【修羅】川原正敏漫画のエロ( ̄ー ̄)2ッ【海皇紀】

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
「パラダイス学園」「あした青空」「エンジェル」「ヒーロー」
「修羅の門」「修羅の刻」「海皇紀」でお馴染みの
有りそうで無かった川原正敏作品をよりエロくするスレ。

ルール無用何でもアリアリ。多方面のエロ投下よろしく。
川原ヒロインを剥いちゃって下さい。

前スレ 【修羅】川原正敏漫画でエロ( ̄ー ̄)ニッ【海皇紀】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1093983167/
2名無しさん@ピンキー:2005/04/27(水) 23:47:31 ID:KjPAxrTG
2get
3名無しさん@ピンキー:2005/04/27(水) 23:48:17 ID:kRiRDgwl
速い!
4名無しさん@ピンキー:2005/04/27(水) 23:49:45 ID:W666Gbxi
おいおい見ろよ、1様がおもらしだ。
5前スレ159:2005/04/28(木) 00:06:48 ID:RL6WvaBF
ありがとうございます1様!!
信頼もするし尊敬もします!
6名無しさん@ピンキー:2005/04/28(木) 00:41:55 ID:+szPWXaN
>>1
乙!

第二幕の脚本は、オレが書く・・・!(嘘冗談w)
7名無しさん@ピンキー:2005/04/28(木) 01:31:11 ID:riBWeykz
今度こそ 2ィ になると思ったのにw
新スレおめでとうでござるよ
8名無しさん@ピンキー:2005/04/28(木) 03:32:59 ID:1CmNKnF2
ho
9名無しさん@ピンキー:2005/04/28(木) 10:50:33 ID:2whCtCbA
十兵衛続きを待ちわびてござる
10名無しさん@ピンキー:2005/04/28(木) 19:53:23 ID:/q/feRsd
新スレおめ。
せっかくだから作品を保管庫にいれてもらったらどうだろう?
11名無しさん@ピンキー:2005/04/28(木) 23:22:45 ID:CcVFWrVm
>>1
乙カレオニスノシ

ホカン庫賛成!
でも、どうするのかと…
12名無しさん@ピンキー:2005/04/29(金) 00:59:54 ID:8XLRej03
ん?ここ単独の保管庫を…ってことではなく
エロパロ保管庫に収蔵してもらおうってことでしょ。
13名無しさん@ピンキー:2005/04/29(金) 01:53:18 ID:v2mbrvR5
そんなんあるんだ
14名無しさん@ピンキー:2005/04/29(金) 12:41:44 ID:bRpkshNo
15キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/04/29(金) 19:36:08 ID:SZSn6qV4
1さん乙です。

保管庫の方調べてきましたが、作者名とSSのレス番を整理して作者の許可を取ったら、連絡スレッドに書き込めばいいみたいです。
ちなみに、私は収納OKです。
16一五九:2005/04/30(土) 00:45:25 ID:BOqyg8xx
前スレの159です。
前スレでコテがあると良いとのご意見がありましたので変えてみました。
いいコテ思いつきませんでした。すみませんorz

保存庫の件は自分も大丈夫です。
17前スレ596:2005/04/30(土) 01:12:12 ID:cQuAn8U7
おおっ、いつのまにか新スレが立ってる! 1さん、乙です。
また遅ればせながら前スレで私のSSにコメントつけてくれた人どうもです。
何か妙に「キンテキハ」の印象が強かったような・・・・ あんなに話題に
されるとは思わなかったです。
レイプものは嫌悪感を抱く人も多いし、スレの雰囲気を壊しかねないので
ちょっと投下に躊躇したのですが、何とかセーフみたいなので安心しました。
私はこの手のヘタレでワンパな陵辱モノしか書か(け)ないのですが、また機会が
ありましたらもう一度「舞子」か、もしくは「詩織」か「ニルッチイ」を陵辱の
餌食にしたいと思っております。
 
あと159さん、あれだけの長文を冗長・散漫にならずに書き続けられる
文章構成力に感服です。あれでまだ半分とは・・・・ 自分とはエライ違いだな。
キーさんの新作もお待ちしております。
18名無しさん@ピンキー:2005/04/30(土) 02:27:48 ID:WBx/w99e
コテよりトリップつけるのが先かと>一五九さん、前スレ596さん
コテだけじゃ他人が書き手さん本人を騙っても見分けがつかないからね。
保管庫に収蔵うんぬんの話題がでたので老婆心ながら一応。
19名無しさん@ピンキー:2005/04/30(土) 02:40:38 ID:7OE1ynsi
159さん乙!!
すげーおもしろいっす!
続き待ちわびてた甲斐があったー!
159さんの圓て姫様姫様しててモエー
姫様萌えの属性がある俺はもうドキドキしてしょうがねー。
20名無しさん@ピンキー:2005/04/30(土) 09:44:31 ID:aJwRe1jQ
このスレも2スレめか・・・
即死した頃から知ってるから感慨深いな。
職人さまの作品、お待ちしております!!
21名無しさん@ピンキー:2005/05/02(月) 05:49:56 ID:CC7S69xi
最近は、即死条件も変わったっぽいしな。
22名無しさん@ピンキー:2005/05/02(月) 23:55:42 ID:gvztb6zn
なんかかわったの?
ぬるくなったとか?
23名無しさん@ピンキー:2005/05/03(火) 00:15:17 ID:630hlM8X
前は2日で30以上いかなかったら即死じゃなかったっけ?
24名無しさん@ピンキー:2005/05/03(火) 00:34:24 ID:1DBT8YfZ
死なないでぇ(´・ω・`)

海本編は最近ファソが妙に人間臭くて良い
こちらでも何らかの作品を期待したいところ
25名無しさん@ピンキー:2005/05/03(火) 17:44:19 ID:G8OxVYpW
ニッより下がってるので上げ。

ゴールデンウィーク中に職人さんこないかなぁ。。
26名無しさん@ピンキー:2005/05/05(木) 19:16:43 ID:86n1MIQi
普通に負け?てたし…
今まで、美味しい所持って行く場面ばかりだったからな。
27名無しさん@ピンキー:2005/05/05(木) 21:27:46 ID:WlzSmWdw
保守上げ
28名無しさん@ピンキー:2005/05/05(木) 23:21:13 ID:BzlU6O0j
久しぶりに覗いたら、新しいの立ってたよ

約10日でこのレス数はびびったけど、いつのまにやら2日で30はなくなったんだね
いままで保守出来てよかったよ、ごくろうさま>ALL
29名無しさん@ピンキー:2005/05/07(土) 19:57:02 ID:CZDJP3Ud
ファンxマイアが見てえ…
ダメですか職人様…

ということでホシュ
30名無しさん@ピンキー:2005/05/07(土) 21:35:23 ID:zhyvGHkP
保管庫お願いに行ってきます。
31名無しさん@ピンキー:2005/05/07(土) 22:58:53 ID:aowmV9yK
そういえば、メルダーザが尻軽に見えるのは俺だけか?
32名無しさん@ピンキー:2005/05/08(日) 00:06:24 ID:etnaE92e
そうは見えないけど…片思いを秘めていていじらしい。
その点ではヴェダイもいじらしいw
33名無しさん@ピンキー:2005/05/08(日) 01:25:58 ID:hEt4+e3N
数日前少年漫画板の海皇スレで、マイヤいじめっ子、メルいじめられっ子意見に対し
反対の方が萌えるって言う少数派を見たが、ここにも少数派発見!
メルがいじらしいってのはノーマルな見解だが、尻軽意見は初見だなw

そんなおいらは、少数派野郎どもを応援する
34名無しさん@ピンキー:2005/05/08(日) 10:22:49 ID:1AkU9UEU
メルは今までの人寂しさゆえに惚れっぽいんだよ。
ちょっと目立ったことして、さらに優しくしてやればイチコロなものの
ヘタレなヴェダイにはそれができずに切歯扼腕の日々。
35名無しさん@ピンキー:2005/05/08(日) 12:47:07 ID:nY9/x5D1
前スレの159様が書いた出海×蘭を見て
凄い幸せになりました。
出きればまたこの二人の話を見たいんですが
土方戦後〜結婚〜出産
ってな感じでw

密かに職人サン応援してますYO!
36名無しさん@ピンキー:2005/05/09(月) 20:14:34 ID:PPRkON7I
>>30
>>15で書いてるように、作者とSSと題名とレス番とを整理しないといけないんじゃないの?
3730:2005/05/09(月) 22:12:20 ID:d3od2SSv
>>36
レス番等を整理して再度お願いしてきた。
後は保管されるのを活目して待つ。
38名無しさん@ピンキー:2005/05/12(木) 22:21:02 ID:YBREWaBb
>>30>>37)乙です!

我も刮目して待つ!
39名無しさん@ピンキー:2005/05/12(木) 23:06:26 ID:sTJxvShi
当方女だが、私はメルの方がよっぽど尻軽に見えるな。
私はメルのそういう所が可愛いと思うけど(メルもマイヤも好きじゃい)
あれが気になる読者(特に女子)は多いんでねえの?とはずっと思ってた。

私的にはマイヤの方がいじめられっこに見えるが。
そしてそっちの方が濡れるが。職人さん方の活躍を刮目して待つ!
40名無しさん@ピンキー:2005/05/12(木) 23:28:04 ID:pZoGHA3q
いや、尻軽もへったくれも、メルに男を手玉に取るって思想ないから。
というかメルは色恋理解できてないから。寂しくて心細いだけだから。
ヴェダイやファンに粉かけてるようには見えるが、単に頼りたいだけなんだろうなあ。
41名無しさん@ピンキー:2005/05/12(木) 23:46:12 ID:HRPsXn7t
>>39
よっぽど見えるって言われても、誰と比べて言っているのかな・・・。
マイアが尻軽だとは誰一人書いてはおらぬよ。落ち着いてね。
漏れも40に同意だなぁ。

マイアとメルはそれぞれタイプが違ってどちらもカワイイ。
できれば仲直りして欲しい。
王海走で勝った時、抱き合って喜んでたみたいにさ。
42名無しさん@ピンキー:2005/05/13(金) 00:34:04 ID:OHRBOMZa
「当方女だが」なんて書き出しいらねーから。ほんとマジに。
4339:2005/05/13(金) 11:42:18 ID:K46RvDqG
ここってホント女だって自己申告嫌われるのな。
ごめんもうしねーよ。すまんかった。
どっちも好きだよと言いたかったんだよ…。
44名無しさん@ピンキー:2005/05/13(金) 20:27:39 ID:jtUbvbdd
そりゃそうだ(´・ω・`)
45名無しさん@ピンキー:2005/05/13(金) 21:06:49 ID:xUByCE3+
自分語りはどこでも嫌われるんじゃね?
口調もウザいが。
46名無しさん@ピンキー:2005/05/14(土) 00:23:39 ID:hIAGL6LK
「自分女です」という自己申告が嫌われるんでなくて
自己申告する女のレスは例外なくウザいからどこでも嫌われるということにそろそろ気づいたほうがいい。
しかも>43でわざわざ自分から傷口広げていってるし。
47名無しさん@ピンキー:2005/05/14(土) 00:37:23 ID:ioUlx+0H
2chで女性が自己申告して書いてると、それだけで目を引くので。
それはしょうがないが、これは目立ちたがり屋が人の目を引いて、
無理やり意見を押し付けて悦に入る手段としても有効だったので。
だから2chではガンガン悪用されて、多くの人をゲンナリさせている。

だから、そういううざったい目立ちたがり屋と同じだと思われたくないなら、
自己申告はうまくないかなあ。とだけ。
(何でこのスレでこんなこと訥々と書かなきゃなんないんだろう)
48名無しさん@ピンキー:2005/05/14(土) 02:15:02 ID:UWPYUqCg
ともかく職人待ち
圓かわいいよ圓
天斗が手を出す気満々なのがいい
49名無しさん@ピンキー:2005/05/18(水) 01:59:43 ID:B+QD8P58
満々と言う響きがイイ
50SS保管人:2005/05/20(金) 02:15:21 ID:jh7imI+c
2chエロパロ板SS保管庫
http://s1.artemisweb.jp/sslibrary/


収蔵完了しました。
51名無しさん@ピンキー:2005/05/21(土) 01:32:03 ID:of/xEKD4
ほっしゅ
52名無しさん@ピンキー:2005/05/23(月) 19:53:42 ID:v4UD34+t
>>50
SS保管庫収蔵乙カノープ!

目出たいのに下がり杉なのでageときますよ〜
53名無しさん@ピンキー:2005/05/23(月) 23:25:35 ID:nb1M2um1
54キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/05/26(木) 22:52:25 ID:ATFlLF1X
湯煙は硝煙の名残
「………………。」
長野へ向かう新幹線の車中。木村は窓の外を眺めていた。
弥生から湯治に行かないかと誘われたのは数週間前。二つ返事で了承した。
もし、仕事で遅れて迷惑をかけるわけにはいかないからと、新幹線のチケットを別々の時間にとったのも理解は出来る。
実際、急用が出来た弥生は後からの電車でくることになってしまった。
今、隣の座席には橘がいる。彼女は弥生と同じく神武館の門下生で、よさこいソーランの一緒のチームに入っているそうだ。
口数が少ない彼女から話を聞き出したところ、彼女も温泉にいくところらしい。
橘が『保護者』と一緒ではないことを不思議に思いつつ、木村はぼんやりと流れる風景を眺めていた。

「…………。」
飛田は困っていた。
急な打ち合せの終わった時間が発車時刻数十分前だったそうで、疲れているのは聞いた。
最近まで色々忙しくて睡眠時間が減っていたという話も聞いた。
だが、あまり疲れているからといって仲間の恋人の肩にもたれて眠る弥生の行動はあまり感心できない。
彼女のことは梓から聞いていたし、見せてくれたよさこいソーランの写真で顔も知っていた。
確か彼女にも恋人がいた筈である。彼女がどこで下車するかは知らないが、無事に目的地に着けることを心の中で祈る飛田であった。
55キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/05/26(木) 22:53:24 ID:ATFlLF1X
合流場所の駅構内。
そこで、思わぬ鉢合わせが起こった。
待合室には荷物を膝に置いた木村と荷物を抱えて転寝する梓。
入ってきたのはまだ少し眠そうにふらつく弥生とそれを気遣う飛田。
四人の間に沈黙が流れる。
「…飛田さん?」
気まずい空気を打ち切ったのは、目を覚ました梓の嬉しげな声だった。
さっきまで寝ていたのが嘘のような顔で立ち上がろうとする。
「おとと…。」
だが、膝に抱えた荷物を落としそうになりつんのめった。木村がすかさず荷物を持ってやる。
「すいません。」
「落ち着け…注目の的になってる。」
木村に言われ、辺りに視線を走らせる梓。確かに、待合室にいた人々の視線がこちらに集中している。
しかもその中には、飛田に気付いた様な素振りを見せている待合客もいた。
四人は顔を見合わせ、小さく頷きあう。
「こういう場合は。」
「速やかに、」
「自然に」
「立ち去る。」
木村から荷物を受け取る梓。
荷物を持ち、すっと立ち上がる木村。
小さく欠伸をし、木村に寄り添う弥生。
寄ってきた梓を庇うようにして、出入口に足を向ける飛田。
ごくごく、自然に見えるように動く四人。
「せーの。」
待合室から出た四人は、全速力で駅構内に走った。
行き先が同じだと言うことを、男たちはまだ知らない。
56キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/05/26(木) 22:54:42 ID:ATFlLF1X
「あ、せや…梓も聞いてる思うけど、迎え、ここに来るって。」
駅前へと走りながら話す弥生に、梓は小さく頷いた。
「ええ、でも最寄り駅に行くには乗り換えが…。」
「山越えのルートで、電車より早く宿に着けるいうてたけど…。ねぇ、梓。あん人の匂い、せぇへん?」
「…しますね。強烈に。あの人なら、今の私達の『状況』を知ることぐらい造作でもなさそうですから。」
「…あの人って誰だ?」
ずしりと響く声に走っていた弥生と梓の足が止まった。
声の持つ重圧感に振り向けず、背を向けたまま口を開く。
「…張島さん言う、探偵さんで、よさこい仲間で、これから行く温泉、その人の紹介なんどす。」
「お…女の人ですよ?!北天舞人の方で、私達とは別チームですけど、大きいイベントの時は神龍娘々で合同参加してて…。」
矢継ぎ早に説明する二人。と、その時。
「橘様と蕗錦様、お迎えにあがりました。」
「!?」
後ろから話し掛けられ、木村と飛田が驚いて振り返る。
声の主は旅館の法被に地味な背広姿。背は標準的な男性ぐらい。前髪が長いからか若く見える。
鼻筋の通った男前といった感じだが、その胸にはありえない膨らみが。
平時とはいえあっさり二人の背後を取ったところといい、一般人とはとても思えない。
その人物の顔を見て、梓と弥生は同時に声をかけた。
「張島さん…!」
「張島はん…!?」
57キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/05/26(木) 22:55:59 ID:ATFlLF1X
「こいつが…。」
「張島…!?」
胸さえ見なきゃ美男子にしか見えない張島に唖然とする木村と飛田。
「お車までご案内いたします。ささ、こちらへ…。」
営業スマイルを浮かべる張島。だが、その瞳の奥は全く笑っていない。
「……事情は知ってる。完璧なルートを用意したから。」
「おおきに。」
「助かります。」
張島の案内について歩く四人。駅を出た四人は、駐車場に停めてある張島が乗ってきた四駆に乗り込む。
助手席に梓、後部座席に飛田、弥生、木村の順で座り、張島が荷物をトランクに積み込む間、雑談を始めた。
「芸能記者に追われてるのか。」
「…あぁ。何故かは知らないがな。」
「浮気でもしたのか?」
「…やめてくれ、梓が泣く。それ以前に同居人にさばかれる。」
「昔の人がらみとちゃいます?良え仲だった人が独りになって…って感じで。」
「…なら、いいんですけどね。」
梓の声にしんとなる車内。と、その時。張島が運転席に乗り込んできた。
「それじゃ行きます。」
シートに腰を降ろし、がっちりベルトをかける張島。
「街中は良いですが、山に入ったらお喋りはやめてくださいね。」
キーを回し、エンジンをかける。
「…舌、噛みますから。」
駐車場を出た数分後。
四人の絶叫が山中に響き渡った。
58キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/05/26(木) 22:57:51 ID:ATFlLF1X
「いらっしゃいませ!あ、お張さん、お疲れさま」
「ただいまー。客の介抱頼むね。」
「…………。」
張島の『捕まりゃ一発免許取り消し欠格五年もの、ラリードライバーも真っ青』な運転で旅館に着いた四人は揃って四駆の中でへばっていた。
しばらくして、後部座席のドアが開き、まだ顔色の悪い飛田と木村が出てくる。
と、出迎えの仲居が数人二人を介抱しに出てきた。
「大丈夫ですか?」
「お水入りますか?」
「服、緩めましょうか?」
介抱のどさくさに紛れ、二人の体を触りまくる仲居達。
と、その時。
シュンッ!
開いたままの後部ドアから何かが投げられ、仲居達が慌てて木村達から離れた。
投げられたのは開かれた鉄扇で、先が地面に刺さっている。
どがっ!
少し遅れ、梓の足が助手席のドアを蹴飛ばす音が響く。
「…何、しとるんどす?」
顔色は真っ青を通り越して真っ白、髪が乱れた弥生がゆっくりと四駆から出てくる。
「……!」
ヒュー、ドロドロ…と言う効果音さえ聞こえてきそうな鬼気迫る姿に鉄扇を避けた仲居達も黙り込む。
「大丈夫か!?」
「大丈夫どす………。」
荷物をトランクから出して仲居に渡している圭さえもその姿に目を丸くする。
「うー…。」
今度は弥生よりもまだ顔色がいい梓が降りてきた。
よたよたと歩く梓はまっすぐに飛田の方へ向かうと、ぎゅうっと腕に抱きついた。
柄にも無くむくれっ面で仲居達を睨むと、それで一応気が済んだのか、飛田の腕を引いて旅館に入っていく。
弥生も、体を支えられながら続いて入っていく。
鬼気迫る二人に驚いていた仲居達に、張島が素っ気なく言った。
「『離れ』の客の名前ぐらい覚えときなよ。」
59キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/05/26(木) 23:02:17 ID:ATFlLF1X
保管庫への保管ありがとうごさいます。そして、お待たせいたしました。
エロシーンまではまだかなりかかりそうです。
タイトルの硝煙や、只者ではない仲居達については、後で説明を入れますので…。
それでは、気合い入れて続きを書きたいと思います…。
60名無しさん@ピンキー:2005/05/30(月) 01:04:54 ID:iZqDfNeM
ほしゅ
61名無しさん@ピンキー:2005/06/02(木) 22:23:49 ID:ZBveVzzW
わ・・・・ワロタw
続き楽しみにさせて頂きます!
62名無しさん@ピンキー:2005/06/04(土) 00:34:02 ID:ONiI0UsB
age
63名無しさん@ピンキー:2005/06/04(土) 01:44:07 ID:OmISwhT5
はげ
64名無しさん@ピンキー:2005/06/04(土) 17:28:49 ID:w4Je/cTs
>>62
IDがONi!!
65名無しさん@ピンキー:2005/06/07(火) 19:54:22 ID:A6NhiwEd
age
66名無しさん@ピンキー:2005/06/09(木) 22:44:29 ID:+oq23tkr
age
67名無しさん@ピンキー:2005/06/10(金) 20:38:32 ID:KFqRbXYn
今月の海皇紀はいろいろ妄想がふくらむな
68名無しさん@ピンキー:2005/06/11(土) 00:55:15 ID:RZWi3ZAp
age
69名無しさん@ピンキー:2005/06/11(土) 01:19:43 ID:X5dIHB+/
しかしファンの手紙を抱きしめるメルをああまで切なそうに見つめるチキンハートヴェダイには
再登場までに何か進展させるほどの度胸はあるまい。
70名無しさん@ピンキー:2005/06/11(土) 04:09:01 ID:/G58+eQh
いやいや、ヴェダイはやればできる子ですよ。
4巻のマイアみたくメルを強引に襲う可能性は……低いだろうなぁ。
71名無しさん@ピンキー:2005/06/14(火) 21:22:56 ID:JCx+fA/9
age
72名無しさん@ピンキー:2005/06/14(火) 21:52:27 ID:x0NTIMem
ヴェダイは童貞
73名無しさん@ピンキー:2005/06/15(水) 01:13:27 ID:x/9BXciW
マイアの時ファン達の邪魔さえ入らなければ、、、じつにおしかったニィ
74名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 00:18:24 ID:QvPFyTfs
支援カキコ
75名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 07:26:44 ID:SuyfGN20
ええぃ、つぶらんエロエロはまだかぁっ!
76一五九:2005/06/20(月) 21:57:03 ID:Gks4pqtP
ごめんね、母さん遅筆だから、ごめんね(ノ∀`)
77名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 01:03:51 ID:9mYt/qwO
待ってるよ母さん
78名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 01:56:34 ID:8HsXKPJO
ううっ…、週末なのに人少な、、、
79名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 22:55:34 ID:26pMIWtM
母さん・・・
あなたのこどもでよかったです。
80名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 13:44:33 ID:tUKKsCma
すまん。
エロパロ倉庫の作品が読めないのだが。
81名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 00:21:45 ID:LncgGQ4e
今は全部読めるみたいだけど。落ちてたとか?
82名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 20:33:49 ID:bsSwKFbY
2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.arings2.com/
こっちで見てみそ


しかし、「海皇紀」は中断で「刻」か
83名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 21:34:14 ID:4Jd9/Lc5
基本的に「刻」には女ヒロインが出るからな。
今度は相撲部屋の娘か?
84名無しさん@ピンキー:2005/07/12(火) 08:40:30 ID:xNPqrVmR
保守
85名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 22:54:16 ID:Sg5OZ5YQ
人いないなあ。
刻まではこんなものか?
86パラ学スレの586:2005/07/14(木) 03:28:33 ID:a6egpaWY
では、お邪魔にならないように皆さんが留守の間だけ。

パラダイス学園 −高等部編−
87パラ学スレの586:2005/07/14(木) 03:29:23 ID:a6egpaWY
ミスパラダイス学園、宮崎ちひろは司馬新作と結ばれた。
しかし黙っていないのはメガネの千葉とリーゼントの村山、ちひろファンクラブ
会長の清川、キザ男の島田の4人である。

それから3年の月日が経った。パラダイス学園中等部の生徒は、全員
エスカレーター式に高等部に通っている。宮崎ちひろも17歳になり、
ますます美しい女性になっていた。
そんなちひろをいつもそばで見ている男達は、未だにあきらめきれない思いを
抱いていた。それどころか、ますます想いは募っていったのである。

ある放課後の教室に、未だ宮崎ちひろをこよなく愛する男達4人が集まった。
「ふぅ・・・もともとは司馬がちひろちゃんの大事な部分を見ちゃったから、
彼女はやつのものになったんだろ。だったら今からでも間に合うだろ」
「今から?無理無理。ちひろちゃんは司馬にぞっこんだからな」
「でも、俺達の誰かが食べ頃の身体に成長したちひろちゃんのあの部分を
見てしまったら、状況は変わるかもしれないぜ」
「むむ!それは一理あるな。確かに、司馬が見たちひろちゃんの部分は
まだ幼かったはずだ。3年経って大人の身体になり、恥じらいもさらに
強くなっている今見てこそ、価値がある!」
男達には、惚れ抜いた憧れの女性が必死に隠してきたものを強引に
暴いてしまう・・・そういう征服願望もあった。
美しいものだからこそ、辱めたい・・・
「しかし、いまさら見たところで状況は覆らないと思うぞ。ゆくゆく
ちひろちゃんが結婚して子供を作ったりすれば産婦人科の先生も
その部分を見るわけだし。もう俺達も高校生だ。前のように
ちひろちゃんからパンティを無理矢理剥ごうとすればそれこそ
大問題になっちまうぜ」村山がつぶやいた。

どんよりとした空気が流れる。
88パラ学スレの586:2005/07/14(木) 03:33:46 ID:a6egpaWY
すると、メガネの千葉がこう言った。
「いや、俺は・・・見たい!ちひろちゃんのアソコがどんな色で、
どんな形をしているのか?隠されているものは、暴かれるべきだ!」
これを機に次々と声があがる。
「俺も見たい!」「俺だって!」男達は俄然いきり立ってきた。

そこに、理論派の千葉がさらに火をつけた。
「司馬だってまだちひろちゃんを完全に『解剖』してはないはずだ。
明るい光の中でちひろちゃんのアソコを心ゆくまで鑑賞し、その
クリ○リスを剥き出しにしてしまえば、今からでも俺達は司馬を
逆転できるのではないか?」

男達ののどが、ゴクッと同時に鳴った。
ちひろのクリ○リス・・・なんとリアルな響き!
さらに千葉は続ける。
「そうさ。まだ俺達は司馬からちひろちゃんを奪うことができる。
司馬が知らない部分を知ってしまえば、ちひろちゃんは俺達のものだ」
「そ、それは例えば!?」
千葉のメガネが、その時キラリと光った。
「例えばだ。ちひろちゃんのアソコをむき出しにした時点で、俺達は
司馬に並ぶ事ができる。そして、それ以上のものを知ってしまえばいいんだ」

仲間の一人が、誰ともなくつぶやいた。
「身体を・・・奪うのか?」
89パラ学スレの586:2005/07/14(木) 03:46:54 ID:a6egpaWY
「そうだ。俺達はあの宮崎ちひろの秘密の花園を暴くことで司馬に
並ぶことが可能だ。しかし、もし俺達の誰かがちひろ嬢が大切に守ってきた
バージンを奪ってしまえば、司馬はそれを取り返すことができない!!」

周りが一時の間静まり、そして歓声に変わった。
「うお〜!」「やってやるぜ!」「司馬からちひろ嬢の貞操を奪うのか!最高!」

中等部時代はそもそも「見る」ことしか発想できなかった。
しかし高校生になっていた男達にとって、男と女が身体を繋ぐことは現実的な
世界になっていたのである。
「しかし、悔しいが司馬はあの旅館の一夜でちひろちゃんの処女を
奪ってしまっているはずでは?もう司馬はちひろちゃんの全てを
知ってしまったんだ。チキショー!」
ところが千葉が、勝ち誇ったようにつぶやいた。
「いや、それがだ。俺はこの3年間うまいこと司馬に酒を飲ませて、いろいろと
しゃべらせた。あいつは酒を飲むとすぐに酔ってわけわからなくなるからな。
本人から聞いたところだと、あの初夜はうまくいかなかったようだ。司馬は
男としてどうしていいのか全くわからず、結局キスと胸への愛撫だけで二人とも
満足してしまったらしい」
「なんと奥手な!」「いや、あの二人ならあり得る!」
「しかも、それ以来ちひろちゃんとはキスしかしてないようだ。まあ
あの二人だけにそれも想像できなくはないが。3年もの間ちひろちゃんの
バージンをそのままにしているとは、馬鹿な奴だ」

「ということは、ちひろちゃんはまだ司馬から性の歓びを教え込まれてない!?」
90パラ学スレの586:2005/07/14(木) 03:51:02 ID:a6egpaWY
「その通り。」
千葉は一瞬間を置いてから続けた。
「信じられないことに、ちひろ嬢はまだほとんど手つかずの清純な姫なのだ。
つまりだ。もし俺達がそのちひろちゃんを責め、生まれて初めての感覚を与え
激しく反応させてしまえば、彼女の記憶から俺達のことは一生消えなくなるだろう。」

―――ちひろちゃんの心の中に一生自分の記憶を留めさせることができるのか!
しかも、俺達の手であのアイドル宮崎ちひろを発情させることができる!!―――

「そしてさらに・・・ちひろ嬢をイかせてしまうことができれば、もう司馬の元には
戻れないだろう!」
この言葉を聞いて、男達の欲望は頂点に達した。
「まず愛撫でイかせてしまうんだ。司馬の野郎はまだちひろちゃんのアクメを奪ってない。
俺達は全てちひろちゃんのことを惚れ抜いてきた仲間だよな。やはり処女を奪うのは
一人だけの特権だけに、その前に全員で彼女を司馬から奪う必要がある。」
「そんな、夢のようなことが・・・できるのか?」
男達全員が信じられない思いで千葉を見つめた。その股間はどれもパンパンに
膨れあがっている。
「それこそちひろちゃんを手篭めにしたら、パンティを取るとかの次元じゃないよな。
やっぱりまずいかな・・・」
島田がそこに口をはさむ。
「ちひろちゃんは純粋な姫だから、男に手篭めにされたなんて誰にもいわないさ」
「ほ〜」
「ちひろちゃんが俺達の愛撫でどんな反応を示し、肌の色をどのように染め、どのように
よがるのか、知りたいよな?」
「ち、ちひろちゃんのあの時の声が聞きたい!」
「ちひろちゃんのアクメ顔を見れるのか!しかも、俺達が必死に耐えるちひろちゃんを
アクメさせちゃうのか!!」
もう男達は妄想だけで射精寸前である。全員が、同時に宮崎ちひろの初アクメを
奪えるのだ。
91パラ学スレの586:2005/07/14(木) 03:52:09 ID:a6egpaWY
「たまんねー!!決行は今夜だろ!できれば司馬の目の前で彼女を堕として〜な」
千葉が諫める。
「いや、司馬はちひろちゃんのピンチを前にすると恐るべき力を発揮する。ここはまず
司馬を捕らえて倉庫にでもぶちこんでおき、ちひろちゃんを完全にイかせたあとで
司馬を倉庫から引き出して、処女が奪われる瞬間を見てもらおうじゃないか」
「寝取られか!しかし司馬の前でちひろちゃんを好きにしちゃったら、あとで司馬が
暴れだしたり、何かしでかすぞ」

そこに島田が口を開く。
「そこは俺に秘策がありますよ。今回使うかはわからないけどね。フフフ・・・」
島田の含みを持つ微笑が妙に頼もしい。理論派でならすメガネの千葉も、こと女を墜とす
手管にかけては島田に一目置かざるを得なかった。
「じゃ、きまりだ。」
「オオ!ちひろちゃんがイっちゃうその姿が、本当に見られるんだな!」
「決行は・・・今夜だ!」

学園のアイドル宮崎ちひろに訪れた最大のピンチ!果たしてちひろは司馬のために
守ってきたその全てを奪われてしまうのか・・・!!
92名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 06:12:37 ID:X6PSM1+G
パラ学よく知らないけど、すっげ面白い
ど〜なっちゃうんだ、ちひろちゃ〜ん?!

久々の神降臨、なんの遠慮も為さらずに
続きをお願い致しやす。
93名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 18:00:03 ID:Ld25Y6H6
続き〜 見たい!
94名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 20:41:29 ID:OiI32zfP
キタキタキタキタ続き期待!
95名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 21:04:46 ID:Jb8ykF6K
ちひろと司馬のラブラブカポーに最大の危機が!!!!
初パラ学楽しみー
96名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 21:11:29 ID:NExVQJcn
パラ学スレからよくぞ参られた!

ちびろ〜、イイ感じに犯られてくれ〜!!
97名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 22:11:33 ID:e83Gr2g3
思えば原作の舞台は中学だったのだな。
すげーよパラ学…
98パラ学スレの586:2005/07/15(金) 22:38:25 ID:8RXSKB9V
パラダイス学園 −高等部編−

     (2)
99パラ学スレの586:2005/07/15(金) 22:40:05 ID:8RXSKB9V
そして、その時はやってきた。

まず男達は司馬に寮で「宴会」と称していつものように酒を飲ませると、司馬が
寝たのを見計らって猿ぐつわをかませ、雁字搦めに縛り上げてしまった。
腕も足も二重三重にと縛り上げ、もはや司馬は芋虫状態である。
「こうも簡単にいくとは・・・」
こうして縛り上げた司馬を体育倉庫に放り投げると、錠をかけたうえで鎖を張ってしまう。
司馬は酒を飲んで一度寝てしまうと、朝まで起きることがないことが知られていた。
「フフフ、お前の大切なちひろちゃんは、いまから俺達の腕の中で全てを
晒してしまうんだよ」
100パラ学スレの586:2005/07/15(金) 22:43:27 ID:8RXSKB9V
ちひろはお花の稽古を終えて寮に戻る途中であった。パラダイス学園高等部は
中等部に比べかなり敷地が広く、校舎から寮まではちょっとした距離で、部活が
遅くなるとまるで夜の大きな公園を一人で歩くようなものである。
セーラー服のスカートからまっすぐに伸びた美しい素足が見える。学園のアイドルが
夜の道を一人歩きしていた。中等部でのパンティ争奪戦からすでに3年。まさか
学園の敷地内に危険が待ち受けていようとは、微塵にも思わなかったのだ。
「司馬さんは今、何をしてるかな・・・♪」
男女の寮が分かれているパラダイス学園では夜9時までの門限があり、敷地内では
部活動以外の時間で夜会うことは禁止されていた。ちひろが司馬が会えるのは、
日中の敷地内と土日に制限されているようなもので、なかなかキス以上の関係に
発展しないのも無理はなかった。しかし彼女はそれで充分に満足していた。

―――高校を出たら、司馬さんと本当に結婚しよう、そしてそのときに、
自分の守ってきた身体を改めて捧げよう。―――
101パラ学スレの586:2005/07/15(金) 22:46:45 ID:8RXSKB9V
元々全ての男子生徒が憧れた彼女であるが、今やちひろの美しさは群を抜いていた。
それは、美しいボディラインの形成と共に、内面から来る美しさが大人になり
表に出てきたからかも知れない。
そんな女性が、一人で夜道を歩く。彼女を狙う4人の野獣に気付くこともなく・・・

校舎から寮に着くまでに、ほんの数メートルほど外灯が照らさない部分があった。
そこで、いきなり背後から男が抱きついた。
なんとその姿は、フランケンシュタインである。
そう、千葉はあの肝試しの夜を彷彿とさせる姿をしてちひろに襲いかかったのだ。
それは、あの夜ちひろを逆さづりにしてあわやの完全露出を果たせなかった想いが、
彼にそうさせていたのである。今夜ちひろの全てを奪うにしても、確実にちひろの
女の部分をむき出しにするまでは、念には念を入れてちひろに対して正体を
隠しておこうという狙いでもあった。
「(ひっ!)」
ちひろは叫び声をあげられなかった。あの時と同じく、恐怖で声が出ない。
千葉は後ろからちひろを羽交い締めにすると、村山はくびれた腰をがっちりとかかえ、
他の2人の男は細く締まった足首を掴み、逃げられなくする。
「ああ!」
すかさず口にガーゼが当てられる。キザ男の島田が化学室から盗み出してきた
クロロホルムであった。まさに絶体絶命のピンチ。

ちひろが、男達の腕の中でゆっくりと力を失っていった。
102パラ学スレの586:2005/07/15(金) 23:06:40 ID:8RXSKB9V
ちひろが運び込まれたのは、中等部時代からちひろのファンクラブ会長であった清川の
部屋だった。未だ部屋中にちひろの写真が貼ってある。
あのミスパラダイス学園コンテストで宮崎ちひろのパンティを引き剥がしながら、
あと一歩で女の部分を見逃してしまった大失態は、3年経っても忘れることができない。
しかし、彼には大切な宝物があった。
宮崎ちひろがお漏らしをしたあのパンティを、彼は持っていたのである。あの時
司馬からバケツの水を浴びたちひろだが、あふれ出た小水を完全に洗い流すことは
できなかった。
失態にその晩悔やみ続けた清川も、ポケットにあのちひろのパンティがあることに
気付くと、至高の歓びに変わる。しかもそのパンティは、ほのかにちひろの漏らした
小水の香りがするのだ。スケベで変態なファンクラブ会長にとって、失神しかねない
ほどの大収穫である。
それから三年間、彼はこのパンティの匂いを嗅いでは、ちひろを想って精を放った。
今回千葉にちひろ責めの話を持ち込んだのも、この清川である。
いま、その憧れの天使が、気を失って自分のベッドに寝かされていた。
103休憩 パラ学スレの586:2005/07/15(金) 23:45:36 ID:8RXSKB9V
つづく


化学室のクロロホルムってのがいかにもですね(汗)。
まあ、あのパラ学の化学室ならなんでも置いてるでしょう。
司馬と千葉の語感が似てるんですが、川原氏本人の設定なので
メガネはこれからも千葉でいきます。
(下の名の「しげる」にする手もあったか!)

一気にあげられないのは駄文でスレ汚しをしたくないのと、
パソコンのマザーボードが調子悪いのもあります。買い換える余裕なし。
寸止めの美学がパラダイス学園の原点ですから、期待せずにマターリとお願いします。
104名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 00:04:12 ID:YzC8JnoV
||∀゚) ワクワク
司馬好きなのでそっちも期待
105名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 01:57:48 ID:iRMVTLQH
「こうも簡単にいくとは・・・」司馬は芋虫状態に速効もってくあたりうまい!
そしてちひろはじっくりと・・・

パラ学スレの586さん乙GJ!
しばし休憩取ってからの続きお待ちしています。
106一五九 ◆D6Cu12peXM :2005/07/17(日) 00:08:11 ID:c78KZVF/
ちひろたんと司馬君はどうなるんだろ…(*´Д`)ドキドキ
パラ学スレの586さん、スレ汚しだなんてとんでもないですよ!
キーさんの温泉物もついにキター!って感じで楽しみにしております。

SS保管人様、お忙しい中本当にありがとうございます。
まとめて下さった30さんGJ!

>>35さん
俺もまたその二人が書ければいいなと思っちょります。
でもこんな体たらくなので、約束は出来ませんが…ゴメソ
今度の陸奥は出海の爺ちゃんですね。無精髭カッコヨス(*´∀`)

遅筆で稚拙で容量泥棒ではございますが、母さん出来る限りがんがります。
2スレ目でもよろしくお願いします。
107天斗×圓:2005/07/17(日) 00:09:26 ID:c78KZVF/
夜半を過ぎると、圓の熱はまた高くなり
支離滅裂な悪夢にじっとりと脂汗を浮かべ、幾度も目を覚ました。
目を開けば、そこには蛍か詩織…時には二人で、傍らに座って顔を覗き込み
それを見た圓はなんとなく安心して、また浅い眠りに落ちていく。
何度それを繰り返したのか分からなかったが、彼女は徐々に体調を取り戻していった。



ちいちい、ついついと、賑やかな鳥の声が聞こえている。
きっと天気は良いのだろうが、閉めきられた部屋に光は薄くしか届いてこない。
そんな薄暗い部屋の中で一人、寝具に寝転んだままぼんやりと天井を見つめていた。

熱はすっかり下がり、少々だるいとはいえ食欲も出てきた。
そんな圓の様子に蛍と詩織は安堵して、しばらくは一人でゆっくりした方が
気も休まるのでは…と判断し、部屋を後にしたのだった。

『…だいたい…四日…いや五日…か?…うーん……』
圓はごろりと寝返りを打つと、指折り数えて考えてみた。
寝ては起きての繰り返しで、ここに来て何日経過しているのか、はっきりとは分からなくなっている。
なんにせよ、こんなにも寝てばかりいるのは過去にも数えるほどしかなく、飽きていた。
しかし、あれだけ心配をしてくれた二人の事を思うと
起き出すのも気がひけて、こうして惰眠を貪るしかない。

寝返りを打った視線の先には、底の浅い箱が置かれており
中には風呂敷包み、綺麗にたたまれた藍錆色の着物
その上に佐助の遺髪の入った筒が置かれているのを見て取れる。
すぐ横には鍋もあり、部屋に転がっている様はなにやら変だと思った。
108天斗×圓:2005/07/17(日) 00:10:19 ID:c78KZVF/
「ふぁぁ〜…」
気の抜けた欠伸が出る。
涙のたまった目を細め、うねくる景色をそのままに、またぼんやりと思考を繋ぐ。
熱にうなされている間、一人ぼっちだった事こそ無かったが
そこに天斗がいた事も無かったと思う。
『…ほったらかし、かよ。…別にいいけど』

妙な苛立ちを押さえつつ逆向きに寝返りを打つと、たまっていた涙が零れて寝具に染みた。
めんどくさそうに片手で拭うと、溜息も零れる。
『そりゃまぁ、オレ達はもう無関係だよ。それにしたって家族に看病押し付けて…
無責任って云うか…。ったく!どこほっつき歩いてんだあの馬鹿はよ!』
胸中でぶちぶちと悪態をつき、『ほっつき歩く』のあたりではたと止まる。
圓の脳裏に、いやぁな想像が湧き出してきた。


…里に着いて、これで約定は果たされたな。
幕府の目も結構ゆるいと分かったし、オレはまたつわもの探しに行くとするか。
じゃ、あとはよろしく。


「……あ……ありえない話ではないぞ……!!」
圓はいてもたっても居られなくなり、がばと勢いよく体を起こした。
そこに突然、襖の向こう側から声が掛けられたのだった。
「…圓、起きておるかの?入ってもよろしいか?」
のんびりとした蛍の声に、慌てて姿勢を整えると「ど、どうぞ」と返答をした。

桶を持って部屋に入ってきた蛍は、少々驚いたようであった。
寝具の上に座り込んで、なんとも曖昧な表情を浮かべた圓と目が合ったからだ。
109天斗×圓:2005/07/17(日) 00:11:02 ID:c78KZVF/
「…起き上がっても大丈夫かね?」
「あ、は、はい。もうほとんど本調子…ですので」
慣れない敬語でぎこちなく返すと、蛍は親しげに微笑み返す。
そしてゆっくりと、手にしていた桶を床に下ろした。

「これは…」
桶の中を覗きこめば、暖かな湯気を立ちのぼらせた水面に手ぬぐいが揺れ
蛍がその手ぬぐいを絞るのを、圓はぼんやりと見つめ続けた。
「汗をたくさんかいて、気持ち悪かろ?
せめて顔や腕だけでも拭けばさっぱりするかと思うてな。
その様子なら背中なども大丈夫のようじゃが。…今日はさほど寒くもないし、の」

言われて、それは確かにありがたいな…と圓は思った。
肌はべたつき、寝間着がくっついてひどく不快である。
なので彼女は素直に礼を言い、手ぬぐいを受けとろうとしたのだが…。
「それは…どうも、ありがとうございます。では…」
「ん。じゃ、早うお脱ぎなされ」

一瞬、圓は何を言われているのか理解しきれず、きょとんとして動きを止めた。
そんな彼女に事も無げに「背中は拭き辛かろ?脱いでこちらに向けなされよ」と蛍は言う。

圓は思わずつんのめるように蛍から離れていた。
顔をほのかに赤らめ、首を左右に振りつつ拒否をする。
「い…いや!あの、そこまでして頂かずとも結構ですのでっ!!」
「ほほ、若いおなごが婆に遠慮などするものではありませぬぞ」

ささやかな拒否はあっさりと退けられ、彼女が二の句を継ぐ前に
蛍は何の躊躇も無く帯を解き、さっさと寝間着を剥ぎ取ってしまった。
何か言おうにも口はぱくぱくと空回って音を紡がず
そうしている間にゆるい冷気に素肌を撫でられ、身を縮こませた。
こうなってしまっては、しぶしぶながらも従うしかない。
110天斗×圓:2005/07/17(日) 00:12:03 ID:c78KZVF/
誰が解いたのか、今は結われていない髪は長く、背中や尻を覆い隠している。
「髪をどけて貰えるかの」そう言われた圓は手で束ね、胸の前まで持っていった。
ちくちくとしてくすぐったかったが、胸を覆うようにし、上からしっかりと押さえつけた。

やがてゆっくりと、暖かな手ぬぐいが背中につけられ
強張らせていた背中を徐々に弛緩させ、圓は軽く息を吐いた。
照れ臭さは相変わらずだったが、柔らかく、優しい感覚は素直に気持ちの良い物だった。
『……えらく強引な婆さんだが…』
一度だけ背後をちらりと伺い、姿勢を正した圓はゆっくりと目を瞑った。
『ま、悪い人では…無いのだろうな…』

その強引さは、なんとなく天斗に似ているな…と彼女は思う。
いや、この場合は、この人に天斗が似ていると思うべきなのだろうか。

今まで、圓に何かと世話を焼いたのは二人。どちらも男だった。
このように同性から手厚い保護を受けるなど、彼女の記憶には無い事で
ひどく戸惑って気恥ずかしい半面、ほのかな嬉しさも感じていた。

しばらくそのまま、目を瞑り身を任せていた圓だったが
ふと、後ろにいる人の様子が少々おかしい事に気がついた。
いつの間にか、動きが止まってしまっている。
少し遠慮がちに「あの…」と声をかけると、蛍の手がぴくりと揺れ動いた。

「…どうか…なされましたか?」
「ああ、いや…。少々ぼーっとしていたようじゃ。…すまぬのぅ」
蛍は誤魔化すように笑うと、桶の湯に手ぬぐいをつけ、また硬く絞った。
背に手を伸ばしかけると、気遣わしげな表情で振り返っている圓と視線が合う。
少し困ったような笑みを浮かべ、蛍はゆっくりと口を開いた。
111天斗×圓:2005/07/17(日) 00:13:02 ID:c78KZVF/
「つかぬ事を聞くが…この…背の傷は、銃で撃たれたもの…かの」
「!……あ…はい…。そうですが…」
「そうか…そうじゃな……」

そのまま蛍は何も言わず、促された圓は前を向いた。
何事も無かったかのように、ゆっくりと背中を拭かれながらも
ほんの一瞬ではあったが、それでも確実に目にしてしまった
蛍の深く、悲しいとも切ないとも取れる表情が気にかかって仕方が無かった。

鏡などを使って背中を見たことは無く、傷痕がどのような物なのかを彼女は知らない。
『そういえば…天斗も気にしていたような…』
そう思うと、圓の中にじわりと焦りが募ってくる。
…これは、人をそこまで不快にさせるほどの傷痕なのだろうか…?

「あ、あの……。そんな大した怪我じゃなかったん…ですよ!
直接喰らったわけでも……なくて…。自分で玉を取り出せたほどですし」
居たたまれなさに、圓は思いつくまま口にしていた。

「…ほぉ。自分で玉を…」
「少しばかり膿みはしましたが、熱も出ませんでした。
それなのに風邪ひいて熱出してりゃ世話ないっす……けど。
えと、ともかく、そんな大した事じゃないんで…!」
そこまで一気に言い、圓は少し俯いて、口に指先をつけながら呟いた。
「あの……だから、その……気にしないで……」

蛍は手を止め、必死でまくし立てている圓の後姿をしみじみと眺めた。
ほっそりした首と耳は赤く染まり、落ち着きなく揺れている。
ここからでは見る事のできない顔はもっと赤いのだろう。
そんな彼女の様子に、蛍はふっと相貌を崩した。
112天斗×圓:2005/07/17(日) 00:14:03 ID:c78KZVF/
「…お前様は優しい娘御だのぅ」
「へっ?……え、いや……そんな……」
先程から、自分がおかしいくらい焦っていると分かってはいたが
これでまた更に顔が熱くなったのを圓は感じていた。
今まで『強い娘』や『おっかない女』などとはよく言われて来たのだが
優しいなどと賞された事は無く、どのような態度に出たものやら分からない。

縮こまってしまった圓に、蛍は変わらない調子で語りかけた。
「すまぬのぉ、お前様が気に病むことではありませぬのじゃ。
ちょっと昔を懐かしんでしまっての…。ほほ、年を取るとこれだからいかぬ。
ほんに申し訳ないのぅ。許してくだされよ」
蛍の率直な謝罪に圓は逆に恐縮して、かくかくと首を縦に振るしか出来なかった。

それから、二人の間に含みのある沈黙が流れつづけた。
外界と時の流れが違うかのような薄暗い部屋の中に、時おり鳥の鳴き声が響いてくる。

汗を拭ってもらうために背中を晒している筈なのに
また更なる汗が滲んできそうで、圓は戸惑っていた。
蛍は普段通りのような顔をしているが、妙に空気が重いような気がする…。
『……なんだか、前にもこんな事が…あったような気がするな…』
圓は眉間に皺を寄せ、この状況を打破しようと思いを巡らせたのだった。

「……あの、天斗はどこにいるんですか?」
ぽそりと口を突いて出た言葉に、圓は即座に『しまった!!』と後悔した。
恐る恐る背後を振り返ると、蛍のなんとも不敵な笑みがそこにあり
会話の選択が完全に誤りであった事を痛感させられた。
「いっ、いやっ、別にオレには全然関係ないのだが!!
ただ…ただちょっと見かけんなーと気になっただけでっその…」
113天斗×圓:2005/07/17(日) 00:15:02 ID:c78KZVF/
あたふたと取り繕う圓の横に、背後からただゆっくりと指が伸びた。
指先が示すのは、閉めきられた雨戸。
それらを交互に見比べた圓は、不思議げに少し首を傾けた。
「外は縁側になっておるのじゃが、ずっとそこに座っておる」
「………え…」
声を押さえ気味に語られた事柄に、圓は息を詰まらせた。

「看病は私らが引き受けたので、好きにしていて良いとは言うたのじゃがなぁ…
あんなでかい図体で座り込まれていても邪魔なだけだしの。
でも、他所に行こうとしないのじゃ。…困ったものよのぅ」
そう言いつつも、蛍の顔も声も困ってはおらず
むしろ楽しそうに、嬉しそうに笑いかけてきたのだった。
その顔を見ていると、自分の思いもよらない事まで見透かされているようで
圓の視線は彷徨い、よっぽどこちらの方が困り顔になっていた。

蛍は随分とぬるくなってしまった湯に手ぬぐいを入れ
先程と同じく絞ったそれを圓の手に置くと
「背中はもうお終い。残りはご自分でおやりなされ。
その間に私は着替えを持ってきますゆえ…」
そう言って彼女が着ていた寝間着を持ち、ゆっくりと部屋を出て行ってしまった。

薄暗い部屋の中、また圓は一人きり、ぽつんと布団に座り込んでいる。
蛍の出て行った襖をしばらく見つめ、所在なさげに手ぬぐいを握りなおすと
見ても仕方ないと知りつつも、引き寄せられるように雨戸へと視線が行く。

『……ほんとに…お前、ずっとそこに……?』
おそるおそる、手が雨戸に触れようと伸ばされた時
柔らかな髪が腕や背中をさらさらと伝い下り、彼女は弾かれるように手を引っ込めた。
薄闇に白く浮かび上がる肢体をとっさに両腕で隠すと
意味はなくとも雨戸に背を向け、冷めた手ぬぐいで躰を乱暴に擦り上げた。
114天斗×圓:2005/07/17(日) 00:16:02 ID:c78KZVF/
結局、本当に居るのか居ないのか、気になりながらも確認する事は出来ず
食後に飲んだ薬の作用か、いつしか圓は眠り、気付いた時には夜が明けていた。

布団の上で胡座を組み、更に腕組までして雨戸を睨みつけてみても
頑丈そうな戸の向こうから聞こえてくるのは鳥の鳴き声ばかり。
薄暗い部屋の中、刻々と過ぎる時間についに焦れ、ゆっくりと息を吸い込む。
…いつまでもこうしていても、埒があかない。
覚悟を決め、その割りには『別に、居ようと居まいと…どっちでもいいのだが…』
などと何に向けてか言い訳しつつ、四つん這いでじりじりと雨戸に近づいていった。

戸に両手を添え、そろりそろりと開き、ちょっとだけ顔を覗かせてみた。
入り込んできた日の光と秋風に細まった目が慣れると、痛いほどに心臓が高鳴った。

『…………ほ…ほんとにいた……』
縁側の端、圓が顔を覗かせている所から、少し離れた場所に天斗は背を向け座っていた。
口に咥えた木の枝、その先の葉がゆらゆらと風に揺れている。
白の綿服に紺藍の袴は相変わらず破れ放題。腰には白帯に古い太刀。
そんな彼の姿を、圓は呆けたように見つめ続けていた。

そこで突然、気配を感じたのか天斗が振り返った。
互いの目が合い……ごつん、と鈍い音が立つ。
驚きのあまり動揺した圓は、雨戸にしたたか腕をぶつけ
痛みに唸りつつも素早く戸を閉めてしまったのだった。

また薄暗くなった部屋の中、ぶつけてじんじん痛む場所を撫で擦っていると
あっさりと雨戸が開かれ、天斗が顔を覗かせた。
「なんかすげぇ音がしたけどよ」
「…う、うるさいな。大した事ないわ!」
いままで通り片目を瞑り、枝を器用に咥えたまま話しかけてくる天斗の顔。
何故かとても久しぶりな気がして、まともに見ることが出来ず
ぶつけた所を隠すようにしながらそっぽを向いた。
115天斗×圓:2005/07/17(日) 00:17:03 ID:c78KZVF/
倒れる前と同じ調子の彼女に、天斗は少し顔を綻ばせた。
「その様子だと、随分良くなったようだな」
「随分と云うか…もう本調子だ。あのお二人のお陰で…な。
そろそろ体が動かしたいわ。いいかげん鈍っていかん」
そんな事を言いながら、圓は座ったまま腰をぐいぐいと捻ってみた。
関節が悲鳴をあげ、体のそこかしこが細まってしまったように感じられた。

「おいおい、無理すんなって。…本当に大丈夫なのか?」
今にも無茶な事をやらかしそうな圓を見おろし、天斗の顔も少々真剣みを帯びる。
顔色は悪くないようだが、熱は本当に下がっているのだろうかと、彼女の額に手を伸ばした。
指先が、丸い額にほんの少し触れ…次の瞬間、まるで真剣白刃取りでもするかの如く
両手で天斗の手を捕らえた圓は、病あけとは思えない素早さでそれを引っぺがした。

「あ…頭に触るなって言ったろ!」
頬を赤らめ、必死の形相で抗議する圓に、天斗は苦笑する。
「これもその内なのかよ」
「あたりまえだろ!ば、ばーか!!」
両手で握っている天斗の手を慌てて放り投げるように離し、憮然とした顔を横に向けた。
そのまま横を向いてはいたが、ずっと天斗が黙って見つめ続けてくるのが気になって
居心地悪さを感じた圓は「…なんだよ」と呟き、彼を上目で睨みつける。

「髪下ろしてんの、初めて見たと思ってな」
何の気ない一言に、彼女は面白いほど反応して見せた。
今さら隠しても無駄なのに、あわてて頭を両手で覆ったのだった。
その様に吹き出しそうになるのをぐっと堪え、天斗は片手をひらつかせながら言った。
「別に隠さんでも。どうせお袋たちが勝手にやったんだろ?」
「まぁ…そうだけど……」
116天斗×圓:2005/07/17(日) 00:18:03 ID:c78KZVF/
唇を尖らせ、変わらず両手で頭を隠しつづけている。
そんな彼女を、縁側の上に腰を下ろした天斗は視線を合わせて無遠慮に見つめた。
圓の動揺はますます深まりを見せる。少し腰が引けていた。
「…その髪だと、お前…すごく…」
「なっ………なん……」
「動き辛そうだな」

とりあえず、圓は両手で思い切りよく雨戸を閉めた。
それを天斗は片手で止める。

「お、お前の知ったこっちゃないわ!!」
「いや、別に悪いとは言っちゃいないぜ」
「やかましい!!この…っ手を離さんか…っ!」
渾身の力を込めた圓の両腕はぷるぷると震えるほどだったが
それ以上はびくともせず、ますますムキになっていった。
…が、逆に思い切りよく扉を開けられ、彼女の体は反動で傾いてしまった。

「これ以上やったら雨戸が壊れる」
「……」
「まぁ、そんだけ元気なら大丈夫か…。行くか?」

傾いた体を恨めしく起こした圓は、天斗の言に不審な顔を向けた。
「行くって…?」
「散歩にでもさ。この辺ちょっと歩くくらいなら動き辛くても構わんだろ」
「え………外に出てもいいのか!?」

不機嫌な顔がいっぺんに綻ぶ。それにつられて天斗も笑いそうになってしまった。
この単純なほどの素直さは自分には無い物だな…と思いつつ
今にも飛び出していきそうな彼女の肩を掴んで止めた。
117天斗×圓:2005/07/17(日) 00:19:06 ID:c78KZVF/
「その格好で出て行くとか言わんでくれよ」
「!……」
圓は一呼吸置いて、そろりと自身の姿を眺めてみた。
そして、また両手で覆い隠した。…今度は胸元を。
彼女の姿は白い寝間着を纏っただけだった。
寝間着とは、その名の通り寝るためにつける着物。
外に出て行ったり、異性に会う時には向いていないのだ。…若い女性は、特に。

「オレはなんか履くもの取ってくるわ。その間にしっかり着ておけよ」
天斗はそう言い残し、縁側を降りてさっさと行ってしまった。
紅潮した顔でその後姿を見送った圓は、今度こそ勢いよく雨戸を閉めた。

無造作に、藍錆色の着物に手を伸ばし
…それでも佐助の遺髪の入った筒は、そっと風呂敷の上に置いてから
あたふたと寝間着の上に袖を通した。



きっちりと着込み、天斗の持ってきた草履をはいて縁側を降りる。
普段は裸足で歩き回っている圓には、履物など不要であったが
病み上がりに地面は冷たいから念のため…と言う彼の言葉に
大げさだと思いつつも反論はしなかった。
反論はしなかったが、この草履はあきらかに誰かが普段使いをしている物で
勝手に持ってきて良いのだろうか…と、少々気にはかかっていた。

空気を吸い込むと、胸に染み入るような清涼感を感じ
生き返ったような心地に圓は目を細めた。
昼過ぎの陽射しの下、思いっきり伸びをすれば、痛気持ちよさに唸りが漏れる。
一気に力を抜くと少々頭がくらつく。
「大丈夫か?」
「ああ…平気平気。さて、行くとするぞ」
圓は見知らぬ景色の中を、天斗より先に歩き始めた。
118天斗×圓:2005/07/17(日) 00:20:04 ID:c78KZVF/
久々の外出に浮き足立ってはいるが、いささかその歩みはぎこちない。
下ろした長い髪は動くと大きく揺れ、履きなれない草履はすっぽ抜けそうになる。
そして何より、下帯をつけていない下半身はたいへん心許なく
やはり少し待たせてでも着けてくるべきだったか…と少々後悔していた。
それを気取られないように、彼女はあえて胸を張った。

「今年の冬は結構暖かいのかもしれねぇな…」
背後から聞こえてきた呟きに、圓は歩きながら振り向く。
「そうなのか?」
「昨日、今日とあまり寒くないんでな。そう思っただけだ」
「ふぅん…」

日陰を作っている家の壁を、ぺたぺた触りながら歩く後姿を見て
「雪が降ると、お前が触ってる所より上まで積もるぜ」と天斗が言うと
圓はぎょっとして、顔の横あたりにあった手を壁から離した。

「こんなにも…積もるのか…?」
「ああ。屋根にも積もって、雪下ろしが面倒なんだよ。これが」
少々うんざりした響きのある言葉に圓は立ち止まると
しばらくの間、眉根を寄せて屋根を眺め、そしてまた壁に手をくっつけた。

「…そんなの、アレで落せない物なのか?前にお前が言っていた技…。
コクウハとか何とか言うやつ。振動で雪を落せそうじゃないか」
無空波と虎砲をごっちゃにして覚えているらしい圓にあえて訂正せず
「ずっと昔にやってみたさ」と事も無げに言ってのけた。
119天斗×圓:2005/07/17(日) 00:21:03 ID:c78KZVF/
「屋根の上の雪が全部落ちてきやがった。頭の上にな…。死ぬかと思った」
「そ、それは…。重みで?」
「いんや。婆ちゃんの説教で」
「んくっ!」
圓は思わず吹き出しかかったのを手で押さえて堪え、横を向いた。
肩をぷるぷると振るわせる彼女に、天斗も
「お前も同じ事思いついたんだから笑うんじゃねぇよ」と少し意地悪く笑った。

しかし圓が笑ったのは、そこではなかった。
馬鹿な事をやらかして、蛍に説教される天斗を想像するのも笑えたが
それよりも『婆ちゃん』などという子供っぽい呼び方が妙に可笑しかったからであった。


玄関の前まで出ると、圓はいったん歩を止め、今出てきた家をぐるりと見回してみた。
「こうして見ると…お前の家って…」
「古いだろ」
「ん…まぁ、それもあるが…」
古くて、でかくて、やたら頑丈そうな家。それが圓の感想だった。

「ま、うちは昔っから代々続いてるんでなぁ…
補強したり建て増したりしている内にこうなったらしいが」
「ははぁ…なるほど…」
数百年間、やたら力の有り余っている者達が生まれ育ってきた家。
脆かったらやってられんわな…と圓は思い、刻の流れを感じる佇まいをもう一度見回した。

「座敷童子でも居そうだ…」
「ああ、そいつとならガキの頃会ったぜ」
「…で?」
「無論、オレが勝った」
「………座敷童子も難儀な事よの…」
120天斗×圓:2005/07/17(日) 00:22:02 ID:c78KZVF/
圓は重苦しく息を吐きながら、嫌そうに返答をした。
すると横から、神妙な顔をした天斗の手が額に伸びてきて
彼女は慌てて一歩後ろへと避けた。
「なっ、なんだよ!」
「お前が素直にオレの話を聞くなんてよ。やはりまだ熱があるんじゃないか?」
「無いわ!ただ単にいちいち問うのが面倒だっただけだ!
だいたいなぁ、お前が平然と虚実混ぜ合わせてしゃべるから…」

そこで圓は唐突に口をつぐみ、言葉の代わりに軽く睨みつけた後
「…まぁ良いわ」とだけ言って、また天斗に背を向け歩き始めた。
柔らかな風に揺れる葉音と鳥の声くらいしか聞こえない、静かな里。
そこに自分の怒鳴り声が響き渡って、場違いな気持ちに陥ったのだった。

木陰の落ちる小道は、少し行くと左右に別れるようだった。
右側には他人の家や畑があり、左側は山に通じるらしき坂道になっている。
圓は歩きながらそれらを見比べ、あまり迷う事もなく坂道を選択した。
「そっちは…」
後ろから呟きが届き、圓が足を止め振り返ると
天斗は軽く手を振って『行っていいぞ』と意思を示した。
足元に気を使いながら登って行く後姿を見ながら、彼は軽く頭を掻いた。

きょろきょろと周りを見渡しながら登りきり、長い髪をばさりと払うと
首筋に軽く浮いた汗に秋風が触れ、彼女は軽く息を一つ吐いた。
辿り着いたそこは、切り開かれてはいるものの、これといって何もなく
地面は硬く土が剥き出し、草の一本も生えていない空地だった。
空地の中程までゆっくりと歩き、この地を取り囲むように鬱蒼と生える草木に目を凝らし
ここから先への道は無い事を知ると、圓は少しつまらなさそうな顔をした。
121天斗×圓:2005/07/17(日) 00:23:03 ID:c78KZVF/
「なんだ、これで行き止まり…か。」
それで先程、天斗が止めようとしたのかと思い返す。
引き返そうと踵をかえしたその瞳に、木々の間から溢れる色彩が飛び込んできた。
その色に吸い寄せられるまま、彼女は天斗の横をゆっくりとすり抜けて行った。

人が腰掛けるのに良さそうな岩が一つある先は崖になっており
この小高い丘から、眼下の里が見渡せるのだと圓は知った。
小さいながらにしっかりとした造りの家々や畑の間、仕事に精を出す人の姿が見え
遊んでいるのだろうか、子供達の集団から発せられる楽しげな声がうっすらと耳に届く。
「……あの人たちは…普通の人たちなんだな…」
「住人総出で鍛えているとでも思っていたか?」
「…ま、少しは」
正直、殺伐とした場所を想像していた圓は軽く苦笑した。
そんな彼女の横に立ち、のんびりとした口調で天斗は言う。
「数百年もこんな事を続けている馬鹿者はうちにしかいねぇよ。
まぁ、そんなオレん家に昔っから付き合っているあいつ等も酔狂だとは思うが」

日々の暮らしに惜しげもなく彩りを添える、秋の息吹。
目に鮮やかな紅葉、光を受ける山吹、冴え冴えと澄んだ青空…。
互いが互いの色を引き立てあっているかのようだった。
自分たちの頭上にも紅葉はある。しかしこうして遠くから見ないと
まるで色を変える一条の帯のような風雅に気付けないでいた事だろう。

ただなんとなく、知らない人に出会うであろう方向を避け、山に登る事を選んだだけだった。
それなのに、この思いもよらない景色…。素直に溜息が零れる。

「ここな、オレん家の修行場なんだ」
「え…?そうなのか…」
「正確に言えば、修行場の一つだけどな」
陸奥であれば、どのような場所でも修練の場に違いなく
天斗もこれといってこの地に拘りがある訳でもなかった。
122天斗×圓:2005/07/17(日) 00:24:03 ID:c78KZVF/
「それは……勝手に入っては、いけなかったのでは…?」
圓の声に、少しの強張りが生じる。
「いや、構わんよ。そもそもオレがついて来てんだしな。ただ…」
「ただ?」
「ここにゃ子供は入れちゃいかんって決まりがあるのさ」
言われて、圓は得心いかない顔で「はぁ…」と首をかしげた。
そんな彼女を放っておいたまま、天斗は淡々と話し続ける。

「もちろん、うちに産まれた子供は別だぜ。オレもガキの頃からここで修練したし…な。
だが、あいつらには…ここに近づくと神様の罰が当たると脅してある」
ずっと遠くに、ただでさえ小さいであろう体を更に小さく見せて
それでも元気よく遊んでいるのだと分かる、里の子供達を眺め見た。

「神様って……どんな」
「さぁ?」
「…さぁ?って……お前……」
余りにいいかげんな言葉に、からかわれている様な気がして圓の声が刺々しくなる。
対して天斗は笑いながら、いかにも仕方なさそうに言った。
「言っとくが、オレが作った決まりじゃねぇからな。神様なんざ詭弁だ。
…修練してる所を普通の子供に見せると、ま…色々とよろしくない訳よ」
「……はぁ」

それはなんとなく圓にも分かる気がした。
激しく、厳しく、尋常でないであろう修練。
何も知らない普通の子供が見た日には、夢見の悪い事になりそうではある。
「…まぁ、それは分かったが…それがオレと何の関係があるんだよ」
圓は話を聞き終えても、理解が出来なかった事柄を探るように目線を向けた。
坂道に足を踏み入れた時、天斗が何か言いたげだった事に関わりがあるのだろうか。
「オレは大人だし…止められる理由は無いと思うが…」
「さぁ?」
「…………」
123天斗×圓:2005/07/17(日) 00:25:03 ID:c78KZVF/
しばらくこめかみを押さえた後、不毛な会話を断ち切るかのように
圓は軽やかな動きで岩の上に飛び乗った。
一段と高くなった視点で、更に遠くの景色まで見わたせた。
「おい…そんな所に乗るな。あぶねぇだろ」
忠告を鼻で笑って一蹴し、圓は天斗を見おろした。
いつもは見上げる立場にあるので、これはなかなか気分のいい物だった。

「天斗って、オレが何かするたび文句つけるよな」
「……」
「お前……実は、ものすごい心配性だったりするのか?
それとも、オレが何をしようと信用できないって訳なのか?」
腰に手を当て、嫌味交じりの笑顔を向けながら圓は問う。
「…ま、どっちであろうと、どうでもいい事だがな」

答えが返る前にさっさと会話を打ち切って、なんとなく独り言を呟いている気分になる。
何か言いたげな天斗から目を離し、また遠くの山々を見渡すと
黒髪が風に煽られ、一瞬彩り豊かな景色を覆い隠した。
手で髪を押さえつけると、藍錆色の袖も彼女の視界に入ってきて
頭から踝まで、黒っぽくて――
なんだか自分は、一滴だけ落ちた墨汁染みのようだと感じたのだった。

ここに至る旅の間、それよりももっと前にでも、こういった秋の景色は目にしてきた。
山村もここに限らず幾らでもあったし、世話になった事もしばしばあった。
それなのに、ここから見る景色はどこよりも鮮やかで、何故か胸がちくつく。
『これは……これは、多分……』
多分、ここが天斗の故郷だからだろうな。…そう圓は結論付けた。

根無し草の生活を続け、養父も亡くした彼女に、未だ行く当ては思いついていない。
そんな自分に比べ、優しい肉親が家におり、数百年続く家業を温かく見守る人達がいる
豊かな故郷を持つ天斗に、随分恵まれている事よなぁ…と
少々妬ましい気持ちを抱かずにはいられなかった。
124天斗×圓:2005/07/17(日) 00:26:02 ID:c78KZVF/
そんな気持ちを抱く自分は、正直小さい人間だとは思うが
この地を『退屈で何もない所』と言い捨てて、仕方なく帰ってきた天斗もどうかと思う。
えらく我侭で傲慢ではないか…!?……元々偉そうな性格ではあるが。
……そんな事を、圓はちくちく痛む胸で考えたのだった。

気付けば、佐助の遺髪を収めた胸元に手が行っている。
もうすっかりと癖になっていた。

「……罰が当たるぞ」
「?」
「良いところ、ではないか…。……もっと大切にせねば罰が当たるという物じゃ」
圓は首だけ天斗のほうに向けると、少し照れを滲ませながら呟いた。
その声に天斗はまた彼女を見上げ、ふっと軽く笑う。
「婆ちゃんにも言われたな、今の」
「…それだけお前が薄情だってことだ」

ぴし!と、圓は里に向かって指をさす。
「ほれ、良い機会だからきちんと見ておくように!」
「…はぁ」
「しっかり拝めばありがたさも分かろうて。…両目でだぞ!両目で」
上段からの命令口調。ちょっと八つ当たりが入っているのは圓も重々承知だった。

とても偉そうにしおらしいことを言っている、おかしな様子の圓から視線を外すと
天斗は言われた通り、ゆっくりと右目を開き、眼下に広がる景色を見渡した。
『……前に見た時と、ちっとも変わってねぇ』
彼の感想は、ただそれだけ。
物心つく頃から、当たり前にやってきた修練と、当たり前に見てきた景色。
それはあまりにも普通の事で、それ以上でも以下でもなかった。
125天斗×圓:2005/07/17(日) 00:27:03 ID:c78KZVF/
一応、もう一度ざっと見渡した後、天斗はゆっくりと圓を仰ぎ見た。
彼女は軽く胸元に手を置いて、ずっと遠くを見つめている。
物憂げな横顔は病のせいか少し華奢になってしまったようだ。
ときおり風に揺れる髪を押さえ、梳くように動く指がなにやら艶かしい。
よほど景色よりも長く真剣に眺めているのに気付き、天斗は下を向きつつ頭を掻いた。

「…綺麗だ」
「ほらっ、やっぱりそう思うだろ!」
圓はぱっと振り向いて、朗らかに笑ってみせた。
「ちゃーんと両目でじっくり見れば、こうして良さに気付けるものよ。
反省して、これからはきちんと孝行するように…な」
にこにこ笑って声を弾ませる圓は、彼に自分の考えが通じた事が嬉しいようだ。
実際は全然通じていないのだが、そんな事はおくびにも出さず、天斗も笑い返した。

ここに来た理由が、この話をする為だったかのような気になりながら
圓は「では帰るとするか」と足を一歩踏み出した。
彼女の立つそこは、座れはしても、立つには不向きな岩の上。
普段の彼女なら、それでも地面と差異なく動けたのかもしれないが
いつもとは違う事柄が複数個ある事を、もう少し気にして動くべきだったのかもしれない。

