1 :
1 :
05/02/09 00:41:02 ID:xCktttJi
2 :
名無しさん@ピンキー :05/02/09 00:44:09 ID:YlWNXiRc
2?
3
4様
神待ち。
>1さん 乙です。 ありがとう。 前スレの842タンは、ここに気づいてくれるかな…… 楽しみにしてるんで、続きよろしくねー。待ってるヨー!! そのほかの神の光臨もお待ちしています。 結構、いいタイミングで新スレ立てられたのかもね。 もう、私萌え全開ですw
8 :
1 :05/02/09 00:54:05 ID:xCktttJi
こちらこそ、色々ミスしてすみません。 でも次回のスレ立ては容量からいって900を踏んだ時点でスレ立てした方がスムーズかもしれませんね。
早売りゲットしてきた。あへー! エロはないけど、バカップル…。
11 :
842 :05/02/09 09:55:49 ID:Owva1zIG
おはよーゴザイマス。 前スレ書き込めなくなっちゃったのですね。 〉1さん乙です。 それじゃー、つづきイキマス。
埋まっちゃってたのか。書き込み試すまで気づかなかったよ。 スレ立て乙です>1さん 842さん、文章上手いですねー。誤字脱字少ないし。 詩っぽくまとめられたエロも官能的でした。 続き楽しみにしています。 ところで、今更なんですが、一応前スレのリスト、 アンカー無しで載せておきます。 このスレは保管庫に格納いただけるみたいなので参考にしていただけると有難いです。
◆完結SSリスト 01.「のだめ×千秋」……19さん作 ■>20-27 02.「千秋×彩子」……46さん作 ■>36-46 03.「 題名ナシ 」(菊池×いずみ)……名無しさん作 ■>103-105 04.「千秋カンタービレ」(エリーゼ×千秋)……ピアノさん作 ■>131-142、>145-155 05.「Kiss away」(千秋×のだめ)……ピアノさん作 ■>234-251 06.「千秋×のだめ」……226さん(=dropさん)作 ■>259-265 07.「へタレ千秋」……285さん(=dropさん)作 ■>289-294 08.「千秋×のだめ」……名無しさん作 ■>332-335、>344-347 09.「千秋×のだめ」……名無しさん作 ■>359-365、>377-382 10.「Kiss it better」(千秋×のだめ)……ピアノさん作 ■>397-414、>437-458 11.「千秋 in フィンランド」(オリジ現地女性×千秋)……名無しさん作 ■>486-495 12.「 題名ナシ 」(黒木×のだめ)……501さん作 ■>501-506、>803-804、>806-810、>814-821 13.「私を温泉へ連れてって」(千秋×のだめ)……ヴァイオリンさん作 ■>520-535、>542-553 14.「露天風呂編」(千秋×のだめ)……ヴァイオリンさん作 ■>569-577 15.「嫉妬」(千秋×のだめ)……dropさん作 ■>588-603、>695-704 16.「前夜」(峰×清良)……ピアノさん作 ■>635-652 17.「変態の森へ」(千秋×のだめ)……dropさん作 ■>756-760 18.「 題名ナシ 」(千秋×のだめ)……501さん作 ■>831-836、>852-861 19.「眩暈」(千秋×のだめ)……842さん作 ■>842-843、>863-864、>883-886 20.「マシュマロ」(千秋×のだめ)……dropさん作 ■>844-846、 21.「 題名ナシ 」(俊彦→のだめ)……501さん作 ■>871-880 22.「 題名ナシ 」(千秋×のだめ)……名無しさん作 ■>897 完結SSリスト 以上。
◆連作案内 I 05.「Kiss away」 → 10.「Kiss it better」 ピアノさん作(千秋×のだめ) ■>234-251、>397-414、>437-458 II 12.「私を温泉へ連れてって」 → 13.「露天風呂編」 ヴァイオリンさん作(千秋×のだめ) ■>520-535、>542-553、>569-577 III 06.「千秋×のだめ」 → 07.「へタレ千秋」 → 16.「変態の森へ」 dropさん作(千秋×のだめ) ■>259-265、>289-294、>756-760 ◆未完SS 「 題名ナシ 」……71さん作(鈴木姉妹×千秋予定) ■>84-88 未完 「新婚さんいらっしゃ〜い♪」(千秋×のだめ)……842さん作 ■>904-906、>910-911、>914-915 未完 ※次スレ(エロパロのだめ2)で続き連載予定 ◆ネタ 「峰の裏試験」……名無しさん作(原作のギャグエロパロ) ■>514-516 「他の作者がのだめカンタービレを描くとどうなるか」……名無しさん作 ■>627-628 エロパロ板のだめスレ1(前スレ)目次 以上。
アンカーつけないと単色で見づらかったので、■マーク入れさせていただきました。 読みづらかったらすみません。 では、6さんと同じく神待ち。
「ふわあ〜、なつかしいデスね」 かつて共に学んだ桃ヶ丘音楽大学の校門前にタクシーを停め、千秋とのだめはしばし その校舎を眺めた。今は夏休み中だが、それでもさまざまな楽器の音が聴こえる。 「変な学校だったけどな……」 過去のさまざまな出来事を思い出し微かに眉をひそめる千秋だったが、その表情は穏やかだ。 がんばれよ、と自分たちの後輩に当たる学生たちへ心の中でエールを送り、のだめに左手を 差し出す。 「そろそろ行くぞ」 二人手をつないで、秋の気配を感じさせる涼しい風の中を歩いた。 ガラガラと営業中の札が掛かった扉を開けると、中から「いらっしゃい!」と いう陽気な声が響いた。 「峰くんパパ〜! お久しぶりデス」 「のだめちゃん!? それに千秋先生も!」 「どうも」 のだめと裏軒のマスターが再会の喜びに盛り上がる横で、千秋は一言挨拶すると 学生時代の指定席だったテーブルに着く。 龍〜、千秋先生とのだめちゃん来たよ〜、とマスターは二階に向かって声を上げ、 「二人ともお昼まだでしょ? なんでも作るから言ってよ」 とにこにこ笑いながら言った。 「のだめ、マーボーにごはん!」 「俺はクラブハウスサンドとエスプレッソ」 はいよー、と厨房に入っていくマスターにお願いしマースと声をかけてから、のだめは 千秋の隣に腰掛けた。 すると、トントントン、と階段から下りてくる足音が聞こえ、奥から峰が顔を出した。 「おお、悪かったな呼び出して」 せっかくの新婚☆バカンス中に、とにやにやしながら千秋の前に座る。 「新婚、は余計だ!」 「いーじゃんほんとのことなんだしー、なぁのだめ?」 「しんいちくんは照れ屋サンなんですヨ。それより峰くん、清良サンは?」 千秋の反応を横目にプププ、と笑いながら、のだめは尋ねた。
「いま子供寝かしつけてるトコ。すぐ来るよ」 今や世界的に有名なヴァイオリニスト、三木清良。彼女は1年ほど前まで千秋たちと 同じようにヨーロッパを中心に活動をしていたが、妊娠が発覚し、結婚。 現在は子育てに専念して休業中である。この、峰の妻となった女性とのだめは、留学中に 千秋の紹介を通じて知り合い、以来仲のよい友達だ。 「そっか。沙良ちゃんもう5ヶ月でしたっけ? あとで会わせてクダサイね♪」 「おう、かわいいぞ〜」 デレデレと親バカぶりを発揮する峰に、お前に似なくてよかったよな、と憎まれ口をたたく 千秋だったが、その眼差しは暖かいものであった。 「で、話ってなんだ?」 「ん? ま、まぁ、先に飯でも食えよ。そのうち清良も来るから、話はそん時にでも」 少し焦り気味の峰にあやしい、と危険な香りを察知した千秋だが、ちょうど頼んだものが マスターによってテーブルに運ばれてきたので言葉に従うことにする。 千秋の心の中の不安が大きくなっていることをよそに、のだめは 「ムッキャーッ!! マーボー最高デス!!!」 はうはうと目の前の昼食に夢中になった。 「二人とも久しぶりね〜」 昼食を食べ終わり一息ついている二人に向かって、清良は鮮やかな笑顔を見せた。 沙良は? 今よーやく眠ってくれたわ、という子持ちらしい会話を交わしつつ、 峰の隣に座る。 「ごめんね〜、結婚式に出られなくて」 「いいんですよーそんなこと。清良サンはママになるためにがんばってたんですカラ」 出産予定日に近かったため出席できなかったことを謝ると、のだめは今度写真でも見て くだサイね、と微笑む。 見る見る〜♪ と盛り上がる女性陣の会話には加わらず、 「じゃ、話とやらを聞かせてもらおうか」と千秋は言った。
「断るっっ! 絶対に! 断固として! 断る!!!」 拳を握り締めて立ち上がり怒りをあらわにする千秋に、峰はなおも食い下がった。 「そんなこと言わずに〜。親友☆だろ、俺達」 峰の話というのは、テレビ出演の依頼だった。R☆Sオケは今や固定客が多数いる 人気の高いオーケストラであり、宣伝などしなくてもチケットはほぼ売り切れ状態。 しかし峰の野望はここで満足するものではなく、未だお堅いというイメージを 払拭できずにいる日本のクラシック界に旋風を巻き起こしたいと考えていた。 そこに友人である指揮者とピアニストの結婚というニュースが飛び込んできたのだ。 二人は日本でも有名であり、現実にそのニュースは世間を騒がせた。当然、すでに 出演が決まっていたR☆Sの事務所にも取材依頼が舞い込んでくる。これを使わない 手はない、と峰は頭の中で計画を練った。 その考えに反論はない、と千秋は思う。彼とて、日本でももう少し気軽にオケを楽しめる 雰囲気があればと考える一人である。そのための協力は惜しまないつもりだ。 しかし……。 「だからって何で『今夜は新婚さん』なんだ――っっっ!!!」 『今夜は新婚さん』というのは、有名人の新婚夫婦をゲストに迎えて、トークを繰り広げる 人気の番組である。 「だってお前らの結婚って、結構ビッグニュースだったしよぉ。俺あの番組好きなんだよ」 ざけんなー!!! と千秋は峰の襟元を掴んで強く揺する。 「お前らが出て宣伝すればいいじゃねーか!」 「俺らもう新婚じゃねーもん」 ハートはまだまだ新婚ラブだけど♪ と言う峰に、千秋は鉄拳を食らわせた。
ひ、ひどい、と涙ぐむ峰を見下ろし、まだ怒り覚めやらぬ様子の千秋。 「だいたいなー! 俺の事務所は――」 「エリーゼならO.Kくれたぞ」 出演料の3割入れるって言ったら「よろぴくー」って、と言って峰は不敵の笑みを 見せる。千秋は脱力した。 ――エリーゼェェ! あの女自分のバカンスのために、この金フトコロにしまい込む つもりだなぁっ!! ブルブルと打ち震える千秋は、ゆっくりと清良の方に顔を向けた。 「……清良、お前はどう思ってんだ?」 そのオーラに、かつての鬼千秋を思い出した清良は後ずさりながらも。 「わ、私が龍のやるコトに反対するわけないじゃな〜い♪ 今度の公演は 私の復帰戦でもあるんだしぃ……」 そう、清良は長かった休業期間を、今回の公演で終わらせる予定である。 盛り上げていきましょうよ〜と言う清良を前にして、千秋は改めてこの二人が 夫婦だということを思い知らされた。 「……とにかく、この話は無しだ。行くぞ恵!」 いままでの会話の中で、ただオロオロしていたのだめの腕を掴み、足早に外へ 出ようとする千秋。彼の前に立ちはだかったのは、峰パパであった。 「せんせぇ〜、……食い逃げですか」 キラリと光る包丁に、千秋は最後の頼みの綱とのだめに尋ねる。 「……お前は、どう思うんだ?」 「え、えと。のだめは別にかまわない、ていうか〜、むしろ出たい、みたいな♪」 がっくりと肩を落とす千秋であった。
えへ〜、『新婚さん』に出るの夢だったんデスと言うのだめと。 楽しみね〜とにやりとする清良。 お土産持ってってよといきなり上機嫌になる裏軒おやじに。 んじゃ、事前に連絡行くと思うけどよろしくと肩を叩く峰。 ――何故、こんなことに!!! この四人に囲まれて、激しくブルーになる千秋がいた。 その時、上の階から赤ん坊の泣き声が聞こえ、「あ、いけない」と清良があわてて 2階に駆け上がっていった。 「あ、そだ! 帰る前に沙良ちゃんに挨拶しなきゃ」 のだめが言うと、清良が赤ちゃんを抱いて下りてきた。母親のぬくもりに安心したのか 目じりに涙をためながらもニコニコと微笑んでいる。 「ほわぁ、かわいいデスね〜」 「だろ〜?」ウチの娘は世界一、と峰は満足げにうなずく。 抱っこしてみる? と言う清良に、いいんですか〜? とのだめはおずおず赤ちゃんに 向かって手を伸ばした。初めはキョトン、としていた沙良だったが 「のだめデスよ〜。よろしくね♪」と笑いかけると、しっかりとしがみついて 笑い声を上げる。そんなのだめの様子をまだショックの抜けきらない顔で見つめていた 千秋だったが、赤ちゃんとのだめという構図になんとなく気恥ずかしくなり。 「この場にいる人間で心が黒くないのは、俺とお前だけだな」 沙良を覗き込むようにして言った。そして何の気なしに、ふわふわのほっぺたに 軽くキスを送る。千秋のこの行動に、一人固まった男がいたことを誰も気づくことは なかった。そして千秋とのだめは自分たちの家に帰っていった。
――千秋真一、許すまじ。 沙良のファーストキスを奪いやがってぇぇぇ!!! 俺でさえまだしたことなかったのにっ! 怒りの炎を燃やしながら、紙に向かってなにやら書いている峰の様子に清良はただならぬもの を感じたが、触らぬ神に祟り無しと知らぬ振りを決め込んだ。 峰は出来上がったものを、不気味な笑い声を挙げる中メールやファックスで知人に送りつけた。 通知 この度、今月15日放送の『今夜は新婚さん』にて千秋夫妻出演決定。 千秋に恨みを持つ者、からかいたい者、その他なんでもO.K 番組の「視聴者からの質問」コーナーにキミの気持ちをぶつけよう! ユーモアあふれるダークな質問、待ってるゼ。 峰☆ 送り先は、そのほとんどが千秋とのだめも面識のある音楽仲間だったため、本気で 千秋を敵視する人間はいなかった。だが、こんな面白いことを見逃す人間もまた、 一人もいなかったのである。 「へっくしゅっ」 背中に悪寒を感じた千秋は、傍らにあるぬくもりを引き寄せて、再び眠りについた。
22 :
842です :05/02/09 15:36:44 ID:Owva1zIG
今日は、ここまで、かな。 本当は今日中に終わらせたかったのですが、 予想外に長くなってしまって……。 感想、どうもありがとうございます。 ではでは。 まだまだ、つづく。
842さん、楽しませていただいてまーす! ユーモア溢れるダークな質問…。むっちゃ楽しみ〜。 ところで、「新婚さんいらっしゃ〜い」って 今もやってたんでしたっけ? 司会は桂●枝師匠ですか? 「いらっは〜い」って独特の発音とか、 椅子から転げ落ちるのとか健在なんだろうか…。
それとNHKの「今夜は恋人気分」も入ってますよね。 あっちは熟年夫婦ですけど。 この間、指揮者とピアニストのご夫婦(岩城宏之・木村かをり)がでていて 千秋たちもこんな風になるのかなぁて萌え萌えでした。 旦那さんが奥さんのピアノが好きで 「現代音楽を弾かせたら世界一だと思っている」なんて言っていたのが印象的でした。 この旦那さんは、演奏旅行ばかりの自分につきあわせて 奥さんがピアニストとしての活動が、十分にできないことがあったのも気にしていて なんだか、のだめをどうしていいのか悩む千秋とだぶりましたよ。
25 :
ふおおお! :05/02/09 19:32:00 ID:5WTPweai
842さんGJ!すべての場面がコマ割りまで目に見えるようですた!
842さん、面白展開になりそうで楽しみですw! >23さん 豪快に椅子から転げ落ちる、はいまだ健在ですよ〜 椅子まで転がるほど派手に転んでますw。
23です! 26さん、ありがとうございます! 椅子まで転がるほど派手になってるんですか!ふぉぉぉ〜 機会があったら見てみます!
842さんGJ! 面白いですね、ストーリーが練ってある感じで。 続き期待してます。 目次作ってくれた人も乙です。 前スレの最後の方は結構混在していたので助かりました。
ここの住人、結構難民板にいますよね? 私もそうだけどw 向こうでSSが出来そう、って書いている職人さん、ここに投下してくれると嬉しいな。 >842さん すごく楽しみにしてます。 投下待ってるよー。
30 :
842です :05/02/10 09:52:06 ID:vp/Z6IiC
おおう!! たくさんのコメントありがとうございます。 「今夜は新婚さん」は、皆様お気づきのとおり、三枝師匠の番組と NHKの番組のごった煮でございます。でも中身は……。 それでは、つづきガンバリマス!
運命の15日は、あっという間にやってきた。事前の打ち合わせでは、学生時代の ことや、留学中、そしてヨーロッパでの活動を中心とするエピソードについて、 司会者と対話形式で話をして欲しいということだったので、普段から受けている インタビューとそれほど変わらない。念のため番組を一度見てみたが、バーカウンター 風のセットの中で、司会者である女優と気軽に酒を飲みながら語り合うという、ごく 普通の内容だったため、千秋は少し安心していた。 ――生放送ってところがひっかかるけど……。 ピアノの演奏も頼まれていたので、モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ」を 数回合わせて、二人はテレビ局入りした。 一方その頃。裏軒の2階では……。 部屋の掃除をしていた清良は、ファックスの横に丸められた一枚の紙を発見した。 「なに、コレ?」 愛娘のかわいい寝顔にデレデレしながら見入っていた峰に問い詰める。 「あっ! それは……」 清良の手にある紙の、通知……と書かれた文字を見て、峰は青ざめる。 「龍、あんた千秋君に恨みでもあるワケ?」 「だってよー……」と峰は目をそらしながら事の顛末を妻に話し始めた。 ――沙良のファーストキスは、ヴァージンロードまで取っておきたかったんだ。 花嫁の父として赤い絨毯の上を娘と腕を組んで歩き、にっくき男の前で 最初で最後のキスを「幸せになれよ……」という言葉とともに……。 気の早すぎる妄想により、峰の頬には涙が伝っている。 「そんな俺の願望を、千秋の奴――」 「っかっわいい〜!!」 言葉を最後まで聞かずに、清良は夫に抱きついた。 「なんで早く言わないのよ〜。こんな面白そうなこと!」」 私にもいろいろネタはあるんだから、と言う清良に、さすが俺の真っ赤なルビーだと 峰は惚れ直すのであった。
「筒井かをりサン、すっごいキレイでしたね〜」 さすが女優さんデス、とのだめは興奮気味に話す。先ほどプロデューサーの人によって 千秋とのだめは番組の司会者である筒井かをりと引き会わされ、挨拶を済ませた。 彼女は気さくな感じで 「今日はよろしくね。私こういう口調で馴れ馴れしく感じるかもしれないけど、気にしないで」 と笑った。よろしくおねがいしますと頭を下げると、「気楽にいきまショー」と手を振って 自分の控え室に戻っていく。少し変わった人だな、という印象を千秋は持った。 「お前、ピアノしくじんなよ?」 「しんいちくんこそ、久々のピアノで恥かかないでくだサイね」 二人が軽口をたたいていると、ドアのノックとともに「そろそろお願いします」という声が かかった。 皆さんこんばんは〜。『今夜は新婚さん』の時間です。司会はいつもと同じく、私筒井かをり。 今日のゲストは、今のクラシック界を担う若手指揮者の千秋真一さんと、その奥様でピアニストの 恵さん。私も一度お二人の演奏を聴きにいったことがあるんだけど、とっても素敵な音楽だったわ。 なんていうのかしらー、ほら、スウィートでムンムン? 思わず頬を染めちゃったくらいよ。 そんな音楽を紡ぎだすお二人から、今夜はどんな話が聞けるのか、私も楽しみだわ。 あ、こちらに来て座って。 独特の語尾をのばす口調でおなじみの番組挨拶を終えた筒井かをりは、セットのソデから 顔を出した千秋とのだめをカウンターの椅子に座るよう促す。並んで腰掛けた二人の前に カクテルが置かれて、打ち合わせどおりにトークが始まった。
「二人は、大学で知り合ったのよね?」 「ええ。彼女は同じピアノ科の後輩で」 「ピアノ科? 千秋君は指揮科じゃなかったの?」 「あー、指揮の勉強は独学で、大学ではピアノを練習したかったので」 「すごく上手なんデスよ〜指揮者希望のくせに。嫌味な男デスよね〜」 「へえ〜。それで、二人の出会いは?」 「う、部屋が同じアパートの隣同士で。その時たまたま……」 「酔っ払ってウチの部屋の前に――」 「(ゴスッ)ま、まあ顔を合わせたんですよ!」 「じゃ、その時にお互い一目ボレってワケ?」 「まさか! 第一印象は最悪でしたよ。その時に見たコイツの部屋のありさまは――」 「(ムギュッ)し、しんいちくんは照れ屋サンなんですヨ! え、えとその後二人で 連弾やることになってー」 「ぷっ。面白いわね〜二人とも。カウンターの下で攻防戦? とにかく音から二人の 関係は始まったってことでいいのかしら?」 「……まあ、彼女のピアノを聴いたときは、すごく面白い演奏をするなーと」 「恵ちゃんの演奏に惚れ込んだ、と」 「……ええ、まあ」 「のだ、私は連弾の時からフォーリンラブ♪ だったんですケド。長いこと片思い だったんデスよー」 「そうなの? その割にはずいぶん仲良く学生生活を送ってたみたいだけど。ご飯 作って一緒に食べたり……」 「ど、どこからそんな情報をっ!? ……そのマル秘☆メモってなんですか!?」 「ま、いいからいいから♪」
「それでは、CMのあとでお二人に思い出の連弾の曲を弾いてもらいましょー」 あの後のトークでも千秋とのだめの二人はお互いに墓穴を掘りながら、普段のインタビューでは 絶対に見せない素顔をさらけ出していた。その要因のひとつは筒井の手にするマル秘☆メモ だったが……。 「アレ、絶対に峰の策略だよな……?」 あの野郎! と千秋は恥ずかしさに赤くなりながら握りこぶしを震わせる。 「お前もっ! もっとまともな会話をしろ!」 「しんいちくんこそ、余計なことは言わないでクダサイよっ!」 二人顔を合わせると、はあぁ、とため息をついた。 そう、この二人がいつも言わないようなことまで話してしまうのは……。 ――筒井かをり、侮り難し。 彼女の持つ独特な雰囲気の魔力であった。 二人の演奏が終わって、もう一度CMをはさんだ後、トークが再開された。 「で、二人の夢だったピアノコンチェルトを成功させたあと、すぐに結婚したワケよね?」 「まあ、そうです」 「その頃はもうお互いに名の知れた音楽家だったわけだし、生活もすれ違いが多かった でしょー? そこらへんの葛藤はなかったの?」 「なかった、と言えば嘘になりますけど……。すれ違いが多い分、一緒にいられる時間を 大切にしたかったし」 「音楽と家庭、両方のパートナーになれば、お互いもっとがんばれると思ったんデスよ〜」 二人はいつになく饒舌であった。筒井マジックにまんまと乗せられた上に、番組の前半で さらした恥にヤケになって出されたカクテルをぐいぐいと空けてしまい、その酔いがまわって きたのである。 その様子に初めはハラハラしていた番組プロデューサーであったが、結構面白かったので そのまま筒井かをりにまかせることにした。
「それで、プロポーズの言葉は〜?」 「……そんなことこの場で言えるわけないでしょう!」 「も〜、しんいちくんたらいいじゃないデスかこの際白状しちゃっても〜」 「お、お前酔って……!?」 「なになに? すんごいロマンチックなのを期待してるんだけど」 「それが聞いてくだサイよ〜かをりサン。たった一言『結婚してやる』デスよ。 ムードのかけらもないったら黒王子のくせに〜」 言うなーっ! という千秋の叫びとあははははっというかをりの笑い声がこだまする。 ここまでくるともう、いつもの夫婦漫才でしかなかった。 「ぷくくっ。さて、二人の楽しいお話をもっと聞いていたいけれど、ここでビデオレター を紹介するわね。びっくりするわよ〜」 その言葉にえっ? そんなの聞いてない、と二人があわてて目の前に置かれたモニターに 目を向けると、よく知っている男が映し出された。 「あ、ミルヒー」 つぶやくのだめの横で、顔色を失くす千秋。ビデオレターの主は、フランツ・フォン・ シュトレーゼマンその人であった。
36 :
名無しさん@ピンキー :05/02/10 15:27:05 ID:RcLkr50p
>>842 面白いねー
ノベラゼーションやったら?マジで。
やあ、チアキ、のだめちゃん。ミルヒーデス。こんな楽しい企画を私に知らせてくれナイ なんて、ヒドイですネ。デモ私の情報網をあなどってはイケマセンヨ。ムフフ♪ 最近、のだめちゃんが色っぽくなってきたナー、と思っていタラ、結婚だもン。 ミルヒーはビックリですヨ。ヤルね〜チアキ。こんど会ったらいぢめマス。覚悟してネ。 のだめちゃんも、そんな無愛想なオトコほうっておいて、私ともっと楽しい時間を 過ごしまショウ。のだめちゃんの胸をチアキに独占させておくのはもったいない ですからネ。私がイロイロ教えてあげマス。それじゃあ、またネ♪ あなたのミルヒーより。 「この、エロジジイーッ!!!」 「ムキャー! セクハラデスッッ!!!」 顔を真っ赤にさせて絶叫する二人に、筒井かをりの爆笑はとまらない。 しばらく笑い続けた彼女だったが、次のコーナーへと指示が書かれたカンペを見ると、 番組をまとめにかかった。このあたりはさすが女優、である。 「えー、では時間も迫ってきたので、最後のコーナーに。二人は3月にR☆Sオケで 演奏する予定なのよね?」 「あ、ハイそうです」「その予定デス」 ミルヒーのビデオレターにすっかり逆上していた千秋とのだめは、我に返って うつむきながら頷いた。 「がんばってね。私もぜひ聴きに行くわ」 ニッコリと笑ってから、かをりはカメラ目線になっていつもの台詞を続けた。 「さて、そんな今日のゲストのお二人に、視聴者の方からのメッセージを届けます。 質問・疑問、なんでもO.K. 画面に映っている番号まで、どしどしファックスで 送ってね」 いったんCMが入り、千秋とのだめは脱力した。次々と送られてくるメッセージに 書かれた内容を想像する気力も、もはやなかった。
38 :
842です :05/02/10 16:07:48 ID:vp/Z6IiC
……ち、力尽きました。今日中に終わらせたかったのに。 えらいこと長いです。自分でもびっくりデス。 つづきはまた今度、ということで。ごめんなさい。 次こそは、終わらせる!
>842サマ お疲れさまです〜GJGJ!才能溢れまくってますよ。 面白すぎて仕事中ににやけちゃう… 朝から少しずつ投下してくださるので、 ずーっと気になって気になって、1時間おきにのぞいてたりw しょうじき、しごとがてにつきません。 続きも楽しみにしながら大人しく待ってます。
842サン、う、上手いです。 たのしーです。
41 :
名無しさん@ピンキー :05/02/10 18:00:01 ID:hUkDB4IB
>842 GJ!続きおまちしてます! どなたか千秋の自慰などかいてくれませんかね〜 最低?
最低だ!!
>>41 他板だとそうだけど、此処だとそーでもない。
>41-42 おまいら面白すぎw 842さんおつかれさまです。 面白いですねー、次回はいよいよ視聴者からのメッセージですかー! がんばってください!激しくお待ちしていますね! でも、KISSも発売になってネタバレ話も出るだろうから、 テキストは一度メモ帳とかにまとめて、一気に投下してくれた方がいいかもです。 職人さん投下中は、やっぱり横槍になりそうで他の投稿を遠慮してしまうので・・・
45 :
名無しさん@ピンキー :05/02/10 18:24:51 ID:hUkDB4IB
そうだね。投下は一気にお願いしたいです。 (自分も書き込むのを遠慮していたので)
一気に読めればスカッとするし、読みおわった後は 不思議な充実感にみたされる。これはあたしだけかもしれないが。 千秋の『結婚してやる』ってのは ヘタレなりのいっぱいいっぱいの言葉のようで萌えました。 続き楽しみにしてます。
書き手さんは投下しづらいかもしれないけど 読み手としては平行していくつも読めるのは嬉しいです。 楽しみがいくつもあっていい!
まるっと一話を一気に、ということではなくて 一日分を一気にということだと思うよ。 読み手もいつコメントしたらいいかわからないし うっかり間にコメントしちゃうと気まずい。
842さん、面白いです! 峰と清良も脇役ながらキャラが立ってて嬉しい〜 続き愉しみにしていますね! こちらのみなさんはKiss読みました? ネタバレになってしまうのですが、トンネル内のお話作ってるのですが、 投下しても大丈夫でしょうか。
もちろんですとも〜! 842さん、話最高に面白いです! ダークな質問どんなんだか、楽しみですよ♪
842さん続き期待してマス!楽しいです♪ だれか〜、黒木×のだめ書いて〜!! 842さん、書けませんか??
作品がさらに好きになるエロパロスレははじめてです。 さらに名作松。
>50さんありがとうございます! それでは、Kiss今号(Lesson67)の疑惑のトンネル話(wを投下させていただきます。 …め、名作にはほど遠いかとは思いますが、 一つの解釈として、少しでも楽しんでいただければ幸いです……。 ※本誌のネタバレを含んでいますのでご注意ください。
トンネルの向こうに(Lesson67より) ■■1 「エリーゼのやつ……本当に仕事をきっちり取ってくるというか、オレの実力というか」 千秋はのだめと並んで歩きながら、少し厳しい表情でそう言った。 しかし前方を見据えながらも、自分を見つめるのだめの視線には気付いていた。 その、千秋を見つめるのだめの頬は心なしか紅く染まっている。 のだめはどこか、近くて遠いものを見るような、静かな面持ちで千秋を見上げていた。 千秋とのだめの身長差は20センチほどあるので、 二人が会話する時は、自然とのだめが千秋を見上げるような形になる。 しかしその高さは、単に身長差だけの問題ではない気がして。 そうして二人は歩みを進め、一定の距離を保ったまま無言で、 古びたレンガでアーチ状に模られたトンネルの入り口に差し掛かった。 目の前は、どこに続くとも知れない暗闇。 二人は、今までも、沢山のハードルを越えてきた。 自分自身との闘い。音楽への飽くなき追求。 暗く長いトンネルの先に何が見えるのかなんて、今はまだ何もわからない。 二人は、どちらからともなくそっと手を差し出し、…軽く、つなぎ合った。 「のだめもがんばらないと……ですね」 のだめは今、パリの冷たい空気の中で、身が引き締まるように決意を新たにしていた。 傍らの千秋に語りかけるように。自分自身を鼓舞するように。 トンネルの影に差し掛かり、出口の見えないその暗闇をひしひしと感じながら。 そうしてまた千秋も、暗がりに身を滑り込ませながら厳しい表情で応える。 「うん……」 同じ音楽を志す者同士が理解し合える、堅い決意だった。 二人はトンネルを進んでゆく。 目の前には、暗闇の道。 穏やかな日の光が、名残惜しそうに、最後の一筋を二人の繋がれた指先に投げかけていた。
■■2 カツーン、カツーン、と、靴音が響く。 トンネルは意外に広く、二人きりで歩くには結構なスペースだった。 先の方に見える出口は小さく、まだ大分距離があるようだ。 二人は、繋がったお互いの手の温かさだけを頼りに、歩調を緩めた。 「そういえば学校どう?あれから……」 千秋はふいに口を開いた。 「あ……」 のだめは、そんな千秋に応えるように、しっかりと千秋の手を握り締めた。 千秋の手の大きさと温かさがこそばゆく、思わず頬が緩んでしまう。 「順調ですヨ。先生はとってもいい先生だし。 最近はのだめ、初見もなかなかやるんでス!」 他愛のない近況報告。世間話。 そんな今まで通りのやりとりでも、想いの通じ合った二人には、新鮮なものだった。 「へぇ――」 千秋もまた、握り返してやる。 すると、のだめの手が微かにぴくりと動き、僅かに引かれた。 千秋の声が、トンネルの中で反響して、何度も遠くに聞こえる。 千秋は再び、のだめの手を強く握った。 今度は、おずおずと、軽く握り返してくる感触。 千秋はそっとのだめを見遣った。 暗がりといっても、相手の姿が見えないほどではない。 しかし薄い闇は、のだめの姿を、いつもより小さく頼りなく見せていた。 千秋はそっと歩みを止め、伺うようにのだめの顔を覗き込んだ。 少し俯きがちに、のだめは前方から目を離さない。 しんと静まりかえった薄闇の中、千秋は、のだめの手を握る掌にそっと力を込め、 もう片方の手…右手をのだめの左肩に伸ばす。 その手に誘われるように、のだめはのろのろと視線を上げた。
■■3 二人の熱っぽい視線が交錯する。 千秋は、のだめの肩に置いた手を、ゆっくりと移動させる。 コートをまとった背中をすっと撫でると、のだめはぴくりと身じろぎした。 そんな些細な反応も可愛らしくて。 千秋は思わず目を細めて、のだめの細い腰を捕らえた。 彼女を抱くように引き寄せると、のだめはくすぐったそうに笑みを零し、 ほんの一瞬目線を落としたが。 再び、千秋を見上げる。 物言いたげに軽く開かれた唇は、浅い吐息を繰り返していて。 千秋は、この上なく優しく、微笑んだ。 そうしてそのまま、千秋の影はのだめに溶けていき…… 唇を重ねた。 そっとのだめの唇に触れる、千秋の唇。 もう何度となく交わしたキス。 マシュマロの如きその感触と、えもいえぬ甘やかな香に、千秋は感嘆して目を瞑る。 ほんの少し、味わうように押し付けて、ふと千秋は唇を離した。 目を開けると、のだめは未だ目を瞑ったまま、 自分が今口付けたそのままの形を残したままで軽く唇を開いている。 長く濃い睫。 小さい鼻。 紅く、ふっくらした唇。 そのうちにのだめはゆっくりと目を開けると、ごく間近で見つめ合う千秋の視線に照れて、 はにかんだような笑みを零した。 千秋はその微笑みに誘われるように、再び唇を落とす。
■■4 柔らかく、触れて。食むように愉しんで。 ――そうして千秋は、そっと、舌を差し入れた。 「……ッ…………。」 のだめの身体はびくりと波打ち、千秋から逃げるように僅かに後ずさる。 しかし千秋は、腰を抱く右手をのだめの首筋に移動させ、逃げ場を封じた。 千秋は、徐々に深く舌を差し入れていき、のだめの口内を味わう。 絡ませようとすれば逃げる舌を追い、歯列をなぞって、滑らかな歯茎を舐め取る。 その度にのだめの華奢な身体は小さく反応し、つないだ手にはきゅっと力が込められる。 そんなのだめの慣れない反応が可愛くて。 首筋を捕らえる指先でそっと耳たぶを弄びながら、 一層のだめの口内を蹂躙し、その唇で彼女の唇をやわやわと食んだ。 お互いの唇から溢れた唾液が、一滴、のだめの顎を伝って滴り落ちる。 いつしかのだめの左手は、千秋の背にしがみついていて。 もどかしげにコートを手繰り寄せるのその感覚に、千秋は益々高ぶってゆく。 手をつないだまま、隙間の無いほどぴったりと寄り添い、二人は唇を重ねていた。 いや、重ねるというより……千秋がのだめの唇を、口内を、貪っていた。 のだめの苦しげに寄せられた眉、熱く激しい、…甘い、吐息。 徐々に力を失ってゆく華奢な身体。 「…〜〜〜ッ、………………」 のだめの身体が危うく膝から崩れ落ちそうになると、千秋は口付けたまま慌ててその背を支えた。 千秋の手をしっかり握り締め、コートを掴んで。 全身を弛緩させながらも懸命に千秋の口付けに応えようとするその様は、 この上なく愛らしく、健気だった。 千秋は、飽きることなくのだめの唇を味わいながら、危惧すら覚えた。 ……オレ、あんまり待ってやれなそうだな………… そうしてすぐ、そんなことを考えてしまった自分に頬を染め、バツが悪そうに眉を寄せる。 そんな千秋の思惑なんて知る由もないのだめは、ただただ求められるままに、 千秋の口付けを一心に受けていた。
■■5 ……ずっとこのままこうしていたいくらいだけど。 千秋は長い長いキスの後、そっと唇を離し、 名残惜しそうに、のだめの頬へ、額へ、鼻先へ、…そうしてもう一度紅い唇へ口付けてから、 のだめの乱れた髪を梳いてやった。 のだめは未だ興奮冷めやらぬような様子で、 くぐもった吐息を漏らしながら、千秋の愛撫に身を任せている。 千秋がのだめを労わりながら、頭、頬、背中…と優しくさすってやると、 薄闇の中でもわかるほど頬を紅潮させたのだめが、大きく息をつきながら目を開けた。 その瞳は とろん としていて。 視点が定まらない様子でふらふらと千秋の顔を見上げるその拙い様子に、 千秋は胸を突かれて、思わず強く抱きしめた。 温かく、柔らかい、のだめの身体。 その癒されるような感覚に、千秋もまた、深くため息をつく。 自覚してからは、せきを切ったようにのだめへの想いが湧き上がってくる。 溢れ出るような愛しさを吐息に乗せ、千秋は、 のだめの髪に顔をうずめて、暫くの間そのままのだめを抱きしめていた。 どのくらい時間が過ぎたのか、わからない。 暗がりの中にいる千秋は、己の中で猛った熱情が徐々に穏やかな心地良いものになってゆくのを感じ、 そっとのだめの身体を離した。 そして千秋は、もう一度のだめの紅い唇にそっと口付けると、 しっかりと彼女の手を握り直して、またゆっくりと歩き出した。 よろよろとおぼつかない足取りで、半ば千秋にしなだれかかるようにして歩くのだめを気遣いながら。 絡めた指先の1本1本まで、のだめのの柔らかさを感じながら。
■■6 歩き出してみれば、トンネルの出口は意外とすぐで。 明るい日の光が眩しい。 アーチをくぐる頃になっても、傍らののだめは、まだ頬を上気させてふらふらと歩いていた。 改めて千秋は、先ほどの熱情を思い出して言葉に詰まる。 ……あんなに激しくするつもりなかったのに。こいつに触れてたら、なんか、…… 俯いて、頬を染める千秋。 千秋は、のだめの指に絡ませた自身の指先にいささか力を込め、わざとしっかり脚を進めた。 …そう、トンネルの出口で、自分がどうなっているかなんて、入る前はわからない。 精一杯、がんばるだけだ。 わざと理知的な考えを巡らせながら、千秋はのだめの手を引いて歩く。 しかしそんな建前とは裏腹に、千秋がのだめの甘やかな香に酔い、 柔らかな唇の感触を思い出しては高まる衝動を必死で抑えているのは、 彼の、彼女の手を握る強さが物語っていた。 つないだ手の熱さは、千秋が少しでものだめを強く感じようとしている証拠だった。 …トンネルを抜ける前、ねぇ…… ため息をついて自嘲的な笑みを零しつつも、 「アヘー」といつもの奇声を発しながら幸せそうに寄りかかるのだめの様子に、 密かに目を細めてしまう千秋だった。 そして千秋は、俯きながらも、噛み締めていた。 のだめが自分のことを「真一くん」と呼んだ、その意味の深さを……。 <暗がりの向こうに(Lesson67) 終>
以上です。というか最後の最後でミスってしまいました。 このお話の題名、投下の直前に「暗がりの〜」から「トンネルの〜」に変えたんでした……。 そのあたり脳内補完でよろしくです。 おそまつさまでした。
おお〜!!ピアノさんGJ! 久々の新作じっくり堪能させていただきましたよ! これを読みながらもう一度、本誌を読むことにします。 ありがとうございました!
うっほーー!! 相変わらず読ませてくれるなー、ピアノさん…… 自分も色々考えていたけど、ピアノさんのSSに納得、満足、お腹イパーイしやわせ〜になりました。 ごちそうさまでした!!
前スレの消費くらいしろよ
前スレは512KBを超えたのでこれ以上書き込みできないのですよ。
ピアノさん、GJ。堪能しました。 私にはもう842さんが見えません。峰最高だよ峰。GJ。
ピアノさんのSSのお陰で補充できますた。 これから本誌を読み返します! ありがとうございました!
68 :
名無しさん@ピンキー :05/02/11 02:32:26 ID:Wwa/NIDZ
もう少しあっさりしたキスを想像してたけど、 濃厚ですね
69 :
sage :05/02/11 11:37:44 ID:3tUkVrkH
age
下がってないですよ。 エチー神の光臨お待ちしてます。 最近、ないよね?
842さんの続きをお茶でも飲んでお待ちしてます。 且⊂(゚∀゚*)ウマー
72 :
名無しさん@ピンキー :05/02/11 17:13:26 ID:3tUkVrkH
842さんまだでつか??
73 :
842です :05/02/11 20:38:24 ID:QESYbiKz
うおおっ!!! すんごいたくさんのコメントが! びっくりです。うれしいです。 えーと、一気に書き込んで、というコメントに ちょっと反省しておりまして……。 私、下書きとかいっさいしないで、1コマづつ勢いで書いていく感じで。 あのテンポじゃないと、ちょっとつらいんです。 でも、やっぱり他の方の迷惑になるようなことはしたくないですし。 なるべく全部完成してから投下したいと思います。 なので、つづきはもうしばらくお待ちください。ごめんなさい。 でも、1話くらいなら、いけるかも。 なんとか早く書けるよう、がんばりマス。
「たくさんのメッセージ、ありがとうございました。時間も少なくなってきたので、 ここで締め切らせてくださいね〜」 CMが終わり、筒井かをりのアップから番組は再開。その手にはすでに幾人かの悪意ある 質問が握られていた。 「それでは、紹介していきます。二人とも、いいかしら?」 「……はい」 どうぞもうお好きにしてください、と言わんばかりの気の抜けた返事をする千秋とのだめ。 「まず、ペンネーム『死んじゃえ委員会』さんからのメッセージ」 愛しの千秋様。あたしはいつも陰ながら貴方のことを応援している、キュートな女の子♪ あたしの王子様だった貴方が、まさかあのひょっとこ馬鹿娘とケッコンするなんて!!! そうよ。これは夢。悪い夢に決まってるわ。貴方があたしよりあんなメクソを選ぶなんて。 それとも、やっぱりDカップが決め手だったの? 答えて千秋様! のだめ、あんた調子にのるんじゃないわよ? 覚えてらっしゃい!!! 読み上げるかをりの声が震えている。それでもこらえ切れない笑い声がところどころに 漏れるのであった。 「ぶっ、ず、ずいぶん具体的な内よ……くくっ、の質問だけどっ、知り合い?」 もう耐えられない、とお腹を抱えて苦しそうにしている筒井かをり。 「……ええ、音楽仲間です」 「しかも、男デスヨ」 一見、冷静に答えているかのように見える二人の後ろには、静かな怒りの炎が 燃えていた。 「おいモジャモジャ、いっぺん死ね」 「という、千秋君からの回答でした〜」
「キーッ、口惜しい!!!」 モジャモジャ、のだめの鼻で笑うさまに耐え切れず悶絶。
842さん、GJです! ほんとに真澄ちゃんならこんなこと言いそうですね。 もうパソコンの前で大笑いしてしまいました。 焦らず、続き待ってますね!
千秋の自慰、書いてます。 しばしお待ちを……
神の言葉! 待ってますとも!
クリスマス話完成したのですが、投下していいですか?
すみません。 さきほどのクリスマス話なんですが、計算したら50レス近く使いそうなんですが まとめて投下しても大丈夫でしょうか? それとも3日くらいに分けたほうがいいですか?
81 :
名無しさん@ピンキー :05/02/13 07:26:54 ID:T9/+Ii9z
分けても50あることに変わりないのだから 投下してください!>80 早起きしてよかった。
おおっ、長編ですね。>80 長編大好きです。ぜひ投下してください! お待ちしております。
83 :
ヴァイオリン :05/02/13 10:30:58 ID:Ilf6NeFX
81さん、82さんありがとうございます! 時季外れもいいとこなのですが、クリスマス話完成したので投下させていただきます。 ただ、千秋がありえないほど甘ゆるなうえにのだめに心底惚れきっていて、最後の方は苦悩してます。 千秋父との思い出も捏造しています。 エロ度も高いうえに、前スレのリクでありました中出し(避妊あり)もあります。 苦手な方は、どうかスルーしていただけるとありがたいです。 842さん、続き楽しみに待っていますね! 77さん、千秋の自慰首を長くして待っていますね。
●1 ―――12月25日午前1時 パリ――― 千秋とのだめは、アパートから約1km離れた雪積もる路上でとぼとぼと歩いていた。 「のだめのアホ!バカ!マヌケ!めくそ!」 千秋は重いスーツケースを引きずりながら毒づいた。 「むきゃぁ〜!ごめんなざーい!!!」 のだめは半泣きになりながら、雪をかき分け必死についてくる。 「だから、オレは嫌だって言ったんだ!こうなることはわかっていたのに、おまえがどうしてもってタクシー飛び出すから…!」 「だって……のだめ本場のクリスマスミサ、一度でいいから見てみたかったんデス〜!」 そんな2人に容赦なく氷点下の北風が吹きつける。 くそ〜なんでクリスマスだっていうのにこんな目に…。 ―――始まりは数時間前――― 千秋は、パリでの初めてのクリスマスコンサートを無事、大成功におさめていた。 楽団員達や公演関係者との打ち上げを予定通りキャンセルし、見に来ていたのだめと一緒にパリ市内でディナーを食べ、 そのまま3週間ぶりにタクシーでアパートに帰宅する途中――― 「ふぉぉ、先輩!あそこの教会でちょうど今、ミサしてマスよ!」 「そりゃあ今日はイブだからな…って、おい!!」 「運転手さん、止めて下サイ!先輩、ちょっと見に行きましょうよ〜!」 「おい、のだめ!!今降りたらもう絶対タクシー拾えないぞ!」 と叫ぶ千秋をあとにし、のだめはそのままタクシーを飛びだしていったのだった…。 やむなくのだめにつきあった千秋は、そのままミサに参加したはいいが、 終了後当然タクシーを拾えるわけもなく、電車やバスもとっくになく、こうして今に至っているわけである―――
●2 「だから言っただろ!キリスト圏のクリスマス期間中は、店だけじゃなく交通機関も極端に数が減るんだ! パリ中心部ならともかく、あんな場所からこんな時間にタクシーなんか拾えるわけないだろ!このスットコドッコイ!!!」 夜中なのにも関わらず、千秋は思いっきり怒鳴りつけた。 「ゴメンナザーイ!……あぅ?…ギャボーン!!!」 奇声と共に派手にこける音がし、千秋が驚いて振り向くと、のだめが見事にうつ伏せになって雪の中に埋まっていた。 「…おいっ!?のだめ、大丈夫か!?」 荷物を放り出し、慌ててのだめの元に駆け寄る。 「おい、のだめ!しっかりしろ!」 雪の中から抱き起こすと、 「…ぜんばーい、いだいでづ〜!!」 なんともいえない情けない声で起き上がったのだめは、全身雪まみれで、顔も例外ではなく。 真っ赤になって泣き崩れているその姿は、まるで幼い子供そのもので…。 千秋は思わず吹き出してしまった。 ……まったくこいつは……どうしてこんなにバカで、たまらなく可愛いんだろう。 こんな姿に愛おしさを感じる自分は、もう立派な変態の森の住人なんだと再認識してしまう。 「ぜんばい〜ひどいでづ〜!!」 「ゴメンゴメン…。それよりどこか痛いとこはないか?」 「べづに…大丈夫でづ……」 と言いつつ、ちらりと足首を見た」 まったく、変なとこで無理しやがって……。 千秋は溜息をつきながら、そのままくるっとのだめに背を向ける。 「ほれっ!」 「ほぇ?」 「おんぶしてやるよ!さっさと乗れ!」 「むきゃー、いいんでづか?でも…」 のだめはちらりと雪の中に放り出されたスーツケースを見る。 「心配しなくても、ちゃんと運ぶから。俺様を誰だと思ってんだ。ほら、さっさと乗れ!ただし靴は自分で持てよ」 「はうー、それではお言葉に甘えで……」 そう言って、脱げていたパンプスを拾い上げおずおずと千秋の背中に乗ってきた。
●3 ……重い……。 背中にくるずしりとした重みに思わずよろける。 そのまま、のだめを背負いながら、雪に埋もれていたスーツケースを拾い上げ、 よろよろと石畳の雪深い中を歩くのは、さながら拷問に等しかった。 「先輩…本当にゴメンナサイ…」 背中から、しょんぼりした声が聞こえてきた。 …そんな声を聞いたら、もう怒れなくなる。 「いいよもう…それより寒くないか…?」 優しく問いかける。 「大丈夫デス。先輩の背中、とっても温かいから……」 そう言いながら、千秋の背中にそっと身体をすり寄せた。 「…………」 雪の中、人1人背負いながら重い荷物を引きずっているという状況なのに。 その背中のぬくもりで、なぜか心までがほっと温まった気がした。 そんな2人の上に、相変わらず雪はしんしんと降り積もってゆく。 「明日にはかなり雪が積もりそうデスね。先輩明日……」 「却下!」 「のだめ、まだ何も言ってませんよー?」 「どーせ、雪遊びだろ?今こんなに寒い思いして、なんで明日また同じ思いをしないといけないんだ!」 「先輩は、ジジくさいデスね〜」 「誰のせいでこうなってると思ってるんだ〜!!!」 千秋の怒鳴り声に反応してか、どこからか犬の鳴き声が静かな街にこだました。 やっとの思いでアパートにつくと、既に夜中の2時を回っていた。 ……疲れた……。 暖房をつけ、スーツケースを床に放り出し、のだめを背中から下ろしたら、急に疲労感が襲ってきた。 「……うぅ……」 わずかにうめき声が漏れ、振り向くとのだめが足首を押さえ、顔をしかめていた。
●4 まったく、世話のやける……。 「ほれ、ちょっと座ってみろ……」 「むきゃ?ほわぁ……!」 千秋はのだめの両脇を抱え、傍にあった椅子に座らせた。 「ほら、見てやるから足出して!」 そう言ってしゃがみこみながら、のだめの足をパンスト越しに触れる。 「ヤダ…!先輩!」 のだめはとっさに抵抗するが、構うことなくのだめの白く滑らかな足首に指を這わせてゆく。 「ここ痛い?……ここは?……ここどう?」 次々と、指でさぐっていく。 「……ちょっと…でも、大丈夫デス……」 わずかに顔をしかめるものの、そんなに酷くないようだった。 「まあ、これなら大丈夫だ。風呂上がりに湿布貼ってやれば、明日には痛みも引くだろ」 そういいながら、ふとのだめの顔を見ると、のだめが真っ赤な顔で見ているのに気付いた。 わずかに開いた唇から熱を持った吐息が漏れ、瞳が熱く潤んでいる。 それはまるで、“あの時”のように官能的で――― ……もしかして……? 「のだめ……もしかして、感じたのか……?」 そのとたん、のだめはかあぁとリンゴのように真っ赤になってしまった。 「せっ、先輩が悪いんデス!先輩の手って、なんかとってもエッチなんデスよ……!」 しどろもどろになりながら必死に弁解する。 ……へぇ…可愛いじゃないの……。 千秋はまるでいたずらっ子のように笑いながら、今度はのだめの右手をとった。 「ほぇ?」 「今度は手の検査な。一応調べとかないと」 「せ、先輩!大丈夫デスって。ひゃあっ……!」 慌てるのだめに構わず、千秋はその柔らかい白い手にそっと指を這わせる。
●5 指の付け根の皮膚の薄い部分にそっと触れていき、時々ツボを優しく指圧していく。 「……ひゃぁん…!」 そっとのだめの顔を見ると、その顔は溢れそうになる快感を必死に抑えている顔で。 それが、千秋にはたまらなく淫靡に見えた。 初めてのだめを抱いてから2ヶ月、千秋はのだめの弱点をすべて知り尽くしていた。 きらめくような美しい旋律を奏でるこの細く長い指が、なによりも敏感だということも。 右手の愛撫を続けながら、今度は左手の指を一本づつゆっくり口に含み、舌で絡めるように丹念に舐め上げる 「…セン…パイ・・や、だ……」 両手を指と舌で同時に愛撫されたのだめは、恥ずかしさのあまり、目をつむってうつむきながらも。 真っ赤な顔で、震えながら歯を噛み締めて、全身に押し寄せてくる快感の波にさらわれるまいと必死に耐えているようだった。 相変わらず…感度良好だこと……。 千秋は満足気に、にんまりほくそ笑む。 「……なに?これくらいで感じちゃたのか?もしかして……ずっとオレが欲しかった?」 「…………!!!」 図星だったのか、二の句が告げないようだった。 千秋は立ち上がり、前屈みになってのだめの耳元にそっと囁いた。 「オレは……ずっとおまえが欲しかったけど……?」 “おまえと一緒にクリスマスを過ごしたくて、だから打ち上げをパスしてまでここに帰ってきたんだけどな……” 小さく囁きながら、そっと耳朶にキスを落とす。 「…………」 のだめはされるがままに、真っ赤な顔でぼーっと千秋をみつめていた。 「今日の公演はどう?よかった?」 答えなどわかりきっているが、あえて尋ねてみる。 「……すっごく、よかったデス……」 「……惚れ直した?」 千秋が耳元で優しく囁くと、のだめの顔にざあっと血液が集まってくる音が聞こえたような気がした。 「……ハイ……」 「じゃあ、祝福してくれる…?」
●6 千秋は、すっかり冷えきったのだめの頬を優しく撫でながら囁いた。 祝福―――それは千秋の公演が無事に成功するたびに、その度与えられる、のだめからのキスのこと。 最初のパリデビュー公演の時から千秋が決めた、2人の恒例行事である。 のだめは紅潮した顔で小さく頷くと、千秋を見上げ、両手を伸ばして冷え切った頬を挟んだ。 そのまま千秋の顔を手繰り寄せ、その整った美しい唇に触れる。 初めは小鳥が啄ばむように……そして徐々に、唇を開き舌を忍び込ませる。 差し入れた舌を、ゆっくりと千秋の温かなそれに絡ませる。 下唇を甘噛みし、歯茎を舐め上げ、舌を引き出して強く吸い上げる。 舌が絡み合い、唾液が混ざり合いう湿った音が静かな室内に響き、否応なしに気持ちが高ぶる。 「…ん…ふぅ…」 漏れる吐息はどちらのものとも判らず、ただそこに甘い時間が流れていた。 千秋はのだめの小さな肩に手をかけ、されるがままにすべてを受け入れ、 その唇の柔らかさ、甘い唾液と共に、そのテクニックの上達ぶりを存分に楽しんでいた。 それらはすべて、千秋自らがこの3ヶ月かけてじっくり身体に教え込ませた成果によるものだった。 オレが教えた通りの、他の誰のクセもついてないオレだけの……。 のだめからキスを受けるたび、千秋は独占欲が存分に満たされ、満ち足りた気持ちになるのだった。 長い長い口付けの後、くちゅりと音を立てて唇が離れた。 「……はぁ……」 どちらからともなく、吐息が漏れる。 「おめでとうございマス……」 「ありがと……」 千秋は優しくみつめながらのだめの頬に手をかけ、互いの唾液で濡れた柔らかな唇をそっと親指でなぞった。 今度は千秋からもう一度……。 「……ぶしゅん!」 二度目のそれは、のだめのくしゃみによって妨げられた。 よく見ると、雪がとけて髪や服を濡らし、全身小刻みに震えている。 「大丈夫か?悪かったな、引き止めて……。早く風呂入ってよく身体を暖めてこい。風邪引くぞ?」 「……はうぅ…ぶしゅん!」 そうくしゃみをしながら、のだめは自室へ帰っていった。
●7 千秋は部屋ぐるりと見渡してみる。 それは千秋が3週間前に家を開けた状態のままに保たれていた。 へえ…あいつ最近本当に頑張ってんだな……。 そう思いつつ、自分がなにもかも面倒見ていた頃が懐かしく、なんともいえない寂しさがこみ上げてくる。 自立した生活をしろって言ったのはオレなのにな……。 本当は、千秋自身がのだめから必要とされることに喜びを感じていたのだということに、改めて気付かされる。 そんな自分に、千秋は思わず苦笑いする。 千秋は、スーツケースから荷物を出し整理を始めた。 洗濯物は殆どホテルでクリーニングに出していたのであまりなかったが、それでも袋一杯の洗濯物を洗濯機に放り込む。 そのままテキパキと整理を終え、冷蔵庫を開けた。 一週間前、のだめにメールで送ったクリスマスメニュー用の食材。 クリスマス期間中はどの店も閉店するので、買出しを頼んでいたのだった。 あいつ、ちゃんと本当に買ってきたのかな……。 しかし、冷蔵庫の中身は自分が指示したものが整然と入っていた。 よく見ると、冷蔵庫の扉にメールを打ち出した紙が貼っており、下には 『おいしいクリスマスディナー、楽しみにしてますね♪ のだめ』 と書かれていた。 「…バーカ。こういうことだけは本当にマメなんだから……」 つい独り言を言いつつ、なんだか顔が緩むのが止めれなかった。 明日はとびっきりのクリスマスディナーを作ってやろう。 そう思いながら、冷凍庫から丸々とした七面鳥を一羽取り出した。 朝にはほどよく解凍されているだろう。 メニューはローストターキーと、オニオンスープ、アボガドサラダにジンジャーブレッド、デザートにはブッシュ・ド・ノエル でも作ってやろうかな。 そう思いながら、千秋はやっと濡れた服を脱ぎ、バスルームへと向かった。
●8 冷え切った身体がやっと温まり、さっぱりとした素肌に洗い立てのパジャマが心地よかった。 部屋はすっかり暖房で温まり、風呂上りには暑いくらいだった。 洗濯機がすでに止まっていたので、乾燥機に放り込みスイッチを入れる。 バスルームから出ると、リビングに栗色の髪が見えた。 ちらりと覘くと、後ろ姿ながらソファに腰掛けて何かを熱心に読んでいるのがわかった。 「……何読んでんだ……?」 後ろから、のだめを優しく抱き締めながら覗き込む。 「むきゃっ!な、なんでもないデスよ!」 のだめは慌てて読んでいたものを隠そうとする。 「おい…何も隠すことないだろ?」 取り上げようとするが、手が届かない。 「あとで!あとでちゃんと見せマスから……!」 片手で必死にガードされ、結局ソファの下に隠されてしまった。 まったく……一体何なんだ?と思いながら、ふと後ろからのだめを見て、千秋は思わずドキッとした。 のだめはいつものパジャマではなく、綺麗な淡いピンク色のネグリジェを着ていた。 レースやフリルをふんだんにつかい、可愛らしい少女趣味なのに、総レースの胸元は大きく開いていて――― 豊かな白い胸の谷間がくっきりと見えた。 長いナイトガウンを着ていたが、おそらくノースリーブだろう。 いつぞやの母のネグリジェを着たのだめを思い出し、恐る恐る聞いてみた。 「それ、もしかして母さんが…?」 「いえ、ヨーコがクリスマスプレゼントにって送ってきてくれたんデス。先輩にもフォーマル、送ってくれてましたよ♪」 「あ、そ……」 まったく、あの家族は……。 しかし、そんなネグリジェ姿ののだめが可愛いと思わないわけはなく――――
●9 クリスマスプレゼントとしてありがたく受け取ることにした。 のだめの横に座り、そっと抱き寄せる。 半乾きの洗いたての髪がひんやり心地よい。 その髪に口付け、そのまま唇を這わす。 最初は髪に…額に…瞼に…鼻に…頬に…そして唇に……。 「……ぶしゅん!」 唇に触れる前に、再びのだめのくしゃみに妨げられ、なんだかおかしくて思わず顔を見合わせて笑ってしまった。 「風邪か?」 「……いえ…大丈夫デス…」 そう言いながら、ぐすんと鼻を鳴らす。 「……そうだ!いいもん作ってやるから待ってろ。あと、湿布も貼ってやるから」 千秋は救急箱から湿布を取り出し、のだめの右足にペタリと貼った。 「これで大丈夫。また明日取り替えてやるからな。ここでおとなしく待ってろよ」 優しくのだめの頭を撫で、キッチンへ向かった。 鍋にワインと、スーツケースから出しておいた小さな缶から香料を小さじ数杯入れる。 一煮立ちさせ、水と蜂蜜を少し入れて火を止めた。 ガーゼで漉して水差しに移し、最後にレモンを絞り入れる。 それをソファーに運び、お土産のカップに注いでのだめに手渡した。 「なんですか?これ」 温かなカップの中を覗き込みながら尋ねる。 「グリューワインっていって、クリスマーケットの風物詩なんだ。ま、正確にはレモンと蜂蜜を入れないで、 ワインとシロップとグリューワインの素っていうオレンジピールとかシナモンとかの香料を入れるんだけどな。 風邪引いてる時には、こんな風に作ったほうが温まるし身体にいいんだ」 「ほわぁ…先輩まるで山岡士郎みたいデス〜」 「……誰?それ……」 「いえ、漫画の美味しんぼの…」 「知るか〜!!!」
●10 そんなたわいもない会話をしながら飲むグリューワインは。 とても熱くて甘く、心まで温まっていくようだった。 「はうぅ〜、とってもおいしいデス先輩!なんだかポカポカしてきました」 「そうか?いっぱいあるからもっと飲めよ」 千秋は嬉しそうに、のだめのカップにお代わりを注いだ。 「このカップ、とっても綺麗ですね」 そのお揃いのカップは、鮮やかな紺色の地に白と金色で大聖堂やクリスマスツリーが見事に描かれており、 とても綺麗なものだった。 「だろ?グリューワインカップっていってさ。クリスマスマーケットが開かれる街や年ごとにデザインが変わるんだ。 一番有名なのはドイツのニュルンベルグだけど、これはオーストリアのザルツブルグのなんだ。 デザインが一番綺麗でさ……」 千秋は嬉しそうに、そしてどこか懐かしげな目でそれを眺める。 「……なんだか先輩、とっても懐かしそうですね?何か思い出でもあるんですか?」 「……別に、たいした思い出ってわけでもないけどさ……」 千秋はふっと目を細めながら、遠くをみつめた。 「昔……オレが3歳の時に父さんと母さんと3人で一緒にザルツブルグのクリスマスマーケットに行って、 生まれて初めて飲んだお酒がこのグリューネルワインだったって、それだけ」 そんなことをしゃべりながら、千秋はぼんやりと考えていた。 ……オレ、なんでこんなにぺらぺらしゃべってるんだ……? 今まで誰にも…由衣子達にだってこんな話、したことないのに……。 「うきゅー、先輩子供の時から酒飲みだったんデスねー」 「なっ!オレは何も知らないで飲んだんだ!ま、そのせいでそれを飲ませた父さんは、 母さんにこっぴどく怒られてたけどな」 その時のことを思いだし、つい思い出し笑いがこぼれた。 「それで、その後はどうなったんデスか?」 「……別に、その後クリスマスミサに参加して…それで、神様にお願いしただけ」 「何てお願いしたんデスか?」
●11 そう覗き込むのだめと視線があったとたん、急に我にかえる。 「なんでもねっ!忘れたよ、んなこと!」 「えー!うそデスね?先輩絶対嘘ついてマスね?のだめには全部お見通しですヨ?」 「うるさい!本当に忘れたんだ!!」 強引に話を終了させ、再びカップに口を付けた。 ……ったく、言えるかよ!……あんな、願い事……。 のだめはまだ納得できないという顔をして千秋の顔を覗き込んでいるが、完全無視する。 そうしないと、のだめに心の奥深くまで覘かれそうで……怖かった。 ……こいつと一緒にいると、時々心の扉の鍵をかけ忘れてしまうことがある。 以前、催眠術師達がオレはすごくガードが固いって言ってたけど、最近のだめだけは例外だと自覚するようになった。 ただ傍にいるだけで、たまらないほど心地良く感じてしまい、気がついたら饒舌になる自分に気付き、 いつも焦ってしまう。 こりゃあ、浮気なんて絶対出来ないな……するつもりもないけど。 思わず苦笑いを零す。 「…千秋先輩、大事な話があるんデス」 ふいに、のだめが沈黙を破った。 カップをテーブルの上に置き、ソファーの下に手を伸ばしてそこから何かを取り出し千秋に手渡した。 ……さっき風呂上りに隠してた…これはラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ハ短調の楽譜……? 「来年の春、コンセルヴァトワールでこの曲の学内コンサートが開かれるんデス。オクレール先生が 『出てみるかい?ベーベちゃん』って学内選抜選考会に推薦してくれたんです。 それには、有名な音楽家とか評論家とかも来るらしくて……。今まで代表に選ばれて成功した人の中に、 コンクルとかも優先的に出してもらったり、ごく稀ですけど、プロ公演とかにゲストで呼ばれたりした人もいたそうデス」 そう言って一旦言葉を切り、千秋の顔をまっすぐみつめ直した。 「頑張ってみることにしました」
●12 それは、迷いのないはっきりした声で。 千秋は、正直驚かずにはいられなかった。 ―――こいつが、こんなに迷いもなくピアノに真正面から向き合うなんて――― あのマラドーナコンクールでの失敗によって、もうコンクールみたいなのに出るのは正直嫌がるだろうと 思っていただけに、こののだめの変化に千秋は驚かずにはいられなかった。 「千秋先輩の演奏聴いてて、いつも思うんです。もっともっと頑張らないと、先輩と一緒にはいられないって……。 先輩はどんどんのだめを置いて遠くに行ってしまうから…だから……」 のだめは楽譜をみつめる。 「のだめの夢は、いつかこの曲を先輩と同じ舞台でコンチェルトすることなんです。いつかの先輩とミルヒーみたいに。 そしてこれからもずっと、先輩の傍でピアノを弾いていたいんです。そのためにも…のだめ頑張りマス!」 そう力強く言い切って笑ったのだめの顔は、ただ楽しくピアノを弾いていたあの頃とまるで違って、 ピアノへの情熱で光輝いているようだった。 そんなのだめの変化に、千秋はこみ上げてくる何かに胸を熱くした。 「……よし!明日から早速特訓だ!!久々にしごいてやるから覚悟しとけよ?」 「ぎゃぼー!!明日ってクリスマスですよ!?せ、せめて明後日からでも……」 「うるさい!オレは休暇は1週間しかないんだ。折角の俺様直々の指導、ありがたく思え!」 「ぼきゅー!先輩の鬼!先輩はやっぱりカズオです〜!」 「だれがカズオだー!!!」 そんないつもながらの会話も飲み込んでしまうほど、しんしんと降り積もる雪は。 止むことなくパリの街を白く包み込んでゆく。 すっかり拗ねてしまい、ひたすら黙ってワインを飲んでるのだめへのご機嫌とりとかいうわけでもないけど。 千秋は半年前からずっと渡しそびれていたものを、ソファーの下から取り出した。 「……のだめ。あのさ……」 「……何デスか?」 のだめはいつものひょっとこ口でジロリと千秋を見た。 そんなのだめにちょっと腰を引きつつ、小さな紙袋を手渡した。
●13 「……その、これ…クリスマスプレゼント……」 「ほわぁ…何デスか?」 とたんに機嫌がよくなったのだめに心底ホッとしつつ、千秋は優しくのだめをみつめながら言う。 「開けてみたら?」 のだめは嬉しそうに袋から、小さな箱を2個取り出した。 ひとつは上海でつい買ってしまった、ハートのルビーのペンダント。 もうひとつは、今月同じブランドのパリ支店で新たに購入したお揃いのハートの指輪。 「ほわぁあ…きれーい…。のだめ嬉しいデス!」 箱から取り出して手に取りながら、満面の笑顔で言う。 「つけてやろうか?」 そんな笑顔に満足しつつ、手からそれを取ろうとすると、のだめは手を後ろに回してそれを拒んだ。 「……のだめ?」 戸惑う千秋をよそに、のだめはうきゅ♪と笑いつつアクセサリーを箱に戻した。 「のだめからも先輩にプレゼントがあるんですよ。ちょっと、待ってて下さいネ♪」 そう言って、寝室へと向かう。 ……あのアクセサリー…もしかして、気に入らなかったのか……? ちょっと…いや、かなりショックを受けていると、のだめが嬉しそうに、細長い包みを持ってきた。 「先輩!これのだめからのクリスマスプレゼントです!早く開けてくだサイ!」 嬉しそうに千秋の顔をみつめる。 「……ああ、ありがと…。ところでのだめ、さっきのプレ…」 「早く早く!先輩!」 のだめに急かされ、千秋は黙って包みを開けた。 ……どーせまたごろ太だろ?という予想は見事に外れ……。 「……指揮棒?」 それは小さな皮のケースに入った指揮棒だった。 「うっきゅっきゅー。のだめ奮発しちゃいました♪」 そう照れ笑いするのだめが、愛おしくてたまらなかった。
●14 「ありがとな。早速次の公演から使わせてもらうよ」 ケースから指揮棒を取り出そうとすると、のだめが悪戯っぽく笑う。 「そのケースと指揮棒、よく見てくだサイ」 そう言われてよく見てみると、ケースの下の方に小さく『S&M』と金文字で書いてあった。 指揮棒の握りの部分のコルクにも小さく『S&M』と彫られている。 「『真一&恵』のSとMです。これ、先輩とのだめのコンチェルト専用の指揮棒なんデス」 驚く千秋の横で、のだめは指揮棒をみつめたながら話し続ける。 「…いつか、絶対に先輩に追いついてみせマス。この指揮棒は先輩との最初のコンチェルトまで保管していて下サイ。 のだめも…」 のだめはそっと、さきほどのネックレスと指輪の箱を手にとった。 「これ、先輩との最初のコンチェルトまで大切にしまっておきます。先輩がくれた初めてのプレゼントだから……。 のだめ、これをつけるために一生懸命頑張りますから、先輩もそれを使うの待っていてもらえますか?」 そう言いながら、千秋の胸にそっと身体を預けてきた。 「…バーカ。何年かかる話なんだよ…」 照れ隠しに悪態をつきながら、その柔らかな身体を優しく抱いた。 ……なんて愛おしいのだろう……。 オレが今まで付き合ってきた女はみな、可愛くて美人で頭がよくておしとやかなお嬢様で……。 でも何か物足りずに、すぐ別れることが多かった。 その中で、彩子とは長く続いた方だったと思う。 美人でスタイルもよくて、お嬢様で、なにより音楽の才能に溢れていて、はっきりいって申し分のない彼女だった。 家族ぐるみの付き合いだったため、オレの飛行機云々の秘密も、家族から聞いて知っていたし、 なんでも打ち明けられる親友のような関係でもあった。 でもその反面、彩子とは音楽が原因でいつも喧嘩ばかりしていた。 今から思えば彩子はオレに似すぎていたのだろう。 時々、一緒にいて息がつまりそうに感じることがあった。 だから彼女と別れた時、正直ホッとした気持ちは否定できない。
●15 でものだめは――違う。 今まで付き合った相手とは正反対で、変態で無神経でズボラで不潔で―――でも、なぜかほっとけなかった。 のだめと一緒にいるとなんだか楽しくて面白くて心地よくて。 その反面、傍にいないとなんだかつまらなくて落ち着かなくなってしまった。 いつの間にか、オレの心の中にすっと自然に入り込んで居ついてしまって、それが当たり前のように感じるようになった。 のだめのピアノだけが好きなはずだったのに、いつのまにかそのベクトルが、 のだめ本人に向けられていると自覚したのはいつだっただろう? ずっとずっとオレの傍にいて欲しいと思うようになったのは……? どんなに早く歩いても、オレの後を追って必死に追いかけてくる。 そうかと思って捕まえようとすると、とたんに逃げていく。 愛おしくて、もどかしくて、手に入れたくてたまらなくなる。 捕まえて閉じ込めて、どこにも逃がしたくなくなる。 誰の目に触れさせることなく、オレだけのものにしたくてたまらない。 それがオレの自分勝手な酷いエゴだとわかっていても…。 今、のだめを失ったら、きっとオレはオレでいられなくなるだろう。 もし、オレからおまえを奪うやつがいたら、きっとそいつを八つ裂きにしてやりたいと思うだろう。 オレがおまえのことを、こんなにまで狂おしいほど愛おしいと思っているなんて、おまえ知らないだろ? 「……おまえが、欲しい……」 そっとのだめに口付ける。 甘い甘い唇。 そっと舌を滑り込ませると、同じ甘いワインの味が口内一杯に広がった。 舌を絡ませ、唇に歯茎についたワインの残りを舐め取っていく。 「……う…ん…はぁ……」 くちゅり、くちゅりと湿った水音が室内に響き、互いに酔ったように夢中で舌を唇を絡ませる。 千秋はのだめを強く強く抱き締め、その華奢で柔らかな身体を撫で上げる。 のだめは両手を首にまわし、髪をクシャクシャにしながら必死に縋り付いてくる。 「……はぁ……」 ようやく互いの唇を離したが、舌は名残惜しそうに最後まで絡み合い、つつっと唾液が糸を引いた。
●16 「……ここでする……?それともベッドがいい……?」 のだめの耳元で優しく囁くと、のだめは頬を真っ赤に染めた。 「……ベッドで…して下サイ……」 そう恥ずかしそうに呟く。 「……了解……」 額にキスを落とし、優しくみつめながら、右手を背中に、左手を膝裏に手を回してそっと抱き上げ、 いわゆる『お姫様抱っこ』で寝室まで運んで行き、リビングの電気を消した。 寝室は3週間前と殆ど変わっていなかった。 唯一つを覘けば。 「……クリスマスツリー?これどうした?」 のだめをベッドに寝かせながら尋ねる。 ベッドのすぐ傍に、クッキーでできたオーナメントと、やはりというかプリごろ太フィギアでデコレーションされた、 小さな本物のもみの木が立てられていた。 「綺麗でしょ?実はターニャ達と一緒に市場に買いに行ったんです。デコレーションものだめがしたんデスよー♪」 のだめは得意気な顔をする。 …あれ…? 何かに気付きよく見てみると、なぜか折り紙に、 『今度の選考会で勝って学内コンサートで演奏できますように♪ のだめ』 『先輩の仕事がこれからもずっとずっと成功しますように♪ のだめ』 と書かれ、カズオとプリリンの間にぶら下がっていた。 ……七夕かよ……。 「……のだめ、これ……」 思わず脱力しながら聞くと、のだめはますます得意気に胸を張った。 「うきゅ♪願い事書いたんです。ターニャ達にも教えてあげたら、やってみるって喜んでましたヨ!」 ……おいおい…間違った日本文化を教えるなよ…。 そう思いつつも、のだめの健気な願い事が嬉しくないわけはなく――― 思わず顔が緩むのを止められなかった。
●17 「先輩?どしたんデスか?にやけちゃって……」 「ほっとけ!それより……」 そっとのだめの横に座り、優しく頬を撫でながらみつめる。 「……これからもうひとつ、おまえからクリスマスプレゼントを貰っていいか……?」 その“プレゼント”の意味を十分理解しているのだめは、赤面しながら小さく頷いた。 その恥らった顔が、千秋の欲望に火をつける。 「……あの、先輩。実は……」 その言葉を唇ごと塞いだ。 ゆっくりと口内を音を立てて舐め上げながら、のだめの豊かな胸をネグリジェ越しに優しく揉み上げる。 のだめは何か言いたげに、もがきながら千秋から逃れようとしたが、それがかえって千秋の狩猟本能を駆り立てた。 ……逃がさない……絶対に……! 無理やりのだめの身体をベッドに押し付け、それでも一応怪我をした右足に体重をかけないように気をつけながら、 上から圧し掛かり、息も出来ないほど何度も何度も角度を変えて、口内を蹂躙しながら強く強く吸い上げる。 お互いの唾液がくぐもった音を立てて混ざり合い、漏れ出た唾液がのだめの顎を伝っていく。 ナイトガウンを無理やり剥ぎ取り、ベッド傍の椅子に放り投げる。 ネグリジェの隙間から右手を滑り込ませ、淡いピンクの総レースのブラジャー越しに右胸を円を描くように揉み上げ、 左手でのだめのネグリジェの裾を乱暴に捲くり上げ、そのまますべらかなのだめの足をゆっくりと撫で上げる。 相変わらず、白く柔らかい肌はしっとりと掌に吸い付いてくる。 その感触を味わいながら、のだめをいつも通りゆっくりと追い詰めていく。 「……はぁっ…あんっ…セン…パイ…あの……」 ようやく唇を開放してやると、のだめは顔を上気させ、息絶え絶えになりながら、まだ何かを言おうとしていた。 「……いい加減、黙れよ……」 そうのだめの瞳をみつめながら強くそう言い、再び唇を塞ぐ。 この俺様がこんなにも夢中になっているというのに、そののだめが集中していないことが、千秋には許せなかった。 ……もうオレ以外のことは考えられなくしてやる……!!!
