気の強い娘がしおらしくなる瞬間に… 第3章

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1名無しさん@ピンキー
勝気だったり、高飛車だったり、男勝りだったり、
そんな幼馴染みが、委員長が、お嬢様が、お姫様が、女上司が、
ふとした瞬間に垣間見せる弱々しさ、しおらしさ、素直さ、
そんなギャップに萌えるスレです。

あるいは、レイプされ、屈服させられて従順になってしまう鬼畜展開もOKです。

SSの投下は、オリジナル・二次創作を問わずに大歓迎。

(過去スレ)
気の強い娘がしおらしくなる瞬間に…
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1065173323/
気の強い娘がしおらしくなる瞬間に… 第2章
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1090474137/

(これまでに投下されたSSの保管場所)
2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.arings2.com/
2名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 01:16:13 ID:kLuK5ILs
2げっち
3名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 01:23:05 ID:YUrQ0plz
乙です
4名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 01:35:31 ID:BXXq8DqM
乙です
5名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 01:48:54 ID:6/T+MJMM
>>1
6名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 01:49:11 ID:NqFvMQqW
>>1
乙!
7名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 02:08:07 ID:0gj+u29E
スレ立て乙っすー

色々続きが楽しみなり
8名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 07:25:39 ID:+khcOW+3
>>1
乙……なんて労いの言葉、言ってやらないんだから!
9名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 08:21:17 ID:0WFUW9IZ
>>1
だ、だからっ…
ちょっとだけ見直したってば!
その……スレ建…ああもういいわよっ!



乙ンデレ
10名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 11:11:21 ID:X9p3TAhB
>>9
ハアハア
11名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 12:16:45 ID:KQIWt3Ro
弐ゲット
12 ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/24(金) 13:33:07 ID:e8G61igH
>>1
乙です。

えっと、SSの続きはこちらに投下でしょうか?
それとも、前スレが終わってからでしょうか?
どちらがよろしいのか教えていただきたいのですが。
13名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 13:57:38 ID:zBMzRav+
>>12
もう前スレは5KB弱しか使えないので、こっちにお願い。
14雪月花 ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/24(金) 14:23:11 ID:e8G61igH
 お嬢の白い肌が上気してくる。
「あまり、ジロジロ見ないで……恥ずかしい」
「お嬢。とっても綺麗だ」
 お嬢が寝間着にしていた浴衣を、肩の部分からゆっくりと下げてゆく。
 形のよい乳房が俺の目の前に現れる。
 大きすぎず小さすぎず、俺の手にちょうど入るくらいの乳房。
「ゃぁ。見ないで」
 雪のように白い肌。
 俺はその肌に直に触れる。
「っ………」
 下唇を噛んで、懸命に声を殺すお嬢。
「お嬢。恥ずかしがらずに声を出してもいいんだよ」
「だって……そんなの」
「ほら、感じてるんだろ。ここがこんなになってる」
 白い乳房の頂点についた真っ赤な乳首。
 微かに勃起したソコを指でつまみあげる。
「んひゅぅ……し、しりません」
「さっきまでの素直なお嬢はどこにいったんだ?」
 俺はその乳首を口に含む。
 甘くよい香りが口の中に広がった。
「そ、そんな……こ、子供のすることです」
「子供が出来る前の予行演習さ」
 俺はそこを舌で搾るように嘗め回す。
「ぁっ…ゃ…ぁぁ」
 まだ声をこらえる。
 屋敷には二人っきりだと言うのに、これ以上何を恥ずかしがるのか。
 お嬢。もっともっと、俺を感じて欲しい。もっともっと、気持ちよくなって欲しい。
「お嬢。愛している」
「んっ、二人の時は……木葉と呼んでください」
「木葉」
15雪月花 ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/24(金) 14:24:02 ID:e8G61igH
 二度目の口付け。
 俺が舌をお嬢の口に滑り込ませると、一瞬お嬢が身体を引く。
「んっ!?……っぅ」
 だが、俺がお嬢の頭を抱き、無理矢理お嬢の口の中で舌と舌を絡ませ犯す。
「ぁっ……はぁ」
 口を離すとお嬢の目には快楽と恐怖の色が残っていた。
「真…わたくしには、刺激が強すぎ……ます」
 息も絶え絶えなお嬢が俺の顔を見て言う。
 俺は何も言わずに次の工程へと進む。
「ぁっ。す、少し……少し…待って…ひゃぅ」
 俺はお嬢の乳房に先ほどよりも執拗に舌を這わせ、円を描くように揉みしだく。
 片手で器用にお嬢の浴衣の帯を解く。
 帯は難なく解け、浴衣はお嬢の膝元へとストンと落ちる。
「ぁ…ゃ。こんな…恥ずかしいこと…わたくしは」
「綺麗だ」
「……嬉しい」
 お嬢の身体が見る間に朱に染まる。
 先ほどの恥じらいの紅と上気の赤。それがお嬢の肌の白さと相まって、見事な朱を作り出していた。
 俺はお嬢の身体を抱き上げると、そのまま寝床へと運ぶ。
「真…真の……も、見せて…欲しい」
「木葉」
「わたくしだけが……裸で居るのは…」
 俺は着ていた服を脱ぐ。
「ぁっ」
 お嬢が息を呑む。
 俺の身体は幼少の頃からの修行で傷らだけになっていた。
 お嬢を守ると決めたその日から、大人と同等の修行を受けた結果だ。
「……真……痛くはないのですか?」
「木葉を守るためについた傷に、痛みなんて」
 上半身裸の俺の身体にお嬢が擦り寄ってくる。
 胸の、一番大きな傷。
 そこを指でなぞり、顔を近づけ口付ける。
16雪月花 ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/24(金) 14:24:43 ID:e8G61igH
「わたくしは、今まで真のことを何一つ知ろうとしませんでした。もっと、もっと早く……真に本心を打ち明けていたら」
「いいんだ。今は木葉が俺の側にいてくれる。それだけで十分だ」
 お嬢の身体を抱く。
 初めての肌と肌とを触れさせた抱擁。
 お嬢の身体は本当に小さく、力を込めたら壊れてしまいそうな、ガラス細工にも似た繊細さだった。
「ぁっ」
 お嬢の顔がまるで火を浴びたかのように真っ赤になった。
 ん?
「ま、まことの……イチ…モツが……わたくしに」
「木葉があまりにも魅力的で俺のが反応したんだよ」
 俺は立ち上がりゆっくりとズボンと下着をおろす。
 俺のモノはすでに準備できており、それが丁度お嬢の目の先に現れる。
「これが、殿方の……わ、わたくしの中に、このようなものが」
「そう。そういう風に出来ているんだ。大丈夫、優しくするよ」
 俺はお嬢の前に再度膝をつく。
 お嬢はその場で身体を前に倒し、俺のモノに手を当てる。
「紅く、大きく、まるで話しに聞いた鬼のような……痛みは無いのですか?」
 完全に痛みが無いかと言えばウソにはなるが、そんなものは昔から毎朝のことだ。いまさら痛みなど気にもしない。
 だが、俺の表情をどう受け取ったのか、お嬢は俺のモノを口に含む。
「木葉!?」
「んっ…ちゅっ……むっ…んぅ…熱い…脈打って…」
「っっ…どこでフェラなんて覚えたんだ?」
「へら?そう呼ばれているのですか?んっ、真のここが痛そうであったので、舐めただけです」
 つまり何も知らずにしたってことか。
 無知なお嬢ほど怖いものがないような気がする。
「真も昔、わたくしが指を怪我した時に、舐めてくださいましたでしょう」
 それとこれとは違うんだが。
「木葉、今度は俺がしてあげるよ。床に仰向けに横になって」
「はい」
 お嬢は俺に言われたとおりに寝床の上に横になる。
17雪月花 ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/24(金) 14:25:00 ID:e8G61igH
「何をするのですか?」
 俺はお嬢の足元に回り、脚の下に手を入れる。
「きゃっ」
 俺は脚を持ち上げ、そのまま手をお嬢のお尻の下にまで滑り込ませる。
 お嬢のお尻は乳房とはまた違った柔らかさと硬さを併せ持っていた。
「ま、真……何を」
「木葉のも舌でしてあげるよ」
 俺はお嬢の両脚の間に顔を入れる。
 そして、薄毛の恥部に口付ける。
「ひゃっ!?」
 お嬢の悲鳴を無視し、俺は外向きの襞に舌を這わせる。
「ぅ…んっ…ゃぁ……真…汚い」
「綺麗だよ。木葉の身体の中で汚い場所なんてないさ」
 月並みのセリフだが、それは真実だ。
 それ以外の言葉なんて浮かんではこない。
「お?」
「……どう、しました?」
 軽くお嬢の膣口に指を入れる。
「っっぅ」
 お嬢の身体が初めて入れられた異物に軽く仰け反る。
 抜いた指には俺の唾液ではない、ヌルヌルとした液体が付着している。
「木葉。見てごらん……木葉の身体は俺を感じてくれて、こうして濡れているよ」
「濡れて?……わたくし…おもらしをしてしまったのですか?」
「いや。これは、女性がエッチな気持ちになると自然と出てくるものなんだ」
「……わたくし、エッチ……なのでしょうか?」
 お嬢が俺の方に向けていた顔を背ける。
 お嬢にとってはそれはとても恥ずかしいことなのだろう。
「いや。どんな女だって、そうなんだ。木葉に限ったことじゃないよ」
「そうなんですか。よかった……真に…嫌われてしまったかと思いました」
 どこをどう判断すればそうなるのか。
 けど、知識の無いお嬢にとっては、それがいいことなのか悪いことなのかが判別できないのかもしれない。
18雪月花 ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/24(金) 14:25:24 ID:e8G61igH
 俺は嫌いになっていないと答える代わりに口付ける。
 今度はお嬢の方も俺の舌を受け入れ、俺の真似をして舌を絡ませてくる。
「んっ…ふぅ…んふっ」
 お互いの口が離れ、混ざり合った唾液が糸を引く。
「木葉」
「……はい」
 俺は木葉の脚を持ち上げ、その脚の間に身体を入れる。
「あぁ。好きな人の前でこのような……姿を晒さないといけないなんて」
 手で顔を隠す木葉。
 確かに、女性の中にはこの正常位をカエルがひっくり返ったような形なので嫌だという人がいると聞く。
 どうやらお嬢もその一人のようだ。
「大丈夫。木葉は綺麗だよ」
 俺は自分のモノを木葉の膣口へと当てる。
「んっっ」
 腰に力を込め、ゆっくりと膣内に進入させる。
 お嬢の膣は濡れており十分な湿り気を帯びてはいるが、やはりかなりの狭さだ。
「力を抜いて」
「……はっ…はひぃ」
 お嬢の手が下に敷いてある布団を強く掴む。
 膜が破れる時の痛さというのは、人それぞれと聞くが、お嬢はかなりの痛みを伴っているようだ。
「辛いなら」
 俺は身体から力を抜く。
 それを察してか、お嬢が目を開き俺の方を向いて微笑む。
「いえ……わたくしは…平気…です。だから…お願いします」
 まともに呼吸すらも出来なくなっているお嬢。
 俺はお嬢をこの苦しみから早く解放してあげたかった。
「いきます」
 俺は再度力を込め、お嬢の中へとねじりこむ。
「っっぅぅ」
 お嬢の口から血が出ている。
19雪月花 ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/24(金) 14:26:22 ID:e8G61igH
「お嬢!?」
「……木葉と呼んでください……大丈夫…です」
 最初の時のように、声を出さないように唇を噛んでいたのだろう。
 くっ。お嬢。
 俺はお嬢の辛い顔を見ないようにしながら奥へ奥へと腰を動かす。
「っぁぁ……はぁ……はぁ…はぁ」
 俺とお嬢の身体から力が抜ける。
 俺のモノは完全にお嬢の中に納まりきった。
「木葉」
「真……一つになれたのですね」
「はい」
 長かった。時間にしたらそれほどでもなかったのかもしれないが、お嬢の苦しみを考えるとかなり長かっただろう。
「真。わたくしのお父様がなんと言おうとも…真のお父上がなんと言おうとも…わたくしを、真の妻にしてください」
「木葉」
 俺はもう迷わない。
 この先に何があろうとも、俺はお嬢を手放すなんてことは絶対に出来ない。
「一生…俺についてきて欲しい」
「はい」
 木葉の瞳からこぼれる大粒の涙。
 そして、いままで見たことの無いような極上の笑顔。
 幸せとはこのことを言うのだろう。
「ぁっ」
 俺のモノがお嬢の膣内で一度跳ねる。
 お嬢の膣内は、暖かく、きつく、それでいてやわらかさを持ち、俺のを締め付けている。
 黙っていても、出てしまいそうなくらいに気持ちがいい。
「少しだけ。痛みが引きました……真がしたいようにしても…かまいませんよ」
 俺はゆっくりと、腰を引き上げる。
 お嬢は一瞬顔をしかめるが、先ほどのような痛みではなさそうだ。
20雪月花 ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/24(金) 14:29:30 ID:e8G61igH
「動くよ」
 お嬢はコクンと小さく首を縦に振る。
 ゆっくりと、お嬢の身体をいたわるように腰を上下させる。
 徐々にではあるが、お嬢の膣内が先ほど以上に湿り気を帯びてきている。
 それに伴い、その顔にも痛みだけではなさそうな表情が見て取れる。
「ぁ……ぁっ…っ…ぁ、ぁ、ぁ」
 声にもその反応が現れ始めた。熱を帯びた艶のある声。
「っ………ぁ。ゃ…だ、だめ……んっっっ」
 一瞬お嬢の動きが止まったかと思うと、急にお嬢の膣が俺のを締め付けてくる。
「っぅ」
 俺は出そうになるのを我慢して腰を引く。
 だが、お嬢の脚が俺の腰を絡め離さしてはくれない。
「お嬢!?」
「出してください……ちゃんと…知っていますから」
 限界だった。
 俺はお嬢の膣内へと精液を吐き出す。
「ぁぁ…暖かい…真の子種がわたくしの中に」
 それで満足したのか、お嬢の脚が解ける。
 俺が身体を離すと、少し遅れてお嬢の膣口から白と赤の混ざった液体がこぼれ出る。
「お嬢」
「……3度目ですよ…ちゃんと…木葉って呼んでください」
 どうも、呼びなれているせいか、意識していないとお嬢と呼んでしまう。
「木葉。今日は大丈夫なのか?」
「大丈夫とは?」
「安全日って言うのか…ほら、妊娠しにくい日」
「ふふ。どっちだと思います?」
 お嬢が小悪魔のような微笑みで俺に語りかける。
「ま、出来たら出来たで、ちゃんと一緒に育てていこうな」
 そうだ。どっちだって関係はない、俺はお嬢と生きていくと決めたのだから。
「はい。真……愛しています」
 4度目の口付け。
 それは、どの口付けよりも自然に触れ合った。
21雪月花(行間) ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/24(金) 14:34:13 ID:e8G61igH
思った以上に長くなってしまった交わりのシーン。
ちょっと長すぎでしょうか?
なれない情景描写に四苦八苦しながら書いたらこんな長さに。
あとは、ラストシーンですね。
もう考えてあります。
では、出来れば今週中にでもラストシーンをアップしたいと思います。
22名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 15:32:56 ID:jMiXpIPF
グッジョブ!!
23名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 15:46:45 ID:1e/39urO
キターーーーーーーーー!!
24名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 11:09:51 ID:aN7ixfaW
GJ!
25雪月花 ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/26(日) 19:44:27 ID:hyPZ0j/F
 俺とお嬢は客間へと案内された。
 客間は和室となっていて、畳のいい匂いがする。
「お久しぶりです」
 席に着いた俺とお嬢。
 テーブルを挟んで、お嬢の両親が座っている。
「………ワシに話しがあるとはなんの用だ」
 うっ。さすがは雪宮財閥の総帥。
 いやいや、この程度で飲まれてなるものか。
「ご無礼を承知でお話し申し上げます。私を木葉お嬢様と結婚させて下さい」
 俺は真っ向から旦那様の目を見る。
 やばい。背中には冷や汗がダラダラと流れ落ちている。
「明日。木葉が藤桜の御曹司と見合いだと知って言っているのか」
「はい」
 俺と木葉の最初にして最大の難関。
 旦那様に俺とお嬢のことを認めてもらうこと。
 時間が無かったとは言え、いきなりはまずかっただろうか。
「ダメだ。雪宮の名に傷がつく」
 やはり。
 そうすんなり行くとは俺も思っては居なかった。
 が、先ほどと表情も何も変わっていないところをみると、心の一端を揺らしたとかいう状況ですらなさそうだ。
「無理は承知で申し上げております。御一考をお願い致します」
「たかが木葉の付き人の分際で何を言う」
「私は真剣です。付き人とかそういった身分は」
「身分など関係ないとでも言うつもりか?」
「関係ありません」
 熱くなってはダメだ。冷静に話し合わないと。
 相手は経済界では百戦錬磨の男。
 相応の態度で臨まねば。
「…帰れ。木葉は今日はここで休み、明日の見合いに備えるんだ」
26雪月花 ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/26(日) 19:44:55 ID:hyPZ0j/F
「お父様」
 今まで沈黙を守っていたお嬢が口を開く。
「わたくしは、真と結婚します。藤桜家の長男だかなんだか知りませんけど、見ず知らずの男には会いたくありません」
「見ず知らずだからこそ、見合いの席で話し合うのだろう」
「それに。わたくしは、もう真と床を共に致しました」
 さすがに、今の一言に旦那様の眉が動く。
「わたくしの中に何度も何度も、子種を注いでいただき、きっと、わたくしのお腹の中には真との子が宿っていますわ」
 まて、お嬢。
 お嬢を抱いたのはあの日だけだし、あの日だって一度しかしていないのだが。
 これが駆け引きというものなのか?
 バカ正直に本当のことだけを言っていてはダメだということだろうか。
「まぁ、相手は木葉よりも大人だ。処女がいいと言うわけでもないであろうし、子は可愛そうだが堕ろせばよいことだろう」
「そんな……お父様は、わたくしと真の子を殺すとおっしゃるのですか!?」
「当たり前だ。それだけではなく、娘を傷物にした罪も償ってもらわねばな」
「お父様!!」
 お嬢がテーブルを叩き、立ち上がる。
「わたくしは、お父様に絶望しましたわ。わたくしは真と家を出ます。今日から雪宮の姓を捨てさせていただきます」
「お嬢……それはいけません」
「真!?何を言うのです。貴方もわたくしと一緒にいてくれるのではなかったのですか」
「それは本当です。しかし、私は旦那様に何があろうとも許しを請うつもりです」
「無理ですわ!!」
「お嬢!!」
 俺は立ち上がりお嬢と唇を重ねる。
 いきなりのことにお嬢も驚き、しかし、その身体を俺へと預けてくれる。
「わかりました。後は真にお任せいたします」
「旦那様。私は……いえ、俺には木葉が必要なんだ。そして、木葉も俺を必要としてくれている」
 微かに震えるお嬢を強く抱きしめる。
「こんなことをして、今まで養っていただいた恩を仇で返すような結果かもしれない。もう一度言います。木葉を、俺にください!!」
「お父様……わたくしも、真が好きです。他の殿方の妻になるくらないなら……」
 今のお嬢は弱々しく、簡単に折れてしまいそうな……割れてしまいそうなほどか弱い少女だ。
「お父様」
27雪月花 ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/26(日) 19:45:19 ID:hyPZ0j/F
「はーっはっはっは」
「まったく、アナタも本当に意地が悪いのですから」
 突然旦那様が大きな声で笑い、今まで沈黙を守っていた奥様も着物の袖で口を隠し微笑んでいる。
「まさか、この年になるまで決着がつかんとは思わなかったぞ」
「お父様?お母様?」
「真君……木葉をよろしく頼む」
 旦那様と奥様がそろって俺たち二人……いや、俺に向かって頭を下げる。
「え?あ、えっと……はい」
「さぁさ。向こうに食事を用意してあります、今日は一緒に食べましょう」
 旦那様と奥様が客間から出てゆく。
「ど、どういうこと……なのでしょう?」
「よくわからんが…俺たちのことを認めてくれたってことか?」
 俺もお嬢もいきなりの事に全く展開についてゆけていない。
 とりあえずわかることは。
「お嬢。せっかくだからご馳走になろう」
「そうですわね」
 俺とお嬢はもう一度唇を重ねる。
 もう、何度目かは数えていない。どうせ、これからは星の数ほど重ねるのだから。
28雪月花 ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/26(日) 19:45:43 ID:hyPZ0j/F
 結局、木葉の見合いの話は最初から無かったとのことだった。
 旦那様も奥様も俺とお嬢が互いに惹きあっているのは知っており、にも関わらず結果のでない二人にやきもきしていたそうだ。
 それで生まれたのが、木葉の嘘見合い話で二人に本心で語り合わせよう計画。
 そして、今の俺とお嬢はものの見事に旦那様の計画通りにことが進んだ結果だった。
「酷いですわ、お父様」
「しかしな、煮え切らない二人が悪いのだぞ」
 その話を聞いた後から、お嬢はずっとこんな調子だ。
「でしたら、わたくしにだけでも一言いっていただければ……そうすれば、真にあんな恥ずかしい姿を」
 最後の方はごにょごにょと小さな声になる。
 まぁ、隣に座っている俺には聞こえているわけだが。
「二人はいまどきの若者にしては、積極性にかけておったからな。これくらいが丁度いいじゃろうて」
「真さん。木葉のこと……本当によろしくお願い致しますね」
 奥様が俺の手を取って見つめてくる。
「あ。いえ。至らぬ点の多い私ですが、木葉お嬢様をお守り致します」
 お嬢ももう少しすれば、こんな大人の色気をかもし出す女性になるのだろうか。
 そんなことを考えていると、奥様の手が俺の手を何度も撫でる。
「綺麗な肌。それでいて、整った体……真さん…私のようなおばさんはお嫌いかしら?」
「へ?」
 微かに頬を染め、俺の方を見て微笑む。
 ヤバ。色気が。
「お母様!!わたくしの真を誘惑しないでください!!真も、そんなに鼻の下伸ばさないでほしいものですわね」
「うっ」
「あらあら。怒られてしまいましたね。ふふ、これからは私も家族ですわね。よろしく、真さん」
 ものすごく前途多難な感じがする。
 はぁ。
「どうしたんですの?溜息なんてついて」
「いや。ないでもありません」
 先が思いやられるなんて、この面子の中で言うことはできませんって。
29雪月花 ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/26(日) 19:46:06 ID:hyPZ0j/F
「じゃあ、お母様。お父様。おやすみなさい」
「では、休ませていただきます」
 俺とお嬢は本宅の前で車を降りた。
 普通なら、専属の運転手がいるのだが、今日は旦那様が自ら運転してくださった。
「真君。木葉をよろしく頼むよ」
「ふふ。私ももうすぐおばあちゃんになるのですね。楽しみだわ」
 旦那様と奥様が行ってしまう。
「お嬢……これから………お嬢?」
 俺が話しかけてもお嬢は返事をしてくれない。
「お嬢?お嬢?…………あ、木葉」
「なんですか?真」
 微笑んで答えるお嬢。
 本当に先が思いやられる。
「木葉。これからも木葉を守り続けるよ」
「当たり前です。アナタは私の伴侶である前にボディーガードなんですから」
「あら。素直じゃないなぁ」
「これでも、素直なつもりですわよ」
 ツンとした顔で明後日の方を向いてしまう。
 ホント、素直じゃないんだから。
「布団の中ではあんなにも素直なのに、どうして今は素直じゃないんだい」
「ぁ」
 お嬢を抱き寄せる。
「今日はもっともっと……愛してあげるよ」
 耳元で囁くと、お嬢の顔が見る間に真っ赤になる。
 雪のような肌と月のように輝く瞳。そして、花のごとく美しさ。
「愛してるよ」
「私もです」
30雪月花(行間) ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/26(日) 19:50:09 ID:hyPZ0j/F
これでエンドです。思いのほか感情移入してしまって、ハッピーエンドしか思いつきませんでした。
この木葉お嬢様と真クンにのお話しはもう少し続けたいと思います。
ただ、その前に、同じ学園のもう一人の気の強い美少女のお話しを。
では。今日はこの辺で
31名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 21:55:00 ID:jjV5c9Nt
うわはぁ!すごく良がった!
素晴らしいよママン。
とにかくGJ!
続きも新作も楽しみにしてます。
32名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 22:20:58 ID:xvRtY9kP
>>30
良かったよ。
















後書きがなければ。
33名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 00:50:58 ID:oGxt3UcL
 今度ははっきりと、承諾の言葉を喜多は口にした。
 僕の胸の中に、これまで感じたことのない達成感と、それをはるかに上回る征服感が湧きあがる。
 これはたまらない……!
「よし。じゃあご褒美だ」
 僕はにっこり笑うと、ひざの上の喜多を抱き起こした。
 そして、ゆっくりと喜多の顔に自分の顔を近づけていく。
「好きだよ。喜多さん」
 耳元で優しくささやくと、喜多の体がぶるりと震えた。
「ほんとに?」
 おびえたように、困惑した声で喜多が問いかけてきた。
 僕は返事の変わりに喜多の唇を自分のそれでふさぐ。
「ぅん……」
 僕らの唇の隙間から喜多が甘い吐息を漏らした。
 その声は僕の脳髄をしびれさせるような響きを持っていた。
 僕はすぐに唇の柔らかさだけでは満足できなくなって、舌で喜多の唇をこじ開けようとした。
 喜多の濡れた唇はなんの抵抗もなく僕を受け入れると、おそるおそる甘い舌で僕を迎えようとする。
 それを幸いと、僕は思う存分喜多の舌を吸い、しゃぶり、味わい、さらには喜多の口内を蹂躙しつくした。
「あぁ……桐野ぉ」
 おそらく無意識にだろう、僕の名前を呼んでいる。
 喜多を抱きかかえると、一番近くの机に運んで腰掛けさせ、ぐにゃぐにゃとまるで力の入らない彼女をゆっくりと倒していく。
 ここが保健室ならばベッドもあったのだろうが、残念ながら図書室ではしかたない。
 馬鹿でかい机があるだけましか。
 僕は桐野のセーラー服の裾に手をかけた。
 喜多の体にかすかに力が入るのがわかる。緊張しているのだろう。
 だが、脱がさない。こんなところで彼女を全裸にするわけにはいかない。
 するりと両手を服の中に滑り込ませる。もちろん中に着ているシャツのさらに下にだ。
34名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 00:52:11 ID:oGxt3UcL
 滑らかな肌触りの喜多のおなか。
 荒い息のせいか、忙しく上下に動いている。
 僕は焦らすようにゆっくりとおへその辺りを撫でまわす。
 指が胸のほうへ動くたびに、びくりと喜多が震えた。
 幾度かそんなことを繰り返すうちに、喜多が弱々しく僕の腕をつかんだ。
「そんなに……苛めんな……」
「お願いしますは?」
「……お願いします」
 これは癖になるな。僕の背筋をぞくりと何かが走っていった。
 わき腹を愛撫するようにしながら、僕はじわじわと手をセーラー服の奥に突っ込んでいく。
 ブラジャーに指先が触れた。
 ホックをはずしもせずに、無理やり指をブラの下にねじ込んでいく。
「んっ……」
 喜多が身じろぎをしたが、気にせずに強引にブラをずらす。
 しっとりと汗ばんだ、柔らかな丘がセーラー服の下であらわになった。
 生でじっくりと眺めたいところだが、こんなところで喜多を裸にするのは危険すぎる。
 僕は断腸の思いで邪魔な制服を剥ぎ取るのをあきらめた。
 それでも、僕の腕が入り込んでいるせいで、セーラー服はめくれ上がり、喜多の可愛らしいおへそが見える。
 今はこれで我慢しておくか。
 心の中でつぶやくと、僕は喜多の胸に手を伸ばした。
 なだらかな丘を掌で覆うようにしながら、ぽよぽよと柔らかい感触を楽しむ。
 喜多の胸は掌に収まる程度で、それほど大きくはなかった。いいとこBだろうか? どちらかというと……。
「けっこう小さいな」
 思わず声に出してしまうと、喜多が敏感に反応した。
 切れ長の鋭い瞳に力が戻り、僕をキッとにらんだ。
「うるせぇ」
「事実を言っただけじゃないか」
「これ以上言うとぶん殴るぞ」
35名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 00:54:04 ID:oGxt3UcL
 まだこんな元気があったとは。
 僕はおしおきと、僕自身の楽しみのために、喜多の乳首をつねり上げてやろうとした。
 が……。
「ん?」
 思わず間抜けな声が出てしまう。
 あるべき場所に、あるべきものがないのだ。
 確かめるように指を滑らせて、胸の頂上に触れる。
 滑らかな肌があり、その中心で肌触りが少し変わる。これが乳輪のはずだ。
 そしてそこには突起があるはずなのに……
「乳首がない?」
 僕は思わずつぶやいた。
 すると、喜多は大きく体を震わせた。これまでのような快感を堪える動きではない。なにかに怯えるような動きだった。
 再度、確認のために乳首があるであろう辺りを指でさする。
「あ……っん」
 喜多が切なげに身じろぎをしたが、それでもそこにはなにもない。
 ……いや、なにもないことはない。線? くぼみ? なにかがある。
 これはもう自分の目で確かめるしかない。
 こうなったら我慢もくそも無い。
 僕の動きを察したのだろうか、喜多がいまだ枷のついたままの両手で不自由そうに胸をかばおうとした。
「喜多さん。手をどけて」
「だ、だめだ」
「喜多さんは奴隷だよね」
「それでも」
「奴隷だよね」
 その言葉であきらめたのだろう。眉をよせ、いまにも泣きそうな顔をして喜多の腕から力が抜けた。
 すばやく制服を脱がせ、中途半端に肌を隠しているブラを剥ぎ取る。
 染みひとつ無いきれいな肌だ。タバコを吸っていたのに、ここまですべすべの肌を持っているとは。
 いや、そうじゃない。胸だ。
36名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 00:56:40 ID:oGxt3UcL
「……あ」
 僕の唇から間抜けな声がもれた。
 喜多の胸には乳首がなかった。
 いや、正確に言うと、まだ埋もれているのだ。
 控えめなサイズの丘の中心にはぷっくりとふくらんだ薄いピンクがあり、そこには一筋の線がある。
 初めて見た。これが噂には聞いていた陥没乳首というやつか。
 なにぃ、それではあれが噂に聞いたことがある漢歩通血躯火!
 知っているのか雷電。うむ。あれこそは中国拳法の秘伝中の秘伝。
 古代中国においてもっとも良い乳首とされ、そのあまりのエロさに皇帝をはじめ多くの貴族が夢中になり、その精力を吸い尽くされてしまったという。
 あまりの事態に時の官僚がそれを禁止したというが、よもやその乳首の持ち主をこの目で見ようとは。
 なにぃ! それじゃあ桃は……。
 違う! 桃じゃない!
 予想外の事態にしばし頭が混乱してしまったが、改めて見てみると……ものすごくいやらしいぞ。
 思い切りいじりたい。舐めたい。
「……気持ち悪いだろ」
 喜多が眉を八の字にして悔しそうに呟いた。
「え?」
 僕は予想外の言葉に唖然としてしまう。
 喜多の胸を見てから調子が狂いっぱなしだ。
「いいよ。別に。前にも気持ち悪いって言われたしな」
「なんだって?」
「こんな変な胸気持ち悪いって思ってるんだろ」
「違う。誰に言われたんだよ」
「昔、好きだった先輩に」
「その先輩とはしたのか」
 なぜか硬い声がでた。
「……」
「答えるんだ」
 黙りこんだままの喜多を追い込むように、言葉を重ねる。
37名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 00:59:03 ID:oGxt3UcL
「……してない。胸を見られたときに変な胸だって言われて、それで全部台無し。服つかんで逃げたよ」
 なぜかわからないが、少しほっとした。
 違う。なぜかわからないというのは嘘だ。きっとわからないふりをしているだけなんだろう。
 僕は自分をごまかすために、その先輩のことを考えた。
 会ったことのない先輩とやらを頭の中で百万発ぶん殴り、怒りをこらえる。
 そうしてから小さく息を吐くと、言葉のかわりに行動で表すことにした。
 喜多の胸に吸い付いたのだ。
 もちろん場所は決まっている。
「あ……」
 喜多の口からかすかに息が漏れた。
 僕はちゅぷちゅぷといやらしい音をさせながら赤ん坊のように胸を吸った。
 こんな卑猥な吸い方をする赤ん坊はいないか。
 舌でぷっくりと膨らんでいる乳輪のふちを丁寧になぞる。
「ん、っなんで舐めるんだよぉ。くぁ……っ、き、気持ち悪くないのかよ」
「全然。それどころかこんなえっちな胸見たことないね。僕は喜多さんのおっぱい大好きだよ」
 舌を動かしながら、もう片方の胸に手を伸ばす。
 小ぶりな胸は僕の手のひらにすっぽりと納まってしまう。
 少々揉み応えに欠けるが、これはこれで味がある。
 指先でぷにぷにした感触を楽しんでいると、喜多の息が荒くなってきた。
「あ、あたしの胸なんか……そんなにっ、んんっ、優しく、あっ、触らなくても……」
 どうやらよほどのコンプレックスがあるらしい。
 指先で胸の先端をつまむようにして弄る。
 喜多の柔らかい胸の形が変わるたびに、喜多は切なそうに唇を噛み締めた。
 かすかな声が、ピンク色に濡れた唇の隙間から漏れる。
 なんとしても喜多の声を聞きたい。
 いけない。余計なことを考えている間に、舌がお留守になっていた。
 メインディッシュを味わわなければ。
 胸の頂上にある小さな線に舌を這わせると、喜多の体が今までよりも大きく痙攣した。
 隠れているだけで感度はいいらしい。
 舌を尖らせると、その線をえぐるように動かす。
38名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 01:01:14 ID:oGxt3UcL
「ひぁっ! な、なにしたんだよっ! い、今すごく……」
「気持ちよかった?」
「うっせぇ!」
 都合が悪くなるとすぐそれだ。
 そんなふうに反抗できる気力は奪わなければ。
 僕は舌でミゾをなぞるだけでなく、両手を使って、胸の中心のすじを引き伸ばそうとした。
「えっ、あ、なにする気なんだよっ!」
 喜多の言葉を無視して、指と舌に力をこめる。
 すると、ゆっくりと僕を焦らすようにしながら、薄桃色の乳首が姿を見せた。
 ひくひくと震えるそれは、空気にさえ反応するほど敏感そうだった。
 僕は迷わずその淫らしい芽にしゃぶりつく。
「ひっ、ふぁっ、ぁんっ、くぅっ、ぁ……んんんんっ!」
 瞳を大きく見開き、声にならない声をあげて喜多のあごが仰け反った。
 ぱくぱくと口を動かすものの、なにも聞こえない。
「気持ちよかった?」
「ぁっ、あ……ぁあっ、ん」
 ひくひくと全身を痙攣させるばかりで、とても答えられる様子ではない。
 だが、僕はかまわずに言葉を続けた。
「気持ちよかった? 返事は?」
「よ……かった」
「です、は?」
「よかっられす」
 まだ体が言うことをきかないのか、舌ったらずな返事だったがよしとしよう。
「な、なに……したんらよ」
「喜多さんの乳首をちょっと強く吸っただけだよ」
39名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 01:02:36 ID:oGxt3UcL
 喜多がのろのろと自分の胸に視線を落とす。
 小さな左胸の先端には、立派に尖った乳首があった。
 そこで、喜多は自分の胸に起きた変化に初めて気づいたらしかった。
「あたしの胸にも、ちゃんと先っぽがある」
 安心したように喜多がぽつりと呟いた。
「そりゃあるよ。隠れてただけだからね。それじゃあ残りもちゃんと出そうか」
「へ? 隠れてた? いっ、いいよ。そんなにいっぺんにしなくても。片っぽだけであんなに凄いのに両方なんて」
 そんな言葉をきく僕ではない。
 左胸のときよりも強引に右胸に唇をつけると、思い切り力を込めて吸い込んでやった。
「ちゅぅぅぅぅ……」
 音をたてておっぱいを吸ってやると、喜多が再び仰け反った。
「ひっ……くぁぁぁぁ! あっ、あっ、すごひっ、あぁぁぁぁあああ!」
 口からよだれを垂れ流し、白痴じみた顔で、情けない声をあげている。
 それに気をよくした僕は、さらに先ほど顔を出したばかりの左胸の先端を指でつまみあげた。
「ぃぎっ! らめっ、らめらぁ、死ぬっ! ひんじゃうぅぅっ!」
「だめじゃないよね、気持ちいいんだからさ」
 僕は舌で柔らかな乳首をもてあそぶ。普段は隠れているせいだろうか、喜多の乳首は柔らかく、くにくにして舌触りが非常にいい。
 その上、感度は良好だ。
 僕が先端を舌先で転がしてやるたびに、喜多のお尻が浮いて、体が跳ねた。
 もはや体裁などどうでもよいのだろう。
 というか、もうまともな思考力がないのかもしれない。
 びくんびくん体を痙攣させて、喜多はただ快楽を叫んでいる。
「ほ、ほんろに、ひぬぅ……桐野ぉ怖いよぉ。もっ、もう、ひっ! くぅぅ、んんっ、らめらよぉ……」
「死ぬんだったら、とどめをさしてやる」
 僕は、指に力をこめ喜多の乳首をつねり挙げた。
 それと同時に、口に含んでいたほうにも力をこめて、噛んでやる。もう甘噛みというレベルではない。快感よりも、痛みのほうが強いぐらいに。
 ……常人ならば。
「ひぎっ、いひゃぃっ! ひっ、くぅぅぅぅぅぅ! 桐野、桐野きりろぉっ、あぁぁぁぁぁっ!」
 悲鳴をあげながら僕の名前を叫び続けた喜多は、最後にひときわ大きく絶叫すると、気力が尽きたのか、ぴくりとも動かなくなってしまった。
40名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 01:04:42 ID:oGxt3UcL
 ぐったりとしている喜多を、僕はぼんやりと見下ろした。
 こっちまで気が抜けてしまったみたいだ。
「すごかったな……」
 喜多の胸が、呼吸に合わせて上下しているのを見ていると、いやでも目に入るのが、喜多の乳首だ。
 コンプレックスだったようだけど、いままで乳首が勃ったことがなかったんだろうか。
 ひくひくと動いているのを見ると、とてもそうは思えない。
 軽くつまんでみると、喜多が身じろぎした。
「ん……」
 さらに、摘み上げる。
「ん、あ……桐野……」
 完全に覚醒したわけではないのだろう、膜が張ったようにぼんやりとした瞳でこちらを見ている。
「喜多さん。僕がこれから言うことを聞くように」
「は……い」
 力なく開かれていた喜多の唇がゆっくりと動いた。
「いいか……これからは僕の命令は絶対だ」
「は、い」
 今度の返事はだいぶまともになった。
「僕がご主人様で、きみは奴隷」
「……はい」
「よし、いい返事だ。ご褒美をあげよう」
 うつろに僕を見つめている喜多の顔に、自分の顔を落とす。
 僕は喜多の唇をこじ開けて舌を侵入させた。
 喜多はそれに応えようと舌を動かそうとしたが、喜多の舌はぴくぴくと痙攣したように動くだけで、まともに絡んでこない。
 力ない喜多の舌を吸ってやると、喜多はくぐもった声を出して、快感をあらわした。
「んむ……ぅ」
「これが契約の証だ。いいな」
「はい」
 最後の返事は予想外にしっかりしたものだった。
41名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 01:06:37 ID:oGxt3UcL
 キスを終え、時計を見ると、もう六時をとっくに回っていた。
 そろそろ司書が図書室に戻ってくるかもしれない。いや、今まで一度もやって来なかったのが不思議なほどだ。
 やっぱりあの女、自分はサボってるんじゃないだろうな。
 けれど、そのおかげでこんなことができたんだから良しとするか。
 いや。まだ完全に良しとはいかない。喜多は気持ちよかったかも知れないが、僕はなんにもなっていない。
 下半身は熱く硬くなっている。
 今すぐに喜多としたい!
 したい! が、もういつ司書が現れてもおかしくない。
 僕はズボンの上からでもわかるぐらい、大きくなったものを見て頭が痛くなった。
 五分後。
 結局、僕はあきらめた。チャンスはこれからいくらでもあるんだ。そう自分に必死で言い聞かせたのだ。
 そして、いつまでも喜多の上半身を丸出しにしているわけにもいかず、自分ではなにもできないほどふらふらの喜多に制服を着せてやっていた。
 図書室の扉ががたがたと音を立てた。
 司書だ! まずい!
 全速で喜多の格好をなんとか整える。
 こちらの気持ちも知らないで、扉をあけて司書がのんきな顔を出した。
「もう結構な時間だから今日はこのへんで……あら、全然進んでないじゃない」
 こっちにも色々あるんだよ!
 だが、そんなことはおくびにもださない。
「慣れない作業なもので」
「図書委員でしょ、しっかりしなさいよ」
「昨日なったばかりの新人なものでして」
「まあいいわ。終わるまでぐるぐる一組から六組までローテーションするだけだから」
42名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 01:07:51 ID:oGxt3UcL
 相変わらず微笑を貼り付けた顔で、好き勝手なことを言っている司書の言葉を聞き流していると、とんでもないものが僕の目に飛び込んできた。
 いまだ夢見心地でぼーっと突っ立ったままの喜多の足元にブラが落ちているのだ!
 当然、さきほど僕が剥ぎ取ったもの以外のなにものでもない
 そういえばシャツを着せ、セーラー服を着せたものの、ブラジャーを着けた記憶がない。
 大多数の男と同じく、僕にブラを着ける習慣なんかあるわけないので、すっかり存在を忘れていた。
 まずい。まずいぞ。
 幸い、そこら中に積み上げられている本のおかげで、司書からは見えていないようだが、図書室に入ってこられでもしたらおしまいだ。
 そうこうしている、うちに司書はぶつぶつなにかを言いながら中にこちらにやってくる。
 なんとかしなければ。でもどうやって。
 そうだ!
「あっ! 喜多さん、大丈夫? さっきから調子悪いって言ってたよね。今もちょっとよろけたみたいだけど。すいません。ちょっと喜多さんの体調が悪いみたいなんで保健室に連れて行きます」
「え? あ、ちょっときみ」
 僕は言うだけ言うと、相手の返事も待たずに喜多のほうへ早足で近づいていった。
「えっと、荷物はこれで、ほかにはないよね」
 一人芝居をしながら、カバンの陰ですばやく喜多のブラを拾いあげると、ズボンのポケットに無理やり押し込む。
「それじゃあ、僕達これで失礼します」
「え、ああ、そうね。気をつけて帰ってね」
 それから僕は保健室には向かわずに、さっさと家に帰ろうとした。
 が、喜多の様子を見ていると、とても一人では無事に帰れそうになかったので、生徒手帳の住所を頼りに家まで送っていくハメになった。
 別れ際に、僕は喜多の耳元でささやいた。
「明日は金曜日だから、週末を使ってゆっくり喜多さんを僕のものにしてあげるよ」
 聞こえているのか、いないのか。
 おぼつかない足取りで喜多は家に入っていった。
43名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 01:08:59 ID:oGxt3UcL
「おらぁ! 桐野ぉ! こそこそしねぇで出て来い!!」
 がこぉん! 僕は盛大に机に頭を打ち付けた。
 朝のホームルームが始まる前。
 ぞろぞろとクラスメートが教室に入ってくる中、僕もみんなと同じように自分の机にかばんを掛けたときだった。
 朝のさわやかな空気と、クラスメートのざわめきが入り混じった教室が怒号で切り裂かれたのは。
 教室にいた全員が、いや、廊下にいた他のクラスの生徒達も、黒板の横のドアに立っている女に注目した。
 彼女は赤地に、様々な文章が刺繍されている派手な服――いわゆる特攻服――を身に纏い、手にした木刀で肩を軽く叩いている。
 金色に脱色した髪の毛を揺らしながら、教室の入り口をふさぐようにして仁王立ちになっている彼女は、とてもじゃないが一見して学生には見えない。
 だが、僕にはわかったし、クラスメートにもわかった。
 なぜか。
 特攻服女が喜多だからだ。
 すでに教室にいた広尾が僕にすばやく近づいてくる。
「おい、あれなんだよ。お前なにしたっつうの? 昨日なにかあったのか」
 ひそひそ声での質問に、僕は顔から血の気が引いていくのを感じた。
「ちょ、ちょっとね」
「ばっ、おま、あれちょっとどころじゃねえって」
「い……いろいろあったんだ。僕とお前は子供の頃からの友達だよな。親友といってもいいよな」
「えーっと……どちらさまでしょうか? 俺とあなたは初対面ですよね。転校生の方ですか?」
 頼りがいのある幼馴染を持ったことを天に感謝しなければ。
 僕と広尾が無駄口を叩いている間に、喜多の視線は教室を一巡りし、すみでこそこそしている僕を見つけ出した。
 喜多と目が合った。
 猛獣が哀れな獲物を見つけたときの目だ。
 僕は死ぬんだな。……決定的に。
 僕はいともすんなりそれを受け入れた。恐怖はなかった。後悔もなかった。それだけのことをしたんだからな。そう思った。
 圧倒的強者の前にあるのは、氷のように冷たい死にゆく自分を見る目だけだった。
 そしてまた、生きながら蛇に飲み込まれる蛙の気持ちを理解したとも思った。
 一歩一歩こちらに近づいてくる喜多をどうすることもできずに、僕はただじっと立っていた。
44名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 01:11:25 ID:oGxt3UcL
 喜多が目の前にやって来た頃には、広尾はとっくに他のクラスメートと同じように、野次馬の一人になっていた。
「おい、桐野」
 ドスの効いた喜多の声が僕の名前を呼んだ。
「な……なにかな」
「話があるからちょっと付き合えよ」
 話し合いに木刀はいらないかと思われますが。
「こ、こでいいんじゃないかな。話なら十分にできると思うけど」
「ば、馬鹿かお前はっ! こんなところでできる話じゃねぇんだよっ!」
 顔を真っ赤にして怒鳴ると、喜多は僕の腕を掴み、歩き出した。
 まるでモーゼの十戒のようにクラスメートが真っ二つに分かれていく。
 視界の片隅に、手を合わせている広尾が映ったが、もうそんなことはどうでもよかった。
 されるがままに喜多に引きずられていると、校舎裏に連れてこられた。
 昼でも校舎の影になって薄暗く、誰にも見向きもされない人気のない場所だ。
 悪事を働くには絶好の場所といえる。特に人に見られたくない殺人とかには。
「お、おう桐野、その……あれだ。」
 喜多が口を開いた。さすがの喜多も命を奪うということに緊張しているのか、少々どもっている。
「はい。なんでしょう」
「せっ、責任とれよ」
「なにをすればいいのでしょうか」
「そんなによそよそしくするなよ。昨日みたいでいいからさ」
 昨日。その単語にどきりとする。
「お……男だったらあたしをこんなにした責任ちゃんととれよ」
「覚悟はできてるよ。いかようなことでも謹んで受けさせていただきます」
「ほ、ほんとか!?」
 僕は全身の力を抜いた。覚悟を決めて目を閉じる。
 しかし、いつまでたっても木刀の衝撃はこない。
 おそるおそる目を開けてみると、喜多は伏し目がちになって、もじもじしている。
「あ、あたしさ、その昨日、桐野に……いろいろされて、あの、あたしの胸も、す、好きだって言ってくれたし、いや、あの……そうじゃねぇんだ。昨日、家に帰ってから……は、初めて自分で、し、してみたんだ」
45名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 01:12:30 ID:oGxt3UcL
 な、なんだってー!?
 ど……どうなってるんだこれは。
 僕に世界の真実を教えてくださいキバヤシさん。
 まさか本当の僕はすでに血の海の中で、これは死ぬ間際の幻影とかじゃあないだろうな。
 喜多に見えないように、こっそりとわき腹をつねってみたが、痛い。
 ということは現実か!
 僕が自分の意識を疑っている間にも喜多の言葉は続いていた。
「お、オナ……ニーとか、したことなかったから、仕方とか、よくわかんなかったせいかもしれないけど、あ、あんまり……き、気持ちよくなくて。でも、もうあたし昨日のことが忘れらんなくて、我慢できなくて、放課後とか週末とか待てねぇんだよ!」
 現実って凄い!
 予想外の事態にくらくらする頭を抑えながら、僕は言った。
「それじゃあ、今すぐ昨日みたいにいじめて欲しいってこと?」
 露骨な問いに耳まで真っ赤になりながら、消えそうなほどかすかな声で喜多が返事をした。
「お……おう」
 これは死なないですむどころの話じゃない。
 現金なもので、そうとわかった途端に僕の中に昨日の征服欲が湧き上がる。
「昨日もいったよね。返事は?」
 きょとんとした顔で僕を見つめていたが、言葉の意味を理解したのだろう。喜多は慌てて言いなおした。
「はい」
「よし。でもなんでそんな格好してるわけ?」
 僕は喜多に向けた視線を上から下へ動かした。
「こ、これは、このカッコしてると気合が入るから。き、気合入れないとこんなこと言えねえよ」
 確かに。正気じゃ私を苛めて下さいなんてとても言えない。
 それじゃあその木刀はなんなんだ。
 喜多の手にした木刀を指差した。
「それはどうして?」
「このカッコしたらコレ持ってねぇと落ち着かないんだよ。そ、そんなことどうでもいいだろ。早く昨日みたいにしてくれよっ!」
46名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 01:14:46 ID:oGxt3UcL
 喜多は今にも服をはだけて胸を出しかねない勢いだ。
 それとは対照的に、僕は静かに言った。
「僕は昨日ちゃんと週末を使ってって言ったよね」
「で、でもあたしは」
「奴隷が僕に反抗するの」
「ち、違うけどよぉ」
「また言葉遣いが違う。……しかたないな、だめな奴隷に罰を与えよう」
「罰?」
 問いかける喜多の声に、隠し切れない期待の響きがあった。
 すでに顔が喜悦に緩みつつある。
「そう、罰。今そんな格好だけど、喜多さん今日制服持ってる?」
「持ってる、持ってます」
 喜多はどんなことをされるのか待ちきれない様子だった。
「それじゃあ学生らしく、その特攻服から制服に着替えてもらおうか」
「そ、それが罰なのか?」
「そうだよ」
 あからさまにがっかりした表情になる喜多。
 僕は内心、にやりとほくそ笑んだ。もちろん罰はそんなつまらないことではない。
「ただし。ある条件付きだ」
 僕は喜多に近づいた。
 ゆっくりと背後に回りこむと、喜多の胸を鷲掴みにした。
「わっ、ひっ……あぁぁぁ」
 スイッチが入ったのだろう。喜多からふにゃふにゃと力が抜けて腰砕けになる。
「特攻服の下は別にさらしじゃないんだ。ちゃんとブラつけるもんなんだね」
「は、はひ」
「条件ってのはさ、今日一日これつけないでいること」
「ぶ、ブラをれすか」
 喜多は蕩けそうなくらい舌っ足らずな口調でしゃべりながら、僕にもたれかかってきた。
 その間も、僕は胸を好き放題に弄り回している。しかし、乳首をつまみ出すことはしない。ぷっくりとした乳輪を撫でまわすだけだ。
「違うって、下も。今日は体育もないし、喜多さんは今どき珍しい長めのスカートだから、おとなしくしてたら誰にもばれないですむよ。放課後までそれができたら、喜多さんを約束どおり僕のものにしてあげる」
 潤んだ瞳で僕を見つめていた喜多は、しっかりとうなずいた。
47名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 01:17:45 ID:oGxt3UcL
 それから、無事に教室に戻った僕と、妙におとなしい喜多をめぐって学校中で噂になったらしい。
 僕の幼馴染に戻った広尾が新たな噂が広がるたびに親切に教えてくれたのだ。
 いわく、僕が実は骨法の達人で逆に喜多をたしなめた。
 いわく、僕は喜多に脅され、奴隷となった。
 いわく、腎臓をひとつ売ることになった。
 いわく、実は僕はすでに殺されていて、今いる僕は幽霊だ。
 数え切れないほどのむちゃくちゃな話でいっぱいだが、まさか現実はそれ以上にでたらめだとは、誰も思わないだろう。
 そして……。
「それじゃあ、また明日も勉学に励むように」
 いつもどおりのしめの言葉で、いつもどおり先生は出席簿をばしんと叩き、教室をでていった。
 待ちに待った放課後だ。
 広尾が僕のほうにやって来た。
「おい、いい加減に喜多となにがあったのか教えろって。俺とお前は子供の頃からの親友だろ」
「色々あったんだよ。話すほどのことじゃないって」
「けちけちすんなよぉ」
48名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 01:20:41 ID:oGxt3UcL
 僕が広尾を適当にあしらっていると、自分の席からぴくりとも動いていない喜多が怒鳴り声を上げた。
「桐野ぉ! 早くしろっ! もう……限界……」
 顔を羞恥で真っ赤にして荒い息を吐いているせいで、まるでブチ切れているようにも見える。
 本当のことを知っているのは僕だけだ。
「えっと、そこの人、桐野って言うんですか? むこうの人が呼んでるみたいですよ」
 広尾があっというまに幼馴染から赤の他人にチェンジした。
 肩をすくめると僕は喜多の机に向かった。
 喜多が涙すら浮かべそうなほどに感激した面持ちで僕を見つめている。
 彼女は今日一日トイレにもいかず、自分の机から一歩も動かなかった。
 ときどき縋るような目を僕に向けてきたが、全部無視した。
 だから、僕がいま近づいてくるのが嬉しくてたまらないのだろう。
 きっと尻尾があったらちぎれんばかりに振っている。
「き、桐野ぉ、あたし、あたし」
 喜多が机の前に立った僕に思い切りしがみついてきた。
 僕は誰にも聞こえないように小さな声で褒美の言葉をささやいてやる。
「よく頑張ったね、喜多さん」
「お……はい」
「約束どおり、これから喜多さんを……違うな。薫を僕のものにしてあげるよ」
「……はい」
 目の前の光景に唖然としているクラスメートをほうって、僕は喜多を抱きかかえるようにして教室を出て行った。
 楽しい週末になりそうだ。
49名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 01:25:59 ID:oGxt3UcL
新スレおめです。
そしていきなりの大量投稿すいません。
さらに続きが遅くなってすいません。

文章自体はとっくにできてたんですが、規制に巻き込まれて書き込めませんでした。
規制が解除されるまで時間があったので、いままでの自作品の保管庫を作ってみました。
よかったら見てみてください。
ttp://ashigaru.f-adult.com/
50名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 01:30:04 ID:G2YpYepU
>>30
超GJ!!!!!!!!
キタよ!なんかキタよーーー!!
まだ続いてくれるなんて、なんていい作者だ。

>>33
喜多ーーーー! じゃなかった、遂にキターーーーーー!!
待ちわびたよ、本当!
「乳首がない〜」のくだりで、なんかの事故とか手術で抉り取られたとかそういうヘビーなものを思い浮かべてしまったが…
いや、よかったよかった。
翌週からどんな噂が立つのやら…

初恋の先輩、なんて馬鹿なことを…




規制ですか…大変ですよね、私も経験したことあります…
51名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 02:09:55 ID:0nA5x75T
足軽神だったとは…!!

今まで何度も息子がお世話になりました。
今回もよろしくお願いします。

GJ!!!
52名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 02:39:55 ID:QxpwrAWy
>49
「キスしてない子の口で」スレの神だったのかYO!!
どうりで上手いと思った!

で、このあとキタさんがステキに可愛がられる展開?
53名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 06:50:56 ID:9Zcj1bWK
陳腐な言葉で悪いが、素晴らしかった。GJ。
54名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 09:47:42 ID:H6541+d2
>>49
GJ!!
保管庫の方も見せてもらいますね。よかったです。もいちどGJ!!
55雪月花第2章 ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/27(月) 14:01:11 ID:H6541+d2
 僕の名前は幸島豊(こうじま ゆたか)。
 私立大和学園2年生で学力はトップクラス。運動能力は低くは無いが高くも無い。
「雪宮さんお昼一緒にどう?」
 学年が変わってから1ヶ月程。朝倉は雪宮を毎日昼食に誘っている。
 毎日断られているのに、懲りない女だ。
「雪宮もこっちで食べないか?今日は雪宮の分も席を用意しておいたんだぞ」
 今日は朝倉に助け舟を出してやろう。
 さすがに毎日同じやりとりに飽きてきたからな。今日は雪宮と木戸の反応を見るのも面白いだろう。
 案の定、木戸の隣の席を空けておいたらあっさりと承諾したか。
 わかりやすい性格だ。
「というわけで、幸島。席を替わるぞ」
「何がどうというわけなのかわからんが、それはしない方がいいんじゃないか?」
 何を言っているのだ?この馬鹿は。
 おかしい。僕の見立てでは、木戸も雪宮に対して悪い感情は抱いていないはずなのだが。
 ほらみろ。結局、雪宮は君の隣に座ったではないか。
 最初から僕の言うとおりにしておけばいいんだ。
「幸島、ありがとね」
「なんの話だ?」
 僕の隣に戻ってきた朝倉が頭を下げる。
「だって、幸島が木戸の席の隣を空けておいてくれたから雪宮さんが一緒に食べてくれたんだし」
「あれは僕の趣味的欲求を満たすために自分で行っただけだ」
 朝倉香月(あさくら かつき)は、僕の妹の花音(かのん)の中学の時からの部活の先輩らしい。
 今までも何度か妹を訪ねて家に来たこともあったが、こうしてクラスメートとして話をするのは初めてだな。
「あっそ。そんな風に言われるなんて、微妙にお礼言って損した感じだな」
「勝手に礼を言っておいて、勝手に損をするとは。面白い性格だな」
「……アンタ、馬鹿にしてるでしょ………ったく、そういえば、趣味的欲求って、アンタの趣味ってなに?」
 それを聞かれて僕は一緒に昼食をとっているクラスメートを見まわす。
 ふっ。まさに十人十色。面白い状況だ。
「僕の趣味……人間観察さ」
56雪月花第2章 ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/27(月) 14:01:37 ID:H6541+d2
 その日は用事で学校に残っていたら、帰りにはもう日が落ちてしまっていた。
「あ、幸島!今帰りか?」
「朝倉か。あぁ」
 朝倉の手にはラクロスのスティックが握られている。どうやら、部活帰りのようだな。
「珍しいな、こんな時間に」
「生徒会の仕事が残っていてな。生徒会長と会計はまだ残っている」
「そっか。副会長だもんね」
 大和学園は、ほぼ全ての行事を生徒会が取り仕切る。
 つまりは、生徒会に入れば行事の分だけ学生を観察する時間が増えると言うわけだ。
「そういえば花音は?今日は部活に顔出さなかったけどなにか知らないか?」
「あぁ。アイツなら風邪だ。友達と花火をしに出かけて、帰ってきたときには発熱していた」
「そうか。ドジだなぁ」
 僕が朝倉と同じクラスになって3ヶ月あまり。
 だんだんと朝倉という人間が見えてきた。
 よく言えばボーイッシュ。悪く言えばガサツ……いや、これでは全国のボーイッシュな女性に失礼だったな。
 まぁ、よく言うことが出来ないほどに少々デタラメな部類の女性だ。
「あ、幸島。今日は暇か?」
 日が落ちた後にも関わらず暇かと聞いてくるあたりがまずどこかおかしい。
「家に帰るだけだが」
「なら、どっかで軽く牛丼でも食わないか?」
 牛丼は軽くないと思う。
 男の僕よりも男らしいんじゃないだろうか。
「どうせならハンバーガーにしよう。僕は家に帰ったら晩御飯があるから」
「私だってあるけど。ん〜〜……まぁ、それでもいいか」
 その上、気が強い。
 今の場合だっていいならいいと言えばいいのに、一度、難癖をつけて自分を上位に立たせる傾向があるようだ。
 見た目は悪くは無い。
 むしろ、同じ学年の中ではスタイルもいほうだし、顔立ちも綺麗な方だろう。
 同姓に好かれるタイプというやつだな。
「何してんだ!早く来いよ!!」
 自分勝手で自己顕示欲が強い。それが僕の出した彼女の性格だった。
57雪月花第2章 ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/27(月) 14:02:00 ID:H6541+d2
「幸島ってあんまこういうとこ来ないと思ってたよ」
 朝倉の前にはハンバーガー……いや、ダブルバーガーが3つ。
 この調子なら牛丼屋に行っていたら特盛を頼んでいたに違いない。
「ここはありとあらゆる人間が来るから。観察するにはとても適した場所なんだ」
「あぁ…その悪趣味ねぇ」
 僕自身も人間観察はいい趣味だとは思っていない。
 思っていないが誰に迷惑をかけてるわけでもないし、やめる必要もないだろう。
「ん?あれ…木戸と雪宮さん?」
 窓の外を知った二人が歩いている。
 普段は車で帰っているはずだが。
「仲いいよね」
「付き合ってるからな」
「そうなの!?」
「わからなかったのか?一月ほど前から二人の雰囲気が変わっただろ。木戸は雪宮の家に住んでいるみたいだしな」
 二人に何があったのかは知らない。別に過程は知る必要もないし。
 ただ、確実に二人の雰囲気は変わっている。
 以前はお互い惹かれあっている程度だったが、今は間違いなくお互いを支えあっている。
「いや。あの二人の態度ってあんま変わってないし……わかるのは幸島だけだって」
 確かに付き合っているのを隠そうとしている節は見受けられるが。
 授業が終わった後のあからさまなアイコンタクトなど、以前には見受けられなかったことだしな。
「ショック。木戸のこと結構好きだったんだけどなぁ」
「……僕の見立てでは、その程度で君が参るとは思わないのだが?」
「うあ……いくら人間観察が趣味でも、なんでもわかってるように言わないでよ」
 ふむ。朝倉が木戸に好意を持っていたのは感じていた。
 だが、ショックを受けるほど好きだったのだろうか?
「そりゃぁ、失恋ってほど苦しくは無いけど」
 やはり、僕の思った通りで間違いはなかったわけだ。
「なんで……………かな」
「何か行ったか?」
「なんでもないよ。バ〜カバ〜カ………どんかん…」
58雪月花第2章 ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/27(月) 14:02:17 ID:H6541+d2
「ふぅ。ごちそうさま」
「おかしい、最初に出してくるのはグーだと思ったんだが」
 食事後、どっちがお金を払うかでジャンケンを行った。
 過去の観察では朝倉は最初にグーを出してくる可能性が一番高いはずだったのだが。出したのはチョキ。
 パーを出していた僕は負けて、朝倉の食べた分も支払った。
「だから、遠くから見てるだけじゃダメなんだって」
「そんなものか。まぁ、いい。それじゃあ、僕はここで。また明日」
「あ……あ、あのさ。公園に行かないか?」
 は?
 僕は今から帰ると言っているのに何を言っているんだ?
 そもそもコイツはこんなにも唐突なことを言うタイプだったか?
 確かにこんな時間に女子高生の一人歩きは危ないか。
「わかった。公園というよりも、家を送るよ」
「へへ、サンキュ」
 どうしたんだ?送ると言っただけで急に笑顔になりだして。
 再観察が必要そうだな。
「あのさ」
「ん?」
「木戸と雪宮さんのことホント?」
「確認はしてないが、多分そうだと思っている。なんだ、やはり木戸に未練でもあるのか?」
 朝倉が首を横に振る。
「……なんで、二人のことは気づいて私のことには気づかないかな」
「なんの話だ?」
「私が……幸島を好きだってこと」
 ……………は?
「ずっと好きで、花音に会いにいくふりして家にお邪魔したり……人間観察が趣味って聞いて、バレてたかと思ったらそうじゃないし」
「な、なんで」
「なんでって!……一目惚れなんだから、理由なんてないよ」
 朝倉の顔が真っ赤に染まる。
 薄暗い街灯の下でもはっきりとそれがわかるほどに。
「うぅ、なんでこんなこと今言っちゃったんだろう。ごめん、忘れて。じゃ、じゃあね」
 背を向けて走り出す朝倉を、僕は見送ることしか出来なかった。
59雪月花第2章(行間) ◆p.Yo7BdKcg :2005/06/27(月) 14:22:05 ID:H6541+d2
雪月花の続き……というか、同じクラスの別なヒロインのお話です。
続きはまた後日投稿します
60名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 21:10:26 ID:DbzfqUqQ
タイトルだけ見て木戸が浮気するのかと思ったが…
同じ世界観使うだけか、
あのSSに続編なんウザイ!!消えろ!!と心の中で絶叫した俺をお許し下さい
GJでつた
61名無しさん@ピンキー:2005/06/28(火) 13:31:05 ID:yYKKz2+7
>>49
うはwwwGJwwwwww
できればこれの続きを書いてほしいwwww
62名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 11:11:30 ID:0quWJu0V
>>49
遅レスだけど乙!前スレからずっと待ってたよ!
喜多さんエロいなあ…続きも楽しみです。
63名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 21:57:06 ID:wyAfia0z
>>62
前スレであと一回でおしまいって書いてあったからこれで終わりじゃないの?
64名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 00:31:14 ID:xdslrLvE
ていうか喜多って名前が出るたび萎えてたよ・・・
これだけ書けるならそういう所に思いが至らないはずはないと思うんだが
もしかして変な名前でどれだけ勃たせられるかの実験とかだったりする?
65名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 00:35:43 ID:+P4+jFPw
いや、普通に喜多っていう苗字の人いるから。
少ないのは否定しないが。
66名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 00:39:10 ID:09xmu5xf
>>64
同意。
知り合いの名字が出るとどうしてもそいつを連想してしまう
67名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 01:02:10 ID:eqLDSE9z
そんな無茶なw
そんな事言ってたら日本人の登場人物出せないじゃん
68名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 01:19:07 ID:8naEx9w8
え。ヘンな名前かな?全然フツーに萌えられたけど。

妙に凝った名前よかイイけどな。ホントにいそうな分だけ。
69名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 02:07:34 ID:D5iLjq8y
>>64は日本中の喜多さんを馬鹿にしたな。凄い奴だ。よっぽど偉い人に違いない
喜多さんって普通に有名人とかでいるのに・・・スポーツ選手とかさ
70名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 03:18:51 ID:xKg4i0oB
IMEですら変換候補に出る苗字のどこが変なんだ・・・
71名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 05:39:01 ID:DiJNnDHB
>64の人気ぶりに嫉妬すれば良いのか?w

まあ、>64はこれを思い出に自国のサイトへ帰りな
今度来る時は、もう少し日本語覚えて来いよ
72名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 07:49:39 ID:CfJPL6ww
遅ればせながら足軽神GJ!!
その後の喜多さんが激しく読みたい、このままじゃあ会社も行けないよ・・
73名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 19:26:31 ID:jWcUwW2D
>>72
そりゃあまずいだろ(^ω^;)
74名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 20:55:12 ID:wndsVNCU
もしかして、

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!

これを思い出させるから嫌なのかな?
75名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 21:56:50 ID:BrvQsHEI
喜多反対派じゃないがキタ------(゜∀°)--------!!!
は連想しやすいな
76名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 01:05:03 ID:XI4x/2J4
俺は最初弥次喜多を想像して、「え!?」て思ったw
77名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 01:05:46 ID:XI4x/2J4
俺は最初弥次喜多を想像して、「え!?」て思ったw
78名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 01:24:59 ID:ISdidxrc
喜多さん続編読みたいよおウワァァァーン!!ヽ(`Д´)ノ

と、年甲斐もなく駄々をこねてみる
79名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 02:41:11 ID:tLLzZt+o
80名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 02:41:37 ID:tLLzZt+o
ゴメン誤爆した
81名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 02:53:20 ID:LA/Rk9Yb
これが神のSS……ッ!