風をはらんだ長い黒髪は視界を覆い、履きなれない草履は足元を滑らせた。
片方だけなら、さして焦らず対応できても、同時に起きてはその限りではない。
一瞬どちらが地面で崖なのか、判断力の鈍った圓に惑いが走った。

体が宙に投げ出されるような感覚と、黒い目隠しのようだった髪が
するりと後ろへ流れていく感覚を、なぜだかとてもゆっくり感じ取る事ができた。
視界が開けると、天斗が両手を差し出している。
なので圓もそれを習って、両手を差し出した。
夢中で彼の首を抱きしめた瞬間、軽い衝撃が彼女の体に響いたのだった。
126天斗×圓:2005/07/17(日) 00:28:21 ID:c78KZVF/
膝に土のひんやりとした感触を覚え、どうやら地面に腰を下ろせたのだと悟る。
心臓が早鐘を打ち、背筋に一筋、冷たい汗が流れ落ち
惨事になってもおかしくなかっただけに、荒い息を何度もはきだした。
やがて握り締めていた両手から少しづつ力が抜け、指先に布の引っかかりを覚えた。

急速に落ち着いていく自身を感じながら、硬く瞑っていた瞳を少しづつ開いた。
腕に何かこそばゆい物を感じ、背中に圧力を感じ…
「……う、うわぁっ!!」
足を踏み外しても悲鳴をあげなかった圓が、上ずった声を上げた。

天斗の頭が腕の中にあるのが信じられなかった。
先程からこそばゆいのは、彼の髪が腕に触れているからで
頬が触れそうなほどの至近距離、呆れたような笑顔を向けられ
せっかく落ち着いて来ていた所がまた恐慌状態に陥りかかってしまった。

両腕を首から急いで離すと、天斗の肩を掴み、引き離しにかかったが
彼女の動きは背中に回っていた彼の腕にあっさり阻まれた。
「おっ、おい…!ちょっとなんで…っ……離さぬか!!」
密着のあまり胸が押し潰れて息苦しい。遺髪の入った筒がめり込んで痛い。
じたばたと身を捩りつつ、圓は抗議した。
対して天斗は非常に落ち着いた様子で、なだめるように声をかける。
「まあ、とりあえず…。後ろを見な、後ろを」

背中が固定されているせいで、体を捻る事は上手く出来ないが
何とか背後を確認する事が出来た。
先程まで自分が乗っかっていた岩がそこにはあった。
もし勢いよく後ずさっていたら、頭か背中を強打していた事だろう。
圓は唾を飲み込んで、ゆっくりと顔を正面に戻した。
127天斗×圓:2005/07/17(日) 00:29:06 ID:c78KZVF/
「危なかっただろ?」
「……まぁ…な」
圓は素直に頷くと、しゅんとして俯いてしまった。
反省のあまりか、くてりと力を抜いた彼女を眺めながら
『ま…だからと言って、ここまで拘束する必要もないんだけどな』
小さな背中にまわした両腕から力を抜く事なく、天斗は心の中で舌を出した。


一度後ろを振り向いたため姿勢が変わり、先程までと比べれば
あまり息苦しくなくなった事に圓は安堵していた。
抱きしめられたまま俯いていると、密着した所から彼の鼓動が聞こえる。
これまでも何度か聞いてきたこの音は、本当にいつも一定で
とても落ち着いていて、少々腹立たしいくらいだった。
…腹は立つが、この冷静さに今まで何度も救われて来たのだとも分かっていた。

俯いているため、目線は当然下へと向いている。
少し離れた所に先程まで天斗が咥えていた木の枝が転がっていた。
それから目を離すと、視線は自分の膝のあたりを彷徨う。
藍錆色の着物がめくれて、そこから妙に生っ白い足が剥き出しになっている。
一年近く、体を動かす時以外は女物の着物をつけていたせいか、随分白っぽくなったようだ。
もしくは自分の着物の色が黒っぽいからそう見えるだけなのかもしれない。
その白い両足は、天斗の右足を跨ぐようにして乗っかってしまっている。
彼の袴も紺藍で、結構暗い色だから、自分の足も白く見えるのかもしれない。

『……などと落ち着いて見ておる場合か!!』
一応、彼女なりに冷静に今の状況を受け入れようと努力はしたものの、無理だったようだ。

あえて地面に座ることで、受け止めた時の衝撃を緩めたのだという事は分かる。
あの時は夢中で、彼のどこでもいいからしがみ付こうとした自分も良くないと分かる。
それでもこの格好は酷いと圓は思った。もう少し何とかならなかったのだろうか。
128天斗×圓:2005/07/17(日) 00:30:04 ID:c78KZVF/
正座を崩したような形になっているので、膝から甲にかけて冷たい地面の感触がある。
それを感じると、嫌でも他の場所の感触まで伝わってきてしまった。
気にしないでおこうと思えば思うほど気になってしまう
そんな彼女の性質は以前と同様、変わってはいなかった。

天斗の擦り切れた袴が太股にくっつき、僅かにくすぐったい。
そして袴越しに感じる、ごつい脚の感触。
鍛えあげられて、恐ろしい力を秘めていると圓は知っている。
…それを思いっきり尻に敷いていた。
これはえらく失敬な格好ではないか!?彼女はそんな焦りに囚われた。

それでも彼女は動く事が出来なかった。
相変わらず抱きしめられている事もあるが、それよりも
別の焦りによる本能的な危機感で、ほんの少し身を捩る事すら出来ずにいた。

足の付け根あたりが妙に熱い気がする。
それはそうだと圓は思おうとした。天斗も自分も生きているのだから。
生きている者は暖かいのが普通で、それがくっついていれば熱くなるのは当然の事で…。
だがこれは、ただ単に熱いだけではなくて、奇妙な感覚も付きまとっている。
熱くて、甘く痺れるような。
気のせいなのだと思おうにも、直接的に触れている部分だけではなく
何故かへそのあたりにうねくるような、きゅうと絞られるような
怪しげな熱が宿り、背筋がさぁっと総毛立つ。

『なん…なんだ、これ…!……やだ…』
呆けて薄っすらと開きかかる唇をぐっと噛締めて凌ぎ
動きたくないのに揺らめきそうになる腰にも力を込める。
『なんで…?下帯…付けてないせい…?……くぅ…』
腰に力が入り、ますます彼の脚を挟み込んでしまった事にすら気付けないでいた。
129天斗×圓:2005/07/17(日) 00:31:03 ID:c78KZVF/
ふと、背中の圧迫が軽く緩んだ。
少しばかりほっとするのと同時に、先程のように胸が押されて苦しかった方が
今より幾らかましだったのではないかと、ひどく焦れながら考えていた。


先程からぴくとも動かなくなってしまった圓を、天斗は懸念していた。
下を向いて表情は分からないが、先程から息が荒くなっている。
もしや、また熱が上がってきたのでは…そう思ったのだった。

彼女はどこもかしこも手触り良く出来ているらしい。
自身の脚の上に乗っている躰を離さないようにしているだけでも楽しく
事故にかこつけ、それを堪能するのに気を取られていたようだ。
我ながら少々いじましい。彼は軽く反省していた。

「圓…大丈夫か…立ち上がれるか?」
声をかけても反応が返ってこない。…これは、予想以上に悪いのだろうか。
背中に回していた手を彼女の腰を支えるようにゆっくりとずらす。
あまり辛そうなら、おぶって帰ろうと思いながら。
すると、脚の上の小さな躰がびくんと揺らめき、長い黒髪がふわりと舞った。
「…あぁっ!…っく……」
それは本当に小さく、微かな声。
それでも確かに、初めて聞く甘い喘ぎだった。


圓は肩が勝手にぴくぴくと動くのを、なんとか左手で押し留め
右手は強く自分の口を押さえつけていた。
130天斗×圓:2005/07/17(日) 00:32:10 ID:c78KZVF/
『聞こえてない…聞こえていないよな、今の…!』
すごく小さかったし、堪えたし…。そう自分に言い聞かせた。
今の変な声がなんであったのか、彼女は上手く考えがまとまらなかった。
それでも、聞かれては大変にまずい物だったという事は、なんとなく分かる。
真っ赤な顔に、汗が一筋流れ落ちていく。

…この奇妙な状況をなんとか誤魔化したい。
もう背中に天斗の腕はなく、立ち上がれるかと聞かれたのだから
さっさと立ち上がって離れてしまえばいい。
そう思ってはみても、躰が言う事を聞いてくれないでいた。
躰の熱は引くどころか、奥底から何かをねだるように湧き上がり
脚は細かに震え、右手に自分の荒い呼吸を感じる。
これはもしかして、病気なのかと彼女は思い始めていた。

何かの発作のようなもので、じっとしていれば治るかもしれない…。
圓はそれを期待し、体と気持ちを落ち着かせようかと考えた。
しかし、それで自分は良いかも知れないが、天斗はどうなのだろうかとも思う。
彼の体に乗っている訳なのだから、邪魔だとしたら…
早くどいて欲しいのかもしれないと、不安な気持ちが湧き上がった。

思いがそのまま形になったかのような表情で、ゆっくりと顔を上げ
すぐ傍にある天斗の表情、それを恐る恐る伺う。
するとその顔は、意図を持って逸らされているように見えた。
何かを考え込んでいるような、何かに耐えているような…
そんな、顔つきだった。

彼のその表情に、圓は顔をゆがませる。
『…たち、立ち上がらなくては…』
天斗の顔は、とても迷惑そうだと圓の目には映っていた。
『邪魔か?』と問う暇も、そもそも彼女を拘束していたのは
天斗本人だという事を考える余裕も無くなっていた。
131天斗×圓:2005/07/17(日) 00:33:21 ID:c78KZVF/
普段なら、支え無しに立ち上がる事など容易い事だったが
脚にうまく力が入らないので、仕方なく天斗の肩に手をかけ
そのまま腰を浮かせた。つもりだった。
その瞬間、今まで堪えて押さえつけていた何かが
彼女の気持ちを無視して溢れ、その衝撃に頭の中を真っ白に染め上げた。
「……ひゃ…ああ、あああぁぁんっ!!」
聞いた事もない甲高い叫びが耳をつんざく。
それを圓はどこか他人事のように聞いていた。

仰け反った体はがくがくと震え、手は白の綿服を裂きそうな程に握られている。
無理に立ち上がろうと力の入った脚は、ただ腰を後ろにずらしただけだった。
秘所から零れ出た蜜で、しっとりと湿り気を帯びた天斗の袴に
ぷっくりとした花芯が擦りあげられ、じらされ切った躰は素直にその刺激を甘受したのだった。

「はぁ…はぁ…ぁ……」
ねとりとした口腔に空気が流れ込み、それごと飲み込むように唾液を喉に流し込んだ。
手が天斗の胸を撫でるように落ちる。ゆっくりと、圓の顔も下を向いていった。
虚ろな瞳に映る、藍錆色の着物に包まれた自分の躰
それに一体何が起きたのか、彼女には理解できなかった。
身も心もぐったりとして、糸の切れた操り人形のような躰が地面に倒れこまないのは
先程から変わらず彼の手が支え続けているからだ。
その事に、ぼんやりした頭で圓が気付いたその時、唐突に天斗が動いた。

強い力で押された圓の躰は、簡単に後ろへと倒れこんでいった。
澄んだ青空と、赤や黄色の葉がくるりと回る。
「…っ!!」
瞬間、先程の岩か地面に激突するであろう事を予期し、彼女は息を飲んだ。
132天斗×圓:2005/07/17(日) 00:34:17 ID:c78KZVF/
黒く長い髪が、茶色い地面にばさりと広がった。
勢いの割りには、覚悟していたような痛みもなにもなく
圓はきつく瞑っていた目を開けてみると、天斗の腕が背後に回ったままなのだと知る。
どうやら、邪魔だから突き飛ばしたとか、そういう事ではないらしい。
心音は跳ねるようであるが、ともかく安堵した彼女はほっと息をつこうとした。
が、口から漏れ出たのは、押しつぶれて苦しげな息だけ。
「た…かと……ちょっ……っく…」
地面に押し倒され、上から天斗が圧し掛かってきている。
かなり、重い…。しかし先程まで彼女も彼の上に乗っていたので強く文句は言えなかった。

身を捩っても、躰の上の天斗はどいてくれるどころか動きもせず
顔のすぐ横にある彼の顔には髪が影を落し、表情を伺う事が出来ない。
今までも、ときどき子供っぽい悪戯でちょっかいをかけられてきたので
今回もその類なのかもしれない、とは思うのだが…
幾らなんでも地べたに押し付けられて良い気分はしなかった。

何のつもりかと脚をばたつかせると、脛にこつりと硬い物が触れた。
こつん、こつんと二度ほど当て、ようやくそれは天斗の腰にある太刀の鞘なのだと気がついた。
脛に太刀が当たるのは、彼の躰が脚の間に入りこみ、そのせいで腰が浮き上がった状態だからだ。
自然、両足は大きく開いてしまっている。

『うう…なんなんだよぉ…もぅ……』
草履はとっくに脱げて、指先を秋風が撫ぜる。
天斗と躰を合わせている所だけがやたらと熱く、ひどく落ち着かない。
そうしていると、脚から着物がずり落ちているのに気がつき
困惑を顔に浮かべながら、圓は着物の乱れを少しでも直そうと手を伸ばしかけた。
すると背に回っていた天斗の手が引き抜かれ、彼女の手首を掴みあげた。
細かな砂が、髪に袖に、ぱらぱらと落ちる。
圓は手首と共に、心臓も掴み上げられたような思いを味わっていた。
133天斗×圓:2005/07/17(日) 00:35:11 ID:c78KZVF/
頬を掠めて、天斗がゆっくりと顔をあげ、それにより密着していた躰が少し離れた。
しかし捕まれた手首に注視していた圓はそれに安堵する事はなく
不安げな表情のまま、彼の表情をおずおずと覗き見ると
本当にすぐ傍にある薄墨色の瞳に釘付けられた。
表情はいつもと変わらないように思えたのだが
「………どう、して……」
舌をもつれさせながら、圓は懸命に口を開いた。
「両目…開けている……?」
他にも聞きたい事、言ってやりたい事はあったのだが、それだけで精一杯だった。

「お前だろ、両目を開いて見ろといったのは」
「そ、それは!…景色の話…で……オレの事じゃなくて…」
言いながら、なんとか首を傾げるように視線を逸らす。
彼の口調もいつもとさほど変わらない。それなのに何故か、はらわたに穴でも開いたかのような
ざわざわとした奇妙な薄ら寒さを感じて、圓はほんの少しだけ躰を震わせた。

「…も…もう、見るなよっ。それに…」
「顔を見なきゃいいんだな?」
「え?……い、いや、ちょっと、それより…」
どいて欲しい…との言葉が出る前に、また先程までと同じく
天斗の顔は、圓の顔の横にくっつくように下げられた。
確かにこれなら、彼の両目に射すくめられる事はないのだが…。
「……ひぅっ!?」
至近距離のお見合い状態という、息詰まる状況ではなくなった矢先
首筋に感じる湿っぽい感触に圓は息を詰まらせた。

ぴちゃ…と微かに届いた音と、熱い息が耳にかかる。
細い首に蠢く、誤魔化し様のない生暖かな感覚に、彼女は瞳を見開く。
天斗の舌に舐められている。…圓にはまるで理解し難いものだった。
「やめ、やめろよっ…!なに、そんな…ぁ……っ!」
弱々しい反抗に対する返答代わりに、天斗は強く首筋に吸い付く。
紅く生々しく残った跡に、彼はまた舌を擦り付けた。
134天斗×圓:2005/07/17(日) 00:36:03 ID:c78KZVF/
一方はしっかりと拘束されている為、片手で彼の躰を押しのけようとするものの
両手でも対抗できないのだから、効果は無いも同然。
圧倒的な力の差と天斗の不可解な行動に、震える指先から力が抜けていった。


天斗は空いた手で圓の胸元を軽く撫で上げた。
着物の上からでも指の埋まるような柔らかさが伝わってくる。
添えるように、そっと触れているだけにもかかわらず
彼女は躰をぴくんと反応させ、そのつど乳房がゆさりと揺れる。
それを掌に受けて、彼は堪らない気持ちに陥りかかっていた。

さらに彼女を舌で味わい、もっと柔らかい所に触れ
またあの痺れるような甘い喘ぎを聞かせて欲しい。
率直な雄の欲情が、じくじくと躰の奥底から沸いてくる。
一年近く耐えられた物が、いともあっさりと瓦解する様を
不思議に…そして何もかもどうでもいいような気持ちで受け入れつつあった。

また紅い跡を残すべく吸い付こうとした首筋に、歯が触れてしまった。
圓の躰が大きく震え、さほど強くはなかったものの
もしかしたら痛かったのかもしれないと、天斗は口を離しかけた。
「……か…?」
すると、囁きが彼の耳に辛うじて届いた。

顔をあげた天斗の目に映ったのは、諦めと怯えが入り混じった圓の顔。
ゆらゆらと揺れる瞳からは今にも雫が溢れ落ちそうだった。
一瞬、息を詰まらせた彼に、彼女は震える声で呟いた。
「……天斗、お前……オレを、喰い殺すの…か?」
「…!」
「怒らせるようなこと、したから…?」
135天斗×圓:2005/07/17(日) 00:37:31 ID:c78KZVF/
質問口調。…共に旅した一年間、様々な事を聞かれ、それに答え……
天斗は、呪いのような自制心が自身の中に戻ってくるのを感じていた。
軽く目を逸らし、口元を自嘲げに歪ませると、ゆっくりと引き剥がすように身を起こした。


圓は地面に横たわったまま、しばらく天斗を辛そうな瞳のまま見つめていたが
彼はどいたのに、自分がいつまでも寝ているのはおかしい事に気付き
腕に無理やり力を込めて上半身を起き上がらせた。
起き上がった事で、ぽとりと大粒の雫が零れて着物に染み、あわてて目頭を拭う。
捲れあがって乱れた着物を素早く直すと、へたり込んだ脚がまだ震えていた。
恐怖ゆえか、別の理由なのかは判断がつかなかった。

「立てるか?」
「……立つ…さ…。言われなくとも…」
脚はまだ震えているが、問われてそう答えてしまった以上、立ち上がるしかない。
それなのに、ただそんな単純な事がなかなか出来なかった。
こんな鈍重な自分は今まで知らない。
自分の躰が思い通りにならない事が、圓はひどく惨めに思えた。

「…っ!」
突然、脇の下あたりを両手でつかまれ
力強く持ち上げられると圓の口から驚きの息が漏れた。
ちょうど大人が子供を『高い高い』などとするのを、天斗は座ったまま行い
それにより圓は立ち上がることが出来た。
手を離すと彼女は軽くよろめき、彼の肩に手をつく。
また瞳から一粒落ちたものが、天斗の髪を濡らした。

多少心許ないながらも、きちんと両足の裏に地面の質感がある。
自分の力で立っていられる事に情けなくも安堵せずにはいられなかった。
天斗の肩に手を置いたまま、俯いて軽く息を吐く。すると、彼が顔をあげた。
136天斗×圓:2005/07/17(日) 00:39:05 ID:c78KZVF/
いつものように右目を瞑って、何事も無かったような顔をしている…。
それでも、その表情には何か惑いが滲んでいるのを圓は見逃さなかった。

「冗談だ」
「…じょう、だん……?」
「冗談だよ。全部…な」
少し天斗が笑うと、圓もつられて笑う。
「ああ…なんだ……冗談……。……ああ、そう……」
笑うとまた一筋、引きつった彼女の頬を伝い落ち、今度は彼の頬を濡らした。
自分の頬も彼女の頬もぬぐう事なく、天斗は「先に帰ってもいいぞ」とゆっくり言った。

「え…、天斗は?帰らないのか…?」
圓は彼を見おろし、少し不安そうな声で聞いた。
それに対し、天斗は頭を掻きながら居心地悪そうな笑顔を作る。
「…まぁ、あれだ。足が痺れて動けんという事にしといてくれ。
すぐに収まる。そうしたら帰るんで心配すんな」
「……あ、ああ…?」
釈然としなかったが、このまま一緒にいるのも気まずく思えて
あいまいに圓は頷くと、そっと天斗の肩から手を離した。

来た道へと二、三歩行ったところで圓は突然向きを変え
何事かと見る天斗と目をあわさずに、脱げ落ちていた草履を拾い上げた。
もう足の裏は砂にまみれていて、借り物の草履は履けない。
両手で握るように持つと、彼女は小走りでその場を後にした。


坂道を降りながら、自分の顔をごしごしと擦る。
一歩進むごとに着物のあちこちから細かな砂が落ちた。
重い足を止め、背中や髪を叩いて砂を払い落とし、乱れた所を直していても
痛くもないのに両目から次から次へと涙が溢れ落ちてくる。
視界がぼやけて歩くのも難儀し、圓は仕方なくその場にしゃがみこんだ。
137天斗×圓:2005/07/17(日) 00:40:05 ID:c78KZVF/
「………」
銀杏の木の下、寒さでも凌ぐかのように両腕で体を抱き、身を縮こませると
止まって欲しい気持ちとは裏腹に涙は零れて着物を濡らした。
何故に、いつから、こんな風に躰と心が噛み合わなくなってしまったのだろうか。
佐助と二人でいた頃は、こんな事は無かったというのに…。
圓は躰を憎むべきなのか、心を憎むべきなのか決めあぐねていた。



ようやく涙も引き、圓は鼻をぐずぐず言わせながら家の傍まで戻ってきた。
この後どうするか…とりあえず部屋に戻って着替えようかとぼんやり考えながら
玄関に向け歩いていると、突如「あぶない!」と鋭い叫びが上がった。

圓は半歩身を引くと、叫びの上がった方に視線をやることもなく
風を切り飛んできた物を草履を持っていない方の手で受け止めた。
じんわりとした掌の中、見ればそれは使い古された鞠。
叫びに変わり、驚嘆するような溜息が聞こえていた。

鞠と草履を手にする圓の傍に、子供達がおずおずと近寄ってきた。
修行場から遊んでいるのが見えた子らか…と、黙って見渡していると
物心つくか、つかないか位の集団の中で、一人だけ大人びた顔をした
…とはいえ、かぞえで十三あたりの娘が進み出てきた。
桜色の着物に藍色のおぶい紐を巻きつけ、乳飲み子を背負っている。

「申し訳ございません…。あの、お怪我はございませんでしょうか?」
「…ああ、大丈夫だ」
圓はそう言って鞠を差し出すと、娘はにっこりと微笑んで
「ありがとうございます」と頭を下げ、両手で受け取った。
二歩ほど後ろに控えている子供達を振り返り「ほら、あんたたちも」と促す。
もじもじとしながらも「ごめんなさい」「お姉ちゃんありがとう」と
口々に言うのを聞き、ふっ…と圓は相貌を崩した。
138天斗×圓:2005/07/17(日) 00:41:05 ID:c78KZVF/
「気にせずとも良い…次から気をつけることじゃ」
そう言って、彼女は子供たちに一歩近づいた。
すると、乳飲み子を背負った娘以外、見事に足並みそろえて一歩後ろに引いたのだ。
…気まずい空気が、集団の間を支配した。

『…………怖がられてる…?』
そりゃあ、見も知らずの黒っぽい女が、片手で鞠を受け止めたりしたら怖いかも知れないが…。
天斗の故郷の子供の割に、人見知りな事だなぁと圓は思い
『…別に天斗の事など関係なかろうに』
頭に浮かんだ事柄を瞬時に否定し、顔を少し曇らせた。

元気な人間が揃っていながら、誰も声を発しない。
奇妙な膠着状態…それを破ったのは、その場で一番の年長者だった。
少しばかり圓は目を細め、軽く頬を掻いたあと
「……うん、じゃあ…オレはこれで」そんな呟きと共に、背を向けようとした。
すると子供たちと、娘に動揺が走る。
「あ、あの!お待ちくださ……」
「なにやってんだ?お前たち」
そこに、とてものんびりとした声が掛けられ、その場にいた全員がそちらを向いた。
「あ…八雲様!」
その名前は、圓も聞き覚えのあるものだった。


その男性は四十代の前半位、とても…暢気な顔をしていた。
人の良さそうな親父さんと言った風情で、軽く笑みを浮かべ
どこまでも飄々として…なんだか掴み所の無さそうな印象を受けた。
天斗も飄々としてはいるが、この人に比べたらずいぶん威圧感がある。
『…この方が…天斗の父親。……先代の、陸奥…』
白帯と太刀こそ無いものの、天斗とよく似た着物を身につけていて
その名からして間違いないとは思うのだが、とても信じ難いと圓は思った。
139天斗×圓:2005/07/17(日) 00:42:03 ID:c78KZVF/
…………修羅には見えぬぞ。どう頑張ってみても……。
彼女は内心、開いた口が塞がらなかった。


「あんた…圓さんだね」
「え、あっ。は、はい!すみません、ご挨拶もせず」
声を掛けられ、圓は動揺を全身にあらわしながら、慌てて頭を下げた。
その様子に八雲は軽く笑い、ゆったりと口を開く。
「天斗がものすごい形相で抱えてきた日にゃ、どうなるかと思ったが…。
顔色もよくなったな。良かった良かった」
「…お手数をお掛けいたしまして…」
圓がぎこちなく言うと、八雲は微笑んだまま首を振った。
「元気であればそれでいい。無理は駄目だ。……おまえ達もな」
そう言って八雲が回りの子供たちを見渡すと、彼らは元気な声で返答をしたのだった。

『変わったお人だなぁ…』
すっかり和やかになった場に、圓の顔にも微笑が浮かぶ。
『…ものすごい形相だったか…天斗…』
それを想像すると、微笑が苦笑いに変わっていった。
複雑な笑顔を浮かべたまま、彼女は子供達の頭をがしがしと撫でている八雲を見た。
たしかに五十には程遠い外見だと、思わずにはいられなかった。

宮本伊織に嘘を見抜かれ、しどろもどろになったあの日…
まさか『八雲殿』ご本人に、本当にお目にかかる日が来るとは思いもよらなかった。
陸奥を騙った自分と、陸奥を知る者と、本物の陸奥が一つの鍋を囲む。
普通ならばありえない。仕組まれていたかのようだ。
そう天斗に言うと、あっさりと『そういう運命なんだろうよ』と言われた。
そんな会話を、圓はずいぶん昔の事のように思い出していた。
140天斗×圓:2005/07/17(日) 00:43:04 ID:c78KZVF/
「う…」
うめきが漏れた。横にいた娘が怪訝そうな顔を向ける。
圓はさりげなく顔を逸らし、もう一度、盗み見るように八雲へと視線を向けた。
『…どこまで…知っておいでなのか……?』
首筋に冷汗が垂れる。
名を、陸奥の名を勝手に騙ったこと。それにより騒ぎを起こしたこと。
…伝わっていない筈は無いだろう。
非難されてしかるべきなのに、天斗からも、その家族からも何も言われていない事に気付く。

今になって圓は思う。もし、天斗に会う事なく、名を騙ったまま…敗北していたら。
陸奥が負けたなどという間違いが広まってしまう所だったかもしれないのだ。
どこかで天斗がそれを否定しても、幕府が伝える言葉の方が速い。
嘘が真になってしまう…。手前勝手な行動が、数百年の歴史に泥を塗りかねなかった…。
圓は自身の愚かさと、やらかした事の恐ろしさに、躰を一つ震わせた。

「……本当に………本当に申し訳ございません…!!」
勢いよく下げられた頭に、遅れて長い黒髪が舞う。
乳飲み子を背負った娘は面食らって一歩後ろに引き、子供達はぽかんと口を開けた。
八雲だけが変わらず、恐縮しきっている圓を見つめていた。

「ほら、みな驚いておるぞ…。顔をあげなよ」
髪が地面につきそうなほど前屈姿勢の圓に、八雲は手を振りながら言った。
ゆっくりと暗い顔をあげると、握っていた草履が抜き取られた。
「良いさ、草履くらい。これは詩織のだが
どうせ天斗の奴が勝手に持って行ったんだろうって思ってたしな」
草履をぷらぷらさせながら、八雲は仕方ないなと言いたげな笑顔をみせた。
それにつられて、回りの子供たちもくすくす笑う。
天斗兄ちゃんはしかたないねー…などと言う、幼い声を聞きながら
しばし呆然としていた圓は、握り拳を作って慌てて口を開いた。
「い、いえ!草履もですが…そうではなくて…っ」
自分が無断借用したのは、もっともっと大変な物…。
その事をどう伝え、謝罪するべきか、焦りで上手く考えられなかった。
141天斗×圓:2005/07/17(日) 00:44:04 ID:c78KZVF/
「あの……っわ!」
頭に軽い衝撃を感じ、叩かれたのか?と思う間もなく揺すぶられた。
わしわしと、八雲の手が頭を撫でる。先程子供達がされていたのと同じ豪快さで。
視界は揺れ動き、無理に話そうとすると舌を噛みそうになった。
「あ、あのっ、ちょと、わ、わ……」
「気にするな。…言ったろ、元気であればそれでいいって」
最後に二度、ぽんぽんと軽く叩いて手は離れ
ぐしゃぐしゃになった髪を直しもせず、茫然としている圓に
「ま、これからも天斗と仲良くしてやってくんな」そう言って八雲はニッと笑った。


申し訳無さそうに、もう一度頭を下げた圓は小走りで家へと入って行く。
今までの様子を少し離れた所から見つめていた天斗は、複雑な表情を浮かべていた。



風呂桶に、長い黒髪が海草のごとく揺らめき
少し熱めの湯に肌がぴりつく。圓は久々の風呂に脱力しきっていた。

家に入った彼女は詩織とばったり出くわし、慌てて草履の事を謝罪した。
すると詩織は「いいのよ、気にしないで。…それよりどうしたの?
体中、砂まみれで…」と、心配そうな顔を見せた。
「………転びました。怪我などはございませんので…」
「転んだの!?天斗が一緒にいたのに?…もう、あの子ったら…」

…その天斗に転ばされたんですけど。
とは口が裂けても言えぬな…と、圓は内心、冷汗を垂らしていた。
142天斗×圓:2005/07/17(日) 00:45:03 ID:c78KZVF/
そんな訳で、風呂に入るよう言われた圓は
「家長を差し置いてそんな…」との断りも聞き入れられず、今に至っていた。

佐助に教わってきた礼儀があまり通用しない家だな…と思う。
…なんというか、大らかすぎる。
湯気の登る天井を見つめながら、そんなことをぼんやりと考えていると
「…お湯加減はどうかしら?」
浴室の外から聞こえてきた声に、圓は我に返った。
「あ…はい。丁度いいです…」
「そう、良かった。…着替えの浴衣を置いておきますから、使って頂戴ね」
「……はい」
辞退はせず、見えもしないのに律儀に頷きながら返答をした。
ついでに『下帯を用意しろ』などとも言わなかった。

そのかわり…彼女はおずおずと口を開いた。
「すみませんが…鏡をお借りしてもよろしいでしょうか…?
明日の朝で構わないのですが…」
「あら、そうよね…!ごめんなさい、気がつかなくて。
あとでお部屋に持っていってあげるわね。それと…このお着物、洗濯しておくから」
のほほんとした詩織の声に、圓は沈んでいた腰をあげた。
動揺を表すかのように、水面が激しく乱れる。
「洗濯など自分でいたします…!」
「いいからいいから、ついでだから。それじゃ、ごゆっくりね」

足音が遠ざかる。叫んだ所で聞いて貰えそうになかった…。
圓はずるずると口元まで湯に漬かり、観念したかのように目を瞑った。
『…やはり、大らかすぎるのではないかなぁ……』
ぱたりと、天井から水滴が落ち、彼女の頭に当たった。


湯上り、夕暮れの日に染まる縁側に立ってみたが、そこには誰の気配も無かった。
143天斗×圓:2005/07/17(日) 00:46:08 ID:c78KZVF/
夜も更け、寝具に横たわった圓はぼんやりとしていた。
久々の外出や風呂で、さすがに疲労したらしく少々だるい。

室内は暗く、少し離れたところに置かれた物が影になっている。
借り受けた鏡箱と小さな鏡台。それに、薄桃色の着物。
名も知らぬ大きな花と白の小花柄が美しく、圓の目から見ても上品で愛らしかった。
詩織のお下がりだと言うそれを、良ければ使ってと手渡され
着替えは持っておりますからと丁重に断ったのだが
『ここに置いておくから、気が向いた時にでもね』と微笑まれたのだった。

「そこまで気を使ってくれずとも良いのにな…」
とても自分が着れるようなものではないと圓は思う。
すぐにどこかに引っかけるか、砂だらけにしてしまいそうだ。
昔、佐助が作ってくれた着物もそうだったし、何より似合うとは到底思えなかった。

砂だらけ…で、思いは自然に一つの方向へと進んでしまう。
これまで、ずっと考えないように、思い出さないようにしていた事が、押し寄せてくる。
『……天斗…』
一年前に味わった恐怖。
…忘れたように見せかけ、彼女は心の奥底でそれを引きずっていた。
忘れたようにしていたものが、今日、引きずり出された。

怒らせ、愛想が尽きたなら……打ち捨てられるのだろうか…
たとえ屍になったとしても、天涯孤独ゆえ誰も困りはしないだろうが。
『……いや…さすがにそれは…』
首を振り、絶望的な思いを打ち消す。
もしも愛想が尽きるなら、当の昔に尽きている気がする。
わざわざ里に、ものすごい形相で抱えてきた説明がつかないし
そもそも約定は果たされているのだから、放っておけば良いだけで…。
「では……何故………」
…呟きに答えるものは、誰もいない。
144天斗×圓:2005/07/17(日) 00:47:04 ID:c78KZVF/
冷静に考えれば、命に関わるような事はされていない。
寧ろ……今までそうだったように、彼は自分を救ってくれた。
その後、何故だか地面に倒され、首筋を舐められ、胸を触られただけで……。

そこまで思いおこして、圓の顔は火でも吹きそうな勢いで紅潮した。
『な……なん…なんだと、いうのじゃ!馬鹿、冗談にも程があるぞ…!」
確かに冗談だとは言われたが、それにしたって悪趣味だと思う。
冷静になってみて気付いた事により、圓は冷静ではなくなっていた。

天斗の重みと温もり、匂いを思い出すと、今も上に乗られているかのように
胸が苦しく、顔を覆った両手に速い吐息がかかる。
首筋に髪が擦れ、こそばゆいような感触に、へその内側がきゅうと締まった。

躰を丸めると、両腕の間に挟みこまれた乳房が形をかえた。
「……」
ちょっとした動きでも揺れる、正直邪魔な代物。
年を取るにつれ、いつしか膨れあがっていたそれを
圓はそっと、寝間着の上から手で覆ってみた。
小さな手には余る大きさ。もっと大きな手ならすっぽり納まりそうだった。
奇妙な思考と行動を、しびれた頭は気がつかない。
胸を覆った自身の手をずらす。…天斗がそうしていたように。
「んっ、ふ…」
自身の躰なのに得体が知れないほど柔らかい。その形をなぞるようにすると
硬くしこりかけていた先端に指先が引っかかり、びくりと背が弓なりに反った。
145天斗×圓:2005/07/17(日) 00:48:04 ID:c78KZVF/
空気が薄いかのように、半開きの口は荒く息をする。
指は無意識に乳房を掴み、頭のどこかでこれは変だと思いながらも手が離せなかった。
「ぁ…っ……や………」
声が漏れるのを、とっさに寝間着の袖を噛んで凌ぎ
撫でるだけだった指の動きは次第に大胆に、艶かしくなっていく。
指の腹を擦り付けたり、弾いてみたり。
圓の乳首はいまや寝間着の上からでも分かるほど膨れ、形を主張している。
少し強めに摘み上げると、躰の全てが反応するかのように跳ね上がる。

触れば触るほど、もっと触れたくなっていく。
気付けば陥っていた悪循環に怯えもあるが、呆ける躰はそれだけでは押さえられない。
寝間着の上からの薄い刺激に、酷いじれったさが募ってくる。
『……少し…少しだけ、なら…』
そろり、そろりと指を内側に入れていくと、汗で湿った熱さを感じた。
手の厚みで左前の衿が少し帯から引っ張られ
突如、その感覚に、ぞわりと大きく寒気が走った。

御前試合で着物を裂かれた時の、あの感覚が一瞬だけ蘇り
圓は瞬時に胸元から手を離していた。
大勢の見知らぬ男達の前で胸を曝け出し、とっさにそれを隠すなどという無様な姿
そして目の前には、突き刺さるような殺気の塊…。
居たたまれなさと恐ろしさが綯い交ぜになり、叫びだしたい衝動に駆られた。

『……やめよう…もう、ほんとに……。もう…眠らなく…ては……』
身を縮こませて、目を硬く瞑り、やがて訪れるであろう睡魔を待った。
しかしそれは火照る躰に阻まれて、一向に訪れない。
146天斗×圓:2005/07/17(日) 00:49:03 ID:c78KZVF/
圓は無意識に両足を擦り合わせていた。
躰の中心の、ずっと奥…そこが疼いて、うねっている。
強く瞑りすぎている両目にうっすらと涙が浮かび
湿った唇から、咥えていた袖の端がぐっしょりと唾液を含み、糸を引いて落ちた。

へそのあたりを撫でてみた。
ここの内側がおかしいように思え、少しでも鎮まってくれたらと思うのだが、無駄だった。
逆にそのせいで、そこよりもっと下の異変にも気付いてしまう。
脚の付け根に宿る熱。それは、天斗の脚に乗ってしまったあの時に似ている。
望んで行なったものでは無かったにしろ、一度快楽を味わってしまった躰は
もっと奥底までそれを望んで、圓自身を苛みつづけていた。

何もかもが真っ白になった、あの後…
躰はだるかったが、熱が引き、いつもの自分に戻れそうだった事を思い出す。
『…やはりこれは……病気…?』
そうだとしたら、なんと厄介な事だろうか。
場所が場所だけに、誰かに相談する事すら憚られる。
自分で何とかするほか無い……。圓は悲壮な覚悟に震え上がった。

ごくりと唾を飲み、恐る恐る、寝間着の上から恥丘を擦った。
「ひっ」
軽くだったというのに、情けないほど反応してしまう。思ったより重症のようだ。
胸を触った時、布越しでは駄目だと悟っていたので
泣き出しそうな顔をしながらも、震える手で裾を掴み、捲り上げる。
下半身だけ剥き出しの姿を、圓は『なんと無様な』と罵った。
147天斗×圓:2005/07/17(日) 00:50:08 ID:c78KZVF/
不浄の場と言われるそこを、当然好んで触れたことなど無い。
圓はしばし逡巡し、彷徨う手は太股のあたりを触れたり触れなかったりしていたが
それは焦らしの効果しかなく、ますます熱ぼったさが募る。
なんとか躰の中心に指を添えると、さりり…と陰毛独特の感触を覚えた。
何ゆえこのような所にこのような物が生えておるのかのぅ、などと
どうでもよい事をわざと考え、気を紛らわしながら指を進めていった。

そこはとても熱く、ぬかるんでいた。
「………」
指先に生じる異様な感覚に、圓は硬直する。
ぬるりとした粘度のある液体と、層になっている肉は怖いほど柔らかい。
内心とても気持ちが悪かった…しかし、体は更なる刺激を欲している。
緊張でぴんと伸びている指を、恐々ながら滑らせるように動かしてみた。
「ふぁっ…!」
出したくもないのに出てしまう喘ぎと、ぬちゃ…という音。
さほど大きくもないこれらの音が、他の部屋と離れているらしいこの場から
他者に漏れ聞こえる事はないと思うものの、圓の心臓は破裂寸前だった。

しばしそのままの姿で動きを止め、息を詰めていたが
またゆっくりと、今度は指を曲げ、軽く掻くように蠢かせた。
『……ぬ…ぬるぬるして……何がなんだか…わからぬ………』
秘裂に沈む指先が擦れあうたび、粘っこい水音が圓の耳に届く。
怯えつつも、動きを止める事なく…濡れそぼった襞を探るように掻き分け
何とかこの熱病を治める方法を捜し求めた。

「っく………んふ…ぁ…あっ…あ……」
粘液は先程より多くなっているような気がした。
脚をあまり開いていない為、擦れる指や手を伝った露は太股まで濡らしているが
両足に手が固定され、入り口の辺りを指先で掻き回すくらいしか出来ていない。
…脚を開かねば駄目か……。彼女は肺内の重い空気を吐き出した。
148天斗×圓:2005/07/17(日) 00:51:04 ID:c78KZVF/
ずるずると両足を離すと、今まで閉じていた所がくぱりと開く。
右中指は蜜の絡まる襞の合い間。左手は口元にある。
その左手もそっと秘所に添え、親指を使って更に開いた。
今まで考えもしなかった場所を自ら暴き、外気に触れさせ、圓は肌を桜色に染めた。

ともかく、体内の疼きを何とかしたい一心だった。
二、三度入り口を掻き回し、沈み込む場所を探り当て
意を決すると、そこに少しづつ指を押し込んでいく。
ぬるつく感触は同じだが、なんだかとても窮屈で上手く入らない。
少し進め、引き抜き……騙し騙し、唇を噛んで耐えながら押し開いていった。
『治療……だ、これは……っ!』
羞恥でおかしくなりそうな頭に、治療で恥ずかしい思いをしたのは初めてじゃないと浮かぶ。

天斗に背中の傷を見せた。肌を直に触られた。
恥ずかしかった…本当はとても恥ずかしかったが、確かに怪我は治った。
「…たか…とぉ……」
唇から漏れる名前に躰が激しく反応し、涙が零れる。
…この病気も治して欲しいと強く思った。
どんなに恥ずかしくとも、治るのならそれでいい。
助けて欲しかった。今までのように…。

そんな捨て鉢な思いを抱いても、それが現実になるわけでもなく
指は圓の意思だけで、じわじわと膣内を潜る。
じっくり時間をかけていた甲斐があってか、きつい内部も幾分ほぐれてきた。
爪を引っかけないように気をつけながら更に奥に。
すると、異様な物が指先に触れた。なにやら粒のような物が沢山、蠢いているような…。

彼女の躰は一気に総毛立った。
149天斗×圓:2005/07/17(日) 00:52:03 ID:c78KZVF/
「っ……やだぁっ!!」
得体の知れないものに対する恐怖は頂点を迎え
膣内にもぐりこませていた中指を一気に引き抜く。
ぬちゅりと、今までで一番大きく、嫌な音を立て
開きかかった所から、涎のような銀糸がひとすじ伝う。

もう終わり?おあずけ…?……知らない自分が内部から囁いて、嗤う。
それを激しく首を振り、祓った。

ぬらつく右指を左手できつく握り締めると、一本の欠けもなく、変わりなく動いた。
指が溶けて無くなりそうで、恐ろしくて堪らなかった。
全身に冷たい汗が流れ、ぜえぜえと肩で息をする。
開きっぱなしの口に塩っ辛い涙の粒が転がり落ちた。

体内はひくつき、奥底の疼きは止まないが、もうこれ以上続けるのは無理だった。
指の粘着物が赤かったらどうしよう…。しかしそれを確認する勇気はない。
『……こわい……こわいよぉ……佐助……』
遺髪は踏みつけるのを恐れ、手の届く場所には置いていない。
それを取りに行く気力もない…。
今の圓に出来るのは、ただ石のように身を硬く縮こませ、震える事だけだった。
150一五九 ◆D6Cu12peXM :2005/07/17(日) 00:53:08 ID:c78KZVF/
続きます。
俺の書く天斗ってなんかもぅ…l|li_| ̄|○il|li
151名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 00:53:33 ID:HUyPkO2Z
キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!!!!!!!!
待ってました!!!!!!!
152名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 06:20:17 ID:XaykS9Ux
何がなんだかわからなくなってる圓タンにハァハァ
八雲「天斗よ、早よ圓さんの病気を治してやってくんな」



もう一度言わせて下さい。

母さん・・・
あなたのこどもで本当によかったです!
153名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 09:44:39 ID:/WzEfvIf
何か、レス数が一気に伸びてると思ったら・・・
スゲーよ!
154名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 01:55:52 ID:eNk7Iio0
ああやっぱ159さんのシリーズすんげええええええええ好き
エロいの必死に耐える天斗とかとって食われそうとマジ泣きの圓とかがほれあれですよほらねえ

んでまたおあずけですか('A`)ハヤク…ツヅキヲ……
155名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 20:01:58 ID:Tnakj8TO
早く続き読ませてください!
あんまり焦らさないで・・・
156名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 21:10:17 ID:9DmhmfAS
一五九さん

乙、お見事です!
157名無しさん@ピンキー:2005/07/19(火) 11:14:43 ID:JYjxCFKC
一五九さん・・・!
お願い!もっと!
うますぎ!すごすぎ!です〜!!
158名無しさん@ピンキー:2005/07/19(火) 11:24:17 ID:JYjxCFKC
それと、天斗の深い愛情がなんとも言えずせつないです。
かわいすぎる、し・・・いじらしい!
最高の男です。早く理性を忘れさせてやって下さい!
159感感俺俺:2005/07/19(火) 23:27:36 ID:KHHA3DW8
天斗「お前の感じている感情は精神的疾患の一種だ。治す方法は俺が知ってる。俺に任せろ」
160名無しさん@ピンキー:2005/07/20(水) 11:29:00 ID:Otl4FSyX
スレが伸びてんなと思ったらきたきたきたー!!
母さん待ってて良かったよ…!!
天斗はよう圓をなんとかしたれー!!
むしろおれの股間をなんとかしてくれ。はあはあ。
161名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 02:08:37 ID:G8Rd0mlL
前スレで、地震あるとageる奴いたけど来なかったんだな
神奈川は震度4のわりに、って感じの揺れだった。

週末なのに下がりすぎなんで
かわりと言っちゃなんだが、こんな時間にageてみるけどさ。

つづきが気になる今日この頃。
162名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 02:10:10 ID:G8Rd0mlL
なんてこったage忘れした。
163名無しさん@ピンキー:2005/07/27(水) 16:18:49 ID:SflJ27wD
159さんのss好きなんで待ってます・・・
とりあえず保守
164キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/07/29(金) 20:46:36 ID:XgzEeS9A
ずずず…。
「ふぅー………。」
弥生の入れた緑茶を美味そうに啜り、ほっと一息入れる木村。
案内された部屋は離れで、窓の外からは見事な山の景色が見える。
「夕食は七時から別室やそうです。それまで…どうしはります?うちは、脂汗か
いてしもたから、温泉に行こうと思ってるんどすけど。」
「……俺も行こうかな。嫌な汗かいたのは俺もだし。………あ、弥生。」
「何どすか?」
「仲居が覗きにくることはないだろうな?」
木村の質問に弥生の目が丸くなる。
「………ぷくくっ……木村はん……。」
顔を赤くし、湯呑みを握り締めて肩を震わせる弥生。
やがて、耐え切れなくなったのか、声を出して笑い始めた。
「はははは…大丈夫…っ、どす…『離れ』の客が入っとる時に、…覗きなんて、
…あはは…、くびになっ…すいまへん、はははは…。」
「……従業員が覗かないのは分かったから……弥生、しばらく笑ってろ。」
呆れた木村の言葉に弥生は頷くと、腹を抱えて笑いだした。
「…ひゃは、あはは…あー、久々に笑いましたわぁ…。」
「気が済んだところで悪いが弥生。…まさかお前も、厄介ごとに巻き込まれてはないよな?」
木村の質問に、弥生は笑うのを止め、真顔になる。
「…、何で、分かったんどす?」
165キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/07/29(金) 20:47:47 ID:XgzEeS9A
と、その頃。飛田と梓が泊まる離れには、甘い空気が漂っていた。
「梓ぁ…。」
飛田に抱きつき、うっとりとした顔で頬をすり寄せている梓。
飛田も、苦笑しているが離す気はないらしく、梓の肩や頭を優しく撫でている。
「ここしばらく、警戒させっぱなしだったからなぁ…。」
何故かは分からないが、ここ最近、飛田のまわりを芸能記者がうろついていた。
その為、梓には四六時中警戒させ通しだったのだ。
飛田は、全く身に覚えのないことで不必要なストレスを与えてしまったので、梓
の我儘は目一杯聞いてやろうと思っていた。
「飛田さん。」
ふと気付くと腕に抱きついていたはずの梓が、あぐらをかいた膝の上に座ってい
た。そのまま、梓の手は飛田の首に回る。体を預けるように抱きついてくる梓を
抱き留めた飛田は、その手で梓の背中を撫でた。
「…梓、ずいぶん、甘ったれだな。」
首筋や頬に何回も口づけてくる感触が心地よい。
「…だって…。」
飛田の言葉に梓は口づけを止め、ふにゃりと笑う。
厄介な留守番を押しつけてしまった麗には悪いと思っている。
だが、梓は飛田を独占できるのが嬉しくて堪らないのだ。
梓は瞳をそっと閉じると、ゆっくり飛田と唇を重ねた。
166キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/07/29(金) 20:50:14 ID:XgzEeS9A
「半分は勘だ。後の半分は……飛田から聞いたお前の行動と、これだよ。」
木村は弥生の肩に手を置くと軽く力を入れた。
「痛っ!」
「…やっぱり。骨に異常はないな?」
「打撲だけどす。後ろから襲われて振り返ったら、ドカン、て。木刀やったから
、皮膚は裂けてまへん。…上手く、ごまかしてたつもりなんどすけどな。」
「飛田の話がなきゃ、俺も肩は柔道だと思ったままだったよ。確か、新刊出たの
は、先々週だったよな?新刊が出たら、お前は半月くらいのんびりしてる筈なの
に、俺と別になったのは急な打ち合せのせいだと飛田に説明した…それに、お前
が次回の打ち合せをするのは、いつも今の連載の最終話をのせる前だろ?…一体
、何があったんだ?」
掴んでいた肩を優しく撫でながら木村が尋ねると、弥生は静かに話しだした。
「…馬鹿な連中が、自分らの好むように話を書かせようと、うちを狙ってるんで
す。どっちかはわからへんけど、道場帰りに髪下ろして歩いてんの見て、幻影と
同じだ、って尾行したみたいで。」
「…警察には?」
「………確実に逮捕されんと、通報しても意味ないですぇ。」
話していた弥生の顔が凄味を帯びた真剣な顔になる。
「せやから、楓と忍ちゃんに連中を任して、……うちは、木村はんを安全圏に置
くために、誘いました。……怒りますか?」
真剣な眼差しで、木村を見つめる弥生。
木村はその眼差しを見つめ返すと、痛めている肩に障らぬ様、優しく抱き締めた。
167キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/07/29(金) 20:51:12 ID:XgzEeS9A
「ん…。」
何度か触れるだけの軽いキスを互いに繰り返し、自然と空いたわずかな間。
飛田はゆっくりと梓を組み敷くと、唇を深く重ねた。
ちゅ、ちゅ…。
水音が少し大きくなる。
「……はぁ、はぁ……んっ…。」
息継ぎで荒く甘い息を吐いていた梓の体が、舌を口腔に差し入れられて小さく震える。
「…ぁ……。」
舌を絡め取られ、頭の奥がじわりと痺れてくる。
理性と快楽の狭間で揺れる思考で、無意識に足が何かを蹴飛ばした。
かん。
ガチン、…ぽん。
背中に何かが落ちてきて、飛田は欝陶しそうにそれを払い落とした。
カン。
金属音が離れの室内に響く。
「…?何だ?」
妙な金属音に飛田は梓から離れ、音の方を向いた。
深い口付けに息が上がっていた梓も、その方を見る。
「…なっ…?!」
「………?!」
視線の先には、畳の上に転がる手榴弾らしき物。ピンはしっかり刺さっていたが、そんなことは二人には問題ではなかった。
「「わあーっ!!」」

「…ん?。」
作務衣姿で庭を掃く圭が、ふと手を止める。と、渡り廊下を血相を変えた数人の従業員が走っていった。
行き先は飛田と梓が居る離れ。
「いくら開かずの部屋なってても、銃火器隠すのはよくないねぇ…。あ、どーも。」
入れ違いに廊下に来たカップルに圭は会釈を返し、圭は掃除を再開した。
168キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/07/29(金) 20:54:18 ID:XgzEeS9A
今回はここまでです。
前振り(?)まではとりあえず書き上がってますが、
少しでも艶のあるシーンを書いてから投下したいんで、またしばらくお待ち下さい。
169名無しさん@ピンキー:2005/07/30(土) 00:28:24 ID:TGzK2Rcn
すいません!お久しぶりすぎて話がちっともつかめません!
前回までのあらすじと軽いキャラ説明を願いしたい!!というか設定掴めません(キーさんごめんね)
170名無しさん@ピンキー:2005/07/30(土) 00:59:20 ID:FJiykSuZ
というか、前回の投下が2ヶ月以上前だからねえ。
キーさんのSSは面白いんだけど、いくら何でも投下の間隔が
空き過ぎだと思います。大作を分割投下するのは別に構わないんだけど、
出来れば全てを書き上げてから、こまめに投下して欲しいです。
171名無しさん@ピンキー:2005/07/30(土) 01:05:51 ID:guOpU3je
キーさん久々乙カレ〜。

保管庫見ると読み易いかも?
http://s1.artemisweb.jp/sslibrary/boycomic-magazine.html
172キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/07/30(土) 05:56:02 ID:VRkUZkRE
前回>>54-58
あらすじ。
互いに恋人から湯治に誘われた木村と飛田。(弥生は厄介なファン・梓は芸能記者から避難)恋人たちに旅館を紹介した当の張島がなぜか従業員として迎えにくるし、従業員もどこか一般人と違う模様。はたして無事に済むのだろうか?

173キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/07/30(土) 06:12:53 ID:VRkUZkRE
弥生 木村の恋人。職業小説家。京都出身。
梓 飛田の恋人。職業ジムのインストラクター。四国出身。親友と同居中
張島 圭 弥生たちの友人。普段は東京で探偵をして
いるが、今回はなぜか、古い友人の旅館で働いている。

北天舞人 圭が所属するよさこいソーランのチーム
神龍娘々 弥生・梓が所属するよさこいソーランのチ
ーム。北天舞人と合同チームを組む時もこの名前を使っている。
174名無しさん@ピンキー:2005/07/30(土) 11:47:52 ID:cy4IiLox
乙です。
手投げ弾とか世界観がパラ学並に胡散臭い(苦笑)
175名無しさん@ピンキー:2005/07/31(日) 01:14:10 ID:KqET129p
同じくあらすじ、キャラ説明も乙です。

そう言えばキー氏は携帯から投下してくれてるんじゃないんだっけ?
176名無しさん@ピンキー:2005/07/31(日) 01:44:03 ID:LaXHJm/q
177名無しさん@ピンキー:2005/08/01(月) 16:07:13 ID:6kkoVoRE
パラ学 はどうなった?
178名無しさん@ピンキー:2005/08/02(火) 00:03:56 ID:3ZoZjoJI
>>176
そのとおりゴメン。
自分のは古い情報だったね。

て、事で続きお待ち候orz
179名無しさん@ピンキー:2005/08/05(金) 12:31:25 ID:n+6zcJHi
 
180名無しさん@ピンキー:2005/08/05(金) 19:13:32 ID:cSTKluHg
一応、肝心な部分のネタバレは避けるか。
今月の展開だけじゃエロパロは無理そうだなあ。
181名無しさん@ピンキー:2005/08/06(土) 01:44:31 ID:6ebN9HoG
百合・・は無理かな。
182名無しさん@ピンキー:2005/08/06(土) 03:23:31 ID:jIw6v6Ce
ほほ〜う、最近WOWOWでフルメタ(夏玉芳タン×夏玉蘭タン)見て
今までそっち系には興味なかったが
やっと今頃それもイイなぁと思った今日この頃。。。

マイア,メル。舞子,フロ−レンス。詩織,雪姫・・・思い出せるのこれぐらいか。

でも俺としては、コレに男キャラを絡ませてほしいな。
183名無しさん@ピンキー:2005/08/07(日) 06:31:10 ID:gosiJRNa
>180
だいたい名前も出てきてねー
来月に期待だな。
184名無しさん@ピンキー:2005/08/09(火) 11:41:36 ID:d6hDbzD+
しかし川原作品ってオトナの女が皆無だな。
唯一、シンセングミ編止まり?
185名無しさん@ピンキー:2005/08/09(火) 20:33:58 ID:CuaLF4Eq
誰か、史上最も影の薄い修羅の花嫁、琥珀たんのSSを書いてくだされ
186名無しさん@ピンキー:2005/08/09(火) 22:03:12 ID:49S2nwPd
作者がガチロリなので無理>オトナ
187名無しさん@ピンキー:2005/08/10(水) 11:39:45 ID:9bKsjSmE
もうちょっと女を魅力的に描ければなぁ。
どんどん入り込めるのに。
川原さんは女性経験少ないと思う。
188一五九 ◆D6Cu12peXM :2005/08/12(金) 00:04:19 ID:53hn9Oho
>>185さん

信長「お前、いったい何者だ」
辰巳「陸奥辰巳」
琥珀「:*・゜(n‘∀‘).。oO(ドラゴンズ…!)」

尾張の国のうつけ姫(完)



…ごめんね、圓たんのSSはかどってないからって、ごめんね
189名無しさん@ピンキー:2005/08/15(月) 18:52:02 ID:0KH1Ok5p
保守
190名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 01:07:55 ID:7aGDPalQ
琥珀けっこう好き。
191キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/08/16(火) 21:04:16 ID:DcMCtq0l
ちゃぽーん…。
露天風呂の女湯。そこに一人、梓はのんびりと湯に浸かっていた。
「……………。」
さっきの手榴弾らしきものは、ここで覗き退治その他に使われている手投げ用の煙幕弾だと判明した。
ここより山の上の方にあるボディーガードの養成所から、時折脱走して覗きにくる訓練生撃退用に、主に使
用されているらしい。
ただ、自分達の前にあの離れに客が泊まったのは、数年も前のことらしいので、煙幕弾が出てくる筈がない
のだ。
駆け付けた従業員達(養成所の卒業生らしい)も、それに関しては誰も身に覚えがないと言っていた。
「………ぅーん。」
湯の中に顔を半分埋めながら、梓が考え込んでいると、後ろでドアが開く音がした。
「どないしたの?梓。」
「あ、弥生さ……そ、それ!」
振り返った梓は、弥生の肩にある痣に息を飲む。武道を学ぶ以上、痣や生傷は日常茶飯事である。
現に梓の肌にも赤青両方取り混ぜた痣や、軽い傷がいくつもある。しかし、弥生の肩の痣は、空手や柔道で
ついた痣ではない。
棒か何かで殴られた様なその痣は、袈裟掛けに斬られたように肩から斜めに走っている。色白の肌に残る紫色の痣は、とても痛々しく見えた。
「……あぁ、これな。大丈夫。骨は無傷やから。」
わずかに微笑む弥生の顔は、悲しそうだった。
192キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/08/16(火) 21:05:23 ID:DcMCtq0l
「……本当に、覚えがないんだな?」
「…何度言わせる気だ!ここしばらく、…梓と知り合ってからは誰とも付き合ってないってさっきから言っ
てるだろうが!」

同時刻。男湯、呉越同舟。
「第一、何でそんなに気にするんだ?あんたには彼女が居るだろうが。」
「橘は弥生の友達だ。…それに、あいつはとんでもなく危なっかしいんだよ。前に、女子部の時間帯に道場
破りが来た時、指導員さえ勝てなかった相手に一人でかかっていったんだ。弥生達がこなきゃ…。」
「勝ったんじゃないか?」
飛田の言葉に木村が止まる。
「……え?」
「梓は、…子供の頃から、血を吐くような鍛練を続けている女だ。…男だったら、うちにスカウトしてる。
それに、あいつの技は、相手を完全に行動不能にするのが目的だからな。空手のみならわからんが、あいつ
本来の闘い方をしたなら、道場破りなんかひとたまりもないだろう。」
「……飛田?」
男湯が静かになった次の瞬間。女湯の会話が聞こえてきた。
『…弥生さん肌綺麗ですよね。色白いし…。』
『誉めても何も出ぇへんて。こんな風に痣がくっきり残るんやさかい、色白もいいことずくめやないんやで。…梓。どないしたの?』
『……、…いや、弥生さんみたいな色香があったらなぁ…って、思っただけです。飛田さんは、凄く、大事
にしてくれますけど、……色香が有ったら、横取りしようとする人の攻撃も、どってことないんだろうなって…。』
『梓…。知ってるの?』
『誰か…までは…。けど、記者がどういうネタで動いているのかだけは、少し…。………あ、…悲しく、なって…。』
『…無理せぇへんで、…』そこで女湯の会話は終わり、木村は冷たい目で飛田を見た。

193キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/08/16(火) 21:07:02 ID:DcMCtq0l
夕食の後。木村と弥生は離れの縁側で月見酒を楽しんでいた。
「木村はん、ええ月どすなぁ。」
木村に寄りかかりながら、弥生がふわりと微笑む。
酒で肌がほんのり色付いているだけでもかなり色っぽいのに、それに輪をかけるように似合っている浴衣姿。
これが桜酔いなら、即刻弥生に押し倒されているところだが、酒の酔いなので、弥生はかなり大人しい。
むしろ木村の方が弥生を押し倒したくなってきていた。
「…。あ、あぁ。」
寄り掛かる弥生の肩を優しく抱き、手の中にあるお猪口に酒を注いでやる。それに弥生は小さく目礼で返し、くいっとお猪口の中の酒
を飲み干した。
「…木村はん。うちを、酔い潰す気どすか?」
先程から飲まされてばかりの弥生が、拗ねた顔で木村を見る。
「…悪い、弥生の飲みっぷりが見事だから、…つい。」
むくれた弥生に木村は笑いを堪えながら身を屈め、弥生の頬に頬を寄せる。
弥生は木村の手から徳利を取ると、木村の手に自分のお猪口を持たせ、酒を注いだ。
丁度空になった徳利を置いた弥生は、木村の耳元に唇を寄せ、甘い囁きを注ぐ。
「…それ、木村はんが飲むまで、布団……せん…。」
途中で気恥ずかしくなったのか、弥生はそのまま木村の肩に顔を埋める。だが、すぐに弥生は顔を上げた。
「どうした、弥生。」
「何か……。いやな、氣が…。」
194キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/08/16(火) 21:10:21 ID:DcMCtq0l
やっとこさ、次回からはエロが書けそうです。
なるべく間が空かないよう気を付けますんで、もうしばらくお付き合いいただけると幸いです。
195名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 17:27:44 ID:a3+zYcn0
キーサン地震大丈夫だったですか?