●18 ゆっくりと、舌を音を立てて絡ませ、吸い上げ、口内の内側を舌で強くねぶる。 今度は左手で左胸を揉み上げながらブラを上に押し上げ、こぼれ落ちてきたそのまろみを直に撫で上げて味わう。 白く柔らかい胸の中心にある、赤い頂はすでに快感を主張するように硬く張り詰めていた。 指先軽く弾くと、途端のだめの身体がビクリと跳ね上がる。 人差し指と中指で軽く挟んでコリコリと動かしてやる。 さらに強い衝撃に突き動かされるようにのだめの身体が跳ね上がり、 合わさった口内からくぐもった声が舌を伝わってダイレクトに頭に響いた。 再び、胸を円を描くように、時に優しく掴みながら揉み上げる。 右手は既に太ももから足の付け根へと移動し、そっとその中心を指先で撫で上げる。 ブラジャーとお揃いのショーツは、予想通りにぐっしょりと濡れそぼっており、蜜で溢れ返っていた。 軽く触れるだけで、腕の中ののだめの身体が、まるで陸に上げられた魚のように跳ね返る。 そのままゆっくりと人指し指と中指を揃えて前後に動かし、時々グリグリと強く押し付けながら撫で上げる。 「……はあぁっ…あんっ…セ…ンパイ…お…ねが…い…まっ…て…」 ようやく唇を開放してやると、のだめはまだ何か言いたげなようだったが無視する。 プレゼントの包みを開けるようにショーツのリボンを指先で引っ張ってほどいた。 ぐっしょり濡れたそれをベッド下に落とす。 軽く触れるだけでぴちゃぴちゃと音が静かな室内に響き、指先に溢れんばかりの愛液が絡みついた。 ゆっくりと右手の人差し指を中に溢れる泉に沈めるとなんの抵抗もなく、飲み込んでいった。 ……熱い……。 相変わらず熱くて狭いそこは、待ち構えていたかのように千秋の長く美しい指を銜え込んで、きゅうきゅうと締め上げる。 たまらず中指も突き入て、激しく出し入れしてやると、じゅぶじゅぶと音を立てながら飛沫をあげ、 千秋の手首までびしょ濡れにし、流れ落ちた愛液はネグリジェにしみを作った。
●19 「……やあぁっ!……セン……パイッ……ああぁっ……!」 のだめは悲鳴のような声をあげて、全身を震わせながら両手でシーツをぎゅっと掴みながら登りつめた。 はぁはぁと荒い息を繰り返すのだめの目の前で、のだめの蜜で濡れた手をわざと見せ付けるように、 ゆっくりと口に入れて蜜を舐め取っていった。 そんな千秋の姿にのだめはますます頬を染め上げた。 「……久しぶりに、おまえの身体が見たい……」 耳元で甘く囁くと、のだめはしびれたように動かなくなった。 そのままのだめを優しく抱き起こすと、のだめに両手を挙げさせ、ネグリジェを頭からゆっくりと脱がせた。 一緒に胸の上に押し上げられていたブラジャーのホックを片手で器用にはずす。 千秋もパジャマを脱いでボクサーパンツ一枚になり、のだめの衣類と一緒に椅子に放り投げた。 そのまま胸を隠そうとするのだめの両手をつかんで組み伏せ、ベッドサイドの淡い光の中で、 3週間ぶりに見るのだめの生まれたままの姿をじっくりと眺める。 サラサラの栗色の髪も、同じ色の大きな瞳も、時々ひょっとこ口になるふっくらとした紅い唇も、華奢だが柔らかな身体も、 それに似つくかわしくないほど存在を主張している豊かな胸も、透き通るよう白いすべらかな肌も……すべてが愛おしかった。 こいつはこんなに綺麗だったか? こんなにも愛らしかったのか? 出会った頃はゴミ溜めに住む、ただピアノが凄くうまいだけの変人としか思えなかったのに……。 今ではこの腕の中の存在が何よりも愛おしい。 「……好きだよ…のだめ……」 愛しげに囁きながら、優しく口付け舌を絡ませた。 くちゅりと音を立てながら唇を離すと、そのまま頬…鼻…耳朶…うなじ…顎…鎖骨…と、やさしく唇でなぞり、 舌で舐め上げ、時には強く吸い上げて所有の証を刻む。
●20 「……はぁ……あんっ……あぁっ……!」 のだめはもう抵抗する気力もないのか、ぐったりとしながらひたすら千秋の愛撫に喘いでいた。 白いまろみまでたどり着くと、両手で優しく揉みながらその紅い小さな果実を口に含み、舌先でちろちろと転がした。 そして大きく口を開けてむしゃぶりつきながら、舌で唇で丹念に舐め上げる。 「やあぁあっ……!センパイッ……!」 悲鳴のような声をあげてのだめが千秋の頭にしがみつきながらおとがいをそらした。 ハァハァと荒い息を漏らしながら、千秋の髪をくしゃくしゃにかき回す。 お互い視線が合って、どちらともなく唇を合わせた。 唾液ごと舌を絡ませ、強く吸い上げる。 何度のだめの唾液を飲み干してもまだ足りないと感じてしまう。 まるで海水を飲んだかのように……熱病に罹ったかのように、喉が乾いて乾いてたまらない。 「……おまえが、好きだ…おまえは……?」 睫が重なるほど間近で、のだめの瞳を覗き込みながら尋ねる。 「……好きに決まってるじゃないデスか…のだめが世界中でただ1人好きなのは…愛してるのは先輩だけなんデスよ……?」 愛するものに愛される―――そんな至高の喜びに満ちたりた笑顔でそう言うと、のだめはそっと瞳を閉じて、 千秋の唇に自らのそれを寄せ口付けた。 何度も何度も情熱的に、激しく舌を絡ませる。 「……ん……ふぅ……」 くぐもった声が漏れ、唾液が零れるのも構わないほど熱く激しい情熱的なのだめのキス――― そんなキスをあえて受身になって楽しんでいた千秋だったが、抱き締められてひっくり返され……気がつくと仰向けにされていた。
●21 「……えっ……?」 のだめが腹筋の上に馬乗りになり、恥ずかしそうに笑いながら千秋を見下ろしているという事実に、しばし呆然とする。 「……今度はのだめにさせて下サイ……」 「…えっ?…おい…ちょっと…!」 慌てて起き上がろうとする千秋を押さえつけながら、のだめは素早く千秋の左の耳朶を小さな紅い舌でぺろんと舐めて、 ふっと熱い息を吹きかける。 「…う…あぁっ…!」 身体中にぞくりとするような快感が走り、思わず悲鳴のような声が漏れてしまった。 …力が…抜ける……。 千秋の性感帯を攻めたのだめは、してやったりという感じで笑いながら、そのまま千秋の端正な頬やうなじを唇でなぞり、 時折舌でちろちろと舐める。 細くて白い柔らかな指で、千秋の細身だが均整の取れた逞しい身体を、さわさわとまるで鍵盤を弾くように触れていく。 強弱をつけ、優しく……時に強く撫で、それに連動するかのように柔らかな唇が千秋の鎖骨に触れ強く吸い上げた。 「…うきゅ…キスマーク、付けちゃいました…」 千秋の白い磁器のような滑らかな肌に浮かび上がった紅い華を見ながら、のだめは嬉しそうに千秋を見下ろす。 そんなのだめの身体にも、先ほど千秋がつけた紅い華が無数に散りばめられている。 そんな淫靡な光景を目の前にしながらも、千秋はまるで痺れたように身体を動かせなかった。 ……なんなんだ?今のテクニックは……あんなのオレは教えた覚えはないぞ……? のだめの与える愛撫のあまりの凄さに、千秋は身体が奥深くからなにか溶け出すような、そんな感覚に囚われていた。 確かにのだめは初めての頃とは比べものにならないほどセックスが上達している。 間が空いたとはいえ、2ヶ月かけてみっちり教えたかいあって、身体を重ねるごとにどんどん凄くなっていくのを、 毎回実感している。 しかし―――いつのまにあんな凄いテクニックを覚えたんだ……? そんな千秋の戸惑いをよそに、のだめは再び愛撫を再開した。 ゆっくりと逞しい胸にさわさわと指を這わせ、左手の指で左の乳首を優しく撫で、 右の乳首は紅い舌先でちろちろ舐めながら口に含んで湿った音を立てて舐めあげた。 淡い光の中で快感を主張するかのようにすっかり尖った乳首は、唾液でぬらりと光っていた。
●22 ……すごい……。 「……はぁ……あぁっ……!」 千秋はその端正な唇から、甘い吐息を零れるのをもう止めることができなかった。 のだめの指が、唇が、舌が触れるたびに、その部分がまるで熱をもって溶け出していくようなそんな感覚に襲われる。 ……身体が、熱い…まるで燃え上がるようだ……。 オレ、本当にどうしたんだ……? いや、それよりのだめだ…いったい何が、どうなってんだ……? 「……真一くん…気持ちいいデスか……?」 引き締まったわき腹を撫で、臍を赤い舌を伸ばしてちろちろと舐めながら、のだめは尋ねる。 “真一くん”と聞いたとたんに、ドキッとときめく。 普段は“千秋先輩”とか呼んでるのに、甘えたい時、寂しい時に無意識なのか呼ぶ時がある。 そう呼ばれると……正直なところ、ツボを押されるというか、可愛くて可愛くてたまらなくなる。 しかし、今まではセックスの最中には、呼んだことはなかったのに……。 そんな疑問も、今度は引き締まった腹筋をぺろぺろと舐められ、湧き上がる快感の凄さに、もはや思考がついていかない。 「……あぁ…すごい…最高だ…のだめ……」 身体を震わせ、のだめの頭を両手で掴む。 のだめは、ふいにその右手を掴んでぺろりと舐める。 「…………!!」 のだめのざらざらした柔らかい舌がちろちろと千秋の大きくて無骨な、でも滑らかな白い手を唇でキスししながら舐めていく。 指を一本づつ口内に入れ、丁寧に舐めあげていく。 ピアニストでもある敏感な千秋の指が、暖かなのだめの口内にどこまでも吸い込まれ舌が絡みつくその感覚は――― まるでのだめの中を連想させた。 のだめは今度は左手の愛撫を始めていた。 今や千秋の神経はするどく研ぎ澄まされ、のだめから与えられる感覚すべてに占領されていた。 まるで指揮台に立ってオーケストラを演奏する時のように――― 「……あぁ…のだめ……いいっ……!!」 のだめから与えられる愛撫に、千秋はあられのない声で喘いだ。 普段の俺様からは想像もつかない姿……こんな姿今まで誰にも見せたことはなかった。
●23 あの気位の高い彩子にだって……誰にも……。 それが、あののだめ相手だぞ……? いったいどうなってるんだ……? そんなことを考えているうちに、のだめが千秋のボクサーパンツに手を掛けていることに気がついた。 「お、おいっ!!」 さすがに慌てる。 「それはまだ教えてないだろ?別に無理しなくてもいいから……」 「……のだめ、無理なんかしてまセンよ……?」 そう言いながら、布越しに硬く盛り上がっている千秋自身にそっと触れる。 「〜〜〜!!」 鋭い射精感が走りぬけ、危うく先走りするところだった。 のだめは、盛り上がっている部分に気をつけながらボクサーパンツを下ろして、椅子に放り投げる。 千秋自身はすでに天に向かって硬く立ち上がっており、鈴口からすでに溢れんばかりの先走り液が滴っていた。 のだめはしばらく黙ってそれを眺めていたが、手を伸ばし右手で軽く握りながら、亀頭にそっと唇を寄せた。 のだめのふっくらした柔らかな唇が自身を飲み込んでいく様子を、千秋は夢の中の出来事のようにぼんやりと眺めていた――― 「――――!!!」 が、すぐに柔らかく暖かいものに覆われた感触に全身をつらくような快感に支配される。 「……はぁ……あぁっ……!!」 思わず、女みたいな喘ぎ声が漏れ出てしまった。 のだめの柔らかい唇が亀頭を銜え込み、じんわり溢れ出る先走り液を舌でちろちろと舐めながら唾液と一緒に飲み込む。 くびれの部分を舌先で重点的につつきながらくるりと円を描くように舐めまわす。 右手で竿をしごくように上下させ、左手で袋の部分をやわやわと優しく揉みあげる。 喉奥まで飲み込んで、口内全体で絞りあげ何処までも吸引する。 そうかと思うとざらざらした暖かな舌で、根元から先端までわざとらしいほどゆっくり舐めあげた。 まるでアイスキャンディーを舐めるかのように――― のだめが与える愛撫は、恐ろしいまでに執拗だった。
●24 「……の…だめ……ああぁっ……いいっ……!!」 千秋はのだめの髪を両手で梳きつつ、荒い息継ぎをしながら悲鳴のような声をあげた。 あまりの快感の凄さに、もう何も考えられない。 千秋は今まで、セックスだけではなくすべてにおいても自分を失うということはなかった。 どんな状況においても、冷静であり理知的に行動する。 たとえ家族であっても、弱味を曝け出すようなことは決してなかった。 それがどうだ―――のだめと出会ってから調子が狂いっぱなしだ。 好きだと追っかけてくるくせに、捕まえようとするとすぐ逃げる。 この俺様をこんなにも翻弄するのは、感情的にさせるのは――― こんなに理性をなくしたみっともない姿を曝け出せるのは、のだめ……おまえだけだ……!!! 「……真一くん……どうして欲しいデスか……?」 ぺろぺろと鈴口を舐め、竿をしごきながら、くぐもった声でのだめが聞く。 その声は恐ろしいほど甘美で……千秋はその魔力に捕りつかれていく。 ……どうして欲しいかって…?決まってるじゃないか…!バカのだめの奴……。 そう怒りを覚えつつも、身体がいうことをきかない。 のだめの中に入りたい……早く…早く…のだめが欲しくて欲しくてたまらない…!! 「……ちゃんと言ってくれないと…このままやめマスよ……?」 それが真っ赤な嘘だとわかっていても…千秋にはもうどうすることできなかった。 理性が音を立てて崩れる音が聞こえた。 「……入…れて…くれ……頼む…から……」 息絶え絶えに、千秋が懇願する。 もう俺様千秋はどこにもなかった。 「……おまえが…欲しいんだ…のだめの中に…入り…たい…」 熱に浮かされたように、のだめの瞳をみつめる。 「……いやデス…」 信じられないのだめの拒絶に、千秋は一瞬全身が凍りついた。 「……ちゃんと、名前で呼んで下さい…恵って…じゃないと、もうやめマスよ……?」 悪戯っぽく笑いながら、千秋の顔を覗き込む。
●25 くっ…!この小悪魔…!! 普段自分がのだめにやっていることを綺麗さっぱり棚の上に放り投げて、千秋は歯軋りする。 ……だが…もう耐えられそうにない。 身体の中心に血液も神経も集まっているかのように、身体が熱く疼いてしかたない。 「…恵…頼…むから…入れて…くれ…!!」 千秋はアルプスより高いプライドを投げ捨てて、叫ぶように懇願した。 それを聞いて、のだめは嬉しそうな笑顔で千秋自身を唇から開放し、ぺろんと唇を舐めながらむっくり身体を起こした。 のだめの秘部は千秋の腹筋にぴったりとつけられ、溢れ出た愛液が流れ落ちて千秋のわき腹に溜まり、 そこからシーツへと流れ落ちていった。 それから前屈みになって千秋の唇にそっと口付けた。 「……ゴム、いつものとこに入ってるから……」 千秋は、ベッドサイドの小さな引き出しを視線で指し示す。 だが、のだめはそんな千秋を無視して、腰を浮かせその赤く充血しきった濡れそぼる秘裂を、 そのまま千秋自身にあてがった。 「おいっ!おまえ何やってんだ……!?」 さすがの千秋も激しく動揺する。 くちゅりと音を立てながら互いの秘部が触れ合い、その熱さに一瞬理性が飛びそうになりながらも、 必死でのだめを止めようとする。 しかし、のだめは構わず千秋の亀頭をくちゅりと蜜で濡らしながら、膣内の中に少しづつ銜え込み、 ゆっくりと腰を下ろしていった。 「……だい…じょ…うぶデス…のだめ…ピル…飲んでます…から……」 息絶え絶えに言いながら、のだめはゆっくりと千秋自身を体内に飲み込んでいく。 「……ピルって、おまえが……?」 あまりの快感の凄さに理性を吹き飛ばしそうになりながらも、 それ以上自身が入らないようにのだめの腰を抑えつけながら千秋が尋ねる。
●26 「……ターニャに…病院を…紹介してもらったんデス。ちゃんと…毎日決められた時間に…飲んでますから… 大丈夫です……」 「大丈夫って…なんで、いきなりそんな……」 「……真一くんが…好きだからですよ…真一くんと、本当にひとつになりたかったんデス… だから、お願いしマス。このまま生でさせて下さい!」 そう叫ぶように言いながら、千秋の唇に口付ける。 舌を絡ませながら、何度も角度を変えて唾液を混ぜあわす。 くちゅりと音を立ててながら唇を離して、みつめあった。 「……本当に、いいんだな……?」 「はい。お願いしマス…」 その顔はあまりに真剣で……千秋は降参するしかなかった。 「……わかったよ。でもな、の…いや恵。あまり無理するな。オレはおまえに負担はかけたくないんだ…。 でも…気持ちは嬉しかったよ。ありがとな……」 千秋はそっとのだめの頬を撫でた。 「のだめ、負担なんかじゃありませんよ…?真一くんと本当にひとつになれるためだったら、 毎日ちゃんとお薬飲むのだって平気ですから」 のだめはにっこりと笑う。 まったく、ズボラなくせに何言ってんだか…と思いつつ、千秋は胸が熱くなるのを感じた。 本当に、なんて愛おしいのだろう。 こいつをずっとこの腕の中で守っていけたらと強く願う。 この瞬間が永遠ではないとわかっていても――― 「……真一くん…いい、ですか……?」 そう言いながら、のだめは再びゆっくりと腰を下ろしていった。 「……ああぁっ……!!」 同時に、互いの唇から艶やかな吐息が零れる。 ……なんて…すごい……。 全身から汗が吹きだし、じっとりと身体を濡らした。
●27 入り口のキツイ締め付けを越えた後は、無数の襞が微細に蠕動し、ぬめりながら千秋自身に絡みつき、 どこまでも吸い上げる。 膣内の中は溢れんばかりの蜜で溢れかえり、火傷しそうなほど熱い。 まるで溶けてしまいそうだった。 生でするという行為は責任感の強い千秋にとって未知なる体験であったが、そのあまりの凄さに頭の中が真っ白になる。 直に接するのだめの中は、熱くきつく、何か別の生き物が住んでいるかのようにのたうちまわりながら絡みつき、 千秋を逃すまいとどこまでも吸い上げる。 ようやく最奥まで到達し、のだめはふおぉと吐息を漏らした。 そのまま、馬乗りになって千秋を見下ろしながら両手を逞しい胸に乗せた。 「……上になるのは初めてだけど…動けるか……?」 のだめを見上げながら、今までの反撃とばかりににやりと笑う。 「……余裕なのは、今だけデスよ…?真一くん!」 生意気にも、ひょっとこ口で返される。 なっ!?と思ったらのだめがゆっくりと動き始めた。 両手で千秋の胸板をぎゅっとつかみながら上下に腰を振る。 襞と亀頭が激しく擦れ合い、するどい快感が全身を貫いてあやうく暴発しそうになり、千秋は腹筋に力を入れて必死に堪えた。 結合部からは互いの蜜が混ざり合って溢れ出し、ぐちゅぐちゅと淫靡な水音が響いた。 流れ出した愛液は白い泡で縁取られ粘性をともなって互いの太ももを濡らしながら、ゆっくりシーツへと流れていった。 綺麗な円錐形をした豊かな胸が、目の前でたぷんたぷんと優雅に踊る。 たまらなくなった千秋は両手を伸ばして、その白いたわわな果実を揉みあげる。 千秋の大きな手でもありあまりほど大きなそれはどこまでも柔らかく、揉みあげるごとに形をかえ存分に楽しませた。 指先で、ピンク色に染まった乳首をコリコリと摘んでやる。 「あっ!あん!やぁん!あぁ!」 リズムに合わせて、のだめが可愛く啼く。 普段の無邪気な少女の顔はどこにもなく、紅潮した顔に淫靡な表情を浮かべながら千秋を見下ろしている。 まるで千秋を支配しているようなそんな倒錯した表情をしていて…なんだかそれが千秋には面白くない。 のだめのくせに…お灸をすえてやらないと……。
●28 いきなり千秋は腰を下からを激しく突き上げる。 「むきゃあっ!」 いきなりの千秋の反撃にのだめは思わず悲鳴を上げながら跳ねた。 「……ああああぁっ!…いっちゃっ……!」 全身を震わせながら痙攣している。 そんなのだめが落ち着く間もなく、千秋はまるで振り落とすかのように、激しく突き上げる。 必死にしがみ付いてくるのだめを、身体を起こして抱き締めながら舌を絡ませ唾液を送り込み、さらに激しく腰を突き上げた。 向かい合わせで抱き合いながら、のだめの揺れる胸を口いっぱい頬張り、乳首を舌先で転がす。 「ひゃあん!あんっ!やあんっ!」 のだめは千秋の背中にすがり付きながら甘い啼き声を上げる。 ベッドがギシギシと軋み、まるで壊れそうだった。 千秋は互いの結合部に右手を差し込み、蜜でぐしょぐしょののだめの蕾をぐりぐり押し潰した。 途端にきゅうきゅうとさらに締め付けがきつくなり、千秋はますます追い詰められる。 まるでサウナに入ったかのように全身から汗が滝のように流れ、互いの結合部からはとめどなく愛液が温泉のように湧き出して、 互いに溶けてゆくような感覚に襲われる。 このままふたり一緒にどろどろに溶けて、ひとつになってしまえばいい。 そしたら永遠におまえと一緒にいられるのに――― 薄れてゆく思考の中で、千秋はぼんやりとそんなことを考えていた。 「……シ…ンイチ…くん……の…だめ…もう……」 千秋に必死にすがり付きながら、息絶え絶えに懇願する。 「……め…ぐみ…いっ…しょに……」 ―――いこう――― どちらともなく舌を絡ませ、唾液を混ぜあい、口内を激しく蹂躙する。 上下からぐちゅぐちゅと湿った音が部屋中に響き、その音にますます煽られる。 千秋は円を描くように腰を動かし、ベッドのスプリングの反動も利用してさらに激しく突き上げる。 シーツは乱れきり、互いに汗で濡れた髪を振り乱しながら激しく求め合う。
●29 千秋は身体の中心からせり上がってくる射精感に限界が近づいてくるのを感じとった。 「……ああああああぁぁっ……!!!もう…ダメ……いっちゃ…う!!!」 「……うぁあ…い…くぞっ……!!!」 ほぼ同時に叫びながら互いに頂点まで上り詰めた。 全身に強い射精感が走りぬけ、千秋はのだめの中に白濁した欲望を勢いよく吐き出した。 それは激しく痙攣しながら収縮した膣内の中に、飛沫を浴びせながら飲み込まれていった。 「……あぁ…熱…い…」 のだめが千秋の欲望を感じ取りながら小さく呟くのが遠のく意識の中で聞こえた。 視界が真っ白になり、互いに抱き合ったまま、崩れるようにベッドに倒れこむ。 しばらく室内には互いの荒い息遣いだけが響いていた。 全身が弛緩し、情事後特有の気だるさに襲われる。 だがこの気だるさを共有するのが、何より愛おしい存在であることがたまらなく心地良い。 互いの繋がりを解かないままみつめあい、汗で濡れた髪を優しくまさぐりながらそっと口付ける。 くちゅっ、くちゅっという湿った音が響き、互いの唾液を飲み干す。 のだめの中はいまだ千秋自身を優しく包み込み、うねるように絡みついたままだった。 「……真一くん…あの…よかった…デスか……?」 しばし放心状態だったのだめが、おずおずと口を開く。 それは、先ほど見せていた大人の女の顔ではなく―――いつもの童顔だった。 そんなのだめの顔に千秋は内心ホッとしつつ、先ほどまでこいつに焦らされていたということを思い出し、 とたんに恥ずかしさと悔しさでいっぱいになり、ぐったりとベッドに沈んでしまった。 ……オレとしたことが……こいつにあんなにも翻弄されるなんて……千秋真一一生の不覚……!!! 「……ああ…まぁ…よかった、けど……?」 本当はあんなに凄いのは生まれて初めてだったが、こう返すのがやっとだった。 「うきゅー、喜んでもらえてよかったデス…♪ミルヒーにも後でお礼言わないと……」 ……な、に……? 「……オイ……ジジイが、どうしたって……?」 自然と声が低くなるのが自分でもわかる。
●30 のだめはその声に一瞬ビクつき、おずおずと千秋の顔を上目づかいで見上げる。 ……くっそー、可愛いじゃねーか…… そんな場合ではないのに、不覚にも千秋はそんな子猫のだめにときめいてしまった。 「うきゅー…実はミルヒーからも、クリスマスプレゼント貰ったんデス…先輩を虜にするための、 のだめ魔性の女化計画で……」 のだめはうつむき、両手の人差し指をつんつんしながら恥ずかしそうに言う。 「何の計画だそれはー!一体ジジイから何貰った〜!!」 「離れていても先輩が浮気しないように、のだめの魅力をアップして虜にさせるための計画です。 しっかり勉強しなさいってマニュアル本とビデオ貰って、とりあえず初級、中級編で勉強したんです……」 ……ジジイの差し金だったのか……。 がっくり脱力し、再びベッドに沈んでしまう。 「…あのー先輩?ミルヒーからクリスマスカード預かってるんですけど…」 そんな死んでるオレに、のだめはおずおず声をかける。 仕方なく手渡された封筒を開封し、ヒイラギのの添えられたクリスマスカードを開けると、 Silent Nightのメロディのオルゴールが流れ出した。 『親愛なる千秋へ 私からのクリスマスプレゼント、気に入ってもらえたかな? きっと満足してくれていると確信しているよ。 こんな私にキミはますます敬意と尊敬の念を抱くであろうということも。 では、のだめちゃんと楽しいクリスマスを。 Merry Christmas! フランツ・フォン・シュトレーゼマン PS.感想よろぴくネ♪ 』
●31 「あんのぉ〜エロジジイ〜〜!!!」 千秋の手の中でカードはグシャリと潰れ、メロディがぶつりと途切れた。 くっそー、これは年明けにジジイに会った時、死ぬほど遊ばれるな……。 そんな千秋の気持ちを知ってか知らずか、のだめはおずおず話しかける。 「あのー先輩?上級編は先輩と一緒に見なさいってミルヒーから言われたんデスけど…一緒に見ます?」 「誰が見るか〜!そんなビデオさっさと捨てろー!!」 「え〜もったいないデスよ。のだめ1人で見ちゃいマスからね?」 「勝手にしろー!!!」 「あと情事中は下の名前で呼びあうのがいいって書いてたんですけど、どでしたか?よかったらこれからも……」 「誰が呼ぶか〜!!!」 まったく…そんな勉強なんかしなくても、もう十分魔性の女だろうが。 こんなにもオレを狂わせることが出来るんだから……。 それにしても、ビデオと本を見ただけであんな凄いテクニックを身に付けられるなんて、どこまで凄い集中力なんだ……。 これで、上級編を勉強された日には末恐ろしい。 楽しみなようなようなそうでないような…。 しかし……このまま終わったら男としてあまりにもふがいなさ過ぎる。 せめてのだめにだけはリベンジしないとな……
●32 そんな思いを抱きつつ、千秋は身体がべとつくことに不快感を覚える。 シーツもグシャグシャで、改めて先ほどの情事の激しさを思い知らされる。 しかし、ふと絶好のリベンジの方法を思いつき、千秋は心の中でほくそ笑んだ。 「…なあのだめ、風呂入ろっか?」 のだめを優しく抱きながら、そっと囁く。 「そデスね…。のだめもなんだか気持ち悪いし…」 「じゃ、行くぞ。このまま抱っこしてってやろう」 「……あの〜先輩…?」 「どうした?」 「どうして風呂場に行くのに、このままなんですか!?それになんでこんなカッコ……」 千秋のそれは先ほどから繋がりを解かぬまま、のだめの中で硬さを復活させたまま入っていた。 千秋は、のだめの両腕を首にまわさせ、向かい合わせのまま抱っこをし、両手でお尻を支えたまま立ち上がった。 「……やぁん……!!」 千秋自身がズンッ!と勢いよくのだめの最奥を貫き、あまりの衝撃にのだめは悲鳴をあげた。 歩くたびに、千秋自身が奥深くに突き刺さり、のだめは息苦しさのあまり息継ぎが満足にできない。 繋ぎ目からは、混ざり合った互いの愛液が、重力に従って粘性を伴いながらゆっくりと落ちていく。 「…なんだ?こんなカッコはビデオで勉強しなかったのか?」 からかうように千秋が聞く。 「……し、知りまセン……!」 真っ赤になってのだめがそっぽ向く。 「のだめ、今度はオレのリベンジの番だからな。覚悟しとけよ?」 怯えながら上目遣いに見上げる子猫のだめに、いたずらっ子のように笑いかけながら、 千秋はバスルームへとゆっくり、じらすように歩いていった。
●33 「……あっ…!…セン、パイ…や!…やぁん……あぁっ…!」 のだめの可愛い啼き声と熱い膣内を存分に楽しみながら、バスルームに辿り着く。 乾燥防止のために湯を張ったままのバスタブに千秋は足を入れ、のだめをしっかり抱えたまま慎重に沈めていった。 少しぬるくなったお湯は、2人のべとついた肌をやさしく包んでいく。 千秋がコックを捻ると熱いお湯が流れ出し、そのまま千秋はそっとのだめを抱きしめ、優しく、そして深く口付ける。 「……んっ……はぁ……」 舌を絡ませる音も、零れる吐息も、すべて流れる水音にかき消される。 ようやく唇を離した千秋がコックを閉めると、静寂が2人を包み、千秋は愛おしげにのだめを見つめた。 「おまえ、オレの留守中にこの部屋に入りびたりだっただろ?」 「な、何のことデスか…?」 「オイ…目をそらすんじゃねえ!たくっ…本気でごまかしたいなら、アレ、ちゃんと隠しとけよな……」 乱暴な言葉とはうらはらに優しい口調で、バスタブの傍に置いてあった千秋のではないバスセットに手を伸ばす。 可愛らしい花柄の洗面器の中に、ハート形のスポンジと高級バスセット一式が入っていた。 「……珍しいな。おまえがこんな高級なのを使うなんて」 カモミールの絵が描かれたバスジェルを手に取る。 「……むきゃ…実はそれもミルヒーからの……」 「クリスマスプレゼントか!?」 「……エヘヘ…のだめ魔性の女化計画第2弾デス……」 バツが悪そうにのだめは笑う。 ……たくっ、あのエロジジイ……。 くっそー……こうなったらもう毒を食らわば……だ! 半ばヤケクソ気味にバスジェルを風呂に流し込んだ。 たちまち、バスルームはカモミールの、まるでリンゴのような甘い香り広がる。 少し動いただけでしゃぼん玉が生まれ、2人を虹色に包んでいく。 「……なんか、アレだな……」 ……すっげー気持ちいい…… 先ほどまでの腹立たしさも忘れ、のだめを抱きしめながら千秋はうっとりと目を瞑った。
●34 「うきゅー、いい匂いでショ?フランクもユンロンも『最近のだめいい匂いがするね』って褒めてくれたんデスよ〜♪」 「……おまえ、これ使用禁止!」 「ぎゃぼー!なんでデスかー!」 「うるさい!こんなエロジジイから貰ったものなんか使うんじゃねー!!」 「先輩のオニ!横暴ー!先輩はやっぱりカズオです〜!!」 「やかましい!とにかくオレと一緒の時以外には絶対に使うんじゃねぇ!」 思わず声を荒げると、のだめは驚いた表情で千秋の顔をマジマジと見つめ――― 「先輩…もしかして、ヤキモチですか…?」 「なっ…!?なに言って…」 ズバリ言い当てられ、思わずうろたえる。 「うっきゅっきゅー♪先輩可愛いデスね〜♪」 得意気な顔で千秋の頭をなでなでする。 「……オイ…調子に乗るってんじゃねぇぞ……」 千秋はのだめの背中をバスタブの縁に押し付け、細くて柔らかい太ももを両手で抱えた。 只ならぬ気配を察知して戸惑うのだめの顔を覗き込みながら、低い声で言う。 「……覚悟しろ」 そして―――渾身の力を込めて突き上げる! 「ひゃあぁっ…!!!」 いきなりの衝撃にのだめは悲鳴をあげて仰け反った。 「……やあぁっ…!…いっちゃっ……!!」 油断していたのだめは、衝撃に耐え切れず一気に頂点まで登りつめる。 身体中を激しく痙攣させながら手足を伸ばし、千秋の背中に必死にすがりつく。 激しく収縮する膣内で、危うく暴発しそうになるのを奥歯を噛み締めて必死に堪え、いまだきつい締まりの中で、 突き上げを開始する。
●35 「…やあぁぁっ!…まだ…動いちゃ…セン、パイッ…!」 悲鳴をあげるのだめに構わず、腰を激しく打ち付けると、お湯がじゃぶじゃぶと大きな波を立てて2人に打ち寄せる。 波が立つたび、虹色のしゃぼんが生産され甘い情事を包んでゆく。 甘いリンゴの香りの湯の中で、千秋はのだめのすべらかな肌に唇をよせ、情欲の証を刻む。 熱い湯の中で繋がりに手を伸ばすと、そこは明らかにジェルとは異なる粘性をともなったぬめりが溢れ出ていた。 突起をぐりぐりと押しつぶすと、 「きゃああぁっ!」 とたちまち悲鳴をあげ、狭い膣内がさらに収縮し、手に感じるぬめりがさらに広がる。 湯の中でしゃぼんの中で見え隠れする、ピンク色に染め上がったたぷたぷと揺れる豊かな胸を口一杯に頬張り、 尖りきった乳首を舌先でちろちろと舐め上げる。 「……あぁっ…!…やぁんっ…!…センパッ…!…」 たまらないという風にのだめは千秋の頭に縋り付きながら、頭をイヤイヤするように激しく横に振る。 のだめを湯の中で抱え上げ、熱いのだめの中を激しく突き上げながら、むさぼる様に口付けを交わす。 皮膚がぶつかりあう音も、絡めあう唾液の音も、すべて打ち返す水音と混ざり合いバスルームに反響する。 のだめの膣内はお湯と愛液と残留した千秋の欲望が混ざり合い、それらが千秋自身にねろねろと絡みつきながら きゅうきゅうときつく締め上げ、離すまいと最奥へどこまでも誘い込む。 視界は虹色に染まって快楽に溺れた表情を彩り、耳からは甘い啼き声と打ち寄せる水音がこだまし、 甘いリンゴの香りが鼻腔をくすぐり、舌を絡めとるとその唾液はどこまでも甘く、 肌は白くすべらかで、その膣内は官能のるつぼのように千秋をどこまでも引き込む――― 五感を十二分満たされた千秋の情欲は、どこまでも増幅していった。
●36 視界が再び白くぼやけ、思考が停止し始める。 ―――まただ――― 身体がどろどろ溶けて……のだめとひとつになるこの感じ……。 のだめ以外で、過去にこんなのを感じたことはなかった。 この腕の中の存在が何よりも愛おしくて、愛おしくて……。 魂ごとおまえとひとつになりたいと強く願う。 「……センパッ…なん、だか…の、だめ…すごく…へ、ん……」 息絶え絶えののだめの嬌声に、手放しかけてた意識が少し戻る。 「……どうした……?」 のだめの頬を両手で挟み、優しく覗き込む。 「……なん、だか…か、らだが…とけちゃ、いそうで……のだめ……」 その長い睫に縁取られた大きな瞳は、未知なる感覚への不安の色に染まっていた。 「……大丈夫……オレも……同じ、だから……」 そう言いながら、優しく口付ける。 そっと、まるで壊れ物を扱うかのように優しく……。 「……溶けて……オレと、ひとつに……なろ……?」 そうのだめの瞳を覗き込みながら優しく囁くと、のだめの不安の色は消えいつもの笑顔が広がる。 のだめは千秋にすがりつき、足を腰に絡ませてくる。 繋がりはより一層深くなり、未知なる快楽へと誘う。 「……セン、パイ……すき……だいすき……!」 「……知ってるよ……」 そう言いながら、強く強く抱きしめる。 そう、オレだって……この気持ちを、昔のようにもうごまかしたりなんかできない。 ―――この世の誰より、おまえが好きだ―――
●37 せりあがる射精感に再び限界が近いことを知る。 視界がぼやけ、のだめの甘い嬌声がフィルターがかかったように遠のき、全身に甘い痺れが広がってくる。 「……セン…パ…の、だめ……も……」 「……オレ…も…い…くぞ……」 千秋はのだめを縁に押し付け、足を両脇に抱え上げて、その中心に怒涛の勢いで自身を打ち込む。 お湯はバスタブから勢いよく溢れ出したが、もう何も考えられなかった。 思考を占拠するのは、この腕の中の愛おしい存在だけ――― 「……やああああぁっ!……もう…だめっ……!!!」 「……うっ……あああぁっ……!」 再び同時に登りつめ、視界が輝くように真っ白になり、互いに意識を手放した。 勢いよく飛び出した欲望は、これ以上ないほど収縮したのだめの膣内に一滴残らず吸い込まれていく。 そこはいまだにひくつきながら、千秋自身をどこまでも優しく包み込む。 そこからじわじわと甘い痺れが広がり、全身がまるで溶けていくようだった。 互いに全身が痙攣し、そしてゆっくりと弛緩しながらバスタブに沈みこむ。 2人の荒い息遣いと打ち寄せる波音が千秋の敏感な耳に反響し、それが手放していた意識を取り戻させた。 白く輝く世界から帰ってきた千秋は、気だるさの中、ゆっくり瞳を開けてのだめを見る。 「……のだめ……?」 のだめは、いまだ眠りの国の住人のままだった。 ピクリともせず、ただ長い睫を震わせながら、わずかに開いた唇から静かに吐息を漏らすのだめは、 まるで魔法をかけられた眠り姫のようだった。 千秋はそっとのだめを抱きしめ、優しく頭を撫でた。 濡れた髪から甘いリンゴの香りがし、肩に熱い吐息が零れ、千秋の胸に改めて愛おしさがこみあげてくる。 ずっと、ずっとおまえと一緒にいられたら――― 今、この瞬間が永遠に続けばいいと思う。 そんな願い、叶うはずないことなどわかっているのに―――
●38 千秋は、そんな思いを振り払うかのように、そっとのだめに口付ける。 眠り姫にかけられた魔法を解く、王子様のように……。 「……んっ……」 千秋の熱に触れ、のだめがようやく眠りの国から帰ってきたようだった。 「……お目覚めですか?眠り姫……」 のだめが正気の時には、けっして口が裂けても言えない甘い言葉を囁く。 「……あ…れ…?…ここ……?」 どうやら記憶も若干混乱しているらしい。 ……ちょっと、無茶させすぎたか……。 先ほどのの激しい情事を思い出し、さすがに反省する。 「……大丈夫か……?ほら、しっかりしろ」 そう言いながら、いまだにふらつくのだめを身体ごと支える。 そっと抱きしめながらバスタブの栓を抜き、激しい情事の残り湯を流してゆく。 ゴボゴボと渦を巻きながら流れていき、後には虹色のしゃぼんが大量に残った。 それから、思い出したように2人の繋がりを解く。 それはいまだにのだめの中にしっかりと吸い込まれ、なかなか抜き出せなかったが、 両手でのだめの腰を掴み、思いっきり押しのけると、ようやくずるりと出てきた。 そこから甘い余韻とともに、2人の混ざり合った白濁した愛液が堰をきったかのように大量に溢れ出し、 虹色の中に溶け込んでゆく。 手を伸ばしてシャワーヘッドを掴み、互いをゆっくり洗い流してゆく。 熱い湯に打たれ、ようやくのだめも少しずつ意識を取り戻しつつあった。 「……センパイ……のだめ……気絶、してたんデスか……?」 「……まあな……悪かったな、無茶させて……」 そう言いながらコックを閉め、バスタオルでのだめの身体を優しく拭いた。 「もう寝よう。お互い頑張りすぎだな、今夜は」 「頑張りすぎたのは、先輩ひとりじゃないんデスか?」 と言うのだめのつっこみは、聞こえなかったことにした。
●39 のだめを抱き上げて寝室へ向かうと、時計の針はすでに5時過ぎを示していた。 ……マジで、頑張りすぎたな…… 苦笑いをしつつ、のだめをバスタオルに包んだままソファに横たえて、くしゃくしゃになったシーツを取り替える。 それからのだめをベッドに運ぶ前に、いつの間にか剥がれてしまった湿布を貼りなおす。 「悪かったな、無茶して……大丈夫か?」 「……先輩、今の今までこの怪我のこと忘れていまセンでしたか?」 「な、なわけねーだろ!?何言ってんだ…たく……」 「なに目逸らしてるんデスか!……別に大丈夫ですよ。それにのだめも痛みを気にする余裕なんて、 とてもじゃないけどなかったですから」 「……悪かったなっ!……」 ちょっとふて腐れ気味の千秋に、のだめはうきゅっきゅー♪と笑う。 改めてのだめを抱き上げて、素肌のまま真新しいシーツに横たえ、千秋もそのまま姿でのだめの傍らに滑り込んだ。 柔らかい素肌を直に感じ、そっと腕枕をしてやりながら抱き合うと、互いのぬくもりが伝わってきてたまらなく心地よかった。 「……先輩、今はもう無理デスよ……?」 「……さすがに、オレも今は無理だから安心しろ……」 心地よい疲労感が漂う中、クスクスと笑い合う。 「……先輩……」 「……ん……?」 「……すっごく素敵なクリスマス、ありがとうございました……」 「……バーカ……まだクリスマス、終わってないだろ?……とびっきりのご馳走、楽しみにしとけよ……?」 そっと、のだめの柔らかな髪を撫でる。 「……来年も、再来年のクリスマスも、ずーとこうやって先輩と過ごせたらいいのにな……」 その言葉にドキリとする。 「……そうだな……」 ぼんやりと遠くをみつめる。 「これから先も、ずっとずうーっと先も、先輩とこうしていたいな……」 千秋は黙ってのだめの髪を撫で続けた。
●40 「……真一くん。またどっか行くんですか……?」 その声はどこか寂しそうで、千秋の胸を締め付けた。 「年明けに、ベルリンで客演に呼ばれてて、あとプラハにも呼ばれてる。2月位には帰ってくると思うけど……」 「そう…ですか……」 千秋はのだめの頭を抱き寄せ、そっと額にキスを落とした。 「ゴメンな?」 ……寂しい思いをさせて……。 「へーきですよ。のだめ頑張って留守番しますから。ピアノも家事も頑張りマス!」 「ピアノはともかく、家事はなあ……」 「うぎっ!先輩バカにしてますね?のだめちゃんと頑張ってるんですよ?この前なんかターニャにボルシチの作り方を教えて もらったし、フランクもユンロンもおいしいって珍しく褒めてくれたんデスからね?」 「……ふーん……」 千秋は、のだめを抱く腕の力をより一層強めた。 「だから先輩も心配しないで、お仕事頑張って下さいネ!」 「……べつに、心配なんかしてないけど……」 「今度、先輩にもボルシチ作ってあげますね♪楽しみにしてて下さい」 「無理すんなよ?くれぐれも指を切らないようにしろよ。大事な選考会の前なんだし。あと、オレがいなくてもちゃんと ピアノの練習やれよ?わからないことがあったら、いつでも携帯にメールしていいからな?あと……」 「もう!先輩過保護すぎデス!もっとのだめを信用して下さい!」 「なっ!?過保護って……」 「頼むから自立した生活してくれって言ったの先輩じゃないですか。ピアノだってのだめにはちゃんとオクレール先生が いるんだし。のだめはもう、先輩がいなくても1人でちゃんとやってけマス!」
●41 のだめがその言葉を、深い意味で言ったんじゃないってことぐらいわかってる。 わかってるけど……でも……。 オレのことなんかもういらないって言われたような気がして……ショックだった。 甘やかしたらいけない、自立させなければいけないと思っていたのに、いざそんな風に言われるたまらなく不安になる。 おまえがどんどん成長して、オレの腕の中から飛び出していくのが……怖い。 先輩なんかもういらない、必要ないと言われるのが……怖い。 おまえを……失いたくない………!!! 「せ、先輩…?苦しいデス……」 その声にハッと我に返ると、のだめを強く強く抱き締めている自分に気付いた。 「あ、わりぃ……」 慌てて腕を緩める。 「……先輩?どしたんですか……?」 心配そうに千秋の顔を覗き込む。 「……べつに、なんでもねー……」 そんなのだめの顔をまともに見られずに、瞳を閉じた。 なぜだろう……今がこんなに幸せなのに、ときどきどうしようもないほど不安になる。 のだめをこの腕に抱いているのに、のだめもオレのことをこんなにも愛してくれているのに……。 なぜか、この幸せが失われた時のことを考えてしまう自分に気付く。 こんな仕事をしてるから、いつでも一緒にいられるわけじゃない。 この先、のだめがピアニストとして成功したら尚更、すれ違いの日々が続くだろう。 おまえが前みたいに迷った時、つらい時、泣きたい時に、きっとただ傍にいてやることさえできない。 いつかその寂しさを埋めるために、のだめが手を差し伸べてくる他の男の手を取ってしまうとも限らない。 もしそうなったら、おまえを失ったら……オレはどうなのだろう。 オレが帰ってきたら、おかえりなサーイ♪と言いながら笑顔で抱きついてきてくれて。 オレが作ったご飯をおいしそうに食べてくれて。 オレの話を楽しそうに聞いてくれて。 オレの音楽を聴くのが大好きだと言ってっくれて。 オレのために弾く、おまえの楽しげなピアノを聴く。
●42 そんなささやかかもしれない―――だが、かけがえのない幸せを手放すことなんかもう出来やしない。 もう、おまえ以外の女なんか愛せない。 おまえがいないと、オレはだめだ。 のだめを抱いている時にいつも感じる、このままひとつになりたいと思う気持ちは、この不安からきているのだろうか……? ひとつになればずっと離れなくてすむ………だから……。 自分はこんな情けない男だったのかと、激しい自己嫌悪に襲われる。 「……情けねー……」 「どーしたんですか?先輩…?」 思わず出た独り言をのだめが聞き咎め、心配そうに千秋の顔を覗き込む。 「なんでもないないから…気にするな…」 優しくのだめの頭を撫でる。 「そだ、先輩!CDかけてもいいですか?最近いつも聴きながら寝てるんです」 「いいけど…何の曲?」 「ラフマニノフの2番です。イメージトレーニングのために、このCD毎晩聴いてるんですヨ♪」 千秋を心配してか、大げさなほど明るい声で言いながら、のだめはベッドサイドに置いてあったCDプレーヤーの リモコンに手を伸ばす。 その時、はらりと2枚の紙がリモコンの傍から舞い、千秋の顔に落ちてきた。 「なんだ……?」 手を伸ばし、薄明かりの中で見ると、それは折り紙で、願い事が書かれていた。 『ピアニストとして成功して、先輩といつかコンチェルトが出来ますように♪ のだめ』 『先輩とこれからもずっとずっと一緒にいられますように♪ のだめ』 ……これ…… 「あ!これ先輩にもぜひ名前書いて欲しくて、まだ飾ってなかったんですよ。 このふたつの願い事は、一緒に叶えたかったったから……って先輩?どしたんですか?」 「……のだめ…おまえ、オレの母さんとなんか話した?」 「いえー、べつに。いったい何の話ですか?」
●43 「……いや、そうだよな……。わるい、なんでもない……」 「いったいどうしたんですか?先輩さっきから変ですヨ?」 「いいから早くCDかけろって…」 納得できない顔で千秋の顔を眺めていたがのだめだったが、無駄だとあきらめてCDプレーヤーのスイッチを入れた。 やがて、鐘の音を思わせる和音が静かな室内に響いて、完全に暗譜した美しいメロディが流れ出した。 ……そうだよな……あいつが知ってる、はずがない……考えすぎだ……。 のだめの頭を撫でながら、瞳を閉じて美しいメロディに耳を傾ける。 甘く、優しく、どこか懐かしいピアノの調べを聴いてると、なぜか古い記憶が蘇ってきた。 もうすっかり忘れていた、幼い、子供の頃の、……。 突如、ある記憶がよみがえり、一気に覚醒する。 慌ててCDのケースに手を伸ばす。 「先輩?どしたんですか?」 驚くのだめを無視して、ベッドサイドに置いてあったCDケースに書かれていた内容を確認する。 『セルゲイ・ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番 ハ単調 作品18 ピアノ 千秋雅之 ベルリン・フィルハーモニー交響楽団 指揮 フランツ・フォン・シュトレーゼマン 録音 1986年12月 』 「のだめ…これ……」 ……オレが5歳の時の、父さんの初めてのクリスマスコンサートの時の……。 「あ、それこの前ミルヒーがくれたんですよ。今度ラフマニノフに挑戦するって言ったら 応援するからこれ聴いて勉強しなさいって、わざわざ日本で買ってきてくれたんですよ♪」 ……もしかして……気がついてない……? ジジイは当然気付いてるんだろうけど。
●44 「のだめ……CD止め――」 「すっごく素敵なメロディですよネ!優しくて、綺麗で、愛おしさに溢れてまるで……」 心地よさそうに美しい旋律に耳を傾けながら、まるで猫のように千秋の胸に柔らかな身体を摺り寄せる。 「……まるで…先輩のピアノみたい……」 その言葉にドキリとする。 遮られた言葉を今さら口にもできず、そのままのだめを抱き締めた。 ……父さんのピアノは、母さんと離婚した時から一度も聴いたことがない。 CDでもテレビでも聴かないようにしてたし、当然公演にも行ったことがない。 だから、父さんのピアノを聴くのは本当に久しぶりで……懐かしさに不覚にも胸が熱くなった。 ―――………頑張るから……、父さんおまえと母さんのために、頑張るから……――― 「……先輩……のだめ、頑張りマスから……」 ふいに思い出の声とのだめの声がリンクされる。 驚いてのだめを見ると、のだめは眠りの国の世界の住人になりつつあった。 「……頑張って、ピアノ頑張って、絶対追いついてみせマスから……だから……いつか……いっ、しょに……」 やがて声は途切れ、完全に眠りの国へ行ってしまったようだった。 「……のだめ……」 千秋は、最高に幸せそうな顔をしたのだめの柔らかな頬に触れた。 そして、さきほどの折り紙を見る。 ……のだめ。おまえのこのふたつの願いは…… ―――オレが3歳のクリスマスの時に、神様に願った願い事と一緒なんだよ――― ひとつめの願いは、まだ無名の父さんが有名なピアニストになること。 ふたつめの願いは、家族がずっと一緒に仲良く暮らせますように。
●45 幼かったオレは、このふたつの願いが相反するものだとは知らなかった。 だからこの願いが、両方叶うことはありえないということを、母さんはわかっていたのかも知れない。 父さんは翌年の世界最高峰のピアノコンクールで優勝した。 そして、売れっ子になった父さんは、やがて家に帰らなくなった。 母さんの愛情は、帰ってこない父さんから、やがてオレに移動した。 オレは父さんに帰ってきて欲しくて、母さんの言われるままに必死に音楽に取り組んだのに。 最初は見に来てくれていたコンクールにも、いつのまにか多忙を理由に来てくれなくなった。 やがて女を作って……オレが12歳の時、母さんと離婚した。 結局あの時のクリスマスが、家族で一緒に過ごした最後のクリスマスの思い出になってしまった。 あんなことを……願うんじゃなかった。 時々思わずにはいられない。 ―――あの時、父さんの成功を祈らなければ…家族はバラバラにならずにすんだのだろうか?――― 「……うぅん……」 ふいに、腕の中でのだめが寝言を言う。 腕の中の愛しき存在を見ていてふと思う。 こいつがピアノで成功して、オレの元から羽ばたいて行き――― そして……そしていつかオレの元に帰らなくなった時……オレは同じように後悔するのだろうか……? 3歳の時の自分を後悔したように………いつか今夜の自分を後悔する日がくるのだろうか……? 今夜のことを、若い頃の熱く激しい思い出として、傍にいないおまえを懐かしむ日がくるのだろうか……? おまえにピアニストとして成功して欲しい。 おまえといつまでも一緒にいたい。
●46 このふたつの願いは、永遠に相反するものなのかもしれない。 おまえが成功するということは、オレ達はそれだけ一緒にいられないということなのだから。 父さんがオレを必要としなくなって、オレの元を去ったように……いつかおまえもオレを必要としなくなって オレの元を去る日が来るかもしれない。 ……だけど、だけどオレは………。 「………?」 腕の中ののだめがもそもそ動いていることに気付き、見下ろすと。 のだめは幸せそうな笑顔で右手を動かしていた。 よく見ると、その細く長い指は鍵盤を弾くようにシーツの波間を泳いでいた。 その指の動きは――― 「……ラフマニノフ……?」 父さんの弾く甘い調べに合わせて、楽しげに音を奏でていた。 まるで―――その指から、きらめくような美しいピアノの音が聴こえてくるような気がした。 「……バーカ。こんな時くらいオレの夢を見れよな……」 口では悪態をつきつつ、千秋はこれ以上ないほど優しい瞳でのだめを見つめた。 そんな2人を、甘美な旋律が優しく包んでゆく。 千秋は再びその美しくも優しいピアノの旋律に耳を傾ける。 ……やがてゆっくりと……懐かしい思い出がよみがえってくる。 父さんを憎むと決めた日から、記憶の奥底に封印していた、懐かしい――― 無名だった頃の父さんの観客はオレと母さんだけで。 だえど父さんは、オレ達だけのためにいつでもピアノを弾いてくれた。 オレは本当に父さんのピアノが大好きで……だからもっとたくさんの人に父さんのピアノを聴いてもらいたかった。 父さんが成功した時は嬉しくて嬉しくて、本当に嬉しくて。 やがて帰ってこなくなった父さんを、それでもずっと待ち続けた。 初めてのクリスマスコンサートの時、一緒に過ごせないと知って、聴きに行かないと拗ねるオレに、父さんはこう言ったんだ。 『頑張るから。父さん、おまえと母さんのために頑張るから…。だから真一も父さんのピアノを聴きに来て欲しい』
●47 ふいに頬に熱いものが流れているのに気付く。 手で拭ってみて、それが―――涙であることを知った。 静かな室内で流れる旋律はどこまでも美しく甘美で…そして……そして愛情に溢れていた。 父さんが母さんを、愛しているという理由だけではなく、利用するために結婚したのも事実だろう。 父さんが母さんにさんざん貢いで貰って、成功したら愛人を作ってオレ達を捨てたのも事実だ。 父さんのようにだけはなりたくないと、ずっと思ってきた。 父さんのしたことを、今でも許す気にはなれない。 父さんに会いたいとも思わない。 でも……確かに父さんの奏でる旋律はどこまでも愛おしさに溢れていて――― 思い出の中の父さんは、今のオレのように幸せそうに笑っていて……あの時、確かにオレ達は父さんに愛されていたのだと思う。 オレがのだめのことをかけがえのない存在だと思っているように、父さんもオレ達のことそう思ってくれていたのかもしれない。 『ボク達は音楽でつながってる』 ふいにヴィエラ先生の言葉を思い出す。 それならば……オレと父さんも音楽でつながっているのだろうか……? どんなに離れていても、会えなくても、音楽でオレや母さんに話しかけているのだとしたら……? 父さんを許す気はないし、会う気もない。 だけど……だけど今は父さんのことを知りたいと思う自分に気付く。 父さんの音楽を聴いて、どんな風に思っているのか、考えているのかを知りたいと思う。 そしていつか―――何年後になるかわからないけど、父さんのことを許せる日か来たら――― 父さんに会ってみようと思う。 オレ達のことをどう思っていたのか、愛してくれていたのかを知りたいと思う。
●48 腕の中ののだめを見つめると、相変わらず幸せな顔で旋律を奏で続けていた。 いつか、オレが父さんに会う時に……オレの傍にいて欲しい。 オレの手を握りながら、大丈夫だとオレを励ましていて欲しい。 どうかその時、おまえがオレの傍にいてくれますように――― 先のことなんてわからない。 こんな世界だから、成功するかなんてわからないし、どんな困難が待っているのかもわからない。 おまえが道に迷って挫けそうになった時に、すぐ傍で支えてやれないかもしれない。 ふたり離れ離れになって、会えない月日が流れて、やがてお互い自らの意思でこの手を離す日がくるかもしれない。 ―――だけど――― そっと、のだめの指に手を伸ばす。 ―――だけどオレは――― 父さんの奏でる美しい旋律を弾くのだめの指に合わせて。 ―――おまえの成功を願わずにはいられない――― かつての音楽室でのように、連弾した。 そして―――そっと瞳を閉じて、心の中で思い出の父さんの演奏を指揮する。
●49 先のことなんてわからない。 オレ達がどうなるかなんて、神様にしかわからないだろう。 ただわかることは……おまえのピアノが、オレはどうしようもなく好きだということ。 オレだけじゃなく、世界中の人におまえのピアノを聴かせたいと願う。 オレがかつて音楽に絶望してやめようとしていた時、もう一度音楽の楽しさを思い出させてくれたように。 三善家に音楽が失われていた時、もう一度音楽を取り戻してくれたように。 世界中の人がおまえのピアノを聴いて、心の中に抱えている悲しみや苦しみが、少しでも癒されてくれたらと願う。 おまえのピアノにはそんな力があると、オレは信じてるから……。 この先おまえが道に迷った時、挫折を味わった時、オレはただ傍にいてやることさえできなくなるだろう。 だけど……心は傍にいるから。 どこにいても、おまえのことを想ってるから。 どんなに離れていても、心はおまえと一緒にいるから。 だからおまえも……自立して、1人でやっていけるようになったとしても。 オレのことを心の支えにしていて欲しい。 おまえがつらい時には、オレのことを頼って欲しい。 オレを必要としていて欲しい。 そう願うのはオレのエゴだとわかっているけれど……オレはおまえに必要とされていたい。 おまえが奏でるラフマニノフを聴いてみたい。 オレが指揮して、おまえが演奏して……きっと師匠が言うところの“最高に楽しい音楽の時間”になるだろう。 オレ達のコンチェルトは、きっと2人だけじゃなく、きっと未来のオレ達ファンの夢でもあると、 うぬぼれじゃなく確信している。 ―――だから、2人で叶えよう。オレ達のふたつの願いを―――
●50 あの頃はまだ何も知らない無力な子供で、オレはふたつの願いを両方叶えることが出来なかったけど。 今ならきっと、オレ達2人なら叶えられる―――今はそう信じたい。 やがて旋律が靄がかかったように遠のきはじめ、千秋も眠りの国の扉を開けて入っていった。 そしで……幸せな夢を見る。 オレはフォーマルを着て、S&Mと彫られた真新しい指揮棒を握る。 のだめは真紅のドレスを着て、胸元と左手にはハートのルビーが輝く 割れんばかりの拍手の中、2人揃って舞台にあがる。 聴衆に礼をし、のだめは椅子に腰掛け、オレは指揮台にあがった。 お互い顔を見あわせて微笑みあうと、のだめの手が鍵盤に落とされ、美しい和音を奏でだす。 オレは一気に指揮棒を振り下ろし、そして――― 最高に楽しい音楽の時間が始まった。 そんな幸せな夢を………きっとのだめも同じ夢を見ていることを確信しながら、千秋は深い眠りに落ちていった。 やがて空は白み始め、凍てついた雪を碧く輝かせてゆく。 遠くから鐘の音が鳴り響き、聖なる夜に終わりを告げようとしていた……。 〜Merry Christmas for sweethearts〜 Christmas Memory 〜ふたつの願い〜 〜fin〜
Christmas Memory 〜ふたつの願い〜 以上です。 だらだら、長くてすみませんでした。 題名付け忘れるし…。 千秋が簡単に雅之さんを許せるとは思えないのですが、 子供編を読んだ時、実は心の奥底ではお父さんを慕っていたのではないかなと。 ヴィエラ先生を慕っていたのは、音楽の面だけではなく、お父さんの代わりとして 見ていたのではないかなと、勝手に解釈してしまいました。 もし、イメージを崩したらすみませんでした。 では、長文失礼しました。
ヴァイオリン さん 長編SS、お疲れ様でした! リアルタイムで読ませていただきました。 細かいところまできめこまやかに練られた素晴らしい作品だと思います。 本当に「美味しゅうございました」!
