有紀ちんが好きがが
273名無しさん@ピンキー:2006/04/30(日) 22:33:55 ID:/8pOEtg4
京子さんが好き
274名無しさん@ピンキー:2006/04/30(日) 23:39:51 ID:JTsc8uGi
275名無しさん@ピンキー:2006/05/01(月) 16:23:24 ID:jEbkMBme
あの名前忘れたけどOL×ユキちんで色々妄想したのもいい思い出
276名無しさん@ピンキー:2006/05/01(月) 17:19:00 ID:r2jtAbdS
俺は絶対包囲のOVAで有紀ちんが警備員に追い詰められた所をいろいろと…その時警備員が抵抗してもいいんだぜって言葉になんか思った人いるでしょ
277名無しさん@ピンキー:2006/05/01(月) 21:05:52 ID:Y1CfoxbA
>>276
その警備員さんの1人ってミストラルの旦那だぜ。。。
それはちょっとな・・・
278名無しさん@ピンキー:2006/05/01(月) 22:27:02 ID:r2jtAbdS
>>277
そうだったんだ、知らなかった
抵抗するなよ、してもいいけどなって明らかにエロな事するつもりだったんじゃ
279名無しさん@ピンキー:2006/05/02(火) 00:12:07 ID:Epv9xsoh
奥さんあんなだったから、きっと旦那も溜まってたんだとおもわれ。
280名無しさん@ピンキー:2006/05/02(火) 23:23:45 ID:gBadSz2b
hackのLiminalityのOP見たいな、作ってもらえないでしょうか?
281名無しさん@ピンキー:2006/05/04(木) 11:44:46 ID:tF1jtPby
>>279
奥さんは奥さんでネットでしりあった中学生の男の子に夢中だし

Rootsのほうのデカイ黒猫みたいなPCがウィルスコアに馴染みあるみたいだから
.hackersのメンバーの誰かなんだろうな
282名無しさん@ピンキー:2006/05/05(金) 16:28:49 ID:qXfvRgER
過去ログ見てきた
1の>>5お前はすげー

5 名前: 名無しさん@ピンキー 投稿日: 02/10/06 22:34 ID:i82sfeOf

シチュだけなら結構出てくんだけどなぁ・・・

いきなりPCを陵辱しだすウイルスバグのモンスターに犯られるとか、
司とかカイトとかがイリーガルに犯っちゃうとか、
ゲームやってて死ぬ時代らしいから、
PCが犯られてプレイヤーもそんなふうにっていうのもありだと思いませんか?



>>>ゲームやってて死ぬ時代らしいから、


ついの時代が追いついた
283名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 01:46:08 ID:oyIyvGE3
 朝の温かさと香ばしい匂いが部屋を満たしていた。
「打ち合わせ?」
 司がコーヒーカップを渡しながら尋ねると、受け取ったベアが言った。
「ああ。編集と……たぶん遅くなると思うから、夕飯はいらない」
「うん、わかった」
 司は椅子に座ると、クロワッサンをちぎって口に運んだ。
 テーブルの上には他にもベーコンエッグ、レタスとコーンのサラダ、グレープフルーツが載っている。
 カーテンを開けた窓からは斜めに日が差し込み、フローリングの床に模様を描いていた。
「執筆作業、行き詰ってるの?」
 ここのところ難しい顔をして机に向かいっぱなしの姿ばかりを見ている。
 減らしたはずの煙草もまた少し増えたみたいだ。
 するのもおあずけだし。
「うーん……なかなかしっくりくる表現がなくて。正直、スランプかもしれん」
 眉間にしわを寄せて低く唸ったベアに、司も眉を顰めた。
「はやくいつもの調子が戻るといいね」
「ありがとう。まあ頑張るさ。編集に叱り飛ばされてくるよ」
 ふっと空気が緩む。
 二人して微笑みあうと、ベアはコーヒーを喉に流し込んだ。
「今日はミミルが遊びに来る日だったか」
「しょうがないよ、お仕事だもん」
「相手をしてやれなくてすまないと伝えておいてくれ」
「あはは、うん。ちゃんと伝えるよ」
 笑って彼を送り出す。
「いってらっしゃい」
「いってきます。戸締りは気をつけるんだぞ」
「わかってるってば」
 いつもの朝の風景、いつもの日常。
 それが壊れるなんて、このときは二人とも、全く思いもしていなかった。
284名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 23:19:56 ID:oyIyvGE3
司はリビングに掃除機をかけ、玄関の靴を整理し、ミミルを迎える準備をした。
同年代の友達を家に呼ぶなんて初めてで、なんだかうきうきしてしまう。
ベアに引き取られる前の、母親が死んで父親と二人で暮らしていたころは、呼ぶ友達すらいなかったし、
たとえいたとしても、父親が許しはしなかっただろう。
暴力の記憶はTHE WORLDを通して知り合ったベアや優しい人たちのおかげでだいぶ薄れたけれども、
まだ完全に消え去ったわけではない。
それでも今の司は幸せだった。
スリッパの足をぱたぱた言わせて部屋の端まで寄ると、司は綺麗になった部屋をぐるりと見渡した。
「よし、オッケー」
ベアとの関係は、表向きは「養父と養女」だが、実は「年の離れた恋人」になった。
30以上違うけれど、好きになってしまったら関係ない。
だから司は、まるで新妻のように彼の家で暮らしている。
「いつか、結婚してくれるかなあ」
司としては結婚したいのだが、ベアのことだから、
自分みたいなおじさんよりももっと若い人のほうがいいんじゃないか、
とか本気で言いそうな気がする。
いつも彼はそういう遠慮というか、どこか司に対して引け目を感じている節があった。
司が何度、ベアがいいのだと言っても、心の奥で信じ切っていないような、悲しい勘違い。
ミミルに相談してみようかなあ――――考えたところで、ちょうど来客を告げるインターホンが鳴った。
「来たっ」
司はスリッパの音も軽く、笑顔でドアを開けた。
けれど、そこにいたのはミミルではなく、見知らぬ青年だった。
285名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 04:13:30 ID:9lpi24gy
司×ベア 久々にキター

このスレ捨てないでよかった。
286名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 12:16:46 ID:p5JAxKe8
カイト×女性プレイヤー陣(黄昏の文芸作家氏)の続きが
見たいんですが、どうすればいいのですか?
287名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 21:16:18 ID:gjrUOjoi
青年は二十歳を過ぎたくらいだろうか、
服装も顔つきもどこか軽薄な印象を与える、
いまどきの若者という感じだった。
彼は出てきた司に少し驚いた様子で、
「ここって、佐久間さんちだよね?」
「はい、そうですけど……」
ベアの知り合いだろうか。
彼はじろじろと司を上から下まで眺めると、不愉快そうに顔をしかめた。
「あんたは?」
「え、い……家の者です」
「ふーん」
「あの、何の御用ですか?」
「あいつ、いないの」
彼は司の問いを無視して、玄関から中を覗き込むように身を乗り出してきた。
司は戸惑い、ドアをもう少し閉めようとしたが、
それより早く彼の靴先が隙間に差し込まれた。
そのまま足を使って完全に開けられてしまう。
「っ!?」
「あいつもいい親父だよな、実の息子に渡す金はないくせに、自分はこんな――」
彼の言葉に、司は目を見開いた。そして思い出す。
THE WOLRD内で見かけた、ベアともう一人のPCの会話。
それから、その後にベアから聞いた、ベアの家庭のこと。
青年は舐めるような視線を司に向けると、唇の端をくっと吊り上げた。
「こんな、ガキみたいな女囲う金はあるわけだ」
彼の言葉からも視線からも、悪意や嫉妬しか感じ取れない。
288名無しさん@ピンキー:2006/05/08(月) 00:02:45 ID:baKCHdUy
司とベアの子か
289名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 00:46:16 ID:HkWkng0x
彼は素早く自分の体をドアの内側に入れ、後ろ手に閉めた。
司は唖然として彼の行動を見ていた。
ひどい言葉を投げつけられたことがわかる。
囲うとかそんなんじゃない、ベアは真剣に僕のことを考えて引き取ってくれたのに。
だがそんなことを言ったところで、彼には届かないだろう。
青年は強い力で司の腕を掴んだ。
頭によぎったのは、酔った父親の姿だった。
自分の欲望だけをぶつけてきた男の姿が、青年とかぶった。
あのときの父親と、今ここにいる青年は同じ目をしている。
「――――!!」
たちまちよみがえった恐怖が司の足を震わせ、声すら奪った。
彼は乱暴に司の身体を引っ張ると、そのまま玄関の前の廊下に押し倒した。
「やっ……!」
床が固く、背中が痛い。怖い、嫌だ嫌だ嫌だ怖い。
抵抗しようとする前に、腕を押さえつけられてしまった。
「いいだろ別に、どーせあいつとやってんだろ?」
彼は嘲るように笑う。
司はなんとかもがくが、男のほうが力は圧倒的に強い。
しかも上から体重を利用されているので、跳ね除けるのは難しい。
「それに、あんなオヤジとやるよりは、オレのが若いし、楽しめるよ? きっと」
司がベアとしたのは、ベアのことが好きだったからだ。年なんかどうだっていい。
それを、この目の前の青年は理解していない。
青年は無遠慮に司の服に手をかける。
司の目にじわりと涙が滲んでくる。
290名無しさん@ピンキー:2006/05/14(日) 22:02:38 ID:uKr3Obdz
リミナリティのキャラの設定集どれくらいある?
291名無しさん@ピンキー:2006/05/16(火) 20:24:55 ID:co8GzvAG
とりあえず18Rの鷹氏のSS全部読みたいのだが誰かまとめてください('A`)
292名無しさん@ピンキー:2006/05/16(火) 21:10:57 ID:VshUDqyk
293名無しさん@ピンキー:2006/05/16(火) 22:08:39 ID:dWbMr3xe
GUいまやってるがアトリ想像以上の電波だぞ・・・
294名無しさん@ピンキー:2006/05/17(水) 23:20:16 ID:hzBwAf6F
なんか、ものすごくいいところで中断してるが、
今夜も投下なしでしょうか?
295名無しさん@ピンキー:2006/05/18(木) 23:05:11 ID:WwyZiDcJ
>>293
グラサン2号に遭ったところだからまだ分からないがゲート前でのどアップにはワラタ。
ハセヲ×アトリの和姦物希望中だがさすがにまだ無理か。
296名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 01:57:37 ID:wAfl1fsn
話ずれて申し訳ないが、リミナリティの舞や有紀の設定はwikiには有紀は名門私立高校に通うとか、あったけど何に載ってたの?どなたか教えて〜
297名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 01:59:18 ID:J1AsZo0g
>>289

帰ってきたベアがドアを開けると、家の中は真っ暗だった。
司はもう寝てしまったのだろうか。玄関の電気をつけ、靴を脱ぐ。
家の中はシンと静まり返っていて、奇妙なほどだった。
司が家に来てからは味わったことのなかった静寂が満ちていた。
まるで一人で暮らしていたころに戻ったようだ。
ふと胸騒ぎを覚えて、司の部屋に向かう。
寝ているのを起こしては悪いのでそっとドアを開け、隙間から様子を伺った。
カーテンの閉まっていない窓から入る月光が、ぼんやりと灰青の世界を作っている。
ベッドは空だった。
ベアはドアを開け放つ。電気をつけるが、まぶしい室内にやはり司の姿はない。
「司?」
ひょっとしてミミルとどこかに遊びに行ったまま、まだ帰宅していないのだろうか。
けれどもうかなり遅い時間だ。考えにくい。
それに、それなら何か書置きとか……黙っていなくなるような彼女ではないだろう。
ベアは胸騒ぎを覚え、次に自分の部屋を開けてみた。
もしかしたらと思ったのだが、ここにもいない。
ぐしゃぐしゃと片手で頭をかきむしる。
そのときだった。バスルームから音がしたのは。
「司っ?」
「くしゅん」
呼びかけると、くしゃみの返事がきた。ほっと胸をなでおろし、ベアはバスルームのドアを叩いた。
「司、そこにいたのか?」
「あ……ベア。おかえり、なさい」
ドア越しに会話する。彼女の姿は見えないが、もう一度くしゃみが聞こえた。
「ごめん、僕、お風呂で寝ちゃってた……」
「おいおい、風邪引いたんじゃないのか? 大丈夫か」
「平気、今出るから」
「ならいいが、ちゃんと温かくして寝るんだぞ」
「……うん」
声にはどこか力がなく、ベアは心配になった。
どのくらい風呂で寝ていたのかは知らないが、本当に風邪を引いたのかもしれない。
298名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 17:13:28 ID:YJPPmqDL
GUやってて二言目には「志乃、志乃」と繰り返すハセヲを見て
話を思いついたんだが、ここに書いてもいいだろうか。
ROOTがまだ半分も行ってない現状では間の数ヶ月のことは完全にでっち上げになっちゃうから、
後々黒歴史確定の代物になるだろうけど。
299名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 20:26:00 ID:RjyMDHbk
やらない後悔よりもやっての後悔の方がマシだ。
意訳すると是非頼む
300名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 21:00:49 ID:cs2ubECz
やれやれ、折角とうとう5月18日に「.hack//G.U Vol.1 再誕」が発売されたというのに、
一体全体この過疎っ振りはどういう訳なんだ!?
301名無しさん@ピンキー:2006/05/20(土) 08:14:10 ID:SFJCRkx2
望が可愛いすぎる(;´Д`)スバラスィ ...ハァハァ
302名無しさん@ピンキー:2006/05/21(日) 18:49:26 ID:h7bDVPpi
>>298
良いと思うぜ!つか書いて!!
ルーツでハセヲに寄り添った時に来るもんあったし
志乃と2人っきりの時だってあるだろうしそれにタビーを絡めるなりしてもイイ
あの志乃ののらりくらりとして居ながらも庶民的なところもイイ感じだし…
303298 ◆JuT3jsxZbo :2006/05/22(月) 05:05:47 ID:gSlkQ5Js
それじゃ書いてみるわ。
なんか長くなりそうだけど、まあそれはご愛嬌ということで。
タビーとか魅力的なんだけど触れだすときりなさそうなので、
ハセヲ×志乃に焦点を絞ることにする。
>>302さん、ごめんなさい。
304夢から覚めても 1:2006/05/22(月) 05:06:30 ID:gSlkQ5Js
「……と、いうわけで今日はこれまで。言うまでもないが、もうすぐ期末考査だ。休みといえど、気を抜くなよ!」
白髪頭の数学教師はそういってホームルームを結び、教室を足早に出て行った。
彼が扉を閉めた瞬間、教室が一気に喧騒に包まれる。
土日休みを控えた金曜日なので、その喧騒はいつもより大きい。
「ねえねぇ、明日どこ行くー?」
「おわったぁぁぁぁ!」
「とりあえず渋谷行こうぜ渋谷!」
「今週は疲れた……俺は引きこもってやる!誰とも会わんぞ!」
「水着まだ買ってないよー」
「バイトあるんだよなー。まあ、自分で始めたことだから文句は言えねぇけど」
大小悲喜こもごもの様々な声が交錯する中、早々と帰り支度を始める少年がいた。
「おい、ハセヲ」
「何だよ?」
少年に、別の男子生徒が声をかけた。
それなりに親しい間柄だからか、それともそもそもそういう地なのか。
答える少年――ハセヲの口調は砕けたものだった。
「これから渋谷いかね?シルバーアクセのいい店見つけたんだよ」
「んー、わりぃ。今日は約束あるんだ。また今度頼むわ」
「そうか。それにしても、なんかお前最近付き合い悪くね?さては、女が出来たか!」
「ばーか。んなわけねぇだろ」
下世話な友人の言葉をハセヲは鼻で笑って一蹴する。
「ゲームだよ。オンラインゲーム」
305夢から覚めても 2:2006/05/22(月) 05:07:38 ID:gSlkQ5Js
ディスプレイを被ってパソコンを起動し、デスクトップからショートカットアイコンをクリックする。
メインメニューからGAME STARTを選択すると、そこには異世界――The WORLDが広がっていた。
ポリゴンとテクスチャで構成されたこの世界で、ハセヲは黒い衣装を纏った錬装士(マルチウェポン)に姿を変える。
ゲームのスタート地点であり、ダンジョンやフィールドエリアへの窓口でもあるこのカオスゲートでは、多くのPCが行き交っている。
ハセヲ同様ログインしてきた者、冒険に繰り出す者、冒険から帰還した者。
「やっ、来たな」
ぼんやりと行きかうPC達をハセヲが眺めていると、不意に後ろから耳慣れた声がした。
振り向くと、そこにはハセヲの待ち人――志乃が立っていた。
「ちゃんと時間通りきてくれたね。えらい、えらい」
志乃はにっこりと微笑み、九九を暗唱できた小学生二年生を褒める先生のように言った。
「当たり前だろ、ガキじゃねーんだから」
あからさまな子ども扱いに不満を感じ、ハセヲが憮然として答える。
彼女のこういう所が、ハセヲは苦手だった。
「うん。それじゃ、行こうか」
そんなハセヲの気を知ってか知らずか、志乃は笑みを絶やさずハセヲにパーティの誘いをかけてきた。
釈然としない気持ちを抱えながらも、ハセヲはそれを承諾する。
手馴れた仕草で志乃がカオスゲートにフィールドを自動生成させるエリアワードを打ち込むと、二人の姿が光に変わった。
306夢から覚めても 3:2006/05/22(月) 05:08:43 ID:gSlkQ5Js
次の瞬間、ハセヲの目の前に雨が降りしきる草原が広がっていた。
「さて、はじめよっか。とりあえず、今日中に、習熟度を5にするのが目標ね」
「何でそんなに急なんだよ」
習熟度とは、レベルとは別に使用武器の技能をあらわすパラメータである。
現在のハセヲの習熟度は3。一晩であがらないこともないが、結構な突貫作業になるだろう。
「ジョブエクステンド。クエスト、月曜日で終わりだよ?2ndフォームになったら大剣使いたいでしょ、それまでに双剣を使い込んでおかないと」
「俺、別にやるなんて言ってねぇ」
「そうなの?なら、いいけど。せっかくのチャンスなのに」
錬装士は特殊なジョブで、ジョブエクステンドと呼ばれる期間限定のスペシャルクエストをこなすことで姿を変え、
初期武器である双剣に加えて大剣や鎌を使用することが出来る。
更に戦士系でありながら魔法の使用制限もなく魔力も比較的高めで、一見いいこと尽くめのように見えるが世の中底そこまで甘い話はない。
万能であるがゆえに錬装士に突出した能力はなく、どの武器を極めようとしても本職には叶わない。
また全体的に成長も遅めで、パラメータも平均に留まってしまう。
しかも他種の武器を使いこなせるようになるのはジョブエクステンド後で、それを行っていないハセヲは劣化双剣士にしか過ぎない。
BBSなどでの評判も芳しくなく、好事家の2ndキャラというのが錬装士の定説であった。
ハセヲはキャラメイクの際「いろいろ使えて面白そうじゃね?」と気軽な気持ちで選択したのだが、今ではかなり後悔している。
307夢から覚めても 4:2006/05/22(月) 05:09:20 ID:gSlkQ5Js
「………わーったよ。ったく、だりーな」
「うん。それじゃ、行こうか」
なんだかんだといいつつ、不承不承頷いたハセヲに志乃がにっこりと笑った。
すべてを肯定するようなその笑顔がディスプレイ越しにも眩しくて、ハセヲは思わず目をそらした。
このゲームを始めて、彼女と知り合ってから二ヶ月。
ハセヲはいまだに、彼女の顔をちゃんと見ることが出来ない。
「人と話すときは、目、見なきゃ駄目だよ」
「赤ちゃんはね。言葉が話せないから、お母さんの顔、ちゃんと見るんだよ」
「赤ちゃんでも出来ること、君は出来ないの?」
出会ったばかりの頃、そう言われた。
ゲームじゃねぇか、と思いながらもそれなりには気をつけていた。
人の言うことを素直に聞くあたり、可愛いと言えない事もない。
それでも、ハセヲは志乃だけはちゃんと目を見れない。
「だってハセヲ、志乃さんの顔見ないじゃん」
「惚れた女の顔は見られない」
ギルド仲間にもそれでからかわれた事があった。
そのときは軽く聞き流したが、今になって思えば―――
(って何考えてんだ、俺)
中学生じゃあるまいし。自分の考えにリアルで苦笑する。
相手は、ゲームのプレイヤーだぜ?
308298 ◆JuT3jsxZbo :2006/05/22(月) 05:11:37 ID:gSlkQ5Js
まずは触りだけ。
それにしても2017年の高校生なんてどんな日常会話するんだろうね、
想像もつかないよ。
309名無しさん@ピンキー:2006/05/22(月) 11:30:22 ID:2Walyp44
期待age
310名無しさん@ピンキー:2006/05/23(火) 03:50:11 ID:0DzZc8en
>>308
302だが良い感じに出始めたんじゃない?
期待するよ!どうせこういうのは本編と食い違っちゃう物なんだから
あまりずれない程度にがんばってくれい!
311名無しさん@ピンキー:2006/05/23(火) 22:33:55 ID:Je9c9yl0
>>308
GJ!!!
マジ、続き早く読みたい!
ハセヲと志乃愛してる(´Д`;)ハァハァ
頑張って完結させて下さいな
312名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 00:38:20 ID:1gjX178q
保管庫更新マダァー???
313298 ◆JuT3jsxZbo :2006/05/24(水) 00:50:21 ID:5zOswA+c
レスくれた方々、心の底からありがとう。
続きを投下します。
314夢から覚めても 5:2006/05/24(水) 00:51:14 ID:5zOswA+c
そう。「志乃」は、同じネットゲームを遊ぶ、単なるプレイヤー。
それだけの筈だった。それが、なぜこんなことに。
明るく晴れた、日曜日の正午。
大きな窓からは入道雲を従えた太陽が姿を覗かせ、網戸越しに熱を含んだ夏の風が吹き込んでくる。
爽やかなことこの上ない初夏の風景だったが、机で頭を抱えるハセヲの気分は真冬の雨のように冷たく暗澹としていた。
約束の時間まで、あと一時間。遅刻しないためには、そろそろ出かけなければ間に合わない。
しかし、とてもじゃないが体を動かす気にはなれない。
いっそすべてを投げ出して、布団をかぶって引きこもってしまえればどれほど楽だろうか。
まったく、何故こんなことになってしまったのか。
その全ては、ハセヲが先日志乃と交わした約束にあった。
315夢から覚めても 6:2006/05/24(水) 00:55:06 ID:5zOswA+c
このところ、ハセヲは何故自分がこのゲームをプレイしているのかわからなくなっていた。
正直、確たる目的意識があってはじめたわけではない。
家庭は裕福だし、高校は有名私立大学の付属だから受験戦争に悩むことはない。
高校二年目なので学園生活自体にも慣れてきているので、毎日は平穏かつ無難なものだ。
強いて言えば多忙な両親が家に寄り付かないのが問題かもしれなかったが、
遊びたい盛りのハセヲにとってはむしろありがたかった。
そんな全てに満たされた日々に、軽い刺激を。
The WORLDを始めたのは、今思えばそんな気持ちからだったのだろう。
しかし、ハセヲが足を踏み入れた「世界」はそんな軽いものではなかった。
敷居の高いゲームシステム、横行するPK、ギルド同士の対立。
初心者で非常な現実から身を守る術を持たないハセヲにとって、お世辞にもThe WORLDは楽しいゲームとはいえないものだった。
そんな世界のなかでハセヲにとって道標となったのが、プレイ初日に出会った変わり者の銃戦士(スチームガンナー)・オーヴァン、
そして彼が主催するギルド・黄昏の旅団だった。
「君には資質がある」
謎の言葉とともにオーヴァンはハセヲを導くように振舞い、誘われるままにハセヲはThe WORLDの深淵へと足を踏み入れていった。
管理者の手が届かないエリア、ロストグラウンド。
用途も意図も不明な謎のアイテム、ウィルスコア。
世界そのものを変革させると言われる伝説の存在、key of the twilight。
それらを捜し求める旅団での日々は、苦難と猜疑、不安に満ちたものではあったが――
それゆえに、ハセヲにとってたまらなく魅力的で、そして輝きに満ちたものだった。
当時は自覚していなかったが、失われた今となってはそれがよくわかる。
探索は停滞し、巨大ギルドTaNとの抗争の果てにオーヴァンは姿を消した。
ギルドマスターを失った旅団は解散し、タビー、匂坂といった旅団の仲間たちはゲームから降りた。
いまやハセヲをこの世界に繋ぎ止めるものは、何もない。
にもかかわらず――ハセヲは、The WORLDにログインし続けていた。
316名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 00:55:31 ID:uNFguCVE
キタキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
待ってました!
317夢から覚めても 7:2006/05/24(水) 00:57:11 ID:5zOswA+c
理由といえる理由が、ないこともない。
旅団のメンバーだった志乃が、まだ残っていたのだ。
解散後も彼女は持ち前の面倒見の良さを遺憾なく発揮し、ハセヲにメールを送り、冒険に誘い続けた。
しかし、それが理由になるのだろうか?
オーヴァンなき今、志乃だけが残っていても何かが出来るわけではない。
事実彼女との冒険は旅団の頃とは違い、ゲームの仕様にのっとった一般プレイヤーのそれと大差ないものだった。
しかし、自分にとってそんなプレイを繰り返すことがどれほどの意味を持つのか?
ハセヲが惹かれたのはあくまでゲームを逸脱したようなオーヴァンと黄昏の旅団であり、志乃やThe WORLDの表層自体には何の魅力も感じていない。
にもかかわらず、ハセヲは送られてくる志乃からのメールを無視することが出来なくなっていた。
最近では志乃からのメールは冒険の誘いのみならず、好きな食べ物や時事、身の回りの出来事など世間話の様相すら呈してきている。
ハセヲはその全てに律儀に返信していた。
(何やってんだろうな、俺)
幾度目になるのかわからないため息をつき、ハセヲは土曜日の夜も約束どおりログインした。
しかし。
「あれ?」
疑問が思わず声に出た。いつも先に来ているはずの志乃の姿が、そこにはない。
(どうしたんだろ)
ハセヲが記憶する限りでは、旅団にいた頃から志乃が約束した時間に遅れたことは一度もない。
遅刻の常習犯だったハセヲとはずいぶんな違いである。
不思議に思いながらも、ハセヲはすぐに気持ちを切り替えた。
「志乃」のプレイヤーもリアルの人間、彼女だって予期せぬトラブルに遭遇することぐらいあるのだろう。
よく考えると、今まで落ち度のかけらもない完璧な人間として振舞ってきた彼女に皮肉を言える機会を得たのだ。
むしろこれは喜ぶべき事態かもしれない。
気をよくしたハセヲは脇においたペットボトルを一口飲み、カオスゲートの前でPCを座らせた。
318夢から覚めても 8:2006/05/24(水) 00:59:10 ID:5zOswA+c
しかし。三十分が過ぎても、志乃は来なかった。
他人を、特に異性を待つ時間というのは、実際よりも長く感じられるものである。
それはハセヲにとっても例外ではなく、ここにきて彼の心はざわめき出していた。
「いくらなんでも遅すぎね?」
空になったペットボトルを何気なく振り、ぼそりとつぶやく。
別に遅刻は結構だが、いくらなんでも遅すぎるような気がする。
わけのわからない不安が心の中で広がり、ハセヲは意味もなくPCをうろうろとさせた。
「何だってんだよ」
再び、独り言。
気持ちを落ち着かせようと、手近のショップに買い物に行こうとした瞬間。
カオスゲートが輝き、志乃の姿が現れた。
「ごめん、遅れちゃった!」
彼女はハセヲを見つけるなり、大急ぎで駆け寄る。
PCの仕草同様急いで来たらしく、スピーカーから聞こえる声は息が切れている。
「おっせーよ」
内心では安堵しながらも、正反対の言葉が口をついて出る。
「本当にごめん!」
志乃は何度も繰り返し頭を下げ、ひたすらに謝り続ける。
言い訳ひとつ言わないところが、実に彼女らしかった。
319夢から覚めても 9:2006/05/24(水) 01:02:17 ID:5zOswA+c
「べ、別に気にしてねーけどよ。どうしたんだよ」
脊椎反射で毒づいてはしまったものの、素直に謝られるとハセヲはそれ以上責める事は出来ない。
「帰りの中央線が人身事故で止まっちゃって。本当、ごめんね」
「だったらあんたのせいじゃねぇだろ………中央線?」
言いかけたところで、志乃の言葉が引っかかった。
そういえば彼女と知り合って結構たつが、リアルでの彼女は断片的にしか知らない。
「都内?」
「うん。仕事場が御茶ノ水で、住んでるのは中野。ハセヲ君は?」
「俺?横浜」
「へぇ、意外と近くなんだね。私もたまに行くよ」
言葉にこそ出さなかったが、ハセヲも軽く驚いていた。
志乃が近く――というほどの距離ではないが、決して遠距離というほどでもない――に住んでいるというのは
よくよく考えるとありえない話ではなかったが、今まで考えたこともなかったからだ。
(中野、か……)
実際、それほど遠くではない。漫画好きの友人に連れられて、何度か行った事がある。
(だから、何だってんだ)
ハセヲはリアルで頭を振り、不思議な感覚を振り払おうとした。
「志乃」はあくまでゲームのPC。単なる仲間。リアルのことなんて、関係ない。
「それじゃ、さっさと行こうぜ。習熟度、結局5まで行かなかったし」
一瞬でも彼女のリアルに関心を持ってしまったのが気恥ずかしくて、ハセヲはそれを隠すように話題を変えた。
「おっ、やる気だね。どうしたの?」
「別にいいだろ」
急にやる気を出したハセヲに、志乃が今日初めて微笑む。
何気ない会話だったが、このときハセヲは致命的なミスを犯してしまっていたことには気づいていなかった。
320夢から覚めても 11:2006/05/24(水) 01:04:08 ID:5zOswA+c
巨大な亀のような生き物が、視界を覆う。
ある種のかわいらしさすら備えた姿だが、これがエリアのボスモンスターなのだからたまったものではない。
それに向かって、ハセヲは黙々と握り締めた二振りの小刀を振るっていた。
ちなみにこれはあくまでゲーム的表現であり、リアルではコントローラのボタンを連打している。
亀を模しているためかとにかく硬いモンスターには、ハセヲの攻撃もなかなか通らない。
それだけでなく、隙を突いて反撃してくるのでハセヲも結構なダメージを受けていた。
「リプス」
HPが半分を切った瞬間、後ろから囁くような声が聞こえた。
同時にハセヲが緑の輝きに包まれ、HPが回復する。後ろの志乃が、回復呪紋を使用したのだ。
「っ!」
ハセヲが再びモンスターに突撃し、勢い任せに双剣を振り上げる。
上手い具合にコンボがつながり、連撃タイミングが表示された。
即座にショートカットトリガーからアーツを起動し、連撃を叩き込む。
「一刀、燕返し!」
ハセヲの叫びとともにPCが舞い、刃でモンスターを切り裂く。
見事にボスのHPがゼロになり、戦闘結果が画面に表示される。
強めのモンスターだったこともあり、連撃ボーナスとともに盛大に経験値が入りハセヲのレベルと習熟度が上がる。
レベルは25、習熟度は5。
「うんうん、強くなったね。これならクエストも大丈夫かな」
お遊戯を綺麗に踊れた幼稚園児を見るような表情で、志乃が笑う。
普段なら苛立っていたところだろうが、レベルが上がってきたのはハセヲ自身も嬉しかったので、このときばかりは悪い気がしなかった。
興味のなかったジョブエクステンドが、いざやるときめたらなんとなく楽しみになってきたのもある。
「さて。私、そろそろ落ちるね」
「え、もう?明日、って言うか今日だけど、日曜だぜ」
昂ぶっていた気分に水を差され、思わずハセヲが言う。
「休みだからって、無理しちゃだめだよ。生活リズムは日ごろの積み重ね」
まるで保険医か何かのようなことを志乃は言う。
「ちぇっ。わーったよ。じゃあ、俺も落ちるかな」
「うん。若いからって、無理は禁物だよ。そうだ、ハセヲ君」
思い出したように、志乃が付け加えた。何気ない口調だったが、その内容はナパーム級の爆弾発言だった。
「よかったら、リアルで会わない?」
321夢から覚めても 12:2006/05/24(水) 01:08:57 ID:5zOswA+c
思わぬ奇襲に、ハセヲは普段のようにクールを装う余裕はない。
何故、いったいどこからそうなるのか?
「なんとなく、だよ。せっかく近くなのがわかったんだし」
くるり、と体全体で振り向いた志乃が、ハセヲに顔を近づけてきた。。
その声はいつもと同じ、天使を思わせるようなウィスパーボイスだったが、今のハセヲには悪魔の囁きに聞こえる。
「べ、別にいいけど……いつ、どこでだよ」
「今日とか、どう?渋谷なら、お互いの距離的にちょうどいいと思うんだけど」
「はぁ?」
あまりの急展開に、ハセヲの頭が渦を巻く。よりにもよって、いきなりかよ。
「予定、ある?」
「別にないけど……急すぎね?」
よせばいいのに、ハセヲは素直に答えてしまった。
「私と会うの、嫌?」
「そうじゃねぇけど………」
志乃はハセヲが目を反らせないようにしっかり見つめてきている。
「よかった。それじゃ、待ち合わせはお昼の一時、ハチ公前でいいかな?」
「い、いいけど」
「よかった。それじゃ、服装とか細かい場所は後でメールで送るから」
「わ、わかった」
まっすぐな視線に魅了されてか、ハセヲがもうほぼ無意識にうなずく。
「うん。それじゃ、楽しみにしてるよ」
ハセヲの答えに満足したらしい志乃はにっこりと笑い、ハセヲから離れた。
そのまま二人はボスの隣に配置されていたワープゾーンを抜け、ルートタウンへ戻った。
「ああ、そうそう」
パーティ登録を解除し背中を向けていた志乃が、顔だけで振り向く。
「リアルでも私はちゃんと女の子だから。二十二歳だけど。ネカマじゃないから、心配しないでね」
「別に心配してねーよ」
「ふふっ」
何がおかしいのか、ハセヲの言葉に志乃が笑う。
縫い目のない天の羽衣を幻視させるような、柔らかい笑顔。
いつものようにそれがまぶしくて、ハセヲは目をそらした。
「じゃあね」
そう言って志乃の姿が消え、それに続くようにハセヲもログアウトした。
322夢から覚めても 13:2006/05/24(水) 01:10:24 ID:5zOswA+c
画面がデスクトップに戻ると、メールボックスに新着通知があった。
嫌な予感満載で開くと予想通りメールは志乃からのもので、明日の彼女が着ていく予定の服装や細かな場所が書かれていた。
精神的な頭痛を感じてM2Dを外し、思わずハセヲは頭を抱えた。
「………マジで?」
出来れば何かの間違いであってほしかったが、メールまで送られてきてはそんなことはいえない。
志乃と、リアルで会うことになってしまった。
別に、自分に自信がないわけではない。
年頃の高校生らしく服装には気を使っているつもりだったし、顔だってイケメンとは言えずとも、まあ、悪くはないだろう。
それが妙齢の女性と二人きりで会う機会を得られたのだから、普通なら小躍りして喜んだっていいはずだ。
確かに顔はわからないが、ネットでの言動をかんがみれば志乃は相当善人の筈である。
理屈で考えれば、彼女とリアルで会うことには何の問題も見当たらない。
にもかかわらず、ハセヲの心中には不安が春の嵐のように吹き荒れていた。
何かよくわからないが、志乃と会うのはどうにも気が進まない。
いや、はっきり言ってしまうと会いたくなかった。
とはいえ、いまさら断れるだけの理由も度胸もハセヲは持ち合わせていない。
(とにかく、もう寝よう……)
体感時間で一時間ほど頭を抱えた後、ハセヲは何とかPCの電源を落としてベッドにもぐりこんだ。
こんなに嫌な日曜日は、生まれて初めてだ。
323夢から覚めても 14:2006/05/24(水) 01:11:30 ID:5zOswA+c
かくして、場面は戻る。
ハセヲが回想という名の現実逃避に身を浸していた間も時計は無慈悲に進み、針は十二時五分を過ぎていた。
(いっそ、フケちまうか?)
思いついて、すぐにそれを自分で否定する。
いや、それはだめだ。約束を破ることになってしまうし、それ以外にも、なぜか行かないといけないような気がする。
「………くそっ!」
大声で毒づいて、ハセヲは体を起こしクローゼットを開いた。
もう、野となれ山となれ。
言っても行かなくても嫌なんだから、いって嫌な思いをしたほうがいいだろう。
それに、フケるのは渋谷に行ってからだって出来る。
そう自分に言い聞かせながら、ハセヲは身支度を始めた。
324298 ◆JuT3jsxZbo :2006/05/24(水) 01:18:33 ID:5zOswA+c
今回はここまで。次は木曜深夜、早ければ今日中かな?
先に謝らせていただきますけど、次回リアルで会っても志乃とハセヲは多分エッチも告白もなしです。
もうちょっと引っ張ります。ただ、どっかでエロ入れる予定。
エロパロにあるまじき姿勢ですが、適度に読み流しながら気長にお付き合いくださいませ。
325名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 01:25:08 ID:uNFguCVE
>>324
GJ!!全然( ̄ー ̄)キニシナイ!!
志乃とハセヲが見れるだけで十分だす
これからどうなるのかwktkしときまっせ
326名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 17:07:18 ID:j/YbDHXI
>>324
来い・・・来いよ・・・!!

スケェェェェェェイスっ!!!!!
327名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 17:59:08 ID:pjYpKzuS
スケべェェェェェェェィイス!!!!!!!!!!!




   ._ __
   .(__//__).
  /  U ::::::l
  .<,,,,_____;;;;;;,>
328名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 18:04:22 ID:NnxZ/93s
>>324
ハァ……ハァ……ハァ…
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!スケェェェェェェェェェイスッ!

