144 :
初代269:2005/04/13(水) 10:21:28 ID:McqMB8R2
>>138 乙でした。
段落付けて書いた方が読み易いし、推敲するときにも見やすいと思いますよ。
今書いている新作ですが、時間が無くて予定通りに書けないorz
話の展開などは既に出来上がっているのに……今週中の投下を目標に頑張ります。
145 :
初代550:2005/04/13(水) 12:38:46 ID:wNn2sO3q
貴子視点 卒業直後 書く前から言い訳。制服の設定、いまいちよく判ってません。
タイトル:出来心
高校は卒業した、大学にはまだ入学していない。多分、人生において一番時間が有り余ってる時期。そして、なんと言っても私は家に居るのが嫌い。
そういうわけで、私は卒業した翌日から、毎朝、学校に通っていたのと同じ時間に起き、同じ時間に家を出て、瑞穂さんのお宅に通っている。
何をするわけでもなく、内容のあるのだかないのだかよく判らない事を会話をして、窓から外を眺めたり、一緒に買い物に行ったり、映画を見に行ったりと非常に充実した毎日を送っている。
通いなれ始めた瑞穂さんのお宅への道。そこを歩いていると、無駄に大きい門の前に引越し業者らしい名前の入ったトラックが1台止まっているのが見えた。
「おはようございます、瑞穂さん」
「おはようございます」
トラックのそばで運転手と会話をしていた瑞穂さんに声をかける。手に持つ伝票を見ると、どうやら荷物の受け取りをしていたようだ。
「何ですの?」
業者の人たちが、大きなダンボールをいくつか玄関にまで運んでいるのが見えた。宅配便にしてはずいぶんと量がある。
「寮においてあった私物を送ってもらったんです」
引越しと言うわけですか・・・1年にも満たない間でずいぶんと増える物なのですね。
「手伝いますわ」
どうやら業者の人は、玄関にまでしか運ばないようで、そこからの片付けは家のものでするしかない。
一人で仕分けしきれない量ではないと思うが、一人で片付けさせて、それを見物できるほど不出来な人間ではない。
「悪いですよ」と、瑞穂さんは辞退してきたのだが、結局、私のほうが押し切って片付けの手伝いをする事になった。
流石に下着などの片付けは瑞穂さんの一人に頼みましたが・・・
「しかし、卒業したのは10日くらい前なのに、改めて教科書とかを見ると、なんだか凄く懐かしいですね」
「そうですね・・・多分、二度と開いたりはしないのでしょうけど、なんとなく、捨てがたいですわ」
その私の言葉を肯定するように、瑞穂さんは教科書たちを捨てずに別の段ボール箱に詰めていった。
ん?やけに薄い教科書・・・って、これは雑誌ですわね。ダンボールの一番下に入っていた雑誌を取り上げ、何気なく中身を見た私は、そのまま、別の世界に落ちてしまった・・・
(1/6
146 :
初代550:2005/04/13(水) 12:39:44 ID:wNn2sO3q
「えっ?・・・あぁぁぁ!それ、まりやのお土産!」
遠くで瑞穂さんの声が聞こえたる・・・上が金髪だと下も金髪なのですね・・・
どのくらい失神していたのかはよく覚えてませんが、目が覚めると瑞穂さんがばつの悪そうな、心配するような微妙な表情で私を見下ろしていた。
「あの・・・」
「すいませんでした。でも、一つ言わせてください。あれはまりやが外国から密輸した物ですから」
「・・・」
「・・・貴子さん、お願いですから、汚物を見るような目はやめてください」
やましいからそういう風に思ってしまうだけです。と思う・・・自信は余りありませんが。
「・・・とりあえず、捨ててください」
まだ、顔が熱くて、心臓の音がうるさい。あんなのを見て男性は本当に興奮するのですか?うっ、思い出したら、また気分が・・・
「捨てましたから・・・」
外国旅行のお土産で、堂々とあんなのを密輸するまりやさんもまりやさんですが、それを寮のゴミ箱に捨てられず、半年も部屋に置いた挙句、実家にまで持ち帰ってくる瑞穂さんも瑞穂さんです。
「ところで、瑞穂さん・・・」
「はい?」
私は頬を染め、重大決心を口に乗せた。
「・・・金髪がよろしければ染めますわ・・・下も」
「そんな事はありません!全然そんな事はありません」
「とりあえず、何か買ってきます」
失神から回復した時には、すでに12時を30分以上回ってしまっていた。
「デザートは欧州屋のレアチーズでいいです」
ケーキ一つでアレを許して差し上げるのですから、安上がりだと思ってください。ちなみに欧州屋とは近くにある評判の洋菓子屋さん。ケーキも美味しいが、焼き菓子も美味しい。
はいはい、と苦笑しながら出て行く瑞穂さんの背中を見送り、私は片づけを再開した。と、言っても残ってるダンボールは一つだけ。
お弁当を買ってから、欧州屋に寄れば多分30分ほどは帰ってこないはずだから、帰って来る頃には全て片付けは終わっているだろう
一人で残った段ボール箱を開き、中身を確認した。もう、あんな本は入ってないでしょうね・・・体操服と、制服が夏冬が2セットずつ。それに体育館用シューズ。男女を問わずに着れるような私服が数着。
(2/6)
147 :
初代550:2005/04/13(水) 12:41:16 ID:wNn2sO3q
当たり障りのない普通の服ばかり。安心したような、物足りないような・・・って、何が物足りなのですか!私は!?
一度、全てをダンボールから取り出し、私服の方はハンガーに通してクローゼットの方へ。制服はどうするのでしょう?もう着る事もないでしょうけど・・・捨てるのもしのびがたいような気がしますわね。
夏の制服の肩を持ち、目の高さまで持ち上げて見る。普通のセーラー服に比べて体の線が出やすい制服。
・・・・・・・・細い。
瑞穂さんの腰に手を回すたびに思っていたことだが、彼のウェストはかなり細い。正確な3サイズを聞いた事はないが、話によるとまりやさんよりかは細いらしい。
まりやさんも運動をしていたのだから、決して太めなわけはなく、どちらかと言えば細い方なのだが、それよりも細いとなると・・・
「・・・まさか、私よりも細いと言う事は・・・」
気になり始めると、確かめたくなるのは人間の持つサガみたいな物だと思う。しかし、実際に聞いてみるのも恥ずかしい。
「・・・これを着ることが出来たら、少なくとも瑞穂さんよりも太いと言う事ではない、と言うことですわね・・・」
時計に視線を移す。まだ、瑞穂さんが出てから10分と経っていない。さっと脱いでさっと着替えてしまえば、ばれる事はないはずですわ。
萌黄色のワンピースを脱ぎ、白い清楚な下着姿になり、久しぶりに恵泉の制服に着替え始めた。
うぅ・・・やっぱり・・・ファスナーが腰の辺りで止まってしまう。
しかし、ここで素直に脱いでしまえば、負けを認めてしまったような気がするし、あと少しで上がりそうな気がする。
思いっきり息を吐いて、勢いをつけて一気に・・・こうして・・・・・・ぷはぁ!むっ、無理だというのですか!
