プリンセス・アナ 第一章<casle〜王宮〜>(6)
部屋着で寝巻の着古した整備用ツナギ服のまま、部屋の隅のベッドに向かった、何だか長い一日
と、アナが走って俺を追い越しベッドに飛び込んだ、輸入寝具では一番品数が豊富なセミダブル
百回二百回の洗濯ではビクともしない洗いたてのアイルランド・リネンのシーツにアナは転がり
白いネグリジェを直し、夏掛布団をかぶると「では、おやすみなさいませ、お兄さま」
襟首をネコ掴みして放り出す、アナは飛んでって顔からソファに刺さった「そっちで寝ろ、居候」
さぁ、これでゆっくり・・・と思った瞬間、ゴキブリ並みの速さで這ってきたアナに襲われた
ペチペチペチペチアホカーアホカーと顔を連打され、見事な仏壇返しでベッドの外に転がされた、勝利のポーズ!
てめーー!俺はアナの下の掛け布団を引っくり返し、アナを転がし落とす、床を転がったアナは
普通に戻って来ればいいものをわざわざ転がって戻って来て、肩で息をしながら反撃!迎撃!
「ハァハァハァ、休戦、しましょ、領土は分割よ、フランス万歳(何だそれ)ベッドは半分こ」
いくら間抜けアナでも女と一緒のベッドは、紳士として女の快楽への献身を誓うこと・・・もういい
アナは俺の隣に滑り込んで来ると寝準備を始めた、領土侵略してみろ、砲撃だ、一発なら誤射だ
「おやすなませ」「略すな」アナは枕元に並んだスイッチで音楽と照明を切る、なぜ知ってる?
手首からロンジンのダイバーズを抜いた、時計を外すのは女と寝る時と、子供を寝かしつける時だけ
親父の形見なんて殊勝なモンじゃない、15の時、買ってすぐ飽きて放置してた奴を首尾よく頂いた
長い一日だった、疲れ切ってベッドに倒れこむのは久しぶり、悪く、ない、よく眠れそうだ
アナも隣で早々に寝息を立てている、停戦協定は守られ、通販のばったもん羽毛夏掛も半分こ
俺はといえば寝付きは悪くないが、時々体が眠ったまま頭が眠るのがディレートする事がある
おそらく目を閉じ、寝息を立てているであろう意識半覚醒の俺は、奇妙な感触を味わった
人が触れてくる気配がする、協定破りの二枚舌外交は英国の血か、眠った体は反撃出来ない
体が近いがまだ触れていない、感触は耳から伝わってきた、アナの息が耳に触れ、唇が掠める
「お兄さま・・・」アナからは聞いた事の無い種類の声、思いつめた、しかし決意のこもった声
「・・・わたくしはお兄さまに、女にしていただくために東京にやってきました・・・」
翌朝目が覚めると、アナは俺の足元に丸まって眠っていた、俺の両足を両腕に抱えながら噛んでいる
「いなくならないっ・・・て」・・・幼いアナは俺が帰ろうとすると、よく足を噛んで引き止めてた
プリンセス・アナ 第一章<casle〜王宮〜>(7)
翌日、俺に和風の朝食を作らせたアナは、当然のように渋谷に連れて行くように要求した
毎日少しづつ、辞書を丸暗記するというアナの決意は三日どころか数時間で折れたらしい
ロータスの調子はいいが都心の足には億劫だ、低いフロントスポイラーを都内で2回割ってる
教授ん家行ってジムニーを借りてくるか、電車で動こうかと思ったが、俺は今休暇なんだ
ロータスを思う存分イジって走らせて過ごすと決めていた、ガキ一匹で予定変更してたまるか
アナは幼い頃から幾度となく乗ったロータスのフルバケに座り、4点式ベルトを調節している
俺は運転席に座りエンジンをかけた、車外に出てトタン壁を震わせるエンジン音に耳を澄ます
この美しいマフラーを作った若いステン溶接職人は、今に至るまで消音器など作った事が無い
後部のエンジンフードを開け簡単な点検をして、車の周りを一周、シートにケツを落とす
大学の4年を費やし完調にした、それ以来大きな故障は無いが、改造の誘惑にしばしば負ける
電動シャッターのリモコンをくわえながらロータスを発進させた、アナは黙って儀式を見守る
渋谷の自走立体駐車場に車を停めるとアナは俺を従え、メモ片手にお目当ての店に向かった
気に入った服はカードでポンと買っちゃうが、「その服」が見つかるまで何軒も店を回り
縫い目のひとつ、柄のひとつまで慎重に吟味し、納得するまで幾度となく試着を繰り返す
一世紀は着続ける物を選ぶ英国の心も、男にとってはおそろしく退屈だって事は間違い無い
「お兄さまの古書や自動車工具、そこのそれ下さいって簡単に買うわけじゃないでしょう」
黙れ
そんな具合で翌日は台場、その次は自由が丘に代官山、秋葉原は興味ありませんかそうですか
今回の東京滞在の目的は服!服!服!小物!らしい、キャリーケースを満杯にする積もりだ
実用的な直4エンジンのロータスは都内でエアコン掛けっぱなしでもイヤな顔ひとつしない
時折見せるターボの凶暴な挙動も息を潜めてる、「ヤキモチ焼くなや」ステアリングを撫でた
家に帰ると一緒に飯を食い、喋りあって夜を過ごし、二人並んで眠る、そんな生活が続いた
楽しいと認めるにはまだ早いが、アナの言動には退屈しない、有意義な休暇なのではないか
そして東京滞在お買物の最後の日、初日に廻り足りずもう一回行った渋谷から帰って来た
一番風呂に入り、のぞこうとするアナを追っ払い、晩飯の支度をする間にアナを風呂に入れた
特別な事は何も無い、アナはまた来るだろうし、浜松は遠くない、俺が行く、かもしれない
夕食の鴨鍋を一緒に食べた、アナのソファ、俺の椅子、定位置、くすぐったい時間、俺とアナ
そして忘れられない夜が始まった
プリンセス・アナ 第一章<casle〜王宮〜>(8)
「で、何度言ってもコッポラコッポラと」「まー、4回くらい破産しそうな名前だからな」
彼女の小学校での生活と、そのお友達は到底一週間では語り尽くせぬものらしい
コッポラという姓が産んだ騒動だけで尽きぬネタの泉、なぜ彼女はこの姓をここまで嫌うのか
「コッポラ・ザ・サード、キミは自分の姓と血統に誇りを持つべきだ、キミの祖父は・・」
ジュニアとかサードとかは名を継いだ男子に使うものだが、まあいい、教授の孫はアナだけだ
「キミは俺の恩師のコッポラ教授の孫で、ヤな奴だが逞しく美しいミセス・コッポラの娘だ」
返事が無い、考え込んでいるのか、子供のコンプレックスを取り去るのは大人の務めだなんて
愚かな考えでアナを子供と見下していた俺は、その後ずっとこの時の言葉を悔いる事になる
俺は、阿呆だ
アナが駆け寄ってきたのか這ってきたのか、ゆっくりと歩いてきたのかもわからない
気が付くとアナは、俺の木の椅子のすぐ下から俺を見上げ、蒼の瞳いっぱいに涙を溜めている
「お兄さま!わたくしに優しくしてくださるのは!カラダを可愛がってくださるのは!(待てコラ)
教授様の孫だから?コッポラ!コッポラの孫!コッポラの娘!わたしは・・・アナです!」
俺は、阿呆だ
子供を案じるポーズのために、アナに芽生えたばかりの女の気持ちを踏んづけてしまった
自分を囲う枷と鎖ににさんざん苦しんできた俺が、今それに苦しむ幼いアナに、俺は・・・
俺は、救いようのない阿呆だ
北欧の原始白人に近いウェールズ系英人の瞳は、薄青やユーラシア混血の金に近い茶色が多い
アナの瞳は白人の中でも珍しい紺に近い青、空の青よりももっと高い、成層圏の宇宙の蒼
アナの宇宙の瞳が俺を吸い込む「お兄さま、わたしは、アナです、お願い・・・アナと呼んで」
俺は椅子を滑り落ちる、足が震える、足元にへたりこむアナと同じ高さまで顔をもっていき
「アナはアナだからここに居る、アナはきっと神が、宇宙を集めて作った・・・俺のために・・」
言葉は無力、俺の狼狽と自己嫌悪は、とっくにアナの宇宙の瞳に読み取られているというのに
「お兄さま」アナは俺に顔を寄せ、頭突き!そして素早くキスをすると颯爽と立ち上がった
「ヒドいこと言いましたからね、ベッドはわたくしが占領しました、端っこで震えてなさい」
アナは俺を見下げ、高貴なる笑みでベッド争奪戦のゴングを鳴らした、瞳の宇宙には星が輝く
プリンセス・アナ 第二章「guillotine〜断頭台〜」(1)
眠れずにいた
俺自身が立てる寝息が聞こえる、アナは例のごとくの「寝る前の運動」の疲労で安らかに眠ってる
毎晩ベッドの中心を奪い合う争奪戦を三勝一引分で勝ち越したアナは、大の字で寝息を立てている
ディレートはひどくなる一方だ、丸一日仕事も運転も出来なくなるが、眠剤でも出してもらうか
俺より深い寝息をたてるアナの姿が見たくなった、顔どころか眼球すら動かない、脳が逆に回る
俺は・・・俺は・・・何だ・・・
17で母が死に、それから1年とせずに父が死んだ時、喪失感は深かったが悲しくはなかった
子供の頃から自分を守り、与え、縛る重い服、それが一枚一枚剥がされて大人になると思っていた
大人になったら裸で暮らせると思っていたわけじゃない、ただ、朧ろな今の夢が叶った時
今着ている拘束衣を脱ぎ捨て、快適な俺の薄着で生きていたい、それだけを理由に大人になった
俺は、何だ
俺は修士の学位を取り、日英の大学が共同で設立したケルト文学研究機関の学芸員に納まった
高給を頂戴して居心地のいい鉄工所屋敷に住みながら、趣味に研究に充実した日々を送っている
機関の運営が軌道に乗ったら助手就任も内定している、教授の子飼いの中では助教授に一番近い
一番有難いのは、やるコトが変わらないこと、文献を研究し取材し論文を書き、たまに授業もする
修士の頃から学芸員の現在、助手や助教授、うっかり教授になってもやるコトはずっと変わらない
俺は、何だ?