ハセヲ可愛いなあハセヲ
329名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 23:42:38 ID:1gjX178q
>>324
待ってましたぁぁぁぁ!!!!!!!!
続きも心待ちにしております!!!!!
330名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 23:44:45 ID:DM+Zudq+
あとで見ようかと思ったが見ちまった・・・
見せ(ひっぱり)方イイねw

続、楽しみにしてるよ…
331298 ◆JuT3jsxZbo :2006/05/25(木) 02:49:48 ID:FpsOhbE8
エロはしばらく先だと公言しているにも関わらずこの反響・・・・・
まさに感無量です。
というわけで調子に乗って仕上げた志乃とハセヲのファーストコンタクト、投下。
332夢から覚めても 15:2006/05/25(木) 02:50:36 ID:FpsOhbE8
来てしまった自分に半ばあきれ、待ち合わせに行こうとしている自分にびっくりだ。
電車が渋谷駅に着いた時には一時を五分ほど過ぎていた。
時間を過ぎたことでさっさと帰ってくれてれば恩の字だが、彼女の性格からそれは期待できそうにない。
生焼けのピザみたいな気分を抱えたまま、ハセヲはハチ公前へ向かった。
(逃げるなら今のうちだと思うんだけどな……)
頭の中ではそう思いながらも、それとは裏腹に足は進み続ける。
その歩調は、いつもより少しだけ速い。
駅を出てハチ公前にたどり着くと、ハセヲはメールに書かれた服装の女を探した。
なかなか見つからずにきょろきょろしていると、人ごみの中から一人の女性がハセヲに向かって歩いてきた。
白い帽子、同じ色のサマードレス。帽子から覗く髪は、服装とは対照的に黒い。
志乃からのメールに書かれていたものと、同じ姿だ。
「君、ハセヲ君?」
距離が50センチほどになったところで、話しかけられた。
その声は、The WORLDで聞き慣れたウィスパーボイス。
「だったらなんだよ」
「よかった、やっぱりハセヲ君だ」
ハセヲの答えは下手をすれば喧嘩を売っているともとられかねないものだったが、それを聞いた女性はこぼれるように笑った。
「私、志乃。初めまして……かな」
夏場にもかかわらずやたら白い手を、女性が差し出す。
近づいてわかったが、かなりの美人だ。ゲームの「志乃」と同じぐらい、いや、下手をするとそれ以上の。
化粧気は薄いが、顔立ちが冷たい印象を与えない程度に整っており、顔が小さいせいか相対的に目が大きく見える。
よく見ると、PCと同じく左の目元には泣きぼくろがある。
333夢から覚めても 16:2006/05/25(木) 02:52:31 ID:FpsOhbE8
「………」
やや気後れしながら、ハセヲがそれを無言で握り返す。
ゲーム同様真っ直ぐ目を見れずに視線を下にそらすと、薄いサマードレスに包まれた胸元が目に映った。
発育しきった大人の女性だということを差し引いても、かなりでかい。
「こら」
「……っ!」
「目、見ないと駄目でしょ。リアルでも同じこと言わせるつもり?」
聞きなれた叱責が飛ぶ。自分へのやましさへの自覚からか、ハセヲは反論できずに黙り込んだ。
「ほんとにゲームと同じなんだね」
志乃があきれたように溜息をつく。
(それはこっちの台詞だっつーの)
そういえば、ゲームの志乃も白い帽子にワンピースだ。
(合わせたってわけか?)
ちなみにハセヲの服装もPCを思わせる黒のノースリーブにジーンズだったが、これはあくまで偶然である。
「それじゃ、ここで立ってると暑いしどっか行こうか。ハセヲ君が遅れたおかげで待たされちゃったし」
意地悪く視線を流してくる志乃から目をそらしながら、ハセヲが頷いた。
まったく、何で俺はこんな炎天下にこんな女と待ち合わせなんぞしてしまったのだろう。
334夢から覚めても 17:2006/05/25(木) 02:53:04 ID:FpsOhbE8
「ハセヲ君、高校生?」
「そうだよ。あんたは?」
冷房の効いた喫茶店に入たおかげで少しばかりで気分のよくなったハセヲは、珍しく素直に教えた。
「こら。あんた、はないでしょ」
「はいはい。志乃サン」
いつものように注意した志乃にまったく誠意のこもっていない顔で頷きながら、ハセヲは言い直す。
「何だと思う?」
逆に聞き返された。素直に教えないのは罰のつもりなのだろうか。
そう思いながらも、ハセヲはそれに乗ってやることにした。
「……OL?」
思いついた答えをそのまま口にする。
「はずれ」
「主婦?」
「違うよ、私は独身」
「へぇ………メイドとか」
ネット上だったら間違いなく語尾にwが付きそうな調子で、ハセヲは次の答えを口にした。
独身、という単語になぜか心が反応したためである。
「なにそれ」
笑いながら志乃が一蹴した。
もちろんハセヲにしても本気ではない。ネタである。
「先生?」
今度は本命だ。もうひとつの候補は、看護婦。
「うーん、近い。でもちょっと違うかな」
志乃が形のよい口元を指で押さえる。
数秒考えて、ハセヲは新たな答えにたどり着いた。
「保育士?」
「正解」
志乃がまた笑う。今度はにっこりと。
ハセヲは胸に視線が行かないように顔から目をそらし、手元のアイスコーヒーを口にした。
「それにしても、俺のことよくわかったな。もしかして、それっぽいやつ手当たり次第に聞いてたのか」
「違うよ。声をかけたのは君だけ。待ってるあいだ、声かけてくる人はいたけどね」
やはりからかうような調子のハセヲに、志乃がきっぱりと答える。
「じゃあ、何で」
予測していなかった答えに、ハセヲが面食らう。
「女の勘、かな」
志乃が目を見せて口だけを吊り上げて笑う。
その仕草が妙に色っぽくて、ハセヲはまたまた視線をそらした。
すると今度はむき出しの細い肩が目に入ってしまい、冷房の聞いた店内にもかかわらずハセヲは頬に熱が集まるのを感じた。
よく見ると肌もあらわなサマードレスは結構大胆な服装で、目のやり場に困る。
胸と素肌を視界に入れないようにするには、顔を見るしかない。
まさか、この女そこまで計算して来たのか?
335夢から覚めても 18:2006/05/25(木) 02:55:09 ID:FpsOhbE8
結局志乃とはその後一時間ほどお茶を飲んで、そのまま別れた。
リアルでの初対面としては、こんなものだろう。
ネット初心者のハセヲは他に事例を知らないので、比較できないが。
帰り道の東急東横線の車内で、ハセヲは傾く日を眺めながら機嫌よく携帯のメディアプレイヤーで音楽を聴いていた。
そう、いざ会ってみれば信じられないぐらい楽しかった。
ひたすら「目を合わせて話しなさい」「あんたって言うのやめなさい」と説教されてたし、
帰り際に思わず「もう?」とか言ってしまい「もっと一緒にいたい?」とからかわれたりもしたが―――
そんなことは、問題にもならない。
こんなに上機嫌になったのは、本当に久しぶりだった。
聞いていた曲がちょうど終わったところで、音楽が中断されメールの着信を知らせた。
隣の中年男が派手めな着信音に渋い顔をしているが、気にしない。
携帯を開くと、メールは差出人は七尾志乃―――先ほど携帯のアドレスを交換したリアルの志乃だった。
クリスマスの朝目を覚ました子供のようにメールフォルダを開くと、
彼女らしい丁寧な調子で今日は楽しかった、今度はハセヲから誘ってねと社交辞令的なことが書かれていた。
「俺も楽しかったぜ。コーヒーセットおごってもらえたしなw」とハセヲにしては珍しく早々と返事を送り、携帯を閉じた。
自宅まで電車で後三十分ほど。ハセヲはいい気分を壊さないようにシートにもたれ、イヤホンから流れてくる音楽に集中した。
シャッフルで当たった曲は、なぜか最近流行のラブソングだった。
336298 ◆JuT3jsxZbo :2006/05/25(木) 02:56:45 ID:FpsOhbE8
今日は以上です。次は・・・・金曜かな?
エロシーンの長さにもよりますが、この調子でいけば来週には完結しそうです。
337名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 03:34:16 ID:PTgXrBno
早速、きましたねw
本編のハセヲ君そのままのチェリーっぷりがイイ!
ところどころに『ワード』を違和感無く入れれてるのもナイスかと。

続、楽しみにしてるよ…
338名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 03:52:21 ID:IEBW/u7l
GJ!!
アニメ、まだ中盤までしかいってなくて志乃のイメージが出来かけ〜みたいな感じだったけど、凄いね、これは!もう、まさにこんなだろうなぁって感じで。
ハセヲのひねくれやる気ないのもいい味出してるかと!


次が楽しみスケェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェィス!!
339名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 07:29:50 ID:yxwsSNPU
GJ!!
ホント乙です!

なんかもうこのままエロ無しの方向でもよくなってきた俺ガイル('A`)
340名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 23:33:00 ID:mEZ5ymiL
>>336
今更だけどGJです。最初に匂坂節がwww
何か、キャラを生かすの上手いですねえ。ウラヤマイ
341名無しさん@ピンキー:2006/05/26(金) 22:29:57 ID:TsNfL+nW
続き今日だよな?楽しみだ
寝ないで待ちます
342名無しさん@ピンキー:2006/05/26(金) 23:32:10 ID:9sG99QVI
>>336
GJ!!!!
きたよきたよ!!
ハセヲいいねw志乃も!
続き楽しみ( ´∀`)
343298 ◆JuT3jsxZbo :2006/05/27(土) 00:08:06 ID:D5iqy8iR
なんだか予想以上に受けがよくて驚いてます。
もちろん嬉しいことなのですが・・・・・・
ともあれ、皆さんの期待を裏切らないように頑張りますので、今後もよろしくお願いします。
というわけで、今日の分行きます。
344夢から覚めても 19:2006/05/27(土) 00:10:16 ID:D5iqy8iR
授業がいつもより早く終わる月曜日、志乃との待ち合わせよりも二時間も先にハセヲがログインしたのは、ちょっとした思い付きだった。
今日はジョブエクステンドイベントの最終日。このイベントには、エクステンドを希望する錬装士一人で挑まなければならない。
今までの特訓も、全てこのためのもの。なんだかんだ言いつつ、ハセヲはソロプレイの経験が浅い。
ハセヲはぶっつけ本番でいいじゃん、と思ったのだが、「備えあれば憂いなし」を熱心に説く志乃に諭されて今まで彼女のサポートの元、特訓を繰り返してきた。
彼女がやってくる前にクエストを終わらせ、新たな姿で出迎えてささやかな驚きを与える。
それは今まで志乃に世話を焼かれるばかりだったハセヲにしてみれば、なかなか魅力的なアイデアだった。
しかし。
「何でいるんだよ……」
クエスト受領のついでに立ち寄った中央市場。そこには、いないはずの志乃の姿があった。
彼女はご丁寧に買い物鞄型のアイテム(買い物中の主婦がもっているような、アレである)を下げ、どこかのギルドショップの女性PCとなにやら話し込んでいた。
顔をあわせずに済ませられれば結果は同じだ、と思い直しても独り言を呟いてしまった後ではもう遅い。
志乃は目ざとくハセヲに気づくと、店員との会話をいったん止めて「あ、ハセヲ」などと手を上げて声をかけてきた。
ハセヲは母の日に贈るカーネーションを買っているところを目撃された小学生のような気分で、志乃に向かって歩き出した。
「仕事じゃなかったのかよ」
「今日は早く終わったから。ハセヲ君こそどうしたの?早いね」
まさか志乃を驚かせたくて急いで来たなどとは言えず、ハセヲは押し黙った。
今になってみれば、我ながらずいぶん恥ずかしいことを考えたものである。
「言いたくない?」
「どうでもいいだろ」
いつものように毒づいたハセヲを見て、何が嬉しいのか志乃がにっこりと笑う。
真相を知った上で犯人と話をする時、名探偵はこんな顔をするのだろう。
345夢から覚めても 20:2006/05/27(土) 00:11:14 ID:D5iqy8iR
「志乃さん、この子誰?」
それまで黙っていた店員が、ハセヲを指して唐突に口を開いた。
「旅団の仲間。錬装士のハセヲ。BBSで話題になってたこともあるんだけど、聞いたことない?ハセヲ、こちらはギルド・アナハイムのリンさん」
「あー、あの<魅惑の黒い錬装士>。へー、そっかぁ、道理で旅団が解散したのに志乃さん復帰しないわけだ」
何を勘違いしたのか、リンが姉の逢引現場に出くわした女子中学生のようににやにやしながら納得する。
「うーん、それだけじゃないんだけどね。とにかく、みんなにもよろしく言っといて。じゃあね」
「はーい。ハセヲ君、がんばんなよー」
リンの冷やかしを受け流し、志乃はギルドショップを後にした。
ハセヲは一瞬迷うが、結局カオスゲート以外行くところもないので志乃の後を追う。
346夢から覚めても 21:2006/05/27(土) 00:12:25 ID:D5iqy8iR
「旅団以外のギルドにも入ってたんだな」
「うん、色々ね。旅団が出来たときに全部やめちゃったけど」
志乃の性格を考えれば、わからない話ではない。
気配り上手で面倒見がよい志乃の性格はギルド運営に有効この上ないものだろうし、それに加えてPCもかなりの高レベルだ。
実際、単独行動が多く社交性ゼロのオーヴァンにかわって黄昏の旅団を実質取り仕切っていたのは彼女だった。
「何で復帰しないの?」
「ハセヲが心配だから……かな」
そう言って、志乃はわずかに微笑む。
モナリザもかくや、と思わせる完璧な微笑だったが、
ハセヲにはその言葉に冷蔵庫から既製品のドレッシングを選ぶような響きを感じた。
「ほんとかよ」
「当たり前じゃない。タビーも、匂坂君ももういない。これ以上、仲間がいなくなるのは嫌だよ」
わずかに怒気をはらんだ声。
思わぬ反応に、ハセヲが体を引く。
それからしばらく、二人の間に沈黙が流れた。
M2Dのスピーカーからは明け方のカラスのような見知らぬプレイヤーたちの会話だけが響き、ヒバリのせずりを思わせる志乃の声は聞こえない。
「……悪かったよ。ごめん」
沈黙に耐えられなくなったハセヲが、搾り出すような声で沈黙を破る。
「……ううん、私もごめん」
引きずられるように、志乃が答える。
その声からリアルの彼女の悲しそうな顔を想像してしまい、ハセヲは今更自分の発言の無神経さに気づいた。
餌をやるのを忘れて金魚を殺してしまった、子供のように。
347夢から覚めても 22:2006/05/27(土) 00:13:06 ID:D5iqy8iR
「そうだ、ハセヲ。クエストはどうするの?」
重たくなった空気を払拭するためか、努めて明るい口調で志乃が話題を変えた。
「やるよ。もうクエスト登録してきた」
「そうなんだ……頑張ってね」
わずかに口元を吊り上げ、志乃が微笑む。
「ああ、せっかく特訓したんだしな。一気に片付けてくるよ」
ようやく笑ってくれた志乃に内心ほっとしながら、ハセヲもいつもの調子で答えた。
「頼もしいね。そうだ、これ。餞別」
思い出したように、志乃がハセヲにアイテムを渡す。
鍛錬ノ書・耐。
物理防御力をわずかながら永久的に向上させる、いわゆるドーピングアイテムだ。
この種のアイテムの常として、結構なレアリティを持つ。
「いいのかよ」
「いいから。人の厚意は、素直に受けるものだよ」
先ほどのことを引きずってか柄にもなく遠慮したハセヲに、これまた珍しく押し付けるように志乃がアイテムを握らせる。
「……わかったよ」
複雑な表情で、ハセヲがアイテムを受け取る。
「うん。あと、それから……」
「まだなんかあるのかよ」
ソロプレイの心得でも聞かされるのかと思い、ハセヲが身構える。
しかし、それはまったくの見当違いであった。
348夢から覚めても 23:2006/05/27(土) 00:14:46 ID:D5iqy8iR
「これは、おまじない」
言い終わる前に、志乃がハセヲの頬に口付けた。断っておくが、もちろんPCのアクションである。
「なっ……!」
突然の行動に、ハセヲが口を思わず開き呆気にとられる。
これは、リアルの話。
「だから、おまじない」
志乃が視線をそらすようにうつむき、先ほどの言葉を繰り返した。
なんだか恥ずかしがっている……ようにも見える。
「あ……ありがと」
やっとのことで答えたハセヲに、志乃が頷く。
「それじゃ、行ってらっしゃい」
のろのろと歩き出したハセヲを、志乃が見送る。
息子を送り出す母のように、あるいは夫を見送る妻のように。
ドームへ向かう途上で、ハセヲは片手をコントローラーから離し頬に当てた。
ゲームの中でのことにも関わらず、そこにはリアルな唇の感触が残っているような気がした。
349298 ◆JuT3jsxZbo :2006/05/27(土) 00:16:16 ID:D5iqy8iR
以上です。そろそろ半分来たかな?
週末は不安定なのでどうなるかわかりませんが、月曜までに一回は投下します。
現状ではエロパロというより普通の二次創作になってしまっていて申し訳ありませんが、
ちゃんとエロはありますのでもうしばらくお待ちを。
350名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 00:48:17 ID:syrAj+sh
>>349
GJ!ハセヲヘタレすぐるwwww

そう言えば、エロがないとここは投稿しちゃいけないのかな
エロなしでもよかったら書いてみたいけどw
351名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 02:52:02 ID:UtMroP4a
>>350
是非読んでみたいです。
エロなし禁止がどうか分からないけどちゃんと作品になってるならいいんじゃない。
352名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 06:10:40 ID:bX20dlDC
>>349
乙ケェェェェェイスっ!!!


ハセヲ×望とかってありなのかねこのスレ
353名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 06:27:06 ID:cisyOfTQ
>>352
なんでもいい
エロがなかろうがなんだろうが我らの欲望さえ満たしてくれれば
354名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 06:34:08 ID:bX20dlDC
>>353
いや、そこではなくて男同士だけどいいのかなってw
355名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 11:38:01 ID:cisyOfTQ
>>354
それも含めて何でも良い
エロがあっても良い
356名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 12:49:34 ID:3+KvJpmw
まあ、なんていうか。アレだ。
使用PCは女だしな。ギリギリセーフ?
357名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 16:28:12 ID:qx/d7GsN
>>352
ギリギリセーフってか、むしろホームラン?
358名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 18:42:34 ID:9DRIz00r
>>349
GJ!!
志乃さんいいお〜
次も待ってるね
359名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 23:49:16 ID:lCzhRqT4
vol1からいるけれど、昔からこのスレは結構自由だった。
百合・近親相姦・女体化等々・・・エロなしも歓迎されたし。
面白ければオッケーみたいな感じで。
360名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 00:49:48 ID:nbMYFnif
じゃあ志乃×女体化ハセヲのガチレズと
パーティの女二人に襲われる揺光タンを希望しとく
361名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 01:08:07 ID:FNH++M4I
「んふふっ♪おねーさま〜w」
「なっ!ちょ、やめっ!」
362名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 01:11:14 ID:3AKQbnVY
ハセヲ女体化はなぁ。
このスレ的にはOKなのかもしれないけど、自分は拒否反応が。

揺光は俺も是非見たい。
自分の中では素晴らしい萌えキャラだし。
363名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 01:17:56 ID:IcqadGuf
つ[NGワード]
自由なのがウリなスレだから自分と好みが合わない作品が
投下されても各自でスルーくらいしてくれよ
個人の好き嫌いで職人が減ってしまったらたまったもんじゃないんだが。
まぁ801と男×女体化男は俺も流石に勘弁だけど
364名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 01:20:20 ID:galcvatM
うおぉぉぉぉ『夢から覚めても』最高だぁぁぁぁぁぁ!!!!!
毎日楽しみにしておりますぅぅぅぅぅぅ!!!!
続きが待ちどぉしいぃぃぃぃ!!!!
365名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 01:40:57 ID:IEQI/ktG
おいらは司×ベアの投稿職人を、流れに逆らいつつ未だに待ちわびてる。
続編でも新作でもいい、誰かカキコ&うpを!
366名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 01:52:51 ID:5nUrvwxL
揺光って2で仲間になる?
367名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 02:00:14 ID:IEQI/ktG
>>366
おそらくは、ならないと思われる。なぜなら以下の推測から。
なるってウワサは、PARでデータが存在したから、らしいが、
あれは固定グラ+固定Lv+固定装備のキャラにデータが割り振られてただけ。
仲間にしようとするとバグるしね。
ただ、朔など、バグりはするけど少し仕様の違うキャラがいる。
こいつらは仲間になるだろう。揺光は、この条件は満たしていなかった。
そして、最後に。スレ違いだ。
368名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 02:20:11 ID:nbMYFnif
脚本の人曰くVol.2で出張ってくるっぽいから
仲間になる可能性もあるな<揺光
369名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 02:39:03 ID:FNH++M4I
>>367
それって蟹イベのやつでもあるんじゃね?
370名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 03:01:13 ID:IEQI/ktG
>>369
あぁ、そうか。
そういや、あそこで武器収納グラがあるから、仲間になるとか
言ってる香具師もいるな…。
ただ、今回、VOL3通して10人チョイしか仲間にならナイっぽいからなー。
まあ、ファンなら期待して待て、仲間にならなくても泣くな、ってとこか?
371名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 09:31:22 ID:AakKXd89
ってか、恐らく朔望は憑神使い。
名前はゴレ。二つ名は策略家

他にもそれっぽいキャラに割り振ってみたハセヲ=[死の恐怖]スケイス
アトリ=[惑乱の蜃気楼]イニス
クーン=[増殖]メイガス
ヤタ=[予言者]フィドヘル
朔望(望)=[策略家]ゴレ
エンデュランス=[魅惑の恋人]マハ
パイ=[復讐者]タルヴォス
オーヴァン=[再生]コルベニク

と、スレ違いはここまでにしたい。
SSキボンヌェw
372名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 12:53:44 ID:IEQI/ktG
>>371
散々既出ではないか。
しかも、運命の預言者・ヤタ、誘惑の恋人・エンデュランス、再誕のオーヴァンだ
373名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 13:07:44 ID:pDcU2SEc
激しくスレ違いのこの流れを止めようか
ttp://promotion.yahoo.co.jp/hack/ 
このインタビューからして、vol.2で揺光が仲間にならないと考える方が不自然だと思うが。
ま、そういう訳で俺は揺光萌えしてる一人。揺光キボン
374名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 13:41:49 ID:IlYZJgBC
>>370
>>372
仲間になってもならなくてもここの人達がきっとハセヲ×揺光のエロを書いてくれるさ。
と先走って期待しちゃってる俺揺光萌え人。
375名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 16:06:02 ID:uUtZhdzK
エロくないかもしれんけど、絵は良いのだろうか?
色々と特殊な系統だけど…
376名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 16:46:09 ID:nbMYFnif
ここ一応エロパロだからなぁ…
絵なら角煮にスレ立ててやった方が良いんじゃないか?
投下されたSSの挿絵扱いならここでもOKだろうけど。
377名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 17:33:19 ID:uUtZhdzK
女体化ものなので、スレ立ててまではなぁと思ったもので…
SS書ける人ウラヤマシス。
378名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 22:10:31 ID:H/NzKFlO
>>349
う〜〜ん・・・
ある程度のLvの高いSS書きは例え表現が目につくものなのかな?
志乃さん捉えどころがないな〜w
でもそこがどうLIKE以上の関係を築くか楽しみなところだね。

続、楽しみにしてるよ…
379名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 23:57:01 ID:galcvatM
続きが気になるハァハァ(´Д` ;
380名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 00:18:16 ID:UsRVGuq3
381298 ◆JuT3jsxZbo :2006/05/29(月) 00:29:47 ID:sX1GhNcD
GU.TheWorldの表紙にすっかりやられた俺が来ましたよ。
やっぱり年上のお姉さんキャラって良いですねぇ。

スレ全体も盛り上がってきたようで嬉しい限りです。
>>350さん、>>352さん、楽しみにしてますよ。

と言うわけで、今回の投下行きます。
382夢から覚めても 24:2006/05/29(月) 00:30:47 ID:sX1GhNcD
別に「おまじない」のおかげというわけでもないだろうが、クエストは思ったよりもあっけなくクリアできた。
妙な仕掛けがあったのでそれには多少手間取ったが、戦闘で苦戦することはなかったしPKに襲われることもなかった。
クエスト用のダンジョンはレベル20程度を想定しているので当然といえば当然の結果だったが、
準備の手間を考えると少し物足りないような気がする。
ともあれ、ハセヲはクエストをこなし、ジョブエクステンドを無事に果たした。
ダンジョンからクエスト屋に戻りると、NPCからのメッセージとやたら手の込んだエフェクトともに
ハセヲの姿が第二形態――2ndフォームへと変わる。
見た目の変化としては尻の辺りから飾り布が伸び、二の腕と手首にアーマーが追加されている。
更にへそだしがなくなり、肌の露出が少なくなったことで全体的にごつい印象を与えるようになっている。
印象としては駆け出しの若手冒険者が実戦経験を積み、それに即した装備へ衣替え――といった感じだろうか。
装備品にもそれを現すように、キャラメイク時に選択した大剣が追加されている。
「おお……」
視界に移った己の新たな姿に、ハセヲが思わず溜息を漏らす。
初ログイン以来久しく感じていなかった感動が、心に押し寄せた。
初日のPK以来すっかり無気力になってしまっていた感があったが、この少年、もともとは結構な感動屋である。
「おめでとう、ハセヲ」
聞き慣れた声に振り向くと、いつの間にか志乃の姿があった。
にっこりと笑い、ぱちぱちと拍手を鳴らしている。
「ああ。ありがとう、あんたのおかげだ!」
ハセヲは先ほどの戸惑いも忘れて志乃に駆け寄ると、彼女の手をとって乱暴に上下させた。
いつもならこういう仕草に自分に対する子ども扱いを感じて反発するところだったが、
エクステンドの喜びがハセヲを麻痺させていた。
「ふふふ。そんなに喜ばれると、こっちもなんだか嬉しくなるよ」
されるがままに、本当に嬉しそうな口調で志乃が言う。
たっぷり一分ほど振り回した後、ようやくハセヲは手を離した。
「それじゃ、これからどっかエリアに行く?大剣使ってみたいでしょ」
「ああ。エリアワードはお任せするぜ」
志乃の誘いに、ハセヲが二つ返事でOKする。
ゲームは遊びであって楽しいものであり、
仲間はそれを共有するものだという当たり前のことを、ハセヲは今更の様に思い出していた。
383夢から覚めても 25:2006/05/29(月) 00:31:40 ID:sX1GhNcD
(まずは取り置きしてもらっておいた兎湾+3を受け取って……レベルどこまであげっかな。アリーナに行ってみるのもいいな。そういや、「痛みの森」はもうすぐか)
ジョブエクステンドから四日が過ぎ、週末の足音が聞こえても、ハセヲのハイテンションは持続していた。
その証拠に、この日も帰りのバスの中で一心不乱に今日の大雑把な計画を練っている。
この四日間、ハセヲは欠かさずThe WORLDにログインしていた。それも、自発的に。
まずは志乃との待ち合わせありきで、
彼女に付き合う形でプレイしていた月曜日までの彼のプレイスタイルを振り返れば驚くべきことである。
理由は単純で、The WORLDが楽しいから――だった。
新しい武器を使うのはそれだけでなかなか楽しいし、
更にこの先に新たな姿と武器――3rdフォームが待っていることを考えれば経験値稼ぎも苦にならない。
それに飽きたら一息ついてタウンで他のPCの様子を眺めてみるのも愉快だったし、
中央区のギルドショップをあれこれ回ってみるのはリアルのショップめぐりに通じる面白さがある。
一番楽しかったのは、襲ってきたPKを返り討ちに出来たことだ。
初日にだまし討ちにあった挙句なぶりものにされたハセヲにとってPKはいわばトラウマで、
それを自力で撃退出来たことはハセヲに認識を変える契機となった。
そう。強くなれば、PKに襲われても負けることはない。
単純な定理だったが、それはハセヲにとって聖パウロの回心にも匹敵するパラダイムシフトだった。
世界は変わらないが、それに合わせて自分を変えることは出来る。
初めてカラーテレビを見た少年のように、ハセヲはThe WORLDを無心に駆け回っていた。
おかげでここ数日は、気が付けばThe WORLDのことを考えるようになっている。
実は期末テストが近かかったが、授業はそれなりに聞いているし頭も悪いほうではないので怖くはない。
むしろ学校が午前中に終わりその分をゲームにまわせるので、楽しみなぐらいだ。
384夢から覚めても 26:2006/05/29(月) 00:34:40 ID:sX1GhNcD
(となると、今日はやっぱレベル上げ優先か。九時からは志乃も来るって言ってたから……)
「えーなにそれー、マジキモいんだけどー」
「マジマジ、超マジ」
突然、ハセヲの幸福な皮算用が不躾な声で破られた。
意識を現実に戻しすと、後ろの席に座った女子高生らしき制服の女二人組が大声で喚き散らしていた。
帰宅ラッシュになるこの時間帯では別に珍しいことではないが、イヤホンをかけ忘れた耳にはひどく不快だった。
(ったく、どうして女子高生ってのはこうバカばっかなのかね。少しは志乃みたいなのを見習って……って)
イヤホンを耳に掛けながら文字通り姦しいクラスメイトの女子の姿を思い浮かべて、志乃の事を想った瞬間。
ハセヲは自分の考えていることに戸惑った。
(何でここで志乃が出て来るんだよ)
確かに志乃は包容力があって声が綺麗で、
にもかかわらず茶目っ気も忘れずその上見目麗しいという女性の美点を結晶させた、
まさに美の女神ラクシュミが化身するとすればこんな女性だろうと思わせるほど魅力的な人物だが―――
(これじゃ俺があいつに惚れてるみたいじゃないか)
確かに、志乃はいい女だ。それはわかる。
しかしそれが即恋愛の対象に繋がるかといえば、そうではない。
あの母親と言うか、姉と言うか――そんなかんじの、ハセヲを子ども扱いした態度はいまいち好きにはなれないし、
そもそもハセヲにとって年上は趣味ではない。
彼女にするなら同い年か一つ二つ年下の、大人しい女がいい。
学校では飼育委員をやっていて、休み時間は図書館でサンテグ・ジュペリを読んでいる様な、そんな女だ。
家では小鳥を飼っていたりすると、なおポイントが高い。
大体、彼女にはオーヴァンがいる。自分では釣り合わないだろう。
あのキスだって、弟かペットにするような気持ちだったのだろう。
(何考えてんだ、俺)
こうして考えていること自体が意識してしまっている証拠だ。
恋愛経験の少ないハセヲだったが、それぐらいは心得ている。
できるだけ志乃のことを考えないようにしながら、ハセヲは流れてくるメディアプレイヤーの音楽に集中しようとした。
シャッフルで当たった曲は、運悪く少し前に流行ったラブソングだった。
守ってあげたいとか、そんな少しくさい歌詞がひどく耳障りに聞こえた。
385298 ◆JuT3jsxZbo :2006/05/29(月) 00:35:56 ID:sX1GhNcD
以上です。次は火曜かな。
ハセヲの女の趣味に関しては、まあパイへの対応からの推測と、後はちょっとしたジョークです。
あと、比喩表現はやっぱり引っかかりますかね?
長いんで一本調子にならないように実験的に意識してやってみたんですが……
今後の参考にしたいんで、他にも比喩とか文章に関して「ここがおかしい」「これってちょっとどうなの?」
的な意見がありましたら遠慮なくお寄せください。
出来るだけ直すようにしますので。
386名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 00:39:44 ID:nwxxhaRI
うおおおおおおGJ!!!
すげぇっす!続き楽しみにしてます!
387名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 00:41:03 ID:vtg0VwYu
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!いつも乙です。
オリジナル設定で書いてるのに引き込まれます。
やっぱ志乃とハセヲの関係はいいなぁ
388GalcvatM:2006/05/29(月) 00:52:50 ID:jEcydh7F
おぉぉぉぉぉ待っておりましたぁぁぁぁ!!!
今回もナイスですぅぅぅぅ!!!!!
389名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 01:31:45 ID:TBE+lup/
>学校では飼育委員をやっていて、休み時間は図書館でサンテグ・ジュペリを読んでいる様な、そんな女だ。
>家では小鳥を飼っていたりすると、なおポイントが高い。







くすっ
390名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 01:34:47 ID:1FsY81RI
>>385
乙〜!そしてGJ!
ラクシュミとかよく分かんないなーとか思うけど全体的に好きだからおk!

>>389
……フラグ立ったなw
391名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 02:33:57 ID:plo/DFW9
>>385
私的に、表現については特に問題はないかと。
とても楽しませてもらいました、お疲れ様です。
特に、>>389氏が指摘してる部分は最高でした。
火曜日、期待してます。
ただ、ドコカの雑誌で、志乃がPKされた時に、まだ1stフォームだったハセヲが
駆けつけて志乃を抱き上げる映像があったので、となると今後、ストーリー的な
誤差が出てくるかもですね。
まあ、エロパロスレなんで、何の問題もないと思います。
392名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 02:40:42 ID:Hb5qxpz3
>>385
毎度GJですw
ひそかなひっかけも上手いですね〜。思わず「お?」と声出してました。
ハセヲと志乃大好きです。続きも楽しみにしてます。
393名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 16:31:19 ID:zXAvmJqy
>この少年、もともとは結構な感動屋である。
俺はここがそれっぽくてなんかワロタw

GUもROOTsも現時点の情報だけだと二次創作やりにくいんだよな
しかしそれにもめげずこれほどのクオリティをありがとうよ

>意見がありましたら遠慮なくお寄せください。
今回は基本的にどこもおかしくないと思うス
394名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 09:50:46 ID:OVVYoj8J
描写におしっこが入るのは予め予告しておいたほうがいいの?
395名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 14:10:10 ID:2RXdWPfj
>>394
一応小でもスカに入るからした方がいいんでね?
396名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 17:40:01 ID:CsjIazV0
細かいつっこみだけどサンテグ・ジュペリじゃなくてサン=テグジュペリじゃなかった?
397名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 17:44:25 ID:nECoiO/l
>>396
そういやそうだね。
サンは聖人などにつける、セント・〜のことだからね。
398名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 02:13:36 ID:hB8hzddP
>>397
そうなんだ…それが本名だと
思ってた。
じゃあ聖人として扱われてるの?
399名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 03:02:49 ID:YK7ef7x2
>>398
Antoine de Saint-Exupéry
これが本名ですね。サンはセイントのフランス後読み。
さらに、サン-エグジュペリなんですが、tと続けて発音するので
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリになるわけです。
英語でもfar awayをファラウェイって発音するのと似てますね。
家柄と、あと、キリスト教系の学校出身ですので、それが要員でしょう。
レオナルド・ダ・ヴィンチも、ヴィンチ村出身のレオナルドって意味ですし。
いわゆる、サン=ジョルジュや、セント=ニコラスなどの”聖”とは、
少々意味合いも異なりますね。
400298 ◆JuT3jsxZbo :2006/05/31(水) 04:02:39 ID:WQvIWtHK
火曜って言っておいたにも関わらず明け方になってしまったorz
待っててくださった方いたら申し訳ありません。

>>390
ラクシュミはインド神話に出てくる美の女神です。
日本では吉祥天として知られていますね。
インドの神様は人間に化身して現世に下りてきたりするので、こういう比喩にしてみました。