もう一回、胸の中に入っている空気を最後の1ccまで押し出して、今度は勢いをつけるのじゃなくて、少しずつ上に上げる感じで・・・ギチ・・ギチ・・・嫌な音が聞こえたような気がするが、聞こえてない振り。
あれ?ショーツが変、引っ張られているような・・・少しはしたないが、スカートの中に手を入れて、腰の辺りに触れる。
「か・・・噛みこみました?!」
うそっ、えっ、わっ・・・あわててチャックを下ろすが、もう、後の祭。お腹を思いっきりへこませた所為で、僅かに緩んだ下着が必要以上に密着したファスナーに噛み込まれてしまっている。
(3/6)
148 :
初代550:2005/04/13(水) 12:41:58 ID:wNn2sO3q
しかも、へこませていたお腹も普段の状態に戻ってしまったおかげで、その噛み込みはもはや完璧に後戻りできない所にまで来てしまった。
恐る恐る鏡に視線を向ける・・・そこには、お腹の辺りがはちきれんばかりにパッツンパッツンになった制服を、中途半端に着た間抜け面の女が一人。
こんな間抜けな姿を見られたら、瑞穂さんに嫌われてしまう。と言うか、恥ずかしくて、生きていられない。
しかし、ガッチガチに噛みこんだファスナーは下がるどころか上がりもしない。
とりあえず、パンティを脱いで見ましょう。もしかしたら、パンティの生地が外れるかもしれない。
10分後
・・・・・・・・まずい、これはまずい。パンティを上だの下だの動かすうちに、変な気分になりそうな予感がしてきた。間抜けの上に変態ですか?私・・・あぁぁ、もう!下りろ!!
びりっ!!
破れちゃいました・・・あははは・・・
とりあえず、パンティは脱げました・・・二度と履けませんが・・・
それをハンドバッグの中に丸めて突っ込んだ。どうやって帰ればいいか?と言う話は後で考えるとして、今はこの制服を脱がなくては。
パンティは破れたが、噛みこんだ生地は当然のようにそこに残っているのだから、ファスナーが少しでも動きそうな様子はない。
早ければ今すぐにでも帰ってくる。遅くても15分とは掛からないはず。
どうしてこうなってしまったのだろうか・・・私が馬鹿だからですわね、そんな事は判ってます。ええ、判っていますとも。
しかし、いくら後悔しようが、神様にお詫びしようが、マリア様にお願いしようが、ファスナーは1mmたりとも動かない。
私は時間も忘れ、必死になってファスナーと格闘した。もう、こんなに必死になったのは、瑞穂さんと同じ大学に入るために勉強した時以来だと思う・・・つい先日までの話ですわね。
その前はバレンタインデーにあのそびえ立つ黒いバベルの塔を見た時で・・・ふっ、私、いつも必死ですわね。
などと馬鹿な考えとともに、ファスナーと戦っていると、一番好きだが、今は絶対に聞きたくはなかった声が聞こえた。
「ただい・・・ま?・・・何をやってるんですか?」
二つのビニール袋を持った瑞穂さんが見ているのは、明らかにサイズの小さな制服を脱ぐ為に四苦八苦している馬鹿の姿。
(4/6)
149 :
初代550:2005/04/13(水) 12:42:38 ID:wNn2sO3q
「ひっ!」
こういうときに限って、お弁当屋さんもケーキ屋さんも空いてて、全然待たずに帰ってこれたということですね?
冷静に自体を分析した所で、自体が好転するわけもない。しかし・・・神は居ないのでしょうか?
「貴子さん・・・」
「何も言わないでください。それと、珍獣を見るような視線は辞めてください」
「仕方ないですね、切っちゃいましょう」
「・・・はい」
事情を説明すると、瑞穂さんはあっさりとそう言った。説明するような事情があったのか?などとは聞かないでください。
ふふふ・・・誤魔化そうとしたらマントル層に達するような墓穴を掘ってしまいました・・・とだけ言っておきます。
爆笑でもしてくれれば、まだ救いがあったのに・・・。
荷解きに使っていたはさみを持って、瑞穂さんが私の背後に回る。冷たいはさみが薄い夏の制服越しに私の肌に、ひんやりとした鋼の感触のを伝える。
・・・・・・・しかし、いつまで経っても、そのはさみが生地を切り取る音がしない。
「あの・・・」
瑞穂さんが非常に申し訳なさそうな声で、私に声をかけてきた。
「何ですか?出来れば、早くして欲しいのですが・・・」
腰の少し上までがもろに開いた服、これがドレスならいくらでも見つめていてほしい所ですが、ファスナーの噛みこんだ制服では・・・恥ずかしさで人間は死ねる事を証明してしまいそう。
「・・・このままだと・・・肌まで切ってしまいそうなんですが・・・」
はは・・・人間、恥ずかしさでは死ねない生き物なんですのね・・・やっぱり。
「た・・・多少はいいですから」
それでも出来れば切られたくないので、私はまた、思いっきり息を吐き、少しでもウェストを細くする努力をする。
(5/6)
150 :
初代550:2005/04/13(水) 12:43:21 ID:wNn2sO3q
やたらと肺活量が鍛えられそう・・・。
「では・・・行きますね」
ジョキッと軽い音がして、私の腹部がきつい服から解放され、すとんとスカートが床に落ちた。はぁ・・・苦しかった・・・
「ご迷惑をおかけしました」
本当は恥ずかしくて、瑞穂さんの顔を見ることが出来ないのだが、それでもお詫びだけは・・・と思い、後ろを振り向くと、瑞穂さんが真っ赤な顔をしている。
「貴子さん・・・下着・・・」
「えっ?・・・きゃぁぁぁぁぁ!!!!」
何度も見られてるはずなのに、こういう場合だとやけに恥ずかしいんですのね・・・
PS.
