【足コキ】戯言等、西尾維新スレvol.2【髪ズリ】

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1名無しさん@ピンキー
西尾維新の小説全般を扱うエロパロスレです。

・次スレについて
 >>900頃、もしくは400kbを越えたあたりからテンプレ、タイトルを準備して、立てる。
 立てられなかったら宣言の上、有志が立てる。
 宣言無く立てられたスレは削除。重複時は早い方を使い、残りは次スレに活用。
 スレタイには、『西尾維新』の他に『戯言』『りすか』『君と僕〜』など検索しやすい言葉と、スレ番号を入れてください。
 >>950を超えても次スレが立っていない場合は、書き込みを控えるようにしてください。

@荒らしはスルー

前スレ
戯言シリーズエロパロスレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1092519561/

ss収録先
【2chエロパロ板SS保管庫】
ttp://s1.artemisweb.jp/sslibrary/

西尾維新@2ch カコログオキバ
http://gigantica.ifdef.jp/ISIN/

ラノベ板
西尾維新その36<「にゃるろ!」>
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1111393940/l50
2名無しさん@ピンキー:2005/03/24(木) 20:22:31 ID:jXDNu4Hu
やめろと言ったのに

重複です。

戯言エロパロ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1111223677/
3名無しさん@ピンキー:2005/03/24(木) 20:24:13 ID:d7jdUmxW
>>2
そのスレが全く受け入れられていないからああいう流れになったんだろ。
理解できないか?
4名無しさん@ピンキー:2005/03/24(木) 20:26:02 ID:jXDNu4Hu
受け入れる受け入れないの問題ではなく2ちゃんねるのルールの問題。
2ちゃんねるを「使わせてもらってる」以上、ルールには従うように。
5名無しさん@ピンキー:2005/03/24(木) 20:29:05 ID:d7jdUmxW
『ルールには従うように。』
じゃあ君の大好きなルールってのを持ち出そう。
↓コレを百回ぐらい音読すれば、先に立ったスレが必ず正当/正統であるとは限らないと分かるだろう。

重複スレッド
 同じ事象・人物に関するスレッドは、個々に多少の違いがあっても原則的に削除対象になります。
その場合、立てられた時期・時間、1に書かれている内容、レスがどれだけついているか、という優先順位で総合的に判断します。
 客観的な判断が難しい時は、利用者同士の話し合いを待つか、立てられた時間の遅いものを停止処置をすることとします。
 同一掲示板内ではない重複スレッドは、内容にほぼ変化のない場合は悪質なマルチポストと判断し、板の趣旨に合った真面目な議論が続いた場合を除き、全てを削除対象とします。
6名無しさん@ピンキー:2005/03/24(木) 20:30:38 ID:d7jdUmxW
蛇足ながら、

>>4
>使わせてもらってる

なんていう卑屈な考えはやめたら?
「使わせてもらってるのだからルールに従うべき」というのは理屈としておかしいしな。
使わせてもらっている、という従属的関係でなければルールには従わなくていいのか、ってことになるだろ?
7名無しさん@ピンキー:2005/03/24(木) 20:32:26 ID:jXDNu4Hu
どうでもいいが、これが重複スレではないという理由を説明してくれ。
「受け入れられない」はもちろんなしな。
8名無しさん@ピンキー:2005/03/24(木) 20:34:07 ID:d7jdUmxW
「重複スレ『ではない』という理由を説明してくれ」か。
それは無理だな。
なぜなら、重複スレ『である』か重複スレ『ではない』かを決めるのは俺ではなく、お前でもなく、運営者サイドだから。
9名無しさん@ピンキー:2005/03/24(木) 20:35:32 ID:jXDNu4Hu
もしかしてあれか

その場合、立てられた時期・時間、1に書かれている内容、レスがどれだけついているか、という優先順位で総合的に判断します。


この部分の解釈で、立てられた時間が大幅に遅くとも、
内容に不満が多ければ後から立ったほうでも正統と認められる可能性はあるはずだ。
って思ってるのか?
ないとは言わんが、あの程度の次スレだったらその可能性はほぼ皆無。
それが納得できないというなら、おれもこれ以上言うつもりはない。
10名無しさん@ピンキー:2005/03/24(木) 20:35:55 ID:d7jdUmxW
俺からも質問させてもらう。
あれだけ全く受け入れられていない、多くの前スレ住人は不快に感じたであろうし、
使い続けるとすればずっと不快を感じ続けるであろう
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1111223677/
を君がそんなに推すのはなぜだ?
君が解釈したところのルールに拠るだけか?
11名無しさん@ピンキー:2005/03/24(木) 20:37:41 ID:d7jdUmxW
>>9
君の推量は正しいよ。
ご心配もありがとう。それぐらいのことは踏まえた上で言ってることだ。
12名無しさん@ピンキー:2005/03/25(金) 13:10:49 ID:qu4gs0NK
とりあえず、次の巻で哀川さんがどの程度酷い目に遭うのか楽しみだな、と。
13名無しさん@ピンキー:2005/03/25(金) 13:35:02 ID:yMJjSbld
蹂躙される最強、萌え。(;´Д`)ハァハァ
14名無しさん@ピンキー:2005/03/25(金) 21:30:37 ID:A7jH6ZmN
えと、稚拙ながら途中まで。保守出×いー



 迷うこともあるのだけれど。
 結局それは、
 絵の具を混ぜあわせた時のような、次の段階へむかうために必要な混沌にすぎず、
 誰かに向かって口に出したところで、
 他人のことなら俯瞰して見えるから、よくわかるから。
 生々しい温度なんて感じないから、どうしたって、
 当事者の戯言にしか聞こえない。

 ……困ったものだ。
 本当に、参る。
 出夢君に会いにきた僕は、こうして彼の部屋で一泊することになって、だから心底やるせなくなっている。
「あん? どーしたんだよお兄さん」
 出夢君は布団に寝っ転がって不思議そうに言う。
 全裸で、言う。
「……」
 ほっそりと華奢に見える体は、それでも付くべきところに肉がついている。電気代がもったいないと夏の長い夕暮れだけに灯りを任せているので、その体は茜色に染まって部屋に浮かぶ。出夢君は頓着無しに黙っている僕の目の前で、突如起き出してあぐらをかく。
「どーしたっつってんだよ。早めに寝るかっつったのはお兄さんだぜ? 明日帰るんだろ? 十三階段に備えてさー」
「いや……どうして脱いだのかと」
 片目をつぶって彼は首を振る。
「言ったろ、僕は裸じゃなきゃ寝れないんだよ」
「やっぱり畳で寝るよ」
 暑さが残っているのでベッドの端によせていた、余っている布団を掴む。と、横から出夢君の足が伸びてきて僕のわき腹に蹴りが入った。うぐ。そのままきっぱり断言有無も言わせず合否も取らず是非も求めない口調で僕に指導する出夢君。
「ベッドで寝ろ」
「……」
 といったところで出夢君はベッドの上から動かない。これでは一緒に寝てしまう。寝るっていうか眠ってしまう。
「だめだろ」
 僕はツッコんでみる。展開からの反応は無い。
15名無しさん@ピンキー:2005/03/25(金) 21:31:56 ID:A7jH6ZmN
「いーから寝ろよ。こっちはこっちで襲われたって全殺しで対処できるんだよ。お兄さん、立場が逆だぜ?」
 そう言われてしまうと返す言葉が無い。確かに相手が堂々としているのに、こっちが気後れするのもどうだろうか。
 心は少年といえ身体は女性、出夢君はそういう自覚がちゃんとあった上で言っているのだ。出夢君の視線がどんどん鋭くなっていく。
 これでは僕が……ううん。仕方ない。いや、決して、このまま頷かなければ全殺しどころか十二割殺しの目にあいそうだなんて思ったわけではない。
 かなり気を付けながら、僕は出夢君の隣に腰を下ろし、タオルケットや毛布を身体に引き寄せた。
 窓の外も藍色になりかけ、なんて健康的。僕らは二人そろって横になってもう眠ってしまう。
「おやすみ」
「おー」
 のんきそうな出夢君の声に、僕は軽く切なくなった。息子の迷いはいったい。


 とはいえ。
 僕は他人の気配があると寝つけないタイプだ。しかも今回の場合は強烈で、寝返りを打とうとかちょっと手を遊ばせてみようとかした瞬間に地獄直行である。
 そのくせ覆うもののない肌が醸しだす熱は、直接布団や毛布、空気にうつっては僕に数cm分の距離をささやく。あまりに露骨で、感覚を刺す。
 甘い誘惑というより劣悪な情動に、僕は首を動かして出夢君を見ることすらできなかった。
 息も、止めがちに。
「……お兄さん」
「……うん」
「昼さー、お兄さんが来たじゃん? 僕は直前まで寝てたんだよ」
「うん」
「寝れねーのな」
 突、然、バサりと。

「お兄さんは?」
16名無しさん@ピンキー:2005/03/25(金) 21:32:31 ID:A7jH6ZmN
 タオルケットも毛布も、出夢君が払ってしまう。彼は上体を起こしている。開けたカーテンからこぼれる薄い青っぽい光に、丸みを帯びた体を浮かび上がらせて僕を見ている。
 輪郭と、かすかな陰影。それらがわかるギリギリの光量の中で、見下ろされる視線の意味を確かめようと僕は目をこらす。
「君は――」
 言おうか迷う。
 口に出すのを躊躇う。
 そして結局つぐんだ。
 すると、ふと思いついたように出夢君がベッドから降りて、まとめてある新聞紙のあたりでごそごそしだした。気になって僕も上体を起こす。戻ってきた彼の手の中にはビニールテープがあり、その端を出してから、
「お兄さん、手出しな」
 言われたとおりにする僕の両手首を紐で巻いていく。絞られるとちょうど手錠のようになったのが見てわかる。端は切らずにそのままほっぽる。
「出夢君?」
 顔を上げる。
 唇を噛まれた。
 次に、舌で噛まれた部分を舐められる。それからついでのようなキス。
「ぎゃは」
 呆然とした顔が間抜けだったのか、顔を離した出夢君はかつてのように、笑った。
「言った手前全殺しはしねぇけどさー。暇だし久しぶりだし一人じゃ詰まらないし僕の称号は《人食い》だし」
 体を押される。支えられず僕は倒れ、そこにのしかかられる。

「食ってやろう、って思ってさ」
17名無しさん@ピンキー:2005/03/25(金) 21:33:18 ID:A7jH6ZmN
 取り払われたタオルケットは、ベッドから滑り落ちていた。
 出夢君が僕のTシャツを捲り上げる。やばい、本気だ。焦って、縛られたままの両手を、腹筋を舐める出夢君を引き離すのに使う。
 と言っても相手は元殺し屋、どれだけ力を振り絞っても出夢君は意にも介さず腹から胸に舌を遊ばせる。まるで無力、これでは抵抗たる反抗にもならない。
「い、出夢君、そろそろ冗談は――」
「ん、ん? なんだよお兄さん」
 顔だけ上げて、目だけは僕を見て、出夢君は笑った。
「もしかして犯されるの怖ぇの?」
「……」
僕は答えなかった。
 わずかばかりの知識によれば、強姦は『性器同士が接触を持つこと』で罪として成り立つ。射精があったか相手が感じていたかどうかはひとまず脇に置かれる――そしてこの状況。
 僕が……可能な状態になったとするならば、あくまで僕が交渉を拒否し続ける意思を見せる限り、その行為の名称は『犯される』になる。
 それはちょっと。
「知ってるだろう?僕は流される人間なんだよ。まして出夢君からなんて、その気にならないほうが――」
 バシン、と頬が音を立てた。
 目の前がちかちかする。
 出夢君は返す手でもう一度反対側も打つ。それから前髪を掴まれた。そのまま枕に押しつけられる。
 喉が反って苦しい。
「わかってねーな。僕は、お、か、す、つったんだぜお兄さん?僕はあんたを殺さないさ、殺さないがそれでもわだかまりがある。ぎゃははっ。お兄さん、実は少しぐらい叩きのめされるのも仕方ねぇって思ってんじゃねぇの?」
僕は出夢君の声音におされて黙り込む。彼はどこか寂しそうに、短く笑った。彼が止まっていたのはその一瞬だけだ。
「そうそう、できるなら最高に僕が楽しくて、お兄さんには――」
 ジッパーを引き下げる音がした。体勢を変え、空いているほうの手で僕のジーンズにおせっかいをかけてるのだ。
 布越しに触られると、体に一瞬電気が走った気がした。
18名無しさん@ピンキー:2005/03/25(金) 21:34:39 ID:A7jH6ZmN
「――最悪と似合いの屈辱ってやつを味わわせたいねぇ」
「……っつぅ!」
 ややきつめに握りこまれる。ひゅうっ、と茶化すような口笛が聞こえた。
「イイ顔すんじゃん。楽しい限りじゃねーのー。ぎゃははっ」
 なっ…出夢君、もしかしなくても夜目がきくのか…!?
 僕のジーンズの前はすっかり晒されている。爪の先だけで、下着の布目にそって何度も撫でられる。余裕があるうちに逃げようと暴れた。
19名無しさん@ピンキー:2005/03/25(金) 21:48:29 ID:qu4gs0NK
エロいですね。
イイ
20名無しさん@ピンキー:2005/03/25(金) 22:00:48 ID:XU6Li9aF
神キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
GJです!
続き楽しみにしてます!
21名無しさん@ピンキー:2005/03/25(金) 22:12:37 ID:inUH8Abz
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/saku/1027546852/539

このスレは削除依頼が出ています。
下記スレから5日遅れて立った重複スレだからです。
移動してください。

戯言エロパロ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1111223677/
22名無しさん@ピンキー:2005/03/25(金) 22:48:49 ID:ggmsCAVP
>>14-18
乙。
粗茶ですが置いときます。
つ旦
23名無しさん@ピンキー:2005/03/25(金) 22:56:34 ID:dzZZAnIo
eonetの自治厨(>>21)は以後放置でお願いします。
「削除依頼」
「移動」
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/saku/1027546852/539
などをNGワードに登録することを推奨します。
24名無しさん@ピンキー:2005/03/25(金) 23:18:22 ID:yMJjSbld
>14
GJ!早く続きを読みたい(;´Д`)ハァハァ
25名無しさん@ピンキー:2005/03/26(土) 00:21:35 ID:GWXppVlr
541 名無しさんX 2005/03/25(金) 23:48:34 HOST:i60-47-71-187.s05.a026.ap.plala.or.jp
>>539
eonet.ne.jpの方、いつも乙でありますw
ただ、このケースでは、あなたの言う「重複スレ」の方が利用者に支持されているようですねえ。
SSも既に投下されていますし。
削除人の方には、教条主義に陥らない賢明な判断を望みます。


誰だか知らんがこんなこと書いたら逆効果にしかならんよ。
このスレの印象悪くするだけ。
削除依頼スレまで煽りに行くようなアホがおるのか‥
26名無しさん@ピンキー:2005/03/26(土) 00:24:52 ID:Qj74ZObf
>>25
放置しる
27名無しさん@ピンキー:2005/03/26(土) 00:28:01 ID:aNFGGwYW
髪ズリって何だよw
赤い人の髪でズってもらうのか?

足コキもいいが、脚コキも捨て難いと思う。
28名無しさん@ピンキー:2005/03/26(土) 00:31:55 ID:aNFGGwYW
ネコソギラジカルは斜め読みしかしてない(失礼)のだが、
橙なる種が実はフタナーリで、赤い人がイラマチオさせられるシチュを妄想してみた。
勃起してしもた。
29名無しさん@ピンキー:2005/03/27(日) 18:38:46 ID:F1FhVk9u
3014(途中まで微SMかも):2005/03/31(木) 12:58:40 ID:C9LOdgjx
 いや、余裕がある、というのは誇張表現かもしれない。
 え、あれ、誇張って使い道あってたっけ。膨張は違うよな……それは今もっとも危険な状況の僕の股間のことだ。
 出夢君の指は長く細く、するりと下着の中に入ってくると、硬さを確かめるように動いた。繊細かと思えば促すような荒っぽい上下運動。
 問題はそれだけじゃなく、近すぎる他人の呼吸が耳から侵略してきて僕の理性を削る。獣みたいな、しんどそうな短い息に連動して、出夢君の肌、シャツをめくられた僕の肌が時々ぶつかる。実際、体勢的に出夢君は辛いのだろう。
 徐々に僕の角度が変わってきたから、それに合わせて手首から肘、腕、上半身と、微調整しているのが分かる。
 逃げるには――チャンス!
「それで抵抗かよ」
 今度はちゃんと全力を出して暴れた僕の視界の端で、長い手が動いた、ように、見えた。ここで一つ伏線が消えたことに僕は実感として気づく。
 両手を縛ったビニールテープの端が彼の手に握られていたのだ。根元で切らなかったのは、なるほど……
 僕は引っ張られて肩を掴まれ、上半身をなんとか起こしたまま出夢君と向き合う。
「お兄さん――」
「ぅ――」
 悲しそうな声なのに、鼻先に近づいた顔は口の端をあげて笑っているのが分かる。怖い。僕はこういう種類の笑顔を、人類最強がよく浮かべているのを知っている。
「なーんだ、そーかそーか。水臭いぜお兄さん、『僕に』されるのが嫌なら言ってくれよ。自分でしたかったんだなっ?」
 え?
3114(途中まで微SMかも):2005/03/31(木) 13:02:59 ID:C9LOdgjx
 思ってる間に出夢君は僕の両膝にのり(完璧な固定)、持っていたテープの端を、上向きになっていた僕自身にくるりとまきつけた。僕の手がちょうど股にくることになる。
「さー、どーぞお兄さん?」
「どうぞって……」
「だからマスターベーション?一人エッチ?自慰ってやつ!ぎゃはははっ。ちゃーぁんと僕が、一から十の隅から隅まで細部の深部の局部までしっかり見ててやるからさ!」
 頭がくらくらした。意味がよくわからない。それは出夢君の言葉遣いのせいではなく。
 ……この状況でしろ、というのか。一人で。
「イクまで外さねーからごゆっくり」
追い討ちがかかった。
 僕はそっと指を這わせた。うわ。躊躇う。いやでも。
 『隠遁』した出夢君に、さらに罪を――強姦なんて――かぶせたくはない。説得が無駄ならせめて形だけでも普通のセックスをと思う。たとえそれが一人よがりの戯言よりも馬鹿馬鹿しい行為であっても。
「……っう…」
 手のひらで包んで軽く擦ると、脳の感覚が鈍感になってくらくらしてくる。鋭い出夢君の視線があるおかげで、まだ自分を客観的に見れる。けどそれは、同時にひどく恥ずかしかった。やばい。変な高揚がある。僕はそんなにマゾなのか。
 屹立は野蛮な影を太腿に落としていた。薄暗さの中で、それが充分大きいことが見て取れる。
 早く終わらせてしまおうという思惑と裏腹に、最後の瞬間は遠かった。ビニールテープが根元に食いこんでるせいで痛いのだ。興奮しているのか萎えているのか、自分で刺激を与えながら分からなくなってくる。
「出夢、く……こ…、はず、し…っ…」.
「何言ってんの?もっとはっきり言えよ戯言遣いのお兄さん」
「この、テープ、を、はず…し…」
「ん、ん?テープを、誰のどこから外せって?」
「だか……っく……」
混沌と曖昧な脳の中で、快感だけは着実に溜まっていく。
 ひどく衝動的に、僕はその瞬間を迎えてしまった。
 浅い息を繰り返して、僕は自分の手に目を落とす。不思議な感覚だった。
「イった?にしちゃ――萎えてないし出てないよな」
「いや、……縛ってたから、じゃ、ないかな」
3214(途中まで微SMかも):2005/03/31(木) 13:04:06 ID:C9LOdgjx
それでも常態で言うところのイッた感じはある。軽い疲労交じりに息を吐くと、出夢君が冷静に言った。
「じゃあ続行」
「ぞ、続行!?」
「今度は僕もやるよ」
 出夢君がまたがったまま立ち膝になった。腕が動く。その先は、薄い毛に覆われた、両足の付け根――体の真ん中だ。指がゆっくりとそこに入る様を、僕は見てしまう。
 ちく、と水の音がした。
33名無しさん@ピンキー:2005/03/31(木) 14:37:10 ID:vgCMp6bl
乙乙乙乙乙。
エロ(・∀・)イイ!
34名無しさん@ピンキー:2005/03/31(木) 22:20:13 ID:/m8NbSWS
続きキタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(`  )ァ━(Д`)ハァ━(;´Д`)ハァハァ━!!!!
35名無しさん@ピンキー:2005/04/03(日) 03:18:58 ID:t8fsfHOT
きずな×キズタカとかきぼん
36名無しさん@ピンキー:2005/04/03(日) 03:42:58 ID:GiXRPyKp
病院坂足コキきぼーん
37名無しさん@ピンキー:2005/04/05(火) 00:06:15 ID:mQ6H4+m0
小唄さんキボン、と呟いてみる。
38名無しさん@ピンキー:2005/04/05(火) 00:10:33 ID:fGxkF5kK
ここ残してもう片方は落ちたのかな?
39名無しさん@ピンキー:2005/04/05(火) 13:36:59 ID:0Gy1jsnU
とりあえずは一件落着…か。
次は後味の悪くないスレ立てをしたいもんだね。
40名無しさん@ピンキー:2005/04/07(木) 04:03:32 ID:xQXsu9BE
春日井春日の足コキキボン
41名無しさん@ピンキー:2005/04/11(月) 22:23:18 ID:CI9teu7T
捕鯨
4214:2005/04/12(火) 02:30:22 ID:V/vgmQ27
 ぎし、と音を立てたのはベッドのスプリングだ。
 それよりもっと生々しい、生ぬるい温度までわかりそうな、水がかき混ざる音と、湿った肉が吸いつくように摩擦を起こして股と指が密やかに響く。
 顔を俯むけても決定的な蠢きが見える。
 声を上げようにも喉が乾く。出夢君が一際高く鳴いて、抜いた指がぬめって引く体液の糸を、口で受け止めたくなった。
 喉より、もっと、重要なところが潤う気がする。
「……エロい目」
出夢君は立ち膝で、足を伸ばして座る僕を見下ろす。
「やっと本気になったみてーじゃん。ぎゃははっ、こういうのそそられるんだ、お兄ーさんは」
 そろそろ僕も麻痺している。縛られたままの手首も脳も。
 出夢君は肩を押してシーツに横たわらせ、覆い被さってくる。最初の体勢だ。違うのは、性器への刺激は今度は手ではなく――出夢君のじっとり湿った、熱い粘膜だった。
 声は堪えなかった。二人重なって、わざわざ自分の声を確認している余裕もない。喘ぎだけなら、どちらがどちらに追い詰められているのかわからない。実際は拘束されているぶん、追い詰められてるのは僕なんだが……
「いず、む…っ…ん、………」
「……ぁあ、だあっ、て…ろっ…」
 僕はその文句を無視する。
「……さぃ…っ…しょ」
 そういえば昔は、羊を数える代わりの寝物語も、夜伽といったんじゃなかったろうか。
 夜に語るお伽話は、いつも過剰に不思議で自分のいる世界とは遠い。

「――迷っていただろう?」

 出夢君は笑った。動きを止めず、絡んだ体液をビニールテープに伝わらせながら、理澄ちゃんのように笑った。
 返事はなく、ただ、根元と手首から解かれた紐が、ぐしゃりと卑猥な音を立ててベッドの祖とに放り出されて、
 一度イッたばかりの僕は抑えが外れたことで、抜くのもままならないまま、胸の上に倒れこんで震える出夢君の中に出した。多分、二度分一気に。
4314:2005/04/12(火) 02:31:05 ID:V/vgmQ27


 終わった後の出夢君はあっけらかんとしたものだった。
「殺し屋もしくは匂宮は、全てが兄妹でチーム組んで生涯そういう繋がりだけのままっつーのが多いんだよな」
 多い、という表現はすごく抑えた表現じゃないかと、横になりながら思う。
「愛してるなんて言葉は家族にしか使わねーんだよ。そういう愛しか無い」
 てっとり早くてわかりやすい他人への愛情のお返しはセックスだと、そういう、思考。
 ……。
 コメントは控えて質問を向ける。
「布団に入ってしばらく迷ってたのは?」
「お兄さんって余計に頭回るよな」
「誉め言葉に頂く」
 出夢君は僕の隣で面倒そうにつぶやいた。
「迷うこともあるけどさ。
 結局そんなもの、絵の具を混ぜあわせた時みてーな、次の段階へいくのに必要なだけの混沌ってだけで、
 誰かに向かって言ってやっても、他人のことなら俯瞰して見えるから、よくわかるから。生々しい温度なんて感じねぇから。
 どうしたって、
 当事者の戯言にしか聞こえねえよ」
 僕はその言葉の意味を言及するべきだろうか。それは出夢君から僕に引いた境界線かと。愛してると言葉だけでも言った僕に対する返事。
 いや、麻痺したままの思考回路では難しいことは止めよう。きっと際限無く逸れていく。
 ただ一つ、残したことをやって終いにしようじゃないか。
「愛情のお返しはセックスだけじゃないよ」
「あん?」
「乾いた喉を潤してやるとか」
 ぎゃははなんだそりゃ、と言った唇は、笑った形で僕のと合わさって愛液に似た唾液を送りこむ。
 イくのは二度、キスも二度。
 出夢君が、舌を絡めながら今はいない彼の妹の名前をなぞった気がした。
 


店仕舞い。
4414:2005/04/12(火) 02:40:15 ID:V/vgmQ27
住人さん&職人さん、だらり居座ってすまん
45名無しさん@ピンキー:2005/04/12(火) 10:53:20 ID:YE/zbUel
14氏、乙ですハァハァ
やっぱりいーたんは受けですねー
46名無しさん@ピンキー:2005/04/14(木) 00:39:07 ID:YGNfxHYk
子荻萌ほっ酒
47名無しさん@ピンキー:2005/04/17(日) 19:03:13 ID:fS+SBhlJ
俺は美術館とか行くの結構好きだけど、アート的感性って意識的にじゃないと身に付かないよね。
普段娯楽小説であるSFや、萌えアニメばかり見ていてはダメ。
セカイ系の作風は、オシャレな人間にはピンとくる作風。
おそらくアンチってのはその空気を意識的にか無意識的にか感じ取っていて、
オシャレ系な人に対して敵視をしているという構図なんだと思う。
そんなことしたって自分がもっさいのは変わらないのに。
セカイ系を敵視するくらいならまず髪を切って、マルイ系でもいいからデザイナーズブランドの服を買い、
ハゲてるなら帽子をかぶり、さっぱりしてからもう一度作品に触れてみるべき。
そうすれば少しは共感できるんじゃないかな?
とにかくセカイ系を批判してる人って、ダサさが滲み出てて見苦しいよ。
4814(保守子ネタ):2005/04/18(月) 03:59:40 ID:sIh8tQFx
「ゆらぁり…あれぇ…?これぇ……」
 夕暮れの生徒会室。萩原子荻がテーブルにぶちまけた物品を、西条玉藻があさっていた。
 詰まらなそうに窓の外を眺めながら、子荻が呟きに答える。
「生徒から没収したものです。およそ学業には不必要と思われるものばかりでしたから」
「これも没収したんですかぁ…?」
 玉藻がつまんだのはピンクローターである。
「当然です」
「ふぅん…」
玉藻はスイッチをいじったりコードを指に巻きつけたり遊んでいる。
「先輩がぁ…使うんですかぁ…?」
座っていたイスを盛大に鳴らして、質問者より年上なはずの少女はにわかに取り乱した。
「なっ、何を言うのです!そんなもの使うわけ無いでしょう!」
「えぇー…獲物はぁ、奪ったほうが自由にして…いいんですよぉ…」
「そんなものを獲物と呼ばないで下さい」
 無視して、先輩が使わないなら私もらっていきますね、と言ったことを呟く後輩に、子荻は固まる。
「…ダメです」
「じゃ…やっぱり先輩が使う…?」
「使いません!そんな意外に大きいもの入るわけありま…っ」
つい本音を口走ってしまったのか、子荻は一分前のクールさを捨て、慌てて口を抑える。
「先輩…顔…赤い」
「ゆ、夕暮れのせいです!」
「これで入らなかったらぁ……挿入できませんよぉ」
 どうやら自分より性について進んでいるらしい後輩を、唇を噛んで見つめる。後輩は笑顔になって近寄ってくる。
「せんぱぁい…練習しませんかぁ…?」
誘いのわりに、きっちり逃げ道をふさいでいる。この調子では説得しても聞く耳を持たないだろう。

生徒会室はその日、深夜になるまで中からカギがかかっていたという。
49名無しさん@ピンキー:2005/04/22(金) 09:19:06 ID:FWTwLEZb
捕鯨
50名無しさん@ピンキー:2005/04/26(火) 23:17:16 ID:j1N87xBR
捕手
51グリーン×3:2005/05/02(月) 00:28:02 ID:d/tC8wOy
『序章〜』
 一つここで考えてみよう。ぼくが男ではなかったとしたら、ぼくはいったいどういう生活を送っていただろうか。
 たとえば、女性のぼくはバリバリのキャリアウーマンになっているのかもしれない。あるいは結婚してごく普通の生活を送っているかもしれない。
 もしかすると今のぼくと同じ生活をしているかもしれないし、はたまた最強の赤になっている可能性だって無いとは言えない。
 ……いや、それはさすがに無いか。
 まあそれはともかく、世の中には異性に生まれたかったという人がいるが、それは結局『今の自分より優れた自分』を求めているだけなのではないだろうか。
 自分自身をまともに知っているならば、異性に生まれ変わりたいなどとバカバカしい考えなど持つわけがないのだ。それはただ単に現在の自分自身から逃げているだけに過ぎないし、それに本質的には逃げる行為にすらなっていない。
 つまりぼくが何を言いたいかと言うと……
52グリーン×3:2005/05/02(月) 00:30:05 ID:d/tC8wOy
「いっきーブツブツうるさいよ。ゆっくり本も読めやしない」
「……それはすみませんでした。居候の春日井春日さん」
 フルネームで呼んでみた。
 居候なはずなのに、まるでこの家の主のように振る舞っている彼女の名前は春日井春日。とある事件で知りあった変態チックな生物学者さんである。
「それにしてもセーラー服を目の前に広げてブツブツ呟いてるとまるで変質者みたいだね」
 春日井さんがにっこりと笑って、そんなことを言ってくる。超一流の変質者に言われるあたり、ぼくはもう駄目なのかもしれなかった。
「……さっきの説明、まさか聞いてなかったんですか」
「うん?」と春日井さんは小首を傾げた。不思議と可愛いという感じはしない。むしろ食虫植物や肉食獣の様な印象を受ける。
「それは誰に訊いているのかな? 私が人の話を聞かない人非人だとでも思ってるのかな? いっきーは?」
 ……っていうことはヒトの言うことを認識して理解して分かった上で、ぼくをからかっているということになるのだろうか。なんて素敵な性格の人だろう。
「……さっきも言いましたけど、これは学園祭のための衣装です。別に個人的な趣味で所持しているわけではないですよ」
53グリーン×3:2005/05/02(月) 00:32:33 ID:d/tC8wOy
「まあ確かにいっきーはセーラー服なんか買わないと思うけどね」
「分かっていただけましたか」
「いっきーはメイドマニアだものね」
 それに「そうですね」と頷けとでも言うのか。
「それにしても学園祭か……。なんだか私も学生時代を思い出すよ」
「春日井さんにも学生時代があったんですか?」
 それはちょっと意外だった。
「別に生まれてからずっとこの姿って訳じゃないからね」
「そりゃそうですけど……。でも学園祭に思い出があるってことは、春日井さんも学生時代は普通の人だったんですね」
「失礼しちゃうなあ。君は私のことを何だと思ってるのかな?」
 珍しく春日井さんに非難され、ぼくは少しばかり反省した。確かに、少なくとも女性に対して言うような言葉ではなかった。
 春日井さんだから表情の変化を読みとることはできないが、普通に考えれば聞いていてあまり気持ちの良い台詞ではないだろう。
「すみません……。あ、でもじゃあ、春日井さんも学生時代は何か出し物とかしたんですね」
「ううん。学園祭は全部病欠してたからね」
 サラリと言われた。
 ぼくが謝ったのはいったいなんだったのだろうか。
54グリーン×3:2005/05/02(月) 00:35:14 ID:d/tC8wOy
「もういいです。ぼくは明日の用意があるんで黙っててください」
「ひどい男だね。いっきーは。そうやって肌を重ねた相手を邪険にするんだね」
「何もしてないのに、まるで何かしたかのように言わないでください」
「じゃあすればいいのかな?」
「しません」
 ぼくはわざと不機嫌そうに言い捨てて、セーラー服にアイロンをかけ始めた。
 このセーラー服が学園祭で女装喫茶という、ありそうで普通は無いイベントの重要な小道具であることを思いだし、ため息をつく。
「邪魔者は先に寝かせてもらうよ」
 もくもくと作業を続けるぼくを見ていることに飽きたのか、春日井さんは一つしか無い布団に潜り込んだ。
 春日井さんが居候している間、ぼくは床と座布団と毛布で寝ることを強いられている。もう慣れたけど。
「ああ。そう言えば」
 春日井さんが布団を被ったまま、ふと思いついた様に語りかけてきた。
「何です?」
「確認しておくけどいっきーのクラスの出し物は女装喫茶でいっきーは明日八時半頃登校するんだね?」
「そうですけど?」
「分かった。覚えとくよ」
「……?」
 春日井さんの妙な念押しに、ぼくはうすら寒い感覚を覚えつつも、何故そんな事を尋ねたのか確認しなかった。この事をぼくは後悔することになる。
55名無しさん@ピンキー:2005/05/02(月) 01:44:48 ID:oUyRPHW+
乙乙!
GJGJ!
イイヨイイヨー
56名無しさん@ピンキー:2005/05/02(月) 04:05:56 ID:qMD8/093
期待しまくり
57グリーン×3:2005/05/02(月) 04:56:04 ID:d/tC8wOy
【使用上の注意】
毎週保守を兼ねて投稿します(たぶん)
今は第三回まで原稿作ってあります(現在第四回作成中)
今のところあまりエロ色は強くないです(これから先は分かりませんが)

ですから、ぼくの書くものはマンガの余ったページのコーナーみたいなものだと思ってください
有り体に言えばあまり期待しないでください……

PS
以前、いーちゃん×子荻書いてましたが、途中でやめてしまいました
期待していた方には深くお詫びいたします
ごめんね♪

さらにPS
携帯からの書き込みなので変なところがあるかもしれませんが許してください

もう一つPS
個人的な趣味で作家が前に出るのは好みませんので、書き込みはもう余程のことが無いとしませんが意見はちゃんと読みます

ではでは
58グリーン×3:2005/05/02(月) 05:04:24 ID:d/tC8wOy
「何してんねん、いっくん?」
「あ……えーと……美奈山さん。おはよう」
 割り当ての教室の前で後ろから美奈山さんに声をかけられた。美奈山さんは今日もジャージにハイヒール姿だった。女子は男装する事になっているのだが、この人はこれが衣装ということなのだろう。
「あれ? いっくんなんやいつもより声高くない?」
「あ、いや。ちょっと風邪気味みたいなんだ」
「ふーん? 普通は風邪ひいたら声低くなるような気もするけど……まあ、いっくんなら何が起こっても不思議やないか」
 いつもなら「ぼくってそんな評価なのか……」とつっこみを入れるところなのだが、今のぼくにはそんな余裕はまったく無い。
 何故ならぼくは今、人類の神秘と言うか、科学の奇跡と言うか、変態な生物学者の気まぐれと言うか、そういうものと戦っているのだ。特に最後。
「それより何で教室入らんの? もしやまたあの赤い人が来てるとか?」
「い、いや、ちょっとまだ心の準備が」
「心の準備て……たかが学園祭やん。いっくんて意外と舞い上がるタイプなんや」
 そうじゃないんです、美奈山さん。ただ学園祭なだけなら、ぼくは別に概ね大丈夫なんですが。
59グリーン×3:2005/05/02(月) 05:06:11 ID:d/tC8wOy
 そんなぼくの気もいざ知らず、美奈山さんは教室のドアを開けたままきょとんとぼくの方を見つめている。
「……入らんの?」
「あ、入ります……」
 ぼくは覚悟を決めて教室に入った。
 教室の中はすでに飾り付けがなされていた。飾り付け自体は喫茶店風なのだが、土台が教室というアンバランスな調和が、いかにも学園祭然とした感じを醸し出している。
「おー! やっと来たかいっくん!」
 看護婦さんの格好をした葦柾くんが、こちらへと声をかけてきた。金髪逆毛の看護婦さんというものは、何というか、なかなか味がある。絶対看病はしてもらいたくない類の。
「まだ男子は葦柾くんといっくんしか来てないんだよ。それでなんだか葦柾くんが浮いちゃって」
 説明してくれたメルヘンさんは学ランを着ている。右肩にはいつも通りハムスターがいるのだが、見慣れない様子に居心地悪そうにしている様にも見える。
「こいつら、俺の格好見て『気持ち悪い』てうるさいねん。でも、これで俺だけやないからな」
 葦柾くんがほっとした表情で言う。どうやら随分からかわれていたらしい。まあ、からかわれなかったらからかわれなかったで相当辛いものがあると思うが。
60グリーン×3:2005/05/02(月) 05:07:52 ID:d/tC8wOy
「う〜ん。でも、いっくん本物の女の子みたいやし、葦柾が浮いてるのは変わってないと思うけどな?」
「それはそうかも。いっくんかなり可愛いから。そこらの女の子よりも可愛いかもしれないね」
 美奈山さんの言うことにメルヘンさんが同調する。
「実はいっくん女の子だったりしてな」
 葦柾くんがそう言って笑って見せた。
「もし初めて会った時この格好だったら、私は信じてそうだよ」
 メルヘンさんも微笑んだ。
「いっくん見てると自信無くしてまうわー」
 と、美奈山さんも笑った。
 和気藹々とした雰囲気の中で、ぼくだけが笑わなかった。ぼくだけが全然笑えなかった。
61名無しさん@ピンキー:2005/05/02(月) 21:23:26 ID:EUO7H9nZ
おおおお、続きがめちゃ楽しみだわ(´Д`*)
グリーン×3氏(でいいのかな)がんばってください!
62名無しさん@ピンキー:2005/05/02(月) 21:27:51 ID:EUO7H9nZ
おおおお、続きがめちゃ楽しみだわ(´Д`*)
グリーン×3氏(でいいのかな)がんばってください!
63名無しさん@ピンキー:2005/05/04(水) 08:43:12 ID:Fzel58yk
捕鯨
64名無しさん@ピンキー:2005/05/07(土) 18:15:29 ID:1hHeSI6D
読みやすい文章で(・∀・)イイですね。
つづき期待してます。
65グリーン×3:2005/05/09(月) 00:07:02 ID:CQkBZb4o
「はぁ……疲れた……」
 ぼくは一人屋上でため息をついていた。交代時間になって休憩しようと思ったのだが、この体であまり人目につくのはぞっとしない。
 休憩時間も宣伝を兼ねて着替えないことになっているし、人混みを避けているうちに屋上に行き着いたという訳だ。
「おいおいいーたん。こんなところでサボリですか? 友達裏切っちゃっていーんですか? うん?」
 不意に背後から赤い声が聞こえた。声に色がついている訳はないのだが、しかしおそらく百人に聞いたらほぼ百人全員から「赤い」という評価が返ってくるだろう。
「友達じゃないから、別にいいんですよ。哀川さん」
「名前で呼べっつってんだろーが」
 後ろから蹴られた。
「しっかし、何やってんだお前? もしかしてあれか? この前の女子校不法侵入の時に目覚めたとか」
「何にですか何に。別にそんなんじゃありませんよ。学園祭の出し物なんです」
「へえ……劇か何かか?」
「女装喫茶です」
 ぼくが即答すると、背後から聞こえる哀川さんの口調が、からかっているそれに変化した。
「ほお……それはそれは」
66グリーン×3:2005/05/09(月) 00:08:36 ID:CQkBZb4o
「ぼくとしては参加しないでおきたかったんですけどね。クラスメイトの強引かつ強制的なやり方に為すすべもなく完敗しました」
「おまえが本気で嫌がれば幾らでもやりようはあるだろうにさ。何だ? 家族サービスみたいなもんか?」
「先日ぼくの知り合いで教室に乱入した方がいらっしゃいまして。教室の真ん中にどんと構えていられたせいで、迷惑かけたみたいですからね。少しばかり負い目を感じてるんですよ」
「そーか。大変だな」
 あっさり流しやがった。
「ところでいーたん? お姉さんはちょっとばかり質問があるんだが」
 哀川さんはそう言ってぼくの肩に手を回してきた。なんだろうこれは。予測してない展開だ。
「なんです?」
「おまえ、さっきからあたしと向き合わないようにしてるな」
「…………」
「日本じゃいつから女装ってのは、作りものじゃない胸とか持ってる奴のことになったんだ?」
「…………」
「なんだか妙だと思ってたんだけどな。気にしなきゃ分からないが触るとはっきり分かる。体も一回り小さくなってるし全体的にも体が丸みを帯びてる」
「……潤さんの気のせいですよ。ぼくは天気によってわりと体格が変わりやすい体質なんです」
67グリーン×3:2005/05/09(月) 00:10:06 ID:CQkBZb4o
「もしも今日『女装してなかったら』、今頃周りの奴らには気づかれてただろうな?」
 もしも、変化の分かりやすい『いつも通りの格好だったら』。気づかれていただろうか。
「そんなことありませんよ。何に気づくって言うんですか。ぼくはいつも通りの平々凡々とした戯言遣いです」
「……ほおお。この後に及んでまだそんなこと言うのか。いーたんは」
 そう言って哀川さんは、後ろから両腕でぼくの頭を抱え込むように挟んだ。後ろにいるので表情は分からないが、おそらくかなり凄い表情をしていることだろう。
「それじゃあ、体の方に訊いてみよっかなあ?」
 そう言って鎖骨のあたりを撫でてくる。
「じょ、冗談ですよね、潤さん?」
 上擦った口調でそう尋ねると、潤さんは
「ん〜? さあ、どっちだろーな?」と言って、ぼくの耳たぶをペロリと舐めた。
 鮮烈な感覚がぼくの背中を駆け巡る。
「ストップ! 待ってください! ギブアップです!」
 ぼくは慌てて叫びながら、哀川さんの腕をふりほどいた。
「あはは。いーたん、相変わらずこーゆーの弱いな」
 哀川さんが、いたずらが成功した子どもの様な笑顔で言う。
68グリーン×3:2005/05/09(月) 00:11:15 ID:CQkBZb4o
「って言うか洒落になりませんよ……」
 背筋を汗が伝う。きっとぼくはかなり悲愴な顔をしていることだろう。
「それで? なんでいーたん、そんな美少女になってるわけ?」
「いえ、ぼくにもよく分からないんですけどね。朝起きたら春日井さんがいなくなってて、代わりにぼくがこうなってました」
「はあん? あの生物学者か……。性転換手術までやるのかあいつは」
「どうでしょう? 正直なところ、手術かどうかも分からないんですよね」
 ぼくが指を口に当て、考え込む様な仕草をしながら言うと、哀川さんは怪訝そうに眉をひそめた。
「そりゃどういうことだ?」
「いや、短期間に何の痕跡も残さず性転換手術するなんて、それこそ神様でも不可能でしょう? いくら春日井さんが図抜けた生物学者だからって、物理法則までねじ曲げるのは無理だと思うんです」
「あたしは天井走れるけどな」
「……哀川さんは色々規格外ですから」
「名前で呼べってば。生物学者春日井春日も規格外なのかもしれないだろ? まあ確かに納得しにくいところではあるけどさ」
「それに、それを認めてしまうと、ぼくは春日井さんの気まぐれを待たないと元の姿に戻れないってことになってしまいますからね」
69グリーン×3:2005/05/09(月) 00:12:23 ID:CQkBZb4o
「う〜ん……」と、哀川さんはしばらく考え込んでから、ポンと手を叩いた。「よし。じゃあとりあえずおまえの体を調べよう」
「調べる? ちょっと待ってください。調べるってどういうことです?」
 哀川さんの提案に、ぼくはすかさず半畳を挟んだ。
「手術痕か何かが無いか、あるいは何か手がかりになりそうなものを探すんだよ。あたしは別にいーたんが男だろうが女だろうがどうでもいいけど、おまえは気にしてるんだろ?」
「いや、でも……」
「あたしがまどろっこしいのは嫌いだって知ってるよな? 分かったのか? それとも分からなかったのか?」
 哀川さんがぼくの肩をかなり強めに握りながら訊いてくる。ぼくは「分かりました」と答えながら、蛇に飲み込まれることを悟った蛙の気持ちというのは、おそらくこんなだろうと思っていた。
70名無しさん@ピンキー:2005/05/09(月) 00:20:00 ID:ysfpiiuX
キタキタキター(・∀・)−ッ!
ここで哀川さんが来るとは思いませんでしたわ

ネコソギも中巻発売日決定でスレが活気付くといいですな!
71名無しさん@ピンキー:2005/05/10(火) 14:04:44 ID:cFSQSjFl
いーたんの受け受けしさはいつ見ても素晴らしいな
72名無しさん@ピンキー:2005/05/10(火) 20:06:31 ID:sYpCobKt
>>71
激しく猛々しく雄々しく疾しく狂おしく同意
73名無しさん@ピンキー:2005/05/15(日) 18:08:32 ID:LT9vYsDJ
保守
74グリーン×3:2005/05/15(日) 20:39:03 ID:ES/1qAJt
…間に合わない…

_| ̄|○ ゴメンナサイ コンシュウハ オヤスミ シマス
75名無しさん@ピンキー:2005/05/17(火) 21:18:43 ID:XF1WIF5E
どんまいっ 俺たちマイノリティはどれぐらいでも待てるぜd(´Д` )
76バットカインド:2005/05/18(水) 20:47:03 ID:lTFnDxvC
害悪細菌(グリーン×3)!頑張れょ!期待してるぜ
77名無しさん@ピンキー:2005/05/21(土) 08:15:48 ID:AcFHFXvG
首コキ
78名無しさん@ピンキー:2005/05/21(土) 10:58:00 ID:FuGYLwkt
ひぎぃ
79名無しさん@ピンキー:2005/05/22(日) 00:58:46 ID:XS/a0bfI
そういえばわきコキなんて見たことあるな
80名無しさん@ピンキー:2005/05/23(月) 13:01:01 ID:st4jWYJf
本スレ久しぶりに覗いたらつまらねぇことで荒れてんな。
なんて・・・・戯言。
81名無しさん@ピンキー:2005/05/24(火) 23:23:12 ID:FUsAYfHe
荒れてるんだか悪ノリなんだか。って感じだけどね。
プリンのとき同様、もう皆飽きてるしな。
82名無しさん@ピンキー:2005/05/28(土) 22:19:25 ID:6+Y6MohA
あえて言おう、保守であると!
83名無しさん@ピンキー:2005/05/28(土) 22:28:57 ID:EzbqhmBN
トリプルプレイもここの取り扱いに入るよね。あの表紙は実にエロかった。
期待保守
84名無しさん@ピンキー:2005/05/30(月) 01:35:42 ID:cUAMzJ9k
>>14氏の出×いーを出×いー♀に脳内変換して自己発電
女の子同士で安心してベットに入ったものの
出夢君は男人格だったのでその二つ名通り食われちゃう、と
ハァハァ(*´Д`)

おいおい、脳内補完による自家発電なんて俺って地球に優しいよな
85名無しさん@ピンキー:2005/05/31(火) 22:44:20 ID:ctXSE0Z4
職人さんのネタ潰しになったらごめん。
サイコロを読んだ後、檻の中で飼われ続けるいー(女)ってネタを考えてドキがムネムネしたのを
思い出した。友が見てる前で、ニャアニャア
86名無しさん@ピンキー:2005/06/02(木) 01:03:17 ID:JmKphU59
保守
87名無しさん@ピンキー:2005/06/05(日) 00:40:15 ID:w1xzj9HZ
このスレに神が降臨せんことを願って…保守。
88名無しさん@ピンキー:2005/06/07(火) 07:26:49 ID:C417UvbX
ネコソギラジカル発売日直前保守
89名無しさん@ピンキー:2005/06/07(火) 20:00:33 ID:fr1adMqo
今日本屋行ったらあったるれろ
90名無しさん@ピンキー:2005/06/07(火) 21:39:39 ID:W7WrbFEm
スパッツハァハァ
91名無しさん@ピンキー:2005/06/07(火) 22:46:53 ID:QjrCIWz7
ネコソギ読了記念保守
9214:2005/06/08(水) 00:32:24 ID:ciicL6T6
保守。ノイズ×女いー。陵(ry 5レスほど
931/5:2005/06/08(水) 00:33:06 ID:ciicL6T6
 電車のカタンカタンという規則的なリズムを破って、騒がしいメロディが途切れ途切れに聞こえてくる。
 音は僕の目の前に座った、中学生の大きいヘッドホンから。
 十三階段の《ノイズ》から。
「あんたの様子ヲ見に来たんダ、《いーちゃん》」
 その台詞を聞いて、僕は浮かしかけた体を再び座席にしずめた。
 ノイズは面白そうな顔でまばたきをする。
「てっきり勢いにマカセテ、ヒステリックにワメき散らすかと思ったガ――思いの他クールだネ」
「ヒステリック、か。その予想は僕が女だから? だとしたら失望だよ。心底がっかりだ。探していた敵だかなんだか知らないが――ゲスな集団に目をつけられたのかと思うと我が身が情けなくなってくる」
 僕はスカートの上で手を組んで、ゆっくりとしゃべる。
「買い被っていたよ、西東天を。無関係の他人を、ああも積極的に巻きこんでくるような奴だとは、思わなかった」
「世界を終わらソウというお方だヨ――そりゃああんたの眼力がご都合主義だったッテことだろうさ」
 常になく感情が昂ぶっているからだろうか、頭がぐらぐらした。電車に乗っているからではなく、もっと……意識が黒く重くなって、窒息していくような。
 僕は息苦しさに、はぁと息を吐く。
「要はね……モチベーションの問題なんだヨ」
 ノイズは楽しそうに説明をした。
 笑いながら、勿体つけるような話術も、話の内容を考えると僕への挑発目的なのかもしれない。そして断言。
「あんたの行動にはニクシミが足りない」
 西東天を敵だと思えるような、思ってしまうほどの憎しみ。確かにそれは、敵宣言されたからといっていきなりわきおこるものではない。
「いや、ないのカナ? ボクは今そう思ったヨ」
「クールなだけだよ、見栄を張っているのさ」
「あの女が死んでも、あんたは同じコトをいいそうだネ、《いーちゃん》」
 さすがに頭にきた瞬間、電車がカーブをまがる。
 まがると思った。
942/5:2005/06/08(水) 00:35:17 ID:ciicL6T6
「う――」
 ひどい目眩に襲われた。
 耐えきれず僕は頭を手で支える。
 息を切らし、ノイズの後ろにある窓から風景の流れ方を確認したが、電車はまがっていたのではなく、どうやら僕の意識のほうが大きく揺れていたのだった。
 立とうとして足に力が入らないことを知る。
 まるで他人の体だ。
「効いてきたようだネ」
 ノイズが言った。
「何を、した」
「意識混濁して推理もデキナイかい、《いーちゃん》。だとしたら奇野さんの選んだ毒は効果抜群ダッタってことだネ」
 奇野。
 ばかな、電車に乗ってからは姿も見えなかった。ホームの人ごみにまぎれてというのも考えにくい。呪い名の恐ろしさを知ったばかりで警戒していたのだから、居たのならば絶対に見逃すはずない。
 では、その前は――その前、みいこさんが見舞に来てくれた、あの病室で、だろうか……?
 視界がすべり、座席の感触がなくなった。
 代わりに固いものに頭をぶつける。
 床に転がった僕は、白いスニーカーが近づいてくるのを見た。
 腹の下にスニーカーのつま先がはいり、転がされて仰向けにされる。息を吐いて見上げるついでにノイズを睨むが、うまくできたかはわからない。
「狐サンもお考えになったンダヨ、あの女だけじゃ心配だってネ。過剰に余るならまだしも、足りませんじゃぁあお話にナラナイ」
 体の傍で止まる。
「最大限の殺意を、最重量の憎悪を得るタメなら、できる手は全て打っておく。予備も保険も万全ニ。それが物語の終わりへむける、最上級の敬意だとネ」
 これから何をされるか嫌な予感が働いて、逃げようともがく。が。
振り払おうにも、膝は力なく震えるだけで、腕は手首から先がなんとか動く程度。
 声もふわふわして、うまく舌が回らない。
 いたぶるような目で見下ろしながら、ノイズが足先でTシャツをめくりあげた。
952/5:2005/06/08(水) 00:35:53 ID:ciicL6T6
 お腹の皮膚が電車の冷房に当たる。
「裸にして放置してやってもイイガ、それだけというのもツマラナイだろう、《いーちゃん》」
 下着が露出したところで、今度は両足を蹴られて、開かせられる。
「っ、……やめ」
 ノイズは当然のように足の間にはいって覆い被さってくる。近づいたぶん、ヘッドホンから漏れて聞こえる音楽がうるさい。
 ブラジャーがずらされ、それが胸を圧迫して苦しい。
 胸の突起に水の感触がして、ゆるく噛まれる。
「っ…ぅ、うくっ……あぅ」
 僕に使われた毒物のヒントがないが、どうやら麻痺させるのは筋肉のみのようで感覚系はかえって鋭敏になっていた。 
 唇を噛んで僕は声をおさえる。スカートのなかで下着がおろされるのは、ショーツが太ももに引っかかっていくのでわかった。
 指が肌の上をすべる。
 ふっとノイズが僕から離れ、カチンとベルトをとく。その動作と一緒に、ズボンのポケットから小さい、液体が入った容器を取り出す。
「時間はナイ、が――ボクも痛いのは嫌だからネ」
 揺れる電車の中、いっそすがすがしい笑顔で言って、中身のほとんどを自分の手の中にうつす。それは液体というよりゼリーみたいに揺れて、両手でのばすとひどく生々しい音がした。
「《いーちゃん》もコレを使ったほうが嬉しいダロウ?」
「……死ね」
 ぬるつくその水は、肌より冷たかった。
 両脚の奥の割れ目にそって、何度も指が往復し、ぐちゃぐちゃと鼓膜まで犯しながらたっぷり塗られる。
 泣きたいと思うだけでは泣けないように、叫ぼうと思っても叫べなかった。やめてくれと絞り出した声はいろんな雑音に遮られて自分の耳にも届かない。
 いれられる時は、心情を裏切って、本当に抵抗もなかった。
 ひどい速度で入ってきて、入り口が湿っぽい肉で満たされる。歯を食いしばる間にも性急に奥まで突き進んできては、入り口まで戻って往復する。
 ノイズがどう動いているのか、電車の動きと混ざりあってわからない。僕の体も、揺らされているのか揺れているのかわからなくなる。
 無反応でいようと意識をずらすけれど、揺れが予期しない刺激になって、受け流せない。
964/5:2005/06/08(水) 00:36:45 ID:ciicL6T6
 と、重力の向きが変わる。
 力の入らない体を引き起こされて、いれられたまま窓のそばに寄せられた。
「うぁ……ゃ、いや……嫌だ……」
無視された。
「んん…っ」
 体位を変えてさらに左手で髪を掴まれて、頭を窓ガラスに押し付けられる。
 流れていく風景に重なって、座席に立ち膝になって後ろから突かれる自分の姿が映りこんだ。
 踏み切りなんか通ったらと考えてぞっとした。ずり上がっていたTシャツを――持ち上げるのにもつらかったが、手で下ろそうとすると、ノイズが右手ではらい落とした。
「見せてやれヨ、サービス精神がナイのかイ、《いーちゃん》」
 窓越しに声の主を睨む。
「う…ぅっく、……ま、まっさき…に、殺して…やる、よ、おまえ、は」
「それは楽しみダ」
 話してるひまもなくなってきたのか、荒っぽく腰が動いてきて衝撃を殺せずに頭がガラスにコツンとぶつかる。すがるようにガラスとの間に手を置いた。吐いた息が指の隙間に入って、一瞬だけは窓が曇る。
「あぅ…っ」
 唐突に抜かれて体が後ろ向きに倒れる。まだ掴まれたままの髪が痛い。
 うなじに暖かいぬるぬるした感触のものがあてられてそこでほとばしった。
 髪……髪にかかっただろうか。病院暮らしが長かったけれど、子荻ちゃんほどではないが手入れもしている。大事に、していたのだが。
 首から背中に向かって、ゆっくり伝っていく。
975/5:2005/06/08(水) 00:38:26 ID:ciicL6T6
 ベルトのしめる音がして、ノイズが最初の向かいの座席に戻っていく。僕は今度こそTシャツを、それからブラジャーも一緒にのろのろと下ろした。さらにショーツ。少しずつ動きがなめらかになっていく。
「一定以上の発汗によッテ体の外に出る毒もあル――」 
 体の機能が快復していく。呼吸は落ちついてきた。
 深呼吸。
 僕はノイズを振り向く。
「しかし仕込まれた毒が別である以上、あの女には別の治療がイル」
 その言葉――いや、待て。
「解毒剤はある」
「……」
「飲めば助カル。飲まなければ死ヌ」
 学生帽の下で、彼は不敵に笑った。
 若干だるさを感じるが、一応体は平気、だ。
「解毒剤は――」

 *

「えっとぉ――」
 夜、三十日、澄百合学園跡、無理矢理止まったコブラが不吉な音を立てている。
 哀川さんの声だけが朗々と響く。
「こんなもんでどーよ、いーたん。アタシ的には微妙にすっとした程度だけど、トドメの分は残しといたから、さしてくるか?」
 赤い唇を凄惨な笑みに緩めて、哀川さんは――人類最強の請負人たる哀川潤は僕に合図した。
「……いえ、もう、哀川さんにしていただいた分で十分です」
「そっか。ところで私のことを苗字で呼ぶなよ」
 僕は何度も頷いた。けっこう…容赦ないんだな。
 容赦などはいる隙もない、まっさきのリタイア、だった。
98名無しさん@ピンキー:2005/06/08(水) 01:28:36 ID:+xDu4r1h
>>92-97
GJ!!

ネコソギ中半分読破
いー×絵本とかよさそうな気がした
99名無しさん@ピンキー:2005/06/08(水) 07:56:57 ID:iUa5wn2c
ネコソギ中読んでないんだけど、哀川さんのエロいシーンはありますか?
100名無しさん@ピンキー:2005/06/08(水) 18:17:09 ID:J7WEKk0o
少々ネタバレになるかもしれんが↓









哀川さんほとんど出ないorz
101名無しさん@ピンキー:2005/06/08(水) 18:24:07 ID:wZJMaC6o
  ,、|,、
 (f⌒i 
  U j.|   
  UJ
   :
  ‐=‐
102名無しさん@ピンキー:2005/06/08(水) 23:49:26 ID:zlB8j9gD
でもきっと、哀川さんは裏でえろい調教とかされてると思うですよ。
103名無しさん@ピンキー:2005/06/09(木) 00:04:41 ID:/tywwuL9
それだ!
104名無しさん@ピンキー:2005/06/09(木) 00:15:27 ID:oBVY6mxP
絵本園樹が大好きだ。
105名無しさん@ピンキー:2005/06/09(木) 00:19:09 ID:EpW3jjc/
>>102
それいいな (;´Д`)ハァハァ
106名無しさん@ピンキー:2005/06/09(木) 11:44:41 ID:CPNuU1YG
ネタバレ




崩子ちゃん生き残りフラグキタ━━━━━(゜∀゜)━━━━━━!!
107名無しさん@ピンキー:2005/06/09(木) 23:46:22 ID:fcRzosKT
微ネタバレ

>>106
 でもその代わり(検閲削除)の死亡フラグが……(´・ω・`)ショボーン
108名無しさん@ピンキー:2005/06/09(木) 23:56:37 ID:oBVY6mxP
>>107
ああ、澪標姉妹な。
109名無しさん@ピンキー:2005/06/10(金) 00:16:24 ID:PMg+gnYO
ラスボスは澪標姉妹だよ
110名無しさん@ピンキー:2005/06/10(金) 00:21:51 ID:HWUktZZX
哀川さんが橙にボコボコに痛めつけられる描写が20ページ分ぐらいはあるかと期待してたのに、ひどいや
111名無しさん@ピンキー:2005/06/11(土) 00:39:20 ID:efoDT41E
ひかりさんの誘惑はスルーなのか
112名無しさん@ピンキー:2005/06/11(土) 01:28:52 ID:nf7ZwXQh
何故だ!!?
何故「直接的な性交渉は七年ほど〜」
というまさにこのスレの為にあるようなネタがあるのに誰も活用しないんだ!!??

というワケで珍しい「戯言使いのお兄ちゃん×崩子」を激しくキボンヌ!!
113名無しさん@ピンキー:2005/06/11(土) 09:58:28 ID:8t90teB4
>>112
 待て。

 それはネコソギ時点での「いーちゃん×崩子ちゃん」なのかそれとも「七年後いーちゃん×七年後崩子ちゃん」なのか。
 そして後者をキボンする俺は少数派なのか!?
114名無しさん@ピンキー:2005/06/11(土) 18:24:16 ID:QWiIuZul
俺は現時点での崩×いーをキボンヌする。
前スレにSSがあったが、アレは非常に宜しかった。燃えた。

ちゅーかグリーン×3さんは、もう来ないのかな……(´・ω・`)
115112:2005/06/12(日) 02:04:48 ID:9qcMDRK+
>113
どちらでも美味しく頂けるが
あえて後者を選ぶ漏れ。
前スレ見てなかった……
友人に感化されここ一週間で一気に読破(ネコソギ(中)はまだ)したからな。
ここの存在を知ったのもつい最近だ。

>114
そんなに良かったのか……
羨ましいのう(´・ω・`)
116名無しさん@ピンキー:2005/06/12(日) 08:47:36 ID:9RMs0Nnr
>>115
 確か保管庫で読めたと思うよ。ここ単体のは無いけど、エロパロ板全体のSS保管庫みたいのがあったはず。
117名無しさん@ピンキー:2005/06/12(日) 13:53:23 ID:zjFmuPhI
鯖移転に気づかなくて前スレ667ぐらいで数ヶ月止まったままだった俺が来ましたよ

前スレを下さい・・・
118名無しさん@ピンキー:2005/06/13(月) 08:54:54 ID:JeUqWYhd
前スレの最後は重複スレ云々でぐちゃぐちゃ混迷してたからss読むだけなら保管庫行ったほうが…
いやあげ方わかんないだけなんだけどね。
119名無しさん@ピンキー:2005/06/13(月) 10:35:28 ID:MSON57e9
了解、そうしておきます。
まとまってると読みやすいんだけど、ハァハァレスが無いとなんか寂しいなw
120名無しさん@ピンキー:2005/06/13(月) 20:08:51 ID:CvaNF8ib
いーちゃん×メイドver○○○○+ひかりさんとかどうよ
121名無しさん@ピンキー:2005/06/13(月) 21:21:03 ID:Ih2krFQw
いーちゃん+メイドver○○○○×ひかりさんでなくて?
勿論どちらもハァハァですよ
122名無しさん@ピンキー:2005/06/13(月) 22:28:40 ID:N9KgOi4H
「いーちゃんメイドver×ひかりさん」と見間違えた
123名無しさん@ピンキー:2005/06/14(火) 01:57:41 ID:8TkpX2C4
>いーちゃんメイドver
むしろそっちの方が俺は(・∀・)イイ!
124名無しさん@ピンキー:2005/06/14(火) 03:17:40 ID:BxNLxAvO
「ダメですよ、その格好をするからには、私の事をご主人様と呼んでくださらないと」
とかいじめられる訳ですなぁ。

むはぁ
125名無しさん@ピンキー:2005/06/14(火) 04:21:47 ID:AKudpDmt
>>102お前天才だな。
126名無しさん@ピンキー:2005/06/14(火) 14:19:27 ID:pIazw9kR
大人版の崩子ちゃんのエロSSマダー?
127名無しさん@ピンキー:2005/06/14(火) 20:23:59 ID:w3kkQXAu
小唄さんのデニムに包まれたお尻に顔を埋めたい人

128名無しさん@ピンキー:2005/06/14(火) 21:32:15 ID:R3QhudEJ
そこで放屁されたい人、挙手(・∀・)つ
129名無しさん@ピンキー:2005/06/15(水) 06:21:04 ID:bTxnT5Xk
いーちゃん×絵本

言ってみただけとです…
130名無しさん@ピンキー:2005/06/15(水) 19:28:03 ID:fdL+lKhR
読み終えてなんつーか、萌太にいい思いさせてやってくれ
もふもふ
131名無しさん@ピンキー:2005/06/15(水) 22:50:12 ID:bmXPFTGf
萌太×いーちゃん♀
とか
萌太♀×いーちゃん
とか


前提で既に何か違う気がするが…
132名無しさん@ピンキー:2005/06/15(水) 23:02:31 ID:WQQAw1jU
>>131

お前は俺か?
133名無しさん@ピンキー:2005/06/16(木) 00:04:19 ID:D873rYAP
萌×みいこさんで。
134名無しさん@ピンキー:2005/06/16(木) 00:08:30 ID:tdrDrADw
むしろみいこさん×萌太な気ガス
135い―ちゃんの鉄柵?:2005/06/16(木) 18:43:32 ID:2nkYO412
「よろしければ名前、教えてくれませんか?」
「ああ、ぼくは今まで本名を――」
 と。
 そこまで言ってから何気なく、校舎の二階の窓から下界を見る。
 そして発見してしまった。ここに居てはいけない人物を、こんなところでウロウロしていてはいけない人物を。
 紫木一姫。
 まさか、ぼくの事を心配してか? だとしたらどこまで…………どこまで。
「どうかしましたか?」
 いつまでも視線を下界に向けたままのぼくを、不審に思ったのか子荻ちゃんも隣に並んで、窓の外を見ようとする。
 まずい。
 成り行きでこうして子荻ちゃんと一緒にいるが、正直ぼくはまだ、どっちをはたして裏切ろうか決めかねていた。
 出来るならば、もう少し、あとちょっと、あとちょっとだけでいいから、曖昧に、いつもどおり曖昧に保留させて欲しい。
 でもじゃあ、一体全体どうすれば。
 頭が混乱する。混濁する。くるくると狂いそうになる。
 だがこんなとき、自分でも予想外だったが、人間の身体とは無意識に………………無為式に。動いていた。
「子萩ちゃん…………」
「はい?」
 一瞬だったと、思う。
 ぼくは隣に並ぼうとした子萩ちゃんの肩に手を置くと、なんの警戒もなしにこちらに向けられる、桜色の唇に唇をそっと重ねた。
136い―ちゃんの鉄柵?:2005/06/16(木) 18:44:34 ID:2nkYO412
“チュッ”
 おそらくは、否、否否、こんなとびっきり偏執的と言ってもいい閉鎖された学園ではあるが、世間一般の建前上は超々の超お嬢様学校。
「…………はい?」
 まず初めてだろう、他人との唇の接触に、《策師》萩原子萩は目をパチクリさせると、非常に間の抜けた返事を寄越した。
 ぼくはそんな初心な反応を見せる子萩ちゃんを、頭をクラクラさせながら眺めつつ、目の端ではしっかりと窓の外を確認する。
 姫ちゃんは、まだウロチョロしていやがった。
 こちらは猛獣の尻尾を踏みつけるような心境で、ありもしない勇気をふりしぼってフォローしてやっているというのに。
 でも、ま、このスリルが堪らないと感じる自分が確実に居たりする。さすがに救いようがない…………………………この欠陥製品は。
 ならば、ならば、ならばどうせ欠けているのならば、子萩ちゃんに壊されるまでは、終わらせてもらえるまでは、フォローしてやるか。
「子萩ちゃん…………」
 さっきよりもゆっくりと、肩に置いていた手を廻して抱くように引き寄せながら、ふたりの距離を、ふたりの唇の距離を詰めていく。
 瞳に。子萩ちゃんの瞳に映っているのは、ぼくの(女装している)姿と戸惑いだった。そこに拒絶は…………今のところはない。
“チュッ”
 ふたりの唇がまた重なった。
 一度目はこちらもなにがなんだか、必死すぎて感じる余裕などあるわけもなかったが、《策師》の唇は喩えられない柔らかさだった。
 子萩ちゃんは目を大きく、はっきりと驚愕で見開いている。もちろん、それがわかるぼくも、目は開けていた。
 でも理由は子萩ちゃんとは違う。胸はドキドキしているが、頭はひどく醒めてきていた。
 どうやらこんなときでも、ぼくは目を閉じないらしい。
 子萩ちゃんの意外なほどにほっそりとした身体を、長く綺麗な髪の毛を梳くようにしながら、巻き込むように抱き寄せて位置をずらす。
 これで姫ちゃんの姿は、子萩ちゃんには確認出来ないはずだ。
137い―ちゃんの鉄柵?:2005/06/16(木) 18:45:38 ID:2nkYO412
「ン……む……ん―…………」
 それでも保険は一つよりも二つ、二つよりも三つの方がいいだろう。
 より密着度の増した唇。
 真一文字に閉じられていたが、僅かではあるが子萩ちゃんが開いたのを見逃さず、ぼくは舌をスルリと差し込んだ。
 我ながらこれは。ほんの少しだけ。久方ぶりに自分で自分を褒めるという、なんとも独り善がり、エゴ丸出しの行為をしたくなる。
 不躾に口内へと侵入してきたぼくに、あの子萩ちゃんが怯えた様に逃げ回っていた。
 しかしこの鬼ごっこは、当然だが結果は、《策師》足りえないぼくにでもわかる。狭い口内のどこに逃げようというのか。
「んむッ………ふぅ……んンッ……んぅ…………」
 それはぼくを愉しませるだけで。子萩ちゃんの舌はくねり・絡み取られ・嬲られて、好き放題に戯言遣いに蹂躙されるだけだった。
 さらに唇を覆い被せるように顔を傾けて、唾液を流し込んでみたりもする。
「んぅッ!?………むぅッ、むぁッ……んンッ!?………………ううッ……むぅ………んッ………んン…………」
 後頭部はガッチリ押さえて逃げられない様にしているので、子萩ちゃんにはどんなに厭でも、回避する策戦などあるわけがない。
 観念した様に喉がこくりこくりと小さく鳴り、唾液を嚥下しているのが、唇を触れ合わせたままのぼくには振動でわかった。
 悔しそうに顔を顰めながら、いつの間にか背中に廻された手が、ぼくの制服をギュッと掴んでいるのが、なんとも言えず可愛らしい。
 そしてそこに輪をかけて、この戯言遣いが可愛らしいと思った仕草は。
「…………あ!?」
 遊ぶだけ遊び、愉しむだけ愉しんで、自分勝手に引き抜いたぼくの舌を、子萩ちゃんの舌が目一杯のばされて追い掛けてきた。
 無論。子萩ちゃんはすぐに舌を引っ込めはしたが、ぼくから目を逸らすと、顔を耳まで一気にカァ――ッと赤くさせる。
138い―ちゃんの鉄柵?:2005/06/16(木) 18:46:33 ID:2nkYO412
 可愛い。
 じっとぼくがその顔を見つめると、目を合わせられないのか、あっちこっちキョトキョトと挙動っていた。
 そのくせに、ぼくの方から視線を外すと、その切れ長の目は鋭く険しくなる。
 可愛い。具体的には骨董アパートに持って帰りたいくらいに可愛い。制服の上からエプロンをつけて、手料理を作ってもらいたい。
「子萩ちゃん、ぼくは好き嫌いはないから」
「はい?」
 小さく子供っぽく、子萩ちゃんは首を傾げる。
 ま、いくら《策師》でも戯言じみた妄想までは読めまい。もっとも読んだら読んだで、その扱いにはたいそう困るだろうが。
 しかし、とりあえずそれはそれとして。
「子萩ちゃん、動かないでね」
 ぼくは身体を子萩ちゃんから、ほんの少しだけだが離す。そのまま身体を、ゆっくりと沈ませた。

続けそうだったら続きます。
139名無しさん@ピンキー:2005/06/16(木) 20:37:19 ID:HCAbDfBd
乙!
140名無しさん@ピンキー:2005/06/16(木) 20:46:36 ID:sZqrGwG/
キスだけでちんちんおっきした。
141名無しさん@ピンキー:2005/06/17(金) 10:04:38 ID:27UhYB+S
ん? 零崎双識って死んじゃったの?
142名無しさん@ピンキー:2005/06/17(金) 15:15:59 ID:G4ouQ0rg
アレで生きてたら男塾になるな
143い―ちゃんの鉄柵?:2005/06/18(土) 15:43:07 ID:VngTwn2W
>>138の続き

 両膝ついて中腰になる。
 見上げると、見下ろす子萩ちゃんと目が合った。ただそこからは、なんらの威圧感も感じはしない。
 睫毛こそふるふると震えてはいるものの、ぼくの言った事を守ってくれているのか、子萩ちゃんは微動だにしなかった。
 ドキドキと喧しかったぼくの心臓の鼓動が、さらにヤバいスピードでペースアップする。
 考えてみればこれだけ素直に、ぼくの言う事に従ってくれる女性は、うん、はじめてかもしれない。
 なにしろ人類最強の請負人やあの島の占い師を、わざわざ例に挙げるまでもなく、ぼくの周囲にいる女性はクセの強い人ばかりだ。
 その上に皆が皆、美人ぞろいなものだから始末が悪い。
 ぼくもそんな人達に苛められるのは、決して嫌いと言うわけでは、むしろ好きだが、どんな御馳走も毎回では胃にもたれる。
 それこそあの島の料理人の様に、メニューはバランス良く出して欲しい。
 だからそんなわけで、子萩ちゃんの様に頭が切れるのに、ぼくに従順といった存在は、なんだかとてつもなく新鮮だった。
 頭が切れる。ふっと浮かんだやつがいたが、あいつの場合はぼくに従順とか、そういった次元ではない。
 と。
 それはともかくとして、子萩ちゃんが言う事を聞いてくれるのというのであれば、言う事は、言いたい事は………………いっぱいある。
「じゃあ、子萩ちゃん………………スカート、捲ってくれないかなぁ」
 ぼくはまた一つ、人間として大事なものを失った気がしたが、そんなものは気にしない。
 元々欠けているものの方が、圧倒的に多い欠陥製品。今更そんなものを一つや二つ失くしても気にしない。
「はい?」
 それがあまりにも、想定外だったからだろう。
 子萩ちゃんはさっきからずっとこればっかりだが、咄嗟には言葉の意味が理解できなかった様だ。
「スカート、自分で捲って」
 だから戯言遣いは珍しくも親切に、もう一度子萩ちゃんに言ってあげる。
 そして三度目はいらない事は、《策師》の肌の色が教えてくれた。赤くなっていたのに、その上からまた羞恥の色を塗りたくる。
 見ると子萩ちゃんの唇が、わなわなと震えていた。
144い―ちゃんの鉄柵?:2005/06/18(土) 15:44:20 ID:VngTwn2W
 いかん。お嬢様の持つハイエンド・クラスの矜持の高さを、ぼくは見誤ってしまったのかもしれない。
 なにしろ子萩ちゃんの指先は、スカートの裾を白くなるくらいに、感情を抑え込もうとする様に、思いっきり握り締められている。
 ここで終わりか。終わらせてもらえるか。あと少し。そんな未練がない事もないが。
 本望――――かどうかはわからない。後悔――――はそれこそ後からするものだ。
 子萩ちゃんの手で終わらせてもらえるなら。それは悪くない。まだ窓の外に姫ちゃんが、ウロチョロしているかどうか定かではないが。
 戯言遣いに出来るのはここまで。
 そこからは我らがヒーロー、哀川潤の活躍に期待しよう。次回作の赤い請負人シリーズにご期待くださいだ。
 などと。ぼくが心の中で哀川さんにバトンを渡そうとしたとき。
 スカートの裾を握ったまま、子萩ちゃんの手がそろそろと動きはじめた。
「…………子萩ちゃん」「………………………」
 何も。《策師》は何も答えない。
 顔を俯かせて、スカートを自分の手で捲る、そのハシタナイと言っていい行為に没頭していた。いや、逃避しているだけか?
 だが。子萩ちゃんの思いがどの辺にあったとしても。
 そろそろと捲られるていくスカートは、そろそろ下着が覗ける地点に到着しそうだ。
 しかしそこで。子萩ちゃんは手を止めると、ゆっくりと俯かせていた顔を上げてぼくを見る。
「…………見たいですか?」「ええ、物凄く見たいです」
 ぼくには珍しく間髪入れずに、人間失格でも反応できないだろうスピードでもって、これも珍しく、素直な答えを返した。
「………………………」「………………………」
 そしてしばし、沈黙が空間を支配してから。子萩ちゃんの手の動きが、意を決したように再開される。
 チラッと。微かに白い布地が見えた。
 一瞬、いや半瞬だけ、躊躇う様に手が止まったが、子萩ちゃんはギュッと目を瞑ると、迷いを振り払うように腰まで捲り上げる。
145い―ちゃんの鉄柵?:2005/06/18(土) 15:45:32 ID:VngTwn2W
 ぼくの目はその一点に奪われた。
 白い。そこは何の変哲もなく、何の捻りもなく、ただ白いだけだ。なのにその白さから、ぼくは目が離せない。
 これが例えばシャツの白さであれば、何ということもなかったろう。
 でも少女の秘密を覆っているというだけで、この白さは代理の利かない、かけがいのない色になったのだ。
「……ふぅ」
 ここまで考えてちょっと眩暈がしてきた。自分がまともではない自覚はあったが、このイカれっぶりはいっそ天晴れかもしれない。
「…………戯言だけどね」
 いつも通りに思考を中断すると、ぼくは目の前にある白さと、仄かにする少女の匂いに誘われて、顔をゆっくりと子萩ちゃんの秘密へと
近づけた。


コメントくれた人ありがとう。続くかも。
146名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 16:43:32 ID:6YmpAXOr
超GJ!子荻タンカワエエ・・・(´д`*)ハァハァ 乙です!!
147名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 17:52:37 ID:Hf6pZ/lo
GJ
電車の中で静かにハァハァしてまつ
148名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 23:04:51 ID:sTkCoJh5
(;゚Д゚)<えぇい!!続きは!続きはまだか!!!??

