.hackのエロパロ vol.9

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934933:2006/10/17(火) 14:19:18 ID:D8sXV0da
久しぶりに初めてログインした場所。
「悠久の古都… ねぇ」
あたしは呟く。夕暮れの街。広くて迷ってしまいそう。
ここは、The WORLD R:2。
あたしは前の世界ではヘビーユーザーだった。… いや、ならざるをえなかった、って言うべきかもしれない。

久しぶりの世界であたしは伸びをする。
「グラフィックの技術の進化も凄いものがあるのねー」
リアルと大して変わらないような綺麗なグラフィック。

ふっと気になってあたしはエリアワードを組み合わせる。
「Δ隠されし 禁断の 聖域」
それは、あたし達の始まりの場所…―――

+++++

「んー… どっか変わってるかも…」
あたしは一本道を歩く。聖堂の扉は閉まっていた。
「なんか、雰囲気が違うな」
なぜか感じた違和感。それは扉を開けるとはっきりとわかった。
「アウラ? 嘘ッ!」
思わず叫ぶ。台座に駆け寄っても、もう何も無い。天を仰ぐと振子も無くなっていた。
「嘘…」
ぼうぜんとあたしは座りこんだ。PCが涙を流している(コマンドを打ち込んだワケじゃないのに)。
「何で… アウラ… ううん、アウラ。アナタは世界になったんだよね… だから… だから今ココにいないんだよね?」
誰かが頷いた気がした。あたしはふっと笑う。
「うん、大丈夫。遅くなってゴメンね… アウラ」