「あっ、貴子さん、あの制服。僕、間違えて洗濯機にかけちゃって、縮んじゃってたんですよ」
「いまさらそう言うことを言われても、何の救いにもなりませんって・・・」
(おしまい)
会社近くのマックで笑いながら読んだ恥ずかしい人間が一人。
作品別スレから、あわてて移動してきた人間が一人。
自爆っぷりを微笑ましく思いつつ目を覆った人間が1人。
会社から笑を堪えて読んだ人間が一人。
自宅で笑いながら読んだ香具氏が一人。
【世界のお姉さま】瑞穂ちゃん危機回避バージョン1
「タイトル、『ザ・グレイティスト・エルダー』!!」
「あっ…あの……もしかして…」
(ああっ、もう続きは聞きたくない)
瑞穂は、嫌な予感が確信へと変わっていた。
「そう、そして、主演、鏑…「あの、圭さん?」
「……何でしょう……緋紗子先生?」
緋紗子に話の腰を折られ、圭は少しムッとして答える。
「私、クトゥルー神話?だったかしら?読んだことないですよ」
「はい??」
圭は、何の話か判らなかった。
「だって、『ザ・グレイティスト・エルダー』…最も偉大な古(いにしえ)の者……つま
り、古の神でしょう?」
(緋紗子先生、ナイスボケです。薄荷のキャンディより、数億倍嬉しいです)
ここが、ラストチャンスとばかり瑞穂は、話題を変えさせることにした。
「それは、Great Old Onesでしょう、旧支配者ってことですね、それに、
古(いにしえ)ということですと、Elderではなく、Ancientの方になるん
じゃないかな?Ancient Onesという表記もあったような気がします」
「まあ、クトゥルー物を、やるんですの?面白いかもしれませんわね。私も結構、読んで
いますわ。でも、タイトルは、『ザ・グレイティスト・オールド・ワンズ』の方が良いの
ではないかしら?」
(へえ、紫苑さんは、そういう物も読んでいるんだ、手当たり次第に乱読するって言って
たけど)
「それなら、旧支配者の中でも更に強力な物がいたということで、新しい物が書けるので
はないかしら?」
「へえ、面白いかもね。で、クトゥルー神話って、どういう物なの?」
まりやも、興味を持ったらしく、紫苑に尋ねた。
「クトゥルー神話というのは、H.P.ラヴクラフトが書いた小説をもとに、オーガスト・
ダーレスが体系化して………」
実は、紫苑はクトゥルー神話を全て読んでいたらしく、詳しい説明が延々と続いた。
(………うううう………失敗だったわ……略さずに『ザ・グレイティスト・エルダー・シス
ター』にすべきだったわね)
(もう、圭さんたら、今夜は、お仕置きですわよ)
(……美智子……怖い……)
美智子の笑顔は、少し引きつっていた。
「そういえば、圭さん、劇団名のハスターって、名状しがたきもの、名づけられざるもの、
無名のもの、羊飼いの神のハスターですよわね?」
不意に、紫苑が圭に問いかけた。
「……ええ……そうよ…」
「私が、クトゥルー神話に興味を持ったのって、圭さんが、時折、『いあ いあ はすたー』
とか挨拶していましたでしょう?たまたま、手に取った本にその呪文が載っていたのを見つけ
たのが、きっかけですのよ?」
(圭さん、これは、ただのお仕置きでは、済ませられないですわよ)
ついに、美智子の顔から、笑顔が消えた。
「………ひぃ………」
美智子の顔を見た圭が、小さな悲鳴を上げた。
「ふんぐるい むぐるうなふ くとぅぐあ ふぉまるはうと んがあ・ぐあ なふるたぐん
いあ くとぅぐあ」
(今度は、クトゥグア呼び出すつもりですか?って、そんなもの呼び出されたら、ここら一帯
が火の海になっちゃうじゃないですか)
「………いっいっいやぁ、お助けぇ〜」
圭は、悲鳴を上げ、急に立ち上がると部屋から逃げ出した。
「あっ、圭さん、どちらへ行かれるのですか?」
美智子も、立ち上がると、圭を追いかけて部屋から出て行った。
瑞穂が、ドアから顔を出すと、逃げ出す二人と、何故か総帥の姿を見つけた。
(あれ?なんで。父さんまで?)
「ちっ逃がしたか……」
まりやが、舌打ちをした。
(いや、まりや、向こうの謀り事通りにことが進んだら、一緒に面白がるつもりだったくせに)
(しかし、圭さんも、火の海になってでも逃げたいとは…)
「美智子さんの責めって、そんなに凄いのかしら?」
「「「「「「えっ」」」」」」
緋紗子の言葉に、皆が固まって、意味に気が付いた順に顔を赤らめた。
今回は、二人(と総帥)の魔の手から、逃れることが出来た。
しかし、第二、第三の陰謀からも逃れることが出来るのだろうか?
感想をくれた方、ありがとうございました。
幾つか、案があったのですが、瑞穂ちゃんの一番不幸なバージョンにしたので、
このバージョンでは、圭さんに壊れてもらいました。
瑞穂ちゃん危機回避バージョン1となってますが、危機回避バージョンの2以降を書くかは判りません。
その他のバージョンや圭さんと美智子の行動についての話も書くかもしれません。
なんとなくTORGリプを思い出した俺。
瑞穂「グゥレェイティストォォォォッ!!」
なんか濃い話キタ───────!!!
>>159 TORGじゃなくてTRPGジャマイカ?
>161
TORGというTRPGのことではあるまいか?