引き続きお気を付けて続き書いて下さいな。
196名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 20:29:14 ID:eLuN1G33
パラ学はまだなのだろうか。。。

197名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 06:05:23 ID:1YcohOUc
懐かし漫画板に呼びにいっちゃうぞぉ〜
198キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/08/29(月) 23:49:52 ID:N4o8luKJ
ほぼ同時刻。旅館へ飛田あてに電話がかかってきた為、残された梓は一人ぼんやりとしていた。
女湯に居た時に男湯の会話が聞こえたのと同様、男湯にも女湯の会話が聞こえていたらしい。夕食後、部屋
に戻ってから、飛田は優しく梓を抱き締めてくれた。電話がかかってこなければ、そのまま事に及んでいたと思う。
「……んっ……。」
体に残る熱に小さく身じろいだ梓は、顔から順に指先でその熱をたどった。胸に指を伸ばしたところで、ざ
わりとした快感と淡い熱が下腹部に宿る。
「…っ、……。」
淡い熱に流されるまま、梓は浴衣の上から乳房を柔らかく包み、乳首を指先でなぞる。
しかし、ざわりとした感覚のみが強調されて、余計もどかしくなるだけだった。梓は小さく息を吐くと、浴
衣の合わせ目を広げ、ブラジャーをずらし、乳房を露にした。
「……っ、んっ……。」
露になった乳房を手の平で包み、乳首を指先でなぞる。はじめはさわさわと撫でる程度だったのが、次第に
指で捏ねて刺激しはじめる。
「……っ、んっ…んぅ…っ。」
堪えるような声が自然に零れ、手にも熱が入る。梓は座っていた布団の上に仰向けに横たわると、わずかに
脚を開き、下着の上から秘裂をなぞった。
「…ぁ、んっ……。」
じわじわとしかこない快楽に辛そうに眉をしかめ、片手で下着をずり下ろして直接秘裂を指先で撫でる。
199キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/08/29(月) 23:50:58 ID:N4o8luKJ
潤い始めたそこは撫でると小さな水音が響き、梓の羞恥心を煽った。
顔が赤く火照るが、指は止められない。
「んぅ……、あっ……。」
きつく目を瞑り、声を出来る限り押し殺しながら、梓は自慰を続けた。
「やっ、……んぅ…、はぁっ、あっ…。」
飛田が戻る前に終わらせようと、秘裂を撫でる指の動きを早め、一気に追い上げようとする。
「…っ、…ぅん、…んっ…んうぅ…あ…っ、…!」
愛液で濡れた指でクリトリスを撫でると、梓は高い声を上げて腰を跳ね上げた。秘裂をなぞる度、滲む愛液
の量が増え、指の動きを滑らかにしていく。
「……っ、んっ……あぁ、…っ、…」
飛田に抱かれ、快楽を覚えた体は多少女らしくなったとはいえ、普通の女性と比べればまだまだ色香に欠け
る。
どこで自分の存在を知ったかはわからないが、横恋慕する相手に勝てると思われても仕方がない。家にまで『飛田と別れろ』と言う電話…電話?
「………?!」
重要な事実に気付き、梓の自慰の手が止まる。しかし、それについて考えようとする頭は、すぐに快楽に支
配された。追い上げられた体は更なる快感に飢え、止まった指は強い快感を得ようとクリトリスへ伸びる。
200キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/08/29(月) 23:52:28 ID:N4o8luKJ
「ひゃっ…あ、ぁん…あっ、あ、あ…。」
クリトリスを指先で捏ね回すと、強い快感が下半身を中心に広まり、梓の肌がうっすら色付いていく。
喘ぎが徐々に切羽詰まっていき、子宮がきゅうっと縮むのを感じた梓は、秘裂に指を突きたて、何回も抜き
差しした。
「あっ、あぁ…はっ、っ、あっ、い、イくっ、っ、んっ!…あー……っ!」
足をぴんと反らせ、梓は切なげな嬌声を上げる。淡く色付いた肌はじわりと汗ばみ、そのままゆっくりと体
の強ばりが解けていくと、梓はぐったりと布団に身を預けた。
「…あ……。」
取り敢えず身繕いをしようと、梓は下着を上下とも直す。
指が愛液で濡れているのに気付いた梓は、布団のそばにさっき置いておいたティッシュの箱に手を伸ばした。
「……!」
と、その時。部屋の中に異様な気配が充満する。梓は気配の方を向こうとするが、体が動かない。
『…ふふふ。』
ねっとりとした女の笑い声が頭の中に響く。
「…た、助けて…。」
女の声は梓の中で幾重にも響き、梓の意識を蝕んでいく。
「……飛田、さ…ん…。」飛田の名を呼んだ梓の体が力を失い、布団に横たわる。
しばらくして、梓が再び瞳を開いた。しかし、その瞳はどんよりと濁っていた。
201キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/08/29(月) 23:53:53 ID:N4o8luKJ
「すまない、梓。電話の後で、張島に捕まって…。」
それから少しして、飛田が漸く離れへと戻ってきた。
「…いいんですよ。急ぎの用事だったんでしょ?」
傍へ来た飛田の手を引き、梓が隣へ飛田を座らせる。
座った飛田にしなだれかかった梓は、誘うような淫らな笑みを浮かべ、飛田の頬に手を伸ばした。そのまま
飛田の首に腕を回し、飛田と唇を重ねる。
「目を閉じないなんて、不粋ですよ?」
「……お前、誰だ?」
艶然と微笑む梓の目を、飛田は厳しい目で睨み付けた。
「何言って…。」
「氣が全然違う。それに、梓は自分からキスする時、そんな顔はしない。凄い照れてるか、甘えてくるかの
どちらかだ。」
飛田は淡々と、けれどもきっぱりとした声で話し続ける。
「後、もう一つ。張島が開かずの離れの理由を教えてくれたよ。張島も女将もまだアメリカにいた頃、ここ
の部屋で無理心中があったそうだ。それ以来、この離れには男漁りをする女の幽霊が出るようになった…お
前が、そうなんだろ?」
「ばれたんなら、仕方ないわね。…そうよ。あたしだって、こんな色香も何もない女の体なんか欲しくなか
ったわ。けど、こんないい男を捕まえてるんですもん…。」
梓を乗っ取った女の指が、首筋をたどり浴衣の合わせ目から飛田の胸へと侵入する。
202キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/08/29(月) 23:55:12 ID:N4o8luKJ
「あたしが楽しませて上げるから…あんな女、忘れましょうよ。 」
梓の顔で淫らな微笑を浮かべたまま、女は飛田を誘う。
ドンッ!
次の瞬間、女は腹を押さえて蹲った。
「女の腹を殴るなんて最低、よ…っ…!…。」
「飛田、さん…。」
零距離で掌底をくらい、蹲った女が意識を手放すのと入れ替わるように、梓が体の主導権を取り戻す。
「すいません…。」
腹を擦りながら、梓は体を起こして立ち上がった。
「…くっ、うっ………っ!」
「梓!」
ぞわりとした気配が再び強くなりはじめ、梓は飛田から逃げるように廊下へと身を翻す。
体の主導権を再び奪われる前に、梓はこの女を追い払うつもりだった。賭けとしか言えない方法で。
203キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/08/30(火) 00:01:51 ID:N4o8luKJ
今回はここまで。
本番までは、もう一息です。
近いうちに、お届けできるよう努力いたします。
>>195さん
地震は大丈夫でした。
204名無しさん@ピンキー:2005/08/30(火) 11:07:14 ID:/SCwGYb0
おつかりー 地震大丈夫でよかた
205名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 17:41:56 ID:5H5nzMwp
まだ発売日前なんで、軽く。
かなり別嬪だ。
206名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 22:08:30 ID:FBbOuPGN
ほっほ〜、先月号も友人から廻って来たものを
つい最近手に入れたばっかの俺に・・・
かなり別嬪とは、今月はコンビニで立ち読みしてくるかぁ
207名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 22:51:08 ID:7j2E70Rg
なかなかいい感じに別嬪なので、エロ絵を描きたくなった俺がいる。
208名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 23:29:15 ID:JsFta/ar
残念ながら、雷電には既に嫁がいるので、雷電×葉月は無理ポいがな
209名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 00:43:37 ID:o7Zn8Ujh
江戸時代なんだから野郎が種まく分には、現代ほどの倫理観は無かろう。
210名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 17:57:53 ID:HFTxD1oA
>>209
不義密通は死罪。姦夫姦婦は重ねて四つの時代だぞ。
211名無しさん@ピンキー:2005/09/07(水) 01:19:46 ID:/M+x+ToP
大江戸拷問大全!?
212名無しさん@ピンキー:2005/09/07(水) 08:49:40 ID:eKAEyaFN
>>210
その場合でも男は罪にならないとタモリ倶楽部で見た覚えがあるんだが
ただ見たのは結構前なので間違ってるかもしれんけど
確か江戸時代の犯罪の罪の重さみたいな企画だったと思う
213名無しさん@ピンキー:2005/09/07(水) 13:21:16 ID:PNI9tHww
>>210
んなものは男女でダブスタに決まってる。
そうでなきゃ妾という商売が成り立つはずないじゃないか。
誰かの妻と密通した男は罪に問えるけど、
実際には金で手を打ったり、金を払い続けて関係が続く場合もあるようだ。
214名無しさん@ピンキー:2005/09/07(水) 19:04:37 ID:LWpdCE1R
身分と地域と状況しだいだと思うが。
乱交、乱婚を普通にやってる地域だってあったんだし。
相撲取りって侍扱いか?
215名無しさん@ピンキー:2005/09/07(水) 21:36:17 ID:ko5seNxR
試しに「不義密通 死罪」でググッてみるだけでも色々情報が調べられて面白い。
ただ>>210が上げた「姦夫姦婦は重ねて四つ」はあくまで浮気された夫が
妻と間男の浮気現場をその場で押さえてタタっ切りなさいよ、ということのようだ。
しかし侍ならともかく一般庶民ともなると、ちゃんとした証人(この場合は大家さん)がいないと、
実際に不義密通の二人を成敗したとしても白州では認められないとのこと。

まー、雷電が奥州で未婚娘の葉月に子種しこむ展開になっても別に問題ねーべw
まず江戸にはバレんだろうし(本人が奥さんに自己申告するかもしれんけど)
216名無しさん@ピンキー:2005/09/08(木) 00:02:11 ID:Rl+WTGln
雷電と谷風の浮気現場を奥さんが見つけて
その場で叩っ切ってもお咎めなしというわけだ。
修羅場やね。
217名無しさん@ピンキー:2005/09/08(木) 01:11:30 ID:y353H6Ym
なんか違うー
218名無しさん@ピンキー:2005/09/09(金) 21:36:37 ID:uAXaDdya
>>216
まさに修羅の刻だな
219名無しさん@ピンキー:2005/09/17(土) 18:19:50 ID:MESB/SDb
ほしゅ
220名無しさん@ピンキー:2005/09/22(木) 06:16:24 ID:7oP4ucMq
ひさしぶりに朝立ったんで上げとく、つーか下がりすぎ
221名無しさん@ピンキー:2005/09/26(月) 17:02:56 ID:ivkWTLBA
161 名前:名無しさん@6周年 本日のレス 投稿日:2005/09/26(月) 16:35:30 uWrD6sfr0
葉月ちゃんの画像早速発見したぞ。こりゃ、すげー

http://www.uploda.org/file/uporg202004.jpg
http://www.uploda.org/file/uporg202003.jpg
http://www.uploda.org/file/uporg202002.jpg
222名無しさん@ピンキー:2005/10/01(土) 01:33:49 ID:8dIMp2+Q
保守
223キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/10/02(日) 00:26:38 ID:kMo1nvrj
時間を戻し、木村と弥生の居る離れ。
「うう…。」
「大丈夫か?」
じわじわと強くなる気配に弥生は眉をしかめた。
京都にいた頃はあまりに量が多すぎたので、あまり気にはならなかったが、今は
どうしても気になってしまう。微酔い気分が覚めてしまった弥生は、傍らに置い
た鉄扇を手にすると立ち上がった。
「…木村はん。…何や、けたくそわるい霊の気配がしとるんで、様子、見てきます。」
「…、……あぁ、霊な。取り憑かれるなよ?」
桜酔いよりはまだ一般的な、霊感という弥生の特異体質。気配を無視して床に就
くことも出来るのだが、方向が方向なだだけに、無視する気にはなれない。
「様子見たら、すぐ戻りますさかい、待ってておくれやす。」
「ん。」
弥生と一緒に木村も中に戻る。木村がサッシと障子をきっちりと閉めている間に
、弥生は離れを出て廊下へと向かった。部屋に残った木村は布団に入り弥生を待つ。
「……っ………。」
無意識のうちに背を丸めた木村は、小さく唸りながら、わきあがっていた熱を堪
える。桜酔いはときには迷惑な体質だが、霊感の方は特に迷惑だと感じてはいな
かった。しかし、今回ばかりは迷惑だと思わずにはいられなかった。
224キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/10/02(日) 00:27:32 ID:kMo1nvrj
「…あれ、梓。どないしたん?」
嫌な霊の気配を辿り、廊下を歩く弥生。と、途中で膝を抱えて座り込んでいる梓
を見つけ、声をかける。と、梓は顔をあげ弥生を見上げた。
「………!」
焦点の合わない、淀んだ瞳。
その目に弥生は反射的に後ずさる。ゆらりと立ち上がった梓は、ぞっとする笑み
を零し、弥生へと飛び掛かった。
「!」
足を滑られつつ後ろに飛んだ弥生は、崩れた態勢のまま鉄扇を投げ付けた。避け
る時に出来た隙をつき、弥生は梓との距離をとる。
「あかんわ…。」
柔道のみの勝負であれば、弥生にも勝機があるが、空手や喧嘩となると分が悪すぎる。
しかし、取り憑かれている梓を放ってもおけない。弥生は腹を括ると構えを取っ
た。嫌な気配の霊は弥生に反応を示したのか、半分梓から出て弥生の様子を伺っ
ている。隙を見せれば襲い掛かってくるのは間違いないだろう。
「…梓、堪忍な。」
弥生が一気に間合いを詰めようとした次の瞬間だった。
225キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/10/02(日) 00:28:27 ID:kMo1nvrj
バサアッ!
弥生の後頭部に衝撃が走り、塩が弥生と梓にたっぷりとかかる。塩によって清め
られた梓から霊が抜け出すが、それを壁に縫い止めるようにお札を括り付けたくないが襲う。
「上手く…いったかな?」
弥生の後頭部に当たった容器を拾い上げた圭は、くないが刺さった場所に女将か
ら貰ったお札を貼りながら呟く。
「ま、やり損ねたにしても、しばらくは大人しくしてるでしょ。…あ、大丈夫?」
「………。」
「……いったぁ〜。」
瞳に光はあったがぼんやりしている梓と、容器が直撃した頭を擦る弥生。
二人とも頭から塩をかぶってしまい塩塗れになっている。
「…やっぱり、ありましたね。結局、間に合わなかったか…。」
お札を見上げて梓が言う。
「いいじゃない。被害は食い止められたんだから。」
「…うちは被害にあいましたよ…。せや、張島はんって、視えましたっけ?」
お札を貼り終えた圭は、箒を手にして首を横に振る。
「気配と感だけで投げた。…ほら、お風呂に行ってらっしゃい。待ってる人が、い
るでしょ。」
軽く二人を箒で小突く圭。それに押されるように二人は小走りで浴場へと向かう
。それを見送った圭は庭の方を向くと、声をかけた。
226キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/10/02(日) 00:29:32 ID:kMo1nvrj
「女将。そっちは片付いた?」
ザッ。
圭の声に、林から一人の女性が顔を出す。
年は圭より若干上。落ち着いた色合いの和服をまとうその手には警棒。
女将と呼ばれたその女性は警棒で林の中を示す。
「そっちの覗きらしきのが数人。後ハイエナ一人。」
「了解。覗きは後で兄貴に引き取りに来させます。ハイエナは適当にいたぶっち
ゃってくださいな。」
「了解。皆林の中に転がしてあるから。」
女将が警棒を一降りすると、手の中から一瞬で警棒が消える。
「使い勝手は悪くないけど…軽いのよね。」
「ごっつい銃ぶん回してた人からみたら、それは軽いでしょうね。」
「あら、ナイフも使ってたわよ?」
くすりと笑う女将に肩を竦め、圭は廊下の掃除を続ける。
「それじゃ、あたしはこいつをいたぶってるわね。」「…はいはい。」
女将が男を一人引きずって姿を消す。
「…やれやれ…。」
圭は無意識に山の頂き…実家の養成所がある方角を見上げて苦笑したのだった。
227キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/10/02(日) 00:32:58 ID:kMo1nvrj
今回はここまで。
幽霊との対峙の下りがちょっと上手く行かなくて悩みました。

なるべく早く次を送れるよう頑張りますのでよろしくお願いします。

228名無しさん@ピンキー:2005/10/05(水) 01:23:24 ID:9fEkC205
女将! 女将!
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 
 ⊂彡
229名無しさん@ピンキー:2005/10/05(水) 16:10:45 ID:AGeMMOEN
久々の職人降臨だァ!
キーサン乙。
230名無しさん@ピンキー:2005/10/05(水) 17:15:52 ID:4qy+kuex
今月号読んだ。
とりあえず何よりも印象に残ったのが葉月のおっぱ(ry
231名無しさん@ピンキー:2005/10/06(木) 22:23:10 ID:6Tntjw0I
誰か雷電×葉月書いてくれぇ
232名無しさん@ピンキー:2005/10/06(木) 22:37:40 ID:woqoJ7v/
どうやって葉月が堅物の雷電を落とすのか見てみたい。
233名無しさん@ピンキー:2005/10/07(金) 22:35:27 ID:Y6mqjFH+
正座で男泣きの雷電の頭をそっと抱きしめるって感じか。

葉月と八重のやり取りはまんま正妻と妾だな。
234名無しさん@ピンキー:2005/10/07(金) 22:36:45 ID:Y6mqjFH+
しかし本スレはかなりの勢いでレス流れてるのにココはあんまり人いないね。
235名無しさん@ピンキー:2005/10/08(土) 09:53:31 ID:UUPNHTuz
まぁ、葉月のおっぱい見ても好敵手がいなくなったことしか頭にないからなぁ。
なんとなくだが、イメージが浮かばない。

236名無しさん@ピンキー:2005/10/08(土) 10:50:59 ID:nBjIoVkk
あっこからどういうやり取りがあって結ばれたかとか考えると萌えないか?
237名無しさん@ピンキー:2005/10/20(木) 03:42:50 ID:kPD6AZHv
保守上げ
238名無しさん@ピンキー:2005/10/20(木) 21:52:39 ID:DO+EMWUG
じゃ、俺も
239名無しさん@ピンキー:2005/10/21(金) 12:53:35 ID:gmpQxfKb
そろそろ天斗×圓の続きが読みたいのぅ・・・
240名無しさん@ピンキー:2005/10/21(金) 21:36:24 ID:A285mfBz
ワシもじゃ〜
241名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 20:18:14 ID:gblDQFMQ
わしもだのぉ〜。
242名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 20:24:15 ID:qc2TJwOI
わしもさね〜。
243名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 07:02:35 ID:sKAFP+vG
私はパラダイス学園が読みたいです。。。
244名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 09:04:20 ID:abS+7Fwi
わ、わしもぞな。
245名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 18:27:42 ID:e7sgWgrc
わしもぞなもし。
246名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 00:53:48 ID:NmuZQ2cJ
圓たん
247パラ学スレの586:2005/10/29(土) 02:31:54 ID:ma4v08Oo
スイマセン、事情あってひさしぶりに来ました・・・
パラ学はあまり知らない人が多いと思うんでどうかと思ってたんですが。
間も空いちゃいましたし。

あと少し手直ししたら残りをあげられますけど、ちょっと体調もくずしてるんで
そのうち突然あげさせてもらいます。
248名無しさん@ピンキー:2005/10/29(土) 16:41:26 ID:KR8pc6In
おおー、お待ちしておりました、パラ学スレの方!
突然投下願ったり叶ったり!!
249名無しさん@ピンキー:2005/10/30(日) 00:48:23 ID:hF7YQqGP
わ〜い、パラ学スレさまだぁっ!
お待ちしておりましたぁっ!!!体調・・・だいじょぶですか???
早く良くなってくださいね。UP楽しみにしておりますぅ
250名無しさん@ピンキー:2005/10/30(日) 01:14:32 ID:dhfSs/3l
どうかお体に気を付けなさいまし投下下さいませ。
251名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 01:13:11 ID:vQMDdZgj
保守
252名無しさん@ピンキー:2005/11/05(土) 11:24:42 ID:MAI988k+
おっき
253名無しさん@ピンキー:2005/11/06(日) 20:21:28 ID:Qm7Wltrr
海皇記の新キャラでキボン。
254名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 01:07:08 ID:jBRbpvdJ
圓たん・・・(;´Д`)ハァハァ
255一五九 ◆D6Cu12peXM :2005/11/16(水) 00:23:36 ID:FdP9ZUFR
雷電編を読み終えて、気持ちが落ち着いてから
ぼちぼちと圓たんを書いています。
えらく時間がかかってしまって、本当に申しわけありませんorz
まだしばらくお待たせしてしまいますが…。
陸に上がったサバみたいな奴だから仕方ないと
思ってやって下さるとありがたいです。
256名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 02:25:24 ID:WCP090xC
||−`) 待ってる
257名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 22:24:03 ID:LIBBKaBd
>>159从リ ゚д゚ノリ うまそう
258名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 00:00:36 ID:iY9b2s3n
あんたはエギアなんかではない・・・
ずっと待つぜ
259名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 20:18:13 ID:8Y94EeKs
あげとこ
260名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 21:45:01 ID:uBBZi9kQ
上げ待ち!
261名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 23:10:00 ID:xp4LM970
やばいよ
262名無しさん@ピンキー:2005/12/05(月) 23:04:45 ID:dYN7ExYI
久しぶりの女新キャラがでたな。
263名無しさん@ピンキー:2005/12/06(火) 02:50:25 ID:PcNYCi7P
マジっすか?!
まだ読んでないよ〜、つか、月マガの話っしょ?

詳細キボンっす!
264名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 00:09:41 ID:usA3mjQQ
>>263
川原マンガ初(?)の巨乳キャラ
265名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 00:44:53 ID:GrVf0XZ0
顔は結局いつもの川原バリエーションだったが(たぶん性格も皆の予想の範囲内だろうし)
全体のシルエットで言うなら新機軸には違いない。
いったい川原に何があったのか、それは誰にも分からないw
266名無しさん@ピンキー:2005/12/12(月) 04:23:13 ID:Zwq8a+EQ
パラダイス学園の高嶋さんは一応巨乳キャラ。
267名無しさん@ピンキー:2005/12/13(火) 02:18:15 ID:sbgU49ZI
>>266
ああ、それと野球とサッカーのはなかったことに。
268名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 17:34:17 ID:LaRFclv4
詩織キボン
269名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 13:03:22 ID:v6YKQGzg
hage
270名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 05:45:23 ID:Vjk5vw+2
あげとこ
271名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 22:59:04 ID:DxOE0SDs
需要も供給もなさそうな将臣×晶(『ヒーロー』)キボンとか言ってみる。
確か原作ではスカート姿の晶が将臣に太ももむき出しで腕ひしぎをかける
シーンがあったような・・・・

>>268
 詩織は八雲との甘いシチュもいいが、壱巻の川原での水浴中に襲ってきた
刺客たちに女だとばれて陵辱されちゃうみたいなシチュも結構そそる。
272キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/12/24(土) 23:26:55 ID:7mbtW4oQ
「あっ…。」
浴場へと急いでいた梓は、部屋の前で飛田とぶつかった。
足を止めて飛田を見上げる梓の頬を、飛田は大きな手で包み、顔を上げさせる。しっかりとした視線で見つ
める梓に、飛田は優しく見つめた。
「もう、大丈夫だな。」
「…はい。…えっと、塩を被っちゃったので、お風呂入ってきます。大丈夫ですから、ちょっと待ってて下
さいね。」
「塩?……あぁ。」
言われれば少しざらついている。飛田は身を屈めると、梓の耳元に唇を寄せた。
「……不安に思うことはないからな。」
耳たぶに触れる暖かい感触に梓は頬を赤くする。
「…はい、行ってきます。」
足音を立てぬように静かな足取りで向かった梓を見送りながら、飛田は離れに戻った。

「…駄目だな、俺……。」
自分の方で情報を集めなかった為に、梓に迷惑をかけてしまった。
梓に直接向かってくるものは白木がある程度捌いているだろうが、彼女とて万能ではない。
「…誰なんだよ、一体…。」
大事な宝を苦しませる人間を放っておく訳にもいかない。飛田は布団に横になり、目を閉じると事態の解決
法を練り始めた。
「……さん、…田さん、飛田さん!」
考え始めてしばらく経った頃だろうか。頬をぺちぺち叩かれた飛田は、目を開けた。
「…あ、梓。」
273キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/12/24(土) 23:28:17 ID:7mbtW4oQ
「…寝てるかと、思いましたよ。」
浴衣をゆるく羽織り、湯上がりの肌はわずかに赤みを帯びている。
はにかんだ様ないつもの笑顔を見て、先程はやはり取り憑かれていたのだと実感する。
「……考え事、していたんだ。」
「……犯人は、二人居ると思います。一人は見当がつきましたけど、もう一人…心当たり、ないですか?」
「え?」
ぽすん、と飛田の隣に寝転がる梓。
「…うちに、電話がかかってきた時点で気付くべきだったんです。麗の職場の人が犯人なら、すぐに何らか
の処理をする筈ですから。でも、それが出来ないってことは、麗が知らない相手…。つまり、私の同僚しか
いないってことになるんです。」
「…心当たりは?」
梓の方に寝返りを打った飛田が尋ねるが、梓は首を横に振る。
「それは…。でも、とっかかりがあるなら、後は何とかなります。……動くのは、東京に帰ってからになり
ますけどね。」
梓は体を動かすと、飛田の胸板に顔を埋めた。浴衣の合わせ目から覗く肌に頬を寄せ、小さい声で何か呟く
。飛田がうなじを軽く撫でると、梓はぴくりと体を強ばらせて反応を示した。そのまま指を下へ滑らせ、背
中から腰に向かって撫でると、梓の唇からかすかな吐息が零れる。
「……んっ、……。」
体の奥に熱が籠もり、無意識にきつく目をつぶる梓。
274キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/12/24(土) 23:29:13 ID:7mbtW4oQ
「……反応がいいな。」
抱き寄せられて囁かれた一言に、梓は俯いてしまう。
二度も至る前に中断してしまったのもあるのだが、やはり先程の自慰の影響もあるかもしれない。
「…そう、ですか…?」
体が火照るのは湯上がりだけではないだろう。それ以上何か言われるの前に、梓は顔を上げると、腕を伸ば
し、飛田の頬に手をやった。唇で唇を塞ごうと、飛田の腕の中から抜け、顔を近付ける。
「……………。」
絡む視線に硬直し、一気に赤面する梓。
飛田は吹き出したいのを堪えると、自分から梓に口付けた。硬直したままの梓は目を見開いたが、二度目の
キスの深さにすぐにとろけていく。
「…、っ、ふっ……んぅ……!」
ぴちゃ…ちゅ…。
舌を絡め取られてきつく吸われると、じわりと体の奥から快感が湧いてくる。
流し込まれる唾液をこくりと飲み込み、快楽を求め火照る体を押しつけながら、応えるように舌を絡めあう。
互いの境界がわからなくなる程の濃厚なキスに、梓の体は熱くなり、秘裂からはじわりと愛液が滲む。
「…んぅ…う、…ふぁ…ああ………。」
しばらくしてようやく唇を解放された梓はぐったりと飛田に寄り掛かる。
肌はほんのりと紅潮し、潤んだ瞳で飛田をぼんやりと見つめた。
「…飛田さん…、…抱いて…。」
275キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/12/24(土) 23:30:14 ID:7mbtW4oQ
しゅるり、と帯が解かれ、飛田の大きな手が浴衣の前を開き、梓の肌に触れる。
「…んんっ……ぅ…ん…。」
背中に回されたブラジャーのホックを外す手、ショーツを下ろす手にさえも、火照った梓の体は敏感に反応
した。
「…あんまり、可愛い声出してると、加減…できなくなるぞ。」
「加減なんか、…いりません。」
梓は浴衣の袂を探ると、避妊具の箱を出して枕元に置いた。
「…、…飛田さんが、…欲しい、です。」
満たされていても、けして忘れることができない、誰か別の女性に飛田を奪われるのではないかと言う不安。
心と体に深く刻まれた飛田からの愛情に抱く独占欲。
その感情に突き動かされるまま、梓の唇が動く。
「…何されてもいぃ、…っ、…飛田さんなら…、…だから、離さないで…ぇ…。」
声にならない声、頬を伝う涙。震える指先がもどかしげに飛田の帯を解く。
「ああ…。」
飛田はぽろぽろと涙が零れる頬に口付け、涙を吸い取りながら、触れるだけのキスを梓の肌に降らせていく。
「…っ、…んぅ…、…ん、……ぁ、…あっ!」
耳元、首筋、鎖骨と触れていった飛田の唇に、梓は身を捩らせて反応する。さらに乳房を滑り、乳首を甘噛
みされると、一際高い声を上げて反応した。
276キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/12/24(土) 23:32:02 ID:7mbtW4oQ
「…っぁ、…んっ、…あ…は、ん…。」
片方の乳首を吸われながら、もう片方の乳房を揉まれ、梓は無意識に飛田の頭を抱え込んだ。癖のある髪に
指を通し、太い首を撫でる。
ちゅ、ぴちゃ、ちゅ…。
「…ぁん、…はぁ、…あ…ん…っ!」
音を立ててきつく吸い上げられ、飛田の髪を掴む手に力が入る。
「…梓…痛い……。」
髪を引っ張られた飛田は愛撫を止めると、梓の手を自分の頭から外させた。代わりに敷布を掴ませると、梓
の顔に目をやってから軽く乳房に口づける。そのままキスを腹部、太ももへと繰り返していった。
「っ、んぅ、…ぁん、…っ、…は…。」
脚を開かされ、されるがままに飛田の目に秘裂を晒した梓は少し恥ずかしくなり、布団に顔を埋める。
「んっ……。」
飛田は梓の脚を軽く手で支えると、内股をきつく吸い上げた。ぴくりと梓の腰が跳ねる。
「…やっ…!」
赤い跡を付けられる度、梓はきつく目を瞑った。腰はもどかしげに揺れ、秘裂からはじわじわと愛液が滲み
だす。快感を欲する体に羞恥を覚えながら、梓はちらりと飛田の方を見た。
「え、…っ、…あ、…あぁっ…!」
愛液でしっとりと濡れた秘裂を軽く舐めあげられて、梓の腰が跳ねる。飛田は梓の腰をしっかり押さえると、音を立てて溢れた愛液を啜り上げた。
277キー ◆uVMM0Pi.Co :2005/12/24(土) 23:37:26 ID:7mbtW4oQ
前回>>223-226

本当に遅くなって申し訳ありません。
やっと濡れ場突入です。
遅筆すぎる自分に泣けてきます。
なけなしの気合いいれて頑張りますのでどうかよろしくお願いします。
278名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 09:31:45 ID:76TQHM3c
>>98の続きまだなの?
279名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 03:39:22 ID:6/ELPE3p
ほっしゅ
280名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 14:20:12 ID:77AKfs6P
圓たん・・・・。
281名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 18:19:55 ID:J7oWGkoF
天斗・・・・・
282名無しさん@ピンキー:2006/01/13(金) 20:14:45 ID:M24ANyvL
ホシュ
283名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 21:10:12 ID:sdjA8Mgz
284名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 01:56:03 ID:ENbcxbf8
285名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 06:32:12 ID:y7M7ZyRg
ゅ age
286名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 01:35:07 ID:SdHad8F2
ドキドキ
287名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 12:01:47 ID:AaGqOEDv
ほっしゅ
288名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 16:47:06 ID:A05I4AWV
やばいよ
289名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 23:34:57 ID:THhGh2ND
夜這いがどうかしたか
290名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 16:47:41 ID:6FtJ+BoA
天斗、昼間途中でやめてるからw夜這いかけるかも・・・?
でも圓たんには1から説明しないとやらしてくんないってか。どうする!
カツモクして待て!
291一五九 ◆D6Cu12peXM :2006/02/08(水) 21:50:03 ID:be8Rn2tA
天斗が夜這い…(*´Д`)圓たんにそんな事したら
「夜襲をかけるなど、この卑怯者!」とか
忍びにあるまじきセリフを吐いてくれそうですなぁ。

今月中には続きウプります…本当にごめんなさい。
292名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 09:47:48 ID:cSM6WpsG
楽しみに待ってます
でも焦らなくていいですからね
お待ちしてます
293名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 15:23:13 ID:eDYDV1X8
ヤタ!こんげつちゅう〜!vv゚+。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚.:。+゚
期限がわかるだけでも随分待ってる気持ちがちがうもの。
楽しみにしてま〜す<一五九さんv
天斗が行動に出たところは、読んでてゾクゾク来ましたもん〜!
陸奥の男ってタイプなんですよ(照)
294名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 00:38:38 ID:QTP5cEBz
このスレにもこんなのが湧くのか…
295名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 20:26:04 ID:/l6tZxA8
ほぜんさげ
296名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 12:12:32 ID:EdFBCxSA
297一五九 ◆D6Cu12peXM :2006/02/22(水) 23:13:57 ID:Y9+4IxHQ
天斗×圓の続きです。
待っていて下さった皆様、遅くなってしまって本当にすみません。
また今回も長いので先にお伝えしておきます。
■今回、オリキャラが出てきます。
■本格的にエロるのは次回。
なので、興味のない方はスルーしてください。
298天斗×圓:2006/02/22(水) 23:15:10 ID:Y9+4IxHQ
「ぃやっ!!」
気迫のこもった声と共に、放たれた蹴りが朝霧を斬る。
忍装束の裾が翻り、圓の額から汗の粒が散った。
まばゆい朝日を浴びた彼女の瞳は、光の加減によって
濃い金茶から琥珀色へと変化し、長い睫がそれを彩る。
高く結い上げられた黒髪が時に刃のように鋭く
時に薄絹のようにたおやかに、彼女の動きをなぞる。
独りきりの修練は、まるで演舞のように滑らかで、それでいて力強かった。



煩悶の夜が明け、目覚めの早い鳥たちのさえずりに誘われた圓は
目をゆっくりと開き、自分がいつの間にか眠っていた事を知った。
とはいえ、睡眠による爽快感はまるでなく、身も心も泥のように重い。
ずるずると鈍重に身を起こすと、よれた寝間着が辛うじて肩に引っかかっていた。

薄暗闇の中、ぼんやりと浮かび上がった白い寝間着と躰。
力無く投げ出されている自らの脚を、霞みがかった瞳が見つめ
やがてその視線は右の手へと移された。
指が、紅く染まっている…などという事は無く…
圓は深い溜息を一つつき、ゆっくりと立ち上がった。

下帯や脚絆を体に締め付け、薄紅梅の忍装束を軽い衣擦れの音と共に纏う。
手馴れた様子で遺髪の入った筒と苦無を懐に入れた。
やはりこの衣装は特別な物。きりりと身が引き締まるようだった。
299天斗×圓:2006/02/22(水) 23:16:04 ID:Y9+4IxHQ
「さて…髪を……」
昨夜借り受けた鏡箱を両手で引き寄せてみて気付く
髪を結うのに、この部屋は暗すぎる。
雨戸に手をかけ…少しばかりの躊躇を払うかのように力を込めて開くと
部屋の中にも不自由ない程度の光が差し込んだ。

そっと覗いた縁側に人の気配は無い。
ぺしぺしと軽く頬を叩き、気を取り直した彼女は長い髪を纏め始めた。

どこか作業的な支度が済むと、素足で庭に降り立った。
その口には、暗い響きの呟きが漏れる。
「……昨日あった…色々…は………何かの間違いだったんだ…」
苦虫を噛み潰したかのような顔で、圓は続けた。
「躰が弱って、気も緩んで…それで何か、妙な気に憑かれたに違いないわ…!
最近は修練も出来んかったしな。うん…そうだ、そうに違いない」
拳を握ってじっくりと、噛んで含むように、自分に言い聞かせる。

早朝修練の始まりだった。



病あけの運動で、体の鈍り具合が痛いほど良く分かる。
それでも少しづつ以前の調子が戻ってくると、頭も冴え、汗と共に
惑いや苛立ちも流れ落ちていくようで、清々しい気分になってくる。
つくづく、躰を動かしていないと駄目なのだな…と、圓の顔に苦笑いが浮かんだ。
300天斗×圓:2006/02/22(水) 23:17:04 ID:Y9+4IxHQ
それにしても、と思う。
ほんの少し動くだけで激しく揺れ動く、この乳房。
今まで、あまり気にならなかったのが不思議なほどに、邪魔で仕方がない。
装束の上からでも動きが丸分かりだ。そして先端は擦れる。
こんな様を、今まで大勢に見られていたのだろうか。…無論、天斗にも…。

『――い、いかんいかん!』
また妙な方向へと思考が持っていかれそうになる。
動きを止めた圓は無理やり大きく息を吸い、早まった鼓動を整えながら
これも疾患の一つなのだろうかと、また少し沈鬱な面持ちに帰っていた。
『こんな事ならサラシを巻くべきか…?窮屈でどうも好かんのだよなぁ…』

憂いながらも、彼女の躰は次の行動を取っていた。
腕は無意識に上がり、背後へと伸び、そして、手は何もない所を掴む。
……その空虚さに、圓の心もぽかりと穴があく。
気を取られていると、すぐに忘れてしまうのだ。
天斗と二人の旅中でも、幾度も同じ事を繰り返し…
自身に向け、呪いの言葉を吐きたくなったものだ。
力無く手を下ろした彼女は、呪いのかわりにある言葉を唱えた。
『……村正は…自分で決め、置いてきたのだ…』

体術の次は剣術。それが幼い時から繰り返してきた修練の流れ。
そして父の形見は体の一部のように、背にあるのが普通だった。
染み付いたそれらはたかだか一年やそこらで忘れられる物ではないようだ。
あの時…選択を迫られ、佐助を選んだ事に一片の悔いも無い。…が
それでも、あの刀に対し『申し訳ない』と思う気持ちも止めようがない。
あれもまた己の愚かしさの犠牲になった。……圓はずっとそう思い続けていた。
301天斗×圓:2006/02/22(水) 23:18:04 ID:Y9+4IxHQ
立ち尽くし、痛い想いの浮かぶ瞳に、紅い物がふと横切った。
紅葉が一枚。ひらり、ひらりと舞い落ちてくる。
近くに赤く色付く木は無く、どこからか風に煽られ飛んできたようだ。
ぼんやりとそれを見つめていた圓は、なんの前触れも無く正拳を繰り出した。
迅く鋭い拳の動きとは対照的に、舞い上がった髪は柔らかく膨らみ
髪が元通り背に付く頃には、彼女はまた突っ立った姿に戻って、拳を見つめていた。
軽く握られた右手を開くと、折れ曲がる事も無く、紅葉がその独特な姿を現す。

左指で紅葉を摘み、くるくる回して弄んだ。別に意味などは無い。
「……ふん」
紅葉を摘んだまま、履き捨てるように呟く。
体を動かしても、結局何も吹っ切る事は出来なかった。
脱力感を味わいながら方向転換をする。部屋に戻ろうと思ったのだ。
俯いていた顔をあげると、そこで大きく、激しく心臓が跳ねあがった。
「しっ…詩織殿!?」
縁側には天斗の母…詩織が手ぬぐいを手に立っていた。
目が合うと、にこりと笑い
「おはよう、圓さん」と、ゆったりした声が。

「お、おはようございます…」
動揺しつつも、ぎこちなく会釈をしつつそう返す。
「朝からご精が出ますね。すっかり元気になられて…本当に良かったわ」
「はい…お陰様で…。その節は大変お手数をお掛けしまして…」
「いいのよ、気にしないで」
さほど大きくない二人の声は、ゆるりと流れる朝の空気の中で交わされ
そしてそのまま途切れてしまう。それを困ったと感じたのは片方だけではあるが。
圓は頬を少し掻くと、一番気に掛かった事を思い切って問いてみた。
「あ…あの……詩織殿。いつから、見ておいでで…?」
302天斗×圓:2006/02/22(水) 23:19:04 ID:Y9+4IxHQ
おずおずとして、悪戯を咎められた子供のような表情の圓を
詩織は不思議に思いつつも「かなり前から…。ほとんど全部、かな」と素直に答えた。
あらいやだ、私ってば八雲みたい……。
その呟きは、茫然としている圓の耳には届かなかった。

圓は、恥ずかしかった。
背後に人がいる事に気付けなかった事も汚点だが
中途半端な修練を見られてしまった事が何よりも恥ずかしく思えた。
『ああ…駄目じゃあ…オレは…。たるみきっておる…』
病あけだのなんだのは、なんの言い訳にもならない。
出来うるなら、全力で走って逃げ出したい気分だった。

縁側の上にいる詩織から、硬い土の露出した地面へと目線を下げていた圓は
とん、と軽い音を耳にして、思わずそちらへと顔を向けた。
同じ高さに詩織は居た。見開いた目と優しい眼差しがぴたりと合う。
たおやかな奥方様然とした詩織が、縁側から裸足で飛び降りた事に圓は驚いていた。
口が半開きの彼女に詩織は悠然と近づき
持っていた手ぬぐいを差し出すと、柔らかく微笑んだ。

「汗はきちんと拭かなくてはいけませんよ。はい、どうぞ」
「…ぁ…、あの……すみません…」
慌てて圓は手ぬぐいを受け取り、ごしごしと頬を拭う。
微笑んだまま見つめてくる詩織に、圓はどうしたら良いのかと困惑していた。
その気配を察したかどうかはわからないが、先に詩織が口を開く。
「修練をお続けになるのかしら…?」
「え?あ、はぁ…そうですね、もう少しやろうかと思っておりますが」
先程は部屋に戻ろうかと考えもしたが、まだ体力に余裕はある。
甘えた所を見せたくないという気持ちもあっての返答だった。
303天斗×圓:2006/02/22(水) 23:20:20 ID:Y9+4IxHQ
「そう…圓さんは頑張り屋さんね」
聞きなれない屋号に、圓はぽかんとして詩織を見つめた。
「けど、ね。無理はしちゃいけませんよ?体を壊しては元も子もないですからね」
ゆっくりと、子供に言い聞かせるような仕草。
それにつられるように、こくこくと頷いて同意をしていたのだった。

「それじゃ、私は朝餉の準備をしてきますから。のんびり待っていて頂戴ね」
大喰らいが帰ってきたからねぇ…そんな事を呟きながら
詩織は足の砂を軽く払って、縁側に上がろうとした。
その様子をぼんやりと突っ立って眺めていた圓は
「あ…この手ぬぐいは?」と、慌てて処置について尋ねた。
「そのまま使っていて。後で貰えばいいから」
着物の裾をつまみ、危なげなく縁側の上へと戻り、詩織は軽く振り返る。

「……あ、あのっ、ありがとうございました!」
圓は思い切り良くお辞儀をし、思わず左手を突き出していた。
「…あら、綺麗。ふふっ…ありがとうね」
突き出された手の先には、先ほどの紅葉。
それを詩織はそっと摘むと、ひとつ無邪気に微笑みかけて
ゆっくり歩き去っていった。


「……………何やってんだ…オレは…」
詩織の姿が見えなくなり、一人残された圓の顔は紅葉のように赤い。
それで赤味が取れるわけでもないが、手ぬぐいで何度か顔を擦った。
あんなにも優しく、綺麗で上品な方と接するのは初めての事だ。
どこぞかの姫君と話をしているかのようで、なにやら妙に緊張してしまう。
一応自分も、姫というものの端くれではあるが…。
304天斗×圓:2006/02/22(水) 23:21:05 ID:Y9+4IxHQ
それにしても。圓は手ぬぐいを顔に押し付けたまま、首を捻った。
看病をしてくれた時も、先ほどの裸足で飛び降りもそうだが
時折、妙に男っぽい立ち振る舞いをなさるのは…何故だろうか。
おっとりとして、たおやかな外見にそぐわず、驚かされてしまう。
ただの気のせいだろうか。そういうものなのだろうか。

「……ま、いいか」
彼女は手ぬぐいを縁側に置くと、もう一度最初から修練を始めた。
…頑張り屋さん…という、言葉をゆっくりと思い返しながら。



朝餉を終えた圓は、ひとり自室に戻った。
自分の荷物をまとめた風呂敷包みを前に
何をするでもなく、ただただ、ぼんやりと座りこんでいる。

ここに住むもの全員と、初めて食事を共にした緊張がなかなか抜けきらず
忍装束の上に着こんだ濃紺の着物を少し弄る。
藍錆色の着物は洗濯され、今ごろ風に揺られているはずだ。

天斗とは顔を合わせたものの、軽い挨拶以外は口を利かなかった。
利かなかったというべきか…利けなかったというべきか…。
別に喧嘩をしている訳ではない。話しかけても良い筈なのだが
なんとなくその気になれず、ほとんど俯いたまま食事を続け
天斗もそれを察したのか、黙り込んだままだった。
305天斗×圓:2006/02/22(水) 23:22:03 ID:Y9+4IxHQ
「はぁ…」
軽く溜息をつき、前のめりにゆっくりと風呂敷包みを引き寄せ、顔を埋めた。
さらりとした肌触りと、何なのかは分らないが染み込んでいる優しい香り
それらは彼女の気持ちをほんの少し穏やかにしてくれる。

――天斗とはもう、このままなのだろうかと圓は思った。
体調は戻ったのだ。そろそろお暇せねばならない。
こんな状態のまま別れて良いものではないと分かってはいるが。
それでいて、彼の事を深く考えようとしていない事も自覚していた。
「………どうした…ものかな…」
目を瞑り、軽く風呂敷に顔を擦り付ける。
こんな物に縋り付いている自分が滑稽で、彼女はほんの少しだけ笑った。



風呂敷の感触と匂い。
それ以外の何かが……触れる。
髪に、頬に……そろりと、遠慮がちに。

……なんだかとても気持ちが良かったから……
……もっと…触れていて……
そう、言おうとして……

「……う…ん?」
目が覚めた。

風呂敷包みを枕に、いつの間にか眠り込んでいたようだ。
夜はほとんど眠れず、早朝から体を動かし、食事をとり…
どうやらそこで力尽きてしまったらしい。
おかしな形にへこんでいる風呂敷包みをぼんやりと見ながら、圓は頭を掻いた。
306天斗×圓:2006/02/22(水) 23:23:03 ID:Y9+4IxHQ
大あくびをし、ぐっと伸びをすると、躰にかかっていた物がずり落ちる。
目を擦りつつそれを引っ張ってみると、薄桃色の愛らしい着物。
…詩織から借り受けた着物が被せられていたのだ。

圓の頭は一瞬にして覚めた。
寝返りを打ち、皺だらけにして、あまつさえ涎など垂らしてはいないかと
何度か裏返してみたり、ばさばさと振ってみた上で
これといった問題はないように思え、彼女はようやく胸を撫で下ろした。
誰だか知らないが、気を使ってくれたのは嬉しいものの…
心臓に悪い事この上ない。
お陰で何か夢見ていた気がしたが、跡形もなく吹っ飛んでしまっていた。

薄桃色の着物をたたむと、これは早々に返却しようと思い立った。
着物を手に襖をそっと開け、薄暗い廊下に顔を出す。
しんとして、どこに行けば詩織がいるのか見当はつかないが
とりあえず厨がありそうな方に向け、圓は歩き出した。


きし…と、廊下を鳴らし、立ち止まる。
『オレの勘も…いまいち当てにはならぬなぁ…』
そこは奥まった行き止まりの部屋。
日が当たらず、あまり使われていない事だけは雰囲気でわかった。
一応「すみません…」と声をかけるが
それは回りの静けさを際立たせただけで、当然の如く返答はない。
「ふむ」
ひとつ呟き、戻ろうかと一歩足を踏み出したが…
何故だかこの人気のない部屋が妙に気にかかり、動きを止めた。
307天斗×圓:2006/02/22(水) 23:24:06 ID:Y9+4IxHQ
「………」
人様の家を勝手に暴くなど無礼千万であると承知している。
が、圓の好奇心は…案外あっさりと、それを振り切ってしまうのだった。
着物を左腕にぐっと抱き、回りをきょろきょろと見渡す。
相変わらず人気がないことを確認し、そろりそろりと扉を開いた。

鬼が出るか蛇が出るか……真に鬼の住む家、何が出ようと驚きはせぬ!と
息を詰めていた圓は、部屋の様子を見て拍子抜けした。
広くも狭くもなく、これといって汚れている訳でもない部屋だった。
「なんだ…」
つくづく、自分の勘は当てにならない。
やれやれとばかりに肩の力を抜き、扉を閉めようとした手がぴたりと固まる。
彼女の視線は真っ直ぐ、一点に注がれた。
床の間に、ひっそりと置かれている物…それはとても見慣れたもののように思えた。

引き寄せられるように近づいてみると、実際は
とても見慣れた物に、良く似た物なのだと分かる。
「……これは、短刀…だな」
天斗がいつも腰に差している刀。あれがそのまま短くなったような形をしている。
鍔がなく、柄に赤い革紐を巻いている所も同じだった。

そろりと手を伸ばし、指先が柄に触れる寸前で引っ込めた。
いけない事をしているのだ…とは、思うのだが…
抱えていた着物を棚の上に置くと、圓は意を決して、両手を短刀に伸ばした。
ずしりと、心地良い重みが掌に伝わる。
胸が高鳴り、顔は知らぬ間に綻んでいた。
308天斗×圓:2006/02/22(水) 23:25:04 ID:Y9+4IxHQ
陸奥の修めるものは無手。
正直、天斗が刀を持ち歩く必要はあるのだろうかと、部外者ながら思っていた。
代々受け継がれているらしいが、扱いはぞんざいだし、使い道ときたら包丁代わりで…
刀に対して思い入れがある身としては、ついやきもきしてしまうのだ。
なので、短刀とはいえ、二振りもあるのが意外で仕方なく
もしかしたら中は竹光なのではないか…と思ったのだ。
しかし、掌から感じる物が『そうではない』と囁く。

真剣の重みを味わいつつ、柄を握る手に力を込め、引き抜くと
息が詰まり、総毛立つような痺れが走る。
波打つ刃文や濡れ髪の如く黒光る様は、月夜の海を連想させた。
これは…とてもいいものだ……圓の唇から感嘆の溜息が零れる。
咲き誇る花、もしくは愛らしい小動物でも愛でているかのような表情を浮かべ
圓は一心に見つめ続けた。身じろぎ一つも惜しいと言わんばかりに。

硬質の麗しさに強く強く惹きつけられ、歓喜に震える圓の心は
やがてその麗しさゆえに、きりきりと痛み始める…。
短刀の煌きが琥珀色の瞳に映り、ゆらゆらと揺れた。

天斗の持つ刀の美しさが、使われ、手入れされた美しさなら
この短刀の美しさは、ただ使われなかっただけの美しさだ。

錆びないようにと、手入れだけ施され置物としてあるより
本来の用途とは違っても、磨り減っていったとしても、それでも
手元に置かれ、使ってもらえる方が…幸せなのではないか…と、圓は思った。

…もっと触れていて欲しい……と。
309天斗×圓:2006/02/22(水) 23:26:04 ID:Y9+4IxHQ
短刀をやっとの思いで戻し、後ろ手に扉を閉めた圓は
着物を強く抱きしめた。鼓動が驚くほど早い。
思わぬ道草を食ってしまい、本来の目的に移ろうとは思うのだが
後ろ髪を引かれるとはまさにこの事。
あの短刀には付喪神でも宿っているのではないだろうかと
溜息混じりに思うのだった。


短刀の事が頭を離れず、ぼんやりと考えながら廊下を進んでいくと
ようやく人の声が聞こえてきた。
少しばかり安心した圓の顔は明るくなり、歩みが早まる。
しかし、近づくにつれ、和やかな空気が襖越しに伝わってくると
彼女の足は徐々に遅くなり…やがて止まってしまった。

「…よろしくと伝えてくれって言われたからよ」
「へぇ〜。あの坊主が偉くなったもんだよなぁ。
団子を奢ってやった事は覚えてんのかな」
「あら、お団子を奢ったのは私よ?用心棒さん」
「……はぁ、そりゃ年もとるはずじゃて…」

ころころと、女性の朗らかな笑い声が聞こえてくる。
詳しくは分らないが、なにやら団子の話で盛り上がっているようだ。
襖を見つめる圓の顔に、ふっ…と仕方なさげな笑みが浮かぶ。
足音を忍ばせ、客間へと戻る事に決めた。
せっかくの家族団欒に水を差したくはなかった。
310天斗×圓:2006/02/22(水) 23:27:03 ID:Y9+4IxHQ
部屋に戻ると、へこんだままの風呂敷包みが転がっている。
その横に着物を置き、圓は雨戸を大きく開け放った。
風が一つに結い上げられた髪を揺らす。
軽く押さえながら空を見上げれば、見事な秋晴れ。
どうやら目が覚めてから思ったほど時は過ぎておらず
かなりの間、あの短刀に魅入っていた気がしていただけに意外だと思えた。

縁側に無造作に腰掛け、脚を二、三度ぶらぶらと振る。
もう一度、空を見上げ……気がついてしまった。
……驚くほど何もする事がない、と。

あの短刀の事が気になってはいるが、また忍び込むというのも気が引ける。
かといって、このままぼんやり座っているのも性に合わない。
腕組みをして悩みこむ。腕組んで悩むような事だろうかとも思う。
一年前には、考えられない悩みだった。
「……いい天気だなぁ…」
圓の口から見たままの、気の抜けた呟きが発せられた。



結局、圓は家の外へ向け、裸足のまま歩いていた。
さほど広い里ではない。戻ろうと思えばすぐ戻れるだろうと踏んだのだった。
落ち葉をかさこそと踏み鳴らし、木陰の落ちる小道を独り歩く。
昨日通った坂道にさしかかると、しばらくそちらを見上げていたが
無表情で背を向けて、逆側へと歩を進めていった。
311天斗×圓:2006/02/22(水) 23:28:04 ID:Y9+4IxHQ
あぜ道をしばらく行くと、なにやら賑やかな声が耳に届く。
立ち止まって遠巻きに眺めてみると、果実を付けた木を見上げ
ああでもないこうでもないと騒ぐ子供の集まりがあった。
昨日、鞠で遊んでいた子らは、今日はどうやら
柿を棒で落そうと悪戦苦闘をしているようだ。

『柿の木は折れやすうございますゆえ…登ってはいけませぬぞ、嬢』
ふと、幼い頃に聞いた言葉が蘇ってくる。
あの子らも、どうやら同じ忠告を誰かから受け、それを守っているようだ。
とはいえ圓への忠告は、果実に目がくらんで起こす失態への喚起というより
むしろ実がついていない時にこそ気をつけろ、というもの。
『木に登ったら実のなっていない柿の木でした。落ちて敵に見つかりました』
では、忍びとして話にならない。…その点が、普通の子供とは違うのだった。

そんな事を思いながら、子供達を眺めていたのだが
高い所にある実に掠りはするが力が足りない。棒の長さが明らかに足りていない。
惜しかったり、惜しくなかったり…。
いつしか圓は拳を握り「ああ…もぅ!もう少し右だ、右!」などと呟いていた。


痺れを切らせた男の子が、ひとつ石を投げた。
柿には当たらず、見当違いの方向に飛んでいったが
一人始めると我も我も…と、あっという間に伝染し、一斉に石が舞い始める。
赤子を背負った、桜色の着物の娘が慌てて止めようとしたが
どう見ても多勢に無勢である。
興が乗り、目的が柿取りから石投げにすり替ってきた時、突如背後から
「やめぬか!!」と一喝され、彼らは凍りついたように動きを止めた。
312天斗×圓:2006/02/22(水) 23:29:08 ID:Y9+4IxHQ
圓は固まっている子供達の元にずかずかと歩み寄る。
「石など投げて、誰かにぶつけでもしたら何とするか!」
怒気混じりの声に子供達はすっかり縮こまってしまった。
いきなりこのように怒鳴られて、それは恐かろうなぁ…と
頭の片隅で知りつつも、ここは仕方なかろうと彼女は思う事にした。

ぐるりと子供達を見渡し、そのまま圓は柿の木を見上げた。
青い空に、柿色が良く映えている。
「…お前らがした事がどのような事か、見せてやろう」
そう言うと、子供達に木から離れるようにと手を振った。
一人落ち着いている桜色の着物の娘も、それに習って他の子供を導く。

子供達が十分に距離を取った事を確認すると、圓は懐から取り出した物の
感触を軽く確かめ、思い切り良く頭上へと放り、その場から一歩だけ離れた。
ぴしり…と枝が裂ける微かな音がした後
彼女が先程まで立っていた場所に、筆先のような形の柿が一つ落ちた。
それが軽く弾んだ所へ、上から降ってきた物が、どすりと突き刺さる。
圓が投げた物…苦無は柿を貫通し、実をぱっくりと裂き
その硬質の身にだらりと果汁をしたたらせていた。

声も無い子供達を、またぐるりと見渡し
圓は苦無の刺さった柿の傍にしゃがむと、静かな声で続けた。
「見よ。…このような物が頭上に降ってきたら嫌であろう?
なんの気無しにやらかした事で、取り返しのつかぬ事になる時もあるのじゃ…。
親類縁者をこのような目にあわせたくはあるまい」

山深い里の中、他所者は自分一人であろうと仮定して
親しい者の姿を想像するように圓は促し
子供達の顔に浮かんだ苦い表情から、それは伝わったのだと感じ取った。
313天斗×圓:2006/02/22(水) 23:30:04 ID:Y9+4IxHQ
「もう、しないな?」
「………うん…」
「おねえちゃん、ごめんなさい…」
すっかり気落ちしてしまった子供達は、ぽつりぽつりと謝罪を口にし
しゃがんだまま彼らの顔を覗き込んでいた圓は、少し照れたような笑みを浮かべた。

――偉そうに言っているが…
……オレも昔、同じような事をして…こっぴどく叱られたものだから…。

そうとは口に出さず、かわりに最初に石を投げた男の子の頭をぽんぽんと叩き
「謝るのなら、オレではなく柿の木にするが良い。
罰が当たって次から実を付けてくれぬかもしれんぞ?」
そう、少しばかりからかい口調で言ってやった。
子供達には効果覿面。悲痛な表情で木に向け謝る姿を見て、圓はまた少し笑い
地面に刺さった苦無を手に立ち上がり、汁の垂れる柿を一口かじった。

「………ぶはっ!…な゛…こり゛ゃ…!?」
口中が麻痺したかのような、強烈な渋みに一瞬硬直した後
圓は慌てて口の中のものを吐き出した。
あまりの慌てぶりに、先ほどまでの悲壮感はどこへやら
子供達は彼女を囲んでおおっぴらに笑い出した。

「おねえちゃん、それ渋柿〜」
「干さなきゃ食べらんないんだよぅ」
口々に言われ、圓は痺れる舌を指先で触り、少し涙を浮かべつつ
「もまいら…もっちょはよう…いへよ…」と唸った。
それがまた可笑しかったのか、よりいっそう笑われてしまうのだが。
きのう目にした大人しい子供達の姿は、猫かぶりだったようだ。
『…罰が当たったのはオレのほうかよ…。まったく締まらんのぅ…』
圓はこれ以上ないという位に渋い顔を見せ、溜息をついた。
314天斗×圓:2006/02/22(水) 23:31:04 ID:Y9+4IxHQ
舌先を人差し指で突付いていると、ようやく子供達の笑い声もおさまって来た。
しかし、やれやれ…と思う間もなく
「おねえちゃんって天斗にいちゃんと一緒に来たんでしょ?」
「え゛…」
幼子の口から飛び出した名前に、思わず圓はたじろいだ。
そんな彼女の様子を気にもせず、子供達はめいめい勝手に喋り始める。
ただ一人、桜色の着物の娘は黙っていたが
にこにこと笑うばかりで助け舟を出してくれる雰囲気ではなかった。

「あのね、あのね!うちの父ちゃんがね
陸奥さまがかえってきたぞーて言ってたの!」
「けど兄ちゃん家からぜんぜん出てこないからさー」
「たびのおはなし、きかせてもらうの〜!」
身振り手振りを交えての熱弁を振るう子供達に押される圓に出来たのは
舌を口に収め、引きつった笑顔を見せつつうんうんと頷く事だけだった。
たとえ口が痺れていなくても、何も言えなかったのではなかろうか。

彼女は額に浮かんだ嫌な汗をさり気なく拭いながら
『あいつ…子供に慕われているのは何よりだが…』と思った。
娯楽の少ない里だと聞いていたので、それもあるのかもしれないが。

天斗が家から出てこなかったのは自分のせいではある。
その点は申し訳ないと思うのだが、それはともかく
『旅の話』となると、嫌でも自分がしでかした事も出てきてしまう訳で…。
あんなことや、こんなことやらが、子供達に伝わってしまうのは
心から勘弁してほしいと圓は思うのだった。
315天斗×圓:2006/02/22(水) 23:32:10 ID:Y9+4IxHQ
『とりあえず……要らん事は話すなと釘を刺しておくか…』
そうする事に、どれだけの効果があるかは分らないが
しておかないよりましなのは確かだった。
――それに、これで…天斗と話すきっかけが出来て………
「…で、おねえちゃんはいつ天斗にいちゃんのお嫁さんになるの?」

圓は…微かに、ほんのりと…心が軽くなる事柄を見つけた矢先
かっつりと冷えた水を頭からぶっかけられたかのような衝撃を受け、卒倒しそうだった。


「………………」
子供達が怪訝そうな顔を見せているが、圓は何の返答も出来ない。
苦無を握り締める手に力が篭り、渋柿の汁がぬめつく。
口内の痺れが増したような気がしていた。

「あっ!そーだ!!」
本当に唐突に、今まで黙って成り行きを見ていた桜色の着物の娘が叫んだ。
「あんたたち…早くおヨネばーちゃんのとこに柿持っていかなきゃ!
あんまり待たすとばーちゃん寝ちゃうよ!」
いかにもまずい、と言わんばかりの仕草で娘は子供達を急かした。
それにつられた子供達の興味は、一気に圓から柿へと移る。
「ばーちゃん寝てるとこ起こすと恐いからなぁ…」
そんな事を喚きながら、あわてて地面に落ちている戦利品を籠に入れて行く。

「干し柿できたらあげるからね!」
去り際に言われた子供達の好意にも、圓は何も返答できなかった。
例え口が痺れていなくても…。
316天斗×圓:2006/02/22(水) 23:33:07 ID:Y9+4IxHQ
「…あのぅ…」
嵐の去った木の下、残されたのは地面にへたり込んでいる圓
それに、赤子を背負った娘だけ。
「すぐそばに井戸があります…ご案内いたしましょうか?」


冷たい井戸水で圓は何度も口を濯ぎ、苦無の汚れも落とした。
まだ少し痺れてはいるものの、話すのに支障無い程度には回復していた。
戸惑いを隠せない表情の彼女に、同じく戸惑っている娘がおずおずと
「あの、すみませんでした…」と謝罪の言葉を掛けた。

圓は軽く首を振り「いや…気にする事はない…」と返す。
「…いや、しかし……先程あの子らが言った事は……」
声が低く落ち、瞳に暗い影が落ちた。
「天斗が…言ったわけではないのだよな…」

「あ、は、はい。誰が言い出したって訳でもないのです。その…」
娘は慌てた様子で、手を振りながら弁解した。
「ええとですね……」
そこで娘は少し間を置き、神妙な顔で一つ二つと指を折り、続けた。
「実は…先代の陸奥様…天斗兄ちゃんのお父上様ですが……、も
先々代様も、そのまた更に前のお方も、旅先で見初めた女性を
お連れになられましてですね…その…ご結婚なされているのです。
それで、今回もそうかなぁ〜なーんて……」
317天斗×圓:2006/02/22(水) 23:34:04 ID:Y9+4IxHQ
口をぽかんと開けて顔色のない圓に、娘は恐る恐る尋ねた。
「…天斗兄ちゃんから…聞いていませんでしたか…?」
「知らん!!そのような話は初耳じゃ!!」
白かった顔を真っ赤に染め上げ、圓は詰問口調で二の句を継ぐ。
「それは、あの家の慣わしなのか!?」
「い、いえっ…!そういう訳ではないらしいのですけども
私達はなんとなく伝統として考えておりましたので…。
陸奥様は旅に出ておられる事の方が多いですし」

そこまで聞いて、圓は唐突に黙り込む。
そのまま頭を抱えて地面に突っ伏したい気持ちを必死で堪えていた。
『あ、あ、あいつは…!馬鹿だ馬鹿だと思ってはいたが…
ここまで大馬鹿だったとは!!』

この里に住む者にとって、陸奥がおなごを連れ帰ってきたら
それは妻になる立場の者だと……幼子にまで浸透している。
なのにこの状況!そりゃあ勘違いもされるわ!!
…煮えくり返る胸の内、変なところで暢気な男の事を呪いに呪った。

「では…その、あなた様は…違うのですか…?」
落胆を隠し切れない声に、圓の胸は一突きにされ、痛んだ。
それでも真っ直ぐ娘の瞳を見詰め、絞り出すような声で、答える。
「…ああ……違う。
だって…オレは……天斗にとって、一時の慰みにすぎぬのだから」

この言に対し、目前の娘は、「ぅ…えぇっ!?」とひっくり返った声を発し
いっぺんに顔を赤らめ、少しばかり後ずさった。
「いっ…いえ、…あの…ちょっ……そ、それって…」
妙な反応を返され、いささか圓はとまどいつつも、口を開く。
318天斗×圓:2006/02/22(水) 23:35:05 ID:Y9+4IxHQ
「オレは、天……陸奥殿に、ひとかたならぬ恩義があるのじゃ。
それで何か礼がしたいと申し出た」
「…は、はい……」
娘は、動揺により少しずり落ちた赤子をおぶい直すと、真剣な表情で頷いた。

「したら陸奥殿は、里へ帰るに一人では退屈だと…
オレに供をせよと、そう言われたのだ」
「………」
「…陸奥殿が自由に旅を続けられなくなったのは…オレのせいだし…な。
だから、二人でここまで来た訳だ。
こうして無事に辿り着いて、ようやくオレはお役御免よ」
少しばかり自嘲気味に言い切って、圓は軽く息を吐いた。
「…………え…、えと…それで…?」
「?…それだけ…だが」
「――っ。あ、ああ!そ、そういうこと…ですかっ」
耳まで赤く染め、娘は照れ笑いを浮かべつつ何度何度も頷く。
ますます奇妙な反応に、圓は怪訝そうに首をかしげるのだった。


井戸端は日陰で、突っ立っていると足元から冷えてくる。
二人はどちらともなく日当たりの良い方に向け、歩き始めた。


「…圓明流と同じ字なのですね!」
桜色の着物の娘が興奮気味に言うのに対し、圓は
「まぁ、そのようじゃのぅ…」とあいまいに答える。
石と土が硬く積み上がり、段差になっている場所に二人は腰掛け
話の流れで、自己紹介をしあった時の反応だ。
319天斗×圓:2006/02/22(水) 23:36:05 ID:Y9+4IxHQ
「………それはそうと、そうして弟の世話をしながら
他の子供らの面倒もみるとは、感心な事だな」
いつの間にか目を覚ましたのか、括りつけられたおぶい紐の中で
もぞもぞと動いている赤子を見やり、圓は言った。
会話の内容を変える意図はあったが、素直な意見でもあった。

「そんな事ないですよ。年長が小さい子の面倒を見るのは当たり前ですしね。
母さんの体が、あまり丈夫でないのもありますし…」
そう言いつつも、誉められた嬉しさを娘は隠さなかった。
「そうなのか。母上が…。大変だな…」
「里のみんなが家族みたいなもんですし、大丈夫ですよ。
それに、天斗兄ちゃんも帰って来ると、すごく気に掛けてくれるんです」
「………そう…か」
そう呟いて、圓はばつが悪そうに目を逸らし
石と石の間から伸びている雑草をぷちぷちと引き抜いた。

「……」
「……」
話したくなくて、黙り込んでいるわけではなかった。
かといって、これといって話す内容も思い浮かばない。

「あの、圓様」
遠慮気味に沈黙は破られた。
それでも圓の心臓は跳ね、草が膝にはらりと落ちる。
「……様はよしてくれ。圓でよいぞ」
「え、あ…。では、圓…さん。
私もお聞きしたい事がございますが、宜しいでしょうか?」
膝に落ちた草と、背中に感じる強張りで
自分自身がこの娘との会話に、思ったより緊張している事を知った。
320天斗×圓:2006/02/22(水) 23:37:08 ID:Y9+4IxHQ
「このような事をお聞きして、不躾とは思いますが…
圓さんはこの後、どうなさるおつもりなのでしょうか…?」
――やはり、そう来るか。
ふっと一つ息をはき、ゆっくりと口を開いた。
「それは…里の者を混乱させた落とし前だろうか?」
「い、いえ!滅相もございません!!それはむしろ、こちらの落ち度ですっ」
娘は思った通り、面白いほど慌てふためいた。
わかっていて意地の悪い事を言った事に圓は少し反省した。

「そうではございません…。お役御免となられ、今後いかがなされるのかと…」
「ああ…そうだな…」
膝の草を圓は摘み上げ、あえて強気の顔をしてみせた。
「まぁ、しばらくは風任せでぶらついてみるさ。
こう見えて腕は立つほうだと自負しておる。なんとかなるだろ」

しばらくの間があり、娘は目を伏せて口を開いた。
「行く先…決まっておられないのですか…。これから雪も降ろうといいますのに…」
心から悲しげな声に、圓はうっと呻いた。
「………また容赦なく痛いところを突く奴だな」
「あ、す、すみません…」

少しふて腐れた顔の圓にめげず、娘は思い切って続けた。
「天斗兄ちゃんのお嫁さんになるというのは、本当に駄目なのでしょうか…!?」
「!!」
あまりに率直で勢い余った物言いに、圓はたじろいだ。
「だ、駄目じゃろう…それは…」
「なぜ駄目なのでしょう…!?そうなったら手っ取り早…いえ
丸く収まると云うか、良い按配だと思うのですが…」
「お前……」
321天斗×圓:2006/02/22(水) 23:38:07 ID:Y9+4IxHQ
丁重な口調に騙されそうだが、どうやらこの娘
かなり大雑把な性格なのではないかと圓は気付き始めた。

「…オレはもう二十一だ。いまさら結婚など…」
二十を過ぎれば年増と呼ばれるこの時代、更に圓は戦国の世の思想を
色濃く残した養父の教えにより、諦めている節もあった。
「そのような…天斗兄ちゃんと二つ三つしか変わらないですよ」
「オレは年の差を気にしておるのではない…」

「でも…」
なおも追いすがろうとする娘に、圓はやけくそ気味に叫んだ。
「そこまで陸奥の事が気にかかるなら、お前が嫁になってやれば良い!
別に決まりは無いのであろう!?」
言い切って、顔を逸らし、歯噛みする。
自分自身が発した言葉に彼女は酷く傷つけられていた。
救いを求めるように、着物の上から胸元の筒に手をかけていた。
それはまるで、不快なものが溢れ出ないよう押さえつけているかのようだ。

「……うーん、確かにそう言われますと…
天斗兄ちゃんの事は尊敬していますし好きなんですけども〜
殿方としては…ちょっと違いますかねぇ……」
うめき苦しむ圓を知ってか知らずか、娘は間延びした声で言う。
圓の口が、ぽかんと開いた。

「確かにお強いですし、頼りになりますけど
変な所で怒りっぽかったり、大人げなかったりしますもんねぇ」
「え…ぁ……いや…」
「すぐにどうでもいい嘘つきますし…。お腹が減ると見境ないし…
こうして考えてみると旦那様としてはどうなのかなぁ……」
口に手を当て、神妙な顔をして品定めをしだした娘に、圓は茫然とする。
322天斗×圓:2006/02/22(水) 23:39:05 ID:Y9+4IxHQ
――あいつ本当に、尊敬されているのか?
圓の胸に、情けなさと憐憫がじわりと沸き、慌てふためいた。
「…ま、まぁ、そのように答えを急ぐのは早計じゃぞ
妙な奴だし大馬鹿者ではあるが、あれでなかなか良い所も…
……それなりにあるのだから…。
確かに食い意地ははっているがな、本当に喰う物が少ない時など
オレに多いほうをくれたりもしてだなぁ…」
「……へぇ…」
「それにな、口は悪いが親身になってくれる…のは、お前も知っておろう?
いざって時に機転も利く。少々、心配性と思えるほど人の身を案じたり…
意外と指先も器用で…オレの着物を繕ってくれた事もあって…
物の教え方も上手い。あ、あと洗濯も。……そんなに悪いものではないぞ」

あっちを見たり、こっちを見たり、忙しく目線をかえながら
時に手振りを交えて圓は語った。
相槌だけうち聞き入っていた娘は、目を丸くして呟く。
「……いいですねぇ」
「…だろう?だから…」
「ええ、そこまで天斗兄ちゃんのことを分かっていらっしゃるなんて…
いいですね、兄ちゃんは幸せ者です」
「んなっ!!」
恐る恐る娘の顔を見ると、満面の笑みが帰ってきた。

……嵌められた!!
この場合、どちらかと言えば『墓穴を掘った』とするべきだろうが
ともかく圓は嵌められたと思い、口元を引きつらせたのだった。
323天斗×圓:2006/02/22(水) 23:40:08 ID:Y9+4IxHQ
「えへへ…。私も本当に天斗兄ちゃんの事は尊敬してるんですよ。
でも私は、なんといいますか………見目麗しいお方が…」
そんな呟きを聞いているのかいないのか、柳眉を曇らせ
そっぽを向いている圓を娘はこっそりと盗み見て、ほんのりと頬を染めた。

一方、こちらは明確に顔を赤らめ、言葉にならない言葉を呟いている。
何の策もないが、ともかくこの娘の誤解を解かねばと、圓は決然と顔をあげ
「…っひゃあ!?」
脳天から出たようなおかしな声を上げてしまったのだった。


「い、いかがなされましたか!?」
「………」
娘は、今の声に驚いてぐずり始めた弟をあやしながら尋ねると
釈然としない顔の圓が指差す物を見た。
「…あ、サト」
そこには、少しずんぐりとした体格をもつ縞柄の猫が。
叫び声にも、ぐずる声にも動じず、体を圓の右腕に擦りつけていた。

「いきなり手に…生暖かくて…もさっとした物が触れたから……
ああもぅ!いつまでやっておるのじゃ!」
圓は苛ついた声をあげ、右腕を猫から離した。
「あは…気に入られたようですね」
「別に嬉しゅうないわ」
刺々しい言い方は、この程度の事で叫び声を上げてしまった事への照れ隠しだった。

「この猫は、お前が飼っておるのか?」
「いえ…。みんなの家を好きに渡り歩いているんですよ」
324天斗×圓:2006/02/22(水) 23:41:06 ID:Y9+4IxHQ
「あ……おい」
擦り寄る右腕をなくしても、猫はめげず
圓の膝に脚をかけ、そのままどっこいしょ…とばかりに乗る。
胸元に顔をぐいぐいと擦りつけ、嬉しげに喉を鳴らした。
目を丸くする彼女を放って、終いには大儀そうに香箱を作ってしまった。
「ず…ずぅずぅしい奴だな…」
あきれた口調で圓は呟くが、膝上の猫をむりやり排除しようとはせず
ぴくぴく動く耳や、丸まっちい尻尾を見下ろすだけだった。
そんな様子を娘は微笑ましげに見つめ、くすりと笑った。

「すみません、圓さん…。とてもお名残惜しいのですが
そろそろ弟のお乳の時間でして…私はこの辺で失礼いたします」
突如現れた猫により、話の腰をばっきりと折られ
また蒸し返すのもなんだと思った圓は素直に頷いた。
「あ、陸奥様のお屋敷にお戻りになられるのでしたら、途中まででもお見送りを」
「いや、気を使わずとも良い。それよりも早う弟を連れて行ってやれ。
……オレはこの猫重石のせいで、しばらく動けそうにないしの」
そう言って、手をひらひらと振った。

深々と礼をして去っていく娘を見送ると、驚くほど静かな秋の空気に包まれる。
ごろごろ…と猫が喉を鳴らす音がよく聞こえた。
程よい重みと暖かさで、先程までのくさくさした気持ちが解けていく。
ふと、先ほどから握り続けている雑草を猫の鼻先で振ってみたが
ぴくりと耳を揺らしただけで、興味を引く事は出来なかった。
草を捨て、濃い灰色と黒縞の、ふさふさした背中をそっと撫た。
「うわ。お前…抜け毛がすごいな。着物が毛だらけになってしまうぞ…」
そんな事を言いつつも、額をくすぐったり
弾力のある肉球を指で押してみたりして、ちょっかいをかける。
やはり、これといって反応は無い。年寄り猫らしく、この程度では動じないらしい。
325天斗×圓:2006/02/22(水) 23:42:06 ID:Y9+4IxHQ
圓の手は、何度も猫の背を滑りつづける。
喉を鳴らす振動が手の平に伝わってくる。

……行く先…決まっておられないのですか…。
これから雪も降ろうといいますのに…。

娘の声が耳の奥に蘇った。
幼い者に心配をかけ、憐れまれ、圓は自分が情けなかった。

本当の事を指摘されるのは辛いものだ。
人付き合いをさほど好まない圓は、佐助と二人でいた頃に
時折世話になった者たちの顔をほとんど覚えていなかった。
それにもし、記憶を頼りに行ってみたとして……
自分自身が『真田圓』だとどうやって証明すればいいのか見当もつかない。
唯一、証になりそうであった父の形見…村正はもう帰っては来ない。
なにより、行けば面倒事を持ち込むはめになる。

かといって、他所の土地に居場所を求めるのは、危険が大きすぎる。
幕府の追求は思ったより薄かったものの、やらかした事が消え去った訳ではない。
覚えている者、恨んでいる者は必ずどこかにいる。
となれば、圓に出来る事は唯一つ。
一所に留まらず、ずっと逃げ続ける…それだけだった。

「そうだよな…」
圓はぽつりと呟いた。
「今までやってきた事と変わらぬではないか…独りになったというだけで……」
猫の暖かさが手の中に篭る。
実の所、以前からこの考えは圓の中で固まっていた。
ただ単に深く考えた所で、これ以上の進展は望めないので
結論を出さずに置いておいただけだった。
326天斗×圓:2006/02/22(水) 23:43:07 ID:Y9+4IxHQ
「う…」
……まずい、と圓は思った。
このままでは泣きそうだ。

泣いた所で事態は好転せず、躰が疲弊するだけで良い事など無い。
しかもこれは自業自得……泣くなどお門違いも甚だしい。
あわてて手を口につけ、ぐっと歯を食いしばろうとし
「…っくしゅん!!」
手についた猫毛を思いきり吸い込んでしまった。
膝の上でくつろいでいた猫が、流石にびくりと反応した。

「何やってんだろ…オレ…」
「本当に何やってるんだ?」
馬鹿くさくて、鼻を擦りながらこぼした呟きに
猫が返事をしたのだと思った圓は、血相をかえ仰け反った。
が、当然そのような事はなく…
半泣きの瞳に写ったのは、あきれて苦笑いを浮かべる天斗の姿だった。


猫が暢気に大あくびをした。
「な…」
頬が熱を帯びてくるのを止められず、圓は口元にあった手を天斗に向け、指差す。
「なんでお前がここにいる!!」
「なんでって…そりゃオレの故郷だからなぁ」
からかっているのか本気なのか、天斗はのんびりした口調で答えた。
「こっちで猫が日向ぼっこしてるって聞いたんでな」
「…そ…そうか…」
327天斗×圓:2006/02/22(水) 23:44:05 ID:Y9+4IxHQ
さり気なく目頭の水滴を袖で拭った圓は、まどろんでいる猫に目線を向けた。
すると、天斗が猫の首筋を掴み、片手で抱き上げたしまった。
暖かかった膝が急速に冷えだすと、少しばかりがっかりした気分になる。
そして案の定、着物は猫の毛でいっぱいだった。

猫は天斗の腕の中でも喉を鳴らし、懐かしそうに匂いを嗅いでいる。
「お前…まだくたばってなかったか。そろそろ尻尾が二股になるんじゃねぇか?」
見上げる圓からは、ちょうど尻尾が見えていたが
丸い尻尾が二つに分かれている所を想像して、それは変だろうな…と思った。

「その猫サトっていうんだろ…お前が名づけたのか?」
なんの気なしに聞くと、天斗は首を振って否定した。
「いんや。オレの爺ちゃんがつけた。
こう…丸まってるのを後ろから見ると、皮剥く前の里芋みたいだからって」
「さ、里芋…」
「見えん事もないよな」
爺ちゃん……その方も、陸奥だったのかと圓は思う。

「そういえば、祖父殿はどちらに…?」
「――ああ、いまはもう墓の下だ」
「ぁ…」
圓は猫毛のついた膝に視線を落し「それは…すまぬ事を」と呟く。
「いや、別に謝る事でもねぇよ。爺ちゃんと婆ちゃんは結構年が離れてんだ。
それでもオレが陸奥を継ぐまで見届けてくれたし…な」
猫の背を、軽く叩きながら天斗は言った。
その言葉に引かれるようにゆっくりと顔を上げると
普段通り右目を瞑った彼の顔が、猫の耳越しに見えた。
いつもより穏やかに見えるのは、やはり暖かいものを抱いている為か。
328天斗×圓:2006/02/22(水) 23:45:06 ID:Y9+4IxHQ
祖父殿が逝ってしまわれた時……天斗も泣いたのだろうか?
天斗の泣き顔など想像も出来ないが、それでも
きっと、泣いたんだろうな……と…圓は想い描いた。

「オレの顔になんかついてるか?」
「え?……あ…」
圓は自分では気がつかないほど、しげしげと見詰めていた。
穴が開くほど、と言うやつだ。
「べっ…別に。またそうやって片目を瞑って…
よく分らん奴だと思っておっただけだ!」
いっぺんに表情を不機嫌色に染め、勢いよくそっぽを向いた。
息巻く端々に焦りが見えているのはご愛嬌。
「お前の顔にはついてるけどな。口の端に猫の毛が」
「!!」
あわてて圓は拳で口を拭う。
『…く…こいつ…片目でいるくせになんと目ざとい…!!』
自分を見おろし、不敵に微笑んでいる天斗を思い切り睨みつけた。

「……ふん、もう良いわ」
圓は両手を段差につけ、弾みをつけて立ち上がった。
二、三度乱暴に着物の裾を叩き、猫毛を払って歩き出す。
「なんだ…どこ行くんだよ」
「…どこでも良かろう」
「どこでも良いってんなら、ちょっと付き合ってくれないか?」
つっけんどんな言葉と共に、天斗の横をすり抜けようとしていた圓は
その提案に興味を引かれて立ち止まった。
329天斗×圓:2006/02/22(水) 23:46:05 ID:Y9+4IxHQ
「どこ行くんだよ」
同じ言葉をあえて圓は返した。
「なに、損はさせねぇよ。…多分な」
「なんだそりゃ。またいい加減な」
彼女は呆れ顔をしつつも、口を押さえて少しふきだした。
その仕草を肯定と受け取り、天斗は左目を少し細め
猫を抱いている手を地面に向けそっと差し出した。
老猫はおっとりと降り立つと、しばらく二人の周りをうろついて
唐突に飽きが来たのか、すたすたと歩き去ってしまった。
里芋のような後姿を圓はしばし無言で見送った。

「よかった…のか?」
ぽつりと呟かれた言葉に、天斗は不思議そうな顔をする。
「何が?」
「いや、だってお前…猫に用があって来たんじゃなかったか…?」
どんどん小さくなる後姿を見ながら、この距離なら何とか捕らえられるな…
などと測りつつ、釈然としない気持ちを告げた。

天斗は白い上着についた猫毛を圓にならって払いながら
「そりゃもういいんだ」とだけ言い、猫とは逆に歩きだした。
圓は少し躊躇し、天斗と猫の背を見比べ、慌てて彼の方へ小走りについて行った。
半歩ほど後ろにつき、同じ速度で歩き始めた彼女をちらりと見やると
「寝てるかと思ったら…知らん間にどっか行っちまいやがる。
……気ままなもんだよな」こっそりと、そう呟いた。
330天斗×圓:2006/02/22(水) 23:47:04 ID:Y9+4IxHQ
民家から、子供の歌声が微かに聞こえ
水車が規則正しく音を刻む。
静かなだけだと思っていた里にも、こうして色々な音があると圓は気付く。

耳を傾けながらあぜ道を歩いていると、鍬を手にした里人とすれ違った。
親しげに声をかけられ、それに天斗が答える。
圓は軽く会釈し澄まし顔で黙っていたが、内心冷や冷やしっぱなしだった。
こうしている間にも、どんどん誤解は広がっていくようで…
かといって『自分達は他人です』などと看板を背負って歩く訳にも行かない。

人里から離れ、山道に差し掛かると、そこでようやく肩の力を抜く事が出来た。
「どうした……疲れたか?」
「まさか…。疲労するほど歩いておらぬ」
ならいいけどな、などと暢気に笑っている天斗の横顔に
じっとりとした目線を向けると、腹の奥底で
『人の苦労も知らんで……この能天気男!』と悪態をついた。

しばらく蛇行した道を登っていくと、地面が土から石へと変わり、
なにやら鼻腔を刺すものがあった。
「…この臭いは…」
圓は天斗を追い抜いて、石の転がる道を駆けていった。
背後から「転ぶぞ」と聞こえたが、返事もせずに。

ささやかな囲いを抜けると、もうもうと立ちこめる白い湯気の向こう
大きな岩肌の合い間に日の光を反射してきらきらと輝く水面が見えた。
「温泉だ!」
圓は子供のようにはしゃいだ声を上げた。
331天斗×圓:2006/02/22(水) 23:48:05 ID:Y9+4IxHQ
大人が四人ほど入れそうな露天風呂から、溢れた湯が岩を滑るように流れ落ちていく。
長年湯に触れ続けた岩はすべらかで美しい。
秋にも色あせない緑にまじり銀杏や紅葉が色を添え、なかなかの絶景だった。
籠や桶も置いてあり、住人たちの憩いの場である事を伺わせる。

「いかがかな?」
突っ立って全貌を眺めていた圓は、背後から顔を覗き込まれて激しく動揺した。
「いっ、いかがもなにも、温泉じゃないか…!」
「ああ、まぁ、温泉だわな」
間の抜けたやりとりをしながら、天斗だけは温泉に近付いて行った。
「これがあの、怪我によく効く温泉なのか?」
もぅ怪我などとっくに治っているけどな…と含ませながら圓は言う。
天斗は別の効能もあるという事は口にせず「ああ」と返答した。

「じゃ…せっかく来たんだ、入ろうぜ」
先程の返答と同じ位あっさりした口調に、圓は初め聞き違いかと思った。
戻ってきた天斗に手首を軽くつかまれ、そこでようやく我に返る。
「ぼーっと突っ立ってないで、早く来いよ」
「……え?いや……ちょっと…!!」
驚き、慌てふためいて、手を振りほどこうとしても叶わず
前のめりに引き摺られて行くだけだった。

――共同浴場に見知らぬ者と入った事はある。
だがそれは、薄暗い中、しかも佐助に言われて湯帷子を着込んでの事。
しかし、天斗と共に入浴など、一度たりとも無い。
それがこんなお天道さんの下で、いきなり……!!