自由を、薄着の幸せのために色々脱ぎ捨て大人になった、色々な物を奪われ大人にさせられた
そして今、自分の終が見えつつある今、俺は夢を叶えたか?今着ているのは、背負ってるのは
俺は もう俺じゃない
俺は今まで人生が拓ける瞬間を二度体験した、一度目は14、無免で親父のロータスに乗った時
スピードを求める気持ち、悪い事、悪い事だけどしたい事、求めても、いいんだ、それが命、なら
二度目は19、コッポラ教授との語らいの中で、自分がケルトの学究の徒になる事を悟った時
人生が拓ける瞬間、俺の耳には確かに音楽が聞こえた、俺の目には確かに天使が見えた
一度目はバッハ、エンジンの咆哮がグレン・グールドの調べに化けた、二度目は美しいモーツァルト
俺は自分の人生が壊れる音を聞きたい、その瞬間に流れる荘厳な音楽を聴く事だけが
俺に残された望み
プリンセス・アナ 第二章「guillotine〜断頭台〜」(2)
俺は腹が立った、俺は俺じゃない、俺の人生じゃない、俺の世界を壊してしまわなきゃならない
横で寝ているアナに腹が立った、アナはイイ奴だ、この一週間は心底楽しかった、アナが好きだ
アナを寄越したミセス・コッポラは・・・ヤな奴だがイイ奴だ、口は悪いが一緒に飲む酒は美味い
俺が腹を立てていたのは、流れた時間、回る地球、その中心の俺、俺自身だ、くそっ!俺自身だ
俺は・・・ディレートが消えた、体が動く、俺は隣のアナに向け転がり、上からのしかかった
アナは目覚めた「ちょっ・・・お兄さま!・・・駄目です・・・そんな、冗談を・・・嫌ぁぁ!」
「・・・・」
アナの身を覆う薄いネグリジェを引き下ろした、裸の胸、白い胸、
「い、イヤぁぁぁぁ!お兄さま!やめて!お願いやめて!イヤ!イヤだってばぁ・・・やめてぇ!」
ネグリジェを足まで引き降ろし剥ぎ取る、余韻など無い、薄桃色のパンツも一気に脱がせる
「イヤぁぁ!やめてよぅ・・・お兄さま・・・うっ・・・こんなの・・・イヤぁ・・・あぁっ」
ツナギを脱ぎ、裸になる、事前の儀式など頭に無かった、目の前の肉隗を手加減もせずに貫いた
「きゃぁぁあ!うっ!い、いたぁい!やめてよぉ、いたいよぉ、あぐっ!あぁ!あぁぁ!いっっ!」
何度も刺した、俺の目の前の俺の世界、殺すつもりで刺した、殺せば壊れる、壊れろ壊れろ壊れろ
目の前に居るニンゲンの、恐怖と絶望に濡れた蒼い瞳は、一度ぐるんと回ってから青い玉になった
悲鳴と呻き声をあげていた口は、カハッ、ガハッ、と空気の通る音を出すだけになった、死んだか
どうか静かにしていてくれ、俺や君の命より高価な、俺の待ち望んだ音はもうすぐ降ってくるんだ
音は、聞こえない
プリンセス・アナ 第二章「guillotine〜断頭台〜」(3)
アナは、隣でうつぶせたまま、枕に顔を埋めて泣いている、
最初に「お祖父様に言います、大学に言います、一生償わせます」と呟いたように思うが
さっきまで「わたくしが殺してあげます、この手で縊り殺してあげます」と繰り返していた
俺はアナの横で様々な分泌物にまみれたままそこに居た、居たのは俺か、肉体か、死体か
どれくらい経ったか、時間って何?体が動かない、体って何?、俺はどうする、俺って何?
人生を壊してしまった、人生の壊れる音を聞いてしまった、無音というのは意外だったが
予測していたワーグナーやベートーベン、もしかしてドボルザークが流れて来たとしても
俺がついさっき聞き入った無音以上の感動も達成感も無かったように思う、美しい無音の世界
ついさっき人生の望みがすべて叶った俺は焦燥感に駆られていた、急がないと台無しになる
どんな素晴らしい人生も、閉じなきゃ意味が無い、今生きている人生などなんの意味もない
俺は人生を消さなくてはならない、アナを犠牲にしてまでも得た、最高の瞬間が穢れない内に
どうすれば、ロータスで首都高からオチるか、書棚に隠してるウェブリィ=スコット拳銃で頭ブチ抜くか
どちらにしても無理だろう、動く肉体が必要な複雑な事も面倒な事も、今の俺には出来ない
すべての穢れから浄化された体にいかなる波紋も起こしたくない、葉が落ちるように消えたい
さっきまでの多幸感は消えつつあった、何てことだ、最後の山が一番大きかった、死ねない
俺は周囲を見回した、暗く静か、見えない、怖い、アナは何故ここに居る、何故隣で泣いている
アナはまだ泣いている、吐息のような息切れのような泣き声、いい加減泣き疲れたんだろう
明日アナを浜松に帰してやろうと思う、それとも殺すか、どっちでも面倒が少ない方がいい
鉄工所屋敷の焼け跡から出る死体がふたつになった所で、消火液を余計に使う事もないだろう
死体だった俺の体の動きを察して怯えたアナは、再び「殺して・・・やります」と呟いた
その時、暗闇で怯えていた俺に光明が見えた、アナが、アナが俺の人生を閉じてくれる
人生に二度現れた天使、19の時は汚い赤髪で髭面の教授、14の時は人ですらない車だったが
やっとマシな天使の体裁を整えた奴が俺の前に降りてきた、アナの裸の背中、美しい体、俺のアナ
俺を救った羽根をもう一度見せてくれ、アナ、キミの体にはきっと天使の羽根は似合うだろう
羽根は、見えない
プリンセス・アナ 第二章「guillotine〜断頭台〜」(4)
俺は再び焦り始めた、、俺の人生のみっつの望みのふたつめを叶え、最後の望みさえ
たった今叶えてくれると確約したアナは、天使である事をガチ鉄板で保証されてるってのに
俺が確かにあの時、幻覚や願望でなくそこにあるものとして見た羽根が、アナの背中には無い
きっと羽根が無いんじゃなく、俺にはもう羽根を見る事が出来ないんだろう、まぁ昔の話だし
見えない羽根を何とか確かめるべく俺は考えた、車整備の経験則、見えないなら触って確める
俺はアナの背中に手を伸ばした、その背中から生えている羽根を掌で感じられれば充分だ
背中に指先を触れた、羽根を壊さないようにそっと指を触れ、羽根を探るべく上に滑らせる
静かだったアナはヒッ、と叫んだ、体を丸め逃れようとするが、体が思うまま動かないらしい
悪夢のような思いだったんだろう、逃げる事も抗う事も助けを呼ぶ事も出来ない、屈辱の時間
ただひたすら今の悪夢と痛みが出来るだけ早く終わる事を願って、苦痛に耐えていたんだろう
終わったと思った責苦がもう一度始まった事への絶望、アナは叫ぶ事も大声で泣く事も出来ず
打ちひしがれたような屈辱の泣き声を洩らした、知るか、優先すべきは俺の羽根の確認作業だ
うつぶせたアナは目を固く閉じ、閉じた口を周期的に歪め、、耐えられぬ苦痛に耐えている
背中を這わせていた指は、うなじの辺りで手が届かなくなったのでUターンして下に滑らせた
「ハァ、ハァ、ハァ、はぅっ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ぁっ!、ハァフッハァフッハァフッハァフッハァフッぁぁ・・・ぅ」
アナは押し殺した呻き声のような泣き声、恐怖の鼓動で息が荒くなる、速い息、一分で百回位か
指を這い下ろすとやがて尻の上部に触れた、もう少し手は伸ばせるが丁度いいのでUターンした
羽根には触れられない、まぁ一往復程度じゃわかるまい、俺は指を滑らせ、確認作業を続けた
アナは俺の得体の知れない行動の恐怖に息が早くなり、背中を上下させて荒い息を立てている
指がうなじをUターンするたびに怯えて体を震わせ、背中のある一点で苦痛の泣き声を上げる
俺は、地道な確認作業に耐える根気に欠けていた、となると自分の作業内容を疑う、アナを疑う
アナは、本当に、人間か?