脊髄反射で怪しい話を振った。今は反省している。
「ふう…今日のはどんなのだろ?」
ここは寮の私の部屋。
私の手には何の表書きもない茶封筒。
そしてその中には写真が枚入っているはず。
「どうか瑞穂お姉さまのレアが入ってますように…」
祈りながら封を切る。
私には写真部の同級生がいるのだけれど、彼女は人気のある上級生の写真を売って小遣い稼ぎをしていたりする。
もちろん褒められるようなことじゃないし、ちょっと高いと思わないでもないけど、
彼女の腕は確かだしいい写真なのも間違いないから密かに続いている。
…中には明らかに授業中の写真もあるのだけれど、どうやって撮ったのかは企業秘密らしい。
因みにお値段はバラで一枚300円、何が入っているのかわからない福袋が5枚セットで1000円。
一見バラでお目当ての写真を確実に手に入れた方がよさそうだけれど、実は福袋にはバラでは売っていないレア写真が入っていることがある。
最初に買った時、瑞穂お姉さまがバスケットボールでシュートを決めた瞬間の写真を引き当ててからというもの、私は断然福袋派なのだ。
まずは封筒の中身を覗いてみる。
…うん、ちゃんと5枚入ってる。
封筒をひっくり返し、ゆっくりと写真を引き出す。
いつになってもこの瞬間はドキドキが止まらないよ…。
「由佳里ちゃん?どうしたのですか?」
「うひゃうっ!?」
か、奏ちゃん!?
驚いた拍子に封筒を落としてしまった。
慌てて振り返る。
「か、奏ちゃん!どうして私の部屋に!?」
「どうしてって…遊びにきたら扉が開いたままだったのですよ。そうしたら由佳里ちゃんが凄く緊張しているようだったから気になって…」
私のうっかりさん!
と、とにかく奏ちゃんには外に出てもらわないと!
「な、なんでもない!なんでもないから!」
「は、はい?…あれ、それって…写真なのですか?」
「あ、あー!?」
床に落ちた拍子に写真が封筒から少しだけ出てる!?
…こうなったらしょうがない、奏ちゃんも仲間にしてしまおう。
これ以上被害を広げたくないし…もしまりやお姉さまに知られでもしたら私の人生終わりだ。
「奏ちゃん、入って!」
「え?え?」
奏ちゃんの手を引いて部屋に入れ、急いで扉を閉めて鍵を掛ける。
…緊張の糸が切れて思わず床に座り込んでしまった。
「ゆ、由佳里ちゃん?いったいどうしたのですか?」
「…奏ちゃん、今から見るものは他言無用だからね」
「は、はい?」
「誓・っ・て・く・れ・る・よ・ね・?」
「は、はいなのですよ!」
…よし、奏ちゃんは嘘を吐かないだろうから一安心。
涙目で震えてるように見えるのは気のせいだ、きっと。
「はあ…そんなものがあったのですか」
「うん、彼女とある程度親しくないと無理だけどね。やっぱりバレたらまずいことだし、口外しないと信用できない相手には売れないみたい」
「残念なのですよ…」
「ええっと、それじゃ私が奏ちゃんの分も買ってこようか?」
「いいのですか!?」
「うん、だって奏ちゃんだもん」
「ありがとうなのですよ〜」
本当に嬉しそうな奏ちゃん。
奏ちゃんもお姉さまのことが大好きだもんね、気持ちはわかるよ。
「それじゃ一緒に見よっか?」
「いいのですか?」
「うん。…でもあげないよ?」
「そんな、欲しがったりはしないのですよ〜」
顔を見合わせて笑いあう。
そして改めて写真をベッドの上に広げて二人で見てみることにする。
「あ、部長さんなのです」
「演劇部の練習風景…かな?」
「はい、そうなのですよ〜」
「へえ…凛々しくて恰好いいね」
「でも怒ると怖いのですよ…生命の危機なのですよ…危険が危ないのですよ…(カタカタ)」
「か、奏ちゃん…?」
「あ、これはまりやお姉さまが走ってるところだ」
「まりやお姉さまは陸上部の部長さんでしたよね?」
「うん、厳しいけど的確な指導をしてくれるし、部員のみんなも尊敬してるよ。…ここでのまりやお姉さまからは想像できないかもしれないけど」
「そ、そんなことはないと思うのですよ」
「これは…生徒会長さんでしょうか?」
「まりやお姉さまとは凄く仲が悪いんだっけ」
「結構有名な話らしいのですよ。…あれ?隣に座っていらっしゃる方ですけど、この後姿は瑞穂お姉さまでしょうか?」
「え?でもクラスが違うはずじゃ…」
「確か、選択授業が同じ世界史だと聞いた覚えがあるのですよ」
「そうなんだ…」
「これって…まりやお姉さまと紫苑お姉さまの水着姿?」
水泳の授業中なのか、プールサイドで談笑しているらしいお姉さまたちが写っていた。
「お二人ともスタイルがよくて羨ましいのですよ…」
「本当だね…」
「「はあ…」」
思わずため息が漏れた。
最後の一枚。
それをめくった瞬間、…時間が止まった。
「うわ…」
「はう…」
そこには、瑞穂お姉さまの水着姿。
今まで体調不良でお休みされていた為、幻とまで言われていた姿だった。
さっきのまりやお姉さまや紫苑お姉さまに匹敵、いや、もしかすると上回るほど均整の取れた身体。
自分のプロポーションを思い浮かべてみる。
…とてつもなく悲しくなった。
横を見る、奏ちゃんと目が合う。
「……(ぐっ!)」
固い握手を交わす私たち。
私たちだってまだ成長期なんだから、望みはある…よね?
うん、あるに決まってる。
だって成長期なんだから。
169 :
3-206:2005/04/13(水) 23:54:57 ID:6HW9XcbR
何かと不遇な(影の薄い)ゆかりんに愛の手(出番)を第二弾。
第三弾はやっぱり未定。
…なのに何故こんな扱いなのだろうか。
結局お前一番最後の一枚書きたかっただけちゃうんかと小一時間(略
今回も小ネタなのに異様に長いし。
ところで、由佳里ENDでのゆかりんは奏ENDでのゆかりんに比べ背が伸びてないように見えるのはやっぱり私の気のせいですか?
at the time後半ですが、最初の場面を三パターンのどれにするか悩んで頓挫中。
そこ以降は八割方完成しているのだけれど…。
しばらく寝かせてから考え直してみようかと。
GJ! GJ!
警報、警報!