蝶GJ!!
149い―ちゃんの鉄柵?:2005/06/21(火) 00:01:45 ID:oBPU5AWA
重大で恥ずかしいミスを発見。子『荻』ちゃんが子『萩』ちゃんになってました。みっともねぇ。

>>145の続き

「ん…………」
 ぼくの息が当たったからかもしれない。子荻ちゃんの身体が、鼻に掛かった呻きを洩らしてぴくりと動く。
 それを合図にして。
“ぺちゃ……”
「んンッ!?」
 ぼくは子荻ちゃんの、女子高生の若さに裏付けされた、張りのあるなめらかな内腿に舌を這わせた。
 唾液のヌメ光る航跡を引きながら、丹念に丹念にフトモモを舐める。
 すると。
「ううッ………くぅんッ…………んンッ………ん…………」
 スカートの裾は健気に掴んだままで、子荻ちゃんはモジモジと、身体を振って逃げようとするが。もちろんの事そうはいかない。
 ぼくは執拗に子荻ちゃんを追いかける。
 こんなに自分から、率先してアクションを起こすのは久しぶりだ。
 情に流されず状況に流される。それがぼくを現す言葉だったはずだが。うん、俄然萌えてきた。《策師》最高っ!! 叫びたい。
 そしてそこまでこのぼくに、この戯言遣いに言わせた子荻ちゃんに、敬意を表す事にした。
 窓枠に身体を寄り掛からせると、右足を掴んで軽く持ち上げる。
 子荻ちゃんのちょっと不安そうな視線を、つむじの辺りにビシバシ感じるが、あえてそれは無視。
 ブーツを脱がし、少し蒸れている靴下も脱がすと。
「あッ!?」
 ぼくは小さく可愛らしい爪を生やした足の指を、何の迷いも躊躇いも見せずに口に含んだ。
 一本一本を丁寧に、指の股の間まで舐めしゃぶる。
 エラいスピードでもって、ぼくのモラルの井戸は枯れていこうとしているが、そんなものは上等だった。底に何があるのか見てみたい。
150い―ちゃんの鉄柵?:2005/06/21(火) 00:04:28 ID:oBPU5AWA
「ンッ、ンッ…………ふぅッ……はぁ……んぁッ…………んンッ………ぁッ…は……ああッ……あ……………」
 子荻ちゃんも満更ではない様だし、このままこっち方面に突き進んでも問題はないだろう。
 右足を一先ず置いて、左足を掴んだときなど、本人は気づいているのかいないのか、ぼくの手は添えてるだけで、子荻ちゃんは自主的に
足を上げていた。
 こういう変態チックなアプローチは慣れたら怖い。クセになりそうなエクスタシーというやつだ。
 指を舐めながら子荻ちゃんを盗み見ると、その瞳は妖しい光を放ち恍惚としている――――様にぼくには見える。
 子荻ちゃんの背筋には今走っているんだろうか? 指を舐めるたびに、ぼくの背筋を走っているのと同じ、ぞくぞくしたものが。
「ふぅッ……んンッ……あ…うぅッ……んッ……はぁッ……ン……んふぁ…………あッ……んッ……んふ………はぁ……………」
 下唇を噛んで声を殺そうとしているが、叶わず洩れてぼくの耳朶を打つ可愛い声。
 その声に操られるように、ぼくの舌は指から離れると、ふくらはぎ、膝の裏、内腿を通って、足の付根、いよいよギリギリに達した。
 少女の秘密を覆う、薄く頼りない布地。
 そこから感じる熱と匂いは、さっきよりもあきらかに強い。
 ぼくは大口を開けると、下着ごと、子荻ちゃんの秘密の部位にむしゃぶりついた。
「ふぁッ!?」
 不意を突く。意表を突く。裏を斯く。ぼくはこんな事を生まれてからずっとしてきた。
 でもこの学校に足を踏み入れてからは。《策師》萩原子荻に出会ってからは。どれもこれも、やりたい事をやられっ放しだった。
 突発事項に助けられて突き飛ばしたりとか、口八丁で身の安全を図ったりはあったが、こんなに見事に子荻ちゃんにアンブッシュが
決まったのははじめてである。
 子荻ちゃんは身体をくの字に折って、ぼくの頭を抱え込んだ。
 結果。子荻ちゃんのもう一つ唇と、ぼくの唇は、そりゃあもう熱烈な接吻をする事になる。
 少女に、それも子荻ちゃんの様な《美》少女にキスをされて引き剥がせるほど、ぼくは紳士では、自信満々絶対確実にありえない。
151い―ちゃんの鉄柵?:2005/06/21(火) 00:06:24 ID:oBPU5AWA
“むにゅ…………”
「んぅッ!?」
 この常識外れの学校で鍛えられているだけあって、子荻ちゃんのお尻は引き締まっていたが、決して柔らかさを損なってはいなかった。
 ぼくは両手でその柔らかいお尻を掴むと、ワイルドに子荻ちゃんの身体を引き寄せる。
 デフォルトで常に二、三本切れている線が、今のぼくはなんだか、余裕で七、八本はイッちゃってる気がしてならない。
 舌をのばすと腿にした様に、少女の秘密の裂け目、秘裂を上下に優しく、丹念に丁寧に根気良く舐める。
「ひッ!?………あ…あ……んぁッ………ふぁッ…………ぅんぁッ……………うぁあッ!!」
 空っぽの空洞の癖に誇り満々――――似たもの同士。そんな風に《戯言遣い》と《策師》のふたりを評したのは哀川さんだが。
 だからかもしれない。
 ぼくの経験ゼロの拙い舌遣いにも、膝をガクガクさせながら艶やかな声を上げる子荻ちゃんは、ひどくちっぽけな自尊心をくすぐる。
 ずるずると壁に身体を預け、力なく崩れ落ちていく子荻ちゃん。そのスカートに頭を突っ込んでいるぼく。
 人には絶対に見られたくない姿だ。
 そしてこんなときに限って、あの人は颯爽と、それもメチャクチャ格好よく現れたりするのだ。
 ぼくは目だけで右を見る。よしっ。いない。左を――――
「にゃぎ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
 向こうとしたが、その前に動物チックな変な声と、ドタドタと慌てて去っていく足音が聞こえる。
 ネコ?………………じゃないよなぁ。
 だがとりあえずは、哀川さんも未確認生物も誰も居ないのを確認して、ぼくは子荻ちゃんの腰の両端、下着の細くなっている部分に
おもむろに手を掛けた。


今回はここまで。二次創作くらいは死亡フラグを解除。
152名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 00:13:56 ID:1bo02Ud1
>>151
GJJJJJJJJJ
リアルタイムで読めた、そしてえちさに感動した
未確認生物は姫ちゃんでいいのかな?
153名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 06:22:49 ID:kf1k9P4U
G J ! G J !
154名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 21:01:48 ID:vynSe5tD
vol2だそうだけど、前スレのログ誰かもってない?
Open jane α 0.1.12.2 を使ってます
155名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 21:48:15 ID:ZL3yZFTj
ほっしゅ
156名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 06:37:51 ID:SMAYt/Vp
ほっす
157名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 23:30:50 ID:eMljbUPq
ふと思った。包帯でしめつけていながらあの胸の大きさ、るれろさんは巨乳ではないかと
158名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 00:17:21 ID:/N/8Ez/D
>>154
一応持ってるよ。0.111.1だけど。
159154:2005/06/30(木) 17:45:59 ID:WewG5unB
>>158
どこかに上げてもらえませんか?
160名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 04:34:15 ID:iKTjf/zV
>>157
包茎に見えた。ふたなりかよ
161名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 01:36:30 ID:ejWuGg1Y
ふたなりるれろに犯られるいーたん
162名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 14:32:19 ID:A4WpJR9s
そこに狐が登場
163名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 15:14:25 ID:FPHiLztI
狐さんは馬並絶倫ですよ。
164名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 18:52:42 ID:WIQ1U6ak
>>163
けど早そうだよな。
165名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 00:06:42 ID:gfWdCQ05
年だから体力が(ry
挿入するまでが長いとみた
166名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 08:50:11 ID:bRbNQ5BB
ここかここか?ここがええのんかー By狐仮面
167名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 12:13:52 ID:chneLUvW
『ここがええのんかー』ふん。
168名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 17:41:20 ID:J4JZA13e
狐さんはどっちを攻めてるんだ?
169名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 22:40:36 ID:mZpY4eW+
いーたんを攻めているフタナリるれろさんに突っ込む狐。
170名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 03:07:46 ID:/ElQqi+n
いーたん女なら前も後ろも上もおいしいじゃないか
171名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 19:38:30 ID:uaDzvZNB
前、後ろ、上、、、四人いないか?
172名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 21:35:13 ID:9jhI0h8X
そういや、狐さんは実の姉孕ましたんだっけ。




今更、娘に躊躇するか?
173名無しさん@ピンキー:2005/07/10(日) 16:08:57 ID:mxWfhE2S
するはずがない
174名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 12:40:43 ID:afjdTc0t
鉄柵続きまだー?
175名無しさん@ピンキー:2005/07/12(火) 21:59:09 ID:xonGRMVY
誰か、病院坂さんを書いてくれる猛者はおらんかのぉ
……淫語マシンガン
176い―ちゃんの鉄柵?:2005/07/12(火) 23:10:48 ID:JsZohLzE
>>151の続き

 頭をスカートから抜き取り顔を上げると。もう肩を緩やかに上下させ、はぁはぁと呼吸を整える子荻ちゃんと目が合う。
 ぼくの喉がこくんと生唾を呑み込んだ。その音は子荻ちゃんにも聞こえたんじゃないかというくらい大きい。
「ちょっとだけお尻、上げてくれるかなぁ」
 お願いすると子荻ちゃんは、素直に応じて腰を浮かせてくれる。
 真っ赤な顔で目線を逸らすのが堪らなく可愛い。またまた激しくやばく、胸がドキドキしてきた。震えるほどビ〜〜〜〜ト!!
 相手を脱がすという行為は、動物の世界でいえば、獲物に舌なめずりする様なものだろう。
 トドメを刺さずに舌なめずりは三流。そんな格言だか何だかは聞いた事があるが、この愉悦をぼくに放棄させる説得力には欠けていた。
 するすると滑るように、ぼくの手で脱がされる子荻ちゃんの純白のパンツ。
 …………やっぱりこの魅力に逆らうのは、うん、ぼくには無理だ。そもそも逆らう気ゼロだし。
 右足から下着を抜き取ると、左の足首にクルンと絡めたりする。なに。しがない戯言遣いのちょっとしたこだわりですよ。ええ。
177い―ちゃんの鉄柵?:2005/07/12(火) 23:12:15 ID:JsZohLzE
 膝小僧に手を置いて力を込める。
“グッ………ググ…………………ググッ……………”
 逆らおうという気はないだろうが、やはりそこは温室、とはとてもこの高校いえないが、間違いなく純粋培養で育った可憐な乙女。
 防衛本能が働いたみたいだ。
 内腿をぷるぷると震わせて抵抗する子荻ちゃん。なんともぼくの嗜虐心を煽ってくれる。
 色っぽく眉間にシワを寄せながら、無駄ぁ無駄ぁ無駄ぁ、な抵抗を試みたりしてくれていた。今のぼく。アドレナリン・ハイ。
 そしてそんな、いつもより過剰にエネルギーをチャージしているぼくに、肉体的には一般人の域を出てない子荻ちゃんが適う訳もない。
 解剖されるカエルのように無様な格好をさせて、フトモモをペタンと床に付くくらい開ききる。
「あ……ああ…………はぁ…………」
 見られた。終に《戯言遣い》に《策師》は秘密を見られた。何とも切なげで色っぽいため息が唇から洩れる。
 毛がチョボチョボと、見苦しくないくらいに生えている子荻ちゃんのアソコは、もう綺麗に綻んでいて、ぼくの視線を感じてなのか、
粘度の低そうな愛液を溢れさせて、涙を流すみたいに内腿を滑り落ちて床を濡らしていた。
「…………………………」
 人間の外見の美醜などといったものは、所詮は皮一枚の価値しかない。
 剥いでしまえばそこには戯言を挟む余地などはなく、皆公平に、真実一欠けらの差別も区別もなく、グロテスクな肉の塊のはずだ。
 ならばこれはどういうことだろう? 今こうして戯言遣いの目を釘付けにしているものは、形状としては傷口と変わらないのに。
 どうしてこの鮮やかなピンク色の粘膜は、こうまでぼくを惹きつけるのか。わからなかった。まるでわからなかった。
 それはきっと理性などではなく、DNAに刷り込まれた、本能で感じる美しさなのだろう。 
 しかしそんな怪しげな結論を出しながら、それだけではないだろう、そんな確信めいたものがぼくにはあった。
178い―ちゃんの鉄柵?:2005/07/12(火) 23:13:29 ID:JsZohLzE
 魅入る。女子高生の。《策師》の。なにより子荻ちゃんの秘密だからこそ。魅入る。
 学術的な理由がどうあれ、ぼくがぼくを納得させる為のロジカルは、サイコなロジカルはそれで充分。それだけで十全だった。
「…………………………」
 極限までに細められた見えない糸に操られたかのように、ぼくは無言で子荻ちゃんの秘密へと手を伸ばす。
 我ながら随分と情けない事に、パンチドランカーの如く震えている二本の指先を、不思議に柔らかな秘唇に引っ掛けた。
“くぱぁ……”
 子荻ちゃんの秘めやかな唇を開くと、濡れ光る女の子の粘膜、その奥までが視覚に飛び込んでくる。
 女性のヌードを見たことはあるが、蒼髪娘を風呂に放り込むときは、さすがにこんなディープ箇所までは見やしない。
 誇張ではなくジ〜〜〜〜ンとぼくの胸は熱くなった。
 もっと近くで見ようと顔を寄せると、息が当たったからなのか、子荻ちゃんがひくんと身体を震わせる。それにぼくは脊髄反射で、
“むちゅッ”
「うぁああッ!?」
 ぼくは秘裂にむしゃぶりついた。
 《策師》の腰をグイッと引き寄せると、慎ましやかな秘唇を掻き分けるように舌先を尖らせて、女の子の粘膜の奥へと侵入させる。
「うッ…うッ…んあッ……あッ…はぁんッ……あ…あぁんッ……ふぁッ…………」
 舌に居場所を奪われた愛液が秘裂から零れ落ち、
“ちゅるん・じゅう・ちゅく・ちゅく・ちゅく…………”
「はひッ…ひッ……あッ……ひッ……あッ……ぁッ………はぁ……んぁッ……んぅッ!?」
 ぼくがそれを音を立てて啜り上げるたびに、子荻ちゃんの頭は快感にガクガクと何度も仰け反っていた。
 そんな《策師》のあられもない反応に気を良くしたぼくは、立て続けに尖らせた舌先をぬかるみの奥に挿し入れて掻きまわす。
「ふぁッ…あッ……やンッ……あふぁ……ン……んぁ………………はぁ……んぁッ……ひぁッ!!」
 さらに音を立てて嚥下しつつ、ぼくはぷっくりと可愛く膨らんでいる女の子の真珠に吸いついた。
「ンあぁッ……はぅッ……んンッ………あぁんッ……ひッ……うぁッ!!」
 強く吸われて子荻ちゃんは艶やかな悲鳴を上げる。右に左にとお尻は切なげに揺れていた。
179い―ちゃんの鉄柵?:2005/07/12(火) 23:14:53 ID:JsZohLzE
 しかしそれも見様によっては『お願い……もっと………』と、恥知らずにせがんでるようにも見えなくもない――――こともない。
 ぼくはさらにさらに強く吸引しながら被っているフードを、剥いたり戻したり口内で器用にくり返す。
「はひッ…ひッ……あッ……あふぁッ!」
 敏感すぎる快楽神経のカタマリに、集中口撃を喰らった《策師》の身体は、何ともあっけなかった。
 子荻ちゃんのお尻はふわりと浮き上がり、ブリッジをして綺麗なアーチを描くと、ぶるぶると震えている身体をしばしホバーリング
させたてから、ゆっくり静かに力無く床に落ちる。
「…………………………」
 少女の真珠からそっと唇を離して子荻ちゃんを窺うと、その顔はヨダレが垂れたままのだらしのない顔で正体を失っていた。
 それを確認すると、ぼくはさして気にもせずに、愛液でベトベトになった口元をぬぐう。
「…………美味……」
 口の中いっぱいに広がっている子荻ちゃんの味。
 どんな料理人だって再現出来っこない最高の味だ。いい。とてもいい。いいものは決してなくならない。
 ぼくは独立した生き物のように、ひくひくと蠢いている子荻ちゃんの秘裂を一瞥すると、自分の穿いているスカートに手を差し込んだ。
 ここまでくればすることは決まっている。ここまで来てしまえば、いくらぼくでも回り道はしない。
 パンツに(さすがに下着は男物だ)手を掛けながら、この首吊高校に連れて来られてからの、諸々後悔を思い起こしていたが、
「子荻ちゃん……それに…………それに哀川さんに………感謝しなきゃな」
 ぼくは決意を込めてそう言った。ところへ。出待ちでもしていたかのようなタイミングで、ハスキーで男前な声をかけられる。
「素直に感謝してくれたとこで、すぅんげ〜〜悪ぃんだけださ」
「!?」
 後ろを取られた何てものじゃない。
 ぼくは確かに油断しまくっていたろうが、息が掛かりそうなほどの近さ。心臓の鼓動が伝わりそうな距離まで接近を許していた。
 だが警戒なんてものは、この人の前(後ろ?)じゃ何の意味もなさない。
 それはしてもしなくても同じ事だ。
180い―ちゃんの鉄柵?:2005/07/12(火) 23:16:18 ID:JsZohLzE
「男にしてやりたかったんだけど………………時間切れだわ。ごめんねいーたん♪ それとあたしのことを名字で呼ぶなって言ったろ?」
 背中に何かが押し当てられる。
 何か? 
 それは多分。超小型だけれど、しかし黒く四角く重厚な、まるでスタンガンのような物体の先端だろう。
 どすん、鈍い音が響いて、ぼくは子荻ちゃんの胸へと、もちろん狙っていたわけではないのが、顔面から倒れこんだ。
“むにゅ……”
 ああ、絶妙に柔らかいなこのクッションは。もう最高。
「解決編は、いーたんの目ぇ覚めてからしてやんよ」
 そういやぼく、まだ子荻ちゃんの胸にはほんのちょっぴりも触れてないな。くっそぅ剣呑剣呑。
 あきらかに使い方が違う戯言を心中でほざきつつ、ぼくの意識は少しずつ少しずつ溶暗していく。
「ま、そうは言っても。あいつ。何やってんだって訊く前に、どうも純真なお子様には衝撃的なものを見たらしいんだわ」
 まだ何か哀川さんが言ってはいるが、ぼくの耳にはほとんど届いてはいない。
 あ、そうだ。姫ちゃんは、姫ちゃんはどうしたかな? 哀川さんにちゃんと保護されてるのかな?
「勝手にぺラペラしゃべったあげくに逆ギレしやがってさ、これもいーたんのお手柄っちゃお手柄だな。たっぷりお灸はすえといたぜ」
 目が閉じかける。閉じる前に映ったのは、なにやら細い糸のようなものでぐるぐる巻きにされている――――姫ちゃん?
 その小さな身体はときおりびくんびくんと、絶対に子荻ちゃんとは違った理由で痙攣していた。
「今……頑張ったいーたんのご褒……に、……うせ……園はもうダ……だ……ら、策師っ娘をプ……ントだ、やったじゃん♪」
 断片集のセリフでも、何を請負人が言わんとしているかはわかる。
181い―ちゃんの鉄柵?:2005/07/12(火) 23:17:39 ID:JsZohLzE
 拉致って言葉を哀川さんは知らないんだろうか? 何よりそれをした場合、女の子というのが致命的だと知らないんだろうか?
 子荻ちゃんの胸の柔らかさと心臓の鼓動を感じながら、確実にしかもとても厭な形で、ぼくの壊れた物語が加速していくのを確信した。
「……傑作だな」
 意識の消える寸前。奇跡的に呟いたぼくの声に、
「戯言だろ♪」
 たとえ見えなくともわかる。《人類最強の請負人》哀川潤はこれ以上ない満面の笑顔で微笑んでいた。


                                           終わり

ネコソギの上巻までやっと読み終わりましたが、出夢くんと崩子ちゃんは萌えキャラ殺しの餌食になりそうで心配。
久々登場の赤音さん(?)は予想外だったので、創作意欲が刺激されるキャラ。あとメイド姉妹とドクター園樹もキマすね。
読んでくださった方コメントくださった方、お付き合いいただきありがとうございました。書けるようならまた投下させて戴きます。
182名無しさん@ピンキー:2005/07/12(火) 23:49:41 ID:zPP+H0aG
GGGGGJ!!
萌え殺されましたですよ。
つかいっくん行為中テンション高っ!なのも好みでした。
次回策(wを心待ちにしています。
183名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 01:40:10 ID:hJ39dMmA
良い、このSSはとても良いものだ、良いものは決して無くならない。
そしてこのSSを投下した神に対して一言送りたい。
めらぐっじょぶ!
184名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 16:32:08 ID:xRi3OdNA
うお、暫く来ない間に終っていたとは!
ベリベリGJGJ!

しかしそこで終わりとは飼い殺しだうわ何をする子荻ちゃん策はあdsfぎぱhw
185死ぬべき候:2005/07/14(木) 17:49:20 ID:fDvkcEON
い―ちゃんの鉄柵? を読んでくださった方コメントくださった方はどうもです。
ダラダラと次の投下がいつになるのかわからず続くのもどうかと思い、本番にいく前に終わらせましたが、中途半端申し訳ないです。


 喫茶店は昼時を過ぎてかガラガラ。客はぼくらだけ。
 ふたり分の注文を適当に済ませてから、その人は改めてぼくを見る。
 表情は笑っているし、多分そうなのだろうが、いまいちぼくには、彼女が本当に愉しんでいるのかどうかの自信が持てなかった。
 あの最悪の島では彼女に散々に振り回されている。
 それはいまだって。こうして目の前にしているいまだって何も変わらない。
「きみも頑固だな。何もしないと言っているのに。緊張するのは自由だが、そろそろ警戒は解いてくれないか?」
 玖渚の部屋で再会を果たしてはいるが、この人とこうして話しているのは、やはりどこか妙な感じだった。
 幽霊。
 と。ぼくは今のこの人にそんな印象があるが、それはいまも拭えない。
「あのときの真相はきみだって知ってるだろうに。人様の脳を食するなんて趣味は、いくらスタイルがないとはいっても御免こうむるよ」
 まだ。まだいまのところは。園山赤音を名乗る天才は、にっこりと微笑を深くする。
「それを聞いて安心しましたよ」
 ぼくの方はといえば、少したりとも笑わなかった。
 店に入ってからずっと同じ表情。得意だったはずなのに、最近はとかく見破られがちのポーカーフェイスである。
186死ぬべき候:2005/07/14(木) 17:50:49 ID:fDvkcEON
「でも確か。次に会うときは哀川潤になってるって、赤音さん言ってませんでしたか?」
「ふぅ。まったくきみの記憶力は、相変わらずどういう基準でバックアップを取っているのかよくわからんな。つまらん事を覚えてる」
 赤音さんは『やれやれ』といったように首を振った。そういえばあの島でも、この仕草は何度か見たなぁ。
 だがそんなことは覚えていても、もっと大事なことを『覚える』のを『忘れる』ということを、ぼくの脳は忘れない。
 そんな禅問答みたいな構造は、あの島で初めて会ったときから、なんら変わってはいなかった。――――――――欠陥製品。
「ま。わざわざ呼び出しておいて、いまさら繕っても仕方ないから言ってしまうが…………要はまだ自信がないのだよ」
「自信? 何のです?」
 そう訊いて置きながら、ぼくの中では、もうすでに答えは出ていた。赤音さんの現在欲しがる自信など決まっている。
「哀川潤に成り代わる自信……………………いや、確信かな。なにしろさすがは『死色の真紅』だ。情報が圧倒的に少なくてね」
 なるほど。なるほど。それはまぁそうだろう。
 あの人はあっち側の世界ではトップクラスどころか、他の追随を許さないぶっちぎりトップの有名人だろうが。ふむ。
 哀川潤と聞いて思い浮かべるあれこれ。
 赤き征裁、死色の真紅、砂漠の鷹、鬼殺し、なによりもっともベタでポピュラーなのに人類最強の請負人と、数々の異名があるものの、
やはり身内でなければそれ以上は中々調べられないだろう。
 なるほど。なるほど。そこで一応は請負人の身内であるぼくに、赤音さんは白羽の矢を突き立てたということか。
「でもぼくだって。あんまり教えてあげられる情報はないと思いますよ」
 身内に甘いとか、漫画好きとか、他人をやたら過大評価するとか、平気の平左で人を騙すとか、精々がそんなものだ。
 ぼく如きのしがない戯言遣いでは、とてもではないがあの人は語れない。
187死ぬべき候:2005/07/14(木) 17:51:46 ID:fDvkcEON
「いやいやいや。別に哀川潤の恥ずかしい私生活を教えてくれとか、決してそういうことではない」
 当たり前。そんなの知ってしまったら、それこそ記憶を飛ばされるまで殴られるに決まってる。
「リハーサル、といったところかな? 近くで哀川潤を見てきたきみに、わたしの哀川潤を少し見てもらいたいんだ」
「………………はぁ……まぁ……いいですけど…………」
 そんなんでいいのか? モノマネの練習じゃないんだぞ! 
 ん?。ん〜〜〜〜?。ああ、だからか。そう考えればリハーサルしておきたい気持ちもわからなくはない。
 本番で似てなかったら客のブーイング程度では済まないだろう。それはそれは命懸けのモノマネだ。失敗は即ち死を意味する。
「たとえばだねぇ――――」
「!?」
「哀川潤はこんなことを、きみにしたりはするのかな?」
「しませんよ、するわけないでしょ」
 テーブルの下で赤音さんの長い足が、そんな素振りはなかったのに、いつの間に靴を脱いでいたのか、ぼくの股間に当てられていた。
「わたしの集めた情報だと、哀川潤は大層な悪戯好きらしいじゃないか。このくらいするだろ?」
 言いながら足の裏で、グニグニとぼくの股間を赤音さんは刺激してくる。
 テーブルの上では両の指を組んで、顎を乗せてぼくの一挙手一投足を、観察でもするように目を光らせて窺っていた。
「しませんてば」
「でも、きみはされたいと思っている?」
 足の親指だけ立てると、なぜ頭の方は鈍感と人に言われているのに、こうまでこっちの方は敏感なのか、ぼくの言い訳も利かないほど
パンパンに膨らんでいる股間、勃起の裏筋を上から下へ、下から上へと、赤音さんは毛筆で刷ける様に丁寧に撫で擦る。
 ぼくに向けられる視線が、段々と獲物を苛める猫の様なものに変わってきていた。
 なんかこんなとこは哀川さんに似てるかもしんない。
 しかしそれは弱い者を弄ぶというよりは、『頑張れ頑張れもっと頑張れ頑張れるだろ』そんな感じだ。
188死ぬべき候:2005/07/14(木) 17:52:49 ID:fDvkcEON
 だが言われなくとも、応援されずとも、この《戯言遣い》の、それこそスタイルを捨ててでも頑張るつもりである。
 そうしないと帰りはえらいことになりそうだ。この歳でズボンを濡らして後ろ指差されるのは、いくらなんでもさすがに厭過ぎる。
 みいこさんにでも見られたたら、ぼくはきっと彼女の日本刀を奪って腹切りも辞さない。
「死ぬるべき時節には死ぬがよく候、だよ。成長したのは認めるが、我慢はよくない」
 こちらの気持ちを知ってか知らずか(多分知ってる)赤音さんの足の指は器用に、ジ〜〜ッと音をさせてズボンのジッパーを降ろした。
 ひたりと直接ぼくの牡器官に、赤音さんのストッキング越しの足が押し付けられる。
 テーブルの下では一体どんな格好になっているのか、両足でもってしっかりとぼくの勃起を挟んで、激しくシゴキはじめた。
「んぎぐああああぁっぁぁぁぁ……ぁあああああああっ!!」」
 鴨川の土手で壊人に身体を好き放題弄繰り回されたときのような、自分でも思う聞き苦しい悲鳴がぼくの口から洩れる。
 あのときのような、京都中に轟けという様な大きな声ではなかったが、隣りに人がいたらきっとビビッたはずだ。
 そしてぼくの背中にも、ビビッと快感が走る。もちろん駄洒落が言いたかったわけじゃない。
 自分でするときよりもずっと性急な動きに、ぼくは中身の入っているカップを、零しそうな勢いでテーブルに突っ伏した。
 脱力する。その意味は、自分の口からは言いたくない。
 脳裏に蘇る『あなたは一度死んだ方がいい』無口メイドから初めて掛けられたセリフ。お願いします。どうか殺してください。
「うふふふ。…………前にも言ったが、きみが女だったらよかったのにな」
 それ。あのときも気にはなっていたんですけど。それは赤音さんの趣味でしょうか? それとも幽霊さんの方ですか?
 赤音さんは訊けばおそらく答えてくれるだろう。
 だがそんなのはどちらでもいいし、だいたいからぼくは、そんなどうでもいいことを質問出来る状態ではない。
「――――まあいいだろう。きみもひとりになりたいだろうから、これでわたしはお暇するよ。ありがとう。いくらか役に立った」
 本当ですかと訊きたくなったが、そんなわけもない。欠陥製品の《戯言遣い》は気を遣われてしまいましたとさ。めでたしめでたし。
189死ぬべき候:2005/07/14(木) 17:53:44 ID:fDvkcEON
「それじゃあ………………また………」
 音もなく、それこそ幽霊のように気配が消える。それでもしばらくぼくは動かなかった。
 五分、いや十分、もしかしたら三十分かもしれない。ぼくは携帯を出すと、メモリーの一番最初をプッシュする。
「お――っす! い――っちゃん! 今日も僕様ちゃんのこと愛してるっ!!」
「…………友、大事な話しがある」
 言いながらぼくは考えた。
 この広い世界で、玖渚機関にこんな隠蔽を頼むのはぼくだけだと。それでも玖渚友は、ぼくの知ってる玖渚友は笑って許すだろう。
 そこまで考えてぼくは呟く。
「戯言だよな」
 いつもどおりに。しかしこれ。本当に便利な言葉だなぁ。

                                             終わり

冒頭で謝っておいてなんですが今回も本番がありません。申し訳ない。
190名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 18:05:16 ID:BCmylgJw
テラワロス。リアルタイムで楽しめた。


   電車の中だったんだぞ?、、、OTL
191名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 23:01:14 ID:2hm8NG3S
いーたんかわいそうだよいーたん
エロなのに笑いとは此れ如何に
いや、限りなくGJなんですが。

いーたんを喫茶店の外から視姦するしかないじゃないか!!
192名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 00:01:43 ID:fBN/qlz7
GJ!!
193名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 00:28:01 ID:3p3dSVYL
スレタイの足コキがここに来てきたこれ
194名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 00:45:00 ID:UwJKaGbE
子荻ちゃん分が補充できました、GJです!!
できたら髪ズリを子荻ちゃんで…
195真夏の夜の夢:2005/07/18(月) 01:23:09 ID:i+ZrWGlb
死ぬが候 を読んでくださった方コメントくださった方、ありがとうございます。

 眠れない。
 ぼくは寝つきは悪い方ではないが、それには前提条件がある。他人には寝顔を見られることのない状況だ。
 部屋はもうとうに電気は消していて真っ暗。暑いので窓は開け放ち、月明かりがうっすらと射している。
 だが充分。それで充分だ。隣りで寝ているのが誰なのか、認識するにはそれで充分だった。
 ましてやこの程度の生ぬるい闇では、《人喰い》の異名を持つ元殺し屋、匂宮出夢の認識の妨げにはなりえないだろう。
 ただまぁ、眠れない理由はそれだけではない。
 人の気も知らずに、安らかに寝息を立てている出夢くんを、ぼくは闇に順応した目でチラリと見る。
 白い。病的なまでに白い。白すぎる肌。肉付きの薄い胸が、生きているのを証明するように、規則正しくゆるやかに上下していた。
 そして《戯言遣い》の視線は、ある一点へと吸い寄せられる。
 僅かばかりのふくらみの頂に、ちょこんと可憐に鎮座している小ぶりな乳首は、ふるふると儚げに震えている――――ように見えた。
 こんな状況で熟睡出来るやつは男じゃない。
 とはいえ。だから何が出来るという男らしさは、当然自他共に認めるチキン野郎のぼくにはなかった。
 だいいちから、男が女の子にそういったことを致すのを《喰う》などと言ったりするが、出夢くんにそんなことをしたりしたら。
 考えるだけで恐ろしい。それこそ骨まで《一喰い》されて、この世界から綺麗に消えるだろう。
 だいじょうぶ。ぼくはこれでも我慢強い方だ。
 いろんなものを、いろんな醜いものを内側に溜め込んでいるぼくが、一晩程度この悶々としたものを押さえ込めないわけがない。
“ドサ……”
 わけがないんだけど。出夢くん、どうやらあまり寝相が良くないみたいだ。
 まったく。たとえ上半身だけとはいえ、裸の女の子に抱きつかれて何も感じないほどには、ぼくだって男をやめてはいないんだぞ。
196真夏の夜の夢:2005/07/18(月) 01:24:38 ID:i+ZrWGlb
 いくら中身は男とはいっても、その器は可愛い女の子。
 狙ったように首筋に抱きつかれたりしたら、無残な未来の自分の姿なんて知るもんか。そんなのはどうでもよくなってしまう。
 それに真姫さんじゃあるまいし、未来が、物語が確定してるかどうかなんて、誰にもわかりはしない。
 うん。…………そうだ。そうだそうだ。そうに決まっている。
 狐さんだって言っているじゃないか。『してもしなくても同じ事』だと。初めてその考えを、その理論を、全面的に肯定したくなった。
 そんな風にせっせと、ぼくの『天敵』の彼女とぼくを『俺の敵』と呼ぶ男まで引っ張り出して、自身を納得させる為の戯言を構築する。
 ビバッ超能力!! 十三階段万歳っ!!
 しかしそうやってぼくが戯言をほざくよりも早く。
“ドサ……”
 暗闇の急襲第二弾。出夢くんは足を、抱き枕よろしくぼくの身体に絡めてきた。
 しかもしかも。その上にこの野郎。寝苦しかったのか、いつの間にかズボンを脱いでやがる。パンツはボクサータイプの男物だ。
“ギュ〜〜〜〜ッ”
 だからなんでそうなる。
 出夢くんはボリュームのない身体を補うかのように、更に強く押し付けるようにしながら抱きついてきた。
 本当に寝てるんだろうな? 
 首を動かしてその表情を窺おうとしても、出夢くんはぼくの胸に顔を伏せているので、短くなった髪のつむじしか見えない。
 いつ顔を上げてあのぞっとする、《人喰い》の笑顔をしてもおかしくはないのだ。
 そしておかしいことは、現在進行形でもう一つ起こっている。
 ちょうどぼくの股間の辺りに置かれている太ももが、まるで刺激を与えるかのように、しゅにしゅにと小刻みに上下に動いていた。
 もうこれはしようがない思う。若い牡の身体のメカニズムとして、血液が股間の一点に収束する。
 理性で抑えられない感情などはないのかもしれないが、とりあえずここでは、ぼくには無理だということが判明した。
197真夏の夜の夢:2005/07/18(月) 01:26:44 ID:i+ZrWGlb
 どうしようかと迷うようにわきわきと、握って開いてをくり返していたぼくの手は、意を決してゆっくりと出夢くんの後頭部を撫でる。
 それは大型犬の頭を撫でる子供ときっと似たような心境で、噛まれるんじゃないかと、おっかなびっくり丸出しの手つきだった。
「…………………………」
 でも子供という動物は、基本的に忘れっぽい。いや、飽きっぽいというべきか。
 まぁ、なんにせよ対象に区別はない。それが恐怖であれなんであれ。そこに一切の差別はない。
 段々とぼくの手の動きは、大胆なものへと変わっていた。
 指先に髪の毛を絡めたりする。理澄ちゃんもそうだった。あまり手入れはしてなさそうだが、さらさらな手触りの綺麗な黒髪だ。
 弄い堪能しながら、ぼくの手はうなじの後れ毛を嬲り、むき出しの肌の背中に降りていく。
 すべすべだ。ちょっと汗ばんでいるのが、なんだかぼくの胸のドキドキを増幅させている気がする。
 そしてそれがまた。理性の壁を一つ乗り越えさせた。
 ぼくの身体の出夢くん身体との間で挟まってる手。
 それを潜り込ませて細い腰に廻す。背中を撫でている手も肩を掴むと、半身分だけ身体を回転させる。
 出夢くんの身体を完全に、ぼくの身体の上に乗っけた。
 マウントポジション。圧倒的に出夢くんの方が有利な体勢だ。もっともこれが逆だったら、ぼくが有利だなどとはとても思えない。
 現に一度。この体勢になったことはあるが、そのときは、自分で望んだとはいえ、ひどい目にあっている。
 そしてこの欠陥製品の《戯言遣い》が救われないのは、何度でも懲りずに同じ轍を踏むことだろう。
 背中を撫でている手の指先が、ほんの少しだけだが、パンツの中に侵入しようとしていた。てか、指の第一関節まではもう入ってる。
 このままだと背中ではなく、呼称がお尻に変わるのもあとちょっとだ。あとちょっとで――――――。
198真夏の夜の夢:2005/07/18(月) 01:28:16 ID:i+ZrWGlb
“つぷ……”
 頚動脈に八重歯が、いや《人喰い》の牙が突き刺さる。
 そりゃそうだ。おかしいとは思っていた。
 あの出夢くんが。いくら強さゆえの、弱さを一手に担当する理澄ちゃんがいない為の臆病さがないとはいえ、ぼくに身体を弄られて
気づかないはずがない。
 じゃあさっきまでのは一体全体どういう風の吹き回しか知らないが、どうやら触らせってもいいラインが出夢くん的にあるみたいだ。
 そ〜〜っと手をお尻から引き離すと、首筋に感じる力も少しだけだが緩まる。
 じんわりと、ジュクジュクと、破られた皮膚から血が滲み出た。
「はぅ!?」
 ぼくの口から情けない悲鳴が洩れる。ぬろりと傷口を舐められた。何度も何度も丁寧に、しつこいくらい舐められる。
 まるで味見されてるみたいだ。…………………………悪い気分じゃない。
 なにしろ致命傷になるような深いものではないが、結構やばい位置から血を流しているのに、ぼくの牡器官は力強く出夢くんの身体を
下から突き上げていた。
 玖渚と初めて出会ったときから『ぼくはそうなのか?』とは思っていたが、多分そんな曖昧さにトドメを刺したのは哀川さんだろう。
 くそう。ああそうだよ。認めてやる。ぼくは苛められれば苛められるほど燃える変態だ。
“ちゅ〜〜〜〜〜〜”
 ほら。こんな風に出夢くんに思いっきり吸い付かれると、それに呼応するかのように、ぼくの勃起に力がみなぎってくる。
 ふたり汗まみれになりながら、ぼくはせがむみたいに、強く強く出夢くんの身体を抱きしめた。
199真夏の夜の夢:2005/07/18(月) 01:29:34 ID:i+ZrWGlb
「…………………………」
 そして全ての音が遠くなっていく。聞こえなくなっていく。腕の中にある出夢くんの身体が、なんだかひどく冷たい。
 冷たい。冷たい。冷たい。冷たい。つめたい。………………。なんだか、ねむたくなってきた。
 ぼくの意識とぼくの世界が白くなる。
 最後の力を振り絞ってぼくがしたこと。したかったこと。
 出夢くんの小ぶりのお尻を思いっきり握って、ぼくは深い深い、でも決して不快ではない眠りに堕ちていった。

                                              終わり

コメントいただいたレスに『髪ズリ』というのがありましたがそれはどんなのですかね?
200名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 02:03:50 ID:fVkZAZnL
グッジョブッぐっじょぶ!
髪ズリ・・・どうやるんでしょうね?
201名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 03:01:58 ID:dIO/7EXi
子荻ちゃんがいーたんにふぇらちおして、発射してしまった時に
黒髪に白いのが飛び散ってしまう図なら想像できたのだが。

やっぱり棒に髪の毛を絡ませるのかね?
202名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 08:35:53 ID:FzI8AG91
竿に髪を絡ませてしごく……とか?
1は何で足コキはともかく、髪ズリとか入れたんだ…
203名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 20:16:06 ID:PZPYaY/r
GJですわん。

髭ズリよりはいいんじゃね?
「トリートメントなんだよ」とか言いながら
風呂場・いー友・青髪にフィニッシュキボン。
204名無しさん@ピンキー:2005/07/19(火) 21:42:42 ID:KSlfzJmO
なんか本スレに
・巫女子ちゃんが寝てるいっくんの首にひたすらちゅう
 →起きたいっくんの首が鬱血で首絞め跡みたいに
・巫女子ちゃんがいっくんの首絞めながら騎上位

とか書いてあったんだけど
エロスレに書かないと 意 味 な い じ ゃ な い か

本スレエローイ
205名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 01:47:19 ID:bfGwEnaS
髪ズリは長髪の娘に頼むと結構気持ちいいぞ
206名無しさん@ピンキー:2005/07/26(火) 02:33:47 ID:B5MppSWl
保守〜
207MIKE:2005/07/26(火) 03:35:37 ID:HhEGWcuB
 時間収斂、バックノズル。
 それは、起こるべきことは避けようもなく確実不変に起こるという思考。
 だが、そんなものは結局理想論であり想像論でしかない。完全無欠に結果論だ。これ以上ないくらいに戯言だ。
 しかし、何故。
 何故こんなにも、心が、揺れるのか。
 ぼくは思考する。
 仮にそれが真実だったとすれば、この世はどうしようもなく救えない、森羅万象全部が全部、予定調和の茶番劇でしかないという
ことだ。幸福も不幸も努力も怠惰も成功も失敗も未来も現在も過去も生も死も、滑稽で自己満足な喜劇にすぎないということだ。
 この世がおしなべて事もなし、ただあるがままにその時間を収斂させて行くだけのものだとすれば。
 ただ単純に筋書きをなぞっているだけの、数式で表されるグラフのようなものなのだとすれば。
 今ぼくが立っているこの状況──道端で突然現れた女の子に抱きつかれたところをみいこさんに見られた──も、やはり避けよう
のないものなのだろうか。


「…………」「…………」「…………」「…………」「…………」
 沈黙が交錯する。どれが誰発言なのか、いや、誰が誰なのか、いや、自分が誰なのかわからない。
 誰か、三つのボタンを押してくれ。
「……まあ、別にいいけどね」
 そう言って歩き出したのはやはりみいこさんだった。ぼくは咄嗟に追いすがろうとしたがしかし女の子が抱きついているために身動
きもとれず、声をかけようとしたが口を開いた時点で何を言えばいいのかわからず、そしてそのままみいこさんは去って行った。
208MIKE:2005/07/26(火) 03:36:11 ID:HhEGWcuB
 ひゅるー。
 秋にはまだ早いというのに、落ち葉が風に舞ってかさかさと音を立てた。中途半端に(無意識のうちに)差し出した手がこの上なく
哀しい。
「…………」「…………」「…………」「…………」
 そして依然として継続する沈黙。寒い。心が寒い。
 悲鳴をあげる脳味噌をなんとか説得しながら、抱きついたまま電池が切れたように動かなくなった女の子に声をかけてみる。
「…………えっと」
「…………」
「あのー……」
「…………」
「あの、ちょっと」
「…………」
 無反応。
 ちょっとむかついてきた。
「あのっ!」
 ぼくは少し力を込めて女の子を押しのける。
「ちょっと、すいませんけどっ…………?」
「…………ぐー」
「…………」
「…………すぴー」
「…………」
「すやすや……」
209MIKE:2005/07/26(火) 16:15:24 ID:kUJBd2zf
「……寝ている」
 現状をわざわざ口で確認したのは、ぼくの脳味噌が事実を認めようとしないからだった。
 ぼくの脳内の混乱値が遂に臨界点を越えた。
 神様はぼくをいじめるのがそんなに楽しいのだろうか?
 ……なんかもう、やめたくなってきた。人生。
「…………」
 多分にへこたれてもうどうすればいいのか途方に暮れるどころの騒ぎではなくいっそ半泣きになりながら、彼女の身元がわかるよ
うなものを探す。このままここへ放置していくという案がこれ以上なく魅力的に思えたが、もしそんな所を誰かに見られでもしていた
ら、それこそぼくは前科一犯だ。
「ん……これは、定期入れかな」
 ぼくは彼女のパーカーのポケットからそれらしいものを取り出し、
「…………」
 瞬間、無意識下において何か違和感を感じて手が止まる。
 一瞬止まった手を、しかし結局ぼくは状況の打開を優先し、行動を再開した。
 その迂闊さを、後でどれほど悔やむかも知らずに。
「…………」

 そしてその中には、零崎人識の写真が入っていた。


210MIKE:2005/07/26(火) 16:16:27 ID:kUJBd2zf
 京都市内の某ホテル。
 定期入れに入っていたルームキーに従って、彼女を背負ってその一室へやって来た。
 ……さて。
 これからぼくに取れる行動は、実際、多くはない。
 彼女が零崎人識に関係のある人間であることはほぼ間違いないだろう。
 問題は、どちら側なのか。
 その言葉には幾つかの意味が混在している。
「…………」
 ぼくはベッドに横たわる少女の寝顔を見つめる。
 無垢と言っても過言ではないくらいの、純粋な寝顔。
 普通の女子高生のようなブリッツスカートから伸びる、白くて細い足。
 しかし、そこに巻きつけてあるホルスターに収められているもの。
「……やっぱあっち側なんだろうなあ」
 あっち側。
 殺し名。
 死の、世界。
 その足に装着されている無骨な刃物は、彼女が堅気の人間ではないことを声高に主張していた。
 ……殺し名。
 思い出すのは過去に出会った殺し名の異形たち。
 零崎人識、匂宮出夢、匂宮理澄。この少女が、それと同類だというのか。
「そして、二つ目の『どちら側』なのか」
 敵なのか、味方なのか。
 もっとも、そもそも零崎人識がぼくの味方でも敵でもない以上、その概念はあまり関係がないのかもしれない。
 そしてどちらであっても、ぼくの目的にはあまり問題はない。
211MIKE:2005/07/26(火) 16:17:49 ID:kUJBd2zf
 と、その時、ベッド上に横たわる少女が身じろぎをする。
「ん……」
「…………」
 彼女はぼくが見守る中、ゆっくりと目を開き、天井を見て驚いたようにがばりと上体を起こし、次いで周りを見渡したところでぼくを
確認して目を見開き、そして、

 そして足のホルスターから抜き取った刃物をぼくにむかって投擲した。

「なっ……?!」
 事前に身構えていなかったら、確実にそれはぼくの肩を貫いていだろう。辛うじて、間一髪というところでそれを避け、それを確認
したところで、既に二撃目は放たれていた。
「──……っ」
 回避動作どころか声も出せず、彼女が投げた二本目のナイフはぼくの耳の皮を一枚と数本の髪を散らしながら、背後の壁に突き
刺さる。
 戦慄するぼくを傍目に、しかし彼女はぼんやりと虚空を見つめており、そしてふっと、思い出したように言った。
「あれっ、わたし、どうしてホテルにいるんだろ?」
「…………」
 …………。
 遅。
 そして今度はぼくを見て、再度驚いたように言った。
「あれっ、あなたは?」
「…………」
「あ、すいません、わたし寝起き悪くって」
「…………」
 照れながら恥ずかしそうに言う彼女。
 史上最強の寝起きの悪さだった。
212MIKE:2005/07/26(火) 16:18:41 ID:kUJBd2zf
「あ、あのー……何か言ってもらえないと、ちょっと不安なんですけど」
「……ああ」
 ぼくは慎重に言葉を選びながら言う。
「ちょっとね、道端で君が突然寝ちゃったもんだから。持ち物からルームキーが出てきたから、運んできたんだよ」
「ああー、なるほど」
 激しい既視感に襲われながら説明する。納得するってことは心当たりがあるのだろうか。とりあえず信じてもらえたらしい。
「それはどうも、ご迷惑をおかけしました」
「いえいえ」
 ぺこりと頭を下げる少女。軽薄そうな見た目に比べて、意外とよく出来た娘さんだった。
「何かお礼をしたいですけど、何かわたしにできるようなことはありますでしょうか?」
「うーん、そうだなあ」
 どうしようか。ここで訊いてみようか。「零崎人識とはどういう間柄か教えて下さい」とか。
「零崎人識とはどういう間柄か教えて下さい」
「自慢のお兄ちゃんです」
「なるほど」
「はい」

 そう言って、零崎舞織は嬉しそうに笑った。

213MIKE:2005/07/26(火) 16:19:39 ID:kUJBd2zf
 あれから後。
 目を覚ました伊織ちゃんはとりあえずニット帽(赤い冬っぽい感じ。やけに似合っている)をかぶり、伊織ちゃんがおなかがすいたと
言ったのでぼくたちはルームサービスをとることにした。
「ところで、どうしてあなたはお兄ちゃんを知ってんですか?」
 伊織ちゃんが今更ながらぼくに尋ねる。
 ていうか本当に今更だ。
「あー、うん、まあ色々あってね」
「ふーん?」
 あからさまに話をはぐらかすぼくを、不審気に見つめる伊織ちゃん。なんだか品定めされているようだ。
 ……見られるのは、あまり好きじゃない。
「ぼくの顔に何かついてる?」
「いや、別にそういうわけでは、ないですけど」
 けど、なんだよ。
 ぼくは肩を竦めて、ルームサービスのハンバーグ(あんまりおいしくない)を口に運んだ。
「で。お兄ちゃんはなんなんですか?」
「何って?別に普通の歯牙ない大学生だよ」
「普通の大学生は零崎人識を知りません」
「…………」
 いや、流すのか流さないのかどっちなんだよ。
 伊織ちゃん、どうやら相当マイペースな子らしかった。
「うーん、その辺は、話すと長くなりそうなんだけど」
「似てますよね」行儀悪くフォークをぼくに向けながら言う伊織ちゃん。「人識くんと、あなた。そっくりですよ」
「…………」
 その言葉に、思わず言葉に詰まる。
 人間失格と人間失敗。
 殺人鬼と戯言遣い。
 鏡の向こう側。
「やっぱりあなたが人識くんの言ってた『あいつ』なんですね」
「…………」
「髪の短い女性は好みじゃないんですよね?」
 何情報だそれは。
 ていうかフォークで人を指しながら笑顔で喋らないで欲しい。
214MIKE:2005/07/26(火) 16:20:46 ID:kUJBd2zf
 ……どうやらぼくの知らないところで話が進んでいるようだった。
 やがてフォークを下ろした伊織ちゃんは、「へぇー」とか「ほぉー」とか言いながらご飯を口に運んでいる。
 …………。
 訊いてみるなら、今なのかな。
「伊織ちゃん」
「ん?」
「その人識のことなんだけどね。いや、本当はこれっぽっちも興味はないし全くもって関わりたくないしむしろ離れたいんだけど」
「じゃあ訊かなきゃいいじゃないすか」
 そう言ってサイコロステーキを口に運ぶ伊織ちゃん。
 もっともだった。
 弁解の余地もない。
 …………。
「……本当は最高に興味津々だし最上級に関わりたいし心の底から近付きたいんだけど」
「なんですか?」
「あいつってまだ生きてる?」
「はい、恐らくは」事も無げに言う伊織ちゃん。「少なくとも先週までなら、生きてましたけど」
 とりあえず少し安堵するぼく。続けて問う。
「どこにいるのかはわかる?」
「一週間前は、北極に。今は知りません」
「そっか」
 伊織ちゃんの言葉が本当だという保証はないけれど、ないけれども、しかしその言葉は大方においてぼくの予想通りだった。
 死んでいるとは思っていなかったけど、それにしてもあいつ、どうやって哀川さんから逃げ切ったんだろう。少し気になったが、伊織
ちゃんに訊いたところでわからないだろう。
「にしても、なんで北極なんかにいたの?」
「あなたは知ってるでしょう?おにいちゃん、あの哀川潤に追われてたんですよ。で、逃げてるうちにたどり着いたのが北極ってわけ
で」
「……そりゃまた随分大変だったね」
「あなたのせいだって聞いてますけどね」
 あはは、と屈託無く笑う伊織ちゃん。
 まるで普通の女子高生のように笑う。
 とても、殺人鬼には、見えない。
「その時に私と人識君もはぐれちゃったんです。行く当てもなかった私は人識君の言葉を思い出して、それであなたに会いに来たん
です」
215MIKE:2005/07/26(火) 16:22:24 ID:kUJBd2zf
「……でもぼくの家なんて知らなかっただろ?」
「人識君は、京都に行けば必ず会えるって。あなたには変質者牽引能力があるからって、そう言ってましたよ」
「…………」
 どんな評価だ。
 でも、否定できないのが悲しい。
「それに実際会えましたし、そんなことは今となってはどうでもいいんですよ」
「……どうでもいい、か。そんなのはどっちでも同じこと……」
 時間収斂。バックノズル。
 起こることは、避けようもなく必ず起こってしまう。
 だとしたら、これも?
 伊織ちゃんとぼくが偶然に道端で出会うことも、必然的に起こった偶然だったというのか。
「どうかしました?」
「……いや、こっちの話だよ」
 ぼくは箸を置いた。
 さて、目的──零崎についての情報を得ること──は、もう済んだ。
「それじゃ、そろそろぼくはおいとまさせてもらうよ」
「えっ!」
 しかし意外にも伊織ちゃんは、驚いたようにぼくを見た。
「……え?」
「いや、ていうか、私あなたのことを頼って来たんですよ」
「え、そうなの?」
「もうほとんどお金もないし、一人じゃ生きていけませんよ? そんな無力な女の子を見捨てて行くんですか?」
「……えー、っと」
「あなたそれでも男ですか! この軟弱者っ!」
「…………」
 ひどい言われようだった。
 ていうか、セイラさん?
「……いや、ていうかですね、そもそもぼくに伊織ちゃんの面倒を見なきゃいけないっていう義務はないんじゃないかと思うんですよ」
 狼狽のあまり、思わず敬語になるぼく。
「そんな……ひどいっ! ギムなんて、社会に生きる男性ならこんなうら若き少女を助けるのは当然の務めですっ!」
「…………」
 無茶苦茶なことを言われた。
 伊織ちゃん、一度ごねると何を言っても無駄なタイプの子らしい。なんとなく、名前にみが付く子を思い出す。
 ≪みんなで渡れば怖くない、但し丸太橋≫みたいなっ!
「…………」
 逃げ道を失って、ため息をつくぼく。
216MIKE:2005/07/26(火) 16:23:14 ID:kUJBd2zf
 どうやらぼくは、また面倒ごとを抱え込んでしまったようだった。
「……わかったよ」諦めて再び椅子に座る。「但し、ぼくの家は駄目だ。この部屋にいてくれるなら、いいよ」
 そう、それは最低限のライン。
 これでもしこの子を家に上げでもしたら、みいこさんがなんて言うか。
「うう……わかりましたよう」しぶしぶといった感じで言う伊織ちゃん。「でもでも、夜はここに来て下さいね?」
「なんで?」
「私、夜一人ぼっちじゃ寝られないんです……」
「…………」
 小学生か。
 お化けは殺人鬼より強かった。
 ……すいません、戯言です。
「えっと、それは真面目な話? 冗談とかじゃなくて?」
「…………」
 沈黙は時に肯定を示す。
 ぼくの呆れた視線から逃げるように、伊織ちゃんは目を逸らして小さな声で言う。
「その、実は、お兄さんに会った時も、この一週間くらい一人だったから夜寝れなくて、寝不足で、だから……」
 先生に怒られた子供のようにこわごわと言う伊織ちゃん。
 しかしその本質は、殺人鬼。
 でも目の前にいるのは、か弱い少女で、心細そうにぼくを見ていて……。
 ああ、もう。
 わかったよ、流されてやるよ。
「……いいよ。わかったよ、夜はここに泊まろう」
「ほんとですかっ!」
 途端に、ぱっと笑顔を咲かせる伊織ちゃん。
「ありがとうございます!」
「…………」
 そんな伊織ちゃんを見て、ぼくは、少し。
 ほんの少しだけど。
 ……本当。
 完膚無きまでに、戯言だ。
「早く自分の行く当てを見つけて出て行ってくれよ?。 で、伊織ちゃんはこれからどうするつもりなの?」
「え? え、えーっと」
「…………」
「や、やだなあ、そんな目で見ないで下さいよ。人識君を見つければいいんでしょう?」
「伊織ちゃんは人識君なしじゃ駄目なの?」
「えっ?」
 驚いたように目を丸め、それからマジメに考え込む伊織ちゃん。
 ……考えるなよ。
「うーん……」
「伊織ちゃんってさ、自活能力ゼロだよね」
「ぐさっ! お、お兄さん、そんな的確な突っ込み入れられたら私死んじゃいますよう」
「心配しなくても死なないよ」
 ぼくは的確なアドバイスをかけつつ、再びため息をついた。
 以前みいこさんがぼくを”人生万事天中殺”と評したけど、それは人生今までの所、正にその通り正鵠を射ている。
 広がる前途は多難だった。
217MIKE:2005/07/26(火) 17:14:38 ID:kUJBd2zf
すいません、長いです;

続きは書き次第。
218名無しさん@ピンキー:2005/07/26(火) 17:36:14 ID:r73W2iVW
>>217
GJ。
しかしここに上がる前に向こうで読んでしまっていました…。
219名無しさん@ピンキー:2005/07/26(火) 17:53:33 ID:Ea2zlG7a
うむ、とりあえずGJと言っておこう。
220名無しさん@ピンキー:2005/07/26(火) 23:38:10 ID:iN/1RrH5
倒れてるの最初は理澄ちゃんかと思ったけど舞織でも違和感ないね。
いーちゃんとのコンタクトがあればこんな感じっぽい。グッジョブ!!です。
続きに期待。お待ちしてます。うふ………うふふ……………。
221名無しさん@ピンキー:2005/07/27(水) 15:13:50 ID:9hQviQnF
うむ、違和感なくとても面白い。
続きも大期待してます。
222名無しさん@ピンキー:2005/07/28(木) 23:16:16 ID:w6NOwecq
乙です。
前々から聞きたかったのですが病院坂さん?とかセイラさんってだれでしょう……
223名無しさん@ピンキー:2005/07/28(木) 23:25:15 ID:+eiPqhGI
ぐぐれ
224名無しさん@ピンキー:2005/07/29(金) 00:04:25 ID:w6NOwecq
はぁ…どうもすみませんOTZ
あと、今保管庫に行って『零崎舞織の人間創造』読んで来たんですが、携帯だからか最後まで読めませんでした…。まいおりんはちゃんとお兄ちゃんの子種を貰えたのでしょうか?気になって気になって
225名無しさん@ピンキー:2005/07/29(金) 00:05:17 ID:YLMKoIfC
君と僕〜、は非常にエロいのだよ。
226名無しさん@ピンキー:2005/07/30(土) 23:18:14 ID:RDCC383p
>>224
はい/いいえ で結末だけ聞いて楽しいか?
227名無しさん@ピンキー:2005/07/31(日) 00:18:58 ID:EDGbiG1W
携帯で全部読めましたがなにか?
228名無しさん@ピンキー:2005/08/01(月) 20:55:38 ID:RlFF2h/6
機種によって違うんだろ
229名無しさん@ピンキー:2005/08/03(水) 01:36:09 ID:RXWwgDWI
>>224
はい。あの話を読んで一番気になるのはそこなので。
>>227
古い機種なんで。
230名無しさん@ピンキー:2005/08/03(水) 11:44:28 ID:QZGJLtpF
携帯からならこれ使ってみ。
ttp://www.hutech.ne.jp/
231名無しさん@ピンキー:2005/08/03(水) 17:28:05 ID:nmFgJfaR
マイナーだがいーちゃん×奈波モノを妄想
さらにマイナーなひーちゃん×ちぃくんモノも妄想
誰か書かないかなぁ?
マイナー過ぎかぁ
232名無しさん@ピンキー:2005/08/03(水) 19:09:16 ID:kiiaiUYe
どんなキャラかわからんしなぁ。
七々見奈波ならなんとか、性格はおぼろげには見えるけど。
外見ってどんなだか出てきたっけ?
233名無しさん@ピンキー:2005/08/03(水) 22:22:42 ID:nmFgJfaR
奈波=ひーちゃんだったりしないかと淡い期待をいだいたり
奈波のツリ目でポニーテール、細身でナイスバディ(実はパットの偽乳)、黒のミニスカワンピって
外見はファンイラストのかってな設定だっけ?
まあ奈波のイラスト自体レアだけどね
234名無しさん@ピンキー:2005/08/04(木) 22:16:06 ID:Xen8o8tB
ひーちゃんが実はちぃくんを好きだと楽しいんだけどなぁ
まあ二人とも本編には登場しないで終わりそうだけど…
235名無しさん@ピンキー:2005/08/06(土) 04:42:43 ID:ExjO/FWc
ここでキズタカ×ツナギと言ってみる
236名無しさん@ピンキー:2005/08/06(土) 22:48:21 ID:+cAsxBDt
>>235
どの状況のツナギがお望み?