>>391
整合性に関してはもうあきらめてるので、まあ笑って流してください。
開き直りといわれれば、それまでですが。

>>396 >>399
ご指摘ありがとうございます。
細かいところですが気をつけないといけませんね。

他にもレス下さった皆様、ありがとうございます。
401夢から覚めても 27:2006/05/31(水) 04:03:11 ID:WQvIWtHK
携帯電話の着信音で目が覚めたのは、日曜の午前十一時だった。
普段ならハセヲは日曜であっても九時ぐらいには起きているのだが、
この日はThe WORLDで半徹しまった為眠り続けていた。
ちなみに期末テストの開始は火曜日。勉強はまったくしていない。廃人化の兆候である。
ともあれ今日は昼まで寝るつもりでいたのだが、
なんだかんだいいつつ人のいいハセヲは電話を無視できなかった。
這い出うように手を伸ばして電話を取り、相手を確認する間もなく通話ボタンを押す。
「……もしもし」
「あ、ハセヲ君?私、七尾志乃」
天使の囁きが聞こえて、眠気が一瞬で飛んだ。
確かにメールアドレスと一緒に電話番号も交換したが――何故?
(落ち着け、俺。まずは相手の出方を見るんだ)
心の中で自分に言い聞かせながら、ハセヲはベッドの上で上体を起こした。
「おーい。聞いてる?」
「……何だよ」
「ちょっと用事で横浜まで来たの。よかったら、お昼一緒にどう?」
耳を澄ますと、志乃の綺麗な声に混じって車や通行人のものと思しき雑音がする。
別に疑うわけではないが、言ってることは本当のようだ。
「……………」
あまりの衝撃の大きさに、ハセヲがしばらく黙り込む。
「駄目かな?」
子供が拾ってきた捨て犬を親に見せる時のような、少し悲しそうな声。
いや、駄目と言うわけではないが、どうしてこいつはいつもこう突然なんだ。
「別にいいけどよ」
「よかった。別の友達と会う約束してたんだけど、急に駄目になっちゃって。一人でお昼って言うのも、味気ないから」
渋々と言う感じで安堵したらしい志乃が、聞いてもいないのにわざわざ事情を説明した。
(ってゆうか俺、代役かよ。まさか友達って、リアルのオーヴァンじゃねぇだろうな)
「で、俺はどこに行けばいいわけ?」
急に不機嫌になったハセヲが、半ば投げやりな口調で言う。
「誘ったのは私だし、ハセヲに任せるよ」
志乃はハセヲのそんな思いに気づくわけもなく、無邪気に答える。
「じゃあ、横浜駅の東口で待っててくれ。一時間ぐらいで行く、着いたら電話入れる」
「うん」
そう言って、電話は向こうから切られた。
「よいしょっと」
思わず声に出してハセヲは起き上がり、シャワーを浴びるべく部屋を出た。
なんだか先週もこんな展開だったような気がしたが、ハセヲはもはや考える気になれなかった。
402夢から覚めても 28:2006/05/31(水) 04:05:56 ID:WQvIWtHK
待ち合わせの場所に行くと、すぐに志乃は見つかった。
彼女は先週とは打って変わって橙のロングスカートに薄手のカーディガンと言ういでたちで、髪型も少し変えている。
エキゾチックと言うか、独特の装いであるにもかかわらず浮ついた印象を与えないのは、
程よく整った清楚な顔立ちのおかげだろうか。
「あ、ハセヲ」
彼女のほうもハセヲを見つけたらしく、手を振って合図してくる。
何故だか少し恥ずかしい気持ちになりながら、ハセヲは志乃の元へと歩いていった。
二人はそのまま二言三言他愛のない話をした後、近場のイタリアンレストラでランチセットを食べることにした。
高校生と社会人の男女二人組としてはまあ、それなりに洒落た昼食ではあるだろう。
「いきなり誘っちゃって、ごめんね」
器用な手つきでフォークにパスタを巻きつけながら、志乃が口を開いた。
先週あったときも感じたことだが、この女性は仕草の端々が綺麗でさまになっている。
「別にいいよ、暇してたし」
見惚れている内心を隠しながら、ハセヲがそっけなく答える。
「………誰と会う予定だったんだ?」
「気になる?」
「別に」
ハセヲの問いに、志乃が口元を意地悪く歪めた――ような気がした。
「タビーだよ。旅団の」
「タビー!?」
見知った名前に、ハセヲが思わず声を荒げる。
彼女は旅団が解散したゴタゴタで、Bセットや匂坂と一緒にThe WORLDを去ったはずだが――
「先週のたまたまログインしてるの見かけたの。まだちょっと迷ってるみたい」
道理で先週志乃をあまり見なかったわけである。パーティに誘おうとしても、busy状態になっていることが多かった。
おかげで回復を全部自前でしなければならず、結構大変だった。
「色々話をしてね。横浜なのがわかったから、今日はリアルで話そうってことになったんだけど」
「逃げられちまった、ってわけか。でもよ、だったら俺にも言ってくれればいいのに」
「うーん、私もそうしようと思ったんだけどね。なんだかタビー、ハセヲには顔をあわせづらいみたい」
「そんなもんかね。にしても意外だな、あいつにそんな神経があったなんて」
正直、タビーにそういう繊細なところがあるとは思わなかった。
旅団にいたころの彼女には結構ずけずけとものを言う、竹を割ったような性格と言うイメージがあったのだが。
「ハセヲ、それ失礼だよ」
「そうか?」
「そうだよ。あの年頃の女の子って、みんなすごく繊細なんだから」
「へぇ」
たしなめるような志乃の言葉を、ハセヲは鼻で笑って受け流す。
確か、タビーは自分と同い年だと言っていた。一昨日バスの中で見かけた女どもを思い出してみる。
(ありえないだろ、ああいうのが繊細だとか)
志乃はまだ何か言いたそうな顔をしていたが、
やがてあきらめたらしく手元のクリームスパゲッティを口に運び始めた。
403夢から覚めても 29:2006/05/31(水) 04:06:48 ID:WQvIWtHK
二人が無言のまま皿を空けると同時に、店員が食後のエスプレッソを置いていく。
ハセヲはコーヒーが苦手だったが、見栄を張って一口で飲み干した。
口の中に苦味が広がり、顔が自然と歪む。
「まあ、でもこうしてハセヲとデートできたからね。別に損はしなかったかな」
ハセヲのそんな姿を見て、冗談めかして志乃が笑った。
「デ、デートっ!?」
思わぬ志乃の発言にハセヲが顔を真っ赤にした。
「姉弟でも親戚でもない年頃の男の子と女の人が休日に二人でご飯を食べてたら、デートって言っても間違いじゃないと思うけど?」
志乃は相変わらずペルシャ猫のような優雅さでコーヒーを飲み干すと、笑いながら言葉を続ける。
「……あんた、絶対からかってるだろ」
「ふふふ、さあ」
耳朶を真っ赤に染めたままうつむいたハセヲに、志乃が笑いかける。
やっぱり、こんな女好みじゃない。
404298 ◆JuT3jsxZbo :2006/05/31(水) 04:07:23 ID:WQvIWtHK
今日の分は以上です。
次はrootの次回放送が終わったぐらい・・・・・・の投下を目指します。
405名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 12:14:02 ID:Imv4Ai0E
エロ無しなのに、読んでる最中の清涼感がたまらない
406名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 21:30:57 ID:IqNu8E3S
ゲームクリアしちゃったから
この話が楽しみでしかたない。
407298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/01(木) 06:00:42 ID:kQXKTB/e
また結局明け方に・・・・
正直今回はちょっと不安ですが、投下いきます。
408夢から覚めても 30:2006/06/01(木) 06:03:08 ID:kQXKTB/e
それからハセヲは、極めて不本意ながら志乃の横浜観光に付き合う羽目になった。
本当は食事を終えたらさっさと帰るつもりでいたのだが、志乃の誘いを断りきれなかったのである。
別に「私とデートするの、嫌?」という言葉に惑わされたつもりはない。断じてない。
果たして服を買うのに付き合わされたり、美術館に連れて行かれたりしているうちに時間は過ぎ、
臨海公園のベンチでやっと一息つけたときにはあたりがすっかり茜色に染まっていた。
志乃はまったく疲れた様子もなく、寄ってくる鳩にパンをちぎってやっていた。
何が楽しいのか、たまにハセヲを振り返ってにこにこしている。
これ以上志乃を眺めていても仕方がないので、ハセヲはベンチに深くもたれかかって目を閉じた。
子供のころ家族で遊園地に遊びに行ったとき夕方になって父だけが椅子に座って熟睡していたことがあったが、あの気持ちが今ならわかるような気がする。
(なんかもう、こんなんばっかだな)
暗闇の中に意識を浸しながら、ハセヲは今までのことを振り返って苦笑した。
今思えばオーヴァンにも相当振り回されたが、ここ最近の志乃も相当のものだ。
しかもあくまでわが道を行くオーヴァンとは違って、優しく誘ってくるから性質が悪い。
断ったらなんだか悪いような気がしてしまうのだ。
だからといって、本気で嫌なわけではない。
自分で認めるのはなんとなくしゃくだが、なんだかんだいいつつ志乃と一緒にいるのは楽しいのだ。
The WORLDでも、そしてリアルでも。
ただ、それがどういう感情に根ざしているのかがよくわからない。
今までの例からすると恋愛ではないだろうし、仲間意識というには力関係に差がありすぎる。
戸惑ってしまうのは、それが理由なのだろう。
自分の気持ちがわからないというのは、なんとも情けないと話だが――
「こら」
耳元で志乃の声が聞こえると同時に、冷たい感触が頬に当たる。
慌ててハセヲが飛び起きると、隣に座った志乃がジュースのスチール缶をハセヲの頬に当てていた。
「若いくせにこのぐらいでへばってどうするの。ほんとにデートするときそんなんじゃ、女の子に嫌われちゃうよ」
「別にいいだろ、そんなこと」
差し出された缶ジュースはしっかり受け取りながらも、ハセヲは志乃の諭すような言葉に反発する。
ほんとにデートするとき、という言葉が引っかかった。
別に、ハセヲだってデートのつもりではなかったのだが、そう言われるとなんだか引っかかる。
志乃はため息をつくと、片手で握った自分用の缶を空けた。
最近ようやく日本でも販売が始まった、ドクターペッパーのバリエーションだ。
ハセヲも一度だけ飲んだことがあったが、本家に比べて更に形容不可能な味がする怪しげな代物である。
酷い趣味だと思ったが、口には出さずハセヲは黙って自分の缶を口に運んだ。こちらは無難にごく普通のアクエリアスである。
しばらく、無言の時間が流れる。潮の匂いを含んだ風とジュースの冷たさが、心地良い。
409夢から覚めても 31:2006/06/01(木) 06:03:41 ID:kQXKTB/e
「ちょっと歩かない?海が綺麗だよ」
「あ、ああ」
ドクターペッパーを飲み終えた志乃が、立ち上がってハセヲの手をとった。
促されて、ハセヲも立ち上がる。
顔に熱が集まるのが自覚できたが、あたりが夕日で照らされているおかげで目立たないのが幸いか。
志乃に引っ張られるままに歩くと、海に面した公園の縁にたどり着いた。
「わぁ……」
黄昏に染め上げられた海の光景に、ハセヲが思わず声を漏らした。
落日が燃える炎のように海を真っ赤に染め、彼方に覗く見慣れた街並さえも新鮮なものに見えた。
「綺麗だね」
「ああ」
ハセヲの気持ちを代弁するように、志乃が呟く。
このときばかりは、ハセヲも素直に頷いた。
本当に、綺麗だ。
「ハセヲってさ、もしかして毎日が退屈だって思ってない?」
海を見つめたまま、志乃がおもむろに口を開いた。
「何だよ、いきなり」
「……私もハセヲぐらいのころは、そうだったから」
梅雨時の大気のような声で、志乃が言葉を続ける。
「別に具体的な不満があったわけじゃないんだけど。いや、だからかな。毎日が退屈な繰り返しに思えて、すごく退屈だった」
一瞬風が吹き、志乃の髪を揺らす。
「それから逃げたかったのかな。そのころはR−1だったけど、The WORLDを始めた」
俺と同じだ―――自分とは遥か遠いと感じていた彼女の思わぬ言葉に、ハセヲは言葉をなくす。
「最初はわからない事だらけで大変だったけど、一年もしたら慣れて来た。いろんな人とも知り合って、オフで会ったりもして、すごく楽しかった」
黙り込んだハセヲを見る事もなく、志乃は独り言のように話し続ける。
「でも、しばらくしてあの事件が起こった。CC社の火事でサーバーが焼けて、The WORLDがサービス停止。それまで育てたPCも、仲間も、全部なくなっちゃった」
傷痕に触れるような、志乃の声。
「それで何にも手につかなくなっちゃって。可笑しいでしょ、ゲームのことなのに。それでそのころ付き合ってた彼にも、振られちゃった」
自分の言葉に、志乃が笑う。いつもと同じ笑い方だったが、それがどこか痛々しさを感じさせた。
「でもね。そのことがきっかけで、気づけたんだ。変わらないものなんて――退屈な繰り返しなんて、どこにもない。どんな時間も、必ず終わる。だから今はかけがえのないことなんだって」
目を一瞬閉じ、再び志乃が口を開く。今度は、確信するような強さを込めて。
「それから、かな。リアルの世界が、今までと違って見えるようになってきた。見慣れていたはずの景色がすごく綺麗に見えるようになった」
普段なら反発するような、夢見るような言葉。しかし、ハセヲは何も言うことができなかった。
そんな気持ちに、なれなかった。
「ゲームも同じ。お祭りは、いつか終わる。だったら、その間にできるだけ楽しまないと。それに」
なびいた髪を掻き揚げる志乃。
「本当に楽しかったのは、大切なのはゲームじゃなくて、その向こうにいるプレイヤー。だったら、本当は何も失われてなんかいない。だから、もう一度The WORLDを始めることができたの」
志乃が急に体を踊らせ、ハセヲの前に立つ。
「これが、私にとってのThe WORLD。だから」
ハセヲは、志乃の言葉を、思いをただ受け止めることしかできない。
「あの時、言ったの。やめちゃ駄目だよ、って。ハセヲは、あのころの私に似ていたから」
夕日を背に、言葉を結んだ志乃が笑う。
心臓が、一瞬止まった。
夕日に照らされたその笑顔は、ハセヲが見てきたどんなものよりも鮮やかで、美しかった。
410298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/01(木) 06:04:18 ID:kQXKTB/e
普通に軽くラブコメさせるだけのつもりが何故こんなポエムじみた展開に・・・・・・
こんなの志乃じゃねーよ!という印象もたれた方いたらごめんなさい。
しかも長いくせにエロがないし。正直こんな物しか書けない自分にへこみます。
次は日曜、一応考えているエロの手前まで行く予定。
こんなことになるんだったらエロパート以外他のスレに投下するなりupローダにあげたほうがよかったかも。
411名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 06:35:11 ID:poXvwO6m
別に何でも良いよ
ここは貴方を束縛しない
力を見せてみろ
412名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 08:24:55 ID:Rgcwt0Ez
素晴らしいの一言に限る。
413名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 09:23:30 ID:+NMOBCu7
公式.hackメディアに共通する、登場キャラのTheWorldに対する愛が上手く書けてると思うよ
それにしてもハセヲがヘタレだなw

エロが無いのは気にしなくていいと思う
エロパロ板なのに、エロ無しで1000消費するスレとかざらにあるし
414名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 16:59:40 ID:cSG6Pu+7
>>410
今のところ、お前はよくやってくれているよ
415名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 17:58:38 ID:rzelxGv4
アニメの志乃とハセヲは関係が希薄だから、これぐらいの補完があっても良い気がする。
これならゲームでの対トライエッジ戦でのハセヲのブチキレっぷりに違和感を感じななくて良いね。
416名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 18:19:49 ID:rzelxGv4
でもまぁこれは補完じゃなくてオリジナルだけどさ
これでトライエッジが出てきて詩乃がPKされたら血の涙どころじゃすまんなwww
417名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 18:29:11 ID:ZTzmsl2T
あー……そうなんだよな…
でも今はただただこの大作を見ていたいぜ。
418名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 19:58:31 ID:ErGmyZTf
期待激励ageさせてくなさい
419名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 21:53:08 ID:L0vmIkvt
すげぇ、楽しみだ。
420名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 01:26:52 ID:WYvaj6MG
    ,  
  _, -ー"´| 
  \フノリハリル      
   l:从゚∀゚ノi  _  ( ゚∀゚)  
  ノノ/う `y'〉う i!==(  *= )'・∵  
  ,,-'''U| =|U ´   |   |  
.,;',_,,_;:: |_|___!      し  J  


    ,  
  _, -ー"´| 
  \フノリハリル      
   l:从 ゚д゚ )i  _   ( ゚д゚ )  <楽しみにしてます。頑張ってください。
  ノノ/う `y'〉う i!==(  *= )'・∵  
  ,,-'''U| =|U ´   |   |  
.,;',_,,_;:: |_|___!      し  J  
421名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 10:53:47 ID:NuUEzu85
まぁワクテカしながら待つしか無いな
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +        
 と__)__) +
422名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 20:55:27 ID:lzXlC5jd
>>411
俺はお前に惚れそうだ。
423名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 02:49:41 ID:+ItPqKOx
投下されたらスケイス来る時のハセヲのマネする奴多数な予感
424名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 10:19:19 ID:LXgKB240
>>423
フラグたてるなよこのやろ〜(*´д`*)
425名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 12:06:06 ID:IWfnN/U/
>>423
何をいまさら
426名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 14:01:52 ID:pSSednN4
アトリ×ハセヲ
パイ×ハセヲ
ハセヲ×望

………キボンするより書いちまおうか…
427298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/05(月) 01:01:53 ID:k978edeG
卑屈な発言をしてしまって申し訳ありません。
どうもエロが少ないのはいけないという強迫観念があるもので・・・・
とにかく、開き直って今回の分行きます。
当初の想定よりは短くなってしまいましたが、ラストには着々と近づいている・・・・・はずです。
428夢から覚めても 32:2006/06/05(月) 01:03:06 ID:k978edeG
そして、明くる月曜日。
ハセヲはいつも通りに学校に行って、いつも通りに授業を受け、気がついたら放課後になっていた。
もしかしたら昼休みかもしれないが、一応友人たちと食事をした記憶はあるのでたぶん放課後だろう。
しかし数時間程度しか経っていないにもかかわらず、その記憶はすでに曖昧なものになっていた。
昨日見た志乃の笑顔は、今でも鮮明に思い出せるのに。
そう。今日一日上の空だったのは、志乃の事が頭の中から離れなかったためだった。
何をしている時でも志乃の笑顔が頭の片隅に焼きついているし、少しぼうっとしていると志乃はどうしているだろうか、と何気なく考えてしまう。
挙句の果てには携帯を触ると、無意識にメールボックスから志乃のメールを開いて眺めてしまったりしている。
これじゃ、まるで―――いや、本当は薄々わかっていた。
ただ、無視しようと思えばできるほど仄かなものだったから目を背けていられただけだ。
しかし、それはもう限界だ。昨日の夕暮れで見た彼女の姿が、スイッチを入れてしまった。
好みのタイプがどうとか、年の差とか、そんな言い訳はもう意味を成さない。
もはや認めざるを得ない。俺は、あの女――志乃のことが好きなんだ。
429夢から覚めても 33:2006/06/05(月) 01:04:42 ID:k978edeG
とはいえ、気持ちを認めたからといって、それで何かが劇的に変わるわけではない。
いや、正確には変えられないというのが正しい。どう振舞ったらいいか、見当がつかないのである。
いきなり告白するのは論外だったが、それ以外に恋愛経験の乏しいハセヲは思いの伝え方を知らない。
それに、仮に想いを伝えたところで志乃がそれに応えてくれるとは到底思えない。
今まで彼女がとっていた態度は姉が弟を可愛がるようなものであることは一人っ子のハセヲにだってわかるし、
それが恋愛感情とは程遠いものであることも心得ている。
何より、志乃にはオーヴァンがいる。
オーヴァン。数週間前姿を消した、黄昏の旅団のギルドマスター。
ハセヲにとっては単なるゲームの先輩以上の存在であり、
尊敬に足る大人の風格すら感じさせていた彼の隣に、志乃は常に寄り添うように立っていた。
二人の関係を詳しく知っていたわけではなかったが、
志乃から断片的に聞いた限りではリアルでも面識があるようであり、
オーヴァンのことを語る彼女の複雑そうな表情からすれば――志乃の方が単なる顔見知り以上の感情を持っていたことは確実であった。
つまり、志乃の心を手に入れるためにはオーヴァンを超えなければならない。しかし、そんなことは、不可能だ。
自分とオーヴァンとではそもそも勝負にならない。
彼より強い人物を、ハセヲは知らない。
ただPCのレベルが高いとか、ゲームのプレイングが巧みであるとか、そんな次元の話ではない。
己を信じて疑わない揺ぎ無い強固な意思と、それを実現していく行動力。
彼が備えている心性とそれに裏打ちされた立ち振る舞いこそが
ハセヲが感じたオーヴァンというPC、ひいてはそれを操るプレイヤーの強さであった。
それに比べて、自分はどうだ?
PCはようやく2ndフォームになったばかりの錬装士。
それなりの修羅場をくぐってきた分、戦闘技術は同レベルのプレイヤーよりは上だろうが、それでもThe WORLD有数の高レベルプレイヤーであるオーヴァンには及びもつかない。
プレイヤーとしての差はより歴然で、並べるのは口数の少なさぐらいだろう。
とはいえ寡黙ながらもオーヴァンは他者を惹きつける引力のようなもの、いわばカリスマを持っていた。
単に口が悪くて人付き合いの苦手なハセヲとは違うのである。
そして何より、オーヴァンを唯一無二の存在たらしめていたのは、風変わりなプレイスタイルとそれを現すかのような左腕だった。
あるかどうかも分からないアイテムを捜し求める黄昏の旅団での活動は言うに及ばず、彼は常に他のプレイヤーとは違う次元で行動しているように見えた。
(敵うはずがねぇ……)
憂鬱な気分を抱えたまま、それでもハセヲは今日もThe WORLDにログインした。
430夢から覚めても 34:2006/06/05(月) 01:05:39 ID:k978edeG
「げっ」
消耗品の補充を終え新たな冒険に旅立つべくカオスゲートへ戻ろうとしたところで、志乃の姿が目に入った。
更に隣にはここしばらく見ていなかった元旅団メンバーのネコミミ娘・タビーの姿がある。
「……だからさ、もう一度頑張ってみようよ」
「でも……」
二人は葬式の打ち合わせでもするかのような調子で話し込んでいて、ハセヲにはまだ気づいていないようだ。
このまま通り過ぎるの事も出来るが、どうせ志乃とは後で会う約束をしている。それに、パーティメンバーはいるに越したことはない。
「よう」
「あ、ハセヲ」
「あっ……」
ハセヲに気づいて、タビーは視線を背ける。
大きな目は伏せられがちで、その表情は旅団にいたころは見たことのないものだった。
ロールかもしれないが、彼女はハセヲ同様初心者だからそれは考えにくい。
(なるほど、本当に繊細なのかもな)
自分の認識をわずかに修正しながら、ハセヲは柄にもなく爽やかなスマイルを作ってタビーに声をかけた。
日ごろの彼の言動からすればはっきり言って胡散臭い事この上ない笑顔だったが、ハセヲにとっては精一杯の友好の表現である。
「よー、久しぶり」
「……久しぶり……」
しかし答えるタビーの声は、消え入りそうなほどかすかなものだった。
空振りしたことを悟ったハセヲが、笑顔を引きつらせたまま言葉に詰まる。
「タビー」
沈黙が流れかけた瞬間、志乃が口を開いた。
ハセヲは内心安堵しながら、表情をニュートラルに戻す。
「ごめんね、志乃さん。まだちょっと気持ちの整理が出来なくて」
「うん。私も、無理に誘ってごめんね」
「ううん、志乃さんは悪くないよ。また後で、メールするから」
「うん。またね。タビー」
そこまで話した所で、タビーの姿が消えた。ログアウトしたのだろう。
「どうしたんだ、あいつ」
「色々。詳しいことは、女同士の秘密」
ハセヲの疑問に、志乃が薄く笑ってはぐらかす。
「何だよ、それ」
「私がタビーから聞かされた話を、人に喋るわけにはいかないでしょ。特に、ハセヲにはね」
「随分信用されてないんだな」
少し傷ついた気持ちが声に出た。
自分が誠実な人間だとは思わないが、秘密を共有することすら出来ない人間だとは思われたくない。
特に志乃には。
「ごめん、そういう意味じゃなくて。タビーの悩みにハセヲもちょっと関わってるって事」
「はぁ?」
どういうことだろう。何故タビーが自分のことで悩むのだろうか?
「もちろんそれだけじゃないんだけどね。とにかく、タビーが自分で解決するのを待たないと」
マクアヌの運河に視線を向けて、志乃は言葉を結んだ。
海を見つめたその表情が昨日の夕暮れと重なって、ハセヲは目を反らしてしまう。
「ハセヲ、これからダンジョン?」
「そうだけど」
「じゃ、私も一緒していいかな?待ち合わせの時間にはちょっと早いけど」
気持ちを切り替えたらしく、声のトーンを上げた志乃がハセヲに体を向ける。
「別にいいけど」
別に断る理由はない。意識しても、仕方がない。
「ありがと。それじゃ、行こうか」
431夢から覚めても 35:2006/06/05(月) 01:06:18 ID:k978edeG
「虎乱襲!」
二十を超えるコンボの止めに連撃スキルを叩き込み、エリアのボスである樹木型モンスターはようやく倒れた。
リザルト画面でレンゲキのボーナスを含めた経験値と習熟度が表示され、ハセヲのレベルが上がる。
「レベルアップ、おめでとう」
「どーも」
若草のように笑いながら拍手する志乃に、ハセヲはぶっきらぼうに答えた。
性格からして他意がないのは分かるが、それでもやはりハセヲは志乃のこういった態度が好きになれない。
以前はなんとなくだったが、今ならその理由ははっきり分かる。
(好きな女に子ども扱いされて嬉しい男なんているか)
いや、恋愛の形態は様々だからもしかしたらいるかもしれないが、
生意気盛りの高校二年生であるハセヲはそこまで度量が広くない。
「これならオーヴァンがいつ戻ってきても安心だね」
これも彼女流の褒め言葉なのだろう。しかし、やっぱり嬉しくない。オーヴァンの名前を出されれば、尚更である。
「もどってくんのかね」
「来るよ、必ず」
疑念に答える志乃の口調には確信の響きが込められていて、むせ返る緑の匂いのようにハセヲを苛立たせた。
どうして、そこまで信じられるのだ?
「へいへい、お熱いことで」
苛立ちのままに、ハセヲが声を出した。
「違うよ。そんなんじゃ」
邪推としか言いようのないハセヲの言葉を、志乃が即座に否定する。
その言葉がなぜか気に入らなくて、ハセヲの苛立ちは炎天下のアスファルトのように募っていった。
溜まっていた怒りと苛立ちが、口から吐き出される。
「今更取り繕わなくてもいいじゃねぇか。思えばそのために俺みたいなガキに付き合ってるんだから、大した良妻ぶりだよな」
「だから違う。私とオーヴァンはそんな関係じゃないし、ハセヲと一緒にいるのだって」
「取り繕うなっていってんだろ!大体あんたのお題目には飽き飽きなんだよ、いつもいつも人を見透かしたようなことばっかり言いやがって!」
あくまで否定する志乃に、ハセヲが怒りのままに怒鳴り散らす。普段とは違うその勢いに、志乃がわずかに体を退いた。
「何を、言ってるの……」
志乃の声が、震えている。
普段のハセヲなら彼女が哀しそうなのが嫌で、それで何もいえなくなってしまうところだったが今日は違った。
志乃への些細な不満、オーヴァンへの嫉妬、そして自分自身への嫌悪が煮詰まった寄せ鍋のように混ざり合い、心から溢れ出していく。
「本音だよ」
「……………!」
空き缶を蹴飛ばすように言ったハセヲに、志乃が絶句する、
「今度はだんまりか。じゃあ聞かてくれよ、いつも善人ぶって他人を思いのままに動かすのはどんな気分なんだ?」
「違う!」
「ちがわねぇよ!俺に対しても、タビーに対しても!あんたが本当に信じているのはオーヴァンだけで、俺たちのことは利用してるだけなんだろう!?」
「違う……」
どこから沸いてくるのか、不快な感情のままにハセヲは志乃に怒鳴り続けた。
必死で否定していた志乃の声はやがて力を失っていく。僅かに聞こえるノイズは、嗚咽だろうか。
「………とにかく、もうあんたとオーヴァンに利用されるのはご免だ。ゲームは続けるけど、あんたとはもう関わりたくない。メールも送ってこないでくれ」
一方的に言い放ってハセヲはパーティを解散してタウンに戻り、ゲームからログアウトした。
画面表示がデスクトップにもどると、ハセヲの胸に今更のように後悔が押し寄せてきた。
「くそっ!」
自分しかいない自室の壁に、M2Dを外して叩き付ける。
どうしてあんなことを言ったのか。本当に言いたかったのは――
「最低だ……」
呟き、机に突っ伏す。もう、何も考えたくない。
心配した父親が様子を見に来るまで、ハセヲはずっとそのまま動かなかった。
432298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/05(月) 01:07:32 ID:k978edeG
以上です。次からはちょっとリアルで忙しくなるので金曜日の投下になります。
それにしても我ながら長くなりましたねぇ、プロット組んだ時点では30レスぐらいに収まるかと思ったのですが。
433名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 01:11:45 ID:hWbChY0U
いいぜ・・・来いよ・・・来た!来た!来たぁぁぁぁぁぁぁ!
GJ!
434名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 01:15:20 ID:rohs+Da0
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!乙です。
435名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 01:23:20 ID:rxVR2RiS
キタ、キタ、キタ、キター━━━(゚∀゚)━━━!!!!
スケーーー、じゃない。
エロやら投下感覚などは気にしなくてもいいので。
次も期待してます。
GJですたー。
436名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 01:34:50 ID:etB3VcCg
イヤッホウ!!
GJ。
437名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 07:09:23 ID:kIt1BEve
超GJ
438名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 17:41:25 ID:V0c2aBlY
若い剥き出しの感情

おいしそう
439名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 22:55:47 ID:waoV/lo0
いらっしゃいませぇぇぇぇぇーーー!!!!!
440名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 22:56:46 ID:mdOXCJ9d
ハセヲって本当に高二かw
中二の間違いじゃね?
441名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 23:33:46 ID:+k80EUwQ
思えば、.hack//感染拡大の発売当時の中2が、いま高2なんだよな。
442名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 23:35:21 ID:8E+eTi48
田中です。
443名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 23:50:28 ID:rMF/Wa8K
 目の前には、自分の犯した罪だけが突き出されている。
 湧き出した憤怒の念を記憶から消し去れないせいで、自ずと証明されてしまう。
 犯したという自覚が後悔の後からしかついて来ないのは、きっと、認めていない証拠。
 だが、と否定を反芻し、思い直す。
 何も無い、と思い込んだところで都合よく消えることもない。
 アレと同じだ。
 在るか無いかもわからなずに、それでも在ると探し続ける。
 そんな虚偽の中で自分を欺き続けるような尋常には程遠い行為。
 でも、結局アレは―――。
 そこで、停止。
 流れてしまえば楽なのに、それでも良しとしない己の抑制機能。
 流れそうになる思考を必死に繋ぎ止めるのは、多分、いつも通りの自己満足。
 反面、普段と異なるのは、自意識に訴えかけてくる反抗心。
 反対の意思ではない。叶うなら、と救済さえ求めても願い出る全てを得ようとする身勝手な意思だ。
 ただ、諦めたくない、と抗ってくる。

 抜け出せない、解決への過程方法を探るループを彷徨っている。
 解き、決することなんてできるわけがないと心底では悟っているんだろうか。
 不可能な事象の判別はできる。
 だから、可能な事実も知っていた。

 思考は現実と仮想を生きている。
 現実存在としての世界と、仮想存在としてのセカイ。
 示現と成る2つのセカイを思い返す。
 現実の、記憶に新しい優しい声。頭の中で再生され、反響し、何かを訴えかける。
 仮想の、支えてくれた明るい声。記憶に強く呼ばれ、残響し、何かが覚醒される。
 2つが同じ強さで呼び合い、互いを受け止める。
 どちらも、帰結するのはひとりの存在。
 なら、彷徨はこれで終わり。
 夢から覚めても―――まだ、続く夢が在るなら。
 再度想い、手を伸ばす。
444名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 05:43:56 ID:BM5sxfyB
愚か者が回っているな
445名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 22:54:18 ID:Q/2eajjb
やっとGUクリアしたがアトリのあれはないだろ
446名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 23:25:57 ID:M+O5td5N
アトリだから仕方無い
447名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 10:22:06 ID:OGIxpjo6
脳みそお花畑だから。
448名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 11:31:29 ID:jMOCbIXk
トライエッジにレイープされる志乃とか…
現実世界でも感じちゃうみたいなね。
449名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 17:35:54 ID:87QCW5Vi
触手プレイがあったじゃない
450名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 20:02:44 ID:qrm0zDfB
「夢から覚めても」の人まだかなー
451名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 23:52:39 ID:j2pHKFl1
5日間待ちくたびれたぜ
今日は徹夜で待つ!
452298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/10(土) 00:01:47 ID:Sxf2oneP
>>440
いつか言われるんじゃないかと思ってましたがついに言われてしまいましたか(笑)
自分でも書いてて中学生みたいだなー、と思ってはいたんですけど。
本編とはぶれないように心がけてはいるんですが、その辺どうなんでしょうね。

>>441
そういえばもう三年になるんですねぇ。
このスレは当時から見てますが、思えば随分様変わりしたものです。
何より、自分がSSを書くことになるなんて
黄昏の文芸作家氏や水色時計氏の作品を読んでいたころは想像も出来ませんでしたよ。

他にもレスくれた皆様、ありがとうございます。
それでは、今回の投下を。
お待たせして申し訳ありませんが、今日はちょっと少なめです。
次回への溜めということでどうかご容赦くださいませ。
453夢から覚めても 36:2006/06/10(土) 00:03:10 ID:exai/hpg
期末テスト初日は散々な結果に終わった。
英語は単語の綴りをすっかり忘れてしまっていたし、化学は問題用紙をいい加減に埋めただけ。
日本史では漢字が当てられずに平仮名で記述してしまい、
古文に至っては途中で課題文を読むのを放棄してしまった。
ハセヲは決して勉強熱心な性質ではなかったが、
それなりに授業はまじめに聞いていたので平均点にして七十点、順位が三十位を切った事はない。
しかし、今回はとてもそんな結果は望めないだろう。
夏休みの補習ですめばもうけもの、最悪三者面談を組まれる可能性すらある。
それにしても、馬鹿馬鹿しい話だ。
ネットゲームで知り合った年上の女に横恋慕した挙句
一方的に八つ当たりして三下り半を突きつけ、自分勝手に落ち込んでいる。
教育実習生に恋した中学生だって、もう少し上くやるだろう。
とにかく、このままでは話にならない。
昨日の出来事のおかげでログインする気になれないのを幸いに、
帰宅したハセヲは机に向かうと教科書とノートを広げた
454夢から覚めても 37:2006/06/10(土) 00:04:21 ID:Sxf2oneP
一夜漬けの成果があったのか、残りのテストはそれなりに手応えがあった。
いや、それは控えめな表現だろう。
午後の十二時間ほぼずっと机に向かっていた結果、
続く三日のテストは普段以上に解答用紙を埋めることが出来た。
帰宅後翌日の予習の息抜きに軽く自己採点してみたが結果はどれも自己ベストを更新していたし、
特に世界史と英語リーダーは驚くべきことに全問正解だった。
兎に角、試験は終わった。
一喜一憂する友人たちに誘われるまま、打ち上げと称する乱痴気騒ぎを経て自宅に戻るとハセヲは机の上のPCを見つめた。
あれから、一度もThe WORLDにはログインしていない。志乃の事を考えたくなかったからだ。
携帯電話には何度か彼女から着信があったが、どれも無視を決め込んでいる。
とはいえ――この程度で一度恋心を綺麗さっぱり断ち切れるほど、ハセヲは思い切りのよい気質でもなかった。
向こうから嫌われたわけでもないから、それは尚更である。
正直に言うと、予習をしているとき、眠りに着く前、そしてテスト中ですら不意に彼女の顔が浮かんだ。
かといって、ああまで言った手前、今更どんな顔をして会えばいいのか。
ずっとPCに手を触れないわけにはいかない。
ネットゲーム以外にも、レポートの作成やらメディアププレイヤーの編集やらPCでなければ出来ないことは少なくない。
息を吸い込んでPCを起動すると、新着メールの告知があった。
湿気を孕んだ曇りの日の外出にも似た気分でメールステーションを開くと、嫌な予感が当たった。
三通あるうちの二通はThe WORLD関係の告知と
以前登録したニュース系のメールマガジンだったが、残り一通が問題だった。
差出人は、志乃。日付は昨夜の午後十一時半、携帯電話に彼女から最後の着信があった直後である。
しばらく逡巡した後、飛び込み台から降りるような覚悟でメールを開いた。
「お願い」と題されたそのメールは、意外にも短く簡潔なものだった。
「もう一度だけ話をさせて。モーリー・バロウ城砦で待っています。」
ハセヲは言いようのない感情に襲われ、頭を抱えた。
こうまで言われて、逃げ続けるのは流石にどうなのか。
だが、会ったところでどうなるというのだ?
正直、素直に謝る自信がない
それどころか、もっと酷いことを言ってより深く、志乃を傷つけてしまうかもしれない。
だったら、いっそ会わないほうが彼女のためなのではないか。
心の迷宮に迷い込んだハセヲの脳裏に、以前志乃に言われた言葉が浮かぶ。
(赤ちゃんでも出来ること、君は出来ないの?)
喧嘩した相手に素直に謝るなど、赤ちゃんとは言わずとも幼稚園児でも出来ることだ。
いや、そもそも赤ん坊は喧嘩などしないが。
つまり自分は、乳児以上幼児未満ということだろうか。
路上の霜よりも薄く笑って、ハセヲはメールステーションを閉じた。
455298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/10(土) 00:12:05 ID:exai/hpg
以上です。期待してくださった方、重ね重ね申し訳ありません。
次回は火曜深夜になります。
当初は志乃とハセヲだけで話を進める予定でしたが、タビー出しちゃいましたね。
次回はTVの方に触発されたんで、Bセットやゴードが出てくるかも。
456名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 00:26:59 ID:YtGX4lfi
凄い勢いでGJ
457名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 00:32:12 ID:4MbrmfRR
ああもー
虎吼ゆる キミの GJ!