G−1グランプリ 恵泉女学院一発ギャグトーナメント
第三弾を只今より投下いたします
緋紗子「さあ、お待たせいたしました。G−1グランプリ決勝戦・第一試合、
宮小路瑞穂VS十条紫苑の試合がまもなく始まろうとしています――が。
学院長、瑞穂さんがまた黒いマントを着ていますね。いったいどうしたのでしょうか?」
学院長「理由は分かりませんが、今の瑞穂さんの姿を見ていると、
車田正美や宮下あきらのマンガを思い起こします。そう思いませんか? 緋紗子さん」
緋紗子「そ、そうですね……学院長から、そういう言葉を聞くとは思いませんでした」
学院長「何を今さら言っているのですか。
図書室にある『リンかけ』全二十五巻は私の強い希望によるものですよ」
緋紗子「本当に格闘技がお好きなんですね、学院長は……ああっと、瑞穂さんが今マントを脱ぎました、
マントの下は先ほどとは違ったワンピースの水着姿! 瑞穂さん、装いも新たにお色直しをしてきましたっっ」
学院長「今情報が入りました。どうやら先ほどのアクシデントで、
水着の一部に不具合があったことが理由のようですが、これはまた大胆な……」
緋紗子「瑞穂さんが着ている水着を説明いたしますと、
同じ白い水着ですがツーピースからワンピースに変わっています。
トップ部は背中が大きく開き胸が強調されたディープVデザイン。
ボトム部はデザインやシルエットラインからおそらくハイレグでしょう。
腰に巻かれたパレオのため、詳細は確認できません。あぁ、パレオが憎い!」
学院長「見てください、緋紗子さん。紫苑さんがまた瑞穂さんに抱きつこうとして、レフリーに止められてますよ」
緋紗子「学院長。このままだと紫苑さんに、ドクターストップかテクニカルノックダウンを取られてしまうんではないですか?」
学院長「いえ、どうやら大丈夫のようです。紫苑さん、どうにか態勢を整えました。まだ少し顔が赤いようですが、彼女ならすぐに立ち直るでしょう」
レフリー「先攻、犬さんチーム・宮小路瑞穂」
緋紗子「さあ、いよいよG−1グランプリ第一試合、宮小路瑞穂VS十条紫苑が今始まろうとしています。
まずは先攻の瑞穂さん。どう出るのか?」
レフリー「ファイト!」
緋紗子「ゴングが鳴りました。……あっっと、瑞穂さん、握手を交わした手をそのままつかんで紫苑さんをロープに振ったぁ」
学院長「いきなりの速攻ですね。瑞穂さん、紫苑さんに時間を与えず、一気にたたみかけるつもりですよ」
緋紗子「先ほどのダメージが残っているのか? 紫苑さん、はやくもピンチです」
学院長「緋紗子さん、紫苑さんがロープから返ってきますっ」
緋紗子「さぁ一体どんなギャグを繰り出すのか、瑞穂さん」
瑞穂「シスターエルダー、だっちゅ〜の!」
緋紗子「だっちゅ〜の! だっちゅ〜の! 学院長、これはあの一世を風靡した?」
学院長「今は解散したお笑いコンビ「パイレーツ」の、流行語大賞にも選ばれた一発ギャグですよ。
ギャグだけではなく、決めポーズも一世を風靡しました」
緋紗子「前屈みに腰を曲げ、両腕で胸をはさみんで谷間を強調する、
決めポーズを取る瑞穂さん。いいっ! 瑞穂さんの決めポーズがっ、胸が、谷間が! お尻もいいぞ」
学院長「あぁ、瑞穂さんのギャグを真正面から受けてしまった紫苑さんが、ロープ際まで飛ばされてますよ。
どうやら意識はあるようですが……」
緋紗子「紫苑さん、どうやらのぼせてしまって足に力が入らないのか、立ちあがることができません」
瑞穂「みんなのお姉さま、だっちゅ〜の!」
瑞穂「云ってない、『あん』なんて僕は断じて云ってない、だっちゅ〜の!」
学院長「紫苑さんだけじゃなく、瑞穂さん会場全体にアピールしてますよ。さすが歴代最多得票のエルダー、
細やかな気配りですね」
緋紗子「会場全体から歓喜の悲鳴がいたるところで沸き上がります」
瑞穂「ううっ…やっぱり一人じゃ時間内に掃除は終わらないよぉ、だっちゅ〜の!」
瑞穂「エルダーシスターは伊達じゃない、だっちゅ〜の!」
緋紗子「ああっと、リングサイドで何かあったようですが……貴子さん?
犬さんチームの貴子さんが鼻血を出して倒れていますっ。流血です。激しく出血しています。
学院長、一体貴子さんの身に何があったのでしょうか?」
学院長「おそらく貴子さんのことですから、マット上の瑞穂さんの姿に興奮したに違いありません。
妄想爆発娘・ブレーキの壊れた妄想機関車と異名を持つ、彼女らしいといえばらしいのですが……」
緋紗子「G−1グランプリ決勝戦・宮小路瑞穂VS十条紫苑の試合は、
犬さんチームの貴子さんが流血するという、予想外の事態が起こってしまいました」
学院長「今ようやく、貴子さんが隣にいた奏さんに助け起こされましたよ。かなりダメージがあるみたいですね」
緋紗子「奏さんの手を借りて立ち上がった貴子さん、フラフラとリングサイドに歩み寄ります。
あら? 学院長、今マントの下からオーバーサイズのホワイトシャツが見えたような気がするのですが……」
学院長「見なかったことにしてあげてください──犬さんチームのリングサイドで、貴子さんが瑞穂さんの名前を読んでいますね」
緋紗子「そうですね。あっ今、振り向いた瑞穂さんに貴子さんがゆっくりと右手をあげました。一体何を言うつもりでしょうか?」
学院長「そのまま握っていた右手の親指を立てましたよ。これは……」
緋紗子「サムズアップ、サムズアップです! 貴子さんが瑞穂さんにサムズアップをしました。
学院長、これはどういう意味でしょうか?」
学院長「グッジョブ! GJ、瑞穂! ビバ瑞穂! という意味を込めたものと思われます。
妄想爆発娘・ブレーキの壊れた妄想機関車との異名をとる貴子さんですから、おそらく彼女にとってこれ以上の妄想ネタはないのでしょう。
瑞穂さんの艶姿を、しっかり脳裏に焼きつけたものと思われます。おそらくこれで、貴子さんは三日三晩妄想することができるでしょう」
緋紗子「わたくしの二つ名は伊達じゃない、面目躍如と言ったところでしょうか──
今気がついたのですが、犬さんチームのリングサイドに高島一子さんの姿が見えませんね。どうしたのでしょう?」
学院長「そうですね。いったい、どこに行ったのでしょうか?」
一子「呼びましたかぁ?」
緋紗子「うわっ、いきなり眼前に出てこないでください。びっくりするじゃないですか。
それにここは放送席ですよ、一体どこ行ってたんですか?」
一子「ちょっとお手洗いに……」
緋紗子「お手洗いって、あなた幽霊じゃ……あーっと、瑞穂さんのパレオが、
パレオがほどけてリングに、リングに、みっ瑞穂さんのハイレグッッ」
_人人∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧人人_
> なっ、なんですってぇ――――!! <
 ̄^WWVVVVVVVVVVVVVVVWW^ ̄
_ ,.'⌒ 〈,.'⌒ _ _
'´ /ニ゙ヽ⌒ '´ , `´ ヽ '´ ,、 `ヽ '´ 、ヽ
ル 〈从从)〉 i イノノ)))) ((リ从 リx ! /(((从リ))i,\
ノwリ;゚ロ゚ノル | リ;゚ロ゚ノl! |l、ロ゚;iリ〃 レ'リi、ロ゚;リツヽ、j
⊂)夭iつ ノノ /)夭iヽ ⊂i夭(つ ⊂i夭(つ
ザーッ
しばらくお待ちください
G−1グランプリ 恵泉女学院一発ギャグトーナメント
第四弾へ続く
今回は以上です。いや〜、リングの、試合の臨場感を出すのがこれほど難しいとは。どうですか、お客さん。会場の熱気と興奮が少しでも伝わりましたでしょうか?