bravo!!! 感動巨編をありがとう!! すっごくエッチなのにストーリーがとても深くて、堪能しました ヴァイオリンさん凄いね!! 最後のコメント、私も同じように思いました。 ラフマ聞きながら もう一回読もうと思います。
ウ゚ァイオリンさん。 すごく良かった。 最初は笑いながら、中間は萌えながら、最後は涙ポロポロで読みました。 ありがとうございましたm(__)m
はじめてこのスレにかきこ のだめカンタービレのサイドストーリーノベライズ版ですね。ものすごく G J !!! です! 大作最後まで読ませました。感涙 関係ないけどこのふたりイニシャル SとMなのか ははぁ
ヴァイオリンさん、ごちそうさまでした〜 アヘ〜(今月ののだめ風)
140 :
けろりん :05/02/13 17:21:26 ID:aBK3LTSN
こんにちは。 初SS、投下します。エチー度はそんなでもないですが結ばれてはおります。 設定上、千秋のことを、勝手に「バッハ苦手」にしてしまいました。お許しを。 (フランス編冒頭でバッハのコンサート告知みて喜んでる場面あったのを 忘れてました)
141 :
けろりん :05/02/13 17:22:41 ID:aBK3LTSN
『床の上』 ■1 俺はバッハがあまり好きではない。 いや、それは嘘だ。ほんとうは−−−−。 *** 夕食のあとは必ずピアノの時間。これは日本にいるときから変わらない。 それは、「デート」をする仲になった今でもだ。 「そろそろのだめ、部屋に戻りますネ。あ、だけど、センパイ最近眠りが浅いって言ってましたよネ?最後にいいもの弾いてあげマス」 と言ってのだめが弾き始めたのは、 バッハの「主よ、人の望みの喜びを」だった。 「なんで…この曲?俺、バッハはあんまり……」 「このあいだ征子さんに会ったときにきいたんですケド、センパイが小さいころ好きで、よく眠る前にレコードかけてあげたって言ってたんデスよ。覚えてマスか? 好きだったわりに、今はあんまりバッハ聴いてないみたいですよネ」 この曲を、俺が……? …そうか。のだめのピアノの音にのせて、徐々に記憶が蘇ってくる。 まだ父が家にいたころかもしれない。 レコードだけではなく、父自身が弾くピアノの音を、姿を思い出した。そういえばあの人は、練習の初めには、必ず何かしらバッハの曲を軽く弾いていた。フーガや、ゴルトベルグ変奏曲や…俺はそれを聴きながら、一緒になって歌ったりしていたっけ。 そうだ、思い出した。父がバッハを好きだったんだ。 それでなのか?俺が今、あまりバッハが好きじゃない−−−フリをしているのは。
142 :
けろりん :05/02/13 17:43:47 ID:aBK3LTSN
■2 「先輩のおじいさんもバッハの「マタイ受難曲」お好きだったんデスもんネ、ホラ、まえ三善のおうちに行ったとき言ってたじゃないデスか。おじいさんも先輩も好きなんだから、きっと先輩のお父さんも、バッハ、好きなんじゃないデスかね。やっぱり親子って、遺伝ですねー」 遺伝て、何言ってんだよ。知りもせず安直に断定する口調に、思わず吹き出した。 だが、それが真実を言い当てている。 吹き出しながら、雷に打たれたような気分になった。 …こいつは、どこまで分かって言っているのか。 おまえ、なーんにも考えず、いままで俺の心の中を縛っていた鎖を−−−断ち切った、って分かってるか? ……俺が、父親を許せないからって、彼が好きだったものを嫌いになる必要はないンだな…。 そんなの勿体ないし、音楽に対する冒涜だ。。 あったり前じゃねーか。今ごろ気付くなんて、俺は、バカか。 「のだめが弾くと、バッハってなんかややこしくてー、苦手だったんですけど、最近はいいなって思えるようになりましたヨー。これも学校で理論とか分析とかしっかりやり始めたせいデスかネー?」 そうだ先輩、今度バヨリンで無伴奏パルティータ弾いて聴かせてくださいヨ、ああでも無伴奏じゃのだめがピアノ弾けないからだめデスね、やっぱりフランクのソナタでも…… しゃべりながら弾き続けるのだめ。 俺はまた、のだめにやられたのか……。 思わず、愛しさがこみあげて。 ピアノに向かうのだめの背中から、そっと抱きすくめた。 「せ…センパイ?!」 「いいから弾き続けて」 「だって、もうこの曲終わっちゃいマスよ?」 「じゃあ次のカンカータをそのまま続けて」 「知りませンよ!!」 曲が終わり、ピアノの音が止んだ。のだめの−−−いや、俺のか?心臓の音が、妙に大きく聞こえる気がする。 「…今夜は、ここに泊まれ」
143 :
けろりん :05/02/13 18:18:21 ID:aBK3LTSN
■3 のだめが、ふぉぉぉと奇声をつぶやく。 「そ、それって…センパイの部屋で…え、と、のだめはソファで寝るってことデスか?」 「いや」 「じゃあ、のだめがベッドに寝て、先輩はソファで…」 「いや」 「まさかのだめ、床デスか?!」 「床に寝たいのか!」 「じゃあ本当に、い、一緒のベッド…でいいんデスか?……のだめ、今日は下着が上下バラバラなんですけど…」 「…べつにいいんじゃない?……いやか?」 「…いえ。じゃあ、おジャマすることにしまス……シャ、シャワーを、借りマスね…」 俺の腕からようやく逃れて、のだめはふらふらしながらバスルームに消えていった。顔がゆでダコみてーに赤かったな…と吹き出しながら、ふと壁にかかった鏡をのぞいたら、そういう自分の顔も赤くなっている。 俺は何してんだ… もう少し、待てるつもりだったんだけどな…。 のだめの使う水音を聞きながら−−−あいつがうちの風呂を使うなんて何度もあったのに−−−緊張していくのが分かる。 数分後、シャワーの音が止まり、のだめが赤い顔をして−−−お湯のせいなのか、俺のせいなのか−−−出てきた。 「お先にいただきました…ハフー」 だめだ、直視できない。濡れた髪が、上気した頬や首筋が、妙に色っぽく見えて。 「あ、じゃ、じゃあ、俺も……ちょっと待ってて」 のだめをろくに見ずに、俺もバスルームへ向かった。
ううっ。感動をありがとう
145 :
けろりん :05/02/13 18:21:32 ID:aBK3LTSN
■4 シャワーを浴びて出て来ると、居間にはのだめの姿がなかった。 まさか、帰ったのか? 「のだめ?」 声を出して名を呼んだら、ハーイ、と返事が返って来た。寝室から。 半開きになったドアから寝室をのぞくと−−−のだめは、俺のベッドの上に座っていた。 勝手に入っちゃいまシタ、先輩のベッドは2回目デスよ、とはにかんだように笑う。 「先輩がまたカズオになって、急に気が変わっても追い出されないように、待ち構えてみまシた」 「…いなくなったかと思った」 「どうして?のだめ、ココにいますヨ?」 のだめの隣に腰かけて、そっと手を握る。大きな手。ピアニストの手。 「ほんとうにデカいな、お前の手…手をつなぐとき、絶対取り損ねなさそうだ」 「このあいだオルセーに行ったときも成功しましたしネ」 「あ、あれは……寒かったから…」 あははー、なんで今さら照れるンですかー、突然手をつないでくれたから、のだめものすごーーーく嬉しかったんデスよ、しかもセンパイてば指をからめてくれてー、恋人つなぎデシタからー、とちょっと上目づかいにつぶやいたその唇が。 急に欲しくなって。 「……センパイ?」 「…名前で呼んで」 「……シンイチくん」 「恵」 軽く、頬に口づけする。額に。まぶたに。鼻先に。 そして、ふっくらとした唇に、自分の唇を落とした。まず上唇、そして下唇だけを、ついばむように軽く吸う。 柔らかさに気が遠くなりそうだ。
146 :
けろりん :05/02/13 18:23:04 ID:aBK3LTSN
■5 舌先で、輪郭をなぞるように唇全体を味わい、ついに口中へ割って入る。一瞬触れた舌先を逃しはしない。 「ん……」 重なり合った唇の間から、熱い息がもれる。のだめの、普段は絶対に聞けない、艶めいた声。もっと、この声を聞きたくなって。 柔らかな首筋、そして胸元へ、手の甲をゆっくりとすべらしてみる。 「ふぉ……」 手の甲で触っただけでも、弾力と、中央の突起が堅くなっているのが分かる。そのままウエストから背中へ左手を回し、今度は右手で乳房を包み込むように触ってみた。熱い、柔らかい、のだめの乳房。 「おまえ、くびれ、ねー」 「くびれはなくても、は…胸は大きいから、イんです…あ」 「そうだな…でかいな」 「おっぱい星人…」 「…うるせー」 のだめは、両手を俺の首の後ろに回した。俺はその姿勢のまま、のだめをベッドの上に組み敷く。 「起き上がった体勢のママのほうが、胸が大きく見えて、作戦としてはいいんデスけど…」 「そんなの、どこで覚えたー!?」 さすがのだめ、だ。こんな時にも冗談みたいな言葉が出てくるなんて… けど。もうそんな言葉を吐く余裕はやらない。 あとは、吐息だけだ。 「ん………っ!!」 俺は、乳房を触る手に、力をこめた。 ***
147 :
けろりん :05/02/13 18:27:20 ID:aBK3LTSN
■6 「センパイ…」 「……おはよ」 「なんでのだめ、床に寝てるンですカ……?」 「…俺もだから、別にいいだろ」 昨夜。 初めてだったのだめを「女」にするのは、思いのほか大変だった。 とにかく痛がったのだ。 あまりに辛そうだったので、もう今日はやめて、またにしようと俺は何度も提案した。途中で止めるのは俺としても辛かったが、それ以上にのだめが大変そうだったから。 けれど、のだめはそれを拒否した。絶対に、真一くんとひとつになりたい、と言い張って。 じゃあ、俺にしがみついて、痛かったらいくらでもその分、おれを叩いて、つねって、ひっかいて、何をしてもいいから、と言ったら、本当にアザが出来るくらい、力いっぱい叩いてくれた。 途中で、まるでレイプでもしている気分にもなり、少々萎えかけたのも事実だ。 だが、のだめが、俺のために…俺を好きだから、どんなに痛くても「ひとつになりたい」と望んでくれたんだから…。そう思うと、また奮い立ち、少しでものだめが良く思えて、苦痛が少なくなるよう、あれこれ努力した。 先端を入れてから、最後まで入るまでどのくらいかかったのか。そして、動かすまでにまたどのくらいかかったのか。とにかく俺は耐え、ゆっくりと、次の段階に進めて行くようにしたのだ。 その甲斐あって、だんだんのだめも余裕が出始め、最終的にはうまくいった−−−−のだが。
148 :
けろりん :05/02/13 18:28:27 ID:aBK3LTSN
■7 「と…途中で落ちたってコトですか、ベッドから……?のだめ、ぜんぜん覚えてナイですヨ…?」 「あれじゃあ場所がどこかなんて分からないだろ…とにかく俺様から逃げて逃げて、アゴに蹴りをくらわせて、その反動で落ちたんだから…そのくせに「絶対に続ける!」って言い張って、俺までベッドから引きずり下ろしたんだぞ、お前が」 「ほえ〜……じゃあ、センパイとのだめが結ばれたのって…結局」 「床の上」 「ひえーん!のだめ、初めてが床の上なんデスか〜!?そんなの、格好悪くてイヤですー!」 「まあ、なんか玄人っぽくていいんじゃねえ?」 「玄人って何の玄人デスかー!」 俺はサイドテーブルから床に落ちていた(正確には、のだめが振り回した手で落とした)タバコに、アザだらけになった手を伸ばした。 こいつといると、飽きそうにない。 それに。 いつも発見があるな…。 「どうせなら、ピアノの上とかの方が話のタネに良かったのに…グス」 「話って、誰に話すつもりなんだ……。とりあえずちゃんとベッドの上で出来るようになれ」 「ハイ!じゃあさっそく!」 「え……?て、おい!!」 のだめは立ち上がって俺の手を引っ張り、ベッドの上に引きずり上げた… まったく読めない女だ…。 <FIN>
149 :
けろりん :05/02/13 18:31:11 ID:aBK3LTSN
以上です。 初SSだったので、未熟ですみませんー。 濡れ場の肝心なトコは、努力したんですが書けませんでした… 期待外れでしたでしょうか?(最後はお笑いになっちゃったし) 脳内補完していただければ幸いです。 ほかの職人の方々、楽しみにしてますよー!
ヴァイオリンさんGJ。 素晴らしかったです。 エロもストーリー性も素敵でした! けろりんさんもGJ。 直接的なエロ描写は少ないのに、非常にエロかったです。 読み手があれこれ想像させられる、所長方式ですね… その上、かなり笑わせてもらいました! 因みに、教会でのバッハのコンサート告知のエピソードは、 この夜の後ってことで考えてつじつま合わせたので問題なしですー。 お二人ともまたの投下をお待ちしておりますね!
>ケロリンサンGJ!原作に近い雰囲気が良かったです(´∀`)ぜひまたお願いします!
ヴァイオリンさん、けろりんさんGJです。 やっぱりのだめ×千秋のカップルは見ていて一番好きです。 今日はたくさん読めて素晴らしい日でした。 読み終わったら、何だか無性に甘えん坊千秋が見たくなったのですが…、 どなたか図々しいとは思いますが… 書いていただけないでしょうか?
な、なんか身にあまるたくさんの感想ありがとうございました! なんとか、書き上げることが出来たのも、前スレでたくさんリクして頂いたのを 参考にしたおかげだと思っています。 こんなヘタレSSでよければ、今後もまた完成したら投下したいと思っていますので、 たくさんリクして頂けるとすごく参考になるし、ありがたいのでよろしくお願いします。 けろりんさん、すごく良かったです! 2人が初々しくて、すごくよかったです。 また、次回作も期待していますね! 他の職人さんの作品も期待して待ってます!
154 :
842です :05/02/14 10:45:26 ID:Z+82VkCG
ようやく完成しました。ふうぅ。 おまたせしてしまってすみません。では、イキマス。
「さて次は、P.N.『花言葉は清らかな愛』さんからのメッセージ」 カウンターに寄りかかるようにして頭を抱える千秋とのだめを無視して、筒井かをりはなおも ノリノリである。 やあ、千秋君、恵ちゃん。君たちがこの番組に出るなんて驚いたけど、恵ちゃんの元気な姿を 見ることが出来て嬉しいよ。 それにしても千秋君。君がさんざん「変態」だの「地球外生物」だのと言っていた恵ちゃんと 結婚するなんて……。あの言葉は僕を気遣うものだったんじゃなくて、ライバルを蹴散らす 君の策だったというワケか。……人間不信に陥りそうだよ。 ところで、この間君の楽屋を訪ねた時のことなんだけど。ノックしても返事がないし、でも 中からは微かに泣き声のようなものが聞こえてきたからそっとドアを開けて覗いてみたんだ。 そしたら……、僕はこの世で一番見たくないものを見てしまったよ。 もう二度とこんなことは御免なんだ。千秋君、僕はああいった場面でどういう対応をすれば いいのかな。教えてくれないか? なぜか赤面するのだめの横で、うつむいたままの千秋は押し殺したような声で言葉を発した。 「正直すまなかった。でもお前までこんなものよこすなんて俺はショックだよ。そーいう時 はな黒木! ドアを閉めて何事もなかったように立ち去ってくれ頼むから!!!」 「ということです。『花言葉は清らかな愛』さん、わかりましたか〜?」 教育おねえさんのようなにこやかな顔をカメラに向けた後、かをりはクルリと振り返り、 真剣な面持ちで千秋の肩を掴む。 「で、彼が見たものって何なのかおねーさんツッコンでもい〜い?」 「……次、いってください」
ケチーと残念そうな顔を一瞬見せたあと、彼女は手元の紙に目を移した。 「えーと、『飲むチーズケーキ』さんからの質問です」 千秋君。僕の忠告に反しての君のヨーロッパでの活躍、はっきり言って面白くないんだけ ど、まだまだヒヨッコの君が結婚だなんて、笑えるね。あははははははは。 まーせいぜいガンバッテね。君たちの結婚の失敗を祈る! 恵ちゃん。君とのコンチェルトはとても楽しかったよ。どうやら僕らは相性がいいみたい だね。今の生活に嫌気が差したら、僕のところにおいで。遊んであげるから。 ところで、君の首筋になんだか赤くなってる部分があるんだけど、蚊にでも刺されたのか な? ずいぶん大きな。今度その蚊をツブしに行ってあげるから、それまでにお願いして おいたほうがいいんじゃない? 「あんまりわかりやすいトコロを刺さないで」って。 今度は逆に、なぜか赤面する千秋の横で、のだめがあわてて首の方に手をやり。 「そーなんデスヨもうものすごくおっきな蚊に刺されちゃってもーカユくてカユくて。 ……蚊にはよく言い聞かせておきますカラ!!!」 「……若いっていいわね〜♪」 かをりの含み笑いで、またもや墓穴を掘ってしまったことを知るのだめであった。
「さくさくいきまショー。次は、『マーラー大好き』さんからの質問ですよ」 千秋くん、のだめちゃん、お疲れサマ☆ なかなか楽しいトークだったわよ〜。さらなる 盛り上がりに期待して、私からのとっておきな質問、届けるわ♪ 2年くらい前、千秋くんと競演したときのことなんだけど。その時のリハで、千秋くん遅 れてきたじゃない? 何かあったのかしら、てずっと気になってたんだけど……。そうい えばあの時、前の休憩でフルートとコンバスのグラマーなおネエさんから質問受けてたっ け。で、その後トイレのほうに……って、あっ!! もしかして大人の、いえオトコの 事情ってヤツかしら!? あのツアー長かったし、その時のだめちゃんアメリカだったもんね。そりゃあ、ねぇ? 大変ねぇ、千秋くん。うぷぷ。 清良! お前もかーっ、と千秋はカメラに向かって声を荒げる。 「アレはほんとに打ち合わせが長引いただけなんだよっっ!!!」 ほんとデスか〜、と疑いの眼差しを向けるのだめに一撃食らわせて、千秋は続けた。 「峰だってな、絶対お前がいないときにやってんだよ! タンスの2段目の奥見てみろ!」 そこは峰のマル秘☆ビデオコレクションの隠し場所である。 「千秋くん、せめて恵ちゃんをオカズにして――」 「次! 次いってください!!!」
次々に読まれる質問やメッセージは、すべて二人がよく知る音楽関係者からのものであっ た。もはやまともな内容ではないそれに真剣に回答する気力もなく、千秋とのだめはただ 黙々と目の前に空のカクテルグラスを積み上げていく。 「もー、もっとテンションあげて〜。次で最後なんだから〜」 最後、というかをりの言葉に二人はほっとしたように顔をあげた。しかし、最後に残され た紙に書かれたペンネームが読み上げられると、表情が一気に曇っていく。 「それでは、最後のメッセージです。『一番星☆がライジング』さんから」 よう千秋。いい気味だったぜ。俺のかわいい沙良からファーストキスを奪った報いだ! アレはいくら親友☆でも許せねぇ。ちったあ思い知ったか!? まぁでもこれで痛み分けってことで許してやるゼ。俺は心の広い男だからよ。 しかし、お前らもうちょっと番組の趣旨を理解しろよ。『新婚さん』だぜ? なんつーか こうもっと甘々な雰囲気をお茶の間に届けようっていうココロイキを見せてくれ! R☆Sの盛り上がりもかかってるんだから、ガツンと一発頼むぜセンセー!!! 瞬間、千秋の中で何かがぷちんとキレた。 のだめの腕を取り立ち上がらせ、顎に手を掛けるとそのまま強引に唇を合わせた。 スタジオの人間全員が、目の前で展開する熱いキスシーンに固まったが、その一瞬の 緊張も筒井かをりの大爆笑によって解かれる。 「これで満足か峰―っっ!!!」という千秋の絶叫と、のだめの「アヘ〜」という 声をバックに、番組の終了を告げる音楽がテレビに流れ始めた。 「あははっ。面白くてアッツアツのお二人でしたね〜。私も音楽家へのイメージが変わっ たわ。それでは皆さん、また来週〜」 こうして、二人の受難の一日は終わりを告げた。3月の公演は峰の野望どおり大盛況で、 ファンからの熱烈な要望により、記録的なロング・ランとなった。
159 :
842です :05/02/14 10:56:00 ID:Z+82VkCG
以上です。 ふいー、やっと終わりました。みなさまのご期待に添えられたかどうか 不安ですが。書いてて面白かったです。 またぜひチャレンジしたいと思います。
842さん、投下おつかれさまです。 そしてグッジョブです!! さんざん笑わせていただきました。 次の作品も楽しみにしてます。 でも欲を言えばもうちょっとえろいのもよろしくお願いします。
161 :
842です :05/02/14 11:20:52 ID:Z+82VkCG
160さん、コメントありがとうございます! 楽しんでいただけたようで、嬉しいです。 エロがほとんどない文章でしたので、どんな反応があるか 不安だったんですけど……。 次は、エロを書いてみようかな。
162 :
二人のコンチェルト 1 :05/02/14 11:56:59 ID:qaazpVSa
みなさんの力作に刺激されて書いてみました。 ちょっと固いというか・・「おやつ」代わりに 読んでもらえれば幸いです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 日ごとに秋が深まるパリ。その一角を占めるサル・プレイエルホールには今日も多くの聴衆が詰め掛けていた。 お目当ては千秋真一指揮ウィルトール交響楽団のコンサートである。 日本でいう下手から姿をあらわした千秋に万来の拍手が送られる。チューニングの音が響いた後、 すべての聴衆が緊張感と高揚感の入り混じった空気に包まれた静寂を楽しむ。 そして、その張り詰めた会場の緊張感をタクトの一閃は破った。 「あぁ・・」 4プルトのオモテという指揮者が良く見える席にいるロランの目には相変わらず黒い羽の幻想が浮かぶ。 千秋の明確かつ力強いリズムの刻みがヴィオラ奏者ロランを虜にする。 千秋は日本人指揮者にありがちな「軽さ」とは無縁な指揮者である。 精密なアナリーゼと比類ないポリフォニー感覚でオーケストラから強靭で重厚な音楽を引き出す。 ウィルトール交響楽団との演奏は、幾度となく「千秋の音楽」をこれまでパリの聴衆に強く刻み続けてきた。 曲目、ブラームス交響曲第1番。 千秋にとって因縁の深い曲であるこの曲をウィルトールと演奏するのはこれが初めてである。 曲はまもなく第3楽章を終え第4楽章を迎えようとしている。4楽章で描かれる美しいヴィオラの対旋律はロランが愛してやまない音楽だ。 それを千秋の指揮でできるー 「あぁ・・」 恍惚を迎えたロランには彼に向けられた指揮台とファゴット席からの冷たい視線を感じることは 到底不可能だった。
「だからどういう解釈なんだ〜!」 「ぎゃぼ―」 いよいよ明日― のだめと千秋のコンチェルト。 曲は「ラフマニノフピアノ協奏曲第2番」。 千秋の頭に浮かぶ言葉は「因縁の対決」だ。 のだめはコンセルヴァトワール在籍時にチョピン国際ピアノコンクールで1位獲得。 「ピアノという枠を越えた奇跡の演奏」と絶賛された、のだめは世界的と冠されるピアニストの一人となった。そしてのだめは千秋と同じ事務所−千秋の猛烈な反対を押し切られーに所属している。 今回のコンサートもミルヒーの陰謀だと千秋は確信している。 それにしても、である。相変わらずなその演奏は「大胆かつ奔放」と言えば聞こえはいいものの、千秋の耳には相変わらず「楽譜を読まない、曲を作る」のだめそのままだった。 「なんでそこのテンポを落とすんだ!テンポ指示は110だろ!」 「この方がキレイなんデス!」 のだめがハナの穴を膨らまし、抗う。 もちろん、いまやのだめは「プロ」ピアニストである。その演奏は芸術家としての表現そのものであり「のだめの音楽」がなければいけないことは当然だ。しかしー 「ここはソロじゃない!オケとのバランスを考えて弾かなければならないことくら」 「分かってマス!」 ラフマのピアコンはピアニストだけではなくオケにとっても「難曲」である。ピアノが表現する音の揺らぎ。それを鮮明に描けるよう構築しなければならない。 協奏曲一般に求められるソリストとオケの「呼吸」をしっかり合わせ、二つが溶け合った音を出すという技術として最高級のものが求められるのだ。 だが、のだめは大学時代に連弾したのだめそのままだ。 オレは合わせられるのか、こいつに。 不安が千秋を包む。
「ふー、ちょっと休憩しよう」 「ハイ」 −ふぅ。疲れた。くたびれ果てて千秋は椅子に腰を落とした。疲れの表情を浮かべる千秋にのだめは心配そうに寄り添う。 「なにか食べましょうヨ、あっ、実家から食べ物送られてきたんですヨ!」 「海苔だろ?」 「ひじきデス」 ひぃ―――――! 千秋の頭に悪夢がよぎる。のだめは何回教えても台所のシンクから山盛りのひじきを溢れ返らすのだ。 「い、いや、ひじきはやめとこう」 「ナンデですか〜?おにぎりもつくりますヨ?」 「あっいや、医者から止められているんだ、ひじき・・・」 「えっ、ソなんですか?」 「あと、ひじきは音楽性に影響があるとあの、えーあのベートーベンも言ってるし・・」 「ベトベンがですかぁ・・・」 「外行って食おう。マキシム行きたいって言ってただろ」目をそらしつつ千秋が逃げる。 「ムキャ〜、のだめ、肉がいいデス」 ふぅ〜よかった・・・・ 安堵して煙草に手を伸ばそうとした千秋の膝にのだめがちょこんと腰を落とした。 「なんだ〜?」 千秋に背を向けて天井の向こうの空を見上げるようにのだめが言った。 「のだめ、この曲はのだめの音でつくりマス。身体にまだ残っている先輩の音は追い出しマス。 のだめのラフマニノフ、聞いてくだサイ」 ―――大きい。のだめの背中がとてつもなく大きくみえる。 そうだよな、コイツはもう「プロ」なんだよな・・・・・ 対等の「音楽家」としてののだめと、「女」としてののだめの両方が 前にいる。ふぅー。まだまだオレは・・・・ のだめとその想いを包み込むように千秋の腕がふわりとのだめを抱いた。 「・・・・うん」 のだめの決意に千秋は一言だけつぶやく。 背中に押し当てられた千秋の顔の温もりにのだめは安心し、そしてその決意を確実なものにした。
ピアノ協奏曲第2番。 精神を病んでいたラフマニノフは、1901年、高名な医師の「催眠療法」の結果、病を克服し、 この2番を書き上げた。 のだめが自分の飛行機恐怖症を解消してくれた経緯を話してくれたのは結婚後しばらくしてからだった。そのときの懐中時計は千秋の大切な「お守り」である。 演奏旅行にのだめが一緒にいないときはこの時計を握り締めて不快な空の時間をじっとやり過ごす。のだめはのだめで演奏会前の緊張感を自分が送ったネックレス とともにやり過ごすらしい。 千秋も演奏直前必ずある気持ちに襲われる。それは簡単なものだ。「失敗したらどうしよう」。 それはどんな名指揮者、名演奏家も襲われる本能的な恐怖感である。どんなに自信があったとしても演奏会の度に襲う恐怖感。 高名な演奏家が舞台袖でその恐怖感で暴れた話しは有名だ。 が、二人はそれぞれを「お守り」にして演奏に望む。 ラフマニノフが病を乗り越えて世に送ったこの曲は、それぞれの「傷」を乗り越えて ここまできた二人に何かしら共感を覚えさせた。
のだめの楽屋にノックの音が響いた。 「あっ、ハ、ハイ どうぞ」 「調子はどうだ?」 「えっ、ハイ、ばっちりですヨ」 ――目をそらしやがった。 「お前、昨日寝てないだろ」 「えっ?ネ、寝ましたヨ、ぐっすり」 ゆうべ、ピアノの音が途切れることはなかった。そして千秋もほとんど寝れななかった。 それはピアノの音のためではなく、のだめの超人的な集中力に圧倒されたためだった。 「オレは寝てないんだよ」 「ス、すみません・・・」 「っていうか、お前その衣装・・・・」 のだめが初めて出たコンクールの本選用の衣装。・・スカーレット・オハラ・・・ 「かをりさんが贈ってくれたんデス。あとハリセン先生から手紙が・・・」 「・・・・手紙?」 千秋は折られた便箋を開いた。 「オレや。結婚式以来やけど元気にやっとるか?千秋とのコンチェルト見にいけるはずやったんやが、 今面倒見てる学生のコンクールがあってどうしても行けへん。「千秋真一と野田恵を育てた教師」 してオレも今やちょっとした顔や。もっともオマエや千秋を超える生徒はまだおらへんけど。かをりも合宿の関係で行けへん。 日本公演の日程もあるようやから、待っとるで。しかし、意外な男や千秋はホンマに。あのカニ以来」 そこまで読んで千秋は手紙をぐしゃりと握り締めた。
「・・いつ、オレがお前に育てられた・・・」 怒りのオーラに圧倒されたのだめがあわてて手紙を奪い返した。 「せ、先輩、のだめ大丈夫デスヨ。本当に。この衣装を着るとあの時ののだめになる気がするんですヨ」 千秋の中で時間が巻き戻る。 まるでオーケストラのようなモーツァルト。 渾身のシューマン。 そして会場を歓喜の坩堝にさせたストラヴィンスキー。 のだめの才能が初めて人々を魅了したあの時間― 「・・・本当に大丈夫なんだな?」 「・・・・・・ハイ。」 千秋はのだめの前に腰を落とした。そして、その大きな手を両方とも握り締めた。 そして少し上気した表情を見せるのだめの頬をそっと撫でた。 「楽しい音楽の時間、だぞ。なっ?」 のだめを見上げて精一杯の笑顔を見せた。 「ソですね」のだめが片方の手を握り返す。 そのときドアの外に無粋な声が上がった。 「時間ですー!お願いしまーす!」 ステージマネージャーの大きな声が響いた。
―――空気が違う。 のだめが感じた空気。それはコンサートホールも同じである。 クラシック音楽はこの空気の中で生まれ、発達を遂げた。 千秋は思う。「クラシック音楽とはヨーロッパの音楽」なのだと。 そしてその空気で音楽を出来る自分。もしのだめがいなかったら。 万来の歓声が千秋を迎える中、千秋は指揮台へ向かう。 しかし、その歓声の中にいくつかの日本語が混ざっているのをさすがの千秋の耳も聞き分けることは出来なかった。 「よく見えねぇな。やっぱもう少しいい席とりゃよかったんだよ」 「取れなかったのよ!見たでしょ?当日席のあの行列。 今日だって師匠に頼んでようやく都合つけてもらったんだから」 峰と清良の姿は2階席の後側だった。 「くそ〜、さっかく沙良を預けて来てやったっつーのによ・・」 「アンタ、携帯切ったの?待受見てたでしょ、さっき」 「当り前だろ・・ほら・・あっ」 そこにはこれ以上なく相好を崩して沙良に頬摺りしている峰の写真が画面一杯に写っていた。 「ふぅ〜」 あわてて電源を切る峰にため息をついて清良は頬杖しながら舞台に目を戻した。 「二人の音楽が・・・聞けるね」 峰が席に背中を預けてながら小さく呟いた。 「・・・あぁ」 「はぁ・・千秋さま・・」 少し離れた席に真澄は座っていた。 うっとりする真澄は後席からのあからさまな迷惑顔を見ることは出来なかった。 後席からは真澄の髪しか見えないのだ・・・
「シアワセです・・・今日は・・・」 理事長を挟んだ席にシュトレーゼマンとカイ・ドゥーンが座る。 「どうしてこんな席順なんだ・・」 カイが理事長越しにミルヒーを睨みつける。 「まぁいいじゃない。もう少しで始まるわよ」 「ワタシの弟子と、可愛いノダメちゃんのコンチェルトがうまく行かない訳がアリマセン。 そんなことよりドウです?今日終わったら食事でも・・」 「フン!」カイが不愉快極まり無い顔で舞台へ顔を向ける。・・それにしても。 二人のコンチェルト。気になる。そして胸が高鳴る・・ 「先生、いよいよですね」 コンセルヴァトワールのピアノ教師が話し掛ける。のだめの初見の教師である。 「そうですね・・・」 「楽しみですね。ベーベちゃん」 「もうベーベではありませんよ。リッパなmademoiselle(女性)です」 「そうでしたね・・・」 苦笑する教師の傍らでオクレールは呟いた。 「Bonne soiree(良い夜を)、ベーベちゃん」
のだめが袖から姿をあらわした。もっさもっさとスカートが揺れる。 「オウ〜」 観客から歓声が上がった。その歓声に千秋が顔を赤らめる。やっぱその服――! がたーん。 椅子が傾く。ぶつかりやがった・・さすがに観客席からは笑いが起こった。 千秋の表情にげんなりしたものが浮かぶ。それでも「世界の野田恵」か・・・ が、それは満場の観客にとって嬉しいオプションでしかなかった。すぐに床を揺るがすような拍手が会場を包む。 のだめは席についた。椅子を調節するのだめをちらりと千秋は覗いた。 あの目― コンクールの時に見せた目。 ピアノ、そして音楽への揺ぎない意志がその目にこもる。 のだめに降りてきている音楽の神の業・・だろうか。 千秋はのだめがプロデビューした後、そのコンサートに行ったことがほとんどない。日程が合わないこともあるが、 「身内」の演奏は大抵の演奏家にとって面映いものだ。特に「千秋夫妻」となってからは益々、その足を遠ざけた。 拍手が収まり、観客席が静寂に包まれる。場内に響くチューニングの音。 千秋がのだめに目で伝える。 ―――いつでもどうぞ。 のだめの瞼が一瞬閉じられた。 そして。 「あっ」 峰が、真澄が同時に息を呑んだ。 「あの口・・・」 のだめのひょっとこ口が遠くからも見えた。 そして次の瞬間、のだめの手が最初の一音へと向けて鍵盤へ降りた。
高名なピアニスト、ホロヴィッツは言った。 「東洋人と女にはピアノは弾けない」 だが「東洋人で女」であるのだめの一音は会場を一瞬にして凍らせた 最初の8小節のピアノソロ。10度に渡る和音。ピアニストによっては一度に弾けず アルペジオ(分散和音)にしてしまう。 だが、のだめの大きな手はその和音をやすやすと操る。そして。 たしかにピアニッシモの一音。だが、すべての聴衆の胸に岩のようなフォルテッシモ となって突き刺さってゆく。 千秋の背筋が震えた。 すげぇ――― 素直に、とても素直に千秋は思った。 そしてタクトは降りた。 ここからサル・プレイエルホールの35分間はその後「神が降りた35分間」として歴史に 刻まれることとなるのを二人、そしてすべての聴衆はまだ知らなかった。
第2楽章の甘美な音楽。のだめのピアノの音。ひたすら甘い。 それは行っては行けない世界からの危険な誘惑のようだ。千秋は最初にのだめのピアノを聞いて以来、 この誘惑にひたすらのめり込んでいたのだ。恣意的なのだめの解釈はそれまでだれもが聞いたことがないラフマニノフとなり、 さらにのだめの「音楽」となって聴衆を呆然とさせる。 「・・・・・私は自分の陰鬱な面が晴れつつあるのを感じる。 人を癒す音楽。私はそれを目指してきた」(ラフマニノフの書簡より) ウィルトール響の強靭なアンサンブルがのだめのピアノの前に揺るがず、付き添う。 鍵盤から漂う音がオーケストラの音と寸分狂わず溶け合う。 ロランの目にはすでに黒い羽根の幻想が浮かぶことはなかった。 この時間・・・この時間・・・が永遠であればいいのに。
「音楽の役割で人を癒すことのほかに何があろうか。 知ってのとおり初めて発表された歌曲の題名を “悲しみの収穫”とつけた。今なら多分みんなで 収穫に集まって悲しみを癒すことができるであろう。」(同上) いよいよ第3楽章はクライマックスに向けて高まりを続けている。 千秋は初めての経験をした。音楽が見える。音が色彩を帯びる。白のショパン、ピンクのモーツァルト。そうか、あいつはこんな世界で音を紡ぐのか。うらやましいな。 タクトの一振り一振りが楽しい。音楽が築き上げられてゆく一瞬一瞬が楽しい。 「“心の喜び”。ききての頭脳を経由するのではなく 直接心に響く音楽をめざす。リラックスして自然に ひきこまれ幸せな気分になれるような音楽を・・・・。 “私のことを知りたいなら私の音楽をききなさい”」 (ラフマニノフが孫に語った言葉) すでにオーケストラの誰もが解き放たれていた。楽譜という呪縛、リズムという呪縛、アンサンブルという呪縛。すでに意志を持ってしまった今という永遠の時。 千秋とのだめの奏でる音楽はウィルトールを率いて違う世界にその場の全員を運んでいる。 「神サマが呼んでるから」 そうだな。オレだけでなく、あいつも一緒に呼んでくれた神に感謝しよう。 千秋のタクトが最後に一振りの打点を刻み、その時間は終わりを告げた。
とりあえずここまで力つきました・・・ あとはまた、名職人の出番を待ちましょう。 スレ汚し失礼しました。
>>162 サン
凄いです。何か、綺麗な…透き通ったSSですね。
文章で音楽の感動を伝えることができるなんて、文才ある方ですね。
次作をお待ちしています。
ヴァイオリンサン、エロ最高でした!ウマー
けろりんサン、「…名前で呼んで」最高にモヘー
842サン、エロ無しでも全然OK、「待ってました!」とばかり読ませていただきました。
勿論エロにチャレンジ〜でしたらそれもアリ!是非とも次回作を。
ここのネ申サマ達は、本当に才能ある方ばかりで、
エロ有り無しかかわらず、思うがまま書いてもらったほうが
きっと素晴らしいSSになると思います。
176 :
けろりん :05/02/14 22:48:28 ID:Z4DN9zVQ
162さんは音楽の専門知識をお持ちの方なのでしょうか? なんだかいろいろな事を知ることができたような。 ちょっとお得なSSで楽しめました。 つたないSSもけっこう好評だったようでいただき嬉しい限りです。 ヴァイオリンさんからまでお言葉いただきまして。 また思い付いたら投下しますね。ひとまず名無しに戻りまーす。
すごい、すごいよ!数日遠ざかっていたら、神様が連続で降臨中? それもハイクオリティな作品ばかり!はふーシアワセですー 神様たち、ありがとうございました。
どの作品も堪能させていただきました! >ヴァイオリンさん 上級編が気になります〜。楽しみに待ってまーす。
179 :
842です :05/02/15 12:14:25 ID:5b3AKIJu
もうすぐ新作が完成するので、投下してもいいでしょうか? 今度のテーマは、 「ヘタレ千秋の、甘えん坊ばんざい!」です(笑) かなりシリアスですが、エロもがんばってみましたので。
スレの趣旨と合っているか心配なんですが、 最後まで書いてみてもよろしいでしょうか? 濃厚シーンは他の神々の及ぶところではないので・・orz 一応、夫婦にしてあるのでそういうことはしている という前提です(w
181 :
180 :05/02/15 12:31:11 ID:npdW6awh
訂正 神々の及ぶところ→神々に及ぶところ・・・・・orz
>842サマ ワクワクしながら大人しくお待ちしております。
>>180 サマ
モンモンしながら大人しく…ってこのスレ神様達と凡人の私一人カイ…orz
…夜になればきっと神様達が投下した作品に皆かぶりつくはず。是非おながいします。
842さん、180さん、 182さんに続いて私も待ってます。 楽しみです。
185 :
842 :05/02/15 13:09:55 ID:5b3AKIJu
お前が、お前自身の光り輝く音楽へ向かって羽ばたいていく。それは恐らく、お前以上に 俺が望んでいたことだったはずなのに。 なぜ、こんなにも気持ちが沈んでいくのだろう。 君が手を離さないでと言ってくれるだけで 地平線に沈みかけた太陽の光を反射して、立ち込めた夕霧がパリの街を暖かに彩る。その 一角にたたずむ古びた、しかし趣のあるアンソニーホールの前は、多くの人間でにぎわっ ていた。今日、この場所でデビューを飾る一人のピアニストの演奏を聴きにきた人々であ ろう。まったくの無名だった彼女が音楽界にその名を轟かせたのは、つい数ヶ月前のこと であった。 某有名コンクールに颯爽と現れた日本人ピアニスト、野田 恵 はその会場に居合わせた 人間の心とともに、優勝の栄誉をさらっていった。音楽界は瞬く間に彼女の話題でもちき りになった。 ――日本人天才ピアニスト、堂々デビュー―― そんな彼女の演奏を是非聴いてみたいと、芸術の都に住む人々はこぞってこのホールに足 を向けたのである。
186 :
842−2 :05/02/15 13:12:27 ID:5b3AKIJu
開場の時間になり、人の群れは建物の中に流れ込んでいった。その中に、今日の演奏を誰 よりも待ち望んでいた男がいた。千秋真一である。彼は自身の演奏旅行を終えて、ついさ っきパリに戻ってきたところであった。 「いよいよデスね。のだめちゃんのデビュー公演」 彼と共にこの会場に足を運んだシュトレーゼマンが話しかけた。 「……ええ」 心配のためか、自分の初公演の時以上に表情が硬く、青白い。 そんな千秋に彼の師匠は微笑ってポンッと肩を叩く。 「ダイジョウブですヨ。のだめちゃんなら、私タチをあっと驚かせる、素敵な演奏をして くれマス」 さあ、楽しい音楽の時間デス。 開演のブザーがホールに鳴り響き、彼らは指定された席へとその歩みを進めた。 圧倒的だった。コロコロと楽しそうに踊る音色。かと思うとまるで心臓に突き刺さるかの ような重厚な和音。そのピアノの紡ぎだす音に人々の心は弾み、揺さぶられ、そして魅了 される。その多彩な音色と浮かび上がるイマジネーションに観客は陶酔しきっていた。 千秋真一もその例外ではなかった。しかし……。 すべての演目が終了し、客席からアンコールの嵐が沸き起こる中、千秋は一人静かにホー ルを後にする。人々がのだめに送る歓声が、いつまでも頭の中に響いていた。
187 :
842−3 :05/02/15 13:14:26 ID:5b3AKIJu
やがて、すばらしい演奏に興奮しきった観客が今日の主役をたたえながら、出入り口の扉 よりその音色の余韻に浸るようにゆったりとした足取りで出てきた。その流れに沿ってシ ュトレーゼマンも出口に向かう。キョロキョロとあたりをうかがうと、ロビーに設置され た喫煙所で煙を燻らす千秋が目に入った。 「一人でさっさと出て行くなんて、薄情な男デスネ」 声を掛け、自分もタバコに火をつける。 「アンコールの演奏も、すばらしかったですヨ」 のだめちゃん成長したネ、と賛辞を述べると、千秋は「そうですね」と一言返した。その 顔色はこの場に似つかわしくない程、暗い。楽屋には行かないの? というシュトレーゼマンの 言葉には答えず、千秋はそれじゃ、と背を向けた。 「そんなことじゃ、のだめちゃんと一緒にはいられないネ」 背中から掛けられた、すべてお見通しというような彼の言葉に、千秋の足取りは一段と重 くなった。 ――アイツの才能を俺が見出し、俺の音楽でアイツをここまで引っ張り上げた。 いままでずっとそう思っていた俺は、ただの自惚れ屋だな。アイツは自分で 自分の音楽を見つけ、そして自分の足であの舞台に立った。俺とアイツの音は、 こんなにも違う。それは当たり前のことなのに。 どうすることもできないモヤモヤを抱え、千秋は一人帰路についた。
188 :
842−4 :05/02/15 13:15:44 ID:5b3AKIJu
シュトレーゼマンが楽屋の扉をノックすると、中から「はーい、どうぞ」と明るい声が聞 こえてきた。ドアを開けると、そこには初公演を無事成功させたという安堵と自信に満ち 溢れた笑顔があった。 「ミルヒー、来てくれたんデスね! 嬉しいデス〜」 どでしたか、と聞きながらも、のだめの目は傍らにいるはずの男を探す。 「チアキならもう、家に帰りましたヨ」 「えっ……」 シュトレーゼマンから花束を受け取りつつも、彼女は落胆の色を隠せない。しかし頭を軽 く振って顔を上げるとそですかー、疲れてるんですかね、と微笑った。 「ま、今日の感想はアパトに戻ってから聞けばいいしー。ミルヒーは? どう思いました カ? 今日ののだめの演奏は」 「とってもよかったデスヨ? のだめちゃん、がんばりマシタネ♪」 エヘヘー、さっきオクレールせんせにも褒められマシタ、と笑うのだめの頬に軽い祝福の キスを送り、シュトレーゼマンはつぶやく。 「……もしかしたら、チアキよりもキミの方が大人なのかもネ」 それってどーいう意味デスカ? と首をかしげる彼女に、秘密の話、とシュトレーゼマン はウィンクして答えた。
189 :
842−5 :05/02/15 13:16:54 ID:5b3AKIJu
初公演を祝うパーティも終わり、のだめは酒でほのかに赤く染まった頬を両手で包み込み ながらタクシーに乗り込んだ。行き先を告げ、シートに深く身を預ける。 ――まだ、ドキドキしてる……。 初めての公演で自分らしい演奏が出来たこと、そしてそれにより沸き起こった観客の暖か な拍手と声援。彼女の心には先程の興奮が再びリアルに蘇ってきた。 ――先輩は、どう思ったカナ? のだめ、がんばったんデスヨ。 それにしても、と彼女は思う。どうして先輩は先に帰っちゃったんだろう? 一番に、よかったよって言って欲しかったのに。そうつぶやくのだめには、もちろん今の 千秋の心情を想像することができるはずもなかった。 アパートの吹き抜けに軽やかなステップを響かせながら、のだめは階段を駆け上がる。初 公演の成功を二人で祝いたいと思う気持ちが、彼女の心を舞い上がらせた。 だから、彼女が千秋の部屋を訪れた時、その暗闇に驚いたのも無理はない。 「あれ? 先輩、もう寝ちゃったんデスか〜?」 そっと明かりをつけると、リビングのソファーにその身を沈ませた千秋がいた。彼の表情 はのだめの位置からは窺えない。 「びっくりした〜! 起きてるじゃないデスか」 明かりもつけないで、どうかしましタカ? と彼女は心配そうに千秋の傍へ近づく。返事 がないので気分でも悪いのかと彼の額に手を伸ばす。 その瞬間、ものすごい力で腕を掴まれた。ビクッとのだめの身体が固まる。顔を上げた千 秋を見ると、その表情は今までに見たことのないものだった。 「ど、どしたんで――」 混乱するのだめをソファーに押し倒し、千秋は強引にその唇を塞ぐ。その手はすでに彼女 の太ももあたりを弄り、ワンピースのすそをたくし上げた。
190 :
842−6 :05/02/15 13:18:07 ID:5b3AKIJu
突然の千秋の行為に、のだめは一瞬パニックになる。千秋の執拗なキスによって言葉を発 することも出来ずにいたが、やがて息苦しさから渾身の力を込めて、彼の身体を押し返した。 なおも圧し掛かろうとする彼を、肩で息をしながら制す。 「な、なに……するんですか、こんな……こんなのヤです……」 覆いかぶさるように両手をついている千秋に、見上げるような形で瞳を向ける。その目に は涙が溢れていた。 「今日は、のだめのデビューコンサートで。先輩も一緒に、喜んで……くれるかと」 言葉尻は嗚咽にかき消され、もはや聞き取れない程小さくなっていく。 「……なのに、こんな……ひど…ですヨ」 その時、「ごめん」という言葉とともに、のだめを拘束する力が弱まった。涙を拭った のだめが訝しげに窺うと、そこには今にも泣き出しそうな子供のような千秋の顔があった。 そのままの状態で、時計の針は静かに時を刻んでいく。やがて、のだめがその手を恐る恐 る千秋の頬に伸ばすと、一回り大きな手に優しく包み込まれた。暖かなその温もりにほっ としながらも、未だ尋常ではない彼の様子にのだめの心は恐れにも似た感情に支配されている。 戒めは解けたはずなのに、身体が自由に動かせない。 どうしてよいかわからずそのままの体勢でじっとしていたのだめの顔に、ぽつりと生暖か い雫が落ちた。 「……先輩、泣いて……!?」 握っていた手に一瞬キュッと力を込めた後、ソファーの上に流れた栗色の髪をそっと撫でて。 千秋はもう一度「ごめんな」とつぶやくように言った。
191 :
842−7 :05/02/15 13:19:25 ID:5b3AKIJu
そのまま立ち上がろうとする千秋の腕を、のだめはがっしりと掴んで離そうとはしなかった。 こんな悲しそうな顔をする千秋を見るのは初めてだったから。逃がしちゃダメだ、と彼女 の本能が警告する。 「何か、あったんですか?」 優しい声色の問いかけにも、千秋はただ首を振り。ごめんと同じ言葉を繰り返す。 「謝ってもらいたいんじゃナイんです。ただ、話してほしいだけ……」 ツラそうな先輩の顔見てるのは、のだめもツライから。そう言って微笑う彼女に、千秋は 少しずつ自分の胸の内を明かした。 いつも、いつも傍にいて。まるでそうすることが当たり前のように、傍にいて。同じもの を見て、感じて、いつまでも手を繋いで、一緒に歩いて行くんだと思ってた。俺がお前の 手を引いて、同じ場所にお前を導きながらたどり着くんだって。傲慢、だよな。お前は いつだって、自分の足でがんばって歩いてきたのに。 いつからだったんだろう、そんな考えが不安に取って代わったのは。俺は、お前が自分の 音楽を確立していく中で、どんどん不安になっていった。もしかしたら、俺の存在は、お前 の音楽の邪魔をしているだけなんじゃないかって気がして。 それが、今日の公演で現実となって俺の前に現れたような気がした。すごかったよ。鳥肌が 立った。そして、……ああ、まるで違う、と思った。二人の音楽性の違いを改めて思い知った。 俺は無意識にしても、まだお前の手を引っ張っている気になってる自分に吐き気がしたよ。 最低だな、と吐き捨てるように千秋は言った。
192 :
842−8 :05/02/15 13:22:33 ID:5b3AKIJu
うめくような声で、なおも千秋は続ける。 俺も、お前も、違う一人の人間で。そんなこと、当たり前のことのはずなのに。お前が、 俺の知らない場所に向かって羽ばたいていくのが、どうしようもなく、怖くて。喜ぶべき ことのはずなのに、どうしようもなく、怖くなって。 ふいに千秋のバランスが崩れ、頬の下に柔らかな感触が広がった。彼の首には、しっかり とのだめの腕が巻きついている。千秋を抱きしめながら、のだめは笑い声を上げた。 突然に起こった、この場の雰囲気にそぐわない笑い声に、千秋はムッとする。 「……お前、ここは笑うトコじゃないだろ?」 だってー、となおも笑い続けるのだめは、すぐ上にある顔にいたずらっぽい目を向けた。 「昔ののだめとおんなじなんだモン。おかしくって〜」 わけがわからないという表情の千秋に、のだめは優しく語り掛ける。かつて日本にいた時 の、自分が感じていた不安と想いを。
193 :
842−9 :05/02/15 13:24:06 ID:5b3AKIJu
先輩と過ごした大学生活は、すごく、すごく楽しくって。でも、いつか先輩は遠くに行って しまうんじゃないかって、いつも、いつも不安でした。だから、先輩が飛行機恐怖症だと 知ったとき、嬉しかったんです。喜ぶことじゃないはずなのに、これでずっと一緒にいら れるんだって。先輩の音楽が大好きなのに、おかしいですよね。 でも……。R☆Sオケの初公演を聴きに行った時、わかっちゃったんです。ああ、この人は 神さまに呼ばれてるんだって。だから、行かなくちゃいけないんだって。 頭ではわかってても、先輩がどこか遠くに行っちゃうのは、すごく怖かった。のだめが がんばっても、追いつけないところに行っちゃうんじゃないかって、怖かったんです。 だから、おんなじ。フフフと笑うのだめに、千秋は胸の詰まるような思いでつぶやく。 「……初めて、聞いた」 そりゃーそデスヨ初めて話すんですカラ〜、とのだめは笑顔で返す。 「それでも、こうして今一緒にいるんです。たとえお互いの音楽が違う方向へ向かって いるのだとしても、それを結びつけることが出来ないはずアリマセン。そこから新しい 音楽を一緒に作っていけるんデス」 なんてったって、先輩とのだめのゴールデンコンビなんデスから〜と朗らかに笑う彼女を 千秋は呆然と見つめることしか出来ない。そんな彼の手を取って、のだめは続ける。 「『僕たちは音楽で繋がっている』デショ? それに〜のだめはこの手を離すつもりは さらさらないデスヨ」 参った。この女には、きっと、一生敵わない。 「凄いな、お前って」 そう言って、優しく口付けた。
先程とは違って、その手は慈しむようにゆっくりとのだめの肌の上を動く。彼女はその すべてを受け入れ、時折切なげな声を漏らした。その吐息ごと絡め取るように、千秋の 舌は彼女の口内を支配していく。右手が丸みを帯びた滑らかな胸にたどり着くと、のだめ の身体がビクリと反応した。それを合図に、唇を解放し、首筋に印を刻みながら、その 先端を舌で転がす。短く高い叫びが耳元で上げられ、頭を抱える腕に、僅かな力が加わる。 しっとりと汗ばんだ太ももを撫で上げ、茂みに隠された部分に指を潜り込ませると、そこ はもう濡れていた。 ツルリと指を滑らせると、一際高い声を上げ、のだめの身体は震えた。額に掛かる髪を梳 き上げて、千秋は耳元で囁く。 「俺も、お前の手を離す気なんて、さらさらないよ」 外気に晒された額に一つキスを落とすと、千秋は一気に彼女の中に入っていった。 後から後から沸き起こる快楽に翻弄されまいと、のだめはシーツを握り締めるが、彼から 伝わってくる激しいリズムに、もう、何も考えることができない。ただ、心の中にある 彼への愛おしさを千秋が感じてくれればと潤んだ目で見つめるだけで精一杯であった。 そんな彼女にもう一度深く口付けて、千秋は自身を解放した。 行為を終えた後も、千秋の腕はのだめの身体に絡みついたままで。ちょっと苦しいデスと 言う彼女の言葉にもますますきつく抱きしめる。 のだめは苦笑しながら言った。 「今日の先輩は、なんだか子供みたいデス」 「……うん」 我ながら呆れてる、と言いながらも結局両腕の戒めが解けることはなく。 二人寄り添ったまま、朝まで幸せな眠りについた。
195 :
842です :05/02/15 13:28:05 ID:5b3AKIJu
以上です。 本誌のモンモン千秋から今回の話を思いついたわけなんですが。 いやー、ヘタレですね千秋。 いかがでしたでしょうか? エロは、私にはこれが限界です。 それでは、これにて失礼いたします。
>842サマ、GJです!ほんとヘタレ…というより、一人どん底千秋ですねw 話の作り方がうまいですねぇ。 思いきり笑える話も、心情豊かなシリアス話もとても良いです。 また何かネタが思いついたら、ぜひ書いてこちらへ投下ねがいます。
197 :
842です :05/02/15 16:24:59 ID:fnx7de2J
196さま コメントありがとうございます! 「一人どん底千秋」にウケました。 自分で穴を掘って、その中でウジウジしているイメージにぴったり! ミルヒーに「のだめの方が千秋よりも大人」と言わせましたが、 私の中ではコレ、確定事項なんです(笑) いや、千秋大好きなんですけれども。 まだまだネタはたくさんありますので、また文章にできたら 投下したいと思います。 それでは、いったん名無しに戻ります。
最後の一音が響きを失った後、静寂が会場を包んでいた。 普段なら湧き上がる歓声はそこにはなかった。 だが千秋にはそんなことはどうでもよかった。 指揮台を降り、ピアノに駆け寄る。 のだめの微笑み。うなじから頬を伝う一筋の汗。 抱きしめたいという強烈な欲求を千秋はねじ伏せた。 手を差し出す千秋に応えてのだめが立ち上がる。がたーん。椅子が揺らぐ。 ううっ・・ううっ・・・ 嗚咽が響く。会場を数え切れない嗚咽が包んでいる。 「奇跡の35分間」が終わった。 精神を揺さぶり、魂を震わせた35分間。千秋とのだめの演奏は聴衆から言葉を奪っていた。 果てしない感動は浅薄な賞賛を拒絶した。そして、静寂。嗚咽。 峰の瞳に二人が写っている。だが、一向に焦点が合わない。 涙は演奏の途中でとっくに枯れていたのだが。 清良は顔を両手で覆い、席上に突っ伏したままだ。 会場を包む静寂に峰は強烈な衝動に襲われた。――――ダメだ、みんな―――― 峰が立ち上がった。 「千秋―!のだめー!ぶ、ブラヴォーーー!!」 「えっ?」 その声に固く手をつなぐ千秋とのだめが観客席に振り返った瞬間だった。 「BRAVO―!!!」 聴衆は峰の声に我に返った。そしてようやく思い出したのだ。 二人そしてウィルトールに限りない賛辞の声を送ることを。 聴衆がその奇跡、まさに神が降りてきた演奏に贈った歓喜の声。それはすでに絶叫だった。
「ううっ」 真澄は抱き合って泣いていた。 ―後ろの席の聴衆と。 まるで昔からの友人のように、感動を共有し、かたく抱きしめてあっていた。 「・・・・・先生」 オクレールの傍らでのだめに初見を教えた女性教師は溢れる涙を拭う。拭っても拭っても涙が止まらないのだ。 そして身体を包む震え。本当にあの子なの?本当に・・・ オクレールが余韻を楽しみながら舞台に向かって呟いた。 「ベーベちゃんを神サマが連れて行ってしまったね」 涙を拭いながら女性教師が微笑んで言う。 「ベーベちゃん、ですか?」 千秋に促されてウィルトールのメンバーが立ち上がる。惜しみない賛辞はウィルトールへのものでもあった。 どの表情にも笑顔が溢れていた。それはウィルトールが「世界のウィルトール」となったことへの喜びでもあった。ロランは潤む瞳でファゴット席を見る。 そこには俯いて涙を流す彼女がいた。 「ミナコ」 「?」 「私はまた、オケに戻ってみたくなった」 「オケに?」 「一生で、一生でもう一度だけこのような演奏に舞台で立ち会ってみたい」 ふふっと笑って理事長は涙を拭いていたハンカチは顔から外した。 「だそうよ、シュトレーゼマン?」 「オー、スバラしい。早速、事務所に連絡しまショウ」 「だ、だれがこいつとなんか演るかーーー!」 カイにとって不幸だったこと。それは真後ろの席にエリーゼが座っていたことに気がつかないことだった。 10分、20分と経っても歓喜の声は止まなかった。用意されていたアンコールの曲は当然、演奏されることはなかった。 この時間そして余韻が終わることを惜しむすべての聴衆にとって必要のないものだった。
千秋が再度、のだめの楽屋の扉を開けた。 「ちょ、チョット待ってくだサイ!」 のだめは衣装を着替えている最中だった。ワンピースの大きく空いた背中からあせばんだ白い肌と黒いレースの下着が覗く。胸がどきりとする。・・・・・夫婦だっつーのに。 「のだめ」 背中のファスナーを上げてやりながら、千秋が聞いた。 「ナンですか?」 「おまえ、演奏中なにを考えた?」 「演奏中ですか〜?」 宙をにらみ、のだめは考える。 「ん〜夜ごはんかな〜」 こいつーーーー! 「先輩は何を考えたんデスか?」 「オレは・・オレは」 のだめの肩に手をかけて千秋は言った。 「この時間が・・・この時間が永遠に続けばいい、そう思った」 そのときのだめがくるりと振り返って千秋の頬にキスをした。ぶちゅん。相変わらずの「タメ」のなさ。でも、柔らかな感触。化粧の香りと微かな汗の匂い。 「のだめ、ウィルトールとがんばりましたヨ。先輩を神サマのところに送っていったんですヨ」 ばーか。 「えっ?」 今度は千秋がのだめの頬へキスを送る。そして後れ毛を耳へ戻してやりながら言った。 「神さまが連れていったのはオレとオマエだ。覚えとけ」
のだめがふぉぉと顔を赤らめる。 休みたい。二人で身体を横たえたい。 まだ感触が、音楽の感触が残る身体を横たえて二人でまどろみたい。 「帰るぞ、恵」 千秋がのだめの手首を掴んだそのときー 「セ、先輩―」 「なんだー?」 「あの、ミルヒーが終わったらワン・モア・キスに来るようにって・・峰くんや真澄ちゃん、清良さんとかもいるみたいですヨ・・」 「知るかーーーーーーーー!」 「あ、あのデスね、もし来ないとプ、プ・・ロメ・・プロメテウスがそちらに向かうとかなんとか、ナンですかね?」 あのクソジジイーーーーーー! ふぅ。まぁいいか。思う存分見せてやる。世界のMEGUMI NODAを、そしてオレの恵を。 「くそー、いくぞ!」 「あ、のだめまだ、化粧が、ちょ、真一くん!」 有無を言わせず千秋の手がのだめを引きずった。 廊下にあへ〜というのだめの声が反響する。 ―千秋は気づかなかった。ドアが開く直前、ガラスに映った自分の顔にほんのりと口紅がついていることに。 fin
終わりです。 楽しんでもらえたらな幸いです。 全然、内容が「エロパロ」じゃないんで 違うなーコレ、という方はごめんなさい・・orz もし、許されるなら別の作品も書いてみようかと 思っているのですがー。 ともあれご清聴(読?)ありがとうございました。
>>202 サマ
BRAVOーー!!!