 無邪気な小学生を演じてる繋場いたち?
 絆創膏張った冷静で理屈っぽいツナギ?
 絆創膏なしの戦闘モード入ったツナギ?
237名無しさん@ピンキー:2005/08/07(日) 00:35:07 ID:0pmnEio8
>236
この中から選んでいいなんて贅沢な…(*´Д`)
控えめにいうなら全部萌えだ
238名無しさん@ピンキー:2005/08/07(日) 16:43:53 ID:odaYt3Zp
下のお口にも絆創膏をはる
239名無しさん@ピンキー:2005/08/09(火) 12:34:58 ID:kKHP4x5H
SS保管庫の戯言シリーズ読めなくね?
240名無しさん@ピンキー:2005/08/10(水) 02:58:24 ID:sekOQukI
俺も読めない。なんだろこれ
241名無しさん@ピンキー:2005/08/10(水) 03:09:27 ID:ldqliw/l
404ってことは無くなったんだろ
242名無しさん@ピンキー:2005/08/10(水) 12:06:45 ID:eLudVX6N
他のミラーは試したか?
243名無しさん@ピンキー:2005/08/10(水) 16:51:11 ID:V8RSgiib
ミラーからだと読めますよ。
244名無しさん@ピンキー:2005/08/13(土) 21:04:38 ID:53aypc8C
保守
245七年待て…ねぇだろうな:2005/08/15(月) 19:27:30 ID:DtocUE+f
“プルルルル…………ピッ”
 ワンコール目で出やがった。
 絶対に電話が掛かってくるのが、最近凄い勢いで増え始めたぼくの数いる天敵の序列二位、あの最悪の魔女はわかっていたんだろ。
 もちろん一位は真姫さんがいなくなったいま、ぼくの恩師であるところの、中学生で成長が止まっている解剖マニアだ。
「おまえだろ、いらん知恵つけたのは」
 前置きなどない。ぼくらの間にそんなものはいらない。
「なに? あたしの名前知らね〜〜〜の? 残念だが知ってるよ、七々見奈波つぅ〜〜んだろ。それより崩子ちゃんに………うッ!?」
 七々見の決めゼリフを、適当に流して言おうとしたぼくの口上は、ねっとりと這う生温かい感触に遮られた。
 通話口を押さえて視線を下に向けると、上目づかいの崩子ちゃんと目が合う。
 まだ多分にあどけなさの残る可愛い顔。だけど将来の美人が約束されている顔だ。
 血を塗ったように鮮やかな、紅い唇からのばされた舌が、丁寧に甲斐甲斐しく這い回っている。――――――ぼくの勃起に。
「お兄ちゃん、こんなのはダメでしょうか?」
 先走りの液でぬるぬるになっている勃起に、崩子ちゃんは嫌な顔一つせずに指を絡めると、乙女の祈りみたいなポーズで、亀頭の裏筋を
れろ〜〜んと、ぼくの視線を充分に意識しながら舐め上げた。
 キャンディーっていうのは、言い得て絶妙だな。ぺろぺろと美味しそうに舐めている。上目づかいは忘れない。
246七年待て…ねぇだろうな:2005/08/15(月) 19:28:35 ID:DtocUE+f
「いや………うぉッ………ダ、ダメでは………んッ……け、決して…………くぅん……………な……なな………七々見奈波ッ!!」
 放って置いたら一体なにを叫びそうになるのか。怖くなったぼくは、その衝動を代替行為で電話口の、元凶である魔女にぶつける。
“ツーーーーツーーーーツーーーーツーーーー”
 あの野郎。切ってやがった。この間僅か二、三十秒。少なくとも一分は経ってないはずだ。なのにあっさりと切りやがった。
 世界は自分を中心に回っていると、信じて疑った事は、きっとないのだろう。
「はぁうッ!?」
 などとどうでもいい事を考えている間も、崩子ちゃんの熱の篭もった口唇愛撫は無論続けられていて、顔を傾けるとハーモニカみたいに
勃起にチュッチュッと吸い付きながら、唇を行ったり来たり上下させていた。
「うぁッ………は……くぅんッ……ああッ…………」
 やつめ。なんつぅー事を年端もいかない少女に教えてやがるんだ。
「ンあぁッ……はぅッ……んンッ……ぅああッ!!」
 崩子ちゃんは口を大きく開けると、ぼくの勃起をぱくりと咥え込む。
 でも崩子ちゃんの小さな口では、それほどのサイズでないぼくの勃起でも、先端をしゃぶるのが精一杯のようだ。
 んくぅんくぅと、赤ん坊が哺乳瓶からミルクを飲むみたいに吸い付いている。すげぇ気持ちいい――――by想影真心。
 七々見に感謝しそうになってる自分が、ぼくは心底気持ち悪くなるくらい嫌になる。
 実際本当に崩子ちゃんにこんな事を止めさせたければ、ぼくが一言命令するだけで済むのだ。闇口にとって主人の言葉は絶対である。
 なのに七々見の所為にしてして、見苦しい責任逃れをしようとは、最悪、否、ぼくは最低だろう。
「ちょっ……お……ンッ……あッ………はぁッ……ン……んふぁ…………うぁッ!!」
 まぁ、それはそれとしてだ。
 満足にはぼくのスタンダードサイズの勃起すら、収める事の出来ない崩子ちゃんの口内だが、やっぱり闇口の名は伊達ではない。
 真空状態になってるんではなかろうか。
 小さい身体なのに崩子ちゃんの吸引力はすさまじく、ずずっ……じゅる……と、少女の口元からするにははしたない音が立つ度に、
ぼくの勃起には痛みを伴うほどの快感が、それこそすげぇ勢いで全身を走っている。
247七年待て…ねぇだろうな:2005/08/15(月) 19:29:41 ID:DtocUE+f
「あッ、ほ、崩子ちゃ……ああッ……も……やば……もう……ダメッ…………くぁッ!!」
 この少女には格好よろしくないところは、もう結構な数見られてはいるが、その中でもいまの情けなさはハイエンドクラスだろう。
 ぼくの普段よりトーンの上がっている切羽詰った声に、勘の鋭い崩子ちゃんは、経験はなくともセンスの良さをみせて、自然と小刻みな
頭の振りを速くしていた。
 おかっぱの黒髪がちょこちょこと、可愛く揺れているのを見下ろしながら、
「んぶッ!?……こふッ…えふッ……んンッ………ふぅ……むぅッ……んむぅ……………」
 崩子ちゃんの口唇の中で、自分勝手な欲望を盛大に解き放つ。知識としてではなく経験として、初めての穢れをその口内に味あわせた。
「……………………………」
 やちまったな戯言遣い。そんな思いが半分。しかし残り半分に達成感があったりして、ほんと自分が嫌になる。
「ごほッ、えはぁッ、………ご、ごめんなさい…………えふッ…………お兄ちゃん……………」
 健気にもぼくの出した精液を嚥下しようとした崩子ちゃんだが、飲み切れずにボトボトと手に落としてしまっている姿が可愛かった。
 チャームポイントの紅い唇も、ぼくので白く汚されている。
「お兄ちゃん………次は…………次はちゃんと全部飲みますから…………だから…………だからわたしを見捨てないでください」
 涙目で訴えてくる崩子ちゃんだが。う〜〜〜〜ん。七々見のやつ。どんな偏った情報を植えつけてくれてるんだ。…………素直に感謝。
 ぼくの勃起にまた力が、ぎゅんぎゅんと漲ってくる。ああ、わかったよ。認めてやる。ぼくはペド野郎だ。
「可愛い可愛いぼくの……ぼくだけの崩子ちゃんを見捨てるなんて、そんなのあるわけないだろ」
「お兄ちゃん…………」
 肌の色が元々、白すぎるくらい白いのでよく目立つ。
 おかっぱの黒髪をなでなでしてやると、顔が耳まで一気にカァーーッと染まっていた。
 クールな崩子ちゃんにしては、珍しい年頃の少女みたいな反応。だが戯言であるはずのぼくだって随分と珍しい。
 少女に誓った言葉には、欠片すら戯言はなかった。

                               終わり

真夏の夜の夢を読んでくださった方コメントくださった方ありがとうございました。
248名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 00:00:49 ID:LjqukdaK
うぉうGJ!!
249名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 01:32:32 ID:qgN5oyLM
>>245-247
素晴らしい。勃起した。
250名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 19:01:37 ID:92csy5+9
感謝感謝感謝!
251名無しさん@ピンキー:2005/08/17(水) 14:25:20 ID:MiW7KNIk
そのSS読んで、我が家にも崩子ちゃんが来ないかと思った
俺はそろそろヤバイかもしれん(ぉ
まあなんにせよ、GJ!
252名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 13:05:30 ID:yKoMq9ss
戯言シリーズの18禁絵板とか無いのか?ググっても見つからん
253名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 00:11:39 ID:VkGSQDCw
隔離板に書かれてたりもしたようだが、戯言専門ではないんじゃないかな。
254d:2005/08/24(水) 18:07:21 ID:cKymJl83
ff
255嘘つきは………:2005/08/25(木) 19:20:01 ID:GmjZp5DN
 人の手を離れるだけで、こんなにも急激に寂れてしまうものなのだろうか。
 前に来たときは刑務所というイメージだったが、いまは誰もがここを廃墟と断言するだろう。
 斜道卿一郎研究施設。――――《元》研究施設とより正確に言うべきか。
 前の住人はとっくのとうで引き払ってはいるが、さすがに賃貸マンションの様にはいかず、まだ新しい住人は引越して来てない。
 とはいえそれでも高価な施設。人員削減はされても一応は警備員はいるようだ。しかしどちらにしたところで。
 すでに終わっている場所。外周はともかく内部はただの廃墟だ。
 侵入は素人のぼくでも、ましてや《大泥棒》たる彼女ならば、目をつぶっても鼻歌まじりの朝飯前で容易く出来る。
 その《大泥棒》石丸小唄さんは現在、第一棟の屋内、その扉の一つの前で、カチャカチャと鍵開けナイフを操ってるところだ。
 ぼくはといえば、なにをするでもなく、ぼーーっと小唄さんの手元を眺めてるだけである。
 そんなワトソンになれない役立たずの助手を尻目に、長くて綺麗な細い指先は、さっきから流れるように、そして忙しく動いていた。
 めずらしく苦戦している。まぁそうはいっても。
“カチャッ”
 彼女に掛かればカップラーメンが出来上がるくらいの時間でしかないが。
 くるっと振り向くと微笑む。場違いなのはわかっているが、ぼくをドキリとさせるには、充分すぎるほどの蟲惑的な笑顔だった。
「お時間取らせましたね。さぁいきましょうかお友達。《堕落三昧》と嘗ては称された、淋しい老人の遺産を頂戴しに……」
 小唄さんがこんなところにいるのは、まぁ概ねこんな理由である。
 わからないのは、なぜぼくがここにいるかだが。《大泥棒》の説明によれば。
 こんなスリルもサスペンスもない退屈な仕事、暇潰しの相手でもいなければとても出来ませんわ。
 そんな感じで戯言遣いは、まだ朝も明け切ってない時間に、突然来訪してきた小唄さんに、半分拉致の様にして連れて来られたのだ。
 しかし、言ったら小唄さんは怒るだろうが、やり口が哀川さんにそっくりである。
 この二人。やっぱり気が合うんだなぁ。でもこれも言ったらお互い怒るんだろうけど。
256嘘つきは………:2005/08/25(木) 19:21:06 ID:GmjZp5DN
 と。
 そんなことを考えて動かなくなったぼくに、小唄さんは一つ小首を傾げると、すたすたと暗い室内へと入っていく。
 この施設には窓がないので、外から見つかる心配はない。
 小唄さん自身はおそらく必要ないんだろうが、暗視の能力などないぼくの為だろう、照明のスイッチを入れてくれる。
「ふむ。これだけハイテクな施設で見るからでしょうか。書庫というのが随分と前時代的で古臭い、アナログなものに思えますね」
 もっとも、わたくしはそちらの方が好みですが。そう言って小唄さんは、書棚から一冊の箱付きの本を手に取った。
「あら? これは……」
 だが、いかにも価値がありそうな箱から出てきたのは、いかにも価値がありそうな本ではなく、どこにでも売ってそうなビデオテープ。
 続けて小唄さんは隣りの箱も手に取って見るが、やはりそこから出てきたのもビデオテープだった。
「お友達。大変お手数ですが、そちらの本棚を見ていただけますか?」
 言われてぼくは、傍にある本棚から箱を手に取るが、案の定というべきか、そこからもやっぱりビデオテープが出てくる。
 よく見ればツメがしっかりと折ってあった。
 中身がなんだかは判然とはしないが、重要だということだけは間違いないようである。
 でもこれって………………いや……………まさかな。思春期の男の子が、よくこうしてカモフラージュするけど。…………まさかな。
 このビデオテープの持ち主は、もうすでに見る影もないとはいえ、《堕落三昧》と呼ばれた狡猾な老人のものなのだ。
 勝手に部屋に入って掃除をしてくれる、お節介な母親がいる子供の持ち物ではない。
 想像するものとは違くあってくれ。なぜだかぼくは、願わずにはいられなかった。そうだとしたら、あの騒動がいかにも滑稽すぎる。
「デッキはそこにありますし。とりあえず見た方が早そうですね、これは」
 ここで鑑賞する様に元から出来てるんだろう。でかいテレビの前には、二人が並んで座っても余裕のあるソファが置いてあった。
 小唄さんは腰を降ろし、テープをデッキにセットすると、リモコンを手に取って、肩越しにぼくを振り向く。
 ソファの左隣が空いているので、そこに座れということなんだろう。
257嘘つきは………:2005/08/25(木) 19:22:15 ID:GmjZp5DN
 断る理由などは勿論ない。ぼくは二、三本のテープを手に持つと、小唄さんの隣りに、微妙な距離を置いて腰を降ろした。
 小唄さんはそんなぼくをチラッと見て、くつくつと笑いを噛み殺しながら、ビデオデッキのスイッチを入れる。
 どうやら繊細な未成年の心は、あっさりと読まれたようだ。
「そんなに緊張なさらずともよろしいですよ、お友達。獲って食べたりはしませんから」
「始まりますよ……」
 からかいを多分に含んだ声を無視して、どこかの部屋を映している画像を見る。
 博士の書斎と比べれば、内装は大分質素ではあるが、この棟内のどこかだということは、雰囲気でなんとなくだがわかった。
 そしてわかったのは部屋だけでなく映っている二人。抱き合って映っている二人が誰なのかは、一切の疑問も挟まずに良くわかる。
 男、というより少年の方は博士の助手であり、ぼくの心の友、大垣志人くん。女性の方は博士の秘書、宇瀬美幸さんだ。
「あらあら。どうやらこのビデオテープは博士秘蔵の…………隠し撮りのようですね」
 それはそうだろう。二人には無機質の眼を、意識してる素振りすらない。
 そして喩え博士の命令があったとしても、こんなことはあの二人であろうとも、いくらなんでも従わないんじゃないかと思う。
 二人は究極のクールビズというか、要するに全裸で抱き合っていた。
「本当にご苦労なことですわ。ここまで律儀に《堕落三昧》だったとは。わたくし心底から、斜道卿一郎博士を尊敬致しますわ」
 まったくそんな響きを感じさせず、悪意たっぷり、でも丁寧に小唄さんは言い放つと、一冊の本をパラパラとめくりだす。
「なんです、それ?」
「憐れな老人の日記で―――あらあら。おぼっちゃんも中々どうしてご立派じゃないですか」
 手にしてる日記に視線を落としながらも、ちゃんと目の端では画面を見ていたようだ。
 やはり視線が日記にいっていたぼくも、小唄さんに釣られて画面を見る。うん、まぁ……………なるほど。これは確かに立派だ。
 アングル的にさっきまでは入らなかったのだが、いまはベストアングルで大映しになっている。――――志人くんの勃起が。
 赤黒く膨張して逞しくそそり勃つそれは、エグいくらいに笠を広げていて、ひくひくと蠢く様はまるで威嚇でもしているみたいだ。
 その太さは、絡める美幸さんの指が廻りきらない。
258嘘つきは………:2005/08/25(木) 19:23:28 ID:GmjZp5DN
 身長はぼくとあまり変わらないのに、志人くんてビッグな男だったんだなぁ。くそぅ。友達だと思ってたがもう絶交だ。
「どうやら博士はEDだったようですね。このビデオテープは、老人の暗い欝々とした情念の結晶といったところでしょうか」
 小唄さんはそう言って、ぼくに日記を渡そうとするが、とても読む気にはならない。
 ここでも《堕落三昧》を阻むのは若さというわけか。同情は出来ないし、同調するほどぼくは老いてないが、ただ憐れだとは思う。
 自分よりも誰もが考える下位の相手に、自分しか知らないが、志人くんすら知らないが、男としてはもう勝つことは叶わない。
 研究者としてだけでなく男としても、若さをまざまざと見せつけられ枯渇していく。
「………………………ん?」
 でも考えたら、研究者としてはともかくとして、男としての方は自業自得か。
 孫の様な歳の二人を隠し撮りして、勝手にじいさんがショック受けてるだけだもんな。なにか悲しいくらい、印象までもが落ちぶれた。
「それはともかく。顔に似合わずお嬢ちゃんは随分と激しいんですねぇ。おぼっちゃんが少々だらしないのもありますが」
 志人くんをベッドに押し倒して美幸さんは身体に跨ると、迎え入れるときはさすがに苦しそうな顔をするが、凶悪な大きさの勃起にも
慣れているようで、すぐにリズミカルに腰を降り始める。
 組み敷かれて喘いでいる志人くんの顔が、滅茶苦茶に物凄く情けない。
 ぼくらの友情は復活した。
 しかしなんだろう。そんなヘタレの志人くんにシンパシーを感じるからなのか、そういうのは抜きにして、ぼくも一応男だからなのか。
 こんなのを見せられて、それも知り合いのものだと衝撃もでかい。もうすっかりと。
「大きくなっちゃいましたか? お友達」
 ひょいっと、小唄さんがぼくの股間を覗き込んでくる。さりげなくもなんともない仕草で、ぼくは視線から逃げるように足を組んだ。
 これでは『そうです』と言ってる様なものだが仕方がない。
 ビッグな男を前にしては、ぼくのものなど、とてもではないが堂々と曝け出せておける勇気はない。
「男性の魅力は、あそこの大きさだけではキマリませんわ。そんなにお気を落とさず」
「……………………………」
 あれ? あれれ? おっかしいなぁ。涙なんて上等なものはない、欠陥製品のはずなのに、なんだか目頭が熱くなってきた。
 もしかして、ぼくは慰められてますか?
259嘘つきは………:2005/08/25(木) 19:24:34 ID:GmjZp5DN
「そんなつもりはありませんよ」
 しまった。《人類最強の請負人》哀川潤。その好敵手たる彼女が持っていたとしても、なんらの不思議はない。――――読心術。
「特に男性は大きいのを自慢したがりますが、大切なのは二人の相性ですわ」
 ぼくの視線は小唄さんではなく、大きさを自慢できそうな志人くんの勃起を、見たくもないのに見ていたが、近づいてきた気配に、
首を右へと動かした。瞬間。
“チュッ”
「あ……」
 温かくて甘い吐息が唇に吹きかけられる。身体をすり寄せてくる小唄さん。なんらの反応も出来ず、唇はあっさりと奪われた。
「ふふっ。どうしました? キスは初めてというわけではないのでしょ?」
「ええ……まぁ」
 これで奪われたのは通算二度目です。
 愉しそうに目を細める小唄さん。それは完全に捕食動物のそれだった。
 しなだれかかるように身体を密着させ、上目づかいで見上げてくるのは、これがキャラに合わず中々に可愛いが、ぼくが逃げられぬよう
肩をがっちりと捕まえているのは、《大泥棒》石丸小唄さん、かなりの男前である。
「ところでわたくしとお友達。相性はとてもぴったりの気がするんですが?」
「どうで………しょう………か……………」
「確認する方法ならありますわ」
 小唄さんはそう言いながら、ぼくの肩を引き寄せつつ、覆い被さるように体重を預けてきた。画面の二人の姿とダブる。
 馬乗りにこそなられてはいないが、ぼくの身体の自由は、完全に小唄さんのものだった。
「ぼくは記憶力にあまり自信ないんですけど、獲って食べたりしないって、確か小唄さん、そんなこと言ってませんでしたっけ?」
「あれは嘘です」
「さてはあなた……………………泥棒ですね」
「お友達。残念ですがそれは間違いです。ふふっ。わたくしは大泥棒ですわ」


今回はここまで。七年待て………ねぇだろうな。読んでくださった方コメントくださった方ありがとうございました。
260名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 19:38:10 ID:KIl1OmJv
キタコレGJ(*゚∀゚)=3ハァハァ
261名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 20:54:31 ID:9tA3K7M0
小野不由美か己はwww
262名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 21:52:35 ID:lUjQ2dSK
うわやられたぜディアフレンド。GJ!

こっちも頑張って形にしよ。キズタカの言葉の量に潰されかけてるけど。
263名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 20:38:57 ID:nHckv024
>>255-259
やっぱり小唄さんはいいなぁ。
264名無しさん@ピンキー:2005/08/28(日) 19:42:08 ID:VF64xCnc
春日井春日と犬の獣姦マダー?
265名無しさん@ピンキー:2005/08/28(日) 19:43:09 ID:VF64xCnc
sage忘れた鬱だorz
266名無しさん@ピンキー:2005/08/28(日) 23:45:37 ID:2dqe5WIV
春日井春日と飼いならされてしまったいーたんの獣同士のようなSEXマダー?
267名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 01:28:10 ID:/JDwTVDk
期待
268名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 01:29:06 ID:/JDwTVDk
期待
269名無しさん@ピンキー:2005/08/30(火) 05:00:31 ID:/Psweygz
何度来てもタマラン…(悶絶
270MIKE:2005/09/01(木) 07:55:20 ID:SUfL0qs1
うむぅ、半端なく長くなりそうですよ……; 前半は>>207-216です。
読みにくいって人はHPの方が見やすいかもです。 ttp://mikepeg.h.fc2.com/index.html です

ではどうぞ。。
271MIKE:2005/09/01(木) 07:56:10 ID:SUfL0qs1
 夜。
 伊織ちゃんと別れて家に戻ってからのことは思い出したくもない。
 それでもあえてかいつまんで説明するなら、

「あ……みいこさん」
「……さっきの娘はどうした?」
「ああ、ちゃんとホテ……家まで送って来ましたよ」
「…………」
「…………えっと、みいこさん?」
「あれから二時間くらい経つな」
「ああ、そうですね……」
「…………」
「…………」
「別に。何でもないよ。それじゃ、私はこれからバイトだから」
「あれ? 今日はお店は定休日じゃないんですか?」
「いや、ちょっと新しいバイトでも始めよっかなって。風俗でもやろっかなーとか」
「えっ……ちょ、みいこさ」
「何だ? 私が何をしようと私の勝手だろう? だから心配するな。いの字が何をやってもいの字の自由だから」
「…………」
「出会い系でもやろっかなー」

 …………。
 どうしようもなかった。
 みいこさんでも拗ねるんだ……。
 しかし伊織ちゃんの説明をしようとすると、どうしても零崎の話になってしまう。嘘をついてもどうせ見破られるだろうし、そうなる
と状況は悪化するだけだろう。ならば最初から説明しない方がまだましだ。
 それにぼくは、どんな形であろうともみいこさんをそっちの世界には関わらせたくなかった。もっとも、零崎とは既に一度顔を合わせ
たことがあるようだが……、ともかく、今回のことは全てぼくの問題でしかないのであってそれ以上でも以下でもない。
 というわけで、結局ぼくは全ての当て付けを甘んじて受けたのである。
 こんな時間に出かけているってことも、きっとみいこさんを怒らせるんだろうなあ……。
 憂鬱な気持ちが晴れないまま、伊織ちゃんの部屋のドアを叩く。
「伊織ちゃん? ぼくだけど」
272MIKE:2005/09/01(木) 07:57:07 ID:SUfL0qs1
「はいはーい!」
 滅茶苦茶元気な声が返ってくる。
 しばらくして、ドアが開くと共に物凄い笑顔の伊織ちゃんが現れた。
 …………。
「もう、お兄さんったら遅いですよう!」
「そう? まだ九時前だけど」
「私お兄さんの連絡先も知らないし、このまますっぽかされたらどうしようって凄い不安だったんですから!」
「……ああ、そっか」
 ぼくはうなずいた。
 …………。
 いえいえ、別にそうすれば良かったなんて、思ってませんよ?
「でも、ちゃんと来てくれてありがとうございます」
「まあね。こう見えてもぼくは英国紳士なんだよ。だから約束はちゃんと守る」
「凄い! 日本人なのに英国紳士だなんてっ!」
「本当はイギリス人なんだよ。不法滞在だから、あんまり言わないでね」
「へえー! へえーっ!」
「伊織ちゃんのお願いならなんでも聞くよ」
「ひゅーひゅー!」
 なんだこの会話。
 にしても伊織ちゃん、やけにテンションが高い。今まで寂しかった反動だろうか。
 ……ということは、本当に一人がダメなのか。
 部屋に通される。と、突然伊織ちゃんはきゃっほうと言いながらベッドに飛び込んだ。そしてそのまま「あ、どうぞご自由におくつろ
ぎ下さいー」と笑う。やっぱり伊織ちゃんはお行儀が悪い子なのかもしれない。
「お行儀が悪いよ」
「えへへ、まあいいじゃないですか」
 伊織ちゃんは寝転がったまま答える。スパッツを履いているとは言え、スカートの中がちらちらと覗くのは、なんというか、こう、視
線のやり場に困ります。
 ぼくは手近なソファに座りながら尋ねる。
「伊織ちゃん、ぼくが来るまで何してたの?」
「えっと、ずっと暇でした」
273MIKE:2005/09/01(木) 07:57:51 ID:SUfL0qs1
「暇だからってぼーっとしてたわけじゃないだろう?」
「いえ、ぼーっとしてましたです。日が出てる間は窓際でひなたぼっこしてまして」
「それはなんとも微笑ましいエピソードだね」
「はい。……あ」
 元気に答えていた伊織ちゃんの表情が微妙に変わる。
「……そう言えばその言葉、前お兄ちゃんにも言われました」
「お兄ちゃん? 零ざ……人識のこと?」
「違いますよ」伊織ちゃんは何故か誇らしげに言う。「針金細工みたいなお兄ちゃんです」
「……へえ」
 針金細工みたいというのはあまり人間に対して使う比喩ではないような気がするが、なんとなく触れづらい話題なような気がした
ので、ぼくは話題を変える。
「でもさ、伊織ちゃん、人識と一緒だったってことは哀川さんと遭遇したってことだろ? よく無事だったね」
「哀川潤ですか……あの人って人間なんですか?」
「……さあ。わからない」
 実は本当にわからなかった。
「人識君より迅いし、普通のパンチで地面は割るし……。ジグザグまで効かないなんて反則ですよ」
「え? ジグザグ?」
「あ、はい。人識君の知り合いのくせに知らないんですか? 正しくは曲絃糸って言うんですけど、なぜか人識君がジグザグって呼んで
たですよ。どうやら人識君に曲絃糸を教えた人のあだ名らしいんですけど」
「…………」
 さりげなく、くせにとか言われた。
 ……いやいや、そうじゃなくて。
 零崎がジグザグに師事した?
 ジグザグって、姫ちゃんが?
 ……いや、市井遊馬の方か。
「……その顔は何か思い当たる節があるって顔ですか?」
 伊織ちゃんの言葉に我に返るぼく。
「いや? 全然知らないよ。ぼくは善良な一大学生だから、曲絃糸なんてそんな物騒な物見た事も聞いた事もないし」
「……ふうん」
 あれ。
 なんでジト目で睨まれるんだろう。
274MIKE:2005/09/01(木) 07:59:06 ID:SUfL0qs1
「……ところで、伊織ちゃんってかわいいね」
「え」ぴたりと固まってしまう伊織ちゃん。「ちょ、お兄さんってば、いきなり何言いだすんですかっ」
「いや、なんとなくね。ぼくのタイプだなーって。ニット帽も似合ってるし」
「もうっ、おだてたって何も出ませんよう! あたし今すっからかんの素寒貧太郎ですからっ」
 照れながら枕に顔をばふっと突っ伏す伊織ちゃん。
 そんな予想以上のリアクションに、不覚にも面白くなってきてしまうぼく。
「別に、思ったことを言ってるだけだよ。うん、確かにぼくは髪が長めの女の子がタイプだけど、伊織ちゃんなら全然オッケーかな」
「うきゃ」
「性格も、まあ少し行儀が悪い所以外は元気でかわいいし、それに少し欠点があるっていうのも保護欲をそそるっていうか」
「はうあ」
「こんな妹がいて、人識が羨ましいよ」
「う、うぐぅぅう」
 伊織ちゃんは遂に照れが限界を超えたらしく、例の無骨な刃物で枕をぶすぶす突き刺しながら身悶えている。
 …………。
 そろそろ、やめておこう、かな?
 身の危険を感じる……。
 しかし、話を逸らそうと適当に言っただけだったのだが、やっぱり伊織ちゃんは単純だった。なんというか、ますますみのつく子に似
ている。
 ……≪半ライス下さい、但し大盛りで≫みたいな?
「でもでも、お兄さんも結構格好いいですよ?」
「…………」
 は、初めて格好いいって言われた……!
 ちょっと感動。
 死んだ魚の目だとか、そんなことばっかり言われてるしなあ、ぼく……。
「そのなんとなく病んだ雰囲気とか、いい感じかもです」
「…………」
「影のある男の人って好きなんですよー」
 何か引っかかるが、誉められてるようなので聞き流そう。
 というか、今ぼく、誉められてますか?
 こんな素直に、しかも外面を誉められるのって何年ぶりですか?
「えへへー、なんつって」
 照れたように笑う伊織ちゃん。
 伊織ちゃんのように照れ笑いを浮かべるというスキルを持たないぼくは、反応に困って、困って、結局黙ってしまう。
 結果、訪れる沈黙。
275MIKE:2005/09/01(木) 08:00:00 ID:SUfL0qs1
「…………」
 ベッドの上に座る伊織ちゃんは、ズタボロになった枕を胸に抱きながら、時折照れたようにぼくをちらちら見ている。
 ぼくは気付かない振りをして窓の外を意味もなく眺める。
 ……なんだ、この空気?
 なんだなんだ?
「……お兄さん」
「うん?」
 なるべく平静を装ったつもりだが、明らかに変な声が出てしまって恥ずかしい。
「わたし、もう零崎らしいんですよ」
「…………」
「零崎って、殺人鬼のことです。自分以外の全ての人間を、殺すか殺さないかでしか判断できない……好きも嫌いも何も無く。一人の例
外も、一片の容赦も、一瞬の迷いも、一点の濁りも無く、ただ人を殺す鬼の集団」
 伊織ちゃんは、何故か自虐的な風に言う。ぼくは相槌すら打てず、黙って伊織ちゃんの言葉を聞く。
「でもわたし、本当はそうじゃないんです。普通の高校生で、学校の友達とつまらない話で盛り上がって、適当に好きな人がいて、試験
前には一生懸命勉強して、家に帰ったらお兄ちゃんとお姉ちゃんとお父さんとお母さんと一緒に野球中継を見ながらご飯を食べて」
 懐かしそうに話す伊織ちゃん。
「もう、ずっと昔のことみたいだけど……」
 伏し目がちにため息をつく。
「…………」
 ぼくは思い出す。伊織ちゃんが名乗った時のこと。

『はじめまして、あたしは零崎舞織と言います。あ、でもそれはペンネームみたいなもので、本当は無桐伊織です』

 伊織ちゃんは、零崎舞織となってもまだ、無桐伊織の名を捨ててはいない。
 零崎。
 零崎とは、一体なんなのだろう。
「お兄ちゃん……双識さんは、それがあたしの”性質”なんだって言ってました。”踏み外してしまった””もうどこにも辿り着けない
”とも」
 そして、切なげに笑う伊織ちゃん。
「でも、あたし、よくかんがえたらまだ十七歳なんですよね。全然、まだ子供でいい筈なのに」
「…………」
276MIKE:2005/09/01(木) 08:00:31 ID:SUfL0qs1
 その表情を見て、ぼくは確信する。
 伊織ちゃんは、零崎舞織であると同時に、無桐伊織でもあるのだと。
 無桐伊織はまだ零崎になりきっていない──。
「伊織ちゃん」
「……はい?」
 ぼくはできるだけ普通の声を意識しながら言う。
「零崎が行き詰まってしまっているというのは、間違いだよ」
「…………え?」
「よく考えてよ」
 零崎が、人を殺すか殺さないでしか判断できない殺人鬼なのだとしたら。
「人識……、あいつは零崎の近親相姦の子、零崎の中の零崎と呼ばれる奴だ。でも、そうである所の零崎人識を、伊織ちゃんは知ってる
だろ?」
「…………」
 零崎人識。人間失格。
 あいつを一言で表すなら……”自由奔放”。
「あれが伊織ちゃんのの言うところの”零崎”? 随分イメージが違うけど」
「…………でも」
「伊織ちゃん、零崎が行き詰まりだって言うのは、結局の所自称でしかないんじゃないかな? そりゃあ確かに、人識は人を殺せる。そ
れもなんの迷いも疑問も躊躇も理由もなくだ。そして伊織ちゃんもそうかもしれない。でもさ、」
 ぼくはじっと伊織ちゃんの目を見つめる。
「それをやるかやらないかは、あくまで自分の意思にすぎない。そして、今伊織ちゃんがそれを願っていない以上、その程度の自制はき
くんじゃないか?」
 びくり、と、伊織ちゃんの体が震える。
「……あ」
「…………」
 ぼくは伊織ちゃんの言葉を待つ。
「で、でも……」
「うん」
 ようやく、伊織ちゃんがぽつりぽつりと呟き始める。
「でもですね、あたしは確かに零崎舞織でもあるのです」
「伊織ちゃんのの認識している”零崎”そのものが間違いだって、言ってるんだよ」
 ぼくの言葉に、怯えるように再び下を向く伊織ちゃん。
「ついでに言うと、人識同様伊織ちゃんも随分零崎のイメージとは違う」
「…………!」
「行き詰まり、終わっていると言う零崎一賊……彼らは終わっているんじゃなくて、自分で終わらせているだけなんじゃないか?」

277MIKE:2005/09/01(木) 08:01:02 ID:SUfL0qs1
「お兄さん」
「何?」
「トランプしましょう」
「……は?」
 これはまた唐突だった。
 面食らうぼくをよそに、テキパキとトランプを配り始める伊織ちゃん。
「七ならべは知ってますよね?」
「知ってるけど二人でやっても面白くないと思うよ……」
「それじゃ神経衰弱はどうすか?」
「絶対ぼくが負けるだろうけど、いいよ」
「……言っときますけどあたし、相当弱いっすよ?」
「ぼくはお前は記憶力がないんじゃないかと言われたことがあるけど」
「……それはさすがに言われたことはないですね」
 言いながらせっせと準備をする伊織ちゃん。とても楽しそうだ。満面の笑みを浮かべている。
 ……なんだかなあ。
 無桐伊織。
 零崎舞織。
 まるで、普通の女子高生。
「えーっと、最初は……とりあえずこれ、っと」
 昼間の事。
 目覚めた伊織ちゃんの動きは、間違いなく向こうの世界の物だった。
 零崎だった。
 ……だが、このぼくの前にいる少女は。
「うおあっ! 凄いっ! 一回目から揃いましたよ!」
「…………」
 ぼんやりと考える。
 零崎の異端児、零崎人識。
 殺戮奇術の功罪の仔、匂宮兄妹。
 そして元殺し名の闇口崩子と石凪萌太。
 ぼくの知り合いって例外ばっかりじゃねぇか……。
 なんの参考にもなりそうもない。
 ……まあしかし、本当に清く正しい殺人鬼が知り合いにいれば、今頃ぼくは生きてはいない、か。
 …………。
 しかし、真剣にカードを選んでいる(一巡目なんだから考える意味も無い気がするが)伊織ちゃんを見て、ぼくにはどうしても彼女が
零崎だとは思えない。
 終わっているなんて、思えない。
「ああっ、さすがに二連続は無理ですか……。 さあ、次はお兄さんの番ですよ」
 一体どうするのが正解なのか、ぼくにはよくわからなかった。
278MIKE:2005/09/01(木) 08:08:42 ID:SUfL0qs1




「20勝16敗! あー疲れたー!」
「そりゃ3時間もぶっ通しで神経衰弱やってれば、本当に衰弱もするよ……」
 二人が二人ともなかなか二枚揃えられないせいで余計に時間がかかった……。
 しかしぼくに16敗もするなんて、伊織ちゃんも相当の弱さだった。
「うなー」
 ばふんと行儀悪く枕に突っ伏す伊織ちゃん。ぼくは散らばったトランプを片付ける。
「もう遅いし、そろそろ寝ようか」
「あ、はい。 そうですね」
 そう言って布団の中に潜り込む伊織ちゃん。
「……着替えないの?」
「逃亡生活中にそんな物を買う余裕はないのです」
「そっか」
「ひもじいよう」
「…………」
「パジャマ、欲しいよう」
「……ええと」
「きれいなおべべが欲しいよう」
「…………」
「かわいいアクセサリーも欲しいよう。髪もそろそろ切りたいよう」
 要求がエスカレートしてきた。
「……そういうのを買うにしても、今日はもう夜だから、とりあえず寝よう」
「はあい」
 素直に返事をする伊織ちゃん。
 うむ、えらいえらい。
「あ、その前にお風呂入りたいです」
「ああ、そっか」
「んじゃ入って来ますねーん。たりらーん」
 謎の効果音と共に風呂場へ向かう伊織ちゃん。
 …………。
 そう言えばぼく、どこで寝よう。
279MIKE:2005/09/01(木) 08:10:27 ID:SUfL0qs1


 伊織ちゃんの後にぼくもお風呂を使わせてもらった。
「……ふぅ」
 お湯に浸かって一息つくと、自分がひどく疲れていたことに気付いた。
 確かに、今日という日は急転直下の大展開だった。よく考えると伊織ちゃんと出会ってからまだ二十四時間も経っていない。昨日まで
は、いや、出会ったその瞬間ですらこんなことになるとは思いもしなかった。降って湧いたようなというのは正にこのことだ。
 ぼんやりとこの不思議な状況について考える。なんの因果でこんなことをしているのだろうか。自分のせいであるならまだしも、今回
の件についてはぼくの過失はほとんど見当たらない。あえて言うなら、
「変質者牽引能力……か」
 零崎もうまく言うものだと、いっそ感心してしまう。
 しかし、それを認めてしまうのはどうしても嫌だった。
 それは、狐面の男の言う所の物語の肯定になってしまうから。
 時間収斂、バックノズル。
 代替可能、ジェイルオルタナティブ
「…………」
 ぼくがここまで過剰に否定してしまうというのは、心の中のどこかで、それを認めてしまっているからなのでは──
 その葛藤がゆえに、激しく心が揺らされるのではないかと、時々思ってしまう。
 ……戯言、だよな?
 ぼくはお湯をざぶりと頭からかぶって、お風呂を出た。

280MIKE:2005/09/01(木) 08:11:26 ID:SUfL0qs1
「伊織ちゃん、上がっ……」
「あっ、ああっ!」
「あ、おあがりなさいです」
 絶句する。
 ぐるりと首を回し、見事な敬礼と共に答える伊織ちゃん。
 そして、その伊織ちゃんの奥のテレビに映るポルノビデオ。
「ほーら、ここか? ここがええんやろ?」
「やぁ……はっ…………ああっ!」
「…………」
 硬直。
 硬直。
 硬直硬直こうちょくっ!
「……手に持っていたタオルがぱさりと音を立てて足元に落ちる」
「? あの、何言ってるんでしょう?」
「…………いや」
 正気を失いかけたぼくに普通に突っ込む伊織ちゃん。
 ていうか、普通だ。普通すぎる。さっきまでと全く変わらない。
「……変なお兄さんですね」
 部屋に充満するピンクオーラと伊織ちゃんの普通っぷりのギャップに激しい違和感を感じる。
 ……はっ。
 もしや、これは幻覚?
 ぼくが日々崩子ちゃんとか玖渚とか巫女子ちゃんとかみいこさんとか三つ子メイドとかイリアさんとか、あまつさえ哀川さんのそうい
う淫らな妄想をしていたばっかりに、ついに頭がおかしくなってしまったのだろうか?
「お兄さん、こういうのどう思います?」
 どうやって死のうかと考え始めていたぼくに、相変わらず呑気な口調で伊織ちゃんが訊く。
「こういうのというのは、このテレビに映っているような淫らな行為についてなんですけれど」
「…………え」
 伊織ちゃんを見る。伊織ちゃんは既にぼくを向いておらず、ブラウン管に映されるそれに夢中な感じだった。
「…………、えっと……。伊織ちゃん?」
「うふふ。お兄さん、こういうことしたことあります?」
 楽しげに笑う伊織ちゃん。その理由がぼくにはわからない。
「…………」
 返事を待っているのか、伊織ちゃんはそれきり黙ってしまう。仕方なしにぼくは答える。
281MIKE:2005/09/01(木) 08:12:13 ID:SUfL0qs1
「ある、けど」
「あれ、あるんですか!」
 目を丸くして驚く伊織ちゃん。
 ……なんでそこで驚く?
「それより、伊織ちゃ……」
「どうでした?」伊織ちゃんはぼくの言葉に上から質問を重ねる。「そういうことして、どうでした?」
「……あのね」
 テレビのスピーカからもれる喘ぎ声が一際大きくなる。ぼくは伊織ちゃんの手元にあるリモコンを手に取ってテレビを消した。
 ……部屋に静寂が戻る。
「伊織ちゃん、まだ十七歳でしょ? こんなもの見ちゃダメだよ」
「お兄さん、やっぱりこういうのって気持ち良かったですか?」
「…………」
 いや、まあ、そういうのが気になる年頃なのはわかるけど。
 いっそ無邪気に尋ねてくる伊織ちゃん。全く折れる様子がない。
「どうでした?」
「……最低だったよ」ぼくは正直に答えた。「最悪だった。二度と思い出したくもないけど、忘れられないだろうね」
「…………」
 ぼくの暗い調子に、伊織ちゃんも深刻な顔になる。
「な、なんか、すいませんでした」
「いや、別に気にしてないよ」
「……月並みな励ましですけど、最初は誰だって下手ですよ」
「…………え」
「気にしない方がいいです、これから上手になっていけばいいんですから!」
「ちょ、ちょっとまっ」
「がんばってくださいね!」
 握手までされてしまった。
 なんだか盛大に勘違いされてるような……。
282MIKE:2005/09/01(木) 08:12:54 ID:SUfL0qs1
「ちなみにあたしはしたころありません」
「……あ、そう」
 何気にカミングアウトする伊織ちゃん。
「でも、お兄ちゃんがそういうビデオをいっぱい持っていたのをこっそり見ていました」
「……へぇ」
「兄は胸が大きい女性が好きだったようです」
「…………」
 妹って、こういうものなのか?
 ぼくにも妹がいたが、もし一緒に暮らしていたら……。
「…………」
 ぼくがまだ見ぬ伊織ちゃんの兄に心から同情していると、その隙を突いて伊織ちゃんが再びテレビの電源を付けた。
「あっああっ、いっ、いっちゃう! いっちゃうう!」
「っも、いっ……あああああっ!」
 タイミングがいいのか悪いのか、テレビがついたのは丁度ビデオの女優が果てる所だった。
 ……思わずぼくも息を呑む。
 息を切らせてくったりとベッドに倒れこむ女性、そしてそれをしげしげと眺める伊織ちゃん。
 そして、ビデオが終わった。
 ……静かになった部屋に二人分の沈黙がおりる。
「…………」
「…………」
 伊織ちゃんはおもむろにテレビを消すと、そのまますたすたとベッドに向かう。
 そしてごそごそと布団にもぐり、
「それでは、おやすみなさいです」
 と言って部屋の電気を消した。
「…………」
 …………。
 なんだろう、この気持ちは……。
 ぼくは、仕方なしに伊織ちゃんが今まで座っていたソファに横になる。少し小さいが、体を曲げればまあ、なんとか寝られそうだ。
 …………。
 そのまま一時間ほど黙ってぼんやり待ってみたが、何もイベントは進まなかった。
 どこかで選択肢を間違えたのだろうか。あるいは何かフラグを立て忘れたか……。
 ……よくわからない方向に思考が向き始めたので、ぼくは何も考えずに眠ることにした。



283MIKE:2005/09/01(木) 08:13:47 ID:SUfL0qs1
 ふと。
 目が覚める。
 落ちていくような、
 或いは昇って行くような不思議な感覚。
 重力を感じない
 無重力のような。
「…………」
 虫の鳴き声が、どこからともなく聞こえてくる。
 真っ暗な部屋。
 静まり返った空気。
 それが、わずかに震える。
「…………っあ」
 小さな小さな、空気の震え。
「ん…………ふっ」
 徐々に頭が覚醒する。
 と共に、鼓動がどんどん早まっていく。
「…………っ、………はぁっ……」
 これは、
       これって。
   もしや、
            あれですか?
 顔が熱く火照ってくる。
 いけないとは思いつつ、ついその姿を想像してしまう。
 そしてそれだけで、昂ぶってくる自分。
「うそだろおい……」
 息を吐かずに口を動かすだけの発言。それだけですら、相手にまで声が届くのではないかと少し不安になる。
 相変わらずベッドの方からは荒い息遣いが聞こえてくる。それは心なしか少しずつ大きさを増しているようにも感じる。
 伊織ちゃん。
 ……伊織ちゃん。
 部屋中の空気が、全く違う質を帯びてきているような錯覚。
 伊織ちゃんの密な吐息が、この部屋に充満しているような。
「……ふぁあっ…………」
 五分。
 十分。
 二十分。
 伊織ちゃんの行為は終わらない。
 ぼくはその空気に酔ってしまっているのか……おかしな方向へ思考が寄っていった。
 ……伊織ちゃん、普通にかわいいよな……。
 ぼくの鼓動が更に高鳴る。
 ぼくの中の悪魔が、「行っちまえよ」と囁いている……
 ぼくの中の天使、も「行っちまえよ」と囁いている……


 …………結論は出た。
284MIKE:2005/09/01(木) 08:15:13 ID:SUfL0qs1
 暗闇の中、ゆっくりと体を起こす。
 衣擦れの音に、或いは気配に反応したのか、聞こえていた息遣いがぱたりと止んだ。
「…………」
 ぼくは黙って歩き出す。
 トイレへ。
「…………」
 と見せかけて、くるりと方向を変えてベッドに向かう。
 そして、そっと腰掛けた。
「……伊織ちゃん」
 声をかける。
「…………」
 しかし、沈黙を続ける伊織ちゃん。
 ……今更眠ったふりか?
「一瞬、安心したでしょ?」
 悪戯っぽく言うと、
「うにゅー……」
 布団の中にずりずりと潜っていった。
 ぼくは布団を少しめくって、伊織ちゃんの頭を撫でてあげる。
「伊織ちゃん……」
「…………」
「してみたい?」
「…………」
 沈黙する伊織ちゃんの髪を手櫛で梳きながら、ぼくはもう一度問う。
「そういうこと、してみたい?」
「……う、うなー」
 よくわからない唸り声をあげる伊織ちゃん。
 ぼくは伊織ちゃんの手を取る。
「……指先、ふやけてるね」
「…………」
「何、してたのかな……?」
 言いながらぼくはその指をくわえる。
 甘く噛んでみたり、舌で味わってみたり、しばらくそれで遊ぶ。
「…………っ!」
 ピクリと、伊織ちゃんの体が震える。
285MIKE:2005/09/01(木) 08:15:49 ID:SUfL0qs1
 やがて指を離すと、今度は伊織ちゃんの耳に顔を寄せる。
「……伊織ちゃん?」
 再び、ビクリと体を震わせる。
 耳たぶを唇で挟み、唾液をたっぷりとまぶすように舐める。息を吹きかけたり耳の裏側をぺろりと舐めたりするたびに、伊織ちゃんが
一々小さく反応するのが可愛い。そのまま今度は首へ、うなじや鎖骨をついばむようにキスをする。
「……はっ……あ……」
 伊織ちゃんは最早隠しようもなく声を吐いていた。
「伊織ちゃん?」
「…………」
「気持ちいい?」
「…………」
 しかし往生際悪く、まだ話しかけても答えはしない。
 ぼくは手を胸に伸ばした。
 服の中に手を入れると、下着はつけていたものの、ホックが外れたままだった。さっきの行為の途中で自ら外したのだろう。その手間
が省けて、ぼくはそのまま伊織ちゃんの胸を揉む。
「い、お、り、ちゃん?」
「…………ふぁっ……!」
 一層深いため息と共に小さく声が漏れた。
「返事してくれないの?」
 もみもみ。
「っ…………! ……あ……っ……」
 調子に乗って胸の頂をつまむ。
「やあっ…………」
 ぼくは伊織ちゃんの服をまくり上げ、胸を露出させるとそれを口に含んだ。
「きゃうっ!」
 反射的にだろうか、伊織ちゃんの両手がぼくの頭に添えられる。ぼくは構わずに舌でその小さなしこりをもてあそぶ。
「……ああっ……」
 吸ったり甘く噛んでみたりするたび、伊織ちゃんは切なげな吐息をついて身をよじらせる。
 そしてぼくは、そっと下に手を伸ばした。
286MIKE:2005/09/01(木) 08:16:53 ID:SUfL0qs1
 下着は膝の辺りまで下げられていた。
「……下着、汚れるもんね」
「……うにゅー……」
 伊織ちゃんは恥ずかしそうに唸りながら顔を手で覆う。なんだか、その照れた仕草が可愛かった。
「スパッツは?」
「……お風呂上りに普通履きませんよう」
 そりゃそうだ。ぼくは伊織ちゃんの頭を撫でる。
 そして、その部分にそっと手を這わせる。
「濡れてる……、ね」
「…………っ」
 伊織ちゃんは真っ赤になって顔を背ける。
 ぬふふふ、愛い奴め。
 伊織ちゃんの手をつかんでそっと下ろすと、伊織ちゃんと目が合った。
「あ…………」
「……伊織ちゃん」
「やっ……その、だから……えっと……っ!」
 しどろもどろにあたふたする伊織ちゃんの口を、口付けをして強引にふさぐ。最初は驚いたようだった伊織ちゃんも、そのうち大人し
くなる。
 唇を離すと、恍惚とした表情でぼけーっとしていた。
「……どうしたの?」
「きす…………」
「……?」
「きす、はじめてしました……」
「…………そっか」
「はい…………」
 ここまでしておいて何を今更とも思ったが、女の子にとってファーストキスというのは大きな意味があるのだろう。
 伊織ちゃんはすっかりとろけてしまったので、ぼくは黙って行為を再開する。
 人差し指と中指を唾液で濡らし、そこを撫でる。
「ふぁあっ!」
 大きく体を反らせる伊織ちゃん。そのまま指でその辺りをこするように刺激を与える。指が陰核にこすれるたびに、伊織ちゃんはびく
びくと体を震わせた。そしてぼくは、そこに指を挿れる。
 つぷ……
「ふぁ、あ、あっ……」
 中の愛液をかき出したり、指を二本挿れてみたりする。伊織ちゃんの声が、どんどん高くなっていく。
「伊織ちゃん……そろそろ挿れても、大丈夫?」
「ぁ…………」
 伊織ちゃんは不安気にぼくを見つめていたが、やがてこくりと頷いた。
287MIKE:2005/09/01(木) 08:17:33 ID:SUfL0qs1
 ぼくのものが、ゆっくりと伊織ちゃんに入って行く。
「あ、あああっ……!」
「……んっ……」
 十分濡れていたおかげか、初めてにも関わらず伊織ちゃんのそこはあっさりとぼくを受け入れた
 何かを突き破った感触はあったが、伊織ちゃんもそんなに痛くはなさそうだった。
 ……普通、こういうものなのかな。
「でも、少しは痛いでしょ?」
「……ちょっとだけ……」
「痛みが引くまでちょっと待ってようか」
「…………はい」
 伊織ちゃんは涙目になりながら荒い息を吐いていた。それが収まってきた辺りで、ぽつりと言った。
「その……」
「ん?」
「お兄さんは、成り行きで、したかもですけど……」
「…………」
 何かを言おうとしたが、しかし言葉にならなかった。
 その通りでした……。
「あたしは、その……別に、いいかなーなんて」
「…………」
 ごにょごにょと続ける伊織ちゃん。
「そりゃあたしも、普通の女の子みたいにずっと好きだった人に思い切って告白して、半年くらい付き合ってからクリスマスに彼の部屋
で『プレゼントはあたしよ』とか言いたかったですけど……」
「そりゃまた随分と夢のある理想だね……」
「でも、あたし、零崎ですから」
 そう言ってあはは、と笑う伊織ちゃん。
 その笑みは、何かを諦めた顔だった。
288MIKE:2005/09/01(木) 08:18:23 ID:SUfL0qs1
「まあ、理想とは程遠いですけど……でも、お兄さんは知り合って間もないですけど、あたしが『この人ならいいや』って思えたし。こ
ういうのって、感覚なんですよ?」
「……伊織ちゃん」
「そ、そんな顔しないで下さいよ。ほら、昨日の夜もあたし、めっちゃ誘ってたのにお兄さん乗って来なかったじゃないすか」
「え?」
 そうだったのか?
「ベッド入ってから一時間は起きて待ってたですよ……」
「そうだったのか……」
 なんてわかりにくいサインだ。
 できることなら直接言って欲しかった。
「い、言えるはずないじゃないですか」
 恥ずかしげに顔を下に向ける伊織ちゃん。
 ……そりゃそうか。
「だから、あたしはこうなっても、別に後悔してないのですよ」
 そう言って、再びあははと笑う。
 ……諦めた笑顔。
 でも、それでいいじゃないか。
 人生には、時には諦めだって必要だ。
 むしろ諦める事の方が多いかもしれない。
 でも、それは決して後ろ向きではなく、前を向いた感情でもあるのだ。
 伊織ちゃんは、強い子だった。


289MIKE:2005/09/01(木) 08:19:54 ID:SUfL0qs1
 問題は話しこんでいる間にぼくのものが萎えてしまったことだった。
「どうしたものか……」
「あ、それではあれをやってみましょう」
 あれって何、と訊く間もなく、伊織ちゃんはあろうことかぼくの尻の穴に指を突っ込んだ。
「い───っってぇ!」
「あっ痛かったですか? 大丈夫すか?」
「…………っ」
 答えるどころじゃなかった。普通に裂けたかと思った。
 肛門にいきなり指を突っ込まれるというのは初めてだ……。
「えっと、じゃあ、とりあえず」
 伊織ちゃんが肛門の中で指をくいっと曲げる。
 なんとも奇妙な感覚。
 ……と、急にぼくの物が元気を取り戻していった。
「……?」
「気持ちいいですか?」
「いや、気持ちよくは……」
 むしろヒリヒリする。
 しかしぼくの物は、ぼくの意思とかとは無関係に膨張していく感じだった。
「さあ、大丈夫です」
「……どこで知ったの?」
「はい、週刊誌を立ち読みしました」
「そう……」

 ムードも糞もどこへやら、だった。
290MIKE:2005/09/01(木) 08:20:28 ID:SUfL0qs1

「よ、っと」
「……っん……」
 伊織ちゃんとつながったままぼくはベッドに腰掛け、伊織ちゃんをぼくの上に座らせる。いわゆる背面座位というやつだ。
「伊織ちゃん、体こっち向けて」
「んっ……はい…………っ」
 これで対面座位。
 ……いや、別に詳しすぎるだなんて、そんなことないですよ? 昔ヒューストンで……って、ま、まあいっか。
 そしていよいよ行為を始める。
「あっ……」
 伊織ちゃんがぼくに抱きつくように腕を回してくる。ぼくも伊織ちゃんを強く抱きしめる。
「はあっ……あぅ、…………はっ」
「伊織ちゃん、気持ちいい?」
「んっ……あっ、……ああっ……」
 言葉にならず、こくこくと頷く伊織ちゃん。背中に回された指が、ぎゅっと肉に食い込む。
 たまらなく愛おしくなって、伊織ちゃんの頭を撫でる。きつい締め付けがぼく自身を限界に追い込んでいく。
「伊織ちゃん、そろそろ、いくよ?」
「はぁっ、はあ……ああっ」
 激しい息遣いが部屋を満たす。
 ぼくは空いた手で伊織ちゃんの陰核を軽くつまむ。
「ふあぁああっ?!」
 途端に更に締め付けを増す伊織ちゃん。
「くっ……」
「あっ、ああっ! ふああああっ!」
 どくん、と、精を吐き出す。伊織ちゃんはそのまま、くてっと、ぼくに倒れこむ。




291MIKE:2005/09/01(木) 08:21:24 ID:SUfL0qs1

 一週間後。
「人識くん、見つかりませんねえ……」
「……そうだね」
 ぼくは半分呆れながら言った。
 というか、この広い日本の……いや、世界の中で、そんな簡単に探し人が見つかるわけもなく。
 ましてや相手は零崎人識だ。僕達程度の力では見つかるはずがない。
「……伊織ちゃん」
 ぼくは重い口を開く。
「前から色々考えてはいたんだけど……」
 これは、なんというか、最終手段なのだ。
 しかし、こうする他どうしようもないのである。どうしようもないものはどうしようもない。
「はい、なんですか?」
「鴉の濡れ羽島って知ってる?」



292MIKE:2005/09/01(木) 08:25:15 ID:SUfL0qs1
終わりです。
>>207-216 >>271-291が本編。……長。濡れ場は>>283-290で。

それではまたいずれノシ
293名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 14:58:33 ID:zjvRsJK8
楽しく興奮した!
294名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 17:23:11 ID:lIcFZt/N
イイ!! 伊織ちゃん照れたりするのは普通に可愛い女の子なんだけど、反応が所々やっぱり零崎なのがw ムードがないのもらしいw
いーちゃんの勘違いとか愚痴っぽいところも原作の味が出ていてGJ!!でした。
真面目な部分は“前向きな諦め”て考え方が面白かったです。次回の投下にも期待しております。
295名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 17:23:17 ID:0YfwD1tK
では、おなぬぅをはじめよう。
296名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 00:01:33 ID:yQqwiNcZ
GJ!!!
297名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 07:08:33 ID:RwA8Jc5U
作品うpされても反応小さいな。ここって人少ないのかな?
ところで当方SS作家なわけですが、戯言で何か希望シチュあったらどぞー。


ていうかネタを下さいw
298名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 09:20:58 ID:wMsIOzFJ
>MIKE氏
GJ!今回はこっちを先に読めた。


>>297
ネタ・・・あんまり無いんですよね。
無闇にフラグを立てまくるいーちゃんをみいこさんが強襲、とか
無闇に揉め事に関わってしまういーちゃんを哀川さんが強襲、とか
ロクなのが思い浮かばない(しかも全部基本が同じ)。
299名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 21:22:07 ID:3L/0XrqM
味方の身内は味方になるんじゃね?ってことで
既成事実を作ろうと戯言遣いに迫る策士
300名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 21:29:57 ID:iRnrXJCm
狐さんの爛れきった日々、とか
301名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 22:15:30 ID:ucv3wrrc
最近女装いーちゃん分が不足してきてる気がするのでそれで一つ
302名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 23:00:18 ID:GTemqdNE
女体化いーちゃんでひとつ
303名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 00:21:49 ID:4ezou5eH
イリア×玲で。
304名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 03:16:59 ID:U4dKNpCJ
もう、いっきー出てたらなんでもいいよ…

(――と言いつつ、自分なら何を書くor描くだろうと真剣に悩む俺… orz)
305名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 08:47:41 ID:fpRu3Vmv
いーちゃん×イリア&三つ子メイド+メイド長で
306名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 14:27:05 ID:lRekdIjo
>297さん
奈波ネタを希望
307名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 05:04:26 ID:Slk+XZBK
足コキは分かるが、髪ズリというのはよく分からない… と、最近まで思っていた。
しかし哀川さんの髪にローションを塗りたくって、それでちんこを刺激してもらったらどうだろうか?
痛気持ちよくて、かなりイイカンジなのではないか?
308 :2005/09/06(火) 12:45:52 ID:24BvGF6Y
いやいや、久渚の洗ってない髪でっていう背徳感が…

未だ一度も髪ズリ出てないな
309名無しさん@ピンキー:2005/09/09(金) 03:27:19 ID:G5DiaN3q
みぃこさんが不様に快楽を貪るSSキボン
310304(?/←何故疑問系):2005/09/09(金) 22:15:47 ID:mnoYWJVU
ちょっと現実逃避をしたくなったので陸キボン。
311名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 00:17:13 ID:tOsjf7Gu
途中文でエロ手前ですが、投下してよろしいでしょうかね?
友×いー で性転換アリっす
312名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 00:32:24 ID:6FP8ma3Y
ばっちこーい
313ななやさん@ぴんきー:2005/09/10(土) 00:34:02 ID:wi/6R0dU
>>311
了承。
314夜を這うモノ:2005/09/10(土) 00:38:04 ID:tOsjf7Gu
 ゆっくりと重い眠りから意識が浮上する。
 もっと眠っていたいと思ったけれど、浮上する力には逆らえずゆるゆると意識が覚めていく。
 が、せめてもの抵抗で瞼は閉じ続ける。意識的に耳から音を切り離す。
 そうしないと。
 …そうしないと、起きてしまう、から。

 何か、遠くで音が聞こえたような気が、した。

 枕が気持悪い。
 柔らか過ぎる白い枕、清潔すぎるシーツ、効き過ぎたベットのスプリング。
 どれもこれも天涯孤独にして貧乏学生な自分、戯言師にして傍観者たる自分の物は何一つない。
 今現在にして、この肉体ですら。
 
 ずるりずるりと、遠くから音が聞こえたような気が、した。

  ◆ ◆ ◆

 ずっと後悔している。何故、あの男の…あんな男の電話を取ったのかと。ものすごく今更ではあるのだけれども。
「面白い事を考えたんだけれど協力して欲しい。玖渚友の為になる事さ。君にとって悪い事では無いだろうし。」
 何であんな男の言う事に耳を貸してしまったのか。その挙句がこのザマか。
後悔は後の祭りの役立たずと言うが、あの場合は後悔よりも呆然と言った方が相応しいかも知れない。
「玖渚友の、『死線の蒼』の為ならば俺は…俺達は何事でも行う。
その幸いの為だけに、その為だけに。君もそうだろう?」
 呼び出された店で対峙して、いつか交わした会話と同じ様にぼくは黙っていた。
 何故ならあれは会話ではなかったから。
315夜を這うモノ 2:2005/09/10(土) 00:39:37 ID:tOsjf7Gu
 沈黙、静寂、少し溜息。
 滔々と流れ行く言葉は右から左へと零れ、大気へと還る。

 会話と言う物は、コミュニケーションの手段であり互いに話すべき筈だ。少なくとも普通はそう言うものであり、そう言うものであるべ

きなのだ。だがぼくには話すべき事は無く、『害悪細菌』たる彼には溢れんばかりの愛情と情熱を含んだ言葉があった。
それは多分に一般的なものよりも歪み歪んでいたが。
 そして、それは別にぼくに対するべき言葉ではなかった。それは彼にとっての事実でありそれだけの事であり
言葉にする事による事実の確認でありつまりは僕にとっては特に、いや全く、まさに皆無に等しく意味の無い事だった。
 ましてや彼に、僕を傷付けようと言う攻撃的な意思が皆無だとくれば。
 …ならば、一体何故に自分を呼び出したのか。
 疑問は残った。彼は玖渚に関してだけは全くの本気で行動する人間であり、それは取りも直さず僕にとっては諸手を上げて歓迎できる代

物ではない事が多かったので。
 だからこそ『協力』などと言う『普通』な言葉に警戒してわざわざ出向いて来たのだけれど…意味が無かったかと、ふと思った。
 ふと。
 その時にふと、気が付いた。
 流れが止まっていた。
 鼓膜を震わし続けていた言葉が、聞き流していた音が。
 それに気が付いたのと同時に、強い視線を感じてぼくははっとした。
 兎釣木垓輔の、『害悪細菌』の口がひたりと塞がって、ほんの少しだけ笑みを浮かべていた。
 背筋が寒くなりそうな、温和な表情だった。

「だからね、お願いがあるんだけれど…玖渚友の幸せの為に、ほんの少し不幸になってもらえないかな?」
316夜を這うモノ 3:2005/09/10(土) 00:40:42 ID:tOsjf7Gu
 いきなりの言葉だったが、そんなに驚くべき内容では無かった。
 ぼくは席を立とうとした。無言の行動、それを回答にしようとして…果たせなかった。
 勢いで立ち上がったのは良かったが、身体がそのまま崩れた。
 力が入らなかった。くたくたと椅子の足元に倒れこんだ身体は、ひんやりとした床に触れて初めて自分が熱いのだと知った。
 異変、異常、危険。
 何が起こったのか?毒でも盛られたのか?疑問はあったが考える事が出来ない状態だった。
 熱い、アツイ、あつい。
 普通じゃないこの成り行きに逆にあっさり納得できるのが笑えた。全くをもって笑える状況では無かったのだが。

 ひんやりとした指が、自分の手を取る。

「じゃあ、君の事を家まで送るよ。家と言っても玖渚のマンション、だけれどね。」

 僕は今まで何回も何回も危険な目にあってきたと言う事を嫌々ながらも自負している。紛れもない事実だ。無論好き好んでの事ではない


 だから、くらくらする頭であの時も考えた。
 何であんな男の言う事に耳を貸してしまったのか、来るのではなかったと。
 …今更の戯言だ。最初から分かっていた事じゃないか、そうだろう?

 抱き起こされ、持ち上げられ、運ばれる。
 軽々とその両手に持ち上がった身体の、自分の身体がまるで自分のものでは無い様に熱く、頼りなかった。
 意識が黒く混濁し陥落し、とぷんと水のように深い眠りの奥へと落ちる様に沈む。

  ◆ ◆ ◆

 ずるり、と聞き間違えようもない音が傍らで響いてぼくは飛び起きた。
 起きようとして果たせなかった。
317夜を這うモノ 4:2005/09/10(土) 00:42:57 ID:tOsjf7Gu
 両方の手が重い物に拘束されてそのままその重みに負けて動く事も出来ない。
 未だ目を開けても、明けきらぬ宵闇の時間故に部屋は薄暗くその侵入者の姿をうかがい知る事は出来ない。
 とは言え、その荒い息と拘束される手を濡らす夥しい汗に、その相手は容易く推定する事が出来た。
「…よく来れたね、友。」
 答えは無く、ぜぇぜぇと湿った息が降って来る。
 今現在、結局玖渚のマンションに空いている部屋の一室に仮の居を構えざるを得なくなったのは、
先ほどの夢で見たあの災厄の権化の固まりの様な男のせいだ。
 あれが全ての原因だ。諸悪の根源、罪悪の巣だ。
 …そう、そう言う事にしておこう。
 だから、自分の上に重く伸し掛かっている存在の所為では決して無い。
 そう、そう言う事だ。

  ◆ ◆ ◆

 玖渚友の幸せの為に、ほんの少し不幸になってもらえないかな?
 なに、君が女性になったからと言って誰も悲しがったりしやしないから安心しなさい。
 無論それが見苦しくは無いと言う事もこの俺も保障してあげよう。
 いや寧ろ愛らしいとか可愛らしいとか言ってあげた方が良いだろうね。
 元々よりもこちらの方が玖渚だけではなく世の為にも良いかもしれないよ?
 愛玩物と言うものは世の中に幾つあったとしても多すぎると言う事はないのだからね。
 さぁ、私の『死線の蒼』の願いにして望みにして犠牲たる生贄として
相応しい姿形にしてそれでしか在り得ない存在になって、
そのまま生きながらに逝き続けるシロモノになり下がりなさい。
 大丈夫死にはしないよ…多分、そう多分ね。

  ◆ ◆ ◆

 彼はまさしく本気であり狂気であり残酷であり冷静であった。
 そしてぼくは今、玖渚友の家にいる。
 極めて細心の注意を持って平面構成されたその家の中に、唯一つだけ存在した
例外のその部屋を選んだのは意識しての事ではなくむしろ無意識だったのだと思う。
 だがだからこそ多分、ぼくは今ここにあるこの状態を予想していたのだろう。

 でなければぼくは、玖渚友と言う存在を拒否する為にこの部屋を選択した事になる。
 もしくは、死に等しい選択を以って試す為に。
 玖渚友がこの部屋に到達するまでに絶対的に避け得ないたった2段の段差。
そのほんの僅かな高低が絶対的な距離となり防波堤となる。
 その筈だった。予定としては、多分。

『大丈夫死にはしないよ…多分、そう多分ね。』

 在るべき身体を変じさせられたのはぼくだけではなくそれは彼女も一緒で。
 つまりは目が覚めて後最初にぼくがした事はと言うと、その結果がもたらすであろう己の身の上の安全を憂う事だった。
 その次には玖渚の身体の状態の心配だったが、それはどっちかと言うと杞憂で少なくとも以前よりは少しマシと言う結果だった。

 つまり一人で瀕死の状態になってまで、夜這いを敢行して来る位には。
318311:2005/09/10(土) 00:46:28 ID:tOsjf7Gu
とりあえず今日は以上です
後日続きかけたらまたカキコミに参上させていただきます

ではでは失礼いたしますノシ
319名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 02:49:54 ID:Ylxy2p9W
ぶつくさ冗長なくらいの言い回しが逆にいーちゃんっぽくていいな。
『玖渚友の幸せの為に、ほんの少し不幸になってもらえないかな?』とか、なんともさっちゃんらしくてGJ。
ただ一つだけ。冒頭でゆっくり目覚めてる筈のいーが物音で飛び起きてるとは如何に?

……あといーの一人称は”ぼく”なんだよ


続き期待してます。がんがれ(`・ω・´)
320304(?/←何故疑問系):2005/09/10(土) 03:27:45 ID:oEgh8dF+
>>319さん
でも途中からちゃんと「ぼく」になってるよね…

>>311さん
同じく続き大期待。ふぁいそーノシ


書き手さんが現れたので別の方向性で逃避出来てえーわ。
人間楽する事を覚えちゃいかん、とはよく言うけれど、逃避だからこれ位いいよね…
(フレンチ玖ルーラーを貪りながら)
321名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/10(土) 20:14:36 ID:MpZ79XY4
311さん、あんた俺のストライクゾーンを知ってるのかw期待
322名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 02:56:19 ID:aNg/Atu/
GJです!

