まほらば〜鳴滝荘のにぎやかな五時〜

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1名無しさん@ピンキー
ここは『まほらば』の創作SSを投稿するスレよ。
年齢制限は問わないから、どんどん投稿してね。
……ねえ、皆私が誰だか分かってる?(泣)

前スレ
まほらば 〜鳴滝荘のうららかな四時〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1119067293

まほらば 〜鳴滝荘、ほがらかな三時〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1117367671/

まほらば 〜鳴滝荘、2時…、かも。〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1113669362/

まほらば 〜鳴滝荘での一時〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1106131763/

原作スレ
小島あきら まほらば22号室
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1120221732/

まほらば小島あきら 第6回鳴滝荘お絵描き大会
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1119299488/l50

過去スレの作品はここ。
ttp://whitebrown.hp.infoseek.co.jp/mahoraba/index.html
で、SSのみだけど保管庫の避難所がここ。
ttp://blog.livedoor.jp/maholog/

次スレは>>970さんが立てるんだって。
以上、弓道でした。私のSSも書いて……(泣)
2名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 10:24:34 ID:ZQUum8kG
>>1
乙だヨー
3名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 10:44:28 ID:tyAmgKcF

ゲームや人気漫画以外で5スレ目到達のこの速さは凄い!
4名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 11:08:33 ID:AorD3adE
>>1
スレ立て乙!!
こんな時間からカキコしてる漏れってorz
5名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 12:06:22 ID:pcZ0Zzcp
>>1
乙にんニコ
6モノシリサヨコサン:2005/07/06(水) 12:26:46 ID:WOmLb1Am
「お母さん、>>1って何?」
「……このスレを立ててくれた人よ……」
「へぇ、じゃあすごい人なんだね!」
「……そうね……」
>>1お兄ちゃん、お疲れさま!はい、三倍に薄めたオレンジジュース!」
「朝美……水ようかん……」


と、超々短編でSS一番?乗り。
繰り返しですが>>1乙です。
以上、携帯から尻尾でした。
7ガンバレキュードーチャン:2005/07/06(水) 14:37:35 ID:7g4XvjhD
「お珠〜、何で私には出番が無いのよ〜?」
「ははぁ〜ん?そんなの脇役だからに決まってるです〜♪」
「んなっ!?そ、そんなにハッキリ言わなくてもいいじゃないの!こ、梢!梢はどう思う!?」
「だ、大丈夫だよ!きっと出番があるよ!!え、えと…あの……ね、ねぇ」
「?何?」
「な、名前…何だっけ…?」
「もう、いや………っ!!」
生きろ、生きるんだ弓道ちゃん!

二番のり、ぐうたらでした。
8名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 14:47:16 ID:yLmgx7yd
では今日からあなたの名前は「お珠の子分」にしましょう。
9名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 16:19:27 ID:iLl+c+Gy
ほくとの子分みたいだな
>>1
10名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 18:05:35 ID:agrTzmx6
>>3
人気漫画以外って言い切るお前も大概だな
11名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 18:14:29 ID:eaWRt8Ly
>>3
折檻されるよ?

それと>>1乙です。
…俺も3スレまたいでしまったか、早く進めなきゃな
12名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 19:35:39 ID:eRJageyi
>>1



自分は常に一括で送ろうとしてまふ。
13名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 19:36:16 ID:eRJageyi
>>1



自分は常に一括で送ろうとしてまふ。
14名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 19:37:40 ID:eRJageyi
ミスった。
スマソ
15名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 20:18:13 ID:0HX+p1k6
>>1

最近書いてるSSがスレをまたぐ事が多くなってきたな…やっぱり一括投下の方がいいのかねぇ
16名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 20:35:10 ID:uIztKVDA
>>1

一括投下されるに越したことは無いけれど
なんだかんだ言って分割でも投下されるとうれしいからねぇ
17名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 21:04:08 ID:yLmgx7yd
連投規制の都合上、一括だと夜中にしか投下できないから
ブッキングしてしまうことも…。
土日の昼間くらいは連投規制がなくてもいいようなものなのに。
18名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 21:18:37 ID:AorD3adE
分割してもイイが、やはりその日中に完結して貰いたいな。
課題がはかどらなくなるし。
19名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 21:21:20 ID:Wf3m15Ux
1月1日、元旦。
新しい年の幕開けである。
その日は鳴滝荘の住人と水無月家がそろって初詣に行った。
そして―――


―――私、お母さんと一緒にいられればどんなことでも耐えられるから!だから大丈夫です!

―――…私にはお母さんが必要なんです…だ…だから…

―――「遊びに」行ってもいいですか?


娘達と孫の笑顔を見れた。嬉しいことだ。
「嬉しそうですね、丑三さん」
そう言う彼女はもっと嬉しそうだった。
夜だから普段よりも血色がいい。
「まぁ、な」
「朝美さんのことを考えていたんですか?」
少し悪戯っぽい笑みを浮かべて問い掛けてくる。
「む…夕ちゃんにはかなわないなぁ…」
「夫婦ですもの♪」
夕は上機嫌と言った様子で話し掛ける。
「今日はとても楽しかったですね♪」
そう言ってベットに座り寄り添ってくる。
20名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 21:22:50 ID:Wf3m15Ux
「朝美さん、今度遊びに来てくださるんですって?」
「ああ。まひるも喜んでたよ。…鷲も、楽しみだ」
その言葉を聞いて嬉しそうにする夕。
「うふふ、今日は素直なんですね?」
「君に隠してもしょうがないからね」
「まぁ…」
その笑顔を見て娘達のことを思い浮かべる。
普段笑わないあの子達だが笑顔を見せてくれるだろうか。
沙夜子はいつか帰ってきてくれるだろうか。
いや、帰ってこなくてもいい。それがあの子の選択なら。
「…今思うと、沙夜子にはひどいことをしたな」
「……………」
夕は黙って聞いている。
「鷲があの時、黒埼との仲を許していれば、沙夜子も、まひるも、
 ―――黒崎とその娘ももっと幸せに生きていられただろうに」
それは自責の思い。または後悔。
全てはあの時の自分が馬鹿だったのだ。
21名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 21:24:12 ID:Wf3m15Ux
娘が可愛くてしょうがなく、誰にも渡したくなかった。そんな親馬鹿の絶頂期だった。
そのせいで、彼女等は家を出て、黒崎は死に、沙夜子達は苦労してきた。
勝手に家を出て行ったのだから自業自得、ととれるかもしれない。
しかし、本当に娘の幸せを考えたなら、どうしてもっと話し合わなかったのだろう。
どうして理解してやろうとしなかったんだろう。
悔やんでも悔やみきれない。
どうして、あの時―――
「丑三さん、そんなこと言わないで下さい。彼女達は今だって幸せそうですよ」
「しかし――」
「もし、彼女が出て行かなかったら、あの子達はあのアパート―――鳴滝荘の人達とは
 出会えなかったでしょう。沙夜子さんが言ってましたよ。あそこはいいところだって」
夕が慰める。まるで聖女のような、聖母のような暖かい瞳。
自分が彼女に惚れたのは、これがきっかけだった。
「沙夜子さん達は今も幸せなんです。悲しみは消えないかもしれないですけど、それでもあの子は、
 生きることを選んだんです。強くなりましたね…」
「そうだな…あの子は、強いな…」
22名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 21:25:24 ID:Wf3m15Ux
それに比べて自分は弱い。ただ怒鳴りつけることしかできなかった。娘のために何もできなかった。
そんな丑三の心の内に気づいてか、夕が話す。
「丑三さん、まだこれからがありますよ。あの子達のためにできること、二人で捜していきましょう?」
そう言って丑三を抱く。
これから娘達のためにできること。彼女と一緒ならきっとたくさん見つけられるだろう。
自分は父で、彼女は母であの子達は大切な家族なのだから。
「そうだね、夕ちゃん…」
今度は丑三が夕を抱く。
そうしてるうちに彼女は眠りについた。

「…許してくれとは、言わん。そんなのは、わがままだな」
暗い部屋の中、丑三が一人つぶやく。
「だが、見守っていてくれないか、あの子達のことをずっと………なぁ、黒崎」


1月1日、元旦。
新しい思いを胸に、年が明ける―――
23名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 21:26:37 ID:Wf3m15Ux
ある日のこと。
「おヤ、クズ人間サン。コンにちワ。今日ハ豆サンハいなイのデスカ?」
青い制服に黒マント。見間違うはずの無い彼女。
通りすがりに部長とあった。
「…学校よ」
「ソうデスか…新作のギャグがアッタのデスが…おヤ?」
部長がふと何かに気がつく。
「クズ人間サン、アナタの近クニ何カ霊がイルようデスね…」
「…?」
「トテモ親しい人…のようデスよ。アナタのコトを見守ってイルようデスね…」
「そう…」
沙夜子の無表情な顔がふと綻んだ。
「そんナニ嬉しいコトデスか?」
「ええ…」
「フム…」
部長は少し考えるような顔をしたが、すぐに「それデハ、ごきげんよう」と言って去っていった。
「ずっと…一緒にいてくれるのね…」
沙夜子がつぶやく。周りには誰もいない。
「…あなたの彫刻も彫ってあげるわね…」
やはり周りには誰もいない。
だが、確かにそこにはいたのだ。
彼女の愛する者が、彼女を愛する者が―――
24あとがき:2005/07/06(水) 21:31:38 ID:Wf3m15Ux
丑三さん×夕ちゃんのSSが書きたいなぁ・・・
とか思って書いたらラブじゃなくなりました。
内容からも分かるとおり、元旦の時の話です。
タイトルは入れ忘れましたが、「新たな年に」とでもしておきます。

作中で朝美パパでないかな・・・
25名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 21:35:41 ID:AorD3adE
>>24
ベッドって単語が出てきたから丑三×夕がくると思ってたのだが・・・とりあえずGJ!
26妄想特急:2005/07/06(水) 22:06:59 ID:go7pOtZU
>>24 GJです!特に部長がいい役っぽい
27テイル:2005/07/06(水) 22:54:18 ID:76wQClJ+
お、誰もいない……投下するなら(ry

ちょっと中身が薄いかもしれませんが、
そのときは修正版を出します。
投下後に、どうぞ批評したってください。
28AIR(11):2005/07/06(水) 22:56:43 ID:76wQClJ+
さっきの一悶着から2時間が経った。
僕達は、桃乃さんの部屋に集まっていた。
というか、桃乃さん達は最初からここに潜んでいたらしい。
「……で、千百合ちゃんはどうしてるの?」
「あれから部屋に引き籠ってますよ……相当堪えたんだと思いますよ」
「桃さんが変な事言い出して逃げるから〜……そもそも何ですか、澄百合学園って」
「京都のお嬢様学校よ……って何言わせるのよ!これは別の話でしょ!?」
「マ゙〜、要は戯言ですけどね〜」
「お母さん、澄百合学園ってなあに?」
「…………朝美は知らなくていいわ…………」
「ああ、朝美ちゃん、澄百合学園が知りたければ後でアタシの部屋に来て。
 貸してあげるものがあるから」
「……それにしても」
僕は灰原さんのほうに向く。
「灰原さん、どうして、あんな事を……」
「―――――ああ」
灰原さんは、少し疲れた風に言う。
「あれは、俺も少し、言い過ぎたのかもしれないが……
 ああでも言わないと、千百合のヤツも、成長しない。
 自分が思うままに動いていちゃあ、ただの子供と変わらないからな」
「……躾、ですか」
「まあ、似てはいるが、少し違うかな」
タバコを噴かす灰原さん。
「……まあ、そうは言ったものの、俺も強く言えないからな……」
「……灰原さん?」
「俺はあいつを昔から見ている……総一郎さんが亡くなった時も、
 初めて他の人格になった瞬間も、みんな憶えてる」
「灰原さん……」
「千百合が服に執着するのは―――喪服を着たくないという、
 小さい頃の、無意識の思考があるからだ。
 だから、あいつが服をあれこれ選ぶのは、普通に呼吸するようなものなんだ」
「呼吸、ですか……」
29AIR(12):2005/07/06(水) 22:57:40 ID:76wQClJ+
それはまた、言い得て妙な言葉だ。
呼吸をしなければ、人間は死ぬ。
千百合ちゃんにとって、服とは、人生の糧に等しいのだ。
彼女から『服飾』を奪う。
それは、彼女に死刑宣告をするようなものだ。
だから―――――
「確かに―――今の千百合ちゃんだと、皆さんに迷惑をかけます」
無意識のうちに、僕は桃乃さんを見る。
桃乃さんは、神妙な顔つきで僕を見ていた。
「でも、僕は」
僕は言う。

「千百合ちゃんに、笑顔でいてもらいたい」

「…………」
「例え多重人格の一つでしかなくても―――
 彼女が、梢ちゃんの分身でしかなくても―――
 彼女は、歴とした『一人』です。他の誰でもない、緑川千百合という『人間』です。
 だから、彼女の『長所』を、傷つけるなんて真似は、したくない」
「…………」
「白鳥さん」
灰原さんの代わりに言ったのは、珠実ちゃんだった。
その表情は、真剣というよりは、どこか怒っている感じだった。
「あなたは、千百合ちゃんに何が出来るというのですか」
「…………それは」
30AIR(13):2005/07/06(水) 22:58:29 ID:76wQClJ+
それは、いつか訊かれた言葉。
僕は何が出来るのか。
彼女に、彼女達に、何が出来るのか。
結局僕は、何も出来ない。

「…………分からない」

それも、いつか言った言葉。
自分の気持ちを打ち明けた珠実ちゃんに。
自己を犠牲にしてまで、梢ちゃんを救おうと言った珠実ちゃんに。
僕は、そう告げた。
それは、今日も同じ。
でも。

「―――――でも、僕に出来ることが一つある」

僕は、非力ではあるが、無力ではない。
何も出来ないのは、それこそただの子供だ。
僕は――――――無能では、ない。

「いつものように、彼女の側にいてあげることが、出来る」

「白鳥さん…………」
「僕は千百合ちゃんの恋人だ。だから、出来るのはそれぐらいだけど、
 僕は、千百合ちゃんの支えになってあげたい」
「…………」
珠実ちゃんはしばらく沈黙して。
そして、こう告げた。
「……なるほど、白鳥さんらしいです〜」
その言葉には先ほどの怒気は無く。
いつもの、飄々とした珠実ちゃんになっていた。
31AIR(14):2005/07/06(水) 22:59:08 ID:76wQClJ+
「千百合ちゃんを、梢ちゃんを、傷付けては駄目ですからね〜」
「……珠実ちゃん」
僕は、少し、安心した。
あれ以来、珠実ちゃんは僕の事を信頼しているようだ。
それはそれで、ありがたい。
さて。
彼女は、大丈夫だろうか。
「ちょっと、千百合ちゃんの様子を見てきます」
「頼むわよ白鳥クン、千百合ちゃんに元気をあげてきてね。
 あと………千百合ちゃんに、謝っといてくれる?」
「はい?」
「千百合ちゃんが引き籠っちゃったのも、元はと言えばアタシのせいだから……
 だから、『ゴメン』って、伝えてくれる?」
「―――――分かりました」
そう言って、僕は立ち上がって、部屋を出る。
「――――――白鳥」
呼び止めたのは灰原さんだった。
「なんですか?」
灰原さんは、何かを言おうとして。
少し、考える素振りをして。
「――――――――いや、なんでもない」
「―――はあ、そうですか」
そして僕は、千百合ちゃんの部屋に向かう。
32AIR(15):2005/07/06(水) 22:59:44 ID:76wQClJ+

「で、バラさん、白鳥クンに何を言おうとしたの?」
桃乃が灰原に訊ねる。
「いや、大した事ではないさ」
「何よ〜?珍しく隠すわね〜」
「いや、隠すほどでもないさ」
「…………?」
「言うなれば、老婆心みたいなものかな」
言って、灰原は新しい煙草に火を点ける。
煙草の味が、いつもより苦く思えた。
33AIR(16):2005/07/06(水) 23:00:47 ID:76wQClJ+
梢ちゃんの部屋に着いた。
「さて、と……」
とりあえず、どうするか。
ノックした。
「千百合ちゃん……?僕だよ?」

……………

無言だ。
さて、どうするか。
十回ノックする?そうじゃなくて。
「開けるよ、千百合ちゃん」

鍵は開いていた。
千百合ちゃんは、ベッドの上に座っていた。
その眼は、今にも泣きそうなそれだ。
「大丈夫、千百合ちゃん……?」
「……隆、ちゃ」
僕は、千百合ちゃんの隣に座る。
「……もう、大丈夫だから」
「…………わたしは」
ふと、千百合ちゃんが呟く。

「皆に、嫌われているの……?」

「―――な、何を急に」
「私が―――服飾の事を言い出しただけで、みんなに逃げられてしまう。
 みんな、きっと私の事が嫌いなんです…………!
 いつも、私は服飾の事に気が回るあまり着せ替えさせてしまう。
 それが、皆さんの迷惑だって事は、分かってるんです。
 でも、でも、私は……やめられなくて、止められなくて……」
34AIR(17):2005/07/06(水) 23:01:20 ID:76wQClJ+
「千百合ちゃん……何を」
「こんな風に思われるのなら、私はいっそ、死んでしまったほうがいいのです……
 私が死ねば、皆さんに迷惑をかけることなんて―――――」

「違う!!!」

僕は、叫んでいた。
思わず、怒鳴っていた。
「誰も、千百合ちゃんが嫌いだとは思っていない!!」
「―――――隆、ちゃ」
「それに――――千百合ちゃんが服飾にこだわるのだって、立派な『長所』じゃないか。
 自分の長所が嫌で――――死んでしまおうなんて、言っちゃダメだ」
「―――――――」
「千百合ちゃん…………僕達は、みんな千百合ちゃんの事が好きだよ。
 それは、絶対に変わらない気持ちだよ」
「――――――――!!!」
千百合ちゃんは、僕にしがみついて、泣いた。
それは、号泣だった。

千百合ちゃんは、孤独だったのだ。
棗ちゃんとは違う意味で。
棗ちゃんは自ら周囲を拒絶したが。
千百合ちゃんは、周囲に拒絶された。
それは恐らく、小さい頃から。
梢ちゃんの病が始まった、昔から。
ただでさえ珍しい病気なのに。
奇行に走るという事で、周りに忌み嫌われ。
それは、小さな子供には重過ぎる傷痕で。
それでも、梢ちゃん達は、支え合って生きてきた。
五人で一人――――
それが、蒼葉梢。
35AIR(18):2005/07/06(水) 23:02:21 ID:76wQClJ+
しばらくして。
「―――――隆ちゃん」
「大丈夫、千百合ちゃん?」
「ええ―――――落ち着きました。ありがとうございます」
「よかった」
千百合ちゃんは、泣き止んで僕の隣にいる。
眼の周りが少し赤い。
「――でも、隆ちゃん。私のあれを『長所』と言いましたけど、どうすれば――――」
「んー……よく分からないけど」
僕は、少し考えて答える。
「みんなが出掛ける時に、服のコーディネートをしてあげるとか、
 そんな事をしてあげれば、みんなも喜ぶと思うよ。
 千百合ちゃんだけにしか出来ないことが、あるんだよ」
「…………」
千百合ちゃんは僕の顔をじっと見て。
そして、笑顔が戻ってきた。
「隆ちゃんは――――やっぱり、私の大切な人。
 当たり前のように、私の側にいてくれて――――――
 空気みたいに、いつも側にいるけど、かけがえのない人。
 だから、私は―――――隆ちゃんが、大好き」
「千百合ちゃん――――――僕もだよ」
「隆ちゃん―――――!!」
千百合ちゃんが、僕に抱きつく。
そこには、もう悲しみにくれる顔はない。
幸せを掴んだ、千百合ちゃんの笑顔がある。
「ねえ、隆ちゃん」
「なあに?」

「私は―――――隆ちゃんの全てが、欲しいの―――――」
36AIR(19):2005/07/06(水) 23:05:31 ID:76wQClJ+
「しかし、白鳥クンも頑張るわねぇ。もう三回目よ」
「若いナ……なんて奴だ」
「まあ、今日は大目に見ましょうよ。アタシ達も悪かったんだし」
「まあナ」
「お母さん、聞こえないよ〜」
「朝美はまだ早いわ……」
「……桃さん」
珠ちゃんが、私に訊く。
「何よ、珠ちゃん」
「梢ちゃんは――――千百合ちゃんは、幸せになれるですか?」
「………」
突然の質問に、私は真意を測りかねた。
訊くまでもない質問。
言うまでもない回答。
でも。
今日は、それをちゃんと確信したから――――
「―――大丈夫よ、あの二人はちゃんと幸せになるわよ」
「……ですよね〜」
37AIR(20):2005/07/06(水) 23:06:18 ID:76wQClJ+
私は、雲ひとつない夜空を見上げる。
そして、地球の裏にいるあいつに訊く。

「もし、あんたが日本に帰ってきて、アタシと再会したら―――――
 当たり前のように、空気みたいにアタシの側にいて、
 時には激しく、時には優しく―――――あの二人みたいに、

 私の事を、大事にしてくれるよね―――――?」

風が、優しく私の頬を撫でた。
それは、あいつのにおいがした。
地球の裏からの、風の便りだったのかもしれない―――――


<<Love me Forever>>is the end.
38AIR(アトガキ):2005/07/06(水) 23:11:02 ID:76wQClJ+
うーん、Correct……まではいかずとも、書いててズシリときました。
千百合の服飾をどう生かすかがポイントなんですけど、それはそれで
もう大変なんですけどね。
なんか、半熟に調理した感があるような。

最後は、桃乃で締めました。
いや、恋人いるし。
締めとしては相応しいキャラだったかと。

あと、これから諸事情により一時戦列からは離れます。
時たまレスしたりしますが、執筆は休止です。
……梢消滅とか、エローリのデートとか、戦争とか、色々やりたいのに……orz
まあ、再開するときは連絡しますので。

あ、まほログどうしよう……まいっか。
39ぐうたら:2005/07/06(水) 23:17:39 ID:7g4XvjhD
お疲れ様…でした!!
今回のSSもGJ!でしたヨ。
御復活を期待して、今はサヨナラです。
40名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:19:32 ID:AorD3adE
>>38
感動した!大胆かつ柔軟に!そしてGJ!
課題がない日は実に清々しい。
てな訳で今日はもう寝ようと思うのだが、他に投下する人いる?
41名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:20:10 ID:Rlz6cIhU
>20
鷲じゃなくて儂ね
42名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:21:37 ID:HE263Jox
3連続セクースをがんばって盗み聞きしようとする朝美ハァハァ
43名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:25:14 ID:Rlz6cIhU
ごめんsage忘れた
>41
44名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:34:18 ID:1MnrCM6g
絶倫隆ちゃんハァハァ
45名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:39:35 ID:yLmgx7yd
>>38
お疲れさまです。
書いてばっかりじゃ疲れるかもしれませんし、
いまは英気を養ってください。

新型になって颯爽と駆けつける展開をお待ちしてますよ。
46名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:59:25 ID:AorD3adE
前スレ埋まったからとりあえず報告しとく。
47名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 00:05:19 ID:cq9N61n+
>>46
報告乙
48ぐうたら:2005/07/07(木) 00:09:58 ID:4PXLTULz
…ざ らすと もーめんと …
執筆途中で中編6レス(たぶん最終的にこの倍くらいになると)に後編15レス(もすこし続く)……
夜中以外には投下できネーヨ……まだ書きあがってもいないし…
何スレまたいでも怒らないで…
49名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 00:15:31 ID:Q/waHmqU
>>38
GJ!そしてお疲れ様です。ゆっくり休むのも大事ですからね
復活までのんびりと待ちますよ
>>46
1000取りに失敗したおれが来ましたよ・・・orz
50名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 00:23:27 ID:jZiX4wiX
>>49
気にするな。漏れは995しか取れなかった・・・orz
51名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 00:24:48 ID:cq9N61n+
>>49
ドンマイ
52名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 00:47:28 ID:XZVQF/By
>>1スレ立て乙です。

今夜は少し長くなるんで深夜の投下です。
53名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 00:48:05 ID:Q/waHmqU
>>50-51
ありがとう。俺もまたSS書こうかな
54The fateful decision:2005/07/07(木) 00:49:41 ID:XZVQF/By

「あ・・・・・・」
「あ・・・・・・」



再び沈黙が二人を包む。

しかし今度の翼君は明らかにさっきとは違っていた、その目には怒りが満ちている――

「・・しらとり・・・・・てめぇ・・・」
「訳があるんだ!・・・」
「どんな訳だってんだッ!てめぇ・・・人の気持ち弄んで、楽しいかよッ!?」

僕は胸倉を掴まれて壁に押し付けられる。
彼が僕の女装した姿に好意を持っていたことは知っていた。
でもそれは偶然起きたことで意図していたわけじゃないし、弄んでやろうなんて気持ちも無かった。
しかし結果として僕は彼に同じ事をしてしまった。

「どうなんだ言ってみろよ!おまえ俺が彼女ができないのを良いことに、
 こんなことして俺を嘲笑ってたんだろッ!ご丁寧に胸パットなんかしやがって・・・」
胸パット?自分の胸を見下ろすといつのまにかサラシがずり落ちて、
その膨らみが服の上から見てとれる。
寝ている間に苦しくなって無意識にズラしてしまったのか・・・?
「こんな・・・こんなもの!」

翼君は強引に僕の胸を掴むとそれを思い切り引き剥がそうとした。
55The fateful decision:2005/07/07(木) 00:51:03 ID:XZVQF/By

怒りを帯びた指は容赦なく乳房に食い込んできて、それを破壊しようとする。
「痛ッ!!」
その造り物でない感触に気付いたのか、急に指の力が抜けて探るような手つきになる。
周りをなぞるようにした後、布一枚を隔ててその突端と爪の先が擦れる。
「!・・・」
声は堪えることができたけれど、肩が跳ねるように上がってしまった。

翼君はゆっくりと手を離す。その顔は当惑しきっている。
「なんだ・・・?なんなんだよこれ・・・。だっておまえ、銭湯で見た時はこんなの無かっただろ・・・」
そうだった、彼には銭湯で男の状態の体を見られてるのだ。

「だって、下にだって小さいながらもちゃんと着いて・・・・!?」
何かに助けを求めるような翼君の手は、僕の脚の間にあると予想したものを捉えることが出来ず、
さらにその奥へと辿り着いた。
僕は今まで誰にも触れられたことの無いその場所に強い違和感と熱を感じて、視界が白くなっていった。

やがて視界がはっきりしてくると、さっきとは少し離れた所で立っている翼君が見えた。
表情はよく見えない。
56The fateful decision:2005/07/07(木) 00:51:37 ID:XZVQF/By

「じゃあ・・・俺、帰るから・・・」
突然そういうと自分の荷物を持って出て行こうとする。
僕は慌てて口止めをしようとした。
「あ、待って・・・・。誰にも言わないで・・・・・?」
そういうと翼君は僕の目を見て、
「ああ、絶対言わねえから・・・・安心しろ」
そう言って静かに部屋を出て行った。

どうしよう、とうとう翼君にまで知られてしまった。
今の様子なら誰かに言いふらすようなことはしないと思うけれど・・・
なんだかどっと疲れてしまった。僕はもう課題をやる気も起きず、明日のためにさっさと寝ることにした。



57The fateful decision:2005/07/07(木) 00:52:23 ID:XZVQF/By



「・・・・・らとりさん・・・・しらとりさん」

誰かがドアをノックしながら呼ぶ声で目が覚めた。
僕はとりあえず部屋を見回す。太陽はすっかり高くなっていて日差しが差し込んでくる。
昨日の、いや、昨日から今日の午前にかけてのあの騒動は夢だったのではないか。
そう期待したけれど、放り出されたカツラや、半端に巻きついてるサラシの感触で
そうではないとはっきり否定される。
体を見てみる。どうやら元に戻ったみたいだ。
僕はカツラを急いでしまうとドアを開ける。

「あの、白鳥さん、まだお休みでしたか?」
そこに立っていたのは梢ちゃんだった。いつもと違いお出掛け用の服を着ている。
「梢ちゃん・・・ああそうだ今日は出掛けるんだったよね、忘れてた訳じゃないんだ。
 ただちょっと色々あって、その、今何時かな?」
「はい、11時ちょっと前です」
「11時?ごめん!僕から誘っといて寝坊なんかしちゃって」
「いえ、いいんです。白鳥さん昨日は夜遅くまで頑張ってらっしゃったご様子でしたし。今日はお休みですから少し寝坊してもらおうと思ったんです。
 ・・・・ですが、もう我慢できなくなってしまって・・」
梢ちゃんはそういって少し顔を赤らめる。
58The fateful decision:2005/07/07(木) 00:53:12 ID:XZVQF/By

ぐはぁっ、なんていじらしいんだ!
僕はその場で抱きしめたくなったが、なんとか踏み止まる。
「ちょっと待ってね!今大急ぎで支度するから!」
そういってドアを閉めると急いで服を脱ぐ。サラシを取るのに手間取る。
一応僕なりにおめかししてみるけれど、あんまり普段と大差は無い。

その後洗面所に行って、洗顔、歯磨き、寝癖直しをする。昨日は帽子を被りっぱなしだったから髪がぐちゃぐちゃだ。
そうしてなんとか身支度を終わらせた。

梢ちゃんは既に玄関で待っていた。
「梢ちゃん、おまたせ。食事は出先で済ませようね」
「はい、じゃあ行きましょうか」
二人で門を出る。
空は快晴で中々のデート日和だ。
59The fateful decision:2005/07/07(木) 00:53:53 ID:XZVQF/By

「あれ?そういえば行き先決めてたっけ?」
「あ、そういえば・・・」
僕達は顔を見合わせて思わず笑ってしまう。
「フフッ、なんか今日はちょっとボケてるね、僕たち」
「ええ、そうですね♪」
そう言った梢ちゃんは爽やかな笑顔をしていた。

「(ちょっとどころじゃないですぅ〜)」

!?・・・

今の声は・・・
僕はすぐに後ろを振り向く。誰も居ない。
いや、居ないように見えるだけで何処かに居る。必ず。

「どうかしましたか?白鳥さん」
「ううん、何でもない。梢ちゃん、今日は映画にしよう・・・・」
「はい、いいですよ」
とりあえず暗闇ならば姿を見られることもない。そういう判断だった。
60The fateful decision:2005/07/07(木) 00:54:34 ID:XZVQF/By

僕たちは電車に乗って目当ての映画館に向かう。梢ちゃんは前から観たかった映画があったようだ。
今流行りの純愛物らしい。

映画館の最寄の駅に着いて、まず食事をすることに決めた。
僕は昼までずっと寝ていた所為でかなり空腹だったから、パスタでも食べようと提案する。
駅の近くにイタリアンレストランがあったので、そこに入る。

食事中梢ちゃんは学校で起きた事なんかをたくさん話してくれた。
僕が見ることの叶わない日常を少しでも共有したいという気持ちが伝わってくる。
考えてみると、僕は梢ちゃんのことをあまり多くは知らない。
鳴滝荘に越してきてあっという間に梢ちゃんとこんな間柄になったけど、
それは僕に魅力があったとかそういうことじゃない気がする。
梢ちゃんの過去にあった何かが僕達を引き寄せる原因になっているんだろう。

食事を終え会計を済ませると、少しもよおしてきたので梢ちゃんに一言断わりを入れる。
「梢ちゃん、ちょっとトイレ行ってくるから」
「はい、じゃあ外で待ってますね」
61The fateful decision:2005/07/07(木) 00:55:11 ID:XZVQF/By

案内板に従ってトイレに行く。
ドアを開けるとそこに待っていたのは、

「はろ〜♪」
「ぃよう白鳥!」

ズコーー

僕は思わずトイレの床にすっころぶ。

見慣れた人達がそこには居た。鳴滝荘暇人、否、住人の桃乃さん、珠実ちゃん、灰原さんだった。
「はあ〜、やっぱりついて来てたんですね・・・というか何で灰原さんまで来てるんですか・・・」
「いいじゃネエか、俺だって梢の将来は気になるからナ」
悪びれる様子もない。
「も〜、それに尾行するならそれらしくしてくださいよ。尾ける対象に会ってどうするんですか」
62The fateful decision:2005/07/07(木) 00:55:55 ID:XZVQF/By

「まあ聞きなさいよ白鳥クン」
そういって桃乃さんは一歩前に出る。
「なんでアタシらがこんなことしてるかっていうとね。君達の恋路の進展をサポートしてあげようって事なのよ」
「さ、サポート?」
「ワタシは反対ですぅ〜、そんなことには加担しないですぅ〜」
珠実ちゃんはぷいと向こうを向いてしまう。
「まあ珠ちゃんもあんなことは言ってるけど、少なくとも邪魔はしないと思うわ」
「勝手に決めないでくださいですぅ〜」
「ありゃりゃ、拗ねちゃったよ・・・。バラさんは協力してくれるんでしょー?」
「うーん・・・俺はどこまでも中立だナ、こういうモンは流れに任せた方が良いだろ?」
「ええー、何よ・・・ケチ・・・・」
「あの桃乃さん?なんでその、サポートしようなんて思ったんですか?」
桃乃さんは少しの間僕の顔を見た。
63The fateful decision:2005/07/07(木) 00:56:50 ID:XZVQF/By

「―――君が来てからね、梢ちゃん本当に明るくなったの。それに君達が付き合い始めてからは
 他の人格の子たちもほとんど出てこなくなったわ。君が梢ちゃんにとって大事な人だってことは誰もが認めると思うの」
ジョニ―が軽く2〜3回頷く。珠実ちゃんは依然としてそっぽを向いたままだ。
「それで2週間前の晩の、あの出来事よ。確かに君は動転していたけど
 梢ちゃんは君に真剣に自分の気持ちを伝えたと思う。それは白鳥クンが一番分かってるわよね?
 梢ちゃんあれから本当に幸せそうよ、君達の仲は、今最高に親密になってるんじゃないかな?」

こんな風にサクサク言われると照れる暇もない。
それに僕は珠実ちゃんの様子が気になっていた、珠実ちゃんはこんな話は聞きたくないだろう。
だけど彼女は何も言わずじっと耐えている。
僕は一回だけ、深く頷いた。
桃乃さんはそこで一旦呼吸を入れる。

「――機は、熟したと思うの・・・」
その言葉の意味はすぐに理解できた、しかし僕は珠実ちゃんのことを見ながら、
時間稼ぎをするかのようにこう問う。
「・・機・・・というのは・・・?」
それは今まで意識的に考えなかったことだった。
64The fateful decision:2005/07/07(木) 00:57:32 ID:XZVQF/By

「綺麗に言えば・・・・結ばれるってことね」
「!・・・」
今まで黙っていた珠実ちゃんが、走って出て行ってしまった。
「ああ、珠実ちゃん!・・・桃乃さんなんで珠実ちゃんの前でこんな話を・・・」
「いいのよ・・・あの子は、全部分かってるから。
 心から祝福はできないだろうけど、こういう時が来る事はあの子だって分かっていた筈よ。
 それを全て覚悟して、あの子は梢ちゃんと生きてきたの。
 それにあの子には梢ちゃんだけじゃない。梢ちゃんには及ばないかもしれないけど、私達だって居るわ」
灰原さんも頷いている。
「だから白鳥クン、君は気兼ねなんてしなくていいの。100%の力で、梢ちゃんを愛してあげて」

それは僕にとって、重い言葉だった。
身寄りの無い梢ちゃんを、この人達は時に親のように見守ってきたのだ。
その人達から梢ちゃんを愛するようにと言われることは、
「君なら彼女を幸せにできる、彼女を任せた」――そう言って貰えているのと同じ事だ。
桃乃さんの言葉を信じるならば、珠実ちゃんもそう思ってくれているらしい。

付け足すように灰原さんが話し始める。
「桃は100%なんて大袈裟な事言うけどナ。そんなに気負い込まなくても良いんだゾ?
 べつに特別な事をする必要はネェ、おまえは梢の傍に居て、梢の事を想ってやりゃいいんだ」
灰原さんは先日の事から、僕の少し思い込みの激しいところを心配しているのだろう。
65The fateful decision:2005/07/07(木) 00:58:19 ID:XZVQF/By

桃乃さんがまた話し出す。
「私はね、君達はお互いに本当に良い伴侶になれると思うの。
 でも白鳥クンも梢ちゃんもそういうことに関しては消極的でしょ?
 だからそんなところで二人の気持ちがすれ違うかもしれないと思うと、どうしても我慢ができなかったのよ。
 ――梢ちゃん、たぶん君の事を待ってるわ。もういつでも君を受け入れる準備はできてると思う。
 後は、少しの勇気が必要なだけよ」

桃乃さんが僕たちのことを心配してくれるていることは嬉しかった。
でもやっぱりこれは僕と梢ちゃんの問題だ。周りに促されて焦ってするものじゃない。
そう思ったのでそれを素直に伝えた。

「そうだよね・・・・ごめん、アタシとんだお節介だったわね。さっき言ったことは忘れて」
桃乃さんは反省顔であっさりと引き下がる。
「でも、皆さんが応援してくれてることが分かったんで、少し勇気が湧いてきましたよ」
「本当?じゃあちょっとは役に立てたかな?」
僕は笑顔で頷く。
66The fateful decision:2005/07/07(木) 00:59:06 ID:XZVQF/By

「ところで白鳥クン、今日の予定はどうなってるの?」
桃乃さんはもう普段と同じ調子になっている。さっきの話にはあまり拘っていないようだ。
「ええ、これから映画を観ることになってます」
「映画か〜、まあ無難なところねー。で、どんなのを観るの?ホラー?スプラッター?えびボクサー?」
嬉々として聞いてくる。
「ど、どんなチョイスですかそれ・・・普通の恋愛物ですよ」
「うん、デートといえばラブストーリーよね。
 ――スクリーンに映し出される恋人達に同調し、
 やがて映画そっちのけでお互いを貪り合う二人・・・
 『白鳥さん、私、何だか変な気分に・・・』『梢ちゃん・・・僕もなんだ・・・』――なーんてなっ!にゃはははは!」
桃乃さんは僕の背中をバシバシ叩く。僕は、梢ちゃんとそんな状況になっている自分を想像してしまった。
観る映画を恋愛物にしたということは、梢ちゃんもそういうことを期待してるんだろうか・・・?
67The fateful decision:2005/07/07(木) 00:59:41 ID:XZVQF/By

「そんなことはワタシが絶対阻止するですぅ〜」
「珠実ちゃん!」
いつのまにか駆け出していった珠実ちゃんが戻ってきていた。
「あ〜ら、生憎その時二人は暗闇の中よ?」
桃乃さんは普段通りの調子で返す。
「そんなもの暗視ゴーグルでもサーモグラフィーでも使ってやるですぅ〜。
 それにいざとなったら変身の呪文を唱えてやるですぅ〜」
珠実ちゃんもいつもの調子でそう言った。
声も表情もいつも通りだったけど、
腫れてしまった瞼だけはどうにもならないみたいだった。

68The fateful decision:2005/07/07(木) 01:00:23 ID:XZVQF/By


梢ちゃんを待たせ過ぎてはいけないので、
僕はトイレを出た。(そう、トイレであんな話をしてたのだ)
梢ちゃんはレストランの外壁にもたれて待っていた。

僕は梢ちゃんに駆け寄る。
「梢ちゃん、ごめんね待たせちゃって」
「いえ、それよりもどこか具合が悪いんですか?」
桃乃さん達と話していて10分強くらい時間が経ってしまった。
男のトイレの場合これは結構長いと思う。
「いや、何ともないよ。あ、でもちょっと熱っぽいかな?(君と一緒だから・・・ナンチャッテ)・・・・・わっ!」

突然のことで何が起きたのか分からなかった。
梢ちゃんは僕と自分の前髪をかきあげると、目を閉じて額を合わせた。
しばらくそのままの態勢が続く。自分の鼓動が聞こえてくる。
僕は息を止めたまま目の前にいる梢ちゃんを凝視する。
透き通った肌、閉じられた目、整った鼻筋、そして、柔らかそうな唇・・・。
少し頭を動かせばそれを独占することもできる。梢ちゃんもそれを拒むとは思わない。
けれど僕は、ずっとこのままでいたかった。

69The fateful decision:2005/07/07(木) 01:00:59 ID:XZVQF/By

やがて梢ちゃんは目を開けると、顔を離していく。
(ああもう少し・・・もう少しこのままで・・・・)
そんな願いも虚しく、ゆっくりと僕たちは日常的な距離関係に戻った。

「うーん、大丈夫だと思いますよ?」
梢ちゃん少し首を傾げてそう言った。
「う、うん。そうみたいだね・・・」
僕の口調はどうしても残念そうなものになってしまう。

梢ちゃんのこれは、全部天然なんだろうか?
僕には判断が付かなかった。

――梢ちゃん、たぶん君の事を待ってるわ。

そんな桃乃さんの言葉を思い出す。

「じゃあそろそろ映画館に行きましょうか」
そう言う梢ちゃんの表情はいつもと変わらない、気がする。
(考え過ぎ・・・か)
とりあえず今はそう思っておくことにしよう。

70The fateful decision:2005/07/07(木) 01:01:34 ID:XZVQF/By

僕たちは映画館に着くとチケットを2枚買って中に入った。
休日で、しかも人気のある映画だったので結構な人の入りだ。
比較的中央の後ろよりの席を確保できた。
「梢ちゃん、僕何か買ってくるから。欲しい物ある?」
「あ、はい。それじゃあ梅こぶ茶を」
「(梅こぶ茶?あるのかな?)・・・分かった、ちょっと待っててね」
そういって僕は売店に向かう。
梅こぶ茶は流石に無かったけれど、梅風味の炭酸飲料があったので代わりにそれを買っていく。

「梢ちゃん、こんなのしか無かったけど、いいかな?」
買ってきた物を手渡す。梢ちゃんはその飲み物が梅風味ということに気付いたのか、
「はい、ありがとうございます♪」
と、嬉しそうに言った。
喜んでもらえてよかったけれど、別に梅干しそのものを渡しても良かった気がする。
71The fateful decision:2005/07/07(木) 01:02:25 ID:XZVQF/By

そうこうしていると上映が始まった。
僕は映画が始まって約15分ほどで―――眠ってしまった。ぐっすりと。
目が覚めたのはエンドロールが流れる頃だった。

自分が眠っていたことに気付いて僕は激しく後悔した。
あんなに寝坊したのに何でまた寝てしまったんだ!
しかもデートの最中に!

梢ちゃんに悪いという気持ちもあったけれど、僕自身も二人きりのこの時間を楽しみにしていたから落胆は大きかった。
そっと梢ちゃんの様子を見る。
目に薄っすらと涙をためて、スクリーンを見ながら余韻に浸っているようだ。
僕は梢ちゃんが感じたであろうその感動を共有したかった。そう思うとさらに後悔の念が強くなる。

72The fateful decision:2005/07/07(木) 01:03:04 ID:XZVQF/By


映画館を出ると、西の空が少し赤みを帯びていた。
夕食までにはまだ少し時間があるので二人でカフェに入ることにする。
席に着くとすぐに梢ちゃんは映画の感想を話し始めた。
あのシーンが良かった、この台詞が素敵だった、そんなことを次から次へと言ってくる。
僕は観ていないのだから、適当な相槌を打つぐらいしかできない。
とりあえず梢ちゃんは映画に満足したようだった。

でも隣で観ていたんだから、僕が途中で寝てしまったことも当然気付いてしまっただろう。
そう考えてみると、梢ちゃんのこの饒舌は、寝てしまった僕への静かな批難なのかもしれないという気がしてきた。

(梢ちゃん、怒ってるのかな?)

そう思うと不安になってきたので、先に謝ることにした。
「梢ちゃん。あの、ごめんね?」
「?・・・何で謝るんですか?」
梢ちゃんはキョトンとした顔を向けてくる。
「え、だって僕、映画の途中で寝ちゃったから・・・」
その後の梢ちゃんの言葉は予想できないものだった。
73The fateful decision:2005/07/07(木) 01:03:44 ID:XZVQF/By

「?・・・何言ってるんですか白鳥さん。あんなに食い入る様に観てたじゃないですか?」

(!?・・・)

僕は冷え切った手で首筋を撫でられたような気分がした。
僕が観ていた!?何だそれは、僕は最後まで寝ていたぞ!?

鼓動が高まり、冷や汗が出てくる。
梢ちゃんはそんな僕の異変に気付いたのか、急に心配そうな顔になる。
「あの、大丈夫ですか・・・?」
僕は咄嗟に判断する。梢ちゃんを心配させるような事は言えない。
「う、うん、大丈夫。そうだった観てたよ僕。今のは冗談だよ、驚いた?」
そういって何とか誤魔化す。
しかし僕は胸の内の不安が邪魔をしてデートどころでは無くなってしまい、
梢ちゃんに提案してそのまま二人で帰ることにした。



74The fateful decision:2005/07/07(木) 01:04:37 ID:XZVQF/By


――――――――――


私は目が覚めると体の違和感に気付いた。
下腹部のまだ誰にも触れられたことの無いその場所を、誰かの指が圧迫している。
私はすぐにその指の持ち主の正体を見た。
(翼・・・・君!?)

私は全力でその体を突き飛ばす。
「何すんのよっ!この変態!」
突き飛ばされた翼君は何故か怖いものでも見るかのような顔で私を見てくる。
「・・・おまえ・・・・何でついてないんだ?・・・」
「何よ!何がついてないっていうのよ!」
話が噛み合わない。
「だから・・・・チ○コ・・・だよ」
75The fateful decision:2005/07/07(木) 01:05:12 ID:XZVQF/By

私は耳を疑った。人の大事な場所を触っといて、その言い草は何なの?
「馬鹿にするのもいい加減にしてよッ!私にそんなものついてるわけないでしょ!」
翼君はなおも信じられないといった顔をしている。その表情が私のイライラをさらに強くしていく。
「もう!何なのよ一体!課題をやるのを手伝ってくれっていうから、部屋にまで入れて一緒にやってあげてるのに!
 それなのに、いきなり襲ってくるなんて・・最低・・・・」

泣きそうになるのを何とか堪える。ここで弱みを見せてはいけない。
ふと、私は自分がノーブラになっているのに気付いた。それに変な金髪のカツラを被っている。私は急いでそれを脱ぎ捨てる。
しかも時計を見ると夜の12時を大きく回っている。
こんな時間に、こんな格好で、しかも二人っきりでいるなんて、襲ってくれと言ってるようなものだ。
私は自分の愚かさ加減が嫌になる。
76The fateful decision:2005/07/07(木) 01:05:59 ID:XZVQF/By

翼君は流石に悪いと思ったのか、徐々に不安そうな顔になる。
「あ、いきなり触ったのは悪かった。ごめん・・・・でも、ちょっと聞いていいか?」
「な、何よ・・・」
なんとか声が震えないように努力した。
「う〜ん・・・・まずは、俺の名前は?」
「?・・・翼君でしょ?」
翼君は少し安心したように溜息をついた。
「じゃあ、ここの大家さんの名前は?」
「梢ちゃんよ。・・・ねえ、何なのよこれ」
「最後に、おまえの名前は?」
私は呆れた、翼君ってこんなに変な人だったっけ・・・?
77The fateful decision:2005/07/07(木) 01:06:49 ID:XZVQF/By

「・・・私の名前は白鳥、白鳥隆子に決まってるでしょ?」
「り、隆・・・子?」
「そうよ、何か文句ある?」
「い、いや、無いけど・・・・・じゃあ・・・性別は?」
「・・・さっきから本当に失礼ね、女よ、見れば分かるでしょ!?」
翼君はそれで黙り込んでしまった。いや、よく口元を見てみると何か独り言をぶつぶつ言っている。
「(落ち着け落ち着け、これは夢か幻覚だ。そうだこれは俺の願望が見せてる夢だ。今日はちょっと酒を飲み過ぎただけだって)」
しばらくぶつぶつ言った後翼君はこんな事を言い出した。
「なあ、さっきのお詫びと言っちゃなんだけど、俺を殴ってくれないか?」
「殴る?殴ってどうするの?」
「いや、どうもしないけど、目が覚めるかなと思って・・・・・手加減しないで思いっきりやってくれ」
「そこまで言うんなら・・・・」
私はさっき触られた怒りが治まりきってなかったので、遠慮なく翼君の頬を思いっきりひっぱたいた。
78The fateful decision:2005/07/07(木) 01:07:23 ID:XZVQF/By

バチン!

思ったよりも派手な音がして叩いた本人が驚いてしまう。
「あっ!ごめん大丈夫?」
「いやいいんだ、そんなことより・・・・はあ、やっぱり駄目か」
翼君はそういうとまた独り言を始める。
「(これは現実なのか?目の前にいる白鳥は体から何から全部女だ。
 じゃあ今まで俺が男だと思って接してた白鳥は、本当は女だったっていうのか?
 いや違う、俺は今日確かにあいつの体を見た。あんな胸は絶対無かったし、しっかり確認はしてないけど 確かに下もついていた。・・・・じゃあ目の前のこの女は誰なんだ?俺は今日、白鳥からずっと目を離してないんだぞ。
 似た別人と摩り替わるなんて無理だ)・・・・・・・・・まさか、これか・・・?」
そう言って翼君は何かの紙切れをポケットから取り出した。水に一回濡れたみたいでヨレヨレになっている。
さっきから聞いていると男とか女とかよく分からない事を言っている。
「(フッ、まさかな・・・そんなことあるわけねえよな・・・・でも・・・魔法でも持ち出さなきゃ説明つかねえよ・・
 そういえばこのメモを読み上げた後の白鳥はおかしかったような・・・)」
独り言が終わると翼君はまた聞いてきた。
「なあ、白鳥これなんだけどさ、見覚えあるか?」
私は手渡された紙を見る。字が滲んでいるけれど、辛うじて読み取れる。
(変身呪文:  パポップ・ペプッポ・ピペッポ)
それは朝、珠実ちゃんに頼んで書いてもらったものだった。
79The fateful decision:2005/07/07(木) 01:08:00 ID:XZVQF/By

「これは!どうして翼君がもってるの!?」
「どうもこうもないだろ?おまえが男湯で俺に渡してくれたタオルの中に入ってたんじゃないかよ」
「お、男湯!?私が男湯なんて入るわけないでしょ!私は梢ちゃんや珠実ちゃんと一緒にちゃんと女湯に・・・」
「じゃあ、それを思い出せるか?・・・いや、無理な筈だ。おまえが思い出せるのは男湯の中だけだ」
そう断定されると急に不安になる。必死に梢ちゃん達とお風呂に入っている光景を思い出そうとする。
しかし思い出せる記憶は、何も持たないまま浴場に入っていく翼君の後姿や、
自慢げに大事な場所を見せ付けてくる翼君といった光景ばかりだった。
私はそのはっきりとした形をイメージして、まともに翼君の顔を見れなくなった。
「ん?大丈夫か?・・・それより俺、見たんだ。おまえが男から女に変わるところを・・・
 この魔法ってのは本当にあるんだろ?」
私は混乱した。まず第一に私は最初から女であって、呪文を唱えられると女から男に変わるのだ。
それに魔法のことは迂闊に話したり出来ない。
でも翼君のその顔は真剣で、しかもメモの呪文を唱えられれば私は男に変わってしまう。言い逃れできない状況だった。

80The fateful decision:2005/07/07(木) 01:08:37 ID:XZVQF/By

「――魔法は・・・あるわ」
「そ、そうなのか?本当にあるのか・・・」
翼君はそれでも少し驚いたような顔をした。
私はさっきから気になっていたことを聞く。
「それで・・・その・・変身するところを見たってことは、私の体も・・見たの・・?」
私だって一応女の子だし、何の断わりも無く体を見られたりするのは当然嫌だった。
「え?ああ、それはハッタリだから気にするな。何も見てないよ」
「ハッタリ!?」
「そう、こうでもしなきゃ口を割らねえと思ってな」
私はプライドがちょっと傷ついた。まさかこの人に騙されるなんて・・・。
翼君はまたぶつぶつ言い始める。
「(それじゃあ体のことはこれで一応解決だな。信じられねえけど・・・
 後はなんで心まで女になってるかってことだな)」
翼君はそう言った後、自分の荷物のところに行って何やら探し始めた。
「あったこれだ。おい白鳥、これを読んでみろよ」
それは私達の学校のパンフレットのような物だった。
「それの、おまえの作品が紹介されてるページがあっただろ?それを見てみろよ」

そうだった、私の創った作品がどういうわけかパンフレットの紹介用に選ばれてしまったのだ。
恥ずかしいような嬉しいようなそんな気分になったのを憶えている。
81The fateful decision:2005/07/07(木) 01:09:20 ID:XZVQF/By

私は作品が掲載されているページを開く。
「――何よこれ!?」
私の作品と一緒に載っている顔写真は、私の顔に瓜二つの―――男の子だった。

19歳、本校男子学生、白鳥隆士。

私は自然と息が荒くなる。胸が不安で張り裂けそうになり、それを打ち消そうと夢中で捲くし立てた。
「何なのよこれ、嘘よ、こんなの嘘よ!私は隆子よ!?19年間ずっとこの体で女として生きてきたの!
 ねえ、冗談なんでしょ?もういいから・・・充分驚いたから・・・・嘘だって・・おまえは最初から女だったって・・言ってよ・・・」
けれど、そんな信じたくない気持ちを嘲笑うかのように、女として生きてきた記憶が男としてのそれに摩り替わっていく。
私の目からボロボロと涙が落ちた。世界は今まで見えていた顔を隠して、私をどん底に突き落す。
私は・・・私は何者なの・・・・・?
突然にアイデンティティを失った私は、叫びだしたくなるほどの孤独に打ちのめされる。

ふと梢ちゃんの顔が目に浮かぶ。
多重人格?
私が、そうだっていうの?
この男の子の頭の中から新しく創られたって事なの?
どうして?何の為に?
こんなのあんまりよ!私は・・・私は偽者なんかじゃないっ!
82The fateful decision:2005/07/07(木) 01:09:52 ID:XZVQF/By

「偽者なんかじゃないっ!」
気がつくと、翼君に抱きつきながら、そう言って嗚咽していた。
「!・・・」
私は飛び跳ねるようにすぐに離れる。
「ごめん、ちょっとパニックになっちゃって・・・」
「いや、いいんだ。俺も少し急ぎすぎた、もう少しよく説明してから見せればよかった・・・」
翼君が心配そうに言う。
「いいのよ・・・これが、現実なんでしょ?」
翼君はためらいがちに頷く。
私は今度は何とか取り乱さずに済んだ。


しばらく何もすることが出来なかった。私は座り込んだままじっと床を眺める。
何も考えたくない、何も見たくない。けれど時間が来れば私の意識は消えて、
この男の子の意識が浮上してくるんだろう。いや、この男の子からすれば元に戻るだけなのか・・・
だから私には時間が無かった。こんなことをしてる暇は無い。
83The fateful decision:2005/07/07(木) 01:10:37 ID:XZVQF/By

「・・・ねえ、翼君は私と会ったのはこれが初めてなの?」
「ああ、驚いたよ。いきなり白鳥が知らない人間になってて・・・」
「・・・・・私、どうすればいいのかな?この男の子は私が『居る』ってことを知ってるの?」
翼君に聞く。
「分からない、知ってるそぶりは見せなかった。おまえはどうなんだ?
 おまえは白鳥の事、いや、白鳥隆士のことは全く知らなかったのか?」
「知らなかった。今まで自分の存在に疑問なんて全く持ってなかった・・・」
笑っちゃう・・・なんて馬鹿なんだろう・・・
「私、やっぱり駄目だよね?居ちゃいけないんだよね?一人の中に二人いるなんて
 変だもん・・・・居たら、この男の子の邪魔になるだけだよね・・・」
私はパンフレットの写真を見た。優しくて暖かい笑顔をしていた。
「やっぱり消えなくちゃ・・・・だめだよね・・・」

「そんな・・・そんなことは無い!」
「え?・・・」
翼君は恐い顔をして私の腕を取ると、引っ張って立たせる。
「一緒に来てくれ」
そう言って腕を引っ張る。
「え、何処に行くの?」
翼君はその問いには答えなかった。

84The fateful decision:2005/07/07(木) 01:11:33 ID:XZVQF/By


私は自分の前で背を見せている翼君に訊ねる。
「なんでこんな所に連れ出すの?」
場所は夜の公園、居るのは私と翼君の二人だけ。

「あそこだと誰に聞かれるか分からないから・・・」
皆に聞かれてはいけない話?
私は少し不安になる。

「お前が・・・好きだ」

「!?・・・」

突然の事に、私は言葉を失う

「すまん・・いきなりで驚くよな・・・・・でも実は、初めて会った時から、こうなって欲しいと思っていたんだ。
  俺と付き合ってくれないか・・な・・?」

私は否と即答しようとした、が、何かがそれを押し留める。
沈黙が続いた。

85The fateful decision:2005/07/07(木) 01:12:08 ID:XZVQF/By

「――あの子の事か?」

私はこくりと頷く。

「どうして!だってあの子は・・・」
「分かってる・・・・でも私は、あの子を裏切ることなんてできない」

梢ちゃんは確かに女の子だけれど、そんなことは関係なく私の中で一番大切な存在だ。
あの写真の男の子も同じ気持ちなんだろう。私はその気持ちを裏切ることはできない。

翼君は唇を噛み締める。 

「・・・最後に聞かせてほしい、お前は俺の事をどう思ってる?」
「・・・・・・・」
正直な気持ちを伝えてしまえば、誰かが傷つくことになる。
それに何より己の感情に歯止めが利かなくなりそうだった。
私はそれをひどく恐れていた。

もしかして私、この人のことが・・・・・?

86The fateful decision:2005/07/07(木) 01:13:05 ID:XZVQF/By

――何を考えてるの、私にはそんなこと許されないのよ。
そんなことをすれば、あの男の子と梢ちゃんをどれだけ傷つけるか分かってるの?
私は翼君に返答した。
「私はあなたと付き合うことはできないし、あなたの事は友達だと思ってる」
出来るだけ簡潔に言った、余計な感情が入り込まないように。

すると翼君は黙ってしまった。私は言い方が冷た過ぎたかと少し反省する。
「あの、私からも聞いていい?」
「ん?」
よかった、反応があった。
87The fateful decision:2005/07/07(木) 01:13:46 ID:XZVQF/By

「何で私みたいな、明日もう消えてるかもしれないような人間を好きになれるの?
 しかも会ってすぐに・・・」
翼君が少し照れたように笑う。
「俺が憧れてた人に瓜二つ、というか、そのまんまなんだよお前が」
「憧れてた人?」
「うん、でもその人はもう消えちまったんだ。俺の目の前で・・・。
 だから俺はたぶん、その人とお前をダブらせて見てたんだな。
 でもそれはやっぱり・・・・間違ってる・・よな。それに白鳥・・・ああ男の方な、
 あいつに何の断りもなしにお前とそんなことになったら、
 俺はあいつに会わせる顔が無くなる。お前の判断は正しかった」
そういうと翼君は清々しい顔をした。
「ふ〜ん・・・愛情より友情・・・か。そんなに良い子なの?隆士って子は」
「ああ、いい奴だよあいつは。お前とおんなじくらいな」
「なっ!なんで私がいい奴なのよ?こんな短い間に分かるわけないでしょ?」

「だってお前、自分が元から居た人間じゃないって分かった時、
 俺に『消えなくちゃいけないのかな』って聞いただろ?
 それは白鳥隆士という会った事もない人間のことを思い遣って言った言葉の筈だ。
 少なくとも俺がお前の立場だったら、取り乱して自分の事しか考えられねえよ。
 ――だから、お前はいい奴だ」
88The fateful decision:2005/07/07(木) 01:14:34 ID:XZVQF/By

私はそれまで堪えていたものが全部噴き出していくのを感じた。涙を止めることができない。
「私は、私はいい奴なんかじゃない!本当は消えるのは怖いし、消えたくなんか無い!
 自由に恋愛だってしたいし、このまま女として、この体を自分のものとしてずっと生きていきたいわよッ!!」
もう駄目だった。一度言葉にすると、その思いが自分の中でどんどんと大きくなっていく。

(怖い・・・怖いよ・・・消えたくないよ・・・・)

がしっと頭を捉まれた。見ると翼君が私の頭に手を乗せている。
「分かってるよそれくらい。でもおまえは、その気持ちを我慢して
 あいつのことを考えてやったんだろ?だったらそれで充分じゃねーか」
私はその顔を見上げる。
「そう・・・かな?それで、いいのかな?」
「イイに決まってるじゃねえかよ、他の誰かが駄目だって言っても
 俺は最後までおまえはいい奴だって言い続けてやるよ」
私はその翼君の笑顔を見て、少し不安と孤独感が軽くなったような気がした。

89The fateful decision:2005/07/07(木) 01:15:20 ID:XZVQF/By

「じゃあ、帰るか!悪かったな、お前が大変な状況なのにいきなりこんなことして。
 どうかしてた、本当なら俺が落ち着いてなきゃいけないのに」
そういって二人で鳴滝荘に向かう。
「ううん・・・私正直に言うと、翼君に好きだって言ってもらえて・・・嬉しかった。
 私にとって確かなものは、もう何も無くなっちゃったから・・・」

私がそう言うと、翼君は立ち止まった。

「――なあ、また会ってくれないか?何もしなくていいんだ。ただ、会って話すだけだから。
 毎晩12時から1時間は此処で待ってる。お前の都合の良い時に出て来てくれればいいから・・・」
私は迷った、この孤独感を癒してくれるのはこの人しかいないと思ったけれど、
今の私たちが会い続けていれば、きっとそれ以上の仲になってしまう。
結局返事はうやむやになってしまった。


――――――――――


90名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 01:17:50 ID:XZVQF/By
今日はここまでです。このペースなら明日が最後になりますんで、お楽しみに。
91名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 01:20:52 ID:XZVQF/By
あと、えっちを期待してた方、すいません。
さんざん振っといて無しかよ!って感じですよね・・・
92名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 01:22:54 ID:8+LkjtaQ
GJ。
とてもいい雰囲気です。
感想は完結後に取っておきましょう。
93たろ:2005/07/07(木) 01:27:10 ID:L8QdEioa
すげえッス!
素晴らしいッス!!
こんな超良作の後で恐縮ですが自分も・・・。
94第1話「不思議な襲来者」:2005/07/07(木) 01:27:56 ID:L8QdEioa
ガチャッ
キッチンの扉を開けるとそこにはもう蒼葉梢、茶ノ畑珠実、黒埼母子、灰原由紀夫が居た。
桃野さんが居ないが、まぁあの人が宴会翌日に早く起きる事は無いので納得する。
「おはようございます、白鳥さん。」
「おはよう、おにいちゃん」
「おはよう、梢ちゃんに朝美ちゃん。」
テーブルの上を見るともう全員朝食を食べ終わり片付けをしているところらしかった。
僕も自分の茶碗にご飯をよそい味噌汁を用意していると
「おやおや〜白鳥さん、随分とお寝坊ですね〜。まあ、そのお陰で私は久しぶりに至福の時を過ごせましたが〜。」
と、珠実ちゃんが心底嬉しそうに話し掛けてきた。因みに当の梢ちゃんは何の事か判らずキョトンとしている。
「じゃあ私達はもう部屋へ帰りますので白鳥さんはお一人で寂しく食事しててください〜。」
うぅ…、そんな事言わなくても…。
「じゃあね、お兄ちゃん。…ほら、お母さん行くよ。今日中に終わらせなきゃ。」
「………」
「えっと…、白鳥さん。私も庭のお掃除をしなきゃいけないので…。」
「うん、僕の事は気にしなくて良いよ。」
95第1話「不思議な襲来者」:2005/07/07(木) 01:28:30 ID:L8QdEioa
……本当に一人になってしまった…。灰原さんも何時の間にか居なくなってるし…。
とりあえずモソモソと朝食をとっていると部屋の隅に見慣れたペットボトルが転がっていた。
他社製品と変わらない量なのに何となく得した気分になる「多いお茶」。
ボトルにはしっかりと「白鳥」の札が。
「……沙代子さん……(泣)。」
さみしい朝食を食べ終えキッチンを出て洗面所へ向かい顔を洗う。
途中「お楽しみ畑」の手入れをしている梢ちゃんが居たがこっちには気付いていないようだ。
今度提出しなくちゃいけない課題があったので、自分の部屋に戻って作業にかかろうと思っていると
廊下に人影が見えた。
あれは……。

1、あの大きなおさげは珠実ちゃんだ。
2、ダンボールを持っているから朝美ちゃんかな。
3、見紛う事なき立派な触覚、桃野さんだ。
4、……灰原さん、かな…。
96たろ:2005/07/07(木) 01:29:51 ID:L8QdEioa
この続きは選択肢によって微妙に変わります。
つたないシロモノですが良かったら好きなルートを選んでください。
97テイル:2005/07/07(木) 01:36:14 ID:hGr7LweU
>>96
5.遊びに来た部長

…ウソ、桃「乃」で。
あと黒「崎」に由「起」夫だな。
訂正願います〜
98名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 01:41:34 ID:V3hl+clN
ここに2の朝美ちゃんでお願いします
99名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 01:45:15 ID:Q/waHmqU
>>96
1か4でお願いします
>>91
GJ!最終回期待してますよ。あと、割り込んですいませんでした・・・
100名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 02:22:08 ID:cq9N61n+
>>97
Aでお願いします

>>91
正直期待していた…
101名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 04:02:20 ID:4eoyyvmA
エロールによる男の心を持った隆子を陵辱ストーリーにはならなかったか。
あと、続きマダー。
102名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 07:37:34 ID:dMTCk9/N
>>91
おおおおおお、すばらしすぎる、激しくGJ!
エロールのセリフがめっさ心に響きましたよ。

>>96
個人的には第一希望は1、第二希望が2。
103名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 08:27:09 ID:jZiX4wiX
寝てた間にまた大作投下が・・・

>>91
GJ!
しかし随分長くなったな・・・

>>96
乙。
1か2をキボーン
104お腹いっぱい:2005/07/07(木) 09:38:36 ID:K0mCZc4i
昨日も寝てしまった私が来ましたよorz

>>91
GJです!
翼くんに感動しました。
どんなラストなのでしょうか…。

>>96
GJです。
私は2でお願いします。

今日こそ投下しようと思います。寝ないようにがんばります。
105お腹いっぱい:2005/07/07(木) 10:27:09 ID:K0mCZc4i
>>38
テイル氏、お疲れさまでした。
いろいろとご指導ありがとうございました。
またテイル氏の良作が見られる日を楽しみにしています。
106名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 12:25:57 ID:6dEP3JEY
いや!むしろ全部で!
希望は

2→1→3→4

107ぐうたら:2005/07/07(木) 16:29:14 ID:JbICr22O
今日も大事をとって休んどけと医者に言われましたぐうたらです。
何もすること無いんで『The last moment』の中編−aでも投下します。
中編だけでもかなりの長さになるかもなんでよろしくどうぞー。
では!『The last moment』中編−a〜、行きます〜
108The last moment 中編−a 1/3:2005/07/07(木) 16:30:19 ID:JbICr22O
正午過ぎの駅前。
今僕は一人で駅入り口に立っている。
何故一人かというと理由はこうだ。

『隆ちゃん、早速ですけど、お、お願いしても…いいですか?』
『え?あ、うん。いいよ。何?』
『その…同じ家に住んでいるので出来ないかったんですけど…わ、私の憧れで…
 隆ちゃんが先に駅に行って私が後から来てみたいんですけど…』
『え、え?あ、ああ、うん。いいけど……』
『ほ、本当ですかっ!?』

と、言う理由で僕は一人で駅前に立っている。
少しあたりを見渡しながら待っていると…
「だーれだっ?」
急に視界が暗転。
暗闇につつまれる視界。
聞こえてくるのは聞き慣れた人の声。
「うーん…千百合ちゃん…でしょ?」
分かってはいるものの、千百合ちゃんの憧れの為にわざと考え込むように言う。
「当たりですっ♪お待たせしましたね、隆ちゃん」
「うん、そんなに待ってないよ。今来たトコロ」
「〜〜〜〜っ!」
そこまで言うと、身を悶えさせながら赤面する千百合ちゃん。
「ち、千百合ちゃん?」
「さっすがは隆ちゃん!完璧です!correctー!!!」
そう言ってばっと抱きついてくる。
「わ…っと、千百合ちゃん!は、恥ずかしいからっ、離して…!」
「は、恥ずかしい…ですか…?」
さっきまで幸せそうに僕の胸に顔をうずめていた千百合ちゃんが顔を上げると、その目は涙目。
「私じゃ……恥ずかしいですか?隆ちゃん…」
109The last moment 中編−a 2/3:2005/07/07(木) 16:30:35 ID:JbICr22O
「ええっ!?」
「私と一緒なのが、恥ずかしいんですか…?隆ちゃん……」
「い、いやいや!別に千百合ちゃんだから嫌ってワケじゃなくて、ほら、人前だし…ね?」
「そういう…ことでしたか…失礼しました」
「いや…分かって貰えて嬉しいです。ハイ」
「で、でもっ」
少し意気込み、言う。
「手…ぐらいはつないでくれますか…?」
そのあまりの可愛さに僕はほぼ夢見心地で頷く。
「あ…うん、いいよ…」
「本当ですか隆ちゃん!?ありがとうございます!」
僕の手に柔らかい手をあわせ、ぎゅっと握る千百合ちゃん。
それに僕も応え、握り返す。
「……」
「……」
何となく気恥ずかしい雰囲気になる、が、時間が惜しいので、とりあえず出発することにした。
「それじゃ…行こうか?」
「ええ、そうですね。行きましょう隆ちゃん」
こうして僕らは、駅に入り、電車に乗り込んだ。
110The last moment 中編−a 3/3:2005/07/07(木) 16:30:55 ID:JbICr22O
電車の中。
今日の目的地は千百合ちゃんが前から行ってみたかったというデパートに向かっている。
駅の数にして三駅ほど。
日曜の昼間だけあって車内は色々なところに出かける乗客で混雑している。
「んっ…やっぱり狭い…ですね…」
「そ、そうだね…」
「きゃっ!」
「だ、大丈夫?」
「大丈夫ですよ。ただちょっと押されただけですから」
微笑む千百合ちゃん。
だがこのままだとまた押されて危ないかもしれない。だったら……
「千百合ちゃん、ちょっとドアのほうに寄りかかっててくれる?」
「え?」
今僕と千百合ちゃんが立っているのは電車のドアのすぐ側。
少し動けばドアにぶつかる。
千百合ちゃんをそこに立たせ、
「こ、これでいいですか?」
「うん。よいしょっと…」
「ふぇっ!?りゅ、隆ちゃんっ!?」
素っ頓狂な声を上げて驚く千百合ちゃん。
「な、なな、何をっ?」
僕がとった行動は、千百合ちゃんに向き合うように立ち、両腕をドアに突っ張り、彼女をすっぽりつつむような格好。
「何って…こうすれば千百合ちゃんが危なくないでしょ?」
「そ、それ…は……そぅ…ですけど……」
消え入りそうに小さな声で言う千百合ちゃん。
「僕だって、一応男なんだよ?」
「…はい、隆ちゃんはとっても男らしいですよ。こんなに、暖かいし」
きゅっ、と、僕に小さくしがみつく千百合ちゃん。
「っ…」
自分が始めた事とは言え、こうなるとやっぱりまだ赤面せざるを得ない。
そんなことはお構いなしに、電車はどんどん進んでいく。
111アトガキ ジゴク:2005/07/07(木) 16:33:23 ID:JbICr22O
とりあえず投下の間隔があまりにも広いとアレなん投下しました。
これからデパートデート編→衝撃の展開!!→そして後編へ〜…な感じっス
中編だけでも長くなる気がするので、お覚悟とご容赦をば。
ではでは。
112名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 16:34:40 ID:JlfgnY0o
>>111
携帯から乙
113ぐうたら:2005/07/07(木) 16:38:32 ID:JbICr22O
?ノンノン。パソコンからっスけど?
114名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 16:42:15 ID:jZiX4wiX
続きキターーー(゜∀゜)ーーー!!