圓の風呂にまつわる思い出が、湯船までの短い間
走馬灯の如く脳裏に浮かんでは消えていった。
332天斗×圓:2006/02/22(水) 23:49:07 ID:Y9+4IxHQ
「前に入りたいって言ってたもんな…。遠慮すんなよ」
「………」
天斗は紺藍の袴を膝までまくって、足だけを湯につけている。
乾いた岩場に座っている彼の後頭部を、突き刺さりそうな視線で睨みつけた後
慎重に着物の裾をまくり、ゆっくりとひきあげた。
雌鹿を思わせるしなやかな脚が外気に晒される。
「み、見るなよ!」
「見ねーよ」
おざなりに明後日の方角を向いた天斗を確認すると
圓は岩場に腰を下ろし、片足づつそっと湯につけた。
とぷん…と軽い水音と共に、波紋が幾重にも広がる。

「足湯ってのも悪くないだろ」
一人分ほど離れて座った圓に声をかけながら、天斗は振り向いた。
また睨まれるかと思っていたが、見れば彼女は目を瞑り、じっくりと味わっている。
暗い色の着物から伸びた脚は白く、無防備に投げ出されていた。
「ん……気持ちいい…」
囁くような声と共にゆっくりと目を開き、二人の視線が絡むが
圓は微笑み返しただけだった。よほど嬉しかったらしい。
なんとなく天斗は目線を外し、誤魔化すように頭を掻いた。

圓は脚を軽く振り上げ、爪先で雫を弾く。
「足湯は初めてじゃ。なかなか良いぞ…誉めてつかわす」
「そいつは恐悦至極」
実際にうやうやしく頭を下げながら天斗は言うが
脚が湯に浸かっているので、まったく格好はつかない。
顔を上げニッと笑った彼につられ、彼女も笑ってしまった。
333天斗×圓:2006/02/22(水) 23:50:04 ID:Y9+4IxHQ
「体にもいいんだ。頭寒足熱ってな」
「ああ…なるほど…」
「だが、どうかな。お前はすぐ頭に血が上るからなぁ…」
その言葉に圓は一瞬にして眉を吊り上げ、立ち上がらんばかりの勢いに…
はたと気付いて、そのまま怒りを内側に押さえ込んだ。
「やっぱり」
「……やかましい」
赤くなった膨れっ面をからかわれ、彼女はますますむくれて見せた。

それでも……圓は安堵していた。
いつの間にか今まで通りの会話が出来ている事に。
短刀の事や、旅話の件など、言いたい事は色々とあるが
今はこうして馬鹿らしい事で盛り上がって、軽口を叩きあえれば
それで良いと思うのだった。
このままなら、いざその時が来ても…後腐れなく別れる事が出来るだろうから。

目を伏せ、今度はゆっくりと脚を動かす。
湯に浸かった肌は、桃色に染められていた。
掌を器に湯を掬い取り、ふと、そこで気がついた。
「……。確か温泉は飲む事も出来るのだったな」
「ん?そりゃ飲めん事もないが…」
天斗はこんこんと湧き立つ源泉に目を向けた。
「飲んでどうする。…腹でも減ってんのかよ?」
無神経な彼の言葉に、ぴくりとこめかみをひくつかせ
「違うわ馬鹿者」と声を押さえて圓は言う。
334天斗×圓:2006/02/22(水) 23:51:04 ID:Y9+4IxHQ
その間も、濡れた手から雫が落ちるのを見詰め続けていた。
「飲んでも体に良いと聞いた事がある…」
「そりゃまあ、湯治って言うくらいだ。体の内と外から効くんだろ。
けど、お前がそんな……」
軽くあしらおうとした天斗の言葉は、圓の顔に落ちた影に阻まれた。

「……なにか気になる事でもあるのか…?」
ひどく真剣みを帯びた声に、圓の肩が返答をするように揺れた。
しかし彼女は、慌ててそれを打ち消そうとする。
「な、なんでも…なんでもない!…ただ少し…興味があっただけで…」
「違うだろ」
ぴしりと、斬って捨てるような一言に圓は口篭もった。
「まだ体調が悪いんだったら、正直に言えよ…」
「……っ…」
苦しさに突き上げられるように圓は顔を上げ、天斗を見た。
彼の左眼が、揺らぐ事なく見詰めていた。


…天斗に助けてほしいと、願っていた。
この身を内側から灼くような、奇妙な疼きや焦燥感。
忍装束を纏っても止められなかったこれはなんなのか、教えてほしかった。
けれど…彼は、いつでも自信に満ちていて
このような薄ら昏い感情に囚われた事など無いように見える。

そんな彼に、言うのだろうか。
目前で股ぐらを開いて見せて『この中がおかしいんだ』と。
335天斗×圓:2006/02/22(水) 23:52:04 ID:Y9+4IxHQ
『へそのあたりが疼いて…落ち着かないんだ……。
ここ…を指で開いてみたら……なにかぬるぬるした水がいっぱいで…
すごく熱くて……触れば触るほど変になっていって……』

――言える筈がない。
そのような事を口走ったら、きっと気がふれたと思われる。
いや、むしろもはや、おかしいのかもしれない。
病なのか…呪いなのか……。
そんな自分を、知られたくない。知られないまま別れたい。


湯で濡れた手が、汗を含んでぬるりと滑り、その感覚に圓はぎくりとした。
慌てて着物でそれを拭う。対して口の中はからからに乾いている。
目の前はこんな大量の湯だというのに。ひどい皮肉だと思えた。
「……か…関係ない事だ。お前には…」

激しい飛沫と拡散する湯気が晴れると、二人の間は無くなっていた。
互いの顔を間近で見詰め、そして互いに驚き固まっていた。
立ち上がった天斗に圓は肩を掴まれ、すくみ上がって息を詰まらせ
その怯えの混じった顔を見た天斗もまた、愕然としたのだった。


掴まれた肩は痛みこそしないが、とても熱い。
物言いたげな薄墨色の片目を、彼女の揺れる金茶の瞳が捕らえ
そして、ほどなくしてきつく瞑られた。
336天斗×圓:2006/02/22(水) 23:53:06 ID:Y9+4IxHQ
瞼の裏には、修行場で起こった出来事が浮かんでいた。
また地に縫い付けられ、お前などいつでも喰い殺せると…
立場の差を思い知らされるのだろうか。
…それならそれで良いと、彼女はぼうっとする頭で考えていた。
彼を落胆させ、苛立たせるしか出来ない自分がやたら憎くて、悲しい。

肩を掴む彼の手は、しばらくそのまま動く事は無かった。
動く事は無いが、何かしらの躊躇は指先から感じられた。
そんな指がぴくりと動き、そのまま離れていくのかと思われたが
着物越しに腕を撫でるように上がり、くすぐったさを感じて圓は少し身じろいだ。
手はそのまま上がり続け、やがては着物のない所に到達する。
瞼を閉じ鋭利になった感覚は、髪を結い上げている事によって
露になっているうなじに触れられたのを感じ取るが
彼女は詰めた息を少し漏らしただけで目を開く事はなかった。

やがて大きな掌が圓の頬を包みこむ。
武骨でお世辞にも肌触りが良いとはいえない手。
しかし、足元に感じる揺らめく暖かさにも勝る心地良さがあった。
この感じは、どこかで感じたもの…と、彼女は思い返した。

ただ流れる水音だけが過ぎていく。
頬を包んでいた手は指を折り、彼女の肌を撫でるようにして離れ
ぽん、と軽く肩の上に乗せられた。
その影響か、まるで眠っているようだった圓の両目が開く。

「すまん。驚かせたか」
静かな声に対し、圓は首を横に振ることで答えた。
驚きはしていたのだが…。それよりも昨日味わった事との落差に戸惑っている。
彼女は彼を見上げ続けているが、目があう事はなかった。
337天斗×圓:2006/02/22(水) 23:54:05 ID:Y9+4IxHQ
「お前が倒れたのは、オレにも責任があるんでな…。
温泉も…好きなだけ浸かっていていい。あと腹を壊さん程度に飲んでくれ」
どことなく事務的な口調でそう言うと
天斗はもう一度彼女の肩を軽く叩いて、湯から上がった。

圓は、昨日自分が彼を置いていったように
自分も置き去りにされるのだろうかと思ったが
「ちょっと涼むな」と背を向けて、天斗は大きな岩に腰を下ろした。
その背中をしばらく見ていたが、彼に対し何も言う権利はないと悟り
目線を湯船に落した。水面に歪み動く自分自身の顔。
それを見ながら、ゆっくりと、自分の頬に手を重ねあわせた。


二人はまた静かに家へ戻り、当たり前のように別の部屋へと別れた。
独り、客間で腰を据えた圓は、昼間そうしたように風呂敷包みを手元に引き寄せ
今度は枕にする事なく、解いて中の物をあらため始めた。

蓋に『腹』だの『傷』だのと彫られている瓶には丸薬が入っている。
ここへ至る間、使い、新たに購入し…を繰り返してきて
どれがどのような効力を発揮するかは、知り尽くしている。
「…しかし心許ないな」
瓶を振ると、粒が舞い容器に当たる音。中はかなりの空洞が出来ているようだ。
自分が思いのほか打たれ弱い事を悟った今、薬売りが居る町までの
繋ぎを用意するしかないな…と、算段する。

明日の朝は早く起き、薬草を摘ませて貰えないか天斗に聞こう。
出来れば昼前にここを発つ事が出来ればいい。
雪が降る前なら野宿でも何とかなる…。
そう自分に言い聞かせながら、少ない荷造りは淡々と進められた。
338天斗×圓:2006/02/22(水) 23:55:08 ID:Y9+4IxHQ
――温泉の効能か、その夜はぐっすりと眠る事ができた。


しゃくしゃくとした朝日に目を細め、圓は大きく伸びをした。
きっちりと修練を終え、昨日洗濯され戻ってきていた
藍錆色の着物を忍装束の上に着込んだ。
彼女の傍らには、中身を整頓した風呂敷包みと鍋が並べて置かれている。

いままで、様々な朝を迎えてきたが、ここでの朝はこれで最後。
思ったよりも心は平坦である。
ただ、この地を去るにあたって、まだ色々と済ませていない事があり
感傷に耽るには気が早いだけなのかもしれないと圓は思う。

朝餉の時にでも、世話になった礼をきちんと伝えねば…
それに多分…誤解をさせていたであろう事に謝罪を。
考えると胸が痛んだが、仕方のない事だと呟く。
なんと切り出すべきか、ぶつぶつ呟きながら試していると
胸にどよんとしたものが落ち、全身に毒のように回りだした。
「う…いかん……」
慣れない事で頭を使い、緊張で体が強張ってきた。
やはり、そこまで心は平坦ではなかったようだ。

仕方なく、圓は散歩で気分転換を図る事に決めた。
今日もよく晴れて、出立には絶好の日和なのが唯一の救いだった。
339天斗×圓:2006/02/22(水) 23:56:13 ID:Y9+4IxHQ
中庭を抜けて玄関先に出た圓は、まずは我が目を疑った。
日の光に何度か瞬きをして、きちんと実体がある事を確認する。
こんな早朝、約束でもしていたように、天斗と鉢合わせたのだ。
彼はすぐに彼女に気付き、軽く微笑んだ。

「おはよう」
「…あ、ああ。おはよ……」
思いもかけず早く顔を見る事になり、圓の胸は平衡感覚を失いかける。
会ったからには、今日すべき事を打ち明けなくてはならない。
それは自分自身で決めた事…しかし、口は開けど声がでない。
先程まで色々と考えていたのにまるで役に立っていない。
困り果てた彼女から零れた息は白かった。

「ここにいても寒いだけだな。中に入ろうぜ」
片手を玄関先に向けて天斗が促す。
しかし、家の中に入ってしまっては
話がますます切り出し辛くなりそうで、彼女はまごつく。
焦り顔を上げてみると、彼の体から湯気が立っているのが見えた。
額から流れ落ちた汗が光を反射し
ああ、どこかで修練をして来たのだな…と、圓は知る。
違う場所で、示し合わせもせずに同じ行動を取っていたのだ。
些細かも知れないが、圓は素直に嬉しいと受けとめる事が出来た。
その後押しにより、口を開きかけるが……
「あ、ああ!!天斗ー!丁度ええ〜!!」
血相を変えて走り込んできた男……昨日、すれ違った里人の声に遮られた。
340天斗×圓:2006/02/22(水) 23:57:13 ID:Y9+4IxHQ
天斗は少し頭を掻くと、息急き切らしている里人に顔を向けた。
「おはようさん。どうかしたか?」
「そ、それが……えーと…」
酸欠頭がようやく回り始めたのか、里人は圓の事をちらりと見ると
どうやら自分が大変間の悪い時に来てしまったのだと悟った。
「……えぇと」
「良いから。続きを話されよ」
うろたえる里人に、圓は手振りをつけ先を促した。

「すまんこってす…。ちぃと困った事になりまして。
天斗の耳にも入れとこうと思って呼びに来たんですわ」
「なんだ…?今聞くのじゃ駄目なのか」
「いやぁ…これからの事とか、皆で話したくてなぁ…」
里人はちらちらと圓に向け、申し訳なさそうな目線を向けた。
どうも、あまり聞かれたくない話のようだ。

「天斗、行ってやれ」
「…だが…」
珍しく歯切れの悪い言葉が彼の口を突く。
何かを感じ取っているのかとも思うが、あえて圓はつっぱねた。
「里に帰ったからには、責務を果たされよ。陸奥殿」
二人の視線が絡み、天斗は仕方がなさそうに笑った。
「よし、じゃあ行くか。……朝飯は残しといてくれよ」
先は里人に、後は圓に言うが早いか、天斗は駆け出していた。
里人も慌てて追って行ったが、背負ってもらった方が早く着きそうな様子だった。
341天斗×圓:2006/02/22(水) 23:58:06 ID:Y9+4IxHQ
一緒にいられる残り時間は減ってしまったが
得てしてこういうものだと圓は思った。
彼女は今しがた起こった事を…主に朝飯を残しておいて貰う事を…
詩織に伝えるため、玄関の戸を引き開けた。


手に持った器に箸をつけようとした手を一旦止め
圓はちらと襖に視線を送った。
しかし蛍と目があってしまい、あいまいな笑顔を浮かべて誤魔化した。
詩織は八雲の湯飲みにお茶をつぐ。…この二人はいつ見ても仲が良い。
こういうのを、おしどり夫婦というのだろうか。
あまり見ないように気を使いながら、圓は煮物を口に運んだ。
四人の食事は、のほほんと過ぎていく。

「……過ぎちゃ駄目だろう、過ぎちゃ…」
朝餉が済んでも天斗は帰ってこず、圓は独り部屋に引きあげ
床におでこが付きそうなほど、うなだれていた。

結局のところ、彼らに里を離れようと思っている事どころか
お礼の一つすら伝えられないままだった。
まともに言えたといったら『頂きます』『ご馳走様』くらいか。

言い出しづらかったのだ、とても。
話せば彼らは真剣に聞いてくれるだろう。
それが感じられて、逆に圓は切り出す事が出来なかった。
そして、彼らに返せる恩を自分が持ち合わせていない事を痛感させられる。
342天斗×圓:2006/02/22(水) 23:59:04 ID:Y9+4IxHQ
やはり先に天斗と話をつけなくてはならない。
…なのに、こういう時に限って刻は遅々として進んではくれぬもの。
もどかしさに圓は縁側の上を何往復かし、くるりと振り向くと
一足飛びで庭へと危なげなく降り立つ。
ともかく顔を合わせて話がしたかった。

勢い勇んで飛び出してはみたものの、この地に詳しい訳ではない。
見渡してみても、どこにいるのか見当もつかない。
あの様子だと数人は集まって相談している筈だ。
それらしい場所はないかと、圓は首をめぐらせながら早歩く。
「あっ…圓さん〜!」
突如、背後からかけられた幼い声に振り向くと
昨日と同じく赤子を背負った娘が大きく手を振っていた。

「おはようございます!お散歩ですか」
「おはよう。…まぁ、ちょっと探しものがあってな…」
なんとなくこの娘に向かって『天斗を知らないか』と聞くのは
抵抗を感じ、圓は茶を濁した。
「薬草を……探しておる。どこかに生えてはおらぬ物かと」
遠くの山々を見渡すような素振りをして見せた。

しばし、娘は物言いたげな顔で彼女を見上げていたが、にこりと微笑むと
「擦り傷によく効くのが先の林にございますよ。ご案内いたしましょうか?」
小さな指が差す方向を、圓もならって見渡し
「……ああ、では頼む」好意を甘んじて受ける事にした。
343天斗×圓:2006/02/23(木) 00:00:04 ID:Y9+4IxHQ
途中で家に寄り、籠を持ってきた娘の傍には、赤子の他にも同行者がいた。
「このこもお散歩中だったみたいです」
縞柄のもっさりとした毛皮が圓の足に擦り寄った。猫のサトだ。
林に向け歩きはじめても、猫はつかず離れずついてくる。
特に追い払う理由もないので、彼女は気にしない事にした。

雑木林が次第に深くなる細い道を、迷いない足取りで先に行く
娘の後姿を圓は追いながら、口を開いた。
「すまぬな。オレの用事につきあわせて」
「お気遣い痛みいります」軽く振り向いて微笑むと、娘は
「私も欲しかった所でしたので、丁度良かったんですよ」と繋げた。

思ったほど里から離れていない場所で、小さな案内人は立ち止まった。
「この辺に…あ、これですよ」
娘が指差す所に圓は座り、しげしげと見て
ようやく他の雑草との見分けをつけた。


「おい…こら。やめろというに…!」
また生えて来るように、薬草の根を残しながら慎重に摘んでいると
しゃがみこんだ膝の上に猫が乗っかろうとして邪魔をする。
それでも圓は強く追い払えず、効率の悪い事この上なかった。

地面に置いた籠に薬草を入れながら、娘はくすくすと笑い
そして、ぽつりと言った。
「この草は…すり潰してから塗ると、本当によく効きますから…」
傍から見れば猫とじゃれあっているようだった圓は
それでもきちんと話を聞いて、軽く頷いた。
344天斗×圓:2006/02/23(木) 00:01:03 ID:Y9+4IxHQ
「……行ってしまわれるのですね」
「…ああ」
それ以上、娘からの問いかけはなく、その沈黙は圓にとって
ありがたいものであったが、残念にもそう長くは続かなかった。

凡庸として気ままだった猫の様子が一転したのだ。
毛を逆立て、別猫のように低く鋭い唸り声に圓はたじろいだ。
「どうしたんだ…お前」
自分に向けられた威嚇ではない。木々の向こうに何かあるようだ。
目を凝らして……これはまた、何の冗談かと彼女は思った。
日が登っているというのに、月がある。
――熊だった。

「ひっ…」
「しずかに」
娘の叫びを見越してか、圓は素早く制した。
すんでの所で口を手で塞ぐ。

「…離れるのじゃ。ゆっくりと……前を向いたまま……」
声も、動作も、とても静かで落ち着いていたが
圓の頭の中では、佐助から教わってきた事が高速で巡っていた。
もっとも、このような状況に出くわしたのは初めてではあるが。
本来熊という動物は臆病で、こんな人里近い所になど降りてはこない。
話し声も聞こえていただろうに。

じりじりと後ずさりながら、少しの目の動きで獣の全体を把握する。
どうやら傷を負っている。自然による物ではないようだ。
345天斗×圓:2006/02/23(木) 00:02:02 ID:Y9+4IxHQ
『ははぁ……そういう…事かよ……!』
天斗が帰らなかった訳がわかった。
女である自分を怯えさせないように、黙っていた里人の気遣いも無駄に終わった。
あまりの馬鹿馬鹿しさに、このような状況にもかかわらず
圓の口元は歪み嗤っていた。

熊は明らかに敵意を持って迫って来ている。
「つつっ圓さんっ…!し、死んだふりを…」
「馬鹿、してどうする。ほんに喰い殺されるのが落ちじゃ」
むっと鼻を突く、獣の臭い。
わかりやすく、純粋な殺意に肌は粟立ち、背中には冷たい汗が流れ落ちる。
それでも……
「…逃げている訳ではない…」
圓の唐突な言葉に、娘は一瞬不思議そうな顔をした。

後退はしているが逃げている訳ではない。
胸元を引き裂かれ、恥辱と恐怖で後ずさっていたあの時とは違う。
それに……
「オレの知る化物は…もっと得体が知れず恐ろしい」

かたかた…と躰に震えを感じたが、それは圓のものではなく
彼女の着物を掴む娘の手から伝わってきたものだった。
ちらと見て、圓はその震える小さな手に、ゆっくりと掌を重ねた。
「なぁお前…ちと頼まれてはくれぬか?」
娘は重ねられた手の暖かさに驚き、また更に
このような状況にそぐわない気楽な口調にも驚かされる。
「オレが合図をしたら、里までひとっ走りして知らせてほしい。
……よろしくな」
346天斗×圓:2006/02/23(木) 00:03:02 ID:Y9+4IxHQ
手が離れていく。
娘は暖かい手をしっかりと掴みたくて腕を伸ばしたが、それは空を切るだけだった。
圓は走って行ってしまったのだ。獣に向かって、猛然と。

今まで逃げていた筈の獲物が突っ込んでくるのを見て
獣が動揺を見せた。そこを圓は見逃さない。

暗幕から一転、咲き誇る花が。
手を伸ばしたまま娘は、幻惑に囚われたかのように立ちつくす。
どのような手際か、圓の姿は重く暗い藍錆の着物から
華やかで大胆な薄紅梅の装束へと変化していた。
娘は恐怖も忘れて見惚れた。『そういう色のほうがいい』…と。


圓は左手に握り締めたままの藍錆色の着物で、勢いよく熊の顔を覆い隠し
間髪いれず、右手に握り締めた物を振りぬいた。
耳を覆いたくなるような咆哮と、物の潰れる嫌な感触にも彼女は力を緩めない。
藍錆の着物が、握られた苦無が、熊の目から吹き出る血に染まって行く。
「行け!!」
手に流れ落ちる生暖かい物を感じながら、圓は腹の底から叫んだ。

茫然自失の体であった娘はその叫びで我に返ると、ひどくうろたえた。
このような危機的状況で、自分に何ができる訳ではないが
彼女を一人置き去りにして良い筈もない。
「つ、つぶらさんっ……でも…!」
「早く弟を連れて行けっ!!」
弟という言葉に、娘は反応を示す。
おぶい紐の中で自由に動けず、むずがるばかりの赤子。
それを娘は両手でしっかりと支え、背後から聞こえる獣の叫びと
生木の裂ける音を振り切り、全力で走り始めた。
347天斗×圓:2006/02/23(木) 00:04:02 ID:Y9+4IxHQ
痛みで猛り狂った獣は着物で視覚を封じられながらも
無茶苦茶に両足を振り回し、傍の木々をなぎ倒している。

すんでの所で飛び退いていた圓は、手についた返り血を振り払い
また一本、苦無を投げつけた。
しかし暴れまわるのを避けつつ急所を狙うのは困難だった。
強固な毛皮に阻まれ倒すには至らない。苦無にも限りがある。
「やっかいな…」呟き、間合いを取る。
ふと、目端に薬草の入った籠が写った。
それだけが先程と変わらぬ姿で鎮座しており、なぜだか可笑い。

唐突に、細い悲鳴のような音が響き渡った。
今となってはどす黒く染まった藍錆の着物が
分厚い爪により、紙のように引き裂かれていく。
「……まだ着れたのに、もったいない事よのぅ…」
だくだくと血を流す凄惨な姿の獣と目を合わせ、圓は皮肉を口にした。

ゆっくりと空気を肺へと送り込む。血の味が感じられそうだった。
「お前……オレを喰い殺したいか?」
怒りで何かが振り切れたのか、獣は暴れるのをやめ
真っ赤に染まった怨嗟の目をびたりと圓に向けている。
夢で見た、不運な見回りの怨念と重なる。彼女は懐かしさすら覚えた。
「…ならば捕らえてみせよ。鬼ごっこじゃ」

圓に何か上策がある訳ではない。
動機は単純な事に、この獣をあの里へ近づけさせたくないだけ。
たかだか数日世話になっただけの小さな里への想い入れを
彼女は不思議と素直に受け入れていた。
348天斗×圓:2006/02/23(木) 00:05:04 ID:Y9+4IxHQ
草と土が抉れ、砂利が舞う。
同じ場に一時たりとも留まってはいられない。
里から遠ざかっているか、近づいているのかすらも分らない。
どす黒い塊のような前脚は、なんと速いのだろう。

圓はその身が吸収してきた事全てを「捕まらないこと」に投じた。
そうする他にない、どちらの精根が先に尽きるかという勝負だ。

鋭い枝が彼女の腕を掠り、ちょっとしたでっぱりに足を取られかける。
耳に響く妙な音が自分自身の呼吸音と気付いた時
どうやら木々や地面はあちらの味方なのだと感じられるようになった。
手傷を負っているというのに、よく動くではないか。
こちらの心臓は、もう一息で爆ぜる紙風船の様相だというのに。

せめて何か…対抗しうるものがあれば。
圓の脳裏に去来するのは、一点の曇りもない白刃。
父の形見である刀の煌き。
それは呼吸不足による眩暈だったのかもしれない。

『何も変わらんな…オレは…』
昔から、様々なものを夢想し、この手に掴みたいと想い願っていた。
しかし…本当に必要なものほど、手をすり抜けていく。
後になって本当の価値に気付き臍を噛む。
そんな事の繰り返し。本当に愚かだ。
349天斗×圓:2006/02/23(木) 00:06:06 ID:Y9+4IxHQ
唐突に躰が軽く、浮きあがる。
それは決して彼女を救うものではなかった。
「…っ…は…!!」
霞から暗転、そしてすぐに緑深い林の情景が映し出される。
背中をしたたかに打ちつけ、喉奥の空気は石のように重い。
ふと目の前に、梅の花がちらついた気がして、本能のまま身を捻り避けた。

獣の前足が先程まで倒れていた場所にめり込んでいる。
そこに見慣れた色の布切れがはためいているのが不思議でならない。
無様な四つん這いで――獣ですら二本足で攻撃してきているのに――逃れると
忍装束の袷に感じる違和感にようやく気がついた。
左前身頃が大きく引き千切られ、汗ばむ胸が露出していた。

背中や髪から砂がばらばらと落ちる。
振りぬかれた獣の爪は薄紅梅の忍装束にひっかかり
圓は横っ飛びに吹き飛ばされていたのだった。
皮膚が外気を感じるよりも、背筋に走るものの方が冷たい。
肉ごと持って行かれなかったのが正直、不思議でならない。

重い躰をやっとの思いで転がすと、獣との間に貧相な木が一本。
それでも一縷の望みをたくし、木に手をかけ立ち上がろうとしたが
腰から下の糸が切れたかのようにへたれてしまっている。
血の臭いが、死の臭いがすぐそこにあるというのに。

「…捕まっ…たか…」
口にすれば手の力も抜け、木の表面をずるずると滑り落ちた。
かくりと、弱々しくうなだれる。
350天斗×圓:2006/02/23(木) 00:07:03 ID:Y9+4IxHQ
こんなものか……。まぁ、こんなものなのだろう…。

実力も価値もない小娘が、今まで悪運強く生き延びられただけの事。
それに、しょせん一度は絶とうと思った命だ。
こんな矮小で役にも立たない……が、命がけで…守ってもらった…命だ。

「い…やだ……」
へたり切っていると思われた足が動く。
砂を掻くようにじわりと後退すると、見上げた獣は小山のように見えた。
「いやだ……。死にとう…ない…!」

これが本当の最後であるならば…
圓は心から欲しいものの名を、柔らかな胸の前で拳を硬く握り
あらんかぎりの力を振り絞って叫んだ。

「……天斗――――ッ!!」

返答のかわりか、鈍く音が一つ、そして二つ。
圓は、自身がひき裂かれた音なのだろうかと思った。
しかし、痛みの感じない躰を信じたくもあった。

轟音と共に、大量の砂埃が舞い上がる。
とっさに顔を覆ってそれを防ぎ、身を縮こませた。
彼女の真横に熊の巨体が倒れこんできたのだ。
351名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 00:07:04 ID:v4oeeFGt
うおおおおおおお
待ってましたー
続きも楽しみにしてます
352天斗×圓:2006/02/23(木) 00:08:11 ID:Y9+4IxHQ
ばらばらと、結構な量の砂埃が躰に降ってくる。
目や口に入らないように強く瞑り、じっとしていると
それほど時はかからず収まりをみせた。
しかし、圓は躰を丸めたまま、動こうとはしなかった。
団子のようになっている彼女の頭を、何やら軽く突っつく物があった。
「おい、呼んだか?」
「……来るのが遅いんじゃ。ばーか…」


圓はそろそろと顔を上げると、見慣れた紺藍の袴が目の前にあり
そして真横に転がる獣を見て、思わず飛び退った。
先程あれだけ追い詰めて来たものが、ぴくりともしない。

肩で大きく息をしながら、躰のどこそこが
平素の状態を取り戻していくのを圓は実感しながらも
本当に自分は生きているのだろうか?という確証も持てずにいた。
それほどまでに、今の静けさと先程までの落差は激しかった。

「……お前が怠けていたせいで、オレは貧乏くじを引いたぞ」
本当はもう少し他の言い方をしたかったが、圓の口から出たのは悪態だった。
「すまんな。…けど怠けてた訳じゃないぜ。見つけられんかっただけで」
天斗は事切れている獣に少し目を向け、すぐまた彼女に向き直った。
「結構大勢で探し回ったんだが…。お前、よほど旨そうに見えたんだな」
「…まるで嬉しくないぞ」
353天斗×圓:2006/02/23(木) 00:09:04 ID:iBhqZzWA
回る口と、冷えて行く躰がちぐはぐに思えた。
右指を動かそうとすると、糊のようにべたつき上手くいかず
見れば赤黒い血の上に砂がまぶされ固まっていた。

忍装束が引き千切れて露な胸元にも、汗っぽい腕や脚も砂まみれで
じゃりじゃりとした不快感を示し始めている。
しかし、これだけではまだ、生死を判ずる事は出来ない。
圓は大量の水が詰まっているかのように重い右腕をなんとか持ち上げ
赤黒く汚れた指先を、そろりと震わせながら伸ばした。
すぐに、大きな手が躊躇もなく包み込む。
しっかりと、確かな感覚が伝わってくる。

「オレは生きて…いるんだよな?」
「ああ、もちろん。足だって立派についてるぜ」
所々、細かな擦り傷がついている脚に目をやり、圓はそこでようやく
握られた手の主と目を合わせることが出来た。
ほんの少し息が乱れてはいるものの、変わらない余裕に満ちた笑顔。
それを見て、気が楽になると共に、少しばかりむかっ腹も立つ。
人が命懸けだったというのに、お前は片目で足りるのかよ!…と。

「大丈夫か?」
…あまり大丈夫ではないな…と、圓は思った。
このまま手だけではなく、彼に躰ごとぶつかって行けたら…
抱きついてしまえば、もっと生きた心地が味わえるだろうか?
随分と血迷った事を考えてしまっている。
しかし、今ならそんな無茶も許されるかもしれない。
甘えた気持ちも湧いてきて、左手を恐る恐る差し出そうとした時
切羽詰った幼子の叫び声と足音が響き、彼女は咄嗟に手を引っ込めた。
354天斗×圓:2006/02/23(木) 00:10:04 ID:iBhqZzWA
「圓さぁーん!!」
顔を涙でぐちゃぐちゃにして、娘は圓の首っ玉にかじりついてきた。
小さく頼りなく、そして暖かな躰が自分の胸を押しつぶし
彼女はそこでようやく自分の姿を客観的に認めることができ、頬を染めた。
それでも…生きている実感は、充分に得る事が出来た。
天斗は何も言いこそしなかったが、右手は握られたままで少し気恥ずかしい。

「つぶ、つぶら…さんっ!…よっ、よか…た……」
「おいおい…。その様にくっついては、お前の着物も汚れてしまうぞ?」
娘は首を振り、嗚咽を漏らしながらよりいっそう強く彼女にしがみ付いた。
仕方がなさそうに一息つくと、圓は娘の小さな頭を左手でぽんぽんと叩き
「それにしても、ようこの場がわかったなぁ…」
自分でも可笑しいほど間延びした声で言った。
「こ、ここまで木…とか、いっぱい…倒れてて……」
しゃくり上げながら、娘は辛うじてそれだけ言った。
ああ、なるほどなぁと圓は思う。
天斗が何故自分を見つけられたかも知ることが出来た。

「ほら…もう泣くでない。
弟が泣いておらぬのに、姉がその様でなんとする」
その言葉を聞いて、娘が慌てて涙を拭う。
圓は目を細めると「この騒ぎの中でも泣かぬとは、ほんに強い男子じゃ」
そう言い、姉の背で目をぱちくりさせている弟の頭をそっと撫でてやった。

ようやく落ち着いてきたのか、娘は何度も鼻を啜る。
「それにしても圓さん…これはあまりにも……
なぜこのような無茶をなさったのですか……」
「ん?…ああ、すまぬな」
355天斗×圓:2006/02/23(木) 00:11:03 ID:iBhqZzWA
謝らねばならないのはこちらです、との返答を聞きながら
圓は真っ赤な目を擦っている娘を見、思い返していた。

――年長が小さい子の面倒を見るのは当たり前ですしね。

それはお前がオレに言った台詞だぞ。
そうとは口にせず、ただ圓は少し笑って見せただけだった。

「もう気にすることもないぞ。ほれ、見ての通り
熊は陸奥殿が退治してくれたしな」
「そう…ですか…。……天斗兄ちゃん…これは…」
娘は恐る恐る熊を見やり、陥没している頭部に顔をしかめた。
「ああ、斧鉞だ。やはり熊にはマサカリだろ」
「…なんでそういう所は凝るんですか……」
まったくこの人はもう…と言いたげな溜息をついた娘を見て
何を言っているのか理解しきれず圓は首をかしげた。


「それはともかく…圓さんのお召し物を何とかいたしませんと…」
そっと離れた娘が言い、圓は慌てて胸元を片手で隠した。
胸だけでなく肩や腹まで露出し、左半分着ていないも同然で
このままでは帰る事すら出来そうにない状態だった。
「とりあえず、オレのを着ておけよ」
天斗は自分の上着を脱ぐため、握っていた圓の手を離しかけた。
しかし突然強く掴み返され、怪訝そうな顔で彼女の顔を伺った。
ひどく青ざめて、悲痛な面持ちがそこにはあった。
356天斗×圓:2006/02/23(木) 00:12:03 ID:iBhqZzWA
「ない…」
「?」
「筒…が……。佐助の髪が…どこにも無い…んだ……」
圓は声を震わせ、装束が裂けた場所に左手を押さえつけている。
急に立ち上がろうとしたが、脚に力が入りきらず
前のめりで倒れかかった所を天斗に支えられた。
彼の腕に柔らかい膨らみが押し付けられたが、彼女は構いもしなかった。

「さが、探さなくては…!」
激しく辺りを見渡し、また立ち上がろうとしたが
肩をつかんだ天斗がそうさせなかった。
「落ち着け。オレ達で探してやるから、お前はまだ座ってろ」
「嫌だ!!」
ひどく取り乱した様子の圓を見て、娘はあわてて
それらしき物が落ちてはいないかと下を向いて歩く。
天斗はこれ以上圓を押さえていても無駄だと悟り
あえて手を支え立ち上がらせた。

鈍痛を脚に覚えたが、歩けない程ではない。
彼女は天斗の手を離れ、先程地面に倒れ込んだあたりから調べ始めた。
千切れた布片は熊が爪を立てたすぐ傍に落ちており
懐に入れっぱなしだった苦無が二本、散らばっていた。
それらは全て回収したものの、肝心の物が見当たらない。
眉根を寄せ、ぐるりと首を巡らすが
散らばっている茶色の木片は全てそう見えてしまう。
目は見えているのに、見えていないような感覚に囚われた。
357天斗×圓:2006/02/23(木) 00:13:03 ID:iBhqZzWA
背を向けきょろきょろと見渡している圓をちらと見て
あのままでは、また風邪を引きかねないなと思った天斗は
上着を脱ごうと衿を引っ張りかけ…ふと手を止めた。
目端に捕らえた草陰に、なにか違和感を覚えたのだった。


「圓、ちょっと来てみろよ」
焦燥感ばかりが募り、同じ場所を三度目の正直とばかりに
探し始めていた彼女は、声を掛けられ慌てて顔を上げた。
苦無が落ちていたところから随分離れた草むらの前で、天斗が呼んでいる。
彼女は腕で胸元を覆い、急いで彼の元へ走り寄った。

「あったのか!?」
天斗が指差す草むらを覗いてみると、奇妙な石が転がっていた。
しかしそれは石ではなく、よくよく見てみると
「…サト!」暢気に丸まった猫の姿だった。

熊に出くわし、激しく威嚇した後、姿を見ていなかった。
てっきり逃げ出したかと思っていたが、こんな所にいるとは思わなかった。
あまりにお気楽な姿に、焦りが少しばかり抜け落ちた圓は
しゃがみこみ、草を掻き分け手を伸ばす。
「まったく…。まぁ、無事で何よりだが…」
もっさりとして、暖かい毛皮が圓の指先を包み
そして…こつりと、硬い物に触れた。
「……え?」

香箱を組んでいる前足に手を突っ込み、そっと抱き上げてみると
その下から見慣れた木筒が転げ落ちた。
358天斗×圓:2006/02/23(木) 00:14:07 ID:iBhqZzWA
圓の躰から、へなへなと全ての力が抜けていった。
ぺたりと地面に座り込んだため、両手に抱えられていた猫は自然と
膝の上に落ち着く事になり、これは重畳とばかりに体をすり寄せた。

茫然として、猫重しのせいもあってか動かない圓のかわりに
草の褥に横たわっている木筒を天斗は拾い上げ、彼女に差し出した。
「この筒、またたびみたいな匂いでもしてんのかね…」
「!!……」
掌の上に乗せられたそれは、大きく裂けていた。

震える指先をなんとか押さえ、圓は筒の蓋を開くと
入れた時と変わりなく、油紙に包まれた一房の髪が、するりと姿を見せる。
油紙にすら傷一つついてはいなかった。
細かな彫り物の施された、ほんの小さな木の筒は
最後まで忠実に責務を果たしてみせたのだ。

ぽたり…と一粒、耳に落ちてきた水滴に驚いた猫は
ぶるりと体を震わせ、頭上を仰ぎ見た。
くりくりとした黒い瞳に写っている、情けない顔の自分を認め
圓のなかで何かが決壊し、猫をきつく抱きしめた。
先程、他者に泣くなと言っておきながら…。

次から次へと溢れてくる涙が毛皮を濡らすが
猫は寛大なのか鈍いのか、じっと身を寄せつづけていた。


――夜もふけ、昼間の喧騒は嘘のように静まり返っている。
とはいえ、この場は里から少しばかり離れているため、元から静かなものだが。
温泉が流れ落ちる音、焚き火が爆ぜる音、そのくらいしか聞こえる物はない。
359天斗×圓:2006/02/23(木) 00:15:03 ID:iBhqZzWA
天斗は独り湯に浸かり、水面に映る満月をぼんやりと眺めていた。

髪を乱し、血と砂に汚れ、泣きはらした顔の圓は猫を抱きしめて歩き
それに赤子を背負った娘が心配げにつき添う。
二人の後ろには、上半身裸の天斗が熊を担いで歩いている。
普段はやたらと暢気な里の住人も、開いた口が塞がらないといった顔をしていた。

あの熊は、よその村人が鉄砲で仕留めそこなったものだった。
それが彷徨い出たのだ。迷惑な話だと天斗は思った。
そもそもこの地には誰よりも恐ろしい現役狩人がいる。
平素なら、どんな獣も恐れて近づくまい。
天斗は鉄砲を握った祖母の顔を思い出し、温泉に入っているにもかかわらず
背筋の凍る思いを味わった。あれこそが鬼に金棒というに相応しい。

ともあれ、熊は鍋となり里の者達に振舞われたが
ただそこに、圓の姿が見えないのが彼の気がかりであった。
彼女は猫を抱いたまま、部屋に篭ってそれきり出てこようとはしなかった。

いつもは開いている左眼を意図して瞑り
天斗はずるずると、口元まで湯に沈んだ。

こうして独りになった時は…
いや、時には独りでない時も、気付けば一人の女性の事を考えている。
笑っていたり、悲しんでいたり……そして大抵は怒っている顔を
柄ではないような気もするが、想ってしまうものは仕方がない。

なのでまた、普段通りに左眼を開くと
湯気の向こうに見えたものは妄想の産物かと思えた。

闇に白い裸体を惜しげもなく晒し、圓はじっと天斗を見おろしていた。
360一五九 ◆D6Cu12peXM :2006/02/23(木) 00:16:15 ID:iBhqZzWA
続く。次回で終わらせるつもりです。
ある日森の中熊3P〜♪って歌と共に逝って来ます。
361名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 00:22:10 ID:vp9cU+Xv
GJ!!
面白くて一気に読み下した。引きがやたら気になる!
362名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 08:02:10 ID:EBO5S9nC
GJです!
面白かった…。ぬこがいい味出してて何か好きです。
363名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 18:25:59 ID:bKISQhLe
一五九さん、待ちに待ってた続きをありがとうございます!
圓たんの叫びに胸がきゅんとしてしまいました。
ただHのためのお話ではないところがすごく好感が持てます。
天斗や圓、ひいては修羅の刻という作品に対する愛情も感じられて
読んでいてワクワクしてきますし、
ここまで詳細に書けるなんてもしや川○先生その人?とか
思ったりするのもまた楽しみのひとつです。

ステキなお話を読ませてくれて本当にありがとうございます。
続きをカツモクして・・・待っています(;゚∀゚)=3
364名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 21:09:41 ID:afO3XFP/
ぬこかわいいよぬこ
365名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 03:47:54 ID:4AnTW1O5
待ちに待ってた天斗編ktkr
明日じっくり読むか・・・乙ですわいな
366名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 04:51:44 ID:4AnTW1O5
ぐああ結局読んでしまった
相変わらず資料細かいよ心理描写が細かくて話に説得力があるよすごいよ159さんえらいよ
完結編もがんばってくだされ
367名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 08:57:23 ID:9x4qiL+Q
待ってたアアアア!ありがとう一五九さん眼福でした。
天斗の斧鉞に思わず爆笑。続き待ってます、死ぬまで待ってます。
368名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 17:15:04 ID:KBShyi4b
待ってました!!ありがとう!
続きまってます
369名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 21:37:04 ID:XIW5vcV/
>>363
>もしや川○先生その人?

小説版刻読めば分かるが、
川原本人の文章は漫画をそのまま文に書き起こして、キャラの心情も解説してみました〜、てな具合だったので、
ぶっちゃけショボいぞw
370名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 13:41:31 ID:pzkzNIpC
えええええ!?小説版刻は川原先生ご本人が書いてらっさるのですか?!!
小説版があるのも知らなかったし、
作者自らが書いているのは尚更知らなかったとです・・・363です・・・363です・・orz

掲載誌などの関係で、Hまで描けないけど「その後」は描きたい作者が
この場を借りて書いてたりしたら、と思うのが楽しいなあと思いましてですね、あはv
そう思わせてくれる一五九さんは、やっぱりスゴイなあv
371名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 13:52:23 ID:pzkzNIpC

掲載誌は少年誌だしその後やHとか描けなくて、でも「その後」は描きたい作者が
・・・ですね。訂正。連投スマソです。
372名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 14:41:51 ID:emUnt4r0
未成年だか腐女子なのか分からんが、お前のノリはウザイ。
373名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 21:48:06 ID:oAgE2sb7
ネ申キテタ!!!
一五九様お疲れ様です!
つぶらタソ可愛い!ぬこ可愛い!!
完結編wktkして待ってます。

いつか天斗のパパとママのお話も見てみたいです・・・
374名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 12:31:43 ID:K2UtPdfh
ファンはいつマイアを犯すんだろう
375名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 16:33:59 ID:tbrxnyjH
お楽しみに最後までとっとくほどイイ女ではないし。
パツキン好きなのか?>ファン
376名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 17:06:17 ID:MmlbSS4C
とりあえず今月の夜這いにwktk
377名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 20:02:29 ID:LklB0iUi
えーと、それは、マイアがファンに夜這い?
378名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 00:51:25 ID:B7i9HkXi
あげとく?
379名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 03:52:20 ID:aIcjJtMX
あげとく
380名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 22:34:07 ID:mATiJk15
早く夜這い本番にいって欲しい
381名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 23:26:18 ID:MJim8SX9
>>380
禿同
382名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 21:07:24 ID:uo5IvVq+
sage
383名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 22:31:33 ID:RZLy45Jh
age
384名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 13:42:38 ID:j3QPnz7D
素朴な疑問・・・ここは他に職人さんがおらんのか?
385名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 22:40:53 ID:M7O6Ul43
答え・・・前スレでも職人さんは4人だけ。今スレに入ってからも前スレ同様
「キー」さんと「159」さん頼み。新たな職人さんが登場しない限り
先行き不安と言わざる得ない。
386名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 20:11:24 ID:Pl0F0wqm
そか、トン。
漏れが文章書ければな。ここじゃ絵描きは役立たずだ。
387名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 23:03:55 ID:aLrBl26D
>>386
そゆこと言わずに描いてクレクレ。
それが新たな職人の呼び水になるかもしれないし
今スレにいる職人様方のインスピレーションの素になるかもしれないし
そうでなくても俺らが嬉しい。
388名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 00:15:04 ID:is1WHQZr
嬉しい
389名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 01:28:32 ID:f4b7BVhI
>>385
前スレのニッカ×マイア書いた方は何処行ったのでしょうねぇ…
それと、パラダイス学園の方も途中だったような…

ここで、絵職人さんですよーーー! >>386様、救世主御頼申します!
390名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:47:38 ID:cYA4l3wQ
何描いたらいいんだ。やっぱエロパロスレだからエロじゃないとダメなのか?

個人的に「海皇紀」のヴェダイ×メルダーザが気になってる。
ファンたちと袂を分かった、その後の2人がちゃんと仲良くやってんのかが。
391名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 22:38:11 ID:UfQ7eOUL
>>390
エロは見たいけど、エロじゃなくても390の描きやすいもんでいいと思う。
ぶっちゃけ川原作品のイラストはそれだけで貴重だし。
392名無しさん@ピンキー:2006/03/21(火) 02:51:26 ID:LSq8ZZ0t
貴重に禿げしく同意したので上げて待つ。
393名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 01:12:17 ID:EhSSN7/+
ニィ
394名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 20:54:48 ID:S/10Cbm9
395名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 05:28:53 ID:3JXp9MdM
りゃ?
396名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 12:16:29 ID:95N+eMO+
まあ
397名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 22:49:13 ID:taVleC7e
来月は夜這いか・・・
ってあの衆人環視の中で致せたらファンは神だな。
398名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 20:31:11 ID:cvRAK+UN
あげ
399名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 14:46:08 ID:TaXigun2
小ネタ

「あっ、いやっ・・・!狛っ、これじゃ犬みたいだ・・・!っああん」
「そんなことを言っても濡れてるぞ、お前」
「ばかあ・・・」

狛彦だけに

職人様どうか狛彦×蛍を!蛍をどうかッ!!
400名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 16:42:54 ID:/oBiwhdz
支援w
401名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 20:45:42 ID:UgZcvch3
パラダイス学園の続き見てぇ
402名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 21:38:36 ID:uGAsu/nH
>>399
いいなあそのシチュは。ウケタ。
403名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 02:30:06 ID:ppzcaWxe
狛彦×蛍でもパラダイス学園でもないので、期待にはまったく添えないけれど
今、ソル×エールラなんて地味な組み合わせで初SSに挑んでみている。

お目汚しになるのは間違いないのだが、書けたらうpしてもいい?
404名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 04:31:07 ID:yVNtf8fC
イイよん、この状況じゃイイに決まってる

初挑みに期待!
405名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 18:52:34 ID:G0AnwW8t
>>403
執筆中に余計なことを申しましたああ!
エールラっていうとおかっぱでソル様命の彼女ですな!?

ソル×エールラ、全裸で、正座して、 まっ て い ま す ・ ・ ・!!

>>400 >>402
あざーす!

あ、399です・・・。
406名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 19:30:14 ID:McYzDIb0
ここもたまに変なのが来るな。
407名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 20:24:30 ID:n+1XQoH9
ROMは結構いるんじゃねーの
408名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 22:16:14 ID:g3h5joLh
ついに来るかエールラ…ゴクリ。
409名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 23:54:07 ID:ppzcaWxe
403です。ありがとうございます。みんなの暖かい言葉が嬉しいです。
がんばって書きます!!
410名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 19:00:11 ID:nRToywhY
>>406
「お……オレはアレか!?春に出てくる虫か!!」
411名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 21:28:27 ID:mm5paBvI
最後まで書きましたので、まず半分くらいうpさせて頂きます。
手ぬるいエロで、かったるいと思いますが、広い心で見てやってください。
412403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 21:32:53 ID:mm5paBvI
「疲れたよ・・ファンと戦うことがこれほど疲れるとは…」
秘密基地に立ち、自身が幼少の頃書いた絵を前に、ソルは何度もつぶやいた。
現に、決して顔色は良くなかった。長い前髪で隠れているが、目元にうっすらと隈まで出来ている。
しかし、色を失いながらも、ギラギラした目で唇をかんでいた。
勝負には勝ったがレースには勝てなかったことが、やはり悔しかったに違いない。

「今日はすまなかったな。」
ソルは素直にわびの言葉を口にした。
「少し、話がしたい。後で来てくれないか」
海の底にに沈みこんでしまいそうなくらい低い、小さな声でソルは言うた。
海王の願いを断れるはずもない。目を伏せてエールラは頷いた。
413403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 21:33:50 ID:mm5paBvI
エールラは3姉妹の中で、ソルと比較的年齢が近い。そのため一番親しくしていた。
ただの幼馴染という関係だけではない。
幼少の頃こそ無邪気なものだったが、年月を経ると共に自分とソルの立場の違いが生まれ、
その溝はどんどん深くなっていった。
相手はセイリオス家の子息なのだから、当然のことである。
しかし、弁えなくてはと思えば思うほど感情は突っ走り、いつしか男と女の関係になっていた。
ベッドの中では、立場の違いなんてものはなく、昔のように幼馴染の関係のままでいられる。それがうれしかった。

ソルの頼みで、体を張るような仕事を何度もした。今回も、まさしくそのような仕事だった。
荒れ狂う海の中へ身を投げた。一歩読みを誤れば、ここには立っていない。
自分を見つけてくれるものはいないだろう。
任が大変であればあるほど、その後とびきりやさしく抱いてくれる。申し訳ないと詫びているかのように細やかだ。
おそらく今夜も・・そう思うと、エールラは体が熱くなった。
414403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 21:34:37 ID:mm5paBvI
夜も更けた頃、エールラはソルのもとに行った。
ソルは、寝着のままソファに腰掛け、所在無く空を見つめていた。
「ソル様、こんばんは」
ソルがゆっくりと振り向く。絡みつくような視線をエールラに向けた。
「海王になられたお祝いのお酒をお持ちいたしました。いかがですか?」
緑の瓶を軽く掲げて、エールラは笑う。あたりがふわっと華やかになる。
勝手知ったるかのように栓抜きとグラスを取り出すと、ソルの脇に立つ。歩いた後に残り香がふっと舞う。
エールラの女の匂いに、ソルの頭は軽く痺れた。

葡萄酒を注ぎ、つとソルへそれを進める。
エールラもグラスを持ちながら、ソルのすぐ横に腰掛ける。
もたれかかりながら、お疲れ様でしたとささやき魅惑的な笑みを浮かべた。
415403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 21:36:12 ID:mm5paBvI
「俺をひどいやつだと思うか・・?」
らしくない、とエールラは思う。そしてそれをそのまま口にした。
「ソル様が海王になるためには、必要なことでしたから。まぁ、出て行かないのが一番でしたけれど。」
ソルはうっすらと眉間にしわを寄せながら、エールラを見た。
「それに、ソル様の読みどおり、ファン・ガンマ・ビゼンは助けに飛び込みましたから。」
「・・・ここで借りをファンに作ってしまったことが、正直悔しいんだ。」
「もしかしたら、荒れ狂う海なのに助けに来てくれたあの男に惚れてしまうという心配でもしていらしたんですか?」
「本気か?」
「さぁ、どうでしょうね」エールラはくすくすと笑う。
体を起こし、きちんとソルに向かい合って口を開く
「変にやさしい感情をお持ちにならないでください。そんなものは断ち切って、
 したたかに生きていかなくてはいけないんですから」
「エールラ・・」思わず抱きしめる。髪を何度も何度も撫でた。
「ようやく、海王の地位を手にしたんですよ・・」
ソルから香る潮の匂いを胸に吸い込み、うっとりしながらつぶやいた。

…私たちはいつまでこんな関係なんでしょうね。日陰のままで・・言いたかったが飲み込んだ。
416403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 21:37:23 ID:mm5paBvI
ファン・ガンマ・ビゼンは、とんでもない船乗りだった。見事に太刀打ちできなかった。
レースに見事に破れた。しかし、王海走には勝利した。
完膚なきままに叩きのめす、とは行かなかったが、この結果は致し方ない。。
だが、逆境は男の才能を開花させる。今回の敗北は、必ずソルに好機をもたらすだろう。
意思ある横顔を見ながら、エールラは思っていた。

「今度は、命を落としかねない仕事の依頼はお控えになってくださいね」
「ああ。約束する」
ソルはエールラの瞳を覗き込んで、笑顔で言った。その目は強い光を放つ。
髪を撫でていたその手が頬へ、そして首筋へとゆっくり下がる。
そのまま触れるか触れないのか分からない程かすかに、ソルの親指が唇に触れる。
くすぐったさに、エールラは軽く目を閉じた。
417403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 21:38:41 ID:mm5paBvI
ソルがゆっくりと唇を重ねた。葡萄酒の香りが広がる。
血の味ならいいのに…エールラは思い、ソルの唇をくっと噛んだ。
微かに眉根を寄せたソルは、力をこめて来た前歯を、たしなめるように軽く舌先でつついた。
ソルは彼女のやわらかい唇に、何度も何度もくちづけた。甘噛みを繰り返し、やわらかさを楽しんでいる。
「ん・・っ…・」
苦しそうな吐息が漏れた。ソルがもたらす甘美な快感をそのまま受け入れる。
「ソル様・・」切ないような目で女が見上げる。キスだけでは物足りないとでもいうのだろうか。

ソルは、意地の悪い笑みを浮かべ、エールラの頭を抱え込むように腕を回し、耳を塞いだ。
今度は音を立てて唇を吸い始めた。
ちゅっ、ちゅぱ、じゅる…2人が絡めあう唾液の音だけが頭の中で響き渡る。
他は何も聞こえない。いやらしい水音と暖かい感触に、脳が痺れ恍惚としてくる。
「んっ、うぅ〜ん・・」鼻を鳴らす。
女は、だんだん体の力が抜け、支えきれなくなってくるのをこらえようと、ソルの首に腕を回した。
しなだれかかるその身体を満足そうに受け止めると、そのまま強引に舌先を口腔内に割り込ませた。
418403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 21:39:57 ID:mm5paBvI
侵入者は遠慮がない。
唇の両端を舌先でつつく。くすぐったいような、生暖かいぞくぞくする感触が背中を走る。
「ん・・あっ・・ふぅ…」止め処なく漏れる甘い吐息に比例するかのように、女の体からはどんどん力が抜けていく。
唇を離すと、潤んだ目で見つめてきた。体中から放つ女の匂いがますます強くなる。
「やらしい顔だな」細い顎をつまみ、自分のほうに向け満足そうに言った。

口元をてらてらと濡らしながら、とろけたような目で自分を見上げる女に対し、欲情はもう止まらない。
女の腰紐を解くと、肌蹴た着物を押しのける。下から張りのある乳房を揉み上げた。
「ん・・いやっ・・あんっ」
柔らかな快感は、ほっとするような手の暖かさに後押しされ、いっそう大きくなる。
乳房の頂周辺を指でゆっくりとなぞられ、指の腹で弄ばれる。
先端からの感覚だけだというのに、まるで身体中に触れられているかのような錯覚に陥る。
「あぁん…ふぅっ…」
背中のくぼみを、すっと下へなでる。思わずのけぞる女の乳房を咥える。
「あっ…あん。あぁぁん…・」
舌先で転がすように頂を嘗め回すと、口の中で大きくなり、存在感をあらわにする。
背を滑らせた指を臀部へ進める。そのまま太ももを撫で、そっと秘裂に触れると、そこはしっとりと濡れていた。
419403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 21:40:38 ID:mm5paBvI
痺れた脳の感覚を振り払うように、女が口を開いた。
「ソルさま。今度は私が・・」
夜着の帯に手をかけ解き、生まれたままの姿にする。
初めて見たわけでもないというのに、鍛え上げた体に思わず見とれる。
どれほど自分に厳しい環境を作っているのだろう・・。そう思うと胸が痛くなった。

男の中央には、大きな自身が屹立していた。
女はソファから降りてソルの脚の間に跪き、高ぶりを左手で支え、そっと舌を這わせた。
先走りの汁が口の中に広がる。海の味に似ている…などと思いながら舐め取った。
420403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 21:41:26 ID:mm5paBvI
ちゅぱ・・ちゅぱ。。ぴちゃ・・。
全体を満遍なく舐めまわすと、根元をこすりながら先端に口で刺激を加える。
暖かさが快感をもたらす。
ゆっくり、ゆっくりと筋に合わせて舌を這わせる。時には引っ掛かる場所を執拗に攻め立てる。
無理にがつがつしても、気持ちがよいとは限らない。緩急があるからこそのもの。
目を閉じ、されるがままになっていると、今度は高ぶりを奥までくわえ込むようにゆっくりと上下運動を繰り返す。
「うっ・・」
女は、上目遣いでちらと男を見る。ぐっとこらえている様を見ると、さらに舌をくねらす。
音を立てて吸い上げる。舌を男根の外周にそってぐるぐると這わせながら、奥から根元へと舐め上げる。
「エールラ…」
たまりかねて女の名を呼んだ。
唇と指先でしごいていたが、一度顔を上げ微かに笑うと、裏側の筋に、ゆっくりと唇を這わせた。
触れるか触れないかの舌先の感触がたまらず、きつく目を閉じる。
「あぁ・・…」
女の攻め立てはますます激しさを増してくる。
先だけをついばんでいたと思うと、くっと喉の奥まで男根を飲み込む。
突き当たりを先端に感じると、そのままゆっくりと舌を絡めながら引き抜いた。
その恐ろしく強烈な感覚に、気が遠くなりそうになる。
ソルは思わず息を呑み、歯を食いしばりながら押し寄せる快感に耐えた。
「くっ・・待…てっ…!」
女は上目遣いにソルを見上げ、上気した顔で舌を這わせ続ける。
そしてまた飲み込み、ゆっくりと引き抜いた。
熱い息が絡みつくその度に、気を抜いたらそのまま果ててしまいそうな快感が幾度となく襲ってくる。
まるで拷問のようなこの状態を、女は楽しんでいるかのようだった。
421403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 22:53:44 ID:mm5paBvI
「…もう・・いい…」
あまりの刺激に耐え切れなくなりそうになり、男は女の頭を自分からそっと離した。
「あら。もういいのですか」
女はくすりと笑い、男の沽券にかかわるような言葉を吐く。
「かわいくないやつだ」
軽く睨みながら、女の腰の帯を解きながらソファへ押し倒した。
「あ・・」ひんやりした空気に急に触れた胸元を覆い隠そうとする。
その腕を軽くねじ上げ、大きくはだけた首筋から空いた脇へ舌を這わせた。
「やっ。くすぐったい…」
そのまま胸元に顔を埋めた。女の色香を胸いっぱいに吸い込む。
乳房のまるみに沿って舌を滑らせる。頂へと進み、立ち上がった乳首を口に含む。
そのまま舌先で転がし、音を立てて吸い上げ、蹂躙を繰り返す。
白い肌のあちこちに赤い跡が散っていた。この跡が増える度に理性が消えていく。
「あ・・ぁん・・」
ねじりあげていた腕を放し、空いた手を太ももの内側へと滑らせる。
滑らかな絹のような肌触りが楽しい。
何度も何度も手を這わせ、ゆっくりと、でも確実に秘所へと近づいてきた。
そっと秘部に触れると、そこはしとどに濡れていた。

「また、随分と濡れてきたなぁ。そんなにいいのか?」
緩慢な口調でからかうように言う。
「あっ・・ソ・・ルさま・・はぁ」
女は白い喉元を見せつけながら、とろけるような目で男を見上げる。
たまらんな…そんな思いで女を見下ろした。
422403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 22:54:25 ID:mm5paBvI
ソファに直接触れる背中からの感触はひんやりとしているのに、秘所は恐ろしく熱い。
蜜を吐き出す秘裂に男の指が触れた。直接的な、強烈な感触に目を閉じ、息を呑む。
必死にこらえていると、男の指が敏感な所を上下に移動する。
「あっ…・やん・・。」
無骨な指は、しびれるような深い快感をもたらす。
化学反応を起こしたかのように秘裂じゃどんどん熱を帯びていく。
そして、垂れんばかりに蜜をあふれさせる。まるで男を誘い込むように。
本当に吸い寄せられたのか、男は足首をつかみ、ぐっと肩に担ぎ上げ、腰を高く上げさせた。
もう片方の足を軽く押さえ、秘部へ今度は舌を這わせ始めた。
ぴちゃぴちゃと遠慮なく、舌が敏感な芽を嘗め回す。
時にずるずると音を立てて吸い上げる。その振動に耐え切れず、思わず嬌声をあげた
「きゃ・・あっ・・いやあぁぁぁぁ…あん・・あぁぁん。」涙目で悶える。
暖かい下の感触と、唇から伝わる激しい振動は、どうしようもないほどの快感を女にもたらした。
我を忘れたように喘ぐ女の乳房に両手を伸ばす。そのまま激しく揉みしだき、揺らす。
もっと・・といわんばかりに女は男の手を上から押さえ込む。
秘裂と乳房と、両方からの刺激に、女の理性は完全に吹っ飛んだ。
423403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 22:54:56 ID:mm5paBvI
舐めても舐めてもとろとろと蜜を吐き出し、女は男を誘い続ける。
男の頭を両手で抱え込み、秘裂へあてがう。男が激しく吸い上げ、たまに息を吹きかける。
「あん・・いいっ・・きゃっ…・・あぁぁ…たまら…ない…」
快感を素直にあらわすその姿は、雄の本能に完全に火をつけた。

頭を抱える腕を解かせ、にっと笑うと男は秘裂に指を差し入れた。
まずは浅く入れ、ゆっくりと引き抜く。少しづつ奥へと進入させ、また抜く動作を何度も何度も丁寧に繰り返す。
「あぁん・・あん…・いいっ…」
ぐりっと指先が中をかき回し、女の感じやすい場所を探り当てる。
上壁に軽く指を這わせると、ざらつく突起の感触がある。
そこをやさしく撫で回す。
「いや…・・そこはっ…あぁん…・ダメっっ…いいっ」涙を流しながら、かろうじて言葉を吐きだす。
「どっちなんだ?」おかしそうに男が聞く。
「そこ…あん。。あんまり・・いじらないで……・」
男はそのままどんどん責め続ける。最初はゆっくりだったが、段々と激しくなる。
「ああっ…あぁぁぁぁっっっ!!!ダメぇぇっっ!!!」
激しさが頂点に近づいたあたりで男が指を引き抜くと、女は一気に噴き出した。

「今日は、一段とすごいな・・」
呆けたような顔で男を見上げたが、目が合うと困ったように少し逸らした。
424403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 22:55:54 ID:mm5paBvI
月のものが来る直前、女の体はどうしようもなく火照ることがある。
そういえば、今がそうかもしれない。ソルが欲しくてたまらない。そう体が訴えている。
「ねぇ。ソル様」
「ん?」
女が照れながら口を開いた。
「わがまま言ってもいい?」
いつの間にか、幼馴染だった頃の口調に戻っていた。
「何だ?」
「・・わたしは、こっちのほうが欲しいの・・」
そういうと、ソルのいきり立つ雄を両手でそっと覆った。
425403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 22:57:20 ID:mm5paBvI
「ああ。お前が望むようにしてやろう」
女の耳元に唇を近づけ、艶めいた低い声でささやくように言う。
そしてそのまま耳たぶを軽く咥える。
女は目を閉じ、肩をすくめて突然の感触に耐える。
そんなことに気をとられているうちに、ふっと抱き上げられてベッドへと連れて行かれた。
鍛え上げた逞しい腕を肌に感じ、先ほど散々火をつけあられもない姿を晒したというのに、女の雌の部分をさらに刺激された。

改めて組み敷かれる。ソルの身体がエールラに大きな影を落とした。とてつもなく大きい。
戦場で最前線をずっと張っていた、そして今度は海王に上り詰めたという事実がそれをいっそう増している。

女は、その男の色気にくらくらし、ほとんど無意識に口走った。
「…来て……」
426403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 22:58:44 ID:mm5paBvI
吐息混じりの声に、男はニィと満足そうな笑みを浮かべ、女の右足を抱えた。
そのままぐっと開かせる。しとどに濡れた秘所が淫らに男を誘う。
「行くぞ」
秘所に男根をあてがう、そのまま力をこめると、さほど抵抗もなく簡単に女の中に収まって行った。
「久しぶりな割には簡単に収まるもんだな」
おかしそうに男が言うと、女はむっとしたように顔を背けた。
「怒るなよ。満足させるから」
くっと腰に力をこめ、脚を抱えてゆっくりと挿し、引き抜く。それを何度も何度も繰り返す。
「あっ…あぁん…くっ…・あふっ・・ぃぃ…」
いきり立った雄は、女の膣内を大きくこすりあげる。
同時に、花芯にも摩擦を加える。痺れるような感覚が全身に広がっていく。
もう片方の脚もソルに抱えあげられた。両足を取られ、秘部を思い切り晒す。
そこにはソル自身が深々と突き刺さっているが、蜜と熱で感覚が分からなくなってきている。
困ったように男を見上げたが、そんな視線は意に介すことなくくびれた腰を抱え込み、激しく腰を打ち付ける。
「いやぁぁっ…・あん…あぁぁぁぁっ…気持ち…いい…・」」
打ち付けられる振動と一緒に、張りのある乳房も上下に揺れる。
たまらずに女が首を左右に振るその様は、男の目を十分に楽しませていた。
427403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 23:01:02 ID:mm5paBvI
不意に、乳房に手が伸びてきた。
そのまま大きな動きで揉みしだく。秘所からの快感と乳房からの刺激に
女の性がどんどん暴走を始める。
「あぁぁぁぁん。熱い…気持ち…いいっっ…」
今度は女の身体を抱え上げベッドに座り込み、自分の上に女を座らせた。
男根がいっそう深々と突き刺さる。軽く突かれただけなのに耐えきれなくなりそうになり、
女は男の首にすがりついた。
急に目の前に迫ってきた乳房に指と舌先を伸ばす。
こりこりしている先端を何度も指先で転がし、舌先で嬲る。
「いやっ、あぁん…すご…」
喘ぎながら快感の言葉を口にし、自ら腰をくねらす。
女の締め付けに男はひくひくと反応している。その微かな動きが女にいっそうの快感をもたらす。
「いや・・動かないで…」
思わず腰を浮かしかけたが、男ががっしりと抱え込む。
「好きに動いて見せてくれ」
そういって男は横たわった。下から見上げる女の姿はなんとも楽しい。
これからどこまでも乱れて、そして果てるのだろうと思うとぞくぞくした。
428403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 23:06:09 ID:mm5paBvI
女は男にまたがったまま、腰をゆっくりと動かし始めた。
前へ・・・後ろへ・・・ゆっくりと、感じる場所を探している。
「くっ…ふぅん…・あぁ…・」
目を細めて、微かに喘ぐ。白い肌が艶かしい。
男の胸に手をつき、快楽が襲ってくるのをぐっとこらえているが、
そうすると変に力が入り、却ってどうにかなってしまいそうになる。

急に女の締め付けがきつくなる。いったいどこまで感度を上げるのか。
男は女の腰を押さえ、決して抜けないようにしながらゆっくり突き上げた。
「ふぅ・・んっ・・」
「なぁ。エールラ」
「は…んっ・・はい…ぁっ」
「お前は、きれいだな」
「何をおっしゃって…ああっ…い・・・る…あんっ…ですか」
照れくささについそっけない口ぶりになるが、男が下から突き上げてくるため、最後まで言うことができない。
「いや、見たままを言っただけだ。きれいだ」
実際、差し込む月明かりがしなやかな身体に影を深く刻んでいる。塑像のように美しい。
その上、自分にまたがり快楽に身を震わせている。なんと美しく、愛おしいことであろう。
「ソルさま…」
優しい目を向けられ、エールラは微笑みながらソルの頬に手を伸ばす。
「ソル様も…すてきです」
ソルの長い前髪をもてあそびながら近づき、頬にそっと口付ける。
そこに感じるやさしく暖かい感触に、愛おしさがどんどんこみ上げる。
そっと抱きしめられた。と同時に下から緩やかに突き上げられる。
「あぁ・・」
緩やかな快感に耐えきれず、男の耳元で吐息を漏らした。
429403(ソル×エールラ):2006/04/20(木) 23:10:33 ID:mm5paBvI
穏やかな空気に包まれ、うっとり目を閉じていると
かくっと力を加えられ、突然転地が逆転した。再度男に組み敷かれる。
逞しい腕にしっかりと抱きしめられ、その力強さに身を任せた。
「エールラ…」
名を呼び、そっと口付けながら腰を動かす。
「うっ・・くふっ…んんっ…・」
花芯と膣内と両方に刺激を受け、快感がどんどん押し迫る。
「そ・・ソルさまぁ…。」
「ん?」
男の動きはどんどん加速し、突き上げられるその力も更に強くなってくる。
「ああぁぁ・・・・すてき・・ぃぃ…」
気を失いそうなくらい激しかった動きが、急に緩やかになる。
「え…あん・・」
「どうした?」
「…・もっと…突いて」
とんでもないことを言っているのは分かっているのだが、止められなかった。
男を受け入れてからここまで来て、じらされるのでは堪らない。
「いやらしいことを言うんだな。」
誰のせいで、こんなになっちゃっているのよ・・と思う。
「でも、きれいだ」
何度も言われたその言葉にまたとろけそうになる。
430403(ソル×エールラ):2006/04/21(金) 00:40:16 ID:TuKn7+ok
「じゃぁ、望みどおり・・な・・・」
腰を抱きかかえ浮かせると、嵐の如に叩きつけ始めた。
あまりの快感に、頭は真っ白になり嬌声は一層甲高くなる。
「・・ああぁぁっ・・・んっ・・やっっ!…・・」
敏感な場所だけを激しく突き上げる。その波は体の隅々まで伝播し全身を震わせた。
「きゃぁっ・・いやぁぁぁぁん。あぁぁぁぁっっっ…っ・・すご…・っ…そこっ…」」
こうなると、どんな刺激も快感にしかならない。
衣擦れも、自分を抱える男の手のぬくもりも、全てを飲み込んでしまっている。
「あぁぁぁっっっ…っ・・ダメっ・・もうダメっっ・・!」
全身から汗が噴き出す。もうどちらの汗だか分からない。
「ソルさま・・いっ・・あんっ…イかせて…」
男はニィッと笑うと、女の腕を取り、これで最後といわんばかりに打ちつけた。
膣内をかき回され、こすりあげられ熱いのか痛いのかもう分からない。
「いくぞっ」
「あぁぁぁぁぁぁぁっぁーーーーー!!!」
「くっ・・あああっ」

ぱんぱんと打ち付けられる音を遠くに聞きながら、女は果てた。
男も、自らの精をその中に放ち、果てた。
431403(ソル×エールラ):2006/04/21(金) 00:58:01 ID:TuKn7+ok
どれほど時が過ぎたのか。ややもすると暁光が差し込みそうな時間になる。
「ソル様。もう、戻りますね」
服を着、何事もなかったかのようにエールラは言った。
「もう、行くのか?」
長い前髪が影を作り、表情が良く見えない。
「どうか、なさいました?」
「いや・・」
長いことエールラを見つめ、そして何かを振り切ったように口を開く。
「海王の妻、になるつもりはないか?」
「え…・」
「お前には、傍にいて欲しいんだ」
「ソル様・・。ご冗談を」
本当はものすごくうれしいのだが、あしらうような口ぶりになる。
「ありがとうございます。でも、今日のソル様はいつものソル様ではありません。」
「…」
「ですから今日はその気持ちだけ受け取っておきます。
もし・・1ヶ月たって、まだ同じように思ってくださっていたら、そのときにはお受けいたします」
そういうと、飛び切りの笑顔を浮かべながら部屋を後にした。
432403(ソル×エールラ):2006/04/21(金) 00:58:32 ID:TuKn7+ok
ソルは思わず苦笑した。
確かに今日の自分はいつもと違う。さりげなく牽制し、でも隙間を残して行ってくれた。
こんな場でも冷静でいられるとは、さすがあいつの妹だ。
もって来てくれた葡萄酒の残りを飲みながら、やはり傍に置いておきたいものだと思っていた。

一方エールラは、泣きながら廊下を歩いていた。しかし、暖かな涙だった。
日陰でしか存在できないような関係かと思っていたのに、
ソルからあのような言葉を聞くとは夢にも思わなかった。
たとえ、一時の気の迷いだとしてもうれしい。

「帰るの・・やめようかな」
涙を拭いて振り返り、誰もいない廊下に向かって微笑んだ。
433403(ソル×エールラ):2006/04/21(金) 01:05:09 ID:TuKn7+ok
おしまいです。
全然思いつかずに、取ってつけたような最後を書いてしまいました。
読みづらかったと思いますが、海のように広い心で受け流してください。
434名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 01:46:32 ID:GsT3/fKD
>>403
お疲れ様です。
いやー、このスレにいて本当によかった。そう思います。

王海走編が終わった後、ずっと望んでいたものの一つが、
こうして形になって、今はただ、感謝の言葉しか出てきません。
本当にどうもありがとうございます。
435名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 17:32:20 ID:ankuVpsP
>403様
読む前に単行本を見返してしまうほどエールラって?な状態でしたが、
その最後のフォローがHだけのお話にはならずに、自分は良かったと思います。
このお話で、原作で嫌いだったソルが好きになれそうですw
ちゃんとまとまっていて読んで満足できました。
投下してくださって有難うございます、GJです!
436名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 19:58:17 ID:bebhKPsT
>403様
やられた・・・この脚本、稚拙どころか超一級!!