すばらしすぎる!
458名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 00:36:00 ID:TEst9EO4
毎晩いらっしゃいませぇぇぇぇぇ!!!
次も期待してます!
459名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 06:49:55 ID:qgwfDoCA
SEXシーンマダァー
460名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 15:49:28 ID:AF0NQabP
超GJ!
461440:2006/06/10(土) 21:20:39 ID:E+OZqeiB
>>455
すげー、前回までどう見ても中二だったのに
今回のを読むとどう見ても高二です。
本当にありがとうございました
462ハセヲ ◆ObZuzi4Dd2 :2006/06/10(土) 22:36:39 ID:Pw0eqnmu
GJ
463名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 09:54:31 ID:p2HUc4oM
超GJ
毎回楽しみに読ませて頂いてます
こんなに投下をワクテカして待つのは久しぶり
464名無しさん@ピンキー:2006/06/12(月) 06:13:35 ID:4pbgYbSx
age
465名無しさん@ピンキー:2006/06/12(月) 07:22:17 ID:CB6oz8nq
ワクワクテカテカ
466名無しさん@ピンキー:2006/06/13(火) 05:12:57 ID:rWvRpUtg
どうでもいいけど、攻略WIKIの志乃欄で
「赤ちゃんでも出来ること、君は出来ないの?」が
「赤ちゃんが出来ること、君は出来ないの?」に見えてビビった。

半虹に.hackスレないの?
467名無しさん@ピンキー:2006/06/13(火) 21:13:11 ID:5SOEHR6Z
>>466
試しに立ててみればいいと思う
468名無しさん@ピンキー:2006/06/14(水) 02:02:09 ID:H8OJitJE
さてと、今日だよな?夢覚め
寝ずに待つ!
469298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/14(水) 02:18:32 ID:FXOILW0o
お待たせしました、今回の分いきます。
470夢から覚めても 38:2006/06/14(水) 02:19:48 ID:FXOILW0o
二時間後。ハセヲは、The WORLDにログインしていた。
しかし、場所はΔ隠されし 禁断の 絶対障壁ことモーリー・バロウ城砦ではない。
ハセヲがいるのは夕暮れに包まれた武家屋敷風のダンジョンマップだった。
ロストグラウンドのひとつであり同型のエリアを持たないモーリー・バロウ城砦とは違い、
通常のエリアワードで生成されるありふれた通常ダンジョンである。
PCの前で悩み続けること一時間、ハセヲが出した結論は「行かないがゲームはする」という
本人的には吹っ切っているつもりで傍から見ると実にみっともないことこの上ないものだった。
「だりぃ……」
ダンジョンの二階層目に突入したところで空になったペットボトルを振り、ハセヲはポツリと呟いた。
何故かわからないが、気持ちが振るわない。
別に今までと何かが変わったわけではないはずだ。
最近は主にソロでやってきたからパーティを組んでいないことに問題はないはずだし、
ゲームシステムに飽きが来るほどやりこんでもいない。
ダンジョンだっていつもどおりだし、PCの調子が悪いとか回線が重いとかいった物理的なトラブルもない。
にもかかわらず―――この感覚、虚無感というのだろうか。これはいったい何なのだろう。
いや、答えはわかっている。ただ、認めたくないだけだ。
一瞬M2Dをはずし、目薬を差してハセヲはため息をついた。
(今日はここクリアしたらやめるか……)
明日はテスト休日だから早く眠らないといけない道理はないのだが、こうも気持ちが沈んではゲームにならない。
今はもう眠ってしまって、気持ちを切り替えたかった。
彼女のことは、時間をかけて忘れていくしかないだろう。
心の羅針盤を定めると、ハセヲはM2Dを被り直して黄昏に包まれた迷宮を再び歩き出した。
そうしてしばらく進むと、開けた場所に青く包まれた半球状の空間が見えた。
この場所でPC同士が戦闘していることを示すサインである。
(こんなとこでもPKかよ)
忌々しさを感じて立ち止まる。リアルでは、奥歯をかみ締めていた。
プレイ初日の苦い思い出、そして少年らしい潔癖さからハセヲはPKという行為に対して良い印象はない。
無気力に苛立ちという火が付き、ハセヲは半ば無意識にPCをバトルエリアに突入させていた。
PKはするのもされるのも嫌だったが、調子に乗って他のPCをキルするようなろくでなしなら気兼ねする必要はない。
今のレベルならΔサーバであれば大抵の相手には負けることもないだろうし、ちょうどいい気分転換だ。
そう思いながら画面が切り替わると、何故かそこには見知った顔があった。
471夢から覚めても 40:2006/06/14(水) 02:22:28 ID:FXOILW0o
「ちょうど良かった、お願い助けて!……って、あんた、ハセヲ?」
「ええ!?」
黒髪のきわどい着物姿の銃戦士と、褐色の肌の猫耳拳術士(グラップラー)――旅団の元メンバー、タビーとBセットである。
「何してんだよ、あんたら」
エリア内では二人を囲むように六人のPCが動いていた。
The WORLDではワンパーティは三人までなので、二つ分のパーティが二人に襲い掛かっていることになる。
明らかに尋常な事態ではない。
「後で説明するから!今はとにかくこいつら何とかするの手伝って!」
「わかったよ」
Bセットは普段の気だるげな調子からは想像もできない声で叫ぶ。
本当に切羽詰っている状況のようだ。ハセヲは思わず薄く微笑み、大剣を構えた。
敵の数がこちらを圧している以上、正面からぶつかるのは不利だ。
となれば戦術は撹乱して分断、然る後に各個撃破。順番は相手の構成を見れば自ずと定まってくる。
ざっと見たところ直接攻撃を行っているのは前衛の鎌闘士(フリッカー)、双剣士(ツインソード)、斬刀士(ブレイド)二人の計四人で、
残りの妖扇士(ダンスマカブル)と呪療士(ハーヴェスト)は後方で支援に徹している。
大兵力と戦う場合、まず補給および支援を断つ。幸い、後衛の二人に護衛は付いていない。
オーヴァンから叩き込まれた兵法の基本に従い、ハセヲは一瞬のうちに戦闘の指針を確定した。
混乱を付いてBセットがタビーに回復アイテムを使用したのを確認すると、
ハセヲは呪療士をターゲットにスキルアーツを発動させた。
物理攻撃系のスキルは発動の際強制移動して対象を自動的に射程に捉えるので、
普通に移動するよりこちらの方が都合が良いのである。
蓮の葉を飛び移る蛙のように懐にもぐりこんだハセヲの一撃が呪療士とその隣にいた妖扇士に決まる。
ハセヲは容赦なくそれに追撃のコンボを叩き込み、連撃で一気に止めを刺した。
「まずは二人、と」
「貴様ぁー!」
ハセヲが呟くと同時に、斬刀士の一人が腹をすかせた獣の様な怒声を上げ突撃してきた。
残りの三人もわずかに離れて続く。
「へっ、頭わりーな」
読み通りの行動に、思わずハセヲの口元がゆがむ。
ハセヲが真に恐れていたのは彼らが被害にかまわずタビーとBセットを攻撃することであったからである。
そうの場合、蘇生アイテムをほとんど持たないハセヲは二人を復活させることが出来ず、
いずれ自分も袋叩きにされ程なくキルされていただろう。
一瞬の判断でガードを行い、ハセヲはカウンターで大剣の一撃を叩き込んだ。
ダウンを確認すると同時に追いついてきた残りの三人に向かってスキルを発動させ迎撃。
仰け反る三人に後方からBセットの銃撃が炸裂し、見る見るうちにHPが減っていく。
行動値が回復し再びスキルを発動できるようになったころには既に連撃マークが出ていた。
「これで五人!」
連撃で三人中二人を戦闘不能に追い込んだハセヲは瀕死の一人をBセットに任せると、
ダウンから回復した斬刀士に向かっていく。
この時点で既に三対二。
端で震えているタビーと瀕死の鎌闘士は除外しても一対二である。もはや負ける道理はない。
Bセットの銃剣が鎌闘士を沈めると同時に、ハセヲの大剣が斬刀士を叩き潰す。
「「ラスト!」」
二人が同音に叫んだ時、戦闘は既に終わっていた。
472夢から覚めても 41:2006/06/14(水) 02:24:34 ID:FXOILW0o
「で、どういうことなんだ?説明してくれよ」
戦闘終了後、獣神像近くのプラットホームで三人は佇んでいた。
わざわざここまで移動したのは、万が一を恐れてのBセットの判断である。
タビーは先ほどから一言も口を開いていない。
「わかったわ。あいつらはTaNの残党。あんたも襲われなかった?」
懐かしい名前に思わずハセヲが目を見開いた。
そういえば、エクステンド直後に襲い掛かってきたPKがそんなことを言っていたようないなかったような。
「何で?」
「あんた、本当に世間知らずね……よもやまBBSとかでも話題になってるわよ、元旅団のメンバーにTaNの残党がPKを仕掛けてるって」
「しばらく忙しかったんだよ。それになんで俺たちが解散したギルドの残党とかに襲われないといけない訳?」
TaNはkey of the twilightを巡って旅団と敵対していたが、ギルドが解散し探索が中断された今彼らと争う道理はないはずだ。
旅団と同時期にTaNは解散していたが、それは首謀者が不正を行っていたからであり旅団とは関係ない。
「ねぇ、それってもしかしてロールプレイ?そこまでいくと、いくらあたしでもちょっと……」
「はぁ?なにそれ」
Bセットは頭痛を堪えるように頭に手を当て、顔を顰めている。
先ほどとは別の意味で、普段からは想像できない表情である。
「ああ、本当に知らないのね……TaNが解散したのって、志乃がシステム管理者に密告したからなのよ」
「ええっ!?」
「正確にはオーヴァンの調査結果が元になってるらしいけどね。信じられないかもしれないけど、本人にも確認済みよ」
ハセヲはただ驚きに息を吐くだけだった。
志乃という名前が出てきたのも引っかかったが、聞いた内容は普段の温厚な彼女からは想像もつかないものだった。
「で、それを知った暗部の元メンバーでアカウント剥奪されてない奴らが徒党を組んで今旅団メンバーを襲ってるって訳。あたしの所にも何回かきたし……聞いてる?」
「あ、ああ。で、何でタビーと一緒にいるわけ?」
「志乃に頼まれたのよ。この娘、言っちゃあれだけど旅団のメンバーで一番弱いでしょ?それで酷い目にあわないように守ってやってくれ、って。自分は他に大事な用事が出来て手が離せないそうよ」
「え………」
大切な用事、という言葉にハセヲの心がざわめく。
比較するようなことではないが、志乃はそこまでハセヲのことを心配してくれたのだ。
もちろん、Bセットを信頼しているからこそタビーを任せたのだろうが。
「ちょっと、自分の世界に入らないでよ。会話が続かないじゃない」
「あ、ああ。ごめん」
目ざとく突っ込んでくるBセットに、ハセヲが気圧された。この女、キャラ変わってないか?
「まったく……こら、あなたも黙ってないで。少しはしゃべりなさいよ、久しぶりの再会でしょ?」
憮然とした表情で、和装の銃戦士が隣の猫耳娘を小突く。
彼女は、戦闘終了後から一度も口を開いていなかった。
「PKされてショックなのはわかるけど、いつまでも塞ぎ込んでると目の前の楽しいこと逃しちゃうよ」
「う、うん……」
473夢から覚めても 42:2006/06/14(水) 02:25:43 ID:FXOILW0o
志乃のことはともかく、ハセヲは目の前で展開されるやり取りに唖然となった。
まるでキャラクターが逆転している。
タビーは前回会ったときからこの調子だったが、Bセットも随分態度が変わっている。
ハセヲの知る彼女は何にしても無気力で、そもそもマク=アヌの錬金地区から出ることが殆どなかった。
それが頼まれ事とはいえ決して親しいとはいえない相手のボディガードをこなし、
ぞんざいな言い方ながら慰撫の言葉までかけるとは……!!
「なに鳩が水鉄砲食らったような顔してるのよ」
驚きがやはりPCにも出ていたのか、Bセットが酷く不機嫌そうな表情でハセヲを睨む。
「それ、水鉄砲じゃなくて豆鉄砲……」
「くだらないこと突っ込む余裕があったらあなたもタビーに何か言ってあげなさいよ。この子、相当酷い目にあったんだから」
照れ隠しか、相変わらず不機嫌な調子のままBセットがハセヲの背を小突く。
そういえば以前旅団にいた頃も、PKされたタビーめそめそと泣いていたことがあった。
流石にこの調子でいられてはあまり居心地が良くないので、ハセヲは一応声を掛けることにした。
「ええっと……まあ、元気出せよ。PKなんか俺、しょっちゅうだしさ。逆恨みなんだから、気にすることないぜ」
我ながらなんともわざとらしい声だ。
教師の「お前はやれば出来る子なんだから」だってもうちょっと誠意がこもっているだろう。
自己嫌悪が排水溝のように渦巻くのを感じながら、ハセヲは言葉を続けた。
「ほら、Bセットや志乃だって良くしてくれてるんだし。何なら俺も一緒に付いててやるから」
ハセヲの言葉に初めてタビーが反応し、わずかに猫耳を動かす。
「……ハセヲ、本当?」
長い沈黙の後、タビーはやっとのことで口を開いた。
「何で俺が嘘つくんだよ」
「あたしのこと、軽蔑してたりしない?」
「はぁ?」
思わぬタビーの言葉に、ハセヲは表情をゆがめた。
一体全体どういう経緯で、そんな疑いが出てくるのか?
「だって……あたし、弱いし」
「俺だって大してかわんねーよ。志乃とかレベル100あるんだぜ?」
「ウザイって言われたし」
「随分前の話じゃねぇか」
「すぐ落ち込んじゃうし」
「嫌なことがあってもへらへらしてるやつよりはましだと思うぜ」
ぽつぽつと呟くタビーの自虐を、ハセヲは一つずつ潰して行った。
もしかして志乃が言っていた「顔をあわせづらい」理由とはこのことなのだろうか?
だとしたら、完璧な勘違いである。
なんだかんだであまり話したことこそなかったがタビーに対してはちゃんとそれなりに仲間意識をもっていたし、
レベルやプレイ暦が近いことから志乃やオーヴァンとは違った親近感さえも抱いていた。
軽蔑など、思いも付かない。
「何だ、そんなことで悩んでたのかよ」
「そんなことって……!大問題だったんだよ、ハセヲはあんまり喋ってくれないし!」
それを言われると、確かに反論は出来ない。
「でも、よかったー。絶対ハセヲに嫌われたと思ってたから……」
そういって、ようやくタビーが顔を上げた。
瞳はまだ潤んでいるが、目じりは上がり口元には何時もの笑顔が戻りつつある。
「さて、青少年たちは万事丸く収まってみたいね。それじゃ、そろそろタウンに戻りましょうか」
「うん!ありがとうね、Bさん、ハセヲ!」
二人の背中を叩いたBセットに、タビーが今度こそ本当の笑顔で答え、ハセヲに抱きついてきた。
「ちょ、やめろって」
「やだー」
タビーは猫を可愛がる女主人のようにハセヲに胸を押し付け頬擦りしてくる。
ゲームの中でのことにも関わらず実際にそうされているような錯覚を感じ、ハセヲは思わず顔を真っ赤に染めた。
474298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/14(水) 02:28:07 ID:FXOILW0o
以上です。次回は木曜夜、ゴードが登場予定。
そして志乃とハセヲの関係に一つの決着が着きます。
しかし皆様には申し訳ありませんが筆が遅いのもたまにはいいことがあるものですね、
前回の放送を見ていなければ今回のBセットや次回のゴードはいなかったでしょう。
475名無しさん@ピンキー:2006/06/14(水) 12:52:15 ID:kqgM7hgC
夢からGJ
つーか志乃レベル100wwオーヴァンより高えwww
476名無しさん@ピンキー:2006/06/14(水) 17:08:08 ID:3/dpxQXc
オーヴァンで90だったか
やべぇw殺されるw
477名無しさん@ピンキー:2006/06/14(水) 17:35:18 ID:EW8l2CKs
VOL1じゃ志乃に勝てねぇw
478名無しさん@ピンキー:2006/06/14(水) 17:57:53 ID:NZKK7Y+i
志乃ツヨスwwwwwww
479名無しさん@ピンキー:2006/06/14(水) 20:43:55 ID:1rcOJS2E
志乃の強さに嫉妬wwww
480名無しさん@ピンキー:2006/06/14(水) 21:02:12 ID:dyGtrH5y
さすが保母wwwww
481名無しさん@ピンキー:2006/06/15(木) 00:14:23 ID:CjVATTTm
読んでる途中でページ移ったらいきなり鷹氏のまとめwiki消えた。・゚・(ノ∀`)・゚・。

読めなくなった人他に居る?
もしかして自分だけ?
482名無しさん@ピンキー:2006/06/15(木) 10:11:03 ID:zb0ES373
ヤヴァイ、俺もだ
483名無しさん@ピンキー:2006/06/15(木) 18:23:17 ID:/GDJluEf
志乃恐怖


ただいってみただけ
484名無しさん@ピンキー:2006/06/15(木) 18:41:53 ID:hdLcv0cd
わかった、ハセヲにとっての志乃が刑事コロンボで言う「うちのかみさん」的なポジションになるんだな?
んであのPKKのハセヲすら怖がらせる志乃恐怖と…・

え?つまらん?こりゃ失礼
485名無しさん@ピンキー:2006/06/15(木) 19:00:16 ID:JAHfPWmz
やべっタビーに萌えてきた
486名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 02:10:44 ID:Xahvu8BW
続きマダー?
487298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/16(金) 07:08:21 ID:ty+l6Ic2
しまった、素で一日間違えてました!
待っててくださった方、本当にごめんなさい!
とにかく今出来てるところだけ置いて行きます。
続きは出来上がり次第、必ず今日中に。本当にすみません!
488夢から覚めても 43:2006/06/16(金) 07:09:18 ID:ty+l6Ic2
「よお、皆さんおそろいですか」
三人がルートタウンに戻ると、カオスゲートのすぐ傍に佇んでいたPCが声をかけてきた。
褐色の肌に紫の巻き毛。中性的な面立ちの拳術士――元旅団のメンバー、ゴードである。
「ゴード。どうしたの?」
「ゲームを一時引退しようと思ってな。それで知り合いに挨拶回りしてるんだよ」
三人の中では比較的親しかったBセットに、ゴードが何時ものようにあっけらかんと答える。
「オーヴァンが消えちまったんじゃしょうがないしな。アカウントとメンバーアドレスは残しておくから、奴が帰ってきたら教えてくれ」
「そう……わかったわ」
Bセットが静かにうなずく。
ハセヲがちらりと隣を見ると、タビーは何かを堪えるような表情で俯いている。
匂坂の事を、思い出しているのだろう。
「ま、そういうわけだからしばらくさよならだ。なんだかんだ言いつつこの一月、結構楽しかったぜ。ありがとな」
そう言ってゴードは他のサーバーに用があるのか、カオスゲートに消えようとする。
「なあ、ゴード」
「ん?」
「ちょっと話……したいんだけど、いいかな。前から、あんたに聞きたい事があったんだ」
その背中に、ハセヲが思わず声をかけた。
「ふーん、別にいいけど……じゃ、付いてきな」
「ああ、ありがとう」
ゴードはハセヲとパーティを組むと、適当にエリアワードを打ち込んだ。
二人の姿がカオスゲートに消え、タビーとBセットはドームの喧騒に残される。
「寂しくなっていくわね」
「……うん」
ポツリと呟いたBセットに、タビーがうなずく。
「でも、それだけじゃないはずよ。失うものもあれば、得るものもある―――オーヴァンが言ってた」
「……そうかな」
「そうだよ。それに、ゴードもオーヴァンも、アカウントは残ってるんだから。ゲームを続けていれば、いつかは帰ってくるわ」
湖底に沈んだ船の残骸を眺めるようなタビーの声に、風にも折れない竹のような強さでBセットが答える。
「……そうだね!」
牛の咀嚼のようにBセットの言葉を飲み込んだタビーが、にっこりと笑う。
気持ちが沈んでいても、笑っていれば心は自然とそれに引きずられ上向いていく――それがこの少女の明るさなのだろう。
ただの愚鈍なだけではない。
それは自分にはない資質だったから、Bセットは少し羨ましくなった。
「それじゃ今度はPKから自分の身を守れるように、おねーさんと一緒にレベル上げしない?」
「するする!」
招き猫のように片手を挙げたタビーに薄く微笑むと、Bセットはエリアワードを打ち込んだ。
「それじゃ、いきましょうか」
489夢から覚めても 44:2006/06/16(金) 07:10:49 ID:ty+l6Ic2
ゴードに連れられて来たエリアは、月夜の湖畔だった。
一見ポリゴンの模造品とは思えないその景観は雅な事この上ないが、連れがいまいち気分が盛り上がらない。
どうせ来るなら―――
そこまで考えて、ハセヲは頭を振った。
この期に及んであの女のことを考えるなんて。
「で、話って?」
手近な石の上に腰掛けたゴードの声で、ハセヲは我に返った。
「あ、ああ。あんた、オーヴァンに勝つのが目標なんだよな」
「だった――というのが正確かもしれんがね。正直、オーヴァンが帰ってきても再開するかは微妙だ」
「そうなのか?」
「オーヴァンと実際に会ったら変わるかも知れんがね。ああ言っておかないと、今までのロールに反するしな」
そんなものなのだろうか、とハセヲはゴードの言葉を受け流す。
ロールに反する、というのがいまいち実感できなかった。
「それで?」
「あ、ああ。それで、あんたは、その――オーヴァンに勝てると信じてたのか?」
「は?」
「だから。その、オーヴァンには一生勝てないんじゃないか、とか思ったりした事はなかったのか?」
「うーん……それは考えたことなかったな。しかし、そういう考え方もあるか」
「何でだよ」
ハセヲがゴードと会ったときから抱いていた引っ掛かりが、これだった。
ハセヲにとってこのゲームでの居場所を与えてくれたオーヴァンは天のようなものであり、それを破るというゴードの望みはどもう非現実的ものに聞こえたのである。
その思いは、彼から
「実際に勝つ、負けるは結果でしかないし。問題は俺がどうしたいか、ってことなんだよな。それしかない」
「なにそれ」
「いや、だってそうじゃないか?実際にやる前から諦めても仕方がないし。他にゲームでやることもなかったしな」
ゴードの言葉に釈然としないものを感じながら、ハセヲは黙り込む。
「もしかしてハセヲ、君って中学生?」
「な、何だよいきなり!」
「いや、なんとなく」
ゴードは指を顎の下に持っていくと、チェーシャーの猫のようにやにやしながらハセヲに尋ねた。
「……高校生だけど」
「ふーん。じゃあそんなもんか…よっと!」
ゴードは勝手に納得して飛び上がると、ハセヲの肩に手をかけ顔を近づけた。
思わずリアルで冷や汗が出る。
「な、なんだよ」
「お前さんぐらいの歳なら普通だろうけど、何かする前から無理そうだとか出来っこないとか考えて諦めるのはやめたほうがいいぜ。しないでいい後悔背負い込む羽目になりかねないし、大人になってからも変な癖が付いちまう」
「……余計なお世話だっつーの」
顔を離し、ハセヲが憮然としながら答える。本当に、余計なお世話だ。
それなら、何でも出来ると勘違いして恥をかけというのだろうか?そんなのは小学生だ。
「まあ、言って聞くようなもんじゃないってのはわかってるけどな。心の隅にでも留めておいてくれるとうれしーな。これはロールじゃなくて、一人の人生の先輩としての言葉」
「なんだそりゃ」
思わず苦笑がこぼれる。先生みたいな事を言うな、こいつ。
「さて、聞きたいことはまだなんかあるか?」
「いや、ない」
「それじゃ俺は失礼するわ。まだ他のサーバーに挨拶してない知り合いが残ってるんでね」
そう言って、ゴードはパーティを解消すると手を振りながらプラットホームに姿を消した。

490夢から覚めても 45:2006/06/16(金) 08:24:05 ID:ty+l6Ic2
ゴードに遅れてルートタウンに戻ると、そこにもうタビーとBセットの姿はなかった。
別に約束したわけでもないので待っていてくれるのを期待していたわけではないが、どこか一抹の寂しさを感じないでもない。
色々寄り道したが――そろそろ落ちるか。
そう考えたところで、不意にハセヲの脳裏に先ほどのゴードの言葉が浮かんだ。
「何かする前から無理そうだとか出来っこないとか考えて諦めるのはやめたほうがいいぜ」
冷静に考えてみると、確かに自分に当てはまるところがあるかもしれない。
確かに、自分は心のどこかでオーヴァンの圧倒的な強さを無意識に「越えられない壁」だと認識してしまっていた。
しかし、オーヴァンだっていくら強くても、規格外でも自分と同じPC。
勝てない道理はない。実際、志乃などレベルはオーヴァンより上だった。
実際には経験やら才能、相性等様々な要因が絡むからそう巧くはいかないだろうが、だからといって最初から諦めるのはナンセンスだ。
成程、ゴードの言った事は意外と的を得ている。
だったら――同じ理屈で、自分の想いが志乃に届かないという事もないはずだ。
(―――――って、何考えてるんだ俺は!)
自分で自分の考えに顔を赤らめ、ハセヲは意味もなく慌てふためいた。
いや、志乃にだって選ぶ権利がある。
確かに人並以下だとは思わないが、彼女は並の女ではない。
温厚で冷静で、でも頑張り家で時々ありえないぐらい可愛いところがあってでも年上で、ついでに見目麗しいが決して派手ではなく清楚なかんじで―――
つまりは別格だ。
とても自分なんかが釣り合うとは思えない。
いやしかし、ゴードが戒めたのはこういう考えのことではないのだろうか。
そもそも、彼女に対して八つ当たりしてしまったのもこういった卑屈から来る惨めさが原因だったはずだ。
とりあえず、深呼吸。
一旦M2Dを外し、冷蔵庫から適当にペットボトル入りのジュースを持ってきてそれを飲み干す。
当たり前の事だが、今すぐ想いを伝えなければならないという事はないはずだ。
それに変な下心を抜きにすれば、自分が志乃に暴言を吐いて傷つけてしまったのも事実だ。
ならば、その謝罪が何より最優先だろう。
大体、ここで逃げているようではオーヴァンになど一生かかってもかなわない。
少しずつでも、今出来る事を。
そう思い直して、ハセヲは再びM2Dを被りカオスゲートへ向かった。
打ち込むエリアワードは、Δ隠されし 禁断の 絶対障壁。
志乃が待っている事を、修道士のように祈りながら。
491夢から覚めても 46:2006/06/16(金) 10:43:39 ID:tmeU1NZR
ハセヲがエリアに到着すると、彼女――志乃は待っていた。
春の早朝を思わせる薄霧の草原は絶対障壁の名に違わぬ巨大な人工の絶壁を頂き、遥か空には旧い街の遺跡が見える。
人気のない忘れられたこの地で、彼女は古代の哲学者のように体育座りの姿勢で彼方を見つめている。
「来て……くれたんだ」
「何で、わかったの?」
振り向かずに口を開いた志乃に、ハセヲが思わず問い返す。
「女のカン……かな」
志乃は僅かに頭を揺らし、抑えた声で答える。
その声音は一見何時もと変わらないようだったが、ハセヲには真冬の水面の薄氷のように哀しみが張り付いているように聞こえた。
こんな彼女の声を、ハセヲは以前も聴いたことことがあった。
オーヴァンが消えて間もない時期、黄昏の旅団が解散する前後だ。
それがあまりにも痛々しくて、ハセヲの中の感情が吹っ飛んだ。
瀑布が流れるように自然に、口が動く。
「ごめん」
怒っているのか、それとも悲しいのか。苔の生えた石のように、志乃は答えない。
しかし、それは今のハセヲにとって問題ではなかった。
「本音って言うのは、出鱈目だ。志乃さんのことも、オーヴァンのことも……本当は、尊敬してる。嫌だったんだ、それに追いつけない自分が」
志乃は僅かに体を震わせる。
「はっ、最低だろ。自己嫌悪を認めたくなくて、八つ当たりなんて。その上、謝りもせず逃げ回って――」
ディスプレイに映る風景が、霞んでいく。自分が泣いているのがわかった。
「最低、とか言わない」
不意に、ふわりという感触とともに声が聞こえた。天使が歌うような、ウィスパーボイス。
志乃に抱きしめられたという事に気づいたのは、しばらくしてからだった。
「それじゃ、ハセヲをずっと待ってた私はどうなるの?私はもっと最低?」
「そんな、わけ……」
それ以上は、言葉に出来なかった。志乃の声も、僅かに震えていた。
秋の午後を思わせるロストグラウンドの静謐に、少年の嗚咽だけが静かに響いた。
492夢から覚めても 47:2006/06/16(金) 10:45:04 ID:tmeU1NZR
「もう、大丈夫?」
「ああ」
ひとしきり泣いて涙が乾くと、志乃は体を離した。
「リアルだったら、ハンカチぐらいは貸してあげられるんだけどね」
冗談めかして、志乃が僅かに笑う。
しかし、ハセヲのほうはとても気が気ではなかった。
いくらゲームとはいえ――いや、ゲームだから余計に――女の胸で(しかも好意を寄せている年上の女だ)泣いてしまったのが、かなり恥ずかしかった。
反面、自分の感情を黙って受け止めてくれたことはかなり嬉しくもあったが。
「リアルじゃこんな顔見せられねーよ」
おかげで、照れ隠しに薄い毒が口をついて出た。
もっと、いい言葉は出ないものか。
「そうだね」
志乃はそんなハセヲの心などお見通しのようで、笑顔のまま受け流す。これが大人の余裕、なのだろうか。
「それじゃ、仲直り記念に私とちょっと冒険しない?ここは綺麗な所なんだけど、ずっと座ってて飽きちゃった」
「ああ。今なら何でも言う事聞くぜ、任せてくれよ」
「ふふっ」
ハセヲの調子のいい言葉に、志乃が今度こそ笑う。
さっきまでの様などこか痛みをはらんだ笑顔ではなく、咲いた芙蓉のような笑顔だった。
ありふれた笑顔だったが、今のハセヲにとってはどんな花よりも華やかで、どんな宝石よりも輝いて見えた。
「それじゃ、行こうか………っと」
パーティを組んでプラットホームに向かったところで、志乃の足元が不思議な軌道を描いた。
「どうしたんだ?」
「ごめん、ちょっとふらっとしちゃって」
志乃は拳を握って笑ったが、明らかに声に力がない。
先ほどとは別の意味で、志乃の事が心配になった。
「………もしかして、昨日からずっとここで待っててくれたのか?」
「うん、そうなるかな。行き違いになったら、嫌だから。あ、でも心配しないでね。今日は有給とったから」
心配どころの騒ぎではない。ハセヲの体中から血の気が引いた。
メールを送ってから、本当に志乃はずっとここにいたのだ。リアルの生活を犠牲にしてまで。
(俺は、本当に最低だ……!)
「……今日は止めよう。志乃は、もう寝てくれ」
「えっ、大丈夫だよ。少し眠いし、お腹も減ってるけど、たいした事ないし」
「たいした事ないわけないだろ!とにかく、寝てくれ、俺のせいでこんな事……」
ハセヲが思わず声を張り上げた。また涙が少しにじんできた。
「う、うん。わかった。そうする。でも、ハセヲのせいじゃないから。私が自分で、勝手に待ってただけなんだから。それは本当に気にしないでね」
ハセヲの剣幕に圧倒され、志乃は体を震わせながら同意した。
パーティを解散し、志乃はプラットホームに向かう。
「俺、明日は休みだから。仕事終わったら、いつでも呼んで」
何とか気を落ち着けて、ハセヲは志乃に挨拶代わりに声をかけた。
「うん……初めてだね、ハセヲのほうから私を誘ってくれたの」
まだ少しふらついている志乃が振り返り、笑った。
彼女は短くまたね、といって、プラットホームに消えていく。
志乃が消えてからも、ハセヲはしばらくそこで佇んでいた。
胸に浮かぶのは、志乃を傷つけてしまった後悔の念。
しかし、それでも彼女が自分を待っていてくれたという事実を孕んだ、どこか甘いカフェオレのような苦さだった。
493298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/16(金) 10:47:12 ID:tmeU1NZR
すいません、いったん用事があるのでいったんここで打ち止めにします。
続きは戻ってからなので夕方以降。
後半は突貫で書き上げたので粗が多いかもしれませんがどうかご容赦を。
本当にすみません。
494名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 14:15:17 ID:mrjEvOP7
すばらしきGJ!
アンタすごいぜ!
495名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 16:31:49 ID:5+J2lbjs
イイヨイイヨー(゚∀゚)
496名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 21:19:07 ID:3YnZvZtk
ワクテカ
497298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/16(金) 23:46:08 ID:D4dIJImk
戻って来たので投下します。
しかし思いのほか長い・・・・何時もの倍ぐらいの量になってしまった・・・・
498夢から覚めても 48:2006/06/16(金) 23:47:53 ID:D4dIJImk
翌日、夕方六時過ぎになって志乃から電話があった。
珍しく食事に行こうと言い出した父親に付き合って蟹を食べ、適度に満腹で気分良くベッドに寝転がってThe WORLDの攻略本を読んでいた時だった。
メールではなく電話というのが何故か嬉しくて、ハセヲは何時もより軽やかに通話ボタンを押した。
「もしもし」
「あ、ハセヲ?」
「……大丈夫か?」
まだ少し声に翳りがあるのがわかって、ハセヲは少し声を落として尋ねた。
「うん、一晩寝たらすっきりしたよ。ありがとうね、ハセヲ」
「何が?」
「心配してくれて」
「……っ!」
何気ない感謝の言葉だったが、それでもハセヲの心は喜望峰の海のように波立った。
これが、惚れた弱みというのものだろうか。
だから、まあ、恋という病に不慣れなハセヲがうっかり心の内をこぼしてしまったのも、仕方がないといえば仕方がない。
本人にすれば、とてもそれどこではないだろうが。
「べ、別に……俺、志乃さんの事、好きだから……」
「えっ?」
志乃の、あまり聞くことのない驚きの声。
自分が何を言ってしまったか、ハセヲはそこでやっと気づいた。
何言ってるんだ、俺は!
「えーと、それって……」
「ち、違う!そういう意味じゃなくて!」
「……じゃあ、どういう意味なの?」
「……………っ!」
見事に言葉に詰まった。誤魔化しきれない。
「えーと、そうか……うん、そうか…」
黙り込んだハセヲを無視して、志乃は独り言を呟いている。
お得意の「女のカン」では見抜けなかったらしい。
もうこうなったら覚悟を決めるしかない。後の事など、どうにでもなれだ。
それに―――極めてネガティブな発想だが、振られるんだったら早い方が傷が浅くすむだろう。
ハセヲは開き直ると、いったん受話器を耳からはずして深呼吸した。
「……だから、その……ゲームの仲間とか先輩とか、歳の離れた友達とかじゃなくて……ええっと、とにかくあんたの事が好きなんだ!あんたにはオーヴァンがいるのもわかってる。俺じゃ、その代わりなんか出来ない事も……でも好きなんだ!」
そこまで一息にまくし立て、ハセヲは息を整えた。
数秒話しただけなのに、何キロも全力疾走したように息が苦しい。
受話器の向こうは、夜の海のように静まり返っている。
「迷惑なのはわかってる。好きになってくれなんていわない。とにかく、俺がそういいたかったんだ!本当に、ごめん……」
切れ切れにそういって、ハセヲは通話を切った。もう、話していられない。
ハセヲは枕に顔を埋めて、布団をかぶろうとした。今日が、四月一日なら良かったのに。
499夢から覚めても 49:2006/06/16(金) 23:50:11 ID:D4dIJImk
そうしてしばらく失恋の痛みに浸るつもりでいると、再び電話が鳴った。
とても出る気になれずしばらく放っておいたが、電話は三十分近くたっても鳴り止む気配を見せなかった。
(どこのストーカーだよ)
時間とともに哀しみは怒りに変化し、ハセヲはその衝動に従い携帯を手に取った。
相手を確認する間もなく通話ボタンを押し、息を吸い込んで竜のブレスのように怒声を吐く。
「もしもし!俺は今機嫌が悪いんだ、後にしてくれ!」
「それはこっちの台詞だよ!どうして切るの!?」
「し、志乃さん!?」
怒りが拡散し、驚きに転化する。
なぜ、志乃が?それに――怒っている?
「勝手に言いたいことだけ言って逃げて!そうして自分勝手にしてれば君は幸せだろうけど、放り出された私はどうなるのよ!」
ハセヲはすっかり圧倒された。志乃が、あの志乃が―――怒鳴っている。
それにしても―――言うにつけて、自分勝手?幸せ?とんだ言いがかりだ。
「何だよ、俺はあんたの事を思って――」
「だったら逃げないで!ちゃんと私の気持ちも、受け止めて!一方的に告白してさよならなんて……不幸の手紙の方がまだましだよ!」
「聞かなくてもわかってるよ!あんたは、オーヴァンが―――」
「どうして私の気持ちを、ハセヲが決めるの!?」
言われて、ハセヲははっとした。確かに、自分に志乃の気持ちなんてわかるはずがない。だが―――
「そんな事を言うハセヲは、嫌い。だいっきらい……」
何か言おうとしたところで、志乃の声がトーンダウンした。
声が震えている―――泣いている?
「でも、私を好きって言ってくれたハセヲは、今日まで傍にいてくれたハセヲは……好き」
一時的な失語症にかかったハセヲに、志乃が涙声で何度も詰まりながら告げる。
ハセヲが予想しえなかった、しかし―――心の底で求めていた言葉を。
この時点でハセヲの脳裏からオーヴァンの変態じみたPCの影は霧散している。
あまりの衝撃に、ハセヲが体のバランスを崩しベッドから転がり落ちた。
500夢から覚めても 50:2006/06/16(金) 23:51:13 ID:D4dIJImk
「痛ってぇ……」
「だ、大丈夫?すごい音したけど」
「へ、平気」
痛みがある、という事はこれは現実なのだろう。
転んだおかげで多少は冷静になりながらも、まだ少しハセヲは混乱していた。
「その、好きって……」
「恥ずかしいから何度も言わせないでよ。私も、多分後輩とか友達とかじゃなくて……ハセヲの事が好き」
本当に恥ずかしそうな、消え入りそうな声で志乃が答える。
この人、もっとその、経験豊富な人だと思ったのだが……
いや、可愛いけど。
二人の間に、やっと沈黙が訪れる。なんとなく気まずくて、ハセヲはとにかく何か言おうとした。
「あの」
「えっと」
言葉がぶつかった。
それが理由もなく気恥ずかしくて、二人はまた黙り込む。
まるでお見合いだ。
「その、ハセヲから先に言って」
「い、いや。志乃さんから」
「う、うん、じゃあね……その、もう少し落ち着いて話をしたいから……明日、デートしない?」
「………!」
デート。今度は冗談ではなく、本気のようだ。声音でわかった。
「べ、別にいけど」
常識的に考えれば嬉しいはずなのだが、あまりの急展開に脳が付いていかない。
なので、何時もどおりのそっけない返事しか出来なかった。
「うん。それじゃ、場所とか待ち合わせは後で連絡するから」
「う、うん」
そういって、電話が志乃の方から切られた。
画面表示を見ると、通話時間は十五分ほど。最初の通話とハセヲがへこんでいた時間を合わせても、一時間にも満たないだろう。
しかし、ハセヲには今までの人生の中でもっとも密度の濃い一時間だった。
501298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/16(金) 23:54:00 ID:D4dIJImk
以上です。
ああ、やっとエロが書ける。
後遅れたお詫びといっては何ですが、シチュやプレイで希望があれば受け付けます。
話の流れ上ハセヲが受けでノーマルなものに限りますが、その範囲内であれば出来るだけ答えます。
後これ、書いてる途中に思い出したんですけどSIGNでまったく同じ展開ありましたね・・・・
まあ、リスペクトということにしておいていただければ幸いです。
後、オーヴァンのレベルってどこかで出てましたっけ。
ゲームOPのハセヲが133だったので、推測で140ぐらいかなー、と思って志乃を100に設定したんですけど。
502名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 00:07:25 ID:qhDKUpCt
ゲームで改造ツールつかって強制的にオーヴァンだすとレベル(90が)みれる
そしてGJ
続き期待してます
503名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 00:24:41 ID:W33nEwIe
志乃ってマジでいい
実際結婚するならこんな女性が良いんだろうな

何はともあれ作者さん、いつもお疲れ様です
504名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 01:08:38 ID:MzQn1MLu
神!!!GJ!!!
505名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 01:34:45 ID:7H3ps1k/
す、すばらしい。
生きていて良かった。
GJすぐるよあなた。



このあとPKされるとなると涙が浮かぶなあ…
ゲームの志乃とハセヲ出るの少しだけどアニメより仲よさそうだもの
506名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 02:17:54 ID:xVQtypGA
GJ!お疲れ様でした。
個人的には作者さんが思い浮かんでる通りに書いて欲しい。
文が好きな感じのなんで期待してまってます。
507名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 02:31:45 ID:POlqgoYd
>>501
ハセヲが受けなんですね。
うーん、最初は志乃が年上の女としてリードしてあげてるけど最後はハセヲにやられちゃうって流れがいいなぁ。
あとやっぱ胸は使って欲しいです。

なにはともあれGJ!です。続き、期待して待ってます。
508名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 02:39:53 ID:FsstDAEH
>298氏
毎度GJ!!続き期待

>>507
てかノーマルなら男が受けでも結果的には女がやられるのに変わりはないだろww
ハセヲは性格的にガンガンいくタイプには見えないしな
509名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 03:05:16 ID:KN0DCHnf
感動した!!!
510名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 03:05:34 ID:+os1GtaZ
神GJ!!
オーヴァンの変態じみたPCにワロスw
511名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 03:14:46 ID:/wNCavek
>>501
超GJです!最高ですよ。
勢いあまって2〜3回戦までお願いします。
512名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 03:34:43 ID:rBfNKbfT
>>501
うーむ、リクとしては、
・志乃からお誘い
・想定の範囲外だったハセヲは心も避妊具も準備なし
・安全日だからと、やさしくリードする志乃
・結局中に…
・勢い余って2回戦突入
かなー?
でも、好きなように書いてくださいなー。
上記のが全部なくても、298氏の作ならおkですぜぃ!
513名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 04:18:03 ID:sWaP1p6S
上の「結局女がやられる」流れは俺もきぼん
正常位もねちっこいのを交えてくれたなら小踊りします
514名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 07:41:19 ID:nhsZGuEv
リクとしちゃ、添い寝からの手やら舌先で初心者ハセヲを攻めて、
最初は志乃さんが上かな。できることなら2回戦はハセヲ主導で。

言ってみただけなので参考にしなくてもいいです。ベタだしorz
515名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 07:44:06 ID:nhsZGuEv
感想を忘れた・・
毎回GJです。こういうのがvol.2発売まで週一で読めたらいいのにとか思ったり
エロにしても、それで2人の日常の関係がどう変わっていくとかが楽しみだったり
516名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 09:26:36 ID:wPN5Rhns
>ハセヲが受け

一瞬志乃がディルドゥー付けてハセヲの尻を掘るのかとオモタ
517名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 09:30:21 ID:hH8YlqpS
やばい、G.U開始時の志乃に泣ける……(´;ω;`)まじGJ!