何たる表現の素晴らしさ…わが息子が震えておるわ……!
82名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 12:48:52 ID:ISdidxrc
どうやら俺の息子の初恋は喜多さんだったようだ
83名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 21:44:35 ID:lMe9MkvV
>>82
じゃあ早くその思いのたけをぶちまけるんだ
84名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 03:25:42 ID:xmwgTmZE
待ってるだけじゃアレなんで、投下してみます。
取り敢えず冒頭の部分を書きますので、つまらなければ言ってください
85名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 03:26:33 ID:V61VaMJQ
ドゾー
86「サマーバケーション」:2005/07/03(日) 03:27:11 ID:xmwgTmZE

「今日も暑いですねえ」
 タクシーの運転手がミラー越しに俺に声を掛ける。
 ありきたりなその話題にさして興味はないので、目線は合わせず、「そうですね」とだけ返す。

 季節は7月、夏真っ盛り。世間では大人も子供も長いサマーバケーションを横臥している。
 ふと窓の外を見ると、これから遊びに出掛けるのだろう、楽しそうな笑顔を浮かべた少年たちが歩道を走っている。
「こんな欝陶しい季節、何が楽しいんだろうな」
 声には出さず呟く。そう、俺は夏が嫌いなのだ。もっと正確に言うと、この夏休みの時期が嫌いなのだ。
 この時期どこへ行っても街は人で溢れかえり、渋滞した道路からはクラクションが喧しく鳴り響く。
 自分で言うのも何だが、元来大人しい性格の俺にはこの騒がしさはどうしても好きになれないのだ。
87「サマーバケーション」:2005/07/03(日) 03:29:24 ID:xmwgTmZE

 そんな事を考えているうちに、車は目的地に到着した。
「お客さん、着きましたよ。空港です」
「どうも」
 乗車代を支払い、車を後にする。
「うわ、こりゃまたすごいな」
 予想はしていた事だが、旅行者の多いこの時期だけに空港は息が詰まるくらいに人が多く、俺の顔は引きつりそうになる。
「本当に、目眩がしそうだな・・」
 溜め息をつきながら、俺はロビーへと向かう。
 喧騒が苦手、人が多い場所にいるだけで気が滅入る。
 こんな俺が何故こんな所にいるのか不思議に思うかもしれないが、答えは至って簡単。仕事だ。
 俺の名前は米田幸太(よねだ こうた)、フリーの通訳だ。
 今日も欧州に旅行に行くという女性に雇われて、旅行先での通訳、ガイド、世話係を務めることになっている。
 「女性と二人旅?」なんて羨ましがる人もいるだろうが、とんでもない。出来る事なら替わって欲しいくらいだ。
 何故って?・・まあ、そのうち分かるさ。
88「サマーバケーション」:2005/07/03(日) 03:31:37 ID:xmwgTmZE

「おいおい、一体いつになったら来るんだよ。もう約束の時間とっくに過ぎてるぞ・・」
 ロビーの椅子に腰をかけた俺は、苛々しながら時計と周囲を交互に見渡す。
「まさか、何かトラブルでもあったのか?・・・取り敢えず一度連絡してみた方が良さそうだな」
 と、電話を手にしたちょうどその時
「あら、ごめんなさい。ちょっと遅れちゃいました?」
 突然背後から鼻にかかったような、気取った感じの声が聞こえてきた。
 振り向いてみると、そこには大きなスーツケースを手にした一人の少女が、あたかも何事もなかったかのような涼しい顔で立っていた。
「お嬢さん、一体どうしたんですか?何かトラブルでも?」
「何もないわよ。ただ、持っていくお洋服を選んでいたら時間が掛かっちゃっただけ」
 さらりと言ってのける彼女を見て、俺は唖然とした
「そんな・・、何かあったのかと思って心配したんですよ。それに飛行機の時間だってあるんだから困りますよ」
「だからごめんなさいって言ってるでしょ?しつこい男は嫌われるわよ。あ、あとお嬢さんって呼ぶのもやめて頂戴」
 おいおい、ジャイ○ンじゃないんだから・・、無茶苦茶言わないでくれよ。
 溜め息で息が詰まりそうな俺を尻目に、彼女は「何か文句でも?」とでもいうようにすました顔をしている。
 この強烈な我が儘お嬢さまが、俺の今回の依頼者である、藤堂楓(とうどう かえで)だ。
 想像するに難くないだろうが、とんでもない金持ちの家のお嬢さんだ。
 数週間前、知り合いの仲介で依頼が入り、「大学が夏休みに入るからヨーロッパに旅行に行きたいの」と言ってきた。
 なにしろ報酬がかなりの額だったので、何も考えずに二つ返事で引き受けてしまったが・・。
 全く、これから一週間もこの我が儘娘のお守りをしなきゃならないと思うと胃が痛いよ・・。
「ほら、時間がないんでしょ?早く行きましょう」
 本当に、胃が痛い・・・
89名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 03:38:54 ID:xmwgTmZE
一応、ここまでが冒頭の部分です。
急いで創ったから出来がよくないとは思いますがどうでしょうか。
お目汚しならここでやめますが・・
90名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 03:42:23 ID:V61VaMJQ
お嬢(*´д`*)ハァハァ
楽しみにしてます
91名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 04:18:04 ID:TrqzCQm4
>>89
冒頭はわざわざ急がなくてもいいんじゃないか?と思いつつ楽しみにしてるよ
92名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 09:08:21 ID:RuYK1HmV
禿しく期待
93名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 13:40:42 ID:pDMUQ5Fr
(・∀・)イイヨーイイヨー
94名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 17:17:43 ID:2c+IizPW
お嬢と通訳とは中々無い切り口ですな。続き期待
95「サマーバケーション」:2005/07/04(月) 06:37:25 ID:x6Wm1lJc

 ぼーっと、窓の外を眺める。
 高度を上昇させながら飛ぶ飛行機はちょうど今雲の中にいるらしく、外は少し薄暗いような、何とも言い難い色をしている。
「お嬢さん、酔ったりしてませんか?」
 隣に座るお嬢さんに声を掛ける。
 ちなみに俺が窓側、お嬢さんが通路側の席だ。
「お嬢さんって呼ばないでって言わなかったかしら?私にはちゃんと楓っていう名前があるの」
 機内にあった雑誌を読みながら、俺の方など見向きもせずに言い放つ。
 そんなこと言ったって仕方ねえだろ、本当に大富豪のお嬢さまなんだから。
 そう反論したかったが、まあ一々やり合っても仕方ないのでここは素直に謝る。
「・・すいません。それで、気分はどうですか、楓さん。酔ったりしてませんか?」
「平気よ、飛行機なんて慣れてるもの」
 なんて可愛いげのない言い方だろう。
 だがまあ、そうだよな。金持ちなら海外旅行くらい慣れてるか。

 暫くして、楓さんが読んでいた雑誌をパタンと閉じて、そっと席を立った。
「ずっと座ってるのも疲れちゃうし、ちょっと御手洗いに行ってきますわ」
 そう言って、楓さんは席を離れトイレに行ってしまった。
 歩いていく楓さんの背中を見ながら、俺は小さく呟いた。
「はぁ・・。黙ってりゃあ可愛いいのに、勿体ないなあ」
 そう、確かに楓さんは見た目には凄くかわいい。
 金持ちらしく品のある整った顔立ちで、おまけに色も白い。
 赤みがかった長い髪の毛は小柄な彼女の腰の辺りまで届き、なんとも言えない清楚な雰囲気を漂わせている。
 はっきり言って、外見だけならかなり俺の好みのタイプだ。
 旅行の打ち合わせで初めて彼女に会った時など、その可愛いさに驚いて一瞬声を失ってしまった程だ。
「・・でもまあ、中身があれじゃな」
 ははっ、と苦笑いする。
 と、そこへ・・・。
96「サマーバケーション」:2005/07/04(月) 06:41:15 ID:x6Wm1lJc

「中身がなあに?一体何の話?」
 トイレに行ったはずの楓さんが訝しげな顔で横に立っている。
「え、あれ!?か、楓さんトイレに行ったはずじゃ・・?」
「行ってきたけど、誰かが入ってたからすぐに戻ってきたのよ。それより、何の話?何を慌ててるの?」
 楓さんが席に戻りながら俺に尋ねる。
 し、しまった、何とかごまかさないと・・。
「いやあの・・、そ、そう、さっきの機内食」
「機内食?」
「そう、見た目は美味しそうだったけど、中身はそうでもなかったなって」
「そうかしら?意外と美味しかったと思うけど」
「そ、そうですか?じゃあ俺の味覚がおかしいのかな、ハハハ・・」
 無理やり笑ってやり過ごす。
「機内食なんかがそんなに気になるの?米田さんって変な人ね」
 楓さんは不思議そうな顔をしていたが、何とかごまかせたみたいだ。
 するとそこへ良いタイミングで機内アナウンスが入る。
97「サマーバケーション」:2005/07/04(月) 06:45:32 ID:x6Wm1lJc

「ご搭乗の皆様、本日は本機をご利用下さり真に有難うございます。これより本機はフランス○○空港へ着陸体制に入ります。
着陸の際多少揺れることがありますが、安全に影響はございませんのでご安心下さい。
それでは、シートベルトを装着してお待ち下さい。本日は本機をご利用下さり、真に有難うございました」
 アナウンスを聞いて窓の外を見る。
 どうやら気がつかないうちに随分高度は下がっていたようだ。
「楓さん。もうすぐ着きますよ、フランス」
「言われなくたって分かってるわ」
 無愛想に答える楓さんだが、旅の始まりを迎えその顔はどこか嬉しそうに見える。
「あ、ほら窓の外見てください。もう街が見えてきましたよ」
 上空から見るパリの街並みはとても綺麗で、俺もどこかテンションが高くなる。
「あら、本当ね」
 楓さんも窓の方に身を寄せてきた。
「空からみるパリって、何だかとても綺麗ね・・」
 そう呟く彼女の横顔を見て、俺は少し驚いた。
 それは彼女にもこんな情緒的な面があったのかという驚きなのか、それとも多分に初めて見る彼女の笑顔が予想以上に綺麗で見とれてしまっていたのか。
 どちらかよく分からない。
 いや、もしかするとその両方かもしれない。
 とにかく、俺は一瞬声を失ってしまった。
「・・なに見てるのよ?」
 俺がずっと驚いた様子で見ていたので、楓さんが尋ねてきた。
「いえ、俺も同じ事考えてたから・・」
 俺がそう言うと楓さんはその色白の頬を少し赤らめ、俺から顔をそらした。
「な、なに言ってるの!変な事言わないで頂戴!」
 そう言うと楓さんはぷいっとそっぽを向いてしまった。
 その様子に俺はまた少し驚いてしまった。
 そう、お嬢さまは意外なほどにウブなようだ。
98名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 18:33:47 ID:8ZvhtI6O
え、もしかして期待して良いですか?
99前スレ836:2005/07/05(火) 13:16:45 ID:4bJ5Yydo
長い間続きを書かなくてすみませんm(__)m

作品の続きを書いてもよろしいでしょうか?(とはいえ新作が始まったばかりのようなので待ってからにしますが)
100名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 13:35:31 ID:MvospjMV
期待
101足軽:2005/07/06(水) 00:31:36 ID:AG23CLB0
>>64さん
別に変な名前をつけてとかの実験ではないです。
特に理由はなく、日本人の苗字の中から、なんとなくいいかなと思ってつけました。
なぜそんなに喜多という名前がいやだったのか、今後の参考に教えてもらえないでしょうか。
登場人物の名前で読んでくれる人に不快な思いをさせては、それこそ話にならないので。
102名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 00:38:47 ID:2IAzelIy
    _  ∩ >>101
( ゚∀゚)彡 続き!続き!
 ⊂彡
103名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 00:59:08 ID:Rs/UyEF5
>101
喜多さんでオーケーオーケーだよぅ
続き待ってるぜ〜
104名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 01:01:21 ID:VSaoWFQ7
足軽神様!
ぜひ「喜多さんと僕」の続きを!!
10564:2005/07/07(木) 23:43:36 ID:34Uwh2Nv
>>101
どうしても弥次喜多を連想してさらにそこから弥次喜多indeepとか真夜中の弥次喜多に飛んでしまい萎えた
でもどうやらそういうのは少数派みたいだから気にしないでくれ
変なこと言ってすまんかった
106名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 01:26:49 ID:uq4ghebx
しりあがり寿か。少数派だろうな。
107名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 01:30:51 ID:xyijJT/q
少女漫画家を思い出しますた。


まあそんなわけで「喜多さんと僕-愛奴調教編-」を是非!
108Green Hill /1 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/08(金) 18:20:24 ID:DymxEr4l
6月25日 朝

「おはようございます」
心地よく耳に響く落ち着いた声がカーテンが引かれる音と共に聞こえてくる。

「・・・・・・・・」

まだ力弱く照らす朝日を感じながら、胡乱な頭に響く声に顔をしかめる。
ここのところ雨が続いていたけれど、今日の天気は梅雨の晴れ間といった所のようだ。
顔に当る風はほのかに暖かく、まだまだあと一月くらいはしのぎやすい季節が続いてくれるだろう。
そんなことを考えながら今俺は祖父の持ち物であった豪奢なセミダブルのベッドにうつ伏せになっている。
祖父好みのイタリアだかどこだかで作られたこのベッドは
柔らかく体を包み込むと心地よい風と共に眠気を強烈に呼び戻す。

目を閉じる。
意識がすっと又眠りに入っていく。
109 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/08(金) 18:22:38 ID:DymxEr4l
「・・・おはようございます。」
心地よい声は続く。
ぼんやりとした意識のまま目を開けると目の前には差し出された水差と蒸れタオル。
それはそれで魅力的なのだけれど、と脳内でベッドに留まる魅力と比較する。

「・・・頼むから勘弁してください」
答えは出た。ふかふかの毛布を頭から被り直す。
目を閉じるとすぐに意識が遠のいていくのを感じた。

「駄目です。」
その瞬間、有無を言わさず毛布をひっぺがされる。
容赦ない。

ここに来てからのいつもの朝だ。
しかたなく目をあけ引っぺがされた毛布に手を伸ばす。
と、伸ばした手の先には香織さんが立っていた。

凛とした目元と長い睫毛がまず印象的に目を付く。それと優しげな口元。
身長は150cm位。スレンダーな体を黒を基調としたメイド服に身を包み、
長い髪を後で2つに束ねた頭に白いカチューシャをつけてベッドに寝転がる俺を見つめている。
110 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/08(金) 18:23:40 ID:DymxEr4l
そんな彼女と出会ってから3ヶ月と少し経つ。
祖父の突然の遺産相続の賜物だから使用人とはどういうものなのかはよくわからない。
しかしたった3ヶ月でも彼女の仕事振りとその責任感は使用人という呼び方を超えるレベルにあるという事だけは骨身に染みて良くわからされていた。

ここの暮らしに慣れる為にささやかな仕事以外はのんびりと何もせずに暮らしている俺としては気兼ねもあってつい敬語で喋ってしまう。
そんなこんなで彼女に対して雇い主としての威厳を示した事は一度も無い。

まあ常々年も同じくらいなのだしこちらも使用人なんて慣れないので同居人として考えて欲しいと言ってはいるのだけれど。
香織さんは雇用関係を逆に盾にとって絶対にそれを許してはくれない。


「おはようございます。」
毛布を脇に置くと体に手を置いて揺さぶってくる。
頭を下に向けると香織さんはふう、と溜息をついた。

別に再度寝ようとしているのは彼女が嫌いだとか、困らせようっていう訳じゃあない。
理由がある。今が夜が明けたばかりだからだ。朝日がまだ柔らかい子供のような光しか投げてこない時間だからだ。
もっと厳密に言うと朝の5時だからだ。正確に言うと4時55分。
世間一般ではこの時間に起きない事を怠惰とは言わない。と思う。絶対。
111 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/08(金) 18:25:08 ID:DymxEr4l
「おはようございます。若様っ。」
しかしここでのルールは世間一般とは違う、
とでも言い放つかのように断固としてこちらを起こす態度を崩さない。
じゃあ後5分ですよ。とかは言ってくれない。

最近判ってきたが、基本的に決まり事や生活のルールに関しては香織さんは人の言うことをまったくもって聞いてくれない。
ルールは断固として守らされる。
まあさすがに午後9時就寝のルールは寝たふりでやり過ごすようにしてはいるけれども。
祖父が決めたのだかなんだか知らないが、さすがに9時就寝は酷すぎる。

「・・・おはようございます香織さん。でも若様はやめてください。」
ごしごしと目をこすりながら渋々と起き上がり答えると、彼女はにっこりと微笑んで口を開いた。

「私に敬語を使うのをやめて頂けたら考えてさしあげます。」
そう応えると、彼女は水差からコップにこっこっと水を注ぐ。
俺の手を取ってコップを俺に握らせると脇に水差をコトリと置いて踵を返した。
起きたばかりの痺れたようにぼんやりとした手の平に暖かい手の感触が残る。
112 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/08(金) 18:25:52 ID:DymxEr4l
とっとっとクローゼットの方に歩いてから香織さんは扉の前で思い出したように振り返った。
漆黒に白くレースで縁取られたスカートがふわりと浮き上がるのが目の端に映る。

「今朝はトーストの予定ですがそれで宜しいですか。」
それともご飯のほうがと続ける。
はっきりと聞いた事は無いけれどおそらく香織さんの好みなのだろう。朝はトーストが多い。
その代わり夕食は大抵俺好みの薄味の和食にしてくれる。
そう。毎日の夕食が楽しみなくらいの味で。

まあそう言えば朝だって毎朝楽しみになるくらいの物が出てくるのだけれど。
しかし今はそんなことよりも睡眠だ。
頭は既にもっと寝かせろとばかりにシーツにべったりと付いている。
目の前の香織さんが横になって見える。スカートから覗く細くまっ白な脚がなんだか眩しくて目を逸らした。

「宜しいですけどもう少し寝かせてください。」
目を逸らしがてら再度ぱたりと横たわる。柔らかいベッドは暖かく、そして依然、とても魅力的だった。
113 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/08(金) 18:27:48 ID:DymxEr4l
「・・・駄目です。」
手厳しい。ふう。と溜息を付きながら香織はこちらにカツカツと歩いてくると
バッと音が出るように今度は枕を取り上げてくる。

「ああ・・・」
情けない声を出して枕に手を伸ばす。

「ああ、もうっ!なんでそんなに眠いのですか。昨日は9時に就寝されたはずです。8時間も寝れば充分。
もう既に起きていてお着替えも済ませてあってもおかしくないんですから!」

香織さんがそろそろ本気のようなので甘美なシーツの誘惑を振り払ってしかたなく起き上がる。
くらくらする頭を抑えると香織さんはコップを差し出してきた。
それを取ってごくごくと飲み干す。

胡乱な頭に鞭を入れながら考える。
ルールはルールだが、さすがに毎朝はしんどい。
少し釘を刺しておかなくてはいけないだろうと思い口を開いた。
114 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/08(金) 18:28:36 ID:DymxEr4l
「ちょっと香織さん、そこの椅子に座ってください。」

「なんですか。」
目の前に座らせる。年頃の女の子に起きたばかりの顔とぼさぼさの頭をマジマジと見られるのは辛いが仕方が無い。
言うべきことは言わなければならない。
手机の横に置いてあるイタリア家具と思われる椅子を持ってきて彼女は座った。
カチューシャが髪の動きに合わせてふわりと動く。
香織さんの顔を見つめる。

「おはようございます。」
出てきたのはつい朝の挨拶。

「はい。若様おはようございます。」
やっと起きた。と言う感じに。でも少し愉快そうに香織さんは笑う。

「香織さん。何度も言うようだけれど俺に対してそんなに形式ばって気を使う必要は無い。」
その、若様だとかなんだとか。
その瞬間、ついと香織さんは不満げな猫のように視線を逸らした。

かまわず彼女に向って話しを続ける。
ここで止まると決まりですから。と決め付けられてしまうのは今までの経験上で判っていた。
115 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/08(金) 18:30:51 ID:DymxEr4l
「お願いですから朝はもう少しのんびりと」

「5時に起きるのが決まりです。寝すぎは体に良くありません。」
あえなく却下される。しかも一言で。
本当は睡眠不足なのだが言うと更に怒られるから黙り込まざるをえない。

それでも食い下がって一言だけ告げる。どうせ無駄だと言う事は判っているのだけれど。

「決まりはそうだけど・・でも、ここにはもう僕と君しかいないんだから。」

告げた途端に眉を顰める香織さん。
胡乱な頭を働かせてふと気づく。そう言えば昨日の朝も同じことを香織さんに言った事に気づく。

そうか。ああ、それなら返答はもう既に判っている。
真面目な顔をしてふうと溜息をつきながら立ち上がった彼女を目で追う。
116 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/08(金) 18:31:28 ID:DymxEr4l
「そういう問題ではないんです!」
ほらやっぱり。
香織さんは話は終わったとばかりにクローゼットをゴソゴソとあさって着替えを準備し始める。

「大体若様は午前中にしなくてはいけないお仕事があったはずです。10時には本間さんが来られるんですよ。」
そんなことを言いながら楽しそうにクローゼットを探る。

一分ほど探った後、顎にちょんと手を当てて少しの時間考えるとお眼鏡に適ったシャツやズボンをとさとさと手の上に置いてくる。
ちなみに用意された物を着ないで寝巻きのまま朝食に行ったり違う服を着ていったりするとコーヒーが心なしか苦くなったり
1日中なんとなく視線が痛かったり夕飯のおかずが寂しくなったり口数が少なくなったりする。

「では、香織は朝食のご用意をしますので着替えが終わったら食堂へいらしてください。」
ぺこりと頭を下げてパタンとドアは閉じる。
時計を見ると結局朝の5時10分。
いつのまにか頭は冴え、部屋には爽やかな朝日。左手には水の入ったコップ。右手には着替え。
117 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/08(金) 18:31:59 ID:DymxEr4l
まあルール通りの落ち着いた、いつも通りの朝だ。

毎日の5時半からの朝食はとても美味しいので楽しみではある。
パンならリンゴのジャム。ご飯ならお漬物がとても美味しい。

手に持っていたチェックのシャツの袖に手を通しながら考える。
窓からの風邪が首筋を擽る。
着替え終わり、階段を降りるとトーストの匂いがするだろう。

今日は俺の好きなゆで卵はついているだろうか。
ゆっくりと心地よく覚醒してくる意識を感じながらドアを開ける。

微かにバターを載せたトーストの香ばしい匂いがした。
118 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/08(金) 18:34:26 ID:DymxEr4l
------------------------------------

2次でなくオリジナルです。
第1話目です。
続きは書け次第投下します。

ノシ
119名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 18:38:13 ID:oIIDLivD
メイドさんハァハァ、これからが楽しみです。
120名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 20:14:50 ID:yn+a+xSX
かなり期待!
121名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 03:56:23 ID:ZMPglDHZ
釣り目がちのキツイ(と勝手に想定)香織さんがどんなふうに蕩けるのか
今から期待して正座で待ってまッス。


腰ミノ一丁で。
122名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 14:43:01 ID:5p9rFJRN
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

楽しみにしとります。マジで。
香織さん(;´Д`)ハァハァ
123名無しさん@ピンキー:2005/07/10(日) 02:24:08 ID:OHmFqHIY
「蒸れタオル」ってなんか臭そうだな。「蒸しタオル」だろ。
124名無しさん@ピンキー:2005/07/10(日) 11:46:40 ID:+CQ77kaK
>>123
そういう細かいミスを突っつくんじゃないょw


>窓からの風邪が首を擽る

ホラーですか?

って俺もかい!w

冗談冗談w
作者さんGJです!続き期待してます!
125名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 05:45:11 ID:fSE9askF
>>124
何そのテンション
126Green Hill /2 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/11(月) 19:34:26 ID:7OZLF5QZ
サクッ
口内にリンゴの香りと共に蕩けるような甘みが広がる。

「うむ。」
何も考えずに齧りかけのパンにもう一度ぺたぺたとジャムを塗る。もう一度齧る。ウマイ。

「あ、若様!だからジャムは全部塗ってから御食事なさって下さいと言っているのに。」
ぼんやりと向かいで俺の手元を見ていた香織さんは俺の様子を見て慌てたように声を上げた。

ハッと手元を見る。
「ああ、ごめんなさい。」
無意識の内にジャムの重ね塗りをしていた事に気づく。
汚いですよね。しょぼんと頭を下げた。
127Green Hill /2 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/11(月) 19:34:43 ID:7OZLF5QZ
「汚いなんて事はありません。そうではなく作法の問題です」
そういう意味で言ったわけではありません。
なんて言いながら香織さんは俺の手元からジャムを引き寄せるとぺたぺたと自分のパンにジャムを塗る。
最初こそ給しをしなくてはならないので私の食事は後でなどと香織さんは言っていたが
必死の説得のかいもあって今では食事は香織さんと一緒に食べている。

「いや、うん。でもマナー違反だったね。ごめんなさい。」
素直に謝っておく。

「若様が私に謝られる事などありません。あ、コーヒーをどうぞ。」
コーヒーが減っているのを目ざとく見つけると自分のパンを置いて立ち上がり、コーヒーをコポコポと注いでくる。

「ありがとうございます。ところで香織さん、話があるんですけど
 僕も子供じゃないんですから香織さんの言うように9時に寝るってのはちょっと。出来れば11時就寝、7時起床あたりにしません?」
コーヒーに砂糖を入れながらもむもむとパンを齧りながら春の風のような爽やかさでさり気なく言ってみる。
香織さんが口を滑らせてええ、そうですねなんて言質を取れればベストだ。

「駄目です。大体香織は9時に就寝しております。私に出来て若様に出来ない道理がありません。」
即座に却下される。
香織さんも何事もなかったようにしゃくしゃくとパンを齧る。
128Green Hill /2 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/11(月) 19:35:32 ID:7OZLF5QZ
「そ、そ、それに夜の事ですけど、何度も言ったように夜に寝たかどうかを確認しに来る必要は無いと思うのですけれど。」
負けていられない、とばかりに温かいコーヒーを啜りながら再度さり気なく言ってみる。
喉に落ちる微かな苦味が心地良い。

「若様の次の日のお仕事に差し障りがないようにきちんと就寝されているかどうかを確認するのは私の仕事です。」
香織さんはコーヒーにミルクを落としながら何事もないように返事をする。
スプーンを持つと音が出ないように静かにカップを掻き回す。

「子供じゃないんだからちゃんと寝ますし、目覚し時計があるから大丈夫だと思います。
 大体、僕は男だし香織さんは女性なんだからこうやって部屋に入ってくるのは少し問題があると思うんですよ!大体、夜にああいう格好は」

「パジャマですけど何か不都合が?」
俺の言葉にむっときたようにカチューシャに手を当てて位置を直しながら香織さんは答える。
きっと目を見られる。

「ふ、ふ、不都合じゃないですけどですけど」
いつの間にか椅子の上に正座状態になって答える。
俺の手は膝に置かれており、香織さんはコーヒーを飲んでいる。
いつもそうだ。
説教をするつもりがいつのまにか尋問されている体勢に変わるのは何が悪いのだろうか。
129 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/11(月) 19:36:16 ID:7OZLF5QZ
「私だって夜は就寝しないといけません。6時に夕食、7時から後片付け。
 8時から休憩を頂いて若様の後にお風呂を頂くのですからパジャマなのは当然です。」
ダムダムと机を叩く。どうも雲行きが怪しくなってきたのを感じざるをえない。

「はい・・」

「そもそもですね。若様が他の使用人を全員解雇してしまったのが発端なのではないですか!」

「いえ、その件に関しましては大変申し訳ないと思っています。」
反省しています。


「・・まあ、それはよいのですけれど。」
こホンと香織さんは一つ咳をして。

「大体、昼まで寝ていたら朝の挨拶が出来ないではないですか。」
夜はおやすみなさい。朝はおはようございますと私が若様に一番に挨拶するんです。
と、ものごっつ不満そうに香織さんは食後のコーヒーを口に含みつつ、そう呟いた。
130 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/11(月) 19:36:38 ID:7OZLF5QZ
食後のコーヒーを口に含むと朝の6時。
少し開けたカーテンから木々の葉の擦れ合う音と共に爽やかな風が入ってくる。
窓の外では鶯が最近上手になってきた鳴き声を自慢げに一つ上げる。

そう。いつも通りこうやって一日は始まる。


もうすぐ蝉が鳴きだしそうな夏の季節。
緑の丘の上に建つ時代外れの屋敷と少しだけ融通の利かない一人の使用人。

落ち着いてよく聞いて欲しい。

こうなったのにはいくつかの理由がある。
勿論あるのだ。
131 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/11(月) 19:44:30 ID:7OZLF5QZ
------------------------------------

感想ありがとうございます。

今日の所はこんな感じで。書け次第投下します。

ノシ


そういえば今までずっと本気で蒸れタオルだと思っていました。
ググッた結果を見て間違いを悟りました。
orz
132名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 20:31:20 ID:m9dPBMgm
>> ◆/pDb2FqpBw 様
GJです。もっともっと、と続きを催促してしまいそうです。
続きを楽しみにしとります。
133名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 20:53:04 ID:pCkDCpz7
God Job!
134名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 22:34:23 ID:EMdlb12L
(・∀・)イイヨーイイヨー
135名無しさん@ピンキー:2005/07/12(火) 16:05:38 ID:J+Pc9i+H
>>◆/pDb2FqpBw 様
引きがさわやかで、続きがとても気になります。
文章のスタイルが(・∀・)イイヨーイイヨー
136名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 01:53:10 ID:l0NhXSB7
気の強いパジャマメイド萌え。
期待しております。
137名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 00:19:34 ID:8kOUUsiZ
ほしゅーと
138名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 20:33:05 ID:LY6JLRBD
hosyu
139名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 01:01:49 ID:Q/4AU3Gz
875 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2005/07/17(日) 23:43:06 ID:sD6THNdg
吉野家コピペの改変を改変してみた


昨日、ヲタな幼馴染と話したんです。キモヲタ。
そしたらなんかめちゃくちゃ好きな人ができたらしいんです。
で、よく見たらなんか髪切ってて、髭とか剃ってるんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
お前な、好きな人ができたぐらいで普段しないことしてんじゃねーよ、ヲタが。
つくりの問題だよ、つくりの。
なんかそこそこイケテル服着てるし。男も身だしなみが大切だねってか。おめでてーな。
ちょっとは見られる格好になっただろ、とか言ってるの。もう見てらんない。


876 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2005/07/17(日) 23:43:31 ID:sD6THNdg
お前な、鏡やるからその服脱げと。
キモヲタってのはな、キモい格好でいるべきなんだよ。
電車で隣に座った女からボロクソ言われてもおかしくない、
私はキモいヲタクです、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。
山田孝之だの伊藤淳史だのは、すっこんでろ。
で、やっと話がそれたかと思ったら、はぁ〜恋って切ないね、とか言ってるんです。
そこでまたぶち切れですよ。
あのな、お前にはそんなもん必要ねーんだよ。ヲタが。
得意げな顔して何が、恋は切ないね、だ。
お前は本当に恋をしているのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、恋してるって言いたいだけちゃうんかと。

140名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 01:01:57 ID:Q/4AU3Gz
877 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2005/07/17(日) 23:44:38 ID:sD6THNdg
情報通の私から言わせてもらえば今、お前のアノ人には、
格好いい彼氏がいるんだよ。残念だったな。
気づかずラブレターでギョク砕。これがヲタのコクり方。
ラブレターってのは顔を合わせることがない。そん代わりショック少な目。これ。
で、返事がいつまでも来ないで自動あぼーん。これ最強。
しかしこれをやるとクラス全員にばれる危険も伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。
まあお前みたいなヲタ男は、早いところ私の気持ちに気付けってこった。
141名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 02:02:43 ID:FRbMm4KA
最後の一行に泣いた
142名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 11:50:16 ID:CT1it+Zy
¥ないか?
143名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 20:23:23 ID:Zo0H2gst
しおらしさスゴっ
144名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 21:08:49 ID:dRh0pulz
吉牛コピペに萌える日が来るとは
145名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 22:23:18 ID:VgGAhe9x
ここの住人、幼馴染みスレ知らないのな
いや、それが当たり前だと思ってる訳じゃないけど意外だった
確か幼馴染みスレのテンプレに入ってるよ、その改変
146名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 22:24:53 ID:VgGAhe9x
うんごめんうそついたゆるしt
147名無しさん@ピンキー:2005/07/19(火) 02:13:00 ID:AYjFxi9V
>>145-146
何しに来たんだあんた
148:Green Hill /3 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/19(火) 14:39:50 ID:Gx49XNP7
車も殆ど通らない道を鳥の鳴き声と葉の触れ合う音、むせかえるような木の匂いに包まれる。
坂を登り切った場所に建っているその屋敷は思ったよりも威圧感は無く、
どちらかと言うとしっとりと落ち着いた佇まいをしていた。


鞄を抱えながら歩きなれぬ見事な和風の造りの石畳を10M程ゆっくりと歩いていると、
重厚な扉がゆっくりと開くのが見えた。
その瞬間、扉を開けた女の子の目鼻立ちのくっきりと整った顔に一瞬見惚れてしまった。
本間さんには祖父の周りにいた使用人の全てに次の勤め先を紹介するように言っておいた。
一人だけ身寄りもなく、屋敷で勤めを続けたいと言っている使用人がいると聞いてはいたのだけれど。。
てっきり年寄りだと思っていた為に面食らってしまう。

「京介様で御座いますか?」
小柄だが凛と背筋を伸ばし、こちらを真っ直ぐ見てくる。年は同じか、少し上くらいだろうと思った。

「はい。家城恭介です。」

それを聞くと黒いメイド服に身を包んだ彼女はとっとっとこちらに駆け寄ってくる。

「お帰りなさいませ。お待ち致しておりました。」
そんな時代錯誤な事を言いながらゆっくりと頭を下げた。
149 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/19(火) 14:40:31 ID:Gx49XNP7
簡単に書けばいわゆる遺産相続という奴だ。
「悪党・守銭奴・怪物」等の余りありがたくも無い評判の祖父はその評判に見合うくらいの遺産を残し、
生前蛇蠍のごとく祖父を嫌っていた親戚連中は祖父の残した遺産に群がった。

そんな遺産相続の中でネックになったのが祖父の唯一の直系の孫であり、一番年少者の俺だ。
両親が死んでいるので直系の孫である俺の相続額は小さくなかったのだ。
無視は出来ないものの、年少者で発言権の低い俺に何を与えるかで親族会議は大揉めに揉めた。
結果、手早く現金になる遺産は全員で分け、屋敷は祖父の弟である大叔父が相続。
俺には結局祖父が呆けて以降、晩年を過ごした現金化しにくい別荘の土地建物が回ってきた訳だ。

祖父の後を継ぐような知識も技術も無い。
面倒くさい事が嫌だったのもある。
事業は親戚連中が好きにするだろう。
少なくとももちろんそれは自分がやるよりも良い事に違いない。
やりたい事もある。学校近くの薄汚れたアパートから引っ越せただけでも感謝しなくちゃあいけない。
それでよかった。
150 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/19(火) 14:42:57 ID:Gx49XNP7
「お荷物をお持ち致します。」
なんだか分別のついた顰めつらしい顔をして目の前の彼女は言った。
汗まみれで長い坂を登ってきた身にその言葉はありがたかったけれど
まさか同年代の女の子に荷物を持たせるわけにもいかない。

「ええと、君は・・」
誤魔化すように彼女の名前を聞いた。

「・・・失礼致しました。使用人の香織と申します。」
と、少し驚いたような顔をして言った。

「そう。そう、残ってくれる人が一人いるとは聞いていたんだけれど・・少しびっくりしたな。
 香織さん、でいいかな。荷物は自分で運ぶから。」
そう言って鞄を抱え込むと彼女は大きく目を見開いた。
顰めつらしい顔が溶ける。

「旦那様!か、か、香織さんなんて仰らないで下さい!」
首筋まで真っ赤にしながらかおりと呼び捨ててくださいませ。
そんな事を言いながら鞄に手を伸ばす。
真っ赤になった首筋はとても細く、年相応の素顔が見え隠れするのが見えた。

「いや、こっちこそだ、旦那様なんてとんでもないです。」
京介って呼んで下さい。笑いながら言った。多分、こちらの顔も恥ずかしさで赤くなっていたと思う。
151 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/19(火) 14:43:24 ID:Gx49XNP7
何度も鞄を持つと言う香織さんをなだめすかして、結局鞄は自分で持った。
恨めしげに鞄を見つめる香織さんに連れられて入った屋敷内は思ったよりこじんまりとしてはいたが、
清潔に保たれていた。
人の手の入った温かさがあるのは目の前にいる彼女のおかげかもしれない。

深い絨毯を踏みしめ、廊下を歩きながら前を歩く香織さんに尋ねる。
「ええと、今は香織さんが一人で。」

「はい。本間さんが毎日参りますが、常勤は私一人です。」
香織さんはやめて下さいませ。と続けながらいたずらげにこちらをきっと睨む。
初対面の凛とした印象は変わらないけれど、根はとっつきやすい性格なのかもしれない。

「じゃあ、さっそく線香でも上げさせてもらおうかな。」

「いえ、お湯が沸いております。大旦那様へのご挨拶はお部屋にご案内した後にお体を流し、
 お食事をとられてからになさって下さい。」
と、なんだか有無を言わせぬ口調で香織さんはそう言った。

「え?いや、でもまず爺さんに挨拶するよ。」
釈然としない彼女の言葉に首を傾げつつ言う。
152 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/19(火) 14:43:51 ID:Gx49XNP7
「いえ、先にお部屋にご案内します。」
彼女を見ると先ほどの少し無表情な顔にもどって繰り返すように言った。

「でも」

「大旦那様はお客様に会われる前には必ずそうしろと私にお申し付けになっていました。」
その時、目の前の香織という彼女は顰めつらしい顔を一瞬だけ崩してなんだか今にも泣きだしそうな、とても悲しそうな顔をした。
その彼女の顔を見た瞬間、自分自身が爺さん、いや多分彼女にとっても恐らく待ち続けられていた客なのだろうと言う事に気が付いた。
彼女の吐き出す声が震えるのが聞こえた。

「旦那様は、生前お客様が来られた時はそれが例えセールスの方でもそうなさっておりました。」
大旦那様はそう決められておりましたから。と。
なんだか香織さんの言葉は呆けた祖父を知らない俺の胸に突き刺さった。
両親が事故で死んで以来、半月前の葬式の時まで会いに来た事は無い。
俺が知っているのは10年前の乱暴だが、俺には優しかった普通の祖父の姿だけだ。

俺の知らない祖父を語る。
その言葉はまるで今まで会いに来なかった不孝を責めるかのように胸に響いた。

「ごめん。」
思わず呟く。

その瞬間、こちらの目を真っ直ぐに見つめる彼女の顔がくしゃりと歪んだ。
153 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/19(火) 14:44:12 ID:Gx49XNP7
「どうして今までいらしてくれなかったんですか!?きょうすけさん」
その時の彼女の言葉から放たれるきょうすけさん、は何だか自分の名前ではないように響いた。
事実、彼女は俺に向って言ったのではないだろう。
多分、彼女は悲しかったのだと思う。俺は大叔父からの電話で祖父の死を知った。
相続会議でも生前に祖父を見舞った親戚がいると聞いた事は無い。
彼女と祖父の関係はわからない。それでもこの数ヶ月に会った誰よりも彼女が最も祖父の死を悲しんでいる事くらいは判った。

「なんで、なんで大旦那様はあんなに待っていたのに!」
拳を振り上げる。
肩を震わせながら香織さんは次から次へと流れる涙を隠そうとはしなかった。

とすんと俺の胸に彼女の拳が当った。

それからの一時間、時折しゃくりあげながら彼女は俺を諭すように。そう、まるで弟に話し掛けるように
そしてとても大切な事のように俺の胸に拳を当てたまま呆けた祖父の話をしつづけた。
154 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/19(火) 14:45:31 ID:Gx49XNP7
これが3ヶ月前、香織さんと初めて会った日の事。
香織さんの融通が利かないのは、多分こういう理由だ。

住み込みの彼女の性別や年齢がどのような風評を呼ぶか位は判っている。
それでも俺は祖父の為にも彼女に居て欲しいと思い、彼女はメイドとしてなら是非置いてほしいと答えた。

毎日のように彼女に説教されながら、それでもまあ上手くやっているとは思う。
顰めつらしい顔もするけれど、彼女は意外とよく笑ってくれるから。
155 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/19(火) 14:48:08 ID:Gx49XNP7
------------------------------------

感想ありがとうございます。

次回からはまた日常。書け次第投下します。

ノシ
156名無しさん@ピンキー:2005/07/19(火) 16:58:19 ID:T8ih3G1V
キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!

なるほど、そういうことだったのか……
なかなか書くスピードが早いですね
羨ましい……
157名無しさん@ピンキー:2005/07/20(水) 00:04:01 ID:EGfMPdK6
前回の「ものごっつ」にちょっと和んだ
方言を文字にしてみるとなにやら面白いわ
158名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 13:59:04 ID:mBvAhCIl
まだかな まだかな(・∀・)
159名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 22:39:06 ID:A4yocHiS
>>105さん
回答ありがとうございました。
たいへん参考になりました。
特定の人物をイメージさせるような名前は控えたほうがいいということですね。
確かに、自分のオカンの名前とか出てきたらそれだけで萎えるでしょうから。
160名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 23:00:33 ID:/4M90ttJ
>159

んなこたない
誰をも連想させないためには名無しにするしかない
特定の誰かのためにそんなへんちくりんな事をする必要はないよ
好きに名前を付けてくれ
このスレはあンたのためにあるのだから
161名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 23:05:16 ID:gUbn6ovC
>>160
それは他の書き手さんに失礼だろ
162名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 23:26:32 ID:wcW3b4dD
>>160
まさかとは思うが一応
自演乙
163名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 23:45:46 ID:/4M90ttJ
>161
ああ、失礼。そういうつもりはなかった。ジエンでもない。

このスレは書き手さんすべてのものだ。
漏れみたいな読み手は乞食に過ぎない。書き手が好き勝手書いていいのだ。
だからもっとたくさんすばらしい気の強い子を書いてくらさい。
164Green Hill /4 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/25(月) 15:46:30 ID:N7KuYobT

-------------

「・・・・若様?」
日も昇りきり、もうすぐ3時になろうかという時間。
なんだかんだと細かい書類仕事に倦み果てて水でも飲もうと台所に入った瞬間に声をかけられた。

「なに?」
振り向いた瞬間、香織さんのわなわなと震える背中と頭にのったカチューシャに嫌な予感を感じて踵を返す。

「若様、少しお話があります。」
そういいながらはっしと袖をつかんでまれる。
香織さんのワタリガラスの羽のようなしっとりとした黒髪が肩に触った。
香水ではない、香織さんの匂いがふわりと鼻につく。
香織さんは明らかな疑いのまなざしで袖を掴んだままこちらを見つめてくる。

「な、なんでしょうか」
いつにない悪寒に後ずさった。

「私が昨日買ってきた棚のおやつが無くなっているんです。」
香織さんにいつになく必死な顔でそう聞いてきた。
165 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/25(月) 15:48:56 ID:N7KuYobT

その一言でついさきほど小腹がすいたからと豆大福をつまんだ事を思い出す。
お菓子を探した所、調度紙袋に入れて棚に置いてあった奴だ。
3時前にお菓子を食べると怒られるので香織さんが書庫の整理をしている内に自分でお茶を出して2つとも既に胃袋の中にある。

ふと視線をさげると不安そうに見上げてくる香織さんの視線が刺さる。
いたたまれなくなり、ついと視線を逸らした。
ちなみにとても美味しかった。

「か、香織さんの勘違いじゃないのかな?・・昨日食べちゃったとか」

「いえ、お昼に確認した時にはありましたのでそれはありません。大体そのような勘違いはしません。」
とてもとても楽しみにしていたのですが。と声は続く。
冷や汗が背中を伝うのを感じる。
香織さんが楽しみにしていたおやつを自分が食べ尽くしてしまったという事に気付いた瞬間、
自分の脚が自然と後ずさったのを感じた。

「じゃ、じゃあ猫じゃないのかな。ほら、香織さんが時々餌をあげているあの白」
震える声を抑えつつそう言うと、香織さんはこちらを見上げてきた。
視線が絡むその時、香織さんの唇に薄く、本当に薄く紅がひかれているのがわかった。
少しだけ心臓が跳ねる。

「ええそうですね確かにタマかもしれません。」
香織さんはおでこに手を当てて考え込むように頭を下げた。
166 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/25(月) 15:49:56 ID:N7KuYobT

「若様にお許しを頂きましたからタマは時々屋敷内にいることもあります。ですからその可能性は否定できません。」

「あの、香織さ」

「しかしですね。包み紙がゴミ箱の中に入っております。」

そう言いながら先ほどから手元に置いてあったゴミ箱を抱えあげ、
ほらこことここに、とゴミ箱の中を指し示してきた。
氷水をぶっ掛けられたように体温が下がり体中に泡立つように鳥肌が立つ。
断固たる姿勢だ。香織さんは本気だ。

香織さんの口調から感情がなくなっていくのを感じる。
心なしか部屋の照明が暗くなったように感じた。
膝に手を当て、足がガクガクと震えるのを抑えようとするが足腰に力が入らない。

「へ、へえータマは器用なんだねえ。って違うか。じゃ、じゃあ本間さんかな。
 いや、そうですよ。きっとそうだ。銀座あけぼのの豆大福はおいしいですからね。
 1個にしよう、1個にしようと思ってもついつい手が」

その言葉を聞いた瞬間、香織さんは目を見開き右手を口に当てて明らかにショックを受けた顔をしてがっくりと膝を付いた。
167 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/25(月) 15:53:18 ID:N7KuYobT

「ひどいっ!あの豆大福凄く楽しみにしていたのに!」
がっくりと膝を折り、酷い酷いと身を揉みながら両手でダムダムと椅子を叩く。
ハンカチが無かったのか取り込んだばかりのシャツを手に持ってきーっと噛み締める。

「いや、ですから本間さんにはきちっとですね。それに香織さん、そのシャツ僕の」

「若様っ!」

「はい。」
すいません僕です食べたの。

「一つだけなら我慢も出来ます。おやつの時間に2人で分けようと思っていたのですから。
 でもまさか2つとも食べてしまうなんて食いしん坊にも程がありますっ!」
がーーっと怒られる。

「ごめんなさい。」
自然と膝を付き、自然と正座する形になった。
頭を垂れる。
168 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/25(月) 15:54:59 ID:N7KuYobT

「タマにも謝ってください!」

「ごめんなさいタマ。」
ぺこりと頭を下げる

「香織は何も楽しみにしていた豆大福を食べられたのが惜しいから言っているのではありません。
 ありませんけどそもそも若様は」
うう、と言いながらふらふらと立ち上がる。お説教は長くなりそうだ。

「使用人の唯一の心の楽しみを」
「大体ですね、2つあったら香織にひとつ残しておこうかなと、その位の」
「香織は若様と一緒に食べようと思って」
なんとなく半泣きな感じで若様のバカ。アホ。甲斐性無し。と詰られる。

「ごめんなさい。今度出た時に買ってきますから。豆大福。」

「当たり前です。」
4個買ってきてください。
香織さんはそう言いながら、しょうがないなあという顔をして。
「あと赤福もあったら。あと苺大福。お煎餅も。」
なんてふくれっつらで付け加えてきた。
169名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 16:03:01 ID:N7KuYobT
------------------------------------

感想ありがとうございます。

書け次第投下します。
では。
ノシ
170名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 16:24:42 ID:Xwvi5Xsn
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!

で、いつしおらしくなるのか……(*´д`*)ハァハァ
171名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 23:48:10 ID:NkJMcHRi
GJGJ!

もっとだ!
もっとツンツンしてくれ

そうすればデレったときの破壊力が100万倍にー
172名無しさん@ピンキー:2005/07/26(火) 02:50:06 ID:Jpxuzi3K
既にデレ入ってないか、これ
173名無しさん@ピンキー:2005/07/26(火) 03:22:50 ID:KHE4gjGC
>>172
な、なんだってー(MMRのAA略)
我々はツンツンの場面だと思っていたのに、既に実はデレの場面だったとはー
174名無しさん@ピンキー:2005/07/26(火) 11:25:42 ID:3gPS8TUG
何回か読み直してやっと香織さんが若が犯人だって確信した理由がわかった
俺頭ワルスorz
175名無しさん@ピンキー:2005/07/26(火) 11:55:16 ID:PleUi11O
香織さんモエス。
香織さんカワイス。
本間さんカワイソス。
176名無しさん@ピンキー:2005/07/26(火) 15:43:21 ID:K/liBpmT
>>175
タマにも。
177名無しさん@ピンキー:2005/07/27(水) 08:02:05 ID:DHu2JwKR
ツンデレ専用スレ作ろうとしているのだがここと被るかね?
流れをぶった切って激しくスマソ
178名無しさん@ピンキー:2005/07/27(水) 08:32:25 ID:N7DbYW2p
お、おまえは。
むこうのスレでも会ったな
179名無しさん@ピンキー:2005/07/27(水) 16:22:22 ID:x6IeqFtS
>>177
ここのスレは愛がなくてもOKなんでしょ?
是非はワカランが、もし立ったら絶対に住人になる
180Green Hill /5 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/27(水) 18:18:43 ID:HI3febY7
いつものように朝起きて本間さんと会って書類仕事をこなして、3時に香織さんとお茶を飲んで。
夕食は香織さんの作った鰈の煮物とほうれん草の御浸しを2人で食べて、7時にはお風呂に入った。
香織さんがお風呂を出た後に一緒に少しだけトランプをした。

断固として寝室でのエアコンの使用を認めない香織さんのおかげで夏の夜は少々寝苦しい。
その代わりにと用意してくれる朝のシャワーは格別だけれども。
そんな事を考えながらタオルケットを一枚だけかけて就寝。

そんないつも通りの1日。

その日、俺は少しだけ変な夢を見た。
181 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/27(水) 18:19:13 ID:HI3febY7

@@@@@

目を開けた場所はやたらと気温が低く、それでいて湿気の強い部屋だった。
闇の中からかすかに見える天井から日本風の部屋にいることだけがわかる。
外は雨が降っているのか網戸がガタガタと揺れ、ひゅうひゅうと風が鳴る音が聞こえる。

ここはどこだろう、と思った。
湿った布団から頭を上げあまりの寒さに両手をこすり合わせながら横を見た瞬間、
隣に誰かが寝ているのがわかりぎょっとする。

徐々に闇になれてきた目を凝らすと、一人の中学生位の女の子がこちらを向いて眠っていた。

自分の体が一人でに動くのを感じた。
布団から立ち上がり、とことこと女の子の方へと歩く。
立ち上がった事で自分の身長が随分と小さい事に気付く。
部屋の隅にある箪笥の上が全然見えない。手を伸ばしても蛍光灯のスイッチには届かないだろう。

痛いほどの寒さを感じながら女の子の体をぐらぐらと揺さぶった。
182 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/27(水) 18:20:04 ID:HI3febY7

「こ、こら、きょうすけ!寝なきゃだめ!」
何度か揺さぶった後、目を覚ました女の子は慌てて起き上がり、
自分の布団を持ち上げるとこちらの体を包みこんで来た。
頭をぽふぽふと叩く。
整っている顔にどことなく優しげな声。
それにしても自分の名前を知っているこの少女は誰なのだろう。

「さむいよ。」
自分の思いとは別に言葉が自然と口をつく。

女の子はそれを聞くとふう、と息をつきながら
「そっか。しょうがないなあ。じゃあ、一緒に寝る?」
と、まるでしょうがないだなんて思っていないような笑顔でそう言ってきた。

こくりと頷き、布団に横になるとばさりと布団を上からかけられ、
もぞもぞと女の子が横に滑り込んできた。
ゆっくりと彼女の方を向くと、華奢な体を開いて自分の胸に顔を埋めさせるように抱きとめてくる。
当たり前のように。
この2人にとっては、いつものことなのだろうと思った。
ふわりとした柔らかな感触と彼女の抱え込まれるような柔らかな匂いに包まれる。
なぜだか淫らな気持ちは微塵も感じなかった。
183 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/27(水) 18:24:09 ID:HI3febY7

「おねえちゃん。」

「なあに?」

「あったかい。」

「あまえんぼだなあ。」
だめなんだよ。と言いながらぎゅっと抱きとめてくる。
全身に彼女の暖かさを感じる。
今までどことなく感じていた部屋の不気味な暗さが薄れていくように感じた。

「あったかい?」

「うん。」
ガタガタとゆれる網戸をBGMに2人の話は続く。

「きょうすけは、今日何か楽しい事あった?」
「自転車見たんだ。」

「また?」
「うん。・・・のってみたいな。」

「危ないよ、きょうすけは体が弱いんだから。」
ゆっくりと体を揺すりながら、耳元で囁かれる。

「でもね、でもね。大丈夫だよ。同じくらいの男の子が乗ってたし、凄く速そうなの。」
顔だけを動かし、上を見上げる。
んーと真剣な顔をして悩んでいるのが見えた。
額に皺を寄せるその顔は、誰かに似ているような気もする。

「そっか。」
頭の上でふうと息をつく。ぐいっと胸に抱きなおすと、ぽふぽふと頭を叩かれた。
184 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/27(水) 18:25:46 ID:HI3febY7
「じゃあ、そのうち買ってあげるね。」
「ほんと?」

俺の喉を借りた誰かの声は楽しそうに弾む。
頭の上の子守唄のような声は続く。

「うん。お金溜めて、きょうすけが元気になって。そしたら買ってあげる。」
「うん!」

「きょうすけが乗れるようになったら、そしたらお姉ちゃんのこと乗せてくれる?」
「うん!」

「そっか、嬉しいな。じゃあ明日もあるから、早く寝ようね。」

知らない部屋。誰か見知らぬ少女の胸の中。
歌声のような声と優しい彼女の匂い。
包まれるような安心感を覚えながら、うとうとと眠りに落ちた。
185 ◆/pDb2FqpBw :2005/07/27(水) 18:31:48 ID:HI3febY7

----------------------------------------------

感想ありがとうございます。やる気でるです。


ええと、一応保管庫のようなものです。宜しければ。
http://uni.lolipop.jp/GreenHill_Frame.html

今日の所はこんな感じで。書け次第投下します。
ノシ
186名無しさん@ピンキー:2005/07/27(水) 18:47:01 ID:DHu2JwKR
立てたかったが俺のパソcockeyが有効じゃないんだと
他力本願でスマヌが誰か立てて
187名無しさん@ピンキー:2005/07/27(水) 18:50:29 ID:DHu2JwKR
とか言ってる間にGleen Hillキタ━━(゚∀゚)━━!!
今回もGJ!!
ホント月並みでスマヌ
188名無しさん@ピンキー:2005/07/27(水) 19:25:48 ID:x6IeqFtS
もしかして、氏は(=゚ω゚)だったんですか……?
ブックマークしてたのに気付かなかった……
189名無しさん@ピンキー:2005/07/28(木) 03:02:10 ID:Oj/dK7vz
つまりこれから回想に入ってボケたジジイを守るためにかわるがわる親族に林間される超鬱展開が始まるわけだな
190名無しさん@ピンキー:2005/07/28(木) 07:14:03 ID:lX0TRpv4
抱っこがかわええなあ。
191名無しさん@ピンキー:2005/07/29(金) 01:31:07 ID:pQdY/Eky
>>177
ツンデレだと、このスレとどう違うの?

ツンツンした子がデレっとなるのと似た様なものだと尾も生んだけど
192名無しさん@ピンキー:2005/07/29(金) 02:45:40 ID:Th/8cnbc
正直、いらない派
193名無しさん@ピンキー:2005/07/30(土) 01:38:25 ID:L06LmD5D
このスレにはそんな君は要らない
194名無しさん@ピンキー:2005/07/30(土) 03:29:28 ID:IEsRZPPw
うるさいっ!アンタなんかこのスレに要らない奴じゃない!
だからっ…だから私が拾ってあげたんでしょ!?
アンタは私の物なんだから!だから……嫌っちゃ、やだぁっ………



こうですか?解りません!
195名無しさん@ピンキー:2005/07/30(土) 10:22:49 ID:4q60HIFm
び、ビミョ〜だなおぃ
一応ツンデレにはなって・・・いるのか?
196名無しさん@ピンキー:2005/07/30(土) 23:47:38 ID:mgruniPk
某メイドな人の小説と相似感がある
俺の中で同一人物に決定
197名無しさん@ピンキー:2005/08/02(火) 23:53:20 ID:qtpqAys2
あがっとけ
198無愛想ハーレクイン:2005/08/03(水) 02:30:30 ID:JuqrX+RQ
 王子様がお姫様を助けに行って、強力な魔法を使う大魔王と対決する。王子様は剣を折られ、
大きな傷も負ってたりして、どう見ても負け戦。そこで、突如神の使いが現れて、王子様に力
を与えて大魔王は打ち破られる。
 もしくは恐ろしい魔法使いに町の人を人質に取られ、ついに言いなりになってしまう勇者
様。頼れる仲間は皆倒れ、まさに魔法使いの恐ろしい術がその身に降りかからんとするとき、
事の成り行きを見ていた女神様が現れて邪悪な魔法を打ち破る。
 そういった芝居を見ていると、どんなに真剣な場面でもついつい笑いがこみ上げてきて、彼
は芝居を台無しにしないために慌てて劇場を逃げ出さなければならなかった。
 デウス・エクス・マーキナー。機械仕掛けの神様は、唐突に現れて全てをハッピーエンドに
持っていく。正しく御都合主義の権化。正しく戯曲作家の最後の手段。
 今でこそ、戯曲芝居の特権だと笑い飛ばせるが、昔は随分と恨んだ物だ。英雄的な誰かに
ばかり微笑みかけて、足元には目もくれない自分勝手な神様を。
 いや、あるいは今も恨んでいて、同時に激しい興味も持っていたのだろう。
 だから人々が認めた神様を。あらゆる事の最終手段だと認められた一人の少女をどうにかし
て見たいと考えるのは、あるいは、彼にとっては正常なことだったのかもしれない。
 機械仕掛けの神様と、相反しながら腕を組む創造主への反逆者。この二人を思うさま嬲れる
のなら、逆にこちらが報酬を支払ってもいいとさえ、彼は心底思っていた。


「はしたないねぇ、崇香ちゃん。君、本当に男嫌いなのかい? 実は君はどうしようもない好き
もので、毎晩色んな男に可愛がってもらってたとか? 俺にはそうとしか考えられない。だって
ちょっとこうして弄っただけで……」
「やめ……! ぁ……っは、ひぁ……」
「ほぉら、こんないい声出しちゃうんだもの。いくら初めてじゃないったって、信じられない
乱れ様じゃないか」
 耳元で、舐めるように囁く声を聞きながら、崇香は涙でぼやけた瞳で必死に床を睨んでいた。
 部屋のちょうど中心にあるオペレーションマシンのマシンアームは、通常は手術台の下に格
納されており、制御装置も舞里の声がなければ姿さえ現さない。
 故に、舞里が言葉は愚か声さえ発する事のできないこの状況では、オペレーションマシン
もただの物々しい手術台に過ぎなかった。
 その上に崇香が半裸で座り込み、息を乱して快楽に喘いでいた。
 片腕はすがるように男の服を握り締め、もう片方は、ツナギとその下にはいているスパッツの中へとすべり込まされている。
 自らの指で濡れた肉壁をこすり上げ、男が気まぐれに与える刺激に悲鳴にも似た嬌声を上げ
る。耳元で囁かれる言葉は容赦なく羞恥心をかきたてて、同時に自尊心をことごとく打ち砕い
ていった。
199無愛想ハーレクイン:2005/08/03(水) 02:31:47 ID:JuqrX+RQ
「それとも、君って案外マゾなのかな?」
「う……るさ……や……!」
 たっぷりと唾液を含んだ舌が首筋に触れ、舌先を尖らせて耳たぶまで這い上がる。くっくと
楽しげに笑う声から逃れたくて身を捩り、崇香は懸命に床を睨み続けた。
――何かに集中していれば、それほど辛いことじゃありません。
 それは、誰に言われた言葉だっただろう。ぼんやりと考えながら、崇香は男の服を握った指
に思わずぐっと力を込めた。
 体が震える。視界がゆれる。
「あ……あぁ! も、い……く……!」
 ぐちゅぐちゅと淫猥な音を立てて乱暴にかき回す二本の指を締め付けながら、崇香は堪えき
れずに男の肩に噛み付いた。
「ん……ンン! ふ……ひぁッ――!!」
 ビクン、と大きく体を跳ねさせて、崇香は男の肩を解放してのけぞった。健康的な肌に浮い
た汗が蕩けるように体のラインを伝って流れ、数回小さく痙攣してから息を弾ませ脱力する。
「く……は、はぁ……っは……!」
 やむを得ず男の肩に頭を預けて乱れた呼吸を正していると、その髪を優しく撫でられて崇香
はぞっとした。
「ブラーボ。見事なイキっぷりだ。ぞくぞくしたね、下半身にぐっとくる」
 思わず振り払おうとした手があっけなく掴まれて、睨み上げると、男は愛液で濡れた指を躊
躇なく自らの口に導いた。
 生暖かい舌が、ぬめぬめと絡みつく。
「な、に……して……!」
「可愛いなぁ……」
「ふっ……!」
「ほんと、可愛いなぁ、崇香ちゃん。こんな恥ずかしい事させられたのに、まだちゃんと意識
を保ってる。俺が初めてじゃないのが残念だよ。でもま、相手が『ハイエナ』なら我慢もつく
か……」
 ハイエナ――。
 出来る事なら、二度と聞きたくなかった名前。いいや、あるいはそれは、ずっと聴きたかった
名前なのかもしれない。
 黒い髪を灰色の斑に染めて、決して崩れない、それこそ舞里よりも更に徹底した笑顔を持つ男。
 何故、その名前をこの男が知っているのか。いや、知っているのは決しておかしなことではな
い。だが、この男は今、なんて――
「ハイエナがファーストで俺がセカンドか……まぁ、キスもセカンドキスまでは価値があるしね。
ドクターには悪いけど……」
「なん……で……」
「そうだ、ねぇ崇香ちゃん。ずっと興味あったことなんだけどさ……」
――ハイエナって、テクニシャン?
 瞬間、悲鳴のような怒号を吹き上げて掴みかかった崇香の腕は、先ほどと同様にたやすく男
の手に掴まれた。そのまま冷たい手術台に押し付けられて、上から男が圧し掛かる。
「なんで……! なんでそんな事しってんのよ……どこまで調べたっていうのよ!!」
「そんなに怒ることないじゃないか。ちょっと聴いただけだろ? なぁに、こっちの世界じゃ
有名な話だよ。ハイエナにレイプされた女の子が、バグの機械を弄ってるって。だって奇妙な
話だと思わないかい? だってハイエナとドクターはさ……」

 唯一無二の親友なのに――。
200無愛想ハーレクイン:2005/08/03(水) 02:32:37 ID:JuqrX+RQ
「な……に?」
 一瞬、全世界の音が消えうせて、自分のその声だけが延々と、どこまでも染み渡っていくよ
うな錯覚に襲われた。
 視界は暗く、圧し掛かっているはずの男の姿さえ見えない。
「……うそ」
 そうだ、信じられるわけがない。だって彼は、知っているなんて一言も言わなかった。
「……だって、バグは……」
――再生者は嫌いよ。特に、ハイエナって男は大嫌い。
――ハイエナ……? それって、黒髪に灰色の斑の……
――そうよ……知ってるの?
――あ、そうだ、昨日凄くおいしいクッキーが手に入ったんだ、ちょっとお茶にしないかい?
「バグは……」
 一度も、否定しなかった。
 その事実に気がついて、崇香は全身から力が抜けていく気がした。目頭が熱い。舌のずっと
根のほうが、引きつって痛かった。
 何がショックなのかは分からない。舞里がハイエナと面識があった事か、それとも舞里がひ
どく賢しいやり方で、崇香に思い込みをさせていた事か。ただ、男に聞かされて事実が酷くシ
ョックだったのは、崇香も否定しようとはおもわなかった。
――次にあったらきっと、あたしはあいつを殺してやるわ。
――人殺しはよくないと思うけどなぁ。
――再生者は化物よ。あたし、どんな手を使ったって絶対に殺してやるわ。
 そうか、だから時折あの男は、酷く複雑な表情を見せたのか。どこか後ろめたそうな、どこ
か申し訳なさそうな。だがそれは、きっと彼が今も再生者手術を続けているからなのだろうと
思っていた。

 やっと視界が戻ってきて、腕はもう開放されていた。
 男がなにやらしゃべりながら、手で合図を送っているが、音はまだ崇香の耳に届かない。や
っと耳に届いた言葉は、酷く楽しげな、独り言のような呟きだった。
「可愛そうな崇香ちゃん。機械仕掛けの神様は、決して同じ神を助けない。君がその通り名で
呼ばれるようになってから、全ての奇跡に見放されているんだよ」
 おもしろがっているのか、哀れでいるのか判別しがたい表情で、男は崇香の頬をなで、その
人形のようになった体を抱き上げると後ろから抱え込んだ。
 そして、例の静か過ぎるくせによく通るその声で、こう宣言したのである。
「おい、おまえら水は持ってきたか? じゃあとっととドクターにぶっかけろ」
――ショーには観客が必要だ。
201無愛想ハーレクイン:2005/08/03(水) 02:34:43 ID:JuqrX+RQ
切らせていただきます
202Green Hill /6 ◆/pDb2FqpBw :2005/08/04(木) 00:44:01 ID:nV32cZJw

--------------

「んーーー」
ぐぐうっとのびをし、目の前で渋い顔をしながら正座をしている香織さんを見つめる。

「香織さん、そろそろ時間切れだよ。」

「も、もうちょっと待って下さい・・。」
横に置いてある麦茶をくいっと含みながらむむむと盤面を睨みつける。


最近香織さんは将棋にはまっている。
夕食後の休憩時間は俺はぶらぶらとしており、香織さんも居間でぼうとテレビを眺めたり本を読んだりしている事が多いので
自然と2人で何かをするようになった。
最初はトランプばかりをしていたのだけれど最近はそれにも飽いて俺が将棋を教え、
爺さんのを横で見ていて手解き位はできるとの事で囲碁を香織さんが教えてもらったりもする。
特に最近は将棋だ。そもそも凝り性なのだろう。香織さんは一度やってやみつきになった。

午後3時からの一時間と夕食後の一時間。
香織さんは最近ではなんだか少し恥ずかしそうな顔で盤と駒を抱えて俺の前にやってくる。
普段は怒られてばかりだから、なんだかその時ばかりはおねだりをされているようで気分は悪くない。

「ここがこう来て、こうすると若様の飛車がいるからだからその前に歩を置いて」
ぶつぶつと悩みながらカリカリと煎餅を齧る。結わえてある髪を弄りながらもう片方の手でトントンと床を叩く。

休み時間に寝転んでいたり、風呂上りにはぐてっとしていたりと香織さんも時々は隙のある所を見せてくれる事もあるけれど、
こういった遊びに真剣な姿はあまり見ることができないので観察していて面白かったりする。
203 ◆/pDb2FqpBw :2005/08/04(木) 00:45:42 ID:nV32cZJw

「香織さん、待ったする?」
「しません。ええと、ここに銀を動かすと次は・・・よし。」
ぴしりと銀を持ち上げ、盤面を叩く。

「はい、京介様の番です。」
最近幾度もの説得の後にようやく休み時間のみに言ってくれるようになった京介様という呼び方で俺の事を呼ぶと、香織さんは一仕事終わったとばかりにふうっと息を吐き煎餅に手を伸ばした。

「王手。」
香織さんが煎餅を口に咥えた瞬間にぴしり。と無情な1手を繰り出す。
香織さんの手がぴたりと止まる。

「?」

「かつ飛車取り。」

「んーーーーーー!!」
煎餅を咥えながら不満げにスカートをぱさぱさと動かす。何気に可愛い。

「待ったする?」
と聞くと潤んだ目がこちらを見つめる。

「しません!」
煎餅から口を離すと半泣きのまま再度盤面を睨みつけた。
204 ◆/pDb2FqpBw :2005/08/04(木) 00:47:45 ID:nV32cZJw
「ふう。」
半泣きの香織さんがなんとなく可哀想になったので手を取った。

「なんですか?」

「香織さん、こっちに来てみて。」
「んんんんん・・はい。」
悔しそうに付いて来る香織さんを引っ張って盤面の逆側、俺の隣に座らせる。

「こっち側から見てみて。そうすると俺が何をしたいのか、香織さんのどの駒が狙いやすいのかが良くわかるから。」

「あ、はい。」

「こっちから見ると、・・例えば俺の飛車がここにあって香織さんの桂馬がここにあるよね。」

「え?・・あ、はい。」

「王手の事は一度忘れるとして。凄く邪魔だと思わない?俺から見て。」

「そうですね・・確かに。私なら次にここに歩を置きます。」

「そうだね。俺でもそうすると思う。じゃあ、話は戻るけど今王手しているけれど俺の持ち駒、周りの駒を見てどこに逃げたら一番嫌だろう?」

「うーん。こちらに逃げられると京介様の持ち駒ではこれ以上攻め手がないですね。」

「そうそう。こっちに逃げれば金もあるし一息つけるよね。」

ゆっくりと香織さんの手を持って王を逃がしてやる。
本当だ。そうかぁ。などと言いながら香織さんは感心したように頷いている。
205 ◆/pDb2FqpBw :2005/08/04(木) 00:49:50 ID:nV32cZJw
頷いている香織さんの手を握ったまま。
最近少し気になっていて聞かなくちゃ聞かなくちゃと思っていた事を口に出した。

「・・・ねえ、香織さんは、此処にいて楽しい?」

男らしくない言葉だと思う。こんな事を聞いたら普段の香織さんになら怒られる。

でもこの前に見たあの夢の事が最近妙に気にかかっていた。
聞かなくてはいけないと思っていた。

あの夢の少女は香織さんではなかっただろうか。
しかし少なくともあの少年は俺ではない。
でも香織さんに似た少女はあの貧しそうな家の中であの少年を俺と同じ『きょうすけ』という名前で呼んだ。

何故か強烈に印象に残る夢で、その日は何度も思い出した。
勿論ただの夢と言ってしまえばそれだけの話だ。
夢なのだから都合よくそう呼ばれたというだけなのかもしれない。
でも心の中に棘のように刺さる物があった。
何か忘れてはいけないような、そんなリアルな何かがあの夢にはあったように思う。
206 ◆/pDb2FqpBw :2005/08/04(木) 00:51:09 ID:nV32cZJw

香織さんはきょとんとした顔でこちらを向く。
「楽しいですよ。とっても。お仕事にも満足しております。」

「その・・爺さんは君に良くしていたのかな。」

「・・・」
その一瞬の間、言いにくそうな俺の態度で何かを悟ったのだろう。

「はい。勿論です。旦那様には何も知らなかった13歳の私を雇って頂いただけでなく、本当にとても良くして頂きました。」
香織さんは真剣な目でそう答えた。

「例えば狭い一室に閉じ込めたりだとか、そんな事は?」

「いいえ。失敗しても折檻されるような事は一度もありませんでした。
 それどころか屋敷内に一室を頂き、最後までお側に置いて頂きました。」
少し楽しそうに。目を瞑って思い出すようにしながらそう言うと、香織さんは将棋盤を横にずらした。
ゆっくりと側に膝を寄せると空いている方の手で握っている掌を包み込むようにしてくる。

「香織には京介様がどうしてそういうことを聞かれるのか良くわかりません。
 でもご心配はいりません。口では表せない程良くして頂きました。
 京介様にそんな顔をしていただくような事は一度もありませんでした。」
香織さんの顔に嘘は無かった。
だとしたらあれは、

「いや、そう。それならいい。それならよかった。」
207 ◆/pDb2FqpBw :2005/08/04(木) 00:52:50 ID:nV32cZJw

いや、これ以上はやめておこう。
変な夢の話などをすると香織さんは変に心配してしまうだろう。

「爺さん呆けて大変だっただろう?」
話を変える。そう。香織さんは俺なんかよりも爺さんの事を良く知っている。
少しぐらいの夜更かしをしても(香織さんが許してくれるのならば)
聞きたい事はいくらでもあった。


「ふふ、そうですね。駄々を捏ねて子供のような事を仰る事も沢山ありました。」

「乱暴な人だったし。」

「皆さんそう仰られますけれど、香織がきた時にはもうそんな事はありませんでした。
 とても穏やかな方だという印象しかありません。」

「そうなんだ。」

「はい。ですから香織はこのお屋敷にいてとても楽しかったです。」
香織さんは胸を張ってこちらの顔を見て言う。

「それに、今ではこうやって若さ、いえ京介様に将棋を教えて頂く事も出来ますから。」
俺の手を握ったまま。
今もとても楽しいです。と、そう言うと香織さんはとても美しい顔で悪戯っぽく笑った。
208 ◆/pDb2FqpBw :2005/08/04(木) 01:05:37 ID:nV32cZJw
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感想ありがとうございます。やる気でるです。

今日の所はこんな感じで。
私用で10日程ネットが出来ませんが、書け次第投下します。
ノシ


>198
前スレからさかのぼって読みかえしてしまいました。
SFな世界観を書けるのはすごいなあ・・。
209名無しさん@ピンキー:2005/08/04(木) 18:23:15 ID:6D48otsf
中東ガンガッテ!