PS
AAに瑞穂ちゃんがいるのは見逃してください。
リアルタイムで遭遇!
いいよー!
老舗ならではのGJです。
>ブレーキの壊れた妄想機関車と異名を持つ、彼女らしいといえばらしいのですが
ひどっ!
でも、確かにふさわしい異名ですだ。
恥ずかしいギャグをやらされて、ますます羞恥する瑞穂ちゃんを想像して、興奮してしまいますた。
瑞穂ちゃんのピンチ!
続きが気になる!
上品な木目の美しいデスクの上を、お気に入りのボールペンの頭で一定のリズムを取りなが
らコツコツと叩き、瑞穂は部屋の窓から外を眺めていた。
「社長」
季節は春。社長室の窓から見える大きな桜の樹は、そのしっかりとした枝に、淡く儚い華を大き
く広げていた。
「社長?」
桜の花は、散る瞬間が最も美しい。いま正に最高の見頃である桜は、たなびく風にその花びらを
優しく乗せ、桜吹雪という言葉の美しさを目の当たりにしてくれる。
「社長!」
「は、はい!」
秘書の呼びかけに、ぼうっとしていた瑞穂は驚いてぴくんと跳ね上がる。
「何だ、南さんですか。脅かさないで下さいよ、突然」
南、と呼ばれた秘書は、その瑞穂の言葉に怪訝な顔をする。
「社長? 先ほどから何度もお呼びしていたのですが?」
「え? そ、そうですか?」
瑞穂は心底驚いたような顔で、目の前にいる秘書の顔を見つめる。だがそれも一瞬で、瑞穂の顔は
再び先ほどまでの『ココロココニアラズ』の表情に変わった。
「社長!」
「え? あ、はい。すいません、南さん。何ですか?」
再び瑞穂はほんの少し跳ね上がる。それを見た南は、一体何があったのだろうかと本気で心配を
始めるが、自分が仕事を忘れてはいけないと思い直し、両手で持っていたファイルを瑞穂に手渡す。
「一課からの企画書が先ほど上がりました。なるべく早めにサインが欲しいとの事です」
「えっと……はい、分かりました。そこに置いておいて下さい」
そう言うと瑞穂は、もうお馴染みのように窓の外を向き、桜を眺めながら項垂れる。
「社長らしくないですね? いつもなら、この手の書類は真っ先に片づけるのですが……」
「そうですか?」
相づちは打つが、相変わらず『ココロココニアラズ』。
遂にみかねた南は、両手を勢いよくデスクに叩きつけた。その時の衝撃で、デスクが厚みの
あるいい音を立てる。
そしてその音に驚いた瑞穂は、先ほどまでとは比べものにならないほどの勢いで跳ね上がる。
「一体どうされたんですか!? 社長! ここ二日ほどの放心振りは目に余ります!」
「え? 僕、そんなに放心してましたか?」
「されていました! 一企業のトップともあろう方が、そのようなことでどうするのですか!? 一体
何があったのです?」
普段からハキハキとしていて、非常に仕事の出来る南だったが、流石にここまでの怒髪天振り
を発揮したのは初めてで、そのあまりの勢いに瑞穂は僅かにたじろいだ。
「社長、お答え頂けますね? 業務に支障が出るようなことがおありなんですか?」
南は両手をついたまま、じりじりと瑞穂の方へと迫る。
「あ、あの……南さん?」
「社長!」
瑞穂は両手を軽く前に出して苦笑いをしながら後退するが、迫り来る南から逃げられないと踏ん
だのか、ついには折れた。
「その………実はですね? 予定日近いんです」
「予定日………ですか?」
何の脈略もなく予定日といわれても全く要領を得ないといった風に、南は顔を顰める。
「はい………娘が生まれるんです」
そして、次いで出てきたあまりに唐突な一言に、南の端正な顔が一瞬崩れ、縁なしの眼鏡が
僅かにずれる。
「…………………娘!? 社長と貴子様の!?」
「お、大声出さないで下さい、南さん」
「だ、だって………そんなの初耳です」
「僕は話したかったんですけど、誰かに話すと貴子さんの両親の耳に入る可能性があると言っ
て、貴子さんが箝口令をしいたんですよ。だから、このことを知っているのは僕と貴子さんと父
様、それに家のお手伝いさんだけです。いいですか? しばらくは秘密にしておいて下さいよ?」
南はずれた眼鏡を掛け直しながら、うんうんと大げさに頷く。
「それで、近いと仰っていましたが、予定日はいつなんです?」
聞かれた瑞穂は、再び外に目をやりながらキャップの付いたままのベールペンで机に丸を書き
始める。
「それが……………………」
言い掛けて、大きく溜息。
「………………………実は今日なんです」
前編? か?