これはもう、何が何でも取り戻さねばだな、本当。
518名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 11:27:57 ID:QMyD5rE1
今日までここがエロパロスレなのを忘れたwwww

>>501
ホント毎回素晴らしいですGJ!
個人的に2回戦はやって欲しいですね。最後はハセヲが攻めるってのもありかなと思います。
519名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 11:58:49 ID:uqpnXtp9
激しく乙!
520名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 12:08:59 ID:GdE5vqMZ
最初は志乃の手取り足取り性指導
二回戦はハセヲ君頑張ってなハセヲ攻とかいいな
でもやっぱハセヲはヘタレww
521名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 14:20:47 ID:WoNS+nsH
アトリがもうハセヲと志乃が事後だと知ったらどうなるかな…?
522名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 15:22:34 ID:cApoQiUf
流れを読まずに一言言わせてくれ。

Vol.2の記事を読んだ、揺光に激萌え。
523名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 19:23:08 ID:FsstDAEH
ああ、志乃もいいけど揺光もいいな…
揺光とパイのツンデレコンビに挟まれるハセヲキボン
524名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 19:38:13 ID:F9FLeqGJ
漫画じゃ円様に瞬殺されたけどな
525名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 19:54:53 ID:FsstDAEH
漫画の揺光、ブレイドで一人称「アタイ」だしな…
あれは遥光ってことにしとこう。まぁ可愛いけど
526298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/17(土) 23:45:03 ID:KDND83+Q
レスくれた皆様、本当にありがとうございます。
ああ、やっとエロパロスレらしい話題を提供できるようになった!
どうやら最初は志乃のリードで二回戦突入後攻め受け逆転というのが多いようなので、
その方向で書いてみることにします。
後は細かい要望も可能な限り拾いつつプラスアルファのシチュを盛りこむので、適度にご期待ください。
後時期の予告忘れてました、一応月曜ということに。多少前後するかもしれませんけど。

>>502
情報ありがとうございます。
うーん、思いの他レベル低いんだな、オーヴァン。

>>515
うーん、GU&Rootならまだいくらかネタのストックは
あるのでこんな調子のものでよければ書きますよ。
週一なら都合も付くし、自分の.hack熱も維持できるし。
527名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 00:04:03 ID:AKwXrgFa
>>526
月曜日wktkしてまってるぜ!!!!!11111111
528名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 00:16:57 ID:FbhhAtK1
激しく同意!!
529名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 01:09:24 ID:sGgaItwo
揺光仲間になるのも確定したし、
これがおわったら是非ハセヲx揺光でwww
530名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 02:32:53 ID:hd/Xj4CH
>>529
揺光は立派なツンデレキャラだろうな。
是非ベタなツンデレ話をプリーズ。
531名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 08:01:58 ID:wTsh6xzQ
>>529
wktk


ところでVol.1の時点でスキルの最大値てどのくらいですか?
532名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 10:54:07 ID:8iaZB+6P
>>531
確か10くらいだと思う。
533名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 20:47:29 ID:+/yeym9E
>>531
10ゲージ+99までが限界
534名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 21:43:25 ID:roFEVD5R
>>532
>>533

おお、速レスありがとうございます。

しかし、Vol.2はいいとして受験生にとってはVol.3を買うかどうかは死活問題になりそうです…
535名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 22:46:24 ID:5Mk7pNs9
>>526
セクロスするならもうナメクジの交尾みたいなのを!!!!!!!

・・・いや、お好きに書いてくださいよ?
でもハセヲの必死の頑張りが見たいなぁとか
536名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 07:44:44 ID:dak6ghkd
>>534
危うくスルーしそうになったが、何歳なんだお前は。
537名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 10:43:58 ID:nWzmcyOH

            受験生にとっては
538名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 12:12:44 ID:iXfAfrel
大検受験生なんだよ!
539名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 15:25:46 ID:Pjv0s4ht
>>536-538

見なかったことにしてください><
540名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 16:46:52 ID:yeQAm8cS
司法試験じゃね?
541名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 17:25:30 ID:pP2B1pCH
きっと高3で18歳なんだよw
542名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 18:02:18 ID:N5f6OU/6
>>541
ヒント:21歳未満禁止
543名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 18:05:38 ID:pP2B1pCH
>>542
初耳だ^^;
じゃ結局アウトねw
544名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 19:01:48 ID:bW+Ilsnk
>>539
規則を守れない奴は、月の樹代表アトリがそっちへ行くぞwwww


所で夢覚めセクロス、いよいよ今日だな・・・
545名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 22:25:26 ID:B467kyyU
>>542
マジで!!!wwww
俺今18だわ!w
546名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 23:29:49 ID:Q+kGKdKl
カエレ
547名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 23:31:56 ID:f0DSQYHC
公言するアホも珍しいなwww
とりあえずローカルルール見てから黙ってたほうがいいぞwww
548名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 23:45:35 ID:9EqWQMSz
ここ読むことだけが楽しみだ
549名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 23:53:26 ID:hWRBIUnE
同じくwハセヲも志乃もたまらんww
550名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 23:56:41 ID:3f2TFH7m
夢からいまから全裸で待機
551名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 01:28:00 ID:nGl4hLbN
まだかな〜w
552名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 01:30:58 ID:euCdI0xk
エロパロ6が290までしか表示されないのだが
553名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 01:35:44 ID:/w8qIhnk
そこまでしかログ取得して無いんじゃね?
554名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 01:51:56 ID:euCdI0xk
>>552
537で止まってる
537以前が読めないな
555名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 02:19:58 ID:cP5NSaqC
また一日間違えてたりなw
556298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/20(火) 02:20:42 ID:gHAFxszS
一応と書いておいたのですがなんだか月曜確定みたいな流れですね・・・・
まあそれはともあれ、今日の分。
正確にはまだエロなしで、直前までです。

>>529
うーん、揺光ですか。
ご期待に添えなくて残念ですが、それは考えてなかったですね。
仲間参入のお祝いをしたいという気持ちはあるのですが・・・・
まあ、前向きに取り組んではみます。
補足しておきますと、一応いま俺の頭の中には
ハセヲ×タビー(Bセット?)とアトリ×ハセヲがある程度形になっています。
557夢から覚めても 51:2006/06/20(火) 02:21:26 ID:gHAFxszS
「前ハセヲが私に言ったことね、違うっていっちゃったけど……半分ぐらいは実はあたってたんだ」
夏の夕日が差し込む東中野の喫茶店で、志乃がコーヒーカップを傾けながら長い沈黙を破った。
今日の彼女はレースが付いた黒いワンピースという装いで、今までとはどこか違った艶めいた印象を与える。
「私が旅団に入ったのは確かにkey of the twilightを探す為だったけど、旅団に入ってからオーヴァンに惹かれていたのは事実」
オーヴァンの名前に、ハセヲが少し体を震わせた。
「でもね、今思うと……それは恋とかそういうのとは違った気がするんだ。彼のために何かしたい、とは思っていたけどそれで彼に私を好きになってほしかったわけでもないしね」
コーヒーを一口すすり、志乃がハセヲに顔を向けて独り言のように言葉を紡ぐ。
「私の場合、誰かを好きに時は等価交換なの。一方通行の恋愛って言うのは、ピンとこない。だから今思えばオーヴァンは……そうだね、旦那様とそれに仕える侍女というか、ワンマン社長と秘書というか。そんな感じだったのかも」
自分で思いついた喩えが可笑しかったのか、ハセヲへの後ろめたさを誤魔化すためか、それともその何れでもないのか。
志乃がどこか痛みを孕んだ表情で嘲った。
「じゃあ、俺と一緒にいるときは見返りがほしいわけ?」
「今はそうだね。最初はそういうわけじゃなかったんだけど……その、年下の面倒を見るのは仕事柄慣れてたからね」
志乃がハセヲの内心を慮ってか、苦笑交じりに視線を反らす。
俺は保育園の子供と同じ扱いなのかよ、内心思ったがハセヲは何とか口に出さずに済ました。
そりゃ、確かに「赤ちゃんでも出来ること」が出来なかったかもしれないが。
「でも、今は違うよ。私は、ハセヲに私を見てほしい。私の事を知ってほしいし、ハセヲのことを知りたい……駄目かな」
答えなんかわかっている癖に。憮然となったハセヲを、再び志乃が虫眼鏡で集められた光のように強く、真っ直ぐ見つめてきた。
あんなことがあったせいか、気恥ずかしくて仕方がない。
「別に、嫌なわけ、ないけど……」
顔を真っ赤にしたまま、ハセヲが答えた。
それを見て、志乃が花咲くように笑う。
笑顔があまりにも嬉しそうで、ハセヲは志乃から視線を反らした。
すると黒いレースの彩りから大胆に除く白い胸元が目に入って、ハセヲは仕方なく目を合わせた。
志乃は瞳を蜂蜜のように潤ませ、まだ微笑んでいる。
ハセヲは気持ちを誤魔化すために、手元のアイスコーヒーを一口で飲み干す。
シロップとミルクが入ったそれは、思いの他甘くて普通に飲めた。
558夢から覚めても 52:2006/06/20(火) 02:22:01 ID:gHAFxszS
志乃がコーヒーを飲み終えると、ハセヲは彼女に手を引かれて店を出た。
ハセヲとてまさかお茶を飲むだけで終わり、とは思っていなかったがこの展開は予想外である。
「待てよ、どこ行くんだ」
「いいからいいから。嫌な話は終わったから、これからが本番だよ」
志乃の手は冷たかったが、素肌の滑らかな感触が気持ちよくてハセヲは特に抵抗せずにされるがままに引きずられていった。
連れて行かれた先は、小奇麗なアパートだった。志乃は「七尾」と言う表札の出ている部屋の鍵を開け、ハセヲを促す。
あまりの超展開に、ハセヲが目を見開いた。
いや、付き合い始めた以上こういう展開もあるにはあると思っていたが、まさかいきなりとは。
しかし、準備なんか出来ていないぞ、色々な意味で。
「どうしたの、ハセヲ?」
志乃の声で妄想が妄想を呼ぶ螺旋階段を全力疾走していたハセヲが正気に戻った。
「あ、いや、その……」
何といったいいのか。触覚を折られた昆虫のように迷っているハセヲが、意味不明に手を振る。
「変なハセヲ……じゃあ私着替えるから、ちょっと待っててね」
「は?」
「お色直し。覗いてもいいけど、その時は一言言ってね」
口元に指を当て悪戯っぽく言うと、志乃は手を離し部屋へ入っていった。
「誰が……!」
岩戸に隠れた天照のように扉を閉める志乃に、ハセヲは自分への恥ずかしさのあまり毒づく事しか出来なかった。
559夢から覚めても 53:2006/06/20(火) 02:22:53 ID:gHAFxszS
「お待たせ」
玄関で待たされること十分少々。
流石に覗きに行く事は出来ず携帯のアプリゲームで暇をつぶしていたハセヲに、志乃が雲の切れ間の太陽のように姿を見せた。
身に纏っているのは先ほどまでのワンピースではなく、濃紺に朝顔の模様が入った浴衣である。
「お色直しって、それかよ」
「そう。今日は近くの神社で縁日があるの」
「縁日、ね……」
実に健全この上ないデートである。
別にその、不健全というかめくるめく官能の世界を期待していたわけではないが、それでも少しハセヲは拍子抜けした。
まあ、志乃が誘ってくれたのであれば実は何でもいのだが。
「それじゃ、行こ」
手を伸ばした志乃に、ハセヲ今度は自分から手を絡めた。
志乃は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに笑った。
560夢から覚めても 54:2006/06/20(火) 02:23:33 ID:gHAFxszS
最後に縁日に行ったのは確か中学校に入る直前だったから、五年ぶりになる。
十七歳のハセヲにとっては、五年という期間は決して短くない。
その懐かしさも手伝ってか、志乃と共に訪れた縁日は控えめに言ってとても楽しかった。
当時とは小遣いが文字通り桁違いなので好きな露店に好きなだけ使えるし、隣にいるのは学校の悪友ではなく年上の恋人だ。
これで楽しくないわけがない。
戦利品のたこ焼きを頬張りながら、ハセヲは縁日の事を反芻していた。
「あー、楽しかった。ハセヲは?」
それは志乃の方も同じだったようで、まだ浴衣姿の彼女は苺飴を舐めながらハセヲに少し顔を寄せてきた。
「俺も……楽しかったよ」
「そう?嬉しいな、素直にそう言ってくれると」
志乃がころころと鳴る鈴のように笑う。
縁日から帰った二人は、志乃の部屋で買い過ぎた食べ物を崩していた。
案内された志乃の部屋はごく普通の独身社会人向けのワンルームだったが、きちんと整頓されているところが彼女らしい。
「何時もこのくらい素直なら可愛いんだけどね」
苺を飲み込んで二個目の林檎飴に取り掛かった志乃が、肩をすくめて言った。
「別にいいだろ」
最後のたこ焼きを噛み砕いたハセヲが、お茶のペットボトルを飲みながらふてくされる。
どうせ俺は素直じゃないよ。
「ふふっ……あっ、ソース付いてる」
「えっ……どこ?」
「ここ」
慌てて顔に手を当てたハセヲに、志乃が不意に体を寄せた。
瞬間、彼女の唇が触れる。唇と頬の間に。
志乃が唇の間から舌を伸ばし、僅かに付着していたソースを舐め取る。
「ふふ、綺麗になったよ」
一瞬の出来事に呆然となったハセヲを、顔を離した志乃が見つめていた。、
561298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/20(火) 02:24:29 ID:gHAFxszS
いじょ。
ちょっとエロ優先のためちょっと駆け足気味です。
次はまあ、次回アニメ放送の前後ぐらいに。
562名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 02:29:54 ID:Nrwa/cHi
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
いつも乙です!ハセヲも志乃も可愛いな
563名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 02:33:04 ID:qSdbFDgn
やべえあなたはすごすぎる
もうGJとしかああああ
564名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 02:56:44 ID:khTIl3Ps
>>561
GJGJGJGJ!!!
こんな話が読めるなんて夢のようだ!!
ワクテカしながら次回の投下を待ってます。

ハセヲ×タビーもちょっと読んでみたいと思ったり…w
565名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 03:19:20 ID:/w8qIhnk
すっかり志乃のペースに乗せられてやがる・・・!
ここからが本当の天国だ・・・!
566名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 03:38:30 ID:s5UPPTm4
アトリ×ハセヲとあくまでアトリ攻めな所にかなり期待<次回作予定
ところでネ実で出てたアトリ×揺光の調教モノを書いてくれる神はいないかね
567名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 06:35:10 ID:dtXBseL4
エロパロいうよりこれはアートだよ
568名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 08:24:44 ID:u82sQdIm
感動したGJ!!!
ハセヲ可愛いよハセヲ
志乃イイよ志乃(ノД`)
569アトリ×ハセヲ1:2006/06/20(火) 14:10:30 ID:okOvw64Z
細かいことは気にしないでくれるとありがたい

「ハっセヲさん!」

「うわっ!」

マク・アヌの路地裏を歩いていたハセヲは、突如後ろから抱きつかれて不覚にも盛大に驚いてしまった。思わず辺りを見回してしまう。よし、誰にも見られてはいない。

一息ついてから首だけをひねって振り返れば見慣れた金髪の少女、アトリがハセヲにひっついていた。

「アトリ!」

ケストレルのギルドマスター、「がび」もかくやの気配の殺し方である。
ハセヲはアトリごときに背後を取られたことにショックを受け、しかしそれを逆ギレに転嫁した。

「お前!俺の死角に立つなって何度も言ってんだろーがッ!離せ、よっ!」

「ご、ごめんなさい!でも私…今日はハセヲさんにご奉仕したくて!」

ハセヲの怒声にアトリは一旦は謝るが、腰に抱きついたまま離れない。

「はあ?!」

「だって私…ハセヲさんに私を見て欲しいんです!志乃さんじゃない私を見て欲しいんです!だから…だから私っ!」

「…お前またそんなこと気にして…」

570:2006/06/20(火) 14:12:07 ID:okOvw64Z
ハセヲが言い終わらない内にアトリは、ハセヲの黒皮のベルトをカチンと外し、ファスナーを一気に下ろした。

「うわッ!お、おい、ちょ、おま、なにす、」

「私、ハセヲさんに愛されたい。BBSにスレ立てして相談したら、『既成事実作っちまえw』ってレスがついてたんです…。私は私だけの力でハセヲさんの言ってた『トライエッチ』を確かめます…!!」

「お前相談するとこ間違ってんぞ!つーか『トライエッチ』じゃねぇよ!エッチしてどーすんだよ!」

「中出しして下さい!」

明るい声で即答したアトリの白い手が、ハセヲの黒いボトムの中に入ってきてペニスを掴み、ハセヲは声にならない悲鳴を上げた。

やばい…こいつ、本気だ。

「ハセヲさん…気持ちよくなって下さいね」

アトリの柔らかな胸が背中に押し付けられる。布越しにも乳首が勃っているのが分かって、ハセヲは顔を真っ赤にした。

と、同時にアトリの両手がゆっくりとペニスを擦ってきて、健康な17歳男子の体は直ぐに反応して充血してしまう。

「あ…すご…。ハセヲさんのおちんちん…おっきくなってきましたっ…」

「ぎゃーッ!恥ずかしいこと平気で言うんじゃねーッ!」


「ええぇ…どうしてですかぁ…私は…幸せです」

「お前…この…痴女っ!」

「あん、そんなあ…」

アトリを怒鳴りつつも下半身の快楽には抗えず、結局、無抵抗でハセヲはアトリに扱かれるままになった。
571:2006/06/20(火) 14:17:38 ID:okOvw64Z
次第に息は上がり、先走りが溢れ出してアトリの手をぬるつかせてしまう。

「あ、あ…ハセヲさんのおちんちん、ぬるぬる…」

「っ…言うな、よっ…」

「ハセヲさん…でも…私…も、…ぐちょぐちょ、なんです…」

「アトリ…」

ハセヲを好き勝手に扱きながら自らも濡らしていたというアトリに、ハセヲは少し呆れる。
ハセヲのペニスから手を離したアトリを、ハセヲは今度は体ごと振り返って見た。

「お前、ホンット痴女な。」

アトリは、ワンピースの下に何も穿いていなかった。アトリの股間から垂れた愛液が白い太ももに透明な筋を作っているのが見える。

「ハセヲさ…はふ…」

潤んだ金色の瞳でアトリが縋るように見上げてきて、ハセヲは思わず唾を呑んだ。

「アトリ…どうして欲しいんだお前」

「あの…私…」

「私…。ハセヲさんのを…。私の中に入れて…欲し…」

「う…」

欲情しきった顔で自分を見つめてくるアトリに、ハセヲは逡巡する。
はっきり言ってアトリは可愛い。

容姿はもちろんだが、ハセヲを好きだという気持ちを少しも隠そうとせず、いつだってハセヲに尽くそうとしてくるところが、堪らなく可愛い。
けれどアトリにリードされてセックスに及んでしまうのはハセヲのプライドが許さなかった。
そうでないことを知りつつも、ついつい皮肉を言いたくなってしまう。

「入れて欲しいって…簡単に言うのな。もしかしてヤり慣れてんの?」

「え…?」

「処女じゃねーんだろ、お前」


572名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 15:18:26 ID:s5UPPTm4
痴女アトリキタコレwww支援
573名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 15:35:41 ID:KQTxPgpb
ツヅキマダー?
574名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 18:02:32 ID:DCmQApQF
ハセヲもヤり慣れてそうだなコレw
575:2006/06/20(火) 20:12:44 ID:okOvw64Z
「どうなんだよ、おい」
「私…」

「大人しそうに見えて案外、図々しいもんな。お前。リアルじゃ男とハメまくりとか?w」

「違います!」

アトリが大声をあげてハセヲに詰め寄り、ハセヲは思わず後ずさった。

「あ…いえ…。私…。そんなんじゃ…。そんなんじゃありません」

「へーえ。俺はてっきり『榊さん』のチンポでもしゃぶってんのかと思ってたけど」

目を反らして否定したアトリに、ハセヲは更に意地悪く言い募った。それこそ、アトリに否定して欲しくて。
榊よりもハセヲを初体験の相手に選んだことをアトリの口から聞き出したくて。
自分を好きだというアトリを独占しておきたいという、子供じみた欲求からだった。

「ちが…ちがうもん。私…私はハセヲさんだけだもん。私…私…ハセヲさんに処女膜破って欲しかったんだもん…」

果たして、ハセヲは望んだ言葉を得ることが出来た。アトリの言うことはいつだってストレートだ。ストレートにハセヲの男としての欲望を揺さぶってくる。

電波だし、決して得意なタイプではないのに、ハセヲがアトリに冷たく出来ない理由はこれなのだ。

「アトリ。俺の肩に掴まれ。」

「へ…?」

アトリは首を傾げつつも背伸びをしてハセヲの肩に両腕を回した。そのアトリの細い腰を、ハセヲは抱き締めて抱え上げた。

「処女膜、破ってやるよ」

「え?え?あ、や、あっ…いやあああああん!」
とろとろに潤ったクレバスの中に、ハセヲは勃起したペニスをにゅぼっという音と共にズブズブと侵入させていった。

576名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 22:20:07 ID:WvECPJq4
神が2人も光臨wwwwwww
577名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 23:23:18 ID:dtXBseL4
たしかにwww
578名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 00:03:02 ID:y9risa4f
てす
579名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 01:53:26 ID:++Wc1cnE
あなたも…神!?
なんということだ…。
超GJ!
580アトリとハセヲ5:2006/06/21(水) 02:57:49 ID:ZfTSAFXM
「あく…っはあ、はあっはあっ…」

眉をしかめて荒い呼気を吐くアトリの膣は熱くぬめっていて、とても気持ちがよかった。

(こいつ…)

イカレた性格と呪療士としてはともかく、女としてはかなりのレベルだ。いわゆる名器と言ってもいい。

断続的な締め付けに頭を朦朧とさせながらハセヲは思った。

「痛いか?」

「ん、は、あ、へ…き、です、」

ペニスを侵入させる速度はそのままに、ハセヲが一応聞いてやると、けれどアトリはふるふると首を振った。
結合部を見れば、出血もしていない。

挿入前から充分に濡れていた為だろう。
処女であるのは嘘ではないようだったが、出血しないのをハセヲは少し残念に思った。
残酷なようだが、自分のペニスに貫かれて鮮血を滴らせるアトリを見たかったのだ。

血を流しながらもハセヲに犯されることに、喜び、感じるアトリをも。
血は流れなかったが、アトリはうっとりと目を閉じて、微かに震えていた。

「あ、あ、ハセヲさんのおちんちん…っどくっどくっていって…。あ、あ、ハセヲさあん…わた、私…あ、あ…」

「…っ動くぞ」

ハセヲは半ばまで挿入し終えると、そう断って腰を一旦引き、ぐっとアトリを突き上げた。童貞ではないが経験が多いわけでもなく、元々堪え性のないハセヲは、挿入した時点で我慢が出来なかったのだ。
ハセヲに処女であるアトリを気遣う余裕などなかった。

ペニスを優しく抱き込んで締め付けてくる膣を、アトリを、滅茶苦茶に突き上げて、犯してやりたいという衝動だけがハセヲの心を支配していた。
「あああああん!」

アトリが甲高い声をあげて首を振る。

溢れた涙がぱっと散って、悶えるアトリを見て、ハセヲは渇いた上唇を舐めた。

「あっ!あっ!あっ!や、いたっ!あ、やあ、ハセヲさ、いた、いたいっ…あっ、ああ!」

「我慢、しろっ…」

待ったなしでがつんがつん突き上げてくるハセヲに、アトリは思わず悲鳴をあげた。
ハセヲのペニスが膣の最奥を乱暴に突く度、鋭い痛みがアトリを痺れさせる。

581:2006/06/21(水) 03:02:18 ID:ZfTSAFXM
アトリの体は自己防衛の為に更に大量の愛液を滴らせて、ハセヲが突つく度にぷちゅくちゅという泡立った音を響かせ、逆にハセヲの興奮を煽り、より一層抜き差しを速めさせた。

「あん!はあっ、あっ、ハセヲさ、あ、ああ…!」

「はっ、はっ、はっ」

自分にぎゅっとしがみついたままのアトリの首筋に鼻先を埋めて、アトリの甘い体臭を嗅ぎながら、ハセヲは夢中で腰を振る。最近は他のことに忙しくて、そういえばオナニーもしていなかった。女とヤるのも、実に8ヶ月ぶりである。
溜まっていたと言えば溜まっていた。

現にもうイきそうだ。
一度軽く出してから、次に移ろうと思った。

「っ、出すぞ」

「はう…はい…お願いしま…。はあん…っ」

にゅこにゅこと軽く抜き差しした後、ハセヲはアトリの望み通り、アトリの膣の中に射精した。
さすがに一回目は量が多く、逆流した精液がぽたぽたとアトリの膣から溢れて地面に落ちる。

「はあ…」

額に汗を光らせながら、アトリはハセヲの放った精液をぶるぶる震えて味わっていた。
582名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 14:17:13 ID:84P7osiH
超GJ!!
文章書ける人テラウラヤマシス
朔×望とか書きたいけど、セリフ位しか書けんのですよ。
台本かっての。
583名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 17:34:28 ID:KqY2EZ/o
原作設定の不明な部分を勝手に保管とかifな世界を書くってのはありなのかなぁ。
揺光がアバター見れるようになったらっての考えたけど・・・
584名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 17:44:18 ID:c6FVpBnA
未成年の何が悪いってんだよ!言ってみろよ!
よりwktkなSSマンセーで住人同士が繋がる
ここはそういうルールなんだって
それの何が悪いか言ってみろよ!







いや、なんとなくね 流せ
585名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 17:58:14 ID:uYM1vdbf
あくまでパロディだしifネタもアリだと思うぞ
586名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 18:06:22 ID:KqY2EZ/o
>>585
把握した。
ちょっと書いてみてるぜ。

ヤタと揺光が喋るとこがイマイチ組み立てられませんけど頑張りますね><;
587名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 19:21:32 ID:fRqPslSU
>>584
書き込み自重しろ
588名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 00:24:16 ID:MVj+vFMY
あぁもうすぐ読める                  小学生のころの遠足並に楽しみだ
589名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 00:41:46 ID:C1e07XLK
とりあえず触りの部分書いてみた。エロいところは全くないけど。
誤字脱字は確認したつもりだけど、あったら指摘してくれたりすると嬉しいです。
590名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 00:42:25 ID:C1e07XLK
 あたしはエンデュランスに負けた。しかも訳の分からない技で。
 呪紋だとかスキルだとか、そういった物とは異質の攻撃。
 根本的にゲームという枠から逸脱していたのは理解出来たし、
 やっぱりそういうモノを使っているのは腹が立った。
 だから絶対に、普通のプレイヤーとして負かすと誓った……けど。
「わかっただろ? お前とあたしじゃ、格が違うんだよ……格がっ!!」
 そう言って斬りかかった後の記憶が、ない。
 知人が言うには何か『死の恐怖』が叫んだ後、全員倒れていたらしい。
 いくらなんでも、モーションの一つも見えないような技はあるはずがない。
 ハセヲ……こいつもエンデュランスと同じか。
 絶対に許せない。
591名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 00:44:00 ID:C1e07XLK
 アリーナトーナメント、決勝戦。
 揺光はクーンとハセヲは友人だという話を耳にして、彼等の戦いを密かに見に来ていた。
(そのお友達にすらインチキを使うのか……見せてもらおうじゃないか)
 アナウンスが終わり、戦いが始まった。
 まだ一分くらいしか見てはいないが、ハセヲのチームは案外いい勝負をしているようにだった。
 一緒に出場している呪療士も斬刀士も未熟ではあったけれど、揺光のチームと戦ったときより断然成長しているのが見てとれた。
 しかし時間が経つにつれ、クーンチームに段々力負けしていく。
 ああ、これはもう決着がついたと誰もが思っただろう。
「どけよ……! どきやがれっ! さもないと――喰い殺すぞォオオオオッ!!」
「!!」
 信じられない物が見えた。ハセヲの顔に浮き上がる、謎の紋様。
「スケェェェェェェェエエイス!!!」
 更に身体を大きく仰け反らせ叫んだ後、『死神』――そう形容するのが似合う禍々しいデザインに変化したハセヲ。
「来い! 俺の……メイガァァアアス!!」
 それだけではない。相手のクーンさえ、植物のような形へと変化している。
 しかも驚くべきことに、それが周りの人間には見えないらしい。
 戦っているそのフィールドさえ、青の六角形を組み合わせた壁で構成された物に変化しているのに。
 暫く戦っていると今度はハセヲの『死神』が押し始めた。
「……あの野郎っ」
(あたし達はさぞ雑魚に見えたことだろうさ、あんなものが使えたのなら)
 苛立ちながらも、一挙一動を見逃さない。
 これがチートの類なら、通報も視野に入れなければならないし、資料は作っておかないと。
592名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 00:44:53 ID:C1e07XLK
 だが突然、だ。『死神』が右手に携えていた武器が消え、力なく項垂れた。
 一瞬、画面にノイズが走る。
 フィールドがゆれるのではないかと思う程の咆哮をあげ、『植物』へと『死神』が一心不乱に攻撃し始める。
 そこに一つの違和感が生じる。
(ノイズとアレの声に混じって……何か、聞こえる?)
 一旦戦いを見るのをやめ、その何かを聞き取るのに集中する。
 咆哮にかき消されか細くはなっていたが、確かにハセヲの声だった。
「やめろ……やめろよ……! い、いやだ……」
 やめろ? いやだ?
「いやだ……いやだっ! やめろっ!! やめろっつってんだろ!!!」
 何をバカな。とは思ったものの、何となく理解した。
 つまりあの男ハセヲは、あの『死神』を動かしていないんだ。そういうプログラムなのだろう。
 さすがに同じプログラムを持つプレイヤーでも、ああも実力に差が出ては友人だと良心が痛むということ――。
 なんて勝手な奴だ。あたし達のように何も見えない相手に一方的な暴力を振るっておいて、それか。
 現実にコントローラを持つ揺光のプレイヤーの手は、怒りで震えていた。
「止まれっ……クーン! 逃げろ! 逃げてくれ!」
 一つ一つの言動が、しゃくに障る。
 これ以上この戦いを見ていては、苛立ちが限界に達しそうだった。
 今すぐ晴らせるわけでもない怒りを上積みしていっても仕方が無い。
 決着を見ぬまま、揺光はログアウトした。怒りに歪む顔を隠そうともせずに。
593名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 00:45:42 ID:C1e07XLK
「昨日の試合、死の恐怖のチームが勝ちましたよ」
 ログインして即、チームメイトの一人にそう告げられた。
「……ああ」
「どうか……しました?」
「あ……ごめん。ちょっとイライラしてるから、一人にしてくれない?」
 ルミナ・クロスのアリーナカウンターの真後ろ――裏素材屋に行く途中の道。
 昨日は怒り心頭で何も考えられなかったが、頭を冷やしてどういう状況なのかを考えたくてここにきた。
 チームメイトが去った後、昨日の映像を思い浮かべてみる。
「あんなスキルは、仕様にはなかった」
 しかし、姿が違うとはいえ同じような力を持ち、それで『優劣』が決められるというのがよく分からない。
 チートをするのなら、HPを無限にするなりしてしまえば負けはなくなるのだから。
 それが出来ない、ということなのかもしれないけれども。
 そしてこれがチートだとして、見える相手と見えない相手が居るというのも理解不能だ。
 考えれば考えるほどドツボにはまっていく気がして、頭を抱える。
「ん? あんた……」
 真後ろからの聞き覚えのある声。忌々しい声。
 待ち焦がれた恋人が現れた――というわけではないが、それほど揺光の反応は速かった。
「ハセヲ……!!」
 2ndフォームへと変化したハセヲのそれは確かに『死神』の原型といえなくもないデザインだ。
 わざわざああしてデザインをする必要もないかと考えたところで、チートじゃない場合の別の説を組み立てる。
 四方山BBSに載っていたアビスクエストみたいなもので特別に手に入れるもの、とか。
594名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 00:46:20 ID:C1e07XLK
「……」
 目の前のハセヲは困ったような顔をするだけで何も言わない。
 罪悪感があるのか、ただ何を言えばいいのか分からないだけかは知らないが。
 それなら、こちらから話題を出してやる。
「一つ、聞かせな」
「ん……?」
「あんたの――あの、昨日の試合の『死神』みたいなのは、何なんだい?」
 その言葉を聞いた途端、ハセヲは明らかに動揺していた。
「お前……『スケィス』が見えたのか!?」
「見えた……いや、見えるようになった、が正しいけどね。あんたにその『スケィス』でやられてからの話さ」
 もっとも、スケィスとやらでやられた瞬間に見えるようになったというわけではないけども。
「ちょっと待ってくれ、ってことは――クーンの『メイガス』も見えたのか?」
「ああ。あの植物みたいな奴だろ?」
 一瞬ハセヲは何か考えるような動作をした後、すぐ戻るから待っててくれと告げてゲートの方へ走っていった。
「チートとか……そういう反応じゃなかったね」
 そういう相手なら、ひたすらシラを切り通すなり……むしろハセヲの性格なら開き直ったりもするのではなかろうか。
 まあ、揺光自身ハセヲと喋ったことなんてほとんどないわけで、勝手な想像のようなものだが。
 大して時間も経たないうちに、ハセヲは戻ってきた。
「八咫が会う、っつってる。@homeに行こう。これ、ギルドキーな」
 ギルド名『レイヴン』のギルドキー。
「確か――準決勝で解説者をしてた奴が八咫……だったよね。
 サングラスをかけた怪しいインド人って感じの風体だった気がするけど」
 ゲートから飛ぶ前にハセヲにそれを言うと、やたら笑われた。
595名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 00:48:05 ID:C1e07XLK
 @homeへと着くまでに、色々話を聞いた。
 八咫以外の『レイヴン』メンバー、パイとクーンの事。
 エンデュランスも同じ能力の所持者だという事。
 アリーナでの戦いの謝罪。
 大雑把にではあったがそうやって本人の口から聞き、少しだけ怒りは薄れていた。
 @homeに入ると、二人のPCが出迎えてきた。恐らく、パイとクーンだろう。
「初めまして、俺はクーン。うん。アリーナで戦う貴女も美しいが、こうして真近で見るともっと……いってててて!!」
「ほんと、いい加減その病気治しなさい……初めまして。私はパイよ。奥で八咫様がお待ちになっているわ、急いで」
 本来はグランディの精錬工房があるはずの場所だが、そこは違った。
 薄暗く、がらんとした部屋。壁に蛇のような装飾があるくらいで、他には何もない。
 その中央、宙に浮かぶ球体の所にインド人――もとい、八咫は居た。
「ようこそ、『知識の蛇』へ。元紅魔宮チャンピオン・揺光、だったかな」
 妙にゆっくり喋る男だ、というのが第一印象だった。
 長々と喋っていると苛立ってきそうだ。出来れば手短に済ませたいところだけど。
「元、は余計だよ……あんたが八咫だね、聞きたい事があるんだけど」
「悪いが、これでも多忙な身なのでな。質問はパイとクーン、それとそこのハセヲにしてもらえるかな」
「だったら何でわざわざ呼ぶのさ!」
 質問する権利はこちらにはない、と。立場が上だとでも思っているのか。
596名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 00:49:16 ID:C1e07XLK
「君のPCに起きた事象に興味があるからだ。ハセヲの『スケィス』の攻撃を受け、『アバター』が見えるようになったのだろう?」
「アバター……っていうのかい、あれは……」
 揺光は聞き返したつもりだったが、八咫は特に意に介さぬまま独り言を続ける。
「"準適格者"とでも呼ぶべきか、最初は見えぬとなればアバターが開眼することはないのかもしれん。
 君のような事象が起きた事例はない。それすらも憶測に過ぎぬのだが……。
 ただ見れるようになった者。しかしそれだけで危険の火種になり得る、なかなか厄介だ」
「質問一つくらいさせなよ。で、結局あれは――アバターってのは何なんだい?」
 取り敢えず、これだけでも聞ければ満足出来る。
 エンデュランスが、ハセヲが自分の考えていたような相手なのか、その答えそのものだからだ。
「分からん。碑文に記されし力、仕様外の力……それは間違いないが、君の考えているようなチートの類とはまた別種だ」
「……!」
 キッとハセヲの方を睨むが、当の本人からはため息が洩れた。
「俺は八咫には『適格者かもしれない奴がいる』としか言ってねえ。……また覗き見してやがったな、てめえ」
 向き直って、ハセヲは八咫へと毒を吐く。
「これでも一応管理者側の人間なのでな……そういったユーザーの憂慮は払拭しなければなるまい」
 何時ものように白々しく言ってのける。
 もうハセヲは八咫のこういう態度は慣れてしまっていたから、そこは流す事にした。
「ハセヲ、君には暫く"準適格者"を目覚めさせた者としての責任を背負ってもらおう」
「責任……?」
「話を聞く限り、"準適格者"はアバターでの攻撃を受けて無理矢理視えるようにされた者。
 彼女は……ハセヲ、君の攻撃を受けてそうなったのだろう?」
「ぐ……」
 さすがにそこを突かれては、ハセヲも何も言えなかった。
 クーンにも言われたが、一歩間違えば揺光やその仲間達は未帰還者になっていたかもしれないのだから。
 ハセヲは俯いてしまったが、八咫は構わず話を続ける。
「アバターが視えるようになっただけとは限らん。AIDAを惹き付けてしまうなどという事も考えられる。
 AIDAや碑文に近しい存在になったのは確かなのだからな、彼女自身にも危険が及ぶかもしれないだろう?」
 頭に手を当ててこの空虚な部屋の中に響くくらい、ハセヲは大きなため息をつく。
「……分かったよ。しばらく、揺光と一緒にパーティ組んでりゃいいんだろ?」
「ちょっ、あたしはハセヲの助けなんか――」
「これはゲーム仕様外の出来事だ。開眼していない一般PCに何か対策が出来るかといえば、答えは決まっている。
 最低でも一人、監視者として置いておくべきだろう。君のリアルに何か起きてからでは遅いのでね」
「……っ」
 視えるだけであり、一般PCの攻撃は通用しない。しかし逆は前例の通り、未帰還者となるわけだ。
 最早揺光の立場は一般PCとはまた違うということは理解してもらわなくてはならない。
 レイヴンのマスターであり、G.Uの長である八咫からすれば当然の行動だった。
「それと……AIDAの反応があるマップから検出されている。
 多少危険ではあるが、ハセヲ。我々が行っている事を理解してもらうには、彼女を連れて行くのが最良だ」
「おい……さっき開眼してないPCには何も対策出来ないっつったじゃねえかよ」
「心配しなくてもいい。万一の為にパイを同行させよう。彼女のフォローを受けて彼女を守りAIDAを殲滅する。
 君にとってそれほど難しいものではないと思うが」
 一時の間。その後、小さく舌打ちをする。
「チッ……分かったよ。で、何処なんだ?」
「△サーバー 隠されし 禁断の 絶対領域 ……だ」
 そんなエリアワードあったか? という疑問の声は喉から出てはこなかった。
 気付くと、八咫はもう姿を消していたからだ。
597名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 00:51:14 ID:C1e07XLK
今のトコはここまで。
準適格者って言葉は実際のG.U.にはありませんのでご注意を。
598298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/22(木) 01:27:55 ID:RlDP7aBA
>>アトリ×ハセヲ
GJ!!!
ああ、これぞエロパロのあるべき姿!
痴女アトリマンセー!
二回戦待ってます!!