エロマダー
210名無しさん@ピンキー:2005/08/09(火) 01:34:31 ID:0+q+Qio8
☆ゅ
211名無しさん@ピンキー:2005/08/11(木) 21:36:02 ID:aEK4Ad4U
ほりでーいんざさんのなかのひときぼんぬー
212名無しさん@ピンキー:2005/08/13(土) 09:49:02 ID:Ng0CjSsR
喜多さんまだー?
213名無しさん@ピンキー:2005/08/13(土) 13:36:54 ID:uBBAECGj
俺も待ってる
214名無しさん@ピンキー:2005/08/15(月) 01:51:05 ID:dvK8dT1V
>208
 保管庫でまとめて読みました。良かったです。続きが楽しみです。
215名無しさん@ピンキー:2005/08/17(水) 01:13:51 ID:JagB7e6J
俺の体が『喜多さん』と『かおりさん』という
二大栄養素を求めて
大変なことになってるぜ
216名無しさん@ピンキー:2005/08/17(水) 04:39:03 ID:z6Nf1bYx
喜多さんは今頃きっちりねっとりと可愛がられてるんだ。
早くソレを読みたいな
217名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 08:40:51 ID:/9H/uG4y
しかし書かれた本人も喜多さんがここまで人気出るとは思ってなかったんじゃね?
サイトの説明にふざけすぎたとか書かれてるくらいだし。
218名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 19:33:00 ID:vR1SqMUZ
まぁ結果オーライですにゃ
219Green Hill /7 ◆/pDb2FqpBw :2005/08/18(木) 20:06:21 ID:+ri4xvmM
「ちょっといい?香織さん。」

コンコンとノックする。
時刻は午後8時。女性の部屋を訪ねるには少し遅いけれど読書灯の電球が切れたのだから仕方が無い。
情けないことにその手の物が置いてある場所を俺は知らない。
香織さんが寝る前の挨拶に来るまで待つかとも思ったが、読み止しの本が気になって香織さんの部屋がある1階までスリッパをペタペタと鳴らしながら歩いてきたわけだ。

返答が無い。
今度は少し強めにノックした。ここの家の扉はどれも厚く、中々音が通らない。

「香織さん?」

もしかしたら居間か台所にでもいるのかもしれないと思って踵を返したその瞬間。
ガタガタガタッと部屋の中で何かを引きずるような音がした。
同時にガラスの割れる硬い音と同時に振り絞るような甲高い悲鳴が響く。
『キャーーーーーーーーー!!!!』

一瞬で全身の血が凍りつく。

『イヤアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
金切り声は細く長く伸び、耳を劈く。
両腕が総毛だち、心臓が跳ねるのを感じた。
220 ◆/pDb2FqpBw :2005/08/18(木) 20:06:54 ID:+ri4xvmM

「香織さん?香織さん!?開けるよ!?」
叫ぶと同時にノブを捻り部屋に飛び込む。

「ちょっと待ってください京介さ」
「香織さん!!」

『ジョン!ジョン!!イヤッ!イヤアアッ!こないで!』

部屋の中は平和だった。
窓にはカーテンが引かれており、机の上にはお茶と駅前のクルド・ザ・セゾンのクッキーが並べられている。
先ほど良い子で仕事をしているご褒美ですと言って貰ったけれど美味しかった。
目の前にはイヤホンを耳にぶらさげたまま何だかやたらと慌てている洗いざしの髪をアップにしたパジャマ姿の香織さんがいる。
イヤホンの端はテレビに接続されていたのだろう。今は外れて香織さんと一緒に揺れている。
騒ぎ立てているテレビを必死で隠そうとしながら目の前で必死に何かを探しているが見つからない。

「違うんです!違うんですこれは。」
わたわた。

『ギャヤアアアアアア!!!』
テレビの中では今度はでっぷりと太ったプレスリーみたいな髪形をしたアメリカ人がホッケーマスクを被ってチェーンソーを持った男にざくざくと切り刻まれていた。
221 ◆/pDb2FqpBw :2005/08/18(木) 20:15:06 ID:+ri4xvmM

危険はないようなので落ち着いて周りを見回す。香織さんは声も出ないでばたばたとしている。
初めて入った香織さんの部屋は、何だか結構ファンシーだった。
あまり香織さんの部屋を覗くチャンスなどないので全体的に女の子らしい部屋なあなどと思いながら見回す。

部屋のそこかしこには人形が置いてあり、パッチワークで作ったのだろうかレース模様の敷物なんかがその下に置いてある。
ベッドは小さいものの清潔なシーツに包まれていて、可愛い枕カバーがかかっていたりする。
上においてある純白の下着は見なかった事にしておく。
小さい物の奥には本棚にテレビ、ラジカセが並んで置いてあり部屋の機能としては申し分ない。
カーテンや壁紙など全体的に部屋の彩色は明るくて香織さんのイメージとぴったりだ。
ただ異色なのは壁に貼ってあるポスターだ。
枕元にはジャック・ニコルソンが大写しで不気味な笑みを浮かべているポスターが貼ってあり、
その横にはなんだかやたらと老けた顔をしてブードゥーナイフなんかを持った子供の人形のポスターが張ってある。
よく判らないがはっきり言ってポスターの趣味はあまり良いとは言えない。

香織さんの方を見る。
香織さんは何かを探しながらなんだか繕ったようににっこりと笑った。

「たまたまテレビを付けたらやっていたんです。本当は楽しみにしているクッキング番組を見る予定だったんです。」
やっと見つかったという感じで床からリモコンを拾い上げるとテレビの電源を消した。
ガーと言いながらビデオが停止する。
香織さんはぱたぱたと身なりをチェックすると、耳からイヤホンを外した。

「居間で見れば良いのに。」
「クッキング番組は京介さんにはつまらないでしょうから。」

「イヤホンつけてテレビ見るんだ。」
「隣近所にご迷惑になるといけませんから。」
ちなみに隣の家は100M程離れており別荘地帯であるから普段はいない。
222 ◆/pDb2FqpBw :2005/08/18(木) 20:17:22 ID:+ri4xvmM

「それに今ビデオが」
「そ・ん・な事より何でしょうか。女性の部屋を訪れるのには少し遅い時間のように思えますが。」
腰に手を当てて詰め寄ってくる。

「あ、ごめん。」

「いくら京介さんと言ってもあまり感心できません。私以外の女性にこのような事をすると嫌われてしまいますよ。」
マナーがなっておりません。大体準備というものがあります。とポスターを背に心なしかこちらの視界を狭めるようにしながら更に詰め寄る。

「ご、ごめんなさい。いや枕元の電球が切れたからどこにあるのか聞こうと思って」

「そうですか。では取ってきますから京介さんは早く寝ましょう。さあさあ行きましょう。電球を取り替えて早く寝たほうが良いです。」
ふう。と溜息を吐きながら香織さんはぐいぐいと背中を押してきた。

「あ、でも見たいテレビがあるなら別に明日でも」
「電球を取りに行きましょう。電球の方が大事です。」

ぐいぐいと押されながら壁のポスターを指差して言った。
「香織さん好きなんだ。ホラー。」
香織さんは膝から崩れ落ちながら言った。

「言っちゃ駄目です!見なかったことにして下さい!!」
223 ◆/pDb2FqpBw :2005/08/18(木) 20:18:43 ID:+ri4xvmM

@@
そんな事があってから俺と香織さんは時々オレンジジュースとクルド・ザ・セゾンのクッキーと一緒にビデオを見る。

ヒロインが危なくなったり怪人が飛び込んできたりすると香織さんはピクリと華奢な体を揺らす。
怖いなら見なければ良いと言うと怖いのが良いのですと言って香織さんは怒る。
たまに俺の好みのアクション物を借りて来た時は大抵寝てしまう香織さんの肩を支える羽目になる。
ヒューマンドラマの時は一緒に泣いたり、コメディを借りてきた時はクスクスと笑いながら一緒に手を叩いたりする。
恋愛物を借りてきた時はちょっと肩を離して座る。
ラブシーンになると香織さんはわざとらしくオレンジジュースを作ってきますなんて言って席を外すのが可笑しい。

誰にだって趣味はある。
女の子がホラーを好きだって良いと思う。
将棋盤を相手に難しい顔をしている香織さんの相手も楽しいのだけれど。
はらはらする場面ではいてもたってもいられないとスカートをパタパタと叩き、怖い場面では思わず目を瞑る。
感動する場面ではハンカチを握り締め、楽しい場面では手を叩く。
映画を見ているときの香織さんの横顔は面白いほどくるくると変わる。

香織さんは映画館に行った事があるんだろうか。聞いた事はない。
一緒にポップコーンを齧ったりジュースを飲んだりしたら楽しいと思う。
飛び出てくる怪人に思わず悲鳴を上げたり、はらはらしながら手を握りしめたり。

今度誘ってみようと思う。
きっと楽しいに違いないから。
224 ◆/pDb2FqpBw :2005/08/18(木) 20:20:42 ID:+ri4xvmM
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感想ありがとうございます。やる気でるです。

今日の所はこんな感じで。書け次第投下します。

ノシ


自分も喜多さん待っております。
225名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 21:20:43 ID:1YWSlWSm
GJ!!
じわじわと距離が
近付く展開がタマラン
(;´Д`)ハァハァ
226名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 22:56:42 ID:KlQCKUZg
うまいなぁ。細かい描写や何気ないアイテムの配置がいい感じだ
職人さんGJ!
227名無しさん@ピンキー:2005/08/22(月) 07:22:50 ID:IXny6EBN
保守。
228名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 00:23:25 ID:BiSb11C5
 まだ九月に入ったばかりなので、まだまだ夏はそこいら中に残っている。朝だというのに、足を動かせばじっとりと汗がにじむ。
 僕はいつものように、川沿いの土手を通って登校していた。
 むせ返るような緑の香りも後わずかかと思うと、名残惜しく感じられる。といってもこの暑さだけは早いところなんとかなって欲しいものだ。
 ぼんやりとあたりを眺めながら歩いていると、土手にある階段に、人が座っているのが見えた。
 僕はそれが誰なのかを確認すると苦笑の混じったため息をついた。いや、本当は誰かを確認する必要なんてなかった。
 なにせ同じことが週明けの月曜日から、今日木曜日まで毎日続いているのだから。
 相手も僕に気づいたのだろう。慌てた様子で立ち上がり、どんなドン亀にさえ勝ちを譲りそうな速さでとろとろ歩き始めた。
 その止まっているのか動いているのかわからないようなスピードと、平均的男子高校生の歩行スピード。小学校高学年的算数の結果、僕と相手の距離はあっという間に縮まっていく。
 僕がその人物に追いつき、追い越そうとしたときだった。
「お、おう。桐野じゃねぇか。ぐ、偶然だなっ」
 ぎこちなく声をかけてきたのは喜多だった。
 僕は内心で拍手喝采した。
 本当に偶然だ。
 確かに月曜日にはそう思った。
 火曜日。なんだかおかしいなと思いながらも、やはりたまたまだと思った。
 水曜日。土手の階段に座り込んでいる喜多を見た僕は、額に手をやった。そうして、喜多が僕に気づいてのろのろと歩き出し、僕に追いつかれるのを待って、月・火曜日と同じセリフを言うのを聞いて、こっそりとため息をついた。
 そして今日。僕は四回目になるその言葉を、必死に笑いをこらえながら聞いた。
「ほんとに偶然だ、喜多さん。四日連続はすごいな」
「そっ、そうだな!」
 喜多自身は僕が本当に偶然だと信じていると思っているのだろうか。
 まさか、そんなことはないと思うが、彼女のある種の純朴さはなかなか信じがたいものがあるからわからない。
229名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 00:24:39 ID:BiSb11C5
 喜多はただ僕を待ち伏せて、一緒に登校したいだけというわけでもなかった。
 彼女は僕の手に興味があったのだ。
 といっても別にモナリザの手を見て勃起するような手合いとは違う。
 彼女は僕と手を繋ぎたかったらしい。
 それがわかったのは昨日、水曜日だ。
 喜多は僕と一緒に歩いていると、僕の周りをまるで衛星のようにぐるぐる回った。
 最初は落ち着きのない女だと思っていたが、少しすると動きに法則があることに気づいた。
 彼女が僕の周りを動くのは――正確に言うと僕の左右どちら側に回って歩くかは――僕がカバンを持つ手を換えるたびだということがわかったからだ。
 それでも、なぜそんなことをきっかけにうろうろするのかわからないでいると、僕は第二のヒントに気づいた。
 喜多は僕としゃべりながら、ちらちらと僕の手を見ていた。そして、そのたびにため息をついて、自分の手を閉じたり開いたりしていた。
 これだけ手がかりがあれば、さすがに鈍感な僕にもわかる。
 なんと可愛らしいのだろう。
 気づいたとき、僕の頬は不覚にも緩んでしまった。鼻の下も伸びていたかもしれない。さぞかし、しまりのない顔をしていたことだろう。広尾あたりに見られなくてよかった。
「……で、そのだ、なんていうか、きっ、桐野はあたしと手を、つ、つないだりはしたくないのか? いや! 別にあたしが繋ぎたいとかそういうんじゃねぇんだけどさ」
 僕がぼんやりと物思いにふけっている間に、喜多はついに強行手段にでたらしかった。
 しかし、残念ながらその精一杯の強行手段は失敗に終わった。というか、真っ赤になりながら、自分で否定していれば世話はない。
「手?」
 一人遊びでがっかりしている喜多に僕は問いかけた。
「ち、違うぞ! 別にあたしはつなぎたいとか言ってないからな」
 言ってるも同然だ。
 僕は内心あきれながら、とうとうそっぽを向いてしまった喜多の横顔を見つめた。わざとらしく口笛を吹いている。なんだかなぁ。
 しかし、この可愛らしい僕の奴隷は、どうしてこう僕の加虐心を煽るのか。
230名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 00:25:34 ID:BiSb11C5
 この日、僕は喜多の手を握るようなそぶりを繰り返しては、彼女の反応を楽しんだ。
 僕が手を伸ばすと、彼女の動きはとたんにぎくしゃくして、ばね仕掛けのおもちゃのような動きになった。
 会話も上の空になり、ただ僕の手を気にするのが精一杯という有様だ。
 もし手の甲が触れ合おうものなら、もう彼女の顔は真っ赤になる。
 いまさらそれぐらいで照れるような仲ではないだろうに。
 そして今日――。 
 もはや恒例となった会話の後で、僕は考えた。
 ここらで御主人様としてご褒美をあげないとな。
 あんまり焦らしすぎるのもよくない。
「ねぇ、喜多さん」
「なんだよ」
「昨日さあ、喜多さんが言ってたことなんだけど」
「あたしなんか言ったか?」
「僕が喜多さんと手つなぎたくないかってことなんだけど」
「あ、あれか。念のためもう一回言っとくけど、べ、別にあたしがつなぎたいってわけじゃないからな。桐野が……」
 こういう見栄っ張りなところが、喜多の可愛いところだと思ってしまう僕は、だいぶ病んでいるのだろうか。
 僕は彼女の言葉に割り込んだ。
「言われて考えたんだけど、つなぎたい」
「へ?」
「手」
「……手……?」
「喜多さんと手つなぎたいんだけど嫌か?」
「お、お前がつなぎたいなら、い、い、いいけど。……ほらよ」
 喜多が不器用に手を差し出す。
 相変わらずぶっきらぼうな反応だ。
 しかし、口調とは裏腹に、表情は嬉しさをこらえきれないでいるのがよくわかる。きっと尻尾があればちぎれんばかりに振りまくっているに違いない。
 僕は脳内メモに、そのうち喜多に尻尾をつけてやる。ということをしっかり記した。
231名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 00:27:33 ID:BiSb11C5
 にやにや笑いを必死でかみ殺しながら、僕はそっと彼女の手をとった。
 喧嘩慣れしているはずのその手は、柔らかく、少し汗ばんでいた。
 僕が彼女の手を握ると、ぴくりと緊張が走るのがわかった。
「こういうのってけっこういいもんだな」
「そ、そうだな」
「そういえばこの前のことなんだけど……」
「なんだよ」
「……喜多さん。なんていうか」
「おう」
「単語じゃなくて文章でしゃべって欲しいんだけど」
 会話というものは言葉のキャッチボールのはずだ。けれど、今の僕はなんだか壁当てでもしているみたいだ。
 これはこれで楽しいが。
 僕も性格悪いな。
 僕の言葉に悩んだ末に、喜多の選んだ話題は素晴らしかった。
「……きょ、今日もいい天気だな」
 ついに僕の中のダムが決壊した。
「くっ……はははははは。いや、ほんとに、はははは、いい天気だ」
「そ、そんなに笑うことないだろ!」
「いや、だって、いい天気だって、いや、確かにそうだけど、あはははは」
「わ、笑うなっつってんだろ!」
「くっ、くく……いや、ごめん。じゃあ天気の話はやめよう」
「わかればいいんだよ。わかれば」
「でもさ、なんていうか……喜多さんって見た目より可愛いよな」
「可愛い? あたしが?」
「うん」
「ふざけたこと言ってんじゃねえぞ!」
 からかわれたとでも思ったのか、喜多の目がつりあがる。
「いや、本心からなんだけど」
「これ以上言ったらぶっ殺すぞ!」
「喜多さんと話せることがどんどん減ってくなあ」
「そんなくだらねぇことだったら減っていいんだよ」
 周りから見れば、僕達はただのバカップルにしか見えないかもしれない。
232名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 00:29:51 ID:BiSb11C5
 そんな幸せな二人の目の前に立ちふさがる者が現れた。
「おいコラ! 待てや喜多!」
 誰だこの男は?
 見るからにヤンキーといった風だが。
「この前はよくもやってくれたな。おお!? 油断さえしなきゃ、俺がてめえみたいな女にやられるわけねんだよ。ぼこにしてやる!」
 ゲーッ! 先週ボロ雑巾にされたヤンキーの超人!
 形容しがたいセリフのおかげで僕はこの男のことを思い出した。
 元気になって仕返しに来たというところだろう。所々に残っている痣が痛々しい。
 周囲の学生やサラリーマンが、係わり合いになりたくないという顔で足早になった。だが、中にはちらちらとこちらの様子を窺ってくる野次馬根性の旺盛なのもいる。
 僕の手を握っていた喜多の手に力が入った。
「あぁん! お前見たいなバカの相手してる暇はねぇんだよボケっ! また玉潰すぞ!」
 露骨な言葉に、周りにいた学生やサラリーマンが失笑を堪えた。
 男はそれに気づいたのか、ぷるぷると肩を震わせて、怒りで顔色を変えた。
「殺す!」
 血走った目をして、男がのしのしと近づいてくる。
 喜多が戦闘体制に入ろうとした。
 が、そこでふと気づいたらしい。男と罵り合っている間も、ずっと僕と手を繋いでいたことを。
 さすがに手を繋いだままで喧嘩はできない。
 彼女は小さくうなりながら、じっと繋がれている手を見ていたが、やがてあきらめたらしい。
「ちくしょうっ!」
 小声でつぶやくと、名残惜しそうに僕の手を離した。
233名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 00:32:04 ID:BiSb11C5
 喜多が迷っている間に、男はもうすぐそこまで近づいている。
 しかし、喜多はあわてずに、手にしたカバンを男に向かって放り投げた。
 至近距離だったので、男はよけられずに、払いのけることしかできない。
 その隙を狙って、喜多が先日のように、股間に向かって教科書に載せたいぐらいのヤクザキックを放った。
 だが、見事に命中したかと思われたそれは男のひざによって防がれていた。
「せっかく再起不能にしてやろうと思ったのによ」
「てめえのことだからどうせここを狙ってくると思ってたぜクソアマ。ここさえやられなきゃ女のてめえが勝てるわけねえもんなあ」
 男はすばやく喜多の足を掴むと、にやにやとしまりなく笑った。勝利を確信したのだろう。
 確かにいくら喧嘩が上手かろうが、捕まえられてしまえば力の差はいかんともしがたい。
 それまで傍観者だった僕も、さすがにまずいと思い、二人の方へ駆け出した。
 喧嘩なんてろくにしたこともないが、不意打ちを食らわせて喜多と二人でかかればなんとかなるだろう。
 なればいいなあ。
 くそっ!
 僕が馴れない喧嘩のために覚悟を決めていると、男が拳を振り上げた。
 あっ。と思う間もなく振り下ろされたそれは、喜多の顔面に命中する。
「っつ……!」
「痛かったら痛いって言えよ。俺の気持ちがすっきりするからな。泣きたくなったら泣いていいぜ。許さねえけどな。ひひひ。あれ、お前の男か? お前をぼこぼこにしたら次はあいつもついでに殺ってやる。」
 男は聞く者を不快にする調子でしゃべりながら、喜多の頬をもう一発張った。
「テメエ……!」
 喜多が低い声でつぶやいた。唇の端からは血が流れている。
234名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 00:34:18 ID:BiSb11C5
 ぶっ殺してやる!
 怒りと殺意が激しく湧き上がった。
 僕はジェダイにはなれない。フォースの暗黒面に捉えられてしまった。これからはダース・桐野を名乗ろう。
 女に手をあげられて落ち着いていられるか!
 ぶっ殺してやる!
 あのむかつく男の顔面に照準をセットし、拳を叩き込む。後先なんて考えていられない。
 と、そこで喜多が大きく状態をそらした。
「死ね! このボケっ!」
 足を掴まれてるのにたいしたもんだと感心する間もなく、伸びきったばねが縮むように勢いよく頭が振られた。金髪がスローモーションのように尾を引いた。
「ぐぇっ、がこ」
 蛙のような悲鳴をあげて、男が鼻を押さえた。指の隙間からぼたぼたと勢いよく鼻血が零れ落ちる。
 なんと見事な頭突き。
 喜多がよたよたと後ずさる男との距離をずんずん詰める。
「根性だせやコラァ! 痛かったら痛いって言え! 言っても許さねぇぞボケっ! 桐野は関係ねぇだろがぁ! 桐野はぁ!」
 ハスキーな声が喜多の口から飛び出した。決してドスがきいた声というわけではない。……さすがに今のは自分をごまかすにしても白々しすぎたか。
 ここは素直に賞賛しよう。さすがヤンキーだ。
 嫌々をするように、男が手を突き出して喜多を拒もうとするが、そんなもので止まるわけがない。
「勘違いすんなよ。あたしがてめえのフニャチン狙うのは、お前みたいな馬鹿の相手に時間かけたくないからだ……よっ!」
 今度のヤクザキックは見事に命中した。もちろん哀れな男の股間に。
 口をパクパクさせて、今度は股間を押さえる男。鼻だったり玉だったり、忙しいことだ。
235名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 00:35:10 ID:BiSb11C5
 しかし喜多の怒りはまだ収まらない。
 腰砕けになって股を押さえている男の股間にさらなる一撃を加える。手で覆われていようがお構いなしである。
 僕は同じ男として絶対にあれは食らいたくないと思ったが、同情はしなかった。当然の報いだ。
「へぎょっ!」
 ぐるりと男が白目を剥いて崩れ落ちた。再起不能だ。
 これで終わりだと野次馬達は思ったに違いない。
 しかし、僕は知っている。まだおまけがあるであろうことを。喜多はサービス精神が満点なのだ。きっとスマイルも0円なぐらいに。
「気絶したフリなんかで騙せると思ってんのかぁ!? この腐れヘニャチンが!」
 いいえ、喜多さん。彼は完全に意識を失っていますよ。そのへんで勘弁してあげたらどうですか。
 僕の勇気ある心の声は彼女には聞こえなかった。残念ながら僕はエスパーではないらしい。
 僕に超能力がないことが判明した間にも、喜多は男を蹴りまわしている。
「なにあたしの顔殴ってくれてんだよっ。痣ができたら桐野に見せらんねぇだろ!」
 なかなか可愛いことを言ってくれるのだが、おまけで血しぶきがついてくるのがやりきれない。こんなハッピーセットは遠慮したい。
「このぼけっ。あたしの幸せな時間を何度も邪魔しやがって。なんか恨みでもあんのか!」
 あるから喧嘩を売ってくるんだろう。
「ちくしょうっ! やっと、やっと手、手を繋げたのにっ!」
 思わず本音が出てしまったらしい。
 慌てて口を押さえると、喜多は僕の様子を伺った。
 心やさしい僕は、もちろん、にっこり笑って聞こえないふりをしてあげた。
236名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 00:37:29 ID:BiSb11C5
 それに安心したのか、彼女は最後に男の頭を思い切り踏みつけると、これで勘弁してやると言い放ち、僕のほうに戻ってきた。
 男の鼻は変な風に曲がっていた。さぞ治療費が高くつくことだろう。
 前回も思ったのだが、血のついた靴で僕の方に向かってこないで欲しい。すごく怖い。
「……前も言ったかもしれないけど、いつもこんなことしてるわけじゃないからな」
 ひどく説得力に欠ける言葉だ。
 ま、それはいい。
「わかってる。それよりも喜多さん」
「なんだよ?」
 まだ喧嘩の興奮が冷めやらないのか、上気した顔ではぁはぁ言っている。なんだか妙な気分になりそうだ。
 ま、僕の変態的な性欲は差し引いて考えたとしても、喧嘩を終えたばかりの喜多はいきいきして見えた。
 綺麗だ。正直にそう思う。
 おっと。思考が横にそれた。僕には伝えるべきことがあったんだ。
「鼻血でてる」
 僕が小さな声で教えてあげると、喜多はあわてて制服の袖でそれをぬぐった。耳まで真っ赤になっている。
「ちょっ、ほら、そんなので拭かないで。ハンカチ貸してやるから」
 なんか、普通は逆のような気がするけど。
「おう。ありがと。あ、あんま見んなよ。間抜けな顔になってんだから」
「名誉の負傷ってやつだねえ。ちょっとよく見せて……あんまりひどいことにはなってなさそうだけど、学校に着いたら保健室に行こう」
「いいよ、これぐらい」
「だめ。これは御主人様の命令だ」
「わかったよ。行けばいいんだろ、行けば」
「わかればよろしい。あとでご褒美をあげよう」
「ごっ、ご褒美」
 なにを想像したのか、喜多は奇妙な身振りでじたばたと身悶えた。
「それとね、ちょっとこっち来て」
「お、おう」
 僕の手招きに応じて身を寄せる喜多の耳元でささやく。
「あのときはおちんちんだってなかなか言ってくれないのに、喧嘩のときはフニャチンだなんだって大きな声で言えるんだな」
「ばっ、てめ! 声が、い、いきなりなに言いだすんだよバカっ!」
 羞恥に頬を染めながら、喜多がうろたえにうろたえて僕の口を押さえつけた。
 周りの人間はすわ第二の犠牲者かとざわついたが、きょろきょろと辺りを窺う喜多を見て、そうではないらしいと、僕達への興味を失いそれぞれの目的地へと足を進めだした。
「きゅ、急にとんでもないこと口走るな!」
「ふがむんが……」
「黙れっ」
 このままずっと話せないわけにもいかない。
 かといって、喜多はそうやすやすと手を離してくれないだろう。
 僕は口をふさいでいる彼女の手の甲に指を伸ばした。力はほとんどこめない。まるで愛撫するように優しく撫でさする。
「んひっ!」
 目論見どおり、喜多は情けない声をだしながら弾かれるように飛び退いた。
「な、な、な……」
 驚きのあまり言葉も出ないようだ。
「はぁ、苦しかった」
「苦しかったじゃねぇだろボケっ! いきなりなにするんだ」
237名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 00:39:05 ID:BiSb11C5
「手を触っただけだ」
「……」
「でもあれだけなのにあんな声だして、喜多さんはやっぱり敏感だなぁ」
「きっ、き……」
「き? なに?」
「桐野っ!」
 顔に血を昇らせて怒鳴る喜多さんを見て、僕はこれぐらいにしておくかと考えた。
 僕の視界の下のほうにいる、あの哀れな男のようにはなりたくない。デッドリストに追加される訳にはいかないのだ。
「喜多さん、急がないと遅刻するよ。結構時間食ったから。ほら」
 手を差し出す僕をきょとんとした顔で見ていたかと思うと、一拍置いて喜多の頬が緩む。
「おう」
 仏頂面の彼女。違うな。仏頂面のフリをしている彼女――これで隠せていると思っているだから凄い――は、おずおずと手を出した。
 間違いなく役者にはなれないな。こうまで思っていることが顔に出やすいようじゃ。ギャンブラーも無理だ。ポーカーフェイスなんて夢のまた夢だから。
 僕達は、その後もぎこちない会話を繰り返しながら登校した。
 残念ながら、学校が近づき周囲に生徒が増えると、喜多は繋いでいた手を離してしまった。
 どうやら他人の視線が気になるらしい。いわゆる一つの硬派な女である彼女からしたら、男と仲良くしている姿を見られたくないのだろう。
 そのくせ、残念そうにしている。
 やれやれだ。
 教室に入ると、とたんに広尾が突撃してきた。
「よぉ、いい加減に先週なにがあったのか教えろって」
 これも今週に入ってからの恒例行事の一つだ。
 僕は机にかばんを置くと言ってやった。
「色々だ」
「てきとー言ってんじゃねぇって。もうそろそろ一週間になるんだから時効だろ? 親友の俺にだけ教えろよ」
238名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 00:43:01 ID:BiSb11C5
「喜多に聞いてこいよ」
「馬鹿なこと言うなって。お前も見てたくせに」
 広尾が顔をしかめながらおでこをさすった。
 今週の月曜日に、広尾は今日と同じような質問をしてきた。
 答えない僕に見切りをつけたこいつは、それならばと喜多のほうにいったのだ。
 最初から、まとわりついてくる広尾をうっとおしそうに見ていた喜多だが、そのうちに我慢の限界がきたのだろう。おもむろに広尾の胸倉を掴むと、頭突きをかまして黙らせた。
 広尾はふらつきながらも自分の席に戻ると、一時間目の授業中ぴくりとも動かなかった。
「だったらもうあきらめろよ」
「馬鹿言ってんじゃねぇよ。なんとかして喜多にコネつくっとかねぇとな」
「なんで」
「前も言っただろ。女の子紹介してもらうんだよ」
 僕はわざとらしくため息をついた。
「やっぱ普段回りにいないタイプの女の子は新鮮でいいからな」
 効果なし。ため息は広尾に効かなかった。
 そういえばコイツは皮肉に耐性があったか。
「しゃあねえからな。お前が教えてくれればいいよ」
「なにを?」
「アレ系の女の子の落とし方」
「馬鹿か、お前」
「俺みたいな顔も運動神経も、金だってある完璧超人よりもお前みたいなのを選ぶ理由なんて、お前がなんか特別な手段を使ったとしか思えないだろ。俺に惚れないなんておかしいぜ」
 確かに常識の目で見ればコイツはもてるだろう。コイツの人生にタイトルをつけるとしたら『広尾宗利の優雅な生涯』とでもいうものがふさわしい。
 顔はイイ。百人いれば九十五人はかっこいいと認めるだろう。残りの五人は特殊な趣味の方だ。
 運動神経も抜群で、昔は野球をやっていてエースで四番だった。今はサッカーをやっている。去年は国立に行った。競技が変わっているのはそっちのほうがもてるからという理由だ。
 親が明治から続くという会社グループを経営しているので大金持ちだし、家柄もいい。なんでも元華族らしい。しょっちゅう家に元大臣だとかそういう人間がやってきている。
 残るは頭だが、これも悪くない。成績は上の中といったところだ。
 ただ性格が軽い。軽すぎる。
 その上、学校の勉強はできるのだが、いわゆる磯野カツオ的頭の良さがまるでない、能天気な男だ。
 それでも大抵の女性は僕と広尾を比べた場合、広尾を選ぶだろう。
「人徳だよ」
 僕は言ってやった。
「はぁ?」
「それか運命だ」
 広尾が馬鹿にすんなと怒っている。
 確かに僕も不思議だった。
 なぜ、喜多は僕を好きになったのか?
 先週末、彼女と一緒に過ごしたときに、僕もそれを尋ねたのだから。
 きっかけは本当に些細なことだった。僕自身が忘れていたようなことだ。
239名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 00:49:57 ID:BiSb11C5
毎回、ありがたい感想、続き希望のレスありがとうございます。

最初は前回で終わりのつもりだったのですが、まだ続くと勘違いされていた方がいたのもあって、
確かに中途半端だと思い直し、続編を投稿させてもらいました。
全部で4、5回の投稿になると思います。
ご意見、ご感想よろしくお願いします。
240名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 00:52:25 ID:wREVJq10
リアルタイムGJ!
手ぇ繋ぎたがってる喜多さん可愛いよ喜多さん。
正直、喜多さんとかおりさんさえ居ればもう何もいらない。
241名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 01:00:51 ID:n70RLCYH
喜多さん、可愛過ぎる…
でも強くてカコイイ!
242名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 01:01:44 ID:8TWZPGr+
うおっ、今リアルタイムで読んでた事に気づいた・・・。
ともあれ今回もGJ!
次回も楽しみにしています!
243名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 01:03:56 ID:Be/zj7Yd
GJ!!GJ!!
喜多さん待ってましたー!!
続きがかなり気になるね。
何故喜多さんが桐野を好きになったのか。
楽しみにしてます!
244名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 01:18:19 ID:Haq+pT6O
>「根性だせやコラァ! 痛かったら痛いって言え! 言っても許さねぇぞボケっ! 桐野は関係ねぇだろがぁ! 桐野はぁ!」

この台詞の最後に「おーっ!?」が抜けてますよ、旦那。

と言う冗談はうっちゃってGJ!
相変わらず素晴らしい! 堪能させて頂きました。
245名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 01:33:58 ID:mx6x3UbH
ツボに嵌ったwwww
可愛いよ喜多さんwwwww
246名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 02:41:59 ID:OqwIJXZw
喜多さん喜多さん喜多さんきたさーーーん!!!!!
247名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 02:58:51 ID:SPq0h3Y5
キタキタキタ――――!!

喜多さん可愛いなあ。これからねっとりとした週末の顛末が読めるのですね?
ハァハァしてテカテカしながら待ちます。
248名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 10:31:39 ID:Th27euRX
喜多さんキターーーーー
きっかけが超気になる
249名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 11:21:28 ID:PBNHsuhi
キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
喜多さん可愛えぇ……
250名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 20:43:40 ID:iVXYAagb
うおぉっ、キタ来た喜多〜〜〜〜(゚∀゚)〜〜〜〜!!
密かに待ち続けていた甲斐があったと言うもの…GJ!
そして、更に続きがあるのか…ワクテカしながら待ってます。
251名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 01:22:10 ID:Fg3Hpx98
kita----------!!
252名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 01:49:58 ID:3Jc9PScK
北――――――!!!!!!!!!!!!!!!!
253名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 09:35:04 ID:PbBqdzlZ
>>245-252
こんなにいたのか……
254名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 21:17:36 ID:6nU7Njrb
キタ━━(゚∀゚)━━!! キタ━━(゚∀゚)━━!!キタ━━(゚∀゚)━━!!キタ━━(゚∀゚)━━!!キタ━━(゚∀゚)━━!!キタ━━(゚∀゚)━━!!キタ━━(゚∀゚)━━!!キタ━━(゚∀゚)━━!!
255名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 21:21:41 ID:kO+EbROA
>>253
> >>245-252
> こんなにいたのか……

すまん
うち7つが俺だ
256名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 22:06:32 ID:Raai93QX
>>255
となると俺を含め3人か
257名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 22:14:51 ID:Xyv4DLAN
お前マジで頭いいな
258名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 23:24:59 ID:YjwKJjc+
ノシ
俺もいる
259名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 00:49:51 ID:DhaBY+Xv
今になって全部読んだ。すげえイイ。
続きを今から正座して待ってます。全裸で。
260名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 17:52:05 ID:h5TC8nSq
>>255
お前こんな短期間にこれほどの自演をするとは自演のプロだな。
つーかほんとに自演?
261名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 21:46:45 ID:kceS0YyT
喜多キタ〜書き込みの一人、>>250がやって来ましたよ。
作者さんのサイトを確認してみたけれど、
まだ今回の新規執筆は保存していない様子…。
更に続編書き上げたら、一気に保存するのかなぁ?
作者さん、焦らずゆっくり書いてくださいね。
262名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 21:49:27 ID:IRfUCfsm
お前マジで頭いいな
263名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 06:04:23 ID:Xr1o7Npf
 
264名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 01:03:24 ID:nbEgpv0L
 先週の金曜日の放課後。すでに腰砕けになってふらつく喜多を支えながら、僕は自分の家に向かった。
 荒い息を吐きながら、切れ切れに僕の名前を呼ぶ彼女を、物陰に連れ込んで押し倒したくなるのを何度我慢したことか。
 広尾の家を取り囲む、やたらと長い壁が終わりに近づく辺りで、僕はポケットに手を突っ込んで鍵を取り出した。
 おお、麗しの我が家よ。隣の家が馬鹿でかいせいで小さく見えるが、平均的な一軒家よ。
「桐野の……家? お、親とかいるんじゃないのか」
「大丈夫。今は誰もいない」
 うちの父親は現在単身赴任中でアメリカにいるのだが、先週、母親が父に会いたいと、突発的に飛行機に乗り込んで自由の国へ旅立ってしまったのだ。
 僕が学校から帰ると、テーブルの上に『アメリカに行ってきます。帰りは一ヵ月後ぐらいになると思います。おみやげに弟か妹を仕込んできます』というふざけた書置きと、福沢諭吉を数人残して。
 おかげで先週から唐突な一人暮らしをすることとなっていたのだが、その際の炊事に関する艱難辛苦は置いておくとして、今の僕はこの状況を心から感謝したい。
「なんだったら泊まっていってもいいぐらいだ」
「と、泊まりはまずいだろ」
「嫌だったら無理にとは言わないけど」
「い、いや、その、あれだ。桐野が泊まって欲しいって言うなら、そうしてやってもいい」
「……そのことについては後で話し合うとして、とりあえずあがって」
 僕は彼女をリビングに連れて行った。
 テーブルを挟んでソファに座る。テーブルには紅茶の入ったポットと二つのカップ。
「ここで……するのか?」
 おそるおそるといったふうに彼女が尋ねてきた。
 目の前に出したカップを手に取ろうともしない。
「なにを?」
「なにをって! は、はやくしてくれないとあたしはもう……!」
 よほど切羽詰っているのだろう。情欲に負けた瞳を濡らして僕に懇願してくる。
「まあまあ、落ち着いて」
 僕はゆっくりと立ち上がると、喜多の座っているソファに向かった。
 これからされることへの、期待と恐怖がせめぎあっているのか、喜多は目の前に立った僕をおどおどと見上げた。
 この気の強いはずの彼女が見せるこうした姿が、僕をたまらなくする。
265名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 01:05:33 ID:nbEgpv0L
「き、桐野?」
 不安げな問いを無視して、僕は喜多を引っ張り上げると、背後に回りこんだ。そのまま彼女を抱えるようにしながら、ソファに体を預ける。
 僕は喜多をひざの上に載せると、セーラー服のすそに手をもぐりこませた。
「え? あ、き、桐野っ!?」
「なんでうろたえるんだよ。して欲しいんだろ、喜多さんは?」
「こ、こんな急にしなくてもっ、んにっ!」
 僕が胸を軽く刺激すると、喜多はとたんに身をよじった。
 相変わらず、彼女の乳首は恥ずかしがりやで、まだ姿を隠したままだ。
 わずかに盛り上がっている乳輪を人差し指でこするようにしてやる。
「ひぁ、っ! ちょっ、あ、くぅっ、シ、シャワーとか……は」
「そんなのいらないよ」
「あ……あたしが嫌だっ!」
 逆らう奴隷にはおしおきをしなければ。特にこの奴隷はしつけをすぐに忘れるからな。
 胸の真ん中の小さなくぼみに指を押し込んでやる。奥には出てきたくてたまらないくせに、隠れたままの先端がある。それをぐりぐりとこね回す。
「ひっ、あ……ぁう、すごひっ」
「喜多さんはすぐに忘れるよな。僕がご主人様で?」
「む、胸、もっと弄って……」
 敏感な彼女はすでに、半分意識がとんでしまっている。
 僕は乳輪をつねりあげた。もちろん、まだ陥没したままでだ。
「ひきぃっ!」
「もう一回聞くぞ。僕がご主人様で、喜多さんは?」
「ろ、ろれいれす」
 喜多はそれだけ言うのが精一杯だった。後は、はぁはぁと荒い息をつくだけだ。
「よくできました。それではご主人様からのプレゼントだ」
 僕は彼女のあまり豊かとは言えない胸の先端のスジを指で押し広げてやった。すると、それを待っていたように、ぷるんと尖りきった乳首が姿をあらわす。
 それだけで喜多には快感なのか、うっとりとした表情で吐息を漏らした。
 しかし、これからが本当のプレゼントだ。
 僕は遠慮なく、出てきたばかりの、柔らかな先端を思い切りつねりあげてやった。
「ひっ! ひぁぁぁぁあぁ!」
 甘い悲鳴をあげながら、喜多はがくがくと痙攣して気絶してしまった。
「すごいな。これだけ敏感だとちょっとうらやましいぐらいだ」
 半ばあきれながら、気持ちよさそうに気を失って、ぐったりしている彼女を抱えなおす。
 僕は少し痛んだ金髪に顔をうずめると、喜多の匂いを吸い込んだ。
266名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 01:07:45 ID:nbEgpv0L
 しばらくの間、喜多を抱えてぼんやりしていたが、ただ起きるまで待っているというのも芸が無いと考え、僕は彼女を抱えて自分の部屋に連れて行くことにした。慣例を重んじるタイプなので、もちろんお姫様抱っこでだ。ガラが悪すぎるお姫様ではあるが。
 こういうときに体をもっと鍛えて置けばよかったと後悔する。現実は一瞬でムキムキでモテモテというわけにはいかないのがツライ。
 布団の上に彼女を寝かせた僕は、いまだ目を覚まさない彼女を見下ろしながら考えた。
 さて、これからどうしよう。
 せっかくだから、僕は喜多の服を脱がせるぜ。
 どのみちセーラー服の下にはなにもないのだ。着ていようが、いまいがたいして変わりは無いだろう。
 欲望に言い訳を与えてやると、僕は早速作業にかかった。
 自分を誤魔化すのが得意でよかった。
 意識の無い人間の体というのは動かしにくいものだ。それでも僕はあっという間に彼女を裸にしてしまった。
「……いい」
 思わず口からでた声に、自分でも驚いてしまったが、喜多の体はきれいだった。
 すべすべとさわり心地のよさそうな滑らかな肌だ。全体的に少々脂肪が足りない気もするが、これは好みの問題だろうか。
 しかし、豊満な喜多というのも想像しがたいから、これがベストなのかもしれない。
 華奢とも見える体なのに、よくあんな無茶ができるものだ。その危なっかしさがたまらないというマニアもいそうだが。
 閑話休題。とにかく、喜多の体はスレンダーとはいえ、十分に柔らかそうな女の体だった。第一、柔らかさに関しては、すでに僕は確認済みだ。一部だけど。
 小ぶりな胸の先端は、まだかたくなったままである。それを口にしたい誘惑をこらえ、僕は視線をおろしていく。
 小さなおへそで一瞬視線が止まったが、すぐにさらに下へ向かう。
 そこは綺麗に手入れされていた。見苦しくないように形を整え、かといってやりすぎという感じではない。あくまで自然な風だった。
「どっちかって言うと……毛深いほうかな……?」
 ぽそりと漏らすと、喜多の眉がほんの少ししかめられた。ような気がした。
 まさか起きてるんじゃないだろうな。
 僕はあわてて口をつぐみ、喜多の様子を窺った。
 やはり、まだ寝ているようである。
 無意識にでも反応したとしたら、以外に気にしているのかもしれない。あとで聞いてみよう。
267名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 01:12:27 ID:nbEgpv0L
 いよいよ残すは一箇所となったが、肝心な部分は閉じられた太もものせいで見ることができない。
 閉じられているといっても、ぴったりというわけではなく、脚の付け根のほうに隙間があるので見ようと思えば可能なのだが、楽しみはあとに取っておくことにする。
 僕はひとしきり眠れる美女を愛でると、起こさないように気をつけながら、彼女を抱き起こし、背後から抱え込んだ。
 こんなに抱き心地のいいものは他にないだろう。すべすべで、もちもちで、むにむにで。その上、いい匂いまでする。
 喜多の重みを感じながら、僕は彼女の胸に手を延ばした。
 ゆっくりと胸が盛り上がり始める部分を指でなぞり円を描く。
 滑らかな肌の感触に感動しながら、僕は指に力を込め、ふくらみを少しばかり押し、弾力を試す。
 時折、頬を突いてやっても彼女は目を覚ますそぶりを見せない。
 ついで、僕は胸を揉みしだいた。しかし、先端には触れないように注意深く。その小さな胸を無茶苦茶にしてやりたくなるのを我慢しながら。
 愛撫というより、マッサージのようにふくらみを軽くこねる。
 しばらくそうしていると、喜多の顔が次第に緩んできた。決してだらしなくというわけではなく、心地よさそうな表情だ。
「ん……む……」
 なにか夢でも見ているのか、時々くすぐったそうに微笑むのが可愛らしい。
 僕もそれに気をよくして、さらに喜多の夢を素晴らしいものにするため、指を動かしていく。
 あくまで乳首には触らない。弄りたい気持ちは当然あるのだが、そこは刺激が強すぎるため、一瞬で目を覚まさせることになってしまう。それは僕の本意ではない。
 なだらかなふくらみをゆっくりと丁寧に揉みしだく。
 喜多を焦らすようにそうしていると、息がじょじょに荒くなってきた。
 ときおり切なそうに身をよじり、唇からは僕を誘うように小さな隙間ができて、そこから甘い声を漏らしている。
 思わず、柔らかくふるふるした唇にキスを落とすと、あっさりと我慢の限界に来て、思わず彼女の耳たぶに歯を立ててしまった。こんなにおいしそうなんだからしかたがない。
 彼女の匂いを心行くまで吸い込みながら、弾力ある耳たぶの感触を愉しんでいると、喜多の体が大きくびくりと痙攣した。
「ん? ぉわっ!」
「ぐあっ!」
 突如跳ね起きた彼女の頭に、見事に鼻をやられて僕はのけぞった。
 そんな僕の苦しみも知らずに、彼女は自分の体を不思議そうに見つめている。
268名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 01:14:45 ID:nbEgpv0L
「あれ? なんであたし裸なんだ。……さっきのリビングじゃないぞ。うわっ! 桐野!」
 彼女の背後で鼻を押さえている僕に気づいた喜多が、驚いて振り返る。
「てっ、てめぇ! あたしが寝てるあいだになにしやがった!」
 喜多が僕から跳び退り、手近にあったタオルケットで体を隠す。あわただしいことだ。
 僕はというと、じんじんと痛む鼻を押さえているばかり。まさか鼻血はでないだろうな。
「あたしの服はどうしたっ!」
「諸般の事情で脱がせていただきました」
「このボケっ!」
 わめきはするが、自分の格好が気になるのか、喜多は僕を睨むだけでなにもしてこない。
 この隙に、できる限り言い訳をさせてもらおう。
「いや、喜多さんの寝顔があまりにも可愛かったせいで……」
「お、お前はそう言うことを言えばあたしが黙ると思って」
「本心だって。あんなに気持ちよさそうに寝てたら誰だってその手伝いがしたくなるよ。抱きしめてキスしたくなったぐらいだし」
 喜多は左右の指を合わせ、もじもじしながら、顔を真っ赤にしてぶつぶつ言い出した。
「手伝いっつっても、なんで裸にすんだよ。寝てる間にこそこそしなくても、別にあたしは、その……桐野が脱がしてくれるなら、なっ、て、なに言わせんだよ、もう」
 声が小さすぎてよく聞こえなかったが、こういう場合の彼女はたいていこちらが赤面するようなことを言っている。
 聞き取れないことを喜ぶべきか、悲しむべきかは置いておいて、この数日の付き合いで僕はそれを学んだ。
 しかし、一人で遊ぶのが好きだな。
 このぶんだと、もう言い訳も必要ないだろう。
 話がそれたついでに、あれも聞いておこうか。
「喜多さん」
「……ん? お、おお。なんだよ」
「いや、前からずっと聞きたいことがあったんだ」
「改まってなんだよ」
「すごい疑問なんだけど」
「もったいぶんなよ」
「どうして僕を好きになったんだ?」
 喜多はまさに開いた口がふさがらないという顔をしてみせた。
 ぱちぱちと瞬きを繰り返し、僕をじっと見つめる。
「そ……そんなこと言えるかボケっ!」
 包まっているタオルケットに顔をうずめて、じたばたもがく。
 すらりと伸びて収まりきらない足も暴れまわるって、喜多の感情を表現しているようだ。
 危うく僕がけられるところだった。
 照れ隠しにしては少々過激すぎる。
269名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 01:16:40 ID:nbEgpv0L
「僕としては、どうして喜多さんみたいな女の子が僕を気にするようになったのかすごく不思議なんだよ」
「まぁ、あたしは確かに桐野と違ってヤンキーだけどよ」
「いや、そういうことではなくて。喜多さんみたいな可愛くて、かっこいい美少女がどうしてって意味で」
 自分で言ってて歯がガタガタ浮きそうだが、いくぶんかは本音も混じってるってことで勘弁してもらおう。
 喜多は、僕の美辞麗句を真に受けたのかどうかわからないが、きらきら輝く瞳で僕を見つめている。感動しているのだろうか。
 喜多はうつむきながら、ちらちらとこちらの様子を窺っている。
 彼女と目が合った。僕は吹き出しそうになるのを必死でこらえ、できる限りのしんけんな顔をつくる。
「桐野だってかっこいいぜ」
 その言葉は嬉しいが今聞きたいのはそんな寝言ではない。僕ってひどいヤツか?
「僕自身はそうは思えないんだ。だからなにかきっかけでもあれば教えて欲しい」
「いや、でもそれはさすがにな? マジで恥ずいしよぉ」
 だめか。仕方ない、方針転換だ。
「わかったよ、喜多さん。こっち来て」
 僕は両手を広げて彼女に呼びかけた。
「え? なんだよ急に。抱っこはいいって、恥ずいし」
 なんだかんだ言いつつ、まんざらでもなさそうに僕のほうにやってくる。
「あたしは嫌なんだからな。桐野が言うから仕方なく……あっ」
 白々しい言葉を重ねる喜多の手を引っ張り、無理やり抱きかかえる。
 僕の腕の中に収まった途端、彼女はおとなしくなった。今からなにをされるのか想像がつくのだろう。
「ねえ、喜多さん」
 僕は彼女を覆っているタオルケットの上から、胸に手を伸ばした。
「ん……」
 敏感な彼女はそれだけで、小さく声を漏らす。
 僕はそれに答えるべく指に力を込めた。
 しかし、布一枚挟んだままではもどかしいのか、喜多は胸を僕の指に押し付けるようなそぶりを見せる。
「あれ? なんか喜多さん自分から胸を突き出してないか?」
 びくりと喜多の体がこわばった。
「そ、そんなことしてねえよ。ふざけたことぬかすとぶっコロスぞ」
「僕の気のせいだったらいいんだ」
270名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 01:19:59 ID:nbEgpv0L
 僕はタオルケット越しにもわかるぐらい尖っている乳首を指で軽く弾いた。
「ぃっ……!」
 唇をかみ締め、ぎゅっと体を縮めて快感に耐えている喜多はすごくいじめがいがある。
 今までずっと我慢してきたぶん、思う存分乳首を弄らせてもらおう。ただし、直接は触らない。
 これはあくまで交渉のための手段だからだ。この方法のすばらしいところは同時に喜多いじめもできるということだ。
 小さな胸全体をこねくり回すようにしながら、たまにその先端を摘み上げてやる。すると、そのたびごとに喜多の背筋がびくりとのけぞった。
 数回それを繰り返すと、彼女はたまらなくなったのか、荒い息をつき始めた。
「きっ、桐野……そ、そろそろ」
「なにがそろそろなんだ」
「んっ……んにぃっ。はぁ、ちょく……せつっ……ぅ!」
 たずねながら、両方の乳首を軽くねじり上げると、喜多は悲鳴混じりに懇願してきた。
「よく聞こえないんだけど」
「これ取ってぇ……。直接、おっぱい触ってくれよぉ」
 体をねじり、僕を見上げる喜多の切れ長の瞳は快楽に酔って潤んでいる。
 僕もそれに応えて彼女をめちゃくちゃにしてやりたいが、そうはいかない。
 今こそネゴシエイト成功率97.5パーセントの力を見せてやる。
 喜多のあごに指をかけると、優しく語り掛ける。
「喜多さん。物事を頼むときには対価がいるんだ。直接触って欲しかったら、僕のお願いも聞いてくれないと不公平だろ」
 喜多は僕の言葉にがくがくとうなずいた。
「わかったから、はやくっ、聞くから、はやくっ」
 ほんとにわかってるのか? まあいい。
「よし。じゃあ僕のお願いは、喜多さんがどうして僕を好きになったきっかけを教えて欲しいだ」
「それは……!」
 あっさりとうなずくかと思ったが、よほど抵抗があるらしく。この期におよんでもまだ言い難いらしい。
「せっかく喜多さんが気持ちよくなれるチャンスなのになぁ」
 今まで以上に力を込めて胸をまさぐりながら、耳元で一言一言噛み締めるようにゆっくりとささやく。
 喜多はすぐに、ハイ、と言いそうになったが、慌てて自分の口を押さえてしまった。
 そうまで強情を張られると余計に燃える。
271名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 01:22:26 ID:nbEgpv0L
 僕は指で乳首をつまみ上げると、くにくにと潰すように愛撫した。
「んっ、だ……だめだ。それだけはっ、んん……ぃっく」
「直接触ったりしたらもっと気持ちいいだろうな……。指だけじゃなくて、舌も使ったりして」
 胸をいじる時間が長引くにつれて、喜多の瞳がとろりとし、吐く息もしだいに切羽詰って、小刻みになってきた。
「このままずっとイケないなんて辛いだろうなぁ」
 喜多の耳に舌を這わせ、耳たぶを甘噛みしてやる。
「っん……わ、わかったぁ! なんでも話すからイかせてくれっ!」
「よろしい」
 僕は強引に彼女のまとっていたタオルケットを剥ぎ取ると、布団に押し倒した。
 彼女の小さな胸は仰向けになっても形が崩れることなく――もともと崩れるほどの膨らみがないという話もあるが――濡れたようなピンク色の先端が尖って僕に弄ばれるのを待っていた。
 どこか恍惚とした表情で喜多は僕を見上げている。
「桐野っ……! 早く、し……」
 僕はみなまで言わせなかった。
 彼女が限界だったように、僕も限界だったのだから。
 迷うことなく、喜多の胸に口付けをおとす。
 彼女が切ない呻きをもらした。いや、それだけではない。さらなる刺激を求めてか、僕の頭抱え込み自分の胸に押し付けるようにする。
 僕はそれを振り払うことなく、胸を味わいつくすように舌を這わせた。
 よだれでべとべとにするように舐めては、ちゅうちゅうと音を立てて吸い、喜多の反応を愉しんだ。
「そこぉっ! ああ……ひっ、ひぁっ、くぅぅうっ! やっ、ぁん、もう、ぃや……っ」
 待ち望んだ刺激を全身で受け止めながら、喜多は快楽に溺れていった。
 すっかり充血しきった乳首を舌で弾き、こんもりと膨らんだ乳輪に歯をたてる。
「嫌ってことはないだろ。自分からしてくれって言っといて」
「いぃっ……。やっぱり、あらし……桐野じゃなきゃらめらぁ……」
 そうまで言われたら僕も頑張らざるをえない。
 気をよくしながら、空いているほうの乳首に爪を立てて引っかくと、喜多が甲高い悲鳴をあげた。
 僕にしがみつきながら、嬌声をあげる喜多の様子に、僕の征服欲はますます高められていく。
272名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 01:25:51 ID:nbEgpv0L
 ここまできたらこっちも。
 僕は自由な手を喜多の下腹部に伸ばした。
 すると、それに気づいた彼女は身をよじって逃げようとする。
「そ、そっちは、あっ! んいぃっ!」
「いまさらなに言い出すんだよ。喜多さんをいじめてやろうってのに」
「でも、怖い……」
 喜多が僕の腕に手をそえた。
 不安げな彼女を黙らすために、僕は切なげにわななく唇をふさいだ。
 突然のくちづけに驚いて、大きく眼を見開いた彼女だったが、すぐにまぶたをおろして僕を受け入れた。
 軽く唇を触れさせるだけのキス。
 それで安心したのか、喜多の体から力が抜けて、リラックスしていく。
 指先で彼女の茂みをいじると、しょりしょりと小気味よい音がした。
 そこで僕はふと思い出した。
「喜多さんって毛深いほう?」
 僕が言った途端、ものすごい勢いで喜多はひざを抱えるようにして丸まってしまった。
「きっ、ききき桐野っ!」
「けっこー気にしてるんだ」
「うるせえぞボケっ! 気になんかしてねぇーよっ! いきなり関係ないこと言うんじゃねぇ!」
「関係ないことはないだろ。喜多さんのアソコについての感想なんだから」
 丸まっているものの、寝転がっているせいでお尻の側から見れば丸見えだ。
 僕は太ももの隙間に指を差し入れた。
「ひっ!」
 喜多は短い悲鳴をあげると、あせって口元を押さえた。すると、当然足を押さえていた手を離すことになる。
 その隙に、腕を押さえ、足の間にひざを入れて閉じられないようにする。
 ……なんかプライドでもやってるみたいだな。
 脳裏をよぎったヒョードルとシウバを振り払い、指を再び喜多の下腹部に伸ばした。
「別に毛深くても喜多さんのならどんな風でもいいから、気にしないでもいいって。それに毛深い娘は情が深いっていうし」
「こっ、このボケっ!」
 威勢のいい声を出すが、それも一瞬。僕が彼女の陰毛に触れると、とたんにその声は尻すぼみになっていく。
273名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 01:29:20 ID:nbEgpv0L
「さわり心地もいいし」
「くぅぅぅぅぅっ」
 もはや喜多は声にすら出せないらしい。顔中を染めて小さくうめくばかりである。
 それでは、ようやく本丸に到達といこう。
 僕は茂みを撫でながら、じわじわと指を進めていった。
 目的地に近づくにつれて、湿度を増し、じっとりと濡れていくのがわかる。
 喜多は僕に腕をぎゅっとにぎったまま微動だにしない。
 他の場所よりいくらか温度が高いような気がするそこに指がふれると、喜多はびくりと震えた。
 僕は表面を確かめるように指を動かした。
 喜多のアソコはほんのちょっぴり中身がはみ出している、彼女の胸のように恥ずかしがりやな感じだった。
 そこはすでに中から染み出してくる愛液でぬるぬるになっていて、はみ出している柔肉を爪先で引っかいてやると、喜多が小さく啼いた。
 僕は二本の指を使い、すでに開きかかっている肉の扉を二つに割った。
 くちっ、とかすかな音をたてながら、中身が空気に触れる。
 はっ、はっ、はっ、はっ、と間隔の狭い呼吸音が聞こえた。これは僕のものだろうか、それとも喜多のものだろうか。
 どっちでもいい。
 僕はわずかな隙間に指をねじ込むと、そこにある線を確かめるように上下に動かした。
「んにっ」
「嫌だった?」
「だ、だいじょぶだ。声が出ただけ。嫌じゃない」
 こんなときまで強がりが言えるのは大したもんだ。
 その強がりを言えなくしてやる。
 僕はすっと指を上にやった。
 乳首であれだけ感じる彼女だ。クリトリスならどうなるだろう。見てろよ。
 ん? これはもしかして……。
「ぃきぃっ!」
 まるで針で刺されたかのような悲鳴を喜多があげた。
 やっぱり。いま確かめてみて疑惑は確信に変わった。
 彼女はクリトリスも包皮に覆われている。これはたいていの女の子がそうだが、彼女の場合は勃起していても、それが自然に顔を見せないのだ。
 とことん照れ屋な体だな。
 しかし、そんな状態なのに、あれほど感じるとは、剥いて刺激したらどうなるんだろう。
 これは試してみないと。
 好奇心は常に人類を進化させてきたのだ。
274名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 01:36:40 ID:nbEgpv0L
「き……桐野ぉ、い、今のなんら……?」
 僕の動きが止まったのを不思議に思った喜多が、切れ切れの声でたずねてきた。
「痛い?」
「たぶん……痛いのとは違う、と思う……けど、なんか凄くてわかんらかった」
 目の前に僕がいるのに、そこを素通りして、遠くを見るような恍惚とした目をしている。
 よほど凄かったらしい。
 かなり意識が飛んでいるみたいだ。
 はやいところ実験開始しなくては。
「それじゃあ喜多さん。どうなるか楽しみにしてるから」
 にっこりと微笑みかけると、喜多が不吉なものを感じたのか、ぎこちなく唇を動かし、なにか言おうとした。
 だが、残念ながら僕の指のほうが早かった。
 すばやくクリトリスを摘まむと、一気に包皮を剥く。
 そのまま、手加減せずに摘まんだ肉芽をねじり上げた。
 喜多の開かれた唇から言葉が出ることはなかった。代わりに――。
「ひぎっぃぃぃぃぃっ!」
 絶叫が飛び出した。
 思い切り背筋をのけぞらし、瞳を大きく開いている。
 これは背筋が伸びそうだ。
「ぃぃぃっ……! あっく、あ、あ、あ、あ、き、きり、のっ!」
 握り締めた僕の腕に力いっぱい爪を立て、ぱくぱくと動かす喜多。
 もはや声もでないらしい。切羽詰った息を吸う音だけがひゅうひゅうと聞こえてくる。
 もしかして……やりすぎたか!?
 僕が内心であせっていると、全身を痙攣させた後、人形のようにくたりと動かなくなった。
 だらしなく開かれた唇の端からはよだれがこぼれている。
「え? ちょっ、喜多さんっ!」
 尋常ではない様子にさすがにあせった僕は、慌てて喜多を抱き上げた。
 ……よかった。生きてる。本気でどうかなったと思った。
 ときおり切なげな声を漏らすものの、全体として彼女は無事だった。
 僕はぐったりしたままの喜多の金髪を撫でた。やっぱりちょっと痛んでるな。
 あとでトリートメントしてやろう。
「ん……きり、の」
 寝言で自分の名前を呼ばれるのは、存外いい気持ちになるものだと僕は知った。
275名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 01:47:31 ID:nbEgpv0L
毎回大量投稿すいません。

皆さん感想ありがとうございます!
すごく励みになります。

なかなか好きになった理由がでてきませんが、次回で明らかになります。
あと、なかなか本番に突入しませんで申し訳ないです。

>>244さん
急いで「おーっ!?」足しました。
保管庫に載せるときにはきちんとなってます。うろ覚えで書くのはだめですね。

>>261さん
まとめて更新する予定です。
上記のような修正があったりするので、そのほうが自分的にはやりやすい感じです。
276名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 01:48:22 ID:RdKUQ3W9
キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゜゚・* !!!!!
277名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 01:52:32 ID:FbRN2TQT
ウオオ。マイッタネGJトシカイイヨウガナヒヨ。
278名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 01:56:36 ID:/F3v/t29
GJ支援
279名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 03:54:49 ID:YS570apO
全裸で!
待ってた!!
甲斐があった!!!


