【アンジェ】【遙か】【コルダ】ネオロマンスでエロ萌え5
保守よろしく〜
前スレのアリコレ、切なくてよかった。
アンジェほしゅ
前スレの切なかった。
アンジェ読んでないけどちょっと興味でてきますた
>>1おつ
アンジェはシリーズ出まくってどれ買えばいいかワカラソ
レビューの点も他に比べそんな高くないし
でも興味はある
>>1 乙
アリオスといえば貼るか3の本スレで話題だね
ところでその貼るか3はオナカイパイなのかな。一応まだ読みたいんだ
と言いつつ何でも歓迎。投下待ち
貼るか3書く人ならここよりも個人サイトかオフ優先でやってそうな気がする。
ブームが一段落したら増えそうだね
ほしゅ
保守。
十六夜記出たらまた投下増えるかな〜
なんか落ちそうで怖いな。
とりあえず景神子キボンヌ、と呟きつつ干す
ネオロマンスなら何でも来い、とひとりごちつつ
>>1乙
1乙!
前スレ続き待ちのネ申の再臨もまってます。
将望九望弁望、過去ログ読み返してきたら
続きが気になってしょうがないw
光宙 さんの神子総受けも待ってると言ってみる。
弁望投下させていただきます。
校正が全て終わっていないので前半のみでエロ未突入ですが、
保守代わりになれば幸いです。
19 :
『秋雨朱花』:2005/07/16(土) 23:36:44 ID:viEwYnEJ
梶原邸の庭の水辺には、燃えるような紅の花が一塊になって咲いていた。
もう長く降り続く秋雨がしとしととその花を濡らし、まるでけぶる炎のようだ。
雨を避けた縁側の下で、望美は小さく溜息をついた。
「元気がないね、姫君。花の顔が曇っているよ」
唐突な声に驚いて、近づく気配を悟れぬほどに気もそぞろであったことに気づく。
「そんなことないよ」
ヒノエ、すなわち太陽を自ら名乗る少年はその名のように、明るく華やかだ。
振り向く望美の真正面、余りに近く顔を寄せ、ごくごく自然に肩を抱く。
一連の流れるような仕草には惚れ惚れするような笑顔と、当然のように甘い言葉がついてきた。
「秋雨に憂える姫君というのもいいけどね、髪についた雨粒もお前を飾る瑠璃玉みたいだ」
「もう、近すぎるよ」
こんなヒノエの行動にはもう慣れっこになったとはいえ、赤い髪が頬を掠めてくすぐったい。
望美はヒノエの肩を両手でぐいと押しやって、困惑した。
ヒノエは押しやられた体制のまま、表情を消して望美の言葉を待っている。
脚色まじりの言葉とはいえ、
ヒノエには望美がなんらかの事柄に心を悩まされているということに気づかれてしまったらしい。
「…ほら、もうすぐ屋島で戦でしょう。なんだか空気も緊張してるし、それが不安で」
心を隠すときには、どういう顔をすればいいのだろう。
あの人なら、微笑みひとつで事を有耶無耶にするのなんて簡単なことなのだろうけれど。
脳裏をよぎる面影にまたひとつ、小さな溜息が零れる。
「ふぅん」
つまらなそうな相槌を打って、ヒノエは望美の傍らに座り込んだ。
「お前がそういうのなら、そういうことにしてやってもいいけど」
このしたたかな少年相手に、望美が隠しおおせることはそう多くはないのかもしれない。
思えば初めての出会いの時から、散々翻弄されてきたのだ。
血筋だろうか、よく似ている。
20 :
『秋雨朱花』:2005/07/16(土) 23:37:32 ID:viEwYnEJ
そう思うと、ついヒノエに向けた眼差しから笑みが零れてしまった。
先ほどまで萎れていた姫君の、雲間から差す日の光のような微笑はヒノエの言葉を詰まらせた。
「…。参ったな、どこでそんな手管をおぼえたんだい?」
「え、ちが…そういうつもりじゃなくて、えっと。別にごまかしてるわけじゃ」
予想外の展開に望美は慌てふためいてしまい、必死に違うと手を振って否定する。
けれどヒノエはただ笑っているだけで、望美もふと我に返ってみれば納得してしまう。
微笑んで事を有耶無耶にする、その有効性を望美は身を持って知っているのだ。
「…弁慶さん」
ヒノエはちらりと横目で望美を見たが、それきり話の続きを促すように庭に目を向ける。
濡れる緑と、紅い花。
夏の明るさとは打って変わって、どこか寂しい庭の景色を前に言葉はなかなか続かない。
「わからなくて。…その、言っていることが、本当なのか」
嘘なのか。
最後の言葉は口に出すのが怖くて飲み込んでしまったが、言いたいことは伝わったのだろう。
差し伸べられたその手のままに望美が座り込むと、ヒノエは忌々しげ舌打ちをして胡坐の上に頬杖をついた。
「アイツが何言ったんだよ」
「それは…」
口ごもる望美が思いのほか深刻な様子だったのが意外なのか、ヒノエは小さく眉を顰めた。
視線を落とす望美からは普段の覇気が感じられない。
「ごめん、それは言えないよ」
俯いた拍子にさらさらと零れる望美の髪に、ヒノエは手を伸ばしてきた。
触れては指から髪が零れていくのを手遊びのように何度も繰り返す。
「…雨、やまなければいいのに」
自分で呟いた言葉に望美は心ひそかに驚く。
雨が上がらなければいいと思っている、それは多分この先の運命を視ることを怖いと感じているからだ。
白龍の逆鱗は胸にある、望まぬ運命を変える力を確かに望美は持っている。
けれど知ることそのものが怖い、だなんてあまりに弱気すぎはしないだろうか。
らしくない、望美は自身でそれに気がついている。
21 :
『秋雨朱花』:2005/07/16(土) 23:39:58 ID:viEwYnEJ
「妬けるね、お前にそんな顔をさせるなんて」
ほらみせてごらん、とヒノエは望美の顎に手をやった。
相変わらずに浮かぬ望美の顔には、想いにやつれる者特有の艶がある、
それに望美自身が気づいているのかはわからない。
ならば気づく前にどうにかしてしまおうとしてヒノエはその頬にゆるく触れた。
零れる髪を掻き揚げてやると望美の丸い瞳が何事かと瞬きを繰り返す。
不穏な気配を感じ取られぬようにとっておきの微笑みのまま顔を寄せる、その唇を掠めた瞬間、
「…っ」
無粋な足音が集団で聞こえてきた上に、その一瞬の躊躇が望美に現状を悟らせたらしい。
慌てて後ろ手をついて、上半身を目一杯後方へ仰け反らせたあげく、真っ赤になって口をぱくぱくさせている。
「ちょ、ヒ、ヒノエくんっ?!何」
どうにも興がそがれて、思わず噴き出してしまうのを抑えていることなど知るよしもない。
慌てる望美を前にして、後方を振り返って確かめると見知った2人が立っていた。
「ヒノエ…」
敦盛はヒノエの名を呼んで絶句した挙句見てはいけないものを見てしまったかのように目を逸らし
ただそこに立ち尽くしたままであったが、もう一人はそうはいかなかった。
柔和な微笑は常と変わらず、足音も静かに歩み寄る。
不審をあらわに様子を伺うヒノエには目もくれず、望美に手を差し伸べて立ち上がらせる。
「…ヒノエが何か無礼を働いたようですね」
「え?」
「僕があとできちんと叱っておきますから、ご安心を」
何と答えていいのかわからずに戸惑う望美を前に弁慶はちらとヒノエを見やり、
やはり変わらぬ微笑のまま望美に柔らかな目を向ける。
22 :
『秋雨朱花』:2005/07/16(土) 23:42:29 ID:viEwYnEJ
「…花を見ていたんですね、近くへ行ってみますか?」
「はい、あ…でも雨に濡れちゃう」
声を弾ませて答えたものの、望美は空模様に惑いを見せる。
「こうすれば濡れませんよ?」
弁慶は片手で持ち上げた外套の中にいとも容易く望美を誘う、
そして躊躇いながらもそこに収まった望美と二人庭へと降りていった。
行ってくるね、と姫君に一声残されてもいい気分がするわけもない。
舌打ちしたヒノエに、同じくその場に残された敦盛が遠慮がちに声をかけてきた。
「…ヒノエ、その」
「あと少し遅く来いよ」
「…あ…すまない」
生真面目に謝罪する敦盛にヒノエは苦笑して、冗談だ、と言っておいた。
幼馴染はいつまでたってもその手の冗談が通じない相手なのだ。
「長雨に土がぬかるんでいますから、気をつけて」
滑って土に足をとられる前にしっかりと注意され、
さらには笑顔で「僕に掴まってかまいませんよ?」などと言われては、
望美の緊張に拍車がかかるのも当然のことだった。
ただでさえ、否応なしに触れるほど近いというのに、
この状態で掴まれだなんてしがみつけといわれているようなものだ。
せめて緊張を緩和しようと望美は努めて明るく振舞う。
「そしたら私が転んだら、弁慶さんも転んじゃいますよ?」
「おや、僕は君一人も支えられないと思われているんですか?心外ですね」
「そ、そうじゃないですけど…」
寄り添って歩けば、温もりが伝わってくる。その温度は望美をどこか落ち着かなくさせる。
23 :
『秋雨朱花』:2005/07/16(土) 23:44:27 ID:viEwYnEJ
「…この花は今の時期なら鴨川沿いにも咲いているでしょうね」
群生する緋色の花を前に、弁慶はぽつりと呟いた。
「手折って差し上げたいところですが…君の髪に飾るには、相応しくないのが残念です」
「こんなに華やかな花、飾れませんよ」
「…そういう意味ではありませんよ、これは根に毒があるんです」
花に触れようと伸ばしていた望美の手がぴたりと止まる。
「ああ、さわるだけなら大丈夫ですよ、根も毒抜きさえすれば急事の食料になりますしね」
「弁慶さん、さすが植物にも詳しいんですね」
ええまあ、とあいまいな返事を返す弁慶の気配がすっと変わる。
「…僕に、何か聞きたいことがあったのではないですか?」
不意に抑えた低い声が耳に響いた。
それはやわらかな形でありながら酷く硬質的で
望美が今まで感じていた高揚のようなものは、急激に冷えていく。
足元には紅い花、すぐ傍らの水面には雨粒の波紋がいくつもできては消えていく。
そして水面にうつる2人の鏡像はその波紋に何度も何度も壊されて、
「…平家に寝返るって言ってたの、本当に本気なんですか?」
鏡像の弁慶が微笑む、けれどそれは雨粒に歪み真意の見えぬ表情にしかならない。
「…そのことですか。ええ、もちろん本気ですよ」
「………」
「そんなに深刻な顔をしないでください、君は本当に素直な人ですね」
話を聞くふりをして、結局は真実を煙に巻くつもりなのだろうことは察しがつく。
それは怒りや悲しみよりも、無償に寂しいという感情を呼び起こしてしまい、
望美は臆病なことに水面だけしか見つめられなくなってしまった。
24 :
『秋雨朱花』:2005/07/16(土) 23:46:02 ID:viEwYnEJ
「…からかいが少々すぎてしまいましたか?」
「え?」
「ああ、ようやくこちらを見てくれた」
本当なのか、嘘なのか、やはり答えは示されない。
「大丈夫ですよ、君を悲しませるようなことはしませんから」
「でも、弁慶さんはっ…」
思わず声を荒げた望美の唇に弁慶の人差し指がそっとあてがわれる。
「僕のように平気で嘘をつく人間の言葉なんて、やはり信じてはもらえませんか?」
弁慶の微笑みにほんの僅かな自嘲が混じる。
罪悪感に捕らわれた望美が結局、言葉を仕舞いこむのと同時に弁慶は言葉を続けた。
「…今夜もう一度、話をしましょう」
縁台の2人を意識してのことと知り、望美は小さく頷いた。
「私、弁慶さんを困らせているんですね。…ごめんなさい」
「いえ、こうして君と2人で花を見られるのは役得ですよ」
そうやって弁慶が微笑むたびに、望美には何が真実なのかわからなくなってしまうのだ。
縁側のヒノエと敦盛は幼い頃から互いを知る者の気安さで楽しそうに話をしている。
いつも俯きがちの敦盛だが、ヒノエの前では稀に笑顔を見せることがある。
幼い頃から知っていれば、手の内を見せないこの人の真実にもっと近づけたかもしれない。
望美は弁慶の昔なじみでもある2人を、羨ましく思った。
25 :
『秋雨朱花』:2005/07/16(土) 23:48:58 ID:viEwYnEJ
雨は夜になっても降り続いていた。
夕餉の後数刻、再び縁台に赴いた望美は空を見上げた。
月明かりの届かぬ暗い夜は、ただ雨音ばかりが耳に響く。
大将の九郎はもちろん戦奉行である景時もここ数日は忙しそうで、
軍師である弁慶も無論暇ではないようだ。
今日も3人でなにがしかの話し合いをしているらしい。
どれほど待てば待ち人が来るのかは、予想がつかない。
それに例え話が出来たとしても、語られることさえもわからない。
まだ見ぬ運命に怯えている。
(…私らしくない)
関わる相手があの人だからなのだろうか。
柔和な微笑みで苛烈な決断を下すその姿を少し怖いと思ったことは確かだ。
何かを切り捨てることはとても痛いはずのことなのに、潔いほどに厭わない。
けれどそれは自分自身を傷つけているのと同じことだ、痛みは己の中に蓄積されていく。
どうすればそんな何事をも厭わない人の心の傍に、近づくことが出来るのだろう。
「…ここは冷えるでしょう、中で待っていて下さったらよかったのに」
「いいえ、大丈夫でしたよ。そんなに待ってませんし」
できるだけ落ち着こうと平静な態度をとってみたものの、
現れた人はそれは自然に望美の手をとりゆるく握りしめるものだから、
動揺は伝わってしまったかもしれない。
「…指先が冷えていますよ」
「それは…気づかなかっただけで。あの、じゃあ中に入ります?」
居心地の悪さに思わず手を引き抜いて、望美は自分でもよくわからない言い訳をしてしまう。
26 :
『秋雨朱花』:2005/07/16(土) 23:53:27 ID:viEwYnEJ
陶器の器に灯された炎のみが照らす室内は、普段の夜よりも暗かった。
炎の灯りはどことなく暖かみがあるけれど、風に揺れるのが頼りない。
障子が閉められるとこんな時間に男の人と部屋に2人きりだということを望美は意識してしまう。
「…失礼します」
弁慶が羽織る外套を外すと長い後ろ髪が露になる。
ふわりと空気を孕む髪はその人の持つ印象と同じだ。柔らかで、優しげで。
炎に撒かれる味方を見捨て、逃げる敵の船に火矢を放つ。
今までの行いを見ているというのに、この人があんな惨いことをしただなんていまだに信じられない。
「…まだ、僕のことがそんなに気がかりなんですか?」
「あたりまえです。…あんなこと言われて気にならないわけないです」
弁慶が裏切ることを心配しているのではない、それは望美の中では信じられないことだ。
ただそれを除いても彼が一人で危険なことに手を出しているであろう不安は拭えなかった。
「…気にかけるのは当然ということですか、君は優しい人ですね」
込められた僅かな皮肉に、望美が気づくことはない。
ただ向かい合った弁慶の微笑みが火を消すように消えるその瞬間の表情だけが、
その目に焼きついた。
痛みを堪えるようにして、何かを切り捨てようとしている。
だが、その痛切な表情は一瞬で消えてしまう。
そして殊更ゆっくりと言の葉は紡がれた。
「けれどあまり騒がれては困るんです。特にヒノエは僕という人間をよく知っていますからね」
27 :
『秋雨朱花』:2005/07/16(土) 23:55:41 ID:viEwYnEJ
「…弁慶さん…?」
「君は真実なんて知る必要はありません」
まだ触れてはいけない、と警鐘は確かに鳴らされていたのだ。
この人を追い詰めてしまったのは私自身だ、と望美は感じた。
「…真実にしか価値がないというのは、盲目的な思い込みですよ」
無意識に後ずさる望美の腕を、弁慶の手が掴まえる。
「…それにしても、君の口を封じるにはどうすればいいのでしょうね?」
望美は声もなくただその人の目をまっすぐに見つめた、弁慶はもうあの微笑みを取り戻していた。
「僕にはこのくらいしか思いつかないんです」
ゆっくりと近づく色素の薄い琥珀色の瞳を綺麗だと思う。
宝石の琥珀を思い出す、美しい飴色の中には太古の虫が悠久の時に閉じ込められて、
その小さな羽虫はどんな気持ちだったのだろうか。
望美には今なら少しだけ、その気持ちがわかる気がするのだ。
そして、ふと気づいた感情を望美が理解する間もなく、2人の唇が合わさった。
望美の細い首をなで上げる指がそっとうなじに差し入れられる。
触れるだけの口付けは、柔らかで優しい。それは望美に一瞬の錯覚をもたらした。
「…っ!」
我に返って反射的に相手を押しのける、それは予想済みだったのかあっさりと唇は離れる。
「…抵抗がないので、少し驚いていたところですよ」
真っ赤になって唇をおさえる望美に、悪びれた様子もなく弁慶は微笑む。
28 :
『秋雨朱花』:2005/07/16(土) 23:57:16 ID:viEwYnEJ
「どうやら君も満更でもないようですのでこの方法を取らせてもらうことにしましょう。
余り大きな声を上げないでくださいね」
「…本気なんですか?」
「見つかっても構わないんですよ、もっとも神子に狼藉を働いたと知られては源氏にはいられなくなりますがね」
その可能性さえも思慮にいれ行動に移すからには、弁慶にとってはこれが最善の方法なのだろう。
源氏から去った彼の行方が知れなくなること、望美は何よりそれを恐れた。
今の弁慶から目を離すことは、何か取り返しの付かない事態を招くようなそんな予感に駆られてしまう。
「…弁慶さん…」
混乱する望美の眼差しから目を反らすように、首筋に弁慶の唇が触れた。
言葉が発されるとその唇に薄い皮膚をくすぐられ、望美は軽く身を捩る。
「薬を使いましょうか?」
「いやっ、いやです…っ」
実際に弁慶の言葉に答えようとしていたわけではない、ただ否定の言葉しか出てこなかったのだ。
「そのほうが楽になれますよ?…ほら、こんなに体を強ばらせて」
「だめです。そんなの、だめですっ」
身を守るように胸の前で固まっていた腕を取り払われると、そっと圧し掛かられた。
瞬間、目の前が暗くなる。そして弁慶の肩から零れてきた後ろ髪がふわりと望美の頬にふれた。
「酷くしてしまっても、しりませんよ」
まるでこれは本意ではないのだと訴えるかのように、どこか悲しげにも聞こえた。
以下後半に続きます。
改行苦手なので、見難かったらごめんなさい。
しっとりとした文章だなぁ。
後半楽しみにしてます。
続きに期待
レスありがとうございました。
>>19-
>>28の続きを投下させていただきます。
33 :
『秋雨朱花』:2005/07/18(月) 21:27:18 ID:iaSLzmhE
声を殺す。
雨音がかろうじて紛らわしてくれているが、大きな声を上げてしまえば、
あるいは激しい物音をたてれば、やはり誰に聞こえてしまうとも限らない。
理性でその行為を否定しながらも望美は結局抗うことを躊躇ってしまった、
それも全ては弁慶の策略の内なのだろうことを想像すると、少し悲しい。
「……あ」
望美の着衣の前は帯が緩められ、素肌も露に乱れている。
そこから差し込まれた手の動きのままに乳房の白い柔肉は恥ずかしげもなく形を変えられて、
物欲しそうにつんと尖った桃色の先端をあらわにしてしまう。
「……弁慶さん…やめっ」
目線が交わっても、弁慶は柔和な笑みのままだ。微笑のまま、
その舌が望美のまだ硬い咲き初めの蕾のような頂きをゆっくりと押しつぶすようにねぶる。
ぞわり、と体の中が震えた。味わったことのない感覚に、声は意味をなさない。
ただ、息の根の漏れる笛のような音が喉で鳴っただけだ。
「ひゃ…んっ…」
ぐっと息を飲み込むようにして、それ以上音を漏らさぬようにする。
しかし目の前の光景から目をそらすために天を仰いでも、
視覚以外の全ての感覚が窮状を訴えていて、
特に淫猥な水音をたてて嬲られる胸の頂は、痛いほど尖り鋭敏になっている。
衣擦れにさえ、声を上げそうなほどだ。
「一体何を見ているんですか?」
ふっとくすぐるような吐息と共に、まるで不埒を詰るような言葉が耳に飛び込んできた。
乳房をゆるく揉みしだいていた腕が、未だ肌が粟だったままの背を這い上がり、
耳をなぞり、顎を引かれて視界を引き戻される。
問いかけられても何も答えることは出来なかった。
正確に言えば、その問いかけは答えを求めていなかったのかもしれない。
34 :
『秋雨朱花』:2005/07/18(月) 21:31:14 ID:iaSLzmhE
「―――……んっ」
再びの口付けが呼気を奪う。
先ほどのように触れるだけではない、口付けは幾度も角度を変えながらより深く貪り重ねられていく。
柔らかなものに口内を蹂躙される不思議な感触は、望美から少しずつ理性を失わせていくようだ。
その口付けは弁慶の言う『薬』などより、よほど効果があるのかもしれない。
「ふぁ………ん、やっ……」
強引に奪われていくことへの陶酔が、清らかな神子の体を侵食する。
唾液の絡んだ舌が離れていく、濡れて紅色に充血した少女の唇は酷く淫卑だ。
思わず、と言ったふうに弁慶の指がその唇の端から端をつ、となぞった。
「かわいいですよ、望美さん」
微笑む弁慶は普段のように優しげで、今の状況を不意に忘れてしまいそうになる。
この人に触れられることは嬉しい、
けれど、それはこの人にとっては謀の一つでしかなくて。
締め付けられるような胸の苦しさに、望美の瞳に薄い涙がじんわりと浮かんだ。
「…そういう顔をされると、僕も少し困りますね」
背を撫でるその腕で、望美は弁慶の胸の中にそっと抱き寄せられた。
長い絹糸のようにまっすぐな髪を宥めるように撫で下ろし、弁慶は甘い声で囁く。
「泣くほど嫌ならば、大きい声でも出したらどうですか?」
声の甘さに反して、言葉は酷く冷徹でまるでそれを望んでさえいるようだ。
望美は小さく頭をふり、抱き寄せられるまま弁慶の胸に額を押し付けた。
「そんなことできません」
鼻先を薬草にも似た香の匂いがわずかにくすぐるが、着衣に隔てられて胸の鼓動は聞こえない。
ただ、望美の髪を弄ぶ弁慶の指先だけが動きを止める。
「だってそしたら弁慶さんは…っ」
言葉を言い終わる前に腕をつかまれた望美はあっけなく引き離された。
腕を掴む力の強さは、望美が思わず眉を顰めるほどだ。
35 :
『秋雨朱花』:2005/07/18(月) 21:32:00 ID:iaSLzmhE
「君のわけ隔てない優しさは、僕の罪をいやますものでしかありませんよ。
…そう、だからいわば君も共犯者です」
弁慶の眼差しには静かな怒りと、諦めにも似た悲哀が同居する。
外では雨と風が勢いを増しているのだろう、
激しい雨音にくわえて、びゅうびゅうと風の啼く音が聞こえる。
「…きゃっ……あっ…ん!」
押し倒される勢いに望美は床に背を打ち、息を呑む。
同時にスカートの下から内腿に侵入した弁慶の手が、
普段日に晒されることなどない白く柔らかな皮膚をゆっくりと撫であげ、
下着越しの秘部をかすめて触れた。
「やっ…」
わずかに湿った感触をことさら確かめるように指で押され、動揺で思わず手足をばたつかせてしまう。
浮つく足を押さえ込まれて、望美は呆けたように口をあけたまま弁慶を見つめてしまった。
「…どうやら、君はあまりよくわかっていなかったみたいですね」
憐れむような綺麗な微笑を向けられて、こんな状況だというのに望美の胸は不意に高鳴る。
「僕が君にしようとしているのは、こういうことなんですよ?」
その笑顔のまま下着の隙間から潜り込ませた指が、望美の濡れた秘裂を直にこすりあげた。
「やぁっ、ああっ……ん、いやっ」
たまらず声を上げた望美のむき出しの乳房が声にあわせてふるふると震える、
弁慶は残された着衣を片手で器用に剥ぎながら、繊細な指で無造作に媚肉を弄ぶ。
36 :
『秋雨朱花』:2005/07/18(月) 21:33:17 ID:iaSLzmhE
「神子ともあろう方が嘘をついてはいけませんよ」
「はぁ、ああっ、んっ………」
複数の指が花弁を押し広げ、濡れた感触がひんやりとした空気に触れる。
そうして、探り当てられた小さな肉芽を軽くひねるように摘まれて、
望美は小さな魚のように腹を仰け反らせた。
「ひっ……んっ…や、だめっ…」
「…ふふっ、声が少し大きくなってきたんじゃありませんか?」
ほんの少し上ずるような声は、興奮の証だろうか。
うっすらと汗の浮いた首筋の薄い皮膚を、徴を残すほどきつく吸い上げる。
「そんなこと…っ」
望美の上気した頬はほんのりと赤く染まっている。
とろりと溢れる蜜が太ももを伝い落ち零れて、床を汚す。
ぐっしょりと濡れた秘裂をさんざん掻き回されるくちゃくちゃという音が一層望美を追い立てていく。
閉ざすことの適わない鮮やかな朱のそまった唇は空気を求めて、淫らに喘ぐ。
「あ、ああっ…あ…っ」
そして、やんわりと入り口をなぞっていた指がゆっくりと中に沈められる。
瞬間、望美の唇からは全身の力が抜けていくような切ない吐息が零れた。
焦らすように軽く出し入れしながら、時折膣内で曲げられた指が内壁を擦るように引っかく。
その度に望美は、はしたなくその指を締め付けて、殺すことのできない声を上げてしまうのだ。
いやらしい粘り気のある水音も、雨の音には紛れない。
「ひっ、ああっ、あ………はぁ、…っ…!」
予測の付かない刺激を繰り返されて、
快楽になれない望美の体はあっけなくそれに屈してしまった。
37 :
『秋雨朱花』:2005/07/18(月) 21:34:36 ID:iaSLzmhE
「…ほら、こんなに僕の指を汚して」
不意に目の前に薬師らしく繊細な仕事をする指が差し出された。
望美の蜜に塗れた甘酸っぱい匂いのするその指を、弁慶は望美の目の前で舌を出して舐めて見せる。
望美はその光景に瞬時に頬を紅くして、目を背けてしまった。
息が上がってしまい、呼吸はひどく苦しい。けれど言いようのない恍惚感が全身を支配している。
ただの口封じだとわかっていても、
彼に与えられるもの全て、拒むことなど出来なかった。
「…弁慶さん…」
望美は衝動的にその愛しい指に唇を寄せた。
その指を汚す自分の愛液を、舌全体と唇をつかって丁寧に舐めあげていく。
特に嫌悪は感じない。
「…望美さん…?」
突然の行動に弁慶はいぶかしげに望美の名を呼ぶ。
だが、望美はそれに答えることなくただ奉仕としかいえない舌での愛撫を続ける。
指の股にまで尖らせた舌先を丁寧に這わせ、自分の蜜をなめ取っていく。
「…ぁ」
弁慶がその手を引くと、望美は名残惜しげにその行方を目で追い、おぼつかない手を持ち上げた。
「…弁慶さん」
潤んで蕩けたようなその瞳はけれど決して揺らぐことなく、弁慶を見つめていた。
しかし視線は頑ななまでに交わらなかった。
ただ珍しく抑えきれぬいらだちのにじみでた声で弁慶は呟いた。
もっともその苛立ちは決して目の前の望美に向けられたものではなかったようだ。
「…どうやら、余計な口実は何もいらなかったのかもしれませんね」
そして可笑しそうな笑みを浮かべながら、自分の衣を脱ぎ腰紐を解いていく。
「…こうじつ?」
望美がその言葉の意味に気づいたところで、事態は何一つ変わらない。
「でも、もう遅いんです」
投げやりに吐き捨てる。
結局のところ、彼の嘲笑はいつだって己自身へと向かうべき物なのだ。
取り戻せない過ちを犯し続ける己自身に。
38 :
『秋雨朱花』:2005/07/18(月) 21:36:07 ID:iaSLzmhE
弁慶の熱い昂りが入り口に宛がわれた瞬間、怯えたようにぴくりと望美の体が震えた。
緊張におのずとまぶたは伏し目がちになり、
所在無く投げ出された手は血の気を失う程きつく握り締められている。
「望美さん、手を」
促して指を開かせると、己の背に回すようにその手を導いてやる。
「爪痕くらい、残して下さって構いませんよ」
「…はああっ、う…や、いた…ぁっ」
強ばりの先端が強引に侵入してくる痛みに、弁慶の言葉通り望美はその背に爪をたてる、
鮮やかなまでに紅い筋が二本刻まれて、この瞬間だけ2人は痛みを分かち合う。
「…余り手間取らせないで下さい……さ、力を抜いて」
「だって……ん…はぁ…」
そのきつい締め付けに弁慶も眉根を寄せる。
せめて望美の気を紛らわせようと、激しく上下する胸に首筋に唇を落とすと
望美はむずがるように喉を鳴らした。
「んんっ……ふ…ぁ…」
質量を持った熱が、望美の中にわけいってくる。
たしかにそこに在る自分ではない熱に誘われて、体の奥から飢餓感のようなものが湧き上がり、
望美はそれを受け入れる事を心の底から望んでしまう。
「…弁慶さん」
充分すぎる程に潤ったそこは、先が入ってしまえば後はさしたる抵抗もなく、
絡みつくような暖かい柔肉で弁慶のものを包み込んだ。
「弁慶さん、弁慶さん……っ」
離れたくない、傍にいたい、どこにも行かないでほしい、
共に在るための言葉が浮かんでは消えるのに、一つも声にして発せられなくて。
望美は高ぶった感情のまま泣きそうな顔でただ弁慶にしがみつくだけだ。
「………君のことは、好きですよ」
しがみつく望美をあやすように撫でて、弁慶は苦笑する。
「ああ、睦言の最中ですから…話半分、と言ったところですよね」
39 :
『秋雨朱花』:2005/07/18(月) 21:36:55 ID:iaSLzmhE
抽挿が開始され、望美の体は繋がった箇所からがくがくと揺さぶられる。
加減したせいかゆっくりとはじまったそれは却って、じゅぷ、っと淫猥な音を立て望美を煽る。
「ああっ、…ん、く…ふぁ、ああっ、ああ…ん…」
薄闇に照らし出される白い足はいつしかなまめかしく弁慶の腰に絡みつき、
望美は自ら腰を揺り動かしていた。
更なる快楽を得ることを求めているかのようなその動きに躊躇いを覚えるよすがもない。
ぎりぎりまで引き抜かれ奥を突かれる瞬間は、言いようのない充溢感に満たされる。
熱に浮かれたうつろな瞳は、少しだけ微笑みの形を作っていた。
「…っ…あ、弁慶さん…はっ……あっ…ん、もっと…」
恥ずかしいことを言っている自覚は望美にはなかった。
もっと、深く繋がりたい。
襲ってくる波のような快感も、甘い体の痺れも、
彼と一つになっている、という事実とは比較にもならない小さなことだ。
「…君からそんな、いやらしいお願いをされるとは、思いませんでした…っ」
体をぐるりと横向きにされる、膣内の刺激が急に変化して望美は小さな悲鳴をあげる。
望美の片足はいとも簡単に持ち上げられて、弁慶の肩にひっかけられる。
「や、あ…こんなの………あっ」
抗議じみた声は、胸の尖りを片手でぎゅっと捻られて封じられてしまった。
「君が望んだこと、そうでしょう?」
交差するような体勢になってほとんど抜けかけた弁慶の昂ぶりが、再びぐっと中に入ってくる。
先ほどよりももっと深い最奥を激しく突かれて、望美はもはや声を殺すことなど忘れてしまう。
40 :
『秋雨朱花』:2005/07/18(月) 21:37:49 ID:iaSLzmhE
「ああっ、ああん、ふぁ…ああっ、ああ…!」
律動に合わせて肉がぶつかり合い、混ざり合った体液が飛び散る。
快感にもっていってしまわれないように堪えるのが限界になってきたころ、
弁慶は堕落を誘うように甘い言葉を囁く。
「堪える必要は、ありませんよ…望美さん」
名を呼ぶその声がどんな卑猥な言葉よりも、望美の鼓膜を犯す。
「やっ、ああっ、も……だめ…ぇ…っ…!」
見開いた眼差しを潤ませて白い喉を鮮やかに仰け反らせて、
望美は絶頂の快感に耐えた。
足のつま先までもが、鋭敏な感覚を宿していて、
この均衡が崩れればどこまでも融けていってしまいそうだ。
半ば意識をさまよさせたまま、自分の胎内を出入りする熱の存在を感じる。
「…弁慶さん…」
うわごとのように名を呼んで、胸を弄る彼の手に触れ力の篭らぬ手で握る。
「望美さん…っ」
恍惚が失われていく酷い喪失感はふいに訪れた。
達する前に望美の胎内から引きずり出された弁慶のものは、
望美の腹の上に白い残滓を吐き出した。
夢うつつをさまようような感覚の中で、望美はそれを無性に淋しいと思った。
41 :
『秋雨朱花』:2005/07/18(月) 21:39:24 ID:iaSLzmhE
陶器の灯りの芯がじじっと風に音を立てて燃える。
灯りに照らされ下から見上げる弁慶の表情は痛切なまでに柔和な微笑みで、
望美はまた自らも、弁慶に切り捨てられるべきものなのだと悟った。
何故そうしたのかはわからない。
望美はただゆるゆると腕を伸ばした、肘にかかっていた小袖がずるりと落ちる。
そうして、慈しむように弁慶の頬にそっと触れた。
「…弁慶さん、ほんとうのこと、教えてください」
あどけなく掠れる声で、囁く。
だが、弁慶は自戒を込めた呟きを漏らしただけだった。
「…真実は概ね、人を傷付け不幸を招くものです」
真実に伴う痛みを己の中に閉じ込めるために周りのものを切り捨てる、
そしてまた更なる痛みを得るのだろう。変わらぬ微笑を浮かべたままで。
この人の感じている痛みが肌を通して伝わってくればいいのに。
望美は弁慶の肩に腕を回し、抱きしめるただそのためだけに彼の人を抱きしめた。
たとえ、伝わるものは温度だけだとしても。
「…弁慶さんは優しいから、本当のことを隠すんですね」
唐突にふっと部屋の灯りは消えた、油がもう切れてしまったのだろう。
ざあざあと降り続く雨音と抱きしめる人の胸の鼓動が、
しんと静まった闇にやけに大きく聞こえる。
42 :
『秋雨朱花』:2005/07/18(月) 21:40:29 ID:iaSLzmhE
長雨のあけた朝は、清々しくも眩しい。
朝露の伝い落ちる草花は、どれも生き生きとした風情で夏の名残を思い出す。
一人、中庭に下りた望美は敷石を踏みながら池の傍へと向かう。
水面に写る焔のような紅い花。
飛び散る血渋きにも似ている。
風が細かに揺らす水鏡をぼんやりと見つめていると、ぶれる水面に人影が写った。
「…今日、出立することが決まりましたよ」
常と変わらぬ出で立ちと表情で、弁慶は望美の背後に立っている。
ことさら笑顔で振り返り、少しは上手に笑えただろうか、と望美はちらりと自問する。
「お天気になっちゃいましたからね」
「晴れてしまってはいけませんでしたか?」
きっとこの人は全部解っていて、そういうことを言うのだ。
繕っても意味はない、望美は結局素直な言葉を言うしかない。
「…雨が上がらなければいいのに、ってずっと思ってましたから」
「そうですか」
俯けば夕べの雨のせいか、紅い花は何本か根元から倒れてその花を散らしていた。
地面に散らばる花びらが無力にも風に運ばれ水面に落ちる。
細長い形をした紅い花弁は、爪が残す傷跡のようだ。
瞬間望美に背を向けた弁慶は、どんな意思をその顔に浮かべていたのだろう。
静かな声音は、全ての感情を押し殺していた。
「…僕もそう思っていましたよ」
その言葉で全ては過去になる。
再び廻り始めた時の円環を、今はただ見守ることしかできない。
風に運ばれる紅い花弁よりも、無力だ。
望美はその胸に抱いた白龍の逆鱗をそっと握り締めた。
了
以上になります。
乙でした〜!
すごく綺麗な文章で、情景が浮かんでくるみたいでした。
また気が向いたら投下お願いします。
丁寧な文章だなぁ。雰囲気もいい
乙でした!
GJでした!
切ない感じがすごくよかったです。また他の作品も読んでみたいです。
室外の雨と室内の…をうまく絡めていて
読ませる文章ですねぇ。
エロイところもGJですよ。
久々に覗いたら新スレキテタ━━(゚∀゚)━━!!
乙でした!
弁望もですがヒノエにも萌えた……。
>16-17
おまいらのネ申がまだこのスレを覗いてることを自分も祈ってるよ。
すごい丁寧な文章でテラ萌!!
弁望堪能させてもらいました!
神降臨してた〜。
弁慶×望美いいですね。読んでると背景が浮んでくる。
切なくてGJ!!!
ホッシュホッシュ
ザネ×花梨キボンします(゚∀゚)
ほす
遅レスですが弁望素敵でした!!神!
次回作も期待しております。
いやますが一瞬誤字だと思ってしまった私はバカだ・・
新スレになったことだし、
続き物途中の書き手さんは生存報告だけでもしてくれんだろうか……
モシイナイナラアキラメルカラサorz
55 :
睦月:2005/07/25(月) 00:29:54 ID:8ZoTL/ho
え〜と、じゃぁいます。
スレも一応時折チェックしてます。
取りあえず、文章投下するまでROMに徹してようと思ってたんですが…。
新スレに投下しようと思ってた小ネタ、やはりちょっと長くなって
小ネタじゃ無くなったんで、2本の続き投下し終えてからするつもりです。
それでは、後日またお会いしましょう。
すみません、今週中には、多分、何とか……orz
あーどうか無理せずに
ゆっくりがんがれー。
十六夜記新衣装、「神子に直接触れられるように」みんな素手になったのは良いけど、
衣装自体は脱ぐ行程が増えたよなぁ。
おにゃのこの服を脱がす行程が増える分にはかまわない、むしろ萌えるんだけど、
男側はこう、がーっと勢いにまかせて脱げる服の方がいいと考えるのは、あまりに品がないだろうか……。
>56
プレッシャーをかけてしまうかも…と思いましたが。
でも本音を言えば、続きを楽しみにしているひとりです。
どうか無理をなさらず、マイペースでお願いします。
ワクテカしながら待ってます。
ワ〜クワ〜クテ〜カテ〜カラン♪ラン♪ラン♪
>58
全く情報収集しとらんのですが
脱ぐ行為が増えたんですかハァハァ
最後の一行は特に禿堂ですよ。
63 :
sage:2005/07/27(水) 11:41:00 ID:Cs8wI0Fo
ちゅん氏の望九
2-871氏のチモリ
◆5Kbr/Y2Te.氏の弁慶昼メロ
心の底からお待ちしてまつ!
ちゅん氏はだいぶ前に、もう投下しないと宣言されてるから……。
十六夜記でたらここも賑わうかな…
66 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/28(木) 23:49:22 ID:E23c4KC7
夏のイベントラッシュが終わって、
職人さんが一息つけば投下も増えるんじゃ?
……結局九月か。
とりあえず週末を楽しみにしつつマターリと松( ´Д`)y──┛~
あ
げ?
ほす
ほすほす
ほすほすほす
せんたくものをほす
弁慶の「君の胸が〜」云々、激しくエロティック(*´д`*)
エロいね
そこで真っ先に胸揉んでる弁慶想像した
まぁ揉むは有り得ないとして鼓動がわかるなら
抱きしめて胸潰れるくらいの密着度 (*´Д`)ハァハァ
こんばんは。
景望の逃亡ED話を投下させて頂きます。
・逃亡ED初夜物
・シリアスで後味もあまりよくないかもしれません。
駄目な方はNGワードでさっくり飛ばしてください。
薄闇の中、白い肌は微かに輝いている。まるで自分を誘うように。
その誘いに乗って柔らかな身体を腕の中に捉えると、彼女はこちらを見上げ、嬉しげに微笑む。
『望美……』
そう名を呼びながら、小さな頤を上向けて可憐な唇を貪る。彼女の腕が首に絡む。甘い束縛。
ゆっくりと彼女を押し倒すと、長い髪が褥に広がる。
それに見惚れながら何度も身体中に口づけると、彼女は細い声で自分の名を呼ぶ。
『景時さんっ……』
「――景時さん、景時さん。起きて下さい」
不意に闇の中の声と現とが重なって、景時ははっと顔を上げた。
目の前には消えかかった焚火と、心配そうにこちらを覗き込む望美の顔。
――ああ、夢を、見てたんだ。いつもの夢を――
どうやら見張りの最中に、自分はうとうとと眠ってしまっていたらしい。
真夏の闇はじっとりとしていて、その暑さに寝汗すら掻いてしまっている。
慌てて火をおこそうとする景時を、望美はそっと制して言う。
「見張り、替わりますから。景時さんは横になって下さい」
「……ごめん、オレ、寝ちゃってたみたいだ」
「いいんですよ。たまにはきちんと寝てください。ここのところ野宿が続いてるし、
いつも私の代わりに朝まで起きててくれたりしてるんだもの。疲れてるんですよ、きっと」
彼女の言うとおり、自分は少し疲れているのかもしれない、と景時は思う。
この所、夜はよく眠れないし、それに――眠ったと思えば、あの夢を見てしまうから。
「ね? たまには私に寝ずの番、させて下さい」
そう言ってにこりと微笑んでみせる望美を、景時はまともに見る事が出来なかった。
先刻まで見ていた夢の残像を、本物の望美に重ねてしまいそうな、そんな気がしたからだ。
「そ、そう? ごめんね〜、じゃ、お願いしちゃおうかな?」
曖昧に笑いながら、それでも口調だけは明るくおどけてみせる。
もう習い性になってしまっている自分のその笑顔を、望美が心配そうに見つめているのがわかった。
「……景時さん、無理はしないで下さいね。お願いだから」
硬い声で望美にそう言われると、それ以上おどけていられなくなる。
「無理はしてないから。大丈夫だよ……ごめんね、心配かけて」
「本当に……?」
望美が自分の肩に触れているのに気付き、景時はさり気なく身体を離した。
「うん、本当。でも今日は、お言葉に甘えて眠らせてもらうね?」
言って、景時は布と落ち葉で適当に作った寝床に、望美に背を向けるような格好でごろりと横になる。
「……景時さん」
「うん? 何かな、望美ちゃん」
何か訊きたそうな望美の声音には気付かない振りをして、
努めて平静に答えると、望美はほぉっと溜息をついた。
「いえ……おやすみなさい」
「おやすみ」
そう言って閉じた瞼の裏に、白い肌がまた艶かしく蘇り、景時は僅かに苦笑した。
壇ノ浦の戦場から逃げ出して四か月程が経つ。
この逃亡の旅の間、景時はあえて望美に触れようとはしなかった。閨を共にした事など勿論ない。
だがその代わり、もう何度夢の中で彼女を抱いただろう。
見るたびに鮮明になる夢の中の望美の身体は、いつも甘く景時を捕らえて離さない。
浅ましい、と思う。
他人の血に塗れた、穢れた自分が、何を都合のいい夢を見ているのだ、と。
望美は白龍の神子だ。
清浄な神気を纏う彼女が、こんなに薄汚れた自分といてくれるだけでも信じ難い事なのに。
『一緒に逃げてくれ』と情けなく縋った自分と共に逃げてくれた、
その事実だけで十分だと、そう思った筈なのに、自分はどこまで汚れていれば気が済むのだろう。
もうこれ以上、あの夢を見ないようにと願いつつ、景時は深く息を吐いた。
山道を歩きとおして二人が敦賀に着いたのは、昼を少し回った時分だった。
敦賀の港は交易船と、荷卸をする人々や商人で賑わっている。
これ程までに大きな町に立ち寄るのは本当に久しぶりだった。
出来るだけ人目を避けて旅を続けてきていたからだ。
「人、ずいぶん多いみたいですけど……大丈夫でしょうか、景時さん?」
「大丈夫。ざっと見たところ、源氏の武士はいないみたいだし
それに、あまりに人里離れた所ばかりだと、かえって人の目につく事もあるからね」
「だったら、いいんですけど」
「ここに着くまでに何回かオレ達に似せた式を放ってるから、
そっちに気を取られてくれてるんじゃないかな〜?」
景時は望美を安心させるように笑って、肩から下げた包みをぽん、と叩いてみせた。
今は布で幾重にも巻かれているそれは、景時が陰陽術を使う時に用いる銃の形をした呪具だ。
昨夜のように野宿をする時は、
野盗や獣に備えて常に傍に置いているが、人目のあるところでは流石に使えない。
この武器を使うのは景時だけであったし、いつ何処で素性がばれるか知れたものではないからだ。
いっそ捨ててしまおう、とも考えたが、
武術も陰陽術も得手とはいえない己の実力を思うと、唯一頼れる武器を手放す気にはなれなかった。
九郎やリズヴァーンのように武術に長けていたら、刀一つで望美を守れるのにと、
この逃亡の旅で何度思ったかしれない。剣の腕なら望美の方が自分よりも遙かに上なのだ。
所詮自分は、こんな道具に頼らなければ彼女を守れない。
自分に出来ることは、せいぜい自分達と逆方向に式を放って、源氏の目を眩ませる事ぐらいだ。
その式にしてもそんなに完成度が高いわけではなく、遠目に見れば似ているというぐらいでしかない。
だから、言葉どおりの自信が景時にある訳ではなかった。
望美を不安がらせてはいけないという思いが、景時に笑顔を作らせていた。
「うん、大丈夫大丈夫。なんとかなるよ、ね?」
殊更に明るくそう言うと、漸く望美が笑顔を見せたので、その様に景時もほっと安堵の息を吐いた。
――君を巻き込んでしまったのは、オレだから――
不安げな様子など望美に見せる訳にはいかない。たとえ半端な自分に自信などないとしても。
「じゃ、早速今晩の宿を探そうか。屋根のある所で寝るのも久しぶりだよね〜」
「そうですよね。今日はゆっくり出来るといいな」
そう言う望美が、自分の着物の裾をきゅっと掴んでいるのがわかって、景時は思わず身体を強張らせた。
だが、それには気付かない振りで、明るく冗談めかした風に会話を続ける。
こちらを見上げる望美の表情に僅かに翳りが見えた気がした
――が、次の瞬間、望美はいつものような笑顔を浮かべたので、
自分の見間違いだろうと、景時は無理矢理に己を納得させた。
旅の糧食等を買い求め、宿に下がったのは夕刻と呼ぶにはまだ早い時刻だった。
源氏の手の者を見かけないといっても、油断はしないに越した事はない。
迂闊にふらふらと町をうろつくのは自滅行為だ。
それに、このところ野宿が続いていたので、早く休息を取りたかった、というのもある。
特に望美は、かなり限界に来ているようで、ふとした折に見せる表情や仕草に疲れが見て取れる。
だがそれでも、望美は決して弱音を吐かない。
景時が気遣うたびに、彼女は明るく笑いながら言うのだ――『私は大丈夫です』と。
大丈夫な訳がない。望美は元々こちらの住人ではないのだ。
本来彼女が戻る筈の世界は概ね平和で、怨霊もいなければ、命を獲りあう事もなかったという。
そんな風に綺麗に育ってきた望美が、不慣れなこの世界で、しかも追われる旅だというのに、
不満の一つも言わずに景時に付き合ってくれている。
その事を考えると、いつも心が痛んだ。が、今更どうする事も出来ない。
自分に出来る事は、望美を守り、鎌倉の手の届かない所まで逃がす事だけだ。
旅の最初から、景時は奥州を目指していた。
奥州は藤原氏の治める地だ。ここへ逃げ込んでしまえば、いかに鎌倉といえどもそうそう手は出せまい。
頼朝も、荼吉尼天の加護があるとはいえ、独自の軍事力を持つ藤原氏を敵に回したくはない筈だ。
もしかすると自分達の追跡を諦めてくれるかもしれない――確証はないが、そう願うしかない。
ともかくも、今は一刻も早く北へ、奥州へ辿り着く事。それが肝要だった。
その為には、時にこうして休息を取る必要がある。気は焦るが、身体を壊しては元も子もない。
だが、宿で泊まる事は、景時にとっては、必ずしも休息という訳ではなかった。
早めに食事を摂り、各々湯浴みを済ませる。
真夏の長い日が漸く暮れはじめ、名残の陽光が紅く部屋の中に差し込んでいる。
昼に買い求めた荷物を整えてしまうと、特にすることもない。後は床に就くばかりである。
と、荷物の中から数枚の紙切れと筆を取り出すと、景時は望美に声を掛けた。
「ちょっと宿の周りに結界を張ってくるね。
少し時間、かかるから――ほら、銃、使えないし。だから、望美ちゃんは先に休んでて」
野営でも、宿を取った時も、景時は眠る前には周囲に結界を張る事にしていた。
こちらの気配を隠し、また、結界内に踏み込んできた者をいち早く察知する為だ。
いつも陰陽術を使う時は銃を使っている。ただ、街中等人目のある所では銃は使えない。
だから、宿の周囲に結界を張る場合、一から術を仕掛けなければならないから、時間がかかる
――景時はそう望美に説明していたし、望美もそれに疑問を差し挟む事はなかった。
だが、それは嘘だった。
確かに銃を用いる時よりは時間がかかるが、それでも要する時間が大して変わる訳ではない。
実際は、結界を張った後、景時は戸外で暫く時間を潰していた。
夜も更けた頃、望美が待ちくたびれて眠ってしまった頃合を見計らって、そっと隣の床に滑り込む、
宿に泊まる度に、そんな事を繰り返していた。
追われる身で、まさか素性を明らかにする訳にもいかないので、
宿を取る時はいつも、行商人の夫婦だと偽っていた。だから当然、二人は同じ部屋に通される事になる。
並べて敷いてある床を見る度に、景時は望美の視線を感じて、何とも言えない複雑な気分に襲われる。
その視線に込められた、様々な問いかけ――それに気付いてしまわないようにするのに精一杯だった。
このうえ、床を並べて眠るなどという事は、苦行に近いものがあった。
だから『結界を張るのに時間がかかる』という理由で、ずっとその事態を避け続けていたのだ。
いつもそうしていた筈なのに、だが、今日の望美は様子が違った。
「じゃあ私も休みません。景時さんと一緒にいます」
そう言って景時の前につい、と膝を進める。
あまりにきっぱりとした物言いに、景時は立ち上がるのを忘れ、まじまじとその顔を見た
――真面目な、どこか思い詰めたような表情。常とは違うその様子に、知らず気圧される。
「……駄目だよ。ちゃんと休まないと。疲れてるでしょ」
「景時さんこそ、全然休んでないじゃないですか」
「オレはさ、ほら、慣れてるから、こういうの。望美ちゃんはさ、女の子なんだから」
「……私、足手纏いですか? 女だから、景時さんの負担になってる?」
「そんな事言って――」
「言ってるのと同じです」
抑え目ではあるが、しかし、ぴしゃりと叩きつける様な声音。明らかにいつもの望美とは違う。
息を呑む景時の様子に、自分でもどうかと思ったのか、多少声を落として望美は先を続けた。
「……私は景時さんを支えたくて一緒に来たのに、足を引っ張りたくなんかないんです」
「その気持ちは嬉しいよ。ありがとう、望美ちゃん」
景時は慎重に言葉を選び、そして、思い出したように笑顔を浮かべる。妙な胸騒ぎがした。
「でも、オレは、望美ちゃんがいてくれれば、それで――」
「嘘つき」
静かな、だが冷たい、否定の言葉。まるで曖昧な台詞などに惑わされまいとでもいうような。
続く言葉を失う景時に、望美は更に言葉をぶつけてきた。
「そんな事言われたって信じられません。ずっと、私を避けてる癖に」
「望美ちゃん、それは違――」
「嘘つきっ……」
思わず望美の肩に触れようと上げてしまった手を、その寸前で止めた、
そんな景時の様子を見て、望美は哀しげに微笑む。
「……そうやって、いつもいつも私を避けるんですね」
微笑んでいるように見えた口元が歪んだ、次の瞬間――望美が、叫んだ。
「ならどうして! 何の為に私を連れてきたのっ!
触れてもくれないなら、私が一緒にいるのに、何の意味があるの……っ!」
身体を捩り、感情の全てを振り絞るような声。それは慟哭にも似て。
溜め込んできた感情が、望美の中で一気に爆ぜたという風だった。
込められているのは、怒りか――淋しさか。
『何の為に』
勿論、望美を守る為、それに間違いはない。
――だが、当の望美は、景時が彼女を殺さねばならない運命にあったとは知らない。
打ち明けられる筈などなかった。
自分の存在が景時を追い詰めたのではないかと、望美はそう考えてしまうだろうから。
『何の意味が』
意に染まぬ暗殺を続けてきた自分の救いになろうと、純粋にそう思って共に来てくれた、
そんな望美からすれば、確かにそう感じても仕方のない事だろう。
だが言い訳は出来ない。だから景時は、うなだれて謝る事しか出来なかった。
「……ごめん、ね。オレが望美ちゃんを巻き込んじゃったから――だから、ごめん」
その言葉に、望美は何かに打たれたかのように表情を変えた。
言ってはならない事を口にしてしまった、そんな後悔を含んだ瞳が大きく見開かれる。
「違うっ! 私はっ……こんな事、言いたい訳じゃ、謝って欲しい訳じゃないっ」
「でも、本当の事だから。オレが、君を巻き込んでしまったのは」
「だから、違うのっ……! 私は、私はただ――」
もどかしげに首を振った望美が、振り乱した髪もそのままに景時の胸に飛び込んできた。
驚きに身体を強張らせるしかない景時の耳に、泣き出しそうに震えた声が届く。
「――ただ淋しいだけ。ずっと、淋しかったんだよ? どうしてわかってくれないの……!」
とん、と胸を叩かれ、その力の頼りなさにあらためて気付く。
望美が十も年下の少女である事に。ずっと、自分の傍で孤独に耐えていたという事に。
「ごめんね……」
「謝らないで」
震える、だがきっぱりとした声音で、景時の言葉は封じられる。
何も言えずに、だが未だ触れる勇気もなく、ただ望美に縋りつかれるまま、どうする事も出来ない。
望美は縋りついた姿勢のまま顔を上げて、そんな景時を真正面から見据えた。
「謝るくらいなら、私を見て。私に、触って」
静かに言葉を紡ぐ、紅い唇から目がはなせない
――すぅっとそれが近づいてきたかと思うと、次の瞬間、柔らかな感触が己の唇に触れた。
口づけられている。
理解した途端、かぁっと頭に血が駆け上り、どうしていいのかわからなくなった。
とにかく、望美を引き離さなくては。
そう考えて望美の肩に手をかけると、その華奢さにまた、どくん、と鼓動が跳ね上がる。
そのまま抱き寄せて、口唇を貪り続けようとする本能を無理矢理に抑えつけ、
景時は望美の肩をぐい、と押しやった。
「景時さん……?」
荒く息をつきながら、怪訝そうにこちらを見上げる望美の瞳は潤んでいる。
気まずい思いでその視線から目を逸らし、景時は途切れ途切れに呟いた。
「駄目、だよ……これ以上は……」
「どうして――」
「君がオレといてくれるだけで、もうオレは十分だから」
「じゃあどうして、夢の中で私を呼ぶの?」
「――え……」
一瞬、何を言われているのかわからなかった。
考えがまとまらず、驚きに目を見開いたままの景時をよそに、望美はなおも続けた。
「夜中、目が覚めた時があって、その時に景時さん、私を呼んでたから――『望美』って。
その時だけかと思ったけど、でも、何度もそういう事があったから……昨日だってそう」
とっくに知られていたのだ。自分が浅ましい夢を見ている事を、当の望美に。
一番知られたくなかった、穢れた部分を晒していたという苦い思いが、景時の胸を締め付ける。
「……ごめん、望美ちゃん。忘れてくれるかな、その事は」
「どうして? 私、嬉しかったのに。景時さんが私の夢を見てくれてるって事」
素直に疑問を差し挟んだその口調からは、望美が景時の見た夢の内容までは知らないという事が窺えたが
それだけに自分の見た夢の淫らさが一層際立つような気がした。
「そんなんじゃ、ないんだっ!」
堪らずそう叫んで、拳を強く床に打ち付ける。その剣幕に望美が息を詰める気配が伝わってきた。
「オレは! 君の思っているような奴じゃないっ……!」
「景時さん、どうし――」
「オレは、夢の中で何度も君を抱いたんだ……」
搾り出した声は震え、その震えが握りしめた両の拳にも伝わる。
「君を犯して、穢して……オレはそんな汚い奴なんだよ……」
夢の中で、何度も望美を抱いた。身体の隅々まで愛して、彼女を啼かせて。
触れてはいけないとそう思いながら、そんな夢ばかりを見て。
だから余計に触れられなかった。自分の薄汚い妄念に彼女を晒したくはなかったから――。
――違う。そんな綺麗な理由だけじゃない――
そこまで考えて唐突に景時は理解した。何故あんな夢を見続けたのかを。
あの、壇ノ浦での夜。必死だった。望美を救いたい一心で彼女に縋った。
いや、真に救いたかったのは、想い人を討たねばならない自分の運命だったのかもしれない。
そんな勝手な自分の願いに、望美は応えてくれた。
彼女は自分が殺される運命にあったとは知らない。ただ景時の為だけに、逃げる事を選んでくれたのだ。
自分の運命に望美を巻き込んでしまった事を悔いながらも、その事が嬉しかった。
二人きりでいる事に罪の意識を覚えるようになったのは、いつ頃からだったろう?
彼女の手がふと自分の手に触れる、そんな僅かな温みにさえ、後ろめたさを感じるようになったのは。
追っ手に怯え、ひたすらに逃げ続ける。終わらない逃亡の日々。
なのに、そんな状況とは裏腹に、二人きりでいられる事を、どこか喜んでしまっている自分がいた。
狭い洞窟で二人、身を寄せ合っている時。険しい山道で、互いに手を繋ぐ時。
望美を傍近くに感じる度に、喜びだけでなく、劣情が湧き上がってくるのを止められなかった。
――考えちゃいけないんだ。君をオレのものにしたいだなんて、抱きたいだなんて、そんな事――
こんな運命に望美を引き入れることしか出来なかった自分が、この上何を求める?
そんな浅ましい自分が嫌で堪らなくて、無理矢理にその欲望を抑えつけた。
必要以上に望美に触れる事を怖れて。物問いたげな彼女の視線から目を逸らし続けて。
――そうして、いつからか、あんな夢を見るようになって――
夢の中の情交はいつでも甘く景時を迎え入れて、けれどそれは所詮、幻に過ぎない。
本当はずっと、本物の望美を抱きたかった。温かな肉体に溺れてしまいたかった。
今だって押し付けられた唇の感触が鮮明に残っている。あのまま柔らかなそれを貪り、それから。
――駄目だ。もしも抱いてしまったら、オレは何の為にこうして――
望美に触れたい。望美を抱きたい。身体の一点は既に熱を持ち、今にも迸ってしまいそうで。
こんな薄汚い自分を晒したくない、そう思う一方で、もう一つの声が囁きかける。
夢の中で望美を抱く、もう一人の己の声。
――抱けばいいじゃないか? 彼女だってそれを望んでいるんだから――
自分に触れもしないのなら、何の為に共にいるのかと望美は問う。
ずっと淋しかったと、夢の中で名を呼ばれる事が嬉しいと、そう言ってくれる。
唇が離れる瞬間、切なそうにこちらを見た、その瞳は何よりも雄弁に心の内を語っていて。
――違う。そんな事の為に逃げてきたんじゃない。オレは、彼女を守る為に――
望美を守る為に。鎌倉の手から彼女を逃がす為に。
何よりも彼女が大事で、家族も、郎党も、何もかも捨てて逃げる道を選んだ。
だからこそ、この想いは穢れてはならない。決して望美を奪う為に攫ったのではないのだから。
――そんなのはお笑い種だね。そう思いたいだけ、だろう? 本当は――
望美を抱きながら、夢の中の己が哂う。現を越えてこちらに来いと。
――違う。それ以上考えるな。違うんだ、オレは――
聞きたくないと願っても、胸の内の声を塞ぐ手立てなどなく。己の声が、容赦なく真実を告げる。
――本当は、彼女をオレ一人のものにしたかったから、だから、逃げたんだろう?――
ずっと聞こえない振りをしていたその言葉が、景時を責め苛んだ。
爪が刺さる程に手を握りしめ、俯いたまま。
ぎゅうと瞼を瞑って、己の心の深淵を、ただ見つめる事しか出来ない。
――ああ、だからあんな夢を見たんだ。気付きたくなかったから、こんな自分に――
結局自分は、認めたくなかっただけなのだ。
奪う為に逃げたのではないと、そう自分に言い聞かせる為に、望美に触れられなかっただけだ。
劣情は夢の中に留め置いて、そして夢の中の自分を咎めておけば、現の自分は穢れずにすむから。
――結局オレは、ずっと逃げていただけ、なんだ――
禁欲的なまでに望美に触れない事で、彼女を連れて逃げる自分は正しいのだと思いたかった。
己の内に潜む暗いものから目を背けて、逃げ続けて。
馬鹿げている。己から逃げる事など、出来はしないのに。
「――顔を上げてください、景時さん」
どのくらい時が経ったのだろう。
落ち着いた望美の声が、己に沈み込んでいた景時を我に返らせた。
思わず顔を上げると、真剣な表情でこちらを見つめる望美と視線がかち合った。
「景時さん。たとえどんな夢だって、私を呼んでくれるのが嬉しいんです」
震える景時の手に、望美の掌がそっと重なる。
「夢の中で私を求めてくれるんだったら――抱いて、ください。今、ここで」
望美はそう言って、掌を重ねたまま、額を景時の胸にことん、と押し当てた。
「お願い……もっと近くに来て、景時さん。でないと私」
淋しくて、死んじゃいそう――そう呟いて、望美は腕を景時の背中に回し、ぎゅっとしがみつく。
離れなければ。景時の理性はそう警鐘を鳴らしていたが、意に反して腕は望美の華奢な肩を抱き締めた。
「景時さん……!」
望美が嬉しそうに呟いて、背に回した手にきゅっと力を込める。
その束縛を拒む術を、景時は持たなかった――否、拒みたく、なかった。
「望美、ちゃん……」
擦れた声で名を呼ぶと、ずっと抑え込んでいた想いが溢れ出して止まらなくなり、
その衝動のままに、柔らかな身体をただ抱きすくめる。
どうしてこのまま離したくないなんて、そんな事を思ってしまうのだろう?
――わかっている。ずっと抱き締めたかったと、心が叫んでいる。
どうしてこんなにも自然に、この身体は自分の腕の中に収まっているのだろう?
――わかっている。一つになるのがさだめだからだと、身体が叫んでいる。
こうやって抱き締めあう事はとても自然な事で、でも、だからこそ、彼女に触れる訳にはいかなかった。
夢の褥の上ですら、その甘い情交に酔っていたのに、
一旦現のものとしてしまえば、きっと自分は、際限なく望美を求め続けてしまうだろう。
そんな事はわかりきっているから、だから、これ以上触れてはいけない。
そう理性を働かせようとしても、白い肌から薫る甘い匂いが、景時の思考を鈍らせた。
本能の導くままに首筋に顔を埋め、きつく吸い上げると望美はあえかな吐息を漏らし、肌を震わせる。
「……かげとき、さん……っ」
艶かしく潤んだ声で名を呼ばれると、もう堪らなくなった。
互いの想いが重なっている事はとうにわかっていて、なのにどうして頑なになる必要がある?