どなたか、哀川さん受け受けモード希望してもよろしいでしょうか。
323名無しさん@ピンキー:2005/09/12(月) 22:11:33 ID:bU4UwESd
GJ
324名無しさん@ピンキー:2005/09/15(木) 22:37:48 ID:wzRouYUv
保守
325311:2005/09/18(日) 03:38:45 ID:UL8Ivohp
311です、こんな夜更けに投下してみたり
とりあえず合体はナシです(w

>319さん
前半ちょい修正しました、
そのうちどっかに場所用意してうPします

>304さん
ありがとうございます
そしてそちらの作品も期待してみたりノシ
(修羅場の友はアーモンド玖ッキーwww)

>321さん
SZ( ・∀・ )人( ・∀・ )ナカーマ

>322、323さん
アリガトウございます

では次レスよりしばらくの間よろしくお願いします
326夜を這うモノ 5:2005/09/18(日) 03:40:36 ID:UL8Ivohp
「…。」
「…。」
「…。」
 沈黙が重い。
 と言うか、伸し掛かっている身体が段々ぼくに重みをかけてきて…それが実際問題として重い。
実際、本気で動けなくなってきている。
 と、呼吸が落ち着いてきたらしい玖渚が口を開いた。
「普通はさ、ここできゃあっとかイヤァっとか騒いでくれる所じゃないの?
それがこーゆー時のお約束とかパターンとか形式美ってもんでしょ、ねぇいーちゃん。」
「…あのな…。」
 ここでそーゆー事をお前が言うかと突っ込みを入れたくなるが、気力が萎えたので溜息で代用。
 ついでに墓穴を掘らない様に脳内で玖渚の行動をシミュレートして、白旗を揚げる。
どんな事を言ってもこの状況では揚げ足を取られるだけになりそうな気がする。と言うか、
多分に自分にとって有難くない目的が相手にあってそれを敢行するだろう意思が固いなら、何言ったって無駄なような気がする。
 そもそも何に対してのお約束とかパターンとか形式美だと言うのか。
 その辺が一番問題の様な気がしたが、その辺りが最大の地雷原の気がする。
 つーことで不穏な部分は聞かなかった事にして成り行きに任せる、以上。
「どうした、何かあったのか?」
 いや、ぼく自身も玖渚にしてもあり過ぎる位あったので物凄く白々しい台詞だとは思うけど、とりあえず無難な言葉をチョイス。
「んー?俺様ちゃんは前に比べれば全然へーきだよ。だってこれ位で済んでるしね。」
 後半部に強調点が付いてる様な気がしたが軽く視線を泳がせて、それも聞かなかった事にする。


 と言うか、口様と質は前と同じなのに、あからさまに低く男声になった玖渚の言葉に、別の意味でちょっと涙が出そうになる。 
 あの小柄な青髪の風変わりな少女は影も形も無く消えうせた、アーメン。
 と言うかこれで良いのか『害悪細菌』。
 こいつはお前にとっての崇拝対象だったんじゃなかったのか?それとも存在そのものが崇拝対象であって、
その性別なんていうものは些細な事でしか無いとでも言うのだろうか?
 それともこれこそが破壊屋の破壊屋たる所以だとでも?
 …ああもうアイツの事は考えないようにしよう。あいつは存在自体がすでに戯言を通り越して悪い冗談だ。
そしてその迷惑被害っぷりは戯言の域を遥か斜め上に跳越している。
327夜を這うモノ 6:2005/09/18(日) 03:41:49 ID:UL8Ivohp
 ともあれ今現在目の前の解決すべき問題は、この身体の上にずっしり伸し掛かった玖渚友(♂)だ。
 それにしても女でも男でも違和感のない名前って言うのはこう言う時に便利なのかもな。
普通はその『こう言う時』と言う事態はありえない筈なんだが。
 だがありえない筈、なんて言葉今までどれ位否定されてきた事か。
 それも大抵は『最悪』の方向で。
 ならば少なくとも『最悪』の状況で無いだけよしとするべきなんじゃ無いのか?
 感情の方は未だに納得出来ていないが、それでも取りあえずは。

「これ位でコレなら、それで済んで良かったと思え。どうせ朝になればそっちに起こしに行くんだから、
朝になるまで待ってれば良かったのに…。」
 正直明かりを点けて様子をじっくり見たいのだが、無理なので必死に薄闇に目を凝らす。
 顔色はよく分からない。が、髪までぐっしょりと汗に濡れてはいてもその表情に苦しさは無い様だった。
 発汗発熱動悸息切れ、ただし時間経過に比例して下降中。つまり今までと違って時間経過により
自然に自己回復中…と都合よく解釈するのは都合が良すぎるだろうか。
 医者でないぼくが判断すべき事ではないのだが、それでも心配は心配で。
 緩んできた拘束から片手を抜いて、つい、とその顔に向かって手を伸ばす。
 汗の水滴が時折ぽたりと零れるその頤にそっと指を這わせ、頬から耳の方へ滑らせて
そのまま左の手のひらをぺたりとあてがった。
 どうやら発熱の症状は完全に除外しても良さそうだ。ひんやりとした体温はしっとりと湿っている以外は
普段のとおりの様で、ひとまずは安堵の溜息を吐く。
「やだよ。ほんっとうに久々の折角の一つ屋根の下なのに、いーちゃんは冷たいんだね。このれーけつ漢、女ったらし、ヒトデナシ。」
 その仕草をどう取ったのか、どうやら不機嫌モードのスウィッチが入ってしまったらしい。声音が思いっきり拗ねている。
 これが以前の姿形サイズでやるなら正直そう言うのも可愛らしいと言っても良いのだろうが、
今現在やられてもあんまり嬉しくない。
 言われている内容も内容だし。
 さてはてどう言いくるめたモンかね、と考えを巡らした瞬間、ふいっと玖渚の声が低くなった。
「…でもさ、」
 緩く掴まれたままだった右手首に、ぎりっと強い圧迫が加わる。
「いーちゃんも『コレ』ならもーそー言うのも出来ないだろうからさ、女ったらしってのは撤回しておいてア・ゲ・ル♪」
328夜を這うモノ 7:2005/09/18(日) 03:42:51 ID:UL8Ivohp
 …。
 この状況は、やっぱり本当に『最悪』かもしれない。
 今までとは別の意味で。
 今更だけど。
 でもその相手がコイツならどうなってもいいや、とも思う自分はやっぱり色々とどうしようもない欠陥品なのかもしれない。
 危機感が無い、とも言うのだろうけれどそれもまた今更だ。

 動きの止まったぼくの左手を、玖渚の空いた手が捕らえた。
 絡められた指の感触と同時に、ふわりと手の甲を長くてしなやかな蒼髪の糸が叩く。
「く、なぎさ…」
 名前を呼ぶ。
 最後まで呼ぶ事が出来ず、息を呑んで口を閉じた。
 手のひらに触れた、熱く湿った何かの動きに気を呑まれる。
 ぴちゃりと、音がした。
 水を舐める音。舐めとる音。
 生々しいその音は、ざわざわとぼくの肌をざわめかせて、手のひらと玖渚の接点から響いてくる。
 それほど大きくは無い音なのに、無視出来ない位に響く。
「あ、や…やめ…っ」
 静止の声は、息を飲む音で止まる。

 玖渚の口に丸ごと飲み込まれた指が一本。
 神経が細かく張り巡らされた指を、口全体できゅううっと吸い上げられて一瞬、何がなんだか分からなくなりそうになる。

 ナニヲサレテイル?ナニヲシテイル?モクテキハナニ?
 …ボクハナニヲスレバイイ?ドウシタイ?

 その未体験かつ初体験の感覚に展開しようとしていた思考全てが中断、混乱、停止。
 ぶっ飛んだ。
 吸い上げられるその感触と同時に指の中の全ての血が指先から爪の間に集中して、ぎゅうぅっと熱く濃く凝縮されて、
もうこれじゃプツンと皮膚が切れて玖渚の口の中に全部ぶちゃあっと紅くてしょっぱくて熱くて
どろどろした濃くて汚い血液を爪と肉の隙間から吐き出してしまう、と思った。
 それ位強烈で、鮮烈な感覚。
329夜を這うモノ 8:2005/09/18(日) 03:44:44 ID:UL8Ivohp
 吸い上げられる感触と吸い上げている相手が玖渚であると言う事実、それに混乱するぼくの脳裏は
その急激な感覚に同調して真っ赤に染まり、どう動けばいいか分からない全身に変な風に力がこもる。
 あえて言うなら、頭蓋骨の内側に張った毛細血管が太く充血して網目を主張して肝心の脳味噌は
貧血でくらくらしているような、そんな感じで、思考は出来ずに身体が反射で動いているだけで。

 そんなぼくを見つめながら、玖渚は無言のままだった。
 まぁ勿論口が塞がっていると言うのもあるのだろうけれどけれど上から降ってくるその視線はとてもとても、強い。
 イタイ。
 皮膚がその熱を孕んだ視線に反応して、ちりちりと熱を宿す。
 不意に口の中で玖渚のの舌がずるり、と動いた。
 痛い位に吸い上げられて皮膚に重さと熱さを感じ始めていたその指に、まるで蛇の様に絡みつく。
 じゅるり、と聞こえた音と共に指先から電気が奔った。
 指の腹からなぞり上げられて爪の表面に舌先が這い、そのまま捻じり込む様に爪と肉の間に舌先が強く押し付けられる。
肉と爪の合わせ目を抉じ開けられかけて、鮮烈な痛みが貫いた。そのあまりにも強烈な一瞬の刺激の流れに
脳味噌がショートする。
 押さえ込まれたまま背中が弓形に強く緊張し、引き絞るかのように頭を枕にめり込ませる。
反り返った爪先がシーツにきつく爪を立てて、無駄に作った皺の間でびくびくと震え続ける。
 コレハ一体ナニ?
 疑問がぼくの麻痺しかけた脳裏にやっと朧気に形を取ろうとしたその瞬間、指が開放された。
 緊張しきっていた全身の力が抜け、支えを失った手をそのまま浮かせておく事も出来ずに僕は自然に動きを任せた。
 すなわち重力に従って、ぐったりと身体を横たえた寝台に左手も同じく横たわろうとする。

 その、ぼくが全身全霊で全部緩みきったその瞬間が、玖渚の狙いだったらしい。
 
 脱力しきった両方の足と足の付け根に、強い力で暴力的にヤツの膝頭が捻じり込まれた。
 足を閉じるなんて事も出来ないぼくを、疲れ切ったぼくを、まるでさっきまでの事なんてほんのお遊びだとでも言うかの様に
握ったままだった右手をぐっと強く押さえつけて寝巻き越しに宛がわれた固い関節がごり、と蹂躙した。

 ショートを通り越して、火花が出た様な感じが背骨を駆け上がって脳味噌で弾けた。
330夜を這うモノ 9:2005/09/18(日) 03:46:56 ID:UL8Ivohp
 声も出せずに全身で強張りガクガクと震えているぼくは、本当にそれが一体ナニなのか理解出来ず
考える事も出来ずにいて、たった一つだけ、ぼくを見ている玖渚の唇が、多分笑みを浮かべているのだろう
事だけが何となく空気で分かった。

「いーちゃん、好き。」

 前に言われた言葉と、同じ言葉が降って来る。あの時と違う声音、違う熱、異なるベクトル。
 すなわち低い声音で、熱い熱を孕んで、強く要求する力を持って。

 それでもそれは、玖渚で、その言葉は玖渚の言葉で…要求で。
 そして彼女は彼女を拒否できないぼくを知っていて、承知の上でそんな言葉をぼくに囁く。
 どろどろに溶ろけたぐずぐずのこの肉体を欲しいって言うなら全部全部奪っていけばイイのに、
それなのに要求する。

 自分の物ではないように感じる手を動かして、ゆっくり釦を外す。
 たどたどしいその仕草を視線が辿る。それを感じて、全身の産毛がぴりぴりと逆立つような気がする。
 前開きの寝巻きは布地の重みで自然に左右に分かれ、あっけなく中身を晒す。
 ぼくが玖渚の要求を断る事なんか在り得ないし、玖渚も僕の願いを聞かない事は無い。
だからコレは多分徹頭徹尾双方の合意の行為の筈なんだけれど、だけれども少しだけ指が震える。
 多分そんな事百も承知で、その上で要求しているんだろうけど。何て性悪。

「愛してる。」

 だからぼくは、あの時最後まで言えなかった言葉を完全に最後まで音にする。
 玖渚の耳に届く様に、聞こえなかった事にならない様に。

 薄闇に白い歯を並べた半月が浮かんで、にぃっと笑って、玖渚の身体が落ちてくる。
 開放された右手と作業を終えた左手で、ぼくは重なってくる身体を抱き止めた。重なって組み敷かれて、
ああ流されてるなぁなんて思って一瞬後にはそんな考えの事なんてきれいさっぱりと忘れる。

 それどころではなく、一切合財ぼくの全部が解して並べて揃えて晒されて…玖渚のモノになる。
331311:2005/09/18(日) 03:57:51 ID:UL8Ivohp
本日分はここまでです
つ、疲れたorz

とりあえずいーちゃん(♀)の胸はBカップ位と考えて書いてます
そして廊下を這いずってくる玖渚のイメージ画像は
某SADA子が井戸を上って来るシーンをちょいコミカルにした感じで
ヨロシクお願いします(w

で、ここで終了or最後までGO、
皆さんのチョイスはどっち?
332名無しさん@ピンキー:2005/09/18(日) 04:01:18 ID:heiOqJ9R
GJです。
夜更かしした甲斐がありました。
チョイスは最後までGO!
333名無しさん@ピンキー:2005/09/18(日) 07:46:45 ID:pdd28xGx
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 女体化いっきー!女体化いっきー!
 ⊂彡

最後までキボン
334名無しさん@ピンキー:2005/09/18(日) 10:12:45 ID:R9XqQVIO
表現が綺麗でいいですね。続行終了は別として、もうちょい具体的に完結して欲しい。

てかもっと読みたいですw
335名無しさん@ピンキー:2005/09/19(月) 00:46:17 ID:DCKMAYtv
是非に最後まで!
336ラスタマン ◆mr.7wNCCbA :2005/09/19(月) 11:15:50 ID:T8B/atXI
ワリコミスマソ

真っ暗だ。 『?????』
クエスチョンマークが僕の頭を埋めた。
体が動かない、いや動けない。何だ?この状況は?石仮面の儀式なのか?いやいくら僕がマトモな人生送ってないからといって、アステカに送られはすまい。思い出せ僕。
僕は大学から帰ってきて、コンビ二弁当を食べた、そして暫くうつらとしていたら、えーと何だっけ?.....そうだノックが聞こえたんだ。
そして見えたのは────赤。
思い出した。


「哀川さん──。」
僕はソコにいるであろう赤色に呼び掛けた。

337ラスタマン ◆mr.7wNCCbA :2005/09/19(月) 11:19:15 ID:T8B/atXI
────。
返事は無い。
「.......お前は『名前で呼べって言ってるだろ』と言う」
「名前で呼べって言ってるだろ...はっ!」
ノリ良いな。
「おはようございます潤さん」
「お〜腕上げたないーたん、おは〜」

「潤さん、1つだけ言って良いですか?」
「お〜言いたまへ言いたまへ」
「これやったのアンタだろ」
断言してみた。
「うん」
断言された。

「いや〜いーたんが抱いて下さいとか言うからさ」
へ?アンタそのときまだ早いとか言ってたんじゃ...
「え?でも潤さんあの時は────。」


338ラスタマン ◆mr.7wNCCbA :2005/09/19(月) 11:22:29 ID:T8B/atXI
「────っ!!」
口を塞がれた。
口で───。
「んっ....ぁふ.....」 潤さんの舌が唇を割り込んで中に入ってくる。 「んんっ...はぁっ....」
僕の舌に、潤さんの舌が絡まってきて、舌を甘噛みされて──。
「........ぷはっ!!」長いキスだった。
「あんれー?いーたん感じちゃった?ちょっとは抵抗してよ〜」
「いえいえ誰か知りませんが、僕を縛り上げた変態がいた様で」
僕は事もあろうに両手を縛られ、天井から釣られている、足が付いている分釣られているという辛さは無いものの、身動きがとれない、ていうかここ何処だ?
「潤さんもう1つ質問いいですか?」
「ん?いいぞ」
「ここ何処ですか?」「ラブボ」
は?

339ラスタマン ◆mr.7wNCCbA :2005/09/19(月) 20:08:26 ID:T8B/atXI
「ラ・ブ・ボ」
潤さんが息が当たる位近付いて言う
「ラブボですることはひとぉーつ!ハイ!いーたん何!?」
「日本国憲法の勉強?」
こうなりゃヤケだ。
「ブー!!いーたんハズレ〜!!お仕置き〜!!!」
「え、ちょ潤さんっ」
潤さんは僕の制止を無視し、舌舐めずりしながらズボンのホックを外して、手を侵入させてくる。
「どーこだどーこだいーたんのどーこだ♪」


340ラスタマン ◆mr.7wNCCbA :2005/09/19(月) 20:11:22 ID:T8B/atXI
「みーっけた」
潤さんは下着の上から僕のを撫であげてきた。
「あっ...。」
「おっいーたん感じてきたなよしよし」
「そんな事ないでっ..す....あぁっ!!」
撫であげていた手がいきなり先端をぐりぐりとイジメ始めた。
「へぇ〜感じてないんだ〜」
そういいながらも右手は僕の先端をイジり続け、左手を抱き抱えるように背中にまわして身をよじって逃げれなくしている。
「ホラホラ感じろよいーたん」
僕より背の高い潤さんは少し前屈みでなので、必然的に上目使いで僕を責める。
ヤバイ。
ちょっと頬を上気させた潤さんは本気でヤバイ。
これでオチない男はいないって。
戯言じゃなくさ。

341名無しさん@ピンキー:2005/09/20(火) 00:52:55 ID:CSpcmTRO
ええい、続きはまだか!

ところで、「ラ・ブ・ボ」 RABU"BO"?
342名無しさん@ピンキー:2005/09/20(火) 00:58:09 ID:HWAQRKjj
ラブ・ボボ
343ラスタマン ◆mr.7wNCCbA :2005/09/20(火) 06:55:28 ID:VhbcbqLf
なんだこの誤表記orz
344311:2005/09/21(水) 00:50:13 ID:/EwzMIWv
>332〜335
アリガトウございます&了解しました(w
最後と膜の貫徹を目指して頑張ります

>336
拘束いーたんキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
赤女王サマ 萌━━━(゚∀゚)ェ━━━!!!!!
345名無しさん@ピンキー:2005/09/21(水) 14:19:43 ID:QJwzlwVT
GJです。四文字熟語で言うなら、萌萌萌萌。

…ラブ簿?
346名無しさん@ピンキー:2005/09/21(水) 21:27:47 ID:InhhQMDb
骨董アパートって廊下歩いただけで気づかれるなら隣ならオナっても気づかれるよな?
ということでみいこさんにばれて犯されるいーちゃんキボン
347名無しさん@ピンキー:2005/09/22(木) 00:18:55 ID:mK8ESVlP
いーたんは実はズル剥けカリ高の巨根。
348名無しさん@ピンキー:2005/09/22(木) 19:27:08 ID:62kgCE1i
そんなことは知っている
349304(?/←何故疑問系):2005/09/25(日) 05:03:27 ID:PfHnwXN2
数時間後には試験なのに何やってんだか、俺… orz

311さん>
続きが気になる気になる気になる…
有難う、試験終わったら俺もちょっと頑張ってみるよ ノシ

336さん>
どっきどきですな(笑
例の単語は「ラブ・ボート」ですか?

――よっしゃ、充電した。俺、頑張ってくる…!
350名無しさん@ピンキー:2005/09/25(日) 13:33:04 ID:ZkqfK1dG
>>348
そうなの?崩子ちゃんから、「萌太よりも小さいですね?」と何の悪意もなく言われて、
激しく落ち込むいーちゃんを創造していたんだが。
351名無しさん@ピンキー:2005/09/26(月) 20:50:00 ID:KyDol46q
膨張率がすごいんですよ、きっと
352名無しさん@ピンキー:2005/09/27(火) 12:28:15 ID:Z+h6JCcJ
肘から下くらい
353名無しさん@ピンキー:2005/09/30(金) 02:00:09 ID:ohJxye1i
頭巾ちゃんの月並みな百合プレイ保守
354名無しさん@ピンキー:2005/10/04(火) 01:07:02 ID:7W1xlU8L
「崩子ちゃん、保守って知ってる?」
「お兄ちゃん、いくら私が子供だと言っても、その位は知っています」
「それじゃ姫ちゃんは知ってる?」
「えっ?」
「…………」
「…………」
「し、知ってるですよ」
「実はぼくは知らないんだ。是非教えてくれないかな?」
「あ……、えっと……」
「うん?」
「ほしゅ……ほしゅー……」
「……?」
「姫姉様、保守とは自分の興味のあるスレがdat落ちしないためにageることです」
「そ、そうですよ、それですよ。そんなことも知らなかったですかこのへたれ師匠は」
「…………」
「全くもう。師匠はもう端っこの方で『ディーフェンス、ディーフェンス』って言ってて下さい」
「…………」

ほしゅ
355名無しさん@ピンキー:2005/10/04(火) 13:00:53 ID:WJIFii3E
ディーフェンス
356名無しさん@ピンキー:2005/10/06(木) 00:03:26 ID:lNZr0OEc
ディーフェンス
357名無しさん@ピンキー:2005/10/06(木) 09:44:21 ID:UAsgg2AQ
オーフェンス
358名無しさん@ピンキー:2005/10/06(木) 15:43:44 ID:CTR9sgos
ディフェンスに定評のあるのが池上君なの
359名無しさん@ピンキー:2005/10/07(金) 23:52:23 ID:4zO7eVZP
ニンギョウのニンギョウが不意打ちのように本屋に並んでたのに気づいてしまった
なんか高いよコレ

コレでエロは……やっぱムリかなぁ
360名無しさん@ピンキー:2005/10/08(土) 03:15:22 ID:bp6qXoV0
流石に熊少女は、なぁ・・・・。
でも、主人公が妊娠したのって一緒に映画を見に行ったからなのかね?
361名無しさん@ピンキー:2005/10/08(土) 03:57:50 ID:M5Twqe9m
くまったくまった、ナンチテ
362名無しさん@ピンキー:2005/10/08(土) 16:56:28 ID:zKq3aRa5
あの作品に論理は皆無だから今更因果関係とか考えるのもアホらしい気がする。
363名無しさん@ピンキー:2005/10/09(日) 12:24:32 ID:cbvBw61M
ニンギョウがニンギョウ・・・、近くに売ってない… OTL
364名無しさん@ピンキー:2005/10/10(月) 20:14:45 ID:pvmY9tHo
>>363
つAmazonとか
365名無しさん@ピンキー:2005/10/12(水) 17:48:07 ID:P9Q1XhBU
保守SS。パラレルもの。

「で、どうだった?」
「……どうだったとは?」
「ストライクゾーンの可愛ゆい女子高生はいたかって訊いてんだよ、いーたん♪」
「ぼくの人格が疑われるような、とつももなく誤解を招くような言い方しないでください。でも印象深い娘ってんなら」
「いたのか」
「ええ、各学年に一人ずつ」
「しっかりチェックしてんじゃん」
「まず一年生の娘なんですけどね。熱心に鉛筆削ってんですよ。中々勉強意欲の感じられる娘だなって思ったんですけど」
「ふぅん、それで?」
「よく見たらエリミネーターで削ってるんですよ、簡単にぶった切れそうなちっさい鉛筆を器用に」
「西条玉藻だな」
「次に二年の娘なんですが。この娘は授業中ずっとぼくの傍を離れなかった。まぁもててるってんなら、悪い気はしないんですけどね」
「ふぅん、それで?」
「黒板に書いてある方程式を前に、終了のチャイムが鳴り終わるまで、ずっと白い灰になってました」
「紫木一姫だな」
「トドメは三年生の娘。先に白状しちゃいますけど。この娘が一番やり難かった。前の二人に比べればあきらかに優等生なんですけど」
「萩原子荻だな」
「……ぼくインパクトのあるエピソード、なにか言いましたっけ?」
「んにゃ。でもあいつを気にするだろうつーーのは、初めからわかってたよ。いーたんとあいつ、どっか似てるからな」
「ぼくはどちらかといえば、いやいや、自分でいうのも心底何なんですが、確実に落ちこぼれでしたよ」
「優等生と落ちこぼれ。両極端で似てるじゃねぇか」
「そんなもんですかねぇ」
「そんなもんさ。でもこれでこの学校の生徒、特に可愛ゆい娘と問題児、一日目でだいたい抑えられたじゃん」
「……可愛ゆい娘と問題児、この学校は二つが等価なんですか」
 まぁそりゃあ今日チェック、ではなく、印象に残った三人の女の子は、揃ってみんなハイレベルで可愛ゆかったけれども。
366名無しさん@ピンキー:2005/10/12(水) 17:49:12 ID:P9Q1XhBU
「んーー? この学校に限らず世の中全部、可愛ゆい娘は問題児さぁ。もっとも問題児が可愛いとは限んねぇけど」
 などと哀川さんは言うが、そもそもこの澄百合学園には、可愛ゆくない娘などいない。
 でもそれだと、全員が全員問題児ということになりはしないか? …………なんだか頭が痛くなってきた。
「ああ、そりゃそうと。おまえの可愛ゆい可愛ゆい、目に入れても痛くない玖渚ちゃんは、まだお出ましにはならないのか?」
「まだ当分無理でしょうね。あいつの場合は、引きこもってる状態の方がデフォですからね」
 なのになぜ教師などという、まったく似合わない職業を選択してるのか。
 玖渚の考える事に、いまさら理由など求めても仕様がないのだが、それでももう少し責任を持てとは言いたくなる。
 物事から逃げるのがデフォの、欠陥製品のぼくが言うのも、非常になんではあるが。
「じゃあいーたんの代打教師生活も、意外に長くなりそうってわけか」
「そうですね。いきなり明日になったら行くとか言い出すのも、まぁ玖渚ですからありそうな気もしますけど」
 最低でも新学期くらいまでは、続けないわけにもいかないだろう。
 辞めるにしたって後任が決まってないのでは、一応は真っ当な社会人だと思い込んでいるぼくとしては心苦しい。
 ……しかし真っ当ねぇ。 我ながら何とも笑わせてくれる。これこそまさしく戯言だ。
「ってか哀川さん、これも請け負ってくれませんかね? 諸般諸々の事情があるとはいえ、ぼくなんかが教壇に立つのは問題ありますし」
 人類最強の請負人を雇うには、いったいどれほどの経費がかかるのかはわからないが、玖渚ならばキャッシュで払ってくれるだろう。
 そもそもが哀川さん。この澄百合学園に来たのは、別に今日が初めてというわけではなさそうだ。
 でなければ授業を終えたばかりのぼくを引っつかまえて、迷う事なく威風堂々食堂に辿り着き、A定食をパクつけはしないだろう。
「………………………………………」
 と考えてはみたものの、ここにおわすのは何しろ哀川さんだ。
 縁も紫も合ってない女子校にいきなり乗り込み、本能に従って食欲を満たすくらいは何でもないのかもしれない。
「いいかげんこのやり取りは飽きてきたが、あたしを名字で呼ぶのは敵だけだ。それから依頼は受けらんねぇよ、タッチの差だったな」
 カラッとキレイに揚がっているアジフライを、サクサクと音を立てて咀嚼しながら、哀川さんはじろりとぼくを睨んでくる。
 さり気なく言ったつもりだったが、請負人は見逃してくれなかった。
 スリルを求めるのはいいが、もっと慎重に行った方が良さそうである。赤髭危機一髪の頭は、ぴくり、と半分出かかっていた。
 それがドカンと飛び出したらば、ぼくの小っぽけな命が飛ぶのも疑いない。
367名無しさん@ピンキー:2005/10/12(水) 17:50:09 ID:P9Q1XhBU
「ここの学園長とは、ちょっとした腐れ縁ってやつでな。つまらない仕事なんだけど、暇だったからついさっき引き受けちまったんだ」
 どんな依頼かは聞くまい。
 守秘義務といったものが哀川さんにも無論あるだろうし、わざわざ藪から蛇を突くような真似をしたくはない。
「っかし、玖渚のやつもそうだが、非常勤教師のやたら多い学校だよな。ノアに呼ばれたときもてっきりそれかと思ったんだが」
 どうも聖職について哀川さん。それなりにやる気は、どうやらまあそこそこはあったみたいだ。
 だとすれば惜しい。もう後ちょっとでGTA、グレートティチャー哀川が見れたかもしれなかった。
 しかし実際に教鞭を振るわれる生徒一同は学園長に、あるいは自らの幸運に、ひたすら今日一日くらいは感謝しても良いだろう。
「動物心理学なんて、高校で教えるにはマニアックな科目の先生なんか、どうも神出鬼没系らしいんですが、絶賛行方不明中ですからね」
「ん? なんだ初日にしちゃ内情にくわしいじゃん?」
「生徒全員にドン引きされるような物体を、授業で嬉々としながら解剖する変態が、訊きもしないのに丁寧に教えてくれましたので」
 それにしても、心の底から尊敬する恩師が、この学園に赴任していると知っていたならば、ぼくはいかにそれが玖渚友の頼みとはいえ、
こんなところには絶対に足を踏み入れなかったろう。
「いーたんてさ、友達は少ねぇのに意外と顔は広いよな」
 だが、それがぼくの助けになったことは、残念ながらあまりない。
 なのにここには、ぼくの短いろくでもない人生の中でも特に、《暗黒時代》といってもいい向こうでの知り合いがまだ他にもいやがる。
 悪夢だ。


思いつきを書けたとこまで投下。
368名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 13:04:12 ID:fvyulsbA
がっつり読んだよ。続きもがんがれ!
369名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 02:37:17 ID:P2m3GHoY
戯言先生ですか! 続きを楽しみにしてますー
370さよなら戯言先生:2005/10/15(土) 18:52:51 ID:TSWQAM0M
読んでくれた方コメントくれた方どうも。タイトルは勝手に使わせてもらいました。調子に乗って続き。


「シマっていきますですよ〜〜〜〜」
 何気なく廊下を歩いていたらば、ふっとそんな姫ちゃんの、まったくシマらない声が聞こえてきた。
 窓から顔を覗かせると、グラウンドで野球をしている生徒達が見える。
 しかしこれはぼくの偏見かもしれないが、普通女の子のやる球技なら、ソフトボールの方がふさわしいのではないだろうか。
 マウンドに立っている姫ちゃんは、小さい身体を豪快にワインドアップで振りかぶっている。
 投げた。
 だいたい姫ちゃん届くのかと心配したが、打者のバットをキレイに空振りさせて、ビシッとキャッチャーのミットにボールが収まる。
 ぼくの視力はかなり良い方だ。
 だがそれでも、グラウンドまではかなり距離がある。なのにはっきりと見えた。それほどの、まるで漫画みたいな変化球だった。
 蛇のように鎌首を持ち上げ、急激に浮き上がったボールが、それでも喰らいつこうとするバットを嘲笑うように、最後は沈み込んで
ぴくりとも動かさないキャッチャーのミットへと吸い込まれた。
「童夢くんかよ」
 惜しい。
 日本のプロリーグに女子があれば、いやいや、男女混合であれば、姫ちゃんはドラフト一位で某金持ち球団にも入れたろう。
 結局バッターは三球三振だ。驚いたのは全部ボールの軌道が違うことだろう。その全てが魔球である。
 そしてさっきからずっとキャッチャーのミットが、ぴくりともしないのは、姫ちゃんのコントロールが抜群ということもあるだろうが、
そうしていないと例え球種がわかっていても、どうやら取れないみたいだ。
「そういや完全試合って、見たことないんだよな」
 まぁもっとも野球自体にあまり、いや、まったく興味がない。
 何回までやったらゲーム終了なんだろうと、スコアーボードを探すが、残念なことに見つからなかった。
「多分それは無理です。紫木には九回を投げるスタミナはありませんから」
 おそらくぼくにかけられたんだろう涼やかな声に、顔の向きをグラウンドから横に変える。
 初めて会ったときもそうだった。いまも何だか値踏みでもするみたいに、ジ――ッとぼくを見ている。ちなみに只今授業時間。
「いけないな、きみみたいな優等生がこんなとこで、ふらふらしてていい時間じゃないよ、自習か何かなのかな?」
「先生の授業なのですけど、自習なのですか?」
 ああ……そうでした。ぼくだってこんなとこでのほほんと呑気に、ルールも漠然としかわからない球技を見ている場合ではない。
 それにどうせ見るのならば、子荻ちゃんの足首にまで届く、異様なほど綺麗な黒髪の方がずっといいだろう。
371さよなら戯言先生:2005/10/15(土) 18:54:10 ID:TSWQAM0M
「迎えに来てくれたの?」
 別に色っぽい会話をしたかったわけじゃない。
「自習なら自習と決めていただかないと、わたしには策の立てようがありませんから」
 いまいち子荻ちゃんの言ってることの意味がわからないが、自習、と一言告げたならば、そのまま回れ右で教室に帰ってしまいそうだ。
 何だか拍子抜けのように感じるのは、やはりちょっとは期待してたということなんだろうか。やれやれ。
「行こうか」
 ぼくがそう言うと子荻ちゃんは、くるりと背を向けて教室へと歩き出す。
 ゆらゆらと揺れている黒髪が、何だか場違いではあるがひどく扇情的に見えた。
 こうやって見ると、姫ちゃんや玉藻ちゃんほどではないにせよ、意外に身体の造りは小さい。――――というより細いというべきか
 これは使い古された言葉何だろうが、抱きしめたら折れてしまいそうだ。
「……女の子には優しくしないとな」
 益体のないことを呟くと、姫ちゃんの魔球のように浮かび上がろうとした感情を誤魔化すように、ぼくは再び視線を外へ向ける。
 いくらなんでもクビを言い渡されるには早すぎるだろうし、その理由がセクハラというのだけは避けたい。
 もう首を後方へと捻らなければ見れない野球を、何とはなしにまたまた見る。
「おっ?」
 バッターにボールは見えていなかったろう。とりあえず思いっきりバットを振っただけ、そんな風にぼくには見えた。でも。
“カキンッ”
 大数の法則。
 子気味いい音を響かせて、ボールはフェンスを越えていった。見事としか形容しようのない特大ホームラン。
 どうも姫ちゃんのボールは恐ろしく軽いみたいである。当てるのは難しいが、当たってしまえば際限なく飛ぶようだ。
 マウンドでは打球の行方も追わなかった姫ちゃんが、がくりと膝を落としている
 子荻ちゃんの指摘したスタミナ不足を露呈するまでもなく、完全試合の夢は脆く儚く消え去った。
「姫ちゃん、お疲れさま」
 ぼくは完全試合とは縁がないみたいだな。
 そう思いながら正面を向くと、子荻ちゃんと目が合った。足を止めて、首だけ捻ってこっちを、ぼくをジ――ッと見てる。
372さよなら戯言先生:2005/10/15(土) 18:55:25 ID:TSWQAM0M
「なに?」
「……野球、先生お好きなんですか?」
 何でそんなことを真剣な瞳で訊いて来るのかは、ぼくにはまるでわからなかった。
「いや全然、ぼくが好きなのはサムライだよ」
 きょとんと首を傾げる子荻ちゃん。それはそうだろうが、野球に興味がないのはわかってもらえたと思う。
「子荻ちゃんは好き?」
「……全然」
 短くそれだけを言って、子荻ちゃんはまた正面を向いて歩き始めた。
 さっきとその後姿は同じはずだが、何だか苛立ってるように見えるのは気のせいだろうか。……否、戸惑っているかな?
「興味がないものでも、先生はぼ〜〜っと見てられるんですね」
 前言撤回。
 やはり何か怒っているように感じられる。その正体までは窺い知れないが、でもまぁこの年頃は、常に何かに怒っているものだ。
 ましてや女の子の気持ちなど、ぼくにわかるわけがない。
 もっともそれは女の子に限らずで、ぼくには誰の気持ちであれわかりはしないが。子荻ちゃんの黒髪に見蕩れながらそう思った。


また書けたら保守代わりに投下します。
373名無しさん@ピンキー:2005/10/16(日) 13:47:32 ID:kzkCQD5N
GJ!!
俺このシリーズ大好きだ。
保守じゃなくても続けてほしい。
374名無しさん@ピンキー:2005/10/16(日) 17:49:05 ID:QTIlUsP9
うーん、いいなぁ
375369:2005/10/17(月) 02:15:34 ID:SUiFbNaV
タイトルになってる!
子荻ちゃんとの絡みがいい感じです。
376さよなら戯言先生:2005/10/17(月) 23:17:27 ID:M5HZQew6
>>372の続き

 全国津々浦々にあるチェーン居酒屋の店内。
 きっかけはぼくの何気ない教師生活一日目の、愚痴ともぼやきともつかない呟きだったと思う。あまりにも不用意だったろうか?
“ダンッ”
 なみなみと注がれていたジョッキの中身を、彼女は豪快に一気で煽って、テーブルに叩きつけるような勢いで置く。
 間に一人挟んで、ぼくの右側に座っていたむいみちゃんは、ぎろり、と効果音が聞こえるくらいの視線をぼくへと向けた。
「ぶったたきゃいいんだよっ!!」
 これだけでむいみちゃんの人柄と、だいたいどんな形の青春を謳歌していたのかは、充分すぎるほどわかるだろう。
 そりゃあショッキングピンクのジャージが似合うはずだ。
「しっかしよぅ、そういうのって最近世間が、やたらめったらでうるさいんだろう?」
「それに相手は女の子だしね、手を上げるのやっぱり不味いと思うよ」
 この集団の中ではぼくが思うに、意外だがもっとも人格者だろう秋春くんと、意外でも何でもなく、見たまんまもっとも良い子だろう
智恵ちゃんが揃ってそう言うと、むいみちゃんは片一方だけに、ぎろり、とやはりド迫力の視線を向ける。
 どちらが睨まれているかなどは、ぼくがあえて語るまでもない。
 まぁとりあえず、お酒を呑んでるはずなのに秋春くんの顔が、みるみると真っ青になっていったことだけは伝えておこう。
「そんな甘っちょろいことほざいてるから、ガキどもが勘違いしてツケあがるんだ」
 むいみちゃんは言いつつ、煙草を吸おうとフィルターを口元に持っていたところで、はっ、となると慌ててポキリとへし折った。
 例え世間が決めたルールは破っても、自分で決めたルールは破らない。
 ヤンキー出身の人ってこういうとこ、やたらと律儀というか頑固だったりする。
「でもさ、いっくんが先生なんてびっくりだよね、《160キロの剛速球ホームラン、ただし頭部へのデッドボール》みたいなっ!!」
 ……巫女子ちゃん、それはもしかして、ぼくに早々に退場しろということなのかい?
 隣にちょこんと、何だか礼儀正しく座っている巫女子ちゃんは、両手でジョッキを持ってクピクピと、とても上機嫌で喉を潤してる。
 その仕草は可愛いといえないことも、まぁないかもしれないしあるかもしれない。
377さよなら戯言先生:2005/10/17(月) 23:18:46 ID:M5HZQew6
「確かにな、いっくんが一時間もガキどもの前でしゃべってる姿は、正直あたしには想像つかない」
 店員の呼び出しボタンを押しながら、むいみちゃんがチラッと、巫女子ちゃんの肩越しに視線を送ってくる。
 ぼくはそれをあえて無視して、近くを通りかかった店員を手を上げて呼び止めた。
「ウーロン茶とビールの中ジョッキを」
 びびったわけではない。本当だ。
 ぼくは赤色の視線に散々晒されている。いまさらヤンキーのメンチなど、何するものぞといった感じだ。
 しかし、むいみちゃんの視線は怖いとかどうとかいう前に、ぼくは身体のあっちこっちの節々が何だか痛くなってくる。
 特に指の関節がズキズキと痛い。念仏の鉄に睨まれたら、きっとぼくは同じ感想だったろう。
「どっかの誰かは心配なんじゃねえの、女子高生と一日中一緒にいるんだぜ。おれならくらくらしちまうね、はっきり言ってやべぇよ」
「あ? なんなら秋春、あたしがいますぐにでも、くらくらさせてやろうか、あん? ガツンとさぁ」
「……いや、その、ごめんなさい、すいませんでした貴宮さん、つい調子に乗ってしまいました」
 視線が自分からぼくへと移った為だろう。口の動きが滑らかになった秋春くんだが、あっという間に謝罪と沈黙を強いられた。
 鼻を両手で押さえて、また顔のシグナルをブルーにしている。
 嫌なことでも思い出してしまったのか、心なし涙目になってるみたいだ。
 巫女子ちゃんから聞いた話では、むいみちゃんは容赦のない性格だが、特に子供の躾にはうるさいらしい。
 ぼくを抜かしたこの面子で、成人式に出席したとき、歳だけは子供のラインを越えたが、内容物はそのままの数人が、煙草は吹かすは
酒は呑むはの狼藉を働き、その上巫女子ちゃんに絡んだものだから、ブチン、そんな音がするくらい、むいみちゃんはブチギレた。
 殴る、殴る、とにかく殴る。
 それは天晴れな大立ち回りだったらしい。多分会場にいた八割以上の人は拍手喝采だったろう。実際巫女子ちゃんはすっとしたらしい。
 しかしここで、常識人であるところの秋春くんは、このままでは相手が病院送りどころか、むいみちゃんが刑務所送りになると考えて、
後ろから羽交い絞めにして止めようとした。
 でも後ろから、むいみちゃんの言い分ではこっそり近づいたのが不味かったらしく、
“ゴズゥッ!!”
 振り向き様の肘鉄がモロに鼻っ柱にヒットして、秋春くんは鮮血を上げてもんどり打ち、気づいたときは救急車の中だったらしい。
 そのときの様子を巫女子ちゃんは『いっくんいっくん、わたし《ここはどこ? わたしは誰?》このフレーズ初めて聞いちゃったよっ』
興奮気味に教えてくれたものだ。
 ぼくも人のことは決して言えないが、貧乏くじとは秋春くんの為にある言葉だろう。どこか尊敬に値する存在だ。
「ね、ねぇいっくん、やっぱり女子高生はさ、ピッチピッチで可愛かったりするのかな?」
 巫女子ちゃん。そういうときの擬音はピッチピッチではなく、出来ればピチピチにしてほしい。
 ピッチピッチだと若さや元気ではなくて、何か別のものが制服から張ち切れそうだ。
 ぼくはどちらかというなら、すらっとした女性が好みだったりする。それで年上で童顔だったりしたら言うことはない。
378さよなら戯言先生:2005/10/17(月) 23:20:07 ID:M5HZQew6
「どう……なの……かな? いるのかな? いないのかな? いっくん的に可愛い娘は?」
 ぼくはなんとなく、本当に考えなしのなんとなくで、巫女子ちゃんではなく智恵ちゃんを見る。
「………………………………………」
 ただただにこにこと笑っていた。ぼくと巫女子ちゃんを愉しそうに眺めながら、江本智恵はただただ笑っていた。
 大人になってもそれは生きた時間ではなく、死んでない時間が長くなっただけだと、そんな風に答えを出してしまった少女が笑ってる。
 ぼくは智恵ちゃんの目を見ながら、巫女子ちゃんへと答えを返した。
「みんな可愛いよ、まだまだ子供だけどね。でも、巫女子ちゃんほど可愛い娘はいなかったかな」
「うわぁっ!!」
 勝手にシリアスモードになろうとしたぼくを、巫女子ちゃんの、びっくり、を表してるんだろう声が引き戻す。
「……どうしたの?」
「いっくんがこんなにはっきりと褒めてくれたの、初めてだったから嬉しいっ!!」
 にこにこする巫女子ちゃん。
 いつものこととはいえテンションが高い。まぁ上がったままで戻ってこない、どっかのどこかの青髪娘よりは大分マシだけどさ。
 そう思った。
 間違って、思ってしまった。
「いっくんはねぇ《やる気はバリバリ、でもリストラ》みたいなっ!! 《職業ボクサー、特技は大食い》み・た・い・なーーっ!!」
 ――――葵井巫女子のテンションは閉店時間になっても、ぼくらの前に戻ってきてはくれませんでした。
 帰り道では立ったまま寝るという、荒業を披露し、結局はぼくが(むいみちゃんが無理矢理乗せた)おぶる始末である。
 役得といえなくもないが、店を出てから結構歩いていて、いいかげんに重い。
 状況に必要以上に流されるぼくにも責任はあるが、まったくもって、いまの巫女子ちゃんに送りたい言葉は、唯一ただ一つだけだ。
 女の子じゃなかったら放り投げたいところを、ぐっと抑えて小さく口の中だけで呟く。
「甘えるな」



レスくれた方ありがとうございます。思いついて書けたら、また投下させていただきます。
379名無しさん@ピンキー:2005/10/17(月) 23:26:56 ID:CbyVo0xH
いいよ〜続きに期待^^
380名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 00:24:01 ID:tTzaUGBl
《160キロの剛速球ホームラン、ただし頭部へのデッドボール》
 ・・・・・・シュールだw

 続き、待つよ。

381名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 02:29:32 ID:CsfLL8gL
届きやがれこの想いっっっ!!
GJ!
382名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 12:03:44 ID:MA4Fsu3s
イイヨイイヨー、スゴクイイヨー。
383さよなら戯言先生:2005/10/21(金) 23:12:09 ID:lKK+nsvh
レスくれた方ありがとうございます。>>378の続き

「ゆらーーりぃ」
 この学園に来てからそろそろ一週間。大分慣れてきた。
 自分にこんなに順応性があったのかと、最初は驚いたものだが、多分それはここが、この学園が異常な空間だったからだろう。
 ならばそれこそは、慣れ親しんだぼくの領域だ。
 どことは実はまだよくわからないのだが、この学園はおかしい、一度そう認識してしまえば、もう時間はそれほどいらない。
 答えが漠然としているので些か不安ではあるが。オーケー。ドンと来い澄百合学園。開き直りは完了している。
 そんなぼくのリクエストに運命だか何だかが、律儀にも応えてくれたんだろうか。余計なことをしてくれやがって。
 場所は学園の廊下。時刻は夜の十一時半。
 どうしてこんな時間にまでいるのかといえば、この学園を愛してやまないからではなく、
『うちな、今日どうしても外せない予定があんのんよ。つーーわけでどうせ自分暇やろ? 宿直任せたえ、ばいばいきーーん』
 心から尊敬して尊敬して尊敬して尊敬して尊敬して尊敬して、尊敬し尽くして止まないぼくの恩師に、一言の半畳すら入れられずに
宿直を押し付けられて、ぼくはこうして深夜の学校にいる。
 あんのチンチクリンめぇ。
 ぼくにだって一応予定というものはあるのだ。『なんなのん?』と訊かれたりしたら返事に困るが。それがまた腹が立つ。
 と。
 まぁこんなまったくもって納得のいかない理由で、ぼくは宿直に付き、しかも真面目に校内巡回などをしてるわけだが、長い廊下の
向こうから滲むように、その人影はゆっくりと目の前に現れた。
「……ゆぅらぁりぃ」
 すぐ前まですでに来ているので、正確を記するば《人影》ではないのだが、ぼくには何だか彼女がぼやけてるように見える。
 膜が張ってあるかのように、その姿はひどく曖昧だ。
「こんばんわ玉藻ちゃん、こんなところでこんな時間に奇遇だね」
「――ああ。こんばんわ先生」
 手を上げて可愛く挨拶してくれたその手には、キランッ、と光るグリフォン・ハードカスタム。もう片方の手には勿論エリミネイター。
 不審者を発見した。
384さよなら戯言先生:2005/10/21(金) 23:13:24 ID:lKK+nsvh
「何してんの? ぼくの記憶力が確かなら、下校時間は過ぎてると思うんだけど」
 言いつつ窓の外を見る。
 真っ暗だ。
 ぼくの記憶力の方はかなり怪しいが、どう考えたところで、いたいけな少女が居ていい時間ではないだろう。
 学校好きにも限度がある。
「えーーっと……そう。保健室でこっそりと寝ていたら、学校がすごく静かに、あれ? あれあれ? いま一体何時なの……でせうか?」
 玉藻ちゃんはぼくの視線を追いかけると、いま気づいたとばかりに、真っ暗な外の様子を見て、不思議そうに首を傾げた。
 ……いや玉藻ちゃん、きみの方が百倍は不思議だから。
「ゆらーーりぃ……ゆぅらぁりぃ」
 呟きながら玉藻ちゃんは、しきりに頭を軽く振っていた。
 偏頭痛でもあるのか、少し苦しそうで、痛みに耐えているようにも見えるが、ただ単純に寝すぎなだけかもしれない。
 しかしそれでも玉藻ちゃんは眠そうな顔をしていた。
「まぁいいや、面倒だから」
 若いんだからもっと物事に対して探究心を持った方がいいと思うが、玉藻ちゃんはかったるそうに、生きているのがかったるそうに、
首を動かしてぼくを見ると、えへっ、と可愛く笑窪を作る。
「……ふぅ」
 少女の笑顔とは普通癒されるはずなのだが、何だかぼくはどっと疲れてしまった。やっぱりこの学園、慣れねぇ。
「とりあえず宿直室に来て、玉藻ちゃん」
 とりあえずその後は考えてないが、ここで立ち話もなんだろう。
 だが実際どうするか。学園の生徒達はほとんどの者が寮暮らしだが、ここからならどう見積もっても軽く三十分は掛かる。
 時間が時間だからして、まさか玉藻ちゃん一人で帰すわけにはいかない。
 ナイフ大好きの顔面刺青な通り魔と、いつ遭遇しないともいえないだろう。あの《人間失格》も相当な暇人だし。
「ん?」
 そこまで考えて、ぼくは後ろを振り向いた。
 玉藻ちゃんはふらふらした足取りで付いて来てる。その手に握られた二本のナイフが、月明かりに照らされて鈍く妖しく光っていた。
385さよなら戯言先生:2005/10/21(金) 23:14:43 ID:lKK+nsvh
「あのさ玉藻ちゃん、出来れば隣りを歩いてくれないかな」
 霞がかった虚ろな瞳がぼくを見て、こくん、と小さく可愛らしく、そしてやはりかったるそうに頷く。
「いいですよう」
 トテトテと寄ってくると素直に横に並んでくれた。
 さすがにいくらぼくでも、ナイフを所持した不思議ちゃんに、背中を晒して歩く度胸も勇気も覚悟もない。
 しかしナイフさえ握ってなければ玉藻ちゃん、中々レベルの高い美少女なわけだし、特別ぼくにロリィな趣味があるわけではないが、
夜の校舎を二人っきりで歩くなど、かなり良いシチュエーションなんだけどなぁ。
「………………………………………」
 チラッと玉藻ちゃんを盗み見る。
 うん、可愛い。ぼくがそっちの属性があるならば、思わずこの場で押し倒すくらいには可愛いだろう。
 もっともそうなれば、最終的に床に冷たく、メッタギリにされて転がっているのは、まず間違いなくぼくなのは疑いない。
「ああ、そうだ玉藻ちゃん、さっきまで保健室で寝てたってことはさ、鍵は開けっ放しだよねぇ?」
 あそこには一応劇薬の類もあることだし、なにより朝出勤してきたときに、鍵が開きっぱなしだったりしたら大騒ぎだろう。
 情緒不安定な水着のお姉さんが。
「あーー。えーーーーっと…………切っちゃいました。えへへ」
「……はい?」
「起き抜けだったんでぇ。なんとな〜〜く、スパスパッと。扉真っ二つにしてきちゃいました」
 玉藻ちゃんはにやけたような薄笑いをして、ほっぺたを赤くする。照れているらしい。そんな仕草もやはり可愛らしかった。
 けどそれは。なんとなくで済ましていいのか。そしてなにより、照れ笑いの使いどころが違うような。
 ……何かぼくもだんだんと、深く考えるのがすげぇ面倒になってきた。
「良かったら玉藻ちゃん、今日はもう遅いし、宿直室に泊まっていくといいよ」
 言いつつぼくは鍵をポケットから出して、玉藻ちゃんに手渡す。
 受け取った玉藻ちゃんは、クマだかネコだかわからないキーホルダーが付いた鍵を、何か考えているのかいないのかはわからないが、
ただぼんやりと見つめていた。
「ぼくは保健室で寝るから、安心しておやすみ」
 くるっとちょっとだけ格好付けて、玉藻ちゃんに背中を向けたぼくだが、その足取りはひたすらに重い。
 逃げてぇ。
 というのが偽らざるぼくの本心ではあるが、しかしそういうわけにもいかないだろう。
 超被害妄想が激しく、超疑心暗鬼で、超傷つきやすく、超情緒不安定な上、超涙もろい保険医を、フレンチクルーラーをエサにして
朝一で宥めなくてはならない。
 とてつもなく崇高な使命を帯びてるのだ。――――でもやっぱ逃げてぇ。
386さよなら戯言先生:2005/10/21(金) 23:15:54 ID:lKK+nsvh
「ゆらーりぃ……先生」
 誰かに止めてもらいたいと思ってたからだろう。
 ぼくの足はぴたりと、玉藻ちゃんの小さな、うっかりしなくとも聞き逃しそうになる呟くみたいな声に、あっさりと動きを止めた。
 それに、玉藻ちゃんの方から話しかけられたのは、初めてだったりもするし。
「これ貸したげますよ」
 鍵の代わりに渡されたものは、ずっしりと重い、グリフォン・ハードカスタム。……なんだこれは? 一体どういう意味なんだ?
 ってかこんなものを平気な顔して振り回せるとは。
 それも二本も。
 女の子にこれは褒め言葉じゃないだろうが、玉藻ちゃん、こんなちっこい身体で結構な力持ちだ。こりゃ素手でも勝てそうにはない。
「護身用にどうぞ。えーーっと……まあいいや。面倒なんで、これでおやすみします。……ゆらーーりぃ」
 極悪なゴツいナイフ一本を残して、まるで白昼夢(夜だけどさ)でも見ていたように、少女は現れたときのように闇に溶けて消えた。
 ぼくは玉藻ちゃんから借り受けたばかりの、グリフォンの鋭すぎる危険な刃をじっと見る。
「玉藻ちゃん、これ出した瞬間さ、正当防衛主張しても、誰も訊いちゃくれないと思うんだけど、どうだろう?」
 それこそ誰も訊いちゃいないのだが、夜の学園の廊下で、ぼくは呟かずにはいられなかった。


もっと簡単かと思ってましたが、玉藻ちゃんは難しい。また書けたら投下します。
387名無しさん@ピンキー:2005/10/21(金) 23:55:22 ID:14KQMp3M
不審人物か玉藻ちゃんwww
いやここで保険の先生があのお方とは。

やっぱ玉藻ちゃんは可愛いね。GJです!
次作期待してます〜
388名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 00:57:12 ID:7gC4v0NN
零崎は通り魔か・・・身も蓋もなく“人間失格”だなw

正確を記するば⇒期すれば かな。

続き、待ちます。
389名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 15:01:40 ID:hXfh9fKe
久しぶりにこのスレに来たけど何ですかこの面白げな作品は!
つ、続きを、続きを下され
390名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 04:18:24 ID:XV4eIR7F
突然突飛な話だがいーちゃんと赤の純愛ものを見たいと思う俺は邪道か?
友人に邪道と言われた
391さよなら戯言先生:2005/10/23(日) 16:06:39 ID:LJ2d+ELE
読んでくださった方コメントくださった方ありがとうございます。それと文章の正しい修正は非常に助かります。どうも。

>>386の続き。

 5

「ポン」
 切った牌がぼくの手から離れるよりも早く、南家から実に面倒そうな声がかけられた。
 文字にすればたった二文字しかない音であっても、それははっきりと、誰にでもわかるだろう。ぼくにはわかった。
 長く細い綺麗な指先がすっと伸びて、ぼくの切った白の牌を攫っていく。
 しかしこんなことを言ったら、またかなみさんに冷たい目で見られてしまうだろうが、これぞ芸術家、と思わせる繊細な指先だ。
 ぼくがその芸術家の指先を、何とはなしにじっと眺めていると、かなみさんも気づいたのか、興味なさそうにぼくを見る。
「知らないの? わたしが《鳴きのかなみ》て呼ばれてるの」
 かなみさんの手牌の横を見ると、三つ同じ絵の描いてある牌が四列並んでいた。かなみさんは確かに鳴きが多い方だろう。でも。
 知らねぇよ。
 当たり前だ。知るわきゃない。授業も終わったので、さぁ帰るか、と腰を上げたところで、待ってましたとばかりの先輩に捕まって、
こうして美術室までわけもわからず連れてこられたのだ。
 かなみさんの通り名よりも、どうしてこんなところで麻雀をやらされているのか、それを出来るならば先に知りたい。
「数合わせに決まってるでしょ。きみさぁ、頭が悪いのは黙ってればわからないんだから、ちょっとは口を慎んだ方がいいんじゃない?」
 かなみさんはやれやれとでも言わんばかりの、こちらのテンションが下がりそうな態度だった。
 と。
“タンッ”
 そんなどうしょもない苛められ子の仇討ち、というわけではないだろうが、軽やかな音が、まだ何か言いたそうなかなみさんの追撃を
やんわりと遮る。
「知ってるよねぇ? わたしが《ドラ爆の赤音》と呼ばれているのは」
「………………………………………」
 すいません。このしがない戯言遣い、ついぞ勉強不足でして、そちらもまったく持って知りませんでした。
 赤音さんの役を見ると、必殺の大三元爆弾。ちなみに三連チャンでかなみさんを直撃である。
 恐る恐るかなみさんの方を窺うと、金の柳眉が微かだが、本当に微かだが、不機嫌そうに持ち上がったのをぼくは確かに見た。
392さよなら戯言先生:2005/10/23(日) 16:07:50 ID:LJ2d+ELE
「くっ……くくくっ…………かっははははははは」
 ぼくは対面にいる西家を見る。
 そこに座っているのは、一応最初は忍び笑いにしてやるかと、努力だけはしたんだろう深夜さんが大爆笑していた。
 ちょっと羨ましい。チキンのぼくには出来ない芸当だ。
 そう思って今度は深夜さんをじっと見ると、やはりその視線に気づいたのか、にかっ、と男っ前に笑って深夜さんもぼくを見た。
「どうした新米先生、恋する乙女みたいにおれを見たりして。非常に残念だけど、おれにはそっちの趣味はないよ」
 ぼくだってない。
「……深夜さんは何て、何て呼ばれてるんですか?」
「ん? 逆木深夜だけど、この二人みたいな酔狂な通り名は、おれら凡人には普通ないから、きみだってないんだろ?」
 勿論ない。
 といいたいところだが《戯言遣い》、これがぼくの通り名といえば通り名か。
 それにぼくの周りにはやたら通り名、二つ名を持ってる人が多かったりする。《人類最強の請負人》を筆頭に、数えたらきりがない。
 しっかし変わり者ばかりだ。類は友を呼ぶというが。
「あるわきゃないですよ、ええ、絶対にそんな通り名なんて戯言は、神に誓ってありえません」
 ぼくは自分自身のことを、まさか普通だと思っているわけではないが、何となく哀川さん達と並んで数えられたくはない。
 劣等感、それはそこまで露骨に表現されるものでなくとも、ぼくの感じている感情はそれに近いだろう。
 まあそれだけじゃないけどさ。
「安心したよ。おれだけそういういのがないんじゃ、おかしいのはおれの方だからね」
 視線はぼくへと向けながら、遠回りもオブラートに包みもせず、深夜さんは二人はおかしいと、はっきりストレートに断じていた。
 二方向から襲いくる氷の視線など、どこ吹く風のナイスガイ、逆木深夜32歳。
 それに思わず頷きそうになってしまったのを、ぼくは意志の力を総動員して、何とか頭の動きをストップさせる。
「………………………………………」
 しかしそれでも何だか、左右からの突き刺すような視線を感じて、ぼくは誤魔化すように窓の外を見た。
 とっぷりと暗い。真っ暗だ。今日もこのろくでもない学園に泊りかもしれない。はぁ、みいこさんに会いたいなぁ。
「レート上げたいんだけど、いいよね?」
 どうせぼくの意見など通りはしないのだ。
 それは強ち間違ってはいないわけだが、ぼくはこのとき、かなみさんの立てた指の本数と、その単位を知っておくべきだったろう。
 このブルジョワどもめっ!!
393さよなら戯言先生:2005/10/23(日) 16:09:19 ID:LJ2d+ELE
 そして次の日。みいこさんの満面の笑顔(見たことないけど)より、給料日を心待ちにしている自分が、また少し嫌いになった。
 圧倒的な一人勝ちをした赤音さんが、肩をポンポンと慰めるように、そのくせ容赦なく貧乏人から点棒を毟り取っていった手で、優しく
叩きながらぼくに言う。
「今度学園の合宿で、日本海の孤島に行くらしいけど、そのときまでに少しでも、腕を磨いておいた方がいいよ」
「赤音さんはここまでなるのに、やっぱり苦労とかしたんですか」
 ぼくはちょっと動くだけでジャラジャラと、やたらめったらうるさい赤音さんの点棒の束を、物欲しそうに眺めながら訊いてみた。
 すげぇ羨ましい。
「苦労をしたことは一度もない」
 きっぱりと赤音さんは言った。
「ただ、努力はしたがね」
 含蓄のある台詞だった。ぼくにはとても、ステンテンにされたぼくにはとてもとても、言えないだろう台詞だった。
「ふふっ。何だか偉そうなことを言ってしまったな。若人、精々精進したまえよ」
「何とかの横好き、て言葉を体現しないようにね」
 圧倒的な一人負けをしたぼくがいるから目立たないが、ブービー賞だったかなみさんが、面白くもなさそうにそう混ぜ返す。
「好きこそ物の上戸なれ、とも言うけどね」
 赤音さん、多分おそらく、ぼくをフォローしてくれたんだと思いますが、それだとただのうわばみです。
 まあそんな些細なツッコミは、赤音さんにとっても、かなみさんにとっても、どちらにとってもどうでもいいんだろう。
 こんな風に放課後まで、わざわざ顔を合わせてるのに、この二人の仲はすこぶる悪い。無言でにらみ合っていた。
“キ〜〜コ〜〜カ〜〜コ〜〜ン”
 チャイムの音が鳴り響いても、二人とも視線を、微動だにすらさせず逸らさない。
 赤音さんもかなみさんも一時限目は授業があった気がする。そしてぼくもあるのだが、さて、これからどうしよう?
「ああ、いいよいいよ。授業あるんだろ? 後はおれに任せて、まだひねてない女の子達のところに行くといいよ」
 二人は深夜さんの皮肉もまるで聞こえてないのか、ぴくりともしない。何だか完全に、先に動いたら負けだ状態になっていた。
「……じゃあ、後はお任せします」
 手のひらを晒す深夜さんと、見てはいないだろうが、二人にも一応ぺこりと頭を下げて、ぼくは逃げるみたいに、いや、みたいではなく
逃げるんだけど、そそくさと美術室を後にする。
 大人の関係って複雑だよな。
 さして感慨があるわけでもないのに、難しいことを考えているふりをしながら、ぼくはまだいまのところは、純粋無垢な少女達の待つ
教室へと歩き出した。


今回はここまで。わかりやすいように番号を冒頭に入れるようにしました。

いーちゃんと哀川さんは恋人ってよりも、仲の良い姉弟って感じがするからですかね。まあいーちゃんの場合全員とそんな印象ですがw
394名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 17:38:32 ID:o+l7ezpq
やばい位に面白いっす。
あぁ、こうして見ると、ホントに良いキャラばかりだったんだよなぁ。
395名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 20:13:03 ID:zvYV63de
>>394
まだ過去形にするには早いぞ。
そして戯言先生GJ!!
396名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 01:02:48 ID:l6g6WWgN
 そういやこの人もあの人も凄い死に方したんだよな――と思うと、感慨も一塩。
 GJ!
 
 待ちますとも、ええ。
397名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 16:29:21 ID:Fu7PlNKh
ああ、面白いです。具体的に感想を述べたいけど、、戯言SSって基本一人称だから「いかにいーちゃん
っぽさが出るか」に尽きるんですよね。それですごい面白いんだと思う。非常にGJ!


ところで、無粋な質問ですけどここエロなしオッケーでしょうか? 批判ではなく、オッケーなら僕も
エロなしで何か書こうかなあなんて思ったり思ったり。
398名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 18:42:28 ID:WX4xRsxl
漏れは面白ければなんでもよし。
399名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 19:35:28 ID:LNk1RWOw
過去にもエロ無しあったしいいんじゃないか?
400名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 20:04:34 ID:x+mTlqCJ
エロ無し用のスレは無いんだよね?
個人的には読んでみたい。
401名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 05:17:08 ID:SORgh38v
エロくない作品はこのスレに5
http://sakura03.bbspink.com/test/r.i/eroparo/1128600243/
402名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 14:27:56 ID:ZtQi5H68
誘導乙だが携帯に誘導してるぞ。
403名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 17:32:47 ID:XQ2/1Mvi
齋藤孝の『読書力』に影響されて、ラノベ等を封印し、まともな文庫や新書などを百冊ほど
読んだんですよ。今年に入ってから。

そしたら、今まで楽しく読めていたはずの、西尾維新の小説や奈須きのこの文章を読むことに
ひどく苦痛を感じるようになった。
あまりにもレベルが低すぎたり、内容がスカスカすぎたり、愚にも付かない比喩や修辞が目に
余ったりして、とても読めたもんじゃない。
なんか損をした気分だ。
404名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 18:11:57 ID:cPP5kidK
損っていうか変化って言わない?プラスかマイナスかはうっちゃってもw
405名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 18:12:16 ID:ZtQi5H68
>>403
とてもスレ違いですね。
とりあえずそのまま純文学の世界へどうぞとしか。

とマジレスしてしまったんだがもしかしてこれコピペか?
406名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 21:56:56 ID:BHLNmUlL
要するに西尾や奈須を読んで感銘受けたと。
それで今度は齋藤読んで感銘受けたと。

安っぽい共感してんな、自分ってのが薄いからすぐ揺れ動くんだろうね。
新興宗教とかスピリチュアル・カウンセリングみたいのにハマりやすいタイプだな。

次はさしずめオタク評論家みたいな肩書きの人に感銘受けて再評価かね?
407名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 22:00:50 ID:059KxhMf
>>406
4.主観で決め付ける
9.自分の見解を述べずに人格批判をする
11.レッテル貼りをする
3.自分に有利な将来像を予想する
408名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 23:03:43 ID:SORgh38v
>>402
すまん、携帯厨なもんで。
409名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 23:07:48 ID:Oxs4aIK6
西尾離れは残念ですけど。
縁が《合ったら》、また会おう。
てことで、この話し終わりにしませんか。
職人さんも投下しづらくなるだろうし。
戯言先生もエロ無し職人さんもお待ちしてます。
410名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 00:52:28 ID:Lk4+K35N
エロネタを思いついたけどすでに既出なシチュエーションだった…orz
411名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 00:53:20 ID:7BiNf0NR
哀川さん総受けきぼんぬ
412名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 01:00:15 ID:bpQ3VPet
春日井さん春日井さん
413名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 01:33:39 ID:xMH2JjVh
子荻ちゃん子荻ちゃん
414名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 04:14:46 ID:zgmc9fGf
エロなしにしようと思ってたらいつの間にかエロくなっていたぜ。。
415名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 10:53:49 ID:8ZCbuCBs
ありでもなしでも構わんからとにかくハァハァさせてくれ(*´Д`)
416名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 16:37:41 ID:viXrzQYg
どうでもいいが今まで髪ズリが出てないな
417名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 20:31:49 ID:hhKc2GKD
>>416
そこで策士っ子ですよ
418名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 20:48:48 ID:QJ9QH+sr
>>417
しかし髪が痛んでしまいそうだ
419名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 21:19:02 ID:WaIsgniL
だがそれがいい
420名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 21:20:12 ID:JSeR2kCv
哀川さんの処女膜破りたい(;´Д`)ハァハァ
421名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 22:42:12 ID:viXrzQYg
久渚の髪の洗ってないと青が濃くなるってのは油っこくなってるって事か?
風呂に入らない久渚のにほひはいかに!?
422名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 22:47:08 ID:JSeR2kCv
OK、君は実にいい所に目を付けたな。
423名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 22:59:09 ID:VoFuUwmA
臭いんじゃない?
424MIKE:2005/10/27(木) 02:05:06 ID:h/Lg1LDx
えーと、とりあえずいーx姫ちゃんです。
425MIKE:2005/10/27(木) 02:05:43 ID:h/Lg1LDx

 七月も後半に入ると、どこからともなく現れた蝉が狂ったように騒ぎ始める。
 京都は六月にはもう夏と言ってもいいほど暑くなるが、やはり六月の暑さと七月の暑さというのは違う気がする。ただ
の気持ちの問題なのかもしれないけれど。

 ミミミミミミミミミミ……
 ジジジジジジジジジジ!