貴方にはGJ!よりもこちらで。神懸かったその描写!
エロパロスレだからエロ入れろ〜という人も居ますが、こんなに
素晴らしい作品が読めるならば無しでも全然構いません。
ぜひとも別の作品も書いてください!
首を長くして投下お待ちしております。
エロありも、エロ無しも、みんなどれも素晴らしいですね。 本当に。 いやー、このスレ、すごいね。レベル高い。 何だろう、みんな何してる人たちなんだろうと思ってしまうよ。
二人のコンチェルトの作者さん、ブラボー!! こんなに素敵なお話を、どうもありがとうございました。 文字通り、音楽が伝わってくるようでした。 こんなに素晴らしい音楽的なお話のあとのエロで申し訳ありませんが、 お風呂話を書いてみましたので、投下させていただきます。
泡 ■■1 「ん……」 千秋がその頬を撫で、か細いうなじに優しく唇を落とすと、 うつ伏せて眠りに落ちているのだめはくぐもった声を上げながら身じろぎした。 パサリと枕に落ちる茶色がかった猫っ毛。 毛布のはだけた白い肩と、滑らかな背中。 そして、自身の身体につぶされる格好でまろび出た、僅かに覗く豊かなふくらみ。 その清らかでいてこの上なくいやらしい様に、千秋は人知れず胸を高鳴らせた。 もう何度も肌を重ねているのに、彼女の魅力は底知れない。 恋人同士の関係になって早数ヶ月。 不思議なもので、一度自覚して心を決めてからは、彼女に対して愛情を表現することに 何らためらいがなくなっていた。 彼女への想いは自分でも驚くくらい素直に溢れてくるのだった。 そして、彼女が自分の前で頬を染める度、 千秋もまた彼女の新しい魅力を発見して、密かに胸を焦がすのだった。 千秋は、ナイトテーブルの明りに浮かび上がるのだめの白い背に、唇を這わせた。 「…ん、……」 腰のあたり、丁度くびれた部分に唇を優しく押し付け、舌で潤いを落とす。 そのまま背骨に添ってちろちろと這わせてゆき、背の中ほどまで舌を進めたところで、 改めてそっと口付けた。 二度、三度。 軽く開いた唇で、食むように。 のだめの背は温かく、華奢な造りにもかかわらず柔らかだった。 のだめは、微かに身体を震わせる。 千秋はもう一度、のだめの背中にキスを降らせた。 「…っん、ぁ……」 のだめはうつ伏せた状態のままゆっくりと顔だけを振り向かせ、うっすらと目を開けた。
■■2 「せんぱ…い……?」 千秋は目を細めて微笑むと、その小さな頭を撫でてやってから、またその背に口付けた。 「…ひゃぁっ……」 途端に目を瞑り、背を反らせて再びベッドに沈み込むのだめ。 まだはっきりしない意識で、 しかし自分のキスに可愛らしい反応を返すのだめを愛しく想いながら、 千秋は彼女の何も身につけていない身体を抱き上げて、大事そうに胸に収めた。 「ほわぁ……先輩…なんだかきもちいデス……」 まだ意識のはっきりしていないらしいのだめは、 露わになった両の胸を隠すこともせずに、弛緩した身体を千秋に預ける。 千秋はのだめの胸をちらりと見遣って、童顔に似合わないたっぷりとした質感を確認し 思わず再びむしゃぶりつきたい衝動に駆られたが、 ふーっと軽く息をついて、その欲望を抑えた。 今の千秋には、他に目的があるからだ。 「今…何時デスカ〜?のだめ、ガッコの準備しないと……」 のだめのその、やみくもに首を振って周囲を確認しようとする頼りない様子に笑みを零すと、 千秋はのだめを横抱きにしてベッドを降りた。 「…ぎゃぼ?!」 すると、さすがにのだめもはっきりと目覚め、 自由な両腕をもって、落ちまいと慌てて千秋にしがみつく。 …そんなことをしなくても、千秋がのだめを取り落とすことは絶対に無いのだが。 二人の情事でベッドからすっかり剥ぎ取られたシーツが腰や脚に巻きついて、 まるでローブのようにのだめの身体の一部を覆い隠している。 それは裸体よりよほどエロティックで。 ところどころ隠された肢体は、逆に露わにされた豊かな双丘の美しさを際立たせている。 また、さながら華奢な身体の抵抗を封じ込める清廉な拘束具のようでもあった。 「まだ2時だよ。1回しただけだしな」 その言葉を聞いて、のだめは思わず頬を染めた。
■■3 そう、1回。 昨夜(といっても数時間前)二人は、それぞれ学校と仕事が終わった後に 久々に外で夕食を取り、その後千秋の部屋で食後の紅茶を楽しんだのだった。 のだめは学校で出された課題曲を弾き、千秋はその姿をゆったりと見つめて。 2杯目のレモン・ティーが底をつきかけた頃、千秋とのだめは、 どちらからともなく腕を絡ませ合い、濃厚なキスを交わしながら求め合ったのだった。 そうして濃密な時間が過ぎ、今に至る。 「……風呂、入るぞ」 そう言いながら千秋は、のだめを軽々と抱き上げたままバスルームに向かう。 「ちょ、ちょっと待ってくだサイ、先輩。のだめはいいですから、先輩、先ドウゾ…」 「一緒に入るんだよ」 のだめは目を見開いた。 何年もの想いが通じた末、千秋とは既に数え切れないくらいベッドを共にしている。 しかし、一緒にお風呂に入ったことは未だ無かったのだ。 「な……何言ってるんデスか!だ、駄目デスよ!!」 のだめは千秋の腕の中でもがいた。 千秋は器用にバス・ルームの扉を開け、バス・マットの上にのだめをそっと降ろした。 フランスはバスタブ付きのシャワー、つまり日本のように洗い場があるタイプではないのだが、 この部屋だけは、千秋が幼い頃家族で住んでいた時に洗い場付きの日本タイプに仕立ててあるのだ。 のだめはバス・マットの上で、絡まったシーツのせいで自由にならない両脚をバタバタと動かし、 しゃがみこみ、にじり寄ってくる千秋から逃げようと後ずさった。 千秋は膝をついてのだめをマットの上に押し倒し、両腕を掴んでその頭の上で抑えつけた。
■■4 「…ぎゃぼ!もう、せんぱ……」 のだめも裸体に近いが、もとより千秋は何一つ身につけていない。 見慣れた逞しいその胸に眩暈を覚え、のだめは頬を染めて口をつぐんだ。 強引さを装ってのプレイは、今までも何回かあった。 のだめは、本心は優しいとわかっている千秋が、 男の本能を隠さずに、わざと強引に自分を求める様子に弱いのだった。 手首を抑える腕の強さ。 自分を見下ろす、真剣な眼差し。 のだめに、それ以上抵抗できるはずもなかった。 「…いいだろ?」 途端に縋るような声色でのだめの髪を撫でる千秋に、のだめは目を瞑った。 すると、吸い寄せられるように千秋の唇がのだめのそれに重ねられる。 やわやわと、お互いの柔らかさと、唾液の温かさを感じ、 官能の舌触りを交歓する二人。 やっと唇が離れた頃には、のだめの目はとろんと溶け、 千秋のモノは再び硬くそそり立っていた。 「…あ、先輩、……おっきくなってマス」 嬉しそうな表情でぽやんとつぶやくのだめを誤魔化すために、 千秋は顔を赤くして抱きしめた。 「…いいから、風呂!入るぞ?一緒に!」 強引な言い方をしながらも、千秋は、のだめが返事を返すまでぴくりとも動かない。 のだめは、そっと千秋の背に腕をまわした。 「…しょうがないデスねぇ……千秋先輩はぁ、 たまに赤ちゃんみたいに駄々っ子になっちゃうんデスから……」 するとのだめは、先のキスで毒気が抜かれたように、 うっとりと千秋の胸に顔を寄せ、目を閉じた。 「いいデスよ……入りまショ、…一緒に……」
■■5 * * * 「ほわぁ……お湯が張ってありマス……」 立ち上る湯気と共に広がる、ハーブの香り。 汗で湿ったシーツを千秋に剥いでもらうと、のだめは、 もうもうと湯気の立ち上るバスタブをうっとりと見つめて その芳しさを胸いっぱいに吸い込んだ。 「気持ち良さそうデスねぇ……それじゃ、よいしょっと…ぎゃぼ?!」 「お前!身体も洗わずに湯につかるなんて何事だ! 折角のオレ様が張った湯が汚れるだろーが!!」 早速バスタブにつかろうと身を乗り出したのだめの首ねっこを、千秋はむんずと掴んで引いた。 のだめの身体のあちこちに飛び散った、のだめ自身の蜜は別に気にならない。 しかしのだめの身体には、ティッシュで拭き取ってやったとはいえ、 千秋の白濁した液体がこびりついている。 その液が、自分たちが浸かろうとしている綺麗な湯に溶けてしまうことが、 千秋にはどうにも我慢ならなかったのだ。 「えぇぇ!だって、まずあったまらなきゃ始まりマセンよ?! のだめの家ではまずお湯につかってリラックスしてから身体を洗うのが 代々のしきたりなんデス!」 「ここはお前の家じゃねぇ!ふざけんなー!」 千秋はもはやのだめの肩口を腕に収め、 今にもお湯に触れようとするのだめをがっしりと引き止めていた。 「じゃ、じゃあシャワーで流しマスよ!」 「お前の汚れがシャワーだけで落とせるかー!!」 お互い裸体だというのに、色気も何もなく息を切らせながら、洗い場で均衡を保つ二人。 「う……しょうがないデスね。やっぱり先輩はカズオなんだから……」 のだめがバスタブへの突入を諦めて唇を尖らすと、 「…誰がカズオだ……」 千秋は、シャワーのコックを勢いよく捻り、適度な温度になったお湯をのだめの頭にかけた。
■■6 「わ!わぷ!先輩何す…がぼがぼがぼ」 逃げるのだめの頭にシャワーの攻撃を浴びせながら、千秋は腰掛を引き寄せてのだめを座らせた。 「いいからお前は黙って俺様に洗われてろ!」 そのまま、片手でシャカシャカとのだめの髪と梳く千秋。 のだめは千秋のその動作に、今度こそおとなしく身を預けた。 「先輩に髪洗ってもらうの久しぶりデ…がぼがぼ」 「喋ると口に入るぞ。黙っとけ」 その口ぶりは乱暴だったが、千秋の手つきは徐々に優しくなっていき、 のだめの頭皮を労わるように、心地良い力でのだめの心をほぐしていった。 のだめの髪は、少し伸びた。 お金も無いのに一体どこで切っているやら、のだめは数年来常に同じ髪型を維持していたが、 ここ数ヶ月は伸びるままにしているらしく (前髪は自分で切っているらしく、たまに妙に不恰好な長さで切り揃えられたりしていたが)、 しっとりと水気を含んだ猫っ毛は、素直に流れていた。 そののだめの髪は、千秋が嗅ぎ慣れた彼の使うシャンプーの香に包まれてゆく。 千秋は、言いつけ通りに口をつぐむのだめの髪を洗ってやりながら、 その髪の柔らかさにふと酔いしれた。 低い椅子に腰掛けて、頭をうな垂れているのだめ。 当然だがその華奢な身体には何一つ身につけていなくて。 白い肌はしっとりと水気をまとって、いつも以上にキメ細やかさを主張していた。 そして、組まれた腕の奥には、あの、胸。 意外なほどに豊かで、ピアニストでもある千秋の大きな掌に しっくりと馴染むあの豊満な胸が、窮屈そうに収められていた。 そして、うなじから背中にかけての、滑らかなライン。 指先から伝わる頭皮の感触が、千秋を昂ぶらせる。 のだめはシャンプーが入らないようにしっかりと目を瞑っているから、 千秋が今どんな表情でのだめの髪を洗ってやっているか知る由もない――……。
■■7 トリートメントを終え、健康的なしなやかさに彩られたのだめの髪は、 千秋の掌によって水気を払われた。 「ふぁー……、気持ち良かったデスー。今こんな気分デス〜」 頭を上げたのだめは千秋の掲げるシャワーで顔を洗うと、ぷはー、っと、笑顔を見せた。 「なんだよまたココナッツ島か?」 「違いマスー先輩の奥さんですー」 「アホかー」 言いつつも、つい緩みきった笑顔でのだめの顔を拭いてやる千秋。 そっと、耳周りまで丁寧に水気を拭いてやってから、 千秋は自分の髪をシャワーにさらした。 「ほら」 そう言ってタイル張りの床に腰を下ろすと、千秋はのだめに頭を突き出した。 「の…のだめ、人の髪なんて洗ったことないデスよ?」 のだめはシャワーを受け取ると、おそるおそる千秋の髪に触れた。 「俺だってなかったっつの。…爪立てるなよ」 のだめは腰を下ろしたまま、千秋の頭に手を伸ばす。 そうして、ゆっくりと、愛撫するように千秋の頭皮を撫で回した。 ……やべ、気持ちいい……。 千秋は目を瞑って、のだめの指先を感じる。 白いタイル張りのバス・ルーム。 柔らかな泡に包まれて、千秋は、一瞬とも永遠とも思えるようなのだめの指先に身を任せた。
■■8 「洗えましたヨー、先輩?寝ちゃいましたカ?」 シャワーを止めて顔を覗き込むのだめの声に、千秋はゆっくりと目を開けた。 「できるじゃねーか」 千秋はその夢のような数分間を名残惜しげに手放すと、 のだめの頭をわしわしと撫でた。 「気持ち良かったデスかー?」 にっこりと微笑むのだめに、千秋は頬を染めて視線を外す。 「ま、まあぎりぎり合格点かな」 言いながら千秋は、ボディーソープを手に取って、泡立て始めている。 「厳しいデスねー」 のだめはなんとなく嫌な予感を感じてあとずさりながら、 敢えて千秋の手元を見ないように背を向けた。 「じゃあ、早速お湯に入るとしマスかねー」 「今度は俺の番だよな」 さりげなく逃げようとするのだめの腕をそっと掴むと、 千秋はにっこりと笑みを浮かべてのだめを見つめた。 うさんくさいぐらい、作られた笑顔。 その両手いっぱいに泡立てられたボディーソープ。 のだめは予感が的中し、引きつりながら後ずさった。 背中にバスタブの堅い感触。もとより、逃げるなんて不可能だ。 「い、いいデスよ…のだめ、自分で洗えマスから……」 千秋はにっこりと笑顔を崩さずに、のだめを引き寄せた。
■■9 「ひぃっ!!」 「また人を強姦魔みたいに……」 千秋は溜息を一つついたが、泡立てた掌をのだめの首筋に這わせた。 「むきゃぁっ」 「変な声を出すな……」 千秋は、一瞬にしておとなしくなってしまったのだめの身体に、掌を這わす。 首筋から、華奢な肩口へ。 よく泡立てられたソープが、千秋の大きな掌を以ってのだめの身体を包んでいく。 「…気持ちいいデス〜」 目を瞑ってうっとりと笑顔を零すのだめは、千秋にされるがまま、 身体を差し出していた。 「お前の身体、柔らかいなー」 「むきゃー、太ってるってことデスカー」 「いや、学校始まってから痩せただろ。ちゃんと食わないともたないぞ」 千秋の掌は、細いけれど柔らかなのだめの二の腕を伝って、長い指先へ。 指先を1本1本、丹念に泡立てたソープで撫でてやる。 そうして、指の又を、殊更ゆっくりとした動作で拭ってやった。 「…っん、……」 思いがけずと言うべきか、思惑通りと言うべきか。 のだめの紅く染まった唇からは押し殺した甘いさえずりが漏れ、千秋は顔を上げた。 のだめは、先ほどとはうってかわった、とろんとした表情で自身の指先を見つめている。 「…な?いいもんだろ」 のだめはバス・ルームに立ち上がる温かい湯気に頬を染めながら、こくりと一つ頷いた。 「だからおとなしく俺様に洗われとけって言ったんだよ……」 千秋は人知れず満ち足りた笑みを浮かべた。 のだめをこの手で、滑らかな泡を以って洗ってやりたかった。 撫で回してやりたかったのだ。
842サマも二人のコンチェルト作者サマもGJ!!! いや、ホントレベル高いですよね。 204さんに激しく同意。エロ有り無しかかわらず素晴らしい! 本誌並に毎日楽しみにしてますよ! これからも作者の皆様よろしくです☆
■■10 指の又、手首、肘の内側。 千秋の指先が殊更皮膚の薄い部分をまさぐるたびに、 のだめは甘やかな吐息を漏らす。 千秋の掌が再び肩口へ戻った時には、のだめの瞳は既に熱く潤んでいた。 そうして、千秋の掌が肩口から殊更ゆっくりと伝い降りていくと、 のだめは豊かな胸を上下させて大きく息をついた。 「先輩の手……、なんか、エッチデスね……」 目を瞑り、熱い吐息とともに言葉を紡ぐのだめ。 千秋の掌は、指先は、緩慢にふくらみを伝ってゆく。 「エッチなのはお前だ。俺は身体洗ってやってるだけだぞ?」 するとのだめは困ったように眉根を寄せ、僅かに顔を背けた。 「違いマス…、先輩が、…っぁ……」 千秋の両の掌は、溢れる衝動にかられて、ついに、のだめの両胸のふくらみを包み込んだ。 大きな掌に、ぴったりと吸い付く豊かなふくらみ。 キメ細やかな白い泡が、その滑りをよくする。 「やぁっ…そんな風に、揉んじゃ、ダメ…です……」 泣きそうな声色で訴えかけるのだめは、ベッドの上とはまた違った表情を見せていて。 千秋は思わずごくりと唾を飲み込んだ。 「揉んでないって。洗ってるだけ……」 「せ、先輩の意地悪……っん、」 千秋の掌に触れた突起。 その感触を、白い泡の中に見え隠れする桃色を、千秋の掌は存分になぶっていく。
■■11 「やぁっ…や、ヤダヤダ、先輩、そんな風に触ったら、のだめ……」 甘い声色とは反対に、苦しそうな表情で なんとか逃げようとするのだめの上半身を千秋は片手でぐいと引き寄せると、 更に追い詰めるように、愉しむように、もう片方の手でむにゅむにゅとゆっくり揉みしだく。 「ゃ、ゃ……先輩、のだめ…なんか変デス……!」 のだめの両脚はきっちりと閉じられていて。 腰掛を軸に、まるで誘うようにもどかしげにくねられていた。 千秋は腰を支えた腕でのだめの身体を更に引き寄せると、 先ほど自身の手で洗ってやった耳に舌を這わせた。 「…ひゃぁんっ……」 びくりと大きく身体を揺らし、硬直させるのだめ。 「やらしいな、のだめ。自分で洗ってる時もそんな声出してるのか?」 相変わらず胸への愛撫をやめない千秋。 むしろ、掌と指先を余すことなく使い、その感触を愉しみながら一層のだめを追い詰めてゆく。 「…そんなわけ、ないじゃないデスかっ! のだめじゃなくて、せ、先輩がエッチなんデス……ッ」 のだめは何か言いたげに眉を寄せて千秋を見つめるが、 その余りに優しい、とろけるような微笑みに胸を突かれて、また視線を外してしまう。 「先輩は……、ズルい…デス……。のだめ、いやらしい気持ちになってきちゃいマス…」 か細く告げるのだめ。 千秋は腰掛の上でバランスを取ることすらままならないのだめを引き寄せると、 床に座る自身の腿に乗せ、その腕の中に収めた。 「もうなってるだろ?やらしいな、のだめは…」
■■12 そうして、一層まろやかにのだめの胸を揉み上げる。 あくまで優しく、ソフトに。白い泡をこねるように、塗りたくるように。 張りのあるのだめの豊かな胸を、持ち上げてはこねて、指先で突起をくすぐる。 白い泡が、面白いくらい千秋の掌を滑らせる。 「ひゃぁんっ…!!ぁ、や、先輩……!!」 のだめは逃げ出すことも叶わず、強く目を瞑り、千秋の胸にしなだれかかった。 時に膝に力を込め、びくりと背を逸らす。 すると千秋はその隙を逃さず、耳たぶを甘噛みし、舌を差し入れて蹂躙した。 「ゃ、ゃ、先輩、意地悪……!!のだめ、もう、もう……」 いやいやをするように苦しげに首を振るのだめが懇願すると、 千秋はのだめに口付け…というよりも、その唇を食む。 まるで、唇を、胸を、身体の隅から隅までを千秋に食まれているような感触。 のだめは感じるままに切ない嬌声を上げることしかできない。 「なんで意地悪?そんな気持ち良さそうな声出してるくせに……」 千秋がひときわ優しく胸を揉み上げると、 のだめの華奢な身体は千秋の膝の上でびくりと波打ち、悲鳴のような嬌声が上がった。 「い、意地悪デス…ッ!のだめ、先輩のせいで…っ、ぁんっ」 のだめの腰が、もどかしげに揺り動かされる。 「触って欲しいデスってば……ッ!!」 のだめは嗚咽交じりの声を上げると、幼子のようにしゃくり上げた。 千秋はそんなのだめに唇を落とすと、ゴメン、と呟いた。 「じゃあ俺に寄っかかって…ホラ脚、開いて……そうだ」
■■13 千秋は荒い息で肩を上下させながら不安げに見つめるのだめをバスタブの縁に座らせると、 自分の手とのだめのそこを軽くシャワーで流してやってから、 大きく脚を開かせ……ようとした。 「…やっ……恥ずかしいデス……ッ!」 しかし千秋はそんな抗議を無視して、無理やりのだめの膝を割り開いた。 バス・ルームの柔らかな光が、のだめの秘所を煌々と照らし出す。 「……ゃぁあっ……」 途端に両手で顔をおおうのだめだが、次の瞬間、大きく身体をのけぞらせた。 千秋がのだめの脚の間に入り込み、その中心に顔を寄せて…… 溢れてやまない蜜をいっぱいにまとった蕾を べろり と舐め上げたのだ。 「…ひゃぁんッ」 鋭い快感にのだめはびくりと身体を奮わせた。 そのままのだめの秘所を執拗に嘗めまわし、はじき、唇で挟むことを繰り返す千秋。 どんなに恥ずかしくても、その、身体の芯に直接響く快楽には耐えられない。 のだめは両脚を大きく開いて抵抗すらできないまま、千秋の舌に犯されていった。 狂おしい愛撫は、終わりが無いかと思うほど長く続いている。 千秋の端正な顔が、のだめの一番いやらしい部分にうずめられている。 それだけでも恥ずかしくて死んでしまいそうなのに。 自分でもわかるほどにぬるぬるとぬかるんだそこを、 おかしいくらい敏感になってしまったそこを、その千秋の舌や唇に、ひっきりなしに愛撫される。 「…ぁっ…あっ……ッぁ、ゃあん……ッ」 それでも始めは、多少抵抗していたのに。 のだめの脚は、今やもう限界まで左右に大きく開かれ、千秋の舌の愛撫を受けていた。 細い腰は、くねるように動かされている。 千秋を誘うように前後に動かされ、快感に酔いしれるようにひくひくと震える。 「…あ、あ、あ、…あ……ぁあ!!」 千秋が舌を差し入れれば、のだめの膝はびくりと宙に浮き、 嬌声と合わせてぶるぶると震えるのだった。
■■14 「……気持ちいいか?」 上気した頬に、水滴とも涙ともつかない雫を滴らせているのだめは、千秋の問いかけに素直に頷く。 「…ハイ……」 千秋はその長く堅い指先を、のだめのおなかを伝って滑らせていく。 ようやくのだめの触れて欲しい部分――今の今まで千秋がその舌を、唇を以って ねぶっていた部分に到達した時、のだめは再び微かに身体を震わせて、か細い声を上げた。 そうして千秋が指先を沈めてやると……のだめは軽く唇を開いて、は、と息をついた。 「うわ、のだめ、すごいヌルヌルしてる……」 「知りマセンッ…!」 そのまま千秋は、何の抵抗もなく長い指先を二本差し入れる。 ヌルリと飲み込まれるが、膣内はきゅっと締まり、千秋の指先はのだめに飲み込まれた。 「…ぁ……ぁ…、ぁ……」 のだめは千秋の腕の中で喉をのけぞらせ、爪先までピンと張り、腰を揺り動かす。 「のだめ、エロい……腰、振ってるぞ……」 「…そ、そんなこと……!!」 千秋は未だ泡に包まれたのだめの上半身を強く抱きとめ、かき回すようにのだめの内壁をまさぐった。 「…ぁ、は……っん、ん、…あ……!!」 のだめの腰の動きに合わせるように、千秋の指の動きは激しさを増してゆく。 そこは、ソープは洗い流されているのに。 のだめ自身の蜜によって、微かに白く、泡立っていた。 千秋の指先は、のだめの膣内のざらざらした部分を探り当て、一層強くこねくり回した。 「…ゃあっ!せ、先輩!のだめ……」 のだめは身体を震わせて、必死に訴えかけた。 「……うん」 いつもならここで無理矢理のだめに言わせる千秋だったが、 既に千秋にもそんな余裕は残されていなかった。 なにせ裸体の恋人が、腕の中で泡だらけになって胸を上下させ、 大きく脚を開いて自分の指を飲み込み、腰を振ってよがっているのだ。
■■15 「ちょっと待ってろ」 千秋が指を引き抜くと、のだめの身体は一層強く波打った。 部屋からゴムを取ってきた千秋は、袋を開けるのももどかしく、 手早く自身にかぶせて先ほどと同じように床に腰を下ろし、 力なく床にくずおれているのだめを抱き上げた。 「のだめ、脚開いて。ゆっくり腰、落として」 座位は初めてだった。 しかしのだめは、充分に焦らされた身体をもどかしげに動かすと、 躊躇することなく、しかしゆっくりと千秋の上に腰を下ろした。 …ズブ…… 「………ぅ、んっぁ、あぁん……っ!!」 重力と腰を支える千秋の手に助けられて、くぷ、と千秋を飲み込むと、 のだめは甘い吐息と共に一際倒錯した声を上げた。 「…っく……!!」 千秋もまた、いつにも増してまとわりつき締め付けるのだめの膣内に、 声にならない声を漏らす。 「…あ……全部……」 重力も手伝ってのだめの腰は限界まで千秋に落とされ、 千秋のモノを根本まで飲み込んでいた。 のだめ腿が千秋の腰にぎゅうぎゅうと押し付けられ、 小さなシャボン玉が幾つか舞った。 「…先輩、全部、……全部、……」 目を瞑って天井を仰ぐのだめが、うわごとのように繰り返す。
■■16 「ん、全部、……入ってるな」 のだめは千秋の首に腕をまわして力なくくずおれると、 ハァハァを荒く息をつきながら、その首筋にそっと口付けた。 すると、それが合図のように、千秋はのだめの背を抱え込み、勢いよく突き上げた。 「…あぁっ…あっ、ゃんっ!!」 律動。 落ちてくるのだめの身体を迎え撃つ千秋のモノ。 重力に逆らいようもないのだめは、されるがままに、千秋の激しい突き上げに 身を委ねるしかない。 「…あンッ!す、すご、せんぱ、あんっ!」 ……本当に、すごいな…… のだめの身体を抱きしめたまま幾度となく突き上げ続ける千秋は、倒錯した意識の中で思った。 のだめの全身にまとわりつくボディーソープのぬめりは千秋にも擦りつけられ、 まるで全身が性感帯になったかのように、気持ち良い摩擦を生じさせる。 特にのだめの、柔らかでいて張りのある大きな胸。 二つのふくらみが、まるで何かをねだるように、 千秋の逞しい胸に押し付けられ、こねられている。 千秋は片手でのだめの胸を掴むと、ぬめる肌を愉しむように揉みしだいた。 その間も、律動を送り込む。 ギュッっと締め付る膣内は千秋の肉棒を強く咥え込み、 激しく上下する動きに合わせて千秋をきつく攻め立てる。 バチン、バチンと、二人の腿がぶつかり合う。 幾つものシャボン玉が、まるで譜面に踊る音符のように軽やかに舞う。 そしてまたのだめの身体も、千秋の上で踊るように跳ねる。 初めてのシチュエーションに二人は高揚し、 快感の異常な高まりが、早くも限界の近さを予感させていた。
■■17 「…………のだめ」 千秋はのだめの唇を食むと、にゅるりと自身を抜いた。 「…ぁあんっ……」 千秋は、自身もハァハァと息を切らせながらのだめの手と腰を抱え込み、 バスタブの縁に手をつかせると、自分たちが今座っていた床に膝立ちにさせた。 「……センパ……何す…」 千秋はのだめが言い終わるのを待たずに、後ろから一気に突き立てた。 「…やあん…ッ!!」 のだめの喉がのけぞり、白い背が勢いよくしなった。 一瞬にして最奥まで押し込めると同時に、のだめが締め付けてくる。 千秋はあまりの快楽に顔を歪め、しかし更に押し込むべく、のだめの腰をがっしりと抑えつける。 そのまま、パン、パン、と打ち付ける。鮮烈に響く、肌のぶつかり合う音。 腰を引くたびに、膣内が絡み付いて、逃すまいと強く締め上げられる。 突き立てるたびに、恐ろしい弾力を以って、ひだに奥へと誘われる。 ズプリ、ズプリ、と耳をふさぎたくなるような淫靡な蜜音。 突き上げればのだめは、鋭く身体を波打たせて伸び上がり、 繰り返すたびに小刻みに、しかし激しく震わせて、喉から絞り出すような声を挙げるのだめ。 「…ゃあっ、あぁんっ!!ゃ、やだぁっ、き、気持ちいデス……ッ!!」 なぜか突き上げから逃げようとしてしまうのだめの身体。 その腰と肩に手をまわし、逆に更に密着し深く突き立てることができるように、 千秋は、のだめを腕の中から決して逃がさない。 低い声を漏らしながら激しく腰を振る千秋。 のだめはされるがままになりながらも、千秋の熱情に火をつけるがごとく、 感覚のままに甘く鋭い高い声を上げ続けている。
■■18 のだめの手は縋りつくものを探してバスタブの縁を掴もうとするが、 ソープの泡にまみれたその掌は、つるつると滑ってしまう。 頼れるものが何もないのだめは、ひっきりなしに強く、深くまで挿入される快感に 身を持て余し、降参するように声を絞り出した。 「…っん、あぁ…!!し、しんいちくん、のだめもうダメです……!!」 千秋は、悲鳴のようなその声と、快感に歪められた表情、ふるふると細かに震える身体。 そしてその呼びかけに、千秋は辛抱たまらずといった感じでのだめを抱え込むと、 より深く、強く突き上げた。 「…んっ、め…ぐみ、オレも、」 千秋は身体を震わせると、柔らかなのだめの肌に更に割り入るように、 限界まで強く抱き寄せて、のだめの膣内をえぐるようにこねくり回した。 「…やぁぁっっ……!!」 「…くっ…あぁ……ッ!!」 一つになった身体が一際大きくしなると、 二人の身体からは糸が切れたかのように力が抜け、床に倒れこんだ。 「ハァ、ハァ、……ん、ぁ……」 千秋は肩を上下させつつも、同じように荒い息をつくのだめに口付け、 ズルリ、と自身を抜いた。 「んゃ…ッ」 顔をしかめて嬌声を上げるのだめに、千秋もまた身体を震わせる。 そうしてくったりと力を失った彼女を抱き上げると、 一度強く抱きしめてから、泡とぬめる液体でべとべとになった身体をシャワーで流してやった。
■■19 もう一度のだめの身体を洗ってやり、自身もサッと洗い終えると、 二人は少しぬるくなってしまったバスタブに身を沈めた。 「…はあぁぁぁ……」 千秋の胸に背を預けるようにして湯につかったのだめは、 すっかり上気した頬で、心地良い溜息をついた。 バス・ルームには、千秋が入れたハーブのバスコロンのえもいえぬ芳しい香が充満していた。 その弛緩した華奢な身体を千秋は湯の中でゆったりと抱きとめ、 洗い立てののだめの濡れた髪に顔を埋めて、心地良さを満喫している。 「…気持ち、よかったデス……」 軽く目を閉じて顔をほころばせるのだめは、 甘えるように千秋の肩に後頭部を擦り付けた。 その猫のようなあどけない仕種に、千秋は笑みを零す。 「お前、泡だらけで腰振ってんのなー」 「ぎゃぼー!腰振ってたのは先輩でショー!!」 「…知らないな……」 バスタブの縁に残っていた情事の名残の透明な泡が、 湯気と共に、虹色のシャボン玉となって立ち上る。 温かいお湯の中で、二人は弛緩した肌を寄せ合い、長くそうして睦み合っていた。 その後仲良く二人で風邪を引いたのはご愛嬌。 しかし翌日他の部屋の住人から、音の響くバス・ルームでの深夜の大音量に苦情がきて、 色んな意味で真っ青になった千秋がいたのだった……。 <泡 終わり>
以上です。 前レスで「体を洗ってあげるついでにハァハァみたいなの」レスがずっと気になっていたのですが、 ようやく、なんとか形にできました。 ヒントをくださったレス主様、ありがとうございました。 また、先のトンネルのお話の際にレスしてくださった方も、どうもありがとうございます!
×前レスで「体を洗ってあげるついでにハァハァみたいなの」レスが ○前スレであった「体を洗ってあげるついでにハァハァみたいなの」というレスが の間違いです。すみません。
ピアノさんGJ! またもやリアルタイムで読ませていただきました。 やっぱりピアノさんの作品は最高に官能的で素敵ですね! 次回作もぜひぜひ待ってますね! ありがとうございました!
229 :
215 :05/02/16 01:00:13 ID:+W+KY8+b
ス、すみません。リロードせずに感想入れちゃって・・・orz 感想投下したらピアノさんの新作が!! 途中に大変お邪魔しちゃいました(汗 ピアノさんもGJGJですーー!!リアルタイムで読めて幸せです。 ありがとうございました!