抱いてしまえと、またもう一人の自分が囁いて、最早その声に抗う術を景時は持たなかった。
――いつかこうなるのは、わかっていた事なんだ――
最後にそう、自分に言い訳をして、景時は己の理性のタガを外した。
望美を抱きすくめたまま、その小さな頤をくい、と己の方に向け軽く唇を啄ばむ。
柔らかい、ぷくんとしたその感触を味わいつつ、長い髪を掻きあげて耳を露出させた。
そのまま形のよい耳朶を甘噛む。こり、と、きつめに歯を立て、唇で挟みつけるようにすると、
望美は軽い悲鳴染みた声を上げ、景時の胸に縋りついてきた。
初々しいその反応に、景時の中の牡が否応なく刺激される。
俄かに湧き上がった欲望のままに、耳の淵を舌先でじっくりとなぞってみる。
そうしつつ、気紛れのように耳孔に舌先をぬらり、と差し入れると、
望美は息を詰め、僅かに背を反らせる。
そのまま首筋と鎖骨に軽く口付けながら、もう一度唇に戻って、今度は深く舌を絡めとった。
望美は驚いた風に唇を離そうとするが、景時はそれを許さない。
軽く頭を押さえ込んだまま、じっくりと口内を掻き回す
――と、緊張していた望美の身体から、ふっと力が抜けた。
その瞬間を見逃さず、素早く唇を離すや、今度は反対側の耳にいきなり息を吹きかけた。
「やっ……!」
不意の刺激に堪らず嬌声が上がる。続けて同じようにゆっくりと耳朶を食み、舐ると
望美はどうしていいのかわからないという風に、ふるふると身を震わせて景時にしがみつく。
おそらくは初めての官能に戸惑うその様子が、いかにも少女らしく可愛らしい。
宥めるように髪を撫でてやりながら、空いている方の手を夜着の帯にかけ、するりと解く。
袷が緩んで、肩と胸元があらわになる。闇に浮き上がるようなその肌の白さに景時は眩暈を感じた。
穢れのない白い肌は、まるで神子の清浄さをそのまま現しているかのようだ。
自分の行為がそれを汚していくのかと思うと、景時の胸の内に名状しがたい思いが込み上げる。
大切に触れずにきたものを、ついに穢してしまうのかという後悔と、
そして――認めたくはなかったが――漸く自分の物に出来るのだという、暗い悦び。
纏いつくばかりとなった夜着を脱がせて、褥に望美を押し倒すと、
夢に見た通りに彼女の長い髪が枕元に広がる。
もどかしく己の衣服をも脱ぎ捨て、身体を重ねると、望美が細い声で自分を呼ぶ。夢の中と同じ声音で。
「景時さんっ……」
その瞬間、夢と現が闇の中で重なり、景時を捕らえた。
――もう、逃げられない――
白磁のような肌のそこかしこに口づけを落としながら、景時は漠然とそんな事を思った。
若く瑞々しい肌を吸い上げ、鬱血した紅い痕を残していく。
首筋や喉元、二の腕を経て、張り詰めた乳房の稜線にも同じように花びらを散らす。
勢い余ってちぅ、と音のする程にきつく吸い上げてしまうと、
望美は「んっ……!」と声をあげ、そしてそれを恥じ入るように頬を赤らめる。
そうやって望美が自分の愛撫に反応する、その事自体が、まるで都合のいい夢の中にいるようだ。
汗ばんだ肌は微かに塩の味がして、それが妙に真に迫って、いや、確かに夢ではないのだと思い知る。
「っ! あ、ああっ……!」
掌の中で自在に形を変える柔らかな乳房をぎゅうと鷲掴んで、
既に隆起している桜色の先端を口に含み、舌先で強く舐り上げると、望美は高い声を上げた。
その声に煽られるままにそこを吸い立て、軽く歯を立てると、
強過ぎる快感から逃れるかのように、景時の腕の中で望美は身をくねらせる。
それを軽く押さえつけ、反対側の乳房もしつこい位に捏ね上げ、舐りまわす。
望美の口の端から絶え間なく漏れ出る声は、どこか啜り泣きにも似て、
だが、悩ましげに顰められた眉は、それが決して苦痛から来るものではないと示している。
――でも本当は、ずっとずっと、こうしたかったんだ――
こうやって望美に触れて、抱き締めて、その身体の隅々まで己の印を刻み付けて。
自分の掌で、指で、舌で、その肌をまさぐり、甘い声で啼かせて。
今自分は、夢でみた通りに望美を抱いている
――いや、まるきり同じという訳ではない。
今夜は妙に蒸し暑い夜で、風もなく、部屋には熱が篭っている。
そんな中でこうして抱き締めあっていると、互いの熱で溶けていってしまいそうな、そんな気がするのに
汗に塗れた肌はひんやりと心地よく、それがどこか不思議に感じられる。
そういえば、夢の中での交わりには温みがなかったと、景時は思った。
柔らかな身体をどれ程きつく抱き締めても、肉体の温みも重さもそこにはなく、
無意識にそれを求めていて、きっとその事もあったからこそ、自分は何度もあの夢を見たのかもしれない
――そんな思いが胸を掠めて、もっと望美の熱を感じたくなる。
胸を弄りながら、足の間に指先を伸ばせば、そこは既に熱く蕩けている。
羞恥からか、慌てて腿を閉じようとするのに構わず、人差し指を深く潜らせると、
望美は呻いて、僅かに仰け反った。
開かれていないそこは、潤んでいるのにもかかわらず、指ですらきつく締め付ける。
探るように指を蠢かしながら、舌を徐々に下の方へと這わせていく。
滑らかな腿に頬を摺り寄せると、どこか怯えた風に望美の身体が強張った。
おそらくは、秘所を晒す事に抵抗を感じているのだろう、軽く身を捩って足を閉じようとする。
それを咎めるかのように、景時は白い内腿にしゃぶりつき、歯を立てた。
「あぁっ!」
予想の埒外だったのだろう、高く叫んだ望美の身体から力が抜けた。
そこを逃さず、腿を開かせ、胸を高鳴らせながら秘所を覗き込む
――溢れんばかりの蜜に濡れそぼった花弁が、ひくひくと蠢く。
それは卑猥で、だが、目が離せない程に綺麗だった。
「やだっ……見ちゃ、やぁ……っ!」
涙混じりの声で懇願する望美の声は、今の景時には聞こえなかった。
まるで花に惹きつけられる虫のように、そこに口づける。
花弁を唇で食み、蜜を啜り上げれば、
初めこそ恥かしげに身を捩っていた望美の動きは、次第に淫らなものへと変わっていった。
本人も自覚していないだろう、更なる快楽を求めようとするかのように揺れる腰の動きに煽られ、
膨らみきった花芽を強く舐り上げる。
「あ、ぁあっ! だめぇっ……!」
嬌声が、熱く湿った空気を裂くように、高く響いた。
埋め込ませた指で中を掻き回しながら、なおも執拗にそこを舌先で弾く
――嬌声と共に、腰が淫らに何度も跳ね上がり、ひくひくと内壁が指を締め付ける。
ゆっくりと指を引き抜くと、奥底から粘りを増した蜜が、どろり、と溢れた。
身を起こし、とうに先走りの汁で濡れている己の強張りを秘所にあてがい、なぞり上げて蜜を纏わせる。
くちゅり、と淫猥な音に、達したばかりで軽く放心していたらしい望美が、薄っすらと瞼を開けた。
自分を見上げるその視線が僅かに揺らいでいるのに、景時は気付いた。
不安、なのだろう。初めて男と肌を重ねるのだから当然だ。
自分が望美のその不安をほぐしてやらなくてはならないのに、
先刻からただその身体を貪るばかりで、彼女に言葉一つかける余裕もなかった。
いや、今この瞬間も、余裕などありはしない。
後悔と、悦び、欲望――様々な想いが溢れ、奔流となって今も心中を渦巻いている。
それらに押し流されそうになる自分を抑えつけながら、
景時は望美の額に口づけ、渇いた喉からやっとの事で声を絞り出した。
「怖い……?」
そう問うた己の声が、みっともない位に擦れている事に景時は気付いた。
一方の望美は微かに首を横に振った。
「……よく、わからない、です。でも……大丈夫です。景時さん、だから」
そうして、にこりと微笑んで瞼を閉じる。全てを景時に任せたという風に。
その表情に、対する景時はごくり、と唾を飲み込む。
掌に冷たい汗が溜まり、情けない程に鼓動が早まっているのが、自分でもわかる。
――ああ、そうか。怖いのは、オレの方だ――
全てを自分に委ねてくれる望美を、傷つけてしまいかねない事が?
清らかな彼女を、自分が穢してしまう事が?
それとも、その身体に、溺れてしまう事が?
多分、その全てなのだろう。
だが、己の内にたぎる熱を、最早止める術はなく
――その熱の求めるままに、望美の足を抱え上げ、潤みの中心に強張りを押し入れる。
「あ、くぅっ……! んっ……!」
大丈夫だと言ってはみても、破瓜の痛みは相当なものなのか、
望美の眦からは涙がとめどなく零れ落ちる。
痛みからか、本能的な恐怖からか、にじり上がって逃げようとする腰を押さえ、
更なる深みに己をこじ入れると、苦痛を滲ませた呻き声が抑えきれずに溢れ出る。
耐え切れず、がり、と褥を引っ掻く様が景時の目に痛々しく映った。
斯様な苦痛を彼女に与えてしまっていて、だがもう己を止める事など到底出来はしない。
ならば、僅かなりともその一部を引き受けようと、
景時は望美の固く強張った指を開かせ、自分の背中に回すよう導く。
途端、縋りつくものを探しあてたかのように、望美の腕が汗ばんだ背中を強く抱きすくめた。
部屋の中には、浅い呼吸を繰り返す望美の息遣いだけが満ちている。
隘路に収まった強張りを僅かに退いただけでも、ぎり、と皮膚に爪が食い込んだ。
その鮮烈な痛みすら、望美の感じている苦痛には程遠いものだろう。
痛みを取り除いてやる術もわからず、景時はただ彼女を抱き締める事しか出来なかった。
「痛い、よね……ごめん……」
囁いて、零れ落ちる涙を唇で拭うと、望美は気丈にも首を振って微笑みすら浮かべてみせる。
「大丈夫……だから……もっと、キス、して……」
言葉の意味はわからなかったが、望美の求めている事はわかる。
だが、神子を穢し苦痛を与えた事への贖いが、本当にこんな事でいいのかと躊躇い、
思わず望美を見つめると、潤んだ瞳がはっきりと頷いた。
それに促され、涙の跡が残る白い頬に、もう一度そっと唇を落とす。
続けて、汗ばんだ額に、睫毛の先に光る涙に、柔らかな唇に、何度となく優しい口づけを繰り返した。
「……ごめん……ごめん、ね……」
腕の中でうっとりと目を閉じて自分の口づけを受けとめてくれる望美が愛しく、
だが、なんと言葉を掛けていいのかわからずに、景時はただ謝罪の言葉だけを口にしていた。
垂れた前髪を伝わって、汗がぽたりと望美の額に落ちる。
慌ててそれを掌で拭い取ってやってから、今更に気付く。
こうやって抱き締め、貫いている事が既に、彼女を穢しているのだ、と。
「ん……好き、なの……景時さん……っ……好き……っ……!」
口づけの合間合間に望美が漏らす言葉が、景時の心を苛む。
君が好きだ、と。
何のわだかまりもなくそう言えたなら、どんなにか幸福だろう。
けれども、自分は知ってしまったから。
彼女を己だけのものにしてしまいたかったという、卑怯で汚い自分。
それだけが全てではない。だが、確実に胸の端に存在するその欲望を、自覚してしまったから。
だから、言えない。言ってはならない。そう思うのに。
「……オレも、好きだよ……っ」
それでも抑えられない想いは、言の葉となって溢れ出てしまう。
好きだ、と、いくらそう口にしても、自分には望美を幸せにする事など出来はしない。
逃げる事しか選べなかった弱い自分、
こんな運命に彼女を巻き込む事しか出来なかった自分、
こうして彼女の身体に溺れる事しか出来ない自分には、
好きだと告げる資格すらないと、こうやって身体を組み敷いている今でさえ、そう思うのに。
――君はどうして、そうやって綺麗に微笑んで、オレを見るの?――
なおも自分への想いを紡ぐその唇を塞いだのは、耐え切れなくなったからだ。
名残惜しげに強く抱き締めてから身を起こすと、ぎりぎりまで腰を引いて、一気に奥へと突き入れた。
「! あっ、や、あぁぁっ!」
突然の激しい抽送にがくがくと揺すぶられ、望美は必死に景時にしがみつく。
ますます強く食い込む爪を背に感じながら、
景時は何もかもを忘れようとするかの如く、腰を使った。
望美の中は狭く、だが、ねっとりと熱く蕩けて己の強張りを締め付けている。
同じように熱く柔らかな身体に絡みつかれて、自分がぐずぐずに溶けていきそうな心持がした。
いっそ本当に、望美と一つに溶けあってしまえれば。
そんな風に願っても叶えられない事は、勿論わかっていて、
けれども身体も、心も、そうなる事を狂おしい程に望んでいた。
その激情に押し流されるように、激しく舌を絡め、唾液をも交わして。
逞しい胸板が、柔らかな乳房を押し潰す程、きつく抱き締めて。
どんなに抱いても、抱き締めても、足りない、まだ足りないと、身体が、心が、望美を求めてやまない。
「景時さん……っ!」
官能の滲んだ、切羽詰った声で名を呼ばれ、一瞬見交わした瞳の奥に切なげな揺らめきを見た。
その刹那、望美も自分と同じ事を考えてくれているのだとわかる。
それは嬉しい事の筈なのに、どうしようもなく胸が苦しい。
だがそれでも、己の身体は素直に悦楽を受け取り、貪っている。
その落差にもう何もわからなくなり、景時はただ望美を抱く事に没頭し続けた。
「ぁあ、あ、景時さん、かげとき、さぁんっ……!」
自分の名をたどたどしく叫んだ望美に強張りをきつく締め付けられ、限界が訪れる。
そのまま最奥に放ってしまいそうになるのに耐え、危うい所で己を引き抜いた。
強張りが跳ね、滑らかな内腿に己の欲望の証をどくどくと吐き出す。
――結局オレは、こんな風に君を穢す事しか、出来ないんだ――
荒く肩で息をしながらその様を見つめる景時の胸中には、ただ苦い後悔だけが渦巻いていた。
いつの間にか、陽はすっかりと落ちきっていた。
暗がりの中、灯台に火を点すと、それはゆらりと揺れて、望美の身体の陰影を映し出す。
懐紙と濡らした手拭で汗に塗れた身体を丹念に拭ってやると、望美は心地よさげにほぉっと息を吐いた。
上掛を肩に引っ掛けたままむくりと半身を起こすと、胡坐を掻いている景時の腿の上に頭をのせかける。
「……どうしたの?」
「もう少し、こうしてたくて……駄目、ですか?」
「そんな事、ないけど……くっついてるとまた、汗、掻いちゃうよ?」
「いいの」
消極的な拒絶に気付く事もなく、そう言って、望美は瞼を閉じた。
戸惑いながらも長い髪を慈しむように梳くと、くすくすと笑って甘えるように頬を摺り寄せてくる。
「望美ちゃん、ごめん、やっぱりちょっと起きてくれる? その、結界、張ってくるから」
「でも、もう少しだけ――」
「すぐに戻るから――すぐに、ね」
言いながら景時は、名残惜しげにこちらを見上げる望美の髪を、優しく撫でる。
この台詞に嘘はない。もう自分を誤魔化す必要はないのだから。
それを感じ取ったのか、望美は素直に景時の腿から枕に頭を乗せかえた。
「じゃあ、待ってます――眠る時、手を繋いでくださいね?」
「ん。御意〜ってね?」
おどけた風にそう答えてみせると、嬉しそうに望美が笑った。
その笑みを背中に受け止めながら、静かに襖を閉めて廊下に出ると、景時は静かに息を吐いた。
もうその顔には笑顔の影はなく、ただ苦悩の色ばかりが浮かんでいる。
望美の満たされた様子とは裏腹に、景時の胸中は複雑な思いで一杯だった。
己の中の暗い欲望を自覚しつつ、望美を抱いてしまって、果たしてよかったのだろうかと。
――オレはもう、君を知ってしまった。君の身体の温かさを、心地よさを知ってしまった――
きっとこれから、二度とあの夢は見ないだろうと、そう思った。
だが、夢から逃れた自分は、新たな闇の中に足を踏み入れてしまったのだと、そんな事を感じた。
――だからオレはきっと、この先ずっと君に溺れ続けるんだろう――
夢の望美に溺れる事と、現の望美に溺れる事。
それにどれだけの違いがあるのか、景時にはわからなかった。
わかっているのは、唯一つの想いだけ。
――望美ちゃん、好きだよ。君の笑顔が、君の全てが――
この想いは真実で、なのに何故こんなにも胸が苦しいのか。
逃げ続ける事しか出来ない自分は、決して望美を幸せになどしてやれないと知っているから。
なのに、望美に溺れる事しか自分には出来ないだろうと、わかっているから。
「ごめんね……」
そう、ぽつりと呟く。そうする事しか、今の景時には出来なかった。
以上です。
ではでは〜。
むた神、お久しぶりでございます。
遙か3バッドEDの中でも、景時逃亡EDは、まさおの夢のと並んで好きなんで、
たくさん執筆&投下してくださるむたさんは、ほんとにありがたいお方です。
またのご光臨をお待ちしてます。
キタ━━(゚∀゚)━━!!
超(・∀・)イイ!!
久しぶりにネ申光臨待ってました!!!
葛藤する景時はいいですね!切な萌…。
また投下お待ちしてますよ( ・∀・)っ旦~
望美と景時の心の温度差が、
また何ともいえず切ないですな。
GJでした!!
GJです!切ないながらも萌えました。二人には幸せになってほしいなぁ。
3はバッドEDも好きだな。景時とか弁慶とか。十六夜にも切ない系が有るといいんだけど。
この暗さがエロさがGJ
むたさんの読むまでは景時バッドが
いいとは思わなかったものだが。
萌えました (*´д`*)ハァハァ 。
またご降臨をお待ちしています。
リズ神子キボン・・・・少ないんだもん・・・。
切なくて文章も上手くてきっちりエロくて流石でつね。読みながら何度もウットリしましたハァハァ(*´д`)
「望美を救う為に逃亡した」っていう解釈がイイなぁ。逃亡ルートの先の逆転グッドED妄想してしまいましたよ。
このSSの2人は幸せにしてやりたい…十六夜記でそういうED追加されないかしら(´・ω・`)
思うんだがさぁ、カゲトキのバッドEDて、逆鱗の力でカゲトキ
つれて現代に戻れば良かったジャン。
リズ神子みたい!!というか十六夜記でどんなスチル見れるか今から楽しみすぎて…(*´∀`*)
>105
いや、あれだ、連れて行くなら朔とか母親とかも連れていかんと。
先生んときは、一つの逆鱗で二人戻ったんだっけ?
でも、短い時間しか戻れなかったし、なんかそういう制約があるんだよきっと。
そのわりに神子の涙で復活したりするけどなw
>>105 確かにそうだw
いつか追っ手に捕まりそうになったら使う…のかも。
しかし、それを言うなら将臣バッドだってそうだよな。
やっちまったらあんまりだが。
むたさま
景時好きにはもう、たまりません〜(・∀・)
またの降臨お待ちしています!
めっさええもん読ませて頂きました。ありがとう!
111 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 00:19:10 ID:ZgwjT4xa
ageとく
十六夜出たらすこしは賑わうかな
今更だがコルダやって金日に萌えました。
ところで主人公の家族構成って公式に設定されてますか?
書いてるSSに出したいのですがゲームしかやってないんでどうにも不明。情報求む。
ゲームでは不明(というか、経歴等はほとんどプレイヤーの解釈に委ねられている)
漫画では母・姉(社会人ぽい)・兄(関西の大学に進学)の存在を確認
ゲームの主人公として書くのなら好きにして良いと思いますよ
>114
ありがとうございます。ではちょろっと出てくる程度なら問題ないかな。
金澤×日野投下します。
エンディングから一年後設定で投下予想レス数9。
夕食後、日野香穂子はリビングで寝そべりテレビを見ていた。流れているのはオーケストラの演奏。去年
コンクールに参加するまでは全く興味のなかった番組だが、今では楽しみに観ている。知っている曲が演奏
されていたりすると、妙に得をした気分になれる香穂子だった。
ぶつん。
「あ! 何する」
突然テレビを消され抗議の声を上げかけた香穂子だったが、消した張本人、自分の母親の厳しい顔に言葉
を飲み込む。
「香穂子。ちょっと、そこに座りなさい」
雰囲気に呑まれおずおずと正座すれば、正面に座った母親は真剣な目で。
「香穂子――あんた、煙草吸ってないでしょうね」
「……はい?」
「とまあ、『最近煙草くさいんじゃない』かと言われたあげく、母に喫煙疑惑をかけられてしまいました」
「それは俺のせいなのか?」
『禁煙』と書かれた携帯灰皿に灰が落とされる。
「先生の匂いが移っちゃったんですよ」
音楽準備室で金澤と差し向かいになる香穂子は、文句や抗議と呼ぶには程遠い口調で言い返した。
「それじゃあ言わせてもらうが、俺だってこの前学年主任に『ひとりの生徒ばかり構うと余計な心配を
されますよ』って嫌味言われたぞー」
「……私のせいですか?」
考え込む生徒を前に金澤は笑い、
「えこひいきは教師の特権。
教師のところに入り浸るのは生徒の勝手。ま、そーゆーことだ」
香穂子はまだ腑に落ちない部分もあるらしいものの、そうですねと素直に教師に微笑んだ。
窓からの日差しは強い。薄いカーテンを引いてはあるが、室内にまで外の暑さが侵攻してきそうだ。八月も
中盤を過ぎ、暦の上ではとっくに秋の空気はまだまだ暑い。
「しかしお前さんもわざわざそんなことで俺のところ来るなよなー。やれやれ、夏休みもなしに働く教師に
追い討ちかけるとはなんて酷い生徒なんだ……」
「夏休みがないのは私もですよ。受験生だし、さっきまで夏期講習でしたし」
夏休み期間に香穂子が登校してきたのはそういったわけだった。
ただ、部活や何やら、あるいは用事がなくとも学校に来る生徒は割と多いので、夏期講習中の生徒の姿が
特に目立つということはないし、講習が終わっても残っている者がいても不自然ではなかった。
金澤が音楽教師で、普通科の香穂子の担任でもなんでもなくて、去年行われた学内音楽コンクールまでは
接点すら無く、故に受験生の目下の関心事であろう進路相談にはいまいち関わりが薄いのを考えの外に
置けば、だが。
その証拠とでもいうように、椅子に座る二人を区切る机の上には、受験勉強とは無関係の楽譜が載っている。
「おー、ちゃんと練習しているようだな。感心感心」
金澤がめくり癖といくつもの書き込みが残った楽譜を見て言えば、香穂子は少しだけ照れてみせた。
「あんまり練習時間とれないんですけど、弾いてるとやっぱり楽しいんです」
「そりゃお前さんがバイオリンと上手く付き合ってる証拠だ。良かったな」
「はい」
楽譜はドヴォルザーク作曲『ユーモレスク』――かつて香穂子がセレクションで演奏した曲だ。あの時との違い
は今あるのはコンクール用に編曲した譜面ではなく、原曲そのままのものであるということ。
コンクールが終わったのちも香穂子がヴァイオリンを手放すことはなかった。音楽の道に進むまでには至らな
かったものの、今でも学内でヴァイオリンを奏でる香穂子の姿が見られる。
こうして金澤の元に赴き演奏するのも、その一環、としてもいいかもしれない。
むしろ『そう』でなくてはいけないのだろう。
少なくともあと半年は二人は『教師と生徒』だ。
「日野は素直でいいなー」
煙草のにおいの染みついた手が、香穂子の頭を撫ぜる。
遠慮のないスキンシップに頬へと血が昇りきる直前、手は離れる。
「あ、すまんすまん。こーいうことしてるから臭い移っちまうんだよな」
「たぶん、これくらいなら大丈夫だと思うんですけど」
離れるのが淋しいのか、離れるのが当然の関係が悔しいのか。香穂子にはよく分からない。
「匂いがうつるコトなんて、なんにもしてないのに。変ですね」
――視界に、がくんと顎を落とす金澤が見えた。
「先生、煙草」
「あ、ああ、いやすまん」
尽きる寸前の煙草を慌てて押し潰し、金澤はこれみよがしの溜息を吐いた。
「あのなあ……日野、お前さんは言動に気をつけるべきだと、先生思うぞ」
しばし黙考。
「あ」
深読みすればまあ男性と二人きりになっている状況下で話すには危険であろう内容になっていたことに
ようやっと気づく。
「生徒にセクハラされるとはなあ。先生悲しいぞー」
「そんなつもりじゃなかったんですってば!」
たぶん。おそらく。内心はともかく。
――さらに誤解を招く――『誤解』なのかどうかは知らないが――言葉は、抑えた。
なんとなく途切れた会話に、そこはかとなく空気が変わった気がする。
香穂子は落ちつかなげに膝上のヴァイオリンケースを触り、金澤は金澤でどうにも歯切れの悪い表情を
浮かべている。
「……あー、そろそろ、帰るか?」
頷こうと思った。思うだけは、した。
あれ、おかしいな、とぼんやり考える。
こんな他愛ない、綱渡りを連想させる会話なんて何度も交わしてきたはずだ。『好き』と言葉に出せない
もどかしさを、同じ匂いを纏うほどに近づいても触れられない距離感を、ずっと仕方ないとそれでもいいと。
一年、頑張った。これからも、ちゃんと、待てるはずなのに。
なのにどうして――こんな、些細なことが――
動かない香穂子を心配してか、金澤は椅子から立ち香穂子の隣へと回る。
ゆっくりと、ヴァイオリンを、机の上、楽譜の上へと載せる。
「もしもしー、日野――っうわ?!」
がたんっ、と椅子が横倒しになる。
金澤は背が高い。香穂子が抱きつくと胸に顔をうずめる格好になる。
金澤は『大人の男』だ。『女の子』でしかない香穂子が抱きしめようとしても、体格差から腕はまわりきらず
しがみつく格好になる。
じっと耳を済ませると、早い鼓動が聞こえた。金澤のものかもしれないし、香穂子自身のものかもしれない。
「日野、ほら、離れろって。今なら先生怒らないから、な?」
焦る声をどこか遠くで聞く。
告白から一年、なにひとつなかったのは『先生と生徒』の立場を曲がりなりにも守ろうとしたからだ。その
努力が、今、香穂子のせいで無駄になろうとしている。
「日野、大人をからかうんじゃない」
「からかってないんかいません」
冗談でこんなことが出来るものか。
怒りを載せた警告は、震える声に霧散する。
「『そんなつもりじゃなかった』んだろう?」
「……」
「だったら、離れるんだ」
香穂子は、動かない。触れ合う部分からじんわり汗が滲んでくる。時間にすれば数秒かもう少し長い程度か。
だが、それだけあれば、
「……おいおい、嘘だろ」
金澤が、自分自身で香穂子を引き剥がそうとしないのを自覚するには充分だった。
――目眩がした。
「……本気にするぞ」
「本気にしてください」
瞬間。理性、とか、世間体、とか、大事なものが身体の奥へと押し込まれる。
金澤の手が香穂子の肩へと圧し掛かる。跳ね上げた顔へと唇を落とした。今までの硬直加減が嘘のように
滑らかに動く身体には、現金だと苦笑するしかない。
「……あ、ファーストキス」
ぽつん、と香穂子が呟いた。
「おいおいー、そんなんで大丈夫か? これからもっと凄いことするぞ?」
もしかしたらこれで怖気づいてくれるかもしれない――相手に選択権を押し付ける気弱な願望は、香穂子が
小さく頷いて。それで全てが決着した。
最後の藁。
例え話だ。荷物を限界ぎりぎりまで積んだラクダの背に、一本の、軽くてそれこそ吹けば飛んでしまう藁を
載せる。それが、ラクダの背を折る。
単なる例え話だ。物事には限界があり、些細なきっかけでも決壊することがある。
折れた背は、たぶんもう戻らない。
香穂子の記憶は曖昧になる。
一糸纏わぬ姿で、ソファに。音楽準備室で金澤に押し倒されている。床に目を遣れば金澤の服の下に自分の
下着が見え隠れしている。そう子どもっぽくもなく、背伸びしすぎる感じでもない、お気に入りの上下揃いだった。
――金澤に会う日には好きな下着を特に選んで身に着けていたのは――偶然だ。偶然に決まっている。
よく覚えていないが、自分の足でソファまで歩いたはずだ。服は制服から下着、靴下に至るまで全部自分で
脱いだはずだ。
もし金澤が手を貸したのなら。
こんな風に、今現在のように触れられたのなら、その熱さを憶えていないはずがない。
「……その、電気消すか」
おずおずと聞かれた。
「ええと……あんまり、意味ないかも。昼ですし」
「あ、そうだよなー、うん」
カーテン越しの夏の日差しは強い。電灯が点いていようといないとお構いなしだ。
「混乱してるな、俺。大人なのになあ」
苦笑が真剣さに取って代わる。近づく吐息に、目を閉じた。唇にあついものが触れて。離れる。
目を開ければ、困った顔の金澤がいた。
どうしたのか聞こうとひらきかける口へと。
「……っ。ん、ふ、っ」
入ってくる。あわせる肌より熱の高い、舌。やわらかいようなそれが口内をなぞる度、酸素と思考能力が
削られなにも考えられなくなるような、そんな気がした。
出ていく時には、淋しさすら感じた。二人の間に唾液が細いアーチを作り、たわんで香穂子の顎へと滴る。
ああ、そういえばさっきは緊張のあまり口元を固く結んでいた。大人のキス、なんて初めてだったから頭が
回らなかった。
「……やっぱり、煙草臭いか?」
キスは確かに苦かった。だから肯定を返したけれど、それだけではないような気もした。
伝える前に金澤が動く。
胸をさぐる手は、大きくて、固くて、頭を撫ぜてくれた手だとちゃんと分かるまで少しかかった。背を僅かに
反らす。大きく動けばソファから落ちてしまいそうで、ちょっとだけ怖い。
「せんせ……っ」
「心配するな。支えとくから」
再びのキス。今度は予測できたせいか、落ち着いて受け入れられた。無精ひげが肌を、煙草の苦みが
ちくちくと舌を刺す。不思議に心地好い、と思う。
胸を触る手は、相変わらず優しい。物足りないくらい。どうすればいいのか迷っている印象すら受ける。
「大丈夫ですよ」
もっと乱暴に扱っても。
『女』として扱って欲しい。
「だからなあ……男の前でそういう台詞はなあ……」
「先生にしか言いません……でもこれじゃあ先生が男じゃないみたい――ひっ」
たどたどしく上手い表現を探す香穂子の語尾が跳ねる。
乳首をかり、と引っかかれたから。金澤の膝にて割られた脚の内、特にやわらかい場所へとその手が
滑っていったから。
「お前さんの気持ちはよーく分かった。でもな」
笑顔は、普段どおりのおちゃらけたものではあったが。
「一応、俺は大人だからな。頑張ってオトナの気遣いをしてみせるぞ」
瞳は、真剣すぎて怖いくらいで。
「――そうでないと本気で枷外れちまう」
囁く声に、動けなくなる。
動けないと思ったのは錯覚だ。胸元へ、首筋へ落とされるくちづけに。指の動きに、反応するのだから。
ちゃんと動けるのに、と口惜しく思うのは、それでも自分からは何もできないからだ。与えられる感触に溺れる。
相手の熱を感じるごとに頭の芯がとろけて――何も返せない子供だと突きつけられる。
「あ……」
自分のものではない指が、身体のなかで一番敏感な部位を、すくう。
「慣らさんと辛いだろうな――ちょっと我慢しろよ」
ごつい指が金澤自身の口元へと運ばれ、
数分前に香穂子のなかへ入った舌が指へと絡む。煙草の残り香のする唾液がたっぷりと塗りつけられた。
見上げるその挙措に、香穂子は、ひどく、そう、――自分が金澤に欲情したのがはっきり自覚できた。
濡らした指が沈む。反らす喉から喘ぎが洩れた。
唾液を潤滑油代わりに体内で動くのが知れる。同時に、唾液とは別の体液がそこを滑るのも。
「大丈夫か……?」
「……っあ、はい……っ」
そうか、との返答後、指が抜かれた。湿った水音がした。
金澤が足を組みかえる。そうして脇からなにかを取り出した。見るのは初めてだが、香穂子も用途は知識
としては知っている。いわゆる避妊具、コンドームというやつだ。
香穂子はそんなことまで考えていなかった。駄目だなあ私、なんてぼんやり眺める。
「……いや、恥ずかしいからまじまじと見ないで欲しいんだが」
「あ、はい、ごめんなさいっ」
慌てて目を瞑る。圧し掛かってくる体温はいっそ息苦しい。
と。耳の近くにくちづけられた。
「おーい、息まで止めなくていいんだぞー」
「――っは?!」
慌てて目蓋をこじ開け、ついでに無意識に止めた呼吸を再開する。思いっきり苦笑いされていた。
「お前さん、可愛いなあ」
「どうせ、私には何にもでません」
すねた口調で言えば、何がと返される。
「先生は……その、ちゃんとしてるのに……私は……なんにも……」
口に出すと恥ずかしくて消えたくなる。
「そんなことはないぞ。俺は日野の顔を見ているだけで充分楽しい」
「……セクハラ〜」
ぼそっと呟いて、
「セクハラ同士、お似合いですね」
「――ああ、そうだな」
冗談のような泣き笑いながらの台詞に、金澤は抱きしめることで応えた。
香穂子のそこに、熱を帯びたものがあてがわれる。
「出来るだけでいい。力を抜いておけ、な」
頷くが、恐怖心までは堪えきれない。覆いかぶさる背へと、両の手でしかみついた。普段身長の関係で
見上げるだけの顔が、今はこんなにも近い。それだけで痛みへの恐怖を上回る感情が生まれる。
金澤が低く囁いて。
入ってくる。
痛い。
悲鳴を上げてしまうかもとは思っていたが、あまりの痛さに声すら出せない。代わりに涙がみっともなく溢れる。
早く許容を越えて麻痺してくれないだろうか。そんなことすら願う。
だというのに、細い腕はひたりと金澤を捕らえたまま。止めないで欲しいと望む香穂子の心そのまま。
「痛いか……って痛いに決まってるよな……すまん、日野」
荒い呼吸は、程度の違いはあれど、どちらも。じっと動かず、金澤は香穂子の息が少しでも整うのを待つ。
「も、動いても、大丈夫です」
「……本当か」
「はい……その代わり、キス、して」
要望通りにされる。繋がった箇所のうち、一方はどうしようもなく痛い。狭い場所を貫かれ行き来されるのは、
快楽とは無縁の状態だ。
慣れたら、と頭の隅で考える。慣れたら気持ち好いと感じられるようになるのだろうか。湿った音を立て絡む
もう片方の箇所が、一度めよりずっとキモチイイのと同様に。
自分からも舌を差し出してみる。受け入れられ、蹂躙される。「たべられる」のが幸せだと思ってしまう。
息継ぎにと名残惜しくも離れた瞬間、唐突に解った。
「あ、そっか」
唾液と、熱と、煙草の苦さと。それは。
「かなざわひろとの味だ……」
――金澤が一瞬ひきつったようだ。
「反則だろうが……」
「え? なに……いっ?!」
引き金は、どこにあるか分からない。なけなしの理性を保ってきたが、今のでほぼ根こそぎ吹き飛んだらしい。
腰が打ちつけられる度、香穂子は金澤の背へと爪を立てた。深く、痕を残すほどしがみついていないと、痛み
でどうにかなってしまいそうだ。
喘ぐ唇を割ってくるものを受け入れる。酸欠でくらくらする。痛みを和らげて、もしくはごまかしてくれるようだった。
そうして近づいたおかげで、金澤の『その瞬間』を潤んだ視界に収めることができた。
初めて見る顔と、苦痛に紛れての僅かな感触で。
満たされるのを知った。
腰の痛みが治まるまで、ということで、香穂子はソファに寝かされている。後始末を手伝おうという金澤の
提案は丁重に断って、そこをティッシュで拭うのから着替えまで苦労しつつ自分でやった。
行為の後でなんだが、裸をこれ以上見られるのが恥ずかしかったから、というのもある。
「血、あんまり出ないんですね。もっとたくさん出るかと思ってました」
「個人差があるらしいからな」
「……先生、詳しいですね」
「おい、ちょっと待て話を振ったのはお前さんだろうが。その目はずるいぞ」
他愛もない会話を続ける間に日は傾いて、学校を出なければ――相手と別れなければならない時間が迫る。
んしょ、と掛け声をかけて香穂子は起き上がる。
「大丈夫か? 一人で帰れないんだったら送るぞ」
「大丈夫です。いざとなったら母に連絡して迎えに来てもらいます。それに男の人に送られたほうが
驚かせちゃうだろうし」
「何を言う。具合の悪くなった生徒を教師が送っても問題ないだろう」
「……そうですね」
その通り。どうしたって、『教師と生徒』には変わりない。
「正門までは、送ってやる。ほれ、掴まれ」
左手に香穂子の鞄とヴァイオリンケースを持ち、金澤は右手を差し出した。香穂子は嬉しそうに笑い、はい、
とひとつ返事をした。
そういえば――手を繋ぐのは、少なくともまばらだが人目があるところで寄り添うのは、初めてかもしれない。
『具合の悪い生徒を支える教師』という大義名分があるからこそ出来ること――原因には、この際目を瞑ろう。
(順番逆だなあ……)
普通こういう段階を踏んでから一線を越えるものだろう。我慢の効かなかった自分は、本当に子供だ。
「先生」
「ん、どうした」
「――あと半年して、『教師と生徒』じゃなくなったら、デート、しませんか」
かといってすっとばした段階がそれきり踏めないわけでもない。
「いつか言ってたじゃないですか。野球観戦連れてってくれる、って。私、楽しみにしてます」
その後に「冗談だ」と釘を刺されたのは都合よく忘れてみた。
金澤は、
「そうだな。楽しみだな」
香穂子と同じく笑った。
エンディングとおまけイベント見た勢いで書いたらこんなん出来ました。
「煙草臭いのは〜」ってエロいよ先生。
お〜、リアルタイムだ〜!
コルダ未プレイですが、大人っぽい雰囲気がよかったです。
GJ!
(*´Д`*)ハァハァ
もう言葉も出ません。ごちそうさまでした!
金やん、EDまだ見てないんだが、投下作品と
>>125のコメント見て、
なんだかとてつもなく、見なくてはならない気がしてきたよ。
香穂子の背伸びっぷりも、金やんも、たまらん。GJ!
GJ!お疲れ様でした
久々にコルダやりたくなってきた〜。
金やんたまらん〜〜。
GJ過ぎてなんか目頭が熱くなったよ。
エロ読んで泣きそうになったの初めてだー
初めてであえぎまくるような話が多い中、実にリアルでイイ!(・∀・)
香穂タン、これから慣れるまでいっぱいしてもらうんだよ〜
128さんと同じく金やんED見てないのが惜しくなってきた…これからやるよノシ
132 :
115:2005/08/23(火) 00:59:32 ID:4l/sBMxr
うをう、レスありがとうございます。
金やんエンドは台詞が「深読みしろ!」と言わんばかりでハァハァ。流石32歳。
>131
あま〜く喘がないのは金やんがへたk…久しぶりで勘が鈍っていたからかと。
金やんには香穂子の慣らしも兼ねてリハビリに励んで頂きたいものです。
むしろそんなエロい金日が読みたい。コルダ職人さんカモン。
133 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 20:38:47 ID:I6xIZfR+
初めてここにきていきなり読ませてもらいますたw
(・∀・)イイ!! GJです!!!!
金やんが大人で・・・ハァハァ
初の香穂タンにも萌えですた。
やぱコルダで萌えなのはB柚日ですな。
あと火日もすきなんでそんな投下お待ちしたますぁ。
面白かった。
コルダももっとみたいです。
柚木とか月森とか王崎とか。
月森と柚木は過去にあったけど、王崎は無かったよね。
コルダもアンジェも遙かもガンガン来い〜
そうだそうだ!!ガンガン来い〜
夏が終わるな……
遙か2のSSが読みたいですとねだってみる。
139 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 00:22:31 ID:Ivp1yR5e
揚げ干す
十六夜発売に期待
PV見た?
PV?詳細キボン
もももえええ(;´Д`)ハァハァ ですよ!
>142
十六夜公式行ったか?
とりあえず白虎
知望書くなら今のウチ!
…と思うが焦るとキーボードが進まないよウワァァァン
>>146 ガンガレ!!超ガンガレ!!
私は正座して待っておりますよ!!
十六夜出たら知望とか銀望祭りになるのかな…ワクテカ
他のキャラだってまっていますよ……
他の作品だってワクテカしながらまっていますよ・・・
お久しぶりにも程がありますが、おひさしぶりです。
前スレ500です。
弁慶×望美(昼メロ)、続きを投下させていただきます。
話の都合上、弁含む八葉全く出ておりません。
平氏の名もなき雑兵×望美の陵辱モノです。
そういうのが全く駄目な方はあぼーんしてください。
ついでにタイトルもつけました。
レマサバクタニでアボーンヨロです。
これは、夢だ。あのときの夢。
早く目を覚まさなくては。
望美はそう思ったが身体が固く縛られているようで思うように動かない。
頭の中で夢だとは解かっているがそれ以外は意識に霞が掛かっているようで朦朧としていた。
見上げれば剥き出しの岩肌がある。
矢が掠めた右腕の傷が燃えるように熱い。そこを中心にして体中が発熱しているようだ。
「お、ようやくお目覚めのようだぜ」
「何も起きるまで待ってやらなきゃないこともなかったんじゃないか」
「気を失っている女なんざ抱いても何にもおもしろくねぇよ。 お前、わかっちゃいないな」
声の主が近づいてきたかと思うと顎を強制的に掴まれて何かを口の中に突っ込まれた。
そのまま水を含まされる。
「飲めよ。俺たちは雅も知らない源氏者とは違うからな。
敵方の女でも、しっかり啼かせてやらねぇと気がすまないのさ」
吐き出すことを許されずに水と異物が望美の喉を通過した。
「う…ぁ…な、に…」
「気持ちよくなれる薬さ」
「挿れる頃には男が欲しくてたまらなくなるってことだ」
男たちの下卑た笑いに吐き気にも似た嫌悪感が走る。
「なぁ、源氏の神子ってのは平家の怨霊たちをお優しくも鎮めて封印してくださるんだろう?
なら生きている俺たちもそのご慈悲で極楽にイカせてくれよ」
そう言って羽織に手を掛けられた。
払いのけようとした瞬間に右腕の傷が酷く痛んでそれすらも叶わない。
簡単にはだけられた着物の中から白い肌が露になる。
胸を下から包まれて、その頂きに向かって舌を這わされた。
「やだっ!!きもちわるいっ…!!」
粘着質なその動きと、それが通った後に触れる空気がえも言わせぬ不快感を与える。
その反応に男達が喜色を浮かべた。
「おい、ひょっとしてこいつ、生娘か?」
「きめ細かい肌じゃねぇか、たまんねぇな」
「宿場の女どもの肌は他の男の臭いがするからな、こいつはとんだ上玉だ」
「さわら、ないでっ…!」
嫌悪感を露にして男達を睨みつけてもそれは相手の加虐心を煽りこそすれ、自らを助ける手段にはならない。
そう頭では理解していても、抵抗らしい抵抗という術を持たない望美には
屈しないという意思をその視線に織り交ぜて男達にぶつけることしかできなかった。
「怖い怖い。龍神の神子殿はご機嫌が斜めとお見受けする」
バカしきった声でおどける男の目は、獲物を完全に自分の領域の中に取り込んだ肉食獣のそれだ。
逃げることを許さず、じっくりと弄ることを明らかに楽しんでいる。
「強がっていられるのも今のうちだ。そのうち涙を流して自分から足を開くぜ。
お願いします、挿れてください、ってな。あれはそういう薬だ。
いつまで清らかな神子様の矜持を保っていられるか、楽しませてもらおうじゃないか」
男達が面白がっていることはわかる。敢えて望美から距離をとったことにそれでも安堵を覚えながら
痛む右腕を押さえて逃げることを画策する。
何とかして洞穴の出口に近づこうと岩肌に預けた背を使って立ち上がり、身を捩った瞬間に目の前が暗くなるのを感じた。
鼓動が異様に早くなり、体の芯が融けていきそうなほど熱を持っている気がする。
こんな感覚は、知らない。
自分の吐息でさえ第三者の意思を持っているのではないかというほどままならない熱さを持っている。
「おお、そろそろ効いてきたんじゃないか?」
男の一人がニタニタと下品な笑いを浮かべて、それでも望美には近づかない。
どうせ逃げることなど叶わないことが判っているが故に、あがく望美を見て楽しんでいる様がよくわかる。
今まで誰にも触れさせた事のない奥からトロトロと何かがあふれてくる感覚は不快感とも、甘い快楽ともとれた。
自分の奥が誰かに触れてほしくて疼いているのがわかる。
「どうだ、神子殿。俺達が欲しくなっただろう?」
「…だ、れが…!!」
湧き上がる熱をもてあましても屈することだけはしたくない。
浮かび上がる目尻の涙を拭いもせず、今頼れるのは自分のプライドだけなのだと悟った。
「俺達に触れられるのが嫌なら、自分の手でしたらどうだ?
もう相当限界が来てるだろう?辛いのを我慢してたってこれからどんどん苦しくなるだけだ」
我慢できるなら死ぬまで我慢していたって構わないけどな、という言葉すら洞穴の壁に共鳴して望美の思考に痺れをもたらし始めた。
つらい。目の前が赤く点滅しながら全てのものの輪郭すら歪んで見える。
普段は肌の下に通っている神経が今はすべて表面に浮き出てしまっているのではないかと思えるほど少しの振動ですらも敏感に感じてしまう。
気がつけば、望美の指は自分の下肢の間を這っていた。
つ、と薄布一枚で隔たれた蜜壷に手が伸びる。
息を詰まらせ、震える指を差し入れるとそこは温かいというよりは熱い蜜が絡まった。。
悔しさに、こらえていた涙があふれる。だがこの熱をやり過ごさなければ、本当に気が狂ってしまいそうだった。
ゆっくりと中をかき回すと、柔肉が奥へ奥へと誘うようにうごめくのが解かる。
自らの指が与える刺激が、甘い痺れになって望美の脳を支配した。
もっと、もっと、と無意識に腰を捩る。気がつけばいつの間にか指を三本に増やしていた。
ある一点を中指の先がはじいたことで、大きな波が襲ってきた。
「ぁあ…あ…っ」
思わず漏れた声に男達が色めきたった。
「おい、とうとう龍神の神子様が淫らにも御自分の指で達されたぜ?」
「こんな淫乱な神子様に加護を受ける源氏の奴らも程度が知れるな」
「能無しの総大将に、臆病者の戦奉行。鞍馬の鬼に平家を裏切った公達、使えない奴らばかりだな!」
全くだ、と笑い声が響いた次の瞬間、望美の左手が男の頬を打った。
「げ…んじの、皆を、バカにしないでっ…!!」
八葉の面々がどこまで平家に顔が知れているのかはわからないが、大切な仲間達をその口で汚すことはどうしても聞き捨てならないことだ。
達したばかりの朦朧とする頭で必死に男達をにらむ。
打たれた男はあっけに取られた顔をしていたが、すぐに不敵な笑いを口元に浮かべた。
「やっぱりお優しいな、龍神の神子殿は。仲間への愛情は人一倍、か。
おもしろい、もう二度とその大切な仲間の下に帰れなくしてやるよ」
右腕の傷の部分を掴まれ、思い切り引き寄せられる。
あ、と思った瞬間にはくるりと身を反転させられ、男の熱い息の向こう側に目覚めたときと同じ岩肌の天井があった。
「や、やだ、やめて」
思い切り声を出して助けを呼びたいが、やっとのことで絞り出した声は哀しいくらいに掠れていた。
「おいおい、さっきまでの威勢はどうした?あの勢いで俺達も楽しませてくれよ?」
「おい、お前が先にやるのかよ」
不機嫌そうなもう一人の男の声に
「何言ってんだ、龍神の神子を戦場から奪ってきたのはこの俺だぞ?
安心しろ、時間はたっぷりあるんだ。お前にも後で十分楽しませてやる」
そう応えて自分の帯を解き、熱く猛ったものを取り出した。
ぐ、と足を開かされ下着は力任せに剥ぎ取られた。
誰か、と思った。誰か、助けて欲しい。
「やっ…やだっ!!嫌!!弁慶さん!!弁慶さん!!!弁慶さん助けて!!」
思わず叫んだその声に、それまで楽しげだった男の眉間が潜められる。
「弁慶…って、あの源九郎義経の参謀、武蔵坊弁慶のことか…?」
「こいつ、武蔵坊弁慶の女か…」
「あの男の策略に、俺達平氏がどれだけ煮え湯を飲まされたか…!!
あいつさえ、あの男さえいなければ、俺の親友は死なずに済んだんだ…!!」
足を開かせていた男の指に力が籠められる。だがそれ以上にその目に宿った狂気が望美の背筋を震わせた。
「気が変わった。せいぜい楽しませてもらうつもりだったが、そんなもんじゃ足りねぇ。
あの男が気狂いしそうなくらい、お前を痛めつけてやる」
そういって男の先端が望美の蜜壷にあてがわれる。
薬の効果であさましいまでの雫を滴らせるそこは、思った以上に簡単に怒張を飲み込んでしまった。
恐れていた破瓜の痛みは、なかった。
高校生になって友達は次々と彼氏を作り、授業中の手紙、お弁当の時間、放課後の喫茶店で
それぞれが嬉しげに、その恋の模様をを皆に聞かせていた。
そしてみな口をそろえて言っていたのだ。
初めての時は体が引き裂かれるほどの痛みを伴ったが、好きな人と一つになれたことの充足感がそれを上回るのだ、と。
望美には、引き裂かれるような体の痛みはない。
あっさりと好きでもない男を受け入れ、物欲しげにそこをひくつかせる下半身があるだけだ。
涙が一筋だけ流れた。
それが望美の破瓜の痛みだった。
あれからどれほどの時間が経ったかはわからない。
随分と喘がされて、のどが渇いて仕方がない。
その感覚だけが今望美が感じることが出来る全てだった。
自分の上に跨る男が突然動きを止めたが、そんなことはどうでも良かった。
何か鈍い叫び声とゴトリという音がした気がして、望美の鼻先を柔らかな香が掠めた。
「…べ…けぃ…さ…?」
微かに動く乾いた唇で、想い人の名を紡ぐ。
確かに知っているはずの甘い香りと、頬に添えられた手の温もりに、望美は口元に笑みを浮かべた。
とりあえず今回はここまでです。
次こそ、次こそ弁望でエロを…!!
本当はもう1レスあったんですが、
うっかり保存する前につかってたウィンドウ閉じちゃいましたので…orz
お付き合いくださった方、ありがとうございました。
お久しぶりです!お待ちしておりましたー!
リアルタイムで読ませていただきました……
次こそは弁慶さんを!
楽しみに待たせていただきます。
⊃Д`)望美たん…!
162 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/12(月) 02:55:37 ID:b+tMCG0E
選挙の行方ヲチしている間に…(*´Д`*)ハァハァ
GJ!弁慶も楽しみにしてまつ。
163 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/12(月) 17:49:10 ID:zwxKTkts
いぃ!続き楽しみにしてまつ!!
最初だけじゃなくて、SSの名前欄にも
トリップいれてもらえると助かる…。
(;´Д`)ハァハァ (*´Д`)/lァ/lァ (*` Д´)//ア//ア!! 早く続きを!!
もうすぐ十六夜遙か三昧、コルダ投下するなら今のうち。
>116の続きっぽい金澤×日野投下します。
金澤鉱人は健康な成人男性である。ついでに性的嗜好は一般の範疇に収まっている。好きな相手と
一線を越えたい、越えたら越えたでまた抱きたい、と思うのは当然のこと。
しかしながら。金澤は良識という社会生活を営むには必要不可欠な――時に、特に恋愛事に関しては
邪魔になる場合も多々あるが――ものを持ち合わせていた。
金澤鉱人、職業、教師。
先日とうとう『男と女の関係』になったあの子は勤め先の女子生徒。
この御時世、非常にヤバい話である。
それに、こちらの方が重要かもしれないが、相手の日野香穂子は初めてというやつだった。そこで一発
大人のテクニックを披露できれば良かったのだが、残念なことに金澤の女性遍歴には長いブランクがあり、
カンを取り戻す暇もなく一回目終了になったのだ。
香穂子はそれでも幸せそうに身を預けてはいたが、金澤としては「何やってんだ、俺は」という心境である。
自粛しよう、という決心をつけたのはまあ当然の流れ。
彼女が心身共に大人に――『男』を受け入れるに相応しい年齢になるまで。
せめて彼女が卒業して『教師と生徒』ではなくなるまで。
ひとまわり歳の違う少女に対しての、それが金澤なりの責任の表し方だった。
そう、決めた。
決めたんだよ。
決めたんだってば。
「……」
嗚呼それなのに金澤鉱人の目の前に顔真っ赤にしての瞳潤ませなんて凶悪な表情してる日野香穂子が
いるのはどういうわけか頼むから誰か説明してくれ。
「せんせ」
いや分かっている、これに誑かされたというかほだされたというかちょっと待て年下の女の子のせいに
するのは大人としてどうなんだよ。
「先生」
「……ああ」
不安を滲ませる声をどうにか安心させようと答える。
ヴァイオリンを弾く白い指が、今はスカーフをほどくかたちに襟元へ収まっていた。震える指先が、外して
しまってもいいかと金澤に最後の問いかけをする。
話は多少前後する。
休日、音楽準備室、金澤がいて、香穂子が訪ねてくる。よくある光景。普段と違うのは、香穂子が妙に
思いつめた顔をしていたこと。
「先生。最近、私を避けてますよね」
質問でも疑念でもない真っ向からの詰問に、金澤はしばし言葉を失った。
「あー、そうだったか?」
はぐらかしは失敗に終わる。あからさまかもしれない、という自覚はあった。そうでもしないと欲して
しまいそうな自分が情けない……というのは流石に言えるわけもなし。
金澤は強いて真面目さをとりつくろう。
「日野、ああいう事は、しばらく無しにしような」
『ああいう事』というのが何を意味しているのかは香穂子にも理解できたらしく、緊張に唇を強く結ぶ。
「受験、卒業……お前さんはこれから大事な時期だ。余計なことにまで気を回すもんじゃあない」
あと半年。
告白から身体を重ねるまでの時間を考えれば短く、彼女への欲望を顧みればあまりにも長い期間。
「……先生」
「……おう」
香穂子は。
奇妙なことに、怒っているようだった。
「……先生は……」
だというのに。その声はまるで泣き出す寸前に聞こえた。
「日野?」
「先生は……私を嫌いになったんですか?」
・
・
・
「おいおい、ちょっと待て、どうしたらその結論に辿り着くのか俺にはさっぱり分からん」
「だって、そうとしか思えないんです」
噛み合わない。芝居でも現実でもよくある遣り取り、なのだろう。こういった可能性を考えなかった金澤
を責めてしかるべきではあるが、『香穂子を嫌いになる』という選択肢が存在しなかったせいでそこまで
思い至らなかった、というのは考慮に入れて欲しい。
「私が子どもだから? 『教師と生徒』だから? だから、厭になったんですか?」
――前者ふたつは距離を置く理由足り得る。
しかし、口にするのは躊躇われる。
――もし肯定して、彼女が離れてしまったら?
きっとそれは二人の関係を考えれば正しい在り方なのだろうが、真っ平御免だ。
「違うぞ、日野」
首が振られて、赤い髪が左右に揺れる。
「分かりません」
信じられない、の間違いではないのか。皮肉な思いつきは忌々しいほど簡単に滑り出る。香穂子の顔が
歪むのに、自分で自分を殴りつけたい衝動に駆られた。
「違う、言いたいのはこんな事じゃあなくて……ああ、くそ」
どうすれば伝えられる。
大事だ。愛しい。
傷つけたくない。だから距離を置く。
抱けば――駄目になってしまうかもしれないから。
「――信じられないのは、先生じゃなくて――自分、なんです」
香穂子が呟いて、笑う。似合わない。自嘲という表情はあまりにも彼女に相応しくない。
白い指が自身の襟元へと向かう。ぎこちない動きで、
固く結んだスカーフを、ほどいた。
何を意味する行動かなんて分かりきっている。既視感。この場所での、行為。
「私は、ちゃんと、先生を受け入れられます。もう子どもじゃないんです」
言葉の裏にあるものが見えてしまう位には、金澤は聡い。年齢の差やなにやらで悩んでいるのは金澤だけ
ではなかったのだ。
本当に、自分でいいのか。
「だから――」
不安で。
「先生、わた――っ」
言葉の途中で抱き寄せ――強引に、キス。
言葉にすることを許さなかったのは金澤だ。証、が、愛されているという明確な拠所を欲しがるのは子どもも
大人も同じだというのに。
何度もくちづけを繰り返す内に、どんどん深くなる。香穂子の口の端から零れた唾液を拭ってやると、頬が
熱いのがよく分かった。
微かな音を立て、スカーフが落ちる。香穂子の手は両方とも金澤に縋りつくので精一杯だ。
制服の奥へと手を這わせ背中をなぞると、腕のなか小さな身体が跳ねた。ついでにブラのホックも外す。
裾が上がって、日に焼かない肌が覗いた。
抗議より先に唇を割り舌を絡める。かくんと力の抜けた香穂子を支え、ソファになだれるように腰掛けた。
香穂子は金澤の膝の上、向かい合って身体を預ける格好になる。呼吸が近い。
喘ぎが止まらない。
布と、他人の肌とに擦られて、身体はどんどん熱を増す。香穂子ばかりではなく、金澤も。
金澤は、とりあえず余力振絞って投げっぱなしの鞄から避妊具を探り寄せる。……よくよく考えれば決意を
遵守していれば必要ないものだろうに、後生大事に持っていたのはどういうわけか……悩むと自己嫌悪に
陥るので今は忘れてしまおう。役に立つんだからそれで善し。
「せん、せ……っ」
甘い、快楽の声。誘う声。
スカートへ手を移動すると、逃れるように腰が上がった。プリーツ生地に隠れたまま這う感触に、香穂子は
身を震わせて従う。
金澤の指が。触れる。
「お」
「え、や、何ですか」
「いや……」
意外にも下着を通して湿り気を感じた。
「ま、いいコトなんだろうよ」
濡れていればそれだけ挿入は滑らかになる。身体への負担も少ない。それに、もし自分の手でそうなったの
だとすれば――それは、金澤にとってとても嬉しいことだ。
下着をおろす。香穂子も脱ぎやすいようにと足を動かす。その仕草が妙に艶っぽい。
「あー、やらしい顔ー」
「そー言うお前さんは行儀が悪い」
下着がひっかからないよう、靴は脱いだらしい。しかし整える暇まではなかったらしくそれぞれ明後日の方向
に爪先を向け転がっている。ついでに下着も片方の足首にまとわりついたままだ。
どちらからともなく笑う。
共犯者めいた笑顔で、キスを。
唇が離れて。それが合図になる。
香穂子の腕が金澤へとすがり、金澤の手は香穂子を支える。
潤む箇所に指が触れて。
聞こえたのは――粘る水音。
金澤は少しだけ驚いていた。経験の薄い――なにしろまだ二回目だ――彼女が、最初の時のように
痛がるのではないかと心配していたのだが、懸念は外れたらしい。
もちろん痛みはあるのだろう、なかで動かす度しかめられる眉でそれと知れる。
だが。苦痛を上回る快さにか香穂子はきれぎれの吐息を洩らす。以前には固いだけだった肉が、動きに
応えて少しずつほぐれ蜜を滲ませる。指は、火傷したかのように熱い。
なのに何故、
「……日野、どうした」
ここまで不安げな目をする必要があるのやら。
「ちが、違うの、先生が考えてるのじゃない」
「いやだから何が」
問答を続ける横で、若い頃なら堪えきれず突っ込んで暴発していただろうに我ながらよーやるよ、と
感慨深くなる金澤がいた。歳を取るのも悪くない。
黙りこくる首筋に、唇を寄せた。痕が残るとまずいので舐めるだけ。それだけの僅かな刺激にも敏感に
反応する。逃げ場がないせいで全てが伝わってくる。
「痛いか?」
違うだろうなと思う。
実際香穂子は首を横に振った。
また沈黙。
苛立ちが無意識に外に出る。今度の水音はやたら強く響いた。
やわらかくて、熱い。
金澤が戸惑う程に。
指を引き抜く。体液をこそげ落とすようにわざと乱暴な手順を取り、香穂子が怯えたように身を捩じらせる
のを多少の罪悪感と共に眺めた。
「――じゃあ、怖いのか」
まだ持ち主とは別の体温が残る指は、とろり照明を反射する液にまみれている。これだけ反応しておいて
何を今更――とは言わない。唯でさえ失言続きなのにそこまで口にしたら真剣に駄目になる。
香穂子の答えは。
「……ひっ…く……」
「――っていきなりどうした――うおっ?!」
ぱたぱた涙が零れたかと思うと、本日最大の密着度でしがみついてきた。突然の行動に為す術なし。
ズボン越しに性器が重なって、急速に熱を帯びる。タイミング掴み損ねて脱いでいないのは残念なのやら、
いや避妊具も付けぬままコトに及ぶ事態を避けられたのは僥倖なのやら。
焦る金澤の耳に小さな嘆願。
「……嫌わないで……ください」
神様仏様ファータ様。頼むからこの女子高生の思考回路をジジイにも理解できるよう説明してくれや。
十五年のジェネレーションギャップは非常に辛い。
「嫌う理由がないだろう」
「だっ、て……」
ぐず、と洟をすする音。
「こんな、いやらしくて、先生に嫌われるかも、って……」
――汗と香料に混じる甘い蜜。やわらかな肉。
どうすればいいのか分からなくなって、とりあえず赤毛の頭をぽすぽす叩いてあやしてみる。
「前の時は、痛くて、先生だから我慢できて」
「……そうか」
「初めてだから痛いのは当たり前なんだろうな、って思って」
「おう」
照れ隠しの茶々入れも忘れひたすらに相槌を打つ。彼女が、全て吐き出せるように。
「でもあれからベッドに入ると先生のこと思い出して、我慢できなくて。私だって自分がこんなにいやらしい
なんて知らなくて、」
……はい?