あーもー喜多さんかわいいよ喜多さん。>275さんアンタ上手いねえ。
280名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 09:01:39 ID:L7pccssy
喜多さんキターーーーーー
ってちょwwwwwwおまwwwwwwwwww
ここで切るんですかwwwwwwwwww
俺の行き場の無いオニンニンどうすればwwwwww
281名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 11:02:21 ID:d47lrXZ0
GJ 喜多さんマンセー
282名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 13:19:43 ID:19zlDed2
寸止めキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
283名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 14:02:39 ID:LidONlYo
大好きだぁ〜(≧ω≦)b
284名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 16:20:07 ID:kwAyppcX
GJ。もはやこの言葉しかでない
あんた、マジで神だわ…
285名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 16:26:58 ID:KfzuHPzU
他人を称える前にまず自分のすべきことをしよう

sageろ
荒らしを招き入れたいなら別だが
286名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 17:16:48 ID:4loTdE5K
来た北きたキタキタ喜多〜〜〜〜〜!!
喜多さんサイコ〜〜〜〜〜!!
287名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 00:12:43 ID:xSihfnRp
キタキタオヤジ
288名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 21:14:19 ID:Qtr8+2NB
ほしゅ
289名無しさん@ピンキー:2005/09/07(水) 00:58:50 ID:27fAx7i7
かおりさん
何処にいったの…
。・゚・(ノД`)・゚・。
290名無しさん@ピンキー:2005/09/08(木) 01:24:27 ID:y6P+5oT1
喜多さんの続きは明日あたりかな?
291名無しさん@ピンキー:2005/09/09(金) 00:24:42 ID:dWseTsxU
はいはい足軽足軽
292名無しさん@ピンキー:2005/09/09(金) 03:07:18 ID:ytKKfvW5
足軽エンペラー
293名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 02:24:30 ID:fY/2o5Pw
 ふと、窓の外を見ると、もうだいぶ暗い。時計は八時過ぎを指していた。
 少し前ならまだ明るい時間だったのに。
 思わず、夏が終わっていくのを実感してしまう。
 喜多を見ると、まだ時々びくりと背をのけぞらせている。僕のメランコリックな気持ちには全然気づいてないようだ。
「起きなさい。起きなさい、僕のかわいい薫や……」
 僕が軽く体をゆすると、うっすらと目をあけた。
 が、すぐにまた閉じてしまう。
 しかたない。もうちょっと待ってみるか。
 僕は暇つぶしのために喜多の胸に手を伸ばした。
 あいかわらず小さい胸は、彼女が寝返りをうとうが、悲しいかなほとんど形を変えない。谷間とは今までも、そして、これからも縁がなさそうである。
 それでも突つくと柔らかいのだから、これが女体の神秘というやつなのだろう。
 胸が膨らみ始める境の辺りの張りのある感触を愉しんでいると、体に触れられているのを感じたのだろうか。喜多がぱちりと目を開けた。
 油断しきっていた僕は、彼女と目があってしまった。そらすこともできない。
 数秒の間、じっと見つめあう。
 終わりは始まりと同じように唐突だった。
「やばいっ!」
 跳ね起きると、彼女はどたばたと本棚に向かった。
 なにもない空間でドアノブをひねる仕草をすると、そのまま本棚に突撃する。
「ぁたっ!」
 彼女の背中を、僕は唖然として見ていた。
 それ以外に常人である僕になにができるだろうか。
 全裸の彼女が奇妙なパントマイムを繰り広げるのを生暖かく見守ってあげる以外のなにが。
 顔を抑えてきょろきょろしている喜多に、僕は声をかけた。
「喜多さん?」
「うわっ!」
 声をあげて、振り向く彼女。
「えっ!? 桐野!? あっ!」
 どうやら寝ぼけていたらしい彼女は、正気づくと、顔を真っ赤にしてわめき散らした。
「こ、これは違うからな! 笑うなボケっ!」
 無理だ。
 僕は腹筋が引きつりそうになった。
 ひぃひぃとかすれた声がもれる。
「桐野っ! 笑うなっつってんだろが!」
「ぐっ、ぷっ、む、無理だ」
 それだけを言うと、僕は腹を抱えてのたうちまわりながら爆笑した。
「こっ、この野郎っ!」
 その後、僕の口をふさごうとする喜多と、笑い続ける僕の壮絶なグラウンドでの攻防がしばらく続き、決着までに十分程度をようした。
 桐野対喜多戦、試合結果。
 全裸に気づいた喜多が戦意喪失、タオルケットに包まり、試合を放棄したため、桐野の勝ち。第一ラウンド九分二十五秒。
294名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 02:25:44 ID:fY/2o5Pw
 あぐらをかきながら、喜多がぶつぶつと文句を言っている。
「しかたないだろ。自分の家と間違えたんだから」
 ドアノブがないので気づくだろ。とは言わず、僕は別のことを口にした。大人の対応というヤツだ。
「わかった。もう言わないし、笑わないから早く話してくれよ」
「なにを」
 この期に及んでしらばっくれようとするとはいい度胸をしている。
 僕はわきわきと指を動かしながら喜多の胸元へ近づけた。
 身の危険を感じたのか、彼女が胸元を手で隠す。
「おっ、おい。なにをする気だ」
「質問はすでに拷問に変わっているんだぜ。まだ答えない気なら、気を失っても攻め続けてやる」
「責め、責めるってなにする気だっ」
「もちろん胸をめちゃめちゃに」
「っ……このボケっ! なんかあるとすぐに胸責めて言うこときかせようとしやがって!  そっ、そういえばあたしが寝てる間にもなんかしただろ!? なんとなく触られてた気がするし。そんなあたしの胸弄るのが楽しいのか!」
 桐野戦法ナンバーワン、口げんかでは言いよどむな。こういう口先での戦いは怯んだほうが負けだ。きっぱりと言い切ってやらねば。
「楽しい。喜多さんのおっぱいなら一生触ってても飽きない自信がある」
「いっ、一生!? う、嘘つくなボケっ! 一生なんか飽きないわけないだろうがっ。でたらめ言うな!」
 なぜか急に挙動不審になってうろたえだす喜多。変なところに食いつくな。
 まあいいか。
 桐野戦法ナンバーツー、相手がヒートアップしたら力を抜け。適当に合わせてやろう。
「いやいや。僕の喜多さんの胸への探究心と開発心は海よりも深く、山よりも高いから」
「一生だぞ!」
 喜多が顔を真っ赤にして叫ぶように言った。
 どうしたんだろう。まださっきの興奮が残っているのかもしれない。
「一生飽きないね」
「言ったからな! ほんとに一生だな」
 本当に妙な部分にこだわるな。
「しつこいな。一生飽きないよ。」
 同じようなやり取りを何度か繰り返すと、さすがの喜多も飽きたのだろう。
 ピンクに染まった頬のまま、ぐっと黙り込んでしまった。
 やけに熱い視線を浴びせられていると感じるのは僕の気のせいだろうか。
295名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 02:28:11 ID:fY/2o5Pw
 喜多が一瞬うつむいたかと思うと、勢いよく顔を上げた。
 そして、かすれるような声で呟いた。
「……一生だからな」
 さすがにうんざりしてきた。僕は肩をすくめ、彼女をせかした。
「だから一生だって。それより早く教えてくれよ。僕を好きになったきっかけ」
 そう言うと、喜多がなぜか憮然とした顔をした。
「……おまえはそういうヤツだよ。人の乙女心を弄びやがって」
「乙女心?」
 そのまま繰り返すと、喜多はなぜか赤面し、枕を投げつけてきた。
「このボケっ」
 喜多は再びタオルケットに包まると、僕を睨みつけ、
「夏休みによ、あたしが助けてもらってからだよ」
 どこかふてくされたようにそう言った。
 助けた? 僕が? 喜多を?
 まるで記憶に無い。
「それっていつ頃のはなし?」
「だいたいお盆が終わったぐらい。ほら、あの駅前の公園であたしが追いかけられてたときに、助けてくれただろ」
 ……。
 はっきり言って思い出せない。
 僕が頭をひねっていると、喜多があせったように言葉を続けた。
「あの、夜に、あたしが走って逃げてて、公園のトイレに隠れようとしたとき、お前が近くにいて」
 まだ思い出せない。
「あたしがトイレに隠れて様子を窺ってたら、あたしを追いかけてきた三人組にあたしを見なかったかって聞かれて……」
 ……!
 あった!
 確かにそんなことがあった。夜中に僕がコンビニに行った帰り、近道をするために公園の中を歩いていたときのことだ。
296名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 02:30:57 ID:fY/2o5Pw
 前のほうから必死で誰かが走ってくるのに気づいた。
 こんな夜中に元気なヤツだ。と思ってみていると、ぐんぐんこちらに近づいてくる。
 すぐに僕の目の前まできたのだが、なんだかそいつの顔に見覚えがある。
 深夜のマラソンランナーはクラスメートの喜多だったのだ。
 一回りはサイズが大きいであろうだぼだぼのジャージ――それも真っ赤で目立つやつ――を着て、荒い息をついている。
 今思い返してみると、なんだか汚れていたり、顔に痣があったような気がしないでもない。なにぶん薄暗かったのだから、気づかなかったとしても、そのときの僕を責められないだろう。
 声をかけるべきか迷っていると、彼女は僕が目に入っていないのか、辺りをきょろきょろ見回すと、近くにあったトイレに飛び込んだ。
 そんなにトイレに行きたかったのか、確かに必死の形相だった。と、間抜けな勘違いをしていると、また向こうのほうから誰かが走ってくる。今度は三人の男だった。
 そいつらは僕の前で立ち止まると、高圧的な口調で僕に尋ねてきたのだ。
「おい、コラ。赤いジャージ着た女知らねーか。隠したりすんじゃねえぞ」
 僕が黙っていると、男の一人が僕を睨みつけた。
「テメェ隠すなよ!?」
 見知らぬ人にこんな風に質問されて、相手に好感を抱く人は少ないだろう。いたらそいつは体の芯までマゾだ。
 当然僕は気分を害した。
 まあ、クラスメートを助けてやろうという気持ちも多少はあった。
「赤ジャージの女の子だったら駅前のほうに」
 そう言って、僕は適当に自分が歩いてきたほうを指差したのだ。
 感謝の言葉もなく走り去った三人組の後姿を見送っていると、トイレから喜多が姿を現した。
 なんだか僕のほうを見つめている気がしたので、ばいばい。と手を振って僕は家路についた。
 確かに僕は喜多を助けていた……らしい。そんなにたいしたことでもなかったので、すっかり忘れていた。
297名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 02:32:32 ID:fY/2o5Pw
「ああ、そんなのあったね」
「そっ、そんなのあったねって……オマエ……!」
 なににそんなにショックを受けているのか知らないが、喜多が口をパクパクさせて僕を指差した。
「どうかした?」
「あ、あたしはう……」
 どんどん声から力が抜けていって最後のほうはなにを言いたいのかさっぱりわからない。
 うつろな顔でぶつぶつ呟いている。これはかなり重症のようだ。僕が意図せず放った一撃は彼女に随分とダメージを与えたらしい。
「え? なんて」
 僕は喜多の口元に耳を寄せた。
「あたしは……う、運命の、運命の出会いだと思ったのに……」
 これまた時代錯誤と言おうか、大仰と言おうか、嘘・大げさ・紛らわしい出会いは公共出会い機構へと言おうか。
「よくある勘違いということで話を丸く……」
「あっ、あたしはほんとに運命だと思ったのにっ! 夢にだってみたんだ!」
 だめだ、僕の声なんか届かない。助けて仁鶴師匠! 四角い仁鶴がまーるくおさめて!
「それなのに――そんなのあったねって、そんなので納得できるわけねぇだろ! 桐野なんか、桐野なんか……!」
 ぐっ、と硬く握り締めたこぶしを悔しそうに見つめている。
 いまさらよく覚えていると言ったところで、信じてもらえないだろうし、事実僕はすっかり忘れていた。
 確かに喜多の気持ちはよくわかる。自分は運命だと思っていたのに、全部一人で踊っていただけなんてひどすぎる。
 かと言って、ここで僕があやまるというのもなんだかおかしい気がする。第一、ごめん、僕は運命だとは思わなかったんだ。なんて言おうものなら、僕の顔面は陥没するだろう。
 ステゴロなら喜多だな。との噂を聞いたこともある彼女をブチギレさせるなんて想像もしたくない。
 ここは様子を見るべきだ。
 僕は解決役を時間に任せることにした。彼もしくは彼女は往々にして事態をひどくするだけだが、奇跡的に今回は違ったようだ。
298名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 02:33:50 ID:fY/2o5Pw
「桐野なんて」
 ごくりと僕の喉が鳴った。
「ちくしょう――いまさら嫌いになれるかよ」
 僕は彼女に飛びついた。
「おい、ちょっ」
 あせる喜多を無視して思い切り抱きしめる。
 心底悔しそうに言った今の言葉に僕の体が勝手に動いてしまった。
 僕の行動にうろたえ、じたばたともがいて僕の腕の中から出ようとする喜多を、それでもなお、ぎゅっと抱擁する。
「本当に悪かった。喜多さんがそんなにあのことを大事に思ってたなんて知らなかったから」
「いいよ、いまさら。あたしが間抜けだっただけなんだからな」
「いや、僕の気がすまない」
「すまないっつったって」
「よし、わかった。そしたらお詫びに喜多さんの願いを三つ聞こう」
「お願い? あっ、あたしの言うことをなんでもか!?」
「三つまでなら。僕にできる範囲でだけど」
 ぴんと立てた三本の指を、喜多が食い入るように見つめる。
「別にないんなら別のことにするけど」
 立てた指をおろそうとすると、彼女はあわててそれを掴んだ。
「あっ、ある! あるからおろすな!」
「じゃあ願いを言ってよ」
「ちょっと待てよ……」
 額に手をやりながら、喜多がもう片方の手で僕を押しとどめる。
 真剣な表情で頭をひねっている彼女を見ていると、僕の心にむくむくと苛めたい心が湧き上がる。
「えー、カウントダウンを開始」
「え!?」
 あせる喜多を尻目に、僕は冷静に数字を数えていく。
「……3、2」
「え、おい!? ま、待てっ、いま言う!」
「1。しゅーりょー!」
「あ……、あっ」
 喜多は行き場のない手で宙をかいた。
299名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 02:35:22 ID:fY/2o5Pw
「ウソ、ウソだって。ちゃんと三つ言うこときくから」
「……テメ、このっ!」
 喜多の目がみるみる吊り上っていく。
 なにか言われる前に目先をそらさないと。
「ほら、早く願い言って。次は本当にカウントダウンするかも」
「え? ……お、おう。もうあたしを焦らしたりすんじゃねぇぞ」
 喜多は願いを考えるために、再び思考の海に飛び込んだ。
 コントロールしやすくて助かる。
 それからしばらく、なにを想像しているのか、ときどき一人で含み笑いをしている喜多を眺めることになった。
「よし! 決まった!」
 満面の笑みを浮かべて、喜多が宣言した。
「よろしい。それでは願いを聞きましょう」
「一つ目はだな、あ、あたしを……お姫様抱っこしてくれ」
「……」
「なんか言えよ! 恥ずいだろうがよ」
「ご、ごめん。なんかこう、予想外の願いだったから。で、二つ目は?」
「ふっ、二つ目はっ!」
 妙に意気込んでいるというか、気合が入っているな。
 どんな願いを言うつもりなのか心しないと。
「あ、あたしに向かって、す、すっ……好きだって言ってくれっ!」
 ぎゅっと布団のシーツを握りながら、半ば絶叫のように言うと、彼女は大きく息を吐いた。
 僕の眉毛がピクリと動く。
「……そんなのでいいの?」
「いい!」
 ああ、君の笑顔は輝く太陽のようだ。
 ……なんだか二人の間に温度差を感じるな。
「まあ、喜多さんがいいならいいけど。それじゃ最後は?」
「そ、それは後で言うから、先にいま言った二つをかなえてくれよ」
「わかった」
 僕がそう言うと、喜多はきらきらした瞳で僕を見つめてきた。なんだかやりにくい。自分がひどく悪人のような気がする。
300名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 02:38:31 ID:fY/2o5Pw
 しかし、とんちは一休さんから続く日本の伝統のはず。
 とんちでこの恥ずかしい願いを見事切り抜けるのだ。
「あ、あたしが立ったほうが抱えやすいか」
 うきうきと腰を浮かしかけた彼女を制する。
「立たなくていい。その願いはもうかなえたから」
「は?」
「お姫様抱っこした」
「あぁ? なに言ってんだよ。されてねぇだろあたし」
「いや、さっきしたから。気絶してる喜多さんを下からこの部屋に運ぶときに」
「はぁ?」
「で、次の願いだけど。好きって言って欲しいってやつ。もちろん約束だから言う、言うが、今回まだその時と場所の指定まではしていない。そのことを喜多さんにも思い出してもらいたい」
「え?」
「つまり、僕がその気になるまで、言うのは一ヶ月、二ヶ月後でも可能だろうということ」
「……え?」
 思考が止まっているのか、事態を理解したくないだけなのか。喜多は間抜けな声を出すばかりでまともに反応しない。
「さあ、最後の願いを言ってくれ」
「ん? ……あぁ?」
「ないなら終わるけど」
「……ある」
 まだ反応が鈍いな。状況を理解する前に先に進めてしまおう。
「それを言って」
「最後はだな……あ、あれだよ。わかるだろ?」
 どんなやつがそれでわかるんだよ。
 僕が黙っていると喜多は、言いたくないけど、という風にゆっくりと唇を動かした。
「だから鈍いやつだな。こ、ここまできたら雰囲気でわかるだろ。こ、このあと、その、あれだ、な? す、する……わけだろ。だからだな、そのときはできるだけ、や、や……優しくしてくれっ」
 言い終えると、喜多はタオルケットで顔を隠してしまった。
 僕からは見えないが耳まで真っ赤にしているに違いない。
 ああ。くそっ、なんでこんなに可愛いんだ。
 わかったとも。もちろんオーケーだ。
 できる限り優しくするとも。
 ただし、僕の優しさを喜多も優しさだと思うかは別として。
301名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 02:42:34 ID:fY/2o5Pw
「薫っ!」
「はひっ!」
 突然名前を呼ばれて、裏返った声で返事をした彼女は、隠していた顔を少しのぞかせてこちらを見ている。
 僕はタオルケットを剥ぎ取ると、有無を言わさず薫を押し倒した。
「え、ちょっ、ぁあっ!?」
「すごく好きだ薫。愛してる」
 数十秒前の僕は、こんな恥ずかしいこと死んでも言うかと考えていた。
 だが、人間、頭脳の命令ではなく、体が勝手に動いてしまうということが本当にあるのだ。
 そして、不思議なことに、僕の心には照れなんてまるでない。
 今まででも十分染まっていた顔に、まだ桃色に染まる余地があったのかと思うほど、薫の顔に血が昇る。ゆでだこ以上だ。
「桐……ぁむっ、ん」
 彼女がなにか言いかけたのを無視して、唇をふさいだ。
 心の準備もできずに閉じたままのそこに、むりやり舌をこじ入れる。
「ん……ぁ」
 二人の唇の隙間から甘い息の音が漏れた。
 おどおどと動きのない彼女の舌に、自分のものを絡ませる。
 僕の舌が触れると、薫はびくりと震えた。
 自分からはなにもせず――できずに、だろうか――、僕に為されるままになっている。
 柔らかく、暖かい彼女の舌を舐めまわしていると、彼女の唾液以上に素晴らしい液体はないような気がしてくる。
 僕はいったん唇を離すと、舌先でちろちろと薫の唇をなぞった。
 荒い息の中、感極まった声で彼女がささやく。
「ぁ、あ。桐野が、好きって……」
 これ以上恥ずかしくなることを言われる前に、黙らせなければ。
 彼女の唇を歪めながら、僕は再び薫の口内を犯すことにした。
 熱く、やわらかい彼女の口の中で舌を動かしていると、うっとりした心地になってくる。
 薫はまだ僕の動きを受け入れるのが精一杯なのか、自分から舌を動かそうとはしない。
 少しそれが物足りないが、今までの感じ方を見るにつけ、キスだけでもかなり感じるのだろうと考えると仕方がないか。
 唇を離すと、キスの形を残したままのそこが二人の唾液で濡れていた。
 どこかうつろな表情で僕を見上げる薫を見つめると、彼女がかすかにうなずいた気がした。
302名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 02:47:39 ID:fY/2o5Pw
毎回たくさんの感想ありがとうございます。
いつも書いてるとテンプレのように思われてしまうかもしれませんが、ほんとに嬉しいです。

本編はたぶんあと一回で終わる予定です。
そのあとちょっとしたオマケ、というかコネタを考えています。
303名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 03:20:04 ID:zmksdglX
ムヒャフー!!!(奇声)

可愛いなあ。喜多さんもう、超絶に可愛いなあああああああ

>302
おまいさんは2chで最高の萌えクリエイターかもしれん
いつも床を転げまわりながら読んでるよ
dクス!
304名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 08:04:00 ID:65bMV9gh
キター
というか
>四角い仁鶴がまーるくおさめて!
このフレーズでテラワロス
305名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 09:57:31 ID:m8YlQYpH
寸止めキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
306名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 10:59:50 ID:5+/dnXxn
一生懸命な喜多さんかわゆい
唐突に出てくるバラエティーな仁鶴師匠おもろいやないけ
307名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 12:15:01 ID:tIQuZKa3
勃起勃起勃起勃起勃起勃起勃起勃起勃起勃起勃起勃起勃起勃起勃起勃起
308名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 13:16:52 ID:qIM2Cirb
よおっしゃあ!更にキタ北来た喜多ぁ〜〜〜っ!
何と言うか、桐野も中々面白い奴ですねw
こんな奴を好きになった喜多さんも、
内面は実に可愛らしい喜多さんに好かれた桐野も、
両者共に本当に幸せ者だとつくづく思いますな。

そして願いが叶うなら、喜多さんと桐野の、
カラーイラストを見る事が出来たなら、
もう俺は何も言う事は無い。ネ申よ〜〜〜!!
309名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 01:05:20 ID:87xJIqJv
キタ━━━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━━━━!!!
キタ━━━━(・∀・)=○)´Д`(○=(・∀・)━━━━━!!
キ…(-_-)キ(_- )キ!(-  )キッ!(   )キタ(.  ゚)キタ!( ゚∀)キタ!!( ゚∀゚ )キタ━━━!!
キタァァァ(゚∀゚)ァァ( ゚∀)ァァ(  ゚)ァァ(  )ァァ(`  )ハァ(Д`)ハァ(;´Д`)ハァハァ/ヽァ/ヽ

…とりあえず昼に生活笑百科観たばかりなので仁鶴師匠に激しく笑ったw
310名無しさん@ピンキー:2005/09/12(月) 00:08:18 ID:jCkSvUvw
喜多キテタ━━━━━━━━━━━━ !!

土日出勤して疲れてるのに覗くんじゃなかった。
一部分が元気になったので、ちょっと一仕事してから寝ます ノシ
311名無しさん@ピンキー:2005/09/12(月) 00:34:19 ID:ieqN/C4x
喜多さん可愛えぇーーーーーー!!

>ああ。くそっ、なんでこんなに可愛いんだ。
に禿同だ!!
ねがいごとで俺の心が萌え転がった!!
312名無しさん@ピンキー:2005/09/12(月) 11:14:26 ID:qm8y4xdH
全員注目!!
次に喜多さんが投下される前にまとめサイト(>>49参照)でしっかり予習しとけよー!テストに出るからなー!


教え子が卒業する教師の心境が分かった。
嬉しいのに、どこか寂しい。ずっと終わらないで欲しいが、それはそれでもどかしい。そんな感じ。
まぁ、まとめサイトという名の同窓会があるから、まだ救われるよ。
313名無しさん@ピンキー:2005/09/12(月) 11:20:02 ID:/InQrlpa
一生ってまた迂闊な事言ったな、桐野w
でもまだ図書委員の仕事した当日の話だっけ
314名無しさん@ピンキー:2005/09/12(月) 13:53:37 ID:C6BScBR9
>>313
ちげーよw
図書委員の仕事した翌日だ
まとめサイト読み直して、ハァハァしてこい
315Green Hill /8 ◆/pDb2FqpBw :2005/09/14(水) 16:03:28 ID:8r9oGaj0
<■第8話■いってきます>

「ハンカチはお持ちになられましたか?」
香織さんにごそごそとポケットを探られる。

「もってますもってます。」

「下着は余分に入れてあります。使い終わったらお捨てになって構いませんので。」
「はい。」

「お薬もこちらに入れてあります。咄嗟の心臓発作にはここにニトログリセリンが入っていますので」
「爺さんじゃないんだから心臓は大丈夫です。」

「そうですか・・・そうですね。」

明らかに目の前で落ち着きがなくなっている香織さんを眺める。
香織さんはそわそわと両手でスカートを直したり棚の上の埃をチェックしたりしていた。
316 ◆/pDb2FqpBw :2005/09/14(水) 16:04:48 ID:8r9oGaj0

「・・・あ、ええと。電車の切符はきちんと持たれたでしょうか?」

「うん。本間さんが。」
と玄関先に立っている本間さんを指差すと香織さんは複雑な顔をする。
先ほどからこういったやり取りが頻繁に繰り返されている。

「東京はお水が悪いと言いますので必ずペットボトルの水を買って飲んでくださいね。」

「うん。お茶とかも今は買えるしね。」

「・・・京介様。そろそろ。」
玄関から顔を出すと本間さんが俺を急かす。
確かに時間が厳しい。
それに口元に蓄えた髭には有無を言わさぬ貫禄がある。

香織さんに背を向けると俺はゆっくりと靴を履いた。
317 ◆/pDb2FqpBw :2005/09/14(水) 16:06:48 ID:8r9oGaj0

@@
親戚の集まりで週末から3泊4日で東京に出る事に決まったのは一月ほど前の事だ。
またぞろ遺産の話でもないのだろうしそうであっても関係は無い。なにより東京は遠い。
最初は断ろうと思った。
それでも行く事に決めたのは、香織さんが興味深そうに読んでいた雑誌のページに目が行ったからだった。
普通の女の子だったら宝石や洋服のページを見ながらうっとりとするのだろうが
何だかおどろおどろしいページを興味津々と眺めながら香織さんは軽く切なげに溜息なんかをついた。

東京にある映画グッズの店情報。アクションヒーローの人形からビデオ、文房具等々が売っているらしい。
親戚に挨拶がてらそういった所に寄ってお土産を買うのも悪くない。
香織さんが喜んでくれるような気がする。

しかし香織さんは俺の東京行きを聞いた瞬間、顔を曇らせた。
「香織さん、来月4日ほど東京に行ってまいります。」
んん。と咳払いをした後そうですか。とそっけなく告げられた。

「もし良かったら香織さんも休暇を取られてどこか好きな所にでも」
心遣いが足りなかったかとそう言ったところ機嫌を損ねた。
朝食の目玉焼きは固くなり、ハムの枚数が一枚減った。

「いつもいつも色々としてもらっていますから。」
ご機嫌伺いに封筒に入れたお小遣いを渡したところ、更に臍を曲げた。
コーヒーに砂糖を入れてくれなくなり、おやつのクッキーの枚数が減った。
ちなみに封筒は【いりません】と大書きの字が書かれてそのまんま机の上に帰ってきた。
318 ◆/pDb2FqpBw :2005/09/14(水) 16:07:22 ID:8r9oGaj0

東京に行くその日が近づくに連れて香織さんはやたらと落ち着かなくなった。
屋敷の中を引っくり返されるような勢いで香織さんは掃除をしたり、いつの間にか和室の障子が全て貼りかえられていたりした。
旅行用バッグには3泊4日間とは思えない量の荷物が詰め込まれた。

なんとなくそれが寂しいという香織さんのメッセージじゃないかと判ったのは昨日の夜、寝る前だった。
香織さんは屋敷内の図書室から大量の本を引っ張り出して居間に並べた。ご機嫌斜めの時の暇つぶしの意を表す。
カレンダーには帰る日に赤いマルがつけられ、列車の時刻が書き込まれた。

寝る前に香織さんはパジャマではなくメイド服で部屋に来ると、
「本間さんといえども男性です。東京で男性2人となれば繁華街などに興味を持たれる事もあるでしょうが
 とてもとても危険な場所であると聞いております。」
くれぐれもそのように危険な所にはお近づきにならないようにして下さい。
となんとなくプレッシャーをかけるような感じで訴えかけられた。

そう。もしかしたら香織さんは連れて行って欲しいのかもしれない。
そう言えば東京には行った事がないと言っていた。
行ってもさほど珍しい物があるとも思えないが、一度も行った事が無いのであれば行きたいのかもしれない。
香織さんと東京見物。とても魅力的ではある。繰り返し言うが親戚はどうでも良い。
かといってどうしようもない。気付くのが遅かった。
列車の切符は2枚しかないのだ。
319 ◆/pDb2FqpBw :2005/09/14(水) 16:07:59 ID:8r9oGaj0

「では、行ってきます。」
ゆっくりと靴を履く。
後は宜しくお願いします。と香織さんに頭を下げて踵を返そうとすると香織さんにはっしと袖をつかまれた。

「ええと、4日間ですので心配はいらないのですけど。」
口篭もる香織さん。
香織さんらしくないぼそぼそとした声で
「お電話などを頂けると香織も心配しなくて、いえ安心して屋敷の管理に努められるのですが。」
なんて事を呟く。
その顔を見て思った。香織さんは多分、東京に行きたいんじゃない。
この家に一人で取り残されるのが嫌なんだろう。
爺さんが死んだ後、使用人が全ていなくなっても香織さんだけは行く場所がなくて一人で日々この屋敷の管理をしていた。
東京に連れて行って欲しい、ではなく行かないで欲しい。なのかもしれない。香織さんは絶対に言わないだろうけれど。
機嫌が悪かったり、そわそわとしたりしていたのは香織さんなりのサインなのかもしれないと思った。
思わず振り返る。

「・・・香織さんも連れて行かれたらどうですか?」
その時、隣で時計を見ながら呆れたように事の成り行きを見ていた本間さんが口を開いた。
320 ◆/pDb2FqpBw :2005/09/14(水) 16:10:05 ID:8r9oGaj0

「でも列車の切符が。」
「しかしお屋敷の管理が」
本間さんの提案に俺と香織さんの声が重なる。

「私は自由席で結構です。こちらの切符はお二人で。屋敷の管理は一週間位でしたら大丈夫でしょう。
 それより私は時間の方が心配です。」
本間さんの言葉に香織さんの顔が明るくなる。
ここ何週間か見られなかった笑顔だ。

「よ、用意してきます!」
香織さんが慌てたように声を上げる。列車まではもう時間が無い。

「時間が無いよ。そのまま行こう。香織さん。」
洋服などは着いてから買えば良い。手を引っ張る。
東京駅に立つメイド服姿の香織さんは何かと勘違いされるかもしれないけれど。

ありがとう、と本間さんに目配せを送る。
「従業員の健康管理も仕事のうちです。最近集中力に欠けているようでしたからね。」
口ひげをどことなく自慢げに揺らしながら。
「旅行中に京介様が気がそぞろになられても困りますからな。」
本間さんはなんだかとても思わせぶりにそう言うと、さあ行きましょう。と言って笑った。
321 ◆/pDb2FqpBw :2005/09/14(水) 16:14:05 ID:8r9oGaj0
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感想ありがとうございます。

今日の所はこんな感じで。次回から東京編で。
書け次第投下します。

ノシ
322名無しさん@ピンキー:2005/09/14(水) 16:20:40 ID:g1MRR6bd
イイヨイイヨー!
エロシーンはまだかな?
323名無しさん@ピンキー:2005/09/14(水) 16:45:24 ID:4GzH7D2Y
ちょwwww
本間さん、カッコヨスwwwwwwwwww
324名無しさん@ピンキー:2005/09/14(水) 18:36:44 ID:X9Re7gsJ
久々にキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
エロマダー
325名無しさん@ピンキー:2005/09/14(水) 19:13:26 ID:BAy0OSDE
メイド服のまま行くのかよっ!
・・・萌え尽きそうス。
326名無しさん@ピンキー:2005/09/14(水) 23:28:08 ID:Pnw0Bzn9
すげえしっかりストーリー展開しててオモシロス!!
香織さん涼子さんとまた違った味あるし
じっくり見せて欲しい。
327名無しさん@ピンキー:2005/09/14(水) 23:57:40 ID:l2wm0ALC
微笑ましいなぁ。とても微笑ましいなぁ。
可愛らしいなぁ。とても可愛らしいなぁ。
ああ、こういう夫婦漫才的な掛け合いが凄く好きだなぁ。
喜多さんも香織さんも、とてつもなく可愛いなぁ。


ああ、もう、最高だ…。
328名無しさん@ピンキー:2005/09/15(木) 01:13:02 ID:+uX5DxLj
何この神スレwwwww
329名無しさん@ピンキー:2005/09/15(木) 01:29:33 ID:99eNBbAW
 文章に無駄がない。
 シンプルな言葉がこんなにふくらみをもつものか。
 さすが神さんや…
330名無しさん@ピンキー:2005/09/15(木) 09:10:19 ID:rYPnHnwY
GJ!!
ところで、保管庫から「匠と涼子」が見れないんだけど、どうすれば見れるのか。
331名無しさん@ピンキー:2005/09/15(木) 11:17:09 ID:OpC9NK61
弥生さんってツンデレ?
332名無しさん@ピンキー:2005/09/16(金) 23:57:50 ID:QUAseak5
>>330
作者さんのサイトへ行けば見れるよ

>>◆/pDb2FqpBw
匠が事故った時の新聞記事はサイトに乗せないの?
333名無しさん@ピンキー:2005/09/17(土) 00:16:05 ID:1RrP5OEZ
>332
携帯から見れないってことじゃねーの?
334名無しさん@ピンキー:2005/09/17(土) 21:21:35 ID:3+gqI7cM
335名無しさん@ピンキー:2005/09/20(火) 02:26:39 ID:lG4HrU5J
喜多さんエロ過ぎです><
336名無しさん@ピンキー:2005/09/20(火) 18:32:04 ID:cXzPOniv
うほっ
337名無しさん@ピンキー:2005/09/21(水) 16:50:33 ID:+SI+1J67
喜多さん、そろそろくるかな?
338名無しさん@ピンキー:2005/09/21(水) 18:55:10 ID:C9dQTxYz
連休前には来てほしい。
ずっと勃起して待ってんの辛いんだけど…
339名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 00:31:35 ID:BQ6T6/oQ
喜多さんマダー(AA略
340名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 02:23:13 ID:VmQfZmFa
 僕は薫の濡れている唇に触れた。
 指で柔らかい感触を愉しむと、そのまま奥へ滑り込ませる。
 こちらの意図を感じ取ったのか、無意識なのか。喜多は拒むことなく僕の指を受け入れ、舌を絡めてきた。
「んぁ……む……ぅ」
 口腔をいじり、わざとぴちゃぴちゃと卑猥な音をたてると、薫は恥ずかしそうに目を伏せる。
 そのくせ口の端からよだれがこぼれるのにはお構いなしだ。
 指を引き抜こうとすると、それに追いすがるように顔を動かして離さない。
 僕はその光景を見てにやりと唇を吊り上げた。
「それだけできれば練習はもういいよな」
「んぁ?」
 なんのことかわからないという顔をする。
「いや、僕のほうがご主人様のはずなのに、奴隷を気持ち良くさせてばっかりはどうかなと思って」
 薫が眉をひそめ、目の間に軽いしわをつくった。
 僕がこういう言い方をするときは、たいていろくな目にあわないからだろうか。
 指に吸い付いていた口を離し、僕に目で問いかけてきた。今度はなにをさせる気かと。
 どこか挑むような目つきに、僕は嬉しくなってしまった。
 我ながら歪んでいるなあ。
「僕は奉仕される側なんだ」
 僕が立ち上がり、ベルトに手をかけ、ズボンをおろしはじめると、薫はさっと目をそらした。
 トランクス一丁になると、僕はちらちらと横目でこちらを気にしている彼女に笑いかけた。
「これ脱がして」
「どれ」
 わかっているくせに、仏頂面をしてわからないふりをする薫。
 これ。とトランクスを指差す僕に、彼女の頬がぽっと染まる。
「じっ、自分で脱げるだろっ!」
「あのね、何度もいうようだけど僕がご主人様で……」
「あたしが奴隷なんだろっ! いい加減聞き飽きんだよ」
「すぐ忘れるみたいだから、何回も言ったほうがいいかなと。わかってるんなら早く」
 胸をそらした僕を憎々しげに睨みながら、僕のトランクスに手をかける。
 はっきり言って、僕のものはトランクス越しだろうがなんだろうが関係ないほど勃っている。そのせいで見事なテントが、いや、ここは自尊心を満足させるために富士山がと言っておこう、そそり立っている。
 目のやり場に困りながら、目の前の布切れを脱がす勇気が出ない薫を真上から見下ろしていると、彼女の心が手にとるようにわかる。
 ぐっと頭が僕の股間に近づくのが、気合を入れて脱がそうとしている瞬間。
 その直後、すっと頭を引くのが、やっぱりできない。と怯えている瞬間。
 肩に力を入れてなんとか勢いで脱がそうとするのだが、躊躇してしまい、やはりできない。
341名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 02:24:57 ID:VmQfZmFa
 僕はにやにや笑いをかみ殺しながら、彼女の姿を愉しんでいた。
「そんな調子でフェラチオなんかできるのか?」
「フェッ、フェラ!」
「まさか知らない? 口で……」
「知ってるから黙れっ!」
「あ、知ってる? やったことはある?」
「あるわけないだろボケっ! いくらお前でも言っていいことと悪いことがあるぞっ」
「ないんだ。いやいや、心配はいらない。ご主人様自ら教えてあげようじゃないか」
 不安なまなざしでこちらを見つめていた薫は、なにかを言いかけたのだが、かすかに唇を動かしただけで、きゅっと噛み締めると結局黙ってしまった。
「なに?」
「フェラ……あたしに、させるのか……?」
 緊張した様子で、薫がごくりとつばを飲み込んだ。
「もう一回言って。今の」
「なにを?」
 怪訝な顔をする彼女に、大げさなしぐさで目頭を押さえてみせる。
「フェラって。薫の口からそんな単語がでてくるなんて、僕は今猛烈に感動している。口を開けば死ねだの、殺すだの言っていた子が、フェラなんて卑猥な言葉を言うなんて! さあ、もう一回!」
「こっ、こっこっ……」
「え? なに? 聞こえないからもっと大きな声で」
「コロス! 絶対コロス!」
 異様な状況での猛烈な羞恥心をごまかすべく、薫が罵詈雑言の限りを尽くして僕を脅しだした。
 しかし、あくまで自分が口を滑らせたのが原因だけに、どうにも照れを隠しきれていない。
 隠せていると思ってるのは本人ばかり。
 それが可愛いところなんだが。
「ま、とにかく。トランクス脱がしてもらってそれで終わりなわけないだろ。当然、ご奉仕といえば古来からお口でのご奉仕と決まっていると民明書房の本にも載っていた」
「ウソつけっ!」
「あ、できないんだ」
「それぐらいできるっ!」
 薫はさっと唇を引き結び、露骨にしまったという顔をした。
 口は災いのもととはよく言うものだ。
 それでは優しいご主人様が最後の一押しをしてあげよう。
「でも、トランクスも脱がせないのにフェラチオなんかできるのかなぁ。ま、口ではなんだかんだ言っても薫は結局、自分で言ったことも守れない女なんだろうなあ」
 まったく感情のこもっていない白々しい言葉にさえ、彼女はすぐに反応する。
 きっ、と眉をあげ、鋭い目で僕を睨み上げた。
 このあたりの扱いやすさは天下一品だ。
342名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 02:26:59 ID:VmQfZmFa
「あたしをバカにすんじゃねぇ! 桐野がびくついてないか様子を見てやってたんだよ!」
 おーおー。言ってくれる。
「別にあたしはいつだってできたんだ」
「じゃあ僕のほうは準備万端だから早く」
「……あ、あたしも女だ! やったらぁ!」
 喧嘩じゃない。
「いくぞっ!」
 威勢のいい掛け声とともに、薫がトランクスをずり下げる。
 枷から解き放たれたように、勢いよく僕のものが外に飛び出した。
 と、思う間もなく。
「おらっ!」
 明らかにふさわしくないと思われる掛け声とともに――というか、フェラチオするのにオラはないだろ。悟空かっつーの――薫が僕の股間に向けて顔を動かす。
 おそらく、僕のものをちゃんと見ていないだろう。見るとためらってしまうのをわかっているのだ。
 そのまま大きくあけた口で、僕のものをくわえた。というより、収めたというべきか。とりあえず、口の中に入れたという感じだ。
 そこからどうすればいいのかわからないのだろう。
 本当に勢いだけだった。
 まるで嫌いな野菜を食べる子供みたいだ。
 両者の違いは、そのまま飲み込めるか、飲み込めないかだけである。
 さすがに内心ため息をついてしまう。
 もうちょっと侘び寂びというか、趣があってもいいだろうと思う。
 が、過ぎてしまったことはしかたない。
 気持ちを切り替えて、僕の股間に食らいついている薫を見た。
 彼女は怒っているような、困っているような表情で、僕のものをくわえている。しかし、決して僕のほうを見ようとはしない。目だけは横を向いたままだ。
 のどを動かすこともできないのか、どんどん唾液がたまっていくのを感じる。
 彼女の舌はすくんだように奥のほうにやられていて、決して僕のものに触れようとはしない。
 それでも、暖かく、柔らかな腔内は僕に十分に快感を与えてくれた。
 腹に力を入れて、あれを動かすたびに彼女がびくりと驚くのが楽しい。
「こっち見ろよ」
 僕の呼びかけにも応えない。
「僕の目をしっかり見て欲しいんだけど」
 びくりと体を震わせたが、それでも彼女は僕を見ない。
「どうして見ないのかな」
 僕は彼女の頭を押さえると、自分のものを心地よい口腔から引き抜いた。
 元気なわが息子が跳ね、まとわりついた唾液を薫に跳ね飛ばす。
 透明でわかりにくいが、軽い顔射気分だ。ぞくぞくする。
343名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 02:29:58 ID:VmQfZmFa
「これで口はあいたから返事できるよな」
「はっ、恥ずいからに決まってんだろ! このボケ!」
 目の前にある僕のものを極力見ないようにしながら薫が答えた。それでもちらちらと視線がいっていて、そのたび必死に堪えようとしているのがなんとも彼女らしい。
「恥ずかしい? ご主人様に奉仕するのが恥ずかしいなんて情けない」
「うっせぇ! 恥ずいもんは恥ずいんだよ!」
「元気は有り余ってるのに。……仕方ないな。軽く口あけてみて」
「お、おう」
 彼女が唇に隙間をつくった瞬間。僕は頭を掴むと、むりやりその隙間に自分のものをねじ込んだ。
「罰をあたえます」
「ん……んぇ! んむぉ!」
 えづくような声でもがき逃れようとする彼女を押さえつけ離さない。
「噛むなよ」
 そう告げると、彼女の意思などまるで無視して腰を動かす。
「うぇっ……ぇっ! んぐ、む……ぃっぐ!」
 ぐちゅぐちゅと力づくで口の中をかき回すと、苦しいのだろう、目に涙がにじんできた。
 だが、それにかまわず、さらに唇を犯し続けていると、少しづつ薫の様子が変化してきた。
 苦しそうだった表情がしだいに恍惚としたものになってきたのだ。
「苦しい?」
「ふぐぅ……っ」
 僕の問いかけにも息を漏らすだけで、答えようとする意思がみられない。
「ぁっ、あ……ぐぅ。ぃっ……んむぁ」
 何か言おうとするのだが、言葉にならないようだ。
 まあ、僕のもので口中はいっぱいだろうから、当たり前といえば当たり前だ。
 しかし、舌を動かすせいで、ちょうど愛撫されているような心地になってくる。
「偉いじゃないか。ちゃんできてきたぞ」
 僕が髪を撫でてやると、歯が雁首を引っかいた。
 褒めた途端にこのざまだ。
 しかし、何度か突っ込むうちに、薫はタイミングがわかってきたのか、僕の動きに合わせて自分から頭を動かすようになっていた。
 蕩けたようにうつろな半眼で、ただ僕の顔を見上げている。
 心なしか、気持ちよさそうだ。
 こんなにされても快感を得られるとは、感心してしまう。
「よし。お仕置きはおしまい」
 とはいえ、あまりお仕置きにはならなかったみたいだが。
 始めたときと同じように、頭を押さえペニスを引き抜く。
 名残惜しそうに吸い付いてなかなか離そうとしないのを、むりやり出そうとすると、ちゅうちゅうはしたない音がした。
「フェラチオ好きになってくれたみたいでよかった。荒療治したかいがあるというもんだ」
 僕がひとり悦に入っていると、ぼうっとした表情のまま、薫は僕の股間に釘付けになっていた。
344名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 02:31:57 ID:VmQfZmFa
 今ならなんでも言うことをきく素直な子になっていそうだ。
 ……それはそれでつまらないのだが。
 しかし、こんなチャンスはめったにない。素直に言うことをきく喜多薫なんて。
 ちょっと試してみるか。
「三角座りして」
 命令すると、薫はのろのろと気だるげに動き出した。
 かわいらしくちょこんと三角座りをする彼女に、思わず笑みがこぼれてしまう。
 体育の時間にはこんなふうに座っているのだろうか。
 是非とも見てみたいものだ。体育が男女別なのがなんとも口惜しい。
 ハーフパンツの薫もいいな。いや、ここは古式ゆかしくブルマか。
 おっと、別の方向に行っていまいそうになった。
「よーし、そのまま後ろに倒れて」
 ひざを抱え込んだまま、ぐらりと後ろに倒れこむ。
 あまりに唐突だったので、慌てて背中を支えながら、ゆっくりと布団の上に転がす。
 さて、ようやく準備完了だ。
「足開いて」
 僕の言葉は届いていないらしく、ぼんやり僕を見つめる薫。
「全部見えるように足を開いて」
 もう一度言うと、意思の光が切れ長の瞳にともった。
「……あぁ?」
 軽く物騒な響きを帯びた返事が返ってくる。
「全部見えるように足を開いてって言った」
 三度目か。そろそろお釈迦様でもきわどい回数になってきた。
「あんなむちゃくちゃしといて、またか!」
「あんな?」
「あ、あたしの口にむりやり……」
「なに?」
「あれを入れて……」
 だんだん弱々しい声になってくる。
「あれ?」
「桐野のあれだっ!」
「だからあれってなに?」
「わかってるくせに言わすんじゃねぇっ!」
「はいはい。わかりました。ようするに僕のちんぽを薫の口に入れたのが……」
 わざと下品に言うと、効果覿面。薫は驚きに目を見開いた。
「ちっ、ちん……!」
 みなまで言わずに、なんとか最後を飲み込む薫。
「え? なんて?」
「う、うるせぇっ! 黙れ! コロすぞ!」
「僕の言うことをきかないからそんな思いをするんだ」
 きこうが、きくまいが、どのみち彼女を苛めるのが目的だから、恥ずかしい思いをすることに変わりはないけど。
 そんな僕の思惑を知らずに、薫が僕を睨みつける。だが、間抜けな格好のせいでまったく迫力がない。
345名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 02:35:25 ID:VmQfZmFa
「てめぇ……!」
「ご主人様は僕、薫は奴隷。どうする? 僕はもう命令したんだけど。脚を開いてって」
 にっこり微笑みかけると、観念したのか、薫はゆっくりと脚を広げはじめた。
 ぎしぎしと軋みが聞こえてきそうだ。
 しかし、その遅さがまた興奮を煽る。
「おー。全部見えた」
 ははぁ。脚がエムに見えるからエム字開脚か。
 我ながら暢気なことを考えていると、愛しの彼女が噛み付いてきた。
「言うなボケっ! コロスぞ!」
 ぷるぷると震えているのは怒りだろうか、それとも羞恥だろうか。僕としては見られる快感に耐えているというのが一番望ましい答えなのだが。
「いやいや。自分でじっくり見たことないだろ」
「黙れ! 死ねっ!」
 だんだん言葉づかいがひどくなってきた。照れ隠しだと都合よく信じよう。信じるものは救われる。
 第一、言葉とは裏腹にあそこは濡れていやらしくぬらぬら光っている。
 割れ目の周りに生えている毛が、濡れているせいで余計に色濃く見える。
 軽く突ついてやると、心地よい弾力が指先に伝わってきた。
 ぺろりと指を舐め、彼女の味を楽しむ。
「こういうのをぐちょぐちょって言うんだろうなぁ」
「……んんんんっ!」
 僕の露骨な表現に、なんだかんだ言って根がうぶな薫は、もはやなにも言えなくなったらしい。うめき声を食いしばった歯の隙間から漏らすだけだ。
 僕は薫のあそこの温度がわかるぐらいに顔を近づけて、じっとそこを見つめた。
 生々しい雌の匂いが鼻先を掠める。
「あ、ほくろだ。知ってた? こんなところにほくろがあるの」
 恥丘の端に陰毛に隠れていた小さなほくろをつついてやる。
 薫はびくりと背筋をそらせた。この調子でいったら随分と背筋が鍛えられそうだ。
「あっ、そんなとこ、さっ……触るなっ……」
 自分の痴態を見まいと目をかたく閉じた薫が懇願してくる。
「触るなって言われてもな。わかってる? 薫は僕のものなんだから、自由にする権利は僕にあるんだ。だからこれも僕の」
 ほころんでいる割れ目の奥からとろとろとあふれ出すものを指で救って舐める。その際に、わざとクリトリスを掠めるようにしてやると、
「んひっ!」
 薫は敏感に反応して情けない悲鳴をあげた。
 ひざを握り締めていた指にぐっと力を入れて、足を閉じまいとこらえている。
346名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 02:38:14 ID:VmQfZmFa
「でもあれだよな。命令でも、嫌だったら普通自分で足こんなに広げないよな」
 僕がぽそりと呟いた言葉に薫が敏感に反応した。
「なっ! き、桐野が喜ぶから付き合ってやってるだけだ! あたしはほんとはこんなことしたくないっ!」
「ほんとに?」
「当たり前だボケっ!」
 噛み付かんばかりの剣幕だ。でも、これが薄皮一枚のフリ――自分さえ騙すためのフリ――だということを、本人が知らなくても、僕が知っている。
「ほんとにそうかな?」
 ぴちゃり。僕が触れるとそこは淫猥な水音をたてた。
「っぅ……! 当たり、前だっ」
 責められると途端に、薫の声は弱々しいものになる。
 自分でも情けない声をあげているのがわかるのだろう。悔しそうに僕を見上げている。
「でも……さっきよりも溢れてない? 愛液」
 なんとなくだが、そんな気がする。
 その証拠にシーツの染みがさっきよりもだいぶ大きくなっている。……と思う。
「てっ、てっ、適当なこと言うなっ!」
 今にも泣きそうな顔で、それでも語勢は強いのが最後の抵抗というところか。
「本当は気持ちいいんじゃないの? ほら、これ見てよ」
 僕はシーツを指で押した。すると、そこからじわりと染み出るものがあった。
「これ、どう考えても薫のだよな」
「ち……がぅ。あたしは、桐野が喜ぶから気持ちいフリしてるだけで……」
 じょじょに歯切れが悪くなってくる。
「ほんとにフリ? 僕のため? 昨日はそう言ったけど……本当は自分が気持ちいいからやってるだけなんじゃないか?」
 きっと今の僕はさぞかし邪悪な顔をしているだろう。自分の言葉に自分でもひどいやつだと思うぐらいなのだから。
「ちが……ちがう。あたしは……きり、のが」
 訳のわからない恐怖に襲われているのだろう。今までの自分が自分でなくなりそうな。
 薫の不安げな表情に心をときめかせながら、僕は優しく語り掛けた。
「やっぱり薫は苛められると嬉しい変態なんだ。だから昨日もお尻叩かれて気持ちよくなったんだよ。こんなふうに」
 僕は太ももを軽く叩いてやった。ぱちんと小気味よい音がする。
「ひっ!」
 悲鳴とは裏腹に薫のあそこから、小さくぴゅくっと愛液が噴き出した。
「こんなふうに足開いてるのも、はやく僕に入れてほしいからだろ?」
「ちが……」
「そろそろ素直に自分は変態ですって認めれば?」
「い、やだ……」
347名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 02:41:27 ID:VmQfZmFa
 わかってはいたが、やはり強情な性格だ。体は素直なことこの上ないのに。
 僕が次の一手をどうするかと思案していると、息の詰まったような、妙な声が聞こえてきた。
 部屋には二人しかいないのだから、僕でないということは当然薫の声ということだ。
 ふと目線を上げると、薫の顔が切なげに歪んでいる。
 はじめは快感に耐えているのだろうかと思ったが、それは勘違いだった。
 黙っていると、薫は突然しゃくりあげ、大粒の涙をぽろぽろこぼして泣き出したのだ。
 慌てたのは僕だ。
 なんで泣く?
 そんなにひどいことしたか?
 ……くっ。してないと言い切れない自分が憎い。
 自問していると、彼女は足を押さえていた手を離し、顔を覆った。
 それでも脚が開いたままになっているのは、僕の言うことを守っているのか、そんなことが気にならないほど切羽詰っているからなのか。
 とにかく理由を尋ねなければ。
「なんで泣くんだ」
 しかし、ぐずるばかりで答えるそぶりもない。
 僕は濡れた頬に手を添えると、もう一度問いかけた。できる限り優しい声で。
「なんで?」
 弱々しく僕を見つめると、薫は震える唇で答え始めた。嗚咽まじりではあったが。
「っ……ぇぐっ、だ、だって、えっ……っ、へ、変態だとっ、……んっ、桐野に、ひっ、く、ぐすっ、桐野に……嫌われるっ……」
 今なら世界あいた口が塞がらない協会主催世界あいた口が塞がらない選手権で日本ランキング、いや世界チャンピオンも夢じゃないぞ。
 彼女は今までの僕の仕打ちを受けてきてノーマルだとでも思っていたのだろうか。
 己のことを雌奴隷呼ばわりするような相手は変態だと認識すべきだと思うのだが、これはもしかして愛の力というやつだろうか。
 ……ともかく、自分がアブノーマルなのがだめだと思っている彼女の勘違いを正してやればいいだけだとわかった僕は、胸を撫で下ろした。
 僕はそういう変態が嫌いじゃないよ、と伝えれば事態は解決するのだから。
 まあパラダイスオーケストラとマグロの、といった類の変態でなければ問題ない。
 薫の濡れた頬をぬぐってやる。
「僕は薫が変態でもいいんだけど」
 薫がおどおどとこちらを窺うような反応を見せた。
「ほ、ほんとか……?」
「もちろん。さっきも言っただろ。好きだって」
「桐野ぉ……」
 今度は感動の涙で、彼女は瞳をうるうるさせている。
 すがるような声で名前を呼ばれ、背筋に得体の知れない快感が走った。
 心が高ぶる。
348名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 02:43:30 ID:VmQfZmFa
「もうそんな風に勘違いされないように、いい加減ちゃんと薫を僕のものにしないとな」
 僕は勢いに任せて言い放つと、薫にのしかかった。
「桐野!」
「できるだけ力を抜いて」
「おっ、おう」
 返事をしたものの、彼女の体は明らかに力が入りすぎて強張っている。
「全部僕に任せればいいから、楽に」
 こくりとうなずくも、やはりカチカチのままた。
「大丈夫か?」
「桐野に任す、桐野に任す……」
 消えそうに小さな声でそれだけを呟き、まぶたをおろしている。長いまつげが小さく震えていた。まだ先ほどの雫が残っている。
 拳をぎゅっと握った手を胸元で合わせて固まっている姿は、なにかに祈っているようにも見える。
「……いくぞ」
 なるようになれと、半ばやけくそで僕は自分のものに手をそえ、彼女の秘所に合わせた。
 先端が濡れるのを感じると、そのまま勢いよく腰を沈める。
 一息に入ってしまうほうが痛みは少ないだろうと考えたからだ。
「っ……!」
 未知の体験への恐怖からだろうか、薫が息を吸い込む音が妙にクリアに聞こえた。
 外があれほど潤んでいたから入りやすいだろう、と思っていた僕の考えはあっさりと覆された。
 彼女の中は入り口からきつかった。
 僕の侵入を拒むように狭く、きゅうきゅう僕を締め付けてなかなか奥へ行かせない。
「ぃっ……!」
 かすかな呻きが薫の噛み締めた唇から漏れる。
 その瞬間、僕は素早く息を吸うと、力を込め一番深い部分へ自身を押し込んだ。
 まだ何も通ったことのない場所を、きちきちの淫肉を押しのけて通る。
 きっと名器というやつなのだろう。
 一度進入を許したそこは、まるで僕のすべてを吸い取ろうというように、怪しくうごめき、僕のものに絡みついてくる。
 しかし、経験のない今は持ち主に苦しみを与えているだけだった。
「……桐野、桐野、桐野……」
 薫が、まるでそれを唱えれば破瓜の痛みがなくなるというように、僕の名前を呼び続ける。
349名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 02:45:31 ID:VmQfZmFa
 いつのまにか、僕の首に彼女の腕が回されていた。
 かなり強い力で抱きつかれているのに、気がつかなかったとは。
 僕もかなりいっぱいいっぱいだったらしい。
 彼女の気性のように、中は熱かった。
 つながった部分から、体温が伝わってこちらの温度まで上がりそうだ。
「全部入ったぞ」
 そう告げても、薫は懸命に瞳をとじて、痛みに耐えているだけだ。
 目じりには涙が光っている。
「我慢できなかったら言えよ。すぐに抜くから」
「い、痛くない……」
 薫は顔をゆがめて、呻くようにそう言った。見るからに痛々しい。
 これで平気なんだと思うやつがいたら、そいつの顔を見てみたい。
「そんな苦しそうな顔してて、痛くないとか信じられないって」
「ほ、ほんとだ……バ、カ。全然……痛くないから、う、ごけ……」
「こんなときにまで意地張らなくてもいいから。抜くぞ」
 僕が体を動かそうとすると、薫がしがみついてきた。
「だ……めだ」
「なんで!?」
「桐野が、イッて、な……いから」
 喋る薫の瞳から涙がぽろぽろとこぼれた。
 それを見た僕の胸がきゅっと締め付けられる。
 なんでこいつはこんなに必死なんだろう。
「あたしのことはいいから」
「ほんとに無理しなくていい」
「大丈夫……って、言ってるだろ……ボケ」
 本当はよほど痛いのだろう。涙で顔を濡らしながら笑おうとする薫が愛おしくてたまらない。
 ああ、ちくしょう!
 こうまで言われたら言うとおりにするしかないじゃないか。
 それに、心配している僕の心とは裏腹に、体は今も僕を締め付ける薫でイキたいと感じている。
「もうなにを言ってもイクまでやめないからな」
 にっ、とおかしそうに薫が笑った。
「こっ、ち、のセリフだ、バカ。桐野がイクまで、離さ、ねぇからな……」
 きつい締め付けに耐えながら、僕はゆっくりと腰を前後に動かし始めた。
 僕がピストンすると、薫が眉をしかめ、のけぞる。
 そのたびに、僕の良心がわずかに悲鳴をあげたが、すぐに彼女から与えられる快感に打ち消される。
350名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 02:47:22 ID:VmQfZmFa
 苦しそうな薫には申し訳ないが、僕は蕩けそうだった。
 とても初めてとは思えない反応で、小さく細かいひだに包まれ、優しく愛撫されているような心地を味わったかと思うと、穴全体で痛いぐらいに締め付け、強い摩擦で強引に快楽に引きずり込もうとする。
 出したくても、あまりにきつい締め付けで出させてもらえないのではないか、と思うほどだった。
 雁首が彼女の中をえぐり、道をつくっていく。
 やがて、ちゅくちゅくと、僕のものに押しのけられ溢れた愛液が卑猥な音を立てだすと、僕の腰は滑らかに動き出した。
 そして、その音がぐちゅぐちゅに変わるのはすぐだった。
 僕が夢中で腰を動かしていると、次第に薫の様子も変化しだした。
 回数を重ねるごとに、わずかずつではあるものの、痛みが薄れてきているらしく最初ほど苦悶の色は見られなくなっている。
「痛くないか?」
「最初から痛くないっつってんだろ」
 声に張りが戻っている。
 どうやら、だいぶましになったみたいだ。
 頬も上気している。
「ふぅん。やっぱり変態だから気持ちよくなるのも早いのか」
 変態、の部分で今まで以上にあそこがきゅっと締まる。
「あっ、あたしは……」
「変態だろ」
 断言してやると、薫が、ぐっ、と言葉につまる。
 彼女は僕に密着すると胸元でささやいた。
「お前のせいだからな」
 顔は見えないがきっと、怒ったような、拗ねたような顔をしているに違いない。
「最初から変態の素質があったんだって」
 また締め付けが強まった。
 どうやら苛めるほどにあそこの反応が良くなるらしい。
 まったくやっかいな相手だ。
「違うっ!」
「僕のせいか。よし、それじゃあ変態にしてしまった責任をとろう」
 いきなり僕は彼女の乳首をつねり上げた。
「ひっ……ぃいい」
 甲高い声で鳴くのと同時に、淫らな動きで肉穴全体が蠕動して僕の射精を誘った。
 彼女の反応に僕は満足する。
「ひっ、ひきょ、うらぞ」
 薫は一発でとろとろになってしまった。
 相変わらず、胸が弱い。
 しかし、今回はそれが幸いしたようだ。
 破瓜の痛みよりも胸からの快感のほうが強いらしい。
 これでクリトリスを責めたらどうなるだろう。
 そんな誘惑にかられたが、さすがに処女をなくしたばかりの秘所に刺激が強すぎるのも心配だ。
 この楽しみは次回に取っておくことにしよう。
 僕は頭を切り替えると胸を吸った。もちろん腰の動きは止めない。
 彼女の薄い胸の先端を舌で弾くと、薫は悲鳴を漏らした。
 いや、もう喘ぎ声と言っていいかもしれない。
「はひっ、あ、っあ……き、りのっ! 気持ち、いいか?」
「すごくいい。気持ちいい。薫はどう?」
「す、すごひっ。きりろが、中に、中に、入っれるっ!」
 必死で答えを返す彼女が、僕の背中に爪を立てた。
 ぎっ、ぎ、ぎぎぎ、と僕の皮膚を引っかいていく。
 普通なら飛び上がるように痛いのかもしれないが、今の僕には痛みさえ心地よかった。
 精一杯僕に尽くそうとする彼女のために、僕もできる限りのことをして悦ばせてやりたい。
351名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 02:51:52 ID:VmQfZmFa
 思い切り乳首を吸い上げて、引っ張れるだけ引っ張ると、ちゅぽんと小気味いい音をたてて離れる。
「ひぃっ……いあい、痛いけろ、きもちいひっ!」
「痛いのに気持ちいいなんて、やっぱり変態だよな」
 彼女の唇をむさぼるようにキスをしながら言うと、薫はうっとりとした表情でそれを受け入れた。
「へ、へんらいれも、いいっ! 桐野が好きなら……それれもいいっ!」
 やばい。
 今の叫ぶような薫の言葉に、一気に僕の快感が高まった。
 これまで感じたことのないような心地よさが僕の脳みそを溶かす。
 ついでに僕のどこかのネジも一本すっ飛んでいってしまったらしい。
 体が勝手にゴール目指して突き進んでいく。
 今まで以上に激しく突き入れると、薫はひぃひぃと泣くような声でそれに応えた。
「あっ、っつ、はぁっ、ん……強すぎっ、るっ、もっろ、ゆっくり……し、て」
「さっき言っただろ。なに言っても止めないって」
 息も絶え絶えな彼女の言葉も聞き入れない。
 ただぐちゅぐちゅの彼女のあそこをかき回す。
 もう薫は口を閉じることもできずによがっている。
「ひっ……っ、あぁぁぁ、っはぁん、っく」
 痛いぐらいに尖っている先端を無理やり胸の中に押し込むようにぐりぐりとこね回す。
 と、薫の全身が硬直した。
「あぐっ、あ、ひっ、いぃっ! き、り……のっ!」
 僕の背に回されていた足もぴんと伸ばされ、のけぞったあごががくがく揺れている。
 穴の中すべてが僕のものを愛撫し、締め付け、吸い込んだ。
「もうだめだっ!」
 絶叫すると、僕は一気に自分のものを薫の中から引き抜こうとした。
 しかし、彼女の媚肉がそれを許さない。
 僕はそれを強引に無視して体を起こそうとしたが、それを見計らったように薫が僕を引き寄せた。
「いやらっ! このまま一緒に……っ」
 かすれる声で言うと、薫は気を失ってしまった。
 まずいとはわかっているのだが、もうなにも考える力がなくなっている。なにより限界だった。
 誘うように動く淫肉の望むまま、一番深くまで突き入れた瞬間、亀頭が膨れ精液が噴き出した。
 求められるままに、僕は彼女の中に射精した。
 びゅくびゅくともの凄い勢いで彼女の中を満たしていくのがわかる。
 精液が発射されるたびに、僕のすべてが、薫に吸い取られてしまうような錯覚を覚えた。
 それほど、すばらしい快感だった。ただ気持ちいい。
 僕は欲望をすべて吐き尽くすと、ぐったりと気絶している彼女の上に力なく倒れこんだ。
 やってしまったという思いはあったが、そんなものどうでもいいほど疲れていたのだ。
 なんとか萎えたものを引き抜き、ごろりと転がるように彼女からどくと、投げ出されている手を握る。
 柔らかく、ぬくい。
 それを嬉しく思いながら、僕は目を閉じた。
352名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 03:00:47 ID:VmQfZmFa
 僕が意識を取り戻した――たんに起きたとも言う――のは夜中だった。
 時計の針は三時を回っている。
 疲れ切って二人とも全裸で寝てしまったが、夏でよかった。
 起き上がって隣を見ると、喜多が可愛らしい寝息をたてている。
 頬が緩む。
 よほど疲れているらしく、目を覚ます気配はかけらもない。
 シャワーでも浴びようかと思ったが、まだなんとなくだるいせいで面倒だった。
 喜多にタオルケットをかけてやろうとして、ふと気づく。
 彼女が固く僕の手を握り締めていることに。
 さっき寝てしまう前に自分からつないだと思うのだが、喜多がそれに応えるように、固く握り返してくれているのが幸せだった。
 結局、手を離すのが惜しくて、なんとか足でタオルケットを取り寄せると、また眠った。
 もちろん、手はつないだままで。

 翌朝は大変だった。
 全裸に気づいて大騒ぎする喜多。
 横にいた僕の裸に気づいて大騒ぎする喜多。
 シーツがバリバリで大騒ぎする喜多。
 昨夜のことを思い出して大騒ぎする喜多。
 それを宥めるのに僕は大変しんどい思いをした。もしかすると、昨夜よりも。
353名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 03:03:07 ID:VmQfZmFa
「女の子は大変だよな」
 ひと段落して、僕達はリビングに降りた。
 そこで、コーヒーを口にしながら言うと、喜多はきょとんとした顔をした。
 異物感があるのだろうか。彼女はしきりに下半身を気にしながら僕に問いかけた。
「なにが」
「この状況わかってる?」
 二人の初めての共同作業を終えた翌日。
 一晩経ったのに、女の子はまだあそこを気にしている。
「わ、わかってるよ。あの、は、初たいけ……」
 喜多の声は徐々に小さくなって、最後の方は僕には聞こえなかったが、状況は理解しているようだ。
「そう。その初体験」
「でかい声で言うなっ!」
 僕に飛びかかろうとした喜多を制して、僕は言葉を続ける。
「昨日すごく痛そうだっただろ」
「ぜんぜん痛くなかった!」
「……まあ、それでもいいけど。なんか、聞いた話によると処女膜があるのって人間と、あと、確かモグラ……だったか。だけらしいんだ。
 他の動物にはないから、別になくてもいいものなんだと思う。それで、そんな無くてもいいものでこんな大変な思いしなくちゃいけない、女の子は大変だなあと」
 ところが、僕の感想にたいする喜多の返事は予想外のものだった。
「けっこうバカだな桐野も」
 あきれたような顔で僕を見つめる喜多を、僕は呆然と見返す。
 そのまま、一口、二口とコーヒーカップに口をつける喜多を見つめていると、視線に気づいた彼女が言った。
「あんまじっと見んなよ。なんか恥ずいだろ」
「え? あ……ゴメン。でも、どうして僕がバカなんだ」
「あったらあったでそれはいいだろ。別になくても困んねぇけど」
「処女膜が?」
「あったらどんな女でも好きな男にあげられるもんが一つはできんだろ。一回だけだけど」
「……」
 さらっと言った彼女の晴れやかな顔に、僕は見惚れてしまった。
 まっすぐこちらを見つめる視線に射抜かれてしまったようだ。
 なんだか照れくさいのに、目をそらすことができない。
 感嘆してしまったのだろうか。
「ああ……確かに」
 確かにそんな風な考え方もあるかもしれない。
 僕はバカ面下げてそう言うと、ごほんと咳払いをして気持ちを切り替えた。
「それじゃあ……謹んで喜多さんの処女をいただきました。大変結構なお味で、まことにありがとうございました」
 僕がぺこりと頭を下げると、喜多は猫のようにしなやかな動きでテーブルを飛び越えて僕に飛び掛ってきた。耳まで真っ赤に染まっている。
「おわっ! なんでいきなり!」
「そういうことを……でかい声で言うなっつってんだろうがっ!」
 彼女は僕にのしかかりながら、手近にあったクッションを引っつかむと、僕の顔面に押しつけた。
354名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 03:05:15 ID:VmQfZmFa
「おい! にやにやすんな、気持ち悪いだろうが」
 ぱしんと頭をはたかれた。
 先週のことを思い出していたら、つい顔にでてしまったらしい。
「なにが運命だっつーの。キモイこと言うな」
 それを信じた女の子もいるんですが。
「だから、僕と喜多は運命の出会いだから、別に落とし方なんかない」
 僕は何気ないフリをしてこちらの様子を窺っている喜多に、ぱちりとウィンクをした。
 椅子でゆらゆらと船をこいでいた彼女が体勢を崩す。
「けっ! オマエはそうやって狭い心で幸せ独り占めにしてるがいいさ、バカくせぇ」
 結局、広尾はあきれ果てて自分の席に戻っていった。
 どうせ一時間目が終われば、また同じようなことを言いにくるだろうが。
「今日も元気かー。絶好の勉学日和だな」
 先生が相変わらずのでかい声とともに教室にやって来た。
 教壇に立ち、教室を見回す。
「おっ、喜多。最近は遅刻もせんと真面目にやっとるようだな」
 声をかけられても、じろりとにらみ返すだけで、喜多は返事をしない。
 先生のほうも友好的な対応は期待していなかったらしく、いつものようにホームルームを始めだした。
 僕だけが、彼女が遅刻しない理由を知っている。
 僕と一緒に登校するためだとは、先生は夢にも思うまい。
 ……危ない。また頬が緩むところだった。

 金曜日の朝。
 いつものような段取りで喜多が土手で僕を待っていた。
 学校に向かう道すがら、彼女は言った。
「お、お前はさ。普段はあたしのことを名前で呼んだりしないのか? いや! 別にあたしが呼んで欲しいとかそういうわけじゃねえから勘違いすんなよ」
 まったく。
 やれやれだ。
355名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 03:12:45 ID:VmQfZmFa
いつも過分な褒め言葉ありがとうございます。

お待たせしたみたいですみません。
今回はいつも以上の大量投稿ですが、頑張って読んでいただけると幸いです。
もっとすぱっとシンプルにまとめることができればよいのですが。
未熟です。

これで「喜多さんと僕」一応おしまいです。
あとオマケ、焼き直し?がありますが、こちらはあまりお待たせしないですむと思います。
予定タイトルは「桐野とあたし」「バカップルと俺」です。
356名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 03:14:12 ID:ZYgf1ydc
興奮して眠れない。
可愛過ぎる、喜多さん。
357名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 03:32:24 ID:FNketP4m
キター!!!!
おきててよかった。
358名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 03:33:23 ID:8qKfRWWa
マジで喜多さんがかわいすぎる…
359名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 03:46:11 ID:pyhVZCVT
まったく・・・
貴方のせいで息子が寝てくれません
んなわけで乙
360名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 03:51:00 ID:RpoOQ4Qb
ネ申すぎる・・
マジで起きてて良かった
361名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 10:05:00 ID:FCpwZMzt
ちょwww
後半読んでる間ずっとニヤニヤしてた俺ww
テラキモス
362名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 11:19:31 ID:BQ6T6/oQ
喜多さんキタ-
喜多さんが可愛すぎる…
オマケも期待しております
363名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 12:12:34 ID:7aiBVv5o
喜多さんかわイイ!!
とても良かったですGJ!
364名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 13:13:45 ID:TRUyOICu
最終話キターーー!
喜多さんかわいいよ喜多さん
365名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 15:21:29 ID:NTAKFcKW
喜多さん、かわいいぞ!
366名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 16:13:05 ID:4GajanZ8
電車manより感動した。GJ過ぎ
367名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 18:38:29 ID:ga23kSse
ありがたやありがたや。
すげー。GJ!!!
368名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 22:46:41 ID:E/Q12BLL
喜多キター!