この時に、背後の足音に気付いていたら。そしたらあたしのその後はは変わっていたのかも知れない。
935933:2006/10/17(火) 14:22:35 ID:D8sXV0da
背後から右腕が伸びて口を覆った。
「ぐン!?」
背後を見ようとしても見れない。怖い。ってかあたしまだLv1だし。PK、ってやつなら多分背後からグサリなんだろうから違う、と思う。怖いとか思ってる割にあたしは意外と冷静だった。
「ん!! んー!!」
「黙れ」
冷たい声。一瞬であたしは凍り付いてしまう。この場にカイトやミストラルが居たら、なんて思ってしまった。
「…」
「いい子だ」
あたしはもう子供って年齢じゃないっつーの!! 叫びたくなったけど叫べない。だって下手なコトしたらキルされそうだから。それと、これは何故か感じたんだけど… あたしの感覚はこのPC…ブラックローズと繋がってる。そう感じた。
ゆっくりと口を外される。
「アンタ、誰? あたしに何する気?」
ふっと笑うような仕種。くそ、引継ぎができていたならあたしは攻撃でもして逃げられるのに!
「誰なの」
「オーヴァン、だ」
そう言ってあたしの腰辺りを撫でる。ぞわりと鳥肌が立った。腰から撫で上げるように胸に辿り着く。
「嫌ッ!! 止めて!!」
これは、カイトとしかしたことのない行為の前戯のようだった。どうしようもない嫌悪感に暴れだすあたし。
「ッ!!」
「暴れるな」
頬に剣の切っ先が突き付けられる。ぴっと音がして切れた所が痛い。キルされる? それとも…
びりっとした痛みと共に、身体の自由が利かなくなった。吊り男のタロットでも使われたのかもしれない。
「…、ゃ、ぃゃ」
震えるあたし。歯の根があわない。カチカチと鳴っている。
後ろの男はまた笑ったようだった。
男は何も言わずにあたしの軽装を解いて、乳房を鷲掴みにした。痛い。痛さの余り少しだけ呻く。それにまた笑う男。ぐにぐにと力任せに揉まれる。
「痛」
嫌だ。あたしたちの思い出の場所で、思い出を穢すようなマネ、したくない。
「嫌、嫌」
「黙れ」
「なんでアンタ、こんなコトするの」
穢されるくらいなら、キルされた方がマシ。思い出も、あたしも。だって、あたしはカイト以外は知らないし知りたくもないんだし。
「こんなことするんなら、キルしてよ! そっちのがマシよ!!」
くつり、と背後の男が笑った。怖い。確かに怖い。だけど、怖くはないと言い聞かせて言葉を続けた。
「答えるかキルするか、どっちかにして!!」
男は答えずに行為を続ける。肌蹴られた胸が寒い。それは普通の寒さだけじゃなく、恐怖のせいもあるかもしれない。
手袋のざらざらとした感触が嫌だ。そういえばカイトも手袋をしていたな、と思った。不意に涙腺が緩みそうになる。こいつの前で泣いてたまるか。絶対泣かない。… このまま、レイプされたとしても。
胸をまさぐられる。乳首に触れられた。
936933:2006/10/17(火) 14:24:40 ID:D8sXV0da
「ひッ!」
焦らすように周囲に触り、思いだしたように核心に触れる。手馴れた様子の男。あたしは震える。
「イイだろう?」
「ま… さか」
よくなんてない。カイトとの方がよっぽど気持ちイイ。見えない顔を睨みつけるようにあたしは肩と眉間に力を入れた。
ゆったりと男の手は下に降りる。動けないあたしはそのままその手を感じるしかできない。へそのあたりをぐりぐりと人差し指で刺激されて身を捩ろうとした。
「やッ!!」
嫌だ、こんなコトされたコトない。頭が白くなりそう。くつりと後ろで男はまた笑う。
「嫌!! 止めてッ!!」
「止めるとでも思うか?」
嘲笑われるよう言われてにあたしは顔を赤くする(勿論、怒りでだ)。動けたらカラミティでもぶっ放してやるのに。
あたしが抵抗しようとするのが面白いのか、男はへそを刺激し続ける。
ぞわぞわと鳥肌が立つ。そのままへその下に手を伸ばして、肝心な部分に装甲の下から触れた。
「ッ!!」
身体が震える。嫌だ。カイトにしか、カイトだけにしか見せたくないあたしの部分。恐怖がぶり返す(今までだって怖くなかったワケじゃないけど)。
「イイだろう?」
「んなワケ、ないじゃん」
震える身体。明らかに強がり。声だって震えてる。強情なあたしにじれたのか男はあたしの一番敏感なところを摘み上げた。
「アアッ!!」
思わず高い喘ぎ声を出してしまうあたし。こんな風に感じてしまうあたしが嫌だ。カイト以外とは絶対嫌なのに。
「濡れているじゃないか?」
ずっと抜いた手袋は水っぽいモノで変色していた。それにも嫌悪感しか感じない。
その濡れた手袋で腰回りの装甲を外される。今あたしが身に着けて居るのは肩当てとチョーカー、ピアス、そしてブーツだけ。
「ッ、やぁ」
中に指を突っ込まれる。焦らすように優しい手つきがカイトを思いださせて嫌だ。もう二度と、カイトに触れられないかも知れない。そう考えると涙が出そうだった。
「気持ちよさそうじゃないか… 」
くつくつと背後で笑う男の声。身体は勝手に男の指に反応する。指で穴を広げると、どろりと愛液が流れた。
937933:2006/10/17(火) 14:27:00 ID:D8sXV0da
「ッあああっ!!!」
いきなり射れられて声が出た。涙が滲みそうになった。いや、いやだ。後ろから敏感な所を弄られて声が出る。
「やァ!! あんッ」
背後で嘲笑われている。だけど、声は自然と出てしまう。
「やだァっ、たす、たすけて、カイトぉ!!」
ぴたりと後ろの男が止まる。あたしは逃げようともがく。だけど腰をがっしりと掴んでいる男の力には叶うはずもなく、更に激しく打ちつけられた。
「ああっ、や、あん、カイト、たすけ、カイト、カイトッ!!」
無意識にあたしはカイトの名前を叫んでいた。そのたびに男は乱暴になっていく。
最後に思いっきり捻じ込まれて、胎内に熱が広がった。そのままあたしは聖堂の前に打ち捨てられた。

あたしのPCに渡されたメンバーアドレス。すぐにデスクトップに戻って消去した。


「う、えぇッ」
H2Dを外してトイレに駆け込む。洋式便座に縋りついて胃の中身を吐き出した。
「ふ、う… カイトぉ…」
泣きたかった。だけど、怖くて泣けなかった。
938933:2006/10/17(火) 14:28:59 ID:D8sXV0da
以上で終了です。
このネタ思いついたきっかけがオヴァの「黒い花が好き」発言ですた。
普通そこはハセヲに行くだろっつー突っ込みは無しの方面で…

以上、乱文失礼いたしましたm(._.)m
939揺光モノ「光の中に咲き誇る花」 結成編2:2006/10/17(火) 14:57:40 ID:+Ruckr2M
>>913の続き