GJです!!
437403:2006/04/22(土) 01:34:50 ID:SeQ/r31W
403です。

434様、435様、436様。ご感想ありがとうございます。
自分にはもったいないくらいのお言葉をこんなにいただけるとは、夢のようです。
ものすごくドキドキしたのですが、やっぱり投下してよかったです!

書けたらいいなと思っているカップルがもうちょっとありますので、
こんな程度の駄文になってしまいますが、もしお披露目する機会がありましたら、
大きな穴の開いた、大きな器で受けとめていただけたらうれしいです。

本当にありがとうございました。
438名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 15:52:13 ID:FEIPtWau
久々のカイオウキ キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
ちょいとツンデレエールライイ!(しかも以外と積極的w)
原作よりソルカッコええ!

しかし403さまの読むまでは、自分の中ではエルーラと思ってたよ。。。
439名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 23:58:10 ID:RPvNCAV+
雷とニルチッイ書いた。キス止まりだけど需要ある?
あるなら話練って出直してくるけど。
440名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 00:04:37 ID:Lexa4RYJ
ない、と言ったらやらんのか?
何はともあれ、まずは行動したもん勝ちかと。
441名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 00:36:48 ID:susvI7nG
いや、倉庫見たけど修羅エロなしあんまなかったから一応聞いてみた。
レストンクス。やってみるわ。
442名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 01:50:38 ID:nVokojaC
いや、むしろ読みたいよ。キス止まりというのがいいね。
期待して待ってる。
443名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 02:07:33 ID:YsJySLR8
コォ━━━━щ(゚Д゚щ)━━━━イ!!!!
444名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 15:09:30 ID:trI/bDGz
うおっ!雷×ニルチッイ(←相変わらず発音しにくいw)だって?
読みてえ読みてえ、激しくキタイ ワクワクテカテカ
445名無しさん@ピンキー:2006/05/10(水) 09:51:18 ID:1WN/VbFp
で、結局、本誌のヨバイはどうなったの?
446名無しさん@ピンキー:2006/05/10(水) 20:43:15 ID:YVqyTft5
>>445
マガジンかってよめw
447名無しさん@ピンキー:2006/05/11(木) 23:18:52 ID:7H+oMIYs
>>445
一言で言うならデカイ!
448名無しさん@ピンキー:2006/05/13(土) 11:07:57 ID:FoiM5yad
天斗の続きよみたいなぁ
449名無しさん@ピンキー:2006/05/14(日) 00:40:55 ID:MGtSgjSZ
オラはパラダイス学園の続きが見たいなぁ
450名無しさん@ピンキー:2006/05/15(月) 22:15:09 ID:gBn4bylW
初めてこのスレに来ました。
当時、月マガ読みながら妄想していたことが、
小説になって実際に読むことが出来て、感無量です。

職人の皆様、本当にありがとうございます。

修羅の刻の第四部以降、川原漫画から遠ざかっていたのですが、
ここのスレを見て再び火がつきました。


給料でたら、コミック大人買いしてしまいそうだ…
451名無しさん@ピンキー:2006/05/16(火) 08:13:53 ID:FQF5mxNb
で、そのオトナの好みがお聞きしたい候! 

あ、好きな川原オニャノコの事ね。
452名無しさん@ピンキー:2006/05/17(水) 01:22:14 ID:rkcb8YSG
>451
圓タソ、ハァハァです。
照れてクナイ投げつけるところとかが良い。(圓タンが花摘みにいく場面)

それまでのヒロインは、「何も出来ない足手まといキャラ」としての
立ち位置が固定気味だったけど、
圓の場合は、ある程度強かったので、驚いた。

強い女の子、新鮮だった…
こんなツンな子が、恋愛フラグたったらあーんな事やこーんな事するんだろうなぁ…と
当時は妄想激しく生きていました。


ニルチッイもかわいいけど、晩年のお姿を見て吹っ飛んだw


上と全然変わるけど、
今は、ヴェダイ×メルが気になるよ。
他では触手物なんぞ読んでるくせに、リリカル恋愛物も大好物なんだよ。
453名無しさん@ピンキー:2006/05/17(水) 17:43:36 ID:Mr/Q/NK5
>圓の場合は、新鮮だった…
>こんなツンな子が、恋愛フラグたったら

圓タンは「ある程度」じゃなくて、十兵衛に本気出させるくらい強いよ。
と、天斗も言っていた。
だから一五九さんが一番リキ入れて書いてるんだろう、モエスv待ち遠しいな。
454名無しさん@ピンキー:2006/05/17(水) 18:52:39 ID:wbcPIO2C
強さでは、葉月と圓どちらが強い?
455名無しさん@ピンキー:2006/05/18(木) 00:40:15 ID:L6vfNCRr
女同士の戦いでは、葉月の方が技の種類が多彩なので葉月に分がある。
456名無しさん@ピンキー:2006/05/18(木) 05:21:11 ID:mmbePuBF
>>450
それからは川原も進化して、現在海皇紀では巨乳の海賊娘が出てるぞ
メチャメチャツンで、カボチャワインの女よりでかそうでしかも強そうだぞ


で、夜這いは失敗に終わったのか、やっぱり?
コミック派だから月マガいらないんだよ〜
だけど立ち読み、重いんだよ〜
457名無しさん@ピンキー:2006/05/18(木) 17:00:05 ID:TEuKylff
>455
なんの、圓のほうが葉月よりリーチがあるw
しかもあの猿飛佐助直伝の忍術使いだ。

と弁護してみるものの、やはり川原ワールドでは最強は「陸奥」かな。
458名無しさん@ピンキー:2006/05/18(木) 17:32:57 ID:0WH4XV/u
ところがどっこい葉月は陸奥では無いため勝負は泥沼に
459名無しさん@ピンキー:2006/05/18(木) 17:50:41 ID:4x/g93ew
泥沼化というと二人があられもない格好でくんずほぐれず。(;´Д`)ハァハァ
460名無しさん@ピンキー:2006/05/18(木) 21:45:02 ID:wZD+vWm3
>456
月マガ読んだよ。
…すげー驚いた。少年漫画板の川原スレで書かれていた(巨乳!!オッパイオッパイ)のを先に読んではいたけど、
やはり驚いたよ。
川原どうしたんだ…貴方はどちらかと言うと微乳派なお方だと思っていたけど、認識を改めた。
あの胸の大きさは今までに無いタイプのヒロインだ。
戦闘では活躍してね。んで、乳も揺らしてくれ。


夜這いは、取りあえずは成功。
ただ、本番はファンが役立たなくてお流れに。


>カボチャワインの女
エルですね。ところでこのスレの住人の方はover30代の方が主流?
漏れももちろん30代。
461名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 01:54:46 ID:F2f/k2Az
漏れ20代前半。 ギリだけど。
462名無しさん@ピンキー:2006/05/26(金) 21:48:29 ID:YEfAuW1C
捕手
463名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 12:49:16 ID:8OmPIw+O
今頃になってだが月マガ見た。
腕の位置が不自然だとおもた。

に一票

ノシ
464名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 10:58:07 ID:j4iqHWdo
パラダイス学園 −高等部編−
凄く楽しみに待っています。
465一五九 ◆D6Cu12peXM :2006/06/10(土) 01:20:03 ID:WICtY6X0
すみません、今回で終わりとかいっときながら途中までです。
多忙でしばらく続きが書けそうにないので
できてる分だけでも投下させていただきますねorz
毎回何かと申しわけないです。

>373さん
八雲と詩織もいつか書けたらいいなと思っています。
イツニナルンダロウ…
466天斗×圓:2006/06/10(土) 01:21:03 ID:WICtY6X0
二人の視線は絡み、ただ時は水のように流れ落ちていく。
焚き火がぱきりと幽かな音を立てた。

背筋がぴんと伸びた肢体に、立ちのぼる湯気は薄絹のように纏いつく。
しかしそれは、圓の躰を少し撫でただけで闇夜に溶け消える。
湯の流れる平たい岩の上にいる彼女は
しばらくその場から固い目線を向けていたが
相手からなんの反応も返らない事に、逆に決意を固めたのか
一歩……するりと脚を踏み出した。
彼女の足先に弾かれた水滴が、ほんの幽かな音を紡ぎ…
「…ごふっ!」
その音で我に返ったのか、湯に沈んでいた天斗の口元から
勢いよく水沫があがった。
慌てた様子で口を押さえる姿を、彼女は脚を戻した姿で見詰めていた。

「……湯を飲んじまった…」
「それは…良かったな。躰によろしかろう」
げんなりした様子の彼に対し、彼女は驚くほどそっけない声で答える。
すぅと風が吹き抜けると、焚き火と彼女の髪が揺れた。
今まで堂々とした姿勢を崩さなかった圓は、その風に少し躰を震わせ
様子に気付いた天斗よりも早く口を開いた。
「入っても……宜しいか?」
「……ああ」
彼の簡単な返事にひとつ頷き、彼女は置かれていた桶いっぱいに湯を汲むと
立て膝をついた状態で、えいやとばかりに肩からかぶった。
467天斗×圓:2006/06/10(土) 01:22:03 ID:WICtY6X0
濡れた躰をゆっくりと湯に沈ませる姿から
天斗は目を離そうにも離せないでいた。
一つに結い上げられた髪が一塊で湯に浮かび
ほどなく散らばって底へと落ちていく。

しばらくは何かを堪え、目を瞑りしかめっ面をしていた圓は
唐突に息をはき、かくんと肩の力を抜いた。
「……擦り傷に染みるのぉ…」
気の抜けた声に、天斗は吹きだしかかった。
そんな彼の様子を意にも介さず、左腕を伸ばし、軽く擦る。
「怪我に効くのだろ?丁度良いわ」
両掌を器に彼女は顔を洗い、濡れた前髪を指で摘んだ。
「躰中、砂まみれだったしな…」
「なるほど。それで温泉に入りに来たか」
得心がいった天斗は左眼を細め、少し笑ったが
後の言葉に咎めるような響きを隠さなかった。
「こんな夜道を、独りで」
「違う」
天斗の口ぶりに臆する事なく、圓はゆったりと頭上を仰ぎ見た。
「月がほれ、あんなにも明るい…」
彼女の脳裏にふと、老爺を背負い、おぼつかない足取りで
漆黒の中を逃げ惑う自分の姿が浮かんだ。
「それに…オレは、お前に会いたくて来たのじゃ…」
468天斗×圓:2006/06/10(土) 01:23:03 ID:WICtY6X0
目線を下げた圓の双眸が天斗を捕らえ
互いに互いを見詰めたまま、長く沈黙が支配した。
しかし、その静けさは、天斗のどことなくおどけた口調で破られる。
「熊を抱えたら毛やら臭いやらがついちまってさ。
取れるまで家に入るなって、婆ちゃんが…。ひでえ話だろ?」
「…それでも素直に聞いて…。…お前の美徳だな…」
あまり聞くことの無い、あまりにも率直な誉め言葉。
天斗は少しばかり戸惑い、中空を見上げて頭を掻く。
なんとも言えない分の悪さを彼は感じていた。

「…オレの……。…いや…」
圓はようやく彼から目を離し、揺れ動きつづける水面を見詰め
「私の話を…聞いて…頂けませぬか……」
呟きを、湯に蕩かすようにこぼした。

「馬鹿ゆえ、上手く伝えられるか分かりませぬが……
ですが最後まで……黙って聞いていて欲しいのです」
真摯な表情に、あえて天斗は口を開く。
「オレは何か言ったら駄目なのか?」
「…お前が要らん茶々を入れると、話が逸れるであろうがっ…!」
思い切り睨まれて、天斗は少し肩をすくめた。
彼の仕草に、圓はどうしようもないなと言いたげに苦笑し
いつしか握られていた拳を緩め、普段通りの自分が帰るのを感じ取った。
その気持ちのまま、声は紡がれた。
469天斗×圓:2006/06/10(土) 01:24:03 ID:WICtY6X0
「あのな、天斗。
どうやらオレは……お前無しでは生きていけぬようじゃ」
俯く前髪から冷えた雫が一粒、震えて落ちた。
聞けば情熱的な思いの丈、しかし圓にとっては
真に自分の立場を言葉に模しただけだった。
彼女がちらと天斗の顔を伺うと、願った甲斐があってか黙りこんでいる。
その事に少しばかり安堵して、独白のような告白は続けられた。

「朝から…いいや、ずっと前から……言おうと思っていた…」
温かな物に包まれている事も忘れ、圓の躰は小さく震える。
「…オレ…は…。天斗……お前が恐ろしかった…」
こくりと唾液を飲み込み、息をはくと
先の言葉とは裏腹に、すらすらと舌は滑らかに動く。
「だから、逃げようと思ったんだ。お前の元から一刻も早く。
だが、おかしな事に、その時が近づけば近づくほど憂鬱で
ひどく悲しくなって……我ながら、奇妙な状態だったんだ…」

――相変わらず、天斗は何も口に出さない。
圓はその顔を盗み見ると、ふっ…と相貌を崩す。
彼のそんな義理堅さが微笑ましく思えた。
「先程も言うたが、オレは馬鹿ゆえ……
いつも痛い目を見るまで気付く事が出来ぬ。
…オレはただ単に、最初から…天斗と離れるのが恐ろしくて…
………怯えていただけ…だったようじゃ」
470天斗×圓:2006/06/10(土) 01:25:03 ID:WICtY6X0
のぼせ上がった頭がくらりと揺れた。
もちろん、これは湯あたりによる物ではないと分かっている。
「…すまぬ…このような身勝手な言い草……」
それでも、圓はありったけの気力を振り絞るように想いを告げた。
「卑怯だとは承知で……お頼みしたいのじゃ…!
どうかこのまま、里の隅にでも置いて欲しいのです。
女中でも何でも言われた通りに致します!……だから…」
「嫌だ」
むげもなく、即座の一言に圓は凍りつく。
声も無い彼女にむけ、天斗は淡々と二の句を継いだ。
「女中なんて嫌だ。…オレの嫁として傍にいてくれる気はないのかよ」

ゆるゆると上がった圓の顔は、まさに戸惑いの一点。
目前の男は天斗ではない…とでも言いたげである。
しかし、それも次第に抜け落ち、後に残ったのは寂しげな笑みだった。
「……やはり…お前は変な所でお人よしだなぁ…」
「そりゃどうも。……ん、まだ口を開いちゃ駄目だったか?」
「………」
圓はどっと疲労を感じ、ずぶずぶと肩まで湯に沈みこむと
どことなく投げやりな口調で続けた。
「もう良いわ。…まったく…
お人よしと云うより、考えなしと云うべきやもしれんな」
天斗は心外だと言いたげな顔をし、片腕を岩の上に乗せた。
身動きせずにいて、流石に熱いのかもしれないと圓は思った。
471天斗×圓:2006/06/10(土) 01:26:03 ID:WICtY6X0
「今は……それで良いとしてもじゃ。いつか本当の…
天斗にとって大切な人が現れた時には、なんとする?
………悪いがオレは、そこまで心が広くはないぞ」
「圓が狭隘だという事は百も承知だが」
突き刺さるような視線を感じて、天斗はさり気なく目を逸らした。
「かといって、見目も心根も…ここまで好みの女には
最早お目にかかれないと思うんだがなぁ…」

ざぷん…と、大きく水面が乱れた。
顔にかかる飛沫を構う事なく、天斗は圓の姿を追う。
拳を震わせ、勢いに任せて立ち上がった彼女の顔には
惑いと、先程とは違う怒りの色が見てとれた。
「……何故…」
勢いよく立ち上がった事で、一瞬目の前が白くなったものの
圓は気力で踏みとどまり、悲鳴のように声を荒げた。
「何故そのような嘘を簡単につけるのじゃ…!?」
大きく上下する彼女の躰から、湯気とともに熱がひいていく。
それでも秘めた激情を留め置く事は出来ないでいた。
「それでまた、からかうのか?
あの時みたいに『一目惚れなど嘘だ』…って……
……お前なんぞに惚れる筈がないと、嗤うのか!?」

金茶の瞳がみるみる滲んでゆき、大粒の雫があとからあとから零れ落ちる。
そんな姿を見上げる薄墨色の左目は真剣で
先の願いを正しく再現するかのように、口は縫い縛られていた。
472天斗×圓:2006/06/10(土) 01:27:04 ID:WICtY6X0
――敵の懐に潜りこんだ、あの夜。
屈辱と昂揚、そして安堵がない交ぜになった、あの夜…。
彼女は思いがけず、彼の言葉によって滝壷に叩き落された。
それは、彼女自身も予測しえなかった澱みとなり、胸中に巣食っていた。

「お…お前はどう思っ、ているか……知らぬが…
オレだっ…て……そこまで……鈍く、ないのじゃ!」
子供のようにしゃくりあげ、彼女は両手で幾度も顔を拭う。
本当に、本当の心底――水底に沈んだ泥のような物の正体を
自ら暴き出す苦しみに、打ち拉がれそうであった。

「お前が…思わせぶりな事をする度、もしや…と思わぬ事もなかった…。
けどな…。心の内で……お前がすぐに…否定をするんだ。
だからオレはずっと考えないように……思い違いをせぬようにと…」
髪から、肌から…冷えた水滴が、ぱたりぱたりと落ちる。
自らの身を抱く圓は全身で泣いていた。
「……オレは……オレはお前が恐ろしい。
も…う……どちらのお前が本物か……オレには分からぬ!!」
支える心棒が軋んで折れた事を示すように
よろよろと力無く後退し、岩場にへたりと腰を下ろす形となった。
一方的に当り散らして、この上なく情けなく、恥ずかしく……
圓がいま出来るのは、ぐしゃぐしゃの顔を両手で覆い隠す事だけだった。
473天斗×圓:2006/06/10(土) 01:28:04 ID:WICtY6X0
「……ごめんな」
静かな声が、耳鳴りできぃんとする彼女の耳朶に届く。
――謝られても、どうしようもない。
むしろ、謝らないで欲しかった。謝罪を受けるなどお門違いだ。
指先が、震えて皮膚に食い込む。
「そんな風に思っていたとは、知らなかった。
すまなかった………けど」
――けど?……けどってなんだよ。
圓は顔を覆ったまま、警戒するように動きを止めた。
「その後に言ったことは、正真正銘…本心だぜ」

涙でぐっしょりと濡れた手を、恐る恐る引き離し
そっと眼下を伺うと、先と変わらず片目を瞑った天斗が見上げている。
「なに……を…」
「名前に惹かれたって言ったろ。…『陸奥圓』って名に」
なんとも久しぶりに聞く、偽りの名。
何を唐突に言い出すのかと、圓は怪訝そうに眉を顰めた。
そして中空を仰ぎ見て、謎かけの答えを紡ぎだそうとし…
突然、飛んできた石が頭にぶつかったかのような動揺を見せた。

「な…!………え、ええっ!?」
恐ろしく大胆で、密やかな告白。
それは、告げられた本人にだけ届かなかった言葉のまやかし。
「だ…だって、あの時…あの時はまだ、天斗が陸奥だとは
知らなかったし……試合の事で頭がいっぱいで……」
この上なく慌てふためいて、自分に非はないと証明しようと試みるが
見れば天斗は『してやったり』といった顔でにやりと笑う。
474天斗×圓:2006/06/10(土) 01:29:03 ID:WICtY6X0
ぐっと息を詰めた彼女に対し、彼はわざとらしい口調で追い討ちをかけた。
「オレはとっくの昔に伝えてたっつーのに
お前は全っ然、気にも留めてなかったんだなぁ…」
「…………!!」
腹が立つやら、呆れるやらで、ぐうの音も出ない。
……なんなのだろう、これは。
ともかく、自分が岩に座っていた事だけ圓は感謝した。
立ったままなら、卒倒していたかもしれない。

彼女の目の前をよぎる白いものがある。湯気ではなく自分の息だった。
一息はき、また吸い込むことで躰がきんと冷えていく。
少し口を開くが、咽奥が痙攣しているのか、まともに声が出ない。
それでも無理やりに、まともではない声
――寒さに震えているかのような声を、彼に向けた。

「で…は、何故……あの夜
オレが願いを聞いてやると言った時に…言わなんだのじゃ?」
老爺を送りとどけ、次は彼女が約定を果たす番。
彼の気持ちがそれほど前から固まっていたのなら
なんとでも願い様があった筈なのだが。
「報酬代わりに嫁に来いって?
そう言われてお前、本当に納得いったか?」
「……う…」
あっさりと返され、圓は唸った。
天邪鬼な自分の性格は、熟知している。
かといって、今この状況もなんだか納得いかなかった。
475天斗×圓:2006/06/10(土) 01:30:04 ID:WICtY6X0
圓は何かに引きずり込まれるかのように、ずるずると湯に身を沈めた。
「……い」
勢い余って少しばかり湯を飲み込んだが、構わなかった。
「いままで…の…。…今までの……気苦労…は……」
「…骨折り損だったと」
「おっ……お前が云うなーっ!!」
自棄気味に怒鳴ると、彼女は勢いよく躰を捻った。
天斗から背を向け岩場に顔を突っ伏し、搾り出すように唸った。

温泉で天斗と話そうと、意を決して着物を脱いだのは、何より
『裸ならそう簡単に逃げ出せない』という決意の表れであった。
しかし、今は臆面も無く遁走したい気持ちでいっぱいだ。
このまま湯に溶け切ってしまえたなら、どれほどに楽だろうか。


耳を真っ赤に染め、ふて腐れるように背を向けている圓の様子を
おかしそうに眺めていた天斗は、彼女の細っこい首筋から
するりと水滴が流れ落ちるのを見て、ふとした想いが胸を突く。
「オレだって、お前が……」
――恐ろしい。

天斗は物心つく頃から要領が良かった。
性格が…という話ではなく
何をするにも、そつなくこなせたという事だ。
これといって問題もなく業を習得し、名を継ぎ
独りきりで旅を始めても、特に困った事もない。
困るくらいに、困る事がなかった。
476天斗×圓:2006/06/10(土) 01:31:03 ID:WICtY6X0
幼い頃、祖父にねだって何度も聞いた、戦国の世の話…。
それがふと思い出され、そして水面に映る自身の顔
――わざと瞑られた右目を見て、軽い違和感を覚えだしたとき
聞きなれた苗字を名乗る娘に出会ったのだった。

慇懃無礼な態度に口調
まるで戦国の世を独りで背負い続けてきたかのような娘。
やる事なすこと、すべて反抗的で人の話はまったく聞かず
本当に…困った奴だなと、思わされた。
天斗は、今まで感じた事のない心地良い苛立ちを覚えていた。

あの時は、今日よりずっと暗い夜だっただろうか。
下帯一つ残して、彼女の姿が消えたあの夜。
今まで切望していた、血を滾らせるものを前にして
それに背を向けられる自分が居ることを初めて知った。
何の考えも浮かばず、昏い想いに背を引き攣らす自分も初めて知った。

再会した彼女は、何事もなかったかのように
…それどころか風呂上りでこざっぱりとしていて
しっとりとした首筋が、また妙に腹立たしかった。
そのせいだろうか、余計な事を口走ったのは……。

――彼女が銃弾を浴び、ゆっくり前のめりに倒れる姿は
きっと一生忘れられないのだろうと、彼は思う。
内臓が冷え固まるような、あの感覚も…。
恐ろしい、と思った。
圓の身に降りかかる災厄のすべてが、天斗には恐ろしかった。
477天斗×圓:2006/06/10(土) 01:32:03 ID:WICtY6X0
冷えた空気を肺に送り、それをはき出しても
天斗は自分の弱いものを抱えた部分は変わらない事を感じた。
「……で…どうする?」
「………ど…」
意味なく呟いて、圓は言葉を飲み込んだ。
問われた所で、何をどうしたら良いのかなど、分からなかった。
それでも、背を向けたままでいるのは良くないと思いたち
彼女はおずおずと、血色の良すぎる顔を彼のほうへ向けた。

目をあわせられず、暗く揺らめく水面に視線を落したまま呟く。
「だっ…て」
「だって?」
天斗が繰り返すのに、圓はひとつ頷き返し
接着してしまったかのように重い口を、じりじりと開いた。
「良い…のだろうか……?
オレ、だけ…、そんな…。佐助をあんな目に…あわせておいて…」
彼女の眉間に、苦痛を示す深い皺。
胸の前で握られた手は、在りもしない木筒を掴んでいるかのようだ。
それを目にした天斗の顔もまた、翳る。

「……お前の身に起こる、幸も不幸も…
すべて爺さんに擦り付けたいんなら、それもいいだろうさ」
「な……!!」
圓は、胸を強く突かれたかのような衝撃に顔を上げた。
必死の面持ちで、何度も何度も首を振る。
また泣き出してしまいそうな彼女の姿に、天斗は小さく舌打ちした。
――何故、このような言葉しか吐けないのだろう。
これでは、不当な嫉妬に駆られた馬鹿者でしかない。
478天斗×圓:2006/06/10(土) 01:33:03 ID:WICtY6X0
「……悪い。……けどな、圓…」
彼女の目頭に光るものから目を離さず、天斗は続けた。
「お前、薬草は取れたのか?」
「………はぁ?」
しょげた顔から一転、圓の目は不審なものを吟味するかのように変わる。
その様に天斗は苦笑いを漏らす。
「薬は嫌いではなかったか?
オレが頼んでも、なかなか飲もうとはしなかったくせによ」
「…ひ、独りで旅に出るつもりだったから…用心のため仕方なくじゃ!
なん…だ、一体!何が言いたい!!」
「いや?……まぁ、その様子なら自分で薬を飲むどころか
佐助から飲めといわれても
素直に飲まなかったのだろうなぁと想像できてな」

言い当てられて圓はふくれた。
佐助が存命だった頃は、躰に闇雲な自信があった。
怪我はともかく、病気など無縁と思っていたし、実際にそうだった。
「だとしても、それとこれと何の関係が…!」
噛み付くように言った彼女に、天斗は軽く笑って答えた。
「だから……まともに薬瓶なんぞ見ていないんだろうと思ってな。
いかにも使い込まれた、年代物ってやつを」
「………??」
引っ掛かりを含んだ口調に眉を顰め、圓は唇に手をやった。
脳裏に浮かぶ、古ぼけてはいるものの、頑丈な黒っぽい瓶。
そんな瓶が数個、箱の中にきちんと並べて納められている。
瓶を封じる木蓋には『傷』だの『腹』だのと彫り物がされ
薬と無縁だった彼女にも、中身は一目瞭然だった。
479天斗×圓:2006/06/10(土) 01:34:03 ID:WICtY6X0
「オレが初めて、圓に痛み止めを渡した時も分かりやすかった。
瓶も蓋も古いのに、彫られた文字だけ新しくてな」
「…………」
ふと、圓の口内に、あの時飲んだ薬の苦味が広がった気がした。
むせ返るような緑……じゃりじゃりと埃っぽいあばら屋。
古ぼけたムシロを被せられ、小さな躰を横たえた養父。

この先も、未熟な姫を見守る気があったなら…
未熟な姫の将来など、どうでも良いという思いがあったなら…
このような事をわざわざしない。
もっと他に、いくらでもすべき事はあった筈。

「う、そ…」
「嘘じゃねぇよ。…信用できんとは思うが。
後でよく見てみりゃいいさ。痛み止め以外は殆ど触っていないしな」
「……………」
指先の触れている唇が、微かに震えている。
水面下の琥珀の如く、瞳を揺らし、ぽたんと雫を落す彼女は
嬉しいとも悲しいとも付かない、淡い表情を浮かべていた。
480天斗×圓:2006/06/10(土) 01:35:03 ID:WICtY6X0
流れた涙と同じ量の時間が進み、塩っ辛い口内を圓は飲み込むと
はぁと大きく息をはき、勢い良くまぶたを擦った。
その様子を黙って見ていた天斗を遠慮がちに伺い
途切れ途切れの低い声で話し始めた。
「いかん…なぁ、やはりオレは……
お前に指摘され……ようやく気付く…事ばかりで……」
「いいんじゃないか?別に」
天斗は軽く言って、首に手を当てながら、明るい月を見上げた。
「オレは圓の味方だからな。……ずっと…」
久方ぶりに聞く言葉に、圓は濡れたままの目を細めた。
以前は煙に巻かれるような印象しか持ち合わせられなかった言葉も
今はすんなりと胸の奥に染みた。

「……そっ…か」
ぽつんと呟き、圓は目を擦った。
「…じゃあ……どうする…?」
彼女の中で、何かが切り替わったらしき言葉に
「そりゃさっき、オレがお前に聞いた事だろ」と
天斗は返し、呆れ交じりの笑顔を浮かべた。
その声はどことなく安堵交じりにも、圓の耳には届いていた。

「けども、わからぬのぅ」
圓は小首を傾げ、感慨深そうな顔を見せた。
「お前が……オレのどこを良いと思ったか知らんが…。
オレでは残念ながら、お前の暇つぶしの相手は務まらぬであろう。
どちらかと言えば…迷惑ばかりかけておるし…な」
自虐的な話ではあるが、彼女は思ったままを口にした。
481天斗×圓:2006/06/10(土) 01:36:03 ID:WICtY6X0
「…ま、そう云うとこも含めて全部って事にしとけよ」
「なんとも適当な事じゃな」
天斗の反応に、彼女は少し刺のある言葉を返しつつも、笑って見せた。
「……ふむ。どうしたら良いのか…」
先程とは似て非なる言葉を、今度は自分に向けて呟き
圓は笑みを消し、考え込む姿勢を作った。
「天斗に…オレは何かしてやれる事があるのかな…?」
またも小難しい事を言い始めた彼女を呆れ顔で見て
そんな所も可愛いんだがな…と思いつつ、天斗は軽く手を振る。
「お前は色々と考えすぎなんだよ。んなもん後で…」
しかし、彼の言葉が終わる寸前
彼女は脳裏に閃いた妙案に、ぱっと顔を輝かせた。
「そうだ、うん。天斗…なにかオレにしたい事はないのか?」

『今日は何をして遊ぶ?』とでも言うような気楽さで
告げた彼女だったが、天斗の見せた一瞬の動揺を否定と捉える。
「…ほら、オレが天斗の為にしてやれる事など、殆ど無いであろう?
だから、お前が何か、したい事があれば…と思ったまでなのじゃが…」
困ったような笑顔を浮かべ、これも駄目か、と言いたげに肩をすくめた。

迎え入れられ嬉しいと思う反面、今この状況は
一方的な庇護を受ける為だけに嫁ぐようで心苦しく
素直に甘受しきれない部分が彼女の内にはあった。
482天斗×圓:2006/06/10(土) 01:37:03 ID:WICtY6X0
「……無い訳じゃないけどよ…」
「え?」
言い出しておきながら、圓は意外そうな顔をして天斗を見詰めた。
ばつが悪そうに、彼は濡れた髪を何度も撫でつけている。
落ち着かない様子を知ってか知らずか
彼女は少し身を乗り出して先を促した。
「なんじゃ…あるのだったら遠慮は要らぬぞ。
ほれ、云うてみ?…あまりに無茶な話ならオレも聞かぬし」
「無茶…ねぇ」
それはまた、判断の難しい事だと天斗は思った。
見るば、好奇心を隠しもせず頼まれごとを待っている。
身を乗り出す事で両腕の間にある膨らみが窮屈そうに見え
それに気を削がれないよう、彼はさり気なく
彼女のずっと後ろに広がる暗闇に目をやりながら答えた。
「……触りたい、かな」
――深く、二呼吸分ほどの間があった後、元のように
身を引いていった彼女を左目で窺うと、口をぽかんと開けていた。

「触るって……頭に?」
圓は自身の頭に手を無意識に置いた。
今まで天斗が触れようとしたのを、ことごとく払って来た事が
思い出されたが、そっけなく「違う」と否定され、首を傾げる。
「そこだけじゃなく、全身だよ。全身」
少し早口だが、天斗ははっきりと言い切った。
それに対する彼女の反応は「ふぅん…」という
未だ事柄を理解しきれていない、どこか間の抜けた呟きだった。
483天斗×圓:2006/06/10(土) 01:38:03 ID:WICtY6X0
「…で?これは無茶な話か?」
あいまいな態度の圓に、痺れを切らした天斗は逆に問う。
「は?……あ、ああ、いや、なんだ……
予想外だったゆえ、いささか驚いてしまってな…すまぬ。
しかしお前…今までも、どさくさ紛れで触ってはいなかったか?」
「………」
ばれていたか、とは口に出さず、天斗はそっぽを向いた。
「…まぁ、良いのだけれど…。そんなんで、良ければ…
………じゃあ、はい」
圓は頭に乗せたままだった右手をおろし、目前に差し出した。
「はい…って」
「触るんだろ?別にオレは構わぬぞ」
はっきりとした口調で宣言し、彼女は迷いの無い瞳を向けた。

彼女が実直なほど、対する天斗の動揺は大きくなっていく。
『…だから……なんでお前はそう考えなしなんだよ!』
彼の脳裏に、煩悶の日々が駆け巡っていた。
故郷への同行を願ったのも、別に思いつきで言った訳ではない。
旅の道すがら、口説くなり何なり出来れば良いと思っての事。
しかし、予想以上のお子様ぶりを目にするにつれ
手も足も出す事が出来なかったのだ。
484天斗×圓:2006/06/10(土) 01:39:04 ID:WICtY6X0
「どうした……遠慮のう、どこからでもかかって参れ」
「………」
固まっている天斗を圓は怪訝そうに見上げた。
「何ぞ…問題でもあるのか?その…ちょうど、裸なわけだし…」
彼女は自分の言葉に動揺を示し、躰と視線を忙しなく揺らした。
その様子から、恥らっていない訳ではないと知れた。
「……もしや…着物をつけておるほうが良い…のか…?」
「いや…それも良いが、やはり直の方がいいな」
妙な一問一答に、彼女は唇を尖らせる。
「………うぅ…なんなのじゃ……一体……
やりたいのかやりたくないのか、はっきりせぬ奴じゃなぁ…」
ついには、眉根を寄せて俯いてしまった。

そんな彼女の目前で、湯面がざぶりと揺れ動いたかと思うと
頭の上に軽く重みが感じられた。
天斗の大きな手が圓のしっとりと濡れた髪を撫でる。
彼の手が動くたび、ぽたりぽたりと雫が落ち
彼女の肩や胸元に当たり、細かな粒となって流れ落ちていった。
「今はこれで…我慢しとくさ」
呟いた彼の声は、低い。

しばし身じろぎせず、優しく頭部を撫でられていた圓は
片手を上げると、そっと天斗の手に重ね合わせた。
そして、互いの指を絡め、そのままゆっくりとおろす。
彼の手は彼女に比べて随分大きかったので、それを補う為か
両手で包みこみ、柔らかな頬にあてがう。
「オレも……」
ごつい指に頬をすり寄せ、彼女は恥ずかしさに震える声で囁く。
「……好きだよ。天斗の躰に触るの……」
485天斗×圓:2006/06/10(土) 01:40:04 ID:WICtY6X0
目を軽く瞑った時、顔に熱が広がり、圓はそのせいで
自分が卒倒でもしたのだろうかと錯覚した。
そのくらいの衝撃と圧迫を感じて、慌てて目を開けると
背に太い腕がまわされ、しっかりと抱きしめられていた。
熱いのは、二人の頬が触れ合う熱だった。
「………ぁ……」
驚きと胸苦しさで、圓の唇が音にならない声を漏らす。
それが届いたのか天斗の腕からほんの少し力が抜け
胸が押し潰れて苦しくない程度に緩められた。

圓の中で、馬鹿騒ぎをして心臓を口からこぼさんばかりに
うろたえている彼女と、妙に落ち着き払って
肌に触れる天斗の感触を吟味している彼女がいた。
言えるのはどちらも嫌がってはいないという事だ。
表面上の彼女は黙ったまま、うっすらと目を開けて彼の髪を見ていた。
少し癖のある総髪は濡れ、天斗の首に纏わりついている。
ふとそれを直してやりたいと思い、腕を伸ばそうとしたが
彼の両腕に阻まれ、手を持ち上げる事は出来そうになかった。
かわりにその手は彼の腰に回し、そろりと抱き返した。

躰を引かれ、抵抗もなく寄り添う。
天斗は湯の流れ落ちている岩場に座り、彼女を膝上に横抱きにした。
湯の中にいた時と違い、冴え冴えとした風が火照った躰を急速に冷まし
それにより頭も醒まされ、圓の羞恥心は煽られた。
486天斗×圓:2006/06/10(土) 01:41:04 ID:WICtY6X0
いま二人の間にあるものは、流れ落ちる水滴のみ。
しっとりと触れ合う所だけがやたらと熱く思え
居たたまれないような恥ずかしさが彼女を包みこんでいく。
少しばかり自身の迂闊さを思い、唾液を飲みこんだ。
今までも様々な恥をかいて来たと思うが、今のこれは
その他のどれとも違って、心は千千に乱れ、揺れていた。

彼女の心のように、随分と弱まった焚き火が二人を照らす。

縮こまって俯いている彼女の顎に、するりと天斗の指が伸び
力の加減から顔を上げて欲しいのだと知り、指が導くままに従った。
すると驚くほど近くに彼の顔があり、二人の鼻先がほんの少し触れ
圓は大きく見開いた金茶の瞳を幾度か瞬かせた。
しばし息を詰まらせていたが、薄墨色の左目に強く捉えられているのだと
実感すると、心臓は大きく跳ね、咄嗟にきつく双眸を閉ざしてしまった。

緊張のあまり両肩におかしな力が入る。
しかしそれも、突如唇に生じた変化によって徐々に解けていった。
柔く暖かいものが唇に触れ、覆う。
これは以前、どこかで同じ事を…と、圓の脳裏にふと掠め
触れ合う所がずらされ、軽く擦れると肩が勝手にびくりと揺れた。
ずっと潜めていた息も限界が来て、慌てて口を離し目を開く。
「……は…ぁ…」
情けない声が出たが、構わず肩で息をしながら横目で天斗を見ると
彼はいたって平然として、軽く笑い返していた。
487天斗×圓:2006/06/10(土) 01:42:03 ID:WICtY6X0
「なんじゃ…いまの…」
圓がなんとなく反抗的な口調で聞いてみたところ
天斗は言葉にせず、実践で返した。
彼女が顔を動かす間も与えず、ちゅっと派手な音を立てて唇を奪い
さっさと離れて見せたのだった。
あまりの早業にぽかんとして半口を開けていたが
照れよりも『ああ、口をつけたのかぁ』と納得して頷くのが先だった。

ひとしきり頷いた後、唇を押さえて黙り込んだ圓の頭に
こつんと軽く、天斗の額がぶつかった。
何事かと頭を離さず視線だけ彼に向け、伺うと、耳元で声がした。
「圓…は、まだオレが……恐ろしいか?」
「!………」
ひとつ硬い息を飲み、ゆるゆると彼の方へ顔を向けた。
今しがた得体の知れない恐れをなして、目を閉じた事を悟られていた。
胸の奥底にある昏い澱みが、静かに揺らめく。
彼女は静かに瞳を閉じ、その淀みを注視した。

「そう……だな」
圓は、瞼をゆっくりと開き、大きく呼吸をしながら続けた。
「正直に申せば、まだ……天斗の事が恐ろしい…な」
憂いを含んだ瞳で、しかし揺れもせず真っ直ぐに見詰める。
そろりと遠慮がちに差し出した指先を、彼の瞑られた右瞼に触れさせ
撫でるように優しく、覆い隠した。
「恐ろしいな。…お前の力も……お前に捨て去られる事も……」
想いの内には、恐れに突き動かされている部分が無いとは言い切れない。
488天斗×圓:2006/06/10(土) 01:43:03 ID:WICtY6X0
それでも。
「――それでも、それだけ…ではないのじゃ」
ぱっと花が綻ぶような笑顔を向け、はっきりと告げた。
胸の昏い澱みにも、光が射しかかっているのを感じながら。
「なんでも、オレは天斗の良いとこを見つける名手じゃそうな。
オレもまぁ…そうかもしれんと思っておる。
だって…お前の恐ろしいところも…含めて………から……な……」
語尾がどんどんと小さくなるのは、照れ笑いで誤魔化す。

覆い隠していた手を引くと、天斗は両の目を開いて圓を見詰めていた。
彼女も、少し恥らいながらも見詰め返して、小さく微笑む。
「…やはり両目で見ると、秀麗さが良く分かるな」
「ばーか。オレは両目瞑ってたって綺麗なんだよ」
ふんぞり返るように偉ぶり、ふふんと笑う。
「お察しの通り……オレは非常に臆病な女じゃ。
これで本当によろしいか、陸奥殿?」
天斗の首に両腕を回し、彼の額に自身の額を擦り付け
今にも笑い出してしまいそうな、むずむずとした表情を
必死で押さえようと勤めながら問う。
「ああ、勿論…」
そんな圓の様子に彼が意地悪く笑い、構わず唇を重ねてきても
彼女は無邪気に肩を震わせていた。
489天斗×圓:2006/06/10(土) 01:44:04 ID:WICtY6X0
しばらくは、じゃれあうような口付けを繰り返していたが
ゆっくりと天斗の舌先が圓の唇を割り、歯を舐め上げると
彼女の指がぴくりと動き、閉じた瞼に力が篭る。
「んん…ぅ…?」
歯茎をなぞるようにくすぐられ、細かく首を振ったが
彼女の頭を支える手は逃げるのを許さず
明らかに先程より強く唇を押し付け、舌を刺し込れてきた。
圓は焦り、迂闊にも声を出そうとしてしまった。
「らに…っ?…は、ん……ふっ…!」
開いた口はもう閉じられず、舌を絡めとられ
ねとりとした未知の感覚に躰を小刻みに震わせた。
溺れているかのような音と声が口腔に響く。
口内に、こんな形で触れてくるとは想像もしていなかった。
「……ん…っ…ん…ぁ…」
強引に抉じ入ったわりには、彼の舌は穏やかな動きを見せた。
彼女の舌を味わうよう何度もなぞり、裏側を尖らせた先で突付く。
圓はただ天斗の舌に噛みつかないようにするのに精一杯で
呆けたように口を開いたまま、くぐもった喘ぎを漏らし続けた。
彼がようやく身を引いた時、彼女の口元はどちらのとも付かない
唾液でべっとりと濡れ、顎まで滴っていた。

「こ…のような……触れ方……」
大きく息をしながら口元を拭い、弱々しくも睨みつけたが
軽く耳に息を吹きかけられ、ひゃっと小さく悲鳴をあげ縮こまってしまった。
「なんだ…。やはり…嫌、か…?」
耳に口元を寄せたまま囁かれた天斗の言葉は、静かだが
とても好戦的に聞こえ、圓の負けず嫌いな部分を煽った。
「べ、別に……嫌などと云ってはおらぬ…!」
490天斗×圓:2006/06/10(土) 01:45:10 ID:WICtY6X0
事実『嫌』ではなかった。
しかし、次に何をされるのかまったく予想もつかず
なにやら黒い布で目隠しをされているかのような不安がよぎる。
心細さから、逞しい躰に縋り付こうにも
自身を不安に陥れている原因はこれだったと気付かされるだけ。
この状況はもしかして、圧倒的に自分だけが不利なのではないか…と
今更ながら、圓は思うのだった。

物思いに囚われていた彼女は、耳たぶを噛まれて我に返った。
「何をぼんやりしてんだ…」
「…っ…あぁっ」
耳朶から細い首筋を舐め上げる天斗の熱い口唇は
圓のそぞろ心を痛いほどに引き寄せる。
触れられている所から広がるように全身が火照り
空気を求めて開いた口はうわずった声を漏らす。
――彼女は『愛撫』などというものは知らない。
彼の動きに呼応するように蠢く自分自身を不思議に感じ取っていた。


湯で桜色に染まり、柔らかな首筋を少しばかり強めに吸い
くっきりと赤く所有の証を刻んだ。
そうして圓の顔を窺うと、羞恥に耳まで真っ赤に染め
強く唇をかみしめた所だった。
怯えを虚勢で覆い隠すため健闘しているような表情…
加虐心をくすぐられるが、それは軽く息をはいて押さえ込んだ。
491天斗×圓:2006/06/10(土) 01:46:07 ID:WICtY6X0
片腕で支えた小さな躰が身じろぎをするたび
その小ささに反するような強靭さを掌に伝えてくる。
瑞々しく引き締まった肌の下に鍛え上げられた筋。
一朝一夕では作り出せない、力強い肉体である。
それでいて、胸元のふくらみは優しい曲線を描き
ちょっとした動きに惜しげもなく柔らかみを弾ませた。
弛まぬ修練の証と、生来の色香が宿った躰は
天斗の雄芯を激しく駆り立てていた。
しかし、それらを一旦振り切ってでも確かめたい事が彼にはあった。
492天斗×圓:2006/06/10(土) 01:47:07 ID:WICtY6X0
しなだれかかる彼女の背をそっと押しながら
「圓、手を…そこの岩に」そう告げた。
目を開けた圓はいささか不安げに、天斗と岩の間で
視線を彷徨わせていたが、自分で躰を起き上がらせると
黙って両手を前に伸ばした。

少し躰を離し、天斗は目前の彼女をじっくりと眺め見た。
岩に寄りかかって背中を晒し、戸惑った表情で振り返っている。
普段、日の当たらない背は白く、馬の尻尾のように真っ直ぐな黒髪が
水気を含んでぴたりと張り付いている様は艶かしい。
通った背筋を指でそろりとひと撫ぜしただけでも
びくりと躰を震わせ、水滴を散らした。
その手はそのまま、くびれが形作るまま撫でおろして行き
すべらかな肌触りに突如生じる異質な場所で、彼は手を止めた。
「…あ、そ…そこ…は…」
圓は息を詰まらせながら躰を捻ろうとしたが
しっかりと腰をつかまれ、それ以上動く事は出来なかった。
しぶしぶといった具合に前を向き直り、うなだれる。

彼は、彼女の背中に顔を近づけた。
優雅な後姿に一箇所だけ、いびつな傷痕が痛ましい。
銃弾を受け、膿んでしまった跡…
肉が奇妙に盛り上がり、皮膚を引き攣らせている。
天斗は迷わずそれに口をつけた。
「ひゃぁん!」
くすぐったさと驚き混じりの声を上げ、圓が身悶える。
それに構わず彼はゆっくりと舌を這わせた。
傷ついていても、感じている。彼女の仕草が伝えてくる。
それが天斗には嬉しく、愛おしかった。
493天斗×圓:2006/06/10(土) 01:48:03 ID:WICtY6X0
「や、ぁ…ちょっ……と……」
目の届かない背中だからか、些細な事にも過剰に反応してしまう。
圓はひんやりとした岩にしがみ付くようにして耐えた。
犬のように速い呼吸を続けていると、頭の芯が痺れてくる。
腰に添えられた天斗の手が、ほんの少し動くだけで
その行き先がひどく気に掛かって仕方がない。
何も触れていない筈の場所までも、ざわざわとしているようだ。
「……っ…!」
堪らず、彼女は岩から離した左手で彼の腕を掴んでいた。

「ん?」
吐息混じりの呟きが届き、天斗は濡れた傷痕から口を離し
声の主と目を合わせるべく、顔を上げた。
なにか困ったような、それでいて怒っているような
複雑な表情で振り返った圓は、もごもごと唇を動かし
やがて、とても言い辛そうに彼へと告げた。
「……そこは…その、もう良いであろう…?」
しかし天斗はそらっとぼけた態度を崩さない。
「そうかな…こうして後ろからじっくり拝むのも良いもんだぜ。
いい尻してるしなぁ、お前」
「ばっ……馬鹿っ!…そのような事……」
腕を掴む手に力を入れ、腰から上を捻ってはみたものの
思ったとおり無駄な努力で終わり、彼女は口をへの字に結ぶ。
手を離した後も、横目でじっと彼を見続けていた。
「………」
「なんだよ…云いたい事があるなら云えよ」
「…………だっ…て…」
494天斗×圓:2006/06/10(土) 01:49:03 ID:WICtY6X0
拗ねたように睨みつける顔はどこか幼さが伺えるが
それでも、彼を捉える濡れた瞳には熱が宿っていた。
「…そんなに…背中のほうが…いいか…?
こちらは、いらぬ……の、かな…。…天斗は……」
一言ごとに息を漏らして呟く圓の両腕には
汗ばみ、柔らかく形を変えた乳房が抱えられていた。

腰に置かれていた手が、腹に巻きつくように回され
後ろに倒れ込むと、背に彼の躰が密着し、彼女は幽かに息をはいた。
「これは…申し訳ない」
脈略も無く謝罪され、圓は呆け顔で天斗を窺う。
「胸への刺激をご所望だとは気がつきませんで」
口端を上げ、わざとらしく馬鹿丁寧に言い放たれ
彼女はぎくりと躰を震わせた。
「ち、ちがっ……あ……」
そろりと、下から丸みをなぞるように指先が触れた。
彼女はきつく目を瞑り、肩を強張らせる。
「違う?」
明らかに笑い混じりの声が後ろから聞こえた。
それでも指先が離れる事なく、突付くように撫でてくるのを
咄嗟に手で押さえつけ、首を激しく振った。
「……誤解じゃ…。ぁ……た、だ……聞いただけ…で」
躰をくの字に折り、甘い声色にそぐわぬ強がりで突っぱねた。
495天斗×圓:2006/06/10(土) 01:50:04 ID:WICtY6X0
「そうか…誤解か…」
存外にあっさりと、指先は離された。
その事よりも、圓は内に生じた損失感に愕然とした。
指が離れてしまっても、熱をはらんだ疼痛は乳房に残り
まったく触れていなかった時よりも強く
はっきりと、存在を主張する。
「………はぁ…」
うっすらと開いた口から溜息がこぼれ
虚ろな目は、ぴりぴりと痺れる膨らみと、その下にある
天斗の手を見おろしていた。

彼女は背後に柔らかいものを感じ、ぴくんと躰を揺らした。
不安げな顔でそろそろと振り向き
小さな肩に口をつけている天斗と視線を合わせた。
「…触れてもいいか?」
肩越しに優しく問われて、彼女は一瞬動揺を見せたが
すぐに二度、真っ赤に染まった顔を縦に振ることで肯定をした。

我ながら、手間のかかる女だと圓は自嘲しかけたが
それも天斗の両手で柔肉を揉みしだかれる快楽に霞んでいった。

「ああ…っ!…ん……あっああぁっ…」
胸を下から持ち上げられるように捏ねられ、びくびくと震えあがり
圓はあられもない声を上げた。
しかし、悦ぶ躰と裏腹に羞恥も沸きあがり、思わず彼の手を掴む。
掴んだ所で動きは止まらず、それどころか
膨らみが形を変える様が伝わって来てしまった。
496天斗×圓:2006/06/10(土) 01:51:04 ID:WICtY6X0
「…っ!」
慌てて離した宙ぶらりんの左手を突然掴まれ、彼女は息を飲んだ。
ぐっと引き上げられた手は、彼の太い首の後ろに回された。
「そっちの手も、同じようにしな」
「…え……ぁ…」
右胸を撫でながら、彼が指示を出す。
弱々しく開かれた自らの右手を、彼女は中空で留めていたが
抗っても仕方のないことだと悟り、ゆるゆると持ち上げた。
天斗の頭の後ろで両指が触れ合う。
「そのまま…離すんじゃねぇぞ」
万歳をするように両腕を上げた事で開いた躰は
滑稽なほどに無防備で、圓は瞳を潤ませた。


圓の乳房は天斗の手にすっぽりと納まり
吸い付くようにしっとりとして、暖かかった。
想像以上に柔らかく、いままで着物の上から触れたり
はずみで触ってしまって来たどれよりも気持ちが良い。
気付けば口内に溜まっていた唾液を彼は飲み下した。

桃色の乳首を人差し指ですっと撫でた。
「は…ぁんっ」
これまでより一層強い反応と可愛い声を腕の中で上げる。
それを二、三度繰り返すうちに、突起はこりこりと硬く形を変えた。
「やっ…あ、あ……いや…ぁ」
弱い否定の声に耳を貸さず、ぷっくりした乳首を
親指と人差し指に挟み、軽く摘み上げた。
497天斗×圓:2006/06/10(土) 01:52:03 ID:WICtY6X0
「あ、ああんっ!」
嬌声を上げ、火照った躰を仰け反らせた。思った通り嫌がってはいない。
その証に、彼女は後ろに回された手を離そうとはしなかった。
しかしながら、耐える為なのかなんなのか
天斗の一つに結わえた髪を引っ掴んでしまっている。
彼は正直、少しばかり痛かったが…我慢する事に決めた。

圓が身を捩るたび、二人の躰の間に挟まれている
彼の張りつめたものを彼女の尻が擦り上げた。
鍛えられた双丘は柔らかくも引き締まり
このまま後ろから強張りを押し込めたい欲望に駆られそうになる。
「ふぁっ…あ…っあ……たか…と…っ」
不意に名を呼ばれ、彼は思わず乳房を掴む手に力をこめてしまった。
「いた…っ」
苦痛を孕んだ彼女の声で我に返り、慌てて指を緩めた。
「悪い…。ごめんな」
「ん……だいじょうぶ…」
圓の声は、まだ充分に甘やかさを湛えており、天斗を安堵させる。
痛ませた所を撫でるようにしながら、彼は冷静さを保とうと勤めた。
苛めたい気はあっても、傷つけたい訳ではないのだから。
こんな時まで、思うさま欲情に耽る事が出来ないこの力が疎ましい。
それでも、自身がそうだったからこそ、彼女と出会えたのだから…
不満に思って良いものではない。
まぁ、冷静な方が圓の痴態をじっくり拝める訳だし
それはそれで良いかもなぁと天斗は前向きに考える事にした。
498天斗×圓:2006/06/10(土) 01:53:04 ID:WICtY6X0
指を埋める離し難い感触を振り切って、彼は右手をつと下ろす。
彼女のきっちりと締まった腹筋を経由し
投げ出された両足の付け根に手を伸ばした。
中指の先に、濡れた毛がさりりと触れ、また気が逸る…が
「…だっ…!!」
言葉にならない声を上げて、圓が唐突に身を離したのだった。

転げまろびつ、人ひとり分ほどの間が二人の中にできる。
今まで悦楽に浸っていたとは思えないような素早い動きに
天斗は少々感心しながらも、呆れまじりに声をかけた。
「そんな逃げなくてもいいじゃねぇか…」
「だ、駄目なのじゃ!……故あってここだけは…!」
今までの強がり半分の否定とは違う、心からの拒絶が
彼女の強張った表情と声に篭められていた。
ただ恥らっているだけではない。悲痛さすらも感じられる。
なので天斗は、わざとのんびり話を続けた。
「んー…、まぁ、なんだ。急に恥ずかしくでもなったのか?」
「…………」

ぎゅっと躰を縮めるように丸め、もぞもぞと聞き取り辛い声で呟く。
「すまぬ…。けど、やはり…ここは駄目……。
先程までは大丈夫かと…思っておったのじゃが…」
へそを押さえた手を見おろす、不安でつぶされそうな顔。
何か恐ろしいものを、必死で押さえつけているかのようだった。
499天斗×圓:2006/06/10(土) 01:54:04 ID:WICtY6X0
突如、それを天斗に向けると、叫ぶような勢いで圓は哀願した。
「…そこではのうて…その……お願い!
…もっと胸を……こっちをもっと、いじって…」
挑発するように両腕に抱えられた乳房と
あからさまな語尾の震えがひどく不均等だと天斗には映った。
だがそれでも、彼はその誘いに乗った。
黙って手を差し出すと、おずおずと近づいてきた彼女の腰を
少々乱暴に引き寄せ、正面から見据える。
圓は息を詰まらせたが、すぐ気まずげに目をそらす。
金茶の瞳がゆらりゆらりと、不安定に揺れていた。


白い膨らみには握られて出来た赤い筋。
天斗は無造作に、それを舌で舐め上げた。
「…っ」
咄嗟に圓の躰は緊張し、瞼と唇がきつく結ばれた。
しかし、彼女の両手は遠慮がちに彼の頭部を抱き寄せる。
「……ああ…んっ」
硬くしこった桃色の乳首を、天斗の舌先が幾度か弾く。
乳輪をなぞり、口内に含むと
柔肉に突起を押し込むように舌を擦り付けた。
胸全体に擦られた唾液は、彼が顔を動かすたびに
ぴちゃぴちゃと音を立てている。
片一方の胸は、掌の中でくにくにと揉まれ、違う形になった。
「くぅ………あっあ……ゃ…」
熱っぽく、じんわりと痺れるような快感と軽い痛みに圓は耐えかね
無意識に天斗の頭に縋りついていた。
結果それは、自らの胸元に彼をより一層埋もれさせただけで
唇で少しばかり強く先端を啄ばまれ、がくがくと躰を震わせる事になった。
500天斗×圓:2006/06/10(土) 01:55:04 ID:WICtY6X0
「ひっ…!?」
背面に生じた感触に彼女は仰け反り
天斗の目前にある乳房を大きく揺らした。
振り返ると、圓の腰を支えていた筈の右手が
尻よりすぐ下に添えられている。
「こ…こらっ!そこは駄目だと云うたであろうが…!」
「勘違いすんなよ。オレは足に触ってるだけだ」
眉を吊り上げ抗議をしたものの、しれっと返されてしまった。
確かに、足だといわれれば、それまでなのだが…。
口を開きかけた彼女を無視し、彼はまた胸元に顔を埋め
足の付け根辺りにある右手も離そうとはしない。
彼女は一瞬、このまま首を絞めてやりたい衝動に駆られた。

胸への蹂躙は快楽と共にじれったさも募らせ
圓はまたひとつ、荒っぽく息をはいた。
直接的な胸元よりも、些細なこちらに彼女の神経は尖っていた。
「んぅ…っ」
内側がぴりぴりと熱い。
腰を揺らめかせてしまいたくなるのを必死で押さえつけるが
「ふああっ!!」
突然の甘やかな衝撃に、圓の脳裏は白く惚けた。
ぎゅっと篭められた指先に、天斗の髪が絡む。
「ああ、わるいわるい…」
言葉とは正反対の悪びれない声が彼女の耳に届く。
声以上に悪びれない指先が、秘裂の表面を
撫でるか撫でないかのあたりで蠢いたのだった。
501天斗×圓:2006/06/10(土) 01:56:04 ID:WICtY6X0
「………やめて…」
天斗の首にしがみついたまま、圓は弱々しく呟いた。
「ほんとう…に…。どうか……後生じゃから……」
「…お前の懸念がなんなのか、オレにはわからんが…」
密着した彼女の躰は火照り震え、囁かれる拒絶の言葉とは
とても結びつかないように感じられた。
それでも彼は、一つ息をはくと、小刻みに振動する脚から手を離し
彼女の背を優しく勇気付けるかのように叩いた。
「オレは、さっきも云った通り…圓の全部に触れたい。
だから…聞かせてくれよ。何がそんなに苦しいんだ?」

圓の内なる部分が、きゅうと熱く締め付けられた。
普段は人を食った言動の天斗が零した、素直な願いに
目の前がくらつく程に感じ入ってしまった。
根は純粋で、真っ直ぐに出来ている彼女は
これ以上の隠し立ては無理だと、観念するしかなかった。

「……変な所を……知られたくなかった……」
「変?」
天斗が話すと息が胸元にかかり、圓は身じろいだ。
彼の頭を抱えていれば顔を突き合わせなくて済むが
このままでは話し辛いのも確かで、仕方なく少し身を離す。
「躰が…な」
「?…別に…これといっておかしな所など…」
無遠慮に彼女の裸体を凝視し始める。
そんな視線を受け、圓は頬を染めながら中空を仰ぎ見た。
502天斗×圓:2006/06/10(土) 01:57:03 ID:WICtY6X0
「……外面はどうだか知らぬ。…そうでは、のうて…」
ぽかりと浮かんだ青白い月が、じんわりと滲む。
「得体の知れん…病で」
すると突然、ぴたんと勢いよく額に何かが張り付き
彼女は面食らって体を硬直させたが
さほどかからず「いや、熱はないぞ…」と呻いた。

額につけていた掌を離しても、天斗の表情は険しいものだった。
圓は重い溜息をつく。思った通り、心配をかけた事に重責を感じる。
「……熱があるとしたら…こちらじゃ…」
決定的に嫌われるのを覚悟しながら、秘密を暴く。
諦め混じりの自嘲を浮かべ、彼女は自らの下腹部を撫で擦った。
彼の顔を盗み見ると、滅多にない戸惑いの表情。
それを見て、彼女はこっそりと小さく笑い、ぽつりぽつりと続けた。
「何故かは分からぬ…。普段はなんて事ないのに
お前が触れ…ると、なんだか……
少しづつ……このへんが、疼いてきて…」
「………」
「どうしようもないのじゃ…。苦しゅうて…」
彼女の左手が、彼の肩の上でぴくんと揺れた。
今にも、天斗が黙って離れてしまいそうで、恐ろしくてならない。
かといって、自ら抱きつく事も、もう出来はしない。
ただひたすら息を殺して、罪人の如くその時を待った。
503天斗×圓:2006/06/10(土) 01:58:03 ID:WICtY6X0
押し黙った圓を模すように、また天斗も黙っていた。
とりあえず、今のような状況を『青天の霹靂』とか云うんかな、などと
かなりどうでも良いことが脳裏に浮かんでは消えていく。
どのような告白がなされても
受け止めようと腹を括ってはいたが…。
最早、安堵していいのか、興奮していいのか、よく分からなかった。

とりあえず頭を掻き、軽く呼吸を整え
愁眉を曇らす圓に向け、至極優しい口調で問い掛けた。
「えぇ…と。…他になんか、体調が悪いとこは…無いんだな?」
彼女は俯き加減のまま少しばかり考え、首を縦に振る。
その点に関しては、天斗もひとまず胸を撫で下ろした。
しっとりとした躰を微かに震わせる彼女をしみじみ見詰めると
ただただ無垢な為に、今まで独り苦しんで来たのだとわかる。
それを想うと……
「かわいいな」
つい、率直な気持ちが口から漏れてしまった。

「…な…何をのんきな事を云っておるのだ…!?」
顔を上げた圓は、非難めいた口調を隠しはしなかった。
「お前にはわからぬであろうが、本当に辛いのじゃぞ…。
…前…にも、どうしても、くるしい時があって…
………仕方なく……ここに……」
彼女の指先が、へそより下へ、そろそろと落ちていく。
天斗の目線も同じく下がる。唾液を飲み込むのを何とか我慢した。
「な、治るかと思ったのじゃ!…だから仕方なく…
……指を中に……いれてみたら……
なん……なんだか妙に熱くてぬるぬるぐねぐねして…!」
圓の顔はどこまでも真剣で、悲痛だった。
504天斗×圓:2006/06/10(土) 01:59:04 ID:WICtY6X0
「すまぬ……このような…、気持ちの悪い事……
云えなくて、ずっと黙ってて……嘘ついて……」
ぽそり、ぽそりと、ひどく悲しく弱々しい声。
自分を落ち着かせる為に黙り込んでいた天斗は
その声にいささか驚き、顔を上げた。
「約束の一つも、叶えてやれなくて……。
せっかく、一緒にいてくれるって…云ってくれたのに…な。
……本当に…ごめん…。……ごめんなさい」
今にもまた、大きな瞳は雫を零さんばかりに揺らめく。
彼はその目を直視できず、早口で呟きつつ行動に出た。
「馬鹿。変なことであやまんな…っと」
「!?」
あっという間も無く、彼女は湯の流れる岩場に倒され
驚き身を捩るが、温かな岩と天斗の熱い躰に挟み込まれた。
彼の腕があったお陰で痛みこそ無かったが、身動きが取れない。
「ちょっ…と……。お前、人の話を聞いておったのか!?」
「聞いてたさ。けど…」
組み敷かれた彼女の躰がびくんと揺れた。
天斗の太い中指が、圓の陰口を軽く撫であげる。
「……何であろうとオレはお前を諦める気はねぇよ。
本当に病かどうか、診てやるから大人しくしてな」

――ま、オレは医者じゃないから詳しい事は知らんけどさ。
当然ながら、その事を天斗は口にしなかった。
505一五九 ◆D6Cu12peXM :2006/06/10(土) 02:00:04 ID:WICtY6X0
続きますorz
506名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 02:17:22 ID:wvMOj/Oy
工エエェェ(´д`)ェェエエ工工
続くって、ちょっ…えええええええ?

早く続きを読まないと俺の病気もひどくなりそうです_ト ̄|○
507名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 03:40:53 ID:zkLZ2UNM
Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)え? ちょ!?
( ´゚д゚`)えーーー!?
ゴッド生殺し……il||li ○| ̄|_ il||l
508名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 07:15:38 ID:cFOWkMJZ
うおおおおおおおおおおおおおお
いい!すごくいいです!
続きをいつまでも楽しみにしてます
焦らずにかけるときにかいてくださいね
509名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 14:00:41 ID:zAadBoPK
乙です〜

おっぱい!おっぱい!!(AA略
510名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 14:11:11 ID:Vs8AKkWO
次回は、お医者さんごっこ編ですね(違
511名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 21:25:02 ID:pOmXw4vl
園の胸って揉めるほどあったっけw?どっちかっていうとひんぬーだと思っt



うわ窓に佐助の亡霊g
512名無しさん@ピンキー:2006/06/12(月) 18:11:52 ID:9lO2c5FS
待ってました。待ってた甲斐がありました。
前戯だけでこれほどまで読ませる(持たせるw)のがスゴす。ハゲシク萌えますた。
自分ならココ(濡れ場)まで来ればガンガンとばしまくるんだがw
すみずみまで気を配って書いておられるのが伺えます・・・一五九さんらしい。

お忙しいとのことですが読者生殺しの為、なるたけ早期のご再臨をお持ち申し上げておりますw

513373:2006/06/13(火) 21:13:02 ID:E5xiZSzb
ネ申キテタ!!! 再び!!!
ああんもう圓タソカワユス(´д`;)ハァハァ
そして天斗のパパママのお話も読めるかもだなんて!!!
完結編と八雲×詩織のお話を読む日まで生きて行ける気がしましたw

お忙しいとの事ですが、お体に気を付けて頑張って下さい。
いつまでもお待ち申しております。
514名無しさん@ピンキー:2006/06/15(木) 02:08:12 ID:PCD+vlcc
生殺しばん…ざい…  ○| ̄|_

死ぬまで待ってる。ありがとうネ申よ
515名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 13:25:17 ID:XWdyxwXH
>>513
お前は数字コテ入れるほどの存在か?
516名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 03:34:39 ID:ZrzlEN6r
神愛してるー!
絶叫しながら読んでしまいましたw
続きをいつまでも楽しみに待ってます。
517名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 20:54:43 ID:w22MtEGI
ほしゅ
518名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 22:43:17 ID:ipoQldzj
やっぱりネ申すげえ。すごすぎる。
続きを楽しみに待ってます。

ところで雷×ニルチッイのお方はどうしたんだろ。
けっこう気になるんだよな。
519名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 22:16:08 ID:hNdALzlA
今読めた
生殺しマジスゲー
ところで
佐助の薬に丁寧なラベルがついてる=姫様いつだって安心=幸せになっていいんだよ
の流れがよくわからなかったり・・・死んだ後も佐助は
ツブラを見守ってるyoって意味合いでいいのかな?
520名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 22:33:14 ID:t837G5OR
圓は佐助を不幸にした自分が幸せになって良いのかと思ってる。
でも圓の幸せこそ佐助の望むことだから、幸せになることを
後ろめたく思うなってことじゃない?
521名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 00:29:49 ID:HUlZF3hS
ほうほう
なるほそ
522名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 14:40:18 ID:Ssx+zkFx
解りやすく言うと

佐助の薬には、それぞれ薬のの入れ物に何の薬、何の薬って書いてなかったんだよ。
そして多分佐助は御前試合で自分は死ぬかもしれないと覚悟して、
あとあと圓が佐助の薬入れの薬を使うとき困らないように
試合に臨む前に、入れ物に薬の名前を彫ってやっていた、ってこと。

「それ」に圓は気付いてなかったが天斗は気付いてたので
あの場面で圓に教えたんだよ、佐助がお前の幸せを願っているぞ、と意訳も含めてね。
佐助の愛に涙した場面ですた。
523名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 20:40:32 ID:tAc+cTfg
パラダイス学園の続き読みたいな〜。
524名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 23:29:43 ID:HUlZF3hS
ああだからわざわざ「古い瓶に新しいラベル」を強調していたんね
ありがとう色々と
525名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 11:48:31 ID:BEQOIyww
一五九さんって普通にそっち系(小説とか)の仕事で食っていけるよなぁ
526名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 19:32:49 ID:eJ6pV+mZ
いくら好きでも、俺はそこまで持ち上げらんね。
527名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 01:08:07 ID:uAOuI5OL
そうか?普通に、下手な小説家の書いたヤツよりもおもしろいと思うけど
528名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 01:44:26 ID:Oy1KyS32
そういや刻の小説が出てr
529名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 16:54:50 ID:xfeWRPQw
まてそれは禁句だ
530名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 16:59:31 ID:t5yoZvj6
なんで禁句?読んだことないんだが。
531名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 20:27:45 ID:ZMJWxz6e
その小説書いた人のより一五九さんの方がうm(ry
532名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 22:12:18 ID:c3G82721
というか、在野のSS作家さんに比べて、刻の小説の水準が(ry
特に心理描写に(ry
533名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 00:40:06 ID:E6xUBhdV
パラ学の話と小説刻の話は禁k
534名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 09:06:39 ID:GLEh0hKC
さすがに>>525は言いすぎだが>>531には同意する
535名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 19:39:09 ID:51ILNInZ
商業作家やるなら、要求された内容を納期に間に合わせて書く、というのが大前提だもんな。
自分の好きで書きたいモノを好きなペースで好きな場所に発表すんのが同人とかのアマ活動であって。

>>533
パラ学の話はバンバンやるんでヨロシク。
536名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 14:46:17 ID:o/BJIAYX
ギコナビ更新してやっと書き込めた。

一五九さん、萌えをありがとうございます。
次回はお医者さんごっこ編ですね。楽しみにしております。
537名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 11:03:55 ID:91q72yCH
あげ
538名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 11:46:55 ID:W2id5Lxu
ネットはたまに「プロより上手いんじゃないか」っていう人がいるから面白いな
以前そう思ってた人が本当にプロになったときは驚いた
539名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 20:24:58 ID:IOcYuuYe
あれ?鯖移動した?
540名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 22:15:52 ID:0f/OMGab
俺もログが全部消えたんだよな…
541名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 00:59:49 ID:BFuIKjZC
ああああ前スレのログがないいいいい
ガッデム!
542名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:15:44 ID:GUHdhWZh
悲しみの保守age
ニィ
543名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 23:30:08 ID:nYmywr5O
一五九氏期待age
544名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 00:29:08 ID:K3gsorpM
とにもかくにも続きプリーズ!
545:名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 15:19:51 ID:K3FrwTJe
ほーっしゅ

ニィ
546名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 21:55:22 ID:lmur4P1k
再び一五九氏期待age
547一五九 ◆D6Cu12peXM :2006/08/08(火) 01:08:41 ID:JCyoSYcw
ごっ…ごめんなさい。近々ウプれそうな感じなので
ageはご勘弁くださいませお代官様…。
夏休みなんで少し心配なのです。
548名無しさん@ピンキー:2006/08/09(水) 00:44:01 ID:qz0+Pvjk
気合が足りねえよ。
549名無しさん@ピンキー:2006/08/09(水) 00:57:32 ID:4CBfESoH
夏休みなんで心配って何のことだろう
550名無しさん@ピンキー:2006/08/09(水) 02:33:11 ID:Wvf2Vgl0
近々楽しみにまってます!