(´・ω・`)デモ、イマデンシャノナカ・・・ミタクテモミレナイ・・・
115名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 16:43:25 ID:JlfgnY0o
>>113
誤爆スマソorz
116テイル:2005/07/07(木) 16:48:22 ID:NklXjAHB
モーメントの続きキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!

……スミマセン、ちゆりん可愛くてつい……

長くなる?
どうぞどうぞ、いくらでも長くしてください(何)
117名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 16:49:57 ID:JlfgnY0o
>>111

ちゆりんかわいすぎ(*´д`)
早く続き読みたいです
118ぐうたら:2005/07/07(木) 17:07:38 ID:JbICr22O
皆さんレスども〜♪
>>115
誤爆にしてはピンポインry
119名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 17:14:08 ID:JlfgnY0o
>>118
他の板のidと勘違いしてtry
120名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 17:56:16 ID:ajPIWDcN
>>235
自重しろ
121名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 20:10:48 ID:nwO/9E62
Hurtful days
122名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 20:23:51 ID:JlfgnY0o
まほらば鬱編?w
123名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 20:26:34 ID:IFvDe1/g
>235に期待
124名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 20:58:17 ID:3q0unvV6
しまった、今気付いたが今日は七夕じゃねぇか。3時間でなんか書き切るスキルは俺にはねぇorz
125名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 21:20:45 ID:jZiX4wiX
>>124
がんがれ。俺は課題をがんがる。
126ぐうたら:2005/07/07(木) 21:36:40 ID:JbICr22O
よっしゃ。そういう突発的な衝動にアてられやすい俺に任せときなさい。今から書く!
127妄想特急:2005/07/07(木) 22:11:48 ID:bosVfm5n
>>90  GJです!!冒頭の言葉が出てきた
時、思わず鳥肌が立ちましたよ、今夜の最終話が楽しみッス
>>111 待ってましたーーッ、「The last moment」!!
続きがメッチャ気になる
128名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 23:50:55 ID:jZiX4wiX
後十分だけど、七夕記念間に合うの?
129秘密のネガイゴト 1/4:2005/07/08(金) 00:05:27 ID:JbICr22O
「第うんにゃら回っ!鳴滝荘大☆七夕大会〜〜!!!」
7月7日。
世間一般の七夕。
この日は小さな子供が居る家庭ならささやかなお祝いぐらいするだろう。
だがいい大人が大半を占めているここ鳴滝荘でも七夕を大義名分とした宴会パーティーが開かれていた。
「うんにゃら回って……」
「桃さんったら相変わらずアバウト〜〜」
「いーのいーの!こーゆーのはねぇ、勢いでするモンなのよ!にゃっはははは!!」
「桃乃さん、もう酔ってるの?」
「あったりまえだのクラッカ (ひゅごむ!!) べほまっ!?」
朝美の問いにナウなヤングにバカ受け必至な返答をしようとする恵に珠実の鉄拳が飛ぶ。
「痛い!痛い!ああっ!!メガネが目に食い込んじゃう!」
「いっそ食い込むといいです〜」
「た、珠実ちゃんっ…」
珠実の過剰な制裁に、彼女の親友の梢が諌める。
「おう桃。メガネと人間のサラブレッドを目指してるトコ悪ぃけどヨ、そろそろメインに行くゾ?」
「おおぅ…そうね…アレを早くしないとね…」
「アレ…って何ですか?桃乃さん」
隆士が首を傾げてたずねる。
「七夕といったらアレ!珠!」
「はい〜♪」
そう言って珠実が持って来たのは…
「笹…?」
「見て分からないですか?白鳥さん〜」
「いや、分かるけどさ…」
相も変わらずの毒舌にたじろぐ隆士。
「毎年この笹にみんなで短冊をつるすんですよ、白鳥さん」
130秘密のネガイゴト 2/4:2005/07/08(金) 00:05:51 ID:JbICr22O
鳴滝荘屈指の常識人、梢がしっかり説明する。
「へぇ、ここも七夕はちゃんとするんだね」
「あったりまえでしょ白鳥クン!お祝い事はみんなで祝えば何倍も楽しくなるんだわよ〜!」
確かに。と、隆士は思った。
鳴滝荘に来てから、些細な祝日や祝い事でもどんちゃん騒ぎに変わるからだ。
それが、ここ。鳴滝荘。
「はい、お兄ちゃん。短冊だよ!」
「あ、ありがと。朝美ちゃん」
「よっしゃ、短冊は行き渡ったわね?そいじゃ願い事書いて!」
いそいそと短冊に願い事を書き始める鳴滝荘の面々。
数分後。
「出来ましたよ桃乃さん」
「私もです〜」
「私も出来たよ!」
「…私も…」
「俺も出来たゼ」
「僕も、一応」
「ヨッシャー!じゃ、とっとと吊るすぞ野郎共〜!」
「応〜〜!!!」
恵の声を筆頭に短冊を笹の枝に吊るしていく。
「桃さ〜ん。全部吊るし終えたです〜」
「うっし、そいじゃ、祈れ!!」
「祈れ…?」
「そ、祈るの!手ぇ合わせて祈り倒す!そーすりゃ願いもきっと叶う!それ祈れ未成年!」
「はぁ……」
数秒の沈黙。
星の瞬く夜空。
沈黙が破られる。
「お祈りタイム終了!目ぇ開けてもいいわよー!!」
恵の大声で次々と目を開ける一同。
131秘密のネガイゴト 3/4:2005/07/08(金) 00:06:19 ID:JbICr22O
「お母さん!何お願いしたの?」
「これよ……」
といって沙夜子は笹に吊るされた短冊をつかんで朝美に見せる。
『お腹一杯水ようかん』
「…お、お母さん……」
「朝美は…?」
「私はね、これー!」
『お母さんとずっと一緒に食べていけますように』
「…朝美〜…」
「おかあさーん!!」
がっしと抱き合う二人。仲良き事は美しき哉…と、言ったところか。
「珠実ちゃんはなんて書いたの?」
「勿論これです〜♪」
梢に尋ねられ、得意げに短冊を見せる珠実。
『梢ちゃん一直線』
「ふ、筆ペン……達筆だね、珠実ちゃん」
「わぁ…ちょっと恥ずかしいけど…ありがとう、珠実ちゃん♪」
呆ける隆士と、喜ぶ梢。
「梢ちゃんは、なんて書いたんですか〜?」
「あ、私は…これ、だよ…」
少し、恥ずかしげに短冊を見せる梢。
隆士は
「(ひょっとしてひょっとすると…僕のことだったり……)」
と、期待を膨らませる。が、現実は
『鳴滝荘の皆がいつまでも健康でいられますように』
甘くなかった。
「(ま、こんなもんだよな…はは…)」
肩を落とす隆士。
132秘密のネガイゴト 4/4:2005/07/08(金) 00:06:32 ID:JbICr22O
「さってと、もうお開きにする?」
「ま、結構遅いですからね〜、妥当なトコでしょうか〜」
「んじゃ、解散、かいさーん!」
また恵の一声でそれぞれの部屋に戻る。
「(…やっぱ恥ずかしいよね…)」
梢に期待していた隆士本人の願いも、
『プロの絵本作家になれますように』
と、当たり障りの無い物だった。
やはり隆士も無意識でなければこっぱずかしいことも言えないのだ。
とぼとぼと、部屋に戻る隆士。
残ったのは短冊を吊るした笹。
その短冊の一つが、夜風に翻る。
梢の短冊。
『鳴滝荘の皆がいつまでも健康でいられますように』
の裏面に、小さくこう書かれていた。

『白鳥さんといつまでも幸せで居られますように』

梢の本当の想いは、内緒。
133秘密のネガイゴト オマケ アトガキ:2005/07/08(金) 00:10:33 ID:MtYxcVQU
オマケ
夜中の廊下に人影が二つ。
由起夫と恵だ。
「はぁ〜、星を肴に酒ってのもいいやね〜、バラさん」
「ああ、そうだナ」
「しっかし梢ちゃんも可愛いことするわね〜」
「裏面とはナ。恐れ入ったゼ」
「いいわね〜、恋人同士ってのは、さ……」
「そういうお前は…『あいつが早く帰ってきますように』、か…なんだ、意外と可愛いトコもあるんだナ」
「うぇっ!?ちょ、何見てんのバラさん!?やめっ!ちょ、見るのヤメーー!!!」


アトガキ
……間に合わんかった。
ジェイソンVSフレディのスレで萌えジェイソンとか書いてる場合じゃなかったorz
ごめんなさい彦星さん織姫さん…そしてお休み
134名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 00:12:47 ID:7GwhOzCe
>>133
乙!

俺もネタが出来たんで週末になんとかするヨー
135名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 00:13:51 ID:7GwhOzCe
っと、感想感想。

梢らしいというかなんというか、裏面とはスタンダードでいいですなw
あとオマケでのジョニーと恵のやりとりもらしくてナイス。
136名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 00:15:04 ID:fOQgAMQ6
>>133にGJな幸せが訪れることを願い、漏れも床につこう。
137名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 00:25:59 ID:gOe1kNjB
>>133
   (゚∀゚) ヴァンダボ━━━━━━━━!!
 ⊂(   )⊃
⊂二__二⊃
138名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 00:46:32 ID:NbIlMQ1z
>>133
GJです!
139名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 00:52:38 ID:kP01BFem
>「うぇっ!?ちょ、何見てんのバラさん!?やめっ!ちょ、見るのヤメーー!!!」
で勃tt(b乙
140名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 00:57:19 ID:9OcYqioF
鳴滝壮にフレディとジェイソンが引っ越してきたら・・・
141名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 01:10:08 ID:fUrSvty4
チェーンソーで沙夜子さんと彫刻を作るジェイソン。
梢の夢の中で記憶を補填するフレディ。
142名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 01:13:58 ID:7GwhOzCe
>>140
手を出そうとしたら珠実から瞬獄殺を喰らう。
143お腹いっぱい:2005/07/08(金) 01:21:17 ID:Rkjq7i4R
>>133
乙です。
七夕ネタは誰もやらないのかと思ってましたよ。
短時間でこんな作品を書けるなんて…。

それでは続きを投下します。
144One day +One:2005/07/08(金) 01:22:21 ID:Rkjq7i4R
早紀さんは冷えた器をテーブルの上に置きました。
「これだぜ」
「「おお…」」
それはフルーツポンチでした。
「早紀ちゃん、本当に料理できるようになったんだね!」
「ま、まあな…これくらいなら、あたしにも作れるぜ?」
「早紀ちゃん素晴らしいです〜」
「…みかん…」
「さあ、食ってみてくれ」

皆さん一口。

「(うっ!?)」」
それは地獄の交響曲でした。
見た目はしっかりしているのですが、味は反比例。
ものすごく甘い場所と、なぜかものすごくしょっぱい場所があり、
混ざった場所は死にたくなる味でした。
145One day +One:2005/07/08(金) 01:23:49 ID:Rkjq7i4R
でも、そんなことを言ったら早紀さんに殺されてしまいます。
「どうだ…?」
早紀さんの問いに、皆さんが答えを窮していると、
「アァぁっ!!マずイ!マず過ぎデスッ!!」
命知らずな変態さんが声をあげました。
「なんだとてめぇ!!」
「あァ、ヤめてクだサイ!!蹴らないデくだサイ!!
たダ、私は本当のコトを…アぁ!痛い!!でもイイ!!」
「そこまで言うなら、あたしも食ってみようじゃねぇか!!」

早紀さんは部長さんのフルーツポンチをひったくると、一口ぱくり。
「あっ!早紀ちゃん…!」
146One day +One:2005/07/08(金) 01:25:01 ID:Rkjq7i4R
早紀さんが食べたのは、ジャスト死にたくなる味の場所。
「な…!なんじゃこりゃあぁ!!?」

ばたん。

早紀さんは名ゼリフを吐いて倒れてしまいました。
「さ、早紀ちゃん!!」
白鳥くんが駆け寄ります。
「早紀お姉ちゃん、『これはあたし一人で作る』って言うから…」
「やっぱりハンバーグは、朝美ちゃんが手伝ってたのね…。
早紀ちゃんにしては、うますぎたのよね〜…」
「残念です〜…」
「…で、早紀のヤツ、どうなるんだ?」
ジョニーの疑問。
それは皆さん考えていたことでした。
147One day +One:2005/07/08(金) 01:27:20 ID:Rkjq7i4R
「梢ちゃんに戻るんじゃないですか?」
「一周するのかね?」
「今までこんなことなかったから、私たちにもわからないよ」
「この一日に、五人みんな出ましたからね〜」
「…甘いみかん…しょっぱいみかん…」
「アぁ、クズ人間サン!お腹を壊しマスよ!!」

皆さん(一部除く)が梢さん(?)を心配していると、

「…う」

梢さん(?)が起きたようです。

「…う…ん?」

「梢ちゃん!?」
白鳥くんが呼び掛けます。
梢さん(?)のまぶたがゆっくりと開きました。
目の色を確認します。
その色は……
148お腹いっぱい:2005/07/08(金) 01:30:44 ID:Rkjq7i4R
非常に短くてすいません。
ですが、ラストにうまく繋げるにはここで切るしかないと思いまして…。
あと2、3回の投下で終わります。

さて、梢ちゃんはどうなるのでしょう?(笑
14991:2005/07/08(金) 01:43:39 ID:vafHdA8q
お腹いっぱいさん乙です。貼られたばかりでアレなんですが、あんまり遅くなるのもどうかと思うので
投下させてもらいます。

あとお褒めいただいた皆さん、ありがとうございます。
昨日のエロールと隆子のシーンは力を入れた場所だったので嬉しいです。

では The fateful decision ラストです。
150The fateful decision:2005/07/08(金) 01:45:13 ID:vafHdA8q



――――――――――



午後11時55分、
ワタシは鳴滝荘の門の前で、ある人物を待っている。
何故こんなことをしているかと言えば、事の発端はちょうど一週間ほど前になるだろうか。

あの梢ちゃんと白鳥さんが映画を観に行った日。白鳥さんは映画を観た後、何もせずに帰った。
桃さんがあんなにけしかけたにも拘わらずだ。
ワタシは安心したと同時に、こんな人が梢ちゃんを幸せにできるんだろうかと少し複雑な気分になった。

今思えば桃さんがあんなことを言い出したのは、恐らくワタシの為にしたことなんだろう。
あんな提案は、白鳥さんが断わることくらい桃さんだって分かっていた筈だ。
それをあえて言ったのは、ワタシに覚悟を決めさせる為だったのだろう。

そんな覚悟は最初からできているつもりだった。
でも、あの時には感情が高まって耐え切れなくなってしまった。
やっぱり自分のことは分からないものだ。桃さんはそれを見抜いていたんだろうか。
151The fateful decision:2005/07/08(金) 01:45:58 ID:vafHdA8q

そんなことは兎も角、あの日からなんだか白鳥さんの様子がおかしかった。
別に挙動不審になったとかそういったことではないが、ある一点だけ、腑におちない点が有ったのだ。
それは、どうにも睡眠が足りてないように見えたのだった。
普段の生活を見ても、寝ている時間が不足しているようには見えない。
けれど目の周りの隈は目立ち、学校から帰ってくると、気がつくと寝ていたりすることが多かった。
では、夜中に部屋の中で何かやっているのか。そう思い、ワタシは二日前、深夜密かに部屋を監視することにしたのだった。
監視を始めてから一時間経った頃、午前一時半頃だろうか。予想とは裏腹に、
異変は部屋ではなく玄関に起きた。
引き戸を開ける密やかな音がしたのだった。ワタシはその人物が姿を現すのをじっと待った。
まもなくその人物は現れた。それは予想通り白鳥さんだった。しかしそれを見たワタシは度肝を抜かれた。
それは、完璧に女性になった白鳥さんだった。女性用の服を着て、軽めだが化粧をしているようにも見える。
しかもその仕草は絵の贋作を観ているかのように、微妙に普段の白鳥さんとはズレているのだ。
いやズレているのではなく、
既に個別のものとして動き始めているといった感じだった。

その様子を見て、全てを悟った。
あれは白鳥さんじゃない。おそらく・・・・

152The fateful decision:2005/07/08(金) 01:46:57 ID:vafHdA8q


――静かに戸が開く音がする。
待ち人が来たようだ。
ワタシはその人物が前を通り過ぎると同時に声を掛ける。
「――何処に行くんですか?白鳥隆子さん」
彼女は驚いて二の句がつげないらしい。先制攻撃は成功した。

今夜の彼女もまた、女性としての魅力を控えめながらも発散していた。
昨夜と同様にアイラインを軽く引くだけのメイク。しかしそれだけで充分だった。
華奢な肩口からスラリと伸びる白い腕。
そしていつかと同じ様に、腰の下くらいまでの長さがある髪を軽く三つ編みで結っていた。 そこには鈴のついた髪飾り。
以前に桃さんに貰った物だろうか。胸にロゴの入った女性用の白のTシャツと細めのジーンズというラフな格好だった。

「・・・珠実ちゃん・・・・」
ようやくそれだけが言えたようだ。
「全てお見通しです。さあ、一緒に来てください」
ワタシはそう言うと彼女の手を引き、自分の部屋に連れて行く。
彼女は観念したらしく抵抗はしない。
彼女を部屋に入れると私は向かい合って座った。
153The fateful decision:2005/07/08(金) 01:47:46 ID:vafHdA8q


「・・・まず、あなたは隆子さんですね?」
俯いたまま小さく頷く。
「次に、あなたは皆の目を盗んで、あの翼という人と会い続けていた」
彼女はハッと顔を上げ、また下ろした。
「・・・流石珠実ちゃんね、ネタはあがってる・・・・ってことか・・」
そう、ワタシは彼女を目撃した次の日に、彼女を尾行してその現場を見たのだった。
しばらく言葉を止める。
彼女が次第にストレスを溜めていくのが手に取るように分かる。

「あなたは白鳥隆士という人物の存在を知っていますか?」
再び頷くだけだった。
「ほう、知っていましたか。では白鳥隆士という人物があなたの主人格という事も?」
その問いにも頷く。
この少女は全て知っている――
ワタシよりも年上ということになるが、その不安におびえる表情からは、どうしても受ける印象は「少女」だった。
「ではあなたは、梢ちゃんと白鳥隆士さんの関係を知りつつ、他の男性と会っていたという事ですか?」
彼女は泣きそうな顔でワタシの目を見る。
ワタシは途方も無い罪悪感に苛まれる。
そうなのだ、今ワタシが責めたてているこの少女が存在することも、
この少女がこんなに胸を痛めていることも、全てワタシが原因なのだ。
気まぐれに白鳥さんをあんなことに巻き込まなければ・・・
154The fateful decision:2005/07/08(金) 01:48:54 ID:vafHdA8q

ワタシはそんな感傷を打ち払い、とどめの言葉を吐く。
「あなたは梢ちゃんと白鳥隆士さんの気持ちを無視し、他の男性に恋愛感情を持ったということですね?」
「違う!そうじゃないわ!私と翼君はそんな関係じゃないの!
 そのことは二人で誓ったの、ずっと友達のままでいようって。
 それに私の一番大切な人は梢ちゃんよ?この気持ちは隆士という子にも負けないわ!」
少女は必死で訴え掛けてくる。ワタシはつくづくこの役回りが嫌になる。
「じゃあ、なぜ梢ちゃんに会わずに、その男性にだけ会うのですか?」
「そんなの決まってるでしょ!梢ちゃんが私を見たらどんな気分になると思うの!?
 恋人が私みたいな女に変わってたら悲しむだけよ!」
こういった考え方は白鳥さんの場合、男女の関わりなく変わらないらしい。

「はぁ〜、分かりました。では、その気持ちをこれに込めてください」
ワタシは自分のデジカメを見せる。
「気持ちを・・・込めるって?」
「あなたが今言ったことをこれに録画して、あなたの主人格の白鳥隆士さんに見せるのです」
155The fateful decision:2005/07/08(金) 01:49:54 ID:vafHdA8q

彼女は驚いたようだった、しかし、やがてワタシの言葉の意味するところを理解したようだ。
「あなたの姿や言葉を見せれば、彼とあなたをまた一つに統合できるかもしれないのです」
彼女は不安そうな顔でデジカメを見ている。
「・・・ねえ、珠実ちゃん。人格が一つに戻った後って・・・私・・・どうなるのかな・・・?」
「・・・・分かりません」
そう言うしかなかった。彼女が全くの無に帰すのか、
それともどこかしら白鳥さんの人格に影響を及ぼすのか、そんなこと誰が分かるだろうか。
彼女は何かを振り切るように言った。
「でも、そうなるのが自然なのよね・・・・分かったわ、私、やる」
彼女はそう言った。

彼女はカメラの前で語った。
今の彼女の心境や、あの翼という人との関係。これからどうしていきたいか等だ。
自分は梢ちゃんの幸せを一番大切に考えていて、その為なら統合を受け入れるという内容だった。
全てを包み隠さずに語っているようにワタシには見えた。

これを白鳥さんに見せなければならない。自分で蒔いた種とはいえ気が重い。



――――――――――



156The fateful decision:2005/07/08(金) 01:51:26 ID:vafHdA8q


  コンコン  コンコン


僕はノックの音で目が覚めた。
また、うたた寝をしてたらしい。最近はなぜか眠くて仕方が無い。

どうぞと言うと珠実ちゃんが入ってきた。
「やあ珠実ちゃん、どうかした?」
いつになく沈んだ表情の珠美ちゃんに訊ねる。
「白鳥さん、これから言う話をよく聞いていてください」
「う、うん・・・」
僕はその只ならぬ様子に不安になる。
157The fateful decision:2005/07/08(金) 01:52:00 ID:vafHdA8q

「白鳥さん、最近身の周りにおかしな事は起きませんでしたか?」
「おかしな事?おかしな事と言えば・・・そうだな、最近妙に眠いとか?」
僕は冗談のつもりで言ったのだけど、
「それです、それはいつ頃からですか?」
珠実ちゃんは真剣そのものだ。変な事を聞くなぁと思ったけれど、一応答える。
「うーん、ちょうどあの梢ちゃんと映画を観た日くらいかな?」
言ってから後悔する。
珠実ちゃんはこの話題には触れたくないだろう。
「あの日ですね?その日には何か特別に変なことは起きなかったですか?」
珠実ちゃんはあのことは気にしてないのかな?
というよりもっと大事な用件が有るかのような話し振りだ。
「変な事、変な事・・・・そうだ、そういえばあれがあった」
「何ですか?あれって」
「うん、映画を観てる最中に僕は寝ちゃったんだ。それで、そのことを
 後で梢ちゃんに謝ったら、梢ちゃんは僕は寝てなかったっていうんだよ。しっかり観てたって」
僕がそう言っても珠実ちゃんは少しも驚かなかった。
「そうですか、それで白鳥さんはそれを聞いてどう思いましたか?」
「どうって・・・少し怖くなったよ。でも僕はやっぱり寝ていたから、梢ちゃんの見間違いだと思う」
「その観てない筈の映画の内容を少し覚えていたりしませんか?」
「それは少しはあるけど、多分途中で目が覚めてまた眠っちゃったんだと思うよ」
珠実ちゃんは少し黙って考え込んでいるようだった。
158The fateful decision:2005/07/08(金) 01:52:55 ID:vafHdA8q

「ふん・・・・白鳥さん。白鳥さんが初めて変身した時の事を覚えていますか?」
「もちろん憶えてるよ。忘れる訳無いじゃない」
「その時の白鳥さんは、どういった状況でしたか?」
なんだか抽象的な質問が続く。
「状況と言われても・・・・体が女の子になってたとしか・・・」
珠実ちゃんは少し落胆したような顔を見せた。僕から何を聞き出したいのだろう。

「やはりこれを見せた方が手っ取り早いようですね。本当は自分で気付いてから見せたかったのですが・・・」
珠実ちゃんが取り出したものは彼女が愛用しているデジカメだった。
「・・・カメラがどうかしたの?」
「この中に、ある人物から白鳥さんに宛てたメッセージが入っています。
 最初は驚くと思いますが、どうか落ち着いて最後まで聞いてあげてください」
そう言うと再生ボタンを押してデジカメを渡してきた。
159The fateful decision:2005/07/08(金) 01:53:52 ID:vafHdA8q

小さい画面で分かり難いのだけれど、カメラの前に女の子が座っている。

しかしその顔は、よく見ると女性に変わっている時の自分なのだった。
「珠実ちゃん!こ、これ・・・」
「静かに!彼女の言う事をよく聞いていてください」

そのカメラの前に座る、僕のようで僕でないモノは、
僕のまるで知らない事を、僕が普段使わない口調で延々と語った。
それは時に申し訳なさそうで、そうかと思うと急に感極まったりして、
僕は一人芝居の稽古を観せられてるような気分になった。
160The fateful decision:2005/07/08(金) 01:54:40 ID:vafHdA8q

それを見終わった僕は、しばらく呆然としてしまった。
今の状況に頭が追いつかない。
「・・・この隆子というのは前に珠実ちゃん達が言っていた・・・?」
「ええ、そうです。・・・・何らかの原因で再び覚醒してしまったようです」

僕が黙っていると珠実ちゃんが話し掛けてきた。
「――しばらくは様子を見ましょう。これで白鳥さんが彼女を認識したのですから、
 彼女は自然消滅するかもしれません」

僕は一番気になっていた事を聞いた。
「この、隆子・・・も言ってたけど・・・・その、翼君とは本当に何も無かったの?」
これは僕にとって重要な問題だった。もしこんなことが梢ちゃんに知れたりしたら・・・・
「少なくともワタシが尾行したときには、会って話していただけでした」
「だけって!夜中に二人きりで会ってたんでしょ?」
「そうですが、彼女がああ言う以上私達にはその言葉を信じるか信じないか、それしか選択肢はありません」
信じるか信じないか、正直に言うなら僕は信じることはできなかった。
161The fateful decision:2005/07/08(金) 01:55:26 ID:vafHdA8q

それで話は終わった。
珠実ちゃんは、統合が起こるなら数日中に始まるから安心するように、と言って部屋を出て行った。

その後も珠実ちゃんは深夜に僕の部屋を監視していた様だったけれど、
隆子が現れることは無かったらしい。
それを聞いて一応安心はしたけれど、まだ油断はできなかった。

もし統合が起きていなかったら?
その僕の予感は的中してしまうのだった。


162The fateful decision:2005/07/08(金) 01:56:05 ID:vafHdA8q



それは僕が隆子の存在を知ってから1週間と少し経った後だった。

気がつくと僕は他に誰もいない夕方の教室の一郭で、翼君と向かい合っていた。
二人で隆子の事を話し合ったわけではないけれど、最近はなんとなくお互いのことを避けるようにして、
ほとんど会話もしていなかった。
それだけに僕はこの状況に狼狽してしまった。

「ん?どうした隆子?」

一瞬何の事だか分からなくなる。
「隆・・・子?今、隆子って僕の事を呼んだね!?」
翼君はしまったという顔をする。
「いや、違うんだ!」
「何が違うんだよ!その口ではっきり言ったじゃないか!」
今までこんな、学校の中で隆子が現れるなんて事は無かったのに。
乗っ取られる、隆子に人生を乗っ取られる。そう思って僕は恐怖した。
「もう君達の好きにはさせない。僕は、僕はそんなこと絶対に認めないからなっ!」
僕はそう言い捨てて教室を飛び出す。
なんとかしなければ・・・このままだと逆に僕が消されてしまう。
必死の思いで帰路を急ぐ。
163The fateful decision:2005/07/08(金) 01:56:44 ID:vafHdA8q

鳴滝荘に着くと、縁側に梢ちゃんと座っていた珠実ちゃんを見つけた。
「珠実ちゃん!話があるんだ!」
「あ、白鳥さん、おかえりなさい」
梢ちゃんが言う。
「う、うん、ただいま。それより珠実ちゃん、早く来て!」
「う゛〜、せっかく梢ちゃんとまったりしてたのに〜、邪魔しないでくださいですぅ〜」
「そんなこと言ってる場合じゃないんだ!現れたんだ、現れたんだよあいつが!」
珠実ちゃんも僕の慌てぶりを見て察したのか、真剣な表情になって言う。
「・・・伺いましょう・・・・来てください」
僕と珠実ちゃんは珠実ちゃんの部屋に向かう。
梢ちゃんが心配そうな顔でこちらを見てくる。
梢ちゃんの為とはいえ、彼女に隠し事をするのは心苦しかった。
164The fateful decision:2005/07/08(金) 01:57:21 ID:vafHdA8q

珠実ちゃんの部屋に入ると、僕はつい先ほど起きたばかりの事を急いで話す。
「出てきたんだ隆子が!しかも学校でなんだ!」
「学校?誰かに見られましたか?」
「それは大丈夫だと思う。でも、気付いた時目の前にいたのが、翼君だったんだ・・・」
「!・・・それは、どう解釈すれば・・・いいんでしょう・・・」
曖昧な言い方をする珠実ちゃんに、僕は苛立ったように言う。
「決まってるじゃないか!あいつは翼君に会うために、とうとう昼間に僕の意識を奪ってまで
 現れるようになったんだよ」
「しかし、なんでいきなり学校なんかで・・・・」
それはおそらく、夜に会うのは珠実ちゃんの監視に見つかる可能性があったからだろう。
学校ならば監視の目は無い。僕が覚醒しないうちに会えばいいだけだ。
そう考えると今日以外にも意識を乗っ取られた日があったのではないかという気がしてくる。
僕の不安は頂点に達した。
165The fateful decision:2005/07/08(金) 01:58:00 ID:vafHdA8q

「・・・・もう駄目だ、あいつを!あいつを消す方法は何か無いの珠実ちゃん!?」
僕にとってその問いかけは、不安を紛らわすための行為に過ぎなかった。
何か良い返答を期待したものではなかった。しかしその問いを受けた珠実ちゃんは明らかに逡巡していた。
「あるの?・・・何かあるの!?」
珠実ちゃんは、なおも躊躇うようだったけれど、やがてゆっくりと話し始めた。
「・・・・隆子さんだけを消す方法はありません」
「え?無い?・・・」
「ですが、記憶ごと消してしまうことなら・・・可能です」
「記憶を消すって・・・・・記憶喪失になるってこと?」
「一般的に記憶喪失や健忘症と呼ばれるものは、記憶を再生できなくなることを言うんですが、
 私の言うそれは記憶自体を抹消するのです」
「記憶自体を消すと、隆子も消えるの?」
「恐らく・・・。隆子さんは白鳥さんの体が突然に女性に変わった事に対する防御反応で、脳が創りあげてしまった人格です。
ですから脳の中から女性に変わることができるという記憶を残らず消してしまって、
尚且つこれから二度と女性に変わることが無ければ、隆子さんという人格は白鳥さんの脳にとって必要が無くなるのです。
そうなればたぶん、彼女は消滅するでしょう」
166The fateful decision:2005/07/08(金) 01:58:47 ID:vafHdA8q

「けど、そんな都合の良い話・・・・」
「都合は良くありませんよ。これは何か特定の記憶を消したりすることはできません。
 できるのはいつ頃まで遡って消すかということだけです」
「え?それじゃあ決めたポイントから今までの記憶は全部消えてしまうってこと?」
「その通りです。・・・ですからやるならばまだあの日から、
初めて変身した日から時間の経っていない内にやらなければ、日常生活に支障を来します」
僕は珠実ちゃんに尋ねる。
「でも、記憶を抹消するって・・・・頭を殴ったりするわけ?」
「いえ、脳に物理的に衝撃を与えたりすることはありません・・・・しかし、ある意味もっと危険かもしれませんが・・・・」
珠実ちゃんはそう言って黙り込む。
「ねえ、それってひょっとして・・・部長さんの・・・?」
「ええ、そうです。こんなことになってしまったのもワタシと部長の責任ですから、
 言えば部長も動いてくれると思います・・・」
僕は納得がいった。珠実ちゃんの言う方法とは医学的な治療法なんかじゃなく、魔術なのだ。
確かに人間を変身させてしまうよりも、記憶を消すことの方がずっと易しいように僕には思えた。
167The fateful decision:2005/07/08(金) 01:59:37 ID:vafHdA8q

「・・・・ねえ珠実ちゃん、珠実ちゃんは1週間前僕に、彼女の言葉を信じるか信じないかそれだけだって言ったよね?」
「・・・はい、言いましたが・・・」
「僕はもう信じられないんだ、あいつは僕を消して翼君と生きていくつもりなんだと思う。珠実ちゃんはどう考えてる?」
「・・・ワタシには・・・・・それに答えられる資格はありません」
「・・・・・・・・・・・・・」

僕は珠実ちゃんの気持ちを読み取ろうとする。
恐らく彼女は責任を感じているんだろう。僕だけじゃなく、隆子にも。
けれどやはり彼女の最優先事項は梢ちゃんの幸せだ。その点で僕達の利害は一致する。
躊躇いながらもこの方法を僕に教えたということは、やはり僕にそうして欲しいのだろう。

「決めた。部長さんにお願いしといてよ」
「・・・・すいません、白鳥さんにばかりこんな目に遭わせてしまって・・・」
「もう、いいから。・・・それも今度で終わりだよ」
僕はそうなることを願った。

168The fateful decision:2005/07/08(金) 02:00:26 ID:vafHdA8q

その後珠実ちゃんが部長さんと連絡を取ったところ、その用事を今夜済ませようと言ってきたという。
僕は急な事に驚いたけれど、消えてしまう記憶が少なければ少ないほど良いと考えて承諾した。

それから少しして夕食になったけれど、僕はほとんど箸が進まなかった。
記憶が消えた後、僕はどうなってしまうんだろう。タイムスリップしてしまったように感じるのだろうか。
僕は、自分がそれを受け容れられるのか不安になった。
しかし、これは梢ちゃんの為でもあるんだ。
テーブルを挟んで食事をしている梢ちゃんを見て、僕は決心を固める。

169The fateful decision:2005/07/08(金) 02:01:03 ID:vafHdA8q


深夜皆が寝静まった頃、約束していた時刻に僕と珠実ちゃんは玄関前で落ち合った。
僕の不安が伝わったのだろう。珠実ちゃんは聞いてくる。
「顔色が悪いようですが・・・・別に今日でなくてもいいんですよ?」
「いや、できるだけ早いほうが良いよ、僕は今日済ませたい。
 それより珠実ちゃん、僕の記憶が消えた後の、僕への説明は考えてある?」
自分への言い訳を考えるというのはおかしな話だった。
「それはご心配なく。転んで頭を打ってしまって、一ヶ月間ぐらいの記憶が飛んでしまったとでも言いますから。
 それから、心配させてしまうので梢ちゃんには記憶が飛んだ事は伝えてないとも言います。
 あと、あの翼と言う人には近づかないようにも言い含めておきます。幾ら変身の記憶が消えてるとはいえ、
 やはりあの人と接触するのは危険です。隆子さんが再び覚醒してしまうかもしれませんから」
「うん、じゃあ後の事はよろしく頼むよ」
「はい、では学校で部長が待ってると思いますので急ぎましょう」
僕達は夜道を徒歩で珠実ちゃん達の高校へ向かった。

歩きながらまだ少し怖気づきそうになる心を奮い立たせる。
これで良いんだ、これさえ済めばまた梢ちゃんと気兼ねなく生きていくことができる。
170The fateful decision:2005/07/08(金) 02:01:53 ID:vafHdA8q

しばらく歩いて青華短大付属高校に着いた。僕達はグラウンドを横切り、オカルト部の部室のある校舎へ歩みを進める。
暗い校舎に入ると少しひんやりとした空気に包まれた。廊下を歩いてくと僕達の足音だけがやたらと響く。
普段会う時の部長さんはとんでもなく違和感がある子だけど、今のこの雰囲気にはとても馴染んでいそうで、むしろ僕達の方がこの場では異質なんじゃないかという気がする。

そしてついに部室に辿り着いた。
その扉の隙間からすでに微かな明かりが漏れていて、中に人が居るのが分かる。
珠実ちゃんは一度僕を見て頷いてからその扉を開けた。珠実ちゃんは部屋に入ろうとせず、僕だけが中に入った。
171The fateful decision:2005/07/08(金) 02:02:38 ID:vafHdA8q

部屋の中を見て、予想はしていたけれどその近寄りがたい雰囲気に呑まれた。
部屋にはお香のような匂いが充満している。そして、魔方陣というのだろうか、
円形と星形を組み合わせた模様の中に、僕には読めない文字が書かれていて何かの骨や蝋燭が置いてある。
その奥には祭壇のような台が置かれていて、その上には黒い布が被されている。傍らには燭台が置いてあった。

僕が立ち尽くしてると突然、
「今晩はタマなしサン、今夜ハよク来テくダさイましタ」
僕の真横から話し掛けられた。全然気配を感じていなかったので、心臓が飛び出しそうになる。
「ぶ、部長さん・・・・いや僕の方こそ、いきなりのお願いに応えてくれて、ありがとう」
「イエイエ、セっかクまタ魔術ガ使エル機会ガ出来タとイウのニ、コれヲ逃ス手ハありまセン」
そういって妖しく微笑む。
「あの、今夜は僕の記憶を消してもらいたいんだけど・・・」
「エェ、珠実部員カら伺ッテいまス。今回ハ、タマなしサンが相手デスから・・・・・そうデスね普段ハあまリ呼び出ス事ハなイのデスが、リリトでも召喚シましょうカ・・・・クッ」
なんだかよく分からないけれど、それが今夜呼び出す悪魔の名前みたいだ。
「デハ、アなタはアソコに横たわっテくだサイ」
そういって部長さんが指差したのはさっきの祭壇のような物だった。
「ココで横たわっテ、私ガこレかラ教エル呼吸法ヲしながラしバらク安静ニしてイてくだサイ」
172The fateful decision:2005/07/08(金) 02:03:38 ID:vafHdA8q

部長さんが教えてくれた呼吸法は、四泊ずつ息を大きく吸ったり止めたり吐いたりするものだった。
最初は少し息苦しかったのだけれど、20分ほどそれをずっと続けていると、徐々に頭がぼんやりとしてきて気分が良くなっていった。
もう気持ちよくてさっきの不安な気分など、どこかに飛んでいってしまった。
今は恍惚とした頭で魔術が始まるのを待つだけだった。


そのとき部屋の外が急に騒がしくなった。

ああ、誰だよ邪魔をしないでくれ。
珠実ちゃんは何をしてるんだ。


――ダン!


扉が乱暴に開かれた。そして何者かが飛び込んでくる―――
173The fateful decision:2005/07/08(金) 02:04:24 ID:vafHdA8q

「白鳥ッ!たのむ!たのむからアイツを、隆子を消さないでくれッ!!」
僕はゆっくりと床に立ち上がってその人物を睨みつける。

「・・・・なんでキミが・・・此処に居るんだッ!」
そう、それは翼君だった。
「俺、おまえが飛び出していってから家に一旦帰ったんだけど・・・しばらくしてからやっぱり気になって、あのアパートまで行ったんだよ。
 でも中に入ったとしてもおまえは話を聞いてくれそうにないし、そのまま何も出来ずにずっと門の近くに居たら、
 おまえとあの子の話が聞こえてきて・・・・」
あの時そんなに近くに居たのか・・・。やっぱり最後まで僕は抜けている。
「くそッ、珠実ちゃん何でこんな奴を入れるんだよ!」
僕は腹立ち紛れにそう言った。
174The fateful decision:2005/07/08(金) 02:05:05 ID:vafHdA8q


「――私が入れてくれるように頼んだんです」

戸口に立つその姿を見て、僕は床にへたりこんでしまった。
「ど・・・・どういうことなんだ・・・これは・・・・」
梢ちゃん・・・・なんで君が居るんだ・・・
梢ちゃんは悲しげな瞳でじっと僕の事を見ている。
「俺、お前達の後を尾けてたんだけど・・・途中で見失っちまって・・・」
「それで・・・梢ちゃんに道案内させたって言うの!?・・・・・なんで・・・なんでそんなことを・・・・」
これじゃ今までの事は何だったんだ!全て水の泡じゃないか!
「私が一緒について行きたいってお願いしたんです・・・この方は凄い形相で学校までの道順を聞くばっかりで、何も教えてくれませんでした。
 ですが部屋を見てみると白鳥さんと珠実ちゃんが居なくて・・・・
 しかも今日帰ってきてからの白鳥さんは少し様子がおかしかったので、何か大変な事が起きてるんじゃないかと・・・」
梢ちゃんは申し訳なさそうな顔をしてそう言った。

どうしてこういつも上手くいかないんだ・・・。これで今回の計画の半分は失敗だ。
でも、残りの半分は何があってもやり遂げなきゃいけない。
僕と梢ちゃんの未来の為に・・・・。

175The fateful decision:2005/07/08(金) 02:07:15 ID:vafHdA8q

「白鳥、こんなこと言えた義理じゃないのは分かってる。でも、あいつを無理やり消したりなんてしないでくれ・・・
 あいつは・・・・あいつはお前が思ってるような奴じゃない!あいつはお前や、あの大家さんの事を第一に考えてたんだぞ!?そんなあいつの気持ちを踏みにじる様な事はしないでくれ!
 それに・・・全部俺が悪いんだ。俺があいつに無理を言って会ってくれなんて頼んだから。
 ・・・・あいつは、俺の事をただ可哀想だと思って会ってくれてたんだ・・・だからあいつは悪くない!この通りだ・・・たのむ・・・・あいつを消さないでくれ・・・・」

僕は土下座する翼君を冷めた目で見つめる。
「駄目だよ・・・・僕の気持ちは、もう変わらない」
「どうしてだよ!?あいつと俺は本当に何も無かったんだ、信じてくれよ!
 ・・・・じゃあ俺は誓う、これからは二度とあいつには会わない。本当だ!だから・・・・たのむ」

「嫌だ・・・・僕がそんな話信じられると思うの?君は僕や梢ちゃんに黙って隆子と会い続けていた。
 そんな人間の言う事なんて今更信じられる訳無いだろ!二度と会わないなんて口でなら何とでも言えるさ!それにこれは僕の問題だ、君にどうこう言われる筋合いは無いよッ!」

僕がそう言い切ると、翼君は僕の顔を見たまま固まってしまった。
その顔には驚愕と絶望が張り付いていた。

しばらくするとその眼から涙が頬を伝って落ちる。翼君はそれを拭おうともしない。
ただ声を上げることもなく、ひたすら涙を流すだけだった・・・・

176The fateful decision:2005/07/08(金) 02:09:19 ID:vafHdA8q

僕はその姿に少なからず動揺してしまった。
けれど揺らぎそうな心に鞭打って、決心を更に固めようと努力する。
それにこれは僕だけの問題じゃなかった、梢ちゃんは勿論、鳴滝荘の皆の期待を裏切りたくないんだ。
しかしそんな心の内とは裏腹に僕の口は勝手に動き出す。

「・・・・なんで君は、そんなにまで隆子に執着するんだ・・・?
 それはやっぱり恋愛感情なんでしょう?・・・それが理由なら、僕は絶対に認められないんだ・・・・・」
翼君はしばらく黙っていたけれど、やがて口を開いた。

「・・・俺は・・・・確かにあいつを好きになった・・・俺にとって大切な存在だったよ・・・・
 だけどそれだけじゃないんだ!俺はあいつの言葉を上手く伝えられないけど、あいつは本当にお前の事を大切に考えてたんだ!
 ・・・・だから、無念なんだよ・・・あいつが誤解されたままこの世界から消されてしまうのが・・・・・
 ・・・ずっととは言わない・・・・ただ、あいつが納得して自然と消えていくまで・・・待ってあげてくれないか・・・・?」
177The fateful decision:2005/07/08(金) 02:09:59 ID:vafHdA8q

僕の決心はまたしても揺らぐ。
けれど自然に消えるかどうかすら分からないじゃないか。それにいつまで待てば良いのかさえ分からない。
今はもしそう思っていたとしても、隆子だって気が変わるかもしれない。
もしそんなことになったら僕は梢ちゃんに対してどうやって責任を取ればいいと言うんだ!

やっぱり駄目なんだ・・・男女の人格に男女の肉体というこの特殊な条件が、僕達二人を共存させることを許さない。
絶対に、相容れないんだ・・・・


178The fateful decision:2005/07/08(金) 02:10:58 ID:vafHdA8q


「―――白鳥さん、私は隆子さんを信じます」
僕は慌てて梢ちゃんを見る。戸口から少し入った所で最初と変わらず悲しげな顔をしていた。
その傍らには、いつのまにか珠実ちゃんが俯いて立っている。
「なっ・・・・信じるって・・・梢ちゃん・・・・・」
僕は「信じる」なんてことを簡単に言えてしまう梢ちゃんに驚き、少し苛立った。
「だって梢ちゃんっ、この翼君と隆子は僕達の知らないところでずっと会ってたんだよ!?
 それでも信じられるって言うのッ!?」
僕は思わず責めるような口調になってしまう。

「・・・それは・・・確かに少しショックでした・・・・ですが、私は以前隆子さんに命懸けで助けて貰いました。
 あの時の白鳥さんが本当に隆子さんだったのか、それとも隆士さんだったのかは私には分かりませんが、
 私はあの人を疑いたくありません」
179The fateful decision:2005/07/08(金) 02:12:10 ID:vafHdA8q

そうだった・・・
僕は右腕の傷痕を忌々しく眺める。
あの時の記憶は朧気ながらあるけれど、あの時意思決定をしたのは間違いなく・・・隆子だった・・・・
でも、もしあの場に居たのが僕だったとしても同じ事をしている。絶対に。
けれどさっき自分で言った言葉が、僕自身の首を締める。

―――口でなら何とでも言えるさ!

「・・・それに白鳥さんは隆子さんを消す為に、自分の記憶を消そうとしているのでしょう?
 私は、それは絶対に嫌です!私にとってこの白鳥さんと過ごした一ヶ月の時間は、とても大切な思い出です」
180The fateful decision:2005/07/08(金) 02:12:52 ID:vafHdA8q

梢ちゃんはそこで少し言葉を止めて僕を見詰めた。
その瞳は僕に『分かっているんでしょう?』と問いかけているようだった。

「でも、それは白鳥さんと一緒に持ち続けていなければ意味がないんです!
 私だけこんなに強い想いを持ったまま、白鳥さんがそれを失ってしまうなんて・・・・そんなの耐えられませんッ!」

・・・その気持ちは、僕だって同じだよ・・・・色々大変な事もあったけど、この一ヶ月は本当に幸せだった。
できれば僕だって失いたくないさ・・・・・・・・でも・・・

そんな僕に追い討ちをかけるかのように、今まで黙っていた部長さんが聞いてくる。
「サあタマなしサン、決めルのハあなたデスよ。どうスルのデス?ヤルのか、ヤラないのカ・・・・」

どうする、どうするんだ!?僕は、僕は・・・・・・・・

181名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 02:13:20 ID:u3EeY6jg
死ねば?
182The fateful decision:2005/07/08(金) 02:13:52 ID:vafHdA8q



僕は夜の学校の屋上に一人居て、街を見下ろしていた。
今夜は曇っていて星は見えないけれど、風が強い所為か
雲が速く流れていて、あまり陰鬱な気分にはならない。
夜の風は、普段は聞こえない遠くの音を届けてきていた。
今はその風で何とか頭を冷やそうとしている。


結局僕は記憶を消す事はしなかった。いや、できなかっただけか。
僕は幾筋もの、それぞれの想いを孕んだ視線に耐え切れず、屋上に逃げ出して来たのだった。
優柔不断な僕の、あの決心は何処かに掻き消えてしまった。

さっきからずっと同じことを自問している。
これでいいのか?何も解決していないじゃないか、と。

翼君や梢ちゃんの言う事も分からなくはない。ないけれど、やはり隆子という存在は
僕や梢ちゃんにとっていずれ災いとなるような、そんな気がしてしまう。

183The fateful decision:2005/07/08(金) 02:15:22 ID:vafHdA8q

「・・・白鳥さん」
後ろから呼び掛けられて振り向く。
「ああ、梢ちゃん・・・」

梢ちゃんは何も言わず僕の横に並ぶと、同じように夜の街を眺めている。
しばらく黙ったままで時を過ごす。
風で髪がはためく梢ちゃんの横顔を見ても、何も感情の動きを読み取ることはできなかった。
どこまでも無表情で、ずっと遠くを見つめていた。

僕は心に引っ掛かっていることを言う。
「ねえ、梢ちゃん。僕は、僕達はこれで良かったのかな・・・?
 正直に言うと、僕はまだ納得できてないんだ・・・・」
梢ちゃんはその問いには答えてくれない、真っ直ぐ遠くを見たままだ。


「―――私、思うんです。何か失敗して、辛かったり、悲しかったりしても
 それを無かった事にしてしまうというのは、違うと・・・」
「梢・・・ちゃん?」
梢ちゃんは前を向いたまま続ける。
「どんなことがあろうと、それはその人の人生の一部です。
 その先、その人が生きていく為には決して眼を逸らすことはできない。認めなくちゃいけないことだと思うんです」
 
184The fateful decision:2005/07/08(金) 02:16:43 ID:vafHdA8q

梢ちゃんは夜の闇に向かって淡々とそう言った。まるで自分に言い聞かせるかのように。
僕は、もう滅多に現れることの無くなった、彼女の中に居る4人の彼女達のことを想う。
けれどこの言葉は、梢ちゃんが彼女達の事を意識して言ったものだとは思えない。それはあくまで自然と溢れ出てきたものだったのだろう。

――梢ちゃんは、変わろうとしている・・・・?
もう少しなのかもしれない。もう少しで梢ちゃんは・・・・

だからこそ、今梢ちゃんを惑わすようなものは僕が全て排除するべきじゃないのか?
そう思い、再び僕の気持ちは揺れ始める。
185The fateful decision:2005/07/08(金) 02:17:26 ID:vafHdA8q


その時、急に視界が白く埋まった。


『―――大丈夫、私は絶対にこの子を裏切ったりしない――』


え・・・・?

視界が戻ると真っ先に梢ちゃんに聞く。
「梢ちゃん、今何か言った!?」
「?・・・いえ、何も」
梢ちゃんは振り向いて不思議そうな顔をする。

186The fateful decision:2005/07/08(金) 02:18:13 ID:vafHdA8q


―――そうか・・・・・分かったよ・・

とりあえず今は、君を信じることにしよう。
けれど、もし一度でも梢ちゃんを悲しませるような事があれば・・・・その時は・・・・







――そうして、僕と『彼女』の共存が始まったのだった―――
                            

                
                    “The fateful decision” was postponed. And will it be disappeared?



187名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 02:22:52 ID:vafHdA8q
以上で終りです。無難な終り方なんですが、設定を使わせてもらっている以上下手なことはできませんでした。

それでは長々とお付き合いいただきありがとうございました。
たぶんこれからは読みオンリーになると思いますが、このスレは見るようにします。
188名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 02:27:06 ID:7GwhOzCe
>>187
生投下に立ち会えた。乙でした。

とりあえず、これからは二人でちょこっと接点がありつつ共存、という形なんですかね。
希望にもなりそうな、不安にもなりそうな終わり方で続きが読んでみたいなぁとも思ったり。
189黒百合:2005/07/08(金) 04:57:32 ID:tR2bEfvX
グッドですた。
どうでもいいがリアルな話だと
人格が変わるごとに体も変わるって知られたら
某国のように拉致られそうだな(スマン、正直読んだあとそう思ってしまった。)
190名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 05:52:08 ID:ZGS6JdEE
白鳥クン錯乱してるなぁ
191名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 06:03:43 ID:dEWTc1hO
お疲れさまでした。

なんか、元ネタ書いた本人よりも掘り下げ方上手いなーとか感心させられましたよ。
展開も緩急があって、先が読みたくなるというやばい状態でした。
(勝手に先の展開考えたりとか)
惜しむらくは私が書いた続編が足引っ張っちゃったってことですかね…。
ある程度突き破っちゃってもいいくらいだったんですが。

何はともあれ、読み応えのあるものを書いていただき有り難うございました。
またなんかネタが出来たら是非投下してくださいね。

ってしばらく投下してない人がいえた事じゃないかorz
192名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 06:28:49 ID:Rb/OBpnb
感動しました
193名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 07:36:10 ID:wQf05Bvq
この隆士君変身設定のまま本1冊作れそうですねぇ。
唯一気になる点は全般的にシリアスな点ですね。まったりしたものも含めてたくさんできたら本1冊になったら面白いなって
194妄想特急:2005/07/08(金) 08:09:03 ID:vXipz8N5
>>187  GJ!GJ!GOD JOB!!
マジで感動しますた!最高ッッス
>>191  元ネタ考えたあなたは神様〜
195名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 10:06:18 ID:70zsHLgH
>>187
物語としてはすごく良かったです、感動しました。
でもどうしても一つだけ・・・。
原作で梢ちゃんを全人格受け入れる的発言をしてる白鳥君的には
自分の人格を消そうとするとはどうしても思えないんですが・・・。
196名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 11:35:15 ID:95tg8NEs
GJなんだけど、
TSものということで見る気力が激減するんだよな。
まあこのスレ的には流行の趣向みたいだし、
いいんだけど、これ以上はなぁ・・・
スルーすればいいんだけどね。
197名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 12:36:41 ID:dEWTc1hO
元ネタ書いた私含めて、>>187さんしか他に書いてないから
そこまで気負うことでもないような?
個人的にはTS物はもう書く気はないんで(っていうかもうネタがない)
あんまり気にすることもないと思います。
最初に注意書きもしてますし。
ただ、まぁあんまり同じネタをいつまでも引っ張るのもどうかという気はあります。

>>195
私もその辺は疑問を感じたところですね。
状況に混乱している、といえばそれまでですが(元々情緒不安定になってる設定ですし)
隆子に対する呼称も含めて、ちょっとらしくないなと思ったりしました。
198名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 13:39:03 ID:xHDD7Kf3
ちょっとテーマが壮大すぎて鬱になったり。
でもGJ。久しぶりに読み応えあった。

>>195
現実なんてそんなもんさ・・・。
誰でも我が身に降りかかれば嫌になる。
199187:2005/07/08(金) 14:29:39 ID:PbYEJJCp
>>191
投下した時は眠くて適当なあとがきになってしまいました。
191さんの続編が無くてもたぶんこのような展開になったと思います。
何か責任転嫁したみたいになってしまいました。すいません。

白鳥君が隆子を消すと決意した理由は、教室でエロールと向き合って覚醒した時に
隆子がエロールに対して抱いていた感情の残滓を、白鳥君が感じ取ってしまったからという風にしたかったんですが
もう少し丁寧に書くべきでしたね。

それから白鳥君が錯乱するのは私自身もらしくないとは思うんですが、
騒動の渦中の人物に悟られちゃうと、自分の筆力では話がもたないし進まないんですよwそれはお許しください。
一人称を別の人にしたり、三人称にすればまた変わってくるとは思います。
200ぐうたら:2005/07/08(金) 20:33:43 ID:37fLWvWb
今から12時までにSS一本あげるぞー!!
201名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 20:41:56 ID:tFz3sGVX
>>200
神!
202名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 20:47:38 ID:Rb/OBpnb
>>196
スルーしろ
203名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 21:03:01 ID:14SIvBqX
>>200
さすがぐうたらさん!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ
そこにシビれる!あこがれるゥ!
204お腹いっぱい:2005/07/08(金) 21:19:27 ID:Rkjq7i4R
>>200
ほ、本気ですか!?
ぐうたら氏には一生かないませんorz
205名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 21:19:40 ID:95tg8NEs
小説のネタが切れた。
誰かいいシチュとかネタない?
206名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 21:45:33 ID:kP01BFem
>>205
話の系統か書きたいキャラの組み合わせぐらいあげてくれ
207名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 21:46:34 ID:fOQgAMQ6
全ての原点である梢×隆士に1票。
208テイル:2005/07/08(金) 21:51:11 ID:zcxFEbXE
>>205
そんなあなたに…
つ<さっちゃん・魚子・ムカシ桃乃・サクラ・月見・キムチ>

この中から選んで書いてみては?

>>ぐうたらさん
早くらばー千百合たん分を…orz
209妄想特急:2005/07/08(金) 22:22:14 ID:ITsRH48j
ぐうたら氏の神業に期待!
・・・梢ちゃんの水着のピンナップに惹かれて
メガミマガジンを買ってしまった自分は負け組?orz
210名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 22:35:35 ID:po0wLDb0
>>209
ヽ(・∀・)人(・∀・)ノナカーマ

あれはエロイですね。(*´Д`)ハァハァ
211ぐうたら:2005/07/08(金) 23:43:08 ID:37fLWvWb
夕刻。
青華学園の運動部に所属する生徒たちが徐々に帰宅を始める時間。
青華学園弓道部の面々も帰宅の準備をするもの、更衣室で制服に着替えるもの、シャワーで部活の汗を流す物と様々だ。
この話の主人公、ある一人の弓道少女も同様に汗を流すためにシャワールームへと足を進めている。
「はぁ〜っ、汗だくだよ…」
この少女、名はあえて言わないでおくが、皆さんご存知の蒼葉梢と茶ノ畑珠実。その学友。通称『弓道ちゃん』だ。
彼女も部活の疲れと汗を洗い流すためにシャワールームに足を運んだ。
手前の更衣室で弓道着を脱ぎ、下着を外しバスタオルを巻き、シャワールームの一つのスペースに入った。
「ふんふ〜ん♪ふふ〜ん♪」
鼻歌交じりに蛇口を回せば、心地良い温水のシャワー。
一日の疲れと弓道で張り詰められた神経をほぐす貴重な時間。
「はぁ〜♪気持ちいい〜♪」
丁度他の部員は居ない。
彼女は一人、至福のときを過ごしていた。
だが、その時だった。

「っ!?誰っ!?」
突如として彼女は何処からかの視線を感じたのだ。

視線は何も語らず、ただただ彼女を見ているようだ。
「誰よ…!」
聞こえるのは、恐怖心から荒くなる彼女の呼吸の音と、絶え間なく流れるシャワーの音。
一糸まとわぬ無防備な姿の彼女に得体の知れない『何か』の恐怖は大きかった。
だが、数秒の後、彼女は理解した。
「……『アンタ』・・・ね?」
刹那、『何か』は気配を消した。
「逃がさないわよ!」
言うが早いか、シャワーを止め、更衣室で弓道着を再び身に纏った彼女は外に躍り出る。
212ぐうたら:2005/07/08(金) 23:43:25 ID:37fLWvWb
「何処っ!?」
更衣室の外は既に闇が支配していた。
その中、彼女は先ほどの気配―『何か』を探していた。
運動場、部活棟と様々なところを見渡すが、気配を消した『何か』は容易くは見つからなかった。
「………」
神経を研ぎ澄ませ、気配を探す少女。
『何か』の逃げた気配をたどる先、そこは…
「屋根に…逃げたわね!」
その瞬間、彼女は跳躍した。
その飛距離は地上から一気に校舎の屋上に飛び上がるほどだった。

屋上に降り立った少女は、目標―『何か』を改めて探す。
「っ…!」
自分から50m程のところにソレは居た。
「覗きとは随分悪趣味なことしてくれるじゃない……っ!!!」
夜空に、虚空に、
「お珠ぁっ!!」
少女の凛とした声が響く。
「……悪く、思わないでくださいね〜…」
『何か』は『お珠』と呼ばれた。
即ち、『何か』とは、彼女の学友、『茶ノ畑珠実』だ。
「何がっ、悪く思わないで、よ!」
彼女の声には明らかに怒りが込められている。
同姓とはいえ、隠れるように裸を覗かれてしまっては当然ともいえるだろう。
「本当に仕方が無いんです。梢ちゃんの、為なんです…」
「梢の!?」
もう一人の学友、蒼葉梢の名が出てきて、彼女は驚く。
「梢が、梢がどうかしたのっ!?」
「……………」
「私ガ、説明しマスヨ。珠実部員」
213ぐうたら:2005/07/08(金) 23:43:39 ID:37fLWvWb
「「!!?」」
初めて聞く声に少女は驚く。
それに、珠実自身も聞き慣れた声の突然の登場に驚きを隠せない。
「フフ、ご機嫌ヨう」
「部長、あなたは引っ込んでいてくださいです!」
「だ、誰なの?お珠…」
誰かと聞いた彼女自身も、珠実の後ろ、貯水タンクの上に立つ人物に見覚えはあった。
校内で時々梢と珠実と話している所を見たことがあるし、校内を闊歩している姿も見たことがあった。
「(確か、オカルト部の…部長…?)」
「梢部員は、私ガ預かっテいマス」
「!!!」
突然の部長の発言に、少女も驚きを隠せない。
「お珠、あの人、何て……?」
驚きをそのままに、目の前の珠実にぶつける。
「……、部長の、言ったとおりの…意味です」
一言一言、苦しむように言葉をつなげる珠実。
「梢ちゃんを助けるには…親しい友人の生贄が必要だと、言われました…」
「親しい、友人…?」
「……あなたは、恐らく私にとって梢ちゃんの次に親しい友人。だから……」
珠実の周りの暗闇が、蠢いた。
「だからあなたを殺せば!!」
珠実が叫ぶのと、暗闇で蠢いていたものが少女に飛び掛るのは、殆ど同時だった。
「っ!!!」
少女は飛び掛ってきたモノを後ろに飛んでかわす。
「犬…?」
黒い犬だ。
恐らく魔術的なものだろう。少女は直感でそう思った。
214ぐうたら:2005/07/08(金) 23:43:53 ID:37fLWvWb
「避けなければ、早く死ねるのに…っ」
辛そうな表情で、珠実は手を上にかざす。
「何で!!」
手を振り下ろすと、影の犬は再び遠吠えを上げて動き出す。
「一直線に向かってくるだけじゃ…」
その時、少女の手に光が宿り、その光がある形を形成していく。
それは、光の弓矢。
「私には効かないわよっ!!」
弦を引き絞り、五本の矢を一気に放つ。
ひゅんっ!!
響く弓弦。
光の軌道を描く矢は、それぞれ襲い掛かる黒い犬を貫き、消し去った。
「なっ…!」
友の突然の力に、驚きの表情を浮かべる珠実。
「次は、アンタ……」
弦を引き絞る少女の目の前には、珠実。
「まさか、私を……」
「じゃあね、お珠」
りゅんっ!
鋭い音を立て鳴り響く弦。
一直線に珠実に向かう矢。
一瞬で矢は珠実の胸に突き刺さり――
「っ……」
215ぐうたら:2005/07/08(金) 23:44:15 ID:37fLWvWb
――貫いた。
煙になった、珠実を貫き、そのまま部長の立つ貯水タンクに突き刺さった。
「ホう」
感嘆の声を、短く上げる部長。
「何故、珠実部員が偽者だト?」
「雰囲気。結構付き合い、長いんです。私たち」
不敵な笑みを浮かべる少女。
三度目。弓弦を引き絞る。
次の標的は、部長。
「降参、したらどうですか?」
最後の通告、とばかりに、言う。
「おヤオや」
呆れた、とでも言うような部長の言葉。
「愚かナ。もウ、私に勝ッたつモりデスか?」
部長の手のひらが、黒く輝いた。
次の瞬間、部長と少女の間に、黒い影が立ちはだかった。
「アロケン」
部長が言う。
「ソロモン72柱の一人。公爵級の悪魔デス」
「悪魔でも、天使でも…」
弦を引く手に、さらに力が入る。
「梢を助けなきゃいけないから……」
限界まで引き絞られる。
「倒すわ!!」
猛り狂う光の矢を、目の前の悪魔に向け、解き放つ。
216ぐうたら:2005/07/08(金) 23:44:30 ID:37fLWvWb
「………っていう夢を見たのよ。どう?私凄くない!?」
「うん、とっても凄いよ!」
「…何といいますか、自分を美化しすぎです〜、その夢〜」
「な、何よぅ!いいじゃない自分の夢なんだから!自分の夢ぐらい、出番…主役・・・(ぶつぶつ…)」
「……ま、夢ですしね〜」
「格好いい夢だね!」
「梢〜、ありがとぉ〜!そう言ってくれるのはアンタだけよ〜…お珠とは大ちg…(がしっ)」
「私とは、何ですってぇ〜〜………?」
「え、ちょ、首根っこ掴むのはやめようよお珠…ふぇ!?ど、どこ触ってんの!?いやっ!あっはははは!!!やめ、やめー!!」
「ええのんか〜、ええのんか〜」


まほらば サブキャラクター・ストーリー 『夢で見たモノ』 完


217アトガキ ジゴク:2005/07/08(金) 23:48:16 ID:37fLWvWb
セーフ…
いかがだったでしょうか、やっつけ短編『夢で見たモノ』。
途中のトンデモ展開で夢オチと分かった人はいるでしょうが、あえてタイトルは未記入で投下しました。
弓道ちゃん主役のアクションSSなんてお釈迦様でも大穴狙いの国士無双だな、と自分でもしみじみ。
最初はフツーに珠ちゃんが弓道ちゃんのシャワーを覗くオチにしようかと思ってたんスけど、それじゃナンダカナー…で、気付いたらコレですよ。コレ。
自分でもどうしてこうなったかサッパリ。
気に入っていただけると光栄です。
『The last momennt』骨組みは出来てるんで、今週から来週中に中編は終わるかと。
オヤスミナサイ
218テイル:2005/07/08(金) 23:55:31 ID:2AuxF+k9
>>217
ナゼそんないい所で止める!?飼い殺しもいいところだ……

と苦言を呈す夢オチの「MIW」作者orz
しかも執筆休止中だし……

とか言いつつ、来月辺りに「魔法少女マジカルなっちん」を投下してみようかと。
なんか考えたらキリがつかなくなって……
他作品のキャラやシニカル朝美との対決も考えたり。

何してるこの受(ry
219名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 00:00:18 ID:OWPhrtCb
時間切れ?
220名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 00:01:09 ID:OWPhrtCb
と思ったら俺の表示が変なだけだった、やれやれ
221お腹いっぱい:2005/07/09(土) 00:21:07 ID:I+nRcJnJ
>>217
本当に書き上げましたね。弓道ちゃん格好良すぎw
これで>>1の弓道ちゃんも安心して召されるでしょう。

さて自分も投下します。
222名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 00:21:30 ID:LJOxgHUc
おぉ、スピード勝負…。
最近、弓道ちゃん地位向上作戦でも展開してるんだろうか?
223テイル:2005/07/09(土) 00:22:31 ID:tBI+OFFS
今更だが、もしかして黒い犬って空(ry?