「疾風滅双刃!!」

アタシの双剣が、空を駆る。
鋭く振るわれた攻撃はターゲッティングされたモンスターのHPがガシガシと削る。
そして隣では、ハセヲが同じスキルを使用して敵にトドメを刺す。
―――やっぱり、練装士なのに、強い。

戦闘が終了して、武器をしまう。
そしたらまた、獣神像へ向かって走り出す。
アタシとハセヲの間に、会話は無かった。
何と言うか、話が出来る雰囲気じゃ無かったから。
ハセヲもそれを察してくれているのか、アタシが話すまで待ってくれているみたいだった。
その不器用な優しさが、少しくすぐったい。

このエリアの敵は、大して強くは無かった。
問題無くモンスターを駆除し、すぐに獣神像へとたどり着く。
あ………もう、終わりなんだ。
そろそろハセヲに、話を切り出してみよう………

「………もういいだろ? 揺光。 いい加減に話してくれよ」

………先に言われた。 何だか、ハセヲと一緒に居ると調子狂うなぁ。
アタシは、後ろを歩いていたハセヲの方へ振り返る。
真剣な眼差しでこっちを見ているハセヲ。
―――話そう。
彼なら、分かってくれそうな、気がする。

「………ハセヲ、実は………」

―――――――――――――――――――――

「ログアウト」のコマンドを押す。
ゆっくりと消えていく、モニターの『The World』の画面。
アタシはM2Dを外してPCの隣に置くと、すぐにベッドに横になった。
仰向けに、大の字に倒れこむ。
視界には、いつもと同じ、リアルの部屋の蛍光灯。

「………良かった。 ハセヲ、やっぱり優しいんだな」

アタシは天狼がおかしくなった事を包み隠さず、ハセヲに話した。(流石に犯された事は話して居ないが)
最初は黙り込んでいたハセヲだったが、タウンに戻った後、碧聖宮に参加する事を承諾してくれた。
………嬉しい。
それと共に、トーナメントでハセヲと共に戦える事を想像して、自然と口元が緩む。

「………明日にでも、ハセヲを誘ってレベル上げにでも行ってみよう」

碧聖宮は紅魔宮よりも参加者のレベルが高い。
アタシもハセヲも、まだ碧聖宮の上位ランカーや、天狼にはレベル的に及ばないだろう。
どこのエリアにしよう、草原にしようか、荒野にしようか、ダンジョンにしようか………
いや、止めておこう。
明日―――明日になれば、また、会える。
時計を見れば、既に夜の11時をまわっていた。 明日は学校もある。
早めに床についておこう。
布団を顔が隠れるまでかぶる。
そして丸まった布団の中で、アタシは小声で、しかし勢いのある口調でつぶやいた。

「ハセヲ………アタシは一途で、しつこいからなー!!」
940名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 15:37:28 ID:ReYSkF0Q
>>933>>939
超GJ!!1
941揺光モノ「光の中に咲き誇る花」 ハセヲ?編1:2006/10/17(火) 15:47:25 ID:+Ruckr2M
 To:ハセヲ
 送信時刻:10/17 16:45:28
 題名:修行だ!
 件名:碧聖宮の奴らに対抗するには、もっとレベルを上げないとダメだ!
    Θ託ける 迷夢の 通い路 で、ちょっくらもんでやるよ!


「これでよし、送信、っと………」

学校から速攻で帰宅したアタシは、すぐにPCを起動してハセヲにメールを送る。
無論、修行と称してハセヲを冒険に呼び出すためだ。
モニターに『Sending...』の文字が流れる。
送信し終えたアタシは、即『The World』のアイコンをクリックした。

―――――――――――――――――――――

アタシのキャラ『揺光』が、ドル・ドナのカオスゲート前に現れる。
鮮やかな緑と、それを往来する沢山のPCの姿。
がやがやと話し声が聞こえる。 うん、賑やかなのはいい事だ。

「よう。 遅かったじゃねぇか」

「え? ―――あ!」

不意に背後から声を掛けられ、とっさに振り向く。
そこには、腕を組んでカオスゲートに寄りかかっていた、ハセヲが居た。
………何と言うか、早すぎ。
アタシがメール送ったのは、つい1,2分前だ。
それで『遅かったな』って………せっかちだか何だか。