ピアノさんみーっけ。 はー。堪能しました。有難う御座います。 千秋、やらしいよ、千秋。 いつもごちそうさまです……
231 :
sage :05/02/16 01:09:55 ID:F3/Jn25B
ピアノさんおつかれです!!(^ε^)清良×峰がみたいです。あとのだめと千秋のらぶらぶシーンを峰とか真澄ちゃんにみられちゃうとか、
皆様、身に余る評価ありがとうございます。 私も他の神々を手本に「男と女の二人」を書いてみようか とは思うんですが・・・・当面は、こんな作品が一つくらい あってもいいかという甘えの下に、「二人とそれをめぐる 音楽家」という視点で書いてみたいと思っています。 もし「あの競演がイイ!」等があればお聞かせください。 あっ、徐々に「エロパロ」らしさも織り込むつもりです(w ありがとうございました。
てすと
234 :
名無しさん@ピンキー :05/02/16 19:37:43 ID:cwt1PPGU
たまにはあげとかないとまた落ちるよ
読んでくださった皆様、どうもありがとうございます! 229さん、お気にならさないでください〜 231さんのレスは、もしタイミングが合えば参考にさせていただくかもです。 ありがとうございます! また何か書けたら投下させてください。よろしくお願いいたします〜。 では名無しに戻りますね。
「今日は外で待ち合わせして、レストランで食事しましょう!」 のだめが今日はどうしても、と言うのでそのつもりでいたものの、千秋はその約束を果たせなかった。 ウィルトールオーケストラと次回のコンサートのリハーサルをした後、エリーゼとの打ち合わせが急遽入ったのだった。 しかも、二つも。 幸い、待ち合わせをしていた店はわかっていたので遅れる旨は連絡できたが、その後のフォローは出来ず、結局の所待ち合わせ場所に着いたのは待ち合わせ時間を3時間も過ぎた頃だった。 やっぱり、怒ってるよな。 さすがの千秋もバツの悪い思いで、レストランを後にした。 アパルトマンの部屋の明かりを確認して、千秋はほっとした。 先ほどから電話をしていたのだが、のだめはいるのかいないのか、電話には出なかったから。 ドアを開け、小さく名前を呼んでみる。 返事はなく、代わりに静かな寝息が聞こえてきた。 寝てるのか……。 静かにドアを閉めてベッドに近づき、のだめの顔を覗き込む。 薄くメイクが施された顔で、静かに眠っている。 長い睫は軽くカールされていて、ピンクゴールドのアイシャドウが瞼にきらきらと光っている。 淡いチェリーレッドのグロスがのせられた唇は、ふっくらと艶やかだった。 一度、このグロスが似合ってると褒めたら、すごく嬉しそうにしてたっけ……。 それからずっとこれ使ってるよな、こいつ。 単純なヤツ。 千秋はその唇に軽く触れるだけのキスをして、「今日はゴメン」とつぶやいた。 「……ん……ぁ……せんぱい…………?」 「起こした?」 「んん……」 体を起こしながら、眠そうな目を擦ろうとするのだめの手を、千秋は掴んだ。 「あ、こするなよ。化粧が落ちる」
のだめは目をしぱしぱさせ、やっと焦点のあった目で千秋と視線を交わした。 「おかえりなさーい……遅かったですねー」 「…今日は悪かったな」 「いいんです。次の客演の打ち合わせだったんでしょ?仕方ないですヨー、それなら」 「今度、埋め合わせするよ。なんなら、明日でも……」 途端、のだめはあはは、と笑いはじめた。 「やっぱり先輩忘れてるー!あはは……明日じゃ、意味無いんですよ」 「……?」 「誕生日」 「え?」 「今日は、真一くんの誕生日ですヨ」 ……忘れてた。 「それで『今日は絶対』って言ってたのか」 「そーですよ。おしゃれして、待ってたんです。ほら、見て見て!」 のだめはベッドから抜け出し、千秋の前でくるりとターンをして見せた。 フレンチスリーブ、ハイネックのクリーム色のニットに、ローウエスト、セミタイトのラップスカート。 「めずらしいな、ワンピースじゃないの……いいんじゃない、たまには」 「えへへ」 嬉しそうにのだめは笑って、千秋の隣に腰掛けた。 そして、サイドテーブルの自分のバッグの中から一つの包みを取り出す。 「プレゼントです。24歳、おめでとうございマス、真一くん♪」 「……サンキュ」 千秋は頬へのキスと共にたばこの箱ほどの大きさのプレゼントを受け取り、青いシルクのリボンをほどいた。 包みの中のシックなケースを開けると、中にあった物は…… 「カフスか」 シルバーの、シンプルなカフリンクスだった。表面は鏡面仕上げになっていて、光をきらきらと反射する。 燕尾の袖口からこれがのぞけば、さぞおしゃれにうつるだろう。
「へえ……のだめにしては気が利くな。いいチョイスだ。……ありがとう」 「それだったら、一緒にステージに立てるでしょ?」 「ん?」 「のだめはまだ、先輩と一緒のステージには立てないけど……それだったら先輩と一緒にステージの上にいられるから」 少しだけ寂しそうに、のだめは微笑んだ。 のだめはまだ無名の、ただの学生。 既にデビューをすませ、各方面に名を轟かせはじめた千秋とは世間的な格はまるで違う。 それが今の二人の現実。 カフリンクスを裏返すと、小さくイニシャルが彫られている。 一つには『M to S』。もう片方には『LOVE』。 「のだめ、ピアノいっぱい頑張りますから、それまでそれで我慢しててください」 「うん……」 そのいじらしさが可愛くて可愛くて、静かに顔を近づけ千秋はのだめに唇を重ねた。 やさしく、やさしく、ゆっくりと。 そのキスは、官能を引き出す濃密なものではなく、慈しむような、あくまでも優しいキスだった。 ……時々思う。 むしろ焦っているのは自分の方なのではないかと。 自分が優位に立っているつもりで、いつも出し抜かれているのは自分のような気がする。 いつもしっかり腕を広げてのだめを受け止める気持ちでいるのに、いつかそれを越えて旅立ってしまうのではないか。 ……そんな不安に駆られる事がある。 一人の音楽家として、のだめを尊敬している。 類い希な表現力と表情豊かで色彩感のある音色は、ほかの誰にも真似の出来ない、のだめだけ、ただ一人のもの。 それは、音楽家としての、指揮者としての自分を十分に感嘆で満たしてくれる。 そしてまた、一人の女として自分の心を甘く満たしてくれる存在でもあり…… だからこそ、そんなのだめを愛した。 音楽が自分たちを繋げているのは分かり切った事で、覆しようがない。 けれど、それがいつか自分たちを分かつ理由となってしまったら……。
「焦らなくていいよ……いつまででも待つつもりだから……」 『焦らなくていい』……自分に言い聞かせるように、千秋は言葉にした。 「……はい」 はにかむように笑うのだめに、千秋はもう一度口づけた。 音楽が、自分たちを隔てることなくより強く結びつけてくれたらいい。 そうであると信じたい。 「綺麗だな、今日」 少し乱れた栗色の髪を優しく梳きながら、千秋はのだめを見つめる。 「ほんとですか?……先輩がそんな事言うなんて、明日絶対雪デスね!」 「ほんとだよ。連れて歩きたいな。……見せびらかしたい」 信じられないような千秋の言葉に、熱い視線に絡め取られて、のだめは身動きできない。 火が出るほど顔が紅くなって、何も言えなくなる。 千秋は腕時計をちらと見やり、立ち上がった。 「まだやってる店あるから、出かけよう」 「えっ、これからですか?」 「まだ10時だぞ。それに、俺、何も食ってない……」 「……のだめもデス」 「決まり。じゃ、支度しろー」 「はーい」 のだめは鏡の前に立つと、髪をブラシで梳かし、もう一度グロスを塗りなおした。 ロングブーツを履き、ソファにかけてあったアンサンブルのカーディガンとコートを身に着ける。 その様を、千秋は目を細めて見つめていた。 籠の中に入れて閉じ込めておけるような女じゃないのはわかってる。 首に縄つけておこうなんて気も、さらさらない。 ただ……。 ただ、この先ずっと自分の隣にのだめがいてくれればいい。 大きく羽ばたいていっても、その羽を休めるのは自分の隣であって欲しい。 そのためのベッドは用意しておくつもりだから…。
「何見てんですかー?…のだめ、変ですか?」 姿見の前で、くるりとまわり、後ろをチェックしている。 「変じゃないよ。……かわいい」 「かっ、かわいい〜〜?!?!」 むふぉーー!と奇声を発しながら赤面するのだめに、千秋自身もまた思わず口をついて出た言葉に我に返り、赤くなった。 「あー、えっと、…だから早くしろよ」 脈絡の無い言葉で取り繕ってのだめに背を向けると、玄関ドアを開けて外へ出た。 のだめは千秋を追いかけ、腕を絡ませて千秋の顔を覗き込む。 「今日の先輩、なーんか変ですネ」 「何がだよ」 「綺麗、だとか、かわいい、とか…」 訝しげに眉根を寄せ、唇を尖らせてのだめはまじまじと千秋の顔を見つめる。 「…人がせっかく褒めてやってんだ。ありがたく思えよ。滅多に無いんだからな!!」 ぶっきらぼうにそう言って、千秋はドアに鍵をかけた。 「……もしや……浮気しましたか?」 「はあ?!…何でそうなるんだ!!」 「恋人が急に優しくなったら、浮気したサインなんですよ…」 「……俺が浮気するような男だと思ってんのか、おまえ…」 「…別にしたっていいですヨ」 「え?!」 のだめの意外な言葉に驚いて、自分の腕にぶら下がるようにして隣を歩くのだめの顔を見下ろす。 街灯に照らされ、深い陰影を落としているその顔はまじめそのもので、前をじっと見据えていた。 「のだめ、先輩が別れたいって言っても別れませんし。誘惑してくる女がいたら殺しマス!!」 「ふーん。怖いな…」
「先輩がどこへ逃げようと、追っかけますから」 ━━━━ばーか。追っかけてんのは、もう俺の方だ。 「ほんとですよ。どこへでも。どこまででも」 ━━━━じゃあ、ずっと俺と一緒にいてくれ。 …そう言いかけて、千秋は言葉を飲み込んだ。 そして、そのかわりにのだめの唇へキスを落とす。 ふわん、と柔らかくのだめは微笑んで、甘えるように体を千秋に摺り寄せた。 ずっと一緒にいたいと願う思いはきっと二人とも同じものに違いなくて、でも、それを素直に言葉に出来できない千秋と、さらりと言ってのけてしまうのだめ。 「死ぬまで一緒ですからね、真一くん」 だから、千秋はこんなにもその一言に救われる。 熱い何かに胸をいっぱいにさせられて、千秋はやはり、言葉のかわりにのだめの小さな体を抱き寄せた。 「腹減ったー……」 「のだめも……」 しんしんと冷え込むパリの街に、二人並び、寄り添い、溶けていった。
空腹をいっぱいに満たして、二人は川沿いを歩きながら、酔った体を冷ます。 2月のパリの空気はまだ冷たかったけれど、それでも今日は割と暖かい。 ここは隠れたデートスポットのようになっていて、そこかしこで愛を囁き、寄り添う恋人たちの影が見える。 「あ、先輩、あそこ開いてマス!!」 石レンガの橋げたの脇にある木製のベンチに二人腰掛け、先ほど買ってきたテイクアウトのコーヒーをすする。 「『レストランで食事』って言うから、おまえが奢ってくれるのかと期待した俺がバカだったよ……」 「カフス代で使っちゃったんです……うきゅー、ゴメンナサイ」 「はいはい…ほら」 千秋はエスプレッソについてきたカレ・ド・ショコラをのだめに手渡した。 「だから、このコーヒーで勘弁してください」 「わかった……もういいよ」 のだめはショコラの包みを開け、二つに割ると、一つを自分の口へと放り込む。 「はい」 「ん」 もう片方は、千秋の口の中へと放り込んだ。 「綺麗デスね〜パリの街……」 「うん……」 ライティングされた世界遺産が川の向こう岸に見える。冬の澄んだ空気に煌めいて、それは夢のように美しい。 のだめは千秋の横にぴったりとくっついて、うっとりとその景色を見ている。 「なあ、のだめ」 「なんですか?」 「帰ったら、何かビアノ弾いて」 「いいですよー。リクエストは?もじゃもじゃ?」 「……それ以外で」 むきゃーー!とのだめは小さく叫んで、けち!!と言う声と共に千秋の頬に小さくキスをした。
「あのね、先輩。ピアノももちろん弾くんですけど……もう一つお楽しみがあるんデス」 「何……?」 「えっとね……」 のだめは千秋の手を取ると、スカートの上から自分の太股の上を這わせた。 「え?……何……?」 「わかりますか……?」 「……あ!」 太股の中間あたりにある布の重なった感触と、そこから上体へと伸びるバンド。 「こういうの好きでしょ、先輩……ぎゃはっ」 聞こえてたのか……。 先日、夜中にやっていた映画の中で、セクシーな女優がつけていたガーターベルト。 「いいなー、あれ……」と千秋が思わず言ってしまったのを、のだめはしっかりと聞いていたようだった。 「今日ののだめはセクシーですか?どうですかね?」 「……どうかな……つか、『ぎゃはっ』とか言ってたら台無しだよな」 ぎゃぼ……といいかけて、のだめは口をつぐむ。 「ちゃんとさっきみたいに褒めてくださいよ……意地悪」 「……じゃあ、こっち来て」 のだめに立つように促し、千秋は自分の片膝の上にのだめを座らせる。そして、ラップスカートを少しずつ開いた。 ストッキングに包まれた足が露わになり、千秋はスカートを押さえながら徐々にたくし上げる。 「や、やだ、先輩……こんなとこで……」 「……見るだけ……あ、黒」 「うもーー」 レースの縁取りが太股を飾り、夜目にも白い内股とのコントラストは千秋の感情を震わせるのに十分だった。 のだめがスカートをかき合わせるより早く、千秋は右手をその内股の間に滑り込ませた。 「ヤダ……ちょっと、先輩!」 温かく滑らかな肌に挟み込まれながら、ストッキングの縁のレースを指先でたどったり、はじいたりさせる。 のだめは左手でスカートの中で動く手を押さえようとするが、うまくいかない。右手は千秋の肩をしっかりと掴んでいた。 指の腹で押し込んだり、爪の先で軽くひっかいたりしながら、のだめの柔らかな部分を撫で回す。 のだめの吐息はあまやかな物になり、次第に膝が開いて、千秋はさらに奥へと指を進めた。 そして、レースの布地にたどり着く。
「やぁん……」 くすぐるように指を二、三度往復させると、くちゅり、と小さく音がする。 「のだめ、もう濡れてる……」 言わないで、とでも言いたげに、のだめはぶんぶんと首を横に振った。 その顔は林檎のように真っ赤で、瞳は潤み、もう官能を隠せない。 千秋はレースの上から強く指を押しつけては指を左右に震わせる。 指の強さと、レースのざらざらとした感触に包まれて、のだめの突起はぷっくりと膨らみを帯びてきた。 「せんぱ……や…だ……ぁん」 溢れる蜜はショーツを濡らすだけでなく、千秋の指までも濡らしていく。 「見るだけ、って……あぅ……言った、のに……」 ショーツの中に指を滑り込ませると、千秋の予想通りにそこは蜜で溢れかえっていた。 千秋の肩にもたれかかり、畳み掛けるような快感に体を縮こませているのだめを左手で抱きしめ、耳元でわざと低い声で囁く。 「のだめ、何考えてた……?ガーターベルトして、俺と食事して、その間いやらしい事考えてたんだろ……?」 「ちがっ……ああっ、違うもん……!」 「……あんまり声出すと、周りに気づかれるぞ……」 はっとして、のだめはぎゅっとつむっていた目を開けた。 ここは、外。冷たい風が髪を揺らす。 今、この近くに人の気配は感じないけれど、誰かに見られたら……。 蜜を含んだ襞を指先でねっとりとさすりあげ、敏感な突起には触れずに通り過ぎ、その上の薄い恥毛をわざとらしく撫る。 のだめは与えられる快楽に声を押し殺して、肩で息をし始めていた。 ……正直なところ、ガーターベルトを身に付けた自分に対して、千秋が今夜激しく求めてくるだろう事は予想していた。 そう、期待もした。 けれど、こんな、外でこんなことをされてしまうなんて……。 頬を撫でる冷たい風。夜の外気の匂い。白く染まる吐息。 慣れないシチュエーションの中で、のだめはいつも以上に敏感に、その愛撫を感じ取ってしまう。
千秋の指はのだめの腰骨のあたりまで進み、両サイドのリボンをほどいた。 細いリボンをわざとゆっくりとひっぱる。 すると、ずる、ずるとのだめの足の付け根からはずれ、乱れたスカートの合わせからレーシーな黒いショーツが顔を出す。 その様を見て、のだめは観念したようにああ、と小さく吐息を漏らした。 濡れたショーツはコートのポケットにしまい、千秋は再び右手をのだめの足の付け根に差し入れた。 大きな手でのだめの小さなその部分を覆い、圧迫する。そして再び、指を動かしはじめた。 尖りきった突起を中心に指の腹で円を描く。時折押しつけては小刻みに震わせ、そしてまた蜜を塗りつけるように円を描く。 鋭い快楽に声を上げる事も出来ず、唇を噛んで我慢するのだめに、なおも囁く。 「ここ、いじられるの好きだろ……?」 指先を押し付けて包皮をむき、剥き出しの敏感な肉芽にたっぷりと蜜を塗りつけ、叩き込むようにはじく。 そして、指の間にはさんでゆっくりと上下にしごきあげた。 その途端、のだめは小さくあえぎ、ひくひくと腰を震わせた。 「……いっちゃった?……やらしいな……そんなに、ここいじられるのが好き?」 千秋は指を止めず、なおも執拗に肉芽に快楽を送り込む。 「いやっ……のだめ、ああん、そんなの、しりまセン……っ」 のだめは千秋の首に腕を回し、しがみついた。そして、千秋のコートの襟元に顔をうずめ、声を漏らすまいとしている。 千秋はそんなのだめにお構いなしに指を動かしつづけた。 熱く潤んだとろとろの入り口に中指と薬指をあてがい、幾重もの襞をくるくると撫でながら指を押し込んだ。 「あぁ…!!……ぁっ…あん…」 ゆっくりと出し入れをしながら、膣口をこねまわす。 溢れてとまらない蜜は千秋の指でかき混ぜられ、隠微な音となって湧き上がる。 それは静寂の野外に広く響き渡ってしまうのではないかと思うほど強くはっきりと耳に届いて、千秋さえも赤面させた。 既に、自分の欲望もごまかしがきかないほど固くなり始めている。 のだめが欲しい。 今、ここで、今、すぐにでも。
深く差し込まれた指はのだめの膣内の感じる部分を的確に捉え、器用な動きで押し込んだり、撫でたりを繰り返していた。 規則的に肩口でうめく声と同じリズムで、のだめの中は急速的に千秋の指を締め付け始める。 「俺の指をくわえ込んで…中がひくひくしてるぞ、のだめ……」 「だ…め……せんぱい…言っちゃ……ダメ…っ」 のだめは不意に顔をあげ、言葉を封じるかのように唇を千秋に押し付けた。 舌を勢いよく滑り込ませ、積極的に千秋の口腔を舐めまわす。舌を絡ませ、吸い、唾液を嚥下していく。 漏れ出ようとする吐息はその行き場を無くし、何度でものだめの鼻を甘く鳴らした。 その行為は千秋をさらに奮い立たせ、官能を引き出す。 唇を離すと、のだめは強く出し入れをし始めていた千秋の手を止めさせた。 「…入れて……!…お願い……真一くん…」 焦点の定まらない潤んだ瞳で見つめられ、薄がりに光る濡れた唇にそんな誘惑的な言葉を乗せられて、千秋は拒む理由が無い。 千秋はコートの前を開け、ベルトに手をかけた。 ジッパーをおろし、中から自身を取り出すと、押し込められていた欲望は跳ね上がって天を仰ぐ。 そして、ポケットから取り出したゴムを手早くつけた。 のだめは立ち上がり、スカートを大きく開いて千秋と向かい合うと、千秋の上にゆっくりと腰をおろしていく。 「はぁっ…ああ……」 「うっ……くっ……」 千秋の太い幹が入り込む、その圧倒的な圧迫感と痺れるような快感に、のだめは身震いし長い睫を小刻みに震わせた。 「……すげー…キツイ……」 のだめの容赦ない締め付けに、ぎりぎりのところで先に戦い始めたのは千秋のほうだった。 熱く、とろけそうな内壁がまとわり付き、ひねりあげられ、吸い込まれる。 あまりの気持ちよさに、突き上げ、擦り付けてしまいたいのに、ここが野外だということで強引な動きが取れない。 もどかしい動きは余計に官能を募らせていく。 また、のだめも強く脈打つ千秋が自分の中でびくびくと動く度、感じる部分を刺激され徐々に高みへと上らされていた。
「……せん、ぱい…どうしよう……」 「な…にが…?」 「外で…あっ、…して…るのに、すごく、気持ちいいんデス……どうしよう……」 お互いに少しずつ体を揺らしながら、共に登りつめようとしていく。 「のだめ…へんたい、なの……かな…あぁっ」 この状況に戸惑いながらもかわいらしく喘ぐのだめが愛しくて、丸いヒップに添えていた手にぐっと力がこもってしまう。 「大丈夫…俺も、一緒……変態だから…」 ぐりぐりと押し付けながら、千秋自身は腰を回すようにグラインドさせる。 もし、今、目の前を誰かが通りかかったら、近くに通行人がいたとしたら、上下前後にゆれる自分たちの影はとても不自然なものにうつるだろう。 コートで、スカートで肌が隠れていても、明らかにセックスしているものと取られるだろう。 でも、止められない……。 微かな背徳は、二人の快感をより強くさせて、いつもよりも早く、その頂上へと向かわせる。 差し込む街灯の明かりに照らされるお互いの顔を見つめあいながら、押し殺すように息を吐いてはキスを交わす。 「は…ああっ……真一くん…、真一くん、もぅ…だめぇ……」 悲鳴にも似た喘ぎを封じるように、千秋はのだめの唇を自分の唇で覆った。 のだめの体が大きく揺れたかと思うと、食いちぎられんばかりの締め付けがやってきて、千秋はそれに促されるままに白い欲望を暴発させた。 ……それから、どうやって帰ってきたのかわからない。 転がるように部屋に入るなり、のだめを激しく求めたのだけはしっかりと覚えている。 キスをしながらコートを脱ぎ、ブーツがうまく脱げないのだめが転んだところで足首を掴んだ。 そのまま手元に引き寄せて、スカートをまくり上げ、ガーターベルトを身につけたその白い尻に舌を這わせた。 ショーツは脱がせてつけていないままで、左右に開くと滴るほどに蜜が溢れて、きらきらと光っていた。 こぼさぬように、その甘美な蜜を何度もすすり、舐め取った。 のだめは猫のように腰をしならせ、尻を高く上げて、自分を誘い込んだ。 望むまま、望まれるままにそこに自分を突き立て、強く、強く揺さぶった。
溶ける、と思った。 溶けてしまえばいいとも思った。 溶けて、一つになりたいと思った。 ……こんなにも。 こんなにものだめを愛してる自分をどうにも出来ない。 のだめの望む事は何だってしてやりたいと思うのに、何一つできていやしない。 俺はのだめに、何をしてあげられる? 何度も名前を呼んで、何度でものだめを抱きしめ、千秋は眠りに落ちた。 頬を撫でる優しい感触に目を覚ますと、千秋はベッドの上でのだめの胸に抱かれていた。 ふんわりと暖かな眼差しで微笑まれて、何故だか心が落ち着いていくのを感じる。 「怖い夢でも見ましたか?……ずっと、のだめの名前呼んでましたよ、先輩」 「え……?」 千秋の黒い髪を梳き、形のいい鼻梁に唇を落とす。 「さ、もっと寝ましょ。のだめも、眠いデスよ…………」 「うん……」 千秋は素直に頷いて、のだめの暖かで柔らかい胸に頬をすり寄せた。真綿にくるまれるようなその感触は、千秋を眠りへと誘う。 「…ピアノ……のだめ、ピアノ、弾いて…………」 「わかってマスよー。……ふふ、甘えんぼですねー、真一くんは……」 ずっと、俺の隣で、ピアノを弾いて…… そう言いたくて、でもやっぱり言えなくて、千秋は深い深い眠りに落ちていった。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━終わり
千秋真一くん 24歳おめでとうございます ……というわけで、誕生日祝福SS……のつもりで書いてみました。 野外プレイってどっかで出てましたよね? 最近、素晴らしいSSがいくつもいくつも投下されて、嬉しい限りです。 大笑いしたり、ほろりと来たり、(;´Д`)ハァハァしたり……w あーしあわせです。 では。名無しに戻ります。
dropさん、GJ! またもやリアルタイムで読ませて頂きました。 素晴らしい誕生日SS大変ごちそうさまでした! 激しい2人が最高に素敵でした! またまたまた次回作期待していますね!!! それにしても、最近のこのスレの活気は素晴らしいですねー。 このまま一気にlesson68までいきたいものですね。
dropさん、すごく素敵でした!
dropさん、GJです! 真一君誕生日おめでとう! いやー、今日もレベル高い!ごちそうさまでしたー(*^▽^*)
ハピバースデー・千秋。 最近ここ活気ありますね。 量も質もイイ! のだめは無我夢中の時は大川弁だろうな、と思ってます。 ネイティブじゃない方言て萎えるから 職人さんたちには今まで通りの台詞回しで 書いてほしいけど。
dropさん激しくGJ! エロもエロでない部分も楽しませていただきました〜。 次回作も楽しみにしていますね!
>253 なるほど!大川弁。それもなかなか萌えそうでイイけど、 訳がつかないとわかんないかもね。w
256 :
842です :05/02/18 15:42:45 ID:M6xk8b4h
dropさんGJです! すごい萌えましたー!!! 次もぜひ読ませてください。 こちらのほうも、しょぼいですが書き始めてます。 とりあえず書けた分だけ投下したいのですが。 すごく暗いです。できればハッピーエンドにしたいと思っておりますが……。
先に手を離したのは、どちらだったのか? 今となってはもう、どうでもいいことだけれど。 そして僕らは間違っていく 1.届かない声 母、征子からの電話を受けたのは、演奏旅行で訪れたイタリアのホテルだった。俺は師匠である シュトレーゼマンに付いて、世界各国で行われる彼の演奏会に参加している。今回でもう5回目を 数えるそれの内容は、相変わらず彼の付き人的役割で。慣れたこととはいえ疲れることに変わりは なく、携帯の呼び出し音に気が付いたときもようやく雑事から解放された直後だった。 「はい?」 「真一? 私よ。……何か疲れてるわね」 母さんか、と予想していた人物ではないことに少し落胆した。そういえば最近連絡がない。俺が パリを出てから毎日のように電話やメールを寄越してきた彼女だったが、まああっちもいろいろ 忙しいのだろうと自分を納得させる。 「今、演奏旅行中なんだよ。……で、何か用?」 「マエストロの付き人でしょ? のだめちゃんから聞いてるわ」 今イタリア? と聞いてきたので、そうだけど、と短く返す。 「何、最近アイツに会ったの?」 「ええ、まあ。それであなたに話があるんだけど……。明日私もそっちに行く予定があるから 会えないかしら? 少しでいいから」 明日は公演の中休みだったから、久しぶりに丸一日空いていた。けれど、どことなく歯切れの悪い 母の言い方が気になり、逆に聞き返す。 「電話じゃ話せない内容?」 そういうわけじゃないんだけど……、と母は言葉を詰まらせる。 「とにかく、顔を見て話がしたいの。都合のいい時間を教えて頂戴」 「……わかった」 時間と滞在しているホテルの名を告げて、電話を切った。
2.鳥は羽ばたく 夕方、誰もいない小さな公園のベンチに座り、目の前の池をぼんやり眺める。白鳥が浮かんで いたので持っていたパンを小さくちぎって投げてやると、他の鳥たちも集まってきてあっと いう間になくなってしまった。 「ごめんね。もう、ないんデスヨ」 2度目となるNYの訪問だが、やっぱり冬は寒い。私はマフラーをもう一度きつめに巻き直し、 かじかむ手にはあーっと息を吹きかけた。 ――これは、のだめちゃんにとって大きなチャンスだと思うの。 先に帰ってしまった征子の、昨日の言葉を思い出す。突然呼び出されて、NYまで連れてこられた 私の前に置かれた、信じられないくらいの幸運な話。ピアニストとしての私は、素直に喜んだ。 けれど……。一瞬、彼の顔が浮かんだのも事実で。 「のだめは、何が不安なんでしょうね?」 一人つぶやいても、目の前の白鳥は答えてくれない。ふう、と思わずため息が漏れる。 ステファンと彼のオケとの競演は忘れられない。彼らとの舞台はとても刺激的で、毎回違う景色が 心の中に広がるのを感じた。まだ耳に残るその音にドキドキするくらいに。 そう、もう答えは出てる。もう一度、彼らと演りたい。 何かを吹っ切るように力強く立ち上がり、私は宿泊先のホテルへ向かった。
3.束縛の期限 約束の時間5分前にホテルのロビーへ行くと、もう母は来ていた。いつもは大抵待たされることが 多かったからちょっと驚いたが、彼女がビジネスとプライベートを分けている証拠なんだろうと思う。 そう、きっと話というのは仕事に関するものだ。電話の様子から俺はなんとなくそう推測していた。 母さん、と声を掛け二言三言挨拶を済ませると、俺たちは近くのカフェに場所を移した。 ウェイターにエスプレッソを2つ頼み、俺はタバコに火をつけながらいきなり本題に入る。 「で、話って?」 唐突な俺の言葉に、母は相変わらずせっかちねぇと笑った。 「また取材とかの話なら、事務所の方に――」 「そうじゃないのよ」 急に真面目な顔つきになった母は、俺の言葉を遮って言った。 「のだめちゃんのことなの」 「のだめ? アイツがどうかした?」 「3日前まで私、のだめちゃんとNYに行ってたのよ」 NY? だってアイツは今オフでパリに……。わけがわからない俺は、黙って母の言葉を待つ。 「初公演を終えてから、彼女いろんなところから客員として呼ばれて演奏してたでしょう? その間にオファーが来てね。ステファン・レノって知ってる?」 ステファン・レノと言えば、NYのR管で指揮を振るとともに、その監督をも務める有名な 音楽家だ。俺が頷くと母は続けた。 「彼がのだめちゃんのピアノを凄く気に入ってくれて、ぜひ専属のピアニストとして 籍を置いて欲しいって言ってくれたの」
すごい、と思った。のだめのピアノが世界に認められたことを誇らしくも思う。けれど……。 喜びとともに何か複雑な気持ちを抱えきれず、俺はつい聞いてしまった。 「……のだめは、何て?」 俺の言葉に母は小さくため息を漏らす。そして質問には答えず厳しい口調で言った。 「真一。彼女の恋人であるあなたが心配するのはわかるわ。離れることを不安に思う気持ちもわかる。 でもね、のだめちゃんはあなたの恋人である前に、一人のピアニストなのよ」 「そんなことはわかって――」 「いいえ、わかってない」ピシャリと言い放つ。 「このまま彼女をパリに置いておくつもり? 自分は演奏で各国を飛び回っておきながら、それは あんまりじゃないかしら。のだめちゃんはあなたの付属品じゃ――」 バンッという大きな音に、店内にいた客の視線が一斉にこちらを向く。俺はビリビリと痛む 自分の右手を擦った。 「……ごめんなさい。言い過ぎたわ」 テーブルの上に零れた水を取り出したハンカチで拭いながら母は続ける。 「でも、真一。あなたには彼女を一番に応援してもらいたいのよ。そしてのだめちゃんには このチャンスを捕まえて欲しい。だから……」 彼女の背中を押してあげて、と言って立ち上がる。俺は顔を上げることが出来ない。 「のだめちゃんは、答えを保留しているわ」 去っていく足音を聞きながら、俺はまだ痛む右手を見つめる。この痛みは、たぶん図星を 指されたってことなんだろうと自嘲気味に、思った。
261 :
842です :05/02/18 15:59:09 ID:M6xk8b4h
とりあえず、今日はここまでです。 いやなとこできってしまってごめんなさい。 時間的には、この間の「彼女が手を〜」の後です。 結婚までの道のりを書いてみたいなあ、と。 まだまだ続きます。がんばります。
たんなる読者で2ch検索できますた。 ・・すげぇココ。 「二人のコンチェルトの作者」・・ナニモノ?プロ?「842さん」・・私的No.1。続き熱望。その他すべてハイレベル! 突然乱入スマソ。このスレ現住板には内緒にします(荒し防止)。愛読者にいれて下さい〜ペコリorz
842さん、続きドキドキしながら待ってます。 2人が幸せになることを祈ってますよ〜!
842さんいつも拝見させて貰ってます。 自分はROMってるだけなのですが、今日は一言書きたくて…。 描写が凄くリアルで深みがあって凄いです! 千秋の目線、のだめの目線の書き方とかいいです。 次も気になるっ!これからも応援しているので、842さんのペースで素敵なSS書いてください!!
> 描写が凄くリアル 言えてます。よい緊張感があり内容に重みが感じられます。 まさに人生の岐路に立っているという描写ですかねぇ。 続きを待つ楽しみが増えました。 ・・・と、つられて初カキコしてますが、私はここでは新参者。 来てから1ヶ月と経ちませんが、ほぼ毎日ここを訪れています。 優秀な作家さん揃いで、SSにも愛があって、素敵なスレですよね。 私も応援しています。
266 :
けろりん :05/02/20 01:28:54 ID:EAlhfNVf
……本当に、レベル高いですよねこのスレ。ご飯何杯でもいけそう。 私も842さんの続きを心待ちにしていますが (けど、ハッピーエンドがいいなあ…) その間にまぎれて、こっそりとまた投下いたします。
267 :
けろりん :05/02/20 01:49:28 ID:PtxoqgT6
『熱に効く薬』 ■1 「先輩、やっぱり熱がありますヨ……38度」 のだめが、俺にくわえさせた体温計の目盛りを読み取る。昔懐かしい、水銀式。 どうやら日本から持って来てたらしい。 いまどきデジタル体温計じゃねーのかよ、と毒づいてみたが、看病されている身では いかんせん立場が弱い。 「俺、平熱低めだから…ちょっと熱出ただけでもツライいんだよな…」 「ダイジョブですよ。のだめが特製の雑炊、作ってあげますから。風邪に効くんデス」 「お前が……料理?よけい具合悪くなりそーだな…」 「そんな口きけるくらいなら、スグ治りますヨ。ちょっと待っててくださいねー」 そういって、のだめは寝室からぱたぱたと出ていった。 熱を出したのなんて久しぶりだ。 シュトレーゼマンの公演に付いて4か月回っていたとき、巨匠が風邪で倒れた。当時は 関係者の間でも風邪が流行っており、寝込んだスタッフもいたのだが、自分は大丈夫だった。 万一シュトレーゼマンが指揮できないときは、自分が振る。大きなチャンス。若手指揮者の 多くは、そういったチャンスを待ちながら、雑用や練習を重ねる。俺の場合も結局は、 正式デビューの前にそういう形でチャンスが巡って来たわけだが、そんなアクシデントを 待ちかまえていたわけではなくとも、やはり気を張っていたのだと言えるだろう。 それが、パリに戻ってきたら気が緩んでしまったようだ。 やはり、この変態女−−−のだめのそばにいられうから、だろうか。 ……やばい、こんなこと考えてたら、また熱が上がる。
268 :
けろりん :05/02/20 01:50:40 ID:PtxoqgT6
■2 まだ、のだめが好きな自分というものに慣れない。 のだめがそばにいないと、会いたい、と思う。そばにいると、触れたい、と思う。 触れると、ひとつになりたいと思う。 そして、そう思う自分に驚き、あわてる。 いつもそうやって、ひとりで赤面してしまうのだ。 いつからだったのか、離れたくないと思ったのは。 のだめのピアノが聴けなくなるのが嫌だ−−−ただそれだけのために、のだめの実家へ 迎えに行った。それがいつの間にか、ピアノの音だけでなく、のだめ自身が、自分に とってかけがえのないものになった。 ……俺にとって、かけがえのないものって、音楽と……のだめ、か? そんなことをつらつら考えていたら、のだめがトレイを持って入って来た。 …きっと俺いま、顔が赤いぞ。けど、まあ、熱のせいで赤いから、分からないか…。 「センパーイ、お待たせデース。野田家特製、ネギ味噌卵雑炊!静代(祖母)の自慢の 一品デスよ」 「へ、へえ、いい匂い……」 「静江はこれにイソギンチャクを入れるんデス」 「い……イソギンチャク!?食えンのか、そんなモン!?」 「福岡では食べるんですよー。のだめはあんまり好きじゃないですけど、静代の好物です」 「(やっぱり変態一家か…?)それ、おまえんちだけなんじゃねえの……?」 「ムキー、失礼ですねー、最近はあんまり見ませんけど、昔はフツーに魚屋にありましたよ! これには入ってないんですから、いいから食べてくだサイ!」 ベッドに起き上がり、恐る恐るひとさじ、口にする。 「おいしい……」 でしょー、と喜ぶのだめ。無邪気な笑顔。 ……ほんとは、キスしたいけど、風邪うつしちまうからな。今日は我慢、だ。
269 :
けろりん :05/02/20 01:53:41 ID:PtxoqgT6
■3 「はい、センパイ、くすり。ちゃんと飲んで、あったかくして、ゆっくり眠れば 明日には熱が下がってマスよ」 食べ終わると、水と薬がのったトレイが目の前に差し出された。母親みてーだな… ちょっと苦笑い。ここは従っておくか。ありがたく、薬を飲み、メルシ、とつぶやく。 と。 いきなりのだめが、俺の唇に、キスを落とした。 ぽってりとした、柔らかな唇が、俺の唇をなぞる。ついばむように軽く、ごく軽く、 吸い付く。濃密なキス。 どのくらいの時間が経ったろう。おそらく、数十秒。 不意打ちのキスは、風邪で少々ぼうっとしていた俺の頭に、強烈な一撃となった。 「……うふ。お見舞いデス」 「……ばか、お前。風邪、うつるぞ。……せっかく俺が我慢してたのに」 だけど、こいつは笑うんだ。 「あれ?センパイ知ってるでしょ?のだめ、バカなんですヨ。風邪なんてひきません」 愛しい。 「じゃあのだめ帰りますから、ちゃんと寝てくださいね……ほへぇ!?」 俺は、立ち去ろうとしたのだめの腕をつかみ、強く引っ張った。 のだめは反動で俺の上に倒れ込んだので、それを抱き寄せる。 「帰るな」 「せ、センパイ?」 「………あのさ、汗かけば、すぐ熱下がるから……一番いいの、何か知ってる?」 …知りまセンよ、何か裏技があるんですカ?と、立ち上がろうともがくのだめの耳に、 軽くキスをしながら、囁いた。 「セックス」 唇をとらえた。
270 :
けろりん :05/02/20 01:54:50 ID:PtxoqgT6
■4 *** 「シンイチくんの体、熱いデス……」 そう言うのだめの体も熱い。 お互いの体をまさぐるうちに、どれが自分の体で、どれがのだめの体なのか、 もう分からなくなってる。 「あ………」 「おまえのここの方が、熱いよ」 あたたかく湿ったその場所へ、そっと指を差し入れると、かんたんに吸い込まれた。 入れた指はそのままで、突起に触れると、中がピクンと反応するのがわかる。 「んっ……」 「…声、かわいい」 「……や………あ」 熱い、熱い吐息の下、途切れ途切れになりながら、のだめがささやいた。 「……先輩の、指って…いやらしい…」 のだめ、先輩の、ピアノを弾く指が、自分の体に触れてるって思うと、 それだけでなんか……ヘンなカンジになりマスよ…。そんなことを言う。 「…俺の指、そんなにいやらしい?」 「ハイ……ほかの人に見せたくないくらい」 指を止めずに、尋ねてみる。 「……ほかに俺のいやらしいところって、ある?」 「いやらしいっていうか、セクシーなところは……ん…目を閉じた表情とか…」 「目を?」 「ハイ…だからのだめ、キスの最中とか、あの……ときとか、途中でつい薄目あけて、 シンイチくんの顔見ちゃうんです……あ」 ーーーーーーえ。 「……あの、それ……すごく照れるんだけど…」 「あ、照れた表情もスキ…」 「……も、いい。黙れ」 俺は問答無用で唇をふさいた。 ***
271 :
けろりん :05/02/20 01:56:21 ID:PtxoqgT6
■5 そろそろ、というところでのだめが尋ねてきた。 「……ほんとにダイジョブですか?疲れてませんカ?」 平気だよ、と答えようとして、ふと思い付きを口にしてみる。 「……そうだな…上になってくれる?」 「え…どうすればいいのか分からないデス」 のだめに自分の体を預け、抱きしめたまま横に転がって上下を入れ替えた。 上になったのだめは頼りなげな表情で、俺の目をのぞきこみながら、肘をついて 上半身を持ち上げる。 白い乳房が、俺の胸の上で存在を訴えている。両手で乳房をもみしだく。もう さんざん味わった乳首を少し擦るだけで、のだめはまた敏感に反応して。 見上げると、ちょっと動くだけで、ぷるん、と揺れる胸、そして悩ましげに息を 吐きながら、眉をひそめる表情。……そそられる。 「この体勢、けっこう楽しいかも…」 「……のだめは恥ずかしいですヨ…ん」 「じゃあそのまま…ちょっと腰、浮かせて…」 俺は自分の下半身に手を添え、ちょうど俺の腰の上に座り込むような感じになっている、 のだめ自身にあてがった。 「ん……っ」 先刻の指と同様、いとも簡単にするりと入る。 「……やっぱ、中も、すげー熱い…」 ダメだ。やっぱり、このまま大人しくなんて終われっこない。 「汗、かかないと、な……」 のだめの背中に腕を回して抱きしめ、そのまま俺も起き上がり、つながったまま対面して 座る形になる。 「薄目、開けンなよ……」 ***
272 :
けろりん :05/02/20 01:57:53 ID:PtxoqgT6
■6 「……悪かった。結局、風邪うつしちまったな…」 翌朝、俺は熱が下がったが、かわりにのだめが発熱してしまった。同じ、38度。 バカだから、という台詞に異様に説得力があったのに流された俺の負けか。 けれどのだめは案外元気そうで。 「うーん、のだめのは、風邪というよりは知恵熱じゃないかト……」 「知恵熱?」 「だって、上になっちゃったりとか、初めてのことイロイロしたから。先輩、 すごい技知ってるんですネー……ぶほっ!センパイ、ふきん投げ付けないでください〜!」 だから、照れた顔もスキだって言ってるのに〜。 俺は、赤面しているのを自覚しつつ、まだ何かつぶやいているのだめを尻目に、 部屋を出て行こうとした。 扉を閉める、その寸前。 「今日はここで寝てろ。……ピアノ弾いてやる。なにがいい?」 「ムキャー!じゃあ、ショパンお願いしマスー!」 やれやれ。いつも負けるのは、俺だ。 <FIN>
273 :
けろりん :05/02/20 02:00:10 ID:PtxoqgT6
以上です。 相変わらずエロ部分はヘタレです。肝心な!ところが書けません。 すみません。 ちなみにイソギンチャクは、福岡では本当に食べるんだそうです。 味噌炒めとかで。 (友人の祖母はみそ汁に入れるとか) ちょっと小ネタを思い付いたので、また近々参ります。
けろりんさんGJ! すごくおもしろかったです、原作に雰囲気が近い! またの降臨お待ちしてます〜。ほんと神多くて嬉しいです!
けろりんさん、GJ!
萌えました! 萌えました・・・が、イソギンチャクにびっくりしました。
277 :
夏生 :05/02/20 05:46:48 ID:6mVPaptD
イソギンチャク・・・・・・・・まじですか。
けろりんさんの作品は2人のやりとりが原作っぽくて自然に読めますね。 ここの職人さん方はレベルが高く皆それぞれに個性があって素晴らしい!
279 :
けろりん :05/02/20 16:58:17 ID:PtxoqgT6
みなさま読んでいただき、ありがとうございます。 イソギンチャクは、福岡県でもほとんど熊本、なところ出身の 友人からの情報です。シャキシャキしてるらしい。 千秋の反応は、私の反応と一緒です。。。 SSは、原作を離れてあれこれ設定を考えられるのが 醍醐味だとも思うのですが、私はどうしても原作から離れられず…。 ですから、ほかの職人さんたちのバリエーションの豊かさに いつも感嘆しております。 「原作に近い雰囲気」という言葉は嬉しいです。 ありがとうございます!
280 :
けろりん :05/02/20 21:23:39 ID:PtxoqgT6
連続になってしまいますが、また投下させてください。 峰と清良登場ですが、すみません今回エロなしです。 では行きます。
281 :
けろりん :05/02/20 21:25:26 ID:PtxoqgT6
『男同士の頼み』 ■1 「あ、思い出した!センパーイ、のだめちょっとターニャに楽譜借りて来マスねー」 「おー」 夕食後、そう言ってのだめが部屋を出て行った直後、部屋の呼び鈴が鳴った。 「oui?」 誰だ、こんな時間に?のだめが戻って来るにしては早過ぎるし。 ロックを解除し、扉を開ける。と、そこに立っていたのは。 「おー、千秋ーーー!!久しぶりー!!!」 「み…峰ーーー!?清良!?どうしてお前たちこんなとこに……!?」 「ごめんねー、千秋くん。空港から、パリに着いたって電話しようって言ったのに、 龍が『突然行って驚かせてやる!』って言い張るもんだからー」 「指揮者デビュー、おめでとう!今はオフなんだろ?」 「あ、ああ、ベルギーで振って、おととい戻ってきたところ……」 とりあえず中へ、と2人を中へ通す。これが間違いだったのかもしれない。
282 :
けろりん :05/02/20 21:26:43 ID:PtxoqgT6
■2 いやー、相変わらず広い部屋住んでンなお前、と峰は部屋を見回した。 「で、のだめは?出かけてンのか?」 「……このアパルトマンの、友達のとこ。すぐ戻る」 「千秋くんの彼女、早く会いたいな〜」 峰のヤロー、当然のようにのだめが俺の部屋にいるって思ってンな。 彼女。彼女、か……彼女ね…… 嘘ではない。いまやまるっきり真実なのだが、この俺様があいつのことを 「彼女」と紹介するのかと思うと、緊張して心臓が痛くなってくる。 正直言って、照れる。ただそれだけの理由。 今までなら「彼女じゃねえ!」と反論できたのに、もう出来ないワケだ。 そこへ、ただいま〜、とのだめが飛び込んで来た。 「おーー、のだめーーー!久しぶり、元気だったかー!?」 「……えーーー?峰くんだーーー!すごいデス、どうしてパリにーー!?」 バカ2人が久々の対面を喜んでいる。 清良は、のだめとは話すのは初めてのはず。 のだめ、こちらは、と紹介しようとすると、先に清良の方から口を開いた。 「はじめまして、三木清良ですー!噂聞いてます、きゃあー、千秋くんの彼女〜」 「あー、峰くんの彼女サンですよねー、ヴァイオリンの!はじめマシテ、妻でーす ……ぎゃぼ!先輩、グーでぶつのはやめてくださーい!」 「ち、千秋くんグーって…」 ちくしょー。俺が照れてる間にこの女は、いとも容易く壁を蹴倒してしまった。 女たち2人はあっさり打ち解け、お互いの留学先の話などを語り合っている。 相変わらずの、感覚的な”のだめ語”が散りばめられている珍妙な会話だった。きっと 清良の頭の中にも今、「世界不思議発見」と「動物奇想天外」が渦巻いていることだろう。 …のだめも、黙ってはたから見てる分には十分「かわいい」部類に入るのにな。 ジャンもかわいいって言ってたし。スタイルもいいし…清良より胸デカいなやっぱり ……ちょっと待て、俺は何を考えてるんだ。俺まで変態の仲間入りをしなくてもいいんだ……。
283 :
けろりん :05/02/20 21:30:16 ID:PtxoqgT6
■3 いけない。思考回路まで峰のペースにやられたようだ。ここはさっさと追い出そう。 「いつまでこっちにいるんだ?」 「10日間の予定なの。どうもありがとう、泊めてもらえるなんて。感謝してまーす」 −−−−−−はあ?泊める、だあ? 「ちょ、ちょっと待て!峰、何の話だ一体!」 「え……ちょっと龍、あんた『向こうでは千秋の家に泊めてもらうことになった』って 言ってたけど、まさかと思うけど千秋くんには…」 ふふふふふ、と峰は満足げに微笑んだ。 「千秋、これを見ろ!」 峰がカバンから取り出したのは、1枚の封筒。表には何も書いていない。 それを受け取り、中を開くと出て来たのは、手紙だった。ドイツ語の。 ”千秋、ベルギーは好評だったようデスネ。 ところで、峰くんと清良チャンがパリへ行くそうです。パリのホテルは高いから、 千秋のところに泊めてもらえばいい、と言っておきましたからヨロシクね。 キミは隣ののだめチャンのところへ泊まればイイでしょう? というより何で一緒に住まないの? じゃあガンバッテ。来月会いまショウ。 追伸:ワタシの見たところ、清良チャンはBカップネ。チェックお願いシマス。 あなたの シュトレーゼマン” 「なんであのオヤジ、こんな手紙……」 「ついこないだ、また桃が丘の理事長のところに顔出してたンだよ。で、パリ行くから 千秋の顔見て来ようと思う、って言ったら「じゃあ紹介状書いてあげマショウ」って」 しょう、かい、じょう、だぁーーー? 「断るーーー!!!うちは宿屋じゃねーぞ!!ホテルでも何でも探せーーー!!」 「い…いいのか、千秋、そんなこと言って!シュトレーゼマンからの伝言、伝えるぞ!」 「何だ一体!」 「『師匠の命令は絶対デース!!!』」 ………ちくしょー!!!!
284 :
けろりん :05/02/20 21:31:21 ID:PtxoqgT6
■4 「……じゃ、俺は隣に転がり込むから…寝室はこの扉。シーツは替えておいた。風呂は あっち、タオル類はこの棚。あとはなんでも好きに使え。おやすみ」 「ああっ、千秋!ちょ、ちょっと待て!」 去ろうとした俺の手を峰がいきなりつかみ、寝室のドアの中へ引っぱり込んだ。 「まだなんかあんのかーー!!」 「しィッ!小声で!……千秋に、男同士の頼みがある!」 「頼みだぁ〜?」 なんか、イヤな予感……。これ以上、峰の頼みだなんて、ロクなもんじゃねーだろ。身構える。 「コンドーム貸せ」 「………あぁ?」 「どうせ常備してんだろ?外国じゃどこで買えンのかわかんねーから、日本から持って来る つもりだったのに忘れちまってさ」 「勝手に薬局でもどこでも行って、自分で買えーーー!俺はお前の性生活まで面倒みねー!」 「千秋……シュトレーゼマンは『千秋は絶対持ってマスから、頼ればイイデス』って言ってたぞ」 「嘘つけ!」 「あのオッサンによると…『寝室のサイドテーブルの上の引き出しの一番右奥……』」 ………え。 な、なんで知ってるんだエロジジイ……!? ……、もう、いい。こんな事、さっさと終わらせよう。 俺はあきらめて、たった今峰の言った場所、サイドテーブルの引き出し上の一番右奥、から コンドームを出し、箱ごと峰に渡した。 「サンキュー☆おー、日本製?」 「売ってンだよこっちでも……いいから早くしまえ」 「まあ待て」 そう言うと、峰は箱を開けて中から2つ、袋を取り出し、俺に渡した。 「今夜のお前らの分な。あ、もう1ついる?追加は、明日一緒に買いに行こ−ぜ☆」 …俺は物も言えないまま、峰と清良を残し、自分の部屋をあとにした。
285 :
けろりん :05/02/20 21:33:17 ID:PtxoqgT6
■5 「………」 峰は、つまり俺とのだめがそーゆー関係だってハナっから思ってるってワケだよな… みんな、日本にいるときからいくら俺が”彼女じゃねえ”と言っても聞いてなかったし…。 てことは当時から「そうだ」と思われてた、ってことで。 俺がいまさら照れる必要なんか全然ないってことじゃねーか。 それって、なんか不本意だ……。 「お茶ですよー。センパイ、難しい顔してますネ……」 のだめが紅茶をいれて持ってきてくれ、床のラグの上に並んで座る。 この部屋も、日本にいたときとは比べ物にならないくらい綺麗なモンだ。 こうやって、座るスペースがあるんだから。 そして−−−−−2人で使うベッドも。 「メルシー。いや、ちょっと疲れて…峰のペースに巻き込まれたのは久しぶりだから」 「相変わらずですよねー峰くん。だけど清良さん、改めて間近で見ると、すっごいキレイ! 峰くん、幸せだー。あへー」 あへー、って、こんなときに使う言葉かよ。この変態。 ………俺も、十分幸せもんだよ。 「…清良は、Bカップだってよ?お前のほうが勝ってるじゃん」 軽くのだめの胸をはじいてみる。弾力のある胸。やっぱり、どう見ても清良よりでかい。 「セ、センパイ、なんでそんなコト知っとっとデスかっ!?まさか…」 「シュトレーゼマンの見立て。まさか、ってなんだよ」 「いえ、先輩、案外ムッツリだから……おっぱい好きだし…」 「ばーか。…じゃあ、せっかく峰が俺たちにってくれたモン、使わないとな」 「何デスか?」 これ、と、俺は先刻峰から渡された、2つのコンドームをのだめの手のひらに乗せた。
286 :
けろりん :05/02/20 21:35:26 ID:PtxoqgT6
■6 「……がぼーん!?ななななんで、峰くんが、こんな?」 「まあ、いいから。…2つしかないけど、いい?」 「いいも何も……先輩、やっぱりスケベ……」 何か言ったか?と言いつつ、のだめの腰を抱き寄せた。のだめも、俺の首に両腕を巻き付ける。 「ん……」 唇を合わせると、スイッチが入ったように体の中心が熱くなる。まるで即効性の毒だ。 指先からも、触れあう肌からも、のだめの熱がすぐに流れ込んでくる。 こいつの体の、とこもかしこもが愛おしい。 「……ホントに、2つで足りるかな……?」 「………足りるくらい、ゆっくりで、でも濃厚なの、お願いしマス……」 かんたんに言ってくれる。だけど、望むところだ。こいつを悦ばせられるなら何だって。 のだめの髪に顔を埋めながら、ちょっと躊躇したが、思いきって口に出してみる。 「…なあ、……オレ、照れ屋だけど…その、どう思う?過剰かな?いろんなことに……」 「ふぉ…?何のことデスか?よくわかんないですけど、のだめは先輩の照れてる表情が とっても好きなんですけど。俺様なのに照れ屋、ってとこがイイんだと思いマスよ?」 だってこれでー、いきなりバラの花くわえて”ジュテーム”なんて毎日言って、人前で いちゃこらキスしてくれるようになったりしたらー、それ先輩じゃないデスよー。 「……妄想しないでくれ」 「えっちのときは俺様系ですケドね」 「………」 「…あ、照れた。うーん、カンタンですねー♪むきゅきゅ」 「………うるせー!!」 「羞恥プレイ?」 「……だから、どこでそんな言葉覚えて来ンだよ!くそっ、もうしゃべらせねーぞ!」 いつものパターンだ。のだめの軽口を、唇でふさぐ。俺の得意技。 ……少しは勝てるようにならねーと。 憎まれ口きいてもらわないとキスもできない、なんてことになっちまっても困るから。 <FIN>
287 :
けろりん :05/02/20 21:38:52 ID:PtxoqgT6
以上です。 小ネタと言ってたわりには長くなりまして。しかもエロなし… 男の会話、ってのを書きたかっただけなのでした。 私のなかの千秋の萌えポイントは、何より「俺様で照れ屋さん☆」なんです。 そしてヤツは照れるとキスで口ふさぐ訳です…
288 :
名無しさん@ピンキー :05/02/20 21:40:26 ID:92AfKhw8
イソギンチャク、、、、懐かしい。当方福岡県大川市出身です。 『ワケノシンノス』っていうんですよ。意味は『若い衆の尻の穴』です。
けろりんさん、グッジョブです! いつもゴム2個じゃ足りないのか、チアキ・・・ ところで峰、のだめがフランス語しゃべってるの知ったら すごい驚くのでしょうね。 288さんがもし、文章お書きになる方でしたら のだめのベッドシーンをネイティブ大川弁でお願いしたいです・・・
けろりんさんの小説、すごくすごく好みです。 ファンになってしまいました… 「原作に近い雰囲気」、私もそう思いました!
ここのスレでの千秋は、 ・おっぱい星人 ・絶倫 ・ボクサーパンツ愛用 ・ゴムは一晩に最低二つ使用 がデフォでFA?
けろりんさんの小説って本当に原作の二人みたいで大好きです。 今脳内で原作の二人が動いてます! 素敵な萌えをありがとうございました!
>291 ・のだめにゾッコン ・ベッドでは寂しがり屋で甘えん坊 ・独占欲が強くてヤキモチ焼き も追加希望!
294 :
けろりん :05/02/21 00:52:29 ID:t2O5dUat
わー、たくさんレス付いてる……どうもありがとうございます! ものすごーく、嬉しいです。またがんばりますね。 イソギンチャクについても裏付けとれたし(しかし凄い名前ですね!!)。 291さん 私の中では「おっぱい星人」「ボクサーパンツ」はデフォです。 けど実は、どちらかというと淡白なんじゃないかという気が。 彩子と別れて以来なんにもナッシングで過ごしてたと思うし。 ひとり処理ということで。(誰か、書いてください) ゴム2つは、峰が気を利かせただけで、ほんとは1つで良かったかも。 (ああいう会話の後になだれ込んだ以上は使うかもしれんが…) 基本的には淡白なんだけど、のだめに関してはついつい熱くなってしまう、 というのが萌えな千秋。みなさんはいかがですか? ところで、公式にうpされたおねんね千秋、かわいいですよね…
音楽の演奏とエッチってリンクするらしいですよ〜 千秋は、「陰湿でストイック」、「速くなると音が軽くなるから もっとくねくねしてもだえるように」ですか(笑)
私も、千秋は基本的に淡白だと思ってる。 「セックスってこんなもんか」 的に、さして感動のない初体験をすませ、今まで過ごしてきたんじゃないか……と妄想してみる。 そりゃ、努力家の千秋ですから相手を悦ばすテクは勉強したでしょうな。 のだめとそうなってからは、与えられるモノのでかさに感嘆しているというか。 「こんなに気持ちいいんだ……」 みたいになっていって、何度でもおかわりしたくなっちゃう…… とか想像しつつ、千秋自慰に手をつけていますが、激しく難航しています。
わたしも
>>296 さんと同じ考え。千秋淡泊だと思う。
欲求不満は音楽が解消してくれそうな感じ?
そんな千秋ですから、自慰モノ楽しみにしてます!ヤッパハゲシイノカナ?
おかずとか気になりますw
でも変に気負わずご自分のペースで書いてください。
エチーが音楽とリンクしてる説、ありそう。 ここの住人さんはかなり読み込んでる人が多いから 今さらかもしれないけど、原作登場曲の中で エルガーのヴァイオリンソナタと ラフマニノフのピアノ協奏曲2番は 聴いた方がいいよ。 この曲を千秋が弾いたと思うだけで 妄想の2、3こ出来るから。 そのくらいちょっと衝撃的。
299 :
842です :05/02/21 15:23:50 ID:4W05hC50
あわわわわわ。たくさんのコメントとけろりんさんの神SSがっ!!! コメントくださった方、ありがとうございます。感激です。 あたたかいお言葉に涙でそうです。 けろりんさん、素敵なSS読ませていただきました! 萌え!!! 私もがんばらなくては! と思っているものの、なかなか筆が進まず。 いろいろ曲を聴きながら書いてはいるものの、どんどん暗い方向に……。 ああ、最終話まで行き着くのにどれくらいかかるのだろう。 ということで、ちょこちょこ連載になってしまうやもしれませんが、 お許しください。ごめんなさい。 では、つづきです。
4.手にした価値 R管の事務所に行こうとしたけれど、自分がほとんど英語を話せないことに気付き、 少し落ち込んだ。決意したからには、早くサインをしていまいたかった。そうしなければ、 また気持ちが揺らいでしまいそうで、怖い。 「私が仕事に出掛けてる間、ゆっくり考えてね」 そう言って空港へ向かった征子サンが帰ってくるまで、あと2,3日。それまでどうしても 浮かんできてしまう先輩の顔と格闘しなければならないかと思うと、気が重くなる。 勝負はいつも、五分と五分だから。 気晴らしに近くの街をぶらついていると、大きなブックストアが目に入った。英語版プリごろ太でも 探してみようかと店内に足を踏み入れる。そこは見た目以上に広々としていて、吹き抜けの高い天井に 備え付けられた窓から光が差し込み店の隅々まで明るく照らしている。中央に大きな階段があり、 その周りには訪れた人がゆっくり本を読めるようにゆったりめのソファが設置されていた。 何やらいいニオイが2階から漂ってきたので階段を上ってみると、その小さなスペースはカフェに なっていて、スーツ姿の男の人が2人、本を片手にコーヒーを飲んでいた。 そしてその反対側には――グランドピアノがぽつんと置かれていた。
おいで、と私を呼ぶ声に導かれて、ピアノの前に腰を下ろす。弾いてごらん、と ピアノに言われて、私の指は蓋を持ち上げ鍵盤に触れる。まるでそうすることが 当たり前かのように。請われるままに溢れ出すラベルのソナチネ。その音色に 縋りつくように動く指先。 知りたいんです、と私は訴える。お願い、お願いだからと懇願する。 やがてその思いさえ掻き消えて、真っ白な世界の中にその身と最後の一音を投じた。 瞼を閉じると「お前の手の中に」という声が聞こえた気がした。 ふと我に返り、あわてて周りを見回すと、周囲に人だかりが出来ていた。そういえば 許可も取らずに勝手に弾いてしまっていたと今さらながらに思い起こし、冷や汗を掻く。 叱られることを覚悟しておずおずと立ち上がると、暖かな拍手に包まれた。突然のことに どうしていいかわからずただぺこりと頭を下げる。 するとぬいぐるみを抱えた小さな女の子がはにかみながらトコトコとやって来た。 「Thanks for your playing! It’s very wonderful and I’m happy to listen your sound.」 ニコニコと笑いかけてくる少女の、言葉の意味はわからなかったけれど。自分の中に芽生えた ある確信と覚悟を感じることができたから、私は微笑み返した。そしてありがとうと彼女の頭を撫でる。 「One more, please!」その言葉に励まされて、私は再びピアノに向かった。
5.鳥かご 母が去った後も、俺はまだ一人悶々としていた。ホテルのベッドに身を投げ出し、 眠ってしまおうと努力してはみるものの先程の母の言葉が耳の奥でリフレインして。 ――このまま彼女をパリに置いておくつもり? そんなつもりはない、と言えばこれまで取ってきた行動が矛盾していることになると 自分でもわかっている。 当たり前のように同じ部屋で暮らし、幾度も「おかえりなさい」と彼女に出迎えて もらった。一緒に食事をし、同じベッドで眠った。そんな日常がずっと続くと考えて いた俺が、音楽家としての彼女の未来を考えていると言ってもまるで説得力がないだろう。 結局、甘えてるだけだ。 イタリアでの公演も最終日を迎え、その幕を下ろした。いつものように催されるパーティの 喧騒の中に入ってく気にもなれず、俺は窓際でぼんやりと街明かりを眺めていた。スーツの ポケットには、のだめからの連絡が来ず沈黙したままの携帯電話が入っている。 溜息をつくと、後ろから声を掛けられた。 「チアキ、師匠である私をほっといて悠長に溜息とは、いい身分デスネ」 お酒頼んでおいたデショ、と文句を言いつつシュトレーゼマンの顔は笑っていた。 「……それくらい自分でやって下さいよ」 「その態度にはムカツキマスが、ま、いいでショ」 そう言って、ワイングラスを持ったまま俺の横に並んだ。 「それで、その大きな溜息の原因はナニ?」 人生のセンパイに相談してみなさいヨ、という彼の言葉に「結構だ!」と返しながらも、 もしかしたらこの人も同じような経験があるのかもしれないと思った。 しばらく思い悩んだ末、俺は口を開いた。
「……鳥、飼ったことありますか?」 「鳥? カナリヤなら小さい頃に」 飼ってましたケド、と少し怪訝な顔をしてシュトレーゼマンは答える。 話の繋がりが見えないという彼の表情を無視して、俺は続けた。 「狭いカゴの中がかわいそうに思えて、家中の窓を閉めてからそっと放したこと、ないですか? 部屋の中を飛び回らせてやって。安心するんです。この鳥は羽ばたけるんだって。こんなにも 自由に飛べるじゃないかって。 でもそんなのは、自由じゃない。鳥にとっては何も変わってない。カゴの中だ。俺の傲慢な 考えこそが、彼女を閉じ込める鳥かごになってる。 そのことに気が付いても、俺は窓を開けることが出来ない。なぜなら――」 「二度と、戻ってこないかもしれナイから」 シュトレーゼマンは俺の言葉を遮って、ぽつりと言った。そして付け加える。 「だからと言って、彼女がキミとの穏やかな生活を忘れるわけじゃナイ。寧ろそれを糧に して大空を羽ばたけるのかもしれない。それをこそ誇りに思うべきじゃないのカナ?」 「……わかっては、いるんです」 そのキキワケの良さがダメなんデスヨ、と彼は顔をしかめる。え? と俺は彼の意図することが わからず混乱した。 「チアキに出来ることはたった2つだけデス。1つはわかっているようだケド、もう1つを 疎かにしては、大事なモノを失いマスヨ」 そう言い残して立ち去るシュトレーゼマンの背中を、俺はただ見つめることしか出来なかった。
304 :
842です :05/02/21 15:58:46 ID:4W05hC50
ま、またもやこんなトコで切ってしまってごめんなさい。 話は最後までできているんですが、筆が追いつかず。 この「そして僕らは…」は前編で、全体的に暗くて書くのがツライです。 後編のハッピーエンドに早くたどり着けるようがんばります。 のだめが弾いているラベルのソナチネは、今お気に入りの曲で。 よろしければ一度聴いてみてください。
>>842 さん
素敵!やっぱり842さんのSSはハートにズドンとくる感じ!
かゆいところに手が届いていていて、
細かい心理描写が見事としかいいようがないです。
暗い話が長かろうと、消さないで一人一人の葛藤が見てみたいです。
どんなに長くなっても最後まで842さんの思ったままに書いてください。
苦しいかもしれませんが、応援してます。
千秋、のだめとともに頑張ってください。
わたしの勝手な想いですが、本当に楽しみにしています。
うおー、842さん、お待ちしてました。 ゆっくりでもいいですから、楽しみにしています! 今回は大人なシュトレーゼマンにときめいてしまいました。
みなさんヴゥラァボォーー!!!やっぱりのだめはイイ!!
この感銘を言葉に出来ず、以前と同じ感謝の言葉 なのを許してください。 842氏とその他の職人さんへ、ぐっじょぶ。
309 :
842です :05/02/22 16:48:53 ID:amMeiL0s
いつもいつも、温かいコメント&励ましありがとうございます! すごく励みになってます。 305さん 応援、本当に嬉しいです。 これからも是非、感想をお聞かせください。 がんばります。 306さん けろりんさん、ですよね? ありがとうございます! 「大人なシュトレーゼマン」はおいしいキャラです。 それでは、つづきです。
6.置いてきた、心 征子サンがNYに戻ってきてからのこの数日間は、本当に忙しい毎日で。R管との契約、 スケジュールの確認、住居探しetc…と、めまぐるしいスピードで私のピアニストとしての 道は出来上がっていった。 「決めました。のだめ、NYでR管と演奏したいです」 帰ってきたばかりの征子サンにそう言ったら、少しの間、目を丸くしていたけれど。 ポツリと、言った。 「真一には……?」 名前が出ても、もう、揺るがない。 「いいえ。一人で決めたんです。求める音が、ココで見つかるかもしれない。 何が出来るのか、わかるかもしれない。そう感じたから」 先輩には、直接会って話します、と言うと、征子サンはちょっと困った顔をした。 「……あのぅ」 何かマズいことでもあるのかと不安になって、その顔色を窺うと。 「あ、違うのよ。ごめんなさいね」 手をヒラヒラとさせて、笑った。そして私の手を握る。 「あなたが決心してくれて、本当に嬉しいわ。おめでとう」 その笑顔にほっとしたら、なぜか涙が零れた。 NYでの生活の準備がすべて整い、私はホテルの一室で荷造りを始めた。 けれど、もともと突然のNY行きだったからたいした荷物もなく、すぐに終わってしまう。 時間を持て余していた私のもとへ、ドアをノックする音が届く。 「はい、どうぞー」と返事をすると、征子サンが入ってきた。 「あら、もう荷造りしちゃったの? 出発は明日でしょう?」 「そうなんですケド。他にやるコトなくって」 呆れ顔の彼女に、苦笑いを向ける。すると、じゃあ出掛けましょうと征子サンは笑った。 え、ドコに? と私が聞くと、彼女は悪戯っぽく片目をつむる。 「さっきステファンから連絡があってね。帰る前にもう一度会いたいって」
紅茶の良い香りが辺りを漂う。私は運ばれてきたティーカップに口を付け、その味に頬を 緩めた。案内された部屋は開放的な設計がされていて、南側にある大きな窓の向こうには、 緑がセンスよく置かれたサンルームを見ることができる。 今日は休日であるらしいステファンは、私たちを自宅に招待してくれたのだった。 その会話のほとんどを征子サンが通訳してくれたのだけど、彼があまりにも私のピアノ を褒めてくれるのでなんだか恥ずかしくなってあまり話せない。 救いを求めるように中央に置かれたピアノへ視線を移すと、ステファンが何か弾いてよと 言った。いいデスヨ、と笑いながらピアノに向かう。 「じゃあ、ショパン繋がりで」 3ヵ月後の公演で、ショパンのピアノ協奏曲第1番を演ることが決まっていた。 穏やかな午後のティータイムに、スケルツォの旋律が響き渡った。 「君がNYに来るのを、楽しみに待っているよ」 差し出された右手を、私は両手で握り返してから言った。 「ありがとうゴザイマス。がんばりマス」 それにしても、とステファンは付け加える。 「君の音、ちょっと変わったね。突き刺さるような迫力があるよ。嬉しい驚きだけど」 そですか? 私はすこし首をかしげて、微笑んだ。
7.声を塞ぐ、唇 結局、のだめからの連絡はないままにシュトレーゼマンの公演はすべての日程を 終了した。 彼女はもう答えを出したのだろうか? どちらにしても、今頭を占めるのは俺の取るべき態度の問題だ。 彼女のピアニストとしての成功は、俺にとっても喜ぶべきことで。 彼女がピアニストとして望むことは、俺にとっても望むべきことで。 でもNYじゃなくても、ヨーロッパのオケからもオファーはあるだろう。 何より、彼女のピアノが、彼女自身が俺の側を離れることが。 それが何よりも――。 「大いに悩みなサイ。それがキミたち若者の特権デショ?」 シュトレーゼマンが別れ際に言った言葉。けれども、これは悩みなんかじゃなくて。 我侭、なんだよな。 ただ、彼の言う「もう1つ」が何なのか、引っかかってはいるけれど。 アパートの前で止まった足を、ふうっと吐いた息を合図に再び動かす。 中庭から特定の窓を見上げる。カーテンの隙間から明かりが漏れていた。 どうやら帰ってきているようだ。 俺は何となく段数を数えながら、いつもより長く感じる階段を上った。
扉の前で、一瞬中に入ることを躊躇する。 何が正しいかなんてことは、最初からわかってる。それでも。 のだめの顔を見た後で、自分が理想の形を取ることができるのか、わからない。 それが、怖かった。 それでもとにかく、彼女の話を聞かなければと震える手で呼び鈴を鳴らす。 すぐにパタパタとスリッパの音が聞こえ、ドアが開く。 「おかえりなさーい」 いつもの声と、にこやかな、顔。 ただいまと言う代わりに、その唇を自分のそれで塞ぐ。 それが逃げであることは、充分にわかっていたけれど。
8.楽になる方法なんてない いきなりキスされて、そのままベッドまで運ばれた。 突然のことに驚いて、先輩の腕を振り解こうとしたけれど、彼はそれを許さなかった。 「んっ、ちょっ…待って。のだめ、先輩に……」 話があるんです、と言いかけた私の目に、千秋先輩のつらそうな顔が映って。 私は抵抗するのを止め、彼の行為を受け入れた。 きっと、彼は全部知っているんだろう。 征子サンの仕事っていうのは、つまりこういうことで。 彼女のちょっと困った顔の理由も、納得だ。 ああでも、自分の言葉で、彼に。 伝えなければ――。 普段の優しい動きは影を潜め、その手はすべてを奪い去るかのように私の身体を這う。 私の身体はきしみ、悲鳴を上げるけれど、それさえも彼の唇に飲み込まれ。 彼の熱情により貫かれると、私は完全にシーツの波の中へ沈みこんだ。 それでも……。 その艶やかな黒髪からサラサラと零れる、いつもの香りが。 その意外と逞しい胸の、いつもの温かさが。 恵、と呼ぶ声の、いつもの掠れた感じが。 愛しくて、涙が出て。 抱きしめ返すことしか、出来なかった。 それが逃げであることは、充分にわかっていたけれど。
翌日、目が覚めるとすぐそこに先輩の顔があって。 目が合うと一言、「昨日はゴメンな」と私の頭を撫でた。 私はふるふると頭を横に振り、「おなか、すいたデス」と言った。 「じゃーメシでも食いに行くか」 早く着替えろよ。彼はクスリと笑って、言った。 近くのカフェで遅い朝食をとった後、私たちは黙って手を繋いで歩いた。 お互いに、タイミングを計っていたんだと思う。 けれども、手を繋いでいるのがあまりにも心地よくて。揺らいでしまう。 もうあまり時間がないのに。 これではダメだ、と私はNYで手に入れた覚悟を思い出す。 そして、手を繋いだまま口を開いた。 「のだめ、NYに、行きます」 繋いだ手を、願いを込めて、ぎゅっと握った。
316 :
842です :05/02/22 17:06:30 ID:amMeiL0s
というわけで、つづきます。 いい加減この切り方やめなはれと自分でも思いますが。 この先、たぶん地獄だろうと思うと……。 気合、いれなくては! 逃げまくりの二人ですけど、のだめがとうとう言っちゃいました。 真一君はどう受け止めるのか?(私にもまだわかりません) 頼むよ千秋ー。 それでは、このへんで。
842さんお待ちしていました。 842さんとは縁があるのか、 割と投下後新鮮なうちに新作に巡り合える305です。 今回も素晴らしいお話でした。 のだめのNY行きが決まってから、千秋に言い出すまで 心臓どきどきものでした。 まるで自分もそこで見ているかのような感じ。 苦しみを一つ越えて、のだめのピアノに 変化があったり本当にリアル。 千秋の気持ちは痛い程に分かるし、 それをちゃんと〈千秋〉のままで現せているのも凄いです。 どうしてもGJでは終わらせられず、 だらだら感想書き込んでしまってごめんなさい。 次も楽しみにしています。
オーケストラの専属ピアニスト??? 合唱団や歌劇団ならともかく、管弦楽団の???