>>582
台詞があるならあとは間に地の文を入れれば小説が出来るじゃないですか、ぜひ書いてください!
地の文なんて簡単な説明でいいんですよ、俺みたいにこだわり過ぎる方がエロパロとしては異常なんですw
俺双子もの大好きなんで(前作のシューゴとレナとか)、個人的に読みたいです。

>>586
GJ!
巧いですね、>>591の四行目に一箇所だけ誤字ありますけど、他は完璧。
本編とのリンクもしっかりしてるし展開に説得力もあるし。
実は俺もハセヲ×揺光は考えたんですけど、すげー無理やりな話だったんで尚更。
ifものに気後れなさってるみたいですけど、それを言ったら俺なんかギロチンものですよ。
アニメ半分にして既に黒歴史化してるし、50レスオーバーでやっとエロに突入する始末だし。
ともあれ、揺光ものは自分でも読みたかったので(←これが本音)、続き楽しみにしてます!

というわけで、今回の分行きます。
ああもう、エロになると恥ずかしいな・・・・
599夢から覚めても 55:2006/06/22(木) 01:28:34 ID:RlDP7aBA
それを機に、二人の間から会話が消えた。
キスの衝撃から逃げるようにハセヲはお茶を飲んでお好み焼きに取り掛かり、それを見て志乃は何故か口を尖らせた。
彼女はしばらく無言でハセヲに視線を送っていたが、やがて立ち上がると冷蔵庫から酒のものと思しき小瓶を取って来て立膝の姿勢で腰を下ろし口に運んだ。
何時もの淑やかな彼女からは想像も出来ない姿だが、和服姿の美女が崩れた格好で酒瓶を傾ける姿は中々艶やかなものがありハセヲは時折ちらちらと目で追った。
酒瓶を開けると、不意に志乃が口を開いた。
「林檎飴、食べる?」
「う、うん」
覗くように見ていた後ろめたさからしどろもどろに、ハセヲが答える。
志乃が黙々と包みを開け、林檎飴を取り出す。
「それぐらい自分で……」
「いいからいいから」
体を乗り出したハセヲを手でとめ、志乃は何を思ってか掴んだままの飴をかじった。
飴を口に含んだまま挑発的な姿勢でハセヲに近づいた志乃が、目を閉じて唇を重ねる。
重なった口唇が舌で割られ、そのまま噛み砕いた林檎飴を流し込まれる。
酒精と飴の入り混じった甘い味が、ハセヲの口内に広がった。
差し込まれた志乃の舌が蛞蝓のように這い廻り、砂糖よりも甘い感覚を体中に走らせ全身を弛緩させて行く。
「……んんっ、ちゅっ、ちゅる……んんっ………はあっ……」
喉奥に溶けた飴を流し込んでも志乃は口付けを止めようとせず、力の抜けた体を両手で抱きとめながら舌を絡め続けた。
口を離してくれたのはそのしなやかで冷たい手が全身を撫で回した後で、それでも名残惜しそうに唾液の糸が二人の口元を繋いでいる。
600夢から覚めても 56:2006/06/22(木) 01:30:21 ID:RlDP7aBA
「な、何でこんな……」
呆然を通り越して放心しかかったハセヲが、何とか声を絞り出す。
体にはまだ力が入らないので、志乃に抱かれたままの体勢だったが。
「……せっかく二人きりになったのに、ハセヲが何もしてくれないから。もしかして、私に魅力がない……かな」
志乃が目を潤ませながら、拗ねた口調で問いに答えた。
酒のせいか、それとも羞恥のためか。その小さな顔は耳朶まで真っ赤に染まっている。
その言葉から、今日の彼女の行動がレコーダーのサムネイル表示のように浮かんだ。
もしかしてわざわざ家に戻って着替えたり、部屋に上げてくれたりというのはその、アプローチだったのだろうか?
そうだとしたらハセヲに求められていたのは先週までと同じような格好付けの無愛想キャラではない。
もっと素直になって、彼女に対して恋人らしく振舞うべきだったのだ。
「はしたないかもしれないけど、私は」
追想と悔恨で北風の吹く海のように波立ったハセヲの意識を、耳元で囁く志乃の声が眼前の現実に引き戻した。
手首には、氷室のような冷たく優しい女性の掌の感触がある。
包まれた腕を、志乃が自らの胸元へ導いた。
「私の胸は―――」
一瞬だけ躊躇し、浴衣を自らはだけさせハセヲの手を滑り込ませる。
なだらかな山脈のような凹凸が付いた、素肌の手触り。
それが志乃の乳房だという事に気づいたときには、早鐘のような鼓動が伝わってきていた。
「こんなに、どきどきしているのに」
601夢から覚めても 57:2006/06/22(木) 01:30:56 ID:RlDP7aBA
枯葉にマッチが落ち、炎が燃え上がる幻影がハセヲの脳裏で閃いて消えた。
股間を核に全身に熱が満ち、抑えきれない分が吐息になって吐き出されていく。
「そういうこと、言うと―――」
空白の意識のまま、口元が自然と動き言葉を紡いでいた。
「俺、あんたの事、どうするかわからないよ」
「うん。そうして、ほしい」
志乃が溶けたチーズのような瞳のまま小さく頷き、帯を自分から解いた。
夜の海を思わせる紺の浴衣が広がり、雪のように白い肌がさらけ出される。
艶やかで美しいその姿に、心より深い部分から何かが湧き上がる。
ハセヲはそれに従い、全身に力を込めて志乃を押し倒した。
「きゃっ」
驚いた志乃が小さく声を上げたが、ハセヲの勢いは止まらない。
そのまま顔を胸元へ埋め、鞠のように弾む膨らみへ口付ける。
艶やかな感触が唇を通じて脳へ伝わり、ハセヲの息が荒くなっていく。
滑らかな素肌を無心になぞっていく内に、唇が中心にある桜色の突起に触れた。
口を開いて苺を思わせるその部分を氷のように含むと、今までとは違った快感がハセヲの胸に溢れる。
無心にしゃぶる姿に志乃が苦笑し、ハセヲの癖っ毛を撫でる。
「ふふっ、ハセヲ、赤ちゃんみたい」
悪意がない事はわかっていたが、その言葉は悦楽に染まっていたハセヲの胸に小さな刺のように刺さった。
「赤ちゃんは、こんなことしないだろ」
芽生えた反に従ってハセヲが乳首を含んだまま舌を出し、先ほど志乃にされたことを思い出しながら舐め廻す。
同時に片手で足の間にある茂みに触り、一筋に撫で上げた。
「んんっ、そうだね……」
志乃の声に今までとは明らかに異なる甘い響きが声に混じる。
愛撫と呼ぶには稚拙すぎる動きだったが、恋という媚薬が彼女を麻痺させているのだろう。
与えられる刺激に合わせたように志乃もハセヲの股間に手を移し、ジーンズを硬く押し上げている塊に触れた。
「んっ、はぁっ……!」
布地越しとはいえ男にとって最も深い部分を触られ、今度はハセヲが声を上げた。
602夢から覚めても 58:2006/06/22(木) 01:33:43 ID:RlDP7aBA
「すごい、もうこんなに硬い……」
志乃が猫の背を撫でるようにそこをさするたびハセヲの体に痺れるような快感が走った。
声が漏れた拍子に口が乳首から離れ、指の動きも止まる。
すっかり優位を取り戻した志乃は器用に下着ごとジーンズを脱がすと、体を下げて先ほどまでハセヲが含んでいた苺でむき出しになった性器に触れた。
「あっ、あっ、あぁ!」
生娘のような声を上げる少年を上目遣いに見上げながら、乳房全体で硬くいきり立ったペニスを挟む。
「胸が大きいと、結構大変なんだよ。目立つし、肩こったりするし」
両手で胸を寄せていく志乃の愛撫でハセヲの意識は快感に覆われ、呟きは耳で留まってしまう。
「でも、こういうことが出来るから。たまには、いいかもね」
志乃はかまわずそう言って短い言葉を結ぶと、乳首の先で割れた先端に触れて見せる。
「あっ、ああっ、もうっ……」
新たな刺激にハセヲの我慢が限界を超え、声に漏らした。
体の奥から、熱の塊が吹き上がってくるのがわかる。
「いいよ、出して……」
志乃がチョコレートよりも甘く囁き、胸の狭間から覗く亀頭に唇をかぶせる。
胸とは違った湿り気を含んだ感触がハセヲを包み、即座に熱が臨界点を超えた。
「あ、ああっ、ああああっ、ああああ!」
架空の獣のような絶叫を上げると同時に、肉棒から白濁した粘液の形で欲望が溢れる。
にわか雨のように弾き出される体液を、志乃は口を離すことなく受け止めた。
「んっ、んんっ、ん……んっ、こくっ……」
口内に溢れた精をむせながらも喉の奥まで流し込み、そのまま一息に飲み干す。
「熱くて、すごく濃い……全然、小さくならないし……」
志乃は亀頭ににじんだ分を舐め上げて口を離すと、先ほどまで胸で挟まれていた肉棒を見つめて呟く。
唇の端から飲みきれなかった精を滴らせたその姿が酷く淫靡に見えて、ハセヲは無意識に股間を脈動させてしまった。
603298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/22(木) 01:34:26 ID:RlDP7aBA
いじょ。おお、いつの間にかアニメ始まってますね。
申し訳ありませんが今週はちょっと用事が出来るかもしれないので、
次回は週末を目処にしておきます。
604名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 02:11:04 ID:8eYdEkJU
うおお、すごい勢いでGJ!!!!
毎回毎回卓越した文章力に脱帽するばかりです。次週、続き楽しみに待ってます!
605名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 02:18:50 ID:zYhUZi7F
皆の者、今日は素晴らしい日だ。
ハセ揺光始まるし待望のエロ突入するし・・・神様GJです!
606名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 02:19:24 ID:MRVKjaN0
すごい、GJです!!
アニメでは志乃カラー変わったね。
夢からとても楽しみです
607名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 03:24:00 ID:v6n7lWLv
両者乙です!

>>602
>生娘のような声
ハセヲモエスwwwww
608名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 10:28:39 ID:WlBkXrtv
>>598
朔×望書きたい言ってた者です。
ありがとうございます。
自分も双子とか兄弟姉妹物大好きです。
読みたいと言って貰えると…が、頑張ってみます。
文章が書けないから絵描いてるような奴ですので、期待しないで下さい。

エロ突入万歳!!
次回投下楽しみにしてます!
609名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 17:54:07 ID:u58HcZNV
↑激しく期待します!!
610名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 18:27:45 ID:BhrukG9e
>>603
ありがとう本当にありがろう
611名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 21:57:59 ID:LDB8+S0i
もう神々降臨だな。
トワイライトなだけに、神々の黄昏だ。
え〜、神々!GJであります!
612名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 22:36:58 ID:P7qdlmLe
むしろ神々の黎明?
す ば ら し い !
613名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 22:46:30 ID:h7CekLEm
絶対領域だと!
614名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 22:49:40 ID:isrMjkbW
ふと、オーヴァンとBセットが読みたいと思った。
絶対エロくなる気がする。
615名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 00:32:18 ID:7l0497c6
Bセットのオーヴァンへの淡い恋心萌える
今週の最後にもう一度会いたかったってセリフにぐっときた
オーヴァンマジ罪作りな男
616名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 01:09:14 ID:0hO+pePf
揺光物の続き。あんまり進んでませんが。
617名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 01:09:55 ID:0hO+pePf
「……ったく、しょうがねえな」
 揺光が話についてこれているのかは分からなかったが、向き直って説明をする。
「取り敢えず、ログインしてる時は俺と一緒に居るようにしろよ。
 八咫も言ってたが、AIDAに攻撃受けたらひとたまりもないからな」
 対する揺光は、話を聞いてはいたものの単語がいまいち分からなかった。
「AIDAってのは……?」
「ああ、まあ簡単に言えばバグみたいなもんだ。AIDAが出る原因は分からねえけどな」
 その言葉を聞き、このレイヴンというギルドはCC社と共同でバグ取りをするのが目的だと理解する。
 ……が、それだとやはりおかしい部分も出てくるわけで。
 新たに浮かんだ疑問をハセヲに投げかける。
「アバターってのは、バグ取り用のプログラムなのか?」
「俺にもわかんねえよ。レイヴンに協力し始めたのもここ最近だし、
 スケィスを出せるようになったのも最近だ。それまではトライエッジの情報集めで、PKKばっかしてたからな。
 この力でトライエッジに対抗出来るのかどうかも、まだ分からねえし」
 今日は、よくため息が出る日だ。
「要するに、お前も何も分かっちゃいないわけ……か」
「……ああ」
 単純明快なその答え。
 だが、揺光はそれに強い怒りを覚えた。
「そんな訳の分からないものをあたし等に使ったのかい? チャンピオンになる為に?」
「悪かったよ」
「悪かったじゃないだろ!? あたしだけじゃない! お前が前戦ったやつもアバターでやられたんだろ!?
 あたしはトライエッジなんて噂でしか知らない、でももしトライエッジがバグみたいなものでソイツに対抗出来るとしたら!
『二度とゲームに復帰できない』ってのと同じ力かもしれないじゃないか!」
 濁流のように溢れ出す言葉。あまりに軽率で、あまりに子供で、あまりに自分勝手なハセヲ。
 謝罪は確かに貰ったが、こうして細かい事情を知ってしまうとどうしても言わずにはいられなかった。
618名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 01:10:33 ID:0hO+pePf
「……」
 ハセヲはそれを黙って聞いていた。
 反省しているのか、ただうざったいと思っているのか。
 心中は知れないが、頭の中で組み立てられる言葉を片端から言ってしまわないと気がすまなかった。
「TheWorldをしてる最中、意識不明になったってニュースは見たことある。
 もしそれが本当にトライエッジってのの仕業だとしたら、お前も同じことをしようとしたって事なんだよ!」
「……!!」
 トライエッジに志乃をDDされ、未帰還者にされた。
 そして、ハセヲはトライエッジの情報を掴む為、見知らぬ相手を未帰還者にしそうになった。
 結果的にそうならなかったとしても――
「俺が、アイツと同じ……」
「ハセヲにも理由があるってのは分かったよ。
 けど何も知らない奴までそうやってリアルまで含めて巻き込むんなら、PKなんかよりよっぽどタチが悪いだろ?」
 沈黙。一分そこらだったはずだが、揺光にはやたらと長く感じた。
 言わずにはいられなかったが、それに対してハセヲが何も反論もしなかった。
 何を考えているのか分からなくて、何を言えばいいのかも分からなくなった。
 溢れる言葉は既に出し尽くしてしまったから。
「話は済んだ?」
「オバサン……」
「彼女の言う通りよ。幸い貴方のアバターでの未帰還者の報告はないわ。これから一般PCに使わなければいいの。
 ……あと、私にはパイって名前があるの。いい加減分かってもらえないかしら?」
 怒りのエモーションを出しながら、お説教をされる様。
 正しく堅い女教師とダメ生徒を地で行く二人だと、怒りという感情を一瞬忘れ少し笑ってしまった。
「それはともかく……八咫様に言われたワード、あるんでしょ? そこに行きましょう」
 恐らく、パイは強引に話を打ち切ってこの息苦しい空気を何とかしようと思ったのだろう。
 言うべきことは言ってしまったし、そこのところは彼女に感謝すべきだった。
 で、絶対領域って何? とは、揺光は聞けなかった。
619名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 01:12:05 ID:0hO+pePf
 −Δ隠されし 禁断の 絶対領域−

 八咫に言われたエリアに転送される。
 一見、普通の和風ダンジョンエリア……のように思えたのだが。
 おかしい。というより"異常"という言葉の方が正しいように思える。
 奥へ向かう最中、マク・アヌで見たことのある女プレイヤー、全く見たことのない女プレイヤー。
 ハセヲが話した事のあるキャラも複数居たのだ。
 楓、アトリ、ボルドー、アスタ、エンダー、Bセット、タビー、志乃――そして。
 パイ、揺光さえも。
 最初に居たのは志乃だった。志乃の肩を掴み強引に振り向かせる。
「どういう……事だよ。おい、志乃!! お前なんでここに」
「子供でもできること、子供でもできること、君は出来出来出来出来」
「ッ!?」
 ノイズと共に、志乃の音声が再生される。
 壊れたテープレコーダーのように、繰り返し繰り返し再生される。
「志乃……待ってろ」
 見ていられなかったのか、一言だけ呟いた後奥へ向かう。
 そこには、パイと揺光のPC。ポーズを決めたまま動かない。
「なんで……あたしがここに居るんだ!?」
「私のキャラまで……明らかに異常だわ」

「随ブンと楽しそうね? 楽しそう? タノシソウネ? ネ? ネ?」
「あんたはあたしが倒す! あんたは倒す! あたしが倒す! あんたはアたしがあタしはあんたガああああああ」
 他の二人は自分のバグったような姿を見て気分が悪いようだ。
 攻撃などは出来ないので、無視して先に行くしかないようだが。
「あたしだって師匠が好きで好きでハセヲー!!」
「取り敢えずズタズタに散りやがれェェ!!!」
「ギャー!! とんだエロポタミア文明が降臨した!! ハレンチ革命お断り!!」
 ……最後のキャラだけ特にバグることもなくそのままな気がしたが、壊れた女性キャラ達の謎の叫びを浴びながら先へ進んでいった。
620名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 01:14:57 ID:0hO+pePf
 −第二区域−
「身体で払います!!」
「タンポポの綿帽子を見ると、思うことがある」
「がんばれ、なんて言わないよ。だって君はがんばってるもん」
「まさか、SFに持ち込むつもり!?」
「悪質なチート容疑でユーザー規約に基づきそのPCを拘束する!」
「また、わたしを消すの?」
「そこだけ関西弁か」
「見つからなかったからといってその存在までも否定する事は出来ない」
「おっと、先客が居たかぁ。初めまして、ミミルでーっす」
「私達もまたプレイヤーなのです。こうした役割を演じているに過ぎません」
 第二区画に入ってからキャラ達の形が現存するTheWorldとは変わった。
 ハセヲは見たことはなかったが、CC社の社員であるパイはすぐ彼女達がどういう存在なのかを理解する。
 ここは――キャラクターだけR:1の世界ではないか。
 焼失してしまったはずのデータ。過去、ドットハッカーズと呼ばれた者達。
『世界』の加護を受けた者達が、TheWorldという一つの組織の中に記憶として存在しているのか。
 とても信じられることではなかったけども、そうとでも考えなければこの現象は全く理解出来ない。
 AIDAとは、一体何なのだろう。そんな疑問に疑問を塗り重ねた果てを解こうとしていると、最深部へと到達した。
 そこに獣神像はあったが、宝箱は無かった。代わりに――黒い点が浮かんでいた。
621名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 01:17:03 ID:0hO+pePf
すいません、ここまでです。
へな子がお気に入りです。もじゃらせ系は勘弁ですが。
622名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 01:36:02 ID:HpS1A0uh
…エロから遠ざかってる気が…いや、神のことだ、我々には思いもよらない
お考えがあるのだろう。
ただこれだけは言わせて欲しい、GJと!
623名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 13:41:08 ID:WyHCgVv8
+読んだ
朔望狩られてるやん
624名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 21:49:51 ID:0hO+pePf
ハセヲと揺光のAIDA戦続き書こうと思ってたんです。



どう見ても朔と望です。本当にありがとうございました。
625名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 21:51:08 ID:0hO+pePf
 ぼくはおねえちゃんと一緒に生まれた。
 ぼくはいつもおねえちゃんと一緒だ。
 ぼくはおねえちゃんが大好きで、これからも一緒にいられたらいいなぁと思ってる。
 けど、この頃ちょっとだけ怖いんだ。
 おねえちゃんがぼくのとなりからいなくなるんじゃないかって。

「望ー、明日TheWorldやるんどっちかまだ決めてへんよねー?」
「う、うん」
 寝る前に、二人は次の日遊ぶのがどちらかを決める。
 エンデュランス戦の前の日は、特に朔のやる気がやたらと強く、ただでさえ臆病な望はいつも負けてしまう。
 けれど、望にはそれが我慢ならなかった。
 負けることが我慢ならなかったわけじゃあない。そんな事じゃない。
 望の布団の中に潜り込んで、頭の位置を望と逆にしてパジャマのズボンを下ろす。
 朔の目の前に、ちょこんと望の小さなペニスが飛び出る。
 この時間になると、何も言われなくても勃起してしまうようになってしまった。
 提案したのは、やっぱり朔からだった。
「なーなー、この前えっちい本ごみ捨て場で見つけてん。これに載ってるん、一緒にやってみいひん?」
 最初は朔が一方的にするだけだった。
 望の慣れない反応が面白くて、一線は越えないものの行為自体はどんどんエスカレートしていった。
 手での愛撫から、舌・口を使いはじめて。
 一緒にお風呂に入った時は石鹸でぬるぬるの状態で絡み合ったりもした。
 ただの好奇心からだったはずなのだが、いつしかTheWorldのプレイ権利を賭けるようになっていたのだ。
 朔が、アリーナの観戦をし始めてから――。
「今日は絶ッ対負けへんからな」
「エンデュランスさんが、戦うの……?」
「そうや。あのハセヲのチームと戦うんよ。ああ、エン様のカッコええ姿が目に浮かぶわぁ……」
626名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 21:51:56 ID:0hO+pePf
 ぼくは、きっと『しっと』しているんだと思う。
 エンデュランスさんに、おねえちゃんを取られちゃうんじゃないかって。
 ぼくとおねえちゃんは、一緒にいて当たり前だと思ってたのに。
 おねえちゃんはこの頃、あまりぼくの方を向いてくれないんだ。

 いやだよ。

「ぼくも今日は……負けたくないんだ」
 朔の毛も生えていない秘所を丁寧に指で広げる。
 唾液で小指を濡らして、膣へと挿入する。
「ひゃん……ちょ、なんで今日はそんなにやる気やのん?」
 負けじと望のペニスの皮を乱暴に剥く。
「ぁ痛……」
「我慢しいや、すぐよーしたるわ。ほんま、いつ見てもちんこて変な形やなぁ」
 玩具で遊ぶかのように笑いながら剥いたり被らせたり。
 痛いといっていたのを一応気にしているのか、涎を皮の間に流し込んでおく。
 ただでさえ刺激に慣れていない望のペニスは、早々と反応し天を向く。
 そしてその刺激にどうしても意識を逸らされ、望の手は完全に止まってしまっていた。
「あっははは、みっともなぁ。もうちっとくらい我慢しいや? ここまで一方的やとつまらんで」
 硬く反り返ったペニスの先を指でつぅっと撫で、カリを舌でなぞる。
 もうこの時点で、望の中では勝ちたいという意欲よりイきたいという欲求の方が勝ってしまった。
「お、おねえちゃん……ごめん、ぼく……」
「あーあ、しゃーないなぁ……ほら、もう楽にしたるわ」
 舌ではなく、そのまま小さな口でペニスを包み込みしごきたてる。
 口の中では鈴口を舌で刺激し、『勉強』の成果を発揮する。
「あ、やっ、だめっ!! 出ちゃうよぉ!!」
 言葉どおり我慢出来なかった望は、刺激に激しくペニスをビクつかせながら叫ぶ。
 トドメとばかりに朔は望のペニスと思い切り吸い立て、発射された精液を口の中で受け止める――
627名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 21:52:45 ID:0hO+pePf
「やーっぱし、ウチの勝ちやったな」
「ひっく……ぐす……」
 今まで、エンデュランス戦の前の日に勝った事は一度もない。
 今度こそと思ったけれど、どうしても意思が負けてしまう。
 力なく下に垂れた自分のペニスを泣きながらティッシュで拭く。
「そんな泣かんでもええやんか。エン様の時やなかったら手加減したるから、な?」

 エンデュランスさんの時に勝たないと、意味がないのに。
 ますます、おねえちゃんが離れちゃうじゃないか――
「今度なぁ、エン様をデートに誘うんや。そしたら、望に試したこれで気持ちようなってもらおう思てん」
 ぼくは、泣きました。
 ぼくとおねえちゃんは、二人で一人。
 どんどんどんどん、はなれていく。
 半分に分かれてったら、ぼくらは一体どうなるんだろう。
 ぼくは、朝まで泣きました。一人っきりで、泣きました。
628名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 21:54:04 ID:0hO+pePf
短いですが、ここまでです。
投下ペースが遅くなる予感がします。
期待しないで待ってていただけると幸いです。

あと、朔のどう見ても似非関西弁ですって突っ込みは勘弁してあげてくださいorz
629名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 23:24:22 ID:7l0497c6
朔望キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
激しく期待!
630名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 21:06:13 ID:V0JTtyit
職人さん待ち保守
631298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/26(月) 00:17:20 ID:zJnEjNZw
>>608
おお、ありがとうございます!
言ってみるものですね、一人の住人として楽しみに待っていますよ。
俺も兄妹姉弟もの全般好きなんですけど、
男女の双子(もしくは同い年の義兄妹)は中々ないんですよね。
独特の味があって好きなんですけど。

というわけで、今回の投下。
632夢から覚めても 59:2006/06/26(月) 00:19:28 ID:zJnEjNZw
「ふふっ、やっぱり若いね。まだ元気……」
ハセヲが気を落ち着けるために顔を反らすと、志乃が今度は自分からハセヲに体を重ねた。
そのまま口元を拭うとハセヲの耳元に唇を寄せ、
同時にシャツを捲り上げ指先で少年らしい胸のラインをなぞるように触れる。
もう一方の手は股間に伸び、薄い先走りと自身の汗と唾液で濡れた先端に間断なく刺激を与えていた。
「ね、ベッドに行こう?ここ、まだ治まってないし……」
先程の胸による愛撫に比べれば微風の様なものだったが、
射精した直後で敏感になっているハセヲにはそれだけで再び登りつめそうになってしまう。
「もっと、気持ちいいことしたいでしょ?」
誘うようなその声に、ハセヲは抗う術もなく頷いく。
志乃に体を支えられて何とか弛緩しきった体を起こすと、志乃に体重を預けたままベッドまで移動した。
二人が寝台の縁に辿り着いた体が離れた拍子にハセヲの体が再び柔らかな布団に倒れこむ。
荒い息を吐くその姿に志乃は嗜虐的な笑みを浮かべると、手元のリモコンに手を伸ばし部屋の灯りを落とした。
部屋を照らすものは淡く差し込む月明かりだけになり、ハセヲの視界が闇に染まる。
それを補うように鋭くなった耳に、僅かな衣擦れの音が聞こえた。
程なくして目が慣れると音が消え、代わりにハセヲの眼前にひとつのカタチが浮かび上がった。
志乃が浴衣を脱ぎ捨て、生まれたままの姿になっていたのである。
今までの布地の間から覗く肌とはまた違った、惜しみのない色香にハセヲが息を呑む。
志乃はそんなハセヲを見下ろしながら、玉葱の皮をむくようにはだけた服を一枚ずつ外していった。
その手つきは恋人同士の戯れというより子供の着替えを手伝う母親を思わせるものだったが、
彼女が動く度肌にほのかに感じる吐息の感触はそれを忘れさせるには十分なものだった。
633夢から覚めても 60:2006/06/26(月) 00:21:42 ID:zJnEjNZw
「男の子なのに、綺麗な肌……」
ハセヲの着ているもの全てを床に散らかすと、志乃は少年の胸板に今度は唇で触れた。
「あっ、あ、ああっ……」
胸から首筋、そして硬さを帯びた乳首へ、少年としては細い腰へ。
志乃が体中に雹のようにキスを降らせる度ハセヲの脳髄に痺れるような快感が走り、自然と声が出た。
やがて口付けの連鎖は股間にけぶった陰毛へ辿り着いたが、
志乃は硬く怒張した肉棒を素通りして太ももへ唇を這わせる。
焦らすようなその動きに、期待を裏切られたハセヲが悲鳴を上げる。
「ひぁ、あぁん、ああっ、なん、で……」
「うふふっ、そこはお預け……はっ、もっと、我慢して、はぁ……」
膝小僧に顔を埋め囁く声に、何故か吐息が混じっていた。
朦朧とした意識の中でそれが引っかかり、ハセヲが気を引き締め視線を降ろす。
煙草のような薄靄がかかった視界に、キスに合わせて股間を自分で弄っている志乃の姿が映った。
初めて見る異性の自慰にハセヲの目が釘付けになり、足の指を口に含んだ志乃が目ざとくその視線に気づく。
「んっ、はっ……やだ、見ちゃった?はしたないね、わたし……」
そう言いながらも、志乃は指の動きを止めようとはしない。
普段とはかけ離れたその痴態に、ハセヲの中で何かが限界を超えた。
「志乃、俺、もう……」
堪えきれず自分でペニスを握り締め、一心不乱にしごしごき始める。
「いいよ、んっ、見せっこ、しよう…」
雨に濡れ素肌に張り付いた衣のような声で志乃が答え、キスを止めてハセヲとぴったり重なるように体をずらした。
姿勢が変わったことにより梅雨時のガラス戸の様に濡れた黒い茂みとそこから覗く桃色の狭間に指が出し入れされる様がはっきりと見え、
それがハセヲの劣情をいっそう刺激し性器をしごきあげる手の速度を上げていく。
「あっ、ああっ、ああぁぁっ、ああっ」
「んっ、んんっ、はっ、はぁ、はぁん……」
腕が触れるか触れないかという距離で、二人は股間から摩擦の音を鳴らし自慰を続けた。
634夢から覚めても 61:2006/06/26(月) 00:22:41 ID:zJnEjNZw
「俺、もうっ……!」
先に音を上げたのはハセヲのほうだった。志乃に体中キスされていたのだから、当然かもしれないが。
「ん、ふぁっ、わたしも、もう……」
ハセヲの声を聞いてか聞かずか、志乃が体を震わせ軽く達する。
それに僅かに遅れて、ハセヲも体を震わせ射精した。
一度目と変わらぬ勢いで吐き出された白濁液が斑点のように志乃の肌を汚し、勢いを失った分がハセヲの体に落ちる。
「すごい、二回目なのに……」
自慰の余韻か、志乃が腹に散った精を拭って惚けたように呟く。
志乃はしばらく蕩けた目でハセヲを見下ろしていたが、やがておもむろに精が飛び散った太ももの辺りに顔を寄せた。
そのまま舌を伸ばし、シミのように肌に張り付いた精液を舐め取っていく。
「そん、な、こと……あっ、はぁっ!」
不規則に舌が動くたび新たな快感がハセヲに流れ、二度の射精で力を失っていた股間に再び熱が集まっていく。
志乃はハセヲの体をあらかた清め終えると、口の中に貯めた精液を転がすように味わってから飲み込んだ。
苦いだけで美味しい筈などないその液体に酔い痴れたように志乃が目を閉じ、恍惚とした表情になる。
「ああ、もうだめ……ね、ハセヲ。一緒になろう?」
そのまま志乃は顔をハセヲの股間に近づけ、十全とは言わないまでも確かな熱と高度を取り戻した肉棒に頬擦りして囁いた。
もはや口を動かす気力すらなく、ハセヲは悦楽と陶酔の中でただ首だけを動かし頷いた。
635298 ◆JuT3jsxZbo :2006/06/26(月) 00:25:16 ID:zJnEjNZw
以上。
ちと妄想と筆が走りすぎました、志乃が随分えろいおねえさんになってます。
色々あって次回はちょっと未定ですが、来週中に完結を目指します。
636名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 01:13:18 ID:nzYRVZoA
>>635
GJGJGJGJ

来週はハセヲがんばれw
637名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 01:20:24 ID:OO6fWrpO
ハセヲに興奮したのは内緒だorz
638名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 02:52:02 ID:WJ74VUkg
GJ
ハセヲえろいなw
639名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 02:52:32 ID:QFPjGu5Z
超GJ!!!

来週完結か・・・

エロパロなのに先も読みたい気がするよ
640名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 03:38:40 ID:62+3RUGv
ハセヲがエロカワイイ件について。
なにはともあれ298氏GJ!!来週も期待してます
641名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 06:56:03 ID:5NBJQi42
スケエエエェェェイスっ
642名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 08:10:03 ID:+mdskYkQ
や、なんだ?

まじでアバター呼びそうだ!ぐふぁ!
643名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 08:34:43 ID:a4fJbd1q
これは良いハセヲですね、少し借りていくぞ



ハセヲヲヲヲヲヲヲヲヲ!!!!!!!!GJ!
644名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 20:58:04 ID:W3ffNysE
ギガテックエロスwwww

ハセヲもカワイイし志乃もエロイwww
645名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 15:43:33 ID:lteP9bua
真下発言もあったことだし、エンダー×ハセヲをお願いします
646名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 17:59:00 ID:AOJR1hrA
ハセヲ陵辱かw
647名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 17:59:11 ID:suEmcQ0p
ボルドー×ハセヲを推します。
648名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 20:26:43 ID:+K0QY4nH
298 ◆JuT3jsxZboえろいよ298 ◆JuT3jsxZbo
649名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 02:44:20 ID:q1xz4DBf
声付きで想像できた!
うぇロスwwww
650名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 02:13:09 ID:5ywsFFRC
ついにキルされましたね・・・
651名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 03:26:22 ID:++BMc356
しかし、志乃一人暮らしはいいが、寝るスペースがあるかないかっぽいね。
しかも、看護系の学生だったとは…。
…うむ、しかし、298神への信仰は揺るぎないなw
652名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 21:02:50 ID:wuxhjkGa
何よりエロくてすばらしいからアリ。
653名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 06:52:02 ID:dXOeEsaZ
神の再びの光臨を
654名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 15:06:10 ID:cQUJgIbe
いいぜ・・・来い・・・来いよ・・・俺達は、ここにいる!
655名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 23:24:24 ID:IPuZeUUN
はやく298氏こないかな〜
656名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 00:19:43 ID:MxO6o9jl
wktk
657298 ◆JuT3jsxZbo :2006/07/03(月) 00:37:52 ID:McZaZw+L
本編では志乃のリアル情報が出てきて完全に黒歴史宣告を受けているにもかかわらず、
変わらぬ応援を頂いてありがたい限りです。
しかし、喘ぎ声の殆どがハセヲのものというのはいかがなものかw
ともあれ、今回の分行きます。
658夢から覚めても 62:2006/07/03(月) 00:39:21 ID:McZaZw+L
「わたしが上になるよ……ハセヲは、そのままでいいから」
志乃がそういいながら、足を大きく開いてハセヲの上に跨った。
馬乗りの体勢になった拍子に二人の股間が擦れ、小さく喘いだハセヲに志乃が体を寄せる。
「ね、ハセヲはこういうことするの、初めて?」
「…………そうだけど」
二度の射精、そして直接的な刺激が途切れた事によってやっと気を落ち着けることが出来たハセヲは、いつもより少しだけ素直に答えた。
年頃の高校生らしくベッドの下にはその手の雑誌やムービーを秘蔵していたし、悪友に誘われてネット風俗に手を出した事もある。
しかし、生身の女性とこうして体を触れ合わせるのは正真正銘、今夜が初めて――つまり、ハセヲは童貞だった。
「それじゃ、わたしがハセヲにとって初めての女の人なんだね。ふふっ、なんだか嬉しいな……」
志乃はそう言って無邪気に笑うと顔を背けているハセヲの手をとり、自らの股間に導いた。
黒い陰毛は雨上がりの芝生のようにしっとりと濡れ、奥には熱を持った肉の狭間の感触がある。
「これから、ここにハセヲのこれが入っちゃうんだよ。なんだか、どきどきするね……」
掌でハセヲの性器を擦り上げ、もう片方の手で自分の秘所を開いて見せながら志乃が囁く。
彼女は年下の少年に色事の手解きをする大人の女というシチュエーションにすっかり酔いしれているようで、
普段の淑やかで清楚なイメージは見る影もない。
「それじゃ、入れるよ……あ、今日は安全日だから。気持ちよくなったら、いつでも出していいからね」
突然の事で準備も何もなかった少年を安心させるようにそう告げると、志乃はそのままベッドに手を付いて腰を上げた。
「ふぁっ……あっ、久しぶりだから……敏感になってるみたい……」
志乃は聞いている方が赤面しそうな事をいいながら、秘唇に勃ちきった男根を飲み込んでいく。
「ああっ、あぁぁっ……ふぁあっ、あっ、ああっ……!」
志乃の腰が少しずつ降りてくるたびに未体験の快感が股間に走り、ハセヲが堪らず喘ぐ。
「んんっ……はぁっ、全部、入ったよ、ほら、ハセヲ……ちゃんと見てる?わたしが、ハセヲを食べちゃったところ」
やがて男根を根元まで呑みこまれると、志乃はその様を見せ付けるように腰を動かした。
動いた拍子に二人の陰毛が擦れ、淫靡な音を立てる。
初めて味わう女性の膣はこれまでの前戯で沼地のように潤っており、
内側の肉襞は得体の知れない蟲のようにハセヲの性器に貪欲に絡み付いていく。
開ききった秘裂はハセヲの若い肉棒を包み込んでいて、
自分が本当に彼女に食べられているような錯覚さえ感じさせた。
659夢から覚めても 63:2006/07/03(月) 00:40:30 ID:McZaZw+L
「んんっ、中で大きくなってくのがわかるよ……気持ちいい?わたしの中」
ハセヲは年老いた亀のように答えない。
しっかりと締め付けてくるが決して苦しくはなく、
ただ快楽だけを伝えてくる膣の感触に射精しそうになるのを必死で堪えていた。
目をきつく閉じ口を真一文字に結んだ表情からそれを読んだのか、志乃が優しく囁く。
「出していいのに……でも、いつまで我慢してられるかな?」
悪戯っぽい声と共に、志乃が腰を上下に動かしはじめる。
潮騒を思わせる緩急をつけた動きに、ハセヲの我慢があっけなく崩れ声が漏れた。
「んっ、あああっ、そんな、いきなりっ……」
与えられる快感にハセヲの腰が自然に動き、突き上げる度に亀頭が子宮を叩く。
「んっ、こら、そんなに動いたら、わたしも……んんっ、はぁっ」
ハセヲのがむしゃらな動きに志乃も感じだしたらしく、自分で胸を掴み弄りはじめる。
その姿と声がハセヲの劣情を昂ぶらせ、限界を超えた快楽の絶頂へと押し上げていく。
「んんっ、はあっ、いいよ、もうっ……」
「ああっ、あっ、あっ、あっ……でるっ、あぁぁぁっぁっぁぁ!!」
声を上げて志乃の締め付けがひときわ強くなった瞬間、
ハセヲは今まで想像した事すらないような高みに上り詰め射精した。
絶叫と共に誤魔化しようのない欲情の証が膣に注がれ、そのたびに志乃が体を震わせる。
「んっ、出てる、ハセヲのが、わたしの中で暴れて出しちゃってる……わたしも、感じちゃう……」
蕩ける様な志乃の声をどこか遠くに聞きながら、ハセヲは快楽の薄靄の中で眠りへ落ちていった。
660夢から覚めても 64:2006/07/03(月) 00:43:37 ID:McZaZw+L
夢も見ない眠りから醒めると、視界は蒼い薄明りに染まっていた。
数秒かけて少し重いまぶたを開くと、どうやら今が明け方らしい事がわかった。
さらに数秒して意識がはっきりして来ると、ハセヲは自分の現状に思い至った。
(そうだ、俺、志乃と……!!)
砂糖菓子のように甘く、ドラッグレースのように突然だった昨夜の出来事。
ハセヲは一瞬それを夢ではないかと疑ったが、
目に映る見慣れない部屋の景色がその考えを打ち消した。
仄かに花の香りがする枕、花柄の薄い毛布、丸型のスタンドとその下に置かれた何冊かの文庫本。
どれも自分の部屋にはあるはずのないものだ。
間違いなくここは自分の部屋ではない。
途端に、昨夜の事が思い出されて不意に体が震えた。
記憶と共にその快感までもが蘇ったような気がした。
「んっ……!」
思い出しただけにしては、余りにも生々しい快感にハセヲが小さく呻く。
(こりゃ、重症だ)
確かに昨夜の出来事は一生忘れられない思い出になるだろうが、
だからといってその―――思い出しただけで感じてしまうなんて。
何とかして気を落ち着けようとしたが、起き抜けだからか股間の熱は中々引かない。
それどころか、志乃に弄ばれていた時と同じような快楽が湧き上がって来るよう錯覚さえする。
(……ん?)
そういえば、志乃の姿がない。
自分が一方的に気を失ってしまったとはいえ、
ここは志乃の部屋なのだから彼女が隣で寝ていてもおかしくはないはずだ。
というか、そうであってほしかった。
せっかく憧れの女性と初めての朝(まだ明け方だが)を迎えるのだから、それぐらいのロマンスは夢見させてくれても―――
「んんっ、何だよ、これっ……!」
ハセヲがミルクティーのように濁った意識で考えている間にも、意思と関係なく下半身がちりちりと快感で痺れていく。
昨夜のフラッシュバックにしては不可解な感覚を確かめるべく下半身に手をまわすと、
そこには毛布越しの硬い感触があった。
掌から伝わってくる大きさはおおよそ人間の頭ぐらいで、明らかにハセヲのモノではない。
(……まさか……)
嫌な予感を覚えて毛布を払いのけると、そこでは。
志乃が、ハセヲの股間に顔を埋めていた。
661夢から覚めても 65:2006/07/03(月) 00:44:21 ID:McZaZw+L
「んっ、んんっ、ふっ、あっ……起きた?ちょっと残念、このまま最後までしちゃおうと思っていたのに……」
「な、な、ななな……なに、してんだよ」
寝起きで冷えているはずの体が、真っ赤に火照る。
「先に目が覚めちゃったから……ちょっといたずらしたく、なっちゃって」
金魚のように口をぱくぱくさせるハセヲに、志乃が首を傾げて無邪気に答えた。
その口元からは唾液が僅かに滴り、尖ったハセヲの先端に幾筋の薄い流れを作っている。
「んー、でもこれはこれで……反応見れるし、悪くないかな」
そう言うと志乃は再びハセヲの足の間に顔を埋め、硬く勃ちあがった男根の先端に唇を被せた。
「はぁっ!んっ、志乃、こんなこと……」
刺激の理由がはっきりしたためか、それとも志乃が意識して愛撫を強めたのか。
先程までとは比較にならない快感に、ハセヲが喘ぐ。
「んんっ、ちゅ、ちゅっ、ちゅるっ……おっきくなってきた、深くしちゃお……んっ、んんんっ!ん、んん」
小さく躍動しながら膨張していく性器を、志乃が根元まで咥え込む。
先端の割れ目に喉が当たり、陰部全体を包み込む生暖かい感触がハセヲの意識を溶鉱炉のように溶かしていく。
「あっ、ああっ、も、もう……おれ、おれっ……!」
やがてハセヲが快楽に溺れきり、絶頂へ辿り着こうとしたその瞬間。
不意に、志乃が陰茎から口を離した。
「な、なんでっ……」
男にとってはあまりにも無体なその仕打ちに、ハセヲが玩具を取り上げられた子供のようにべそをかく。
「何でって……ハセヲが苦しそうだったからそろそろ止めようと思って。もしかして、違った?」
自身の唾液とハセヲの先走りを口の端から垂らしながら、志乃が答える。
大理石のようにフラットなその表情からはどんな感情も読み取れないが、とぼけているだけなのは明白だった。
「そん、なっ……」
半ば嗚咽のような声で、ハセヲが呻いた。
股間の肉棒は火の付いた火薬のようで、痛いほどに憤っている。
大げさではなくこのままでは気がどうにかなってしまいそうだ。
「そんな、じゃない。赤ちゃんじゃないんだから、して欲しい事があったらちゃんと言わなきゃ。ほら、ハセヲはどうして欲しいの?」
保母らしい諭すような表情と声で、志乃がハセヲを見上げる。
炒り卵のような意識の中で、ハセヲは虫歯のときよりも重たい口を開いた。
「……さっきの、続きをしてくれ…」
「聞こえないよ、もっと大きな声で」
蛍のように仄かなハセヲの声に、志乃の叱責が飛ぶ。
壊れそうな欲望の中で、ハセヲは羞恥も何もなく絶叫した。
「さっきの続きを、してくれ!あのまま口で、いかせてくれ!」
「良く出来ました。……ごめんね、ハセヲが可愛すぎるからちょっと意地悪したくなっちゃって。今度は最後までちゃんと、気持ちよくしてあげるから」
志乃はハセヲの頭を撫でると首筋に軽く口付け、火薬庫のような股間へ頭を落としていった。
「あっ、そんな、ところ……ああっ、あっ、ああっ!」
陰茎が再び志乃の口の中に吸い込まれ、同時にだらしなく垂れた二つの袋が手で包まれる。
口だけでなく手からも与えられる快感に、ハセヲは脳が沸騰しそうな錯覚を覚えた。
「あっ、はぁぁ、ああっ、もう、もう……」
寸止めの恐怖からか、ハセヲは無意識に手を伸ばして志乃の頭を掴み、より深く根元へ寄せていく。
志乃は乱暴なその仕草を無言で受け止め、舌の動きをより無軌道に加速させていく。
もっとも、口を塞がれているので抗議があっても言いようなどないのだが。
「あっ、でるっ!もう、だめっ、だめだっ!」
吸い込むように志乃が口をすぼめたその瞬間、ハセヲはついに射精した。
「ん、んん、んくっ、こくっ……」
一眠りした為濃度、量共に胸による時と同等、あるいはそれ以上にきつい液体を、志乃は喉を鳴らして飲み込んだ。
それからも彼女は男根から顔を離さず、舌で先端からこぼれる分を掬い取っていく。
射精しているというより搾り取られているようなその感覚に、ハセヲの意識が陽炎のように揺らいだ。
662298 ◆JuT3jsxZbo :2006/07/03(月) 00:44:56 ID:McZaZw+L
以上。
次回――最終回、火曜二十四時(予定)。
663名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 00:46:19 ID:yOFwh3BS
超GJ!!!
次で終わりか〜・・・
664名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 00:51:01 ID:IFio52WI
gj!!
665名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 01:01:18 ID:MxO6o9jl
GJ
火曜最終回か・・・