「でも先生はあれ以来避けるからもしかしたら先生も気づいたのかも、それで嫌いになったのかも、って
考えたら不安で、自分でもおかしいって分かってるけど止まらなくて――!」
「ちょっと待て、休憩! タイム!」
今、とんでもない告白をされている気がする。
「ええと……つまりアレか? お前さんは自分でしてたと」
抑えていたものが溢れ、嗚咽に変わる。失言教師再び。
「ごめ、なさい……もうしませんから、嫌いに、ならないで……っ」
「いやまあ生理欲求だし無理に抑える必要もないだろ――って問題はそこじゃないだろ俺」
後半は半ば独り言だ。
すがる香穂子を強く抱く。言い聞かせるように囁いた。
「嫌うわけがないだろう」
自分を『男』として欲してくれる好きな『女』――認めてしまえ、日野香穂子は少なくとも身体は成長
しきっている。それには確実に金澤自身も一枚噛んでいる、と――を、誰が嫌いになるというのか。
そういったことを台詞にするのが大人の余裕の見せ所だろう。しかし金澤は、唯、同じ台詞を繰り返した。
抱きしめる。
そのまま、香穂子の緊張が解けるまで、ずっと。
飾る言葉よりたった一言の方が有効な場合もある。
――大切な『音』より、触れる熱が重要な時も。
薄いゴムで包んだそれと、熱と湿りを持った箇所が、繋がる。
出来得る限り時間をかけて慣らしても、まだ異物の侵入に粘液では隠し切れない軋みを上げている。
それでも香穂子からは苦痛ではない声が生まれる。
小さな身体を揺らすごとに声が鼓膜を打って、金澤も限界の思わぬ近さに歯を食いしばる。
ぎっ、と音すら立てて。香穂子が全身を硬直させる。繋がる場所が強く収縮し――弛緩する。
「せんせ……」
「……っ」
初めてだったのだろう絶頂に浅く息する恋人のなかで、金澤も果てた。
「――しかし、こういうのはしばらく無しにしなけりゃならんと思うぞ」
身繕いをしていた香穂子の手が止まり、不安そうに見上げてくる。
「先生やっぱり」
「違うっての。……お前さんだって、この事がばれたらどうなるか分かってるだろう?」
『生徒に手を出した教師』 露見すれば金澤は懲戒免職、香穂子は自主退学、というかたちに落ち着く
だろう。
「だから、我慢、な」
「でも」
「……お前さんが失うところなんざ見たくない」
抱き寄せると、「そんな言い方、ずるい」と泣くような返答があった。
むしのいい話だったのだろうか。恋も、これからも、両方を望むのは。しかし香穂子を失うのは耐え難いこと
だったし、同時に彼女が金澤のせいで何かを失うのも絶対に許せないことだった。
「それでも私、先生と――」
言葉は途切れて、代わりに香穂子は金澤の胸元へと頭を預ける。顔を見られてしまわぬように。
『どちらも』大切なのは金澤も香穂子も同じで、相手に傷ついて欲しくないのは共通していて。
――だとすれば、この身体の熱は何処へ求めればよいのか。
『どちらか』を選ぶときが来ないように。願うしか、今は術がなさそうだった。
投下終了。
どうして準備室にソファがあるんだ、と誰かに指摘される前に自分でツッコミ。
金やんに床に白衣敷いてもらえば良かったと前回から後悔しています。
175 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/15(木) 13:49:30 ID:PPa1H7tj
乙です(´ー`)
やっぱり金やんいいなぁ。
176 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/15(木) 15:45:06 ID:s/HQHAW1
ゲームやった事なかったんですが、萌ちゃいました!
今からゲーム買ってきます。作者さん乙ですっっ
金やんカッコよすぎです。
金やんがいい味だしてますね。GJ
次にコルダやるときは金やんEDを
目指すことにしよう
GJでございました
十六夜すんだらコルダやってみたくなったよ。
いやぁ、ソファとかクッションとかラジオとか持ち込んでてもおかしくないよ。
だって金やんだもの。
それはそうと乙!
話はとってもGJなんですが…
いきなりでてくるフルネームが…
金やんの名前は 紘 人 ではないかと…
名前は…名前だけは何卒、次回あったらよろしく…
181 :
166:2005/09/17(土) 00:45:41 ID:1Qzl/bef
名前間違って覚えてました。恥ずかしい…
>180ありがたう。そしてSS読んでしまった方と金やんごめんよorz
182 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/22(木) 01:25:32 ID:GZs4ty6F
弁神子の幸せなエロを読みたいといってみるテスト。
だって、弁神子って鬼畜入ってたり、強姦入ってたり、薬入ってたりするからさ・・・
そういうのももちろん読むけど、やっぱり幸せそうなのが一番なんじゃないかと思うわけさ。
神よ、よろしくおながいします。
チラ裏スマソ
そして、十六夜期待age
銀エンド見た。
テラモエス(*´Д`*)
これから銀神子SSが増えるんジャマイカ
ってか増えて欲しいわ…。
という気持ちで保守保守
ああ、もう発売してるのか…
自分は10月の給料まで待たないと買えないよ…orz
銀SS書きたい…
書きたいけど禿げ上がるほどのネタバレなので投下自粛。
弁望の続きも期待して待ってます。
>>185の作品もいつか読みたいな。ネタバレ系っていつ位からならいいんだろう?
え、ネタばれですのでご注意って冒頭かタイトルに付け加えればいいんでは
ないでしょうか??是非とも読みてえす!!(*´Д`*)
IDがキモイ…orz
ご丁寧に頭が大文字w
キモーキモー
讓朔とかってニーズない?
あるならまとめ次第投下する
>>186 続き物の人たちは、もしかしたら十六夜記が出たことで
投下できなくなるんじゃないかと心配しているわけだが。
>>190 ちょっと気になる。けど、苦手な人も多そうだから投下時は注意書きヨロ
>190
是非注意書きヨロ
漏れは駄目なので
193 :
190:2005/09/25(日) 13:10:15 ID:fA7fLopW
了解。
黒朔も譲望も大好きなんだが、何か書きたくなったんだ
じゃ、まとまり次第注意書き付けて落とします
あー早く十六夜全クリしてえ〜
結構自分には難しいよ
やっぱり書きづらくなるのかな。続き物の職人さん方、待ってます。
ところで十六夜記の八葉ED萌えたけど、無茶なのも多かったよなぁ。
うん。スタッフロール前とEDスチルの間にもう一話あるだろうと
思ってずっと目を凝らしてた…。展開、唐突すぎwww
ここも神々の祭にならないかなぁ…
3まだ全クリしてなくて手元にあるのに十六夜やれない。
我慢利かなくてP-BOXの特典ペラペラめくってたら、
兄貴の新ED(?)スチルのラフ絵、随分と密着しててハァハァ。
意外にスキンシップ好きなんだろうか?
てか兄貴のSSもそのうち出てくることを待ってます
>>197 制服で 股 間 が 密 着 ですよ
十六夜EDなら別に3クリアしてなくても見れるから見てみれば?
199 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/26(月) 17:46:46 ID:aRYBM5FN
泰衛×望美が見たい…(;´Д`)ハァハァ
銀神子と知盛神子と泰衛神子見たい…
十六夜組最高…つうか平家一門イケメソ揃いだ!!!
>>198 本スレだったかどっかで、「教室でいちゃついてるのを誰かに見られて、将臣だけがそれに気づいてるように見える」
ってのがあったんだが、そんな話キボン。
でもその誰かって条件反射的に譲しか思い浮かばなかった、ごめん譲ごめん……
>201
それが譲クオリティw
どーでもいいが、泰衡な
泰衛ってww
>>190=193
譲朔超好き!! 超期待!!
首長くしてまってます。
>203
邦衛を思い出しちゃったジャマイカ
ほたーr
207 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/27(火) 00:47:32 ID:NvCZ4ROG
>203
携帯で漢字出ないから泰衛なんです('・ω・`)
>>207 衡はコウ、「きんこう→均衡」で変換出来るんじゃないかな?
正しく漢字読めてない&理解できてないんだと思う
sageてない時点でなあ……
半年ROMれってやつだ
えーと…重衡だっけ泰衡だっけ…
どっちがどっちでアレ?
平重衡
藤原秀衡(父) 藤原泰衡(息子)
盛シリーズの次は衡シリーズか。
>209-210
ドウーイ
そのうち衛シリーズ
銀神子ハアハア
十六夜の八葉も萌えた。(*´д`)
展開かなり無茶だけど、EDスチルが密着度高めでハァハァ。
>>190です
やっとこ何とか形になったんで投下します
十六夜の神達の祭りの前にこそーり
本文にはっきり明記してないけど、譲×朔(しかも甘くない)なんで苦手な方は
譲×朔をNGワードに指定してすっ飛ばしヨロ
では次からいきます
月の無い夜。
彼女の名の月の夜。
常の莢かな光から逃れるように、影は満ちてまた重なる。
初めに誘ったのは、どちらだったか。
今ではもう、記憶も曖昧でおぼろげだけれど。
ただ。
――もう還らないひとの背中を探し続ける彼女と。
――もう届かないひとの背中を求め続ける俺とが。
その寂しさを埋めるように。
寄り添い、触れ合い、肌を重ね合うのに、時間は然程掛からなかった。
……今になって思い返せばそれだけ、だった気がする。
心は、想いは、無い。
ただ、ひたすらに体を繋げて、求め合うだけ。
――そんなことをしても、虚しいだけだ。
云ってしまうには簡単だけれど。
一度知ってしまった快楽は、熱は。触れ合う刹那の優しさからは。
脱け出すことは、最早二人とも出来かねていた。
――そして、今宵もまた。
闇に紛れ、俺と彼女は……体温を分かち合う。
ぎしり……と、設えた床が軋んだ。
「あ…、はぁっ」
彼女の中の其処を打ち付ける度、口の端から上がる吐息交じりの嬌声に脳を焼かれる。
やけに白い肌が閉ざされた闇に映えて、目が眩んだ。
ほっそりとした肢体に似合わない豊かな胸乳に手を伸ばせば、
包み込んだ手のひらの内でそれは自在に形を変えた。
吸い寄せられるように胸の先に実った果実を口に含む。
もっと、もっと、と強請るように。
目の前で揺れ動くそれを音を立てて舌先で嬲れば、俺の舌の上でそれは勃ち上がり、
彼女が快楽に染まり始めているのを教えてくれた。
荒い息と水音と。
走る心音だけが夜を支配する。
すんなりとした脚を抱え込み、より一層深く彼女の奥と繋がり合った。
俺に絡み付いて離さない彼女の膣内(ナカ)を存分に堪能する。
先端が敏感な場所を擽れば、彼女は喉元を反らせて微かな悲鳴を上げた。
そう。
もっと、もっと、感じて。
何も考えられなくなるくらい。
全て、忘れてしまうくらい。
感じて、感じて。
それだけしか見えないくらいに感じてしまえばいい。
――彼女も、俺も。
体をずらして、彼女を膝上に抱き上げた。
より深く結び合い、強烈な快楽が二人を支配する。
あられもない姿で俺の膝の上で踊る彼女。
俺は息を荒げて彼女の柔らかな双丘に指を食い込ませ、腰を使って突き上げた。
「っ……! ゆず、る……どっ……」
目を見開いて過ぎた悦楽を逃すように、俺の名を呼ぶ彼女の口唇に指を挿し入れる。
その続きを封じ込めるかのように。
名を。呼んで欲しいのか、欲しくないのか。
俺の中の真実は疾うに融けてしまっているから、最早判らないけれど。
おとなしくされるがままに、指を咥えて舌を絡ませる彼女にも、
きっと判らないのだろうなと思った。
絡まる唾液。
随分と卑猥な水音が、口唇と、繋がり合う場所から響いて来て腰の辺りがまたぞくりとする。
それに促されるかのように綺麗な項と鎖骨に舌を這わせると、びくびくと小さく彼女が震えた。
飲み干せなかった唾液が咽喉を伝うから、無我夢中に舌先で追いかける。
それでもまだとろり、と彼女の胸元を汗と混ざって雫が辿り、なだらかな彼女の腹を滑り落ちた。
俺は目の端で見咎めると、徐に彼女の口唇から指を抜き去り、
塗り込めるようにして薄紅に染まった肌を愛撫する。
突き上げたまま、胸の先の果実を摘み上げる。
既に硬くなって久しいそれに触れる度、彼女の中に激しい快楽が走るようで、
彼女は悲鳴じみた嬌声を上げながら、内に潜む俺をきりりと締め上げて来た。
「……うっ、――そんなにきつくしないで……」
思わず息を詰まらせて彼女に告げる。
だが快楽の荒波に浚われている彼女は何も言えず、ただ首を横に振るばかり。
「――しかた、ない、な……」
俺は苦笑めくと下腹に力を込めて、解放への誘いを遣り過ごす。
そうしてゆるやかに円を描くように彼女の膣内(ナカ)をひとつ、巡ると、
彼女の背に腕を回してそっと床に横たえた。
「もう少し……」
こうしていたいけれど。
……一度果てて置くのもいいのかも知れない。
暗にそう告げると、彼女はまた震えながら小さく、けれど確かに頷いて寄越す。
それを確認すると、俺は彼女の脚を肩に担ぎ上げて最奥を目指した。
――思えば。
彼女の体に教え込まれた、男の何たるか。
それを以ってして、“女を抱く”ということの本質を教えてくれたのは、彼女だ。
それまでも頭では理解していたけれど、実践は伴わなかった。
……あの人以外は興味なかったから。
けれど。
こうして、彼女と抱き合って、その柔らかさと温かさを知り得て。
――俺は呆気なく溺れた。
本当は互いに傷を広げているのかも知れないのに、癒されているような気がして。
彼女の体に遺る、彼の残像。
それを塗り替えようとは思わない。
けれど今、彼女をこうしているのは彼の残像が教えてくれたものではなくて、
俺が彼女を抱いて自然と得て、そして本能の指し示すままに動いているもの。
――くだらないプライドなどこの関係には要らない筈だ。
だのに、何故かそれに拘ってしまう自分に知らず苦笑いしてしまう。
今、成すべきことは――ただひとつだけ。
雑念は、追い払うべきだろう。
彼女の肌から立ち上る汗の匂いと、俺のそれが交じり合って鼻をついた。
肉ぶつかる音と、じゅぶじゅぶという水音が鼓膜を打つ。
合間に形を成さない嬌声が滲んで――脳裏を焼く。
俺の先から染み出たそれと、彼女の蜜が絡み合って交じり合って、繋がり合うそこから零れ出す。
それはもう粘着性はほとんどなく、少しだけさらさらとして床に水溜りを作った。
「っはぁっ……も……う……」
「うん……俺も……だから、」
逝ってください、と。
目線で告げて、彼女の腰を抱え直した。
そのまま勢い良く突き続ける。
「やっ……は、…あぁ! あああぁあ!」
彼女が、哭く。
俺の額から汗がぽたり、と落ちて、彼女の肌を滑り落ちた。
意識の向こうで火花が散る。
もう、何も――見えなくなる……
「やぁ…っ、もう…いやぁ……ああああ!」
これ以上となく、彼女の中が収縮して俺を締め上げる。
「ん…くっ、……はぁぁっ……っ」
そして、弛緩すると同時に彼女の中から俺を引き抜き、
堪えた欲情を彼女の肌の上に吐き出した。
「――………」
「――………」
果てた後の気だるさに身を任す。
喘ぎに似た呼吸を繰り返す彼女の横に寝転がって、目を瞑った。
今、触れたら。たちどころにまた火が点くから、少し落ち着くのを待つ。
――恋人同士なら、通常。果てた後抱き締め合って、睦言を囁くのだろう。
二人にはあまりにも似合わない気がする、その行為。だから、少しだけ躯を離して。
また、抱き合うにしろ何にしろ。呼吸が落ち着くまで静かに時が行くのを待つ。
先程までの盲目的な熱情が、まるで、嘘みたいに。
指先すら触れることなく、ただ、静かに。
――それが、きっと二人には相応しい。
心の奥、その何処かで小さく軋むものが、いつしか生まれていたとしても。
お互いに、気付かない振りをして、一時の熱を求めて貪り合う。
ただの一言も、名前を呼ばずに。
違う誰かを心に抱きながらだから、夢うつつで間違えないように。
一度のキスも、交わさないで。
体だけの関係だからだろうか。何故だか、二人にはそぐわない気がして。
何処か――罪を犯しているような気さえしたから。
本当は既に罪は重ねているのかも知れないけれど。
誰にも言わない。言う必要も無い、秘め事。
もし、知られたら。
優しい彼女の兄は心配するだろう。
――そして、残酷なほどに優しいあの人も……心配するだろう。
だから、闇を身に纏って、彼女の褥をそっと訪なうのだけれど。
いつまで続くのか、続けていくのか、判らない。答なんて出せない。
そして続くほどに、傷は癒すどころか深まって行くのかも知れない。
自分が傷つくのは――互いに元より承知の筈だ。
けれど、彼女には傷ついて欲しくない。
そんな不思議な感傷が、俺の胸を突いて来て、抉るけれど。
それすらも、無視して。冷めた躯に再び熱を点して。
彼女を抱き締めて――温度を分け合って。刹那の優しさに浸かり込む。
そして、また。
走り始めた呼吸に、二人して我を忘れた。
寂しさを埋めるように。
埋めた刹那、新たに込み上げる切なさと空虚を埋めるように。
体を繋げて、熱を追いかけるのに没頭する。
小さな歪(ひずみ)に気付かない振りをして。
月の無い夜。彼女の名の月の夜。
満つることの無い月を求めて。
胸から消えることのない誰かの面影を拭うように。
けれどいつしか生まれた、小さな歪に気付かない振りして。
寂しい月。それは、多分罪の月。
脱け出すことなど不可能な、朔月の夜の迷宮。
以上、終わり。
お粗末でした
GJ! GJ!
切なくてよかった〜〜。
GJ! うまいな〜
譲朔興味なかったけど文書ウマー(゚д゚)でひきこまれたよ。GJ。
朔視点でも読みたいかも。
おおお、上手いな〜
キスをしないってのがいいっすね。
すばらしい!の一言に尽きる!!
譲朔好きだし、それ以上に話に萌えた!
GJ!!
あり、鳥合ってるかな?
微妙なcpだからどうかなと思ったけど、GJいただけて良かったです
朔視点ですか
また時間があれば頑張ってみます
皆さまトンでした
神子とED迎えられんかった場合
譲には朔としやわせになってほすぃと思ってるのですが、これは・・・イイ!
切なウマイイ!!!(つДT)
譲朔、初めて読んだけどイイね…!!
文章も良かった。すごく良かった。
自分ハッピーエンドが好きなんで、この後2人が悲恋を乗り越えて
お互いに惹かれあって欲しいなぁ…
続編で朔視点の愛のある譲朔エチー読みたいなぁと思いますた…
そんなん私だけかな…?(゚Д゚;)アワワ
GJ! イイ!
あんまり興味なかったんだけど、すごくよかった。
続きがあるなら、譲はぜひ景時に殴られて欲しいw
CPがCPだけにどうだろうと思っていたが、
なかなかGJだった。
「彼女の体に遺る、彼の残像」の「彼」の
ことまで思いを馳せてしまいます。
どうなるんですかねーこの二人は。
>>234 それは見たいかもw
十六夜ネタなんですが、いつ頃から投下おKかな?
EDバレだからご意見を伺いたい…ちなみに知望です
十六夜バレがあるってことを明記してくれればOK!
>>237に同意。
>>236の降臨をお待ちしてます。
律さんGJ!
朔も譲もスタート時から居るせいもあり早々にお互いを
かばい合い出したので、「おまいらデキてるんじゃ!?」と
思ったりしました。
望美とのハッピーエンドもいいけど切ない譲は萌えますね。
知望ですか…奴をクリアしたら有難く拝見させて頂きます
240 :
236:2005/10/02(日) 08:10:07 ID:TQxuCU6S
おはようございます、朝っぱらから知盛×望美投下させて頂きます。
十六夜EDネタバレなので、ダメな方は「十六夜EDバレ」や「知望」をNGにしてヌルーよろ。
「知盛、起きてる?」
制服姿のまま勝手に部屋に侵入してきた少女は、そう言いながら真っ直ぐにベッドルームに向かう。
幾度となく訪れたこの部屋、目的の人物は予想通り何もない部屋に一つだけ置かれたベッドの上に居た。
「…遅かったな、待ちくたびれたぜ…?」
来客に気付いた部屋の主――知盛は、読んでいた本から目を離して少女に向き直る。
何をするにも気だるげなその所作は、出会った頃と変わらない。
「…これでも結構急いだんだけど。制服のまま来たんだから」
苦笑しながら望美――かつて「源氏の神子」と呼ばれていた少女はそのままベッドに腰掛けた。
少し前まで互いに剣を向けあった相手とこうして自分の世界で共にある。
ただひたすらに求め、望んだ存在。全てと引き換えにしてもいいと思えるほどに焦がれた男。
持てる力の全てを賭けて得たその隣の幸せは、望美の心を満たすには十分過ぎる。
…のだが、それでも悩みはある。
「またこんな難しい本読んでる…よく飽きないね。何か意外」
「お前が居ないと暇なんでな…」
そう言って近づくなり絡んでくる知盛の腕をやんわりと剥がしながら、
望美は話題を逸らすように横の本を手に取る。
望美にとってはさっぱりわからない内容の本。ぱらぱらと開いてみても、読む気すら起きない。
「暇だからってこんな難しい本読むの?」
「ああ…」
「私にも読めるかな」
「さあな」
「……知盛…」
「…いい加減に、観念したらどうだ?」
必死で話題を逸らそうとする望美の思いとは裏腹に、知盛の腕は望美を離そうとはしない。
ついには後ろから抱きすくめられ、身動きが取れなくなる。
この部屋に来た時点で、何をするかなど分かりきったことだ。
望美の悩み、それはこの男の手の早さである。
決して嫌なわけでは無いのだが、性格が邪魔をして素直に受け入れられない。
戦の上では対等に戦えたかもしれないが、ベッドの上ではどう足掻いても勝てないから。
「…だって」
「クッ、これがあの源氏の神子と同じ人間とは…思えないな」
細い指に口付けを落としながらそう囁くと、望美の顔が露骨に染まる。
戦場で見せた獣のような姿とは似ても似つかない、年相応の少女らしい反応。
頬を染めて腕から逃れようとする望美の姿は、あの勇ましき神子殿の姿とはまるで別人。
それだけなら唯のつまらない女として終わる。
だが、望美の本性はこれではない、そう知っているから。
「逃げるなよ…望美」
「…う…」
耳元で名を呼べば、望美の身体から力が抜ける。
初めて抱いたときに気付いたが、望美は名前を呼ばれると途端に抵抗を止める。
意識的なのかそうでないのかは定かでないが、知盛にとっては好都合。
当然のようにそれを利用して望美から抵抗を奪う。
そのまま華奢な身体を横たえると、それでも望美は知盛から目を逸らす。
「相変わらず、つれないな…」
意地でも自分を見ようとしない望美の顎を掴んで強引に視線を合わせる。
照れと焦りが混じったその表情は、知盛を煽るだけだ。
「いい加減…慣れてくれても良い頃だろ…?」
「で、でも…恥ずかしいんだけど」
「俺の全てが欲しい、と言ったのはこの口じゃ無かったか…?」
知盛の指が望美の唇に触れる。
息が触れるほどの至近距離で、見詰め合ったまま。
「それは…そう、なんだけど」
「余計な事は考えなくていいさ…俺だけ、見ていろ」
望美が抵抗するのは、拒絶の意味ではない。
負けず嫌いの性格と経験の少なさから来る意地みたいなものだ。
そんな事は知盛にも分かる。だから、柄にも無くこうして配慮を見せる。
こんな自分を弟あたりが見たら驚くだろう。
一夜限りの逢瀬が当たり前で、女に執着などした事はない自分が、この様。
「知盛…」
ようやく観念したのか、望美は知盛の首に腕を回す。
たどたどしい動きではあったが、「上出来だ」と知盛は望美に口付けをひとつ落とした。
…ん…っ」
未だ口付け一つで蕩けそうになる自分を叱咤しながら、
望美も出来得る限りその口付けに応えようと舌を絡める。
静かな部屋に響く水の音が気恥ずかしかったが、次第にそれも気にならなくなる。
器用に望美の服を脱がす知盛の指が肌に触れるたび、それだけで火照る身体が情けない。
ずっと触れたいと、触れられたいと願ったその手。
一度火が点いてしまえば、抗う術など無い。
あとはもう、目の前の男のされるがままになるしかなかった。
「あ…」
知盛の指が、望美の肩に触れる。
こちらに戻ってきたとき、身体の傷は全て消えたはずだった。
服も身体も、全てが時空を超えたあの日のままで。
だというのに、この肩の傷――壇ノ浦で知盛に刻まれた傷だけは、何故か消えなかった。
そこへの刺激に反応して小さな声を上げる望美に、知盛の声が少し低くなる。
「…?…知盛…?」
「ふん…これだけは、何時まで経っても消えないな…」
「…え…あ、っ…」
その傷痕に軽く歯を立てると、望美の身体がビクンと跳ねる。
別の時空で、他の誰でも無く自分が付けたというその傷。
だが、それが酷く癇に障る。
白い肌にくっきりと刻まれたそれは、今の自分が刻んだものでは無い。
「……やぁっ…ん……あ……!」
小さく芽生えた嫉妬心を振り払うように、知盛の愛撫は望美の乳房に下りる。
白く形のいいそれを少々乱暴に掴み、執拗に先端を捏ねる。
それだけで声を抑えきれなくなる望美に、「まだ早い」と唇を塞ぐ。
未だ愛撫に慣れないその身体は、更なる刺激を求めてか無意識に擦り寄ってくる。
望美の奥に眠る本能、それをゆっくり引き出すのが殊更癖になる。
「…そこ、ばっかり…やだ%
「……やぁっ…ん……あ……!」
小さく芽生えた嫉妬心を振り払うように、知盛の愛撫は望美の乳房に下りる。
白く形のいいそれを少々乱暴に掴み、執拗に先端を捏ねる。
それだけで声を抑えきれなくなる望美に、「まだ早い」と唇を塞ぐ。
未だ愛撫に慣れないその身体は、更なる刺激を求めてか無意識に擦り寄ってくる。
望美の奥に眠る本能、それをゆっくり引き出すのが殊更癖になる。
「…そこ、ばっかり…やだ…」
そう望美が訴えても、知盛の指は動きを止めない。
知盛自身がいいと思うまで決して止めてくれない、この男はそういう抱き方をする。
「…これだけじゃ、足りないか?」
そう言って意地悪く笑うと、今度は望美の下腹部にゆっくりと指を這わせてくる。
既に湿り気を帯びたそこに爪を立てれば、望美は身体を強張らせて唇を噛む。
それをからかう様に、少しずつ奥ヘと指を進めると望美は足を閉じてそれを阻もうとする。
しかし知盛の指はそんな事は構わず、先ほどより強引に望美の奥を探る。
「…あ、はぁ…ッ…ちょっと、待っ、あぁっ…!」
ぴちゃ、と淫猥な水音と共に、望美の身体に感じる異物感。
知盛の長い指は望美の中を勝手に探り、かき回す。
「……や…そこ…っ…!」
望美の身体が強く撓る。その瞬間を知盛が見逃すはずは無い。
「ここ、か?」
「……ひゃ…ぁ…!」
あっさり一番感じるところを探し当てられ、もう一度そこを突かれて望美は嬌声を上げる。
日頃絶対に出さないような自分の声が恥ずかしくてとっさに両手で口を塞いでしまう。
が、当然知盛がそれを許さない。やんわりと両手を束縛されてしまう。
「もっと…聞かせろよ…」
「……やっ…ばか…そんなの…聞かないで、よ…!」
「ほう…まだ喋れる余裕があるか…?」
感心したように呟く知盛を睨むと、望美はまた意地になって口を噤む。
それを見てクッと笑うと、知盛の愛撫はさらに望美を追い立てる。
焦らすように出し入れされる指。望美はもう限界が近い。
「……やぁっ…これじゃ…嫌、だ…」
「…これではお気に召さないか?」
分かっているくせに、敢えて望美の口から求めるのを待つ。
こういう所性格悪い、と思うのだがそれを告げられる余裕など望美には無かった。
「……知盛…っ…!」
潤んだ目で、慈悲を求める望美。
縋るように伸ばした手が掴み返されたとき見せた、その表情ははっとする程美しかった。
何かを求めるとき、望美という少女はひどく美しくなる。
「お嬢さん」の顔ではなく、貪欲に自分を求める獣の一面。
知盛はそれが垣間見えたときの望美にこそ、他の何より揺さぶられる。
「…ほら、力を抜け。教えただろう?」
ゆっくりと、嘘のように優しく知盛が囁く。
「うん…ぁ、っ…」
それに身を任せるように望美も息を吐いて応えた。
「……あ…っ、く…!」
濡れた花弁に宛がわれた楔に、どうしても緊張してしまう。
力を抜こうとするが、上手く行かず苦しくなるばかりで。
「…っ、痛ぅ…!」
慣れない感覚に、身体が悲鳴を上げる。
「…望美」
その声で呼ばれる自分の名前に、望美はまた無意識に安堵を覚えた。
「神子殿」でも「源氏の神子」でもなく、「望美」という自分自身の名前。
それを他でも無い知盛に、求めてやまなかった愛しい声に呼ばれて、それが嬉しくて。
こんな子供みたいなこと言ったら笑われると思ったけど、それでも構わない。
「…知、盛…知盛…っ…!」
力が抜けた一瞬を見逃さず奥を突いてきたモノに、声も感情も抑え切れなくなる。
いつのまにか憎まれ口を叩かなくなった知盛の表情を霞む目で追うと、
いつもの余裕の表情が少しだけ崩れている。自惚れてもいいのだろうか。
同じ気持ちと感覚を分かち合っていると、そう思っていいのだろうか?
「……や…もぅ…だめ、ぇ…!」
「…いいぜ、ほら」
きつく目を閉じて知盛の背を掴むと、額に口付けが落ちる。
らしくない事する、と一瞬思ったけど、それを告げる前に望美の意識は落ちていった。
「…んー…朝…?あ、あれ?」
翌朝、目覚めた望美は起き上がろうと身体を捩るが、何故か身体が動かない。
目の前にあるのは知盛の鎖骨。背に感じるのは抱きしめる腕の感触。
ついでに、望美の手も知盛をがっちり掴んでいる。
「…どういう格好で寝ちゃったんだろう……」
と、思い返せば昨晩の行為が鮮烈に蘇ってしまいなんとなく気まずい。
思いっきり抱きあって眠るこの状況をなんとか打破しようと考えるのだが、
思いのほか強く抱きしめられていてそれもままならない。
元凶である知盛は、そ知らぬ顔で眠るだけ。
「(やっぱり、知盛の寝顔って)」
ふと、その顔を見ていつかの熊野の記憶が蘇る。
今も鮮やかに思い出せる、楽しくて哀しい夏の記憶。
あの頃は、こうして隣で眠る日が来るなんて思いもしなかったが。
不意に笑みを零してしまう自分が照れくさいけど、今なら誰も見ていない。
「今くらい、いいよね」
少しだけこの寝顔を独占してやろう、そう思うのだが、お約束通りそこはそんなに甘くない。
「なんだ、そんなに見詰めて…寝首でも掻くつもりか…望美?」
「!! お、起きて…」
あの時と同じパターン、同じような台詞。
意地悪く笑うその表情も、そのままで。
「何が、いいって?」
「…知らない!何も言って無い!」
逃げ出したい衝動に駆られる望美だったが、それを許すほど知盛は甘くなかった。
250 :
236:2005/10/02(日) 08:29:14 ID:TQxuCU6S
御粗末さまですた。
ED見て萌えた勢いで書いたから色々アレですが、知望萌を吐き出しました…
攻略スレの姐さん方には禿げる程感謝している。
しかし十六夜は平家の野郎どもにハァハァしっぱなしだった…まさおカコイイよまさお。
リ、リアルタイムで…ヤバス(*´Д`*)
起きぬけからこれとは。今日は一日この幸せを噛みしめてゴロゴロしとこう、うん。
GJーーーーーーーー!!
キタワァ*・゚゚・*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゚゚・*!!!!!
随所にキーワードがw 乙でした。うーん、知望イイヨイイヨー
すごい萌えた。イイ!!
ぎゃぁぁぁぁ
待ってました!!!
興奮のあまり読む前カキコ
じっくり読んでまた感想はあとで
とりあえず神 超 G J
(*´Д`*)甘々万歳…
相変わらず無職っぽい知盛にワロタw
らしくない知盛いいなぁ。望美に溺れまくってる感じがしてテラエロス(*´Д`*)
一行読むごとに心の髪の毛がばっさばっさ禿げあがっていきますた…モエ…
平家組最高。まさおカコイイよまさお。
エロイエロイよ〜。
なんか幸せそうでよかったぁ…
>>250>>255 お前等そんなにまさおスキーならまさお書け!!
いやごめん書いて下さいおながいします
甘知望GJでした。
やっぱり無職なのかチモリw
いや、お休みの日なのかの知れないぞw
でも、仕事何してるんだろうな。謎だ。
深夜のコンビニ店員だったらワロス。
黒服も似合いそうだが。むしろホストクラブか。
初めてチモの話で萌えますた
神GJすぎ
ホストチモ
「好きでもない女相手…か。だるいな…」
銀×望を書いてみた。自家発電。
orz
やっぱ文才ないやつが書くもんじゃねーなぁ…
一本書き上げるのにものそい気力と労力と時間がいるんだな。
264 :
236:2005/10/03(月) 09:47:50 ID:vnOfH8Mt
姐さん方、レスありがとうございます
しかし番号間違いやら二重投稿やらあってスマソ〇| ̄|_ハズカシー
…ていうか読み返してみたらマジで無職に見えるなwwwチモリごめんよチモリ
もういっそ株とかで稼いでればいい…それがダメなら用心棒かホs(ry
>>257 時間できたらまさおも書きたい。十六夜EDはまさに理想だったハァハァ
>>263 うp禿げしくきぼん
236姐さんGJです!
昨日知盛ED見て余韻に浸ってたとこだったので嬉しい〜。
まさおもきぼん。ゼヒ。
>262
萌えた(*´д`*)
>263
うp!うp!
>>250 神、GJ!
嫉妬が垣間見える知盛が良い。
>>263 銀望、是非見てみたいよ。
十六夜では銀に禿げ萌えた(*´Д`)
>263
ぜ、ぜひ投下してください。
十六夜でうっかり銀望にはまってしまって萌えが…(*´д`)
歩く18禁なチモと天然こましな銀にはまって紅玉の策略にどっぷりはまってしまった…orz
ここは十六夜記をプレイした野郎が乙女の気持ちになってネタを投下しても大丈夫なスレですか?
バッチコーイ!
…いえホント、おながいします。
>268
カマーン
>268
たいへん興味深い。是非。
>>268 是非読んでみたいです。
エロエロでも、乙女でも何でも有りです。期待してますよー。
残虐グロ系は嫌だよ。それ以外でお願いします。
残虐グロも、注意書きとNGワードが徹底されてるんならいいんでない?
>>268 残虐グロでもバチコーイ(・∀・)
いや、グロと決まったわけじゃないが、一応何らかの注意書きをしておいたほうが、乙女のためでしょうな。
男と女じゃ普段読むエロの傾向がちと違うし。
私は男性向けエロも好きだから気付かないかもしれないけど、乙女向きエロしか読まない人だと何か違和感感じてしまうかもしれないしね。
主人公が流血するイタイ系残酷描写があったらイヤだ…
そーいうんじゃないならどんとこい!
278 :
263:2005/10/04(火) 01:47:41 ID:Zh8cZZiM
みんなに励まされたおかげで、ビクビクしながらも投下してみます・・・
十六夜ネタバレで 銀×望美 です。
ネタバレNGな方は華麗にスルーお願いします。
279 :
銀×望美 1 十六夜ネタバレ:2005/10/04(火) 01:48:37 ID:Zh8cZZiM
星が穏やかに暗闇を照らしている。
「きれいだねぇ…」
望美は火照った頬を手であおぎながら、隣の男に話しかけた。
「そうですね。最も、私にはあなたの傍では星影など霞んでしまうように感じられますが…」
涼しげな瞳が優しく望美を映す。その眼差しと文句に、望美はぽっと染まった。
「し…銀はほんとによくそんな言葉がポンポン出てくるね」
「ありがとうございます」
誉めてないよ…。とコッソリ小声で突っ込むが銀はどこ吹く風。
「それより、神子様の体調はいかがです?先程はお酒をお召しになっておられましたが…」
「大丈夫だよ。みんなにつられてちょっとだけ飲んじゃっただけだから」
平泉に平穏が訪れて、連日連夜御代さまの大御所では宴が催された。
飲めや歌えやの大騒ぎで、深夜を過ぎればあの九郎や譲たちまでも酔いつぶれ、
今や宴会場は屍累々といった状態だ。望美も一番の功労者とあって、
今宵は無礼講とばかりに幾度も酒を勧められていた。
銀の助け船で当初は誘いを避けつかわしつしていた望美だが、
銀が席を外した間に断りきれずにとうとう飲んでしまったのだった。
「早々に神子様とこの客間にさがらせていただいて正解でしたね。」
「そうだね…あのままだったら今頃酔いがまわっちゃって大変だったかも」
「それもありますが……、私は神子様と二人きりになりたかったですから」
ふわっと微笑まれて、望美は頬に血がのぼるのを感じた。
「わ、私も…銀とこうしてゆっくり、話がしたかったよ」
今まで慌ただしかったし。うつむいてそう告げる。
今まで呑気に銀の隣で話していた自分が嘘みたいだ。
銀の一言で、すごく意識してしまう。ここは離れ。そして今は自分と彼しかいないということ。
「思い出しますね」
「…え?」
「…遠い昔にも、あなたと一夜の逢瀬をしましたね」
「あ…」
桜が咲き乱れていた。星はまたたいて、月が照らした。
「「十六夜の君」」
ふとこちらを向く顔が、春の京で時空を遡って出会った彼に重なった。
視線が交錯する。
その瞬間、急激にふたりの空間が狭まったような気がした。
胸を打つ鼓動が、銀に聞こえてしまいそうだ。
と、思ったとき、銀が近づいて…口づけがおりた。
「今宵はどうか…消えてしまわれないで下さい…。
神子様…あなたが私の傍にいて下さることが…私には…」
そのままふわりと抱きしめられる。降りほどけば簡単に逃げられる力で。
銀の言葉が何を意味するのか、くらい分かるほどには望美は大人だった。
うまく言葉にして応えられない程度には、子供だったけれど。
きっと、やめて、と願えばあっさりと退いてくれるのだろう。
彼はそういうひとなのだ。だけど望美は銀に抱きついた。きつく手に力をこめて
「私もだよ。銀…」
降り注ぐキスの合間に、ゆるゆると帯や衣を解かれてゆく。淀みのない手の動きがそのまま肌へと伝う。
クラクラするのは酸欠のせいだけではない。普段かしこまった感じなのに、こんなキスができるんだ…。
そう思うとなんだか無性に拗ねた気持ちになって、望美は銀の胸を腕で押しやった。
「……銀…っ私…」
何だか子供じみた嫉妬心をさらけ出してしまいそうで、望美は思わずむっつりと口をつぐむ。
それを何をどう勘違いしたものか、途端に銀は眉尻を下げた。
「私が恐ろしいですか…?それならば、何も致しません。神子様に誓って…
私は、あなたを傷つけるのが何よりも恐ろしいのです…」
なだらかな背中にまわした手を止めて気遣わしげに望美の瞳を覗き込む。
「違うよ。私が銀を怖がったりなんかするはずないよ…」
望美は真っ赤になった。そんなふうな瞳で見つめられたら、なんだか自分が銀に
酷いことをしてしまったような気分になる。
「銀は・・キスが上手くてずるいと思ったんだよ…」
キョトンとする銀。ますます朱に染まる望美。
「私が…銀の初めてだったらいいのにって…嫉妬しているんだよ」
語尾がもにょもにょと怪しくなってしまったが、今や茹でだこのような望美を見て…銀はようやく合点がいった。
と同時に思わずくつくつと笑いが漏れてしまう。
「銀〜…」
望美は頬を膨らませた。やっぱり、子供っぽいって思われたにちがいない。
「神子様。銀はいつでも嫉妬しているのですよ…。あなたを護る役を神から与えられた八葉の方々に。
あなたと言交わす人々に。あなたが微笑みかける全てのものに。けれど…私は嬉しいのです、神子様。
あなたの・・・初めてで最後のひとになれたことが。」
そう言い、淡々と着物を脱ぎ捨てていく。
それを褥のかわりに、生まれたままの姿の望美をそっと横たえた。
「神子様・・私の、最後で唯一のお方。」
「……やっぱり、ずるい…////」
結局、勝てないことになっているのだ。このひとには。
露わになる銀の体に、恥ずかしさでうろうろと視線をさまよわせてしまう。
美しい、と形容するのがぴったりくるような体躯だった。
無駄がなく、均整のとれた体。すらりとした印象だが、しなやかで厚い体躯は紛れもなく男性のものだ。
それなのにやっぱり、女の自分から見てもきれい。
恥ずかしさに目を伏せてしまう望美に、銀はくすっと笑いかけた。
「十六夜の君。あなたは私を望んで下さるのでしょう。
恥じらうあなたを私がこんなにも欲するように…」
そして頬を手のひらでつつみ、口づける。
「その愛しい瞳に…もっと、私を…映して下さい」
静かな部屋に、くちゅり、と水音が響いた。
「ぁっ…んぁっ…っ」
銀の指先は、探るように…しかし確実に望美の性感帯を見つけ出し、責め上げていく。
背中やわき腹を撫であげ、やわやわと胸を揉みながら、耳たぶから首筋にかけての
ラインを唇でたどる。ちゅ、ちゅ、と胸元に赤い花を散らすと、望美から吐息がこぼれた。
銀は、ふっと微笑むと邪気の無い眼差しで囁く。
「神子様…感じていらっしゃるのですか?」
単純にものを尋ねるような口調。しかしその瞳の奥には揶揄するような色が浮かんでいる。
銀は自分を取り戻してから、時々こういうような意地悪な質問をするのだ。
「やっ…ぁ…違っ…」
口づけて唇を奪って、否定する言葉を飲み込んでしまってから、ぷくりと充血した
ばら色の蕾を摘み取る。
「んっ…んぅ…ふぅ…っ」
くにくにと蕾を指で弄んだと思えば、唇でそっとついばんで舌先で先端をこねる。
ツンと立ち上がっているそこは、銀の唾液に濡れて妖しくてらてらと光って誘う。
「ひぁっ…ぁんっ…やぁ…っそこ…ばっかりっ…」
「神子様の御心のままに…」
我が君の許しを得たとばかりに、銀は蕾をいじめていた右手はそのままに、左手を
下へ下へと移す。びくびくと震えるなだらかな曲線を通り、柔らかな茂みに到達すると、
ひとさし指をくぷりと沈ませる。
「っあ…!」
そこは既に充分に潤い、溢れる密をたたえていた。
「や、ぁぁっ、あ、あ、銀…っ」
花びらを擦るように繰ると、望美の体がさかなのように跳ねる。
「神子様…感じておられるのですね…嬉しいです。」
「んっ…いじわる…っ」
羞恥に涙目になる望美に、銀は熱に浮かされたように深く口づける。望美もそれに応え始める。
不意に花の芯を摘むと、望美の声にならない嬌声が上がった
「神子様があまりに可愛らしいから…ですよ」
「はぁっ…あっ…あっ…しろっ…ぁあっ!!」
最後まで名を呼べはしなかった。
銀が茂みの中の花芯を舐め上げたからだ。
銀がいつの間にか茂みに顔をうずめ、丹念に花びらを舐めている。
「ぁ、あっ…ひぁ…っしろ…あ、あ、やぁっん…!!」
そんなことはやめてほしい。
そう口に出したいのに、羞恥に染まった望美の言葉は意味の無い音に変わる。
銀の腕によって大きく開脚され、何もかも見られてこんなに乱れている自分を浅ましく
おもう一方で、溶けるような瞳で自分を追い上げる銀がたまらなく愛おしい。
そう、強く想った瞬間からはあっけない程に、堕ちるのは簡単だった。
「あっ…ひぁっ…ぁあっ…ぁっ…しろが、ねっ…しろが…ぁあああああっっ!!!!」
じゅぷじゅぷと水音を立てて舌を密壷に差し入れられ、
自分の喘ぎ声が遠くのもののように感じ、望美は意識を…手放した。
銀は熱い息をつき、視線が定まらないままの望美の髪をゆるゆると梳いた。
「神子様…」
困ったように、切なげに囁かれてふっ望美の目に力が戻った。
言わんとする事は言わずとも伝わる。一糸纏わず抱きしめられた体から伝わる熱や、
硬く張りつめた銀のものが、何よりも如実に欲望を表していた。
しかし、銀はそれ以上ぴくりとも動かない。
望美の頬に微笑みがのぼる。
「ふふっ…銀…いいよ…。きて。」
記憶が戻っても、こういう所は変わらない。銀は、何よりも自分の気持ちを優先してくれる。
それが嬉しくて、少し切ない。だから、そんな時、望美は思い切って本音を伝えてみる。
少し恥ずかしいから、彼の首筋に額をつけて。
「私…銀とひとつに…なりたい。初めてを銀にあげたい。だから銀も…」
「…あなたは…」
そのまま銀はくしゃりと微笑んでキスを落とす。望美の火照った頬や体から熱が移るようだ。
「あなたを…愛しております…」
うっとりと、しかし切なげに告げられた瞬間、銀の熱くたぎったモノが望美の中に打ち込まれた。
「ぃっ…銀っ…」
破瓜の痛みが望美を襲う。空に伸ばされた望美の手を、銀が受け止めて背中にまわす。
「神子…様…っ…力を抜いて…私に、委ねて…」
ぞわぞわと粟立つような快感に呑まれそうになる。いや、もうとっくに呑まれている。
ひくひくと収斂しつつ深く、もっと深く銀自身をいざなって行く望美の秘肉からは、
とめどない蜜が溢れ銀を濡らしていく。快感の波に攫われそうになりながら、
銀は望美に痛みを与えないようにゆっくりと腰を揺らした。傷つけないように、すこしずつ。
「くぅ…っん…ぁ…っ……っ…」
ぽろぽろと涙をこぼして痛みに耐える望美にこころが痛む。
泣かせたくなんてない。大切にしたい。なのに傷つけてしまう。
彼女を傷つけてきた過去が、鮮明に浮かび上がる。彼女の泣いていた顔が、重なる。
きりきりと胸が痛んで、銀は望美を掻き抱いた。
「…しろが…ね…っ…泣か…ないで……」
驚いて望美を見やると、彼女は微笑んでいた。
涙を流して。いや、泣いているのは自分なのか。彼女の指が、ゆっくりと自分の涙をぬぐう。
「…大丈夫だよ。私、嬉しい。嬉しくて、涙が出てくるんだ・・・。銀、すき。 大好き…」
じんわりと暖かな想いが胸に満ちる。この方は、いつだって欲しい言葉をくれるのだ。
なんのてらいもなしに。
「…神子様。私も、同じですね…。私も、嬉しくて涙が出てくるのです…」
瞼に残る涙を奪い取った。どちらからともなく、口づけをかわす。深くふかく、幾たびも。
吸い付くような肌に指を滑らせ、尻から背骨までなぞるように辿らせ、
不意に蜜壷の秘芯を揉むように弄べば、堪えきれずに甘い嬌声があがる。
「ぁ…っん…んっ…んぅ…あんっ・・・あ、…あっ」
そこに含まれる快楽の音を敏感に感じて、銀は
くちゅくちゅと卑猥な水音を響かせ、花芯を長い指で擦りながら律動を速める。
「…っみこ…様…」
内壁を嬲るように激しく動くと、望美のナカも離すまいとキュウキュウと銀をしめつける。
ずちゅっ…にちゅ…っずちゅっ ちゅぷんっ
「ぁ、ぁ、あっ、しろがっ…ぁあっ、ぃいっ…ぁっん…しろがね…っ、銀っ…」
「みこ…さまっ……のぞ…み、さま…っ」
不意打ちだ。
と、望美が言葉にして思う間もなく。
今までにない大きな快楽の波が望美を襲った。
突き上げられるほどにわけがわからなくなっていく。
「あっ…ぁあっ…やぁ、ダメっ…変になっちゃ…っろがねッ…あ、ぁあ、銀、しろがねっ…!!」
「…く…っ のぞみ、のぞ…一緒に…っ」
激しく責めたてられ、ぐらぐらと行き場のない熱が白くひとつに集中していく。
「ァ、んっ、や、んっ・・・ひぁっ、ひ…ッぁあああああ あ ああ あ あぁ ぁん・・・・・・」
望美は銀の胸にすがりながら、弓なりにしなった。その時の締めつけと同時に、
銀も望美のナカから怒張する自身を引き抜き、精を放った。
・・・・・
・・・
・・
つきぬけるような晴天の日に、大御所の男たちはたいがい緑色の顔をしていた。
八葉の何名かも例に漏れないが、九郎たちはそれでも、各自の仕事に戻っていった。
平穏が訪れたときこそ、やらねばならない事なんてそこら中に散らばっている。
朝に滅法弱い望美といえば、お祭り騒ぎの翌朝はなかなか起き出さずとも
別段怪しまれることはないのだが、日が高く昇ってからなお床の中で丸くなっているので
さすがに心配になった朔が白湯を盆にのせて様子を見に来た。
文字通り腰砕けで衣は昨日のままだった望美は、まさに危機一髪で
現れた銀のさりげない助け舟でまたもや難を逃れたのだった。
その後銀はなにかと理由をつけて望美の元に控え、看病がわりに
白湯を食べさせてあげたとかあげないとか。
おしまい
以上です。お目汚しスマソ。もうなんかイッパイイッパイで・・ごふっ
では銀萌えの一読者に戻ります。隠形!!
リアルタイムで読ませて頂きました!GJ!!
優しい銀萌え!
ヤバス(*´Д`*)ハァハァ
乙です!
悶え死にそうですよ…
おおおー銀!!GJGJです。
ところで白湯ってただのお湯じゃないの?おかゆですか?
>278-286
リアルタイムキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
激しくGJ!です。
優しいけど意地悪な部分ものぞかせる銀に激しく萌えました!
いまちょうど銀望に飢えていたところなんで
存分にハァハァさせていただきました。
もう、ほんとありがとうございます。
もしまた出来たら投下してください。
御代とか(御館だよね?)
>290の言うように白湯とか、チョト気になったけど
そんなの関係なくよかったです〜乙ですた!
293 :
287:2005/10/04(火) 07:25:00 ID:9ge6d3C0
うわぁぁ。消防時代の読書感想文以外こんな長い文章書いたこと無かったんで不安
だったんですが見事にポカしてますな…(。∀。;)ゴメンヨMITACHI様!!!そして御粥・・・orzお湯もってきてどーする・・・
そしてさりげに文章投稿中にageてしまって申し訳ない。
指摘してくれた方ありがとう。あと初めてGJとか言ってもらえて嬉しかったよ。
もの書きさんの気持ちがちょっぴり分かりました。
また機会があったらよろしくおねがいしますだ。隠形!!
白湯は温めたお湯。
古典・時代劇なのにはよく出てくる。(昔は茶も高いから)
イイヨイイヨー銀テラモエス(*´Д`*)
>263
GJ!GJ!
リクエストに応えていただき有難うございます!
望美の名前呼ぶ銀イイ…(*´∀`)
知盛神GJ!
銀神GJ!
今他ゲーに浮気中だったけど、
再度遙か熱燃焼させられる程に萌えますた!
298 :
268:2005/10/04(火) 19:44:41 ID:0vB9iLLK
レスありがとう。OKもらえたので、なんか書いてみたいし頑張ってかいてみます
グロは配慮するが、失笑のほうが心配だorz
では20日後くらいにまた
ワクテカしながら待ってるよー。
>>298 無理しないで…いやでも頑張って!
楽しみにしてます(*´∀`*)
銀望、GJ!
知盛は、クリアしてないから、まだ読めん!!・・・クッ・゚・(ノД`)・゚・
早くGJしたいです…
>268も楽しみにしてるよ。
302 :
ハイツ:2005/10/05(水) 22:42:26 ID:z6mfFpeJ
十六夜発売してすぐに、知盛と銀の話が読めるとは思ってませんでした〜。
GJ!
前スレで投稿してた者です。十六夜で萌えが復活したので、久々に書いてみました。
将臣×望美で二章の夢逢瀬の場面です。
よろしかったらどうぞ。
異世界の京に月が昇る。綺麗な満月…。
望美はあてがわれた部屋に体を横たえていた。花断ちを覚えるために
毎日のように神泉苑にて、練習を重ねていた望美。
剣など握ったこともなく、まして平和な現代で暮らしてきた望美にとって
簡単に物事が運ぶわけがない。めげそうな気持ちの中、望美の心に浮かぶのは
あの時空ではぐれてしまった将臣のこと…。
―ひとりぼっちでどこにいるの?将臣くん。―
望美は目を瞑って将臣の顔を思い浮かべると、そのまま深い眠りに落ちていった。
ふと気づくと、望美は学校の教室に佇んでいた。
人影のない夕陽が差し込む教室のなか、ぼんやりと辺りを見渡していると
望美を呼ぶ懐かしい声が聞こえた。聞き間違えるはずのない声に望美は急いで
振り返ると、机の上に行儀悪く乗りながら微笑む将臣の姿だった。
「将臣くん!やっぱり無事だったんだね。」
近くに駆け寄り思わず抱きつくと、夢だと分かってるはずなのになぜか
温もりを感じた。ふと、我に返って慌てて望美は体を離す。
「お前は変わらないんだな…。」
「ん?将臣くんも全然変わってないけど…。」
望美の言葉に少し悲しげに顔を歪ませた将臣は、徐に制服のポケットを漁ると
古びた懐中時計を取り出した。
「やっぱりあった…。これお前にやるよ。」
「ありがと。すっごく嬉しいよ…。」
顔をほころばせて喜んでいる望美を照れくさそうにみつめる将臣。時計の蓋を
開くとオルゴールが悲しげなメロディを奏ではじめる。
将臣は机の上から降りると、望美と向かい合うように近づいた。
「ねえ、将臣くんは今どこにいるの?」
「俺はちょっとした用事で、京にいるんだよ。」
将臣もこの時空で少しはぐれただけで、きちんと京に辿りついていたのだと
望美はそう思っていた。
「私も京にいるんだよ。会えないかな?」
「悪りぃ…ゆっくりしていられる時間はないんだ。」
そうか…と言ってため息をつきながら俯いてしまった望美を、将臣は両腕で
包み込んだ。思ってもみなかった行為に、望美は上目遣いで将臣をみつめた。
「そんな顔すんなよ…反則だぜ。」
何度こんな風に抱きしめられることを、頭に思いえがいたのだろう…。
幼馴染として培った関係をすべて壊してしまいたいと思ったこともあった。
でも、できなくて…時間だけが過ぎていって…。
そして離れ離れになって、淡い想いははっきりとしたものに変わった。
―将臣くんが好き―
望美は将臣の広い背中に腕を回すと、きつく体を密着させる。相手の胸の
鼓動が自分に伝わり、心地よかった。
「夢なのに…変だよな。」
少年の面影を残す将臣の顔が朱色に染まっている。中学にあがるころには
こんな間近で顔をみることはなくなっていた。
どちらからともなく唇を塞ぐと、将臣はゆっくりと望美を机の上に押し付けた。
夢だからだろう…望美も制服に戻っていることに今更気づく。
望美の長い髪がサラサラと重力に従って揺れる。将臣は望美の存在を確かめる
ように、頬に指を這わせ切なそうにみつめながら言った。
「…いいか?」
望美は無言で頷くと制服の上着を脱ぎ、首に巻いていたタイも外し始めた。
将臣がじれったそうに、望美のブラウスのボタンをひとつひとつ解放していくと
素肌が冷たい空気にさらされる。柔らかい肌に将臣の唇が触れると、望美はピクッ
と体をこわばらせた。
「緊張してるのか…?俺もだ。」
将臣はそう言って、望美のブラを押し上げると小ぶりだが形の整った胸が顔を
のぞかせた。頂にある突起は少し刺激を受けただけなのに、硬く存在を主張して
いた。将臣は望美の胸を包み込むと、手で弄びはじめた。
「やぁ…んん…くすぐったいよぉ。」
望美の反応を楽しむように、突起を指でこね回しもう片方は口に含んで
吸い上げる。はじめての刺激に望美の手は、体を預けている机の脚を握って
耐えていた。胸を弄ばれてるだけなのに、なぜか下半身が熱くなっていく。
望美は堪らなくなって、両足を擦り合わせはじめる。
将臣は望美の無意識の反応に気づくと、片手でスカートの裾をめくりあげる。
ショーツの上から望美の泉を撫であげると、もうすでに蜜を潤ませているのが
薄い布の上からもはっきりわかった。
将臣は体を起こすと望美の足の間に体を滑り込ませ、ちょうど泉が顔の高さに
なるように屈みこむと、ショーツを取り去った。
誰にも見せたことのない場所が、将臣の瞳に映っている…そう考えるだけで
顔から火が出るほど恥ずかしかった。
「ま…将臣くんっ…ぁ。」
何をするのか尋ねようと口を開いた途端、将臣は望美の蕾を口に含んで吸い
あげた。
「あっ…あぁ!」
胸の刺激とは比べ物にならないほどの快感が体を駆け抜ける。将臣は吸い上げ
ながら、細く長い指をゆっくりと沈ませていく。
望美は少しの違和感に耐えるため、さらに机の脚を握り締める。溢れ出す蜜の
おかげで軽く進入を許した将臣の指は、ゆっくりと抽出を繰り返す。
「はぅ…あ…あぁ。」
蕾への刺激と指が望美の中心をとらえるたび、今まで一度も感じることの
なかった疼きが灯っていくのがわかる。それはだんだん膨れ上がっていく。
「だ…だめっ、怖…い…あっ。」
ピクンっと望美の体が魚のようにはねた。何も考えられないくらい、頭が
真っ白になる。荒かった息を整えて目を開けた望美は、心配そうに将臣が
自分をみつめているのに気づく。
「大丈夫か?きつくしすぎたのか…俺。」
「大丈夫…心配しなくていいから…きて…」
将臣は望美の膝の裏に手をかけて両足を開き、泉に熱いたかまりを押し当てた。
たっぷりと蜜を含んだ泉は、将臣を飲み込んでいく。将臣が体を沈めるたびに
望美の体を預けている机は、ギシッと悲鳴をあげる。はじめての圧迫に眉根を
寄せる望美は、ますます机の脚を握る手に力がこもる。
「俺の腕…掴んでろ。」
将臣は望美の手を机の脚から離すと、自分の腕に掴ませた。途端にキュッと
力がこもる。
「あっ…。」
「動くぞ…。」
かすかに頷いた望美を合図に、じんわりと腰を進める将臣。熱いたかまりに
絡んだ蜜が、教室に水音を響かせる。将臣に揺らされるたび、ふたりの体重を
支えている机が水音の合間にギシギシと啼く。先程の疼きが、望美の最奥に
再び灯りはじめる。この先待ち受ける感覚に、少し恐怖を覚えると望美は
ますます将臣の腕をきつく掴んだ。
「あっ…あぅ…やぁ…あぁ…。」
将臣は望美の唇を塞ぐと、動きを速めた。望美は将臣の肩に顔を押し付け、
手は背中を激しく掴んだ。
「あ…またっ…。」
「望美っ。」
ドクンっと望美のなかに、将臣の熱い欲望が解き放たれたのを感じた。
遠ざかってく意識のなかで、将臣のやさしげな顔と腕につけた痣が望美の
瞳に映っていた。
「望美…大丈夫?」
唐突に夢から醒めた望美がみたのは、心配げに覗き込む朔の姿だった。
気持ち悪いほど汗だくだったが、ここは確かに夕べ床に就いた部屋のままだった。
「うん…変な夢みちゃった…。」
「うなされてたから心配したわ。湯殿用意してあるから、使ってね。」
そう言って出て行く朔を見届けると、湯殿のある場所まで向かう。
籠に汗を吸い込んだ寝巻きを放り込み、ショーツを脱ぎはじめた望美。
トロリ…なにかが太ももをつたう感触に驚いて指で拭うと、それは朱が
混じった欲望の痕…。泉から溢れでるものに望美はうろたえる。
―あれは夢…唯の夢なのに、なんでなの?―
急いで湯を体にかけてから、望美は湯殿に身を沈める。自分で自分を抱きしめると
必死で心を落ちつかせようと試みる。起きた時に感じた体の痛みは、気のせいとは
片付けられない。望美の髪から滴る雫が波紋を広げていく…。
―将臣くんに逢えば…きっとすべてが分かるはず…―
望美は今という現実に集中するため、そっと瞳を伏せた。
308 :
ハイツ:2005/10/05(水) 22:48:52 ID:z6mfFpeJ
以上です。
また出来たら投下します。失礼しました。
乙。将望好きなので嬉しい。
だが、本当に夢逢瀬ならいいけど、リアルでは意識無いまま
実は譲とかにヤられてたらカワイソスと思ってしまった自分は
鬼畜ですかそうですか。
GJ。また投下してくれるのテカテカして待ってる。
>309
有川望好きなんで自分は桶
GJ!
将望好きなのでハァハァさせていただきました。
またできたら投下してくださいね。
313 :
ハイツ:2005/10/06(木) 17:45:33 ID:SZ/WKizP
皆さんありがとうございます。ほんとに久しぶりに書いたんで
ドキドキしてたんですが…レスもらえて嬉しいです。
現実は譲にヤラレてたってオチは…それはそれでいいかも。
GJ。私も将望好きなんで、嬉しく読んだ。
そして、>309のネタは、以前、投下されたことがある気がする。
倉庫見に行ったら2-735だった。
あれもGJだった。
もちろん、新たにそういったネタで他の人が投下するのも、またよし。
まだ十六夜記をやれずにいる漏れが通りますよ。
公式にある知盛のサンプルヴォイスの
「この時くらいは……よそ見せずにオレだけを……見ていろよ……」
に激しく萌えているYO!
これって、ものすごくエロシチュを想像させるセリフだーー
>315
そんなので萌えていたら
EDで悶え死ぬやもしれん。
すごいと聞いてはいたが
やはり実際に耳にするとすんげーEDだったぜ・・・
私は脳内で鼻血がノンストップだったぜ
320 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/09(日) 14:16:03 ID:hlMOSwLB
エンド見たがあれはヒモでケテーイとみた
高校生でヒモを抱えてどうするのかと小一時間RY
望美タソが着てたのはは絶対男物のシャツ
25日まで十六夜買えない漏れも来ましたよ。
はやくやりTeeeeeee!!!
EDスチルの知盛の左手は望美の身体をまさぐっているに違いないな
チョト待て。そんなにネタばれ発言しまくっていいのか…?
知盛がED…?
>325
吹いたwww
>>325 始め「知盛にEDがあんのか…?」って意味かと思ったんだけど…そっちかよ!
それで欲望のはけ口が戦いになるわけだ>ED
確かに性癖は特殊そうだけどな…(w
>330
戦う時しかおっきしないのかよ!
や、おっきしない分、剣でハァハァなんだよきっと
>332
確かに滅多な事じゃしなさそうだ・・・
何か投下しづらいふいんきry
×ふいんき
○ふんいき
>>334 気にスンナyo!( ´∀`)σ)Д`)
作品投下されるまでの雑談なんだから
ネタにマジレスカコワr(ry
誰とは言わんが、初心者は半年ROMってなさい
いやもしかしたら投下なされたい神やもしれんぞ
だったらカマーソ
いや、ネタにマジレスは「ふいんきry」にマジ突っ込みしてる335のことだろう
未だふいんきネタ使う奴とそれに突っ込んでる奴
両者に驚きだ
自分の行く板では今でも普通に見るから
流行りネタじゃなくてガイシュツと同じで最早定着してるのかと思ってた
板によって違うのかな?
正直ネタ的に古いから、
使用した方の香具師がどうかと思うが…。
ましてこのゲームの元ネタは全年齢な訳だし。
よーしパパここで吉牛ネタ使っちゃうぞー
誰がどんなネタをいつ使おうが自由だろよ
つーか、ネタバレはいかんだろ。十六夜記やってない姐さんだっているんだから。
警告付きの投下SSならいいが、雑談では控えた方がいいとオモ
知盛「が」ED って話はネタバレでもなんでもない件について
知盛のEDそのものをばらしたわけじゃないしな
ED=Erectile Dysfunction
若い身空でテラカワイソスwww
でも確かに本バレ320-321,323はやり過ぎ
チモはどうみても現代に適応できそうにない件について
できそうもないと思ってたのだが
某所で読んだチモはそれなりに順応してた。
ある意味現代に合ってる性格なのかも試練。
でも、働いてる姿を想像するだけで笑えるな。履歴書とか書くのか・・・
>>348 それ、読んでみたい。
探すんで、何かヒントもらえないだろうか。
ダメならスルーしてください。
チモが「漏れ不能かも(´・ω・`)」と深刻な顔で望美に相談。無論嘘だが、望美は信じきってしまい、自分に何か出来ないかと問う。
チモは調子に乗って「お前が一人でしてるとこ見たらおっきするかも」とか言っちゃって、これまた真に受けた望美は承諾。
更に調子に乗ったチモはあれこれヤラスィ注文をつけて望美をいじめ、最後は美味しくいただいちゃう…みたいなの想像した。
その妄想力を文章に!!!