まあ両方とも魔術ではあるが…
224One day +One:2005/07/09(土) 00:23:00 ID:I+nRcJnJ
金ではありません。


紺ではありません。


緑ではありません。


赤ではありません。


…蒼でもありません。

黒でした。
輝きのない、深い黒。
「白鳥…サン?」
「こ、梢ちゃん…なの?」
白鳥くんを呼ぶ言葉から判断して、梢さんのようです。
「はイ。…スいマせんでシタ皆サン。
私、調味料ヲ間違えテしまッタみたいデス」
しかし、しゃべり方がおかしいです。
「梢ちゃん…」
「皆サン、ドうシタんデスか?」
このしゃべり方、輝きのない深い黒い目。
どこかで見た気がしますね。
225One day +One:2005/07/09(土) 00:25:55 ID:I+nRcJnJ
「…部長にそっくりです〜…」
「あ!!」
気付いた皆さん。
「部長サン…?」
「私デスか?」
梢さんと部長さんを見比べます。
目の色が同じです。
そして、しゃべり方のアクセントも。
「おヤ!本当デスね」
「ソウなんデスか?」
「どうしてくれるんですか部長〜!梢ちゃんが〜!!」
「一体なんでこんなことに?」
「特殊ナ体質の梢部員が、ずット私と居たかラかもシれマセン。
私の魔力が梢部員に流れテしまっタのデシょウ」
「どうすれば治るんですか?」
「とりアえズ、シばらク私と離れテいれバそのウち治るデシょウ」
226One day +One:2005/07/09(土) 00:28:25 ID:I+nRcJnJ
「そのうち…って、梢ちゃんは当分このままなんですか!?」
「まァ、魔力が抜けル数日の間ダけデスよ。
それデハ私は、少しでモ梢部員が早ク治るヨうに、
ソろソろ帰ラせてイたダきマス」
「もウ少シゆッくりシテいってモ…」
「いエいエ、晩ご飯まデご馳走にナリまシタかラ。…ソレでは、マタ」
皆さんは部長さんがまた爆発して消えるかと思って少し離れていましたが、
普通に歩いて帰るようです。

玄関の外まで送ってあげました。
「マた来てクダサイね〜」
「もう来なくていいです〜!」
227名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 00:45:45 ID:lbse9TlY
>>217
短時間でクオリティタカスw
ようやくテンプレの効果もあったということか。
228名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 01:40:37 ID:B7ckydq6
>>187
乙&GJでした。物語に読み応えがあり、次々と変わる展開にわくわくしながら
読める作品でした。できれば続きが読んでみたいです。
>>217
乙です。ぐうたら氏の弓道ちゃんへの想いが伝わってくる作品でしたよw
>>221
今日の分は終わりですか・・・?とりあえず感想を
新しい人格を出してくるとは驚きました。これからどう展開するか楽しみです
そして、もしそのキャラをサトミーが演じたらどんな声になるのか気になりましたw
229黒百合:2005/07/09(土) 05:17:34 ID:/0HMMclv
部長ネタヽ(・∀・)人(・∀・)ノキィーター
     ↑自分   ↑分身A
230「終わりの始まり」筆者:2005/07/09(土) 05:21:06 ID:pn3fxRB4
課題が終わらない。バイトが多すぎ。書こうにも疲労でみっちもさっちも逝かない…。
…腹括って書くか。もう。他の人を待たせる訳にはいかんですし。
231黒百合:2005/07/09(土) 05:22:23 ID:/0HMMclv
が、がんがってくだせぇ
232お腹いっぱい:2005/07/09(土) 06:58:38 ID:I+nRcJnJ
申し訳ございません、昨日は投下中に寝てしまいました。
これからは投下する前に水をかぶりたいと思います。
233名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 07:11:14 ID:/0l0ifua
投下中にうとうとする作者たん萌え
234名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 08:31:20 ID:LJOxgHUc
そして水をかぶったらパンダになってしまう満腹氏でしたとさ。
235ぐうたら:2005/07/09(土) 08:35:24 ID:iDwpSHST
よりにもよってパンダて…
せめて牛とうなぎとその他色々を混ぜ合わせた物に…
236名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 09:15:55 ID:PBwlHfNb
それでは次からコテを、「パンスト太郎」か「かっこいい太郎」に。
237名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 09:35:40 ID:LJOxgHUc
ここで「女の子になってしまう」とかいうと喜ぶだけになりそうだし…。
238ミドリノアクマ:2005/07/09(土) 13:43:53 ID:LJOxgHUc
「ふぅ…退屈ですね…」
彼女は学舎の窓からぼんやりと外の景色を眺めていた。
視線の先にはたくさんの女学生たち。
その彼女たちは皆、統一された制服で身を包んでいる。
「退屈ですね…学校と言うところは…」
ポニーテイルの先をいじりながらそれをつまらなそうに見る。
彼女───緑川千百合にとって学校は何の面白味もない場所でしかなかった。

「そもそも制服、と言うモノは統一感をもって初めて意味をなす…ならばそこに手を加える余地はない…」
彼女の言う正しい服飾、という信念というのは常人には理解しえない。
しかし、制服に対する概念は意外と一般的な発想だった。
「Correct…コレクト、なのですが……ハァ……」

目の前の魅力的な女生徒たちも手を出せぬ状況。
もし手を出してしまえば統一されたものから例外を作ってしまうことになる。
そうなれば、彼女の美的感覚からすればそれは正しくない行為となってしまう。
皆、最初から正しい服飾であり、手出し出来ないこの状況は退屈以外でも何者でもなかったのだ。

「珠実さんはどこへいったのでしょう…」
彼女としてもこの退屈な時間は歓迎するべきところではない。
一刻も早くこの退屈な空間から離れたいと思っているのだが、
この学校で唯一自分の知る人物である友人・茶ノ畑珠実の姿は見あたらない。

「はぁ……」
ぼんやりと校舎内を歩いてみても目につくのは皆、統一された制服。
右を見ても左を見てもまさしく理想的な状態であり、彼女に刺激を与える状況ではなかった。
239ミドリノアクマ:2005/07/09(土) 13:44:37 ID:LJOxgHUc
しかし、サークル棟に足を運んだとき、ついにそれと遭遇した。
それは学舎という場所に置いてはあまりに異質であり、異常。
何者をも退けるようなオーラを放ちつつ、それは千百合の前に現れた。
(こッ………!!!)
学校という空間においてはあまりにも不釣り合いな黒装束。
まるで邪教の司祭のような禍々しいローブをまとい、悠然と佇んでいる。
(これだ……ッッッ!!!!!)
ようやく巡り会えた格好の標的に千百合は血を滾らせた。

「お待ちなさい!」
思い立ったら一直線、千百合はその異様な人物の前に立ちはだかっていた。
不意に血気にはやる女生徒に呼び止められ、その人物は歩みを止めた。
「……?」
「あなたはこの学校の生徒ですね? ならその服飾は何ですか!?」
その人物は目深にフードをかぶっているため表情まではわからない。
しかし、千百合の言葉に反応があるのは確かだ。
「ここは学校です、ならば生徒は生徒らしく学生服を身にまとうのが正しい服飾というものでしょう!」
「フむ…」
千百合に言葉を突きつけられるままだった人物は小さく呟いてその素顔を見せた。
(…これはッ!)

禍々しい黒装束とは裏腹に、フードの下から現れた素顔はとびきりの美人だった。
瞳には光なく淀んではいるが、校内を探してもこれほどの逸材は5人といないだろう。
(なんとしても…服飾を正さねばなりませんね!!)
240ミドリノアクマ:2005/07/09(土) 13:45:33 ID:LJOxgHUc
「アナたはコの服飾が正しクなイ…と仰イまシタね」
「当然でしょう!」
その人物は異議ありいわんがごとく黒衣の下で見せつけるように両手を広げた。
「シカし、私はオカルト研究部部長。 サバトを統ベル立場とシテ相応しイ衣装を選ばネバなりマセん」
「オカルト研究部…? 魔術や悪魔といったいかがわしいものですか?」
「ソウでス。 …別にイカがわシくはありマセんガ」
彼女の言い分を聞き、千百合はしばし考え込んだ。
確かに学生という立場なら制服を着るのが当然だろう。
しかし、彼女はオカルト研究部部長という立場でもある。
彼女のいう言い分もまた筋は通るものだった。
(学生とオカルト研究部部長という二つの立場…ですか)
「イカがなサイましタか?」
「…やはり、あなたの服飾は正しくありませんね」
「でハ、どこガ正しくナイ…と?」
「すべて、ですね」
「…ホウ」
キッとにらみ合う千百合と部長。
互いの意志がぶつかり合い、二人の間に緊迫が走った。
241ミドリノアクマ:2005/07/09(土) 13:46:08 ID:LJOxgHUc
「………」
「今のあなたは部長という立場に傾きすぎている…しかし、同時にあなたは学生でもある…」
千百合は拳を握りしめ、力説し始めた。
「それではいけません! あなたは学生でもあるのですから!」
「フム…ソレでどうスルと?」
彼女の熱意が伝わったのだろうか。
部長は千百合の言葉に興味を持ち始めていた。
「決まっているでしょう…答えは一つです!」
千百合はすっかり興奮してビシッと部長に指を突きつけた。
「黒装束と学生服のハイブリッド、これです!!」
「…イイでしょウ。 アナたの挑戦、オ受けシマしょうカ」
「そうと決まれば迅速快速をモットーに!」
千百合はパワーMAX状態、もはや我慢の限界だった。

きらーん☆

「遊びは、終わりです!」
「ッ!? アァッ、オやめなサイ! オヤめなサい!!」
「Correct! これくと!! コレクトォォォォォォッ!!!」

242ミドリノアクマ:2005/07/09(土) 13:46:37 ID:LJOxgHUc

「懐かシイでスね…」

オカルト研究部の部室で彼女は珍しく物思いに耽っていた。

その手には幽霊部員ばかりが連ねられた部員名簿。
その中にあるたった一度しか会ったことのない部員の名前を見つめぼんやりと呟いた。

「今の私がアルのはアナタのオカげ。また会イたいモノでスね…千百合部員」

もはや出会うことのない部員が作ってくれた特製の衣装。

今や彼女のトレードマークとなった黒マント制服の裾をいじりながら、ぼんやりと呟いていた。




<ミドリノアクマ>  Fin.
243ミドリノアクマ:2005/07/09(土) 13:47:15 ID:LJOxgHUc
「シカし…」

彼女はロッカーのなかから一着の服を取り出し、ため息をついた。

「イツかはコチラも試シテみたイのデスが…なカなカいい機会がナイでスね…」

部長は千百合が用意してくれたもう一着の衣装───



アニメに出てくるような魔法少女風にアレンジされた制服を手にまたため息をついた。



244ミドリノアクマ あとがき:2005/07/09(土) 13:49:23 ID:LJOxgHUc
ようやくPCが復旧して勢いで書いた。
特に何も考えていない。

今はおなかが空いている。


部長の改造制服誕生秘話?みたいな。
245前スレ421:2005/07/09(土) 14:54:20 ID:A2GWE5zK
>>244
GJ!
すっごい肯けます。色々と。

新スレ記念…には少し遅いですが完結編です

エロなしまひる話
「だから、笑いましょう」

それでは投下ー
246だから、笑いましょう:2005/07/09(土) 14:55:51 ID:A2GWE5zK
9/


「―――私も」
ああ―――この笑顔を、私は知っている。
困ったような、悲しいような、それでも「笑う」事しか選択肢が無い人間の表情。
傷口に触れられたような痛みに、笑って耐える事を選んだ人間の、表情。
「私も以前は、自分が嫌いでした。
物事を笑って誤魔化す事しか出来ない自分が―――心の奥底で、笑えば済むと無意識に悟っていた無力な自分が、大嫌いでした」
……この笑顔を、私は知っている。
「―――でも、両親が亡くなってから、私は変わった」
声のトーンを落として―――けれど、変わらぬ笑顔で。
あいつは言う。私を諭すように。
「…私にはもう、ヒロちゃんしか居なかったから」
今なら、解るような気がした。
「辛い事があっても一緒に笑っていようねって、
お父さんとお母さんの分まで笑って生きていこうねって―――そう、二人で約束したんです」

―――コイツは、強い人間だと。

「…お嬢様は、私とは違う」
そう言って、あいつは私の顔を見据えた。
ばかみたいに真直ぐな目だった。
「まひるお嬢様には、人の為に流せる涙がある。どんな時でも冷静な、頑(つよ)い心がある。
それは、私が―――いえ、他に誰一人として持っていない、あなただけの大切なモノです」
ばかみたいに真直ぐな目。
ばかみたいに真直ぐな言葉。
247だから、笑いましょう:2005/07/09(土) 14:57:22 ID:A2GWE5zK
「自分を、もっと誇って下さい。
欠けているモノを嘆くよりも、いま、あなたに在るモノを誇って下さい。
―――こんなにいいモノを、自分は持っているんだって。
こんなに素敵なモノが、自分の中には在るんだって」
―――ばかみたいにストレートな、その笑顔。
「そうすればきっと、お嬢様だって―――」

―――お嬢様だって。

…どうしてだろう。
あいつの声が、遠退いていく。

―――きっと、笑えるようになりますよ。

やめろ。
行くな。…行かないで。
私を置いて、遠くへ行かないで。

―――真昼の、太陽みたいに。

最初から、解っていたんだ。

―――まひるの、おひさまみたいに。
248だから、笑いましょう:2005/07/09(土) 14:59:28 ID:A2GWE5zK

「欝陶しかった」?

――――――――………ょ……ま…

違う。

――――――……ょ…うさ…ま…

私は、

――――…お……ょう…さま…

ただ、

―――…お…じょ…う、さま。

あいつが、

――…お嬢、様。

…あいつが―――


『羨マシカッタンダ』



「お嬢様っ!!」

249だから、笑いましょう:2005/07/09(土) 15:01:41 ID:A2GWE5zK

――――――――――……………」

―――視界が、開けた。


気付けば私は、暗い暗い穴の中。
…夢を、見ていたのだろうか。

「お嬢様!?」
声に顔を上げると。
其処には、見飽きるほど見慣れた、あいつの顔。
「はぁ〜…良かったですよぅ〜見つけられてぇ〜…
…あ!…お、お怪我はありませんか?」
あいつはそう言って安堵の溜息を吐くと―――途端に、その表情を輝かせた。
「ぱあっ」という擬音でも付けられそうな、嬉々とした表情。
それは宛ら、闇夜に麗々と揺れる桜樹―――いや、
闇夜をも明るく煌々と照らす、桜色の太陽の如く―――


―――ああ、そうだ。

私が笑いたいと思ったのは、
周りの皆が笑っているからじゃなくて。
自分だけが笑えないからじゃなくて。
自分だけが、皆と違うからじゃなくて。

あいつが、羨ましかったから。
あいつみたいに笑いたいって、何時しか思うようになっていたから。
気付けば何時だって、私は、あいつの笑顔を探していたから。
追い掛けていたから。
求めるように、なっていたから―――
250だから、笑いましょう:2005/07/09(土) 15:02:58 ID:A2GWE5zK

「ちょっと待ってて下さいねぇ〜、いま助けますか―――ぁ」

「ぇ」

あいつが穴の"内側に"足を滑らせてから一拍遅れて、
私の間抜けな声が穴の中に小さく響いた。

……………太陽が、落ちて来た。
251だから、笑いましょう:2005/07/09(土) 15:04:08 ID:A2GWE5zK
10/


ドスン、という鈍い音。

「…………………………」
「いっ…たたた……―――はっ!
すっすすすいませんお嬢様ぁ〜!おっお怪我はありませんかっ!?」
「…いいから早くどけ。重い」
「はわわわわわ!?あの、こっこれは…そ、そうです!穴のフチが抜かるんでいて…」
「雨なんか降ってない」
「ひ、ひあ〜!?」
「それ妹の台詞」
「ふ、ふえぇ〜…」

「…………」
まひるは呆れと別の何かを込めた溜息を吐くと、ふいとサクラに背を向け、
「…その、あれだ。私を見付けた事は褒めてやる。感謝しろ」
「…ふえ?」

「……―――――」
違う。
感謝しているのは、寧ろ―――
252だから、笑いましょう:2005/07/09(土) 15:05:15 ID:A2GWE5zK
「………ばか」
暗い土の壁に向かって、まひるは小さく呟いた。

それがサクラに対しての言葉なのか、はたまた自分自身に対してのモノなのかは、まひる本人ですら良く解らない。
仮にサクラに向けた言葉であったなら、ソレは感情の裏返しというモノであろう。
彼女の性格を考えてみれば、水無月まひるという人間が、フェイストゥフェイスでそんな言葉を言える訳が無いのだから。

「ありがとう」、なんて言葉を―――


―――――――――…………


結局二人はその5分後、屋敷に戻って来たタチバナによって漸く救出(?)された。

午後8時10分。
穴の底から見えたあの桜の木が、おかえりを告げてくれたような気がして。
月明かりが照らすその大樹を、まひるは暫くぼんやりと眺めていた。
253だから、笑いましょう:2005/07/09(土) 15:07:14 ID:A2GWE5zK
11/


「―――つまり」
と、タチバナは静かな、しかし或る種の凄みのある声で言った。
―――彼女の前でガタガタと震える、サクラに向かって。

於、水無月邸1階ホール。
思いの外泥だらけになってしまったので、まひるは取り敢えずシャワーを浴びて服を着替える事にした。
そして、彼女が浴室から出て来るとこの状況、という訳で。

「お前は奥様の御依頼で苗木を植える為に庭園に穴を掘っていた、と」
「はい〜」
「…で、気が付くとヒト一人が収まるほどの深い穴が出来ていた」
「横に掘れないんです〜」
「―――何故それを放っておいた?」
「……とりあえず先に苗木を取りに行こうと思って…昼までずっとスコップ握りっ放しだったので流石に疲れてしまいまして…
ちょっと休憩するつもりだったんですが…眠くなって来てつい―――ふえっ!?ま、待っ…ふえぇ!?
せ、先輩ぃ〜!グーは!グーはやめてぇぇ〜!」

「……………」
私の気苦労は何だったのだろう、とまひるは思わず深い溜息を吐いた。

―――そう言えば、黒崎が居なくなって―――姉と駆け落ちして―――からは、あいつが庭師の仕事を兼用しているのだった。
何をやっても駄目なあいつだけれど、こと庭師としては―――と言うより、植物の扱いだけは驚くほど上手だ。
植物の世話を、あいつは本当に楽しそうにやる。
土と汗にまみれて、それでも子供のように無邪気に笑いながら。
―――それは、比喩でも何でもなく。
庭の植物達を育てているのは、太陽の光と水だけでは無いのかも知れない―――と、私は本気で思ってしまう。
254だから、笑いましょう:2005/07/09(土) 15:08:47 ID:A2GWE5zK
「―――――……」
―――結局、或る意味では私の一人相撲だったという事か。
全く、あいつが来てからは何かと騒動が絶えない。

―――――でも、まあ。

「…タチバナ、もういい。その位にしておいてやれ」
つかつかと階段を降りながら、まひるは静かに、しかし広いホール内にもはっきりと響く声で言った。
「……?」
「…ふえ?」
タチバナは少し驚いた様子で、まひるの方を向き直る。
「……お嬢様、しかし」
「こいつも悪気があった訳じゃない。その様子だと反省もしてる、多分。だからその位にしておいてやれ」
「…―――――」
まだ納得が行かないのか、タチバナが何かを言い、かけた時。

「おぉじょぉぉさまぁぁぁ〜!」
余程怖かったのだろう、滝のような涙を流しながらまひるに飛び付くサクラ。
「あっありがたうござひますぅぅぅ!この御恩は一生忘れま―――」

「ただし」

「……ふえ?」
255だから、笑いましょう:2005/07/09(土) 15:09:40 ID:A2GWE5zK
水道の蛇口のようにピタリと涙を止める―――つくづく器用である―――サクラに、
まひるはずい、と顔を近付け、
「―――もう、仕事中には寝るなよ?」
「ふえっ!?わっ、わかりましたあぁぁぁぁぁ〜っ!!」
効果覿面。
サクラは反省からか恐怖からか良く解らない謝罪の叫びを残して、猛スピードで階段を駆け上がって行ってしまった。
「…………」
―――逃げるほど恐い顔をした覚えは無いのだが…
…今の私、そんなに恐かったか?
少しタチバナに似て来たのかも知れないな―――と、まひるは内心で苦笑した。

「…お嬢様」
「―――なんだ」
「…良いのですか?」
「……穴に落ちたコト、アイツだけの責任じゃない。半分は私の不注意の所為。それに―――」

―――あいつには、借りがあったからな。


「タチバナ」
そう、言って。
「笑う、っていうのも―――悪くないかも、な」
まひるは、タチバナの方を振り返った。


―――その顔が、微笑っている様に見えたのは。

果たして、タチバナの気の所為だったのだろうか―――


256245:2005/07/09(土) 15:13:51 ID:A2GWE5zK
というわけで、
まひる話「だから、笑いましょう」でした

…またまた長くなってしまいました。
最後までお付き合い下さった方々に感謝多謝です

では
257名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 15:15:08 ID:Z6G5wnt5
リアルタイムGJ!!
258名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 15:30:48 ID:car0DPQE
部長が鳴滝荘の住人に怪しげな飲物を飲ませる話希望。
259テイル:2005/07/09(土) 16:49:00 ID:tBI+OFFS
>>244
うお、千百合分投下GJ!
こんな展開もあるかも。
今は魔法少女がブームになりつつある…

部長はどうなのだろう?魔術少女部長?

>>まひる
ようやく終結…お疲れ様でした。
まひるの心理描写が細かくて良かったです。
次回作にも期待してます。

つか、昼間から良作が投下されるこのスレは凄い…大好きです。

そして終わりとMMOとモーメントの続きマダー?(チンチン
260名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 19:34:30 ID:rBCzRlf7
今年で最後の大学生活だと思ってたら、
もう一年あるかもしれない俺が久々に来ましたよorz

一作ずつ感想を述べたいのですが課題の都合上により、
時間が限られているので、一言だけにさせて頂きます。

>>ネ申'S
超乙彼&VGJ!!
261お腹いっぱい:2005/07/09(土) 19:52:04 ID:I+nRcJnJ
>>233->>237
なんですか!?
皆さん私に何になれと?隆子になれと?

>>244
乙です。
千百合分来ましたね。
最近は千百合ちゃんブームですか?

>>256
まひる完結しましたか…。
サクラさんという存在は意外と大きかったんですね。
まひるの心の中が伝わってきてよかったです。

実はワンデイのボツネタにサクラさんを出す展開があったり…。

そんな私のデビュー作も、今夜ラストです。
投下する前に水かぶって隆子になります。
262名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 23:00:25 ID:B7ckydq6
>>244
GJ!です。緑×部長ってなかなかいいコンビなのかもしれませんね
>>256
こちらもGJ!そしてサクラさん好きの俺にサクラ分投下ありがとうございました。
そして話がとても丁寧で良かったです。次回作にも期待。
>>261
昨夜はどんまいです。続き待ってますよ
263お腹いっぱい:2005/07/10(日) 00:27:51 ID:HyQZXmLO
投下に来ました、お腹いっぱいです。
先程、眠気を断つために水をかぶって考えたのですが、
「気付いたら寝ていた」「なんだか最近眠いんだよ」の二点…
どこかで見たことあるな、と思ったら>>157じゃないか!
いや、まさか…そんなはずないですよね。

ではラスト投下です。
264One day +One:2005/07/10(日) 00:29:26 ID:HyQZXmLO
それから数日間。
鳴滝荘の皆さんは毎日部長さんと話しているような感覚になってしまいました。

ある日の朝。
「白鳥さ〜ん!私のしゃべり方、戻りましたよ!」
「ヨかっタね、梢チャん!」
「あれ…?白鳥さん?」
「ドうシタの?…ン?わアぁァ!?」
今度は白鳥くんが部長さん化してしまいました。
「朝かラ騒がシいワね〜」
「大変デスよ!桃乃サン!!
今度は僕ガ部長サンみたいに!!っテ桃乃サンも!?」
「わ!?本当ダ!!」
桃乃さんの瞳も、輝きがない深い黒色に。

騒ぎで起きてきた、珠実さん。
「私まデ部長になルなンて、最悪デス〜」
265One day +One:2005/07/10(日) 00:30:42 ID:HyQZXmLO
黒崎親子。
「ドウしよウ、お母サン?」
「…朝ゴ飯…」
沙夜子さんはあまり変わらないですね。
灰原さん&ジョニー。
「灰原のヤツは細目だカらイイけド、
オレまデ目が真ッ黒っテどうイうコトだ?」

とりあえず落ち着いて、台所に集まった皆さん。
「みンな部長みたイになッちャったデス〜…」
「なんデまた、こんなコトに?」
「魔力が今度は梢部員かラ皆サンに流レたようデスね」
「ウわッ!なんで部長サンがココに!?」
「ソレは気にシなイお約束デス」
不信者が朝から不法侵入してきましたが、今は助かりますね。
266One day +One:2005/07/10(日) 00:33:28 ID:HyQZXmLO
「ドうデもイイかラ、早く元に戻シテ…」
梢さん以外全員目が死んでいるようで、
しゃべり方も気持ち悪い、変な集団になってしまいました。
「コノ“私(ワタクシ)化現象”を止めル方法ハ一つダケありマス」
「ソの方法ハ…?」
「日替わりデ誰か一人に皆サンの魔力ヲ集中させルことデス。
何日も繰り返シてヤるこトで魔力モ次第に抜けてなクなルでショう」
「そノ人以外ハ普通に戻ルの?」
「ソうイうことデス。
ちナみに、その人はマすマす私に似テしまうかもしれマせンけド…」
267One day +One:2005/07/10(日) 00:35:48 ID:HyQZXmLO
「なルほド〜。
デハ早く“部長化現象”かラ抜けタいのデ、今日の生ケ贄は白鳥サンデス〜」
「僕なノ!?」
「白鳥クン、今日は学校休ミなンでショ?」
「…悪イわネ…」
「ゴめンね、オ兄ちャン」
「悪イナ、白鳥」
「…仕方ないデスね。わかりまシタよ」
最初に魔力を受けるのは、白鳥くんになりました。

「魔力ヲ集中させルにハ、ソの人に向かッテ掌を向ケるのデス」
次々と試してみる皆さん。
「おお?戻っていくわ!!」
「治ったです〜!」
「戻ったよお母さん!」
「…魔封波…」
「なんで灰原は戻って、オレの目は黒いままなんだ?」
268One day +One:2005/07/10(日) 00:37:16 ID:HyQZXmLO
全員の魔力が白鳥くんに入りました。
「ア、あ、体がオかシくナりそうデス…」
「白鳥さん、大丈夫ですか?」
「口調まで少し変わってますね〜。少し試してみるです〜。
…この変態が〜!!」
「ハぁゥッ!!」
「アはぅァっ!!」
白鳥くんと部長さんが同時に反応しました。
「なンだカよクわからナイけド、イイよ、珠実ちゃん!!」
「珠実部員、モッと言ってクダサイ!!」
二人が悶えています。
「うわ…」
「白鳥さんもマゾになったです〜…」
「お兄ちゃん…」
「……」
「若さだナ…」
「…ハッ、ち、違うんデスよ!体ガ勝手に!!」
269One day +One:2005/07/10(日) 00:39:43 ID:HyQZXmLO
白鳥くんは梢さんをおそるおそる見ました。
梢さんは俯いて少し震えたあと、白鳥くんを見てにっこりしました。
「…わ、私、白鳥さんが変になっても…気にしませんから!!」
梢さんは走って台所を出ていってしまいました。
「あァ梢ちャン!?違ウんだッてバ!!待っテよ!!」
白鳥くんも追いかけていきました。

「…さテさテ、明日はドなたガああナルのでシょウね」
「この人勝手に朝ご飯食べてるし…」
「部長はもう二度と来るなです〜!!」

今日も鳴滝荘と、一名のやっかいな人の、一日が始まります。



<<One day +One>>is the END.
270One day +One あとがき:2005/07/10(日) 00:45:35 ID:HyQZXmLO
最後まで読んでくれた皆さん、応援してくださった皆さんありがとうございました。
『One day +One』でした。
+1の意味は“ある一人”が“ある日”の日常に大きく介入する話という意味です。
ある一人が誰かは…まあ、わかりますね?
五人格全てを出した結果100レス近くと、かなり長くなってしまいましたが、
普段見られない部長との絡みが書けて楽しかったです。
ただ部長語は二度書く手間が発生するので、部長に生気を吸われたように疲れましたが…。

たまっているのがあるので、気が向いたらまた投下させていただきます。
それでは。
271黒百合:2005/07/10(日) 01:23:02 ID:isHIuksG
イイ、その一言に尽きる。
あえて言うなら・・・後日談をお願いします。
272名無しさん@ピンキー:2005/07/10(日) 02:31:51 ID:8A8QEAt+
次の部長化は>>270さんで
273「終わりの始まり」(ry:2005/07/10(日) 08:23:58 ID:DDr0+xEB
ねむっ!っていうか、課題終わってねw。まぁいいや。
2週間ぶり…、って、最近ここに来た人はさっぱり何だか分からないと思いますが、保管庫やまほログで補ってくださいw。
では、

「終わりの始まり」
投下中に寝るという真似だけはしないようにしようっと…。
274「終わりの始まり」:2005/07/10(日) 08:26:52 ID:DDr0+xEB
 梅雨時の晴れ間、それはあまり長く続かないもの。
昨晩、「梅雨じぇんしぇんはやや南へ遠ざかりまして〜」と、お天気おじさんが予報したよりも大分早く、そしていきなり雨が落ち始めた。
(今日は開口一番「しゅみましぇんでした!」だな〜…)
そんなことを隆士は考えつつ、大の字の頭をもたげて、窓から空を見上げていた。

隆士は、ちょっと考えるのをやめようと思い、大の字に身体を放り、ぼーっと空を見ることにした。

梢を支えていこうと決めた。
灰原がジョニーを通して語った、梢と鳴滝荘の過去。それは想像を遙かに超えるものだった。
いや、自分が甘いのかも知れないとも隆士は思っていた。
でも、どちらにせよあまりに重い過去に、驚きを隠せない自分がいる。動揺している。不安が津波のように押し寄せる。

(…ただ話を聞いただけ、たったそれだけなんだけどね)
そう。梢が海岸で見せた、儚げな表情。棗は過去の記憶に心をえぐられ、隆士に助けを求めてきた。
そこからたった数日。
そこまでの釣果:隆士は梢の過去を聞かされた
たったそれだけ。数十分に要約された5年あまりの月日の話を聞いただけ。たったそれだけ。
なのに隆士は、そこでまた立ち止まる。立ち止まって不安げにその先を考えてしまう。
正直、自分が馬鹿らしくなった。数歩進んでは立ち止まり、また数歩進んで立ち止まり。
そうして、見えるはずもない前方に目を凝らし、何があるのかと不安になる。
だから、一旦何もかもを捨ててぼーっとしてみよう。そう思い立った。と言うことだ。
(こういうのって、文字通り自暴自棄って言うのかな…)
そうは思った。でも、今の隆士は、何か思考をすれば、そこに負の力が必ず付加される。
だったらそれはしない方が得策だった。
275「終わりの始まり」:2005/07/10(日) 08:29:48 ID:DDr0+xEB
(あれ?そう言えば梢ちゃんは…)
ふと、今の鳴滝荘の状況を思い出す。梢と朝美が買い物に出ていて、恵が大学に行っていて、珠実は部長に連行されて…。
(…傘、持っていかなかったって事は…。ありえるかも)
予報では、夜遅くから雨と言っていた。朝の天気予報は見ていなかったものの、急に立ちこめた雲を見る限り、予想外の雨だと言うことは、想像出来た。
とりあえず玄関で傘立てをのぞいてみる。
(えーと、梢ちゃんの傘は、どれだったかな?)
晴れの日と変わらない傘立て。
(って、探さなくても、これだけ本数があるのに、残ってるかどうかを見るのも蛇足かな?)
そう思うと同時に傘を3本持って、家を出よう…として、隆士のATSが作動し、緊急停止。
(寝間着のままで、顔も洗わずに出かけるんだ。僕は…)
と、思うより早く顔を洗い、身支度をして、再び玄関を開ける。その間約40秒。
雨の匂いがした。


(…お天気おじさん、あんな事考えてごめんなさい)
典型的な通り雨だった。
降り始めて20分経たないうちに雨は上がり、再び日が差す。うっすらと虹も見えた。
さしている傘を閉じ、水を切る。手には3本の傘。絵面的にかなり間抜けだ。
(…とりあえず帰ろうか)
場所はちょうど公園の前。
276「終わりの始まり」:2005/07/10(日) 08:30:47 ID:DDr0+xEB
「…そういうことをしたらダメよ?」
「「「へへ〜ん」」」
聞き覚えのある声。と、同時に聞こえてきた子供の声。
(梢ちゃん…?)
声のした方を見る。予想通りに梢がいた。
去っていくのは、いかにもな感じの悪ガキたち。
一人取り残される男の子。恐らくは、いじめられでもしたのだろうか。
梢は、男の子の服を払い、男の子に話をして最後にぽんっと頭を撫でて帰した。男の子は、笑顔で帰っていった。
そして梢の顔。いつも通り暖かくて、でもどことなく…。あれ?
どことなく…。どことなく…?
妙な感覚に襲われた。
既視感。デジャビュ。そんなところか。
いや、違う。もっと何か…。
梢のさっきの顔…。どことなく、と言うか、あれはまるで…。
277「終わりの始まり」:2005/07/10(日) 08:32:09 ID:DDr0+xEB
「あら?隆士さん?」
惚けていた隆士をよそに、隆士の存在に気付いた梢が、公園を出てこちらに来た。
「ああ、梢ちゃん。ここにいたんだ」(さっきのは一体なんだったんだろう)
魚の小骨でもつっかえたような、そんな感じになりつつも、とりあえず平静を保つ。
「その傘は…」
「実は…、梢ちゃん、傘が無いだろうと思って…」
すると、少し笑って梢が
「あ、そうでしたか。」
そうして言いづらそうに、一瞬だけ間をおいて、
「…すいません。私、折りたたみを持ってたんですよ…」
隆士は愕然とした。
(沙夜子さん、お気持ち察します…)
数ミリ違うだけで、ほぼ同じ感覚になったであろう沙夜子に、ちょっと同情した。
「それに、通り雨でしたし」
コエカタマリンでも飲んだかのように一文字一文字、梢の言葉が襲いかかる。小さな絶望とは、案外身近に潜んでいると、つくづく実感した。
「どうしました?隆士さん」
「…大丈夫。ちょっと逝って帰ってきただけだから」
妙なことを口走りつつ、とりあえず気を取り直して、
「…帰ろうか」
「はい!」
梢の笑顔を見ていたら、どうでもよくなった。
「あれ?そう言えば、朝美ちゃんは?」
「あ、朝美ちゃんですか?買い物を終えて帰ろうとしたら、お友達と会ったんです。なんて言いましたっけ…、大阪の言葉を話す子」
と、隆士は少し頭を捻り、
「あっ、さっちゃんじゃなかったっけ?」
「そうです。あの子とふたりで、ちょっと公園まで行きましたよ?なんでも、張り込みだか何だか…」
「…物騒だなぁ」

そこからは、ごく普通に時間が流れた。何となく隆士は、梢を手伝って夕食の準備をし、他の住人を呼び、食事をする。
朝美が少々惚けた状態だったが、そこは気にしないでおいた。
278「終わりの始まり」:2005/07/10(日) 08:33:10 ID:DDr0+xEB
そして、その日の夜は、課題になりそうなモノが思い浮かび、居てもたってもいられず、レポート用紙にいろいろ書き殴った。
何だか分からないが、いろいろわき上がってくる感覚に身を任せ、書いて書いて書きまくって、気が付けばそれは、一つの物語のプロットになりうる形になっていた。
何となくテレビをつける。年老いたニュースキャスターが、憲法について語っている。作業を始めたのは…、
(食卓で、平日にしかでないはずのNHKのアナウンサーがピンチヒッターで出てて、いつも通り噛んで、直後にお天気のお姉さんがちゅりりん♪って出てきた辺りから、だから…)
即ち19時半前か。

しかし不思議だった。ここまで来るのに、こんなに早いことはなかった。そんな快感が隆士を包んでいた。
(これで燃え尽き現象とかに陥ったりしないかな…)
そこまで考えるのも、隆士らしいというか何というか。
そこにタイミング良く、ドアーを叩く音。
「隆〜士さん」
梢の声。最近、夜間に作業をしていると、決まって梢(或いは棗)が現れる。
「はいは〜い、今開けるよ」
と、隆士はドアーを開ける。
「何だかものすごい速さで作業をしていましたから、お疲れじゃないかと思いまして…」
麦茶が入ったポットと氷の入ったグラスを置いたお盆を持った姿は、もはやこういう時の梢のデフォルトの姿だ。
「ありがと。そうだ、ちょうどいいや。入ってよ」
隆士は梢を、やや強引に部屋に入れる。
「どっd、どうしたんですか?隆士さん?」
いつになく機嫌の良い隆士に少々戸惑うも、そんな隆士の様子に微笑みすら覚える梢。
「実は、いつにもない速さで、プロットを組み立てられそうなんだよ。新記録かも」
かなり胸を躍らせつつ梢にそう言うと、グラスに注いである麦茶を一気に煽った。
「ああぁぁぁぁぁあぁwwwwwwww、きっっっきっkキーンと来たwwwwwwwww…」
入っていた麦茶は、予想と反して相当冷えていた。
梢はその姿を、笑わずには見られなかった。
「隆士さんw、何だか桃乃さんが乗り移ったみたいですよw?」
「うぅ、聞き捨てならないけど、許しちゃおう!」

「脳内麻薬は時にハムスターをマングースに変える」とは、どの偉人も言っていないが、これを書いている筆者が友人から聞いた名言だ。
このときの隆士は、まさにその状態だろうか。
279「終わりの始まり」:2005/07/10(日) 08:34:35 ID:DDr0+xEB
ひとしきり一人で騒いで、落ち着いた隆士。
(騒ぎすぎたなぁ…。こんなにテンションが高かったのは、あのときの常磐線以来だろうなぁ…)
と、高校1年の頃友人と行った、七夕祭りの帰りに思いを馳せる。
その様子を見て、梢が切り出す。
「ところで…、良かったらそのおはなしの筋、聞かせてください」
隆士はハッっとした。
「何やってるんだろうね…、僕は。そのために梢ちゃんを部屋に入れたのにw」
苦笑いの隆士。でも、まだ結構機嫌が良い。
「うん。じゃあ、そうしようか。ちょっとまってね」
と、レポート用紙をまとめ始めた。


「…と、こういう感じ。どうかな」
隆士は梢に聞く。
膝の上に乗っかっている梢は、笑顔だった。
「はいっ。とっても良いと思いますよ。でも、一個だけ気になったんですけど…」
「え?どこ?」
「ここの所なんですけどね?…」
先ほどの隆士が伝染したか。結構梢も上機嫌だった。いつもより何だか楽しそうだ。疑問な点を指摘する声も、いささか弾んでいた。
「…って事ですよね」
「そうか。言えてるかも知れない。メモしておこう。ありがとね」
梢に感謝をしつつ、頭を撫でる。
「いえいえ」
梢は思いっきりの笑顔だった。

と、隆士は突然、妙な感覚に囚われた。
膝の上に座らせて欲しいと頼んできた梢の無邪気な顔。話を聞かせているときの梢は表情をコロコロ変えていた。そして今の笑顔。
(あれ…?)
280「終わりの始まり」:2005/07/10(日) 08:34:56 ID:DDr0+xEB
「…隆士さん?」
「…梢…ちゃん……?」
少々トリップしていたようだ。気付くと梢に顔をのぞき込まれる格好になっていた。
「どうしたんですか?隆士さん」
不思議そうな顔をして、隆士を見る梢。その姿を見て、妙な言葉が口をついて出た。
「本当に…、梢ちゃん?」
「へ?」
隆士にも、何故そんな言葉が出たかは分からなかった。
「隆士さん、ちょっと疲れてるんじゃないんですか?」
梢が心配そうに見ていた。
「え?」
「時間も遅いですし…、もうお休みになりますか?」
時計を見ると、あれから既に数時間。丑三つ時とも言える時間帯。
「あっ、ゴメンね、梢ちゃん。こんな時間まで」
「いいえ、私は良いですよ。それより、もうお休みになります?」
再び梢の笑顔。でも、今の笑顔は、いつもの暖かい笑顔。
「…そうしようかな。ありがとね。梢ちゃん」
「はい」
そう言って、梢は立つ。
「では、お休みなさい」
梢は部屋を去っていった。
隆士はその姿を、久々に見た気がした。

(誰も見てないんだけどさ…)
梢が最近、時間問わず部屋を去るときにするキスに、うぶな隆士は照れていた。そして、部屋を出る梢を直視できずにいた。
つまり、それにようやく慣れたと言うこと。
(積極的というか、何というか…)
梢の内面が掴みづらい。とも、言えようか。隆士は戸惑っていた。
281「終わりの始まり」:2005/07/10(日) 08:36:01 ID:DDr0+xEB
そのほんの数十分後…。
(あー、あついなぁ)
先ほど騒ぎすぎた余波か、暑くてたまらないといった様子で、隆士が口呼吸をしていると、ドアーの前に人の気配。
「…隆士くん…、いる…かも?」
(棗ちゃん…、か)
隆士はドアーを開ける。
「棗ちゃん?」
「隆士くん…、ちょっと、いい…、かも?」
「え?あぁ、うん」
そう言うと、棗は隆士の部屋に入ってくる。
「棗ちゃん、…もしかして、またいつもの夢?」
しかし、棗は首を横に振った。
「違う…、かも。あのね…」
しばらく間をおいて、再び棗が口を開く。
「…理由…、忘れちゃった…、かも」
「へ?」
ちょっと惚ける隆士。
「でも…、ね」
棗は少し顔を赤らめて、こういった。
「…理由なんて、いい…、かも。一緒に…、いたい…な」
上目遣いの棗を、隆士は優しく撫でる。
「分かった。いいよ」
「…うん」
と、隆士は何かを思い付いた。
「そうだ。棗ちゃん、この前の課題、話の筋書きが出来たんだ」
「…そうなんだ」
「だから、感想を聞かせて欲しいんだ」
「え?…いい…、かも?」
キョトンとした顔で隆士を見る棗。
「うん。ぜひとも、ね」
「…うん!」
ここまで力強い棗の「YES」を、隆士は初めて見た気がした。
282「終わりの始まり」:2005/07/10(日) 08:36:30 ID:DDr0+xEB
「…と、こんな感じ。どうかな?」
と、隆士は棗を見る。
先ほどと同じように、今度は隆士が棗を膝の上にのせた。
棗は少し恥ずかしがっていたが、少しすれば慣れたい様子で、隆士にもたれ掛かってきた。
「…うん、…良かったかも。…うぅん、…、良かった…よ」
棗は隆士の顔を見た。
幸せそうな棗の笑顔。こんな顔を、隆士は久しぶりに見た気がする。最近は、棗の泣き顔しか見ていなかったから。
「ありがと。棗ちゃんにそう言ってもらえると、何だか自信がつくな」
「え?…そう…、かも?」
少し照れる棗。これもあまり見ない棗の表情。思わず棗の身体に回した手に力が入る。
「うん。とっても」
隆士は笑顔。釣られて棗も、控えめの笑顔。
結局、これは同じ「蒼葉梢」という人間の表情に過ぎない。でも、この棗の笑顔は、特別に感じた。
だから隆士は、この棗の笑顔を、大切にしたいと思った。

「…眠くなってきたなぁ」
隆士が言う。
「…あたし…、も」
棗も同意する。そして棗は同意を求める。
「…一緒に寝て…、いい?」
「うん」
そう言って、そのまま、布団に入った。


その後、しばらく棗が、「例の夢」の話をすることは、なかった。

油断大敵という言葉がある。
いつ、どこで、何が起こるかなんて、その日にならなければ分からない。
…隆士は油断していた。
283「終わりの始まり」:2005/07/10(日) 08:37:13 ID:DDr0+xEB
何十日も過ぎた。梅雨はとうに去り、暑い夏を迎えていた。
しかしその日だけは、かなりの雨が降り、警報まで出ていた。
いつもと何かが違っていると、隆士だけが思っていた。

その日の深夜。
(うー、暑い…)
ふらふらと台所に行き、麦茶でも…、と、思っていた隆士。
麦茶を一気に煽ると、部屋に戻ろうと、台所を出た。
と、異変に気付く。
(…あれ?)

管理人室のドアーが開いていた。
(珍しいな…、開けっぱなしかな…)
そう思い、管理人室のドアーに手を掛けた…

…ところで、また気が付く。
(あれ?物音?)
玄関の方だ。と、玄関に行ってみる。

(…こず…、ちがう。棗ちゃん?)
棗の後ろ姿。玄関で、何かを考えている棗。
(何だか…)
284「終わりの始まり」:2005/07/10(日) 08:37:44 ID:DDr0+xEB
油断大敵という言葉がある。

(と、とりあえず声を掛けてみようかな)
そう思って、棗に近づく隆士。

物事はいつ、どう移り変わるかは分からない。

「なーつめちゃん」
と、肩を叩く。

物事はさび付いて固まることもあれば、突然歯車が音を立てて動き出すこともある。

「っ!!」
びくりと反応し、そのまま煙幕を張って消え…

油を絶てば、機械は動きを悪くする。でも、物事への「油断」は、そう単純にはいかない。

消えなかった。逆手で隆士の手を撥ねる。
「ごっ、ごめん。びっくりしちゃった?」

物事への油断は、時にその歯車を狂わせたりもする。人の感情も荒れさせる。

「……め、…、だめ。………だめ…だめ……だめ。だめ。」
そう言いつつ棗は、玄関を開けて走り出した。雨の中を、傘もささず、玄関も閉めず…。

隆士は油断していた。故に隆士は、その場で状況も読めず、立ちすくむことしかできなかった。
285「終わりの始まり」(ry:2005/07/10(日) 08:42:32 ID:DDr0+xEB
ここまでぇぇぇぇ!
こっから先は、大体頭の中で纏まってはいるのですが、それを文字化できるのは、はていつになるのやら。
では、仮眠を取りましょうかね。



あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!一昨日のおばはん!新宿から入場券で入ってきて、「精算になります」って言ったら、「んなもん知らないわよ」って逆ギレ。思い出しちゃったよ!腹立つなぁぁぁぁぁ!
牛乳飲むか…。
286テイル:2005/07/10(日) 08:55:29 ID:crWMRx4O
>>285
どこで働いてるんですかw

しかし、久々の投下乙でした。中身もGJです!
にしても今回は某有名人が多数登場で…でも、白鳥のキャラが随分と変わっていくような。

余談ですが、実は「まほログ」の名を持つブログがもうひとつあったとです…吊ってきま。
携帯からテイルでした。
287名無しさん@ピンキー:2005/07/10(日) 10:43:14 ID:Yw+sSbLV
>>285
おぉ、久しぶりに続きが投下されてますね。
しかし…。
SSで「w」はないんじゃないかなと思ったり。
笑っていることがわかりやすいといえばわかりやすいけど、
せっかくの雰囲気を壊すんじゃないかなと。

全体的な感想はまだ終わってないので温存。

そしてIDがDDR。
288ぐうたら:2005/07/10(日) 11:08:51 ID:kuT9sBhS
確かに白鳥くんのセリフは毎回毎回めんどい……
セリフに起伏が無いんだよ、白鳥くんって…
おかげで梢ちゃんとの会話なんかどうすれば味気なく見えないかとか考えて書かなきゃいけないし…
もっと某撲殺の桜くんぐらい起伏があれば書きやすいのに…

ともあれお腹いっぱい氏、長編お疲れ様でした!
部長ウイルス侮り難し…!

>>285さんも久しぶりの投下乙です。
なっちんどうなるのかハラハラです。
289名無しさん@ピンキー:2005/07/10(日) 11:40:13 ID:Yw+sSbLV
>>満腹さん
最初から最後まで部長スキーのオーラが漂ってくるSSでした。
他人格を出してもやっぱり部長が主役で…清々しささえ感じました。

さりげなく他作者のSSからネタを引っ張ってきたり小粋なサービスとか
(やりすぎるとついてこれなくなる人も増えますが)
毎回楽しく読ませていただきましたよ。
次回作もがんばってくださいね。

…ナニが溜マってルんデスかネ、クッ。
290「終わりの始まり」(ry:2005/07/10(日) 15:06:31 ID:DDr0+xEB
オキター。

>>287
あー、言われてみれば…。釈明させてください。
wを使ってるのは、隆士のはしゃぐ1場面だけなんですよね。あそこから先もあの表現はしないつもりでした。
何が言いたかったって、要はあの場面の隆士は、桃乃さん以上にテンションが高くて、それはもうvipperなみだったってことを醸し出したかった訳ですよ。

…我ながら安直だな、とか思ったり。
291テイル:2005/07/10(日) 16:22:57 ID:Xp5+Xi7B
「AIR」を修正がてら、「ご飯・お風呂・私」を他の人格でやったらどうなるかやってみました。
冗談半分のオマケと考えて読んで下さい。

もしかしたら、らしくないかもしれないケド…………
では、ドウゾ〜
292AIR 紺:2005/07/10(日) 16:24:27 ID:Xp5+Xi7B
「あの……隆士君」
棗ちゃんが訊いてくる。
「なあに、棗ちゃん」
棗ちゃんは一息置いて。
少し、顔を赤らめて。
あの名言を、言う。
「隆士君は……ご飯にする……?お風呂にする……?それとも……」

「私に……する……かも?」

「…………」
眩しい……
棗ちゃん、すごく可愛い……
これは萌えとかを通り越して、女神の笑顔だ。
すごく癒される。
「………棗ちゃん!!」
あまりの眩しさに、当然のように棗ちゃんを選んでしまった。
馬鹿か僕は。

その夜、僕は五回頑張りましたとさ。
嗚呼、腰が痛い……
293AIR 赤:2005/07/10(日) 16:25:23 ID:Xp5+Xi7B
「おい、白鳥」
いつもの口調で早紀ちゃんは言う。
少し怖い。
「な……なあに、早紀ちゃん」
「まあ、その、なんだ」
早紀ちゃんは、少しためらって。
顔を真っ赤にして。
あの名言を言う。
「白鳥、あれだ、お前はご飯にするのか?お風呂にするのか?それとも――――」

「あ、あ、あ、アタシ、なのか?」

「……………」
まずい……
選べない……
色々な意味で選べない……
どうしよう……
「………」
「オイ、どうした白鳥。答えろ」
「え、えっと………」
「この、ハッキリしやがれボケ!!!」
グーで殴られた。
「はうぅぅぅぅ…………」
新婚生活には程遠かった。
294AIR 金:2005/07/10(日) 16:26:20 ID:Xp5+Xi7B

「お兄ちゃーーーーーーーーん!!!」
元気良く、魚子ちゃんは抱きついている。
「な……なにかな、魚子ちゃん」
「お兄ちゃんは、ごはんにする?おふろにする?それとも魚子ー?」
「……」
駄目だ……
子供の人格だと、色気もへったくれも無いや。
当然だけど、なんか期待外れ……
「お兄ちゃん……?」
「……」
「(じーーーーーー)」
「………(ああ……見つめないで魚子ちゃん……)」
オチなし。
295AIR 蒼:2005/07/10(日) 16:28:27 ID:Xp5+Xi7B
「あの、白鳥さん」
エプロン姿の梢ちゃんが訊いてくる。
「なあに、梢ちゃん」
「あの……」
梢ちゃんは、トマトのように顔を真っ赤にして。
そして、あの名言を言う。
「白鳥さん、ご飯にしますか?お風呂にしますか?それとも………」

「わ、私に、しますか?」

「…………」
うわー……梢ちゃん可愛い……
まるで新婚夫婦だな…………
あー……幸せだ僕は。
梢ちゃんだったら、僕はもう……
ちょっと、欲張りかもしれないけど。
「…………全部、かな」
「白鳥さん…………!!」
そのまま、もごもごと黙ってしまう梢ちゃん。
「梢ちゃん………」
「しらt……さん……」
見つめ合う僕達。

しかし。
廊下の角で、家政婦は見ていた。
296AIR 蒼:2005/07/10(日) 16:29:25 ID:Xp5+Xi7B
「…………白鳥クンのスケコマシ〜」
「な……桃乃さん!!」
「桃乃さん!!ど、どうしてそこにいらっしゃるのでs……」
「おうおう、二人とも若いねぇ。そのまま青春まっしぐらってか?」
「ちょっと、桃乃さん……」
そのとき。

がし、と両肩を掴まれた。
この殺気。
この殺気は。

「……私がいない間に何梢ちゃんとイチャイチャしているですか〜」
「珠実ちゃん…………」
やはり、珠実ちゃんだった。
少しボロボロだ。
そのせいか、恐怖感が三倍だ。
「さて、昼間から梢ちゃんといちゃつく腐乱犬にはお仕置きが必要ですね〜」
「え、ちょっと、まって、珠実ちゃん、その」

「龍は仄かな飛天に舞う〜!!」
「ノーーーーーー!!」
とうとう、流星になってしまった。
297AIR(オマケノアトガキ):2005/07/10(日) 16:34:24 ID:Xp5+Xi7B
スミマセン。
完全に遊びです。
ネタも具もありません。
やっぱり暫く休みます。

特に金なんか……随分手を抜いてうわなにをする魚子ちゃんナナコミサイルは亜s0dh@:あうぇrぎあ
298AIR(ツイシン):2005/07/10(日) 16:36:03 ID:Xp5+Xi7B
あと、保管庫の中の人へ。
保存はこの修正版でお願いします。
色々とお楽しみを加えてみました。
ttp://tool-ya.ddo.jp/2ch/trash-box/contents.jsp?file=20050710163212431.txt
299ぐうたら:2005/07/10(日) 20:56:04 ID:kuT9sBhS
>>テイル氏
GJ!なっちんとかマヂで可愛いよ(ハァハァ)
少し余計なことを。
早紀ちゃんは『ご』飯とか『お』風呂とか言わない希ガス。
もっと豪快に
「白鳥、飯にすっか?風呂が先か?それとも、そのー、なんだ…―」
「あ、あたし…か?」
…以上、早紀ちゃんスキーな変態の戯言でした。ワスレテッ!
300妄想特急:2005/07/10(日) 21:08:17 ID:b5CRjEAz
テイル氏、GJ!!
なっちんと5回(;´Д`)ハァハァ・・・
が一番印象に残った自分はアホだと思った今日この頃orz
301名無しさん@ピンキー:2005/07/10(日) 21:24:46 ID:3oaQp9Qy
一日中寝て過ごした自分がニートではないかと思った今日この頃orz
>>297
GJっす。
特に棗タソに(´Д`)ハアハア
302名無しさん@ピンキー:2005/07/10(日) 21:52:47 ID:6slP1isF
>>292
>>あまりの眩しさに、当然のように棗ちゃんを選んでしまった。馬鹿か僕は。

白鳥、お前は正しい。
据え膳は喰え!
303名無しさん@ピンキー:2005/07/10(日) 23:39:06 ID:u7FL9Mt5
据え膳を食えなかったキングオブヘタレチキンの俺が来ましたよ

>>297
GJ!なっちんと梢ポンに(;´Д`)ハァハァ

あれ、緑は?
304名無しさん@ピンキー:2005/07/10(日) 23:46:24 ID:eJLopptM
>>285
久々の投下乙&GJです。ハイテンションな白鳥君良かったですよ
それにしてもお仕事大変ですね。あまり無理なさらずに
>>297
GJ!梢ちゃん最高です
305303:2005/07/11(月) 00:00:09 ID:YRJ+HabY
緑は本編じゃんorz

スマン、何か勘違いしてた。罰としてタチバナタソに折檻されてくる

[水無月家]λ.............
306名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 00:03:48 ID:zKNTQzVM
じゃあ同じ勘違いをしていた俺も

[皇デザイン教室]λ.............
307名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 00:10:29 ID:SPY7TO1j
では漏れはラジオのバックナンバー聞いてきますね。

[まほらば公式サイト]λ.............
308名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 00:26:33 ID:FzEJFw5+
>>297
早紀ちゃんに殴られてー(;´Д`)ハァハァ
AIR 早紀の場合 乙です〜
309テイル:2005/07/11(月) 00:26:48 ID:azVXDaJO
>>303
そんなアナタのために「AIR 緑」を用意。
ttp://blog.livedoor.jp/maholog/archives/27696600.html

>>307
どこのスパイですかw
310たろ:2005/07/11(月) 01:28:30 ID:O0V6fmsA
素晴らしいです!

以外に朝美ちゃんが人気ですね。
まだ余り分岐がややこしくないので今回は全ルート書いてみます。
まずは1番の珠実編。
311たろ:2005/07/11(月) 01:29:06 ID:O0V6fmsA
珠実編

そこに居たのは珠実ちゃんだった。それも物凄い嬉しそうな笑みを浮かべて。
「やあ、珠実ちゃん。どうしたの?そんな所で…。」
「あ〜…白鳥さんですか〜……。」
いきなり顔がやる気無さ気に緩み溜息をつく、人の顔見てそんな反応しなくても…。
そうかと思うとさっきとは180°逆の笑みを浮かべて
「私みたいなお邪魔虫はもうこうやって影からコッソリと梢ちゃんを見守る事しか出来ないんですよ〜。
ウフフフ〜。」
珠実ちゃん…怖いよ〜(泣)
相変わらずの不気味なオーラを放出しながら毒を撒き散らす。
そんなある意味いつも通りのやり取りをしていた時、突然庭の植え込みが揺れる音がしたかと思うと
「きゃああああぁぁぁぁ〜っ!!!」
休日の朝の空気を悲鳴が吹き飛ばした。
「!!?」
僕達が振り向くとそこには悲鳴を上げた張本人、梢ちゃんと襲い掛かる何やら黒っぽい生き物が数匹…。
(な…何だあれは…。)
「梢ちゃんが危ないです〜っ!!!」
言うが否や珠実ちゃんはジャンプ一閃、庭に飛び出していた。
慌てて僕もそれに続く、こんな時こそ僕が梢ちゃんを守ってあげなくちゃ!
312たろ:2005/07/11(月) 01:29:37 ID:O0V6fmsA

VSシルエットエディin鳴滝荘
勝利条件:敵の全滅
敗北条件:隆士の戦闘不能

…何やら一瞬変な文章が現れた気がするが今はそんな事にかまっている場合じゃない。
とりあえずその辺に転がっていた枯れ枝を拾って走り出す。こんな物でも無いよりはマシだろう、…多分。
梢ちゃんを取り囲み掴みかかろうとしているシルエットエディの集団に突進し枯れ枝を振り上げ思いっきり振り下ろす。
「やああああ〜…」
「梢ちゃんになんばしよっとですかああぁ〜〜〜!!!」
ゴシャッ!!
僕が枝で殴るよりも早く何故か九州弁で喋りつつ珠実ちゃんの怒りの鉄拳が炸裂!一匹がキリモミ回転しながらぶっ飛んで部屋のドアをブチ破ってしまった…ってそこ僕の部屋!!!
「プギャア〜…」
資料が無いので適当だが奇妙な断末魔を上げてシルエットエディは光になって消えてしまった。
僕ものシルエットエディも一瞬唖然として動きが止まっていた、その瞬間。
「ジャンジャンいくですよ〜!!」
珠実ちゃんは残像を残しながら残りのエディに一瞬で詰め寄ると
「無制限開放中〜〜〜!!!」
313たろ:2005/07/11(月) 01:30:00 ID:O0V6fmsA
眩い閃光と共に残り五匹のエディを一瞬で無に返していた。突然の事にもう呆然と立っていることしか出来なかった
僕も我に帰り、慌てて梢ちゃんのもとに駆け寄る。梢ちゃんは地面に座り込み俯いてしまっていた。
「大丈夫?梢ちゃん…。」
しかし返事は無い、僕は慌てて少し揺すりながらもう一度声をかけた、すると…。
「ヒック…ヒック…お兄ちゃん・・・」
「あれっ…魚子ちゃん?」
そこに居たのは金色の瞳を持つ子だった。どうやらさっきのショックで人格が変わってしまった様だ。
「うえええ〜ん!魚子、怖かったよ〜!」
得体の知れないお化け(?)に襲われたのがよほど怖かったのか魚子ちゃんは泣き出してしまった。
「…大丈夫だよ、僕がもう二度と魚子ちゃんに怖い思いはさせないから。」
「…ホント…?」
「うん、絶対に!」
騒ぎに気付いて他の住人が部屋から出てきていたがそんな事には構わず魚子ちゃんに話し掛ける。
「…うんっ!ありがとう、お兄ちゃん!!」
ようやく魚子ちゃんにいつもの眩しいばかりの笑顔が戻った…と思ったら背後に物凄い悪寒と邪悪なオーラを感じる
油の切れた機械、ギギギという音が聞こえてきそうな程ぎこちない動きで振り向くと…。
「梢ちゃんのピンチに何の役にも立たないばかりか魚子ちゃんを泣かせるとは〜…」
どす黒い笑顔を浮かべた珠実ちゃんが立っていた。その身に纏ったオーラは最早それだけで人を殺せそうだ。
「え…珠実ちゃ…違…」
汗だくになりしどろもどろで何とか逃げ道を探すがそんな物はそもそも在りはしない。
「覚悟は良いですね〜!!お祈りの時間も勿体無いです〜。」
「ちょ…やめ、珠実ちゃ…うわっ、オーラが、もうそれオーラじゃないよ!ラ○ウだよ!!」
「ジャンジャンバリバリーーーーー!!!」
次の一瞬、世紀末の拳王にも匹敵する一撃を受け隆士の意識は暫しの旅立ちを迎えていた…。
314たろ:2005/07/11(月) 01:31:20 ID:O0V6fmsA
次は朝美編です。
そういえば魚子ちゃんがマジ泣きはいままで無いんじゃ…。
タイヘンナコトヲシテシマッタノカ…
315名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 03:17:08 ID:Bi0u8LGR
>>297
据え膳食わずに童貞卒業逃した漏れが来ましたよ

とりあえず棗たん(*´д`)
5回もするなんて白鳥君も結構やる男の子だったのね(何
316黒百合:2005/07/11(月) 04:08:17 ID:Mo5qX+D1
>>315の裏切り者
ウエアァァン・゚・(ノД`;)
317妄想特急:2005/07/11(月) 06:44:34 ID:K8ip2KUZ
>>316 「逃した」って書いてあるから違うんじゃ・・・
そして、据え膳もない童貞の自分に乾杯!(泣
318名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 09:27:06 ID:8IFj/R2t
>>315
GJ!
>>312の元ネタはうたわれるもの・・・?
というかシルエットエディっていう呼称がどこからきてるのかがわからないかも・・・。
319黒百合:2005/07/11(月) 16:43:46 ID:Mo5qX+D1
>>318
ギルティギアXXのエディじゃ
ないだろうか?(獣版)
320ぐうたら:2005/07/11(月) 19:04:53 ID:cumtE30z
シルエットエディと言えば王様権発動その1の時のお茶碗売り場にあった皿に書いてあるキャラクターですよ。タブン。
321名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 20:33:46 ID:pFPucqwf
そういえば、AngelDustの続編書くと言っていた人はどうしたんだろう…。
322妄想特急:2005/07/11(月) 20:48:54 ID:8+fLNeUK
続編にどう繋げるかが激しく気になる
323テイル:2005/07/11(月) 21:25:44 ID:azVXDaJO
「AIR番外編」予想外の反響にかなり驚いている俺が来ましたよ。
今日はどんな良作が来るのやら……

>>321
「勇気のマホウ」でぐぐる事をお勧めする。
ちなみに名前が前スレで出てたり。
324名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 21:45:13 ID:pFPucqwf
いや、作者本人のではなく了承取ってる人が前スレに…。
325245:2005/07/11(月) 21:53:50 ID:QnW7yXZK
即興短編投下。

ショートショートA
「かみさまのあおじゃしん」

それでは投下ー
326かみさまのあおじゃしん:2005/07/11(月) 21:55:26 ID:QnW7yXZK
商店街の一角にある、小さな本屋。

その、更に一角にある棚の前で、
「…お」
青年は、小さく声を上げて立ち止まった。

「どうしたんですの?」
隣を並んで歩いていた女性もまた立ち止まって、彼の背中越しにその棚を見遣る。
「ホラ、これ」
青年は舒ろに、そこに平積みされている本の一番上の一冊を手に取り、彼女に手渡す。
彼女は暫くその表紙を眺めると、
「…あら、これ…あなたのお友達の」
と、少し驚いたように言った。
「懐かしいな…ホント」
青年は呟く。
目を細めて微笑を浮かべる、彼のその表情が本当に懐かしそうで。
女性は思わずクスクスと笑ってしまう。
「…笑うなよ」
女性はふふ、と悪戯っぽく微笑むと、
「…あら、ごめんなさい。何だか可愛くて」
「可愛くてって…」
―――そんなガラじゃねえだろ、と口の中で呟く青年。
誤魔化しの為に本のページをパラパラと繰る彼だが、それでもその顔は少しばかり赤い。
327かみさまのあおじゃしん:2005/07/11(月) 21:56:28 ID:QnW7yXZK

「……ん」
彼が気付くと女性は何時の間にか、その本を手にレジに向かっていた。
「買うのか?」
青年が訊くと、
「記念に、ね」
彼女もまた、短く言葉を返した。

「記念…ね」
何の記念かはさっぱり解らないが、
まあ、それはそれで良いのかも知れない。

「…………」
―――頑張ってるかな、アイツ。
ふと、そんな事を考えた。

レジの列に並ぶ恋人の背中を眺めながら。
親友への、ささやかな応援の代わりに。
その本の一節を、小さく呟いてみた。
328かみさまのあおじゃしん:2005/07/11(月) 21:57:31 ID:QnW7yXZK
「であわなければ―――」
―――おとこは、かんしゃをしました。
「あんなにたのしくて―――」
―――ひとつは、むかしのわかれに。
「あんなに、しあわせなことは―――」
―――ひとつは、いまのであいに。

「―――――……」
―――そして、もうひとつは。

「……頑張ってるか、白鳥」

それをおしえてくれた、
たいせつなともだちに―――




―――――それは、ひとつの未来の、お話。

329325:2005/07/11(月) 22:01:04 ID:QnW7yXZK
という訳で短編でした

最後まで解らなかった方の為に言うと、
エロールとみっちゃんです。そのつもりです。

では
330名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 22:23:58 ID:pFPucqwf
エロール…彼が学校出たらどうするんだろう…。
童話作家の道はかなり厳しい気がする。
331名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 22:27:53 ID:4IrcKIsN
>>329
年の差あるけど、愛があれば無問題か。そんなエロールにGJ。

>>330
童話より同人作家だなw
332名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 22:42:27 ID:ZdePl/z8
そこで「さいはてのうた」ですよ
333テイル:2005/07/11(月) 22:43:02 ID:azVXDaJO
>>324
ふえ〜!?そんな事とはお釈迦様も知らぬ仏で……
いや、冗談ですorz

>>329
年の差……6歳なら無問題だな。
そんな二人の「真実の愛」にGJです。

しかし、さっちゃんもさっちゃんで、朝美の事を思い出さないのか……?
戯言だけどね。
334名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 22:50:42 ID:9i2NqQBI
みっちゃんデスよ、テイルサン。
335ぐうたら:2005/07/11(月) 22:51:13 ID:cumtE30z
>>333
だからみっちゃんだと何度言ったらry
ともあれ、>>329GJですー。
幸せになってね、エロール、みっちゃん…
336テイル:2005/07/11(月) 22:52:05 ID:azVXDaJO
しまった、みっちゃんだったorz
珠実ちゃんにジャンジャンバリバリされてきまつ……

[鳴滝荘一号室]λ.............
337名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 22:53:59 ID:sSqQ5YB9
SS書いたんだ
338名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 22:54:33 ID:sSqQ5YB9
SS書いたんだが携帯からしか書き込めん…
339名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 22:55:46 ID:sSqQ5YB9
すまん、337はミスです
340名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 22:59:44 ID:4IrcKIsN
>>338
がんがって書き込んでください。

>>336
俺はこっちに…

[皇デザイン専門学校] λ.....
341名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 23:00:49 ID:l5N4qdSp
>>329
GJ!
>>338
前例もあるので大丈夫ですよ。頑張って下さい
342名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 23:02:28 ID:pFPucqwf
>>338
IDにSSって書いてある小粋なギャグかと思ったらそういう意味ですか。
お腹いっぱいな人もケータイから書いてるからファイト。
343テイル:2005/07/11(月) 23:03:41 ID:azVXDaJO
>>338
じゃ、気合で投下して下さい。
ど根性〜(何か違う)

大丈夫です、あなたが初めてではありません。
新人さん大歓迎〜
344妄想特急:2005/07/12(火) 07:47:45 ID:QLr9orVu
>>329 お〜いえ〜GJ!
>>338 がんがって投下キボン
345お腹いっぱい:2005/07/12(火) 11:27:14 ID:BleGPUs+
>>329
乙です。
エロールは未来で何やってるんでしょうね…。

>>338
その通り!私も携帯です。
いちいち名前メール欄を打ち込む手間はありますが、
意気さえあればなんとかなりますよ!
346名無しさん@ピンキー:2005/07/12(火) 23:07:38 ID:gZDdPOcD
だんだんスレのスピードが落ちてきたな。
347名無しさん@ピンキー:2005/07/12(火) 23:18:17 ID:V3JqMP6N
職人さんの何人かが休筆宣言してるから、しょうがないとも言うな。
まあ、今までが早すぎただけともいうけど。
348名無しさん@ピンキー:2005/07/12(火) 23:40:32 ID:PDykVmp8
それでも、勢い的に半角の方に追いつきそうなのは凄い。
349名無しさん@ピンキー:2005/07/12(火) 23:44:25 ID:V3JqMP6N
まあ、スレの性質が違うから。
あっちは1作投下するのに1レスしか使わないけど、
SSは何レスも必要になるから進み具合も全然違う。
350ぐうたら:2005/07/13(水) 00:03:23 ID:al86UUGh
今夜中に『Tha last moment』中編-b、出来そうです。
本番は中編-cから後編なんですけど、今回まで千百ちゃんに萌えろ!ってコトで。
…ってかざっと保管庫見ると自分の投下作品は今の含めて5つなのに発言数は一番多いかも…
もっと自粛すべきっスかねぇ
351名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 00:05:46 ID:ZOtOJbyh
うん
352テイル:2005/07/13(水) 00:15:11 ID:xRi3OdNA
>>350
俺のは……10!?
保管庫未収録合わせて13ぐらいあるぞ……