とりあえずそういうことにしておいて下さい。
続きはあるんですが、書くのにもう少し時間が必要なので、叉後日。
いつになるかは分かりません。
秘書長の南さんはオリキャラです。
一応脳内設定では、長身で端正な顔立ちのナイチチキャラですが、どうせ出番少なくも活躍も無い予定なので
特に意識する必要は無いかと。
かなり後の方にならないとヒロインの名前が出てこないことに反省。
あと、今回はエロくありません。だからって読む気無くしたとか言わないでください。
>>職人諸氏
>>まとめ氏
いつもGJです
相も変わらず時間に追われ、全部読み切れませんが、追って読みたいと思います
182 :
124:2005/04/14(木) 01:01:59 ID:miBShpqn
>>176 GJです
第三弾を楽しみに待ってたかいのある出来です。
臨場感ちゃんと伝わってます。
> AAに瑞穂ちゃんがいるのは見逃してください。
それは、幸穂さんってことで無問題
183 :
124:2005/04/14(木) 01:12:07 ID:miBShpqn
>>181 一瞬、瑞穂ちゃんが産むのか?って考えてしまった。(なんでやねん)
あと、南さんって、男かと思ってた。
>>181 確かにぼ〜っとしてそうだなぁ、瑞穂ちゃん
GJ
>>183 > あと、南さんって、男かと思ってた。
同じく。持ってる4コマ漫画のせいで。(違うか)
185 :
初代269:2005/04/14(木) 08:48:11 ID:NJBnXTii
『落ち葉の軌跡、雪の降誕祭』[Another Ver.] vol.1 を投下します。
186 :
初代269:2005/04/14(木) 08:49:14 ID:NJBnXTii
「え?明日…?」
お昼休み。いつものように紫苑さんと教室でお弁当を食べていたとこ
ろにやってきたまりやが、突然言い出した。
「そ。祝日じゃない?明日。どこか行こうよ。…勉強ばかりじゃ息も
詰まるでしょう?」
明日は12月23日。いわゆる祝日である。
…確かにこのところ、ろくに外出してないな……
「…あら?いいですわね。…宜しければ私もご一緒させて頂けますか?
たまには息抜きに勉強以外のこともしたいですし……」
一緒にまりやの話を聞いていた紫苑さんが遠慮がちに云う。
「もっちろんですよ、紫苑様。…ね?紫苑様も行くって云ってるんだし
さ……」
笑顔を浮かべて紫苑さんに返事を返した後、僕を見ながらまりやが云う。
「うん……そう、だね。…まりやに付き合うよ」
気分転換には丁度良いかもしれないし…
「うん!そうこなくちゃね」
楽しそうな顔で云うまりや。
「それはそうと……」
「どちらに行かれるんですの…まりやさん?」
僕の言葉に次いで紫苑さんが云う。
「いくつか候補はあるんだけどね……まだ決めてない」
「そ、そうなの?」
…行き先はまだ決めてないのか……変なところにならないといいけど…
「そ。まだ何人で行くかわからないしね」
「?……私たちだけでは無いのですか?」
紫苑さんが疑問を口にする。
「はい。奏ちゃんとか由佳里とかにも声掛けてみようと思ってまして…」
「まぁ…それは楽しい休日になりそうですわね……ふふふ」
顔を輝かせて楽しそうな口調で云う紫苑さん。
「おっと…じゃあ、あたしは他の子たちに声掛けて来ますね」
云うとまりやは教室から駆け去って行ってしまった……
187 :
初代269:2005/04/14(木) 08:50:14 ID:NJBnXTii
「で……なんであんたが此処にいるわけ…?」
翌朝、寮の前に集合した面子を見て開口一番まりやが云った。
「いい、良いではありませんか…!私が此処に居たって…私は、お姉さ
まに……」
少し顔を赤らめながら言い澱む貴子さん。
「あ、まりや。私が貴子さんをお誘いしたの」
昨日の帰宅途中ソシアルダンスの講習会に出るため体育館に移動中の貴
子さんとばったり会って、話の流れから誘うことにしたのだ。
「ふ〜ん…瑞穂ちゃんが貴子を……ねぇ…」
訝しげな表情を浮かべてジト目で僕を見るまりや。
「…まぁ、良いではありませんか……大人数の方がきっと、楽しいですわ」
「奏もそう思うのですよ〜」
紫苑さんの言葉に奏ちゃんが追従する。
「ま、しょうがないか。今更、帰れ、とは云えないし……由佳里の代役
ってことで…」
「あ、そういえば由佳里ちゃんは…?」
てっきり由佳里ちゃんも来るものだと思っていたんだけど…
「ああ。由佳里ね…どうしても今日じゃなきゃ買えないものがあるとか
で……クラスの子たちと買い物に行った」
「……由佳里さん?ああ…もう一人の寮生の方ですわね。…お会いした
ことはありませんが…」
あれ?そう云えば貴子さんと由佳里ちゃんは面識が無いんだっけ……?