「よ、よぅ、ハセヲ! さ、早速、エリア行こ!」

あんまり吃驚したものだから、声が裏返ってしまった。
恥ずかしさを堪えるべく、ハセヲを横切ってカオスゲートに触れる。
ワードを打ちこもうとしていたアタシだったが、『ポーン』と言う聞きなれた音がして手を止めた。

「ぁ………『PT編成希望』………」

「たく、PT組まないとレベル上げにならないだろ? 昨日もエリア言った時、PT組まなかったし。 あんまし焦るなよw」

「あ、焦ってなんか無いっ!」

そう言えば、昨日も今日もPTを組むのをすっかり忘れていた。
昨日はまぁ、天狼の事とかオーヴァンに会ったとか、色々あったから忘れてたけど。
自分でレベル上げに誘っておいてPT組むのを忘れるなんて。 おまけにハセヲにからかわれてしまった。
思わず、顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。

「ほら、PT組んだんだから、エリア行くぞ。 Θ託ける 迷夢の 通い路 だったよな」

「ぁ、待ってよ、ハセヲ!」

そうこうしている間に、ハセヲは手早くエリアワードを打ち込んだ。
アタシもハセヲの横に並び、カオスゲートに触れながらエリアワードを打ちこむ。
同時に転送される、ハセヲとアタシ。

―――――この時は、知る由も無かった。 これから起こる事を。
そして、アタシの隣のハセヲが、アタシを横目で見下ろしながら不敵な笑みを浮かべていたことに。
942揺光モノ「光の中に咲き誇る花」 ハセヲ?編2:2006/10/17(火) 16:36:02 ID:+Ruckr2M
晴れた、草原のフィールド。
アタシとハセヲは、同時にエリアに転送されてきた。
平穏な音楽が流れる。
そこかしこに、見慣れた敵が散在している。
エリアレベルは、58。
アタシのレベルが55、ハセヲが56だから………まぁ、レベル上げには丁度いい強さかな。

「さーて、ハセヲ! とりあえずレベル上げだ! ガンガンモンスター狩って」

「揺光」

「は、はひっ!?」

突然、ハセヲの言葉で会話が中断される。
さっきもだけど、ほんとに吃驚だ。
思わず、上ずった声が出てしまう。

「な、何?」

振り返って、ハセヲを見る。
真剣な眼差しで、アタシを見ているハセヲ。
………何だか、イメージしていたハセヲ像と違うんですけど。

「お前に、話しておきたい事がある」

随分改まって、低く深い声で話すハセヲ。
それにつれて、見る見る赤くなってゆくアタシの顔。
こういうシチュエーションになったら、後は告白して、そのまま先輩の家へ駆け込む………てな展開の同人BL誌を読んだ事があったから、アタシは内心ドキドキしていた。
普通に考えれば、ハセヲの口からそんな『純なこと』が出てくるわけがないのだけど。
でも、ハセヲの口から出たのは、意外な事―――を通り越して、何が何だか分からない内容の話だった。

「………黒い斑点。 この世界のどこにも存在していない、でも確かにここに存在しているモノ。 ………知ってるか?」

「え?」

黒い、斑点? あ、確か、ハセヲとエンデュランスの紅魔宮タイトルマッチの時に変な黒点が画面に浮き上がっていたような気が………
! ………思い出した! あの時の黒点………昨日天狼の背後に漂っていた変な黒い斑点と、同じだ………!!

「………知ってる」

いきなり何を聞いてくるのかと思ったけど、自分には心当たりがあった。
もしかするとあの黒点は天狼がおかしくなった原因と何か関係があるのかもしれない。
引いては、ハセヲやエンデュランスの『力』とも、何か。

そして当のハセヲは、アタシの言葉を、腕を組んだまま、冷静に聞いていた。
―――――唇の右端を、アタシが気付かないくらいに少しだけ、吊り上げたまま。

続きは夜or明日………(´・ω・`)
943名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 17:09:09 ID:yzgceNDy
>>942
GJ
これはレイプの予感ですね
944名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 18:17:16 ID:nI8NGnbX
>>933
GJ!!
黒薔薇キタw
>>942
GJ!! これは…またもやられちゃうのか(笑)
続きに期待!
945残酷な堕天使達:2006/10/17(火) 19:51:30 ID:9+H70Mz/
「く・あ!・・・ふぅ・・・」
ぴちゃぴちゃと音をたて、ハセヲのアナルを舐め続けるアトリと、
左手で玉を扱き、右手で竿を激しく扱く揺光。
三ヶ所を同時に責め続けられている、ハセヲは、イケ無いことに嘆いていた
「そろそろ・・・」
ハセヲの穴を舐めていたアトリは呟き、ハセヲの穴に舌を侵入させた。
「あ、ああああ・・・。」
ハセヲは嘆き苦しんだ。