イイ!(・∀・)
知盛は夜行性だからコンビニで働くしかないな。
夜に稼動する工場とか、朝刊配りもいいね
夜行性ったって勤勉になるわけじゃないんだからw
もう株ニートでいいじゃん
東京タワーからお札撒いたりするのか。似合うな・・・
「こんな紙切れが、金だと?」
とお札の価値を理解せず大盤振る舞い。
玄関が暗いからって、お札に火を灯して明かりにするんですよ
それなんて戦争成金?
スピグラ
チモで盛り上がるところ、ぶった切ってすまぬ
アクラムの鬼畜、流血ありSS落としてよかですか?
365 :
362:2005/10/14(金) 20:59:42 ID:WJDF2b0c
お許しがでたので、アクラムの鬼畜、流血ありSS投下します。
題は「拘束人形」なのでNGワード指定よろしこ。
繰り返しますが、鬼畜で流血ありなので、嫌な方は避けてください…頼みます
366 :
拘束人形 1 :2005/10/14(金) 21:03:02 ID:WJDF2b0c
鏡に向かい、何度も体を観察する。一点の傷も痣もない。この美貌も、体も、すべてはお館さまの役に立つため。
「お館さま。わたくしをお忘れになられたのですか。もう半月もお呼びがございませぬ」
苛立ちを紛らわそうと、髪も体も念入りに洗い、櫛を通し、丁寧に練り香をぬっていく。白い肌には傷一つない。いつも鬼の薬を使い、痕一つ残らないように気を使っているのだから。
「あの娘よりあたしのほうがずっと綺麗なんだからね!」
この細い腰も、柔らかな曲線を描く胸も、人間の男には触れさない。鬼の術で邪な夢を見せて、夢中にさせるだけ。この足の指から、髪の毛の先までお館様のもの。
「今宵こそは…必ずや、お館さまに…」
鏡に向かい、紅を引く。真紅の唇を吊り上げ、洞窟の奥へ向かう。
シリンの目が釣りあがる。水鏡の前、お館さまの隣にまたあの娘がいる。ろくに飾りもしない人間の娘の癖に。ぐっと手を握り締める。冷たい声が響く。
「何用だ。シリン。今は呪詛を広めよと命じた筈だ」
「お館さま。この私がお気に召さぬと申されますか?いつも黒龍の娘を…人の娘を側に置かれてばかり!」
「可愛いだと?ふふ、そのように見えるか?シリン」
今宵だけは後に引けない。この美貌も、体も、人間の娘に劣るところなどない。顔に朱が上る。
「お前は数少ない同族の女。子孫を残す大事な役目がある。力が劣るとはいえ、我が命を果たしてもらわねばならぬ。お前とあれは違う」
「どう違うとおっしゃるのです??」
「あれは道具だ。これだけでは判らぬか。ならば見るがいい」
367 :
拘束人形 2:2005/10/14(金) 21:10:18 ID:WJDF2b0c
シリンは無言で寝屋に入る。ご命令とはいえ、交わる様を見るなど。この衣も、紅もお館さまのために用意したというのに。
ぶるぶると手が震える。
「我がどうあれを扱うかみたいといったな。見るがいい」
燃え上がる嫉妬を押し隠して二人に目をやった。あの娘の何処が良いとおっしゃるのです。
疑問は二人を見てさらに膨れ上がる。娘を立たせたまま、床に招く気配もない。
しゅっと乾いた音がした。アクラムが軽く指を動かす。
「力を…こんなところで?」
「黙れといった筈だ、シリン」
空ろな目をした少女の衣が裂ける。鬼の力。お館様には、児戯に等しい。
少女は黙ったまま、あらわになっていく裸体を晒している。足元に布がちぎれて乾いた音を立てた。
最後の布が取られても、同じ姿勢を保ったまま。髪を結んだ紐もちぎれ、自分より幼い体にかかり、少しだけ裸体を隠す。
シリンの顔に怯えが走る。今までお召しを受けても、あのような事はなかった。布をちぎられ、裸にされるなど。
「いつもながら、良い眺めだ」
アクラムが喉の奥で笑う。仮面の奥で、肉食獣の目が光る。
「いつもどおり、準備をせよ。ラン」
「はい、お館さま」
368 :
拘束人形 3:2005/10/14(金) 21:15:36 ID:WJDF2b0c
「これは…」
「良い眺めであろう…ふふふ」
「あああ…はあああ…あああ!」
二人の前で少女は胸を揉みあげていた。先端を千切れそうに引っ張り、片方は爪を立て、引っかいている。
無数の線が白い乳房に走り、赤い血が流れる。爪が赤く染まっても、自慰をやめない。
「うああ!ああ!あーっ!」
快楽に酔った声。体にあわせて、長い髪がうねる。さびた鉄の匂いがシリンのところまで漂ってきた。
「一度教えただけで、何度でも繰り返す…淫らな人形よ」
「……お館さま…」
「くうああぁぁーーー!」
高い声を上げて、少女が座り込んだ。頂点に達した余韻に体を震わせ、ぱくぱくと口を動かす。
胸から流れた血が腹部まで滴り落ちるのも構わない。赤く染まった手から、血が床に落ちた。
「何を休んでいる?ラン?まだ終わってはおらぬぞ?」
「は…い…お…やかた…さま」
座り込んだ少女はゆるゆると両足を広げた。膝を立て、自ら、秘所を覗き込む。やがて、両手を交互に秘所に突きたてた。
「あぁーー!あああ!あぁーー!」
水音と共に体が跳ねる。それでも、機械的に茂みの奥へ小さな手を押し込む。空ろな顔が喜悦に歪む。
両手が秘所以外に華芽にも触れ、更に快楽を増す。ぐしゃぐしゃと蜜が掻き出され、血と交じり合う。
白い皮膚が赤く染まり、呼吸音と水音が混ざり合う。
喉の奥から長く息を吐き出し、そのまま後ろに倒れた。指から、手首、肘にまで蜜が流れ落ちる。
秘所からは蜜が噴出して、床に流れ出す。
369 :
拘束人形 4:2005/10/14(金) 21:17:52 ID:WJDF2b0c
「見よ。人の女も鬼の女も変わる所はない」
倒れた少女の下へ歩みよる。余韻にぴくぴく震える体を見下ろし、嘲笑う。先ほどの刺激で蜜をこぼしている秘所を足先で蹴る。
ひいい、と嬌声があがる。暴力も、愛撫も人形に区別はつかない。
「快楽を覚えれば、自ら溺れ、際限なく求めるのだ」
秘所を蹴り続けるたびに、ぴくぴくと体が跳ね、蜜が散った。腰が刺激を求めて、上下する。
ゆらゆらと白い胸が揺れ、物欲しげに赤い唇が開閉する。
「これが…これが…」
「どうだ?まだ文句があるか?」
「いいえ…おろかなことを申しました。お許しください」
恐怖に震えながら跪く。これは、交わりではない。猫が鼠を弄ぶのと同じだ。断じて自分と同じではない。
ようやく、主君の怒りを買ったことを理解した。悲鳴をあげる。
「お許しください!お許しください!私が間違っておりました!」
「まだだ。シリン。部屋を出ることは許さぬ」
冷徹な声が縛り上げる。
370 :
拘束人形 5:2005/10/14(金) 21:20:08 ID:WJDF2b0c
「うあああ!!」
少女の嬌声が木霊する。腰を高くもちあげられ、真上から引き裂かれる。主君は衣の前を少し肌蹴ただけ。
少女の白い体が赤い衣に絡む。最深部まで穿ち、又引き抜く。ぐじゅっと二人の体液が混じり、流れ落ちた。
細い体がきしんで、痛みと快楽に涙が流れ落ちる。
腰を回せば、声が高くなり、両腕が支えを求め、空を切る。結わえてあった髪が広がり、動くたびに跳ねる。
両足はぴくぴくと振るえ、限界点に近づく。
「もっとだ。まだ、足りぬぞ」
「ひっ…あああ…ひあっ!」
細い足がぴんと張り、頂点に達した。アクラムの表情が変わる。怒りに満ちた目で生贄を眺める。
「もう終わるなど許しはしない…まだだ」
酷薄な笑みと共に、どさりと少女の体を落とした。少女の顔が歪む。離れたとたん、床に二人の体液が交じり流れ落ちた。
「目が醒める様に、また折ってやろう」
片手を持ち上げると、小指に力を加えた。鈍い音と一緒に、指が反対側に折れ曲がり、悲鳴が響き渡る。
「お…や…か…た…さま」
「交わるのに手はいらぬ」
蒼白になるシリンを一瞥し、喉の奥で笑いながら、再び腰を打ち付ける。シリンがやっとの思いで声を絞り出す。
「どうか…お許しを…気分が悪く立ってられませぬ…」
自分の言葉を違えるとわかってる。どんなお叱りを受けるかわからない。それでも閨から逃げ出すしかなかった。
371 :
拘束人形 6:2005/10/14(金) 21:22:30 ID:WJDF2b0c
「私は…お館様の…部下」
何故なの?自分は、あの娘より大切にされているのを確かめた。なのに、寒気が止まらない。衣を引き寄せても同じだ。
「私は…お館さまに…必要とされてるんだ…」
その言葉が空虚に聞こえる。私は、鬼の一族の女。お館様の子を身篭ることもできるんだ。断じて、あの娘と同じじゃない。
「私はっ…私は…」
先ほどの光景を忘れようと、必死に目を瞑った。
「まだ、足らぬ。我を満足させるまで、働いてもらうぞ。ラン」
冷たい声が降る。狂宴はまだ終わらない。
372 :
362:2005/10/14(金) 21:25:25 ID:WJDF2b0c
以上で終わりです。前書きどおり、NGワード指定してくださることを祈りつつ、名無しに戻りますっ(逃)
ハチヨウショウ(・∀・)ナツカシス!!
>362
GJ。無印やってたころは、こんな妄想してたことがあったが、
文章として読めて、ちょっと懐かしかった。
館、容赦ないね。
蘭カワイソス!
でもおやかたさまGJ!と思ってしまった…。
そして神もGJ。
シリンverも読んでみたい……
ほす
hosyu
映画化記念ほしゅー
映画化!?
するんですよ・・・
実写じゃないから安心しる。
安心…なんてできるわきゃないyo…orz
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
えー、コソーリと投下します。
遙か3で、弁慶or九郎×望美、シリアス系です。
事情により途中までです。投下分にエロシーンはまだありません。
申し訳ない・・・orz。後日必ず。
短いものをと思ったけど、えらく長くなってしまいました。
NGワードは「素直な心」でおながいします。
「平和……だな」
目の前に広がる淡い桜色の可憐な花を付けた木を見上げ、はらはらと舞い散る花びらの
中、望美はひとりごちた。
朝起きて庭に出てみると、自分がいた世界となんら変わらない青空が広がっていた。空
気が汚れていない分、青が濃いような気がしてうれしくなり、望美は梶原の京邸を出て目
的もなく歩いていた。遠くで鐘の音が聞こえたので、その音を頼りに歩いていたら、気づ
けば下鴨神社の中にいたのだった。まだ鳴り続ける鐘の音に、目を閉じ、空気に溶けてゆ
くその余韻を楽しんでいた。
鐘の響きがなくなったそのとき、聞こえてきた話し声が、夢から覚めたように望美の目
を開かせた。聞き覚えのある声を頼りに辺りを見回すと、そこに朔を見つけた。京邸を出
る際、朔を散歩に誘ったのだが、出かけるところがあるからと言っていたことを思い出し
た。
同じ場所にいるなんて偶然だね、と声をかけようと数歩動いたそのとき、どくん、と体
中に響き渡るように心臓が鳴った。
どうやっても見誤ることはない。黒地に梵字が描かれた外套を被っている男、弁慶が朔
と向き合い立っていた。望美は思わず手近にあった大木の影に隠れた。
このままここにいることは、何か悪いことをしているような、そんな気になる。わざわ
ざ京邸ではなく、ここで話をしているのだから、よほどの内容なのだろうと、感覚的に分
かる。二人に気づかれないようにこの場から離れようと、大木を背に走り出そうとした刹
那、弁慶の声が聞こえてきた。
「……朔殿」
聞いてはいけないと思いながらも、望美の足は根が生えたように動かなくなってしまっ
た。そろそろと後ろを振り向くと、弁慶が朔に手を伸ばし抱き寄せているところだった。
そして、朔は抵抗することなく弁慶の胸へ顔をうずめた。
望美は目をぎゅっとつむり、動けなくしていた足の根を振り切るように駆け出していた。
385 :
素直な心 2:2005/10/21(金) 18:53:11 ID:ZZsEDiqe
とぼとぼとした足取りで京邸に入り、その足はそのまま庭へ向かった。鮮やかな色を添
えた庭は陽の光を浴びて輝いていたが、顔を上げることがなかった望美の目にはそれが入
ることはなく、視界がぼやけるばかりだった。
しばらくそこに佇んでいると、ざっざっという足音が聞こえ、それが自分の目の前で止
まった。
「……望美。どうした、こんなところで」
「九郎、さん……ですか?」
「お前が顔を上げれば分かることだと思うが」
九郎が半ば呆れ気味に言葉を発すると、望美は顔も上げずに九郎を背にした。
「おい……!」
「何も……。何でも、ないです」
「……それを俺に信じろというのか? では、なぜ泣いている」
「泣いてなんか、いません」
「それが真実なら、こちらへ向き直り、顔を上げてみせろ」
九郎の挑戦的な言い方にかっとなり、望美は振り向いて九郎を睨みつけた。
「泣いてません!」
「意地を張るのもいい加減にしろ!」
伸ばされた手が視界に入ったとき、多少の語気の荒さがあったからか、望美は反射的に
叩かれるのかもしれないと目を硬く閉じた。しかし、思っていた場所から弾かれるような
音はなく、額にこつりと当たるものがあっただけだった。目を開くと、そこはすべすべと
した白い絹の着物に覆われた、九郎の肩だった。それまで強張っていた体から急に力が抜
けていくのを感じ、望美は深く顔をうずめた。
「何があったかは聞かないが……こんなときくらいは意地を張るな」
表情は分からないが、柔らかな声が耳に届いた。その言葉が合図となり、望美は涙を溢
れさせたが、それは頬を伝うことなく、九郎の肩に吸い込まれていった。
闇が近づきつつある刻に、朔が京邸へ戻ってきた。望美はしばらく朔の様子を伺ってい
たが、さして変わったところもなく、もしかして自分が見たのは夢だったのではないか、
という気がしていた。いつもどおりの朔に、いつもどおりの夕餉の支度。そしていつもど
おりにみんなで食事をした。
ただひとつ――手付かずの膳だけが、望美に『いつもどおり』ではないことを告げていた。
386 :
素直な心 3:2005/10/21(金) 18:53:54 ID:ZZsEDiqe
雲に遮られることもなく、満月が闇に明るさをともしていた。それは縁側に座る望美の
影を作り、青白く照らされた望美の存在を浮かび上がらせていた。その月を見上げ、望美
はひとつ小さなため息を漏らした。
とうとう弁慶は夕餉の席に現れなかった。九郎が弁慶の所在を聞いていたが、その席に
いた人は誰も知らなかった。望美は気づかれないよう朔を盗み見た。朔はもくもくと食事
をしながら「月が一番高く上がるころには戻ると、昼間におっしゃっていました」とひと
こと言っただけで、そのあとに続く言葉はなかった。
望美はひざを抱え、額を寄せた。そしてさらにもうひとつため息を漏らした。
「あーあ……。どうしたらいいんだろう」
昼間の出来事で気づいてしまったことがあった。
それは自分の気持ちだった。
弁慶がほかの女性に触れるのが、たまらなく嫌だと思ってしまった。それがたとえ親友
の朔だったとしても、泣いてしまうほど嫌だと思ってしまったのだ。
だが、望美自身はそれがどういった感情であるのか、まだはっきりと分かっていなかっ
た。砂の中へとその言葉が落ちていき、深い場所へと沈み込んでいってしまった。
ぎしりと人の重みで床が鳴り、望美は音のする方へと顔を上げた。
「九郎さん……」
「す、すまない。その……酒を飲まないか? あ、いや、酒と言っても米麹からできて
いるもので、甘くて冷たいものなんだが……」
「お酒、ですか?」
望美は九郎を見つめた。すでにそれを用意していたのか、九郎の両手には器が二つあっ
た。望美の答えに困ったようにしている様子を見て、望美はくすりと微笑んだ。
「そうですね。私たちの世界では未成年ですが、ここの世界ではもう私も大人ですもん
ね。いただいていいですか?」
九郎はその言葉に笑みを見せ、望美の隣に胡坐をかき、器をひとつ渡した。乳白色に輝
くそれを一口飲んでみると、とろりとした甘い味が広がり、懐かしさがこみ上げてきた。
「これ……もしかして甘酒ですか?」
「知っているのか?」
「私たちの世界では、温めて飲むものですけどね。……冷たいのもおいしい」
そうか、と九郎が言ったきり、二人はしばらく言葉を交わさなかった。
顔を合わせればいつも意地を張り合って喧嘩ばかりしているのに、今はこうして穏やか
な時間を過ごしていることがくすぐったく感じられた。たぶん九郎は昼間の自分を心配し
て、ここに来てくれたんだろう。言葉に出して何かを言ってくれるわけではないが、九郎
の気遣いは素直にうれしかった。
だが、ここで心配して来てくれたのかと問えば、九郎はひどく狼狽して照れて、終いに
は怒ってどこかへ行ってしまうかもしれない。それが手に取るように分かるので、望美は
思わず笑みをこぼしてしまった。
「どうかしたのか?」
急にくすくす笑いはじめた望美を見て、九郎が不思議そうに問いかけた。
「いいえ、何でもありませんよ」
「おかしなやつだな。何もないのにお前は笑うのか?」
「女の子はみんなそうです。お箸が転がっただけでも笑えるんですから」
おかしそうにそう言って九郎の顔を見上げると、やさしい微笑みと穏やかな視線にぶつ
かり、望美は息を飲んだ。満月に浮かび上がる九郎のその表情は、望美にとっては初めて
見るもので、思わず見とれてしまった。
「ちょっとは元気になったみたいだな」
九郎の手に握られていた器が置かれ、ことりと音を立てた。やがてその手が望美の頬に
添えられ、九郎の手のぬくもりが、ひやりとした空気の中、とても温かく感じられた。
「お前が元気ならそれでいい。俺は……泣いているお前を見るのは辛い。お前にはいつ
も笑顔でいてほしいんだ」
「九郎さん……」
目が離せずにいた、その人の名を望美がつぶやくと、九郎の顔が自然と近づいた。まっ
たくの無意識ながら望美が目を閉じようとしたそのとき、小さな葉音とともに黒い人影が
そこに現れた。
387 :
素直な心 4:2005/10/21(金) 18:54:59 ID:ZZsEDiqe
「望美、さん……と、九郎ですか……?」
辺りを煌々と照らしていた満月は、いつの間にか薄く雲をまとい、弱い光を降らしてい
た。暗がりの中でもはっきりと分かるその黒い外套は、弁慶のものだった。
弾かれたように二人は離れ、望美はうつむき、九郎は顔を真っ赤にして、上ずった声で
弁慶の問いに答えた。
「べ、弁慶! 遅かったんだな!」
「ええ、ちょっと人から頼まれて、調べ物をしに六波羅へ行っていたんです」
「そ、そうか! いや、その……」
「どうしました、九郎」
「俺たちは、酒を飲んでいただけなんだ! 酒といっても甘酒で、それは望美の世界に
もある酒で、その……」
弁慶がくすっと笑うと、九郎は不機嫌そうに弁慶を睨んだ。
「何がおかしい」
「いえ、事情は分かりましたが……僕はそこまで聞いていませんよ」
「ばっ……! 俺はもう寝る!」
さらに顔を赤くした九郎は勢いよく立ち上がり、どかどかと音を立てて歩き、自室へ
入ったのか、ぴしゃりという音が聞こえてきた。
あとに残された望美は、いまだ顔を上げずにうつむいたままだった。
「望美さん? どうかしましたか?」
「いいえ」
「僕が、何か不興をこうむることをしてしまいましたか?」
こういうと、望美に近づいた。弁慶の影が望美の体に重なり、一瞬目の前が真っ暗に
なったことに驚き、望美は顔を上げた。
「ああ、やっと顔を上げてくれましたね」
しかし、またすぐに下を向いてしまった望美に、弁慶は目を丸くして驚いた。
「すみません、邪魔をするつもりはなかったんですが……。夜も遅いことですし、庭か
ら部屋へ入ったほうが誰も起こさずにすむかと思ったので……まさか二人がまだ起きてい
るとは思いませんでした」
「……い」
かすれた声が聞こえてきたので、弁慶は望美に顔を近づけた。
「何か言いましたか?」
「……お帰りなさい、弁慶さん……」
望美が意図していることはまったく分からなかったが、弁慶は言われた言葉にふわりと
微笑み、ただいま帰りました、と言った。
388 :
素直な心 5:2005/10/21(金) 18:55:41 ID:ZZsEDiqe
「もう遅いですし、春とは言えまだ夜は冷えます。望美さんも部屋へ入ったほうが……」
「弁慶さん」
不意にかけられた言葉と自分を見上げている望美に、弁慶は言葉を続けることができ
なかった。
「……昼間、どこに行ってたんですか」
問われていることだけではなく、顔を上げた望美のすがるような視線が、弁慶を
困らせた。
「先ほども言ったように、六波羅ですよ」
「それはもう聞きました。その前、です」
「なぜそんなことを聞くんですか?」
「質問に、質問で答えないでください」
答えたくないから弁慶がそう言ったのだろうということは頭で分かっていたが、
感情がまったく追いついておらず、望美は静かに怒りをあらわした。そして、弁慶は
あきらめたようにひとつ息を吐き出した。
「下鴨神社ですよ。さあ、これで気がすみましたか? 早く部屋へ……」
入ってください、という言葉の代わりに、どん、という音が弁慶の体に響いた。その
勢いで頭を覆っていた外套が弁慶の髪をすべり落ちた。
「望美さん……」
弁慶は驚いたようにその音を立てた張本人――望美に声をかけた。望美は弁慶の着物を
ぎゅっと掴み、肩を震わせて弁慶の胸に頭をうずめていた。
「どうしたんですか?」
そっと望美の頭に手を置き、髪をなでながら、自分の胸にいる女に弁慶は問いかけた。
しかし、望美はその問いに左右に小さく頭を振った。
「何かあったんですか?」
その問いにも頭を振るばかりだった。
「嫌なことでもあったんですか?」
それまで頭を振るだけだった望美の動きが、ぴたりと止まった。
「何も……ありません。何も……。ただ、昼間弁慶さんが朔を抱きしめていたように、
私を抱きしめてほしいだけです」
弁慶は、望美の髪をつるりとすべるようになでていたその手を止めた。
「……見ていたんですね」
望美は何も答えなかった。
自分の両肩に弁慶の手が置かれ、それに力強さが感じられたため、望美の体は弁慶から
離れた。そして、感情も何も感じられなかった弁慶の言葉に、怖くて顔を上げられずにいた。
「残念ながら、朔殿のように君を抱きしめることはできません」
頭の上から聞こえてきた言葉に、頭を上げ、望美は体を強張らせた。そこにあったの
は、無表情で望美を見下ろす弁慶の顔だった。
389 :
素直な心 6:2005/10/21(金) 18:56:30 ID:ZZsEDiqe
「女性がそういうことを言うのは、あまり感心ができませんね。何かあってからでは
遅いと思いませんか? たとえばこんな風に」
そういうと、弁慶はすばやく望美の唇を自分のそれを重ねた。軽く触れただけですぐに
離れたが、望美が抵抗しないことが分かると、またすぐに塞いだ。やがて抵抗が始まった
ので、それを押さえるように強く望美を抱きしめ、その動きを封じた。何度も何度も角度
をかえていると、息苦しさからか、望美が口を開いたその隙を逃さず、半ば強引に舌を
入れ、その行為は深いものへと変わっていった。
望美には、今何が起こっているのか、理解できないでいた。しかし、事実として弁慶に
口付けられていることは解っていた。あまりにも突然のことに抵抗したが、それは押さえ
つけられ、もがくことすら許されなかった。冴え冴えとしていた頭の中は、もやがかかっ
たようになり、冷たかった体は熱を帯び始め、望美は時折声を漏らしながら、夢中で弁慶
に答えていた。
つ、と弁慶の唇が離れた。体の浮遊感が抜けず、どのくらいそうしていたのかわから
ない。しかし、ふわふわした感覚も、弁慶の吐き捨てるような言葉ですとんと地面に落ち
た気がした。
「もう少し自覚なさったらどうですか」
弁慶は望美の顔も見ずに望美の横をするりと通り抜け、やがて静かに扉が閉められ、
弁慶が自室に入ったことを告げた。
「弁慶さん……」
いつの間にか顔をだしていた月を見つめたまま、望美は頬を伝う涙をそのままに、その
場から動けなくなっていた。
とりあえず、ここまでです。
一番最初にタイトルを入れ忘れました。
ほんとにほんとにスマソ・・・
GJ!
楽しみに待ってるからね
GJです!
続きがすごく気になる・・・
九郎・・・かわええ・・
流れを読まず、こっそりとアクラムの鬼畜もの(流血あり)落とします。
苦手な方は避けてください(切実)
「拘束人形ーシリンー」NGワードに入れてください。お願いします(平伏)
萌えた。
文章ウマー。弁慶も九郎もすごいぽいです
目覚めが悪すぎる。なんて朝なんだ。鬼の術を使ったわけでもないのに、気分が優れない。寝汗をかいている。
「ちくしょう、みんなあの娘のせいだ!」
ぶんぶんと長い髪を降ると、普段の鬼の装束に着替え、横になった。無駄に残った香が鼻について、無性に体を洗いたくなった。
「冗談じゃない。あれは、夢だ。そうだ、あの人間の娘のせいで見たんだっ!そうに決まってる!!」
自分の両手を握り締め、悪夢を忘れようとした。
悪夢で悲鳴を上げて飛び起きたなんていえるわけがない。あの生意気なガキに鼻で笑われる。
「そうだよ、あんな夢、ただの夢じゃないか」
無理やり笑おうと、声の調子を上げた。途中で尻すぼみになり、陰鬱な気分が増すばかり。鏡の向こうに青ざめた顔が映る。
「いくらでも死体をみたじゃないか…あんな夢一つで怯える私じゃないよ!」
アクラムに拾われてからも、人間の侵略はやまなかった。村が襲われ、焼かれる。隣人が青く冷たい物体になって転がる。
強くなければ、情けを捨てなければ、死ぬだけ。
私は強くなり、お館様の片腕になったんだ。自慢の台詞を何度繰り返しても、悪夢は浮かび上がる。
ああ、ここはいつものお館さまの寝所だ。だが、衣装は白拍子。シリンが人を欺く時の衣装のまま。
ああ、なんて失態だ。お館さまのお召しにふさわしくない。側に招いてもらえない。どうか、お怒りをお静め下さい。
「お館様!おやめ下さい!!あああ!」
アクラムがゆっくりと指を動かすたびに自分の手が動く。勝手に胸へ移動して、一番感じやすい部分を揉み、引っ張る。
まるであの娘と同じだ。嫌悪感が顔に出る。あの人形と私は違う。そうでしょう?
こんなのは嘘だ。白拍子の服は人を誑かすための服。お館様はわかっておいででしょう?
「おやめください…服がああ!」
嘆願も空しく、鋭い爪で薔薇の模様は破け、豊かな胸が姿を現す。
つんと立った先端を爪でいたぶり、しびれるような感覚に体をくねらせる。
「おやかたさまあああっ!」
屈辱と快楽に喘ぎながら、前に突っ伏した。必死で顔を横に向けるが、それでも強い痛みに涙が零れる。
両手は硬くなった先端に爪を立て、快楽を求めていた。
「それ程欲しいか」
「お館様…ううっ…この体も、顔も全て捧げる…覚悟で…くっ…参りました…」
快楽に体を揺らしながら、訴える。何故、この両手は、胸から離れない?離れろ、と念じても張り付き、さらに刺激を与える。
「その手は、我など要らぬといってるぞ」
「違いますっ…そのようなことはございません…くっ」
思い通りにならない両手に涙を流す。こんな姿勢で惨めな姿を見られるなど。
「それほど我にはむかう手なら要らぬであろう」
「お館さま??」
無表情のまま、寝所の壇に置かれた刀の鞘に手を伸ばす。先代から受け継いだ長刀が手に収まった。すらりと青白い刃が光る。
誰一人触れる事を許されぬ宝刀。鬼の力で作られた剣は、石も刻む。
「まずは…右か?」
かすかな音と共に、左の胸を攻めていた手の感触が消えた。快楽が半減し、ようやくシリンが頭をあげる。
「お館さま…お館さまあ?」
「まだ始まったばかりだ」
ごとりと、足元に落ちた塊にシリンは目をやる。
「ひいいいいい!!」
白装束をきた自分の腕が落ちている。手は先ほどまで先端を攻め立てたままで固まり、切り口からは夥しい血が流れ出している。
床が、白い布が赤く染まっていく。何故痛みがない?気が動転する。
「おやめください…いやあああ!」
「騒ぐな。耳に障る」
次の瞬間、今度は左腕が切り落とされ、転がっていく。切られた両肩からは血潮が滝のように落ち、袴や足先まで飛沫が飛ぶ。
「お館さま、お館さま、おやかたさまああーー!」
恐怖と混乱に陥る体を押し倒した。
「あの娘に負けぬといったな。どれほどか、みせてもらうぞ」
血に濡れた岩の冷たさも、硬さも判らないまま、両足を開かれ、杭を打たれる。
地面に広がる血の海が、アクラムの衣をさらに朱に染める。
「これしきの事で正気を失うか?」
夥しい血の海にいても、冷笑は変わらない。幼い頃から、何度も集落が人の手で焼かれ、遺体を弔う暇もなく逃げる。その繰り返し。
仮面をつけて間もない頃は、逆に人の村を襲ってやった。男も女もなく、増幅された力で千切ってやった。
赤い血に、肉片に残った人間たちが泣き叫び、狂気に陥る様が楽しかった。
「ほう…自慢しただけの事はあるな」
体を二つに折り曲げ、血が飛び散るのも構わず、律動を繰り返す。恐怖と混乱のせいか、いつもより熱く、締め付けがきつい。
忠実にアクラムのものを飲み込み、奥へ導く。絶え間なく続く悲鳴も、アクラムには虫の羽音にすぎない。
「それ程に我が欲しいか?我の子が欲しいか?」
大量の血を失い、四肢が色を失い始めた。悲鳴は段々低くなり、呼吸も荒くなる。顔は土気色。
「くっくっ…我を掴んで離さぬか。死にかけても、貪欲だな」
何度果てても、突き込めば又胎内が蠢く。ぎゅうぎゅうと締め付け、最後の一滴まで搾り取ろうとする。
死に瀕してもそこだけが別の生き物のように、蜜を噴出し、果てを知らない。
青ざめた唇が開いた。自分の名を読み取り、苦々しげに言い捨てる。
「まだ我を呼ぶか?ならば、此度は許してやる。二度とあの娘に手を出すな」
息が苦しい。目の前が暗くなっていく。死ぬのは嫌だ。血が流れてしまう。たすけて。
た、す、け、て……お…や…か…た……さ……ま…
「あんな夢なんて…夢なんてっ!!」
恐怖を押し隠し、笑おうとしたが、笑えない。がくがく震え、肩を触る。無意識に、切られた痕がないか確かめている。
夢の感触が蘇り、悲鳴を上げた。
「うそだああ!!嘘だよ!ちゃんと、腕もある!いつもの衣もあるんだ!私は、私はっ…うう!」
腹痛にシリンは座り込んだ。生温いものが胎内から零れ落ちた。気色の悪さに舌打ちする。
「くっ…なんてこと…」
悪夢にすっかり忘れていた。ああ、そうだ。月に一度訪れる忌みの日。
「又…私はお館様の子を…宿せなかった…のですか?」
落胆に悲鳴を上げて泣いた。この時が来るのが悔しい。閉じこもり、血の穢れが終わるまで、動けないのか。
忌々しい子供や、裏切り者の副官に功を取られるのか。
「そうか…このせいであんな夢を見たんだよ…くそっ」
忌々しげに流れ落ちる血を拭き、壁によりかかって歩き出す。無理やり、こじつけて悪夢を振り切る。片手に布を持ち、部屋を出る。
早く行かなくては、又布が濡れる。
「いつもの部屋に行かなくては…」
腹部の痛みに足取りが遅くなる。お館様の役にたてぬ姿を誰にも見られたくない。
「ああ…血が流れてしまう…はやく…」
ゆっくりとした足音は、いつもの水鏡の部屋ではなく、専用の部屋に向かう。ただ、他の仲間が姿を現さないことだけを願った。
これで終わりです。注意書き守ってくれたよね??ここまで読んだ方お疲れ様でした(平伏)
とりあえず乙。
「流血」と言うより「残虐描写+流血アリ」とアナウンスした方が良かったかもね
九郎可愛いよ…。
報われて欲しいなぁ。
弁朔の真相を知りたい。
九郎は可愛いな。
>399
注意書きが甘すぎるよ。
内容こんなんだったらもうちょっと書きようがあっただろうにorz
>>383の望美の相手がどっちか気になる。orとかあるし。
ともかく楽しみに待ってます。
同じく気になる。ワクテカしながら待機中・・・(*゚∀゚*)
トリップあってるかなあ……お久しぶりです。
激しく今更で申し訳ないですが
総受け第三夜、途中まで投下します。
本番直前までですがorz
では行きます。
今日は木気……青龍の二人のどっちか、か……
湯殿へ行く仕度の手を止めて、望美は溜め息をついた。
九郎さんは一本気過ぎて兄弟子って感じだし、将臣くんは幼なじみだし……
「正直、どっちも考えられないよ……」
小さくこぼしながら、高く髪を結い上げる。
でも譲くんも幼なじみだから止めたんだし、どうしてもなら九郎さんかなぁ。
はぁ、と溜め息をもうひとつ。
「うだうだしてても仕方ないか……とりあえずお風呂かな」
手ぬぐいに、肌を擦るための糠袋と替えの下着、それから櫛をまとめて包む。
せっけんもシャンプーも歯ブラシもないことに、
最初は目眩がしたものだが最近はもう慣れた。
糠袋の垢すりは意外に肌にいいようだし、
空気の汚れや整髪料がないせいか、水洗いでも頭はすっきりする。
考えてみれば昔のひとは、
現代じゃ考えられない位の長い髪を
『みどりの黒髪』なんて綺麗に保ってたんだし、
こういう生活って身体にはいいのかも……
取り留めのない思考を打ち切ると、望美は濡れ縁へ面した障子に手を掛けた。
そのまま行くことしばし、軋む廊下を湯殿へ近付いた頃、不意に声を掛けられる。
「望美、今から風呂か?」
「将臣くん……」
なんでもない台詞なのに、今夜のことが頭にあるせいか
望美は一瞬答えにつまる。
「う、うん。将臣くんは……」
将臣は動きやすそうな濃紺の作務衣の袖を捲くり上げ、
首には手ぬぐいを掛けている。
常ならぬその姿に問うと、将臣は屈託なく笑った。
「あー、薪割り手伝ってたんだよ。長逗留だし、身体も動かしたかったしな」
「そっか……なんか、ごめんね」
逗留の原因も、剣をふるえないのも望美の五行が尽きたためだ。
しかし将臣は、苦笑とともにその掌を望美の頭に載せた。
「なーに言ってんだよ。つか、それを言うなら俺のせいじゃね?」
くしゃりと髪を撫でられ、懐かしい感触にはにかんだ。
こちらへ来てからはそうする暇もなかったが、将臣は望美の頭を撫でる癖がある。
幼いとき、まだ泣き虫だった望美を泣かしては、
泣き止むまでそうしていた名残なのだ。
お互い成長した今も、高さがちょうどいいなどと冗談混じりに、
ふとした拍子にそうするので将臣の癖は抜ける気配もない。
「そんなこと……」
「まーいいや。お前も風呂なら一緒に行くか? 俺も汗かいたからな」
望美が否定する間も与えず、将臣は軽く誘いかけた。
「っえ?」
望美の戸惑いも無理はない。
将臣が指差したのは露天風呂の方向で、
露天風呂はこじんまりとした貸し切りの湯壷である。
当然混浴で……つまりはそういうことになる。
「え? じゃねぇよ。別にイイだろ? 早まるだけじゃねぇか」
「ま、将臣くん!」
望美の頬に、一気に血が昇る。
確かにそうかもしれないけどそんな言い方!
って言うか自分に来るって確信してるの?
言いたいことは様々だが、とりあえず口をぱくぱくするしか出来なくなってしまう。
「ほら、いつまでもこんなトコいたらかえって目立つぜ? 行くぞ。」
ぐいっとやや強引に肩を抱かれ、導かれる。
しかし将臣の強引さはどこか心地良いもので、望美は溜め息ひとつで諦めた。
宿の人からもらってきた鍵を差し込み、引き戸を開くと溜め息をつく。
「どうした?」
何でもないように言う将臣が信じられない。
だって幼なじみだよ? こんな……こんなの、考えたこともないよ?
将臣くんは、なんで普通でいられるの?
しかしそれは言葉にならず、望美は黙って足を進めた。
壁際の棚に包みを置き、羽織を脱いで帯に手を掛ける。
「望美、ここ鍵閉めとくぞ」
不意に掛かる将臣の声に身がすくむ。
「う、うん」
外側の錠とは別に、捩込み式の簡単な鍵が、気休め程度に付いている。
物取りなどを防ぐため、皆がすることだ。
こういう場合だからじゃない、落ち着かなきゃ。
帯を解く指が緊張に震える。
「取って食うわけじゃねえだろ……落ち着けって」
背中から包むように抱き込まれ、するりと帯が解かれた。
「ま、さおみ、くん……」
ちゅ、と耳の後ろに軽いキスをくれて、
「ま、そんなトコ、俺は好きだけどな」
吹き込むように囁かれ、ぞくりとする。
知らなかった、男の顔。
三年半の時間のせい? それとも……
考える間は与えられず、開いた袷から大きな手の平が滑り込む。
「や、待っ……」
胸に巻いた晒し越しに、やんわりと触れる熱。
「お前、こんなもん巻いてて息苦しくないのか?」
つ、と指が這い、晒しの結び目が解かれる。
「だって……こっちじゃ、替えなんかないじゃない……」
下着替わりでしかないためそれほどきつくは締めていない
晒しはするりと緩み、直に触れる指が意識を掻き乱す。
「ん、や……ぁ」
大きくはないが形よい胸の頂点はつんと立ち上がり、緋色に色づいて指先を誘う。
「やーとか言って、カンジてんじゃね?」
きゅ、とそれを指先に捻り上げられ、望美は悲鳴に近い嬌声を上げた。
「ひぁあぅっ……」
「ん? もしかしてココ、弱ぇのか?」
楽しげな声を否定したいのに、下から持ち上げるように揉みしだかれ、
尖端を押し潰されてしまうと、がくがくと震える膝と漏れる声がそれを許さない。
「ビンゴ、だな……」
しかし、湯も浴びない首筋を舐められ、望美の羞恥心が悲鳴をあげた。
「や、お願っ……まさぉ、みくん……お風呂……」
僅かな間でも逃れたい気持ちもあっただろうか、小さな懇願の声が落ちる。
「うん? 後でいいだろ……」
「や、私っ……汗、だから……っ」
震える手が将臣の手に重ねられ、望美は苦しげに唇を噛む。
「恥ずかしいのっ……!」
さらに言葉を重ねられ、将臣が折れた。
「わかったよ、続きは中で……な?」
望美の背を胸で支えたまま、
将臣は手早く作務衣を脱ぎ去るとまとめて棚に押し込んだ。
それから望美のスカートのホックを外し、下着も奪ってしまうと、
羽織ったままだった小袖を肩から滑り落とす。
明るい中で裸身を曝すのは初めてで、
羞恥に気を失いそうな望美が顔を覆い俯くと、
将臣はそのうなじにくちづけて、小さく囁いた。
「……綺麗だ、ぜ」
熱く掠れた雄の声音に、背筋を快感が走る。
意識しないように努めても、
後ろから抱かれた身体に触れる熱いものの気配に、目眩がした。
一歩も歩けなくなってしまった望美に苦笑して、
将臣は望美をひょいと抱き上げる。
横抱きに持ち上げられ、
突然目の前で将臣と視線がぶつかって、望美は息を呑んだ。
今回はここまでです。
そろそろエロのバリエーションが尽きてきている……
続きはそんなに間が空かないように頑張ります。
>>412 お久しぶりです、続き楽しみにしています。
しかし譲不憫だよ譲。
兄貴の強引さの半分でも奴にあれば……
「正直、どっちも考えられないよ……」を「どっちも萌えられないよ……」と読み違えましたゴメンナサイorz
>>412 GJ、GJ!!
待ってました。これからどうなっていくのかスゴイ楽しみ。
>412
お久しぶりです!待ってました。
保管庫で復習しつつ、続きを待ってます。裸で。
>>412 ……譲…不憫よのう……。
だが、そこが(・∀・)イイ!!
朝っぱらからチェックしにきたらば キター!!!
ずっと待ってました、このシリーズ
そうか、木気は兄貴ですか。際立つ譲の不憫さGJ
・・・金気を読み直して譲萌えして続き待ってます
418 :
sage:2005/10/24(月) 11:14:28 ID:jKpzHCpX
>>412ネ申
ご降臨お待ちしておりました。
続きワクテカしながら待ってます。兄貴羨ましいほど積極的だよ兄貴
419 :
383:2005/10/24(月) 14:08:51 ID:UPTavkup
>>384-389 の弁慶「素直な心」(遙か3で、弁慶or九郎×望美、シリアス系)
を投下しました383です。続きを書きましたので落としておきます。
エロまでたどり着きましたが、たぶんぬるいです。
そして、続いています。
感想を書いてくれた方々、ありがとうございます。
うれしかったです。
>>405 まったく考えナシに書き始めたため、
前のを投下した時点ではラストが決まって
なかったので、orと入れてしまいました。
では、投下します。
420 :
素直な心 7:2005/10/24(月) 14:10:15 ID:UPTavkup
翌朝早く、望美は京邸を出て、神泉苑に向かった。見上げると、昨日見えた青はそこに
なく、どこを見ても薄暗い雲が広がるばかりだった。
泣きながら褥に横になり、いつの間にか眠っていた。しかし、その時間はたいして長い
ものではなかったようで、のろのろと起き上がり部屋を出ると、空はまだ明けきってはい
なかった。
望美は目の前に広がる池の前にしゃがみ、水面に映る自分の顔を見た。
「ふふ……やっぱりひどい顔してる」
そこには目が赤く、あきらかに泣きはらした後がうかがえる顔が映し出されていた。
しばらくすると、一つの小さな雫が水面を揺らし、映っていたものをかき消した。また
一つ、今度は望美の髪に、さらにまた一つが望美の着物に吸い込まれていった。やがてた
くさんの雫が辺りを覆い始め、水面にはもう何も映らなくなっていた。
望美はその場から動こうとはしなかった。両腕で抱えた膝の上に顎を乗せ、じっと雫が
作り出す幾重もの波紋をしばらく見つめ続けていた。
どれくらいの時間が経ったのだろうか。雫をたっぷり含んだ髪と着物は、今の望美には
ひどく重く感じられた。力が抜ければ、そのまま水の中へ落ちていってしまいそうだった。
そうならないようにと立ち上がったそのとき、遠くで自分を呼ぶ声が聞こえた気がしたの
で振り返った。そして、それが気のせいではないことは、駆けてくる人が視界に入ったこ
とでわかった。
「望美!」
「九郎さん……」
「何をやっているんだ、お前は! 一人でいなくなったりして! 戦乱の世なんだぞ、
平家の者に何かされたらどうするんだ!」
明らかな怒りをあらわした九郎は、視線を合わせようとしない望美を怒鳴りつけた。ど
んなに意地を張り合っても、これほどの語気の強さで九郎に何か言われたことはなかった
と、昨夜から晴れることがない頭で望美はうっすらと考えていた。そして、吸い寄せられ
るように九郎の胸へと倒れこんだ。
「の、望美?!」
「ごめんなさい……九郎さん……ごめんなさい」
望美の言葉はあまりにもか細く、先ほどから続いている水面や葉をはねる雫の音に消え
てしまいそうだった。だが、九郎の耳にそれは届き、九郎は望美の頭に手を乗せた。
「……お前が無事なら、もういい。だが、一人でいなくなるな」
「はい……」
九郎の手はそのまま望美の髪を滑り落ちた。安心からか、九郎は小さな笑みを見せた。
「よし。じゃあ戻るぞ」
そう声をかけても、小さく肩が上下に動くだけで、望美が動き出す気配がない。名前を
呼んでも、反応がなかった。肩を抱いて望美を胸から離すと、熱い息を吐き出し、苦しそ
うにしている顔があった。空いているもう一方の手で望美の頬に触れると、昨夜とはまっ
たく違い、それと分かるほどの熱を持っていた。
「お前、熱があるじゃないか! どうしてこんな……くそっ!」
望美には、九郎の手がひんやりとしていて、とても気持ちよく感じられた。だが、九郎
の声とともにそれが徐々に遠くなり始め、望美は暗い闇へと沈んでいった。
421 :
素直な心 8:2005/10/24(月) 14:12:33 ID:UPTavkup
望美は闇の中にぽつりと立っていた。ただそこに望美がいるだけだ。人の話声はない。
白と黒の対比が嫌に目につくので、自分をみてみると、なぜか白無垢をまとっていた。
この状況が一体何なのか、混乱するばかりだった。
ただ、望美は直感的に、求めていた人が後ろに立っているのが分かっていた。しかし、
なぜか後ろを振り向くことができずにいた。その人物が、望美を背後から抱きしめた。望
美はその名を呼ぼうとしたとき、闇に一筋の光が入り込んだ。その刹那、望美の身体は闇
の中へと沈んでいった。
「あ……!」
「目が覚めましたか? 気分はいかがですか?」
「弁慶さん……」
ふいにかけられた言葉がその存在を示し、静かに微笑みながら望美を見下ろしている顔
が望美の視界に入った。望美はそのまま言葉を続けた。
「夢を見ていたみたいです。真っ暗の中に私がいて……」
「恐ろしい夢だったのですか?」
「いえ、たぶん怖くはなかったと思います。あれ? 今見てたばっかりなのに、内容忘
れちゃった……」
布団を引き上げ顔を半分だけ隠し、望美はつぶやいた。
そのとき、ひんやりとしたものが額に触れた。それが弁慶の手だということに気づくま
で、少し時間がかかった。
「先ほどと比べると、だいぶ熱が下がったようですね。よかった」
「あの、私……」
「神泉苑で倒れたと聞いています。ここへは九郎が運んできたんですよ」
あ、と望美は小さく声を上げた。
「弁慶さんはどうしてここに……?」
弁慶は困ったような笑顔を向けた。
「一応、これでも薬師ですからね。九郎に言われてこちらへ控えていました」
「あ……そう、ですよね」
「さあ、もう少し休んでください。だいぶ下がったとはいえ、まだ熱はありますからね」
422 :
素直な心 9:2005/10/24(月) 14:13:28 ID:UPTavkup
「弁慶さん」
名前を呼ばれ弁慶は、どうかしましたか?と言い、柔らかな微笑みを望美に向けた。
「……いいえ。やっぱり何でもありません」
「君は『何でもない』が多いですね。その言葉の後ろには、一体どんな言葉が隠されて
いるんですか?」
優しく諭されるようにこう弁慶に言われると、望美は布団をさらに引き上げ、顔を完全
に隠した。
「では、僕はもう行きますね。新しい薬を調合しておきました。ここへ置いておきます
から、それを飲んで休んでください」
「弁慶さん!」
布が擦れる音がして、弁慶が立ち去ろうとしているのを感じ、望美は布団を跳ねのけて
起き上がって叫んだ。
「待ってください! あの!」
驚いたように望美を見つめていた弁慶は、眉間に皺を寄せ、目を逸らした。
「昨夜も言いましたが、君はもう少し自覚をする必要があります。どうして分かってい
ただけないんですか」
そう言って弁慶は外套をふわりと翻し、望美を置いて部屋を出ていった。
そのとき一瞬だけ望美が見た外の景色は、葉の上に乗っている雫がきらきらと、優しい
光の中で輝いているところだった。
望美は眠り続け、翌朝には熱は完全に下がった。しかし、安静にとの弁慶の言葉に従い、
この日は何をするでもなく、自室で時を過ごした。
すでに闇の帳が下り、部屋には小さく明かりが灯されていた。風はないはずなのに、
その明かりが微かに動き、壁に映し出された望美の影を揺らしていた。
「望美」
ふいに外から声をかけられ、その声の主に望美は、はい、と返事をした。
「九郎だ。熱が下がったと聞いたんだが。その、よければ話がしたい」
そう言われて、望美は立ち上がり部屋から顔を覗かせ、九郎に声をかけた。
「散らかってますけど、いいですか?」
「ああ、すまない。失礼する」
望美の先導で部屋に入り、九郎は用意された円座に座った。そして望美は九郎に向き合
うように座った。九郎と望美が空気を動かし、明かりの炎が大きく揺れ、一瞬、二人の影
は形をなくした。
「昨日はすみませんでした。迷惑かけちゃって……。神子失格、かな?」
望美はばつが悪そうに、乾いた声で小さく笑った。
「そんな風に笑うな」
静かだったが、はっきりと述べられたその言葉と、射られるように見つめる九郎の視線
に、望美は笑うのをやめた。
「一昨日も言ったが、何があったかは聞かない。お前のことだ、きっと聞いても言わな
いだろう。だが、一人でどこかへ行くのだけはやめろ。皆に迷惑がかかる」
九郎から視線をはずしてうつむき、望美は小さな声で「迷惑かけてごめんなさい」とつ
ぶやいた。
「あ、いや……。どうも俺は口が悪いな」
ふと沈黙が訪れたが、再び九郎は口を開いた。
「まだまだ戸惑うことも多く、時には独りになりたいときもあるだろう。だが、せめて
居場所だけでも誰かに知らせておいてくれ。分かったな」
なだめられるように語られた言葉に、望美は素直にうなずいた。
「話はそれだけだ」
九郎が立ち上がったので、見送ろうと望美もそのあとに続いた。明日にはまた元気な姿
を見せてくれ、と言って部屋を出た九郎を、望美は呼び止めた。
「どうした?」
九郎が振り向くと、望美がふんわりとした笑顔を浮かべていた。
「まだちゃんとお礼言ってなかったから……ありがとうございました」
一瞬驚いた顔を見せた九郎だが、それはすぐに真剣な面持ちとなり、そのまま望美に近
づいた。望美は、どうしたのかと九郎を見上げると、九郎が急に視界から消え、目の前に
あったのは九郎の着物だった。
「く、九郎さん!」
抵抗しようと身をよじらせても、それは、九郎の腕にさらに力を入れさせるだけだった。
「昨日……お前を見つけるまで生きた心地がしなかった」
九郎から絞り出された言葉に、望美は動けなくなってしまった。
「……頼む、俺の前から急にいなくなったりしないでくれ。俺は、お前を……」
九郎は望美の肩に顔をうずめ、いっそう腕に力を込めた。
「失いたくないんだ……」
その言葉を聞いて、望美は、自分の心臓の音が耳に届き、身体が大きく響いたような気
がした。自分のことを思う九郎のまっすぐな言葉が、望美の全身を隅々まで駆け抜けてい
った。そして、望美の中にこみ上げてくる気持ちが、だらりと下がっているだけだった望
美の両腕を、九郎の背中へと動かした。
背中に触れたものに九郎は身体を震わせ、望美を締め付けていた腕を解いた。いつも勝
気で、自分の言うことに憎らしいほどの言葉を返してくる女が、自分の腕の中では小さく、
剣の力強さからは思い描くこともできないほど華奢であることがわかり、ただ望美を見つ
めるだけだった。
二人の顔は自然と近づき、やがて唇だけが触れ合った。ただ重ねるだけだったそれは、
いつしか深いものへと変わっていった。
「ああっ! んっ! はあ……あん!」
小さく灯された炎だけがゆらめき、艶かしい二人の行為を闇に映し出していた。
九郎は自分に翻弄される望美の艶やかな表情を見て、ますます気持ちを高ぶらせていっ
た。初めてであることを示す苦痛な表情も今は消え、九郎の動きにあわせるように嬌声を
上げる望美を、九郎は全身をかけて愛したいと思っていた。望美は最初こそは抵抗や戸惑
い、恥ずかしさを見せたが、温かな肌に包まれているという安心感からか、今では九郎か
ら与えられるものを、ただ素直に受け入れていた。
九郎の動きに望美の体が弓なりに反れ、そのとき持ち上がったいただきが九郎の目に留
まった。つながったのをそのままに九郎は動きを止め、それを口に含んだ。丁寧に舐めあ
げてくる九郎の舌に、それまでの激しさとは違い、望美はうっとりとした面持ちで反応し
た。薄暗い闇の中に浮かび上がる望美の白い肌に、九郎は魅了され、やさしく愛撫をし続
けた。やがてその胸元へ赤いしるしを落とした。
九郎は顔を上げ、うっすらと汗を滲ませる望美の額に口付け、それまで止まっていた行
為を加速させた。
「あっ! あん! はあ……く、くろ……さ、ん!」
次々とやってくる快感に喘ぐ望美の唇が、九郎の名を呼んだ。それはたまらなく淫ら
だった。
「……の、ぞみ!」
そう聞こえた次の瞬間、望美に覆いかぶさるように九郎が倒れた。望美はその重みと肌
に心地よさを感じ、ただ目を閉じ、九郎の首に腕を巻いた。そして二人は、名残惜しそう
に深く口付けを交わした。
しばらくして、九郎が丁寧に望美の体に着物を被せた。そして、まだ小さく肩で息をし
ている望美を、愛おしそうに着物ごと抱き寄せた。
「こうなってしまっては今さらかもしれないが……。一つ、大事なことを言っておく」
九郎はそこで一旦言葉を切り、大きく息を吸い込んだ。
「……愛している。お前だけを」
雀だろうか、鳥の鳴き声が妙に耳をつき、望美は目を覚ました。夢見心地で呆けていた
が、自分が何も身に着けていないことに気づくと、被せられていた着物を引き寄せ、身体
を隠した。ふと隣を見ると、そこにあるはずのぬくもりは微かにその跡を残しているだけ
だったが、それは昨夜のことを思い起こさせるには十分なほどで、望美は頬を染めた。
寝巻きを羽織ろうと起き上がったそのとき、望美は枕元に置かれていた白い和紙に気づ
いた。折りたたまれたそれを広げてみると、普段の九郎からは微塵も感じることができな
い、滑らかな手で書かれた歌が二つ、したためられていた。
《浮草の 上はしげれる 淵なれや 深き心を 知る人のなき》
――浮草が茂った深い淵の深さは、俺の心のそのものであり、その深さを知るのはお前
以外誰もいない――
《明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき あさぼらけかな》
――ずっと一緒にいたいが、夜明けに帰らなくてはならない。お前の側を離れなければ
ならない合図である、夜明けの光がうらめしい――
それは、望美に宛てられた、九郎からの後朝の歌だった。
428 :
383:2005/10/24(月) 14:20:14 ID:UPTavkup
以上です。
か、改行間違えたあ・・・・orz
>>428 よ!待ってました。
イイよ、九郎イイ!!…で、これはこの先続くのかな?
430 :
383:2005/10/24(月) 14:52:12 ID:UPTavkup
>>429 すばやくありがとうございます。
この先も続きます。もう次の分も書き始めてます。
なるべく時間が空かないように
次を投下できるよう、がんばります。
そして、目指せ、次で完結・・・
では消えます。
うー…ん。
望美は弁慶を好きになりかけてたんだよね?
それで弁慶に冷たくされたから九郎とすぐ寝るのはいかがなものか。
次に期待…。
自分も気になったけど、さびしかったからだと脳内補完。次回で語られるかもしれないし。
しかし和歌苦手だった九郎が…。望美の為に勉強したのだとしたら、少し萌え。
このスレって書き込んでるのはほぼ腐女子なんだよな?
男はネオロマやらないよな?
435 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 20:29:39 ID:/wx1CZLX
自分も寂しかったからだと思ったよ。
落ち込んでいるときって誰かに頼りたくなるものではないのかなと。
九郎はいいタイミングだったなと。
>>433 やる、というか書くと宣言してる人が上のほうにいる
前の時点でorでも、この時点で相手が決定してるなら書いてほしい……
(少なくともセクースの相手は決まってるわけだから
話のネタバレになるから書けないってことはあるかもしれないけどさ……
>>430 完結編楽しみにしてます(`・ω・´)
冒頭の弁朔のからみの伏線がキニ(´д`)ナル
ネ申 お疲れ様でした。
久々に弁慶登場で嬉しいです。
これからの望との関係も気になるです。
うはッなんか九郎ってば紳士・・・イイヨイイヨ〜
441 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 04:41:44 ID:MLgG3zc+
>>433 SS保管庫いってみれ。
結構男子のかほりがするもの、多数あるよ。
>383
GJ。この先いったいどうなるのか気になる…。
弁なのか九郎なのか。弁朔も気になる。
>433
男が乙女ゲするスレも一般板にはあるんだから、
ネオロマやってる男子もいるだろ。
443 :
sage:2005/10/26(水) 16:50:28 ID:awHZi3FK
チラ裏十六夜記感想
将臣EDの神子のモノローグ
「将臣くんと夢で何度も繋がり、あの夜この屋上で想いを確かめあったことさえ…。」
なんかエロいセリフだなオイ
続きが気になる
本命は九郎なのか弁慶なのか…
どちらにせよ望美がはっきりしないことには…
寂しさで流されるなよ
望美に対するもにょりは、相手が九郎だったから更にひどいような気がする。
淋しいときにあれだけ誠実なやさしさをぶつけられたら
ふらっと行ってしまっても仕方ないとは思う。気持ちはわかる。
九郎がなんつーかあれだ、まっすぐすぎるから
望美にとって都合のいい男でしかないことで九郎テラカワイソスな気分になる。
これが立場が全く逆で九朔←望美←弁とか、
弁じゃなくてもヒノエとかなら一夜の一回も
寂しさを紛らわせたかった望美の気持ちも理解したうえで
割り切って傍にいてくれそうだけどな。
非常に納得。
流されるオチでも悪くないと言ってみるテスト
3は、どのキャラも好きだからかなあ。
異世界来たら、めっさ凹む事も多いだろうしな〜
前も神子が流されるような話なかったっけ……?
まあ完結したものを読んでみないと判断つくまいよ。
作者タソ、続き落とすにもプレッシャーに感じてなければいいが…
カマーン!
始めて書いたエロSSですが、投下させていただきます。
駄文だし誤字脱字多いです。
描写はソフトですが、ちょっとレイポ風味なので
苦手な人は御遠慮くださいませ。
以下「時空のかける知盛」
平泉から頼朝の軍勢を退け、それから三月程たってようやく和議にこぎつけた頃。
この戦の最大の功労者である白龍の神子は、藤原の御館の屋敷の一角で
何不自由のない生活を送っていた。銀と共に。
さまざまな困難を乗り越えて絆を確かめあった二人は
神子の生まれた異世界に、しばらくしたら旅立つ予定だ。
今宵は、藤原の郎党の者が銀のために一席設けていた。別れの宴である。
私もいきたい、と望美は食い下がったが、
銀は深い憂いに満ちた顔で、望美を引き寄せながら言った。
「彼等と自分は共に戦った友であるけれど、酒臭い男の息を
清らかなあなたに吹きかけたくないのですよ、神子様。
あなたを他の男の目にさらしたくないという、
私の気持ちを分かっていだだけますね。」
そういって、一人で宴に行く手筈を整えたのだが
望美が門前に立ち、彼を見送る時にため息まじりに呟いた。
「本当は少しでもあなたと離れているのは心苦しい....」
「うん、私もだよ、だから早く帰ってきてね。」
「もちろんですよ、私のいとしい....神子。」
銀は名残りおしそうに望に口づけ、馬上の人となった。
銀を見送った後、望美は庭の縁側に腰掛けて
十六夜の月を見上げた。
こうしていると走馬灯のように過去のことが思い出されてくる。
京で時空を超えた銀との始めての逢瀬。
熊野で銀の兄の知盛と共に舞った夏の日。
壇の浦で知盛と戦い、殺したこと。
鎌倉に追われていた窮地の時に銀を出会ったこと。
私は出会った当初は銀に知盛の面影を重ねていた...
それでも、彼との逢瀬を重ね、絆を深めていくうちに
彼の傷付いた心を癒したいと思い、銀自身を見つめるようになった。
そして彼の魂についた呪詛を払い、異郷の神に打ち勝ち
ともに運命を切り開いてきた記憶は望美の心を暖かくする。
幸せの余韻に浸っている時、奥の茂みから人陰がうごめく気配がした。
「誰...?」
「その声...白龍の神子だな」
聞き覚えのある低い声に望美の魂は凍り付く。
...この声は
恐る恐る声のする方に振向くと、闇の中に浮かび上がってきたのは
月の光に輝く銀色の髪
刺すような鋭い瞳。伶俐な口元。
赤と金の甲冑。両の手には抜き身の剣。
間違えるはずもない....知盛
「どうした?お前が追い掛けろというから、逆鱗を使って追掛けてきたんだぜ。
少しはうれしそうな顔をしたらどうだ?」
「知盛..いったい何をいってるの?あなたは私が壇の浦で殺したはずだよ。
あなたも平家も滅びたのに、なぜここにいるの?それにどうやって逆鱗を手に入れたの?」
「俺を殺した?平家を滅ぼした?おもしろいことをいう。
あんたのおかげで和議がめでたく成立しといういうのに。」
混乱する望美をしり目に、知盛は剣を望の足下に投げた。
「抜けよ。今回も俺を楽しませてくれるんだろう」
「いやよ。私にはもう誰かと戦う理由なんてないもの。」
「あんたにはなくても、俺にはある。」
ひゅっと知盛の切っ先が望の肩先をかずめる。
「今のはわざとはずしたけど、次はもうないぜ....?早く抜けよ。」
望美は観念して剣を抜く。
しかし自らの危機にさらされても戦意は湧いてこない。
知盛の閃光のように繰り出される切っ先を
受け止めるで精一杯で攻勢には転じられない。
勝負がつくのは時間の問題だった。
知盛の稲妻のような一閃で神子の剣を宙にとんだ。
「...つまらんな。」知盛は吐き捨てるように言って、
神子につかつかと歩み寄り、
神子の着物の襟をつかみ、力任せに衣を横に引き裂いた。
途端に神子の肩があらわになり、胸元がはだけた。
「っ.....いやっ..!!」
「...肩の傷がない...な」
「傷...?」
望美は羞恥と怒りに混乱しつつも、
知盛をみつめた。その顔は明らかに動揺していた。
「お前は、俺に逆鱗を与えた神子ではないのか。」
知盛は望美にいままでのことを打ち明けた。
和議が結ばれる前日の宵に突然表れた白龍の神子
彼女は自分に傷を負わせ、逆鱗を渡し自分を追掛けてこいと
言って去っていった。去る真際、神子は肩の傷を知盛に見せて言った。
あなたが逆鱗を使って私をおいかけているうちに、
どこか違う時空に迷い混んでしまうかもしれない。
あなたが神子にあったとしても、それは私とは違う選択をした私かもしれない。
肩に傷があるのが私だよ。あなたを選んだ私だよ。と
「そしてお前は、俺が以前にあった神子とは違う時空にいる、違う選択をした神子...なのだな」
望美は強くうなづいた。
私は彼女とは違う。私が選んだ人は....この人じゃない。
私が選んだのは、あなたの弟、銀だよ。
そう正直に知盛に言うべきか逡巡している最中、
突然、知盛は神子を後ろから強く抱きすくめた。
「人違いだからといって、このまま去るのは惜しいな。」
柔らかなうなじに口付けながら囁く。
「せっかく時空を超えてきたんだぜ。楽しませてくれるんだろう?」
「だめ...だめだよ、こんなの!」
肌がぞわぞわと泡立つのを感じて、知盛から逃れようともがく
「クッ...無駄な抵抗するなよ。力で俺にかなわないさ。
もっとも俺が以前に会った神子どのは間違っても男に組み敷かれるような隙は
みせなかったがな。」
ゆっくりと衣服の上から望美の胸をもみしだく。
その刺激に絶えきれず、神子は甘い呻き声をもらした。
抵抗する望美の両の手を高くかかげ、床に押し倒す。
望美の乳首を強く吸い、舌でチロチロと刺激する。
「っあぁ....はあっっぁああ」
望美は出かける際の銀の笑顔を思い浮かべた。
銀を裏切りたくない。この人は銀じゃない。なのに銀とするときと
同じように身体がいやらしく反応してしまう....