天使がヒトだろうが人形だろうが俺が得る恩恵は変わらない、しかし今確めれば後の対応が楽だ
どんな作業でも根気をなくしてくると、そういう言い訳で別の作業で気を紛らわせたくなる
背中の下、腰の窪みを通って少女の小さい尻に触れ、そこでUターンせずに作業の変更を試みた
俺はアナの、尻の穴に指を突っ込んだ
プリンセス・アナ 第二章「guillotine〜断頭台〜」(5)
人差し指を一瞬で差し入れた、アナの未成熟な体を気遣って小指でも使うべきだったんだろうが
小指は握力に重要な役目を果たすが、実はさほど鋭敏な指じゃない、手探り作業なら人差し指
それに次ぐ精緻さを持っているのは薬指だが、俺はバイク事故で薬指の何箇所かの感覚が無い
それまでの、叫び、泣き声をあげる気力を失ったアナからは想像のつかない悲鳴をあげた
「ひゃぁっ!ぎっっ!いっ!いたっ!ぃたいょ!、いやぁぁ!ああぁ!いやぁ!いたぃ!あぅ!」
金切り声と呻き声、ベッドが床で跳ねてボン!と音をたてるほどに体を痙攣させ、頭を打ちつけた
苦痛のあまり両手足はベッドを叩き、腰と背中はは異物の拒否反応でガクッ、ガクッと震えている
蒼の目は死体のように見開かれている、枯れた涙が絞り出され、口は開き放しで震え、涎が垂れる
恐怖の中で辛うじて正気を保っていたんだろう、それを上回る苦痛の辱めが今から始まる事を知り
狂気と乖離を拒む事が出来ない事を悟った蒼の瞳、どこかで見た、射殺された人質の即死死体
「あぁぁぁ、ぅあぁっっ!あぁっ、あぐっ!あふぅぅ!あぅっ!あっ!っきああぁぁぁぁあ!」
一段高い金切り声を上げ、アナはガッ、ガフッ、と呼吸音を立て、震えるだけの人形になった
アナの下からは多量の温かい液体の、かすかに金色がかったシミが音をたてて広がっていく
俺はアナの尻から指を引き抜いた、アナの体が一瞬震え動かなくなる、アナは、まぁ人間だろう
場当たりの追加作業の結果は、確信のもてない確信という不完全な結果で終わった、こんなもんだ
俺は再び背中に手を伸ばし、本来の目的である確認作業を再開した、再び指が背中を往復する
アナは無反応だった、うなじに触れても、尻の窪みを撫でても、背中の深く感じる所を通っても
ピクリとも動かない、今度こそ死んだか、アナ、死んでも俺を殺せるか?なら生死には興味ない
その時、死んだアナが突然、足を投げ出して仰向けに転がってる俺に向かって、激しく動き出した
プリンセス・アナ 第二章「guillotine〜断頭台〜」(6)
アナは俺に一瞬で飛びかかる積もりだったんだろう、実際は動こうとするとガクガクと震える腰を
両手でひきずりながら不恰好に這ってくる有様だった、ハイハイを始めた頃のアナを思い出した
アナの顔は俺の顔すぐ前、さっき殺した蒼の瞳には命が満ち、宇宙が俺を灼く、アナの口が開いた
「お兄さま・・・お許しください・・・・お兄さま・・・わたくしは・・・お兄さまの・・・」
アナ、ごめん、俺はもう死んじゃったんだ、言葉なんてもう交わせないんだ、アナ・・・ア・・・
「お兄さま・・アナはわるい女です・・・アナは・・・頭は・・・お兄さまと、エッチなことばかり」
俺は何とか、アナの名前だけでも呼ぼうと、かろうじて開いた口から「ガ・・・」と息を吐く
アナは俺の半開きの口に向かって噛みついてきた、俺を口から食い尽くすのか、さぁ早く・・・
予想は半分当り、アナは俺の口の中を歯ではなく舌と唇で貪り、口腔の組織を吸い尽くそうとする
アナに食われるなら・・・俺はかろうじて動く舌をアナの口中に差し出す、アナは音を立てて貪った
なんとなく流していたTVに映ってたモンゴルの狼の映像を思い出した、群をはぐれた羊を襲う狼
狼は一瞬で羊の首を噛み裂く、腹を食い破り、絶命直前の力でもがく羊の内臓を噛み喰っていた
殺し、喰い、殺しながら喰う、生きるために、明日生きるために殺して喰い、殺し、生きる、命
アナは俺の唇を離し、赤い口と牙を動かした、何か言ってたのかもしれない、聞こえない、綺麗
頭を下げ俺の下半身に食いつく、狼が居た、死んだ俺の下腹部に、俺を喰い殺して生きる女が居る
俺の下半身をどうにかして喰おうとするアナ、口に入れ、戻し、さらに深く入れ、口と舌で戻す
その時何やら、俺が普段「馬鹿の快感」と呼んでいる衝動が昇ってきた、こんな時に、苦笑する
快感は昇ってくる、俺に何かしてくれているアナは口から俺のを出し、息継ぎをした、すんな
俺の周囲がぐるん!と回る、回り足りずにもう一回、世界が俺に流れ入ってくる、濁流とガラクタ
俺は・・・俺はコッポラ教授の生徒で多忙な学芸員、ここは俺の自慢の鉄工所屋敷、そして・・・
「アナ」
プリンセス・アナ 第二章「guillotine〜断頭台〜」(7)
快感は登りつめ破裂した、口を離したアナの顔じゅうに白い液が撒き散らされた
戻って来た、俺は生きてる、アナ、生命の塊、俺は生きてる!こんなに幸せな世界でアナと一緒に
アナが俺を見る、えっちい本が喜ぶ精液まみれの顔だ、バカじゃねぇか、まるでデマンドのコだ
カラダで愛し合った相手との間に開通すると信じるテレパシーで、アナは俺の考えを易々と読む
ベッドの隅にうつぶせになると、通販で上等なベッドが買える値段のリネン製シーツを汚しやがり
顔をゴシゴシこすった、あれやこれやの液は取れたが、麻の布で頬や鼻が擦れて赤くなったアナに
皮肉をこめて「キレイ・・・」と呟く・・・その時・・・アナに・・・・
羽根が生えた!アナに羽根が生えた!幻覚じゃない!確かに目の前にハッキリ見える、信じろ馬鹿
美しい天使の羽根、漆黒ですべすべで鋭角的な蝙蝠の羽根、先端からは赤い雫が滴る、天使の羽根
「アナ・・・天使だ・・・キミは・・・天使・・・しかも・・・俺の好みの方のデザインの奴・・・」
「お兄さま!」
アナは俺の首筋に抱きついてきた、俺の呟きを随分と自分に都合よく解釈したらしい
唇を触れ合わせたい、と思った時に唇が飛んできた、アナの顔、目を閉じて俺に唇を委ねてる
そっと触れた、口の、中、まだ舌を触れるには早いかな?いいかな?きっと許してくれるよね、アナ
アナ、俺のアナ、俺の命、美しい命、抱きしめたい、離さない離さない、離さない、「離して」
仰向けの俺に四つんばいでのしかかった格好のアナは一旦離れ、デコを触れ合わせた、体重がかかる
「お兄さま・・・わたくしはいやらしい女です・・・お願い・・・わたくしに、いけない事を・・・」
俺に出来るかな、まぁ出来るだろ、出来る事ならアナに何でもしてあげたい、まずは・・・
挿れる前のアレコレは不要だった、アナは自分の指で先に始めていた、チュ、チュと液体の音がする
俺のお気に入りのピンサロ嬢、トリエラタンが機嫌のいい時だけ見せてくれるオナニーサービスの時の音だ
キモい音だが、なぜか俺の下半身は凄くアナを欲しくなった、アナ、俺は・・・したい
「わたくしの・・・こんな・・・はしたないカラダでも・・・可愛がっていただけますか・・・?」
下半身にはヘンな感触、アナの右手は液体の垂れる大切な所の周囲をいじっていた、中身は俺担当か
それとは別に左手が、俺の下半身のあたりで何かを探っている、腿を掴んで間違った!って感じで離す
つまり・・・言葉ではイロイロ言ってるが俺の物を捕まえたら有無を言わさず欲しい所に導くつもりか
アナ!これぞアナ!最高だアナ!アナ可愛いよアナ!能登も可愛いよ!、さぁアナ、俺と・・・
プリンセス・アナ 第三章 「throne〜玉座〜」(1)
アナの体、星の光をすべて集めた白い体、彗星の髪、宇宙が生まれた瞳、宇宙はすべての星を従える
俺の上で手足とデコを使ってのしかかるアナの両脇を掴んで抱き上げ、事前の準備抜きで中まで貫いた
誓って言うが女のコへのいたわりに欠ける前戯抜きの挿入などした事はない、これからも決してない
「あ・・いっっ!ぃったぁい!あぁっ、ダメ!やっぱりダメ!やめよぉ!ヤダぁ!・・・あぅっ!」
実は女のコを上に乗せるのはあまり得意ではない、上に体重を乗せたままでの快感への献身は難しい
女のコの方でも頑張ってくれたりすると、逆にタイミングのちょっとした違いでスッポ抜けそうになる
それに俺があまり激しく愛すると、上に乗る女のコが振り落とされたり、と見栄のひとつも張ってみる