俺が実は隠れニートではないかと感じた今日この頃orz

ちなみにひっそりと珠実SS書いてます。
なんか怖いです。

あ、これだからいけないのか(何
353名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 00:30:38 ID:5BuOaj2G
>>350
別に俺はこのままでもいいと思っているが
SS投稿時以外は名無しにしたら文句言う輩も居なくなるんじゃないだろうか
354ぐうたら:2005/07/13(水) 00:36:56 ID:aNryGK8u
>>353
そうですか?
でも名前を隠したり出したりするのは自分的に書き手としてのプライド(意地)が…

それよりも、完成しましたよー。
さぁ、『The last moment』中編-b……行きます!
355『The last moment』中編-b 1/10:2005/07/13(水) 00:37:31 ID:aNryGK8u
電車の乗客がようやく減りだした頃にはもう目的の駅についていた。
残りの乗客の波に押し出されるように僕と千百合ちゃんは駅のホームに出た。
「す、すごい人だったね…」
「そうですね、やはり日曜ですから…ごめんなさい隆ちゃん、急にこんなこと言い出…むぐ?」
言い切る前に人差し指を千百合ちゃんの唇にあてる。
「ストップ。それはいいよ。どうせ今日はすることも無かったんだし、恋人とのデートが出来るんならいつだってOKだよ」
「え、ええ。ありがとう…ございます…隆ちゃん…」
「うん。…えっと、行きたいデパートって、何処なの?」
「あ、そうでしたね。デパートでした。もう少し歩きますよ」
「もう少しね。よし、日が暮れないうちに急ごうか」
「ええ、行きましょう」
二人で歩くよく知らない街。
鳴滝荘からは、学校、秋の紅葉狩りの時に行った公園等、電車で向かう場所が少なかったためか、知らない街は少し大きく見えた。
それでも二人で手をつなぎ、歩く。
「あ、ここです隆ちゃん!」
目的のデパートは、駅から歩いて数分のところにあった。
「うわぁ〜…立派なデパートだねぇ…」
「そうでしょう?ここなら色々と面白そうなものがあると思いまして」
「うん、ここなら本当にたっくさんありそうだね、面白そうな物」
店内に入ると、冷房の心地良い感じがした。
季節は春。まだ四月と言っても、例年の猛暑の折を受けてか、四月でもやや汗ばむほどで、その空の下を歩いてきた僕たちには助かる。
「うーん…何処から回るか迷いますねぇ…」
「そうだね…じゃ、下からゆっくり回ってみようか」
「それもそうですね。ここ、地下もあるみたいですし」
356『The last moment』中編-b 2/10:2005/07/13(水) 00:38:11 ID:aNryGK8u
地下一階 食品売り場
「隆ちゃん!ちょっと来てみてください!」
「何?どうしたの?」
「これですこれ!なんと新商品!」
そう言った千百合ちゃんが手に持っていた菓子の袋は
「『梅干しチョコレート』……?」
「ええ!!『とろけるようなチョコの甘味の中に冴え渡る梅干しの酸味!』…と、裏面に書いてあります。おいしそうでしょう?」
「おいしそう…なの?」
「梅干しですよ梅干し!不味いわけが無いでしょう!」
「じゃ、じゃあ…買う?」
「勿論です!」
その後も食品売り場の梅干し製品を千百合ちゃんは逃さずチェックしていった。
・梅干しチャーハンの素(今回の買い物で一番普通)
・梅干しシュークリーム(シューの中に梅干しクリーム)
・梅干しのタルト(イチゴのタルト−イチゴ+梅干し)
・梅干しケーキ(ショートケーキのてっぺんに梅干し)
・梅干し果汁100%ジュース(味は青汁とフィフティーフィフティー)
「ず、随分…買うね…」
「久しぶりの買い物ですからね〜♪このような革命的な新商品はその場その場でcorrectなものをselect!していかなければ!」
「そう?」
「そうです!これは私の信念ですから!たとえ隆ちゃんが止めようとも私は止まりません!」
…千百合ちゃん…というか根源は梢ちゃんだけど…彼女たちの梅干しに対する想いは相当なもののようだ……
357『The last moment』中編-b 3/10:2005/07/13(水) 00:38:47 ID:aNryGK8u
一階 帽子売り場
「へぇー、やっぱり大きいデパートだとたくさんあるね…」
「そうですね!やはり服飾に関する物となるとワクワクしてきます!」
心底嬉しそうな千百合ちゃんは、小さく感嘆の声を上げてフロア内を見回っている。
そんな様子を僕は微笑みながら見ていた。
「隆ちゃん隆ちゃん!」
「何?」
「コレ、どうでしょう?」
そう言って千百合ちゃんが頭に被ったのは、ピンクのリボンのついた麦藁帽子。
その涼しげな見た目と千百合ちゃんの爽やかな外見はよくあっていて……
「どうですか?似合ってると思いますか?」
「あ、うん…すごく・・・似合ってる……(ぽへー)」
「ほ、本当ですか…?」
「うん、嘘なわけないよ・・・本当に…可愛いよ」
そこまで聞くと千百合ちゃんは麦藁帽のつばで紅潮した顔を隠すようにする千百合ちゃん。
そういえば、いつもみんなの服飾を褒めたりけなしたりはするけど、自分の服飾について褒められるなんて滅多に無かったのかもしれない。
耳まで赤くする千百合ちゃん。
「ほ…ホーッ!」
短く叫んで駆け出す千百合ちゃん。
「ああっ!?待ってよ!」
焦って追う僕。
街に出ても千百合ちゃんは変わらない、な……。ま、それが、自分の道を良くも悪くも貫き通すのが、彼女の長所なんだけど…
358『The last moment』中編-b 4/10:2005/07/13(水) 00:40:36 ID:aNryGK8u
二階 アクセサリー
「あ、見てみて千百合ちゃん、セール中だって」
「本当ですね。なにかcorrectなものはないでしょうか……」
銀細工のアクセサリーや、色とりどりのブローチが並ぶショーケースを前にする僕と千百合ちゃん。
「あぁ〜っ♪これもいいですね〜♪あっ、こっちも!」
「結構数あるね…」
「…あ!隆ちゃん、これこれ!」
「え、どれ?」
「これですよっ!」
「これって…ペア、リング?」
「ええ、可愛いでしょう?」
確かに、シンプルな銀の指輪の中心に深緑の色の小さな小さな宝石が埋まっている。
「本当だ、結構可愛いかも」
「でしょう?」
「でも、ちょっと、高いね……」
「ええ、ちょっと…」
悲しいことに僕も千百合ちゃんもまだ学生の身。
小さいながらも宝石が入っている指輪には手が届かない。
まあ、この指輪も今の所持金で足りないことも無いけれど、この後のことも考えると今使うのはマズい。
「………」「………」沈黙。
「お金が無ければ仕方ないですよね!行きましょう、隆ちゃんっ!」
「あ、うん……」
次の階への階段の前。
「……千百合ちゃん」
「はい?なんでしょう?」
「ちょっとトイレ行って来るね。すぐ戻ってくるから!」
「え?隆ちゃん?トイレはすぐそこ…」
走り出す僕。目的は……
数分後、千百合ちゃんの前に戻ってきた僕は、はやく上がろう、と促した。
「随分遠いトイレに行ってたんですね、隆ちゃん」
千百合ちゃんも首を傾げていた。
359『The last moment』中編-b 5/10:2005/07/13(水) 00:41:04 ID:aNryGK8u
三階 本屋
「ふむふむ……」
「千百合ちゃ…ん!?そ、その今読んでる広辞苑を二冊重ねたような本は何!?」
「え?ああ、これですか?」
そういう千百合ちゃんの持っていた本は…
「『古今東西世界の服飾一万選』!?一万って多くない!?」
「そうですか?もう少しあってもおかしくないですけど…今までこんなに充実した書物を読むのは初めてですからね〜♪」
「そりゃ初めてだろうよそんな超ド級本……」
「さて、と…」
軽く息をつくと持っていたバッグに本を入れる千百合ちゃん。
「千百合ちゃん!?それ、万引きじゃ……」
「?何言ってるんですか隆ちゃん。これはフリーペーパーですよ?」

※フリー‐ペーパー【free paper】
 身近な生活情報などを掲載し、限定した地域の家庭などに無料で配布する新聞。経費は広告収入でまかなわれる。

「うえぇ!?それが!?その広辞苑×2のブ厚さを持つその本が無料!?どこ出版!?」
「何処とは書いてませんが…世間に私と同じ趣向を持つ人がいて嬉しい限りです!しばらく出かけない内に外も変わりましたね〜…」
「そうだね…僕もこんな世界初めてだよ……」
360『The last moment』中編-b 6/10:2005/07/13(水) 00:41:28 ID:aNryGK8u
四階 服屋
「ホーーーーーっ!!」
「うわぁ、凄いね!」
階段を上った途端、目の前の光景に驚く僕と千百合ちゃん。
無理も無い。何故なら四階フロアの約半分が衣類で多い尽くされているからだ。
千百合ちゃん好みの服(ナース服からメイド服等)や、僕好みの服(Tシャツの表に『EDONO』、裏に『牙』のロゴ入りのシャツ等)まである。
ここまで広いジャンルをカバーしている所ははじめて見た。
「りゅ、りゅりゅりゅりゅりゅりゅ隆ちゃん!私、チョット見てきます!!隆ちゃんも適当にそこら辺見ててくださいー!!!」
と、言って千百合ちゃんはハァハァしながら奇妙な衣服群の中に飛び込んでいった。
「じゃ、僕も…」
一人取り残された僕は、待つのもアレなので、新しいシャツを探しにTシャツ群に入っていった。

軽く見て回ったけど、確かに凄い量だ。
『ほれみたことか!』とか『エッガーランド』とか『幻獣旅団』とか、かなり豊富な品揃えだ。
迷いに迷った末、残金の関係から表に『ゲバラ』、裏に『スペランカー』のTシャツ一枚にしておいた。
後は、千百合ちゃんが戻ってくるのを待つだけ、だが……彼女があの奇抜な服飾群から抜け出すにはあと何時間必要だろう。
そう思うと恐ろしいので自分から探しに行くことにする。

「千百合ちゃーん?」
ジャングルのような洋服の中から彼女を探すべく名前を呼ぶ。
しかし当然というかなんと言うか、返事は無い。
「千百合ちゃん?」
二度目の呼びかけ。だが相変わらず返事は無い。
(がさっ!)
その時、服の密林の一部が揺れた。
「千百合ちゃん?」
こんな奇妙な衣服コーナーに身を潜めているのは世界広しと言えども彼女ぐらいだろう。
「千百合ちゃんだよね?」
近づいてみると、やはり千百合ちゃんだった。
服の群と奮闘していてこっちに気付いていない。
361『The last moment』中編-b 7/10:2005/07/13(水) 00:42:36 ID:aNryGK8u
その時何となく、悪戯心が芽生えた。
まだ僕の存在に気付かない千百合ちゃんの後ろに近づき…
「ちーゆりちゃんっ」
トン、と肩を叩く。
「あひゃへひぃっ!?」
途端世にも奇妙な声を上げて驚く千百合ちゃん。
その驚き様に僕の方まで…
「うわぁ!?」
一緒になって驚いてしまう。
「りゅ、隆ちゃん!?驚かさないでくださいよ!」
声の主が僕と分かって、安堵と小さな怒りを見せてぷりぷり怒る千百合ちゃん。
「ゴメンゴメン。千百合ちゃん、僕に気付いてなかったみたいだったからさ、ちょっと驚かそうかな、って…こんなに驚くなんて…」
言って、ポリポリと頭を掻く僕。
「まぁ、それはそれとして…隆ちゃん」
「え?何?」
「コレ…着てみてくれませんかー?」
「どれどれ…ってええ!?」
千百合ちゃんの出した服をみて驚愕する僕。
何故なら…
「千百合ちゃん?」
「はい?」
「な、何で…なんでメイド服!!?」
「過去の事例と照らし合わせても隆ちゃんに一番似合うのはメイド服なのです!さぁ、試着しましょ?」
「い、嫌だよ!それ、鳴滝荘にあるやつよりフリルが多いじゃん!」
「だから着てもらうんじゃないですか!」
「断言された!」
「さあさあ!」
「僕はもう女装はしないって決めたんだ!!来ないでー!」
「逃すか!(何かドスの聞いた声)」
「うげっ!?」
362『The last moment』中編-b 8/10:2005/07/13(水) 00:43:00 ID:aNryGK8u
目に見えないスピードで襟首を掴まれた僕は、全速力で逃げようとした反動で視界が白黒になる。
「ゲホッ…」
「さぁ」
「うっ!?」
やっと視界に色彩が戻ってきた頃、目の前に仁王の如く立ちはだかる、千百合ちゃん。
「ち、千百合ちゃん?僕は、女装は…」
「隆ちゃんはマイダーリンとして、私と共にcorrectな服飾に…」
じりじりとにじり寄る千百合ちゃん。
「なるのですーーーーっ!!!」
「い゛や゛あ゛〜〜〜!!!」
何故かお客さんどころか店員さんも消えた四階フロアに僕の悲鳴が木霊した。


「ううっ……」
一通り千百合ちゃんに辱められて、涙を流しつつエレベーターに向かう僕。
「はぁ〜っ♪やっぱり隆ちゃんには女装が似合いますねぇ〜♪」
「もう絶対絶対着ないからね!?」
「……ええ、充分堪能させていただきましたから大丈夫ですよ!うっふっふっふっふっふ……」
怪しげな笑い声をだす千百合ちゃん。
エレベーターに乗り込み、一階に降りる。
「えっと、もう買いたいものは無い?」
「あ、はい。大体買えたので充分ですよ」
「そう?よかった」
エレベーターが一階に着き、ゆっくりと扉が開く。
「うわ、結構暗くなっちゃったね。もう帰る?」
「ええ、そうですね…あ、でも…」
「…?」
「ちょっと、寄りたい所があるんですけど」
363『The last moment』中編-b 9/10:2005/07/13(水) 00:43:50 ID:aNryGK8u
もう日は落ちていた。
太陽は地の底へと姿を隠し、その代わりに月が空高く昇り、大地を静かに照らす。
「…寄りたい所、て…公園…だったの?」
「はい。最近は桜が綺麗なようで、ちょっとしたお花見を、と思いまして」
にっこり微笑み、少し駆け足で僕の数メートル先を歩く千百合ちゃん。
確かに、月明かりを写しながら舞い落ちる桜の花びらには、どこか風情があった。
「………」
ふと、ポケットに入れていた物があったことを思い出した。
「ねぇ、千百合ちゃん」
「はい?」
上機嫌で夜桜を眺めていた彼女に声をかけると、彼女はすぐに振り返った。
「今日は、君にプレゼントがあるんだ」
「プレゼント…ですか?」
「うん」
そう言って、ポケットの中に入れていた物…小箱を、取り出した。
「目、つぶってくれる?」
「は、はい…」
素直に目を閉じる千百合ちゃん。その彼女の手に、小箱の中に入っている物をそっと置いた。
その手を、彼女の胸の前に押し戻し、
「いいよ」
と言う。
「……?これ、は…?」
不思議がりながらも、手を開ける千百合ちゃん。
364『The last moment』中編-b 10/10:2005/07/13(水) 00:44:16 ID:aNryGK8u
「……!これ、これって…!」
彼女の手のひらの上に乗っているのは、デパートで見ていた、あのペアリングの片方。
「隆ちゃん、何で…?」
「千百合ちゃんが、凄く欲しそうな顔してたからさ、つい買っちゃった…」
ハハ、と短く笑い、ぽりぽりと頭を掻く。
「気に入ってくれたかな?」
「気に入らないハズが…無いじゃないですか…」
ぽつり、と言う千百合ちゃん。
「ありがとう、隆ちゃん…、ありがとう、ございます…隆ちゃん……」
少し震える声で、下を向いて言う千百合ちゃん。
「あ…うん。君が喜んでくれたんなら、僕だって嬉しいよ」
そのままの状態で、数分経った。
口を開いたのは、千百合ちゃんだった。
「ねぇ、隆ちゃん」
今までとは、どこか違う気がした。
「何?」
それでも、あえて今までどおりに聞き返した。
「…………」
また、今朝の思いつめた表情になった。
「…………」
決心をしたように、再び口を開き、

「お話が、あるんです」

そう言った。
365簡易版アトガキ ジゴク:2005/07/13(水) 00:45:53 ID:aNryGK8u
こんばんわ、ぐうたらです。眠いので簡易版です。
今回までが消化試合っつーか前哨戦っつーか…序章?みたいな感じです。
これからガラリと変わります。そう、まるで富竹さんが死んだかのように!
繰り返します。眠いです。
366名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 01:02:06 ID:mrtuNfUR
乙&GJ。
俺も眠い。でも課題をやらなければ…。
367名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 01:04:36 ID:qonag4sG
乙デース

でも先の展開が…という話はあまり何度もしないほうがいいかも?
事前情報で身構えちゃうとインパクトが下がっちゃいますからね。
ほどほどに臭わすくらいがよろしいかと(言いたいのはよくわかりますが


と、いつもは名前を出さないマホウ使いの人が書いてみるテスト。
私の方もチャージ期間は終わったんでぼちぼち新作書きたいと思います。

エロと非エロ、どっちが需要あるんだろう。
368テイル:2005/07/13(水) 01:11:54 ID:sWGp1jWQ
>>367
両方とも。でも今の流れならエロが需要あるかも。

そしてぐうたらさんGJ!ちゆりんはちゆりんの道を行く!
じゃなくて、広辞苑二冊分のフリーペーパーにワラタw
でもさすがに遊び過ぎ。

さてさて続きが気になって(ry…嘘ですありません。
369名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 01:22:48 ID:2xZkaCsI
>>ぐうたら
自粛すべき。
ていうか自分からそういう話を振ってるんだから自覚症状はあるんだろ。
自分としてはSS職人が投下のとき以外にコテ使ってるのを見ると、
結局、作品ではなくて作者本人が注目を浴びたがってるんだと思うぞ。
370名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 01:54:55 ID:qonag4sG
コテ使ってると目立つのは確かだけど
>結局、作品ではなくて作者本人が注目を浴びたがってるんだと思うぞ
この部分だけは賛同しかねるかな。
ちょっと偏屈すぎるかも。

近況ばっかりでなんにも投下してないとか言うわけでもないから
そんなに目くじら立てて気にするもんでもないと思いますよ。
371名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 02:05:23 ID:qqZA2mzW
>>365
乙です。白鳥君ファッションセンスないですねw
>>369
俺は別にいいと思いますけどね。>>370にあった通り、まったく投下してないならまだしも
こうやってちゃんと投下してくれているわけですし。
372名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 07:38:26 ID:hCZyZvRU
正直この論争が無駄。
373名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 07:51:45 ID:8Uf6F+VQ
ってかおまいらせっかく投下されてんだから中身について話せよ
374名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 07:58:57 ID:OTCP2w6x
状況に合わせて勝手に自粛した妄想特急デス。
>>365  GJ&乙です!今後の展開が楽しみです!
375名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 08:10:27 ID:bgQKfvIQ
>>365
千百合激萌えっすなwさりげなくペアリングをちゃんと買ってきた白鳥君も予想通りでナイスw
GJ!


一つだけ言っとくと常にコテってことは何かついうっかり変な発言をしちゃった時に
取り返しがつかないことになることがあるわけで、
自分の発言すべて完璧に責任もてるのならそのままでいいかと。
376名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 08:21:48 ID:IobA4pgl
つ『ゲバラ』、裏に『スペランカー』
隆ちゃん・・・
377名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 08:23:28 ID:IobA4pgl
ふと思ったけど、梢ちゃんに指輪のことどう説明するんだ?
378名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 08:27:09 ID:UUNOiNdl
それは、適当に記憶の改ざんが行われるのでは?
379名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 08:36:56 ID:VlLTrq4T
携帯からって、パケット代壊そう。勿論定額なんだよな?
380名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 08:38:21 ID:zPeR+REa
>>377
つ「婚約指輪」
381名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 11:19:07 ID:npF2yq68
いつの間に指輪のサイズ測ったんだ?
382名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 15:33:13 ID:AsaaA3GY
>>381
就寝中にコソーリ。ついでに襲(ry
383名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 20:07:24 ID:GslgJa3o
ああ、やっとprin規制終わった……
384保管庫”管理”人様へ:2005/07/13(水) 20:27:45 ID:88Z9Cbdw
ぐうたらです。
先日の投下分、3/10の一文、

>そこまで聞くと千百合ちゃんは麦藁帽のつばで紅潮した顔を隠すようにする千百合ちゃん。

の表現がオカシイので、保管庫更新の際に、ここの文を、

そこまで聞くと、千百合ちゃんは麦藁帽のつばで紅潮した顔を隠した。

に差し替えていただけると幸いです。何卒宜しくです。

>>381についてですが、
ヒント1:白鳥くんの愛の力。
ヒント2:作者が何も考えていなかった。
385Duplication!:2005/07/13(水) 20:56:43 ID:qonag4sG
「ねぇ…千百合ちゃん」
「なんですか?」
鳴滝荘4号室、通称開かずの間。
その曰く付きの部屋の主は嬉しそうにハンガーに掛けられた衣装を物色していた。
部屋には黒崎親子のダンボールに勝るとも劣らないほど、ぎっしりと埋め尽くしたたくさんの衣装。
僕はその中心に座らされている。

「ねぇ…そろそろ終わりにしない?」
「何言っているんですか、まだ始まったばかりですよ?」
「うぅ…」
僕は大きな鏡に映る一人のメイド服を着た女の子を見てがっくりとうなだれた。
僕をまっすぐに見据え、全く同じ動作をする女の子。
わかってはいるけど、未だにこれが自分の姿だとは思えなかった。

でも、この子は僕が思うように姿を変えた。
試しに笑ってみると僕を見つめる子は微笑み返してくれる。
(ホントにこれが僕なんて…信じられないよ)
友達が一目惚れする気持ちもよくわかる。
鏡に映る少女はそれくらいの魅力を秘めていた。
386Duplication!:2005/07/13(水) 20:57:07 ID:qonag4sG
「りゅ〜うちゃん?」
「ひぁ!?」
「一人でニヤニヤしてなにをやってるんですか〜?」
ぼーっと鏡を見ているといきなり耳元で囁かれた。
「な、なんでもないよ、なんでもっ!」
「そうですかね〜?」
いつの間に戻ってきたのか、千百合ちゃんは僕に後ろから抱きついて囁く。
こういう時の千百合ちゃんの囁きは小悪魔的な含みを秘めている。
「さっきからずっと鏡を見てましたけど…どうしちゃったのかな〜、隆ちゃんは〜?」
「なんでもないってば!」
「そうは見えませんでしたけどねぇ〜?」
言えない。
鏡に映った自分に見とれていたなんて言えるわけがない。

「まぁ、確かにこの子は犯罪的に可愛らしいですからねぇ…」
「ち、違うって…」
「ほら、この子もあなたのこと、見つめてますよ?」
「え……」
そんな千百合ちゃんの言葉に、思わず鏡を見てその子と目が合ってしまう。
───ドクン
不意に鼓動が高鳴る。
(な…なんだろう、この感覚…)
千百合ちゃんの言葉によって僕はますますその子のことを意識してしまっていた。
387Duplication!:2005/07/13(水) 20:57:32 ID:qonag4sG
「ほら、隆ちゃん…。 この子もあなたのことがとても気になるみたいですよ?」
「………」
千百合ちゃんの囁きでどんどん鼓動が早くなっていく。
僕は操られるように鏡に映る少女に釘付けになっていた。
視線の先の女の子も僕を見つめ、頬を赤らめている。
「あむ…」
「んっ……」
「ふふ…」
僕の目の前では無防備な少女が千百合ちゃんの愛撫を受けていた。
耳たぶをあまかみされ、後ろから胸をもみしだかれる。
それでも潤んだ瞳で切なげにじっと僕を見つめている。
「ほら…この子ももっと隆ちゃんに見てもらいたいって…」
「だ、ダメだよ、千百合ちゃん…」
「隆ちゃんもドキドキしてますね?」
「そんなことは…」

でも…僕は千百合ちゃんの囁きを否定することが出来なかった。
それどころか、彼女の言葉で僕の心に新しい感情がどんどん芽生え始めている。
「この子もこんなエッチな顔して…隆ちゃんが欲しいんですかねぇ?」
「……」
千百合ちゃんのなすがまま愛撫され、切なげな視線を僕に投げかける少女。
(僕は…何を考えているんだろう…)
僕は千百合ちゃんの言葉に流されるまま、鏡の中の少女に興奮を覚えていた。
388Duplication!:2005/07/13(水) 20:58:06 ID:qonag4sG
「くっ…」
「ふふ…隆ちゃんもすっかり固くなってますね」
千百合ちゃんは僕の下着に手を入れ、熱く憤るものを柔らかく握った。
「だ、ダメだよ…千百合ちゃん…」
「あら? 隆ちゃん、いつもより大きくなってますよ?」
執拗な言葉責めに僕は翻弄されていた。
鏡の中では一人の少女が千百合ちゃんに責められている。
長いスカートの裾から手を入れられているためか、その下の様子は窺い知ることは出来ず、
まるで女の子が千百合ちゃんに責められているような錯覚を覚えた。
「んっくっ…うぅ……」
「隆ちゃん、自分の心に素直になりましょう…?」
「ち…ゆり…ちゃん…!」
徐々に千百合ちゃんの手は激しさを増していき、鏡の中の少女はビクビクと反応している。
それでも僕を切なげに見つめる瞳は逸らそうとはしない。
「はぁ…はぁ…」
「ほら、隆ちゃん、この子も欲しがってますよ」
「………」
「エッチな子なんだから…たっぷりかけてあげましょうね」
「う、うん…」
僕はもう千百合ちゃんの言葉を否定できなくなっていた。
僕がうなずくと鏡の中の少女は嬉しそうに笑みを浮かべた気がした。
389Duplication!:2005/07/13(水) 21:00:02 ID:qonag4sG
「はぁ、はぁ、はぁ…」
「隆ちゃん、もう我慢できない?」
「うん…」
「ふふ…よかったわね、ご主人様がご褒美をくれるそうですよ」
「ご、ご主人様…? あ、うぅっ」
千百合ちゃんのさらに速度を増す。
緩急をつけて握り、僕は限界に達しようとしていた。
「さぁ、隆ちゃん!」
「うぅっ!」
僕は千百合ちゃんの激しい愛撫に耐えられず、ぎゅっと目をつぶった。
まぶたの裏側で乱れる少女の姿が浮かぶ。
(ご主人様…来て…来てくださいっ!)
その刹那、聞こえるはずのない声が聞こえたような気がした。

「くっうぅぅっ、もうっ…!!」
そして、限界まで達したものが一気に解き放たれた。
その瞬間、ビュクビュクと熱いものが僕の顔に降り注いだ。
「うっ…あぁ…」
脳裏には僕の精液を浴びて喜びに打ち震える少女の姿が思い浮かぶ。
僕は熱いものを何度も何度も浴び終えるとゆっくりとまぶたを開いた。
目を開いて飛び込んできた鏡の中の光景。
そこには想像と同じように顔に白濁を滴らせ、恍惚とした少女の姿があった。
「あ…あぁ…」
「ふふ、隆ちゃん、Correctですよ…ほら、この子も喜んでいます」
「…うん…」
そんな千百合ちゃんの声も聞こえなくなるほど、僕はその少女に心奪われていた。

(ご主人様…ありがとう…ございます…)

そんな声が聞こえた気がした。
390名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 21:04:12 ID:qonag4sG
ふぅ、なんか需要が少なそうなものを書いてしまいました。
今回は特殊な属性の人向けです。
最初に注意書き入れた方がよかったかな。

白鳥くんは倒錯ネタが思いつきやすいです、ホント…。
続きは…どうしよう?
391名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 21:28:25 ID:mrtuNfUR
GJ!
(・∀・)続きも書くでつ!
392名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 22:17:24 ID:JGBIUCQ2
GJ!隆ちゃんLOVE!
是非とも続きキボーン
393名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 23:10:08 ID:7KBBbBRi
>>390
ひょっとしてマホウの人ですか?内容もそれっぽいですし・・・
394名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 23:30:17 ID:qonag4sG
>>393
内容で判別されるとは思わなかったです…。
395名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 23:33:52 ID:786M1O+2
というか白鳥くんはエロ担当だし…
396名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 23:37:26 ID:7KBBbBRi
>>394
やっぱそうでしたかw白鳥君の弄り方からそうじゃないかと。
文体も何となくそれっぽいなとは思いましたよ。
397名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 23:40:58 ID:7KBBbBRi
IDが下痢気味だw
398名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 00:42:11 ID:8Ziv3Aoo
>397
7000びびびびりぃ
下痢気味どころじゃないんじゃないかw
399テイル:2005/07/14(木) 00:49:05 ID:bB71mi4J
>>397
つ[正露丸]

>>390
うーん、GJ。責める千百合ちゃんがイジラシイ。
……ん?ちょっと待て。

>>千百合ちゃんは僕の下着に手を入れ、熱く憤るものを柔らかく握った。
このとき、白鳥のナニは服の中だ。そこからずっと服の中攻撃なのに、

>>その瞬間、ビュクビュクと熱いものが僕の顔に降り注いだ。

……誰の?

ハッ、まさかそれはバラさんが!!!!

まあ、変な妄想に走るのもアレなんで、代わりに体験版を置いていきます。
何故「体験版」かというと、目指すは一括投下だから(最近その要望が多いし)
むしろ、デモムービーみたいだけど。
400Y―体験版―:2005/07/14(木) 00:57:34 ID:bB71mi4J

見てしまった。

梢ちゃんの全てを。
若い身体の全てを、無心に貪っている―――――

――――珠実ちゃんを。

「――どうして、私の部屋に、いるですか?鍵を、かけたのに」
「―――君達が勝手に開錠出来るレベルの鍵だよ?
 僕だって、ピッキングぐらい、出来るさ」
「犯罪ですね。通報しましょうか」
「それが君の言えた台詞かい?」
「…………」

「で、珠実ちゃん」
「―――――なん、ですか」
「男の身体になった気持ちは、どうだい?」
「………」

「――――私だって、梢ちゃんが、好きなんです。
 私にだって、梢ちゃんを抱く権利は、あります」
「―――権利?」

「そっか」
白鳥さんは、そう言って。
「じゃあ―――――」
私との距離を縮めて。
「――――和解は無い、わけか」
私の目の前に来て。

「それじゃあ、梢ちゃんを守るために、僕が頑張らなきゃ」
401Y―体験版―:2005/07/14(木) 01:01:46 ID:bB71mi4J
「どう、して――――」

「――――どうして、私が、こんな夢を―――――」


「―――――どうして」

「どうしてあなたは―――――そんなに優しいんですか?」

こんな私を。
こんな私に、どうして、そんな笑顔で――――――
私に、その資格は無いのに。

どうして?

「Y」絶賛執筆中!


如何でしょうか?デモの割には展開が丸見えですが……そこはご愛嬌。
見ての通り、微TSです。もっとも一瞬で終わります。
今週中には完成させたいですが、遅れる可能性もあります。
では。
402名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 01:31:03 ID:/23wElHf
>>テイル氏
ああ、その直前に目を閉じてるので実際自分のものから出てるのは
見てないわけです。
見えちゃうと「鏡の少女」が自分になってしまうんで。
後で1行加えておこう…。

そして、新作ですな。
なんか、どっかで見た珠実のセリフが…デジャブ?
403名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 20:51:07 ID:/23wElHf
さて…続き要望がありましたんで今日も投下。
ちっとハードだったので今日はあっさりと。
404Duplication!:2005/07/14(木) 20:51:32 ID:/23wElHf
それから数日後───。

僕の姿は4号室にあった。
今日は千百合ちゃんはいないけど、彼女から預かったスペアキーが僕の手にあった。
『隆ちゃんならいつでもご自由に使っていただいて結構です』
そのときは嫌々押しつけられたんだけど、まさかこんな形で使うことになるなんて…。
僕は部屋に入ると鍵を閉め、たくさんの衣装が掛かったハンガーに向かった。

さんざん着替えさせられたからか、僕は迷うことなく衣装に袖を通す。
「これでよし…と」
手慣れた手つきで物色してきた衣装に着替えると僕は大きな姿見の前に座った。
すると僕の前にメイド服を着た可愛らしい少女が現れる。
「……」
その少女は何も言わないけれど、静かに僕を見て微笑んでいた。
彼女も僕を待っていたんだろうか。
僕と向き合うとほんのりと頬を染めた。
言葉はないけれど、見つめ合うだけで胸が高鳴った。
405Duplication!:2005/07/14(木) 20:52:07 ID:/23wElHf
(この子も僕に会いたがっていたのかな…?)
…愚問か。
そもそも、この子は僕と同じなんだ。
この子は僕の心を映し出した姿。
(なら…この子も僕のことを…)
そう思うだけでますます胸が高鳴った。
そして、鏡の中の少女は僕に見せつけるようにゆっくりと服の上から自らの体に手を伸ばす。
彼女は熱い視線を僕に向け、ただただ淫らな行為に没頭していく───。

その日から僕は暇さえあれば4号室に足を運ぶようになっていた。
メイド服に限らず、これだと思った服を片っ端から試着してみる。
そのたびに彼女は様々な表情を見せてくれた。

以前はありがた迷惑だった衣装の数々も今では宝の山に見えている。


そうして僕は昼夜を問わず、いや夢の中までも”彼女”に没頭していった───。
406Duplication!:2005/07/14(木) 20:52:40 ID:/23wElHf
そんなある日のこと。

「…今日はこれにしよう」
僕がハンガーから選んできた服は、梢ちゃんたちの通う青華短大付属高校の制服だった。
「うん…ばっちり」
鏡の前でくるりと一回転してみても遜色ない、立派な女子高生の姿だ。
丈の短いスカートはまだ恥ずかしいけど、”彼女”に似合う服ならそんな気持ちも吹き飛んでしまう。

僕は鏡の前に座りじっと彼女を見つめた。
「これなら本物の女子高生で通じるかなぁ…」
「通じるんじゃないですか〜?」
「そっか…なら今度着て歩いてみようかな……」
「ま〜、その器ならまず男だなんてわからないでしょうね〜」
「う〜ん、でも誰にも気づかれずに鳴滝荘から出るのは難しいか…帰ってくるのも…」
「そうですね〜、梢ちゃんに見つからないようにするのは至難の業ですよ〜」
「困ったな…どうすればいいんだろう…って誰!?」
「白鳥さん、そんな趣味があったんですか〜?」
「たっ珠実ちゃん!?」
いつの間に入ってきたのか、僕の背後には珠実ちゃんが仁王立ちしていた。
407Duplication!:2005/07/14(木) 20:53:04 ID:/23wElHf
珠実ちゃんは凄みのある笑顔でじっと僕のことを見ている。
「最近様子が変だと思ったら…こんなことしてたんですか〜」
「ど、どうしてこの部屋に!?」
僕は真っ青になりながら、珠実ちゃんに尋ねた。
「私は千百合ちゃんのマブダチですよ〜? この部屋の合い鍵くらいもらってます〜」
「…そ、そんな…」
「梢ちゃんが心配しているからわざわざ様子を見に来てみたら…」
「いや、これは…その……」
この状況を見られてしまっては弁解のしようもない。
「梢ちゃんを蔑ろにして、自己陶酔に溺れるとはいい度胸ですね、白鳥さん〜?」
「ひぃ〜〜〜!!」

圧倒的なオーラを放つ笑顔のまま迫る珠実ちゃんを前に、僕はただ凍り付くだけだった。
408名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 20:54:04 ID:/23wElHf
スローペースに今回はここまで。
まったりまったりと行きます。
409名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 21:46:48 ID:zTh/cYPR
(´・ω・`)続きが気になって課題がはかどらんがな
410名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 21:49:07 ID:m0QLYeE8
>>408 自己陶酔白鳥君、GJ!(・∀・)
411名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 21:50:25 ID:7T05I3T+
このスレは良スレだな
職人と住人の関係も上手くいってるし
それだけ作品が愛されているということか
では、新参者ではあるがまったりと私もSS投下と参ろうか(´・ω・`)
412Continuation:2005/07/14(木) 22:04:43 ID:7T05I3T+
このSSはアニメ「鳴滝荘のタカラモノ」の続きという設定になってます


「じゃ、これは埋め直しますね」
「あいよ、次に誰が引っ掛かるか楽しみね〜♪」
恵はイヤらしい笑みを浮かべながら白鳥が埋めている箱を見ている。
この箱のために彼らは一昼夜を費やしたと言っても過言ではない。
「じゃ、あたしはさきに御飯食べてるね〜」
そう言い恵はキッチンへと入っていった。
「写真を入れて・・・これでよし」
白鳥は先ほど撮影し珠実が現像した自分たちの写真を箱に入れ埋め直そうとした。
「あれ?」
白鳥はもう一度、曾祖父である青葉総一郎達の写真を手に取った。
そして裏返してみると・・・・
「これって・・・・」
文字が書かれていた。
少しかすれているが読めなくもない。
「・・・物置の一番奥の棚?」
・・・何だかそこにとても大事な物がある。
僕はそんな気がした。

だから、このことを誰にも言わず今こうして物置の中にいるのだ。
「えっと・・・この棚かな」
そして、物置の一番奥の棚を調べている。
棚に並んでいるのは書物や刀、怪しい壺だ。
一冊の本を手に取ってみた。
これはかつて流行った小説だった。
そして、もう一冊に手を伸ばす。

表紙は少しボロボロだった。
だが、何かに惹かれるように僕はこの本を読み始めていた・・・・
413Continuation:2005/07/14(木) 22:05:11 ID:7T05I3T+
「―――最近孫夫婦の仲が悪く夫婦げんかが絶えない。
     そして、このことで一番傷ついているのは梢だろう
     幼さ故に話の内容は分からなくても時々聞こえてくる怒号が
     罵詈が雑言が彼女の心を少なからず抉っている。
     今の彼女がそれに気づくことはない。
     だが、いずれ彼女が成長し大きくなったとき
     この記憶に悩まされるだろう。」
「・・これは?!」
そう、白鳥が読んでいたのは梢の曾祖父、青葉総一郎の日記である。
「・・・・そして私の命もそう長くは無いだろう。
    出来ることなら梢にもう少し楽しい日々を送らせてやりたかったが
    私の体がそれを許さないだろう。
    あの子は純粋なのだ、その純粋さ故に傷ついてしまった。
    将来、あの子の心の傷を癒してくれる者が、あの子を幸せにしてくれる者が―――」

日記は少し擦れていてこれ以上は読めなかった。
だが、白鳥の心には確かに響いた。
総一郎の思いが・・・・
「総一郎さん・・・例え時間がかかろうと必ず梢ちゃんを幸せにしてみせます。」
白鳥は決意を固めた。
だが、この決意に隠された自分の感情を知るのはまだ先の話である・・・・

Fin
414Continuationあとがきhell and heaven:2005/07/14(木) 22:06:42 ID:7T05I3T+
はい、文才不足ですね。
出来ればもっとキャラの感情が伝わるようにしたかったけど・・・・
力量不足で及ばず(><)
415名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 22:16:34 ID:bB71mi4J
>>414
乙でした。即興で作っていたのでしょうか?
あと「青葉」ではなく「蒼葉」です。

まあ、日記読んですぐに「幸せにしてあげます」とか決意する白鳥クンかという
ツッコミもあるのですが、総一郎さんの日記に感化されそうなのは確か。
白鳥クン、少し格好イイではないか。
こんな白鳥クンなら梢ちゃんを(ry

と、ちょっと批評してみた何故何故言い続ける人でした。
416Continuation作者:2005/07/14(木) 22:46:04 ID:7T05I3T+
>>415
即レスどもです。即興で作っていたので誤字、つっこみどころ満載だと思いますので
>>415氏が上げた部分を修正した改訂版?をUPしておきます
http://age.tubo.80.kg/age01/img-box/img20050714234226.txt
しかし、こっちも突っ込みどころ満載かも知れませんが(><)
次はもっと良いものを(´・ω・`)
417名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 23:27:23 ID:yXJavx8p
>>416
乙です。でも、できればもう少し話を膨らまして欲しかった・・・かも
次回作も待ってますよ
418お腹いっぱい:2005/07/14(木) 23:59:11 ID:dri+nEOI
どうも、少し消えかけていたお腹いっぱいです。
だいぶ前に書いた短篇の編集が終了したので、明日にでも投下しますね。
419名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 07:59:49 ID:fQbnd/pw
>>416  乙ッス。白鳥君がかっこよかったッス。
>>418  楽しみに待ってるヨ〜
420名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 20:02:51 ID:lI7jDGx3
>>416
言いたいことを簡潔に伝えるって言うのも大事なことですよ〜。
話をふくらませるかどうかはまた別の話。


ところで皆さんにアンケート。
このスレ的にはどれくらいエロ許容があるんでしょうかね。
いや、某作を執筆中なんですがだんだんエスカレートしてきて
ここに載せるのはまずいかなと自粛を検討してたり…。
421名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 20:14:57 ID:AoUIXPLI
どんなジャンルでつか?まさかSM?まさかスカト(ry
422名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 20:26:03 ID:lu5gJlF/
白鳥君とか男キャラが過激にならなければ気にならないけど。
423名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 20:29:35 ID:lI7jDGx3
ああ、有り体に言うと>>407の続きです。
424Continuation作者:2005/07/15(金) 20:31:46 ID:WijOTHE5
>>420
どもヨ〜
簡潔にした方が自分的に書きやすかったので
ふくらませるのは・・・・・精進するヨ〜
とりあえずすぐ消えたのはまずいかとおも再うp
ttp://tool-ya.ddo.jp/2ch/trash-box/contents.jsp?file=20050715202405036.txt

SSは内容が純愛とかならおk
425名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 20:33:31 ID:6u3ad13r
エロはノーマルならいくら過激でも問題ないっすよ。
ただし話は後味が悪くならない程度に。
426名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 21:15:31 ID:53lx+yRL
>>422
むしろ私は逆で、目よ目。
白鳥君総受けになってしまうんですがどうしたらよいでしょうか
427名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 21:21:39 ID:AoUIXPLI
SMとか鬼畜にならなければおk
428名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 21:34:00 ID:lI7jDGx3
レスどうもです。
所々、自主規制を入れながら投下していくことにします。
では、本日分を。
429Duplication!:2005/07/15(金) 21:34:33 ID:lI7jDGx3
(うわ〜…珠実ちゃん、すごい怒ってるよ…)
それもそうだろう。
彼女は僕を信じて梢ちゃんのことを託したんだから。
その僕が梢ちゃんをほったらかしにして、こんなことに没頭していれば怒るのも無理ない話だ。
「さぁ〜て、お祈りは済ませましたか〜?」
「あう…ぁぅ…」
まぁ、当然の報いといえばそれまでか…。
僕は迫り来る珠実ちゃんを前に覚悟を決めた。

と、そのときピタリと珠実ちゃんの動きが止まった。
まるで燃料が切れたロボットのように動きを止め、微動だにしない。
「……?」
その沈黙が逆に恐怖心を煽った。
(ど、どうしちゃったんだろう…?)
430Duplication!:2005/07/15(金) 21:35:23 ID:lI7jDGx3
そのとき珠実は目の前の標的を見て、ふと考えていた。

(…ホントに女の子みたいですね)
前にも感じたことだが、彼は女装すると本当に女の子と見間違える姿に変身する。
しかも、同じ女としてみても滅多に出会えぬほどの容貌を持ち合わせている。
小さく身を縮め、涙目になりながら珠実を見上げるその姿は、
今まさに暴漢に襲われようとする可憐な少女そのものだ。
(…白鳥さんが自分の姿に没頭する気持ちもあながち否定できませんね〜)
珠実は今まさに掴みかからんとする手を引っ込め、思案する。
このままいつものように折檻していいものか、と。
(せっかく白鳥さんがこんな格好しているんだからそれを活かさない手はないですね)
珠実はそう考えを改めると唇の端をニヤリとつり上げる。

珠実は気づいていない。

珠実もまた気づかぬうちに”彼女”の発する特異な雰囲気───
『白鳥フェロモン』に魅了されはじめていたのだった。
431Duplication!:2005/07/15(金) 21:36:19 ID:lI7jDGx3
「白鳥さん〜、お仕置きする前に一つ選択をさせてあげましょうか?」
「えっ…?」
「痛いお仕置きと痛くないお仕置き、どっちがいいですか〜?」
僕は突然彼女に出された選択肢の意味がわからず戸惑った。
でも、痛いか、痛くないか、なんて聞かれたら返す返事は一つしかない。
「そっ、そりゃ痛くない方がいいに決まってるよ!」
僕は返事一つで即答する。
誰だって、好きこのんで痛いことを望むわけがない。
いや、一応そういう趣味の人もいるけどあいにく僕はそういう趣味はなかった。
「ほほ〜、そうですかそうですか…」
「たっ珠実…ちゃん…?」
「ふっふっふ………」

甘かった。
そもそも珠実ちゃんがそう簡単に逃げ道を用意するはずがない。
一見、逃げ道に見えてもそれは巧妙に敵を誘い込む罠だったりするのだ。
彼女の邪な笑顔を見たとき、僕は自分の浅はかさを呪った。
「それじゃあ、大人しくするDeath〜」
「うっ、うああああぁぁぁぁぁぁ!?」
432Duplication!:2005/07/15(金) 21:37:03 ID:lI7jDGx3
「どうですかぁ、白鳥さん〜?」
「うっううぅ…」
僕は後ろ手に革製の拘束具で縛られ、四つん這いの格好にさせられていた。
視線の先には珠実ちゃんが仁王立ちし、僕を見下している。
「いい格好ですね〜、白鳥さん〜」
「な、なんでこんなことするの?」
「なんでってお仕置きに決まってるじゃないですか〜?」
ていうか、なんで拘束具とかあるんだろう…。
それよりも一つ気になっていることがあった。
「あ、あの…珠実ちゃん…」
「何かご不満でも〜?」
「い、いや、その…見えてるんだけど…」
いま珠実ちゃんは僕と同じ青短高の制服を着ている。
ちょうど見上げるような格好にされているせいで珠実ちゃんのスカートの中が丸見えだった。
意外と可愛らしく清楚な白い布地がやけに目を引く。
「……何見てるんですか、このドスケベ〜!!」
「だっ、だって〜〜〜!」
「…と言いたいところですが、まあいいでしょう」
「…えっ?」
いつもだったら大激怒して鉄拳が飛んでくるところなのに今日の珠実ちゃんは違っていた。
それどころか、自分から見せつけるようにスカートをたくし上げ僕の顔に近づけてきた。
「たっ珠実ちゃん!?」
「どうですか〜、白鳥さん〜?」
「なっ、なにやってんの!?」
「ほらほら〜、女子高生の生下着ですよ〜?」
「やめなよ、珠実ちゃんっ! なんでこんなことを!?」
僕は彼女の行動が理解できずに混乱していた。
「何って、お仕置きですよ〜、お・し・お・き」
そう言い放った珠実ちゃんはいつもとは違う妖艶な笑みを浮かべていた。
433Duplication!:2005/07/15(金) 21:39:13 ID:lI7jDGx3
僕は四つん這いのままお尻を突き上げ、珠実ちゃんに見せつけるような格好をさせられていた。
彼女の言うお仕置きがどういうことか何となくわかってきた。

「ね、ねぇ珠実ちゃん、ダメだよ、こんなこと…」
「あら〜、下着は男物のままなんですね〜」
珠実ちゃんは僕の言葉を無視してスカートをまくり上げた。
「み、見ないでよぉ…」
「あら〜? 白鳥さん〜、私のパンツ見て興奮しちゃいましたか〜?」
「ちょっ!? やめてよ、珠実ちゃん!」
「こんな格好していてもこっちは男の子なんですね〜」
僕の非難の声を無視して、珠実ちゃんは下着越しに僕の股間をさすった。
僕の意志とは関係なく、刺激された下半身がビクンと反応した。
「顔のわりには立派なモノをお持ちなようで〜」
「や、やめてよ、珠実ちゃん!」
「そ〜んな、可愛らしい声でいったってやめてあげないです〜」
珠実ちゃんは無慈悲に言い放つと僕の下着に手をかけてゆっくりとズリ下ろしていった。
「やっやめてよぉ〜…」
「ふっふっふ〜…」
抵抗しようとしても後ろ手に縛られ、四つん這いにされていては何も出来ない。
珠実ちゃんは露わになった僕のモノを握るとゆっくりとしごき始めた。
「男の人ってこんな風になってるんですねぇ…」
「うっぅ…」
さすがの珠実ちゃんも初めての経験なのか興味深げに観察していた。

そんな状況にありながらも、僕の下半身はしっかりと反応し始めている
自分の不甲斐なさが情けなかった。
434Duplication!:2005/07/15(金) 21:43:02 ID:lI7jDGx3
「気持ちいいんですか〜、白鳥さん〜?」
「もっもう、やめようよぅ…」
「何言ってるんですか〜、こんなにカタくして〜」
珠実ちゃんはコツを掴んだのか、緩急をつけて僕のモノをしごき続けた。
梢ちゃんにされるようなぎこちない行為と違い、的確に僕の弱点を責めてくる。
「はぁ…はぁ…」
「気持ちよさそうですね〜、白鳥さん〜。 でも…」
「……?」
「気持ちいいだけじゃぁ、お仕置きとは言えませんね〜」
「っ!?」
珠実ちゃんは空いている片手を別の場所へと向かわせた。
「ちょっ、そこは!?」
「白鳥さんはこっちの経験はありますか〜?」
「なっ…あるわけないよ!?」
「そうですか〜、それはそれは〜」
邪悪な含み笑いをしながら、珠実ちゃんは僕のお尻の穴をなで回す。

…頭の中では否定してたその珠実ちゃんの『お仕置き』は現実のものとなろうとしていた。
435Duplication!:2005/07/15(金) 21:43:34 ID:lI7jDGx3
「だ、ダメだよ! やめてよ、珠実ちゃん!」
「覚悟はいいですか〜?」
「ダ、ダメだっ…て…ぅっあぁっ…」
「…許してあげないです〜」
無慈悲に言い放つ珠実ちゃん。
そして、今まで体験したことのない不快感が迫り上がってきた。
「う…ぐ…あぁ…ううぅぅぅ!」
力を込めた珠実ちゃんの指がゆっくりと僕の尻穴に飲み込まれていく。
「力むと痛いですよ〜?」
「や…めて…よ……かっはぁ…あぐっ!…ぁぁ…」
本来ものが入ることがない場所に異物が侵入して来るという嫌悪感は想像を絶するものがあった。
ガクガクと体が痙攣し、大きく口を開きだらしなく涎を垂らす。
僕は全身からいやな汗が流れ出すのを感じた。
「はぁっはぁっはぁっ……」
「苦しいですか〜、白鳥さん〜?」
「はぁっはぁっ…うぐっ…はぁっはぁっ…」
「返事も出来ませんか〜?」
「うぐぅっ!」
めりめりと珠実ちゃんの指はさらに奥に侵入してくる。
「ひっ…ぐぅっ!」
「ジャンジャンバリバリイクですよ〜?」
珠実ちゃんは指の根本まで突き入れたのを確認するとゆっくりとそれを出し入れする。
引き抜かれるときの開放感と、突き入れられるときの不快感。
それがない交ぜになって僕を責めあげた。
「ひぃっ!?あぐぅぅぅぅ!!」
「さぁ〜て、楽しませてもらいましょうか〜」
彼女の言う『痛くないお仕置き』はここからが本番だったんだ…。
436Duplication!:2005/07/15(金) 21:44:29 ID:lI7jDGx3

その夜───。

さんざん珠実ちゃんに『お仕置き』された僕は改めて彼女の部屋に呼び出されていた。
「うぅ…痛くしないって言ったのに…」
「白鳥さんが必要以上に力むからです〜」
未だに痛みと違和感が消えない下半身を気にしながら僕は本題に入った。
「…で話って?」
「白鳥さんは梢ちゃんのことどう思ってますか?」
「えっ…? 何で急にそんなことを…」
「さっさと答えるです〜」
「そ、そりゃ、梢ちゃんのことは好きに決まってるじゃないか」
やぶから棒に聞いてきた珠実ちゃんには驚いたけど、僕は照れながらも即答した。
「では、あの子とどっちが好きですか?」
「え…っ?」

僕は一瞬息をのんだ。
437Duplication!:2005/07/15(金) 21:45:27 ID:lI7jDGx3
珠実ちゃんは戸惑う僕の頭にカツラを乗せ、鏡を見せつけながら詰問を続ける。
鏡に映った少女は困惑しながら僕を見つめていた。
「この子と梢ちゃん、どっちが好きですか?」
「そ、それは…」
僕は…即答できなかった。

本当ならここで即座に梢ちゃんと言えなきゃいけないはずだ。
だけど、僕にはそれが出来なかった。
その迷いを珠実ちゃんに見透かされていたんだ。
「ふぅ…重症ですねぇ〜」
「………」
「いいですか〜、白鳥さん。 梢ちゃんはあなたを信頼しているのですよ?」
「うん…」
「そのあなたが他の女性に執心している知ったらどうなると思うんですか?」
「……」
珠実ちゃんの言葉一つ一つが胸に重くのしかかってきた。
彼女の非難は梢ちゃんからの非難でもあるんだ。
438Duplication!:2005/07/15(金) 21:46:31 ID:lI7jDGx3
「いま…梢ちゃんはとても不安を感じています。 白鳥さんの心が自分から離れていっているんじゃないか、と」
「……」
「彼女の心はとても繊細です。 …それでも白鳥さんのことを信じ続けようとしているんです」
「うん…」
「ですから…あなたは”彼女”と決別しなければいけません」
「……」
珠実ちゃんの言うことはもっともだった。
僕が梢ちゃんとつき合い続けるには”彼女”は邪魔者でしかないんだ。
わかっている…けど、僕はなぜかそれを割り切れなかった。
「…白鳥さんはなぜあの子に執着し続けるんですか?」
「それは…」
自分でもわからなかった。
元々自分自身である鏡の中の少女にこれほどまでに心惹かれる理由。
それがなぜなのか、僕にも理由がわからなかった。
「まずはそこから治療しないといけないようですね〜…」

珠実ちゃんはそういうけれど、僕はまだ釈然としないままだった───。

439名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 21:48:49 ID:lI7jDGx3
さて、今回はここまで。
とりあえずやりすぎにならないようにカットした部分とかありますが、
このくらいならいい…かな?

その気がない人にはちょっときつい…かも。
440名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 21:58:15 ID:AoUIXPLI
全然キツくないやん。
と、言いつつGJ!
441>>416:2005/07/15(金) 22:06:28 ID:WijOTHE5
GJ
キツく無いしむしろええやないですかヨ〜
珠実ちゃん小悪魔で素敵(´¬`)ハァハァ
そういやここではコテってどうなんでしょ?
風潮が悪くなければコテハンしてみよっかな
442名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 22:09:19 ID:RZPSXrnF
えぇっと、下手ながら隆士と魚子のエロを書いて見たんですが…
どうしましょう? 投下した方がいいですか?
443名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 22:14:15 ID:WwbxG8uB
>>442
うp汁
444名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 22:17:17 ID:mmYtZiL2
もちろん!投下してくれ!
お願いします。裸で待ってますので。
445名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 22:18:21 ID:RZPSXrnF
あまり期待されても困るんですけど…
久しぶりな上、即興と思いつきなので、内容が変でも勘弁して下さい。
では、投下させて頂きます。
446名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 22:18:41 ID:AoUIXPLI
魚子は需要が少ないからどんどん投下してください。
447お風呂の中で…:2005/07/15(金) 22:19:23 ID:RZPSXrnF
その日は、僕と梢ちゃんの二人っきりだった。
桃乃さんは珠実ちゃんと出掛けていて、黒崎母娘はまひるちゃんの所に遊びに行っている。
灰原さんとジョニーは、部屋に篭って、小説を書いていた。僕は課題が無かったから、こうして中庭に居る梢ちゃんを見守っている。
今日は朝から雪が降っていたから、地面には雪が積もっていて、池も凍っている。少し寒いけれど、そろそろ日も照って来たので、それほど気にならなかった。
その時、梢ちゃんが派手な水飛沫を立てて、池に落ちた。慌てて引き上げると、梢ちゃんに呼びかけた。
「だ、大丈夫!? 梢ちゃん!」
少し顔が青いけど、何とか無事のようだ。ただ、さっきの衝撃で、人格が変わってしまったらしい。
「お兄ちゃん、寒いよぅ…」
「な、魚子ちゃん、大丈夫? すぐ、タオルを取って来るから」
どうやら、今回は魚子ちゃんの様だ。とりあえず、暖を取らないと…
そう思って、二人分のタオルを取ってきた。しかし、それでも寒いのに変わりは無い。
「うぅ、寒いよぅ…」
冬の水は冷たく、タオルに包まっていても寒気がした。僕も魚子ちゃんもびしょ濡れだ。このままでは、確実に風邪を引くだろう。
僕はともかく、魚子ちゃんまで風邪を引いたら大変だ。そう思った僕は、魚子ちゃんに言った。
「魚子ちゃん、体も冷えちゃったし、お風呂に入って来たらどうかな?」
ただこの寒さを何とかしたかったから、お風呂に入る事を提案した。
「うん、そうする…」
それがまさかあんな事になるとは、僕はまだ思いもしなかった…
448お風呂の中で…:2005/07/15(金) 22:20:01 ID:RZPSXrnF
「ななこ、お兄ちゃんと一緒に入りたい!」
お風呂に入ろうとした時、急にそんな事を言われて、僕は慌てて断った。
「だ、ダメだよ、魚子ちゃん。ほら、魚子ちゃん、良い子だから、ね?」
僕がそう言うと、以外にもあっさりと魚子ちゃんは引き下がった。もっと駄々をこねると思っていたから、予想外の事態に戸惑った。
まあ、とりあえずは諦めてくれたみたいだし、僕は気にせずにお風呂に入る事にした。
「ふぅーっ…暖まるなぁ…」
お風呂に浸かって、思わずそんな事を言っていると、外に人影が見えた。…ま、まさか…
「お兄ちゃん、入るよーっ!」
やっぱり、魚子ちゃんだ。さっき、大人しかったのはこの為らしい。対策を考える間も無く、魚子ちゃんが入って来た。
「わーい、お兄ちゃんとお風呂ーっ!」
魚子ちゃんも湯船に入って来た。見ちゃダメだとは思いつつも、ちらりと魚子ちゃんの方を見ると、バスタオルも巻かずに入って来ていた。
いくら魚子ちゃんが六歳とは言え、体は十七歳なのである。僕のアソコも、否応無く固くなっている。
「お兄ちゃん、暖かいね! あれ、お兄ちゃん?」
ど、どうしよう…このままじゃあ、僕の理性が…
「ねえ、お兄ちゃん?」
「うえぇっ!? ど、どうしたの、魚子ちゃん?」
気付くと、魚子ちゃんは僕の隣で湯船に浸かっている。僕は顔を真っ赤にして慌てて返事をした。
「どうして、お兄ちゃんのおち○ち○が大きくなってるの?」
予想外の質問を受けて、僕は慌てて股間に目をやると、いつの間にかタオルが外れていた。
慌てて隠すが、最早手遅れだった。魚子ちゃんは、僕の股間をじっと見ていた。
「ねえ、どうして?」
…まずい。このままだと、僕の理性が持たない…でも、どうすれば…
言い訳を考えている内に、僕の股間に魚子ちゃんの手が伸びていた。
449お風呂の中で…:2005/07/15(金) 22:21:01 ID:RZPSXrnF
「うわわっ、だ、ダメだよ、魚子ちゃん!」
聞こえてないのか、魚子ちゃんは構わずに手を伸ばしてきた。
「わー、固ーい。えい、えいっ!」
「あっ…、や、やめてよ、魚子ちゃん…」
魚子ちゃんは、僕のおち○ち○を触って遊んでいる。ひっぱったりこすったりして来て、その手の動きが僕に快感を与える。
まずい…このままじゃあ、理性が…
何とか耐えようとは思っていても、もう射精寸前であった。
「うっ、うぁぁっ、あぁぁぁぁぁっ!」
ビュルッ ドピュッ
予想以上の快感に襲われ、僕は射精してしまった。魚子ちゃんは、不思議そうに見ている。
「お兄ちゃんのおち○ち○から、何か出たよ? ねえ、これなあに?」
…もう、限界だった。僕の理性はどこかへ吹っ飛び、魚子ちゃんを湯船から上がらせると、僕は魚子ちゃんにキスをした。
「んっ…むぅっ…プハァッ…」
魚子ちゃんの口内に舌を這わせ、唾液を送り込む。
「お、お兄ちゃん?」
突然の事に、魚子ちゃんは何が起こったのか分かってない様だ。しかしそんな事には構わず、僕は魚子ちゃんの胸を揉み始めた。
「あぅっ…お兄ちゃん、どうしたの? 何か、変だよ…?」
「それはね、言う事を聞かない魚子ちゃんが悪いんだよ。だから、お仕置きをするんだ」
僕がそう言うと、魚子ちゃんは怯えた様にこっちを見ている。
「ホラ、魚子ちゃん。僕のおち○ち○、食べさせてあげるよ」
無理矢理、魚子ちゃんの口に僕のおち○ち○を咥えさせる。
「んっ、むぐぅ…あうっ、んんっ!」
僕が腰を動かすと、魚子ちゃんは苦しそうに顔を歪める。魚子ちゃんの口内は暖かく、気持ちが良い。
フェラをされるまでも無く、魚子ちゃんの口の中で僕は直ぐに絶頂を向かえた。
「うぅっ、出るよ、魚子ちゃん!」
ドクッドクッ…音がしそうな勢いで、僕は射精した。
「あぅっ、んんっ? な、何なの? に、苦いよぅ…」
450お風呂の中で…:2005/07/15(金) 22:21:41 ID:RZPSXrnF
戸惑う魚子ちゃんを尻目に、僕は魚子ちゃんのアソコに顔を近づける。
魚子ちゃんの割れ目に沿って、舌を這わせる。その度に、魚子ちゃんはビクビクと震えていた。
「あぁぅ…こ、怖いよぅ…やめて、お兄ちゃん…」
六歳とは言え、感じているらしい。その証拠に、魚子ちゃんのアソコからは愛液がたくさん溢れていた。
「コレ位しとけば、大丈夫だね。じゃあ、行くよ? それっ!」
僕は魚子ちゃんのアソコに、自分の物を挿入した。処女幕を破った為、赤い血が混じっている。
「ヒィッ…痛いよぉ、お兄ちゃん…やめてよぉ…」
そんな事も構わず、僕は快楽を貪る様に、腰を振り続けた。
「はあっ、はあっ、魚子ちゃん、魚子ちゃんっ!」
もう既に、僕に理性なんて物は残っていなかった。
「あぅっ…あんっ! や、やだぁ、やめてよぉ…あぅっ!」
魚子ちゃんは嫌がりつつも、腰を振り始めている。あまりの気持ち良さに、僕の腰を振る速度も上がっていく。
「くうっ…魚子ちゃんのアソコ、締まってて気持ち良いよ。魚子ちゃんも、気持ちいいでしょ?」
「あっ…あんっ! ななこ、分かんないよぅ…ひあっ!」
どうやら、そう言う感情はまだ分からないらしい。ただ、今の僕にはそんな事は気付く余地も無かった。
僕は、魚子ちゃんの胸を愛撫しつつ、さらなる快楽を求めて腰を振った。
「あっ、あぅっ! お、お兄ちゃん、何か、何か来るよぅっ!!」
「くぅっ…ぼ、僕もそろそろ…あっ、あぁぁぁぁっ!!」
僕のおち○ち○から、ドクドクと精液が出た。二回射精しているとは思えないほどの量の精液が、魚子ちゃんのアソコに注がれた。
「あうぅぅぅっ! ななこのアソコがあついのぉっ! あっ、あぁぁぁぁっ!」
どうやら、僕の射精で、魚子ちゃんも絶頂を迎えた様だ。僕は満足感に浸りつつ、再び腰を振り始めた。
「魚子ちゃん、気持ち良かったよ。それじゃあ、第二ラウンドと行こうか」
「あうっ、あぁん! もうやだよぉ、お兄ちゃん…」
そんな叫びもお構い無しに、僕は二ラウンド目へと突入した。
451後書きみたいな物:2005/07/15(金) 22:25:57 ID:RZPSXrnF
えー、と言うわけで投下してみました。あまりの出来に、自分は向いてないのかと思いつつ…
こんなダメダメなSSですみません…
思いつきし勢いじゃあ駄目だと反省してます…
452名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 23:03:28 ID:AoUIXPLI
(・∀・)GJ!
隆士キュン怖杉がな。
453名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 23:27:45 ID:lI7jDGx3
白鳥さんのエッチ〜
454名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 23:28:06 ID:mmYtZiL2
(;´Д`)ハァハァ
かなりいいです。裸で待ってた甲斐がありました。
もしよかったら、これからも書いて下さい。
455445:2005/07/15(金) 23:36:18 ID:RZPSXrnF
予想以上に好評で良かったです。
ほとんど書いた事が無かったから不安でしたが…
また、時間があったら書かせていただきますね。
456お腹いっぱい:2005/07/15(金) 23:56:52 ID:0jh0nKiU
二連エロGJです…。

そしてそのあとに自分のを投下することになるとは、
神もお釈迦もなんとやら。

それでは落とします。
457In My Dream:2005/07/15(金) 23:57:51 ID:0jh0nKiU
私が見ているのは夢だろうか。
きっとそうなのだろう。
そうでなければ、こんなことは…。


私は鳴滝荘にいる。
夢の中でも現実でも、私がいる場所は変わらない。
私は鳴滝荘の管理人で、住人のみんなと仲良く暮らしている。
しかし、夢の中で私は時に私ではない“私”になってしまう。

“私”は、
強気になって暴れたり。
純粋で幼くなったり。
静かで不思議なことができたり。
服装に気を使うようになったり。

そんな夢の中の“私たち”は、いつも住人のみんなを困らせていた。
458In My Dream:2005/07/15(金) 23:58:39 ID:0jh0nKiU
現実でのある日のこと。
鳴滝荘に白鳥さんが入った。

それからだった。
夢の中の鳴滝荘でも白鳥さんが出てくるようになったのは。
しかし、“私たち”は、みんなだけでなく白鳥さんまで困らせるようになった。

夢の中とはいえ、そんなことをしてしまう“私たち”。
“私たち”は白鳥さんに嫌われるのではないかと不安になった。

それからも夢に白鳥さんは出てきた。

やがて白鳥さんも、私と笑うように“私たち”と笑えるようになった。
白鳥さんも“私たち”もとても楽しそう。
私まで、なんだか楽しくなった。
459In My Dream:2005/07/15(金) 23:59:59 ID:0jh0nKiU
そんな気持ちにさせてくれる笑顔と、
人を包みこむような優しさを持つ白鳥さんのことが、
私は子供の頃から好きだった。

いつもの夢の中、あることに気が付いた。
“私たち”も白鳥さんが好きだということ。
“私たち”それぞれに想いは異なるものの、好きという気持ちは変わらない。

それでも私や“私たち”は、その気持ちと、白鳥さんと一緒に居られる現状で満足していた。
それ以上を望むのなら、白鳥さんと私、“私たち”の関係、
そして私の中の何かが、壊れるような気がしたから。

私はずっと、そう思っていた。
460In My Dream:2005/07/16(土) 00:01:15 ID:0jh0nKiU
鳴滝荘に白鳥さんが来てから初めての冬の、ある日のこと。
私は白鳥さんから告白を受けた。

「きみが好きだ」

私はとても驚いた。
そして、とてもうれしかった。
白鳥さんも、私を見てくれていた。

白鳥さんが変わることを望むのなら、私も変わろうと思った。

こうして私は、白鳥さんと恋人になり、私たちの関係は変わった。

しかし、同時に夢の中の“私たち”と白鳥さんの関係も変わってしまった。
夢で“私たち”は白鳥さんと恋人になっていた。

ただの不思議な夢のはずなのに、私は嫉妬していた。
461In My Dream:2005/07/16(土) 00:02:00 ID:0jh0nKiU
私から白鳥さんを奪おうとする、“私たち”が嫌いになった。
“私たち”が白鳥さんと仲良くしている姿に嫉妬してしまう、
小さな私自身が嫌いになってしまった。

白鳥さんは私に想いを告げてくれた。
現実には、“私たち”はいないから。

それなら、夢の中の白鳥さんは?
白鳥さんが好きなのは、誰?
私?
“私たち”?