望みの上気した顔を見つめながら、知盛はため息まじりに言った。
「男がいるんだろう?戦が終わり、その男に愛され守られていくうちに
腑抜けたか。」
いいながら、望美の茂みに指をぷつりと沈みこませる。
そこは十分すぎるほどに潤おっていた。
「あん....だめぇっ...そこは...!」
かまわず中をかきまわす。望美の中に熱い疼きがうまれ、
嬌声をあげそうになるのを必死でこらえる。
「素直じゃないな。...お前は俺を斬り付けた神子とはちがうかもしれない。
でも俺の事を欲してやまない気持ちは同じはずだ....そうだろ?」
「...っちが.....!」
刹那、神子の胎内の肉が知盛の指ををきつくきつく締め上げていた。
蜜がとめどなく溢れ、知盛のものを胎内の奥深くに誘う。
「っあ........いやあぁああぁっ!」
なん...で....?こんなのいやだ........銀...ご...めん.......
知盛は指を引き抜き、神子の蜜でしたたるその指を一本ずつ嘗めながら
意地悪く言った。
「こんなにも俺のことを欲してくれて、光栄だぜ...?源氏の神子殿。
お前がいくら否定してもお前の身体は正直なものだな。
おれのものを深くくわえこんで、離そうとしない....いやらしい身体だ」
「やめて...聞きたく...ない...!」
「もっといってやるさ。お前はいやらしい体だ。ほら...」
知盛は望美の乳首を舌先で転がし口づけ、片方の乳房を揉みしだく。
知盛の唾液に染まるにつれて望美の乳首はしだいに固くなっていく。
そして衣服に隠れた、自身の昂りを、時たま神子の蜜壷に押し付けては、煽る。
知盛のものは固く屹立していた。それなのに余裕の表情をくずさず
望美を散々じらし、弄んでいた。
「あっ....くっ!...いやあああ」
「いいぜ、もっと啼けよ。」
知盛の舌はうなじや背中を丁寧に嘗め上げ、正確に望の性感帯を探り当てた。
知盛が舌を動かすたびに、胎内にある疼きはますます熱く昂ってくる。
しまいには頭の芯がしびれるような快感の波が襲うようになった。
「この人は....きっとたくさんの女の人としてきたんだろうな。」
薄れゆく意識の中で、望みはぼんやりそんなことを考えた。
遠い夏の日の熊野での出来事。
知盛は望美が共に舞った、あの日。
二人の吐息が、心臓の鼓動が重なった瞬間。
舞が終わると望美は今まで経験したことのないような陶酔と疲労を感じ
しばし放心したような状態になった。
そんな望美を、知盛は無言で引き寄せ、労るようなに肩にもたせかけた。
やれ光源氏のようだ、頭の中将のようだと知盛をほめそやしていた
近隣の村の娘は二人を羨望のまなざしで見つめた。
とりわけ、その中で一番美しかった娘は射るような挑戦的な瞳で
望美を見つめた。
後日、望美は知盛と将臣の潜む小屋に行くと
若い娘が頬を染めて、小屋からでてくるところにでくわした。
首には唇の跡がうっすらとついていた。
知盛は上半身裸で、けだるそうに娘を送りだした。
望は二人の匂いたつような濃密な空気にたじろいで逃げ出した。
きっと、あの子は知盛の舞を見ていた娘の一人なのだろう。
共に舞っていたときは、誰よりも知盛の魂に触れた気がしたのに。
私は一体、知盛に何を求めていたのだろう?
...私は...私は..あの子と同じ目的できたんだ。
....知盛が欲しくて...
朦朧とした意識をただよっていると
知盛は望美の口を強く吸った。
「何も考えるなよ。今は俺の事だけを考えろ。」
「あなたのこと、考えてたよ...」
「クッ...かわいいことをいう」
知盛は望美の肉芽を吸い上げた。思う様舌で、嘗め上げ、ねぶる。望みのなかから
行く筋もの行く筋もの蜜があふれだす。
堪えきれずに、望は知盛を哀願するような目で見上げた。
「..言えよ。俺が欲しいと俺のものが欲しくてたまらない...と」
神子ははらはらと涙を流し、しかしはっきりと言った。
「あなたが...欲しい。」
「いい....返事だ。」
知盛は自身の衣服をはぎとり己の猛ったものを一息に神子の胎内の奥底にたたきつけた。
「あああぁぁぁぁっっ」
引き裂かれるような一瞬の痛みと、待ち望んでいたものを迎え入れる喜び。
そして襲って来る悦楽の波。
ずちゅ ぴちゃ くちゅ
こよなく卑猥な水音が部屋になりひびく。
だが神子はそんなものに気をとられていなかった。
今は、自分を弄ぶ美しい獣のような男を自身の蜜壷の中に
縛りつけることで頭がいっぱいだった。
めくるめく快感の中で神子は知盛のものが、灼熱の蛇のように感じた。熱く猛った蛇。
望美の胎内で、鎌首をもたげ熱を帯び、むさぼりつくす。
私はこの蛇の与える悦楽から逃れることができない。
ならばいっそ悦楽にこの身をまかせよう。
神子は知盛の動きにあわせて、腰を動かしはじめる。
ひどく淫猥に、なまめかしく
知盛は目を細めて、ささやく。
「きれいだぜ......神子。もっとお前の乱れる姿がみたい。もっとお前を感じさせてくれよ。」
ふいに、この男を愛しい、と想う気持ちがこらえきれなくなって神子は知盛の首筋に口付けの
雨をふらせる。
知盛の褐色の肌、筋肉質の腕、汗と麝香の薫り。
揺れる銀髪の髪。
全てが、共に舞った、熊野の夏を想起させる。
ああ、知盛あなたの言う通りだ。
あなたは私が熊野であった知盛ではないけど、あなたの中に確かに彼はいる
私はあなたを傷つけた神子でない。けれども彼女は私のなかに確かにいる。
「なあ、神子...俺の女になれよ...」
神子の首筋にゆっくりと舌を這わせながら、
知盛は低くかすれた声でささやく。
本心からだった。この女を手放したくない。
決して他の男に渡したくない。
望美は熱にうかされたような瞳で知盛を見上げ、
ゆっくり微笑む浮かべた。
その微笑みの美しさに知盛は息を呑む。
「もう二度といわないから...聞いて。好きだったの。熊野であった時から
忘れられなかった......でも、今私が一番大切なのは銀。」
それから深く息を吸い込み、潤んだ瞳で知盛を見上げた。
「だけど.....今はあなたが欲しい。欲しくてたまらないの」
「神子....」
「とも...り...のすごく熱いよ....」そう言いながら神子は
知盛の昂りをきつく締め上げる。
「....お前のものも....な」
「もっと.....」
「くっ....そんなに締め付けるなよ」
熱くたぎった神子の蜜壷に、自身の昂りをぎりぎりまで引き抜き、沈め、かき回す。
神子は嬌声を上げ、乱れる。
神子の胎内の熱い弄流に限界を感じた知盛は
望美の胎内の奥底に自身の欲望をたたきつけた。
行為を終えた後も、しばらく二人は恋人同士のように
寄り添っていたが、空が白みはじめると知盛は去っていった。
きっと、はるかな時空で会った神子を探しにいったのだろう。
遠い時空の彼方で、知盛と自分とは異なる選択をした神子が結ばれることを願った。
そして自分自身のことに思いをめぐらす。
銀...私はあなたを選んだんだよ。ポツリと望美はつぶやいた。
以上です。
ホント読みにくい駄文でスミマセン。
なんかタイトルも途中まで間違ってるし、テラハズカシス!!
ネタバレ注意が欲しかった…
461 :
459:2005/10/29(土) 14:57:31 ID:o87FzYdm
>>460 ス...スミマセン orz
やはり自分の脳内に留めておくべきだった。
本当に申し訳ないです。
いいよいいよ。たまーに脱字が気になるけど。(「望美」が「望」とか)
やらしかったw
GJ!
良かったよー。
ただ出来れば「...」は三点リーダ「…」にしてくれるとウレスイ
気が向いたらまた来てください
エロくて良かった。
知盛は時空を渡るたびにそこの神子とヤルのだろうか?
ということが気になってしかたありません。
ところで発売1ヶ月過ぎたら本スレ同様
十六夜ネタバレ解禁と思っていたが違うの?
本スレとここは違うから、
ここはここで話し合って解禁日を決めるべき。
話し合って、ここも一ヶ月過ぎたからOKってなればそれでいいし、
そうでないなら決まったものに従う。
話し合いもしないで各自で脳内解禁が一番まずいと思う。
一度、ネタバレの解禁時期について話し合った方がいいのかな?
さすがにそろそろ解禁でいいんじゃないか?
知盛がらみはどうしたってネタばれになるだろうし
銀やヤスのもみてみたい
や…やっすん(*´Д`)
もうそろそろ解禁でいいんでない?
キリよく11月から解禁とか。
1ヶ月なら1ヶ月と今決めといた方がいいかもよ。
今後新作がいつ出るか分からないけど、もし出たときにまた揉めないようにさ。
私は1ヶ月で解禁に賛成。
んじゃ、ネタバレ解禁は発売後一ヶ月って事かな?
とりあえず自分はそれでいいけど
自分もそれに賛成ノシ
1ヶ月で賛成ノシ
はぁ
一ヶ月に賛成。
本スレと一緒のほうが分かりやすくて良いでしょ。
議論の最中失礼します。
長いことほうっておきましたが、前スレ414の続きを投下させてください。
・将望前提の九望です。
・九郎側から見ると、悲しい結果で終わる話です。
では、行きます。
◆
夕方に降り出した雨は夜になっていよいよ激しさを増し、梶原邸へと急ぐ九郎を濡らし
ていった。着物と髪に染み込む雨水は冷たく、体の熱を奪っていく。日の高いうちに訪ね
るつもりだったのだが、次の戦へ向けての準備や雑務に追われるうちに、とうとう日が暮
れてしまった。
あれから、鎌倉の兄へ一通の書状をしたためた。妻に迎えたいひとがいる、この時期に
何を考えているのかと言われるかもしれないが、戦の最中だからこそ、心の中にしっかり
とした支えとなる人がいて欲しいのだと。弁慶が傍についていたとはいえ、よくも歯が浮
くようなことを書き連ねたものだと思うが、それができたのは自分のどこかに潜む願望だ
からだろうか。
「景時さんならまだ戻ってきていませんよ」
邸に着いた九郎を出迎えた譲が、不機嫌な声音で開口一番に告げた。
いきなりの言葉に九郎が面食らっていると、
「ああ、その……すみません」気まずそうに少しずれた眼鏡を直して言った。「当たるつ
もりじゃなかったんですけど、どうにも駄目ですね」
将臣の事も望美の事も割り切れずに持て余していた結果の態度なのだろうけれど、不器
用ながらも素直な謝罪は彼らしい。几帳面な譲と正反対に大雑把な将臣との共通点は、ど
んなことに対しても真っ直ぐな姿勢なのかもしれない。良い意味でも。
「望美がまだ起きているなら通してもらえないか」
「今から……ですか? もう遅いですから明日には」
「今夜でなくては駄目なんだ」
休んでいたとしても、多少乱暴にはなるが起きてもらうつもりだった。書状は明日の朝
には鎌倉に送る事になっている。望美の意志を確かめる機会があるのは今夜だけなのだ。
確かめて、どうするのか。はっきりと考えているわけじゃない。それでも決めなくてはい
けない。
九郎の強い言い方に譲はしばらく訝しげな顔をしていたが、最後には折れてくれた。け
どまさかそのまま上がるつもりじゃないですよねと、譲に与えられている部屋まで引きず
られ、濡れた着物を着替えさせられる羽目になった。
「兄さんのこと、邸の人に言わなかったんですね」
着替えを手伝う手がふと止まり、聞こえた台詞は少し不思議なものだった。
還内府の正体を伝え広めることの意味に考えの及ばない譲でもないだろうに。
「その、ここの、邸の人が……下鴨神社で兄さんを見かけたって」
◆
雨は止むことを知らずに降り続ける。全てを綯い交ぜにして飲み込むかのように。
普段は丁寧に整えられている庭も、今はいくつもの水の流れに土と落ち葉が混じり、静
けさや穏やかさのかけらもない。明日には譲が手入れに苦労するはめになるのだろう。
来たばかりの頃に植えた秋咲きの花が、もうすぐ開きそうなんです。戦へ立つ前にそう
指差していたのはどのあたりだったか。望美のために植えられた花が輝くところと、彼女
は眺めることが出来たのだろうか。
「誰?」
出来るだけ足音を立てぬようにしていたつもりだったが、それでも部屋の主は人の気配
を感じ取ったようだ。
「俺だ、夜遅くにすまない」
ひやりとした汗が一滴、首筋を滑っていく。
「なんだ、九郎さんか」
いつかの、夏の熊野でそうだったように、望美はひょいと九郎の前に姿を見せた。普段
はさらりとおろしているだけの長い髪を、後ろで軽くひとつに結っている。
「なんだ、とは一体その言い方はなん」
「やだ、九郎さん、ちょっとこっち来て」
言葉を遮られ、いきなりぐいと引かれた腕を思わず振り払うと、
「もう、とにかく座ってください!」
今度は着物の袖を掴んで部屋の中へと引き寄せ、無理矢理畳の上に座らせると、どたど
たと大きな足音を立てて――とても夜中に女が歩く様子とも思えない――部屋を出ていっ
しまった。
一人残された九郎の鼻をふわりと掠める香りは梅花。珍しいこともあるものだ。
望美はあまり香を焚くことを好まない。花も木も土も、水や風でさえも、元いた世界に
比べれば格段に匂いが濃いのだという。香を焚くことでせっかく自分の体で感じられるも
のを自ら遠ざけてしまうようで勿体無いし、何より、これ以上香りを纏ったら酔ってしま
いそうだから、とも。
「ちゃんと大人しくしてました?」
出て行った時と同じ足音を立てて戻った望美が笑って言う。
「……人のことを言えるのか」
「う、それは、そう、ですけど」
流石に気づいたのか、今度はそろりと、足音を殺して九郎の背後に回った。
「九郎さんだって、髪の毛濡れたまま歩って来たじゃないですか。手ぬぐい持ってきまし
たから」
確かに、前髪の先からぽたりぽたりと雫が落ちている。着替えた時に拭き取ったはずだ
が足りなかったようだ。拭いちゃいますからねと、望美は長い髪を少しずつ、手ぬぐいに
挟んでは水気を取っていく。話があってきたんだと言ってみても、
「濡れ鼠で風邪引いたりしたら、源氏の大将が子供みたいだって馬鹿にされますよ」
まるで小さい頃の白龍と接するのと同じだった。
しばらくは互いに黙ったまま、雨の音と梅花だけがやたらと強く沁みるようだった。
結っていたところが解かれ、湿った髪がばらりと音を立てて肩に落ちた。髪を掻き分け
る望美の指が首筋に触れると、かっと体の熱が上がる。耳も肩も同じで、それを気取られ
ないようにすることだけに集中した。
「上、向いてください」
言われるままに面を天井へ向ければ、自然、視線が重なる。望美は左手で九郎を目隠し
して、もう一方で器用に頬や額に貼りつく髪を除いていった。
ずっとこのままならいいのにと馬鹿なことを考えてしまうのは、望美の掌の温もりのせ
いか、秋雨の冷たさから逃れたいからか。理由を選べといわれても無理だろう、どちらも
同じ量だけ心の内にあるのだから。
はい、終わりです。ぽんと肩を一つ叩いて、望美が少し離れる気配がした。振り返れば、
立ち膝で濡れた手ぬぐいを持ったまま微笑んでいる。
もう駄目ですよ、こんなことしちゃ。得えながら立ち上がった相手の腕を思わず掴む。
どうかしました? とぼけた返事に力が抜けそうになるが、ゆっくりと引き寄せ、真向
かいに座らせた。
「ヒノエくんの差し入れなんですよ、梅花のお香」
しかし先に言葉を発したのは望美だった。
「お香を焚くのは魔除けだからって。秋の長い夜には、よくないものが忍び寄ってくる事
もあるから、って」
なるほど、確かに彼らしい。梅花は春の焚物だけれど、この甘い匂いは、柔らかく笑っ
た時の望美に似ているように思う。
「みんな何かと気にかけてくれるし、上げ膳据え膳でお姫様みたい」
朝目が覚めてから、夜床に就くまで、皆が入れ替わり立ち替わり様子を見に来る。朔な
どは箸より重いものは持たせないとばかりに世話を焼くし、譲も普段以上に、滋養のある
もの、食べやすいものをと料理の腕を揮った。それから順に、見舞いに訪れた者の名を挙
げていく。敦盛と景時は朝のうちに、リズヴァーンは暖かな陽が射すようになってから、
庭先から声をかけ、白龍はその合間合間に顔を覗かせた。嵐山に住む星の一族の者も来た
と言う。もっとも、彼女らの目的は福原での戦勝祝いであったのだけれど。昼過ぎに訪れ
たのがヒノエで、最後が弁慶。弁慶さんはお見舞いとはちょっと違いましたけど、と、望
美はそこで言葉を切った。
「九郎さん」
ふっ、と動いた望美の掌が、硬く握られた九郎の拳と重なった。
「大丈夫、ですか」
すみません、パソ固まったまま逝ったみたいです、また後日……orz
それは災難でしたね・・・。
続きを楽しみに待ってますよ。
乙!
無理せずまったりと投下してくれ
あと、>481は弁慶
続き、楽しみにして待ってます。
面白かった。
お久しぶりです。
続きを心待ちにしてました。
気長に待ってるよ。
髪拭きしているだけなのに、微妙に、こうクルものが(*´Д`)
エロかと言われれば違うのになんだろう、目隠しのせいか……?
GJな投下が続いてるようですね。十六夜ネタバレ解禁とのことですが
一応注意書きしておきます。
知盛×望美でED後の話です。短いですが、よろしかったらどうぞ。
「お邪魔しま〜す。」
望美は知盛のマンションへ合鍵を使い入ってきた。
真っ直ぐにキッチンへ向かうと、手馴れた様子で買い物袋から食材を
出し冷蔵庫にしまう。元の世界に戻ってから嫌がる譲に頼み込んで
料理を教えてもらったため、なんとか普通レベルまで腕は上がった。
キッチンにある時計に目をやると、まだ夕方の4時半。夕食の支度を
するにはまだ早い。望美はキッチンを出ると知盛の自室へと足を向けた。
「知盛…。」
ノックをして部屋に入ると知盛はパソコンに向かい、株価のチャートを
みていた。元々器用でなんでもすぐこなす性質なのか、将臣が教えた
現代の知識もすぐに習得してしまった。パソコンもその中のひとつに
すぎない。
「よう…。」
「あ…いいよ。終わるの待ってるから。」
望美に気づいて、パソコンの電源を切ろうとする知盛を望美は止めた。
そうかと言って再びパソコンの画面に向かう知盛。望美は後ろにある
ベットに腰掛け、知盛の背中をみつめていた。
何度違う時空を彷徨っても、なぜか知盛と剣を交えるはめになり
その結果…望美の手で知盛を死に至らしめた。
今こうして穏やかな暮らしをしているとついあの世界のことを忘れそう
になるが、時々知盛をみていると胸をしめつけられそうなくらい苦しくなる。
熊野で一緒に舞った知盛とも、福原で初めて剣をあわせた知盛ともここに
いる知盛は違う。望美はついあの時空の知盛も助けたかったと思ってしまう。
そう考えると、知盛に切られた肩の傷跡が痛くなってくる…。
「誰をみてる…?」
「え…。」
色んなことを考えていたせいで、知盛が近づいていることさえも気づかなかった。
知盛は望美の手首をきつく握り締めながら、怒りを含んだ瞳で望美の顔をのぞき
こんでいた。
「俺を通して誰を想っていた…?」
心を見透かされたようで、望美は言葉につまってしまった。相手の眼差しから
目を逸らすことで返事をしてしまった望美を、知盛は見逃さなかった。いら立った
ように望美の手首を捻りあげると、そのままベットに押し倒す。
「やっ、やだ!」
「クッ…つれないこと言うなよ…。」
元の世界に戻ってから知盛には何度も抱かれてきたが、いつも邪魔くさいとか
言いながらも望美のペースに合わせてくれていたのに…。まだ日も暮れていない
なかで、体を求められるのは初めてだ。
知盛は抵抗する望美を組み敷くと、タイをはずしてブラウスを一気に剥いだ。
「やめてよっ。まだ…心の準備が!」
「あいにくだが…今日は俺のやりたいようにさせてもらうぜ。」
望美の顔をのぞきこみ唇の端をあげて笑う知盛に、足掻いても無駄なことを
悟る望美。でも、こんなのは強引すぎる…。
恥ずかしさから顔をそむけると、首筋に知盛の唇がおりてくる。柔らかな素肌
を知盛が舌で舐めあげると、ピクリと望美は体を震わせる。肌を吸いあげ赤い花々
を咲かせると、ますます望美は体を震わせる。
知盛は望美の背に手を這わせると、簡単にブラのホックを探し当てて望美の胸を
締付けから解放させた。小ぶりだが形の整った胸が冷たい空気に晒される。
胸の柔らかさを楽しむように望美の胸を両手で包み込むと、知盛の冷たい手のひらが
妙に心地いい。たったこれだけの刺激を受けただけで、望美の胸の頂にある突起は
堅く存在を主張しはじめた。
「どうした?いやだったんじゃないのか…神子殿…。」
「あっ…んん…。」
望美の胸の突起を口に含みねっとりと弄びながら、片方の手で突起をこねまわし
はじめる知盛。知盛によって開発された体は素直に愛撫を受け入れてしまう。
望美は下も触って欲しくて、つい足を擦り合わせはじめた。望美の反応に気づいた
知盛は望美のスカートをめくりあげ、ショーツの上から泉を撫であげる。
形をうつし出すほど濡れている望美の泉を確かめると、知盛はますます唇を歪めて
笑いながら囁く。
「すごく…濡らしてるな…。」
「や…意地悪…。」
知盛は望美のショーツを取り去ると、膝の裏に手を置いて足を広げさせた。
もう充分蜜を潤ませて知盛を待ち望んでる泉に口をつける。舌で掠めるように
蕾を刺激してやると、もどかしそうに腰を動かす望美。
反応を楽しみながら知盛は、望美の泉に舌を差し入れ蕾を指でこねあげた。
「あぁ!やぁ…。」
顔を真っ赤にして左右に身を捩りながら、可愛らしい声をあげる望美。知盛は
細く長い指をゆっくりと泉に入れ始める。途端に望美は体を固めたが、指が
上壁をなぞる様に抽出を繰り返し始めると再び愛撫に没頭しはじめる。
「はぁ…あ…あぁ…んん。」
何度も上壁に指があたるたび、そこに疼きが灯っていく…。それはだんだん
大きくなっていって…弾けた先の感覚がいつも望美は怖かった。出来るだけ
散らさないようにと、ぎゅっとベットのシーツを掴む。
望美の意図に気づき、知盛は望美のなかでクイッと指を折り曲げた。
「ひゃっ!あっだめっ…あ…あ―っ。」
望美はたったそれだけで足をしならせて達してしまった。気だるそうにベットに
横たわっている望美を尻目に、知盛は衣服を脱ぎ捨てると逞しい体をさらけ出した。
望美の身に着けていたものをすべて取り去ると、再び覆いかぶさった知盛。
今度は自分が楽しむ番だと、望美の泉に熱いたかまりを押し付けると一気に貫いた。
「あ―。あ…あ。」
まだ達したばかりの体を貫かれて、望美は背中をしならせる。知盛が激しく望美を
揺さぶるたび、溢れ出る蜜がいやらしい水音を室内に響かせる。
再び望美のなかに甘い疼きが灯りだす。指の時とはまったく違うもっともっと大きな
ものが…。生理的な涙を流して目を開けた望美の瞳に、眉根を歪ませ切なそうな顔を
した知盛が映る。望美と瞳をあわせた知盛は、なぜか動きを止めてしまう。
「あ…。」
望美が残念そうな声をあげたのを聞いて、知盛はしぼり出すような声で囁いた。
「今…ここにいる俺だけをみろ…望美。」
無言で頷き、望美は知盛の背に腕をまわした。知盛は望美の唇を塞ぐと、腰を
おし進めはじめた。もう何にも考えられなくなっていく。このままとろけてしまい
そうな感覚に捕らわれる。知盛の鼓動を感じるとたまらなく幸せになる。
―私が手に入れた大切な人―
「あ…もう…一緒に…ああ。」
「望…美!」
ドクンっと望美のなかで知盛の熱い欲望が解き放たれる。この瞬間が一番好きだと
望美は思った。知盛という男を一瞬だけ支配しているように感じられるから。
混沌とした意識のなか望美はベットに倒れこみ、そのまま眠ってしまった。
息を整えふと望美の肩に目をやると、違う時空の知盛がつけたという刀傷…。
自分じゃない自分がつけた傷にも嫉妬してしまう知盛は自称気味に笑った。
そして望美がどこかの時空にいってしまわぬようにしっかりと抱きしめると
知盛は望美の鼓動を感じながら眠りに誘われた…。
491 :
ハイツ:2005/11/01(火) 20:48:32 ID:NJx7MUq0
以上です。
また出来たら投下します。失礼しました。
乙(*´Д`*)
いやん、GJ!!
冒頭の、ネットで株やってるチモがツボで、しばし笑ってしもた・・・
乙ですた
GJ!嫉妬チモいいよー
チモは働かず、ネットで株をやってるかスロッターあたりかなぁ、と思ってたので、ちょっと嬉しい(´ー`)
一人暮らしの男の家に女子高生…モエス(*´Д`*)
スロッターいいねえ。似合い杉!
ジャージで漫画喫茶行ってほしい(イメージ違う人スマソ)
スウェットでも可とか思ってるw
>498
モワ〜
ジャージorスウェット&健康サンダルで
誰かそんなチモを書いてくだされ〜
>>502ちょこっと書いてみたw
エロくなくてごめん。
「と、知盛。あんたなんて格好してんの?」
悲鳴一歩手前と言った望美の声に、尋ねられた方はいたって平静だ。
「なに……とはおかしな質問だ。ちゃんと服を着ているだろう?」
今更照れる中でもないくせに、この少女は半裸で部屋をうろつくのを極度に嫌がる。
まあ、その恥らっているのを怒っているのだと見せようとする負けず嫌いな様子は、
食べたくなるほどそそられるのだが、どうも、今日の物言いは違うようだ。
それに今は先ほども言ったように、しっかりこちらの世界の服を着ているのだ。
文句を言われる覚えはない。
そう判断した知盛は、まだぽかんと口をあけている望美に背を向けて、
中断されていた昼寝に戻る事にした。
「って! 寝ないで、起きて!」
慌てて知盛をゆさゆさと揺さぶってみるが、うるさそうに手を振るだけで目蓋さえあけようとしない。
「ねぇってば!」
大きな体が揺れるたびにその下のベッドのスプリングも鳴り、そこに少女の声も加わるのだから
それはもう、五月蝿い。
だんだんと無視しようとしていた知盛の眉間には、深いしわが刻まれていったのは仕方ない話しだ。
「……しつこいな。一体、なんだというんだ?」
とりあえず目蓋だけ開いてみせると、勢い込んだ望美が今度は寝かせないとばかりに、がっちりと
知盛の上に馬乗りになった。
「その服! それ、どうしたの?」
「これ、か? 有川が持ってきたんだが? 楽で良いぞ」
「じゃ、玄関のサンダルも、もしかして将臣くん?」
「察しのよろしい事で」
察しも何も、この部屋に出入りする人間はごくごく限られているのだ。
そのうちの一人である望美が知らぬ物は、当然残りの人間の仕業に決まっている。
「んもー」
きゅっと寄った眉間の皺は、惰眠を邪魔された知盛以上に深いかもしれないが、如何せん、
突き出た唇が幼さを残していて、恐ろしくもなんともない。
「なに笑ってるの?」
それでも本人は真剣に怒っているのだろう。
向けられた鋭い眼差しにそれを感じ、知盛は咽喉の奥で笑った。
「お前こそ、何をそんなにご立腹なんだ?」
「だっていくら部屋の中だからって、そんな格好してたら唯でさえだらしないのが、よけいに
だらだら見えるし、それにあのイボイボサンダルはいてたら、完全におじさんじゃない」
「おじ……俺がか?」
こっくりと腹にまたがっている望美が大きく頷いたせいで、落ちてきた髪が
こころなしか引きつった知盛の頬に当たる。
「日曜日の私のお父さんが、まさにそんな感じ」
大きな目でまじまじと見下ろされての発言に、不機嫌そうに双眸を細めた知盛だったが、ふいに
口角を上げた。
「なるほど。お前は俺の身なりが気に入らないのか。なら……脱がせ」
「え?」
「お前が脱がせるなら、着替えてやろう」
なめあげるようにして見上げた先には、驚きに開いた唇と瞳。
さあ、どうする。
愉悦の色を浮かべた知盛の瞳に、カッと全身の血が熱くなった。
挑発、しているのだ。
「出来ないと思ってるんなら、お生憎様。それぐらい簡単」
恥ずかしくないわけではなかったが、あのままなめられるのは望美はどうにも我慢できなかったのだ。
「ほう。では、お手並み拝見といこうか」
腹の上にのったままの望美の腰を浮かせると知盛は上体を起こし、あらためて向かい合って
座る姿勢へとかえた。
「これで、脱がしやすくなっただろう?」
出来やしないと暗に含んだ声音が悔しくて、望美の両手が知盛のスウェット内へと勢いよく滑り込む。
「見てなさいよ!」
やばい。萌えたw
是非続きを(*´д`)
スウェットの上下どっちに手をつっこんだんだろう…
はるかの女性キャラには似合わないが、個人的に先に下を中途半端に
脱がせて抵抗力を削ぐと非常に萌えだ。
絵面は非常にマヌケだけどorz
うわー、GJ!
知盛のスウェット上は将臣に吹き込まれてINしてるのかなww
これはスウェットだからまだ状況に萌えていられるが
『有川』とかしっかり刺繍された学校ジャージだったりしたら笑えすぎるww
>503GJ!
お前ら私を笑い死にさす気か。
望美は「いくら部屋の中だからって」と部屋着だと思っているようだが、実は外出してたりしてな。スロット打ちにパチ屋とかw
そりゃー、ご近所のコンビニとかレンタルビデオ屋にも行ってるでしょ。
…変な雑誌や変なDVD 仕入れて
(よし、今度はこれを試してみよう…)とかな、ちょっとイヤだなw
>>508 普段はその格好で夕方まで寝こけてる癖に
新しいパチ台入る日とかは開店前に並んでたりしてなw
ついでに耳に赤鉛筆挟んで
競馬新聞とか読んでくれてると萌え。
自分、競馬板の住人でもあるが、今どき耳に赤鉛筆挟んでる奴なんて
見たことねえYO!
だが、その分笑えていいかも…な。
ばっか地方には結構残ってんだよ<赤鉛筆のおっさん
で、年に一度の有馬記念に向かう新幹線の中で競馬新聞片手に予想ですよ
そういうオッサンらは冗談半分に、野球棒に防寒ジャンパーに耳に赤鉛筆が正しいスタイルだと教え込むんですよ将臣のごとくに
楽しいがいい加減エロから離れてるな
東京ドーム横とかでもたまに見るよ。
まだ絶滅してない!
でも本当に競馬得意そうだよな。
何しろ向こうでは日常的に馬を見てるわけで…。
パッと見で速い馬かどうか、それに好調かどうかを見抜きそうな気がする。
今の競馬の馬と平安期の馬とじゃ全然違うが、それ故興味は持ちそうだな。
確かにエロから離れてきたなぁ。私もその一因だがw
知盛は馬並とか言ってみる。耳にはさんだ赤鉛筆で望美にイタズラとか。
知盛ルートの獣神子なら、ドンと来いって感じが…。
鉛筆のイタヅラなど返り討ちですよ。
誰とは申し訳無くて言えないけれど、
暫く前に機械が完璧に壊れマスタ。
先立つ物を貯めてる最中ですので……ゴメンナサイ
>>515 知盛は馬並?種付けがですか?春にしか発情しない馬に対して失礼です。
518 :
503:2005/11/03(木) 15:35:11 ID:V7Mh4vQA
姐さん方の妄想が面白すぎたのでまたちょっと書いてみた。
エロが無くて申し訳ないんだが、投下もなさそうなので
置いていってみるよ。
エロは現在修行中。
難しいな。
>513-514
512だが、もめん、まだ絶滅してなかったんだな…
正直スマンカッタ(´・ω・`)
>516
もしかして、あの神か?
もしそうだとしても、そうでなかったとしても、機械が壊れたんなら、しかたないよ。
投下までのんびり待ってる。キニスンナ。
するりと難なく入り込んだ手の平に、自分より少し高い体温を感じて思わず肩が震えた。
「どうした?」
間近に覗き込まれている視線は意地ではずしていなかったが、キス一つなく男の素肌に触れたのは
初めてで、正直戸惑わないわけではなかった。
「な、なんでもないわよ」
ぐいといささか乱暴に差し入れた腕と一緒に、服ももち上がってくる。
それに伴ない望美の視線に触れる範囲も増えたが、いつも腕を回して抱きしめる背とはまた違う、
鍛えられた胸板の厚みに頬の熱があがるのを止められない。
この胸に抱きとめられて寝入るときの心地よさは、よく知っているのに。
「腕」
ぶっきらぼうに言い放った望美に、何の事だと眉を上げてみせる男の唇には
可笑しくてたまらないとばかりの笑み。
「ん?」
「腕、抜いてよ」
「ああ……こう、か?」
わざとらしくゆっくり動く知盛の首からむしりとるようにしてスウェットを脱がせて
どうだとばかりに現れた双眸を睨みつけたが、逆ににやりと笑い返された。
「見惚れるほどいい男か?」
乱れた髪の一束が、細めた瞳に影を落とす。
だが、そのくらい色の向こうにはもっと深く、そして濃い物が見えた気がした。
「ば、ばっか!」
それに呑まれまいと、勢いよく振りかぶった右ストレート平手は、案の定余裕の笑みと一緒に
ひょいとかわされた。
もちろん一発で決まるなどと思っていなかった望美は、次の左手も準備済みだった。
が、しかし。
「俺は、見惚れたがな。やはり……お前のその目はいい。…もっと、見せろよ」
「っ……」
舌なめずりでもしそうなほど飢えた声で囁かれては、不意打ちもいいところである。
振りかぶっていた左手は瞬時に知盛に捕らえられ、後頭部に回った大きな手に力が篭ると
望美の意思を無視して近づくというより、無くなる二人の距離。
閉じないで絡みつく眼差しに、知盛の口角はますます上がる。
本気で食いついてきそうな薄い唇は、食われる前に食え。
そんなことわざはないのだが、言葉にすればまさにそんなところで、知盛のキスに
慣れているはずの望美でさえ身の危険を感じるほどだった。
でもそれほど求められているのは素直に嬉しいと思えるし、執拗なキスも嫌いではない。
だが、このまま知盛の思い通りにキスされるのは気に食わなくて、唇同士が触れるより前に
望美の舌が知盛の唇を舐めた。
「…っ…」
まさかそう来るとは思っていなかった知盛は、自分の驚愕した顔を目の前の瞳の中に見た。
「どう?」
得意げな顔に湧き上がる征服欲が血を駆け巡り、どう犯してやろうかとそればかりを細い体に腕を回し
考えてしまう。
「まったく……一筋縄じゃいかないお嬢さんだ」
これだから優しくなど、してやれない。
「でも、そこがいいんでしょ?」
たまらないさ。
泣かせて、喘がせて、懇願させても、まだ足りそうも無い。
「…ああ。それでいい。お前がそうでなけりゃ、俺の楽しみが減るから、な」
「別に楽しませたいわけじゃないんだけど」
呆れた、と呟く唇を今度こそ塞いで、知盛はぐっと上体に体重をかけた。
「んん!」
軽い望美はあっという間にベッドと知盛の間に挟まれて、身動きが取れなくなる。
「つれない事を言うな。俺はお前で、楽しみたいんだ」
「ちょ、ちょっと。まだ着替えの途中でしょ!」
「どうせ脱ぐなら、いつ脱ごうとかまわんだろう?」
「脱いだあと、なんかしようとしてるくせに!」
ほんの少しの会話の間に、望美の服はすでに上半身が脱がされていて、知盛の手はブラのホックを
探し当てていた。
早い。早過ぎる。
「悪いか?」
ぴたりと止まった手と、不機嫌そうな顔。
いや、この場合拗ねているのだろう。
いつもこんな風になし崩し的に抱かれているが、望美が本気で嫌がっているのか
それともポーズでそう見せているのかを、知盛はしっかり見極めている。
どうも、いじめるのは好きだけれど、無理矢理は好きではないらしい。
「悪くないけど、なんとなくヤダ」
「どう嫌なんだ?」
「その格好が……」
「…………」
見事、ふりだしへ戻る。
沈黙した知盛が、やれやれとばかりに溜息をついて望美の上から体をどかした。
ベッドからおりた知盛の自分が脱がせて裸にした背中を見つめながら、望美も体を起こして乱れた髪を手ぐしで整える。
「着替えれば良いのか?」
「どうしたの? 珍しいじゃない。明日、なんか降るのかな?」
思わずカーテンをめくって空を仰いだ望美の背に、知盛からの避難の眼差しがぐさぐさ刺さる。
「お前が嫌だというからだ。……すぐに脱ぐがな」
「まだ、する気なんだ……」
「当たり前だ」
恥ずかしげも無くさっくりと言い切る知盛に、逆に望美の頬の方が赤くなるし、その上、こうしてベッドの上で着替えるのを待っているのは余計に身の置き所が無い。
「と、知盛。もう、いいからさ」
これぐらいなら、いっそ押し倒されていた方がましだ。
「……面倒な女だな」
そう言いつつ、手にしていた着替えをポイと床に落とすと、すぐに望美の体を腕の中に閉じ込めた。
先ほどとは違って、すぐには押し倒そうとはしないのを不思議に思って見上げると、珍しく
少し考えるような顔をしているではないか。
「どうしたの?」
「あの格好はそんなにおかしいのか?」
「おかしいって言うか……うん。して欲しくない」
「……有川はあれで買い物へ行けと言っていたがな」
「もしかして、行った?」
恐る恐る尋ねた望美に、知盛は溜息のような吐息で返事を返した。
「ふん」
不機嫌そうであるが、否定ではない。
「ま、将臣くんの馬鹿ー!」
522 :
503:2005/11/03(木) 15:49:09 ID:V7Mh4vQA
漢字間違えてたり、改行して無かったりで
読みにくくてスマン_| ̄|○
このスレに見合う文章が書けるように
先生に修行つけてもらいに逝って来る。
乙!
兄貴なに教えてんだyo!ワラタwww
503タソGJでござる。
503、GJだー
譲が同じ場にいたとしても何も言わないか
将臣と一緒になって勧めてそうだ
GJ!面白かったよ。
ただ戯れてるだけなのに、エロイよ知盛。
いいものおがまさせていただきました(*´人`*)
笑いつつも萌え死ぬかとおもった。503タンGJ!!
>503たん
ありがとう本当にありがとう。自分502ですが
フォーってなりましたよ。
どうしようもない格好でエロいチモですよ!
禿げ萌えた・・・このスレ流れも心地よかった・・・クッ・・・
あとカプやシチュとは別に、503たんの文章自体がいいカンジでした。
GJ!
529 :
503:2005/11/04(金) 22:06:14 ID:Vcx1df5i
みんな、ありがとう。
自分もこの流れが好きで書いたから
楽しんでもらえてよかったよ。・゚・(ノД`)・゚・
流れ豚切りスマソ。
いまさら漫画遙か9・10巻買って
いまさら玄武×あかねに再萌えしたのだが
SS投下していいものだろうか(´・ω・`)
時代は3だしな…
カマーン
>>531 レスd。
内容はエロ度ヌルヌルだからさらに心配だったんだ。
せっかくのエロパロ板なのに
ぬるま湯程度しか思いつかない漏れ…orz
激しく読みたい
そういう時は誘い受けせんでとっとと投下するのだ
>>530 ぬるま湯程度でもいい。
たくましく萌え育てて欲しい。
つ訳で投下カマーン
むほ
503さんGJです!
やっぱあのEDのカッコのせいで
チモ=ヤンキーという印象が強いんだな−。じぶんもだけど。
どう見てもフリーターか裏家業だもんな。
個人的にはホストなチモ書いてくれる神光臨キボンヌ。
性格的にホスト向かないだろw
褒め言葉が獣のような女だな、とかだし
まぁ酒とかどんどん追加させるのは上手そうだけど
ホストには向かないねぇ。用心棒ならあるいは…
ツンデレ属性ホストとして需要があるかも
豚切りスマソ
ふと思ったんだが遙かシリーズで天玄武って需要ないのか作品少ない希ガス……
探せばあるよ
>>541 需要無いワケでは無いけど、
書く方としては扱い難しい…>天玄武
>541
後ろ向き(経験少なそう)・後ろ向き(経験極少なそう)・人外 だからなぁ
私は好きだがエロ萌えは難しそう
遠慮しぃしぃ、なんだかんだで神子に迫る天玄武萌えw
ああ、でも敦盛の場合は武門の子だからな。優しいけど立派に欲望を果たしてくれそうww
>>545武門の子ワロスvv
自分はやっぱりなんだかんだしっかりやる純愛ネトーリをキボンなんだが書こうにも
>>544のいうとうりヘタレだから……
そもそも奴らに性欲が存在するのか気になるよ……
神子が好き過ぎて手が出せず、一人寂しく自分を慰めてる天玄武
それを神子にみつかっちゃって耳年増現代っ子がお手伝い
み、神子…いけない、わたしに触れては…………あぁ…っ!
天玄武は目つぶって聞くとそのままエロだと、改めて思ったよw
イエース。本宮での喘ぎはエロくてまともに聴けません…
3で初めて落とす気になった天玄武
自分、何でかなあと思っていたら天然エロだったからなのか…
存在自体がエロスですからな。
てことは、怨霊=エロス?
九郎誕生日オメ〜
天玄武は天然エロに気付いてないところがいいんだよ…
とある虹サイトさんの天玄武ssで
禿げあがる程萌えた記憶のあるモレが通りますよ…。
最初は神子告白→天玄武戸惑い→枷外れる→
これでいいのかいいのかと思いながらも神子スキーを押さえきれず
腰振っちゃうみたいな作品だったヨ
誕生日だったから>479の続きだの何だの、とにかく九望が投下されないか期待してたんだが、
まあそんなに甘くはないわなorz
上の方で話題になってたが、本当に知盛がスロプロやってる話書いてるサイトがあったよ。
しかも台は北斗一択w
兄貴もそうだけど知盛も「やれば(なんでも)できる子」っぽいので
スロプロもできそう
559 :
503:2005/11/10(木) 16:26:19 ID:zGcNzNOJ
流れを豚切って、銀×神子投下しても良いだろうか。
自分なりに勉強してエロをがんばった。
ネタばれというネタばれはないけど
エンディングスチル手前の話なので
嫌な人は気をつけておくれ。
よっぽど特殊なものでなければ
そういうお伺いをたてる前にまず投下。
誘い受けウザ
投下したきゃ勝手にしろ
してマズー?と思っても投下したら勝手にしろ
してマズー?で投下しないなら大人しくしてろ
>>559 銀に飢えてるので是非見たい。
楽しみにしてるよ。
>>562 まぁまぁもちつけよ。つ牛乳
乙女ゲスレって半ギレする奴多いよな…
読む側はここに小説期待して来ているわけだから断りを入れんでもいいんだよ。
>>559 どーぞ投下ヨロ
発売からとうに1ヵ月経ってるし、リンカーンとかグロ描写とか
好き嫌い別れそうなシチュでなければ
カプだけ書いてすぐ投下してもいいとおも
銀モエなんで楽しみにしてる
566 :
503:2005/11/10(木) 23:03:59 ID:FUKSnu5g
上のほうで十六夜記解禁について話題が出てたから
一応、断わったんだけど、聞かなくてもよかったんだな。スマン。
次回からは気をつけるよ。
「神子様、まだお休みになられていないのですか?」
聞き覚えのある声に望美は驚いて、すぐ目の前にあった妻戸をあけた。
「どうしたの、銀?」
「戸の下から明かりが漏れておりましたので」
つられて落とした視線の先には、月のない闇夜を押しのけ
淡いオレンジ色の光が足元を照らしている。
望美からすれば頼りない光に見えるが、外が暗い分、
わずかな明かりも目立つのだろう。
「とにかくここだと寒いし、中、入って」
くいくいと袖口を引かれ、否やを言える筈のない銀は
促がされるままに室内へと入り込んだ。
目の前の望美が動くと、深みある香りがふわりと広がった。
「沈香、ですか?」
中にはすでに寝所が用意されていて、望美が着ているのも
夜着である単衣の上に何枚かの小袖だけという簡易な格好。
もう、あとは寝るだけ。
まさにそんな感じである。
「あ、うん。ちょっと目がさえちゃってたから、香をたいてたんだ」
おかしいかな、と首をかしげた望美に銀はいいえと首を振って微笑んだ。
その香りならば、いくらでも。
彼女の事だから無意識なのだろうが、だからこそ余計に嬉しいのだ。
ちょこんと円座の上に足を崩して座った望美の正面に、銀も腰をおろす。
「私も、寝付けませんでした」
正直に言えばこちらに足を向けたときから、彼女が起きているような気がしていた。
そして思ったとおりに見えた明かり。
言えば笑われそうだが、繋がりがあるように思えてそれだけの事が嬉しかったのだ。
「やっぱり、恐い?」
不安そうな視線に、自然と銀の手がその頬へと伸びた。
「いいえ。そのような事はありませんので、どうかご心配なく。明日には、
あなたの世界へ一緒に行けるのかと思うと嬉しくて、とても寝入る事など
出来そうにありません」
「でも、銀は全然知らないところだよ?」
確認を取るような台詞とは裏腹に、柔らかな頬が銀の手に押し付けられ、
離すのを拒む風であった。
「私にはあなたがいる。それだけで、十分満たされております」
頬に触れていた手を少し下ろし細い顎先にとどまれば、意図を察した望美の
恥らう視線とぶつかる。
「銀……」
「私はもう、あなたと別れては生きていけないのです」
少しずつ寄せる唇からもれる声は、近づくほどになぜだか
小さく消え入りそうになっていく。
「うん。私も一緒だよ」
それでも伝わる想いを感じられる今が、何より幸福だ。
閉じた目蓋の暗闇でさえ、その共有を邪魔したりは出来ない。
重ね、深まる口づけに、肩をつかむ小さな手に力が篭った。
「んぅっ……」
初めてではないとは言え、あまりに長時間の経験はまだ彼女にはない。
ゆっくりと体を離すと、ふっくらとした唇は赤く色づき、
乱れた呼吸に肩が上下していた。
「苦しかったですか?」
「ううん。大丈夫」
銀の胸にもたれるようにして見上げる視線は、うっとりと蕩けている。
その幸せそうな顔が、何より銀の望むもの。
「神子様、まだお休みになられていないのですか?」
聞き覚えのある声に望美は驚いて、すぐ目の前にあった妻戸をあけた。
「どうしたの、銀?」
「戸の下から明かりが漏れておりましたので」
つられて落とした視線の先には、月のない闇夜を押しのけ淡いオレンジ色の光が足元を照らしている。
望美からすれば頼りない光に見えるが、外が暗い分、わずかな明かりも目立つのだろう。
「とにかくここだと寒いし、中、入って」
くいくいと袖口を引かれ、否やを言える筈のない銀は促がされるままに室内へと入り込んだ。
目の前の望美が動くと、深みある香りがふわりと広がった。
「沈香、ですか?」
中にはすでに寝所が用意されていて、望美が着ているのも夜着である単衣の上に何枚かの小袖だけという
簡易な格好。
もう、あとは寝るだけ。
まさにそんな感じである。
「あ、うん。ちょっと目がさえちゃってたから、香をたいてたんだ」
おかしいかな、と首をかしげた望美に銀はいいえと首を振って微笑んだ。
その香りならば、いくらでも。
彼女の事だから無意識なのだろうが、だからこそ余計に嬉しいのだ。
ちょこんと円座の上に足を崩して座った望美の正面に、銀も腰をおろす。
「私も、寝付けませんでした」
正直に言えばこちらに足を向けたときから、彼女が起きているような気がしていた。
そして思ったとおりに見えた明かり。
言えば笑われそうだが、繋がりがあるように思えてそれだけの事が嬉しかったのだ。
「やっぱり、恐い?」
不安そうな視線に、自然と銀の手がその頬へと伸びた。
「いいえ。そのような事はありませんので、どうかご心配なく。明日には、あなたの世界へ一緒に行けるの
かと思うと嬉しくて、とても寝入る事など出来そうにありません」
「でも、銀は全然知らないところだよ?」
確認を取るような台詞とは裏腹に、柔らかな頬が銀の手に押し付けられ、離すのを拒む風であった。
「私にはあなたがいる。それだけで、十分満たされております」
頬に触れていた手を少し下ろし細い顎先にとどまれば、意図を察した望美の恥らう視線とぶつかる。
「銀……」
「私はもう、あなたと別れては生きていけないのです」
少しずつ寄せる唇からもれる声は、近づくほどになぜだか小さく消え入りそうになっていく。
「うん。私も一緒だよ」
それでも伝わる想いを感じられる今が、何より幸福だ。
閉じた目蓋の暗闇でさえ、その共有を邪魔したりは出来ない。
重ね、深まる口づけに、肩をつかむ小さな手に力が篭った。
「んぅっ……」
初めてではないとは言え、あまりに長時間の経験はまだ彼女にはない。
ゆっくりと体を離すと、ふっくらとした唇は赤く色づき、乱れた呼吸に肩が上下していた。
「苦しかったですか?」
「ううん。大丈夫」
銀の胸にもたれるようにして見上げる視線は、うっとりと蕩けている。
その幸せそうな顔が、何より銀の望むもの。
「神子様」
包み込むように小さな体を抱きしめ、想いが伝わるように願う。
「ん…銀、暖かいね」
「そうでしょうか」
言われてみれば、腕の中の体は少し冷たい。
「寒くはないですか?」
震えてなどはいないので大丈夫だろうとは考えつつも、問いかけなければ気がすまなかった。
「銀がいるから、平気」
「それでは、私がいなくなっては神子様は凍えておしまいになりますね」
くすりと笑った銀に、望美もまた微笑みを返してきた。
「そう。だから、このままでいて」
見た目よりずっと広い胸に顔を伏せ、望美は両手一杯で抱き返す腕に力をこめた。
こうして全身に温もりを感じるだけで、吐息が出るほど幸せなのだ。
だからこそ、離れ難い。
「それは、申し訳ありませんが叶えられそうもありません」
「え?」
どうして、と見上げた先にあった銀の微笑が、目が合った事によってさらに深みを増す。
「私は未熟者ですから、あなたを腕にして、一晩このままでいる事は出来ないのです」
穏やかな気品溢れる物腰でありながら、今はそれを覆う艶やかさが銀の声から、瞳から、そして背に回っ
ている手の平からも静かに伝わってくる。
「神子様」
「あ……」
ゆっくり撫で下ろされる手の感触と、耳元で囁かれる低い声にピクリと肩が揺れた。
それに対しての小さな笑みが、耳朶を甘く掠める。
「んっ」
「お許しいただければ、私の熱を朝までおわけしたいのですが」
驚いて見開いていた瞳が、意味を理解してそっと伏せられる。
そして、赤く染まった頬を隠そうとするかのように、今までよりも強く抱きついた望美の頭が小さく縦に
揺れた。
声も出せない恥じらい方が愛おしく、また、それでも拒絶されないのが嬉しい。
「ありがとうございます」
そう言って望美の体を抱き上げて奥へ運ぶ銀は、それはそれは満面の笑みであった。
そっと夜具の上に望美を下ろすと、長い髪が音もなく畳の上に広がった。
その時、鼻腔を掠めたのはやはり沈香。
「あ」
望美もそれに改めて気づいたらしく、声を漏らし自分の髪へと手を伸ばした。
「思ってたよりも、強くついてたんだ」
毛先をもてあそぶ指を、やんわりと銀がつかむ。
「神子様を独占したいという、私の想いがあの香にもうつってしまっていたのかもしれませんね」
そう言って望美の指先ごと、口づけて笑う。
さらり、と言われた言葉に望美は何も言えなくなった。
はっきり言って言われた方が照れてしまうのだが、言っている本人は恥ずかしくないのだろうか。
とは思うものの、きっと、そう尋ねたら更に絶句する答えが返ってきそうで恐ろしい。
いや、絶対に返って来るにきまっている。
「ああ、これはいけませんね。つい、思ったままを口にしてしまいました。あなたは恥ずかしがり屋で
いらっしゃるのに」
黙り込んでしまった望美の体にゆっくりとかぶさると、繋いで絡めた指に力が篭る。
無言の文句だ。
「ですが、そんなところも可愛らしい」
「も…バカ」
恥ずかしさの限界で空いている腕で目元を覆うが、消え入りそうな声はひたすら甘い。
「ええ。あなたの事ならば私はどれほども愚かになれます」
細い腕では隠しきれなかった唇は微かに開かれていて、それでは誘っているのも同然だ。
愛らしくも艶めいた様子に、翻弄されているのは自分のほう。
口づけの邪魔になる腕は早々にどけられ、望美の頭上に縫いとめられる。
「ぁ…っ」
口内に侵入してきた存在にふるりと細い体が震えたが、それは嫌悪ではない。
漏れる吐息の熱っぽさと、慣れないながらも返してくる稚拙な動き。
ゆるゆるとそれに応えながら、羽織っていただけの小袖の下にある夜着の帯を探る。
薄絹越しにも、その下にある肌の瑞々しさがよくわかった。
衣擦れの音と戒めのなくなった感覚で、帯が解かれたのがわかったのだろう。
腕の中の体が、一瞬強張りを見せた。
ゆっくり唇を離し、熱に浮かされているように潤んだ瞳を見下ろすと、そっとのびてきた手が
銀の衣にかかる。
「銀も脱いで」
「はい」
手伝ってもらいながら脱いだ衣を脇に落とすと、あらわになった上半身に望美の眉がよった。
「こんなに大きな傷だったんだ。痛くない?」
その視線の先にあるのは、胸に刻まれた大きな太刀傷。
これまで望美と肌を合わせるときは包帯を巻いてあったから、初めて傷口を見たのだ。
「ええ。もう治っておりますから」
「それならいいけど」
斬りつけられ崖から落ちた体で、たったひとり助けに来てくれた人。
その姿を見たときは、生きててくれて嬉しかった。
けれど、地に膝をついて立ち向かう彼に、何度そのまま逃げてほしいと願ったか知れない。
「神子様?」
「ごめんね。ちょっとあの時の事、思い出しちゃって」
ぽろぽろと望美の瞳から零れ落ちる涙。
銀の指が何度ぬぐってもそれは、尽きる事のないように思えた。
「銀、銀。好きだよ。大好き。だから、もう……ひとりにしないでね」
ぎゅうと懸命に縋りつく体を、銀も強く抱き返した。
「勿論です。あなたを置いてはとても、黄泉路を渡れそうにありません」
これほど愛しい人と、どうして離れる事など出来ようか。
肌蹴た夜着から差し入れた手も、ほっそりした足を拘束するように絡めたのも、
ただ、この人を愛したいだけ。
肉欲ではない触れあいは、どうしてこれほど純真なのだろうか。
行為としては同じなはずなのに、心に降る幸福の密度が全く違う。
つんと立ち上がった胸の頂きを唇にはさみ、びくびくとのけぞる背を上から下へとなで上げる。
張りのある肌は敏感で、それだけでもう望美の呼吸は危うくなっていく。
「んんっ…ん」
息を詰め、こらえるような表情をしているが、時折向けられる切なそうな眼差しは
陶酔しきって溶けている。
視線を合わせたまま絡めた足同士を擦りあわせると、ぬれた感触が大腿に伝わった。
「あっん!」
びくりと望美が大きく上半身を揺らした事で、含んでいた乳首が唇から離れたが、
それもまた刺激になったようだ。
「ぅっ…んん」
しっとりと汗ばんだ体は、小刻みな震えに襲われている。
そこへ先ほどとは逆の乳首を舌で転がせば、耐え切れないとばかりに首を左右に振り、
のけぞって逃げようとした。
が、腰をしっかりと抱えているため、望美が出来る事といえばせいぜい身をよじる程度。
「もう…そこ、ばっかり…や」
とうとう泣きそうな声で懇願する事となったが、その甘ったるさに恥ずかしさを味わう余裕もない。
与えられるのはゆるく続く快楽ばかりで、出口を求めて彷徨う熱がぐるぐると
望美の中に渦巻いているのだ。
それに、辛さを思い出した心は、もっと強く激しい愛され方を望んでいた。
触れられる喜びは、そのまま深い繋がりを求める。
「銀、お願い」
自らすり寄せた下腹部に、熱い塊があたった。
ぬるりとした感触は、はたしてどちらのものであるのか。
しかしそれを認識するより早く、望美の狭い入り口はその熱に押し開かれていた。
「ああん、んんっ……あ」
まだ奥まで届いていないにもかかわらず、入っただけでぞわりと鳥肌がたつ。
軽い絶頂を迎えたのかもしれないが、次から次へと押し寄せる疼きにわからなくなっていた。
「神子、様」
苦しそうに眉を寄せた銀の首から、汗が伝っている。
その色っぽい表情と声だけで、もう一度鳥肌がたった。
「あ…あ、しろ、が…ね」
その首に腕を回せば、ず、ずと体内を埋めるものが深くなる。
近づく唇が触れたとき、それは完全に望美のもどかしく収縮していた中を埋め、
満たされた安堵感と絶え間なく続く快楽に、体が震えるのを止められない。
「んあ、すご……」
「っう」
当然、望美の震えは銀にも伝わっているから、その度に息を呑み耐える吐息がもれ聞こえる。
感じてくれているのが嬉しくて、切ないほどに愛おしくなった。
「動きますよ」
あくまでも気づかってくれる優しさに、じんわりと涙が浮かぶ。
「うん。いっぱい、動いて」
「ええ、感じてください。私を」
ゆっくりと奥からなくなる寂しさを感じたのはほんの一瞬で、抜け切らぬうちに
入り口から徐々に打ち付けられて揺らされる。
強いと思ったら弱く、浅いかと思ったら深く。
「あっ、ひぁ……ああん」
高まる到達感はすぐそこに限界が見えていて、あとはただ繰り返し名を呼ぶだけ。
「銀、しろが、ね…あっ」
絶頂を迎えようと固まり始めた体は、爪先まで力がこもり、締め付けの度合いも増していく。
もうほんの少しの動きで、タガが外れそうなそんなギリギリ感。
「ああ、ああ……だめ。だめ、いく。いっちゃう」
のけぞる白い肌をほんのり紅色に染め、強く閉じた目蓋からは強すぎる快楽に涙がこぼれている。
繋がった下肢は音がするほどに濡れ、あと一歩手前で耐える表情は辛そうでありながら、扇情的だ。
この姿は、自分だけのもの。
そして。
「私も、です」
ぐいと強く突き上げた瞬間、固まっていた体が大きく跳ね上がった。
声にならない唇が、たったひとつの名を呼ぶその至福。
この喜びは、自分だけのもの。
他の誰にも渡しはしない。
573 :
503:2005/11/10(木) 23:22:17 ID:FUKSnu5g
色々スマン_| ̄|○
投下慣れしてないのバレバレだ。
御館の毛皮取りにいってくる。
>>503 超GJGJGJ〜!!
文章……と言うか、表現が上手!
語彙もたくさんあって、読み込んじゃったよ。
乙&ゴチでした…!
GJ、GJ!望美がかわいいよ(*´д`)
さっき銀ED見たばかりなので余計にきた。
またネタできたら是非投下ヨロ。
GJですた〜
銀いいねえ。
GJ!
なんだかしっとり系の文章ですね〜。
細かい表現がいいです。
文章(゚д゚)ウマー
GJでした!
これぞ銀だなぁという甘エロさにGJ。
銀√また見てくるか…
GJですが、まだ続くのかとオモタ
この望美は処女じゃないよね?
この話以前に銀と初夜を迎えたのではなくて?
銀いいな〜職人さまGJ
ところでさ
特殊な表現等が含まれていて質問する等の必要がない作品は即投下くださるようお願いします
とかテンプレに入れる?
いや職人さんのやる気低下が心配なんだよ
>>583 同意。 >562みたいに半切れするヤシもいるからな。
そこまでする必要ってあるか……?
>>583の言う質問する必要のある特殊な作品てのも良く分からない。
基本的に投下前の注意書きさえしっかりしてればお伺いをたてる必要もないと思うのだけど。
誘い受けテラウザスってのは禿胴。
「○○なんだけど、投下していい?」ではなくて
「○○を投下します。××なので、だめな方は**をNGワードにしてください」
ってレスに続けて即投下してほしい。
「投下していい?」って聞いたところで「だめ」ってレスはつきゃしないんだからさ。
>503ゴチ。
またの投下を待ってるよ。
586の感じでいいとおもうよ。
「だめ」ってレスがついたらついたで、
またスレが荒れる原因になるわけだしな……。
※SS職人様へのお願い。
「○○なんだけど、投下していい?」などの誘いうけは必要ありません。
「○○を投下します。××なので、だめな方は**をNGワードにしてください」
との注意書きレスのあとに、即投下をお願いします。
>586をテンプレ化してみた。
過去にも誘いうけ云々で、何度か荒れそうになったりしてるし
1あたりに入れておいてもいいかもしれないね。
>>589 乙。次スレからテンプレに入れると良いとオモ。
ところで、最近遙か1の地玄武の封印が師匠の奥さんの陽の気
だと知ったんだけど、その瞬間奥さんの気の影響でときどき女体化
しちゃう地玄武を妄想した。ああいうタイプは男女問わず好み
なんだよ……。胸はちょっと大きめ、ウエストがめっちゃ細いスタイル
のよろしい女性の方向で。
女体化はイヤだなぁ…801スレじゃないんだから
…っつっても百合だったらいいのだろうか?
作品投下するんだったら厳重注意書きプリーズ。
シチュスレであったと思う<女体化
そっちに投下して誘導とか
「実は女でした」な女体化801は、自分は一番苦手だから勘弁してほしい。
基本男で、一回だけの一時的な女体化の百合だったらまだいい。
でも、最中に男に戻ってくれるところまではいってほしい、
とワガママな主張をしてみる。
ああ
>>583の
特殊で質問の必要がある作品
てこういう女体化とかか?
そんなものまで表記するとなると、
キャラ×オリジナルキャラ(いわゆるドリーム)は駄目とか801は駄目とか、
普通は空気で分かってくれよというものまで
全部羅列しないといけないような気がするんだが……。
>>595 そうか?
ドリームや801は明らかに板違いなんだから書く必要はないと思うし、
もちろん投下も不可。
>>590の言う女体化ものが例えば地玄武と他八葉とかだったら
801の範疇だから板違いだと思うが、地玄武と神子ものだったら
体裁は百合だし、戻っても男女ものだから
板違いではないんじゃないと思うが
好みが分かれるものだから、注意書きは必須、ってそういう事だろ。
だね
まあ各自判断に任せた即投下願うんだから
たまには板違いものがきたり判定微妙ものがきたりして
それにヌルーできない人が絡んで荒れ原因にはなりそうと思っただけ
そんなないとは思うが
藻米等、思わずセクシーダイナマイツな女先生を想像して吹いたジャマイカ!!