「由佳里ちゃんはとても良い子ですわよ?時々、私たちの教室にも顔を
見せていらっしゃいますわ」
穏やかな微笑を浮かべた紫苑さんが云った。
「……ええ、きっととても良い子なのでしょうね。聞くところによると
……あのまりやさんのお世話をし続けられる程の方、なのですから…」
…貴子さん……その云い方はちょっと………
「ちょっと!それ、どういう意味?!」
案の定、まりやが貴子さんに食って掛かる。
188 :
初代269:2005/04/14(木) 08:51:28 ID:NJBnXTii
「あら?そのままの意味ですわ。あのまりやさんの傍に居て、尚且つお
世話をされているのですから…余程お優しい心の持ち主なのだろう、と
思っただけですわ」
しれっ、とした澄まし顔で応じる貴子さん。『あの』に力が入ってる……
「た〜か〜こ〜〜?!」
澄まし顔の貴子さんとは対照的に、まりやは顔を紅潮させていきり立つ。
「あんた、人のことをなんだと思ってるのよ?!」
「まりやさんはまりやさんですわ。それ以外の何者でもありません」
…また始まってしまった。最近は少しはましになってきたと思っていた
のに……
「まあまあ、お二人とも……そこまでに為さってはいかが…?」
見かねて紫苑さんが仲裁に入る。
「「…でも」」
二人同時に紫苑さんに向き直り……
「「……ふん!」」
同時に反応したことが不満だったのか、一瞬目を合わすとまたまた同
時に横を向く。
そんな二人を見て、
「……あらあら」
思わず苦笑する紫苑さん。
「ふふ…お二人とも息がぴったりなのですよ〜」
楽しそうに云う奏ちゃん。
「……はぁ」
(先が思いやられるなあ……)
この面子…というか貴子さんとまりやが揃った状態で、物事が無事に終
わるとはとても思えなかった……
その頃、寮の屋根の上では…一子が羨ましそうな顔で皆の様子を見ていた。
「皆さんでお出掛けですか〜。いいですね〜。……そうだ!!……こっそり
後に付いて行ってしまいましょう…」
ぽんっと手を打つと、悪戯っ子のような表情で一子は呟いた……
189 :
初代269:2005/04/14(木) 08:52:59 ID:NJBnXTii
「…それで結局、今日はどちらに……?」
学院の校門を潜り駅に向かって歩いていると紫苑さんが云った。
紫苑さんは、今日は流石に制服ではなくスカートに厚手のセーターとい
ったやや地味目な格好である。…ちなみにマフラーはしていない。
「…さあ?」
僕もまだまりやから行く先については聞いていない。
ちなみに僕の格好はジーパンにシャツ。上に皮ジャンを羽織った状態で
ある。…私服でスカートを履くのにはやはり抵抗があるので……やや薄手
の格好だが、昨日雨が降ったこともあり、真冬ではあるが今日は比較的気
温も高めで日中はそんなに着込まなくても過ごせる感じだ。
「今日は、どこに行くのですか…まりやお姉さま…?」
可愛らしいワンピースにピンクのコートを着た奏ちゃんが前を行くまり
やに云う。
「ん?それはまだ秘密よ、ひ・み・つ☆」
にひひっと笑いながら振り返り、奏ちゃんの問いに答えるまりや。
「…どうせ、何も決めていないのではありませんか…?」
そんなまりやを見て疲れたような顔で云う貴子さん。
「ぐ…っ…うっさいわね…!」
貴子さんのツッコミに動揺するまりや。
……まだ決めてなかったのか………
「だいたい、あなたという人はいつもいつも……」
「ええい!そういうあんたこそ……」
本日二度目の口喧嘩を繰り広げながら歩いて行く二人。
ミニのスカート、タートルネックのセーターの上にジーンズのベストと
いったラフな格好のまりやと、いかにもお嬢様っぽいワンピースにショー
ルを羽織った貴子さん。
格好も性格も対照的な二人だけど…
「…あの二人……もしかしたら良く似ているのかもしれませんわね…」
二人の様子を見た紫苑さんが呟いた。
「…そうですね……私もそんな気がします…」
二人の口喧嘩はまだ続いていた……
190 :
初代269:2005/04/14(木) 08:54:35 ID:NJBnXTii
…少し時間は遡る。
(あ、お姉さま方…出発されるみたいです)
集まって早々、まりやさんが見るからにお嬢様っぽい方――貴子さん…
でしたっけ?――と言い争いをして……しばらくして紫苑様(?)が仲裁
に入って、お二人が落ち着いたところで出発!って、誰に説明してるんで
しょうか…私は……?
(?)
…ま、まあ、気を取り直して……
(見つからないように…っと…)
ひゅ〜〜っと高く舞い上がった私は、お姉さま方に見つからないように
そろそろと後ろに続く。
――真昼間から空に漂う幽霊――なんだかとてもシュールな感じが……
(う〜ん…皆さん、楽しそうですね〜)
主に会話―というか口喧嘩―してるのはまりやさんと貴子さんだけど、
それを見ているお姉さまや奏ちゃんたちも凄く楽しそう…
「……はぁ」
それにしても……
(お姉さまはほんとにお綺麗ですねぇ……)
皆さんお綺麗なのですがその中でもお姉さまは別格!って感じで…
(幸穂お姉さまと歩いた頃を思い出しちゃいます……)
昔を思い、少し物思いに耽っていたとき……
ふにゅん。
目の前に見えない壁のようなものを感じた。
「…うにゅ?」
恐る恐る右手を伸ばす。が、
ふにゅふにゅ。
柔らかい感触が私の手に触れる。
191 :
初代269:2005/04/14(木) 08:58:06 ID:NJBnXTii
「ま、またですか〜〜!!」
確か初めて寮を出ようとしたときにも……
「ううぅ〜〜。なんで邪魔するんですか〜〜!!私もお姉さまと一緒に
お出かけしたいんです〜!行きたい行きたい、お姉さまと一緒に街に出
てあんなことやこんなことや、あまつさえ○○○なことまでしてみたい
んです〜〜!!」
ぽかぽかと駄々っ子パンチを見えない壁に打ち付ける。眼下に校門が見
えることから、どうやら学院の敷地から出ようとすると駄目みたいだ。
「そんなぁ〜〜」
がっくりと項垂れる。
「……皆さんとお別れする前に…素敵な思い出が欲しかっただけなのに…」
先日、私も前に進むことが出来ることがやっとわかった。お姉さまの優
しさが、私に進むべき道を教えてくれた……
…私はもう少しで皆の…お姉さまの元を去らなくてはならない……どう
すればいいのかわかってしまったから………
別れるのは辛い。本音を云えば別れたくない……でも、それが我侭だって
ことはわかっている。
…だから……思い出が欲しかった………
お姉さまと別れるとき、笑顔でさよならが云えるように……なのに………
「………イエス様の……莫迦…」
両の瞳から涙が零れ出す。涙は頬を伝い、…宙に落ちた……と、その時……!
「きゃっ…!」
強烈な光に包まれ視界が真っ白になった。あまりの眩しさに目を閉じる。
「…ぅ……ぅん……?」
数瞬の後、光が収まり目を開ける。
「?……あ!」
先ほどまで眼下にあった校門が後方にあった。…敷地の外に出れ…た……?
「……ありがとうございます………イエス様…」
胸の前で手を組みイエス様に祈りを捧げると、私は大急ぎで空を翔け出した。
――22年振りの街は―――もう、すぐそこ―――――
192 :
初代269:2005/04/14(木) 09:02:29 ID:NJBnXTii
……続く。
↑
入り切らなかった…
vol.1はここまでです。何だか凄い文章量になりそうなので、分割して投下します。
次回は来週の頭あたりの投下を予定してます。
…週末時間ないんです。すいません。
GJ!
駄々っこぱんちする一子可愛いなぁ。