>549
荒れないかってことじゃないか。
551名無しさん@ピンキー:2006/08/10(木) 00:10:31 ID:TqI/sldm
一五九は教師なんだよ
生徒にばれるのが怖いんだよ
552名無しさん@ピンキー:2006/08/10(木) 23:24:38 ID:Zco8uLtr
>>551
冗談はよせ。彼は神ですよw
553名無しさん@ピンキー:2006/08/12(土) 02:07:28 ID:oXy7Icbb
nixi
554一五九 ◆D6Cu12peXM :2006/08/13(日) 22:22:11 ID:8ZVqbblX
天斗×圓を書き終えました。
長くなってしまったこと、待たせてしまったこと
圓さんのオパイはせいぜいBカップ少?とか思いつつ
表記ミスで妙に巨乳っぽくなってしまった件など
まとめてお詫びいたします。すみませんでした。

応援レス、とても嬉しかったです。ありがd
555天斗×圓:2006/08/13(日) 22:23:08 ID:8ZVqbblX
「ま、待っ………ん…ぅ…!」
動揺を含んだ言葉は、天斗の唇に押さえつけられ
喉奥で、きゅうと息が鳴るのを圓は聞いた。
下腹部に不自然な力が入り、両太腿がきつく閉じられる。
『大人しくしていろ』といわれ『はいそうですか』と
簡単に聞き入れられるものではない。
押し倒されて不自由な中、彼女は精一杯の抵抗を見せた。

それでも両脚に挟み込んだ彼の手は、退く事なくその場にあった。
無骨な指先が秘裂の表面を突付くと
彼女は過敏にびくつき、その弾みで両足が浮き上がる。
「ふぁ!ああ、ぁっ…」
その動きは偶然であったが、彼の指を誘うように割れ目を擦りつけ
湯とは違う、ぬるりとした感触を伝えた。
天斗の口角が微かに上がる。圓がそれに気づく事はなかった。

「…いやっ…もう厭、じゃ…。さわ、触るでない…!」
口端から垂れる唾液に構わず、彼女は何度も首を振った。
一つに纏められた髪が、岩の上でぴたんと跳ね、飛沫を散らす。
浅瀬に打ち上げられた川魚のような動きだった。
「……も…許し…て…」
手で目元を隠した圓の哀願は、語尾の震えから本心であると知れたが
あえて天斗はゆっくりと指を折り、彼女が息を呑む様を眺めた。
「許すもなにも…」
蜜の滲む秘唇をさすると、声を潜めつつも、ぴくぴくと肩を揺らす。
そんな姿を見おろしながら、彼は平然と二の句を継いだ。
「オレは病の見立てをしてるだけだぜ…。
お前はこのまま、訳のわからん状態で平気なのか?」
「…そ…れは…。…んっ…」
556天斗×圓:2006/08/13(日) 22:24:04 ID:8ZVqbblX
自戒と悦楽の間で揺れる瞳を、指の間から圓は覗かせた。
濡れた金茶は、艶かしく彼を捕らえる。
その瞳は、進退窮まったこの状況を
打破する詭弁を欲しがっているようにも見えた。
「……正式ではないにしろ……オレ達はもう…夫婦だろ?
隠し立てして、何か得になるとも思えねぇんだけどな」

嘘ではない。本心からの言葉だが…
自分がいうと、なんと嘘臭いことだろうか。
――天斗はしみじみと、己自身に呆れた。
しかし、恥ずかしげに目を伏せ、小さく頷いた圓を目にして
結果が良ければそれで良し、と…彼は納得することにした。


つま先を立てた両脚が、そろりそろりと開いていく。
じわじわとして熱ぼったい、奇怪な痺れの走る秘所に
ひやりとした夜気が流れ込んでくる。
彼女は唇をかみ締め、縮こまるように顔を隠した。
「…っく」
人差し指で秘裂が開かれ、ごつい中指の先が
ほんの少し体内に埋まると、ぴりりとした痛みが走る。
圓は微かに眉をひそめた。
「もっと奥に…触るからな」
天斗の宣言に対し返答は無く
かわりに彼の胸板に、額をぶつけるようにして頷いた。
557天斗×圓:2006/08/13(日) 22:25:06 ID:8ZVqbblX
膣口を二度、三度と撫で、愛液を絡めた指先に
少しづつ力が入り、埋め込まれていく。
異物感に圓の顔が歪むが、それでもまだ、痛みは我慢できた。
痛覚は分かりやすい。
ゆるりと息を吐き、やり過ごす様を彼女は知っている。
「んっ…んくっ…ぁ…」
それより他の形容しがたい感覚のほうが、よほど辛かった。

「はっ…ぁ…。……ど、どう…なんだ…?」
耐え切れず、圓はうわごとのように問うた。
「焦るなよ。そうすぐにゃ分からんて」
「……そ…か…。…すまぬ…」
「何を謝ってんだか」
天斗はなにやら妙に可笑しそうではあったが
彼女にそれを咎める余裕など無かった。
早くこの触診が終わる事だけを願い、祈っている。
しかし、そんなささやかな望みも、遅々として叶えられずにいた。

そんな状態を、より一層思い知らせるかのように
いつもより低い彼の声が、耳元で囁いた。
「指一本でも窮屈で…なかなか奥まで入らないんだ」
意図せずに、彼女の肩がぴくりと揺れた。
「けど…圓が云った通り、お前の中って熱くて柔らかいんだな…」
「っ!!」
先ほどよりも大きく、彼女は動揺を示した。
影の落ちた表情は伺えないが、赤く染まった耳が恥辱を物語る。
「確かに、ぬるついて……なんでこんな濡れてんだろうな?」
「――ば…馬鹿ぁーっ!!」
ついには半泣きの顔をあげ、この上なく情けない声で抗議した。
558天斗×圓:2006/08/13(日) 22:26:10 ID:8ZVqbblX
「そんな…そのような説明…。い、いちいちせずともよいっ!」
「ん…『どうなんだ?』って聞かれたからなぁ」
「…お、お前って奴は、ほんとに…っ……あ、くぅ…っ!?」
やはり彼女の立場は圧倒的に弱く、文句を言い切る間もなかった。

へその辺りを内側から擦られた躰が、震えながら仰け反った。
「ふぅっ…、あぅ、んぅ…ん……っ」
「ほら、こんな深くまで来たぜ」
ざらつく肉壁を天斗の指が掻くように動く。
「ひっ…あっ!……いっ、いや…いやぁ」
圓の意思とは関係なく、彼女の腰が大きく揺らめいた。
さらりとしていた液体が、次第に粘度を高め
潤う膣内から、ゆっくりと指を引き抜かれる。
そしてまた奥深くまで挿入が、幾度か繰り返され
探るように円を描き、少しづつ狭道がほぐされていく。
ぬちゃりと淫猥な音がしたが、温泉の水音はそれをかき消した。
彼女にとっては小さな幸運だといえた。

「っ……ああぁっ!あ、も…ぉ、やめっ…」
「…そうだな」
悦楽と怯えの混じる声が聞き届けられたのか
彼女の秘所から唐突に指が引き抜かれた。
「あ…」
唾液の垂れ落ちる口で荒く息をつき、呆然とした圓は
はたと我に返り、慌てて脚を強く閉じた。
安堵しながらも、躰の奥が熱を孕んで痺れ続けるのを感じ
彼女の太腿はもぞもぞと落ち着きなく動いていた。
559天斗×圓:2006/08/13(日) 22:28:04 ID:8ZVqbblX
薄ぼやけた瞳に、べったりと濡れた天斗の指先が映り
慌てて視線を逸らしながら、圓はぶっきらぼうに聞いた。
「…それで?……どうだったんだよ…」
「ああ。正直よく分からんかった」
「はぁ!?」
彼女はぎょっとして、指先でねとつく液体を弄ぶ彼に鋭い目を向けた。
「分からんて…分からぬとはどう云う事じゃ!?」
できれば躰を起こして食って掛かりたいところだったが
未だ微妙な力加減で押さえられ、仰向けに倒されたままだった。
あまりの事で、うまく言葉も出てこない。
「な、なん、なんで…っ」
「やはり触るだけではなぁ……」
彼の零した、何気ない一言。
それがとてつもなく不吉な呟きなのだと勘付いたのは
天斗が素早く行動に出たのと同時だった。
両脚のふくらはぎを掴み、遠慮なく上まで押し上げると
腰がくの字に曲がり、膝は岩に着いて小さな飛沫をあげた。
仰向けに寝たままだった圓は、すぐ目の前に
しっとりと濡れそぼる、自らの性器を見ることになった。


股の間から覗く顔は、思考が停止しているらしく
目を見開き動かずにいる。
しかし、卑猥な体勢に驚いてはいても、苦しんではいない。
本当に柔らかい躰をしているのだな…と、天斗は妙に感心した。
560天斗×圓:2006/08/13(日) 22:29:05 ID:8ZVqbblX
両脚の付け根に目を転じると、ぱっくりと秘肉が開き
露を湛えた桃色を曝け出している。
動かない上半身の代わりか、菊座がきゅうと締められた。
とはいえ、月明かりと弱い焚き火に照らされた秘所は、濃い影も落ち
あまりはっきり堪能できるものではなく、少しばかり彼を落胆させた。
そして突然、そのすべてが覆い隠されたのだった。

「おい……隠すな」
平素と変わらない声で言いながら、眼下を覗き込んだ天斗を
正気に戻った圓は果敢にも、その体勢から怒鳴りつけた。
「ふざけんなっ!……は、離せ!早う離さぬかっ!!」
口調こそ威勢良いが、膝裏を押さえられ
屈辱的な姿を崩すことは許されていない。
何とか抵抗しようと脚をばたつかせたが、踵が天斗の肩に当たり
彼に少しばかり『邪魔だな』と言いたげな顔をさせただけだった。
「お前こそ、早く手をどけろよ」
「……いやじゃ!!」
悪びれない相手に、彼女の態度はますます硬化した。

とはいえ、掌の下にある秘裂はむずむずと痺れ
気を抜くと覆い隠す為の手を、擦り付けそうになる。
なんとか唇を噛み、耐え忍ぶ。
それらは表情に浮き出ているのだろう
見おろす天斗は薄い笑みを浮かべていた。
こんな間近で何もかもを覗かれて
どうなるのかも分からず、圓は震えた。
561天斗×圓:2006/08/13(日) 22:30:06 ID:8ZVqbblX
更に悪いことに、あの、河原での夜――
敵の手に落ちることとなった、あの嘲りの言葉が蘇り
彼女は一瞬、ひどく顔をしかめて首を振った。
決して誰にも明かせない…目前の男にこそ知られたくない痛い思い出。
そんなものに胸を締め付けられ
いたたまれず消え去ってしまいたいと彼女は思った。

ふと右足から重圧が消え、天斗の手が、圓の手に重なる。
「云われた通り、離したぜ。…代わりに」
細い指を上から押さえると、肉襞の中に沈み
その上、彼は何の躊躇もなく膣口を押し広げさせた。
「自分で広げておけよ。ちゃんと奥まで見えるように…」
彼女にも、ぬちゃりと粘こい音が聞こえ
細い指が蜜の滴る襞の中、ぬらりと滑るのを感じた。
「………いや…っ!!」
瞬間、押さえつける手を払いのけ、彼女は顔を覆い隠した。
ただ単に、それしか自らを守る方法が無かったからだ。


非情だとは知りつつも、それ以上に膨れた劣情を押さえられない。
それに、ここで心を鬼にして行動しなければ、なにも変わらぬだろう。
天斗はそんな言い訳じみた思いを抱えながら
彼女の大切なところを触れる手だけは慎重に、進めていった。
562天斗×圓:2006/08/13(日) 22:31:13 ID:8ZVqbblX
入り口を指の腹で擦れば、ちゅぷちゅぷと濡れた音をたてた。
開いた膣口は暖かく惚けているが、再度ゆっくり指を埋め込むと
中は相変わらずきつく、抜き出すときに苦労をさせられた。
内部の一つ一つが彼の指を引き込むようにさんざめく。
「く……ぅ……」
顔を覆った両手越しに、くぐもった声がした。
彼女は今になっても歯を食いしばり、声を殺しているようだ。
『ふぅ…ん。それなら……』
彼は濡れそぼる秘裂から、今まであえて触れずにいた場所…
薄皮から頼りなさげに覗いている、雛尖に目を移した。


「ひぅ…!……ぃ…」
脳天まで突き抜けるような強い感覚に圓は仰け反り
乳房に浮いた汗が首まで滑り落ちていった。
これまで躰深くの熱にばかり注視していた彼女には
想像外の衝撃であった。しかし、思い出すこともあった。
あの、小高い丘の修行場で起こった、似たような感覚を…。
「あくっ……ひあ、ああんっ!!」
ねっとりと熱いものが、恥ずかしい場所の形をなぞり
考え終わる前に、彼女はたまらず目を見開いた。
563天斗×圓:2006/08/13(日) 22:32:05 ID:8ZVqbblX
思いもよらない近さで、天斗と圓の視線が合った。
火照った顔の熱が伝わる指の間から見たものは
彼女の秘肉に口唇を割り入れている彼の姿。
赤い舌が、どろりと糸を引く。
その様はまるで……

「あ、あ、……く……」
……喰われ……てる……?

熟した果実の汁を舐め啜っているようで。
そんな不躾な行為が、生々しくも自らに為されていた。

「い、いやぁ!!な…ん…っ!やぁぁ、や…ああぁぅぅっ!」
無意識に天斗の総髪を引っ掴む。
ただでさえぼさぼさな彼の髪は跳ね、乱れていった。
しかし、そんなことは構いもせず、舌での行為は続けられ
持ち上がった尻を伝ってたらたらと、愛液交じりの唾液が流れ落ちた。
「んあ、あっ!あっ、そんな、止め……あ、あぁぁーっ!」
陰核を覆う皮の上から軽く押さえ、溝に沿って舌を幾度か擦りつける。
さほど強い刺激は与えられてはいないが、快楽慣れしていない身は
壊れたように痙攣し、彼女は恐れとも享楽ともつかない声を上げていた。
つるりとすべらかな花芯は、こりこりと硬さを増す。
雌の匂いを有した露はあふれかえり、彼が下品な音をたてて啜ると
また一層、意味を成さない声をあげ、媚態を晒すのだった。
564天斗×圓:2006/08/13(日) 22:33:04 ID:8ZVqbblX
打てば響くような反応に天斗は悦び、湧き出る蜜をいつまでも
味わっていたい欲望に囚われ、擦りつける舌は徐々に無遠慮になっていく。
舌先を内部に差し込み、上唇で尖りを摩擦すると
逃れたいのか、欲しているのか、彼女の腰がびくびくと震え
つられるように強く肉芽に吸い付いた。
「………ぃ…あ…っ、……あぁぁああんんっ――!!」
押さえつけた小さな躰が跳ね、全身ひきつけたように突っ張った。

脱力しきって、ただ喘ぐように空気を求めていた圓は
幾度かの呼吸のすえ、躰が平素の状態に戻るのを感じた。
腕に力を入れると、泥でも被っているかのように重い。
それでも上半身をのろのろと起き上がらせ
少しばかり猫背気味に、はぁ、と大きくため息をつく。
上目遣いで目前の天斗を伺うと
先ほど乱された髪を大雑把にかき上げていた。
……彼のそういう仕草は嫌いじゃないと、彼女は思った。


「…病は…?」
独り言みたく圓が呟く。それを聞き、天斗は少しばかり動揺した。
実のところ、そんな事など忘れ去って行為に没頭していた。
そうとは悟られないよう、あえてそっけない口調を選ぶ。
「……まぁ、オレは問題ないと思ったが」
なんとも、都合のいい返答だった。
彼女はそれでも、一呼吸を置いて彼を伺い
やがてかくりと力を抜くと、胸に詰まったもの全てを出すように
大きく大きく、息をはき出した。
「……ああ、…やはり……そう、か…」
565天斗×圓:2006/08/13(日) 22:34:04 ID:8ZVqbblX
何かを確信した彼女の口調に、彼は疑問をはさんだ。
「やはり…って、何だよ?」
彼女は目を丸くし、暫し彼の顔を見詰めていたが
ばつが悪げに眉をひそめ、蚊の鳴くような声でいった。
「だって……問題ない、から……舐めたんだろ…?」
彼女に習うように目を丸くしている彼を見上げて
顔を真っ赤に染め上げながら、もごもごと続けた。
「病気じゃないって…知らしめたんだろ?……お前のことだから。
…別に、そこまでせずとも、よかったのに…」
そういいつつも、今まで見せたことの無い
溶けるような安堵の笑みが浮かぶ。
「でも…うん。ほんとにさっきより……楽になったから…」

どうやら彼女の中で、良いほうに転じてくれたらしい。
いかな罵詈雑言が待ち受けているのかと、身構えていた天斗は
微笑む圓の姿に毒気を抜かれる思いがした。
思わず上気した頬をごまかす為、目を逸らしながら頭を無造作に掻く。
せっかく整えた髪はまた、あちこちに跳ねた。


いつの日にか、圓もこの行為の意味合いを知る時が来るだろう。
その時はきっと、殴りかかって来るだろうが
甘んじて受けてやらなきゃなぁ…と、彼はしみじみ思った。
「う…」
自分と彼女の性根の違いに、ぼんやりと考えを巡らせていた天斗は
唐突に生じた柔らかな感触に目を細めた。
「……何、してんだよ」
「何っ…て……」
566天斗×圓:2006/08/13(日) 22:35:04 ID:8ZVqbblX
先ほどから痛いほどに起ち上がっている雄芯を
彼女はしげしげと眺め、右手で軽く握り締めていた。
細くしなやかな指と、剣を握る事で作られた肉刺。
一つの小さな手に異なる感触…。彼は息を整えた。

「先程から気になって……つい…」
言い訳交じりの言葉を発しながらも、彼女は手を離そうとはしない。
興味津々といった具合だ。
長く思い煩っていたことが解消され、本来の
探究心旺盛な性格が顔を出したのだろう。
行為に反して無邪気な圓を、余裕ぶって天斗はからかった。
「お前、男の裸は初めて見るのかよ」
「べ…別に……初めてって訳じゃないぞ。共同風呂とかで…さ。
で、でも、こんなじゃなかった!ほんとはお前が病気とか!?」
「違う」
「…分かっておるわ。云ってみただけじゃ」


掌に、彼の熱が伝わってくる。
芯は硬い、しかし表面は確かに肉感がある。
得体の知れないこれが、ますます分からなくなってきた。
「なんなのじゃ、これは…。……中は骨…なのか?」
「違うって。……それより、いつまで握ってるつもりだ?」
「あ…これは、その」
指摘され、頬を染めた圓はあわてて一歩身を引こうとしたが
逆に手をつかまれ、きょとんとした顔を天斗に向けた。
「握るだけじゃなくて…色々と触ってみろよ」
手の中にある熱いものと同じく、熱を帯びた声が耳元で囁く。
彼女は、黙ったまま一つ頷いた。
567天斗×圓:2006/08/13(日) 22:36:04 ID:8ZVqbblX
恐る恐る先端部分を撫でてみると、棒状の部分とはまた違い
すべすべとして、そして何かが滲み出ていた。
人差し指の腹でそれに触れ、くにくにと捏ねてみた。
ぬるりとした感触が指先に伝わる。
「……くっ…」
ぴくりと天斗の肩が揺れ、つられた圓もびくりと震えた。
「あ、い、痛かったか?」
「…いや……。オレに構わんでいいから、続けろよ…」

――構うなといわれても、困るのだが…。
戸惑いを顔に浮かばせつつ、彼女はまた慎重に、彼の躰に触れた。
反応を見る限り、自分と同じく感覚があるのは間違いない。
そう思うと、彼女の胸は奇妙に高鳴った。
局部に顔を近づける為に上半身を前のめりに倒すと
先程まで弄くられていた秘所が、ちくりと痛んだ。
乱暴にはされていないが、やはり指で開かれた場所は多少痛む。


「……!」
今までよりもずっと熱く、ぬめつくものが纏わりつく。
天斗は硬直し、声を抑えて目線を落とした。
ぷにぷにとした紅い唇と舌が、そそり起つものに触れていた。
「お、まえ……。そこまで無理しなくとも……」
口を離すことなく、上目でちらりと彼を見た圓は
首を横に振ることで、嫌々ではないと意思を示した。
ゆっくりと先端を咥えた彼女の口が、微かに動く。

……一方的に喰われるだけなのも……厭。
その言葉は、彼に伝わりはしなかった。
568天斗×圓:2006/08/13(日) 22:37:04 ID:8ZVqbblX
当然のことながら、彼女の舌戯は拙いものだった。
鈴口を突っつき、筋の浮き出た竿を舐め上げるのも
ざらつく裏筋を擦り、吸い付くのも中途半端だ。
その動きはどことなく怪我に唾液をつけるのに似ている。
それでも、意地っ張りで気位の高い圓が跪き
熱い吐息を漏らしながら、男根に口付けを落とす様だけで
今にも達してしまうかと思えた。

「……ふ…ぅ……」
つと、苦しげに息をはき、彼女が口を離した。
唾液がべっとりとついた陰茎を、ゆっくり擦りながら
彼の顔を直視せず「…どう、なのじゃ…?」と問いかけた。
「そりゃ……さっきまでのお前と同じかな」
「…気持ちいい…のか…?」
困ったような表情を浮かべ
控えめに囁かれた言葉に対し、天斗はニィと笑う。
「へぇ。お前も気持ちよかったか」
彼の躰に触れる手をぴたと止め、無神経な物言いに彼女はむくれた。
そのまま何もいわず、また昂りに口をつけ……
「…うおっ!?」
思わず、滅多にない焦りを見せ、天斗は顔をゆがめた。
先端をかなりの力で締め上げられたのだった。
お仕置きのつもりらしい。見上げる圓のじっとりとした目線が
『噛みつかれなかっただけましと思え』と告げている。
苦笑を浮かべた彼は、機嫌を取るように彼女の頭を軽く撫でた。
569天斗×圓:2006/08/13(日) 22:38:06 ID:8ZVqbblX
「ん…っふ……」
目を瞑り、舌を滑らせていた圓の躰が震えた。
頭に触れていた天斗の手が、いつの間にか乳房に移動している。
膨らみを下から掬いあげるようにやわやわと揉まれ
羞恥に顔を染めた彼女は身じろぎ、背を丸めた。
何より、気付かないほど夢中でしゃぶっていた事に照れていた。
「あっ…ぁ…。…ばか…やめて……」
乳首を摘まれ、悪戯小僧を軽くにらみつけた。
「こ…ら…。そのように、ちょっかいを…出されては…」
「いいだろ……お前の声が聞きたいんだよ」
圓はどくりと心臓が高鳴る音を聞き、あわてて下を向いた。
先程から、触れられるたびに出てしまう、普段と違う甲高い声。
それも天斗は悦んでいたのだと知り、彼女は密かに安堵した。

しかし、そうなると……
「……触られると、天斗に…できない」
感じてしまうとそちらに気が行き、集中できなくなる。
もじもじと遠まわしに、圓はそう訴えた。
「そうか…。…じゃあ口はまた今度だな」
「え?…それっ…て…」
疑問の答えを明かすことなく、天斗は腰から彼女の顔を離し
かわりにその身を両腕でしっかりと抱き寄せた。
圓もまた彼の首に、ゆるりと腕を回して抱きしめながらも
その顔は拗ねきって、への字口だった。
「……どぉーせオレは…下手くそだよ」
「おいおい、怒んなよ。そういう訳じゃないって…」
570天斗×圓:2006/08/13(日) 22:39:06 ID:8ZVqbblX
躰が後ろに傾き、彼女は驚いて尚一層強くしがみついた。
ゆっくりと倒された先には、暖かな岩と湯。
また先程のように仰向けに寝かされたのだった。
野宿に慣れている彼女には、岩の褥も苦ではなく
髪と髪の間、躰の些細な隙間を抜けていく流泉は
心地良く肌を撫でている。
「……ぅ…ん…っ」
先程と違うのは、彼が股の間に居ること。
硬く熱いもので膣口を擦られ、彼女は呻いた。
「これなら……声も聞けて顔も見える」
戸惑う彼女をじっと見詰め、彼が熱っぽく言う。


――実際、口でされるのも悪くはなかった。
あのまま続けて、顔や髪が白濁に汚れた圓を見るのも良かっただろう。
しかし、やはり…最初は、いちばん奥にぶちまけてやりたい。
どうしてもその欲望は捨てられないでいる。
『…やはり……変な拘りがあんのかね、オレは……』
天斗は少し思い返して、心の中で苦笑した。


顔を少し上げ、触れ合う互いの秘所を圓は見た。
ごつごつとした怒張に怯えを滲ませ、こくりと唾液を飲み込む。
「……それ…を、中に…?」
「なんだ、察しがいいじゃないか」
あっさりした口調でいうと、天斗はにこやかに笑う。
悪意のない笑顔が逆におっかなく見えた。
571天斗×圓:2006/08/13(日) 22:40:05 ID:8ZVqbblX
「…ここまでされたら、流石に……わかる…」
そこまで鈍くはないといいたげに、愛想無く答える。
しかし彼女はそれ以上、何もいう事はなかった。
静かに横たわった躰から、ゆるゆると
湯に流していくかのように、力が抜けていった。

「圓…」
名を呼んでみても彼女は目を瞑り、小さく頷くだけ。
腹を据えたのか、諦めなのか…何の抵抗もする気はないらしい。
太腿を掴むと微かな震えが伝わってくる。
それを二度、三度と撫で、気休めの安堵を与えた。

躰をずらすと、秘裂に挟まれた亀頭がぬるりと滑り
肩に置かれた彼女の手に力が入る。
入り口はねっとりと熱く濡れ、そして小さい。
片手で襞を開き、一呼吸おいて、ことさらゆっくりと挿入する。
「―――っ!!」
ほとんど触れられていない未発達な膣内に
彼の怒張はあまりにも大きく、酷なものだった。
今まで味わったことのない圧迫に、躰が引き裂かれるようで
彼女は喉まで出かかった悲鳴を必死で押さえ込んだ。
細い指先が、天斗の盛り上がった背を引っ掻く。
「…痛いんなら…云えよ…」
きつく目を瞑り、震えながらも圓は首を振る。
息は殺せても、次々と零れ落ちる涙が激痛を物語っていた。
そして異物を排除しようと反発する肉壁に
ぎちぎちと締め付けられ、天斗もまた、痛みを感じていた。
互いに苦痛を与えつつも、結合はじわりじわりと深まっていく。
572天斗×圓:2006/08/13(日) 22:41:05 ID:8ZVqbblX
ようやく半分ほど納まったが、彼女が身を捩ると
思いがけない動きで陰茎が捻られ、焦らされることが度々あった。
気を抜くと搾り取られそうになるのを堪え、ゆっくりと息をはく。
「…たか…と…」
いままで頑なまでに黙り込んでいた彼女が、弱々しい声で名を呼ぶ。
霞がかっていた思考がはたと鮮明になり、彼はそちらに意識を向けた。

真っ赤な頬に涙の筋が引かれ
金茶の瞳はゆらゆらと、痛々しく揺れている。
――やはり、ここまでするには無理があったか…。
天斗は自分で驚くほど、身の内が動揺したのが分かった。
「圓…」
「もっと」
「は?」
一瞬何のことかと思い、彼は間の抜けた声を出していた。
「…もっと奥、まで……いれて…」
目を伏せ、痛みと羞恥を押し殺し、それでも彼女はしっかりと告げた。

まじまじと見詰め、ふっ…と天斗の顔に、皮肉げな笑みが浮かんだ。
「そんなぼろぼろ泣いてるくせに…何いってやがる」
「遠慮せずとも…良いのじゃぞ…。…ほら…」
圓はそっと手を伸ばし、まだ埋め込まれていない部分に軽く触れた。
「まだ、こんなに…」
柔らかい指先が、張り詰めたものをやわやわと撫でた。
573天斗×圓:2006/08/13(日) 22:42:17 ID:8ZVqbblX
きつい内側と異なる感触が、何故だか妙に気に障る。
彼は眉をひそめ、願い通りに強く
…ただし、少しだけ奥に、陰茎を押し込んだ。
「うあぁっ!…くぅ…ぅ…」
途端に、彼女の顔が苦痛に歪む。
「…ほらみろ。馬鹿なことをぬかすな」
普段よりもずっと冷酷な声音だと気付き
なにか、いつものようにうまく事が運んでいない…と、自覚をする。
内に滾るものに浮かされているようで、苛立つ彼は舌打ちをした。

「天斗…」
首にしがみついていた彼女の両腕が、ゆっくりと外された。
その代わりとばかりに、両脚がぎゅっと絡みつき、彼の腰を引き寄せた。
しなやかな筋は思いのほか力強く巻きつく。
そして、間髪入れずに上半身を起き上がらせた圓は
結構な勢いそのままに、天斗を突き飛ばしたのだった。


ゆるゆると流れゆく温水を背に、彼はしばらく呆然と見上げていた。
後頭部を岩に激突、などという間抜けたことは流石に無かったが
それでも彼は動けずに、もうもうと立ち上る湯気と
月明かりに仰け反る肢体を浮かばせた、彼女を見上げていた。
腹の上に、水滴と赤い液体が、じくじくと浮かぶ。

先程まで、何も分かっていなかった生娘に…押し倒されてしまった。
574天斗×圓:2006/08/13(日) 22:43:08 ID:8ZVqbblX
張り裂けそうな痛みに躰を震わせながらも、彼女は耐え抜いた。
がくりと力が抜け、ぼたぼたと、彼の胸に雫が落ちる。
口の中に広がる渋味。涙なのか血液か、判別はつかない。

目元をぐいと擦り、何度か瞬きを繰り返し、焦点を合わせる。
上から彼の表情を伺うと
化物に伸し掛かられているような、そんな顔。
可笑しくて、彼女は思わず笑顔を浮かべた。
とはいえ、内膜が裂けた痛みはそう易々と消えるものではなく
引きつって不安げな笑みではあったが。
「……お前は…本当に…」
笑顔につられたのか、呆れを多分に含んだ声が下から聞こえてくる。
それは、なんとも新鮮に感じられた。
「平気じゃ……」
なので、呆れられついでとばかりに、圓は天斗の口を塞ぐ。
上半身を傾け、やわやわと唇を重ね
唾液で濡れた彼の口元を、ちろりと猫のように舐めた。
瞑っていた目を開けたとき、水滴が一つ落ちた。
拭いきれなかった涙が残っていたようだ。
「痛いのは…慣れてる……」

つ…と、彼女の指が彼の額に触れ、表面を掬い取る。
「すごい汗…」そう呟いた。
その指は彼の胸まで下がり、ぴとりと掌をつける。
「…なぁ、知っておったか…?お前の、鼓動……。
いつもなら、どくんどくんと…小憎いほどに落ち着いておるのに」
月光を輪郭に、影が優雅に胸板を撫で
「いまはこんな、早鐘をうって…」
柔らかく、嫣然と、見おろしていた。
「天斗らしゅう…ないなぁ…?」
575天斗×圓:2006/08/13(日) 22:44:07 ID:8ZVqbblX
「…そう…か……」
彼女の腕を撫で、はは…と、彼は掠れた笑いを零した。
圓の言葉で、天斗は自分の焦燥に気付かされた。
ようやく肌を合わせられたというのに、安堵どころか
他の焦りが表面に出てきていたようだ。
それこそ真に、自分から離れられなくなるまで
追い込まなければ安心など出来ないと、いわんばかりに。
『――…オレも結構…色々と足りてねぇな…』
腹の中で呟いて、ふっと息をはいた。

二人はそのまま動かず、呼吸を合わせて痛みを散らした。
その間、天斗はじっと圓を見上げていた。
お世辞にも大きいとはいえないが、丸く張りがあり
形のいい乳房がゆっくりと上下している。
視線を感じて、徐々に落ち着きが欠けてくる顔を見るのも
しみじみ楽しいと思えた。
「あまり…じろじろ見るでない…。あと笑うな」
唇を尖らせ、照れを誤魔化す子供のような顔を圓が見せた。
対して天斗は、にっこりと笑い返してやる。
「お前には一生勝てそうにないな」
「…は?……え、それ…っ……ぅ…!」
どっこいしょ、とは口にこそしないが
そんな緩慢な動きで彼が上半身を起こした。
それにより、薄らいでいた磨痛が生じ
彼女の言葉は途中で途切れてしまった。
576天斗×圓:2006/08/13(日) 22:45:05 ID:8ZVqbblX
胡坐をかいて座った天斗の躰から、大粒の湯が落ち
彼に跨ったままでいる圓の身も濡らす。
結合から流れる紅い筋が薄まっていった。
「…ふぅ、ぅ……」
「大丈夫かよ…?つくづく無茶が好きな奴だな」
「う、うるさい…。別に…これしきのこと……」
悪態を吐きながらも、彼女は相手の肩に顔を寄せて縮こまる。
「慣れるまでこのまま…動かずにいろよ」
耳元で囁かれ、こくこくと反射的に頷いた。

確かに、その身は動きを止めた。
しなやかな肢体がびくりと震え、そのまま硬直したからだ。
「ぁ…。…な、なにを…」
耳朶に濡れた舌が這いずり、ぴちゃぴちゃと
いやらしい水音が聞きたくなくとも飛び込んでくる。
首を振って払おうにも、後頭部を押さえられて動けない。
軽く耳たぶに歯を立てられ、ぞわぞわした快感が背を走り
ついには耐え切れなくなった。
「だ、だめ、耳ぃ…っ!…それ苦手、じゃからっ」
喘ぎながらの哀願に、耳は執拗な愛撫から開放された。
しかし彼のぬるつく舌は、彼女の高潮した柔らかな頬を
さも旨そうに舐め、戦慄く唇を喰いつくように貪った。
577天斗×圓:2006/08/13(日) 22:46:06 ID:8ZVqbblX
いきなりの仕打ちに驚いている暇もない。
激しい口付けから何とか逃れ
銀糸を引きつつ、息も絶え絶えに彼女は聞いた。
「なんで……なんでこんなっ…」
「他事で、気も紛れるだろ?……ほら、動くなよ」
「あ、ぁぁ、そんな…っ」
こんな風に触れられ、動かずにいるなど、絶対に無理だ。
とんでもなく無体なことを簡単にいわれ、泣きたくなっていた。
そんな最中も、胸を捏ねるようにやんわりと揉まれ、乳首が摘まれる。
外部の甘い快楽と、内部の軋む疼痛。
反する感覚に翻弄され、圓は堪えきれず身を捩じらせた。


「…ふっ…うぅ、くぅぅん…!」
しこった先端に吸いつき、柔肉を舐めまわすと弓なりに躰がしなる。
耐えようとするほど、媚態を晒す圓をじりじりと煽りながら
天斗は陰茎を包む膣壁が、徐々に変わりつつあるのを感じていた。
ぬめりが少なく、硬く擦れていたのが
滲み出た愛液で覆われ、ねっとりと絡むように律動し始めている。
えもいわれぬ快感に、何も考えず突き上げてしまいたくなるが
それは漏れかかった声と一緒に、彼女の小さな胸を頬張ることで堪えた。

ぼたりと、大粒の唾液が垂れる。
「…ぅぁあっ、そんなっ、したら…っ!」
圓が小さな声で喘ぎ続けている。
声は多少くぐもってはいたが、聞き取るのに不自由する程ではない。
しかし、あえて返答せず、膨らみを弄り続ける。
578天斗×圓:2006/08/13(日) 22:47:05 ID:8ZVqbblX
「あ…っ……かってに、動……、い、…………」
びくりびくりと、しゃくりあげる様に言葉を切りながら
続いていた哀願が、ふと途切れる。
「だめ…!」
強く頭を抱きかかえられ、彼は一瞬息を詰まらせた。
「あ、ぁ…!も、たえら…れない…っ
…天斗も……天斗も動かしてっ…いいから…!」
矢も盾もたまらず…という言葉がよく似合う。そんな風体だった。


圓は、半口を開けたまま、固まっていた。
自分自身が発した言葉が毒のように回り、全身を羞恥に染めあげる。
恐る恐る…お小言に怯える子供のような仕草で
ずっと黙り込んでいる彼を伺う。
薄墨色の両目がじっくりと、舐めつけるような視線を向けていた。
それにより小さな躰は痴態を思い知らされ、慄く。
『――ど、どうしよう…』
呆れられた…?
それとも…気を削ぎ怒らせたか。

あからさまな狼狽が見て取れる躰が、突如仰け反った。
「あぁっ!……ん…」
引き締まった尻を両手で掴み、膣口を擦るように揺さぶられ
彼女の動きをなぞった乳房がふるんと上下する。
「……ぁ…はあぁ…」
「このままじゃ、ちと動きづらい…。上になってもいいか?」
懸念していた事態にはならなかった。
それどころか逆に請われ、恥も何もかなぐり捨て
圓は何度も何度も、首を縦に振っていた。
579天斗×圓:2006/08/13(日) 22:48:05 ID:8ZVqbblX
「ぅ…くっ!」
締め付けの強い膣内から半分ほど引き抜くと
やはりまだ痛むのか、圓は顔をしかめ、歯を食い縛った。
「…辛そうだな」
「ん…。へいき…じゃ…。…心配せずとも、良いから…」
ぎこちなくも笑いながら、彼女は先を促した。
「ああ。ゆっくり…な」
彼は宣言通り、ゆるゆると残りを引きずり出した。
仰向けに寝た彼女の体内を、反り返ったものが擦っていく。
秘肉が合わさる触感に、彼女は吐息を漏らした。

「んく、はっ…ぁ……あぅ……」
粘膜が擦れあうたび、くちゅくちゅと水音をたて
ゆっくりと抽送が繰り返される。
彼の背に腕を回し、しがみつくように躰を寄せている圓が
熱に煽られたのか「すごい…」と小さく呟く。
「なにが…だよ」
荒っぽい息と共に天斗が聞く。
この期に及んで、まだどこかからかい口調だった。
「えっ…?…あっ……ああ、うん…」
瞑っていた目を開き、少しばかり口篭ったあと
手をそっと腹に添えた彼女は、恥らいつつも答えた。
「こんな奥に…触って…。なん、か…すごいなぁ…って」
580天斗×圓:2006/08/13(日) 22:49:06 ID:8ZVqbblX
天斗も同じように、彼女の手が置かれている場所を見た。
「そうだなぁ……確かにすげぇ触ってるわな…」
しかし、これが『触られる』と評するものならば
一体どれだけの触られ方をしてるんだ…?と天斗は思う。
それだけ彼女の中は奔放に、蠕動し続けている。
くにくにと揉まれ、引くと絡みついて蠢き
痛いほどに吸い付いて、時に癒すように撫でられ……
下手を打つと、いっぺんに落とされそうだ。
「……気の抜けないヤツ…」
「?」
何の事をいっているのか知れず、圓は小首を傾げた。


彼の手が、彼女の両膝を掴み、腹に押し付けるように持ち上げた。
互いの躰の間に割り込んだ脚のせいで
圓は天斗に縋ることができなくなり、戸惑う瞳で見上げていた。
「もっと奥も触ってやろうか」
「な…!」
今でも十分すぎるほど暴きたてられているというのに
これ以上どうしようというのか。
彼女は小刻みに首を振って許しを請うが
今更そんな拒絶が聞き入れられる筈もないと、薄々分かってはいた。
581天斗×圓:2006/08/13(日) 22:50:15 ID:8ZVqbblX
重い躰が小さな肢体を、じわりじわりと圧するように覆いかぶさる。
「…うぁ、あっあ…あくぅ……ううぅっ」
反った白い喉、大きく開いた口が
嬌声とも悲鳴とも取れる声を搾り出す。
最奥の、更に奥を無理に抉られ、彼女の目に新たな涙を誘った。
「ひぅぅっ!?」
真上から押し込まれつつあった陰茎が、突然ずるりと引き抜かれ
掴まれた両脚を弾くように震わせた。
膣肉に宿った感覚に、圓はまず怯えをみせた。
食いしばる歯から、押し込められない吐息が漏れ
不安に染まる金茶の瞳は落ち着きなく揺れる。
「い…っ……いま……ぁ」
「…ん?どうした…」
また躰を沈めながら、低い声で囁く天斗に
彼女は詰まりながらも返答する。
「へ、変……、へん…だった、いま…」
露に濡れた秘唇が、彼女の戸惑いを表し、ひくりと戦慄いた。

「奥のほうが…ぞわぞわ…して……」
恐ろしい体験を語る彼女の声には、遠まわしに
『もう勘弁して欲しい』という希望が込められていたが…
「変ってな…このへんか?」
「っああ!」
彼は躰を離すどころか、昂りで内部を探るように
小刻みに壁を刺激し始めた。
くちゅくちゅと、断続的に粘っこい音が立つ。
自分の不用意な一言が、彼の探究心を煽ってしまったのかと
圓はひどく後悔しながら、そうではない、と首を振り否定する。
…彼の思惑はまったく別な訳だが。
582天斗×圓:2006/08/13(日) 22:51:05 ID:8ZVqbblX
「ならもう少し……こう、か!?」
「ふぁぁんっ!!…いぁ……ひやぁぁっ!」
涙と唾液を垂らし、圓の躰は今までになく跳ね
派手な湯飛沫を散らしたが、見おろす天斗はまばたき一つしない。

「これか…」
「そうじゃけど、違うぅっ!!いや、こ、擦らないでぇ!!」
哀願の最中も抽送は続き、止まる気配は無い。
弱い場所を攻め立てられるたび、背筋が張り詰め
頭の芯が痺れる感覚は悦楽を超えて恐ろしいものだった。
縋るものの無い彼女は、ただ夢中で彼の腕を掴んでいた。
「いやぁ…いやぁぁ!!はぅ、あぁぁっ、ああーっ!あーっ!!」
突き込む動きは彼女を追い詰め、次第に早くなる。
何もかもが蕩けそうに熱い。
その熱が、必死に押さえ込んでいた何かを断ち切りそうで
彼女は怖くて怖くて堪らず、幼子のように泣き叫んでいた。
それに答えるのは、髪を振り乱した彼がはく荒い息だけだ。

「……ひっ……うあぁあああああんん――……!!」
「っ、く…!」

語尾は掠れて音にならない声を発し
躰の奥深いところに何かぶちまけられ
凶楽に叩き落された圓は、全てが白く染まるのを見ていた。
583天斗×圓:2006/08/13(日) 22:52:04 ID:8ZVqbblX
事切れたように達すれば、周りは湯のせせらぎに、ささやかな虫の音。
喧しかったのは、互いの声と鼓動だけだと実感する。

天斗はきつく瞑った目を開き、大きく肩を揺らして息をした。
これ以上、くっつけない…という位に寄せた躰の下に
柔らかな膨らみが汗と湯によって張り付いている。
くにゅくにゅと動き続ける膣内は
大量の白濁液を租借しているかのようだ。
そして、じくじくと熱いものが零れているような…。
「いっ…て…」
突然痛みが生じ、彼は顔をしかめて呻いた。
腕に赤い筋。血が滲んでいる。
そういえば、ずっと掴まれていたような気がしないでもない。
「……――!」
そこで、ようやく彼の頭は覚めた。
慌てて圧し掛かっていた躰を起こす。抱き潰してはいないだろうかと。

「……うぁ…ああぁっ!!」
「え?」
躰が少し離れた、その瞬間。
天斗の下腹部に熱い飛沫がかかり、彼は呆然とそれを見詰めていた。
いままで押さえつけられていた圓の尿道口から
じわりじわりと滲んでいた小水が、耐え切れずいっぺんに噴出したのだった。
派手に下品な音を立て、彼女の体内から放出される液体は
彼の昂りを濡らし、太腿を伝ってぼたぼたと垂れる。
584天斗×圓:2006/08/13(日) 22:53:04 ID:8ZVqbblX
「…ぅぅ……」
押し開かれて力の入らない脚を閉じることも出来ず
圓は顔を両手で覆い隠し、唇を噛んで終わりを待つしかなかった。
躰が軽くなる反面、焼けつく羞恥が心にもたれる。
湯の香に、むっとした臭いが混じりあい
震えて折れ曲がっていた爪先から力が抜け、水溜りに落ちた。

未だ陰茎を咥え込んでいる秘所を、流れがなくなった後も
じっと眺めていた天斗は、おもむろに尿道口と花芯を親指で撫でた。
「ひぅっ!」
喉奥に詰まったような小さな悲鳴をあげ、彼女が身を捩る。
それでも顔を覆った手を頑なに離そうとはしない。
次に彼は人差し指で尖りをちょんちょんと突付きはじめた。
しばらくは、躰を強張らせて耐えていた彼女も
ついには耐え切れず、ものいいたげな目をおずおずと向けた。
「…………」
矜持をずたずたに切り裂かれ、屈辱に濡れる金茶の瞳。
その眼差しに、天斗の背はぞわりと痺れた。

「もう、いいのか?」
天斗の口調は思いのほか優しく、圓は返答に窮した。
「我慢は躰に悪いぞ。ほら」
「な…っ!…ばか……。もう無い…よ…」
今も雛尖に触れている、悪戯めいた手を制し
彼女はぐったりと呟きながら、躰を離そうと身じろぐ。
ここが風呂場だという事だけが、彼女の救いであり
一刻も早く湯を被り、全てを洗い流したい一心だった。
585天斗×圓:2006/08/13(日) 22:54:07 ID:8ZVqbblX
「しかしまぁ…派手に漏らしたもんだよな」
そんな中、妙に明るい彼の一言。
それが癇に障ったのか、弱々しかった相貌が
みるみる内に怒りの色に染め上がっていった。

「…お前のせいじゃないかっ!!」
噛み付くように断言され、天斗は目を丸くした。
「オレのせいかよ…」
「お…っ、お前が悪いに決まっておろう!!……やめてって…
やめてって何度も云ったのに、やめんかった天斗が悪いっ!!」
躰を組み敷かれた状態で、とんだ粗相をやらかして
それなのに、めげるどころかこの言い草。
天斗は腹立たしさも呆れもなく、ただただ、感心していた。
「…オレのお姫さんは口が達者だねぇ」
「や、……喧しい。わかったんなら早うそこを退け」
思いがけず顔を赤らめ、照れ隠しのつもりなのか
いつも以上の慇懃無礼さで彼女は言い捨てたのだった。


べっとりと濡れた男根が小さな膣口から抜かれ
精液と愛液、破瓜の印が圓の尻を伝い落ちる。
襞が擦れる痛みと快感で、彼女は眉根を寄せつつも
細かに息をしながら大人しく躰が離れるのを待っていた。
そうしている間も、心はもやつき
子供みたく失禁して天斗を汚したこと…
これからきっと、その事でからかわれ続けるであろうこと…
そんな事を反芻して、自責の念にかられていた。
586天斗×圓:2006/08/13(日) 22:55:09 ID:8ZVqbblX
上の空の彼女には、突如、我が身に何が起こったのか
なかなか理解が及ばなかった。
「…………っ……は…」
入り口近くから、勢いよく最奥まで突き上げられ
弓なりにしなった躰がびくびくと震えた。
「……たっ、たか…と……?」
「…お前のせいだからな」
「え、え…っ?」
さっぱり事態が掴めない圓は、ともかく躰を離そうと
腰を捻って片足を上げ、逃れようと試みた。
しかし、鈍い動きで上手くはいかず、それを逆手に取られ
もがいている内に体勢が変えられていた。
気付けば後ろから抱きつかれるようにして、岩場に寝転がっていた。
しっかりと、彼の強張りを飲み込んだまま…。

「…離し…て」
「駄目だ。圓があんな厭らしい姿を晒したせいで
収まりがつかなくなっちまったからな」
「あ、あっ…でもっ……それは…」
頭の後ろで囁きながら、背後から伸びた左腕は乳房を
右腕は彼女の片足を拘束するかのように抱える。
一度、精を吐き出したにも関わらず
彼の陰茎はそそり立ち、彼女の中で存在を誇示していた。
「あ、やっぁ……かた…い…」
「ああ…そうだろ…。お前がこうしたんだぜ…」
587天斗×圓:2006/08/13(日) 22:56:04 ID:8ZVqbblX
『お前のせい』とされた所で、圓に理解できる筈もなく
戸惑いでいっぱいの表情を歪ませていた。
考えようにも後ろから巧みに蹂躙されては、それもままならない。
秘裂を割り、先程とは違う角度で攻められ
いやいやとばかりに首を振る。
「…ひっう、あ、はんっ…あぁ…ごめ、ごめ、なっ、さい…」
突かれるたびに、途切れ途切れの謝罪が口唇より漏れる。
気持ちよりも無意識に、許しを請い願っていた。
「ゆる…っ、んぅっ」
「謝られたところで…止めやしねぇよ。だから何も云うな」
天斗の指が栓の代わりか、圓の薄くあいた唇にねじ込まれた。
何にせよ、これでは話のしようも無い。
まともに話も聞いてもらえず、しがみつく事すら出来ず
こんなに近くにいながらも、突き放されているようで
彼女はひどく切ないくぐもった声で鳴き続けるしかなかった。

硬い指に歯の内側、上顎をなぞられ
圓は異物感に慌てて大きく口を開いた。
指が口腔から出て行き、唇に触れ、顎を撫で
ぬるりと唾液の跡を引いた。
はっ、はっ…と、赤い舌を見せて呼吸を整えたあと
背後で蠢く彼にむけ、精一杯すごんで見せた。
「こ、の…、…鬼…っ!」
「…まぁな」
588天斗×圓:2006/08/13(日) 22:57:04 ID:8ZVqbblX
充血してぷっくりと立ち上がった雛尖を
抽送のたびに膣口から毀れ出る白濁液をすくい取り
円を描くようにして塗り付け、弄った。
「ひゃうぅっ!?」
内側と外側から来る、仕置きじみた悦楽に
雑言をぶつける気力も失せ、圓は壊れたように躰を揺さぶる。
「ああ…ああぁんっ!そこ……っ、や、ぁ…っ」
「なぁ……オレの事…嫌いになったか?」
「……!」

濡れた音をさせ、膣口に雁首が引っかかり擦れる。
甘い痺れと、抜けてしまいそうで抜けない、そんな不安定さに
思わず圓はじれて腰を揺らめかせ、そこを一気に貫かれた。
「あぅぅっ!!……ふあっ…ぅぅ…ああぁ…っ」
「どう…なんだよ」
包皮を摘んで陰核を扱かれるたび、腰全体が熱を帯びる。
彼女は止め処なく出てくる、あられもない声を抑えられず
噛み付くように、内側を抉るものを締め上げた。
「うああぁっん!…あん、ひぁ、ああぁぁんっ!」
「喘いでる、だけじゃ…わかんねぇ…よ!」
「ああ……も、いっ……い、じわるぅぅ…っ
……んはぁっ!……も、ぅ……あっ…んあぁあああああぁぁ!!」

唾液と涙を滴らせ、登りつめた圓は
太い腕がきつく自分を拘束する中、何度も何度も、躰を弾けさせた。
589天斗×圓:2006/08/13(日) 22:58:04 ID:8ZVqbblX
疲労感を覚えた躰を、二人は湯に浸けていた。
焚き火は燃え尽き、暗い水面に映った月が
ゆらゆらと揺れるのを天斗はぼんやりと眺め見る。
湯と同調し、腕をさわさわと撫でるのは、胸にもたれた圓の髪。
知らぬ間に元結が切れたか解けたかしたようで
一つに括られていた長い髪は落ち、背中を覆っている。

寄り添う彼女は、先程から黙りこくっている。
その躰が、ゆらり…と揺れ、何事かと目を落とした瞬間
前のめりで思い切り良く、だぱんと派手な音をたて
顔から湯につっこんでいった。
「はわぁぁぁっ!?」
「………」
ばしゃばしゃと、ひとしきりもがき
成すすべなく見守っていた彼と、はた…と目が合う。
なぜか慌てて「寝てない…寝てないぞ!!」と、とり繕っていた。

「まぁ、なんだ……お疲れさん」
「……うう」
手近な岩にしがみつき、重く息をはくその姿はまさに疲労困憊。
昼間死にそうな目に会い、夜には酷いことをされ
そりゃ精根尽き果てるよな…などと
天斗はまるで他人事のように独りごちた。
「もう上がるか?」
「…そう、じゃなぁ…」
力なく返答をし、圓はそれでも一人で立ち上がろうと勤めた。
平たい岩場についた腕に力を入れ、躰を起こし
……たまでは良かったが、脚がやたらとがくがく震え
更に体内はぽっかり穴でも開いたように不安定で
そのまま、へなへなと岩の上に崩れ落ちてしまった。
590天斗×圓:2006/08/13(日) 22:59:04 ID:8ZVqbblX
「圓…」
「…………」
ついにはその姿のまま動かず、返事までしなくなり
立って様子を見ていた天斗は一つ溜息をついた。
おもむろに、無防備に曝け出されている白い尻を揉むように撫で
「こんないい格好でいると、また襲われるぞ…」と囁く。
効果は覿面。弾かれるように身を起こした彼女は
ずるずると這いずって、彼から離れようとしたからだ。
「…そこまで警戒せずとも……。
心配すんなよ、今日の所は何もしないって」
「ひゃっ!?」
躰を縮こませ、懐疑的な目を向ける彼女をなだめながら
彼はさっさと小さな躰を横抱きにして、持ち上げたのだった。
「………今日の所は…か」
小さく呟いた圓は、しばらく釈然としないようだったが
ふっと息をはき、力を抜いて彼の肩にもたれた。

乾いた石の上に、二人分の水滴がぱたぱた落ちる。
その多くは、彼女の髪からだった。
「…これだけ長いと乾かすのも骨だな。手伝ってやるよ」
もう随分冷たくなった圓の髪を指先で弄び、天斗はいった。
「そ、それくらい…一人で出来る…」
「そう云うなって。また風邪ひかれても困るし…な」
声は、どことなく楽しげだった。
そんな彼の顔を、彼女は上目でこっそりと、見詰め続けていた。
右目は瞑られている。もうすっかり、普段通りだ。
そして、前から薄々勘付いていたことに確信を深め、言葉に表した。
591天斗×圓:2006/08/13(日) 23:00:06 ID:8ZVqbblX
「……過保護」
「ええ?」
取り澄ましていわれた一言に、彼は軽く笑い返した。
「そうかぁ?……いや、まぁ……そうなのかもな…。
けど、いいじゃねぇか。どっかの誰かさんは
オレがいないと生きていけないって話だし」
「ん、なっ…!!」
あっさりと反撃を食らって、それ以上何もいえず
圓は耳まで染まった顔を下げて黙りこくってしまった。

笑いを堪える彼の肩が揺れ、彼女はむくれた顔を作った。
……一緒に笑っても良かったのだが。
この状況、共に居られて嬉しくない筈はないのだが
ひどく気恥ずかしいのもまた事実で
やはりなかなか、素直な好意を表せそうにない。
なので思わず、圓は偉そうな口を叩いてしまうのだった。
「……ふん、なんじゃ、余裕ぶりおって。
これでオレが天斗を嫌っておったら、どうしていたことか」

一瞬、彼の動きが止まった。
またすぐに歩き出しはしたが、圓はその一瞬に異変を感じ
恐る恐る、彼の顔を仰ぎ見た。
「オレの家はさ…あの通り、古くて無駄にでかいんだよな…」
「……は……はぁ…」
592天斗×圓:2006/08/13(日) 23:01:04 ID:8ZVqbblX
声が、意図をしてか否かは分からないが、奇妙に低い。
彼女は嫌な緊張感を覚えつつも、次の言葉を待った。
「誰が作ったんだか知らねぇが……あるんだよ」
「な…、何が」
唾液をこくりと飲み込む音が、やたらと大きく響いた。
「…………座敷牢」
天斗の顔が、にたり…と、哂う形に歪んだ。

芯まで温まっていた圓の躰は
冷や水をぶっ掛けられたように、一気に縮み上がり
纏わりついていたゆるい眠気も吹き飛んでしまった。
「…う、う……嘘、じゃろ…?」
「…………くく…」
「いっ、嫌な笑い方をするでないっ!!
なっ……なぁ天斗、……本当は嘘であろう?
……おい…いつものように嘘だって云えよぉーっ!!」

冴え冴えと澄んだ秋の月夜に、圓の必死な叫びは吸い込まれていった。



――ついついと、賑やかな鳥の声を耳に
蛍は早朝のきりりと冷えた空気を吸い、背筋をしゃんと伸ばした。
「あ、お早うございます、お義母様」
「はよ〜…」
かいがいしく朝の準備を進める詩織と
まだ眠そうな八雲が口々に挨拶をする。
息子夫婦に返答をしつつ、くるりと部屋の中を見渡した。
593天斗×圓:2006/08/13(日) 23:02:04 ID:8ZVqbblX
「……ん、天斗はどうした?」
本来なら修練を済ませ『腹減った』などといっている頃である。
「昨日、お袋が『熊臭い』って追い出したからなぁ。
不貞寝でもしてるんじゃないか?」
「そんな馬鹿な…」
からかい口調の八雲に、苦笑いで返す。
「遅くにごとごと音がしてたから、帰ってはいますよ」
「ふむ…」
詩織が手に頬をつけ、昨夜を思い返す。それに一つ頷いて
「仕方ない、起こしてくるかの」…そうして蛍は居間を後にした。

孫の部屋の前に立ち、戸を両手で威勢よく開く。
「天斗!いつまでっ……」
よく通る声は、本人の意思により無理矢理おさえ込まれた。
見おろす薄暗い部屋には、一つの寝具。
その中で、男女二人が互いを抱きあい寝息を立てている。
先程の叫び程度では、深い眠りを妨げるに至らなかったようだ。

半口を開けて部屋を見渡し、ある一点で
ぎくりと躰を強張らせた。
寝具から、にょろりと尻尾が覗いている。
それは娘の尻がある場所から生えているように思えた。
…が、よくよく見れば、ぱたりぱたりと揺らめくそれは
一緒に潜り込んでいる猫のものだと気付くことが出来た。
多分、あの老猫だろう。

出来うる限りの慎重さで、そっと戸を閉め
一つ深い息をつくと、蛍は忍び足でその場を離れた。
594天斗×圓:2006/08/13(日) 23:03:13 ID:8ZVqbblX
「あぁ、お帰り。…あれ、天斗は?」
母の背後に目をやり、そこに誰もいないのだと
気付いた八雲は不思議そうな顔を見せた。
「まぁ、今日の所は……放っといておやり」
言葉少なに言い切って、蛍は詩織に手を貸し始めた。

……しかし、あの、ちびっこかった天斗がねぇ…。
「年も取る…筈じゃよなぁ…」
なにやらとても遠い目をして、ぽつりと呟く義母を
詩織は小首をかしげて見詰めていた。



景色はすっかり冬を迎える成りに変わり
木枯らしが吹くたびに、かたかたと雨戸が音をたてる。
締め切った部屋に圓は独り、ただ大人しく、その音に耳を傾けた。

その場から動かないのではない。動けないのだ。
頭を覆う、真っ白な綿帽子。
身に纏った衣装は打掛から何から、すべてが白い。
いわゆる白無垢というものだ。
下手に動くと、がさつな自分の事、着崩れてしまいそうで怖い。

その上、顔や手まで真っ白に塗られている。
ただでさえ化粧というものに無縁だった彼女は
鏡で顔を見た時に、思い切り吹き出しそうになったが
そこはぐっと堪えたのだった。
自分で自分を褒めてやりたい気分である。
595天斗×圓:2006/08/13(日) 23:04:04 ID:8ZVqbblX
冬本番が来る前に祝言を…と、提案され
あれよあれよという間に日取りが決まり、その日を迎えた。
正直、あまり実感が沸かない。
祝言といっても、この里に住む人々へ
『これが嫁ですよ』とお披露目をする意味合いが強いらしい。
いわば宴会の口実だが、圓はそれでいいと思った。
だからこそ、今日の失敗は許されない…。

圓は胸に手をやり、そっと呼吸を整えた。
白い着物の内、柔らかな膨らみがゆっくりと上下する。
硬いものは感じられない。
当然ながら、苦無は別のところに置いてあり
そして、大きく裂けてしまった、あの木筒…
養父の遺髪が入った筒も、もう、胸元には無かった。


あの夜、温泉から戻り
目覚めたときには昼に近いような時間だった。
なんとも気恥ずかしい思いを抑えつつ
圓は天斗に手を引かれ、彼の家族の前に立った。

その身を包むのは、甘やかな薄桃色の着物。
結局、借りたまま返すに至らなかったものだが
彼に勧められ、袖を通したのだった。
大きな花と白の小花柄が、下ろした髪によく似合う。
今まで暗い色の着物姿しか目にしていなかった一同は
一転して華やいだ雰囲気を、素直に誉めそやしたのだった。
特に、詩織の喜びようは大きく、圓はうっすらと感じ取る。
このお方は、着物に何か深い拘りがあるのかな…と。
596天斗×圓:2006/08/13(日) 23:05:06 ID:8ZVqbblX
全員で顔をあわせ、話に上がったのは二つの事柄。
一つは、二人が夫婦になりたいということ。
もう一つは、布に包んでおいた、木筒…。
これを里のどこかに、埋葬させて欲しいと願い出たのだった。
どちらも、拍子抜けするほどあっさりと、許可がおりた。

天斗の先祖が眠る墓地に通され、彼女は最初、躊躇を見せたが
やがて心から感謝を述べて、頭を垂れた。
彼が穴を掘り、彼女が邪魔な土を退かす。
「はぁ…息ぴったりだな」
のんびりと、彼の父が呟いた。

彼の母と祖母が、共に手を合わせてくれたこと…。
圓には、それが何より嬉しかった。



今にして思えば、一年前の自分は
顔も知らない父の敵を討つという事のみに没頭し
後のことは、何も考えてはいなかったように思える。
それがまさか、白無垢を身に纏う日が来るとは。
彼女はおしろいが塗られた自分の手を、じっと見おろした。

このような姿の自分を、養父が見たのなら…
笑うだろうか……。喜んで、くれるのだろうか……。
それはもう、分からない。分かりようもないが
それはそれでまぁ…いいかと、思えたのだった。
597天斗×圓:2006/08/13(日) 23:06:09 ID:8ZVqbblX
遠い場所を懐かしむような、そんな気持ちに耽っていた彼女は
襖の開く音につられて顔を上げた。
「よ。…待たせたか?」
「……いや…」
簡単な言葉を交わし
引手に指をかけたまま立っている天斗を仰ぎ見た。
彼の姿もまた、普段と違っていた。
きっちりと整えられた黒い羽織袴は
襟元がくつろいだ普段着に比べ、窮屈そうだった。
しかし、がっしりした体格によく似合い
色のせいなのか、妙に大人びて見えた。

思わず見惚れて凝視してしまったが
はたと気付いた圓は慌ててそっぽを向いた。
「どうだ、惚れ直したか?」
「…なっ……何を馬鹿なことを……」
軽い口調で言い当てられ、焦った彼女は口篭る。
――物珍しゅうて……だから思わず……などと
言い訳も考えるが、口が上手く回らなかった。
「オレは惚れ直したけどな。思った以上に綺麗だぞ、圓」
「…………」
顔を真っ白に塗られていて、本当に良かったと思う。
そうでなければ、情けないほどに茹で上がった所を見られ
またからかいの口実を与えてしまうところだった。
「……ったく、そのような事を、臆面も無く…」
緩みそうになる頬を隠して、ぶつくさと呟いた。
598天斗×圓:2006/08/13(日) 23:07:05 ID:8ZVqbblX
「ま、いいけどな。婆ちゃん達が呼んでんだ、行くぞ」
大きな右手が差し出された。
圓は、その手と彼の顔を一度だけ見比べると
素直に自らの手を重ねて支えとした。
着物を気遣い、ゆっくりと慎重に、立ち上がろうとする。
しかし、いきなり腰に回った彼の左腕が、易々と彼女を立ち上がらせ
そのまま力強く抱きしめたのだった。

いきなり抱きつかれた圓は、軽い混乱に陥った。
「…んな、何をっ!?馬鹿っ、おしろいが付いてしまうぞ…っ」
「不束者だが、よろしく頼む」
何を思ったか唐突に、新郎は花嫁の耳元に顔を寄せ、そう囁いた。
ぴたと動きを止め、暫し呆然としていた彼女も、それに習う。
「い、いや……その…こちらこそ……
……どうぞ、よろしくお願い致します…」

「ほら、今回はもう少し…まともな格好での挨拶になったろ」
天斗は真っ白な綿帽子に隠れた顔を覗きこみ
きょとんとしたお相手に向け、ニィと笑う。
しばし圓はその顔を見詰めたまま、思い出を手繰っていたが
やがてそれに行き着くと、思いきり舌を出して
あっかんべ、と、返したのだった。
599一五九 ◆D6Cu12peXM :2006/08/13(日) 23:08:13 ID:8ZVqbblX
終わりです。
いつか誤字や勘違い部分を
書き直したいものです…(ノ∀`)
600名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 00:49:44 ID:D/2JFNWl
最高。待っていた甲斐がありました。ありがとう。それだけです。
601名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 00:57:58 ID:Op4DnPs/
うおー、読み終えて思わず息を吐いちゃったよ。お疲れ様です、
そんでもって滅茶苦茶GJ。GODなジョブ。
602名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 13:04:37 ID:hiQFvWnk
GJ・・

ほんとに作家かなんかになったほうがいいんジャマイカ?
603名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 21:19:05 ID:obOCb1nF
あんた最高だよ・・・すげえよ・・・
お疲れさまでした!GJ!