「師匠、蝉っていう生き物は夏にしばらく鳴いてすぐ死んじゃうです。その間に奴らが成す事は何一つありません。その
癖にうるさいし、飛ぶし、おしっこかけるし、百害あって三千里とは正にこのことですよ。姫ちゃん、蝉は人類の手でこ
の世から残らず根絶した方がいいと思うですが師匠はそれについてどうお考えですか?」
「そんな自分勝手な事言ってどうするの。姫ちゃん、悪いけど話逸らそうとしても無駄だよ」
 ぼくは手に持った紙を、水戸光圀公の印籠よろしく姫ちゃんの顔の前に突きつける。
「これはどういうこと?」
「うっ……」
 悪事を暴かれた凶悪犯のようにうろたえる姫ちゃん。すっと、ぼくの手にある学校から郵送されてきた成績表から目を
逸らす。
「…………」
 ぼくは無言で成績表を再びずいっと突きつける。
 ……すっ。
 ずいっ。
 ……すっ。
 ずいっ。
「な、なんですかそれ? 姫ちゃん知りません。きっと間違えて送って来たんですよ。あ、あ、もしくは誰かが姫ちゃん
の名前を騙って勝手にテストを受けたですよ。だからそれは姫ちゃんじゃないです!」
「お前はキングオブ滅茶苦茶か」
 観念したと思いきや、今度は開き直りとやけくそと言い訳と逆切れのコラボレーションで反撃してきた。なんて娘だ。
ぼくはため息をついて言う。
「あのね、そんな屁理屈ばっかり言って逃げようったってそうは行かないからね」
「屁理屈も理屈の内です!」
「だからそれが屁理屈だろ」
「また師匠はそうやって頭ごなしに決め付けるですけどね。それじゃ師匠はその成績表が本物かどうか学校に問い合わせ
たですか? それが偽物じゃないってどうして言い切れるですか! 証拠もないのに決め付けてかかるなんて師匠は本当
にダメ人間です。それより師匠、姫ちゃんはおトイレに行きたいのでさっさとそこをどいて欲しいのです!」
「はいはい、言い訳は後で聞くから。ちょっと来い一姫」
 そう言って、ぼくは姫ちゃんの両脇を持ってひょいっと持ち上げる。同世代の女の子の中でも特に小さい姫ちゃんの体
は地上から一メートルほど浮き上がった。
「うきゃー! セクハラぁ! 何するですか、姫ちゃんもう十七歳ですよ!」
「うるさい、ちょっとお説教だ」
 そのままじたばた暴れる姫ちゃんを連行する。
 まったく、最近は口ばっかり達者になって困ったもんだ。
426MIKE:2005/10/27(木) 02:07:51 ID:h/Lg1LDx
 次の日から、姫ちゃんの勉強特訓が始まった。
 姫ちゃんも始めの内はぼくの目を逃れようとこそこそ隠れていたけど、みいこさんの説得のおかげでなんとか毎日来て
くれるようになった。もっともそのみいこさんも、始めの内は姫ちゃんをかばってわざわざぼくに注意しに来るほどだっ
たのではあるが。しかし最終的にはぼくの熱烈な説得によって納得してくれたのである。

「いの字、お前ちょっと姫をいじめすぎじゃないか?」
「みいこさん、この成績票を見て同じ事が言えますか?」
「…………」
「…………」
「……わかった、私からも姫を説得しておこう」

 こんな塩梅。
 姫ちゃんも現金なもので、以来態度を一変させてちゃんと勉強をするようになった。やっぱりみいこさんの言葉はぼく
なんかと違って説得力があるのだろう。微妙に納得がいかないけれど、でもまあ納得できないこともない。
 そういうわけで、姫ちゃんの夏休みは午前中が学校の補習、午後がぼくの家庭教師という勉強漬けの毎日になってしま
った。
 遊びたい盛りの姫ちゃんにそこまで勉強を強いるのはかわいそうだったが、しかし、だがしかし、このままでは卒業が
リアルに危ういので、ぼくは心を鬼にして姫ちゃんにつきっきりで指導することにしたのだった。
「ただいまですー」
「あ、おかえり姫ちゃん」
 部屋で改めて姫ちゃんに教える範囲の復習をしていると、制服姿の姫ちゃんがドアからひょっこり顔を出した。
 高校の制服というのは不思議なもので、ともすれば中学生にも見えてしまう(というか普通に中学生に見える)この姫
ちゃんですら、少し大人びて見えてしまう。よく考えたら姫ちゃんは十七歳なのだったなんて、当たり前な事に驚いてし
まったりするのは、外見云々以外にも原因はあるだろう。
「今日も暑そうだね」
「はい、蝉がうるさいです」
「そうだね」
「なので崩子ちゃんに近所の蝉を全て退治するよう依頼しておいたです」
「…………」
「成果が出るのが楽しみです」
「…………」
 突っ込むに突っ込めず、ぼくは話題を逸らす。
427MIKE:2005/10/27(木) 02:09:27 ID:h/Lg1LDx

「でも姫ちゃん、毎日来るようになって偉いね」
「はい。姫ちゃん、ちゃんとした大人になりたいですから」
「ふうん?」
「……はい」
「…………」
「…………」
「…………」
 それはいいけど姫ちゃん、なんで意味ありげにぼくを見ながらそんな言葉を。
 …………。
 みいこさん?
「それじゃ姫ちゃん、着替えて来るですよ」
「……うん」まだいまいち釈然としないが、まあ、聞き流すことにする。「うん、行っておいで」
「はいっ!」
 そう言って姫ちゃんは自分の部屋に戻って行った。軽いステップの足音が遠ざかって行く。
 姫ちゃん、元気いっぱいだなあ。
 ぼくは冷蔵庫からオレンジジュース(姫ちゃんの家庭教師を始めてから冷蔵庫に常備してある)を出してコップについ
だ。そこに氷を浮かべれば、とりあえず夏場には最高級のもてなしとなる。夏休みなのに姫ちゃんはこんなに頑張ってる
んだから、せめてこれくらいのねぎらいはしてあげたい。
「お待たせしたです!」
 しばらくして姫ちゃんが勉強道具を抱えて戻ってきた。
 今日は黄色のタンクトップシャツにピンクのスカートという格好。原色で統一した幼い感じで高校生が着るにはどうだ
ろうと言った感じではあるが、小柄な姫ちゃんにはよく似合っていた。その印象もあいまって、私服の姫ちゃんは本当に
中学生に見える。
 姫ちゃんの服はみいこさんに見繕ってもらっているらしいが、それを知った時は驚いたものだ。この格好にしても甚平
を普段着にするみいこさんからは想像もできないチョイスである。鈴無さんほどではないが、みいこさんも中々美少女好
きなのかもしれない。
 ……人は、自分に無い物に憧れるというが。
 確かにみいこさんがこの格好で現れたら、誉めるとか云々以前に心配になるかもしれなかった。
「それじゃ、今日はまず数学からね」
「はい。あ、師匠、今日学校でわかんなかったところがあるです」
 そう言ってパラパラと問題集をめくる姫ちゃん。
 随分変わったなあ。
 ……きっかけはともかく。
「この sinθ-cosθ が……」
「ああ、これはね。…………、……」

 コップの中で、溶けかけた氷がカランと音を立てた。
428MIKE:2005/10/27(木) 02:10:48 ID:h/Lg1LDx
「今度ここにお友達を連れて来たいですけど、構いませんか?」
 ある日、いつものようにぼくの部屋にやって来た姫ちゃんがいつも通りの元気な笑顔で言った。
「お友達?」
「はい、正確には元先輩ですが。前の学校の先輩なのですよ。転校する前も、してからも、姫ちゃん本当に良くして貰っ
てるですよ」
「……ふうん」
 前の学校、か。
 首吊高校。
 そこのことを、ぼくは未だによく理解できていない。
 ある日突然哀川さんが「この娘を預かれ」と言って姫ちゃんを押し付けて行ったけど、ぼくは姫ちゃんの過去のことを
ほとんど知らないのである。それとなく話を振ってみたこともあるが、いつも姫ちゃんは曖昧に言葉を濁すのだった。
 あまり、良い過去とは思えないが──しかしこの姫ちゃんの嬉しそうな顔を見て、ぼくは少し、安心する。
「それは是非お礼をしなきゃね」取り繕うように言う。「うん、是非連れておいで。遠慮は要らないよ」
「はい!」
 まるで子供のように喜ぶ姫ちゃん。姫ちゃんは年齢以上に幼い所があるので、まるで小さい妹でも持ったような気にな
る。
 …………。
 妹、ね。
「おもてなしとかもしないといけないです」
「あ、そうか。でもこの家何も無いよ」
「そんな事は見ればわかるですよ」
 ぬけぬけと言いやがる姫ちゃん。
 たまにこうやって毒吐くんだよなあ……。
「でも何もできないじゃ困るですよ、ご招待するからには」
「っていうか、そう言うのは姫ちゃんが自分で考えてやるべきだよ。姫ちゃんがお世話になった人でしょ?」
「あ……そうですね。それじゃお世話係は姫ちゃんが任されました」
「うん、任せたよ」
 普段ならほぼ間違いなく面倒くさがりそうな係だが、姫ちゃんは嬉しそうだった。
 よっぽどその先輩が好きなんだろうな、と思う。そう考えると、もしその先輩が男だったらなんだか複雑だ。あ、いや
、でも前の学校は女子高だっけ。……今度はまるで娘を持った父親のような心境だった。
「……さ、まあそれは置いといて。今日は昨日の確認のテストからだよ」
「はいです」
 問題に集中している姫ちゃんの邪魔にならないように静かに待つ。外からこれでもかと言わんばかりに聞こえてくる蝉
の鳴き声に、崩子ちゃんが駆除してくれればもう少し静かになるかなあなんてとんでもない戯言をぼんやりと考えている
と、姫ちゃんがぽつりと言った。
「師匠、どうもありがとうございます」
「ん? 先輩のことなら、別にそんなにかしこまらなくても大丈夫だよ」
「いえ、そうじゃなくて」
 そう言って、困ったような、申し訳ないような、嬉しいような、複雑そうな表情で笑う姫ちゃん。
「先輩にも、師匠にも、哀川さんにも。姫ちゃんはずっとお世話になりっぱなしです」
429MIKE:2005/10/27(木) 02:11:34 ID:h/Lg1LDx
「…………」
 その真っ直ぐな言葉に、思わず返す言葉に詰まる。
 そう言えば、なぜだろう。姫ちゃんはいつも不安そうにしている。頼りなく、心細そうに、弱く見える。
 何か、負い目でもあるような。
 何かを裏切ってきたような。
 何かを見捨ててきたような。
 元気そうに笑っていても、快活そうに喋っていても──覗く、暗い部分。
 まるで容易く壊れてしまいそうなくらい、脆い気がする。
 だからと言うわけではないけど。
 だからなのかもしれないけど。
 つい、何かしてあげたくなる。
 それがたとえ、こんな些細な、他愛のない事でも。
「姫ちゃん」
「……なんでしょう」
 神妙そうに答える姫ちゃん。ぼくは姫ちゃんの目を見つめながら、静かに言った。
「おっぱいが見えているよ」
「…………」
「…………」「…………」
「…………」
「…………」「…………」「…………」
「…………」
 重い沈黙が続く。
 そっぽを向いて黙り込んでしまった姫ちゃんの背中を見て、さてこの状況はどうしたものかと自分でやっておきながら
困っていると、
 ふと。
 ぞわり、と、違和感を感じた。
 何か、雰囲気で……そんなことがあるはずも無いのに、体の自由を物理的に拘束されたような。
 まるで次の瞬間、体中がバラバラに引き裂かれてしまいそうな、本能的な恐怖が頭をよぎる。
 しかしそれも一瞬のことで、すぐに元に戻る。
「師匠のえっち!」
 姫ちゃんが振り向きながら叫ぶ。
「…………」
「変態! 卑劣漢! ケダモノ!」
「…………」
「痴漢! 助平! えーっと……変態!」
「それはさっき言ったよ」
「うっ、ううーっ!」
 泣きそうな顔で悔しそうに歯噛みする姫ちゃん。
「なんでなんでそんなに偉そうにしてるですかっ! 居直り後藤とはこの事です! 師匠なんかもう知りませんっ!」
「…………」
 やりすぎた。
430MIKE:2005/10/27(木) 02:12:26 ID:h/Lg1LDx
「もう知らないです! この変態ししょ……んむぅっ!」
「姫ちゃん、そんな大声出したら近所迷惑だよ!」
「んー! んー!」
 機先を制して姫ちゃんの口を強引にふさぐ。
 その傍らで、姫ちゃんの両手を押さえつけつつさりげなく胸たっちも敢行する。
「んー! んーっ!」
「しーっ!」
 既にぼくは姫ちゃんを抱きしめるような格好になっている。ぼくが不自然に胸に手をあてていることに動揺しているの
か、軽いパニックに陥っているらしい姫ちゃんは必死に抵抗する。
 いつまで経っても抵抗をやめない姫ちゃんに、ぼくは最終手段を決行した。
「姫ちゃん、静かにしないと……こうだよっ」
「んーっ?! んんー!」
 タンクトップのかわいいシャツに手を差し込む。お腹を撫でながら姫ちゃんを抱き締める腕に力をこめると姫ちゃんは
慌てて体をよじるように抵抗したが、体格の小さい姫ちゃんにはどうすることもできなかった。
 そのまましばらく少女の肌を撫でる。すべすべの姫ちゃんの肌を指先でなぞりながら、絹のようなとはよく言ったもの
だと感心してしまう。
 お腹を撫でる手を徐々に胸に移動させると、姫ちゃんはどうやら下着をつけていないようだったので、これ幸いと小さ
いながらもふくよかに柔らかい胸の膨らみを揉みしだく。なだらかに盛り上がった双丘をつつ、となぞるように上り、そ
の頂きにある少し固くしこった部分をきゅっとつまむ。そのまましばらく姫ちゃんの、恐らくかつて他の誰にも触られた
ことの無いであろう部分を思う存分堪能する。……それにしても姫ちゃん、いくら小さいと言っても17歳の少女である、
やはり下着くらいは着ていた方がいいのではないだろうか。そんな事をまるで無関係の第三者のようにぼんやりと思う。
 小さな胸をできるだけ優しく揉みながら、口を塞いでいた手を離して姫ちゃんの唇を奪う。姫ちゃんは驚いたようにびく
りと体を震わせたが、大人しくぼくの仕打ちを受けている。最後にぺろりと姫ちゃんの唇を舐めて、ぼくは顔を離した。
 改めて姫ちゃんと向き合う。姫ちゃんは羞恥に顔を真っ赤に染めながら、目をぎゅっと閉じて、ひたすらぼくの気の済
むのを待っているようだった。或いは静まらないとやめないと言うぼくの言葉に従っているのだろうか、気がつくと姫ち
ゃんの抵抗もほとんどなくなっている。ぼくは一旦行為を止めて姫ちゃんの言葉を待つ。
「…………っ」
 それでも姫ちゃんは何も言わない。
 何かを言おうと口を開いても、それは言葉にならずにまた口は閉ざされる。
 小さな嗚咽だけが部屋に響いていた。
「……っ、こ、んなっ、こんなの、ししょお、っ……」
「…………」
「……えぐ、ひめちゃ、……ひっく」嗚咽にむせびながらも、姫ちゃんは言う。「姫ちゃんも、好き、ですけどっ……」
「……姫ちゃん」
 ぼくは改めて、正面から姫ちゃんを抱き締める。姫ちゃんはぼくの胸の中で泣きじゃくり続けた。
 そのままじっと姫ちゃんを抱き締めていると、ようやく姫ちゃんは少しずつ落ち着いてきたようだった。頃合を見計ら
って、ぼくは言う。
「姫ちゃん、ごめんね」
 何を今更、と言った感じだが、とりあえず謝っておく。
 姫ちゃんは何も言わない。重苦しい雰囲気に包まれるが、ぼくは根気強く姫ちゃんの言葉を待つ。
 やがて、姫ちゃんがまだ水分を含んだ声で言った。
「師匠」
「……うん」
「なんで、こんなことするですか」
「…………」
 ぼくが押し黙ると、再び沈黙が降りた。今度は姫ちゃんがぼくの言葉を待っているようだった。
「……その、えっとね」
「…………」
「姫ちゃんがあまりにもかわいくて、つい」
「…………」
 再び沈黙が降りる。姫ちゃんはぼくの胸に顔を埋めているので、表情が見えない。
431MIKE:2005/10/27(木) 02:13:31 ID:h/Lg1LDx
 しばらくして、ぼくの胸の中で姫ちゃんが呟くように言った。
「……姫ちゃんはですね、別に、その」
「うん?」
「その……師匠は、その、だから、」
「……うん?」
「だからっ!」
 何故か怒ったようにぼくの胸を叩く姫ちゃん。
「いいんですよっ!」
「…………」
「…………」
「……うん?」
「だからっ!」
 再び叩かれる。今度こそ怒ったように、姫ちゃんはぷいっと言った。
「もうっ、師匠はもういいですっ!」
「ごめんごめん、悪かったよ」
 謝りながら、姫ちゃんに口付ける。
「んっ……!」
 突然の口付けに姫ちゃんはまたも驚いたように目をまん丸に開いたが、やがて目を閉じた。ぼくは目を閉じたりはしな
い。今まで一緒にいた中で一番近い距離で、姫ちゃんを見つめる。
 一度口を離して、再び唇を重ねる。今度は舌を伸ばして大胆に姫ちゃんを求める。
「んむぅ……」
 恐らくこんなことをするのは姫ちゃんは初めてなのだろうけど、最早されるがままな姫ちゃんは何も抵抗しない。ぼく
はここぞとばかりに姫ちゃんの口の中を丹念に舐め上げる。
「あむ……んー……」
 初めてのディープキスに夢中になっている姫ちゃん。ぼくはキスを続けながら姫ちゃんの胸にそっと触れた。
「んっ……」
 未成熟ながらも熱っぽい声を漏らす姫ちゃん。乳首を挟んで弄ぶと、姫ちゃんは微妙に体をよじらせた。ぼくは口を離
すと、まじまじと姫ちゃんを見つめながら尋ねてみる。
「……感じてるの?」
「…………っ」
 真っ赤になって顔を手で覆ってうつむく姫ちゃん。とてもわかりやすかった。
 ぼくはそっとピンクのスカートに手を伸ばす。ふくらはぎ、膝、腿の上を順になぞるように撫でて行く。その部分に近
づくにつれて、姫ちゃんの緊張が高まって行くのがわかる。
 スカートの中に手を差し伸べる。足の付け根を伝って、そっとその部分に触れてみる。
「──っ」
 姫ちゃんが息をのみ、声にならない悲鳴を上げる。それには構わずそこを下着の上から何度もなぞる。
「や……あ……」
 だんだん息が荒くなり始めた姫ちゃん。その反応に満足しながら、今度は下着の横から指を滑り込ませる。姫ちゃんは
焦ったように「あっ」と声を上げたが、そのまま指を差し込む。既に濡れ始めた姫ちゃんのそこを、指で舐めるように撫
でた。
432MIKE:2005/10/27(木) 02:14:54 ID:h/Lg1LDx
「きゃうっ!」
 姫ちゃんのそこを弄びながら、姫ちゃんの空いた手をぼくの同じ部分へと誘導する。ぼくのしようとしていることがわ
かったのか、姫ちゃんは以外にもむしろ自分から体勢を変えてぼくの物をズボンから取り出した。
「……これが、……」
 驚いたように、感心するように、或いは畏れるようにぼくのそれを見つめる姫ちゃん。
 ぼくの物を姫ちゃんの身長の割には細くて長い指が掴んだ。
「熱い……」
「うん」
「どうやったらいいですか?」
「こうやってしごいてみて」
「こうですか……?」
 言われた通りにおずおずと手を動かし始める姫ちゃん。
「気持ちいいですか?」
「ん……そう、続けて」
 ぼくの言葉に安心したように行為を続ける姫ちゃん。先端に漏れ始めた先走りの液に気付くと、それをなんとなく、と
いった感じで先端にまぶし始める。
「んっ!」
「……気持ちいいですか?」
「……うん」
「えへ」
 嬉しそうに笑う姫ちゃん。
 やっている行為にはまるでそぐわない、純粋で無垢な笑顔。
「…………」
 そういうのを見ると、いじめたくなるのがぼくという人間だった。
「姫ちゃん、ぼくもしてあげるよ」
「え……ひゃあっ」
 スカートと下着を脱がせ、その部分を露わにする。
「やんっ! ……師匠、恥ずかしいですからやめ……」
「え? 何?」
 言いながら姫ちゃんの蜜壷に指を突きたてる。
「やあんっ!」
 既に濡れそぼっているそこは、ぼくの指を難なく飲み込んだ。
「姫ちゃん、気持ち良くしてくれてありがとうね。お礼にぼくが気持ち良くしてあげるよ」
「や、ししょ……ああんっ!」
「え、何?」
 わざとらしく聞き返しながら、今度は陰核をぺろりと撫でる。
「ひゃうっ!」
 どうやら姫ちゃんにもぼくのいじわるが伝わったらしく、必死に抗弁を試みようとするが、
「やめ……きゃん!」
「いいかげ……ああんっ!」
 拳を握り締めて快感に耐えるばかりだった。
「うわ、姫ちゃん、凄い濡れてるよ。これじゃ畳まで汚れちゃう」
「で、でも……っ、んああっ!」
「全然止まらないね……どうせならもう布団出そっか」
「ふぁっ……は、はい……です」
433MIKE:2005/10/27(木) 02:15:39 ID:h/Lg1LDx
「姫ちゃん、自分でここ触ったことある?」
「な、何を言い出すですか」
「ねえ、どうなのさ?」
「そそ、そんなこと……」
 耳まで真っ赤になる姫ちゃん。
「……あ、あるわけ……」
「無いの?」
「あ、当たり前ですっ」
 目を逸らして落ち着かなげに答える姫ちゃん。
 本当にわかりやすい子だった。
「……まあ、いいけどね」
「何がですか。全く、本当、嫌な感じのししょ……っ……んんっ……!」
「え、何? 聞こえないよ」
「い、いじわるで……すぅっ……あっ……!」
 かわいらしく身をよじる姫ちゃん。ぼくは姫ちゃんに覆いかぶさった。
「……それじゃ、挿れるよ」
「はい……です」
 緊張した風にぐっと目をつぶる姫ちゃん。ぼくは姫ちゃんのおでこにキスをする。
「痛かったら言ってね」
「……はい」
 徐々に押し入ってもなんだと、ぼくは一気に腰を進めた。
 ずぶぅ……っ
「んんぅっ…………!」
 姫ちゃんが痛みに顔をしかめた。当たり前だ、痛くない筈がない。
 ぼくは一旦動きを止めて姫ちゃんに尋ねる。
「大丈夫?」
「ぜ、全然大丈夫です……」えへへ、と無理矢理笑顔を作って言う。「前門のコアラ、後門の女将です」
「それは用法も言葉も間違ってるぞ」
 言わなきゃばれない間違いをわざわざ晒す姫ちゃん。一気にムードが崩れてしまい、思わずがくっと肩の力が抜けた。
 姫ちゃんには数学よりもまずは国語かもしれない、と一瞬素に戻る。それがおかしくて、思わず噴出してしまう。
「──あ」
 と、突然、姫ちゃんがぼくを指差した。
434MIKE:2005/10/27(木) 02:16:19 ID:h/Lg1LDx
「……ん?」
「師匠、今ちょっと笑いました」
「…………ん」
 ん。
 笑ったっけ?
 しかし姫ちゃんは嬉しそうに笑っている。痛みが抜けきらないのか、目の端には涙が浮いている。
「初めて見たですよ、師匠の笑顔」
「…………」
「もっと、笑えばいいのに」
「…………」
 残念そうに言う。
 ぼくは答えない。
「姫ちゃんが今元気に笑えるのはですね、師匠のおかげなのですよ」
「……そっか」
「だからですね、姫ちゃんはお礼をするのです」
「ふうん?」
「いつか姫ちゃんが師匠を笑わせるです」
「…………」
 そう語る姫ちゃんは、何故か誇らしげだった。
「……そっか」
「はいっ」
 何かしてあげたくなる、か。
 何かしてもらうのは、どっちなのだろう。
「楽しみにしてるよ」
 それがぼくの本心なのかどうかは、ぼくをしてよくわからなかったが、
「はい!」
 姫ちゃんは元気に笑っていた。
「師匠、……ん」
 姫ちゃんから重ねられた唇。
 姫ちゃん。
 姫ちゃん、か。
435MIKE:2005/10/27(木) 02:17:03 ID:h/Lg1LDx
「師匠、姫ちゃんは、姫ちゃんで良ければ、なんでもするですよ」
「……うん?」
「その、キスでも、……その、……おっぱいとか触りたくなっても、仕方がないから姫ちゃんがさせてあげます」
「…………」
「だからそんな、……一人きりみたいな、そんな顔はしないで下さいね」
「…………」
 ああ。
 まったくもう。
「……まったくもう」
「はい?」
「姫ちゃんっ!」
「っ、ひゃうっ!」
 ぼくは行為を再開する。
「気持ちいいか?」
「ふあ……は、はいっ」
 まったく。
 まったくもって、とんだ戯言模様だ。
 こんな簡単な事に今気付くなんて。
 こんな大切な事に今気付くなんて。
 こんなに愉快なのは久しぶりだった。
 今すぐ笑い転げてしまいたくなるほどに。
 姫ちゃん、ぼくはね。ぼくは。このぼくは。
 人間失格の殺人鬼と同類項であるこの戯言遣いは。死で死を洗う阿鼻叫喚を生きてきたこの欠陥製品は。
 このぼくは。
 残念ながら、君を好きみたいだよ。姫ちゃん。
「ひめ、ちゃん」
「……ししょ……気持ち、いい……ですぅ……」
「姫ちゃんっ!」
「は、あんっ! あ、あああっ!」
「ぐぅっ……!」
「やはああんっ!」
436MIKE:2005/10/27(木) 02:18:33 ID:h/Lg1LDx
というわけで>>425-435で姫ちゃんといーでした。なんか終わりがぶった切りですが。

『さよなら戯言先生』、僕も楽しみに見させて頂いてます。がんばって下さい(`・ω・´)
437名無しさん@ピンキー:2005/10/27(木) 04:03:03 ID:apOqL0I/
すげぇ良かったです!
先輩を迎えてのおもてなしも是非おねがいしたいです。
438名無しさん@ピンキー:2005/10/27(木) 04:39:33 ID:y7M0kiXU
GJ!
まぁこんないの字もありですね。
439名無しさん@ピンキー:2005/10/27(木) 06:34:47 ID:iTZRIC7L
よいおしごと。
続き期待しております。
440MIKE:2005/10/28(金) 01:05:12 ID:VgzlFcvK
筆が乗ると一気に書けちゃいますね。二夜連続の快挙。
今度はいーx出夢くんです。
441MIKE:2005/10/28(金) 01:05:56 ID:VgzlFcvK
 九州というのはなんとも食べ物のおいしい所で、福岡の辛子明太子や熊本の辛子蓮根を始めとして各々地方で名産品に
事欠かない。
 そんなあっちこっちを出夢くんと一緒に巡って、道中では出夢くんにからかわれたり、からかったり、からかいすぎて
命の危険を感じたり。そんな楽しい日々もあっという間に過ぎ去ってしまい。
 そして明日には京都へ帰るという日、福岡の出夢くんの家にぼくはいた。

「おにーさんさあ……結局こんな所まで一体何しに来たんだ?」
「あのね……。それって誘った人間の言うことなわけ?」
「まあ、そうなんだけどさ」出夢くんはコーヒーを静かに口に運びながら言う。「僕はさ、前から一回観光っての、やっ
てみたかったんだよ。で、旅は道連れ世は情けって言う言葉を思い出してお兄さんに連絡したんだけどさ」
「そうだったね」
 ある日普通に学校で講義を受けていると、至って普通に出夢くんから電話がかかってきたのだ。それ以上でもそれ以下
でもない、ただそれだけ。そんな至って普通の出来事の中で、出夢くんの苗字だけが異彩を放っている。
 それにしても、だ。殺し名の序列第一位である匂宮、その最高傑作の誉れ高い≪殺戮奇術の匂宮兄妹≫からまるで当た
り前のように電話がかかってくるとは……ぼくの人生もいよいよ来るところまで来てしまったようだ。
「一応僕も今は隠遁生活だろ? こんな人生だからさ、僕って友達少ないんだよ。匂宮はその性格上横のつながりっての
が薄いし」
「そうなの?」
「前にも言ったろ? 殺戮奇術の匂宮雑技団。その団員はみんな兄弟姉妹で組になって動くんだよ。だから個人レベルで
の付き合いはほとんど零なんだよ」
「ふうん」
「そこで白羽の矢が立ったのがおにーさんだったってわけだ」
 殺人者の集団の概要に触れる事なんてありえないからぼくはよく知らないけれど。匂宮雑技団なんて言っても、今まで
はただ漠然とマフィアとかヤクザとかと同じような”仁義と仁侠”の世界なのだと思っていた。雑技団なんて聞くとます
ますファミリーのような印象を受けるが、どちらにしろ的外れだった事に変わりは無い。名は体なりなんて言っても、雑
技団なんてのはあくまで通称に過ぎないと言うことか。
「まあ確かに誘ったのは僕だけどさ、まさかおにーさんが本当に来るとは思ってなかったぜ」
「なんで?」
「え、だって」きょとんとする出夢くん。「だっておにーさん、ひきこもりっぽいし」
「…………」
 逆に、むしろ出夢くんの方が「え、なんで?」とでも言わんばかりのきょとんっぷりだった。ここでそんな風に不思議
そうに言われると、なんというか、ぼくとしてはもう何も言えない。
「……自覚無かったのか?」黙りこんだぼくを見て、今度は申し訳なさそうに言う出夢くん。「いや、まあ悪い事ではな
いと思うぜ。家の中にいても新しい発見はたくさんあるからな」
「…………」
「あー、えっと」
 フォローしているつもりなのだろうが、多分これは追い討ちに近いと思った。
 困ったように頭をかく出夢くん。もうフォローはいいからそっとしておいて欲しい。
 しかし、こんな心のこもった受け答え(失敗だらけだが)ができるとは、出夢くんも随分と成長したものだ。

「ぎゃははははははっ!」

 初めて出夢くんと対面した時のことを思い出す。
 ……あの出夢くんとこんな風に落ち着いて会話ができるようになるなんて、人生は本当にどう転ぶかわからない。
442MIKE:2005/10/28(金) 01:06:32 ID:VgzlFcvK
「こう見えてもぼくは友達思いなんだよ」ぼくは肩をすくめて言う。「だから友達の頼みなら、これくらいどうってこと
はないよ」
「…………」
 ぽかんと気の抜けた顔をする出夢くん。
「……?」
「友達、か」
 受け入れるでも否定するでもなく、ただ、ふうん、といった感じで言う。
「……嫌だったかな?」
「いや。まあ、なんつーか、むず痒いな」本当にむず痒そうに苦笑する。「そーゆーのって僕、初めてだからさ」
「まあ、そう深く考えることもないよ」ぼくはとぼけたように言う。「一度は殺し合った仲だろ?」
「ぎゃはは、違い無い」
 出夢くんはそう言ってコーヒーを飲み干すと、立ち上がって台所へ消えて行った。やがて帰ってくると、両手に缶やら
瓶やらをたくさん抱えていた。
「おにーさんはお酒はいけるクチかい?」
「ああ。えっと、飲めないこともないけど」ぼくの心をあるトラウマがチクリと刺した。「……禁酒しててね」
「そうかい、それじゃあ悪いけど僕だけでいかせてもらうよ」
 言いながら机の上にそれらを並べて行く。
 ことんことんことん。全部並べ終わったと思ったら、また台所へ言って両手一杯に持ってきた。
「……出夢くんはお酒好きなの?」
 明らかに一人で飲むには多すぎる量のアルコールを見ながら尋ねる。
「ぎゃはは、おにーさん、別に全部飲むわけじゃないから安心しなよ。こんな暮らしだと客がいる時くらいしか酒飲むこ
とないからな、減らないんだよ」
「ああ、なるほどね」
 一人で晩酌をやる人もいるだろうが、酒は一人で飲むものではないと主張する人も少なくはない。
 出夢くんはまず手近な缶ビールを手に取り、本来タブのテコを使って開ける口の部分を人差し指で無理矢理開ける。カ
シュッと小気味良い音がして、それから一気にぐびぐびと、およそ10秒くらい、ぐびぐび。ぐびぐびぐびと。
「っぷはー」
「…………」
 一瞬で飲み干した。
 格好良すぎだった。
 というか、豪快。
 早速二本目に移り、これも同じように一瞬で飲み干してしまう。瞬く間に空き缶が周囲に散らばり始めた。アルコール
の匂いが漂う。
「……出夢くん、あんまり飲みすぎると体に毒だと思うよ」
「あんだよあんだよー、おにーさんったらシケてるぅー! ぎゃはっ、もっとほら盛り上がっていこーぜぇ? ぎゃはは
ははっ!」
「…………」
 あんなに飲みっぷりがいいから酒に強いのかと思ったら、速効であっさりと酔っていた。
 しかも酒乱。
 おまけに殺人者。
 最強最悪の酔っ払いだった。
「おにーさんも飲めよ、僕の酒が飲めねーってのかぁ? ほれほれ。ほれほれ!ほれほれほれほれほれほれ!」
「んぐ……い、出夢くん、ちょ……」
「飲めよー! おらおら、口開けろ! あんまり抵抗してっと顎外しちまうぞ? ぎゃははは! お、おしおし、やっと
その気になったかい」
「…………」
 下手な抵抗は怪我の元だと悟り、諦めてとりあえず比較的弱そうな酒を選び、半ばやけくそで一気に煽る。一本あけた
所で、
「そんなみみっちー酒じゃなくてもっと強いのもいっとこーぜぇ? ほらほら、僕が口移しで飲ませてあげるからさぁ!
 ぎゃはははっ!」
 時計を見ると、夜はまだ長かった。
 ぼくはひょっとしたら今日この夜に命を落とすかもしれないと思った。
443MIKE:2005/10/28(金) 01:08:11 ID:VgzlFcvK

 ふと気付いたのはベッドの中だった。
 部屋は暗い。 途切れ途切れの記憶を手繰り寄せる。酔っ払った出夢くんに無理矢理飲まされて、そして意識を失って

「…………」
 何気に結構ひどいセクハラとかも受けていた気がする。段々怖くなってきたので思い出すのをやめた。
 ん、そう言えば出夢くんは。
 思い出して寝返りを打つと、なんと目の前に出夢くんがいた。目の前と言うのは本当に目の前で、というか寝返りを打
った拍子に出夢くんと唇が触れてしまった。そういう距離だった。
「──っ」
 慌てて顔を引く。そしてようやく気付いたのだが、ぼくは出夢くんに抱きつかれるような格好で横になっているのだっ
た。超至近距離にある出夢くんの顔。寝息がぼくの顔にかかる。
 微妙にアルコールの匂いがした。
「んー……むにゃ」
「…………」
 目の前の出夢くんが気持ち良さげにうめく。この辺りでようやく本格的に我に返り始めたぼくは、慌てて身を引こうと
するが、
「ん……んんー……」
 逃れようともがけばもがくほど、出夢くんはぼくにしがみついてくる。ついには完全に抱きしめられるような形になっ
てしまった。
 と。
 そのとき。
「おにーさん、好きだぜ」
「……………………」
「ん……ん」
 すりすりと、出夢くんがぼくの胸に頬を摺り寄せる。
 出夢くんの髪のいい匂いがした。
 ぴきり、と音を立てて固まるぼく。
 ぴきり。
 ぴきぴき。
 がらがらがらがら。
 わかりやすい心理描写で、ぼくの中の何かが瓦解した。
「…………」
 恐る恐る出夢くんの顔を窺う。恐る恐る。相変わらずすやすやと大人しく眠っている出夢くん。
「む。む、む、」
 ということは、さっきのは寝言だったのか。
 きっと、何かとんでもない悪夢でも見ていたのだろう。
「ん……」
 出夢くんが身じろぎする。こうやって抱きしめられていると、出夢くんの体が女性のものであると、改めて認識させら
れる。丸くて柔らかくていい匂いがするというかぼくは何を考えているのだろう。それでもそんな意思とは裏腹にぼくの
神経はぼくの体に押し付けられた二つの膨らみに集中している。一度そういう思考が頭をよぎると、そう簡単には消し去
れない。
 ぼくの手が、出夢くんの体に回される。
「…………ん……」
 静かな寝息。微妙に体をずらし、顔の高さを出夢くんに合わせる。体も小柄な出夢くんだが、改めて近くで見ると顔も
随分小さい。それに眠っていると、なんというか、同じ顔をしたもう別の人間の事も思い出してくる。
 匂宮理澄。
 二人で一人の匂宮兄妹。
 その妹の魂は、冗談とか抜きで、本当に出夢くんに宿っているのではないかと、なんとなくそう思う。
「…………」
 理澄ちゃん。

「お兄さん、大好きっ!」

 その言葉はしばらくの時を経て、双子の兄の口から聞く事になったわけだ。
 まあ、面と向かって言われたわけではないけれど。
444MIKE:2005/10/28(金) 01:09:01 ID:VgzlFcvK
「出夢くん、だよね」
 ぼくは人差し指でそっと出夢くんの唇をなぞる。くすぐったげに身をよじらせて、
「……ぱく」
 ぼくの指を咥える出夢くん。
「…………」
「ん……ちゅ……」
 舌でぺろぺろ舐めたり、吸いついたり、いや、それはいいんだけど、いつ噛みつかれるかわかったものではないこの状
況では、ぼくはその微妙なスリルと指先から伝わってくる出夢くんの舌のねっとりとした快感や何やらで、ぼくはもうど
うすることも
「……わわっ!」
 混乱し始めた頭をさておき、とりあえず指を引き抜くぼく。出夢くんの顎なら、おそらくぼくの指など造作も無く噛み
切ってしまうことだろう。それはさすがに勘弁して欲しかった。
「んー……」
 指を引き抜かれて、何か物足りなげに顔を前に突き出してくる出夢くん。
 自然、ぼくの唇に触れる。
「んむ」
「ん……」
 そのまま濃厚なキスを受けた。出夢くんの舌がぼくの口の中を這い回る。アルコールの匂いがまだ残っていた。ぼくの
舌に絡め、しゃぶり尽くすように蹂躙する。ぼくはされるがままに出夢くんを受け入れる。こんな風に激しく求められる
のは初めてだった。
 ふと気が付けば下腹部がたぎり始めていた。
 それはどんどん大きさを増し、周囲を圧迫し始める。恐らく出夢くんも太もも辺りにその感触を感じているだろう。ぼ
くはどんどん自分が昂ぶっていくのを感じていた。
 と。
 ぼくに濃厚なディープキスを続けていた出夢くんの目が、とろんと開いた。
「……ちゅ……んむ」
「…………」
「……んん……?」
「…………」
「ん……?」
「…………」
「…………」
「…………」
 出夢くんが相変わらずとろんとした目でぼくを見る。ぼくは動けない。
「おにーさん……? あれ……?」
「お、おはよう」
「おはよう……んちゅ」
「……ん」
 寝惚けているのだろうか。
 出夢くんは、再びキスを求めてきた。
 さっきまでよりずっとはっきりと舌を動かしてくる。
「んっ……い、いずむくん」
「んー……?」
 再び行為に溺れてしまいそうになり、慌てて出夢くんから顔を離す。
 そうだ、落ち着くんだぼく。
 冷静に考えよう。
 もしここで流されて最後までやってしまったら、明日の朝ぼくはここで人生を終えることになるだろう。それはまずい
。それはいくらなんでも無いだろう。
 昂ぶる感情をぐっと押さえて言う。
445MIKE:2005/10/28(金) 01:10:28 ID:VgzlFcvK
「えっと、その」
「んー……」
「……お、起きてる?」
「んー、起きてるぜえ」
 にゃはは、と笑う出夢くん。
 やばい。寝惚けてる。
「あのね、今自分が何してるかわかってる?」
「んー?」
「ぼくからは何もしてないよね? 全部出夢くんからしてきたんだよ?」
「んー……」
 言われて考えこむ出夢くん。多少弁解口調になったが、嘘は言っていない。
「…………」
「…………」
「…………」
 出夢くんの顔色が変わって行く。
 なんていうか、真っ赤に。
「出夢くーん」
「…………」
「あのー、……そろそろ離して貰えるかな」
「…………」
 ばっ、と離れる出夢くん。そのままぼくに背を向ける。
「……出夢くん?」
「…………」
 何も答えない。
 というか、耳まで真っ赤だった。
 か、かわいいっ……!
「おーい」
「…………」
「い、ず、む、くーん」
「…………」
「いずぷー」
「…………」
 ぼくの再三に渡る呼びかけにも全く反応しない。きっと死にたい気分なのだろう。わからないでもない。
「…………」
 ぼくは出夢くんを後ろから抱きしめた。
「なっ……!」
「出夢くん」ぼくは出夢くんの反応を見ながら慎重に喋る。「えっと、その、もうここまでくるとフォローのしようがな
いわけだけど」
「…………っ」
「実は、溜まってたり?」
 がっ、とぼくの頭が掴まれる。
 あれ、失敗したかなと思ったのも束の間、しかしすぐにその手は力無く倒れる。
「…………」
「その」ぼくはおずおずといった感じで言う。「手伝おうか?」
446MIKE:2005/10/28(金) 01:11:00 ID:VgzlFcvK
「そもそも、出夢くんは男って認識でいいの? それとも本質は女なの?」
「それを言われるとちょーっちややこしい話になるんだよ」出夢くんは忌々しそうに言う。「女の体に無理矢理男の精神
を詰め込んでるみたいな感じだからな、本質は男なんだが、体が女だからその辺の調整は難しい」
「調整」
「そう、調整」事も無げに言う。「まあ、組織抜けてから調整とか何にもしてないから、このままだとゆっくり身も心も
女になってくんだろーけどな」
「……ふうん」
「俺は自覚では男だけどな。男なのに、あれがないだろ」
「……あれ」
 あれ。
 まさか、あの三文字の、あれの事だろうか。
「ホルモンだな。女の体だと女性ホルモンしか出ねーから、どうしたって女になっちまう」
 期待はずれの返答にがっかりしている自分が嫌だった。
 是非出夢くんの口から聞きたかった。
「おにーさん、意外と好きなんじゃん」
「出夢くんこそ。さっきまではあんなに大胆だったのに」
「……うるさいおにーさんだな。握りつぶすぜ」
「…………」
 出夢くんの耳を責める。甘く噛んだり、舐めたり、吸ったり、そっと息を吹きかけたりすると、出夢くんは時々体をぴ
くりと震わせた。
「気持ちいいの?」
「…………」
 見た目通りにシャイな出夢くんをからかうのは楽しかったが、あまりやりすぎると命の危険が伴うので、ぼくの場合は
本当に注意しなければならない。
「ん……」
「…………っ」
 出夢くんの胸にそっと触れる。Tシャツにパンツ以外は何も身に付けていない出夢くん、胸の上からでも乳首の膨らみ
がはっきりとわかる。
「気持ちいい?」
「いちいち……、聞くんじゃねえよ」
「本当に感じてもらってるのか心配なんだよ」勿論嘘だった。更に尋ねる「息が荒くなってきてるけど」
「うるせ……ん……っ」
 Tシャツの中に手を伸ばし小さめの胸を揉む。出夢くんのうなじ口で責めながら、出夢くんの大事な部分にも手を伸ば
す。
「っく…………ふ」
 パンツの中に手を差し込み、いきなり蕾をつまむ。出夢くんはかわいらしく体をよじらせたが、声は飲み込む。どうや
ら声は出すまいと耐えているようだった。
「出夢くん、声、我慢しなくてもいいよ」
「うる──っ……!」
 しかし飲み込む。どうにかして出夢くんのあえぎ声を聞こうとしていると、
「……おにーさん」肩越しにじろりと、出夢くんがぼくをにらんで言う。「太腿、当たってんだけど」
「え。……あ」
 気付けばはちきれんばかりに膨らんだそれが全力で自己主張していた。
 ていうかなんでぼくはパンツ一丁なんだ……。
447MIKE:2005/10/28(金) 01:12:43 ID:VgzlFcvK
 そんなことをいぶかしむ暇も無く、今度は出夢くんがぼくの下着を脱がせてきた。背中を向けたまま、膨らんだそれに
四苦八苦しつつもなんとか脱がせきる。何をするのかと思っていると、それを掴んで太腿で挟みこんだ。
「えっ?!」
 そのまま足でソレを擦る。出夢くんの柔らかくもすべすべの足は絶妙な快感をぼくに与えた。脳髄に直接飛び込んでく
るような快感が背筋を走り、思わずため息が漏れる。
「っくぅ……」
「ん……っはぁ……」
 その動きはそのまま出夢くんにも刺激を与えているようで、それが擦れるたびに、出夢くんもまた熱っぽいため息をつ
いた。
「き……」息も絶え絶えに言う。「気持ち、いいかい?」
「…………」
 一瞬呆気に取られるぼく。どう答えたものかと一瞬考えたが、素直に「うん」と答えた。出夢くんは満足気に笑んで更
に行為を続ける。
 ぼくも腰を動かし始めると、突然、期せずして、ぬるりと出夢くんの中に入ってしまった。
「ふぁっ!」
 突然の挿入に、思わず出夢くんがかわいく鳴いた。
「…………」
「…………っ」
 思わず止まってしまうぼく。
「…………」
「う、うるさいな!」
「まだ何も言ってないけど……」
「い、いいだろ別に!」
「だから何もふぉ」
 肘鉄を食らった。
 悶絶。
 出夢くんが背中から怒った空気を発しているが、何故かそれすらもかわいかった。
 謝る代わりに出夢くんを後ろから抱きしめる。
「でも意外にも、出夢くん初めてじゃないんだね」
「ああ。まあ、一通りのことは大体経験してる」
「一通りって……」
「今度鞭で叩いてやろうか?」
「…………」
 想像を絶する画だった。
 しかし、だとすれば、ということは、理澄ちゃんも、やっぱり”一通り”経験しているのだろうか。
 …………なんだか複雑だ。
448MIKE:2005/10/28(金) 01:13:41 ID:VgzlFcvK
「おいおいおにーさん、挿入しっぱなしで他の女の事を考えるとはなかなかの色男だな?」
「ああ、いやいや……」
「お兄さん、好きっ!」
「…………」一瞬驚いた。「出夢くんは、もうその辺は、平気なの?」
「僕だってやりたくてやったんじゃないさ」自嘲気味に笑む出夢くん。「おにーさんが喜ぶなら、ね」
「…………」
 一瞬。
 なんの間違いか、なんの勘違いだろうか。
 だけれど、確かに一瞬。
 出夢くんが、まるでぼくが守ってあげるべき、か弱い少女のように──見えた。
「へっ、挿入したままする話じゃねーよな、こんなの」
「本当」ぼくは苦笑いを浮かべる。「全くだ」
「気分直しに冗談でも言ってやるよ」
 出夢くんはぼくに背を向けたまま言う。
「おにーさん、愛してるぜ」
「…………」
 出夢くんの表情は見えない。
 出夢くんの心情は読めない。
 しかし、たとえ表情が見えようが心情が読めようが、ぼくに返せる言葉は、何も無かった。
「ん……」
 黙ったまま、出夢くんに口付ける。出夢くんは抵抗せずにそれを受け入れた。
 そのまま、ゆっくりと腰を動かし始める。
「ん……っふ……」
 相変わらず声を上げまいと快感に耐えている出夢くん。シーツが握り締められてくしゃくしゃになっている。
 腰を打つくぐもった音が室内に響く。出夢くんの息が荒くなり、ぼくの息も荒くなって行く。
 ふと、ぼくは何をやっているのだろうと素に戻る。本能のままに腰を打ちつけ、出夢くんを抱きしめながら、ぼくは何
をやっているのだろうと考える。勿論答えが出るはずもない。ただ状況に流されているだけだ。
 だが、一つだけ。
 これだけは出夢くんに伝えたかった。
 ぼくが出夢くんを大切に思う気持ちに偽りはないと──それだけは、戯言でもなんでもない、ぼくの本心であると。
「出夢くんっ……!」
「ん、……っ、ぁん」
「くっ……ぐぅっ……!」
「ふぁ、あっ、ああっ……!」
 精を吐き出す。何度かびくびくと痙攣するようにひきつり、そしてどっと倒れこむ。
「……気持ち、良かった?」
「……ああ、サイコーだったよ、おにーさん」

 最後に達する瞬間、出夢くんはまるで女の子のように見えた。

449MIKE:2005/10/28(金) 01:14:24 ID:VgzlFcvK

 数ヶ月が過ぎて。
 突然、携帯に見慣れない番号から電話がかかってきた。不審に思いながらも、とりあえず出て見る。
「──もしもし」

「あ、僕だけど。なんかよくわかんねーけど最近やけにイライラしてさー、すっぱい物とかもすげー欲しくなったりして
困ってんだよ。別に御飯食べまくってるわけでもないのにお腹出てきたりさー、しかも時々腹の内側から蹴られてる
よーな感じしたり。こんな体調の崩し方したの始めてでさ。我ながら気弱なことと思うけど、悪いけどちょっと家まで
看病しに来てくれねーかな。最近はろくなもん食べてないんだよ。病気ならちゃんとしとかねーと治んねーしさ。前も
言ったと思うけど、ホントに僕、友達少ないんだよ。頼れるのはおにーさんだけなんデス。オネガイシマス! この通
り!」

「…………」
 あれ、どうしてだろう。電話の声が段々遠くに。
 あれ。あれあれ。

「……名前は、匂宮歪夢とかでどうだろう?」
「は? おにーさん何言ってんの?」




終わり。
450名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 01:15:39 ID:Qv9v63V6
読んでないけど乙
451MIKE:2005/10/28(金) 01:17:44 ID:VgzlFcvK
>>441-449で今回はちょっと短めですね。と言うわけでいーちゃんx出夢くんでした。


あと、僕の投下分毎回ちょっと文字数(/行)多くて見にくかったらすいませんです;
見にくいぞゴルァ!って人は文字サイズ中以下だと見やすいかと思います。
452名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 02:08:13 ID:3pr3aiwh
二作と続くとやはりパターンが定型化してるのが見えるのが多少難だな。
まー出夢萌えーとなれたのでそんなことは塵みたいなもんだが。
GJ!
453名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 02:15:01 ID:p8x7QUvp
妊娠キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
454名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 02:40:07 ID:ijpBEJyT
喘ぎを我慢する出夢‥‥‥(*´Д`)ハァハァ
455試験の終わった304:2005/10/28(金) 09:00:12 ID:AIkIyMd6
MIKEさん>>二夜連続乙。
ラスタマンさん>>続き気になる
365さん>>すげ楽しい。大好き。
397さん>>楽しみ。
311さん>>「最後まで」コールあったけど、どうなる…?(どきどきv

あれからネタ思い付いたけど「検閲→削除」な感じなので投下見合せ中。
(そもそも割込みしたくないし…)
――で、絵は桶ですか、皆の衆?
456試験の終わった304:2005/10/28(金) 09:01:24 ID:AIkIyMd6
「>>」が効いてない… orz
457名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 14:41:25 ID:iYuxtZNh
>>は半角数字にしか効かないのでは?
458名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 20:04:15 ID:cZNKK1Kl
ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い 11/8発売予定
459名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 22:51:11 ID:rqW6KwmB
>>456
そもそも使い方が違う

>>457
専ブラなら可
460304:2005/10/29(土) 00:29:06 ID:gV7s+mpV
>>しごく(※敢えて)
ごめん、ぶっちゃけ忘れてたやり方
(離れ過ぎ/過去確認しろよ)

>>457
せんくす。
461名無しさん@ピンキー:2005/10/29(土) 05:00:19 ID:gHSaOzTX
>>458
成る程、ようやく哀川さんの処女喪失シーンが見られるわけですね!

      +   +
        ∧_∧  +
       (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
   +.   (0゚∪ ∪ +
     /ヽと__)__)_/ヽ   +
    (0゙   ・   ∀ ・ )   ワクワクテカテカ
    (0゙     ∪    ∪      +
  /ヽと____)___)_/ヽ   +   +
 ( 0゙     ・    ∀   ・  ) ワクワクデカデカ
 ( 0゙        ∪     ∪     +
 と_______)_____)
462名無しさん@ピンキー:2005/10/29(土) 17:15:19 ID:49uz7zL+
>>458
喜ぶべきか悲しむべきかそれが本題だ
まありすかもあるし零崎一賊も続きそうだし別に喜んでいいか
463さよなら戯言先生:2005/11/03(木) 17:50:30 ID:+cfKDwAc
読んで下さってる方はいつもありがとうございます。最終巻の発売前にもう一回投下。

>>393の続き

 6

 朝のHR。控えめにざわつく教室内。
 生徒達の視線は説明を求めるようにぼくと、ぼくの隣りに立っている生徒の間を、忙しく何度も何度も行き来させている。
 その当たり前な反応に、何だかぼくはひどく安心した。
 このおかしなおかしな学園であっても、少なくとも生徒達とは、ぼくは常識というものが共有出来てる。……いまのところは。
「まあ、みんなの訊きたいことはわかるよ。でも、ぼくの口から言えることは、実はあまりないんだ。教えてやれるのは名前くらいかな」
 だがその程度の情報は当の本人が、すぐに自らの口で語ってくれることだろう。
 ぼくの隣に立っている少女はそわそわしながら、ぼくとみんなの間を、やはり何度も何度も視線を行き来させていた。
 その様子は間違いなく、早く話を振ってほしいんだねっ!!、とぼくに催促しまくっている。
 悪いがもうちょっとだけ待ってくれ。これだけはみんなに言っておきたい。
「大人になるってことは、訊いていいことと悪いことの区別をつけるってことだ。みんな……わかるよね?」
 もしくは触れちゃいけないものは、面倒なのがわかっているものは、どんなに好奇心が刺激されようとも、断固として触れないことだ。
 記憶にございません。
 このセリフを臆面もなく言えるようになったら、それはそれはびっくりするくらいの立派な大人だ。
“こくん”
 クラス全員の動きが見事にシンクロした。ぼくを含めて、隣に立っている少女以外、全員の心が一つになった瞬間である。
「じゃあ、いくよ?」
 後になって考えてみれば、何だか妙な進行だが、クラスのみんながそうであるように、ぼくもこのとき冷静ではなかったみたいだ。
 背中を軽く、ポンッ、と押すと、溜めに溜めていた彼女の元気が、火山の噴火みたいに大爆発する。
「あたし、匂宮理澄だもんっ!!」
 ぺこりと、理澄ちゃんはみんなに頭を下げた。
 その姿は一度見たらば、忘れたくても忘れられないだろう。
 説明文がまんまトラウマな黒いマントが、勢いよく戻された頭の反動でパサリと揺れた。
「名探偵だねっ!!」
 この学園の女の子達は、あまり何事にも動じそうにないが、理澄ちゃんの衝撃の告白に、全員の身体がちょっとだけ引いている。
 だがこのとき、彼女達は誰一人としてまだ、わかってはいなかった。真の衝撃とはどういうものかを。
464さよなら戯言先生:2005/11/03(木) 17:52:08 ID:+cfKDwAc
 頭を下げて上げる。
 わずかこれしきのアクションで、きっちりと固く結んであったマントの紐が、本来であれば解けるわけがない。
 片付けられていた机をどこかから持ってきて、勝手にぼくの隣りに陣取った神出鬼没系教師が、そういえば職員室で言っていた。
『こういう言葉は趣味じゃないんだけど ――嫌な予感がする  ん……だよね』
 そのときのぼくは、気にも留めてなかった。
 でもいまならわかる。
 スローモーションで堕ちていく理澄ちゃんの黒マント。はらりと舞い堕ち、綺麗に教室の床に、花びらのように広がった。
 ――嫌な予感がする
 いまならはっきりとわかる。あれはこのことだったんだと。
 ハンニバル・レクター博士以上に、この服を着こなせる人間はこの世にいないだろう。少なくともぼくの知り合いにはいない。
 良かった。本当に。
 そして今日とりあえず知り合いになった理澄ちゃんも、決してそれが似合っているとはいえなかった。
 胸の前で袖がクロスされてそれが服と一体化、なおかつその上を二本の革のベルトで縛られていて、サイズが身長にあっていないのか
裾が長く、理澄ちゃんはそんな拘束衣をまるでワンピースのように着ている。
 少女虐待。
 心が冷えるようなフレーズが、自然と浮かび上がってきた。
 可愛い生徒達を見ると、みんな円らな瞳を目一杯、ちょっと怖いくらい見開いて固まっている。そしてぼくはといえば。
「………………………………………」
 ひどく落ち着いていた。
 おそらくは生徒達のそんな、極めて普通の反応を見せられたからだろう。
 パニックになった者を見たときの反応は、だいたい二通りで、釣られて自分もパニくるかのか、それとも冷静になるかのどちらかだ。
 ぼくは後者だったらしい。
 情ではなく状況に流されるのが、ぼくという人間だが、何事においても、例外というものがあったりする。
 非日常こそはぼくの、この欠陥製品の《戯言遣い》のフィールドだ。――――でもさぁ。
「………………………………………」
 やっぱこれは駄目です。《戯言遣い》は嘘を吐いてました。限界です。いっぱいいっぱいです。
 もう骨董アパートに帰りたい。みいこさんに会いたくて堪らない。無口な崩子ちゃんとおしゃべりしたい。哀川さんに殴られたい。
 心が癒されたい。友に。玖渚友に会いたい。
465さよなら戯言先生:2005/11/03(木) 17:53:28 ID:+cfKDwAc
 などと。
 現実逃避を一通り終えたところで、ぼくは黒マントを拾い上げた。
 生徒達を見るとまだ、あっちの世界からは誰も戻って来てない。自慢にも何にもなりはしないが、こういったシチュでの場数が違う。
「理澄ちゃん」
「あ、ありがとうだねっ!! 着せてください」
 無論そのつもりだ。そうしないと可愛い生徒達は、延々あっちの世界を彷徨ったままだろう。
 ぼくは一流の洋館に仕える執事セバスチャン(仮名)よろしく理澄ちゃんにマントを着せてあげた。
「またまたありがとうございます、だねっ!!」
 言ってまたまたぺこりと頭を下げる理澄ちゃん。
「……いや」
 ぼくは理澄ちゃんの旋毛から生徒達に視線を移す。
 拘束衣という凶悪なインパクトが視界から消えた所為か、ちらほらとこちらの世界へ帰還して来ている。
 あからさまに怪しい黒マントが防護壁ってのが、彼女達の受けた衝撃の威力を物語っていた。目と目の間を揉んでいる生徒多数。
「みんな、最初にぼくが言ったことは、ちゃんと覚えてるよね。オーケー。それじゃ質問タイムだ」
 さっと手を上げた生徒は、え〜〜っと確か。
「慶紀……ちゃん?」
「はい」
 どうやら当たっていたみたいだ。
 他にこのクラスでは、あと三人ほど目立つ生徒がいるのだが、名前と顔が一致しなくて曖昧模糊なぼくは、毎回が神経衰弱状態である。
「あの、匂宮さん……名探偵ってなんですか?」
「生き様……なんだねっ!!」
 にやりと、理澄ちゃんは格好よく笑った。
「よしっ、次いこ次」
 まだ何か言いたそうな理澄ちゃんを無視して、ぼくは次の生徒を指差す。生き様なんて言い切っちゃう馬鹿は高速でスルーだ。
「え〜〜っと、ろ、いや、あ、いやいや、……朱……喜……ちゃん?」
「はい」
 相当おまけをしてもらったみたいだが何とか二連勝。
「その拘束……きゃっ」
 ぼくの右手が唸りを上げて、白い軌跡が朱喜ちゃんの机を直撃する。
 教壇に立つ者なら、誰でも一度はしてみたいチョーク投げが、我ながら見事なスピードとコントロールで炸裂した。
466さよなら戯言先生:2005/11/03(木) 17:54:51 ID:+cfKDwAc
「それは違う。それは違うよ朱喜ちゃん」
「は、はい」
 こんな風に話すぼくを見たのは、生徒達は初めてだろう。
 声は淡々としていて低い。映す瞳が随分と醒めているのが自分でもよくわかる。
 しかしわかってほしいんだ。こうまでしてでも突っ込み厳禁の話題が、深入りしてはいけない話題が、この世にはあるということを。
「うん。それじゃ理澄ちゃんへの質問はこれくらいにして、そろそろ授業を始めようか」
 素直に頷く可愛い生徒達。
 ああ、いいなぁこのクラスは。くせのある娘がいない上に、みんなぼくの言うことをわりかし聞いてくれる。
 何だか教師も悪くないな。何て勘違いさせられそうになるのが、難点といえば難点ではあるが。うん。悪くない。
 もっともその感想も。
「わたしはどこの席なんだねっ!!」
 すでに過去のものになってはいるようだが。
 邪気の欠片もない、聖なるエネルギー全開の理澄ちゃんの笑顔を見ながら、ぼくはこっそりとため息を吐いた。……まあ悪くないかな。
「先生、大好きっ!!」


今回はここまで。

MIKEさんのSS読ませていただきました。どちらの作品もエロシーンで『らしさ』が出せているのは感心させられます。
前フリでは『らしさ』が出せても、エロシーンで出すには結構難しいのは、わたしも挑戦したことがあるのでわかります。
それと出夢くんの女性化。オリジナル設定なのにかなりの説得力がありました。
男と女を比べれば、普通は前者が強いわけで、その弱い部分を担当していた理澄ちゃんがいなくなれば、自然にそうなるかなと。
467名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 18:23:10 ID:xZAixU5m
戯言ティーチャーGJGJGJ!
468名無しさん@ピンキー:2005/11/04(金) 00:03:20 ID:HloR7kje
 GJ!いつも、“読ませる力”がある文章はすげえなあと感心しながら拝読していますです、はい。

 次回も楽しみに待ちます。
 
 
469名無しさん@ピンキー:2005/11/06(日) 22:51:27 ID:kyZYqn8J
GJ!!
どうでもいいが哀川さんの目ってさりげなくすごいよな
470名無しさん@ピンキー:2005/11/07(月) 10:27:34 ID:mAkbN/44
新刊もでたことだし・・・
きてくれ〜〜!!GODよο(><!)(!><)ο
471名無しさん@ピンキー:2005/11/07(月) 12:22:04 ID:czqRmqpF
>>470
焦るなよ。絶対来てくれるから。
472名無しさん@ピンキー:2005/11/07(月) 12:33:38 ID:gA5CcmgH
え、新刊もう出たの?
473名無しさん@ピンキー:2005/11/07(月) 22:00:04 ID:OZJ/CN7Q
>>441-449
続きが激しく気になる(*´Д`*)
474名無しさん@ピンキー:2005/11/07(月) 23:13:35 ID:lVtceH2u
途中まで読んだがとりあえず、木の実タンがいい
475微ネタバレ:2005/11/08(火) 15:42:25 ID:zsZUACag
全部読んだ。
俺も同意。




っていうか、後日談が書きやすそうな終わり方で、住人としては嬉しいな。
476名無しさん@ピンキー:2005/11/08(火) 16:04:02 ID:xC+hbjV2
>>475
>後日談が書きやすそうな終わり方

邪推すると、編集サイドからそのように書けと言われたのかな、とか…。
今後、スレイヤーズの短編集の西尾版みたいなのが出てくるわけですよw
477名無しさん@ピンキー:2005/11/08(火) 23:07:52 ID:Sodcdy/r
あれ前日談ばっかりじゃんwww
478名無しさん@ピンキー:2005/11/08(火) 23:10:39 ID:UE4GP8q7
その点は本質ではないのではないか。
479MIKE:2005/11/09(水) 06:11:03 ID:kGYBGENE
裸エプロンごっこ
抱き枕崩子ちゃん
玉藻ちゃんにナイフ特訓する人識
命令してよ絵本さん
脱ぎだす巫女子ちゃんとキス魔智恵ちゃん
澪標姉妹に「惚れられたねっ!」いーちゃん逆レイプの巻


とりあえず本編読みながら反応した。もっとあるかも。反省はしていない。

てか本名朝日って本生アサヒw
480名無しさん@ピンキー:2005/11/09(水) 14:20:44 ID:TMn6KWnK
>479本名朝日のネタ知りたきゃきみぼく嫁
抱き枕崩子SSキボン

6歩譲って殺し屋姉妹でも可
481名無しさん@ピンキー:2005/11/09(水) 17:50:55 ID:nthJEjlq
地元の本屋三件廻ったが買えず。
話について行けない・・・。
482名無しさん@ピンキー:2005/11/09(水) 19:26:33 ID:hmZBrJva
学校からかえって速攻で購入。ていうか人識の本名と同名なんですけど、俺。まじで
483名無しさん@ピンキー:2005/11/09(水) 21:29:52 ID:beuTZdkb
そんな貴方の後ろに絵本さん。


いじめっ子絵本さんに十日間いろんな意味でいじめられる人識とかどうだろう
484名無しさん@ピンキー:2005/11/10(木) 01:55:13 ID:LJuzJRsS
汀目さん! 汀目さんじゃないか!
485名無しさん@ピンキー:2005/11/10(木) 15:27:48 ID:igfY0Trx
>>482
ある日突然殺人鬼としての能力が開花します。心得ましょう
486名無しさん@ピンキー:2005/11/10(木) 20:30:19 ID:kCGi9dPL
5年後の話で大泥棒と橙とかキボン
487名無しさん@ピンキー:2005/11/10(木) 21:35:04 ID:ymvSYKTI
崩子ちゃん抱き枕って何ページにあった?
488名無しさん@ピンキー:2005/11/10(木) 23:05:38 ID:RE8ZRKRV
157p
489名無しさん@ピンキー:2005/11/10(木) 23:07:11 ID:RE8ZRKRV
あと91p
490名無しさん@ピンキー:2005/11/10(木) 23:35:26 ID:ymvSYKTI
トンクス
491名無しさん@ピンキー:2005/11/10(木) 23:48:57 ID:A4g5G6lc
結局、哀川さんは処女のままか…
492さよなら戯言先生:2005/11/10(木) 23:54:58 ID:aoggw3qm
 7

「…………どうしてここに…………いたりするのかな?」
 お昼休み。
 食堂がいっぱいだったので、今日の昼飯はどうしようかと考えていたら、くいっと、後ろから服の袖を引っ張られた。
 振り向くとそこには、両手で風呂敷包みを大事そうに持ちながら、女の子が黒目がちな瞳でじっとぼくを見上げている。
 知っている顔だ。
 お気に入りの抱きまくら。もうかれこれ四年は愛用している。これからも手放すつもりは微塵もない。
「崩子ちゃん? 何故ここにいるのかな?」
 高校にこそ崩子ちゃんは通ってないが、なにせ年齢は女子高生ど真ん中の17歳なので、澄百合学園の制服がとても良く似合っていた。
 その可愛らしい姿は学園の風景に自然に溶け込んでいて、どちらかといえばぼくの方が浮いてるくらいである。
 しかしそれでも、残念ながら闇口崩子ちゃんは、この澄百合学園の生徒ではない。
 いまは開店休業中ではあるが、ぼくの事務所のマスコット兼お茶汲み係兼助手見習いが、何を隠そうこの少女の正体である。
「戯言遣いのお兄ちゃんも、毎日毎日学食では飽きるだろうと考えまして、お弁当などを作って、闇口崩子、澄百合学園に参上しました」
「…………そう」
 最近は随分と世間も物騒になっていて、おいそれと学校施設などに部外者は入れない。
 だがだからといって、どこかから調達した制服を着て、こうして校内へと侵入してくるのはどうだろう。
 少女の育成を間違えてしまったかもしれない。ごめん萌太くん。
「お兄ちゃんのお口に合うどうかの保証は出来かねますが、あの厄介者の双子と協力して手間隙だけは掛けました」
 でも優しい娘には育っている。
 まあさらりと毒を吐く容赦のない性格だけは、出会ったあの頃からちっとも変わってはいないが。
「深空ちゃんと高海ちゃんは来なかったの? 一緒にお弁当作ったんでしょ?」
 そしてあの二人のぼくに向けてくる狂おしいばかりの感情も、この四年間有難い事にちっとも変わってなかったりする。
 涙が出そうだ。
 四年前は試す気にもならなかったが、いまのぼくなら泣ける気がする。多分それは……いいことなんだとは思うけど、さ。
「制服が一着しか手に入らなかったので、澪標姉妹は快くわたしに、お兄ちゃんにお弁当を届けるという役目を譲ってくれました」
「…………そう」
 快く、ねえ。帰ったら左右からサラウンドで愚痴を訊かされそうだ。
493さよなら戯言先生:2005/11/10(木) 23:56:02 ID:aoggw3qm
 暴力を崩子ちゃんに対して行使してはいけないと、深空ちゃんと高海ちゃんに言ってからは、圧倒的にパワーバランスが崩れている。
 体術であればともかくとして、口ではたとえ二対一であっても、澪標は闇口の敵ではないみたいだ。
 部屋の隅で仲良く膝を抱えながら、捨てられた子犬オーラを出してる二人を、この四年というもの何度見たかわからない。
 ちなみにそんな澪標姉妹を見て、崩子ちゃんが密かに膝を抱えているのを、ぼくだけは知っている。
「あっちのほうになにかいい具合に静かなベンチがあったので、そこで食べたいと思うのですが、お兄ちゃんはそれでいいでしょうか?」
「うん、いいんじゃないかな」
 崩子ちゃんの指定しているベンチは、ちょうど二階辺りからボウガンで狙ったりするのにいいポイントなのだが、そんなことをする奴は
まさか、まさかいくらこの学園でもいるまい。――――と、信じたい。
 崩子ちゃんに手を引かれながら、キョロキョロと必要以上に、誰かの視線を恐れるようにしているぼくは、やはりチキンなんだろう。
 三階の窓際に一瞬だけだが、何かを抱えている子荻ちゃんの姿が見えた気がした。


短いですが書けたとこまで投下します。
494名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 00:19:13 ID:0fRxyw8R
>何かを抱えている子荻ちゃんの姿が見えた気がした。
1.ボウガン
2.お弁当
3.子犬

ああ、続きがきになります。
495名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 00:26:38 ID:LppNuvrl
文章の内容そのものもさることながら、
この速さで最新刊の設定を違和感なく取り込み、
かつ住人のリクにまで答えた上で、既存作品の続編という形に仕上げる技が見事。

……いい仕事してますなあ。
496名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 01:30:40 ID:NBry2jBO
相変わらず、良いお仕事をされますなぁ。
うん、良いね。

この絶妙なバランス感覚が素晴らしいと思うよ。
GJ!!
続きを期待させて下さい。
497名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 02:27:02 ID:GsTu+pcp
GJ。ただ、微細だけどネタバレ注意はいれといてもよかったんじゃないかな。
498名無しさん@ピンキー:2005/11/12(土) 00:48:58 ID:fg8DY7eV
>495がばらさなければ気づかなかってのに・・・(苦笑
499495:2005/11/12(土) 03:21:36 ID:GS3xGwKL
マジで? それはスマンかった……。
500名無しさん@ピンキー:2005/11/12(土) 14:36:12 ID:Gw/M68dR
GJ!!続き待ちます
501名無しさん@ピンキー:2005/11/12(土) 18:37:37 ID:E1scnXDx
ちくしょう澪標姉妹に萌えてしまう日が来るとは
奴らだけはそういう対象から除外しようと思っていたのに
502名無しさん@ピンキー:2005/11/12(土) 18:37:38 ID:guk4yewT
哀川さんがセックス中毒になるファンタジーまだー?
503名無しさん@ピンキー:2005/11/12(土) 22:56:16 ID:KsNr72f2
GJ。
ところで萌太は生きてるんだろうか?
504名無しさん@ピンキー:2005/11/12(土) 23:03:45 ID:xs0B0FTB
どこをどう読めばそんな結論に
505名無しさん@ピンキー:2005/11/12(土) 23:54:51 ID:OsUWq+PY
>>504
 「戯言先生」シリーズの中では、ってことじゃない?
506名無しさん@ピンキー:2005/11/13(日) 00:38:12 ID:Yw84geTV
出夢妊娠小説の続きまだー?
507名無しさん@ピンキー:2005/11/13(日) 01:40:28 ID:lWSaQgWR
スレ違いごめんなさい。
戯言シリーズ完結記念パンフ&しおりを全種類集めたい人へ。
ttp://bbs.iclub.to/uensin/
508名無しさん@ピンキー:2005/11/13(日) 13:59:28 ID:kNjFKKdw
結局、いーちゃんの本名は最後まで出なかった
509名無しさん@ピンキー:2005/11/13(日) 15:55:25 ID:6cLbxkUZ
心視先生も出てこなかった
510さよなら戯言先生:2005/11/13(日) 19:03:10 ID:HnVQuntU
注意 ネタバレあり

 8

 高校三年生というのは、人によっては学歴の終着点であり、人によっては通過点でしかない。
 しかし何にしたところで、日本の根強い学歴信仰主義の社会では、それが人生の一つの岐路であることに間違いはないだろう。
 ぼくの目の前に座っている少女も、もちろんその例外ではない。
 三つ書く欄のある進路希望用紙には、第一希望と第二希望の二つだけが、しっかりとした綺麗な字で書いてあった。
 まず第一希望は神理楽。
 うん。これはこの学園の生徒なら珍しくもない。
 日本のER3とも呼ばれている神理楽は、四神一鏡を母体に持つだけあって、澄百合のほとんどの生徒がここに流れていく。
 エスカレーター方式で安直ではあるが、しかしまあこれはこれで全然かまわない。
 問題は第二希望だ。
「あの、さ。その、この、第二希望なんだけど…………どんな会社か知ってるの?」
 有限会社、十三階段。
 会社というか何というか。正直なところあれは、趣味のサークル活動というか、諦めの悪い中年のライフワークみたいなもんだろう。
 なにせ何度殺されても諦めない。
 他のことはこちらが拍子抜けするくらいあっさりと、それが自分の命であっても諦めるくせに、これだけは捨てることが出来ないのだ。
「社長さんにに直接スカウトされましたから、そのときに触りだけですがお話は窺ってます」
「会ったの? あの人に? それでも入りたいわけ? あの会社に?」
 トレードマークのお面はもうすでに付けてないはずだから、昔より少しはマシな風体になってるんだろうが、…………それでもなぁ。
 そもそもあの人の怪しさの要因は、外見に端を発しているものではない。
 いや、そりゃ十分にお面も怪しいわけだけど、持っている雰囲気はそれ以上だ。
 とにかく最悪に怪しい。
 そして向き合えばおそらくぼくは、わずかながらだが成長したいまをしても、あの男に恐怖を感じずにはいられないだろう。
 でもどういうわけなんだか、それが一部の女性には、堪らなく魅力的に映ったりするらしいのだ。
 ああ。そういえば。ぞっこんの彼女も、中退ではあるがこの学園の出身者だったな。
 もしかしたら、まあ若干の例外はいるものの、頭の切れる人ほど、あのわけのわからない雰囲気に狂わされるのかもしれない。
 やれやれ。相も変わらず存在自体が迷惑な人だ。
511さよなら戯言先生:2005/11/13(日) 19:04:19 ID:HnVQuntU
「先生はお知り合いなんですか? あの狐面の男と?」
「…………まぁ、ね」
 結局また付けてんのかよ。あの狐のお面。
なんか因果がどうとか、親友がどうとか、色々理由付けされてたけど、やっぱりただの趣味なんじゃないのか?
 あれだけ盛り上げるだけ盛り上げて外したくせに。
 とはいえ四年前付けていたお面は、あの人にしても代理品はないだろうから、同じものではなく新調はしてるんだろうけど。
「それで会社の趣旨というか、目的は訊いたのかな?」
「世界の終わりを見ることだとか」
「見たいの? 見たいんなら……………」
 とても。本当にとても残念だけど、子荻ちゃん、きみはぼくの敵だ。
「いえ。そんなけったいなものに興味はありません」
「あ、そうなんだ」
 それを訊いて安心した。真に世界の、物語の終わりを願っているのなら、ぼくと一生付き合っていくことになってたろう。
 …………いまからでも遅くはない。願って欲しい。否、むしろ願ってください。
 一生付き合いのある相手は、漫画大好きの狐面を被った中年なんかより、そりゃあ好みの女子高生の方が絶対良いに決まってる。
「でも如何にして見ようというのか。その過程は策師として興味がありますね」
 なるほど。
 狐さんの目的なんぞは、策師を自認している子荻ちゃんにとっては、何であれどうでもいいわけか。
「う〜〜ん。実はぼくも四年くらい前は、それに結構興味があったんだけど」
「どの程度まで近づけたんですか? 世界の、物語の終わりとやらに」
「うん? ……そうだなぁ。本人的な手応えとしては、かなり良いとこまでいってたみたいだよ」
 でもまあそれが、次に生かされることはない。
 成功だろうが失敗だろうが、同じ事を二度とやらないのが、何にも拘らないあの人類最悪の、唯一といってもいい拘りだろう。
「何にしたところで、あそこに、あの会社に、女の子としての幸せはないよ」
 それは何も考えてない社長の代わりに、ハムスターのように細々と働いて切り盛りしている子荻ちゃんの先輩や、包帯ぐるぐる巻きの
姿になっても、健気に尽くそうとする人形士を見ていればあきらかだ。
512さよなら戯言先生:2005/11/13(日) 19:05:24 ID:HnVQuntU
 ――――なんてね。
 幸せも不幸せも、それは全て彼女達のもの。他人であるぼくが決めることじゃないのはわかっている。
「すると女の子としての幸せとは、一体どこにあるのでしょうか? 誰かがお嫁にでももらってくれるんですか?」
「古風な考えだけど、それも悪くないんじゃない。子荻ちゃんだったら、良い相手がすぐに見つかるだろうし、何ならぼくがもら――」
 セリフの途中でぼくはさり気なく、視線を子荻ちゃんから進路希望用紙へと移した。
 どうも子荻ちゃん、ぼくの意見が気に入らなかったらしい。
 顔を耳まで赤くさせて、長い睫毛をふるふるさせながら思いっきり睨んでいる。やべぇ。
 これはセクハラ、てやつに引っかかったかもしれなかった。
「進路…………もう少し考えてみようと思います」
「うん。それがいいかもね」
 珍しい。視線をいまだ上げることの出来ないヘタレな戯言遣いは、用紙にある第二希望の会社名を眺めながらそう思った。
 子荻ちゃんの声が何でか上ずってる。
「用紙、貸してもらえますか」
 どうして何だかは、まるでわからないが、やはりこれは緊張していると見ざるえない。
 すっと用紙を自分の手元へと引いた子荻ちゃんの指先は、良く見なくとも、睫毛のように細かく震えていた。
 そのわりに素早くささっと何やら書くと、子荻ちゃんは用紙をぼくに返して席を立つ。
「先生、それでは失礼します」
 進路指導はまだ終わりだとも何も言ってないのになぁ。まあいいか。
 ぼくは扉が閉じたのを確認して、用紙へと視線を戻すと、そこには小学生みたいな雑な字で、希望欄にお嫁さんが加わっていた。


前回は申し訳ありませんでした。まだ買ってない人、ゆっくりと読みたいだろう人に対する配慮が欠けてました。本当にごめんなさい。
萌太くんはどうしようか思案中です。
513名無しさん@ピンキー:2005/11/13(日) 19:15:52 ID:eM1cxKAN
ネタバレが飛び交ってる可能性が十分にあるスレにわざわざ発売日以降にノコノコと首を突っ込んどきながら
あーだこーだと騒ぎ立てる脳味噌プディングなクソゴミカスに職人樣が謝る必要など無いですよ。
514名無しさん@ピンキー:2005/11/13(日) 19:43:44 ID:o23/6v7Q
>有限会社、十三階段
 噴いたw
 何やってんだ狐さんww
515名無しさん@ピンキー:2005/11/13(日) 20:00:00 ID:GtjbEiMt
>>512
気にするな、というか周りのつっこみがなければネタばれって気付かなかったよ。
516名無しさん@ピンキー:2005/11/13(日) 21:06:47 ID:f6JLlL0S
女性陣の苦労が偲ばれる(;つД`) >有限会社、十三階段
517名無しさん@ピンキー:2005/11/13(日) 21:58:06 ID:8ziT9ifH
GJ
いや、面白い面白い。
短い中に上手くまとめられてるのが見事っす。
518名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 01:26:34 ID:t0n+m6nu
またフラグ立てやがって、このぉ。
519名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 04:03:04 ID:vWD8JTWb
有限会社>女性は眼鏡着用が義務そうだな…どこのメガネ屋だよ
520名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 08:17:45 ID:9ro+jyn7
507の しおり が おしり に見えた。逝ってくる。
521名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 22:26:15 ID:bEn2v4IM
で、おしり が一番大きいのは潤さんということでFA?
522名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 00:33:28 ID:DFHX2AIW
スティンクフェイスされたいね
523名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 11:01:05 ID:eYI4HTLs
おしりの大きさという点にだけ注目すれば、
潤さんより小唄さんの方が勝っているように思える。
デニムのパンツを愛用しているのは、
下半身をスリムに見せる、という効果を狙ってのことではないだろうか。

というか、全体のバランスが取れているのは哀川潤の方だが、
個々のパーツのサイズというか肉付きの良さという面においては、
石丸小唄に軍配が上がる。
そんな気がする。
524名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 13:54:13 ID:q/FkO3MQ
そんな意味でも2人はライバル、と
525名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 14:09:25 ID:cLa/U3gJ
で、どっちのおしりが良いかいーちゃんに判定させる、と。
526名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 16:10:01 ID:kz7dzf5u
そのネタでひとつ書きたくなった
527名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 16:32:06 ID:DF4W3FrB
ZEHIおながいします
528名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 20:19:32 ID:brYrs3kF
春日さんも良さそう
529名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 21:32:14 ID:2eEnGN3G
でも、背は潤さんの方がありそうだよね。
コレもイメージだけど。
530名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 21:55:01 ID:ACY3YocX
哀川さんにぱいずりされたい!
531名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 00:21:39 ID:pgBuTysG
あんたら・・・
自分の娘にどんなことを期待してたんだ。
532名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 01:22:08 ID:Tv3r8WFO
出夢君にパイズリされたい
533名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 02:16:59 ID:EeuUSEjP
ムリだろww
534名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 10:56:12 ID:EeuUSEjP
>>526だけどサイコロ読み返してみる。
純粋に尻のでかさが気になったww
535名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 12:53:55 ID:14qvGSHO
>>534
ってことは、小唄さんのお尻を嬲るでFA?
536名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 12:56:55 ID:lwjDu8tR
十全
537イツム:2005/11/17(木) 13:51:54 ID:EeuUSEjP
>>535
流れとしては

哀川がいの字に絡む

いの字困る

石丸が哀川に対抗しる

いの字困る

どっちのお尻が気持ちいいか比べっこだ!