「はぁっ・・あぐっ・・・つっ・・・ぃたいっ・・・ぃたっ・・・やぁん・・・やめなぃっ!・・・」
アナと俺の場合は、何か勝手が違う、まるで俺の体の動きが増幅して二人の欲しい所に伝わるような
俺の動きにアナが同調してくれる、アナの動きに自然に同調出来る、初めての経験、美しい調和
まるで下半身が自分の脳を経ずに、アナの俺の中間の浮かぶひとつの脊髄につながるような感覚
ひとりで楽しんでるような、二人でひとりの百倍楽しんでるような感覚、俺とアナの美しい調和
そうだ、調和してるんだ、二人の性格、二人の求める所、暑い寒いや食べたいものまで、調和してる
そして二人の時・・・俺とアナの十数年のズレ、同じ時を生きてきた気持ちには・・・俺は、届かない
俺がナデシコとか見てた頃アナは物心つく前で、アナがご近所物語見てた頃、俺はTVを見てなかった
一緒に感じた話が出来ない、元気TVもアナには通じない、アナの見てるナイナイも俺にはもわからない
「あっ・・くぅぅっ・・・ぅんっ!・・・んっ、んっ・・・ふぅぁっ・・・あ、くぅっ!・・はぐっ」
アナは俺が感じてる快感にはまだ届かないらしく、まだ未成熟な体は、声と反応で苦痛ばかり訴える
俺に覆い被さってた体を美しく反らす、俺の手、掌が重なる、アナが導くより先に胸を愛する、薄いな
同じじゃない、俺の十数年の闇は埋まらない、若いアナが時を重ねると、俺はアナより早く朽ちていく
「んぁぁっ・・・ぐっ・・・くっぅぅぅ!・・・・はぁ・・・あぁん!・・・あっ、くぅぅぅ・・・」
アナは痛みの中で、少しづつ愛を重ね快感を得て、女の喜びを知る、その時そばに居るのは俺じゃない
アナは激しく動く、幼い体が快楽を探して激しく動き、俺の体も自然に調和して忠実に動きを速める
「負けて、たまるか」
そんな事耐えられるか、そんなアナを許しても、俺自身を許してたまるか、俺の、命だ、アナは俺だ
俺は調和を破り、今まで意識せず激しく動いてた体を限界の先まで絞り、激しくアナを突き上げた
「はぁっ・・・いたっ!・・・ぃたぃたぃ!・・・やぁん!・・・はぁぁぁん!あぁぁぁん!」
負けて、たまるか、アナに負けて、時間に負けて、たまるか、時間さえ歪めて共有する、アナのために
「はぁぁぁん!・・・ぁっ・・・なにぃ・・・なにかぁ・・・くる・・・んんっ・・・はぁぁぁぁっ!」
アナは苦痛しか感じない経験の中で、快感の入り口に手をかけたが、感じる事の無いまま崩れ落ちた
「負けてたまるか」
負けない、時間は共有できる、時さえ超えられる、アナと一緒なら、これから重ねる未来の共有
彼女が「おジャ魔女」を見ていた頃、間違いなく俺もそれを見ていたから、無印からナイショまで
プリンセス・アナ 第三章 「throne〜玉座〜」(2)
「お兄さま、夕べの事は・・・」
「んン・・・」
こういう時に女が言う事は予想がつく、最悪の予想をすればその6割位の事を言う
「夕べはわたくし・・・どうかしてたんです・・・だから・・・ね・・・?」
「んン」
「忘れて・・・下さいますか?」
「んン、んン、」
「よかった・・・もうお兄さまは、わたくしに愛想を尽かされたかと・・・」
「んーン」
「ごめんなさい・・・わたくし・・・ヘタで・・・」
「ん?」
「わたくし、夕べはお兄さまに、この貧相な体をあんなに激しく、優しく愛して頂いたのに
隅々まで可愛がって頂いたのに・・・わたくし、自分が気持ちよくなることばかりで・・・」
「ン・・・」
「ごめんなさい、わたくしじゃ全然気持ちよくなくて、もうお兄さまはわたくしを・・・
お兄さまに嫌われたら・・・わたくし生きててももう・・・いっそお兄さまと一緒に・・・」
「んーン、んーン!」
「ほんとう、ですか?ほんとうに、こんなわたくしでももう一度可愛がって下さいますか?」
「んン!」
「うれしい・・・わたくし次は必ず!一生懸命お兄さまを気持ちよくして・・・だから」
「んン?」
「わたくしを・・・後ろから、獣のように犯してくださいませ・・・今・・・今お願い・・・」
こういう時に女が言う事は予想がつく、最悪の予想をすればその6割位の事を言う
そしてアナはいつも、その最悪の予想のナナメ上をいく
俺とて朝は性器が固くなる、それをアナが見逃すはずはないんだ、朝立ちしたチンコが痛い
「わたくし・・・こんなわたくしのミダラなカラダでも・・・挿れてくださいますか・・・」
そう言いながらアナは勝手に自分の右手で始め、左手で俺を有無を言わさず導こうとする
夕べと何が違うんだろう?コイツは何にどう一生懸命なんだ?、あ、体位か
プリンセス・アナ 第三章 「throne〜玉座〜」(3)
日差しの中でアナの体が輝く、すべての陽の光が藁の髪に集う、宇宙の瞳、太陽は常に宇宙に在る
きのうまでよりだいぶ肉感的になった白いヒップを突き出したアナを押さえつけ、性欲を突き刺す
誓って言うが女のコへのいたわりに欠ける前戯抜きの挿入などした事はない、これからも決してない
「んっ・くぅっ・・・いっ・・・ぃた・・・だいじょう、ぶ、うぅっ!・・・もっ・・・んはぁっ」
アナと俺との調和は姿勢を問わず変わらない、小さいおしりをけなげに、しかし俺を逃さず動く
うつぶせで突っ張ってたアナの両手は崩れ落ち、顔と両手を枕に叩きつけ、苦痛に耐えている
「つぅっ・・・ぃたいょ・・・あ・・・ゃめちゃや!・・・はふぅ!・・・はぅっ・・・はぁっ」
実は女のコを後ろから犯すのは結構好きなのだが、上に乗ってするより色々と気遣いが多く、難しい
尻を突き出した女はキレイだ、はしたなく乱れる姿は背中で隠し、うつぶせの胸はウン%増になる
問題は女の脳内映像と異なり、ダラシなく感じる顔は半分見えてて、胸の増量も元手が小額なら知れてる
「はぁ・・はぁふっ・・・はぁふっ・・・はぁふ・・くぅっ・・・はぁん!・・・ぁ・・・はぁん」
顔を枕に隠したと思って安心したアナの声はリズムを刻む、緩んだ口から涎を垂らした横顔は丸見え
今までの均衡を破り、もっと、もっと、と尻を激しく動かす、シーツを破らんばかりに両手を握る
「ぁっ・・・はぁん・・・はぁぁん・・・ぁはぁん・・・あぁぁん・・・ぁんっ・・・あはぁん!」
アナは甘い声を出し、動きに比例してすこしづつ開いてく快楽の門を全力で蹴る、何一つ恐れてない
俺に登ってくる感覚、アナの背中、尻、体の中、欲しい、アナの中で快感が欲しい、いいん、だね
「はぁぁん・・・なにぃこれっ・・・くっ・・はぁっ・・・ぃやっ・・きゃぁぁぁぁぁあ!・・あ・・」
絶頂、アナの肌から匂いのする汗が吹き出た、体が崩れる、少し遅れて俺もアナの中で、花火が咲いた
アナはベッドで横うつぶせになり、俺とアナの体液を垂らした腰をガクっ、ガクっ、と震わせる
俺も隣にゴロンと転がった、アナは痙攣の止まらぬ体で、嘔吐するような荒い息をしている、いい匂い
このまましばらく、と思っていると、アナはこの世の最後のような力を振り絞り、俺に顔を寄せ囁いた
「お兄さま・・・愛しています、アナはこの世に生まれたその時から、お兄さまをお慕いしています」
俺が教授に初めて会った時にアナはもう一才過ぎていたが、その日のために用意した文句を吐くために
精液愛液垂らしながら死にぞこないの力を絞ってガクガク這って来るアナの美しさは、時間軸を超えた
プリンセス・アナ 第三章 「throne〜玉座〜」(4)
アメリカ人にしてはマシな事言うヘミングウェイは「思うとおり生きられない人生に何の意味も無い」と言ってた
時にはこの言葉を思い出す事にしている、男の子だからネ
そのまま汚れたベッドの中でうだうだと過ごした、アナは夕べの一夜で女になり、快楽を駆け抜けた
俺にはそれより、若いアナがカタギじゃない真っ昼間のセックスを体験した事の方が重要に思えた
加えて俺の問題だ、忘れていたがアナは11才で小学生、行為だけで手が後ろに回るってのはヤバいな
触法のデパートであるコッポラ教授とどっちが勝ち・・じゃなく軽罪?、幼女姦だ、手札ならジョーカー
教授といえば去年のアイルランドでの「地方における若年者の性的モラルの変化」の現地調査は
素晴らしい経験だった、俺と教授は特定の年齢層に絞った調査対象に、連日連夜取材を重ねたもんだ
日本のおもちゃ量販店で大量購入した「魔法少女着せ替え変身セット」がこれだけ役に立つとは、な