望「先生の胸、おっきくて羨ましい…パフ…」
九「せ…せせせんんせええい…!!はははややくむ…むねをか、隠し…
望美!!お前一体何を!!」
望「先生の胸…とってもあったかい…(スリスリ)」
先「そうか。」
九「お前には恥じらいというものがないのかー!!」
漏れにはせいぜいこの程度…orz
胸を出しっぱなしな先生に突っ込むべきか、しっかり見ている九郎に突っ込むべきか、
先生が女になるという異常事態にも動じない神子に突っ込むべきか……(w
>>598 ワロタwでも鞍馬天狗って、物語によっては仮面を外したら超絶ナイスバディな
美女設定だったりするらしいよ。
ついでに泰明女体化ネタ妄想。
あ「や、泰明さん!どうしたんですかその身体!」
泰「身体……?ああ、私は満月の夜になると女性になってしまうのだ」
あ「ええっ!?ていうかその着物大丈夫ですか?胸の所が破けちゃい
そうですよ?」
泰「言われてみればそうだな」
あ「あ、じゃあちょっと待って下さい!私今別の着物着てるし、私が元の
世界で着てた服貸しますよ」
泰「そうか。すまないな」
あ「うわあ……。泰明さんすっごく似合います。めちゃくちゃ綺麗……」
泰「そうか?」
あ「あのっ、どうですか?何か不都合はありませんか?」
泰「……そうだな、まず胸が少しきつい」
あ「(うっ)」
泰「あと腰の部分が余る」
あ「(ううっ)……」
泰「神子?どうかしたか?」
だから書くなって
書くならちゃんとアナウンスしようよ…
だが萌えた
801や女体化は生理的に受け付けない人もいるんだから。
ネタ程度でもキツイんだって。
801板のスレって今はないのか…意外な
一応かいとくが数字板は該当スレとして女性向ゲーム総合スレがある
しかしそこも閑古鳥気味
※SS職人様へのお願い。に、
即投下のお願いと一緒に
「801・女体化・ドリームはご遠慮ください(該当板・スレでお願いします)」
みたいな一文をつけておくというのはどうだろう。
↑これは例ということで、女体化とかを禁止にしようというわけじゃないよ。
このスレ的に、注意書き付きで女体化可なら、
それはそれでいいと思うぞ。
>595
今までが空気ちゃんと読まれてて、奇跡みたいなものだったのかもね。
空気読めるのが普通なのになorz
>>608>>609 書き手も読み手も含めて人間が多くなれば
こういう問題が起こるのはある意味仕方ないよ。
人間が多い分だけ趣味も許容範囲もさまざまになるからね。
それを踏まえて、
これからも「空気嫁」で書き手読み手の判断に任せるか、
ある程度ルールを明文化するか。
ちょうどその分かれ目なのかも。
しかし、遙か3効果がこれから薄れていくと
おそらくスレも過疎化していくわけで、
そのときにルールが厳しいスレは過疎化に加速がかかってしまうわけで…。
難しいところだ。
>>600 胸がキツイ、ウエストブカブカってらんま1/2ネタ?
違ってたら木綿ありふれたネタかな
遙かでもアンジェでもコルダでも何でもいいから職人様はご降臨されないものか・・・
禁断症状が出てしまいそうだ
3日前に新作が投下されたばかりなのに禁断症状とは…
きっとあれだよ
>>612は新作に萌えなかったんだよ。
だから投下に飢えてるんじゃない?
私は、女体化は苦手なんだが、>600の程度だったら、
ありがちだが笑えたんで、いいとは思う。
でも、ダメな人もいるんだから、やっぱり注意書きは必要なのかもしれん。
そういえば>530はまだか?待ってます。
他の職人さんも待ってます。
616 :
銀×望美:2005/11/15(火) 02:48:12 ID:cDkYFgKs
銀ルート1周目で銀×望美です。
ラブラブ甘々ではないので、ご注意ください。
「銀」
「はい、神子様。ご命令を」
望美の呼びかけに、無機質な声が返る。感情のこもらない、淡々とした声。
いつも望美を優しく、そして愛しげに見つめていた瞳は、
まるで硝子玉のように何も映さない。
どんなに手を尽くしても、どんなに心を尽くして看病しても、
銀に『心』が戻ることはなかった。
どうしてこんなことになってしまったのか、望美には分からない。
愛していたとそれだけ告げて、銀は自分勝手にも望美を置いていってしまったのだ。
愛していたという銀の言葉が嘘だとは思えない。
自分のためだけに何かをするとも思えない。
だから多分これは、何か望美のためにした結果なのだろう。
それでも、望美は『置いていかれた』ことに変わりはない。
ここにいるのは銀の抜け殻で、銀はいなくなってしまったのだ。
「銀、キスして」
「はい、神子様」
従順に、望美の頬にそっと手を添えると、銀はくちびるを合わせてきた。
何度かついばむようにして触れ合わせたあと、舌をもぐりこませてくる。
けれどそれは銀の意思ではない。
以前に、望美が舌を入れろと命令したのを覚えていて、それを実行しているだけだ。
(まるで、ロボットみたい)
学習機能のある、出来のいいロボット。けれどそこにあるのは『感情』ではないのだ。
望美の反応を見ながら、望美が感じるように口内に舌を這わせる。
それはそう命令されたからであって、彼の意思ではないのだ。
くちづけに息が苦しくなってきたころ、望美は軽く銀の肩を押してそれをとめる。
とめなければ、多分彼は永遠に望美にくちづけるのだろう。
たとえ望美が窒息して死んでしまっても、
『くちづけろ』という命令はあっても『やめろ』という命令がないという理由で。
617 :
銀×望美:2005/11/15(火) 02:50:34 ID:cDkYFgKs
くちづけが終わった後はどうすればいいのか、彼はちゃんと心得ている。
前にそうしろと、教えたからだ。
望美の首筋にくちづけながら、帯に手をかけ手際よくそれを解いていく。
胸があらわになったら胸にくちづけて、やわく揉みながら乳首を刺激する。
望美の感じる部分を的確に見極めて、そこを重点的に責める。
昔取った杵柄なのか、そういうことは本能で覚えているのか、
動きは機械的なのに、銀の動きは望美を翻弄する。
「あっ……銀……っ。そこっ、気持ちいい……」
望美は感じるままに声を出して、銀に伝える。
そうすれば、銀はどこをどう責めればいいのか覚えていって、
次にはそこを的確に責めてくる。
はしたないとか、恥ずかしいという気持ちは、もう消えてしまった。
まだ望美がこの行為に慣れていなかったころ、
刺激の強さに思わず「やめて」と言ってしまったことがある。
それはもちろん本心などではないのだが、
銀はそう命令されたとぴたりと手を止めてしまった。
そして、望美がもう一度行為を続けろと命令するまで、彼が望美に触れることはなかった。
あのときのことは、今も望美の心に棘となって残っている。
熱を持つ体を放り出されたことよりも、
彼にとってこの行為はただ命令を実行しているだけなのだと思い知らされて苦しかった。
それから望美は感情を隠すことをやめた。
恥じらいもせず、浅ましいほどに銀を求める。
銀が求めてくれないのだから、望美が求めるしかないのだ。
胸を責めていた指と舌が下肢に降りて、銀の腕が優しく望美の足を開かせる。
下着を取り去り、すでに蜜を滴らせている秘部にためらいもせずに口をつけて、
いちばん弱いところを刺激する。
「ああっ銀えっ!」
強すぎる快感に望美の体が跳ねる。
それをゆるく押さえつけるように片腕で望美の腰を抱えたまま、銀は中に指を入れる。
銀の舌と指に翻弄されて、望美は簡単に絶頂を迎えた。
618 :
銀×望美:2005/11/15(火) 02:51:49 ID:cDkYFgKs
一度達してわずかにけだるい体を起こすと、望美はかがみこんで銀の下肢に手をかけた。
下穿きをゆるめ、そこからまだ萎えた状態の性器を取り出す。
望美はくちづけだけでしっとりと濡らしてしまったほどだというのに、
いまだ銀には何の変化もない。
たとえどれほど指と舌で望美を責め立てても、それで銀が勃起することはなかった。
それは銀にとってただの『命令された作業』で、それに何の感情も付随しないのだ。
望美の裸体を見ても、乱れた姿を見ても、銀は何も変わらない。
だから望美はこうして銀の性器を舐めてこすって物理的に勃起させる。
そうするしか、ないのだ。
「んっ」
まだ力ない肉棒を、口の中に入れて舌で刺激する。
銜えきれない根元のほうはゆるく手でこすって、後ろの嚢も軽く刺激してやる。
「っ……」
望美の頭上で、銀がちいさく声を漏らす。
こうしなければ勃起してくれない銀を哀しく思いながらも、こうしているときが好きだった。
たとえ物理的な刺激によるものであると分かっていても、
いつも機械のような銀が、このときだけは人間のような反応をしてくれるから。
もっと彼の反応を引き出したくて、望美は精一杯、口での奉仕に没頭する。
舐めて、しゃぶって、唾液を絡ませて、軽く歯を立てて、手でもこすって。
かつて銀は、望美を神聖なものだと評した。
美しく穢れない神子だと、まぶしいものでも見つめるようなまなざしで望美を見つめていた。
あのときの彼が、今の望美を見たらどう思うだろう。
自分の中に入れてもらうために、萎えている肉棒にむしゃぶりついて、
勃起させるために懸命に奉仕している、この浅ましい姿を見たなら。
そんな彼女を侮蔑するだろうか、嫌悪するだろうか。
望美は勃ちあがってきた肉棒を銜えながら、上目遣いに銀を見た。
けれど銀は肉体的な刺激に多少反応を示しつつも、その瞳はやはり硝子玉のままだった。
なんの感情も、そこにはない。
(しろがね)
望美は目を伏せて、再び奉仕に没頭した。
619 :
銀×望美:2005/11/15(火) 02:53:46 ID:cDkYFgKs
銀の性器が十分に勃起したのを見計らって、望美は口を離した。
彼のものを銜えている間、望美には刺激は与えられなかったというのに、
彼女の秘部からはまた蜜がとめどなくあふれ出していた。
銀に向かって足を開き、それを恥じらいもなく見せ付ける。
「ここに入れて、銀」
「はい、神子様」
従順な人形は、命令に逆らうことなくそれを実行する。
望美の腰を掴むと勃起した性器を望美の胎内にためらうことなく押し込む。
「ああっ!」
中をこすられる感覚に、望美の背が反り返る。
そのまま銀は腰を揺らす。
望美の反応を見ながら、浅く深く出し入れされる。
時折突き入れる角度を変えて、望美の弱い部分を容赦なく攻め立てる。
「神子様」
「んっ……今日は、大丈夫だから、っ……中に出してっ」
「はい、神子様」
返事と共に、銀の動きが速くなる。
追い上げられる快感に翻弄されながら、それでも望美が目を見開けば、
自分の上でわずかに眉根を寄せて頬を高潮させて揺れている銀が目に入る。
彼も快感を感じてはいるのだろう。
それが、肉体にのみ与えられるものだとしても。
銀の動きにあわせるように、望美も腰を揺らし、胎内の銀を締め付ける。
やがて望美が達するのとほぼ同時に、銀も望美の中に精液を吐き出した。
620 :
銀×望美:2005/11/15(火) 02:56:35 ID:cDkYFgKs
行為が終われば、銀は淡々と望美の後始末をする。
湯を絞った布で望美の体を拭き、着物を着付け、乱れた髪を梳かしてくれる。
その機械的な作業に、いつも望美の体と心は急速に冷えていく。
終わったあとに抱き合って眠りにつくことなどない。
甘い睦言を囁かれることもない。
多分、そうしろと命令すれば、それは実行されるのだろう。
物覚えのいい彼は、一度そう言えばちゃんとそれを覚えて、
次の回からもそれを実行してくれるのだろう。
そう分かっていながら望美がそれを命令しないのは、
いまだわずかな望みを抱いているからなのかもしれない。
いつか、銀が自分の意思で望美を抱き寄せてくれる、そんな日が来るかもしれないと。
──そんな日は来ないと、分かっているはずなのに。
銀に丁寧に髪を梳かされながら、
望美は抱かれている間ははずしていた逆鱗を手元に引き寄せた。
どうして銀が心をなくしてしまったのかは分からない。
それでも、もし時間を遡れば、彼を救うことが出来るだろうか。
いや、救うことが出来ないとしても、遡った先で心をなくす前の銀に会える。
こんなロボットのような銀ではなく、ちゃんと感情を持ち、
望美を愛しげに見つめ頬を染めていた銀に会えるのだ。
(銀……)
望美は、手の中の逆鱗を強く握り締めた。
時空を跳ぶことは簡単だ。
呪詛が消え龍神の力が戻っている今、
望美が強く願えば、次の瞬間には時空の狭間にいるだろう。
銀が心をなくしてからずいぶん経つのに、
今までそれをためらっているのは望美の打算だ。
心をなくした銀はまるでロボットのようだけれど、同時に望美の命令なら何でも聞く。
くちづけろと言えばくちづけて、抱けと言えば抱いてくれる。
その硝子玉の瞳は望美を見ることはないけれど、望美以外の誰かを見ることもない。
かつては泰衡の郎党として彼に従っていたが、今は望美以外の誰の声にも反応しない。
銀が反応を示すのは望美だけ。望美だけだ。
今の銀は頭の先から足の爪の先まで望美のものだ。
時空を遡って運命を変えて、また同じように銀が手に入るとは限らない。
その想いが時空跳躍をためらわせていた。
621 :
銀×望美:2005/11/15(火) 02:59:22 ID:cDkYFgKs
「神子様」
髪を梳かし終わった銀が、静かに鏡台に櫛を置く。
「銀」
望美は銀を引き寄せてくちづける。触れるだけのくちづけ。
彼がいつもの命令どおりにくちづけを深くするより先に、体を離した。
「ごめんね、銀」
本当は、時空を跳ぶべきなのだろう。そうすれば多分彼を救うことが出来る。
かつては神の力を使って勝手に運命を書き換えることは罪なのではないかと思っていた。
でも今はどうなのだろう。
銀を救う力があるのに、身勝手な想いでそれをやらずにいる。
それはどちらが罪なのだろう。
「ごめんね、ごめんね……」
こんなふうに謝っても、銀には何のことか分からないだろう。
それ以前に、何を言われても彼には何の感情もわかないだろう。
それでも望美は謝らずにはいられなかった。涙があふれる。
「神子様」
銀の指が頬に伸ばされて、望美の涙をぬぐってゆく。
多分それは感情の込められない機械的な行為なのに、それでもその指はとてもやさしい。
望美は涙をぬぐってくれるその手を取って頬をすりよせた。
『あなたを、愛しております』
いつかの囁きが、耳によみがえる。
望美がなくしてしまったものと、手に入れたものはなんなのだろう。
今と、書き換えた未来と、どちらがしあわせなのだろう。
望美には分からない。
ただ分かるのは、心をなくしてしまっても、
銀の手はこんなにもやさしいということだけだった。
終わり
GJ(*´∀`*)
無機質なエロもいいなぁ。
セツナス!゜ 。・ 。 +゜ 。・゚ (;゚`Дフ。ウワァァァン
でも萌えてしまったよ(*´Д`)ハァハァ
何とか心が戻らないもんかなーと思いつつ、
これはこれで望美は幸せなんだろうな……。
。・゚・(ノД`)・゚・。
GJ!男が勃たないのは切ない…(´;ω;`)ウッ…
GJ!
切な萌え(*´∀`*)
GJ
何ともやるせない話ですねぇ
こんにちは。リズ×望美が書けたので投下させていただきます。
ちょっと注意書きが長いです。
・十六夜記バッドエンド後
・シリアスで後味も多分悪い。エロも薄めです。
・オリキャラ視点。女一人称。
・オリキャラ(女)が、二人の事を第三者に語る、という形式をとっているため
話の展開上、大分オリキャラが出張ってきます。
上の方で挙げられている、ドリームやオリジナル神子ではないのですが、
駄目な人は多分駄目だろうし、トリップをNGワードに入れて、さくっとスルーをお願いします。
――ああ、私、少しうとうとしていたみたいです。ええ、大丈夫、生きてますから。
あの、あなた方は?
……へぇ……そりゃ雑兵が畏まる筈だわ、
源氏の総大将と軍奉行、軍師殿まで勢揃いとあってはね。
あら? なんだか、気落ちしたご様子ですね、お三方とも。
ふふ、そんなにがっくりとしなくても。
ええ、私はあの方じゃありませんよ、残念でしたね。ただの身代わりです。
それとも、ほっとされたのではないかしら? あの方を捕まえなくて済んで。
二手に分かれた軍の、一方に私。
そして、奇襲をかける筈だったもう一方には、望美様はいましたか? いなかったでしょう?
え、消えた、と? そう言ってるんですね、他の捕虜は。
――あぁ、よかった。ちゃんと、上手くいったんだわ――
え、縄を解いてもらえるんですか。
ああ、流石に牢から出してはくれませんか。仕様がないですよね。
私は捕まったんですから――白龍の神子として、ね。
ええ、丁重に扱っていただきましたよ。一介の村娘には分不相応なくらいにね。
東国武士はもっと野蛮かと思っていたんですけど。
私は、鎌倉に送られるのでしょう? そこで詮議を受けるんですね。
よく知っているなと、そんな顔をされるとは意外です。
ええ、いろいろ訊いていますから。白龍の神子――望美様にね。
そんなにあの方の話が訊きたいですか?
――ではお話します。でもご期待はなさらないでくださいね。
おそらく、最後まで聞いても、きっと望美様の行方はわかりませんから、誰にも。
望美様と出会ったのは、もう一年半程前になるでしょうか。
落ち武者に村を焼かれ、何もかもを失った私は、ふらふらと焼け跡をさ迷っていたらしいです。
そこを、偶然村を訪れた望美様に拾われたんです。
……らしい、というのは、自分では何も憶えていないからです。
今も思い出せないんです――過去も、自分の名も。
でも構いません。だから望美様に出会えたのだと思うし。
ええ、同じような境遇の者は多いですよ。
でも私が特別に望美様と親しくなれたのは、当時、党の規模がこじんまりとしていた事の他にも、
望美様と近しい年頃の娘が、誰もいなかったからだと思います。
今思えば、淋しく思われていたのでしょうね。神子様といっても、娘らしい方でしたから。
私が望美様、と呼ぶ度に残念そうな顔をされていましたから。『呼び捨てでも構わないのに』って。
本当に、あの方は分け隔ての無い方で――だからこそ、神子なのかもしれません。
私も傍近くでお世話をしていて、よくそれがわかりました。
普段の望美様は、本当に普通の娘と変わりなくて――無邪気に殿方の話なんかもしましたっけね。
戦時の折ですから、何の役にもたたない話でしたけど、それでも息抜きにはなっていたと思います。
あなた方の話も聞いていますよ。八葉、でしたっけ?
朱雀とか白虎とか、難しい事はよくわかりませんでしたけど、神子様をお守りする役なのでしょう?
でもお守りする必要なんてないくらい、望美様は強い方でした。
今思えば、強いてそう振舞おうとしていたようにも思えるんですけど。
そういえば、似ていますか、私。望美様に?
え、遠目には似ていた? こうして見ると似ていない?
――そうでしょう? 多少の剣の心得があって、髪が長いだけで。
私はあんなに強くはありませんし、美しくもないですから。
それでもあの方に憧れて、いろいろと真似をしたものです。
だから、今回この役目を願い出て、受け入れてもらえた事、とても嬉しくて。
ええ、剣も舞も、望美様に教えていただいたんですよ。
どちらも『私はまだ修行中の身だから』とおっしゃるのを強引に。
ああ、そういえば、望美様の舞姿も素晴らしいものでした。
艶やかで、本当に神が降りているのではと思う程に神々しくて。
よく、戦いの前に舞って下さったものです――ええ、私達には確かに龍神の加護がついている、
皆、学も無い者ばかりでしたけど、理屈ではなくそう感じました。
だから、無謀な戦にも絶望せずに身を投じたのです。誰も彼もが。
無謀だとわかっていたのか、ですって?
そりゃそうでしょう、京はあの源氏が守っているんですよ、平家を倒した。
でもその時はそんな事、思ってもみませんでした。
『龍神の加護の無い京など怖れる事はない』と、
他ならぬ望美様自身がそうおっしゃっていましたからね。
それにしても……ああ、可笑しい……え、どうして笑うのかって?
だって、面白いじゃありませんか。
私は一介の、学も身寄りもない、ただの平凡な娘に過ぎないのに、
そんな私の前に、源氏の大将や軍奉行、軍師殿まで畏まって、
ほんとに真剣な顔付きで私の話を聞いているんですもの、可笑しいったら。
この話が全部嘘だったらどうします?
――ああ、怖い顔。心配しなくても嘘は吐いてませんから。ねぇ『九郎さん』?
いつか聞いたとおりだわ。源氏の御大将は短気で怒りっぽいところがあるって
……ふふ、図星、ですか? そういえば、兄弟子、だったのでしょう?
なのに気がついてはいなかったのですよね? あの鬼と望美様の事に。
ええ、全ての元凶はあの鬼――リズヴァーンという、あの金髪碧眼の鬼の所為です。
そちらの軍師殿は『鬼』についてお詳しいのでしょう? ええ、望美様がそう仰っていたので。
妖しの術を使い、人の血肉を喰らうという『鬼』。
その『鬼』が神子様をお守りする役になるなんて、おかしいとは思わなかったのですか、あなたは?
――なるほど、八葉の役目、ね。その前にはかつての因縁など関係ないと、そういう事ですか。
でも、ねぇ。望美様の傍には、あの鬼の他に七人も男がいて、
なのに他の誰も、望美様を振り向かせられなかったなんて、お笑い種だわ。
ねぇ。もしもあなた方のうちの誰かが、望美様と恋仲になっていれば、この戦は無かったんですのに。
だって、望美様が真に望んでいた事は、もう一度あの鬼に会う事だったんですから。
それに比べれば、此度の戦なんて茶番に過ぎなかったんです。
あの鬼が私達の仲間となったのは、三草山に陣を張った頃でした。割合最近の事です。
鬼は、望美様の師だけあって、その剣技は圧倒的な強さを誇っていました。
それに、あの鬼の術。何処にでも現れ、そして、消える事が出来る――言葉どおりの、神出鬼没の鬼の力。
そしてその力は、大いに党の戦力となりました。
鬼が敵陣深くに切り込み、敵が浮き足立った隙に、周囲から攻め立てる。
終いには金の髪を遠目に見かけただけで、逃げ出す敵もいた程でした。
ですが、党内には不満が多かった事もまた、事実です。
望美様の師である以上、表立って異を唱えるものはいませんでしたが、
異形の、人にとっては敵となりうる力をもつ鬼は信用できない、という意見が
古参の者達の間では交わされていましたし、
一般の兵の間でも、鬼は人を喰らうのではないか、と怖れられていました。
――私、ですか? そう、ですね。正直な所、いい気はしませんでしたね。
覆面をし、終始無口で、少し薄気味が悪いという事もありましたし、
あの碧眼が全てを見通しているかのようで……。
でもその碧眼は、望美様を見る時だけは優しげな色を帯び、望美様もまた、同じ視線を返して。
二人が師と弟子以上の関係である事が、その事から薄々感じ取れました。
おそらく、他の者も多かれ少なかれ同じ事を感じていたことでしょう。
神子が鬼に穢されてしまう事を案ずる声もありましたからね――下世話だとお思いでしょうが。
あの日私は、偵察に出た仲間からの報告書を望美様にお渡しする為に、陣へと向かったのです。
幕屋の前まで着た私は、激しく言い争う声に中へ入る事を躊躇いました。
声は望美様のものと、低い男の声――鬼のものでした。
「――先生は、私を置いていくんですか?
私の傍にいる、私と戦ってくれるというのは、嘘だったんですか?」
物陰から覗いている私には、二人とも気付かないようでした。
常ならば誰よりも人の気配には敏い筈なのに。それだけ二人とも意識を互いに向けていたのでしょう。
激しく言い募る望美様の剣幕に、鬼はたじろいでいる風に見えました。
鬼を睨みつける望美様の瞳は激情を秘め、でも何処か泣き出しそうに危うく揺れておりました。
そして、見つめる先、鬼の左手には――逆鱗が、あったのです。乳色にきらめく白い鱗が。
逆鱗はそれまでにも望美様から見せて頂いていました。だから見間違えようもありません。
私は自分の目を疑いました。何故、望美様の逆鱗と同じものを、あの鬼が?
望美様も同じ事を思われたようで、ずい、と鬼に詰め寄りました。
「どうして先生が、逆鱗を持っているんですか」
「……答えられない」
「ええ、先生はそう言うだろうって、わかってます。だから、答えてくれなくっていいです」
望美様の手が、まるで逃がすまいとするかのように、鬼の外套を掴みました。
「でもこれだけは答えて。
先生は、それを使う気なんですか? それで、別の運命を選ぶんですか?」
鬼は望美様から視線を外し、押し殺した声音で答えました。
「……やはり、間違いは正されなくてはならない」
その答えを打ち消すかのように、望美様が叫びました。
「だったら私は? 今、ここにいる私は、どうなるんですか?
もう先生とは二度と会えないまま、この運命を辿れっていうんですか?
……嫌ですっ……先生、私を置いていかないでっ……!」
続く沈黙が、その言葉を肯定しているかのようでした。
望美様は涙をはらはらと零しながら、それでも鬼の腕をぎゅうと掴んで離すまいとしていました。
「神子、元の場所に戻りなさい……今ならまだ、間に合う」
「戻る? 元の世界に? 無理です――もう、何人もの命を奪った私が、どんな顔で、今更」
「神子――」
「それに多分、もう神子じゃ、ないです。だって、私の逆鱗は光らなくなったから――」
そう言うと、望美様は首飾りを示しました。
先には、鬼の持っているものと、寸分違わぬ白龍の逆鱗。あなた方も見た事はおありでしょう?
乳色のそれは、陣の篝火を映して、夕焼けの色に染まっていました。
「……光らない?」
「はい。多分、この世界に残る事を決めたから。それに神子というには、人を殺しすぎたのかも」
「逆鱗が、血に中(あ)てられたとでも?」
「だって、京を出てから、たくさん人を斬りましたから。本当に、たくさん。
戦いを起こせば、先生は来てくれるって思ったから。でも、小競り合い程度じゃ、駄目でした。
……だから、京を攻めました。それに京の人間は、先生を苦しめるから」
涙声ではありましたが、その声音はしっかりとしていました。
淡々と過去を語る望美様の様子は、戦の話をしているようには見えませんでした。
まるで世間話でもしているかのようでした。
「だからなくなっても構わないって、そう思ったんです。
それに、京だけが龍神に護られているのは、不公平でしょう?
そう思う人がたくさんいたから、こんな党が出来たんだし」
ぐい、と乱暴に袖で涙を拭うと、望美様は微笑みました。
それはいつもの娘らしい笑顔ではなく、どこか妖艶ですらありました。
「なんて、そんな事は全部、言い訳です。
私、わかったんです。大義名分なんて、あとからいくらでもついてくるって。
私の、本当の願いは、こうして」
そう言うと、望美様は鬼の背中に腕を回し、その胸に顔を埋めました。
鬼はと言えば、その碧眼にあからさまな戸惑いの色を浮かべ、木偶の様に立ち尽くすばかりでした。
そして私もまた、同じように物陰に立ち尽くしていました。
二人が何の事を話しているのか、私にはよくわかりませんでした。
ただ、望美様が鬼を呼び寄せる為だけに、この戦乱を起こした事、
鬼が望美様を見捨てようとしている事――逆鱗を使って、違う場所に行こうとしている事。
そうさせまいと、望美様が引き止めている事。
それだけは、わかりました。
「だから先生、間違いなんかじゃないんです。私は先生と共にいるためにこの運命を選んだんです」
顔を上げそう言うと、望美様は鬼を真っ直ぐに見詰めました。
「党も、戦も――他の事なんて、どうだっていい。私には先生だけが必要なんです」
それを受け、苦渋を秘めた声音で、鬼は望美様に問いました。
「それが、お前の選択だというのか」
望美様は目を逸らさずに頷きました。対する鬼は静かに目を伏せ、こう言いました。
「ならば……私は私の運命に従おう。お前の選択が、私の運命なのだから」
その答えに、望美様は安堵の息を吐き、嬉しげに鬼の胸に頬を摺り寄せました。
鬼の手が優しく髪を撫でて、そうするうちにも二人の顔は自然と近づいて、そして。
―― 一瞬のうち、だったでしょうか。鬼が望美様の唇を奪ったのは。
望美様は驚いた風に鬼を見上げましたが、すぐに拗ねたような口調で、こう言ったのです。
「先生、ちゃんと口づけてください――布越しじゃなくて」
鬼は躊躇いを見せましたが、それも一瞬の事、素直に顔を覆う布を取り去りました。
その下に隠されていたのは、古い傷痕。
望美様はつと手を伸ばして、引き攣れたようなその痕にそっと触れました。
慈しむように傷痕を撫ぜる、その白い指先に鬼は口づけました。
幾度も幾度も、愛しげに指先に口づけ、薄い唇で食んでみせて。
望美様はくすぐったそうな顔をして、鬼のしたいままにさせていましたが、
終いには焦れたような声を上げました。
「そこじゃありません、先生。わかってる、くせに」
そう言って、悪戯っぽく微笑む表情はあどけなく。
目を閉じ、ねだるように唇を突き出す様は可愛らしくも艶めいて。
女の私から見てもそうだったのですから、鬼には尚更だったでしょう。
鬼は、促されるままにその薄紅の唇に口づけを落としました。
最初はただ重ねるだけのものを。そして、次第に深くなっていく行為。
唇が離れた時、つぅと一条の糸が引いたのが、その行為の激しさを物語っていました。
「先生が、脱がせてください」
荒く息を吐きながらそう促す望美様の声は、硬く、でもどこか艶めいた色を帯びておりました。
それに誘われるように、鬼は手を伸ばし、望美様の陣羽織の結び目を先ず解きました。
その手が少し震えているように見えたのは、きっと私の気のせいなのでしょう。
鬼は、大きな身体に似合わぬ細やかな手つきで、望美様の着物を一枚一枚脱がせていきました。
ぱさり、ぱさりと乾いた音がして、足元の地面に衣が落とされていきました。
やがて、細身の白い裸身が現れました。華奢で、でも剣を振るう者らしく、引き締った身体。
篝火の下に惜しげもなくその肌を晒しながら、望美様はどこか自嘲するようにこう言いました。
「先生、私、汚れているでしょう? たくさんの返り血を浴びましたから」
鬼は首を横に振って、それを否定しました。
「いや――お前はいつも美しく、清浄だ」
まるで熱に浮かされたかのような、そんな声でした。
鬼は身に纏っていた外套を地に敷いて、そこに望美様を横たえました。
そして自分もまた、着ている物を脱いでゆきました。
仰向けに横たわった望美様は、誘うように腕を鬼の方へと伸ばし、甘く問いかけました。
「私は先生のものです……先生は?」
「……とうの昔から、私はお前のものだ、神子」
そう答える言葉は、どこかしら切なげな響きを帯びておりました。
それから鬼は、ゆっくりとその身体を望美様の上に重ねたのです。
それ以上見ていられなくなって、私はその場にしゃがみ込んでしまいました。
でも走り去る事は出来ませんでした
――神子様と鬼との睦み合いを、万が一にも、他の者達に見られる訳にはいかない。
誰か来るような事があれば、追い払わなくては――
ただその思いだけが、私をその場に留まらせていました。
しゃがみこんで、耳を塞いで――それでも塞いだ指の間をくぐって聞こえてくる喘ぎ声。
初めは辺りを憚るようだったそれは、次第次第に大きいものとなり。
荒い息遣いの間に、甲高い涙混じりの声が途切れ途切れに聞こえて。
常に先陣に立ち、兵達に檄を飛ばす勇ましい声。
休息の折、ふとした事にころころと笑う、娘らしい声。
今までに聞いたどの声でもないそれは、艶かしい、あからさまな嬌声。
――初めて聞く、望美様の女の声、でした。
その声から意識を逸らす為に、私は望美様の言葉を胸の内で思い返していました。
『党も、戦も――他の事なんて、どうだっていい。私には先生だけが必要なんです』
そう言い切られて、本来ならば私は憤りを感じるべき立場なのかもしれません。
でも不思議とそんな気にはなれませんでした。
前に望美様が、ご自分の生まれ育った地の事を、話してくださった事がありました。
戦のない、平和で、過ごしやすい場所で、
源氏に与し、平家の怨霊を封じていたのも、そこへ戻る為だった、とも。
どうしてそうしなかったのか、と、ついそう訊いてしまった時、望美様はこう仰っていました。
『私の好きな人も、そう言ったの。在るべき場所に戻りなさいって。
でも無理よ。だって、その人の傍にいなければ、私は幸せになれないんだもの』と。
そして今、望美様は望むものを手に入れたのです。金色の、鬼を。
想う男の為なら戦を起こすことすら厭わない、その恋情の強さ、一途さを、一体誰が責められましょう?
と、苦しげな呻くような声に物思いを破られ、私はつい、顔を上げてしまいました。
その目の前にあったのは、炎――いえ、篝火が紅く映りこんだ白い肌。
望美様の眉間は苦しげに歪められ、閉じた瞼の端には涙が浮き上がっておりました。
それは未通女の証だろうと、私はなんとなくそんな事を思っていました。
戯れに殿方の事を話した時の望美様は、初心な娘そのものでしたし、
それに、あれだけ剣の腕が立つ望美様です。
並の男では組み伏せる事も敵わなかったでしょうから、無理矢理に奪われる事もなかった筈です。
相当な痛みなのでしょう、ほろほろと頬を流れ落ちる涙を、鬼は不器用に指先で拭いました。
それから鬼は望美様の耳元に何事かを囁き、
それに応える様に、望美様は首を横に振って、微笑みました。
おそらくは、鬼が望美様を気遣い、何かしらの会話がなされたのでしょう。
その考えを裏付けるかのように、望美様は金の髪に指を差し入れ、鬼の頭を掻き抱きました。
そして、鬼も望美様をしっかりと抱き締めて。
もう離れたくないとでも言うように、互いの腕を、脚を縺れ合わせて。
そうやって、絡み合った身体が、まるで炎が揺れるようにゆるゆると動いて。
その動きは、次第に大きくなっていって――その様は、まるで風に煽られた炎のようで。
――ええ、炎、です。
馬鹿げた事を言うとお思いでしょうが、その時の私には、その様がまるで炎のように思えたのです。
金色の炎。
篝火に、背に波打つ鬼の黄金の髪が映えて、それがまるで光を集めたようで、とても――綺麗で。
もしかすると、この美しさに人は惹かれ、それ故に恐れてきたのかもしれないと
私は茫とした頭でそんな事を考えていました。
その一夜が明けた後から、望美様と鬼との間に流れる空気は、一層親密なものとなっていました。
軍議の間でさえも互いの指を絡めあう、そんな様子に眉を顰める者が多数出始めました。
いよいよ京を前にしたというのに、神子様が鬼に惑わされてしまった、とも噂されておりました。
望美様はそんな風評を気にしている風もありませんでした。
おそらく京を攻める事は、知らず知らずのうちに、望美様の胸の内では二の次になっていたのでしょう。
だって、望美様の願いは叶ったのですから。
薪のくべられなくなった炎は、ただ消えゆくだけなのです。
そんな望美様の様子を見ながら、いつしか私は、こんな事を考えるようになっていました。
自分達の指導者、神子という役割から、望美様を自由にして差し上げなくてはならない、と。
だってそうでしょう?
望美様はただ、想い人と添い遂げたいだけだったのですから。
そして理由はどうあれ、望美様は私達の為にここまで戦ってくれたのです。
だからもう、十分だと思ったのです。
望美様をあるべき姿――ただの娘に戻して差し上げなくては、と。
あの逆鱗は、何か途方もない力を持っている。
それを使って、二人きり、ここではない地に向かう事が出来るのなら、
それが望美様にとって、一番の幸いなのだと、そう思ったのです。
身代わりを立て、二方向から京を攻める、という案が出されたのは偶然でした。
京の護りは堅く、今までのように正面突破とはいかないだろうから、と。
その時に、思いついたんです。
身代わりは危険な役だから、誰もやりたがらない事はわかっていました。
私の申し出を、最初は望美様も反対しました。
ですが、私が強く願い出た事と、それに周囲の後押しもあったので、
最後にはその方法を採る事に頷かれました。
身代わりである事を気付かせない為だと、そう偽って、望美様の逆鱗を私は預かりました。
鬼と二人きりになる機会を持つのは少々大変でした。
鬼はまるで影のように、望美様の傍に控えていましたから。
望美様について重要な話があると何とか呼び出して、
正面から向き合った時は、身体が震えるのを禁じ得ませんでした。
つかえながらも、この考えを伝えると、
私が逆鱗の事を知っている事に、鬼は驚きを隠せないようでした。
「何故、お前がそこまでする必要がある」
僅かに見開かれた碧眼を見つめながら、私は精一杯答えました。
「望美様に助けられたから、今の私があるんです。望美様が幸せになるのなら構わない。
あなたと共にある事が、望美様の願いなんです。だから」
「確実に捕まるとわかっているのにか」
「構わないと言っているでしょう? 私は望美様の話をしているんです」
「……だが、他の者はどうなる。神子を信じてここまでついてきた者達は」
「今更何を気にしているんです。あなたも望美様が全ての癖に」
「……ああ、そうだな」
そう言った鬼の目は、どこか昔日に想いを馳せるように遠くを見ていました。
「神子は、私の全てだ。今までも――これからも」
私の話はこれで終わりです――さて、どうなさいます?
あの二人はもう帰ってはきません。もう私達の手の届かない、遠くに去ってしまいました。
戻ってくる事もおそらくないでしょう。
もし上手く望美様を連れて行く事が出来たなら、その時は逆鱗を壊すと、そういう段取りでしたから。
今の話の証拠?……証拠などありはしません。けれど、わかるんです。
この手にある逆鱗。『もう力を失った』と望美様は仰っていたけれど。
あなた達に捕まる少し前、一瞬だけ光を取り戻したんです――すぐに、消えてしまいましたけど。
鬼の持っていた逆鱗が使われて、それにこの逆鱗も呼ばれたのだとわかりました。
ええ、ただの勘だと、そう言われればそれまでです。
でも、あなた方も薄々感づいているのでは?
八葉の証である宝玉(ぎょく)は、まだその身に宿っていますか?
軍奉行殿は鎖骨の間にあったと聞いていますが……今は、見当たりませんよね。
他のお二人も無くなっているのでは? ええと、手の甲と肩、でしたか。
もう神子がここには居ないから、八葉の役目もなくなったという事なのでしょうね。
そろそろ、私がここにいる訳も、おわかりになったのではないですか。
――はい、ご想像のとおりです。
私をこのまま、白龍の神子として処断してください。
馬鹿な事を、と仰いますか?
過去も名も失い、思い出せない。望美様に出会わなければ、もともと、儚くなっていた筈の命です。
こんな私が、白龍の神子として散れるのなら本望です。
――出来る訳がない、ですって? 存外に情があるのですね。いえ、皮肉ではなく。
福原でのだまし討ちを悔いておられたとも聞いていますし。
え? 源氏の神子は源氏の兵に顔を知られているから無理だ?
信じますよ。だって、源氏のお三方が改めたのですよ?
源氏のお偉方で、かつての八葉がそう証言すれば、皆信じるに決まってます。
あなた方も『神子』を斬りたくはないでしょう? だって八葉だもの。
ええ、今すぐ決めるのは無理でしょうね。でもそれを選ぶ筈だわ、あなた方は。
いつまで経っても神子を捕らえられないとあっては、御大将の首が危うくなる。
―― 十中八九、庇っていると見做されるでしょうし。
軍奉行殿ならおわかりでしょう? 早晩、私の言った方法を採る事になるだろうって事は。
……私の名、ですか?
もとより名など無い身だと、そう申し上げたでしょう?
でも――ええ、そうですね、望美様が私に下さった名なら。
望美様は私の事を『朔』と、そう呼んでいました。
自分の名は望月という意味で、だからそれと対になる月――朔月からとったのだ、とそうおっしゃって。
……どうしてそんな顔を? そんなに変な事を言いましたか、私は。
ああ、言わないで下さい――なんとなく、わかっていますから。
ええ、色々な意味で、身代わりだったのでしょうね、私は。
でもいいんです。私にはそういう役割が振られるさだめだったのでしょう。
あなた方に八葉という役割が与えられたのと同じように。
それを納得していただけたなら、どうか、この話をお受け下さいますよう、お願い申し上げます。
過去も名も無い娘の、唯一つの願いを叶えると思って、どうか――。
* * *
戦の勃発から半年、首謀者である白龍の神子が捕らえられた事により、白龍の神子の乱は終結した。
総大将源九郎義経と軍奉行梶原景時、軍師武蔵坊弁慶が首検めを行った後に、鎌倉へと移送された。
神子は一見普通の娘にしか見えなかったが、
源氏の棟梁の前に出ても臆する事無く振舞ったと伝えられる。
鎌倉の繁栄を龍神に祈願する為に舞えば罪を減じる、との頼朝の言にも首を縦に振ることはなく、
結局はそのまま処刑される事を受け入れたという。
処刑されたのは身代わりで、本物の白龍の神子は無事に逃げおおせたとの説もあるが
――その真偽は不明である。
以上です。
読んでくださった方ありがとうございます。
ではでは。
乙〜。
GJ!
オリキャラなのに世界観壊れてない、普通に感動してしまった。
GJ。
リズ十六夜バッドのご乱心望美と先生は本当に愚かで怖いな。
でも狂気ゆえの美しさがある気がする。
エロパロ板でマジ泣きしてしもうた…
乙&GJです
GJです…むたさんの書かれる話を読むとバッドエンドに萌えてきます。
切な萌えありがとうございますた…!
何か大鏡みたいな感じ。世界観を壊さないオリキャラスゴス。
GJ(^∀^)
乙&GJ!!
読み応えがあってよかったよ〜
GJ!斬新ですね〜。楽しませてもらいました。
むたさん、GJ!!
ものすごく読み応えがありました。
ここでなかったら、長文の感想メール送りたいほどです。
気が向かれたら、ぜひぜひまた投下お願いします。
リズ十六夜記は見ていないが
おもしろく読めた。GJ
銀望美の人とむたさんGJ!バッドエンド萌え。切な萌え。
3は良い意味でネオロマらしくない所が好きだから、こういう作品が沢山読めて嬉しいなあ。バッドEDからの話も割とあるし。
おもろかたGJ!
またなんか読ませてね
むたさんGJ!まだリス十六夜END見てなかったけどバッドは知ってたので
楽しめたよ!朔…。・゚・(ノД`)・゚・。
GJ!
だが、一つだけ
>軍奉行殿は鎖骨の間にあったと聞いていますが……今は、見当たりませんよね。
玉は神子と八葉、龍神にしか見えない筈だ。
まあ細かいことは気にすんな。
考えるな、感じるんだ!
GJ!
引きこまれましたよ。
>>656 身代わりの一人称なので、このキャラはそこまで詳しく知らなかった
(一般人には見えないということを、望美が言い忘れている)
って脳内変換が可能だw
だから、もしかしたらこの時点で玉があったかもしれない。
まあ話の流れとしてはないだろうけど。
>656
しまった……orz
そういや星の一族の女の人には見えてなかったって話がありましたね。
ご指摘ありがトン。
当該の文以下3行は以下の文に脳内変換してください……。
せっかく読んでくださったのに申し訳ない。
『軍奉行殿は、先程から鎖骨の辺りを気にされているようですが……もしや、無くなっているのでは?
他のお二人はどうです? ええと、手の甲と肩、でしたか。
……ああ、やっぱりそうなんですね。
もう神子がここには居ないから、八葉の役目もなくなったという事なのでしょうね。』
遅れましたがご感想くれた方、ありがとうございました。
オリキャラ視点なのでどうかと思っていましたが、ほっとしました。
ではでは。
玉
霊力の高い者なら見えることもあるらしいよ
遙か四コマに補足で書いてあった(小テングが見えるネタだった)
何にせよ、むたさん超GJGJGJー!!
銀書きの方もGJGJ!
読めて幸せだ…!
661 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 10:01:41 ID:Fk5+V3Rr
ageとく
ピタッと止まったなー。
職人さんたちも冬祭の原稿中なのかな?
あー冬祭追い込み時期だねそういえば。
職人さんたちがんがれー
冬の祭典がどうこうというより、
ほんの数日投下がないだけで、投下がないないと言うのがな…
ええもん読めたので
しばらくそのしやわせを反芻するよ。
気長に待とうぜ
大作の後はちょっと投下しづらいいうのもありそう
職人さんは大歓迎です
お願いします
667 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 21:43:35 ID:imCSRvHo
遙か3が熱いなかコルダって需要あるかな?
しかも柚木……
何言ってんだ
コルダなんかこの前PSP発売されたばっかでまだ熱いだろ
供給が足りないから需要あるなし聞く前にまず投下ヨロ
熱いも冷めてるも黒いも白いも関係ない
いつでも大歓迎
ワクテカして待ってるよ
>>667 今月のララの柚木様イイ!(・∀・) まってまーす
672 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 00:58:08 ID:0UxQFORt
柚香まってる!職人さんおねがいします。
>>667っす。誘い受けな質問してスマソ(´・ω・`)
ではがんばって柚香書いてみます。
純愛ものガンガリます(´∀`ゞ
今月のララ遙かを見て、
もしあかねが誰かとセクースしたら、
それも八葉に伝わってしまうのだろうかとベタなことを考えた。
泰明にだけは完全に伝わりそうw
そして、一人エチーですか?w
頼久との最中で天真に伝わってたらやだな。
そこで乗り込んでいって3Pですよ
うおー妄想爆発w
3Pは虹で良くありそうな設定だが
さすがに9Pってのは見たことないな。
なんか明治のチーズよりも多いもんな。
ドキドキしただけで伝わっちゃうってちょっと困るよねw
>679
チーズてw
ワロス
>675
神子が「やだ、怖い・・・」とチラっとでも思おうなら
泰明は閨に踏み込んできそう
御簾を蹴り上げてw
ちょっと…いや、かなり面白そうww
しかしその際、相手が泰明だった場合、
手が出せなくなって悶々としてしまうんだろうか?
ぐるぐるしてしまう泰明、見てみたい…w
かなりワロタ
頼久フラグは萌えたよ…
頼久フラグは、いい!あのまま押し倒して…なんてのを想像したよ
今月号の展開をふまえるとそこに天真が乱入するわけだが
複数プレイもいいけど、日替わりで…ってのはどうよ?w
しかし、職人さん、来ないね
むたさんの後に下手なリズ神子投下出来んし。
もうちょい待ってみるテスト
>>691 結構よく見るねその展開は。
八葉からパワー注入!みたいな。
>>692 つい反射的に誘い受けは…と言おうと思ってしまったが、気持ちはわかるので却下
是非投下おながいします
みんな待ってる
>>692 そんな恐縮するほどのことでもないと思うけど…。
それじゃあ逆説的に言えば、それじゃむたさんのせいで投下が止まった、
むたさんが投下したせいで他の人が投下できない状況になったと
言えないこともないわけで…。
まあ、投下のタイミングがたまたま止まっただけだと思うけど、
そういうこと言わないほうがいいと思う。
…おいモロにいうなよ
おまいさんのが酷いよ
コテ付けるとこれだからな・・・
終了〜
次の投下まっとります↓
待っててくれ
今書いてる。超ガンガッテル
ガンガッテ
超待ってる
>693
野ブタ。を思い出した漏れちゃん… orz
職人さんガンガレ。超ガンガレ。
9Pマダー?
つかどうやるのさ?1:8だぞ…半分女ならまだしも
一辺に全部お相手出来なくてもその場にいてとっかえひっかえやれば9Pになるし
一人だと四人が限度だから、残りは裸でお待ちかね
裸で正座して待ってる八葉を想像してしまった
>一人だと四人が限度だから
なるほど。確かに体力的にきついかな。勉強になったw
あかね大変だな…。
詩紋と永泉以外はエチーの時
タフで絶倫ってイメージがある。
あかねは一回でぐったりしてそう。
上記二人はテクニシャンなイメージがあるから
どっちにしろあかね乙w
攻略対象という意味なら、あかねは3人、
花梨と望美は4人がそれぞれ八葉にプラスされるわけだが
>>707 アクラムとイノリが仲良くあかねに挑んでる姿は想像できません。
>>706 無駄に体力ありそうなメンツばっかだもんね。
昔四神ペアとの3P話読んだことあるけど、
青龍組は二人揃ってアレだから一番大変そうだったw
しかし番体力勝負なら文系まで体育系になっちゃった3か?
望美に体力ついても、周囲のメンツがアレだからなぁ。
むたさん、皆さん
大変申し訳ありませんでした。
リズ神子、投下します。
以下、注意文
・逆ハー、総受け気味
・レイプ描写あり
・八葉不憫どころかヒドスな展開で、後味悪い
駄目な方はNGワードでお願いします。
あと、ちょっと長く、作品の間があくかもしれません。
「政子さんが、私を?」
「はい、是非お話がしたいと。」
使いの人がきっぱりとそう告げた。どうやら、今来てもらいたいとの事らしい。
誰かと一緒に──とも思ったが、九郎と弁慶・景時は仕事。譲は弓の修行。
朔と白龍は買い出し。将臣とヒノエ・先生は用事があると言って出かけていた。
敦盛も外出したのか、姿が見当たらない。
「…一人で行くしかないか。」
九郎さんのお兄さんだし、モタモタして心象悪くしたら立場もまずくなるだろうし。
そう考え、気乗りはしなかったがそのまま大倉御所へと向かった。
「望美が大倉御所に?俺は、そんな話聞いてないぞ?」
夕方、仕事から戻った九郎は先に戻っていた朔たちから話を聞き、顔をしかめた。
「急に使いの人が来たみたいなの。それで、私たちが皆出かけてていなかったから
望美一人で行ったって…。」
「た、単に個人的な話じゃないかな〜?ほら、同じ女性同士だし、何かと話も合うと
思ったんじゃない?」
「それだったら、何故先輩一人呼び出すんですか?どう考えてもおかしいですよ。」
「…我々も向かおう。」
リズヴァーンの提案に九郎と讓に弁慶、白龍が頷く。
「…私はここで待っています。元とはいえ、私は平家の者。
下手をすれば、神子に迷惑がかかる。」
「そうだね〜。お、オレも残るよ。何かあった時は式神で連絡つけられるし。」
「…俺も行くぜ。」
「将臣殿!?し、しかし…。」
「わかってるって、敦盛。あくまで望美の無事の確認だ。
それを確かめたら、すぐに戻ってくるさ。。」
笑って、軽く敦盛の頭を叩く。
「……ならば、私も共に行きます。」
「ああ。」
「早く行こう!神子の周りに何か…とても嫌なものを感じる。」
白龍は不安げに朔の袖を引っ張った。
「そうね。」
「では、急ぎましょう。望美さんが無事であってくれれば良いのですが…。」
「何を言ってる。兄上の所で、そのような事があるわけないだろう。
それよりも、あいつが何かしでかしてないかどうかが心配だ。」
「そうですね…。」
弁慶が景時をちらりと見ると、彼はすぐに目を反らした。
鎌倉殿が絡んでいるのは間違いない。とすると──。
弁慶はふと、以前呼び出され、薬を作ってくれと頼まれた事を思い出した。
断る訳にもいかなかったし、妻が使うと言うので大した疑問にも思わず承知して、
ついこの間届けたのだが。
まさか、あれはそのために──?
「何をぼさっとしている!?行くぞ、弁慶。」
「え、ええ。そうですね。」
弁慶は心の内で望美の名を呼び、無事であるように願った。
門番の人に呼び出された事を告げ、案内された場所は薄暗い部屋だった。
「どうか、こちらでお待ち下さい。」
案内を終えた男は望美一人残し、去って行った。
少しして、お茶が運ばれ、もう少し待つよう言われ、また一人きり。
「まだかなあ…?」
こんなことなら、せめて朔の帰りを待つんだったと思いつつ、お茶を飲む。
それから、政子が来るまで少しの時間が経った。
「ごめんなさい、待たせてしまったかしら?」
「あ、いいえ。そんなでもないですよ。」
「そう、それだったら良いのだけれど。」
「あの、それで話って…?」
「そんなに堅くなる必要はございませんわ。今日は、ごく個人的な話をしたくて来て
もらったんですから。女同士にしか出来ぬ話も…あるでしょう?」
ふふ、と顔は笑ってはいるが、どうもこの人は好きになれない。
前の福原の時だってこの人は笑いながら奇襲をかけろと言っていたのだから。
「はあ…。」
「時に、あなた。…心に想う人はいらっしゃるの?」
「えっ!?」
思わぬ問いかけに顔が熱くなるのを感じた。
「まあ、いらっしゃるのね。それはいつもあなたの側にいる殿方ですの?」
「は…いえ、まあ…ところで、このお部屋、暑くないですか?」
「そう?わたくしはちょうど良いけれど。…熱でもあるのではありません?」
手を額に当てると、それはヒヤリと冷たくて。
「やっぱり。今日はここでお休みになった方がいいわ。景時の所にはお伝えして
おきましょう。」
「すみません…。」
「謝らないで。わたくし、いつも鎌倉殿のために力を尽しているあなたに、とても
感謝しているのですから。」
「はあ…。」
グラリと景色が歪む。政子様の顔までも醜く歪んで見えるのはこの熱のせいだろうか?
吐き出す息までもが、熱くなる感じ。意識が朦朧としてくる。
なん、か…へん…だよ…。せん、せ…。
「大丈夫ですか?龍神の神子殿。」
倒れそうになる体を後ろから支えられた。
いつの間に入ってきたのか、支えてくれた人以外にも、二人ほどの兵が控えている。
「…あ、ありがとう…。」
「さあ、こちらへ…。」
にやにや笑いを浮かべつつ、ねっとりと汗ばんだ手で掴まれて、
どこか気持ち悪さすら感じる。
隣の部屋には既に寝具が用意されていた。いやに用意がいいなと思いつつ、
兵士にもう大丈夫だから、と退出を促す。
「いえいえ。お着替えも手伝いましょうぞ。」
と笑いを消さず襟に手をかける。
「何するんですか!」
ピシャリと手を叩こうとするが、もう一人に手首を掴まれ、阻まれる。
払いのけようとしても、力が入らない。
両手を掴まれたまま、床に押し倒される。逃れようとしても、足も押さえられて、自由がきかない。
着物を無理やり脱がされ、白い肌が露になる。
「やめ…っ!」
「いいですねぇ、龍神の神子様のだと思うと、なおさらですなあ。」
「くっ…!」
唇同士が触れるギリギリの所でそれに噛みついた。
「…っ!」
「大人しくなんてしてやらない。…トコトン抵抗してやる…っ!」
「これは怖い。でも下の方は…どうですかな?」
そう言って男は陰部をゆっくりとなぞる。
「やっ…!」
「おや、濡れている…感じられているのですか?淫らな神子様だ。」
「そんなわけ…。」
「嘘はいけませんぞ…ほら。」
指を一本入れて、小刻みに震わせる。
「いや…あっ…!」
体がやけに熱い。男から受けている刺激に興奮を覚えている事を認めたくなくて、首を振る。
「音が聞こえますか、神子様?いやらしい音が鳴ってますぞ?」
と指を動かす度に水の音も増す。
体だけでなく、息すらも熱い。自分が自分でなくなっていくようだ。
大丈夫だと思ったのか二本目の指がゆるゆると侵入してきた。
「ああっ…!」
「いいですなあ、こちらのお口は噛みつく事なく受け入れて下さる。
何より神子様の御慈悲を感じます。」
抜き挿しを繰り返していき、水音も大きくなっていく。
「やぁ…っ。やめ…て…。」
「そんな事言って。腰を振っているのは欲しいからではありませんか?」
「…んっ…。」
指が抜かれ、布越しに膨らんだ男を軽くあてがわれる。
「これが…欲しいのでしょう?」
ぐいぐいと強くその部分を強調するかのように押し付ける。
「…くっ…。」
「ほら…。」
男が布を取り、性器を出した。
もう、だめ…。
意識が遠のいていく中、どこからか男の低めな笑い声が聞こえてきた気がした。
「さわら…ないで…」
「これが九郎の言っていた白龍の神子か。淫らに乱れる様…見せてもらおう。」
九郎は薄暗い部屋で目が覚めた。頭を振って、今までの事を思いかえす。
「確か、兄上にお会いして、望美の事を聞こうとして…。」
「あ…。」
声のする方を見ると、そこには自分と同じく横たわっている望美がいた。
「望美!?一体今まで何やって…って何だ、その格好は!」
望美は着物がはだけていて、素肌が露になっていた。その姿はどこか色めいて。
九郎は顔を赤らめ、背中を向ける。
「政子さんとお話してたの。心配かけてごめんなさい。」
「い、いや…何もなければいいんだ。…それでどういう話をしていたんだ?」
「好きな人はいるのか…って…。」
「そ、そうか。」
「私、その時…あなたの顔を思い浮かべました。」
「なっ…何を言ってるんだ!?お前が好きなのは…っ!?まだ着てなかったのか!」思わぬ台詞に望美の方を振り向き、また背中を向ける。
「どなたと勘違いなさっているかはわかりませんが、私が好きなのはあなたです。」
「本気…なのか?」
「嘘や冗談に聞こえますか?ならば…。」
望美は九郎の前に来ると笑顔を浮かべて、唇を重ねる。
「なっ…!?」
九郎は思わず後退する。
「私が嫌い、ですか?」
後退した分だけ迫り、顔を覗きこんだ。着物から見える胸がふさふさと揺れる。
「そっ、そんな事はないが…。」
ふと師の顔がちらついて、目をそらしてしまう。
「好きな方がいる…とか?」
顔を反らした九郎の顔を再び自分に向き直させる。
「い、いや…。」
「女として意識できませんか?」
襟から手を入れ、胸板をなで回す。
「…っ!そういうわけでも…ない。」
まさぐる手をのけようと望美の手首を掴んだものの、力が入らない。
「好きです…大好き…。」
再び唇を重ね、腕を首に絡めた。二人の体がぴったりと密着する。
望美から漂う香りが、柔らかな唇が、胸板に当たる心地良い感触が考える力を失わせていく。
「望美…っ!!」
どこかで糸が切れたのを感じた九郎は、望美を抱きしめ、床に寝かせた。
すみません、先生──っ!!俺はもう…っ!
最初は強情な女だと思っていた。大人しくしていろと言っても聞かないし、何かと言うと
喧嘩ばかりしていた。
女人で今まで剣を持った事もないのに、戦うと言う。ついには花断ちまで身につけて。
何故そんな事までするのかわからなくて、聞いてみたら
どこか遠い目で
「守りたいから、かな。」「…守りたい?」
「誰かが私のために犠牲になるのは…いやなの。だから、私…強くなって守れる力を得たい。」
今にも泣き出しそうな目で正面をまっすぐ見つめる。それを見た時、
俺の中で何かが変わった気がした。目が離せなくなっていた。
その後、朔殿と讓の話で望美が先生に好意を抱いている事。
そして、先生もまた同様に彼女を見つめている事を知った。
そう言われてから二人を見てみると、なる程と頷ける。
同じ弟子である自分とも、他の仲間とも明らかに違う視線。
叶わぬ想いだと思っていた。尊敬する師ならば安心して任せられる、と諦めていた。
それが単に勘違いで、自分を好きだと言ってくれている。
夢ではないのかとすら思う。いや、こんな甘美な夢ならばむしろ、覚めて欲しくはない。
先生には申し訳ないとも思う。けれど、この温もりを手放したくはない。
「望美…。」
想像以上に熟れた唇を十分に貪り、首に。そしてふくよかな胸へ。
「んぅ…。」
左の乳房を揉み、右の乳房に吸い付く。
しばらくその感触を味わってからそそり立った男根を望美の中へ入れた。
「ああっ…!!」
初めて受け入れたのだろう。九郎を痛い程に締め付ける。
射精しそうになるのを必死で押さえ、腰を動かし始める。
「大丈夫か…?」
「は、はい…いい、すご…んっ!」
動きが早急になってゆく。擦れる刺激が互いを高みへと昇りつめ──果てていった。
「望美…。」
「…せん、せ……。」
くたん、と互いを抱きしめたまま幸せそうに眠る二人。
「まあ、幸せそう。」
「九郎を頼む。」
「はい…うふふ。」
にたりと笑うと、九郎と共に忽然と消えた。
大倉御所まで来たのは良いものの、九郎しか中に通してはくれず、
その九郎もいくら待てども出てくる気配が一向になかった。
「先輩と一緒なんだろうか?」
「だったらいいけどな。」
将臣はぎり、と爪を噛む。あの頼朝の事だ。どんな企みがあるか知れない。
「…!?神子!!」
急に白龍が体を強ばらせ、御所の方へ顔を向けた。
「どうした?」
「神子が…助けを求めてる…。悲鳴が、聞こえた。」
「何だと!?」
「…もう、一刻の猶予もなさそうですね…忍び込みますか。」
弁慶はそういうと門番に何事か告げ離れていく。
将臣たちは焦って後を追いかけた。
「お、おい!忍び込むって…。」
「容易に入れてくれないだろうとは思ってましたので、準備してあるんですよ。」
そう言って、弁慶は縄を取り出した。
「リズ先生、この縄を持って塀の向こうへ飛び越えて頂けますか?