いの字困る

ってな感じで
538名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 17:44:10 ID:LkTcmr0W
潤さんには首吊高校のブルマはいてほしい
539名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 19:14:51 ID:TFx2kLFy
スパッツかもしれないじゃないか。
子荻ちゃんに似合うのは、どっちだろうな?
540名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 20:30:44 ID:EeuUSEjP
サイコロにゃ石丸の尻は描かれてないな…
あぁ、あの石丸は哀川か。

うーん…
いの字が尻の大きさで哀川さんの変装を見破る方向で行くか…
541名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 22:40:46 ID:mUQnlBi9
子荻ちゃんには袴が似合うとおもうんだけど、弓道着とか。
どうだろう?
542名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 22:44:45 ID:lwjDu8tR
大きすぎる胸は
サラシで押さえ付けるわけですか
543526改めモリゾ:2005/11/17(木) 22:49:47 ID:EeuUSEjP
冒頭だけ書き上げてみた。
西尾作品は……っつうかパロディやったことがないんで文章の構成が似てないかも知れないですが大目に見て下さい。


軽い用事を済ませて京都駅に降り立ったときの事。
「お久しぶりですわね、お友達」
相変わらずいきなり耳元で声がしたと思ったら、小唄さんだった。
「ああ、久しぶりですね」
三つ編みに丸眼鏡。デニムパンツに編み上げ靴、そして……
「………」
「どうかしました?お友達」
小脇にボストンバッグを抱えていた。
…はみ出ている諭吉の束は見なかった事にしたい。
「いえ。それより、最近音沙汰なしでしたね。どうしてたんですか?」
まぁ大泥棒である彼女の消息が掴めたら警察も苦労はしないだろうし、
彼女もわざわざ自ら捕まる様な事はしないだろうけど。
「無粋な質問ですこと。…久しぶりにこうして出会った事ですし、お茶でもご一緒しませんか?」


コインロッカーに諭吉が詰まったバッグを無理矢理押し込むと、小唄さんは振り向いて微笑んだ。

「さあ、生きましょうか。お友達」
544526改めモリゾ:2005/11/17(木) 22:57:07 ID:EeuUSEjP
「あの……」
「はい?」
先導をきって歩く小唄さんに尋ねる。
「お茶がしたいんじゃ…」
「お茶も出来ますわ。お友達」
そこは営みの場所。
誰かの愛憎の巣窟であり
誰かの営業場所でもある。

……ネオン輝くお洒落なビル。
「……ラブホで?」
「いけませんか?お友達」
小首を傾げて問われては断るものも断れませんよ。

後になって考えてみれば、この辺でおかしいと気付いてもよかったんだよな。


と、こんな感じです。
携帯からなんで一気にうpできないんで。
545名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 01:09:51 ID:a+HpJma4
tp://web.archive.org/web/20040224053152/www.actionhp.jp/etcss/etc_tss/pyoro2_a01.htm
546名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 15:37:14 ID:WB1K+LaZ
>545
読もうとして途中脱落。そのうちリトライ。
が、代理人の感想が面白かったというか深い共感を得た。
そのとおりだ。その通りなんです。
547名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 17:01:12 ID:PqnxjkI0
3年後が楽しみだ。おっと自粛自粛。
548名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 17:03:57 ID:CN0zBwnN
SONY板への招待
68 名前:名称未設定 投稿日:2005/11/12(土) 16:36:23 ID:91lOIVlJ

ソニーBMGのCDをPCに入れると再生ソフトを入れようとする

承諾すると、デフォルトの再生ソフトとしてソニーの再生ソフトがインストールされる

それと同時にWindowsの中核となる部分を書き換えるプログラム(rootkit)もインストールされる。
それらはユーザーの知らないところで常時実行されることになる

Windowsの中核となる部分が書き換えられる訳だが、それらはユーザーに
気づかれないように隠蔽工作をする為、ユーザーはそれらのプログラムが
常に実行されている事に気づくことが出来ない

ユーザーが音楽を再生するとユーザーのインターネットアドレスや
再生しているCDを特定しソニーのサーバーに送信

CDから音楽データを取り出す時に、何らかのデータが埋め込まれる為、結果として
元のCDよりも音質が劣化したものが取り出される

ユーザーが不用意にソニーがインストールしたプログラムの削除を試みると、
CDドライブやDVDドライブ等が使用不能な状態に陥る

ソニーBMG GDB担当社長トーマス・ヘス氏
「ほとんどの人はrootkitとは何かを知らないのだから、気に掛けたりしないのではないか」

「ユーザーに気づかれないようにプログラムを隠蔽する」機能を悪用したウィルスが発見される

続く

ウェルカム! ソニー板
http://hobby8.2ch.net/sony/
549名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 01:42:00 ID:lrerzDtu
>>543-544
出来ればsageたほうがいいと思うが、携帯からのチャレンジに期待するぞ
550モリゾ:2005/11/19(土) 11:05:52 ID:QoROMUEG
あ、sage進行だったですかね?
気をつけます
551モリゾ:2005/11/19(土) 11:07:29 ID:QoROMUEG
と言いつつsage忘れ
552名無しさん@ピンキー:2005/11/20(日) 21:43:09 ID:czUIdjoA
おしり
553モリゾ:2005/11/23(水) 02:10:04 ID:Dg8cNKqU
学校の方のレポートとかその辺の関係で続きまでかなり間が空くことになりますが
すんません。
554名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 22:45:21 ID:Kl+WU0Uz
「あの、子荻ちゃん、ぼくに話があるってなに?」
 彼女は珍しく思いつめたような、行き詰ったような表情をしていた。
なにか無意識のうちに彼女を傷つけてしまったのかもしれない、だが相手はあの≪策師≫の子荻ちゃんだ、チョットやそこらじゃそんな気に病むはずがない。
「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」
 うーむ、完全に何かやっていたみたいだ。しかし心当たりは全くない。きっとぼくにとってなんともないことだったのだろうが、
子荻ちゃんにとってはなにか重要なことをやってしまったのだろう。とはいえ、ここ最近子荻ちゃん側から会わないような配慮をしていたところがあった。
仕方がない、こういうときは男のぼくから聞くべきだろう。
「あんな重大なことに今まで気が付かなかったなんてとんだ≪失策≫でした」
 そんな重大なことなんかあったかな?少なくとも無意識のうちに≪無為式≫が彼女に何か影響を与えたとしか思えない。
だが、それはぼくのせいなのだろうか、うーむ・・・
「そして、不確定なことがこれ以上続くと今後の私に支障が出ます」
 そういうと子荻ちゃんはぼくのそばに近づいてきて
「あなたと一緒にいると調子が狂います」
「それは≪無為式≫のせいで・・・」
「私もはじめのうちはそう思っていました。ですが貴方と距離をとるようになってから感じるようになったこの胸を締め付ける様な痛み」
「えっと・・・」シオギサン、ソレハツマリイワユル
「それらを統合して導き出された答えは唯一つでした」

「どうやら私は、荻原子荻はあなたのことを好きになってしまったみたいです」
・・・ぐはっ
「そ、それで貴方は私のことをどう思っていますか?」
 どう、と聞かれてもぼくにはそれに答えることはできるのだろうか・・・
 気が付けば彼女の顔は耳まで真赤になっており、視線はぼくの顔に向けられていた。
「それは・・・」
「嫌いではない、又はそれに近い否定で返すのは止めてくださいね。私のことが好きか嫌いか、その二点だけで答えてください」
・・・ぼくは、ぼくは、

そうしてぼくは目を覚ます。
いつものように、朝を迎える。
そしてぼくを起こす声が台所から聞こえてきた
「ようやく起きたか──俺の敵」

この手のはエロパロ板のほうに投函したほうがいいのかな
555名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 22:50:03 ID:XMVmiGJ+
裸エプロンの狐さんを想像してしまった('A`)
556名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 22:56:05 ID:iGv08gZh
ここはエロパロ板ですよ。
続き期待。
557名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 22:56:33 ID:rXA3Rgbe
子荻ちゃんって素直クール?
558名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 00:12:17 ID:jY9nZAhf
                               ! i レ1.,'  /  .i ./ i /   ,..<__ .il i !  !   ',
                            i l  ! レi フー-.、 レ  '  _,.ィ/⌒i;;;;;',ヽil |  |- 、  ',
                            | i   li/ //i⌒i;;ヽ     ヘr';;;;;;;;;;l } |  | i .}  .i
   ┏┓  ┏━━┓         ,. -‐‐ 、__  .| l   |ヽ i| 'r';;;;;;;!        ',;::::::::ノ_ .! !  | ./   .!           ┏━┓
 ┏┛┗┓┃┏┓┃         ,'  ´ ,,,... ヽ_ .! |   ! ヽ  ヽ:::::!       ̄ ̄´ l l  iノ  |i  l          ┃  ┃
 ┗┓┏┛┃┗┛┃┏━━━,'      - ヽ l   l ゝ,ヽ ` ̄´  、        .ノ !  .!  i ', .|━━━━━┓┃  ┃
 ┏┛┗┓┃┏┓┃┃     ,'        ,..、 | |   |  `.\    _,,..- '   ,ィ' i l  !  i,.--<`ヽ、.    ┃┃  ┃
 ┗┓┏┛┗┛┃┃┗━━ ,'       ,ヘ__ノ .i   |  _,. -- ,`  、      ,. ' !l /  ,'i  /´~``  ` , ヽ.━━┛┗━┛
   ┃┃      ┃┃       |      /  i  !   l /     ヽ i `>- '"    .|i,'.  ,'-‐/´``  `  i .l     ┏━┓
   ┗┛      ┗┛       l     ノ    | li    |  /   /入<j      ィi'  ./  .t_ー,      |      ┗━┛
                  ',      レ^ヽ .レ' ヽ  ! l ,'   , ' '  ` ``ー-‐ '"// , ' ,    `}      !
                   ',   / /r‐if´.l .〉、ヽi,'/ ,. -- ..,,_      _//, '  l / , ' l      i
559554:2005/11/25(金) 00:32:18 ID:YOlwp/+M
「狐さん、今日は何曜日でしたっけ?」
ぼくは布団の中から確認を取った。
「『今日は何曜日でした』、ふん。そんなの今日が何曜日であろうとどうでもいい事だ」
「いや、仕事がある以上はどうでもよくないんですけど」
枕元においてある時計を見るが、今日は何の依頼も入っていない日だった。
「くぅ〜ん」
抱き枕を起こさないようにリビングへと行くと、そこには朝食の用意ができていた。
「で、何で狐さんがぼくの家にいるんですか」
「『狐さん』。ふん、もう名前で呼んでくれないんだな」
「…じゃぁ西東さん」
「俺の事を苗字で呼ぶのは敵だけだ」
「思いっきり敵じゃないですか!」
それにそれは哀川さんのセリフだし。
「さて、お前に言いたいことがあるんだが」
「?」
「俺の敵、おれはお前の事がす──」
といいかけたところで
「お兄ちゃん、お客さんですか?」と、抱きまくらが寝室から入ってきた。

「よう、崩子ちゃん。今からでも(株)十三階段に就職しないかい?」
「興味ありません、私はお兄ちゃんのところに永久就職するつもりですから」
「ふん、バックノズルは逆ベクトルにも適用されるからな。」
「で、何でしたっけ」
「ん〜、あれだ。『 や  ら  な  い  か 』」
「・・・」
思考が固まった、現実時間では5秒に満たないかもしれないがそれは永遠のようにも感じられた。
そんな思考停止を打ち破ったのは崩子ちゃんの言葉だった。
「な、何でおにいちゃんを誘うんですか。貴方はお兄ちゃんの敵でしょうが、それに男同士です!」
「ふん、そんなのは愛の前にはどうとでもなるんだよ、崩子ちゃん。生憎俺は両刀使いでね。
おっと……お子様の前でするには、少し刺激の強い話だったかな、闇口崩子ちゃん」
最悪だ、まさしく文字通り最悪だよ、狐さん。
「お、お兄ちゃんの純潔は私が守るんです」
そう言って、彼女はチラチラとぼくのお尻の辺りを伺ってるような気がするが、気のせいだろう、気のせい…orz
「なら、こうしよう。崩子ちゃんのお兄ちゃんの前の純潔は崩子ちゃんに譲ろう。俺は後ろで我慢する」
「ちょ、狐さん。何を訳のわからないことを」
止めようとするぼくの言葉を無視するかのように、
「分かりました、共同戦線と行きましょう」
そういって二人はぼくの方へにじり寄ってきた

悪い夢なら──どうか、今すぐ覚めてくれ。



ゴメン、男×男は無理だったわ
んでもって、狐さんってツンデレ?
560名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 01:56:39 ID:8ehSIFWW
公の場では「俺の敵」、
二人っきりの時は「俺の恋人」って感じ?


「狐さん」
「……馬鹿者。二人の時は名前で呼べと言ってあるだろう」
「すみません。今度からそうしますよ、タカシさん」
「『すみません。今度からそうしますよ、タカシさん』?
 ……ふ、ふん。キスの一つもしてくれたら許してやるよ」

こんな感じ?







ってスレ違いじゃボケェェェェッ!!
561名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 02:58:02 ID:jykI5HbM
801板にとんでけえええええええええええ
562名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 03:01:17 ID:jykI5HbM
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1129627261/
本当に801板に専用スレがあって驚いた件
563名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 10:19:20 ID:JDdYXFNM
>>559
期待させておいてどういう続きだこのお馬鹿ーw
スレ違いの罰として>>554の最後の五行を削j(ry
まぁ、笑えたんでokだが
564554:2005/11/25(金) 11:44:27 ID:YOlwp/+M
554の最後5行を削って作ってみた

「ぼくは子荻ちゃんが、ぼくのことを好きなくらいには」
「そうやって戯言で受け流すのは、好きじゃ有りません」
ずいっ、とさらに一歩近づくと子荻ちゃんの鼓動が聞こえるきがした。
「……」
与えるか、奪うか。
ぼくは3秒ほど悩んだ挙句何も言わずに態度で示した。
「──ッ!」
ドン、っと僕を突き放すと
「な、何を考えているんです!誰かに見られたらどうするつもりですか」
「ぼくは見られても構わない、それくらい子荻ちゃんのことが好きだ。っていう事を表現しただけだよ」
そもそも、ココに呼び出したのは子荻ちゃんだから誰かが来ることなどまず無いだろうしね。
「それとも子荻ちゃんは僕の事はそこまで好きじゃ無かったってことかな?」
「……バカ」
ぼくは何時もとは違う弱気な彼女をやさしく抱きしめた…



あ〜、「もう離さないでね──俺の敵」って入れたい orz
自分に文才無いのが良く分かるわ
565名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 14:25:28 ID:cLcZbBg+
「それとも子荻ちゃんは僕の事はそこまで好きじゃ無かったってことかな?」
「……バカ」
ぼくは何時もとは違う弱気な彼女をやさしく抱きしめた…



「もう離さないでね──俺の敵」



これでいいのか? これが満足なのかお前は?・゚。・(つ□T)。゚・
566名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 16:07:22 ID:H+39Y4WP
自分で自分を痛めつけてどうする・゚。・(つ□T)。゚・
567刺宮殺舞 ◆Tqq.iVopG2 :2005/11/25(金) 17:57:26 ID:QI/vx5BR
>>559の続きが見たいなぁ
568554:2005/11/25(金) 21:37:56 ID:YOlwp/+M
そんじゃ、上のは投げっぱなしでE×策を始めます。
時間軸はクビツリハイスクールの123ページ


「そういえば・・・・・・いや、どうでもいいか。」
「なんですか。問題を抱えたままにするのは良く有りませんよ。」
「・・・・・・なら聞くけど。」
二人を歩みを止め、策師に詐欺師は少しためらいながら打ち明けた。
「・・・・・・トイレはどこかな。」
「・・・・・・・・・・・・」
ふむ、おそらく言葉の真意を探っているのだろうが、表も裏も無い単なる戯言、それ以上でもそれ以下でもない。
・・・ただ、今思えば確かに行きたい気がする。
 
彼女が《協力者》であると言ってもこのぼくを素直に案内するとは思えない。
何せ相手は策師、常に最善最良を尽くす彼女だ、それにあらゆる可能性を考えれば案内しないほうが得策だ。
ただ、それだからこそ、案内する可能性も有る。
しかしこれは答えの出ない《堂々巡り》、その果てにたどり着いたとしても導き出される答えは《時間稼ぎ》。
 さぁ、策師である子荻ちゃんはどういった選択をする。
すると彼女はくるりと回れ右をして、今まで歩いてきた道を引き返し始めた。
 うーむ、怒らしちゃったかな。自分の意思を持っていないとは言われているけど、やっぱり心は女の子なのかな。
そんなことを言ったら男女差別といわれるかもしれない。さてと、この先の事をと考えたら謝った方がいいと思うけどどうするかな。
子荻ちゃんの後を付いていきながらそんなことを考えていると彼女は急に立ち止まりこちらへ振り返った。
「で、どうするんですか。」
どうやら、子荻ちゃんは読心術もできるらしい。……考えてみれば相手を策にはめるということは相手の行動を先に読むことが必要となる。
そのためには読心術は欠かせないか。
 っと、いまさらながら彼女に感心していると
「何を一人で悩んでいるんですか?それとも男だからというくだらない理由で躊躇しているわけじゃ有りませんよね。」
 どうやら彼女は男女平等主義みたいだ、やはり言わなくて正解か。
そこで何かを言おうとしてふと頭を上げたとき、視界の端に『WC』という2文字が目に入った。
『WorldCup』?それとも『wild-caught』か?
いや、考えるまでも無く『WaterCloset』つまりトイレ・厠・雪隠のことだろう。なるほど、それなら先ほどの発言は納得がいく。
「何を一人で納得しているのですか。」
 再び呆れたと言った感じの表情をしている。
「いや、言葉の行き違いって奴だよ。じゃぁ、お言葉に甘えるよ。」

女子トイレに入るのは日本に戻ってからは初めてだ。それが当たり前なのかもしれないけど、あの頃はそうは思っていなかった。
「子荻ちゃんはどうする?」
「いえ、私は大丈夫です。」
「哀川さんを相手にするなら体調を万全に整えておいたほうがいいんじゃないかな。それにぼくは約束は守るよ。」
そう、嘯いてみせるが
「約束?口約束がこの状況で意味があると思って?」
・・・・・・さすがは策師、戯言使いの言葉を鵜呑みにはしないか。まぁ、分かっていたけどね。
「それじゃ、失礼するよ。」
569554:2005/11/26(土) 06:34:23 ID:yCnIdmTb
・・・・・・さてと、どうしたものか。逃げようにも壁も扉も見るからに頑丈で、窓も無く出口は一つ、その上相手は剣道二段の策師と来た。
そうなるとぼく単独での突破は無理か。偶然にも哀川さんがトイレに来て子荻ちゃんに出会い、ぼくを助けてくれる、そんなことを一瞬期待してみたが、そんな可能性は零に等しいだろう。
 何せここはあの策師である子荻ちゃんが選択した場所だ、何十と有るであろうトイレの中から選択した一つだ。
それ以前に哀川さんはトイレに行くのだろうか。などと本来考えるべきことを考えていないと
「何をそんなに手間取っているのですか?」
おっと、時間切れか。今後のことを考えるとあまり警戒させるわけにはいかない。水を流してから扉を開ける。
「考え事はおわりましたか。」
「さぁね、少なくとも子荻ちゃんは優しいということは分かったよ。」
「・・・・・・当然のことをしたまでです。」
 ふむ、てっきり否定するかと思っていたが、まぁ褒められれば誰でも肯定はしたくなるかな。
「ならその当然ついでに一ついいかな。」
学校の備品にしては高級そうな石鹸(女子高だから当然なのか)で手を洗いながらたずねた。
「・・・・・・今度は何ですか。」
「ハンカチを貸してくれないかな。」
 すると意外にも素直に貸してくれた。それは彼女の髪と同じように深い黒色をしており、材質から違うのか、ぼくが今持っているハンカチとは次元が違うくらいに使いやすい。
0/1と1/0くらいに違う。もっと感触を確かめたかったがこんなことに無駄に時間を使って警戒させるわけにはいかない。ぼくの今の目的は別のところにある
「洗って返せばいいかな?」
「次に会える保証が無いのにですか。」
そうだった。考えたら彼女とぼくの関係は学友でも仕事仲間でもない、そもそも敵同士なのだ。この後彼女と会えるとは思えない。それ以前にぼくがここから生きて帰れないかもしれない。
「そのハンカチは差し上げますわ。」
・・・・・・果たして策師が意味も無く人に物を与えるのだろうか。もしかすると受け取れない理由があるのかもしれない。
たとえば『水溶性の猛毒を染み込ませてあり、濡れた手などで触れると傷口から毒が体に入る。』
そう考えるとこのハンカチの色は『毒による変色を隠すため』と説明付けられる。さすがだ、ここに来れば彼女の気が緩むと思っていたが、どうやらぼくの方が緩んでいたらしい。
『策師、策に溺れる』か、いや、その例えは彼女に失礼だろう。
「・・・・・・何を考えているのかは分かりませんが、そのハンカチには特に意味は有りませんよ。」
「え?」
「毒を染み込ませたりはしていないという意味です。それに今のあなたにそうする必要なんて皆無です。」
・・・・・・・そうだった、ぼくがこうして子荻ちゃんと一緒にいるのはぼくが哀川さんを裏切ることで策師である彼女が付け入り付け込む隙を作る予定なのだ。
そんな大役を任されているぼくを早々簡単に無駄に殺すはずが無い。
「ただ、何もしないというわけでは有りませんからその点を考えてから行動を起こしてくださいね。」
・・・・・・起こすなといわれると起こしたくなるのが人間なんだよ。子荻ちゃん。
 ハンカチをポケットにねじ込みながら「そういえば子荻ちゃん。」
とたずねる。
「今度は何ですっ・・・・・・んんっ!!」
 子荻ちゃんが振り返るのと同時にその唇を奪った。
多分、さっきのぼくみたいに何がおきているのか思考力が追いつかず理解できないのだろう。彼女はぼくが唾液を送ると素直にそれを喉の奥へと嚥下していく。
二度三度のどを鳴らしたあたりで彼女の瞳に怒りの感情が灯った。
「な・・・・・・何をするんですか。」
その声には明らかに怒りが混じっていた。さて、哀川さんの話なら2分、それを作り出すのは戯言遣いに取っては呼吸をするのと同じくらいたやすい。『では、戯言を始めよう。』
570554:2005/11/26(土) 21:40:39 ID:yCnIdmTb
「いやなに、女子トイレに入るのは久々でね。色々と昔のことを思い出しちゃったんだよ。」
「そ、それとこれとどう関係があるというのです。」
「だからそれを説明するから少し待ってくれないかな。まさかそこまで怒られるとは予想していなかったから少し驚いてるんだよ。」
 そこでぼくは彼女から一歩はなれて息を整える。それを見た子荻ちゃんは身構える。
「以前通っていた学校にお礼代わりに熱いベーゼをかます変わった先生がいてね、その人が『キスは最高のお礼の表現方法』と教えてくれたんだよ。ただそれだけだよ。」
「それはつまり、今のはハンカチに対する単なるお礼という意味・・・・・・ですか?」
「ん?あぁ、そんなところだよ。そのおかげで今でも時々その癖が出ちゃうんだよ。条件反射って奴になりそうなくらいに世話になってたからね。考えたら日本ではキスは神聖なものなんだよね、そういう意味では反省してるんだよ、子荻ちゃん。」
・・・・・・先生の話は嘘ではないが残念なことにぼくは世話になったことが一度も無い。
「早いところその癖は止めたほうがいいと思いますが?それともこの場で鼓動をとめて差し上げましょうか。」
「遠慮しとくよ。さすがに普段ならやらないからね。今回はたまたま思い出しちゃったから、不運な偶然が重なった、っとしか言いようがないかな。」
「やはり貴方の《無為式》は危険すぎます。私も知らず知らずのうちに気が緩んでたみたいで・・・す。」
さて・・・・・・これで2分半、もう充分か
「ま、さか」
 その表情は既に先ほどまでの彼女のものではなかった。顔面蒼白、ではなく顔面紅潮といったほうが正しい。どこかが悪いのではなく、何かを我慢している、そんな様子が見て取れた。
「・・・・・・薬を・・・・・・。」
「あぁ、盛ったよ。」
戯言使いは嘘をつかなかった。

571554:2005/11/26(土) 21:41:42 ID:yCnIdmTb
「いーたん、特別にこれやるよ。」
哀川さんは白い錠剤を向き出しのまま手渡した。
「何ですかこれ?」
「見ての通り薬だ、そんなのも分からないのか?」
「そんなのは分かりますよ、ぼくが聞いているのは」
「なー、あれだ。うん、飲んでみな。別に毒だったり、異能に目覚めたり、幽体離脱したりしないから。」
「・・・・・・いやです、って言っても力技で飲ませるつもりでしょう。」
「ん?カワイイいーたんにそんなことをするわけが無いじゃないか。口移しで飲ませてやるよ。」
最後のどすの聞いたせりふを聞き終わると同時に脊髄反射で薬を飲み込んでしまった。 その後は文字通り地獄だった。あらゆる感覚器官(主に快感をつかさどる感覚)が極限までに高まったぼくを哀川さんは薬が切れるまでもてあそんだ。
「・・・・・・もうお嫁にいけません。」
「はん、今までにお前のしてきたことに比べりゃ軽いもんだろう。」
「・・・・・・それはそうですが。」
「それをカプセルに入れて奥歯に仕込んどきな。いざって言うときはそれを溶かして飲み物なり、直接なり何でもいいから相手に飲ましな。逃げたり情報を引き出すには役に立つぞ。」


そんなやり取りが有ったのはここにくる2週間前。
・・・・・・いや、あん時はつらかったです。針千本、しかもサービス期間で畳針を1500本飲んだほうが楽だったです。
そして・・・・・・さて、そろそろ話を現実に戻すとするか。
「どうかしたのかな、子荻ちゃん。」
すでに薬が全身に効き始めているのだろう。洗面台に手を突いていないと立っていられないみたいだし。なんというか、生まれたての子山羊みたいだな。・・・・・・実物は見たこと無いけどね。
さて、「与える か 奪うか」か、
「さてと、どうして欲しいのかな、子荻ちゃん。」
「あ、あなたの力など必・・・ようありません。」
・・・・・・よくまぁ、あれを我慢できるよ、子荻ちゃん。でもそれが本心じゃないのは良く分かるよ。自分の様にね。
「別に遠慮はいらないんだよ、さっきのキスのお詫びと思えばいいんじゃないかな。」
皮肉を込めて告げるがそんなのは答えの分かっている質問。するだけ無駄というものだが、この場合はそうではない。
「け・・・こうです」
 既に彼女の声は聞き取れるか取れないか位の微弱なものになっていた。『気化したガソリンが充満した部屋、ただし火種や出入り口は一切無し。』彼女は今そんな状況だろう。
既に精神力しか残っていない彼女へと近づくと彼女はぼくを鋭い目つきで睨み付けた。視線だけで人が死ぬならぼくは何千回と死んでいるよ。いや、何万回かもしれないな。
彼女の思考力がどの程度低下していることを再確認するべくある問題を出すことにした。
「さて子荻ちゃん、問題です。」
「何を・・・今に。」
何か抵抗する声が聞こえたが無視。
「壱足す弐足す参足す四掛ける伍は?」
「・・・・・・5・・・・・・」
「5?5でいいの。」
「・・・5・・・0」
「ふむ、残念だけどハズレだよ、子荻ちゃん。」
「え・・・だって・・・あ。」
普段の彼女なら悩むことなく考えることなく26と答えただろう、しかしこの程度の問題に引っかかるということは彼女の思考力がほとんど停止しているという証拠だ。
572554:2005/11/26(土) 21:43:32 ID:yCnIdmTb
「さて、小学生レベルの問題を間違う子荻ちゃん。右手はどこへ消えたのかな。ん?」
「・・・・・・」
 左手は床をついて身体を支えていたがその右手は黒髪へ吸い込まれるように消えてしまっていた。だけれどスカートに差し込まれた手が、その内側の秘肉を弄っているのがはっきり分かる。
「それにその年でお漏らしとはねぇ。」
 その言葉に何か反論しようとしていたがそれが耳に届くよりも早く彼女の左手をねじりあげ肩の関節を固めてしまう。そう、あのときの逆の再現だ。
しかも今は相手は力が出せない女の子、たとえ返し技が有ったとしても返せないだろう。
 スカートに手を突っ込むとすでに濡れているのが下着をとおしてもはっきりと分かる。そこでぼくは左手で秘所を弄りながら右手で乳房の感触を楽しむことにした。
 子荻ちゃんは意外と胸が大きく、それでいて無駄に大きくない、丁度ぼく好みだった。
知らないことを知ったときそれを人に教えたくなるのが人間の習性というものだ、それが欠陥製品のぼくとて同じことが言える。
 右腕を胸に廻したまま右肩に顎を乗せそっと耳元で囁いた。
「子荻ちゃんって胸が大きいんだね。」
 それを聞いて真っ赤になった耳をカプッと甘噛みをすると
「くふっ」 と、甘い吐息を漏らした。
そんな子荻ちゃんの反応を楽しむように何度も繰り返すと、そのたびに同じような反応をしてくれた。
少々やりすぎたのか、それとも薬の影響なのか子荻ちゃんの息遣いが次第に荒くなっていくのを感じる。
それに比例して声を発しはじめていた。「ぃ・・・・・・ぃゃ。」 心地よい、けれどこのままでは哀川さんに聞かれてしまうのではないのか、下手をすれば姫ちゃんも一緒にいるかもしれない。
・・・・・・それは非常にまずい、
 ポケットから黒い布を取り出し彼女のビショビショにぬれた秘所を親切にも拭いてから彼女の口へとねじ込んだ。
「ん・・・・・・んふぅ・・・・・・んんん。」
 うーむ、布を咥えさせたのは逆効果だったかもしれない。布が防音効果をすると思っていたがさほど効果は無く、しかも明らかに先ほどより大きくなっていった。
・・・・・・しかしよく考えたら見つかってもぼくは困らないのではないかと思った。
哀川さんは昔の僕のことを知っているだろうし、姫ちゃんとはこの仕事の後に再び会うとは思えない、学園の関係者が来たとしても今の子荻ちゃんを人質に取るのはたやすいだろう。
策師が自らを切り捨てるというのならそれはそれで良い終わり方なのかもしれない。
 逆に見つかって困るのは彼女の方だろう。哀川さんに見つかればこんな状態でまともに戦える道理は無く、学園関係者が来れば最高学年トップという立場は音を立てるよりも早く崩れ去る
 自分の心配が無駄に終ったことに気が付くと無性に彼女を苛めたい衝動に駆られ キュッ と陰核を摘み上げた
「くは・・・・・・あ、あああっ、あああぁぁ!!」
 突然高い声を上げ、全身を震わせた。
「はふぅ・・・・・・ううぅぅ。」
 イッてしまったらしい、あらい息がそれを伝えてきた。
ハンカチが無ければこの階全体に響いていたかもしれないくらいの大声を上げた。そして猿轡としての機能を果たさないハンカチを口から取り出す。
・・・・・・それはすでに彼女の愛液と唾液でぐしょぐしょに濡れており、ポケットに仕舞おうという気にはなれなかったが、ぼくは折角のもらい物を邪険にする人間ではない。
折角だから彼女の秘所を再び拭いてからそれをポケットにねじ込んだ。ハンカチが濡れているのは当然だと思えばさほど抵抗は生まれなかった。
 しかし、彼女の秘所は拭いたばかりだというのにすでにあふれ出した愛液で濡れ始めていた。(後でポカリでもおごったほうがいいかもしれないな)
 ぼくは彼女のショーツを一気にヒザまでおろすとスカートも捲り上げ、策師のオンナの部分を剥き出しにした。
「うぅ・・・・・・」
 子荻ちゃんはすでに小さく呻くだけで、もうそれ以上の抵抗はしなかった。ただ、一筋の涙が頬をぬらしていた。
 しばしの間、恥辱と期待の入り混じった表情を楽しんだあと、何も言わずぼくはいきなり彼女をつきあげた。
「くっ・・・・・・くはぁ・・・・・・ああぁ。」
彼女は一切の抵抗も無くぼくのいちもつを飲み込んでいった。
「あっ!ああ、あ・・・・・・!」
 ぼくが動くたびに子荻ちゃんの口から嗚咽の混じった悦びの声がもれはじめた。
「子荻ちゃん・・・・・・んっ、んんっ・・・・・・」」
「はあ、あぁ、最低、です私を、こんな目に、あわせて、ただで済むと、んはあぁあ〜〜〜」
 子荻ちゃんは全身を痙攣させ、二度目の絶頂を知らせた。
それでもぼくは腰を動かすのを止めない。そして子荻ちゃんもはぁはぁとあえぎながらも少しずつだが自分から腰を動かすようになっていた。
573554:2005/11/26(土) 21:45:33 ID:yCnIdmTb

     『堕ちたか』

 そこでぼくは腰を動かすのをやめ、『くちゅ』っといやらしい音を立てながらいちもつを引き抜く。
 するとそれを追うように彼女は腰をぼくに押し付けてきた。
「あっ!」
 多分それは反射的に、本能的に行われたのだろう、そしていくらなんでも元策師である子荻ちゃんがその意味を分からないわけがない。そしてそこで迷う暇を与えるわけには行かない。
 胸と陰核を弄りながら再び腰を動かし始めると
「あっ・・・・・・くふっ、くぁっ・・・・・・あ!」
と、その動きに連動して、熱く甘い声をあげた。
 気が付くといつのまにかに後背位から騎乗位へうつっており、ぼくは子荻ちゃんの動きに身をゆだねていた。
 折角なので彼女の胸を揉んで感触を楽しんでいると
「あ、あん・・・だめです・・・・・・そんな風に強くもんだら・・・・・・私」
 子荻ちゃんはぼくの行為を拒みながらも腰の動きを緩める気は無いらしい。しかしそんなことを言われて引き下がるぼくではない。制止を無視して彼女の胸を刺激し続ける。
 しばらくして今度はぼくのほうに限界がやってきた。
それを顔に出すよりも早く腰を強く突き上げる。
「あ、あんっ」
 ぼくに乗っていた彼女はぼくのいちもつを飲み込んだまま前方へ体勢をくずしてしまう。
 そして彼女が何が起きたのか理解するよりも早く、二人の位置をずらし再び後ろから彼女を犯し始めた。
 ぼくは彼女の髪をいじりながら
「悪いけど・・・・・・いくよ。」
っと彼女の肩に首を乗せ耳元で囁く
「え・・・だ、駄目、膣内は。」
 戸惑いの声と表情を堪能した上で、ずん、と奥に差し込んでから、熱いものを大量に噴出する。子荻ちゃんの胎内を白濁した体液が満たしていくのを感じる。
「あ、、熱い、熱いです・・・・・・な、膣内に、入ってく・・・んっ」
 そこで耳元で再び
「そんなに大声出したら哀川さんどころか、生徒に見つかっちゃうかもね。」
 と嘯く。とたんに、顔を耳まで真っ赤に染め上げ、身体がビクンと跳ねた。
「ふぁ・・・・・・だめ、私・・・・・・イッちゃうぅ・・・うぅ。」
 ぐいぐいと腰をぼくに押し付けながら子荻ちゃんは三度目の絶頂に達した。何度も訪れる絶頂の波に策師の恥体が痙攣しつづけ、そして急速に意識を失った。

「ほんとうに都合のいい薬だよ。」
 強力(字的には狂力が正しいかもしれない)な即効性の催淫効果に遅効性の睡眠効果、その効果は予想以上だった。
まさか策師の彼女がここまで乱れるとは。今度哀川さんに言ってもう少しもらってみるかな。あぁ、でも入手が困難とか言ってたなぁ、でもあの人なら何とかならない道理が無い。
『サイビイシン』、か、・・・・・・このまま逃げて哀川さんと合流するのも良いかもしれないが、子荻ちゃんと一緒に哀川さんを敵にするのは捨てがたい。
子荻ちゃんならこんなことになっても今までどおりに接してくれるだろう。そこでぼくは気絶している子荻ちゃんに
「ぼくは今までに膣内に出したのが三人しかいないのを誇りに思っていたんだよ。、子荻ちゃん。」
 そしてさらに戯言を続ける。
「伊井遥奈、玖渚友、想影真心、そして荻原子荻、君は4人目だよ。」
 しかしその言葉は彼女の耳に届くことは無く、ぼくは《行為》の後片付けを一人で始めた。
・・・・・・戯事だな。

574名無しさん@ピンキー:2005/11/26(土) 23:25:22 ID:bGwV2U8Y
乙。十全ですわ。
攻めのいーちゃんは新鮮だ。
ハンカチエロス!!
575名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 01:09:57 ID:Co0eo82B
GJ!乙ついでにお茶もどうぞ〜(・∀・)つ旦



>「もう離さないでね──俺の敵」
これを見た瞬間に乙女な狐さんが脳裏に浮かんだ。
576名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 02:09:38 ID:6GerADHF
え、何? 戯言で性別反転?

狐面のお姉さん、か。
577名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 03:18:04 ID:Dw2Bqlx5
>>575
つよきす?
578名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 13:56:19 ID:MHjjGWf+
>>575
おお、新機軸。
579名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 20:43:08 ID:RZVA9fN5
554氏グジョーヴ
それにしても子荻ちゃんが健在なら、戯言探偵事務所に就職して活躍してくれたろうになあ……
580名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 21:02:52 ID:aR8Fqcve
しかし、どんだけ攻められても最終的に、
今までの実は全部策でした ってな感じのしか思い浮かばない。
581名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 23:03:09 ID:2qvs9vHD
恋路の感性自体が結構鈍かったし、むしろ色攻めにうろたえて篭絡される姿の方が合ってる気がするけど
582名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 01:26:56 ID:NLporzRQ
サイビイシンって西尾維新の読み方変えただけか
感じで当てるなら催媚イシン?
戯言だな
583名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 11:36:25 ID:0pmZBwCt
堪能しました、554氏乙カレー。子荻を、もっと子荻を出せ!
584名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 17:38:11 ID:yUfTOFtY
子荻分が足りない・・・
orz
585名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 19:33:36 ID:KbhcczSh
子荻分は有り余るくらいでちょうどいい。
586名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 23:28:08 ID:Y8Pq36fQ
>582
つ「催媚遺神」
587554:2005/11/29(火) 03:15:34 ID:Gs90bZPO
うにゃ、不評が全く無いのがコワイ
自分は策師萌えだから策師ネタ中心で行こうと思ってるけど、何か希望があれば聞きます
今は

8:西尾維新その8<やさしい戯言は遣えない>
817 名前:イラストに騙された名無しさん :03/09/15 13:35 ID:CRgSmBOO
八歳児程度まで培養されたロリ策師が、いーちゃんの
部屋に転がり込んでくる展開キボーン。

の要求に今更ながら答えようと思ってる
ランドセルを背負いながら、「わたちの名前は萩原子荻。正々堂々手段を選ばず真っ向から、えーと。不意を討ってご覧に入れましょう」
と言いつつ踏み台に載って策戦の指示を出してたのだろうか>小学生時代の策師

「よくも私に『彼女』の姿を破壊させたな」、と言われ無いようにがんばるか(既に2行上で壊してるが
588名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 07:23:25 ID:JXBV8rYX
>>587
強いて言えば後日談でオチの一つでもつけてほしかったくらい。
(でも変なオチつけるとかえってダメか)
次も期待してます。
589名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 08:44:06 ID:765clptd
>>587
不評はしない。これからも策士で色々やっちゃって下さいw
590554:2005/12/02(金) 11:09:50 ID:xV77Ywo1

「あなたが何を考えているのか分かりません」
彼女は、黒色の髪をした人類最知の少女はぼくにそう告げた。
そんなの、ぼく自身が分かっていないのに、なぜ他人である彼女が分かると言うのだろうか。
青色の髪をしたサヴァンの聖少女でも、赤色の髪をした人類最強の請負人ですら、橙色の髪をした最終存在でさえも、分からなかったと言うのに。
それでも、彼女は、続ける。
「あなたがたとえ世界中の全員に理解されず、世界そのものに理解されなくても……
私だけは、あなたのことを理解してみせます。」

そうしてぼくは目を覚ます。いつものように、朝を迎える。
さあ、それじゃあ妄想の物語だ。
いつものように、いつもよりなお、
気楽にくだけ、気負わず背負わず、書いてみよう。
萌えるべきキャラなんて既に死んでいても、それでも、設定は存在するのだから。


萩原子荻。
ある事件によって、公式的に亡くなったことにされている。
彼女が死ぬ瞬間を、彼女がばらばらのジグザグにされた、その瞬間をぼく自身が視認している。
それに、人類最強のあの人もそれを確認しているから、彼女は死んだのだ。
決して蘇ることは無く、ぼくの前に彼女が現れることはない──はずだった。
だけど彼女はぼくの前に現れた、生前と変わらぬ黒髪に生前より大きくなった胸と共に。


残りは明日投稿します

ジャンルは純愛
591名無しさん@ピンキー:2005/12/02(金) 21:02:18 ID:9pDJxSmD
>>590
( ゚д゚)<エェー!?
592名無しさん@ピンキー:2005/12/02(金) 21:20:05 ID:LQHn1zKg
>>591
それはどれに対する驚きなんだ?
1.戯言シリーズの文章の引用
2.君と僕の文章の(ry
3.内容にちっとも触れていない所での終了
4.ジャンルが純愛








3だな
593名無しさん@ピンキー:2005/12/02(金) 23:21:48 ID:ftwcgPSx
>>592
>生前より大きくなった胸
 きっとこの部分。
594名無しさん@ピンキー:2005/12/02(金) 23:52:48 ID:qKGnLITL
>生前より大きくなった胸
これしかない
595名無しさん@ピンキー:2005/12/03(土) 01:08:28 ID:8PnBbBYx
おまえらそんなわけ無いだろ。









>生前より大きくなった胸
これだな
596名無しさん@ピンキー:2005/12/03(土) 01:20:37 ID:qSbhDbiS
子荻の母乳のみたい
なんだかんだ言ってミルク出そう
597名無しさん@ピンキー:2005/12/03(土) 01:33:44 ID:mVxca7e1
むしろ哀川さんの(ry
598名無しさん@ピンキー:2005/12/03(土) 02:59:30 ID:ZNLfrVTg
人類最強だしな。
母乳ぐらいでなくて最強名乗れるか。
599名無しさん@ピンキー:2005/12/03(土) 08:32:57 ID:mVxca7e1
処女膜も気合いとかそんなんで復活しそうだな。
600554:2005/12/03(土) 11:47:38 ID:uCaFhV9p
もしかしたら今日中には無理かもですなの
@反省
601名無しさん@ピンキー:2005/12/03(土) 14:14:13 ID:0/xhdySV
哀川さん尻責めマダー?
602名無しさん@ピンキー:2005/12/03(土) 14:34:59 ID:KQn9sQKb
もうすぐ
603名無しさん@ピンキー:2005/12/03(土) 18:46:44 ID:stqTBEvZ
>>602
ホントだな!信じてるっ!!
604名無しさん@ピンキー:2005/12/03(土) 22:04:22 ID:eft5zjMH
母乳の出ない子萩ちゃんなんて
母乳の出ない子萩ちゃんじゃない。
605名無しさん@ピンキー:2005/12/03(土) 22:50:27 ID:ta0pIjX4
>>604
ツッコミいるか?
606名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 08:21:42 ID:8s3sLBOh
戯言先生は休止?
607名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 14:40:27 ID:iYT6QrkT
哀川さんだったら
某吸血鬼ばりに母乳を撃ち出しかねんな
608終わる零崎:2005/12/04(日) 16:45:34 ID:3t/FUhZA
欠陥製品とさよならした人間失格こと零崎人識(つまり俺)は、自殺志願を
もつ妹を探し当てた。あの情報は結局役に立たなかった。

面倒なので放っておいた。
けど、当面やることもなく、人を殺せなくなった俺は兄貴に死ぬ間際に
任された、零崎になりたての妹を、探して探して見つけ出した。
再会の場所は、変哲もない公園だった。
「何してんだお前」
零崎舞織は、最後に別れた時よりいくらか薄汚れた風体でジャングルジムに
腰掛けていた。
「人識くんこそ、どうしたんですか?わたしのこと捨てた癖にー」
足をぶらぶらさせながら、《妹》は呑気な口調で言った。

609名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 16:46:19 ID:3t/FUhZA
いきおいではじめたんで、完結するかどうかは不明。
ゆえにトリはつけません。
ではまた。
610名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 17:57:13 ID:ZoSUoBCM
続き期待
611名無しさん@ピンキー:2005/12/05(月) 22:03:53 ID:vLyVjwtm
ほしゅ
612名無しさん@ピンキー:2005/12/05(月) 23:31:29 ID:4J8xRQhT
戯 言 先 生
613名無しさん@ピンキー:2005/12/06(火) 08:08:43 ID:ewvU0v6J
哀川さん尻責め絶頂地獄マダー?
614名無しさん@ピンキー:2005/12/06(火) 16:46:01 ID:Rtbp2hnj
戯言先生マダー
615名無しさん@ピンキー:2005/12/06(火) 18:48:20 ID:ewn1AvsE
>>613
それは無いと思うんだが・・・
616名無しさん@ピンキー:2005/12/06(火) 20:01:17 ID:eyz0fvVi
責めるほうが哀川さんなんだろ
617名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 01:12:05 ID:r4SyZZ2A
で、受けは小唄さんなワケだな?
618名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 07:27:01 ID:ngqjp4M1
最初は赤攻め小唄受け、ただし後半いーたん総受けみたいな?
619名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 11:24:49 ID:6nvvZRoz
お尻は生よりも
ブルマとか網タイツとかジーパンとか
で包まれてる状態が好き。
620名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 13:33:19 ID:tE9pJI5Y
はいはい・・・え?
621名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 14:10:16 ID:UKe2UKOI
脱がす楽しみが無いとダメって事かな。
622名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 15:00:24 ID:aT+PP8ZU
捨てたか棄てたか。
いい言葉だ。
623名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 19:24:53 ID:zsdV8aow
>608
水音がした。舞織がシャワーを浴びている。
お前の面倒を見るという主旨の言葉を伝えた時、まず《妹》が要求したのは、
食事と風呂と寝所であった。赤い請負人との約束により、人を殺さないと決めた。
彼女はそれを守っていたようだ。ほんの少し前まで普通の女子高生であった彼女が
金もなくこの数ヶ月間をどう過ごしたのか、あの薄汚れた格好で概ね予想がついた。
コンビニで食料を買い込み、格安のビジネスホテルに宿泊することにした。
というわけで、お泊りである。
「傑作だぜ、なあ、欠陥製品」
いつもの決め台詞を呟く。
624名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 19:34:12 ID:zsdV8aow
>623
「ふぅ、いいお湯でした。生き返りましたよ」
そんな台詞を言いながら、バスタオルのみを身体に纏った舞織がバスルームから出てきた。
妹大好きの変態兄貴が見たら、飛びつくか卒倒するかあるいは説教するか、ともあれ、刺激に
満ちた姿であった。
(つーか、そのニットキャップ被りながら入ったのか?まさかな)
むしろそっちの方が気になる人識であった。
ちなみに、彼女の両手は義手である。
赤い請負人から見逃してもらった後、そこまでは彼女の世話をしたのであった。
そしてそのあとは、気の向くままに旅を続けた。
誰かもわからない誰かと出会うために。
625名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 19:55:51 ID:zsdV8aow
スローペース。しかも短い。
それでも良ければ続き書きますんでよろしく。
626名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 20:46:20 ID:VQrugAIV
乙! まぁ作者のペースで頑張ってくれ
627名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 11:57:02 ID:LApD4I1e
今までの作家の中で誰の同人誌が出たら一番買いたい?
俺は子荻の鉄索かな
628名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 12:03:47 ID:LApD4I1e
554のやつも捨てがたいけど、いーらしさが薄いのと絵が描けなさそう

629名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 12:32:24 ID:b7gk4lO3
匂宮歪無だな、間違いない
630名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 16:18:55 ID:J/qi/Bis
鉄柵。価格とページ次第で戯言先生
631終わる零崎:2005/12/09(金) 19:02:22 ID:aCZjebhs
>624
「人識くん、まいおりん的にはご飯食べたいです」
ベッドの隣に腰掛けながら、舞織は言う。実に刺激的なシチュエーションである。
おっかしいな、こんなイベントが進むようなフラグ立てたっけ?などと考える人間失格。
背の高い女性が好みだと言っても(具体的には170cm)こんなに間近に全裸同然の
女性がいて平常心であれるほど、人識は枯れてもいないし朴念仁でもない。
「食べれば?俺も風呂入るとすっからろ
「一緒にお食事しましようよ、兄妹なんだし」
「言っただろ、俺は兄貴以外は家族と認めてないんだよ・・・あ、そうだ、一応
知らせておくことがある」
「何ですか?」
「俺としてはどうでもいいことだし、お前にとっても比較的どうでもいいことかもしれんが・・・」
人識は、零崎一賊が全滅したという事実を端的に説明した。
632終わる零崎:2005/12/09(金) 19:08:07 ID:aCZjebhs
>631
それはご愁傷様です、的なことを舞織は言った。実際、それぐらいしか言うべきことはないだろう。
彼女にとっては、その程度の問題だろう。この少女は奇怪な大鋏《自殺志願》の本来の所有者・零崎双識
とこの自分としか面識がないのだ。
そのあと、舞織は黙り込んだ。何を考えているのか、自分の気持ちすら理解できない人間失格には
推察することすらできなかった。
だから、予定通りに風呂へ入ることにした。
これからどえするべきかうつらうつらと考えながらシャワーを浴びた。
633名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 19:08:57 ID:aCZjebhs
人識に性欲あるのだろうか。そんなこと考えてます。
今日はこれまで。
634名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 19:40:55 ID:NV3Tzuaj
>>627
俺も子荻の〜かな。
やっぱ子荻ちゃんだよ子荻ちゃん。崩子ちゃんも良いけどw
非エロなら間違いなく戯言先生だな。

>>633
GJ!!続きもワクテカで待ってます!!
635名無しさん@ピンキー:2005/12/10(土) 00:02:35 ID:hmuHtQcX
冬コミにエロ同人誌あるかな
636名無しさん@ピンキー:2005/12/11(日) 06:55:46 ID:H1l6jPZX
>>632 GJ!まいおりんを待ってた(゚∀゚)
637終わる零崎:2005/12/11(日) 15:45:41 ID:j2CpqnRs
>632
北へ行くか南へ行くか。北海道へ行こうか沖縄へ行こうか。
あるいは海の向こうに渡ってみるか。金はないがツテとコネはあることだし。
ただ、《能天気な元女子高生、ただし殺人鬼みたいな☆》を連れて歩くことを前提にすると
なると、もっと考えねばなるまい。まったく、傑作であった。
シャワーを浴びて水気を拭き、バスロープを羽織る。バスルームからでる。
舞織は先刻と殆ど変わらぬ姿勢で、ロダンの考える人と化していた
「なんだ、まだ考え込んでやがったのか。飯食わねーのか」
ベッドの端に座り、コンビニ袋手繰り寄せる。自分から危険な距離までよるつもりは
毛頭ないのだ。

時間が過ぎる。交わす言葉もなく、就寝することになった。照明を落とす。
ベッドは舞織が使い、ソファーは人識が使う。毛布を一枚被ってそのまま眼を瞑る
明日のことは明日考えよう。面倒だし。

どれくらい時間が経過したか。
「人識くんは、悲しくないんですか?」
舞織はそんなことをポツリと呟いた。
638終わる零崎:2005/12/11(日) 15:55:58 ID:j2CpqnRs
>637
「何が?」
「家族の人、もういないんですよね」
「そのことか。言っただろ?俺にとっての家族は兄貴だけだ。お前を見つけた
あの変態眼鏡だけだ。あとは他人より少し親しい程度で、家族ってつもりはなかったよ。
大将なんかは俺のこと嫌ってたみたいだし」
一瞬、一賊中、もっとも残虐な殺し方で有名な《愚神礼賛》のことを思い出す。
「でも・・・」
「なんつーか、中学のときの委員長の方が、印象には残ってるな。その頃俺に付きまとってた
野郎もいたが、もうソイツもいないし・・・」
中学時代。もう捨てた名前で呼ばれていた時のことを思い出す。
「でも・・・わたしは寂しいです」
舞織は言う。
「家族・・・特に仲良かったわけじゃないですけど、やっぱりもう会えないとわかったら
寂しいですよ。クラスメイトとも、もう会えないし・・・」
舞織は言う。
「お兄ちゃん、言ってました。殺人鬼は孤独なものだって」
「それは俺も昔聴かされたことがあるな」
つい、口を挟んでしまう。
639名無しさん@ピンキー:2005/12/11(日) 15:58:20 ID:j2CpqnRs
人識は、ネコソギラジカル(下)から構築したイメージでやってますが、
まいおりんは人間試験しか出番がないのでイメージがわかないです。
とりあえずここまで。
640名無しさん@ピンキー:2005/12/11(日) 23:48:48 ID:6yGSJ6h1
>>639
GJ!
続き楽しみです(´∀`)









ところで歪夢タソはまだかい?
641名無しさん@ピンキー:2005/12/12(月) 18:07:56 ID:gLJ3IPfs
>>640
そろそろ正月だしモチツケ
642名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 01:32:22 ID:RjRrD/ic
戯言先生の活躍が……読みたいですっ!
643名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 07:50:13 ID:Y4LhCrC4
AGE
644名無しさん@ピンキー:2005/12/17(土) 02:45:53 ID:OqBmq2WK
戯言先生の人気に嫉妬
645名無しさん@ピンキー:2005/12/17(土) 02:46:28 ID:SNVcXNot
崩子タソの一人上手キボン
646名無しさん@ピンキー:2005/12/17(土) 05:19:28 ID:XWCcU86K
小唄のデニム尻
647名無しさん@ピンキー:2005/12/17(土) 13:32:18 ID:mmXKt5Au
温故知新。保管庫で前スレの作品をランダムにつまみ読みした。
まだ全部は読んでないけど、読了分で印象的だった作品を幾つか挙げると、

やる気のない駄人間 ◆K05j0rAv6k 様
  『ぼくときみの壊れきった世界』   ・・・技術賞。上手い、すげー、ぱふぱふ最高。

へたれ181 ◆dgPYytUmjk 様
   赤×いー
   零×いー
   哀川×女体化いー         ・・・えろが一番趣味に合いました。上手い。
                       省略と仄めかしでこれだけセクシャルにできるのは凄いと思いました。
                                    
今スレも良作ぞろいだし、粒が揃ってますね、ここは。
648名無しさん@ピンキー:2005/12/17(土) 15:04:20 ID:84K2ZT9P
女体化いっきー!!
女体化いっきー!!
(AA略)
649終わる零崎 ◆lQ0GSj49/k :2005/12/17(土) 15:37:32 ID:UvRLTCSv
>638
この世でただ一人、家族と呼べた人。零崎一賊の長兄。できたばかりの妹を庇い
そして死んだ男。映画を見た。勧められた本を読んだ。不味いカレーを食わされた。
刃物に刺される痛みを刻み込まれた。もう、この世のどこにもいない、彼の兄。
「どうして、探してくれたんですか?」
「兄貴にお前の面倒を見るように頼まれたからだよ」
戯言を言ってみる。これこそが戯言だろう。
「だったら・・・」
舞織は――泣いているようだった。声の感じから察することができる。
理由は知らない。
「だったら――なんで見捨てたんですか?わたし、あの時から、ずっと寂しかった・・・」
そう、一度は見捨てた相手だった。義手を用意して、嵌めるところまで付き合い、そしてそこから
別れたのだ。あの時点では、彼女は殺人鬼でありながら人を殺すことを禁じられ、自分を活かす術すら
しらないただの少女でしかなかったのだ。見捨てたと言われても仕方ないし、人識自身も実際にはそんなつもり
だったのだ。
650終わる零崎 ◆lQ0GSj49/k :2005/12/17(土) 15:46:19 ID:UvRLTCSv
>649
人識はこの場を取り繕う言葉を捜す。即ち戯言を。
「あー・・・やることがあったからな、俺には」
結局、曖昧な言葉しかない。案外、本音かも知れない。毎度のことだが、自分でも自分の
気持ちがよくわからないのだ。
舞織がこちらを向いた。薄明かりなので表情はよくわからない。
「俺は会いたい奴がいるんだよ。そいつと会ったら、何かがどうにかなるんだよ」
それが誰なのか、未だによくわからない。
それらしき相手には何度か出会った。だが確信がない。
或いは、あの欠陥製品だったのかも知れない。水面の向こう側である彼。
だが、確信は持てない。
651終わる零崎 ◆lQ0GSj49/k :2005/12/17(土) 15:47:34 ID:UvRLTCSv
今年はこれでおしまい。
みなさん良いお年を。
652名無しさん@ピンキー:2005/12/17(土) 20:52:42 ID:ywJdoWdZ
よいお年を!
あと今年14日あるのか…待ってます…
653名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 02:26:12 ID:p8ksixR8
良いお年を&乙!!
654名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 17:38:19 ID:Gpvo/l92
それにしても、背表紙はなんとかならんのかと
655名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 21:52:02 ID:O9JLuzF7
正月といえば
一姫、二鷹、三・・・・なんだろう?
656名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 22:07:37 ID:gwmrvU16
みここ
657名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 22:07:56 ID:RbyZ5o6+
一姫,匂宮,西東天
だろ
658名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 00:33:29 ID:Oq+BGQVZ
壱外 弐栞 参榊
は芸が無いか…
659名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 09:33:21 ID:rZxzQjKn
ならば僕はその芸の無いよりさらに芸の無い
みんなが一度は考えても鼻で笑うようなネタを
恥もなく、惜し気もなく、むしろ胸を張って
此処に晒そう


「一姫始め」
            なんて、戯言
660名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 09:53:26 ID:28p7o3bb
ちんこおっきしたお
661名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 15:04:07 ID:TcyuKbIQ
>>659
責任を取って 正月 頼む。
662名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 02:47:27 ID:5QeSvmeK
コミケの戯言本情報ってでてるかい?
小説ブースには2,3しか見当たらんのだが。
663名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 12:58:19 ID:A4FB3jej
間違えても801系ブースに突っ込むなよwww
664名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 16:53:08 ID:0RqbqP/Y
>>663
ガチな話、結構居そうで怖いw
665名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 18:14:25 ID:NNKDVVcw
もう俺それでも構わんわ。
害悪細菌×戯言遣いだろうが、1×0とかだろうがどんとこい!

まあガチな話、このスレ元にした本でも出ていてくれれば万万歳なんだが。
666名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 19:00:41 ID:BlxFOi4d
>>662
近くの壁に大手さんたちがいくつか

667名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 23:16:25 ID:wWsMJ66n
早蕨長兄と狐さんならみてみたい気もする

…俺もう駄目かもな
668名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 01:27:14 ID:TwdcVRcO
>>666
当日までカタログ買う気の無い俺のために詳しく場所をおしえてくれーぃ
669名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 03:09:33 ID:PcpHF7Yl
>>667
前に崩子ちゃんメインのエロ同人読んで、
話の流れであった萌太×いーちゃんに萌えた俺も居るから大丈夫
670さよなら戯言先生:2005/12/21(水) 20:25:12 ID:N+Sfnekx
>>512の続き

 9

 その少女はこの学園においては、ある意味で、とても目立つ存在だった。
 生徒達は皆何かしらの個性、それはもちろん子荻ちゃんや姫ちゃんみたいな、物語に関与できるだけの飛び抜けたものではないが。
「な、なによ」
 家鴨の群れに白鳥がいれば一目でわかるし、どんなにじゃれつく姿が同じ様に愛らしくても、猫と虎の子ではまるで違う生き物である。
 澄百合学園。
「ど、どうしてわたしをそんな、じ、じっと見てんのよ」
 この学園の生徒は、程度の差こそあれ、全員が全員、白鳥であり虎だ。
 そのまだ未完成な美しさと強さで、一般人、特に男が、気軽に近寄るのを思わず躊躇ってしまう存在。……なんだけど。
「はっ!? ひょ、ひょっとしてっ!!」
「ひょっとしない」
 今風の茶髪少女に皆まで言わせず、ぼくは即座に否定する。
 赤い縁の眼鏡の奥、くりくりっとした瞳が、その言葉にむっとしていた。感情がすぐに顔に出るのも、今風の女子高生の特徴だろう。
 要するに少女は家鴨や猫だった。
 まぁ、これはこれで可愛いんだけどね。
 お昼休み。
 食堂は例によっていっぱいだったが、今日のぼくは昼飯の心配をする必要はなかった。
 朝アパートを出るときに、一人と二人が互いを牽制しながら渡してくれた、こんなに食べられないよ、というくらいデカい弁当包み。
 それを手に廊下をてふてふと歩いていたらば、オナカを撫でながら歩いていた少女、古槍頭巾ちゃんと出くわした。
 なんつぅかいつもいつも、頭巾ちゃんを見るそのたびに、ぼくは思ってしまう。
「普通」
「普通って言うなっ!!」
 ほらね。つっこみまで普通だ。
 しかしこの異常が売りの学園では 《普通》 この属性を持つ者は極めて特殊であり稀有だろう。
 だから彼女がオナカを撫でている理由は、お昼休みにトボトボと、喧騒から逃げるようにしている理由はおそらく――否、ズバリ。
「ダイエット」
「ズバリ当てるなっ!!」
 なんだかこの娘の行動のことごとくが、手に取るようにぼくには読めてしまった。
 自慢にはならないけど。
 なにせ頭巾ちゃんはぼくに月並みにつっこみながらも、視線は風呂敷包みにピントを合わせて微動だにしない。
671さよなら戯言先生:2005/12/21(水) 20:26:27 ID:N+Sfnekx
「食べる?」
 包みをちょいっと上げると、頭巾ちゃんの視線もそれに釣られて動く。
 風呂敷をゆらゆらとさせると、それにシンクロして、頭巾ちゃんの茶髪もゆらゆらと揺れている。……ちょっと面白い。
「ダイエットしなきゃって、女の子は必ず言うけど無理は良くないよ。頭巾ちゃんなんかは、もう少し食べた方がいいくらいだ」
 ぼくは右に左にと風呂敷を振りながら訊いてみた。
「余計なお世話」
 人が親切で言ってやってるというのに、餌を貰う雛鳥のように首を振りながらも、頭巾ちゃんは素直にはなれない若者みたいだ。
 まあいいけどさ。
 これでもかというくらい普通な存在の頭巾ちゃん。どうせこの後は月並みな展開になるに決まっている。
“グウゥゥウウ〜〜〜〜”
「はぅ!?」
 頭巾ちゃんは刹那で顔を真っ赤にさせると、ぱっと、慌ててまだ鳴り止まないオナカを押さえた。
 ほらね。
 このタイミングでオナカを鳴らせるなんて、昭和のコメディじゃあるまいし、ぼくにはとても恥ずかしくて出来ない。
 普通恐るべし。
「ぶっちゃけると助けてほしいんだ。一人で食べきれる量じゃないけど、心が篭もってるからね。こっそり捨てるのは些か忍びない」
「う、うぅうっ」
 おおっ。なんかすごい視線で睨まれてるぞ。
 やはり普通に、月並みに、頭巾ちゃんは乙女として、オナカの音をぼくに聴かれたのが恥ずかしいらしかった。
 いや、そりゃそうだろうけどさ。
 でもそうやってぼくに恥を晒したおかげで、どうも頭巾ちゃんは開き直ったらしい。
「お、お祖父ちゃんが言ってたわ」
「うん?」
「最近の若者は贅沢すぎるって。もっともっとお百姓さんに感謝しなきゃいけないって。……わたしも、わたしもそう思う」
「うん」
「手伝うわ《いーちゃん》。仕方ないけど、本当は全然まったくこれっぽちも食べたくないけど、どうしてもって言うなら食べてあげる」
「……うん」
 予想通りの答えが得られた。だけど釈然としないのは何故だろう?
「それじゃどこで食べようか《いーちゃん》。出遅れてるんだし、早くしないといいとこ取られちゃう」
「…………」
 あんなに抵抗してたのが嘘みたいだ。
672さよなら戯言先生:2005/12/21(水) 20:27:32 ID:N+Sfnekx
 しかし切り替えが早いのが今風の若者。その早さをぼくもたまには見習うことにしようか。
 崩子ちゃんとこの間一緒に食べたベンチにでも行くかな、などとと考えていたら、くいっと、後ろから服の袖を引っ張られた。
 振り向くとそこには、女の子が眼鏡の奥の瞳で、じっとぼくを見上げている。
「…………どうしてここに…………いたりするのかな?」
 二人で風呂敷包みを大事そうに持ちながら、ぼくを狂おしいほど慕う姉妹は、左右線対称のシンメトリーで澄百合学園に存在していた。
「ぼくた…………わたしたち、《いーちゃん》さんがデザートを忘れたので届けに来ました」
「ぼくた…………わたしたち、《いーちゃん》さんがデザートを忘れたので届けに来ました」
 もちろん知っている顔である。
 この二人の正確な年齢はわからないが、まだ高校の制服を着てても、なんら可笑しくないだろう年齢なのは間違いないはずだ。
 澄百合学園の制服がとても良く似合っている。
「もう一着手に入ったんだね。深空ちゃん、高海ちゃん」
 澪標姉妹。
 どちらかといえば頭巾ちゃんより、深空ちゃんと高海ちゃん、二人のほうがこの澄百合学園には相応しい生徒かもしれない。
「わっ!? 双子だ。わたしはじめて生で見た」
 そしてあまり相応しくない、っていうか似合わない頭巾ちゃんは、深空ちゃんと高海ちゃん、そっくりの二人を見て素直に驚いている。
 本当に普通。
「デザートってそれなの? その大きさその丸み、わたしには西瓜としか思えないんだけど?」
 だがそんな頭巾ちゃんの、極めて普通の指摘でぼくは気づかされる。
 風呂敷に包まれている豪勢な重箱といい、デザートだとわざわざ持って来た西瓜といい、二、三人で食べるならちょうどいい量だ。
 もしかして確信犯?
 ぼくが疑いの目を向けると、二人は露骨に顔を背けて、ふいっと明後日の方向を見る。
 崩子ちゃんならともかく、この二人に腹芸なんて無理な話だ。
 と。
「でもわたし西瓜大好きなんだよね。よしっ!! はいはい、は〜〜い!!」
 これはこの間来たときに味を占めた、お気に入りの抱きまくらの計画だろうな、と考えていたら、頭巾ちゃんがさっと手を上げた。
「《いーちゃん》、西瓜はわたしに任しちゃってよ。西瓜だったらわたし、いくらでもイケちゃう人だからさ」
 言いつつ頭巾ちゃんは上げた勢いそのままで、分担まで勝手に決めて、深空ちゃんと高海ちゃんの持ってる西瓜の包みに手を伸ばす。
 だが。
673さよなら戯言先生:2005/12/21(水) 20:28:51 ID:N+Sfnekx
“スカッ”
「あっ!?」
 二人にあっさりと避けられた。
「あんたに食べさせる為に持って来たんじゃない」
「あんたに食べさせる為に持って来たんじゃない」
「うっ!?」
 じろりと二人に睨まれて、頭巾ちゃんの腰が思わず引ける。
 そりゃそうだ。
 ぼくも四年前は夜の京都御苑で、やはり同じ様に睨まれてえらい目に合っている。
 頭巾ちゃんのいまの気持ちは、背中が痛いくらいによくわかった。
 しかしそういった自分の心の弱さを、二人が同性でもあるし、中々認めることの出来ない年頃なんだろう。
「い、いいじゃん。《いーちゃん》はどうせお弁当だけでお腹一杯になっちゃうんだし」
「…………」
 多分そうなるとは思うけど、なんか言い方が引っかかるなぁ。
 頭巾ちゃん、もうちょっとでいいから、目上の人に対する言葉遣いを覚えよう。いや、これは戯言ではなく。
「そんなことはない。《いーちゃん》さんはこのぐらい一人でペロリだ」
「そんなことはない。《いーちゃん》さんはこのぐらい一人でペロリだ」
 ……ん?
 待て。待て待て。みんなで食べるんじゃないの? そんな量を一人でペロリって、どっかのどこかの《人喰い》じゃあるまいし。
 そんなことを思っていたら。
「ん? んん? あれれ? おにーさんなにしてんだよ? 昼飯まだならさ、理澄の財布から金パクってきたし一緒しねえ?」
 ややこしいのがまた来やがった。
 結局その日の昼御飯を《戯言遣い》は、ぎゃはは、と大声で笑う《人喰い》含めた五人で、妙に緊張した雰囲気で食べましたとさ。
 めでたし。


今回はここまで。読みたいとレスくれた方ありがとうございます。嬉しかったです。
674名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 20:35:56 ID:H/thH/3S
>>673
GJ
675名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 21:24:09 ID:+sx43quN
頭巾ちゃんが誰だったかわすれた僕はマンイーターに抉られた方がいいですかね?
676名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 22:08:55 ID:wzDOKZvX
お前あんな月並みな娘を忘れるなんて…
それはそれとしてGJ!!続きに期待。
677名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 22:29:11 ID:F8oaQpM9
頭巾ちゃん逃げて頭巾ちゃん逃げて
678名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 22:54:31 ID:G2dcUnHh
>>673
ヤバイくらいに面白いっすね、相変わらず。
GJ
というか理澄ちゃんと同じ様にやはりマントに拘束具なんだろうか?
どうやって飯食うんだ、やはり犬食いなのか。

財布を出すのってどうやるんだろうなぁ、と今、初めて素で思った。
原作でどうやって財布の中身確認したんだろう理澄ちゃん?
679名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 22:57:25 ID:hibcNOZO
>>673
GJ
680名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 00:06:20 ID:eeD+4S0l
>>673
こういう淡々とした平凡な情景って良いよなあ。
これからも期待してます。
681名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 00:37:56 ID:FlIYEJpd
「ぼくも四年前は夜の京都御苑で」
くっ。
戯言先生の中ではどういう思い出になってるんだろうな・・・頭巾ちゃんの登場場面は・・・GJ!
682名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 01:50:05 ID:7L/OHqZO
さらっと絶望先生ねたを仕込んであるのがGJ!!
普通www
683名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 12:32:02 ID:tprMnfyg
出夢くんここ女子校!