まぁ、なるようになるだろ?猟期無視常習の教授と幼女姦の弟子、カタギじゃない間抜けパートナー
アナの美しさの前には、ってガラでもねぇか、横で安らかな寝息をたてるアナの髪をそっと撫でた
アナの母譲りの藁の髪は昼間、陽の光と化す、乱れ、燃え、踊るアナの太陽は、常にアナの宇宙に在る
真夜中、宇宙を従えたアナの体は星の光となって輝く、彗星の髪は、地球を俺を狂わせる軌道を描く
普段から毛先が官能を顕すように踊る髪のアナはスケベなコか?スケベな俺にお似合いだ、ロリじゃないが
普通じゃない関係、思うとおりに生きよう、俺とアナ、俺達は天使じゃない、俺達はカタギじゃない
俺が無限の可能性を秘めたアナに道筋をつけてしまった事は、これから彼女に償わなきゃならんだろう
アナの可能性・・・えーと、この頭悪そうなイビキをかいて豪快な寝相で二度寝中の間抜けアナの将来
カタギの暮らしは出来ねぇな、ロクなモンにはならねぇな、例えばさ、俺のマスター(主君)とか、さ
俺も少しまどろんだ、目覚めるとアナが居ない、替わりに伝わってくる感触、慣れ親しんだアナの感触
アナは俺の両足を、自分の両手と両足でしっかりと抱え込み、俺の腿を何度も、確めるように噛んでいた
「いなくならない・・・・って」目の縁についた涙の跡を何度も指でふいてやった、アナを確めるように
「アナ・・・起きたか・・・フロ、入る・・・ぞ?」
「ふぇ・・・お、お兄さまがどうしても一緒に入りたいというなら、まぁ、しょうがないですわねフフン」
「・・・入ってくる」
「やぁん!お待ちなさい!」
朝寝とくれば朝風呂だ、朝酒は・・・キミがキミの母のように酒好きになるなら、お手柔らかに頼む
プリンセス・アナ 第三章 「throne〜玉座〜」(5)
浜松のコッポラ邸の門から10mチョイ、家や表通りから死角になった所にロータスをそっと停めた
マジ踏みすればミセス・コッポラに「アナタの車は来るのが2キロ先から音でわかる」と言われる
東京を出たのが昼チョイ過ぎ、94分、東名は空いてたが昼間なら百分切れば上出来か
ウチで帰り支度を済ませたアナを近くの駅まで歩いて送ろうと、俺がバッグを持つと、アナはニヤリ
俺からバッグを取り上げた、アナの左手にはいつの間にか俺が厳重に管理してるロータスのキーが
車のラゲッジを勝手に開け、キャリーケースを押しこむと助手席に座り、こちらを見て、再びニヤーリ
「わたくし、三時のおやつはおウチで頂くことにいたします」
3時は、お茶だ
浜松は前来た時から変わらない、ミセス・コッポラの自慢の新築の土地下見に付き合った時だっけ?
途中で原チャリに元気な女児をふたり乗せた少女が豪快に抜いていった、一瞬凄く怖い顔で俺を睨む
浜松の女のコは皆こんなか?とアナに聞こうとしたが、彼女は突然解けたクツ紐をかがんで直してる
アナと別れのあいさつ、口づけ、一回キスしちゃうとダメだった、アナは座席のセンターを乗り越え
「イヤ!このまま東京まで引き返して!それかお兄さまをわたくしの部屋に閉じ込めてずっと・・・」
両肩に手を置くかわりにデコにペンっとしっぺ!目玉の宇宙をのぞきこみ、無言でアナを胸に抱いた
アナは体に回された俺の腕を愛おしげに撫でていたが、ドアを開けると地にしっかり足をつけ、立った
俺も車から出てラゲッジからキャリーケースを出す、こんなに重い、女のおしゃれへの気持ちは逞しい
「お兄さま、大変お世話になりました、アナはこの一週間を一生忘れません、また必ずあたくしと・・」
こちらに深々と頭を下げたアナは威風堂々と胸を張り、宇宙の瞳をニヤリ、ワンピースの腹の辺りを探った
その手には魔法のように・・・いつの間にか俺の手首から抜いたロンジンのダイバーズウォッチが現れた
アナはステンレスのウォッチを指で回しながら俺を見てニヤーリ、としてた顔が・・眉が下がり、瞳が潤む
「また会える日まで・・・約束です、10月になったら、お兄さまと、落ち葉舞う中、甘い夢を・・・」
つまり・・・コイツは俺の次の休暇まで独占するばかりか、秋の学会の日程まで把握してる、つーコトか!
「いいぜ、来いよアナ、東京まで!ロンジンは必ず持ってこい!それまで・・俺の宝物だ、お前のだ!」
「いえ・・・お兄さまを・・・ニッコリ・・・次はこっちに、呼びつけます」
「こっ・・・」
プリンセス・アナは身を翻し、背中を向けたまま美しい仕草で手を振り、顔をこすりながら歩きだした
門を開ける手がバッグと俺から掠め取った時計で塞がってる事に気付き、ロンジンを頭の上にポンと乗せ
ヒョイヒョイとウマくバランスを取りながら門を開ける、俺の視線に気付いているかのようにもう一度、手を振った
ステンレスの冠を載せたカタギじゃない小さなプリンセスは、陽の光の輝きを残し、門の中に消えた
俺は笑いながら、いつもなら高速に乗ってから締めるシートベルトを両肩に通して締めた、動き出す
相変わらず俺は愛すべき仕事で忙しく、したい事は山ほどある、物凄く長生きをしなくちゃならない
アナよりも、長く
プリンセスは輝く冠を戴き玉座を得た、仕える者はプリンセスを灰となるまで守る事を、己が剣に誓う
プリンセス・アナ(完)
あとがき
この場を作り、育て、与え、許し、冗長な作品を読んで頂いた皆さんに深く感謝します
縁の無かった文章書きなる趣味を始めたボクに「好きな物でエロを書け」と助言した友人に礼を言います
そしてキャラを無断で盗用し、歪曲妄想させて頂いたばらスィー氏に、感謝とお詫びを申し上げます
作品中に登場するウンチクの類の多くは架空のものです、大学のシステムに関しては3冊で挫折した
森博嗣の小説程度の知識しかなく、ウェールズの歴史の知識も、昔読んだCWニコルの本一冊のみです
小物などの記述に関しても、そういうモノがあるのは事実だけど、詳細はデタラメといった具合です
無くても話の本筋に影響ない車の描写に関しては、ウザいと思われた方も多いかと思われますが
理系で実家住まいのボクと何の接点も無い「俺」がアナをいいようにするのがクヤシくて、現実のボクと
何らかのリンクをつけたく、あえて残しました、読む皆様各々の趣味に置き換えて頂けると幸いです
では、また何か書きますんで、投下に耐えるシロモノが出来たらお伺いしまさ
次に何となく構想してる話では、4+1の苺達が揃い踏みです
シーユー
正直後書きと前書きで萎える。
黙ってろ、とは言わないが長すぎてウザイ。
読むのになんか気合いを入れなきゃいけないようだ
もう少し縮めて読みやすくしてくれ
面白かったよGJ
個人的には、たまには長いのもいいと思うけどな。
きんもーっ☆
途中途中は良かったが文が長くてつかれた。つーかアナちゃんが随分性格かわってたから…。まあ一種のパラレルワールドと考えて読んだが。
>824はなんだ? 猿轡でも噛まされてるのか?
気品が高く寂しがり屋のアナが可愛かったよ
アナちんサイコー
(◕∀◕)
この作品に男との絡みは求めてない俺バルログ
吝嗇氏へ
単なるエロパロにしとくのは勿体無いくらい、いい作品だと思う。
題名を見てちゃちなファンタジーものかな、なんて思ったんだが
(アナちゃんがどこかの国のお姫さまで、世話役の「俺」が押し倒しちゃってなんとなくハッピーエンド、みたいなよくあるパターン)
そんな俺の貧しい想像をいい意味で裏切ってくれた。オチも「ここでそれをもってきたか!」って思ったし。
読み手を選ぶ文体かもしれんが、俺はかなり好きだ。
表現のひとつひとつが活き活きしていて、センスがいい。
「俺」の独白は少し長すぎたような気もしたけど、読んでいて頷ける部分はいろいろあった。
アナちゃんがどう思ってるかがもう少し描かれていたらな〜、って思ったけど、それもまあいいや。
これからもガンガレ
追記 辞書を引くまでHNが読めなかったことはここだけの秘密だ
書き上げた物が飛んだorz
…すいませんごめんなさい…今晩投稿予定でしたが、ドラブル発生
の為、延期になりそうです…。
一応、脳内バックアップは無事のため、思い出しながら書き上げ中。
鬱だ…回線切って以下略…orz
吝嗇さん
ナイスでしたよ〜。
むしろ、なんかインスピレーションを受けたような気がしますぞえ。
こういうのも有りだなぁ…物凄く勉強になりました〜。
GJっした!