そして出来るなら八雲と詩織、狛と蛍もお願いしたい・・・
604名無しさん@ピンキー:2006/08/15(火) 05:49:23 ID:CiZn7sr2
いやあ長かった!
書いてる159氏も長かったろうけど
待ってるこっちも本当に待ちわびた
次回作があればまた応援させてくれ

159氏ホントにお疲れ様。眼福でした。ありがとう。
605名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 02:11:34 ID:pJrC6ZR7
ぷはーッ!読んだぜ
圓がマウント取ったところで思わず叫ぶ

    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 圓!圓!やっちまえ!デストローイ!!
  (  ⊂彡
   |   |
   し ⌒J

いやあお疲れさまでした
世間知らずで男勝りのお姫様は陥落させるまでが
ヒマラヤ攻略並にハードなのですな!天斗さん!
606名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 00:26:12 ID:x+n0EuAN
お疲れ様ですた!前スレからさかのぼって読みふけってしまいますたよ
素直に川原絵で情景が浮かんでしまいますた
あーもー園が可愛いったら可愛いったら可愛いんだったら
607名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 21:51:23 ID:C7w//RsE
608名無しさん@ピンキー:2006/08/23(水) 23:51:58 ID:O6FiDtv1
加工すんなよw
設定が破綻するじゃないかパラ学
609名無しさん@ピンキー:2006/08/28(月) 09:57:17 ID:e8RJt0N6
hoshu
610名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 19:41:38 ID:ZWFaZni5
あげ
611名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 10:28:40 ID:OVNz6JWB
hoshu
612名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 08:55:41 ID:TmVf9TJ8
あげ
613名無しさん@ピンキー:2006/09/16(土) 20:38:24 ID:zgM62VxE
hoshu
614名無しさん@ピンキー:2006/09/17(日) 23:19:59 ID:eLbd9UiQ
修羅の門(刻) と 海皇紀 キャラクター人気投票
ttp://www.37vote.net/comic/1158502522/
615名無しさん@ピンキー:2006/09/18(月) 00:33:38 ID:MUKM8DS+
>>614
マルチ云々は言わないけれど、エロパロ版に張るのはいかがかと
616名無しさん@ピンキー:2006/09/24(日) 22:04:54 ID:x+szLpqd
あげ
617一五九 ◆D6Cu12peXM :2006/09/25(月) 22:52:12 ID:jhdVw+pM
えらく今更で申し訳ないのですが
>>35さんリクエストの出海×蘭です。
とはいえ、ご要望のものとはかなーり違うものに
なってしまいました…。
あと、色々といいかげんです。ごめんなさい。

母成峠を前に、怪我を負ったところから始まります。
618出海×蘭:2006/09/25(月) 22:53:13 ID:jhdVw+pM
「お、降ろして下さい」
蘭は自分を片手で抱えあげている男に向け
切羽詰った声で、そう告げた。

「その脚じゃ立つことも出来やしないだろ」
返った答えも声音も、ひどくそっけない。
それでも彼女はめげる事なく、訴え続け
「いえ、違います…!そうではなくて…」
話しながらも、忙しなく首を巡らせた。
「…あ!あれ…あの枝が落ちているところに降ろして!」
身を乗り出し、目的のものに対し指をさすと
細く柔らかい緋色の髪が、大きく揺れた。
その仕草は、何かをねだる駄々っ子にも似て
内心みっともないと思いつつも、構っていられなかった。

必死さが伝わったのか、男は軽く苦笑して
いわれた通りに動いてくれた。
地面にゆっくりと降ろされた彼女は
枝に両の手を伸ばそうとし、そこでようやく気が付いた。
自分が刀を痛いくらいに握り締めていたことに。

見詰め、少しばかり躊躇して、そっと地面に置く。
鞘に汗が付いてしまっていることだろう…。
綺麗に拭かなければと頭をよぎるが
今はいったん、その思考を中断した。
619出海×蘭:2006/09/25(月) 22:54:23 ID:jhdVw+pM
すぐにさま枝を手に取り
軽く曲げたり叩いたりして状態を調べる。
これなら使えそうである。蘭は一つ息をはいた。
「腕を…折れたところを見せて下さい」
彼女は身につけていた風呂敷包みを解きながら
……脚は動かせないので、条件付きではあったが
てきぱきと働き始めた。

最早、日は落ち
辛うじて互いの姿が確認できる程度の明るさである。
焦れた理由はこれだった。暗くては治療も困難になる。
蘭は逸る心を抑えようと勤めながら
差し出された左腕を取り、慎重に袖をまくった。
「……!」
鳶色の瞳が見開かれ、痛々しげに細められた。
傷は彼女の予想を超えた酷さだった。
肉は裂け、白いものが覗いている。

この程度の流血で済んでいること……
片腕で、あの急流から上がって来れたこと……
なによりも、一命を取留めたこと……
何もかもが不気味なほどに不思議だ。

しかし、戸惑いを見せたのはその一瞬だけで。
普通の女性ならば、目を背けてしまうような傷にも
冷淡なほどに対応してみせた。
持ち合わせていた清潔な布で止血をし
長襦袢の袖を裂き、それに枝を当て、しっかりと巻きつける。
620出海×蘭:2006/09/25(月) 22:55:05 ID:jhdVw+pM
蘭は、長く医師の元で暮らしてきた女性だった。
幼くして両親をなくし、途方にくれていた彼女を
その医師は迎え入れた上に教育まで施してくれた。
先端の西洋医療は彼女の実となり
それもあって、大切な人の傍仕えを任されたのだ。
正に…それは蘭の誇りだった。
しかし、まさか、こんな形で役に立つとは…
だが今の彼女に、そのような皮肉を思う余裕はなかった。

風呂敷を使って腕を固定することにした。
もともと、取るものとりあえずといった風体で飛び出し
大した荷物は持ち合わせていない。
懐に入るものは持っていけば良し
邪魔になるものなら、ここに置いていけばいい。
大雑把に考えをまとめた蘭は、男に
「頭を少し、下げてもらえますか?」と声をかけた。

両手に掴んだ風呂敷の端を、首の後ろで結べば終わり。
骨折の、適切な処置を行う為に、両腕を伸ばした。
そんな彼女の頬に、男の髪が触れ
そろりと優しく撫でるように揺らめく。
取り落としそうになった布端を、彼女は辛うじて持ち直した。
――傍から見れば、男の首に
女がしがみついている様に見えただろうか。

徐々に光を失う空に追われ、かっかとしていた頭が
つと……冷えた。
621出海×蘭:2006/09/25(月) 22:56:08 ID:jhdVw+pM
『なに…を…しているの、だろうか……わたしは…。
………わたしたちは……』

怨嗟に突き動かされていた女を、負傷してまで救った男。
仇の男を、治療する女。
互いを覆うのは、突き刺さるような違和感と矛盾。
だから互いに何の言葉もなかった。
何か口にしたら、何もかもが狂いそうである。

ただ、治療が終わり、また抱え上げられた彼女は
「見事な手際だな…」との、囁きを…
本当に小さな囁きを、耳にしたのだった。


山を下ることになった。
ここまでの道すがら、民家や旅籠を何軒か目にしている。
何とか辿り着き、一刻も早く休ませねばならない。
蘭は、医師の娘という立場と責任感が
自分を駆り立てているのだと、そう思うことにした。

山道は闇に溶け、木々がその色を更に深める。
もう、どちらに向かっているのかすら、分からない。
薄気味悪い虫の音が、絶えず背後から追ってくるかのようで
密かに唾液を飲み込み、強く刀を握り締めた。
622出海×蘭:2006/09/25(月) 22:57:05 ID:jhdVw+pM
それにしても…と思う。
自分を抱えた男の片腕は逞しく、揺るぎない。
重いほうではないにしろ、成人女性を
こうも易々と持ち運んでしまうとは、やはり普通ではない。

――これまでも、そうだった。
ただただ、置いて行かれることが無いようにと
必死でその背中を追ってきた。
いつだって堂々として、乱れることの無い足取り。
夏の日盛りにも、立ち振る舞いから疲れは見られない。
腹立たしい程に。
かわいくない……と思える程に。
しかも、今までの歩みは、本気の物ではなかったらしい……。

男の肩に添えられた蘭の手が、ぴくりと揺れた。
『……いけない…』
白い綿服越しに伝わってくる、汗の感触。
それに先程から、微かではあるが呼吸の乱れがある。
足取りも、当然ではあるが……鈍い。
平素とは明らかに異なる彼の様子に、彼女は躰を強張らせた。

骨を損傷するということは、それだけでも大事ではあるが
なにより、裂傷から入り込んだ毒が躰を蝕むのが恐ろしいのだった。
酷い熱が出る。時として耐え切れず死に至る。
そもそも…彼の傷は、常人ならば痛みでのた打ち回っていても
おかしくないほど重症なのだ。
こんな風に人ひとり抱えて歩くなど、正気の沙汰ではない。
623出海×蘭:2006/09/25(月) 22:58:10 ID:jhdVw+pM
それでも。
蘭はただ、耐えるより他なかった。
喉まで出かかった言葉……
『私を置いていって』という、言葉。
それを必死で飲み込もうと、耐えていた。

口にした所でどうなるか……子供でも分かろうというもの。
今更置いていく位なら、元より助けたりなどするものか。
彼女はきつく自分に言い聞かせ、ぐっと唇を縫い縛った。

鳶色の瞳が、闇を幾度も彷徨った。
……どうか……どうか……
無意味な言葉を飲み込んだのち、脳裏に木霊すのは
救いを求める自身の声だった。
『どうか、誰でもいい、どうか、助けて…!!』
刀を握る指先が、男の肩に触れる指先が、ひどく熱い。
彼女はひたすらに、祈り続けた。

――けれども…どうだろうか。
距離があるとはいえ、いまは戦の最中だ。
はたして門戸を開いてくれる者など、いるのだろうか?
『それに……ほら』
必死に祈り続ける蘭に、ひどく冷酷な蘭が
まるで他人事のように囁きかける。
『私がいたら…きっとまた、駄目になるんじゃない…?』
624出海×蘭:2006/09/25(月) 22:59:05 ID:jhdVw+pM
血流のように赤い髪、瞳はまた、鳥翼に似た赤茶に透け
ただそこに居るだけで、忌みものとして見られてきた。
自分の存在は……何度も良くない結末を招いてきた……。
「…っ…く…」
拳に掴んだ泥のように、食い縛った口元から、呻きが漏れる。
かちかちり、と、歯が鳴った。

………息が詰まる………。

「大丈夫か?」
突然聞こえた人の声に、彼女はびくりと躰を震わせ
弾かれたように顔を上げた。
ほんの間近に、自分を抱きかかえる男の顔。
無精髭を生やしていても、どこか童顔に見える、その顔。
目が合い…彼は微かに、疲れの滲む笑みを浮かべた。

――ああ、初めてだ。
初めてこの人の顔を見た。

蘭はまず、そう思った。……そして
『大丈夫でないのは、そちらのほうでしょう!?』
そう怒鳴りつけてやりたいと、溶岩のような感情が迫り上ってきた。

俯いた彼女は、耐えた。……耐え続けていた。
625出海×蘭:2006/09/25(月) 23:00:06 ID:jhdVw+pM
ぼやりと、浮かぶ光は狐火のようで。
それを目にした初めは、何かの見間違いかと蘭は思った。
だが、凝視をしても滲む光は消えもせず、たしかに存在している。
「あ…明かり…ですよね…?」
「…のようだな」
男は立ち止まり、じっと光を見据えている。
自然、彼女の視線もその先に釘付けになった。

明かりを見つけた高揚感が次第にしぼんでいく。
見詰める先は随分と山深く、高い草が茂っており
日中であったなら、存在にすら気付かなかっただろうと思われた。
不用意に近づいていいものか…蘭には判断がつかない。
「ま、行くだけでも行ってみるか」
なので、彼がそう呟いて歩を進めても
彼女はなんの答えも返せずにいたのだった。


近づくにつれ、その建物の有様が分かってくると
彼女はただ素直に驚き、目を丸くしていた。
「…大きな…お屋敷…ですね……」
「……でかいな…」
間の抜けたやり取りの後、二人は黙ってそれを見上げた。
敷地の広さもなかなかではあるが、それよりも
周りを取り囲む、高い塀に目を奪われる。
そして、これまた大きく立派な門がそびえ立つ。
…こんな山奥に、なんと物々しい…。
どなたか要人の別宅か何かだろうか。
蘭は塀の間から漏れ出ている光を見詰め、溜息をついた。
626出海×蘭:2006/09/25(月) 23:01:04 ID:jhdVw+pM
とても相手にして貰えるとは思えなかった。
ここは諦めようと提案すべく、彼女は口を開きかけたが
それより早く、一歩前に出た男の行動に息を呑む。
ごすん!……と鈍い音。
何を思ったか、門に一撃、蹴りを喰らわせたのだった。
「……なっ…」
まるで自分が殴られでもしたかのように
その音は、彼女の鼓膜を揺らし続けていた。

「………なな……なにをするんですかっ!?」
蘭の声は、ほとんど悲鳴に近い。
それに対し、男は『耳元で叫ぶな』といいたげな顔を見せ
悪びれもせず、問いに答えた。
「呼んでも聞こえんと思うしな。こうすりゃ誰か気付くだろ」
また一発、がつんと大きな音を立て、門に蹴りが入る。
「ちょっ…!やめ、やめてっ!駄目ですよ!!」
「仕方ないだろ、両手とも塞がってんだから」

――なんなの!?この人は!!
ものすごく図太いのか、それとも只の考えなしか。
これでは、助けを請うているというより
喧嘩でも押し売りに来たかのようだ。
「…なんだいなんだい…?全くすごい音だねぇ」
必死で彼の綿服を掴み、狼藉をやめさせようとした蘭は
門の開く音とともに聞こえた声に、ぎくりと躰を震わせた。
627出海×蘭:2006/09/25(月) 23:02:13 ID:jhdVw+pM
年の頃は四十に近い、恰幅の良い女性だった。
『肝っ玉の据わったお袋さん』という
形容辞がぴたりと当てはまるような外見である。
そしてその背後には、獲物を手にした若い衆…。
蘭の背筋に、冷たいものが流れていった。

「あれま、あんたら二人だけ?
なんか木槌でぶっ叩いてるような音がしてたんだけど」
その中年女はゆるりと首を巡らせ、周りを確認したのち
二人をまっすぐ見詰めながら歩み寄ってきた。
「…お、女将さん!そんな近づいたらあきませんて!!」
控えていた若者の一人が、焦った声を上げた。
先頭立って出て来たところといい
どうやら外見だけでなく、本当に女傑のようである。

「ちょいと兄さん、門を壊す気だったのかい?」
「ああ…その手もあったな」
女将さんと呼ばれた中年女と、蘭を抱える男のやり取りは
剣呑な内容とは裏腹に、どこかのんびりしたものだった。
「あはは、やんちゃだねぇ」
屈託のない女主人の笑い声に、男もニッと笑ってみせる。

唖然と成り行きを見守る若衆とは違い
蘭一人だけは、冷や水を被ったような状態であった。
慌てて男の襟元を引っ張ると
『…あ、あなたは黙っていて!』と、耳元で鋭く囁き
きょとんとした顔を見せた女将に対し、勢いよく頭を下げた。
628出海×蘭:2006/09/25(月) 23:03:22 ID:jhdVw+pM
「夜分遅くに突然のお騒がせ、大変申し訳ございません。
私共は、旅の者にございます…。
先の道で怪我を負い、難儀をいたしておりました。
焦るあまりの非礼、なにとぞご容赦下さいませ」
丁重な謝罪を述べたつもりの蘭であったが
抱え上げられたままなので
いささか誠意の感じられない姿だったかもしれない。
ともかく『なんとか角を立てずにこの場を後にしたい』という
気持ちだけでも伝われば……と、強い願いは篭められていた。

ゆっくり頭を上げると、すぐ目の前に女将の顔。
たじろぐ蘭は思わず男にしがみついてしまった。
「…あっ、あのっ……」
「へぇ〜…」
じろじろと、無遠慮に見上げる先は
白い髪飾りで括られている、緋色の髪。

蘭の顔が、あからさまに凍りついた。
女将だけでなく、控える者たちもまた、物珍しげな視線を注ぐ。
それは千本の針であるかのように感じられた。
…考えすぎなのかもしれない。…勘違いかもしれない。
しかし、心身共に疲労しきっている彼女には
ひどく重く、堪えるものであった。
動揺は表面に現れ始め、刀を掴む指先が、かたかたと震えた。
629出海×蘭:2006/09/25(月) 23:04:05 ID:jhdVw+pM
『……私が居たのでは…どこに行ったとて…同じ事…』
凍えるような絶望感が、五臓に染み入っていく。
この冷たさを、彼女は今まで幾度も味わってきた。
『やはり……私に出来ることといったら……』
ふっと弱い息をはき、すぐに強く息を飲み込む。
心のどこかで固めていた覚悟を、形に表すこととなった。

何の前ぶれもなく、男の襟元を掴んでいた手に力を入れた。
不意をつき、強く……突き飛ばす形で。
片腕一本で支えられていた躰は
風に煽られた紅葉のように、均等を崩していった。

地に落ちた彼女は、糸の切れた繰り人形のごとく
がくり…と、膝をつく。
しかしそれは、脚の痛みに屈したのではなく
自身の意思によるものであった。
ぎょっとして、後ずさった女主人に対し
顔色を変えずに姿勢を整えた蘭は、大切な刀を脇に置き
つと三つ指をついて、深々と頭を下げた。
「ちょ…っと、あんた…」
「お頼み申し上げます」
よどみなく滑らかな声には一本芯が通っている。
覚悟を決めた彼女の行動は、いつだって速かった。
630出海×蘭:2006/09/25(月) 23:05:05 ID:jhdVw+pM
「立て続けのご無礼を、どうぞお許し下さい。
どうか、この人だけでも、お助け願えませんでしょうか」
「おい…!」
背後から、怒気混じりの声が聞こえてくる。
それは分かっていたが、彼女は構わず二の句を告いだ。
「平然と見せてはおりますが…実のところ
腕の骨が折れ、危険な状態でございます。
お手数とは思いますが…どうか、お力添えを…!」

先の、男と女将のやり取りを見た限り
彼に対して、さほど悪印象は無いように思えた。
ならば、願いは通じるかもしれない…。

地べたに額を擦るようにして懇願する。
このような事をするのは、生まれて初めてだった。
だが、恥ずかしいとは思わない。
屈辱だとも思わない。
ただ……助かれば良いと思ったのだ。
この、仇の男が。


「……まぁ、とりあえず…お顔を上げなさいな」
優しく、なだめるように語りかけられ
一呼吸置いたのち、静かに顔を上げた。
すると女将の顔が真正面にあり、思わず息を呑む。
土下座の蘭に対し、しゃがみこんで目線を合わせている。
相手の懐深いしぐさに、彼女は目を見開いた。
631出海×蘭:2006/09/25(月) 23:06:15 ID:jhdVw+pM
「この先の峠で戦があったって事くらい、分かってんだよね?
あんたみたいなお嬢さん一人で、どうしようってんのさ」
「…それは…」
当然のことながら、上策があろう筈はなかった。
戦から逃れた者が、我を忘れて襲いかかって来たとしても
身を守る術などなにもない。
それどころか、歩くことすら覚束ない。
だが、こうする他に、出来ることも思い浮かばない。

「見たところ、あんたも怪我してるようだし…。
なにより、旦那さんが納得してないみたいだけど?」
一瞬……呆気に取られた。
蘭は他の人間と同じく、頭の後ろに目は付いていない。
なので背後に立つ男の表情を、知るよしも無かった。
しかし、どのような顔をしているのかは
なんとなく想像が付くような気は、する。
「そうさねぇ…。
こんな健気な奥さん放り出しちゃ、名折れかね。
いいよ、二人とも…お入んなさいな。」
「……え」
思いもかけない言葉に、蘭の口から
気の抜けた呟きが零れ落ちた。

――何ということだろうか。
どうやら、人の良さそうな女主人には
夫の身を案じる貞淑な妻の姿と映ったらしい。
…こんな外見の女を娶る物好きなど
普通は居ないと思うのだが…。
632出海×蘭:2006/09/25(月) 23:07:18 ID:jhdVw+pM
故意ではないにしろ、虚実で善意を得たことに
蘭の胸はきりきりと痛んだ。
しかし……あえて、否定はしない。
脇に置いていた刀を、しっかりと握り締める。
なりふりなど構っていられなかった。

「ちょいと誰か!ひとっ走りして先生呼んどいで!!」
女主人の命令に、周りから「こんな時に!?」と泣き言が上がるが
眼光一閃、震え上がった若造が四人ほど
慌てて武器を掴んだまま走り去っていった。
蘭はその後姿に向け、心の中でそっと謝罪を述べた。

「きゃっ…」
突然乱暴に抱え上げられ、小さな悲鳴をあげた。
間近でかち合う男の視線は、思った通り冷たく
怒っていることは痛いほどに明らかだった。
矜持を傷つけてしまったのかもしれない…し
勝手に夫婦と決め付けられて、腹を立てているのかもしれない。

『……だからって、そんなに…睨むこと無いじゃない…』
それでも蘭は、先の行動が間違ったものではないと信じた。
『誰のために…苦労したと思ってるのよ…』
俯き、胸のうちで不満の言葉を呟き続ける。
それが実際に口から出ることは無かったし
しょげかえった気持ちが、癒えることも無かったわけだが…。
633出海×蘭:2006/09/25(月) 23:08:14 ID:jhdVw+pM
屋敷は、蘭が想像した以上に立派なものだった。
年若い女中に案内をされ、長い廊下を進み
通されたのは奥まった部屋。
綺麗に整えられた中庭に面した客間であった。
人形のように動かず押し黙っていた彼女だったが
内心は子供のようにおろおろと、動揺し続けている。
そしてその動揺は、開いた襖の先を見て、頂点に達した。

仲良く敷かれた二組の寝具が、淡い明かりに照らされている。
彼女は自分の口元がひくつくのを押さえられなかった。
恐る恐る盗み見た男の表情も、どこか微妙なものに思える。
「あ、あの…なにか不手際がございましたでしょうか…?」
「…いいえ。どうもありがとうございます」
入り口で固まる二人に、女中がおずおずと声をかけ
焦りを極力抑えつつ、蘭は極上の愛想笑いを浮かべてみせた。

『………………夫婦って云ったら、夫婦って云ったら
それは、そうなんですけども。当たり前なんですけども。
でも……うわぁ、すごくご立派なお布団。とっても高そう。
ああっ、私、着物が砂まみれなんですけども……。
どうしよう。汚れてしまう。こんなの弁償できないですよ。
着物、脱がなきゃ駄目なのかしら……
………………………………………………えっ、脱ぐの!?』

蘭の頭の中で、たくさんの彼女が一斉にさえずる。
634出海×蘭:2006/09/25(月) 23:09:06 ID:jhdVw+pM
女中が一礼をし、そっと襖を閉めた後も
しばらく布団を見詰め、突っ立ったままだった。

「……どっちを使う…?」
「はひっ!?」
唐突に話しかけられ、蘭の口から一段階高い、変な声が出た。
「二つ…あるだろ。どっちを使いたいんだ…?」
「…は、はぁ…。……じゃ、あ……奥のほうを…」
妙なやりとりだった。
そして彼女は、しまった!と強く後悔した。
『入り口側のほうが良かったのでは!?……なんとなく…』
……そう思い立ったのだが、今更取り消しづらかった。

男は手前の布団を遠慮なく踏みつけて奥へと進み
今までのようにゆっくりと、腰をかがめた。
蘭は、足の裏に寝具の柔らかな感触を覚える。
彼女のこれまでの人生において
異性に布団へ寝かされるなどという体験は、一度も無い。
これはそんな事じゃない、変なことを考えるんじゃない…と
自分を叱責してみても、心臓は飛び出そうなほどに高鳴ってしまう。
それだけはどうしても悟られたくはないと思い
能面のように無表情…を装ったつもりだった。
635出海×蘭:2006/09/25(月) 23:10:05 ID:jhdVw+pM
「…っ」
「えっ?」
男が息を呑み、蘭が何かと伺おうとした瞬間
「うくっ…!」
彼女は胸元を強く突かれ、息を詰まらせた。
あまりの唐突さに身構える余裕もなく
弾みで後頭部を叩きつけられたが、布団のおかげで痛みはない。

しばらく呻き、うっすらと開いた鳶色の瞳に映るのは
太く立派な梁が渡る高い天井。
そこから下へと視線をずらすと、男の総髪が見えた。
……息苦しいはずだ。
彼は、彼女の胸元に顔を埋めるような形でつっぷしていた。
豊満な乳房は押さえつけられ、藤色の着物の下で形を変えている。
「――――!!!」
息がうまく出来ないおかげで
悲鳴をあげずにすんだのは、なによりだった。

「……な、なん、なん…で…!」
耳まで真っ赤に染め上げた蘭が、最初に起こした行動は
大切な刀を倒れた男の下から避難させることだった。
腕を伸ばせるだけ遠くに刀を離して置き
自由になった両手で彼を退かそうと力を入れた。
しかし、筋肉の塊のような躰はとても重く
彼女の細腕ではびくともしない。
そして肩を掴んだ蘭の手が、ぴたりと止まり…
すぐにさま、首に移り、彼の額に移動する。
636出海×蘭:2006/09/25(月) 23:11:06 ID:jhdVw+pM
「…これ…は」
彼女の表情が、一瞬にして変わった。
指先を通じ、尋常でなく高い熱が伝わってきたのだった。

『…やっぱり……やっぱり、こんな無理して…!』
感情の起伏のせいか、自然と目頭が熱くなる。
蘭は歯噛みをし、男の額に滲む汗を指でぬぐった。
すると、彼の頭がぴくりと動き、彼女は慌てて手を離す。
「………わ、るい…。姿勢を、崩しちまって…」
「しゃ、喋らないで!」
意識が戻ったことを知り、蘭はほっと息をはいた。

「ともかく、ちゃんとお布団に…」
「……ああ…」
「い、いいですから、喋らないで下さい…」
とりあえず、胸に顔をくっつけたまま話されても困る。
彼女は頬を染めながら、男の躰が離れるのを待った。
しかし……一向にその時は訪れない。
もしかして、また気絶したのでは…と肝を冷やしたが
はたと気付けば、男の右腕が
自分の尻の下に敷かれていることに思い当たる。
抱えられた状態で倒れこんだのだから、仕方が無いのだが。
637出海×蘭:2006/09/25(月) 23:17:05 ID:jhdVw+pM
『……や、やだ…』
右腕にまで怪我を負わせては大事だ。
蘭は慌てて身を捩って躰をずらそうとした。
しかし、捻挫をした足首がずきずきと痛み
力が入らず、上手くいかない。
もぞもぞと動いた分だけ、着物の裾が捲くれあがっただけだ。
『もう少し、頭を上げてもらえると嬉しいのだけど…』
とはいえ…ぐったりとして辛そうな相手にいうのも気が引けて
彼女は困り果て、眉を曇らせた。

「おまえ……」
また唐突に胸元で声を発せられ、蘭はびくりと震えた。
「な、なんです?」
「……すごい…な」
「…はい?」
思い当たる節もなく、彼女は少しだけ首を捻った。
「……心臓…の音…が…。ものすごく…早い…」
「は?……はぁ…」
「もう少し……落ち着け…よ」

彼女の口元は、ぽかん…と音でもしそうな風に開いた。
まさに正しく、呆気に取られるという形に。
しばし自分の胸の上にある、男の頭を見詰めていたが
時がたつにつれ、ふつふつと、怒りが沸きあがってきた。
638出海×蘭:2006/09/25(月) 23:18:08 ID:jhdVw+pM
『――だっ、誰のせいだと……!』
怒りに任せて突き飛ばしてしまいたかった。
…無理であることは、重々分かっているのだが。
ともかく彼女は、離れろといわんばかりに男の肩を掴む。
そして……
「失礼するよ。具合はどう……」
何の前触れもなく、勢いよく襖を開けて入ってきた女将と
嫌になってしまうほど、がっつりと目が合ってしまったのだ。
女主人の後ろで、水の入った手桶を持っていた女中が
小さく声を上げて、慌てて視線を逸らした。

今、自分たちの姿を客観的に見てみたら……
彼女は全身全霊をもって、それ以上の想像を打ち切った。

「…お医者さん、もうすぐいらっしゃるんだけど……」
女将が、どことなく明後日の方向を見詰めながら、ゆっくりと話す。
「もしかして…お邪魔だったかい?」
「…………滅相もございません」
蘭には、それだけいうのが精一杯だった。



やってきたのは、たっぷりとした白い髭を蓄えた
温和な眼差しの老医師だった。
仰向けに横たわっている男の隣で、痛んだ足を庇っていた蘭は
ぎこちなくも深々と頭を下げた。
639出海×蘭:2006/09/25(月) 23:19:08 ID:jhdVw+pM
「ええよええよ…楽にしちょって」
いまいち出自のはっきりしない口調で老医師は話し
彼女の髪や瞳を見ても、何の動揺も見せない。
ただただ、のほほんと笑っていた。

「うん…うん…。お兄ちゃんは…腕で…
お嬢ちゃんは、あんよ…とね」
二人の様子をざっと見渡し、医師は薬箱から
様々なものを取り出しながら、独り言のように呟いた。
「……んーじゃあ、先に…」
「「そっちから」」
男は女を、彼女は彼を、手で示しながら
ほとんど同時に声を発する。
「……ぷふっ…!」
傍に座って事の成り行きをみていた女将が
堪えきれずに吹き出し、慌てて横を向いた。

「…あの、先生。
どうぞ、この人から先にお願いいたします。
このとおり骨を折り、熱も高いのです」
「ふむ」
蘭は自分の頬が熱いのを感じながらも
はっきりとした口調で訴えた。
その姿を微笑ましげに見ていた老医師は
言を受け、頷きながら男に視線を移す。
640出海×蘭:2006/09/25(月) 23:20:06 ID:jhdVw+pM
怪我や病気とは無縁そうにみえる、逞しい肢体。
白い綿服に、足首で絞られた風変わりな紺藍の袴。
そして…脇に置かれている、赤い革紐の巻かれた古ぼけた刀。

――何かが引っかかるのか、深い皺の刻まれた目元が、ぴくと動いた。

考える風に、じっと見おろす老医師をちらと見返し
男は額の上でぬるまった手ぬぐいを、少しずらした。
「…いや…。こいつから先に、診てやってくれないか…」
「ちょっ…と…!」
堂々巡りの感が強い。
非難が込められた彼女の声を制し、彼は続けた。
「見ての通り…オレの方が、こいつよりは重症…だ…。
そのぶん治療の手間も…かかるって…もんだろ…。
だから……そっちから先に、診てやって…欲しいんだ」
意地もなく、無理もない
ただそれが当たり前だとでもいいたげな、淡々とした声だった。

蘭は呆然として、何もいい返せなかった。
彼女が今まで教わって来たこととして
――いや、そうでなくても、常識中の常識として
重症の者から先に診るのは当然のことだ。
悠長なことをいって、手遅れにでもなったらどうするのか。
641出海×蘭:2006/09/25(月) 23:21:07 ID:jhdVw+pM
「……ま、それは、そうかもしれんわな」
「せ、先生っ!?」
若輩者の自分などより、多くの患者を診てきたであろう
老医師の言葉に、彼女は上ずった声をあげた。
「……言い争っちょる時間が惜しいし…」
途方にくれた顔の彼女をやんわりと諌め
患部を出すように促しつつ、医師はのんびりと零す。
「れでぇーふぁーすちょ……っちゅーヤツじゃなぁ」


なにやら怪しげな臭いが立ち上る、塗り薬。
それが足首にたっぷりと塗られていった。
見立てとしては、重度の捻挫で
完治までに少なくとも一月ほどは要る…とのことだった。
「ひ、一月も……ですか!?」
顔色をなくした蘭は、愕然として聞き返す。
「安静にしといて、早くても一月…な。
無理して悪化させたら、わしゃあ知らんよ」
老医師は治療の手を止めることなく、あっさりと告げた。

蘭は腫れ上がった右足を、恐る恐る見おろした。
いままで他ごとに気を取られていたせいか
まさかそこまで悪いとは、思っていなかった。
急に痛み出したように感じられ、脂汗が滲む。
642出海×蘭:2006/09/25(月) 23:22:06 ID:jhdVw+pM
「ほいほい、塗れたぁよ…っと。
しばらくこの上から患部を温めておくこと」
年を感じさせない軽快な手さばきで薬瓶を戻し
今後の手立てを医師は告げる。
しかし、茫然自失の彼女の耳は
その声を半分ほどしか受け止めていなかった。

「ま、そんな訳じゃがね……女将さん?」
「わかってますよ…。ここまできたら乗りかかった船さ。
二人とも完全に治るまで、のんびりしておいきよ」
確認を取るように顔を向けた老医師に、女主人は
さばさばとした口調で答える。
はたと我に返った蘭は、急いで顔を上げた。
「……あの、申しわけございません…」
「気にするこたぁないよ。困ったときにはお互い様…ってね。
にしてもあんた、運がいいよ」
「は、はい。本当に何から何まで、お蔭様で」
確かにこれほどの幸運はあるものではない。
彼女はまた礼を述べようとしたが、女将は
『そうじゃない』と笑いながら、ひらひらと手を振った。

「この辺りはね、温泉がたーくさん湧いてんのさ」
「温泉…ですか」
たしかに、近辺には湯屋らしき建物があり
湯気が上がっていたことを、薄ぼんやりと思い返した。
「そ。ここいらのお山は活きがいいからね。
それで温めりゃ、捻挫なんかあっというまに治っちまうよ」
女主人は豪快に、そしてどこか自慢げにいってのける。
643出海×蘭:2006/09/25(月) 23:23:07 ID:jhdVw+pM
「……海が無いのに熱海と云うのも…伊達ではない…か…」
寝転んだまま、じっとしていた男が突然口を開き
いささか驚かされた。
「そう云うこと。不治の病に侵された姫君を全快させた…
なーんて伝説もあるんだ。霊験あらたか、だよ」
女将は元気よく語る。蘭は曖昧に微笑み返した。

それにしても、一月以上も歩けないとは……。
彼女は一瞬だけ、横たわる男のほうに目を向けた。
はっきりと顔を見ることは、怖くて出来なかった。


いつの間に言いつけられたのか、湯気をくゆらす桶を手に
女中がしずしずと蘭の元へ歩み寄った。
真新しい手ぬぐいを湯に浸し、固く絞る。
包帯が巻かれた患部に乗せると、穏やかな暖かさが広がり
無意識のうちに入っていた肩の力が、ふ…と抜けていった。

女中に軽く会釈をし、さりげなく男の方へと目を向けた。
彼は彼女に背を向けて座り、黙って診察を受けている。
傍に置かれた風呂敷と、包帯代わりに使った長襦袢の袖が
なんとなく、気恥ずかしい。

「……応急処置をしてやったんは、お嬢ちゃんかね?」
「…え!?…あ、はいっ」
ぼんやりと、大きな背中を見詰めていた蘭は
その向こう側にいて顔も見えない老医師から話しかけられ
心臓を飛び上がらせつつも、返事をした。
644出海×蘭:2006/09/25(月) 23:24:07 ID:jhdVw+pM
「あ…あのっ…なにかおかしい所でも…?」
「ん、いんやいんや、逆じゃよ。上手いもんだと思ってなぁ。
これならくっついた後、もっと頑丈になるだろよ」
医師はなぜか、とても楽しげにいう。
「それは…いいな…」
男が、ぽつりと呟いた。

「もしかして、お嬢ちゃん
医療の心得がありなさるかな?」
「……あ…、……はい…」
医師の問いに、蘭は少しばかり口篭り
それからゆっくりと、遠慮ぎみに続けた。
「養父が、医師をしておりまして…。
それでその……真似事などを…少々…」
「ほうほう、女医さんかね」
女将が目を丸くして、大きな躰を揺らして驚き
女中は目を輝かせ、尊敬を込めた視線を送る。
そのすべてに慌てふためき、顔を真っ赤にして否定した。
「い、いえ、とんでもございません!
養父の補佐をしたり、薬を煎じたりが常でして
そのようにご大層なものでは、決して…」

事実、そうであった。
ただただ、尊敬する養父の指示に従い、働けるならそれで良くて。
知識はあっても実技が伴わず
この外見のこともあり、進んで人を診たこともない。
……そう、深く関わった患者と云うならば、一人だけ…。
癒せなかった、大切な人が……ひとりだけ……。
645出海×蘭:2006/09/25(月) 23:25:07 ID:jhdVw+pM
行灯の薄明かりで透ける紅瞳に
伏せた睫が、昏く濃い影を成した。



治療は滞りなく進み、男の腕は白い三角巾で覆われた。
額に負った切り傷、細かな擦り傷に薬を塗り
「あくまで、安静に」…と、老医師は釘をさした。

「腕はよし。あとはこの熱さましを飲みんさい。
そんで…とことん眠って、養生するこったよ」
差し出されたのは、薄黄の紙包みに入っている粉薬。
受け取りはしたものの、なぜか動きを止めた男を
蘭は不審に思い、そのまま注意深く見守った。
「薬飲むの…苦手なんだよな……」
まるで子供のような訴えに、彼女はかくんと肩を落とした。

「そ…そのような我侭、云うものではありません…!」
彼女は妙な恥ずかしさを覚えて
思わず、いくばくか棘付きの口調で諌めていた。
彼はちらと後ろを振り返り、首を竦める。
二人の間には、十に近い年齢差があるのだろうが
これではどちらが上だか…分からない。
そんなやり取りに、女将はまた派手に吹き出し
女中は口元を覆って、必死に耐え忍んでいた。

「…医師が二人もいては…分が悪い…か」
男は観念したのか、さっさと薬をあおり
慌てて水差しを引き寄せた。
646出海×蘭:2006/09/25(月) 23:26:08 ID:jhdVw+pM
診察を終え、慣れた手つきで薬箱を纏めた医師に続き
どっこいしょ…と、女将は重々しく立ち上がる。
「先生も泊まってってくださいな。物騒だし」との提案に
おっとりと「いやぁ…物騒だからこそ、帰るわ」と笑う。
気楽に話す恩人達に向け、蘭は出来る限り深々と頭を下げた。
「本当にありがとうございました…!
……あっ!あの、お名前を……」
いいかけて、よくよく考えてみれば
自分自身が名乗っていないことに気が付く。
慌てて口を開きかけた……が
「忘れてもうた」
老医師は、しれっ…と、そういい切ったのだった。

「え、あ…あの…?」
目をまん丸にして、聞き違いかと戸惑った。
「あっはは!…そんじゃーあたしも忘れちゃったなぁ〜」
聞き違いでは、なかったらしい。
女主人までもが豪快に笑って、調子を合わせ始めたのだ。
その様を、開きかけた口はそのままに、呆然と見上げ続ける。
「ぁ…」
「それじゃあ、お二人さん。隣にこの子を置いとくから
何か用があったら遠慮なくいってやって。
ゆっくり休むんだよ。……今日くらいは…ね」
たっぷりした含み笑いを浮かべ
一人で三人分ほどの存在感を示す女将を前に
蘭の声は、強風に煽られる木の葉よりも、弱かった。
647出海×蘭:2006/09/25(月) 23:27:05 ID:jhdVw+pM
女中が襖を閉めるのと同調するように
中空で止まっていた手が、ぱたり…と落ちる。

狐につままれた様な気分だった。
あまりにとんとん拍子で…不可思議で…。
まるで化かされているかのようだ。
朝起きて、枯れ草に埋もれていても、おかしくないほど…。

蘭はあわてて首を振り、おっかない考えを振り払う。
その様を、男が怪訝そうに見詰めていた。



――夜も更け、そろそろ日の変わる時刻であろうか。
とても静かな夜だった。
戦場から離れているから、静かなのか
戦だからこそ、静かなのか
それともただ単純に、夜半であるからなのか…
戦争というものをよく知らない蘭には、分からないことだった。

聞こえるのは、男のたてる苦しげな寝息だけ。
熱が上がって辛そうではあるが、薬のおかげでよく眠っている。
彼女はその顔を見おろして、小さく溜息をついた。
648出海×蘭:2006/09/25(月) 23:28:05 ID:jhdVw+pM
彼は何を思ってか、横になってもなかなか目を瞑ろうとはせず
彼女をやきもきさせたのだった。
……その前に、用意された寝間着を身につけるにあたって
一苦労があったのだが……
その件については、早々に忘れる努力をしようと、強く心に決めていた。

そんなことよりも。…彼女は静かに思い起こす。

彼の着替えを嫌々ながらも手伝おうとしたとき
よれた紙切れが一枚、白い綿服の胸元から、はらりと落ちた。
内容までは分からなかったが、それは写真のように思えた。
彼女も昔、新しいものに躊躇の無い養父に連れられ
この上なくぎこちない表情で写真に納まったことがあったのだ。

裏返しで床に落ちた写真を、彼女は拾おうとしたが
それより早く、彼の手が伸びた。
…ほとんどひったくられるような形で…。

彼がその写真をどこに隠したかは分からない。
別に知りたいとも思わないが。
知りたいとは思わない…が
……きっと、いや、間違いなく、確実に……
この男にとって、とてもとても大切な人が
写っているのだろう、とは…分かったのだった。
649出海×蘭:2006/09/25(月) 23:30:05 ID:jhdVw+pM
蘭はそっ…と、男の額から熱を含んだ手ぬぐいを取り
傍らに置かれた桶に、深く浸した。
徐々に力を入れて絞る。ぼたぼた……ぼたぼた……。

濡れた布で顔を覆えば、息の根を止められるかしら?

ぽたり、と最後の一滴が水面を揺らし
また折り目正しく形を整えた彼女は
ゆっくりと、額の上に戻す。


「………奥様、失礼いたします。
新しい水をお持ちいたしました…」
襖の向こうから、声がする。あの年若い女中だった。
頼まずとも甲斐甲斐しく、水や湯の換え
行灯の油などを持ってきてくれる。
顔を合わせると、純朴な笑顔を覗かせて
なんとも愛嬌のある娘であった。
「――ありがとうございます、遅くまでごめんなさいね…」
蘭は鳶色の目を細め、優雅な仕草で微笑み返した。



女中の手を借りながら、看病は続けられた。
幾度か睡魔に襲われ、軽い頭痛に眉をしかめるが
「あの、奥様もお休みになられては…」との提案には
優しく…かつ丁重に断りを入れる。
そうしている内に、いつしか夜も明けた。
650出海×蘭:2006/09/25(月) 23:31:06 ID:jhdVw+pM
徹夜明けの目を擦り、瞬きを何度か繰り返す。
光を取り込む障子がぼやりとした灰色に見えるのは
しとしと…と、小雨が降っているから。
夜中から降っていたらしいが、気付いていなかった。
本当に……運の良いことだと思う。
彼女はのろのろと、男に視線を移した。

寝入りばなに比べれば、随分と落ちついている様に見える。
『……少し、熱を計ってみようかな…』
蘭はそろりと、彼の額に手を伸ばそうとした…が
襖の向こうの廊下から、どすどすと賑やかな足音が聞こえ
慌てて指を引っ込めた。

「おはよ」
「おはようございます」
彼女と女将の間で、囁くような挨拶が交わされた。
「旦那さん、よく眠ってるね」
「……ええ…お蔭様で…」
疲れの浮かぶ顔ながら、微笑む蘭に女主人は肩をすくめた。
ふと見れば、女将の立派な体躯に隠れ気付かなかったが
一晩面倒を見てくれた女中とは、違う娘が後ろに控えている。
どうやら朝餉を運んできたようだ。
「いつ起きるか分からないし、先にお上がんなさい」
「…あ…、あの、すみません……」
「なに、遠慮するこたないよ」
そういって女将は、つと目を細めた。
651出海×蘭:2006/09/25(月) 23:32:06 ID:jhdVw+pM
「あたしにも……」
「え?」
美しい塗りの膳を、緊張しながら見詰めていた蘭は
女将の微かな呟きを耳にし、思わず聞き返していた。
「はは…。いや……ね。あたしにも……いたもんだから」
「……はい…?」
「うん、まぁ。……旦那がさ」
初めてみせる歯切れの悪さで、女将は恥ずかしげに囁いた。
「昨日の…あんたを見ていたら、柄にもなく思い出しちゃって…さ」

……『いたもんだから』
こくりと一つ息を飲み込んで
ゆっくりと、慎重に、口を開く。
「ご亭主様は…その……」
「うん、数年前に死んじゃったよ」
驚くほどあっさりと、女将は真実を告げた。

昨夜の行動が、蘭の脳裏に蘇る。
…夫の身を案じる…貞淑な…妻……
……に見える、行動を……
このひとは、自身と、今は亡き良人に重ねたのだろうか。

「……あ…の…」
「あ〜ごめんごめん、辛気臭い話して。
ま、そういう訳だから、本当に気にしなくってもいいからね」
蘭の細い肩をぽんぽんと叩き、女将は朗らかに笑う。
が、しかし、慌てて口を押さえ、眠っている男を伺う。
「……へへ。
ともかく…さ、あんたも…それ食べたら休みなさいよ」
652出海×蘭:2006/09/25(月) 23:33:05 ID:jhdVw+pM
女将と女中が去ったあと、蘭は一人
湯気の立つ膳を前に、指先一つ動かすことなく、座っていた。
とても…箸をつける気分になど、なれない。

「…………猫舌か?」
「!!」
突如聞こえた背後からの声に
一つに括った緋色の髪が、ぴょこんと跳ねるほど驚かされた。
足を庇うように振り返れば、まだ少しばかり眠そうな顔で
男が上半身を起こそうとしているところだった。
「冷めんうちに食ったほうが、旨いと思うぜ…」
「…あ、あなた、いつ起きてっ…!?」
「ついさっきだよ…。でかい声がして…さ」
やはり先程の笑い声が原因らしい。

片腕だけで起き上がった彼の額から、手ぬぐいが落ちた。
それを見た彼女は、ようやく気付く。
「…起き上がっても…大丈夫なのですか?」
「ああ、熱はほとんど下がった」
両手を使って傍に近づき、彼の顔を覗き込むと
肌の色も、息遣いも安定しており
これといって具合が悪そうには見えなかった。
彼女は密かに安堵し、肩の力を抜いた。
しかし、こうも早く回復してしまうとは。
薬の効きがよほど良かったのか、彼の躰が変わっているのか…。
653出海×蘭:2006/09/25(月) 23:34:06 ID:jhdVw+pM
「下がってるだろ?ほら」
「え…、なっ!」
感心ごとに耽っていた蘭は
いきなり手首を掴んで引っ張られ、息をのんだ。
手のひらが、男の額にさわる。
人肌と、硬い髪の感触が伝わった。

……たしかに熱っぽさは感じられない。
それが分かって彼女は、男の手を振り払おうとした。
しかし、払うどころか腕が動かせない。
別に掴まれて痛いとか、そういうことは無いのだが…。

「お前…寝てないのか…?」
蘭は、いきなりの指摘に酷くうろたえた。
もしかしたら、ものすごい隈でも出来ているのかもしれない。
間近で目が…合ってしまう。
「そっ!……そう、ですけど。…いけませんか?」
「…いや…別に」
そこで、ようやく手が離された。
片方の手で掴まれた場所をさすり、ほっと息をはく。
もしも今、体温を計ったならば
彼女のほうが確実に高かったことだろう。
654出海×蘭:2006/09/25(月) 23:35:06 ID:jhdVw+pM
「……ほ、ほかに、苦しいとか
気分が悪いとかは……ないのですね?」
赤い顔でそっぽを向きながら、つっけんどんに確認した。
「ない…な。腹は減ってるけど」
「…あ、そうなのですか?」
とげとげしかった蘭の目に、ぱっと柔和さが宿る。
「まだ箸はつけていませんので、良かったら…こちらをどうぞ」
先程の膳を何とか持ち上げ
こぼさないよう慎重に、彼の横に移動させた。

おひつを開けると、中から真っ白な湯気が上がり
細い指を水滴が濡らした。
あまやかで暖かな匂いがたちこめる。
「…あ、食後にお薬、忘れずに飲んでくださいね」
しゃもじで飯をよそいながら、昨夜渡された薬の事をいうと
男は少しばかり目を逸らす。
「………熱は……下がったんだがなぁ…」
「飲んでくださいね」
蘭はもう一度、はっきりと、しっかりと、念を押した。

「けど、これはお前の分だろ?」
まだ柔らかな湯気を立ち上らせる膳を指し、彼はいう。
「…そうなのですが……私…あの
今はまだ、お腹が空いてなくて。
せっかく用意して頂いたのですが…」
先刻の話を聞いてからというもの、胸にどす黒い靄が
じくじくと、広がっていくようで……とても喉を通りそうにない。
655出海×蘭:2006/09/25(月) 23:36:07 ID:jhdVw+pM
正直、男が空腹なのだと聞き、助かったのだ。
その心情を体言するように、彼女は両手で茶碗を持ち
彼にそっと、差し出したのだった。

愛らしい花柄の茶碗は、あきらかに女性使いの物であったが
男は何もいわずそれを受け取った。
ほっとして、蘭は膳に置かれた箸も渡そうとする。
しかし…彼の左腕を覆う三角巾の白が目に飛び込み
彼女はぴたりと動きを止めた。
やはり、徹夜明けで少しぼやけているのか……。
顔を赤くして、今渡したばかりの茶碗を受けった。

右手に箸、左手に茶碗…。
彼女が食事を取るときも、この形である。
さてこの二つ、どうしたものだろうか。
もっとも、出来る事といったら
彼の右手に箸を渡し、茶碗は膳に置く位だろう。
思い切って、具入りの握り飯にするという手も
無いわけではないが。

しかしそれらの手立てを蘭は取らなかった。
茶碗にそっと近づいた、朱に艶やかな箸先が
しっとりと光る白い飯を摘む。
食欲をそそる光景ではあるが…。男が不思議そうに見詰めている。
「……あの、口を…開けてくださいますか?」
箸を彼に向け、少しばかり遠慮気味に差し出しながら
それでもはっきりと、彼女は願ったのだった。
656出海×蘭:2006/09/25(月) 23:37:06 ID:jhdVw+pM
「…………え?」
差し出す箸を真ん中に、時間だけが流れた。
たっぷりと間を置き、男の口から、抜けた呟きが漏れる。
あまりにも長かったので、そうしている内に
飯がすべて冷めるのではと思えるほど。
しかし怯むことなく、彼女はすました声でいい張った。
「その腕では大変でしょうから、お手伝いいたします」
「…………」
男は表向き平静を保とうとしているが
動揺していることは手に取るように分かる。
こんな姿を見られただけでも
いってみた甲斐があった…と、蘭はしみじみ思った。

「……い…や、オレは……別に…
左手でも、箸を使おうと思えば出来るんだが…」
「今はその左手が使えないでしょう?」
「……」
なんだかよく分からない事をいい出した彼に
蘭は少しばかり首をかしげて、そっと返した。
「必要ないのであれば、それで…」
「…………いや。せっかくだし、貰っとくけど…よ」

「――そう、ですか?…じゃあ…どうぞ…」
いい出しておいて、なんであるが
正直『いらん』といわれてお終いになるかと思っていた。
蘭は少しばかり緊張しつつも、彼の口元に箸を差し出し
男は何もいわず、それを口にした。
657出海×蘭:2006/09/25(月) 23:38:12 ID:jhdVw+pM
「…………」
「…………」
なんとも、いいようのない奇妙な沈黙が支配する。
屋根を伝い落ちる水滴が、微かに二人のところにまで響いていた。


「……あの、勘違いなさらないでくださいね」
小さな……雨音に紛れてしまいそうな声で、呟く。

今までの会話も、普段よりは抑えたものだったが
それより更に、彼女は声を落とす。
部屋の外に漏れ聞こえぬよう、注意深く続けた。
「私は、あなたを許した訳じゃない。…けれど…
その怪我は、私のせいです。あなたがどう思おうとも」
痛々しい傷を覆う、白い布。
蘭はちらりと目をやり、すぐに下を向いた。
「傷が癒えるまで、お世話させていただきます。
……借りを作りたく…ありませんので」

「それに……」
男は、じっと彼女を見詰めながら耳を傾けている。
その視線に少しばかり躊躇しながらも、二の句を告ぐ。
「先程、お話を聞いたのです…。
あの女将さんは…私たちを…その……
…仲の良い、夫婦なのだと……
そう、思ったからこそ、助けてくださったのですって…」
蘭はそこで一呼吸置いた。
喉が渇く。焦燥感が身を苛む。
658出海×蘭:2006/09/25(月) 23:39:07 ID:jhdVw+pM
それでも……彼女は果敢にも男を見詰め返し、こう告げた。
「だから、あなたも…。
………いえ、あなたは、何もしなくていい。
ただ、このまま……黙っていて欲しいのです」

「…それで、善良な夫婦を装って、騙し遂せたい……か?」
「――ええ、そうです」

信じられた虚実を守るために嘘を吐き続けること
信じてくれた者に真実を告げ、傷つけること
どちらの罪が重いのかは……実のところ、分からない。
それでも、蘭の瞳は、どこまでも真摯であった。

「つまり、こういうのがお前の理想とする夫婦像…って訳か」
膳を見おろした男は、どこか、からかうような口調でいう。
それに対し、彼女はなんの感情も見せず
ただ静かに相手を見据え、きわめて冷静に言葉を紡いだ。
「もしも事が露見したときには、私が責を果たします。
……なので、どうか…」
「そんときゃオレも一緒に怒られてやるさ」
彼女の言を断ち切るような、はっきりした宣言に
蘭は少しばかり目を丸くした。
「分かった。……お前の思うように、やってくれ…」
659出海×蘭:2006/09/25(月) 23:40:06 ID:jhdVw+pM
「……食事の最中に、すみませんでした」
そっけなく謝罪しつつ、また茶碗から米を掬う。
しかし蘭は内心、胸を撫で下ろしていた。
もっとごねられ、なじられるだろうと覚悟していたが…
思ったより話の通じる相手なのだと知り、安堵する。
慎重に差し出した箸に、彼が口をつけた。

「よく噛んでくださいね」
「ん……」
男の口元が、ぴたと止まり…やがてまた、もごもごと動いた。
やはり、すぐに飲み込もうとしていたのか。
なんとなくばつの悪そうな顔を彼は見せ
蘭は、箸を握った手で口元を隠し、くすりと笑った。


これまで、こんな風に顔を合わせて食事を取ったことなど
当然ながらありはしない。
食事中であろうとも、決して見失わないよう
少し離れた場所で気を張り続ける。
それは、かなり体力を消耗する行為だった。

しかもこの男、かなり食べるのが早い。
彼女が一つの握り飯をようやく食べ終える頃
男の握り飯は三つばかり消えている。
最初の頃はそれに焦り、あわてて食事を胃に収め
気分が悪くなったりもした。
しかし、しばらくすると男が食休みを取るようになり
蘭にもいくばくかの余裕が出来たのだった。
660出海×蘭:2006/09/25(月) 23:41:35 ID:jhdVw+pM
それを思い出しての『よく噛んで』だった。
彼女は口元を、軽く微笑ませたまま
次は茄子の煮付けかな?と、膳に箸を伸ばそうとした。
「……あ」
男が突然、何かに驚いたような声を出す。
それに彼女もまた驚いて、慌てて顔を上げた。
もしかして、茄子は嫌いなのだろうか。

見れば、男は呆然と…目を丸くして…口元を押さえていた。
なんなのだろうか。舌でも噛んだのだろうか。
「……あ、あのっ…。どうかしましたか?」
「え?…ああ…。……いや…」
口にあった右手をずらすようにして、軽く頬を掻く。
誤魔化すような、それでいて
今になり、ようやく夢から覚めたような…
不思議と微妙な表情を、彼は浮かべていた。
「飯ってな…旨いもんだったな…と、思ってさ」

逆に意外というか、思いもよらない発言というか…
気の抜ける台詞に彼女は少しばかり呆れた。
「……え、ええ……そうですよね。
確かにとても上等なお米のようですし…。有難いことです」
彼女は手元の茶碗をしげしげと見詰めた。
――それにしたって……。
まるで、すごく久しぶりに食事を口にしたかのような
大袈裟な物言いだと、蘭は思った。
661出海×蘭:2006/09/25(月) 23:42:28 ID:jhdVw+pM
「…旨そうだな、その煮物」
「あ、ええ、ほんとに…。はい…どうぞ」
照りの入った茄子と色鮮やかないんげんまめを、彼の口元に運ぶ。
会話は途切れる。しばらく、二人の意識は食事に集中された。



――こうして、正しく嘘で固めた『おままごと』が始まった。

しかし、蘭の誓いは意外にも早々に破られる。
昼も過ぎた頃だろうか、彼女は、自分でも驚くほど唐突に…
精根尽き果て、布団に倒れこんでしまったのだ。

心と躰は、嫌というほどに繋がっている。
いつ習ったかも忘れてしまったその知識を
熱が上がって朦朧とする頭で
ざっと三日間ほど、反芻する羽目になった。

『世話をする』筈が『世話をされる』側になってしまい
「医師の不養生…ってヤツだな」などと、男が呟くのを耳にしても…
……何もいい返すことは、出来なかった。
662一五九 ◆D6Cu12peXM :2006/09/25(月) 23:43:06 ID:jhdVw+pM
つづく
あと2回くらいで終わる筈です。
663名無しさん@ピンキー:2006/09/25(月) 23:44:57 ID:u+DBQDuB
    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 GJ!GJ!
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J

続き楽しみにしてます
664名無しさん@ピンキー:2006/09/26(火) 00:17:01 ID:9ECe6R1m
ウワーオ
じっくり読まねば
665名無しさん@ピンキー:2006/09/26(火) 01:13:57 ID:8/DDNjOh
GJ!
続きマジ期待w
666名無しさん@ピンキー:2006/09/26(火) 11:29:23 ID:y1+TZcV/
神じゃ!
神が降臨なされたー!
667名無しさん@ピンキー:2006/09/27(水) 02:00:18 ID:lDjVc94R
GJ(*゚∀゚)=3
668名無しさん@ピンキー:2006/09/28(木) 21:26:09 ID:LMVYrMw3
ああ茄子の煮物食いたくなった
669名無しさん@ピンキー:2006/09/29(金) 23:31:24 ID:MyIZNohW
一五九氏の作品は、他の作家には無いストーリー性があるから好き。
670名無しさん@ピンキー:2006/10/07(土) 01:04:43 ID:oHAGOfYm
ぼっしゅ!ほっしゅ!
671名無しさん@ピンキー:2006/10/12(木) 01:03:28 ID:ZZHTwApj
ホシュ
672名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 19:51:03 ID:NGbzf97t
ほしゅっシュ
673名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 02:14:10 ID:P/vZfxYS
ほしゅです
674名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 23:57:19 ID:TClkgWk3
あげます
675名無しさん@ピンキー:2006/10/30(月) 21:22:51 ID:sZC2HNRM
一五九殿
まだでしょうか?そろそろでしょうか?もうすぐでしょうか?
676名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 22:07:24 ID:INzzvkqk
まぁ、ゆっくり待とうではないか。
お腹が空けば空くほど、ご飯は美味しくいただけると思うんだよ。
677名無しさん@ピンキー:2006/11/01(水) 01:43:22 ID:RkKWnLr1
しかし、空腹も過ぎると食べれなくなるという生理現象がだな
678名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 10:37:26 ID:6GmJAduv
679名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 23:20:08 ID:XYP85nX0
         ,.- '´  ̄ ̄ `  - 、
        r'   _,. -―-- .、  ヽ
       l r '´        `ヽ  l
       l'.......-―.:::::: ̄ ̄:::::::::::‐.`L.._
     ,-:::´::::::::::-::‐ ''  ̄ ̄  ‐-、:::::::::::::ヽ
   r':::::::::::::::::::/          lヽ:::::::::::::::i
  .i'::::::::::r:、:::::l   _       i:::::::::::::::::::::!
  .l::::::::::i:rヽヾ  ri't:Tヾ、 ;::::- 、 !:::::::::::::::::::/
    ヽ:::::lヽ.、     ̄ノ :.'`-'ヽ`ir' )::::::::::;r'
     ` ヽニ:.      ,.   ::.`   'i:.r'::;;-'´
        l::.   ,,..--`-:く   /'-' ´
        イ :.  "'''''''"';;;;:ミ .!
    r:::'::::::l  :..      `/
 ,.-:':::::::::::::::::!ヽ   、.    i'
':::::::::::::::::::::::::::i ヽ    ̄ /!ヽ、
::::::::::::::::::::::::::::::i,.--ヽ._,〃´l:::::::::ヽ、
::::::::::::::::::::::::::::::l  _/_i_l   ,!、:::::::::::::::ヽ

     ホッシュ [Sred Hossu]
     (1875〜1934 イギリス)

680名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 00:19:35 ID:H5LjQglk
愚津怒痔世武
681名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 03:30:13 ID:igaxV9pw
職人に触発されて今狛と蛍で書いてるんだが
ここの住人は初エチーと経験済みならどっちが好みかい?
682名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 05:20:12 ID:Zsg2kHEE
済みで
683名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 17:36:46 ID:o8zSKyun
狛と蛍なら
どっちも初めてが自分は萌えスv
684名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 01:24:06 ID:dGmgFkJh
>>679
不覚にもワロスw

>>681
蛍は初がいいな。狛は済でも初でも。
685名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 04:01:06 ID:8znfVddI
両方という我侭要求を提示してみる。
686名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 20:16:20 ID:YTTdKel/
職人さんの書きやすいほうで

できれば続きという形で両方読みたい
687名無しさん@ピンキー:2006/11/13(月) 18:46:18 ID:SGsAKxV9
というか蛍って何歳だ?
688名無しさん@ピンキー:2006/11/13(月) 19:59:14 ID:Biv2cVIH
9歳じゃなかったけ
689名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 01:36:04 ID:7cHh1vFl
あの直後にってのは考えづらいぞ、流石にw
690名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 18:51:53 ID:bKKUzWCN
>>689
681だけど流石に直後は考えてねえw
数年後とかそのへん。いくらロリ好きでも9歳のエロは書けない
691名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 19:42:16 ID:3m/xeg1o
初潮直後ぐらいで
692名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 18:57:01 ID:11SeyNT6
いやお赤飯前なら安心して中だ(r
693名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 01:16:21 ID:ea/3casx
いや、入んないだろ。持ち物おっきみたいだしw>狛
694名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 01:37:57 ID:WDzLqU1w
でも、年代考えたら14くらいでやっててもおかしくはないんだよな?
695名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 21:38:59 ID:y1t8JiU6
今引っ張り出して確認したら信長編ラストで蛍14歳、狛27歳くらいだった
13歳差って今でいうと幼稚園年長組と高校三年生ぐらい離れてるんだよなw
696名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 22:11:40 ID:uJlApcdm
昔の27って・・・・
697名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 22:55:40 ID:WP1exneA
一回り以上はなれてるのかw
ソレはそれで良いかもしれない
698名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 01:35:12 ID:wrmsfZdT
もう、即行床入りで問題なくね?
699名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 02:39:09 ID:gJCrq/6F
泣きつかれて押し倒しチョメチョメ
700名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 02:45:33 ID:v4pn4Gaq
>>695
ラストで蛍14歳か。だったら即床入りもありか。
昔の女の人の14歳って嫁にいってもおかしくない年だったような。
でも中々手を出せない狛もアリだなw 
このスレでは陸奥の男はお預けを食らうものと相場が決まっている!w
701名無しさん@ピンキー:2006/11/18(土) 16:54:03 ID:O5Fd/8BG
そうそうw
よくがまんできるなと読んでて感心する
腹へってんのにガマンシテがまんして我慢して食ったらより美味いってか
702名無しさん@ピンキー:2006/11/18(土) 20:40:47 ID:3j+Y3G4d
孫一死亡から信長死亡までの六年間二人がどうしてたのか知りたい俺
まさか六年間連れ歩いてたわけじゃあるまいな…
そうだとしたらまさに子連れ狼w
703名無しさん@ピンキー:2006/11/27(月) 00:48:38 ID:De8X2+XU
たぶん仲良くなるために色々連れ回してたんじゃないか
704名無しさん@ピンキー:2006/11/27(月) 23:28:38 ID:qPczAlCo
鉄砲もちのツンデレって・・・
705名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 17:53:52 ID:t24FNFdd
イグナシオ「センセ・・・ホモでっか?」
徳光「ああ・・・そのとおりやっ!」


うほっ



・・・今、このスレを見つけた。で、最初に連想したのがコレ。
でも、使い古されたネタだと思う。
詳細を書いた大馬鹿(もちろん修羅シリーズチックな意味で)がいたかどうかはしらんが。
706名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 01:57:49 ID:bRFHN924
>>702
子連れ狼 ワロスw
707名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 17:14:58 ID:VdDw+nBD
蛍は
「てっぽにかなうもんか」
が可愛すぎるんだよ。
あとポニ−テール。
708名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 01:18:49 ID:Af11Z/AE
709名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 01:45:10 ID:BZhgTVyw
>>708
ちょっとまてwwwwwwwwwww
710名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 13:30:21 ID:8KgxUyzN
>>708
完成品うpよろしく
711名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 04:09:01 ID:qhg+7st4
保守


ところで刻の15巻を表紙見ただけで衝動買いしたのは俺だけじゃないはず
712名無しさん@ピンキー:2006/12/14(木) 22:03:57 ID:RC+bwU4f
雷電×葉月が一瞬思い浮かんだけど
流石にこれは無いか
713名無しさん@ピンキー:2006/12/14(木) 22:48:34 ID:JjexMAdZ
とりあえず書いてみんなで意見を交わせばいいと思います
714名無しさん@ピンキー:2006/12/15(金) 02:03:50 ID:NsOA34Np
>>712
投下するのは止めないし、推奨するのも吝かではない。

狛×蛍はまだ?
715名無しさん@ピンキー:2006/12/16(土) 19:27:11 ID:7Q+YtXai
とりあえず正座しながら保守しときますね
716名無しさん@ピンキー:2006/12/16(土) 19:45:56 ID:8W3uge2Z
正座しながら神を待つことしかできない文才ゼロな俺
717名無しさん@ピンキー:2006/12/18(月) 17:15:04 ID:X23SKpnu
それでも読めればチョーシアワセだ♪
718名無しさん@ピンキー:2006/12/18(月) 20:26:57 ID:7swrzxzN
保守保守
719名無しさん@ピンキー:2006/12/20(水) 04:59:31 ID:Rd6JZ6cC
>>681に便乗して狛×螢を書いてる俺ガイル
720名無しさん@ピンキー:2006/12/21(木) 02:32:00 ID:pbDb5vhC
螢「いさぎよく保守られろ!」
721名無しさん@ピンキー:2006/12/21(木) 23:05:08 ID:K/qZSFOq
アメリカに渡った(流された?)雷の話で、
色々あって部族のテントに戻ってきたとき、
ニルチッイが雷の肩に手をかけてるよな。
あれが気になるんだけどさ、書くのは無理だわorz
722名無しさん@ピンキー:2006/12/21(木) 23:24:07 ID:vBnCvJKi
>>721
話的にニルチッイと雷があれやこれやになれる話のスキマがないんだよな…
あの二人は精神的な繋がりはともかくエロい関係にはなれなかったようにしか見えない。
そのくせ、ニルチッイが囚われてた時には絶対まわされまくったとか考えると
(他作品になるけどREDとかでの、当時のインディアン女性の白人からの扱いとか見てるとね…)
白人の下種どもに汚されまくった男性経験しか持たず、
好きな男には一生抱かれなかったという鬱妄想が…orz
723719:2006/12/22(金) 00:35:07 ID:M9okGY2e
とりあえず狛×螢の大体の構図が決まってきたんで何と無く報告

本編終了から一年半ぐらいの話で、多分初体験
2、3日のうちには投下出来ると思うけど、まあ初書きなんで期待しないで待っててよ
…15歳で結婚でもいいよな?
724名無しさん@ピンキー:2006/12/22(金) 00:43:54 ID:RB0lomHQ
>>722
そうなんだよな…。>欝妄想
驚異的な早さで雷が到着したとして、馬と人の足だしな。
ホロコーストに似た開拓時代の人種差別は胸糞悪すぎるよ。
だから救いは村に戻ったときのニルチッイの顔なんだけど。
725名無しさん@ピンキー:2006/12/22(金) 23:02:57 ID:uzrHwI/O
>>719
あの位の時代のなら15でも問題ないだろ
726名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 15:17:48 ID:Hl+BjuJF
ほっしゅ
727719 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/23(土) 16:39:14 ID:BKzFQ9+D
何とか完成したんで投下します。
真昼間から何してんのとかそういうアレは受け付けません。
728狛×螢 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/23(土) 16:40:20 ID:BKzFQ9+D
「あ、雪…」
螢がぽつり、と呟く。
窓の外は暗闇に包まれており、時折白い点が浮かんでは、消えてゆく。
その風景にどうやら螢は惹き付けられたようだ。
「雪か…どうりで冷える訳だ」
隣で狛が答える。

「狛…その格好どうにかならんのか?見てるこっちが寒い」
一年中同じ格好の狛を見て、螢は小さな溜め息を吐きながらも、
笑みを浮かべながら言う。
そしてまた、螢の視線は暗闇に向けられる。


螢が父の仇敵をとり、そして狛が陸奥の名を継いだのは一年半程前の事。
螢は、狛に連れられて陸奥の里に身を寄せていた。
家族を失った螢が唯一頼れる者は狛だけであった。

そして今は、本当の家族…夫婦として、暮らしている。
13歳もの歳の差。
にも関わらず、村の皆がそれに触れる事無く祝福してくれたこと、
それが二人にとって何よりも嬉しかった。
729狛×螢 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/23(土) 16:41:08 ID:BKzFQ9+D
狛は、真似るようにして、はぁ…と小さく溜め息を付きながら呟く。
「…積もるな。残念ながら」
それを聞いた螢は、きょとんとして再び狛に目を向け、
「何じゃ狛…雪は嫌いなのか」
と少し残念そうに言った。
「嫌い…とは言わんが、ま、色々と面倒だからな」
「ふぅ…ん…。面倒……何が?」
という、無邪気な声が聞こえる。
雑賀では雪など積もらぬのか?全く気楽な奴だな…
それとも今度一人で雪下ろしでもさせてやろうか、
などと考えながら外に目をやっていると、
「で…どれくらい積もるのじゃ?」
という螢の声が耳に届いた。
「そうだな…お前がすっぽり埋まってしまう位、かな」
「え…本当?」
「さて、どうかな」
驚いた様子で外を見つめていた螢を横目に、
狛が意地悪そうにニッ、と笑って答える。

「おいおい、そんなにふくれるなよ、螢。」
狛をじっと睨みつける螢の頬はぷっくりと膨れ、桜色に染まっていた。

しかし、そんな彼女を愛しく感じた狛は思わずきゅっと抱きよせる。
730狛×螢 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/23(土) 16:42:00 ID:BKzFQ9+D
突然彼との距離が縮まり、不意を突かれた螢は、
自身でも不思議に思う程脈打っていた。
目の前の胸板に耳をあてると、彼の鼓動もまた同じように速まっていた。
「…狛……お前の胸が…どきどきとしておるぞ…一体どうしたのじゃ…?」
「…さてな」
狛の曖昧な返事とは裏腹に、螢のふっくらとした頬には彼の右手が、
髪には左手がしっかりと添えられていた。
そして、二人の唇が近付き、そっと触れる。
「……ん…っ」
螢の口から自然と小さな声が溢れる。

触れては、離れる。
そんな口づけを繰り返していた。
螢は目をきゅっと瞑っている。
彼はその初々しい反応を可愛らしく思い、螢の髪を優しく撫でる。
そのふわりとした、暖かな感触に微かな安らぎを感じた彼女は
、狛の背中に両腕を回していた。

すると突然、螢の唇に何かが侵入し、彼女は急に現実に引き戻された事を感じ取った。
その『何か』は、歯列を割って、螢の舌にそっと触れ、絡み付く。
螢はその時やっと『何か』の正体を知った。

――これは…狛の…舌?
それと同時に、既に桜の花びらを散らしたような螢の顔がさらに紅く染まり、
耳の先までじわじわと紅潮してゆく。
狛の舌は螢の口の中を探るように擦り、上顎をそっと舐めた。

始めのうちはただされるがままの螢であったが、
負けるものかと、真っ赤になりながらも自ら舌を絡め始める。
「んっ………ふ…」
部屋の中にぴちゃぴちゃ…と、いやらしい音が響く。
舌を絡め合い、互いの唾液を啜る。
時には舌をそっと噛み、二人は甘い痺れに酔いしれていった。
731狛×螢 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/23(土) 16:42:43 ID:BKzFQ9+D
どれ程の間交わっていただろうか。
狛がゆっくりと唇を離すと、二人の間には銀の糸が垂れ、ぽとりと落ちた。
唇は、どちらのとも分からぬ唾液でしっとりと濡れている。
唇が離れたことに安心したのか、それとも心細くなったのか、螢の目がそっと開く。
彼女は恥ずかしさのあまり目の前にある狛の顔を直視できず、俯いてしまった。
それを見た彼は、不安そうに彼女の耳元でこう囁く。
「これ以上は嫌…か?無理しなくても良い…」
「ん…嫌では…無い…。ただ少し…恥ずかしい…だけじゃ…その…狛と……」
その言葉をそのまま表すかのように螢の声は次第に弱くなり、
狛は彼女の言葉を最後まで聞き取ることが出来なかった。

虚ろな瞳が狛に訴えかける。
続けてくれ…と。

狛は螢の腰に手を回すと、ひょいと持ち上げ、褥の上にそっと横たえた。
そして螢の着物の衿をそっと掴み、左右に引っ張り始める。
「きゃ…こ、狛…何を…」
「何って、見て分からぬか?」
「そ、そうじゃなくて…」
狛の腕を弱々しく掴み、抵抗しようとする螢。
だがそのささやかな抵抗を気にも留めずに、
狛は彼女の上着を丁寧にずらしてゆく。
するり、と螢の肩から布の擦れる音がした。
そして彼の目の前に、少女の上半身が晒された。
732狛×螢 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/23(土) 16:43:19 ID:BKzFQ9+D
降り積もる雪の様に真っ白な肌。
その胸元に在る、やや小ぶりな形をした膨らみは美しい弧を描いており、
頂点には薄桃色の突起が添えられている。
その光景はまるで、雪原にぽつんと一輪だけ咲いた花のようであった。
「や……見ない…で…」
顔を真っ赤にして目を瞑る。
それを見た狛はたまらず螢を押し倒し、首筋に顔をうずめた。
「きゃっ…!」
螢の肩が震える。
狛がちゅっ、と優しく吸い付くと、
彼女の首筋にほんのりと紅い斑点が浮かび上がっていた。
首筋に沿って舌を這わせ、時折ふっくらとした耳たぶを甘噛みし、ちろりと舐める。
「…っ…あっ…」
そっと舐める度に肩をぴく、と震わせる螢に狛はさらに欲情する。
狛の背中に両手を添え、螢は羞恥に耐えた。

肩を押さえていた右手がすっと離れ、少しずつ下へと向かう。
そして、彼の手が柔らかな乳房をゆっくりと揉みしだく。
「…あ……ん……くぅ…あぁっ……」
今まで味わった事の無い感覚に戸惑い、螢は甘く、小さな悲鳴を上げる。
彼女の躰は次第に熱を帯び始め、柔らかな膨らみがしっとりと汗ばんでくる。

何とか抵抗しようと、螢は背中に回していた手で狛の右腕を掴んだ。
すると、自分の膨らみの形を変えてゆく感触が伝わってくる。
…逆効果であった。
螢の頭の中は恥ずかしさのあまり真っ白になってしまった。

膨らみを弄る彼の手の動きも段々と激しくなっていく。
狛は、螢に快感を与え、その喘ぎ声を聞く事だけに夢中になっていた。
733狛×螢 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/23(土) 16:44:23 ID:BKzFQ9+D
「ひゃぁ…っ!」
螢の躰が跳ね上がる。
膨らみの頂点には、狛の人指し指が添えられていた。
さらに、親指と人指し指で優しく蕾を摘むように愛撫を続ける。
狛が指を動かす度に、小さな声が静かな雪夜に響き、頂の蕾は次第に硬くしこってゆく。
「やっ…だめっ…あぅっ…ふぁっ…あぁ…んっ…」
こりこりとした突起を手の中で転がす。
そして狛は、硬さを増した蕾に吸い付いた。
「ふあぁっ…あっあぁっ…狛…あっ…!」
螢の喘ぎ声が一層大きくなる。

舌を尖らせ、いやらしく舐め回す。
唇で突起を軽く挟み、舌で何度も擦る。
空いている方の胸を鷲掴みにし、乱暴に揉む。
その都度目の前の少女は乱れてゆく。
「くぅ…狛…っ…ああぁっ…あんっ…やぁ…っ!」

――螢の目から、一粒の涙が溢れた。
自分の名を必死に叫びながら涙を流す螢を見た狛はさらに燃え上がり、
ちゅぱちゅぱ、といやらしい音を立てながら、さらに強い刺激を与えていった。
734狛×螢 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/23(土) 16:45:24 ID:BKzFQ9+D
熱を帯びた小さな躰を抱き起こすと、狛は螢の背中に回り、
彼女の躰をもたれかからせるようにして座り込んだ。
「え…何?」
袴の隙間から左手を忍び込ませ、布をかき分け秘裂をそっと撫でる。
「ひあぁっ!」
ひときわ大きな悲鳴が静かな部屋に響き、螢の躰が弓なりに反る。
それでも狛の手の動きは止まることなく愛撫を続ける。
既に秘所はぐっしょりと濡れており、
ただ指で擦られるだけで腰が砕けるような快感が螢を包む。
「ふぁぁ…あぁん…ぁあ…!」
次第に手は何かを探るように動いてゆき、彼女の肉芽を捉える。
その瞬間、甲高い声が男の耳に響いた。
狛は充血して硬くなったそれを指でしごき、さらに彼女を高めてゆく。
それまでとは比べ物にならない程の快楽の波が螢を襲い、身をよじらせる。
同時に、乳房を右手で、耳を舌で攻め続ける。

「あぅっ…狛っ……ぁあん!…あっあっあっ…はぁ…あっ!
…ん…ぁっやっ…ぁぁぁぁああ…!!」
敏感な部分を三カ所も同時に攻められ、螢は小さく達してしまった。
力無く倒れこむ螢を、狛の大きな手が支える。
螢の目からは涙が幾度も溢れ、口からは唾液が糸を引いて落ちた。
「おい…大丈夫か?」
「はぁっ…はぁっ……ん…はぁ…っ…へ…平気じゃ…っ…」
平気ではないのだろうが、強がりなのは幼い頃から変わってはいないらしく、
息も絶え絶えに、顔をしかめながら言う。
そんな螢の殊勝な姿を見た狛は、悪戯を思い付いた童のように、
不敵な笑みを浮かべるのであった。
735狛×螢 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/23(土) 16:47:27 ID:BKzFQ9+D
「そうか。それじゃ続けるからな」
「はぁっ…え……あ…待っ…あっ…」
抵抗する間も与えず、狛は螢の袴に手を掛け、しゅる、と帯を解いた。
狛は再度体の向きを変え、螢を前から見る。
幼さを残しつつも、大人の女性の香りを漂わせるその肢体は、『美しい』の一言に尽きる。
うっすらと毛が見えるそこは、先程の愛撫により愛液がとめどなく溢れていた。
窓から射した月光に照らされ、彼女の躰はいっそう艶やかに見えた。
そんな彼女の太股を両手でがっちりと固定し、彼は裂け目をまじまじと覗き込んだ。
螢は両手で真っ赤な顔を隠し、その視線に耐える。
「…はぁっ……こ…狛……」
「ん」
「…そ、そん…なに…はぁっ…見ないで……。は、恥ずかしいの…じゃ…」
荒い呼吸とは対照的に、消え入りそうな程弱々しい声で囁く。
「へえ…恥ずかしいのか。何で?」
狛は意地悪そうにニィ、と笑う。
「別に恥ずかしがることなんか無いだろう。俺は…綺麗だと思うが」
その言葉を聞いた螢は…もはや言うまでも無かった。
『全くこいつは…一体どれ程まで紅くなれば気が済むのだろうか』
そんなことを考えながら、狛は螢の股間に顔をうずめ、秘裂に舌を伸ばした。

自分でも触ったことのない内部に、狛の舌が――
穢れを知らない少女は、恥ずかしさのあまりその現実から目を背けたくなる。
「い、いや…!やめて…っ!」
無意識に発せられた拒みの言葉。
それを聞いた狛はニッと笑い、
「…それじゃ、もう止めるか」
と言って顔を離した。
736狛×螢 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/23(土) 16:48:43 ID:BKzFQ9+D
「…ちょっと……何で止める…」
訳も分からず、じっとこちらを見つめる少女に、狛は微笑んだままこう返す。
「何でって…『嫌』と言ったのは螢だろう」
「う…こ、狛の…いじわる………お願い…じゃから……」
脚をもじもじさせながら、泣きそうな声で言う。
秘裂は熱を帯び、濃厚な蜜を流している。
どうやらもう焦らされる事に我慢出来ないようだ。

「…冗談だ」
彼は軽く吹き出しそうになるのを手で押さえながら言った。
突然の言葉に、しばらくの間何を言われているのか分からなかった螢だが、
からかわれていた事に気付いた途端に、
少女の顔はみるみるうちに紅潮し、頬はぷっくりと膨れていった。
「………馬鹿」
螢は出来る限り低い声でぼそ、と言い、その涙目は狛を睨んでいた。
少し悪戯が過ぎたことに気付き、狛は少し反省したようだ。
「あぁ…すまぬな。」
そう謝る狛の表情はいつの間にか、普段の優しい笑顔に戻っていた。

「…じゃ、続けるぞ」
そう言うと再び下半身に顔をうずめ、ぴちゃぴちゃと派手な音を立てながら舌を侵入させていった。
737狛×螢 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/23(土) 16:50:36 ID:BKzFQ9+D
外から異物が侵入し、ざらざらとした感触が内側から伝わってくる。
その感覚に背筋が凍りつき、
たまらず螢は軽く束ねられた、さらさらとした彼の髪をくしゃ…と掴んだ。
しかし、その舌はお構い無しに中を溶かすように這いずり回る。
「ひぁ…んぅ…あぁっ!」
舌でその中をかき回す度に肉壁をひくひくと動かして喘ぐ螢に、狛はさらなる興奮を覚える。
そして狛は裂け目に口をぴったりと当て、じゅる…と蜜を啜り始めた。
強く吸い込むと、それだけたくさんの、どろりとした液体が染み出てくる。
強弱をつけて蜜を啜りながら、膣壁を舌で擦り、
最後の行為に到達するための準備をする。
『そろそろ、か…』
狛が息を切らせて顔を上げると、螢の蜜壷から溢れ出た液体が顎を伝って滴り落ち、
褥に水玉模様の染みを作っていった。

螢と狛の目が合い、互いにじっと見つめる。
少しの間、沈黙が二人を包む。
その均衡を破り、狛が口を開く。
738狛×螢 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/23(土) 16:51:31 ID:BKzFQ9+D
「螢……もう…いいか…?」
彼はそう言うと、自分の着物を素早く脱ぎ捨て、股の間にずいと割り込んだ。
するとそこには、彼のいりき立った男根が存在を主張しており、
もう我慢できないといった様子だ。
「あ…」
それに螢の視線が注がれ、表情がこわばる。
「螢…俺が怖いか?」
狛の低い声に一瞬身がたじろいだが、
「狛…私は……その…お前と最後まで…したいのじゃ…」
と、覚悟を決めたのか螢はそう言って彼にそっと口づけをした。
「…本当にいいんだな?」
螢はこくり、と頷いた。
彼女にも、これから行われるであろう行為はある程度予測がついていた。
「それじゃあ…入れるぞ」
昂った先端を秘所にあてがい、ゆっくりと上下させて入り口を擦る。
彼女のそこは溶けそうなほど柔らかい。
そして狛はゆっくりと腰を動かし、中に侵入してゆく。
「…ひぅっ…!くぅ……やあぁっ!」
十五の少女が初めて受け入れるには多少辛い大きさであったが、
下準備をしていた甲斐もあり、何とか奥に進む事が出来た。

「螢…大丈夫……力を抜いて…」
優しい声が螢の躰に響く。

――そして彼は、一気に貫いた。
少女の顔は苦痛で歪み、先刻までのの甘い喘ぎとは違い、
痛みに耐えるような悲鳴を上げる。
739狛×螢 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/23(土) 16:52:50 ID:BKzFQ9+D
螢の狭い膣中はひくひくと痙攣し、陰茎をぐっと締め付けている。
じっとしているだけでも、狛のそれにはぴりぴりと甘い痺れが伝わってくる。
「…痛いか?」
狛は、破瓜の痛みに歯を食い縛って耐える彼女の身を案じた。
「…へ…へいきじゃ……うぅ…」
涙をぽろぽろと流しながら、震えた声で螢は答える。
泣きながらもその表情にうっすらと笑顔を混ぜる螢の躰をそっと抱きよせ、
男はゆっくりと前後に動き始めた。
少女の内部は擦られる度にぴくりと痙攣し、じわじわと狛を高めてゆく。
しかし、それと同時に辛そうな螢の表情が再び浮かび上がるのを見た狛は、
微かに残った理性により動きを止めた。

「少し動いただけでこれだ…何が平気なものか…」
「くぅ…だいじょ…ぶ……狛のなら…耐え…られ……」
「でもな、螢………」
「………………たく…ない………」
「…螢?」
「狛……お前と……離れ………たくない…だから…」
「…っ!」
甘く、切ない言葉を溢す螢にさらに欲情する狛。
彼にはもう、理性など存在しない。
そして、糸が切れたように腰を打ち付け始める。

小刻みに抜き挿しをする度に、二人の結合部はちゅくちゅくと淫らな音を立てる。
螢の膣中は彼の欲望を締めつめたまま、離そうとしない。
肌のぶつかる音に合わせて、悲鳴が一段と大きくなる。
しかし、その悲鳴にも次第に甘い喘ぎ声が混ざり始め、
少女は男の動きに合わせて自ら腰を動かしてゆく。
「あぁ!あっ!…はぁっ…ぁあんっ!……いい…っ……いい…よ…狛ぁ…っ!」
結合部では血液と愛液とが混ざり、
それは二人の淫らな行為を滑らかに促す潤滑油となっていた。
740狛×螢 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/23(土) 16:54:14 ID:BKzFQ9+D
「狛…狛ぁっ……あぁっ!…く…んんっ…!」
引き裂かれるような痛みと痺れるような快感が入り乱れる。
螢は何度も意識が飛んでしまいそうになり、
その度に目の前の男の名をまるでうわ言のように呼び、必死に耐える。

時には優しく、そして時には激しく、彼女を擦る。
覆い被さるように体重を預け、下半身を圧迫する。
抜けてしまう直前まで引き抜き、一気に深く貫く。
中をかき回すように腰を動かす。

…その度に二人は快楽に溺れ、確実に『その時』は近付いていた。
「こまぁっ…ひゃぅ…んっ!…もう…わたし…はぁっ…あっ…あっあっ!あぁ…あんっ!」
限界が近付き、螢は思わず声を上げる。
「螢っ…俺も……もう…」
最後の仕上げといったように、螢の腰に手を回し、彼は一段と強く打ち付ける。

――そして『その時』が二人に訪れた。
「ああっ!や、あぁっ!ぁあ…あっやっ!はぁぁあっ!
……ぁぁ…こ…こま…っ…こまぁっ!ぁぁ…ぁぁぁぁあああっ!!」
少女は彼の背中に爪を立て、絶頂に達する。
狛も己の全てを彼女の奥底に解き放った。

狛がぐったりとした螢からを引き抜くと、
こぽ…と小さな水音を立てて割れ目から白濁液が溢れた。
そして螢の意識は急速に遠ざかり、夜の闇に溶けていった。
741狛×螢 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/23(土) 16:55:39 ID:BKzFQ9+D
――どれほど時が経っただろうか。
知らぬ間に事の後処理をされた螢は、
狛の腕の中ですやすやと寝息を立てている。
狛は無邪気な表情の彼女の額に優しく口づけをした。

……しまった。肝心なことを忘れていた。
そういえば、螢は子を成す手段というものを知らないのであった。
そもそも螢は知らない事が多すぎる。
というより、鉄砲の事以外殆んど関心がないというか…。

『全く、どう伝えてやればいいものか……。下手をすれば、物凄い勢いでふくれて…
また馬鹿だの何だのと罵って……鉄砲で撃たれなきゃ良いけどな』
そう苦笑いをしながらも彼女をそっと抱き寄せ、
彼も静かに、そして深い眠りに落ちていった。
742719 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/23(土) 16:56:46 ID:BKzFQ9+D
終わりです。
ごめんねヘタレで!