白鳥さんは、答えた。
「僕が好きなのは誰でもない、梢ちゃんだよ。
でも、梢ちゃんだけじゃないんだ。
僕は梢ちゃんの中の、“梢ちゃんたち”もみんな含めて存在する、“梢ちゃん”が好きなんだ」
462In My Dream:2005/07/16(土) 00:03:31 ID:IjIBYoPU
白鳥さんは優しかった。
白鳥さんは、私を見ていたんだ。
“私たち”を見ていたんだ。

「梢ちゃんの中の“梢ちゃんたち”も、『梢ちゃん』なんだよ。
だから、決して自分を嫌いにならないで。
悩んで、苦しんでいる梢ちゃんは、僕は見たくないから。
梢ちゃんには、いつも笑っていて欲しいから」

私は勘違いしていただけだった。
“私たち”もまた、私であり、『私』だったのだ。

謝らなければ。
『私』に。

そして、『すべて』を受け入れてくれた、白鳥さんに感謝する。

私は一言、言った。
「ありがとう」、と。
463In My Dream:2005/07/16(土) 00:04:24 ID:IjIBYoPU
朝。

目が覚めた私は、さっきの白鳥さんは、いつもの夢だと気付いた。

だけど。
もし、夢ではなかったら。
現実でも、同じ事が起きたら。

そんなことを考えた。

白鳥さんは、あんなことを言ってくれただろうか?
それはわからない。
白鳥さんは、『私』を受け入れるだろうか?
それはわからない。

それでも、わかったことは、ある。
私は白鳥さんが大好きだ。
そして『私』が大好きだ。
まだ出せない、それ以上の答えは、これから出していけばいいと思う。


『私』は、いつも白鳥さんの側で、笑っていたいから。
464In My Dreamあとがき:2005/07/16(土) 00:06:09 ID:IjIBYoPU
『In My Dream』でした。

試しに短くてシリアスな話が書きたくて、
『梢ちゃんがこんな夢を見ていた』という設定で書いてみた次第です。
自分の未熟さ故に、表現がややこしくなってしまい、
意味不明な文章もあったことと思います。
今回試しに書いてみて、やはり私にはシリアスは向いていないということがわかりました。
部長を書いていた時より疲れました。

というわけで、次回はドタバタでいってみようかと思います。
465名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 00:08:52 ID:Bnb8jKmz
GJ!
言われてみれば白鳥君の恋人は他に4人もいるんだから、梢ちゃんの気持ちも複雑だろうな・・・。
466テイル:2005/07/16(土) 00:14:30 ID:4R1wTMv/
>>464
満腹さん……GJ!
美しい……美しいよ……って夢オチなのか!
<『いま、会いにいきます』、ただし主人公の妄想>みたいなっ!
……いや、比喩がヒドイか。
シリアス、というかこういう美しいSSが好きです。
「まほらば」の本質を描くのに一番最適な要素だと思うのです。
次回はドタバタですか……私の戯言は忘れて、自分の特性を最大限に生かしてやってください。

って、今日は三作品投下……しかも二つはエロときた。
今日はやめておこうか……前スレの六作品投下は奇跡だったが。
しかし区切りとしての「Y」は終わったけど、物語としての「Y」は終わっていない……
今回は、珠実ちゃんが完全ヒロインです。

まあ、それまで>>400-401で楽しんでてください。
467名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 00:20:01 ID:1A+Z6D+X
>>464
GJです!
梢ちゃんの語りって難しくて私はやったことないんですが、とても自然な感じに書けていると思いました。
シリアスな感じの作風も合っていると思います。…と、シリアスなものしか書けない人が言ってみました。
468名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 00:24:56 ID:fVFN1Va2
>>464
(´・ω・`)心の奥深くにズーンと来たわぁ。GJ!

>>466
(´・ω・`)続きが気になるがな。

(´。ω。`)課題がはかどらないがな。





(´・ω・`)本当ははかどってるがな。
469名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 00:30:33 ID:zEbNOVMy
エロがらみのネタでしかSS書けないよりもいいじゃないですか…。
新作になるごとにだんだんエロ濃度が上がっていってるよ。
とうとう妊娠ネタとか書いてるし…。

このまま行ったらどうなっちゃうんだろう。
470名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 00:38:00 ID:41MUXWcD
>>469
限界まで突っ走れ!(゚ー^)d
471名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 01:03:18 ID:zEbNOVMy
おっと、感想感想
>>464
苦手と言いつつ、しっかり書けているではないですか。
梢さんは感情を出しにくいので描写が難しいですね。
自分の持ち味を活かすのもアリですし、新たな分野を開拓するのもアリです。
いろいろ書いてみましょう。

>>470
これ以上突っ走るとついてこれなくなる人増えそうですorz
472名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 01:29:33 ID:2jlPpBM1
書きたいけどネタがない書き手が一名…
やっぱり知識が無いからか…
誰かキャラとシチュエーションください。
エロでも何でも。
473名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 01:56:54 ID:KyjES3CJ
2巻までしか読んでない俺から一つ提供しようか

白鳥×朝美で
おかーさん風邪で寝込んで仕方なく白鳥クンが内職手伝い
感謝の気持ちでイッパイな朝美ちゃんが白鳥クンにあ〜んなお礼やこ〜んなお礼を・・・
ってのはどうだい?
474名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 05:47:00 ID:/DhIXLpk
心は子供、体は大人(;´Д`)ハァハァ
たまらんシチュエーションですな
475名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 08:30:57 ID:Bnb8jKmz
>>473
せめて6巻まで読もう、な!
476名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 12:13:32 ID:vqj4+UsC
圧巻ベアーの中で騎乗位やったらすごい事になりそうな希ガス
477名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 12:49:43 ID:zEbNOVMy
>>472
人気はあるのに全然書かれないタチバナさんとかどうだろうか。
478名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 13:17:52 ID:fVFN1Va2
タチバナタンはあまりカプが無いからなぁ。
479ぐうたら:2005/07/16(土) 13:26:07 ID:Q2xXwTC1
>>477
よし、俺が12時までにタチバナさんSSを…ウソデスゴメンナサイ
480名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 13:29:54 ID:QsE5DOo+
タチバナ×クマタン激しくキボンヌ
481名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 13:35:27 ID:fVFN1Va2
>>480
クマタンと言う事はオナヌーでつか?
482名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 13:42:15 ID:4R1wTMv/
>>479
      r;ァ'N;:::::::::::::,ィ/      >::::::::::ヽ
.      〃  ヽル1'´        ∠:::::::::::::::::i
       i′  ___, - ,. = -一   ̄l:::::::::::::::l
.      ! , -==、´r'          l::::::/,ニ.ヽ
      l        _,, -‐''二ゝ  l::::l f゙ヽ |、 ぐうたらよ、ここはお前の嘘吐き場じゃねえんだ
        レー-- 、ヽヾニ-ァ,ニ;=、_   !:::l ) } ト
       ヾ¨'7"ry、`   ー゙='ニ,,,`    }::ヽ(ノ  書くなら「蒼」が出てからにするんだ
:ーゝヽ、     !´ " ̄ 'l,;;;;,,,.、       ,i:::::::ミ
::::::::::::::::ヽ.-‐ ト、 r'_{   __)`ニゝ、  ,,iリ::::::::ミ
::::::::::::::::::::Vi/l:::V'´;ッ`ニ´ー-ッ-,、:::::`"::::::::::::::;゙ ,  な!
:::::::::::::::::::::::::N. ゙、::::ヾ,.`二ニ´∠,,.i::::::::::::::::::::///
:::::::::::::::::::::::::::::l ヽ;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ /
::::::::::::::::::::::::::::::! :|.\;::::::::::::::::::::::::::::::/ /
483名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 14:08:26 ID:zEbNOVMy
暑くて思考がまとまらないんで4時までの作品の傾向を調べてみました。
それぞれのメイン回数。
カップリングの場合、対象になる人物を選別。

梢    ||||||||||||||||
早紀   |||||||
魚子   ||
千百合 |||||
棗    ||||
隆士   |
隆子   ||
桃乃   ||||
珠実   |||||||
沙夜子 ||||
朝美   ||||||||
J&灰   ||

部長   |
エローリ   |
銀    |
まひる  |
綾乃   |
ヨ〜   |
484名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 14:13:32 ID:zEbNOVMy
こうしてみると圧倒的に梢さんが多い結果に。
意外と検討してるのが朝美ちゃん。
出番のないわりに人気のある早紀ちゃんはともかく、
お珠も意外と頑張ってます。
逆に人気のわりに不振なのが棗。

白鳥くんは本人視点が多いためこのくらい。

チェック漏れ多いような気もするけど、参考までにどうぞ。
485機械科のメガネ ◆rRuPBniF0Y :2005/07/16(土) 14:15:34 ID:vqj4+UsC
>>483
乙です。隆子以外と少ないな。
486名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 14:35:45 ID:fVFN1Va2
棗、隆子、銀、部長のどれかをキボーン
487金色の破壊神:2005/07/16(土) 15:57:32 ID:2Vsup4gE
>>464
GJヨ〜!
まさに美しいですね・・・

>>466
気になって先物取引が出来んがな(´・ω・`)

とりあえず投下されるまで俟つヨ〜
488名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 16:03:30 ID:V9cA+X+1
>487
光になれぇぇぇっ!!
489名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 17:08:46 ID:DmJCIekl
エロだー何せエロの投下キボーン(死
くそぅ、自分の思考では鬼畜系しか思いつかんorz
490名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 20:10:37 ID:eC00oM/h
鬼畜でもいいじゃない
なんなら、書いてくれたら俺がフォローしようか。夢オチとか楽屋オチで(殴
491名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 20:23:02 ID:V9cA+X+1
   _ _
 〃  `ヾ
 ! ノノリ^)))〉
 !l>ロ゚ヮ゚ノロ<………
 !リと)水!つ
 ノ((く/_|>ノ
   し'ノ

492ぐうたら:2005/07/16(土) 21:21:17 ID:BW/jH7sJ
タチバナさんの髪の色ってどう表現すりゃいいよ?何色?
493名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 21:34:13 ID:Runj3F4v
藍色かな?
494名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 01:42:53 ID:7s1OUWVN
久々に静かな夜だなぁ。
今日は誰も投下しないで朝を迎えるのかなぁ。
495名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 07:59:58 ID:lcAd82b4
まぁ、こういう日もあるってことだな。
職人さんたちにはゆっくり休んで英気を養ってもらおう。
496名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 10:06:09 ID:8ujm5A2U
>>490  取り敢えず書いてみまつ。
多分鬱エンドになりそうだけどw
497金色の破壊神:2005/07/17(日) 11:52:14 ID:RiwGcTY/
いいコテ思いつかねorz

>>494
そんな日もあらぁ

DVD来たからそれ見ながら新作を考えるか・・・・・
498ぐうたら:2005/07/17(日) 13:10:08 ID:kh920e5i
書いてたタチバナさんSS消えたor2書き直す気力でねえ…
499名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 13:51:24 ID:7s1OUWVN
がんがって書き直しを汁!
500 ◆cj23Vc.0u. :2005/07/17(日) 18:00:58 ID:pxG6Y/Xy
こんばんは、久々の投下でございます。
今回のお話はちょっと変わった感じで、白鳥くんは出てきません。エロもありません。

どちらかというと、ほのぼの……かな?

なにはともあれ、本編へと行ってみましょう。
501ことばのいずみ:2005/07/17(日) 18:02:27 ID:pxG6Y/Xy
 
 
『蒼葉 梢さんへ

 はじめまして。
 あなたは今、幸せですか?』
 
 
「?」
 春が近づいてきた、二月のある日曜日。
「なんでしょう、この手紙……」
 私は自分の部屋で、軽くお掃除をしていました。
 白鳥さんや皆さんと一緒に出かける機会が増え、お土産や、その……白鳥さんから
プレゼントして頂いたものが、少しずつ、今では一杯増えていって。
 少し整理したほうがいいかなと、そう思ったのです。

 そんな最中に見付けた、一通の封筒。
 私がいつ買ったのか覚えていない、ちょっと難しそうな「武者小路実篤全集」に、それは
挟まっていました。
 切手の貼られてない封筒に入っていたのは、短い文が書かれた手紙。
 そして……
502ことばのいずみ:2005/07/17(日) 18:03:32 ID:pxG6Y/Xy
「あの、『紺野 棗』さんってご存知ですか?」

 最後に、ぽつんと私の知らない名前。
「えっ!?」
 炊事場でお菓子を食べていた桃乃さんは、その人の名前を出した途端、動揺したように
顔色を変えました。
「こっ、梢ちゃん、どうしてその名前を?」
「桃乃さん、ご存知なんですか?」
「いや、知っているというか、なんというか……でも、どうして梢ちゃんがその名前を?」
「あ、あの、お掃除したときに見付けた本の間に、こんな手紙があったんです」
 私は持ってきた本の間から封筒を取り出すと、向かいに座っていた桃乃さんにそれを
差し出しました。
「あたしが読んでもいいの?」
「桃乃さんも知っている方のようですし、内容としても問題無いかと」
「それじゃあ、ちょっと失礼して」
 そう言いながら、桃乃さんは封筒から先ほどの手紙を取り出し、軽く眺めました。
「へえ……『あなたは今、幸せですか』か」
 そう呟いて、桃乃さんがなんだか嬉しそうに微笑みます。
「桃乃さんは、紺野さんのことをご存知なんですか?」
「えっ? あ、うん。まあね。知らないこともないっていうか。
 それよりも梢ちゃん、ちゃんと返事を書いたほうがいいわね。この手紙の」
「お返事、ですか?」
「そう。届いた手紙には、ちゃんと返事を書かないと」
 桃乃さんはしみじみと言うと、手紙を封筒に戻して私に差し戻しました。
503ことばのいずみ:2005/07/17(日) 18:04:18 ID:pxG6Y/Xy
「でも、住所とかも何も書いてありませんでしたし」
「だいじょーぶ大丈夫。同じように手紙を本に挟んでおけば。
 そうすれば、きっとちゃんと返事も棗ちゃんに届くわよ。それに……」
「それに?」
「出した手紙の返事が返ってこないのは、寂しいじゃない?」
「……確かに、そうですね」
 季節の挨拶や友達への手紙に返事が貰えなかったり、その逆のことを考えると、
確かにそれは寂しいことです。
 一方通行のみのやりとりは寂しいですし……お互いのこころが通じるのは、
とっても嬉しいですから。
「ところで桃乃さん。紺野さんってどういう人なん――」
「あー、ストップストップ!」
 そこまで言った私を、桃乃さんが手で制しました。
「そんなに焦らない焦らない。
 きっといつか会える時が来るから、その日までのお楽しみにしよ?」
「は、はあ」
 桃乃さんがそう言うのなら、わかる日がちゃんと来るのでしょう。
「まずは返事を書いて、また棗ちゃんからのお返事を待ってみたらどうかな」
「そう……ですね。そうしてみます」
 お茶を飲みながらの桃乃さんの言葉は、いつものように優しくて。
「どう? 梢ちゃんも一緒に。バラさんがいいお茶貰ったんだってさ」
「あっ、いいんですか? それでは、私も頂きます」
「はいよっ」
 いつも以上に、穏やかな言葉でした。
504ことばのいずみ:2005/07/17(日) 18:05:30 ID:pxG6Y/Xy
 
 *

「ふぁ〜あ……あー、もうすっかりお日様が高くなっちゃって」
 部屋から出ると、メガネ越しに陽の光が目にぐっさりと刺さってきた。
 お昼前だから当たり前なんだけど、起き抜けに鋭いのが来るとさすがに参っちゃうわ。
「さてさて、小腹もスキマロだし何か食べておかないとね……って、おろ?」
 そう言いながら、食堂に向かおうとしたあたしの足下に何かが転がっているのに気付いた。
 これって、雑巾?
 つまみ上げてみると、まだ水分が含んであって使ってからそんなに時間が経ってないのがわかる。
 それでもって、廊下の先には転がったバケツとこぼれた水。
 梢ちゃん、やっちゃったのかな……
「あは、あはははは」
 起きたばっかりだってのに、さっそく何かが起きそうな予感がするわ。
「さて、早く腹ごしらえしときますか」
 一緒に騒ぐにも、やっぱり腹が減っては戦はできぬってね。
 こぼれた水をさっさと片づけると、あたしはバケツを手に食堂へ入った。
「あー、お腹へったー」
 そして、ドアを開けると……
「……?」
「ありゃ」
 梢ちゃんが、部屋中をおろおろと歩き回っていた。
505ことばのいずみ:2005/07/17(日) 18:06:18 ID:pxG6Y/Xy
「あ、えーっと、梢ちゃ――じゃなくて、棗ちゃん?」
「…………」
 頭の両端で結わえてある髪で判断して呼んでみると、棗ちゃんが食堂の片隅に後ずさりながら
小さく頷いた。
 これは、まだまだ怯えられてるわね……
「そんなに怯えなくたって大丈夫だってー、今日は何もしないからさ」
「…………」
 あっけらかんと言ってみても、棗ちゃんはやっぱり片隅で震えたまま。
 うーん……ここは、珠ちゃん直伝のアレを使ってみるかねー。
「ほらほら、棗ちゃん棗ちゃん、おいしい梅干しがあるんだけどなー」
「……!」
 冷蔵庫を開けて梅干しの瓶を取り出すと、棗ちゃんがビクッと震えてその瓶に視線を釘付けにした。
「ね、棗ちゃん、いっしょに食べよ?」

 カタカタ……
 カタカタカタカタカタカタ……

 にこっと笑いながら言うと、棗ちゃんの震えがどんどん大きくなって、

 とてとてとてとて……ぴとっ

「……た、食べたい……かも」
「はいはい」
 瓶越しに、あたしに擦り寄ってきた。
506ことばのいずみ:2005/07/17(日) 18:07:47 ID:pxG6Y/Xy
「はい、棗ちゃんの分ね」
 お皿に五個の梅干しを取り分けて、棗ちゃんにそれを差し出す。
「……!」
 すると、ぱあっと顔をほころばせながら嬉しそうに梅干しを頬張り出した。
 すっぱそうに顔をしかめるんだけど、それはやっぱり幸せそうだった。
「んじゃ、あたしもいただきますっと」
 それでもって、あたしが作ったのは梅干し茶漬け。
 ただご飯に梅干しとお茶漬けの素を乗っけてお湯をかけただけだけど、寝起きには
さっぱりしたものがいいしね。

 ずるずるずるっ

 んー……酸っぱい!
 梢ちゃんが選ぶのはいつも酸っぱいけど、梅干しの風味が口の中にいっぱい広がるから
食べ応えがある。
 さすがは梅干し選定名人の梢ちゃんってとこかな。
「どう? 棗ちゃんも食べてみる?」
「……?」
 お茶碗を差し出してみると「いいの?」という風にあたしの顔を見上げる。
「いいのいいの、美味しいものはいっしょに食べたら、もっと美味しいからね」
「……い、いただきます」
 小さく、ささやくような声で言うと、まるでリスのようにちまちまとお茶漬けを食べ始めた。
 ……か〜〜〜〜っ! かわえ〜〜〜〜〜〜〜っ!
 いやホントに小動物みたいだってば! いつもの大和撫子な梢ちゃんもいいけど、こういう
でらかわいい棗ちゃんもラブリーっすよ!
 眼福で幸せになりながら、あたしはもう一つの幸せを感じていた。
507ことばのいずみ:2005/07/17(日) 18:09:03 ID:pxG6Y/Xy
 こうやって、棗ちゃんもちょっとずつ馴染んできてくれてるっていうこと。
 前は名前も教えてくれなかった程だけど、白鳥くんが来てからはちょっとずつ、本当に
少しずつ、こうやってあたしたちと接する機会が増えてきている。
 ホント、白鳥君様々だわね。
「ところで棗ちゃん、さっきは何かあたふたしてたけど、何か探してたの?」
「…………」
 箸の先をくわえつつ、棗ちゃんがちょこんと頷く。
「もしかして、白鳥くん?」
「……珠実さんが、隆士くんは……お出かけって言ってた……かも」
 あー、そういや昨日そんなこと言ってたっけ。
「そっか。それじゃあ、珠ちゃんか誰か探していたの?」
 その問いにも、棗ちゃんはふるふると首を振る。
 ということは……なんなんだろう。
「……探し物……かも」
 探し物?
 その言葉が、あたしの心のどこかで引っかかる。
 ……もしかして。
「探し物って、梢ちゃんへの手紙?」
「!」
 いつもはぼうっとしている棗ちゃんの目が、あたしの言葉に反応して見開かれる。
「あ、いや、たまたま知ってただけでね? 梢ちゃんがそう言ってたから」
「……恵さんは、梢さんのこと……知ってるの……かも?」
「えっ?」
 期待が込められた、棗ちゃんの眼差し。
 それは、どこか切実なものに見えた。
508ことばのいずみ:2005/07/17(日) 18:09:44 ID:pxG6Y/Xy
「う、うん。まあね。知ってるというか、なんというか……」
「…………」
 ――それ以上の答えを、この子は期待している。
 でも、あたしが今それを言うわけにはいかない。
「棗ちゃんは、どうして梢ちゃんへの手紙を書いたのかな?」
 だから、少しピントを外した話題を棗ちゃんに振ってみることにした。
「……鳴滝荘のみんなが……私のこと、そう呼ぶことがある……から……
 でも……私は、その人に会ったことがなくて……ここに、いるはずなのに……」
 ああ……
「……だから……知りたかったの……かも」
「……そっか」
 あたしたちの言葉から生まれた、ひとつの疑問。
「棗ちゃんは、梢ちゃんに会ってみたかったの?」
「……そう……かも」
 それが、どういうことかを知りたくて。
「……いつも、会いたくても……会えなかったから……
 だから……書いてみた……かも」
 梢ちゃんにも、自分を知って欲しかったんだ……
「……でも……どこにあるか……わからなくなって……」
「手紙が?」
 こくんと、元気なく頷く棗ちゃん。
 お茶碗と箸を置いて見上げるその瞳は、少し潤んでいた。
509ことばのいずみ:2005/07/17(日) 18:10:33 ID:pxG6Y/Xy
「大丈夫よ、棗ちゃん」
「……?」
 そっと頭を撫でてあげると、棗ちゃんは小さく首を傾げて見せた。
「その場所だったら、あたしがちゃんと知ってるから」
「……ほんと?」
「うん、ホントホント。この桃乃さんにまっかせなさい!」
 ――少しぐらい、あたしが橋渡しをしてもいいよね。
 白鳥くんや珠ちゃんに申し訳なく思いながら、あたしはドンと自分の胸を叩いた。
「さ、思い立ったが吉日。早く探しにいこっ!」
「っ!?」
 あたしが棗ちゃんの手をそっと握ると、彼女は目を見開いて、
「…………」
 だけど、ほっとしたように小さく頷いて見せた。

「おじゃましまーす」
「……おじゃまします……かも」
 思ったとおり、梢ちゃんの部屋には鍵がかかっていなかった。
 まあ、ここにその張本人の別人格な子がいるわけで。
「えーっと、確か本棚って言ってたはずだけど」
 どの本に挟んだって言ってたっけ。
『はぁ〜りぃふぉっくす』じゃなくて……『デゼニワールド』じゃなくて……『サラダの国のトマト姫』
でもなくて……
 確か、もーちょっと小難しいタイトルだったような?
「あっ」
 こつんと、指にハードカバーの感触。
 背表紙に『武者小路実篤全集』と書かれたそれを、手にとって開いてみる。
510ことばのいずみ:2005/07/17(日) 18:11:39 ID:pxG6Y/Xy
「あった!」
「あ……」
 梢ちゃんがあたしに見せたときと同じ白い封筒が、ちゃんとそこに挟まっていた。
「ほら、棗ちゃんこれ! この封筒でしょ!」

 ぽんっ!

 あたしがそう言うと、棗ちゃんは頭から花を咲かせながら大きく頷いた。
「はい棗ちゃん、仕舞うときはちゃんと自分で覚えときなさいよ」
「……うん」
 封筒を受け取った棗ちゃんは、大事にそれを抱きかかえるとほうっと息をついた。
 そして、中身を確かめるように封筒を開けて手紙を広げる。
「……!」

 ぽぽぽんっ!

 あれ?
 目を通したと思った瞬間、棗ちゃんの頭に咲く花の数が一気に増えた。
 これって、とても嬉しいってことだって白鳥くんが言ってたような……
「おーい、棗ちゃん?」
「っ!!」
 ぽうっとしていた棗ちゃんに声をかけると、彼女は嬉しそうにあたしにその手紙を見せてきた。
 ……へえ。
「お返事、来てたんだね」
 棗ちゃんの文の下に、梢ちゃんの筆跡で返事がちゃんと書かれていた。
「!」
 頷いたその表情は、今まで見た棗ちゃんの笑顔の中でも一番の笑顔だった。
511ことばのいずみ:2005/07/17(日) 18:12:59 ID:pxG6Y/Xy
 そりゃ、嬉しいに決まってる。
 自分の伝えたいことが、相手にちゃんと届いたんだから。
 いくら遠くに離れても、いくら会うことが出来なくても……
 一番「言葉」が欲しかった人から、返事が来たんだから。

 棗ちゃんが喜びの花を咲かせているのを見ながら、あたしはあいつから初めて手紙が来た日の
ことを思い出していた。

 ――よかったね、棗ちゃん。

「また返事を書いたら、きっとまた返事が来るわよ」
 百パーセント正しいことかはわからないけど……
「……うんっ!」
 この笑顔が見れて幸せだって、あたしは思いたい。。
512ことばのいずみ:2005/07/17(日) 18:13:38 ID:pxG6Y/Xy
『蒼葉 梢さんへ

 はじめまして。
 あなたは今、幸せですか?

                 紺野 棗


 紺野 棗さんへ

 初めまして。
 私は今、みんなと一緒にいられて幸せです。

                 蒼葉 梢 』


 ――蒼葉 梢さんへ。



<ことばのいずみ/終>
513 ◆cj23Vc.0u. :2005/07/17(日) 18:15:56 ID:pxG6Y/Xy
――というわけで「ことばのいずみ」でした。
この二人のやりとりというのは結構珍しいのではないでしょうか?

とある映画を見て、このお話の切っ掛けを得ました。
「手紙」というのはよく使われる手法ですが、相手に伝えたいことがあるときには
一番いい手段だと思い、今回使ってみることにしました。

いろいろと拙い部分はあるかと思いますが、何かありましたらご意見など宜しくお願い致します。


それでは、またいつかお会いしましょう。
514テイル:2005/07/17(日) 18:23:41 ID:zijAGdo9
>>513
GJ!感動系ですな。しかし、この手法が残っていたとは……不覚。
SSとしては珍しい桃乃視点、頑張っているなっちん、
武者小路実篤とか読んでいる梢ちゃん、色々(゚∀゚)イイ!です。
特に締めが良かったと思います。
良ければ続きキボン、なんて。

さて、こちらも続編が大詰めを迎えてます。
珠実に加えて『あの人』が格好良いです。
今晩中に投下できれば……

いや、昨日があれだから絶対投下しないといけないのかな……
515テイル:2005/07/17(日) 19:08:50 ID:zijAGdo9
それでは、昨日出来なかったことを、今やっておきます。
早めの投下ですが、そこは勘弁を。
いつ投下できるか分からないですから……

では、どうぞ。
516Y(1):2005/07/17(日) 19:11:08 ID:zijAGdo9
「ふわぁ…………」
眠い。
時刻は既に丑三つ時。
何でこんな時間に起きたんだろう。
分からない。
廊下をトコトコ歩く。

と。

「…………?」
何だろう。
遠くから、物音……
いや、人の声……

管理人室?
まさか……
泥棒か、何かか?

玄関の方向に向かう。
声もはっきりしてきた。

―――――あっ、あっ、あっ――――――

恐らく、泥棒ではないな……
そう思いながら。
管理人室の扉は、僅かに開いていた。
中を覗き見る。

そこには。
517Y(2):2005/07/17(日) 19:11:52 ID:zijAGdo9
「あっ、あっ、あっ、あっ……」

喘ぎ声を上げる梢ちゃん。
淫らな音が響く。

そして。
見てしまった。

梢ちゃんの全てを。
若い身体の全てを、無心に貪っている―――――


――――珠実ちゃんを。
何と、胸が綺麗に無い。


……
………
何故?

「はぁ、はぁ、はぁ……部長の魔法も、やはり、使えますね〜……
 男の人って、こんな、こと、して、はぁ、んですねぇ……
 こんな、ことなら、白鳥さんに、使わないで、自分にかけておけば、良かったです」

梢ちゃんは、
梢ちゃんの『真実の愛』は、
僕だけのものだ。
そう、思っていた。

でも、それは幻想だった。
518Y(3):2005/07/17(日) 19:12:31 ID:zijAGdo9

「やめ、もう、らめ、たまみ、ちゃ、ああ、ああ!!」
「梢ちゃん!そろそろイクですよ〜」
「ああっ!!」
「梢ちゃん!梢ちゃん!」


あれか……
あの魔法か……
いつか、僕に降りかかった災難か。
忘れかけてた傷。
思い出したくない疵。
それが、こんな形で甦った。
僕は、呆然として『有り得ない情事』を見ていた。
何故?
どうして、珠実ちゃんが、梢ちゃんを?
僕達の関係を知っていて、敢えて?
部長さんの魔法の力を借りてまで、そんな事を―――――

何故?
どうしてだい、珠実ちゃん―――――――

そして。
僕は、このまま力に屈服していいのか?
僕は――――――

519Y(4):2005/07/17(日) 19:13:19 ID:zijAGdo9



「……ふう」
私は、梢ちゃんとのひとときを終えて、自分の部屋に戻る。
「男の身体になる、というのも、案外悪くなかったですねぇ」
言って、私はドアノブに鍵を差し込む。

あれ?
おかしい。
開いている―――――?

私は、中にいる<誰か>に気を集中させ、部屋に入った。
一体、誰が――――
泥棒?
あるいは――――

「―――――やあ、珠実ちゃん」
「――――白鳥、さん―――――」

そこには、白鳥さんがいた。
服装が黒主体だったためか、部屋に溶け込んでいた。

「――どうして、私の部屋に、いるですか?鍵を、かけたのに」
「―――君達が勝手に開錠出来るレベルの鍵だよ?
 僕だって、ピッキングぐらい、出来るさ」
「犯罪ですね。通報しましょうか」
「それが君の言えた台詞かい?」
「…………」
私は、ただ、沈黙するしかなかった。
520Y(5):2005/07/17(日) 19:14:32 ID:zijAGdo9
恐らく。
あるいは確実に。
白鳥さんは、さっきの事を、知っている――――――

「で、珠実ちゃん」
「―――――なん、ですか」
「男の身体になった気持ちは、どうだい?」
「………」
答えられない。
いつもの、饒舌が出てこない。
体が、言うことを利かない。
「……それ、は」
「梢ちゃんの身体を抱いた感想は、どうだった?」
「…………しらと、さ」
「どうしたの?いつもみたいに僕を言いくるめないの?」
「…………」
「そして、どうしてそんな事をしたの?」
「…………それは」
ようやく、口から言葉が出た。
むしろ、吐いたような感じだ。
胸が、苦しい。
それもそうだ。
私は、禁忌を犯してしまった。
その魔法を以て。
仮初めでしかない、ナイフを使って。

「――――私だって、梢ちゃんが、好きなんです。
 私にだって、梢ちゃんを抱く権利は、あります」
「―――権利?」
521Y(6):2005/07/17(日) 19:16:08 ID:zijAGdo9
「です。少なくとも、私は梢ちゃんを、誰よりも長く、誰よりも深く、愛していました。
 いくら白鳥さんが梢ちゃんの初恋相手であっても――――
 それが、梢ちゃんの長年の夢であったとしても―――――
 そして、あなた達が恋人同士であっても――――
 私には、権利がある。梢ちゃんを、抱く権利があるんです」
「―――珠実ちゃん、それは子供の論理だよ。ただのワガママだ。
 誰よりも長く愛していたから抱ける?それじゃあただのストーカーと同じだよ。
 梢ちゃんを愛していたのなら、梢ちゃんの幸せを願っているのなら、
 
 どうして、梢ちゃんを傷つけるような真似をするんだい?」

「…………」
そう。
私は梢ちゃんを傷つけた。
梢ちゃんの、心を汚した。
私のナイフで。
仮初めの、そのナイフで。
それは、どんな凶器の傷よりも、深くて、消えない――――
でも。

「――――私は、梢ちゃんを傷つけた、とは、思っていません。
 梢ちゃんだって、私の事が好きなんです。それは昔から変わらないです。
 だから、梢ちゃんも、受け入れてくれました。それは、事実です」
そう。
梢ちゃんは、受け入れてくれた。
私の、この身体を。
だから、そんな事は、ない―――――
522Y(7):2005/07/17(日) 19:16:57 ID:zijAGdo9
「そっか」
白鳥さんは、そう言って。
「じゃあ―――――」
私との距離を縮めて。
「――――和解は無い、わけか」
私の目の前に来て。

「それじゃあ、梢ちゃんを守るために、僕が頑張らなきゃ」

どす。
523Y(8):2005/07/17(日) 19:17:45 ID:zijAGdo9
―――――――え?

今のは、何?
お腹が、熱い――――
あるいは、冷たい。
痛くは、なかった。

ああ、私は刺されたのか。

力が段々抜けていく。
視界が、傾いて、いく。
白鳥、さんが、斜めに、見、える。
「どう、して――――」
「どうしてって」
白鳥さんは、冷たい声で言う。

「自分の大切な人を守るのに手段を選ばない事の、何がおかしいって言うんだい?」

ああ――――
それは、いつか私が言った言葉。
白鳥さんに、言った言葉。
それが、こんな形で返ってくるなんて。

いや。
むしろ、私はこうなる運命だったのかもしれない――――

524Y(9):2005/07/17(日) 19:18:39 ID:zijAGdo9




「――――――――!!!」
私は、飛び起きていた。
「―――――また、あの夢―――――」
また、あの夢を見た。
夢が、段々長くなっていく。
今回は、白鳥さんに刺されるところまでだった。
「――――どうして、私が、こんな夢を―――――」

人は何故夢を見るか。
諸説あるらしいが、その中の一説で「自分が潜在的に持っている欲望」が現れるらしい。
ならば。
私の欲望は、そういう事なのか――――――
馬鹿馬鹿しい。
そんな事が、あって―――――

いや、あるのだろう。

「――――少し、外に出ますか」

眠りたくない。
ふっと思いついたのが、それだけだった。
眠ったら、また、白鳥さんに、殺されそうだったから―――――
また、傷を作ってしまいそうだったから――――――
525Y(10):2005/07/17(日) 19:19:35 ID:zijAGdo9

私は、縁側に出た。
夜の空は、晴れていた。
満月が、不気味なぐらいに明るかった。
この位置なら、時間的に、1時を過ぎたぐらいか。

ふと、私はさっきの夢に簡易して思考してみる。
私は――――
私は、白鳥さんを、どう思っているのだろう。
恋心、ではない。
敵対心、でもない。
かといって、親友、は違う。
あるいは。
恋敵――――なのか。
私から、梢ちゃんを奪っていった人。
それは事実だ。
でも、正鵠を得ていないような気がする。
どこか、憎めない。
母性本能をくすぐる、と言うのだろうか。
あの人は。
あの人は――――――

言葉が、思い付かない。
恐らく、夢を引きずっているのだろう。
私らしくない。
だけど―――――――――

「……珠実ちゃん?」
「…………!!」
526Y(11):2005/07/17(日) 19:20:19 ID:zijAGdo9
私が振り向くと。
そこに、白鳥さんがいた。
―――――気付かなかった。
いつから、そこに、立っていたのだろう。
あまりの突然さに、言葉が出ない。
「どうしたの珠実ちゃん?すごく、思い詰めた顔をしているけど……」
「……しらと、さ」
「何か、嫌な事でもあったの?ここ最近、元気が無かったから――――――」
白鳥さんは、心配そうに私の顔を見る。
その瞳は。
どこまでも、暗くて、私を優しく包み込みそうで―――――

なんだ?
何ですか、この人は―――――
どうして、こんなにも。
どうして、こんな私に。
どうして、あんな笑顔で。
やめて欲しい。
そんな眼で私を見ないで欲しい。
私にその資格は無い。
そんな眼で見られる資格も、笑顔を受ける資格も。
そして――――――

「―――――――て」
私は、立ち上がって。
「?珠実ちゃん?」
白鳥さんに、向いて。
「―――――どうして」
心の疑問を、ぶつけた。

「どうしてあなたは―――――そんなに優しいんですか?」
527Y(12):2005/07/17(日) 19:22:48 ID:zijAGdo9
「……珠実ちゃん?」
泣きたかった。
もう、どうにでもなれ。
私は論理が分からない子供だ。
今や倫理も分からない。
「どうして、白鳥さんはそんなに優しいんですか?分からないです。
 私は、いつも白鳥さんに意地悪ばかりしているのに――――――
 梢ちゃんを守るためとか言ってますけど、詰まる所あなたが憎いだけなのに。
 それなのに、あなたは、いつも、ただ静かに笑っているんです。
 私は――――
 
 私は、あなたが分からない。

 いろんな意地悪をされても、笑っていられるあなたが、分からないです」
「分からないって―――――」
「だから、分からないんですよ!どうしてそんなに笑顔なんですか!?
 梢ちゃんという大義名分を振り回している私に、どうして怒らないんですか!?
 どうして!?ねえどうしてですか白鳥さん!?」
「珠実―――ちゃ」

私は、とうとう爆ぜた。
何がなんだか分からない。
気付いたら涙も出ている。
ところで涙って何?
こんな私が。
全てを成せる才能を持つ私が。
こんな私でも、もっているものだったっけ―――?
528Y(13):2005/07/17(日) 19:23:57 ID:zijAGdo9
「…………」
白鳥さんは、しばし考えて。
そして、結論を出した。

「分からない」
「―――――!!」
「分からない。けど、珠実ちゃんは嫌いじゃないよ」
「白鳥さん――――――!!」
一体全体何なんだ。
嫌いじゃない?
何で、そんな、大それた事を――――――
「――――どうし、て」
「だから、分からない。でも、自然と笑っちゃうんだ。
 僕は、別に珠実ちゃんに意地悪されたなんて思っていないよ。
 鈍感な僕に対して檄を入れてくれる珠実ちゃんの存在は、すごくありがたいんだ。
 それに―――――珠実ちゃんは、本当は優しいから」

え――――――――?

「私が、優しい――――?」
「そうだよ、珠実ちゃんは優しいよ。こんな駄目な僕を認めてくれて、笑ってくれて。
 そして何より、梢ちゃんのために毎日頑張っている。
 自分の才能を、自分のためでなく、梢ちゃんのために使っている。
 こんな事、優しくなければ出来ない事だよ?
 だから――――――珠実ちゃんは、優しい」

そうか―――――――
この人は、絵描き。
少し鈍感だけど。
この人には、才能がある。
529Y(14):2005/07/17(日) 19:24:33 ID:zijAGdo9
対象の全てを、描く才能。
相手の本質を、見抜く才能。
だから―――――こんな事を。
でも。
白鳥さんの言葉は、私の心に、静かに沁みて。
心が、少し温かくなって――――――

「―――――そうですか」
私は、そっと呟いた。
「だから、梢ちゃんも――――――」
「梢ちゃんが、なんだって?」
「何でもないです〜」
私は、白鳥さんに、そっと微笑んで。
「―――ありがとうございます、白鳥さん」
「え――――?僕、何かやった?」
「い〜え〜」
やっぱり、この人は鈍感だ。
でも、そこがいいのだろう。
「おやすみなさいです、白鳥さん」
「あ―――うん、おやすみ、珠実ちゃん」
そうして、私は白鳥さんと別れた。

嵐は去った。
でも、胸に、何かが抜け落ちたような、虚脱感を感じた。
梢ちゃんが白鳥さんを愛している今。
私は、一人ではないが。
とても、寂しかった―――――――



to be continued.......
530ヘブン:2005/07/17(日) 19:27:30 ID:RiwGcTY/
よし、これでいいや
>>513
感動ッス
こういうの見てると創作意欲が涌いてくるヨ〜
531Y(トリアエズナカガキ):2005/07/17(日) 19:28:17 ID:zijAGdo9
中書きです。
まだ終わっていないから。

珠実ちゃんのTSネタは、このスレでTSネタが登場した頃からありました。
珠実ちゃんが梢ちゃんを犯す。考えてみれば思い浮かびそうですが、
今まで無かったですから……
でも、いい流れが思い浮かばなくて――――
最初に思いついたのは、刺された後そのまま夢オチで終了とか、
珠実が自殺未遂やったりとか色々暗かったりします。
まあ、結局この流れで決着しましたが。

まだ、終わりませんよ?
この流れのまま、続編投下です。
532―Over―(1):2005/07/17(日) 19:31:04 ID:zijAGdo9
『人生は何が起こるかわかりません。
逆に言えば、些細な事で人生はドラマになる。』
裏を返せば、他力本願と言います。
何と言うか、人間は矛盾が好きなようです。





あれから二週間。
私は、ぼうっとして日常を過ごしていた。
まるで、人形のように。
操られているかのように。
少なくとも、生気は無かった。
生きる事は大仕事だ。
一人で生きる事は余計に難しい。
そんな事を、突きつけられたような気がして。

寂しかった。
私の側には、梢ちゃんや白鳥さん、鳴滝荘のみんながいても。
私だけを見てくれる人は。
私の側にいてくれる人は。

私の大切な人は、そこにはいなかった―――――
533―Over―(2):2005/07/17(日) 19:32:06 ID:zijAGdo9

春の足音が大きく聞こえてきた頃。
日曜日の昼下がり。
私は、ぼんやりと、縁側に座っていた。
いつもは賑やかな鳴滝荘も、今日は珍しく静かだ。
(その理由の半分が私にある事を、このときの私は知らなかったりする)

あの日の出来事を反芻する。

……
なんとなく、無駄な気がして、やめた。
過去を振り返っても何も始まらない。
そこにあるのは虚構だけだ。
そうこうしていると――――

「何ぼんやりしてるのよ」
「――――桃さん――――」
そこに、桃さんがいた。
けらけらと笑っていた。
「珠ちゃんらしくないわね〜、そんなんじゃ梢ちゃんが心配しちゃうわよ?」
「……ですか〜?」
「たまには散歩でもしてきたら?いい気分転換になるわよ」
「……そうするです」
言って、私は立ち上がった。
確かに、たまには散歩もいいかもしれない。
534―Over―(3):2005/07/17(日) 19:33:19 ID:zijAGdo9
「……珠ちゃん」
「……何ですか、桃さん」
桃さんは、少しためらっていたが。
「何か……あったの?」
「…………」
どうしよう。
あの日の事を、言うべきか。
でも。
私もこれ以上、桃さんの世話になってはいけない。
「…………」
「……そっか」
私の心中を察したかのように。
桃さんは、静かに呟いた。
「言いたくなければ、言わないでいいわよ」
「……どうも、です」
言って、私は玄関に向かう。
結局、世話になってしまった。
人生、持ちつ持たれつという奴か。
この借りは、いつか返しておこう。
ありがとう、桃さん。
あなたは、最高のお姉さんです。
535―Over―(4):2005/07/17(日) 19:34:03 ID:zijAGdo9

と言うものの。
外に出てみたものの、特に変わらない。
外を歩く人々は楽しそうだ。
みんな、それぞれの春を謳歌している。
それは、実感できる、仮初め。
私には、程遠いものだった。
散歩したって、恐らく何も変わらないだろう。
そんな事を、思っていた。
それは、いつか感じた感覚。
小さい頃、自分は灰色だと思っていた。
それに、似ている。

私は、何だ?
私は、何で、結局、何なのだ?
哲学みたいに莫迦な質問だろう。
でも、私は、解らなかった。
私の名前は茶ノ畑珠実だ。
でも、頭は、それを、実感できなくて―――――
無性に、寂しさを覚える。
自分は、孤独だ。
そう言わんとばかりに。
心が、自分を、締め付けてくる。
それを振り切ろうとしても。
私は、出来なかった。
それは、愛する事への恐怖。
それは、失う事への畏れ。
536―Over―(5):2005/07/17(日) 19:34:58 ID:zijAGdo9
ああ、私は結局、何も知らないんだ。
梢ちゃんばかり眼が行っていたから。
いざ、自分がするとなると、足がすくんでしまう。
その先に、足が進まなかった――――


いつの間にか、近くの公園まで来ていた。
「……入ってみますか」
この公園も、都心にしてはやや広い。
どうしてこうして、こんな広い土地を確保したものか。
丁度いい時間なのに、人影は少なかった。
春を目前にしているが、まだ肌寒い。
広場を歩いていくと、そこに。

「――――――あ」
「――――――あれ」

そこには。
白鳥さんの友人。
記憶が正しければ―――翼、さん―――がいた。

537―Over―(6):2005/07/17(日) 19:35:49 ID:zijAGdo9



「あ〜あ」
何やってるんだろう、俺。
どうして、学校が終わってから。
どうして、双葉台で降りてしまったんだろう。
「……何だかんだ言って、麗子さんに未練があるのかねぇ、俺は」
我ながら情けない。
年の瀬のあの日。
俺は、あの人に、決着をつけた。
お幸せに、と。
そう告げた。
それで、おしまい。

おしまいの、はずだった。

それからも、俺は足を運んでいた。
あの日以来、俺は麗子さんに会う事は出来ず。
白鳥の家で会った、中学生の女の子と話したりもしたが。
やっぱり、俺の心は、麗子さんに向いていた。
未練がましい。
俺はそう呟いて、いつもの公園へと踏み入れた。

いつもの公園。
いつものベンチ。
俺の指定席。
公園通いも、俺の日常の一部と化していた。
「あ〜あ」
俺は、大きくため息をついた。
「……麗子さんに、また会えないかね〜」
538―Over―(7):2005/07/17(日) 19:36:42 ID:zijAGdo9
あと、一度だけでいいから。
それは、恐らく叶わない願い。
それは、絶対に交わらない運命。
乗り越えられない壁。
俺は、結局、ため息をつくだけだった。

そのとき。
足音がした。
麗子さん?
まさか?
そして、俺の目の前に現れたのは――――――


「――――――あ」
「――――――あれ」

俺の目の前に現れたのは。
麗子さんではなく、プチ銀先生だった。
どこか、寂しげな表情をしている。
いつか、鳴滝荘で見た、あの覇気は、無かった。

とくん―――――

何故だ?
何故だろう?
俺の、錯覚だろうか。
この子を、抱きしめてやりたいと、思った。
この子の、側にいてやりたいと、思った。
何故だ?
もしかして。

これが――――『愛しい』という感情なのか?
539―Over―(8):2005/07/17(日) 19:37:39 ID:zijAGdo9



それは、正しく予想外だった。
「どうして――――」
何故、ここにいるのだろう。
全く、人生とは不思議なものだ。
賽の目よりも分からない。
「あなた――――どうしてここに」
私は、予想外の出会い人に、静かに訊いた。
白鳥さんの話では、この人は、もっと遠くに住んでいるはず。
では、何故。
「ああ――――叶わぬ出逢いを待っていた、と言えばいいかな」
彼は、そう答えた。
叶わぬ出逢い?
この人にしては、随分と詩的な事を言う。
螺子の1本でも外れてしまったのだろうか。
「へぇ……最近の専門学校生も、暇なものですね」
「……まあな」
私の声には、張りが無い。
今の私を、この人は、どう思っているのだろう。
ふと、気になった。
それを、確かめたくなった。
「…………あの」
ふと、気分転換になりそうな事を思いついた。
いつか一度やってもらったけど。
今回は、真面目に、やってもらいたくなって――――

「―――暇なら、私のスケッチを描いてもらえますか」
540―Over―(9):2005/07/17(日) 19:38:10 ID:zijAGdo9

「――――あ?お前の?」
予想外、とでも言いたげに、彼は訊き返してきた。
「そうです、他に誰がいるというのですか」
「まあ……確かに、そうだな」
そう、それは気まぐれ。
いつかの梢ちゃんみたく、私のスケッチをしてもらいたかった。
私の、スケッチ。
私だけを見て欲しい。
梢ちゃんに眼が移るのは、嫌だ。
私は、私だ。
「さっさとお願いするです〜。美術学校生なんだから、スケッチブックぐらい、
 持っているでしょう?」
「ああ、これがなきゃ授業にならないしな」
「変に書かないで下さいですよ〜?この前みたいに……」
「……解ってるって。俺も、あの時の俺じゃない」

あの時の俺じゃない?
この人も、変わっていってるんだ……
その言葉が、妙に私の心に痛かった。


鉛筆を走らせる音だけが響く。
先程の会話から、既に30分余り。
お互いに、沈黙していた。
何か、気まずい。
モデルというのも、疲れる仕事だ。
まあ、言い出したのは私なのだけど。
541―Over―(10):2005/07/17(日) 19:38:42 ID:zijAGdo9
「……あの」
「何だ?」
「……書きあがったら、私に見せてくださいです」
「……分かった」
また、沈黙が支配する。
普段からあまり出会う事も無い人だ、当然なのかもしれないけど。
何か、嫌なムードだ。
事態を打開したかったけど、私にその力は無かった。

さらに30分が過ぎて。
「……よし、こんなものかな」
「見せて―――下さい」
「ああ、いいよ」
彼は、私にスケッチブックを手渡す。
どんな顔をしているのだろう。
今の私は。
恐らく、つまらない顔。
人生に、疲れた顔をしているのか。
目的の半分は、それを確かめるため。
結果は見えている。
どうせ、悲しい顔か、変な方向のデッサンになっているはずだ。
そう、思っていた。
スケッチブックを見る。

「――――――――――!!これは!!!」

542―Over―(11):2005/07/17(日) 19:39:40 ID:zijAGdo9
そこに、悲しい顔は無かった。
スケッチブックに描かれた私は、静かに微笑んで、広場に佇んでいた。
優しい瞳。
穏やかな表情。
心に―――――沁みてくる表情。

綺麗な、私が、そこにいた―――――――

「――――――どう、して」
「ああ……」
彼は、いともさらりと言う。
「絵描きってのは、常にありのままを描くわけじゃねえんだ。
 相手が悲しそうな顔をしている時は、微笑んだ顔を描いてやる。
 そうすれば、自然とモデルの心も穏やかになるんだ。
 ……まあ、銀先生の受け売りだけどな……って、お……」

「――――っく―――――」

泣いていた。
私は、泣いていた。
今までに溜まっていたものが、一気に溢れた。
そうか――――――
私が求めていたものは、こんな所にあったのか。
梢ちゃんが白鳥さんの絵を大事にしていた訳が分かる。
今なら、判る。
私も、こんな、人が、欲しかったのかもしれない―――――
そのとき。

「……大丈夫か」
543―Over―(12):2005/07/17(日) 19:40:57 ID:zijAGdo9
彼は、私の頭を撫でた。
「泣いている女の子を放って置くのは、俺の主義に反するんでね……
 泣きたいなら、たくさん泣けよ。俺の胸を貸してやるから。
 
 俺が――――――お前の側にいてやるから」

「………ふぇ、ふぇ」

もう、いいんだ。
わたしは、もう、肩の荷を降ろしていいんだ。
だから――――――

もう、いいよね?

「うわああああああああああぁぁあぁぁぁ!!!!!」

私は、彼の胸の中で、泣き続けた。
彼は、何も言わず、抱きしめてくれた。

誰もいない公園で、私の泣き叫ぶ声だけが、響いた。
春の足音が近い、寒い日の夕方―――――
私は、一つの山を乗り越えた。
そして―――――――
私は、『大切な人』に、出会った。

544―Over―(13):2005/07/17(日) 19:41:43 ID:zijAGdo9



四月のある日。
「じゃあ梢ちゃん、ちょっと言ってくるです〜」
「うん、行ってらっしゃい、珠実ちゃん」
「行ってらっしゃい、珠実ちゃん」
「あら、珠が一人なんて、珍しいわね」
「たまにはこういう日もあるです〜」
私は、久々におめかししている。
化粧なんて何年振りだろう。
「―――――ああ、梢ちゃん、白鳥さん、それにみなさん」
「?なあに、珠実ちゃん」
私は、最高の笑顔で、言った。

「ありがとうございますです!」

私は、あの人に会いに行った。


「しかし、何だ……珠の奴は。臭うナ」
「お母さん、珠実お姉ちゃんもデート?」
「……さあ、どうかしら……」
「まあ、でも、持ち直したわね」
「そうですね、珠実ちゃん、本当に元気になってよかった。ねえ、梢ちゃん」
「はい!」
鳴滝荘は、今日も、笑顔が溢れている。
545―Over―(14):2005/07/17(日) 19:42:44 ID:zijAGdo9




日曜日。
双葉台駅。
午前9時。
普段ならこの時間は寝ているのに、何故俺は起きているか。
何故俺はこんな所にいるのか。
答えは簡単。
今日はデートだからだ。
と、そんな事を考えていると。

「お待たせです〜、翼さん」
「……おはよう、珠実」

ちょっと前まで『プチ銀先生』とか呼んでいたのに、『珠実』か……
人生、何が起こるか分からないものだ……
「何をしているですか〜、さっさと電車に乗るです〜」
珠実はというと、いつもの小悪魔な笑顔で俺と腕を組んでいる。
可愛い。
愛しい。
その笑顔も、大切な、宝物。
一年前なら、他のお姉さんにかまけていたのに、今では自然と珠実にしか眼が行かない。
俺も、随分と成長したものだ。
546―Over―(15):2005/07/17(日) 19:43:32 ID:zijAGdo9

「……なあ、珠実」
「なんですか〜?」
「愛してる」
「……………」
珠実は呆けた顔をして。
「……何を今更な事を言うですか〜、こんな公衆の面前で〜」
ぷぅ〜、と頬を膨らます珠実。
そんな怒っている仕草も可愛らしい。
「何だよ、嬉しくないのかよ」
そう言い返すと。
「……嬉しい、です」
珠実は、今までになく照れて。

「……私も、愛してますよ、翼さん……世界で、一番」


なあ、白鳥……
これが、『真実の愛』という奴なのかな……
もしかしたら、お前と大家さんみたいな、最高のカップルになれるかな……
だったら。
俺も、珠実との時間を。
珠実と一緒に過ごす、その一瞬を。
大事にしていけたら、いいな………

白鳥。
ありがとう。
俺は、珠実の、太陽になってやるから――――――
547―Over―(16):2005/07/17(日) 19:44:20 ID:zijAGdo9

若者は、感謝をしました。
ひとつは別れに。
ひとつは出逢いに。
ひとつは親友に。
ひとつは恋人に。
ひとつは神様に。

そして、もうひとつは、彼女といるその『一瞬』に。

「翼さん〜、早く行くです〜」
「―――ああ、珠実」

新しい、二人だけの物語が、始まった。



<<True Love Story>>is started.
548ヘブン:2005/07/17(日) 19:48:09 ID:RiwGcTY/
>>516-547
ちょっ珍しいカップリングかと思いきや感動系GJ!!

珠実×翼は無いと思ってたのに意表をつかれた(・∀・)
549―Over―(アトガキ):2005/07/17(日) 19:49:32 ID:zijAGdo9
というわけで、「Y」と「Over」でした。如何でしょうか?
「Over」は>>400-401では未公開の部分でしたが、こんな感じです。
……流れは「エローリ×みっちゃん」のようですが、敢えて珠実をぶつけました。
何か、これが「真実の愛」だと思うんで。
邪道かもしれませんが、個人的に王道です。

二つ合わせて30レス相当。長い。よく打ったな……
そして予告しておきます。
次回作は「SS」ではなく「小説」として頑張りたいと思います。
「まほらば」ならではの「恋物語」が書ければと思っています。
勿論、大長編覚悟で。
それでは。感想・批判・ご意見どんどんどうぞ。
550ぐうたら:2005/07/17(日) 20:12:23 ID:Ckg/hSXN
ウワアアアアアアアアアン!!!
エローリ(ぐうたらは死んでも翼と呼ぶつもりはないようです)のスケッチのところで涙腺が…
GJ以外に言葉がみつからねえ…
551名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 20:19:16 ID:J2JPfbZs
……ま、私はSSを読んでいるつもりはない。
立派な「小説」ですよ。
552名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 20:19:29 ID:7s1OUWVN
やはり昨晩の静けさは嵐の予兆であったか。

>>513
乙&GJ!
まさかそんな手法を用いるとは思ってもいなかったがな。

>>531
乙&VGJ!!
珠が刺された時はホンマにびっくりしたがな。
夢落ちじゃなかったら俺が氏んでたがな。

>>549
乙&GJ!!
珠×翼と言う意外なCPをSS化するとは流石がな。

>>自分
(´・ω・`)こんなレスしとる暇があるなら、課題やれがな。
553名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 20:21:32 ID:dp927r9M
ぐっじょぶデス。
最近エロばっかり書いてる私ですがやっぱり青い恋愛ってのはいいですねえ。
このところ、珠実人気が急上昇なんでいい傾向です。
珠実可愛いよ珠実。
Dupe書き終わったらまじめにエロなしで書こうかな?

と言いつつ、夏風邪引いて俺の体はボロボロだって感じです。
せっかくの連休がorz
554名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 20:27:03 ID:IK/L7E7P
>>549
お疲れさん。
つってもごめん、今なんか長文読める精神状態じゃな(ry

あかん、夏の暑さでぺっこりグロッキーや。
ってここは俺の日記帳じゃな(ry

>>498
俺も昨日気が付いたら呼称マトリクス表が消えてt
いや、ここにいる皆さんはそんなのなくても書けるんだろうけどアニメ垂れ流しながら取ってたのに。
って、ついでに汎用セリフ表もうぼぁー。だめだこりゃ
555名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 20:34:53 ID:ErYdnpmt
おはつ〜書き込みは、はじめて、これからよろしく。

>>513
GJ!
手紙とは考えもしなかった。

>>516-547
GJ!
まじで感動した。

>>ALL
文章うまくなくても落としていいのか?
完成したら落としてみたいのだが・・・















556ヘブン:2005/07/17(日) 21:07:15 ID:RiwGcTY/
テイル氏に触発されて珠実SS執筆中♪

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
―――私は何になら熱中出来るのだろうか
どうすればこの胸の虚無は消えるのだろうか・・・・・

SS「タイトル未定」こうご期待?
557名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 21:10:04 ID:xtLISFhp
>>513 GJ、GJです!!ここのところ
卑猥な妄想ばかりしている濡れの心が一気に洗われましたヨ
>>549 テイル氏、GOD JOBです!
新しい展開が何とも言えないぐらい最高ッス!
良作ラッシュで昇天シてシマいそウでスヨ、ククッ・・
>>555  555(GO!GO!GO!)
558名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 21:23:47 ID:oOpxznCP
みんなすげーな。
俺も何か書いてみたいが、どうもキャラを殺したくなってしまうんだよな。
559お腹いっぱい:2005/07/17(日) 22:07:07 ID:/PA6XVtM
>>513
ほんわかぬくぬくですよ!GJ!

>>549
GJです!
感動しました。まさかこの二人をくっつけるとは…。
十分立派な「小説」です!

「小説」といえば、じつはそれを題材にした短篇を書いたんですが、
投下したほうがよろしいでしょうか?
それとも今日はもうお腹いっぱいでしょうか?
560名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 22:19:15 ID:dp927r9M
一口にSSっていっても「ショートストーリー」と「サイドストーリー」って
意味があるからなー。
ところで長編ってだいたいどれくらいのものになるんだろう?
561ヘブン:2005/07/17(日) 22:27:56 ID:RiwGcTY/
珠実話完成ヨ〜・・・・
けど、疲れたから投下はまた今度で・・・・いい?
562名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 22:33:43 ID:YAbzdv+6
勿論ですよ。ゆっくりと休んで下さい。
いつかは分からないですが楽しみにしてます。
今日はお疲れ様でした。
563名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 22:36:12 ID:J2JPfbZs
長編……短篇で6000文字ぐらいだから、18000文字ぐらいかな?
564ヘブン:2005/07/17(日) 22:43:32 ID:RiwGcTY/
>>562
どうもありがとヨ〜
でも、最後の力を振り絞り投下開始・・・・・
565ヘブン:2005/07/17(日) 22:44:18 ID:RiwGcTY/
―――私は何になら熱中出来るのだろうか
あの日、白鳥さんが梢ちゃんに告白して以来、私の胸には虚無が渦巻いている。
梢ちゃんとの関係が悪くなったわけではない。
だが、白鳥さんに梢ちゃんを奪われた、時々そう考えてしまう。
これは私の自分勝手な想いだ。それは分かっている。分かっているはずなのに・・・・・。

何度もこの想いを捨て、梢ちゃんの幸せを願おう、そう決めたのに。
私は未だにこの想いを捨てきれずにいた。
親友として梢ちゃんの側にいることは出来る。
だが、私はもっと梢ちゃんの近くへ、果ては恋人の様に隣に寄り添いたい。

「はぁ・・・私は一体何になら熱中できるのでしょう・・・」
ため息を付きゲームセンターを後にする。
店の前にいたちびっ子にクレーンゲームでしこたま取ったぬいぐるみを上げ、半泣きの店の店長を尻目に。
566ヘブン:2005/07/17(日) 22:44:40 ID:RiwGcTY/
そんな私の前に眼鏡をかけた変な三人組が現れた。
「ややっ、あなたはあの時・・・・」
「あ、姐さん、お茶でもどうすか?」
「もちろん僕たちのおごりです!」
・・・・一体何なのだろうか
「マ゛ー私は忙しいのです。そんなことに付き合ってる暇なんてないです〜」
彼らは食い下がってきたが相手にせず街をブラブラする。
いつもと変わらないこの風景が何だか違って見えるのは私の心境せいでしょうか?
そして、公園のベンチに腰掛け考えに耽る。
今までの私は、梢ちゃんを愛し梢ちゃんの幸せだけを考えてきた。
・・・・けれど、今の梢ちゃんには白鳥さんがいる。
彼は私が最も欲し最も焦がれたものを手に入れた。
だからといって彼を憎むことも出来ない。
いっそのこと彼を憎めればまだマシなのかも知れない。
だが、彼は優しかった。あの時も優しく私に一緒に梢ちゃんのために頑張ろう、そう言ってくれた。
恐らく彼も梢ちゃんと同じくらいぬくぬくな部分があるのだろう。
567名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 22:45:14 ID:ilNjLFeR
>>559
どうぞご自由に〜。
漏れはキャラごとに別腹だからw
568ヘブン:2005/07/17(日) 22:45:19 ID:RiwGcTY/

私は太陽に手を伸ばした。
私はこの太陽を掴んだ気でいたのだ。
あの太陽の様に明るい少女の心を。

私は太陽にかざした手を握ってみた。
あの宇宙に浮かぶ太陽を掴むかのように。

「私・・・・何やってるんでしょう・・・・・」
気がつけば私の目には涙が溢れていた。
止め処なく溢れる涙を、今の私は止められなかった・・・・・。

気がつけば天気は雨になっていた。
今の私の心をそのまま映し出したように。
「――――――ッ」
たまらず私は泣き出した。
さきほどまで止めようとして涙を、感情のままに流している。
降り出してきた雨にも構わず泣き続ける。

雨に打たれ顔を埋め泣いている私はもはや壊れそうだった。

「珠実ちゃん、どうしたの!?ずぶ濡れになって」
そんな時だった、彼に声をかけられたのは
569ヘブン:2005/07/17(日) 22:46:01 ID:RiwGcTY/
私は顔を上げ彼を見る。
すると彼はさらに慌てた様子で
「珠実ちゃん泣いてる・・・の?」
彼は続ける。
「どうかしたの?僕で良ければ相談に乗るけど・・・・」
私の隣に座り彼は自分の傘に私も入れ雨に濡れないようにする。
「どうして・・・・どうして何ですか?」
「え?」
「どうしてあなたはそんなに優しいんですか?」
私は問う。以前私は彼に「あなたが憎い」と言った。
その気持ちは今でも少し残っている。
彼は一瞬戸惑った後、こう答えた。
「誰かに優しくしたりとか誰かを助けたりとか、そんなに理由はいらないと思うんだ。」
私は息を呑んだ。
「上手く言えないけどさ、僕は今まで色んな人に助けてもらったんだ。それは両親だったり、学校の先生だったり
通りすがりの人だったり。
だからさ、僕も誰かの力になりたい、助けてあげたい、そう思うようになったんだ。
理屈とかで言えば変なのかも知れないけどね」
彼は少し照れて笑っていた。
そしてこのとき改めて気づいた。
こんな人だからこそ梢ちゃんは彼を好きになったのでは・・・と
「だったら・・・・・」
私は小さく呟いた
「私も・・・助けてくれます?」
「もちろんだよ、僕で良ければ」
彼は笑顔だった。
それを見て私は彼の胸に飛び込んだ。
「た、珠実ちゃん!?」
「今だけ・・・今だけで良いんです・・・」
一瞬の沈黙の後彼は答えた
「・・・今日だけだよ」
570ヘブン:2005/07/17(日) 22:46:46 ID:RiwGcTY/
それを聞くと私は声を上げ泣き出した。
「うわああああああっああああっ!」
そんな私を彼は優しく抱きしめてくれた。
「っく・・・ひっく・・」
私が泣きやんでも彼は私を包んでくれていた。
「あっ、珠実ちゃん、雨が上がったよ」
見上げると雨は上がっていて太陽が輝いていた。
そして、私達は帰路についた。

「・・・・白鳥さん」
「何?珠実ちゃん」
「えへへへ・・・・」
不敵に笑い、私は白鳥さんの頬にキスをした。
「え、え、ええええ?!」
「さっきのお礼です〜」
いつもの笑みを浮かべ私はかけだした。

―――この人ならきっと梢ちゃんを幸せにしてくれる
         なら私はそれを今度こそ見守っていよう―――

そう思ったとき私の胸に渦巻いていた虚無が消えた、そんな感じがした。

「梢ちゃんを悲しませたら許さないですよ〜」

<Fin>?
571あとがきヘブン:2005/07/17(日) 22:49:36 ID:RiwGcTY/
テイル氏に触発され自分の感じるままに書いたものなのでおかしなところもあるやも知れませんが
温かい目で見てくだされば嬉しいです。
感想、批評等お待ちしてます。

では、課題もあるし疲れたしこの辺で・・・・

「ちょっと待つです〜・・・」
ほへ?
「何ですかこのお話は?」
いや、そのてか何で君がここにいるの?
「光なるです〜っ!」
作者は光となって消えた
572567:2005/07/17(日) 22:54:38 ID:ilNjLFeR
            __  -―  ̄ ̄ ` ―--  _
         , ´ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: /~  ̄" ー _
       _/......./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:::::::::.:::::::::.:: :::.........` 、
      , ´ : ::::::::/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::/:::::::: : ,ヘ ::::::::::::::::::::::: : ヽ  
   ,/:::;;;;;;;| : :::/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:、/::::::::::::: ● ::::::::::::::::: : : :,/
  と,-‐ ´ ̄: ::::/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:::::r(:::::::::`'::::::::::::::::::::::く    
 (´__  : : :;/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/::::::::`(:::::::: ,ヘ:::::::::::::::::::::: ヽ
      ̄ ̄ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:::::::::::::::::::: :●::::::::::::::::::::::: : : :_>
        /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/::::::::::::::::::::::::: `' __:::::::::-‐ ´  

正直スマンカッタ・・・。
GJ!!
573書き忘れ:2005/07/17(日) 22:57:39 ID:ilNjLFeR
それにしても、みんな珠実泣かしたいんだなw
574名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 23:00:43 ID:YAbzdv+6
心温まるいい物語でした。なんか、これぞ「まほらば」みたいな感じですかね。

珠ちゃん、ヘブンさんを消さないで(´・ω・`)
いい職人さんなんだからね。お願いしますよ。

ヘブンさん。もしよかったら、これからも投下して下さい。楽しみにしてます。
575お腹いっぱい:2005/07/17(日) 23:00:54 ID:/PA6XVtM
>>571
うわああああああっああああ!
GGGネタがわかる人は、このスレに何人いるのでしょうか?
なにはともあれGJです。

>>567
なるほど、別腹ですかw
でもやっぱり、今日はマジメ作品(?)ラッシュみたいですから、
私のふざけたヤツの投下はやめておきますね。
576名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 23:02:40 ID:dp927r9M
うーん、いい感じですよ。
…でも、タイミングが悪かったかもしれないですねえ。
ここのところ珠実ものが多かったせいでかぶり気味なのが残念なところです。


>>573
今のところ明示された幸せがないから…一番不幸といえるかもしれないし。
泣かせても、明るい未来へ進ませたい、そう思う作者心。
577名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 00:56:53 ID:CqfavWJy
>>571
乙でした。ぬくぬくでいい話でしたよ。
>>549
GJ!&乙です。
しかし、先越されてしまいました・・・orz
まあ、自分の力量が足りなくて、完成できなかったのがいけないのですがね。
その為新しいSSを書こうと思うのですが、その際「冬の終わり」の設定を
一部使いたいのですが、よろしいでしょうか?
578名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 06:27:08 ID:sPnI6Wya
さて、OCNグループ、書き込みはおろか閲覧すら規制されてるようですけど。
579名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 08:06:03 ID:g3gyvedb
>>549
すっげーーー、特にYのほうの白鳥君が最高!
いままでみた作品の中で一番白鳥君らしさを感じた気がするっす!
ってか珠実の心理描写もめちゃウマ!GJ!

>>571
こっちも(・∀・)イイ!! 珠実ちゃんのの切なさがきっちりかかれててGJ!
最後のキスに萌えw
580名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 10:18:10 ID:6vOHtN2g
シンプルな文体と、句読点を多用したことによる畳みかけるような展開・…
そのくせ、余韻も持たせて広がりをみせる

作品に取り込まれたよ、秀逸だ!