感激です、ボクの恥ずかしい作品が、無かったものとして流されると思いきや
後の糧となる真摯な指摘の数々、皆優しいナァ・・・
>838氏
ありがたいお言葉、多謝です、正直、褒められると単純に奮起しちゃいますんで
>アナちゃんがどこかの国のお姫さまで、世話役の「俺」が
今、この一文に強烈なインスピレーションを受け短編を一本書いちゃったので、下に貼りま〜す
副題を辞書を写しながら書いて「castle」を「casle」と書き間違えたのは内緒です
もう秋だ、氏
遂に神からのお声がかり、嬉れスィー、新作で抜くのを楽しみにしております
では、一話完結のもう一つのプリンセス・アナ、SSっつーより台本なんで読み流して下さい
プリンセス・アナ
「ある時代のある国の、ある王室の物語」
アナ 「笹塚、笹塚はおらぬか?あれをもってまいれ」
笹塚 「はっ、姫様、ここに・・・」
アナ 「ありがと、(バサッ)、ふぅ、朝はやっぱりスポニチね、わたくしの格に相応しいっていうか、
わたくしが東スポなんて読んでたら知性が疑われますわ、他の貴婦人方に何を言われることか・・・
あらアナ皇女、夕刊紙の東スポなんか読んで、きっと今日もザ・ワイドまで寝てらっしゃったのよ
しかも中記事付き、駅で買った奴だわ、そんなに「巨砲(キャノン)再び)の連載とか読みたいのかしら
・・・なんて言われたら、皇女の沽券にかかわりますわ、あぁわたくしも早く父王のように
ナイタイが似合うレディになりたいわ」
笹塚 「三行広告、無くなるらしいですね・・・」
アナ 「ふぅ(バサッ)東京湾では30センチ級のクロダイが・・・ってそれは後にして、あぁスポニチはTV欄が
充実してて好きだわ、あら、笹塚、ご覧、また杉田が!あの杉田が!まぁいやですわ、杉田よ」
笹塚 「結局アレになっちゃいましたからねぇ、杉田さん」
アナ 「大体あの婚約者が既にアレなのよ、何あの写真?わたくし新しい拉致被害者かとおもいましたわ
それに杉田も、何が『エッチの時は呼び捨てで〜す』よ・・・ところで・・・えっちって、何?」
笹塚 マタカヨ「えーと、将来姫様がお世継ぎを作る時に必要なことで、若きうちににやるのは下賎な行為で」
アナ 「あ、わたくし開かれた王室、M開脚王室を目指してますの、そういった下賎の娯楽もまた一興よ」
笹塚 「ハイハイ・・・じゃあ今日は、いや今日もですね『えっち』について私めがご教授させて頂きます
昨日の応用ということで「孔雀」です、昨日のご学業で使用になられた教材は持っておいでですか」
アナ 「ええ!喪服ですね!すぐに準備させますわ!あの、笹塚、このザフトの士官服は・・・」
笹塚 「アズラエルは明日にいたしましょう」
アナ 「あぁっ・・・笹塚ぁ・・・わたくし・・・今・・・孔雀みたい?秋吉みたい?・・あひゃぁぁ!」
笹塚・・・アナタも・・・津川雅彦みたいだわぁ・・・あふぁぁん!」
笹塚 「船越栄一郎って・・・なんであんな肉玉が人気あるんだろ・・・・」
プリンセス・アナ(完)
842 :
838:2005/10/10(月) 19:51:35 ID:9k9bdbsU
>>841 ワラタ
最近スポニチ読んでないからよくわからんが、伸姉ならたぶんこうツッコむだろう。
「詳しいな……っていうか何もかもが違う!」
喪服は萌えるなぁ……そんなこと考えてると俺まで何か書きたくなってきちゃったよ。
>>841 「アナ・コッポラ、フリーダム、イきます!」
「笹塚…、ジャスティス出る!」
ドピュ!
844 :
mrstick13@hotmail.com:2005/10/10(月) 23:24:03 ID:RvtAvPEw
ウザイ、消えろや。
>>841 ハゲワロス!クダラネー
>「孔雀」
渡辺淳一ネタかよ!このスレでわかる奴いんのか?
つーかあやまれ!色々あやまれ!特に船越に
847 :
刻の雫:2005/10/11(火) 18:40:11 ID:pI+Oocwj
前に射精大会の中盤、、東京でのアナちゃん、アナ×千佳、アナ×美羽を書いたものですが、次の作品にゴスロリ衣装を出したいんですがどのキャラを絡ませればいいと思います?
848 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/11(火) 19:20:01 ID:DQWcCmz1
ゴスロリ伸姉希望
千佳かな?、いや、逆に
千佳かなぁ。
どうせ似合わないからネタにしてからかおうと思って、
嫌がる千佳に伸姉が無理矢理に着せてみたら、
意外と似合ってて、ときめいてしまうとか。
じゃあ千佳と美羽で
オマイラ…ゴスロリだぞ!なら、笹塚しかいないじゃないか!
…ゴメンナサイ、4巻のお爺さんがいいです。
妹達は普通過ぎるからここは伸恵で一つ。
いいように遊ばれてしまえばいいよ。
出かける前にコッソリ投下。
急ピッチで書き直したためか、誤字脱字チェックしてない僕が居る…orz
そんなわけで、お待たせしました。(誰も待っていない?)
僕の新作を投下させて貰いまーっ!
気が向いたら読んでください〜。
「いってきまーす」
勢いよく玄関の扉を開け、妹が脱兎のごとく走っていく。
朝っぱらから元気があって、少し羨ましいかもしれない。
走っていく妹の後ろ姿を見ていると、自分が年寄りに思えてきた。
「おう、気をつけて行けよ〜。」
千佳を見送ると伸恵は、大きなあくびをしつつ二階への階段を上っていく。
「もう一眠り…」そう呟いた矢先のことだ。
千佳の部屋から、何か得体の知れない物音がしたような気がする。
先ほど伸恵は、確かに千佳が学校へ行くのを見送った。
つまり、中にいるのは不審者か…やっぱり不審者である。
「あ〜、め…めんどくせぇなぁ…。」
ソ〜っと千佳の部屋の扉を開け中を覗く。
「ん〜…誰もいないな…。」
隙間から千佳の部屋を窺う、当たり前だが誰もいない。
当然と言っては当然だろう。
何せ、千佳達のような小学生共は登校している時間帯だ。
この時間に家にいるのは、講義が休みor昼からな伸恵だけである。
「ほーら、やっぱり気のせいだ。」
慎重に確認した後に、勢いよく扉を開ける。
「無駄に神経を使ってしまった…ったく…。」
伸恵は千佳のベットに腰掛けると、そのまま煙草を取り出した。
軽く一服、そう思ってくわえた煙草に火を受けようとした瞬間…。
「…………ちゃ。」
不意に声が聞こえた。
辺りを見回すが誰もいない。
「誰!?」
声を張り上げて伸恵は立ち上がった。
再度周りを確認するが、いくら確認しても誰もいるはずがない。
空耳?…そう思った瞬間に、力無く「タスケテ…。」とゆう声が響いた。
空耳じゃない、今は確かに聞こえた。
伸恵は恐怖を感じた。
「伸…恵…お姉…ちゃん………タス…ケテ…。」
「ひっ…い…イヤァァァァ!?」
思わずその場にしゃがみ込んでしまう。
自分以外の誰もいない家、「タスケテ…」と自分の名前を呼ぶ声。
リアルに恐怖を感じる要素としては、かなり高いかもしれない。
心霊番組等には、恐怖を微塵とも感じない伸恵が心底怖いと感じた。
この部屋は危険と感じ取ったのか、伸恵はゆっくりと後退り部屋から
出ていこうとする。
「伸恵おねぇちゃ〜ん…マジで助けてぇ……。」
「ひぃ!?………って…え?」
千佳の部屋から出ようとした瞬間に聞こえた声は、誰かに似ていた。
いや、そもそも部屋の中からの声じゃない。
伸恵が耳を澄ますと、窓の向こうからその声は聞こえてくる。
恐る恐るカーテンを開け、隙間から窓の外を見る。
美羽の部屋の窓が空いていた。
視線を下の方へ向けると、普段はツインテールの女の子がパジャマ姿で
屋根から落ちそうになってる。
必死にぶら下がっているのか、顔が真っ赤だ。
「はぁ、美羽の悪戯か。」
伸恵はホッと胸を撫で下ろした。
それと同時に、無性に怒りがこみ上げてくる。
カーテンを閉め、シカトを決め込もうと決心した。
乱暴に千佳のベットに腰掛けて、先ほど放置した煙草をくわえる。
ブツブツと文句を言いながら、ライターを手に取った瞬間…。
「うぎゃぁ!?」
ドスンバタン…。
窓の向こうから叫び声と共に、痛そうな音が聞こえてきた。
伸恵は慌てて窓を開けるが、そこに美羽の姿はない。
「マジか…洒落になってねーぞ!?」
玄関から表へ出ると、美羽が庭で倒れていた。