民明書房ワラタw 開いた口が(rya もナイスww 俺のど真ん中www
かなりワラタよ。そんでエロい。それだけでも満足なのに、おまけも有るなんて。
マジありがたい。マジありがとう。
369名無しさん@ピンキー:2005/09/24(土) 14:49:07 ID:JleArEZn
ああ畜生
畜生め
可愛いな喜多さん
次で終わりでもこんなに可愛いなら
べつにいい
370名無しさん@ピンキー:2005/09/24(土) 15:24:29 ID:6RaPd9Bo
遅くなりましたが超GJ。
毎週楽しませてもらいました。終わってしまうのが惜しいくらいに。
簡単ですが感謝と尊敬の言葉を。
あんた神だよ。
371名無しさん@ピンキー:2005/09/24(土) 18:07:27 ID:nftu8rkq
もう神様に足を向けて寝られません。
372名無しさん@ピンキー:2005/09/24(土) 20:27:17 ID:KIW/lX60
うは、息子が言うこと聞いてくれないwwww
373名無しさん@ピンキー:2005/09/25(日) 16:52:40 ID:fHfTeiU1
喜多ほしゅ
374名無しさん@ピンキー:2005/09/25(日) 22:32:04 ID:W/bOnosC
畜生!喜多さん可愛杉じゃねえか!
北米はワシントンから転がってる俺が居ますYO!
出張中もチェックしてて良かった!!GJGJGJ!
375名無しさん@ピンキー:2005/09/25(日) 22:51:51 ID:1NsJUAiP
喜多さんワールドワイドエロだなぁ
376名無しさん@ピンキー:2005/09/26(月) 00:52:50 ID:a1GBt0j8
オマケマダ-(AA略
377名無しさん@ピンキー:2005/09/27(火) 21:10:14 ID:zQyYu9gsO
保守
378桐野とあたし:2005/09/28(水) 23:57:28 ID:f96PbuLS
 その……な、こう、なんつーか……手をつないで学校にいきたいのだ。
 だから今週はずっと早起きしてる。
 この土手を通って桐野は学校に行ってるから、あたしはその途中、川原のほうに降りるための階段に座って、あいつが来るのをここで待ち伏せしている。
 朝だっつーのに、ぼんやりと階段に座り込んでいるあたしをじろじろと見るやつもいるが、そんなやつは睨み返せば一発だ。
 ぼーっと流れる川を眺めながら、桐野を待つ。
 だんだんウチの学校の制服のやつらが多くなってくる頃に、だいたい桐野は現れる。
 ここ二、三日でわかった。
 あたしは待ってたのがばれないように、慌てて腰を上げると、歩き出した。といっても、桐野に追いつかれなければいけないから、できるだけゆっくり、だけど不自然にならないようにだ。
 こんなあたしの苦労を桐野はまったく知らねぇに違いない。
 女はツレーよ。
 時々、後ろを振り返って様子を窺うと、ちゃくちゃくとあたしと桐野の距離が縮まっている。
 もうすぐだ。
 あたしの心臓の音がだんだんでかくなってくる。
 桐野の足音だけがよく聞こえるのも不思議だ。
 あたしの緊張も知らずに、桐野があたしの横に並んで、そのまま通り過ぎようとした。
 小さく深呼吸して、
「お、おう。桐野じゃねぇか。ぐ、偶然だなっ」
 また、噛んじまった。ちくしょう。何回目になっても最初の一声は緊張する。
 あたしが呼びかけると、桐野が軽く振り向いた。
 なんだかあたしの顔を見て微笑んだような気がしたのは気のせいか? 夢見る乙女なんかになったつもりはねえけど。
「ほんとに偶然だ、喜多さん。四日連続はすごいな」
「そっ、そうだな!」
 偶然のフリをするのにあたしがどれだけ苦労しているかもしらねーで、のんきなことを言っている。
 けど、もし毎朝あたしが待ってるなんてことがバレでもしたら、コイツはけっこう意地悪なとこがあるから、どうなるかわからない。
 ほんとはばらしてでも、桐野の家から一緒に行きたいけどしょうがない。
 それはあきらめるとしても、今日で木曜日、四日目だ。いい加減に手を……つっ、つなぎたい。
 月曜から水曜までなにしてたんだっつわれても、こっちにも色々心の準備があんだよ!
 き、桐野には、その、なんだ。いろ……いろされてっから、あいつに触ろうとすると緊張すんだよ! ちくしょう!
 だめだ! あたしは誰としゃべってんだよ。手つなぐぐらい楽勝だろうがよ!
 あたしも女だ。根性決めてやる。
 確か昨日も同じような決心をしたんだっけな。
 昨日は惜しかったんだ。
 昨日の朝、世間話をしながら、桐野の手を見ていたあたしは、桐野の手がかばんを持ち替えたのを見て、今しかないと気合を入れたのだ。
379桐野とあたし:2005/09/29(木) 00:00:03 ID:f96PbuLS
「……で、そのだ、なんていうか、きっ、桐野はあたしと手を、つ、つないだりはしたくないのか? いや! 別にあたしがつなぎたいとかそういうんじゃねぇんだけどさ」
 だめだぁー!
 あたしは頭を抱えて振り回したくなった。
 全然はなしになんねぇー!
「手?」
 きょとんとした顔で桐野が聞いてくる。
 なんか呆れられてる気がする。そりゃ自分で言ってても、途中で訳わかんなくなってるから、聞いてる桐野が訳わかんなくなるのもあたりまえか。
 しかし、あせるあたしの唇は、心とは関係なく、でたらめばかり口走る。
「ち、違うぞ! 別にあたしはつなぎたいとか言ってないからな」
 反対だって。ほんとは手つなぎたいんだけど、こうなったら手遅れだ。
 諦めと疲れから、あたしはもう桐野を見ることもできなかった。
 そうすると、なんだか桐野の手があたしに触れたのだ。
 ちょっと手を、指を動かせば、桐野の指と絡まりそうなぐらいに。手をつなげそうなくらいに。
 あたしはあまりのチャンスに驚きすぎて、固まってしまい指を動かせなかった。
 その後も何度か同じようなチャンスがあったけど、そのたびに緊張してだめだった。
 結局、昨日は緊張しすぎて、学校に行くだけでへとへとになっちまった。

 今日こそ!
 誰かも言ってたけど、昨日より今日だ! 今日繋げればなんの文句もない。
 あたしが昨日のことを思い出して、同じミスをしないように考えていると、桐野が声をかけてきた。
 なんだかうきうきして嬉しそうな声のような気がする。
 桐野が楽しそうだと、なんだかあたしも嬉しい。
「ねぇ、喜多さん」
「なんだよ」
「昨日さあ、喜多さんが言ってたことなんだけど」
「あたしなんか言ったか?」
 桐野と話したことはたいてー覚えてるはずだけどな。
「僕が喜多さんと手つなぎたくないかってことなんだけど」
 びりっとあたしの背中に電気が走る。
「あ、あれか。念のためもう一回言っとくけど、べ、別にあたしがつなぎたいってわけじゃないからな。桐野が……」
 ち、違う! そうじゃなくて、繋ぎたいのに口が勝手に!
「言われて考えたんだけど、つなぎたい」
 だから、あたしはほんとはつなぎたいんだ。けど、けど、ちくしょ! こんな自分に腹がたつ……?
「へ?」
 なんだか今すごいことを言われた気がする。
「手」
「……手……?」
 あたしは桐野の言葉をそのまま繰り返した。
「喜多さんと手つなぎたいんだけど嫌か?」
「お、お前がつなぎたいなら、い、い、いいけど。……ほらよ」
 心の中で大歓声をあげながら、あくまで渋々という感じで手を差し出す。
380名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 00:00:43 ID:f96PbuLS
 あたしの指先に桐野の指が触れ、絡まった。
 掌から伝わってくる桐野のぬくもりがあたしの胸の奥にまで伝わってくる気がする。
 頬が緩みそうになるのをぐっとこらえて、あくまで普段と変わりない顔をする。
「こういうのってけっこういいもんだな」
 けっこうどころじゃない! すげぇ! ものすげえいいもんだ!
 そう思っていても、素直にそれを伝えられない。
「そ、そうだな」
 気乗りしていないような言葉しかでないのが情けない。
「そういえばこの前のことなんだけど……」
「なんだよ」
「……喜多さん。なんていうか」
「おう」
「単語じゃなくて文章でしゃべって欲しいんだけど」
 しまった! 緊張のあまりまともに喋れない。
 桐野にさらに突っ込まれないうちになにか、話題を探さないと……だめだ、なにもでてこないっ。なにか、なにかねぇのか。
「……きょ、今日もいい天気だな」
「くっ……はははははは。いや、ほんとに、はははは、いい天気だ」
 あたしが変な汗までかきながら、ようやく探し出した話題を口にした途端、桐野は腹を抱えて爆笑しやがった。
 あ、あたしだって別に天気なんかの話がしたかったんじゃないんだ。桐野がなにかないかって言うから言っただけなのに。
 ぐわっと顔が熱くなるのが自分でもわかる。桐野の顔を見ることができない。
「そ、そんなに笑うことないだろ!」
「いや、だって、いい天気だって、いや、確かにそうだけど、あはははは」
 あたしが怒鳴ったら桐野の笑い声がでかくなった。
 それでもあたしには、笑うなと言うことしかできない。
 ちくしょー! 桐野にバカだと思われる。
「わ、笑うなっつってんだろ!」
「くっ、くく……いや、ごめん。じゃあ天気の話はやめよう」
 ようやく桐野の笑いが静まりだした。それでも、ときどき噛み殺しきれなかった笑いを漏らすのが腹立たしい。目の端には涙まで浮かべている。
 ほんとのあたしはもっとビッとしてるのに、桐野にはカッコ悪いとこばっか見られてる気がする。
「わかればいいんだよ。わかれば」
「でもさ、なんていうか……喜多さんって見た目より可愛いよな」
「可愛い? あたしが?」
「うん」
 こいつはときどき突拍子もないことを言い出してあたしを凍らせるのだ。
 しかも、それを期待しているふしがあり、その通りになってしまうのにまた腹が立つ。
 ここらでビシッとしておく必要がある。
 あたしは丁寧にガンつけようの顔をつくった。けど、そんなに不細工にならないようにしないといけないのがいつもと違って難しい。いつもはびびらせればいいだけだからな。
「ふざけたこと言ってんじゃねえぞ!」
 言ってやった! ビシッと言ってやった! これで桐野も少しはおとなしくなるだろう。
381名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 00:01:35 ID:f96PbuLS
「いや、本心からなんだけど」
 だめだ。ぜんぜんきいてねぇ。こいつの図太さには恐れ入るぜ。
 ……まてよ。あたしはすでに舐められきってるってことか?
 このまま桐野に主導権を握られたままあたしは振り回されるってことになんのか?
 ……。
 ……それはそれでいい、のか。
 いや! いいわけねぇ! いつもこいつに好き放題されるのが……いい。
 違うっ! だめだっ!
「これ以上言ったらぶっ殺すぞ!」
「喜多さんと話せることがどんどん減ってくなあ」
「そんなくだらねぇことだったら減っていいんだよ」
 言ってから、あたしは自分がそんなに緊張していないことに気づいた。
 すごく自然に手をつなげてる。
 へんに桐野の手を意識しないでいられる。
 あぁ、なんか、今すげぇ幸せかもしんねぇ。
「おいコラ! 待てや喜多!」
 桐野の手、なんかやっぱ男だな。けっこーゴツい。
 これがあんなに色々動くんだな……あっ、やばい。今考えたの桐野にばれてないだろうな。あたしは硬派なフリョーなんだから。
 あたしはちらりと桐野の様子を窺った。すぐ横を見ると顔が間近にあってどきどきするぜ。
 桐野が急に立ち止まった。前を見ている。
 ん? どうしたんだ?
 あたしも桐野の視線を追いかけて前を見た。
 すると頭の悪そうなバカがいた。確か前にちょっかいかけてきたバカだ。
「この前はよくもやってくれたな。おお!? 油断さえしなきゃ、俺がてめえみたいな女にやられるわけねんだよ。ぼこにしてやる!」
「あぁん! お前見たいなバカの相手してる暇はねぇんだよボケっ! また玉潰すぞ!」
「殺す!」
 それはこっちのセリフだボケぇ!
 あたしはバカヤンキーの玉を叩き潰そうと構えを取ろうとした。
 ところが、最悪のミスを犯してしまった。
 このバカの喧嘩を買ったせいで桐野とつないだ手を離さなければならない。
 せっかく毎日早起きしたのに!
 ずっと頑張ってやっと今日つなげたのに!
382名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 00:03:57 ID:DSAXWKdp
「ちくしょうっ!」
 あたしは泣く泣く桐野の手を離すことにした。
 いくらなんでも手をつないだまま喧嘩はできないし、第一桐野になにかあったら大変だ。
 あたしの幸せをぶっ壊しやがって!
 絶対にコロス! 潰してコロス!
 腹立ち紛れに、あたしは手にしたカバンを投げつけた。
 そのままカバンを追いかけるようにキックを放つ。
 直撃! 硬い!? してない!?
 生意気に下半身をガードしてやがる。
「せっかく再起不能にしてやろうと思ったのによ」
 まずい状況になったと思うが、弱みを見せるわけにはいかない。
 あたしは強気な態度を崩さずに吐き捨てた。
「てめえのことだからどうせここを狙ってくると思ってたぜクソアマ。ここさえやられなきゃ女のてめえが勝てるわけねえもんなあ」
 しまった! 足掴まれたっ!
 むかつく顔で笑うなボケっ!
「っつ!」
 痛えっ! 顔面殴りやがった!
「痛かったら痛いって言えよ。俺の気持ちがすっきりするからな。泣きたくなったら泣いていいぜ。許さねえけどな。ひひひ。あれ、お前の男か? お前をぼこぼこにしたら次はあいつもついでに殺ってやる。」
 今なんつった!? 桐野に手ぇ出す気かっ!
……。
……。
死ねっ……このボケっ。
……。
……潰れろっ……。
……。
……。
「ちくしょうっ! やっと、やっと手、手を繋げたのにっ!」
 そうだ! やっとだったんだぞ!
 ん?
 ちょ、ちょっ、ちょっと待て! 今あたしでかい声でとんでもないこと言わなかったか?
 まずい。あたしが桐野と手をつなぎたがってたことがばれたら、またあいつにからかわれるネタになってしまう。
 あたしは手遅れとはわかっていても、猛スピードで口を押さえた。
 それから、こっそりと横目で桐野を見た。
 桐野はあたしと目があうとさわやかに笑ってくれた。
 危ないとこだった。あの感じだと、なんとか聞こえなかったらしいな。
 そこで、あたしは足の裏の違和感に気づいた。目を落とすと、バカの顔が靴の下にある。
 のんきに気絶している顔を見ると、また腹が立ってくるが、あんまり桐野の前で暴力をふるって嫌われるとまずいから我慢しよう。
「これで勘弁してやる」
 あたしは最後に一発だけバカの頭を踏みつけると桐野のほうに向かった。
 桐野の顔はちょっとだけ青ざめているように見えた。きっとあたしのことを心配してくれたんだ。
 桐野はなんだかんだ言っても優しいからな。
 けど、あんまり心配かけるとまずいから、ちっとフォローしとくか。
「……前も言ったかもしれないけど、いつもこんなことしてるわけじゃないからな」
383名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 00:05:14 ID:DSAXWKdp
「わかってる。それよりも喜多さん」
 なんとか話はそらせたみたいだな。
「なんだよ?」
「鼻血でてる」
 言われて、あたしは鼻の下に手を伸ばした。
 すると、赤いものが指先にべっとりついている。
 やべぇー! 恥ずいにもほどがあるだろ。間抜けな顔になってねぇだろうな。
 と、とにかく早く拭かないと。
 あたしは慌てて袖口で鼻をこすった。
「ちょっ、ほら、そんなので拭かないで。ハンカチ貸してやるから」
「おう。ありがと。あ、あんま見んなよ。間抜けな顔になってんだから」
「名誉の負傷ってやつだねえ。ちょっとよく見せて……あんまりひどいことにはなってなさそうだけど、学校に着いたら保健室に行こう」
「いいよ、これぐらい」
「だめ。これは御主人様の命令だ」
 あぁー。桐野があたしの心配してくれてるぞ。
 幸せだー。
 けど、このぐらいで浮かれると思われたら安い女に見られるからな。ビッとした態度でいないと。
「わかったよ。行けばいいんだろ、行けば」
 わざとぶっきらぼうに言ってやる。
 すると、桐野は偉そうにうなずいた。
「わかればよろしい。あとでご褒美をあげよう」
「ごっ、ご褒美」
 その言葉を聴いた瞬間体中にびりびりと電気が走った。
 な、なにされるんだろ、あたし……。
 ち、違う! 嬉しくなんかないんだ。
 けど、体がかってにもじもじと動いてしまう。
 あたしの体はあたしのものじゃなくて、桐野のものになってしまったみたいだ。
「それとね、ちょっとこっち来て」
「お、おう」
 今からなにかされんじゃねぇだろうな。
 まさかとは思うけど、一応用心しながら、あたしは桐野に近づいた。
 あたしに顔を寄せると桐野が小さく口を開いた。息が少しくすぐったい。
「あのときはおちんちんだってなかなか言ってくれないのに、喧嘩のときはフニャチンだなんだって大きな声で言えるんだな」
 ――っ!
「ばっ、てめ! 声が、い、いきなりなに言いだすんだよバカっ!」
 あたしは即座に桐野の口を力ずくでふさいだ。
 これ以上とんでもないことを言わせないためだ。
384名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 00:07:04 ID:DSAXWKdp
 すばやく辺りを見回したが、なんだか皆がこちらを見ている気がする。
 まさか聞こえたわけじゃねぇとは思うけど。
 あたしがしばらく様子を窺っていると、周りのやつらがぱらぱらと歩き出した。
 大丈夫みたいだ。
 しかし、桐野にはガツンと言わないと。
「きゅ、急にとんでもないこと口走るな!」
 慌てて桐野の口を両手でふさぐ。
「ふがむんが……」
「黙れっ」
 あ、危ない。またなにか言われるところだった。
 しばらくはこのままこいつの口を押さえてないと。
 桐野があたしの手をどかそうとしてきたがダメだ。まだ周りに何人か人がいる。
 あたしはさらに手に力を入れた。
 ところが、桐野のほうは指に力を入れる様子がない。
 あたしがいぶかしんで様子を見ていると、桐野の指が動いた。
 手を離すものかと思っていると、すっと手の甲を撫でられる。
「んひっ!」
 なんだか妙な感じの触り方だったので、あたしは思わず飛びのいてしまった。
 文句を言おうとしたが、なんだかぞくぞくして口がうまく動かない。
「な、な、な……」
「はぁ、苦しかった」
 桐野のほうは暢気に口元を押さえている。
「苦しかったじゃねぇだろボケっ! いきなりなにするんだ」
「手を触っただけだ」
 た、確かにその通りだけど……なんか違う気がする。
「……」
「でもあれだけなのにあんな声だして、喜多さんはやっぱり敏感だなぁ」
「きっ、き……」
「き? なに?」
「桐野っ!」
 考えるより先に体が動いた。
 あたしは桐野の口を再度押さえようと飛びかかろうとした。
 ちょうどその一呼吸前に、うまいタイミングで桐野が口を挟みやがった。
「喜多さん、急がないと遅刻するよ。結構時間食ったから。ほら」
 これだ。ちくしょう。くやしいが勝てる気がしない。
 あたしの気持ち気づいているのか、いないのか。桐野はこっちをにこにこ見ている。
 と、あたしは桐野が手を差し出しているのに気づいた。
 つい、その手をぼけっとバカみたいに見つめてしまった。
 ……嬉しい。
 あぶねぇ! またうっかり許してしまいそうになってたぞ。
 ここはバシッと決めとかねぇとな。
 あたしはぶすっとした不機嫌な顔をつくると、手を差し出してやる。
 あくまで桐野がつなぎたいからつないでやるのだ。
「おう」
385名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 00:08:57 ID:DSAXWKdp
 その日の登校はサイコーだった。
 早起きしてたかいがあったってもんだ。
 ただ、はやく手をつないでても緊張しないようにしないとな。
 あたしが緊張してんのが桐野にはバレてないはずだけど、いつまでもこんな感じじゃそのうちバレちまうかんな。
 学校に着くのがこんなに早い日は初めてだった。
 今までなら歩くのがだるいぐらいなのに。
 正門が見えると、あたしは残念ながら手を離さなくてはいけなかった。
 男と手つないでるとこなんか見られちまったら、どんな噂がたつかわかんねぇしな。
 桐野に迷惑がかかるかもしんねぇし。
 自分から手を離したくせに、桐野の温もりがなくなった瞬間、あたしはごっそりと大事なものがなくなってしまったような気がした。
 そして、その瞬間わかってしまったのだ。
 ああ、あたしはもう桐野なしではいられなくなっちまったんだ。ってことを。
386バカップルと俺:2005/09/29(木) 00:10:48 ID:DSAXWKdp
「お、おう。桐野じゃねぇか。ぐ、偶然だなっ」
「ほんとに偶然だ、喜多さん。四日連続はすごいな」
「そっ、そうだな!」
 今日もかよ。
 俺はうんざりした気持ちで、今週に入ってから毎朝繰り広げられるミニコントを眺めた。
 俺は広尾宗利。
 目の前でミニコントをやっている二人組みのうちの男のほう、桐野とは幼馴染で、女のほうの喜多とはクラスメートだ。
 自分で言うのもなんだが、俺はかなりもてる。金持ちだし、顔もいい、スポーツもできる、頭だって悪くないとくればそうなるのも仕方ない。
 そんな俺が、ここ最近、目の前の二人に胸にラブラブぶりを見せつけられながら登校するはめになっている。
 本来なら俺は見せ付ける側のはずだ。
 桐野の位置に俺がいるほうが正しいのに、なぜ俺でなく桐野なのか。
 俺と桐野はよくつるんでいる。
 つまり、他人の視界に入るときは二人そろってが多いということだ。
 なのに、なぜあの喜多は俺でなく桐野を選んだのか。
 それがわからない。
 普通、桐野と俺なら俺を選ぶだろうに。
 ……。
 そうか! 謎はすべて解けた。
 俺があまりにカッコ良すぎるから、遠慮して近づきがたいんだ。高貴な方には下々のものは近づき難いものだからな。
 くそっ。すべてに恵まれすぎるのもいいことばかりじゃねーな。
 いや、待てよ。
 それは考えすぎかもしれない。
 俺が完璧すぎるからといって、少しでも可能性があればダメもとで挑戦するだろう。
 それだけの価値が俺にはあるはずだ。
 ということは……。
 なにか俺の知らないコツのようなもんがあるんだ。きっと。
 あの手の女の子をおとすコツが。
 それ以外に桐野が喜多をおとせるわけがない。
 あんななに考えてるかわからんようなヤツに女が惚れるわけがない。
 俺が灰色の脳細胞によって完璧な解答を導き出した頃、バカップルどもは、まだくだらないおしゃべりを続けていた。
 幸せで脳汁が出まくりの二人はすぐ後ろにいる俺に気づきもしない。
 きっと今の二人にはお互い以外は背景にしか見えないのだろう。
387バカップルと俺:2005/09/29(木) 00:11:41 ID:DSAXWKdp
「ねぇ、喜多さん」
「なんだよ」
「昨日さあ、喜多さんが言ってたことなんだけど」
「あたしなんか言ったか?」
「僕が喜多さんと手つなぎたくないかってことなんだけど」
「あ、あれか。念のためもう一回言っとくけど、べ、別にあたしがつなぎたいってわけじゃないからな。桐野が……」
「言われて考えたんだけど、つなぎたい」
「へ?」
 喜多が間抜けな声を出した。
 あんな喜多を見たのは初めてかもしれない。
 いつもは怖そうにギッと張り詰めてるかんな。
「手」
「……手……?」
「喜多さんと手つなぎたいんだけど嫌か?」
「お、お前がつなぎたいなら、い、い、いいけど。……ほらよ」
 喜多が手を差し出すのが見えた。
 手ぐらい普通につなげよ。
 あんなもん流れでつなぐもんだろうがよ!
 まどろっこしいやりとりに俺がいらいらしていると、桐野がわけのわからないことを言い出した。
「こういうのってけっこういいもんだな」
「そ、そうだな」
 喜多! お前もそうだなじゃねー!
 手ぐらいで眠たいこと言うなっ!
 そんなんじゃセックスなんて夢のまた夢だろうが!
 あいつら絶対処女に童貞だ。
 あんな調子じゃ初体験までどれだけかかるんだ。
 考えただけで頭がくらくらするぞ。
「そういえばこの前のことなんだけど……」
「なんだよ」
「……喜多さん。なんていうか」
「おう」
「単語じゃなくて文章でしゃべって欲しいんだけど」
388名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 00:12:35 ID:DSAXWKdp
「……きょ、今日もいい天気だな」
「くっ……はははははは。いや、ほんとに、はははは、いい天気だ」
「そ、そんなに笑うことないだろ!」
「いや、だって、いい天気だって、いや、確かにそうだけど、あはははは」
「わ、笑うなっつってんだろ!」
 桐野! 爆笑してんじゃねー!
 天気の話なんかぜんぜんおもしろくねーんだよ。
 後ろで聞いてる俺にも楽しめるトークにしろ。
 血管が切れそうだ。
「くっ、くく……いや、ごめん。じゃあ天気の話はやめよう」
「わかればいいんだよ。わかれば」
 ようやく話題が変わるらしい。
 と、俺がほっとしたのもつかの間。
「でもさ、なんていうか……喜多さんって見た目より可愛いよな」
「可愛い? あたしが?」
「うん」
「ふざけたこと言ってんじゃねえぞ!」
 それは俺のセリフだ!
 桐野の野郎、ぬけぬけと。
 惚気ってものが自分はともかく、他人のを聞かされるとこんなにも腹が立つものだとは。
 やべぇ、怒りでスーパーサイヤ人になれそう。
「いや、本心からなんだけど」
 まだ言うか! 桐野の野郎!
 かばんをあのバカの顔面めがけて放り投げてやりたい。
 しかし、そんなことをすれば、桐野にべた惚れらしい喜多の報復が怖いし。
 俺はこぶしを力いっぱい握るだけにとどめておいた。
 決して喜多が怖いわけではない。俺は女性には優しいのだ。
「これ以上言ったらぶっ殺すぞ!」
 喜多が桐野に怒鳴っているが、まるで嬉しさを隠しきれていない。
 きっと綺麗とか、そういう褒め言葉に免疫がないんだろう。
 まあ、喜多に面と向かってそんなことを言える度胸のあるやつなんていないだろうからな。
 ……待てよ。
 すると、桐野の野郎は今みたいに寝言まみれのセリフで喜多を攻めまくっておとしたのだろうか。
 ありえるな。
 褒め言葉に弱い女の子はいっぱいいるしな。
 しかし、まさか喜多がそんなタイプとは思わなかった。
389名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 00:16:42 ID:DSAXWKdp
「喜多さんと話せることがどんどん減ってくなあ」
「そんなくだらねぇことだったら減っていいんだよ」
 幸せそうにじゃれている二人を見ていると腹が立ってきた。
 こっちは最近ぜんぜんついていないというのに。
 この前も五股がばれてふられたばっかりだし。
 バイクに乗って鋲のついた服着た悪党達がヒャハハって笑いながらあの二人を邪魔しにこねえかな。モヒカンならなお可。
「おいコラ! 待てや喜多! この前はよくもやってくれたな。おお!? 油断さえしなきゃ、俺がてめえみたいな女にやられるわけねんだよ。ぼこにしてやる!」
 げえっ! ヤンキー!
 ジャーン! ジャーン! ジャーン!
 俺の脳裏に銅鑼の音が響いた。
 天が俺の願いをかなえたのか。
 レスポンスが早かった分、モヒカンでも、バイクに乗ってもいないがまあいい。
 しかし、本当にかなうとは思わなかった。
 天も俺には常に注目しているらしい。
 こうまで恵まれていると、うかつなことを思うことすらできないな。
 とりあえず、野次馬になるとするか。
「あぁん! お前見たいなバカの相手してる暇はねぇんだよボケっ! また玉潰すぞ!」
 喜多が鬼のような形相でヤンキーを睨んだ。
 子供が見たらおしっこ漏らすぞ。
 よく男の前であんな顔ができるな。
 桐野がひくぞ。
 ……いや、別にひいてないな。
 そういえば、あいつは昔からそういうやつだった。
 物事に動じないというか、鈍いというか。
 ヤンキーは動じないどころではない。怒りにぷるぷる震えている。
 どうやら喜多の言葉は図星らしい。
 むかし喜多に玉潰されたことがあるのか。哀れなやつだ。
「殺す!」
 喜多が桐野の手を振り払って迎撃体制をとる。
 まあ、いざとなったら助けに入ってやろう。
 おっ、喜多が言葉通りに男のタマ狙った。
 えげつねー。
 女だからできんだろーな。ああいうことは。
 おっ、ヤンキーもなかなかやるぞ。ちゃんとガードしてる。
390名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 00:17:39 ID:DSAXWKdp
「せっかく再起不能にしてやろうと思ったのによ」
 ぶっそうなことを喜多が口走る。
 なにからなにまで恐ろしい女だ。
「てめえのことだからどうせここを狙ってくると思ってたぜクソアマ。ここさえやられなきゃ女のてめえが勝てるわけねえもんなあ」
 その考えは甘いんじゃねぇのかな。
 横から見てるだけだけど、明らかに喜多とヤンキーでは格が違う。
 野次馬らしく、冷静に批評していると、喜多が脚を掴まれてしまった。
 あ、やばい。
 うわっ、殴られた。
 あ、凄い。ぜんぜん弱気になってない。
 それどころか闘志満々だ。
 苗字花山のほうがいいんじゃねぇか?
「っつ……!」
 あ、またやられた。
 そろそろ助けに行ったほうがいいかな。しかし俺が行くのもへんだよな。彼氏がすぐそこにいるし、と俺は桐野を見た。
 すると、喜多のほうに向かって駆け出している。
 さすが、彼氏。
 彼女は自分で助けに行かないとな。
 やられたら俺が屍を拾ってやるから頑張れよ。
「痛かったら痛いって言えよ。俺の気持ちがすっきりするからな。泣きたくなったら泣いていいぜ。許さねえけどな。ひひひ。あれ、お前の男か? お前をぼこぼこにしたら次はあいつもついでに殺ってやる。」
 うわー、むかつくヤツ。
 きっと俺みたいな人生をおくってないからあんな風になんだろうな。
「テメエ……! 死ね! このボケっ!」
 なんであんなに強気でいられるのかと思ってると、喜多はむちゃくちゃな姿勢で反撃をヤンキーに食らわせた。
 ズ・ツ・キ……見事な……。
「ぐぇっ、がこ」
 あ、手離れた。
391名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 00:19:03 ID:DSAXWKdp
「根性だせやコラァ! 痛かったら痛いって言え! 言っても許さねぇぞボケっ! 桐野は関係ねぇだろがぁ! 桐野はぁ! おーっ!?」
 自由の身になった喜多の動きはすさまじかった。
 喜多と書いてキリングマシーンと読んでもいいだろうほど、殴る蹴る。
 哀れなヤンキーは一気に形勢逆転され、ボコボコにされている。
 桐野はというと、喜多を眺めるばかりだ。
 そりゃそーだ。
 せっかく白馬の騎士が駆けつけようとしたら、お姫様が魔王をたこ殴りにしてんだもんな。
「勘違いすんなよ。あたしがてめえのフニャチン狙うのは、お前みたいな馬鹿の相手に時間かけたくないからだ……よっ!」
「へぎょっ!」
 喜多の玉蹴りが当たり、ヤンキーが悶絶している。
 見ているだけでこっちまで痛くなってきそうだ。
 周りで見ていた数人の男が股間を抑えるのが見える。
 ヤンキーが気を失って地面に倒れこんだ。
 どうやら勝負はついたようだ。
 さて、平和な登校に戻るか。
 ……戻らないの!?
 俺だけじゃない、ギャラリーは全員朝のショータイムが終わったと思ったはずだ。
 なのに喜多は倒れこんでいる男を蹴りまくっている。
「気絶したフリなんかで騙せると思ってんのかぁ!? この腐れヘニャチンが!」
 うおー、マジこえー。なんて恐ろしい女だ。
 桐野のやつはよくあんな恐ろしい女と付き合えるな。
 前からうすうす感じてたが、あいつもやっぱどっか線切れてるな。
「なにあたしの顔殴ってくれてんだよっ。痣ができたら桐野に見せらんねぇだろ!」
 顔を気にするあたり可愛い……わけねー!
 こえーんだよ喜多!
 もう蹴られてもうめきすらしないのに、まだ蹴るか。
 あの姿を見てると、サンドバックのほうがましなんじゃねぇの、と思えてくる。
「このぼけっ。あたしの幸せな時間を何度も邪魔しやがって。なんか恨みでもあんのか!ちくしょうっ! やっと、やっと手、手を繋げたのにっ!」
 なにーっ!
 手を離させられたからアイツはあんなにボコボコにされてるのかよ!
 なんて恐ろしい女なんだ。
 まわりの野次馬は完璧に引きまくっている。
 ゴリッ。アスファルトと頭がこすれる嫌な音が聞こえた。
 喜多が男の頭を踏みつけたのだ。
 あの女は悪魔だ。それか現人鬼に違いない。
 それがトドメだったのか、喜多が桐野のほうに戻っていく。
 あたりを囲んでいた、ギャラリーの円が大きく歪んだ。
 もちろん喜多を避けるためだ。
 何人かは恐怖に足がすくんで動けなくなっている。
 可愛そうに目に涙を浮かべている女の子もいる。
 制服を見るとウチの学校だ。あとで慰めてあげよう。
「……前も言ったかもしれないけど、いつもこんなことしてるわけじゃないからな」
 喜多がこの惨状をごまかすように言った。
 誰がそんな言葉を信じるんだろう。
 今の言葉を信じるぐらいなら、マイクロソフトの製品に不具合はありません、という言葉を信じるほうがましだ。
 喜多はまだ桐野となにかしゃべっているが、離れているせいで聞こえなくなってしまった。
 しばらく見ていると、まるで今の地獄絵図がなかったかのように、二人でイチャつき始めた。
 あの切り替えの速さはなんだ。
 こえー。マジこえー。
 俺は再び手をつないで歩き始めた二人の背中を見て思った。
 ヤンキー系の女の子と付き合うときは覚悟完了してからにしようと。
 とりあえず、落とし方は教えてもらうけど。
392名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 00:29:15 ID:uraHzIp/
喜多さん、本当に初で可愛いなぁ
393名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 00:30:41 ID:DSAXWKdp
ありがたい感想レス毎回ありがとうございます。
ご批判、ご指摘があれば遠慮なくお願いします。

書き込み終わってから気づいたのですが、
二つの話の間に区切りのレス入れたほうがよかったですね。
読みにくくなってしまって申し訳ありません。

喜多さん視点 「桐野とあたし」
ちょい役の部外者広尾視点、 「バカップルと俺」 です。

一人称で書いていると、つい他のキャラの視点からの話が書きたくなってしまうので、
今回オマケとして書かせていただきました。
オマケに期待されていた方はがっかりさせてしまったらすいません。
394名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 00:51:27 ID:ELQ8KLfv
広尾アホスw
395名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 00:59:18 ID:XrvcFRxc
ヒャッホー!

喜多さん可愛いよ喜多さん
床の上を45回転しましたよ。イイ。

でもこれで終わりかあ。ちょいと寂しいな・・・
396名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 00:59:26 ID:6uy9MyOi
喜多キタ━━━(゚∀゚)━━━!
広尾視点の話を読んで二人のバカップルさを痛感しました。

やっぱり喜多さんは可愛いなぁ。とにかくGJ!
397名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 01:15:10 ID:LcThrZ58
 スバラシイ・・・
 
 もしもいつか、また気が向く事があったら、その後のふたりについても書いて欲しいです。
 『そしてふたりはいつまでもしあわせにくらしましたとさ』の良さはこのスレで知ったな。




 そして、香織さん、東京からのお便り、首を長くして待っています。
398名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 09:29:15 ID:9XUXgDz6
広尾視点糞ワラタ
399名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 11:21:32 ID:fwbTuMrG
作者氏お疲れサマでした
喜多サンの可愛いさと小ネタさいこーでした
ジャーン×3→ げぇ
苗字花山→ 喧嘩
400名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 16:12:19 ID:dGz94Z8W
お願いします。その後のふたりについて書いてください。m(_ _)m
401名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 17:57:26 ID:J36Rv1Y/
広尾ってイケメソだったのか・・・。
402名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 21:57:53 ID:uz/Hf1eb
GJ!
喜多さんかわいいよ喜多さん

モニタの前でニヤニヤしてしまいますた…

>>401
>238を参照。
403名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 23:14:10 ID:TAjDZZU9
喜多さんカワイーーーーーーー!
うはwうはwくぁw瀬drftgyふじこlp;@:「」
ゲホゲホ…
しかし広尾視点のもイイが、アホやのお…


広尾の「苗字……」は無い方がいいかも…ちょと萌え度が下がりかけてしまった
いや、喜多さんだから下がらずに済んだんだが
404名無しさん@ピンキー:2005/09/30(金) 00:02:36 ID:LcThrZ58
 喜多さんなら握撃も漢立ちも萌え。
 褌姿だとなお(ry)
405名無しさん@ピンキー:2005/10/01(土) 14:24:54 ID:bVt0iEvH
ブラボー!おぉ…ブラボー!
406名無しさん@ピンキー:2005/10/01(土) 18:43:09 ID:Ob1FNRqE
はぁもう喜多さん終わりですか…寂しいなぁ
407名無しさん@ピンキー:2005/10/01(土) 22:02:57 ID:Gg+pCFx1
同意
俺は>>353の後の土日の話を読んでみたかった
408名無しさん@ピンキー:2005/10/02(日) 21:43:11 ID:6PLFJsiU
喜多さんがかわいすぎて抜けません
まじかわいすぎ
409名無しさん@ピンキー:2005/10/03(月) 15:20:03 ID:AbTWfUwc
ちょwww
氏のサイトの載ってる喜多さん、文章に翌朝のお話が加筆されてる
410名無しさん@ピンキー:2005/10/03(月) 16:59:15 ID:JYsCYIUe
おkwwwwwwwwwww
411名無しさん@ピンキー:2005/10/03(月) 18:16:10 ID:oEn/1X3F
喜多さん可愛いよ喜多さん
等価交換ワロスwwww やべー。毎回ツボだわ。腹筋が死ぬw
映画イベントもキボンしたいトコだが、足軽氏の都合もあるだろうし
脳内で我慢しとます。
足軽氏、喜多さんシリーズお疲れ様でした。


うはwww我慢出来てないの丸分かりwwww俺クオリティヒクスwwww  orz
412名無しさん@ピンキー:2005/10/03(月) 18:16:35 ID:zSr9YUdD
なに!氏のサイトなんてあったのか!!
413名無しさん@ピンキー:2005/10/03(月) 19:35:19 ID:eds7IWlP
414名無しさん@ピンキー:2005/10/03(月) 20:42:20 ID:qTa3k0on
喜多さんが可愛過ぎる。最高だ。

喜多さんの家族背景は以外だったなぁ。
雑用から逃れるために夜遊びを始めた喜多さんって・・・

それを含めてやっぱり喜多さんは可愛いなぁ。
415名無しさん@ピンキー:2005/10/04(火) 00:10:38 ID:PcG+Z6W+
喜多さん可愛いなぁ
なんかもうヤンキー女を見るたびにニヤケてしまいそうだよ…


ところで香織さんはどうなったんだ?気になりまくりです
416名無しさん@ピンキー:2005/10/04(火) 03:37:29 ID:Vi5FqcbC
家で一番広い12畳の仏間を四周分転がってきますた。>>413
くはーーーーー



真夏の炎天下でビールをきゅーっとやったときくらいたまらんですばい。
あんた天才!
417名無しさん@ピンキー:2005/10/04(火) 19:36:05 ID:FQIwJtJX
あああもうかわいいなぁ
喜多さんかわいいなあ
なんでこんなにかわいいのかなあ
それでもって料理上手なんてもう反則ですよ
418名無しさん@ピンキー:2005/10/04(火) 20:51:14 ID:HxG6omwP
>>407よかったな

> 突然、厳しい口調で言い放った僕をいぶかしみながらも、喜多が言われたとおりにする。
>「これでいいか?」
>「……喜多さんっ!」
>「えっ!? ちょ、ちょっ、とっ! 桐野っ!?」
> 僕は問答無用で喜多を押し倒し、猿になった。

「……薫っ!」のほうがいいような。
419Green Hill /9 ◆/pDb2FqpBw :2005/10/06(木) 16:55:32 ID:ipQx6RFt
<■第9話■蒼生・閑話>

とても楽しいだなんて言ったら。
それを聞いた人はなんていうだろう。

自分の気持ちを考えるたびに愕然とする。
そう。私は恩知らずなのだと思う。

私がお屋敷で住み込みで働き始めてからもう5年になる。
お世話をする事になった旦那様はかなりお年を召されていて世間の評判とは違ってとても優しく、
そして年と共に幼くなってしまわれていた方だった。
初めてのお仕事は旦那様の横で新聞を読んでさしあげることだった。
旦那様はプロ野球の巨人軍の大ファンで、勝った時はご機嫌が良く、負けると不満そうに唇を鳴らされた。
だから私は野球の事は良く判らないけれど勝った時には大きな声で、負けたときはひっそりと読んだ。

他の使用人の方が作られたお食事を3度旦那様にお持ちして、昼間は広いお庭の散歩にお付き合いさせていただいた。
夜はベッドの横のランプをつけて旦那様がお休みになるまで横で本を読んで差し上げた。
旦那様は長い時間眠られたから、空いた時間には他の使用人の方のお手伝いや料理の勉強をさせて頂いた。

そうそう、旦那様はきょうすけが大のお気に入りだった。
初めて挨拶をさせた時、きょうすけという名前を聞いた旦那様は皺だらけのお顔から目を丸く飛び出させて大喜びをした。
その後本間さんから旦那様の唯一の直系のお孫様がきょうすけと言って同じ名前だと聞いた。
そう、旦那様はきょうすけの事を旦那様のお孫様なのだと勘違いしてしまったのだ。

きょうすけも旦那様に良く懐いた。
きょうすけは肺の病が中々直らず起き上がれない時間が増えていたけれど、
調子が良い時は必ず旦那様に呼ばれて遊んで頂いた。

ベッド脇にちょこんと座って旦那様に説明しながら一緒に本を読んでいるきょうすけの姿なんかを見ると
本間さんは「どちらが遊んで頂いているのか判らないですな」なんて事を言って笑ったりもしていたけれど。
420 ◆/pDb2FqpBw :2005/10/06(木) 16:56:58 ID:ipQx6RFt

そうやってお屋敷中がきょうすけを可愛がってくれた。
勿論私だって良く可愛がって頂いた。
学校に行けない代わりに勉強の時間を頂いた。
窓のある日当りの良い部屋に、沢山の本も買っていただいた。
お料理も習ったし、余所行きの可愛らしい洋服はハンガーに沢山かかっている。

辛いお仕事なんて一つも無かった。
そう、あれは仕事なんかじゃなかった。
私ときょうすけはこのお屋敷に引き取って育ててもらったのだ。

周りから見ればそれは金持ちの道楽。だったのかもしれない。
それは穿ち過ぎか。
きっと両親を亡くした村の人間に対するお屋敷なりの哀れみだったのだろうと思う。

でも、例え金持ちの道楽と言われたとしたって私達は幸せだった。
だって最初は覚悟していたから。
身寄りも学も無い私に出切る事なんてあまりにも少ない。
地位のある男性の中には年若い女性をお妾として向かえることも少なくないと聞く。
でも少なくとも私にはそういう事は決してなかった。
お屋敷には本間さんを始めお年寄りが多かったし、町に出る用事があるときは必ず誰かが一緒について来てくれた。
むしろ私は過剰なまでに守ってもらっていたと思う。
そう。まるで一人娘みたいに。

お仕事をもらって死ななくて済んだなんて事は決して言えない。
そんなものじゃないと私は判っているから。
どこの家の子供でもするお手伝い、そんなものを言い訳にして沢山の善意を頂いた。
子供みたいに可愛がって頂いた。
真綿に包まれたようにゆっくりと過す時間を頂いた。
もちろん私にとっても、なによりもきょうすけにとってそれはとても意味のある時間だったと思う。

とても楽しかった。
とても幸せだったと思う。
421 ◆/pDb2FqpBw :2005/10/06(木) 16:57:42 ID:ipQx6RFt

きょうすけがどうしようもなくなった時もそうだ。
あんな小さい子がどうして?
疑問は尽きない。
ベッドに寝たままで殆ど起きられなくなったきょうすけを旦那様は毎日のように見舞ってくれた。

「きょうは、こんな本を持ってきたんだ。」
そう言って毎日本を持ってきてくれた。
その本を私がきょうすけに読んであげている間中、隣に座って一緒に聞いてくださった。

そう、こんな事もあった。
子供らしくホラー映画が大好きだったきょうすけに、本間さんが沢山のポスターや絵葉書を買ってきてくれたのだ。
私は苦手なのだけれど。
とてもおどろおどろしくて、怖いモンスターが沢山書いてあるポスターと絵葉書だった。
今も私の部屋に残っている。
東京の映画館で買ってきてくれたのだそうだ。
人形もあった。赤い服を着てナイフを持ったなんだかとっても怖い人形。

そのポスターを天井に、壁に貼ってあげた時のきょうすけの顔。
見せてあげたい。
目がきらきらと光って、映画の中の主人公が初めて宝物を見つけたみたいな顔だった。
忘れようにも忘れられない。
きょうすけはずっとずっと一日中人形を手放さなかった。
とっても楽しそうな、あんまりさせてあげられなかった小さい男の子の顔。

「東京にはなんでもあるんだね。」
小さい声でそう言ったきょうすけに本間さんは笑いながら言った。
「今度一緒に連れて行ってあげる。旦那様とこの本間と香織おねえちゃんと一緒に行こう」
って。

それは誰の耳にも判る嘘だったけれどきょうすけはとっても喜んだ。
隣で聞いていた旦那様も喜んだ。
「皆で市川団十郎の出ている歌舞伎を見よう。」
だなんて言って。
「旦那様、歌舞伎は子供にはちょっと。」
そういった本間さんに私は言った。
「私は見てみたいです。」
「僕も見てみたい!」
そう言って皆で笑った。
422 ◆/pDb2FqpBw :2005/10/06(木) 17:01:13 ID:ipQx6RFt

最後の時もそうだった。
最後まで見ていると仰った旦那様をベッドにご案内してすぐだった。
眠るみたいだった。
なんでか涙は少しも出てこなかった。
次の日、起床された後にその事を知らされた旦那様は身を震わせて怒った。

「どうして知らせなかったんだ!きょうすけが寂しがるじゃないか!!」
駆けるように部屋に来てそう叫ぶとほいほいと泣きながらきょうすけを抱き上げた。

「旦那様。それはお孫様の京介様じゃないんですよ。」
あんまりにも悲しんでいる旦那様を見てそう言ったのであろう使用人の言葉にも
旦那様は目を剥いて怒鳴った。

「そ、そ、そんなの関係あるかっ!!」

その時の旦那様は多分、少しの間だけ昔に戻られていたのだろうと思う。
しっかりと立ち上がって背筋はしゃんとのび、目に力が篭っていた。
「不公平だ。あんまりだ。あんまりだろう。何で順番じゃないんだ。
 この子はこんな事は此処にいる人間の誰よりも最後じゃなきゃいけないだろう?」

そこまで言うときょうすけを抱き上げたまま、旦那様は椅子に座り込んだ。
皺にまみれた顔から幾筋もの涙が垂れて、私はそれがとても美しいものだとそう思った。
「きょうすけ、きょうすけえ。」
その後先ほどより何倍も縮まったように背中を丸めた旦那様は何度も何度もきょうすけの頭を撫でていた。

私は胸の中に大きく穴が開いたように感じたけれどその後も一度も泣かなかった。

何故だろう。そんな事は判っている。
私の分まで全て旦那様と本間さんとそれからお屋敷の皆が涙を流してくれてしまったのだ。
そして私はその時初めて返し尽くせぬ恩を自分が受けていることに気付いた。

私はこの恩を忘れてはいけない。
だからずっとここにいようと私は思った。
私が泣かなくて済んだ事を。何よりもきょうすけが笑う事が出来た事を
決して忘れてはいけない。
423 ◆/pDb2FqpBw :2005/10/06(木) 17:02:08 ID:ipQx6RFt

そう。
そう思ったから旦那様がいなくなって、
沢山過ぎるお金と共にお仕事の終わりを告げられた時に
私だけが我侭を言って残らせてもらい、結局お屋敷には本間さんと私の2人になった。

お孫さんの京介様がこのお屋敷を相続されると聞いたのは
半年くらい屋敷内の掃除と書庫の整理に明け暮れた後だった。
やっとご恩を返せると思った。会うのがとても楽しみだった。

おんなじ名前だけれど、できれば弟のきょうすけとは似ても似つかない人がよかった。
厳しい方や意地悪な方の方が良いとも思った。
返し尽くせぬ恩を、少しでも返せるように。

そんな事を思っていたのだけれど。

でも屋敷に来た京介様は悲しくなるくらいきょうすけと似ていた。
顔姿は似ていない。優柔不断なところとか、いつもにこにこと笑っている所とか。
そして旦那様にも似て、とても優しい。
こちらが怒ると素直に謝ってくれるし、それにこんな事を言ってはいけないけれど、仕草がとても可愛いのだ。
それに私はそう言う事はあまり良く判らないけれどお姿だって結構かっこいいのではないかとも思う。
本当に失礼なのだけれど。

京介さんに初めて挨拶をしたときに私は思ってしまった。
得られる筈のないものが、又手の届く所にあるのかもしれないなんていう事を。
勿論それが甘えだということは判っている。
京介さんはきょうすけとは違うのだから。
それにそんな事は京介さんにとって迷惑なだけで恩返しでもなんでもないのに。
424 ◆/pDb2FqpBw :2005/10/06(木) 17:04:44 ID:ipQx6RFt

それでも私は今、束の間の幸せな暮らしの続きを感じてしまっている。
旦那様が勘違いされた事を、今度は私が勘違いをしているのだと思う。
この暖かな気持ちは時々感じる訳のわからない胸の高鳴りを除けば、きょうすけや旦那様と一緒にいたときと同じだから。

そう。私は恩を返すどころか又暖かな日常を貰ってしまった。
本間さんは時々こっそりと私が最近良く笑うようになったと言う。
そしてそう言った後、とても安心したように笑う。

判っている。判らなくてはいけないのに。
私は理解しないといけないのに。
絶対に京介さんは「おねえちゃん」とは言ってくれないし、言わせてもならない。
年だって確か私よりも上だ。本当は私なんかが生活の事に口出しなんてしてはいけない。
京介さんはきょうすけとは違う。これはとても失礼で恩知らずな事なのだって。

それでも私は京介さんを夜の9時には寝かせてしまう。

だってまたいなくなってしまったら私はどうして良いのかわからないから。
私はそれ以外に方法を知らないから。
美味しいクッキーを食べてもらって、健康な生活を送ってもらう。
夜はきちんと寝ているのか確認したくなる。

戻らないはずの無いものが戻ってきただなんて私にはもったいなさすぎて手が余るから。

恩返しだなんて口先ばかり。
私は自分の事ばかりで、嫌になる。

でもどうしても。
私はここを。温かい日常と、それから再度得られる筈なんて無かった家族から離れたくない。
もう2度と、離れていって欲しくない。
425 ◆/pDb2FqpBw :2005/10/06(木) 17:07:59 ID:ipQx6RFt
----------------------------------------------

感想ありがとうございます。

今日の所はこんな感じで。
次から東京に行って、遊んで仲良くなって帰ってきます。

書け次第投下します。

ノシ
426名無しさん@ピンキー:2005/10/06(木) 17:44:37 ID:L58SCq5/
香織さん…!!
まさかこの板でマジ泣きしてしまうとは…。

旦那さまが言った
>こんな事の順番
もうここで涙腺壊れた。

神の仕事だ、これは。
427名無しさん@ピンキー:2005/10/06(木) 17:49:32 ID:mi0Gbeks
香織さん…悲しすぎる、泣きそうになったじゃないですか!

香織さんには幸せになってほしいですね
428名無しさん@ピンキー:2005/10/06(木) 22:43:37 ID:RhqF1RaI
あれ、目から熱い水がこぼれて止まらない。
すげぇ感動した…。GJ!!
429名無しさん@ピンキー:2005/10/06(木) 23:36:56 ID:4BhytD30
香織さん…グスッ
430名無しさん@ピンキー:2005/10/07(金) 00:49:55 ID:YwUbjOKm
ようやく京助が見た夢の内容が繋がった。GJ!
431名無しさん@ピンキー:2005/10/07(金) 12:58:15 ID:DIqZfNz0
神スレ!
432名無しさん@ピンキー:2005/10/07(金) 14:31:45 ID:7LaqrC74
職場で読んで
泣きますた。
GJ!!
433名無しさん@ピンキー:2005/10/07(金) 15:00:43 ID:HlMBiuG0
↑絶対泣いてねーだろ。下らない嘘つくなよヴォケが。
434名無しさん@ピンキー:2005/10/07(金) 17:05:23 ID:5OT1B3C1
>>433
感情の昂ぶりで涙を流せない非人間はとっとと地獄に帰れ。
そのレスが荒らしだって自覚してるか?
435名無しさん@ピンキー:2005/10/07(金) 17:52:37 ID:GZ8OMbkV
これあげる

つ華麗にスルー

読んだ作品に関してもその感想に対しても
気に入らなければ華麗にスルーが此処のルールです。

ホントなんていうか良スレなんでもちついていこうよ。
喜多さんの良質ギャグエロも
香織さんのしっとりと温かい恋愛もめちゃめちゃいいよいいよ。
こんなスレそんなにないぞ。
436名無しさん@ピンキー:2005/10/07(金) 18:03:21 ID:m07YIfL9
 香織さん・・・お元気そうで何よりです。

 つくづくと凄いよ、うん。
437名無しさん@ピンキー:2005/10/07(金) 18:40:24 ID:g717o9O+
うおおおおおっ!!!!。゚(゚´Д`゚)゚。
SGGJ!!!
続き楽しみ煮てます!
438名無しさん@ピンキー:2005/10/09(日) 00:00:13 ID:qevrTRHQ
ここはどこだ?何板なんだ?
って思ったけどGJ!こんなのを待っていた!
まとめサイトは何処に?
439名無しさん@ピンキー:2005/10/09(日) 00:10:46 ID:fy+5dleX
>>185に保管庫発見!
俺も
続き
楽しみ
煮てます
440名無しさん@ピンキー:2005/10/09(日) 01:01:18 ID:FglOHzd7
素直クール?
441名無しさん@ピンキー:2005/10/09(日) 18:44:55 ID:+J4rs8Vk
>>440
おいおいなんで此処にいるんだよブラザーw
祭り中だから帰るぞ。俺も一緒にな。

[落書き@ふたば]  λ...λ........
442名無しさん@ピンキー:2005/10/09(日) 22:17:25 ID:qqhzPiXe
>441
そこにあった
ttp://www.geocities.jp/ikuikubook/kanojyo.htm
がイカッタ。萌え死ぬかとオモタ。
443名無しさん@ピンキー:2005/10/10(月) 01:41:08 ID:8X6+aAXw
 >香織さん
 語り口の細かい調整には根気がいったろうな……とても丁寧な仕事だ。
444名無しさん@ピンキー:2005/10/12(水) 15:13:42 ID:IaBsOvrW
喜多さんの新作がきてるぞ、おまいら!
(*゚∀゚)=3 ムッハー
445名無しさん@ピンキー:2005/10/12(水) 15:21:35 ID:bsNZ7VpM
>>49ね。

ムッハー

そして森元首相ワロタ
446名無しさん@ピンキー:2005/10/12(水) 16:14:42 ID:Uyd0NLGU
おやじ殿もまさか既に調教されてるとわ思うまい
447名無しさん@ピンキー:2005/10/12(水) 19:31:07 ID:RksItuRH
>>442
確かに萌えた。むちゃくちゃ良かったが、「気の強い娘」とはちと違うような…
448名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 06:14:27 ID:sJJF0LtU
>447
確かにw
だから作者さんこのスレに載せなかったんだろうか
ともかく(´・∀・)
♪〜いいな いいな
喜多サンって 可愛いぃな
449名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 08:36:24 ID:Ml0TmjH7
なにを今更♪
喜多さんがかわいいのは今に始まったことじゃないでしょ♥
まあそれでも言い足りないぐらいかわいいことはわかってますけど♥

今後絡めるつもりは無いのかもしれないけども、あの中では三男坊が一番絡みそうだな
450名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 09:07:10 ID:JLQdQH0w
ちゃんと桐野と本人の他に家族分の弁当と朝食を用意してる
喜多さんエラス
451名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 15:03:28 ID:mu5aXgg4
なんか続編よみたい・・・
このまま終わらせるのが勿体無い作品だ
452名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 17:59:13 ID:Q4IoEvhI
>このまま終わらせるのが勿体無い作品だ
禿同

どんな続編がいいと思う?
1.喜多さんがうしろの処女も桐野にあげちゃう話
  「好きな男にあげられるもんがもう1つあったね」
2.米国から帰ってきた母親と挨拶しているのにバイブ調教
  (えっ!?ちょ、やばいって、桐野っ!!)
3.メイドやスク水etcのコスプレさせちゃう話
  「あ、あたしにこんなの似合うわけないじゃないかっ!」

うはwwwwwwwwwwww俺キモスwwwwwww
453名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 19:15:18 ID:Tu5uvUhI
それにしても、喜多さんのパンチを顔面に受けても、
まるで堪えないとは(皮肉無しで)恐るべし喜多父!

喜多さんも、桐野を父親には紹介するべきじゃないな。
桐野がマジであの世に送られてしまうぞ…ガクガクブルブル
454名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 19:27:06 ID:boXFfgWw
4.桐野一発ヒットで腹ぼてSEX
5.実は俺、姉ちゃんのことが…という寝取られ展開
455名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 20:36:35 ID:mu5aXgg4
5は勘弁

喜多兄弟に桐野があうのはおもろそうかも…はたしてそれがこのスレに合うのかは疑問だが
今回みたいに自分のサイトに載っけてほしい

続きかいて〜
456名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 21:35:14 ID:TPRfmy3E
今保管庫読んできた。

鬼武者と来たかww
足軽氏は趣味の幅広いなぁww
魁!!男塾、ドラゴンボール、北斗の拳…。
ジャンプ黄金期ネタはまだ分かるけど、まさか鬼武者が出るとは思わなんだww
457名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 21:57:47 ID:Q4IoEvhI
>>456
オチはトトロだしなw
458名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 00:34:32 ID:Glxx91ed

喜多さんと対立してるチンピラに桐野が襲われ、うほっ!な展開に
そして、その復讐に立ち上がった喜多さんが全国行脚するお話
「2月2日に桐野を山ジュンしたのは貴様だな!」
「ち、ちがう。俺はそのころエンドールの武術大会を見に……」
「嘘をつけ!」ビシッ!!
459名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 01:16:08 ID:e7diyGLw
7 
喜多さんの親も長期出張+夏休みで桐野の家で飼育・奴隷プレイをされる
460名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 09:39:57 ID:LF0V4j3/
>>458
ズバットかよwww
461名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 10:40:33 ID:yLZtCkhC
この流れなら喜多さん専用板立ちそうな気もしてきた…
いや、作者様にプレッシャーかけるのも酷だからやらんほうがいいだろうが
462名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 10:41:54 ID:WVATGAXG
三男と桐野の接触希望
463名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 12:03:40 ID:muIIbHD4
桐野が他の女子と仲良くしてるのを見て
喜多さんが嫉妬して…
ってこれは王道の中の王道か?
464名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 13:14:24 ID:k/t6T2Wq
だが、それもまたいい
465名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 13:43:02 ID:WVATGAXG
喜多さん大ヒットやな
466名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 14:58:10 ID:2f2wOMBw
喜多さんもいいけど香織さんが気になるんだけど…
467名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 17:14:29 ID:muIIbHD4
>>466
馬鹿野郎!!!( #゚д゚)=○)゚Д)^^^^^^゚
男だったら何にも言わずに黙ってまってりゃいいんだよ

…………………香織さんの続きはまだかな(´・ω・`)
468名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 22:55:15 ID:QePxwgDd
おい、香織さんは新作が投下されたばっかでしょ。
おまいら二人してバッカじゃないの? ウニの人に迷惑かけてばっかりだなー。
もー、まったく。
二人ともダメなんだからっ。少しは人の事も考えなさいよっ!


香織さん ほんとにかわいいなー。
469名無しさん@ピンキー:2005/10/15(土) 00:39:07 ID:PTL9V4iB
>>468
そこまでやるなら完璧にツンデレにするべきだろう

×おい
○ちょっとっ

×おまいら
○あんたたち
470 ◆.tF/XA505U :2005/10/15(土) 17:58:07 ID:KlbKTFTH
>>467-468
わかっているさ‥‥!
だが、こう言わずにはいられない‥‥!








香織さんマダー?
471名無しさん@ピンキー:2005/10/15(土) 22:42:49 ID:68/J4AiD
香織さん派と喜多さん派に別れてきたなw
472名無しさん@ピンキー:2005/10/16(日) 00:27:58 ID:uVnTj+Xi
>>471
ばかやろう!



俺は2人とも待ってるんだ!!
473名無しさん@ピンキー:2005/10/16(日) 01:24:54 ID:iy/lewGo
>>472
ナカーマヽ(・∀・)人(・∀・)ノ
474名無しさん@ピンキー:2005/10/16(日) 03:07:06 ID:JOR6Tqai
でも喜多さんはここにくるのか?自サイトに載ることになるんちゃう?
475名無しさん@ピンキー:2005/10/16(日) 08:57:05 ID:5xi2/Dwn
>471
体は喜多さんの物、心は香織さんの物なんだよ!
476名無しさん@ピンキー:2005/10/16(日) 09:01:07 ID:JOR6Tqai
>>475
貴様喜多さんには心奪われないのか!!!!!!!!
477名無しさん@ピンキー:2005/10/17(月) 02:59:52 ID:AwuDhufc
>>476
当たり前よ!バッカじゃないの!?




…でも…別に完全にそうって訳じゃ…

な、なんでもないわよバカッ!!
478名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 11:52:04 ID:6wUyg3w1
>477
ツンデレ━━キ(゚∀゚)タ━━!!
でもそんな言い方、女の子に失礼、ん、卑怯じゃないか
479名無しさん@ピンキー:2005/10/19(水) 01:30:45 ID:lWgGYn8D
どちらでもいいのでよみたいよね
480カラス:2005/10/19(水) 08:23:34 ID:TPs19B5A
喜多さんの自サイトのURLをplease(/_;)/~~
481名無しさん@ピンキー:2005/10/19(水) 08:38:13 ID:B/0js5Dd
ヒント:過去ログ
482名無しさん@ピンキー:2005/10/19(水) 10:01:18 ID:gLl2YqlU
過去ログどころかこのスレにあるわけだが
483名無しさん@ピンキー:2005/10/19(水) 11:07:06 ID:Ib0Olnsm
つ【>>49
上にあるurlだ
(;´Д`)美春さん/\ァ/\ァ
484名無しさん@ピンキー:2005/10/20(木) 23:31:11 ID:IWX3ouIz
喜多さん香織さんキボー保守
485名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 17:59:38 ID:GLm5kXlF
喜多さん香織さんマダー
486名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 21:37:22 ID:EZWp2CRG
喜多さん更新キタ━━━━(・∀・)━━━━!!!
487名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 00:00:18 ID:6oEyPn0r
やっぱ喜多さんカワエェナ━━━
488名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 00:46:27 ID:SXrJtwk0
マ、マジか?!

今すぐ読んでくるッ!!
489名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 00:51:28 ID:EKGtzj4P
ぐは〜
喜多さんええよ〜
どうなんの?ねぇどんなんのさ〜!!!
続き気になる〜
490名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 01:24:47 ID:CzpID15m
ちょw
喜多さんキタコレww
491名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 17:59:05 ID:ULC0yhju
(*´Д`)喜多さんハァ/ヽア
492名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 19:09:23 ID:mp+v+LaF
喜多さんの別スレ立てるかなんかしないか……?
でないと、明らかに他の職人さん投下しづらいように思うのだが。
493名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 19:28:33 ID:cCx276RH
>>492
そうか?
494名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 21:05:22 ID:sFQDWANk
そんなことないっしょ。別に。別スレたてられたら喜多さんの職人さんも困惑するんじゃないのかな。
495名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 22:45:37 ID:EKGtzj4P
そうそう
喜多さんが自サイトにのるのをここで報告すればいいじゃまいか
496名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 22:50:36 ID:22oQw8CF
一応言っておくと第三、第四の気の強い女の子も待ってますよと
497名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 20:29:11 ID:Dd9Ftssi
>>496はSS書いたけど喜多さんに遠慮して書き込めないってこと?
498名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 22:29:50 ID:cD8UzbAN
喜多さんマダー
499名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 21:50:59 ID:WuQMyYBL
香織さんマダー?
500名無しさん@ピンキー:2005/10/29(土) 01:10:45 ID:w040+dHg
誰かマダー
501名無しさん@ピンキー:2005/10/30(日) 22:01:48 ID:dmrnThE6
過疎ってきたね
502名無しさん@ピンキー:2005/10/30(日) 23:42:49 ID:wMhhqtJ5
>>501
今までが良すぎただけだろ
こんなときこそ己の妄想を書き込め
それによって新たなSS職人が生まれるかもしれん
503名無しさん@ピンキー:2005/11/02(水) 12:27:19 ID:uE7OINsf
まぁまったりと待つべし
504名無しさん@ピンキー:2005/11/02(水) 22:03:03 ID:sdZ0kh85
喜多さん禁断症状が…

あぅ
505名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 02:21:01 ID:RDcMEMMr
喜多さんキタ━━━(゚∀゚)━━━
506名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 02:34:46 ID:frIxc51q
うはー

タマラン!喜多さんカワイス!!
制服にハァハァしてる図カワイスギ!!!!!
507名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 12:58:39 ID:VJP8b0NJ
行方不明者の数云々ってまさか武装錬金ネタか?!

ホント引き出しの多いお方だ。
508名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 14:49:38 ID:4bkgm/6L
なんちゅう気になる終わり方なんだ(゜Д゜;)
509名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 14:50:49 ID:4bkgm/6L
あげとくよ
510名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 16:33:51 ID:SP1iuyTG
民明書房ネタまで・・
511名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 20:43:56 ID:44ka4QCI
キィーーーータァーーーーーーーー!!
512名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 21:27:56 ID:21RbTuT9
おいお前ら喜多さんきてるますよ!…………………気づくの遅い俺を許して…orz
513名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 21:43:52 ID:21RbTuT9
>>512
きてるますってなんだよ…俺…
514名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 21:53:34 ID:viL7fbZA
香織さん待ち揚げ
515名無しさん@ピンキー:2005/11/04(金) 19:25:23 ID:/wDA84FD
先生、お願いです!!
香織さん分が足りません
続きを、続きを!!
516名無しさん@ピンキー:2005/11/04(金) 23:28:58 ID:c0KNTAdA
つヒント
香織さんの中の人はここの姉妹スレで短編ゲフゲフ
517名無しさん@ピンキー:2005/11/05(土) 00:40:55 ID:7ZG3TAKF
何!?いますぐいってくr
518名無しさん@ピンキー:2005/11/05(土) 23:30:28 ID:DkVK9Las
姉妹スレって何処ですか?
可及的速やかに駆けつけたいのだが場所がわからん。
519名無しさん@ピンキー:2005/11/06(日) 03:09:39 ID:CmpoMPQO
つーか派生スレさね。
520名無しさん@ピンキー:2005/11/06(日) 14:54:13 ID:jt2CjYWH
んなのあったか?
521名無しさん@ピンキー:2005/11/07(月) 12:27:44 ID:p8h9Swfj
ここを初代スレから見てる者にしかわからないのだよ。
522名無しさん@ピンキー:2005/11/07(月) 14:25:57 ID:iWXu00lS
誘導キボン
523名無しさん@ピンキー:2005/11/08(火) 00:00:17 ID:BvT6SDnr
保管庫から作者さんのサイトに行けば、同じ文章があげられているよ
524名無しさん@ピンキー:2005/11/08(火) 00:10:15 ID:7Uaxu9w4
もしかして幼馴染み?