319 :
842です :05/02/22 19:10:03 ID:zTNVAlVw
317(305)さん わー、ほんとに縁があるのかも。 いつもあたたかいお言葉ありがとうございます。 今度もドキドキしてやってください(笑) 318さん えーと、私もちょっとありえないのかな、と思ったのですが。 なにしろ音楽の世界に関しては素人なので。 調べもしないで書いてしまっている点は、否めません。 どうかそこら辺はながして読んでもらえるとありがたいのですが。 勉強不足ですね。もっと精進します。
320 :
名無しさん@ピンキー :05/02/22 19:13:17 ID:D99ziVwG
漏れも前から気になってたんだけど 「専属ピアニスト」って・・・・ないよね。 ピアニストは公演ごとに出演依頼を受けるわけで。
321 :
名無しさん@ピンキー :05/02/22 19:15:12 ID:D99ziVwG
>258さん でも、気にしないでもいいと思いますよ。 NYで色々な公演依頼があるってことで?!
専属ピアニストとはちょっと違うけど、 富豪が気に入ったピアニストを側に置いて援助(パトロン)したりするのはある 画家とかではよく話聞くけどそのピアニスト版かな 知人にそんな話があったけど、多少なりと束縛みたいなのがあるから断ったらしい
細かい事はいいでしょう 私も気にはなったけど勝手に脳内補完して読みました。 ステファンは指揮者であると同時に著名なピアニストであり 一緒に室内楽や連弾、協奏曲をやってみないかと誘われたとか…。 かのアシュケナージも気に入った若手ピアニストに アメリカでガーシュインの協奏曲弾かせてますし。 いずれにしろ842さんの登場人物の心理描写は素晴らしいですヨ!
細かい事(詳しい人は気になるだろうが)を指摘されてばかりだと 神がやる気無くしてしまうかもしれないから、やめて欲しい。 みなさんまたーり優雅に神の投下を楽しみましょうよ。
ちなみに、自分語りで申し訳ないのですが、私はピアノでオーケストラ所属してましたよ。 昔のことだしプロの団体ではなかったけど。 協奏曲をやったのは一度だけですが、ピアノが組み込まれた曲では 普通に団員として演奏に加わってました。 話題を引っ張るのも悪いなと思ったのですが、一応そういう立場だった者もいるということで・・・
326 :
323 :05/02/23 10:45:21 ID:l8U4lQXL
>>323 です
引っ張りついでに…
調べた所、オーケストラピアニスト(鍵盤楽器奏者)がいる
オケもありましたヨ。(東京シティフィルなど)
コンチェルトやオケピアノはもちろん、
チェレスタ(「ティル〜」で描かれてた鍵盤楽器です)や
チェンバロも演奏しないといけないようですが。
今までソロしか学んで来なかったのだめにはアンサンブルのいい勉強かも?
てエロパロスレらしくない話題ですみません!
神様方、つづき楽しみにしてますv
327 :
842です :05/02/23 12:42:07 ID:9VtI7GuO
うわー! たくさんのコメント&ご意見&情報、ありがとうございます。 私のヘマで多くの方々に迷惑をおかけしました。 雰囲気を壊す原因を作ってしまったこと、深くお詫びします。 本当にごめんなさい。 325さん、326さんの情報、たいへん勉強になりました。 ありがとうございました。 SSのほうは、この後もいろいろと矛盾点が出てくるかもしれませんが、 書き始めた以上、最後まで続けようと思ってます。 今日の分、もうちょっとであがりますので、この話題は ここで〆させてもらえるとありがたいです。 よろしくお願いします。
842の話、 某神SSBlogのシチュエーションとかぶりまくりなんだけど。 だからなんだかつまんない。 ヒントにしたなら一言あってもいいんじゃ?
もうそんな事いうのやめましょ。 842さん気にしないで! 荒らしならよそ行ってやってください。
330 :
842です :05/02/23 15:31:39 ID:9VtI7GuO
はい。気にしてません。 ありがちなシチュエーションなのはよくわかっております。 文章丸写しであるなら問題ですけど、恐らくそんなことはないと 思います。328さんのいうBlogを見たことがないので。 というわけで、めげずに投下いたします。
9.この罪の、名は 隣で眠っているのだめの顔を、ずっと見ていた。 無理やりに近い形で彼女を抱いたことで、俺はますます自己嫌悪に陥ったけれど。 そんな俺を、昨夜彼女はただ優しく抱きしめてくれた。 この気持ちを、どう整理すればいいのかわからない。 やがて、カーテンの隙間から柔らかな朝の日差しが差し込み。 のだめの栗色がかった髪が艶やかな光を帯びる。 眩しそうに一瞬強く瞑った瞼はゆっくりと開かれ。 目を覚ました彼女の視線とぶつかった。 どうやって声を掛けようか一晩中考えていた俺の口から出た言葉は「昨日はゴメンな」。 徹夜で考えた台詞がコレか、と自分を呪いながらも右手は素直に彼女の頭に伸びる。 のだめは首を振り、「おなか、すいたデス」と小鳥のように鳴いた。 その様子に、俺は久しぶりに、笑った。 カフェを出た後、しばらく手を繋いだまま歩いた。 彼女は何も言わず、俺も黙ったままで。 それでも予感は確かにあって、俺は未だ答えにたどり着く術を持っていない。 けれど何か言わなくてはと、緊張で乾いた喉を無理やりこじ開けようとしたその時。 「のだめ、NYに、行きます」 手を繋いでいるのに、彼女の声がやたら遠くに聞こえた。 「相談もしないで、勝手に決めてゴメンナサイ」 そう言う彼女の足は、地面をしっかりと踏みしめ。 「けど、ステファンと競演したいっていう自分の気持ちを大事にしたかったんです」 そう言う彼女の首は、天に向かってすらりと伸び。 「のだめの音が、どこまで進化していけるのか、知りたいから」 そう言う彼女の瞳は、俺の顔を射抜くようにまっすぐ見つめた。
のだめの姿はその意思の強さを感じさせ、俺はまともに向かい合うことができない。 「……そこまで決心しているなら、俺から言うことは何もないよ」 目を逸らして、言った。 「行きたいと思うなら、行けばいい」 「それだけですか? 何か言いたいこと、無いんですか?」 「ああ」 「勝手に決めてきて、NY行っちゃうんですよ?」 「……ああ」 「いつ帰って来られるかも、わからないんですよ?」 体中の血液が、逆流していくようだった。 「行くなとでも言って欲しいのか!? それでお前は行くのをやめるのか!? ふざけんなっ!!」 怒鳴り声にも臆することなく向けられる視線に、俺はますます感情的になっていく。 「それでもお前は行くんだろ!? 俺にどうしろって言うんだよっ!」 「本心をぶつけて欲しいんです! 誤魔化さずに――」 「お前がそれで良くても! 俺が、嫌なんだよ!!!」 これ以上お前の邪魔はしたくないんだ、とは言えなかった。 今、どのような言葉を発しても、すべてのだめの足かせにしかならないと思った。 だから、しばらく押し黙った後、言った。 「……少し、距離を置かないか?」 「別れるって、ことですか……?」 彼女の瞳は初めて光を失い、俺の左手を束縛していた温もりが、消えた。
10.冷えた指先 先輩の、本心を、そのままぶつけてもらって。 まるごと抱えて、私は初めて飛び立てるんだと、思ってた。 でもそれは、自分勝手なきれいごと、だったの、かな? 離れてしまった手を、見つめる。 「手」を――。 ――この手を離す気なんて、さらさらないデスヨ。 前に、自分で言った言葉が、今、胸に突き刺さるようで。痛い。 先輩が何かを言いかける前に、2歩、3歩と後ずさり。 「ゴメンナサイ! のだめ、ちょっと行くトコありますから」 笑顔を作って、そのまま駆け出した。後ろのほうから声が聞こえたけど。 もう、届かない。 心臓の音がやけにうるさくて。 頭の中は、やけに静かだった。 目の前のボタンを押して、インタフォン越しに自分の名前を告げる。 しばらくして大きなドアが開き、中から小柄な男性が姿を現した。 「お久しぶりです」 彼は突然の来訪者に驚きもせず、私を部屋の中に招き入れてくれた。 「連絡も無しに、お邪魔してスミマセン」 「いや、キミが来てくれて嬉しいよ。ベーベちゃん」 もうベーベちゃんじゃないか、とオクレール先生は楽しそうに笑った。
NY行きを告げると、先生はコクリと一つ頷いて「オメデトウ」と言ってくれた。 「それで、わざわざお別れを言いに来てくれたの?」 「それも、あるんデスケド……」 出されたお菓子を紅茶で流し込んでから、私はピアノを指差す。 「最後に、もう一度レッスンしてもらおうかと思って」 私の言葉に呆れる仕草をしてみせて、彼はおおげさに溜息をついた。 「キミはもう私の生徒じゃナイでしょう? まったく人使いが荒いヨネ」 「いいんデス! 先生はいつまでものだめの先生なんデスから!」 そこで顔を見合わせて、ウフフと笑った。 ラベルのクープランの墓を弾きながら、私は自分に言い聞かせる。 大丈夫、大丈夫だと。 だって私はピアノを弾いているのだし。 「僕たちは音楽で繋がっている」んだから。 旋律は流れ出し、私の涙はもう、流れることはない。 「メグミ、ボクが言えるのは一つダケ。ピアノに感情を乗せるのはかまわナイ。 けれども、感情を誤魔化す道具にしてはイケナイヨ」 私は曖昧に頷いた。
11.そして僕らは間違っていく ものすごい後悔と自己嫌悪に襲われながら、数日を過ごした。 のだめはあれからどうしたんだろうか? 結局、顔を合わせることなく、俺は次の仕事先であるチェコに飛んだ。 テーブルの上に僅かな希望を残して。 演奏に集中することで、鬱屈とした気分を紛らわせた。 それでも、後から後から覆いかぶさる黒い波に、押し流されそうになった。 音楽に対する情熱だけが、俺を支えていた。 楽屋に来たシュトレーゼマンに言われた。 「チアキは、本当に馬鹿デスネ」 ポンと肩を叩いた手が、暖かかった。 3週間後にパリに戻り、部屋の様子からのだめがもう旅立ったことを知った。 彼女の服が、本が、彼女に関わるすべてのものが消えていた。 呆然と立ち尽くす俺に、管理人のアンナが声を掛け、紙袋を手渡した。 中には、見覚えのあるネックレスと、一通の手紙が入っていた。 便箋には一言、「ありがとう。ごめんなさい」という文字が書かれていた。 おわり 後編につづく
336 :
842です :05/02/23 15:55:29 ID:9VtI7GuO
前編が、ひとまず終わりました。 救いのないとこで終わらせてしまいました。 とりあえず、区切りです。 「つづく」と書いたとおり、後編があるんですが。 なんだかこのまま書いていってもよいのかなと。 荒らしは気にしませんが、ここの雰囲気が壊れるのは 本意ではありません。 心配してくださった方、ほんとにありがとうございます。 本誌の発売も間近ですし、しばらく私は遠ざかった方がいいかと 思いますので。
824さん そう危惧する気持ちも分からなくもないですが。 ここまで人を期待させるようなことをしておいて、 放置なんてもっとサイアクだと思いますけど。 自分が書きたくて書いたモノなら堂々と最後までやり遂げてください。 ワタシは楽しみに待っています。
あ、824じゃなくて842さんでしたね。すみません。
337さんに同意。 放置プレイはつらいです。 後編楽しみにしてます。
荒らしが来るのは防げませんので、気にせずスルーで。 >337は何だかエラソウですが、私はSSも書けませんしただただ、 作家さん達が投下してくださるのを待つ身。 あとは感謝の言葉。好きでなかったらスルー。 この板の他スレですが、作家さん達がいなくなったところは 本当に悲しいですよ。それでも覗いてしまうのです。 今日もまた…○| ̄|_
341 :
842です :05/02/23 18:45:48 ID:1aCUc36h
あわわわ。ご、ごめんなさい。 何か誤解を招く書き方をしてしまいました。 放置する気はないです。 つづきはきちんと書くつもりです。 ただ、全部書き終わってから、荒らしが静まった頃こっそり投下したほうが いいのかもしれないと思った次第です。 ご心配をおかけしました。 気にせず投下してもよろしければ、またがんばりますので。 よろしくお願いします。
842さん、お疲れ様です。 今回の話もすごく切なくて胸が締め付けられました。 842さんの話ってすごく心理描写が上手だなっていつも思ってます。 荒らしの件、本当に気にしないで下さいね。 私も昔、他のスレで一回だけですが荒らしにあったことがあって、その時はものすごく 落ち込んで、結局その話の続きを書くことがどうしても出来なかったことがあります。 だから842さんの気持ちはすごくわかりますので、今は無理しないで下さいね。 続きを楽しみに待っているファンがいますので、焦らずにゆっくり書いて下さい。 気長に待ってます。
842さん、私も待ってます。 とても読みやすく、描写もわかりやすく、 内容もおもしろくて、続きが楽しみです!
>>328 あなたが荒らしじゃないのなら、そんなことは言わない方が
いいと思いますよ。
あなたの言う神様にも迷惑がかかると思いますが。
所詮、エロパロ板なんですから。
荒らしなら、スルーできなくてごめんなさい。>all
842さん、お待ちしてますよん。
気にしないで投下してください。
>842 好きなペースで書いて下さい! お茶でも飲んでのんびり待ってますので。 マターリで行きましょう!
842さん!GJ!いつも楽しく見ています!! 今から後編がとっても楽しみデス! 他のブラボーな職人さんたちの投下も楽しみにしています!! 職人さんたちガンガレ!(・∀・)/〜♪
347 :
名無しさん@ピンキー :05/02/24 15:26:42 ID:G7qN9jYU
...。
思うのだが、多分みんなもう一目盛りくらいずつ落ち着いて、 スルーを含む、大人の反応をした方がいいのでは。 それだけで「荒らされる」確立が少しは下がると思いますよ。 大好きなスレだから守りたいので、敢えて言いました。 職人さんたちGJ. これからも楽しみにしています。
349 :
夏生 :05/02/24 19:51:03 ID:yMxtwGBs
一言書かれただけで「荒らし」と決め付けるのもちょっとアレだしね。 満員電車で尻に誰かの手が触れただけで「チカン!」と叫ぶような感じ。 マッタリいきましょ。
自慰はまだかのー
最近エロいのを読んでいないので エロを読みたいと言ってみるテスト。 職人さんお願いします。_| ̄|○ノシ
千秋の自慰を書いていると申告していたものです。 予想以上に長くかかってしまい、スミマセン。 待っていてくれる方がいて、大変嬉しいです。 >350 さん どうもありがとう。 ようやくできたので、投下しにまいりました。 では行きます。
「…先輩……のだめ、もうだめデス……」 千秋は、息も絶え絶えに身をよじって逃れようとするのだめの腕を捕えた。 「もう……許して……」 「ダーメ……もう一回……」 白い背中にキスの雨を降らせ、三度目をおねだりする。 「んもう……真一くんのばかあ……」 「のだめ……」 「やぁん……あっ……」 のだめ…… のだめ…… 指先がシーツの隙間を泳ぐのに、求めた温もりに辿り着けない。 「ん〜〜……」 その苛立ちに瞼を開けると見慣れない天井が見えた。 そうだった……ここは旅先の滞在ホテル。 隣にのだめはいるはずもなく、千秋は独り目を覚ました。 「ん……」 ベッドの中で身じろぎすると、体の一部に圧迫感を感じる。 「ぉ……」 あんな夢を見たからだろうか。 ボクサーパンツの中で、自分自身が勃ち上がっているのがわかる。 ……最近多いんだよな…朝勃ち。 そんなことを寝ぼけ頭でぼんやり考えながら、それが収まるのを待つ。 体を起こし、煙草に火を付けた。 やけにリアルな夢だった。…というよりも、演奏旅行に旅立つ前夜の出来事そのままだった。 長い旅行の後で数日間だけフランスへ戻り、再びこうやって別の土地へ来ている。 そのたった数日間の間で、二人は離れ離れの時間を取り戻すかのように求め合った。 …のだめとそういう仲になってからは、割とコンスタントに体を合わせている。 特にここ最近はのだめも行為を楽しみ、より深く悦びを感じるようになってきていて、以前より回数が増えた事は事実だ。
それまで、彩子と別れてからは3年近く御無沙汰していて、その間は処理しなければどうにも収まらない時にだけ自己処理してきた。 それは、男の生理として仕方のない事で、あくまでも、事務的に。 それだって回数が多かったわけじゃない。 時には音楽が精神の高ぶりを抑えてくれるとともに、体を浄化していってくれた。 彩子とのセックス…あるいはそれ以前の彼女とのセックスだって、目立って回数が多かったわけでもない。 セックスってこんなものなんだろう、と初めからさして感動もなかった。 相手によりもっと感じて欲しいという思いはあって、それなりに努力はしていたけれど、自分から一晩に何度も求める、なんて考えられないことだった。 だから、自分は淡白な方なんだと思っていた。 しかし、のだめの体は意外にも魅力的で、そばにいれば触れずにはいられず、触れれば求めずにはいられず、結果として何度でも……。 そういうサイクルの中で、一週間も離れていると体自体も寂しさを感じるのか、それは千秋の意と反して更に固さを主張してきていた。 それに、さっきからのだめの体が頭の中で浮かんでは消え、浮かんでは消え、離れない。 白い肌は吸い付くように滑らかで、官能を感じ始めると淡くピンク色に染まる。 ボリュームのあるバストはマシュマロのように柔らかいのに弾力に満ち、頂にはそこへの愛撫だけで登りつめてしまうほどに敏感な、小さな乳首。 「くびれがない」なんてからかった事もあったけれど、十分なカーブを描くウエスト。 隠れた性感帯である縦型の臍。無駄な肉のないしなやかな背中。 小振りな尻は引き締まって丸く、えくぼがかわいらしい。 暖かな内股、小さな膝小僧。 ……何もかもが愛しい。 はっきり言って期待なんかしていなかったけど(胸以外は)……体の線が出ないワンピースの下に、あんな体を隠し持っていたなんて、まったく、反則ものだな。 「……うーん…………」 千秋の想像はのだめの一番奥の…薄い恥毛に囲まれた溶けるように熱い窪にまで及んで、さらに自分を追い立ててしまう。 あー…すげえ、したい……。 むらむらと沸き上がってしまう欲望をこのまま押さえ切れそうもなくて、千秋はベッドを抜け出しバスルームへ向かった。
熱いシャワーで体を洗い流した後で、千秋はバスタブの縁に腰掛けた。 自分ひとりしかいない、誰も入ってくるはずがないのに、バスルームの鍵はかけてある。 シャワーのカランは閉めず、低い位置にシャワーをかけたままで、湯気でけむる中千秋はボディーソープを手にした。 掌で温めてから自身を握り、ぬめりをまとわりつかせる。 「…んっ……」 先端に指を這わせると、ボディーソープのぬるみではない、自分のぬるみがにじみ始めていることがわかる。 のだめが口で自分を愛撫するとき、儀式のように先端に小さくくれるキスを思い出しながら、それを先端に塗りこめていく。 やがて柔らかな唇、温かな口腔へと含まれ、恥じらいながらも音を立てて舌を絡ませる姿を思い描く。 目をつぶると、口いっぱいに千秋自身を咥え、自分を見上げるのだめの視線とぶつかった気がした。 輪状にした指でくびれた部分をゆるゆると上下し、たっぷりと唾液を乗せたあの赤い舌で舐めまわされるのを意識する。 何も知らなかった、まっさらなのだめに教え込んだ、自分好みの、自分のためだけの、その所作。 「はっ…んっ……」 自分しか知らない、自分だけが知っている、のだめの柔らかな甘い体……。 強い優越感は、千秋の奥底にある密やかな妄想を引きずり出し、次第に脳裏に映し出していく。 そのスクリーンの中で……千秋のペニスははのだめの弾力ある胸の双丘にはさまれていた。 両手で持ち上げ、たぷんたぷんと波打つ胸の間で、緩やかに幹をこすられる。 硬く尖りきった乳首を両側から押し付けられたり、敏感な裏筋をなで上げていくことを想像しながら、 千秋はその硬い指先を自身のそそり勃つペニスに這わせた。 「ん…はぁ…んっ…ぅ…」 白い胸を上下させながら、のだめは硬く張り出した亀頭にぺろぺろと舌を伸ばしている。 なんて…、なんて、いやらしい……。 実際にはまださせたことのないその願望は、想像でありながらも的確に千秋を快楽の高みへと持ち上げていく。
せわしなく往復運動を繰り返す右手からは、いくつかの滴りが糸をひいて落ちていった。 にちゃにちゃとこすりたてる音と、喉から押し出される掠れた吐息が、エコーのかかるパスルーム内に響く。 「はぁ…ぁっ……ッ…」 終わりが近いのを予感すると、千秋は想像の中ののだめを引き寄せ、四つん這いで高く上げさせた秘所に一気にねじ込んだ。 と、同時に指の締めをきつくした。 きつい入り口の締まりに飲み込まれ、一瞬ふわっと緩んだ後で、嵐のような締め付けがやってくる。 …そんな、のだめの中を思い出す。 こちらからの愛撫に体全身を使って悦びを表す様は、千秋の雄としての自尊心を十分に満たす。 髪を振り乱し、歌うような嬌声は耳に心地よく、狂おしいほどに乱れては何度も自分の名前を呼ぶ。 しなやかな体にまとった肌はどこまでも甘い。 玉のように吹き出し、流れゆく汗さえ、甘露だ。 強く抱きしめたい体はここにはなく、欲しい温もりも腕の中になく、けれども体に刻まれた感覚が官能を激しく揺さぶる。 ぷにゅぷにゅに柔らかくて、ふわんと暖かくて、抱きしめたり、抱きしめられたりすると、 なんとも言えない甘い幸せが胸を満たして……。 あんな感覚は今までになかった。 身も、心も、こんなにも求めて苦しい。 「…のだ…め……のだめ……んっ…」 愛しい名前を口にすると、甘い痺れが背筋を駆け上った。 早く、会いたい。……早く、おまえを抱きたい。 右手の動きを一段と強めると、やがて射精感が押し寄せてきた。 腰を前後に揺れ動かさずにはいられず、打ち付けるような動きを繰り出しながら、千秋は躊躇することなく登りつめた。 「くっ…っああ…っっ…っ……」 たっぷりと吐き出された飛沫は大きく弧を描き、向かい合ったバスルームの壁にまで飛んだ。 「……っ……あ……っっ」 ひくひくと跳ねては二度、三度となおも強く吹きだし、流れる湯と渦になって排水溝へと消えていった。
すっかり、すべてをシャワーで洗い流し、千秋はパスローブ一枚でベッドへ腰掛けた。 半分残っていたエビアンを、喉を鳴らして一気に飲み干す。 柔らかなタオルで髪の雫を拭いながら、大きなため息をついた。 想像の中とはいえ、あんないやらしい痴態をのだめに取らせてしまった事に、自分の欲望の恥ずかしさを知る。 でもやっぱり、あの胸は反則だろ。 柔らかくて……あったかくて……。触っているだけで落ち着いて幸せな気分になれて……。 いや、一部、元気になるところもあるけど…… 『Rrrrrrr Rrrrrrr Rrrrrrr』 不意に携帯が鳴る。 必要以上にびっくりとした千秋は、何かにその想像を覗かれたような気がして、誰もいないのに何故か部屋を見回してから電話に出た。 「おっはよーございマース!」 「……の、のだめか」 「先輩、元気にしてますかー?」 「えっ?……あっ、嗚呼、うん、なんとか……」 「寝起きでしたか?なんだか声が変ですネ……どうかしましたか?風邪?」 「ど、どうもしないけど……シャワー浴びてただけ……」 なんだか妙に焦ってしまい、しどろもどろになってしまう。 無邪気ないつも通りの声に、先ほどまでのだめを自慰の対象としていた事に多少の後悔を感じてしまう。 汚してしまった気がして。 いや、もう汚したのと同然のような事はいっぱいしてるけど。 ……でも、ほかの女じゃ、きっともう満たされない。 想像の中ででも抱きたいのは、欲しいのはこの女、のだめただ一人だけだ。
のだめは明日の何時頃に空港に着くのかを聞くと、迎えに行きますね、と電話を切った。 「のだめ、今週すごく頑張ったからご褒美ください。先輩にいっぱいかわいがって欲しいデス……ギャハ!」 と、最後に言い残して。 かわいらしくおねだりしたつもりだろうが、逆効果だぞ、と千秋はクスリと笑った。 早く会いたい……。 明日になれば、会える。 そしたら、お望み通り、いっぱいかわいがってやろう。 胸の内側によみがえるのだめの笑顔に、心をひたひたと甘く暖かにさせられながら、千秋は再びベッドに潜り込んだ。 ……胸に挟んで欲しいのは、前からずっと思ってる事だけど。 でも、そんな事言ったらまた、「おっぱい星人」とか言われそうだな……。 でも、しょうがないよな、好きなんだから……。 そんな事を考えながら、千秋はカーテン越しに差し込む陽にまどろんでいった。 ━━━━━━━━━━━━━━━━終わり am・bro・sia 1【ギリ神話】アンブロシア,神肴(しんこう):不老不死になれるという神々の食べ物・飲み物. 2非常に美味なもの,珍味佳肴(かこう).
以上でございます。 期待からそれた内容でしたら大変申し訳ないです…… また、千秋のハピバスデSSに感想頂いたのにお返事できず、大変失礼いたしました。 ありがとうございました。 すいません、青姦なんかさせて。……ってこんな言い方も変だけれどw 日付変わったらkiss発売日ですね。 私は時報と共にコンビニに買いに走る予定です。 では名無しに戻ります。
dropさん!GJ−−−!!!!!!! リアルで見てしまいました。 ももも萌えましたーーー!!! 千秋、男だ!! 遠くへ飛ばしてくれたのがツボでした!w
青姦も自慰も 最高です!
dropさん。期待にまっすぐストライクですよ!!!
dropさん、最高でした! 青姦も自慰も本当によかったです。 もう激萌えました。 kissの最新号を読めた夜に、こんなすばらしいSSを読めるなんて本当に幸せです。 次回作も、ぜひぜひ待ってますね!
待ってましたー。
一人乱れる千秋、GJですdropさん!乙でした〜。 ぜひぜひ、翌日の夜の二人も書いて欲しいところです〜 >362 「期待にまっすぐストライク」禿ワラタ
dropさん!GJ! >でも、しょうがないよな、好きなんだから……。 千秋かわいい・・・
排水溝へ流してしまったものがもったいないなw 千秋の遺伝子、ほしいぞ。
皆様、読んでいただいてありがとうございました。ご感想も、ありがとうございます。 ストライク外れなくて良かったですw >でも、しょうがないよな、好きなんだから……。 ↓ >でも、しょうがないよな、好きなんだから(おっぱいが)……。 と付け加えておいてくださいw 翌日の夜の二人…そーかー。考えてみます。アイデアdクスです。 また何か出来上がったら投下させてください。 ではまたー。
「ダーメ……もう一回……」 が大好きです。 翌日のふたりもいいですね!(みたい)他にも 酔って乱れたのだめ、 千秋のレッスン キッチンプレイ・・最低?
ねだめカンタービレ
371 :
名無しさん@スリーピー :05/02/25 22:07:37 ID:jak8xdJH
ねだめアレグロコンフォーコ!!
発情期千秋キボン
静かですね。 皆さん、萌えを執筆中でしょうか。
静寂が続いてますね・・・。 職人さんお待ちしてマス。
あまりに静かでさみしいので、小ネタ一つ投下します。 エロくないですが。
376 :
けろりん :05/02/27 22:21:11 ID:Kep3PDAJ
『褒美の報酬』 ■1 ガラス越しにのだめが走って来るのが見えたので、扉を開けて建物の中に迎え入れた。 「センパイ、お待たせしましたー」 「悪かったな」 「いいえー、妻デスから」 「妻じゃねーだろ!」 パリの、ウィルトール交響楽団の練習場。 俺のデビューコンサートがなかなかの好評を博したため、また振って欲しいとの 依頼が舞い込んだ。今日は、その挨拶を兼ねて打ち合わせに来ていたのだが、 必要な書類を自室に忘れて来てしまい、急遽のだめに持ってきてもらったのだ。 こっちへ、と出入り口横のスペースへ誘い、そのまま少し立ち話をする。 「今度は何の曲やるんですカ?」 「まだ決めてないけど……ラフマニノフの−−−」 「えっ、まさかピアノ協奏曲デスかっ!?それはダメです!」 のだめが血相を変えて叫んだ。 「いや、交響曲第2番はどうかな、と思ってるんだけど。……ピアノ協奏曲は、だめか?」 「あったりまえです!のだめがやるって決めてるンですから!」 くすり。こいつは、俺との共演を目標にしている。ありがたい話だ。 だけど今のままでは、無理。 のだめ本人がどこまで分かっているかは分からないが、 留学するところまでようやくたどり着いたんだ。 これからが本番だと、俺は思っている。 「Ruiには先を越されちゃいましたケド……」 「あれは事故みたいなモンだからさ。……早くしてくれよ」 「頑張ってマス!」
377 :
けろりん :05/02/27 22:23:59 ID:Kep3PDAJ
■2 「で、センパイ、ご褒美は?」 「褒美?なに?」 「なに、って……決まってるじゃないデスか…」 のだめは、上目づかいに、俺の目を覗き込みながら唇を軽く突き出した。 ……ああ。 俺は理解して、そして赤くなる。 「ばーか、お前、なにこんなところで……」 だけどこいつは、嬉しそうにこう断言した。 「ダイジョーブ、ここはアムールの国、フランスですよ? まわりはフランス人ばっかり、ここで何してたって気になんかしまセンよ!」 そう言われれば、そうか。……そうだな。 それでも一応、あたりを見回す。 誰もいないのを確認して、のだめの頬を包み込み、そっと唇を寄せた。 のだめの、半開きになった唇の輪郭を、自分の唇でなぞり。上唇をはさみ、 下唇をはさんで、角度を変えながら2度3度と柔らかさを確認するように口づける。 勿体ないけど、こんなところであまり濃厚なキスもできないから…… それでも一瞬、のだめの舌を絡めとり、味わった。 「ん………」 名残惜しく唇を離し、背中を抱き寄せて、俺と同じシャンプーの香りが漂う髪に鼻先を埋めた。 「……サンキュ。今日は、早く帰るから…」 「どちらかと言うと、のだめがお礼を言いたい気分デスよ……?」 何言ってる。 ふたり、余韻を楽しむように身を寄せて、そのまま少し話ていると。 カチャン。物音がした。続いて人の気配がするのにようやく気付き、顔を上げようとすると。 日本語で、名前を呼ばれた。 「あれ……もしかして、千秋くん?」
378 :
けろりん :05/02/27 22:28:19 ID:Kep3PDAJ
■3 そこにいたのは、クラシック・ライフ編集部の河野けえ子と。 あの松田幸久だった。 「!!……な、なんでこんなところに!?」 俺はあわててのだめの肩をつかみ、自分からひき剥がした。 「松田さんのパリでの公演が近いのでその取材と、千秋君関係の追加取材を 一緒にやっちゃおうってことで、たまたまこっちに来たんだけど…… ごめんなさい、邪魔しちゃったかしら?」 「い、いいえ、別に……俺も次の打ち合わせで来ていて…」 失敗した!なんで俺、のだめの言葉に乗せられちまったんだ! 松田さんの目が、どう見ても笑っている。 というより、“なーに面白いネタをこの俺に提供してるんだ千秋くん、 バラしちゃうよ分かってるあーん?”という表情だ。 奴はその目をふいとのだめに移し、興味深げに見つめる。 「そちらは?」 「あ、えーと……」 なんと紹介するべきかと一瞬言葉に詰まる。 すると、のだめはいつもように屈託なく言い放った。 「はじめまして、妻デース」 ば、か、や、ろーーーーー! 「ええ、千秋くん、結婚してたの!?」 「違うーー!!」 「そ、そうよね。彼女だよね?」 「………そう、です……」 とうとう、言ってしまった…… 松田さんは、すべて理解したよ、というような表情をして。 「ふーん、これが噂の彼女か。よろしく。 いやあ、千秋くんのいいシーンも見れたし、ここまで来た甲斐があったなぁー、ねえ河野さん?」 ……あの松田幸久の、楽しそうな目を、俺は忘れない。 <FIN>
379 :
けろりん :05/02/27 22:40:13 ID:Kep3PDAJ
以上、さらっと書いてみました。 今週号とはなんの関係もないですが。 dropさんの夢の千秋自慰のあとには なんともアッサリし過ぎていてお恥ずかしい…。 きっとこの静寂のあとには、多くの神が降臨されるで あろうことを心より期待しております。
けろりんさん、GJ! すっごく面白かったです。 松田さまと千秋の絡みも最高でした。 ぜひ、続編で松田さまがのだめにちょっかいだして、 千秋がヤキモチをやくとかいうのが見たいです。 次回作、期待して待ってますね!
けろりんさん、楽しかったです。 全く恥じる必要はないですよぉ! 直接的なエロ表現以上にエロい期待を抱かされましたよ。 エロ以外のやりとりも楽しいし。 けろりんさんのSSの独特のテンポや余韻が好きです。 また気が向いたら投下してくださいネ。 > dropさんの夢の千秋自慰 これはこれで、夢のように読みました。 バスルームの湯気やシャワーの音が耳や肌で感じられるようなSSでした。 ふぅ、うっとり。
千秋発情期らしいんで本誌でもそろそろ そんな展開になっていくんでしょうか… でもキスまでは勢いでできてもエチーはそうはいかないだろうから 所長がどう描くか楽しみだな〜
けろりんさん、GJです!! あー、松田さんステキすぎるw もちろん、二人が普通に恋人同士なところが激しく嬉しい。 また投下お願いしますね! 相手がのだめだから、一筋縄でいかない気がして、なんかもうやきもきしているよ。 朝チュンがあったらきっと祭りだろうけど、それ以上になんか生々しい「やったな」的な ものがあったら暴動・戦争になりそうだ。 街を練り歩くどころか、おひねりまでバラまいてしまいそうなんだが。 御輿も担ぐか?「真一くん万歳」とか書いて。
私の予想ですが。所長のことなので、またムッシュ長田が絵を描いて、それが「やったな……」 と思わせる気ではないかと予想しています。 今、千秋の発情期&初Hでそういうのを書いている途中なのですが、いつ完成するのか……。 いやー、でももし本誌がそうなったら、ここもすごく盛り上がりそうで楽しみです!
385 :
842です :05/03/01 20:22:43 ID:Ost7713A
ようやく続きが完成しましたので、投下いたします。 待っていてくださった方々、遅くなってごめんなさい。 エロなしで、かなり長いですが。
過去の過ちを取り消すコトなんかできない。 けれど、再び繋がれた手は、離さない。絶対に。 「あなたの音がココにあって」 1.届く音、見えないモノ 肌寒さを感じて、目が覚めた。 ぼんやりとした頭で周りを見回すと、ここは俺の部屋のリビングで。 足元に散らばった楽譜にああそうか、と思い出す。 どうやら俺はスコアにチェックを入れながらソファでうたた寝をしたらしい。 んー、と伸びをして立ち上がった。 辺りはしんと静まり返り、窓から差し込む月明かりが未だ明けぬ夜を知らせる。 ベッドに入って休もうかと思ったけれど、再び眠気が訪れる気配も無く。 俺は暖房のスイッチを入れ、コーヒーを入れに台所へ向かった。 温かな湯気がたゆたうカップを手にして、テーブルに投げ置かれた雑誌に目をやる。 そういえば、まだ目を通してなかったな。 一年前にNYへ渡った彼女の動向を、この音楽雑誌で確認することが いつの間にか俺の習慣になっていた。 「とてつもない逸材。彼女の音は観客の息をつかせぬほどの張り詰めた 迫力と、触れれば切れてしまいそうな繊細さがあって……」 「演奏の後、観客はしばらく拍手することすら忘れる。 動けないのだ。自分の中にまだ鳴り響く美しい音を邪魔するのが怖くて。」
NYでの初公演で、一気に彼女の評価が高まった。この記事を書いた評論家の言葉と 俺が彼女のピアノに持つイメージに初めは違和感を抱いたものの、きっと 新たな自分の音を見つけ出したのだろうと納得した。 その後も彼女は高い評価を受けている。 そして今、俺はそのことを素直に喜べるようになった。 ソファにもたれて手に取った雑誌をパラパラとめくる。やがてあることに気付き、 もう一度、今度は慎重にページを拾った。 やはり、無い。 2ヵ月後に予定されていたR管の演奏を告げる記事の中に、野田恵の名前は無く。 演目もピアノ協奏曲から交響曲に変更されていた。
2.手に入れるコト、失うコト ピアノの前に座って、どうしてなのかな、と考える。 どうしちゃったのかな。 どこから違っちゃったんだろう。 私の、音って、どんなだった? 目を瞑ると、蘇ってくるのは音楽ではなくて。 机の上に置かれた、一枚のメモ。 「ごめん」 そんなこと、言わないで。 「ちゃんと、笑って『がんばってこい』と送り出したいから」 そんな資格、ないんです。 「待ってて」 だって、先に手を離したのは、私なんだから。 ――ピアノを、感情を誤魔化す道具にしては、イケナイヨ。 ゴメンナサイ。ゴメンナサイ。ゴメンナサイ。 お願いだから、私から音楽まで奪わないで。 祈っても。懇願しても。 答えてくれないピアノの蓋は、閉じられたまま。
3.満ち欠け どういうことだ? アイツの頑張りようは風の便りや紙面上からでもよくわかる程で。 こなした数々の演奏は、そのすべてが成功の輝きに満ちていて。 降ろされることなどありえない。ましてや日程も間近に迫っているというのに。 何か、あったのか!? 急いでパソコンを起動し、ネットに繋ぐ。 胸騒ぎをどうにか静めようとするけれど、悪い予感を振り払うことが出来ない。 やがて検索結果がウィンドウに表示され。 俺の背筋に冷たい汗が伝った。 「Megumi Noda 突然の休業宣言」 12月に予定されていたニューヨークR管の演奏会が急遽、その演目を ピアノ協奏曲から交響曲に変更した。さらにピアニスト・メグミ ノダ の休業を発表、クラシック界に激震が走った。 関係者は一切のコメントを控えているが、彼女が事故により再起不能と なったという説も出ており…… 嘘だろ!? アイツがもう2度とピアノを弾けないなんてこと……。 そんなことあるわけねーだろ!!!
時間を考える余裕もなく、俺は血の気が引いて冷たくなった指先でダイヤルを押す。 規則正しく繰り返される呼び出し音が、いやにゆっくりしていて。 何回目かのコールの後、「はい?」という相手の声を聞くなり語気を荒げた。 「アイツに何かあったのか!? 再起不能……事故って!」 言葉がうまく出てこない自分にイライラする。 俺の言葉に沈黙する相手に、縋るような思いで呼びかけた。「母さん!」 すると、受話器の向こうで一つ、溜息が聞こえた。 「……真一、今何時だと思ってるの?」 「何時って……」 俺は時計を見てから頭の中で計算する。日本は今、昼近くのはずだ。 「日本にいるんじゃないのか? ってそんなことより――」 「今、フランスよ。……のだめちゃんのこと、知ったのね」 事故っていうのは単なる噂だから、と説明する母の言葉に、ひとまず俺は安心した。 けれど――。 「復帰するのは、難しいかもしれない」という母の声が耳に届いて。 わけがわからなくなった。 「復帰が難しいって……。何か、知ってるのか!?」 教えてくれと頼む俺に、しばらく考えるように黙っていた母は静かに言った。 「のだめちゃんは、コートダジュールにいるわ。……私と一緒に」
4.透明な服に身を包み ド・レ・ミ、と口の中でつぶやいてみる。 音たちは空気に溶けて、すぐに消えてしまった。 追いかけても、もう届かない。 まるで誰かさんみたいだ、と思った。 初めて出会ってから、いつも背中を追いかけてた。 少しでも、追い付きたくて。置いていかれたく、なくて。 疲れて立ち止まったりすることもあったけれど。 差し出された手を拒絶することもあったけれど。 一緒にパリへ留学することになった時、だからすごく嬉しくて。 毎日が、すごく幸福だった。 それなのに。 繋いだ手を離したのは私。 それでも。 私がピアノを弾いているなら。 ずっとピアノを弾き続けていけるなら。 きっと音楽で繋がっていることはできる。 そう、思っていたのに。 これは私の音じゃない。 ずっと気付かないフリをしてきた間に、深まった、溝。 ピアノはもう、その声を私に響かせてはくれない。
5.You say goodbye, I say hello 懐かしいわね、と母は昔家族で住んでいたことのある俺の部屋を眺める。 俺はコーヒーの入ったカップを2つ、リビングのテーブルに用意して、 母に座るよう促した。 深夜の電話でとにかく説明しろ今から行くと必死だった俺に、冷静に話をしたいからと 朝方母は自分から出向いてくれた。その顔にはいつもの快活さがなく 僅かに影を落としている。 それはこの部屋に残る思い出のせいなのか、それとも……。 「ごめんなさいね。あなたもうすぐ公演を控えてるっていうのに……。 真一を巻き込むつもりなんて、本当はなかったんだけど」 のだめちゃんからも口止めされてたし、と母は視線を落とす。 そんなことはどうだっていい、と俺は首を横に振った。 「それで、アイツは……?」 落ち着いて話をしようとトーンを落とすが、声が震えた。 そんな俺の様子に少し微笑いながら、母はポツリ、ポツリと事の詳細を話し始めた。
「最初はね、小さなことだったの。オケと音あわせをしてる時に、彼女が少し 首をかしげるようにして。 気付いたステファンが、メグミ、どうかした? って聞くと なんでもないです、って笑って首を振って。 しばらくは普段と変わりなく演奏してたらしいのよ。 その後、休憩を取って――」 そこまで話してから、一つ息をふうっと吐いて、続ける。 「時間になってもなかなか戻ってこない彼女を皆が心配し始めた頃。 扉の前で、真っ青になって立っている彼女がいて。 ピアノ、弾けませんって言ったそうなの。 吃驚したステファンが駆け寄って理由を訊ねても、ただ首を振って 弾けません、音がわからないんですって繰り返すだけで。 そのまま、倒れてしまったの」 「私も連絡を受けたときは驚いたわ。慌ててNYまで駆けつけて。 とにかく休養させようってことになって」 コートダジュールの別荘に連れて来たのよ、と言って母は俺の顔を見た。 どうして、なんて疑問は、もう無かった。 1年前の出来事が未だに彼女の心を蝕んでいるなんてことは容易に想像がつく。 けれども、納得なんてしない。 俺はクローゼットを開けて出掛ける準備をする。 「ちょっと! どこに行く気!?」 突然の俺の行動に、母は驚きの声を上げる。 「決まってるだろ! あの馬鹿女に会いに行く!!」
6.明けぬ夜に ピアノを弾きたいと、NYに渡ったはずなのに。 いつのまにか。 ピアノを弾かなくちゃいけない、に変わっていって。 私の音が、どんどん、どんどん、見えなくなった。 それでも。 懸命に音を追いかけて。 手が届かなくても、私から離れていってしまっても。 懸命に、音を、追いかけて。 音楽を楽しむ気持ちが、だんだん、だんだん、無くなっていった。 そこにはただ、絶望だけがあって。 ――3ヶ月。それがタイム・リミットだ。 けれど僕は君がNYに必ず戻ってくると、信じて待ってるから。 どうして頷くことができるだろう。 だって私はNYで一度も「演奏」をしていない。 ただ自分の気持ちを誤魔化すためにピアノを弾いて。 大きな拍手にひとり足を竦ませていただけだ。 カチャリと扉の開く音がして。 私はのろのろと首をドアの方向へ曲げる。 征子サンが帰ってきたのかなと思った私の瞳には。 一番会いたくない、けれどもすぐにでも触れたいヒトが映った。
7.嘘つき 相変わらず、飛行機は苦手だ。 ニース空港まで1時間、その間毛布に包まってガタガタ震える俺に、母は笑った。 「そんなに嫌なら、電車にすればよかったのに」 「……5時間もかけてられるか。すぐにでもあの馬鹿を殴ってやらないと 気が済まねぇ」 素直じゃないわね、と母は呆れた顔をした。 部屋を出た後、ド・ゴール空港へ向かう俺を母は引き止めた。 とても話が出来る状態じゃない、そっとしておいてあげて、と。 ほっといてその後どうなる!? その結果が今じゃないのか!? 俺はもう2度と後悔なんかしたくねーんだよ!!! 怒鳴りつける俺に母は目を丸くしていたが、やがて力強く頷くと 一緒にタクシーに乗り込んだ。 この人も1年前から何か思うところがあったのかもしれない。 別荘に到着したのはまもなく昼になる頃だった。 俺は母に案内されて、1つの扉の前に立つ。 この中に彼女はいるわという母の声に、ゆっくりと息を吸って。 そっとドアノブに手を掛けた。
のだめはぽつんとピアノの前に座っていて。 ドアの開く音にゆるゆると向けられた目は大きく見開かれ。 俺が一歩足を踏み入れると、その肩を僅かにびくりと震わせた。 「……久しぶり」と声を掛け、足を止める。 「お前が嫌なら、これ以上近づかない。だから聞いてくれ」 しばらく間をおいてから、俺は続けた。 「1年前のこと、たぶんお前と同じように、俺もいろいろ考えた。 もし、あの時、笑って送り出せていたなら。 もし、あの時、走り去ったお前を追いかけていたなら。 もし、あの時、……自分の気持ちを素直に伝えられていたなら。 もっと違う未来があったのかもしれないって」 黙ったまま人形のように動かない彼女に、俺は語りかけるように言う。 「でも、そんなこといくら思ってみても仕方が無いんだよ。 間違えてしまったことは、もう2度と取り返せない――」 「それでも!」 叫ぶような声で、のだめは俺の言葉を遮る。 「のだめは自分が許せません。……違うんです」そう言ってうなだれる。 「ほんとは、わかってたんです。先輩の気持ち。 のだめの邪魔にならないようにって、いつも思ってくれてた。 それなのに、その手を離したのは――」 「そんなのはどっちだっていいんだ。一方が悪いなんて関係じゃないだろ? 大事なのは……」 そこで言葉を区切って、俺はのだめの側へ足を運び、その細い身体を抱きしめた。 「めいっぱい後悔した後、どうするかってことだろーが」
腕の中で嗚咽が聞こえ、俺は彼女の頭をポンと撫でる。 「もう一度、新しく繋げばいい。今度は絶対離さないように。俺はそう思ってるけど?」 コンチェルトの約束だってあるしな、と言うと、 「……キ」と小さな声が聞こえた。 「何か言った?」 「うぅ……、先輩のウソツキ。近づかないって言ったクセにー」 「嫌?」 ニヤリと笑うと、首をぶんぶん振りながら、うわーん先輩はあいかわらずカズオデスー! 子供のように、泣いた。 ひとしきり泣いた後、のだめは真っ赤な目を擦りながらポツリと呟くように言った。 「……でも、のだめピアノが」 「ばーか」 俺はのだめにでこピンして笑う。 「お前が聴こうとしてないだけだ。じゃなきゃ誰があんな高い評価受けるかよ」 それでも尚疑いの目を向ける彼女に、真剣な顔をして言った。 「信じられないなら、俺の音を聴け。全部、お前にやるから」
8.Because you say love me 私は今、パリの懐かしいアパルトマンにいる。 先輩の、半ば強引に引っ張る手をどうにか離さないように小走りで コートダジュールの別荘を出るときに、荷物のことを思い出してあわてた。 「全部、あとで届けてあげるから」 征子サンは腕を組んだままにこやかに手を振り、私は引きずられるままに ただペコリと頭を下げた。 先輩は躊躇する私を当然のように部屋に向かえ入れ、「好きなように使え」と言った。 生成りのソファーに、たくさんの本が並べられている本棚。 四人がけのテーブルに、お気に入りのマグが入ったカップボード。 そして、ちょっとだけ染み付いたタバコの香り。 よく知るままのその様子に、鼻の奥がツンとして。 「何泣いてんだ」と笑われた。 彼は今、シャトレ劇場で演奏している。 5日間の日程で行われるコンサート。そのすべての日付がそれぞれ印刷されたチケットを 手渡しながら、先輩は言った。 「聴きに来い。待ってるから」 こんな時期に私をここまで連れてきてくれたことに吃驚して。 彼の言葉をすごく嬉しく思って。 けれど、私の足はどうしても、コンサートホールに向かなかった。
結局3日間、ホールに顔を出すことはなかった私を、先輩が責めることはなく。 疲れて帰ってきたはずなのに、ただ優しく微笑んで。 「おやすみ」と言って私をベッドに送り出し、自分はソファーにその身を横たえる。 私はソファーでいいからと訴えても、笑って首を振るだけで。 何をやってるんだろう、と一人呟いた。 朝というには遅い時間に起き上がってリビングに行くと、すでに先輩の姿はなく。 テーブルにはいつものように朝ごはんが出来上がっていた。 私はもそもそと食事をしながら、時計の針を見つめる。 あと、7時間。 ぼんやりと過ごしていても、私の視線は時計を捕らえ。 やがて日が翳り始めて窓から見える街並みが赤く染まる頃。 私はコートを掴んで外に出た。
劇場の前にある広場で、いつものように私の足が止まる。 開場時間になると、人々は流れを作って中に入っていき。 私は劇場に背を向けてベンチに腰掛けた。 やっぱり、怖い。足が竦んで、動けない。 寒さだけではない理由から震える両手に息を吹きかけていると。 「ココが、キミの指定席かい? のだめチャン」 後ろから声を掛けられた。 「……ミルヒー」 振り返って顔を見ると、彼はニコニコと微笑んでいて。 「先輩の演奏、もう始まってますヨ」 と言う私の言葉に首を振って、昨日聴きましたカラと言った。 「のだめチャン、チアキの音楽を聴いてあげて下サイ」 私の隣に腰を下ろして、ミルヒーはぽつりと言う。 「彼の音は、キミへの想いがいっぱい溢れているヨ」 聴いてるこっちが恥ずかしくなるくらいにネ、と片目を瞑った。 「でも、……怖いんデス」 「怖い?」 「これでもし、のだめの音がわからないままだったら……」 アハハハハッ、とミルヒーは私の言葉を笑い飛ばす。 「そんなコトは絶対にナイヨ。だってキミの音もまたあそこにある」 そうして指差した先は、シャトレ劇場。 首を傾げる私に、キミならわかるはずだヨと優しい眼差しを向けた。 「キミ達は不器用で、見ていてハラハラするケド、少し羨ましいネ」 立ち去るシュトレーゼマンの背中を見ていた私に。 ほんの一瞬、先輩の指揮するオーケストラの音が届いたような、気がした。
9.君に捧げる曲は 楽屋でスコアを見ながら、タバコに火をつける。 最終日の今日、彼女は来るだろうか? 昨日も用意した席は空いていて、内心ガックリしていた。 けれども、のだめには何も言わなかった。 ただ、寝る前に一言「明日、待ってる」と言ったら、 まっすぐ俺の顔を見て、こくりと頷いたから。 きっと、来てくれているだろう。 そろそろ時間だよ、と声を掛けられて、俺は楽屋を後にする。 やがて開演のブザーが鳴り、「今日もいい演奏を!」と楽団員は舞台に上がる。 俺はソデに控えながら彼らのチューニング音を聴き。 軽く深呼吸した後、指揮台へと歩みを進めた。 歓迎の拍手の中、俺の視線は20列18番の座席を探し。 そこに、のだめの姿を見つけた。 客席に向かって一礼してから、彼女に微笑みかける。 そして背を向け、俺はタクトを振り上げた。
10.乾いた地面を雨がうつ リムスキーの「シェヘラザード」。その音のひとつひとつが。 私の心に染み込んでいく。 まるで先輩に抱きしめられているように、音が私の周りを包み。 温かい、と思った。 ――大丈夫、お前なら見つけられる。 だって今の俺の音は、お前と過ごした日々そのものなんだから。 ココに、お前の音が無いワケないだろ? そうデスね。きっと、だいじょうぶ。 直接語りかけるような音に、うんうんと頷きながら。 私は一音も逃さず、彼の気持ちを受け取った。 その旋律に、こみ上げてくる涙を隠すこともなく。
やがて指揮台の上の先輩の手がぴたりと静止して。 観客に夢の終わりを告げる。 その後沸き起こる大きな拍手の中で、私は誇らしげな気持ちになった。 挨拶を終えて舞台裏に戻った彼が、鳴り止まぬ人々の歓声に答えて 再びタクトを持ち。 会場が静まるのを確認してから流れ出すアンコールの曲は。 この、曲は。 ああ、私の頬に再び涙が伝い。 指は懐かしい旋律を追いかけ膝の上を叩く。 まるでそこに鍵盤があるかのように、タカタタカタ、タカタと踊るように。 いつしかオーケストラの音がその羽を静めても。 私の中に溢れる音楽が止まることはなく。 私は外へ駆け出した。 ピアノを、弾きたい!
11.あなたの音がココにあって すべての日程を終え、パリでの演奏会はその幕を下ろした。 打ち上げに誘われたけれども、大事な用があるからと丁重に断った。 自分でも納得のいく、最高の演奏ができたし。 アイツが終わるや否や駆け出していくのが見えたから。 疲れも忘れて、アパートの階段を駆け上る。 きっと、彼女はピアノを弾いているに違いない。 邪魔をしないように、そっとドアを開けると。 光り輝くピアノの調べが、洪水のように押し寄せてきて。 俺は誇らしげな気持ちになった。 弾いているのは、先程アンコールで演った曲で。 わかりやすいヤツ、と笑った。 それでも楽しそうにピアノを弾くのだめの姿を見て。 俺達以外に知る人がいないこの曲を無理に頼み込んで演らせてもらえたのは 感謝以外の言葉で表すことができない。 「これ、チアキが作ったの? 曲名は?」 コンマスに聞かれて、すごく恥ずかしい思いはしたけれど。 やがて最後の一音が部屋に響いて。 俺はその余韻にたっぷり浸ってから彼女に拍手を送った。 「ブラボー!」 その声を合図にしてのだめは立ち上がり、すぐさま俺の胸に飛び込んでくる。 「な? お前の音は、俺の中にもあるし――」 「のだめの音は、先輩の中にもある、デス!」 そう言って笑うのだめの唇に、自分のそれを重ねて。 とたんに赤くなる彼女の頬を撫でながら、だから大丈夫だと。 何度もキスを落とした。
空港まで一緒に行こう、と言い出したのが間違いだった。 今日はのだめが再びNYに飛び立つ日で。 俺も次の仕事先に飛ぶ予定があり。 わざわざ日時を合わせたというのに……。 「なんだってまだ荷造りが済んでないんだーっ!」 「ギャボ――ッ!!!」 あわてて空港に到着したのが、搭乗時間ギリギリで。 こんなんじゃドラマティックな別れもあったもんじゃない。 それじゃ、とゲートに走ろうとするのだめを引き止めて。 「忘れ物!」と1年前に彼女が置いていったモノを突きつけた。 「……コレ、お守り代わりにと思ってワザワザ置いていったんですケド」 はあ!? と変な声を上げる俺に首を傾げつつ、のだめは言う。 「だって、いつものだめのハートの一番近くにあったモノだから」 唖然とする俺にだから大事に持っててくだサイネと言い捨て、走っていってしまった。 普通、好きな男からもらったものを置いてくって、そういう意味じゃないだろ? まあ、アイツに「普通」は通用しないか。 クツクツと笑いながら、俺もそろそろ行かないと、と歩き出したとき。 後ろから聞き覚えのある足音が聞こえて振り向くと。 「忘れ物、デス!」という声とともに、唇に柔らかいものが触れ。 敵わないな、と思った。 「必ず、迎えに行くからな! それまで待ってろ!!」 ぶんぶんと手を振る背中に向かって、俺は大声で、言った。 そして、2年後――。 俺はNY行きの飛行機の中で、チケットとともに送られてきた手紙を読み返す。 「迎えに行くって言ったのに、お前が俺を呼び寄せてどうすんだよ」 NY最後の演奏デス! 聴きに来てくだサイネ♪ LOVEのだめ
フィナーレ 「それじゃ、行くか」 彼の差し出した手を取って、二人一緒に舞台へとその歩みを進める。 ライトアップされたそのまばゆい場所に立ち。 彼女はゆっくりと中心に置かれたピアノの前に座り。 彼はしっかりとした足取りで、指揮台に上がる。 さあ、楽しい音楽の時間の始まりだ! 3ヶ月前、ソルボンヌ管弦楽団の常任指揮者に就任したシンイチ・チアキ。 彼の名は、もはや読者の皆様もご存知であろう。 この度、パリで行われた彼の演奏会は、彼の名に新たな名誉を刻んだ。 そして私たちの心にすばらしい音楽を刻み付けたのである。 さらに、彼が連れてきたピアニスト。彼女の名を懐かしく思う人もいるだろう。 メグミ・ノダ。彼女がパリに帰ってきた! 私はこの偉大な音楽家二人が、ここ芸術の都パリでデビューしたことを 誇りに思う。 二人のラフマニノフ、どうにかして読者の皆さんにお伝えしたいのだが、 私はその言葉を持たない。 言えるのは、たったこれだけだ。 Bravo! Bravo!! Bravo!!!