続きに期待。
あ、あと表現技法の使い方もナチュラルでかっこいいなぁ
581名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 10:21:54 ID:6vOHtN2g
>>580あ、誤爆です。ぬるぽしてくださいな
582名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 10:25:32 ID:8SCydWMZ
      _          、   ,’
 ―=二_ ミ`\ l   ,.;* ;;’, ∧_∧
        ヽ  /    . ;:,   ∩#)´Д)∴;’ >>581
 . , "ヾ _ /   /// ,;’, ;'”   i´ヽ _つ‘', ;: *
  / ,'´  ,、 ヽ/ //i  ヽ_  ` + /L_ノ ’,.';
  l i ,ノノリ^)))〉 //l|    < *'(__) ’;:,`;
  i l >ロ゚(フノロ<//   ノ ̄ + ;     '    *
 ノw'Oi)゙v'f/ // |l \
    く/_|j〉            がっ
   . `-'ヽ_)
583名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 10:30:52 ID:8SCydWMZ
大量のSS、職人さん乙です。
今週は珠実ちゃんデーですね、どれもよかったです。
梢ちゃんと棗ちゃんの手紙、ぬくぬくしました…かも

      (○)
      ヽ|〃 ポン☆
584黒百合:2005/07/18(月) 11:15:33 ID:9qXqNTCi
どうでもいいが漫画の4巻20話で桃野さんが車運転してたけど
あれ浜辺でお酒飲んでたから、飲酒運転なんじゃ・・・
585名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 12:56:05 ID:gGZaPiYf
飲んで何時間か置いて酔いを覚ましてから乗れば問題無いでしょ。

それより黒百合さんsageませんか?
586名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 13:45:42 ID:3P9Xl+ZT
それとあまり書き手以外のコテは…
587テイル:2005/07/18(月) 15:40:14 ID:XYtH0/c4
屍姫の第一巻と「蒼」が待ちきれない俺が来ましたよ(スレ違いスマソ)
「Y」「Over」感想レスどうもでした。

>>563
短編で6000……うそ……
あの、「MIW」とか……8000、だったり、するん、です、けど……

よし、18000か、頑張るぞーorz

>>571
触発されたはいいけど、そこまで被ったか……
もう少し時間をずらせば良かったのに……
内容はGJでしたよ。次に期待してます。

>>577
どうぞどうぞ、俺の微妙なSSの設定を使い潰してくださいな。
でも、『由起夫=朝美の祖父』の設定でどう書くんですか……すごくギモンです。
作品投下待ってますよー。
588名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 16:23:27 ID:VigbL4hL
ちなみに私も計算してみました。

・恋のマホウ [24263文字]
・Simple [10635文字]
・We'd get there someday [33193文字]
・Angel Dust [1348文字]
・勇気のマホウ [5362文字]
・ミドリノアクマ [2286文字]
・Desire [25196文字]

なるほど…これくらいで長編なのか…
ってWe'd〜は長いと思ったけど33000も行ってたのね。

>>テイル氏
とりあえず参考までにどうぞ。
ど根性〜。
589テイル:2005/07/18(月) 17:00:52 ID:XYtH0/c4
色々調べたら、最長が「AIR」の9830文字……

いやあ、俺のって扱いでは短編〜中編クラスだったんだ……
SSとしてなら適当な量なんだろうけど。
世界は広いなぁ〜……次は頑張らなきゃ……orz

あ、次の作品は、ズバリ「アレ」です。いつか書きたいと思っていたネタです。
(この辺は前スレとか覗いてみれば……)
……ああ、この辺にしておきます。後で何と言われるやら……
590名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 17:09:48 ID:QwkMq2MG
小節の場合だったら、20枚以下が短編、長編だと150とか200かなぁ。
改行とかあるから単純な比較は出来んと思うが
591名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 17:38:01 ID:vl40Neu9
7レスくらいが短編で、
それ以上が長編でいいんじゃないか?
592ヘブン:2005/07/18(月) 18:12:20 ID:NuARcdfB
>>587
あうぅ・・・確かにずらせば良かったですね
次はその辺も考慮して書きますね
593ヘブン:2005/07/18(月) 19:12:56 ID:NuARcdfB
ガチャポンを14回やった人が書き忘れたことを書きに来ましたよ(結局狙ってたヤツ一個未入手orz

>>587
色んな意味で被りすぎてましたね・・・・
いや、ホント申し訳ないっす(><)

>>588
凄い・・・・そんなに長いの書けるなんて

関係ないけどヨ〜ちゃん話が書きたいヨ〜
けど、あんましアイディア無いなorz
594シヌ:2005/07/18(月) 20:09:52 ID:9b73Diu3
            〜MAHORABA〜
             〜マホラバ〜
            THE・FANTASY
ストーリー
騎士、シラトリ はコズエ姫が治める国、「ホシウメ」 の騎士だ。だがコズエ姫はブチョーと名乗る人物にさらわれてしまう
どの騎士もがブチョーを恐れ助けに行こうとはしなかった・・ただ一人を除いて・・・・・

メインキャラクター
リュウシ・シラトリ(19)
ホシウメ城のロイヤルガード。実力はさほどないが、火事場のバカ力でピンチを切り抜ける。
女装癖と妄想癖があるらしい(証言者:タマミ)本人は激しく否定。コズエ姫がさらわれたのを聞き、立ち上がる。

タマミ・チャノハタ(16)
黒き衣服に身を包んだ元暗殺者。コズエ姫に会ってからは彼女の為に戦うことを選んだ.
実力はかなりのもので、姿と気配を完全に消すことができる
気弱なリュウシをあまり快く思ってないがコズエがさらわれたのとリュウシの決意を聞き共に助けに行く
ブチョーに以前に暗殺を試みたのだが倒されてしまった
武器は暗器(短剣、針など)

メグミ・モモノ(20)
ネコっぽい獣人。反射神経と嗅覚のよさは暗殺者のタマミをもしのぐ。道中で出会うことになる
武器は鋭い爪 タマミとは出会ってすぐ仲が悪くなる

ユキオ・ハイバラ(年齢不詳)
自称賢者。右手に魔犬を封印している。とくに目立たず、なにかをするわけでもないが、魔犬の力は強大

アサミ・クロサキ(12)
手乗りサイズの妖精。コズエとは面識があるらしく、リュウシ達と共に行動する
唯一魔法が使える

サヨコ・クロサキ(年齢不詳)
アサミの母親。ボーッとしているがその本気の力は・・・・
595シヌ:2005/07/18(月) 20:10:56 ID:9b73Diu3
            〜MAHORABA〜
             〜マホラバ〜
            THE・FANTASY
ストーリー
騎士、シラトリ はコズエ姫が治める国、「ホシウメ」 の騎士だ。だがコズエ姫はブチョーと名乗る人物にさらわれてしまう
どの騎士もがブチョーを恐れ助けに行こうとはしなかった・・ただ一人を除いて・・・・・

メインキャラクター
リュウシ・シラトリ(19)
ホシウメ城のロイヤルガード。実力はさほどないが、火事場のバカ力でピンチを切り抜ける。
女装癖と妄想癖があるらしい(証言者:タマミ)本人は激しく否定。コズエ姫がさらわれたのを聞き、立ち上がる。

タマミ・チャノハタ(16)
黒き衣服に身を包んだ元暗殺者。コズエ姫に会ってからは彼女の為に戦うことを選んだ.
実力はかなりのもので、姿と気配を完全に消すことができる
気弱なリュウシをあまり快く思ってないがコズエがさらわれたのとリュウシの決意を聞き共に助けに行く
ブチョーに以前に暗殺を試みたのだが倒されてしまった
武器は暗器(短剣、針など)

メグミ・モモノ(20)
ネコっぽい獣人。反射神経と嗅覚のよさは暗殺者のタマミをもしのぐ。道中で出会うことになる
武器は鋭い爪 タマミとは出会ってすぐ仲が悪くなる

ユキオ・ハイバラ(年齢不詳)
自称賢者。右手に魔犬を封印している。とくに目立たず、なにかをするわけでもないが、魔犬の力は強大

アサミ・クロサキ(12)
手乗りサイズの妖精。コズエとは面識があるらしく、リュウシ達と共に行動する
唯一魔法が使える

サヨコ・クロサキ(年齢不詳)
アサミの母親。ボーッとしているがその本気の力は・・・・
596シヌ:2005/07/18(月) 20:12:00 ID:9b73Diu3
間違えて2回書いちゃったすいません
597ぐうたら:2005/07/18(月) 20:55:02 ID:3P9Xl+ZT
>>596
596ーさん…クッ…って前スレでもこれ言ったな。
とりあえずsageよう、まずはそれからだ
598濡れはOCNだった:2005/07/18(月) 20:56:08 ID:FiqgnCJz
ニョキニョキニョキ〜森乃進ふっか(ry
>>571 GJ!白鳥君の優しさが伝わっってきた
599名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 21:07:21 ID:PVIpE2Pg
>598
イ`
600シヌ:2005/07/18(月) 22:10:45 ID:9b73Diu3
ぶっちゃけ俺>>596の知り合いです・・・つーか展開速いです

MAHORABA
第一話「〜決意〜」

この平和な町―ホシウメーこの町は一人の女の子によって治安が守られていた。
名は―「コズエ」。17歳でホシウメの最高権力者となった可愛い女の子だ。
そしてコズエの城にはコズエを守る為、騎士達がいた。

騎士A「おーいィ〜シラトリィィ!!」
シラトリ「なんだよ・・・」
騎士A「今城の前を可愛い女の子が通ってたぜ〜」
シラトリ「はいはい・・・・」
騎士A「あとさ〜姫ってやっぱりかなり可愛いよな〜」
シラトリ「えっ・・・あ・・そうだね・・・(///)」
騎士A「チラっとしか見た事ないけどさ〜やっぱりめちゃくちゃ可愛かったな〜。
いいよなお前はさ〜ロイヤルガードだからいつでも姫を見放題だもんな〜弱いくせに」
シラトリ「悪かったね・・君も仕事サボって女の子見てないで仕事しろよ・・」
騎士A「なにを言うか!平和過ぎて仕事もクソもあるかぁぁぁ!!この青春を仕事で無駄にできるかぁぁぁ!!」
シラトリ「それはそうだけど・・・」
???「バカ言ってんじゃないです〜ひねり殺しますよ〜」
シラトリ&騎士A「ハッ!?」
シラトリ「タマミちゃんか・・・(いつのまに・・・)」
タマミ「相変わらず失礼な言い方〜」
シラトリ「そんなことないって!(汗)」
騎士A「・ ・ ・ ・ ・」
タマミ「どこいくです〜エロガッパ〜」
騎士A「い・・・え何処にも・・・」
タマミ「ならこっちに調教を受けるです〜」
騎士A「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!」
シラトリ「ハハ・・・」
601シヌ:2005/07/18(月) 22:12:14 ID:9b73Diu3
この子はタマミちゃん。元々、姫を暗殺しに来た暗殺者だったんだけど姫に一目ぼれしちゃったらしくて
今は護衛にいる変わった子。

タマミ「私のことを勝手にナレーションしないでくださいです〜」
シラトリ「ヘっ!?(な・・なんでわかったんだ!?)」
タマミ「元暗殺者をなめないでください〜」
シラトリ「暗殺者は心読めるわけじゃないだろ・・・それはタマミちゃんが電p・・」
タマミ「シラトリさんも調教をうけますか〜?」
シラトリ「い・・いえ!けっ結構です!」
タマミ「それは残念〜」
シラトリ「・・・・・」

-----10分後-------
シラトリ「大丈夫・・・?・・・じゃないよね・・・」
騎士A「し・・死ぬ・・・」
シラトリ「もうタマミちゃん行ったから大丈夫だよ・・・」
騎士A「そうかぁ・・・・・・」

 夜―

騎士A「でも・・・本当に平和だよな・・・」
シラトリ「たしかに平和だけど・・・なんだか嵐の前の静けさって感じが・・・」
騎士A「・・・・・?」
シラトリ「なんだか嫌な予感がするんだ・・・・」

ヴァガァァァッァ!!!
602シヌ:2005/07/18(月) 22:14:06 ID:9b73Diu3
シラトリ&騎士A「!?」
シラトリ「姫の部屋の方からだ・・・!行かなくちゃ!!」
騎士A「おっ・・・おい!!」

バガン!!シラトリが姫の部屋のドアを思いっきり開いた
シラトリ「なっ・・・・・・」
そこには一人の女に持たれたコズエと、倒れている騎士達、そして跪くタマミの姿があった
コズエ「シラトリ・・・・さん・・・」
タマミ「・・・・ブチョー、なんでコズエちゃんをさらうんです!?」
ブチョー「ククク・・・アなたに話す理由ナドありマセン・・」
タマミ「なら力ずくです!!」
シラトリ「タマミちゃん!その怪我じゃ・・」
タマミ「シラトリさんは黙っていてください!!あなたじゃブチョーは倒せません!!」
そういうとタマミちゃんは音も立てず姿を消した
タマミ「行きますよ!!」
ブチョー「ククク・・気配断ちなドしてモ無駄デス・・・・エロイムエロイムエッサイム・・・」
タマミ「呪文を唱える前に殺してやるです!!」
するとタマミちゃんは一瞬にしてブチョーの前に現れ短剣をブチョーの首にさした
ブチョー「クスクス・・・」
タマミ「!?」
603シヌ:2005/07/18(月) 22:14:27 ID:9b73Diu3
タマミちゃんの前にいたはずのブチョーはタマミちゃんの後ろにいた。
ブチョー「死ニなさイ」
タマミ「ああっ!」
シラトリ「タマミちゃん!!」
ブチョー「では・・サヨならデス・・・」
シラトリ「待て!!」
ブチョー「フフフ・・・・」
するとブチョーは煙となって消えた・・・コズエ姫もろとも・・・
タマミ「くそぉぉぉ!!」
シラトリ「タマミちゃん・・」
タマミ「私は守れなかった・・・コズエちゃんを・・・・」
シラトリ「・・・・・・・・行こう」
タマミ「え・・・」
シラトリ「姫を助けに・・・僕は絶対に姫を助ける・・」
タマミ「・・・当然です・・でも・・」
タマミ「弱いあなたがそんな事を決意するとは思いませんでした・・・」
シラトリ「僕は姫を守る為に騎士になったんです・・・だから・・」

   ―姫を絶対に助けるー―
                       1話 終了

604シヌ:2005/07/18(月) 22:15:15 ID:9b73Diu3
最初の言葉は気にしないでください
605名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 22:29:33 ID:aP2+gGF3
珠実並の毒舌が来る前に行っておくけど、sage進行でおながいします。
やり方はメール蘭にsageと書く。

SSは期待している。頑張ってくれ。
606シヌ:2005/07/18(月) 22:33:59 ID:9b73Diu3
はい
607名無し症候群>黒百合:2005/07/18(月) 22:44:11 ID:9qXqNTCi
>>585
それもそうでした、ゴミン
>>586
俺がSSを書いたらいいのか!?orz
か、書けないYO−
次から名無しできまつ
608名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 23:14:44 ID:/aH6BnaU
>>606
結構面白い!
GJだよ!
609577:2005/07/18(月) 23:17:18 ID:CqfavWJy
>>587
どうもありがとうございます。
では、完成次第投下しにまいります。
>>606
乙です。騎士Aってあの人の事ですよね
610ぐうたら:2005/07/19(火) 00:08:04 ID:QLuSa/qq
さて、投下しに来ましたヨー。
今回の投下分を二倍楽しむ方法〜
・脳内・リアル問わずに米倉千尋さんの『さくらのうた』を流せばいいジャジーラ。

それでは、『The last moment』中編-c、投下ぁ〜♪
611The last moment 中編-c 1/5:2005/07/19(火) 00:09:31 ID:QLuSa/qq
「話…?」
「ええ…」
静かに口を開く千百合ちゃん。
「とっても、とっても大切な、話です」
「………」
「私、は…」
「私は…男なんて、大嫌いでした。いつも野蛮で下品なことを考える、とても卑しい生き物でと、そう思っていました。でも、」
そこでもう一度僕をじっと見つめ、
「でも、あなたと出逢えた」
微笑んだ。
「隆ちゃんに初めて出逢った時は、とっても可愛い女の子だと思っていました」
「女の子…だろうね、そりゃ、女装してたから」
ハハ、と笑う僕。
それに応えるように千百合ちゃんも微笑む。
「次に逢った時も、いい印象ではありませんでした」
「次…ああ、冬だね。確かにあまりいい印象じゃなかっただろうね」
「ええ、まあ…でも……」
そこで言葉を区切り、次に紡ぐ言葉の一言一言を大切にするように、口にする。
「でも…次にあなたと逢ったとき…あなたは、『大嫌いな男』から、『最愛のヒト』になっていました…」
「千百合ちゃん…」
「その時から、私はあなたを愛してた。いいえ、本当は、あの冬からあなたが好きだったのかもしれません」
「……」
「私は、あなたの言うとおり、最初から『男』そのものを拒絶していました」
「でも、あなたに言われて、本気で自分を愛してくれるヒトがいること…あなたがいることを知りました」
「『男』への拒絶を止め、自分の心に正直になったら、急にあなたのことが好きで好きでたまらなくなりました」
612The last moment 中編-c 2/5:2005/07/19(火) 00:09:52 ID:QLuSa/qq
「あなたに逢いたくて、逢いたくて、逢いたくて。ずっと待っていました」
「そして、ようやく出逢えたのに、まだ私には『男』への拒絶が残っていました」
「でも、それさえもあなたは優しく包んでくれました。とても暖かく、包んでくれましたね」
「…当然、だよ。僕の恋人が、僕を想って頑張っているのに、それには応えなくちゃ」
「それを出来た男のヒトは、あなただけでした、隆ちゃん」
そっと、微笑む。
「それから、今日まで、ヒトを愛することを知らなかった私に、あなたはたくさんの愛をくれました」
「とても、とても幸せでした」

「もう、充分過ぎるほどに」

「……え?」
一瞬、意味が分からなかった。
いや、一瞬どころではない。
こうしている今だって、彼女の言葉が何を意味するのか分からない。
「それって、どういう―」
「私は、もう満足できました」
僕の言葉を遮り、続ける。
「これ以上、私がいても、『彼女』の人生が減ってしまいます」
「『彼女』って…もしかして…」
「ええ、本当の、私です」
本当の、千百合ちゃん。
恐らく、梢ちゃんを指しているのだろう。
確かに、千百合ちゃん達が出ている間、梢ちゃんの意識は表に出ていない。
だが、一度眠れば元に戻る。梢ちゃんの人生においても、そこまで大きな害はないはずなのに。
「もう充分幸せを貰った私がずっといたら、『彼女』の実りあるラブライフが減ってしまいますから」
わざと、少しだけ明るく振舞う千百合ちゃん。
613The last moment 中編-c 3/5:2005/07/19(火) 00:10:19 ID:QLuSa/qq
「この指輪……」
今しがた渡した指輪を、僕に見えるように持つ。
「せっかく貰ったのに…付ける機会、無さそうですね…」
寂しそうに、呟く千百合ちゃん。
「さよなら、です。隆ちゃん」
「…ちょっと、待ってよ」
「隆ちゃん……」
「君が消えることなんて、そんなっ…嘘だよね!?」
「…私、最愛の人に嘘なんて、つきませんよ?」
「……っ」
「もう少しで、私はあなたとお別れです。だから、さよなら」
「違う!」
「…え?」
「さよならじゃない!そんなこと言ったらっ、もう、二度と逢えないみたいじゃないか!!」
「……そうなんですよ。私は消え…」
「また逢おうよ!!」
「隆ちゃん………」
「そう、また逢おう!次に逢ったときも、またデートしよう!一緒に遊んで…一緒に笑おう?また逢えるよ!」
「…駄目、なんですよ」
「そんな…!!」
「隆ちゃん?目、つぶって下さい」
「え…?」
「早く」
「あ、…うん」
言われたとおりに、目をつぶる僕。
そこに、突如感じる柔らかい感触。
くちびる。
千百合ちゃんの唇が僕の唇と重なった。
そして、その下で開かれる僕の手。
その手に、何かが握らされる。
614The last moment 中編-c 4/5:2005/07/19(火) 00:10:57 ID:QLuSa/qq
「もう、いいですよ」
そう言われて目を開け、手の中を見る僕。
「これ…!!」
握られていたのは、先ほど渡したペアリング。
「それは、また改めて、『彼女』に渡してください」
そっと、微笑む。
いや、微笑みを、絶やすまいとしている。
「隆ちゃん」
「千百合……ちゃん…」
「……大好き、でした。…いえ、大好きです。今も。これからもずっと」
「僕も!僕もだよ!千百合ちゃんっ!僕は君が大好きだよ!!だから、だからっ…!!」
それを制すように。
千百合ちゃんが。
今日、一番の笑顔で。


「さようなら、隆ちゃん」


そう言い、その場に崩れ落ちた。
「千百合ちゃんっ!!!」
半ば叫ぶように彼女の名を呼び、駆け寄る。
「千百合ちゃんっ…千百合ちゃん!!」
懸命に彼女の体を揺さぶる。
615テイル:2005/07/19(火) 00:11:14 ID:2nekR1op
>>606
しかしまあ不吉なコテですな。内容はGJなので良しとします。
続きに期待しますよ。

しかし、職人のコテ化が随分進んだな、と……
まあ掲示板におけるコテはただの記号でしかないから別にいいがね。
新人さんも増えたし、これはいい流れだ。
616The last moment 中編-c 5/5:2005/07/19(火) 00:11:18 ID:QLuSa/qq
「………ん…」
ようやく、彼女の意識が戻った。
「…あ……」
目覚め、ゆっくりと目を開けた彼女の瞳の色は……
「…ぁ…しらとりさん…」

蒼。

「あ…梢ちゃん…」
「はい?」
「あ……ううん、何でもないよ。もう遅いし、帰ろうか?」
必死で笑顔を作って梢ちゃんにそう言う。
「あ、本当。もう暗くなっちゃってますね。早くお夕食の支度しないと…」
「梢ちゃん」
「はい?」
「ゴメン、ちょっと用事があるんだ。先に帰っててくれない?大した用じゃないからすぐに追いかけるからさ」
「そうですか?分かりました。早く来てくださいね」
「うん」
僕の言うことを素直に聞いてくれた梢ちゃんは、公園を後にする。

僕が一人残った公園。
沈黙が辺りを包んでいた。
手には、まだ指輪があった。
ポケットから、自分の分の指輪を出して、一緒に手のひらに載せる。
それを少しの間見つめていると、夜空から降って来た桜の花びらが一枚、同じ手の上に乗った。
僕はそれをぎゅっと握りしめ、ぽつりと、呟いた。
「……千百合ちゃん……」
617アトガキ ジゴク:2005/07/19(火) 00:13:37 ID:QLuSa/qq
これにて中編終了っス。
後編は大体できてるんであと二、三日すれば投下できそうです。
あとは現在コソコソ書いているタチバナさんSSっスね。
そのあとも書きたいアイディアが3、4程あるのでまだまだ皆様の前に顔を見せることになりそうです。
誤字、脱字と思われるところがありましたらご報告くださいますようお願いします。
おやすみなさい
618テイル:2005/07/19(火) 00:29:26 ID:2nekR1op
>>617
だああああああああああ!割り込んじゃったー!
更新してなかったから……ぐうたらさん、本当にゴメンナサイ。許して。

千百合たん……千百合……・゚・(つД`)・゚・ 
消えちゃった……_| ̄|○
俺はこれからどうすれば……生きる糧が……

とにもかくにも続き待ってます。こちらは暫く投下出来ない可能性大なので。
619シヌ:2005/07/19(火) 00:29:44 ID:fSGDIxf3
乙〜
620名無しさん@ピンキー:2005/07/19(火) 00:46:32 ID:X6hkBDiC
>>617
乙&VGJ!
千百合が消えてしまったか…これから先の展開に(・∀・;)ドキドキ
と、言う事で久しぶりにこの言葉を貴方に。

『続きが気になって課題がはかどらないorz』
621シヌ:2005/07/19(火) 00:57:49 ID:fSGDIxf3
>>608
どうもッス
>>609
その通り!エロールです!
http://www.geocities.jp/belbet_g/siratori.PNG
↑俺が書いてるSSの騎士・白鳥のイメージドット絵です
622名無しさん@ピンキー:2005/07/19(火) 03:00:06 ID:LI8kydIm
>>615
いやいや、彼は流行に乗ってシヌの復しゅ(ry
623名無しさん@ピンキー:2005/07/19(火) 07:30:01 ID:FyLeejq5
ちゆりん。゜゜(´□`。)°゜。ウワァァン
624名無しさん@ピンキー:2005/07/19(火) 07:48:30 ID:2XxvzIcE
>>617 やべ・・・マジ泣き寸前
GJ!GJ!
625aizu:2005/07/19(火) 19:31:35 ID:kZAb5ElM
『Like A For a longtime Stone Transfer(まほらば オリジナルサウンドトラックより)』
聴きながら読んでいたら思わず涙が出てきました GJ!
626ぐうたら:2005/07/19(火) 22:32:21 ID:xr59rbKp
DVD3巻、おかいものの時のエスカレーター、急過ぎやしませんか?ぐうたらです。

そんなこんなで超っ!特別企画!!
今夜完結!『The last moment』3回連続投下スペシャル〜〜!!(どんどんぱふぱふぴーひゃらぱっぱー)
後編を三回に分けて今夜中に投下しますよーぅ。
今から一時間間隔で投下するんでよろしく!
では、『The last moment』後編-a、投下あああああぁぁぁぁぁぁぁ……(ぐしゃ)
627The last moment 後編-a 1/5:2005/07/19(火) 22:33:39 ID:xr59rbKp
―あの日から、ちょうど一月。
まるで何事もなかったかのように、時が過ぎていった。
千百合ちゃんがいなくなってしまった事実を知るのは、僕と、灰原さんの二人だけ。


あの日、僕は鳴滝荘に帰って、真っ直ぐ灰原さんの部屋に向かった。

『灰原さん!灰原さんいますか!?』
『ン〜、騒がしいナ…どうした?』
『灰原さん、千百合ちゃんが、千百合ちゃんが…!!』
『……部屋の中で話すぞ。ここは桃達に聞こえる。』

僕の様子から察したのか、灰原さんは僕に部屋に入るよう促した。
そして部屋の中で僕は数分前の出来事を洗いざらい話した。

『……消えた、か…』
『何でですか?何で千百合ちゃんは…灰原さん!!』
『落ち着け!!』

少し怒りを含んだ灰原さんの声に、僕は驚き、黙る。

『千百合が消えたのは…必要が、無くなったからだ』
628The last moment 後編-a 2/5:2005/07/19(火) 22:34:09 ID:xr59rbKp
―――ひつようが、ない?―――

『必要がなくなった!?何言ってるんですか灰原さん!』
『聞けと、言ってるだろう』

静かに、威厳を持った灰原さんの声。

『…梢の多重人格はナ、梢の両親が死んだ時に、梢が自分自身に欠けちまったモンを埋めるためのものダ』
『梢ちゃん自身に…欠けてしまった物?』
『ああ、例えば早紀だ。早紀の感情の起伏の激しさは、梢が大家としてやっていくために、なるべく感情を抑えようとした結果ダ』

―早紀ちゃん。
 早紀ちゃんが、梢ちゃんの怒りや悲しみの代弁者?

『魚子だって同じダ。小さなときの無邪気な心を忘れられなかったんダ』

―魚子ちゃんは梢ちゃんの無邪気な心の象徴?

『棗だって、両親の死に対する拒絶の表れだと思うゼ』

―棗ちゃんが別れへの、人への拒絶の表れ?

『それと同じように、千百合も』
『千百合ちゃん…も…』
『千百合もナ、梢の積極的な部分や、服のオシャレとかナ、大家の仕事で埋もれてた女の子の楽しみってのを補ってたんダ』

―千百合ちゃんが、梢ちゃんの…女の子として楽しみを補っていた……?
629The last moment 後編-a 3/5:2005/07/19(火) 22:35:12 ID:xr59rbKp
『でも、必要が無いって、どういう…!!』
『言葉通りの意味ダ。言ったロ?多重人格は、梢に欠落した物を『補っている』ってナ』
『…………』
『補ってるってことはダ。梢が別の人格にならなくとも昔欠落していた部分を今は持っているとしたら…?』
『…どういう、意味ですか?』
『千百合が補っていたのは、梢の普通の女の子としての憧れ…と、言ったよナ?』
『…はい……』
『それは前までの話―正確には、『お前がここに来るまで』の、話ダ。』

―――ドクン。
心臓が、早鐘を打った気がした。

『お前が来てからの梢は、俺が昔から見てきた梢とは違った。』

まさか。
まさか?


『よく笑うようになったし、人格の交代の頻度も少しずつ減ってきた。』

僕が。
ぼくが。
ボクガ?

『冬にはとうとうお前さんと恋人同士になって、それからはデートもしてるダロ?』

また少し、鼓動が早くなった。
630The last moment 後編-a 4/5:2005/07/19(火) 22:36:30 ID:xr59rbKp
『それでよぉ、満たされちまったんダ。梢に足りなかった部分―千百合が今まで、補っていた部分がヨ』

なんで?

満たされ た 
足りなかっ た 
 今 ま で 
補ってい た 
なんで全部もう終わったことみたいに―過ぎたことのように言うんですか?灰原さん。

『それで『梢』はもう『千百合』である必要は無くなった。
 『千百合』にならなくても、もう既に『梢』は『千百合』ダ。『千百合』が『梢』と一つになったンだヨ』
『それで、それで必要がなくなったて言うんですか?』
『ああ、もう梢は千百合になる必要が無くなった。だから、』

―だから

『だから、消えちまったんダ』
631The last moment 後編-a 5/5:2005/07/19(火) 22:37:20 ID:xr59rbKp
灰原さんの部屋を後にしようとする僕に、灰原さんは言った。

『今言ったこと、桃や珠実には間違っても言うナ。今は言う必要が無いからナ』
『……分かりました』

閉められるドア。夜の鳴滝荘に広がる静けさ。闇。
廊下に腰を下ろし、中庭を見つめる。
今日、今日の昼は、普通だったじゃないか。
丁度昼から出かけて、買い物して、笑って。
ソレなのに、なんで。
夜の空を照らすのは、大きな月。
その月の光に照らされて、散る桜の花びら一枚一枚が輝く。
それを見ながら、僕は、知らないうちに呟いていました。

『……何処へ行ったの、千百合ちゃん……』

その声は、やはり虚空へと消えていきました。
632アトガキ ジゴク a:2005/07/19(火) 22:38:16 ID:xr59rbKp
お次は一時間後です。
最後までお付き合いくださいませ
633名無しさん@ピンキー:2005/07/19(火) 22:46:03 ID:Wugc0qMK
超GJです!!! 楽しみにしてますよw
634テイル:2005/07/19(火) 22:50:09 ID:2nekR1op
母校の野球部を応援しに行ったらコールド負けの俺が来ましたよ_| ̄|○
>>632
30分間隔でもいいカナー、なんて欲を出してみたり。
1時間間隔なんて飼い殺しだ……orz

しかし内容が……とても素晴らしくてGJだし、理由も的を得ているんだけど……
俺の構想中のSSの設定?と被る……orz
まあ、どうでもいい事なんですけど。

同時並行で「まほログ」更新中。「モーメント」今までの投下分はこちら↓
ttp://blog.livedoor.jp/maholog/archives/27058344.html
635名無しさん@ピンキー:2005/07/19(火) 22:54:54 ID:z46chCJe
>>625
それって何曲目だっけ?
636ぐうたら:2005/07/19(火) 23:08:29 ID:xr59rbKp
>>635
DVD一巻限定版に付いてるサントラCDの26曲目。
俺も>>625、みてから聞いたけどコレも捨て難い…

ってなわけでせっかちテイルたんのご希望により、『The last moment』後編-b、投下かかかかっかかかかかか(どうやら作者の脳が壊れたようです)
637The last moment 後編-b 1/9:2005/07/19(火) 23:09:41 ID:xr59rbKp
一ヶ月が経った、五月のある日曜日。
鳴滝荘に、いつもの騒がしさが広がり始める時間。
「ふぁ〜、およ?オハヨー、白鳥クン!」
もう昼だと言うのに、ようやく起きたのか、桃乃さんはまだ眠たそうに目をこすっていた。
「あ、桃乃さん。おはようございます」
いつものように挨拶を交わす。
「ン〜?白鳥クン、その荷物何?」
「あ、これですか?今日は課題が出てまして、風景を描きに行こうかなって思って」
「へー、相変わらず真面目だね〜キミは!ま、頑張ってね、いってらっさーい」
「はい、いってきます」
桃乃さんと別れ、玄関を出ると、掃き掃除をしている梢ちゃんと会った。
「あ、白鳥さん。おでかけですか?」
「うん。課題で風景を描きにちょっと公園にね」
「そうですか。課題、頑張ってくださいね!」
「うん、ありがと、梢ちゃん。いってきます」
「はい、いってらっしゃい」
僕は公園へ向かった。
638The last moment 後編-b 2/9:2005/07/19(火) 23:10:42 ID:xr59rbKp
五月。
初夏。
普段通りの公園。
いや。
どこか違う。
違うんだ。『あの時』と。
『あの時』と違い、桜は咲いていない。
『あの時』と違い、夜では、暗闇ではない。

『あの時』と違い…千百合ちゃんと、一緒ではない。

…ダメ、だ。忘れろ。忘れるんだ!
何度も心に言い聞かせ、課題に取り組もうとする。
誰もいない昼の公園。
静かな空気。
美しい景色。
課題には絶好の場所だ。
課題に取り掛かろうと、スケッチブックを取り出したとき、不意に胸の中で不思議な気分がした。
639The last moment 後編-b 3/9:2005/07/19(火) 23:12:27 ID:xr59rbKp
まただ。
また、この感じだ。
『あの時』から、度々感じるこの気分。
心の奥。深い、深い部分に、小さな穴が開いていた。
小さな穴だけれど、何処までも下に続く深い穴。
『あの時』から開いたこの穴は、一ヶ月経った今でも埋まらない。
鳴滝荘で、積極的に宴会に参加したりもした。
一ヶ月の間に、三回、梢ちゃんの人格が変わった時も。
早紀ちゃんが出てきたときも一緒に騒いだ。
魚子ちゃんとも一緒に遊んだ。
棗ちゃんに手品も教わった。
勿論、梢ちゃんとのデートも何回もあった。
なのに。
 
なのに、なんで。

なんでこの穴は、埋まらないんだ。

なんでだ。
以前はこんなこと無かった。
以前はこんな気持ちになることはなかった。
以前は。
いぜんは。

彼女が、居なくなるまでは。
640The last moment 後編-b 4/9:2005/07/19(火) 23:13:21 ID:xr59rbKp
そうだ。
千百合ちゃんが居なくなってからだ。
こんなに苦しいのは。
苦しい。
胸が、苦しい。
何でこんなに苦しいんだ!
何で何で何で!?
僕は、守れなかったから?
マモレナカッタ。
何を?
何を守れなかった。
今の幸せ?
いつもの生活?
千百合ちゃん?
約束?

―――ヤクソク…?
何だ、約束って?
いつの約束だ?
記憶を掻き分け、探す。探す。さがす。


あの日だ。


不意に、あの冬の日のことを思い出した。
僕は、約束した。『あの日』に、彼女と。
―――珠実ちゃんと。
641The last moment 後編-b 5/9:2005/07/19(火) 23:14:21 ID:xr59rbKp
『私は、あなたが憎い』

寒い寒い冬の空の下。
僕と珠実ちゃん。二人で話した日。

『自分のみならず他人を不幸にしてでも梢ちゃんを幸せにする―――、そんな覚悟ですよ!
 何を犠牲にしようともただ梢ちゃんの幸せを第一とする、そんな覚悟です!
 あなたにはそんな覚悟があるとでも!?』
『…ああ…、そんな覚悟はないよ』

そう。そんな覚悟、無かった。
誰かを不幸にする覚悟なんて。
みんなが幸せでいられる道―みんなが笑顔でいられる道を選んだ。探した!

『梢ちゃんが…、梢ちゃんであるためには…、他の人格…早紀ちゃんや魚子ちゃんや棗ちゃんや千百ちゃんには…
 犠牲になってもらうしか…ないじゃないですか…』

『…、私だって…そんなこと…
 そんなことしたくないけれど…覚悟しなきゃあいけないでしょう…!?』

あの時の珠実ちゃんの決意は、揺ぎ無い物だった。
何事にも揺るがない心と、決意。
それを前に僕は、僕の、僕自身の決意を、珠実ちゃんに伝えた。

『…、…いらないよそんな覚悟は。
 早紀ちゃんも魚子ちゃんも棗ちゃんも千百合ちゃんも…犠牲になる必要なんて無いよ』

あの日誓ったことを、一生守り抜こうと、決心した。決心したつもりだった。
642The last moment 後編-b 6/9:2005/07/19(火) 23:14:59 ID:xr59rbKp
『…いや…むしろ犠牲になってしまってはだめなんだ』

僕はこの日から歩む道を決めた。

『だって早紀ちゃん達だって梢ちゃんの一部なんだから』

みんなを、梢ちゃん達五人を救う道。

『…、どんな原因があったにせよ、早紀ちゃんたちは梢ちゃんから生まれた存在なんだ』

だから、言った。

『そんな彼女達も含めて』

一番梢ちゃんを愛していた珠実ちゃんの前で、言った。

『僕は梢ちゃんが好きなんだ』
643The last moment 後編-b 7/9:2005/07/19(火) 23:16:05 ID:xr59rbKp
『…だから犠牲なんて出ないし、出しちゃいけないと思う』


そして、今。
僕は約束を、誓いを、『道』を守れたのだろうか?
……答えは、NO。
守れなかった。
僕は、僕の歩むと決めた『道』を、守りきれなかった。
『道』は途切れてしまったんだ。
『道』を。『千百合』ちゃんを。『マモレナカッタ』。


今。
唐突に。
心に開いた小さく深い穴の正体が分かった。
千百合ちゃんだ。
千百合ちゃんとの思い出が、今まで、あの穴に詰まってたんだ。
だから、他のどんな想いで満たそうとしても、満たされ無かった。

僕は、千百合ちゃんを、失ってしまった。
644The last moment 後編-b 8/9:2005/07/19(火) 23:17:02 ID:xr59rbKp
もう、取り戻せない。

『…あら、あまりお見掛けしない方ですけど…』

もう、会えない。

『…何か用ですか?私にはあなたと話すことなんて何一つありませんよ』

そう思うと、

『まさかこの私にラバー…恋人ができるなんて!!革新的革命的出来事です!!!』

千百合ちゃんとの思い出が、

『…私は隆ちゃんのことが…、好き…だから…』

僕の中に、

『…やっぱり隆ちゃんは…、私にとって…特別な人…』

溢れてきて。
645The last moment 後編-b 9/9:2005/07/19(火) 23:19:25 ID:xr59rbKp





「……ぅ…」

誰も居ない真昼の公園に、小さな嗚咽。僕のものだ。

「…く……ぅ…っ………!!」

体中からこみ上げてくる、悔恨の念。

耐えろ。

千百合ちゃんはあの時、泣かなかったじゃないか。

それなのに、僕は。

耐えられない、体が、バラバラになりそうだ。


ほんのすこしの静寂の後、僕は、ただただ、ひたすらに。



泣いた。



646アトガキ ジゴク b:2005/07/19(火) 23:21:12 ID:xr59rbKp
…何も言うまい。
だけど言います。
次は何分後がいいっスか?
ではまたほにゃ分後。
647名無しさん@ピンキー:2005/07/19(火) 23:23:04 ID:IKb8tEm1
できれば30分以内にお願いを・・・ね・・眠れないっ

は・・・GJデス。続き期待してます。
648ヘブン:2005/07/19(火) 23:23:19 ID:MYctSq5E
>>646
うおぉぉう涙腺が・・・・ちゆりぃぃん゜゜(´□`。)°゜。ウワァァン
感動です・・・・
649テイル:2005/07/19(火) 23:28:27 ID:2nekR1op
>>646
どうでもいいけど「たん」付けるなー!!せっかちテイルたんって何さ!?
吾萌えキャラに非ず!→吾非萌的人間(?)

しかし……
・゚・(つД`)・゚・ 千百合……ちゆり……_| ̄|○
俺は……俺は……ッ!

……どうでもいいけどバラさん威厳があったなw
続きに期待。
650aizu:2005/07/19(火) 23:38:16 ID:kZAb5ElM
おぉぅ・・・不覚にも涙が・・・
唯でさえ涙腺弱いのに・・・これほどのものを読んだら・・・
感動です〜
651ぐうたら:2005/07/19(火) 23:40:22 ID:xr59rbKp
>>テイルさん
俺だっていつだか「ぐうたん」とか「ぐうちゃん」とか言われてたんだよぅ!

そんなせっかちな畜生共の欲望や、
もしかしたらまた課題が出てるかもしれないあの人のために、
今夜完結『The last moment』!!
苦節…何週間でもいいか、
時間をかけて書いたり、本能の赴くままに書いたり。
ではじっくりご覧あれ
『The last moment』後編-c、投下ぁぁんむ。
652The last moment 後編-c 1/5:2005/07/19(火) 23:41:21 ID:xr59rbKp
どれくらい、時間が経っただろう。
涙も枯れ果てた。
課題も忘れ鳴滝荘への帰路に着く。
僕は、どうすれば。
彼女は居なくなった。
いや、いなくなったのではない。梢ちゃんと一つになったんだ。
それがまともな考えだ。
だが、そう考えれば考えるほど、頭の中には千百合ちゃんのことが溢れて来る。
涙は、枯れた筈なのに。
まだ視界が濡れる。
こらえて、歩いていく。
彼女一人を守ることは出来なかった。
それでも、まだ、梢ちゃんの中には、早紀ちゃん、魚子ちゃん、棗ちゃんだっているんだ。
彼女たちを守る。それが、これから僕が歩くべき、『道』になるんだ。
そう信じて、行くしかないじゃないか。

気が付いたら、もう既に鳴滝荘の前まで来ていた。
ふう、と、息をつき、門をくぐり、玄関を開ける。
「ただいまー」
そこで僕を出迎えたのは、朝美ちゃんだった。
ただ、顔から下が普段とは違っていた。
水着。
学校指定の、いわゆるスクール水着だ。
何故?
思い当たる理由が、一つだけあった。
まさか。
『彼女』のハズが無い。
だって『彼女』は、もう……
その時、鳴滝荘に新たな悲鳴が木霊した。
「ギニャ〜〜〜〜〜〜!!!!」
653The last moment 後編-c 2/5:2005/07/19(火) 23:42:14 ID:xr59rbKp
この叫び声は桃乃さんだろう。
声のした方へ走ると、突き当たりに沙夜子さんが着物を着て倒れていた。
スクール水着姿の朝美ちゃん。
着物姿の沙夜子さん。
こんなことをするのは『彼女』だけ。
でも、そんなハズは……
不意に、何処からか、「ドサッ」と言う、何か重いものを落とした音が聞こえた。
ばっと振り向くと、落とされたのはメイド服を着た桃乃さん。
落としたのは、梢ちゃん。
いや、違う。

彼女は『蒼葉梢』ではない。

桃乃さんから奪ったと思われる眼鏡。

長い髪を片方で縛った髪型。

薄い緑色の瞳。

『彼女』だ。

『彼女』は……紛れも無い、『緑川千百合』だ。

「隆、ちゃん……」

「千百合ちゃん……」

互いに、名を呼ぶ。

互いの、最愛のヒトの名を。
654The last moment 後編-c 3/5:2005/07/19(火) 23:43:34 ID:xr59rbKp
向かい合う、僕と千百合ちゃん。
二人の間を、隔てる物は無い。
僕は一気に駆け寄り、千百合ちゃんを抱きしめる。

一心に、抱きしめる。

「千百合ちゃん!千百合ちゃんっ、千百合ちゃん…!!」
「隆ちゃん……隆ちゃん!!」
名を呼び合い、互いの存在を確かめ合うように、ひしと抱きしめあう。
僕の目から、止めどなく涙が溢れて来た。
彼女も、千百合ちゃんも、あの時流さなかった涙を、今流している。
しばらく、二人で泣き続けた。
涙で顔をぐしゃぐしゃにさせながらも、僕は問う。
「でも…でもなんで?千百合ちゃんって……」
「私にも、分かりません。でも、あの時からずっと深い眠りについていたんです」
「深い、夢?」
「ええ。夢に入ると、すぐにあなたと別れてしまったことを思い出して、悲しくて、いっぱい泣きました」
「そうして隆ちゃんのことばかり想って、今までの一ヶ月を過ごしてました」
「………」
「そしたら今日のことです。急に、『彼女』が出てきたんです」
「『彼女』ってやっぱり」
僕の問いかけに、無言で頷く千百合ちゃん。
「…彼女が、夢の中で私を抱きしめて、耳元で言ったんです」
「なんて…?」
千百合ちゃんは、その言葉を大切に抱きしめるように、言った。
655The last moment 後編-c 4/5:2005/07/19(火) 23:44:29 ID:xr59rbKp
「『もうしばらく、よろしくお願いしますね』、って」
「それって……」
「どうやら、もう少しあなたと一緒にいてもいいようです」
そこまで言うと、千百合ちゃんは僕に抱きついて来た。
「でも今は…隆ちゃんとまた出逢えたことを証明して欲しいです」
「うん…」
近づく、二人の唇。

あの日から、一ヶ月が経った今、再び重なる二人の唇。

再び重なる二人の心。

いつ。

いつまた千百合ちゃんや他の人格の娘たちとの別れがあるかは分からない。

それでも今は。

今だけは。


最愛の女性と再び巡り逢えたことに、感謝の意を込め、青い空に向かって呟きました。

「……ありがとう」
656The last moment 後編-c 5/5:2005/07/19(火) 23:45:16 ID:xr59rbKp
彼女と出逢ったその日。

彼女と再開したあの日。

彼女と恋人同士になった日。

あっという間に時は過ぎて行き、今に至った。

四月のとある日曜日。

僕は、世界で一番大切な人を失った。

でも。

五月のとある日曜日。

僕は、世界で一番大切な人と。

世界で一番愛おしい人と。

また、巡り逢った。
657ヘブン:2005/07/19(火) 23:47:25 ID:MYctSq5E
>>657
うおぃ、HAPPYENDだぁーちゆりん゜゜(´□`。)°゜。ウワァァン
良かったよぉー゜゜(´□`。)°゜。ウワァァン
658The last moment 後編-c 6/5:2005/07/19(火) 23:48:06 ID:xr59rbKp
あの人と出逢った日。

あの人と再会した日。

あの人と恋人同士になった日。

無常にも時は過ぎ去り、別れを告げる。

愛しいあの人と別れるその最後のひとときまで、あの人と一緒に居たかった。

あの人とまた出逢えるように、願った。

そして、今日。

私はまた世界で一番愛しい人に、出逢えた。

そしてまた、私はあの人と一緒に居たい。

私が居なくなる、最後のひとときまで。
659名無しさん@ピンキー:2005/07/19(火) 23:50:04 ID:IKb8tEm1
ハッピエンドゥゥゥゥゥ;;
グッジョブです。グッジョブデスよッ〜;;
660ヘブン:2005/07/19(火) 23:51:23 ID:MYctSq5E
>>658
あぁ、続きがあったのねorz
申し訳ないです
でも、ゴッドジョブですヨ〜゜゜(´□`。)°゜。ウワァァン
661aizu:2005/07/19(火) 23:51:35 ID:kZAb5ElM
素晴らしいです〜こんなに感動したのは久しぶりです〜
GJ!!GJ!!
662アトガキ ジゴク:2005/07/19(火) 23:52:06 ID:xr59rbKp
ゴメンネ。6/5は5/5を投下してから急に足したくなったんだww
今回で千百合ちゃんメインSS、『The last moment』は終了です。
今回の白鳥くんは、早紀ちゃんのとき(五人のなかの〜)や、なっちんのとき(あひなみそろえて)の時の、神様みたいな人ではなく、
消え行く千百ちゃんに何もしてやれない無力なフツーの人になってもらいました。
ってか、実はコレ、エピローグがあるんですよ…それはまた、チョイ分後に…
ノシ!!
663テイル:2005/07/19(火) 23:52:59 ID:2nekR1op
じゃあ、感想はエピローグ後に……
664The last moment エピローグ:2005/07/20(水) 00:06:04 ID:S9bx5GqK
「千百合ちゃん…」
「はい…なんですか?」
口付けを交わし、僕に寄り添って縁側に座っていた千百合ちゃんに、話しかける。
「これ、キミに」
あの日からずっとポケットに入れて持ち歩いていたもの。
「これ…!!」
あの日買った、ペアリング。
「何で…?彼女に渡したんじゃ…」
「これは、キミに買ったものだから…きっとキミに逢えるって信じて待ってたから…」
「隆、ちゃん…」
また涙が出てきそうな千百合ちゃんを抱き寄せ、背中をぽんぽんと、軽く叩く。
「ありがとうございます隆ちゃん…本当に、本当に…今までで、一番嬉しい、すばらしいプレゼントです…」
僕に抱きしめられながらも、繰り返し礼を言う千百合ちゃん。
「コレ、つけても良いですか?」
「うん、もちろんだよ」
僕の答えに、千百合ちゃんは嬉しそうに笑い、指輪を指にはめる。
その指は左手の。
665真・アトガキ ジゴク:2005/07/20(水) 00:07:48 ID:S9bx5GqK
今度こそ終了です。
次回はタチバナさんの短編の予定です。
今までお付き合い頂き、ありがとう御座いました。
これからもぐうたらをよろしくお願いします〜
オヤスミナサイ
666ヘブン:2005/07/20(水) 00:10:10 ID:nvC+zsiW
>>665
トゥルーエンドだー良かった、ちゆりん・゚・(つД`)・゚・
お幸せに・゚・(つД`)・゚・

お疲れ様です。
おやすみなさいヨ〜
667名無しさん@ピンキー:2005/07/20(水) 00:10:56 ID:hBw/PagV
>>665
VGJ!素晴らしいですね。まったく。
そして、『Like A For a longtime Stone Transfer』聞きながら読みましたが、
1行目で涙腺ゆるゆるでしたよ〜
元々好きな曲だったのですが、SSと合わせると効果倍増しますね。
次回作も期待してますよ。
668テイル:2005/07/20(水) 00:27:55 ID:xzYkq8v0
それでは感想をば……

ストーリー的に白鳥の立ち回りが「傍観者」なのは良いと思います。
あとは、灰原さんの役どころ?
「終わりの始まり」にも通じますけど、今回は随分厳しい口調だったなあ、と。
まあ、実質保護者的な人だから、しょうがないような気も。
あとは、最後が随分飛躍したような気も……
千百合が復活するフラグでも置いておけば、まとまりが出てくると思います。
そして最後のエピローグが、いいな……
ここで「指輪」を生かすとは。しかもくs(ry
ラブラブやー。めっちゃ甘ーい。

最後に、ぐうたらさんVGJ!でした。「あしなみ」並に読み応えがあって良かったです。

ところで梢ちゃんは高校の保護者会とかどうしてるんだろう……バラさん代理出席?
669シヌ:2005/07/20(水) 00:35:56 ID:BVzA6aG8
MAHORABA2話目投下します・・・・ヘボイけど・・・
展開早い&ぼのぼのではないファンタジー
第2話「〜旅立〜」

前回のあらすじ
???「あらすじは当然原作に乗っ取りブラブラとドクピンですよ〜」
ドクピン「私はドクター・・」
ブラブラ「知ってますです。黙るです」
ドクピン「この細目女め・・」
ブラブラ「死にますよ?」
ドクピン「す・・すいません・・と、言う訳で前回のあらすじよ!」
ブラブラ「どういう訳ですか〜」
ドクピン「だ・ま・れ」
ドクピン「簡単に言うと第1話でコズエ姫がブチョーにさらわれちゃったんだよね〜カワイソウ・・・お約束だけどさ・・」
ブラブラ「現実世界でといい、SSの世界といい、いつもいつもコズエちゃんに迷惑をかけやがってあのウツロ目が〜」
ドクピン「と、言う訳で本編開始〜」
ブラブラ「どういう訳ですか〜」
ドクピン「めんどいから早く本編に行きたいだけ」
ブラブラ「・・・・・・・・・」
670~MAHORABA〜:2005/07/20(水) 00:37:33 ID:BVzA6aG8
シラトリ「朝か・・・・・・」

シラトリ「(コズエ姫がさらわれてから一夜が明けたんだな・・・)」
タマミ「いつまで寝てるつもりです」
シラトリ「オォ!?」
タマミ「バカな声出してないで行きますです」
シラトリ「少し待って・・皆に挨拶してこうよ・・・」
タマミ「何を言ってるんです!!コズエちゃんがさらわれたんですよ!!」
シラトリ「でも・・・手がかりがない・・・・」
タマミ「・・・・・・・・」
シラトリ「挨拶のついでに皆にブチョーを見たか聞いてくるよ」
タマミ「・・・わかりましたです・・」

城―
騎士Aと騎士Bと騎士Cが話をしていた・・

シラトリ「ねぇ、皆」
騎士B「あっシラトリ君じゃない、どうしたの?」
シラトリ「皆は知ってると思うけど姫がさらわれてちゃったじゃん・・・だから・・」
671~MAHORABA〜:2005/07/20(水) 00:38:12 ID:BVzA6aG8
騎士達「?」
シラトリ「僕は姫を助けに行くよ」
騎士C「えぇ!?シラトリ君が!?」
シラトリ「そんなに驚かなくてもいいじゃないか・・・僕は姫を助けるために騎士になったんだだから・・・決意は曲げない・・・」
騎士A「シラトリ・・・・・」
騎士B「それがシラトリ君の意思なら・・・・・・・頑張って・・」
騎士A「おい!シラトリがオメガ弱いの知ってんだろ!?」
シラトリ「ハハ・・・・・・」
騎士A「危険すぎるだろうが・・・それにさらわれた時にいたロイヤルガードも全員ブッ倒しちまったんだろ?ブチョーって奴は・・」
騎士C「シラトリ君の気持ち少しは分かってあげて・・」
騎士A「・・・・・・・」
騎士A「・・・・・お前が・・いない間も俺たちがこの町を守る・・・だから・・安心して行って来い・・」
シラトリ「ありがとう・・・・・・・」

シラトリ「あと、灰色の髪に黒い目の女の子見なかった?」
騎士A「男なら知ってるけど・・ハイバラってオッサン」
シラトリ「男はいいよ・・」
騎士A[女なら俺は見てないぜ」
騎士B&C「私達も〜」
シラトリ「そうか・・・」
騎士A「ハイバラのオッサンの家行ってそいつの場所探してもらえよ」
シラトリ「ハイバラって人、そんな事できるの?」
騎士C[あの人は魔術師だしね〜そんぐらいできるんじゃないの?」
騎士B「それにあの人さ最強の魔犬を封印したらしいしね」
シラトリ「そうなんだ・・・・会いに行ってくる」

そういうとシラトリは全速力で城を出た
672~MAHORABA〜:2005/07/20(水) 00:39:51 ID:BVzA6aG8
騎士A「・・頑張れよ・・・シラトリ・・・」
―15分後―
シラトリ「失礼します!!」
???「な・なんだ!?」
シラトリ「彼方がハイバラさん?」
ハイバラ「そうだが・・なんか用か?」
シラトリ「人を探してほしいんです。」
ハイバラ「人?」
シラトリ「ブチョーって人を探してください」
ハイバラ「・・・・・ブチョー・・・だと?」
シラトリ「どうかしたんですか?」
ハイバラ「なんの用かは知らんがやめておいた方がいいぞ・・・」
シラトリ「?」
ハイバラ「あいつは最強の黒魔術師だ・・・・殺されるぞ・・・」
シラトリ「殺されても構いません・・・だからお願いします・・」
ハイバラ「・・・・わかった・・ちょっと待ってろ・・・」
ハイバラ「デヤアァァァアァァァァァ」
シラトリ「(゜д゜)!?」
シラトリ「ど、どうかしたんですか奇声をあげて・・」
ハイバラ「黙れ!!奇声をあげなきゃ集中できないんだ!!デヤァァァアァァ!!」
シラトリ「(病気かなぁ・・・)」
ハイバラ「よし!わかった!」
673~MAHORABA〜:2005/07/20(水) 00:40:44 ID:BVzA6aG8
シラトリ「どこですか・・・?」
ハイバラ「氷の国「ウェンディーズ」って場所にいるらしいナ・・・」
シラトリ「ありがとうございます・・・・」
ハイバラ「気をつけて行けよ・・」
シラトリ「・・・・はい!」
シラトリは外へ出た
タマミ「用はすみましたか・・・?」
シラトリ「うん。待たせちゃってごめん・・」
タマミ「じゃあ行きましょう・・・」
シラトリ「(じゃあね・・・皆・・・)」
タマミ「一つ聞いていいですか?」
シラトリ「なに?」
タマミ「後ろからストーカーしてくる薄汚いオッサンはだれです?」
シラトリ「え・・・?ってハイバラさんじゃないですか!出番が欲しいからってついてこないでくださいよ」
ハイバラ「うるせぇぇぇっぇぇぇぇぇぇぇぇっぇlどうでもいいだろぉぉぉ」
シラトリ「じゃあ行こうタマミちゃん」
タマミ「はいです・・・」
ハイバラ「無視するなぁぁぁぁぁ!!」

こうして僕たちは旅立った・・・・
             「〜旅立〜」終了
674アトガキ:2005/07/20(水) 00:44:05 ID:BVzA6aG8
2話目終了です〜。展開早くてすいません。
最初の設定とかなり狂っています(汗

それでは失礼します
675名無しさん@ピンキー:2005/07/20(水) 01:28:21 ID:5gxI+jvx
>>665
渾身の作品ありがとうございました。
やっぱり5人で1人なのが梢ちゃんだなぁと再認識。

早々と読んでしまいましたが、後で全編を通して読みますよ!
676624:2005/07/20(水) 15:24:08 ID:SGJ+Eg1C
>>665 今度こそマジ泣きした濡れが来ましたヨ
GJ!GJ!  GOD JOB!
6/5やらエピローグやらで涙腺爆発ッス
677名無しさん@ピンキー:2005/07/20(水) 21:00:01 ID:fTw+fLUQ
さて、しばらくぶりですが投下させていただきます。
本当はもう少し温存する予定だったのですが、やる気が出ちゃいましたので。

では、どうぞ。
678みずいろ:2005/07/20(水) 21:00:37 ID:fTw+fLUQ
僕は机に向かい、ひたすら課題と格闘していた。

僕が腕をふるうたびに真っ白な画用紙がどんどん一つの絵と変わっていく。
「よし、いい調子」
イメージ通りに絵が出来上がっていくと自然とテンションも上がっていった。

季節は春を通り越し、梅雨をあけ今まさに夏本番と言ったところ。
(夏休みくらい梢ちゃんとの時間に使いたいしなぁ)
長期休暇にまとまった課題が出され、僕はそれを片づけようと一生懸命キャンバスに筆を走らせる。
もちろん、やっつけで許される課題ではないので僕は前もって用意していたプロットを使うことに決めていた。
(そろそろ本格的な作品作りをしないと)
暖めていたネタだけに筆の走りがよく、僕は作業に集中出来た。
今年度で僕は学校を卒業する。
そのためにも絵本作家として通用するだけの作品を書けるようにならないといけない。
とにかくこの業界は狭き門。
将来のために、梢ちゃんのためにもなんとしてもチャンスを手にしなければならなかった。

しかし、予期せぬ問題が起こっていた。
「うーん、参ったなぁ…絵の具がもうないや」
僕は作品を作ることだけ考えすぎていたせいか、画材の残量を忘れていた。
せっかくやる気が出ていても画材がなければどうにもならない。
「買い出し…いかないとなぁ…」
僕は筆を置くと寝転がって一息ついた。

679みずいろ:2005/07/20(水) 21:01:50 ID:fTw+fLUQ
(梢ちゃんのためにも頑張らないと)
傍らに置かれたスケッチブックを手に取り、ぱらぱらと眺める。
そのスケッチブックの表紙には小さく「梢ちゃん」と書いてある。

それは梢ちゃんだけで埋め尽くされた僕の大切なもの。
そこにあるのは彼女のことだけを考えて1枚1枚思いを込めて描いた絵。
梢ちゃんの笑顔、梢ちゃんの喜び、梢ちゃんの憂い───。
求めてやまない彼女のすべてがそこには描かれていた。

「はぁ…」
僕はスケッチブックをめくる手を止め、ため息をついた。
そこに描かれていたのは僕と梢ちゃんのキスシーン。
もちろん実際に他人の視点で見たわけじゃないから想像で描いたものだけど。
「梢ちゃん…」
そしてまた梢ちゃんのことを考える。
そこからのページには梢ちゃんへの堪えきれない想いがぶつけられていた。
「………」
ただ、純粋に男として彼女を求める心。
キャンバスには梢ちゃんの生まれたままの姿が描かれていた。
次のページも、また次のページも梢ちゃんの裸体が描かれている。
(そろそろ…先に進みたいなぁ…)
いくら奥手な僕だってそういう願望がないと言えば嘘になる。
僕はまた溢れ出す想いをキャンバスにぶつけるのだった。
680みずいろ:2005/07/20(水) 21:02:28 ID:fTw+fLUQ
コンコン───。

夢中でキャンバスにペンを走らせていると不意にドアがノックされた。
僕は絵を描く手を止めて体を起こす。
「は〜い?」
「白鳥さん、課題どうですか?」
「梢ちゃん!?」
ドアの向こうにいるのが梢ちゃんだと知ると僕はあわてて立ち上がり、ドアに駆け寄る。
扉の向こうには夏服姿の梢ちゃんが立っていた。
「お、お帰り、梢ちゃん。 今日は早かったね」
「はい、今日が終業式でしたので♪」
「そっか。 じゃあこれから夏休みだね」
僕は梢ちゃんたちより一足早く夏休みに入っていたため、ここしばらくはずっと作業に没頭していた。
おかげで曜日感覚がすっかりずれている。

「ところで何か用?」
「あっ、はい、もしよろしかったら差し入れでもお持ちしようかと…」
そういえば、もうお昼を回っている時間だった。
言われてみるとおなかが空いているような気がする。
「そっか、それは助かるなぁ…って買い物行かないといけないんだった!」
「お買い物ですか…?」
「うん、ちょっと画材が切れちゃって…」
「そうですか…」
梢ちゃんに手短に説明するとがっかりしたようだった。
(足りない分なら近くの文房具屋で間に合うかな…?)
「梢ちゃん、すぐ帰ってくるから、その間に作っておいてもらえる?」
「あっ、白鳥さん!?」

そんな彼女の心遣いを無碍にするわけにも行かず、僕は駆け足で文房具屋へと向かった。
681みずいろ:2005/07/20(水) 21:05:12 ID:fTw+fLUQ
「そんなに急がなくてもいいん…ですけど…」
呆然とする私を置いて、白鳥さんはあっという間に走り去ってしまった。
部屋の扉も閉めずに…。

「じゃあ、私もすぐ用意しますか…♪ あら…?」
私は気を取り直して台所に向かおうとドアに手をかけたとき、ふと中の様子が気になった。
開けっ放しになった部屋の中にはたくさんの絵が散らばっている。
いや、散らばっているように見えても”置いてある”んだと白鳥さんに言われたことがあった。
「あら…これはあのときの…」
たくさんの絵を眺めていると見覚えのあるキャラクターが描かれていた。
確か、『それ』。
今も私の心にはっきりと残っている大切な作品の登場人物。
「へぇ…ハル、ナツ、アキ、フユ…ですか」
『僕たちはハルに出会い、ナツに想いを深め、アキには愛を実らせて、フユの厳しさを乗り越える…』
「…これって…」
いつか見せて貰った絵本と同じ余韻が私の中に染み渡っていく…。
私の大好きな、それはそれは白鳥さんらしい絵本。
「…今年の夏もたくさん思い出を作りましょうね、白鳥さん♪」

とりあえず、私は部屋に置かれた作品を片づけてひとまとめにした。
絵の具がまだ乾いていないものは部屋の隅に並べて、白鳥さんが作業しやすいようにスペースをあけていく。
「あら…?」
部屋を片づけていると無造作に床に置かれた一冊のスケッチブックに目がとまった。
他のものと違い表紙には私の名前が書かれている。
「何かしら…?」
682みずいろ:2005/07/20(水) 21:06:27 ID:fTw+fLUQ
気になった私は表紙をめくってみた。
そこに描かれていたのは満面の笑顔を見せた私の姿。
「まぁ…白鳥さんったら…♪」
ぱらぱらとページをめくってもただただ私の姿だけが描かれている。
そのどれもが私に対する愛情が込められているのは手に取るようにわかった。

きっと、これには白鳥さんから私への想いがたくさん詰まっているんだ───。

そう思ったらなんだか嬉しい反面、恥ずかしさがこみ上げてくる。
「少し恥ずかしいですね…あっ…」
ぱらぱらとページをめくり続ける手があるページで止まった。
そこには私と白鳥さんが口づけを交わす姿が描かれている。
「…白鳥さん…」
数えるほどしかしたことはないけど、私はそのときの感触を思い出していた。
(やっぱり白鳥さんも印象に残っているんですね…)
そう思っただけで胸が高鳴り始める。
普段口に出さないけれど、やっぱり恋人としてそういう意識を持っているんだ…。
そして、私は次のページに手をかけた。
「……!?」
そこに描かれていたのは一糸まとわぬ姿の私。
「しら…とり…さん…」
次のページも、また次のページも同じように生まれたままの姿の私が描かれている。
それは最後のページまで続いていた。
「……」

683みずいろ:2005/07/20(水) 21:08:04 ID:fTw+fLUQ
そう、白鳥さんだって男の人なんだ。

私に対してそういう感情を抱いていても何の不思議もない。
(白鳥さん…)

このスケッチブックには彼の胸の内のすべてが描かれていた。
なら───彼が私を求める心も本物なんだろう。
「……」
正直、複雑な気分だっていうことは間違いない。
嬉しくもあり、ショックでもあった。
けど───それを言うなら私も同じ。
だって、私も白鳥さんのことをそういう風に思ったことはあるんだから。

私は無意識のうちに閉じたスケッチブックを胸に抱きしめていた。
(白鳥さん…)
一度意識し始めるとなかなか頭から離れない。
白鳥さんの部屋にいると言うことだけでも私の胸は高鳴りっぱなしになった。
(わ、私、何を考えているんでしょう…)
懸命になって頭にこびりついた考えを振り払おうとしても無駄な努力でしかない。
脳裏には白鳥さんの描いた私の姿が明確に浮かんでくる。
(白鳥さん…私のこと…欲しいんですね…)
いったん溢れ出してしまった想いはもう止まらなかった。
私はスケッチブックを手放すと疼く身体へと手を伸ばした。

684みずいろ:2005/07/20(水) 21:10:10 ID:fTw+fLUQ
「んっ…」
制服の上からゆっくりと胸に触れる。
すでに気持ちが高ぶっているためか、私の身体は敏感にそれに反応した。
「白鳥さん…」
ゆっくりゆっくりと胸を揉みしだいていく。
「あっ…んっ…」
そうしていくうちに全身がむずむずと疼き始めた。

私は制服のボタンを外すと服の隙間から手を入れ、直接手で触れ愛撫する。
胸は刺激で敏感になり、先端は痛いくらい突き立っている。
そこを指で触れると快感の波が私の中に沸き立った。

「うっ…んん……」
彼の部屋にいるせいか、いつもよりもずっと気持ちが高ぶっている。
少しの刺激でも私の体は敏感に反応し、感度を高めた。
「白鳥さん…」
私はもう一方の手でスカートをめくり、下着越しに股間をさする。
「ふあっ…!」
すでにだいぶ感じているのか、下着も湿り気を帯び指にも水気を感じた。
私は躊躇うことなく指を動かし続け、更なる刺激を求める。
「あっん…ん…白鳥…さん…」
指を動かすたびに純白の布地にゆっくりとシミが広がっていく。
その動きにあわせて私の体もピクンと反応を繰り返した。
「白鳥さん…白鳥さん…あぁ…」
私はただ白鳥さんのことだけを考え、行為に没頭していった───。

685みずいろ:2005/07/20(水) 21:12:30 ID:fTw+fLUQ
「はぁ…はぁ…」
もう私の頭の中は白鳥さんのことだけでいっぱいになっていた。
(このまま、白鳥さんに見つかっちゃったらどうしよう…)
そんなことを考えつつも、刺激する指の速度は止まらない。
いや、むしろ私はそれを望んでいるのかもしれなかった。
だって、いい出す勇気なんてなかったから。
なし崩しになってしまえば、あとはどうとでもなってしまうだろう。

「はっ…ああ、ん…や…ぁ…」
クチュ…ニュプ…チュプチュプ…。
私は下着に手を入れて、直接そこを刺激していた。
溢れ出した液体が指にまとわりつき、ねっとりとした音を立てる。
(私がこんなことをしてるって知ったら白鳥さんはどう思うんでしょう…)
知られたくない、でも知って欲しい。
そんな矛盾した感情が私のなかで溢れかえっていた。
越えたくて、でもなかなか踏み出せない一線を想い、ただただ甘美な喘ぎを零す。
(ダメ…もう止められない…)
私はエスカレートしていく自らの本能に戸惑いを隠せずにいた。
686みずいろ:2005/07/20(水) 21:13:39 ID:fTw+fLUQ
「しら…とりさん…ふぁっ…ああっ」
私は下着を脱ぐといつも彼の使っているテーブルにまたがり、角に腰をこすりつけた。
「あっ…はぁ…っ…白鳥さん…!」
ぎしぎしと机の軋む音と私の荒い息づかいが部屋に響く。
机の角は私から溢れ出た液体ですぐにぐっしょりと濡れ、スムーズな動きを加速させた。