しばらくして、アトリは舌を抜き、細く白い中指をハセヲの穴に挿入した。
「うぐぅ!」
ハセヲは悲痛に顔を歪ませた。
「すごいですね〜全部入っちゃいました。」
アトリは中指の根元まで挿し込んだ。
そして、激しく何度も何度も、ハセヲの穴をかき回した。
それと、同時に揺光は、竿を扱く手を一層激しくした



今日は具合が悪いのでここまでです。
946パック ◆JuT3jsxZbo :2006/10/17(火) 21:28:49 ID:X/VwdpE7
今回の分、投下します。
947痛みの果てに 21:2006/10/17(火) 21:30:52 ID:X/VwdpE7
「冗談じゃないわよ……」
三十分程に渡る通話を終え、携帯を机の上に置いた静香は吐き捨てるように呟いた。
顔が歪んでいるのが鏡を見なくても分かったが、怒っているわけではない。
志乃の母親を名乗った女性から聞かされた話によると、志乃は静香が最後に会った直後から原因不明の昏睡状態になっているらしい。
静香への電話は、半月ほど前彼女が残した着信履歴からたどって来たものだった。
…………静香にとって志乃は、親しいと言える仲ではなかった。
何の因果か付き合いだけは長いが、それだけだ。
ただ一度同じギルドに所属していた事意外は余り接点がなかったし、ギルド―――黄昏の旅団に居た頃もついぞ友情を感じることはなかった。
同じ相手に好意というか、興味を抱いていたこともあったが、理由はそれだけではない。
彼女の事が、静香は苦手だった。
常に微笑を絶やすことなく、それでいて芯をしっかり持つ。
時折厳しいことも言うが、柔和な態度を崩すことはない。
かといって真面目一辺倒なつまらない女と言うわけでもなく、その言葉にはしなやかな機知と仄かな色香を漂わせている。
これがロールプレイだとしたらまだ救われたのだが、リアルで会ってみたらそのままだったのだからたまらない。
それに比べて………静香は、志乃と会う度そんな思いを感じた。
根暗で優柔不断、痩せぎすな上に仕事一辺倒で色気もない。
かといってネットで積極的になれるわけでもなく、ただ無気力に時間を浪費する。
つまり、女としての劣等感を感じていたのだ。
機嫌が良い時は適当に調子を合わせて笑う事も出来たが、へこんでいる時はそんな余裕などない。
二十歳を超えればそれが逆恨みだと言うことは自覚できたが、それを割り切れるほど静香の心は枯れていなかった。
いっそ消えてくれれば。
そう思ったことも、一度や二度ではない。
志乃は、三浦静香にとってそんな存在だった。
だが―――どうしたわけか、今の自分に爽快感など微塵もない。
哀しみと、彼女の容態への不安、そして自分への訳のわからない怒り。
ただ、それだけだった。
これじゃまるで、親友みたいじゃないか。
声に出さずに呟いて、静香は机に突っ伏した。
今日が休日でよかった。
この体たらくでは、しばらく自分は使い物にならないだろう。
何故か頬を涙が伝うのを感じながら、静香は午睡の中に落ちていった。
948痛みの果てに 22:2006/10/17(火) 21:33:11 ID:X/VwdpE7
「戦いに!」
「疲れた貴方を!」
「癒します!」
「「「我ら!回復戦隊、肉球団!」」」
掛け声とともに、登録したショートカットで目の前のPCに「活力のタリスマン」を使用する。
既に条件反射になってしまった操作を終え、久保萌は小さく深呼吸した。
「あなたの、そしてみんなの支援ギルド肉球団!よろしく〜」
既に何度繰り返したかわからない一連の動作を終え、目の前のPCの反応をうかがう。
今回の相手は、褐色の肌をスーツで覆い、ロマンスグレーの髪を固めたダンディな紳士だ。
「……ありがとう。丁度アイテムが心許なくなってきたところだった、助かったよ。何か礼をしたいが……」
紳士は一瞬だけ黙り込んだ後、その容貌に違わぬ渋い声で答えた。
「いーえ、ボランティアですから!感謝してもらえれば、それがお礼です!」
紳士の丁寧な返礼に、萌は少し浮かれた口調で答えた。
現在の位置に陣取ってかなりの間活動してきたが、こういった反応は珍しい。
大抵は一瞥して通り過ぎるか鼻で笑って捨て台詞を残していくかで、たちの悪い場合いきなり怒鳴られることまであった。
「そ、そうか。では、すまないが時間が押しているので失礼する。君たちに黄昏竜と女神アウローラの加護があらんことを」
節度と礼儀を失わない口調でそういって、紳士は去った。
「いやー、やっぱりいい人はいるもんだね。社交辞令でも嬉しいな」
萌のPC――タビーが上機嫌で後ろの仲間を振り返ると、何故か背の高い方――清作が考え込むような表情をしていた。
「そうですね。それにしても……」
「どうしたの、清作?」
「いや、さっきの人どこかで見たような……」
「もしかしたら、有名人だったりしてね!このクエスト、話題になってるみたいだから」
記憶をたどっているらしい清作に、背の低い方――英雄が茶々を入れる。
あの紳士が有名人かどうかは置いても、実際このクエストの注目度は相当のものだろう。
実際、肉球団としても三日間このプラットホームで入れ食い状態だった。
痛みの森。
それが、このダンジョンで開催されているクエストの名である。
滅多にないソロプレイ専門の上に短期限定と言うこともあるが、何より目を引くのはそのストイックなまでにハードな内容だった。
ダンジョンレベル設定なし、出現する敵はすべてエリアボスまたはそれに準じる強力モンスター。