ものすごい拍手の波に迎えられて、千秋は観客に深々と頭を下げた。 そして、指揮台を下り、ピアニストの彼女を迎えに行く。 その手に軽く口付けてから、今度は二人で挨拶をした。 一段と大きくなる歓声の中で、千秋はのだめに何事かを言う。 「―――!」 しかしその声は渦に巻き込まれ、のだめの耳に届かない。 のだめは、聞こえまセン! とジェスチャーを送り、なんとかその声を辿ろうとするが。 「―――!!」 やっぱり観客の拍手にかき消されてしまい、わかりまセンと肩をすくめた。 その様子にムッとした千秋が、もう一度大きく息を吸い込んだそのとき。 一瞬、観客の拍手が鳴り止み。千秋の言葉がホールに響く。 「結婚してやるって言ってんだよっ!!!」 その途端、パッヘルベルのカノンが会場を包み込み。 コンサートマスターが千秋に向かってウィンクした。 初めは何が起こったのかわからなかった聴衆も、舞台の真ん中で赤くなっている 二人のカップルに、温かな祝福の拍手を送った。 そうだ! もう一つニュースがあったんだ。パリはこの偉大なる音楽家を 生み出すとともに、ものすごいことをやってのけた。 恋の都でもあるこの街は、世界一幸せなカップルをも生み出した。 祝福を送る我らが同胞、この二人に向かって叫ぼう! Hallelujah! (Paris クラシック M.ロジャー) おわり
408 :
842です :05/03/01 20:55:14 ID:Ost7713A
以上です。 今、読んでて気付いたんですが……。 のだめの台詞、間違ってる〜っ! 「のだめの音は、先輩の中にもある、デス!」 これじゃ、千秋の台詞と同じだよ。 すみません。「先輩の音は、のだめの中にもある、デス!」に変換してください。 いろいろと思うところがあり、反省しきりのSSでしたが。 みなさんのおっしゃるとおり、マターリでいきたいです。 それでは。
842さん、投下おつかれさまです。 いつも、どきどきわくわくしながら読ませていただきました。 これからのお話も楽しみにしてます。
のだめ最終回、乙です。
ブラボー!!!842さん!!長編乙でした!! 感動をアリガトです!! 是非ともまた素敵なお話を投下、宜しくお願いします!! 他の職人様方もお待ちしてマース!!!
わーいハッピーエンドだったーい。 だけど、すみません、私の中ではシュトレーゼマン萌えですっ! (と書きながら頭の中では「ミルヒー」ってつぶやいてる…)
>842サマ GJGJGJ-!!感動しました、やっぱ上手いですねぇ! 最後まで読めて良かった…ありがとうございました。 楽しみにしてお待ちしていますので是非とも次作を!!
ここって、絵師はいないのかね?
415 :
名無しさん@ピンキー :05/03/02 00:32:54 ID:ZzaFNmpd
842さん、素晴らしかったです!感動しました! ハッピーエンドなうえに、例のプロポーズのシーンが想像以上に萌えました! はー幸せです……。 ありがとうございました!
誰か、神にリクエスト☆ 千秋におねだりされて、フェラするのだめ希望。 のだめ視点のやつで。 >842さん GJでした!最後、かなり感動でした! ホント、次回作も楽しみにしています! また、降りてこられるのお待ちしてます☆
>842氏、正直感動を受けました。 いやあ巧い人っているもんですねぇ。 簡潔でありながら各シーンがよく受け止められました。
くろきん×のだめを最後まで見たい(;´Д`) 原作のイメージが崩れると前スレの神が気にしていたけど、 原作で見れないからこそ見てみたい。 のだめ好きな人が書く時点でイメージを崩そうという気持ちは 働いていないわけだし、好きだからこその配慮はよくわかるし (;´Д`)ハァハァ
くろきん、指入れまでなら なにかが崩れることもないな。 千秋もそれくらい許してくれないかな?
くろきん、のだめを襲う→挿入前に果てる でどうか
それではくろきんがあまりにもハシリスギぽ。
くろきんは童貞ぽいしいいじゃね?
高校生のときに自然消滅した彼女とかいそう<くろきん 好意を持ったのも彼女のほうからとかで。 で、自分から行動を起こしたのはのだめが初めて、と。
>423 ぽいよね、それ。 くろきん、いつもは冷静ぽいけど キレるとスゴイことしそうじゃない?
くろきん大好きだから、どうせなら最後までさせてあげたい。 あくまでパラレル設定ということならいいのでは? なんか萌えシチュとかないかなー。
やったつもりだったがあまりにも興奮し先走りすぎて スマタだったというオチで。 それだったら千秋への申し訳も立つけどへたれすぎ…?
どちみち、千秋は独占欲が強そうだからのだめにちょっとでも触れたら 平静を装っても内心はイライラしてそう。 そんな千秋なら寸止めどころかキス止まりでも激怒しそうなので、 どうせなら最後までするのが見たいな。 最悪夢オチとかでもいいから。
萌えシチュ… 所用でフランスに着たけど手違いで宿無しのくろきん。 そこで偶然のだめに再会。自分のアパルトメントに泊めてあげるのだめ。 まるで警戒心なし。千秋は公演で留守中。 後日のだめがふたりの?部屋にくろきんを通したことを知って やきもちやくのキボン。
前スレにもあったけど、千秋の浮気?みたいなのがあって、 黒木に泣きながら相談にのってもらう内に、黒木の優しさを知って、 嫉妬した千秋に暴言を吐かれたのをきっかけにそのまま黒木の元へ……じゃだめかな?
最後は夢だったオチで済ますのが一番後味が良かったりして。 千秋の留守中のだめの部屋に通されて、 最後までことに及んでしまう(しかもそうとうエロイ)けど、 実は途中からは酒が入ってあれは夢でした。とか。 パラレルであっても、のだめが千秋もくろきんもっていうのは 萌えられないので…個人の問題ですが。
たしかに、千秋が過去はともかく、今他の女と……は萌えないし、 夢オチが一番いいのかな。 でも、やっぱり見たいw
うーん。 のだめが浮気するのは勘弁だな。萌えない。 やっぱ夢オチがいいかも。
千秋と違ってヘタなくろきんが萌えるな! でも一生懸命。 で、夢オチ。
「僕、初めてだからヘタだけど……ごめん」 「そんなことないデスよ。とっても気持ちいいです」 確かに萌えますな。 でも、夢オチ。 なんか可哀想……。
いやーむしろ夢オチこそ見たくなってきたよw
夢オチ(・∀・)イイ! 何故かくろきんに相応しく思えてきたよw パラレルより現実に近いしね。 夢オチじゃないなら 挿入手前でビビるくろきんでもよくなってきた(;´Д`)ハァハァ >千秋との違い 千秋は指技が得意でくろきんは口技が得意とk・・・_| ̄|○
もういっそのこと3人で、とかどうですか。 夢オチで。
いっそのことSオケ全員で
R☆Sの方でしたな、スマソ
秋におねだりされて、フェラするのだめ漏れも希望(´д`*)
我慢できず顔or胸にかけちゃう千秋キボン。 そして超慌てるヘタレ千秋キボン。
R☆Sオケ全員でとかいいだしたら、 真澄ちゃんと高橋君に挟まれて 千秋が貞操の危機です(801嫌)
801にスレはあるのかな。 探してきます。
あったら嫌だな……
王道は千秋×峰あたりか……あるいはそのリバースか…… ミルヒ×千秋とか? うわー、やだねー。 もとは801書きだったけど、のだめだけはダメだなあ。
私ものだめで801はやだなあ。 千秋と他の女っていうのもダメだし。 のだめとくろきんはかなり萌えるけど、やっぱりのだめと千秋が一番かな。
エロパロものだめだけはダメって人も勿論 いるんだろうし。ダメな人も大丈夫な人も色々だけど。 ここではちらほら801な話題も出ているから、 何でもいい寛容な人も少なくはないっぽい? と思ってる。 スレ違いの配慮は必要だから、 エロパロで(;´Д`)ハァハァが基本だけどね。 食いまくり菊池伝説とか読みたいw
あれ、前スレではそんなに801嫌っていう人は 見なかったのに・・・住人が変わったのかな? まあエロパロで色々なものに萌えていきましょう。 自分の1番ものだめと千秋だけど、 エロパロスレならではの妄想&萌え雑食を楽しみたいんで 何でも(;´Д`)ハァハァして読ませて頂きますよ、神様方。
のだめに迫る松田さまと、やきもちを焼く千秋を激しくみたいな。
のだめ×くろきん のだめ×松田さま のだめ×ユンロン は、需要ありますか? やぱり夢オチじゃないとダメかな?
>450 キタキタキタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!! 夢オチじゃなくても全然余裕で需要があります! っつかのだめ総攻めなラインナップにハゲワラタww
452 :
450 :05/03/03 02:52:07 ID:/boOkChB
いや、まだ全然手をつけてないんですがw 先に雛鳥のだめでチアノダを書きたいのですが、そのうちクロノダで夢オチで すんごいエロいのを書きたいなあと思ってます。 筆が遅いのでいつになるかはわかりませんが……。
ゆっくりのんびり楽しみにさせて頂きますー ご無理なさらず書きたいものからどうぞです! 期待age!!(∩´∀`)∩
454 :
名無しさん@スリーピー :05/03/03 21:32:56 ID:MWRhiDPt
保守
誰か神様!おりてきて〜☆
もしももしも、ムシュー長田が二人のギシアンを聞いたら、 どんな抽象画を描くんだろう。やっぱりピンク?
発情した孔雀と餓えた雛4匹のバトル・・・
筆をおるとおもふ。
459 :
けろりん :05/03/04 02:38:26 ID:Kg7NIifo
萌えシチュがいろいろ挙げられてるのにまったく無視してなんですが、 勢いでひとつ投下していいでしょうか。 前回の峰&清良登場の続編です。 またエロなしです、すいませーん。
460 :
けろりん :05/03/04 02:41:08 ID:Kg7NIifo
『ガールズトーク&ボーイズトーク』 ■1 峰と清良がいきなりパリへやって来て、千秋の部屋を占領した日。 峰のペースに久々に巻き込まれ、目眩がしそうになったが、ようやく帰ってくれる日が 明日となった。 「いやー、もう明日帰るかと思うとつまんねーなー」 「こっちはホッとするよ」 千秋は今日も夕食担当となり、エプロンをしたまま皿の後片付けを終えたところだ。 「まあそんなつれねーこと言うなって。せっかく久々に会えたんだしー」 「俺は会いたくなかったよ…じゃあな、おやすみ」 千秋とのだめが隣室へ帰ろうとしたとき、清良が突然こう言い出した。 「ねえねえ龍、今夜わたしのだめちゃんとこに泊まるから! 最後の日だから思う存分女同士のおしゃべりしようと思って」 峰は、そんな清良の提案に不満があるようだ。千秋も同様。 「え、えーーー!?清良、そんなぁ、せっかく……」 「ちょっと待て、おまえらは1つのベッドでいいだろけど、俺はゴメンだぞ!」 しかし、そんな抗議の声も、女達の前にあえなく敗北して。 「龍たちは千秋くんの部屋に泊まればいいじゃない。こっちならソファがあるし。 私とのだめちゃんが隣で。じゃあおやすみなさい、明日の朝ねー!」 千秋の部屋に残された男性陣は、なぜ突然こうなったのか理解できないまま、 とりあえずは、仕方ないから飲むか、とバーボンを酌み交わし始めた。 「……峰、おまえら何かあったのか…?」 「別にねえよ……ただ単にのだめと話したかったんだろ」 峰は自分のグラスに氷を足し、少し不安げな口調でこう言った。 「……女同士のおしゃべりっていうと、やっぱ…アレかな……」 「アレだろうどうせ……」
461 :
けろりん :05/03/04 02:42:05 ID:Kg7NIifo
■2 男同士が、女同士が、旅行で枕を並べて話すとしたら、アレしかない。 恋の話。 いや恋の話で終わるのはガキのすることだ。 ここはやっぱり……アレ、だろう。 「……じゃあ千秋、オレたちもせっかくだから男同士のおしゃべりを」 「しねえ!!」 千秋はキッパリと言い放つ。なんで峰に自分とのだめのコトを話さなくては ならないのか。そんなことするくらいならセーヌ川をパンツ1枚で泳ぐ方がマシだ、 と千秋は思った。 「ちぇーっ、ケチー!いいじゃねーか、オレすげー興味あんだぜ、 お前がどうやってあの変わり者ののだめとつき合ってんのか」 「ほっとけ!絶対何も話さねーぞ!」 「分かった。……じゃあオレの相談に乗ってくれ!」 峰は語り始めた。 「オレ、実はな……女とつき合ったことは何人かあるんだが、清良みたいに 誰から見ても美人、っていう女とつき合うのって、初めてなんだ…… いつも、正直ルックスは並って女ばっかりで……。 千秋は、のだめだってマニアックだけどかわいいし、前は多賀谷とつき合ってたし、 どーせその前だって美人ばっかりだったんだろ?千秋様ー、とか呼ばれて。 ……だから、教えてくれ!いい女を飽きさせないベッドテクってのは、どんなのなんだ!?」 バーボンをこぼさんばかりにコップを机に叩き付ける峰に、千秋は後ずさった。 そんなに悩んでいたのか、こいつ? 「そんなの知らねーよ!満足させりゃそれでいいンじゃねーの?」 「だから、どうやったら満足させられるのかを知りたいんだって!」 峰は早くも酔い始めているようだ。 ため息。どうして俺の周りには、こう変わった奴ばかり集まるんだろう。 千秋は自分もかなりマニアックだということに気付いていない。 そして、自分も少し酔っていたことにも。
462 :
けろりん :05/03/04 02:43:10 ID:Kg7NIifo
■3 「……とりあえず、てっとり早いのはキスが上手いことだろ、きっと……」 「キスか!どうすんだ!?」 峰は目をすわらせながら、身を乗り出した。 「……言っとくが、あくまでも一般論だからな!」 *** 「……ふむふむ、なるほど、そうか。けどそうすると、のだめはどう反応すんだ?」 「だから、話さねえって言ってるだろ!」 「お前も律儀だなー、つまんねーの。分かったよ聞かねーよ。 じゃあそうしといて、次はすかさず胸を……」 「早いって。キスだけでもっと時間かけてみろよ。キスするだけじゃなくって、 髪とか首筋とか耳とか背中とか、いろんなとこ触りながら。 たまに唇から離れて鼻先とかまぶたにキスするのを挟んだりとか…… 焦らすようにすれば、きっと燃えるンだよ女は」 …どうして俺はこんな話を峰にしているんだ……。 ようやく千秋も後悔しはじめる。しかし酒の力には負けている。 峰は感じ入ったようで、千秋の手を両手で握り始めた。 「千秋、お前はっやりすげーなー!どこでそういうの覚えるんだよ。雑誌とか見るのか?」 「見ねえ、経験だ経験!見るのはおまえだろ、いつも勝手に雑誌とかAVとか人んちに 置いて行きやがって。処分すんの大変なんだからな!」 「あとは?ほら、体位とかはどうだ!松葉ナントカとか!」 ……もう、助けてくれ……。
463 :
けろりん :05/03/04 02:45:17 ID:Kg7NIifo
■4 その頃の女性陣。 「のだめちゃん、胸大きいよね……」 改めてワインを開けて、いちど乾杯。 それからパジャマに着替えるのだめをチラリと見て、清良はため息をついた。 「そーデスか?一応Dカップですけど……清良さんはBカップでしたっけ?」 「当たり!すごーい、なんで分かるのー?」 「千秋先輩が言ってましたヨ」 「!?ち、千秋くん、なんでそんなコト……」 千秋といえば、クールでシビアな指揮者。指揮棒を折るほどの厳しい指導は忘れない。 そんな千秋が、なぜ自分のカップの大きさを知っているのか!? 清良は思わず自分の胸を押さえた。 「センパイ、おっぱい星人なんですよ。だから女の子のムネのチェックは、 たとえ峰くんの彼女でも、怠りないと思います」 「へぇぇ、意外〜…。あんなクールそうなのに、案外……なんだ」 「そーデスよ!全然クールじゃありまセン!」 クールじゃない、とのだめはワインを注ぎながら言う。 それは、清良には納得いく話ではあった。 こののだめという女の子自体、千秋の彼女だと知ったときには意外だったことを思い出す。 クールビューティ系がお似合いかな、と思っていたのだが、峰や真澄から話を聞き、 そして実際会ったところ、千秋という男から想像していたのはかなり違うタイプの、 かわいい、個性的な女の子だった。 それはそれで好ましい2人だな、と清良は思う。 のだめと一緒の千秋は、醸し出す雰囲気が、今まで知っていたものと違う、 とてもほほえましいものだったから。
464 :
けろりん :05/03/04 02:47:33 ID:Kg7NIifo
■5 「じゃあ、のだめちゃんがグラマーで千秋くんは嬉しいよね。……龍は、どうなんだろう。 男の人って、胸、大きいほうがやっぱり好きなのかなあ」 「どうなんでしょうね?好きなヒトなら関係ないんじゃないデスか? Bカップ上等じゃないですか!のだめはそのくらいのが好きです!」 清良は悩んでいた。 峰は、べつにグラマーが好きだとは、自分には言わない。 けれど先日、彼の部屋で見つけてしまったAVの数々は、ことごとく巨乳ものだった。 胸の大きいのだめに、一度意見を聞いてみたいとそのときから密かに思っていたのだ。 「ほら、AVだと、胸で挟んじゃったりするじゃない。あれ男の人は嬉しいんじゃないの?」 「あー、あれ。けど視覚上の問題だけみたいですヨ、見て楽しいみたいデスね。 先輩は、特に気持ちが良いわけじゃないって言ってました」 「そうなんだ!……じゃあ、何がいいんだろ、胸が大きいと。触り心地とかなのかな」 「ああ、そうかもしれないデスね。触るのは好きみたいだから。 もうずーーーっと触ってますよ。見るのも好きみたいデス。 あとはー、キスですかねー。先輩、のだめがしゃべってると照れちゃって、 絶対キスして口ふさぐんですヨー。それからー……」 どんなに酔っても、のだめに関しては絶対話さない千秋。 酒に弱いとはいえ、一般論でしか訊かれていないのに、千秋のコトばっかり話すのだめ。 そして夜は更けていく……。 <FIN>
465 :
けろりん :05/03/04 02:52:16 ID:Kg7NIifo
以上です。 勢いです、勢い。くだらない会話でスミマセン。 千秋、こーゆー話を同世代としたことってないんじゃないかな、と思い ちょっと書いてみました。 次は松田さん書けるといいな、と思いつつ。
けろりんさんGJ!! もー、笑いながら読ませて頂きました。 楽しすぎるw もっと聞きたいくらいですよ! のだめはそれ以上どこまでしゃべったんだろう。 翌朝から、清良の千秋に対する態度が変わりそうだよw 松田さん、お待ちしております★
けろりんさん、最高でした! 夜中なのに、パソまで笑いを堪えるのが大変でしたw 本当に原作の2人がそのまましゃべってるみたいでしたよ。 確かにこの4人ならそんな感じで納得ですね。 松田さん、ぜひぜひお待ちしてますよー! ヤキモチ千秋が激しく見たいです。
やっぱりけろりんさんの小説好きだー!イイヨイイヨー 次回作が楽しみです!
くぅぅ、リアルタイムで読めなかったのが残念です…激しくGJ!
激しくGJ! こういうの大好きです!!
すごっ。めちゃおもしろかったです。 読みながらニヤニヤする自分が・・。 ラストの対照的な千秋とのだめの文に笑いました。 のだめのことを絶対話さない千秋と千秋のことばっか 話すのだめ萌え!峰清良もイイ!
わろたー! けろりんさんGJ!!
誰か。 前ののだめSSとか 色んなSSの倉庫ってどこにあるんですか?
倉庫はないですが、 >1の、のだめカンタービレ・2chの過去ログ保管倉庫に前スレがすべて載っていますので そちらをご覧になるとよいかと思います。
>474さん ありがとうございます!
リアルのだめも妄想してるらしい。 ダヴィンチに書いてあるよ。 妄想内容が激しく知りたい・・・・
うわなんですかここ! 初めてきましたが超イケてるぢゃないですか! 都合上単行本借りて読んでる組としては たまに見た本誌で、二人が手繋いだくらいでキタ━━━━(゜∀゜)━━━━!! だったのに、神々のもうあれやこれやのなさりように 激しく萌え━━━━щ(゜Д゜щ)━━━━ぃ!!ですよ。 やっぱ甘えん坊絶倫俺様千秋最強ですね(*´∀`) 部屋ではもちろん、お風呂でしょ、外でしょ、楽屋でしょ あとどこがありますかねー。
色々、萌えシチュや体位や場所とか、リク出してもらうと書きやすいので、 どんどん書き込んでくれると嬉しいです。 参考にさせてもらいますので。
千秋の初エッチとか
千秋がのだめにガンシャとかキボン。(変態)
千秋がのだめ以外の女と……は私はダメかな。 未遂はともかく。
いいカンジで酔っちゃったふたりがうへへうへへへへなカンジで のだめはいつもより支離滅裂で千秋に至ってはいつもよりさらに さびしがりで甘あまなのを希望。 オレ様<さびしがりくらいの比率で。 場所はダイニングテーブルとかキッチンでやっちゃうか? (酔った勢いでならのだめまるごとはちみつ漬けごっことかできるでしょ?) 明日から千秋は演奏旅行で3ヶ月くらい離ればなれ、 その前夜みたいなシチュエーション。 一晩中の情事で寝不足だけど、飛行機で移動中 寝てやり過ごせるから丁度いいやってオチで。
>482さんのネタのお話読んでみたい〜w 職人の皆様、お願いします!!
>482 それ、いいなぁ。書いてみようかなあ。 けどここまで具体的だと、482さん書けるのでは?ムリ?
482ですが、具体的な妄想は出来ても具体的な文章にするのは難しいです。 創作やったことないので…(かなり日にちをとりそう) 興味を持った職人さんに弄っていただければ幸いです。 酔った勢いで激エロSでのだめを責めたり、 暫くの別離を思って寂しがり甘えん坊になったり、 遊び心でのだめをまるごとはちみつ漬けにして味見してしまうような 支離滅裂な千秋を希望。そしてのだめには微かな恥じらいを希望。 わがままばかりですいません。
楽屋で…っていうのもいいな。 指揮者用の楽屋はシャワーとかあるし。 声を殺して…っての。 どうかなあ?
軽い拘束プレイと、千秋による言葉責めは書こうかな〜と思ってるネタ。 しかし、皆の妄想すごいなあ。禿萌だw 素敵すぎるよ、ここの住人w
クロキンは好きだけど のだめと本当にやっちゃうのはまじでキモイから やるなら夢オチでたのむ。
はじめから、これ絶対夢だ、って わかっちゃうような夢オチでもオケ?
>489 オケー。 クロキンには悪いけど。 まじでクロノダになっちゃうSSはいやなんだよな。 のだめがただの女になっちゃって。のだめが嫌いになる。 だからクロキンには報われない愛の人であってほしい。 それでこそクロキン。
千秋の言葉責め(´Д`*)ハァハァ
>>487 ぜひ読みたいです。指揮してる時の千秋、
ってエロすぎ。このスレでも何回か出てきたけど
あの手、絶対やらしーってw
では、松田氏(難航中)の前に、くろきん夢オチ行きます。
『すずらんのような彼女』 ■1 すずらんの花のような、恵ちゃん。 清楚で、可憐で…… 僕の大好きな。 「どうして、……どうして泣いているの?千秋くんは?」 「センパイのことは言わないでくだサイ……」 「なにか、あったのかい?」 「……いいデスから」 「恵ちゃん………」 僕が彼女の頬に触れると、小さな体をビクッと震わせた。 うつむいていた顔を上げると、その目には涙が浮かんでいる。 「キスしてもいい?」 僕は、そっと彼女に唇を寄せた。触れる刹那、まるで電流が走ったように、 僕の体を火花が走り抜ける。 柔らかい、女の子の唇。 まるでマシュマロのような。 大学1年のとき、学内のオケで知り合ったフルート専攻の1学年上の先輩から 申し込まれて、付き合ったことがある。それが僕の初めての女性。 楽しかったし、それなりにいろいろ経験したけれど、彼女が留学準備に 入った頃からだんだん会わなくなり、自然消滅してしまった。 もともと何が何でも彼女が欲しいなんて思ったことがないし、 合コンなんて興味がなかったので、それ以来彼女はいない。
494 :
けろりん :05/03/06 17:25:17 ID:Nbe+eh7C
■2 恵ちゃんに初めて会ったとき、自分の周りの風景が突然、色が付いたように思えた。 もっとも、その時は、彼女が千秋くんのことが好きだとは気付かなかったので、 あんな失敗をしでかしてしまったのだけれど……。 それでも僕は誰のことを悪いとも思わない。 千秋くんの忠告を聞かなかった僕も悪いんだし、結局は自分の責任なのだから。 それに、あの体験は、僕の音楽にひとつ大きなものを残したと思っている。 彼等が2人で一緒にパリへ旅立つと聞いたときは、すこし動揺した。 なぜなら僕もパリへ行くつもりだったから。 ひと回り大きくなって、またいつの日か恵ちゃんに僕の音楽を聴いてもらえれば。 未練とは言いたくないが、そんな思いもかすかにあったので、みんなには行き先は 内緒にしておいたが、偶然、このパリで、彼女に出会ってしまった。 そしてその彼女は泣いていた。 「……千秋くんは、優しい? 彼より、僕のほうがずっと、君を大切にできると思ってる」 そう言うと、彼女は僕に抱きついて、胸に顔をうずめた。 ふわ、とシャンプーに香りがかすめる。 僕は自分の腕を彼女の背中に回し、強く、強く抱きしめると、 今度は彼女から、僕の唇を求めてきた。さきほどより強いキスを。 唇だけではなく、舌が割り込まれ、僕の口中を余すことなく味わっていく。 ……なんて気持ちがいいんだろう。 こんなキスは経験したことがない。 無音の室内で、僕達の唇が合わさり、離れる音だけが響く。まるで映画のようだ、 と思い、ますます頭の中が熱くなる。 すこしためらいながらも、ワンピースの上から、胸に触れる。柔らかい。 想像以上に弾力のある胸を、包み込むように触れると、彼女の甘い声が聞こえた。 「恵ちゃん、いいんだね…?」 うなづくのを確認して、背中のファスナーを下ろした。ぱさり、と床に落ちるワンピース。 下着だけになった彼女を抱きしめ、2人でベッドに倒れ込む。僕も自分の服を脱ぎ、下着だけになる。 「黒木くんは、優しいですよ、ネ……?」
■3 ブラジャーのホックをはずし、露になった胸をおずおずと触れた。 小ぶりで、だけど形の良い乳房。 自分の指が彼女の乳房に食い込むさまはエロティックで。 さらに、指で、乳首に触れると、その途端彼女が震えた。 「や……ん!」 首筋、乳房、乳首、と口付けをしながら、手のひらに吸い付くような白い肌全体を愛撫し、 下半身の繁みへと手を伸ばす。そこはもう、十分に潤っていて。 指を差し入れると、熱い液体がまとわりついた。こんなに濡れているなんて。 動かすと、すすり泣くような彼女の声が高まる。 ああ、僕も、もう……。 恵、ちゃん…… *** …………。 ……う。 「…………ぅ、あ。」 ……目が覚めた。 僕のアパートのベッドだった。もちろん彼女の姿はなく、1人きり。 夢か。 当然だ。 彼女は、千秋くんと、幸せに過ごしているんだから。 けれど、夢の中の彼女は、柔らかい唇も、小振りな胸も、白い肌も、僕のために捧げてくれて。 とてもーーーとても、魅力的で。 ………恵ちゃん。 僕はそう小さくつぶやき、堅くなっている下腹部に手を伸ばして、そのまま毛布の中に頭を埋めた。 もう、少しだけ、僕のために………。 ***
496 :
けろりん :05/03/06 17:28:25 ID:Nbe+eh7C
■4 …………。 ……う。 「…………ぅ、わーっ!!!」 ……目が覚めた。 「センパイ……!?嫌な夢でも見たんですか?飛行機系……?汗かいてマスよ」 「いや………もっとイヤな夢」 ほんとに、なんて…嫌な。 はーっ、と大きく息をつき、隣に寝ていたのだめを抱き寄せて、頭を自分の胸に乗せさせる。 ……一体、なんなんだ今の夢は。 黒木くんの…………あんなシーンを、なぜ俺が見なくてはいけない!? 「大丈夫デスか……?」 のだめがとても心配そうに、俺を下から見上げた。 「大丈夫じゃない。……キスして」 そう言って笑うと、のだめもちょっと安心したようで、俺に唇を重ねてきた。 ちゅ、とすぐ離れていきそうになったので、首に手を回し、逃げないようにして もう少し、とねだる。 「ん………」 深く、熱いキス。大きく口を開けて、唇と、口中全体を味わう。 何度も何度も、唇と、舌と…吸うように、絡めるように、撫でるように。 一瞬、さきほどの夢の黒木くんが浮かんだが、それよりものだめの「本物の」 唇の味わいの方が魅力的だったので、悪夢もすぐにかき消すことができた。
497 :
けろりん :05/03/06 17:29:13 ID:Nbe+eh7C
■5 「気分、直った……」 のだめが、よかったデス、と笑った。 「のだめ、おまえ黒木くんが今どこで何してるか、知ってるか?」 「黒木くん?ヨーロッパにいるっていう噂ですけど、知りませんよ。どうしてデスか?」 そうだよな、知らないよな。……あ、もうひとつ。 俺はひょい、とのだめの胸をいきなりわしづかみにした。 「ぎ、ぎゃぼ!センパイ、いきなり何するとデスか!」 「いや、Dカップ……だよな、もちろん」 「そうデスよ今さら!触るなら、もうちょっとムードある触り方してくだサイ!」 「ごめん、ちょっと確認したくて……」 夢の中に出て来たのだめの胸は、どう見てもBカップ程度の大きさだったから。 <FIN>
498 :
けろりん :05/03/06 17:31:00 ID:Nbe+eh7C
以上です。 萌えシチュ人気No.1のくろきん×のだめ夢オチ、 お目汚ししました。 「のだめの胸を小振りだと思い込んでる」とこが私的くろきんポイント。 そこがミルヒーや、おっぱい星人千秋とは違う。 くろきん視点なんて今まで考えたこともなかったのですが、 案外スラスラ出てきました。住人さんたちの具体的なリクのおかげですw イメージ違ったらごめんなさい。 だけど、やっぱり私が書いてて楽しいのは千秋サイドだったよー!
けろりんさん、相変わらず楽しいSS、GJです。 夢オチって、クロキンじゃなくて千秋かー!
GJ!けろりんさん。自分もくろきんには 悪いけどやっぱり千秋とのだめがいっしょのが 安心する〜。くろきん系のは色々と制約ついちゃって (のだめと実際にやるのはNG)大変だと思うけど よかったです。
501 :
けろりん :05/03/06 17:49:17 ID:Nbe+eh7C
あ、一応くろきんも同じ夢を見たってことで 双方夢オチのつもりです。 書いててちょっとかわいそうになってきました。 オナヌに走らせちゃったし。けど仕方ないよね、くろきん。 前作読んでくださった方々ありがとうございました。 松田氏は、なかなか難しくて。もう少々お待ちください。
けろりんさんGJ! エロあり、萌えあり、笑いありv 楽しませていただきましたー。
けろりんさん、すっごく面白かったです! 両方夢オチという展開が最高でした! すごく萌えましたよ。 松田さん、期待して待ってますね!
けろりんさん、今回も楽しかったです。 またのお越しをお待ちしています。
双方夢オチとは!一筋縄ではいかない面白い、そしてちゃんとエロい作風、 さすがけろりんさんですね! また楽しみにしています〜!
506 :
けろりん :05/03/07 00:49:43 ID:RIvNaYyN
みなさんのありがたいお言葉、感謝です。やる気でます。 そしてずっと言い続けてる松田さんの前に、 482さんのネタに着手してしまった… けど激エロSでのだめ責めって、私の作風では無謀だったかも…orz。
ぎゃあ!けろりんさん! 完成したらぜひぜひ!
482ですが、けろりんさんの作風でのびのびと書いて下さいませ。 けろりんさんの作風が大好きなので。 のんびりとお待ちしております。
自分もエロでもエロじゃない話でもけろりんさんの 作品大好きなんで楽しみにしてます。 ほんとに原作にありえそうな会話が気にいってます。
510 :
かえ :05/03/07 14:33:35 ID:3fgA11eE
けろりんさん、マジでGJでした〜。あんなふうに、上手くはいかないかも知れマセンが、千秋×のだめで一つ考えてマス! ユンロンにヤキモチ妬いちゃった千秋がのだめに… と、いう感じで。 ありふれてますけど、出来たら投下してみまっす。
511 :
かえ :05/03/07 17:49:01 ID:3fgA11eE
「ワイン、もう1本‥」 「ぎゃぼ!千秋先輩、6本目デスよ〜?そろそろやめた方が…ユンロンからも、言ってやってくだサイ」 「…のだめの料理がマズイから、千秋も飲むしかないんだヨ」「ムキャ―!」 「おにぎりとヒジキって、ターニャのダイエット食でも見た事ないヨ!」 ―…オレは、何をやっているんだ?2回目の演奏旅行が終わって、半年ぶりにのだめと会えたというのに。何ヶ月も待ち望んで‥二人きりで再会を味わうはずだったのに…… こんな感じで描いていきます。乱文&最初の予定から外れまくりの予感。お許し下さい〜…
とりあえず、下げましょうか…。
うん。 取りあえず、メモ帳とかに書きためて、投下する前に推敲してみようね。 改行も、大切だよ〜。
現在投下中の方はいらっしゃらないみたいなので、ちょっと失礼いたします。 最後まで一気にさせていただきますね。 千秋×のだめのエロです。
秘め事 ■■1 「じゃあ、2人はそっちの部屋…でいいかな? ベッド1つだけどいいよね?」 「充分だよな、千秋!」 「充分デス☆」 「……お前ら、うるさい…」 ここは音楽の都・ウィーン。 千秋の演奏旅行に休暇を利用して同行したのだめと、 久しぶりの再会に楽器を持って駆けつけた峰、そして、留学中の清良。 4人は、清良の下宿先で鍋パーティーを終えたところだった。 鍋パーティーとはいっても、そこはこの4人。 いつの間にか楽器を取り出し、即興のコンサートが開かれていたのだった。 「悪いな、清良」 「いいのよ、泊まってくれた方が楽しいし。どうせ部屋もベッドも余ってるし…」 ルームメイト募集中の清良の家は、一人で住むには広すぎて、 招待した清良の好意で、千秋たちは滞在先のホテルを引き払って宿を借りることになったのだ。 「シーツなんかはどうせお天気の良い日にまとめて洗っちゃうから、 気にせずに使ってくれて構わないからね。 それじゃあ、のだめちゃん、千秋くん、おやすみなさいー」 「清良さんどもありがとデス☆おやすみなさい〜」 にっこり微笑んで隣室に入る清良に、ワインで頬を染めたのだめが満面の笑みで手を振る。 「じゃな、…しっかし、お前らがな〜…ウププ、ま、良い夜を〜」 「シメるぞ」
■■2 清良に示された部屋は、峰たちの隣の部屋。 ちゃんと鍵もかかるし、新しくはないが綺麗に整えられた部屋。 アイボリーで統一された内装は、シンプルながらお洒落なものだった。 「ふおぉ…『赤毛のアン』みたいなお部屋デスね〜」 もの珍しそうに室内を見て回るのだめに、彼女と二人分の荷物を床に下ろすと、 千秋は、後ろ手で鍵を閉めた。 その頬は、のだめと同じく僅かに赤みがかっていて。 千秋は気付いていなかった。自分もまた、少々飲みすぎていたということに。 「のだめ」 千秋がその名を呼んで手招きすると、餌の時間の猫のように、のだめは笑顔で擦り寄ってくる。 4人で居るのも楽しかったけど、やっぱり2人きりは特別で。 のだめは千秋に促されるままに上目遣いで彼を見上げ、 千秋はそんなのだめの腰を抱き寄せ……唇を重ねた。 「んんっ……」 甘く喉を鳴らすのだめの両腕は、自然に千秋の首にまわされる。 のだめは少し背伸びをして、千秋は少し背を屈めて。 そうして千秋は、長くのだめを離さなかった。 ……やっと千秋が解放すると、のだめはフラフラとよろめいて、千秋の胸に顔を押し付けた。 「…おい、どうした?」 その柔らかな髪を撫でてやると、のだめは「アヘー」といつもの奇声を発する。 ……少し濃厚なキスをすると、今更なのに、すぐこれだ。 千秋は苦笑しながら、のだめを抱きしめ、その頭をそっと抱えた。 「大丈夫か?しっかりしろよ、…ったく……」 千秋がのだめの顔を上向かせると、そのままのだめは数歩下がって壁に寄りかかった。 「ちょっと、飲みすぎたみたいデスよ……」 「…ちょっとじゃねーだろーが……」 言いながら、思わず千秋はのだめの顔に釘付けになる。
■■3 のだめの瞳はとろんと霞がかっていて。 アルコールのせいで上気した頬は薄くピンクがかっていて、 唇はもう真っ赤だった。 のだめは明らかに酔っていた。 「センパイ」 のだめは上目遣いで千秋を見つめると、ワンピースのボタンに手をかける。 「…おい……」 1つずつ、ゆっくりと。千秋はその手つきと彼女の表情から目が離せない。 そして3つめまで開けたところで、のだめは壁にしなだれかかり、 露わになったキャミソールとブラの肩紐を、つい、と引っ張って見せた。 千秋もまた、そうと自覚がないままに酔っていた。 そんなのだめに誘われるように歩み寄り、その肩口へと唇を落とす。 「…っん……」 のだめが目をつむって鼻にかかった声を上げると、 それが合図のように、千秋の唇は鎖骨をなぞり、細い首筋へと辿ってゆく。 そんな千秋のキスを受けながら、のだめは、アハ、と緩みきった笑みを零した。 「……お色気作戦デスー。先輩ムラムラきましたか〜?」 冗談めかして微笑んで、再びワンピースのボタンを掛け直そうとするのだめだったが。 千秋の大きな手が、その手を取って制止した。 「…先輩?」 「もう遅い」 千秋はくぐもった声で言うと、のだめの手を壁に押し付けて、 その首筋から耳から、余すことなくキスを落としてゆく。 その唇の熱さに、のだめはハッっと我に返ったが。 「先輩……?」 千秋は無言の内にアワアワと焦るのだめのボタンを片手で全て外すと、 少し強引に、そのワンピースから腕を抜かせる。 パサリ、と軽い音を立てて床に落ちる、白いワンピース。
■■4 あっと言う間に下着姿にさせられてしまったのだめは、今更ながら蒼くなった。 何しろここは人の、清良の家。 しかも峰と清良は、すぐ隣の部屋に居るのだ。 「…先輩……じょ、冗談デスよ…?…ッぁ……」 しかし千秋は手を休めることなく、ブラをずり上げて、 露わになったのだめのふくらみを撫で上げた。 「シャレになんねーんだよ、もう、オレたちは」 …オレたちっていうより、オレは、の方が合ってるかな…。 頭の中でぼんやりと訂正する千秋だが、その手はもう止まらない。 のだめの両の胸は完全にブラから露わにされ、 千秋の愛撫によって、その突端は既に硬く存在を主張している。 「…せ、センパイ…だ、だめデスよ……ここ、清良さんのお家……」 「じゃあおとなしくしてるんだな。…声、出したら聞こえるぞ」 千秋のその言葉に、のだめはビクリと身体を震わせた。 「…ま、まさか先輩、本気デスカ……?」 柔らかく身体をまさぐる千秋の掌から逃げようとのだめは後ずさるが、もとより背後は壁。 逃げ場を失って、すっかり千秋に、壁に押し付けられるような格好になってしまう。 「…お前が悪い」 ……自覚ナシに、このオレを誘う真似事なんかするから……。 千秋の手は、くびれを伝って、下着をつけたままののだめの腰へ。 「…だ、だって、隣に……ゃんっ……」 躊躇なく下着から割り入れられた千秋の指先は、 最初、優しく撫でるように。 そのうち、段々と急き立てられるように、のだめの柔らかい部分をまさぐっていく。 そうして初めて、のだめは、彼に火をつけてしまったことに気付いた。 千秋はのだめに深く口付けてその声を封じながら、徐々に潤ってくるその部分を、 暴くように、焦らすように、こねていく。
■■5 壁を一枚隔てた隣に、峰たちが居る。 それは、リアルな切迫感を伴った、この上ないスリルだった。 声は出せない。 もし声が出てしまったら、今自分たちが何をしているかがバレてしまうから。 つい先ほどまで楽しく談笑していた仲間たちに、 自分たちが裸になって、いやらしいところをくっつけて、 卑猥な気持ちよさに我を忘れて求め合っていることがバレてしまう… それどころか、もし不審に思われて様子でも見に来られたら…と、考えるだけでも恐ろしい。 …恐ろしいのに、それは圧倒的に淫猥さがあって。 絶対見られたくない筈なのに、見られたらどうなってしまうんだろう、 峰たちはどう反応するのだろう、と思うと…… 千秋は、卑しい快感が高まってくるのを感じた。 天然でおかしなことばっかりするのだめの胸が実はこんなに豊満で、 意外にくびれた腰と滑らかな白い肌が、こんなにもいやらしいこと。 そして、官能に屈する表情の色っぽいこと。 そんな彼女の身体を、彼女の心ごと好きにして、めちゃくちゃにしている千秋。 彼女を激しく求めて肉欲に負けている千秋。 ……こんな痴態を、誰かに見られてしまうかもしれないなんて。 しかもそれが、親しい友人の峰と清良だなんて……。 酔いは、いつの間にか醒めていた。この代わりに千秋は、どんどんのだめに酔っていく。 千秋は倒錯しきった思いで、腕の中ののだめの柔らかい身体をまさぐり続ける。 彼女が声を必死に抑えようとしている、その苦しげな表情に益々煽られながら。 そして、今この状況に高ぶっているのは、千秋だけではなかった。
■■6 初めはただの冗談のつもりだったのに。 のだめは、千秋が濃厚なキスを求め、激しく舌を差し入れてきた時から、 こんなことになるのではないかと危惧……少しだけ、期待、してしまっていた。 アルコールで上気した頬は、千秋によって与えられる、別の熱にすり変わっていく。 隣の部屋には、友人たちが居るのに。 それでも、千秋の唇が、舌が、彼女に植えつけた官能に火をつけるから…… 衣服を全て剥かれ、こんな近くに峰や清良が居る場所で、全ての肌を蛍光灯の光の元に晒してしまうなんて。 そのあまりの羞恥に、のだめは、身体を震わせた。 ……しかし。 いつもよりも激しい口付け、執拗な愛撫、そして少しの意地悪をする千秋に、 のだめはくらくらと眩暈がするようだった。 意識が飛びそうな快感なのに、声を出してはいけない。 行き場を失った快感はのだめの中に篭り、内側から追い立てられるように、官能がどんどん高まってゆく。 のだめの身体は少しでも千秋から逃げようと、幼子のような頼りない抵抗を繰り返す。 彼が、自分を決して逃がさないとわかっていながら。 籠の中、まさに追い詰められた小鳥だった。 彼の端正な顔立ちに淫靡な色が添えられて、一層美しく、見える。 その彼に追い詰められたら、元より逃げるなんて不可能だ。 彼の大きな手は、長い指は、残酷なほどの快感をのだめに与え続ける。 声を、出したい。 気持ち良いこの官能を、思い切り漏らしてしまいたい。 けれどそれは不可能で。 のだめは、くぐもった声を喉の奥に押し込める。 何故と考えるまでもなく、隣に峰くんたちがいるんだから、と呪文のように頭の中で繰り返すのだめ。 千秋の愛撫は、いつもより執拗で、濃厚で… のだめはいつの間にか、足を軽く開き、腰を僅かに揺らしてしまっていた。 ……すると、ふいに、千秋の身体が離れた。
■■7 「……のだめ、声…、我慢できるか?」 いつの間にか二人とも床にくずおれていて。 のだめが目を開けると、千秋は彼女から身を起こし、立て膝でハァハァと、 押し殺した…しかし荒い息をついていた。 欲しい。…欲しい、もう……我慢なんてできない………… のだめは千秋の真意を察して、無我夢中で首を縦に振った。 ……声?声なんて、もうどうでもいい。 我慢できなかったら……その時は、もうどうとでもなれ、デス。 のだめは、もうとにかく、千秋が、欲しくてたまらなかった。 そして千秋は、のだめが頷いた時にはもう、自分の衣服に手をかけていた。 立ち上がってズボンから足を抜いて、乱雑に、しかし静かに放る。 そしてぐったりとしたのだめの身体をベッドに運んで横たえてから、 すっかり窮屈になってしまったボクサーパンツから足を引き抜き、鞄の中から取り出したゴムを嵌めた。 千秋は、組み敷いたのだめの身体に覆いかぶさるようにして、自身を宛てがう。 膣口に軽く触れただけでのだめの身体がビクリと震え、僅かに発声のある吐息が漏れる。 「口、閉じてろよ…」 千秋は片手を自身に添えると、くぷり、とねじ込んだ。 「……ッ!!」 途端に首にまわされたのだめの腕に力が篭り、 押し殺した、喉の奥から絞り出されたかのような僅かな声が漏れた。 そして千秋自身もまた、その拷問のような快感に眉をしかめながら、 朦朧とする意識をなんとか振り払おうとする。 とろとろに溶けたのだめの膣内は、びっくりするほど熱くてキツい。 絡みついて締め付ける襞、グチョグチョと粘着性のある音を響かせる、溢れかえった蜜。 千秋はのだめの頬に手を宛て、その表情を食い入るように見つめた。
■■8 眉は寄せられ、目は閉じられ、出せない嬌声を堪えるように、 呼吸すらままならないのだめの表情。 それは苦しんでいるとしか形容できない表情なのに、 千秋には、彼女が今猛烈な快感に蝕まれているのだとはっきりとわかる。 そんな彼女の表情と、柔らかさを以って間断なく強く締め付けてくる熱い膣内に誘われるように、 千秋は腰を進めてゆく。 ズブリ、ズブリ、と その一瞬一瞬を迎えるたびに千秋は低い呻きを必死で堪え、 のだめは口を大きく開けて首をのけぞらせたまま、淫らに脚を広げて、更に奥まで千秋を迎え入れた。 …気持ち良すぎる…… 全部挿入しきると、千秋はすぐさま腰を引き、再び、今度は力強く押し込んだ。 のだめの身体がはねて、反動で、その目尻から一滴の涙が伝う。 繰り返し、繰り返し、鈍い水音をさせながら、千秋のモノがのだめを深くえぐり続ける。 のだめはひくひくと小刻みに身体を震わせては、苦しそうに顔を歪める。 歯を噛み締めて、喉の奥から、声にならない声を漏らす。 しかし、激しい律動で突き上げられるたびに、今にも鋭い嬌声を上げるかのごとく唇を開いてしまうのだ。 「のだめ……わかってるのか?お前、が、声上げたら、峰たちに聞こえるんだぞ……」 千秋は腰を打ちつけながら、のだめの耳元で、ごく小さな低い声でささやいた。 のだめはびくりと震え、そして、その今まで聞いたことが無いような 千秋の低い声と熱い吐息に、「……あ」、と小さく声を漏らす。 「…峰が、今入ってきたらどうなる……? 裸で、足開いてよがって…お前のこんな格好、あいつに見られるんだぞ?」 のだめはその千秋の言葉を拒否するように目をきつく閉ざし、顔を背けた。
■■9 もはや、もう何かを答えられるような余裕がないことくらい、千秋にも簡単に見て取れる。 しかし千秋は、のだめを責めることをやめるつもりは、さらさらなかった。 のだめを追い詰めるような意地悪を言うことで、自身の快感が一層高まっていくのを感じていたから。 そして、羞恥のあまり泣きそうな表情をしているのだめが、あまりにも可愛かったから。 グチャ、グチャ、といういやらしい水音と、パン、パン、という互いの摩擦音が部屋に響いている。 のだめは倒錯した意識の中で思った。 ……もし…峰くんたちに見られたりしたら…… 自分自身ですら直視できない程あられもない姿。 二人とも、裸で。のだめは大きく脚を開いて、千秋はそんなのだめに自身を差し込んでいて。 激しく律動して、快感のままに顔を歪ませて。 そんなところを峰に想像されてしまったら、ましてや見られてしまったら…… さすがののだめでも、恥ずかしくてもう顔を合わせられない、と思った。 だからのだめは、口許を押さえて嬌声を耐える。 しかし。 千秋は、そんなのだめの手をどけさせると、その頭上で抑えつけた。 「…ホラ、こんな格好。お前、犯されてるみたい。胸、峰に丸見えだぞ?」 のだめは泣きそうな表情で首を左右に振る。 「…センパイ……意地悪デス……」 こんなに恥ずかしいことを言われているのに、 どんどん気持ちよくなっていく自分が、なんだかとても淫らになった気がして。 意地悪に微笑んで耳を塞ぎたくなるような事を言う千秋が、とてもいやらしうてで。 それなのに、意地悪なことを言われて益々昂ぶっていく自分の身体と、 同じように、苦しくも気持ち良さそうな顔をしている千秋。 のだめは、怖いくらいの快感に、無我夢中で首を振ることしかできない……
■■10 のだめは涙をにじませて、千秋の与える快感に犯され、なすがままにされている。 抵抗もできずに、ただ、その身体を大きく開いて。 時折上がる微かな嬌声は、彼女が最大限に我慢した結果だとわかる。 なぜなら彼女の表情が、快楽の渦に巻き込まれて、苦しそうに恥ずかしそうに歪んでいるから。 …とても、綺麗だと思った。 のだめを追い詰め、意地悪なことを言えば言うほど、自身の征服欲が増してゆく。 ……もっと。もっと、こいつをめちゃくちゃにしてやりたい…! 千秋は間断なく腰を打ちつけながらも、 必死になって快感に耐えるのだめの白い首筋に吸い付くように唇を落としてから、 その豊かな胸に片手を這わせた。 「…ぁ……ッ」 のだめは一層強く目をつむり、身体を縮こませる。 それに伴って、膣内も更にキツく締められ、千秋の背が粟立った。 思わず達してしまいそうになる誘惑と必死に戦いながら、 千秋は、彼女の頭上でその両腕を拘束した左手に力を込めた。 そうして途切れることなく腰を強く押し込み、右手でのだめの胸を自在に揉みしだいていく。 クリームのように柔らかい乳房は千秋によって思うままに乱され、 その長い指先が、ピンク色に染まって堅くなった突端を掠めるたびに、のだめの背が勢いよくしなる。 千秋は、誘うように中空に向かって突き出された胸に、唇を寄せた。 柔らかいふくらみに、……堅い突起に。 「…ぁっ…やぁッ……!!」
■■11 「声出すなって……」 千秋は必死で快感に耐えるのだめの表情をちらりと見て、人知れず微笑むと、 再びその胸を食むように唇を落とし、突起にぐりぐりと押し付けては、舐め上げた。 そうしていつしか、千秋もまたきゅっと目をつむり、 腰と舌に全神経を集中させるように、一心不乱にのだめを暴いていく。 「…せ、センパ……」 のだめは、大きな胸を一層上下させて、やっとのことで目を開けた。 その間も、胸への愛撫と千秋の律動は止まらなくて。 ズン、ズン、と突き上げられるその気持ちよさ。 千秋が最中に目を瞑るのは、よほど昂ぶっている時だと、のだめは知っていた。 そして、眠る時のそれとは違う、この上なく色っぽい表情だということも。 セックスの最中の千秋は、それは美しい。 眉は高められた官能に苦しげに寄せられ、 すっとした鼻筋は、光を背にした千秋の頬に影絵のような陰影を生んでいる。 のだめはそんな千秋の表情にぼぅっと見とれながら、 その千秋が一心に自分を貪る、その幸せと快楽に酔いしれた。 そうして徐々にのだめの腰も、千秋の律動に合わせるかのように、前後に揺さぶられていく。 …つと、千秋の額から流れ落ちた汗が一滴、のだめの胸元に伝った。 「…センパイ、センパイ…センパイ……」 波打つ身体から搾り出すように、のだめはか細い声で、うわ言のようにその名を呼んだ。 そんなのだめの両腕の拘束を解くことなく、千秋は再びその耳に唇を寄せると、 舐め上げながらささやいた。
■■12 「…そんなに、峰たちに見られたい?いつもより、凄い…いつもよりずっと濡れてるぞ……」 「……ゃぁぁ………」 のだめは茶色がかった猫っ毛を汗で額に張り付かせながら、思い切り首をぶんぶんと振った。 そして、声にならない思いを、心の内で思い切り叫んでしまう。 ……いつもより感じてるのなんて、そんなこと、とっくにわかっているのに。 こんな、隣に峰くんたちが居るって思うだけで、こんなに気持ち良いなんて、変態みたいでイヤなのに。 先輩が意地悪を言ったり抑えつけたりするたびに、もっと、って思っちゃうなんて、恥ずかしいのに……!! のだめの目には、快感と羞恥からくる涙がにじんでいる。 「…なぁ、のだめ、答えろ…よ……やめるぞ……?」 言葉遣いはキツイに、その口調はどこか甘くて。 「や、やめちゃ、ヤ、デス……!!」 慌ててそう答えるのだめだが。 彼女と同じく、荒い息遣いの合間にとぎれとぎれにささやかれる千秋の声に、 のだめはどんどん頂点に押し上げられてゆく。 「じゃあ言えよ…お前、峰たちに…見られたいんだよな……?」 「…そ、そんなこと…思ってマセン……ゃ、ゃだ、恥ずかしい…!!」 千秋がのだめの片脚をガバリと開くと、のだめは泣きそうな声を上げた。 その言葉に合わせるように、彼女の膣内が一層千秋を締め付ける。 …恥ずかしい?こんなに恥ずかしいことをしてるのに、これ以上恥ずかしいことが? ……あるわけ、ない。 千秋はその締め付けに耐え切れずに、更に激しく腰を前後させた。 前後させながらもその最奥を突くたびに、グリグリと、まわすように、こねくりまわすように、 のだめの膣内を、身体中で思い切り味わう。 パン、パン、パン、と、卑猥な音が響き渡る。 両腕を拘束されているのだめは、迫り来る快感に流されまいと千秋に抱きつくことも叶わず、 声すら満足に上げられず、無防備な状態で一番深い、感じる部分を突き上げられる。
■■13 徐々に二人の熱い吐息が重なり、ある一点に向かって急激に集束を始める。 のだめの締め付けが一層強くなり、その身体が、ブルブルッっと震えた。 「……ゃあッ!!…だ、だめ!のだめもうダメデ…ス……ッ」 のだめが悲鳴のような鋭い声を上げると、千秋は慌ててその唇に自らのそれを重ね、塞いだ。 「…ん、ぐ、…んぅ……」 我慢できないほど上り詰めた快感からもたらされる嬌声を、 千秋の舌に舐め取られ、激しい口付けに更に翻弄されるのだめ。 一時の間口付けて、嬌声を封じ込めると共に心ゆくまでのだめの口内を味わった千秋は、 のだめの両腕を拘束したまま、もう片方の手でのだめを抱いた。 そうしてその耳に、甘い吐息と共に、ささやきかける。 「…の、のだめ、…名前で……呼んで…」 のだめは仕草でもう一度キスをねだると、同じように熱い吐息を漏らしながら、呼んだ。 「…しんいち、くん……?」 「……もっと……ッっく…」 のだめは、潤んだ目をぱっちりと開けて、揺り動かされて焦点が定まらない中で、 千秋の目をしっかりと見つめて、繰り返す。 「しんいちくん…しんいち、くん……しんいちくん………ッ!も、イっちゃ……!!」 「…ぅ…ぅ、く!!」 ビクンッとのだめが大きく震えて達すると、その容赦のない締め付けに、 千秋もまた果てた……
■■14 徐々に熱が引いてから、お互いTシャツとズボンという簡単な夜着に着替えて 寄り添ってベッドに横たわった。 そうして千秋はのだめの手首をそっとさすってやり、 千秋は申し訳なさそうにその手に唇を落とす。 「……悪い…。大丈夫か…?」 しかしのだめは、にっこりと微笑んで答えた。 「ダイジョブですヨ。それよりのだめは、…真一くんが、その…………」 頬を染めて毛布に頭までもぐりこみながら、千秋に背を向けるのだめ。 「なんだよ、はっきり言ってみろよ……」 のだめを後ろから抱きしめ、千秋は彼女を逃がさない。 そうしてその豊かな胸に手を乗せて、 セックスの時とは違う、穏やかな癒しを得るように、そっと揉んだ。 「…ぅうーん……。し、真一くんが……ちょっと意地悪で、すごくエッチで……」 「イヤだった?」 千秋はのだめを抱きしめながら、腕枕をしてやる格好で、優しく訊ねる。 勿論、胸を愛撫する手は止めずに。 「…イヤって言われても、なんていうか…さっきは、つい… でも…どうしてもイヤならなるべく…努力は……」 ごにょごにょと口ごもる千秋に笑みを零しながら、のだめは振り返った。 そして腕枕に頭を預けたまま、その胸に頬を摺り寄せる。 「…のだめ、ドキドキしました。…たまにはいいかな、とか… ……だって先輩、のだめいつもより……」 そこまで言うとのだめは恥ずかしそうに頬を染め、千秋の胸に顔を押し付けて小声でささやいた。 「…濡れてたんでショ……?」 その小鳥のようなささやきを聞き逃さず、千秋は優しく微笑むと、 恥ずかしがるのだめの顔を上げさせて、そっと口付けた。
■■15 何度交わしても飽き足らないといった風に、繰り返し…繰り返し。 「…あ、でも、のだめ…最後の方声抑えられなくて……だ、ダイジョブ…デスよね…?」 急に隣の部屋の存在を思い出したのだめが蒼くなって千秋に身体を寄せると、 千秋はその華奢な身体を抱きしめて、今度は頬に唇を落とした。 「…大丈夫だよ。仮にも音楽家の家なんだから、防音くらいしてあるだろ…」 そこまで言って、千秋は、あ、と口をつぐんだ。 目の前には、もしかしなくとも、頬を膨らませたのだめ。 「……先輩?確か先輩、散々言いましたよね… 『峰に聞こえる』って……、あれ、ウソだったんですか…ッ?!」 口を尖らせて真っ赤な顔をし精一杯抗議するのだめに、 苦笑しながらも、バツの悪そうな顔を視線を逸らす千秋。 「…は、恥ずかしかったんデスよ…!だからのだめ、苦しいの我慢してたのに!」 「……でもお前いつもより感じてたし」 「…こ、声出せないと、なんか変になっちゃうんデス!」 「じゃあこれからずっと声禁止にするか……」 「ムキャー!!」 そのまま暫く、二人じゃれ合っていたが。 「……センパ…、しんいちくん」 のだめは千秋の首に腕を絡ませて、その目を見つめて、ささやいた。 「お願い、デス」
■■16 「なに?」 小首をかしげる千秋に、のだめは少し上目遣いで見つめてから… …照れたようにはにかんで、言った。 「しんいちくんも、名前で呼んでくだサイ」 すると千秋もまた、優しく微笑んだ。 そっと額にキスをして、瞼、鼻先、そして……唇。 「めぐみ」 そっとささやくようにその名を呼んで、なんとなくこそばゆく、照れた微笑みを交わす二人。 しかし、その時。 「…ぁんッ…ゃ、ダメよ、聞こえちゃう……!!」 「大丈夫だよ、あれだけ激しきゃ、あっちは終わってすぐ寝てるって……」 のだめと千秋はギクリとして顔を見合わせた。 「それに、あんな濃厚なセックス聴かされて、黙ってられるかよ… のだめのやつ、意外に色っぽい声出すし」 ……。 のだめの顔から、サーっと血の気が引いていく。 「…うん……。千秋くんも…、ストイックに見えるのに、あんなに激しい人だったのね…愛の力かしら♪」 …………。 千秋は眩暈を必死に堪えながら、額に手を宛てて深く枕に沈みこんだ。
■■17 「それにしても…」 「あぁ…」 まだ何かあるのかと、押し黙って耳を澄ます、壁のこちら側。 「千秋くん…S入ってたなんて驚いたわ…」 「毎回あれじゃ、のだめも大変だな…」 蒼くなりながらも、思わずプッと吹き出してしまうのだめ。 そんなのだめの頭を、千秋は複雑すぎる表情で抱きしめた。 「でも…」 「うん?」 「何となく前からそんな雰囲気あったかも、千秋くん……」 …………。 …………。 「…しんいちくん……、声、筒抜け……?」 「…き、聞こえないフリをしろ……ね、寝るぞ……」 深い後悔に襲われながら、最中とは違った意味でキツく目を閉じる二人の耳に、 隣の部屋の声や物音は、一晩中聞こえたとのこと。 「(…み、峰くんたちにのだめたちの…聞かれちゃった…全部……?!)」 「(…オレ、今日何したっけ…。いつもはもう少しノーマルなのに……)」 しかし当然ながら、二人がゆっくりと寝られる筈などないのであった…… <秘め事 終>
終わりです。 いつも微妙にエロさが足りない気がして悩んでいたのですが、少しはエロくなってるでしょうか… 少しでも楽しんでいただけたら幸いです… 最近、ホントたくさんの書き手さんがいらして、いつもわくわくしながら拝見させていただいています。 これからも、投下される作品や合間合間の雑談、楽しみにしていますね!