私は目を閉じ、無心になって腰を振り続ける。
クチュックチュックチュッ───。
規則正しい水音が自慰に耽る私の耳に響いていく。
「ふあっ…! ああっ…りゅ、隆士…さん……!」
普段呼ぶこともない彼の名字ではなく名前を叫ぶ。
もっと彼に近づきたい、彼と一つになりたい。
その一心で私は彼の名をうわごとのように繰り返した。
「隆士さん…隆士…さ…んっ! ああっ…!」

やがて、下半身から伝わる快感が腰から頭にじんじんと伝わり始めた。
目の前がちかちかと明滅し、私に絶頂を促す。
腰の動きが最高潮に達したとき、私に限界が訪れた。
「隆…士っさ…あっ…もう…! 隆士さあああああぁぁぁんっ!!!」
私は背を仰け反らせ、絶叫にも似た叫び声をあげてしまった。
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
ビクビクと全身を奮わせた後、脱力した私はぐったりとテーブルの上に倒れ込んだ。
白鳥さんの部屋でこんなことをしてしまった背徳感と満足感が私の心を満たす。
ゆっくりと目を閉じ、大きく息をついた。
「はぁっ…はぁっ…」
687みずいろ:2005/07/20(水) 21:14:58 ID:fTw+fLUQ
私が息を整えているとドアの方から人の気配を感じた。
「……」
いや、本当はもっと前から気づいていたんだ。
私が行為に耽る途中からずっとそこにいたことはわかっていた。
私は───わかっていても気づかないふりをしていた。

「白鳥…さん。 そこに…いるんですね…?」
私はゆっくりと身を起こすと振り向きもせず、ドアの方に声をかけた。

───半開きになった扉から姿を現したのは予想通りの人物だった。

688名無しさん@ピンキー:2005/07/20(水) 21:18:48 ID:fTw+fLUQ
はい、今回はここまでです。

シチュエーションで気づいた方もいると思いますが
ttp://black.skr.jp/mahoraba/pbbs/data/IMG_000042.jpg
が元になっています。

この後、後編へと続きますがおそらく予想したとおりですネ。
公開はまた後日。

…Duplication!の続きも書かないと。
689名無しさん@ピンキー:2005/07/20(水) 21:22:45 ID:+C6/Z1hR
>>288
キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
激しくGJ!! (*´Д`)ハァハァ
690名無しさん@ピンキー:2005/07/20(水) 21:23:56 ID:+C6/Z1hR
↑スマソ、アンカーは>>688の間違いです…
691名無しさん@ピンキー:2005/07/20(水) 21:26:21 ID:YujbBfkQ
地震キターーー(゜∀゜)ーーー!!と思ってたら
大作キテターーーーー(゜∀゜)ーーーーー!!
692ぐうたら:2005/07/20(水) 21:27:51 ID:VSWMnBnj
専ブラ使ってたから見てみると288が俺でびっくりです。ぐうたらですか?ぐうたらです。

>>688さん、続き期待してますよぅ。GJ!!
693名無しさん@ピンキー:2005/07/20(水) 21:34:18 ID:Iu+L33/z
絵師とのコラボキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
机のかどっこ(;´Д`)ハァハァ
カワイイ
694名無しさん@ピンキー:2005/07/20(水) 21:35:38 ID:6YTePA4P
>>シヌ氏
バラさん・・・(;´Д`)
結構良い設定なので、これからも頑張ってくださいノシ

>>688
エロGJw
イラストと並行したSSが増えるのは良いことだ。
695名無しさん@ピンキー:2005/07/20(水) 22:01:38 ID:5ZlnhVTl
>>687
そこにいたのは朝美だった。
696名無しさん@ピンキー:2005/07/20(水) 22:57:16 ID:YujbBfkQ
>>695
梢×朝に発展し、それを隆士にハケーンされて3P
697お腹いっぱい:2005/07/20(水) 23:45:26 ID:ZfHPJfkN
>>665
ぐうたら氏、乙&GJ!
感動しました…。
指輪を最後に持ってくるとは…。
タチバナさんの方も、楽しみにしています。

>>674
シヌ氏、乙です!
今後の展開に期待しています。
がんばってください。

>>688
GJです!
まさかとは思って見ていましたが、やはりコラボでしたか!
なんというか、流れが自然で素晴らしいです…。

さて、自分の短篇もそろそろ落とさないといけませんね。
連続梢ちゃんネタになってしまいましたが、どぞー。
698テイル:2005/07/20(水) 23:47:06 ID:xzYkq8v0
>>688
マホウの人、VGJでした。体調は大丈夫ですか?
続きは恐らく……あれか。
展開は想像つくが続きが気になって課題が(ry
ついでに新作にも手が付かない……

しかし……水色?まあいいか。
699特選小説だよ!梢ちゃん!:2005/07/20(水) 23:47:10 ID:ZfHPJfkN
鳴滝荘、管理人室。
いつものように、管理人である梢ちゃんは、そこにいました。
「あ、そうでした。この前灰原さんから頂いた小説を読んでみましょう」
取り出したのは、梢ちゃんが誕生日の日に灰原さんからもらった“特選小説セット”。
灰原さん曰く、『ためになるモノばかりだゼ!!』とのことです。
梢ちゃんは紐を解き、開いて読み始めました。
内容は、一人の男性と一人の女性の恋愛モノのようです。
しかし、梢ちゃんは気付いていませんでした。
その恋愛モノは、過激な描写がある恋愛モノであるということに…。
700特選小説だよ!梢ちゃん!:2005/07/20(水) 23:49:27 ID:ZfHPJfkN
さすがの梢ちゃんも気付きました。
「えっ……」
読めば読むほど展開されていく、愛の世界。
「こ、こここの本は…」
いわゆる、官能小説だということ。
恥ずかしくて続きなんて読めません。
梢ちゃんの顔は真っ赤です。
「で、ででも灰原さんは、『ためになる』っておっしゃって……あ…」
梢ちゃんはその言葉の意味を理解しました。
『ためになる』つまり、『役に立つ』。
いつ?
なんのため?
それはもちろん、白鳥さんと……

ぽ―――っ

「こ、この本は、灰原さんの、応援の気持ち、ということでしょうか…」
701特選小説だよ!梢ちゃん!:2005/07/20(水) 23:51:28 ID:ZfHPJfkN
普段の梢ちゃんなら、恥ずかしさのあまり間違いなく倒れていたでしょう。
その彼女を支えたのは、灰原さんが何故私にこんな小説を渡したのか、という疑問でした。
「…灰原さんに、尋ねてみましょう…」
梢ちゃんは動きます。

鳴滝荘の中庭。
いつものように、灰原さんは池に釣り糸を垂らしていました。
「こんにちは、灰原さん…」
梢ちゃんが挨拶します。
「オウ、梢じゃねえか。どうしたんだ?」
灰原さんはジョニーで返します。
「あ、あの、私が誕生日に、灰原さんから頂いた小説のことですけど…」
「オッ、アレを読んだのか?」
702特選小説だよ!梢ちゃん!:2005/07/20(水) 23:53:15 ID:ZfHPJfkN
「は、はい、少しです…けど…」
梢ちゃんは真っ赤になりながらも、質問します。
「あの、表現というんでしょうか?…少し、激し過ぎではないでしょうか…」
「そうか?そんなことないと思うゼ」
「えっ!?」
灰原さんから返ってきたのは、予想外の返事。
「梢、オマエは少し怖がりすぎだゾ?
オレは、オマエと白鳥はもう少し前に進んでもいいと思っている」
「私と白鳥さんが、前に…」
「そうだゼ。愛し合っているんなら、アレくらいのコトはできないとナ」
灰原さんの過激な発言。
「あ、あんなことを…し、白鳥さんと…私が…」
703特選小説だよ!梢ちゃん!:2005/07/20(水) 23:55:29 ID:ZfHPJfkN
想像しただけで、倒れてしまいそうです。
「ま、最初はナ。あの小説で、少しずつ慣れていけヨ」
「…は、はい…」
梢ちゃんは、ふらつきながら管理人室に戻っていきました。
「…梢のヤツ、何か勘違いしてないか?
たしかあの小説は、ラストにキスぐらいしかないゾ?」
灰原さんが、隠れた趣味で集めていたものを
間違って渡したことに気付いたのは、それから三日後でした。

「…私、頑張ります…白鳥さんのため、ですよね!」
それまでの間、梢ちゃんはたくさんの知識を身につけていったそうです。
704特選小説だよ!梢ちゃん!オマケ+アトガキ:2005/07/20(水) 23:58:11 ID:ZfHPJfkN
「お兄ちゃーん!!」
「うん?なあに、魚子ちゃん?」
「あのね、魚子、わからない言葉があるの…」
「?言ってごらん?」
「あのね、あのね…“どちょう”って、どういう意味?」
「な、魚子ちゃん、どこからそんな…!ど、ど……ぶはぁあッ」
「あれ?お兄ちゃん、なんでお鼻から真っ赤なの出して倒れたの?どうしたの!?」
「そ、それはね、魚子ちゃん…今君が乗っている…モノのことだよ…(ガクッ)」
「お兄ちゃん?どういうことなのお兄ちゃーん?」


えー、前からちょっとやってみたかったネタです。
今は反省しています。
705テイル:2005/07/21(木) 00:04:22 ID:xzYkq8v0
>>704
……どちょう、っすか……(脳内で変換出来なry
いや、何と言うか、アメリカンジョークだな。うん。
そういう事にしておこう。満腹さん、GJ!
それぐらいなら許されるから。

そして余りにも無知な俺ガイル・オブ・ジョイトイ(古いネタでスマソ)
706名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 00:14:46 ID:mMrVK3OK
なるほど、そうやって梢さんもいろいろ知識を身につけていくんですね。
そして、みずいろに続く、と…。
いや、勝手に繋げてすいませんが。

>>698
隊長は大丈夫であります、たぶん。
でも30度越えると頭が回らないと言う問題発覚であります。
話の流れは絵を見ればすぐ思いつくんですけどねぇ。
涼しいうちに書けるといいなぁ…(←扇風機しかないひと)
707名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 09:09:16 ID:asD9/BYS
>>688 GJ!GJ!
あの絵の小説が読みたいと思ってました
続きは・・ムァハ〜〜〜!(壊

>>704 そう、灰原さんだって男の人なんだ。
・・・・バラさん(;´Д`)ハァハァ
・・・
708名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 17:45:37 ID:mMrVK3OK
皆さんに重大なお知らせです。

現在執筆中のみずいろですが…
エッチシーンばっかりなのに膨大な量になってしまいました。

せっかく梢さんだからと気合い入れたためか、とんでもない量になりそうです。
ここは減らす努力じゃなくて、突っ走った方がいいですよね?ね?

場合によってはtxtごとどっかにアップするかもしれません。
今しばらくお待ちください。
709名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 18:11:44 ID:vIfmZnz8
>>708
ガンガレ!!
710名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 18:24:54 ID:zBVo954x
>>708
せっかく突っ走るなら世界の中心まで走ってまほらばへの愛を叫んでください。
711名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 18:44:58 ID:vonLPZkq
>>708
限界まで突っ走れ!





減らされるとそこの内容が気になって
課題がはかどらなくなるからorz
712名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 19:14:44 ID:mMrVK3OK
えっと、じゃあ、みずいろ中編投下します。
ええ、中編ですよ、中編。
713みずいろ:2005/07/21(木) 19:15:36 ID:mMrVK3OK
「まいったなぁ…財布忘れてた…」
僕は駆け足で鳴滝荘に向かいながらため息をついていた。
文房具屋のレジで会計を済ませようとしたとき、ようやく財布を持ってきていないことに気づいたからだ。
僕は急いでとんぼ返りしていた。

(そもそも焦って飛び出してくる必要なんてなかったんじゃないか…)
そう、別に昼食を取ってから買い物に出かけても何も問題はなかったんだ。
急に梢ちゃんが来たから慌てていたのか、ミスの連続だった。

それより気がかりなことが一つ。
(戸締まりしたっけ…もし、アレを梢ちゃんに見られたりしたら…)
僕は例のスケッチブックを思い出して、嫌な予感を感じていた。
(あんなものを見られたらなんて思われるか…)
いくら、梢ちゃんだってアレを見られたらどんな言い訳も出来ない。
しばらく口も聞いてくれなくても仕方ないかもしれない。
(とにかく早く戻らないと!)

僕は商店街を駆け抜け、鳴滝荘へと急いだ。

714みずいろ:2005/07/21(木) 19:16:36 ID:mMrVK3OK
「はぁ…はぁ…はぁ…」
僕は息も絶え絶えにようやく鳴滝荘に戻ってきた。
「自動車は無理としても…自転車くらいは持ってきた方がいいかなぁ…」
商店街や駅前までの往復を考えると確かに徒歩だけじゃ問題かもしれない。
この先、鳴滝荘で暮らしていくならそれくらい用意しても損はないだろう。

それはともかく、僕は急いで玄関を開けた。
今更気づいたけど、みんな出かけているのか梢ちゃんの靴以外、下駄箱にはなかった。
(だから、お昼を作ってくれるっていったのかな…?)
僕は管理人室を通り過ぎ、まっすぐ自分の部屋へ向かっていた。

「…あれ?」
自室へと続く廊下を歩いて1号室の前まで来たとき、ようやくおかしなことに気づいた。
(ドアが開きっぱなしだ…)
最初は目を疑ったけど、一部屋先の2号室のドアはやっぱり半開きになっている。
危惧したとおり、戸締まりはしていなかったらしい。
でも、よく考えたらおかしな点が一つあった。
(戸締まりを忘れたとしても…梢ちゃんが閉めないなんて変だな…)
僕は足音を消して自分の部屋の前まで忍び寄った。
(まさか魚子ちゃんになってるとか…)
そう考えるのが一番自然だった。
魚子ちゃんだったら無頓着にドアを開けっ放しにしていてもおかしくない。
その場合、別の意味で大問題なんだけど。
(絵を台無しにされてたらやだなぁ…)
僕は開きっぱなしのドアから中の様子をこっそりと覗き込んだ。
715みずいろ:2005/07/21(木) 19:18:17 ID:mMrVK3OK
部屋の中からはギシギシと何かが軋む音がする。

(何だろう…?)
「はぁ…はぁ…はぁ…」
軋む音とともに荒い息づかいが聞こえてきた。
「ふあっ…! ああっ…りゅ、隆士…さん……!」
(…梢ちゃん!?)
僕は部屋の中にいる人物が誰か知ると目を見開いた。
(こっ、梢ちゃん…)
部屋の中で梢ちゃんはテーブルにまたがり腰を振っていた。
うわごとのように僕の名を呟き、無心で行為に耽っている。
その意味がわからない僕じゃない。
(梢ちゃんが…僕の部屋で…)
僕の目の前で梢ちゃんが甘い声を上げて自慰に耽っている。
そのショッキングな光景を目の当たりにし、僕は呆然と立ちすくんだ。

梢ちゃんがときどきこういうことをしているとは薄々気づいていたけど、
実際に目にしてしまうと動揺は隠せない。
(梢ちゃん、ひょっとして…あのスケッチブックを見て…)
「隆…士っさ…あっ…もう…! 隆士さあああああぁぁぁんっ!!!」
そんなことを考えているうちに梢ちゃんはひときわ高い声を上げて、そのまま崩れ落ちた。
(梢ちゃん…)
目の前で絶頂を迎えた恋人を目の当たりにして、僕は複雑な気分になった。

716みずいろ:2005/07/21(木) 19:19:48 ID:mMrVK3OK
「………」
テーブルの上に倒れ込み、息をつく梢ちゃんを見ても僕は動けずにいた。
(僕は…どうすればいいんだろう…)
きっと、彼女も僕と同じ気持ちだったんだ。
越えたい一線を越えられない、そんな想いが溢れて止められなかった。
だからこんなことをしてしまったんだろう。
「白鳥…さん。 そこに…いるんですね…?」
むくりと上体を起こした梢ちゃんは背を向けたまま呟いた。
…やっぱり梢ちゃんも気づいていたんだ。
僕はドアを開けると彼女のそばに歩み寄った。

「…梢ちゃん…」
「…白鳥さん…」
梢ちゃんは背を向けたままうつむき、僕の方を見ようとしなかった。
その背から伝わってくるのは彼女の不安。
「…幻滅しましたか?」
「ううん…梢ちゃんも僕のスケッチブック、見ちゃったんだね…」
「……はい」
「そっか…」
お互いになんと言っていいかわからず、気まずい時間が流れる。

でも…一つだけわかっていたことがあった。
二人とも、前へ進みたがっている、それだけは確かなことだった。
717みずいろ:2005/07/21(木) 19:21:01 ID:mMrVK3OK
しばらく悩んだ後、僕は一つの答えを出した。
「梢ちゃん」
「…はい」
二人とも、前へ進みたがっている。
なら、足を止める必要なんてないじゃないか。
「キス、しようか」
「えっ…?」
お互いが前へ進みたがっているなら迷う必要なんて、どこにもない。
「僕は…梢ちゃんとキスしたいな」
「………。 はい♪」
だったら、一緒に前へ進めばいい。
その想いが伝わったのか梢ちゃんは笑顔で振り返ると躊躇いもなく目を閉じて、僕と唇を重ねた。

「んっ…」
僕たちはこれまでしたことのないような長い長い口づけを交わしていた。
今までのような触れるだけの優しいキスではなく、もっと情熱的な口づけ。
僕たちはお互いを強く抱き合い、伝わる熱を感じあった。
「はぁ…」
唇を離すとどちらからともなくため息が零れた。
見つめ合う梢ちゃんは恍惚とした表情で僕を見つめている。
「ゴメンね、梢ちゃん…」
「どうしたんですか、白鳥さん?」
「もっと早く…こうすればよかったんだね…」
「…もういいじゃないですか」
梢ちゃんは僕の言葉を遮るように僕の胸に顔を埋めた。
「うん…」
718みずいろ:2005/07/21(木) 19:23:32 ID:mMrVK3OK
「……」
しばらく抱き合ったまま僕は考えていた。
(やっぱり…ちゃんと言うべきだよなぁ)
お互いが望んでいることとは言え、このままなし崩しでというのもスッキリしないだろう。
こういう場面ではきっちり言っておいた方が気持ちの上でも決心が付くはず。

僕は少し身を離し、梢ちゃんと向き合うと真剣な表情になった。
「ねえ、梢ちゃん」
「白鳥さん…?」
「梢ちゃん…僕は梢ちゃんが欲しいんだ…いい…かな?」
「………。 …はい」
やっぱり、直接言われたことに驚いたんだろう。
それでも梢ちゃんはしばしの沈黙の後、ゆっくりと、でも確かに頷いた。
「ありがとう…」
「いえ…私こそ、その…よろしくお願いします…」
彼女はうれしさと恥ずかしさが入り交じったような表情で微笑んでいた。
「…あっ」
でも、急に何かを思い出したかのように身を離した。
「どうしたの…?」
「あの…私の部屋に行きませんか?」
梢ちゃんはそういいながら、そそくさと乱れていた衣服をなおしはじめた。

確かに、僕の部屋は急に誰かが来ることが多い。
如何に家族のような同居人たちと言っても、直接見られるのはちょっと気まずい。
梢ちゃんもそう思っているから気になったんだろう。

僕は頷いて彼女の部屋へと向かった。
719みずいろ:2005/07/21(木) 19:25:00 ID:mMrVK3OK
私の部屋に着き鍵を閉めると、私たちはどちらともなく手を差し伸べ、強く抱き合った。
そのまま目を閉じ、また深い口づけを交わす。
私は全身で白鳥さんの温もりを感じていた。
「んっ…む、んっ…」
互いの舌を絡ませ、お互いを貪りあう。
それは今までの優しいキスじゃない、はっきりと性を意識した行為だった。

「んっ…はぁ…」
ゆっくりと唇を離すと、私たちの間に唾液の橋が架かった。
「えへへ…」
「あはは…」
見つめ合うとなんだか気恥ずかしくて、苦笑いが出てしまう。
私は恥ずかしさを隠すようにまた白鳥さんの胸に顔を埋め、彼の体温を感じていた。
ずっと夢に見ていた暖かさ。
それを確かめるようにギュッと抱きしめると、白鳥さんも抱きかえしてくれた。

「梢ちゃん」
しばらく抱き合っていたけれど、白鳥さんの声を合図にどちらともなく離れた。
今はこれだけで満足していられないから。
「はい…」
白鳥さんの真剣な、それでも優しい眼差しを見て私も覚悟を決めることにした。
私は制服のリボンをほどき、ベッドに腰を下ろした。

720みずいろ:2005/07/21(木) 19:27:33 ID:mMrVK3OK
「白鳥さん…あの…」
「どうしたの? 梢ちゃん」
「あの…一つ、お願いしていいですか…?」
「えっ、なに…?」
私たちはこれから結ばれる。
だから、私も一歩前に踏み出したいことがあった。
私は白鳥さんを見上げて、一つの願いを打ち明けた。
「…名前…で呼んでもいいですか?」
深い関係になるなら、もう名字なんて他人行儀で呼びたくはなかったから。
愛する人を名前で呼ぶ…それはずっと夢見ていたこと。
ささやかな願い事だったけど、私にとっては大きなことだった。
私は白鳥さんの返事を待ち、じっと彼を見つめた。
「…………。 い、いいけど…」
名前で…と聞いて白鳥さんはさっきの光景を思い出したのか動揺しながらも承諾してくれた。
「ありがとうございます…隆士…さん」
「………」
以前、私の呼び名を変えたときの白鳥さんもこんな気分だったんだろうか。
たったそれだけのことなのに胸が高鳴る。
どんどん頬が紅潮し、恥ずかしさが顔に出ているのがわかった。
「隆士さん…なんだか恥ずかしいですね…」
「は、はは…」
でも───私は小さな願い事が叶って、それだけでも幸せな気分になれた。
721みずいろ:2005/07/21(木) 19:29:54 ID:mMrVK3OK
「梢ちゃん…」
「はい…」
隆士さんも私の横に腰を下ろし、私をまっすぐ見つめた。
私は小さく頷くと目を閉じ、唇を重ね舌を絡める。
「んんっ、あむ…んっ…」
隆士さんの手が優しく私の髪を撫ぜ、体を愛撫していく。
頬から肩へ、肩から胸へ。
他人に触れられるのは初めてだったけど、それが隆士さんだとわかっていたから嫌悪感はなかった。
私は彼の望むまま、その愛撫に身を委ねる。
「んっんっ…んんっ…あっん…」
これが女の悦び…というものなんだろうか?
その行為が、私を求めてくれているからと思うだけで胸が高鳴った。

隆士さんの手から徐々にぎこちなさが消えていき、リズミカルに私の胸を揉みしだく。
それにあわせて胸の奥からムワムワしたものがこみ上げてくる。
我慢できなくなった私は彼の手を制止した。
「あっ、隆士さん、ちょっと待ってください」
「どうしたの…?」
「ボタン、外しますね」
「あっ、うん」
あんまり服の上から触られては服にしわが付いてしまうから、と言い含めた。
けど、本心はもう直接見て貰いたくて仕方なくなっていたからだ。
722みずいろ:2005/07/21(木) 19:31:29 ID:mMrVK3OK
隆士さんは私が一つ一つボタンを外していくところをじっと見ていた。
その目にはまるでおもちゃを見せて貰う前の子供のように期待に満ちている。
(隆士さん…ちょっと恥ずかしいです…)

前開きの制服のすべてボタンを外すと彼の前に見開きになった肌を晒した。
「………」
隆士さんは声もなく、じっと見つめて息をのんでいた。
「変じゃ…ないですか?」
「い、いや…きれいだよ、梢ちゃん」
「ありがとうございます…」
隆士さんはしどろもどろになりながらも素直な感想を言ってくれた。
でも…。

「あの、梢ちゃん…」
「なんですか…?」
「その…パンツは?」
「…あっ」
隆士さんに言われて、私もようやく気がついた。

どうやら、さっき隆士さんの部屋で脱ぎ捨てたままだったらしい。
…素直なのはいいけど、ちょっと素直すぎるかも。

723みずいろ:2005/07/21(木) 19:33:04 ID:mMrVK3OK
私はベッドに横になり、隆士さんがその上に覆い被さるような格好になっていた。
彼はブラジャーをずらして露わになった胸を両手で揉み、乳首を口に含むと舌で転がす。
「あっ! んぅ…やぁ…!」
先端からジンジンと痛いくらいの刺激が胸を貫き、息が荒くなる。
それでも隆士さんは無我夢中で私の胸にむしゃぶりついていた。
(なんだか…赤ちゃんみたいですね…)
自分でするのでは得られない快感の波に翻弄されながらも私はじっと彼を見つめていた。
急に隆士さんが愛しくなって、ゆっくりと包み込むように彼の髪を撫でる。
隆士さんが私を求めるなら、私は彼のすべてを受け入れよう、そんな気持ちになった。

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
私が思った以上に刺激を受けていると気づいた隆士さんは胸を愛撫する手を止めた。
「梢ちゃん、大丈夫?」
「はぁ……はい…大丈夫ですけど…こんなの初めてで…」
「うん…じゃぁ…」
さっきのこともあるし、二人でする初めての行為と言うこともあって予想以上に感度が高まっていた。
引き延ばすのはまずいと思ったのか隆士さんの手がゆっくりと下腹部に伸びていく。
今まで誰にも触れられたことのない場所に触れられるんだ…そう思った途端に少し怖くなってしまった。
「あっ、ちょ、ちょっと待ってください…!」
「えっ、嫌だった…?」
「そ、そうじゃなくて…その…優しくしてもらえますか?」
緊張と恥ずかしさで心臓がバクバクと高鳴っているけど、やめて欲しくはない…。
そんな私の出来る限りのお願い。
隆士さんが乱暴にするなんて、思ってもいないけどそう言わずにはいられなかった。
「うん…もちろん」
彼のその言葉が欲しかったから、何の根拠もなくても私の緊張は和らいだ。
私が小さく頷くと、隆士さんはゆっくりとそこに手を伸ばした。
724みずいろ:2005/07/21(木) 19:34:50 ID:mMrVK3OK
「…っ!」
ゆっくりと隆士さんの手がそこにたどり着く。
初めて触れられる不安と、これから起こることへの期待。
そんな複雑な感情が私の中で爆発寸前になった。
(はっ恥ずかしい…!)
バクバクと心臓が高鳴り、私は目の前が真っ暗になり始めた。
『逃げちゃダメ、きちんとあの人を受け入れて』
そのとき、誰かの声を聞いた気がした。
気が遠くなる寸前だった私の意識は再びはっきりとする。
(…誰?)
疑問に思う前に隆士さんの手が私の秘所に触れ、そんな考えはどこかに吹っ飛んでしまった。
「……ゃっ!!」
「梢…ちゃん…柔らかい…それにぬるぬるしてる…」
「いっ、言わないでください!」
「あっ! ごっゴメン…」
隆士さんも緊張してるのか、ぎこちない手つきで私のそこにゆっくりと指を這わせた。
すでに一回達して敏感になっていることもあって、彼の言うようにびしょびしょになっていた。
隆士さんの指もすぐに愛液まみれになりくちゅくちゅとイヤらしい水音を立て始めた。
「やぁっ…ダメです……そんな…広げ…ないで…くださ…ふあぁ!」
「梢ちゃん…!」
クチュクチュ、チュプニュプ───
室内には私の喘ぎと淫らな水音が響く。
「は…あぁ! りゅ、隆士さん…やぁ! ダメぇ!」
私はもう何も考えられなくなっていた。
隆士さんの指が動くたびにビクビクと体が仰け反り、抗いきれない快感の波が押し寄せる。
…もうこれ以上は耐えられそうもない。
「はぁ…はぁ……隆士…さん…私…もう…」
「梢ちゃん…わかったよ」
隆士さんは私に限界が迫っていることを知ると愛撫する手を止た。
725みずいろ:2005/07/21(木) 19:36:07 ID:mMrVK3OK
隆士さんは私の見ている前でズボンを脱いでいく。
私は息を整えながらもその光景をまじまじと見つめていた。
彼が下着を脱ぎ去るとそこから大きなモノがいきり立った。
(うわぁ…あんなに大きいんだ…)
初めて見る隆士さんの怒張は想像以上に大きく、私は思わず息をのんでしまった。
(…あんなの入るのかな…)
私はこれからすることを考えて少し不安になった。
本当にあんな大きなモノが入るんだろうか?
「あの…梢ちゃん…?」
「あっ、はい」
「ゴメン、驚かせちゃった…?」
正直、驚いていないと言えば嘘になる。
でも不安と同じくらいの、期待や好奇心といった感情もあった。
「い、いえ…こんなに大きなものなんですね…」
「あ、ああ、うん…」
「触ってもいいですね?」
私は上体を起こすと彼の返事も待たずにその怒張を手に取ってみた。
「あっ!? 梢ちゃん、ちょっと!?」
「うわぁ…すごく…熱いですね…それにカタいです…」
両手にも収まりきらないほど大きなものは私の手の中で熱く脈打っていた。
しげしげと眺めているだけでなんだか興奮してきてしまう。
少し力を入れて握るとその熱が手に伝わってきて、先端から雫が溢れ出した。
「あうっ」
「ご、ごめんなさい、痛かったですか?」
「い、いや、痛くはない、けど…」
(…? けど…?)
726みずいろ:2005/07/21(木) 19:37:36 ID:mMrVK3OK
私が手を少し動かすと隆士さんの体はビクンと反応した。
(あっ…ひょっとして…)
原因を察した私はちょっと意地悪したくなってしまった。
隆士さんのモノを握った手をゆっくりと動かしてしごいていく。
「ちょ、ちょっと、梢ちゃん…!?」
「私だけ気持ちよくしてもらったのは不公平ですから…♪」
男の人がどうすれば気持ちよくなるかくらいは私だって知っていた。
もちろん実際にするのは初めてだけど、隆士さんの反応を見ればそれが間違っていないことくらいわかる。
「どうですか、隆士さん?」
「こっ…梢ちゃん…ダメだよ…!」
「何でダメなんですか?」
「えっ!? だ、だって…!」
焦る隆士さんと同調するように私の手の中にあるモノもピクピクと反応していた。
先端から出る透明な液体の量もだんだん増えている。
(えっと…あの本には確か…)
「…隆士さん、もっと気持ちよくしていいですか?」
「ふぇ!?」
驚く彼の反応を待たずに私はゆっくりといきり立つ怒張に口を近づけた。
自分でも何でこんなに積極的になれるのかよくわからない。
でも、隆士さんにもっと喜んで貰いたい、その一心が私を突き動かしていた。
727みずいろ:2005/07/21(木) 19:39:24 ID:mMrVK3OK
ぴちゃ、ぴちゃぴちゃ

私は隆士さんのモノを握ったまま、先端を舌で舐めてみた。
そこから溢れる液体が口に入り込んだけど、嫌悪感はなくむしろ興奮を覚えていた。
(ちょっとしょっぱいですね…)
「こっずえっ…ちゃん!!」
ちろちろと舌を這わせると隆士さんが荒い息を上げ、私の名を叫ぶ。
(気持ちいいんですね、隆士さん…)
「だ、ダメ…だよ…ッ!」
もうちょっと続けたかったけど、だんだん隆士さんの声に余裕がなくなってきていた。
残念だったけど、この続きは今度にしておいたほうがいいだろう。
私は名残惜しさを感じながらも唇と手を離し、彼のモノを解放した。
「隆士さん、まだダメですよ」
「はぁはぁ…はぁはぁ…」

そう、本番はこれからなんだ───。
728名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 19:42:16 ID:mMrVK3OK
はい、長丁場になりますが中編終了です。
次回、後編・最終回───だと思います。

でも分量は今回と同じくらいになる…かも。
せっかくの隆x梢なんで気合い入れていきます。
729名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 20:09:08 ID:ACp4HJne
ジイィィィィジエェェェェ!!
730ぐうたら:2005/07/21(木) 20:17:37 ID:QnjfQgbR
>>728
GJ! 
つかその謙虚な態度と書いてるモノの中身のギャップがry
最後までガンガレよぅ
731名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 20:39:24 ID:vonLPZkq
続きが気になって課題がはかどらない('Α`)グッジョブ
732名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 20:40:30 ID:0Uyw3zrc
寸止めぁぁぁ
733名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 20:47:46 ID:CuCzFL8W
>>728
キタ Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!
(*´Д`)ハァハァ GJ!!!!!!

梢ぽんが意外にテクニシャンなのは、バラさんの小説のおかげですか?
734テイル:2005/07/21(木) 20:49:35 ID:AP7l0XbY
盲腸やって以来体力ガタ落ちで、今日もボロボロで帰ってきたら……
何この賑やかさは。

何?
みずいろ?

ゴシゴシ

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
とりあえずGJ!
続きが気になって寝れないじゃないか……(グー
735名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 20:51:01 ID:mMrVK3OK
>>732
ごめんなさい、ホントは今日中に全部出しちゃいたかったんですが
思ったより伸びちゃいました…。
一気に出すとレス数がえらいことになるので分割しました。

>>733
えっと、なんのことかわかりませんけど、どちょうとかは覚えました。
736名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 20:54:48 ID:mMrVK3OK
>>736
あら、しばらく休養みたいなこといってましたが盲腸でしたか。
もう、チョーサイアクーってやつですか?

死に際の集中力でナイスな新作をお願いします。
737ヘブン:2005/07/21(木) 21:51:35 ID:qTPtFYm+
梅干しを食い過ぎたせいか胃腸の調子が悪いッスヨ〜・・・・
みなさんは程々にしましょう。

>>728
キタ━━━━━━(_∀_)━━━━━━キタ踊り(マテ

ブラボー、おぉブラボー
続きはいつ投下されるのだろうか?
深夜までまてn(ry
738名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 22:17:00 ID:FidcvC4B
純情な2人はお互いに攻めであり受けであるような状況が良く似合う・・・ポカポカ
739名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 22:18:31 ID:axVOF4d4
携帯からは名無しで。

>>736
いやあ、盲腸やったのは五月の事です。
今年は色々あるから手術したんですが…
傷口がまた痛みだしてますorz
体力がすごく落ちた…いつになったら新作が出来るだろう。
下手したら来ね(ry

人民元切り上げのニュースを気にしながら課題やって寝ますノシ
740名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 22:27:52 ID:mMrVK3OK
>>737
ああ、えっと、たぶん今夜中には無理なので明日の夜になるかと。
そんな急にいっぱい書くのは無理ですorz
741お腹いっぱい:2005/07/21(木) 23:24:32 ID:bDJ8WKD7
>>728 GJ!!
どちょう、使ってもらえましたかw
続きがかなり気になります。
でも、無理せず書いてくださいね。

さて、前から予告していたドタバタモノは、いつ投下すればいいのかな…
742ぐうたら:2005/07/21(木) 23:25:05 ID:QnjfQgbR
このペースだと月末までにこのスレも1000行くか?

ぎょうむれんらくぅ〜〜〜

タチバナさんSS、現在ジャンジャンバリバリ執筆中です。
が、タチバナさんや白鳥君の正確な身長が分からないと…な部分がありまして。
『蒼』が出るまで待つか…てか、短編だったはずが、10レスオーバー…
最近脇役に目覚めてる自分ガイル。
タチバナさんハァハァ。

>>741
ヒント:善は急げ
743ヘブン:2005/07/21(木) 23:56:46 ID:qTPtFYm+
>>742
じゃ、今の内に次スレのタイトル考えます?(気早ッ

脇役はヨ〜ちゃんなのヨ〜・・・・

善は急げなら私も近々投下してみようかな・・・・
744名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 00:09:07 ID:anuTllAV
近々じゃなくて今日投下しr(ry
745ぐうたら:2005/07/22(金) 00:20:59 ID:XD2CP6yp
ここはガンガンwingで大人気連載中の『まほらば』の二次創作SSを投稿するスレだぜ!
年齢制限は問わねぇから、ジャンジャン投下してくれよな!
あ、でも、その…あ、あたしでエロイことすんじゃねーぞ!!



過去に投下されてきた作品の保管庫はここだ!
http://whitebrown.hp.infoseek.co.jp/mahoraba/index.html

SSのみの保管庫は、ここだぜ。
http://blog.livedoor.jp/maholog/

次スレは>>970が立てるんだぜ。
じゃ、皆頑張って書いてくれよな!応援してるぜ!


善は急げ…ってことで、次スレのテンプレです。
前スレとか過去スレはスレ立てる人が貼ってくれぃ。
746名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 00:24:17 ID:anuTllAV
(゜∀゜)早紀タソ??
747名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 00:30:35 ID:Pt9FN+zE
ジョニー
748ヘブン:2005/07/22(金) 01:04:15 ID:u+KzIqpk
>745
おぉ、早紀ちゃんですね
まぁ、どのキャラにするかは立てる人次第かもしれませんが良いですヨ〜

じゃ私も

ここはガンガンwingで大人気連載中の『まほらば』の二次創作SSを投稿するスレヨ〜
年齢制限、国籍は問わないから、ジャンジャン投下し欲しいヨ〜!
それよりも誰か先物取引にならないかヨ〜?大もうけヨ〜!



過去に投下されてきた作品の保管庫はここヨ〜
http://whitebrown.hp.infoseek.co.jp/mahoraba/index.html

SSのみの保管庫は、ここヨ。
http://blog.livedoor.jp/maholog/

次スレは>>970が立ててヨ〜。
じゃ、皆頑張って書いてヨ〜!その後は何か買ってってヨ〜!

・・・・なんちゃって(テヘ
749名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 01:04:59 ID:lwNRTkfY
>「隆士さん、まだダメですよ」
>「はぁはぁ…はぁはぁ…」
寸止めでオイラモ(;´Д`)ハァハァ

早紀てんぷら(・∀・)イイ!!
750名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 02:37:21 ID:rEcmyjQr
>>748
いや、ヨ〜ちゃん、一応この板は21禁だよ…。
751名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 03:31:32 ID:QDNG+Gd0
次スレのタイトルは和やかな六時で。
752名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 03:31:38 ID:xABr8QW2
よく考えると、みずいろというタイトルが既にえろかったのね。
これからは街で水色を見かけるたびにモヤモヤと(;´Д`)ハァハァな気分になりそう
753名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 03:56:22 ID:Pt9FN+zE
みずいろってエロゲあったよね。
754名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 05:25:58 ID:SJZ4APsi
見ていて嫌になるほど甘ったるいと聞いた覚えがある
755名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 07:37:39 ID:eMENNz43
>>754
そうでもないよ
756名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 08:09:00 ID:0LDchxx4
>>728  GJ!神ですか、あなたは
神デスカーーーー!!?
今夜ニハ昇天しソウでスヨ・・・ククッ
・・・ここは21禁だったのか・・
757名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 11:45:06 ID:o2Dg7TwU
「白鳥! 白鳥! 白鳥・・・っっっ!!」
「だめだよ早紀ちゃん、そんなに締め付けるとボク・・・」

今月号読んでて↑のセリフが浮かんだ暑い日の昼下がり。
758名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 12:50:48 ID:QlSoB1uM
>>757 おまい最高GJ
759名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 14:28:57 ID:UCj9j9yx
擁護だと言われるかもしれんが言わせてくれ








うはwここの職人さん全員クオリティタカスw
760名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 16:33:25 ID:a/798iY9
つーか白鳥は梢の手で収まりきらない程の巨チンなのか
761名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 17:15:50 ID:o2Dg7TwU
>757
自分で書いといてあれだが、なんだかムワムワしてきたので
自分でSS書いちゃおうっかなー・・・。あんまりエロ物は好まれない
ようだけど、本気出しちゃっていーかな?
762名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 17:43:41 ID:NaYF/UIo
>>752
最初は意味がわからなかったけど、ガシャ改造の白鳥くんモドキに色塗ってて気付いた。
これからは調色用塗料皿で水色作る度にムラムラしそうだw

>>761
地の果てまで突っ走ってください
763名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 18:06:52 ID:rEcmyjQr
さて、一晩のお預け終了です。
今日はルパーンでサトミンボイスが聞けるので早めに投下。

そんじゃ、「みずいろ」後編投下。
おそらく18レスくらいです。
764みずいろ:2005/07/22(金) 18:07:36 ID:rEcmyjQr
一息ついて小休止を終えると、梢ちゃんは再びベッドに身を横たえた。
僕も梢ちゃんに覆い被さるような格好で梢ちゃんと向き合っている。
「梢ちゃん…」
「はい…よろしく…お願いします」
頷く梢ちゃんの表情が硬くなっている。
さっきはずいぶん緊張がほぐれていたようだけど、いざ本番となってまたぶり返してきたんだろうか。
「大丈夫だよ…」
「は、はい…」
返事はすれど、緊張が和らいだ様子はなかった。
(どうしよう…もうちょっと安心させてあげないと…)
といっても、僕だって緊張しているのは同じだった。

それでも梢ちゃんの緊張を少しでも和らげてあげたい───。
その一心で僕は梢ちゃんを優しく抱きしめると、甘い口づけをした。
「あっ…隆士さん…んっ…」
「梢ちゃん…」
唇だけではなく、頬へ、耳たぶへ、首筋へ。
同時に優しく髪を愛撫する。
梢ちゃんは僕の愛撫に身を委ね、ゆっくり瞳を閉じた。
「はぁ…隆士さん…」
わざと敏感なところは触れずに彼女の全身を柔らかく包み込む。
どうすれば、緊張を解けるかなんてわからなかったけど、無意識の行動が彼女の体から固さを解きほぐしていった。

765みずいろ:2005/07/22(金) 18:08:37 ID:rEcmyjQr
僕は梢ちゃんを胸に抱きしめ、優しく語りかけた。
「大丈夫…二人なら大丈夫だよ…」
「隆士さんも…ドキドキしてますね…」
「うん…本当は僕も不安だけど…梢ちゃんと一緒なら大丈夫」
「隆士さん…はい♪」
一人じゃ、前へ進めないかもしれない。
だけど、僕たちはもう一人じゃないんだ。
これからはずっと二人で手を取って歩いていける。
二人とも同じなら不器用でもゆっくりと前に進んでいこう。

「隆士さん…もう大丈夫です」
「梢ちゃん…」
僕の腕から離れた梢ちゃんからはもう緊張の色は消えていた。
いつもの優しい笑みがその表情から見受けられる。
「うん」
「お願い…します」
梢ちゃんはさっきと同じように身を横たえるとゆっくりと足を開いた。
恥ずかしそうにはしているけど、その目はどこか期待に満ちている。
僕は梢ちゃんと向き合うように体の位置を変えると彼女の足を抱きかかえた。
「りゅ、隆士…さん…」
梢ちゃんは少し不安そうに僕を見つめている。
僕はすぐにことに移した方がいいのかとしばらく思案した。

766みずいろ:2005/07/22(金) 18:09:45 ID:rEcmyjQr
(初めての時は痛いって聞くし…どうしよう)
梢ちゃんのそこはもう十分潤っているけど、もう少し準備した方がいいかもしれない。
僕は梢ちゃんの秘所に滾るモノを重ねるとその筋に沿ってゆっくりと動かし始めた。
「あっ…隆士さん…!?」
割れ目をゆっくりと開くように梢ちゃんの秘所の上を滑らせる。
こうすれば僕のモノも十分に濡れて、痛みも和らぐだろう。
「はぅ…! あっああっふあ…」
予想以上に梢ちゃんの反応は大きかったけど、これくらいならまだ平気だと判断する。
擦り続けているとだんだん梢ちゃんの秘所から溢れる愛液の量が増えてきて、僕のモノもすでにびっしょりになっていた。
767みずいろ:2005/07/22(金) 18:11:32 ID:rEcmyjQr
「梢ちゃん…行くよ」
「あっ…は、はい…」
僕は梢ちゃんの上に覆い被さるようになって強く抱きしめた。
彼女もそれに応じて僕の背に手を回し、きゅっと抱きしめ返す。
梢ちゃんの中心に憤る怒張をピタリと押しつけるとゆっくりと押し進めた。
「あうっっ!」
「梢ちゃん、頑張って…!」
「はっはいぃ…!」
梢ちゃんの手がシャツ越しにでも痛いくらい僕を抱きしめる。
「ゆっくり行くからね…」
「ぅっんん…っ!」
必死に頷く梢ちゃんの負担が大きくならないようにじわじわと進入していく。
(くっ…きつい…)
「かはぁはぁっ、っ! はぁっ…!」
挿入を続けていくとやがて引っかかる感覚が僕を押しとどめた。
(これか…!)
辛そうな梢ちゃんの様子を見る限り、あまりじっくり行くのも返って辛くなるかもしれない。
そう判断した僕は意を決して、一気に腰を突き入れた。
「っ! あうううううぅぅぅっっ!!!」
「梢ちゃん!」
反発する感覚が一瞬強くなった後、一気に僕のモノは梢ちゃんの最深部まで到達した。
その瞬間、熱い何かが僕のモノにまとわりつくのを感じる。
その痛みを代弁するかのように梢ちゃんの爪が僕の背に食い込んだ。
「はぁー…はぁー…はぁー…」
「梢ちゃん、もう終わったよ…」
「はい…奥まで…隆士さんを感じます…」
梢ちゃんはまだ辛そうに涙を流しながらも、どこか満足げな笑みを僕に見せてくれた。
僕たちが繋がったままキスをすると二人の結合部からは朱い雫が溢れ出した。
768みずいろ:2005/07/22(金) 18:13:39 ID:rEcmyjQr
「はぁ、はぁ…んくっ…ああっ…」
「梢ちゃん、平気?」
「は、い…なんとか…んうっ」
梢ちゃんが落ち着くのを待ってから僕たちは行為を再開した。
最初は痛がっていた梢ちゃんも徐々に痛み以外を感じ始め、甘い声を漏らし始めた。
「はぁ…はぁ…だいぶ…痛くなくなってきました…」
「うん…よかった」
「続けてください…」
梢ちゃんの痛みが引いていくのと同時に中から溢れ出る愛液の量が増えたようだ。
慣れ始めたのもあるけど、潤滑液のおかげで楽になったのかもしれない。
僕もぎこちなく腰を動かし、なるべく彼女の快感を増してあげようとペースを維持しながら突き入れた。
「あっ…あんっ…うっく…ああ…はぁっ…!」
「梢ちゃん…!」
突き入れるたびにグチュグチュという水音が大きくなっていく。

梢ちゃんの心配ばかりしていたけど、僕もかなり辛くなっていた。
(すごいや…梢ちゃんの中、こんなに気持ちいいんだ…)
ねっとりと絡みつく梢ちゃんの膣内はとても刺激的だった。
今まで感じたことのないような快感に僕も混乱し始めていた。
「あっやぁ…りゅ、隆士…さんっああっん…!」
突き入れるたびに梢ちゃんの甘美な嬌声が耳を刺激し、膣内では僕のモノを強く締め付ける。
(こ、このままじゃ持たないよ…!)
無意識のうちに腰を動かすスピードが上がっていく。
「はぁっはぁっ…!」
「りゅ、隆士さん…我慢…出来ませんか…?」
「えっ…?」
「わっ、私に…構わず…んっ…どうぞ…! あぅっ」
梢ちゃんも気がついていたんだ…。
769みずいろ:2005/07/22(金) 18:14:59 ID:rEcmyjQr
そう思った瞬間、気が緩んでしまったんだろうか。
我慢していたモノが一気に堰を切って、溢れ出してしまった。
「あっ!ううううぅぅ!!」
どくどくと僕のモノから迸った白濁は梢ちゃんの中に染みこんでいく。

不覚にも梢ちゃんがイク前に先に僕が達してしまった…。
「ああぁ…」
「あっ熱、いのが…入って…来ます…」
初めてのことだとは言え、彼女より先にイってしまうなんて情けない。
僕は梢ちゃんの中から自分のモノを引き抜くとがっくりとうなだれた。
「梢ちゃん…ゴメン…」
「あっ…いえ、いいんですよ」
「ううっ…」
「私が我慢しないでくださいって言ったんですから、隆士さんは悪くないです」
梢ちゃんは一生懸命慰めてくれるけど、それは逆に追い打ちになっていた。

どどんよりとしていると梢ちゃんが優しく抱きしめてくれた。
「隆士さん…もう一回しましょう? 今度はちゃんと…」
「梢ちゃん…」
「今度は頑張ってくださいね♪」

…………。
そうだ、僕たちは二人で一つにならなきゃいけないんだ。
こんなところで立ち止まっている場合じゃない。
「そう…だね」
「はい!」
僕は気を取り直すと梢ちゃんを抱きしめてベッドに倒れ込んだ。
770みずいろ:2005/07/22(金) 18:17:07 ID:rEcmyjQr
「それじゃ、今度こそ」
「はい♪」
僕は再びカタく元気になったモノを梢ちゃんの中へと挿入していった。
梢ちゃんの膣内は血と愛液と精液で溢れかえり、どろどろになって僕を迎え入れた。
「んくっ…!」
「梢ちゃん、平気?」
「はい…もう全然平気です」
一度貫いてしまえば、もうその痛みはないらしく、梢ちゃんはうっとりとした表情で僕を受け入れてくれた。
一気に最深部まで突き入れると中を満たしていた液体が行き場所を失って結合部から溢れ出した。
「繋がったよ、梢ちゃん…」
「はい…やっぱり熱いです…」
「僕、今度は頑張るからね」
「お願いしますね…♪」
僕はゆっくりと腰を動かしていく。
だいぶコツは掴んだのでリズミカルに梢ちゃんの中に挿入を繰り返す。
「あっあっあっああっ…隆士…さんっ」
「梢ちゃん…!」
梢ちゃんの中は十分すぎるほど濡れ、スムーズな動きを可能にし僕を加速させた。
僕は姿勢を変えて、梢ちゃんに結合部を見せつけるような格好にして見せた。
「ほら…梢ちゃん、繋がってるよ…」
「っ!? やっ、ダメっですぅ! 恥ずかしい…!」
そう言いつつも梢ちゃんはそこから目を背けようとはしなかった。
興味津々と言った様子で、食い入るように出入りする僕のモノをじっと見つめている。
「ああっ…繋がってます…私の…中が…めくれて…ふあっ!」
「梢ちゃんの中も…気持ち…いいよ…!」
「あっ…すごい…です…りゅ、隆士さんのが…また大きく…ああぅ!」
「梢ちゃん…!」
突き入れるたびに梢ちゃんの膣内はきゅっきゅっと締め付ける。
僕たちはすっかり性の虜になっていた。
771みずいろ:2005/07/22(金) 18:18:50 ID:rEcmyjQr
「はぁっはぁっあくっん! やっあぁ!!」
「梢ちゃん…梢ちゃん…!」
「りゅ、隆士…さん…!!」

ギシギシとベッドの軋む音。
パンパンと腰と腰がぶつかり合う音。
グチュグチュと密壺が勢いよくかき混ぜられる音。
それら、すべての音が僕たちの興奮をかき立てていた。

「気持ちいい…! 気持ち…いいですっ…隆士さん…っ!!」
「僕も…気持ちいいよ…!」
「ホッホント…ですか…!? 嬉しぃ…です……ふああっ!」

お互いが性感を高めあい、どんどん加速していく。
僕たちはベッドに折り重なるように抱き合い、無我夢中でお互いを貪っていた。
梢ちゃんも僕にあわせて腰を動かし、より深い結合を求めている。

───僕たちは今、一つになっていた。

772みずいろ:2005/07/22(金) 18:20:22 ID:rEcmyjQr
「はぁ…はぁ…! りゅ隆士さぁん…好き…好きです…!」
「梢ちゃん…梢ちゃん……!」
「好き…大好きです…っあああっ!!」
「愛してるよ…梢…ちゃん…!」
「ああっ! りゅう…し…さ…あぁぁんん!」

僕たちはお互いの胸を打ち明け、無心になって互いを求め合う。
僕は何度も絶頂を迎え、梢ちゃんの子宮に熱い想いを注ぎ続けた。
梢ちゃんも積極的に、時には強引なくらいに僕を求める。

───お互いがお互いを絞り尽くすように性を貪りあっていた。

「りゅ…隆士…さん…また…! 私…もうっ…!!」
「梢ちゃん…行くよ!」
「来て、来てぇ!!」
「ああああっ!」
「ふあああああああああぁぁぁぁぁっっ!!!!」

再び絶頂を迎え、熱いモノを梢ちゃんの中に注ぎ込む。
もうほとんど出尽くしてしまって最後の一滴を絞り出すように。
梢ちゃんの膣内はもう溢れ出した精液でドロドロになっていた。

限界に限界を重ねた僕たちはついにぐったりとベッドに倒れ込んだ───。
773みずいろ:2005/07/22(金) 18:21:32 ID:rEcmyjQr
私は暖かいまどろみの中を漂っていた。

隆士さんと一つになれた悦び、彼のすべてを受け入れた悦び。
お腹の中に残った確かな熱さと想い、そのすべてが私に安らぎを与えてくれた。

『頑張ったね、おめでとう』

また、さっきの声…どこかで聞いたことがあるような…そんな優しい声。

『さぁ、彼が待ってるよ、行ってあげて』

誰なんだろう…?
そう思いながらも私の意識はどこかに引き上げられていった…。

774名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 18:23:50 ID:TZdRUw4b
リアルタイム乙!!
775みずいろ:2005/07/22(金) 18:24:04 ID:rEcmyjQr
目を覚ますと私の横で隆士さんが安らかな寝息を立てていた。
その寝顔からは満足感と安らぎが見て取れる。
(…二人とも気を失っちゃったんでしょうか)
最後の絶頂の後の記憶がなくなっていることに気がついたけど、彼の寝顔を見ていたらどうでもよくなってしまった。
(隆士さん…お疲れ様♪)
眠り続ける彼の頬に優しくキスしてあげると嬉しそうに微笑んでくれた。

(制服…しわだらけになっちゃいました)
私は半身を起こし、改めて自分がすごい格好をしていることに気づいた。
着慣れた制服はぐしゃぐしゃに乱れ、ブラジャーも無造作にずりあげられている。
パンツに至っては2号室に置きっぱなしだった。
前に読んだ本には服は脱ぎかけの方が男の人は喜ぶ、と書いてあったけど間違いじゃなかったらしい。
隆士さんが私の姿をちらちらと気にしていたことはちゃんとわかっていた。

(まぁ、学校も終わりましたし洗えばいいですかね…隆士さんも喜んでくれたし…)
よく見ればシーツも私と隆士さんの体から流れ出したものでシミだらけになっていた。
(ちょっと骨が折れそうです…)
些細なことを考えながら隆士さんの髪を優しく撫でた。
彼も何度もこうやって私に安らぎを覚えさせてくれたんだっけ…。

そんな隆士さんにねぎらいの気持ちを込めて私はまたキスをした。
776みずいろ:2005/07/22(金) 18:25:12 ID:rEcmyjQr
「う…ん…」
「お目覚めですか?」
しばらくすると、隆士さんも目を覚ました。
少し気怠そうにぼんやりと私の方に振り向いた。
「梢ちゃん…あ、そっか…」
「おはようございます、隆士さん。 お疲れ様でした♪」
「うん…いつつ…」
隆士さんも上体を起こして座り直したけど、腰に手を当てて顔をしかめた。
「大丈夫ですか?」
「うん…ちょっとがんばりすぎちゃったかな、はは」
「私もちょっと腰が痛いです…」
腰、と言うか股関節を慣れない格好で広げていたため、股が痛かった。
さすがに恥ずかしいのでそれは口に出さなかったけど。

「お疲れ様、梢ちゃん」
「はい、お疲れ様です♪」
「あはは…」
「えへへ…」
見つめ合うとなんだか妙に照れくさい。
そんな気持ちをごまかすために私たちはどちらともなく抱き合ってキスをした。

777みずいろ:2005/07/22(金) 18:26:30 ID:rEcmyjQr
「えっと…梢ちゃん」
「はい?」
隆士さんは照れたように頭をかきながら私に話し始めた。
「なんか、なし崩しになっちゃったけど………ありがとう」
「あっ、いえ…元々、私があんなことしてたわけですから…」
「うん…そうだけど、でもちゃんと言っておきたくて」
「そんな…それにお礼を言うなら私の方こそ…」

どちらともなく苦笑いが漏れる。
「…僕たち二人とも同じなら、いっか」
「そうですね。 私も隆士さんも同じ気持ちだったんですから」
もう離れられない。
私たちはやっと一つになれたんだから。
お互いを抱き合う力がきゅっと強くなった。
「愛してるよ、梢ちゃん…」
「はい…私もです」
「これからもたくさんの思い出を作っていこうね」
「はい、ずっと…ずっと…」

私たちの中で育まれた気持ちは一つになって『好き』から『愛』へと成長した。
これからももっともっと大きくなっていくんだろう。

そうやって私たちは未来へと歩いていくんだ───。
778みずいろ:2005/07/22(金) 18:27:19 ID:rEcmyjQr
ぐ〜。

「……」
「……」
「…とりあえず、ご飯にしようか」
「そうですね…だいぶ遅くなっちゃいましたけど」

一歩一歩。
少しずつでも前へと進んでいこう。

「あっ、お風呂にも入らないと…汗でべとべとだ…」
「隆士さん、一緒に入りますか?」
「ええっ!?」

長く長く続いていく人生という道。
私は最高の伴侶に巡り会えた。

どんなことがあったって、私はこの人から離れない、離れられない。
距離も、時間もなく、ずっとずっと。

愛する人、と一緒に。
779みずいろ:2005/07/22(金) 18:28:31 ID:rEcmyjQr
「ふう…さっぱりしたね」
「はい…♪」
僕たちは一緒にお風呂に入った後、縁側でおにぎりを食べていた。
同時にうめぼしを食べたらしく、僕たちは酸っぱい表情を見て笑いあった。

黄昏時の太陽が僕たちを赤く照らしている。
「さっそく、ナツの思い出が増えちゃいました♪」
「あ、そっか。 あっちも見たんだね」
「はい♪ …いけませんでしたか?」
「ううん、出来上がったら真っ先に梢ちゃんに見せてあげようと思ってたから」
あの絵本は、この鳴滝荘で出来た大切な思い出が込められている。
だから、最初から一番は梢ちゃんのためにあったんだ。

「あっ、隆士さん。 そう言えばお買い物はいいんですか?」
「あ、うん。 財布を忘れちゃって取りに帰ってきたんだったっけ」
(精算途中だったけど、まぁいいか)
今日はもう疲れちゃって外に出る気もしなかった。
「絵の具でしたら私のいりますか? 滅多に使わないので…」
「ホント? 助かるよ」
「何色が足りないんですか?」
「えっと…」

僕は答えようとしたとき、ふと一つのことを思い出した。
そう、足りなかった色なんだ。

それは───。
780みずいろ:2005/07/22(金) 18:29:20 ID:rEcmyjQr
「僕たちの色」

「えっ…?」

梢ちゃんは僕の言葉の意味がわからないのか不思議そうに僕の顔を覗き込んできた。

「僕たち二人の色、だよ」

「私たちの…色?」

僕たち二人の色。

二人なら二色だけど、
一つになればまた別の色に変わる。

二つは一つになり、新しい色になる。


僕たち二人の色───。
その、答えは───。








<みずいろ>    Fin.
781みずいろ あとがき:2005/07/22(金) 18:30:17 ID:rEcmyjQr
はい、思わず長くなってしまいましたがこれにて終了です。

もう言わずともわかると思いますが、今回のシチュエーションは
ttp://black.skr.jp/mahoraba/pbbs/data/IMG_000041.jpg
が元になってるわけです。
元絵を描かれた絵師さんには毎度毎度感謝感謝です。
(早紀とか珠mもインパクトあったけどもう書いちゃったよorz)
さりげなく他のSSからもネタを拝借していますが、この場で感謝の気持ちを述べておきます。

さて、これまで「Simple」=早紀、「勇気のマホウ」=棗と来て、今度は梢さんです。
今回はメインヒロイン筆頭と言うこともあり、120%増量と言った感じで、
気合い入れて書いてしまいました。
全体の7割くらいがエッチシーンという我ながらやりすぎと言えるボリュームです。
あまり妥協はしたくなかったので、そのまま書ききってしまいました。
まぁ、我らが梢さんの初めてだったらこれくらいは妥当かな?

いつの間にかシリーズ化している「彼女の初めて」も早くも3人目(隆子、珠実も入れれば5人か)
次はあの人ですね、コレクトコレクト。

…えっ? 魚子?
ごめんなさい、ごめんなさい、無理です、ごめんなさい…。
782名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 18:34:38 ID://3DFcDP
GJ!
タイトルのみずいろはそういう意味だったのか
千百合もがんばってください
できれば魚子ちゃんも
783名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 20:36:47 ID:anuTllAV
>>781
大作投下続きキテターーーーー(゜∀゜)ーーーーー!!

青+白=水色
(ノ∀`)こりゃ一本とられたがな。

さて今日のルパーソは謎の美人軍団が出てくるらしい。
(・∀・)ワクワク&(´Д`)ハァハァ
784名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 21:34:34 ID:a/798iY9
梢はどれだ
785名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 21:50:44 ID:aOVfQQXR
>>781 GJ!GJ!GOD JOBッス!!
「みずいろ」を読んだ瞬間、鳥肌+涙がでた濡れは
大丈夫か?と思った今日この頃(ノ∀`)アヒャ
786ぐうたら:2005/07/22(金) 22:24:48 ID:a0tGhJpJ
>>781
全体的にGJ!
良い具合に梢ちゃんに萌えたよ。
オチとタイトルのリンクにもかなり感心させられました。

でもナレーションっつーか心の声っつーか?
白鳥君と梢ちゃんとのどちらかにしとけな感じが少し。
今度は統一してくれるともう少し読みやすくなるかもです。
乙でした
787お腹いっぱい:2005/07/23(土) 00:06:09 ID:Q+PVewQF
>>781
乙GJでした!
最後でようやく、タイトルの意味に気付きました。
そう考えると、なんだかエロい色ばかりですね。
赤と白で、桃とか(ぇ
自分なんかのネタが使われるなんて光栄です!
千百ちゃんも楽しみにしていますが、魚子ちゃんも楽しみにしていますw
がんばってください!