淋しくなるな(´・ω・`)
666名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 01:38:38 ID:OcXl+Gbk
いいねいいね
GJ
667名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 06:52:34 ID:BwETI7C5
終わっても続きか新作かなんでもいいから書いてくれ。
668名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 19:04:09 ID:YuIVhVFb
俺達は・・・良い夢でも見てみるのかっ!?
669名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 23:39:03 ID:j+mpI9s7
>>668
目を覚ますと>>298が俺の股間を・・


あるあ・・・ねーよww
670298 ◆JuT3jsxZbo :2006/07/05(水) 00:04:20 ID:qpMXz/OW
それでは、最後の舞踏。とくと御覧あれ。
671夢から覚めても 66:2006/07/05(水) 00:08:01 ID:qpMXz/OW
「……………」
「どうしたの、ハセヲ?」
「……別に」
憮然とした表情を隠そうともせず、裸のままベッドに座り込んでいるハセヲに志乃が静かに声をかけた。
窓からは既に夏らしい明るい陽光が差し込み、志乃の肌は部屋着に覆われている。
不機嫌そうな表情をしていたものの、ハセヲの内心は蜘蛛の巣のように複雑だった。
憧れていた女性に想いが通じ、晴れて結ばれた。
二週間前の自分なら信じようとせず、一週間前の自分なら手放しで羨むだろう。
今のハセヲも、決して嬉しくないわけではない。
しかし、素直に笑顔にはなれない。理由は昨夜、そして明け方の情事である。
年の頃からすれば志乃が処女でないのも納得出来るし(少しだけ、本当に少しだけ残念ではあったが)、
彼女にリードされた事も経験や準備のことを考えれば当然の事だろう。
しかし、余りにも一方的過ぎたのではないか―――
そんな反発というか、不満のような感情がハセヲの胸に残っていた。
自分は前戯だけで二回も達して、その後上に跨られた挙句寝落ちした所を襲われ、言葉攻めまでされたのに、
志乃が達したのは一回だけ、それもハセヲによるものではなく自慰によってだ。
これでは愛されたと言うより、弄ばれただけのような気さえする。
「ねえハセヲ、朝御飯は和食と洋食どっちがいい?」
「別に、どっちでもいいよ」
志乃の声に、ハセヲが釣り上げられたブラックバスのような調子で答えた。
「そういう言い方、ないんじゃない?……ハセヲ、もしかしてさっきの悪戯、怒ってる?」
腰に手を付き詰め寄ってきた志乃が、ハセヲの表情を見て急に声の調子を落とした。
「別に……そういうわけじゃないけど」
実際は件の悪戯に対しては怒っているというか、言いたい事が結構あったのだが、
覗き込んでくる志乃がひどく悲しそうな顔をしていたので、ハセヲは顔を背けて嘘をついた。
拾ってきた捨て犬を親に見せる子供のような、この表情と声にハセヲは放射能よりも弱い。
「そう……でも、ごめんね。わたし、その、気持ちよくなっちゃうと歯止めが利かなくって」
冬の湖のような声のまま、志乃がハセヲの背中に手を回した。
そのまま抱きしめられて、ハセヲの体温が夏のアスファルトのように上がった。
「べ、別に……気にしなくていいよ」
「うん……ねえ、もしハセヲが、その、したかったでいいけど」
志乃は俯いたまま形の良い唇を耳元へ寄せ、そっと囁く。
「今度は、わたしをいじめても……いいよ」
672夢から覚めても 67:2006/07/05(水) 00:08:53 ID:qpMXz/OW
その言葉の意味がわからないほど、ハセヲは愚かでなければ鈍くもない。
とっさに答える事が出来ず、しばらくの間ハセヲは黙り込んだ。
「ご、ごめん。はしたなかったね、私」
沈黙を否定的に捉えたのか、志乃が体を引いた。
「しらねぇぞ、どうなっても」
「え?」
一言だけ言って、ハセヲは志乃の体を引き寄せた。
そのまま強引に唇を重ね、舌を差し込む。
「んっ、ん、んんっ、んっ……」
昨夜の事を思い出しながら、ハセヲは舌を絡め唇を押し付けていく。
強引で荒々しいキスだったが、志乃はされるがままでいた。
ハセヲはそのまま部屋着の中へ手を滑り込ませ、裸の乳房に触れた。
硬くなり始めた乳首から、彼女が感じてくれているのがわかる。
そのまま力を込めて揉むと、志乃の体から力が抜けた。
背中に回した片手に力を込めると、ハセヲは口付けをいっそう深くして行った。
「んんっ、ん、んふ、ん……はぁっ」
口の中全体を舐めまわし、止めに先程のお返しとばかりに唾液を流し込んでハセヲはようやく唇を離した。
「も、もう。いいって言ったけど、いきなりはさすがに……」
抗議の色を瞳に浮かべて、志乃が困ったように言う。
「そう?ここは、しっかり感じてるみたいだけど」
その言葉を聞き流し、ハセヲは口元を歪めて乳首を摘み上げた。
「んんっ!それは、ハセヲが、弄るから……」
快感に体を震わせながら、志乃が途切れがちな声で抗議を続ける。
そんな志乃の反応がかえって嬉しくて、ハセヲは空いた手を背中から下半身に動かした。
ショートパンツの上から丸い尻を一撫でし、そのまま素肌へ手を滑り込ませる。
太ももを伝って股間に辿り着き、下着越しに触れた秘所は淡く湿っていた。
「ここだって、ほら。もしかして、志乃って押しに弱いタイプ?」
「そ、そんな事は……ないと思う、けどっ、あっ、やだ、擦らないで……」
口では否定するが志乃は実際攻められると弱い体質のようで、
下着の濡れた部分を軽く擦りあげただけで甘い悲鳴を上げた。
ハセヲを攻めていた時感じていたであろう快感も、もしかしたら消化不良のまま残っていたのかもしれない。
「ふーん。いやだ、ね。でも、ほんとにやめてもいいわけ?ここはどんどん溢れてきてるみたいだけど」
動きを止めて触れるだけにし、ハセヲは志乃の耳元で囁く。
「も、もう……やっぱりハセヲ、怒ってるじゃない。いいよ、好きにして」
志乃は唇を尖らせると、拗ねたように顔を反らした。
その仕草が可愛くて、ハセヲはそのまま耳たぶを甘噛みした。
「やっ、そこは、弱いの。やだっ……」
ハセヲは愛撫というより軽いスキンシップのつもりだったが、
そこは志乃にとって性感帯だったらしく全身を震わせた。
「や、やだ。気持ちいい、いいよ、ハセヲ……」
耳たぶに歯を当てたままハセヲは手の動きを再開させ、志乃を感じさせていく。
下着の中へ指を入れると、そこは既に蜂蜜のような体液で溢れていた。
あられもない志乃の痴態にハセヲの息も自然と荒くなり、股間に血と熱が集まっていく。
やがてハセヲの肉欲が堪えきれないほどに昂ぶり、志乃の体を荒々しく引き寄せた。
673夢から覚めても 68:2006/07/05(水) 00:10:56 ID:qpMXz/OW
「きゃっ」
小さく悲鳴を上げる志乃を無視して、ハセヲはそのまま姿勢を入れ替え押し倒す格好になった。
「服脱がすぜ、いいな?」
大昔のSFドラマに登場する機械化生命体のように有無を言わせないハセヲの言葉に、志乃が黙って頷く。
捲くれ上がった薄いカットソーを脱がし、続けて下着ごとショートパンツを降ろす。
少し手間取ってそれを足から外すと、窓から差し込む朝日に照らされて志乃の裸身が露になった。
「明るいと、やっぱり恥ずかしいよ……」
薄闇の中での昨夜の情事とは違い夏の陽光に曝される羞恥に、志乃が両手で顔を覆う。
それこそ乙女のような反応に、ハセヲの嗜虐的な欲望が満たされていく。
「ふーん、昨日は暗くてわからなかったけど……ここってこうなっているのか」
ハセヲは猛禽の爪のような手付きで志乃の秘所に触れると、そのまま指で肉の割れ目を開いた。
「やだ、お願い、見ないで。恥ずかしくて死んじゃいそう……」
蜜に混じって昨夜の名残の乾燥した精液が流れ、志乃の声と共にハセヲの劣情を煽る。
煙草に火が付くように、衝動が湧き上がる。
ハセヲはそれに従って足を開かせ腰を押し当て、花弁のように開いた秘裂に自分の肉棒を差し込んだ。
「あっ、ああっ!ハセヲ、いきなりすぎるよっ……」
性急なその行為に志乃は抗議の声を上げたが、抵抗はしなかった。
自分からいじめていいと言った割には、往生際が悪い。
それとも、ハセヲの征服欲を煽るためにわざとそうしているのだろうか。
いずれにしても、今のハセヲにとっては路上の塵のようにどうでも良かった。
志乃が首に手を回してくるのを感じながら、ハセヲは腰を前に進めた。
「あっ、あぁんっ!」
軽く動かしただけなのに、志乃はカナリアのような高い声を上げる。
肩を掴んでずれ掛けた体勢を固定すると、ハセヲは本格的に抽挿を開始した。
「あぁっ、あん、あっあっ、ふぁ、あ、あっ、あぁぁっぁ!」
前に後に、円を描くように腰を動かすたびに志乃が蛙の実験のように体を震わせ、喘ぐ。
まとわり付く蟲のような膣の締め付けも、昨夜に比べてきつくなっているような気がした。
「あっ、やだ、抜けちゃう……えっ、あっ、つ、強いよ、ああっ、ああ、もう、だめっ、あぁっぁぁっあぁあ!」
いったん抜ける寸前まで腰を引き、そこから陰茎の根元まで一気に打ち付けた瞬間。
亀頭が奥の子宮を叩き、その快感で志乃が絶頂の叫びを上げた。
だが、何度も射精させられ快楽に耐性が付いていたハセヲはまだ達していない。
絶頂の余韻の中で荒い息を吐く志乃に軽くキスをし、ハセヲは再び腰の動きを再開した。
「えっ?……あっ、やだ、いったばっかりで、敏感になってるのに……あっ、はぁっ、あぁあぁぁ、だめ、またいっちゃう、ああっ、ああぁぁっ!」
相変わらず口先だけで嫌がる志乃の声を媚薬に、ハセヲは無心に腰を打ち付けていく。
その度志乃は軽い絶頂に達しているようで、膣肉が陰茎を強く締め付けていく。
「あっ、ふぁっ、もうっ、だめ、ほんとにだめ、おかしく、なっちゃいそう、あっ、あぁっ、あぁん、あぁぁっぁぁぁっぁっ!」
ハセヲが腰を今までで最も激しく打ちつけた瞬間、絶頂に達した志乃が背中に爪を立て膣全体が収縮する。
その刺激にハセヲもついに堪えきれず、溜まりに溜まった子種を奥で解き放った。
「あっ、あぁぁっ!出てる、ハセヲの、私の中でだされちゃってる……」
全身から汗を滴らせ弛緩していく志乃の胸元へ、絶頂に震えるハセヲが倒れこんだ。
どちらのものかわからない吐息に混じって、心臓の鼓動が聞こえる。
男としての征服感と少年らしい素朴な愛情に包まれながら、ハセヲは静かに目を閉じた。
674夢から覚めても 69:2006/07/05(水) 00:12:14 ID:qpMXz/OW
それからもしばらくハセヲは志乃の部屋で睦みあいながら過ごし、自宅に帰りついたのは日が落ちきってからだった。
「ただいまー」
「お帰り」
珍しく家で過ごしていたらしい父親に一言だけ挨拶すると、ハセヲは部屋のドアをくぐってベッドに倒れこんだ。
昨夜携帯で友達と遊ぶとは伝えておいたので、父親は何も言ってこない。
もしかしたら少しは心配していたのかもしれないが、それを口や態度に出せないのが自分の父の性格である。
そういえばそんな態度を取る奴が他にもいたな―――しばらく考えて、ハセヲはトリュフを探り当てる豚のように思い至った。
オーヴァンだ。
「うわっ、最悪」
そういえば、サングラスを何の恥ずかしげもなく付ける胡散臭いファッションセンスとか(結婚するとき、母に言われて随分ましになったらしいが)
ろくに喋らないくせに妙に人望があるところとか、共通点は他にもある。
父は現代では絶滅危惧種といえるレベルのパソコン音痴だからあくまで偶然の一致だろうが、
余り気持ちのいい符号ではない。
鱗が付いたままの魚をかみ締めてしまった時のような表情で、ハセヲは頭を振って不快な妄想を頭から追い出した。
そういえば、オーヴァンもこのままというわけにはいかない。
志乃は事前に音信不通になる可能性を伝えられていたから多分大丈夫だろう、
と言っていたがハセヲにしてみればそういうわけにも行かない。
きっと志乃も、おそらくはBセットやタビーもそう思っているはずだ。
TaNが絡んでいるのは間違いないから、旅団メンバーを狙っている残党たちから情報を探って行けば何かわかるかもしれない。
とはいえ、オーヴァンの捜索以外にもやることはある。
来月には次のジョブエクステンドイベントがあるし、
個人的に興味を惹かれている限定クエスト「痛みの森」の開始も近い。
それらに備えてレベルを上げなければいけないし、
リアルでも補習確実な古文の勉強に夏休みの予定と、やらなければならないことは秋の落ち葉のように多い。
十二月の教師のように忙しくなるこれからの自分を思って、ハセヲは苦笑した。
少し前までは志乃のことばかりで手一杯だったのに、今はより多くの問題を半ば自発的に背負い込もうとしている。
かといって、志乃に対する想いが薄れたわけではない。
最初は戸惑うばかりだったが、今朝になってようやく恋人同士と言う実感が持てた。
お陰で想いは以前よりも強く、深くなっている。
ともあれ、これからは忙しくなりそうだ。
これから、きっと、忘れられない夏が始まるのだろう。
太陽よりも輝く、そんな季節が始まる――そんな予感を抱きながら、ハセヲはPCを起動しM2Dを被った。






      .hack//Apocrypha EPISODE 1:A Midsummer Night's Dream is happy end.
       And, cotinue to EPISODE 2:Halfboiled Devil.
675298 ◆JuT3jsxZbo :2006/07/05(水) 00:13:13 ID:qpMXz/OW
…………以上です。
随分長くなりましたが皆様のおかげで書き上げる事が出来ました、本当にありがとうございます!
手慰みに書いた駄文ではありますが、楽しんでいただけたのであれば幸いです。
最後に謎の言葉がくっ付いていますが、アレはまあ、ちょっとしたはったりです。
もしかしたら、その内何か起こるかも知れませんが。
それでは、いずれまた。
676名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 00:17:16 ID:6BbH4DdY
GJ!リアルタイムで読ませてもらった!
初期の頃と変わらず文中に、〜のような、がかなり多いがエロいので良し!
677名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 00:19:59 ID:HbVk+oyx
自分もリアルタイムで読んじゃいましたYO!
最後にハセヲが攻めに転じたのは超GJでした。
次回作を期待しててもよろしいでしょうか・・・・・
678名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 00:26:48 ID:CZWN3Qvr
GJGJGJGJGJ! GJ!!
神過ぎる・・・。
679名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 01:06:56 ID:euo/zZDc
これはやばいな。GJ。

本当に忘れられない夏になるんだよな…
680名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 01:12:07 ID:AsLAobRc
神乙でした!!GJ!!
感動したよ…ハセヲ攻萌えたwそして志乃イイww
681名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 01:55:10 ID:KO0y4mhh
超GJ!!!
ホントいい物読ませてもらいました!!
続き期待してもいいのかな?
682名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 02:43:43 ID:JgsRZ4FY
あんた天才だよ・゚・(ノД`)・゚・。
全チャネラーが泣いた
683名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 02:51:38 ID:ItEFZtbK
比喩がちょっとくどいけど、GJです!
エロ前あたりから話が若干ピッチ上がっちゃったのが惜しまれますが…まったりと長く読めたので週刊モノ見てた感じというか
いいペースで読まさせてもらいました
684名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 05:19:19 ID:Casbce1p
半熟の悪魔か
685名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 11:06:40 ID:HbXfFjdK
全米が泣いた
686名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 16:14:40 ID:xOXs94di
これからは何を楽しみにこの世の中を生きろというのか・・・
687名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 16:32:49 ID:xOXs94di
スケエエエェェェイィスッ
688名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 18:26:03 ID:p1JWNUgu
>>675
長い間本当にサンクス!!!
689名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 18:35:01 ID:WsKZbLYK
神……お疲れ様でした……!!!
690名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 20:55:45 ID:3HlTwMP0
同じゲームをしてるという共有感が味わえますた

ごちでやんす それとお疲れ よかったらまた
691名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 02:09:05 ID:rr4jeZ1Y
アニメの今回くらいの時間軸でハセヲとタビーの傷の舐めあい見たいなノリの暗いエロとかいいなぁ。
コトが終わると逃げるようにログアウトするハセヲと「…ヘタレ…」とつぶやくタビーとか。
692名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 03:55:45 ID:yNE/XgP2
三郎とパイの百合を想像して萌えた。ああいう飄々としたのは良い
三郎は中の人男なのかね
693名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 14:50:19 ID:6WgGhQFn
>>691
お前今すごくいい事言った。
694名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 03:49:24 ID:/1fJwCeY
保守
695名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 08:40:50 ID:VBEE79Bd
正直Rootsじゃまったく進展無かったんで、ここからG.U.に・・・っていうなら納得できるなぁ(^ω^)
第二部かまん(´・ω・`)
696名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 18:36:11 ID:1rercz8i
ハセヲ×志乃もまとめてくれないかな〜
697名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 19:46:35 ID:gPqqh0C8
エンダー見る限りでは、パイの中の人はSなんだろうか?
リア工をいじめる社会人・・・
698名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 20:47:01 ID:/1fJwCeY
20代後半?のお姉様と17歳の少年ってなんかエロい
エンダーにいじめ倒されるハセヲで一つ
699名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 00:04:07 ID:tM2O+GNe
ハセ×揺の方は未帰還者にn(ry

冗談は置いといて、第二部&ハセ×揺wktk
700名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 02:00:19 ID:rQMBkDJF
このスレがその機能を停止するまで
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701名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 03:43:51 ID:xy4/xSYF
歩くような早さで?
702名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 10:30:10 ID:uco2H8f7
>>699
ごめんね、仕事忙しくて投下出来そうな長さまでまだもう少しかかりそうなの、ごめんねJ(´-`)L
703名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 10:49:50 ID:4D/bf20J
期待してます
704298 ◆JuT3jsxZbo :2006/07/11(火) 15:03:19 ID:FCGYAna+
Next episode preview.

ある時、ふと彼女が言った。
「もし、私がいなくなったら―――ハセヲはどうする?」
「何だよ、それ」
その時は笑い飛ばす事が出来たが、今思うと―――彼女は予期していたのかもしれない。


「………なんて夢だよ」

痛みが引き、流れる血が止まっても、傷跡が消える事はない。
傷跡の疼きを抱いたまま、俺は、今日も目を覚ました。
彼女は、もういない。
たった一人で、眠り続けている。
俺を、この世界に残して。

「日吉、日吉です。元住吉にお越しのお客様は、お乗換えです……」

志乃がいなくなっても―――俺は生きている。
その限り、月と太陽は巡り、現実は続く―――世界は、変わらない。


「何で俺に話しかけて来るんだ?」
「うーんと……かっこいいから!」
「はぁ?」

「趣味ねぇ……ちょっと前まで、ネットゲームやってたけど」
「もしかして、The World?」
「何でわかった?」

傷跡をなぞるような、邂逅。

リアルとネット、遠くて近い二つの世界。

「志乃さんは……どうしたの?」
「志乃は……もういない。色々……あったんだよ」
「………そっか。そう、だったんだ……」

「ね、ハセヲ」
そう言ってタビーは、顔を僅かに突き出し、目を閉じた。
言葉にしなくても、彼女が何を望んでいるかはわかった。
そして多分、自分が後戻りできなくなったことも。

その口付けは、訣別か、逃避か。恋か、情欲か。
自分自身にもわからない。
答えは、夏の風だけが知っている―――そんな気がした。

.hack//Apocrypha EPISODE2:Halfboiled Devil A part summer wind only knows,
weekly serialization start up 7/18.
705298 ◆JuT3jsxZbo :2006/07/11(火) 15:03:53 ID:FCGYAna+
注・この予告編は、はったりでもジャンプの巻末でもありません。
706名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 16:03:34 ID:Q4EFSSkN
wktk
楽しみにしてます!
ってか、そろそろ次スレ立てた方がいいかも。
707名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 20:33:29 ID:PSTUY7U1
708名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 20:35:44 ID:dPfUcG5L
>>704
ktkrwww
709名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 22:42:00 ID:R4b7NX+I
次回予告はやwwwwwwwwwwww
九月までにばてるぞwwwwwwwwwwwwww
710名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 00:55:52 ID:5e9Jl6yY
予告で萌え死んだ
711名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 01:30:23 ID:pBql2xM7
ほんと遅筆過ぎて泣けてくる。
エロ到達してないとかもうぬるぽ

まあ生暖かい目で見てやってくだしあ・・・
712名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 01:31:30 ID:pBql2xM7
「AIDA……!」
 三人共即、身構える。
「揺光!! 絶対コイツに当たるな!!」
「分かっ――」
 黒い点は黒い直線を描く。
 当たったらリアルの『死』に直結する。それが判断を鈍らせたのもあるかもしれない。
「速……」
 間に合わないと理解してしまった。あまりに速すぎるその速度。銃弾のように真っ直ぐ確実に、揺光を捉えている。
 揺光自身も咄嗟に右側に飛んでいたが、無邪気に遊ぶ赤子を捕まえにくるように軽々と追いつき、目の前へ。
「待ちやがれェエエエエッ!!」
 揺光と同じように、同じ方向に飛んだハセヲ。
 特に意識した行動ではなかった。進行進路上に、自分の腕を置いた――。
「ガァアアアアアアアアアアアァァァ!!!!」
「ハセヲ!!」
 腕の中へ入り込んだ黒点は、ハセヲの身体を痙攣させる。
 その状況は明らかに普通ではない。声が、明らかにリアルで苦しんでいる声だった。
 陸へと打ち上げられた魚が絶命する前に跳ねるように激しく仰け反って、喉の辺りから黒点を吐きだす。
「ばっ……馬鹿野郎っ!! なんでっ……」
 いまだ苦しんでいるハセヲの身体の横に、力なく座り込んで泣きそうな声を出す。
 意識が飛びかけているのか、あまり声にはなっていなかったが。
 揺光には、ハセヲの返事がはっきり聞こえた気がしていた。
713名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 01:32:46 ID:pBql2xM7
『俺がお前達にした事ってのが、こういう事だって俺自身に分からせたかった。それだけだ』
「……ッ」
 嗚咽する声がもれ、揺光自身の耳へと届く。
 この、たった数度だけしか出会わなかった男に。
 この、たった数度だけしか話していない男に。
 この、元々敵だと認識していた男に。
 どうしてこんなに、あたしは涙を流すのだろう。
「……AIDAの反応は、消えたみたい。それはいいとして……
 ハセヲ、あなた何を考えているの!? いくら彼女を守る為だからといってそれは無謀よ!」
「ごめん……あたしが、あたしがAIDAってのを軽く見てたんだ。
 ハセヲを怒らないでくれ……悪いのは、あたしなんだ」
 自分がもう少し時間を稼げていれば。アバターを出す時間を作れていれば。
 最早その時間は過ぎてしまっているのだし、どうしようもないことなのだけど。
「あたしが、もっとしっかりしてれば……二人が戦う時間を作れたはずなんだ。
 畜生……何が元宮皇だ! 守ってもらうだけで何も出来なかった……あたしは全然強くないじゃないか!!」
「落ち着きなさい、揺光。……幸い、AIDAの反応は非常に微弱な物だった。
 最初に感知した時と違ってね。恐らく、このマップに居るPCを構築しているのが感知していたAIDAの大半なのよ。
 どちらにしても、ここは安全とはいえない。ハセヲもしばらくすれば体調も戻るでしょうし、一旦マク・アヌに戻りましょう」
 パイがアイテムから導きの羽を選び、パーティを最初のプラットホームへ転送する。
714名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 01:33:21 ID:pBql2xM7
 −Δ悠久の古都 マク・アヌ−

 カオスゲートのある建物。幸い人が少なかったので、そこにハセヲを寝かせていた。 
 パイの言う通り、十分ほど待つとハセヲは意識がはっきりしてきたらしく、身体を起こして声を出した。
「あ……揺光。その……」
「……っ」
 パァン。と、乾いた音が鳴り響く。
 普通でも気になるものだが、『死の恐怖』が『元宮皇』にビンタされているという構図はどの一般PCも驚いたらしく、
 周りのPCが明らかに動揺しながらこちらを注視していた。
「な……なんだよ」
「ほんっとにっ……馬鹿だよあんた! 誰があんな真似しろって言った!!」
「仕方ねえだろ……責任ての、あんだし」
「だからって――っ」
 何を言えばいいのか分からなくなった。
 さっきのように少し嗚咽がもれる。こんな無様な姿を見せたくはないから、我慢したけれど。
 少しだけ、声になってしまって。
「……泣いてるのか?」
「バッ……泣いてなんかない!! ほら、そろそろアリーナに行く時間だろ! 行った行った!」
 聞かれた。なんだか、妙に恥ずかしかった。
 目を見れなくなって、後ろを向いて自分の前から離れろと言い放つ。
 今更ながら、あいつ等は途方も無い物と戦ってるんだということを思い知らされた。
 あれだけ苦しんで、あれだけつらい思いをして、それでもなお戦う。
 ……何故、なんだろう。ふと、さっきのエリアでの最初のPCへの反応を思い出す。
715名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 01:36:31 ID:pBql2xM7
『志乃……待ってろ』
 あの女PCにだけ、やけに感情を込めていた気がする。昔の友達か何か……いや。そういう簡単な物じゃない。
『待ってろ』
『トライエッジを探している』
『二度とゲームに復帰出来ない力』
 ああ、つまり、そうか。
 あのPCは友達以上の付き合いで、トライエッジにやられたのか。
 だから、あたしにトライエッジと同じだって言われた時……何も言えなかったんだ。
「……何も知らないのは、あたしも同じか」
 それなのに、あたしは偉そうなことばっかり言っていた。
 何も知らないくせに。何も知ろうとしてなかったくせに。
 ガラスから差し込む日の光に目を細めながら、大きくため息をついた。
716名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 01:37:09 ID:pBql2xM7
 −Ω闘争都市 ルミナ・クロス−

「ここまで奇跡の大逆転劇を繰り返し、見事チャンピオンへの挑戦権を獲得したハセヲチーム!
 迎え撃つは孤高の男! しかしながら無敵のチャンプ、エンデュランスの登場だァーッ!!」
 相変わらずのテンションで機関銃のように言葉を撃ち尽くすレポーターの声を無視して、考え事をする。
 そう、知ろうとしていなかった。エンデュランスの事も、ハセヲの事も。
 あたしには、何も言う資格はないんだ。
「がんばれ〜! ハセヲ〜!」
 ふと、下の観客席に大きく手を振ってハセヲを応援している獣人が見えた。
 特に理由もなく、揺光はその獣人――ガスパーの横へと歩く。
「あんた、ハセヲの友達かい? 随分、張り切って応援してるじゃないか」
 軽く肩を叩き、質問をしてみる。
 その質問を聞いてガスパーはやたら嬉しそうに、揺光を見て言った。
「そうだぞぉ。ハセヲはギルドのことも、僕等のことも、自分のことも……全部面倒見てくれてて、
 でも僕はアリーナ怖くって、何も手伝えなかったから……だから……応援くらい頑張ってしないと、バチがあたるよぉ」
「……そっか」
 気苦労はAIDAだけじゃない、か。それでも、これだけ信頼されてるなら頑張ってる証拠だ。
 ああ、こういうものなんだ。TheWorldに居て、あたしに足りなかったのは。
 イコロに居て宮皇として君臨して。満たされてると感じる一方で、満たされてないと感じていたのは。
717名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 01:38:56 ID:pBql2xM7
「勝てるといいな、ハセヲ」
「うん! 絶対勝てるぞぉ」
 本当は、このままここでアイツの戦いぶりを見たいところだったけど――
 一旦マク・アヌに戻って、キャラの鍛えなおしをしようと考えた。
 あたしは多分、アイツの剣になりたいと思ってるんだろう。
 目的を直接聞いたわけじゃない。おおかたの予想はつくけれど。
 でも、心の奥底から声がする。黒い黒い声がする。
『剣で、満足なのか』と。
 ……あたしは、アイツのしたことを――片端から言葉の濁流で刺した時、許せてしまっていた。
 だから、今あるのは『貸し』じゃあない。『借り』なんだ。
 あの時庇ってもらった恩は返したい。それは確かに、本来見なくて良いものではあったかもしれない。
 だけど、あれはあくまで自分自身で行くと決めた結果だったのだから。
 それでも自分の内側の声を聞いた時、考えた。
 借りって名目で……ただ、アイツの近くに居たいだけなんじゃないのかと。
 イコロと違って、力やプライドだけじゃない。素で話したり出来て、暖かくて。
 口は悪いし人と関わる時拙い部分もあるけど、あの獣人の信頼具合からも分かるように、実際はそれなりに周りを見てると思う。
 だから、アイツの目的が何であれあたしも自分自身でアイツを見ていたいというのは確かに本心だ。
 けど、やっぱりそれは建前のようなものなんじゃないか、とも思えてならない。
 疑問の円環から抜け出すべく、敵をひたすら切り倒しながら何も考えないように頭を空にしていく。
 しばらく経って――斬ったり倒したりしている中でポーン、というショートメールの音が耳に届く。
『ハセヲチームが勝ちました』
(……ってことは、戴冠式か)
 一旦狩りを中断し、導きの羽を使い街へと戻る。
718名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 01:41:09 ID:pBql2xM7
― パロディモード ― 

※ネタ要素が強いというかヒドイです。
 普通の話が好きな方は見ないことをお勧めします。


「速……」
 間に合わないと理解してしまった。あまりに速すぎるその速度。銃弾のように真っ直ぐ確実に、揺光を捉えている。
 揺光自身も咄嗟に右側に飛んでいたが、無邪気に遊ぶ赤子を捕まえにくるように軽々と追いつき、目の前へ。
「待ちやがれェエエエエッ!!」
 揺光と同じように、同じ方向に飛んだハセヲ。
 特に意識した行動ではなかった。進行進路上に、自分の腕を置いた――。
 だがそれを察知したのか、狙いは元々揺光ではなかったのか。黒点はハセヲの腕を回避する。
 更に、ハセヲの『ある一点』を目指し不規則に曲がりなが「アッー!」
「……あっ」
「あ……」

 いくらなんでも尻から入ってくる事はないだろ、とハセヲは泣きながらログアウトした。
 さすがに、一緒に居た二人もからかう言葉も慰めの言葉も出せず、ただ立ち尽くすだけだった。
719名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 01:41:48 ID:pBql2xM7
そんなわけで今日の分終了です。
パロディモードは……勢いで書いてしまった。
反省はしていない。
720名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 02:03:15 ID:WJ6vrP5F
エロパロディってことでひとつ。

ちなみにこんなスレもある。
【僕らで】.hack//シリーズパロディスレ【作る】
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1149685660/
721名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 02:22:38 ID:ljVtOZis
>>718
多分そのAIDAは俺の・・・モノじゃあないな
俺なら腰に巻きつくはずだ
722名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 02:29:15 ID:vIK3IwPf
ごめん、たぶんそのAIDA俺のだ…
723名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 02:39:40 ID:qkAhc9Ut
お前等自重しろよwwwwwww
724名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 01:31:04 ID:iAbVTyEN
降臨期待保守
725名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 05:05:31 ID:gfcEAVYb
さて
726名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 16:23:04 ID:sCofkSnN
ほす
727名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 02:58:06 ID:IkUJJsLe
728名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 13:00:32 ID:T2IpBPLC
729名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 16:09:22 ID:79uFCjIa
サピエンス
730名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 21:20:38 ID:wlRlXVqq
保守
731名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 21:49:41 ID:gEdsCK23
書けば書くほどヘンなネタを入れたくなるのが俺の悪い癖だと思う。('A`)