僕たちはその縄を登って、潜入しますから。」
「わかった。」
中への潜入は成功したものの、少しばかり進んだ所で、警備の兵に見つかってしまった。
「誰だっ!?」
「ちっ…遊んでるヒマなんかねーっつーのに。」
「ここは、私が食い止めよう。」
リズヴァーンが剣を抜き、皆の前に進む。
「リズ先生!?」
「早く、神子を。」
「わかった。ここは頼むぜ、望美は必ず助け出してみせる。」
「ああ。」
固まっていてはまた先程のように見つかりやすいからと言う弁慶の提案で、
それぞればらばらになって捜す事となった。
敦盛は兵に見つからぬよう、探索を急ぐ。
その内、白龍が望美に呼び掛ける声が聞こえてきた。
見つかったのかと思い、声がした方向へ向かう。
奥に進むと、薄暗い部屋に横たわる望美がいた。
「神子…っ!」
無事だったかと安堵して駆け寄ろうとした時、彼女が決して無事ではない事を
露わになった肌から思い知らされた。
しかも白龍は望美の太股を舐めようとしているではないか。
「白龍っ…!止めてくれ…!!」
敦盛は必死の思いで止める。もしも今望美が目覚めれば、と思うと空恐ろしい。
「どうして?だって、神子…怪我してる。治療しないと。」
「怪我?どこだ?」
「ほら、ここ…白い水に混じってうっすらとだけど、血が流れてる。」
白龍が指差した先を見て、敦盛は衝撃を受けた。
先程の姿でもしや…とは思っていたがはっきり証しまで見せられると気分すら悪くなる。
増してや相手は尊く清廉な気を持った白龍の神子。あの綺麗な体を男のいいように
もて遊ばれたのだと思うと、視線を向ける事は出来そうにもなかった。
「…白龍。これは…怪我ではない。」
「そうなのか?」
「ああ…。」
「そうか、良かった。」
「……。」
白龍は心からそう思っているのだろう。
だが、望美は一生癒せぬかもしれぬ傷を負わされた。体の傷ならば時が経てば癒えようが、
心は──。
(私は癒す術を、知らない)
「白龍…に敦盛君ですか?。」
廊下の曲がり角から、弁慶が姿を表した。
「…彼女を…診てやってくれ。」
「…?何処か怪我でもしてるのですか?」
「そういう訳では…ないが。…神子が目覚めた時…。」
「…?」
敦盛の顔に翳りがさした気がした。
「…よろしく頼む。私たちは兵が来ないか見張っているから。」
「見張りの兵が見当たりませんが?」
「私が来た時には神子しかいなかったよ?」
「そうですか…。」
敦盛たちが見張りに立ったのを確認し、部屋に入る。
望美は裸体のまま寝かせられていた。
太股の間からどろりと流れているものが痛々しい事実を顕している。
「…手遅れ、だったんですね。」
敦盛が退席したのも頷ける。先程の『目が醒めた時、よろしく』と言ったのは、何と
言っていいかわからないからだろう。
弁慶は被っていた外套で望美の体をくるむ。
「…申し訳ありません。」
自分をいくら憎んでくれても構わない。だが、そうしても彼女が犠牲になってしまった
事実は、消えない。
やりきれなさと、罪悪感に苛まれ、思わずギュッと彼女の体を抱きしめた。
とりあえず、早くここから逃がさなければ、またいつ兵が来るかわからない。
弁慶は、望美を抱き上
「白龍…に敦盛君ですか?。」
廊下の曲がり角から、弁慶が姿を表した。
「…彼女を…診てやってくれ。」
「…?何処か怪我でもしてるのですか?」
「そういう訳では…ないが。…神子が目覚めた時…。」
「…?」
敦盛の顔に翳りがさした気がした。
「…よろしく頼む。私たちは兵が来ないか見張っているから。」
「見張りの兵が見当たりませんが?」
「私が来た時には神子しかいなかったよ?」
「そうですか…。」
敦盛たちが見張りに立ったのを確認し、部屋に入る。
望美は裸体のまま寝かせられていた。
太股の間からどろりと流れているものが痛々しい事実を顕している。
「…手遅れ、だったんですね。」
敦盛が退席したのも頷ける。先程の『目が醒めた時、よろしく』と言ったのは、何と
言っていいかわからないからだろう。
弁慶は被っていた外套で望美の体をくるむ。
「…申し訳ありません。」
自分をいくら憎んでくれても構わない。だが、そうしても彼女が犠牲になってしまった
事実は、消えない。
やりきれなさと、罪悪感に苛まれ、思わずギュッと彼女の体を抱きしめた。
とりあえず、早くここから逃がさなければ、またいつ兵が来るかわからない。
弁慶は、望美を抱き上げた。
「せん、せい…。」
気がついたのか、薄く目を開けこちらを向く。
「申し訳ありません。僕で…。」
「助けに来てくれたんですね、先生…。」
「!?」
虚ろな目でこちらを見ている。
様子がおかしい。
顔はしっかりこちらを向いているのに、その瞳はどこか狂気にも似た光を映し出して。
それは誰が見ても正気には見えなかった。
「幻覚、ですね…。」
確か、あの薬には時間が経つと幻覚が見える兆しが見える時がある。
いつも誰にでも、というわけでもないのだが。
「僕は…リズ先生に見えているというわけですか。」
「…先生?」
「ならば、せめて見せてあげましょう。…愛しい人の腕に抱かれる夢を。」
弁慶は障子を閉め、望美を降ろす。
結構な時間が経っているというのに、兵が誰一人として来る気配がない。
他の所に人員を割いているのだろうか。
それとも何か罠が──?
ここに見張りも立てず、神子をそのままにしておくというのも変だ。
もう少し様子を見た方がいいかもしれない。
「先生…?」
「…どうした?」
神子の頬にそっと手を当てる。
「助けに来てくれたんですね、嬉しい…。」
唇を軽くついばみながら、望美はそのまま、背中へと手を回した。
「ああ、体は…何とも、ないか。」
望美の肩がビクンと揺れる。
「…ごめんなさい、私…兵の人たちに無理やり…っ。」
「謝らなくて、良い。」
「ごめん、なさ…。」
最後の言葉を口づけで塞ぐ。
君は何も悪くないと心の中で呟いて。
薬を作りあげたのは自分。罪は寧ろ自分自身にあるのだから。
舌を侵入させてみると、初めてなのか最初ビクッと体を
強張らせはしたが、その後はさせるがままで、拒絶の意思は見せなかった。
「ん…。」
しばらく舌を絡ませ、名残り惜しく思いながら離すと、その未練が糸となり、唇を繋ぐ。
首筋に痕が付けられていないのを確認して、着物を脱ぎつつ桃色に染まる尖端を軽く食む。
「んぁっ…。」
舌でコロコロ転がすと、次第にそれはぴんと立っていく。
「感度がいい。」
「先生だから…です。」
クスッと笑って続きをせがむ。
薬の効果なのか、いやに今日の望美は積極的だ。
いつもならば、耳元で囁いただけで赤くなるというのに。
「それも…悪くないですがね。」
舌舌は胸から腹、そして内股を緩やかに這っていく。
内股を吸いあげながらも、股の間に流れるものを布で拭く。
「…先生?…あんっ!」
何をしているのか覗きこもうとするのを中に指を入れて制する。
「ひゃ…あっ!」
「…ここがいいのか?」
「んっ…いい、です…。」
指の動きに翻弄される望美の顔を見ながら、自分の中心に手を伸ばす。
手を上下に動かしながら、望美の敏感なところを容赦なく責めたてる。
「あああっ!…そんなに責められたらっ…っちゃう…!!」
「まだ、だ。」
指を抜き、滴る液体をぺろりと舐める。
「せん…せ?」
「まだ、早い。いくなら共に。」
「…はい。」
己の手で大きくしたそれを望美の中へと入れていく。
自分とは違う白い液体が内股に滴るのを感じて、不快感を感じた。
それを布で拭いあげ、床へ叩きつける。
「…せんせ?」
「何でもない。」
望美に笑顔を向けて、腰を動かす。
「あ…っ!はあ…ん。」
普段では聞けぬ艶めいた声が余計に欲情をそそる。
求める動きが性急になり、絶頂が近いのを感じた弁慶はさらに動きを早める。
望美が高い声を上げた所で、弁慶は自身を抜き、布の上へと解き放つ。
「…あなたは、綺麗ですよ。どのような事があっても、
あなたは無垢で…可愛らしい。」
弁慶は、望美をそっと抱きしめた。
「望美っ!?」
将臣の声と同時に障子が開けられる。
「…に弁慶…か?…何…やってんだ?」
将臣の声色が段々怒りの混じったものに変わっていく。
「…見つけた時には既に事は終わっていたようなので、せめて慰めになれば、と。」
将臣の顔が苦渋に満ちる。剣を握る手も震えていた。
「…そっか。」
声だけが、穏やかなものになる。どこか無理している感はあるが。
「…だが、それはもっと適任がいるんじゃねぇか?」
「大丈夫ですよ。」
「?」
「彼女は薬を飲まされていて、幻を見てるんですよ…愛しい人のね。」
弁慶は、望美に近付くと耳元で囁く。
「神子」
「先生…?」
「そうだ。」
「良かっ…た…。」
すっかり安心しきったように笑って、指で弁慶の髪をすく。
「安心しなさい。私は常にお前の側にいる。」
「はい、先生。」
「…ね?」
弁慶は、将臣の方を振り向き、にっこりと笑った。
「…なるほどな。」
「やってみますか?」
なんて事を言いながら、涼しい顔で後処理を済ましていく弁慶。
頼朝並に油断ならない人物だと思う。望美にどうこうしたりはしないとは信じられるが。
「…そうだな。」
「僕は辺りを見回って九郎を捜してきます。」
「ああ。」
将臣は鎧を脱ぎ望美に背中を向かせると、つつ、と背骨や脇腹の辺りを幾度にも渡って
舐めあげる。
その度に聞こえる声は将臣の雄を刺激して。
「望美…。」
熱を持ったそれは望美の潤った部分へと難なく入っていく。
「せ…。」
想い人の名を呼び掛ける口を二本の指で邪魔をする。
(今お前を抱いてるのは、俺だ…先生じゃねぇ。)
矛盾していると思う。
望美が先生だと思っているから抱けるのだとわかっているのに、
将臣と望んでこの腕の中にいるんだと──思いたい。…有り得ないとはわかっていても。
「動くぞ。」
緩やかに挿入を繰り返す。
「んっ!」
「…どうだ?」
指を一旦出し、顔を近づける。
「いい…もち、…よぉ。」
「聞こえない。」
動きを止める。
望美が何をして欲しがっているのをわかっていて、わざとそうしているのだ。
「やっ、あん…め、ないで…。」
動き始める腰を手で抑える。
「続けて欲しいんだったら、もっと大きく聞こえるように言う事だ。」
「意地悪…。気持ち、いい…すごく…あっ!」
奥へ一突きすると、ビクンと体を震わせる。
ずっと妹のように頼りなく思っていた幼馴染みが、自分の腕の中で女になる──。
どこか少し満たされた感じは、征服欲だろうか。
望美がはっきり女なのだと意識したのは中学の頃だったか。部屋に入ったら
着替え中だったって言う漫画でよくあるお約束なパターンだったのだけれど。
その夜は思わず自慰行為に走った。その時はエロ本も普通に見ていたし、単なるオトコの
本能だと思っていた。
それが違うと認識したのはこっちの京に来て、誘われるままに女を抱いた時。
達する直前、ふっと望美の顔が浮かんで。
行為もそれ一度きりで。
相手も遊びと割りきっていたし、それきり会ってない。
顔も名前も忘れたから、出てきてこられても困るわけだが。
抱きたいのはあいつだけなんだと離れてから気がつくなんて。
しかも、ようやく再会した時には既に他のヤツに取られちまったなんて…笑えねぇよ。
お前、知らないだろ。
どれくらい名前を呼んできたか。
想像でヌいてきたか。
いいだろ、別に。
俺がこうしてキスしても、嫌がらない。望美はリズ先生としてるんだ。
甘い夢を見てる…そう思ったらいいだけの事だ。今夜のみ、一夜限り。
もう、体なんてとっくにゲス野郎共に汚されているのだから。
将臣は再び指を口に入れ、挿入を繰り返す。
「んっ…ふ…っ。」
「…のぞ、みっ…!」
そうしていくうちに、それが激しいものへと変わっていき。
口に入れていた指を外し、両手を腕でがっしりと捕えた。
望美の最奥を将臣自身で突いていく。己の想いをぶつけるかの如く。強く、深く。
「やあ…ダメッ…!あああああっ!!!」
望美の悲鳴が、果てを告げ。
「…ぅっ、…ぞみっ!!」
急に中心を締め付けられて、将臣もまた果てた。
「先輩!!…兄さん。」
「…讓。」
讓は目の前にある光景が信じられなかった。
自分の兄と自分が何より愛しい少女が睦み合っているのだから。
しかも、二人がそういう仲ならまだいいのだが、彼女の想い人が別にいる事を知っていた。
「…何を…してるんだ?」「見たまんまだ。」
将臣はいつもと変わらずひょうひょうと言う。汗かいて気持ち悪いとまで言ってのける。
譲はカッとなって思わず顔を殴りつけた。
抵抗も避ける事もしなかった将臣の体が部屋の奥へとふっ飛んでいく。
「…ってぇ…。」
「何考えてるんだよ!こんな事して!!…自分が何したか、わかってるのか!?」
「わかってるさ。」
「…どうしたの、先生?」
横たわっていた望美が起き上がり、将臣の顔を覗き込む。
「何でもない。」
将臣は頭を撫で、横になるよう促した。
望美は笑って頷き、将臣の側で横たわる。
「…先輩!?」
「…こういう事だ。」
「正気じゃないな…何があったんだ?」
「頼朝に飲まされた薬でこうなっちまったみてぇだ。幻覚が見えるんだってよ。」
「幻覚…。」
「だから、当然抱かれてもリズ先生に抱かれたとしか思わねぇ。
…例えそれが頼朝とかその部下だとしてもな。」
「…まさか…。」
「多分だがそれが狙いだろうよ。どこの誰がヤッたのかは知らねぇがこいつはもう…。」
「そんな…くそっ!!」
彼女は源氏に協力してきたというのに、こんな仕打ちを受けるなんて。
望美を見ると、恍惚とした顔で将臣に寄りかかっている。
「…だからと言って、先輩を好きにしていいって言う事にはならないぞ。」
「望美の心はもう手に入らない。…なら、せめて体だけでも…と思うぐらい…いいだろ。」
間違っている、と心の中で思いつつ、それを口に出す事は出来なかった。
望美に目をやると、そこではまだ薬が効いているのか、
艶めいた顔で呼吸を繰り返している。
まさしく、それは男を誘う顔で──。
「チャンスは一度きりだ。これを逃したら、もう体を抱く事すら出来ねぇんだぞ?」
将臣に肩を叩かれ、譲はおぼつかない足取りで望美の元へ歩いていった。
熱い頬にそっと触る。
「…先生?」
ずっと小さな頃から好きで好きでたまらなかった。
よく好きな人が夢の中で告白すると言うけれど、讓はそんな夢すら見た事なかった。
夢の中ですら望美は手を振りつつ、手の届かない所へ行ってしまう──。
けれど、今はそばにいる。
「…目を、閉じていなさい。」
真っ直ぐ見る視線が痛くて、低い声でそう呟いた。
「はい、先生。」
声などまるきり似てないだろうに。それでも完全に自分を
リズ先生だと信じきっている。今ならば拒絶される事もなく、抱ける。
譲は、着物を脱ぎ彼女に覆い被さった。
彼女の柔らかな唇に躊躇いがちに触れると、何の抵抗もなく首に腕を絡めてくる。
ヌルリとした感触が入ってきて、ゆっくりと侵す。
唇から首へ移動してゆく。紅い印はつけないよう、舌で首筋を這わし。
片方の手で、やんわりと頂きを揉みほぐし、手の平でコリコリと突起の部分を刺激する。
止めろ。今ならまだ間に合う、と頭のどこかで声がする。
最後まで行ってしまったら、もう二度と彼女の瞳を真っ直ぐ見れない。
「あっ…。」
揉んでいる手に力が入ってしまったのか、眉をしかめる。
「すっ、…痛かったか?」
「ううん、いい…気持ちいい、よぉ…先生ぇ…。」
先生。
幾度も口にするのは、望美が欲する人の名前。
彼女が抱かれているのは、あくまでも先生で…讓ではない。
どす黒い靄が胸の中へ広がっていく。
「入れるぞ。」
「うん、先生…。」
もう、止めろと言う声は聞こえなくなった。
熱を持った己自身を潤っている部分へと挿入させる。
あっさりと侵入を許すそれは、その前に男を受け入れた証しで。
初めての彼女の中は熱く、柔らかくて。ヒクヒクとうねり譲自身を締め付ける。
「…愛し、てる。」
「私も。先生を世界、の…ん…誰より、愛、してる。」
背中に手を回し、愛の言葉を紡ぐ。自分に対してではない、他の男に対して。
譲はぎゅっと掌を握りしめた。熱いものが目から溢れてくる。
「…どうして泣いてるの?」
「…何でも、ない。」
「嘘。先生、泣いてるよ。何があったのかわからないけど…悲しまないで。
私が、ずっと側にいるから…ね?」
空虚な光を宿らせて、こちらを見る。
いや─見ているのはもっと遠い場所。
(先輩…っ!)
涙を手の甲で拭い、再び行為を繰り返す。幾度も、幾度も激しく。
「あんっ…はあ…っんっ…ああっ…。」
「くっ…!」
譲は達しそうになるのを感じ、自身を望美の中から抜いた。
途端に、白い液体が望美の腹の上へ放たれる。
己の荒い息遣いさえも讓にはやけに遠く感じられた。
体中に流れる汗を感じつつ、手拭いで彼女の体を丁寧に拭う。
「先生…。」
「…もう、寝なさい。」
こちらを向こうとする顔をそっと押さえ、目を閉じらせる。
「はい、先生…。」
望美はそのまま安らかな寝息をたてはじめた。
譲は、服を来て部屋から出る。
もう、彼女の口から自分ではない名前を聞きたくなかったからなのか、
それとも心が向いてない事を承知の上で彼女を欲求のはけ口にした後ろめたさか。
いずれにしろ、彼女を知ってしまった以上、もう顔を合わす事は出来ない。
この怨霊にも似た禍禍しい欲望が、何時また彼女を求めるかわかったものではない。
もしも、正気なままで彼女を無理矢理抱いてしまったら──。
彼女は拒絶するだろう。やめて讓くん、と脅えた目でこちらを見て。
力に任せて押し倒したら、泣き叫んで先生の名を呼ぶだろう。
俺は嫉妬のあまり先輩を口づけで黙らせて、姦する。
そこまで想像して、俺は自分の頭を殴る。
そうなるぐらいなら、以前見た夢のように死んだ方がマシだ。
部屋を出た所で、将臣に遭遇した。
「どうだ、気分は?」
「最悪だ。」
それだけ言って、顔も見ず横をそのまま通り過ぎていった。
将臣は溜め息をつき、彼女の想い人の方へ向かった。
「リズ先生、もう追手は大丈夫か?」
来てみると、そこには二十数名の兵が寝かされていた。
汗を特にかいた様子もなく、平然と剣を収める。
「ああ…神子は?」
「俺たちが駆け付けた時には…もう手遅れだった。」
「殺されたのか!?」
腕を強い力で掴んでくる。
ぎりぎりと締め付けて、骨が折れるんじゃないかと思うぐらいだった。
「いって…っ!リズ先生、落ち着けって!望美は生きてるから!」
「そ、そうか…済まぬ。」
慌てたように、腕をぱっと離す。
腕がじんじん痛む。多分、軽く痣くらい出来ているだろう。
この人がここまで動揺するなんて、初めて見た。
「あいつらが狙っていたのは命じゃない。…カラダだったんだ。」
「…そうか。」
リズヴァーンは眉間に深い皺を刻みつけ、拳を握り締めた。
以前に神子を守るのは八葉の義務だと言っていたのを聞いた事がある。
しかし、それだけの理由でないだろう。
望美を心から想っている事は誰の目にも明らかだ。
「あいつ…薬でおかしくなってる。行ってやってくれよ、リズ先生。」
「わかった。」
それだけ告げるといつもと同じように姿を消した。
「俺も最低、だな…。」
自嘲気味に笑い、呟く。
だが、何も知らないままで幸せならばそれで良いとも思う。
犯されたのは間違いではないのだから。ただ、その中に自分も含むだけの話で。
将臣が仰いだ空には満月が浮かんでいた。
「ごめん、な…。」
すっかり暗くなった部屋で望美が横になっていた。
ぐったりとしているのはいいだけ遊ばれた結果なのだろうか。
「……神子。」
近づくと、望美の体を弁慶の外套でくるんでいるのが見えた。
彼もここに来ていたのなら、何故助けもせず一人にしておくのだろうか?
疑問は残るが、とりあえずは望美を助け出す方が先決だ。
リズヴァーンは、望美を抱き上げた。
。彼女は顔を向け、手を伸ばす。
「起きたか。しっかり捕まっていなさい。すぐ邸に戻る。」
話を聞いていないのか、返事もせずに髪を掻き上げ、耳にかける。
「…神子?一体どうし──!?」
リズヴァーンは体を硬直させた。
望美が耳たぶを軽く食んだのだ。
「なっ、何を…?」
「私を…抱いて。」
囁き、息を吹きかける。
「!?」
「体が…熱いの。お願い、先生…。」
ふと、先程の将臣の言葉を思い出す。おかしくなった、とはこういう事だったのか。
弁慶がいないのも頷ける。
「…厄介なのを任されたな…。」
これが他の人なら、やりたいようにさせておくのだが、相手は何より愛おしい望美。
いくら年月を重ねても、彼とて男。それなりに欲もあり、体も反応する。
とはいえ、このままここにいるわけにもいかず。
(忍耐…忍耐だ…)
望美が執拗に誘うので力も思うように使えず、歩いて帰る羽目になったのである。
「ん…。」
頭や顔を撫でる大きな手を感じ、目を開けた。
朝の光が辺りに広がり、鳥の声が聞こえる。
「目が覚めたか。」
「先生?」
すぐ側に先生がいた。
「よく眠っていたようだな。」
「私、一体…。」
そう言いかけて、互いの姿に気づき、顔を赤らめた。
「せ、先生っ!?」
「身体は何ともないか?」
「は、はい…大丈夫、です。」
「ならば良い。」
「あの…昨日の事、まったく覚えてないんですが…。」
「そうか。」
どこかほっとしたように、目を細めた。
「昨日、何があったんでしょう…?」
「…答えられない。」
有無を言わさぬ答えに、望美はそれ以上問われるはずもなく。
「先生…。」
「他に質問は?」
「…じゃあ、せめてどうしてこんな姿でいるのかくらいは答えてくれます?」
「着物が見当たらなかった。」
「……は?」
「気を失っていたお前を連れ帰ったのは良いが時間も遅く、朔も休んでしまっていた。
汚れた着物のままで寝かせる訳にもいかなかったから、脱がせた。」
「…先生までが裸になって側にいるのはどうして?」
「そのままでは寒いだろうと思い、人肌で温めようとしたまで。」
望美は頭を抱えた。
「…もういいです。十分わかりました…。」
「そうか。」
「でも、気を失ってたって本当何してたんだろ…思い出せない。」
「…ままでいい。」
「え?今、なんて言ったんですか?聞こえなくて…。」
「…何でもない。」
「…?」
──知らないままでいい。
何も、知らないままで。
「あ、ちょっとお水飲んできます。なんか、いっぱい汗かいちゃったみたいで喉が…。」
「水なら、ここにある。」
起き上がろうとするのを手で制し、側に置いてあった器を手に取る。
「あ、ありが…!?」
リズヴァーンは水を口に含むと、望美を引き寄せ唇に触れた。
口の中に、ほんの少し温くなった水が渇いた喉を潤す。
入りそこねたのが口端から首すじをつう、と一筋通っていった。
「ん…。」
水より温かいものがゆっくりと口の中をなぞっていく。
いきなりの事で戸惑いながらも彼に応えようと舌を絡ませる。
もう少し味わおうとしたところで、あっさりと彼の方から離れてしまう。
「…先生?」
「神子。汗をかいたと言っていたが、気持ち悪くはないか?」
「あ…そうかも。お風呂、入って…ってお湯沸いてないか。」
「湯殿ならば、朔が用意してくれている。」
「え、そうなんですか?じゃあ…。」
「私も行こう。」
男風呂とか別れていたっけ?なんて事を思いながら湯殿に着くと、彼もまた後ろに
ピッタリと付いてきていた。
「あの…先生?」
「どうした、神子?」
「ここは脱ぐ所なので、その…。」
「汗を流したいのだろう?早くせねば風邪をひくぞ。」
脱がそうと着物に手をかける。
「ち、ちょっと待って下さいってば!子供じゃないんですから、一人で出来ます!」
「そうか。」
望美の着物から手を離すと、自分が脱ぎ始めた。
鍛えあげられた肉体が朝陽に照らされる。
「せせせ、先生っ!!?」
「どうした?」
「まま、まさか…一緒に入るつもりじゃあ…?」
「最初から、そのつもりだが?」
「な…な…な…。」
「私とは嫌か?」
「い、いえ。そーゆー訳じゃあ…。」
「ならば問題ないだろう。」
問題大アリです!という叫びも虚しく、風邪をひくからと半ば強引に着物を脱がされ、
湯殿まで彼に抱き上げられる形となってしまった。
「入る前に体を流さねばならぬな。」
着いた所で望美は降ろされ、湯をかけられる。
「えっ?あつっ…。」
体が冷えていたせいか、熱くピリピリする。
「熱いか?」
「あ、大丈夫です。」
湯をかけながら、さすっていく。首すじから背中を伝い、背中から脇へ。
「く、くすぐったいです。」
「そうか。」
手が脇から、乳房に移る。湯をかけつつ、円を描くようにゆっくりとなぞる。
時折触れる先の部分にささくれだった手がつんと刺激していく。
あまりに気持ち良くて足がガクガクする。
「せ、先生…座ってはダメ、ですか?」
「もう少し待ちなさい。」
臀部も同じように触り、太股を撫で上げる。
特に揉む訳でも舌を使う事もなく、ただ淡々と湯で流しなぞるだけ。
それが余計に体の疼きを増して。
全身をくまなく巡った頃には既に力が入らなくなってしまっていた。
その手が、望美の一番敏感な所に触れる。
「こっ、ここは…ダメ…っ!!」
「こことて、汗はかく。」
膝をつき、隠そうとした手をのけられてしまった。
「痛かったら言いなさい。」
湯をかけられ、先程よりも丹念に撫でていく。
「やっ…ふっ…。」
指が望美の中まで入り、掻き出すかのように幾度も抜き挿しを繰り返す。
声を出したらダメだ。単に体を洗ってくれているだけなんだからと自分に言い聞かせる。
その指が一番感じる所に触れる。
「あん…っ!」
声を抑えようとしても、指の動きに思わず出てしまう。
そんな心情を知ってか知らずか指の動きが段々激しくなる。
聞こえる荒い息遣いが自分のものか、彼のものなのかわからないぐらい、遠い。
「あっ…やぁ…んっ、先生、もう…。」
「止めるか?」
「ちがっ…。先生が、欲しい…の。」
先程のもあり、羞恥心はもうどこかへ消えてしまっていて。
ただ、心のままに口を動かしていた。
「…私をか?」
「先生しか…いらない…。」
彼は目を見開いた。しかし、すぐいつもの表情に戻り、
「…わかった。」
そう言うと、望美を抱え直し、ゆっくりと己自身を望美の中へ入れていく。
「ああっ…。」
「神子。私の首に腕を回しなさい。」
「はい…。」
「これから激しく動かす。しっかりと掴んでいなさい。」
「はい…先生。」
腰に手を回した辺りで、望美が首を傾げる。
「どうした、神子?」
「よく思い出せないんですけど…初めてなはずなのにどこかで
こんな風にされた事があるような気が……きゃああっ!」
最後まで言わせぬかのように望美の体を大きく揺らし、肉を激しくぶつけ合う。
揺れる事でより最奥まで強く刺激が増す。
「ああっ…やあっ…!!」
同時に胸を強い力で吸い上げられ、より意識を高ぶらせる。
息が荒くなる。
何度となくぶつけ合ううちに、互いの絶頂が近い事を感じた。
「せんせえっ…もう…っ。」
「…うむ。」
リズヴァーンは望美を座らせて、さらに早くそれを打ち付ける。
「やあっ…あああ───!!!」
望美の高い声が上がり、互いに絶頂を迎えた。
ちゃぷ…。
辺りに広がる湯気が互いの視界を狭めていたのもあり、
思ったより気恥ずかしさは消えていた。
程良い加減のお湯も相まって、心を和ませたのもあるかもしれない。
それでも、先程のをまた思いだして、顔が赤くなった。
「…すまなかった。」
背中越しに聞こえる声は、少し沈んだ感じで。
「…先生?」
いつもとはどこかが違うと思い、彼の方を向く。
湯気でよくは見えないのだが、側にいることはなんとなくわかる。
「そろそろあがるか。十分温まっただろう?」
「…やっぱり変ですよ、今日の先生。何か、あったんですか?」
「神子が気にする事ではない。」
「…いつもそうなんですね。私、先生が何を考えているのか、わかりませ…っ!?」
背中から急に抱き締められ、体が固まる。
「…お前が知る必要のない事。」
「そんな…そんなのって…。」
それでは先程の行為は一体何だったというのか。
ただ単に体のみを求められたと思われてしまったのだろうか?
「私は先生が…っ。」
「もうあがる。神子も十分温まったらあがりなさい。」
そっけなく告げて、さっさとその場を後にする。
「先生…っ!!」
「私は先生が好きなんです!!先生…っ!」
望美の声が一人残された湯殿に空しく響き渡った。
湯上がりに、庭に出て先程の言葉を思い出す。
『私は先生が好きなんです!』
先程自分のみを求めた事から考えても、あれは仲間として、ではないだろう。
「好き、か…。」
幾度そう言っては命を散らした神子を見てきた事か。
『私、先生の事が好き。』
『守りたいって思うの。みんなもそうだけど、何より、先生の事を。』
『先生…泣かないで。私ね、先生が無事で…本当に良かったって思ってる。
幸せに…生きて。』
浮かぶのは、自分に笑顔を向け、目を閉じた姿。
「…私は何度殺せば気が済むのだ……っ!!?」
どん、と強く拳を膝に叩き付ける。
あの口づけや湯殿に入れたのも、清めるためだけのつもりだった。
どこの誰ともしれない下卑た男達に慰みものになったと聞いて、
その者らに触れた可能性のある箇所を洗い流したかった。
全てが落ちる訳ではないが、せめて少しでも汚れが落ちるなら、と。
まさか、あんな風に求めてくる事になろうとは思ってもみなかった。
いや、もしかしたら神子は自分のこの想いを見抜いたからなのか。
神子を抱いた時、痕跡を消すためだ、といい聞かせていたが、
本当はただ己の欲望に逆らいきれなかっただけではないのか──?
…どちらにしろ、もうあのような行為をする事はない。
ただの八葉として神子を守るだけだ。
私の事は色好みな最低の男とでも思ってくれれば良い。
今は鬼に惑わされているだけだ。
いずれは目も醒め、自分の世界に帰り、他の男を好きになるだろう。
その時が来るまでは、ただ守るのみ。
もう二度とあのような真似は繰り返さぬ。
「神子が覚えてなかったのは幸い…だな。」
忘れたままでいい。思い出さなくていい。
覚えていたとて、神子の傷を広げるのみなのだから。
「昨日は……疲れた。」
長いため息を吐き、眠るため部屋へと戻って行った。
「ん…。」
目が覚めると、大倉御所にある部屋の一室で寝かされていた。
「起きましたか、九郎?」
「あ、政子様!どうして、こちらに?俺は一体…?」
「昨日の事は何にも覚えていらっしゃらないの?」
「あ…。」
昨日の情事を思い出して赤くなる。昨日の彼女は、いやに…色っぽかった。
「あの…望美は?」
「顔を合わせるのが恥ずかしいと、先に帰ってしまわれましたわ。」
「そ、そうですか…。」
確かに自分としても恥ずかしいという気持ちはある。
しかし、これでは次に会う時、余計気まずいではないか。
九郎は、すねたように唇を尖らせた。
「鎌倉殿にも会わせて頂けるのでしょう?」
「ええ、必ず…兄上に紹介します。」
「楽しみだわ。あのお嬢さんはとてもかわいらしい方だし。」
政子はくすっと笑った。
鎌倉殿の正室という身分にも関わらず、このように無邪気なところもある。
彼もまた、そこを気に入っての事かもしれないが。
「政子様にそう仰って頂けるなら、光栄です。」
問題は望美が何か失敗をしでかさないかだが──。
その前に、先生に言わないといけないな。望美の事を。
昨日、確かに自分を好きだと言ってくれた。
自分の気持ちを誤魔化すつもりもない。遠慮なんてしたら却って二人に失礼だろう。
「九郎。」
帰り道、弁慶に呼ばれた。心なしか、厳しい顔つきだ。
「弁慶か…どうした?」
「少し時間を頂け…。」
「あ〜いたいた、九郎!頼朝様が至急来るようにって。」
「そうか。すまん、弁慶。話なら後で聞く。」
「…いえ。」
弁慶は九郎を見送り、姿が見えなくなったところで景時に振り向いた。
「…景時。あなたは…時間がありますよね?」
「……。」
邸から少し離れたところで、弁慶が切り出した。
「あなたは、望美さんがどうなっても平気なんですか?」
「そんな訳、ないじゃないか…。」
「…望美さんが兵に辱めを受けた事…知ってますね?」
「……オレにどうしろっていうの?」
「…あくまでも言いなりなんですね。少しは彼女の事を想っていると信じていたんですが。」
弁慶はため息をつき、邸へと戻っていった。
「…どうしようもないじゃないか。人形は…逆らえない…。」
人形には口応えなんて許されない。抱け、と言われれば白龍の神子もこの手で抱くし、
殺せと言われれば…そうする他ない。
意思も想いも…人形にはいらない。持ち主の怒りを買えば人形だけではなく
その周りをも壊してしまう。
人形には…守る力さえもない。
(ごめんね…望美ちゃん…)
ぽたっ…と滴がいくつか落ちて、消えた。
その翌朝、リズヴァーンは鍛練のため海岸へと向かった。
「…先生。」
後を追ってきたのか、後ろから九郎がやってくる。
「九郎か。どうした?」
「お話があります。」
「…何だ?」
「…俺は、望美を愛しています。」
ざあ、と風が髪をさらう。
「な…っ!?」
「先生もまた俺と同じ気持ちだと言う事は知っていました。
だから、言っておきたかったんです。」
真っ直ぐな眼光がリズヴァーンをとらえる。矢で的を射るかの如く。
「九郎…。」
「…彼女からも好きだと言われました。だから…。」
「…それでいいではないか。何を気にする事がある?」
「しかし!!」
「神子は白龍の神子で私は八葉…それだけだ。」
「先生…わかりました。望美は、俺が幸せにしてみせます。俺の、生涯をかけて!」
「…うむ。」
「では、失礼します。」
(神子…九郎との運命を選んだのだな。)
昨日の態度に呆れてしまったのだろう。
そして、九郎を選んだ。
胸がちくりと痛むが、望美の幸せを思えば、微々たる事。
リズヴァーンは頭の雑念を振り払うため、剣の稽古を始めた。
「九郎さん、話って何ですか?」
「あ〜その、何だ…。」
顔を真っ赤にして、頭を掻いてる。言い辛い事でもあるのだろうか?
「その…兄上に…。」
「お兄さん…頼朝さんがどうしたんですか?」
「お前の事を話したら、会いたいと仰られて…。」
「頼朝さんが?…まあ、構いませんけど。」
「そそうはするなよ。」
「私ってそんなに信用ないですか?」
「そういう意味じゃない。兄上との話が終わったら、改めて、言いたい事もあるしな。」
「今、言えないんですか?」
「ああ。まずは兄上に会ってからだ。」
「…?わかりました。じゃ、きっとお話してくださいね。」
「ああ。」
九郎はこれ以上ないと言うぐらい幸せな笑顔を向けた。
後日、望美は再び大倉御所へと向かった。今度は弁慶と讓、将臣、リズヴァーンを引き連れて。
「よく来たな、白龍の神子。」
「はあ…。」
ここには前も来たけれど、実のところあまり覚えてはいなかったりする。
ただ、あの時以来から皆何かが変わった。九郎さんが奇妙なぐらい優しくなったり、
将臣くんは…変わらないかな。ふざけてくっついてくる度合いがちょっと増えただけで。
弁慶さんも相変わらず。
讓くんは…まったくこっちを見なくなった。話があるときもいつも背中向けてばかり。
一度怒って無理矢理振り向かせた事があったんだけど…その時の悲痛な顔が忘れられなくて、
聞き出す事が出来なくなった。
景時さんも変わらないけど…元気がないようには見える。
聞いてもそんなことないよって誤魔化されるけど。
敦盛くんも顔を合わせなく…なったかな。話がある時は普通にしてくれるけど、
どこかぎこちなさすら感じる。まるで腫れ物に触るよう。
先生も…変わらないかな。前以上に過保護になったって事以外は。
私もあの朝の事は出来るだけ気にしないようにはしてる。
どのみち話してもくれないし。
色々気にかかる事は多いけど…今は戦を終らせるのが先決だから。
仲間として大事にしてくれてる…それだけでいい。それ以上は…贅沢だよ。
時々思い出しては…体が疼くけど。
考えてみれば、私、あれが初めて…なんだよね。よく言われる痛みとかはなかったけど。
先生…結構筋肉ついてたんだな。
先生の腕の感触が今も身体に刻みつけられている。
「…おい、望美。聞いているのか?」
少し苛立った九郎さんの声で我に帰る。
「えっ?あっ、いえ…ごめんなさい…。」
何だか今まで考えていた事が見透かされそうで、顔を上げられない。
「全くお前というやつは…しょうがないな。」
「…九郎から話はよく聞いているぞ。」
「はあ…。」
どんな話なんだろう?
あんまりいいものではない気がする。会っては喧嘩ばかりだし。
「…お前、私の部下らと体を交してはおらんかったか?」
「え…っ?」
「なっ…!?」
「それだけではない。そこの蒼い髪の男とも…弓遣いや弁慶とも交していたな?」
「嘘っ…そんなの、嘘です!だって、身に覚えが…。」
「この間来た時だぞ?…景時に聞いたところ、何も思い出せぬのであろう?」
「あ…。」
「ごちゃごちゃうるせぇな。身に覚えねぇっつってんだろ!?」
「ああ、そういえば。お前はあらゆる男に先生と呼んでいたな?…九郎に抱かれた後も。
政子に聞けば高熱を出していたと聞く。大方、その先生とやらと間違えていたのであろう?」
「先生と…間違えた?」
「う、そ…。」
その後、大倉御所から帰ってきたのは弁慶ただ一人だったと言う。
九郎義経が謝罪しながら自ら命を断ったとか、鎌倉殿に斬りかかって返り撃ちに
あったのが実は還内府だったとか、色々言われていたが。
一つだけはっきりしているのは、その大倉御所で狂ったような女性の悲鳴が
聞こえたという事だけ。
それは周囲にも響き渡ったという。
それから、朔は梶原邸を出て尼寺に駆け込んだ。
彼女は泣きながら、大事な人たちの菩提を弔いたいと訴えたと言う。
時々、兄の景時が訪れても顔も合わさぬらしい。
そしてまた、弁慶も源氏の元を去った。
噂では鎌倉殿に復讐するつもりで熊野水軍の元へ行ったとか、平家に
寝返ったのだとか色々言われてはいるが、姿を見掛けた民は誰もいない。
その噂の中で、夜毎暴れる鎖に繋がれた怨霊や、危害を加えず
「せんぱい…。」と呟きながら辺りをさ迷う人影を見掛けた者がいたとか。
「あなたったら嘘ばっかり。」
兵もいない部屋で政子は頼朝に寄り添って耳元で囁いた。
「何の事だ?」
「この間の事ですわ。あのお嬢さんに嘘教えましたでしょう?」
「ああ、九郎たちを呼んだ時の事か。」
「あの時、兵と最後まで交してなどいなかったではありませんか。
すんでのところでお止めになったくせに。」
「八葉どもの事は本当だったがな。」
「あの顔と悲鳴…わたくし忘れられそうにありませんわ。」
ふふっと笑い、頼朝の頬を指で軽く突いた。
「しかし、ああも次から次へとかかってくるとは予想外だったな。
九郎と事を成せばそれで十分だったものを。」
「神子とは男を魅惑させる力に長けていらっしゃるのかもしれませんわね。」
「単に淫乱なだけではないのか?」
「まあ。」
ふふっと笑い、頼朝の頬に口づけする。
「…神子。私は何処をどう間違えてしまったのだろうな…?」
頼朝に呼び出されたあの日。真実を伝えられた時、神子の絶叫と共に白龍が消え、
それに伴い、神子と私の逆鱗にひびが入り、時空を越える事は叶わなくなってしまった。
もう、やり直す事も…神子を救う事も。
「私は何のために…神子の側にいたのだ。神子を苦しめるためだけに存在していたと…
いうのか。」
悲鳴をあげる前、私の顔を見てごめんなさいと涙を溜め何度も呟いていた。
…神子のせいではないのに。
ただ、神子の幸せのみを願っていた。
その為ならば、この命など惜しくはなかった。
なのに、神子が黄泉路へと旅立ち、私はここに残ったまま。
涙が逆鱗に落ちる。
月光に反射してキラリと光ったのみ。
〈おわり〉
終了です。
長らくお付き合いありがとうございました。
じっくり読みました。GJです!
先生セツナス…
先生〜。
お疲れさまでした。
予想外の展開でしたけど 先生&神子で嬉しかったです。
また幸せ版も気が向いたら是非。
742 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 22:57:42 ID:AYEDFWgq
後味悪。読後感最悪だね・・・
わざわざageてまで言うことなのか?
何の為に注意書きしてもらってると。
そっちの方がマナー悪すぎだよ。
エロ萌えするかっていうとビミョウ
でも注意書きにあるからしょうがないか
涙出た。バッドエンドも切なくてイイ(・∀・)!!
GJGJ!是非また投下してください〜
バッドエンドもまた良し!!
また、投下宜しくお願いします
確かに八葉カワイソス。
エロ萌えしたわけではなかったが、面白かった。GJ。
とりあえず 0wfCOx6HlE をNGワードに設定した
…最近、低年齢化してんのか? ここ
絡むわ粘るわ
まったり行こうぜおまいら
新作出て妙なのが流れ込んでるんじゃね
ほっとけほっとけ。構いすぎて場が荒れると投下しにくくなるだろうし
>>◆0wfCOx6HlE
乙です。リアルタイムで見てたんで、緊張しつつ見てました。
大作でも面白く見れて、すごくよかった。
またお待ちしてます。
長編おつかれ&ダークGJ!
読み応えがあったし、内容も面白かったよ
新作期待。ただ、変なのにからまれるおそれがあるから
トリは変えたほうがいいかもしれないね
意外な展開で面白かったです!GJ!
つまらん
何が面白いんだ
↓次の職人きぼんぬ
バッドエンド長編乙です!
特に印象的だったのは、最後のほうの九朗。
素直な喜びように胸が痛んだ…。
他のメンバーと望美も切なかった、けど本当に読み応えがあった
萌え悶えさせてもらったよ ありがd
SS、実は昨日読んだんだけど
今日ふとした時に内容思い出しちゃって(しかも5〜6回)
胸がしょっちゅう締め付けられてたw
それだけ作品がGJってことですが
次回作も期待してまつ
切な萌え。GJでした。
九郎がテラカワイソス。何気に政子らも怖いし、雰囲気あってよかったよ。
0wfCOx6HIE が九朗嫌いで、他八葉なんてドウデモヨスな地玄武ヲタなのはよくわかった
つまらなかったり普通だったSSは「ふーん」で終わってしまうのに、
粘着ちゃんがこんなに書き込まずにはいられないほど
(どっち方向にしろ)心を動かしたSSだったということだな。
どこかで粘着嵐は全てツンデレ変換しれってレスがあったっけな。
◆0wfCOx6HlEに対して素直になれないツンデレ(*´Д`)ハァハァ
761 :
銀×望美:2005/12/03(土) 02:21:16 ID:aa0jIs7M
銀2章2週目の捏造です。
むしろネタバレな過去のあの人ばっかですが、よろしければお暇な時に…
何度も語りかけた。けれど返事はなく。
何度も頬に、手に触れた。けれど、決してその手を握り返してくることはなかった。
どうしても、もう一度彼の呼び声を聞きたくて。
どうしても、もう一度抱きしめられたくて。
そして伝えられなかった想いを伝えたくて、彼の想いに応えたくて、望美は時空を越えた。
手の中の白き鱗に、彼を救ってみせると誓い、目の前の”彼”に、別れを告げた。
時を越え、再び歴史を辿っていく中、望美はあの不思議な枯れ木の前を通りがかった。
特に意識した訳ではなく、自然と、足が向かっていたようだ。
まるで、見えない何かに引き寄せられるかのように。
再び、逆鱗が鳴いた。
彼女はねじ曲がり消えていく景色に、期待と不安を抱いた。
願わくは、銀に逢えますように、と。
762 :
銀×望美:2005/12/03(土) 02:24:31 ID:aa0jIs7M
「どなたかおいでなのですか」
闇に支配された空間から一転、桜の舞い散る屋敷で、望美は意識を取り戻した。
「…先程の光は?あなたの使者達のものでしょうか?」
黙りこくったままの望美をいぶかしげに思ったのか、彼は口を噤み、静かに濡れ縁に腰を落とした。
ギィ、と床がきしむ。音が御簾の向こう、長い髪をした者がこちらに近寄ったことを彼に知らす。
「誰…ですか?」
何処か震えるような、か細い声が返ってきた。
「…名乗りあう必要はないでしょう、今の私達には。」
「知りたいんです。ここが何処なのか、何時なのか、…あなたが誰なのか」
「あなたが、私の知る”銀”なのか…」
何処の女とも知れない、いつこの屋敷に紛れ込んだともわからない相手なのに、その声が心に染み渡る。
御簾向こうの彼女がとても悲しそうに見えて。
彼も、御簾ににじり寄り、彼女と向かい合った。
月がそっとその姿を垣間見せ、向こう側の様子をぼんやりと見せる。
「私も…あなた知りたいと思ってしまいました。あなたのその鈴のような声を、もっと聞きたいと…」
「銀…」
「姫君、私はそのような呼び名を頂いた事はないのですよ。悲しいかな、あなたはどなたかと私をお間違えのようだ」
「そんなことないよ。あなたは銀だよ。私は、あなたを間違えたりしない。もう、見失ったり、しない。」
不確かで曖昧な言葉に、けれど静かな情愛が込められた言葉に取り付かれていくのを感じる。
何度誰と逢瀬を重ねても、今のように胸が締め付けられるのは初めてだ。
御簾越しに添えられた手に、自分の手を重ねる。
「あなたは、私をご存じなのですか?」
「知ってる。…立場も名前も知らない。でも、あなたがどんな人か、短い間だったけれど…ずっと見てた」
御簾を挟んで、ゆっくりと相手の体温が自分に入ってくる。
「あなたを何とお呼びすればよろしいでしょうか。あなたは私を”銀”と呼ぶのに、私にはその術がない」
風が吹き、雲に姿を隠していた月がその姿を現す。
差し込んだ光は屋敷を照らし出し、中にいる望美に、彼の姿をはっきりと見せた。
「…しろ、がね…」
そこにいたのは何処か幼いような、けれど紛れもない彼だ。
視点の合わない、いつも空を眺め同じ言葉を口にしていたその人でなく、記憶の中の、彼女をみつめる彼の姿がそこのはあった。
喉の奥に、熱い何かが込み上げてくる。
ディープスロート
764 :
銀×望美:2005/12/03(土) 13:48:05 ID:aa0jIs7M
泣くまいと、銀を失ったあの日から必死に堪えてきたのに。
泣いてしまえば銀がいないという事実、もう本来の彼は戻らないという予感を認めてしまうようで、それが怖かった望美は決して泣かなかった。
人形のようになった彼を、その腕に抱いた時の涙が、最初で最後、そう決めていた。
けれど、その彼を目の前にして、望美の小さな決意など融けてしまったようだ。
はらはらと頬を伝い、目から零れ落ちた雫が音もなく衣服へ消えていく。
「十六夜の、君…」
聞き覚えのある呼び名に、知らず知らず落としていた視線を御簾へと戻す。
「あの月が浮き雲に姿を隠し、眩い光を此処へ落とした時に、あなたがいらしたから。
こうお呼びしてもかまわないでしょうか、月の姫君?」
「う、ん…」
「姫君?」
涙を悟られないよう、声を押し殺していたのに、つい出た返答に、月明かりを受ける彼はこちらの変化に気付いたようだ。
いや、もしかしたらもっと前に気付いていたのかもしれない。
望美の中の彼も、気付かぬ振りをする優しさを兼ね備えた人だったから。
御簾越しに重なった手が、ふいに離れた。
行き場のなくなった手に戸惑っていると、御簾と隣の御簾の重なった境目から、そっと望美の手を握る大きな手が現れた。
自分を包む、大きな手。見覚えのある、優しい手。
この感触を忘れた事はなかった。
「不粋な真似はしなくなかったのですが…どうやら私はあなたに惹き付けられてやまないらしい。
あなたのお姿を拝見したいと、あなたの瞳に私の姿を映したいと、そう願う事をお許し頂けますか?」
「うん…私も、あなたに会いたい。その為に来たんだもの」
「ではこちらへ。」
優しい手に先導され、差し込む光を遮る御簾を、そっと払い避ける。
一瞬、胸元の逆鱗が鳴いた気がした。
まるで自分を止めているかのように。警告のように。
でも、望美には自分を止める術がなかった。
765 :
銀×望美:2005/12/03(土) 13:49:11 ID:aa0jIs7M
御簾を開けて、目に飛び込んできたのは見覚えのある舞い散る桜と、深い闇の中に輝く月と、月の光で輝く銀色の髪。
月の光を背負った彼は、懐かしい、そして初めての彼の姿。
なんと、美しいひとなんだろう。
「ー…私とした事が、言葉が出てこないようです」
空いたもう一方の手が、そっと耳元の髪を撫でる。
「思った通りの、そして想像だにしなかった方だ…まさに、あの遠い月から舞い降りた天女。」
繋がった手に力を込め、望美ももう一方の手で銀の髪に手を伸ばす。
「あなたも、思った通りで、でも違った…」
もし他人が耳にすれば意味の分からない会話なのに、二人にはちっともおかしく思えなかった。
銀にとって、異世界から来た望美の姿を想像するなど不可能だし、望美にとっても過去の銀は想像の域を出ないのだ。
そんなことはどうでもよかった。
二人にとって、今、互いを瞳に映し、触れあうことだけが真実だった。
たとえそれが、いつ消えるとも分からない夢だったとしても。
短い、けれど永遠のような沈黙をを破ったのは銀のほうだった。
「先程、あなたは私に会う為に此処へ来たと、そうおっしゃいましたね」
「そうだよ。ずっとずっと、あなたに会いたかった。私はあなたを探してた。」
「では、私はあなたの”銀”なのでしょうか?」
長い睫を不安げに落とした彼を、望美は精いっぱいの想いを込めて抱きしめた。
不思議だ。いつもならこんな恥ずかしい事なんてできないのに。これも月の光の魔力なのか。
それとも彼の魔力か。どちらにしろ、望美はその力に感謝した。自分の想いを伝える助力なのだから。
「ごめんね、上手く説明できない。でも、間違いなく、あなたは私の知ってる銀だよ。
あなたは私を知らなくても、私は知ってる。この髪も、温もりも、手の優しさも…」
「十六夜の君…あなたと私は前世で誓い合っていたのでしょうか?そうであったと想いたい。
あなたに出逢う為に、私は生まれてきたのだと。そして、やっと邂逅の時を迎えたのだと。」
銀の力強い腕が背に廻るのを感じる。
やっと見つけた半身を離すまいと、二人は抱きしめあった。
望美は思った。
言葉はいらないのかもしれない。彼にわかるように説明なんてできないけれど、けれど彼はわかってくれているようだと。
遠くで楽の鳴る音がする。
766 :
銀×望美:2005/12/03(土) 14:06:49 ID:aa0jIs7M
遠くで楽の鳴る音がする。
そういえば、前に来た時もこの屋敷では宴が行われていた。
周囲を気にする望美を、銀はそっと抱き上げ、望美がいた御簾の中へと足を進めた。
「ここには、人は来ないでしょう。今日の宴は私の為。その私が、一人になりたいと出てきたのですから。」
「宴を開くような、お祝い事があった顔にはみえないけど。」
「月の姫はするどくていらっしゃる。あなたにはこの俗世の迷い事など、気にかける必要はないのですよ」
「そんなことないよ!月じゃないけど、確かに私はこの世界のことよくわかってない。
でも、あなたに関わる事だもん、知りたいし、わかりたいよ。」
いつも銀には影があった。
楽しいときも、笑ってくれているときも、何処か遠い目をしていた。
その理由が知りたい。できるのなら、彼に心の底から笑って欲しい。
ス、と銀の長い指が望美の口元に置かれる。
「お静かに、姫君。大きなお声は、人の興を引きます。今、私はあなたとの逢瀬を誰にも知られたくないのですよ」
「バレたらまずい?」
「いいえ…邪魔をされたくないのです。あなたの瞳に映るのは、私だけでいい。」
自分を見下ろす深い紫の瞳に、まぬけな顔をした自分がうつっている。
とたんに恥ずかしさを覚えた望美は、パッと顔を背け、先程までいた濡れ縁の桜を見る。
けれど、銀にはその行為の理由がわかっていたようで、赤く染まった耳元に、そっと口をやった。
「可愛い人…あなたは不思議な方ですね。あなただけ私を知っていて、私があなたを知らないなんて、寂しすぎる」
耳元にあった唇が、首筋をたどり、項へと落ちる。
思わず出そうになった声を慌てて手で抑えた。
そこには、望美の知らない銀が、いた。
「どうか、私にもあなたを教えてくださいませんか?」
767 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/03(土) 15:56:37 ID:6ycSy4Aj
GJ!!!
続きワクテカしながら待ってます!
768 :
銀×望美:2005/12/03(土) 17:26:57 ID:aa0jIs7M
"教えるとはどういう事?"
喉まできたこの言葉を、望美は飲み込んだ。その意味が分からない程、彼女は子供ではなかった。
けれど、他に返す言葉も見つからなくて、視線がこの複雑化した想いを伝えてくれればと、それを汲んでもらえればと、ただ銀を見つめ続けた。
「あなたの視線は、まるで月の光だ。時に私を焦らせ、時に優しく癒す。」
「銀も…この銀色の髪が、空の星見たいで…ずっと綺麗だと思ってた。」
初めて会った時から、ずっと、あなたが気になった。
あの人と似ていたから?そうじゃない、それはきっかけに過ぎない。
柔らかで気品に溢れた物腰も、ふと感じる香りも、優しい声も。
手を伸ばせば、触れられるところに、銀がいる。彼も、自分に触れてくれる。
何も怖くは、ない。怖いのは、再び彼がいなくなってしまうこと。それ以上に怖いことなんて、もはやないのだ。
これが"恋"というものなのだろうか。
ゆっくりと近付いてくる銀の顔を見つめながら、衝突に思う。
銀色の髪が望美の紫の髪に触れる。同時に、望美は瞳を閉じた。
キスは初めてではない。
でも、ずっと、何故唇が触れあう際、目を閉じるのだろうと不思議に思っていた。
相手の顔を近くで見れるなんて、素敵じゃないかと。
触れあった唇が、酸素を求め少し離れる。
その少しの時間すら許さないかのように、更に強く、けれど優しく唇が重なる。
次第に荒くなる、呼吸と、高鳴る鼓動。彼に、この心音は伝わってしまうだろう。自分のものではないくらい、早く早く高鳴っているのだから。
再び、衝突に悟る。
今までのキスは、意識して目を閉じていたのだと。そして、今、この瞬間、自分は自然と瞳を閉じた事に。
瞳を閉じれば、視覚を失った体が、他の感覚を研ぎすましている。
感じる匂いも、温もりから熱へと変わり行く体温も、耳に響く鼓動も。全てを感じ取れるからだ。
受けるに徹していた望美が、今度は自分から唇を押し付ける。
嬉しかったのだ。
自分のものだとばかり思っていた早い鼓動。それは、銀のものでもあったから。
望美の中で、何処か遠い、薄布の包まれていた感情が、リアルになる。
これは恋だ。惹き付けられてやまない、この人の為ならどんなものさえも投げうってしまいそうになる程の、狂おしい感情。
ごく自然に、互いの唇が離れた。そして、銀の優しい手が望美の襟元に伸びる。
侵入してくる手が思ったよりも冷たくて、思わず声を上げた。先程、声を上げてはいけない、と言われたのを思い出して、慌てて自分の目の前にある目を見た。
「ごめん…」
「大丈夫、ですよ。このような際に乗り込んでくる不粋極まりないものなど…一人くらいしかいませんから」
「一人って…いるんじゃない!」
「お気になさなずに。もう、とっくに宴から抜け、この屋敷を出ているでしょう。」
こんな話をしている方が不粋ですね、と銀は笑った。望美もつられて笑った。
そして、ひときしり笑って、とうとう望美の体が押され、銀を見上げるかたちになった。
769 :
銀×望美:2005/12/03(土) 17:43:47 ID:aa0jIs7M
再び口付けを受ける。今度のものは、先程とうって変わって、熱を帯びた激しいもの。
その波に呑まれる内に、知らず知らず、望美の体はそこかしこを露にしていた。顔が火照って、熱い。
髪を一房とり、持て遊んでいた手が、そっと頬を撫で、首筋をなでる。
どうしようもない波が、望美を襲う。心臓は疲れを知らず、高鳴り続けている。
「あ」
銀の手が、首から肩へ、そしてついに胸を降りてきた。
「あ…ん」
今までにない感触に、痛いまでに視線を送り続ける瞳に、翻弄される。次第に息が切れ、目には涙が浮かんでくる。
胸への愛撫に、首や耳への口付けに、時に激しいキスに。そして、脇から腰へと辿られれば、意識しなくとも熱が体の中心部に集まってくる気がする。
悟られないように、望美はその熱に必死に耐えた。けれど愛撫は止むどころか速度を増して。
「ひゃぁ…んっ!!」
立ち上がっていた胸の頂きに、ついに彼の唇が触れれば、望美の抵抗など簡単に消えてしまいそうになる。
体の熱が、下腹部、足の付け根に集中し出したことをはっきりと感じる。
片方の頂きを口に含まれ、もう片方を手に愛撫され、思考回路がうまく機能しなくなった望美の足は、そっと太腿を擦り合わせていた。
それに気付いた銀の右腕は、唇が重ねるのと同時に、胸から脇腹へ、そして熱の溜まった場所へと向かった。
そっと、指先が布の下に潜り込み、秘所を撫でる。指にねっとりと、熱っぽい粘着質のそれがからみつく。
「あ…ダ、メ…ぇ」
唇が離れた隙を狙って、望美の震えた批判が漏れる。
「例え意味を持たずとも、あなたのこの口から否定の言葉は聞きたくないのです」
少々乱暴に、銀の唇が再び望美の口を塞ぐ。それに足らずか、舌が唇の割れ目を舐め上げ、そっと中に侵入する。
何かに縋りたくて、望美の手が銀の肩に辿り着く。その手を優しくとり、銀は手にも口付けを贈った。
そして更に手を布の下へ入り込ませ、今度は手全体でその部位を摩り上げた。
「んんっ」
望美は与えられる慣れない刺激に耐えきれず、まわした手に力を込める。
そんな様子を見下ろしながらも、蜜を吐き続けるその秘所を隠す布を取り去り、閉じようとする足と足の間に膝を割り込ませた。
体が何かを求めているように、熱が望美の中に生まれる。自分の秘所から、熱いものが湧きいで、ぬるりと濡れている事を感じてしまう。
戸惑う望美を愛しく感じつつ、銀もまた、自分の中の熱を感じていた。高まる本能を抑え、彼は再び望美の秘所への愛撫を再開した。
「っああ…っ!」
秘所の更に深部、隠れていた花芯を指の腹で擦り上げる。
擦れることで与えられる快感に、体が跳ね上がりそうになる。溢れる蜜を絡めつかせ、締め付ける内壁を掻き分け、銀の長い指が内部へと侵入した。
「は…あっぁ…」
蠢く指に、繰り返される注挿に、おかしくなりそうになる。
指が内壁を擦り上げ、もう一方の手が花芯を撫でる。込み上げる熱と襲いかかる波、寸での所で呑まれそうになった。
呑まれなかったのは、銀の手が離れていったからだ。
何かを耐えているかのような銀の表情を、望美はすぐに理解した。
手で胸元を引き、彼の顔を近くまで引き寄せると彼にされたように、耳元を、首筋を舐めた。
ピクリと反応した彼が嬉しくて、更に行為を続ける。
言葉を紡ぐ勇気がないから、これでわかって欲しかったのだ。
望美をそっと引き離し、今度は力強く上にのしかかる。
口付けを交わす間に衣服を剥ぎ、望美の足を開かせた。
「あまり…見ない、で?」
さらけ出された秘所に落とされる視線と、姿を見せた銀のそれに、耳まで真っ赤に染め上げた望美が戸惑っていた。
クス、と笑いを漏らし、先端を望美へとあてがう。
「あ…!」
ただ当たっているだけなのに、熱やぬめりを感じ、思わず息がつまる。
そっと位置をずらしてやると、互いに言葉にならない快感が走る。
そして、そっと、銀は自分を望美へと潜り込ませた。
「あ…ああ…あっ!」
ゆっくりと進む進路に合わせ、望美の口から喘ぎが漏れる。
固いそれが、柔らかな内壁をこする感触に、包み込まれ呑まれる感触に、銀も声に鳴らない喘ぎを出した。
深く深く、大きな異物が自分の中へと食い込んでくる感触に、痛みとは別の感触に、望美は悲鳴をあげる。
「しろがね…あ…ん」
「どうか今は…重衡、とお呼び頂けますか…?」
「重衡…さん?銀の、本当の…名前?」
「ええ…」
「嬉しい、やっと…やっとあなたの事が聞けた。嬉しい…」
涙ながらに嬉しそうに笑う望美に、銀のー重衡の感情が高まった。
もう抑え続けられず、そっと、律動を開始する。浅く、深く、ゆっくりとだが確実に、腰を動かし、望美を攻め上げる。
「ああっ…あん!あ…ふあぁ!」
次第に動きが激しくなり、彼を呑み込む下腹部のもう一つの口からは更なる愛液が溢れ出していた。
その愛液は動きをなめらかにし、小さな動きですら、二人への大きな快感を与えた。
下腹部の口の、更に奥に熱が溜まる。彼を欲しがった熱とよく似た、けれども違う熱が。
彼にしがみつく腕が時たま強くなり、望美の限界を伝えていた。
「あ…重衡さんっ…なんか…私…っ」
呑み込まれた自身が数度に渡り締め上げられる。それがまた快感となり、自分の動きによる快感と重なって、彼も限界を感じていた。
徐々に動きが激しくなり、息は上がり、汗と愛液が散った。
「んっー…あ、…ん、あぁっ!!」
「は、ぁ!」
一際大きく自身を入れ込み、彼自身はきつく締め上げられた。
一方望美は、大きな快感と共に、意識を飛ばした。
771 :
銀×望美:2005/12/03(土) 18:47:39 ID:aa0jIs7M
気が付けば、すぐ隣に銀がいる。外に目を向ければ、うっすらと空が青くなって来ているようだ。
「お体は大丈夫ですか?」
うん、と銀に笑いかけ、脱がされた服をかけて貰う。着替えの一番最後に手にした逆鱗が、微弱ながら光を放っていた。
あぁ、もう帰らなければならないのだ、と望美は知った。ここは自分がいるべき時空ではないのだと。
そんな彼女を悟った彼は、名残惜しそうに、望美の髪を梳いた。
「月へ、お帰りになるのですか…?」
「うん…そうかな…ここに来れた事が、奇跡みたいなものだから。」
どちらからともなく、互いを抱きしめる。この温もりを忘れないよう、体に、心に刻み付けるように。
「あなたは月から突如舞い降り、私と出逢った。
いつかお戻りになるとは感じていましたが…まさかこんなに急とは…」
「帰りたくないよ…離したくないよ…」
「けれど、行かなければならないのでしょう?」
顔が見れるまで、体を離す。
「私が戦へと行く事が変わらないように、あなたもまた…」
服の下、逆鱗から白い光が漏れる。もう、時間がない。
「戦…どうか、私の事、覚えていて。思い出さなくてもいい、忘れないで。
いつか必ず、また、会えるから。会いにいくから。」
再び涙が溢れてくる。今日は何度、涙を流したのだろう。
「忘れる事などできません…あなたが私を星というならば、私は月のそばにいる星になりましょう。
あの月の、そばに控える星に。」
零れ落ちた涙を拭いてもらったその瞬間、眩い白い光が望美を包んだ。
望美だけを。
「何があっても生き抜いて。あなたを待ってるから。ずっと、ずっと待ってるからー!」
奇しくも時は夜明け、夜空に輝きその存在を誇張していた十六夜の月はいつの間にか姿を消していた。
彼女が残したわずかな温もりを掻き抱き、重衡は遠い未来を思った。
いつか、また、逢瀬が叶うことを信じて。
終
お目汚し失礼しました。何分、普段は漫画を描いているので、苦戦しました。
実は没ったプロットを小説にしてみたので、気分を害されたらすいません。
この続き物の没案があるので、そのうちまた投下しにきます。。
773 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/03(土) 18:55:45 ID:6ycSy4Aj
GJGJGJGJGJ!!!!
も、萌えますた(*´д`)ハァハァ
グゥウウウウッジョォオオオオオブGJGJ!!!
は げ も え。
ヤベエ。ありがとう職人さん…
GJ
大人向けな二回目逢瀬。
萌えますねぇ。
シゲヒラいいよシゲヒラ
月明かりの下での幻想的雰囲気いいね
GJでした!
GJ!
エロ萌えしますた(;´Д`)ハァハァ
GJGJ!