「美羽!…おい!美羽!」
伸恵は美羽を抱きかかえると、千佳の部屋まで運んだ。
ベットに寝かせ、ひっきりなしに美羽の名前を呼ぶ。
「ん…あ……………あれ?伸恵お姉ちゃん?。」
美羽が目を覚ましたのを見て、伸恵は安堵の溜息を付いた。
その目尻にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「あれ?伸恵お姉ちゃん泣いてんの?」
今まで気絶していたとは思えないくらいの、トーンの高い声で美羽が言った。
表情には「イイモノ見ちゃった。」感が浮かんでいるのが気にくわない。
伸恵は美羽の身体を無言で抱きしめた。
突然の伸恵の行動に、美羽は不覚にも少しだけドキっと緊張してしまった。
「美羽…あのな…。」
伸恵の重い口調に、身体が硬直する。
伸恵の吐息を耳元で感じ始めた瞬間、緊張は一気にピークへと達した。
『殺され…』そう感じた直後、伸恵の両の腕に力が入るのを美羽は感じ取った。
「本っ気で心配させやがってぇ!」
「ぐえぇぇぇぇ!?伸恵お姉ちゃんギブ!ギブ!…ぐえ…。」
変形のギロチンチョークが美羽の喉に食い込む。
手加減はしているのだろうが、美羽の体力を奪うのには十分だ。
ふと伸恵は、美羽の異常な体温に気が付く。
「うわ…ひでぇ熱。」
美羽のおでこに自分の額をくっつけてみると、熱発しているのが感じ取れる。
この時間帯に美羽が居る理由が解った。
千佳を送り出すときに美羽の姿が見えなかったということに、伸恵は今頃気が付く。
この時間だと、美羽の両親も仕事に行っているのだろう。
伸恵は溜息を付くと、美羽を千佳のベットに寝かせた。
「ったく、風邪なら風邪と言えよな。」
悪態を付きながらも、伸恵は美羽の頭を撫でてあげた。
内心、さっき助けなかったことを後悔している。
懺悔をしているかのように、伸恵は美羽のあたまを何度も撫でた。
「えへへ…。」
美羽はね何となくだが照れくさくなった。
思わず照れ笑いを浮かべてしまう。
伸恵に頭を撫でられることが、美羽に幸せに感じさせていた。
最近の伸恵は、アナちゃんと茉莉ちゃんを中心に可愛がる。
その様子に美羽は、疎外感すら感じていたかもしれない。
久々に伸恵を独占できるこの状況は、美羽にとって嬉しかった。
「ほんじゃ、氷枕とタオルを持ってくっから、おとなしくしてろよ。」
伸恵は美羽にそう告げると、台所へ下りていった。
手際が良いとは言えないが、氷枕を準備する。
片手間ながら、残りの御飯で『お粥』なる物も拵えてみた。
自慢じゃないが、昔から家庭科の成績は下から数えた方が早い。
味の保証はしかねるが、まぁ無いよりはマシだろうと伸恵は思っていた。
「う…マズー。」
美羽のしかめっ面が、伸恵の視覚に飛び込んできた。
先程も述べたが、家庭科は苦手だ。
しかし、ここまであからさまに不味いと言わなくても良いのではないか。
伸恵は少しだけ苦笑いを浮かべていた。
「ほほう…この伸恵様が作ってやったのを不味いとは良い度胸だ。
んじゃ返せ、私が食べる。」
美羽から『お粥』を取り上げようとしたが、「イヤ〜」と言って渡そうとしない。
伸恵は軽く溜息を付いたが、ヤレヤレとゆう表情を浮かべながらも満更でもない
気分に軽く浸っていた。
「ねぇ、伸恵お姉ちゃん。」
お粥を平らげた美羽が、伸恵に話しかけた。
表情を見ると少しだけ暗いような気もするが、風邪で気分が優れないだけだろう。
伸恵は、再び美羽のおでこに自分の額をくっつける。
やはり熱は下がっていなかった。
「美羽、病院行くか?」
伸恵の問いかけに美羽は首を横に振った。
「それよりさ、伸恵…お姉ちゃん…。」
そう言えば、美羽は何かを言おうとしていたのに気が付くと、伸恵は「なぁに?」と
少しだけ優しい口調で返事をした。
「キス…して。」
ゴン…。
美羽の予想外の言動に、身体が勝手に反応した。
伸恵のゲンコツが美羽の頭を直撃する。
結構痛かったのだろう、美羽は頭を抱え込みつつ唸っている。
「ったく、あんまり変な冗談言ってると看病してやんねーぞ。」
美羽は頭を起こすと、少しだけ膨れっ面になっていた。
「む〜、冗談程度で殴ること無いだろ〜。」
伸恵は、美羽の膨れっ面に少しだけ笑いそうになった。
「で、本当の用件は何?」
美羽の抗議に、伸恵は耳を貸すつもりは微塵もなかった。
さっさと話を進めようとする伸恵を見て、美羽は少しだけ悔しい気分になったが、
これ以上の抗議は、伸恵の機嫌を損ねかねない。
気を取り直して、用件を言うことにした。
「あのね………。」
美羽の態度が変化したことに、伸恵は気が付いた。
まだ冗談を言うつもりかとも思ったが、雰囲気が少し違う。
美羽の『はにかんだ』感じの表情が少しだけ愛らしく感じた。
「頭………もう一回撫でて欲しいなーって………。」
伸恵は一瞬だけ思考が止まった。
次の瞬間に「また冗談か…。」と言うところだったが、美羽のモジモジした表情を
見る限り、冗談で言っている訳じゃないとゆうことに気が付いた。
伸恵は微笑むと、美羽を寝かせて頭に手を添え優しく撫で下ろす。
「いつから、こんな甘えん坊になったのかなぁ。」
伸恵は、ちょっと意地悪っぽい口調で美羽に話しかける。
しかし、美羽はお構いなしだ。
伸恵に優しく接されているのが、よほど嬉しいのだろう。
その表情には、安堵の色が浮かんでいる。
伸恵は、そんな美羽の表情を見て思わず「コイツ…こんなに可愛かったっけ?」と
考えてしまったが、気のせいだと思いこむことにした。
「だってさ…伸恵お姉ちゃんとさ…こんなして…話すのって久しぶりだしさ……。
いつもは…ちぃちゃん、アナちゃん…茉…莉ちゃん…の事…ばかり………すぅ…。」
伸恵の手の感覚が心地よかったのか、何かを言いかけたまま美羽は夢の世界へと旅だった。
伸恵は美羽を優しく撫でながら、少し考えさせられていた。
「やっぱり…私、コイツにちょっと厳しく当たっていたかな………。」
今朝のことも含めて、伸恵は少し罪悪感に襲われた。
前にも似たようなことがあった。
少しは気を遣うつもりで居たのに、全然ダメだったらしい。
自分の成長の無さに、少しだけ溜息が出る。
「コイツも一人っ子だからなぁ、寂しいって解っているのに…。」
美羽の氷枕を変えたりしている間に、時計はお昼を過ぎてる時間を指していた。
やはり、ある一定以上働いていると時間の流れは速く感じるらしい。
伸恵は背伸びをすると、軽く食事を取るために台所へ下りていこうとした。
「ん…おねぇちゃん?」
扉を開けて部屋から出ようとした瞬間、美羽が目を覚ましたらしい。
寝惚け眼ながら「どこ行くの?…」と小動物染みた目で見ている。
伸恵は軽く苦笑いを浮かべると、扉を閉めて美羽の隣へ座った。
「美羽、お腹空いた?」
伸恵の問いかけに、美羽は首を横に振る。
風邪&起きたばっかりの状態では、流石の美羽も食欲はないらしい。
自分だけ食べて風邪の美羽を放っておくのは、少し忍びない。
伸恵は昼食を諦めることにした。
気持ちを入れ替えると、伸恵は美羽の体温を測ろうと額に手を伸ばす。
美羽に触れた瞬間、体温よりも発汗によって服が濡れているのが気になる。
「あ〜…すげぇ汗かいてるなぁ、千佳のパジャマで悪いが着替ろな。」
伸恵は、千佳のタンスから未使用のパジャマを取り出すと美羽に手渡す。
まだ回復していないのだろう、フラフラな手付きで着替えようとする美羽をみて、
伸恵は軽く溜息を付いた。
「美羽、私が着替えさせてやろうか?」
美羽は、伸恵の一言に何故か顔が赤くなった。
「え…いや、なんか伸恵お姉ちゃんに悪い気がするし。
えっと…変な事しない?」
「しっかし、風邪引きはやっぱり汗かくなぁ…。」
伸恵は、美羽の身体をタオルで優しく拭いてあげていた。
思った以上に汗で濡れているのを見ると、美羽の体温は予想以上に高かったらしい。
それにしても、先ほどから美羽が思った以上におとなしい。
もう少し「くすぐったい〜」とか言って暴れるかと思っていたのだが、拍子抜けだ。
「美羽、まだ気分が悪いの?」
伸恵の問いかけに、美羽は赤い顔で伸恵を見た。
本気で恥ずかしがっている顔だった。
「だってぇ、恥ずかしいじゃんかよぉ…。」
伸恵は、美羽の泣きそうな声に思わず胸がキュンとしてしまった。