機会があったらそれまでの経緯とかも書いてみたいけどね。
743名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 18:22:37 ID:lusXeknc
>>742
アマーイ!
クリスマスケーキよりも甘い新婚さんゴチです。
これでシングルベルも寂しくないよ!(いやむしろ止め刺された?w)
「それまでの経緯」もできれば読みたい。

>>724
あれがなきゃやりきれないよな、ホント。それと門での最期の笑顔。
門の方でジルコォ(子孫)出てきて、大婆様がとか言ってたんで
ああ、あの後ジルコォとくっついたのか…とか思ったのに
大婆様って部族の長老ってだけで、実際はずっと独りで待ちつづけてたのがまた…orz
なんか語ってたらパラレルでも改変でもいいから、なんとかしてやりたくなってきた。
でも何も浮かばねぇ(本編がものすごく綺麗に完結しちゃってるからな…)。
744名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 02:03:37 ID:Lkkg5k/P
健気な螢に萌え死んだ
とにかくGJ!
745名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 02:46:29 ID:fCXyHI3b
上で狛×螢書いた者ですが、
辰巳×琥珀も中々いい感じなんでそっち先に書こうかなとか考えてます
需要ないよ、って場合は控えますが…

とりあえず保守
746名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 03:17:18 ID:xNcfktDG
需要1
747名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 06:37:50 ID:gk86wuck
需要2
748名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 17:28:23 ID:VQlk91+z
需要3
749名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 18:29:23 ID:fCXyHI3b
需要あるようでちょっと安心。

ところで琥珀って最初の時点で何歳って事にすれば良い?
14歳の螢との身長比較で言えば17か18くらいだろうか…
750名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 21:04:54 ID:xNcfktDG
16〜18だとは思われる。
751 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/26(火) 23:03:31 ID:fCXyHI3b
>>750
とりあえず17ってことにしときます。

そんなわけで、第一章投下します。
題名は『陸奥の水神、尾張の姫』です
春。それは草木が生い茂り、優しい風が吹き抜ける季節。
今は四月の半ばであり、ここ尾張の国にも、春が訪れた。

厚く白い雲が浮かぶ青空の下、小高い土手を一組の男女が歩いている。

道の脇には雑草がまばらに生えており、暖かな陽気が辺り一面を包んでいる。

…春だなぁ。
男がぼうっとしながらそんな事を考えて、曲がりくねった道を歩いていると、
突然、華柄の着物を着た女の声が響く。
「あのぅ…陸奥様…」
後ろから聞こえてくるその柔らかな声に、
ばつが悪そうに頭を掻きながら、男は振り向いて答える。
「…その呼び方、なぁ……どうにかならんのか?…琥珀さんよ」


――何でこんな事になっちまったんだろうなぁ

琥珀が辰巳の嫁となったのは、つい数分前の事であった。
悪い気はしない。
しないのだが…あまりにも唐突過ぎる。
俺はただ…腹が減ってただけなんだがな…。
……ま、握り飯も付いてきた訳だし…それも良いか。
辰巳の楽観的な性格も手伝ってか、そんな悩みは吹き抜ける風と共にすぐに飛んでいった。
再び、女の声がする。
「あ…は、はい…申し訳ありません…」
こほん、と意味あり気な咳をしながら、こう続ける。
「では…た、辰巳さん…」
名前で呼ぶのが少し恥ずかしいのか、琥珀は抱えていた風呂敷を左手で持ち直し、
ほんのりと赤らんだ頬に右手を添え、小さな声で呟く。
彼女としても、今日突然夫が出来るとは思っても見なかった。
…自分からそれを望んだとしてもだ。
恥ずかしいものは、恥ずかしい。

そんな初な反応を示す彼女を可愛らしく感じた辰巳は、
「はいよ」と、ニッと微笑みながら返事を返す。

「…これからどうなさるのですか?」

空に浮かぶ雲が、ゆっくりと流れる。
風は穏やかのようだ。
その雲を眺めながら、辰巳は「ん…そう、だなぁ。とりあえず里に帰るさ」と、琥珀に返す。
「里に…ですか。それはやはり、奥州…ですか?」
「あぁ、そうだ。こっからじゃ、ちょっと遠いけどな」
辰巳の笑い声が耳に入る。
……何かがおかしい。
奥州って……ちょっとどころじゃない。遠い。

…旅の支度は、何もしていない。
琥珀は決してその事を口には出さなかった。
『ついてこれたらな』という、つい数分前の辰巳の言葉が鮮明に浮かび上がってくる。
つまりそれは、迷惑を掛けるな、ということ。
そんな事を言えば、きっと彼に置いて行かれてしまうに違いない。
それだけは…嫌…と、自分に言い聞かせたのである。
…しかし、どうもそれだけが理由という訳ではないようだ。

何を隠そう、琥珀は生まれてから一度も国を出たことが無いのである。
武家の娘として、来る日も来る日も、
家事だとか、世の中の情勢や長刀の扱い方を学んだり、…そして舞踊の稽古に明け暮れる日々が続き、
たまに兄の為に握り飯を作って持っていく…そんな事ばかりであった。
…まぁ、舞踊と兄様は嫌いではないけど…
そんな思いが、頭のどこかに残っているようだが…。

とにかく、まともに外に出たことがないのは紛れも無い事実であった。
そんな自分に、何も持たずに二人で旅をするという機会を与えてくれた辰巳が、その中でどんなものを見せ、どんな経験をさせてくれるのだろうか。
彼女はそれが楽しみでしょうがなかった。

要するに、琥珀の頭の中は不安と、それよりも大きな好奇心でいっぱいであったのだ。

風は、やはり穏やかである。
小鳥の囀りが頭上を通り抜ける。
暖かい春風に吹かれながらふと横に目を向ければ、そこは見渡す限りの山、森、草原、そして田園風景。
近くの川で子供達が魚でも採っているのだろうか。
せせらぎの音に混じって、無邪気な声が響き渡る。
…戦乱の世にも、これほど平穏な地があるのだなぁ…と、辰巳は染々と感じた。
緩やかな上り坂に差し掛かったところで、辰巳が琥珀に問う。
「それにしても」
「…はい?」
「お前さんは何でまた俺に連れてけだの言ったんだ?」
突然の突き刺さるような問い掛けに、少し戸惑ったような顔をして、琥珀は茶を濁したような返事を返す。
「は、はぁ…何故、と言われましても…」
そんな様子に、辰巳は眉をひそめて少し残念そうに
「…兄貴の件…俺はそんなに信用出来なかったか?」と言う。
「そ、そんなことありません!」と、琥珀の高い声。
それを聞いた辰巳は足を止め、
「じゃあ何で」と、その声がした方を向いてぽつりと呟く。

琥珀と辰巳の目が合う。
いつの間にか風は止み、少し恐ろしい程の静けさが辺り一面を包み込んでいる。
そのせいか、己の鼓動がやけに大きく聞こえてくる。
もしかして、彼に聞こえてしまっているのでは…と思ってしまう程、彼女の心臓は高鳴っていた。
…気まずい雰囲気。どうにかしなくては。
琥珀は思考を巡らす。
そして、「…せ、先刻にも申し上げたように、辰巳さんは…『女の意思』とおっしゃいましたね…。
兄様でも…そのような事を口にすることは…ありませんでした」
と、途切れ途切れに言った。
それに対し、「そりゃあ、尾張のうつけ殿にそんな言葉は似合わんさ」という辰巳の鋭い指摘が飛ぶ。
琥珀は内心、どきっとした。
何故なら、否定できないから。
確かに、兄のそれには納得である。
…確かにそうだ。
だが、兄どころか、誰一人としてそんな事を言う者はいなかった。
母も死ぬ間際には、『夫に尽せ』だの何だの言うだけだった。
母が亡くなった事より、そんな事しか言ってくれなかった、母そのものが悲しかった。
女に生まれてきたのを、少しだけ呪った事もある。

しかし彼女は今日、ついに出会ってしまったのだ。
風のようにふっと目の前に現れ、最も強い男として尊敬していた兄を、赤子同然に扱う程強く、逞しい彼に。
…そして、誰も言う筈の無い言葉をさらっと言う、優しい彼に。

――そう、あれは…一目惚れだった


「確かにそう、なのですが…」
彼女は続ける。
「それで…その一言で、貴方に惹かれました…。」
「俺に…ねぇ」
「はい…この方なら、きっと私を大切に、幸せにしてくださる、と…」
恥ずかしがり屋の琥珀は辰巳の顔を直視出来ずに、
下を向きながらはそう言った。
『幸せ……幸せねぇ…。
俺は…強い奴と仕合って、腹が減らなきゃそれで十分幸せなんだがな』
琥珀の言う『幸せ』が一体どのようなものか、そんな考えの辰巳にはよく分からない。
「幸せ、か……。ま、陸奥の女はそんくらい怖…じゃなかった。力強いってこった」
口から出かけた本心を飲み込んで、そう言い直した。
しまった、と思い、辰巳は琥珀から目を反らし、歩き始める。
彼の後を追うようにして彼女も歩き出した。
後ろをちら…と振り返ると、特に気にしている様子ではないようだ。
彼は内心、ほっと溜め息を吐いた。
「それに…」と、琥珀の小さな声が耳に届く。
「何だ、まだあるのか?」
辰巳の視線がもう一度彼女に向けられる。
すると、琥珀は手に持っていた風呂敷をきゅっと抱き締め、
それに桜色の顔を押し当ててぽつりと呟く。
「その……辰巳さんには…見られてしまいましたから……」
その言葉を聞いた辰巳の肩ががく、と落ちた。
「お、お前さんは本当に一途と言うか…。あのな、あんなこと本気にすることも無かろうに。
…それにこうも言ったはずだが?『そんなことは無い』…とな」
辰巳は少し呆れた顔で言う。
「も、申し訳ありません…」
琥珀の顔は風呂敷ですっぽりと隠されてしまった。

ぽかんとした顔で、辰巳は言い放つ。
「ん…そんなの謝ることか?ま、何でもいいさ」
「はい、申し訳ありません…」
…言ってる側から謝りやがるとは…
…彼女はひょっとして、中々の天然なんだなぁ。
そんな事を考えてたら、辰巳は腹が減ってきた。
…腹が減ってきたので思い出した。
そういえば、何かついでに貰ったよな…。
「あ、そうだ」
思い出した。
「はい?」
「とりあえず俺は腹が減った。それ、貰おうか」
「……あ…は、はい!…どうぞ」
突然の要望に、琥珀は慌てて風呂敷を顔から離して開き、握り飯を一つ手渡す。
彼女は辰巳の真横に並び、不安そうに彼を覗き込む。
その視線を気にすることもなく、彼はそれを一口で消化する。
「…どうですか?」と、琥珀の声。
その質問に「ん…美味いな」と、米粒の付いた親指を舐めながら辰巳がぼそ…と答えた。
「ふふ…良かった」
そんな、やけに子供っぽい彼を何だか可愛らしく感じた琥珀は、
口元にそっと手を当てくすくすと笑った。

少しだけ、風が吹いた。
二人の髪は、その風向きに沿ってゆらゆらと揺れていた。
風向きは、東……。
追い風、か。


子供達は、魚を採れたのかな…?
そんな事を思いながら、二人は厚い雲の下、山道へと入っていった。
758 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/26(火) 23:16:03 ID:fCXyHI3b
とりあえず、第一章はここまでです。
反応見ながら書いていきたいと思います…が、99%自己満足の内容になると思います。

無駄な伏線も一応入れときました。
759名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 00:28:29 ID:4s4U4dD0
    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 GJ!GJ!
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J

続き楽しみにしてます、がんばってください
760名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 01:36:19 ID:O38IBDwV
エロ無しで、狛蛍のほのぼのが読んでみたい、と超勝手なことを言ってみたりする。
761 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/27(水) 02:07:03 ID:A5KLYwBr
「螢…」
「…ん、何じゃ?」
「これからお前は、どうしたい?」
「うん………父さまに…仇は討ったって…そう伝えたい」
「そう、か…」

「ねえ…狛」
「…どうした?」

「お前も…一緒に来て」
「…いや…俺は、駄目だ。その資格はない」
「それは…何故?」
「俺は…お前の父…雑賀孫一の命を奪った…。…そんな俺が、会いに行ってどうするんだ…?」
「…父さまに、勝ったからこそ…」
「…螢?」
「狛…お前は知らぬじゃろうが…父さまは…父さまは……
誰よりも強く、そして優しい者の妻となれ、と……いつも私に言っておったのじゃ…!」
「だから…私は…お前の…その…妻に…」
「…螢…っ!」

…こっちも妄想尽きないんだけど、どうしよう
762名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 17:46:00 ID:idXGb/F2
年末祭りとな?
763名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 15:38:25 ID:7cKQZt0m
あげあげ

ところで今ここ何人位いるんだろ
挙手してみようぜ
764名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 16:00:08 ID:3wbAXSLn
ノ 2
765名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 17:23:55 ID:HlirmMWA
766名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 19:02:33 ID:OwnWDeVB
ノシ 4
767名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 19:42:25 ID:JqRKQp8k
768名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 22:09:19 ID:SzIS3v0D
769名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 23:27:11 ID:YVrIySZL
770名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 23:28:18 ID:AxL5ERJ8
771 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/29(金) 00:09:29 ID:nBJaSOFD
第二章が何とか書き上がったんで、投下します。
今年は多分これが最後です
空が暗い。
先程まで青い部分と白い部分が半々、といった程度だったのに、
何処から流れてきたのだろうか…薄墨色の雲が一面を覆っていた。
肌に感じられる風も随分と湿っぽい。
辺りの木々が、ざぁ…という音を立てて揺らめいている。
…山の天気は変わりやすい。


こりゃあ一雨来そうだな…何処か雨宿り出来そうな所…
自分だけであれば、きっとそんな事は思わないのであろう。
ずぶ濡れになりながら適当な木を見付けて、
その下に寝転がるのだが…今は違う。
雨の中、十七の娘を歩かせるのは流石に気が引けたようだ。

「…走るか」
「え…何か言いましたか?……きゃっ!……た、辰巳さん!?」
彼女は突然、宙に浮くような感覚を受け、
驚きのあまり声が裏返ってしまった。
琥珀は背中と脚に手を回され、ひょいと抱きかかえられていた。
何よりも、すぐ目の前に辰巳の顔があった事に驚きの色を隠せず、
彼女の顔は再び赤みを刺していた。

「ちょっと飛ばすからな…しっかり掴まってろよ」
そう言うと辰巳は、走り出す。
琥珀は辰巳の首に手を回し、
振り落とされないようにぎゅっと抱き締めた。
琥珀の頬に、一粒の水滴が当たった。
「きゃっ…!」
「ん?どうした?」
「あ、いえ…降ってきたみたいですよ」
「…そうらしいな」
彼の走る速度が更に増す。

それにしても、この人の脚力には驚かされる。
何しろ、自分を抱えたまま、馬のような速さで駆け抜けるのである。
『この人の祖先は、実は馬なんじゃないか』
そう思ってしまうほどだ。

この人は、何だかよく分からない…
でも、とても…あったかい…
そんなことを考えながら、彼女は厚い胸板に顔を埋めていた。



屋根から不規則にぱらぱらと、音が聞こえてくる。
「何とか間に合ったか…」
雨粒が屋根に当たる間隔は確実に早まっており、
次第にその音は激しさを増していった。

雨が本降りになる前に何とか小さな空き家を見つけた彼等は、
そこで雨宿りをさせてもらう事にしたのであった。
「わ…すごい雨ですねぇ…」
窓からひょこ、と顔を出して琥珀が呟く。
窓の外には、色とりどりの朝顔が花を揺らして喜んでいる。
左の方へ目をやると、小さな井戸が、雨の中ひっそりと佇んでいる。
…まだ使えるのかな。
明日朝早く起きて、もし使えたら髪を清めよう…
そんな事を考えながら朝顔の葉をぴん、と指で弾いていると、
手ぬぐいで少し濡れた髪をがしがしと拭きながら、
「すまんな、いきなり抱きかかえたりして」
と、辰巳が何気無く言った。
その言葉を聞いた琥珀は、窓をそっと閉じ、
ゆっくりと彼の側に近寄って正座すると
「いえ…もしああして下さらなかったら、ずぶ濡れになってましたから…。
…ありがとうございました」
と、ふふっと笑いながら言った。

「そう言ってくれると助かる。……あ、握り飯はまだあるかい?」
彼は、腰に差していた刀を外し、壁に立て掛けた。
辰巳がろうそくに火を灯す。
すると、暗かった部屋が、ゆらゆらとした光に照らされて、
ぼんやりと浮かび上がってきた。
ひとまず、部屋を見渡す。
鹿の角だの剥製だのが、大層御立派に飾られている。
…目が光ってて、少し怖い。
壁には弓が掛けてあり、部屋の隅には布団が二組置かれている。

どうやら、この辺りの山で猟をする時の拠点として、
狩人達が使っている小屋のようだ。

ふと、壁に立て掛けられた彼の刀に目が留まる。
確か…昼間に一度預かった刀だ。
それは何だか、とても…重みのある物だった。
昼間の情景が琥珀に蘇る。

額に汗を噴き出し、心の底から震え上がった兄。
今まで琥珀は、仏罰すら恐れぬ彼が、何かに脅える…
そのような姿を見たことは無かった。
兄が唯一恐れた、陸奥…。

あの時兄が言った言葉はとても印象的だったので、
はっきりと記憶に残っている。

…鬼の子孫かよ

あの言葉には…どういう意味が込められていたのだろうか。
陸奥って、何だろう。
一度気になったら、それが頭から離れない。
いても立ってもいられなくなった琥珀は、辰巳にこう呟く。
「辰巳さん…いくつか聞いても良いでしょうか?」
最後の握り飯を頬張りながら、辰巳は「む…」と、返事を返す。
琥珀は続ける。
「陸奥って…何なんですか?」
口の中を空っぽにしてから、辰巳が淡々と語りだした。
「俺の一族…陸奥ってのはな、まぁ一言で言えば…
無手で強くなることしか頭にない、馬鹿者どもの集まりさ」
「…なんか、やけにすごい一族なんですねぇ…」
それは褒めてんだか、馬鹿にしてんだか…。

琥珀の質問は続く。
「それと、あの時、兄様は貴方の事を『鬼』と…。
あれは、一体…?」
「…あぁ、そういやそんな事言ってたな。
自分で言うのも何だが、陸奥の一族ってのは、
考え方も身体的にもかなり…人間離れしてるからな。
周りからすれば、そんな酔狂な奴は鬼の生まれ変わりか何かのように
感じられちまうんだろう。
…ま、そんな俺に付いて来たお前さんも中々酔狂だと思うけどな」
そう言って、辰巳は少し意地悪そうに笑った。
「あら…。それは嫁ぐ前に教えて頂きたかったものです」
と、琥珀がちょっと拗ねたように言う。
しかしそれは、暖かみを帯びた声で、
少しだけ目の前の男の事が分かった、
ということに対する安堵感の表れでもあった。
「はは…そうだな」
二人から自然と笑い声が溢れる。
「そう…鬼の化身…ですか」
辰巳を見つめながら、琥珀がしみじみと言う。
「…不満か?」
「いえ、私は…辰巳さんは……水神か何かの化身ではないかと…」
「水神…?俺が?」
「辰巳さんの、辰……龍は、水神……」
「水神、か……それも悪くないな」
琥珀の天然ぶりは続く。
「それに、春先にこんな雨は中々降りません……
でも、辰巳さんが山に入ったら、雨が降りましたよ」
「馬鹿、そりゃ雨男だ」
またもや、二人の笑い声が溢れる。


――琥珀
突然、辰巳が彼女の名を呼ぶ。
…外では、一段と強くなった雨が相変わらず屋根を叩いている。
琥珀は、ただ目を丸くするばかりだ。

「だから、さ…お前さんには色々と迷惑掛けるとは思うが、ま、宜しく頼む」
辰巳は、ニッと笑ってそう言った。
それを聞いた琥珀は、少し間を置いて、口を開く。
「…こちらこそ、宜しくお願い致します」
崩していた両足を直した後、ぺこりと小さくお辞儀をし、
彼女も嬉しそうに微笑み返すのであった。
「じゃ…ちょっと早いけど、そろそろ寝るか」
「へっ!?あ…は、はい…」
不自然に声が裏返った。
『ど、どうしよう…こんな所で、突然…。
それに…いくら夫婦になったからって…その日にする事なのかなぁ…』
そんな琥珀の思いをよそに、辰巳はすっと立ち上がると、
二組の布団をそそくさと敷き始めた。

布団を敷き終わり、琥珀の方を向くと、
彼女は口をぱくぱくさせながらこちらを凝視している。
「…どうした?」
「きゃっ!?…い、いえ…何でも、あ、ありません!」
彼の何気無い言葉にも、過剰に反応してしまう。
『いや、何かあるだろ…それ…』
辰巳は口を開きかけたが、
どうせ返ってくる答えは同じなんだろうなと思い、口をつぐんだ。

「で、では…着替えますので…た、辰巳さんは少しの間…
あちらの方を向いて頂けませんか?」
「ん…?あ、あぁ…」
訳が分からん……何でそんなに声が上擦ってんだ…?
辰巳は渋々壁の方を向いた。
しゅるしゅると、帯を解く音。
…しばらくして、ぱさ、という布が落ちる音がして、
「どうぞ…」と言う声が聞こえた。
後ろを振り向くとそこには、
襦絆一枚で髪止めを外した琥珀が、
布団の上でちょこんと正座しながら、
顔を赤らめてこちらを向いている。
そして、「で、では…宜しくお願い致します…。」
と、深々とお辞儀をした。
「……何だ?その言葉、さっきも聞いたぞ。
あと、着替えますとか言っといて、上脱いだだけだろ…それ」
「えっ?あ、あの……殿方と…共に…寝る…のでしょう…?
ですから、こうして…着物を…」
琥珀がそんな事を言うものだから、辰巳の開いた口が塞がらない。

――ああ、うつけ殿よ。そなたの言った事は真実であったぞ。…少々度が過ぎる程に。

「…本っ当に一途な娘だな、お前さんは。
俺は『一緒に』なんて一言も言った覚えはないが…。」
沈黙。
琥珀は先程の会話を一言ずつ辿ってゆく。
…どうやら、その記憶に辿り着いたらしい。
「……え……あっ、そ、そうですよね!わ、私ったら…何……」
湯気が上がりそうなほど顔を真っ赤にして、下を向いてしまった。
「それとも何だ、俺がこんな誰のとも分からん小屋で妻を抱くような…
そんな男に見えたか?
ま、お前さんが抱かれたくてしょうがないと言うなら、
…してやらんことも無いが」
辰巳が不敵な笑みを浮かべると、
「もう……あまり、からかわないで下さい……」
という、琥珀のいつもより低い声が聞こえる。
『全く…変な所で大胆、というか変なんだよなぁ。
ま、少し怒った顔も中々可愛いから良しとするか』
反省もせず、ついそんな事を考えてしまう。
「それに、楽しみは後に取っておくもんだ」
「そう…ですかねぇ…」
「そうさ。ま、覚悟を決めるのは…
里に着いてからでも遅くはないと思うが」
…俺が耐えられたら、の話だが。
とりあえず、今はそこまで言わないでおいた。

「…さて、と。今日は色々あって疲れたろ?
もう休んだほうがいい。
明日から、山を越えなくてはならんしな。
ちゃんと休まないと体が持たんぞ?」
「は、はい……」
「この布団、ちょっと埃っぽいけどな…」
布団をぱんぱんと払いながら、辰巳が呟く。
埃が宙に舞う。…煙い。
「けほっこほっ……あ…では……けほ……御休みなさい」
苦しそうな表情の前を手で払いながら、
琥珀が就寝の挨拶をする。
そこまで無理に言うことじゃなかろうに…。
「…ああ、おやすみ」
大丈夫かなぁ…と思いながらも、辰巳は布団の中に潜り込み、
頭まですっぽり隠れる。
それを見届けた琥珀も、ゆっくりと布団に入った。
外の雨が、その勢いを弱める事はない。
戸はがたがたと揺れて、風の強さを物語っている。

…寒い。
春と言っても、山の中だけあって少し冷える。
寒さを紛らわせるために、琥珀は試行錯誤を重ねる。
体を縮めたり、手を擦り合わせたりしてみる。
が、あまり効果はない。
とりあえず、話でもして寒さを紛らわそう…。
そんな考えに至り、
琥珀は目の前の布団の膨らみに話し掛ける。
「ねえ…辰巳さん…起きてますか?」
「あぁ、起きてる。どうした?」と、布団から声がする。…変な光景だ。
「…ちょっと寒いですね」
「そう、だなぁ。まぁ雨は降ってるし…
山の中だ、多少は冷えるだろうさ」
その声と同時に布団がするすると下がり、辰巳の顔が現れる。
どうやら、寒かったのは自分だけではないらしい。
それを知った琥珀に、ちょっとした好奇心が芽生えてくる。
彼女は、隣の布団を凝視して、その時を待つ。
そして、辰巳がもぞ…と動き、
こちらに背を向けた瞬間。

「隙あり!」と突然叫び、琥珀が辰巳の布団に入り込む。
本人としては、『してやったり』といった感じだろうか。
しかし、その子供じみた悪戯にびくともせず、
「…ん?何だ?…抱いてください、ってか?」
と、ニィと笑いながら、背中にくっついている琥珀をからかう。
「ち、違いますよ!」
全くこいつは、分かりやすい反応ばかりする。
…面白い奴だな。

「あ、いえ…その、少し寒いから……それとも、迷惑ですか?」
「いーや、別に。俺もちょっと寒かったし、丁度良い」
琥珀の小さな声に、たまには素直に返してみる。
「…よかった」
それを聞いて安心したのか、
琥珀に再び好奇心が沸いてきたようだ。

目の前に垂れ下がっている髪をぐい、と引っ張ってみる。
すると、それより前の方から低い声が響いてくる。
「…おい、俺の髪は引っ張っても何も出んぞ」
「でも、声は出ました」
「何だそりゃ」
二人は同時に吹き出す。

琥珀の好奇心は止まる事を知らない。
今度は、辰巳の髪を束ねていた紐を取り去ってみる。
すると、辰巳の髪がぱさ、と音を立てて広がった。
…鼻にかかって、少し痒い。

「辰巳さんの髪型って…変わってますよねぇ…。
なんて言うか…女の人みたい」
さらさらとした髪を引っ張りながら、琥珀は興味津々といったように呟く。
「…お前さんと似たような髪型を変、とな」
「あ…そういえばそうですね」
二人はまたもや、同時に吹き出してしまった。
しばらくして、髪を引っ張る手が止まる。
「今度は何だ?」
そんな事を言いながら、後ろの方をちらっと見ると、
そこには、この上なく穏やかで、
無邪気な寝顔が横たわっていた。
黒く長い髪が、頬に無造作に掛かっている。

どうやら、想像してたより随分と疲れが貯まっていたらしい。
既に、すやすやと寝息を立て始めていた。
『何だかんだ言って…まだ十七だもんな…
無理もない、か』
こうして寝顔を見てみると、やはり子供だ。
黒い髪をそっと後ろにどかすと、
血色の良いふくよかな頬が現れた。
それを指で突っつくと、
眉をぴく、と動かして…再び元の表情に戻る。
それを見た辰巳からは、自然と溜め息が漏れる。
『こいつの悪戯も終わった事だし、俺も寝るか…』

捻っていた首を戻したその時であった。
突然肩を掴まれたと思ったら、
得体の知れない二つの何かが、
背中にぴたりとくっついた。

この感じ――これは、喜びというか、焦りというか…

琥珀が、無意識のうちに辰巳の肩を握りながら
自分の胸をそっと背中に押し当てていたのである。


…年の割に、中々の大きさだ。
いかん…耐えなくては。
威勢良くあんな事を言い放っておいて、
今更『嘘でした』なんて言える筈もない。

……柔らかいな。
『今までの悪戯も、この洒落にらならい悪戯も、
…仕返しのつもりか?』
琥珀の安らかな寝顔と共に、
半刻程前の出来事が頭に浮かんだ。
…可愛い顔して、やることはえげつない。


先程まで少し寒かった位なのに、
今では全身から汗が吹き出る程熱い。
『こいつはきっと…あったかい、ぐらいにしか感じてないんだろうな…
…全く…色香という敵がこれほど手強いとは…』
そんな事を頭のどこかで思い浮かべながら、
拷問に近い妻の一途さに耐えた。


彼が眠りについたのは、それから一時も後の事である。
…その間、雨足が弱まる事は無かった。
785 ◆FLU3nmaAXI :2006/12/29(金) 00:24:50 ID:nBJaSOFD
第二章はここまでです。
とりあえず、行為に至るまでどんだけ掛るか分かりませんが…
では、一足早いけど良いお年を。
786名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 00:54:14 ID:26wIQe0/
第二章をwktkしながら年越しします、良いお年を
ノシ
787名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 12:44:04 ID:NZw8Gqtq
それにしても琥珀は本編で何か可哀想な扱いだよな
嫁に行ったと思ったら死んでましたって・・・
どうにかして幸せになって欲しいという俺の考え
788名無しさん@ピンキー:2006/12/31(日) 16:06:34 ID:bvfyEiWB
一応あげ
789名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 23:46:44 ID:ihEFF8Ia
あけおめage
790名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 14:20:23 ID:g+kv5OOV
保守保守


てか読み返したら八雲生まれたのが蛍26歳位の時だって事に気付いたよ
それまで何してたんだろ
791名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 22:30:10 ID:tlJ8jLI2
ひたすら子作りしてたか色々と開発してたんだよきっと
792名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 08:44:36 ID:KXpZ2xn6
天斗はすぐに産まれてるっぽいよね
793名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 01:37:19 ID:Y6ZOjyQK
全然嫁とか考えずまあいいか…なノリで実家についてこられて
そのまま全国武者修業の旅に出て戻ってみたら蛍26にして
ずっと帰らぬ男を待ってたのでした、とか。待つ女が似合う漫画だし。
もう待てない!とかゆって旅先に追い掛けて数年後に再会したり。
待てない女が魅力な漫画だし。
794名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 16:57:33 ID:PL4J6kSZ
しかもツンデレ多いしな
795名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 15:29:34 ID:z/Dqdhbn
マイアはツンツンしてた時のほうがよかったなぁ
796名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 05:33:02 ID:C8Nyao0G
静のデレ化っぷりと比べたら……
797名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 11:07:57 ID:/P/A6LY3
川原作品で一番デカ乳のアグナたんのエロが読みたいよぉ。
798名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 03:39:28 ID:85hL18fG
そこで虎×蛍ですよ
799名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 19:54:38 ID:vf0cTNk7
もう我慢できん!!!!!!
800名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 21:01:46 ID:yWrpvyby
800(σ・∀・)σゲッツ
801名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 03:59:20 ID:4Ytaat80
そういえば>>681氏はどうなったんだろうか
802名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 12:04:12 ID:a6++jbDd
おいお前ら、明日は節分だ
鬼の子だけにそういうアレがつくれそうな気がする
803名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 01:34:02 ID:tWGvvF56
>>802
期待してる。
804名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 00:30:07 ID:zAwwC3uj
何か心配だな、この過疎ぶりは
805名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 20:18:43 ID:17banz5R
普段がこんなもので職人さんが来てから伸びるっていうのがいつもの流れだったような。
806名無しさん@ピンキー:2007/02/12(月) 00:31:51 ID:XB9xp67T
結局一五九殿はどこいったんだ?
807名無しさん@ピンキー:2007/02/13(火) 00:55:49 ID:Cp55S9g9
保守ニィ
808名無しさん@ピンキー:2007/02/15(木) 17:51:16 ID:qpjK5x9h
よく考えたらファンの周りって姫様ばっかだな
809名無しさん@ピンキー:2007/02/16(金) 20:37:12 ID:B0MYHaRk
ここ見て昔売った修羅の刻を全巻買い戻した。
810名無しさん@ピンキー:2007/02/21(水) 23:38:52 ID:cU/Nch7f
一月二月と投下無しで過ぎ去るのはちょっと虚しいぞ
811名無しさん@ピンキー:2007/02/22(木) 00:10:18 ID:32Q9odcz
もう、門はあきらめた。刻だけを楽しみにしている。
812名無しさん@ピンキー:2007/02/23(金) 02:03:13 ID:4K+bqmjx
刻は「その後」か完全に読者任せだから妄想が尽きなくて良いよな
それだけに書くのは難しそうだが
813名無しさん@ピンキー:2007/02/26(月) 12:13:39 ID:nQAdeRJx
結構下がり気味なので
814名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 01:31:44 ID:SCaAFnHM
変な電波受信しちまった
815名無しさん@ピンキー:2007/03/01(木) 00:21:30 ID:cX3CQAqD
信長編の辰巳×琥珀は結婚生活の終わりまでわかっているけど
描かれてないから妄想の余地があるなー。
  
816名無しさん@ピンキー:2007/03/06(火) 03:53:11 ID:jnMA6bRf
だがネタがないという
817名無しさん@ピンキー:2007/03/08(木) 16:18:10 ID:+mR2TMmu
ネタがなくては戦はできぬ
818名無しさん@ピンキー:2007/03/14(水) 02:33:37 ID:qiyITGR6
俺もう耐えられん
819名無しさん@ピンキー:2007/03/15(木) 02:17:07 ID:mvxAnFoS
蛍ってツンデレなのかツンクールなのか素直クールなのか
どれなんだ
820名無しさん@ピンキー:2007/03/15(木) 02:34:47 ID:9UiySL+b
クールツンデレ
821名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 02:50:35 ID:nilPjRmV
保守
ちょっと過疎りすぎだな
822名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 20:54:10 ID:gAf2ig/b
ほっしゅる
823名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 00:32:12 ID:vSDj14jJ
保守サネ
824名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 18:14:32 ID:iMgntfGa
海皇紀 と 修羅の刻(門) キャラ人気投票3
http://www.37vote.net/comic/1173510452/
825名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 10:41:21 ID:Ap1XqkSC
葉月tuee
826名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 17:12:54 ID:NqUFFY7t
誰かジンを追悼してやってくれ
827名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 19:01:05 ID:TaBYqJFp
n.limber.jp/n/8p4mzU9HZ
おまけ
828名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 19:14:25 ID:u1mb2bye
ジンの行動にジーンときた
829名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 19:41:00 ID:82WXraZJ
>>827
パス分からん
というか中身何?
830名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 21:31:21 ID:agh/IXb8
>>828
てめえww
831名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 11:21:49 ID:Bijg/68s
>>827
パスないよ。中身は小説
832名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 18:55:34 ID:1UGTtZmu
川原作品は10年以上前から読んでるけど
ジンが死んだので、川原作品関連スレに今日始めて今来て見た訳だけど

こんなに過疎っている事に、ジンが死んだ事よりも驚いている訳だが・・・
833名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 18:58:56 ID:1UGTtZmu
そうか、ここエロパロ板かw
検索から跳んで来たからそういうのに気付かなかったぜ・・
834名無しさん@ピンキー:2007/04/20(金) 16:44:34 ID:Et+gYWxa
新しい刻を期待して保守
835名無しさん@ピンキー:2007/04/20(金) 23:26:54 ID:+7s+/1s/
>>833
少年漫画板に来いよw
836名無しさん@ピンキー:2007/04/23(月) 00:30:30 ID:onc6LlA8
保守
837名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 22:42:07 ID:GSNwkBaA
圧縮くるらしいよ
838名無しさん@ピンキー:2007/05/02(水) 14:08:45 ID:vDb88qNt
エールラキター!?
839名無しさん@ピンキー:2007/05/02(水) 20:22:28 ID:sEREm1Q8
なんだよ4Pかよ
舞子×おっぱい×おもらし×オカッパなんて!
840名無しさん@ピンキー:2007/05/03(木) 00:26:08 ID:VWBYBWOH
この流れで誰かファン×エールラ書いてくれんかなあ。
841名無しさん@ピンキー:2007/05/03(木) 02:26:45 ID:eDPZGgRc
慰安婦エールラなんてネタを思いついたオレは間違いなくニィ…
842名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 11:10:11 ID:n4+sqcvS
スレ違いだが、
8番に乗り込む人、増え過ぎじゃないか?
存在感の薄くなるキャラがいそうだ。

まぁ、亡国の王女と族長の娘は脱いでいる?から
脱ぐ要員なのかもしれん。
まぁ、思いかえせば、海中飛び込みの時にフラグが立っていたわけか。

しかし長女…も脱ぐのか?
もちろんSでソルはMで

843名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 11:17:52 ID:+HZXvSQD
ギルゴマから庇われた時からだろう>フラグ
844名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 16:38:06 ID:Y4GsDe/r
289 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2007/05/04(金) 00:27:23 ID:9J7ww0kd0
お前らどうせチンコで虎砲とかくだらねーこと考えてるんだろ?

290 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2007/05/04(金) 00:57:41 ID:OlcH7YQZ0
いえ無空波です

292 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2007/05/04(金) 01:11:32 ID:2EmZqDUe0
>>290
チンコで無空波が撃てたら、それってバイブっていうんじゃね?

296 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2007/05/04(金) 01:42:47 ID:DEMbT38A0
先っぽから訃霞を放ちます



こいつら…(;^ω^)
845名無しさん@ピンキー:2007/05/09(水) 01:39:38 ID:K7xVZhdi
刻ヒロインで一番貧乳なのって誰だろ
846名無しさん@ピンキー:2007/05/11(金) 23:57:49 ID:YLAFge5g
蛍はたぶんペッタンコ
847名無しさん@ピンキー:2007/05/12(土) 18:58:06 ID:2VZjJ4Mb
皆さん、たまにはいいですから俺の嫁ことメルダーザのことも思い出してあげて下さい……
848名無しさん@ピンキー:2007/05/18(金) 16:56:39 ID:9IN/5fIs
保守ついでに昔VIPで描いてもらった葉月でも張っとく
似てるかは保証しない
ttp://rainbow.sakuratan.com/data/img/rainbow40566.jpg
849名無しさん@ピンキー:2007/05/18(金) 19:35:39 ID:GctKBHoe
>>848
なんかかわぇえ(*´д`*)
850名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 14:51:40 ID:RZ0QB/kV
保湿
851名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 12:47:48 ID:qbHTPAd4
他に見てる人いるか分からんけど保守
852名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 19:15:18 ID:thFVmyrL
俺がいる
853名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 06:46:58 ID:yG4HcqeW
一五九さんの詩織はとても佳いな。
意欲と気力の充実がはかられた後には、ぜひ八雲X詩織編を読んでみたいぜ。
854名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 23:34:26 ID:Is3puQO1
俺もいる
855名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 12:52:17 ID:CQk0rPbz
856名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 22:23:50 ID:9Wb3zt40
ヴェダイとメルダーザは、旅の間進展したのかね?
857名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 12:03:01 ID:jfx3UNYC
>>856
メルが倒れたのはおめでたですよ
858名無しさん@ピンキー:2007/06/15(金) 12:56:07 ID:9pkZRGD0
32EXの表紙はなにげにショーツ無しかの?
最初見たとき、乳娘かとおもた。
859名無しさん@ピンキー:2007/06/18(月) 08:51:42 ID:bEhI0gcK
無しかは分からんけど裏返すと普通のカバーなのな
860名無しさん@ピンキー:2007/06/26(火) 11:31:59 ID:3ozCV0qa
保守
861名無しさん@ピンキー:2007/07/04(水) 12:45:05 ID:2Lzn2TTH
刻新章まだか保守
862名無しさん@ピンキー:2007/07/06(金) 23:32:59 ID:GRHtXQKz
863名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 01:42:33 ID:XjoEkql4
ファン:欲しいのは……乳だって
アグナ:死んでもやらん
864名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 14:55:32 ID:msWwKmvg
ファン:じゃぁ、こっちで…
アグナ:?・・・!!!


865名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 21:22:45 ID:kigNJg9Q
ほしゅ!
866名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 03:33:04 ID:TgbU9mXL
867名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 23:07:02 ID:McXou9ea
868名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 01:26:24 ID:toz5P4aI
なんかネタ無いか?
869名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 07:28:06 ID:Fplf1hHZ
保守
870名無しさん@ピンキー:2007/08/22(水) 23:26:40 ID:NAVClF9r
>>868
蛍が中々孕まないから辰巳が仕込んだら一回で身篭っちゃってそのまま修羅場突入、とか
871名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 19:25:45 ID:4K1DROu3
ほしゅっとく
872名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 05:24:51 ID:lzfwlLkJ
ママビゼンというネタができましたな
873名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 13:45:36 ID:Xmol2+RK
>>872
今月号の話?
ちょっとコンビニいってくる
874名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 22:51:26 ID:hGTkS+oS
875名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 05:38:39 ID:IAmF2k8g
保守がてら、雷×ニルチッイです。
ちなみに何度か読み返したのは漫画喫茶なので、手元に原作なし。
ところどころ筆が滑って本編と相違があったらごめんなさい。
876雷×ニルチッイ:2007/09/17(月) 05:40:27 ID:IAmF2k8g

「…………バ、カッ!!」
倒れかけた雷を必死に支えながら怒鳴ってニルチッイはぼろぼろと涙をこぼした。
砂埃のついた白い頬を流れていくつもの筋を残して顎に伝わり、
雷は手を伸ばしてその頬をぬぐってやりたいと思ったがその力は残っていなかった。
ニルチッイは涙をぬぐいもせずに雷をにらんだ。
「腹へった……」
緊迫感のないセリフにニルチッイの肩からふっと力が抜けた。まじまじと信じられないものを見るかのように雷を見つめる。
「…………」
肩を貸し牧場の家まで連れて行き、その軒下に座らせて身体を離すと、言った。
「わ、わかった…。食べ物を探してくる、待ってて」
「……ああ……」
頷いて雷はごろりと仰向けに大の字になった。
目を閉じた顔には苦痛らしいさまは見られなかったが、ニルチッイは急いで家の中に飛び込んだ。


干からびたとうもろこしの焼きパンを噛み締めるようにして食べる雷を見守りながら、
ニルチッイの顔はどんどん歪んでいった。
ひどいことばかり言った、私なんか助けに来なくても良かったのに――
だが涙が次々にこぼれてきて、何度ぬぐってもすぐに視界は曇り、自分の浅慮な行動への怒りと助けに来てくれた雷への熱い気持ちでいっぱいになった。
そのとき、すっと雷の手がニルチッイの頬に伸びて、大きな手のひらで彼女の頬を包み込んだ。
「な、何して……」
「もう……泣かなくてもいいだろ……?」
ニルチッイは雷の背中にがむしゃらに抱きついた。
「ニ…、ニルチッイ……!」
焦ったようなアズマの声と、小さな動揺が彼の身体を走ったのが分かる。
それでも動かずに身体を寄り添わせていると、次第にアズマの緊張が解けていった。
「アズマ……ごめん……。助けてくれて……ありがとう」
ニルチッイはそれだけをやっとのことで言うと、額を離して手当てを始めた。
手当てと言っても、騒動から身を隠そうと扉を閉ざした街のどこにも逃げ込む場所はなかった。
ただ無関心を決め込んだある家の軒下を借りて、自分のスカートの裾をわずかに裂いた細い布で止血をするだけしかできないことが、歯痒くてならない。
幸い腕の弾は貫通していたが、腕の表と裏からじくじくと染み出す鮮血が瞬く間に布を汚していく。
それも全て自分がアズマを信頼せずに功を焦って街に入り込んだせいなのだ……と、ニルイッチはまた涙をこぼした。
877雷×ニルチッイ:2007/09/17(月) 05:42:26 ID:IAmF2k8g

浅慮の結果自分は捕らえられ、動物のように馬に引かれて遠慮ない男の力で
殴られた。頭が真っ白になり殴り殺されるだろうと思った。
白人に対する怒りが浮かぶよりもさきに恐怖に息もできないほど怯え震えて
しまった。その怒りすらも、敵を討てずに命を失うことへの無念に霧散して
しまった。
そしてこんなバカな自分を助けに来ないで欲しいと必死に願いながら、
同時にアズマはきっと助けに来るに違いないとなぜだか信じきっていた。
なんて、愚かだったんだろう。
バカは私だ…私のせいでアズマをこんな目に遭わせてしまったんだから。
「……大丈夫かい……?」
腕に手がふれる感触がして、見ると、アズマが心配そうにニルチッイの腕に触れて、顔を覗き込んでいた。
「怖かっただろ……。助けにくるのが遅くなって、ごめんな……」
そういってアズマはニルチッイの腕を引いた。そのまま、胸の中に引き込んだ。
そして大切なものを抱きしめるように、守るように静かに抱いた。
部族を皆殺しにされて独りになって以来、初めて全身を委ねたその暖かさと
優しさに飢えていたことに気づいてしまった。
救いを求めるかのようにニルチッイは必死にアズマの胸に全身ですがりついた。
全身を震わせるニルチッイの震えを止めたいと願うように、アズマは腕に力を入れて抱きしめる。
――怖かった。怖かった。怖かった!
全身で声なく叫ぶニルチッチを、アズマはさらに強く抱きしめてやった。
アズマはさきほどの光景を思い出していた。
まるで屠殺される動物のように両手をくくられて吊り下げられ、
嬲られていた少女の姿を。目の裏に焼きついたその姿にアズマの怒りが
再燃し、それへ呼応したかざわりと膚の奥で修羅がみじろいだ。
――二度と……あんな真似はさせない……そのためなら何でもできる……してやる……
878雷×ニルチッイ:2007/09/17(月) 05:43:36 ID:IAmF2k8g

「…ズマ、アズマ!」
「……え」
「服を脱いで!」
「……なんで?」
「だから! こっちも、撃たれてるんでしょう?布を替えるからって、言ったでしょう!」
「へ?」
昨日ニルイッチを助けられたなかったときの弾痕から、再び血が染み出してニルチッイの服を濡らしていた。
怒りで痛みなど忘れていたアズマは、指を指されて初めてそのことを思い出した。
「こっちは……大丈夫。心配ないよ」
「だめよ!」
ニルチッイは怒ったように言い、アズマの前で太腿までめくり上げたスカートの下の下着を破った。
何気なくニルチッイの手先に目をやったアズマは、露わにされた太腿からあわてて目を放し、腰を引いて逃げようとしたが、
「動かないで!」
ぐいっと撃たれた腕を捕まえられ、飛び上がった。
「あ……ごめ……」
「……いや……大丈夫……」
片目をしかめただけで笑ってみせたアズマに、ニルチッイは真っ赤になってその上着の裾に手を回した。
そして、断固として脱がすと決意した顔で引っ張り上げた。
諦めて腋を浮かすアズマに満足したようにゆっくりと引き上げながら、腹と背に巻かれた布を見てニルチッイは悲痛な面持ちになり、そして全部脱がせた。
服の上からではよく分からなかった……ただの東洋人の細い体だとばかり思っていた、アズマの肉体は、隙なく鍛え上げられていた。部族の第一の戦士にも劣らぬほど張り詰めた筋肉、それはアズマがドロッイイではない証拠だった。
上辺ばかりに気を取られていたから、彼がどんな男か見抜けなかった.
恥ずかしく思い、ニルチッイは、布を外そうとして、硬く縛られている結び目に手をやった。
「……解けない」
悔しそうに言ったニルチッイの頭の上でアズマが苦笑するのが分かった。
「……貸して」
そしてニルチッイの手から結び目を取ろうと手を重ねた瞬間、ニルチッイはなぜか、その手のひらの硬さに身体を震わせてしまった。
「……」
「……ニルチッイ、手を放して――」
けれどニルチッイは手を放さず、顔を上げもしない。
「ニルチッイ……?」
879雷×ニルチッイ:2007/09/17(月) 05:44:25 ID:IAmF2k8g
再び名を呼ばれてニルチッイはゆっくりと顔を上げた。
アズマへ吸い込まれるように顔を寄せ、ふっと怯えたように距離を取った。
その白い埃の上に残る涙の跡がいたわしく、アズマはそっと頬に手をあてた。
その手の感触にニルチッイがまた小さく身を震わせ、そして、それが合図であったかのように二人は顔をよせた。
初めは、二人ともに体温を感じようとするかのようにただ押し付けているだけだった。
少しして離れていったニルチッイの顔は、くしゃくしゃになっていた。
涙がまたあふれだして、今にもこぼれ落ちそうだった。
もう、ニルチッイの泣き顔は見たくない……という気持ちと、そのままニルチッイがバラバラに壊れていってしまう――という予感がして、アズマはニルチッイを引き寄せ、額を合わせ、頬を重ねた。
「……アズマ、アズマ、アズマ!」
雷は自分の名にすがるように叫ぶニルチッイに、深く口付けた。
若い生き物の敏捷な体が見知らぬ感覚に戸惑うように腕から逃げていこうとするのをアズマはぐっと懐深く抱き寄せた。するとニルチッイの身体のこわばりは溶けるように消え、この世に自分しか頼るものがいないというように、すがりついてきた。
アズマは初めて、ニルチッイへの配慮を忘れそうになった。
全力でニルチッイを抱きしめようとするのをこらえて、泣きながら押し当てた唇をわななかせるニルチッイの腰を優しく抱きしめてやった。
「……どうして……」
やがてニルチッイは身を起こし、アズマは小さな温もりが離れるのを見送った。
「どうして……こんなになってまで助けてくれたの……」
「ニルチッイを死なせたくなかったから」
ニルチッイは真っ赤になった。
「アズマは…私の、クーに関係ない……!」
またも彼女の目に涙があふれた。
それを困ったように見つめたアズマが手を伸ばし、拭おうとしたが、ニルチッイは振り払った。
これ以上優しくされたら、アズマを取り返しのつかないところまで巻き込んでしまうと思った。
本当は、一緒にいて欲しいと思っているから、涙はこぼれてしまうけれど、アズマの本当の力を思い知った今、アズマがドロッイイではないと分かったからこそ、これ以上自分の都合に巻き込んでしまえば、アズマが死んでしまうかもしれないという恐ろしい予感が離れなかった。
「関係なく…はない……。 それに、マイイッツォには恩がある……」
「マイイッツォはアズマのことを、ドロッイイだと思っていた……逃げたって何とも思わない……!なんでドロッイイに見せようとした……っ」
もし、最初からドロッイイではないと知っていたら。
無意味な仮定であると知りつつ、ニルチッイはそう思わずにはいられなかった。
「……ああ、それは……」
アズマは小さく頭を掻いて笑った。
「いいんだ、だっておれは、ドロッイイなんだから……」
「違う!アズマ……嘘をつかないで……っ」
そう叫び、ニルチッイはアズマの胸に顔をうずめた。
そうであるなら、自分にこんな気持ちは生まれるはずはないのだから。
こんなにも、どうしようもない衝動に身を苛まれることもないだろうから。
880雷×ニルチッイ:2007/09/17(月) 05:45:14 ID:IAmF2k8g
「……お願い、アズマ……」
ニルチッイは雷の手を取り、自分のウエストにふれさせて、黒い大きな目を涙に潤ませて言った。
その言わんとするところを理解し、アズマはそのままにさせてやりながら、ゆるく頭を振った。
「だめだ……」
「お願い……」
ニルチッイの手がじれたように雷の手を動かし、自分の胸にあてた。
片方でも雷の手に余る大きさと重量感があった。
ざらざらした布の上からでも、その柔らかさは手のひらに伝わり、雷はぴくりとも手を動かすことができなかった。
「……村へ帰ろう、ニルチッイ……みんな君を心配していた」
「……なんで」
抱いてくれない。私が良いと言っているのに。
ニルチッイは怒りを込めて雷を睨む。
雷は笑顔を浮かべて、そんなニルチッイを見上げた。
「アズマ、私のこと、嫌い……?」
「嫌いじゃない」
「じゃあ、どうして!」
「ニルチッイ、君のクーは終わった。君はもう幸せにならなくちゃいけない。
俺はよそものだし……ドロッイイだから……それに……俺にはやらなきゃいけないことがある」
「ウソだ!アズマは……インディアンなんか……抱きたくないんだ!
それなら正直に言えばいい、私は汚いって。私なんか、抱きたくないって!」
「違う! ニルチッイ、そんなこと考えるな。
助けにくるのが遅くなって、ごめん……」
「バカッ。なんでお前が謝るんだ!私を助けてくれたじゃないか!」
ドンッと胸を殴ったニルチッイの握りこぶしを捕まえて、アズマはもう一度ニルチッイを抱き寄せた。
「……ニルチッイは美人だ……だけど、俺は……この身体には、修羅がいる。
ニルチッイを巻き込むわけにはいかないんだ」



881雷×ニルチッイ:2007/09/17(月) 05:47:26 ID:IAmF2k8g
とりあえずここまでです。
あとは、インディアン村に戻る途中と、雷が死ぬところも
少し書いてあります。
エロパロなのにエロ成分が禿げしくなくてすいません。
882名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 18:06:57 ID:u1qh2tJk
うむ、これは続きに期待しろということだな!
wktk(*゚∀゚)=3
883名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 22:04:15 ID:FxC5EBtD
おお、新作きてた、GJ!
よく考えたら今年初の投下なんだよな
884名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 01:39:08 ID:Z4YqPQLd
二人の性格が原作通りに上手く描写されてて良いな
続き期待してます
885名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 23:31:43 ID:goge2GaR
ああでもやっぱ雷は死ぬのか
まぁしかたないか…
886名無しさん@ピンキー:2007/09/27(木) 17:30:44 ID:jbjk43y6
投稿乙
そしてgj
887名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 09:43:26 ID:D6hslwQl
なんというスレスト
888名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 23:34:39 ID:6G01i1qN
月マガ…いつまで休載なんだろ
889名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 05:29:06 ID:Lz9/dWGX
眼の病気じゃ仕方あるめぇ。
燃料投下の為にも、しっかり治してもらうとしようぜ。
890名無しさん@ピンキー:2007/10/11(木) 18:12:23 ID:5ITUlj9q
                                -―─- 、
                           , '´ /ヽ/レ'^\`¨  ̄`ヽ
                          //^∨       \ ⌒\ \
                           //               \  \ \
                    / ̄7/:/      l        \  \ ヽ
                       /   / ./:   ,':.../!:.  |:::l:{ :..      \  Vハ
                  / / .:::/:'::.  !:::/ |::.. |:::l:::ヽ::.. \    ヽ  Vj __
                   |.:/,イ...::::::l::l::::. |:::| l::::.. |::.l:::::::.\ :::..\::...  ∨::Y  `\
                   l// :!.::/:::|::l::::. |:::l  !::::: |::.{ヽ::{\ ヽ、::: \::... .l::::|⌒ヽ  l
                  //:::::|:::l:::::|::l ::::.、|l:_|  \_;{ ヽ \ \ \:_丶‐::.|.::|:::::::::l j
                     /イ ::::::|:::l:::::|::l :::::::|ヽ「二ニヘ:ヽ   `ニ二下\:ヽ:::|.::! :::::::| {  其れなら私を
                 { !| :::::::l:/!::::|:ハ::::::::V仟アてヽ\     仟アてヽ乂:::|/ ::::::: | l   し、尻穴奴隷にしてくださいっ!
                     ? :::::::{:∧::∨{\_::ヽ∨少'_      ∨少'_//リ::::   | |
                 `ト、::::::ヽ:∧:?:::: ハ ///    ///イ:::::::|! ::::   | l
                  l ::::::::::/::∧\:::::小、     '       小 ::: |l :::::.  ∨
                   i ::::::::/::/  ヽ:ヽ:::|:::l\    (⌒)   //l| l:::: |.| :::::  {
                    l :::::/::/   /|::::: :|:::|ハ{> 、  _ , イヘV /' |::::.| ! :::..
                 l ::::::::/:!   {ハ::::::::|::{ ヾ:{ F==v===7}:}/  !::: l人:::::.  ヽ
                   :::::::/:::l   ヽヘ::: ト \ rK ((db))  h<_  /:::./  |\:::..  \
                / :::::::/ l:::! , -‐- ヽ:::l/ ̄ ` ‐-|l|-‐ ´  `/:::./. ___j_:::.\:::..  \
                  / :::::::/ j://     \{        |l|     /:::./ /   `\\::.   \
              / :::::::/  /         l |\  _  |l| _ /; イ /      \\::.   \
                / ::::::/  /           :l |   {__rx/{\ `}} ̄:/ /           \\::.   \
.               / ::::::/   {          ∧ヽ / _,>!:::}::::}\  / ∧            } \::.   \
             / ::::::/   }ヽ        l /∨    /}ーく   \,∧ヽヽ          ,/    \::.   \
               / ::::::/    {\         l l l{   二 }::::::{      l l│      /      \::.   \
           / ::::::/    人 \___/l l j }   ヽ/:::::::}       l l│     /          \::.   \
            / ::::::/    <  ヽ____ ハ_{ { !    l::::::::::l      l l人__//              \::.   \
         / ::::::/      /    ー─/ ̄}厂{j    /| ::::::::|    孑/ ヽー‐ イ             \::.   ヽ
           / ::::::/      /      ∠二ニヘ  \ /{│::::::::| ニ二 /´l| \__,/│                 \::   \

891名無しさん@ピンキー:2007/10/11(木) 18:53:28 ID:5ITUlj9q

  __,冖__ ,、  __冖__   / //      ,. - ―- 、
 `,-. -、'ヽ' └ァ --'、 〔/ /   _/        ヽ
 ヽ_'_ノ)_ノ    `r=_ノ    / /      ,.フ^''''ー- j
  __,冖__ ,、   ,へ    /  ,ィ     /      \
 `,-. -、'ヽ'   く <´   7_//     /     _/^  、`、
 ヽ_'_ノ)_ノ    \>     /       /   /  _ 、,.;j ヽ|
   n     「 |      /.      |     -'''" =-{_ヽ{
   ll     || .,ヘ   /   ,-、  |   ,r' / ̄''''‐-..,フ!
   ll     ヽ二ノ__  {  / ハ `l/   i' i    _   `ヽ
   l|         _| ゙っ  ̄フ.rソ     i' l  r' ,..二''ァ ,ノ
   |l        (,・_,゙>  / { ' ノ     l  /''"´ 〈/ /
   ll     __,冖__ ,、  >  >-'     ;: |  !    i {
   l|     `,-. -、'ヽ'  \ l   l     ;. l |     | !
   |l     ヽ_'_ノ)_ノ   トー-.   !.    ; |. | ,. -、,...、| :l
   ll     __,冖__ ,、 |\/    l    ; l i   i  | l
   ll     `,-. -、'ヽ' iヾ  l     l   ;: l |  { j {
   |l     ヽ_'_ノ)_ノ  {   |.      ゝ  ;:i' `''''ー‐-' }
. n. n. n        l  |   ::.   \ ヽ、__     ノ
  |!  |!  |!         l  |    ::.     `ー-`ニ''ブ
  o  o  o      ,へ l      :.         |
           /   ヽ      :
892名無しさん@ピンキー:2007/10/11(木) 22:16:32 ID:5ITUlj9q
                                -―─- 、
                           , '´ /ヽ/レ'^\`¨  ̄`ヽ
                          //^∨       \ ⌒\ \
                           //               \  \ \
                    / ̄7/:/      l        \  \ ヽ
                       /   / ./:   ,':.../!:.  |:::l:{ :..      \  Vハ
                  / / .:::/:'::.  !:::/ |::.. |:::l:::ヽ::.. \    ヽ  Vj __
                   |.:/,イ...::::::l::l::::. |:::| l::::.. |::.l:::::::.\ :::..\::...  ∨::Y  `\
                   l// :!.::/:::|::l::::. |:::l  !::::: |::.{ヽ::{\ ヽ、::: \::... .l::::|⌒ヽ  l
                  //:::::|:::l:::::|::l ::::.、|l:_|  \_;{ ヽ \ \ \:_丶‐::.|.::|:::::::::l j
                     /イ ::::::|:::l:::::|::l :::::::|ヽ「二ニヘ:ヽ   `ニ二下\:ヽ:::|.::! :::::::| {  
                 { !| :::::::l:/!::::|:ハ::::::::V仟アてヽ\     仟アてヽ乂:::|/ ::::::: | l   し、 
                     ? :::::::{:∧::∨{\_::ヽ∨少'_      ∨少'_//リ::::   | |
                 `ト、::::::ヽ:∧:?:::: ハ ///    ///イ:::::::|! ::::   | l
                  l ::::::::::/::∧\:::::小、     '       小 ::: |l :::::.  ∨
                   i ::::::::/::/  ヽ:ヽ:::|:::l\    (⌒)   //l| l:::: |.| :::::  {
                    l :::::/::/   /|::::: :|:::|ハ{> 、  _ , イヘV /' |::::.| ! :::..
                 l ::::::::/:!   {ハ::::::::|::{ ヾ:{ F==v===7}:}/  !::: l人:::::.  ヽ
                   :::::::/:::l   ヽヘ::: ト \ rK ((db))  h<_  /:::./  |\:::..  \
                / :::::::/ l:::! , -‐- ヽ:::l/ ̄ ` ‐-|l|-‐ ´  `/:::./. ___j_:::.\:::..  \
                  / :::::::/ j://     \{        |l|     /:::./ /   `\\::.   \
              / :::::::/  /         l |\  _  |l| _ /; イ /      \\::.   \
                / ::::::/  /           :l |   {__rx/{\ `}} ̄:/ /           \\::.   \
.               / ::::::/   {          ∧ヽ / _,>!:::}::::}\  / ∧            } \::.   \
             / ::::::/   }ヽ        l /∨    /}ーく   \,∧ヽヽ          ,/    \::.   \
               / ::::::/    {\         l l l{   二 }::::::{      l l│      /      \::.   \
           / ::::::/    人 \___/l l j }   ヽ/:::::::}       l l│     /          \::.   \
            / ::::::/    <  ヽ____ ハ_{ { !    l::::::::::l      l l人__//              \::.   \
         / ::::::/      /    ー─/ ̄}厂{j    /| ::::::::|    孑/ ヽー‐ イ             \::.   ヽ
           / ::::::/      /      ∠二ニヘ  \ /{│::::::::| ニ二 /´l| \__,/│                 \::   \

893名無しさん@ピンキー
       /:::::::::::::::::::::::::::::::"ヘ::::::ヽ
      /::::::::::::::::::::::::::::::::ノ  ヽ::::::ヽ
     /::::::;;;;...-‐'""´      ヽ.;;|
     l::::i''"            i彡
    .|::::」  /          |
    ,r-/     ● (__人_) ●  |
    l                  | 
    丶_              ノ
   /~~    ´~ ̄⌒)(⌒ ヽ
  /          ´  `  ノ