間違ってたらゴメン・・・。
525名無しさん@ピンキー:2005/11/09(水) 09:39:18 ID:MkkhNCin
いや、そうだよ。
幼馴染みであってる
526名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 00:37:20 ID:H9clapIn
き…喜多さん…
527名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 17:02:54 ID:CuqLyUlR
この間嬉しいことがあったので勢いで書いてみた
続きはリクエストあれば書いてみます
528彼女は〇〇〇:2005/11/11(金) 17:04:30 ID:CuqLyUlR
 金曜日の夜、俺は会社の同僚と居酒屋で酒を飲んだ後、カラオケに来ている。
後輩のかなえちゃんが今流行りのカリスマロックシンガーの歌を熱唱している。なかなか巧いもんだ。ビールを飲みながら聞いてると同期の池田が話し掛けてくる。
「かなえちゃん歌巧いな。お前知ってるか?この歌の歌手、カリスマなんだぜ!自分で作詞作曲してるんだ。しっかりしてるよな。それでオレらより6才も年下ってどういう事よ?スゲエよな、saiって…」
「そんなこと知ってるよ、てゆうか知らんヤツの方が少ないだろ。」
 saiっていうのは2年前に突如として現れたカリスマロックシンガー。今までテレビはおろかライブもした事が無い。
事務所にも所属しておらずインディーズレーベルからCDを出している。プロフィールも世間ではインターネットのHPに載ってるぐらいしか情報がないはずだ。
「まぁ知らないほうがいいことってあるよな」
って考えてたらオレの携帯が鳴った。着メロはプロレスラーの三沢光晴の入場曲〔スパルタンX〕だった
この着メロは…アイツからだ。電話を取るために一度外に出る。
池田からは「静馬、女からか?」とちゃちゃ入れられるが無視だ。電話に出てみると案の定アイツだった
「拓にぃ今どこ!せっかくカリスマが遊びに来てるんだけど(怒)」
「今どこって…同僚とカラオケに「今すぐ帰って来なさい!」
はぁ〜っとため息が出る。なんて我儘なんだろう。
「お前なぁ。オレにだって付き合いってもんが「この間のドームのDVD届いたよ」「すぐ帰る。オレが帰るまで見るなよ!いいな、絶対だぞ!」
オレは池田にお金を渡し、足早に家路に急ぐ。帰りしなにビールを2リットル買い、ツマミも買った。
家が近づくにつれテンションが上がってきたオレは呟く
「彩、まだ見てるなよ〜見てたらフェイスロックだ…」

オレは静馬拓郎(しずまたくろう)26才独身だ。自動車ディーラーの営業マンをしている。知り合いに紹介してもらい高卒で整備士として入社、去年営業に配置換えになったところだ。
23才の時に買ったマンションに帰りついたのは電話があってから一時間後だった
「拓にぃ遅い!遅すぎる!試合ならリングアウト負けだよ!」
帰り着くなり怒鳴られた。
彼女は国生彩(こくしょうあや)20才。オレが15才の時隣に引っ越してきた。それ以来の付き合いだ
引っ越してきた当時は友達ができずにオレがよく遊んであげたもんだ。まぁそのせいで今の彼女が出来上がってしまったんだが…
玄関でオレは彼女の格好を見てため息が出た
「お前なぁ、仮にもカリスマって言われてるんだからそのTシャツは無いだろ…」
「はぁ?なに言ってんの、わっけ分かんない。このTシャツは田上明を応援する者として着て当たり前よ!」
そう言って胸を張る彩。そのTシャツは真っ赤なシャツで図柄は赤いパンツをはいた男が田植えをしているデザインでいわゆるプロレスTシャツだ 
「世間の人がsaiがこんなTシャツ着てるって知ったら大騒ぎだろうな(笑)」
そう、オレの目の前にいる彼女、国生彩はカリスマロックシンガーのsaiであり、そして熱狂的なプロレスファン…プオタなんだ
529名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 17:59:57 ID:AHh0TO1k
新しい職人さんキタ━━━(゚∀゚)━━━!
プオタでありカリスマロックシンガーでもあるという彩のキャラクターに惹かれました。
続きも期待させていただきます。
530名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 18:40:04 ID:rmNl9xFX
>>528
すべてにおいて俺のつぼでございます。
これからも末永くよろしくお願いします。
531名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 18:53:44 ID:OQWW+fvW
ロックシンガー……
激萌えのヨカーン!
532名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 20:05:23 ID:lW5ZB3xh
斬新なアイデア、すばらしいです!!
続きを期待しております。
533名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 21:52:58 ID:H9clapIn
期待してるっす
534527:2005/11/11(金) 23:43:05 ID:CuqLyUlR
527です。あまりよく考えず書いた駄文に感想有難うございます!
続きがんばります
535彼女は〇〇〇 527:2005/11/12(土) 05:22:47 ID:GMk3kmao
 なぜオレが若くしてマンションを購入したか、その理由は目の前にいる女性…カリスマロックシンガー《sai》でありプロレスオタクの国生彩に原因がある

 彩が引っ越してきた当時、友達がいなかったコイツのおばさんから頼まれて遊び相手になった
その当時の彩は内気でおとなしい女の子だった。元気よくなってもらおうとその時オレが好きだった全日本プロレスのビデオを見せてやったりしたもんだ

 そのうち生で見たいと言いだしたので少ない小遣いから苦労して連れていってあげた
その時に会場で伝説の巨人《ジャイアント馬場》にサインを貰い頭を撫でてもらった時からコイツはプロレスにハマった

 プロレスにハマってからはよく喋るようになり性格も明るくよく笑うようになった
そうなると自然に友達も増え人気者になっていった。一年もたつと女の子のリーダー格になっていた
なんでも男子とケンカしてドロップキックで相手を泣かしたことが何度かあったらしい(笑)彩の教室にはドロップキック禁止の貼り紙があるとおばさんから聞いたことがある
「拓ちゃんと遊ぶようになってから元気になったのはいいけど…元気すぎるわね」
おばさんからよく言われたもんだ(笑)

 そんな彩を変える出会いがあった。出会いと言ってもオレが17才の時に買ってきた一枚の中古CDだ
最初はその歌手の名前に彩という漢字が入っていてジャケットの写真が美人だったからという理由で買ってきたんだ
しかし聞いてみて驚いた。力強い歌声、訴えかける歌詞、まるで魂の叫びを聞いている気がした。オレはその歌手にハマった(ちなみに今でも車の中で聞いている。ヘビーローテーション中だ)
その歌手の名前は鈴木彩子という。彩子はサイコと読む。saiの名前はサイコから取ったんだ
彩もハマった。どうやらオレ達は感性が似てるみたいだった。それからオレ達はプロレスと鈴木サイコ漬けの日々だ。

 しかしそれもオレの就職で終わりを迎えた。就職の為、オレが隣の県に引っ越ししなければならなかったからだ
オレが家を出るときに彩は大泣きして抱きついてきた(あの時ぐらいまでは可愛かったなぁ)
オレは仕事の急がしさなどで正月休みぐらいしか実家へは帰らなかった。
実家に帰るたびに彩は綺麗になっていた。しかしプオタでサイコ好きは変わらなかった
「周りにプロレス好きが居なくてつまんないよ、拓にぃ帰ってきてよ」とよく愚痴ってたなぁ
 
 彩は高校生になったらオレの部屋まで遊びに来るようになった。なんでも地元じゃ話が合うヤツがいないそうだ
遊びに来るのはいいがプロレスビデオを見ると興奮して大声をあげて床を踏み鳴らしたり、サイコのCDを聴きながら大声で歌ったりした(まぁ最後にはオレも一緒に歌ったりしたけどね)
ここは武道館じゃないと何度言ってもダメだった
そのうち大家にウルサイと追い出され、それが何回か続いた。彩を叱っても
「私をこんな女にしたのは誰?ヒドイわ…シクシク」
と、うそ泣きしてまったく反省はなし。オレは諦めて防音設備の整ったマンションを購入した訳だ
536527:2005/11/12(土) 05:29:05 ID:GMk3kmao
また勢いで書きました
ちなみに鈴木彩子は実在の歌手です
彩は鈴木彩子をイメージしています
537名無しさん@ピンキー:2005/11/12(土) 14:13:01 ID:iN6n8tuR
読みやすいしキャラクターにも個性があっていいと思う

続きに期待してます
538名無しさん@ピンキー:2005/11/12(土) 15:36:02 ID:bm/+l2xB
キャラもいいしおもしろいと思うんだけど…
もう少し改行して下さいm( __ __ )m 横長で読みにくいよ
539527:2005/11/12(土) 17:54:58 ID:GMk3kmao
今まで携帯から書き込んでたんでちょっと読みづらくなってしまいました
次からはPCで書き込みますm(__)m
540名無しさん@ピンキー:2005/11/12(土) 18:45:31 ID:FMmAb7bR
いやー設定がおもろい
期待してますよ
541名無しさん@ピンキー:2005/11/12(土) 23:13:48 ID:1qwGgH8u
うん、設定がいいよな。
これからどう展開するのか気になる話だ。

スラスラ読めたんで気にならなかったのだけど、やっぱり改行は適度にしといた方がいいと思います。
画面に端まで文字があると圧迫感が有るし、
眼球を動かす距離が伸びるから目に疲れが溜まり易いんだとかって話を聞いた事が。
逆に改行しすぎて縦に長くなり過ぎたために連投規制に引っ掛かってしまったら元も子も無いですが……

まぁ、それは置いといて。
プロレスオタでロックシンガーな彼女がツボに来ました。続きを楽しみにしてます。
542名無しさん@ピンキー:2005/11/12(土) 23:15:49 ID:UIxPFTsq
彩子をサイコと表記するとPSYCOが頭に浮かんでしまいます。
543彼女は〇〇〇 527:2005/11/12(土) 23:26:11 ID:MqjRgNVJ
後で知った話だが彩はオレが引っ越した後にギターを始めたそうだ。
理由を聞いたら「カッコイイ女性になりたい!」とか言って髪も伸ばし始めた。
今では背中まで届いており、今時珍しく染めずに黒髪のままだ。
「カッコイイ女性はプオタじゃないと思うけど?」
そう言ってやったら三沢光晴なみのエルボーを打ってきやがった(怒)アイツの技は年々レパートリーが増えてる。
いったい何処で練習してるんだ、受けるオレの身にもなれよ。

 そうこうしてるうちに彩はギターを弾くだけじゃ物足りなくなったのか自分で作詞作曲して歌いだした。
以前から彩は
「最近流行りの歌はダメだ。歌詞にあまり意味がない。ボーカルの声が楽器の一部になってる気がする。
せっかく歌うなら何かを伝えるような歌を歌えばいいのに…」
そう語っていたがそれを実現した。行動力のあるやつだ。
彩が作った歌は若さゆえに感じる、世間に対する憤り、自分達の未来に対する不安や希望など今、自分が感じてる感情を
ストレートに歌った少し重い歌詞だった。そのストレートで飾らない感情が受けたみたいだ。

 駅前で歌っていたら見物人から家でも聞きたい、とリクエストがあったそうだ。
最初はオレの家で録音したMDをダビングして原価で譲っていたが、
日が経つにつれて欲しがる人が増えたので自主制作でCDを作り、欲しい人に原価で譲りだした。
資金はおばさんからの借金だ。何故かオレが保証人にさせられた。今考えると親子での借金に保証人がいるってのは
どうなんだろう?しっかりオレから回収されたし…
そういやまだ彩に借金立て替えた分返してもらってないぞ(怒)
この時のCDはネットオークションで数万円の値が付いたらしい。何枚かくすねときゃよかったな。

 話はそれたが噂を聞き付けたレコード会社が『ぜひ我が社からメジャーデビューを!』と話を持ってきたらしい。
それも何社もだ。オレは彩の歌を広めるいい話だと思ったが彩は断った。
理由を聞いたら「売るための歌は歌いたくない。伝えるための歌を歌いたい」
カッコイイ事言うようになったもんだ。

 結局CDはインディーズで出すことにした。名前も彩(あや)ではなくsaiにした。尊敬する彩子(サイコ)さんから取った名だ。
その頃になると口コミやネットで噂が広まりファーストアルバムは飛ぶように売れた。
いつも歌ってた駅前にも人が殺到するようになった。あまりにも人が集まるので路上ライブは止めた。
ほとぼりが冷めるまでライブをしないつもりでいたら何時の間にか路上ライブから生まれたカリスマと呼ばれていた。
路上ライブの時は学校にばれないように帽子にサングラスで歌ってたため彩の素顔を知ってるファンはいない。
それもsai人気に拍車をかけた一因だ。

 で、そんな生い立ちのカリスマが、今オレの目の前にノア東京ドーム大会のDVDを片手にプロレスTシャツを着て
嬉しそうに立っている。

「さっそく見るよ!拓にぃ、さっさと準備!」

 ビシッっとテレビを指差しオレに指示する。…オレの家なのに(悲)
544527:2005/11/12(土) 23:31:54 ID:MqjRgNVJ
皆さんご意見有難う御座います、参考になります
じぶんでss書いてみて難しいなと痛感してます
未熟者ですが頑張っていきます!
545名無しさん@ピンキー:2005/11/12(土) 23:42:52 ID:5E0WZd0E
いい
すごくいいよ

でもまとめて投下してね
546名無しさん@ピンキー:2005/11/13(日) 00:58:08 ID:Wbu8hNFM
今保管庫で喜多さんの一話の終わり抜けてるのか?

と、このスレを確認しにきた俺バルログ
547名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 02:54:32 ID:B7+Avtav
最近流行の曲はダメだ。歌詞に意味をこめようとしすぎてグダグダになってるか
全く意味のない歌詞がよく目立つ。なんでもOKお気楽ポップなんてなくなればいいのに・・・
なんて思う俺は80年代がお似合いか・・・

なにはともあれ乙です!GJ!
548名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 03:18:15 ID:66K/2YL/
>>527
よさげな雰囲気。続きに期待してます。

>>547
ブルーハーツでも歌おうじゃないか友よ
549名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 10:04:04 ID:E2NZD4/w
おい、おまいら!
喜多さんの続きが来てるぞ!
550名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 10:36:14 ID:hlEKtFtd
情報アリガトー! 堪能させていただきました
551名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 12:36:35 ID:BgtAgSwM
まさかこの板でサイコの名前目にするとは……orz

まそれはそれとして続き期待してるよ
552名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 14:49:22 ID:owMjYoKO
>>551
サイコに元ネタあるの?
553名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 18:56:41 ID:fHrdjRDB
鈴木彩子つうとサイレントメビウスのアニメを思い出すな。
554名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 21:49:37 ID:YIGJuUEp
>549
情報ドモ。早速見てきた。

今度は戸田奈津子氏か……。足軽氏のネタの引き出しは無限か?

「無限引き出し」
「∞」の形になっている。あらゆるジャンルのネタをいくらでもネタを引き出す事ができる。
555名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 22:00:09 ID:iu6QmAhu
きーたーさーん

もっと・・・
556名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 22:24:53 ID:sYNRLUSc
喜多さんキタ――(゜∀゜)――!!

けど…また…いい所で切れてる……
俺の股間のレイヴンが行き場を無くして途方にくれてるよ……
姉汁で抜いてくるノシ
557名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 22:30:30 ID:qV38pL7F
saiさんマダカナ~
558彼女は〇〇〇 527:2005/11/16(水) 12:03:04 ID:xl+LbkNr
オレはDVDをセットして飲み物を準備する。
オレがビールで彩はウーロン茶だ。彩はアルコールに弱い。
20才になった祝いに飲ませてやったらビールを中ジョッキ1杯すら飲めなかった。
なにが「何で二十歳の誕生日のお祝いが居酒屋なの!このケチ拓にぃ(怒)」だ。
オシャレなレストランなんて百年早いわ(笑)
オレは買ってきたビールと冷蔵庫からウーロン茶を出し、おつまみ代わりのポテチと
じゃがりこ(サラダ味)を皿に盛りリビングに持っていく。
 
 彩は赤色の紙テープを用意して待っている。また投げる気だ。
紙テープは選手がコールされた時にリングに向かって投げ入れるんだ。
選手ごとにカラーが決まっていて(例えば三沢光晴は緑色)彩が好きな田上明選手は赤だ。
これを家で、しかも人の家でやるなんて前代未聞、聞いたことがない。
最初はオレの家ですんなと怒ったがやってみるとこれが以外や以外、案外楽しい。
今では二人で投げるのが当たり前になった。

準備が出来たのを見て彩が再生ボタンを押す。オレ達が待ちに待ったドーム大会をやっと見れる。
このためにテレビ放送も見なかった。一気に全部の試合を見たいからだ。
「小橋ケンスケ戦が年間最高試合になると言われてんだよね?
週プロやゴングでもべた褒めだったからスッゴク楽しみ!」
嬉しくてたまらないといった笑顔で話し掛けてくる。いい笑顔だ。
この笑顔に騙された何人もの男達が告白しては散っていった。
いつしか地元では『不沈艦』と言われるようになった。
本人に「ハンセンと同じあだ名だな」と言ってやったらラリアートを喰らわされた。
だからどこで練習してんだ?

「試合…見に行けなくて残念だったな…」彩の笑顔に思わず呟く
「レコーディングだったしね…しょうがないよ」寂しげに呟く彩
「…オレは見に行けたんだけどな(怒)」
彩はヤレヤレといった感じで額に手をあてた
「はぁ〜…まぁだ怒ってんの?心が狭いねぇ。イノキアイランドより狭いよ。
心が狭いと女の子にモテナイよ?」
コ、コイツは(怒)…彩の顔を鷲掴みにしてアイアンクローをしながら説教だ!
「試合の日にお前が騙してスタジオに呼び出したんだよな(怒)
なにが『拓にぃアタシ…歌えない…もう歌えないよ…』だ!
何事かと慌ててスタジオ行ったら腹が減って声に力が入らなかっただけだとぉ!」
思わず手に力が入り彩は「ギブッ!キブッ!」と手足をバタバタ動かしてる。ざまぁ見ろ(笑)
少しは気が晴れたので許してやることにした
「ヒドイよ拓にぃ(涙)か弱い女の子に…」彩は頭を押さえながら涙目で睨んできた
「か弱い女の子?そんなのどこに居るんだ?」

これがいつものオレ達の会話だ、他人が見たらどう思うんだろ?
559彼女は〇〇〇 527:2005/11/16(水) 12:04:49 ID:xl+LbkNr
そうこうしてるうちに試合が始まった。
セミファイナルの小橋ケンスケ戦は噂に違わぬ凄い試合だった。
彩のレパートリーに逆水平チョップが増えるのは間違いない。
チョップだけでプロレスをする2人に感動し、泣きそうになった。
メインの三沢川田戦はセミに喰われた感じだった。
けど全日本時代から見ているオレと彩は二人がリングで対峙してるだけで満足だ。
二人を見て彩は涙目になっていた。


「ドームに見に行かなくてよかった気がするな」
DVDを見た後のオレの呟きに彩が「なんで?」と聞いてきた。
「お前と一緒に見たほうが楽しいからな」
なんでもそうだと思うが気の合う仲間と一緒に見たほうが楽しいに決まってる。
そう言って彩を見ると顔が真っ赤だ。耳まで赤い。
「お前、顔真っ赤だぞ!どうしたんだ?…さてはオレのビール勝手に飲んだな?」
彩はビールを飲んだのがバレて慌てたのか
「何でもない何でもない!何でもないよ、何でもない!」
と両手をフリながら顔を左右に振っている。
「…?よくワカランけど…まぁいいや。彩、缶ビール1本なら飲んでいいぞ」
オレは冷蔵庫から冷えた缶ビールを取り出し彩に渡す。彩は何故かため息を吐き睨んできた。
「…ハァ。やっぱ、拓にぃだね」「ん、何がだ?」
また睨んできた。一体なんなんだ?

プロレス上映会をした後、彩は大抵泊まっていく、というか週に一度は泊まっていく。
朝までプロレスを語ったりサイコのライブビデオを見たり…楽しい一時だ。
「彩、今日も泊まっていくんだろ?」
「女の子に『泊まっていくんだろ』なんて…何するつもり?」
お前な…それがお風呂セットをカバンから取出しながら言うセリフか?
「ビールは後で貰うね…覗いちゃやぁよ」
「誰が覗くか!さっさと入れ!」
笑いながら風呂場に消えていく彩。オレは彩が風呂から出るまでに後片付けだ。
紙テープや空き缶を片付けてさっき彩に渡した少しぬるくなったビールを一口飲んで一息つく。
(いつまでこうやって遊べるんだろ…彩も大学出たら本格的に音楽活動するだろうし…
そうなったら気軽に遊べなくなるよな…そうなるとこの家も1人じゃ広いし…嫁でも探すっかな…)
そんな柄でもないことを考えてたら彩が風呂から出てきた
「拓にぃお風呂空いたよ…ってアタシのビール飲んでるし!なに勝手に飲んでんの(怒)」

 悪かった、俺が悪かったから頚動脈にチョップ入れるのはやめてくれない?(涙)
560彼女は〇〇〇 527:2005/11/16(水) 12:05:46 ID:xl+LbkNr
おれは彩に冷えたビールを渡し風呂にいく
「なんか適当に食い物作っといてくれよ」
ああみえて彩は料理が美味い。オレの好物のカレイの煮付けなんて絶品だ。
彩の家は父親がいない。彩が物心つく頃には別れてたらしい。だから彩はおばさん一人の手で育ってきた。
隣に引っ越してきた頃の内気な性格はそういった家庭環境に理由があったんだ。
今の明るい性格になった事をおばさんには感謝されてる。けど
「プロレス好きにだけじゃなくカリスマにまでするなんて…拓ちゃんは彩をどうしたいの?(笑)」
こんな冗談を最近よく言われる。正直、オレにもよく分からん(笑)
おばさんが働いてるので彩が家事を担当していた。今でもそうらしい。
よくオレの母親に料理を習っていたっけ…
彩は「おばさんの料理で作れないものはないわ!」と豪語してる。

俺の部屋に来る時は必ず何か差し入れを作ってきてくれる。
今日も冷蔵庫にはタッパーが数個入っていた。ありがたい事だ。
「アタシが料理作って来ないと拓にぃ確実に栄養失調で倒れてるよね。感謝しなさいよ」
確かに彩の言う通りだ。オレのメイン料理はモヤシ炒めだ。金がないオレにピッタリの食材だ。
朝に2袋分のモヤシを塩コショウと醤油で炒めて三分の一をおかずに飯を食う。熱々シャキシャキが美味い。
昼は冷えたモヤシ炒めをまた三分の一食べる。冷えて汁をすったのが味が染み込みなかなかいける。
晩は残りを汁ごとご飯に掛けて丼で食べる。けっこうなボリュームで腹一杯になる。
これで1ケ月生活した事がある。リアル節約生活だ。
同僚の池田には「静馬の半分はモヤシで出来てるな」と言われたので残りは何だ?と聞いたら
「愛しさと切なさと心強さ」と言われた。どっかで聞いたことあるな。
今は彩の差し入れのおかげでモヤシ生活はあまりしていない。


熱いシャワーを頭から浴び、すっきりして風呂を出たら彩がオレが飲みかけた缶ビールに口をつけている。
テーブルには皿に盛った焼きそばが置いてある。オレの大好物だ。よくやった、彩!
「そのビールぬるいだろ?せっかく新しいの出したんだからそっち飲めばよかったのに」
風呂から上がったオレに気が付いてなかった彩は軽くビールを噴き出した。
「なにビックリしてんだよ(笑)こっちの貰うぞ」
さっき彩に出したビールを開けて一口飲んで焼きそばをほおばる。うまい!さすがは彩だ。
「ちょっと拓にぃ!それアタシのビール!」そう言ってオレからビールを奪い取る。
「…こっち返すよ」彩が飲んでたビールを渡してきた。少し顔が赤い、なんだ?
「彩って…たまに訳の分らん行動するよな」そう言いながら渡されたビールを一口飲む。
うん、ぬるい。風呂上りに飲むビールじゃないな。
なぜか彩が赤い顔をして缶ビールを口につけながらじっとこっちを見てる。
「彩、顔赤いぞもう酔ったのか?」「なんでもない!」
嬉しそうにビールを飲み干す。年頃の娘はよく分からん。オレも年かな?

結局この日は素晴らしい試合を見たせいか、テンションの上がった彩はビールを2本飲み、
3本目途中でダウン、お開きとなった。

561彼女は〇〇〇 527:2005/11/16(水) 12:08:05 ID:xl+LbkNr
彩はオレの休みの前日に泊まっていく。帰りはオレの車で家まで送らすためだ。
今日も送る事になった。片道3時間、ちょとしたドライブだ。
「…拓にぃ、この間レコーディングした曲持ってきたんだ。聞きながら帰ろうよ」
半年ぶりになる、sai三枚目のアルバムだ。
「お、ついに出来たか。耳が肥えたオレ様が聞いてやろう」
「…うん。感想、頼むね」なんだ?元気ないな…二日酔いか?

新アルバムを聞きながら車を走らす、彩は黙ったままだ。その理由もなんとなく分ってきた。
「彩、これっていつ発売なんだ?」「…再来週だよ。それくらい調べといてよ」
新しいアルバムは前の2枚とは違い心に響くものがあまり無いように感じた。
全ての曲を聴き終えた。彩は不安そうな目でオレを見ている。
「新しいアルバムの感想だけど…saiじゃなくても歌える歌だったな…」
オレの言葉に彩はため息をつく。
「やっぱ…そう思うよね…ネットとか見てたらファンの人達がずっと待っててくれてるんだ…
そんなの見てたら早く作らなくちゃって焦っちゃって…けど焦れば焦るほど納得のいく歌が出来なくて…
妥協しちゃったんだ…何が『最近流行りの歌はダメだ』よ…えらそうな事言った本人が『流行りそうな』歌を
狙って作ってんじゃん…ダメだよねアタシって…」


こんなに落ち込んだ彩を見たのは久しぶりだ…オレが地元を離れると知った時以来だ。
しばらく無言で車を走らせていたオレは車を止めて彩に自分の考えを話した。
「なぁ、彩…プロレスって奥が深いよな…とんでもなく器が広いんだ」
突然話し出したオレを見つめる彩。
「ノアや全日本の純プロレスや新日本のストロングスタイル。みちのくやドラゲーのルチャリブレ。
今は無きFMWや大日本のデスマッチ。WWEやハッスルのエンタメ。UWF系のUスタイル。
ほんとプロレスという器は広くて深いんだ。この器の中で成功するには自分の団体のカラーを
貫き通すしかないと思う。現にノアは王道プロレス。全日本は外人路線。ドラゲーはルチャ…
他の成功してる団体も独自のカラーを貫いてる。逆にフラフラしてるところは新日本みたいに苦戦してる。
歌も同じだと思うんだ。自分の歌を貫いていったらファンは付いて来てくれる、必ずな。
どんなに待つことになっても…だ。サイコに対してのオレ達がそうだったろ?」
オレは彩の頭を撫でながら続ける。
「だからな、彩。歌いたい曲が出来るまで無理しなくていいと思うぞ。ファンのため歌う、とか考えずに
心の底からこの歌を歌いたいって歌が出来るまで焦らなくていいと思うぞ…オレはな。だいいちな、彩」
オレはにやりと笑い
「我がままいっぱいのお前がファンのためになんて…似合わんぞ。変な物でも食べたか?(笑)」
オレの言葉に彩は
「拓にぃ!途中まで感動してたのに!全部台無しじゃない!」

やっと元気になったな彩。

元気になったのはいいが…耳そぎチョップは止めてくんない?ホント痛いんだよ。


562彼女は〇〇〇 527:2005/11/16(水) 12:11:10 ID:xl+LbkNr
この日から二日後、saiの3枚目のアルバムが急遽発売中止になった。
この事についてsaiはHP上で
「このアルバムはアタシが歌いたかった物じゃない。皆には申し訳ないけどこのアルバムは封印します」
とのコメントを出した。

そしてオレは今、自分の部屋でsaiの発売中止になったはずのアルバムが入った大量の段ボール箱に囲まれて
ボーゼンとしている。
「なんでこうなったんだ、彩。叱んないから言ってみな?(怒)」青筋を立てて彩に聞くオレ。
「急に発売中止にしてもらったでしょ?発売間近だったからかなりの枚数出来てたんだよね〜。
発売中止にするって言ったら出来た分どうしてくれるって言われたんだよ。だからアタシが買い取るって…
つい言っちゃった。テヘッ」可愛く舌を出す、彩。
オレは右手をわきわきさせながら彩の顔に近づけていく
「で、買い取ったはいいが置く場所がなく、オレの家に合鍵を使って勝手に入り、置いたって訳か…」
「お、さすがは拓にぃ。正解!あったまいいねぇ。ところでさぁ…暴力はいけないよね、暴力は」
オレは逃げようとする彩の顔を鷲掴みにして
「問答無用!」必殺のアイアンクローを喰らわした。
「ギブッ、ギブッ」彩は手足をバタバタさしてもがいてる。
「反省したか!もうしないか!分ったか、彩!」
手を離してやると彩は両手で顔側面を撫でながら涙目でこっちを睨んで言った。

「…正直スマン」

コイツ…ちっとも反省してねぇ(怒)

563527:2005/11/16(水) 12:20:19 ID:xl+LbkNr
続き書きました
途中から訳分らんようになってしまいました
感想などいただけたらありがたいです
564名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 16:57:37 ID:higL/hj7
プロレスの下りはあまり知らないので流し読みしてしまいましたが
全体はとても面白く読ましていただきました

続き楽しみにしてます
565名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 18:05:02 ID:W5WG11NS
KオタかつPオタかつプオタな俺
そっちに目が行って仕方がないw
566名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 18:55:32 ID:cB/V3i5o
今回は前回よりプロレス分が多くて個人的には嬉しいけど、
知らない人は楽しめないからなぁ。そこらの匙加減が大変そうだと思ったよ。
プロレスネタで励ます所は新鮮で面白かった。
彩が可愛らしくてえかった。
二人の関係がどうやって進展するのかが楽しみです。
567527:2005/11/16(水) 21:00:54 ID:xl+LbkNr
感想ありがとうございます!

次回からプロレス話を少し減らすようにします

なるべく早く書くよう努力します
568名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 21:09:47 ID:ow/o7OiJ
プロレスにもロックにも興味がない人には
読むのがかなり厳しい

もうちょっと門戸を開いた方がいいかもね
569名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 22:19:57 ID:bk1w9/DK
万人に受けがいいものを書くんなら減らしたほうがいいかもしれないけど、
プロレス話が書いてて楽しい・筆が進むのならそれはそれでありかと思うが。
だって話の中でそう言ってるじゃない。
570名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 22:44:20 ID:txbqeuwT
プロレスネタは全然わからんが、それを楽しそうに話している二人を見るのは大好きだ。
もっとやれ!
571名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 23:56:48 ID:kdS2G9a8
>>567
何調子に乗ってんのよっ!
全然まだまだじゃない、
天狗になってんじゃないわよ
でも、その…うまいじゃない(ボソッ…)
なっなんでもないわよっバカッ

572名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 00:29:41 ID:pqhOmSkH
>>571
ツンデレキターーーー!!!!
573名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 00:32:07 ID:RNLvQcuo
これから先も書くんなら、とりあえずトリップつけた方がいいんじゃね?
574527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/17(木) 01:13:31 ID:Q5BNg5uV
トリップつけました
575彼女は〇〇〇 527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/17(木) 16:45:00 ID:Q5BNg5uV
 結局オレの部屋に置かれたダンボールの山は貸し倉庫を借り保管して、ほとぼりが冷めてから
徐々に処分する事になった。
「拓にぃのせいでもう破産寸前だよ。どうしてくれんのよ(怒)」
今回新アルバムを急遽発売中止にしたせいで彩は今まで稼いだお金の大半を使ってしまったらしい。
彩はオレの口車に乗ったせいで大損したって文句を言ってくる。
まぁ冗談だとは分ってるけどおばさんにまで
「プロレス好きにだけじゃなくカリスマに仕立て上げ、おまけに破産寸前にまで…
拓ちゃんはホントに彩をどうしたいのかしら?(笑)」
こんな冗談を言われる始末だ。似た者親子め。

 アルバム発売中止になってからsai人気も落ちるかと思ったが、自費でCD回収した話が広まり
「saiはそこまで自分の歌にこだわってるんだ、やっぱりすげぇ!」
って感じでますます人気が出た。
今、発売中止になったアルバムを売ればかなりの金額で売れるはずだ。
何枚かクスねときゃよかったな(笑)
このsai人気が彩にまたプレッシャーになるんじゃないかと心配したが
「アタシは強い女よ!プレッシャーなんてある訳ないじゃない!」
そう言い切って胸を張る彩。
おいおい、それがついこの間オレに慰められた奴のセリフか?
「拓にぃ何よ、その顔は!」
呆れ顔のオレにそう言って睨んで来た。顔が少し赤い。

照れてんだ。素直じゃないよな、彩は(笑)
576527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/17(木) 16:46:34 ID:Q5BNg5uV
最後のところ書き足しました

続きはもうしばらく待ってください
577名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 20:31:45 ID:nF/5twW1
GJっす
文も読みやすくてかなり好きです
主人公の鈍感さがどうかわるか楽しみです

続き頑張ってください
578名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 22:32:56 ID:xGRJoSM9
メロス「待て、王よ! メロスはここだ! メロスは間に合ったのだぞ!!」
セリヌンティウス「……バ、バカ! なんで戻ってきたのよ、バッカじゃないの!? そんなに死にたいの?」
メ「でも俺、俺の命なんかよりも大事なものがあるんだ。俺の誇りと、それと」
セ「それと?」
メ「……お前だよ。さあ、王よ、セリヌンティウスのいましめを解いてくれ。その台で死ぬのはこの俺だ」
セ「ダメーッ!! そうよ、ダメなの、だってほら、もう日は落ちているわ! だから私を処刑して!! それがルールでしょっ!!」
メ「いや、まだ落ちてはいない。地平線のかなたに未だ輝く太陽を、この場の皆が見ている。──さあ、兵よ、降ろしてくれ。
  セリヌンティウス、俺を殴れ。俺は一度、お前を見捨てた。疲れ果てて、挫けそうになったのだ。
  お前が殴ってくれなければ、俺にはお前を抱く資格が無い」
セ「な、な──(ペシッ)なんでそのまま諦めなかったの!? なんで戻って来たのよ!(ドンッ)」
メ「だから──」
セ「うるさい! あんたみたいなバカ、さっさと死んじゃえ!!
  う……うぅ……ホントは、ホントは! 待ってた、ずっと待ってたわ。信じてた、きっと助けに来てくれるって!!
  でもね……でも……一度だけ、一度だけだよ? もしかしたら、戻ってこないんじゃないか、って、思ったの。
  私、死にたくなくて、でもあんたにも死んで欲しくなくて、戻ってきて欲しくなくて、それなのに疑って、自己嫌悪で、
  もう……ぐじゃぐじゃだったの……。ねえ、メロス、私のこともぶって?」
メ「……(なでなで)」
セ「ぶ、ぶってって言ったのに……言ったのに。(ぎゅっ)う、うえぇ……やっぱりやだぁ……。
  いやよう……メロス、お願い! 私なんかどうなったっていい、もう一度逃げて!!」
メ「ありがとう。その言葉だけで、俺は喜んで死ねるよ。──王よ」
王「……私の負けだ。お前たちの心が、私に勝ったのだ。私もその仲間に入れてもらいたい。
  わが娘よ、勇者にマントを! さあ、それを覆うがいい。この娘は、お前の裸を皆に見られるのが、たまらなく悔しいのだ」
セ「……ふぇ? な、なななななななんてカッコしてんよのあんたはっ!!」

彼女は、赤面した。
579名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 22:38:30 ID:snplAekw
か、感動のあまり涙が……!
580名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 22:56:37 ID:AVPrbVIr
527 ◆k8fXz6W8GAさん
(怒)や(笑)を文中に入れるのは個人的に萎えてしまいます。
キャラクターも話し運びもとても良いのですが。
581名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 22:58:34 ID:snplAekw
まあ、それやって芥川賞とった人もいるけどね……。
582名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 23:01:57 ID:AVPrbVIr
>>581
そうなん?
知らんかったなあ。
583名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 23:06:08 ID:DzxxXITM
>>578
コ、コピペにしてもなんら劣らない一品!!!
584名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 23:07:43 ID:swG9hx1t
>>582
蹴りたい背中k
585名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 23:19:58 ID:nF/5twW1
>>578
まさかメロスがツンデレか!!!!

授業で習うときにこう考えたらよかったんだな
586名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 00:29:05 ID:HhnCaoO8
>>578
これはいいツンデレですね。

誰か考えそうで、だけど誰も考えつかなかった素晴らしいアイデアだ。
587名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 00:50:22 ID:B04z9lUV
>>578
おいおい……俺、セリヌンたんにマジ萌えしちゃってるんですが。
破壊力高すぎ。
588578:2005/11/18(金) 08:38:24 ID:S/H61/xD
すまん、これは俺のオリジナルじゃないんだ。
メロスは激怒した
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/gline/1078576908/403
からの転載なんだ。断り書きしないでごめんね。
589名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 18:25:36 ID:vVYwmw7F
セリヌンティウスって確か男だろ…!
そうか…女体化、ツンデレのコンボか!!
痛恨の一撃だぜ…
590名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 20:00:04 ID:kbcGtT8j
>>578
テンプレ入りを提案するがどうだろう?
591名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 22:18:01 ID:uzqLQSq3
>>590
やめとこう
592彼女は〇〇〇 527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/19(土) 16:52:14 ID:ozHwVNdw
続き投下します
>578を見てテンションが上がり一気に書きました
593彼女は〇〇〇 527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/19(土) 16:53:07 ID:ozHwVNdw

「静馬、今度の水曜日、お前の車貸してくれよ」
同僚の池田に頼まれた。コイツとはこの会社に入ってからの仲だ。
もう8年の仲になる。オレの数少ない友達だ。
「なんに使うんだよ、またナンパか?」
オレ達の会社は水曜日が定休日だ。一応週休二日だがもう一日は皆バラケて休みを取る。
オレは土曜日で池田は木曜日だ。ちなみに池田にも彼女はいない。おお!心の友よ!
「実はな…かなえとドライブに行こうかと思ってな」
ほぉそうか、かなえちゃんと…ん、今コイツ『かなえ』って呼捨てにしてなかったか?まさかコイツ…
「お、お前、まさか…」動揺が隠せないオレに勝ち誇った顔でヤツは
「おや、言ってなかったっけ?かなえとはこの間カラオケに行った日から付き合うことになったんだよ」
前言撤回、コイツは敵だ。なにが心の友だ!裏切りモン!
「誰が貸すか!オレの車は幸せなやつ乗車禁止なんだよ!」
「そうか…かなえの大学の後輩が彼氏欲しがってるから紹介して「ガソリン満タンにしとくから楽しんで来いよ!」
オレは親指を立てて爽やかな笑顔で池田に言う。
「いや、無理に借りる訳にはいかないからな」
「いやいや何をおっしゃる池田さん。存分に楽しんでくださいよ」
「そうか?なんか悪いな」
「めっそうもございません…ところで女を紹介してくれるって話は…」
両手をモミモミしながら池田に尋ねる。情けないぞ、オレ。
「まかせとけ、この写真の子だ」

池田はかなえちゃんから預かったであろう写真を見せてくれた。
写真にはテニスウェアを着たかなえちゃん達が写っている。太ももがまぶしい。
(くそ〜、このふとももを好きにしてるのか…コイツ許せんな)
そんな事を考えてるのがばれたのか
「なに人の女の足ばっかり見てんだよ!この子だよ」
池田が指差した子はショートカットで背が低いカワイイ感じの子だった。結構タイプだ。
オレが写真に釘付けになってたらいつの間にか、かなえちゃんが来ていた。
「静馬先輩の写真見せたらいい反応してましたよ〜」
ヤバイ!オレにも春が来た!人生初のモテ期到来か?
「この子の名前は森永ますみ。20才なんですけど今まで男の子と付き合ったこと無いんですよ。
先輩なら優しいし大丈夫かなって思ってるんです。カワイイ子ですよ〜」
マジか!こりゃ7年ぶりの彼女ゲットとなるか?
「かなえちゃん、ワックスも掛けとくからドライブ楽しんで来いよ!」
持つべきものは友達だ。オレは池田に感謝した。
「じゃあ遠慮なく借りるぞ。ますみちゃんとは水曜日にセッティングしとくよ。どこ行くか考えとけよ」
水曜か…彩が遊びに来るかも知れないが…あらかじめ仕事が入ったとか適当に言っときゃ大丈夫だろ。
「おう!よろしく頼むな!」

 この時はあんな目に合うとは露知らずテンション上がって楽しかった。短い夢だったなぁ…
594彼女は〇〇〇 527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/19(土) 16:54:12 ID:ozHwVNdw

「はぁ?水曜日に仕事が入ったから遊びに来るな?あのねぇ拓にぃ、アタシだって予定ってモンがあるんだよ?
拓にぃばっかりにかまってあげれないの。そう毎回毎回遊びには行けません!……土曜は大丈夫、なんだよね?
……大丈夫?じゃ、金曜の夜行くから。それまで寂いからって泣かないでよ」

 文句を言ってる拓にぃを無視してアタシは笑いながら電話を切る。切った後にため息が出る。
(仕事じゃしょうがないか…拓にぃ貧乏だしね…)
そんなアタシの様子を見ていたますみがこっちを見てニヤニヤしてる。しまった!この子いたんだった!
「…なによ、アタシの顔になんか付いてんの!」
「べっつにぃ〜。確か水曜は隣のおばさんから頼まれていやいや息子さんのところに食べ物持ってくとか
言ってなかったっけぇ〜?そう言って親友の頼みを断ったような気がするなぁ」
もう!ニヤケ顔でチクリと言わないでよ!
「うっ……分ったわよ、水曜アンタに付き合うわ。けどアンタが男の子紹介してもらうなんてねぇ。変な物食べた?」
「そりゃこの2年間、一途な彩を見てたら恋の一つぐらいしたくなるわよ」
「ア、アタシのせいにしないでよ!」

 この子は森永ますみ。大学に入ってから出来たアタシの少ない友人の1人で親友…かな?
身長はアタシより10センチ程低い150センチぐらい。ショートカットでかわいい子。
それでいてアタシより胸がある。その身長でDカップって…なに食べてんの?
アタシのBカップの胸が嘆いてるわ……ってほっといてよ!

 ますみとの出会いは大学に入ってすぐの頃。彼女がしつこいナンパに困ってるのを助けてあげた時からね。
その後妙に馬が合ったアタシ達はよくつるんでる。
ますみは大学の男共の人気が高い。150センチであの胸、おまけにカワイイと来たら無理ないか。
けど一度でも一緒に食事に行けばますみの恐ろしさを知ると思う。ますみはお酒を飲む量が半端じゃない。
前に同じサークルの男三人と食事に行くと言ってたので心配になり一緒に着いて行った。
男共はアタシも来た事で大喜びだったけど3時間後には誰一人起きていなかった。
アタシは拓にぃの言いつけを守りお酒を飲まなかったけどますみは飲んだ。ガンガン飲んだ。
飲む前は「普段全然飲まないんです〜」とか言ってたくせにいざ飲みだしたら止まらない。
それでいて飲ませ上手だから男共もますみのペースで飲む。
時間が経つにつれ1人、また1人と酔い潰れていく。
3時間後に意識があったのはお酒をまったく飲んでないアタシと中ジョッキに焼酎?ってお酒を入れて
レモンをかじりながら飲んでるますみだけになってた。拓にぃも酔ってるとこ見た事ないけど、
ますみと拓にぃ、どっちがお酒強いのかな?
「くぅ〜!やっぱりロックにかぎるね!」
お酒を飲みながらますみがそう言ってた。ますみ、ロックファンだったんだ。
次の日saiのアルバムをあげようとしたら要らないって言われた。なんで?

「普段飲まないって言ってなかった?」
アタシ達は男共を置いて店を出た。あきれ顔のアタシの質問にますみは
「普段はお金が掛かるから飲まないの。今日みたいに奢りなら朝までだって飲むわよ。
普段飲まないって…嘘じゃないでしょ?」
ニッコリと微笑むますみ、あれだけ飲んでも顔は普通なんて…その胸の中身はきっとアルコールね。
「奢りって…どう見てもアンタが酔い潰して無理やり奢らせたんじゃない」ふふっと笑うアタシ
「そうとも言うね」ますみもクスッっと笑う
こんな事をますみは繰り返してたみたい。そのうち男共はよって来なくなり、いつしかますみもアタシ同様に
『不沈艦』と呼ばれるようになった。
最近、大学の男共はアタシ達2人を『無敵艦隊』って呼んでるみたい。誰よ、こんなセンス無いあだ名つけたの!
どうせなら『殺人魚雷コンビ』にしてよね!

595彼女は〇〇〇 527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/19(土) 16:55:45 ID:ozHwVNdw
 ますみの話によると今度の水曜日、サークルの先輩が働いてる会社の人と会う事になってるみたい。その先輩曰く
「26才でマンション持ってるし車も持ってる。なかなかカッコいいし、なにより優しいの!」だって。
「なんでそんな人に彼女いないの?なんかあるんじゃない?怪しいなぁ〜」
心配になってアタシが聞いたらますみも同じ事聞いたんだって。その答えが
「ちょっと変わった趣味してるの。別に怪しいものじゃないわ」だって。
「なんか余計に怪しいね。だからアタシに着いて来てほしいんだ」
「そうなの。ホントは止めようかと思ってたんだ。けどねその人……お酒すっごく強いみたいなの!」
ああ、そうだったわ。ますみが彼氏を作らない理由…『彼氏は私よりお酒が強い人』があったせいだったわね。
けどね、ますみ…それって女の子が目を輝かせて言うセリフなの?
「アンタもどっかで間違ってるよね〜」
呆れ顔のアタシ。
「人生間違いだらけの彩には言われたくありませ〜ん」
即答して逃げてくますみ。

ちょっとますみ!間違いだらけじゃないわ。時々よ、時々間違うだけよ!訂正しなさい!


 そんなこんなで水曜日、アタシはますみ達の待ち合わせ場所から少し離れた場所に待機している。
なにか異変があればますみと合流して用事が出来たと言って2人で帰るつもりだ。
今日は晩御飯を食べるだけみたい。ますみはホントにお酒が強いか見極めるって言ってた。
強そうだったら次に合う時勝負を掛けるって意気込んでた。
ますみってやっぱりなにか間違ってるよね?
待ち合わせの時間は午後6時。今は5時40分。
相手が来ない。女の子を待たせるってどーゆうことよ!
ますみも時計をチラチラ見てる。もしかして…ドタキャン?ますみの噂聞いたのかな?なら仕方ないよね。

 5時50分、結構背の高い男がますみに話しかけてきた。ますみに頭を下げる。
ますみも頭下げて挨拶してる、コイツだ。
服のセンスは…結構いい感じね、あの服ってアタシが拓にぃの誕生日にプレゼントしたのと同じだ。
背の高さは…拓にぃぐらいかな?170の後半から180ってとこか…
顔はどうなのかな?確かなかなかの男前らしいけど…う〜んここからじゃ見えない、残念。
ますみは…お、嬉しそうな顔してんじゃん。ということは噂どおり男前なのかな?

 ますみ達はオシャレな居酒屋に入っていった。ここは…創作和食料理を食べれるところね、おいしそう。
あたしはますみ達の後を追い店に入る。こーゆうとこって1人で入りづらいんだね、知らなかったよ。
今度拓にぃに連れて来てもらおう。拓にぃってば近くの安い居酒屋しか連れてってくれないんだから…
アタシはますみ達の後ろの席について様子を伺う。少しだけど声も聞こえる。会話は弾んでるみたい。
楽しげに話してるますみと目が合ったら小さくピースサインを出した。
おっ、もしかしてその男、ありなの?どんな男なんだろ?けどこの声って…どっかで聞いた事があるような…?

 その時男が席を立ったんでますみの席に行き箸で料理をつまみながら「どう?どうなのよ?」と聞いたの。
「あの人、明るくて楽しい人ね。先輩に『変わった趣味してる』って聞きましたよって言ったらね…」
「なになに、どんな趣味?切手でも集めてるの?それとも電車?」
アタシは興味津々、ますみはニコッと微笑み
「趣味はプロレス観戦だって。彩と同じね」
予想外の答えにガッカリ
「そんなの普通じゃない、どこが変わってるのよ?」
「プロレス見に行くために有給休暇とるんだって。東京ドームで試合あったらしいんだけどチケット取ってたのに
知り合いに騙されて行けなかったって怒ってたわよ。ねぇ彩、プロレスってそこまで面白いの?」
アタシはますみの問いかけに返事をせず頭の中でジグソーパズルを組み立てていた。
(アタシがプレゼントしたのと同じ服。似たような背格好に声。プロレスファン。ドーム大会に騙されて行けなかった…
まさか?けど今日は仕事って言ってたし…マンションからここまで電車でも1時間はかかるし…他人の空似よね、
うん、きっとそうよ…そのはずよ)
「どうしたの、彩?…あっ、彼が来た!早く席に戻って!」
あわてて席に戻ったアタシはトイレからますみのいる席に向かって歩いてくる男の顔を見た。

その瞬間、アタシの右手に握ってた箸が真っ二つに折れた。

596彼女は〇〇〇 527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/19(土) 16:57:06 ID:ozHwVNdw
オレはトイレで鏡を見て気合を入れ直した。これは男と女の戦争だ!やるからには勝つ!勝ってあの胸を……
ハッ、いかんいかん。今日は大事な初戦だ。ここは慌てず焦らず次へと繋ぐ戦いをしなければ…
再度気合を入れなおしたオレは戦場へと戻っていく。
途中で(不沈艦と飲むなんて…)とか(今夜のエジキはあいつか…)とか他の客の囁きが聞こえてきた。
なんだ?ハンセンでも来てるのか?いや、そりゃないか。ま、いいや。

 席に戻るとますみちゃんがメニュー片手に聞いてくる。
「実はこの店前に来た事あるんですよ。おいしいお酒置いてますから静馬さん、いかがですか?」
微笑みながらメニューを渡してくれる。いい子だ、ちょっと感動した。彩はこんな事してくれないもんな。
メニューを渡してもらっただけで舞い上がってしまったオレは冗談のつもりで
「日本酒メニューの上から全部頼もうか?」と言ったら
「全部ですね?」店員はさも当たり前のように聞き返してきた。冗談だっつーの。
「冗談だよ。ビックリした?」
そう言ってますみちゃんを見たら、目が輝いてる…っていうか、目がらんらんとしててちょっと怖い。
「全部でいいですよ。私も今日は飲みたい気分ですし…ポッ」
店員は「いつも通りですね、分りました」そういって厨房へと消えていった。
…いつも通り?なんだそりゃ?いや、問題はそこじゃない!
問題はますみちゃんが「私も今日は飲みたい気分ですし…ポッ」と言った事だ!
これは…まさか…もしかするのか?
そんなオレの耳に「フシュー、フシュー」と荒い鼻息が聞こえてきた。
(ヤバイ!興奮しすぎたか?)
オレは自分の鼻息かと焦ったがどうやら後ろの席から聞こえてくるみたいだ。
後ろを見てみると帽子を深くかぶった長髪で黒髪の女性がいた。肩が震えている。
何かあったんだな…ま、オレには関係ないけどな。

しばらくすると店員が15種類の日本酒15杯を持って来て、ますみちゃんの前に置いた。
なんで?頼んだの俺じゃなかったっけ?
「静馬さんどうぞ」ニコっと微笑みオレにグラスを手渡ししてくれた。感動した。彩はしてくれなもんなぁ。
オレは受け取り「乾杯!」とグラスを合わせ口に含む。うん、美味い!
久しぶりの日本酒だ。今日は日々コツコツと貯めたヘソクリを持ってきたので思う存分飲めるぞ!
……はっ、いかんいかん。目的を忘れるところだった。もしかしたら今日中に本丸を落とせるかもしれないんだ、
油断は禁物だ、気を引き締めろ、オレ!
オレが妄想してる間にますみちゃんは3杯目を飲み終えていた。ペース早いな。
30分もしたら15杯の日本酒は全部飲み干していた。オレが6杯ますみちゃんが9杯。
顔に似合わず結構お酒強いんだな、ますみちゃん。

日本酒が無くなったのでますみちゃんはメニューを手に取り
「ここは焼酎も美味しいんですよ」と微笑んでくれた。
どれどれ…オレはメニューを見る。おっ、日本料理が売りの癖にオレの好きな洋酒のターキーが置いてあるじゃないか!
しかも期間限定サービスとやらで安い!よしっ、これにしよう。
「ますみちゃん、オレ焼酎やめとくよ」
オレの言葉になぜかため息を付くますみちゃん。酔いが回ってきたのか?
「で、ますみちゃんはどれ飲むの?」尋ねるオレに
「では…いいちこのハーフボトルを…」と恥ずかしそうに答えるますみちゃん。いい!カワイイ!
……ん?ハーフボトルぅ!ここでオレは全てを悟った…つもりだ。
ますみちゃんは飲み比べという戦争を仕掛けてきてる。
…面白い、生中一気飲み15人抜きのこのオレに戦いを挑むとは…返り討ちにしてくれる!
そして…本丸を落として蹂躙するのじゃぁ!
「じゃあオレはタ−キーの700mlボトルで」
注文を受けに来た店員は唖然としてる。そりゃそうだろうな。周りもざわついて来た。
なに言ってるか聞き耳立てて聞いてみると
(すげえ!不沈艦と渡り合ってるぞ)(ついに沈む時が来るのか?)(いや、不沈艦はこれからが凄いんだ)
なに言ってんだこいつら?
後ろの席からはまだ「フシュー、フシュー」と鼻息が聞こえてくるし…時折バキッと箸の折れる音も聞こえる…
ますみちゃんも気にしだしたな。これを飲んだら店変えるか…気味悪いしな。

597彼女は〇〇〇 527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/19(土) 16:58:25 ID:ozHwVNdw
(焼酎を断った時はガッカリしたけど、先輩の言うとおりこの人やるわね。
日本酒を難なく飲み干しただけじゃなくターキーをボトルでなんて…けど勝つのは私よ!)
そんな事考えてたら隣の席の彩の様子が変な事に気づいた。
なぜか鼻息荒く手元には折れた箸が山になってる。
(どうしたの、彩?まさか…お酒飲んだのかしら?)
テーブルを軽く覗き見すると最初に頼んでた焼きそばにウーロン茶が置いてある。あまり減ってない。
(飲んではなさそうね…なら大丈夫か。彩には悪いけど今は目の前の敵を倒すのに集中よね)


 オレ達は当たり障りのない会話を続けながら酒を飲む。腹の探りあいだ。
そうこうしてる間に2人とも飲み干した。
メニューを取ろうとするますみちゃんの手を止める。あ、手を握ってしまった。ラッキー!
「これ以上ここじゃなんだから店変えない?」
突然の俺の提案にますみちゃんは
「いいわよ。私の知ってる店に行く?」と承諾してくれた。
オレは会計を済ませる為に席を立つ。もちろんオレのおごりだ。有り金の3分の1が消えたけど(涙)
会計を済ませ店を出たらますみちゃんが忘れ物と言って店に戻っていった。
忘れ物をするとは…酔ってきたな。ハッハッハッ、この勝負もらったな。
チャック半開きで勝ち誇るオレ、かっこ悪いぞ。まぁすぐ気が付いたけどね。


「彩、どうしたの体調悪いの?大丈夫?」
私は店に戻り鼻息荒い彩に話しかける。
「…大丈夫だよ…。ますみ、飲み比べぜっったいに負けないでね!あんな奴破産さしちゃえ!」
鬼気迫る顔で私の肩をつかんでくる彩。こんな彩を見たの初めてね。
「わ、分った。勝てばいいのね」「ぜったいに!」「ええ、絶対に!ね」
彩に次に入る店を教えて静馬さんと合流するために外に出る。
ほんとに彩、大丈夫かなぁ…


 アタシは2人の後をばれない様に少し離れてついて行く。
(なによ…なによ拓にぃ!アタシは安い居酒屋、なんでますみはオシャレな店なわけ?どういうことよ!)
怒りで肩が震えてるのが分る。アタシって嫉妬深かったんだと今更ながら再確認した。

2人が入っていったのはショットバーという種類の店みたい。
ますみがよく1人で行くって言ってたなぁ。あんだけ飲んでまだ飲むんだ…やっぱりあの胸はアルコールね。
お酒飲んだら大きくなるのかな………明日から家でビールを飲むことにしよう。
アタシも店に入り2人が見える席に着く。拓にぃ楽しそう……フザケンナ!怒りがこみ上げてきた。
(こんな店アタシは連れてってくれないくせに、ますみとは来るわけ?ど・う・い・う・こ・と・よ!)
アタシという者がありながら…ブツブツ言ってると店員さんが恐る恐る注文を取りに来た。
ハッ、いけないいけない、冷静にならなきゃ…メニューを見たけど何が何やらさっぱり分かんない。
どうしよう?拓にぃと同じでいっか…
「あそこの人と同じもので…」
「ハーパーのロックですね?」
さすが拓にぃ、飲む物までロックなんて…やるじゃない!
598彼女は〇〇〇 527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/19(土) 16:59:37 ID:ozHwVNdw
店に入るとオレ達はハーパーのロックを頼み再度乾杯をした。
「静馬さんってお酒強いんですね」
グラスを傾け話しかけてくるますみちゃん。少し顔が赤くなってきている。
「そうなんだけど普段は1人で飲まないんだよ。皆と飲む雰囲気が好きなんだ」
そう、家でも彩がいる時しか飲まない。彩と飲んでると話が弾み楽しいんだ。
「あら、そうなんですか。実は私もなんですよ。気が合いますね」
ニッコリ微笑むますみちゃん。グラスを落とすバーテンダー。酒を噴出す隣の客。
ナイスリアクション!……ますみちゃん、嘘はいけないよ、嘘は……
オレ達は杯を重ねていった。取り留めのない話をしながらお互い7杯目を飲んだ。
ますみちゃんの顔は結構赤い。時間もないし一か八か勝負だ!
「ますみちゃん…そろそろ出ようか。飲み足りないんならオレの家で飲むかい?」
そう切り出したオレの背後で誰かが叫ぶ。
「なんで…なんでますみばっかりなのよ〜!」
驚き後ろを見るオレとますみちゃん。そこにはなぜか酔っ払った彩がいて床に帽子を叩き付けていた。

「「あ、彩!」」おもわず席を立ちハモるオレとますみちゃん。彩は目に涙をためてオレを睨み
「仕事って言ってたのになんでますみとデートなの!アタシはこんなオシャレなバーには連れてってくれないのに
なんでますみとは来るのよ!…なんでアタシがプレゼントした服で他の女と会ってんのよ〜〜!」
彩は叫びながらオレに近づく。こ、怖えぇ〜よ、彩。
「拓にぃの…ばっっかやろ〜〜!」
そう言った瞬間彩の右ミドルキックが火を噴く。オレは左手でガードをした……つもりだった。
(よしっ、止めた!)そう思った瞬間、彩の右足は軌道を変えオレのアゴを打ち抜いた。
(こ、これは、ブ、ブラジリアンキック…)
腰が砕け右ひざを突くオレ。助走をつけた彩は右足でオレの左ひざを踏み台にして体を浮かせ
「死んじまえぇぇぇ〜〜!」気合一閃、左ひざでオレの顔を打ち抜く。
…プロレスの天才、元三銃士の1人、現全日本プロレス社長、武藤敬司の必殺技『シャイニングウイザード』だ…

 …オレは薄れいく意識の中で駆け寄ってきて「拓にぃ、死んじゃやだ〜」と泣き崩れる彩を見て思う…

 (……彩……お前に…やられた…んだ…よ……どこで…練習…してん…だ……ガクッ)


 金曜日、池田とかなえちゃんはオレが貸した車で会社に来た。
「で、ますみちゃんとはどうだった?」
ニヤケ顔で聞いてくる池田。
「ますみに聞いても『秘密です』とか言っちゃって教えないんですよ〜。どうでした先輩?」
かなえちゃんも聞いてくる。
オレは一言「……第三者乱入によるKO負けだ……」そう言い仕事に励む。
2人は「よくわからんが…フラレたんだろうな」「先輩ならいけると思ったんだけどなぁ」などと話してる。
ちなみにあの日以来あの近辺では『不沈艦には用心棒がついている』と噂され、ますみちゃんに声を掛けてくる
奴はいなくなったそうだ。

 
 あの日以来、毎月第3土曜日に彩とますみちゃんに晩御飯を奢る事がオレには義務付けられた。
「アタシに嘘ついたあげく友達を口説こうとしたんだから当然よね。ねぇ、ますみ」
嬉しそうな彩。あの時泣いてたのは幻覚か?
「静馬さん、ご馳走になりますね」
ほほえむますみちゃん……お酒はダメだよ……

オレは楽しかった火曜日までを思い出し思わず呟いた…

「…オレが…悪いのか?」

599彼女は〇〇〇 527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/19(土) 17:01:02 ID:ozHwVNdw
今回は以上です

600名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 17:19:01 ID:96hFwPaE
なんだかんだいって幸せそうじゃねえか、静馬。

殺人魚雷コンビと呼ばれたい女子大生ワロタ
もっとやれ!
601名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 18:27:14 ID:+53vdtSP
(笑)がなくなった分、凄い読みやすい。
いや、もとから面白かったけどな。GJ!!!
602名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 18:44:34 ID:xIGajyXW
>>599
静馬、彩、ますみちゃんの三人の視点からっつーのが新鮮で面白かった。
地の文でキャラクターの感情を描写する書き方に切り替わって一層楽しめる。
静馬の鈍感っぷりが良い。

結論。

スゲェ面白い!!!!!!!!
最高にGJ!!!!!!!!!!
ガンガン投下カモン。
いつまでも待つ。
603名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 19:44:09 ID:5P2jGWKO
まさかこれから三角関係に突入とかありますかねワクワク
604名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 21:15:45 ID:V/ozW3SO
これはかなり面白い!!
GJですよ。続き、期待してます!!
605名無しさん@ピンキー:2005/11/20(日) 12:30:04 ID:Bziap7jM
ツンデレヒロインに鈍感男、ヒロインの友人といい具合に駒が揃ってきましたね!
606名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 01:38:48 ID:BJ4MbFpZ
ここのツンデレたちに見習って、今日学校で好きな娘に

「こんな問題もできないなんてバカじゃねぇの?」って言ったら

「は?、意味わかんないし、ウザイんだけど。」………orz



なんだ!?俺は何を間違ったんだ?
それとも何か、俺が本当にウザイのか?
607名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 02:28:16 ID:zibC9Cuu
今日?
608名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 16:06:43 ID:q/Aus4CA
そろそろ続きが読みたい!!
609 527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/21(月) 18:03:28 ID:KJj5GXR7
続きかけました
今回はちょっと暗いかも?
そろそろネタが尽きてきましたよ、やばいです
610彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/21(月) 18:04:53 ID:KJj5GXR7

悪夢の飲み会から二週間が過ぎた。
ますみちゃんは彩と連れ立ってよくオレの家に来るようになった。
最初は彩の友達と知らずにますみちゃんを口説こうとしたのが恥ずかしくまともに話せなかったが、
ますみちゃん自身は気にしてないみたいだ。
「静馬さんの話は彩からよく聞いていますよ」
ますみちゃんはそう言う。どんな話か聞いてみたが教えてくれない。
「彩に聞いてみたらどうですか?」
にこりとほほ笑みながらますみちゃんは言うがそんな事できる訳がないじゃないか!
ことあるごとに「ますみを口説こうとした」と言ってくる。二週間が過ぎた今でも、だ。
「彩、メシ作ってくれよ」「ますみを口説こうとした居酒屋で食べてくれば?」
「ビール飲むか?」「お酒を使ってますみを口説こうとしたくせに…」
こんな具合にだ。けどちゃんとメシは作ってくれるし、ビールも一緒に飲む。
どうもますみちゃんとオシャレな居酒屋に行った事にすねてるみたいだ。可愛いやつめ。
そういえば最近彩はビールを飲む量が増えた。
なんでもある目的の為に家でもおばさん相手にお酒を飲むようになったそうだ。
この間おばさんにこう言われた。
「彩をプロレス好きやカリスマ、破産寸前にした挙げ句今度は酒飲みに……
拓ちゃんはいったい彩をどうしたいのかしら?」
おばさん、すみません。彩が一体どこに向かってるのかオレにもよく分かりません。


「拓にぃ、ゴメン…アタシしばらく会えなくなるの…」
食器を洗いながらアタシは断腸の思いで切り出したの。
それなのにあの男はテレビを見ながら「おお、そうか」って…ナニよ!
しばらくアタシと会えないんだよ?「そんなの淋しいよ」とか
「せめて毎日声だけは聞きかせてくれ」とか何かないの!普通あるでしょ!
せめて理由ぐらい聞いてよ……
淋しくなって拓にぃを見たらテレビを見て笑ってる……
……アッタマきた!何も言わずに背後に回り首筋にモンゴリアンチョップ落とす。…ハァ、スッキリした。
「ねぇ彩、あなた達っていつもこんななの?」
一緒に来てたますみが聞いてきた。今日はますみも泊まってくんだって。
「ん?まぁ大体こんな感じかな、普通でしょ?ところで…拓にぃ!なにドタバタしてるの!うるさいよ!
ほんと落ち着きのない大人ね。ますみもそう思うでしょ?」
ますみは「ハハハ…」と乾いた笑いをした。どしたの?
611彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/21(月) 18:06:01 ID:KJj5GXR7

私は彩に誘われて静馬さんの家に遊びに来ている。今日は泊まる予定。
その彩は静馬さんに顔を鷲掴みにされてもがいてる。あれって痛そう…まぁ自業自得ね。
それにしても…今の彩と普段の彩とのギャップは何?
百人がみたら九十九人が間違いなく彩が静馬さんにほれてるって答えるわね。
彩の不幸は残りの一人が静馬さんだってことね。
…確かに静馬さんって優しいしなかなかいい男だし…お酒も強いわ。正直この間、家に誘われた時(この人とならいいかな)
って思ったもの。
あの時彩が暴れなかったら……ポッ。
…ダメよ!静馬さんは親友の想い人なんだからダメ!……ダメ…なんだよね……

「で、なんで首にモンゴリアンチョップなんてしたんだ?ん?怒らないから言ってみな?」
オレは彩をやさしく諭す。もちろんアイアンクローははずさない。
「ギブッギブッ!言う!言うから離して〜」
手足をバタバタしながらもがく彩。反省したようなので手を離してやる。
「いつか婦女暴行で捕まるよ…」
オレを涙目で睨みつけ文句を言ってきやがった。
「で、何でなんだ?」問いただすオレ。
「えっと……」赤い顔でうつむいたまま黙る彩。なんなんだ?
「彩はしばらく来れないって言ったのに何も言ってくれないから怒ったんですよ」
代わりにますみちゃんが答えてくれた。
「ま、ますみ!な、ナニ言ってんの!」真っ赤な顔でますみちゃんに抗議する彩。
しばらく来れないってレコーディングだよな。確か集中するためにホテルに泊まり込みで
テレビも見ないラジオも聴かないって前に言ってたな……そうか、そうだったのか……
「やっと分かったよ。気付いてやれなくてゴメンな、彩」
真っ赤な顔でオレを見る彩。両手は口に当て目は潤んでる。
「お前が来れない間しっかり録画しとくよ。ノア中継に新日本中継。まかせとけ!」
親指を突き出し胸を張るオレ。何故か二人は盛大なため息をはいた。
「静馬さんっていつもこうなの?ある意味奇跡ね」
「ますみ……アタシの苦労、分かってくれる?」
違うのか?あっ、そうか分かった!東スポを捨てないでほしいんだ!女の子が買うの恥ずかしいからな。
赤面する訳だ。プロレス面だけ取っておくことにしよう。

その日はますみちゃんが持ってきた日本酒の一升ビンを三人で飲み干した。
彩はコップ三杯飲んだところでダウンした。しかし途中から
「飲んで飲んで大きくするんだ…」
ってうわごとのように言ってたけど何だったんだ?
ますみちゃんも首傾げてたしなぁ。今度聞いて見るか。
月曜日から彩はレコーディングのためしばらく来れなくなるらしい。
歌いたい歌が出来たみたいだ。今回のはミニアルバムになると言っていた。
ますみちゃんには父親の方の祖母の世話と嘘をついたみたいだ。そんな人いるかどうかも知らないのにな。
ますみちゃんにはいつかは自分がsaiだと打ち明けたいらしい。

彩は別れ際に
「拓にぃ一人で暇だろうから携帯はつながるようにしとくよ。電話してきていいよ」と強がってた。
ホテルに缶詰でさみしいからだろう。素直じゃないな、彩は。

オレは彩達を車で送った帰りに立ち寄ったスーパーで偶然あの人と再会した。
7年前何も言わずにオレの前から消えた初めての恋人…オレが初めて抱いた女…守屋麗菜だ…

612彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/21(月) 18:07:04 ID:KJj5GXR7

守屋麗菜……オレが会社に入ってすぐに出会った女性……
オレと池田が偶然入ったパチンコ屋の店員。その店では飛び抜けてかわいくて愛想がよかった。
オレ達は競って声をかけ、しばらく店に通ったおかげで一緒に遊べるまでになった。
遊ぶようになって初めて知ったのが彼女の年令。二十五才、オレ達より七つも年上だった。
オレ達は麗ねえさんと呼び、競って恋人になろうとした。
当時の彼女は二十五才には見えず同年代にしか見えなかった。
オレ達は彼女に夢中になった。彼女がオレを選んでくれた時は号泣した。
そのおかげでしばらくの間池田とは疎遠になったりもした。
しかし付き合いだして一年、オレが二十歳になる前日に彼女は消えた。後日、送られてきた手紙には
「お誕生日おめでとう」
とだけ書いてあり銀細工のネックレスが入れてあった。そのネックレスは加工して今も車の鍵につけている。
当時のオレは彼女を必死で探した。池田には「麗ねえさんに何をしたんだ」と殴られたが一緒に探してくれた。
しかし見つかるはずもない。パチンコ屋に聞いても急に理由も言わずに辞めていったので行き先は分からないと言われた。
半年もしたらオレ達は諦めた。しかし足は彼女がいたパチンコ屋に向く。仕事帰りに、休みの日にと毎日通った。
オレにはパチンコの才能があったみたいだった。毎月三十万は勝っていた。
仕事かパチンコ、時々プロレス。そんな生活は彩が高校に入りオレの家に遊びにくるようになるまで続いた。
その時貯めていたお金で車を買いマンションの頭金を払った。


そんな彼女を見つけたオレは…その場から逃げ出した…


次の日の日曜日…オレは池田に守屋麗菜を見つけたことを言った。
「守屋麗菜って…麗ねえさんか!見つけたのか!」
池田の声にかなえちゃんが来て「麗菜って誰?」と尋ねる。恋人としては当たり前か。
「オレと池田が二人で口説きあった人だよ。美人だったよ」
聞いた瞬間かなえちゃんの顔が鬼のようになる。しまった!池田は気付いてない。気付け、池田よ!地雷踏むなよ!
「どこで見つけたんだ?教えてくれよ」
ああ…地雷踏んだな、池田。
「ちょっとこっちに来てくれない?」
スマン池田。かなえちゃん、仕事前だから跡が残らない程度にしてあげてね。
首根っ子を捕まれて連行される池田。自分の失言に気付いたみたいだ。
助けを求めるように周りを見るが誰も目を合わさない。オレも目をそらす。
そんな体を張った池田のおかげですこし気が楽になった。今日は酒奢るから許してくれ、池田よ。

仕事帰りにオレ達三人は昨日麗菜さんを見つけたスーパーに向かう。
「先輩がそんな大恋愛をしてたなんて知らなかったです!」
目をキラキラさせて話し掛けてくるかなえちゃん。女の子はこの手の話好きだからな。
「すまんな、静馬。かなえがどうしても見たいって聞かないんだよ」
「気にするな。オレはもう吹っ切れてるから大丈夫だよ」
そう、吹っ切れたはずだ…彼女にはもう何の感情も感じてないはず…しいて言うなら懐かしい思い出か?
なら…なんで昨日逃げたんだ?べつに今更あの人と会ったところでどうなる訳でもないだろ?
やっぱりまだ吹っ切れてないのか?…まあいい。今日あの人に会ったらわかるはずだ…
613彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/21(月) 18:08:27 ID:KJj5GXR7
けど間が悪いのか今日は店に来なかった。まぁ毎日買い物にくるとは限らないもんな。
オレ達は居酒屋で晩飯を食べることにした。
「しかしなんで何も言わずどっか行っちまったんだろな」
手羽先を頬張りながら池田が誰に聞くともなく呟く。コイツも麗菜さんには恋心抱いてたもんな、気になるよな。
「確か先輩の七つ年上なんですね?じゃ当時は…25ですか。なるほどねぇ」
何かに納得したのかうなずいてるかなえちゃん。
「なんだ?かなえ、なんか気付いたのか?」
焼そばを頬張りながらしゃべる池田。行儀わるいぞ。
「女心ってヤツだと思いますよ。多分麗菜さんは若かった先輩に自分が年をとって老け込んでいくのを
見られたくなかったんじゃないのかな?小説とかでよくある話じゃないですか」
「でもなんで何も言わずに消えたんだ?」
ほっけの塩焼きを食べながらしゃべる池田。うまそうだな。オレの分残しとけよ。
「先輩のことホントに好きだったからじゃないのかなぁ?」
かなえちゃんの言葉にオレは
「……納得いかねぇ……そんな自己満足の為にオレは捨てられたのか?オレは真剣だったんだぞ!」
オレは怒りに任せ、ビールを一気に飲み干す。
「麗菜の話はもういい!それより今日は飲むぞ!飲まなきゃやってらんねぇ、お前等付き合えよ!」
二人の顔は青ざめた。

なにが吹っ切れてるから、だ。全然じゃねぇか。吹っ切るためにも一度麗菜に会って話そう。
それでこの話は終わりだ…
そう心に誓いビールを一気に飲み干した…

麗菜に会えたのは水曜日だった。
麗菜は少しふっくらとして、当時と比べたら太ったみたいだ。
「お久しぶりです」
オレの声に麗菜は最初誰だか分からなかったみたいだ。
「もしかして…静馬くん?」
この懐かしい声、やはり麗菜だ。オレは少し感動してしまった。
「この間ここで見かけたものですから…お元気そうでなによりです」
「ほんと、久しぶりね…やっぱりいい男になったわね…お姉さんうれしいわ」
ああ…そうだった。いつもオレ達をガキ扱いしてたんだ…懐かしさが込み上げる…
けど懐かしがってもいられない。オレは本題を切り出した。
「今日来たのは今更よりを戻しに来たんじゃないんです。なぜ突然いなくなったかを…
ずっと聞きたかったからです」
真剣なオレを見て麗菜は一度ため息をはき語りだす
「…実はね、あなたのこと……そんなに好きじゃなかったの。最初あなた達の相手を
したのはただの暇つぶし…付き合うのもあなたと池田君…どっちでもよかったの」
彼女の言葉に唖然とする。(暇つぶし?どっちでもいい?なんだ?なんなんだ!)
「けどね…真面目にアタシを愛してくれるあなたを見てたら本気になりそうで恐かった…
だから逃げたのよ。それに…」
麗菜は財布から一枚の写真を取出しオレに見せる。
写真には今より若い麗菜とスーツ姿の男。それに小さい子供が写っていた。
「この子達もいたからね」