萌えたよ。続きも楽しみにしてる。
やべぇ望美たんカワイス
今より若い銀タンを妄想して(;´Д`)'`ァ'`ァ
数日チェックしてなかったら、どえらいスレ延びてる〜
読むの楽しみっす!
ほしゅ
な
なんか急に静かになったね
ミケ通常〆切前だからかな
まあこれくらいのブランクはこの板じゃ普通だ
今、過去ログ読もうと思って保管庫行ったらガラッと変わっててびびった。
>>786 おやいつの間に。
案新作決定オメ。旧キャラ一掃らしいね。
面白いといいなぁ。
こんにちは、
>>268です。やっとできたので、投下準備完了のご報告にまいりました。
テストを兼ねて失礼します。
レスを読ませていただいて「できたら即投下」を拝見したのですが、今回のものは上の方のレスで
少し議論されている、多少変わったものにあたると勝手ながら自己判断しました。
多分こちらのスレに投下されるものとしては少々特殊なものにあたるかと思います。
大変迷いましたが、つい前書きを楽に読まれてしまい先に進んで不快な思いをなさる方が
おられないよう、お先にNGワードのタイトル『夢のほとり、後悔の跡』をお願いしたいと思い
厳重注意の意味でレスさせていただきました。
無駄なく即投下を望まれておられる方には、余計な手間をふむことをお詫びいたします。
投下前にまた詳細を最初にレスさせてもらいますが、
↓こんな感じです。
●前半アホギャグまじりです。バカです。かなりキャラをおちょくってるところがあります。
メインの望美と泰衡はえらいことになってます。
●相手は泰衡です。銀BADルート野の花逢瀬までの偽造ストーリーです。
(なので真のヤスファンの方はすいませんご遠慮ください)脇役は九郎と弁慶が特に壊れてます。
●基本はシリアスのつもりですが、失笑しかする気が起きないかもしれません。
●泰衡が半端なくヘタレます。ゲーム中のかっこよさ皆無です。
●野郎の筆者になります。女性視点を心がけてますので、色々と苦笑するしかないかもしれません。
特に後半のシリアスは自信が持てません。本来ギャグ職人なので笑いになれば逆にうれしいですが・・・
●銀スキーの方もご遠慮ください。すいません。多分死んだだろうという解釈になっています。
●いたるところでトンデモ展開が起こります。
●なんかメモ帳が100KB超えています・・・orz恐ろしく長編です
かなりレスを消費させてもらうと思うのですが、どうぞご容赦ください。
チェックなどしながら時間の許す範囲で投下するので、数回にわかれます。
では明日、午後いちあたりころから一回目の投下をさせてもらいにきます。
よろしくお願いします。
うわあしょっぱなからトリップ失敗orz
すいません明日からはちゃんとします
>>268 ずっと待ってたから、楽しみにしてますよ(*´∀`*)
+ +
∧_∧ +
(0゚・∀・) ワクワクテカテカ
(0゚∪ ∪ +
と__)__) +
>>788 何故トリップ失敗してるんだろ……
メモ帳で100KBてことは次スレのことも考えとくべき?
トリップ失敗原因→#が全角
分割で投下みたいだけど、どうなんだろうね?<次スレ
今すぐにでも次スレ立てて、788のはそちらへ投下してもらったほうがよさげでは?
100KBって結構量もあるよね。
とりあえず今このスレは440KBだな。
470KBくらい過ぎたら一旦投下止めてもらってテンプレ貼る?
そっか、自分の環境だと半角に見えたんだ<#
今すぐ次スレ立てちゃうとどうしても人はそっちにいくだろうし(誰だって自分の作品は長く見て欲しいだろう)、
>>795の言うように様子見ながら投下してもらった方がいいかもね。
まさに投下始まろうとしてる時にスマン
もう490KB超えてる
誰か次スレおながい
ん? 441KBじゃね?<今
ごめんなさい
ものすごいタイムリーゴバクorz
こんにちは、
>>268です。トリップ付け直しました。投下開始させてもらいます。
268のレス後から20日後くらいなどととんでもない大嘘をついてしまい、申し訳ありませんでした。
お気にとめておいてくださった方がおられたなんて驚きました。重ねて申し訳なかったです。
ありがとうございます。
普段は小ネタギャグ専門職人をしている者なのですが、今回は十六夜記プレイを機に以前から一度
やってみたかった「できるだけ女性視点で女性に話としてもそれなりに読んでもらえるものを創る」
をめざして筆をとりました。
・・・結果は気持ちだけ先走っただけでした。かなりやっちゃった感が否めませんorz
所詮ギャグ職人はギャグ職人でした。気付かせてもらえてありがたかったです。
やはりキショいヒゲ野郎が女人の繊細な心理かこうなんて無理でした。本当にすいません。
完全に実験作なので、存在自体がネタと割り切って読んでくださるとうれしいです。
●十六夜記 泰衡×望美(精神的には逆っぽい) 激無駄に長文
●ポートピア信者の半壊ギャグ気質な凶暴望美orz
まさに「こんな望美はいやだ」なんてスレあったらかなりの数当てはまるだろうという(ry
●ヘタレツンデレの泰衡(注:か な り の ヘ タ レ です。
俺なりの解釈なのですが、作中のカコイイイメージ崩したくない方、NGワードお願いします。
ヤスキターと思われた神子様、本当にすいません)
●銀BADルート。前半は仲間も含めたアホギャグ(ホントにアホです)、後半ほぼ二人だけのシリアス。
景時以外仲間全員神子のもとに残留。八葉は九郎、弁慶、有川兄弟を使いました。後ちょっと白龍。
●望美も泰衡も九郎がとても大切。九郎も二人が大事。(変な意味ではありませんorz)
●銀ファンの方はすいませんご遠慮ください。出てこないけれども、やはり。
望美も銀に恋をしていなかったなんていうある意味ひどい解釈になってます。
●トンデモ展開、悲恋気味。エロ以外でひとかけらグロ入り(す、すいませんやっぱ入れてしまい
ました。たいしたことないと思うのですが・・・)
●NGワードはタイトルの『夢のほとり、後悔の跡』でお願いします。
以上を許容してくださる心広き神子様とスレ住人様、良かったら読んでやってください。
カフェオレに砂糖山盛3杯入れるくらいの甘さで頑張ったつもりです。
表現も甘めきれいめ柔らかめを心がけました。ネタもできるだけ女性・万人向なのをひっぱってきました。
長いので、スレも終わりが近いようですし、前出のレスの方のおっしゃられた470KBあたりで
切れますね。エロなしですすいません。
では、突然ラブラブで別れ話の最中なんてトンデモですが、どうかお気になさらず・・・
一章 別れの朝
春の匂いがふわふわと漂いはじめ、静かな冬も緩やかな雪解けと共に終わりを告げていく季節。
――いや、全然静かな冬じゃなかったけれども。
清浄な平泉の冷たい空気をいっぱいに吸い込んで吐き出す。それだけでこの地とさらに少し
馴染めたような気になるからだ。
空は雲ひとつない朝の青。今日もまた一歩春へと歩みをすすめるのだろう。
鎌倉へと侵攻する期日も迫ってきている。
望美ははあと息をはくと、まだ白いもやを残す奥州のゆるやかな季節の変わり目を感じていた。
ふいと背後をふりかえる。部屋の主がぐっすりと眠っている。疲れているのだろう。
そういえば、明るい所で寝顔見るの初めてかも――と、望美はここぞとばかりにそそそと足音に気を
つけて忍びよった。今まで交わした逢瀬では一度もないことだ。先も後も、いつもあちらの方の目が
細く開いている記憶しかない。
それだけ気を許してくれたのかなと少しだけうれしくなった。
――というか逆にそれだけ大事にされていたということなんだろうか。
・・・・・・・・・。
まあ、もうすぐこの予想外に心地良い関係も終焉を迎えるわけだけれども。
好きな男の寝息を始めて聞く。普段はゆるく結んである長い黒髪も今はほどけて白い布の上に流れ
おちている。顔をのぞきこんだ。顔は、おんなじだ。
泰衡さん。この黄金の都、奥州平泉の総領。望美のいろんな意味での大切な人。
常時から仏頂面をきめこみ、笑ったと思えば皮肉と嫌味の嵐、お礼を言えば非常に遠まわしな感謝を
してきて、なんか語りだしたかと思えば監禁に逆鱗略奪に大社、そうとも思えば異様にいざという時
忠実な愛犬を従え、あの九郎さんに受信できてるかどうかさえわからない友情を発信し続けるという
――――
いやあ、ネタに事欠かない男だ。油性ペンがあるなら額に肉ってかいてやりたいよ。
望美はくすくすと笑って座りこみ、身をかがめて顔を近づけた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
起こしてはいけないと思いつつ、手のひらでそっと頬のあたりに触れてみる。呼吸はとても穏やかだ。
生きてる。
ほっとする。
目を開いている時はあれほど可愛いとは縁遠いこの男も、眠ってしまえばこんなものか。
望美は、それがきっとこの男を想っている自分だから余計そう感じるのだろうと薄々気付きつつも
かけている布をそっと首元までかけ直してやった。
――もう少し。もう少し、こうしていたって、許されるだろう。
せめてこの人が夢のほとりから帰ってくるまでは。
――なんて、望美がせっかく乙女チックなキラキラ点描流れる自家発電のうふふあははな脳内麻薬
ワールドに浸っていたというのに。
当の想い人はというと、突然カッと目を見開いて跳ね起きた。
その鬼神の形相に思わず望美も硬直する。
数秒後。
「・・・。なんだ・・・・・夢か。・・・・・・ああ、望美」
あっけにとられる望美に一瞥をくれると、頭を掻きながらぶっきらぼうに
「おはよう」
とりあえずの挨拶をしてきた。
・・・望美はがくーっとうなだれて、この人に常時のネオロマ的甘い言動なんて絶対期待しちゃダメ
なんだな、と痛感する。寝顔をネタにちょっと妄想するだけでも許されないらしい。
「おはよう・・・なんか夢見悪かったの?」
「荼吉尼天に喰われた」
おい。よりにもよって政子さんwith異国の女神ですか。恋仲になった女が隣で寝てたのに、化け物
とはいえ、他の女の夢ですか。
「頭からボリボリと」
きいてないですむしろ勝手に喰われてください・・・と吐き捨てたかった。後が怖いからやめたが。
ていうか父ちゃん手にかけてまで自分で消したんじゃないのかあんたって親不孝者は。
「どうかしたか?望美」
「ううん・・・まだところてん食べ放題の夢とかみててくれた方がマシかなって思っただけ・・・」
もうツッコむ気力さえ残してくれない。
と、いうか。そんな夢を見つつも全くうなされてなかったのは、夢の中でまでこの生の鉄仮面かぶって
常時戦闘態勢ってことなんだろうか。・・・頼りになるんだか、ちょっとアレだと言わざろうえない
のか・・・
望美は一気に現実に引っ張り戻された。そうだよね、これから私達大きな戦に出るんだもんね・・・
――うう。短く儚い青春だった。
顔を上げれば怪訝な表情で望美を見つめる泰衡の姿がある。相変わらず眉間にしわを作って口は
への字、真っ白い寝着は昨夜行為の後に風邪をひくといけないからと望美が何とか着せたものだが、
射すくめるような冷たい視線プラス的確な表現を多様に用いる皮肉の嵐と格闘しながらだったので、
もう何ていうか、非常に大変だった。
正直自分を褒めたい気分にまでなった。泰衡の馬鹿。
昨夜に切り出した別れ話は、予想通りうまくまとまらなかった。
まあ、彼からしてみれば。普段通り望美が部屋で待っていて、いつも通りのあたたかい微笑みで
「お疲れ様」と迎えてくれて、毎夜と同じように大事に抱いて眠りにつこうとしたら、『話がある』
と唐突に終焉を持ち出されたのだから、無理もないのだが。
結局昨晩は『――ああ、もういい。この話は保留だ』と怒ってそっぽを向いて寝てしまった。
うまく伝えられなかったとため息をついて望美も灯りを吹き消して横になり、昨晩の閨は闇に
重苦しく閉ざされた。
本当に、無理もない。元はといえばこんな関係になるまで強引に手を引っ張って到達まで持ちこんだ
のは明らかに望美の方なのである。多少の好意は持ち合わせていてもそれ以上は決して踏み込んで
こなかったこの仏頂面に、好きだ、と時速140キロの直球勝負を持ちかけたのは、他ならぬ望美だ。
「それで・・・昨日の続きなんだけど」
気になるのか髪をいつも通り緩やかにまとめている想い人の背に向けて、ためらいがちに言葉を
送ってみる。はあ、と苛立ちまじりのため息が聞こえた。
泰衡は面倒くさそうに向き直り、あぐらをかいた状態から立てた片膝に腕をのせて、望美の顔を
のぞきこむ。
「正直に言え。飽いたんだろう、俺に」
予想外の一言に望美は面食らった。この男は本当に時折思いもよらない発想を返してくる。
けれどこの場合は――挑発的な視線の奥底に、どうせ傷つくなら先手を打ってしまいたい、という
気持ちが、ずっと一緒にいた望美には透けて見えてしまっていたので――
簡潔にしたがるようで実は不器用だよなあ、くらいの呆れにしかならなかった。
――そんな哀しい顔するくらいなら言わなきゃいいのに。望美は心の中で苦笑する。
けれど、想いを疑われたのと、何より昨夜の話きいとらんかったんかい!な気分にさせられたのが
少々ムカついたので。
少し頭を後ろにふりかぶって間合いをとってから、思い切り額同士を打ちつけてやった。
ゴ ッ 。
某熊野水軍の男が白い歯をキラッとさせてビッと親指立てる姿が鮮やかにイメージ画像で浮かぶ。
「・・・」
「・・・」
双方大ダメージ。
「本当に、お前は・・・常識から逸脱することをやらせたら天下無双だな・・・」
「泰衡さんがそうさせるからいけないんですよーだ・・・」
頭に響きわたる痛みに手を当てつつも、泰衡が言の葉で猛反撃してきそうな雰囲気を察知し、望美は
瞬間的に(あ、ヤバい)と状況を把握する。舌戦に持ち込まれたら勝ち目はない。
それどころか、さらにこんがらがって真意を理解してもらえないだろう。
――こうなったら。
「とおっ!!」
まさに嫌味と皮肉のハーモニーを奏でようとしている口の持ち主に飛びついて力任せに押し倒した。
口付けてしまえ。この男は望美の方から唇を重ねるのを、とても幸福に思うみたいだから。
とか思って顔を近づけたら、くわっと広げた大きな片手で思い切り顔面ブロックされた。
「ごまかすな」ぐぐぐ。「・・・そこを何とか」ぐぐぐ。「 駄 目 だ 」
・・・どうやら相当に不機嫌なご様子だ。ごまかされてくれるつもりはないらしい。
「どうもここ数日あなたはおかしいな。妙にへらへら笑っていたり急に理解不能な言動をとったり。
いつものことだと切り捨ててしまえばそれまでだが、至極不安げに顔を伏せて縮こまっていたり、
仕舞いには突然別れを切り出してくるなどと続かれると――素通りは出来そうにない。
・・・何か、あったのか。何か言いたいんだろう?
あなたが真正面から腹を割って話すということをしないと、ずっとこのまま膠着状態が続くだけかと
思うのだが。望美」
大きな手をそっと外された跡には、大きな瞳をまんまるにした望美の顔が残っていた。
「・・・なんだその顔は」
「いや・・・私のこと、結構見ててくれてるんだなあと思って・・・」
ちょっとだけ潤んでしまうのは、やはりこの男に心を持ってかれてしまっているからなのだろう、と
思った。
「うれしいな・・・うれしいけど、うん・・・やっぱり駄目だな・・・」
「だから何がどう駄目なのか、順序だてて説明しろと言っている」
「うんわかった。昨日話した気もするけど・・・まあ、とりあえずその前に」
自分の眼下に捕らえてある、相変わらずのへの字の線を軽く中指の腹でなぞる。
「ちょっといいかな?」と、にっこり。
相手からの答えは、諦めの色を帯びた再度の息つき。耳元で好きにしろ、と呟かれる。
――この人は多分まだ、本当に終わりになるとは思っていない。
少しほつれを繕えばいいだけだと思ってる。
違うのに。もう、終わるのに。もう少しで。――それがせつない。
重ねた唇は何度か浅く交わっては微かに離れをくりかえしていたが、合図のように一度だけ深く
交わってから名残惜しそうに遠のいた。この時ばかりは立場も間柄も、ましてや経緯など関係なく
ただの男と女になる。男は未だその口から愛を囁いたことがない。
ただ、すうと女ごと身体を起こすと、腕の中身を大事そうに抱きしめる。
この男はどうも情交そのものより、こうしてこの女を抱いている時間の方が好きらしい。
終わりを願う女の方も、どうしてもそれに満たされるものを感じてしまう。
二章 さしのべた手のひら
いつからか、と正確を求められると答えられない。ただ、あの強烈な白い光を放った時は明らかに
こんな感情は破片もなかったと言い切れる。――ある訳もない。
うまくやっていけるのかな・・・この人、藤原泰衡と。見据えられて、どうしても不安になる。
強い意志を秘めて実際に行動し、成果をおさめるその姿には敬意を表するのだが、正直その他の所では
あまり関わりを持ちたくない男だ、というのが本音だった。
人としてはあまりにも冷たすぎる。熱を感じない。黒色をのせた氷細工のようだ。
なにより、あの人を。
――かぶりをふる。いい加減にしろ。決めたんだろうお前は。決意が容赦なく叱咤してくる。
前を見ろ。進むためにはどうすればよいかに頭を使え。
高館へ戻ることを許された望美が泰衡に一番に期待されていたのは、何といっても九郎の懐柔だった。
この件に関してはもとより望美もそのつもりだった。元の世界での史実の藤原泰衡が本来最も
頼るべき相手だったのでは、と思うところもあった。
「だな」「ですね」再会した幼馴染の二人も頷いてくれた。
不安を抱えつつも決めた道を仲間達に打ち明けた。恐れていた、龍の宝玉が手元に戻ってくるという
現象は――二度と起こることはなかった。
立場上一番心配していたヒノエが近寄ってきて、望美の手をとり笑う。
「どうかしたかい?俺の神子姫様。まさかここまできてこの俺が抜けるなんて、そんな情けない
男が熊野にいると思ってないだろうね?」
不安を読まれていたようだ。
「ヒノエくん・・・ありがとう!」
――嗚呼、
遁 甲 万 歳 !!!
心の底からそう思った。
感激のあまり、つい遁甲様の手を両手で包んで己の頬に押し当ててしまった。ヒュウ、と口笛を
吹かれる。情熱的な男のその手はあたたかく、望美の心まで温度が届いた。
皆、望美の決意を否定しなかった。胸が熱くなる。絶対にこの人達を裏切らない、と心に誓った。
一人。拒否こそしないが、むずかしい顔をしている男がいるのには気がついていたが。
月のない夜に朔がそっと近づいてきて、あなたと一緒に行くと言ってくれた時には思わず彼女に
抱きついてしまった。年頃の娘二人が鈴の音で笑い合うのを、闇と白雪の淡色をした散歩から
戻ってきた敦盛が優しい微笑を灯して見守ってくれていた。
敦盛といえば、遁甲様の次に『これからもよろしく』とその片手を包んだ時、『えっ?あっ、えっ、
よ、よろしく・・・』と、例のテレ顔2種を交互に繰り返していたのがあまりに可愛らしくて何だか
記憶に残ってしまっている。
直前まではきりりと決意の表情をしていたのに。
その後も兄上Zokkon命の九郎だけは、説き伏せるのにずいぶん時間を要しそうな雰囲気だった。
ある日望美が不在の時、有川兄弟が説得にあたってくれたらしいのだが。
途中兄の将臣と九郎が衝突してしまい、いきり立って高館を飛び出してきた九郎と、泰衡の態度に
振り回されへとへとになって帰宅してきた望美がはちあわせになるという事態が生じた。
「――望美・・・」
目に明らかな燃え盛る炎を点す兄弟子に、両肩をぐっと掴まれた。
「俺はこれから泰衡殿の所へ行って直に話をつけてくる。きつく言わんといかんからな、あの馬鹿に。
・・・話し合う時間さえ無駄などと切り捨てるなんて。模索すればいくらだって道は開けるはずなんだ!
・・・・・・。
とにもかくにも、望美までたぶらかして手駒として乱用しているなんて状況、許しておけるか!!」
と。馬に乗るのも忘れてうおおおと雄叫びをあげ、だばだばと走り去ってしまった。
「うそっ!?待って!苦労さーん!!」
思わず文字変換も忘れて誤字のまま名を叫ぶ。
その慌てふためく望美の真横を、将臣の操る馬の蹄が乱暴に通り過ぎていった。
「望美、俺たちに任せろ!!」馬上から勇ましく、鋭い声を幼馴染になげつけていく。
兄の背後にいる譲がぶんぶんと手を振る姿が次第に遠のいていった。
「冷蔵庫に・・・はなかった、蜂蜜プリン作っておいてありますからー!!」
展開が唐突すぎてついていけず、もうわけがわからなくなって混乱するばかりだ。
「ありがとう譲くん!譲くんの料理はホント最高だよー!はちみつプリソ!はちみつプリソ!」
望美は笑顔で片腕を垂直に伸ばし、真上から真横へ振り続ける喜びの動作を繰り返すのみだった。
・・・。
はあ。
先は長い。
「神子、中に入りなさい。将臣達が九郎を連れて戻ってくるのを信じて待とう」
いつの間にか師が隣にきていた。大柄の鬼の八葉はかなり見上げないと視線が合わない。
「先生・・・」
「大丈夫。少々の時間はかかるだろうが、九郎は決断する。信じてやりなさい」
「はい、先生」
無意識にふっと微笑むと、リズヴァーンの瞳も優しく細められた。
けれど、望美がこの道を決めてから常にその蒼の目に悲しみが雑じるようになったのは確かで。
とても気になるのだけれど、切り出すことはできなかった。
それでも。この頼れる存在は、何があろうと一番最後まで望美と共にいてくれるのだろうけど。
譲の残していった蜂蜜プリンは超特大風呂桶サイズだった。最近色々ありすぎて滅入ってしまって
いる望美を少しでも元気付けるためだろう。幼馴染の気遣いにむせび泣きながら望美は容赦なく
かきこんで、ものの一分で完食した。砂糖の甘い幸せの魔法と、作った人間の優しさとが身体の
中で溶けていって、少し浮上した。
将臣と譲が九郎を伴って戻ってきたのを出迎えると、三人とも非常にぐったりしていた。
結局九郎は有川兄弟を振り切って柳ノ御所で執政中の泰衡のもとへと乗り込み、口角泡を飛ばすの
勢いで己の主張をまくしたてたらしい。しかし奥州藤原氏の総領は例の嫌味たらしい悪人面の笑みを
浮かべ九郎の必死を鼻で笑い、正論の刀で切り捨てただけだった。
そこに加えて。九郎を諌めようとする兄弟を小馬鹿にする発言をしたものだから。
九郎の怒りはあっという間に頂点に達し、一時あたりは騒然となった――とのことだった。
「でさあ。なんかと似てると思ったわけよ。あれあれ、レゴラス。指輪物語の。あれも仲間の
ギムリを馬鹿にされてものすごい勢いで弓つがえるじゃん。あれ思い出した、あの時の九郎で」
夕げの後。弟と幼馴染と共に腹が落ち着くまでのひと時を楽しむ将臣はからからと笑い声をあげる。
弟はそんな兄を見て、やれやれといった風。
「兄さんあの騒動の中でよくそんなこと考えつくよな・・・」
「そーいうなって譲。お前が弓使ってるから連鎖反応で思いついたんじゃんか」
「おっ、俺のせいかよ!?めちゃくちゃだぞ兄さん!
・・・第一レゴラスは威嚇しただけだ。間違っても相手に飛びかかろうとしたり、ましてや止めようと
した仲間を振り払おうとして拳で殴りつけたりするもんか・・・まったく」
明らかにズキズキと痛んでいるであろう顎をさすりながら譲がぼやく。
出来事を自分達の世界の架空物語に結び付けてやりとりする二人の姿に、つい笑みがこぼれてしまう。
新鮮なのに、懐かしい。時間の流れが愛おしく感じた。
「それにしても本当につかめない人物ですね、こちらの世界の藤原泰衡は。もう少し九郎さんの
説得に本腰を入れてもよさそうなものですが。・・・先輩に丸投げなんでしょうか?」
「あー・・・うーん、そうなのかなあ・・・」望美も苦笑いしかできない。
「俺達の世界の史実だと、『平泉を滅ぼした男』として武将としてもあまり評価されていません
でしたね。まあそんなこと言い出してもあっちとこっちじゃ違うんだから仕方ないとしても。
――先輩を騙して監禁なんて真似をしたことだけは未だに許せません」
自分だって長い間この高館に閉じ込められていたのに、望美を思いやる方が優先というのは、
何とも彼らしい。
「そうかあ?」
そんな弟にマイペースそのものの語調で軽々疑問を投げかけるのは、あぐらをかく元還内府。
「・・・そうかって、兄さん。兄さんだって頭にきてないわけじゃないだろう」
「そりゃそうだ。後で一発ぐらいは殴らせてもらいてえよな、うん」
「だったら」
「けどよ譲。望美はその藤原泰衡と組んで鎌倉へ攻め上るっていう道を選んだんだ。
――俺らがどうこう言ってほじくり返すとかえって望美が負担に思うだけじゃねえか?」
「あ・・・」
「ま、そういうこと」
「・・・」
要領の良い兄の言動に、弟がつい気まずい沈黙を訪れさせてしまうのはよくあることで。
望美はあわてて兄弟を交互に見やり、重苦しい空気を入れ換えようと試みる。
「どっちの気持ちも嬉しいよ、私。本当にありがとう。でもあまり気を使わないで、お願い――
決めたのは私なんだから」
このトライアングルは、望美が動けば大抵はうまくいく。兄弟は苦笑し合ってから彼女の方をむいた。
「すいません先輩」
「かえって気ィ使わせちまったな。ワリ」
そんな二人に望美も微笑んで。それでずっとうまくやってきた。――きっと、これからも。
帰りたい?なんて、もう訊くこともない。訊くだけ無駄なのだから。
二人の幼馴染はその場に存在してくれているだけで、望美の心に強さと安らぎをくれる。
『かれは独りではない』。あの場面の邦訳の台詞が、強く優しく望美を包む。
「まあそれはそれとして、兄さん。俺達は九郎さんを説得するんだよな?
今日みたいにいさかいに発展するのはもう勘弁してくれよ」
譲は思い出してしまったのか、は――、と重々しい息をついた。
「わーるかったって・・・けどあそこまで甘ったれた考え方されてるとつい、な」
平重盛になり代わっていた頃の鋭気がちらりと顔をのぞかせる。
「・・・やっぱり、将臣くんからみても甘いんだね。九郎さんは」
「んー。お前らならよくわかってっと思うけどさ。一番てっぺんにいる大将がしっかり地面に
足つけてふんばってねえと、困んのはただただ下の連中だ。しかも下に行けば行くほど
タチの悪い揺れはでかくなる。だめだろそんなん」
「・・・うん」
消沈する望美に代わり、譲が毒づく。
「言っていることは正しいけど、そんなにきっぱりすぐに割り切れるかよ。俺だって兄さんがあの
還内府だってわかった時は――・・・さすがにぐらっときたし」
これを言われると弱いのか、将臣はその件で心労させたことはそろそろ許してくれよというばかりになる。
弟はそれを仕方なさそうにしながらもふっと笑って。
「九郎さんの考え方がどうにも甘すぎるのはわかってるよ。
けれどもう少し九郎さんにも悩む時間があっていいと思うんだ」と彼らしい気遣いでまとめた。
二人と別れてしばらくした後。望美は二人がまだ話しこんでいるのを見かけた。
「そういえば譲、さっき俺らの世界の史実の泰衡が評価されていないっつったよな」
「ん?だってそうだろ。源頼朝の策略に情けなく振り回されて平泉を終焉まで持ち込んだんだから」
「むしかえして悪いけどよ。俺、そこら辺は誤伝もかなりあると思うんだよなー」
「誤伝?」
譲と同じく疑問を抱いて、つい立ち止まる。
「結局はあの義経の首とったヤツってことで、みんな否定的に――悪者的にみたがるんだよ。
悪者がいてくれればヒーローはさらに映えて引き立つからな。
実際は泰衡が頼朝に差し出した義経の首はニセモン説が根強いし、最終的に奥州の人的な被害が
かなり押さえられた結末になったのは確かだ。義経追討の院宣後も二年くらい返答もせずかばって
いたっつーし。立場的に厳しい中、それなりにやることやったとは思うぜ。
もう少し目が向けられればいいんだがなー。とにかく御館就任期が短いし、前の三代、あと義経の
歴史的存在感がデカすぎて無理だろうけど」
・・・・ふうん。
時空は違っても、彼という運命はそういう方向を向いているのかもしれないな。
そう思うと、少し胸が痛んだ。
去り際。
「だからあの蓮は平和を願ってあんなにきれいに咲くんだね・・・」
という、譲の呟きだけが耳に残った。
朝の爽やかな陽射しを浴びて、望美は軽く身体をほぐしていた。
みんなから元気をもらって勢いがついた。最も、皆はいてくれるだけで幸せにしてくれるのだが。
さあ頑張ろう。
色々あるけれど、中でも一番に望美がやるべきことは。望美にしかできないことは。
円滑に事を運ぶための潤滑油の役目なんじゃないかと思った。
全てを停滞させる程重苦しい泰衡のまとう空気。これを正常に押し流してやれれば、この状況下でも
衰えることを知らない英雄・九郎の人気との更なる相乗効果が期待できるのではないか。
何にせよあんな態度では敵が多いのも道理、快く思われていないのも当然だ。
屈伸をしながら思う。
多分。今、望美は泰衡に最も近い。最も重要な課題である九郎の説得を一任されているし、奪われた
逆鱗も戻されてそのままだ。
・・・彼的には飼い慣らしたていのいい手駒、というだけかも知れないけれど。それでも。
もう少し近づいてみよう。あの男を知ろう。まずはそこからだ。もうお互い赤の他人ではいられない
はず。立場をわきまえて、この先を見据えるために接してみよう。
身も軽く走り出すと、昨日将臣が言った不可解な台詞が脳裏をかすめていった。
―しっかし、こっちの泰衡はなんかこう、どっかモロそうだよなあ。大丈夫か?あれ。
もろい?あれが?――どこをどうひっくり返せばそう見えるのだろう?
将臣くんが的外れなこと言うなんて珍しいなあ。
忙しい日々が続くようになって、同時に泰衡と接する機会も多くなり、考えていることを聞いたり
感じたり、あまり変わらないと思っていた表情の変化を知ったり何気ない仕草に気付いたりした。
目が、勝手にこの人を追うようになっていた。どうも無愛想と嫌味だけで構成されているのでは
ないらしい――とわかったからだ。
選び、きめた立場は二人の間を確かに縮めたので、日々何気なく観察するには丁度良かった。
その結果。
孤高というよりは、あれだけの事をやり遂げても理解されない孤独な人だなという結論に至った。
その次には――隣にいて支えてあげたいな、と考えていた。無論現在の立場とは別の意味で。
そこまでいって、やっと。望美は自分に驚愕した。
なに、私。
・・・好きになってる。この人のこと。
と。
嘘。
「・・・神子殿?」
呼ばれてはっとする。泰衡は相変わらずの不審めいた冷たい眼光を飛ばしてくる。
何処がいいんだ。こんな男の。
と思いつつ、頬は紅く色づく。
「・・・ふ、」
「ふ?」
「服を脱げ」
「・・・は?」
「ほ、本物のヤスなら肩に例のアザがあるはずよ!ないなら偽者だわ!!パチモンヤスよ!!
わ、わわわ私だまされないんだから――――っ!!」
突然自分に向けて意味不明な叫び声を放つ望美に泰衡は動揺のどの字も見せず、錯乱する彼女に
心底から呆れたと言わんばかりのため息をつく。
「そうか。では俺は偽者だ。良かったな。
それから脱げと言うのなら日が落ちてからにしてくれ。
代償はきっちりとあなた自身でいただくぞ。覚悟があるならいつでも来い」
と吐き捨てて、くるりと前を向いてすたすた行ってしまった。
とんでもないカウンターを喰らってしまった望美は、何だか心も身体も行き場がなく。
自分ではわからないけれど、見事な紅顔になっている。
「お兄ちゃんはだまってて――――――っ!!!」
わかる人にしかわからないヤス妹の台詞を叫んで、反対方向にウワアアアンと全速力で逃げ去った。
なんで、なんでなんで。
こんな奴相手に心臓が早鐘を打つ。
高館に戻っても興奮の熱は冷めなかった。
「そうね――きっとあなたは恋をしているわね」
打ち明けた親友にまで認められてしまってはもうどうしようもない。
しかも朔は目を伏せて頬に軽く手を当て困ったような顔をしている。きっと呆れているのだろう。
それを見て望美も己を振り返り、はっと気付いてうなだれた。
「そうだよね・・・そうだ。私、そんな立場じゃないのに。
それに。銀のこと、だよね。朔が言いにくそうにしてるの。
・・・・・・・ほんと、最低だよね」
「望美」
「いいの、わかってる。自分でもそう思うから」
「望美きいて」
落ち込む望美の手首をつかみ、朔は視線を自分に向けさせた。
「これは私の勝手な視点から見たあなたなんだけど――
きっとあなたは、今いだいているその想いが初めての恋なんじゃないかしら」
望美は驚いて、ずっと一緒だった親友を見つめ返してしまう。
「だって、初めて見るもの。そんなあなた。私こそちょっと驚いてしまっているのよ。
――ふふっ、あんまりにも可愛らしくて」
「でも・・・」
「銀殿は本当にお気の毒だったけど・・・だからといってあなたが恋していたという理由には
ならないわよ、望美。むしろそう思いこもうとしている方が逆に失礼だと私は思うわ。
『私にあれだけのことをしてくれた人なのだから、私も彼のことが当然好きだった。』
・・・違うかしら?」
言葉がのどでつまって出てこない。
「私にはどちらかというと、あなたが銀殿を追う目は、自分を助けてくれた彼を何とかして
あげたい――という風に映ったけれど」
「朔・・・」
「そんな顔をするということは、当たりかしら。
なんにせよ望美、あまり後悔に縛られない方がいいわ。きっと銀殿も望んではいないはずよ」
朔はふと微笑んだが、望美の心は暗くなった。
そうだ。結局、助けられなかった。
――あの人を。
朔のいう通りかもしれない。この気持ちは、恋ではなかったのかもしれない。
でもだからといって起こってしまった現実は変わらない。
朔の気持ちは嬉しいけれど、後悔するなというのはまず無理だ。
――だって、あの人は私のために。
「あっ、ごめんなさい、私・・・。駄目ね、励ますつもりだったのに・・・」
肩を落とす朔の背に、あわてて手を回して顔をのぞきこむ。
今度は望美が元気付ける番になる。
「何言ってるの朔、うれしいよ。伝わってくるから、朔が励まそうとしてくれてるの。
よくわかるから。いつも本当にありがとうね、朔」
その笑顔を受けて、朔も眉根をよせた困り顔を残したまま微笑んだ。
「・・・当然よ。このくらい。
望美が兄上のこと未だに心に留め置いてくれてるのくらい、私も知ってるわ。
そのぶん少しくらい軽くしてあげたいだなんて、あんな兄上の妹をしていたら誰でも思って
しまうものよ。気にしないで」
「朔」
「それに、そうじゃなくても。
私達は親友でしょ」
「朔・・・」
こんな駄目な自分を親友だと言い切ってくれるこの親友は、本当にできた人だと思う。
こんな対が近くにいて支えてくれる現状を、なんて幸せなことだと望美は痛感した。
「・・・でも、望美。
心ばかりはどうしようもできないものとわかっているのだけれど。
・・・お相手があの泰衡殿となるとさすがに、私も正直殴ってでも止めたくなるわ・・・」
「・・・」
・・・最後に“一体どんな趣味なの望美・・・”という嘆きの本音を聞いた気がした。
けれどこの頃はまだ泰衡に対して母性本能というか、同情みたいなものがかなり雑じっていたと思う。
あの堅物を傷つけそうな事実なので、ひそやかに墓場まで持っていく秘密だけれど。
カフェ俺#yasunoutahahomosonnguorz
今回は以上です。い、いかがだったでしょうか・・・('A`)
不快になられた方、本当にすいませんです。せっかく読んでくださったのに。
こんなモンが初投下なんてあまりにヤスが哀れなんで、まともなヤス取扱職人さんが降臨なさるまで
密かに勝手に待っていたのですが、ある意味それも勝手だなと気がついたのと、とにかく気になって
冬の準備に本腰が入らないのと、放置しとくとえらく気持ちが沈んで焼き捨てたくなるのとで、
せっかく書いたから投下させてもらいました。
マジ自己満足のみの世界orz
将臣がなんか語ってましたが、俺一個人の勝手な考察ですので、気にしないでください。つか彼だけ
扱いが異様にまともになった。なんでだろう。
とにかく、ヤススキーの神子様にはさらに申し訳なかったです。ちなみに後半はさらにドヘタれます('A`)
では、また続きという呪詛をまきにきますが、どうぞよろしくお願いします。
余計な心配をしてすいませんが、女性向けをかく男がみんなこんな低レベルだと皆様が
思われないように祈ります。
カフェ俺
トリップの意味ないじゃん
もうなにやってんの俺・・・
すいませんまたトリップ変えますorz
さっきも前書き直後にブレーカー落ちたし・・・
これもマハーカーラののろいの一端かorz
カフェ俺さんの茶目っ気モエス
乙です。+GJ!ボリュームあって面白かったです
のろいにはお気をつけて
乙
GJ!!
続きもワクテカしながら待ってますので。
こういう話も好きだなぁ。皆カワイイ(*´д`)
ヤスに例の痣があったら笑うw<蝶型
しかしなんだ、間違いを防ぐためにも「トリップ」で変換できるよう単語登録しといたらどうか
面白かったw
ワクテカしながら続き待ってます!
テラワロスwww
後半も期待してワクテカ待ってます
自分ヤススキーですが、カフェ俺さんのヤスに萌えました
仏頂面の奥に隠されたヤスの無器用さがよく表われてて…ヤスかわいいよヤス
その無器用さを理解してる望美にも萌え
続き楽しみにしています
GJ!
面白かった。私もワクテカして待ってるよ〜。
チラ裏
ヤス妹と例の痣の元ネタがわからんorz
面白いですよ。
本文から読んでいたので男性だと気付かずに違和感なく読みました。
望美といいキャラ可愛いよ〜。
結構キャラ分析鋭いかもです。
次回の投下を楽しみしてます。
ヤス終わったら先生x神子でも頼みたい。
>>827 ●ポートピア信者の半壊ギャグ気質な凶暴望美orz
↑
ボートピア連続殺人事件(PC・ファミコン)
携帯でもプレイできるものがあるので、やってみそ。
長文注意書きは必要だとして、
長文前書きと長文あとがきは必要なのだろうか?
あー、まあそこは微妙だよね。
作品以外の文はせめて5行以内でまとめて貰えると嬉しいかも
5行どころか、無しでお願いします。
無しとまでは言わないけど短めのほうが(・∀・)イイ!!よね。
雑談とテンプレで7KBいくかね
ご参考までに・・・ボウルでプリン作ったことあるが、
自重で割れますw 風呂桶サイズは多分、掬って食うしかない。
やべ、変換ミスしてたorz
んじゃテンプレに追加よろしく>前後書き
つかもうそろそろ移る?
カフェ俺の誘い受けウザい。キモイ。
>>836 そうだね。そろそろ次スレでいいんじゃないかな
プリンて割れるのかwワロス
840 :
テンプレ:2005/12/14(水) 12:36:25 ID:Z4DC2pCM
前後書きと投下について追加しておいた。
適宜変更よろしく。
前後書きまでルールがあるなんて萎えるな・・・。
段々と粘着化&近所のおばばの井戸端会議化していくこのスレに鬱。
834じゃないけど、はちみつプリンをボウルサイズで崩れないようにするには
牛乳、卵、はちみつだけじゃなくて寒天が必要だよ。
ゼラチンだとちょっと緩すぎるんだ……。
カフェ俺がウザいせいで、テンプレまで変わるとは…。
ご愁傷様です。
>>842 実は禿どう
ここ確実に「読み手様が職人に投下させてやる」スレになってるよな…
並行なはずの職人と読み手の力関係歪んでるよ
そろそろ軌道修正を考えよう
あ
テンプレ
職人さんへの誹謗中傷禁止
もよろしく
テンプレにそこまで入れる必要あるのかね…。
注意書きのあとに即投下ってのはテンプレに入れるの賛成だけど、
他は増やす必要ないと思う。
じゃあ前書き後書きについてはいらないかな。
投下前の誘いうけ云々は上のほうででてたし、そのままで
(誘いうけ〜投下よろしく、の流れで無駄レスかかるし)
代わりに職人さんへの誹謗中傷禁止を入れるって事でOK?
なんか最近お子様な読み手多いよな〜。一人が粘着してるのかもしれないけど。
うざかったらスルーしとけばいいものを。
誹謗中傷禁止も入れる必要あるのかね?
もちろん誹謗中傷OKって意味じゃなくてね。
個人的には無しでいいとは思うけどね。当たり前の事だし。
ここ最近、注意書きあるのに絡むのがいるから。
誹謗中傷禁止できれば入れてほしい。
当たり前ってのは同意なんだが
なんだかんだで実際被害に遭ってる職人さんいるし
テンプレ明記されてればすぐ出して注意できるから
しかしこんな議論でレス進める日がくるとは…
>>829 トン!
そうか、犯人はヤスなのか。
>>847 ハゲド
粘着と思ってスルーしてるけど、職人さんのこと考えると鬱。
まぁ バ カ なんだろ
・職人さんへの誹謗中傷のレスは禁止です。
ついレスしてしまう前に一呼吸おきましょう。
とか?
追加以上でオケ?
明日8時ころまでに立ってなかったら私スレ立て挑戦するね
できればそれまでにどなたかおながいしたいが
え?もうスレたてするの?
テンプレに入れようが入れまいが嵐には関係ないからな……。
それより一見さんがテンプレ見てウヘァとなる方が怖い
>・職人さんへの誹謗中傷のレスは禁止です。
>ついレスしてしまう前に一呼吸おきましょう。
なんか微妙に職人さんに対して失礼な気がするんだが…
特に下の行とか。
こんなこと書くくらいだったら、
「苦手な作品はスルーしてください」とか
「荒らしが出てもスルーしましょう」とか
そういう感じの注意のほうがいいと思うんだけど。
じゃあそれにする?
>・職人さんへの誹謗中傷のレスは禁止です。
>ついレスしてしまう前に一呼吸おきましょう。
これだと、職人に何か非があって、思わず口出ししそうになるけど
それをぐっとこらえなさい、って意味にもとれる。
じゃあ追加事項は誘い受け関係だけでいいか
まあ確かに大人の時間内にあるスレだしな
追加事項に誘い受け関係が記入されてる時点で、
もう職人と読み手の力関係が同一ではなくなってると思う。
でもまあ、過去に誘い受け云々でいざこざも起こってるし、
他のスレでも誘い受けっていうのは嫌われてるから
書いておくのは別に構わないんじゃないかな。
『誘いうけうざい』って言い出すのが必ずでてくるし
いちいち無駄レス消費するのもどうかと思うし。
職人様を絶対的にマンセーしろ!
何があろうと文句を言うことは決して許さない!
投下してくださる職人様に常に敬意を払え!!
とか
下手糞は投下すんな!
前書きも後書きも書くな!
萌え製造機は黙ってエロだけ書いてろ!!
とか
書かれているわけでもあるまいに。
その程度の注意書きで力関係とか言い出すと、また荒れるもとだよ。
同じカテゴリ内にある某乙女ゲスレのテンプレ
「何を投下するのも書き手の自由。何を読むのも読み手の自由。」
と比べると情けねぇ。
こんな議論でレス進めてるのもな。
まあそのスレもテンプレを見ると、
過去にさぞ荒れたんだろうと想像できるよな……
議論続きそう?
8時ころ挑戦すると書いた者だがスレ立てやめとくよ
>864
まあよそはよそ、うちはうち、だよ。
ところで481KBですがテンプレ追加は誘いうけ関連だけでOK?
荒らしはスルーっていうのは常識みたいなもんだしいらない?
>>867 荒らしスルーはテンプレに入れなくていい。867がいうようにスルーが常識なので。
同じく、投下されたものを読む・読まないは自己責任なので、
そういうことに関しての注意書きもいらない。
「自己責任」って言葉が分からないヤシは厨ってことで。
誘い受けは、今までなんどか問題になってたので、入れた方がいい。
スマソ、なんだか言葉がきつくなってしまった・・・orz
>>867
レスついてると思ったら・・・・
なんかもう良さそうだねスレ立てても
前後書きまでテンプレなんてさすがに驚いたが
反対意見出てからは特にそれに向けて反論もなかったし
スレの在り方確認としてはそれなり有意義な議論だったとオモ
次スレはマターリ行きたいね
せめて夜になるまで待てば?
こんな昼間の人少ない時間帯の意見だけで
もう大丈夫とか分からないよ。
やっぱり一番人多いのは夜だろうから、
またそこで意見が出るかも。
そうだね待つか
まあ早く職人さんが投下できる環境ほしいけど
注意書きもしっかり書く事ってのもテンプレにいれね?
注意書き足りないのもいるし。>710とか
苦手シチュを避けるためにある程度の注意書きをお願いします、位でいいかな。
個人的には
>>710の注意書きが足りないとは思わないな。
やりすぎてあらすじと変わらなくなったりネタバレになったりしたら本末転倒だし、
注意書き自体がウザいととられかねない。
それに本来、趣味とあわない物を読んでしまってもそっと自分のうちに秘めておく、
というのは、この板にくることの出来る年齢の人には常識として身に付いてるはずだし
私も710さんが足りなかったとは思わない
ただテンプレ入りもいらんと思う
注意書きしない職人さんなんていないしな
スレちょっと読めばわかると思うし
確かに注意書きなしでグロきたら荒らしとしか思えないが
710職人さんの注意書きが足りないなんて全然思わんがなあ
なんだかテンプレ案、出されてはある程度の年齢に達してるからと却下されてるみたいだし
誘い受けみたいに問題発生したらその時々協議でいいんじゃないか
485KB越えたし投下もなさそうだし
私ももう次スレうつって職人さん待ちしたいんだがどうか
お願いします
>>840から前後書き抜いたテンプレでいいんだよな
行ってくる
ごめんなさいダメだったorz
どうもありがとう!
乙です
乙です
……完全に遅れたんでアレだし、今までなりきりやってた人もいないし、
次スレからでいいと思うんだが、なりきりってキャラサロンいきになっていた
気がするので、直した方がいいかも知れぬ。
賛成。なりきりは無しでいいと思う。
885 :
503:2005/12/18(日) 00:17:25 ID:6S8LAvia
梅かわりに小ネタ投下。
知盛×望美でエロなし。
勝って知ったる他人の家。
望美は鍵のかかっていない無用心な玄関を開けると、部屋の主の名を呼びながらリ
ビングのドアを開けた。
「知盛、起きてる?」
無論家を出る時にモーニングと言うには遅すぎるが、携帯に目覚まし代わりのメー
ルをいれた。
しかしまあ、実際に起きてるかどうかは五分五分の確立と言ったところ。
果たして今日の勝敗はと、望美の視線はリビングに転々と落ちている衣服から、次
いでなぜか半開きのままになっている寝室へ続くドアに向けられた。
「まだ寝てるの?」
開いている隙間からひょいと顔をのぞかせると、大きなベッドの上はもぬけの殻で、
ずるずると引きずられてきたのかシーツとブランケットが絡み合って半ば床に落ち
ている。
足元に目をやれば、そこにはドアを半開きにしていた正体の枕。
どうやらここまで抱きかかえてきたらしい。
と、すると。
フローリングに散らばる知盛のシャツやジーンズと言った抜け殻を拾っていけば、
辿り着くのはバスルームだ。
大方昨夜、着替えもせずに眠っていたから、寝起きのシャワーでも浴びているのだろう。
「ほんと、だらしないんだから」
ぶつぶつと文句を言うが、それらの残骸とは別に、自分が贈った時計だけはちゃん
とテーブルの上に置いてあったので、言葉に額面通りの棘はない。
とりあえず集めた服を洗濯機に入れたくて、扉の向こうの様子に聞き耳を立ててみ
ると、なにやらごそごそと人の気配がするではないか。
ちょうどよい。
「ちょっと知盛、脱ぎ散らかしちゃ駄目って……」
言ってるでしょう、と注意しようとしたはずが意外な光景に出くわして途中で切れた。
「早かったな」
突然ドアを開けられたにしては、淡々としすぎている知盛は、まだ服を着ていなか
ったようで腰にバスタオルを巻いているだけ。
その格好はそれはそれで言葉を失うには十分だろうが、望美とていい加減それぐら
いの免疫はついている。
「髭、そってるの?」
今回の驚きは嫌味なほどに整っている体躯ではなく、長い指が扱っている物だ。
「驚くような事か?」
「ううん。別にそうじゃないけど。今、剃刀って珍しいから」
「こっちの方が性に合う」
そう言われれば、知盛の部屋に電化製品は少ないし、本人が使っているのはあまり
見た事がない。
今、目の前にある洗面台に備え付けてあるドライヤーも、先週望美が使ったままの
形である。
「神子殿はどうやら興味が御在りの様で……。して、みるか?」
例のごとく咽喉の奥で笑いを殺すと、細められた瞳が誘うように流れる。
「いいの?」
「何を今更。顔に書いてあったぜ?」
差し出された剃刀は、近くで見ると蛍光灯の明かりを綺麗に反射して輝いている。
それはCMや店で見かけるT字の形ではなく、床屋などで使われていそうな刃の部分が
大きな物だった。
「わ、思ってたより重いんだ」
腕に抱えていた知盛の服は横の駕篭へと移動させ、受け取った刃物は見た目以上の
重みと冷たさを手の中に伝える。
「切るなよ」
「わかってるって」
そう口では言っているが、本当かどうか怪しいものだと、初めての経験に高揚して
いる気分を隠そうともしない望美に知盛は口角を上げた。
なんにせよ、夢中になっている様子は見ていて心地よい。
それが自分に対するなら、尚更。
「動かないでね」
向けられた真剣な眼差しに、外気に冷やされたはずの血が騒ぐ。
「ああ」
生返事も良いところの返事は、集中している望美の耳には届かなかったらしい。
いつもの不平は飛んでこなかった。
しばし沈黙が流れたがそれは長続きせず、塗ってあるジェルの微かな抵抗を指先に
感じながら、精悍な頬を滑る刃先に向けられていた望美の意識がほんのわずかに乱れる。
「ちょ、何してるの」
反射的に力を抜いたので傷などは出来なかったが、そのまま続ける訳にはいかなかった。
刃越しに感じた皮膚は、頼りないほどに柔らかだったのだ。
「そんな熱い眼差しで見つめられては、我慢も出来んさ」
「やっ……」
セーターの中に忍び込んだ手が、胸のふくらみを捕らえている。
「切れ、ちゃう」
「ならやめればいい」
「だって……それは」
反発しながら先ほどよりもゆるやかになった速度で、望美の指は動き続けた。
「やめないのか?」
面白がるように知盛の瞳が細められ、手の動きも大胆になっていく。
「はぅ」
片手で何とか押しとどめようとはしているものの、そんな細い腕一本で男の暴挙が
止められるはずもない。
ブラを押し上げて直接触れてくる手の動きに息を呑み、頬を紅潮させているが、い
つもなら閉じられる頃合の瞳が、睫毛を震わせながらも刃先へと視線を残している。
その切なそうな様子の中に見え隠れする恍惚が、柔らかな愛撫を繰り返していた知
盛の指先に力を宿す。
「まだそんな情熱を隠していたとは、つくづく侮れないな」
「あっ」
摘み上げた胸の飾りからゆるい快楽が全身を巡っているのが、頬に触れる刃物の震
えからわかった。
「危ない…のに」
言葉の合間の吐息は甘く、知盛にだけ許された体は従順な反応を返してくる。
もうそろそろ、口付けの一つでもねだり出してもおかしくないのに、まだ望美の手
は諦め悪く顎から首へと落ちていく。
その冷たさにざわつくのは、快楽か本能か。
「わかっているさ」
妙に優しげな声に視線を合わせると、知盛の音のない笑みを唇に刻み、望美の視界
の端にある咽喉仏が上下して、薄い刃を揺らした。
「お前は俺の命を奪えるこの状況を、手放したくないんだろう?」
それは毒だ。
けれど望美は、わかっていてそれを嚥下した。
甘い、甘い、心も体も痺れさせる蜜。
溜息のような声を漏らし、絡み合ったままの視線をうっとりと蕩けさせる。
「……うん。だって、欲しいから」
スルリと首筋を撫でる金属の冷たさに身を引くどころか、物騒な言葉を吐いた唇を
知盛の親指が愛しそうに撫で上げた。
本当に望美がその気になれば、指先に感じている脈動する血潮を溢れさすなど造作
もない距離。
濡れたままの襟足から伝う水滴が、鎖骨へと落ちる様子にさえ、それが赤く色づい
ていたら、と夢想してしまう。
「強欲だな。俺はお前の物だと説いても、まだ欲しがる…か。それほどまでに望まれ
るなら、この命、お前にくれてやってもいいがな」
いつもの戯言か、かけひきか。
それとも本心なのかわからぬ笑みに、真意は見えない。
「知盛」
ほんの少し、刃先を皮膚にもぐりこませれば、見つめ合ったまま、最後の最後まで
その全てを手中にできるのだ。
それは生きてて欲しくて何度も時空を巡り、走り回ったのさえ無にしてもかまわな
いほど強烈な飢餓感。
まだこんなに足りない。
「本当に……くれるの?」
まるで玩具を欲しがるような、無邪気な問いかけは死への誘い。
首筋に感じた小さな痛みも、今は気にならなかった。
ただ、本当に満ち足りた時この女がどんな顔をするのか、そればかりが知りたい。
「俺も大概、お前に飢えてるな」
待ちわびるような笑みを刷いた知盛に、望美は合わせていた視線を伏せた。
「じゃあ、いらない」
カツンと音がして、剃刀が落とされた事を知るより先に、うっすら赤い血を滲ませ
ている首筋の傷口に笑んだままの唇が押し当てられた。
「私は全部欲しいから、あなたの私を思う気持ちも欲しい。でも、きっと今のままじゃ、
それは貰えないもん」
残念ながら、それは望美の言う通りだ。
この気持ちばかりは、誰にも譲る事は出来そうになかった。
「それではいつまでたっても、やれんが」
「ん、だから代わりに頂戴」
もっと甘い毒を。
889 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 01:11:05 ID:bAtczp/O
GJGJGJ!
獣神子キタ━━━━━!!これはまだ続くの?
ちょ、ちょ、ちょ、戦神子フォ━━━━━(゚∀゚○=( ゚∀゚)=○ ゚∀゚)━━━━━!!!!
GJ!すげぇや!!
刃物刃物!
GJ!
超GJ!
あれだな、望美が料理中に包丁使ってたら、絶対知盛が背後から絡んでくるなw
イイ! イイヨー!
GJ!
私も梅便乗。
0時までに全てアップ出来るか分からないので、トリつけます。
八葉&白龍&知盛×神子
ギャグです。
世界観、キャラぶち壊しな可能性大
ある日、私は自分の身体が自分のものではない感覚に襲われた。
いくつもの時空を越えて、体が何処か麻痺でもしてしまったのだろうか?
そりゃ、たくさんの時空を越えた。
八葉全員、そして白龍や知盛とも結ばれた。
皆で、私達の世界にも帰ったりもした。
それでも、何処かで満足出来ない自分がいて、再び京へと舞い戻る──その繰り返しだった。
でも。
「何処かが満たされないんだよね…。」
誰もいない、京邸の部屋の中で、一人呟いた。
どの運命を選ぼうと、どんな行動をしようと、決して満たされぬ飢えにも似たこの思いは一体何だと言うだろう?
「それは、きっと神子が一人じゃないから。」
突然、後ろから声がかかり、私は驚いた。
「わっ!…白龍?いきなり後ろから驚かせないでよ。」
「ごめんなさい、神子。」
シュンと落ち込む白龍。
…やっぱかわいい。
「別に謝る程の事でもないって。…で?私が一人じゃないってどういう事?」
ぎゅっと後ろから抱き締めながら、白龍に聞いた。
「神子が中で複数存在している。」
「…は?…複数?」
「うん、神子の中には、1、2、3…10人いる。」
「10人!?…ちょっと待って!それって…多重人格って事?」
「タジュウ…?よく、わからない。」
「つまり、例えるなら…その〜何と言ったらいいか…。」
どんな風に言ったら良いか考えあぐねる私に、白龍は言った。
「タジュウ…と言うのは、よくわからないけど。神子の中には、将臣が好きな神子、九郎が好きな神子、ヒノエが好きな神子…。」
弁慶が、と言いかけた所で、ストップをかけた。
「…全員分挙げなくても、大体わかった。つまりは八葉各々が好きな私が中にいるって事ね?」
「うん、でも八葉だけじゃなくて知盛が好きな神子も存在しているよ。」
「彼まで…?」
私は頭がクラクラするのを感じた。どうも、あの人は何処か苦手だ。…とは言っても、その傍ら気にかかるのも確かなのだが。
「あなたが知盛を苦手とするのは、おかしくも何ともないよ。今いる神子は、私を愛する神子なのだから。」
「そ、そう…ありがと?」
心の内に密かに突っ込みを入れつつも、話を続けた。
「そういうのが、多重人格って言うんだけど…じゃ、このままでいる限りは満足出来ないって事?」
「うん、そうなるね。」
「そもそも、こんな風になっちゃったのはどうしてか、わかる?」
「神子、逆鱗を使ってたくさん時空を越えた。その影響が心身に現れた。」
「…つまりはこの逆鱗の乱用が原因って事?」
「うん。」
自分の中に『使用上の注意:逆鱗の乱用はやめましょう。』等と言う言葉が浮かんでくる。…しかも特大で。
「…いや、そんなアッサリと…どうにか、出来ないの?」
「神子が願えばいい。」
「願うってどんな風に?」
「満足出来ますようにって。」
「…本当にそんな願いでいいの?」
「うん、神子。私を信じて!」
「信じろって言われてもなあ…。」
一人小声で愚痴たのが聞こえたのか、白龍の目がうるうるし始めた。
「わ、わかった!信じる、信じるから!」
そう言った途端に、にこっと笑う。
…こういう現金な所も好きだけどね。
「んじゃ、とりあえず…願えば良いのね?」
「うん。神子の願いは、私が叶える。」
祈るような仕草で、言われた通り、『満足出来ますように』と願った。
その時、白龍は真っ白い光を放って。
何処からかぼこぼこぼこっと、水が沸騰する時と同じ音が聞こえて来た。
なんだろう?と思う間もなく、私は意識を失った。
目が覚めた時は凄く驚いたのと同時に、白龍が言っていたのはこういう事か、と納得した。
目の前に同じ顔が九人ワラワラと並んでいて、しかも「呼び名はどうしよっかー?」等と呑気な事を言っている。
「いや、あなたたち…それよりももっと言うべき事あるでしょ?」
「いいじゃなーい、これで皆が幸せなんだから。ねっ、将臣くん。」
「ま、これはこれで平和とも言えるよな。」
将臣くんがあまり物事にこだわらない性格なのは知っていたけど、ここまでとは…。
さすがは平家をまとめるトップといったところだろうか。
しかし、もう一人の私も私で、ここまで脳天気…もとい。楽観的だったっけ?
「しかし、これだけ先輩がいるのは混乱しますね…。」
「讓くん…。讓くんを好きなのは私だけだよ?」
目をうるませて、他の女なんか見ちゃ嫌などと言って、讓くんにすがりついている。
「あっ、いえ…その…あの…。」
讓くんのパニックは当分治まりそうにもないだろうな…。
九郎さんはと言えば、あちらでもう一人の私と共に混乱に陥って、喧嘩おっ始めてるし…。
「なんで、こんなにお前が沢山いるんだ!?」
「私であるけど、私じゃないんだってば!何度言ったらわかるのよ!」
「わかる筈ないだろ!」
「この頑固者!」
「そういう問題か!?」
…まあ、放っておけば次第におさまるでしょ、うん…。
「あなたがこんなに沢山いるなんて…。」
「敦盛さん。どんなに私が沢山いようとも、私は私です。あなたを愛するのも、私一人だけ…。」
「神子…こんな汚れた身で…本当に良いのか?」
「敦盛さんでなくちゃ、駄目なんです。」
「神子…。」
「しかし、こんなに姫君がいると、まいっちまうな。」
「ヒノエくん。もしかして、全員口説こうなんて思ってないでしょうね!?」
「まさか。そんなに信用ないかな、オレって?」
「そういう訳じゃないけど…全て私であり、私じゃない訳で…。」
「オレは、お前一筋だって。信じさせてやるよ。」
「ひ、ヒノエくん…。」
「ふふ。本当に眩しい限りですね。この様に可愛らしい光が集まると。」
「弁慶さん…。」
「おや、どうしました?その様に麗しい瞳を曇らせて。」
「だって…こんなに沢山いたら、私なんてその他大勢の一人になっちゃいそうで、恐いんです…。」
「…君はいけない人ですね。その様に僕を惑わせて、どうするおつもりですか?」
「えっ!?いえ、そのそんなつもりじゃ…。」
「僕が好きなのは、そういう可愛らしさを見せてくれる──あなた一人ですよ?」
…熊野組は熊野組で、すっかり二人の世界入っちゃってるし。他はアウトオブ眼中。
景時さんは景時さんで、かなり戸惑っている模様。
「み、みんな〜とりあえず落ち着こうよ、ね?」
「そう言ってる景時さんが一番アタフタしてるじゃないですか。」
「だ、だってさ〜望美ちゃんがこんなにいっぱいいたら、やっぱり戸惑うよ〜。」
「もうっ、景時さんったら相変わらずなんですね。」
「ご、ごめんね…。」
「いいんです。そんな所も愛しちゃってますから。」
「そそ、そうなんだ…。ってええ!?」
…あれは絶対尻に敷かれちゃうんだろうなあ…。
ため息をついたその時。
しゅぱぱぱぱっ!
……ナイフが足下に飛んで来た。
「………っ!そこの二人っ!人ん家で、血生臭い争いしないで!」
男の動きがピタリと止まり、喉元に剣を突きかけた女の動きもまた、それに習うように止まる。
「…やれやれ。こちらは口煩い神子殿だ。せっかくイイ所だったと言うのに…な。…場所を移して……ヤるか?」
「望む所よ、知盛。あなたがいる場所なら、どんな所だろうと構わない。」
「クッ、…それは俺を口説いているつもりか?」
「なっ…!わ、私は…。」
「わかっているさ…お前が俺をどれだけ欲していたか…その体も、心も。」
「とっ、知盛っ!」
「…行こうぜ。それとも、ここで続けたい…なんて、言う気じゃ…ないだろう?」
「んっ…。んん……。」
人目憚らずのディープキスをしながら去って行く。
…ある意味、この二人も他が全く見えてないよなあ…。
さて、先程の記憶が確かなら、私は白龍な筈。
一体どこ行っちゃって……って、ええ!?
「大好きだよ、私の神子…。」
「私もよ。だあいすき……。」
「神子…嬉しい。」
「ねぇ、白龍?私、ずっと聞いてみたかったんだけど…白龍が私にして欲しい事ってないの?」
「…して欲しい事?…神子が望みを言う事…だと思う。」
「それじゃ、ダメなんだってば。何か…したいなあって思う事とか、ないの?」
「神子の望みを叶える。それが一番したい事。」
「もぉ〜、それじゃダメなんだってばあ。」
………なんでしょう。この私達の世界でも見かけないバカップル。
うっすらとハート乱舞まで見えてます。
……と言うより、いつの間に分離していたんだろう…先程の記憶は皆共有してるのか……。