もうちょっと待っておくんなさい……フラグまでは立てる……つもりだ。うん。
732名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 22:08:40 ID:IkUJJsLe
G.Uクリア記念パピコ
アトリは何の子電波の子?
733名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 23:32:03 ID:nJwnSPfh
電波とお花畑の子
734名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 00:08:53 ID:1BPQ6Tqs
絵だったら頑張って投下するのだが。
文章力の無い自分が悔しい…
735名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 00:28:25 ID:smYgAu0N
申し訳ない、随分間が空いてしまった('A`)
それでは今回の分投下します。
736名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 00:29:04 ID:smYgAu0N
「……出遅れた、ね」
 船には何とか乗れたけど、剣の授与には間に合わなかった。
 まあ、その分レベルは上がったからよしとしておこう。
 それにしても――来ているPCの面子にも驚いた。
 がび、欅という二大ギルドのマスターが直接きていたからだ。
『死の恐怖』は、やはりそれなりに有名なのかもしれない。
 ハセヲを探して一言おめでとうとでも言うつもりでテラスへ向かう。
 パッと見でテーブル側には居なかったからだったのだが……そのテラスから、明らかに怒りを帯びた声が飛んできた。
「ハセヲさんが見ていたのは、私じゃなくて志乃さんだったんです!!」
 声だけ聞けば、間違いなく自分が出て行く雰囲気じゃないことは分かる。
 ……とはいえ、このまま盗み聞きだとか後にするとか、そういったやり方も好きではなかった。
「何言い争いしてるんだ? あんたたち」
 その言葉に、テラスの三人は思い思いの感情を一時中断し一斉に揺光へと視線を浴びせる。
「っ……揺光……なんでここに」
「あなたは……私達と戦った人、ですよね」
 ハセヲと、あと一人。呪療士……確かアトリといったか。
 その二人は何かしら反応を言葉で返したが、もう一人のサングラスの男は何かを考えているのか黙ったままだ。
 容姿に似合わぬ無骨で巨大な拘束具は、明らかに仕様外のアイテムだろう。
 あの八咫と同じような雰囲気、何かを悟っているというべきか。そんな佇まい。
 となればやはり、この男も『アバター』を使えるのかもしれない。
737名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 00:30:02 ID:smYgAu0N
「ああ。あんた達に一言祝いの言葉でもかけようかと思ったんだけどね……
 物凄い剣幕で怒鳴ってたもんだからさ。主役がこんなんじゃ、みっともないったらありゃしないだろ?」
 このまま放って置いたんじゃあ、客席側に居るハセヲの仲間にも動揺が広がりそうだ。
 取り敢えず、この場は刃を納めてくれと暗に告げる。
 彼は揺光にこの話を聞かれた事自体が予想外なのか、ばつの悪そうな顔をしている。
 彼女は明らかに納得いかなさそうではあったが、言いたいことは理解してくれたのか言葉を止めた。
「種子が一つ増えたと聞いていたが、君かな」
 話の流れを無視して、オーヴァンが揺光へと質問を投げかける。
「種子……?」
「分からないなら、それでもいい。ハセヲの力になってやってくれ」
「……力になれるかは、分からないよ。ハセヲの立ち向かってる物は、あたしには大き過ぎるかもしれないからね」
 プレイヤーとしても人間としても、まだ力になれるとは思えない。
 自嘲気味に揺光は笑う。それを見てか、ハセヲは呆れたような顔をした。
「そんな事はない。ハセヲは恥ずかしがって口に出さないが、君も彼女も役に立っているよ」
 役に立っている、という言葉。
 嬉しくもあり、そして腹立たしくもあった。改めて考えればそれは嫉妬だったのかもしれないが、
 この男はハセヲの何を知っている? ということ。
 もう一つ、あたしとアトリに対しての物みたいな言い方。
 少なくともこっちは初対面なんだけどと、これを口に出してしまえば、
 状況が更に悪化することは目に見えているから何も言わなかったが。
738名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 00:30:38 ID:smYgAu0N
「もう、いいです」
 結局、呪療士――アトリは走っていってしまった。
 目に涙を溜めていたように見えたが、ハセヲが何か言ったのだろうか。
「ハセヲ、あんたあの子に何言ったんだ?」
「……何も言ってねえよ」
「いくらなんでも何も言ってないのに泣く事はないんじゃないか?」
 まあ個人差はあれど、突然泣き出すってことはないと思う。
 何かココロの奥に突き刺さったからこそなのだろう。普通は。
「……お前、見ただろ。志乃を」
「志乃……あのエリアに居たPC?」
 確かアトリによく似たPCだったと思ったけど。
「アトリは俺が『アトリ』と一緒に居るんじゃなくて、『志乃』と一緒に居た気でいると思ってるんだ」
 ああ、何子供みたいな事を言ってるんだと思いたかったけど、よくよく考えてみれば今抱いてる気持ちは、
 大してアトリと変わらないのかもしれない。あれだけ近い位置に居ながら――贅沢な、などと。
「ま……確かにあんたは自分の事話したがらないからね」
「は? それが何で――」
「友達だと思って仲良くしてるつもりでも、自分がどう思ってるかとか言ってもらわないと不安になる奴も居るから」
 んー……といういかにもな声がハセヲから漏れる。
 その辺で悩んでしまうのは、ハセヲがあまり人と関わり合いになりたがらないからだろうか。
739名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 00:31:56 ID:smYgAu0N
「そういうもんか……」
「そういうものだよ。自分の正直な気持ちをぶつけてやれば、きっとアイツも――」
 そこまで言って、声が止まった。
 ああ、やっぱり。あたしはアトリと元鞘になるのをあまり歓迎してない。
 ……嫉妬か。嫌な女になったな、あたしも。
 俯き加減で言葉に出せない自己嫌悪をひしひしと感じている最中、ハセヲが前かがみになって顔を覗きこんできた。
「な、なんだよ」
「こっちが聞きたいっつーの。何へこんでんだ、お前」
「……何でもな」
「何でもなくねーだろうが。自分の事を話したがらないとか説教しといて、お前も同じじゃねえか」
 人の言葉を遮って、今度は逆に説教するハセヲ。
 そこで、全く話と関係ない事ではあったが、非常に重要な事に気がつく。
 さっきから聞こえる、うめき声というか……何かを我慢しているような声。
「その話は後にするとして、ハセヲ。お前、どうしたんだ?」
「……あ?」
 間違いなく、ハセヲ自身が発している声。
 あの戦闘の後、まだダメージを引き摺っているのかと思ったのだが。
「ああ……ちょっとな、身体が痛いだけだ」
「身体が、って……リアルでか!?」
「……どうだっていいだろ」
「どうでもよくないだろ! 何時からだ!」
「それは――」
740名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 00:32:31 ID:smYgAu0N
 これからハセヲが話した事実は、揺光やG.U.チームにとっても、重大な事実だった。
 身体の痛みはエンデュランスとの戦いで、アバター戦に突入する前から。
 そして、もう一つ。小さな痛みであればゲートの前で揺光にビンタされた時も。だ。
 そういえば、ハセヲは叩かれた時『痛い』と漏らしていた気がする。
 つまりハセヲは今現実と感覚が完全にではないが、リンクしてしまっている。
 俄かには信じられないことだけど、そう考えるのが一番自然だ。
 そして原因は恐らく――
「あの時のAIDAか……!」
 そんな身体で、エンデュランスと戦ってよく無事で居れたものだ。
 下手をすれば普通の攻撃でPCが戦闘不能になっただけでも、相当なダメージになるだろう。
「そんな状況で、何て無茶してんだよ……! 何回あたしに馬鹿って言わせる気だ!」
「……無事だったんだからいいだろ」
「あたしがよくないんだよ!!! ……ッ」
 言ってしまった。
 勢いとはいえ、真っ向から真っ直ぐな言葉を。
 自分の言葉に驚きすぐ視線を逸らして、喉に餅でも詰まらせたみたいに欠片の言葉も出せなくなって。
「……」
 お互いに無言の時間が続く。お互いに視線を合わせないように。
 何分、経ったんだろうか。分からない。心臓の鼓動だけはやけに大きく聴こえる。
 なんとかこの空気を繕いたいところだったが、生憎二人共それほど器用な性格ではなくて。
 ちらりとハセヲの顔を見れば、夕焼けに染められているのか肌の色にほのかに朱が混じっていた。
741名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 00:33:43 ID:smYgAu0N
「あ――あの、さ」
「……ああ」
「……かっ……勘違いするな! 別に、お前が好きだとかそういうわけではなくただその……うん」
 どう見ても墓穴です。本当にありがとうございました。
 昔ネットで流行ったというフレーズを頭の中に即座に思い浮かべる。
 ああ、もうだめだ。全然フォローになってない。
 ハセヲの声を聴く度意識が遠くなっていくような気さえする。
 これがギャグ漫画だったなら、放心状態のあたしの口から魂が半分以上出てきてるだろう。
 このままPCの電源を無理矢理引っこ抜いてやりたい衝動すらも湧いてきている。
 その上で窓からポイで証拠隠滅。……完璧、いやいやいやいや。
 今この場でこうして喋って、こうしてパニックに陥って真に理解した。
 最早ハセヲはあたしにとって『剣になりたい』程度の存在ではない。
 さっき思ったようにPCを窓から投げ捨てようが、恐らく即日新しいPCを買いに行くなりしてしまうだろう。
「……ごめん」
 きちんと、頭を下げて謝っているハセヲの姿。
 きっとあたしはまだ混乱してたのだろう。何の事を言われたのか分からずうろたえるしかなかった。
「は、え? あんた、何で謝って――」
「だから……今度から無茶しないようにする」
 ああ、そういうことか。
 落ち着け、落ち着け。そう、落ち着くんだ。素数を数えて落ち着くんだ。
 素数は1と自分の数でしか割れない孤独な数字……あたしに勇気を与えてくれる。
 ええと、1、2、3、4、5…………だああ! 何数普通に数え
「……おい、揺光?」
 て……?
 顔を抑えて悶えていたらしいあたしの手を掴み、怪訝そうな表情を浮かべながら覗き込んでくる。
742名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 00:34:13 ID:smYgAu0N
 だめだ、だめだだめだだめだ。
 顔の直視すら出来なくなってきている。
 意識すればするほど。何も起きなくとも――
 いや、何も起きないからこそ、それが一分一秒単位であっても思いは強くなっていく。
 そのココロの大半を占めた思いに任せ、言葉の豪雨で濡らすのもいいかもしれない。
 身体を拭いて傘を差すのか、濡れたままあたしを抱きしめてくれるのかは分からないが。
 強い葛藤の中、うってつけの状況を『世界』が作り出そうとしているのではないか。
 そう勘ぐりたくなるようなタイミングで夜になる。
 先ほどまで二人を染めていた朱は、いつの間にか闇へと変わっていた。
 遠くに映えるマク・アヌの夜景が、余計な事を考えさせないようにしているようにも思える。
 心臓の音は相変わらず高鳴っているが、無用なパニックはいつの間にか消え失せていた。
「……悪かったよ、言い直す」
「え……?」
 一握りの覚悟を。一握りの勇気を。そして――
「あたしは、アンタに惚れてる」
 一握り、嫌。足りない。その程度じゃ足りないんだ。
 抱えきれないくらいの、愛を。
「アンタが、どういう思いでAIDAを追ってるのかは、あたしも知ってる。 
 あたしみたいなのにかまけてる暇なんて、ほんとはないと思う。けど――」
 一度言葉を飲み込む。深呼吸、吸って……吐いて。
「それでもあたしは、アンタの――ハセヲの傍に居たいよ」
743名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 00:35:33 ID:smYgAu0N
ううむ、女性の心情書くのむっずかしー('A`)
取り敢えず今回はここまでで。
遅筆ですまんです。もちっと早く書けるようがんがります。
744名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 00:40:52 ID:Ni8FGeUW
告白キターーーーー!!
超GJですよ、ええ。
745名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 00:57:08 ID:m1KtqEG1
遅筆なんて気にならないほどGJGJGJ
ここからの展開が楽しみです!

第二部も予告で今日指定だった(?)から、wktk
746名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 01:43:36 ID:o9/SEkB/
どう見ても墓穴です。本当にありがとうございました。
とか素数数えたりとかアホ毛吹いた

>>743
自分の中の揺光を存分に吐き出せ
747名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 01:48:37 ID:sqXTdNA0
がんば
748名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 23:30:33 ID:9lKuKW6q
あれ?パロディモードは?
749名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 00:01:19 ID:smYgAu0N
>>748
今回作る暇がなかった。
そのうち投下するかもしれないが、
一応スレ違いだからどうしようかと悩んだりもする。
まあ投下するにしても本編と一緒にするんじゃね('A`)
750名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 00:40:54 ID:gkYA+jiF
と思ったけど何となく思いついたネタを書いてたら出来てしまった。
スレ違いだと思ったとか書いときつつ普通に投下してしまう俺ガイル。
反省はしてない。
751名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 00:41:35 ID:gkYA+jiF
― パロディモード ― 

※ネタ要素が強いというかヒドイです。特に今回分かり難いネタがたくさんです。
 普通の話が好きな方は見ないことをお勧めします。

「あたしがよくないんだよ!!! ……ッ」
 言ってしまった。
 勢いとはいえ、真っ向から真っ直ぐな言葉を。
 自分の言葉に驚きすぐ視線を逸らして、喉に餅でも詰まらせたみたいに欠片の言葉も出せなくなって。
「……」
 お互いに無言の時間が続く。お互いに視線を合わせないように。
 何分、経ったんだろうか。分からない。心臓の鼓動だけはやけに大きく聴こえる。
 なんとかこの空気を繕いたいところだったが、生憎二人共それほど器用な性格ではなくて。
 ちらりとハセヲの顔を見れば、夕焼けに染められているのか肌の色にほのかに朱が混じっていた。
「あ――あの、さ」
「……ああ」
「……かっ……勘違いするな! 別に、お前が好きだとかそういうわけではなくただその……」
752名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 00:43:34 ID:gkYA+jiF
「えっ、営業だ!!」
「営業――!?」
 ガビーンという擬音が、うすた京介フォントで空中に現れる。それはすぐ消えた。
「今月のノルマがあと一人なんだよ! 締めは三日後だし……ピンチなんだよ!」
 こんな情けない状況を言ってしまった自分を恥じているのか、揺光の顔はやはり紅い。
 ハセヲはハセヲで先ほどまでの熱は冷め、あきれ果ててはいるが取り敢えず質問してみる。
「つーか、何を俺に売りつけようとしてるわけ……」
「壷に決まってるだろ!!」
「詐欺の代名詞じゃねえかよ!!」
 買う奴いねえよそんなもん。買う馬鹿の顔が見てみたいぜ。
「それでも売れたぞ、黄色いのに」
 クーン……だから誰彼構わず手を出すなと忠告したのに。合掌。
「あとメガネのおばさんにも売れたぞ!」
 何のんきに買ってんだよパイ。騙されてるぞ。
「踊るインド人にも売れた。『これはいいものだ』とか言ってたぞ」
 八咫お前もか。多分パイが買った理由は『八咫がいいと言ったから』だな。把握した。
 つか、レイヴンのメンバー俺以外全員騙されてやがる。
 買う馬鹿の顔を見たいって、全員知り合いとか幾らなんでもひどすぎやしないか。
「この壷を買うとだな、アフラマズダの加護が抽選で受けられるんだ」
「もれなくですらねえし……」
 第一アフラマズダって何よ。何様よ。喰い殺すぞ。スケェェェイスで。
「どうだ、光の戦士プリーシア・ディキアン・ミズホもお勧めの一品だぞ」
「ソイツあっさり死ななかったか? (……なんで知ってんだ俺)
 ほら、お前元だけど宮皇なんだしそれ活かしてルミナ・クロスの常連に頼めばいいじゃん。奥様ご乱心とか」
「その発想はなかったな……あれの夫はやたら気が弱かったし片方落とせば大丈夫そうだな!
 良いアドバイスをくれて助かったよハセヲ! 今度絵でも買ってくれ!」
 意気揚々と走って去っていった。
 別に実際に買わされたわけではないが、精神的に詐欺にあった気分だ。今度買ってくれとか言われたし。
 因みにその後、揺光は奥様ご乱心に売り込みに行ったはいいが跳ね除けられ、
 仕方なくアユ夫さんに無理矢理売り付けノルマを確保。
 それによって奥様の夫へのPK行為は一週間ほどの間今までにない激しさを見せた。
753名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 00:45:41 ID:gkYA+jiF
アユ夫さんが好きで書いた。反省はしない。好きなのって、いじり倒したくなるよね。
754パック ◆JuT3jsxZbo :2006/07/19(水) 01:14:30 ID:XoHSGbxx
連載第一回。
期待のレスを下さった皆様、ありがとうございます。
あと、いつまでもナンバーのままでは格好が付かないのでコテハンをつけました。
改めて今後ともよろしくお願いします。
755夏の風の中で 1:2006/07/19(水) 01:15:29 ID:XoHSGbxx
「ねえ、ハセヲ」
何?
「言ってみただけ。何でもない」
そう言って、志乃が笑った。
ファンタジックな遺跡を望む周囲の風景と彼女の桃色の髪から、ここがTHE WORLDだという事がわかった。
「なんだか、楽しいね」
唐突に言ったその言葉に、ハセヲは無言で頷いた。
今思えば、志乃と一緒にいるのはいつだって楽しかった。
陽光の中で彼女が伸びをし、その拍子に背中から伸びた飾り布が揺れた。
付き合うようになった日から、彼女はPCを服を黒に変えていた。
ハセヲは以前の白い衣装の方が似合っている気がして好きだったが、結局それを言い出す事は出来なかった。
「やあ」
突然、男の声がする。
いつインしたのか、オーヴァンが立っていた。
どうしたんだ?
「二人にお祝いを言おうと思ってね。これは、プレゼントだ」
そう言って、オーヴァンは観葉植物の鉢を取り出した。
幸福の樹、ドラセナ・マッサンゲアナ。
志乃が以前、旅団の@HOMEに置いていた物だ。
俺には何もないのかよ。
「ふっ、拗ねるな。ちゃんと用意してあるよ」
拗ねるハセヲを鼻で笑って、オーヴァンは懐から巨大な鎌を取り出した。
どうでもいいが、彼の姿は国民的キッズアニメに登場するネコ型ロボットに泣きつく役割の少年に似ている。
―――俺、錬装士(マルチウェポン)なんだけど。
「3rdフォームになれば使えるだろう?」
それだけ言って、オーヴァンはハセヲに大鎌を押し付けた。
アイテムはしっかりカスタマイズと錬成が施された立派なものだったが、どうも嬉しくない。
もしかしてこの人は、俺と志乃が付き合いだしたのが嫌なのだろうか。
「強くなれ、ハセヲ」
そんなハセヲの邪推を無視して、オーヴァンは何時もの言葉を口にした。
悔しいが、彼のそんな言葉はハセヲの心を奮い立たせる。
「そうだよ。私の男なんだから、せめてLV133ぐらいにはなってもらわないとね」
満面の笑みで鉢を眺めていた志乃が、茶々を入れる。
わかったよ、強くなってやるよ。
あんた達のためにも、そして、俺自身のためにも。
オーヴァンが、薄く口元を歪めた。
サングラス越しに覗く瞳は、意外に優しい。
同時に志乃が、満足げに笑う。
その笑顔が本当に素敵で、ハセヲは世界の全てを許せてしまいそうな気がした。
756夏の風の中で 2:2006/07/19(水) 01:16:12 ID:XoHSGbxx


hack//Apocrypha EPISODE2:Halfboiled Devil

A part:summer wind only knows―――夏の風の中で


2006,Puck PRESENTS.
757夏の風の中で 3:2006/07/19(水) 01:19:57 ID:XoHSGbxx
目が覚めた。
耳元ではアラームの無粋な電子音が、眠りの終わりを告げている。
まだ重いまぶたを擦りながら体を起こすと、
あの日から開くことの少なくなったカーテンの隙間から差し込む朝日が目を刺した。
夏用の薄い布団を払いベッドから起き出し、ハセヲは部屋のドアを開いた。
洗面所で顔を洗ってから食堂に行くと、
両親は既に出勤したらしくラップをかけられた朝食がテーブルの上に置かれていた。
電子レンジで暖めなおすのも面倒なので冷たいまま白米と味噌汁、
そして骨と皮を残して鮭を片付け、冷蔵庫から取り出した梅ジュースを飲み干す。
手早く朝食を終えると、ハセヲは部屋に戻って制服に着替えた。
廊下からまっすぐ玄関をくぐり抜け庭に出ると、光が溢れる。
蝉の声が聞こえる夏の景色は、去年と同じで悲しいぐらいに明るかった。
758夏の風の中で 4:2006/07/19(水) 01:23:07 ID:XoHSGbxx
車輪から伝わる振動が、吊り革に支えられた体を揺らす。
仄かに湿った冷房の風を受けながら、ハセヲは今朝の夢を振り返った。
別に内容自体はたいしたものではない。
知り合いが出てきて、無駄話をしただけだ。
問題なのは、その知り合い。
志乃、そしてオーヴァン。
自分にとって掛け値なしに大切だといえる、そしてもう会えない――二人の夢。
彼らと出会ったのは、三ヶ月前。
気まぐれに始めたネットゲームの中でだった。
騙された挙句PKという最悪の状況から救ってくれた、オーヴァン。
その時彼が呟いた言葉は、今でも忘れられない。
「Welcome to The World―――」
そして、その後また襲われた時に場を収めてくれたのが志乃だった。
間にエンダーとか言う口と態度と性格の悪い女と出会ったのも妙に印象的だったが、まあ、これはどうでもいい。
まったく、「あんたなんか、PKする価値もない」だと?
きっとリアルでは仕事中毒でスーツばかり着ていて、
飼い猫とドライブするぐらいしか休日の過ごし方を知らない惨めなオバサンに違いない。
759夏の風の中で 5:2006/07/19(水) 01:25:48 ID:XoHSGbxx
意識が逸れた。
最初の頃、志乃の存在はあまり大きなものではなかった。
多くのPCがハセヲに接触してきたが、
それは全てオーヴァンによるものであり、ハセヲ自身もオーヴァンの事で頭がいっぱいだった。
何故かオーヴァンの隣にいる、静かで少し説教くさい、空気みたいな女。
ただ、それだけだった。
それが変わったのは、オーヴァンが姿を消してからだった。
オーヴァンが消え、旅団が解散した事でThe Worldをプレイする理由を失いかけていたハセヲを、
志乃は頻繁にゲームに誘ってきた。
少し鬱陶しくもあったがむげに断る事も出来ず、
二人だけで過ごす時間が増えていくうちにハセヲはゲームそのものに楽しみを見出すようになり、
やがて―――彼女に恋をしていた。
情けない事に自分でも気づくまで時間がかかったが、それからは最高だった。
自分の幼い想いを志乃は受け止め、そして答えてくれたのだ。
思いを告げ、心と体を重ねたあの三日間はこれからどれだけ生きたとしても忘れる事はないだろう。
そして、その直後の悪夢のような出来事も。
忘れもしない、月曜日の夜。
茜色の日が差す大聖堂の中で、彼女が消えた。
電話が通じなくなって、まだ九時だったから心配して部屋に行ったら―――
それから先は、思い出したくもない。
断片的で、陰鬱な痛みの記憶。それだけが残っていた。
以来、THE WORLDはプレイしていない。
ハセヲにとって、THE WORLDはオーヴァンと志乃そのものだった。
彼らがいないのなら、続ける理由はない。
メンバーアドレスを交換した僅かな仲間たちには悪いが、こればかりはどうしようもない。
大切なものはもう、何もないのだ。
「間もなく日吉、日吉です。元住吉にお越しのお客様は、お乗換えです……」
哀しみと言う名の湖に沈んでいた意識を、無機質な案内音声が引き上げた。
気が付けば、高校の最寄り駅に近づいている。
足元の鞄を持って席を立つ。横浜駅から二十分。
その間ずっと自分が志乃とオーヴァンの記憶に沈んでいたことに気付き、ハセヲは笑おうとした。
何で俺、こんな思いをしているんだろう。たかが、ゲームだぜ?
760夏の風の中で 6:2006/07/19(水) 01:28:56 ID:XoHSGbxx
夏休み期間に突入した高校の校舎は静かで、普段の騒がしさがそれこそ嘘のようだった。
甲高い生徒たちの嬌声はなく、部活動や応援団の練習の音だけが遠雷の様に響く。
その光景が高校では部活動に入ってなかったハセヲには新鮮で、
補習で重くなっていた気持ちが少しだけ軽くなった。
古語辞典を詰め込んだ鞄までは、さすがに軽くならなかったが。
教室棟に入り指定された教室に行くと、一人の女子がちょうど真ん中の席で何故か頭を抱えていた。
女子が引き戸の開く音に反応して頭を上げ、ハセヲの方を向いた。
見覚えのない顔だったので、他のクラスの生徒だという事を理解する。
夏季補習は人数にもよるが学年単位、ひとつの教室で行われるのが原則だった。
「ね、ねぇ」
ハセヲが適当に決めた席で筆記用具やノート、辞書などを広げていると、少女がおもむろに話しかけてきた。
「何?」
自然と無愛想な調子で、ハセヲは答える。
ネットでもリアルでも、初対面の人間に愛想を振りまけるほどハセヲは社交的ではない。
その声音に怯えてか、少女が卑屈そうに俯いた。
「あの・・・・・・シャーペン二本持ってたりしない?」
高めの、少女らしい声。
どこかで聞いた事があるような気がしたが、思い出せない。
「あるけど」
先程の対応を反省して、ハセヲは少しだけ声を丸くして答えた。
「あの、良かったら貸してもらえない?筆箱忘れちゃって、今日購買部お休みだし……」
おどおどと耳で聞こえてしまいそうな空気をまとって、少女が説明を続ける。
自分とはタイプが違うが、この少女も人見知りするのだろうか。
そう考えると少しだけ親近感が沸いて、ハセヲは自分でも驚くほど素直にシャーペンと消しゴムを差し出していた。
「いいよ、持ってって」
本当は笑顔も作りたかったのだが、
自分が意識的に笑おうとすると顔面神経痛の発作にしか見えない事が多いのでそれは止めた。
「あ、ありがとう!」
シャーペンを受け取った少女が、無邪気に笑う。
それだけで地球の滅亡が回避されたと言わんばかりの切り替えの早さに、ハセヲもつられて笑ってしまった。
761夏の風の中で 7:2006/07/19(水) 01:30:09 ID:XoHSGbxx
猫のように軽い足取りで少女が席に戻ると同時に、教室の引き戸が再び開いた。
禿頭の古文教師が姿を現し、補習の開始を告げる。
どうやら補習の参加者は自分たち二人だけのようだ。
試験後友人たちから聞いた話からすれば、順当だろう。
問題は課題文の意味さえとれれば解って当然のものばかりで、その課題文自体も平易なものだった。
今振り返れば、間抜けな話である。
勉強熱心でこそないが、ハセヲの学力は決して低くはない。
その時は志乃と仲違い(というか、自分が一方的にふて腐れていただけだったが)していて気分が沈んでいたので、
そもそも課題文を読むのを放棄してしまったのだ。
とはいえ、補習を受けるのは面倒ではあったが嫌ではない。
最近は一人でいると気分が塞ぎこんでしまうし、かといって能動的に何かをする気力もない。
終業式から補習が始まるまでの数日間は酷いものだった。
だから、どんなに面倒でくだらないことでもやることがあるのは有難かった。
ふと視線を教卓から隣に移し、少女の表情を盗み見る。
もちろん、補習の前置きのつもりか赤点を取ったことに対して説教を続ける教師には気づかれないように。
彼女は無表情なハセヲとは対照的に、説教を真に受けているようで少し沈んだ表情をしていた。
真面目なんだな、と少し感心しながらハセヲは少女の横顔をしばらく眺めた。
762パック ◆JuT3jsxZbo :2006/07/19(水) 01:33:34 ID:XoHSGbxx
以上、次回は7月25日。
地理的な関係からハセヲの通ってる高校(のモデル)がわかった人もいるでしょうが、
イメージで決めたので実際とは全然違うと思います。
ですのでここにもし卒業生の方がいらっしゃっても突っ込みはご容赦願います。
あくまでフィクションと言うことで。申し訳ありません。
763名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 01:37:37 ID:OK+7ar2m
GJ
続きも、楽しみにしてます!
764名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 03:21:32 ID:tqX/jpp1
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
少女はやっぱり、あのキャラですよね。
飼い猫とドライブワロスww

>>750
パロディGJ!!うすた京介フォントが容易に想像できた自分に呆れ(ry
765名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 09:45:14 ID:dO6FeLtW
>>762GJ

その高校友達がいってるとこかも

てか家近い
766名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 20:06:58 ID:w6YbDnWp
GJ
最高だよあんた
767名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 21:36:57 ID:BsjBP/84
>>765
・・・・・・
768名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 21:59:08 ID:gkYA+jiF
あれ、ここ年齢制限(r
769名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 00:15:43 ID:3F/8Ublb
高校生の友人を持つ大学生とか、そんなに珍しい事でもあるまい。
770 ◆PzDeastE6E :2006/07/20(木) 01:09:35 ID:MCXYWrIj
あんまり意味なさそうだけど俺も鳥つけときます('A`)
今回は何時もより短いです。普段から短いけどな!(まさに外道
771 ◆PzDeastE6E :2006/07/20(木) 01:10:11 ID:MCXYWrIj
 先ほどまで全く見れなかったハセヲの目。マク・アヌの薄い光に照らされる真紅の瞳。
 しっかり見て、そしてはにかみながら精一杯笑う。
「揺光……あの、さ。ひでえ事言っちまうかもしれねえけど……俺達会って間もないし、
 第一これネットゲームだろ? 実際に会ったわけじゃねえ。それでも、俺と一緒がいいってのか?」
「……冗談でこんな事言うわけないだろ?」
 本気だ。と、リアルで目を見たわけではなかったが、ハセヲもやっと理解する。
「せめて、リアルで会ってから決めても遅くないんじゃないのか?」
「それは、ダメだ」
 一転して、揺光はつらそうな表情になる。
 ハセヲには意味が理解出来なかったけど、すぐに揺光はその理由を口に出した。
「リアルでハセヲに会ったら……あたし、絶対諦められなくなる。
 今だって、あたしより先にハセヲと知り合ったアトリやパイに、嫉妬してないわけじゃない……!
 それに、志乃にだって――」
 ここから先の言葉は、また詰まってしまったようで、揺光は俯いたまま何も言わなくなってしまった。
 確かにハセヲは、普通の友人達へ向けるものとは違う思いを志乃に抱いていた。
 志乃を的確に表現するには、オーヴァンに心酔していた強い女性、という言葉が一番近いと思う。
 そう考えれば、ある種の横恋慕のようなものにも思える。
 しかしよく分からない男ではあったが、オーヴァンにもそれに近い感情を抱いていた。
 ハセヲと志乃と、オーヴァン。形容するなら、ひどくいびつでそのわりに丈夫な絆で結ばれた『家族』ではなかったか。
「……志乃は、そういうのとはまた違う」
「こんな事言って、わがままだってことも分かる。
 けど、あたしにそうやって期待をさせないでくれ……!」
772 ◆PzDeastE6E :2006/07/20(木) 01:10:44 ID:MCXYWrIj
 吐き捨てるように、自分への嫌悪を露にして。
 ただただ強く在ろうとしていた揺光は、こうして誰かを好きになったことはなかった。
 そして恋愛という初めての体験をした時、今まで見えなかった自分自身の醜い部分が際立ってしまった。
 愛される資格はない。ならばせめて――
「揺光……」
「今、ハセヲが『違う』って言って、あたしはどこかで喜んでたんだ。
 嬉しいんだ、でもそれが凄く嫌なんだ……自分が嫌な奴だって思い知らされるんだ!」
 いつも自信に満ち溢れ、高圧的とも言える態度の揺光。
 だが、今テラスの柱に身体を預けている彼女は、自分の肩を引き千切ってしまいそうな程強く掴んでいる。
「やめろ……揺光」
 その自身の肩を掴む手を無理矢理引き剥がす。
「ハセヲ……あたしは、さっきも言った通り傍に居たいと思ってる。
 けど『そこまで』でいいんだ。だから、あたしに優しくする必要は」
「これは、俺がやりたかったからやるんだからな」
 言葉を遮られ、呆気にとられている揺光。
 その口を、ハセヲの唇が強引に塞ぐ。その瞬間、揺光の身体がびくんと跳ねる。
「んぅっ!?」
 何かが入ってくる感覚に驚きの声も口を塞がれていて中途半端にしか出なかった。
 舌が口内へと侵入し、奥に引っ込んでいる舌に触れる。
 滴る唾液、滑らかな舌、柔らかな唇――全てが脳を痺れさせた。
 彼女の瞳を染めていた自虐という色は既に溶け、今の行為へと陶酔する。
 引っ込んでいた舌もやがて伸び、彼の舌へと進んで絡み合って行く。
 一時それを繰り返し、息が苦しくなってきた頃唇を離す。
 か細い糸のような唾液が舌と舌を繋いでいたが、やがてぽつんと床に落ちる。
 彼も彼女も、また一時の間互いの荒い呼吸を感じていた。
773 ◆PzDeastE6E :2006/07/20(木) 01:12:37 ID:MCXYWrIj
「……」
「悪かったな」
「……っ」
 急に今までの気恥ずかしさが襲ってきたのか、薄暗い中でも分かるくらい顔を真っ赤にしたまま、
 挨拶をする事すらも忘れ揺光はログアウトしてしまった。
「やっぱ、やり過ぎちまったかな……」
 今度会ったときは、もう少し優しく出来るよう努力しよう。
 そう考えながらハセヲもそのままログアウトした。
 皆帰った、と伝えに来たカナードの二人を置いてきぼりにして。

 ログアウトした揺光だったが、改めて考える。異常な出来事だった事に。
 ハセヲだったら……まあ、おかしくはない。AIDAの影響を受けているということならば。
 でも、何故揺光にまでハセヲの体温や唇の柔らかさまで感じ取ることが出来たのか?
 赤飯でも炊こうかというくらい嬉しい出来事ではある。
 好きな男に触れて、好きな男を感じて、それで嬉しくないはずがない。
「AIDAのお陰で、ハセヲ『本人』とキス出来た……」
 もしかするとあのときの異物感が、AIDAだったのか?
 AIDAは排除するべきバグだと思っていたけど、これではAIDAに助けられてるみたいじゃないか。
 ……とはいえ、ただ敵にやられるだけでも死ぬ可能性が伴うようになってしまったのも、また事実だけど。
 いつの間にか、時計は午前一時を回っていた。
 そろそろ寝ようかと思っていた時だ。
774 ◆PzDeastE6E :2006/07/20(木) 01:13:18 ID:MCXYWrIj
 ――未読メールが一件あります
 
「ハセヲからか」
 メールを開く前、件名だけが目に入る。
 この時点で、揺光は苦笑してしまっていた。
 件名:ごめん。
 本文:昨日の事は、言った通り俺が勝手にやった事だ。
    嫌がる事しちまって、ごめん。
    あと、嫉妬とかそういうのって誰でもしちまうもんなんじゃねえの?
    気にすんな、ってこういうと気にしちまうのかもしれねえけど(苦笑)
    落ち着いたらまた連絡くれよ。

「ハセヲの奴……」
 多分、あたしがアイツに言った事を気にしてるんだろう。
 気にするな、という方が男にとっては無理なのかもしれないが。
 正直な話、ハセヲは志乃を好きなのだと思っていた。
 ただその『好き』という感情が、考えていた感情とだいぶ違っていたらしい。
 ……勝手に勘違いして、勝手に自己嫌悪して、その癖ハセヲの言葉に救われて。
 全く、みっともない話だと自分でも思う。
 それでも、宮皇だった時――プライドの塊だった頃の自分に比べれば、今の自分は好きかもしれない。
 ワガママな自分の性格は変わってないが、自分の気持ちに素直になれている。
 ハセヲや、ハセヲの友人達と関わり始めてからだ。
 一番大きいのは、やはり庇われた事なのだろうと思う。
 ハセヲは別にあたしが相手だから庇ったわけじゃないってことは分かる。
 そしてだからこそ、役に立ちたいと考えた。
 実際のところさっぱり役に立ってないのが辛いところだが。
「どうしたら、ハセヲの役に立てるんだろうな」
 好きだ嫌いだ言う前に、そこから始めるべきだ。
 AIDAからも助けてもらって、情けないところを見せてしまって。
 これじゃハセヲに寄りかかってるだけじゃないか。
 ふと、自分の考えだけじゃ解決しないのではないかと思い至る。
 ある人物に向けて、メールを送信して――
775 ◆PzDeastE6E :2006/07/20(木) 01:14:22 ID:MCXYWrIj
― パロディモード ― 

※ネタ要素が強いというかヒドイです。
 普通の話が好きな方は見ないことをお勧めします。

 ――未読メールが一件あります
 
「ハセヲからか」
 メールを開く前、件名だけが目に入る。
 ……ハセヲからなのは分かるが、妙な件名だった。

 件名:このメールを見て
 本文:うしろをふり向いた時 おまえは




    

         死ぬ



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
776 ◆PzDeastE6E :2006/07/20(木) 01:15:27 ID:MCXYWrIj
 ディスプレイには何も映っていない……
 誰か居る気配もない……当たり前だが……
 ハセヲのPCがウィルスか何かにかかったのだろうか。

「いったいなんだこれは……!! 急にザ・ワールドへのログイン画面……バカな……認証もしてないのにキャラが……!!」

「あ、揺光さん……こんにちは」
 後ろから声を掛けられる。この声は……アトリだ。
「ああ、こん」
「そぉぉぉおおおい!!!」
 ガキン!!!
 金属音と共に揺光のアホ毛が折られ、そのまま意識が遠くなっていった。
「ふふっ……外し方……間違っちゃいましたね……♪」
 最期に見たアトリの顔は、仮面のように無機質な笑いを浮かべていた。
777 ◆PzDeastE6E :2006/07/20(木) 01:16:32 ID:MCXYWrIj
以上。一週間以内には続きを投下できる、といいなぁ('A`)
778名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 01:36:05 ID:XOQ+9O6T
おつ、ぐっじょぶ。

アトリKoeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!
779名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 02:59:30 ID:ncEpVrGg
 ま た う す た かwwwwww

遥光可愛い〜
780名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 22:36:27 ID:XcvGqn27
淫光めっさ可愛いすぎて顔がにやける。
781名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 02:41:22 ID:osVG1USH
折れるんだ・・・
782名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 16:23:17 ID:osE+Fem5
アホ毛=取れる
はもう世界の常識になりつつある

気がしなくもない
783名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 18:44:42 ID:YQXeQ3l3
>780
さりげない誤字(?)に気付かなかった。
似てるけどエロエロなんだな?
784名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 23:02:15 ID:bheLIAbC
容量やばくない?
785名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 23:30:43 ID:dLacUjVO
タビーともふもふしたい
786名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 00:51:12 ID:ChjiHDaZ
GUラジオ生できいた
なんかAIDAについてネタばれっぽいこと行ってた
787パック ◆JuT3jsxZbo :2006/07/26(水) 00:43:52 ID:aspCLQez
途中で容量足りなくなりそうなので新スレ立てさせていただきました。
続きはこちらでどうぞ。
.hackのエロパロ vol.9
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1153842129/l50
788名無しさん@ピンキー
あと、11KBくらいでちみっちょく残ってんだよね…。