エリアワードはクエスト終了後廃棄、クリア報酬非公開。
どちらかと言えばライトユーザー向けだった従来のクエストを考えれば、どれをとっても他に例を見ない異例尽くしである。
自然それは注目と話題を呼び、ここ一ヶ月ほどよもやまBBSのThe World板は痛みの森関係のスレッドで埋め尽くされていた。
他愛のない期待スレッド、攻略、死亡報告といったお約束から世界観的な考察、果ては最近話題の「未帰還者」と関連づけた怪談めいたものまで。
肉球団はそのブームに便乗する形で、ここ数日活動していた。
効果の程は……すぐにはわからないだろうが、感覚的にはそれなりにあったと思う。
結構な数のPCに回復をする事が出来たから、少なくとも宣伝にはなったはずだ。
清作から聞いた話では、よもやまBBSの関連スレッドでも何度か名前が出ているらしい。
とにかく、失敗と言うことはないはずだ。
まだ完全にクエストが終わったわけではないが、萌は既に確かな満足感を感じていた。
こんに夢中になって頑張ったのは、生まれて初めてかもしれない。
おかげで、リアルではひきこもり一歩手前の生活になっていたが……
949痛みの果てに 23:2006/10/17(火) 21:35:16 ID:X/VwdpE7
「タビーさん、これからどうしましょう?」
「にゃ?」
「そろそろ、潮時だと思うんですが」
清作の声で我に返ると、英雄の小さな欠伸が聞こえた。
時間は遅く、そしてタイムリミットも近い。
「そうだね。それじゃそろそろ……あ」
萌がそう言いかけたところで、足音が聞こえた。
「まだいるみたいですね」
「それじゃ今度ので終りね。最後のお客さん、綺麗に締めよう!」
「「はいっ!」」
萌の激に、二人が元気に答える。
気合を入れなおすように、萌は頬を叩いた。
「戦いに!」
「疲れた貴方を!」
「癒しま……え?」
折角の気合は、空振りに終わった。
少しずつ大きくなってきた足音ともに姿を現したのは、萌がよく知る黒衣の錬装士だった。
「……ハセヲ?」
「何やってんだよ、こんな所で」
「え?あ、ああ……」
真っ白になった頭のまま、萌がしどろもどろに答えた。
ハセヲは、感情を凍りつかせた冬の水面のような表情でタビーを見ている。
「ハセヲ?……PKKの」
「え?」
二人のやり取りに、清作が抑えた声で横槍を入れた。
PKKと言う言葉に、萌が思わず反応する。
「へぇ、もう知ってる奴いるんだな。だったら丁度良い。お前ら、三爪痕を知っているか?」
酷く冷たい、秋の風のような声でハセヲが言う。
こんな声は、リアルでもネットでも聞いた事がない。
「知りませんし興味もありません、そんな都市伝説……僕たちも、キルするつもりですか?」
「まさか。聞いてみただけだ。じゃあな」
同じく冷たい声で答えた清作に吐き捨てるように言って、ハセヲはダンジョンの奥に歩いていく。
冷房のせいだけではない寒さに震えて、萌は思わず両腕を抱いた。
950痛みの果てに 24:2006/10/17(火) 21:37:19 ID:X/VwdpE7
「清作、どういうこと?」
「何がですか?」
「とぼけないで。ハセヲがPKKって……どういうこと?」
ハセヲの姿が見えなくなり、タビーは視線を清作へ向けた。
彼の態度はいつもと変わらず冷静に見えたが、それがかえって怒りを煽る。
「BBSで偶然見かけたんです。黄昏の旅団の元メンバー、錬装士のハセヲが無差別にPKKをしてるって」
「何で!ハセヲが、どうして、そんなことするはず!」
感情だけが、萌の口から溢れる。
PKよりはましとはいえ、自衛以外のPKKは決して誉められる行為ではない。
ましてや、無差別になど――それじゃ、PKと変わらない。
萌の知るハセヲは、三崎リョウは、そんなことはしない――はずだった。
「落ち着いてください……彼は、否定しませんでした。それが事実です」
「どうして教えてくれなかったの!?」
「教えてどうしたって言うんです?タビーさんは、彼のこと避けてたじゃないですか!」
清作の言葉に、萌が思わず口元を抑えた。
確かにそうだ。自分は彼とこの世界――The Worldで会うことを避けていた。
それを清作には何度か相談していた。
だから――自分の言ってることは、滅茶苦茶だ。
「でも、それなら――聞いてたら」
「何かした、って言うんですか!?僕たちを放っておいて!」
「やめてよ、二人とも!」
売り言葉に買い言葉で荒れ始めた二人の口論を、英雄の怒声が遮った。
「せっかく、うまくいったのに……仲間なのに……どうして……」
気まずい沈黙の中に、彼の小さな嗚咽だけが響く。
「……ごめん、八つ当たりして」
「僕も、言い過ぎました。すみません」
それだけ言って、ログアウトするまで三人は無言で歩いた。
951パック ◆JuT3jsxZbo :2006/10/17(火) 21:39:26 ID:X/VwdpE7
以上。次回、金曜日(予定)
952名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 21:40:55 ID:U6VrjI3L
Bセットキター!!!
GJです。
でも英雄じゃなくて英世なのです
953名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 22:07:15 ID:Foy7Scax
GJ