とか思ったが、よく考えたら出夢くんは女の子でありました
684名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 17:51:04 ID:rqb9vFp6
>>682
ごめん、わからんかった。
教えてくれ。
685名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 17:51:49 ID:rqb9vFp6
>>684
そしてすぐ気付いてしまって欝 OTL
「普通」ネタのことね……
686名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 15:17:02 ID:tuWcO6vw
>>673
終わり方がおざなりでちょっとモニョった。
687名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 23:38:49 ID:8vMM1T60
ここスレタイの意味がよくわからんのだけど、
特定作品のスレじゃなく、足フェチ足こき一般スレと理解していい?
688名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 23:45:00 ID:AtvrNKkH
>>687
そのように考えるお前さんの思考回路がよくわからんのだけど。
689名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 23:57:02 ID:h6OnZ3N1
死線の蒼はSにしか見えないが、大将はMなんかな
蒼×大将が見たい
690名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 13:01:22 ID:5f+Dx0ll
>>687
そう思ったのなら教えてやる。ここは西尾作品のスレだ。
691名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 21:49:01 ID:9IAu3Nsn
>>689
蒼×愚はいいね。
と人識×玉藻を推進する私が言っております。

ファウストおもしろ。



ところで、ここって西尾スレだから
ひたぎクラブとかOK?
692名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 22:40:34 ID:v3bITr0P
むしろネタの宝庫であるキミボクが少ないな…
693名無しさん@ピンキー:2005/12/25(日) 21:13:29 ID:3ut0H+PE
病院坂きぼん!!!!
もしくは夜月
694名無しさん@ピンキー:2005/12/25(日) 22:56:39 ID:5cRGiqU2
人識×玉藻!
今月のファウストを読んで思った。誰か書いてくれないかな…。
695名無しさん@ピンキー:2005/12/25(日) 23:40:42 ID:d30DWuL2
ネコソギ中まで読んだけど
絵本さんがど真ん中だなー

水着に白衣着てた理由は何なんだろうか
羞恥プレイ?
696名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 14:48:48 ID:G0pI6/f/
下巻嫁
697名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 15:34:18 ID:EF/R0Qi0
下巻で明らかになる衝撃の真実!
絵本さんの服装に隠された謎とは一体!?
698さよなら戯言先生:2005/12/26(月) 17:18:07 ID:t6VvuXVz
注意。まだ下巻を読んでない方には、少しネタバレになってしまうかもしれません。

>>673の続き

 10

 十二月。
 さすがにいくら盆地の京都であっても、冬という季節を感じずにはいられない。
 ぼくの目の前で温かい湯気と、ぐつぐつ音を立てている鍋は、掛け値なしに美味そうだった。
 また人間は決して味覚だけではなく、視覚でも食を楽しむ生き物だが、そちらでも文句の付けようがない。
 ぎりぎり京都と呼べる郊外。
 人里離れた山の中。
 窓の外の景色は雪が積もっていて一面の銀世界。
 ここまで来るクルマの中では、なんでぼくが参加せねばならないんだろうか? そんなことを真剣に考えたりしていたが。
「悪くはないかな」
 少なくとも塔アパートで、答案用紙にひたすらバツ印を付けるという虚しい作業よりは、精神が何百何千倍も癒されるだろう。
 姫ちゃんは五教科赤点という偉業を、まるで予定調和のように、またしても鮮やかに達成していた。
 補習確定。
 これでぼくは学園が冬休みだというのに、放課後も結構勉強をみてやったというのに、ほぼ毎日姫ちゃんと顔を合わすことになる。
 別に姫ちゃんといる時間は嫌いではないのだが。
 しかし、それはそれ。
 恩を仇で返された感は否めない。
 ぼくはハラハラと舞い堕ちる雪を見ながら、姫ちゃんが例え知恵熱を出しても、涙を呑んで勉強漬けにすることを決意した。
「覚悟しておけよ、一姫」
「なにを一人でぶつぶつ言ってるさ《いーちゃん》、まだあんたは呆けるには早すぎるさ」
 景色を見ながら補習計画を練っていたぼくは、話しかけられて窓の外から室内に、蓮っ葉な口調がよく似合う彼女に視線を移す。
「…………」
「ん? どうしたさ? 若いんだからもっと食べるさ」
 彼女と知り合ったのは四年前。
 そのときのことは、あのときの騒動は、他の階段を含めて、ぼくには珍しくいまでもはっきりと覚えている。
「…………」
「本当にどうしたさ? 人の顔をじっと見たりして?」
 でも記憶している四年前の彼女と、いまこうしてしゃべっている彼女が重なるまで、もう少しだけ時間が掛かりそうだ。
 右下るれろ。
 そりゃあ当たり前だし、本人にそんなつもりは、まったくこれっぽっちもなく不名誉だろうが、トレードマークの包帯はどこにもない。
 非常に女性に対して失礼かもしれないが、なんだかとても違和感がある。
699さよなら戯言先生:2005/12/26(月) 17:19:13 ID:t6VvuXVz
「そうだぜ、いーたん。ちゃんと喰わねぇと大きくなれねぇぞ。好き嫌いせずになんでも喰っとけよ」
「それ。きみにだけは言われたくないんだけど、ぜろりん」
 年齢はぼくとそう違わないはずだから、もちろんいまさら成長期がやって来るはずもなく、身長はその辺の女の子より小さい。
 右顔面には灰色の刺青が彩られ、右耳に三連ピアス、左耳には携帯ストラップを2つ付けている。
 零崎人識。
 こちらは気持ち悪いくらい変わらず、昨日別れたみたいにあのときのままだ。
 ぼくの隣りで魚の切り身から、チマチマと小骨を丁寧に、殺して解して並べて揃えて晒している。……おまえこそカルシウムを取れ。
「喉に引っかかったりしたら痛ってえじゃん」
 きみの生き様の方が余程痛い。
 と、言いたいところだが、じゃおまえの生き様は痛々しいだな、切り替えされるのはわかってるので沈黙を選択。
 この四年でぼくも随分と大人になったもんだ。
「本日はこのような辺鄙なところまで、わざわざご足労戴いてありがとうございます。《いーちゃん》さん」
 いつの間にか真後ろには、真面目で上品そうな、図書館で詩集でも読んでいそうなイメージの女性が、にっこりと微笑んで立っていた。
「そんなの全然構いませんよ。こっちこそ社員でもなんでもないの呼んでもらっちゃって」
 さっきからずっと彼女は、当然のように《最悪》の隣りに陣取っておきながら、忙しなくあっちこっち動き回っている。
 社長というよりは王様のように、まるでなにもしない人の代わりに、客の接待から鍋の具材の追加までと、一人落ち着かなかった。
 でもそういうのがなんだか性に合うのか、嬉々としてやってるようにも見える。
 肩書きは《空間製作者》ということになってるが、意外にメイドさんでもイケるかもしれない。
 一里塚木の実。
 この変わり者集団の処理係にして、潤滑に、我侭に動く為のバイパス役。
 本質的にはともかくとして、この集団の実質的なリーダーが彼女であることに、半畳を挟む者はいないだろう。
「その上なんか妙なオマケまで付いて来ちゃってすいません」
 鍋に箸を伸ばそうとしていたオマケの視線が、鋭く痛いくらい頬に突き刺さるが、それは全身全霊でぼくは無視した。
 この殺人鬼、ちょっと会わなかった間に、益々持って胃袋キャラが板に付いてきてやがる。
「いえいえそんな、正直助かってるんですよ、忘年会みたいなイベントは、やはりある程度は人数が多い方がいいですから」
 つまりそんな理由でぼくはここにいるわけだ。
 ここに。西東診療所に。
 有限会社《十三階段》の忘年会に。
 元々集団行動の出来なさそうな人達ばかりだが、忘年会の出席者は、ぼくと零崎を除いてしまうと四人しかいない。
 確かにそれだけの人数では、ちょっとばかし淋しいだろう。
700さよなら戯言先生:2005/12/26(月) 17:20:25 ID:t6VvuXVz
「まぁ連絡自体が取れない方もいますし、 木賀峰助教授は朽葉さんの反抗期を予測出来なかったらしくて、いまてんてこ舞いですしね」
「反抗期ですか?」
 すげぇ周期で来たな反抗期。そりゃ予測できないだろう。
「…………」
 ってか朽葉ちゃん八百歳じゃ〜〜ん。 木賀峰助教授より遥かに年上じゃ〜〜ん。
「朽葉さん、万引きをしてしまったらしくて、警察に迎えに行ってますが。木賀峰助教授、体当たりでぶつかってみるそうです」
「……頑張ってください、としか言えませんね」
「ええ」
 あまり他人が深入りしない方がいいだろう。少し覗いてみたい気もするが、とてもデリケートな二人だけの問題だ。
 そんなわけでそれはそれでいい。
 とりあえずいまは、ここにいる残りの二人だ。
 チラリッと窺うと、哀川さんにも匹敵する存在感の、ぼくの対面に座っている男は黙々と杯を重ねている。
 狐の面を外しているので表情はわかるのだが、詰まらないのか愉しんでいるのかは、相変わらずぼくにはよくわからなかった。
「…………」
 とりあえずこの人はややこしいので後回し。もう一人の男に目を向ける。
「……重症みたいですね」
「いつもはさすがに、あそこまでひどくはないんですけどね。今日は《いーちゃん》さん、あなたがいますから過敏になってるんです」
 冷たくなってるだろう白菜を、彼はひたすらじーっと見ていた。
 口だけがもごもごと小さく動いてる。
 ぼくには一般人の領域を逸脱した聴覚はないので、なにを呟いてるのか聴こえないが、彼がどんな言葉を紡いでいるかはわかっていた。
 いまにして思えば、《正義の味方》ってのはちょっと言いすぎだったかな。
 時宮時刻。
 そのひどく憐れな姿を見ても、自業自得だ、そんな風にしか思えないぼくは、やはりまだどこか壊れてるんだろうか。
「お肉とか食べます?」
「ひっ!!」
 お皿を取ろうと手を伸ばしたら、時刻さんはびくっと身体を震わせて、カサカサと、素早く動いて、ぼくの視界から消えてしまう。
 やっぱり四年前はやり過ぎた気がした。
701さよなら戯言先生:2005/12/26(月) 17:21:46 ID:t6VvuXVz
「そっとしといてあげてください。絵本さんも、あまり刺激しない方がいいと言ってましたし」
 時刻さんにとって、きっとぼくは、劇薬以上の刺激物なんだろう。
「うん? そう言えば絵本さんはどうしたんです?」
 彼女が来ているのは間違いない。
 なんせここまでは彼女の運転するクルマで、ぼくも零崎も来たんだから。
 ガタガタ震えてる《人間失格》は、ここに来るまでの車内で、中々のいい暇潰しになった。降りた瞬間殺されかけたけど。
 ちなみに彼女は復社はしてはいない。
 だがるれろさんとの付き合いは続いてるみたいだ。
「二階で看病です」
「看病? 誰のですか?」
「奇野さんのです。風邪をこじらせてしまって。《いーちゃん》さんも気を付けてくださいね」
「…………」
 奇野頼知。
 呪い名序列三位、感染血統奇野師団の一人。通り名は《病毒遣い》……なんだけど。
 キノラッチ。あんたなにしてんだよ。
「弘法も筆の誤りと言いますか、猿も木からと言いますか……。でも同情とは違う感情が湧き出すのは、どうしても否めないところです」
 頬に手を当てて小首を傾げた木の実さんは、やれやれ、といった顔をしていた。
 可愛い。
 だけどこの人の場合は、そんな仕草も演出でやってそうで、とにかく油断ならない。
 いまは四年前のように戦闘状態ではないけれど、木の実さんを見ていると色んな意味で、なんだかざわざわする。
 それはぼくの、というより《戯言遣い》としての、四年前とまるっきり変わらない感想だった。
「ではごゆるりと、愉しんでくださいね」
 しかし木の実さんは、やはり四年前のようにぼくの警戒を見抜いても、にこやかに屈託なく微笑む。
 そして礼儀正しく丁寧にぼくにお辞儀をしてから、小走りに、甲斐甲斐しく、空の徳利を受け取りにいった。
 ……ちょっと羨ましい。
「ふん。少しばかりぬるめで頼むぞ」
 偉そうだ。根拠なしに相変わらず偉そうだ。この人はきっと死んでも偉そうだろう。現に一回死んでるのに偉そうだし。
「さて、《俺の敵》。人心地ついたし、話しをしようか。」
 ぼくと狐面の男は再会してから、軽く挨拶をしたぐらいで、まだ会話らしい会話はなにもしてない。
 前に理澄ちゃんと三人で卓を囲んだときは、食事中にくっちゃべるなと怒られたが、どうやら忘年会ではいいらしかった。
 自分が会話の輪に加わりはしないが、忘年会は一年間ともに苦労した者同士が、親睦を深める場であって、食事は二の次だかららしい。
「…………」
 あんたは苦労をかけただろう。
 言いたいがそれは、ぐっと黙っておくのが、客としての、社会人としての礼儀というものだ。
702さよなら戯言先生:2005/12/26(月) 17:22:55 ID:t6VvuXVz
「それじゃ、いまは、なにをしてるんですか?」
「『なにをしてるんですか?』。ふん。そりゃ忘年会に決まってるだろ? これでも俺は柄じゃねえが社長だぜ」
 言って不敵に笑った。
「…………」
 ぼくが言うのもなんではあるが、言い方が回りくどい。わかってるだろうに。そんな意味じゃないのは。
「どうして会社なんて、柄にもないものを起ち上げたんですか? おかげで一人の少女の人生が、派手に狂いそうになりましたよ」
「萩原子荻。俺は欲しくて欲しくて堪らねぇんだよ」
「…………」
 なんかここだけを聞いてると、ちょいとばかりやばいセリフだ。
 同じ年頃の娘達と比べれば、随分と大人っぽく見える子荻ちゃんだが、そしてこちらも年齢よりかなり若く見える狐さんではあるが、
知らない人が聞いたらば、いくらなんでもロリィの謗りを免れるのは難しいだろう。
 まぁ狐さんはあんまり女性には興味ないみたいだけど。
 この人の興味は、世界の終わり、物語の終わり、《ディングエピローグ》それだけにしかない。
「萩原子荻。あの娘の代わりを見つけるのは、ちょいとばかり難しいんでな。やっとこさ繋がったこの縁は、俺は絶対に逃がさねぇ」
 そう言った狐さんの瞳は、間違いなく愉しそうで、爛々と輝き狂気じみていた。
 怖い。
 ぼくを恐怖する《想操術師》のように、ぼくはどんなに成長しても一生、《人類最悪の遊び人》の恐怖を拭い去れないだろう。
 西東天。
 だがぼくは哀川さんとそっくりのその顔を、正面から逸らさず見て、内心すげぇびびってたけどはっきり言ってやった。
「……そうはいかない」
 そして少し早いが心の中で来年の抱負を一つ。
 及ばずながらもこのしがない《戯言遣い》は、可愛い生徒を、お気にの女の子を、最悪の変態の魔手からなんとしてでも守ってみせる。
 決めたよ。ぼくは来年も正義の味方になってやる。
 と。
 こんな感じで渋く、後から思い出したら赤面もので、話をオトしたかったぼくだが、やはりそうはいかないみたいだった。
「うっ、うぐっ、うぅううっ……」
 小さな声。でも気づいて欲しいと訴えかけるような声。
 そしてメチャメチャ嫌過ぎるが、四年前から聴き慣れてる涙声に、ぼくはゆっくりと入り口を見る。
 目が合った。
「……えぐっ……うふぅう……」
「…………」
 逸らしたいのを我慢する。
 端正な顔を涙でくちゃくちゃにして、彼女はぼくと、ほぼ空になっている鍋を、行ったり来たり交互に見ていた。
703さよなら戯言先生:2005/12/26(月) 17:24:03 ID:t6VvuXVz
「……ど、どど、どうして?……どうしてそんなことが出来るの?………だっ……て……ううっ……な、鍋なんだよ?………鍋って………
鍋って、み、みんなで、みんなでつつくもんじゃないの?………うぐっ……みんなの中に……わ、私は入ってないの?………うぅぅう、
ふ……ふふ……え、えへへ……そ、そうだよ…ね?……ご、ごめんなさい………私なんかが、私なんかが数に入ってるわけない……よね?
わ、私なんか余り物で雑炊食べれば十分よね?……うふふ……ぐふっ……雑炊もお、美味しいんだよ……いっくん……え、えへへ」
 絵本園樹。
 彼女とこの四年間というもの、最も親しかったのはこのぼくだろう。
 まぁそうは言っても比べられるのが、後は精々が意外に気が合う元同僚の、るれろさんくらいしかいないわけなのだが。
 ぼくは精神科医じゃないが断言できる。
 白衣の下の水着のカットが、何故か年々際どくなっていく彼女も、間違いなく一生こんな感じだ。
 絵本さんを外界から守るATフィールドは、さらに一層強固になって、いまもなおこうして健在である。
「零崎、後ででいいからきみ、責任持ってフレンチクルーラー買ってこいよ」
 鶏肉にかぶりついていた零崎が顔を上げた。
 骨には犬が見たらがっかりするくらいに綺麗に身がない。
「ええっ、なんでだよ? 外は雪がガンガンに降ってんだぜ。ミスドなんてこっからどれくらいかかんだよ?」
「ほとんど一人で喰ってんだから当然だろ? あんまり駄々をこねるな。買って来ないと帰りは助手席に座らせるぞ」
「……ひでぇ」
「フレンチクルーラー百個な」
 あの京都御苑での《ドクター》との約束が、まさかこんな形で果たせるとは思いもよらなかった。
 窓の外を見ると雪が、さっきよりも激しい勢いで振っている。
 クルマでは事故りに出かけるようなもので、どちらにしても零崎以外は、とてもではないが麓までいけそうもない。
 そしてその白い光景に魅入られながら、ぼくはなんとなく、この色が大好きな青色と、どこにいるのやらの赤色のことを考えていた。


今回はここまで。
前回は話の着地点がわからず無理矢理シメましたが、なんだか今回もそんな感じになってしまいました。
毎度読んでくださる方には申し訳ない。
704名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 17:52:07 ID:em8RL3P7
>>703
GJ
705ラスタマン ◆mr.7wNCCbA :2005/12/26(月) 20:24:18 ID:GQ3TEgEn
昔書いた赤×いーの続きです。
需要があるか分かりませんが投下します。


「ホレホレ、いーたん感じちゃえよ」
「ぅあ・・・んっ・ひっ」
潤さんが僕の先端の部分だけをねちっこく責めてくる。
刺激が強すぎて余裕が全くない。
「ちょっ・・潤さんっ・もうやめて・・・下さぃっ」
流石にコレを続けられたら正気を保っていられる自信がない。
「ふーん、いーたんそんなこと言うんだーもっとオシオキが必要だな────。」
「あぁっ!・・潤さっ・・・ひぃぃい!」
そういうと潤さんは僕のモノを左手で固定すると、既に先走りでヌルヌルになっている亀頭を右手の掌でゴシゴシと擦りつけ始めた。

706ラスタマン ◆mr.7wNCCbA :2005/12/26(月) 20:26:03 ID:GQ3TEgEn
クリュクリュクリュクリュクリュ───。
「潤さんやめっ・・・てぇ・もぅ・・ぁぁぁあ」
クリュクリュクリュクリュクリュ───。
僕は潤さんの遠慮のない亀頭責めにビクビクと躯を痙攣させ、だらしなく開けられた口からは一筋の唾液の筋が出来ていた。
「あーもったいないぞ、いーたん」
そう言うと潤さんは右手でねっとりと僕のを扱きながら、左手で僕の顔を上に向かせ真っ赤な舌で僕の唾液を舐めとった。「『コレは嘘をついてる味だぜ』ってか、いーたん気持ちイィんだろ、な、正直にお姉ェさんに言ってみな」
「そんな事ないぃぃ・・・やめっ・・あぁっ!」
「もー素直じゃねーなーいーたんは。それなら考えがあるもんね」
そう言うと潤さん──人類最強の赤はその赤い舌でべろりと唇を舐め、ニヤニヤと笑った。

このあともちっとハードになる予定です。
需要があるようでしたら投下します。
707名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 21:33:16 ID:S8sUkT1O
>>705
GJ!
だがsageろ。
708名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 21:55:45 ID:v9F3/Thd
ちょおGJ。
需要ならここにあるぜー!
709名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 22:11:34 ID:u6zHqg/i
>>703
GJGJGJ!!
うわ、なんてほのぼのな忘年会だ。すげぇ良い。
<<チーム>>の面々も忘年会とかしてんだろうか、楽しそうだなぁ。
710名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 22:33:23 ID:+jhq7dTV
>>699
戯言先生いつもGJ!
ただ、半畳は『挟む』ではなく
『入れる』じゃないかなと。
……細かいね、ごめんね(・ω・`)

>>705
貴方のおかげで此処がエロパロだと思い出しましたwww
GJ!
711名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 01:15:07 ID:hRAeREw6
戯言先生はめちゃ面白いのだけどエロはなしですか?
まあなかったらないでいいんですけど、いらぬ希望を持ってしまうのではっきりないと宣言して欲しかったり。
S・H・I・O・G・I! S・H・I・O・G・I!
712名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 02:53:39 ID:8cHVtPsZ
戯言先生先生も赤×いーの人もGJでした。

>先生
相変わらずのまったり感がたまらんです。
今回の十三階段総(?)登場で、
今更ながら、死んでしまったキャラが生きてるパラレル世界なんだということを実感。
鹿鳴館大の同窓会とかも見たくなって来ましたよ……と。

>Mr.7氏
既に十分ハードな気がするんですが、これ以上ですか?
エグ味に溢れるハードエロスを期待させて頂きます。
713名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 04:47:09 ID:Z2ZOf+mj
戯言先生GJ!
いーちゃんに思い出してもらえなかった橙色可哀(ry
714ラスタマン ◆mr.7wNCCbA :2005/12/27(火) 21:49:20 ID:j09TLgMw
とりあえず途中経過です。
文才がないのは勘弁してください。

「ジャジャ〜〜〜ン!!」
「はぁ・・・はぁ・・・・」
肩で息をしながら僕はマヌケな効果音の続きを待った
「いーたんのためにゲストを呼んであんだな〜コレが」
「!」
僕は潤さんの言葉に躯を硬直させ、目を見開いた
「ちょ!!潤さんっ!!ホントにいい加減にして下さいっ!!」
「じゃー入ってきてー」
話聞けよ
「やっほー!!いっきー久しぶり!!春日井春日お姉さんだよっ!!」
なんだこのテンション・・・・何で僕の周りにはこんなのしかいないんだろう戯言だけどさ
「ってわけだ、じゃアタシはもう行かなきゃいけないからさ」
「ちょっ!この変態連れてってくださいよ!!」
「オイオイいーたん、人の事言えないんじゃねーか?」
そう言うと潤さんは颯爽と部屋を出ていった「そうだよいっきー!!変態同士仲良くしようよ!!」
親指を立て舌を出す春日井春日
薬でもやってるのかこの変態
「さぁお姉さんと気持ち良くなりまし──」「いやだ帰れ変態」
言い終える前に割り込んでみた
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「オシオキ」
「やだ帰れ」
「どれにしよーかなー」
話聞けよ
何だシカトが流行ってんのか?
って何だあのバッグ?
「何ですかそれ?」
「んー?これはねーオシオキの道具」
そう言うと春日井さんは5mm程の玉がいくつも連なった物を僕の目の前にかざした
「これなーんだ?ハイ!いっきー!」
「ドロップアウトで」
「はーい!オシオキけってー、コレはねこうして使うんだよ」
そう言うと春日井さんは僕のを握って固定すると、もう片方の手でその道具を尿道に挿入していった
「なっ・・・ひぃっ・・ぁあ」
通常は排泄のために存在する穴に想像を絶する異物感をもってバイブが侵入してくる
「あー忘れてた」
そう言うと春日井さんは3cm程侵入していたバイブを勢い良くちゅぽんと抜いた
「ひぃっ!」
僕は与えられた刺激に思わず腰が浮いてしまった
「気持ち良くなる薬だよ」


715ラスタマン ◆mr.7wNCCbA :2005/12/27(火) 21:50:35 ID:j09TLgMw
春日井さんは何やら妖しげな小瓶をとりだし蓋を開けると綿棒をその小瓶の中の液に浸し始めた
「それじゃあちょっと痛いかも知れないけど我慢してね」
「あっちょっと・・春日井さんっ」
「えいっ」
僕の制止など耳にも止めず春日井さんは一気に奥まで妖しげな液に浸った綿棒を突き刺した
「あぎぃっ!・・ひぃぃ」
「まだ終りじゃないよ、ちゃんと塗り込まなきゃね」
「そんな・・・ひゃぁぁぁあ!」
「ほーらズボズボ〜」
春日井さんは遠慮など無しでズボズボと尿道を掻き回し始めた
716名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 14:18:24 ID:5jtfLO69
しおぎん
717名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 18:34:17 ID:GPMb0u22
みここん
718名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 22:51:54 ID:fo6Iy34A
みたいなっ
719新年小ネタ:2006/01/01(日) 01:09:25 ID:pBHzwHsl
「ハッピーニューイヤー、ただし余命一年、みたいなっ!」
「縁起でもないよ巫女子ちゃん、っていうか服を着て」
「おう欠陥製品、とりあえずあれだ、蕎麦食わせろ蕎麦」
「フレンチクルーラー百個買ってきてくれたらな、人間失格」
「戯言遣いのお兄ちゃん、あけましておめでとうございます」
「崩子ちゃん、新年の挨拶くらい天井裏から降りてきてしようよ」
「ぎゃははははははっ!!おにーさん、ハッピーニューイヤー!!っつーわけで姫始めよろしく」
「おめでとう出夢くん、そして何故おもむろに僕の服を脱がそうとうわやめ(ry)」
「おういーたん、折角晴れ着なんだからアレやろーぜ、帯ぐるぐる」
「哀川さん、だから何故ぼくの帯を、ってあ〜〜れ〜〜」
「新年なのでおねーさんはいやらしいことをしたくなりました」
「一人でもやらないでくださいね、春日井さん」
「あなたと新年を迎える羽目になるとは思いませんでした」
「ぼくは嬉しいけどね、子荻ちゃん」
「〜〜〜〜〜っ!!!(赤面)」
「ううっ……ぐすっ……あ、あ、あ、あたしなんか新年が来ても誰にも相手にされないんだよね、そうだよね、
だって誰もあたしにはおめでとう言ってくれないもの、いくつになっても一人、なんだよね、あはは、あは……」
「え……っと、おめでとうございます絵本さん」
「ゆらーり……ゆら……えーっと、何が……おめでたいんだっけ?」
「この季節にブルマは嬉しいけど寒くない?玉藻ちゃん」
「ようーーーーめでたいな、俺の敵」
「あ、おめでとうございます」
「やあ子荻ちゃん、おめでたいことだし私の妹にならないかい?」
「あなたとは初対面ですが全力で阻止させていただきます、双識さん」
「師匠〜、謹賀ニューイヤーですよ」
「……まあ意味は合ってるから良しとするよ、姫ちゃん」
「いーちゃんーーーー」
「……友」

『今年も、よろしく』


ああーーーー
なんて、戯言。



謹賀新年。
720名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 02:40:22 ID:dYPWXPPD
……上手っ。
721名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 02:40:39 ID:wJaRzDdH
>>719
いーに違和感を感じたが、赤は100ぱーあれをやるだろうとおもたw
722名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 09:58:35 ID:PHh9fAFT
素晴らしくテンポが良い。
なかなかこうはいかない。

面白かったです。あけましておめでとう。
723 【吉】 :2006/01/01(日) 11:46:34 ID:QKOAJx75
GJ!!!
いーちゃんが羨ましい…
724終わる零崎 ◆lQ0GSj49/k :2006/01/02(月) 15:20:41 ID:GIgYnpXr
>650
「俺と一緒にいるのが嫌なら、それでもいいんだぜ。それなりに
信用できる知り合いにお前を預けるって手もあるし」
「そっちの方が嫌ですよう」
舞織は言う。
「今度こそ最後まで一緒にいましょうよ」
舞織は言う。
「だって私たち、たった二人だけの家族じゃないですか」
舞織は言う。
「俺の家族は」
「双識のお兄ちゃんだけっていうんでしょ。家族が嫌なら
私は人識くんの彼女で我慢します」
「我慢ってなんだよおい」
「むしろそっちが本命、みたいな?」
舞織がうふふと笑った。さっきまでの泣きそうな態度はなんだったのか。
「ねえ、人識くん、エッチしたことあります?私はないんですけど、
どんな感じかわかります?」
いきなり話題が跳んだ。
725終わる零崎 ◆lQ0GSj49/k :2006/01/02(月) 15:31:20 ID:GIgYnpXr
>724
「あー、ちっと待て。なんでそんな話題になったんだ?」
「えー、修学旅行とかだと、こういう話で盛り上がったりするじゃないですか」
「かは、修学旅行なのかこれは」
さっきまでのシリアスな雰囲気は、何処かへと旅立ったらしい。
「で、どうなんです?」
「俺は秘密の多いことがチャームポイントだからな。内緒ってことで」
「うなー、、人でなし、殺人鬼、通り魔」
「全部当たってるじゃねーか」
「で、結局私のことどうするつもりなんです?」
「何が」
「妹にするか、彼女にするかってことですよぅ」
話が戻った。一度逸らしておいて戻すとは。
「別に、妹じゃなくてもいいし、彼女なんて甘ったるいもんは俺にはいらねえよ」
「うー、でもー」
「何だよ」
「どっちかにしておかないと、また捨てられそうだし・・・」
結局、それを恐れていたのか。
「どっちもいらねえよ。一緒にいることに、理由なんて必要ないだろ?それに・・・」
「それに・・・?」
人間失格はそれから先を言わなかった。
726終わる零崎 ◆lQ0GSj49/k :2006/01/02(月) 15:32:46 ID:GIgYnpXr
うわ・・・ほかの職人さんとは比べ物にならないほど稚拙な文章ですね・・・
今日はこれまで。もう少し続きますんで、よろしく。
727名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 18:41:24 ID:7ldQlXh6
>>725
GJ!続き待ってます
728名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 22:14:10 ID:0dYJzEOM
>>726 GJGJ!
729名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 13:52:17 ID:DA8Wux9/
小唄さんがいーちゃんとどっかの企業だかなんだかに潜入して、
通気ダクトを四つんばいで張っていく小唄さんのお尻を目の前で見て思わず撫で回してしまういーちゃん。

そんなシチュを思い浮かべたんだが、どうか?
730名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 16:18:46 ID:68DVljoA
>>729
むしろ、お尻がつっかえてしまって身動きが取れないのを良いことにねちっこく攻めて欲しい。
731名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 19:22:05 ID:2z/I4gfp
むしろ小唄さんがいーたんの尻を(ry
732名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 19:31:48 ID:5SwwohR7
いーちゃんの大事なものを
盗むわけだ
733名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 21:48:01 ID:RgA9IAKm
『しりこだま』ってやつですね?
734名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 21:54:29 ID:a3hsWeNb
お命頂戴
735名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 22:29:14 ID:dk41nlOA
十全ですわ。
736名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 07:01:05 ID:uDD49ghs
そんないーくんが
737名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 08:10:49 ID:yBNVX4Ll
好き好き大好き超愛してる
738名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 08:36:06 ID:ZLadkHg5
だから、
739名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 12:22:05 ID:CV99/Wot
助けてほしかった
740名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 13:00:49 ID:jMnMwLeU
なあに、かえって免疫力がつく
741名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 18:34:11 ID:It8pfVZI
甘えるな
742名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 20:54:04 ID:Jp9h9Ie9
なんだこの流れww
743名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 00:22:15 ID:7GQttCf6
傑作だ
744名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 00:40:26 ID:Ux9KDvj/
そして
小唄さんのみっちりと媚肉の詰まった
尻をおもうさま撫で回した
745名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 03:03:32 ID:sBiewzVI
「ヒアッ!」
746名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 07:50:10 ID:HyuX4yFG
戯言だろ
747名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 22:28:42 ID:p7U9TWNO
全員不合格
748名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 23:46:45 ID:q+pTffsi
双識兄さん・・・。
749名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 00:57:27 ID:SZZj7w4l
ツンデレだったらいいなぁ・・・
750名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 06:45:36 ID:lW/Vl9HC
出夢くん追悼でひとつ
751名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 06:56:57 ID:nwkmyUtx
哀川さんはツンデレ
752名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 07:44:48 ID:taB3whH0
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや
753名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 16:58:20 ID:WlHXcmEB
恥ずかしい告白大会しようぜ
754名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 18:09:14 ID:cHFtO0di
こいやー
755名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 21:30:38 ID:lW/Vl9HC
OSでいえばユニックスですね
756名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 00:10:13 ID:aeQRpy2+
わかりやすくスタンドで説明しろ
757名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 00:19:29 ID:WByxGx9R
ばいばい
さようなら
おやすみなさい
ありがとう
758名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 00:19:51 ID:w3UQrR4M
普段の生活をムーディ・ブルースでリプレイしたらいいよ
759名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 00:32:17 ID:hbYunfL9
ところで、濡衣さんって女だよな?
760名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 01:14:00 ID:BFHGcN3j
意外と胸大きい
761名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 11:51:39 ID:gZhokhXr
もうネタバレも平気だろう。

「い、いやあああん」
の子荻ちゃんは西尾の罠だと解っていても萌えてしまった。
あと後日、自己嫌悪に落ち込む策士も素敵だ。
762名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 11:59:39 ID:hbYunfL9
何があったんだよwwww
763名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 12:29:22 ID:Lea+DRgS
濡衣は男
764終わる零崎 ◆lQ0GSj49/k :2006/01/07(土) 14:12:20 ID:swWuAG+y
>725
「人識くん・・・・人識くんってば。もう寝たんですか?」
「ぐぅ・・・すやすやすや・・・・・」
「起きてるじゃねーかよ」
「かはは、傑作だな」
「傑作ですね」
意味のない会話。

そして二人は添い寝することになった。
その間のことを説明するとこうなる。
「この部屋寒いですよぅ。添い寝してくれませんか」
暫くして舞織がこういったのだ。
「所詮安いビジネスホテルだからな」
「雨露凌げるだけ野宿よりましですけど・・・・それに、少し熱があるみたいなんです」
「お前が?」
「風邪引いたみたいなんです。うなぁ」

人識は渋ったが、舞織の泣き落としに勝てず添い寝するはめになった。
傑作だぜ。人間失格は、《妹》の体温を間近に感じながらつぶやいた。
765終わる零崎 ◆lQ0GSj49/k :2006/01/07(土) 14:13:27 ID:swWuAG+y
前編終了ってことで暫く間が空きますごめんなさい。
後編からようやくエロができると思います。
766名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 23:26:22 ID:a98N1b1r
>>765
GJGJ!
いよいよ零崎のエロがw
767終わる零崎 ◆lQ0GSj49/k :2006/01/09(月) 19:33:15 ID:BX6vyIQj
>764
「こうしてると恋人同士みたいですね」
「寝言は寝て言えよ。つーか、まだ続いてたんだなその話」
「モチのロンですよう。絶好の機会ですし」
うふふふ、と自嘲気味に笑ってみる。
「それにしても、こんなにかわいい子がモーションかけてるのに、冷たいですね人識くんは」
「俺はちっとも優しくないからな。甘えるなよ」
《兄》は天井を見つめながらぼんやりと言う。
「人識くん」
「今度はなんだ」
「えっちなことしてみませんか」
「本気かよ」
「マジと書いて本気と読む世界です」
「微妙に間違ってるぞ、それ。それよりも、熱があったんじゃないのか?」
「現在進行形で熱があがってるっすよ大佐殿」
「誰が大佐なんだよ軍曹殿」


「人識くんって、好きな人とか居ます?」
「なんでそんなこと聞きたがるんだよ」
「だって、いっつも私ひとりが喋ってばっかりだったじゃないですか。人識くんの
お話も聞きたいですよ」
「前にも言っただろ?俺は秘密が多いのが売りだからな。その辺のことべらべら喋ると
イメージダウンに繋がるんだよ」
「お兄ちゃんなら――双識さんなら色々話してくれたと思うんですけどね」
「妹大好きの変態兄貴だからな、前から妹欲しいとかほざいてたし。俺は別にほしくねーって
言ってるのに全然聞きやがらねーでやんの」

結局、その晩は色々話しながら眠ることになった。
人識は話した。今はもう全滅した零崎一賊のことを。
《自殺志願》の兄のこと。
《愚神礼賛》の大将のことを。
《欠陥製品》《みなものむこうがわ》の彼のこと。
《赤い請負人》のことに関しては、舞織も色々思うことがあった。
「俺はあれから殺してないが、お前はどうなんだ?」
「してないですよ、意外と何とかなるものですね。凄く辛い時もありますけど」
「本能なんて理性的であろうとすれば、意外と押さえ込めるもんだよ。その調子でやっていければいいな」
《兄》が逝き、《妹》を託されたあの日。
そして電車での対決。死を覚悟したあの瞬間。舞織が人識を庇ったの見て、あの赤い請負人は言ったのだ。
そんなのずるいと、そんなことされたら何もできないのだと。
だから、見逃す代わりに、もう人を殺さないと約束させられた。
「ホントに、どういう人なんですかね。あの赤いお姉さん。新手のスタン使いみたいな雰囲気だしてましたけど」
「正義の味方だろ、多分」
究極の暴力の具現。だというのに、あの甘さはなんなのやら。人識には理解できないし、したくもない。
人を殺さない殺人鬼。人を殺させない殺人鬼。傑作中の傑作だ。
768終わる零崎 ◆lQ0GSj49/k :2006/01/09(月) 19:34:45 ID:BX6vyIQj
む、難しい……どうしても即日えっちというわけにはいきません。
短いですがこれだけ。
769名無しさん@ピンキー:2006/01/10(火) 00:46:29 ID:dfN9q+Hu
GJ!!
むしろ俺なんかはエロ無しでも良いと思ってるんだがなぁ。
770終わる零崎 ◆lQ0GSj49/k :2006/01/10(火) 19:02:16 ID:uChqvAoF
そうしているうちに、舞織は人識の腕をそっと掴んだ。
人識は特に反応しなかった。
「人識くん…」
寒さに耐えるような声で、呼びかける。
「なんだ」
素っ気無く呟く。
「わたしを一人にしないで下さいね。もう一人ぼっちは嫌ですから」
舞織が言った。
人識は答えなかった。
「人識くん………人識くん……」
人識は答えない。人間失格は何も言わない。反応しない。ただ天井をぼうっ…と眺めている。
「人識くん……何か言ってくださいよぅ…戯言でもなんでもいいから……」
触れた手が微かに震えていた。呼吸が微妙におかしい。熱があるというのは誇張でもなんでもなかったらしい。
「お前、もう寝ろ。疲れが一気に出たんだろ。無理せず眠れ」
彼女の面倒を見るのを放棄して、どれくらい経ったのか。
その間、彼女はどうやって過ごしていたのか。
再会した時の薄汚れた風体を見ただけで、訊かなくても凡そ推察はできる。
殺す事を禁じられた殺人鬼。少し前まで普通の女子高生として生活していた少女が、ホームレスとしての
生活をする技能も覚悟もなかった少女が、どうやって今日まで過ごしてきたのだろうか。聞くまでもなく推察できる。
「起きたら……居なくなったりしてませんよね」
舞織は従おうとしなかった。この調子だと、こっちが眠れそうにない。だから戯言をいうことにした。
誠実さの欠片もない言葉で、この《妹》を寝かしつけてやろうと思ったのだ。
「一緒にいてやるよ、一緒にいてやるから…」
「本当に?もう私のこと捨てたりしない?」
「安心しろ、今度は最後まで一緒だ」
「……信用できないですよぅ」
じゃあどうしろっつーんだ。人識はそう言いたくなるのを堪えた。
代わりに、身体を動かして、舞織の頬に触れた。こんな風に人に触れるのはいつ以来だろう。人識には思い出せなかった。
「前科があるから不安になるのはわかるけどよ、これからは一緒にやってくんだ。もう少し俺を信用しろよ。
そうじゃないとやってけねーだろ?」
撫でてやると、くすぐったそうに舞織は眼を瞑った。
これで収まったか、と安堵しかけたその時であった。
「じゃあ、キスしてくださいよ。そしたら信用してあげます」
舞織は言った。まだその話続いてたんだ、とツッコム気力はなかった。
その代わり尋ねる。
「それでいいのか?」
「キスは誓い合った相手としかしないんですよ。だから、これは儀式みたいものです」
うふふふ、と熱に浮されながらも無邪気に笑う。仕方ないか、と人間失格は諦めた。
舞織は瞼を閉ざす。睫長いな、とか人識は思っている。
熱があるので上気した顔が微妙に色っぽい。
傑作だと胸中で呟いて、上から覆いかぶさるようにして、顔を近づけた。
「ん……」
熱のある唇に己の唇を静かに重ねた。
柔らくて、熱い唇の感触に少し頭がぼうっ…とした。
「んふ…んん……」
唇の隙間から吐息が漏れる。悪戯心が沸いた人識は、その隙間に舌を挿しいれた。
「んん?」
疑問符付の声。歯並を舌先でちろちろと舐め回す。
「んん、うー……」
舞織は何か言おうとするが、それは必然的に閉じた歯を開けることになる。
人識がそれを見逃すはずもなく、舞織の舌を舌先で突付いた。
「ふなっ…ふー…」
さて、そろそろ辞めておかないとヤバイかなと思ったら、舞織が逃がさじと
腕を首の後ろに回した。

771終わる零崎 ◆lQ0GSj49/k :2006/01/10(火) 19:03:46 ID:uChqvAoF
やっとキスまで。もっていくのが大変でした。
これ以降は最後まで書き上げてから投下しますので、暫く待ってください。
では、今日はこれだけ。
772名無しさん@ピンキー:2006/01/10(火) 20:44:01 ID:pT7D1H/9
GJ…!!
首を洗って待ってます
773名無しさん@ピンキー:2006/01/10(火) 22:24:33 ID:TZ5CmwKN
GJ!!GJ!
イイヨイイヨー
774名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 03:40:17 ID:9MVym8YF
途中まですいません。暴君×ぐっちゃん。ちょいS。
ノック2のネタバレ注意
775名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 03:41:09 ID:9MVym8YF

「入りますよ、暴君」
 声をかけて部屋に入ると式岸軋騎は眉を寄せた。
室内温度が低すぎるように思えたのだ。
「暴君、風邪をひきますよ」
 いまいち分別のない雑多な機材の山から青い髪の少女が出てきた。
彼女が笑っているのはいつのものことだが、軋騎を出迎えたのはをこれが初めてであり、ひどく恐れ多いことだ。
一瞬感動で身動きできなかったが、すぐに我に返って彼は少女の足元にひざまづいた。
「再会は何時間ぶりかな、ぐっちゃん」
「……百七十二時か――」
 答える途中で少女は軋騎の頬を容赦なく殴った。筋肉のない非力な腕だったが、平手ではなく拳だったこと、
また鉄くずを握り締めていたこと、口をあけていたので耐えることもできなかったこと、それらが理由になってまあまあ痛かった。
「殴った理由も当ててみようか」
「暴君をお待たせしたこと、ですか」
「あきれるくらいノロマで鈍いのね」
 なじる言葉とともに少女のコートがひるがえる。
776名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 03:42:31 ID:9MVym8YF
武骨なデザインのそれの下は裸だ。作りだすプログラムの隙のなさと対比し、死線の蒼自身は無防備にもほどがある。
日にあたらない白い体は未成熟だった。いまだふくらまない胸は、先の尖りだけピンクに染めて滑らかに下腹部に続く。
恥らうはずの部分は、うっすら割れた線が見え、申し訳にあるような短い毛は濡れて肌にはりついていた。
「呼んだら一秒で来なさい。私を待たせて退屈を味わわせるなんて、ぐっちゃんはバカなの?考えることができるんだったらできることでしょ?」
 電話でも彼女の呼び出しは五分前だ。零の領域さえ超えるかと急いできたのだがそれでも遅いらしい。
 放り出してきた仕事の山や、とぼけながらも鋭い双識の追及をかわしてきたことが脳内で思い出されたが、それでも軋騎は死線に心から謝った。
 二人には年の差などなく、心身の供給と希求しかない。
 与える側は男の切羽詰った心境など理解せずに気まぐれだ。
「最近ぐっちゃんが頑張ってくれてるって聞いたから、もののついでにご褒美あげようと思ってたのに本当にがっかりだ。
がっかりだよ。この部屋がどうして寒いかわかる?」
 首を横に振ると、少女はあっさり「じゃ、いいや」と引き下がった。
 床から膝へと、冷えた感覚はスーツ越しに伝わってきていた。
777名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 03:43:24 ID:9MVym8YF
「外に居る人間でも、暴君のように裸ではありません。居るのは変質者の中年だけです。温度を上げるか何か来てください」
「それは中年の変質者は風邪を引いてもかまわないということかな」
「そんなことは言ってません。兎吊木は風邪だろうが肺炎だろうがなんにでもなってしまえという一心で、ほのめかしたりしたかもしれませんが」
 裸で居る人間はいない、と死線はつぶやく。「いいことを聞いたよ」
玖渚友は軋騎の隣をすりぬけて部屋を出た。
 戻ってきた彼女の手には大振りの鋏が握られていた。
「ご褒美やっぱりあげるよ、嬉しいでしょうぐっちゃん。ただし」
 自殺志願を思わせる大きい刃が、軋騎の首に当てられた。冷たさが動脈をつたいシャツの襟口で止まる。
「……ねぇぐっちゃん、服がなくなったら帰れないね」
 最愛の少女は笑っている。
「着替えもないし。体格が合うとしたらさっちゃんくらい?それだってできないよね、だってさっちゃんは私を裏切らない。
命令したら絶対服従。しなくても絶対服従。本当にいい子だ。ここに入れるのはチームと直ちゃんだけだから服を持ってきてもらうのも無理だね」
 囁きは悪魔のようで、あくまでも優しい声だ。
778名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 03:44:47 ID:9MVym8YF
「裸になったらチームの皆を呼んで見てもらうから、その時はちゃんと、
『見ていただいてありがとうございます』
って言うんだよ?まさかまさかそれもできないなんて私をこれ以上失望させること、言わないでね。
――私を待たせた罪は服を切らせてくれたら許してあげる。ね、ぐっちゃん。ねえ、ぐっちゃん。私のご褒美が欲しい?」
 室内だけではなく、廊下や他の部屋にも二人以外に気配はない。吐息のかかる距離で、青い目が濡れた視線を向ける。
軋騎は少女に触れそうになるのをこらえながら、なるべく不敬にならないように顔をあげて目を合わせた。
「それで暴君が許すというなら」
 刃が動き、ジャケットの襟が大きく切り裂かれる。
「言うの、間違えたんだよね?」
「……はい。暴君の手で切っていただきたいというつもりでした」
 青い存在はゆっくりうなずいた。
金属の触れる高い音が響く。
779名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 03:45:59 ID:9MVym8YF
シャキン、と鋏が鳴るたびに軋騎のスーツはゴミ屑になった。
ボタンをひとつ、丁寧に切り取ったかと思うと次は荒っぽくYシャツを裂く。
刃先が触れて細長く赤い線が走ったが、二人とも痛みを気にすることはなかった。
筋肉が露出していくプロテスを、青い目が嬉しそうに見守る。
その楽しげな様子を満ち足りた気分で男が傍観する。
「立って」
 軋騎の体は無音で無駄なく動ける。が、さすがに布切れ――
というよりすでに色のついた糸くずは、かすかな振動にさえも負けて床へと舞い落ちた。
ベルトも、バックルを外すのではなく革自体を切る。
手が痛くなったのか二回目はなかったが、一度きるだけで十分再使用不能だ。
 そして、下着にかかる。
「少し、充血してるのかな? ぐっちゃん」
見てわかることを彼女が確認する。
 もったいぶり、わざと迷った手つきで死線は布の上から性器をなぞった。気まぐれでそこも切ろうか、などと彼女が言い出さないかと
軋騎は内心の警戒を出さないように装っていたが、鋏がそのまま腰のゴムを切ったときはさすがにほっと息を吐いていた。
780名無しさん@ピンキー:2006/01/13(金) 02:01:42 ID:3B8ZJ0+T
乙乙
良い感じ
781名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 00:28:31 ID:ncAjNt4q
非エロでも良いから戯言シリーズのSS沢山あるとことか無いかしら
もしくはリンク集とか
googleで探してもあんまし見っかんないよ
782名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 00:30:29 ID:Nqr1Uby8
>>781
つ【ヤフー】
783名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 01:28:03 ID:QImI2Jph
240*search!
784終わる零崎 ◆lQ0GSj49/k :2006/01/14(土) 14:11:36 ID:jhwqDLdw
>770
これはどうしたものやら。人間失格は考える。キスしている。
現在はむしろされている方だが。正直気持ちよくて脳髄が蕩けそうだ。
結論。剥くか。決めると実行までは限りなくスムーズであった。唇を離して息を吸う。
もう一度キスをする。強く深く吸う。ざらざらと舌を絡める。
息が続く限り、舌を吸ったり絡めたりする。
酸欠になる寸前、唇を離す。舞織は息も絶え絶えの状態に陥っている。
快楽と酸素不足でふらふらになっている間に次の行動に移る。
バスローブを剥いで滑らかな裸体を晒す。舞織は身を捩り、顔を覆った。
だが、まだ発育する可能性を秘めた形のよい乳房や、湯上りでピンク色に染まった
お腹とかは隠していない。やんわりと乳房に触れながら首筋をペロリと舐める。
「ひゃうっ」
と、舞織が震えた。ちゅうと吸いながら、乳房を揉み始める。
「はうぅ、変な感じが、あぅ」
円を描くように優しく乳房を動かして、
「ふぅ、そんなにされたら、あっ」
乳首を口に含む。
「ふにゃあ」
乳首を吸うと舞織が鳴いた。
反対の乳首をくりくりと弄る。瞬く間に硬くなり、つんと勃起した。
舞織は感じやすい体質らしい。あらゆる愛撫に恥らいながらも応え、身体が溶けてゆく。
太股を擦り合わせ、もっともっとと身体が刺激を欲している。
太股の合わせ目に手を伸ばすと、蜜が垂れていた。
「感じやすいんだな、舞織」
耳を甘く噛みながら囁く。
「ふなぁ、人識くんが、うなぁ、上手だからですよぅ」
かかる吐息すら快感なのか、びくんびくんと振るえながら舞織は抗弁した。
「ふぁ、私、初めてなんですよぅ」
「あ、左様で」
相手の事情が分かったところで、斟酌しないのが零崎人識が人間失格と呼ばれる由縁である。
耳を舐めながら太股の内側に指を侵入させて、愛液を潤滑油として、秘裂を撫でる。
「うっひゃあ」
変な声をあげる舞織に委細構わず、水音をさせながら割れ目を擦る。
「なんつーか、恐ろしく感じやすいな、お前」
呆れた様に呟きながら、体勢を変え、既に勃起した逸物を取り出す。
好みから外れているとは言え、ここまでやっておいて発情しないほど、人識も偏屈ではなかった。
「入れるぞ、覚悟はいいな」
「あの、出来れば痛くないように。痛いの、嫌いなんですよ」
「かは、初めては痛いって相場が決まってるからな。大人になる痛みってやつだ、少しだけ我慢しろよ」
人識は躊躇というものをしなかった。入り口に宛がい、潤滑油で半ばまで入れると、一気に処女膜を貫
いた。舞織の背中が弓なりに撓った。苦痛はむしろ、後からじわりとやってきた。
「いっ…痛い……痛いですよぅ……」
初めて胎内に異物を入れるその痛みに、はらはらと涙が零れ落ちる。
痛いと訴える舞織に、人識は腰を動かすことで応じた。
「はっ、あ、い、いたいぃ、あぐっ、ふぅ」
舞織は泣きながら喘ぐ。人識はゆっくりと腰をグラインドさせる。
暫く舞織は泣き止まなかった。そして人識はゆっくりと動かしながらも止まることはなかった。
逸物で膣内を擦り、無慈悲に掻き回す。そうやって動かす内に、舞織の反応に変化が生じてきた。
脚を絡めて、必死に身体全体でしがみ付き、呼吸と喘ぎ声がやや落ち着いてきたのだ。
「なんか、あっ、少し、痛みが、はっ、減ってきたみたい…ひぁっ!」
実際、舞織的には痛みが鈍痛に変わってきた程度である。しかし、熱が痛みを誤魔化している様で、
喋る余裕ができたのも事実である。
ちろっと、人識の首筋を舐めると、人識は驚いた。
舞織は笑っていた。ぎこちないながらも、人識を安心させるように。
785終わる零崎 ◆lQ0GSj49/k :2006/01/14(土) 14:12:21 ID:jhwqDLdw
>784
また変なのと縁ができたな。改めて人識はそう思う。
あの時、兄貴の腕の中で、血塗れになりながらも笑っていた新しい《零崎》。
あの時も思ったのだ。変なやつだと。
面倒くさいと思いながらも、義手の手配をしてやった。
別れた後も、心の片隅に彼女のことが引っかかっていたのも事実だ。
そして再会したこの新米の《零崎》を前にして、何を思うというのか。人識はわからない。
そしてこの少女は何を思っているのか。等しくわからない。

人識は笑わなかった。ぐいぐいと腰の動きを強めて、射精を促す。
その動きにあわせて舞織の身体が踊るように動く。
「いくぞ」
短く終わりを告げる。
「うっ、いあっ、は、もう、痺れて、あっ…!」
人間失格は逸物を引き抜き、腹の上に射精した。

何とも言えぬ時間が流れた。無駄に喋りまくる笑顔の素敵な殺人鬼・零崎人識が
非常に居たたまれない気持ちを抱きながら、天井を見つめている。
《自殺志願》を継ぐ者・零崎舞織も、ぼんやりと天井を眺めている。
何を言うべきか、何も言うべきではないのか。
「あのさ」「あのう」
「「………」」
「何だよ」
「人識くんこそ、どうしたんですか?」
「……あれでよかったのか?今更よくないとか言われても手遅れだがな」
「人識くんは、嫌だったんですか?」
「別に、俺は良かったなーとしか言えないけどな。気持ちよかったし、反応よかったしな」
「うー、私も途中までは気持ち良かったですから、良かったです。まあ、破瓜の痛みは通過儀礼ですし、
根に持ったりしませんよええしませんとも」
じとりとした視線を人識に向ける。人識は笑った。
「じゃあ、いっか」
「でも、これでずっと一緒に居られますね」
ああ、そんな話もあったっけ、と今更思い出す人識だが、流石に口を出すのはやめておいた。
本当に、傑作だぜ、なあ欠陥製品。胸中で呼びかける。
786終わる零崎 ◆lQ0GSj49/k :2006/01/14(土) 14:16:29 ID:jhwqDLdw
>785

「これからどうするんですか?何処へ行くんですか?」
「特にあてはねーな。やることと言ったら、零崎を終わらせるぐらいしか
残ってねーし」
「終わらせたら駄目ですよ」
「なんで?」
「新しい弟や妹が出来るかも知れないのに、終わらせたらその子たちの居場所が
なくなっちゃいますよ」
舞織はそう主張した。
だから、

「零崎は当分終わりそうにないぜ、欠陥製品」

                                  【零崎は終わらない?】
787終わる零崎 ◆lQ0GSj49/k :2006/01/14(土) 14:18:33 ID:jhwqDLdw
完結しました。本当はもっとエロ長かったんだけど、データが途中で消えて、打ち直すのが
苦行だったので短縮になってますごめんなさい。
ではこれで。
788名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 17:43:30 ID:6Sohrs4b
>>787
GJ!

貴方は最高ですね。

―――合格
789名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 11:25:36 ID:qx4x0H32
>>787 GJ!お疲れさまでした!
790名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 18:51:01 ID:UqBiAli2
>>767
GJ!GJ!
やっぱりこの二人はくっつきそうですね。
とりあえず舞織可愛いよ舞織
791名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 23:25:18 ID:sdWT8hco
揚げ
792名無しさん@ピンキー:2006/01/17(火) 03:20:34 ID:OwfWvudw
職人の帰還を求む
793554:2006/01/17(火) 04:54:13 ID:Ev9lgHoi
現状報告
あ〜、うん。データ消失しました
打ち直すほどの気力も無いのでゲーム作りに勤しんでます
……流れとしては、策師っ娘が押しかけてくる⇒3日間同居(進展無し)⇒3日目に
デート⇒狐さんと行った料亭に行く
⇒ただし潰れてて「LOVE HOTELL きのぬくもり」に成ってたのに気が付かず入る⇒溜
まりかねた策師が押し倒す
って流れでした

誰か代筆を……

794名無しさん@ピンキー:2006/01/17(火) 12:37:57 ID:L/4vnMaY
>>793
きのぬくもりw
そのゲームに木の実ちゃんは出てきますか?
795554:2006/01/17(火) 17:54:04 ID:Ev9lgHoi
>>794
ごめん、自分は策師萌えなんだ、だから…

やる気が戻りしだい打ち直すのでそれまで保守ヨロ
796554:2006/01/17(火) 17:57:40 ID:Ev9lgHoi
>>794
ごめん、自分は策師萌えなんだ、だから…

やる気が戻りしだい打ち直すのでそれまで保守ヨロ
797名無しさん@ピンキー:2006/01/17(火) 18:14:11 ID:OwfWvudw
>>554
漏れも策士萌え燃えだ!!
期待してるわ!!
798名無しさん@ピンキー:2006/01/18(水) 03:23:52 ID:Dfanlzeq
799名無しさん@ピンキー:2006/01/18(水) 03:47:12 ID:Dfanlzeq
つまり木の実は出ないけど策師はでて来るのか!
もしもそうなら消えた文章だけじゃなくてそっちも完成したら教えてくれ
そして出来ることなら是非双式さんを

ひぐらしデイブレイクの戯言版がでないだろうかと期待してる
800名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 01:48:02 ID:HPApQJ1O
今月一杯受け付けてみようと思う
暇ならやってくれ
西尾最萌決定戦
http://vote2.ziyu.net/html/zaregoto.html
801名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 08:17:04 ID:uSNP403k
誰か、赤い人vs範馬勇次郎のSS書いてクレ!
802さよなら戯言先生:2006/01/19(木) 22:39:00 ID:Ay0lQgpN
エロなし

 11

 まあ、初めからわかってたけど、さ。
 とはいえ新年早々、気持ちが滅入ってくるのは、致し方ないだろう。
 努力というのは例え実を結ばなくとも、それだけで認めてもいいと思うし、もしかしたらその姿は、美しいのかもしれないけど。
「…………」
 ある意味ではぼくの手にするこの、採点し終えたばかりの答案用紙も、そんな感じではあるのだけれど。
「どうですぅ師匠? 姫ちゃん頑張ったでしょ?」
 柑橘系の匂いがする。
 赤ペンを置いたぼくに気づいて、人ん家の蜜柑を遠慮なしにパクパクと、暢気にバラエティ番組など見ながら食べていた姫ちゃんが、
一応は口元を抑えながら、でもモカモカと頬を動かしつつ、期待に瞳を輝かせて振り向いた。
 コタツに入って蜜柑を食べながらテレビを見るのは、正しい日本人の正しい正月の過ごし方だから、まあそれは別段どうでもいい。
「…………」
 訊きたいのはどうしてそんなに、一体全体いかなる根拠があって、季節外れの向日葵みたいな笑顔を向けてくるのかということだ。
「どんなもんですですぅ? 師匠に特訓してもらった成果、ちゃんと出てますですか?」
 うん。
 ちゃんと出てはいる。答案用紙からは努力した後は確かに窺える。
 駄々をそれこそ毎日毎日、一時間おきにこねまくってくれたが、それでも姫ちゃんは、塔アパートの空き部屋に勝手に住み込んでまで、
冬休みの校外補習を皆勤賞で出てくれた。
「…………」
 だがいまこの《戯言遣い》が、教師として姫ちゃんに伝えるべきは、答案用紙に記入された点数、その残酷な結果のみなのだろう。
「完全に間違っているという点に目を瞑れば、姫ちゃんの答案用紙は概ね正解だけだよ」
「ふぅん?」
 ぼくも大概丸くなったもんだ。
 昔のぼくであれば点数を告げた後で、甘えるな、と容赦なしの追い討ちを掛けてるだろう。本当に丸くなったもんだ。
 などと感慨にふけながら、姫ちゃんに貰った腕時計を見る。
「それじゃ今日は終わりにしようか。……そろそろ時間みたいだし、みいこさんを呼びに行こう」
 時間はちょうど八時を回ったところだ。
 みいこさんだけでなく、崩子ちゃんも萌太くんも、行く準備はもう出来てるだろう。
803さよなら戯言先生:2006/01/19(木) 22:40:31 ID:Ay0lQgpN
「初王手ですか?」
「それは初詣と言いたいんだろうけど、残念ながらどっちも違うよ。巡回……みいこさん風に言うと、市中見回りに行くんだ」
 そしてもちろんだが、市中見回り、その言い出しっぺもみいこさんだ。
 一時ほどではないにしても、このアパートは建て替える前からずっと、様々な問題をこれでもかとばかりに次々と起こしている。
 知り合いの女刑事さんのところで、大体は止めてもらっていたりはするのだが、一般人の近隣住民の方々にはいつも迷惑を掛け通しだ。
 これで印象が少しでも良くなるなら、安いものだろう。
 荒唐丸さんと奈波の二人は、正月だというのに仕事で不参加だが、残りの面子は、久々に帰って来た萌太くん含めて全員参加である。
 ちなみに姫ちゃんには、今日のことは誰も伝えてない。
 いや、ぼくが伝えるはずだったんだけどね。さっきまでそりゃもう、キレイさっぱり忘れてた。
「どうする? 姫ちゃんも来る?」
「そりゃもちろん行きますですよ」
 類は友を呼ぶと言うべきか、姫ちゃんはこの短い期間ですっかりと、昔から住んでいたように、塔アパートの全住民と馴染んでいる。
 参加するのは当然だと言わんばかりだった。
 ぼくもそう思ったからこそ、姫ちゃんが来るのが当たり前だと感じたからこそ、伝えるのを忘れてた――ということにしといてほしい。
「戯言だけどね」
 何年経とうが定評のある、ぼくの記憶力の悪さは、やはり今年も健在みたいだった。
「……でもさ、そりゃないだろ?」
 右目だけにかろうじて名残を残す――元青色サヴァン。
 直視できないほど眩く、そして悲しいばかりの、忘れない能力を失って久しい玖渚にさえ、病院に行こうと心配されたほどである。
 真顔で言われたときには、さすがにちょっとヘコんだ。
 あいつとはイヴから会ってないが、どうせまだ《チーム》の連中が居るんだろうから、とても城咲のマンションに行く気にはならない。
「特に兎吊木のやつがなぁ」
 話しかけられたわけでもなく、意味深に微笑みかけられただけだが、それだけで、聖なる夜がとてつもなく穢された気分になった。
 もうあの男の存在自体が猥褻物である。
 ちぃくんはいまも服役中だから、直接会ったことはなく、その人と為りをぼくは知らない。
 だから無責任に言えるのかもしれないが、刑務所なんぞを住処とするのは、あのロリコンの変態にこそ相応しいと思う。
804さよなら戯言先生:2006/01/19(木) 22:41:59 ID:Ay0lQgpN
 などと。
 心底からどうでもいいことを考えていたら、みいこさんの部屋の前に着いていた。
「…………」
「どうしたですか師匠?」
「……いや、別になんでもないよ」
 新年早々から決して無限ではなく有限な時間を、ひどく詰まらないことに使ってしまった気がする。
 細菌野郎め。
 ぼくは偏頭痛でもあるように、ふるふると頭を軽く振って、チャンネルを無理から変えると、みいこさんの部屋のドアをノックした。
「応、しばし待て」
“カチャッ”
 そう言ったのにドアはすぐに開いた。
「…………」
「ん? どうした、いの字?」
 予想通りと言えば予想通りだが、それでも多分おそらく、ぼくの顔は複雑なものになってたんだろう。
 みいこさんが、市中見回り、なんて名詞を使ったときから、何となくは思っていたのだが、やはりこの人は直球ストレートの人間だ。
 今日もサムライみたいなポニーテールに甚平姿だが、その甚平は鮮やかな水色と白の、ど派手なだんだら模様である。
 背中に記されているだろう文字は、敢えてわざわざ見るまでもあるまい。
「……キンノーでも斬りに行くんですか?」
「うん。それはわたしとしては望むところではあるんだが、いの字、残念ながらこの時代の京都に、悪逆非道のキンノーはいないぞ?」
「…………」
 みいこさんはあまり冗談などは言わない人だ。
 腰に差してあるものが気にはなったが、ぼくはなにも見なかったことにする。
「崩と萌は下で待ってるそうだ。早く行ってやるとしよう」
 鍵をかけたとき見たみいこさんの背中には、やはり去需を許さない《誠》の一文字が記されていた。士道不覚悟は切腹なんだろうか?
 訊いてみたい気もするが、表情一つ変えずに、みいこさんは頷きそうだから怖い。
 触らぬ神に祟りなしで、それから無言で下まで行くと―― 玄関脇に二人。右に一人、左に一人。
 まるで待ち伏せでもしているように、アパートの入り口に、二人が立っていた。
 一人は垂れ目の少年。
 脚が長く胴は細い、均整のとれた、いかにも敏捷そうな体型。黒い前髪を垂らしていて、両手をポケットに入れ、煙草を咥えている。
 お正月だから帰って来ているが、彼は四年前にアパートを出て、現在は東京で一人暮らしだ。
 仕事はホストをしているらしいのだが、それは本性さえ出さなければ、萌太くんには天職と言えるだろう。
 彼が夜王と呼ばれる日も、そう遠くはないはずだ。
805さよなら戯言先生:2006/01/19(木) 22:43:34 ID:Ay0lQgpN
 そしてもう一人はおかっぱの少女。
 真っ白い肌にまるで血のように赤い唇。
 酷く冷めた、軽蔑でもしているかのような冷たい視線で、こちらを、睨みつけている。
「萌太くん――崩子ちゃん」
 二人の名を呼びつつ、ぼくは以前にも、こんな感じで対峙したことがあるような、そんなありもしないはずの既視感に襲われた。
 ジャメヴュってやつなのか? なぜか妙に腹が疼いたりするが。
「崩子ちゃん?」
「…………」
 そしてどういうわけだかぼくに、少女から浴びせられるプレッシャーは、重苦しい沈黙で持って容赦なくのしかかってくる。
「こうしてこのアパートを見上げたのは、まだ数えるほどですけど、どちらがいいとはいいませんが、前の方が味がありましたかね?」
 萌太くんは空気を察したのか、それはわからないが、場を和ませるような美声で言った。
「どうだろうね? 建て替える前もかなりイカしてたけど、これはこれで住んでみると、中々に悪くはない。そうだよね崩子ちゃん?」
 我ながら情けない。
 ご機嫌伺いがありありのチキンの声だった。
「……どうでしょう」
 でも崩子ちゃんの声は態度と変わらず、ひんやりとした冷気を纏ったままである。
 おかしいなぁ。ぼくは気に障ることを何かしたんだろうか? 
 しかしそんな記憶は、まぁ、ぼくの記憶など当てにはならないが、まったく全然これっぽっちもありはしない。
 第一ここ最近は、クリスマスは玖渚&《チーム》の連中とつるんだり、暮れは突然お呼ばれして、狐さんとこの忘年会に出席したり、
年末から年始はといえば、姫ちゃんの補習に掛かりきりだったりと、ほとんど崩子ちゃんと過ごす時間などなかったのだ。
「…………」
 そう。何か気に障ることを仕様にも、これでは何も、ぼくには出来るわけがないのである。やれやれ。ほんと年頃の女の子は難しい。
「あのさ姫ちゃん。姫ちゃんは何で崩子ちゃんが怒ってるか、わかったりする?」
 小声で隣りにいる弟子に聞いてみる。
「……きっと師匠にデリカシーがないからですよ。ここで姫ちゃんに訊いたりしたら、能登の三つ編み、アブラカタブラです」
 なんだそりゃ?
 いつも通りに言葉を間違えてるんだろうが、姫ちゃんの意見を聞いて、ぼくは増々、崩子ちゃんが何を怒ってるのかわからなくなった。
 弟子は言葉を間違ったが、師匠であるぼくは、人選を間違えてしまったかもしれない。
 帰って来たらお年玉でもあげるとしよう。そうすると姫ちゃんにも、あげないわけにはいかないが、二人分くらいならお金も大丈夫だ。
 ちなみに高海ちゃんと深空ちゃんは、渋々ではあるものの、ぼくに言われて澪標の実家に帰省中。
 親孝行がまだ出来る環境があるのならば、出来るうちにやっておいた方が、それはやはりいいに決まってる。
806さよなら戯言先生:2006/01/19(木) 22:45:06 ID:Ay0lQgpN
 彼女達の実家の稼業。
 あちら側の世界の孝行というものが、一体どういうものか、ぼくは言ったときは、もちろんあまり深くは考えてはいなかったが。
「気合入ってたもんなぁ二人とも。帰るときは僧伽梨着てたし」
 早まったかもしれない。
 だが今年年賀状が出せない人がいても、そんなことは一切合切、ぼくの知ったことではない。
 知りたいことではない。
 だから、二人がこのアパートに戻ってきても、ぼくに孝行の内容は伝えないでほしい。……どうかお願いします。
 と。
「いの字、どのあたりまで行こうか?」
 ぼくが慣れた自責の念に囚われていたら、後ろから、心がざわついていたのに、それだけで落ち着きを取り戻し、安心させてくれる声が
かけられた。
 朴訥な無表情。
 このお姉さんをよく知りもしない人が見たならば、とてもじゃないが気づきはしないだろう。気づいたらその人はちょっとおかしい。
 浅野みいこは燃えていた。
 市中見回りがそんなに嬉しいのかなぁ?
 けれど喜びを抑えきれない(これでかなりマックスに近いくらい喜んでる)みいこさんを見ると、それだけでこちらも嬉しい。
 思わず舞い上がってしまった。
 素面じゃこんなセリフ、とてもじゃないが言えやしない。ぼくは、精一杯格好つけて、彼女に応える。
「あなたと共に、行けるところまで」
 完全確実に舞い上がっていた。何の戯言も出てこないくらいに、それはもう究極絶無で舞い上がっていた。
「…………」
「…………」
「…………」
 崩子ちゃんは腕を組み、姫ちゃんは黒い手袋を填め、萌太くんは屈託なく笑い、みいこさんは……いつもと変わらない。
 あれ?
 と思ったら、ぼくからついっと目を反らした。でも照れているかどうかは微妙なところだ。
 うっすらと、本当にわからないくらい、微かにうっすらと、頬が赤く染まって見えるのは、あまりにも自惚れが過ぎるだろうか。
 お年玉を貰った気分。
 色々な角度から色々な意味の視線が、ドスドスと、音を立てて身体に突き刺さるのを感じる。
 しかしこの人は、ぼく以上に思わせぶりな人だ。たまらなくぼくを奮い立たせてくれる。あなた以外のサムライは考えられない。
「…………」
 まぁそれはそれそれとして、結局何だかんだで出発は、それから三十分後だった。


今回はここまで。去年は読んでくださった方、レスくださった方、ありがとうございました。
807名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 22:47:23 ID:/UnYGqm1
GJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
初めてのリアルタイムが戯言先生キタァ!!!!
なんかもう、書籍化してほしいぐらいですね。
808名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 00:41:30 ID:JznYO6gE
GJ!!
今年も楽しみにさせてもらいます。
809名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 03:02:36 ID:ytjcFf/1
先生がキタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
810名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 04:44:05 ID:TnzxhYOL
キタキタキタ!!
相変わらずのいーちゃんのとぼけっぷりが最高っす!!
よくぞここまで原作風味を出せるものです。

アンタ最高だー!!
811名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 12:02:53 ID:cDL34QxT
キタコレ!!!!1!1!!!
GJ!!!!