この子達もいた?オレは麗菜の告白に愕然とした。
「ま、まさか…」
動揺して口がうまく回らない。
「そう、あなたと恋人ごっこしてる時にはすでに結婚してたんだ。子供もいたしね。
あなたとは旦那がいない間の暇つぶしのつもりだったの」
なんだ?何を言われてるんだ…頭が働かない…
「ごめんなさいね。いつも言おうと考えてたんだけどあなたが全然気付かないから…
つい恋人ごっこしちゃった」
それ以降何を聞いたかしゃべったか覚えていない。気が付いたら駅前をふらついていた。
オレは池田を呼び出し事の顛末を話した。池田も呆然としてかなえちゃんは怒りに狂っていた。

その日の晩、オレと池田は飲んだ。やけ酒だ。今日ばかりはオレ達は飲まなきゃやってられなかった。
青春の思い出が粉々に砕けたんだ…なにが懐かしい思い出だ…
614彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/21(月) 18:10:48 ID:KJj5GXR7
次の日いつもの目覚ましで目が覚めた。いつ帰ってきたんだ?記憶がないのに帰ってこれるなんて……
人間ってすげぇな。少し感動した。
ふと横を見ると隣に寝てたますみちゃんと目が合った。
「お、おはようございます、静馬さん…」
ますみちゃん少し顔が赤い、寝起きだもんな。
「ああ、おはよう、ますみちゃん」
オレは挨拶してベットを出る。なぜか裸だった。
慌てて落ちてたパンツを履き、裸を見られて恥ずかしいので顔を洗いに逃げた。
(うわぁ〜、裸見られたよ…彩にばれたらなに言われるか…ん?なんでますみちゃんがいるんだ?)
オレはやっとこの異常事態に気づいた。
(待て待て待て、落ち着け落ち着け……確か昨日は池田達とやけ酒飲んでてそれで…いかん、途中から記憶が…ない。
で、起きたら裸のオレの横でなぜかますみちゃんが寝てて…)
寝室の様子を覗くオレ。ますみちゃんは床に落ちてた下着を着けてる。動きが鈍い、辛そうだ。
(これって誰がどう見ても…やっちゃったんだよな、オレ。……記憶にないぞ……)
青ざめるオレにますみちゃんは言った。
「静馬さん、朝食の用意と昨日の後始末しますのでシャワーでも浴びててください」
(昨日の後始末って、やっぱり……オレ……酔った勢いで……最低だ……)
とりあえずオレは落ち着くためにシャワーを浴びることにした。

「ねぇますみ、信じられる?電話一回もないんだよ…なに考えてんの、拓にぃは!」
水曜日の夕方、彩から愚痴の電話が来たわ。静馬さんから電話がないから随分ご立腹みたい。
「静馬さんにも用事があるのよ。それにまだ3日目じゃない。そう怒る事ないんじゃないの?」
電話の向こうでため息が聞こえるわ。
「どうせパチンコにでも行ってるのよ、あの男は!拓にぃってアタシが遊びに行くようになるまで
パチンコ漬けだったんだから…それをアタシが更生させたのよ!」
へぇ以外ね…静馬さんの知らない過去に驚いたと同時に、私の知らない静馬さんを知ってる彩を羨ましく思う…
「そんなに声を聞きたいなら彩から掛けてみたら?」
私の提案を彩は断ったわ。理由は
「ダメよ。こういうのは掛けて貰った方がうれしさ倍増なの」
ハイハイ、ご馳走様。
「私からそれとなく言っておくからしっかり介護するのよ」
そう言って電話を切る私、やってらんないわ。彩ってば静馬さんに関しては…やっぱりかわいいわね。
他の男共にも見せたいわ。

彩と電話で話した後、夕御飯何にしようか考えてたら携帯が鳴った。
ディスプレイにはかなえ先輩の文字。また男紹介してくれるのかしら?今度はどんなのかな?
静馬さんみたいな人だったら…いいな…
「ハイ、森永です」「ますみ?今すぐ助けに来て!あなたじゃないと太刀打ちできないわ!」
切羽詰った声で助けを求める先輩。何があったの?私は場所を聞き急いで先輩の下に走る。
なんでも大酒飲みがあばれて相手に出来ないみたい。先輩の彼氏も潰されたって。
……面白いわ、血が騒ぐのが分る……静馬さんと飲んだとき以来ね。
店に着いた私が見たのは泣きながらお酒を煽る静馬さん。私は愕然としたわ。
「かなえ先輩、何なんですかこれ?」
状況が把握できない私に先輩が訳を話してくれた。
「静馬さん…そんな事があったんですか……」
その麗菜って女に殺意が芽生えたわ。だからこんなに乱れてるんだ、静馬さん……
「ますみ、ごめんだけど先輩の世話お願いできる?アタシはこいつをどうにかするから」
そういって足元に転がってる男を蹴飛ばす。
「この人……かなえ先輩の彼氏、ですよね?」
やっぱり先輩怖いなぁ〜。小中高と体育会系で育ったって言ってただけあるわね。
結婚したら今流行の鬼嫁ってやつになるの確実ね。かわいそうな彼氏さん。
「ますみ、聞いてんの?とりあえずアタシはこいつを持って帰るわ。先輩をよろしくね」
そういって彼氏の財布からお金を取り出し私にくれた。いいのかな?かなえ先輩は帰りぎわに
「お釣りは取っといていいよ。そのお釣りでラブホでも行ってきなさい」
「せ、先輩!な、なに言ってるんです!」
「分ってんのよ、ますみが先輩気に入ってるの。先輩優しいからエッチしたら絶対責任取ってくれるよ」
顔が真っ赤に染まった私にVサインを出して先輩は彼氏を肩に担ぎ帰っていった。力あるなぁ。
615彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/21(月) 18:11:36 ID:KJj5GXR7

静馬さんと2人っきりでのお酒……普通なら嬉しいんだけど今の静馬さんはただの泣き上戸の酔っ払い。
ここは無理やり連れて帰ったほうがいいと判断した私は、夕御飯だけを頂き何も飲まずに静馬さんの
部屋にタクシーを走らせる。
(先輩に貰ったお金、結構余っちゃうな。…迷惑料でもらっとこう。これで飲みに行けるわ)
どこで飲もうか考えていたら静馬さんのマンションに着いたわ。
何度か彩と来ているけど一人で来るのは初めてね。緊張しちゃうな。
静馬さんの肩を支えて部屋に入る。
「お邪魔します」
返事はない。当たり前よね。部屋の主を連れてきてお邪魔しますもないわよね。
とりあえず静馬さんを寝かせようと寝室へと運ぶ。静馬さんはまだブツブツ言ってるわ。
よっぽどショックだったのね。とりあえず静馬さんをベットに寝かせる。
こんな時彩ならどうするんだろう、電話しようかなと悩んでたら急に後ろから抱きしめられた。

「し、静馬さん!」
私は裏返った声で叫んだ。そりゃそうよね。気になってる人に抱きしめられたんだもん。
「……麗菜……オレはお前と子供作ってもいいとまで考えてたのに…それを遊びだっただとぉ!」
痛いほど私を抱きしめる静馬さん。私を麗菜って女と思ってるみたい。
「し、静馬さん?私です!ますみです!」
私の言葉を無視して叫ぶ静馬さん。酔ってるものね、無理ないか…
「なんでだ麗菜!なんで消えた!オレのSEXが下手だったのか?旦那の方が上手かったからか!」
……し、静馬さん……な、なんて大胆な事を……今の私の顔はきっと真っ赤ね。
けど、その時私は赤い顔しながらなぜか先輩の言葉を思い出したの。
『先輩優しいからエッチしたら絶対責任取ってくれるよ』
責任って…付き合ってくれるってことかな?けど…静馬さんには彩が…彩は私の大事な友達…裏切るわけには…

次の瞬間、私の口から震えながら言葉が出てきた…

「そう、あなたが下手だったからよ。しばらく合わないうちに上手くなったのかしら?試してあげるわ」

 ……言い終わると同時に私はキスをされ、ベットに押し倒された……

616彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/21(月) 18:12:41 ID:KJj5GXR7

静馬さんは私の服を無理やり剥ぎ取る。その間にもキスは続く。
静馬さんの舌が私の口の中を蹂躙する。歯茎を一本づつ舐められ舌も吸われる。
口の中には静馬さんの唾液が流れ込んできて飲まされる。けど嫌な気はしない…むしろ嬉しい。
気づいた時には私も静馬さんの舌を吸い唾液を流し込む。
ペチャ…クチュ…ング…チュ…チュパ…
私の耳にはイヤらしい音が響いてる…私たちが出してる音かと思うと興奮してきて頭がボーっとしてきた…
何も考えられない…気持ちいい…もう静馬さんの舌を吸うことしか考えられない…
けど急に舌を離された。
「イヤッ…もっと…」
私は静馬さんの頭を抱え無理やりキスを続ける…
「んふっ!ひゃう!」
胸に衝撃が走った…いつの間にか私は下着姿になってた…ブラの中に静馬さんの手が入ってきてる…揉まれてる…
胸揉まれるって気持ちいいんだ…
「あ、あ、や、んん、ふぁ」
いやらしい声が勝手に出てくる…首筋を…耳を…鎖骨を…静馬さんの舌で舐められ声が出る…
喘ぎ声って勝手に出てくるんだ…
手は私のお腹を…太ももを…お尻を…背中を撫でてくれる…きもちいい…なにかふわふわするかんじ…
「いっ、ひゃあ!ダ、メ…ああ!」
胸の突起を口に含まれる…吸われて…舐められて…噛まれて…右左両方愛してくれる…右胸を噛まれ左胸をつねられて
右手はショーツの中をうごめいてる…右手が小さな突起を触った瞬間白い波が私の理性を押し流す……
「あ、あ、ソコ、ソコいいの!ああ、静馬さん好き!好きなのぉ!…も…いっちゃ…ひゃぁん!!」
初めての絶頂を迎えた私の体は少し痙攣してる…ちょっと休みたい…そう思ったけど休ませてくれない…
静馬さんは最後に残ったショーツを脱がせ足を開かせる…恥ずかしいけど力が入らない…大事なところを見られてる…
こんなこと彩もまだしてもらってないだろうなと優越感に浸ってたらあそこをザラザラした物が撫でる…
見ると静馬さんが私を舐めてる…恥ずかしい!お風呂にも入ってないのに…
「イヤ!だめ!なめちゃやだぁ…」
ピチャ、クチュ、クチャ、ペロ、ジュル、ジュルル…
ああ、舐められてる…私のいやらしい所舐められてる…あそこから出てる液体飲まれてる…
舌が触るたび、舐められるたびに体がはねる…声が止まらない……私はまた白い波にさらわれた…

肩で息してる私にキスしてくれた…嬉しい…私も必死にキスする…次の瞬間体中に痛みが走る。
「ぎぃっ、んぐぅ、ふぐぅ!」
体を引き裂かれたような痛みにキスを振りほどく。
「いっ、痛ぁ、う、動かないでぇ…痛い、痛いのぉ」
けど、静馬さんは私の言う事なんて聞いてくれない…私は静馬さんを爪が背中にめり込むほど抱きしめる…

……グチャグチャグチャ……パンパンパンパン……グチュグチュグチュ……

部屋にいやらしい音が響く。静馬さんが動くたびに響き、動きは徐々に早くなる…
(…私SEXしてるんだ…静馬さんとしてるんだ…痛いけど…嬉しい…)
静馬さんの動きが止まった瞬間私の中に暖かいものが広がった…
私に覆いかぶさり動かなくなった静馬さん。しばらくしたら寝息が聞こえてきた。
私は静馬さんを私から抜き取りシーツを見る。血で汚れてる…けど嬉しい。
初めてを静馬さんにあげれたことに満足した私は静馬さんにキスをして隣で目を瞑る。
私の中で広がる静馬さんを感じながら眠りにつく…夢でない事を祈って…


私は血で汚れたシーツを見ながら昨日の事を思い出し、夢じゃなかったんだ、と満足した。
(けど…彩になんて言おう…だまし討ちみたいなものだもんね…静馬さんにも正直に言わなきゃ…)
こんな卑怯なやり方で2人の仲を引き裂くわけにはいかない…謝ろう、そしてなかったことにしてもらおう…
それでもダメならここから消えよう…私はそう決心をした

(けど、彩より早く静馬さんに出会いたかったな…)

……私の涙でシーツが吸い込んだ血が少し滲んだ……
617527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/21(月) 18:14:26 ID:KJj5GXR7
今回は以上です
Hシーンが得意じゃないのでそこらへんは
大目に見てください
618名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 18:40:19 ID:4OOGGAJ2
今までプロレスネタがよく分からなかったので読んでませんでした

ヤヴェ面白いよ
619名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 18:54:44 ID:xSjvnjm8
エロパロ板だと単にエロのみ目的でなくて物語の延長先上としてエロを絡める事も出来るのがいいよね

まぁ何が言いたいかって言うとGJ!!ってことです
620名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 21:42:29 ID:vn6z2Li2
やっぱり三角関係キター(゜Д゜;)
静馬が無理やりやった相手に責任取らんはずあるまいて!!!!!
621名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 21:46:31 ID:/bYBgvkI
くそ〜続きが気になって仕方ないぜ!!!

兎に角GJ!!
622名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 22:14:01 ID:UMF7gS/N
当初はほのぼのラブコメだと思っていたのだけど……こう来るとは。
これからのドロドロ展開にワクテカですよ!

ツンデレ彩たんと策士(?)なますみたんが、
どっちも幸せになれたら良いなーと思うけど……むりぽ?
623名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 22:30:18 ID:XIqTNer8
これは・・・マジで面白い!!
GJですよ、GJ!!
624527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/21(月) 23:13:20 ID:KJj5GXR7
おお!みなさんありがたいお言葉ありがとうございます

仕事中にコツコツ書いたかいがありました

皆さんの言葉を燃料に努力します!
625名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 00:16:14 ID:SnyCHok8
喜多さんのところ、そろそろ1万Hitだね
狙ってみるかな
626名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 06:12:09 ID:B6A0jRiF
うん、面白くなってきたよGJ
続きが読めるのは嬉しいが仕事中は控えような
上司に見つかったりしたらアイアンクローじゃ済まないかもしれんし
627名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 11:09:17 ID:sOAkHS0n
ローリングソバットものだね
628名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 12:36:20 ID:kpQbbq/A
10000ヒットキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
なんかこの画像保存したいな……

しかし、喜多さんを生かすのも俺次第と言う訳か……
(´-`).。oO(正直キリ番は初めてなので困惑している)
629名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 14:11:13 ID:PrUCieUW
>>628
お前さんに喜多さんが懸っているんだ。とちるなよ!
630名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 14:45:49 ID:7XxXwthU
くそ、空手少女を狙ってクリスタルハンターしてたのは俺だけかよ!
631628:2005/11/22(火) 17:19:29 ID:kpQbbq/A
で、こういう場合どうやってリクすればいいの?
メール?
632名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 17:39:33 ID:O1eRdD6y
携帯からこれ↓
://fileseek.net/proxy.html
を使ってPC用ページが見られなくなったのは何故?
633名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 17:53:36 ID:jcvUS5GJ
>>632
日頃の行いが悪いからじゃない?
634名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 18:27:23 ID:sOAkHS0n
喜多さんの見れんくなったんだが…
635名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 18:31:35 ID:aNNWhqDO
◆k8fXz6W8GA氏の作品に悶え死ぬところでした。
危なかった……わかりやすく言うとGJ!!ということです。
636名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 18:34:42 ID:+iBFcGIz
足軽さんとこ消えた?
637名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 20:27:18 ID:PrUCieUW
足軽さんのサイトが見れなくなった・・・。
638名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 20:57:45 ID:I4ChJyF3
PCでは普通に見られますが?
639名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 21:21:42 ID:XuSPDVgP
垢デリか鯖トラブルか

>>638
ヒント:キャッシュ
640名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 21:45:12 ID:oG2jSYLZ
キャッシュ消しても見ることができる件
641名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 21:57:11 ID:I4ChJyF3
更新してみても普通にカウンタ回るから、それは無いと思うんだが。
642名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 22:03:08 ID:XuSPDVgP
そりゃすまんかった
DNSとかの問題なのかな
643名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 22:09:45 ID:SVR6Yc9j
いや、さっきキャッシュをクリアしたら、変なサイトに誘導(?)されたよ。
うろ覚えだが、
This domain is parked or pending for renewal
とかいう文句があった。

今試したら、ちゃんと見れた。
644632:2005/11/22(火) 22:39:29 ID:O1eRdD6y
こんなんが出て見れんかったYO。

This domain is parked, pending renewal, or has expired.
Please contact the domain provider with questions.
645名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 22:39:42 ID:XuSPDVgP
こっちはまだ出てるよ

This domain is parked, pending renewal, or has expired.
Please contact the domain provider with questions.
646名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 22:41:28 ID:XuSPDVgP
>>644
式はどうする?
647名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 22:58:28 ID:IWLVi02W
漏れが仲人
648名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 23:32:25 ID:jcvUS5GJ
僕はウェブデザイナー!
649名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 23:49:11 ID:JIbk4HTX
>>643
変なサイトって?

あっ俺は「てんとう虫のサンバ」歌うよ
650名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 00:35:05 ID:HyhZ8g5u
今行ってみたけど不通に見られるよ?


あ、受付ぐらいならやってもいいよ
651名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 01:37:39 ID:OaUAeOOw
普通に見れる


じゃあ俺はスピーチでもさせてもらうかな
652643:2005/11/23(水) 01:48:19 ID:8fYfvJtL
>>649
誤解を招くような書き方をしてすまん。

ttp://f-adult.com/
と同じだった。
653名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 01:59:55 ID:M37pnTJM
えっ!?全く見れないのですが・・・。
どうすればいいの?

ttp://ashigaru.f-adult.com/index.htmlで合ってるよね

654名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 02:02:11 ID:M37pnTJM
ごめん。

ttp://ashigaru.f-adult.com/

だった。でも結局見れないorz
655名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 02:35:32 ID:M37pnTJM

ここは私、足軽が主に2ちゃんねるで発表した文章作品を保管してあるサイトです。
未成年は閲覧不可の作品(性的な内容・刺激的な表現)も置いてありますのでご注意ください。
二次創作作品がありますので、原作のイメージを壊されるのが嫌だという方は閲覧を控えてください。
閲覧によって発生した全ての問題は各自閲覧者の自己責任となります

そんな奇特な人はいないと思いますが、とりあえず無断転載は禁止です。




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11/5

携帯閲覧用「喜多さんと僕」の文章の欠落部分を修正

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せっかくカウンターを置いたのだからやってみようと思いたちました。
キリ番10000取った方のリクエストにお答えします。
これの続編が読みたいとか、こういうシチュエーションのお話が読みたい、
というリクエストをメールでお知らせください。
二次創作作品を希望される場合は、こちらがその作品を知らない場合がありますので、
第一希望にお応えできない可能性があります。ご容赦ください。

ご質問等がありましたらメールでお尋ねください。



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携帯閲覧用



ご意見・ご感想などがありましたら下までどうぞ。


キャッシュだとここまでは見れる。絵などは一番下のエロアニメを除いて×になっている。
中に入れない。どうしたらいいの?誰か教えて。
656名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 02:37:28 ID:M37pnTJM
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Please contact the domain provider with questions.





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ちなみにキャッシュを使わないとこんなページ。
657名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 02:44:45 ID:WC8qYlDh
ウチはフツーに見えるけどなあ>655-656
658名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 08:07:07 ID:t3VdN+wM
プロバイダのDNSの更新が遅れているとか?
659名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 09:52:03 ID:uW3bV0/8
>>656
あー俺その状態だわ…

どないしたらいいんですかね
660653-656ですが・・・:2005/11/23(水) 11:36:40 ID:M37pnTJM
結局今になっても見れません。どうしたら・・・?
661名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 12:12:29 ID:bcyf7icw
俺も昨日からみえね
まぁ管理人さんがこれに気付いて、何か対策するなり移転するなりしてくれるの待つしかないのぅ
662名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 13:24:23 ID:iDfOF02S
うちも駄目だ。
家と会社で試した(プロバ違う)が両方ダメポ。
663名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 13:28:59 ID:WC8qYlDh
657だが、今見に行ったら>>656な状態になってしまってるー
664名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 13:39:36 ID:GPYgQC2n
で、いつまでこの話題つづけるの?
665名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 14:33:34 ID:ixobNUIE
投下かと思ったら全然違う・・・orz
666名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 16:35:29 ID:rIPn7IGD
658ですが、いまだに普通に見られますが。
カウンターも前に見たときより回っているんで、鯖側の問題とは思えないんですが。
667足軽:2005/11/23(水) 19:29:35 ID:jjoOglxh
ご心配ありがとうございます。
サイトを更新しようとして、遅まきながら事態に気づきました。
スペースを借りているサーバーにトラブルがあったらしく、現在復旧中とのことです。
しばらく閲覧できないようです。
お騒がせして、スレ住人や、他の職人さんに迷惑をかけてしまって申し訳ありません。
668名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 19:57:44 ID:8vvKRzC+
>>667

喜多--------------!!!
続き楽しみにに待ってます ワクワクテカテカ
669名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 20:21:49 ID:ialty+OT
>>667
あぁ、そう言う事だった訳ですか…。
ついさっきアクセスしたら、変なのが出たんで、
状況確認に慌ててココへ来たんですが…。
では、復旧されるのを楽しみに待ってます。
670名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 21:16:26 ID:AdAEDOqJ
>>667
早く復旧して欲しいところですな。
喜多さん以外の作品も好きなので(ドラクエ5のピエールの話とか)、早く読みたいです。
671名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 01:22:22 ID:2kEWI0cg
>>667
原因がわかってほっとしました。早い復旧を心待ちにしています。
それと喜多さんなどの新作も早く読みたいです。頑張ってください。
672名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 01:30:48 ID:iDzGrePg
あれ?
みんなまだ見れないの?
何の不都合も無く表示されてるんだけど。
っていうか、同じサーバーの別のサイトも普通に表示されてるし。
673名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 02:12:30 ID:FXoBxQGz
おまいらもちつけ
674名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 06:05:49 ID:jCxQZqnD
喜多さん愛されすぎだろw
675名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 08:33:59 ID:XeYGGNEj
>>674
貴様は愛してないのか!!!!!(゜Д゜;)

無論俺は喜多さんの更新を首を長くして待っとりますよ
676名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 10:11:31 ID:fMjHiSHs
香織さんのこともたまに思い出してあげてください
677 :2005/11/24(木) 10:27:28 ID:TXTUHryn
ここは喜多スレじゃないんだけどな。
俺も萌えさせてもらったしケチつける気持はさらさら無いんだけど、
今のスレの流れは個人サイトのBBSと何ら変わり無いし、
新しく書き始める人にとっては敷居が高い状態なんじゃないだろうか?
678名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 13:11:39 ID:Ir2eHWB7
収まるまで待つしかないんじゃない?
過去に似たような苦言はあったが、「勿論職人さんの投下も待ってるよ」で済まされたし。
679名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 13:55:49 ID:nzFxMsZy
別にじゃないですか、
◆k8fXz6W8GAさんだって
住人が喜多さん、香織さん言ってるときでも
書き始めてくれたわけなんですから。(⌒ー⌒)


だから、いちいち文句言ってんじゃねぇよ!
亀頭コネクリまわしてるだけのコネクリたわけがっ!!
680名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 14:06:21 ID:XeYGGNEj
675
681527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/24(木) 18:41:51 ID:oxfsLs2k
喜多さん復帰したんですかね?
喜多さんと香織さんをみてここに来るようになったんで心配です

一応続き出来ましたんで投下します
682彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/24(木) 18:42:24 ID:oxfsLs2k

熱いシャワーを頭から浴びて少し落ち着いたオレは風呂を出て恐る恐る様子を伺う。
ますみちゃんは食パンを焼きながら目玉焼きを焼いてくれており、洗濯機の中ではシーツが回っている。
(オレ……彩の友達に……ますみちゃんに……なんて事を……)
自分のした事に激しい自己嫌悪に陥った…
(初めてだったんだろうな…ますみちゃん。オレみたいな男に無理やり…)
オレは麗菜の事でやけになった事を悔やんだ…
泣きたくなってきた…情けない、麗菜に傷付けられたからって人を傷つけていい訳がない…
しかも一生消えない傷をつけてしまったんだ……オレを信頼して友達を連れてきた彩にも面目が立たない。
一体どうすれば償えるんだろう…死にたくなってきた。ますみちゃんが死ねと言ったら死ぬか…
そうだ、それぐらいしか償える方法なんて無いんじゃないか?
オレは覚悟を決め、ますみちゃんの前に出て行った…

私はシーツを洗濯機に入れて、冷蔵庫を開ける。中には食パンと生卵に大量のモヤシ、あと肉が少し入ってた。
(う〜ん、料理って得意じゃないのよね…けど静馬さんと最後の食事になるだろからキチンとした物作りたいな…
こんな事なら彩に習っておけばよかったな……ところでなんでモヤシがこんなにあるの?)
結局冷蔵庫の中身で私が作れそうなものと言えば目玉焼き……情けないわね。
トーストを焼き、目玉焼きを作る。これが静馬さんとの最後の食事かと思うと泣きそうになる。
2人分の目玉焼きを作り終えた時、静馬さんが出てきた…

お風呂から出てきた静馬さんはいきなり私に土下座した。
「ますみちゃんごめん!謝って済む事じゃないのは分ってる。酒に酔ってたからなんて許されるはずもない!
オレはますみちゃんに許してもらえるんならなんだってする!…死ねというなら死ぬつもりだ。自分がした事に
責任は取るつもりだ」
私は慌てた。だって私が酔った静馬さんを騙して抱いてもらったんだから…ホントのこと言わなきゃ……
けど…なんでもしてくれる…の?責任取ってくれる?……もしかしたら…また抱いてもらえるかも……
酔っ払いの静馬さんじゃなく私の好きな静馬さんが、麗菜としてじゃなくますみとして……
どうしよう…静馬さん私を疑ってない…けど、これ以上彩を裏切るわけには…どうしたらいいの?
「……分りました。けど今すぐには思いつかないので静馬さんが帰ってきてから…」
結局私は結論を先送りにした…政治家みたいね。
「それより早く食べてください。仕事に遅刻しますよ」
今のセリフお嫁さんみたい…静馬さんたら時計を見て慌てて食べだしたわ。
(好きな人に料理食べてもらうのってこんなに嬉しいんだ。今なら彩の気持ち、分かるなぁ)

(ずっとこっちを見てる…生きた心地しないな…仕方ないよな。オレ、レイプ魔だもんな…)
ますみちゃんが作ってくれたパンと目玉焼きを視線にビクつきながら食べる。正直味は判らない。
(これが最後の朝食かな…最後に彩の作ったカレイの煮付け…食いたかったな)
彩の笑顔を思い出す。最後の一切れを食べ終わり身なりを整えスーツを着込む。
「ますみちゃん…仕事が終わった後どこに行けばいいんだ?」
オレの着替えをジッと見てたますみちゃんに尋ねる。
そんなに見張らなくても…覚悟は決まってるんだ、逃げはしないよ。
「えっ?あ、そ、そうですね。じゃあ、えっと……ここで待ってますので早く帰って来て下さい」
そうか…我が家が最後の場所か…それもいいだろう。
「分かったよ。すぐ帰るよ…家の中のものは好きにしていいから」
死に逝く俺にはもう必要ないからな。
玄関を出ようとするオレに、赤い顔したますみちゃんが話しかけてくる。
「静馬さん、かなえ先輩には…黙っててくださいね」
かなえちゃん?……そうか…昨日、かなえちゃんに呼ばれて来たんだ…それをオレが無理やり…
「分かったよ。絶対にしゃべらない。約束する」
レイプされたなんて絶対に知られたくないだろうし、仲のいい先輩ならなおさらだろう。
「……行ってらっしゃい」
うつむきながら見送ってくれた。こんないい子をオレは……
……オレは自分自身に殺意が芽生えた……
683彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/24(木) 18:43:17 ID:oxfsLs2k

(男の人がスーツに着替えるのって始めて見る…なんだかカッコイイ…)
静馬さんの着替えをジッと見つめてたら話しかけられて慌てる私。
とっさにここで待つなんて言ってしまった。どうしよう。
「分かったよ。すぐ帰るよ…家の中のものは好きにしていいから…」
好きにしていいって言われても……そうだシャワー浴びたいから着替え借りようかな?
昨日急に先輩に呼び出されたからお風呂入ってないし…私汗臭くないわよね?……ん?先輩?
「静馬さん、かなえ先輩には…黙っててくださいね」
昨日先輩から言われた言葉
『先輩優しいからエッチしたら絶対責任取ってくれるよ』
この通りにエッチしちゃったのがばれたら何言われるか……この手の話に先輩うるさいからなぁ。
ばれたら絶対に静馬さんが根掘り葉掘り聞かれるわ。
絶対に言わないと約束したくれた静馬さん…こんな事でも約束してもらえるのって…うれしい…
会社に行くため玄関から出て行く静馬さん。
「……行ってらっしゃい」
思わず口から出たセリフ。フフ、お嫁さんみたい……顔が真っ赤なのが分かる…
恥ずかしくて静馬さんの顔を見れない。気づかれてないかなぁ。

静馬さんを見送った後、食器を洗いシーツを干す。ベランダの風が気持ちいい。
(私もシャワー浴びよう。着替えどこにあるんだろう?)
寝室のクローゼットを探すと下着類が置いてあった。
(Tシャツ借りよう。…うわっおおきい!)
静馬さんのTシャツを体に合わせ大きさにビックリする私。なぜかうれしい。
(そうよね。身長かなり違うものね。ん、これは?)
私はクローゼットの中からアルバムを見つけてしまった。
(ど、どうしよう、見てみたい…けど勝手に見ちゃだめよね…でも『…家の中のものは好きにしていいから…』
って言ってたし。う〜ん、まずはシャワーね)

私はTシャツを借りシャワーを浴びる。体の所々が赤くなってる。キスマークだ。
昨日の静馬さんを思い出しキスマークを触る。触るとそこが熱くなる。
首、胸、太もも…自分の手が静馬さんの手のように感じる。
(あ、あ、静馬さん…ダメ、や、ああ…)
まるで静馬さんが私を背中から優しく抱きしめ、愛してくれてるみたい…
頭の中の静馬さんは優しく私を愛してくれる。
静馬さんの手が私の胸の先端をつまみ、そしてねじる。少し痛い…けど気持ちいい。
いつしか私は胸とアソコを触りながら静馬さんの名前を呼んでいた。
「静馬さん…静馬さん…静馬さん…」
静馬さんの手がアソコの小さな突起に触れ動き出す。
  クチュクチュクチュクチュ……
私のアソコからいやらしい音が出て浴槽に響く。
「し…ずま…さ…んんぁ!」
静馬さんは胸を揉み、アソコをいじる…そしてアソコの小さな突起を摘み上げる。
…その瞬間小さな白い波が私を襲う…
「や…いっちゃ……しず……ひゃああ!」
膝から崩れる私……降り注ぐ熱いシャワーが私を現実に呼び戻す。
「うっ、うっ、ひっ…静馬さ……静馬さん……」
熱いシャワーは私の心まで温めてはくれなかった…
684彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/24(木) 18:44:05 ID:oxfsLs2k

落ち着きを取り戻しシャワーから出た私は静馬さんのTシャツを着て、自分の下着を洗濯機で洗濯する。
Tシャツの下は何も着けていない。
そして私はクローゼットで見つけたアルバムの前で正座をしている。
(どうしよう…見ていいのかな…ここまできたら見てもいいよね?)
ドキドキしてページを開く私…1ページ目には学生服を着たぽっちゃり顔の静馬さん。
横には赤いランドセルを背負って暗い顔でうつむいてる女の子が写ってた。
「わ!静馬さんって昔少し太ってたんだ……けど面影はあるわね」
ページにはマジックで解説書きがしてある。
「なになに…『高校入学式のデブ拓にぃと私』…ってこの子って彩なの!暗い顔してるわねぇ…」
次の写真は柔道着みたいなのを着込んだ静馬さんね。
「次は…っと『格闘研究会を設立した拓にぃ』……静馬さん……高校で何してたの?」
次は…!顔に怪我してるじゃない!
「『スタンハンセンのブルロープで殴られて喜ぶ拓にぃ』…何故殴られて喜んでるの?ブルロープって何?」
ん?これは彩の写真。綺麗な人にお尻叩かれて泣いてるわね。彩の母親かしら?これは静馬さんの字ね。
「『祝ドロップキックで泣かした人数10人突破記念!』……なにこれ?…携帯で写しとこう…パシャ!」
次は…スーツ姿の静馬さんに抱きついてる彩ね。
「『就職のため実家を離れるオレ。泣きじゃくる彩』………」

それからのページのほとんどに静馬さんと彩が写っていた。
私はアルバムを元の位置に戻して乾燥の終わった下着を着る。
ふとテレビの上に置かれた写真たてに目が行く。
(確か…彩が大ファンだっていうプロレスラーね…ここでも2人で写ってるんだ…)
写真たてには『田上明と記念撮影』と書かれている。
嬉しそうな2人…それを見た私の中に黒い感情が生まれる…

(……もういいでしょ、彩。今まで独占してきたんだから…今度は私の番…ごめんね、彩…)

私は着替えて本屋さんに行く事にした…私が彩に勝ってる武器を有効利用する手段を学ぶために…

685彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/24(木) 18:44:50 ID:oxfsLs2k

オレはいつもより少し遅れて出社した。なぜか休みのはずの二人が来ていた。
「せ〜んぱい!昨日どうでした?心配で来ちゃいました」
オレを心配して来てくれたのか…池田、かなえちゃんありがとう。うれしくて涙が出そうだよ。
「…う〜す。生きてるか静馬…」
その言葉そっくりそのまま返すよ、池田。まぁオレは明日にはホントに死んでるんだろうけどな…
しかしお前、生気抜かれたみたいなヒドイ顔だな、二日酔いか?
「ますみどうでした?静馬さんのために途中から呼んだんですよ」
つやつやした顔で聞いてくるかなえちゃん。今日は一段と血色いいな。
「…まったく覚えてないよ。起きたら家だったんだ…」
嘘は言ってない。全然覚えてないんだからな…
「初めてだな、お前がそこまで酔うのは…」
まむしドリンクを飲みながら話しかけてくる池田……なんでまむしドリンク飲んでんだ?
二日酔いに利くのか?
「2人とも昨日はありがとうな…お前達にしてもらったこと…忘れないよ…」
オレは2人の手を握り握手する。
「気持ち悪いな…変な物でも飲んだろ?」
まむしドリンク飲んでるお前には言われたくないよ。


「…かなえ。やっぱり俺今日の夕方にでも、麗菜さんに会いに行ってくるわ」
午後1時、かなえと飯を食べながら話す。今日は中華だ。
「……浮気するつもり?昨日4回もしたのに…余裕あるじゃないの。今日は倍の8回ね」
さらっと死刑宣告…こ、怖いよかなえ。そんな蛇がカエルを見るような目で見るなよ。
「違うって、そんなんじゃねぇよ。ただ、気になる事があってな…」
話を誤魔化すために本題に入る俺。
「気になる事って?」
まだ睨んでる…その目はやめて。
「麗菜さんな…あんな事いう人じゃなかったんだ…それにな、言ってる事が少しおかしい気がするんだよ」
酢豚を食いながら話す俺。どこがおかしいの?と聞いてくるかなえ。
よし!誤魔化せたか?8回は勘弁してほしいからな。
「あの頃毎日のようにパチンコ屋で働いてたんだぞ。しかも夕方から閉店まで、だ。
家庭を持っててしかも子供までいる人がそんなの出来るか?」
餃子を口に入れて話を続ける。
「旦那がいないあいだの暇つぶしって言ってたらしいけど一年もいないってありえるか?普通ないだろ?」
かなえが反論する。
「一年間旦那がいないって…単身赴任ならありえるんじゃないの?」
即答する俺。
「なら、なぜ働く?子供もいるのに夜遅くまで…よく考えたらおかしい事だらけだろ?」
考え込むかなえ。ああ、いい顔だ。この顔に騙されたんだよな。
「俺が思うにな、全部嘘だと思う。俺は当時の2人を見てるから分かる。あれが演技だとしたら麗菜さん
女優になったほうがいいぞ」
俺を尊敬の眼差しで見つめるかなえ
「言われてみればそうね、確かにおかしいね。それに気づくなんて…さっすがアタシの彼氏ね」
そこまで褒められたら照れるな。
「ご褒美で今夜はアタシがサービスするわね」
ウインクするかなえ。カエルが蛇を見つめる目でかなえをみる俺。…無事明日を迎えれますように…
686彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/24(木) 18:45:43 ID:oxfsLs2k

仕事を終えたオレは約束どおりに真っ直ぐ家へと帰った。
「……ただいま」
玄関を開けるとリビングからますみちゃんの声が聞こえた。
「静馬さんおかえりなさい」
エプロン姿のますみちゃんが出迎えに来た。
(な、なんだ?なんでエプロン姿なんだ?)
「今料理が出来たところなんです。彩の料理ほど美味くないけど…食べてもらえますか?」
料理ってますみちゃん…よく見ると顔が赤い…興奮してるな…そうか毒殺か。
毒って苦しいんだろうな…でもオレが悪いんだからしかたないよな。
「ああ、もちろん。君の望むことならなんでもするよ」

テーブルには器に盛られたカレーが置いてある。食欲をそそるいい匂いだ。
「たくさん食べて下さいね、静馬さん」
覚悟を決めて食べるオレ。うん甘い、かなり甘口だなこのカレーは。
いや、これが毒の味なのか?…まあいい。最後の晩餐だ、味わって食うか。
「どうですか?少し甘くなっちゃったんですけど…」
不安そうな目でオレを見つめるますみちゃん。毒が効き始めるか観察してるんだな。
「かなり甘いかな?けどおいしいよ」
彩のカレーを食べなれたオレには甘すぎた。
「うそ!ホントですか?そんなに甘いですか?」
そう言ってオレの器にスプーンを入れて一口食べるますみちゃん。
「あっ!ますみちゃん、それ毒が!」
思わず出たオレの言葉に呆然とするますみちゃん。
「毒って。いくらまずいからって毒なんて……一生懸命作ったのに」
みるみる目に涙が溜まっていくますみちゃん。え?毒殺じゃなかったの?
オレは泣きじゃくるますみちゃんの前で訳が分からず、とりあえず目の前のカレーを食べる事にした。


私は勢いで本屋さんに来たけど目的のものがどこにあるのか判らずに戸惑っていた。
(料理もダメ。顔も彩のほうが綺麗。髪も綺麗な黒髪で勝てないわ…彩唯一の弱点は…胸。
彩は背も高く細身のカッコイイ身体をしている…ただ、少し胸が小さい。本人も気にしてるみたいだし…
私が彩から静馬さんを奪い取るためには…体を使うしかない。じゃないと彩が静馬さんと積み重ねた
年月は逆転できない…彩がいない時に卑怯かもしれないけど…静馬さんを手に入れるためなら…)
雑誌コーナーを歩く。見当たらない。一度かなえ先輩に見せてもらったエッチな本。
どうすれば静馬さんに喜んでもらえるか、それで勉強するつもり…けど見つからない。
先輩あれどこで買ったんだろ?ふと棚を見ると、料理の本が置いてある。
(下手でも料理ぐらいはできないと…ダメかな?)
私はエッチな本は諦めて料理本を買って店を出た。
(パソコンで調べたほうが早かったかな)
私は早くも挫けそうになった。近くの公園のベンチに座り本を開く。
(私でも作れそうな物って……あ、カレーが載ってる。これにしよう)
スーパーで材料を買ってマンションへ向かう。途中に自販機ばかりが並んでるお店があった。
何気なく店の奥を見たらそこの自販機にあった……エッチな本が……
私は3冊も買い、走ってマンションに向かう。すごくドキドキしてる。
部屋にもどって3時間は読みこんだ。…よし!後は静馬さんに喜んでもらうだけね。
身体で男を落とそうなんて、最低な女ね。けどこうしないと勝ち目がないから仕方ないわよね。
彩、あなたの事今でも親友だと思ってる…けど、静馬さんだけは譲れないの…ゴメンネ…
687彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/24(木) 18:46:44 ID:oxfsLs2k

私は涙が止まらない。苦労して作った…好きな人のために真剣に作ったカレーをその人に毒と言われたから。
泣きじゃくる私…もうイヤ!料理なんてもう二度と作らないわ…
そんな私の頭を静馬さんが優しく撫でてくれる…あんな酷い事言われたのに嬉しくて泣き止む私…現金なものね。
「ごめんな…オレのカン違いだったんだな…」
頭を撫でながら謝ってくれる静馬さん。…どんなカン違いなの?
よく見るとカレー全部食べてくれてる…あんなに不味かったのに…うれしい…
「…カン違いってなんなんですか…」
静馬さんの話を聞いたらおかしくってつい笑っちゃった。
だって私が静馬さんを殺そうとするなんて、すごい発想ね。
「それで毒ですか?静馬さんって…カワイイ人ですね」
「けど昨日俺がしたことは…そのぐらいの罰を受けなきゃだめだろ…」
真っ赤な顔で照れてる静馬さん。ホントかわいい。
「昨日の事は…済んだ事ですから。それよりお風呂沸かしてますので入ってくださいね」
私は静馬さんにお風呂を勧める。ここからが本番…私の心臓が早くなる。上手く出来るかな…
「済んだ事って…だめだ!オレは昨日の事の責任を…」
抱きついて静馬さんの唇をキスしてふさぐ私…こんなことする自分にビックリだわ…
「…お風呂…入ってくださいね…」
赤い顔で頷き浴槽へと向かう静馬さん。私の顔もきっと真っ赤ね…
私は食器を洗いお風呂場へと足を向ける…うまくできますように…

(なんでキスなんか…唇、柔らかかったな…)
オレは動揺している。そりゃそうだ、いきなりキスされたんだからな。
麗菜と別れて以来、こういうことはあまり経験してない。たまに池田と行く、彩にばれたら殺されるであろう
エッチな店でするくらいだ。
(そういや最近行ってないな…池田にはかなえちゃんがいるし次からは1人か…ってこんな事考えてる
場合じゃないだろ!……ますみちゃんどうして?)
考えがまとまらないオレは頭を洗うことにした。
ゴシゴシゴシゴシ……ガチャッ
ん?なんだ?ドアが開いたぞ、きちんと閉めてなかったのか?泡だらけのオレは目を開けれない。
「…静馬さん、お背中流しますね…」
ぬを!こ、この声はま、ますみちゃん!!何でここに?
ヒタヒタヒタ…シュル、パサッ。足音の後、何かが床に落ちる音がした。
(な、なんだ、何が起きるんだ?)
オレの頭はパニック状態、頭を洗うのも忘れている。その時背中を何かがこする。
ゴシゴシゴシゴシ…「かゆい所ありますか?…気持ちいいですか?静馬さん」
ますみちゃんは背中を洗ってくれてる。正直気持ちいい、けど何で?
「あ、ありがとう。気持ちいいよ、ますみちゃん。けどなんで…?」
ますみちゃんはなにも答えずお湯で背中の泡を流す…
「この傷、痛くないですか?」
知らないうちに出来た背中の傷をさわるますみちゃん。酔っ払ってこけた時にでも出来たんだろうな。
けどこんな傷、格闘研究会初代会長のオレには慣れっこだ。
「あ、ああ。こんな傷慣れてるから大丈夫、平気だよ」
オレの言葉を聞いたますみちゃんは急に抱きついてきた。
せ、背中のこの感触は…な、なまおっぱい!…や、やわらかい…
オレは頭のネジが緩んでいくのが判った。

688彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/24(木) 18:47:20 ID:oxfsLs2k

私はバスタオルを体に巻きつけお風呂場に入る。もちろん下着は着けてない。
いきなり追い出されたらどうしよう…不安を抑えて恐る恐る扉を開ける。
静馬さん頭を洗ってて泡だらけ。チャンスね。
「…静馬さん、お背中流しますね…」
そう言って背中に回り込みタオルを取る。ビックリしてる静馬さん。当たり前よね。
わぁ、大きい背中……はっ、見とれてる場合じゃないわ、背中流さなきゃ。
ゴシゴシゴシゴシ……大きな背中には昨日私がつけた傷が……
(私の爪の後…こんな傷がつく位強く抱きしめたんだ…)
うれしくてお湯で背中を流しながら聞く私。
「この傷、痛くないですか?」
フフ、私が傷つけておいて痛くないですか?っておかしいわね。
けど、静馬さんの言葉に頭は真っ白になる。
「こんな傷慣れてるから大丈夫、平気だよ」
慣れてる?えっ?どういうこと?他の人にも付けられてるって事なの?まさか、彩?
…違うわね。彩の訳ないわ。…他にもいるんだわ、静馬さんに抱いてもらえる人が…
イヤ!そんなのイヤ!この背中は私だけの物。絶対渡さないわ。
私は静馬さんの背中に抱きついた。


「ま、ますみちゃん?な、何を!」
背中の感触に思わず叫ぶオレ。
なんで抱きついて来るんだ?そもそもなんで一緒に風呂入ってるんだ?
泡だらけの頭で必死に考えてるオレの胸をますみちゃんが背中から回した手で洗う。タオルじゃなく素手だ。
「き、気持ちいいですか?」
うを!せ、背中のおっぱいは柔らかいし手で触られてる胸も気持ちいい。
「い、いい、気持ちいいよ。ますみちゃん」
おもわずつぶやくオレ、ますみちゃんの手が徐々に下へと降りてきた。
ついにはオレのアソコを握る。
「ま、ますみちゃん!そ、それはだめだよ!」
口ではそう言うも体は止めようとしない。力ずくでなら止めれるのに頭が快楽に支配され働かない。
シュコッシュコッシュコッシュコッ
背中にはなまおっぱい。前はしごかれてる。泡だらけの頭は気持ちよすぎてしびれてる。
(うう、気持ちいい…)
あと少し…そう思った時ますみちゃんの手は止まる。
(えっ?なんで止めるんだますみちゃん?生殺しか?これが昨日の復讐なのか?)
思わず声に出そうになるオレ。すると頭からシャワーを掛けて泡を落としてくれるますみちゃん。
そしてオレの前に回りこみ真っ赤な顔でこう言った。
「もっとキレイに洗いますね」
オレのいきり立ったアソコを胸に挟んでしごき出した。
689彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/24(木) 18:48:01 ID:oxfsLs2k

(す、スゴイ…昨日こんなのが私に入ったんだ…)
私は始めてみる静馬さんのを見てビックリしたわ。
(さっき勉強したエッチな漫画では胸で挟んでしごいてたわね…恥ずかしい…けど他の女には負けたくない!)
「もっとキレイに洗いますね」
意を決した私は静馬さんを胸で挟みしごきだす。
「ハァハァハァハァハァハァ…」
静馬さん息が荒くなってきた…気持ちいいのかな?私も興奮して頭がボーっとしてきた…
「あ、あぁ…いいよ…気持ちいい…」
上目使いで静馬さんを見上げると目を瞑って呟いてる…気持ちいいんだ…フフッこれは彩には出来ない事ね…
私はもっと気持ちよくなってほしくて速度を速める。私も気持ちよさそうな静馬さんを見てたらだんだんと
私も気持ちよくなったきた…
(ああ、好きな人にエッチな事するだけで気持ちよくなれるんだ…)
息が荒くなる私…ますます速度を速める…
「うう、だ、だめだ!」
え?静馬さん何がダメなの?気持ちよくないの?私じゃダメなの?
「で、出る!」
そういった瞬間に静馬さんから熱いものが噴出し私を汚す……これが精液?静馬さん私でイってくれたんだ…
うれしい…泣きたくなってきた…
(あ、漫画じゃこれを飲むんだったわ。たしかおいしいって書いてあったし…私も飲まなきゃ)
私の首から胸に掛けて付いている静馬さんの精液を手ですくい口へ運ぶ…
(……!マ、マズイ…なにがおいしいのよ。あの漫画間違ってるわ)
私は飲み込むのを断念して口から吐き出す。
静馬さん気分悪くしたかな?そう思って見上げたら静馬さん目が虚ろだわ。
(そんなに気持ちよかったんだ…私で気持ちよくなってくれたんだ…)
私は体に付いた静馬さんの精液を洗い流す
「先に上がってますね」
そう告げてお風呂場を出る。
体を拭き静馬さんのTシャツだけを着てクローゼットに隠しておいたエッチな本を再度チェックする。
私が出来そうなところは前もってページを折り曲げペンで印をつけている。
(次はどうしよう?この口でくわえるのがいいのかな?……彩ならどうするんだろ?)
どれにしようか迷っているとお風呂場の扉が開く音がした。
私は慌ててエッチな本をアルバムの下に隠してクローゼットを閉めた。見つかったら恥ずかしいしね。


オレは突然のことにボーゼンとする。
ますみちゃん、手でしてくれるだけじゃなく胸でも…パイズリしてくれている。
オレは止めさせようとは考えられなくなった。
(うう、気持ちいい。…彩にこれは出来ないだろうな)
彩、胸あまりないもんな…そんなことを考えてたら速度が速くなった。
(イカン、このままじゃ秒殺だ。秒殺は初期の頃のパンクラスだけでいい。耐えなくては)
頭の中でお経を唱えようとする。
(ナンミョーホーレンゲキョー……いかん、続きがわからん!まずい!まずいぞ…)
ますみちゃんはさらに速度を上げた。もう無理だ、耐えられない。
「うう、だ、だめだ!」
ゴメン彩、我慢できない!
「で、出る!」
ドピュッドピュッビュクッ……
大量に射精したオレは快楽でボーゼンとする。頭が働かない。
「先に上がってますね」
ますみちゃんの言葉に我に返る。
(オレは、彩の友達に……なんでこうなったんだ…すまん、彩…)

俺の頭の中は彩への罪悪感でいっぱいになった。

690彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/24(木) 18:48:43 ID:oxfsLs2k

(なんで電話してこないのよ〜。ますみ、拓にぃにちゃんと言ってくれたのかな…)
ホテルのベットの上で携帯とにらめっこ。ここに来てからの日課になった。
もう4日も話してない。こんなに話してないのは拓にぃが引っ越した時ぐらいだ。
あの時は一週間ぐらいだったかな?アタシが元気ないって聞いて毎日電話くれるようになったんだよね。
…嬉しかったなぁ。あの時気づいたんだよね、拓にぃが好きって……
最初は拓にぃから電話もらってたけどそのうち待ちきれなくなってアタシから掛け始めたんだ…
電話代が高いってお母さんによく怒られたっけ…懐かしいなぁ…
そういえば一時期夜遅くじゃないと電話つながらない時期あったんだよね。拓にぃがパチンコハマってた時だった。
遊びに行ってもなかなか帰ってこなかったな。拓にぃアタシが高2になるぐらいまでハマってたもんね。
……思い出したらなんかムカついてきた。こんなけな気な娘をほったらかしにしてパチンコってなによ!
どういうことよ!普通早く帰ってきて「待ってたよ、会いたかった」とか言うでしょバカ拓にぃ!
…レコーディング終わったら罰としてゴハン奢らせよう。文句は言わせないわ。
ハァ…はやくアタシの気持ちに気づいて欲しいなぁ。…けど拓にぃ、アタシの事恋人にしてくれるのかな…
もしかしたら恋人にしたくないから気づかないフリしてるのかな?…それはないかな?
高校時代結構人気あったのにまったく気が付かずに彼女いなかったモンね。今までいたことあるのかな…
アタシが知らないだけかな…もしかしたら今も誰かと付き合って……そんな事ないか、あの拓にぃだもんね!
はぁ〜、声が聞きたいよ〜、拓にぃの声聞かないとやる気が出ないよ…もうアタシから掛けよっかな?
けど…掛けたら負けよね…これからのこと考えたら主導権は握らなきゃ。
拓にぃちゃんと食べてるのかな?またモヤシばっかりなんだろうな…

そんなことを考えながら携帯片手にベットの上を転がるアタシ…さみしいよ、拓にぃ……


691527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/24(木) 18:52:32 ID:oxfsLs2k
今回は以上です

ネタがだんだん思い浮かばなくなってきました

もうしばらく続くと思いますんで駄文ではありますがお付き合い願います
692名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 19:04:59 ID:2kEWI0cg
GJです!!続きがますます気になります!!

>もうしばらく続くと思いますんで駄文ではありますがお付き合い願います
喜んでお付き合いしたいと思います。続くの大歓迎です!
693名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 20:31:55 ID:XeYGGNEj
ツンデレのはずがいつの間にかドロドロにナリカケテル(゜Д゜;)

GJ
694名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 23:14:16 ID:Q6ABPNi8
>>693
だがそれがいい!
695名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 23:17:10 ID:Sm1D6UI2
なーんかジェットコースターをカンカン言いながら上昇している感じ。
いつ落ちるんだー
696名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 00:47:58 ID:yNfiGAup
話はどんどんドロドロ路線に行ってるのに、二人の勘違いでコメディにもなってるトコが器用だと思ったよ。
回避は出来ないだろうと思われる修羅場にドキドキだわ。

ネタが尽きるのは(これまでが結構速いペースだったし)人が書いているのだから何時かは必ず来る物でしょう。
尽きたからって多分誰も文句は言えやしないっすよ。思い付いたらまた投下してください。
697527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/25(金) 07:40:45 ID:W+rFVXf9
感想ありがとうございます

復活した足軽氏のサイトを見てたら電波を受信しましたのでさっそく書き始めてます

やっぱり喜多さんはいいですな
698名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 13:32:32 ID:vdEVdrmJ
( ゚∀゚)o彡゚ TA・U・E!TA・U・E!
699名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 21:12:35 ID:i0fgUJYE
>>秒殺は初期の頃のパンクラスだけでいい。
クソワロタ
700 ◆iYpdzeKy5k :2005/11/25(金) 22:17:02 ID:VVxf8wDQ
「テメー!先輩に向かって何だって!!」
「先輩に比べたら悪いことなんて言ってませんよ」
 テニスコートに少女と少年の声が響き渡る。
「お前の方が悪いに決まってるだろ!!」
「先輩です!」
 二人と同じようにジャージを着た少年少女たちが二人を囲ってる。
 が、誰も彼もどうしたものかと困り顔だ。
「…なにしてんだ」
 一人の少年がテニスコートに入ってくる。
 この少年もジャージを着ているが、困り顔というよりも、明らかに怒りの色が見えている。
「東先輩」
「俊之!」
 怒り顔の少年。名前を東俊之。17歳、高校2年。
 女子テニス部部長。身長183センチ。
「何があった?」
 物言いは静だが、怒気をはらんでいる声だった。
「私は悪くない」
 言い争いをしていた片割れの少女。名前を木ノ下小太刀。16歳、高校2年。
 女子テニス部部長。短気、勝気、男勝り。身長143センチ
「いいえ!先輩が悪いんです」
 言い争いをしていた少年。名前を牧村仁。15歳、高校1年。
 1年ながら、男子テニス部のエース。
「理由を話せ」
「コイツがチビって言った!」
「先に先輩がボクのことを馬鹿とかドジとか言ったんじゃないですか!」
「はぁ」
 俊之が小さくため息を吐いて肩を落とす。
「お前らなぁ。ガキじゃないんだから」
「お前は」「先輩は」『どっちの味方なんだ(ですか)!!!』
「……二人ともグラウンド10周」
『ぇぇぇ!!』
「つべこべ言わずにさっさと行く!」
 二人はしぶしぶグラウンドへ駆けていく。
「はぁ。馬鹿どもが」
「心中お察しするよ」
 俊之の肩をたたく少年。男子テニス部の副部長。
「お前も止めろよ」
「あの二人……特に木ノ下を止めるのは俺には無理だ」
「ったく。どいつもこいつも」
「それにしても、良くお前はもつな」
「何がだ?」
「木ノ下だよ。あんなのと付き合って、大変だろ」
「……あいつはただの幼馴染だ。それ以上じゃないよ」
「そうなのか…そうか」
 俊之は自分のカバンからラケットを取り出し、素振りを始める。
 他の部員もそれにならって素振りを始めた。
701 ◆iYpdzeKy5k :2005/11/25(金) 22:17:52 ID:VVxf8wDQ
 学校の帰り道。
 俊之と小太刀の二人が暗くなった道を歩いている。
「ねぇ」
「ん?」
「なんでもない」
 1分後。
「ねぇ」
「ん〜?」
「…なんでもない」
 俊之の一歩後ろを歩く小太刀。
 心なしか元気が無い。
 さらに2分後。
「ねぇ」
「なんだ?」
「………ごめん。なんでもない」
 二人はそれ以外は一言も会話をしない。
 小太刀に歩幅をあわせてゆっくり歩く俊之。
 その後ろをトボトボと歩く小太刀。
 3分後。
「ねぇ」
「………」
「ねぇってば」
「……また。なんでもないか?」
「え……あ………さっきの……本気?」
 小太刀が立ち止まる。
 それにあわせて俊之も立ち止まって振り向く。
「さっきの?」
「………幼馴染」
 小太刀はうつむいて俊之の顔を見ようともしない。
「あぁ……そうだな」
「そう…なんだ」
 小太刀の肩が震える。
「ごめんね。手のかかるワガママで……」
「まったくだ」
 俊之が小太刀を優しく抱きしめる。
「ワガママなくせに、こう言うときは声も出さずに泣くんだな」
「だって……だって」
「小太刀」
「……ごめんなさい。ごめんなさい」
「うん」
「俊之のこと好き。大好きなの」
「うん………俺も。小太刀が好きだ」
702 ◆iYpdzeKy5k :2005/11/25(金) 22:18:29 ID:VVxf8wDQ
「三回目だよね」
「そうだな」
 幼馴染以上、恋人未満の関係。
 過去にはお互いに惹かれながらも、関係を認めず、体を重ねたことも。
「今度はお互いに気持ちが通じ合ってるよね」
「あぁ」
 俊之が下。小太刀が上。
 小太刀の体は身長と同じく未発達だ、俊之の上にのるとまるで大人と子供。
「いれるね」
「あぁ」
 小太刀がゆっくりと腰をおろすと、俊之のペニスが小太刀の中にズブズブとめりこんでゆく。
「んっ……ぁっ。俊之の…やっぱり、大きい」
「お前が小さいだけだ」
「ぶぅ」
 段々と奥まではいっていく。
 小太刀は少し辛そうな表情を見せる。
「はぁ…はぁ…奥まではいったよ」
「あぁ。すごい締め付けだ」
 小太刀がそのまま倒れこみ抱き合う。
「あのね、俊之のは大きいんだよ……あゆちゃんとかキッチャとかの彼氏の話聞いてても俊之の大きいってわかるよ」
「他のヤツのみたんじゃなくてか?」
「……私は俊之以外の人には抱かれないもん」
「そうか。俺も……小太刀以外は抱かない」
「ん。ひゃっ」
 小太刀の体が跳ねる。
 俊之が下から突き上げたのだ。
「ぁ。んっ。だめ、まだ。激しいのは。ひゃぁん」
 段々と小太刀の声に艶がこもり、瞳には涙が浮かび、頬が上気してくる。
「ぇっ。ぁ。もう、いっちゃう。あぁっっっっ」
 小太刀は一際大きな声をあげて背をのけぞらせる。
「はぁはぁはぁ」
 くたりと倒れこむ。
「今日はお互いに、気がすむまで……な」
「うん………俊之。大好きだ!!」
703 ◆iYpdzeKy5k :2005/11/25(金) 22:21:34 ID:VVxf8wDQ
終わりです。王道な上に、あまり強気を表現できませんでした。
次があればもう少し頑張ってみます。
704名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 22:30:57 ID:6GMFXzii
おお!新作ですな。GJ!
ただ一つだけ注文をつけさせてもらえばせっかく出てきた
1年生エースの牧村仁を活かさない手はないと思います。
まぁなんにしてもGJです。
705名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 23:39:07 ID:6GMFXzii
あのーまた前の問題をぶり返して悪いのですが、足軽氏のサイトが見られません。
今日の午後4時半ごろにはちゃんと見られたのに、なぜか・・・。
同じ鯖を使っているであろう保管庫は見られるのに。
誰かわかりませんかね?
706名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 23:56:55 ID:BzsWMU09
>>705
今確認したけど、俺は問題なく見られる。
今度は何があったんだろ?
707705:2005/11/26(土) 00:25:16 ID:Pq3tnxZ1
携帯のほうから確認してみましたが、携帯では普通に見れました。
でもパソコンからだといまも駄目です。プロバイダのせいですかね?
708名無しさん@ピンキー:2005/11/26(土) 01:04:13 ID:giYJ8SOV
>>700
両方とも女子テニス部長になってますが…( ̄ω ̄;)

内容はGJ
709名無しさん@ピンキー:2005/11/26(土) 01:06:18 ID:EDpi1lpw
>>705
お前が見れないってことは多くの人が見えないんだ。
もうその話はよそうや。
さすがにウザくなってきた
710名無しさん@ピンキー:2005/11/26(土) 01:09:40 ID:giYJ8SOV
>>705
携帯も復帰したんだから心配しなくても大丈夫ですって

だからもうこの話題はNGで
711名無しさん@ピンキー:2005/11/26(土) 01:26:01 ID:Pq3tnxZ1
見れました、寿足軽堂。
そしてついに喜多さんの続編が出てました!!
今回の喜多さんもヤバイくらいに可愛いーーーーーーー!!!
それとリクエストされた作品も発表されていましたが、
喜多さんではないのですね・・・がっくりです
712名無しさん@ピンキー:2005/11/26(土) 08:27:08 ID:giYJ8SOV
喜多さんキター(゜Д゜;)
713名無しさん@ピンキー:2005/11/26(土) 10:28:41 ID:pMUpkxZW
◆iYpdzeKy5k
帰り道の彼女にもえた。GJです。
714 ◆iYpdzeKy5k :2005/11/26(土) 19:21:30 ID:FJvESjgT
感想ありがとうございます。
また、次のが思いついたらかかせてもらいますね。

>1年生エースの牧村仁を活かさない手はないと思います。
そうですね。なにか考えてみます。

>両方とも女子テニス部長になってますが…( ̄ω ̄;)
ミスです;
もちろん、俊之は男子です。
715名無しさん@ピンキー:2005/11/26(土) 22:56:40 ID:giYJ8SOV
>>714
この作品は僕的には序盤を練って長編で見たいなぁと思いました

GJでした
716名無しさん@ピンキー:2005/11/26(土) 23:21:52 ID:oO02D+K5
>>715
叩けば叩くほど良くなりそうだ

俺は優しいので叩く事が(ry
717名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 01:12:49 ID:5RxcjYzx
>>716のやさしさに惚れそうになったがMの俺には物足りないな
718名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 01:46:56 ID:leFKh5cq
saiが気になるなぁ…
719 ◆iYpdzeKy5k :2005/11/27(日) 11:16:29 ID:4Kk2ohWb
「ったく。本当に先輩は能天気だな。てか、馬鹿だよ馬鹿」
 牧村仁がアパートの階段を上る。
 早くに母が他界。父は海外赴任。去年まで祖父母と暮らしていた仁は、高校入学と同時に独り暮らしを始めたのだ。
「ただいまっと」
 鍵を開けて部屋に入る。
 誰もいないはずの部屋でも挨拶をするのは祖父母の教育のせいだ。
 1Kの部屋。
 最初は寂しくも感じたが、半年も過ぎた今では、その環境にも慣れた。
「ん〜。お帰り」
 誰もいないはずの部屋から声がする。
「またか」
 もりあがったベッドがもぞもぞと動き、中から女性が姿をあらわした。
「だって独りじゃ寂しいし」
 仁の部屋の隣に住む女子大生。
 種田ちとせ。
 彼女もこの春から短大生となり、独り暮らしを始めたのだ。
「はいはい」
 暇になるとこうやってベランダから忍び込む隣人に、仁ももう諦め顔だ。
 実際、仁にとっても、この隣人のおかげで寂しさがまぎれたという事実もあるわけで。
 仁は学生服を脱いで部屋着に着替える。
「にはぁ。やっぱ仁っていい体してるよ」
「誰かさんと違ってちゃんと運動してますからね」
「む。私もちゃんと出てるところは出てるし、引っ込むところは引っ込んでるんだから。知ってるくせに」
 ちとせがベットから出て冷蔵庫を開ける。
 高校生独り暮らしの冷蔵庫と思えないほど、野菜や魚や肉が綺麗に入っており、これまた高校生には似つかわしくないビールが大量に並んでいた。
「飲んでいい?」
「最初っから飲む気なんだろうが。どうぞ」
 ビールの缶を開け、中の金色の液体を流し込む。
「んぐんぐんぐんぐ………ぷっはぁぁ」
「オヤジくさ」
「いいのいいの。これが美味しい飲み方なんだから。チビチビ飲むのなんて性にあわないし」
720 ◆iYpdzeKy5k :2005/11/27(日) 11:17:19 ID:4Kk2ohWb
 立ち代わり、仁が冷蔵庫を覗き込む。
 中から肉と野菜を取り出しガスコンロの前に立つ。
「飯。今日も食ってく?」
「うん」
 ちとせはベッドに腰掛けテレビを見ながらビールをあおる。
 仁は得意の肉野菜炒めを作る。
 いつのまにかこの風景はあたりまえのものになりつつあった。
 寂しい者同士、寄り添って助け合っていく生活。
「どうぞ」
 大き目の皿に山盛りの肉野菜炒め。
「いっただっきま〜す」
 テーブルの上にはその他にもスーパーで売ってる出来合の惣菜が並んでいた。
「そういや、彼氏は?」
「別れた。てかふった。なんてかなぁ、私の体だけ目当て?みたいな感じだったし」
「そうなんだ」
 仁もビールを片手におかずを食べる。
「私が来なかった間、寂しかった?」
「んなわけないだろ。食費とビール代が浮いて助かった」
「もう。素直じゃないなぁ」
 ケラケラと笑いながらベッドに倒れこむちとせ。
 その後もたわいない日常の話を二人で楽しんだ。
「よし。それじゃあ、種田ちとせ。寝ます」
「あぁ。そか。んじゃ、おやすみ」
「風邪ひかないようにね。おやすみ」
 ちとせが部屋から出て行く。
 仁は食器を洗い空き缶を袋に詰める。
「ちとせに感謝かな」
 部活で先輩と言い争いを始め、無駄に体力をつかわされた今日。
 帰ってくるまでは気分は最悪だったはずなのに、今はなんてことはない、普通の気分だ。
「さて。俺も寝るか」
 ベッドへと入ると、先ほどまで寝ていたちとせの温もりが仁の体を包み込んだ。
721 ◆iYpdzeKy5k :2005/11/27(日) 11:17:45 ID:4Kk2ohWb
 トントン……トントン……
 聞きなれない音に、仁の目が覚める。
 時計を見ると朝の7時半。
 部活の無い日曜の朝。普段なら惰眠を貪っている時間だ。
 トントン……トントン……
 音の方を見る。
 誰かが外からベランダの窓を叩いているようだ。
 仁が起き上がりカーテンを開ける。
「やっと起きた」
 そこにはちとせが立っていた。
「やっと起きたじゃないだろ」
 鍵を開けるとちとせが部屋の中へと入ってる。
「どうした?」
「ん〜。携帯ならしたけど起きないから直接来た」
「じゃなくて。なんか約束してたっけ?」
「ううん。してない」
 ちとせは冷蔵庫からミネラルウォーターを一本取り出し飲み干す。
「ふぅ」
「普通にドアから来ればいいだろ」
「鉢合わせしたら嫌だったし」
「??」
「これ。見てよ」
 ちとせが携帯電話を開いて画面を見せる。
 そこには『今から行く。話がしたい』と簡潔なメールの文章が書かれていた。
「なにこれ?」
「元彼。ほら、この前ふったって言ったヤツ。しつこいのなんのって。来るって言うから避難してきた」
「家は避難所じゃないぞ」
「似たようなもんだし」
722 ◆iYpdzeKy5k :2005/11/27(日) 11:18:07 ID:4Kk2ohWb
 ビーーー
 隣の部屋の呼び鈴の音がする。ちとせの部屋の方だ。
「来た」
 ビーーーーーー
 しつこく何度も何度も鳴らす。
「あぁもう。しつこいなぁ………あ………うぁ。はぁ」
 ちとせの携帯電話が震える。どうやらメールのようだ。
『居ないなら居ないってメール返せ。また来る』
 ちとせの小さな溜息が仁の耳にも届く。
「ストーカーじゃん」
「ホント。最悪。ねぇ、外で待ってないかどうか見てきてくれない?」
「わぁった。どうせコンビニに行くしいいよ」
 仁はトレーナーにジーンズの姿に着替え部屋を出る。
 出てすぐのところにある駐車場のところに一人の男が立っていた。
 コンビニで買い物をすませ戻ってきてもまだ先ほどの男は立っている。
 時間にして10分。しかも、ずっとちとせの部屋のドアを凝視しているのだ。
「あの。どうしたんですか?」
「え。いや。なんでも」
 仁が声をかけると男は立ち去った。
 しかし、何度も振りかえっているところを見ると、また戻ってきそうな雰囲気だ。
「ただいま」
「おかえり。どうだった?」
「茶髪ロン毛の男?」
「そう」
「なら駐車場に居た。声かけたら歩いていったけど、戻ってくるんじゃないか?」
「うわぁ。マジで……ねぇ、しばらくここに居ていい?」
「珍しく殊勝な態度。いつもなら断りもなく来て寝てるのに」
「状況が状況だから。ちゃんと頼んだ方がいいかなって」
「ま、いいけど。どうせ俺も暇だし」
「よかった。ありがとう」
 仁は買ってきたパンをテーブルに広げる。
 初めから二人分以上買ってきているところが彼らしい。
「じゃあ、これいっただき」
「それは俺のだ!」
「ダメぇ。私もこれ好きだもん。あぁ、美味しい。仁がモノほしそうにしてるの見てるともっと美味しい」
「はぁ。俺の周りはどうしてこうアホが多いんだか」
「ん?」
「なんでもないって。さ、今日は何をしようか」
723 ◆iYpdzeKy5k :2005/11/27(日) 11:19:39 ID:4Kk2ohWb
先日ご提案をいただいた牧村仁くんの話です。
書いていたら思った以上に長くなったので、この話はもうしばらく続きます。
出来れば2・3日中には続きを書きたいなと思っています。
では、また。
724名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 12:18:23 ID:7GLhq2M4
GJ
がむばれ
725名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 12:24:11 ID:zm6/FiRV
おお、GJです!続きを楽しみに待っています。
726名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 15:54:59 ID:leFKh5cq
これは男ツンデレですか(゜Д゜;)
GJ
727名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 18:07:00 ID:HCRl6yds
GJ
ガムバレ〜
728名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 03:24:16 ID:mwOCMWBj
GJ!
729527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/28(月) 19:13:15 ID:mcHFoqT0
やっと続き書けました〜

では投下します
730彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/28(月) 19:13:54 ID:mcHFoqT0
(スマン、彩。オレはお前の友達を汚してしまった…お前を汚したも同然だ…なんでこうなった?)