ハセヲ、Bセットまで喰い殺しちゃうのか?w
954名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 23:02:23 ID:ps2Q6T1x
GJ!!

ちゃっかり太白も参加してるのかな?
955名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 23:36:11 ID:F3omOSL3
>>948自然そ〜じゃなく、自然とそ〜では?
956名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 23:45:13 ID:F3omOSL3
つか、スレ立て誰かすんの?
957名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 23:48:27 ID:hZIvY6LT
じゃあ立ててくる
958名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 23:51:45 ID:hZIvY6LT
立ててきた

.hackのエロパロ vol.10
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1161096673/l50
959名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 00:26:40 ID:9U4xTs4b
>>958
960揺光モノ「光の中に咲き誇る花」 ハセヲ?編3:2006/10/18(水) 00:43:05 ID:pa3KOd5n
>>942の続き

「知ってんだな。 なら、話は早い」

ハセヲはそう言うと、組んでいた腕を下ろして小さく笑った。
ハセヲは何か、あの黒い点について知っているのだろうか。

「なぁ、ハセヲ………あんたとエンデュランスとの試合の時も、昨日天狼に会った時も、その『黒い斑点』が見えたんだ。
 あれは一体、何なの………?」

『黒い斑点』。 ハセヲが言うに、『この世界のどこにも存在していない、しかし確実にここに在るもの』。
気になる。 存在していないけど確実に在るものって、一体どういうことだろ?
まあでも、何となくは分かる。
アレは、普通の『The World』には存在し得ないものだって事は………。

「………あの黒い斑点は、『AIDA』と称されるモノだ。
 お前も察してる通り、この世界には存在し得ない、仕様外の存在。
 アレは、プレイヤーに様々な影響を与える謎の現象なんだ」
淡々と話す、ハセヲ。
どうやらあの黒点―――"AIDA"は、プレイヤーに様々な影響を与えるらしい。
………様々な、影響? もしかして、天狼の異変とか、アタシが『The World』の中に意識を引き込まれたことも、やっぱりアレが原因………?