折角だから言わせてもらう。

既視感はデジャヴだー!
812名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 14:32:56 ID:zOGJjkjg
よっしゃ待ってましたァッ!GッッッッJ!
813名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 20:44:40 ID:lV93a13T
初王手とか能登の三つ編みとか姫のトリぷった誤表現が忠実に再現されてるのが素晴らしい…
巫女子の難解な例示もきっちりこなしてたしすげえよ。
つうか萌太ホストかよ…ホストかよ!
ああもうこの本編で呆気なく淘汰されていった数々のキャラが生き生きと動いてるのがたまらんっ!
最高!!!
814名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 21:29:15 ID:4Jdh2KCZ
あなた以上のサムライて……メイドはどうしたw
ともあれ、GJ!!
815名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 17:10:06 ID:ZJ6FeH1J
>>775さんマダー?






いや本気で楽しみです頑張って下さい
816名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 20:29:39 ID:OOcw1r2A
こんなのを立てたので、興味のある方は是非に来てください!
『戯言格闘ゲームを企画しないか?』
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gameama/1137842747/l50
817775:2006/01/22(日) 00:06:27 ID:rqJpDwPC
火曜まで仕事たてこんでるので、しばらく放置プレイをハァハァしてお楽しみください
いやまじごめんね。
818名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 13:20:43 ID:SRCwLEWT
それでは遠慮無く。


放置プレイ(;´д`)ハァハァ
819名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 23:04:47 ID:Vc7t2kVF
先生GJ!
放置の方もお待ちしております。雪国につき全裸に毛布で。
820名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 01:15:19 ID:D/WTxSrT
>>801
哀川さんじゃないが、いーちゃんVS勇次郎の話なら
マロン板のSS保管庫にあったよ。
原作の雰囲気うまく出してて面白かった!西尾氏に読ませて感想
訊きたいくらい
821名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 09:03:33 ID:PuZzxs5w
>>820
詳しく
822名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 20:48:21 ID:Buhg5q14
人類最強の請負人に対して地上最強の「生物」
二つ名からして既に負けてる感があるな、どうでもいいことだが。
823名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 23:25:04 ID:R8F74YR6
ttp://ss-master.sakura.ne.jp/baki/index.htm
確か短編のコーナーに、
『殺人鬼とオーガの鬼事』『戯言遣いとオーガの賭け事』
の二つがあったと思う、たぶん。
824名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 10:10:08 ID:xA6r/0uq
>>823
thx. 読ませてもらいましたー。
825820:2006/01/25(水) 21:20:06 ID:VwOMviDF
>>823
私に代わって紹介ありがd。そこの作者さんは相当な西尾作品好きらしくて、
狐さんがラスボスのドラ映画的長編も書いてらっしゃる。
まだ途中までだけどそっちもオモロイ!同じ西尾ファンとしてはこういうの
発見すると嬉しいね。
826それから。一里塚木の実の場合。:2006/01/25(水) 22:19:34 ID:XlGD8cpF
 照明が暗くて店内が良く見えないが、こういう店は大体こういうもんなんだろう。
「多分」
 ぼくは未成年だし、アルコールも嗜まないので、BARみたいなお店はほとんど来たことがなく、何だか随分と落ち着かないけれど、
こういう人と来るのなら、呑みはしないがたまには悪くない。
 一里塚木の実。
 知り合ってから長いわけではなく、だから勿論彼女が、ぼくに見せてない部分は、まだまだそれはいくらでもあるだろう。
 しかしそれにしてもこれは、また随分とイメージが違っていた。
“カランッ”
 静かに置かれたショットグラスから、丸くカットされてる氷が、小気味良く鳴るのが耳に心地よい。
 この感想は失礼かもしれないが、意外性も手伝ってか、その立ち振る舞いは堪らなく格好良く、滅茶苦茶ばっちり決まっている。
 大人の女性なんだと、改めて思い知らされた。
 例えキャラがかぶってはいても、ぼくと彼女とでは、深みのようなものがまるで違う。
「本当を言うとわたくし、詩集とかあまり好きじゃないんです」
「おい」
 爆弾発言だった。
 まぁ薄々は感じていたけど。コクトーとかはいくらなんでも、ちょっと嵌りすぎなくらい嵌りすぎだったし。
 でもこの人やっぱり、その辺はしっかりと、そしてちゃっかりと、キャラを作ってたんだなぁ。
「十三階段がもうああして解散、……いえ、解体したからには、司書のキャラクターを、これ以上演じる意味もないでしょ?」
「……そりゃそうかもしれませんけど」
 確かにあの変わり者集団の中にいるからこそ、求められたからこその、おそらく彼女なりに考え抜いたキャラクターだったんだろう。
「何となく始めたんですけど、狐さんが絶賛するものですから、わたくし引っ込みがつかなくなってしまって」
「……おい」
 さっきからわざとじゃねぇだろうな。
「その喜んでくれた人から、必要とはされなくなったのですから、続けるのはちょっとだけ悲しいです」
 他の階段はともかく、二段目と七段目は、フラれたようなものだ。
 張本人である狐さんには、その自覚は微塵もないのだろうが、尽くしてきた彼女達からすれば、結果としてそういうことなのだろう。
827それから。一里塚木の実の場合。:2006/01/25(水) 22:21:13 ID:XlGD8cpF
「そう言えば《いーちゃん》さん、何でも澪標姉妹に惚れられたとか。若い娘の切り替えの早さは、こういうときは羨ましいですね」
「…………」
「可愛い双子の姉妹に惚れられるなんて、ひゅーひゅー《いーちゃん》さん、やーらしーい」
「…………」
 あれれ? 何だろうな? 全然嬉しくない。どころか猛烈に鳥肌が立ってきた。店内は暖かいはずなのに、酷く身体がぞくぞくする。
「気持ち悪くて見るに堪えなかった絵も、あなたという人物を、少しとはいえ知ったいまなら……案外と悪くない」
「…………」
 口調からすると木の実さんは、ぼくを褒めて、というより認めてくれてるんだろうが、全然これっぽっちも嬉しくはなかった。
 その絵の本質は同情の余地がまるでなく変わらないから。
「木の実さんだって、まだまだ十二分に若いじゃないですか。これからいくらだって良い出会いがありますよ」
 他人事だと思って無責任なことを言ってみる。
 昔の安っぽいドラマや啓蒙セミナー、はたまたもっとストレートに、出会い系サイトの誘い文句みたいな、我ながら軽いセリフだった。
 第一からしてぼくは、人に慰めにも似た言葉を、偉そうに、わかったように、掛けられる立場なんかじゃない。
 ここにキテも心の奥底に沈殿する、青色に対する女々しい未練は、まったく消えてなどいなかった。否、大きくなるばかりである。
「ふふっ。《いーちゃん》さん、あなたにもきっと、良い出会いがありますよ」
「…………」
 やれやれだ。
 慰める? 慰めるだって? 誰が? 誰を?
 口元には自然と笑みが浮かびそうになる。変わらない自分の道化ぶりが、堪らなく可笑しかった。もちろん……笑えやしなかったけど。
「でも良い出会いって言っても、どうしたらいいんでしょうね?」
「……さあ」
 人間関係の構築について、ぼくに意見を求められても困る。そんなものを欲したことは、この十九年間一度もないのだから。
「木の実さんはいままで、そういった出会いはなかったんですか」
 眉根をちょっと寄せながら、うぅ〜〜んと、頬に手を当てて、子供みたいに小首を傾げる木の実さん。
「ないですね」
 そのわりには答えはあっさり目だった。
「そちら側はともかくとして、こちら側の世界の場合、出会ったらまず、好きか嫌いかより、敵か味方かが優先されますから」
「はぁ……。なるほど」
 そして味方になった者も、いつ手のひらを返すかわからない。そりゃあまともな出会いなどないはずだ。
「《いーちゃん》さんはどうですか? 普通の大学に通ってますし、女の子と合同コンパというのは、したことあったりします?」
「ないですね」
 即答。
 ぼくに甲斐性がないのもあるが、よく知りもしないどころか、会ったばかりの人としゃべったり、まして騒いだりは好きじゃない。
828それから。一里塚木の実の場合。:2006/01/25(水) 22:22:43 ID:XlGD8cpF
 しかしどうだろう? 
 いくら似たキャラ同士とはいっても、こんなところまで似なくてもいいと思う。お互い答えに迷いがまったくなかった。
 まぁ、木の実さんとぼくとでは、根っ子の理由が大分違うのだけれど。
「そもそもわたくし、お恥ずかしいですが、この歳になっても男の人と付き合った経験ないんですよね。片想いが長かったものですから」
「はぁ……。なるほど」
 それも一緒だ。
 互いをわかっているようで、本当にはわかろうとしなかった停滞の六年。隣りに居て手を繋いでいても、それはやはり片想いだろう。
「だからまるでわからないんですよ。微妙な距離感というか、雰囲気というか、間というか」
「はぁ……」
「だからいきなりで……申し訳ありません」
“チャリンッ”
 耳朶を打つ音に思わずそちらを見る。これは文明社会に毒された人間の、言ってみれば本能のようなものだ。逆らうことはできない。
“チュッ”
「!?」
 床には十円玉がころころと転がっていた。
「…………」
 だが、そんなものは、どうでもいい。十円だろうが十万円だろうが、そんな些細なことは知ったことじゃない。
「…………」
 目を床から木の実さんに移す。目に木の実さんを映す。
 冷たいメガネのフレームが、ちょんと、軽くだが目尻の辺りに触れてた。唇にも……すごく柔らかいものが触れてた。
「この際だから言ってしまいますが、わたくし、狐さんにフラレて自棄を起こしてます。でも、あなたに興味があるのもご了承ください」
 木の実さんは唇をそっと離すと、甘い息を吹きかけるように囁く。
 その声には何だか、小さな子供に言い聞かせるみたいな、とても親しみやすく優しい響きがあった。
 彼女は屈託なく、ぼくへと微笑んでる。
「……事情は痛いほど、本当によくわかりますが。だからって、いきなり人に唇を重ねるのは、ぼくも一応男ですから問題では?」
「ご迷惑でした?」
「…………」
 そうだというにはあまりにも、木の実さんの柔らかな唇を見つめるぼくの視線は、あまりにも熱っぽすぎた。
「……いや、別に」
 これが精一杯。そして意味などない悪足掻きだ。
「もう一度、してもいいですか?」
 木の実さんの伸ばされた綺麗な指先が、すぅ〜〜と滑って、その形と柔らかさを確かめるかのように、ぼくの唇をゆっくりと撫でる。
 それだけなのに、背中が、ぞくぞくとした。
829それから。一里塚木の実の場合。:2006/01/25(水) 22:24:58 ID:XlGD8cpF
「すいません。人前でそういうことするの、好きじゃないんですよ」
 往生際が悪いとは思う。
 いつもは簡単に状況に流されるのに、何故こんなときだけ、こんなにも意固地になってるのか、ぼくは自分で自分がわからなくなる。
 もっともそれも、いつものことだけれど。
「なら、人前でなければ、構いませんよね?」
「えっ!?」
 彼女のセリフに辺りを見回す。どういう意味かはわかってはいたが、それでもぐるりと、首を回さずにはいられない。
 店内には、ぼくら以外、誰も居なくなっていた。
「わたくしはそう呼ばれるの、好きではないんですけど。お忘れですか? わたくしの肩書き?」
 知っている。
 しかし、知ってはいても、驚かずにはいられない。
 彼女はこれを誰にでもできる技術だと言っていたが、仕掛けがわかっていても、出夢くんが異能だと評したそっちの方が余程頷ける。
「これで問題ありませんよね」
 微笑む彼女に心臓が、ドキリと、大きく大きく高鳴った。


今回はここまで。
戯言先生を読んでくださる方レスくださる方、いつもありがとうございます。毎回の修正もとてもありがたく助かってます。
ここからは投下がスローペースになるとは思いますが、出来たらお付き合いお願いします。詰まったら合間に戯言先生を投下するかも。

>>823のサイト読ませていただきました。メチャメチャ面白かったです。教えていただいてどうもです。
830名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 00:39:59 ID:flDm2qs5
この流れは、もしかしなくても先生のエロが読めるのか……?
導入部だけで、早くもwktkが止まらないw
831名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 00:58:22 ID:VT0WsVNg
これは戯言先生の外伝とかスピンアウト的位置付け?
戯言先生XRATEDなのかしら
832名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 10:36:39 ID:bISyfbA0
十三階段が解散していて、いーちゃんがまだ大学生で、“青色に対する女々しい未練”をもっていて、
タイトルが「それから」――なので、原作の空白期についての作品ではないかと。

GJ!!のんびりお待ちしています。
833名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 15:40:15 ID:4pUGTqih
『戯言格闘ゲームを企画しないか?』に何か無駄な燃料が投下されてるわ

萩原子荻/人類最知の策師
特徴:忍術が使えます
www
834名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 20:02:24 ID:VT0WsVNg
西尾さんよ、すでにお亡くなりのキャラで萌えさせるのはやめてくれ
シオギー、タマモー、イズムー
835名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 20:58:26 ID:JLfGAAag
(´・ω・`){舞織SSもうこないのかなー
836さよなら戯言先生:2006/01/29(日) 01:39:43 ID:zozG9cB/
エロなし

 12

 授業を終えて職員室に戻ってくると、ぼくの席には、女の子が背を向けて座っていた。
 顔は見えない。
 だが例え後姿だけであっても、2分の1の確率で、それが誰なのかは、然程の洞察力がなくとも、それこそ誰にでもわかるだろう。
 長い黒髪に黒マント。
 この澄百合学園。エキセントリックな性格の人間は数いれど、外見でそれがわかるのは、あの《人喰い》兄妹を於いて他にはいまい。
「…………」
 しかし考えてみれば、ぼくの周りにはやたらと、双子とか三つ子が多いよなぁ。
 首切り死体があったら入れ替わりを疑え。
 推理小説であれば定番の格言だが、もしも彼、彼女らが一堂に会し、事件が起こったりしたら、それはそれは大変なことになるだろう。
 どんな名探偵であっても、きっと途中で匙を投げ出すのは、想像するに難しくはない。
「戯言だけどね」
 口の中で小さく言って、兄か妹か、どちらかはわからないが、殺戮奇術集団《匂宮雑技団》、その最高の失敗作の真後ろに立つ。
 何だか随分と熱心に話し込ん、いや、うんうんと、頷きながら、正面に座っている彼女の言葉に聞き入っていた。
「どんなに新しい恋愛をしても忘れられない男というのは確かにいるものだよ。最低の酷い男だけどあの日の甘い夜が忘れられない」
「お姉さん捨てられちゃったの?」
 ああ。これは妹の方か。
 大人しく席に座って、話を聞いてるのを見た段階で、理澄ちゃんだと大体はわかっていたけど。
「そうなるね。彼は抱いた女を鼻をかんだティッシュと同じ感覚で一方的に突然捨てる。きっとあの夜のことなど覚えてないだろう」
「まだやっぱり好きなの?」
「それはどうなんだかわたしにもわからないな。でも大人の恋愛は好きと嫌いだけで成り立ってないんだ」
「…………」
 これ以上このとびっきりの駄目大人を、純粋無垢な穢れを知らない少女の前で、得意気にしゃべらせてもいいもんだろうか?
「…………」
 答え。いいわけがない。
 決まってる。
 この倫理のない人に、何もない人に、選ばない事を選んでる彼女に、年端もいかない少女に対する配慮があるとは、とても思えない。
837さよなら戯言先生:2006/01/29(日) 01:40:56 ID:zozG9cB/
「身体の相性というのもすごく重要なんだよ」
 でもそれは思っただけ。
 元々そういったことが得意じゃないのもあるが、話に割り込む間が何となく掴めず、手持ち無沙汰で立ち尽くしてるだけだった。
 そこにはいつも通りに行動が伴わず、ぼくはいつも通りに、まるで予定調和のように後悔する。
 答えが出てるのなら、飛びかかってでも、手のひらを、あの長く艶かしい舌で舐められても、とっとと止めるべきだった。
「それにわたしはどんなプレイでもオッケーなんだけど彼のあの趣味は感銘を受けたね。メイドというのはベタベタだけど奥が――」
「黙れ。殺すぞ」
 したくない事としなくちゃいけない事。それはこういう事なんだろう。……ええ。勿論戯言ですよ。
「やあいっきー。人が悪いなぁ。居たのなら言ってくれればいいのに。いまちょうどきみのことを理澄ちゃんと話してたんだよ」
 誓ってもいい。このお姉さんは絶対気づいてた。
「あっ!! 先生……いつから……いたんだね」
 理澄ちゃんがぼくに気づいて、ささっと立って席を空ける。
 それは教師と生徒という立場なら、目上と目下(あれ? 理澄ちゃんって何歳だっけ?)という立場なら、その行動はおかしくはない。
 だがその動きは敬意を表したものではなく、どう考えても逃げてるようだった。
 本当に押し倒してやろうか。
 などと、出来もしないことを、刹那だけ思ってみる。
 脳裏に浮かび上がった出夢くんの八重歯、いや犬歯が、キランッと、怖いくらいに妖しく光っていた。
「……びびったわけじゃない。誰かと違ってモラルがあるだけだ」
「人はそれを負け犬の遠吠えと言う。そう言えば知ってたいっきー? 犬が遠吠えするのはストレス発散だけじゃ説明が付かないんだよ」
 春日井春日さん。これでも一応動物学者。
「……読心術もできたんですか?」
「うん。動物の心理を読むことに比べたらずっと楽だからね。それに愛し合っている二人の心は通じ合ってるものだよ」
 言いつつしなを作る春日井さん。
 多分いま、ぼくの中で膨れ上がっている感情は、殺意と呼ばれるもので間違いないだろう。
 アパートの部屋。そこにある机の鍵の掛かった引き出し。
 その奥で眠っているジェリコには、まだまだ人一人殺せる残弾が、余裕であったはずだ。鍵が絶賛行方不明なのが残念でならない。
 勿論ぼくに人など、殺せるわけはないのだけれど。
「ああそうそう理澄ちゃん。いっきーはやっぱりベタだけど裸エプロンも好きなんだよ。男の夢だね。いいものはなくならない」
「…………」
 やってやれないことはないかな、とぼくは思った。
838さよなら戯言先生:2006/01/29(日) 01:42:16 ID:zozG9cB/
「メイドさんはメイドさんであってメードなどではない愚弄するなぁ!! と怒鳴られたときにはびびっとキタね」
「ほんと黙れ」
 全部が全部作り話じゃないとこが怖い。
「それじゃお姉さんお兄さん、これからアニキと約束があるので。タメになる話をどうもでした」
 理澄ちゃんはタメになる話を《したらしい》春日井さんと、何の話もしてないぼくに、ぺこりと頭を下げると、微妙な距離を取りつつ、
じりじりと後ろに、おっかなびっくりな顔をして下がっていく。
「では……おさらばですっ!!」
 そしてぼくと十分な距離を空けると、理澄ちゃんは本格的な逃走に移った。
 おおっ!! 速い速い。脱兎とは先人も巧いことを言うもんだ。あ、マントを踏んづけた。手が使えないから顔面からダイブ。痛そう。
「まさかあの理澄ちゃんから恋愛について訊かれるとは正直言って驚いたよ。いやぁ〜〜青春だねぇ」
 平素とまったく同じ表情で、そんなことをのたまう春日井さん。
「…………」
 圧倒的に人選を間違ってるよ理澄ちゃん。こんなマニアックな恋愛をしてきた人に、きみみたいな初心者が意見を仰いではいけない。
 まぁ、ぼくに持ってこられても、そりゃ困るんだけどさ。
「いまどきの女子高生も、中々可愛いやないのん」
 突然会話に加わってくる舌足らずな声。
 ぼくの生涯が後どれだけ続くか、それはわからないが、嫌だろうが何だろうが、問答無用で一生忘れられない声。
 どこから話を訊いてやがったのか、どこで話を訊いてやがったのか、敬愛する恩師はひょっこりと、ぼくの机の下から顔を出した。
「……あなた、そんなところで何してんです?」
「うん? 消しゴムが落ちたから探しとっただけやよ? いまだに思春期の自分の期待に応えられんで悪いんやけど、――えへへっ」
「残念だねいっきー」
「…………」
 期待もしてねぇし残念でもねぇよ。
 大体から春日井さんはともかく、心視先生は自分の姿を鏡で良く見たほうがいい。
 自分こそ平日に街を歩いていたら、一発で補導されそうな容姿のくせに。いい歳して死体ばっかり、嬉々と見てる場合じゃないと思う。
「でも本当にさ、若いってことは羨ましいよね。それだけでキラキラと輝いて見える。神足さんもそう思うでしょ?」
「知らん」
 今度は後ろから声がした。振り向くと白衣を着た二人組が立ってる。
 いや、別に二人はコンビを組んでいるわけではないのだが、凸凹ぶりが妙に嵌っていて、並べて数えた方が自然な二人だった。
839さよなら戯言先生:2006/01/29(日) 01:43:24 ID:zozG9cB/
 髪型はさっぱり体型はぽってりの根尾さんと、印象はそれしかないくらい長い髪の毛の神足さん。
 いつも通りの相方の返事に、根尾さんは大袈裟に肩をすくめて、フレンドリーっぽく笑いながらぼくを見る。
「きみは思うだろ? 若いってのはそれだけで、無条件に素晴らしいって」
「……どうでしょうね?」
 ぼくは勿論いまだって若僧と呼ばれる歳だけど、さらにガキだった頃などは、とても、口が裂けても素晴らしいなどとは言えない。
 それに女性だったら年上の方が好みだし。童顔なら言うこと――あれ?
「うん? なんや我が生徒?」
「……いえ……いえいえ……何でも………‥アリマセンヨ」
 違う。違う違う。そんなわけがあるもんかっ!! ああ猛烈にウオッカを瓶一気したい。徹底的にこの忌まわしい記憶を消去したい。
 トラウマを自分で作ってどうする。
 世の中にはわからないならわからないでいいことが、それこそ本当にいくらでもあるんだ。たまには学者を見習え。
「どうしたんや自分? 顔がメッチャ蒼くなっとんで?」
 だっ〜〜触るなっ!! お願いしますここみん。しばらくぼくのことは放って置いてください。ほんとにほんとにお願いします。
 ぼくはさっきの理澄ちゃんみたいに、心視先生から微妙な距離を取る。
「ほんまなんやのん? おかしなやっちゃなぁ? いまさらテレる仲でもないやんか?」
「どんな仲なの三好ちゃん?」
「それはいくら春日井ちゃんにでも、さすがにちょっと言えんなぁ。ま、背徳の匂いがする間柄、秘密の関係、とだけ言っておくわ」
「若いのが無条件で良いかどうかはともかく、卿壱郎博士みたいな年寄りには、なりたかないですね」
 セクハラお姉さんコンビは無視。もう勝手に言っとれ。
「ああ、きみも見たんだ? 大垣くん、また殴られてたな。何があったか知らないけど、ああいうのは、理性的な行動とは言えないね」
 卿壱郎博士は感情のスイッチ、その切り替えがやたら激しいジイサンだ。
 普段は厭らしいくらい厭らしい狡猾な印象だが、一度頭に血が上ったら止まらない。
 杖で殴る殴る、助手の志人くんを、とにかく殴る。
 卿壱郎博士は昔、さる大きな研究所の所長をしてたらしい。
 だから博士と呼ばれてるのは、そのときの名残だし、いまでは一教師に過ぎないはずのに、助手なんてのがいるのもそういうわけだ。
 そして巨大で醜悪なコンプレックスの塊。
 キレやすい子供が世間では、結構な社会問題になっているが、キレやすい老人もこれで結構な迷惑である。
「まったくやで。《カツラずれてる》って書かれた紙背中に張られたくらいで、そんな一々殴られてたら、大垣くんもほんまたまらんで」
「…………」
「子供心を忘れん軽い茶目っ気やん。あんなん殴ったりしたらあかん、ちょいやけど胸の奥が苦しくなったわ」
「…………」
 だったら自首しろよ犯人。
840さよなら戯言先生:2006/01/29(日) 01:44:36 ID:zozG9cB/
「でも大垣くんもオイシイよね。宇瀬さんも見てる前でしこたま殴られて」
 冷たい眼差しを恩師から、また何か、どうせろくでもないことことを言うんだろう春日井さんに、ぼくはゆっくりと向ける。
「……なんでそれがオイシイんですか?」
 ぼくだったらそれはお断りだ。理不尽に殴られるだけで、勘弁してくれよ、って感じなのに、好きな女性の前で殴られるなんて。
 それだけで苦痛が二乗されることは請け合いだ。
「恋愛というものがまるでわかってないねいっきーは」
 ちっちっちっ、とぼくに向かって軽く指を振る春日井さん。何だかその仕草は、ひどく気障りだった。
「大垣くんが殴られる。宇瀬さんがそれを見る。可哀想。 二人っきりになったら慰めてあげようと思うよね。それは色々な方法で」
「…………」
 何なんだそのルナ先生方式は。志人くんが死んじゃう、と涙目になった後で、美幸さんが授業でもしてくれるのか?
「……もしかしてですけど、あなた、理澄ちゃんにもこんな感じで、お話しをなさってたんですか?」
 そう言ったぼくに春日井さんは、根尾さんにさらに輪を掛けた、アメリカ人みたいなオーバーアクションで肩をすくめる。
「くっ…………」
 この人の動作の一つ一つが今日は気障りだ。
「馬鹿を言ってはいけないよ。見くびってもらっては困る。頼ってきた美少女名探偵に半端はできない。もっとかなり丁寧に話したよ」
 と。
 春日井さんのセリフが終わるのを、待っていたかのように、デヴィト・ボゥイの曲が鳴り響く。
 ぼくの携帯だ。
 ちなみにこのイカしてる着メロ設定をしたのは巫女子ちゃん。
“ピッ”
「もしもし」
「あ、お兄さん? すげぇ大事な話しがあんだけど、すぐに来てくんねぇかなぁ? 何の話かは……お兄さん心当たりあんだろ?」
「出夢くん、ちょっと待って」
 ぼくは通話口を押さえて春日井さんを見る。
841さよなら戯言先生:2006/01/29(日) 01:45:42 ID:zozG9cB/
「これからぼく、多分死にたくないって思えるくらい、ボコボコに殴られそうなんですけど」
「慰めてあげるよ」
「良かったやん、我が生徒」
 アパートの部屋。そこにある机の鍵の掛かった引き出し。
 失われた鍵の徹底捜索を、ぼくは崩子ちゃんに命じようと決意した。
「はぁ……」
 愛してるって言っても、許しちゃくれないだろうなぁ。人のことは言えた義理じゃないんだけど、出夢くんも大概ブラコンだし。
「はぁ……」
 もう一度これ見よがしにため息を吐いて、ぼくは携帯を耳に当てた。


今回はここまで。
エロはやっぱり難しいですね。《それから。》の方はまだ時間が掛かりそうです。
説明不足で混乱させてしまったようですが、《それから。》の位置付けは>>823さんの補足の通りです。補足ありがとうございます。
842名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 02:27:57 ID:2OsLlZl/
GJ!!
面白かった
843名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 02:07:16 ID:L6zAfVaZ
いつもありがとうございます!
GJ!
844名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 02:51:40 ID:Fqjq4Jmb
うわGJGJGJ!!
見事なまでに落ちが着いてるなぁw

というか神足さん、やっぱり髪の毛は長いままなんだろうか……。
そしてルナ先生テラナツカシス
845名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 02:58:10 ID:j6TtbJWQ
暴君…まだ放置プレイですか…
846名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 03:09:41 ID:eXxTpi9Z
グッドジョブ.
いつも、物語がフェードアウトしていく時のちょっと名残惜しい、
焦らされるような『これからどうなるのかな』感が好きです
847名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 01:11:31 ID:zUsW7YN4
まとめサイト機能してないんなら新しく作ろうか?
848名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 02:23:02 ID:Dtj8yR2H
>>847
頼んだ。
849775(途中):2006/01/31(火) 07:13:06 ID:Mv8wspME
切り裂くものがなくなると、死線の蒼は軋騎を上から下まで眺めて、はさみを放り投げた。
「残り五十八分三十六秒待っていれば誰か来る。でも私はすでに退屈だ。退屈だよ。その間何をして暇をつぶそうか……私に決めてもらうなんて嬉しいよね、ぐっちゃん」
「はい。幸福です」
「うんうん、まったくそうだよね。いい返事。それじゃあ、這いつくばって」
華奢な指が冷たい床を示す。
ためらいつつも四つん這いになると、ひんやりとした床の温度に鳥肌が立つ。軋騎が青い少女に呼びかけようとしたところで、背中によりかかる重力を感じた。
「歩いて。この部屋を一周するんだよ」
髪の毛をいじられる。死線は足をそろえて軋騎の背中に座っていて、軽い体重を彼に預けていた。
 余裕があればまだ逆らう意思も沸いたかもしれないが、そんなものは前提から無く、あったとしても無意味なことだ。
 露骨にあらわしたりはしないが、嬉々として積極的に従う。 一歩進むごとに死線は軋騎の上で揺れる。肉付きは薄かったが、床よりずっと暖かい尻は身じろぎするたびに割れた場所をこすりつけた。時々は湿った感触も残す。
くすくす少女は笑う。
「いいね、いい気分だ。ちいくんじゃ体格に差がないせいでこれができないんだよ。トラックと衝突するくらい足が速いなら、這っていても速いのか試したかったんだけどね」
 どうやら機嫌は直ったらしい。馬になりながら軋騎はそう思う。
そのまま少女は弾んだ口調で昔の話をしだした。
『いーちゃん』の話をしだした。
 なんてことのない出会いと、
前代未聞の玖渚機関との駆け引きと、
 二人で並んで歩いていたときの話だった。
「暴君、それはもう、出会ったときに聞きました」
感情は抑えてなるべく事務的に伝える。
何度も聞かされる話はどうしても軋騎を苛立たせた。
850775(途中):2006/01/31(火) 07:18:22 ID:Mv8wspME
聞き飽きるということではなく、単純に『いーちゃん』への嫉妬であり、羨望であり、なにより死線のそばにいれば忘れられるはずの零崎の部分がうずきだす気がするからだ。
 華奢な指がのびてきて軋騎の口を覆う。
ぴたりと体が密着し、視界の隅には青い髪がたれている。
「ぐっちゃん、悔しいの?」
「いいえ」
「そう。いーちゃんも嘘つきだったよ」
少女の手は口からのど、胸と順番に体をなぞっていく。男根をいじられていると気まぐれになぶられている感覚が強くなるが、軋騎からは動けない。手を振り払うにも死線の許可は必須だ。
 湿った音をたてて、蒼は肩甲骨を舐めた。骨の形にそって背骨に辿り着き、凹凸を一つ一つ濡らしていく。


(時間切れです。また今度)
851名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 16:55:52 ID:PUAA1IzJ
メガネかけた策士って萌えない?
852名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 17:26:40 ID:J1Qmn5qj
>>849
乙乙
853名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 21:50:08 ID:caskoOlk
>>849
ΖΖ
854名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 00:33:43 ID:8iIwe2m9
>>847
よし頼まれた。
あと1、2日待っててくれ。直ぐに仕上げる。

>>849
蒼愚最高!!
855名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 21:30:22 ID:wt9JkHkf
現在460KBか
そろそろ次スレの用意しないか?
856名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 07:16:53 ID:UwAYbiAd
上限は500KBだったか?
857名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 21:15:41 ID:uSbuUUvx
>>856
たしか500のだったと思う
>>854
待ってます
携帯で見れるとありがたいです
858名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 22:30:31 ID:Xjujca/E
854ガンバ
859名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 00:36:40 ID:EAOV7czC
おおぅ?もしかして責任重大?

SS纏めるのって意外に疲れますね。
あとチョットだけ待って下さいね。
土日で仕上げます。
860859:2006/02/04(土) 00:37:30 ID:EAOV7czC
すみません、上げてしまいましたorz
861名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 01:08:03 ID:zPM4cpFf
wktk
862名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 01:56:51 ID:Wemchn37
期待アゲ
863名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 02:18:14 ID:8ECbk9wF
http://adult.csx.jp/~nonsense/nisio/index.html

まだ1スレ目の900くらいまでしか纏めていませんorz
リンクなどは未製作です。

早急に仕上げます(`・ω・´)
864名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 02:28:50 ID:tLpmUFvq
乙です
引き続きガンガッってください
865名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 09:26:27 ID:gEqHdoR/
>>863
GJ!!
乙です。

ちょっと言わせてもらうと小説の題名に誰×誰って書いてくれるとさらにありがたい。
もっと高望みすると含有成分も書いていただけると神となるでしょう。
866名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 23:23:38 ID:gdMT0nNB
>>865
誰×誰は書いておきました。
含有成分は…一通り収録し終えたら書こうと思います。
…文章に自信ないんだよなぁ...
867名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 10:54:11 ID:7B8UsSkk
せっかくなので、自分用にまとめた戯言先生を863さんのアプロダにうぷ
作者さん(コテないよね)が不快なようでしたらすぐ消します
868名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 15:21:07 ID:C4PSe0Wi
まだぁ〜
869名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 10:41:44 ID:TIX2y53p
保守
870名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 08:46:17 ID:PLCzFzp4
みんな!保守代わりに戯言しりとりしようぜ!まず俺からな、えーっと

哀川潤
871名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 13:24:27 ID:TCYkiOJU
終わったな…。
872名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 13:54:05 ID:VNZ31aMo
しょうがね〜な、俺から再開するぞ

い〜ちゃん
873名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 17:00:48 ID:a1jJ5AUC
まったくお前らは駄目だな
次、俺からな

姫ちゃん
874名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 18:59:31 ID:efYa4kuT
まったく、ダメダメだなお前ら。

グリーングリーングリーン
875名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 19:26:27 ID:TCYkiOJU
しょうがねぇな…。
じゃオレからな。
 マッドデモン
876名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 20:25:54 ID:+6W3mBRz
まったく呆れてものも言えねぇぜ
次からしっかりやれよ

鈴無音々
877名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 20:49:33 ID:TCYkiOJU
もうそろそろネタ切れたんじゃまいか?
つーかなんだよこの流れ
878名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 20:59:09 ID:0pqNPL8x
お前らしっかりしろよ。。。
大人になってしりとりも出来ないのか?
俺からはじめるぞ

狐さん
879名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 21:22:37 ID:EKvIq1Li
師匠、ちゃん。とか、くん。とか、さん。
は卑怯だと思うですよ


しおぎん
880名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 21:31:24 ID:PLCzFzp4
おいおいみんな、ひねりすぎだって。
普通にいけよ、回文だっていいんだから

西尾維新
881名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 21:31:55 ID:6w6kNaTB
玉藻ちゃん
882竹取山補稿(1) ◆K05j0rAv6k :2006/02/12(日) 00:45:48 ID:ZPGYH4Qj
竹取山補稿 (1)

 それぞれの登場人物のその後については、ここでは
あくまで、それぞれごと想像に任せるにとどめることに
する……ということはつまりはそれぞれに想像の余地
があるということであり、しかし一応、この物語の『総合
優勝者』であるはずの西条玉藻に最低限の敬意を表す
る意味で、あるいは雀の竹取山決戦の、1つの予想外
の象徴として。
 数日後。
 肉体的にはともかく精神的にはとりあえずの回復を見
た零崎人識は、彼が恋する少女に住処を訪れられてい
た――別に慰めてやろうとか励ましてやろうとか癒して
やろうとか、そういうことではなく、単純に、しばらく実戦
部隊としての仕事ばかりに偏っていて、そういえば最近
は彼女自身の好きなことを、全然やっていないからとい
う――それだけの理由で押しかけられたのだった。
 それだけの理由。
 いや、理由なんてなくていい。
 強いて言うなら気分転換だろうが。
 しかしこの子に転換せねばならないような気分がある
ものかどうか。
「……なんで居るんだよ」
「……ゆらーり」
 げんなりした表情で、人識は西条玉藻を見る。
883竹取山補稿(1) ◆K05j0rAv6k :2006/02/12(日) 00:46:43 ID:ZPGYH4Qj
 ちなみに玉藻の格好は、雀の竹取山で出会ったとき
のものとは全然違う。黒いブルマでもないし、ずたずた
に切り裂かれた半袖の上着でもない。
 スクール水着――しかも旧タイプ。
 そうとしか呼びようのない、紺のワンピース水着。
 しかも腹のあたりがズタズタに裂けていて、へそどこ
ろか色々と危険な部分まで見えそうな雰囲気だ。
 胸元に縫い付けられた名札には、『さいじょう』と太い
マジックで、平仮名で書かれていた。相変わらず素性
を隠そうとかいった発想は皆無であるらしい。
 ――そんな格好の少女が、人気が無いとはいえ、昼
下がりの住宅街の片隅に平然と佇んでいる。
 良識ある大人が通報しないのが不思議なくらいの光
景であった。いや、腐ってもプロである玉藻が補導され
警察なんぞの厄介になるようなヘマはするまいが。
 ……いや、ひょっとしたらそういうことがあってもおか
しくはないな、と思ってしまうのがこの玉藻である。ま、
それはともかく。
「……初めまして」
 玉藻は――まず、そう言った。
「あたし魔法のプリンセス、西条玉藻さま、です……」
 対して、零崎人識は――
 初めましてってお前数日前会ったばかりだろうとか、
その格好はいくらなんでも何のつもりだとか、魔法の
プリンセスってどういうことだとか、自分で自分に様付
けかよとか、数日前とほとんど同じボケ繰り返すなと
か、とにかく相変わらず数秒で突っ込みどころ満載の
西条玉藻の、どこにも突っ込みを入れることなく――
884竹取山補稿(1) ◆K05j0rAv6k :2006/02/12(日) 00:47:47 ID:ZPGYH4Qj
「帰れ」
「…………」
「そんな顔しても無駄だぞ。まだ折れた腕治ってない
んだから。お前だってギプスはめたままじゃねぇか」
 再戦を望んだ人識ではあったが、しかしそれは互い
に万全の体調の時に、という限定つきの話だ。どちら
もまだ傷の残るこんな状態で出てこられても、困る。
 困るのだが。
「……ゆらーり……戦い来たわけじゃ、ないです……」
「じゃあ何だよ」
「戦いに来」
 休憩。
「たわけじゃな」
 休憩。
「くってぇ……」
「だからもっとはっきりシャキシャキと喋れって」
「あたしが、来た、目的はぁ……」
 いらつく人識にそれでもマイペースを崩さぬまま、玉藻
は答える。
「溜まってるかと、思って」
「……は?」
「両手骨折。健康な男の子」
 にまっ、と笑った玉藻の表情に、人識は眩暈を感じた。
 これなら両手骨折のままバトルする方が、まだマシだ。

                          (続く?)
885名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 01:19:55 ID:lgAGSFXK
>>884
良いですね、西条×人識、良いですね。
続きを待ってます!
886名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 03:24:20 ID:eEbWjU8o
>>884
乙カレー
887さよなら戯言先生:2006/02/14(火) 00:02:16 ID:yaWqadQK
エロなし

 13

 マイブームは?
 そう人に訊かれたなら、ぼくは散歩と答えるだろう。
 実際歩くのは嫌いじゃない。
 それに散歩のコースが夕暮れの校舎というのが、これで中々にイカしてて結構乙なものだ。
 何より玖渚の代打とはいえ、教師でなければ、とてもではないが歩けないコースなのが、またポイントの高いところだろう。
 澄百合学園。
 いまさら説明をする必要もないほどの、超に超を二乗させた超々お嬢様学園。
 本来であればぼくみたいな若い男が、悠長に歩いていい施設ではない。見つかったならば即座に、手が後ろに回ることは請け合いだ。
 教師。
 給料は安定してるし休みは山ほどあるしで、そこそこの力でやってる分には、これは本当に夢のような仕事だろう。
 しかも女子校だと言うのだから、それこそ言うことは何もあるまい。
 まぁもっともそれは、極々普通な世間一般の学校ならば、だ。
 勿論この澄百合学園は、それこそ色んな意味で、そこそこの力ではできないし、極々普通な世間一般の学校なわけがない。
 言っててちょっと悲しくなるが事実だ。
 世間一般の普通の学校では、深夜に音楽室から悲しいピアノの演奏が聴こえたり、二宮金次郎が元気一杯に走り回ったりはするだろう。
 でもナイフを持った女の子は徘徊してないだろうし、太った白衣の男の目撃情報もないはずだ。
 しかもその二つが二つとも、嘘偽りのまったくない誇張ゼロの話なのを、ぼくは知りたくもないのに、とてもよく知っている。
 何せ両方ともこの目で見てるからだ。
 だがこの二つの学園徘徊話は、結構当たり前のように、ほとんど皆が皆知っている。――二つのうち一つは。
「ナイフの方は西条でまず間違いないでしょうから、そちらはとりあえずいいのですが……」
 言いつつぼくの隣りを歩ってるのは子荻ちゃん。
「太った白衣の男、こちらは些か……いえ、かなり問題ですね」
 その左手には日本刀。背中にはボウガン。由緒正しい女子高生の、気合の入った完全装備だった。
「…………」
 やっぱりこの娘も例外ではない。しっかりと骨の髄まで、プロのプレーヤー、あちら側の世界の住人だ。
 こちらの世界の常識がまるで、一切合切で通じないときがある。
 これから戦地に行こうというなら、イラクやアフガンにでも行こうというなら、まぁ、その格好もわからなくはないんだけれど。
「体育着を盗んでいくような変質者を、総代表としては捨ててはおけません」
「…………」
 チラリッと盗み見る。
 子荻ちゃんの顔が弱冠だが赤くなっているのは、夕日に照らされてるから、決してそればかりではないのだろう。
888さよなら戯言先生:2006/02/14(火) 00:03:43 ID:hOeFlHjs
 怒るのもそりゃ無理はない。
 女性ならば理屈よりも生理的に嫌だろうし、特にそれが思春期の女の子ならば尚更だ。
 正真正銘血の繋がった父親とさえ、一緒に洗濯されるのを、それこそ親の仇のように思ってる年頃なわけだし。
「…………」
 ぼくはどう思われてるんだろう。そして知られたら、どう思われるんだろうか。
 変質者に盗まれたという体育着の中には、子荻ちゃんのものもあり、そしていまは、ぼくのアパートの部屋の押入れの奥にある。
「…………」
 初めにこれだけは断っておくが、体育着強奪犯はぼくではない。
 根尾さんだ。
 ただ根尾さんを一応は、擁護する理由はないが彼を擁護するなら、体育着にはこれっぽっちも興味がないだろう。……多分だけど。
 ぼくがあの人と、最初に出会ったのは、職員室じゃなかった。
 たまたま夜の巡回で通りかかった、核攻撃からでも生き残りそうな鉄扉、理事長室の前である。
 嫌味のないにこやかな貴族風笑顔を浮かべて、無言でじっと佇むぼくの前を通り過ぎると、その日はひょうひょうと闇に消えた。
 次の日に職員室で自己紹介されてからも、たびたびぼくは根尾さんを、理事長室の前や職員室の金庫で見かけている。
 気にならなかった言えば嘘だが、ぼくは常のように、曖昧々に放っておいた。
 のだが。
 自称《内部告発の達人》《裏切りの有段者》《秘密工作の専門家》《背徳の体現者》……ヘマをしたらしい。
 熟練者ほど初歩的なトラップに引っかったりする。
 校舎内で警報ベルを高らかに鳴らしてしまったみたいだ。
 しかしそこからは根尾さん、さすがにさすがで、慌てて逃げつつも、それ以上傷口を広げたりはしない。
 更衣室の窓から脱出するとき、手当たり次第目につく体育着をバッグに詰めて、しっかり変質者を装うことも忘れてはいなかった。
 でも。
 アパートに《いつも黙っててくれるお礼》そんな手紙入りのバッグを送るのは止めてほしい。
 とりあえずバッグを隠した押入れへと、崩子ちゃんの視線がいくその都度、ぼくの心臓は危険なほどバクバクしてしまう。
 根尾さんは何をどう勘違いしているのか、ぼくがコスプレ好きだとでも思ってるみたいだ。
 失礼な。
 そう思って窓ガラスを見た。
「…………」
 思われても仕方なかった。
 映ってるのは水面の向こう側。零崎人識。などでは勿論なく、澄百合学園の生徒――にしか見えない制服を着たぼくだった。
 自分で言うのは本当に心底で嫌だが、ガラスに映る子荻ちゃんとのツーショットに、違和感がまるで気持ち悪いくらいに微塵もない。
889さよなら戯言先生:2006/02/14(火) 00:05:12 ID:hOeFlHjs
「…………」
 頭が混乱する。混濁する。くるくると狂いそうになる。
『あの手の犯罪は常習性がありますから、必ずもう一度するはずです。侵入した際見回りが女生徒二人なら、変質者も油断するでしょう』
 制服を渡されたときに、子荻ちゃんからそんな説明はあった。
 それは理解できる。
 でも納得しろというのは無理だ。
 そもそも男であるぼくが、わざわざこんな格好をせずとも、暇な女講師はこの学園にはいくらでもいるわけだし。
「…………」
 まぁ誰に着せたところで、ちょいとばかり、パンチが効きすぎてるか。
 見てみたいような見てみたくないような。しかし好奇心猫を殺すとも言うことだし、止めておくのがここはやはり無難だろう。
 それにその場合の猫は、きっとぼくだろうから。
 てなわけでいーちゃんは、いつも通りに、状況に流されてみましたとさ。
「めでたしめでたし、ってここで言えりゃ楽なんだけどな」
 勿論言えるわけがなく、見せしめというか、晒し者というか、何か罰ゲーム的というか、後ろ指指されつつ、校内巡回三週目に突入だ。
 それにしてもこの澄百合学園、改めて思うが異常なくらい広い。
 ぼくは決まった巡回ルートしか歩かないので、ここで子荻ちゃんとはぐれたら、帰りは間違いなく深夜になってしまうだろう。
 頼りない教師は隣を歩く、頼れる生徒をチラリと盗み見た。
 いつもながらの綺麗で長いストレートの黒髪。その美しさにいつもながら見蕩れる。……触ったら怒るだろうか。
「何をじろじろ見てるんですか?」
 殺気(?)を感じ取られたらしい。
 子荻ちゃんは足を止め、ぼくを不審そうな、警戒してそうな、戸惑ってるような、そんな色々な感情が、ごちゃまぜになった顔で見る。
「いや、別に。何でもないよ」
「そうですか?」
「そうですよ。それよりも子荻ちゃん」
 すぐそこの角を曲がると、生徒達の使ってる下駄箱がある正面玄関口だ。
 窓の外を見るとはそろそろ、黄昏どきというには、いささか暗くなりすぎてる。このまま四週目に突入するんだろうか。
「疲れましたか?」
「うん。まぁ少しだけね」
 実際それほど疲れちゃいないのだが、できれば、ここで終われるなら終わってほしい。
 男がするにはファンキーでファンシーな格好をしてる所為か、足元からすーすー入ってくる風が、ずっと気になってしょうがなかった。
 春夏秋冬をこの格好で通せる女性は偉大である。
 ぼくには無理だ。
 てか無理じゃない方が、この場合は問題だが、とにかくぼくには、これ以上は無理。
890さよなら戯言先生:2006/02/14(火) 00:06:46 ID:hOeFlHjs
「それでは今日はこのぐらいにしておきましょう。この時間さえやっておけば、夜は放っておいても西条が歩き回ってますし」
「そうだね」
 そういやいままでよくもまあ、あの二人は遭遇しなかったものだ。
 根尾さんのラッキーは一体どこまで持つのか、完全無欠の人事ながら、だからこそ無責任に、ぼくの心臓は激しく震えてビートする。
 あの人はあれで動けるデ、……いや、運動神経は悪くない人だから、プロだし、逃げに徹すれば死ぬことはないはずだ。
「多分だけど」
「何かおっしゃいましたか?」
「いやいや、何でもないよ。疲れたなぁってね。どうも身体がなまりになまってるみたいだ」
 本当はそんな必要があるほどには、疲れているわけではないのだけれど、ぼくは肩や首をぐるぐると回す。
 そしてどういうわけだか、子荻ちゃんはそんなぼくを見ながら、何だか随分と真剣な顔で、何かを思案しているみたいだった。
「あの、良かったら、チョコ……食べます?」
「チョコ?」
「身体が疲れたときは、やはり甘い物がいいですよ」
 うん。それは知ってる。
「……そうだね。じゃあ貰おうかな」
 でも何だろうかこの違和感は。ひどく《チョコ》というキーワードが引っかかる。
 何故だか今日は甘くとも、餡子や果物では駄目な気がした。
 はて? 本当に全体何だったろうか? それはとても嬉しいことの気がするが、いまいち頭にモヤがかかって思い出せない。
「…………」
 いいか。思い出せなくても。
 嬉しいのがわかってれば、理由なんてどうだっていいや。詮索すると詰まらないことになるかもしれないし。
 綺麗にラッピングされてるチョコを、子荻ちゃんがじっと見ているので、ぼくはその場で丁寧に破いて、カリッと一口噛んでみた。
 途端、嘘のような甘い味が口の中に広が――らない。
「あれ?」
 見るからに不恰好な形からして、このチョコは、おそらくは誰かの手作りなんだろう。
「どうですか、チョコの味は?」
 視線を明後日の方向に向けながら、でも意識ははっきりとぼくに向けて、子荻ちゃんは廊下の先を睨みながら訊いてきた。
 ぼくはチョコを貰えて嬉しいが、どうも、子荻ちゃんは違ったみたいである。
 もしかしたら一人で全部、食べたかったのかもしれない。女の子は甘い物がとにかく好きだから。遠慮しないぼくに怒ったのかな?
 とりあえず一口食べた感想だけは言っておこう。
891さよなら戯言先生:2006/02/14(火) 00:09:03 ID:hOeFlHjs
「お店に出してお金が取れる味ではないね」
「ええ、でしょうね」
「美味しいと絶賛するような味では絶対ないし、かといって不味いと酷評するほどでもない。平たく言えば中途半端」
「…………」
 らしくない。
 子荻ちゃんの顔は、ぼくが味の感想を言い出してから、急に無表情になったが、心が無感情ではないのが丸わかりだった。
「でもぼくは、曖昧な味の方が好みだよ」
 念の為に言っておくが、これは戯言ではない。
 やれやれ。
 らしくないのは、このしがない《戯言遣い》のぼくも一緒か。
 まぁとは言っても、ぼくは例えそれがどんな味であっても、大概は美味しく食べられるんだけどね。
 二口目。
 気のせいかチョコの味がさっきよりも甘い。中々に食べ応えのあるチョコレートだった。もむもむと噛めば噛むほど甘くなっていく。
「……………………あは」
 そんなぼくを見て、萩原子荻は、まるで年頃の女子高生のように、笑った。


今回はここまで。
読んでくださる方コメントくださる方、いつもありがとうございます。容量の少ないエロパロで、エロなしの投下申し訳ありません。
それと保管庫、見させていただきました。そちらもありがとうございます。
>>867さん 不快とかは全然ありません。返って嬉しいくらいです。
892名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 01:10:37 ID:vOZ+QTLr
いぇーい、根尾さん最高っっっ!!

というか、このいーちゃんが着た制服を回収して自らの手で洗濯するであろう策士に萌え。
チョコには自白剤でも入っていなかったんだろうか?

という訳で毎度の事ながらGJ!!
893名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 01:40:51 ID:AvwCvNiI
>>884
素晴らしい時事ネタですな
ちとゲーム製作で忙しいため長文は無理っぽいので、小ネタを>>863のUPログに他の小説のまとめと一緒に置いておきます
894554:2006/02/14(火) 01:41:59 ID:AvwCvNiI
554=893です。
895名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 02:48:13 ID:QopADHVT
GJ!!
・・・そういやあ、今日はあの日でした・・・
896名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 08:52:22 ID:Y2CKd8nH
GJ!!
面白かったが、いらんこと思い出したよ…
897名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 19:39:07 ID:vPj9k+8i
戯言先生GJ!!!!!
動けるデブ・根尾!wwww
………あは、に萌えす。

うpろだ、素直シュールと一緒にしてて申し訳ないです。
気にしないで頂けると助かります。
898名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 20:17:34 ID:tHrDP2hV
今日は手作り一つ貰ったな。
咄嗟に変質者装う上に物品をいーに押し付けるとは…動けるデブ恐るべし。
つーか相変わらずキャラが生きてて戯言先生は楽しいわw
899名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 08:32:46 ID:1uTzkYf8
戯言先生GJ!!!!! 崩子ちゃんや巫女子ちゃんバージョンも見たかったかも

次スレどうする?そろそろ用意しないと職人さん投下しづらいんジャマイカ
900名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 16:36:46 ID:KjDDoQFF
900
>>899
また面倒なことにはなりたくないなぁ。
今のうちに何個かスレタイ案出して、950までに支持が強いものとか?
もう二の舞はいや。。。
901名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 17:01:41 ID:PKX9V1xi
レス数よりも容量がやばい。残り20だし早く決めよう。
西尾維新統合vol.3 とかシンプルなのでいいんじゃない。
902名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 19:17:04 ID:YmvweGWO
【戯言】西尾維新 Vol.3【りすか】
または
西尾維新 Vol.3
だけ。

こんなもんで良いんじゃないか?
903名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 19:35:31 ID:C//360xk
>>902
無難にそれでいいんじゃね?

てか、このスレ立てた香具師はなんでこんな奇特なタイトルにしたんだ('A`)?
904名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 20:43:44 ID:UUWyNod2
それはもう赤に足コキされて青に髪ズリされたかったからに決まってるジャマイカw
905テンプレ案:2006/02/16(木) 22:28:14 ID:smXkPqu7
策「ここは西尾維新の小説全般を扱うエロパロスレです。
 次スレについては900頃、もしくは400kbを越えたあたりから用意しておきましょう。
 立てられなかったら宣言の上、有志が立てること。
 スレタイには、『西尾維新』の他に『戯言』『りすか』『君と僕〜』など検索しやすい言葉と、スレ番号を入れてください。
 >>950を超えても次スレが立っていない場合は、書き込みを控えるようにしてください。では、復唱してなさい」
玉「ゆらり……萌えネタ……歓迎」
策「……違います」

前スレ
【足コキ】戯言等、西尾維新スレvol.2【髪ズリ】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1111663212/

ss収録先
【2ch西尾維新―まとめサイト】
http://adult.csx.jp/~nonsense/nisio/index.html

西尾維新@2ch カコログオキバ
http://gigantica.ifdef.jp/ISIN/

・関連スレ
 ラノベ板  西尾維新その59
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1139429977/

入るかな?
906名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 22:31:38 ID:KjDDoQFF
>>905
GJ!!
それでいいんじゃね?
907名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 22:37:38 ID:smXkPqu7
復唱してなさい→しなさい に訂正
ss収録先を>>863氏の一個にしぼったけど、それじゃ負担も大きいから
【2chエロパロ板SS保管庫】
ttp://s1.artemisweb.jp/sslibrary/  を加えたほういいかもしれない
908名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 22:55:43 ID:KjDDoQFF
次スレ立ててくるか?
>>902>>905,907を参考にしてたてる。
10レスぐらい様子見て決めます。
909名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 23:10:03 ID:YmvweGWO
>>907
テンプレで萌えさせる気かwwwww

> それじゃ負担も大きいから
あんまり負担大きくないと思います。
が、前からあったサイトなので載せた方が良いと考えます。

>>908
立てて良いと思いますよ。
よろしく。
910名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 23:34:13 ID:smXkPqu7
なるほどガッテンです よろしく>>908
911908:2006/02/16(木) 23:38:18 ID:KjDDoQFF
2レスだけど立ててくる。
912908:2006/02/16(木) 23:40:44 ID:KjDDoQFF
913名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 23:51:47 ID:YmvweGWO
>>912
乙です。

ここ、埋めた方が良いのかな?
914名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 00:12:07 ID:2bAR7jFj
せっかくだから、見たことのない組み合わせを叫ぼうかとおもうんだよ

狐×朽葉
哀×真心
915名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 00:21:07 ID:WhMj9iFX
せっかくだから俺も書くぜ

刑事×刑事
刑事×いーちゃん
むいみ×いーちゃん
キズタカ父×りすか
916名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 20:58:36 ID:YBvQKXV9
青×豹とかも見ないな。
まあどんなキャラか分からんし無理ないんだが。
917名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 22:37:20 ID:+lwqhKXV
全く流れとは関係ないけれど、>>915をみて

デカの事情
かずいーちゃん
戯言無意味?!
パパスパ

とか訳のわからないルビを振ってみた
918名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 23:27:28 ID:2bAR7jFj
ま、待て待て待て
刑事×いーちゃん は ささささきさんではなく数一さんのほうなのか
919名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 23:38:57 ID:+lwqhKXV
いやだなぁ、918ちゃん

あのいーちゃんに対して、一般人としての最後通牒を
誰よりいーちゃんの為に突きつけてくれた数一さんだもの

きっといーちゃんに、正しい大人の男ってヤツを教えてくれると思うんだよ
920名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 00:52:43 ID:tN752H5h
うほっ、な組み合わせはイヤだ‥‥‥
921名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 01:36:04 ID:1hbER9PQ
正しい大人の男ってのを教えるなら、いーちゃんと一緒に数一さんがソープに行くのかな?
なんかそれはそれでヤバイくらいに面白そうなんだけどw
922名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 02:00:46 ID:oId9gy5L
>>918-920
3名様ご案内〜

戯言(西尾維新)で801
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1129627261/

>>921さんは方向性が違うので、放置。
923名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 23:40:57 ID:pTdjXNFY
埋める?
924名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 00:50:18 ID:MCK4wP/y
まったりと妄想を書いて埋めるとしよう。

兎吊木垓助×春日井春日
925名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 01:18:49 ID:IdyT6eUo
926名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 23:12:38 ID:GLId0RLR
>>925
その作品が未完なことを私はあらかじめ予測していました。
927名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 23:18:25 ID:yr9dKZ9j
>>887
GJ!!

>>いいか。思い出せなくても
とりあえずいーちゃんは殺す!! いや、犯す!!
928名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 22:11:08 ID:KVz26GQT
埋めるだけは勿体無い。

せっかくだから巫女子の着メロについて語ろうか。
BOWIEの着メロだそうだけど曲名はなんだろうな?
star man もしくは Let's Danceあたりか?
929名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 21:00:43 ID:/ZbfucE6
なんとなくだが、戯言読む層とその音楽聞く層は被ってない気がするw
930名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 21:09:20 ID:8CtM4myN
・・・(´・ω・`)そっか、俺くらいか。。。
興味もったら聴いてみてください。。。。。。
931名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 21:14:18 ID:35sT91K0
哀川さんに手コキ寸止め言葉責めプレイをされたい。
932名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 12:09:31 ID:JC4wEnV4
>>931
ナニを握りつぶされてスプラッタになる展開キボンヌ
933名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 20:30:55 ID:4k1T4OXz
鴉の濡れ羽島って男性人口少ないよな
サイクルでも付き添いの二人だけで招待された天才に男性は居ないし
その後も春日井さんが逃げようとしてるって事は男性居ないんだろうし
……実はイリアさんは同性愛者だったり?
入れ替わってるのも実は立場上色々と不味いからだとか



いや、うん戯言だけどさ
934名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 22:57:52 ID:V1bvjKUn
読み返せばか
935名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 13:15:15 ID:CX4CPerc
釣られたうえageか、ばか
936名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 19:58:48 ID:tsf0YDs1
まあ、三つ子メイドに三人がかりで奉仕されるいーちゃんというネタは妄想したことがある。
いーちゃんを蛇蝎のごとく嫌ってるあかりさんが、しかし主人の命令には逆らえず涙目で
いーちゃんに奉仕するとか。
937名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 20:43:01 ID:j6vrImvu
>>936
なんかあかりさんがツボに入った。
938名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 07:34:25 ID:qjuZXF6l
同志発見!(・∀・)人(・∀・)
939名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 19:35:44 ID:mj/pKQF4
あげぃ
940名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 19:36:50 ID:mj/pKQF4
埋め
941名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 00:03:19 ID:EhYQMw4x
埋め
942名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 00:10:28 ID:r0zcBCD7
このスレは神だった。
戯言先生は素晴らしかった。

MVPネタで埋める?
943名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 01:05:38 ID:f4SNIb0b
いや、それは微妙に危ない。
せっかくだから荒れそうな話題はやめて綺麗に終わらしたいと思う黒猫さん萌え
944名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 02:01:49 ID:PFIZAdNv
シオギン萌え

945名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 11:44:00 ID:lKWQgsxg
まいおりん萌え
946名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 15:53:38 ID:dwaXbTte
さっちゃん萌え
947名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 21:57:28 ID:fEWcJoPK
自己嫌悪る策士萌え
948名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 17:19:48 ID:PogxfdOi
戦場ヶ原ひたぎさん蕩れ
949名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 12:33:53 ID:PrpYxlzl
一姫ちゃん萌え
950名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 14:14:13 ID:31HhXLWw
暴君に永遠の忠誠を誓います
951名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 22:11:19 ID:wzmIzOsJ
右下るれろさんの包帯に萌えw
952名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 22:12:25 ID:XnzohEqq
包帯かよ
953名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 23:19:12 ID:f/KfD8IV
全裸に包帯だよ?
954名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 23:26:39 ID:xNXU2+ZJ
了承
955名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 08:33:47 ID:wvI88yEV
アヤナミ?
956名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 10:57:03 ID:fw43cMyv
綾波も包帯属性ありだったっけな。。。

ここで夜月萌え!!
957名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 21:20:44 ID:j0JTX1xx
いーたん萌え萌えっ
958名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 20:54:22 ID:4kG5GjPe
出夢くんが一番!!!
959名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 23:48:29 ID:0w2wBD/3
舞織が口に咥えたあとのマインドレンデルをください
960名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 23:06:11 ID:MSlqV/O5
全員萌え。

埋め。
961名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 10:19:16 ID:E3KtTRWX
>>959
俺が舐めまわした後でよければ…
962名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 00:22:24 ID:y9HvauxW
埋め
963名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 01:53:00 ID:y9HvauxW
埋め
964名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 01:03:14 ID:GNDM3Oh0
自殺志願を自らの秘所に激しく……と思ったが確実に死ぬなw
965名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 01:39:42 ID:RMXwckcA
まさに自殺志願w
966名無しさん@ピンキー:2006/03/17(金) 00:38:55 ID:Q2s/75jU
ume~
967名無しさん@ピンキー:2006/03/17(金) 07:56:11 ID:5TFR4R94
埋めですよー
968名無しさん@ピンキー:2006/03/17(金) 07:57:38 ID:5TFR4R94
埋めなんだけどね。
969名無しさん@ピンキー:2006/03/17(金) 15:15:36 ID:zox9xRHW
貴方達がここを埋めることを私はあらかじめ予測していました。
970名無しさん@ピンキー:2006/03/18(土) 22:33:14 ID:W08lkeZQ
埋めなんだよっおにーさんっ!
971名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 12:51:31 ID:7pH1WSAV
埋め
972名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 12:52:14 ID:7pH1WSAV
うめ
973名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 12:53:43 ID:7pH1WSAV
うめ
974名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 12:55:33 ID:7pH1WSAV
975名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 12:56:19 ID:7pH1WSAV
976名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 12:57:52 ID:7pH1WSAV
977名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 12:59:41 ID:7pH1WSAV
978名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:00:24 ID:7pH1WSAV
979名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:01:11 ID:7pH1WSAV
980名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:03:15 ID:7pH1WSAV
981名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:04:06 ID:7pH1WSAV
982名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:04:52 ID:7pH1WSAV
983名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:05:50 ID:7pH1WSAV
984名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:06:42 ID:7pH1WSAV
985名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:07:36 ID:7pH1WSAV
986名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:46:29 ID:7pH1WSAV
987名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:47:19 ID:7pH1WSAV
988名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:48:36 ID:7pH1WSAV
989名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:49:27 ID:7pH1WSAV
990名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:50:11 ID:7pH1WSAV
991名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:51:49 ID:7pH1WSAV
992名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:53:09 ID:7pH1WSAV
993名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:54:10 ID:7pH1WSAV
994名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:54:52 ID:7pH1WSAV
995名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 13:55:39 ID:7pH1WSAV
996名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 16:04:26 ID:7pH1WSAV
997名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 16:05:17 ID:7pH1WSAV
998名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 16:06:44 ID:7pH1WSAV
999名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 16:07:31 ID:7pH1WSAV
1000名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 16:09:01 ID:7pH1WSAV
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