オレは昨日酔った勢いでますみちゃんをレイプした…彩の友達を。
ますみちゃんに迫れたとはいえ、また汚してしまった…命を絶ってでも謝罪するつもりだったのに。
それがなんだ?酒に負けて…快楽に負けて…何やってんだオレは……
彩はsaiとして歌い多くの人に勇気を与えている。オレはそんな彩の力に少しでもなりたいと
常日頃考えてたはずじゃなかったのか?……それがなんだ!なにやってるんだ!
怒りに震え壁を殴る。1発2発3発……気が付いたら手は血が滲んでおり右手は腫れている。
多分骨折しているだろう。
(素っ裸で何してんだオレは?)
右手を見て少し落ち着いたオレは体を拭き風呂を出る。
(とにかく謝ろう。そして何故あんな事してくれたのか、真意を聞こう)
風呂から出たオレをTシャツ一枚でますみちゃんは出迎えてくれた。


(男の人はこんな格好に興奮するって書いてあったから大丈夫よね?もしかしたらいきなり抱きしめられて
そのまま抱いてくれるかも…そうなったらもう私の物…ゴメンネ、彩)
これから始まるであろう静馬さんとの行為を想像し頬が緩む私…はしたないわね。
けどお風呂から出てきた静馬さんは表情が暗く様子が変だった。
(静馬さん?一体どうしたのかしら?)
戸惑う私。さっきはあんなに気持ちよさそうな顔してたのに…精液を飲まなかったからかな?
そんな事考えてたら静馬さん私に頭を下げてきた。
「ますみちゃん、また君を汚してしまった。すまない!」
慌てる私は頭を上げてもらうため手を取ろうとした。その手は腫れて血が滲んでいた。
「手、怪我してるじゃないですか!いったいどうしたんですか!」
さっきお風呂ではこんな傷無かったわ。じゃあ私が出てからの傷ってこと?何故?どうしてなの?
それより手当てしなくちゃ!どうすればいいの?分からないわ、救急車呼んだほうがいいのかしら?
彩ならどうするの?何をしていいか分からずに慌てふためく私。どうしたらいいの?
手当ても出来ない自分に情けなくて涙が出てきた。
『ピンポーンピンポーンピンポーン』
そんな時チャイムが鳴ったの。

731彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/28(月) 19:14:33 ID:mcHFoqT0
「ねぇ、別に明日会社で言ってもいいんじゃないの?」
かなえが聞いてくる。当たり前の質問だ。
「こういうのは早く教えたほうがいいんだよ。それに文句も言いたいしな」
俺たちは麗菜さんに会った後、直接静馬のマンションに来た。久しぶりだ。
「お前来た事ないだろ?あいつの家、プロレス関係の物と女の歌手のポスターばっかりで驚くぞ」
あいつの趣味は片寄ってる。もてない原因だ。おまけに恋愛感情がにぶすぎる。
かなえだって最初はあいつ狙いだった。静馬のことを相談に乗ってるうちに俺と出来てしまった。
かなえと恋人になれたのはある意味あいつのおかげだ。
「う〜ん、ナンか別の思惑があるような気がするわね〜」
ギクッ!なんて鋭いんだかなえは……今夜のお前のサービスが怖いからなんて言えない。言える訳がない!
昨日は4回もやったんだから今日ぐらい休ませろ!いや、休ませてください。
心の中で土下座した俺は動揺を隠して誤魔化す。
「麗菜さんの話だとあの頃のあいつには他に好きな女がいたんだよな。自分では気づかなかったみたいだけど。
それがあいつらしいよな。そう思うだろ?」
「うん、先輩らしいよ。にぶいからね。あたしが誘惑しても気づかなかったモンね」
よし!誤魔化せた!ナイスだ俺!けどかなえは眉間にしわを寄せている。
「…なんか思い出したらムカついて来た…あたしの誘惑を無視するって何なの?傷つくわね…
直樹、傷ついたあたしを今夜はたっぷりと慰めてね」
かわいくウインクするかなえ。…池田直樹26才。死を覚悟しました…
チャイムを押すかなえ。俺は隕石でも落ちてこないかなと無駄な願いをしている。
しばらくしたらドアが開いた。静馬ではなく、なぜかTシャツ一枚の女の子が飛び出してきた。
ん?この子は…かなえの後輩のますみちゃん…だよな?なんでここにいるんだ?ていうか何だそのエロイ姿は。
あれ?もしかして泣いている?なんでだ?
「先輩!助けてください!静馬さんが!」
……静馬お前ますみちゃんにいったい何をしたんだよ!人が心配してるってのに、てめえは!
俺は部屋に飛び込んで静馬を殴り倒した。
「てめえ!ふざけんじゃねえ!女を暴行するなんて何考えてんだ!」
ボーゼンと俺を見る静馬。てめえ見損なったぞ!
とどめを刺そうとしたらますみちゃんが走ってきた。
「静馬さんに何するの!」
テニスサークル仕込みの腰の回転を生かし、スナップの効いたビンタ…いや張り手を俺に叩きつけるますみちゃん。
吹き飛ぶ俺。……訳が分かりません。何がどうなってんだ?

突然のチャイム。静馬さんの怪我で動揺してる私は自分の部屋じゃないのにインターホンの受話器を取る。
聞こえてきたのは先輩の話し声。助かった!先輩怪我とか詳しいから手当てしてもらえる!
慌てた私はTシャツ1枚で玄関を飛び出した。
「先輩!助けてください!静馬さんが!」
泣きながら先輩に助けを求めたの。私を見た先輩の横にいた男が部屋に飛び込んで行ったわ。
そしていきなり静馬さんを殴りつけたの。倒れた静馬さんに追い討ちを掛けようとしてる。
「静馬さんに何するの!」
駆け寄った私はそのバカ男を思いっきり叩いた。いきなり何てことするのよこの男!一体誰よ!
興奮してる私の肩に手が置かれた。かなえ先輩?手が震えてるわ。
「何があったか知らないけど、あたしの男に手をあげるなんて…ますみ、あなた随分と偉くなったのね?」
……せ、先輩の彼氏だったん…ですね……あ、痛いです、そんなに強く肩を握らないで下さい。
ごめんなさい、もうしませんから……その笑顔怖いです、先輩。

732彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/28(月) 19:15:14 ID:mcHFoqT0
突然オレの家に来た池田とかなえちゃん。急に池田に殴られたりもしたが今はかなえちゃんが右手を
応急処置してくれてる。やっぱり折れてるみたいだ。
「いったい何なんですか?先輩は骨折してるし、ますみは変な格好だし…おまけに直樹は殴られるし」
ますみちゃんを睨むかなえちゃん。ますみちゃん震えてる…かなえちゃんって結構怖いんだ。知らなかったな。
「ま、まぁ俺のことはいいからそんな怖い顔すんなよ、かなえ。せっかくの綺麗な顔が台無しだぞ」
池田の言葉でかなえちゃん、期限が直ったみたいだ。
「ホントに済みませんでした!」
勢いよく頭を下げるますみちゃんに戸惑う池田。そこまで怖いんだ、かなえちゃんって。
「で、なんで先輩骨折してるんです?なんでますみがそんな格好してるの?とりあえず着替えてきなさい」
かなえちゃんの言葉に慌てて着替えに行くますみちゃん、顔は真っ赤だ。
「直樹!何鼻の下の伸ばしてんの!…浮気する気ね」
赤い顔してますみちゃんを見てた池田は青くなった。信号機みたいだな。
そんな2人を見てたらついさっきまでの自分に対して抱いていた怒りの感情が収まっていて少し冷静になり
落ち着いている自分に気づいた。
(2人ともありがとう。おかげで少し落ち着いたよ…)
オレは2人に少し救われた気がした。

「静馬、いきなり殴ってすまなかったな。ますみちゃんがあんな格好で出てきていきなり『助けて下さい』
だからな。お前がレイプしたんじゃないかとカン違いしたんだよ。」
池田の言葉にオレは正直に打ち明ける事にした。
「池田…カン違いじゃないよ。オレはますみちゃんを…レイプしたんだ」
オレの言葉に2人は唖然としている。
「昨日麗菜に会ってお前らとやけ酒飲んだ後、酒に酔ったオレはますみちゃんを…レイプしたんだ。
酔ってたからと言い訳できることじゃない…明日、警察に自首しに行くよ」
そうだ、最初からこうしておけばよかったんだ…オレみたいなレイプ魔は刑務所に入らないといけない。
そうじゃないといつ彩を襲うか分からないからな……
「ちょ、ちょっと待てよ。お前がレイプ?嘘だろ?証拠はあるのか?ますみちゃんがそう言ったのか?」
池田よ…お前ホントにいい奴だな…お前と友達でよかったと心から思うよ…
「証拠は…今日の朝、裸のオレの横で同じく裸のますみちゃんが寝ていた。シーツには血が染み付いてた…
どう考えてもオレが襲ったとしか考えられないだろ?」
「しかし、合意の上ってこともあるだろ?お前泥酔してたんだろ?そんな状態で襲うなんて無理だろ?」
まだかばってくれるのか…ありがとう。オレには無理だけどお前には幸せになってもらいたいよ。
「もういいよ、池田。オレがなんの関係もない彼女を犯したのは間違いないんだ…オレが抜けた後、仕事で
お前に迷惑を掛けるだろうけどすまんな。かなえちゃんも大事な後輩に……ごめんな」
2人に頭を下げる。こんなことで許されるはずもない。ホントにスマン、2人とも。
「先輩、その手の怪我って、ますみをレイプした自分に腹が立って何かを殴ってやっちゃったんですか?」
ため息を吐きながら聞いてくるかなえちゃん。ごめんな、情けない先輩で…
「ああ、そうだよ。卑劣な自分に腹がたってな…壁を何度も殴ったんだよ」
今度はため息吐きながら首を振ってる。なんだ?
「先輩…なんでますみから誘われたって考えないんです?ますみ、先輩の事好きなんですよ。
いい加減その鈍感さを直して下さい!じゃないとますみが可哀想ですよ」
……は?何言ってるんだかなえちゃん?オレが誘われた?ますみちゃんがオレを好き?ありえないだろ。
「お、おいおい、何言ってるんだよ、かなえちゃん。そんな事ある訳ないじゃないか。オレを好きになるなんて
奇特な人がいる訳ないだろ?」
な、何だ?今度は池田までため息しだしたぞ?
「お前に惚れてた人なら目の前にいるだろ。探せばそこらじゅうにいると思うぞ」
はぁ?ま、まさか池田…お前オレの事を…
「何直樹のこと見てんですか!あたしですよ、あたし。先輩が全然気づいてくれないから乗り換えたんです!」
意外な告白!全然気がつかなかった。
「ホントか?そんな素振りまったく見せなかったじゃないか!」
「はぁ?何言ってんです?メール毎日送ったり、腕に胸押し付けてたりいろいろ努力しましたよ!」
…マジで?あれがそうだったの?じゃあオレは目の前にあったおいしいエサに気づかなかったのか?
それなのに彼女ほしいとか言ってたのか?なんなんだ、オレ。

衝撃の事実に凹むオレ、そこに着替えたますみちゃんがやってきた。

733彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/28(月) 19:15:54 ID:mcHFoqT0
「あ、ますみ、ちょうどいいところに来たわね」
着替え終わった私に先輩が話しかけてきた。イヤだな、いろいろ聞かれるんだろうな。
「ますみ、あんた先輩と昨日エッチしたのね。…先輩ね、あんたをレイプした責任取るため明日警察に
自首するんだって。どうすんの?」
静馬さん私としたこと先輩に言っちゃったんだ。…はずかしい。…ん?レイプしたから自首する?なにそれ?
「なんなんですか、自首って!昨日は私が静馬さんを騙して抱いてもら…って……!」
…しまった!ばらしちゃった!しかも一番ばれたらいけない人の前で…どうしよう…
「ますみ?面白そうな話ね…あたし達に隠し事はいけないよね?仲のいい先輩後輩の仲なんだから、ね?」
まな板の上の鯉、蛇に睨まれた蛙。今の私はそんな感じ。新しいことわざで『かなえの前のますみ』っていうのが
できそうな気がする。申請してみようかな?どこにしたらいいのかしら?
「騙して抱いてもらったってどういう事?確かに昨日、エッチして責任取ってもらえって言ったけど騙すって
なんなの?」
かなえ先輩の言葉が…『騙す』という言葉が胸に刺さる。
(騙す…そうよね、私静馬さんを騙して抱いてもらったんだったわ…騙したあげく親友から奪い取ろうとして…
体を使って奪い取ろうなんて…最低な女)
「ますみ!なんか言いなさい!それになんでTシャツ1枚でいたの?答えなさい!」
「……先輩が言ったんじゃないですか…」
私の口から本音が漏れる
「先輩がエッチして責任取ってもらえって言ったからじゃないですか!だからそうしたんです!何が悪いんです?
静馬さんが私を麗菜って女と間違えて抱きついてきた時に…先輩の言葉が頭に出てきて…麗菜になりすまして…
抱いてもらったんです!…静馬さんが好きだったから…」
言葉が止まらない…涙も出てきた。もう頭も顔もグシャグシャ…何がなんだか分からないわ…
「親友の想い人だから諦めようとしたわ!何度もしたわよ!けど…好きなんだからしょうがないでしょ!
本気で好きになってしまったんだから…」
先輩に抱きついて泣きじゃくる私…
「好きになってもらおうと料理作ったり背中流したり体を使ってエッチなこともしたわ!
それも全部静馬さんを手に入れるため!…けど静馬さん…結局私を抱いた事で後悔しかしてくれなかった!
私どうしたらよかったんですか?教えてくださいよ先輩…」
私の涙で先輩の服はグシャグシャ、けど先輩、やさしく撫でてくれた…

かなえに抱きついて泣きじゃくるますみちゃん。それを見て俺は静馬を殴りたくなった。
静馬に悪気がないのは分かっている。けど、今回ばかりはそれでは済まされないだろう…
「静馬、今から殴るけどいいか?」
殴ろうとする相手に『殴っていいか』なんて、何言ってんだ俺は?
「……ああ、頼む殴ってくれ」
返事をする静馬。殴って欲しいお前の気持ち、なんとなく分かるよ。
「歯ぁ食いしばれよ、いくぞ!」
俺は思いきり殴る。静馬は避けようともしない。
「今のはかなえの分だ。次はますみちゃんの分!」
右のアゴをぶん殴る。口から血を吐き出す静馬。歯が折れたな。
「まだだ!倒れるな静馬!」
ふらつきながらも立つ静馬。止めようとするますみちゃんをかなえが抑える。
「最後は麗ねえさんの分だ!」
会心の右ストレートが静馬の顔面を貫く。崩れ落ちる静馬。
「なんで静馬さんを殴るんですか!騙したのは私です!殴られなきゃならないのは私です!」
倒れた静馬に駆け寄るますみちゃん、ほんとにいい子だ…俺が付き合いたいぐらいだよ。
「…先輩、彩って子とはどうなったんですか?」
かなえが聞いた。俺も麗ねえさんに聞くまで知らなかった子だ。
ますみちゃんの顔色が変わる…この子、知ってて静馬の事を…
「先輩、実は今日、守屋麗菜さんに会って来たんです。何故消えたのか…本当のことを聞くために」
麗菜さんから聞いた話を俺たちは静馬とますみちゃんに話し出した…

734彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/28(月) 19:16:37 ID:mcHFoqT0

「麗ねえさん、ひさしぶりです。池田です、池田直樹です」
俺たちは守屋麗菜に会いに来た。静馬の前から消えた本当の理由を聞くためだ。
「………誰?」
久しぶりに聞いた麗菜さんの一言。……うわぁ〜キッツイなぁ…帰りたくなってきた。
「…あはは、冗談よ直ちゃん。あなたもそこそこいい男になったわね。今日は何?口説きに来たの?」
凹んで肩を落とす俺を見て笑う麗菜さん。相変わらずな性格。変わらないな。
ん?かなえの眉間がピクピク震えてる…おいおい冗談を真に受けないでくれよ…
「初めまして、あたしは直樹の『彼女』の辻原かなえです。今日はおばさ…いえ、お姉さんに聞きたいことが
あってきたんですよ」
ニッコリと微笑むかなえ。肩まで震えてる…こわい、連れてくるんじゃなかった…
うわぁ、麗菜さんも眉間がピクピクしだした…怒ってる。こわいよ…
「あらぁ、可愛らしいお嬢ちゃまね。挨拶出来るなんて偉いわぁ。ご褒美にいいこと教えてあげよっか?
直ちゃんね…左の乳首が性感帯なのよ。舐めてあげるとカワイイ声で感じちゃうのよ」
麗菜さん、嘘はやめて。そんな事してくれたこと無いじゃないですか!
ああ、かなえの殺気が目に見えるようだ…このままじゃトンでもない目に遇うな。
「麗ねえさん、今日は冗談言いに来たんじゃないんです。今日来たのは分かってると思うけど……
静馬の事です。麗ねえさんが静馬に言った事…あれ、嘘でしょ?何故あんなこと言ったんですか?」
汗を掻きながら本題を切り出す俺。かなえ、そんな目で睨むのやめて。
「…静馬くんに頼まれたの?違うか…鈍感だから嘘なんて見破れないモンね」
ため息を吐く麗菜さん、やっぱり嘘だったのか…
「理由はね、彼があたしの事、愛してなかったからよ。彼ね、他に好きな子がいたの。彼自身気づいて
なかったけどね。だからね…逃げたの、一緒にいるの辛くて…耐えられなくなってね」
あの頃の静馬に麗菜さんの他に好きな女がいた?嘘だろ?
「付き合い始めて3ヶ月ぐらいで気づいたの、この人、彩って女が好きなんじゃないかって…」
彩?知らないな…あの当時のあいつにそんな女いたっけ?
「実家の隣に住んでる6才年下の寂しがりやの女の子。なんでも就職するまでよく遊んであげたんだって。
こっちに引っ越してきて元気が無くなったって言ってた…元気付けるために毎日電話するって…」
6才年下?じゃあ当時は中1か?まさか静馬ってロリコンだったのか?
「最初はお兄さんしてるのねって思ってたけどね…静馬くん彩って子の事ばかり考えてるのよ…
無意識なんだろうけどね。分かる?好きな人が隣にいるけどその人は違う女のこと考えてる辛さって…
あたしだけを見させようといろいろしたわ。けど…どんなに頑張ってもね…身体を使って誘惑してもね…
ダメだったの…私だけを見てくれなかった…だから辛くて逃げ出したの、愛してたけど逃げたのよ。
目の前でその女に静馬くん取られるの見たくなかったの…これが逃げた理由よ」
麗菜さんの告白に俺もかなえも言葉が出ない…俺が麗菜さんの立場だったらどうしただろう…
やっぱり逃げただろうか…かなえにそんな男がいたらと思うと…震えが来る。考えたくもない。
かなえを見たら俺と目が合う…不安そうな顔だ。俺と同じ事考えてたんだな。
「あ、それとね、静馬くんに言った事全部が嘘じゃないわよ。子供はいなかったけど旦那はいたの。
まあその頃は離婚してたんだけどね。静馬くんから逃げた後によりを戻したのよ。今では子供2人いるし
3人目も出来たしね」
嬉しそうにお腹をさする麗菜さん。妊娠してるんだ。
「だからあたしは今、幸せなの。静馬くんにはちょっとした復讐心で嘘ついちゃったけど謝っててね」
やっぱり麗菜さんは俺たちの好きだった麗菜さんだ。可愛くておちゃめな年上の女性。
「麗ねえさん、ありがとうございました!元気な子供生んでください!」
俺は深々と頭を下げ麗ねえさんに別れを告げる。もう会う事もないだろう。
さっそく静馬に教えてやらなきゃな!麗ねえさんはやっぱり麗ねえさんだったって。
その足で俺はかなえを連れて静馬のマンションに向かった。

735彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/28(月) 19:17:17 ID:mcHFoqT0
「…と言うことだよ。分かったか、この鈍感野郎!」
池田の言葉に唖然とする。オレが彩を…好き?…そうなのか?
確かに彩の事をよく考えてる…けどそれは妹を心配する兄みたいなものじゃないのか?
少なくともオレは今までそう思っていた。それがカン違いだったのか?
殴られた痛みも忘れ考えこむオレ。そんなオレにますみちゃんが話しかけてきた。
「静馬さん、さっきのお風呂場での時…私と彩、どっちのこと考えてましたか?朝ごはんの時やカレー食べた時、
麗菜って人の時みたいに私じゃなく、彩のこと考えてたんですか?どうなんです……答えてくださいよ!」
泣きながら聞いてくるますみちゃんの問いかけに答えられないオレ。
オレは…ますみちゃんに風呂場でしてもらってた時も彩のこと考えてた…
ゴハン食べてる時も作ってくれたますみちゃんじゃなくてここにいない彩のことを…
今気づいた…オレは彩を基準に女の子を見ている。麗菜さんの時も、ますみちゃんの時も…
これって彩のことが好きってことなのか?…分からない…自分の気持ちが、分からない…
「……答えられないんですね……私じゃ…ダメだったんですね…もういいです!」
「あっ、待ちなさいますみ!」
走って家を飛び出すますみちゃん。それを追いかけるかなえちゃん。
そんな2人を見ても何も出来ないオレ…
「静馬、ますみちゃんはかなえに任せてゆっくり考えろ。誰と一緒にいたいのか。誰が好きなのかを…」
オレは…誰と一緒にいたいんだ?…一体誰と…

私はマンションを飛び出した。静馬さんの口から答えを聞きたくなかったから…
初めから分かってた…勝ち目なんてないことを…
けど…好きになったから…愛してほしかったから仕方ないじゃない!
こんな思いするなら抱いてもらわなきゃよかった…なんで嘘ついて騙してまで抱いてもらったんだろ…
足を止めた私はいつの間にか近くの公園に来ていた。
「ますみ…少しは落ち着いた?」
先輩…追い掛けて来てくれたんですね…
「彩って人、知ってるんだ…どういう子なの?」
そっか…先輩知らないんだ…静馬さん話してないんだ…
「…私の…友人。モデルみたいに綺麗で…けど、気が強くて…でも優しい子。私の…自慢の親友でした」
そう、私の大事な親友…彩の気持ちを知りながら奪い取ろうとして…結局ダメだった。
私…何がしたかったんだろ?好きな人と親友…一度になくしちゃった…バカみたい。
「…なんでこうなったんだろ…なんで彩と同じ人、好きになったんだろ…」
…先輩…また抱きしめてくれた…涙せっかく止まってたのに…また出てきちゃったじゃないですか…
また先輩の服、汚しちゃうじゃないですか……ありがとう、かなえ先輩……
その時私の携帯が鳴った…今一番声を聞きたくない人…彩からだった。

「ますみ?お願いがあるんだけどいいかな?えっとね…明日拓にぃに電話してくるように言ってほしいんだ。
べつに話したいとかじゃないよ?明日ね、アタシの大好きな田上明が武道館でベルトに挑戦するんだ。
その結果教えてもらおっかなって思ってね。それだけだからね?」
そう、あくまでタイトル戦の結果が知りたいだけで拓にぃの声が聞きたいわけじゃないわ…って苦しい言い訳…
そうよ!もう我慢できないのよ!いつまで待たせんのよあのバカ拓にぃは!罰として明日は寝させないわ。
…あれ?ますみ、聞いてるの?どうしたんだろ…
「ますみ?どうしたの、聞いてる?なにかあったの?」
……返事がないわ。何かあったんだ…
「…あ…や…」
ん?よく聞こえないよ、ますみ。
「…あ…やぁ…うぅ…ひっ…ひっく…ごめ…ひっ…ん…ぅぅ…」
…ますみ、泣いてるの?何があったの、なんで泣いてるのよ?
「ますみ!今どこ?どこにいるの!」
こんなますみは初めて…力になりたい。大切な友達だから…
「静…まさ…ん…ひっ…ちか…公え…ん…ひっ…」
静馬さん近く公園?拓にぃのマンションの所ね!
「今行くわ!しばらく待っとくのよ!いい、今行くからね!」
アタシは大急ぎでタクシーに乗り公園へ向かう。40分もあれば着くはずだ。
ますみ…何があったの?あの子が泣くなんて…いつもますみには拓にぃのことで相談に乗ってもらってる。
今度はアタシの番。何があったか知らないけど力になるわ、待っててね、ますみ!

736彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/28(月) 19:18:01 ID:mcHFoqT0
30分後公園に着いた時ますみは知らない女の人と一緒にいた。誰この女?まさかコイツがますみに何かしたんじゃ…
「あんた!アタシの友達に何してくれたのよ!覚悟は出来てんでしょうね!」
怪しい女を睨みつけ近づこうとするアタシをますみが止めた。
「彩!先輩になにするの!この人は私のサークルの先輩よ」
え?先輩?えっと…もしかして拓にぃを紹介したっていう…拓にぃと同じ職場の人?
「え?そうなの?てっきりますみを泣かした人かなって…すみませんでした!」
勢いよく頭を下げるアタシ。まずいなぁ、拓にぃに今の事言われたらアイアンクローだよ…どうにか誤魔化さなきゃ…
「アナタが彩さん?私は辻原かなえ。静馬先輩の会社の後輩でますみのテニスサークルでの先輩…あなたの大学での
先輩でもあるわね。よろしくね」
あ、そういえばそうだわ。アタシの先輩でもあるんだ。同じ大学だもんね。
「初めまして辻原先輩、国生彩です。…ところでなんでますみ泣いてたんですか?何があったんですか?」
そう、ますみが泣くなんて付き合い始めて初めての事。一体何があったの?
真剣な顔したますみが自分が泣いていた理由をアタシに話し出したの…
「実はね、彩…アナタがいない間に私…静馬さんに抱かれたの…SEXしたのよ…」
……へ?な、何言ってるのますみ。あなたと拓にぃが……あの拓にぃが…う、嘘でしょ?
あまりの衝撃の大きさに言葉が出ない。
「ごめんね、彩…私も静馬さんが好きだったの…だから、静馬さんに抱いてもらったの…
静馬さんの恋人になりたくて…体を使ってあなたから奪おうとしたのよ…」
そう…か。ますみも拓にぃのこと好きだったんだ…アタシと同じだったんだ…けど…酷いんじゃない!
アタシが拓にぃのことずっと好きだったって知ってるよね?知ってたよね!なんでそんな酷い事するのよ!
親友だと思ってたのに…初めての親友だと思ってたのに…酷すぎるよ…
……けど、アタシがますみの立場だったらどうしてたんだろう……同じ事したんじゃないかな……
そうよね…ますみの事酷く言えないよね…振られるのを怖がってたアタシがいけないんだよね…
ますみは怖がらずに前へ進んだから抱いてもらえたんだよね…アタシが、悪いんだよね…
「…けどね、静馬さん、私とエッチな事してる時も違う女の事考えてたの…私がいるのに違う女の事考えてたのよ!
静馬さんね…私を抱いた事で…後悔しかしてくれなかったのよ…ふふっ、バカみたいでしょ、私…」
なにそれ…ますみとエッチしてて違う女って…エッチして後悔って…なによ…それ。
アタシの中に怒りの感情が沸々と湧き出てくるのが分かる…
「彩…その静馬さんが考えてた女っていうのはね…」
アタシはますみに聞き返す。
「…後悔ってなによ…ますみとエッチして後悔って…ホントに拓にぃ言ってたの…」
辻原先輩が口を挟む。
「本当よ。後悔して壁を殴り、手を骨折までしてるわ。けどね、それも全部、あな…」
アタシの中で何かが切れたわ。
「…ふざけてんじゃないわよ!ますみとエッチして、後悔してる?エッチしてる時に違う女のことを考えてる?
ますみを…アタシの親友をバカにしないで!もう許さない!拓にぃ許さないからね!」
走り出すアタシ。もちろん拓にぃのもとへ。拓にぃがこんなひどい奴だとは知らなかった。
アタシがますみの立場だったらショックで自殺してるかもしれない…
後ろでますみと辻原先輩が何か叫んでる、けど今のアタシには聞こえない。
もう頭の中は拓にぃを制裁することしか思い浮かばない。

(拓にぃ…よくもアタシの親友を馬鹿にしたわね…その報いは受けてもらうわよ…)

737彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/28(月) 19:18:44 ID:mcHFoqT0
オレはソファーに座り頭を抱え考えている。
オレは一体誰が好きなんだ?誰と一緒にいたいのか…
麗菜さんの言うとおり彩のことが好きなのか?
しかし彩は6才も年下だぞ?小学校から知っている。
やはり妹として心配してるだけじゃないのか?
けど、なんで他の女性といる時彩を思い出すんだ?
やっぱり彩が好きなのか?分からない、なにも分からない…
そういえばもう4日も彩と話してない事に気づいた。
(4日も電話出来なかったな…麗菜さんのことやますみちゃんのことがあったからな…彩が知ったら怒るだろうな…)
そんな事を考えながらどうやって彩の機嫌を取るかを考えてる自分に気づいた。
(また彩の事考えてる…やっぱり彩の事好きなのか?分からない…会いたい…彩に会いたい、会って確かめたい!
そうだ!彩に会ってみよう。話はそれからだ。彩の事が好きなら…会えば何かが分かるはずだ…きっとそうだ!)
オレは彩に会うことを決意して立ち上がる。
今すぐ会いたい、会って確かめたい!
オレの気持ちはその思いでいっぱいになった。
「池田…ありがとうな。オレ彩に会いに行ってくる。会って自分の気持ちを確かめるよ。彩が好きなのかどうかを…」
一時間以上考え込んでいたオレに文句も言わず付き合ってくれた池田。ありがとう、おかげで前に進めそうだ。
右手を差し出し握手をする。握り返す池田…顔が赤い、コイツ照れてるな。
その時玄関のドアが勢いよく開いた。
そこにいた人を見てオレは動けなくなった。
「彩…なんでここに…」
オレの呟きに池田が驚く。
「この子が彩って子か…で、どうなんだ静馬」
オレは彩から目が離せない…胸がドキドキする…抱きしめたい…
…今、気づいた、オレは彩が……国生彩が……好きだ……
彩がオレに向かって走ってくる。抱きしめよう、そう思った瞬間、彩の両足が顔面にめり込む…
…プロレスの基本技…彩の小学校の時に封印された得意技…ドロップキックだ…
「こぉのエロ拓にぃ〜死んじまえぇぇ〜!」
倒れたオレにそう叫びながら肘を落としてきた。

…あれは黒い呪術師アブドーラ・ザ・ブッチャーの得意技、毒針エルボー…

首筋に落とされたエルボーはオレの意識を刈り取った。
738彼女は〇〇〇527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/28(月) 19:19:34 ID:mcHFoqT0
(なんだ?何が起こったんだ?一体どうなってるんだ?)
訳が分からない。静馬が一時間以上悩んで考え抜いてやっと会うことを決意した女性…彩という女が部屋に入ってきた。
俺はてっきり映画のワンシーンみたいに感動の抱擁をするもんだと思っていた。
ますみちゃんによると彩って女も静馬が好きらしいからな。
けどなんだ?抱き合うどころか顔面を蹴飛ばし止めも刺した…なんだ?何が起こったんだ?
「思い知ったか!このエロ拓にぃ!ますみの敵だ!」
俺は震えが止まらない…夢でも見てるのか?ありえるのか?こんな現実が。
「彩!静馬さんになんてことしてるの!」
ま、ますみちゃん?あ、かなえも戻ってきたんだ、助かった。
「直樹、状況が分からないんだけど…どうなってるの?」
かなえ、見ていた俺も分からないんだよ。とりあえず俺は見たままを話す。
「…彩ちゃん、あなたカン違いしてるわ。先輩が考えてた別の女って…あなたよ。7年前からあなたの事好きだったのよ。
本人は気づいてなかったけどね…今日気づいたみたいだけど…この様子じゃ忘れてるかもね」
ピクリともしない静馬を見て話すかなえ。
「…彩、私静馬さんを諦めてあなたに譲ろうと思ってたけど…考え直そうかしら…」
静馬を介抱しながら呟くますみちゃん。俺も静馬のためにはそれがいいと思うぞ。
「…え?あ、アタシのことだったの?ホントにアタシの事…なの?」
お?目が潤んできた。こうしてるとかわいいじゃん。んん?よくみるとすごく綺麗な女性じゃないか!
静馬め…内緒にしてやがったな。けどあのキック喰らうのは勘弁だな。ま、静馬にお似合いだな。
「彩ちゃんだっけ?…静馬な、君と会って自分の気持ち確かめるって言ってたぞ。君を好きかどうか確かめるってな」
あらら、両手で口押さえて泣き出したぞ。よっぽど嬉しいんだろうな…
「じゃ、かなえ、帰るか。ここにいたら後片付け手伝わされそうだからな。ますみちゃんも帰るんだろ?」
せっかく自分の思いに気がついたんだ…2人っきりにしてやりたい。
「ええ、私も帰ります。この様子だと静馬さん、そのうちに嫌気をさして別れると思いますから、その時まで待ちますよ」
俺もそう思うよ。その時は静馬を頼むな、ますみちゃん。
「じゃ、帰るわね、彩。あ、その前に………パシャッ」
携帯で2人の様子を撮るますみちゃん。そして携帯の写した画像を彩ちゃんに見せてる。
「彩。アルバムにあったドロップキック10人記念の写真、11人にしておいたら?今の写真引き伸ばしてあげるわよ」
横から見てみるとカワイイ子がお母さんらしき人にケツ叩かれてる。
そこには静馬の字で『祝ドロップキックで泣かした人数10人突破記念!』と書かれている。
こいつら何してんだ?付き合いきれん。その写真を見たかなえも悪ノリしだした。
「ホント先輩で11人目ね。けどせっかくだから『祝ドロップキックで泣かした人数10人と落とした男1人突破記念!』
の方が面白いんじゃないの?」
おいおい、からかうのはもういいだろ、彩ちゃん顔真っ赤だぞ。
「じゃ、静馬によろしくな」
俺たち3人はそろって静馬のマンションから引き上げた。タクシーを待ってる間にかなえが聞く。
「ますみ、先輩のこと、ほんとによかったの?あれでいいの?」
ますみちゃん、少し照れながら答えてくれた。
「恋人は出来ませんでしたけど…大切な親友ができました。裏切った私を恨みもせずに私が馬鹿にされたと
本気で怒ってくれた優しい親友が…それで、十分です!先輩、池田さん、今日はありがとうございました!」
頭を下げるますみちゃん。なんか照れるな。
俺たちとますみちゃんはここで別れた。一緒のタクシーで行こうと誘ったが
「先輩からもらったお金まだ余ってますので!」
と必死に断られた。なんで必死なんだ?
俺とかなえはタクシーに乗り込み行き先を言おうとしたらかなえが
「ラブホテルまでお願いします」
ええ!家じゃないの?
「昼間に言ったでしょ?今夜はサービスするって……ポッ」
お、覚えてたのね……ますみちゃん、だから逃げたんだ……

静馬よ…女は変わるぞ…気をつけろよ…

俺はこれから起きる試練を想像しながら友人の幸せを祈った。


739527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/28(月) 19:20:33 ID:mcHFoqT0
今回は以上です。

多分次あたりで終われると思います

740名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 20:37:39 ID:FYY03jK0
手骨折
池田に三発殴られ
彩に大砲一発浴びせられる…

静馬カワイソス(´Д`;)


絶対顔腫れてるな…

GJでした

しかし…かなえが一番強いね(゜Д゜;)ガクガク
741名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 22:34:00 ID:DRUm1FCQ
自分の勝手な予想ではもっとこじれるかなと思いましたが、
思ったよりはすっきりしていました。

とにかくGJです!次回も楽しみにしています。
742名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 01:18:59 ID:Td5Yv+fn
静馬…君に幸アレ
ともかくGJ!
743527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/29(火) 07:55:59 ID:GBPCnAaM
感想ありがとうございます!
ドロドロにしようか迷ったんですがそういうのは苦手なモンでうまくいかず諦めたんですよ
さっそく続きを考えます!
744名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 15:09:28 ID:uaBRYZes
GJ!
漏れも静馬を殴りたくなりましたw
次回楽しみにしてます。
745名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 18:04:53 ID:n+iSOsL9
静馬オッケ〜イ
GJでした









香織さんマダー?
746 ◆iYpdzeKy5k :2005/11/29(火) 20:52:52 ID:Ep0cKuaY
「クレープクレープ」
「はいはい。わかってるからはしゃぐな」
 コートに身を包んだ美女二人。
 赤いコートでツインテールの一見子供にも見えるはしゃぎ方をしている女性。
 黒いシックなコートを着ている女性。ちとせだ。
 赤いコートの主はちとせの大学の友人で名前を南燈(みなみあかり)と言う。
「燈。ほら、はしゃぐと転ぶよ……はしゃんぐなって言ってるでしょ」
「平気だよ。ほらほら〜、きゃっ」
 燈が歩道でクルクルと回っていると、二人とは逆の方から歩いてきた人にぶつかった。
「ほら言わんこっちゃない。すみません」
「いえ……って、ちとせか」
「あ、仁。もう帰り?まだお昼だよ」
「テスト期間だから」
「そっかそっか。そんなこと言ってたね」
 燈は二人の間に挟まれて二人を見比べている。
「知り合い?」
「あ。うん。隣の部屋に住んでる牧村仁くん。こっちは同期の南燈」
「どうも」
「こんにちは〜」
 仁は軽く会釈し、燈は大きく手をあげて返事をする。
「あ、ねぇねぇ。私、仁くんと一緒にクレープ食べたいなぁ」
「え?なんで?」
「お近づきのしるし?」
「私におごらせておいてどの口が言うかな。しかも、なんで疑問系なのよ」
「俺、これから勉強を」
「勉強するにしても何にしても糖分は必要だよ。さ、いこいこ〜」
 燈は仁を回れ右させて、背中を押す。
「ちとせ」
「ごめん。こうなった燈には何言っても聞かないの。おごったげるから一緒にいこ」
「はぁ」
 助けを期待したちとせにこうあしらわれては従うしかない。
 仁は渋々クレープハウスに向かって歩き出した。
747 ◆iYpdzeKy5k :2005/11/29(火) 20:53:24 ID:Ep0cKuaY
「あれ。先輩」
 クレープハウスの店内で仁は見知った顔を見つけた。
 テニス部先輩の俊之と小太刀だ。
「珍しいな、仁がここに来るなんて」
「えぇ。ちょっと。そういえば、先輩って甘党でしたね」
 俊之の甘党はテニス部では知らないものがいないくらいに有名だ。
「ちなみに。ここに来る前にパフェ食べて、クレープも2個目だ」
 小太刀がボソリと言う。
「いや。先輩。食べすぎですって」
「まったくだ。人の気もしらないで、バクバクバクバクと」
「だから食えばいいって言ってるだろ」
「そうしたら太る」
「俺は構わないぞ。別に。多少体型が変わっても、小太刀は小太刀なんだし。嫌いにだってならない」
「う。えぇ…でも」
「それにもう少し肉付きがいい方が俺としても気持ちがいいし」
「なななななな……何をいいだす!!」
 顔を真っ赤にして立ち上がる小太刀。
 それをなだめる俊之。
 二人を傍目にちとせたちの元に戻る仁。
748 ◆iYpdzeKy5k :2005/11/29(火) 20:53:54 ID:Ep0cKuaY
「おかえり。どしたの?」
「なんか、ごちそうさまって感じで」
「ふぅん。確かあの子って、仁がアホだから嫌いだぁって言ってた子じゃないの?」
「そうなんだけど、一緒にいるA先輩と付き合い始めてから、なんか変わった。アホはアホなんだけど」
「なるほどねぇ」
 事情がいまいち飲み込めていない燈がしきりにうなずく。
「仁くんはあの先輩のことが好きだったけど、とられちゃって悔しいと」
「は?いやいや。どうしてそうなるんですか」
「嫌い嫌いも好きのうちってね。嫌いって思ってるってことはそれだけ意識してるってことでしょ。本当に嫌いなら意識しないはずだし」
「そうなの仁?」
「まさか。燈さんも、そんな事実はありませんからね」
「そういうことにしといてあげる〜」
 そう言って、燈はクレープにがぶりつく。
「ほらほら、クリーム」
「舐めて取って」
「バカ」
 ちとせが燈の口の周りについたクリームをふき取る。
「へー」
「どしたの?」
 ちとせは仁が自分を見ていることに気づき首をかしげる。
「いや。なんか、普段のちとせと違うなって。お姉さんみたいというか世話焼きと言うか」
「そう?いつもこんなでしょ」
「いやいや。いつもは逆だろ。俺の部屋でだらけてるし」
「ちとせちゃんが?うっそー。ありえない〜」
 燈が少し大げさにびっくりしてみせる。
 そして、何かを気づいたような表情になってしきりにうなずく。
「仁くん。お願いがあるんだけどいいかな?私ね、苺と生クリームのクレープをもう一個食べたいの」
「わかりました」
749 ◆iYpdzeKy5k :2005/11/29(火) 20:54:17 ID:Ep0cKuaY
 お金を受け取って仁が席を立つ。
 燈の顔がにへらぁとくずれる。
「ちとせちゃん、仁くんのこと好きでしょ」
「そんなことないわよ」
「あれ。思ったより冷静」
「だって、ホントのことだし」
「そっかぁ……」
 仁がゆっくりと戻ってくる。
「はい。どうぞ」
「ありがとう。ねぇ、仁くん」
「はい?」
「お姉さんと付き合わない?あ、今特別に付き合ってる人がいなかったらだけど」
「え?」
 声をあげたのは仁ではなく、ちとせ。
「どうしたの?ちとせちゃん」
「な、なんでもない」
「で、どう?」
「別に付き合ってる人はいませんけど。でも、付き合うって今日会ったばかりだし」
「やった、じゃあ、お試し期間ね。1年くらい」
 燈が仁の腕に自分の腕を絡める。
「じゃあ、今日は一緒に帰ろ。ね、はい。けってー」
「え。あ。あの」
「ほら、燈。仁困ってるじゃない、仁も嫌なら嫌ってちゃんといいなさい」
「仁くん。いいもんね」
 燈が立ち上がり、仁の手を握って立ち上がる。
「えっと。ごめんなさい。勉強あるし。それに、好きな人……いるから。それじゃあ、あ、ちとせ。ごちそうさま」
 燈の手を解いて仁は外に駆け出す。
「あらら。逃げられちゃった」
「まったく。その思いつきで動く性格直した方がいいよ」
「もう治りませーん。てかぁ、仁くん好きな人いるんだって。誰だろうねぇ」
「誰でもいいじゃない。さ、帰るよ」
「気にならない?」
「………ならない」
「ふぅ。ちとせちゃんも、その性格直したほうがいいよ?」
「何のこと?」
「重症だね。じゃ、今日はごちそうさまでした」
「はいはい」
 二人も店を出る。
 店の外は、雪がヒラヒラと降ってきていた。
750 ◆iYpdzeKy5k :2005/11/29(火) 20:56:31 ID:Ep0cKuaY
仁とちとせの第2回です。って、終わりませんでした。
終わらせるつもりだったんですけど。
また、2・3日中に続きを書きます。
751 ◆iYpdzeKy5k :2005/11/29(火) 21:50:03 ID:Ep0cKuaY
一箇所A先輩になってますが、ミスです。ただの先輩です。
752名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 22:35:53 ID:IhgifgFA
GJ
いいねぇ
753名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 23:01:13 ID:yqSyhK5q
◆iYpdzeKy5k氏
GJ!
チラッと出てきたけど、やっぱ小太刀たんは可愛いなと。
ちとせたんも えーよー。

527氏
うん、円満解決になって安心したよ。ドロドロも期待してたんだけど、
……前回の流れからして無いだろうと思ってたけど、3人でゴールインも期待してたんですがww
754名無しさん@ピンキー:2005/11/30(水) 00:30:07 ID:bG7qNLRH
◆iYpdzeKy5k氏
GJです。続きを楽しみにしています。
755 ◆/pDb2FqpBw :2005/11/30(水) 15:56:49 ID:GujbUrat
<■GreenHill第2章■>
<■第1話■兄妹 その1>

黴臭い紙の香りが好きだ。

寅太郎の書斎の横が小さめの書庫になっていて、私はいつも少し時間が出来たりした時はそこで休む事にしている。
少し黴臭い紙の匂いとしんと耳が痛いほどに静まっている部屋。
少し薄暗くて、神秘的な感じがして。私はよくそこで一人で本を読む。

本は面白い。
最初は屋敷に掲示されている決まり事の紙を読めるようになりたい一心で辞書と首っ引きで本を読む訓練をしたのだ。
一冊読むのに何ヶ月もかかって辛い思いをした物だが、ある壁を越えると本を読むのが楽しみになった。
自分の知らない事が目を動かすだけで簡単に手に入るだなんてなんて素晴らしい事だろうと思う。

一生かかっても読みきれそうに無い量の本に囲まれて最近お気に入りの料理の本を読む。
沢山本を読んで、少しずつ何かを出来るようになって、それでそれで、それからそれから。
したいことは一杯沢山あるのだ。
756 ◆/pDb2FqpBw :2005/11/30(水) 15:59:04 ID:GujbUrat

@@

「・・・・・・・・・!!!!」

先程から隣の部屋がどったんばったんとなんだか騒がしい。
どうせさいらがまた何か失敗でもして寅太郎にお尻でも叩かれているのだろう。
今読んでいた「一億人が選んだ大絶賛お菓子〜和菓子の奥深さ〜」を途中で中断する事には抵抗があったけれど少し泣き声も聞こえてくるような気がするし仕方が無い。ふうとため息をつき、読書灯を消す。ぱたんと読んでいた本を閉じた。

隣の部屋へと向かい、重厚なドアの前に立ちコンコンとノックをしようとした瞬間、目の前のドアが開いた。
にゅっと腫れぼったい目をしたさいらの顔が目の前に現れる。
目は赤くて泣いていた事は明白だ。
「さーしゃ・・・」
右手でお尻を押さえている。左手には飴を握っている。
「はいはい。又ぶたれたのね。今度は何をしたのよ。」
さいらのひとみにぶわっと涙が溢れる。
757 ◆/pDb2FqpBw :2005/11/30(水) 15:59:48 ID:GujbUrat

んんんんん・・・と泣き声を出さないように力を入れながら後ろで2つに束ねた髪を揺らしながら目の前のさいらは一生懸命息を吸った。それでもえぐえぐと喉から声がもれ出る。
「紙にコーヒーこぼした。・・・お兄様の馬鹿ぁ!」
またか。紙といってもどうせ大事な書類だったに違いない。

「わかった。お料理の時間まで間があるから隣で休んでなさい。」

「うん。」
素直に頷くさいらの髪をひと撫でしてから声を上げる。

「兄様。失礼します。」

「ん、入りなさい。」
部屋の奥から低い声が返ってくる。
入り口を跨いで中に入る。
書斎として使われているこの部屋は両脇に大きな本棚が並び、その中には分厚い本が何十冊と入っている。
部屋の中心には大きな机が置かれており、両脇に私の背丈ほどの分厚い紙束が幾つも重なっている。
そして机の方を見るとその机に覆いかぶさるようにしてこの屋敷の主人であり、
私とさいらの兄でもある家城寅太郎がコーヒーで汚れた部分をティッシュで拭っていた。
758 ◆/pDb2FqpBw :2005/11/30(水) 16:03:15 ID:GujbUrat

「あ、」
と絶句する。さいらはどうやらコーヒーをこぼしてそのまま折檻されたらしい。机の端からはぽたぽたと絨毯の上にコーヒーが落ちている。
とてもティッシュなんかで拭える量ではない。それなのに寅太郎は何枚もティッシュを取り出して机の上の濡れた部分に重ねてはゴミ箱に捨てるという行為を繰り返している。

あわてて駆け寄ってポケットから小さいタオルを取り出した。
「兄様。さいらをあんまりぶってはいけません。」
ついでにそう言いながら寅太郎の目を見ながら机の上をごしごしと拭く。

「悪い事をしたらすぐに判るように教えるのが家城家の教育だ。」
悪びれもせずにティッシュを又3枚ほど取り、手を拭いてゴミ箱にティッシュを捨てると
ゆっくりと椅子に座りながら寅太郎は目を閉じて言った。

兄である家城寅太郎の容貌は日本人にしては派手と言って良い。
といってもモデルのような美貌と言う訳ではない。
まず体が大きい。背が高いというわけでもなく、足は短くて体全体が横に張り出していて全体的にがっしりとしている。
体も大きいが顔も大きく、四角い顔に鼻が胡坐を掻いており、常時三白眼気味の目。
最近寂しくなった頭髪を隠す為にブルースウィリスの髪形を真似ている。
これでも年齢はまだ20代後半なのだが、初対面の人間はそう言われてもまず信じる事は無い。
当世風に言うとスキンヘッドにヤクザ顔。
一言で簡単にまとめると怖い顔である。
759 ◆/pDb2FqpBw :2005/11/30(水) 16:05:27 ID:GujbUrat
「そうは言いますが、何にだって失敗はつきものなのに・・。あ、兄様、代わりのコーヒーを持ってきます。」
口を尖らせながら飲めなかったであろうコーヒーのお代わりを持ってこようかと背中を向けたところ寅太郎に呼び止められる。

「ん、それはいい。それより遊びに来たんだろう?サーシャ。」
私の名前を呼ぶ。

「はい。でも、さいらが」

「わかったわかった。俺が悪かった。でもさいらだって判ってるよ。」
そういってほら。と言って椅子に座ったまま足を広げ、寅太郎はおいでおいでをした。
何が判っているというのだろうか。

「でも・・」
と、一応は拒絶と遠慮するもののおいでと手招きされるとついふらふらと寄っていってしまう。
そのまま寅太郎の大きな脚の間にちょこんと納まって私は机の上に顎を乗せた。
寅太郎が机の中から飴を取り出して、私の口の中に突っ込んでくる。
この位置はいつもの私の定位置でもある。
私は16、さいらももう15歳になったというのに寅太郎は事あるごとにまだ2人を子供扱いしてこうやって膝の間に乗っけて喋る事が多い。

まあ、と言って私はこの時間が嫌いな訳ではない。
抱え込まれるようにされるととても安心するし、寅太郎は顔に似合わずとても優しく私達の頭を撫でる。
顔は怖いけれど、そういう時の寅太郎はとても楽しそうで心の中が暖かい気持ちになる。
760 ◆/pDb2FqpBw :2005/11/30(水) 16:07:45 ID:GujbUrat

膝に座り込んだまま脇に挟んでいた本を机の上に置いて続きを読もうとすると、寅太郎は興味深げにその本を覗き込んできた。
「ん?お前は本が好きだな。何を読んでいたんだ?」
そう言って大きな手で私の読もうとした『一億人が選んだ大絶賛お菓子』を摘み上げた。
私には両手で抱えないと読めない位に重い本だけれど、寅太郎は片手に持ってぱらぱらとページをめくる。

「お料理の本です。この前は煮物を作りました。」
と膝の上で胸を張って寅太郎に答える。
醤油の量を間違えて少ししょっぱ過ぎて食べれた物ではなかったが、出来上がった物が煮物である事には間違いない。

「そうか。大分上手になったか?」
「どうでしょう。まだ醤油の使い方がよくないなどと言われますし、食卓にお出しできる程では・・・
 そのうちお出ししたいものですが。」
うーん。と首を傾げると寅太郎は笑った。

「そうか。難しいか。でもサーシャなら、お国柄醤油は無理でもオリーブオイルを使った物は簡単に作れそうなもんだがな。」

「はい。そうですね。例えば簡単なサラダなどなら覚えていますからすぐにでも。ですが、お口には合わないと思います。」

そうやってしばらく二人で喋っていると、ぎいと音を立てて扉が開いた。
ひょこっと横で2つに分けた黒髪がのぞく。隣部屋にいたものの笑い声につられてきたのだろう。
761 ◆/pDb2FqpBw :2005/11/30(水) 16:09:09 ID:GujbUrat

「ほら、もう怒ってないからさいらも来なさい。」

寅太郎が声を掛けるとさいらは先程もらった飴をもごもごとさせながら走るように駆け寄ってきて寅太郎の膝に乗った。
2人で寅太郎の両膝に座って机の上に顎を乗せる。
私もさいらも小学生と言うわけではないし、そこそこに育っている。
年齢以上に幼く見えるさいらは兎も角、私は通常の16歳には見えるから最近ではあまりくっつきすぎるのは良くないと屋敷の人から怒られる事もよくある。
確かにそうかもしれないとも思うのだけれど、まあそれでも寅太郎の体は大きくて2人で飛び乗ってもビクともしないものだからなんとなく膝に乗る癖は改まるようでいて改まっていない。

しばらく2人で寅太郎の膝の上でもぞもぞと遊んでいると頭の上から
「あ、そうだった。」
と何かを急に思い出したように呟く声が聞こえた。
寅太郎のその声がいつに無く苛立った声だった為、思わずさいらと私は顔を見合わせて上を見上げる。
762 ◆/pDb2FqpBw :2005/11/30(水) 16:09:52 ID:GujbUrat

「お兄様?」
声を掛ける。

「忘れていた。明日からあの我侭坊主が来るから、さいらと一緒に色々と準備をしておきなさい。」
と、苦々しげに言った。
我侭坊主とは家城京介様という寅太郎の親戚の人である。
詳しい事は判らないがしょっちゅうこの屋敷に訪れるものの、その間中2人で長時間書斎に篭っては何かを話している。
寅太郎とは反りが合わないのか廊下を歩いていると寅太郎の怒鳴り声が聞こえてきたりする。
寅太郎が我侭というからにはきっと京介様は我侭であり、困った人なのであろう。と私は思う。
この前テレビでやっていた放蕩者という職業なのかもしれない。
そう思いながら見てみると京介様という方は寅太郎に比べて線が細く、なよっとしているように見えた。
まあそれを言い出せば大抵の人間は寅太郎よりもなよっとしてはいるのだけれど。

「いつも通り京介様と本間さんですか?」
京介様は専用の客間、本間さんは使用人の中でも偉い人なので、使用人の部屋の中でも最高ランクの部屋を用意する。

「ん。む。いや、それ以外に女の使用人も一人来るらしい。使用人は使用人の部屋を使ってもらうといい。」

「はい。わかりました。」
女性使用人とは婆やさんの事だろうか。
お年寄りが使いやすいであろう部屋を頭の中でリストアップする。お手洗いが近い方が良いかもしれない。
763 ◆/pDb2FqpBw :2005/11/30(水) 16:15:28 ID:GujbUrat

「ああ、それと後良い鮭が手に入ったから明日、あの坊主が来たらそれを出すように言っておきなさい。」
「はい。京介様が来たら鮭をお出しするように厨房に伝えておきます。」
寅太郎の言葉を繰り返す。
我侭坊主我侭坊主という割に、寅太郎は京介様が来る度にやれあれが手に入ったからそれを出せだのやれこの酒を買って来いだのと普段ではしない位になんだかんだとマメに注文をつける。
不思議な事だ。我侭で迷惑な人なら放っておけばよいのに。と私は思う。
勿論そんな事は口に出さないけれど。
私が寅太郎の膝から飛び降りるのを見てさいらも同じようにぱっと飛び降りる。

「じゃあ、兄様遊んでくれてありがとうございました。また後で。」
「お兄様また後で。」
二人でぺこりと頭を下げて背中を向けた。

「ああ、夕ご飯まではゆっくりと休むように。」

寅太郎の声を聞きながら扉を閉じる。さいらを見ると先程までべそを書いていたのが嘘のようにニコニコとしている。
私と一つ違いの15歳の割にまだ子供のような所が多いのは、ここではさいらがずっと一番年下だという事にも関係しているのかもしれない。

「夕食のお手伝いしに行こう。」
さいらの手を引く。

そう。私とさいらは家城家のいわゆる使用人だ。
勿論、私とさいらと寅太郎の間に血縁関係は無い。
他の使用人より少し年齢は若いけれども、れっきとした使用人の一人である私とさいらが主人である寅太郎を兄と呼ぶのには少しだけ理由がある。
764 ◆/pDb2FqpBw :2005/11/30(水) 16:20:50 ID:GujbUrat
----------------------------------------------
>425以来です。

いつも感想ありがとうございます。

今日の所はこんな感じで。
容量もあれなので次は次スレでしょうか。
書け次第投下します。

ノシ
765名無しさん@ピンキー:2005/11/30(水) 17:07:19 ID:LbfLd0c/
幼馴染みスレ投下から
待ってました。
GJです。
766名無しさん@ピンキー:2005/11/30(水) 17:15:18 ID:sO6l7p5l
GJ!!!
767527 ◆k8fXz6W8GA :2005/11/30(水) 17:59:15 ID:VQ/pKhLV
待ってました!
お待ちしてましたよ!
GJです!
768名無しさん@ピンキー:2005/11/30(水) 19:38:30 ID:yKIFBi91
足軽さんのところのリク美春さんになったのか
楽しみだ
香織さんも早くこないかなー
このスレ次々に職人さんが現れて嬉しい
769名無しさん@ピンキー:2005/11/30(水) 19:39:14 ID:yKIFBi91
サゲ忘れすいません
770名無しさん@ピンキー:2005/11/30(水) 21:00:05 ID:bG7qNLRH
GreenHillということはうに氏ですか。GJです!

それにしても最近職人さん方が毎日のように投下してくださって心から嬉しいです。
771名無しさん@ピンキー:2005/11/30(水) 23:29:05 ID:rw57RsLj
>>768
マジか!?
凄い嬉しい俺ガルフォード
772名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 01:11:03 ID:crAe8vgo
>>764
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGH


……吸いません、興奮しすぎました。( ;´・ω・`)
◆/pDb2FqpBwさんの作品、さわやかな感じが好きです
773名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 21:13:16 ID:DfTibKJd
京介さんと香織さん早く出てこないかなー
wktk
774名無しさん@ピンキー:2005/12/02(金) 22:24:45 ID:uybkP8vm
そろそろ職人さん投下してくれないかなー
775名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 00:25:33 ID:eguBY1/b
キタキタ
776名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 00:30:27 ID:PwLbwtnD
喜多さん…可愛い…可愛いよ…
桐野もすっげぇいい奴です。
777名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 00:32:07 ID:7TjNRRzY
足軽氏の知識の引き出しは無限か!?

喜多さん可愛すぎる、ごちそう様でした。
778名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 00:48:57 ID:e0/qCJfw
き…喜多さん
半端無さ過ぎるな
桐野も目立つ彼女もつと大変ですね〜
779名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 00:58:18 ID:r2+j8o9G
喜多さん最高だよ・・・。足軽氏はもう神としか思えない。
780名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 09:12:50 ID:jp1eAoBV
・・・メールで感想書いたほうがええんちゃう?(;´Д`)
781名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 09:47:23 ID:e0/qCJfw
喜多さんは初めはここに投下されていたし喜多さんの更新を知らせてくれるのでここに感想書いてオケだと思います
作者さんもここは見てるらしいし
782名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 13:34:48 ID:y5v34zWf
当該サイトに行ってない身からすると、どっか別にBBSでも作ってやってほしいとは思うのだが。
それか作者がこちらにも投下するか。
783名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 14:01:18 ID:GwcCM2yd
このスレに投稿されない作品部分にまでここで感想を述べるのはスレ違い
784527 ◆k8fXz6W8GA :2005/12/04(日) 16:58:19 ID:qVceHI9+
喜多さんかわいいですね、燃料になりました

いま燃料補給された勢いで続きを書いてるんですが20KB超えそうなので次スレに乗せようかなって思ってます

どうも短くまとめるのが苦手です
785名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 17:01:02 ID:ESHqY2C1
>>784
次スレって200以上ありますやん
786名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 17:10:17 ID:JSzTEC1H
容量、容量。


ってか、480超えてるやん。このスレ。
787名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 17:12:54 ID:DfdJYIJm
容量の話じゃないかなもうすぐ500KBいくし
>>527 ◆k8fXz6W8GA
んなこと言われると次スレを今すぐ立てたくなるじゃないですか
788名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 17:32:04 ID:BV6FFoAl
できるだけ短レスで埋めるんだ!
789名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 20:22:51 ID:FGfxMZoH
桐野良い800行ったら新スレ立てちゃう?
790名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 20:43:11 ID:8jno7K7s
持つかな?
791名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 21:04:47 ID:AC6e5CCh
埋めますか
792名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 21:13:53 ID:5Oe/q2cd
沈黙のデッドマンズ・ギャラクシー・デイズで吹いた。まさかここでミッシェルネタを見つけるとは…
ともかく足軽氏乙!
793名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 21:14:58 ID:FGfxMZoH
789ですが、

×桐野
○切りのor限りの

だわ。意味わかんねー文章書いてすみません。
794名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 22:49:14 ID:XWsKCPu8
>>793
違和感が何故か無かったのはここだけの秘密だ。
795名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 23:07:45 ID:r2+j8o9G
で、結局埋めるということでおk?
796名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 23:38:47 ID:AC6e5CCh
確かに桐野が自然と脳内変換されてスルーしてたw
797名無しさん@ピンキー:2005/12/05(月) 00:36:07 ID:uk+vBj5H
ミキちゃんの続編をまだ待ってる俺
798名無しさん@ピンキー:2005/12/05(月) 01:04:24 ID:IngDg/b4
>794
俺も違和感なくスルーしてた
799名無しさん@ピンキー:2005/12/05(月) 08:31:59 ID:sCf4n04A
800まであとひとつ
800名無しさん@ピンキー:2005/12/05(月) 12:05:26 ID:fZuC8vph
saiさんまだかな〜
801名無しさん@ピンキー:2005/12/05(月) 13:28:00 ID:IngDg/b4
800越えたけど新スレどうすんの?
オレ携帯からでやり方分かんねぇんだわ
802 ◆iYpdzeKy5k :2005/12/05(月) 22:18:44 ID:v9Lx36J+
「ねぇ、仁」
「ん?」
 ベッドに転がって雑誌をパラパラとめくるちとせ。
 仁はベッドの下でゲームをしている。
「仁の好きな人って誰?」
「ん〜」
 仁が顔をあげる。
「近くて遠い人」
「なにそれ。なぞなぞ?」
「そんな感じかな」
 ちとせは雑誌を置いて起き上がる。
「遠距離恋愛?」
「ちょっと違う」
「え〜。でも、ちょっとか。何が遠いんだろう………ヒント」
「は?じゃあ、ここは何県?」
「静岡。えぇぇ。全然わかんないって」
「ヒントしゅうりょ〜」
「教えなさいよ」
 仁の肩を掴んでグラグラと揺するちとせ。
「もう、これで終了。おしまい。あ、ちとせの好きな人教えてくれたらもう一個ヒントあげる」
「それって、全然対価違うし。それに私は今は好きな人いませんよ〜だ」
「あれ?そうなの。恋はしたほうがいいよ?」
「…………ば〜か」
「ちとせには言われたくないなぁ」
 二人はケラケラと笑いながらお互いに他愛も無い話を続ける。
 酒を飲み、音楽を聴き、テレビを見る。
 楽しい時間はあっという間に進んでいく。
「ねぇ……好きな人って。誰?」
 ちとせの問いかけに仁は応えない。
 代わりに聞こえる微かな寝息。
「寝ちゃったんだ。もう、こんな時間かぁ」
 ちとせは立ち上がり、毛布を仁の体にかける。
「おやすみ」
 起こさないようにゆっくりと部屋を出る。
「おやすみ。ありがとうな………ちとせ」
 ちとせの居なくなった部屋に、仁の声が微かに部屋の暗闇に消えていった。
803 ◆iYpdzeKy5k :2005/12/05(月) 22:20:06 ID:v9Lx36J+
 帰宅途中の仁。
 大会が近いせいで、帰る時間はもう真っ暗だ。
「先輩、少し厳しすぎ。お?」
 アパートの前。
 ちとせを見つけた。
「あれ?誰だ?」
 ちとせと一緒に誰か男がいる。何か話し合っている……いや、言い争っている感じだ。
「あ、やっと帰ってきた」
 ちとせが仁に気づいて駆け寄ってくる。
「お?ただいま。どし」
「この人が私の彼氏。アンタなんか、もう彼氏でもなんでもないの」
 仁が聞き終わる前に、ちとせは腕を掴む。
「はぁ?このガキがかよ。どうせ、嘘なんだろ?そんな嘘つくなよ」
「彼氏ったら彼氏なの!!ね、仁。そうだよね」
 仁と目のあったちとせの瞳。涙で濡れている。
「………あぁ」
 ストーカーまがいのちとせの元彼。それが目の前の男。
 全てを悟った仁。
「ちとせは俺の彼女だ」
「ぁっ」
 仁はちとせの肩を抱き寄せ、キスをする。
「……んっ………はぁ……仁、いきなりなんて強引だよ」
「ごめん。でも、アンタもわかったろ。俺とちとせの関係」
「あぁぁ!?」
 ストーカー男が仁に殴りかかる。
「おいおい」
 ちとせを抱きしめたまま、上体をそらしただけで簡単に避ける。
 避け際に足をひっかけると、男は簡単に転んだ。
「で?アンタはなんなんだ?」
 仁は上から男を覗き込む。
「ひっ」
 仁の睨みに男がひるむ。
「二度とちとせに近づくなよ」
 男はコクコクとうなずく。涙目になっているところを見ると睨んだだけで相当こたえたようだ。
「んじゃ、帰るか。ちとせ」
「うん」
804 ◆iYpdzeKy5k :2005/12/05(月) 22:20:26 ID:v9Lx36J+
「ふぅ」
 仁の部屋に入る二人。
 ちとせは、ベッドに腰掛けて落ち着く。
「ごめんね」
 仁はちとせに背を向けてたっている。
「あ、俺の方こそ……キスしちゃったし」
「いいよ。初めてじゃないしさ」
「そうかもしれないけど」
 仁はうつむく。
「なに落ち込んでるのよ」
「落ち込んじゃいないけど」
「はぁ。人の後ろの初めて奪った人が、キスくらいで」
「あれは!………酔ってたし。初めてだったし」
 仁が勢いよく振り向く。
 ちとせは手を広げている。
「もう一回……抱きしめて」
 仁は小さくうなずき、ゆっくりとちとせを抱きしめる。
「……キス……して」
 もう一度うなずく。
 キス。
「んっ」
「……!?」
 ちとせの舌が仁の中に入ってくる。
 ソレは仁の歯を舐め、唾液を流し込む。
「ちとせ」
「仁………して」
 ちとせは仁を抱きしめたままベッドに倒れこむ。
805 ◆iYpdzeKy5k :2005/12/05(月) 22:21:06 ID:v9Lx36J+
「ぁっ……んんっ…」
 ちとせの乳房が優しく揉まれる。
「ゃ。もっと他のとこも。ひゃん」
 勃起した乳首を指でこね、軽くつねあげる。
「ちとせのおっぱい。凄く気持ちいいよ」
「うぅ……ぁっ……小さいから…んっ…私は…嫌い」
「そんなことないって。可愛いよ」
 ちとせの胸に顔をうずめ、舌を這わせ、口付ける。
「………仁」
「ん?」
「……ちょっと切ない」
「どうしてほしい?」
「…………絶対に離れないくらいに、抱きしめて……仁を感じさせて。痛いくらいに」
「うん」
 強く抱きしめる。
 微かな痛みを感じる程度に。
「あったかい」
「うん」
 ………仁の胸に寄りかかるちとせ。
「ちとせ」
「ん?」
「………好きだ」
「……………うん。私も……私も、仁が好き」
 二人はそれだけを言うと、深い眠りについた。
 お互い、満ち足りた顔で寄り添って。
806 ◆iYpdzeKy5k :2005/12/05(月) 22:23:18 ID:v9Lx36J+
結構期間あいてしまいました。
色々忙しくって。あと少し続きます。駄文ですが、最後までお付き合いください。
807名無しさん@ピンキー:2005/12/05(月) 23:53:07 ID:UslpU3iR
次スレたててみました
気の強い娘がしおらしくなる瞬間に… 第4章
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1133794297/
808名無しさん@ピンキー:2005/12/05(月) 23:59:26 ID:IngDg/b4
ちとせちゃんカワイイですな、GJです!
809527 ◆k8fXz6W8GA :2005/12/06(火) 00:02:45 ID:IAZlswNq
◆iYpdzeKy5kさん、GJです!

小太刀の話もお願いします!

続き書けたので新スレのほうに落としときますね
810名無しさん@ピンキー:2005/12/06(火) 01:17:58 ID:z/zzTslB
◆iYpdzeKy5k氏
GJ!ちとせさんかわいいっす。

>「はぁ。人の後ろの初めて奪った人が、キスくらいで」
ちょっwwwそこ詳しくとか無理ですかね?
811名無しさん@ピンキー:2005/12/06(火) 02:02:49 ID:oGZ2NWFn
>◆iYpdzeKy5k氏
GJです!最後まで喜んでお付き合いしますよ!!
812名無しさん@ピンキー:2005/12/06(火) 02:06:52 ID:8hKhHtwV
>>806
なんか話がとんで分かりにくいんですが…
好きな人を聞く下りから元カレの絡みの間になんかあったんですかね…ぜんぜんピンとこない
813名無しさん@ピンキー:2005/12/06(火) 23:15:30 ID:/6eceGnM
この話は全部の流れを最初から読んでみたいです
期待してます!GJ!
814名無しさん@ピンキー:2005/12/08(木) 13:56:16 ID:dIA8ky02
やっほーい!!!
815名無しさん@ピンキー:2005/12/10(土) 23:58:35 ID:utleVJMW
埋め?
816名無しさん@ピンキー:2005/12/11(日) 00:37:29 ID:4i7WAn51
埋めるのと、そのまま放置と、どちらの方が負担が掛かるん?
そこんとこが未だに良く分からんのですが。
817名無しさん@ピンキー:2005/12/11(日) 12:12:38 ID:lMqX3f1M
トリガの容量超えたら放置の方が負担がかからない。
書き込みの度に鯖には負担がかかる訳だから。
818名無しさん@ピンキー
重いスレがライブで放置されているのは鯖に優しくないから
容量490KB(だっけか?)もしくはレス数980を超えたら放置がいいね。
一日書き込みがなければ落ちるから。