しかし、よく考えると伸恵は【前回風邪をひいた】ときにその散々恥ずかしいことを
やられていたのを思い出す。
そう考えると、伸恵の中の悪魔が目を覚ました。
「大丈夫、だってオマエ『保健体育』の授業大好きじゃん。」
「な!?」
美羽の顔から血の気が引いた。
引きつった笑いを浮かべつつ、伸恵の顔を窺ってみる。
親友の姉であり、美羽の好きな隣のお姉ちゃんが一瞬魔女に見えた気がした。
伸恵は、美羽の体を拭く動きを単調な動きから変えた。
「ひぁっ!?」
擽られている感覚と同時に、別の感覚が美羽を襲い始めた。
「ひぁ……きゃうん…。」
美羽は、伸恵の一つ一つの動きに過敏に反応する。
「あ…やぁだぁ…伸…恵おねえ……ちゃぁん…くすぐったいよぉ…。」
美羽の弱点らしき場所を伸恵は手探りで開拓する。
美羽にとって伸恵のその行為は、天国と地獄が同時に襲いかか来るような物である。
擽られるのに異常に弱く、敏感な感覚を持っている美羽にとっては拷問に等しい。
「やぁん!お姉ちゃん…やぁめてよぉ!」
必死になって抵抗する美羽を伸恵は後ろから羽交い締めするように押さえ込む。
まな板の鯉とはこの事かもしれない、美羽は身動きが取れなかった。
「だ〜め、保健体育の授業って言ったろ?」
伸恵は悪魔的な笑みを浮かべた後、美羽の首筋にそっと唇を添えた。
短く舌を出して、美羽の唇へと這わしていく。
経験のない刺激に、美羽は身を捩らせる。
擽られている感覚だけじゃない、もっと別の感覚が美羽を包み込んでいった。
「ひ…あ…伸恵おねえちゃぁん………あん………ん…。」
伸恵は美羽の唇に自分の唇を重ねる。
伸恵はどん欲に美羽の唇を奪った。
ふと、美羽の目尻から涙が流れているのに気が付く。
『…やりすぎたか…』そう思うと、伸恵は美羽の唇を解放した。
俯いている美羽の顔を伸恵はゆっくりとのぞき込む。
その瞬間、伸恵は不意を付かれた。
「ん!?」
美羽は勢いよく伸恵にキスをしてきた。
むしろ、勢い余って互いの前歯がぶつかる。
脳天に響く痛みに、しばらく互いが悶え苦しんだ。
「おまっ、なにすん………。」
「伸恵お姉ちゃんのアホー!バカァ!」
美羽を問いつめようとした瞬間、伸恵は一喝されてしまった。
むしろ、何がアホで何がバカァなのか理解に苦しむ。
理由を聞こうとしたが、美羽の泣き顔を見ると言葉が詰まる。
「その…ごめん美羽…やりすぎた。」
今の伸恵には、何を言っていいのか解らなかった。
美羽の表情を見る限り、嘘泣きや何かを狙っている訳じゃない。
伸恵は美羽を抱き寄せた。
「こうゆうのは…好きな人じゃないとやっちゃいけないんだよ…。」
美羽が小声で呟いた言葉が、伸恵の心を打った。
「美羽だって、前に私に…その…アレしたじゃん。」
『卑怯だ…』伸恵は己の言葉に嫌悪感を覚えた。
美羽の行為を出して、自分を正当化しようとしている。
言葉を発した瞬間、伸恵は思わず美羽から顔を背けてしまった。
伸恵に抱き寄せられたまま、美羽が呟く。
「私は…いいんだもん…。」
「え?」
美羽は伸恵を真っ直ぐ見つめた。
「私…伸恵お姉ちゃん好きだもん!
伸恵お姉ちゃんがアナちゃんや茉莉ちゃんばっかりでもさ!
私…ビリでも…伸恵お姉ちゃん…好きだ…もん…だから……。」
美羽は再び伸恵に抱きつき顔を埋めた。
必死に声を押し殺そうとしているが、泣き声が漏れてくる。
伸恵はハンカチを取り出すと、美羽の顔を優しく拭った。
「美羽…私はな、オマエ等を順位付けしたことないよ。」
伸恵の言葉に美羽が顔を上げる。
真剣な表情で見つめる伸恵が、目に飛び込んできた。
「ちぃやアナちゃんや茉莉ちゃんと同じくらいに、美羽も大事だと思ってる。
大好きだと思ってるよ。」
言い訳や自己弁護の類と捉えられてもかまわない。
伸恵は、普段は見せない本心を美羽にさらけ出した。
「ほん…と?」
「本当。」
「嘘じゃない?」
「嘘じゃないよ。」
先程の乱暴さとは正反対に、伸恵は優しく美羽の唇にキスをした。
伸恵は美羽の、美羽は伸恵の想いを互いに受け入れた。
『自分が疎外されているわけじゃない』それが解っただけでも、美羽は幸せを感じていた。
「伸恵お姉ちゃん………もっとしていいよ…。」
恥じらいを込めた表情で、美羽は伸恵を求めた。
その瞳には、期待と不安が混ざっている。
伸恵は美羽のおでこに軽く口づけをすると、美羽を愛撫し始めた。
先程の感覚とは何もかもが別物に感じる。
興味本位や悪戯じゃなく、伸恵の本心が伝わってくる。
「美羽、可愛いよ。」
美羽の膨らみかけの胸、その乳首を伸恵は口で刺激を与え始める。
伸恵の動きに、美羽はビクンと反応する。
今までの感覚じゃない、大きな波がのような刺激に思わず声が出そうになった。
伸恵は軽く微笑を浮かべると、右手を美羽のパンツへ滑らす。
「やっ!だめ!伸恵お姉…………ちゃ………ん!?……あ……ひっ!?」
パンツの上から軽く美羽の中心を擦ってみる。
女の子部分が湿っているのを感じると、伸恵は美羽の耳元で囁いた。
「美羽、感じているでしょ?…」
恥ずかしいのか、美羽は何かを堪えるような表情で顔を背ける。
その様子を見て伸恵が淫靡な表情で微笑んだ。
無理矢理に美羽の顔を向かせると、濃厚にキスをする。
美羽は伸恵の絡めてくる舌に応戦するかのように、ぎこちなく自分の舌を絡める。
伸恵自身も感じ始めていた。
「ん…あ……もっと…お姉ちゃ…ん…はぁ。」
美羽は、自分の女の子の部分に触れている伸恵の手に重ねるように、自分の手を添えた。
もっと…もっと伸恵お姉ちゃんに触れてほしい。
伸恵お姉ちゃんを感じたい。
伸恵を誘導するかのように、美羽は自分のパンツの隙間から直に触れさせる。
更に激しい感覚が、美羽の中に流れ込んだ。
伸恵は、美羽の女の子の部分を人差し指で弄ぶ。
小さな真珠を親指で弄りつつ、人差し指の第一関節までを美羽の中へ滑らした。
ネットリとした肉の壁、高めの体温が伸恵に伝わってくる。
「美羽……凄く暖かい…ん…私も変な気分に…。」
虚ろな快感の中、美羽は伸恵の息遣いが荒くなっているのが感じ取れた。
「い…あ…のぶ…え…お姉ちゃん?」
伸恵は美羽の手を取ると、自分の蜜壺へ添えさせる。
ショーツを着けているにもかかわらず、伸恵の愛液が美羽の手を濡らした。
「ん…美羽……私も美羽と一緒に感じたい……な。」
美羽は頷くと、ショーツ越しに伸恵の蜜壺を弄り始めた。
押さえていた自分自身への快楽が、伸恵に一気に解放される。
『妹の幼なじみ』との行為に及ぶ。
そういった背徳感も重なって、伸恵は普段一人でするときより強く感じ始めた。
がしかし、伸恵にとっては運が悪かったのだろうか。
「ひぁっ!あっ!…伸恵おねえ…お姉ちゃん!お姉ちゃん!…っきゃ…うぅん…ん…。」
美羽の身体が急に大きく震える。
美羽の中に入れている伸恵の指が、強く締め付けられた。
そう、美羽は絶頂を迎えてしまったのだ。
「はぁ!?…美羽?……え?……うそん…。」
伸恵は思考が真っ白になった感じだ。
伸恵自身がノリ始めてきたときに、当の美羽が先に絶頂を迎えてしまった。
この気持ちをどこへぶつけていいのか解らない。
「欲求不満が溜まるじゃねーかよぉ…。」
オナニーに及ぶには、あまりにも情けないこの状況に対して、伸恵は少し泣きそうだった。
一方の美羽は、絶頂を迎えたショックからか余韻に浸った顔で意識が飛んでいる。
観念した伸恵は、美羽に千佳のパジャマを着せ整えるとお風呂場へ下りていく。
仕方がないが、湧き上がった欲求は解消しないと気が狂いそうになる。
伸恵はシャワーを全開にして音を消すと、その場で自分を慰め始めた。
「んぁ………ん…我ながら……なんというか…んぁ……。」
先程まで美羽の中に入っていた指を自分の蜜壺へ這わす。
シャワーを浴びながらの行為なはずなのに、おあずけを受けた蜜壺から愛液が溢れ出ているのが
伸恵自身の指から感じ取れていた。
「ひ…あん………美羽…あ…………み…う…。」
美羽の名前を連呼した。
美羽の笑顔、怒り顔、泣き顔、そして感じているときの表情が脳裏から鮮明に再生された。
「あ…っくぅ…だめ…もう……んあ…あっ…やっイク…あっ…うぁっ!」
その場で伸恵は膝が崩れた。
控えめにイッたのだろう、座り込み肩で息をしていた。
「情けねー…。」