「あの黒点………"AIDA"は、今凄まじい勢いでPCからPCへと感染して行っているらしい。
 ほら、この前サーバー閉じ込め事件があっただろ? あの時以来、『感染者』は増え続けてる。
 そして、"AIDA"本体や『感染者』にPKされたプレイヤーは、未帰還者………リアルで意識不明に陥る可能性がある」
「何だって!?」
BBSや巷で噂に噂を呼んでいる『未帰還者』。
まさかそれを生み出す原因が、その"AIDA"だったとは。
だとしたら、それに取り憑かれたような風だった天狼が危ない。
確かに昨日、アタシは見た。 アタシを陵辱している天狼の背後に揺らめいていた、黒い斑点を………

「………ハセヲ、実は天狼が、その"AIDA"に取り憑かれているかもしれないんだ!
 こうしちゃ居られない………早く天狼を助けなきゃ………!!」

ハセヲの言う事が真実だとしたら、あれだけ沢山の黒点に憑かれていた天狼は、かなり危険な感じだった。
何とかして天狼から"AIDA"を分離しなければならない。
………どうやればいいのか、分からないけど。
でも分かる分からない以前に、まずは天狼と面と向かって話し合うしかない。
ちゃんと天狼についてる"AIDA"の事を説明して、その上で………CC社にメールしよう。
管理者ならば、こういった事情に対してもきちんと対処してくれるはずだ。
でもハセヲが発した答えは、予想だにして居なかった一言だった。

「………"AIDA"の能力ってのは、PCをキルして未帰還者にするだけじゃないんだぜ。
 分かりやすく"AIDA"の『力』に関して説明してやるよ………」

          "身を持って、な"

「―――――!?」

瞬間。
ハセヲの右肩から、無数の黒い"手"が伸びる。
凄まじいスピード。 避けるどころか、視認することすら出来なかった。
一瞬にして、アタシはその黒い手によって両手の自由を奪われてしまった。
何が何だか分からない。 恐る恐る、ハセヲの顔を見る。
表情は良く分からなかった。 だって、ハセヲのPCを、画面を埋めつくすほどの"AIDA"が、覆い隠していたから。

次回は明日………次から、ちょっと展開を変えてみよう(´・ω・`)
961名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 00:47:21 ID:1TTO/XcJ
>>960
GJ!
やべぇ、すげぇwktk
962名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 01:47:36 ID:J2Or4Iz1
GJGJGJHG
963名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 11:48:23 ID:H1oiqL4a
>>960
GJ!
なんか次スレも始ったみたいだから、こっちは適当に埋めるかな?
人も居ないようだし、朔×望あたりで、クックックッ…
964名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 13:09:50 ID:DQI1/7ue
965名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 18:10:20 ID:ncpaEd9c
966名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 18:15:09 ID:z5gEHaYw
967名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 19:47:13 ID:DQI1/7ue
こっそりぬるぽ
968名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 23:35:36 ID:7AYgeFVU
969名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 23:49:43 ID:yyuBXuS1
埋めつつ こっそり>>967ガッ
970名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 00:04:26 ID:E6kXaqzD
10分以内にレスがなかったら>>971がやさしい両手をピアノ演奏
971名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 00:09:29 ID:xGj888Cx
>>970 その幻想をぶち殺す! …スマンスレ違いだった
972名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 00:26:46 ID:mw/zhFc5
上条君乙。
973名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 10:27:55 ID:b382clGy
梅岡
974名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 11:04:50 ID:7/DS3D/0
梅田
975970:2006/10/19(木) 15:27:41 ID:E6kXaqzD
リベンジだ。
10分以内にガッされなかったらぬるぽ
976名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 15:36:42 ID:P7bklBBE
甘い。 ガッ
977名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 20:48:28 ID:E6kXaqzD
10分以内にレスがなかったら>>979がぬるぽ
978名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 20:51:07 ID:NavZ/3aq
979名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 21:12:06 ID:GwB+j2kf
ガッ
980名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 00:21:01 ID:F20GpYt+
981名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 00:21:04 ID:Jq4DJXyQ
30分以内にレスがなかったら>>981がハセヲのものまねをする
982名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 00:52:31 ID:Afd2GX/r
>>981
がんばれ
983名無しさん@ピンキー
>>981
期待してるぞ