それでは、善は急げとのことですので、新シリーズを投下開始させていただきます。
果たして善になるかはわかりませんが…。
今回は前後編に分けてみました。

では、前編どーん
7887号室の住人 〜丹〜:2005/07/23(土) 00:07:11 ID:Q+PVewQF
ボクの名前は×××。
鳴滝荘の7号室、誰も住んでいないはずのこの部屋に、ボクは住んでいる。
ボクの仕事は、鳴滝荘の住人のみんなの生活を観察して、
それをもとにお話を書いて、みんなに伝えること。
こんなにも素晴らしい場所があるってことを教えたいから始めたんだ。
一部を除いて、住人のみんなはボクの存在を知らない。
見つかりそうになっても、小さなボディと自慢の速い足で切り抜けてきた。
それでも見つかったことは…ないわけじゃない。
捕まって、とても恐い目にあったこともある。

これは、そんなお話の一つ。
7897号室の住人 〜丹〜:2005/07/23(土) 00:08:33 ID:Q+PVewQF
その日、ボクはいつものように住人のみんなを観察したあと、部屋に戻ってきた。
今回のお話を思いついたからだ。

「早く書かないと、“担当さん”が来ちゃう!」

実は、ボクの書いているお話はある雑誌に載せてもらっている。
その雑誌の編集者さんの一人がボクの“担当さん”で、
一ヵ月に一度、原稿を取りに来る。
ボクは記憶力に自信がないから正確にはわからないけど、
今月の締切はそろそろのはずだった。
「さっそく作業にとりかからないと!」
7907号室の住人 〜丹〜:2005/07/23(土) 00:09:13 ID:Q+PVewQF
今月は、前から少しずつ書いていた、
沙夜子さんと朝美ちゃんが水無月家に遊びに行くお話と、
白鳥くんと恋人のお話。


前から書いていたものと、短めのお話を書くだけだったので、ほとんど出来てしまった。
あと残っているのは水無月家でのお風呂のシーンだ。
「参考に、黒崎親子のお風呂を観察しないといけないな…ふふふ…」
あくまでも取材だから…。
「…でもこの前、水無月家に侵入したときは危なかったなぁ…」
だから、あくまでも取材のためにお邪魔しただけだから…。
そこ、犯罪とか言わない。
7917号室の住人 〜丹〜:2005/07/23(土) 00:10:09 ID:Q+PVewQF
水無月家に行ったときは、
サクラさんの変な料理を食べてしまったり、
お風呂で丑三さんの素晴らしいボディを目に焼き付けちゃったり、
タチバナさんに捕まって殺されそうになったりした。
水無月家のみんなはいい人なんだけど…もうできれば行きたくない。

そんなトラウマは忘れて、
「さて、これから何をしようかな?」
取材しないことには先が書けないから、黒崎親子がお風呂に入る時間まで
何かをして過ごすことにした。
「いつものように、ゲームの説明書で遊ぼうかな!!」
正確には遊んだ気分になる、だけど…。
7927号室の住人 〜丹〜:2005/07/23(土) 00:11:11 ID:Q+PVewQF
ボクは新しく買ったゲームの説明書を読むことにした。
「ええと、確かこのあたりに…」
ダンボールの棚の中を探す。
そんなに貧乏なわけじゃないんだけど、
家具なんて置いたらすぐみんなにボクの存在がばれちゃう。
だからたまに、朝美ちゃんのところからダンボールをもらって我慢している。
「あ〜…結構ほこりが貯まってきたなぁ…。久しぶりに、掃除でもしようかな…」
そのとき。

かちゃかちゃっ

がちゃ。

鍵を開け、誰かがボクの部屋に入ってきた!
ボクは急いで物陰に隠れ、その誰かを確認する。
7937号室の住人 〜丹〜:2005/07/23(土) 00:12:33 ID:Q+PVewQF
「…梢ちゃん…?」
掃除道具を持った、梢ちゃん。
「…すごいほこりですね…掃除しがいがあります…」
この鳴滝荘の大家さんでもある彼女は、どうやらこの部屋の掃除に来たらしい。
「(住人の住んでない部屋でも掃除しに来るなんて、なんていい娘なんだろう…)」
これでボクが掃除をする必要がなくなった…。
しかし。
彼女の特殊な体質を忘れてはならない。
それはいわゆる、多重人格。
精神的ショックを与えられると、あっという間に別人格の出来上がり。
「(梢ちゃん、気を付けてね…)」
7947号室の住人 〜丹〜:2005/07/23(土) 00:13:54 ID:Q+PVewQF
この部屋の床には、ダンボールが散らかっている。
ダンボールは、踏んだら意外と滑るのだ。

つるっ

こんな具合に。
「…あっ」
「(やっぱり!?)」

ダンボールで滑った彼女は、頭から

どしーん

これで人格交替は完了だ。
「(ああ…どの娘になるんだろう…)」
梢ちゃんの人格は、梢ちゃん自身を含め五人。
そのうちの一人が、前に言った『ボクの存在を知っている一部』なのだ。
実は黒崎親子も知っているんだけど、みんなには秘密にしてもらっている。

その人物こそ、ボクが一番恐れている人物。
7957号室の住人 〜丹〜:2005/07/23(土) 00:15:17 ID:Q+PVewQF
その名も…
「(赤 坂 早 紀 ちゃん!!)」

「いってーな!!ったくなんだよ…体中ほこりだらけになっちまったじゃねえか!!」
「(ひぃぃぃ!?)」
体が覚えている。
あの声を聞くだけで震え上がった。
そして、ボクの体内の危険ランプが真っ赤に灯る。
起き上がった彼女の、瞳の色のように。

「(…逃げよう!!)」
普段この部屋には鍵がかかっているから、ボクは抜け穴から出入りしている。
そこから逃げようと、そっと歩いた。

「…確かこの部屋…あいつが勝手に住んでたよな…」

ドキッ☆

「おいてめぇ!…いるんだろ?」
7967号室の住人 〜丹〜:2005/07/23(土) 00:16:37 ID:Q+PVewQF
おとなしく出ていってもひどいことをされるけど、
出ていかないともっとひどいことをされる。
「…ハイ」
ボクはおとなしく前に出た。
「あたしの言いたいことはわかるな?」
「…ハイ」
まるでガラスを割ってしまった生徒と、それを怒る体育教師。
「てめぇがこの部屋に住んでいる以上、掃除くらいてめぇがしろよな?」
「…ハイ」
「それを忘れて掃除に来ちまったオレも、手伝ってやる」
「…ハイ……え?」
「今回だけだからな!」
信じられない。
あの早紀ちゃんが、こんなに丸く!!
「太ってねぇ!!」
「ヴっ」
お腹に鉄拳を頂戴した。
7977号室の住人 〜丹〜:2005/07/23(土) 00:18:20 ID:Q+PVewQF
「じゃあ、さっそく始めるぞ」
「…ハイ」
「返事が小せえ!!」
「ヴっ…ハ、ハイ!!」
と言っても、家具なんてダンボールしかない部屋だから、
不要なダンボールをまとめて、あとは床を掃除するだけ。

「このダンボール邪魔だぞ」
「ああ!それはボクの机!!」
早紀ちゃんが危うく潰してしまうところを止めたけど、
今度は机の上に置いてあった原稿をとられた。
「なんだお前、まだこんなの書いてやがったのか」
「返してよ〜!!」
原稿をめくって見る早紀ちゃん。
急に目が止まる。
「…おいお前、朝美たちの風呂、覗こうとしてるだろ?」
7987号室の住人 〜丹〜:2005/07/23(土) 00:19:41 ID:Q+PVewQF
「えっ!?な、なんでそれを?…あ」
自白してしまった。
「…やっぱりな。朝美たちの風呂の場面だけ抜けてるから、そう思ってよ!!」
ボクのボディが中に浮く。
「ち、違うよ!覗きじゃなくて、取材だよ!!」
「結局覗くんだろうが!!」

がっ

そのままボレーで蹴飛ばされてしまった。
「かはっ」
「ったくこのストーカー野郎が…」
その動作の中で、早紀ちゃんの手から原稿が一枚、はらりと落ちた。
「ん……?」
拾って見る早紀ちゃん。
ちょうどそこは、早紀ちゃんが白鳥くんに抱きついているシーン。
「…な、な、な!!」
「いてて…」
7997号室の住人 〜丹〜:2005/07/23(土) 00:21:00 ID:Q+PVewQF
起き上ったボクは、今度は胸ぐらを掴まれた。
「な、なにすんのさ!?」
「聞きてぇのはこっちだ!!てめぇ、この前のこれ、見やがったのか!?」
早紀ちゃんの顔が赤くなっていた。
「これって、なんのこと?」
「とぼけるんじゃねえ!見たんだろ?この覗き魔が!!」
「みっみっみてなっいっよぉお!!たっのむかっら、揺っらさっなっいでっ!!」
ボクを激しく揺らしていた早紀ちゃんの手が止まる。
「ふぅ、気持ち悪かった…」
「…本当だな?」
「え?」
「本当に見てないんだな!?」
8007号室の住人 〜丹〜:2005/07/23(土) 00:22:44 ID:Q+PVewQF
「うん、なんだかよくわからないけど、何も見てないよ?そのお話は、ボクが考えたんだから」
「なら、いい…」
まだ顔が赤い早紀ちゃん。
「あれ…まさか早紀ちゃん、前に白鳥くんにそれと同じこと、した…?」
「おっ、オレはここまでやってねぇ!!…あっ」
早紀ちゃんも自白してしまった。
「…おい…このことを誰かにばらしたら、バラすぞ?」
「そんなこと言っても、それ原稿なんだけど…」
「だったらせめてここはこうしろ!!」
「ああ!?ボクの原稿!!」
勝手に手が加えられていく、ボクの原稿。
8017号室の住人 〜丹〜:2005/07/23(土) 00:23:48 ID:Q+PVewQF
「ここで桃を出して、あたしが白鳥を蹴り飛ばす!!」
蹴り飛ばされた白鳥くん。
「…これはさすがにちょっとひどいか…
じゃあ白鳥を倒立させちまえ!!これで痛くないだろ!」
頭から地面に突き刺さる白鳥くん。
「そんなことしたら、早紀ちゃんがますますツンデr…」
「なんか文句あるのか?」
「…イイエ」
誰かこの娘を止めて…。

「こっ、こんなシーンやめろ!消しちまえ!!」
「ああっやめてやめて!!ボクの頭で消すのはやめて!!ボクの頭は消しゴムじゃないよ!!」
「でも消せてるし、お前の頭も削れてるじゃねえか」
8027号室の住人 〜丹〜:2005/07/23(土) 00:24:58 ID:Q+PVewQF
「それは早紀ちゃんが馬鹿力でけヴぁっ」

早紀ちゃんの手により、今月の原稿はかなり変更された。
「こんなもんで許してやろう!」
「…ボクの原稿…ボクの頭…」
大分削れた。
あとでヨウカンでもくっつけておこうか。
…沙夜子さんに食べられてしまいそうだ。
「しっかし、ほこりにまみれちまったぜ。汚ねぇな…」
「そういえば、そうだね…」
ボクの体にもほこりはついてしまったが、早紀ちゃんの方はもっとひどい。
ほこりの中に倒れたから、全身かぶってしまってる。
「…おい」
「?…なあに、早紀ちゃん?」
8037号室の住人 〜丹〜:2005/07/23(土) 00:26:22 ID:Q+PVewQF
「風呂、入るぞ」
「…え?」
急に何を言いだすんだ、この娘は!?
「もちろん、お前も入れよ。汚くて見てられんねぇ」
「で、でもボク、お風呂なんて大きすぎて入れないよ?」
お風呂はボクの体では一人で入るには無理があった。
いつもはタオルで体を拭くくらいしかしていない。
「なら、あたしが入れてやるよ」
「えぇぇぇ!!?」
この娘、頭を打っておかしくなっちゃったの!?
「文句あっか!?」
「…イイエ、むしろ嬉しいくらあヴぃっ」
「さっさと行くぞ」
「…ハイ」
頭を掴まれ、お風呂に連行されていくボクだった。
804お腹いっぱい:2005/07/23(土) 00:31:24 ID:Q+PVewQF
前編はここまでです。
気付いたと思いますが、このシリーズの主人公は『あの人』です。
オリジナル設定ということで、自分称は「ボク」の男になっています。
他にもいろいろいじくってすいません。

あと、聞いておきたいことがあるんですが、
『One day +One』の続きというか、後日談の需要ってありますか?
あれば書こうと思いますが…。
805名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 00:43:34 ID:Z4girT6Q
>>804
GJです〜^^
こういうネタでくるとはっ
面白いです。続きの筆記がんばってください。
続きが気になってしょうがないですw

本誌発売前の余興と言うことで・・・余興にもなりませんが^^;
早紀SSなんかを書いてたりしてみてるのですが
なにせ初めてSSというものを書いてみました
非常に読みづらかったり変なところが多数あると思いますが
こういうSSでも需要あったりしますかね?
あれば明日にでも投下できれば・・・と思ってる所存です
806テイル:2005/07/23(土) 00:44:30 ID:KlqddruQ
>>781
マホウの人GJでした。
みずいろってそういう意味か……意味深だ。
こういう何気ない感性が、いいな……

>>804
満腹さんもお疲れでした。よりによってあの人ですかw
しかし、内容が完全に早紀スキー向けですな。
後日談ですが、作品によりけりだったりします。しかし、「One Day」なら大丈夫かと。
個人的には期待してますが……でも、あれでどうやって後日談に持ってくると?
あ、あくまでも性格が「オマケ」だから、長くならないようにしてくださいな。

まずいな……とうとう不能になったorz
「みずいろ」読んでてとうとう何も感じなくなった俺は終わった……
新作も「梢の物語」を書こうとしたら「桃乃の自殺未遂」に摩り替わってたし。
モウダメダ……
807名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 00:47:32 ID:b0rV3bOW
>>781
乙&GJ!いいっすね〜。
そしてタイトルには一本取られました。
あと、視点が交互に変わるのには反対意見もありましたが、俺は良かったと
思いますよ。
>>804
こちらもGJ!それにしても、最後急展開ですね。
続きが気になって課題が(ry
後日談待ってますよ
>>805
需要は十分ありますよ。頑張って下さい。
808テイル:2005/07/23(土) 00:48:22 ID:KlqddruQ
>>805
新人さん大歓迎ですから、是非投下してください。
職人陣も読み手もみんなぬくぬくですから、期待して待ってますよ。

でも、名前の誤字とかあると……銀先生の折檻が待っている……かも。
809名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 01:00:42 ID:Z4girT6Q
>>807>>808
ありがたきお言葉頂戴いたしました。
なんとか明日、というか今日になりますかね
夜までに完成させて投下したいと思います、頑張ります。
銀先生の折檻は怖いので
最新の注意を払って書いていきたいと思いますw
810名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 01:12:23 ID:YLDw+tmC
えっと、みずいろの視点チェンジのことで。
実験的な試みだったんで読みづらくなっちゃったのは否めないと思います。
「二人で一つの物語」って主題があったんでどうしてもこう書いてみたかったんですわ。
まぁ、読みづらいYO!って意見は来るかなーと思ってたんで…。

>>804
おっと、こりゃまたナイスな変化球ですね。
そう言うネタで来ましたか…。
一つツッコミどころがあるとすれば、早紀ちゃんの一人称「アタシ」ですね。

>>805
ひあかむにゅーちゃれんじゃー?
やる気ある人がどんどん集まってよい雰囲気ですね。
気合い十分ならガンガン投下しましょう。

>>806
誰の話を考えてもエロネタに行き着く方もどうかと思うんであんまり気にしない方がいいですよ。
アイデアは絞り出すんじゃなくて湧き出るのを待った方がいいものになることが多いんで
気長に行きましょう。
811aizu:2005/07/23(土) 01:40:45 ID:i2s+SP8l
最近時間を持て余してるからSS書いてみようかと思うんですけど・・・
駄文でも投下していいんですか?
812名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 01:55:27 ID:5JRP6d0V
>>805
みんな初めは初心者だったんだ。
と、言う事で気にする事はない!どんどん投下汁!

>>806
課題が終わらない。

『点が足らんから進級出来ないぞ。』
と、学校側から脅しを言われる。

学校を休んで家に引き籠もる。

出席日数&単位が足りなくなる。

さらに学校を休みがちになる。

留年確定。

また春がくる。

最初にもどる。

こんな俺よりはまだましだろ…orz
813名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 01:59:14 ID:0QYQq/qn
オナ禁4日目以上じゃないと筆が進まない俺はどうやら次スレになりそうだorz
814aizu:2005/07/23(土) 04:07:01 ID:i2s+SP8l
ふぅ・・・いちよう完成
思った通り駄文・・・その上短くなっちゃった・・・
815名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 05:10:27 ID:2I0ZfwyW
>>781
えろが濃厚でGJです(´・ω・`)b
やっぱり初々しいのがいいですねぇ。
そして、脳裏で白鳥君の部屋に置きっぱな梢ちゃんの下着を珠ちゃんが発見して白鳥君がピンチになるオチを考えたりしましたよ(笑)

次の千百合ちゃんと楽しみにしてます。The Last Momentのおかげで相当千百合ちゃんに萌えてる僕がいるので。


それにしても、ここの板の職人さんの腕っていい人が多い気がする…同人小説で出てたらお金出しても買う……かも。
816名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 11:32:43 ID:yi1xBZ4q
梢ちゃんの熱い初体験!
ええのぉ〜 (;´Д`)ハァハァ
817名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 13:22:13 ID:YLDw+tmC
>>815
>梢ちゃんの下着を珠ちゃんが発見して〜
それはまた別の話…ってやつです。
818名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 14:32:00 ID:58EyVGJc
で、それをそのままお持ち帰りして珠が使うわけだな。
819名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 14:33:12 ID:VYcrnjgE
早紀SSの人、早紀ちゃんの一人称はアタシですよ。
820ぐうたら:2005/07/23(土) 15:16:45 ID:H4o8kojZ
テイルさんゑ
まほログ、秘密のネガイゴトも俺がかいたヤツです。133氏になっているんで
821ヘブン:2005/07/23(土) 16:33:10 ID:MMqmgWLv
>>818
そしてそのお持ち帰り品をネタに白鳥にせまる珠実な罠
822テイル:2005/07/23(土) 17:16:37 ID:KlqddruQ
>>820
訂正しますた。迷惑かけてすいません……

実は「まほログ」にメキシコからアクセスがありました。
何故?

さて、東京在住の方、地震は大丈夫でしたか?首都圏大震災の予兆なのかな……
823名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 17:30:15 ID:YLDw+tmC
>>818>>821
そして、二人の情事を覗きに来ていた珠が見つかって
二人にあれこれされてしまう。

と言うネタを考えていたけど、なんかアレだから封印してたり。


>>822
昼寝しながらネタ考えてたら叩き起こされました。
ちなみに海外ホストからアクセスがあるなんて日常茶飯事ですよ。
824名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 17:37:29 ID:LZDsdJRo
エロくないエロって需要……ないですよねそうですよね。
敢えて言うと12禁ぐらい。エロなんて書いたことねぇよ
825テイル:2005/07/23(土) 17:45:53 ID:KlqddruQ
>>824
そう落ち込まずに投下してくださいな。
軽めのエロだろうと、みんな喜んで読みますよ。

でも、12禁?また微妙な……
826ぐうたら:2005/07/23(土) 18:01:14 ID:Zerioaoj
>>824
モーマンタイ。
俺のタチバナさんSSもそれぐらい。
ちょっとお色気要員なタチバナさんになってしまったよ…
でもタチバナさんの詳しいデータが無いんで俺が蒼を入手してからの投下…27日以降となります。
それからはたぶん今月のwingで早紀ちゃんスキーなパワーが暴走して早紀ちゃんSSに走るとおもわれます。

>>テイル氏
いえいえ。こっちこそ細かいところに…
827aizu:2005/07/23(土) 19:41:57 ID:i2s+SP8l
あ゛〜・・・
時間かけてないからなのか、才能ないのか・・・
初めてだからといえばそれまでなんだけど
みなさん素晴らしい作品ばかりで駄作を投下するのは
気が引けます〜どうしようか・・・
828名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 20:22:45 ID:IWCPQfjU
別に投下するもしないも勝手だけど、とりあえずsageれ
829名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 20:36:54 ID:YLDw+tmC
投下するもしないも自由だけど、やたらに自分を卑下しまくるのも
相手から見たらいい印象ではないので。
そう言うスタンスはどんどん評価を下げるからやめた方がいいですよ。

見て欲しければ悩まないで投下する、それだけのこと。

読んで面白いと思ってもらえればGJもらえるし、ダメだったらダメ出しされる。
作品評価を恐れてちゃ、先に進めません。


あと、メル欄にsageね。
830名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 21:09:09 ID:PkLYmli7
名無しで連投してIDが変わるまでROMに徹するのもありだな。
831名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 22:41:27 ID:KJ2RimRM
自分的に少数の職人さんだけで延々と続けていくのは無理だと思うし、
衰退あるのみだと思うんでどんどんと新しい血を入れてほしいです。
少しでも長くこのスレの職人さんのSSを読みたいので。
832名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 22:52:47 ID:6Zs/ZppG
それでもこの先最低2スレぐらいは生きてそうだが。
漏れは職人さんはドントコイだったり。
833名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 22:54:34 ID:7gn3KkRE
毎日一つはSSが投下されているような状況はこの板のスレとしては驚異的ですらある。
834805:2005/07/23(土) 22:59:44 ID:Z4girT6Q
805です。
SSのほう一応完成・・・いたしましたので
投下させていただこうかと思います。
そのことで一つ質問があるのですが、長文をカキコしたことがないのですが
だいたいどれくらいの行が入るのでしょうか1レスで。
何行ずつくらいにわけて投下しようか悩んでいるのですが
20レスくらいは問題なくはいりますかね?
835805:2005/07/23(土) 23:03:00 ID:Z4girT6Q
訂正です。
20レスじゃなくて20行でしたね。申し訳ございません^^;
836名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 23:06:09 ID:YLDw+tmC
1回での投下は30行までだったかと。
20だったら余裕ですね。
837名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 23:06:18 ID:fHJHn8sb
1レスにつき60行までおk
8回連続で投稿すると規制にかかる(その間に板内で別の書き込みがあればかからない
838805:2005/07/23(土) 23:09:42 ID:Z4girT6Q
>>836>>837
ありがとうございます。
結構書き込めるものなんですね。ほんとにどうもです
規制のほうも気をつけて投下していきたいと思います。
では、ちょいと文章の整理に入ってすぐ投下したいと思います。
839ヘブン:2005/07/23(土) 23:18:42 ID:MMqmgWLv
そういや、加筆とか修正したらtxtファイルをどっかにアップしなきゃならないんだよなぁ・・・
自分用の作ろうかな(ぇ

>>824
シューラルーン
私はエロ書けない。
何か、こうあれだ。
書いてて多分恥ずかしくなるタイプorz
840805:2005/07/23(土) 23:21:33 ID:Z4girT6Q
準備ができましたので投下したいと思います。
では、よろしくお願いします。
841Power of Love[1/6]:2005/07/23(土) 23:22:41 ID:Z4girT6Q
てやーーーーーー!!!

ドスンっ!!!

力強い叫び声と何かが
地面に強く叩きつけられたような音が鳴滝荘に響き渡った
「ったく・・・そうじゃないって言っただろ白鳥!!」
「う・・うぅん・・そ・・そういわれても・・・」
そこに居たのは二人の男女。
一人は蒼葉梢の別人格である「赤坂早紀」
もう一人はその恋人、彼氏である「白鳥隆士」
二人の会話は続く。
「んあー・・・だーかーらー!今のとこはこう・・・
 ぐいっとやってきゅいっと動いてシュパパっと・・・動いてだな
 アタシの腕を避けて逆にアタシを投げんだよ。わかったか?」
口で説明するのが苦手なのか一生懸命体の動作で説明する早紀
その目は本当に真剣そのものだった。
「急にそんなこと言われても・・・そんな簡単にはできないよ」
「だぁー!どうしてそう弱気なんだ!気合だ気合!!」
「は・・はぁ・・・うーん・・・」
「あぁもう・・・いいから早く立て、ほら」
地面に叩きつけられて仰向けになって寝ている隆士に手を差し出す早紀
その顔は少し赤面していた。
「ん・・・ありがとう」
その手を支えに起き上がる隆士。
手を握られさらに赤面する早紀。
「あのさ・・・早紀ちゃん」
「ん、ど、どうした?白鳥」
「いやさ、どうしてまた急にこんなことを?」
「ん・・・あ・・・あー・・・それはだな・・・」
早紀は少し下を向きなにかを考えるような様子で固まった
少しの間があってから
842Power of Love[2/6]:2005/07/23(土) 23:24:26 ID:Z4girT6Q
「あ・・・あれだあれ、男ってのはやっぱ強くあらなきゃな!」
少し顔を赤らめて言う早紀
「だ、だからこうしてアタシがお前を鍛えてやってるんだ!」
「あ、ありがたくおもえよ!」
それを聞いた隆士は少し困ったような顔になって言う
「え・・・えぇ。いいよ僕はそんな・・・」
その言葉に対して少しムッとしたような表情で答える早紀
「だーめーだ!だいたいお前はただでさえ女みたいな顔してて
なよっとしてるんだぞ!どっかの変態に襲われても文句言えないだろ?
だからこそ、こうやってアタシが鍛えてやってるんだ!」
「ガーン・・・僕ってそんなに・・・女々しいのか・・・」
精神的なダメージを負わされぐたっと背の折れる隆士を見て
少し焦ったように早紀は言った
「あ・・・わ、わりぃわりぃ。そういうつもりで言ったわけじゃ・・・
その・・だから白鳥のことを・・その・・あれがこうで・・この・・・
あー・・・とにかくわりぃ・・ほんとにごめんな」
本気で落ち込んでしまった様子の早紀を見て
隆士も少し焦ったように早紀に言葉をかける
「え、あ・・・いいよ別に早紀ちゃんは僕のためを思って
こういうことやってくれたんだよね、それなら全然いいよ
僕は全然大丈夫・・・だし、そんな謝らなくたっていいよ」
その言葉を聞いて少し表情に明るさが戻った早紀が言う
「そ・・・そうか、そっか・・・でもやっぱり、ごめんな」
「もういいんだってば、早紀ちゃん謝らなくてもいいよ」
「いや・・・こんなこと無理にさせちまって・・・」
また少し暗い表情になっていく、早紀に隆士は言葉をかける
「いいんだよ、早紀ちゃんは僕のことを思ってやってくれたことなんだから
僕は全然大丈夫だって、確かに僕はほんとなよってしてるところあるもんね
こんなんじゃ確かに誰かに襲われても文句言えないかも、ははは」
優しさに満ちた表情で、笑顔で笑って言葉をかけてくれる
そんな隆士の顔を見てつい早紀は笑みをこぼした
843Power of Love[3/6]:2005/07/23(土) 23:25:17 ID:Z4girT6Q
「ぷ・・・あはは、ったく自分でそんなこと言うなっての」
その早紀の笑顔を見た隆士も一緒になって笑う。
「あはは・・・あはははは」
そんな隆士を見て早紀も再び笑みを見せる。
「ぷはは・・ははははは」
そうやってしばらくあの間笑いあっていたところで突然隆士が黙りこんでしまった。
「・・・」
突然隆士の笑顔が消えて早紀の頭の上には複数の???マーク。
「ん・・・どうした?白鳥?」
「・・・」
なにか考え事をしているかのような隆士の顔を見てもう一度聞き返す早紀。
「どうしたんだよ白鳥、なにか考え事か?」
「・・・・・」
無言の隆士。早紀はもう一度聞き返してみる。
「しーらーとーりー?おーい・・・どうしたんだ?急に」
その言葉にハッとする隆士。そして焦って言葉を返す。
「あ・・・ご・・ごめん早紀ちゃん、ボケっとしてた」
「ったく・・・どうしたんだ?白鳥、なにか悩みでもあるのか?
それにしちゃ突然だけどな」
「え・・・あー・・・えっと」
「ん?なんかあんだな?なんだよ、言ってみ、アタシでも聞くくらいはできるぜ」
「それじゃ・・・言うけど、怒らないでね?」
「なんでアタシが怒るんだよ、いいからさっさと言えって」
少し間があってから隆士が口を開ける。
「早紀ちゃんに質問なんだけどさ」
「ん?」
「早紀ちゃんてさ、強い人が好きだったりとか・・・そういうのあったりした?」
「・・・な!?ばっ・・・バカやろう!桃と同じようなこと聞くな!!」
「あ、桃乃さんにこういこと聞かれたことあるんだね
っていうか・・・その、ごめん。ははは」
赤面する早紀に対して笑って答える隆士。
「わ・・・笑うなー!!だ、だいたいなんで急にこんなこと聞く・・・
あっ、今日のことでか!?あ、アタシは別にそういうつもりでしたわけじゃないんだぞ!
別に白鳥のことをそんな・・・」
その言葉に対して割って入る隆士
844Power of Love[4/6]:2005/07/23(土) 23:26:03 ID:Z4girT6Q
「わかってるよ、僕もそういうつもりで聞いたわけじゃないよ
ただちょっと気になっただけだから、突然でごめんね」
それを聞いて安心する早紀
「そ、そうか・・・そうか、それならよかった」
「うん」
「・・・なぁ白鳥」
「うん?」
「さっきのこと・・・なんだけどな」
少しずつ赤面していく早紀の表情
その表情に疑問を覚えて隆士は疑問符を上げる
「?」
「だから・・・さっきのお前の質問のことなんだけどな」
「え、あっ、別にいいよあんな質問答えな・・・」
「アタシは・・・アタシはな」
真剣な表情で言う早紀を見て隆士は黙って聞く
「アタシは・・・白鳥、お前のことが・・・」
早紀のその顔は、段々段々赤くなっていき真っ赤だった。
「好きなんだ。うん、アタシはしらと・・・隆士のことが一番好きだ
一番大・・・大好きだ!だ、だから変な心配なんてしなくていいんだぞ!」
真っ赤になっていう早紀の言葉に隆士も顔を赤くしていた
「さ、早紀ちゃん・・・あ、ありがとう。ほんとにありがとう」
「な、なに言ってんだ別に礼言われるようなことじゃないだろ」
「ううん、早紀ちゃんの言葉はほんとに嬉しいよ
僕のことを本気でおもってくれてて、ほんとにありがとう」
「う・・・うん、当然・・・だろっ」
お互い顔を真っ赤にして会話を続けている。特に早紀はまさにトマト
のように顔を真っ赤にしていた。そんな早紀が隆士に一つの質問をぶつけてみる
「隆士は、アタシのこと、ど、どうだ?」
「ん?」
「ん?じゃねーだろ!!わ、わかるだろアタシの言いたことっ!」
「んー・・・なんのことかな?」
隆士のその顔はいたずらっぽく笑っているようなそんな表情だった
その顔を見て早紀は・・・
845Power of Love[5/6]:2005/07/23(土) 23:26:45 ID:Z4girT6Q
「りゅ・・・隆士!お、お前その顔はわかってるな!?わかってるだろ!!
わかってて言ってるな!あ、あたしをからかうな!!」
少しムッとしたような表情でいう早紀を見て隆士は笑って答えた
「ははは、ごめんごめん。早紀ちゃんがあんまり可愛いから、つい」
「な゛っ・・・か、からかうなって言ってるだろ!!」
「え、えぇぇ別にからかってるつもりなんてないよ〜」
「う、うるさい!ああいうのはからかってるって言うんだ!」
「そ、そんな無茶苦茶な・・・」
「男ならグダグダ言うな!そ・・・それより隆士・・・」
その言葉の意味を察した隆士はすぐに答える
「好きだよ、早紀ちゃんのことが嫌いだとかそういうことがあるわけないよ」
「隆士・・・」
「早紀ちゃんは僕にとって大切な人、大好きな人だよ」
「・・・・・」
ボカン!
「い、痛っ!?ど、どうしたの早紀ちゃん」
突然早紀に殴られ驚いた表情の隆士。
「隆士が恥ずかしいこと言うからだっ!」
「え・・えぇぇ」
「グダグダ言うなぁ!あっ、そうだもう休憩は終わりだ!」
「へ・・・?」
「特訓だ特訓の続き!」
突然やる気満々な状態の早紀を見て隆士は答えた。
「あ、うんそうだね。せっかくだしお願いしようかな僕から」
「・・・は?」
隆士から予想外の言葉が飛び出したポカンとした表情になる早紀。
「まぁ僕も少しくらい強く男らしくなりたいかな。早紀ちゃんを守れるくらい強く・・・ね」
「隆士・・・」
隆士のその言葉に頬を赤らめる早紀・・・だが
「はっ、なまいき言うなぁ!!」
パコーン!
「ぐふっ・・・い、痛いよ早紀ちゃん」
再び殴られる隆士。
846Power of Love[6/6]:2005/07/23(土) 23:29:07 ID:Z4girT6Q
「そういうのは強くなってから言え!よし、隆士がそこまで言うんだ
さっそく特訓開始ー!!」
「え・・・ちょ、ちょっとまってまだ心の準備がっ」
「男なら当たって砕けろだ!いくぞ!」
「ま・・・まって、早紀ちゃんまって!っていうかその台詞はなにかちg・・・」
ガシィッ
「わ・・・わわわっま、まって早紀ちゃん待ってぇぇぇ!」
「問答・・・むよぉぉぉぉぉ!!」
「い・・・いだだだだだだだっいだいいだい!!」
「おりゃおりゃおりゃおりゃーー!」
少々騒がしかった鳴滝荘。
そんな鳴滝荘にも夜が訪れ少々騒がしかった
そんな日も終わりを・・・告げない。


てやーーーーーー!!!

ドスンっ!!!

力強い叫び声と
何かが地面に強く叩きつけられたような音が
鳴滝荘に響き渡わる。

君を強くするための力

君を守るための力

これもきっと一つの・・・

                   「Power of Love」〜終わり〜
847Power of Love[あとがき]:2005/07/23(土) 23:32:33 ID:Z4girT6Q
805です・・・はい。
えー職人様方の偉大さがそれはもう物凄くわかりました。
初めてSSという物を書きましたが・・・これはこれは
大変なことなんですね。流石としかいいようがありません。
もうなんか、展開とか色々ごちゃごちゃな気がしてならないのですが
お見苦しいものを申し訳ない^^;
ナレーションというかなんといいますかね。その場の状況説明だとか
難しかったです。全部大変で難しかったですけど・・・
今の自分にはこれが限界のようです。精進してきます。
それでは、皆様ダメ出しやらなんやらとお願いしますっ。
848ヘブン:2005/07/23(土) 23:35:26 ID:MMqmgWLv
>>847
良かったと思いますヨ〜
早紀ちゃんらしいというか何というか

ここで私も連投してもいいのかも知れないけどまた明日で(ぇ
849名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 23:39:03 ID:2D6ox+ar
GJでスヨ、>>847サン。

Power of Love
元ネタはあれかな?
思わずニヤッとした。
彼女の初期の作品の中では一番いい曲だと思います。
850aizu:2005/07/23(土) 23:39:16 ID:i2s+SP8l
>>847
初めてにしては素晴らしいと思います


僕もこれから投下させていただきます
851snow time:2005/07/23(土) 23:40:45 ID:i2s+SP8l
今日は12月24日のクリスマス・・・天候は・・・雪

去年のクリスマスも今日みたいに雪が降っていた・・・
真っ白な雪・・・冷たいはずなのに、温かさを感じる・・・
汚れの無い純粋な白が宙を舞っている・・・
華やぐ街路に・・・街を色鮮やかに飾るネオン・・・
僕と梢ちゃんが恋仲になってから1年以上になった
去年のクリスマスの時のように、僕と梢ちゃんは手をつないで街路を歩いている
辺りを見てみると幸せそうなカップルばかり・・・
傍から見ると僕たちも幸せそうに見えるのだろうか・・・
そう思うと自然に表情が柔らかくなる
852名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 23:40:51 ID:na8zaNOW
ここの職人のSSって個人でやってるサイトのSSより全然良いよな…>>847、GJ!!
十分にここの職人に近いSSが書けてるよ。
これからも他所やここの職人を参考にしてもっと上を目指してくれよ
853snow time:2005/07/23(土) 23:41:45 ID:i2s+SP8l

梢「白鳥さん?」
「えっ?な、何?」
梢「ぼ〜っとしてると転んじゃいますよ?」
そう言って彼女は僕に微笑みかけてくれた
この笑顔を見ていると安心する
僕も自然に微笑み返すことができる

鳴滝荘に帰ったあとはクリスマスパーティをして
飲んで、騒いで
クリスマスの夜が更けていった・・・

雪は止むことなく降り続けている
僕は梢ちゃんと廊下に座っていた
854snow time:2005/07/23(土) 23:42:31 ID:i2s+SP8l
「今年のクリスマスももう終わりだね」
梢「そうですね・・・・・・・」
少し俯き気味の表情に思わず・・・
「梢ちゃん?」
何の考えもなしに名前を呼ぶ
梢「私・・・白鳥さんと・・・みなさんといることができて幸せです」
「え?」
梢「でも・・・この幸せはいつまで続くんでしょうね・・・」
「梢ちゃん・・・」
僕は前にもこの表情を見たことがある
とても切ない悲しそうな表情
僕が梢ちゃんに告白した日・・・

『・・・みんながここにいて
 毎日がとっても楽しくて・・・』
『・・・多分・・・
 怯えて・・・いるんです
 ・・・一緒にいるのが幸せなほど・・・
 好きになればなるほど・・・
 いつかやってくる
 別れの日に・・・』
855snow time:2005/07/23(土) 23:43:22 ID:i2s+SP8l
僕はあの時、梢ちゃんを・・・梢ちゃんの笑顔を守っていこうと決めた
だからこそ、あの瞬間に告白することができた・・・
でも・・・1年たった今でも梢ちゃんのその悩みは消えていない
でも、僕は・・・

梢「いつまでも一緒にいたいと思うのは・・・叶わぬ夢なのでしょうか」
「大丈夫だよ」
梢「白鳥さん・・・」
僕はいつも考えなしに思わず言葉が出てくる
でも、これだけは心に決めていたこと
「僕は、梢ちゃんが望む限りずっと傍にいるから」


時間・・・それは舞い散る雪のよう・・・
時間・・・それは綺麗な雪(時間)の結晶
どんなに楽しい時も
どんなに幸せな時も
いつかは溶けてなくなってしまうものかもしれない・・・
いつかはみんなとの別れの日は来るかもしれない・・・でも・・・
でも、僕はずっと・・・
溶けることなく君の傍で・・・一緒に・・・いつまでも

「・・・いつまでも一緒にね」


snow time fin
856snow time  あとがき:2005/07/23(土) 23:44:12 ID:i2s+SP8l
え〜っとSSは初めてなのでこの程度です
短いやら矛盾してるやら意見はあると思いますが勘弁してください〜
これからも少しずつ勉強して、少しでも他の職人さんに近づけるように
がんばりますのでよろしくお願いします
857名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 23:49:48 ID:YLDw+tmC
>>847
いや、十分書けていると思いますよ?
言うことがあるとすれば、要所要所で1行空けた方が読みやすくなる、
ってことですかね。
ずっと繋がっていると、どうしても窮屈に感じちゃうんで。
後は句点「。」があったりなかったりしてることですか。

言い回しとか表現手法はいろいろ読んで覚えるしかないですね。

>>856
いやいや、SSは長いからいいってもんでもないんで
短く簡潔に言いたいことをズバッと書くって言うのもアリです。
あと、多少の矛盾や設定変更はいいと思いますよ?
そう言う自由さも二次創作の醍醐味ですからね。
(あんまりオリジナル設定を前面に出し過ぎると読み手を選んじゃうけど)
858テイル:2005/07/23(土) 23:50:29 ID:KBO/dEmg
>>847
じゃあ注文にお応えして。

内容は良かったですよ、早紀ちゃんらしくて。
ただ、投下時期が惜しかったな…もうすぐ最新号が出るところだから。
白鳥くんも中々意地悪っぽいのも面白かったです。
逆に地の文が余りにも単調だな、と。こういうテンポのいい内容だと特に。
句読点はある程度入れた方がいいですよ。
最後の締めは良かったです。
まあ、物書きは作品を書いて勉強ですから地道に努力です。
次にも期待してますよ。

あと、新人さんはとりあえず過去の投下作品や小説を読もう。
それだけでも勉強になります。

嗚呼、ペンの道は未だ遠し…
携帯から長文失礼。
859テイル:2005/07/24(日) 00:09:27 ID:kZJROzZj
>>852
それはあれだ、作品について批評が日々交わされてるから…
ある意味一種の文芸サークルだからね、このスレは。
これは個人サイトではあまり出来ない事だと思う……かも。

>>856
…梢ちゃんの台詞の前に「梢」と付けない方がいいです。
読み手はそういうのが無くても大体判断できます。
それ以外は乙・GJでした。
次にも期待してますよ。

連投失礼。打つの疲れたorz
860805:2005/07/24(日) 00:18:09 ID:wIYDA8rL
>>856
GJです!良きSSですね。
次のSS待ってます!
私の作品に対してのお言葉もありがとうございました。
SSの投下お疲れ様です。

>>848
あぁぁありがたきお言葉頂戴いたしました。
読んでくださりありがとうございます!

>>849
GJ。ありがとうございますっ!
元ネタのお話になるのですが・・・
申し訳ございません、その元ネタというのがわかりません;
もしよかったら教えてもらってもよろしいですか?
非常に気になってきましたw

>>852
お褒めの言葉ありがとうございます
そういう風に言ってくださると嬉しいです。
しっかり勉強してより良い作品を書けるよう精進いたします。

>>857
ダメ出しありがとうございます!
今後SSを書くときの注意事項とさせていただきます。
句点「。」のほうは明らかに自分のミスですね;
投下する前にもっと注意して見るべきでした
次からしっかり気をつけたいと思います。

>>858
わざわざお答えくださってありがとうございます。
投下時期のほうは・・・色々考え悩みましたが
早紀SSだったのがやはりあれでしたかね^^;
その他もろもろ色々指摘してくださってどうもです。
単調〜・・・句読点、次からは気をつけて書いていきたいと思います。
そして、皆様の作品を参考に色々勉強させてもらおうと思います。
では、精進してきます。
861名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 01:15:54 ID:/GS3OXZh
>>852
たしかにそうだなぁ。
でも自分としては批判食らうのは怖いわけで。
SSの出来がそのHPの評判になるわけだし。
エロも個人サイトだと抵抗あるし。
ハンドルネームも広まったらアレだし。

管理する必要も無いし、匿名でも投稿できるところが、
気が楽でいいんだと思う。
862名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 01:26:59 ID:NTgxwA+d
個人HP持ってる職人だっていますよ。
テイル氏なんてテンプレに載ってるし。
863名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 01:49:25 ID:cMq+qTfW
大学逝かずに最萌トーナメントに逝ってる最中にまた投下が…

>>847
乙!
うpしてくれたその勇気にGJ!!

>>856
乙!
この調子でがんがれ!

おまいらの勇気を貰って俺は久々に大学に逝くことにする。
864お腹いっぱい:2005/07/24(日) 09:58:02 ID:36Th5UgF
えー、早紀ちゃんの自分称また間違えて、すいませんでした。
以後気を付けます。

>>847
お疲れさまです。
なかなかいい感じですよ。
言いたいことはすべて他の皆さんが言ってくれましたから、自分から言うことはないです。

>>856
こういうさっぱりとしたのもいい感じですよ。
自分が書くと、どうしても無駄に長くなってしまうんで。
さっぱりと書きたいものです。

誰でも最初は初投稿です。
自分だって、少し前まで…いや、今も、なのかもしれませんね。

今、自分はここの職人さんの数の中に、入ることができているんでしょうか?
865名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 12:07:25 ID:Vh3TBiUm
特訓早紀ちゃんかわいいね(・∀・)イイ!!

不安な梢ちゃんも(・∀・)イイ!!
866名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 13:59:38 ID:jqylPK7E
保管庫の人大丈夫かな?
あそこまだ四時のままなんだけど
867名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 14:28:33 ID:NTgxwA+d
社会人で忙しいらしいからなぁ。
暇な人で代理してあげるてもあるけど。
868aizu:2005/07/24(日) 21:51:06 ID:tv2voWZi
今夜はとっても静かだね・・・
ちょっと寂しい・・・・・・・かも
869ぐうたら:2005/07/24(日) 21:59:34 ID:QCiCMJQU
>>868

ヒント:嵐の前の静けさ

ヒント2:PSOって面白いよね
870ヘブン:2005/07/24(日) 22:05:52 ID:x6kNLSRl
>>868
ヒント:「蒼」発売前
多分発売されたらバァーッって投下されると思う。
タチバナさん系が

ヒント02:微調整中(何が
871名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 22:06:48 ID:reGraXKO
>>869
             ___
         | ̄ ̄`\::::__::/´ ̄ ̄|
        ノ!     ‐| `|=    〈
       /::/   ,.、.:┴┴ 、  cセh
       ,'::::ト-‐::i:::|:::|::::|:::l::::l:::::ヾー'||l:|
       |::::|::::|::;|:':|´`|:::|::::|'´|:゙:ヽ|:::|||::l
       ',_;;|::::L-‐ __┴┴┴ __ ‐‐|-':::|
        |::::|::',,," ̄`  ,  ´ ̄`,,,':::|::::|
         |::::|::ハ     ---,   ハ:::|:::::|
       l:::::l|:::::lヽ、   ` ´ , イ|:::::|::::::|  あらあら、それは困りましたねぇ
       !::::|:|::::::|:::|::_l' ー‐ 介:::::|::::::|:::::::| 
       l::::::|::|::::::|/ \ // \|::::::|::::::::|_
      |:::::::レ!::::::|、   `/    |:::::,! '´彡}}
      .|:::/  |:::::::|ヽ  /   /// '´ィ ||!
      |:/   |:::::::| ソ   //  ,rツ ノ|:l
872名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 22:10:32 ID:NTgxwA+d
ヒント1:暑くて稼働不能
ヒント2:某ゴルフゲーやってた
ヒント3:エロネタばかり思いつくってどうよ?
ヒント4:いつの間にかまほログからリンクされててびびった
873名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 22:21:27 ID:/7v0G2y9
A・投下されない日がある、ということが話題になるのはこの板じゃ凄いこと。
874名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 22:24:09 ID:cMq+qTfW
ファイナルヒント:最萌
875テイル:2005/07/24(日) 22:32:28 ID:kZJROzZj
>>872
スミマセン、連絡遅れましたorz
いやあ、ここに投下されてない良作もあったので、リンクして置きたいな、という出来心で…
外した方がいいですかね?


中々筆が進まないorz
いや、ストーリーややりたい事は上がってるけど中々パソコンに向えんorz
投下は暫く先で…
876名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 22:42:17 ID:NTgxwA+d
>>875
いや、リンクフリーなので別にかまわんのですが。
なるべくこっそりやりたいんでスレでは話題にしないで貰えると幸いです。

ちなみにアレ投下しなかったのは続き書きたいって言ってきた人がいたからなのですが…
どうなっちゃったんだろう。
877名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 22:49:33 ID:5zKzg6Im
>>757>>761です。なんとか形になる目処がついたので、
ちょっとずつ投下してみようと思います。
878ずっとずっと〜IF〜:2005/07/24(日) 22:56:17 ID:5zKzg6Im
出てきやがれ白鳥ッ!!」
「わっ!?」
ある冬の夜。珍しく宴会も無く、静かな夜を自室で絵本を読んで過ごしていた
白鳥は、突然の叫び声とドアを乱打する音に背中を仰け反らせた。「な、なんなんだ一体…」
「コラー!! 出てこーい!! ここにいるんだろ!! さっさと…」
「は…はいはい…だ…誰ですか…」
ドアをぶち破らんばかりの勢いに催促されるように、白鳥は慌てて入り口に
駆け寄り、鍵を外してドアを開ける。
「あっ!?」
わずかに入り口を開けたところで、いきなり手が伸びてきてドアの端を掴むと、
思い切り引っ張って全開にする。開け放たれたドアの向こうに、その手の持ち主が
仁王立ちで立ち塞がっている姿が現れた。パジャマ姿の女性…女の子のようだ。
「…あの…えーと…わっ!?」
その人物が、状況が飲みこめず呆然とする白鳥の胸倉を掴み上げ、引き寄せる。
お互いの顔が接近したところで、白鳥はようやくそれが見慣れた人であることに
気が付いた。彼の住むこの鳴滝荘の大家、そして彼の恋人である蒼葉梢だ。
ただ、普段の梢は、決して声を張り上げたりなどしない娘なのだが…。
879ずっとずっと〜IF〜:2005/07/24(日) 23:00:08 ID:5zKzg6Im
「あ、あれ…梢ちゃ…」
「コラ白鳥!!」
その人物が梢だと気付いた白鳥が、彼女に声を掛けるよりも早く、梢は大声で彼を怒鳴りつけた。
「は…はい!?」
脅えて怯んだ白鳥の胸倉を掴み上げたまま、梢は彼を押してずんずんと部屋へと
上がり込んだ。完全に部屋に入った所で、後ろ手にドアノブを掴み、荒々しくバタンと閉める。

「コラ白鳥!!」梢はドアを閉めた手を再び白鳥の胸倉に戻すと、彼の頭をガクガク
揺らしながら再び怒鳴った。
「お前はどうして白鳥なんだ!!」
「へ? ええええええととととと…???」
意味不明の問い掛けと、いつもの彼女からは考えられない挙動に、白鳥の頭は混乱した。
こんなの、いつもの梢ではない。いつもの…『あ…!』
と、そこでようやく彼は、梢が別の人格になっていることに思い至った。これは梢ではない、
彼女の別人格の一人、早紀なのだと。
「白鳥! 白鳥!!」
その間にも、早紀は白鳥の頭を激しく揺さぶりながら、彼の名を叫んでいる。これが
早紀だったにしても、やはり何かいつもと様子が違う。
「白―――」
と、突然早紀が、掴んでいた白鳥の胸倉を手放した。
「鳥」
呆然と立ち尽くしたまま白鳥の前で、いきなりしゃがみ混む。
「大好きだー!!!」
そしてその言葉と共に、早紀は彼の胸目がけて思いっきりロケットダッシュを
ぶちかました。余りの勢いに、白鳥が早紀に抱きつかれたまま後ろ向きに吹き飛ぶ。
『な、何…? 一体何が…どうなっ…』
わけがわからないままひっくり返り、後頭部を強打。しかしそれを痛がる暇もなく、
次の災難が彼を襲った。
880ずっとずっと〜IF〜:2005/07/24(日) 23:03:31 ID:5zKzg6Im
「…長かったぞ!!!」
不意に、白鳥を抱きしめる早紀の腕に力がこもった。きつく抱きしめる、という
表現より、締め殺そうとしている、と表現したほうがいいほどの力だ。
ギチギチギチ…と、自分の肉体が上げる悲鳴が白鳥の耳に届く。
「あたしはこの日を…ずっとずっと待っていた!!」
ギチギチ…
「白鳥!」
ギチギチ…
「白鳥!!」
ギチギチ…
「白鳥…ッ!!!」
ギチギチギチギチギチギチ…
『し、死ぬ…』
早紀が彼の名を叫ぶごとに腕の力が強まっていき、白鳥は死を覚悟した。
だが、彼が三途の川へ足を踏み込む寸前、早紀が急に胴を締め付ける腕を
ほどくと、むくりと上体を起こした。
『た、助かった』
とりあえず生命の危機を脱した白鳥は、ほっと一息つく。『へ?』
しかし次の瞬間、彼の顎がかくんと下がった。彼に馬乗りになったままの
早紀が、パジャマの胸元に手をかけると、ボタンを外し始めたのだ。
焦っているのだろうか、妙に手こずりながら一番上のボタンを外し終えると、
2つ目のボタンももどかしげに外していく。そしてその2つ目のボタンが
外れた時、パジャマの胸元が開いて、豊かな胸の谷間が顔を覗かせた。
881ずっとずっと〜IF〜:2005/07/24(日) 23:06:42 ID:5zKzg6Im
「ちょっ、何やってんのー!?」
「『何』って、恋人同士がすることって言ったら一つしかないだろ?」
ワンテンポ遅れて驚く白鳥に、早紀が当然のように答える。
「ちょ、ちょっと待って!」
白鳥があわあわと手を振って制止しようとするが、早紀はボタンを外す
指を止めない。3つ目を外し、最後のボタン…。だが、その最後が
なかなか外せない。指が滑り、うまくボタンを摘めないのだ。
「ああもう、めんどくせー!!」
早紀は叫ぶと、パジャマの前を掴んでがばっとはだけた。最後のボタンが
はじけ飛ぶ。そしてそのままの勢いで、彼女はパジャマを脱ぎ捨てた。
白鳥の眼前で、飾り気の無い、シンプルな白いブラジャーに包まれた
二つの膨らみが顕わになる。やや細身の身体に比べ、不釣合い一歩手前
ともいえる大きさだ。
「ま、待って!待って待って待ってっ!!」
噴出した鼻血を抑えつつ、白鳥が叫ぶ。「落ち着いて、早紀ちゃん!」
「ん〜、なんだ白鳥? あ、そうか、自分の手で脱がしたいのか、エロいぞお前」
「ちっ、違うってば! そうじゃなくって、こういうことは、その、もっとロマンチックな
雰囲気の時に、順序を追ってゆっくりとね…」
相変わらず夢見る乙女のようなことを言う白鳥に、見下ろす早紀の表情が曇った。
882ずっとずっと〜IF〜:2005/07/24(日) 23:10:38 ID:5zKzg6Im
「嫌なのか?」
「えっ?」
「アタシとするのは嫌なのか? アタシのこと好きじゃないのか?」
「いや、その…もちろん好き…だよ」
赤くなっていた顔を、さらに赤く染めながら白鳥が答える。
「だったらいいだろ!」
「でっ、でも、だからって急にこんな…」
いまだ及び腰の白鳥の胸倉を、早紀はつかみあげる。
「お前に好きだって言われて、あたしも嬉しかった。…でも、なかなか会うことが
できなくて…。今日もこのまま別れたら、今度はいつ会えるかわからないんだぞ、
お前はそれでもいいのか白鳥っ」
『あ…』
焦りとも性急とも見えるこの行動の理由を知り、白鳥はハッと胸を突かれた。
梢が別人格になっている間と同様、早紀たちも梢でいる間のことを覚えていない
らしいことは、薄々気付いてはいた。つまり早紀が自分と会えるのは、梢が早紀に
なっている間だけしかないのだ。
早紀は今、自分のことを恋人だと認識している。だが、会えるのは梢の人格が
変わっている間だけ。せっかく恋人同士になれたのに、好きな人がいるのに、
梢が梢でいる間は、離れていなければならない。
そんな人物に、白鳥は一人心当たりがあった。桃乃だ。以前一度だけデートした時に、
その離れて暮らす彼氏の話をする桃乃の辛そうな顔は、今でもはっきり覚えている。
早紀もそんな思いをしているのだろうか? そう思うと胸が痛む。しかし同時に、
そんなに強く自分のことを想ってくれているのかと、嬉しくもあり…
883名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 23:11:20 ID:5zKzg6Im
というところで続きはまた今度
884テイル:2005/07/24(日) 23:15:14 ID:uuE+kk30
>>883
……地の文を途中で区切って欲しいんだナー、と。
つらつらと打たれるのも読み辛い……
それ以外はGJ!

>「お前に好きだって言われて、あたしも嬉しかった。…でも、なかなか会うことが
できなくて…。今日もこのまま別れたら、今度はいつ会えるかわからないんだぞ、
お前はそれでもいいのか白鳥っ」

……なんかホロリときた。
他人格に共通して言えることだから……
885名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 23:37:31 ID:cMq+qTfW
WINGキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!!!!
886ぐうたら:2005/07/24(日) 23:55:06 ID:QCiCMJQU
今更ですがアニメスタッフは千百合ちゃんのキャラを間違ってると思います。(ナニアノエセガイジン…)ぐうたらです。
>>883
ちょっと早紀ちゃんの思考が短絡的すぎる…ような…?
恋人=ヤる みたいな考えの元に動いてるような希ガス?
でもタイルさんの挙げた部分は自分も共感。
他人格であるゆ故の白鳥君との距離をあらわしていてよかったです。
次回も期待します〜

…PSOって面白ry
887ぐうたら:2005/07/24(日) 23:56:02 ID:QCiCMJQU
ゴメンナサイ…タイルさんじゃなくてテイルさん…なにその風呂場……ホントスイマセン、テイルさん…
888名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 00:10:24 ID:0Wjk9hZ3
まぁ…若さ故の過ちという言葉もありマス故。
好きになったら想いが爆発しちゃうっていうのもアリだと思いますよ。
と、エロネタばっかり書いてる人の意見。


>>883
あとはまぁ文章がちょっと読みづらいってところですかね。
この辺はいっぱい読んで勉強するしかないッス。
889お腹いっぱい:2005/07/25(月) 08:00:51 ID:WdIaFxgy
>>883
乙です。
句読点で改行すればよいのではないでしょうか?

>>ぐうたら氏
タイルさんで笑いました。
PSO、面白いですよね。
自分も昔ずっとやっていました。
今はもう解約していますが…。

>>868
ヒント:また寝てしまった自分
890名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 08:06:36 ID:HmXq7i4S
早紀ちゃん積極的(;´Д`)ハァハァ
891名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 10:42:52 ID:FaUBY/tk
( ´ー`)。o0(MMOってどうなったんだろう?)
892ヘブン:2005/07/25(月) 10:54:59 ID:pPu9be51
SS投下開始ヨ〜
893それは不幸かあるいは幸福か:2005/07/25(月) 10:55:31 ID:pPu9be51
人生において幸福と不幸は同じ数だけあるという。
不幸があるから幸福があり、幸福があるから不幸がある。

幸福を掴むためには不幸も経験しなければならない。
不幸を知らなけれ本当の意味での幸福には気づかないのだ。

彼女はそんな幸福に気づいた数少ない人物なのかも知れない・・・・・
894それは不幸かあるいは幸福か:2005/07/25(月) 10:56:04 ID:pPu9be51
朝、彼女は目覚めてから毎朝の日課として仏壇に向かい手を合わせる。
今日も良い日でありますように、そう願い。

彼女のこれまでの人生は決して平坦なものではなかった。
愛する曾祖父「青葉総一郎」を失い、そして両親も不運の事故でこの世を去った。

「曾お祖父さん・・・・・・」
彼女はあの日、総一郎の葬式の日のことを思い出した。

あの日、曾祖父が、大好きだった曾お祖父さんが死んだ。
大人達が何やら話をしているが彼女の耳には届いていなかった。
彼女は横たわる曾祖父の遺体に近づき軽く揺すった。

「ねえ、おじいちゃん・・・起きてよ・・・ねえ・・・」
隣に来た両親が少女の肩に手を置き首を横に振る。
幼いながらも曾祖父の死を理解したようだ。
「やだ・・やだ・・・やだよぉ・・・」
彼女の目からは大粒の涙がこぼれ落ちた。
895それは不幸かあるいは幸福か:2005/07/25(月) 10:56:57 ID:pPu9be51
それからどれくらいたったか、彼女は今も泣き続いている。
悲しくて、辛くて、どうしようもなくて。
「ねぇ、どうしたの?」
不意に後から声を掛けられた。
その声は大人のものではない、自分と同じ子供のものだった。
彼女は振り向いた。
そこには自分と同い年くらいの男の子が立っていた。
「どうして泣いているの?」
彼女は答えられなかった。泣きすぎたせいか上手く声が出ない。
「それよりもほら、こっちこっち!」
男の子は泣いていた少女を縁側に連れて行き、スケッチブックを広げ一枚の絵を見せた。
そこには様々な動物が描かれていた。
「こっちがきりんで、こっちがぞうさんなんだ」
男の子は楽しげに説明していく。
いつしか、泣いていた少女も楽しげに男の子の絵を見ている。
「ねえ、つぎは、うさぎさん描いて!」
少女が初めて口を開いた事に喜び男の子も歓喜の声を上げる。
「うん!」
そして、リクエスト通りうさぎを描き始めた。
少女は次々に描かれていく絵を硬骨の目差しで見ている。
「ねえ、きみのなまえはなぁに?」
男の子が少女に問いかけた。
「わたし、あおばこずえ!あなたは?」
「ぼくはしらとりしゅうし!よろしくね」
「うん!」
そして、二人はりゅうしの描いた様々な絵を見続けていた。
「ぼくね、おおきくなったらえほんさっかになるんだ」
りゅうしが誇らしげに語る。
それを受け梢も
「すごぉーい」
歓喜の声を上げ二人は楽しい時間を過ごした
896それは不幸かあるいは幸福か:2005/07/25(月) 10:57:33 ID:pPu9be51
やがて、日も傾き始め楽しい時間は終わり別れの時が来た。
「そうだ、これ」
隆士はそう言って一枚の絵を梢に渡す。
その絵には幼いながらも上手に梢が描かれていた。
「ありがとう!だいじにするね!」
そう言い二人は別れた。

この時、彼女は祖父を失うという不幸を体験した、
だが、隆士と出会えた。
この幸福と不幸が等価なのかは分からない。
少なくとも彼女は隆士と出会い彼の描く絵によって祖父を失った悲しみを乗り越えられた。

そして時は流れた。
彼女は両親を失った。
事故だった。
福引きで当たった海外旅行。
それを両親にプレゼントした。
だが、両親は不運にも旅行先の事故で帰らぬ人となった。
彼女は強い自責の念に駆られた。
自分が旅行に行っていれば、自分がプレゼントなどしなければ両親は死ななかったのではないか?
悲しみにくれる彼女のそばにかつての様に隆士はいなかった。
深い絶望が彼女を襲った。
そして、彼女「変心」するようになった。
他人を拒絶し自分の世界に閉じこもったり、着たくない喪服を脱いでオシャレにはしったり
泣くの止め代わりに思いっきり笑ったり、怒ったり、幸せだった子供の頃に戻ったり。
これらのもう一人の自分が彼女を支えてくれた。
だから、彼女は耐えられたこの深い悲しみに。
897それは不幸かあるいは幸福か:2005/07/25(月) 10:58:04 ID:pPu9be51
そして、彼女は両親の跡を継ぎ鳴滝荘の大家となった。
「変心」するようになった彼女に最初は戸惑った住人達も彼女を受け入れてくれた。
だが、彼女の心には溝が出来ていた。
曾祖父、両親と自分に最も近い人物を失った。
その溝を埋めることはどうしても出来なかった。

彼女は大きな不幸を経験した。
ならば、彼女にはそれと等価の幸せが訪れるのだろうか?

「・・・白鳥さん」
彼女はあの日。曾祖父の葬式の日、隆士にもらった一枚の絵を見つめている。
彼女はこの絵に救われてきた。
見る者を温かい気持ちにさせるというこの絵に。
彼女は隆士に憧れを抱いた。
そして、彼に会いたいと願い始めた。
そんなある日のことだった。
「はい、鳴滝荘です。」
白鳥の母親から電話がかかってきた。
「はい、お部屋なら空きがあります!」
隆士が専門学校に通うために上京したいと言い出したらしい。
そして、その下宿先を鳴滝荘に出来ないか?そう訪ねられた。
彼女は嬉しかった。
また、彼に、隆士に会える。
その想いが彼女の中に溢れていた。

このときから彼女は幸せへの道を歩み始めたのかも知れない。
898それは不幸かあるいは幸福か:2005/07/25(月) 10:58:35 ID:pPu9be51
そして、白鳥が鳴滝荘に入居してきた。
梢は嬉しかった。
憧れていた人にまた会えたことに。
それからは毎日が幸せだった。
桃乃がいて珠実がいて黒崎親子がいて灰原がいて
そして何より隆士がいて・・・・・
彼女は何よりもこの何気ない風景が好きだった。
ホンの些細なことだが、彼女にとっては幸せだった。

彼女はこの何気ない、いつもと変わらない日常を幸せと感じていた。
住人達と、白鳥と一緒に過ごす日々を。


―――彼女は本当の意味で幸福に辿り着いた数少ない人物なのかも知れない
どうか彼女の未来に幸あらんことを―――
899それは不幸かあるいは幸福かあとがき:2005/07/25(月) 10:59:35 ID:pPu9be51
はい、自分でも何書いてんだ?って言われても仕方がない気がしてきましたorz
・・・ご意見批評その他お待ちしてます
900名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 12:02:35 ID:opj0AWNy
>>899
こんな時間に誰かと思ったら…

しかし、幸福と不幸、か。まほらばの根っこの部分ですな。
本編でも色々語られていますが、こういうストレートなものも乙なものです。
ちなみに「蒼葉」ですよ。

…あ、夢の事書き忘れてたんだ俺orz
901名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 12:04:02 ID:HmXq7i4S
>「はい、お部屋なら空きがあります!」
このときの梢ちゃんの表情は、最高の笑顔だっただろうなぁー
902ヘブン:2005/07/25(月) 12:06:15 ID:pPu9be51
>>900
やっべ、また間違えたorzorz

>>900-901
どもっす
903名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 13:05:42 ID:eZAqanXL
>>899
GJなSSお疲れ様です!
しかし、幸福と不幸ですか・・・
鳴滝荘の皆、幸福になれるとよいですねぇ
904名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 19:35:27 ID:Zn1d3p2X
>>899  GJ(・∀・)!葬式の場面とかよかった。
そしてもう900かぁ・・・
すごいスレスピードだなこりゃ
905名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 20:20:27 ID:WdIaFxgy
スレが立ってからまだ二十日も経ってませんね…。
906805:2005/07/25(月) 20:24:42 ID:eZAqanXL
とりあえず新しいのができたので
投下をしようと思います。
では。
907その、笑顔[1/8]:2005/07/25(月) 20:27:01 ID:eZAqanXL
ここは誰も居ない鳴滝荘。
今、僕は自分の部屋でいつものように絵を描いている。
そう、ここは誰もいないはずの鳴滝荘。

「ふぅ・・・なかなか上手くいかないな・・・」
「それにしても・・・こんなに静かな鳴滝荘っていうのも珍しい・・・」

皆、今なにしてるかな・・・

梢ちゃんと珠実ちゃんは二人で買い物に。
桃乃さんは・・・大学のサークルに顔を出してくるって言ってたっけ。
朝美ちゃんと沙夜子さんは水無月家に遊びに。
灰原さんは・・・どこへ消えたんだろう。

「今日は朝から絵ばかり描いてたから、少し疲れてきたかな」
「お昼ご飯でもとって休憩しよう」
そう思って僕は立ち上がり、ドアのほうへ歩みを進め
ドアを開けた。そしたら・・・そこに居たのは・・・
「!!・・・え・・・?えーっと・・・こんにち・・わ?」

誰も居ないはずの鳴滝荘なのに、そこに立っていたのは・・・

「おヤ、タマなしサンの部屋でシタか。こんニチわ・・・クッ」
部長さんだった。
「えっと、部長さん・・・?どうしてここへ?」
「ソウでスね、シいて言エバあナタに用がアッたからデスよ」
「誰もイナいよウなノデ、勝手に上ガラせテモらイマシたが」
「一発デ当たリヲ引くトハ・・・クッ」
部長さんが僕に用事・・・?
いったいなんなんだろう
なにか変なことじゃなければいいけど・・・
僕は恐る恐る訊いてみた。
「僕に用事っていったいなんでしょう?」
「絵を描イテもらイタいのデスが」
「へ・・・?」
908その、笑顔[2/8]:2005/07/25(月) 20:27:56 ID:eZAqanXL
僕はポカンと口を開けて聞き返してみた。
「・・・絵?絵・・・ですか?」
「エエ、そうデスよ」
「えーっと、何の絵・・・ですか?」
その質問を聞いた部長さんは、ニヤっとした笑みを作り
僕にこう答えた。
「私の絵デス、私の肖像画ヲ描いテモらいタイと思ッタのでスヨ・・・クッ」

・・・?肖像画・・・?
それはえーっと・・・部長さんがモデルになって僕がそれを絵にする。
そういうことなのか・・・?いやそういうことだ。
それにしても・・・肖像画?いったい、なぜ?

「部長さんの肖像画を?なぜですか?」
「嫌デシたか?」
「あ、いえ、そういうことはありませんよ
ただ、どうしてかなぁと思っただけですから」
その質問に対してもなぜか、なぜかまた部長さんはニヤっと笑って
僕に答えてくれた。
「タダ部室に飾ろウカと、ソウ思っタダけデスよ
少々寂シイ部室デスからネ・・・クッ」
「は・・・はぁ、そうなんですか」
「えっと、それじゃあどうしましょう?どこで描きましょうか?」
「そうデスね・・・では、タマなしサンの部屋デ」
「え!僕の部屋・・・ですか?あ・・あぁ・・・じゃあ入ってください」
なんでまた僕の部屋なんだろう・・・
そう考えていると
「別にアナタを黒魔術の実験ニ使うナド、そうイウことハ考えテイませんヨ
ただ、ワザわざ遠くマデ移動スルのも面倒デシょう、ただノ肖像画デスし」
「は・・・ははは、そうですね」
909その、笑顔[3/8]:2005/07/25(月) 20:28:32 ID:eZAqanXL
僕は少し冷や汗をかきつつ、部長さんを部屋に招き入れる。
そして適当な椅子を用意して適当なところに置く。
そして部長さんを・・・

「じゃあ、そこの椅子に座ってください、立ちっぱなしじゃ疲れますしね」
「そうデスね、ワカりマシた」
道具を一通り準備して、僕は部長さんの前に座った。
「よし、準備はできましたから、描き始めますね」
「エエ、お願いシマすよタマなしサン」
そういって僕は絵を描くために筆を走らせた。

「・・・・・」
「・・・・・」

長い沈黙の時間、僕は部長さんをジッと見ては
またすぐに筆を走らせる。
それを繰り返し続けていた。

「・・・・・」
「・・・・・」

長い沈黙の時間、それは永遠とも思えるような時だった。
なぜだろう、普段誰かにモデルになってもらって
描くときは、こんななにか変な違和感は覚えたことなかったのに
なにかがたりない・・・そんな気がした。

気づいたら僕はジッと今までとは違う目で
部長さんを見ていた。

「・・・・・」

なにがたりないのか、この違和感の正体を見つけるために・・・
910その、笑顔[4/8]:2005/07/25(月) 20:29:20 ID:eZAqanXL
「どうされましたか?さっきから筆が動いていないようですが」
突然の言葉、僕はハッとなって慌てて返事を返す。
「あ・・・す、すみません」
「どこヲ見てイタのでショうかネ、いやデスよタマなしサン・・・クッ」
「は!?な、なに言ってるんですか部長さんっ!」
「コノ私に目を付ケルとは・・・梢部員とイウ恋人がイナがら・・・
ナカなかヤルようデスね・・・クッ」
「ちょ・・・部長さんってばっ!!」
突然僕をからかってくる部長さんを、どうすれば止められるのか
今はただそれだけしか考えられなくなっていた。
っていうかどうしてほんとに、こんな目に僕が・・・変な汗が出てくる・・・
「クッ・・・コノ程度のコトで心乱さレルとは、ヤハりタマなしサンも
まだマダ青イヨうでスネ・・・クッ」
「う゛っ・・・ぶ、部長さ〜ん」
さらに痛いところを突かれて覇気のない声で
声を発していた、そこにさらに追い討ちをかけるように・・・
「これデハ、あなタノ恋人でアル梢部員が心配デスね」

いや・・・追い討ちとは違った
部長さんが発した言葉は・・・

「ですガ、まぁ・・・お二方ノことデス
なんの問題もナク共に幸セニならレルことデショう」
「部長さん・・・」
「勘違いシテはなリマせんよ、ソレを可能にスルか不可能にスルか・・・
ソレはあナタ方次第デス、そしてタマなしサン」
「あ、はい?」
「梢部員ヲ本当に幸セニできルノは、他の誰デモないアナただけデスよ」
911その、笑顔[5/8]:2005/07/25(月) 20:30:36 ID:eZAqanXL
梢ちゃんを幸せに・・・そう、僕は梢ちゃんを幸せにしたいんだ。
梢ちゃんに幸せを感じてほしい、これから先ずっとずっと・・・
僕はずっとこれから先もずっと、梢ちゃんを支えていきたい。

そう思っているんだ、だけど・・・部長さんの言葉を聞いて。

本当に僕に梢ちゃんを幸せにできるのだろうか・・・
言うだけなら、思うだけなら誰だって簡単にできるんだ。
僕はそれを実行できているんだろうか・・・
と、そんなことを考えていた僕に部長さんが

「頑張ッテくだサイ、まだマダ青いトハ言え・・・
アナタならきットでキルでショう、あなタニしかデキないコトなのデスから」
「は、はい、頑張り・・・ます」

部長さんが応援してくれてる・・・?
いや、部長さんだけじゃない・・・

そうだよ。

周りには皆がいるじゃないか、僕達を支えてくれてる人達が
家族のように大事な人達が、いつかは皆も居なくなってしまうかもしれないし
ずっと頼っているわけにはいかないけど・・・
今はまだいいよね・・・みんなにはまだきっと迷惑をかけてしまうだろう。
いっぱい頼ってしまうだろう・・・でもいつかきっと僕も強くなるから
絶対に強くなるから、もう少しだけ僕達を支えていてください・・・

「勘違いシテもらっテハ困りマスよ」
「あ・・・え?」
また一人考え事をしていた僕に部長さんは声をかけてきた。
「私はアナタのこトヲ思って言ッタわけデハありマセん
私はアクまで梢部員ノことを思ッテ言っタマでデスよ、大事な部員デスのでネ
マァどうシテも、と言うナラば多少は力ヲ貸シテ上げテモいいデスが・・・フッ」

ど、どうしてこの人はこう、とことん僕を・・・
まぁなんだかんだで・・・ん?
あれ・・・なんだろう今なにか・・・あっ
そうか・・・足りなかった物それは・・・
912その、笑顔[6/8]:2005/07/25(月) 20:31:09 ID:eZAqanXL
「あの、部長さん気づいたらもう結構時間が・・・
と言うことで絵の続きを描きたいんですけどいいですか・・・?」
「元ハトいえバ、タマなしサンのせイデ止まってイタ気がスルのデスが?」
「う・・・そうでしたね、すみません、じゃあ描きますね
極力ジッとしていてください」
「ワカっていマスよ」

そして僕は再び絵を描くために筆を走らせた。

「・・・・・」
「・・・・・」

またしばらく沈黙の時間が訪れた。
そして・・・ついに。

「ふぅ・・・よし!できましたよ部長さん!」
「ホォ、やットできマシたかタマなしサン、お疲れ様デス」
「あ、はいどうも。じゃあえっとこの絵を・・・」
「待ってクダさい」
突然、部長さんから制止がかかった。
「え?どうしました?」
「ソノ絵・・・なにか布カナにかデ巻イテほしイノですガ」
「え、あぁできますけど、今すぐですか?」
「エェ、そうデスよ」
「あ、そうですかじゃあ・・・って絵は見ないんですか?!」
どういうことだろう・・・せっかく描いた絵なんだけど・・・
そんな風に思っていた僕に、部長さんが返事を返してきた。
「エエ、今は見マセん。帰ってカラじックり見るコトにしマスよ」
「あ・・・見てはくれるんですね」
「なにヲ言っテイるんデスか、ソレは当タリ前でしョウ」
「ま、まぁ・・・そうですね」
やっぱり部長さんはどこか掴みにくい・・・
透明人間みたいな人だ。
913その、笑顔[7/8]
「タマなしサン」
「あ、はい?」
「なにか、イラぬ事ヲ考えテイるヨうデスが?」
「!・・・そ、そんなことないですよ」
「サテ、どうデシょうカネ・・・クッ」
「ないです、ほんとに断じてないですから、ははは・・・」
どうやら僕は心を読まれやすいようだ・・・
昔からこうだった気がする・・・気をつけよう。
「デハ、私の用事はモウ終わりマシたのデ帰らセテいたダキますネ」
「あ、はい。えっと、今日はありがとうございました色々と」
「お礼ヲ言うノハこちらデスよ。私のタメにわざワザ、すみマセんデシたね
デハ・・・またイズレお会いシマしょう」
「はい、気をつけて帰ってくださいね、さようなら」
「ええ、サヨうなラ」

そう言って部長さんは僕の部屋を、鳴滝荘を出て行った。
あの絵を見て部長さんは何を思うんだろう。
少し勝手なことをしてしまった気もするけど・・・
きっと大丈夫なはずだ、うん、きっと大丈夫
部長さんもあの絵を気に入ってくれるはずだ。

それは僕が心に決めたこと。

「サテ・・・どのヨウな絵がデキたのカ見てミマしょうカね」

ここは青華短大付属高校
オカルト研究部の部室
そこに居る一人の生徒

「フム・・・おかシイでスね、コノ用な表情ヲ作ってイタ覚えハナいのデスが・・・
しかし、マァ流石デスね。タマなしサン、なかナカ良くデキていマスよ
ええ、コレはこれデ・・・悪クないデスね・・・フッ」