わほー!! ピアノさん、やっぱり読ませてくれるなあ。 エロイです。エロエロです。ちょっと鬼畜・千秋サイコー!! でもしっかり聞こえちゃってるヘタレ・千秋もサイコー!! 翌朝の気まずそうな4人を考えると、笑える…… 特に千秋w
ピアノさん、サイッコーでした!!! 素晴らしすぎます!! 最後のオチも大笑いしました! 鬼畜千秋に萌えました♪ ありがとうございました!!!
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!! ピアノさん素晴らしいSS乙です。 S千秋最高でした。 私的にはやっぱり千秋はSまっしぐら、時々Mくらいキボンですね。
GJー!! 全部聞かれていたとなると、かなり恥ずかしいですね!千秋。 笑いましたー。萌えました。
言葉攻め、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!! 事後の甘い千秋、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!! はー、堪能しましたー!さすがピアノさん、スバラシイ! これでエロが足りないなんて、まだまだ引き出しあるってことですねw 初めてリアルタイムで読めたのがまた嬉しい。 またお待ちしておりますーーー。
GJ!! 濃ゆいエロをじっくり堪能させて頂きましたわ〜w 大満足です。今後もお待ちしてますね!
ついにリアルタイムで神に遭遇!! ピアノさんGJ!! S全開なくせに最後は甘える千秋。 萌えました・・・。 今後も投下ヨロシクです!
ピアノさんGJ!!! 骨の髄まで堪能させていただきました!!! あああ・・・千秋はSって認識されて可哀想w というか、今度は聞かせ合いでやっちゃうのが見てみたいかもwww 峰も千秋も実は負けず嫌いポそうなので。www Hで楽しいお話どうもありがとうございました!!
神作品キタキタァ━━━(゚∀゚)━━━!! S千秋、最高です!!!S千秋にときめいて 事後の甘い千秋にもときめいて読んでて至福の 時間でした。最高!!あへー。しかし恥ずかしい 奴らめw
ピアノさん乙! 今回も素晴らしかったです! ラストも笑えた(W
あー面白かった。 シチュも美味しいし流れも最高。 楽しませて頂きました(´Д`*)
ね、ネタバレスレで凄いことが! 早くネタバレスレに集合しる!!
う、 う そ お んーーーーー
ネタバレ見るか見ないか今すんごい悩んでる・・・。
見るべし!見るべし!見るべし! 祭りに参加すべし!!
悩め。だが一言いっておく。 一 瞬、誰 か が 書 い た S S か と 思 う ぞ !!
あれは見たほうがいい。 キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!!の一言だ。それに尽きるよ。
漏れは誰かの妄想かと思った。 ネタだと思ったよw
私も誰かのSSかと思った。 ある意味キス祭りより変態の森より萌えるぞ! 間違いない!!!
552 :
うさぎ。 :05/03/09 00:18:08 ID:vjZNGTzr
ネタバレスレ、どこっすかああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!
554 :
うさぎ。 :05/03/09 00:37:17 ID:vjZNGTzr
うひょおおおおおおお!!!!!!!!!!!!
よだれたらしちゃいマシタ!くろきーん!!!!!!!!!!
ありがとうございまーす
>>553
えええ!!そんなに!?! 私も見るべきな?!え?!SSみたい?!?! なああああああ!!!もういい!!見に行くダああ!!!! そして私も祭りに参加する!!行ってくる!ノシ
激しく萌えるネタバレ…
よし!ネタバレスレで待ってるぞ! 祭りに参加すべし!
さすが所長だよ・・・ ところで、ネタばれのところで一箇所見覚えのあるフレーズがあるんだが、 ここでさらして聞いてもいい?
いいんじゃね? 何の事かわからんけど……
さんくす 以下、ネタバレ板からのこぴぺ。ヤなひとはスルー > くろきんのモノローグ「千秋くん恵ちゃんのこと「変態」だとか「無神経」だとか > 「図々しい」「奇声を出す」なんて言っておいてよっぽど僕を警戒してたんだな」 これ、すごい見覚えあるんだけど。 このスレで見たような気もするし、コミクス見たような気もするし。 コミクス買ってないから確かめられズ・・・(・ω・;)
くろきんネタのSSではよくあるような? 気がするんだが、よく覚えてないなー。
す、すいません出遅れました… お祭りの最中っぽいですが取り急ぎ一言だけ… みなさま、嬉しいレスをどうもありがとうございます! むしろみなさまのレスの内容に激しく笑ってしまいました。 >全部聞かれていたとなると、かなり恥ずかしいですね!千秋。 とか。ホント、そうですよね。そして他にも色々…。みなさまGJです! 私もそうですが、みなさんもやっぱり鬼畜&ヘタレ千秋お好きなんですねー… これからも、もっと良いものが書けるように精進しようと思います。本当にありがとうございました。 因みに今回は、231さんの >あとのだめと千秋のらぶらぶシーンを峰とか真澄ちゃんにみられちゃうとか、 からヒントを戴きました。どうもありがとうございます。 ところで、ネタバレスレー… あれ、マジなんでしょうかね?!びっくりしすぎてよく読んでないんですけど… それでは悶々としながら名無しに戻ります!
ピアノさん、すごい萌えをありがとう! ピアノさんもよければぜひぜひ、祭りに参加しに来てくださいね!
いやーピアノさん、ほんとうにGJでした! 今日はずっと幸せな気分で、ああ今夜も余韻にひたれるなー、 なんて思っていたら、祭りになってしまった…… これで萌えを仕入れて、また次も楽しみにしてます。
>>561 さんくす! そうなんだよ。くろきんSSとかで見覚えあったんだが
これが本編で出ててびっくりしたのさ。
そして、ピアノさん!
すごい萌えました!ありがとうございます。また他のを書かれたら、ぜひ読ませてくださいね。
みんな祭りに行ってていないのかな?(私も行ってるのだか・・・)
いるけど、祭り参加にいそしんでたらssの筆が進まなくなっちゃったw
おおお!書いてるんですか?! 待ってます!!祭りの勢いで筆を進めちゃってください!!ww
私も明日入手したら萌えをたっぷり充電して書きかけのSS書こう! でも、祭り参加で明日も筆が進まないかもw
職人さんがイパーィで激しくうれしいです!! みなさんのSSお待ちしてまーす!!
祭りに乗じて、のだめ×クロキン投下してもよいでしょうか? まだ完成していないので、もすこしかかるかと思いますが。 えと、夢オチで、ギャグです。
お待ちしてます
…と書いてから気づいた。 ネタバレ読んでからピアノさんの読んだら 鼻血もの…
えーと、あれ? なんでボクはこんなところにいるんだろう。 それにこの風景、これはまるで太秦の……。 「江戸のクロキン」 さーおや〜、さおだけ〜♪ およそパリに似つかわしくない雰囲気の中、黒木は首をひねった。 そう、ボクは今パリに留学中のハズなのに。 ってそうか、コレは夢なんだな。うん、夢だ。 そうして納得すると、映画村を思わせる町並みも、自分の着流し姿も なんだか面白く思えてしまう余裕がでてきたので、 黒木はぶらりと一人、町のあちこちを歩いてみることにした。 爽やかな風に勢い良く回る風車に、はしゃぐ子供たちの声。 道端で博打を打ちながら、男たちが燻らせる煙管の煙。 境内に並ぶ店先に並べられた、繊細な細工が施されたかんざし。 それらを物珍しげに眺めていた黒木だったが、いつしかその足は人通りの 少ない、川沿いの道へと向いていたようで。 一本の樹齢を重ねたであろう柳の木にもたれ掛かると、ふうと一息ついた。
そこへ、突然さほど離れていない場所から悲鳴のような声が上がった。 何事かとあわてて声のする方向へ目を向けると、一人の女性がこちらの方に向かって 懸命に走ってくる。 「そ、そこなお侍さま、お助けくだサイ!」 え!? お侍って……。辺りを見回しても、自分しか見当たらず。 まさか、と思っても彼女は明らかに自分に助けを求めている。 しかも、黒木の腰には大小がきちんと下げられていた。 ヒィィ、ど、どうしたら、と混乱する黒木だったが、彼女の後ろに男が追いかけて きているのを見ると、どうせ夢なんだし、と腹を決めて。 刀を抜くや疾風の如く男のもとへ駆け寄り、相手を一刀で切り伏せた。 「う、うぐっ……、やられタ」 そう呟いて、やけに芝居がかった様子で倒れる男の顔をよく見ると、それは フランツ・フォン・シュトレーゼマンで。 驚いて自分の手を見るも、そこには刀ではなくオーボエが握られており。 いまさらながら夢であることに安心しつつ、おかしさがこみ上げてきて、笑った。 「あ、あのぅ……」 クスクスと笑い続ける黒木に、助けを求めた女性がおずおずと話しかける。 「助けていただいて、ありがとうゴザイマシタ」 そこでようやくこの女性の顔を見た黒木の笑い声が止まる。 「このご隠居サンは、いつもしつこく付きまとってきて」 ……そんな、何故キミがここに? 「さっきも『もっと楽しいコト教えてあげマス〜♪』って抱きつかれて」 恵、ちゃん。 「変なトコに連れ込まれそうになったんデスよー」 黒木の前には、にこやかに微笑むのだめが、いた。
お一つドウゾ、と言われてお猪口を差し出す。 お銚子から注がれる酒の香りはほのかに甘く、黒木の鼻をくすぐる。 助けてもらったお礼にとやや強引に連れてこられた茶屋の座敷で 黒木とのだめは差しつ差されつ酒を酌み交わしていた。 「それにしても、お侍サンお強いデスねぇ〜」 そう言ってしなだれかかる彼女のうなじから香るお白粉の艶っぽさにドギマギしつつ こ、これは夢なんだから、と必死に自分を取り繕う黒木。 そんな黒木の様子に「んもう、ウブなんですネェ」とのだめはツツと 隣の部屋に続く襖を開け。 ブ――ッと黒木は酒を噴出した。 そこには一組の布団が敷かれており。 ココはいわゆる出会い茶屋というやつなのか、と黒木はあわてふためき。 しかしのだめは彼の腕をがっちりと掴んで離さない。 「女に恥をかかせてはイケマセンヨ」 ウフフと妖艶に笑うのだめに顔を真っ赤にして何も言えない黒木だったが、 そうだ、これは夢なんだからと首をぷるぷると振り。 意を決してのだめの肩にそっと手を置いた。 「そ、それじゃ、あの……恵ちゃ、め、恵さん」 「……恵、って呼んでクダサイ」 それを合図に、二人は布団へなだれこんだ。
(ここからは音声のみでお楽しみください) 「め、恵……って、えぇ!?」 もそもそもそ。 「ギャフー! 怖くないデスから……ネ」 「わぁっ!! ちょ、ちょっとそん……っあ」 ぐりん。 「ウキュッキュー。黒木くんのココ、とっても感じやすいんデスネ」 くちゅくちゅ。ばるんっ。 「そ、そんな、ことはぁっっ! や、やめ……」 くっぷくっぷ。くりくりくり。 「おネエサンが優しく教えてあげマス♪ ハアハア」 しゅぽっしゅぽっ。つるるん。 「こんなっ……で、でも、うっ……、いいっ」 「クスクスクス。今の黒木くんの顔、すごくそそりマス」 ずるるっ。ぐりぐり。 「あっ、も、もうボク……ああぁ〜っっっ!!!」
自分の声で目が覚めた。 な、なんて夢を見てたんだボクは……。 しかも、あろうことかめ、恵ちゃんが、あんな、あんな……。 彼女はあんな変態じゃないし、もっと清楚で可憐なヒトなんだ! きっと千秋くんの「恵ちゃん変態説」の影響だな。 朝早くから洗濯機をまわしながら、黒木は火照る顔をごまかすように 独り言をブツブツと呟く。 でも……、気持ちよかったなー。 純情に見えてなかなかお年頃の男の子☆な黒木くんなのでした。 合掌。チーン。
以上です。 全国のクロキンファンの皆様、ごめんなさい。 でも、お侍姿の彼を想像したら、こんなお話になってしまいました。 くだらなくてすみません。 それでは。
わわわ、オンタイムで読みました<「江戸のクロキン」 更新押すたびに書き込まれてゆくよ… 職人様おつかれさまでしたー。まさかこんな夢オチでくるとはw 楽しんで読みました♪くろきんもおとこのこなのねぇ。 くろきんの夢の中ではのだめはすっごいテクニシャンなんだな。 > くちゅくちゅ。ばるんっ。 って、効果音すごすぎw
江戸のクロキン様、ピアノ様ごちになりましたー(*´∀`) やっぱ萌えーなエチーシュチュとしてはずせないのが 「ヤっちゃいけないトコでヤる」ですねー。 図書館、映画館、列車の中とかで のだめが千秋にする責め。(指舐めのみでおあずけとか) に萌え死ぬ千秋。に萌え死ぬワタシラw
江戸… くろきん… 町娘… ミルヒー… やばい、ツボだw
感想いっぱいありがとうございます♪ 「江戸のクロキン」作者です。 581さま 夢の中ののだめのほうが実態に近いというか(笑) くろきん、哀れです。 効果音、もっといろいろ書こうかと思ったんですけどね。 582さま 指舐めのみでおあずけ、いいですね〜! いただいてもよろしいでしょうか? ちょっと書いてみたいです。 583さま ツボにはまってもらえたようで嬉しいです。 みるひーはやっぱりおいしいキャラなので使いました。 それでは。読んでくださってありがとうございました。
ダヴィンチの特集で、山本直樹先生が 千秋×のだめのパリの夜を… 描くのを断念されている。みたかった!!
あははーw やっぱりくろきんには夢オチがよく似合ってるぞ! GJ!
江戸のクロキンGJ---------!!!! すごく似合ってます!萌えました〜。
シュトレーゼマン=ご隠居 にバカウケ! のだめに襲われるくろきんクン、サイコー。 クラブ・ワンモアキッスでのコスプレのだめを思い出しつつ読みました。 お疲れ様でした。GJです!
江戸のクロキン、好評なようで嬉しいです。 今日本誌を読んで、くろきん熱がボルテージMaxになったので そのうち「江戸のクロキン2」を書くかも(笑) そのときにはまた楽しい感想をお聞かせください。 そのまえに指舐めおあづけ書き上げないと……。
なんだか静かですねー。 みなさん本誌に萌え死に中なのでしょうか。 それでは誰もいないうちに、指舐めおあづけ投下します。
あのなぁ、勝負挑んできたってオレ様に勝てるワケないだろ!? まあたまにはこんなコトも刺激的でいいかも、だけどな。 「にらめっこしましょ」 ……遅い。 今日は打ち合わせで出掛けるって言ったら 「じゃあ晩ゴハンは外で食べまショ♪ そだ、近くの公園で待ち合わせでもしてー」 ウキュー、パリDE夕焼けデートですラブ〜、とかなんとかはしゃいでたクセに。 言い出したおまえが30分も遅刻するとはどーいうことだ!? 小さな公園のベンチに座って、時間つぶしに読みかけの本を手にしていたが。 そのページは一向に進まず、栞が挟まれたところを開いたまま。 冬のパリは日が短く、辺りは夕暮れというよりうす暗闇に近づいていき。 遊んでいた子供たちの声はすでに止み、この場所にいるのはもはやオレ一人だ。 寒ぃ、とマフラーをきつく締めなおしてもう一度時計をちらりと見やると。 ジャングルジムの向こうの方からやけにリズミカルな足音が聞こえてきて。 同時に「センパ〜イ!」と能天気なのだめの声が届いた。
「お待たせしまシタ」そう言ってムキャッと笑うのだめの顔が。 なんだか少し(本当にほんの少しだけど)可愛く思えて。 不覚にも口元を緩めてしまいあわててコホンと咳をして誤魔化した。 「おせーよおまえ」 なるべく不機嫌そうな声で呟くように言うと。 ホントはもっと早くに来られる予定だったんですケド〜と口を尖らせて目を逸らす。 「ターニャに『男は待たせるくらいが丁度いい』って足止めされたんデス」 ターニャの奴……! 最近アパルトマンの住人がオレ達二人をからかって遊んでいる フシがあり、オレはなんだか面白くなかった。 不愉快というわけではないけれど、なんとなく面映いというか、そーいう感じが。 面白くない。 黙り込んだオレの様子に何か勘違いしたらしいのだめが恐る恐る顔を覗き込んで。 「……あのぅ、やっぱり怒ってマス?」 ずるいよな、こーいうの。なんにも言えなくなるじゃねーか。 「いいよもう。ホラ、さっさと行くぞ!」 素っ気ない言葉とは裏腹に熱くなる頬を感じて、手元の本を急いで閉じ立ち上がる。 そのときしぱっと紙が擦れる乾いた音がして。 あ、と思ったときには人差し指の腹に赤いものが滲んでいた。
紙で指切るなんて久しぶりだな、とコートのポケットから ハンカチを取り出そうとしたら。 不意に手を掴まれて、次の瞬間人差し指に生暖かい感触が広がり。 驚いて顔を上げるとオレの指を咥えたのだめがいて。 オレは金縛りにあったように動けなくなった。 ちろちろと傷口のあたりを往復する赤い舌の先や。 つつ、と血を弱々しく吸い上げる、ふっくらとした唇。 それらが妙に官能的で、背筋が粟立ち、赤面する。 思わずゴクリと唾を飲み込むと、上目遣いにこちらを見たのだめと視線がぶつかり。 その瞳が笑っているのに気が付いた。 こいつ、オレの反応を楽しんでやがるっ! そーいうことならと空いた右手でのだめの腰を抱き寄せて。 耳に唇を寄せ、息を吹きかけてからぺろりと舐め上げた。
途端にびくりと身体をこわばらせるも、さらにねっとりとのだめの舌は指を這い。 逆にオレの口から溜息が漏れそうになる。 負けてたまるかとどうにか堪え、オレはその無防備な耳たぶを甘噛みした。 あ、と短くか細い声をあげ、のだめはその頬を上気させたが。 まだまだデスとその可愛い舌を指の股にまで侵食させ、吸い上げた。 んん、とオレは堪らず声を漏らし、その快楽に溺れそうになったけれど。 この勝負、男のプライドに賭けても負けるわけにはいかないと最後の手段に出た。 耳の内側から外にかけて唇と舌を這わせ。 巻かれたマフラーを外してそのまま首筋をなぞるように移動し。 鎖骨に辿りついてからその肌を少し強めに吸い、印を付ける。 ひゃん、という声とともに自由になった左手で腰から胸のあたりを撫で上げ。 右手でのだめの首を固定してから唇を合わせ舌を絡める。 その舌の動きに、先程の指責めを思い出して。 やばい、気持ちいい……! オレの意識はどこかへ持っていかれそうになった。 初めはほんのお遊びのつもりだったのに、欲望はもはや止まりそうもなく。 コートの上からでも僅かにわかる先端を指先で転がしながら、 今すぐここで抱いてしまいたい衝動に駆られた。
いつのまにか夢中になってその柔らかな唇の感触を味わっていると。 のだめがトントンとオレの胸を叩いた。 それは息継ぎの下手な彼女が苦しいことを伝えるための合図で。 オレは名残惜しさにもう一度軽く舌を絡めた後、唇を離した。 「も、もうっ! しんいちくんのキスは熱烈すぎデス!!」 肩で息をしながら、真っ赤な顔をしてのだめが言った。 「しかも、あの手の動きは反則です!」 あれじゃ勝てるワケないじゃないですカ、と不満そうに頬を膨らませる。 「やっぱり勝負挑んでたのか。オレ様に勝とうなんて10年はえーよ」 「うるさいですヨッ! ふん、先輩のスケベ!!」 べーだっ、と舌を出して一人で歩き出したのだめの姿に。 あわてて後を追い、その腕を掴んで言った。 「ちょっと待て。どこに行く気だ?」 「どこって、ゴハン食べに行くんでショ?」 いや、まあそういう予定だったんだけど……。おまえあれだけ盛り上げといて そのあと普通にメシって、そんなのアリかよ。 ぶちぶちと呟くオレに、おかしな先輩ですネーと無邪気に笑って。 「あっ! さては先輩、やらしーコト考えてましたネ? ムッツリ〜♪」 ニヤニヤしながら言いやがった。 鼻歌を歌いながらオレの腕をとってずんずんと歩くのだめに。 少し敗北を感じながらオレは心の中で堅く誓った。 今夜、必ずリベンジしてやる! 覚悟しとけよ!! おわり
以上です。 ごめんなさい。どーしても千秋に「おせーよおまえ」って 言わせたかったんです。言わせたかったんですよ……。 それでは。
GJ---!!!
すっごい面白かったですよ〜! GJです! おあずけをくらう千秋が超可愛かったです! また次作期待してますね!
もうすっごく面白かった!! ありがとうありがとう!! 次の作品、待ってます!
GJです。 で、千秋の「今夜のリベンジ」が気になるよ。 のだめでは書いたことなかったけど、創作(妄想)意欲が湧いてきたな。 久々にチャレンジしてみようかな…
はい!どんどんお願いします!
是非ともチャレンジしてください!!
GJ
604 :
603 :05/03/11 11:45:48 ID:fps0a7SK
スマソ、途中で送信。 GJ!千秋の性格が激ツボでした!!へタレでありつつオレさまも入ってて 「千秋のリベンジ」、激しくお待ちしています。
ども。作者です。 楽しんでもらえたようで、安心安心。 「リベンジ」ですか……。うーむ。 エチーの描写がいまいちうまく書けないので自信がありませんが。 がんばってチャレンジしてみようかと。書けるかな? 頭の中では、リベンジ失敗! 哀れ千秋の図ができあがっていて(笑) あ、名前ないと不便ですかねー。実は私842なんですけれども そろそろスレ番が近くなってきてまぎらわしいかと思って 無名投下してたんですが。 次、投下するまでなんか考えときます。 みなさまのネタ、すごく参考になるので、どんどん下さい。 お願いします。 それでは。
おお、842さんでしたか! ツボを押さえた設定作りがとてもお上手で好きなので エチー少しでも全然OKですよん。 自分も初めてですがSS作ってみようかと考えてます。 (音楽経験を生かして(?)楽屋ネタなどを…) いつになるかわかりませんが…
607 :
いよかん :05/03/11 16:30:44 ID:pnVGyWWt
こんばんは。842あらためいよかんです。 今後ともよろしくお願いします。 606さん ありがとうございます。 ぜひSS読ませてください。楽しみにお待ちしてます。 では、新作を1つ。 ギャグ2連発だったので、こんどはちょっとシリアス調(?) 本誌の穴埋めSSです。
どーしてこうも完璧! なんデスかね? ココまでくると、なんだか可愛さ余って憎さナントカ、ってヤツですヨ。 「休日のヒトコマ」 2枚のカードの並べ替えに四苦八苦する中、チラリと先輩の顔を盗み見ると。 こちらの様子を見てニヤリと笑ってる。……余裕だ。 「おい、さっさと決めろ!」 手元に残る1枚だけのスペードのAをピラピラさせて、たかがババ抜きに何真剣に なってんだ、と言わんばかりの顔。 その「たかがババ抜き」に一度も勝たせてくれないのは、どこの誰デスカ! 見事に11連敗中の私は少々イジケながらもジョーカーの位置を決めて。 「勝負デス!!」 すると先輩の右手は片方のカードに向かって伸びてきて、ピタリと止まり。 その瞳は私の反応を窺うように、キラリと光り。 私はぎゅっと目を瞑った。 「じゃ、コレだ」 ぴっ、と手の中からカードを抜かれた感触がした後、そろりと瞑った目をあけると。 手元に残ったのは、カズオ。 ムキャ――ッ!! という私の絶叫と先輩のアハハハハッという笑い声が部屋に響いた。
「おまえ、弱すぎ」 クックッと笑いながら先輩は私の頭をポンポンと撫で。 それでも悔しさから逃れられない私は「ひどいデス……」とうつむいた。 「かわいい彼女のために、1回くらい負けてあげようとか思わないんですカ!?」 「ばぁか。オレは誰が相手であっても容赦しねーんだよ」 「やっぱりカズオでス」 誰がカズオだ、と先輩は苦笑いしてから言った。 「だいたい、おまえがやろうって言い出したんじゃねーか」 だって、明日には先輩オランダに行っちゃうから。 なんとなくしんみりした雰囲気のリビングが、心地よくも、少し寂しくて。 だから楽しい感じにってわざわざプリごろ太のトランプ持ってきて。 笑って過ごせるように「ババ抜きしましょう♪」って言ったんです。 初めは「結構だ!」なんて言ってたのに。 「先輩が、強すぎるからいけないんですヨ!」 八つ当たりに近い発言をしたら、お前がわかり易すぎるんだと笑われた。 「ほら、いつまでもむくれてないで片付けろ。メシ作ってやるから」 そういえばお腹がきゅるきゅる鳴っている。 私は急いでトランプを片付けながら、キッチンへ向かう先輩の背中に声を掛けた。 「せんぱーい! 今日のゴハンは何ですか〜!?」 ゲンキンな奴、と笑いながらも先輩は教えてくれない。 「片付け終わったら、ピアノ弾いてよ。好きな曲でいいから」 フンフ〜ン、とキッチンから鼻歌が聞こえてきて。 私は首を傾げながらもなんとなく楽しい気分になり。 ラプソディ・イン・ブルーを弾き始めた。
「カレー、ですか?」 「ん、『正しいカレー』だ」 ニヤニヤしながら先輩が言うので、私はちょっとムッとした。 テーブルに並んだのは、サラダとスープと、そして『正しいカレー』。 「カレーならこないだのだめが作ったじゃナイですか!!」 あんなのカレーじゃなくてどこか別の星の未知なる物体だ! ポコリと頭を叩く。 「これくらいのもの作ってから『カレー』だと胸を張って言え」 「……それでもちゃんと食べたクセにー」 うるさいいーからさっさと食え、と先輩が顔を赤くしたので。 少しは反撃できたかな、と気分を良くする。 いただきマースとスプーンを口に運ぶと、やっぱりおいしい。 「なんで先輩はこんなになんでも上手にこなしちゃうんですか?」 ずるいデスヨ、と呟くと。 わけがわからないといったふうに少し眉間にしわを寄せて。 「おまえ……、もしかしてまださっきのトランプ根に持ってんの?」 違いますヨごちそうさまデシタ! そう言って再びピアノに向かう私の背中に。 「カレー、まだ鍋にいっぱい残ってるから。オレいない間に食べろよ」 届いた声が、も一度私の心を重くした。
繰り返し流れるピアノの音色はショパンの「別れの曲」。 とてつもなく直球ストライクすぎるのは自分でもよくわかっているけれど。 いつの間にか洗い物を終えてソファに座っている先輩の顔は。 困った顔をしつつも、笑いを堪えているようで。 やっぱり、ちょっとムッとした。 最後の1音をピアノが鳴らし終えると。 先輩がオイデオイデと手招きした。 頬を膨らませそっぽを向いても、私の身体は素直に彼の元へと歩いてゆき。 やがてすっぽりとその両腕に拘束された。 「なにむくれてんの?」 「先輩が完璧すぎるからですヨ!」 その言葉にぶっと噴出す。 「かわいくねーな。素直に寂しいって言ったら?」 憎まれ口をたたいても、背中を撫でるその手は優しくて、心地よくて。 ほうっと小さく溜息をついてから、素直に言った。 「さみし−、デス」 言ったらなんだかスッキリして、笑った。
しばらくそのままでいたけれど。時計の針はもう11時を過ぎていたから。 「……そろそろ、帰りマス」 名残惜しさに頬擦りしてから立ち上がった。 コートとかばんを手に持ってそれじゃオヤスミナサイと先輩を見ると。 なぜかキョトンとしてこっちを見てる。 不思議に思って首を傾げながら見つめ返すと。 「お、おまえの部屋、こたつでメチャクチャだろ」 「それに、あの、ヒーターつけてないから寒いだろうし」 「しょーがねーから、もう少しココにいても――」 ぶぷ――っと今度は私が噴出す番だ。途端に赤くなる先輩に抱きつきながら言った。 「かわいくないですネ−。素直に泊まっていったらって言えばいいのに♪」 やっぱり、先輩は可愛さ余りまくって120%オレ様って感じデス。 おわり
613 :
いよかん :05/03/11 16:42:46 ID:pnVGyWWt
以上です。 ……なんだコレ? なぜにこんな甘酸っぱいシロモノを!? あああぁ、本誌の甘あまさ加減にヤラレてしまったようです。 ごめんなさい。 で、やっぱり千秋はヘタレってことで。なんか落ち着くんですよ。 それでは。
GJ!! でもやっぱりエチーはしてないんですよねぇ、あの二人… そう簡単にやらせてたまるか!!だがw
GJ!! >614 千秋はEDなのかのお。
のだめスレの1と2の途中までををHTML化してみたんですが 需要ってありますですかね?
いよかん様、甘酸っぱすぎです。 たまらんです。ニヤニヤです。 というわけで、600ですが軽いの書いてみました。 エロくはないですが。 ていうか久しぶりに書いたので、妄想が上手く文章にできないよ…
618 :
1 :05/03/11 22:45:18 ID:FIAgLxe9
「ただいま帰りまシタ!」 のだめの声がする。帰ってきたか。 「おぅ、今日の夕飯は久々に和食だぞ」 吸い物の味見をしながら振り向かずに答えると、のだめが駆け寄ってくるのがわかる。 …ほら、後ろから抱きついてきた。予測通りの行動だ。 「なんでもっと嬉しそうに出迎えてくれないんですか〜! 先輩、ひさびさに家にいるのにぃ〜! お食事?お風呂?それともワ・タ・シ?とか言ってくれてもいいじゃないですか〜」 …なに意味不明なこと言ってるんだ。まぁ意味不明なのはいつもだが。 「んなこと言うか」 振り向いて、のだめの頭を軽く小突く。 「じゃあお帰りのキスしてください♪」 と、のだめは目を閉じ、唇を突き出す。
619 :
2 :05/03/11 22:45:58 ID:FIAgLxe9
…仕方ねえ、それくらいしてやるか。 「はいはい、お帰りなさい」 ゆっくりと、軽く触れ合うようなキスを落とす。 「えへへ♪いつもの濃密なキスじゃないんですね。」 …いや、本当はもちょっと味わいたいけど。 それをやったら、キスだけじゃ終わらなくなるから。 なんて思っても口には出さない。 「アタシよりメシが先。ほら、できたぞ」 …デザートは「ワ・タ・シ」だぞ。
>>いよかんさん
乙です。そしてまたしてもGJ!いよかんさんの千秋
がかなりツボです(*゚∀゚)甘い〜顔がニヤける。エチー
なくてもOK。のだめのが余裕ですねw
>>616 ぜひともお願いしたいです!需要あります、きっと。
1、2をHTML化したものです 2ちゃんあぷろだ、お笑い /up/25a28f2a1dde.zip
622 :
621 :05/03/11 23:00:03 ID:Tym2oz00
パスかきわすれたorz "nodame"です
623 :
621 :05/03/11 23:03:18 ID:Tym2oz00
もう一つミス 今投下中だった618さんの作品を間違って完結の方にいれてしまってます 618さんごめんなさいorz
>621さん そこどやって飛ぶのですか?
625 :
621 :05/03/11 23:10:47 ID:Tym2oz00
”アップローダー”でぐぐれば 一番うえに2ちゃんねるあっぷろーだーがでてくると思うです
>621さん。 すんません。あれで一応の完結です。 エロに進めず、ヘタレなのは千秋じゃなくて私だ…orz
627 :
621 :05/03/12 00:56:21 ID:c8vagaYe
>600さん アップ間際だったので慌てて追加したので こちらこそ申し訳ありません SS補完のやつは自分用に作ったものなので 見づらい部分もあるかもです ではまた名無しに戻ります 壁|・∀・)ノシ
628 :
606 :05/03/12 01:11:06 ID:/lhY1Hzo
>>606 です。
先程の楽屋篇が書けましたので、投下します。
なにぶん初めてですので上手くないと思いますがご容赦を。
携帯ですので細切れになってしまいますがごめんなさい。
では、いきます。
629 :
ちぇろ :05/03/12 01:12:36 ID:/lhY1Hzo
「では、今夜もよろしくお願いします」 ゲネプロが終わり千秋が舞台袖に戻ると、暗がりの中にのだめが立っていた。 「先輩、お疲れ様デス。今日も頑張って下さいネ」 「ああ、メルシー」 差し出されたミネラルウォーターを受け取りながら2人で楽屋へと足を向ける。 今日は、千秋真一初の日本ツアー最終日。 札幌、金沢、大津、福岡と公演して今日の東京で最後になる。 福岡でも公演すると聞いたのだめは、バカンスを利用して帰国、 一旦実家に帰り、福岡から東京まで一緒についてきたのだ。 …飛行機嫌いの千秋がのだめに一緒に乗って欲しかったのもあるのだが。
630 :
ちぇろ :05/03/12 01:13:40 ID:/lhY1Hzo
「今日のプログラムはどっちですカ?」 のだめが楽屋の丸椅子に腰を下ろしながら尋ねる。 (珍しく化粧してんじゃねーか…) 「Aプロだよ」 「そですかー。じゃあバルトーク聴けますネ」 何日にもわたる公演の場合、幾つかの違うプログラムを用意しておく事があるのだ。 「アンコルは何ですか?」 「ハチャトゥリアンの仮面舞踏会」 「舞踏会ーダンスですネ〜」「おい、回るなって」 丸椅子に座ったままくるくると回るのだめの腕を千秋が掴むと、 のだめはそのままふわり、と胸元に飛び込んできた。
631 :
ちぇろ :05/03/12 01:15:29 ID:/lhY1Hzo
【3】 「演奏が成功するように、充電してあげマス」 背中に手を回すと、のだめの大きな膨らみが自分の胸元に触れる。 「ありがとう…」 少しだけその感覚に浸ると、千秋は気分をかき消すように体を離し、 のだめの頭をくしゃくしゃにしてみる。 「な、なにすんデスカー!」 「あと1時間半か…」 時計に目をやると、17時半を少し過ぎた所だ。 もう1時間もすれば開場する。ここは、自分が学生時代を過ごした街、東京。 これまで幾度となく公演をこなしてきた千秋だったが、 留学後初めての東京公演で、いつもとは違う緊張感を感じていた。
632 :
ちぇろ :05/03/12 01:16:52 ID:/lhY1Hzo
【4】 「峰くん達もみんな、聴きに来ますよ。楽しみですネ。あ、そうそう、峰くんパパから差し入れです」 懐かしい裏軒のサンドイッチで軽い夕食を終えると、のだめが衣裳掛けから千秋の燕尾服を取ろうと立ち上がった。 「妻だから取る…」 「バーカ。でも、まだ着替えにはちょっと早いかな…」 千秋はそう呟くとのだめの手を引き楽屋の入口まで行くと、カシャと鍵をかけた。 振り向きざま、千秋はのだめを抱きすくめる。 「…どしたんですか?」 「ん…もうちょっと充電…」
633 :
ちぇろ :05/03/12 01:19:21 ID:/lhY1Hzo
【5】 髪を撫でると、つるんとした感触とともに鼻先に甘い香りが広がる。 千秋は顔を上げると、のだめの唇に自分のそれをまっすぐ落とした。 そのまま、そばのテーブルの上にのだめを座らせ、また、唇を落とす。 「…んっ」 千秋が軽く舌を入れると、のだめもぎこちないながらも舌を絡ませてくる。 キスをしながら千秋はのだめの左胸に右手を乗せていく。 親指で服の上から突起の頂きをまさぐると、そこは既に存在を主張し始めていて。 「あ…」 のだめの囁きとともに千秋は唇を離し、ワンピースのチャックを下ろすと のだめの腰の辺りまでそれを下ろした。
634 :
ちぇろ :05/03/12 01:21:00 ID:/lhY1Hzo
【6】 「のだめ、こんな所て恥ずかしいデスよ…」 「今日も頑張れるように充電させてくれるんだろ…?」 しんとした部屋の中、千秋は下着の上からのだめの2つの膨らみを揉み始める。 扉の向こうでは廊下を歩く音、楽団員が煙草を吸いながら雑談している声が かすかに聞こえて、のだめは小さな声を上げながら千秋の唇を求める。 「う…ん。あ…」 キスをしながら千秋は、膨らみを隠す布を少し急ぐようにはずす。 「のだめ。見て」 千秋に言われたのだめの顔は真っ赤になっていく。 ここは楽屋。部屋には鏡が張り巡らされているのだ。
635 :
ちぇろ :05/03/12 01:22:41 ID:/lhY1Hzo
【7】 白熱灯のオレンジ色の光がのだめの白い肌をより美しく魅せている。 千秋はそっと、白く豊かな膨らみに手を乗せた。 「あ…ん、あ」 「あんまり声、出すなよ…」 千秋の大きな右手の指で両方の頂きをなぞると、のだめは目をつむり顔を逸らした。 そんなのだめの様子を楽しむかのように千秋はその片方の頂きに唇を寄せる。 「はぁ…んん」 のだめの頂きの舌触りと指の感触、抑えた声が千秋をより煽らせた。 「おっぱい気持ちいいか?」 「もう…イヤ…先輩…」 「そーかイヤか」
636 :
ちぇろ :05/03/12 01:25:15 ID:/lhY1Hzo
【8】 千秋はテーブルの上にのだめの上半身を倒すと、頂きを吸い上げながら 右手を下からワンピースの中に這わせていく。 その時。 コンコン。 ドアをノックする音と同時に「チアキ、10分前だから舞台袖へ」 という声が聞こえ、千秋が慌てて着替えてドアの外に出てみると。 シュトレーゼマンがニヤニヤしながら立っていた。 「チアキ、まだ30分前よ。みんなこれから音出し。自分だけ楽しんでちゃダメヨ」 「まったく、まだ若造のクセに、師匠の真似するなんて10年早いですヨ」 〜おわり〜
日本ツアーに大津が入っているのか。。。 滋賀県なんてマイナーなところで、クラシックのコンサートはあまりやらないだろ。 大阪で脳内変換しますた。
>>621 ありがとうございました!
整頓されててとても見やすいです。
名無しに戻ってもあなたの事は忘れない…ノシ
639 :
ちぇろ :05/03/12 01:59:14 ID:/lhY1Hzo
>>637 ご意見ありがとうございます!
はじめ大阪にしようと思ったんですけど、田舎を一箇所入れたかったのと
大津にはびわ湖ホールがあるので(演奏会のパンフで名前を時々見掛けるので)
大津にしてみました。
地名は完全に適当なのでお好きに脳内変換して下さい…
では。
上のアップローダーの見方がわかりません・・・。 ぐぐっても出てこなくって・・・。 誰か教えてください・・・。
すみません。発見しました! でも開けませんでした・・・。 もっぺん研究してみます。
ちぇろさん、GJ-----!! 千秋が「おっぱい」って言うのははじめてじゃないですか?! どきどきしましたー!
643 :
いよかん :05/03/12 10:35:41 ID:XLIDsBHO
こんにちわ。いよかんです。 みなさんの感想読ませていただきました。ありがとうございます。 614さん わ、私はひそかに「もーこの二人やっちゃってんじゃねーか?」なんて 思ってます、正直。でも願望として、まだまだおあずけが希望です(笑) 615さん ……思わず、ED克服広告のキャラクターに抜擢された千秋が頭に 浮かびました。ちょっぴりウケました。 617さん 甘酸っぱすぎて、口ん中に唾液の洪水が発生しました(笑) 自分で書いといてアレですが。 621さん 乙です! 見させていただきました。自分の作品の間違いをちゃんと 修正してもらえて嬉しかったです。ありがとうございました。 ちぇろさん GJ――!! 千秋が「おっぱい」。「おっぱい」って言ったよ! で、今日の投下予定。 いつになるかわかりませんが、ついに「りべんじ」に挑戦! します。 またギャグですけど。最近なんだかお笑いが好きで。 以前にシリアス長編書いたから、その反動がきているのかなと。 それでは。
644 :
ちぇろ :05/03/12 11:40:25 ID:/lhY1Hzo
感想ありがとうございますw 今回はじめて書いてみましたが非常に体力と頭を使いました(汗 いよかんさんのようにどかっと大量に書ける方には脱帽です。
645 :
いよかん :05/03/12 13:44:18 ID:XLIDsBHO
いえいえ、脱帽なんてそんな≫ちぇろさん 私のはかなーり書き捨てに近いですので。 では、「りべんじ」投下いたします。
くそっ! このオレ様に敗北感を味わわせやがって!! そーやって余裕かましてんのも今のうちだ。ぜってー負かしてやる。 「S−1グランプリ【REVENGE】」 はぐはぐと呑気な顔して目の前のパスタを片付けていくのだめ。 オレはその様子をワイン片手に眺めながら、頭の中で作戦を練っていた。 「先輩はもう食べないんですカ?」 もぐもぐとパスタを口に入れたまま話すのだめに「飲み込んでから話せ!」と つっこんで、溜息をつく。 それじゃーコレいただきますヨとオレの皿からピッツァを一片奪い取り ムッキャーおいしいデスーと奇声を上げる目の前の女を見て。 やっぱこいつは色気より食い気か……。 頭を抱えた。 どうやらオレの手持ちのカードは、こいつに通用しそうにない。 なんでオレこんな奴とつきあってんのかな、と今さら不思議に思いつつ、 そんな彼女相手にイケナイ妄想をして頬を染める、千秋真一23歳であった。
「ぷふー。お腹いっぱいデス」 アパルトマンの階段を、お腹を擦りながら満足そうに上るのだめに そりゃあれだけ食えばな、と一人呟く。 何か言いましタカ? いや別に、と他愛も無い会話を交わしつつ。 部屋の前まで辿り着いた。 「それじゃー先輩ごチソウサマでしたオヤスミナサイ♪」 え!? と振り向くとそこには自分の部屋に帰ろうとするのだめの姿。 あわてて「ピアノ弾いてかないのか?」と呼び止めるとじぃ、とこっちを見つめる。 「な、なんだよ」 「……なんだかのだめ、身の危険を感じるんデスよね」 ギクリとするも、オレはなんとか平静さを装うことに成功した。 「なんだそれ? 人がせっかくコーヒーでも入れてやろうかと思ったのに」 それでもなお疑いの眼差しを向けるのだめに目を逸らしながら 「……しかも、デザートつき」 はう〜でざーと! 飛び上がってオレの腕にしがみつくのだめに。 オレはこっそりガッツポーズを作ってニヤリと笑った。
Round1 褒める キッチンでコーヒーを入れてリビングのサイド・テーブルに置き。 ソファに腰掛ける。 のだめは待ってる間ずっとピアノを弾いていて。 呼びかけると嬉しそうにオレの隣に座った。 「あれ? 先輩デザートは〜?」 テーブルの上にコーヒーカップしか置かれていないことに気付き、のだめは不満そうな 声を上げる。 「うるさい。デザートは後だ!」 それよりも、とオレはのだめの肩を抱き寄せて耳元で囁くように言った。 「……今日のおまえ、なんか可愛いな」 ものすごく恥ずかしい台詞だが、これも勝負のためだと必死に耐える。 ちょっと驚いたような顔をしているのだめに、いけるか!? と思った瞬間――。 「……ぶっぎゃはははハハハハ―――ッッッ!!!」 ひーおかしすぎデス先輩似合わないぃ〜と腹を抱えて転がるのだめ。 せっかく彼女を褒めたのに、その本人から大爆笑される男、千秋真一23歳。 「笑うな――っ!!!」と顔を真っ赤にして叫ぶ姿があった。
Round2 餌付け プルプルと怒りに身を震わせていたが、これではいけないと気を取り直し。 いまだ笑い転げているのだめを無視して再びキッチンへと向かう。 冷凍庫の中からジェラートを取り出してオレは作り笑いを浮かべた。 「ほら、これ前からおまえ食いたがってたヤツ」 オレの声に反応したのだめは、途端に目をキラキラとさせた。 「おおぅ! それはラ・グラッサの!!」 以前街を二人でぶらついていたときに、のだめが「おいしそーデス」と見つめていた ジェラート屋『ラ・グラッサ』。そのときは焼き栗食べたあとだったし寒かったので 却下したが、この間思い出してオレはこっそり買っておいたのだった。 それがこんなときに役に立つとは……! 「チョコとラムレーズンどっちがいい?」 チョコレート〜♪ と叫ぶのだめにカップを渡しながら、やはりこいつは 食べ物で釣るのが正解だなとほくそえむ。 はう〜んシアワセとあれだけ食ったにもかかわらずパクつくのだめの顔を 内心呆れて見つめていると。 口元にチョコレートが付いている。 きれいに食えよと思ったオレの頭に突如ひらめくアイデア。 「おい、チョコついてるぞ」 へ? ドコですかと間抜け面するのだめの顎をひょいと持ち上げ。 ぺろり、と舐め上げた。 途端に赤くなるのだめに、これはいけると踏んだ瞬間――。 わざと口のまわりにチョコレートを付け、目を瞑って唇を突き出すのだめの顔が 目の前に。 のだめが変態であることをこのところすっかり忘れていた千秋真一23歳。 ふざけんな――っ!! とウェットティッシュを彼女の顔にぐりぐり押し付ける 彼の姿がそこにあった。
Final Round 最後の手段 「そ、それじゃデザートも満喫したしのだめそろそろ帰りマス」 オレの怒りにおびえた様子でそろりそろりと帰り支度をするのだめ。 ここで帰したら完っ璧にオレ様の負けになる! そうはいくかとその腕を掴み、とっさに言った。 「帰るなよ、今夜」 しばらく続いた沈黙を破ったのはのだめだった。 「……それ、前に他の女の人に言いませんでしタカ?」 な、なんでわかるんだ!? と図星を差されて動揺しまくる男、千秋真一23歳。 のだめは冷たい視線を彼に送りつつ、玄関のドアに手を掛けた。 こーなったらもう最後の手段だ! オレは出て行こうとするのだめを抱き上げ、後ろ手で鍵をかけ。 そのまま寝室に直行した。 「ちょ、ちょっとなにするんですか降ろしてくだサイ!」 腕の中で暴れるのだめをベッドに放り投げ、上に覆いかぶさる。 「お前が悪い」 オレの言葉に何か言おうとするのだめの唇を自分のそれで塞ぎ。 ワンピースを剥ぎ取ってその肌に手を這わせた。 やがて漏れ出す「……あっ、ん」という甘い声に勝利を確信するも……。 次の日の朝――。 「の、のだめ、足ガクガクで動けまセン」 「……オレも、腰いて」 ベッドの上に裸のまま倒れる二人の姿があった。 千秋 VS のだめ 結果 引き分け、か? おわり
651 :
いよかん :05/03/12 13:50:06 ID:XLIDsBHO
以上です。 すいませんすいません。ざぶとん投げないでください。 ごめんなさい。 それでは。
いよかんさんGJです。楽しいです! リベンジにムキになる千秋がかわいいw
いよかんさん、GJ!会話が毎回おもしろいです。 千秋のキメ台詞「帰るなよ、今夜」キタァ━━━(゚∀゚)━━━!!! あっさり交わされてるけどw
ちぇろサン、いよかんサンGJGJ〜!!楽しませていただきました! ちぇろサン、また是非書いてみてください!待ってますよー! いよかんサン、あなたのSS、私かなりツボなんです… もー、楽しくて楽しくて、ニヤニヤしてる自分が…(´Д`)ヤバー
何?!ちょっとこれなかった間にこんなにも萌SSが?!! いよかんさん、ちぇろさんGJ!! 617さんも素敵!!皆さんのこれからのご活躍を期待します!! 他の職人さんも是非!!
656 :
名無しさん@ピンキー :05/03/13 02:41:30 ID:RY2BXxDC
>300
>>618-619 サン
「はいはい、お帰りなさい」 ツ ボ でした
次回作期待ー!是非書いてください!
ホント、ここの千秋は甘くてウマー
659 :
いよかん :05/03/14 12:26:07 ID:j7AfsTzN
わあ! 感想ありがとうございます。 楽しんでいただけたようで、よかったです。 今回のは、「リベンジ」という言葉からK−1思い出して けーわん、けーいち……。はっ!! 真一 → 「S−1グランプリ」と頭の中で出来上がったのでした。 私の中では千秋反則負けもしくはのだめ優勢勝ち、なのですが どーでしょうね。 なんか、ネタがこうピンとこず。 どなたか、何かネタをくださるとありがたいです。 それでは。
660 :
いよかん :05/03/14 16:34:29 ID:j7AfsTzN
なんだか静かですので、そろりと投下しちゃいます。 今回はエロパロの名に恥じぬようがんばってみました。 それでは、いきます。
なんつーか、やっぱりおまえの思考回路はよくわかんねぇな。 真性の変態かと思うと、変なトコロで純情というか何というか……。 「視線の先には」 さっきから何か妙な視線を感じて顔を上げると。 のだめと目があった。 途端に嬉しそうな顔をして微笑むから。 つられて口元を緩めそうになるけれども咳で誤魔化して、再びスコアに集中する。 いつものように二人で晩飯を食べたあと、のだめはピアノを弾き始め。 オレはそのBGMに耳を傾けながら一人黙々と楽譜に目を通していた。 やがてピアノの音が止み、ふと見るとのだめは本を読んでいて。 「最近、曲の構造を勉強中なんデス」フーンと鼻を鳴らしながら言った彼女の言葉を 思い出した。 勉強するなら自分の部屋行ってやれ、とオレは言ったのだけれど。 ヤです、と一言返事をするのもメンドクサイといった様子で真剣に文字を追っていたから。 ま、いいかとそのままほうっておいた。 そして今に至るのだが……。
またもや視線を感じたので、今度は顔を上げずに言葉を掛けた。 「おい、勉強はもういいのか?」 ギャボッ! と奇声を上げながらのだめはボソボソと言い訳を始める。 「……だって、なんか難しいんデスよこの本」 「ふーん」 「マンガとかで面白わかりやすく説明してくれるモノないデスかねー?」 あるわけねーだろ! とつっこむとそですよネーと悪びれもせず笑った。 「終わったんならもー帰れよいいかげん」 タバコに火を付けながら言うと、意外にも「おジャマですか?」という殊勝な 答えが返ってきたので。 びっくりして顔を上げた。 見ると、少し俯き加減にちょこんと座っているのだめがいて。 思わず「いや、邪魔じゃないけど……」と本音を漏らしてしまった。 よかった〜と無邪気に笑うのだめの姿に。 顔が赤くなるのを感じながらでも、とオレは続ける。 「オレ黙って楽譜見てるだけだし、おまえつまんないだろ?」 「いえぇ、先輩見てるだけでのだめ充分楽しいデスよ?」 「見てるだけで楽しいって……。オレ別になんもしてないぞ」 オレの言葉にのだめは首をかしげながら笑った。 「何をしてるでもいいんですヨ。……先輩にはこの乙女ゴコロがわかんないデスか?」 はあ!? と疑問の表情を浮かべるオレにのだめはそんなんじゃ王子失格デスネと 鼻で笑いやがった。 「うるせー! だいたいその視線が気になるんだよ!!」 言い放つと。 「じゃー影でコッソリ見つめてマス……」 そう言ってトボトボとピアノの裏に回り、顔だけ覗かせて少しいじけた目を向けた。 その様子にオレはぶっと噴出して、それじゃあ余計気になるだろと楽譜をしまい。 「コーヒー入れるけど、飲む?」と聞いた。 すると、「飲みマス!」やっぱり嬉しそうに笑った。
お湯を沸かしている間にコーヒー豆をミルでゴリゴリと挽いていると。 のだめが後ろからオレの手元を興味深そうに覗き見ている。 「また乙女ゴコロってやつか?」からかうような口調で言うと。 そーですヨーと飄々とした感じで答えたので。 オレは少しこいつに意地悪をしたくなった。 ミルから手を離してのだめの顔をじぃ、と見つめる。 すると初めはキョトンとしていたのだめの顔がだんだん赤くなり、ふいと目を逸らした。 「な? じっと見られると困るだろ?」 そう言ってフフンと笑うと。 「せ、先輩は乙女じゃナイからだめなんデス!」 真っ赤な顔をしたまま頬を膨らませた。 「まー確かに乙女ゴコロってのはわからねーな。だって見つめてるとさ……」 こーいうことしたくなるし、とオレはのだめの腕を掴み。 その耳元に唇を寄せた。 途端にひゃっという声が上がるが無視してそのまま首筋に舌を這わせ。 最後に深く口付ける。 「……んんっ」 漏れ出る甘い吐息に心の中でしてやったりとニヤリ笑いつつも。 唇を離した瞬間に見えた、上気した頬と濡れたように光る瞳に。 オレの余裕はどこかへ吹き飛んでいった。
そのままのだめを抱き上げてシンク横の空いたスペースに座らせ。 後ろのファスナーを下げ、ブラジャーのホックを外す。 ワンピースから肩紐ごと腕をぬくと、パサリという音とともに上半身が露になり。 オレはそのふっくらと丸みを帯びた胸に手を伸ばし、頂を指で転がす。 「ちょっ……、待って――」 言いかけたのだめの唇を再び自分のそれで塞ぎ。 ゆっくりとふくよかな胸の感触を味わう。 やがてのだめの腕が抵抗するのを止め、オレの背中に回されるのを確認すると。 オレはワンピースの裾から手を差し入れ、そこがもう充分に濡れていることを 確かめてから下着を剥ぎ取り。 一気に中へ入っていった。 「んっ……、あぁっ!」 お湯が沸いたことを告げるケトルの笛音に混じって、のだめの甲高い声が上がる。 その汗ばんだ額を撫でると、うっすらと目をあけて見つめ返してくる。 こういう視線は、悪くないんだけどな……。 そう思う自分に心の中で笑いながら、もう一度口付けると。 のだめの片足を持ち上げ、さらに深く彼女の中に沈みこんでから。 自身を解放した。 「……もうっ! 先輩の視線はオオカミさんデス!!」 そう言って恥ずかしそうに俯きながら怒るのだめにおれはゴメンと謝りつつも。 男は見つめられても見つめても、その相手を抱きしめたくなるんだよなと 勝手に頭の中で自分の行動を正当化していた。 「コレが乙女の視線というやつなのか……?」 ふざけんな――っ!!! ギャボ――ッッ!!! 千秋がのだめの盗撮写真を発見していつもの夫婦漫才が行われるのは もう少し先の話。 おわり
665 :
いよかん :05/03/14 16:43:22 ID:j7AfsTzN
以上です。 まだ、なまぬるいですねorz 以前あったキッチンで、というシチュを参考にさせていただきましたが。 やっぱり難しいです、エチーシーンは……。 それでは。
いよかんさん、GJ! いよかんさんの作品がすごくツボにきます。 のだめ、かわいい(*´∀`*)ラストの夫婦漫才 も楽しいです。
いよかんサンGJ!! 今回はほんわかエロ甘ですね、のだめに甘い千秋スキー(´∀`) いつも楽しませてもらってます。 ネタネタ…みんな、ネタ落とせー!
いよかんさんGJ!! すっごく可愛くて甘々でほんわか気分になりました! 連日素敵な萌えをありがとうございます!
千秋、甘いわ。乙女ゴコロにGJ!
ちょっと、いやかなり短いのですが、毛色の違うタッチで挑戦してみたので、 投下させてください。 かるーく読んでいただけたらいいかな、と。 もう日付変わっちゃいましたけど、ホワイトデーって事で……。 そんなこと文中に微塵もないですが。ゴメンナサイw
冷蔵庫から、ヴーヴ・クリコ のハーフボトルを取り出す。 ベッドの足下から潜り込んで、恋人の体にキスしながら上へとたどる。 くすぐったい、と声を上げても容赦はしない。 事の後の甘やかさを増した体を唇に感じながら、自分の髪をとかす指先にこちらも自然に微笑が漏れる。 そして、くすくすと笑う声に熱が帯びる頃、ようやく瞳が出会う。 「…もう。くすぐったいですヨ」 「ふふ」 ふくよかな胸の谷間に唇を寄せ、笑いながら音を立ててキスをした。 慎重にコルクを抜き、はしたなく瓶に口を付ける。 よく冷えたシャンパンは、熱を帯びた事後の身体に心地よくしみていく。 サイドテーブルにはフランボワーズ。 二粒とると、シャンパンを含んだ彼女の口に一粒を、もう一つを自分の口の中に放り込んだ。 「おいしー」 そう言うから、二口目を含んだ赤い唇に、もう一つフランボワーズをのせた。 シャンパンによる酔いなのか、あるいは未だ官能が体を支配されているのか。 目をつぶるのその瞬き、自分を見るその視線。一つ一つが緩慢で、妙に色を感じる。 自分だけに向けられる、自分だけが知るその色、艶。 自分の腕の中でだけひらく、花。 可憐な小花のようでいて、時に匂い立つようなあでやかな大輪にさえなる、花。 この体にのめり込んで。 今でもなお、その官能の果ては見えない。 深く底の見えない海の闇のような。それでいて抜ける青空の輝きのような。 何度でも触れたくて……何度でも求めてしまう。
口いっぱいにシャンパンを含み、彼女の口へ流し込む。 小さなおとがいに手を添え、口をすぼめて、一滴、二滴……。 やがて細い流れとなった金色の液体は、彼女の中へと吸い込まれていく。 かわいらしく喉を鳴らし、長い睫を震わせて。 また、フランボワーズを一粒。そして、さらに口づけて蓋をした。 熟成された果実の香りと、フレッシュな果汁が互いの口腔内で合わさる時、彼女は身をよじり、鼻を鳴らした。 うれしそうに、笑って。 「もっと?」 「……もっと!」 「おいしい?」 「……おいしい!」 何度かそれを繰り返して……。 彼女の唇からこぼれたシャンパンが、胸の谷間へ流れ落ちていく。 それをたどるように唇を寄せると、また、くすくすと笑い出した。 指先につまんだフランボワーズをふと、胸の頂のそれと並べてみる。 「……なあ、似てるぞ」 「ぎゃぼー!! ヒドイ!! ……そんなに、おっきくないと思うんですケドっ!」 「ふはは」 「意地悪!!」 「でも、甘いのは一緒だな……」 よりもっと甘い、その頂を口に含む。 「んっ……あん……ふふ……っん」 「オレは、こっちの方がおいしいな……」 「…もう……ばかぁ……あ」 魅惑的な果実を口にして、持て余した一粒は指と共に彼女の口へ押し込んだ。 やがて互いの熱を絡ませ、うねる官能の渦に引き込まれていく。 彼女の腕の中で。彼女の柔らかな胸に抱かれて。 ……そして再び、小さな死を迎えるのだ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━end
リアルタイムキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!! dropさん、素敵です! なんつーか、詩的。ヨーロッパ映画の1シーンのような空気でした。 GJ!
すいません、これだけですw 『小さな死』=セックスの後の眠り、哲学ではSEXのこと(正確にはオーガズム) だそうです。 皆さん、最近また萌えが投下されて素晴らしいっすね。 本誌の千秋は甘くってゆるくって、ほーんと、発情期ですしね。 あー、たのしすぎます。
dropさん、GJGJGJ! 素晴らしいです! 本当に外国映画を見ているようでしたよ! 脳内で、千秋とのだめがプリティ・ウーマンを演じているような、そんな感じです。 ありがとうございました!
dropさん、GJ!!!! ステキでした。毛色の違うタッチも(・∀・)イイ!! ですね。 千秋がなんか楽しそうw
>いよかんさん キッチンキター!!! で、千秋の裸エプロンとか妄想してる私は変態の森の住人か? >dropさん なんつーかもう…官能的ですね…うっとりしました。 ところで、このスレ450KBを超えたんですけど(676までで453.9KB) そろそろ次スレ考えないといけないんじゃないでしょうか?
500Kだから、そろそろだねえ
まだ700もいってないのに早いですねえ。 それだけこのスレが充実していたということなんでしょうねー。 700か750踏んだ人がスレ立てってことになりそうですかね。
dropさんGっJ!!! うっわ!!ドツボです!!wwやられました!!! フランボワーズの次は・・・クリームとかいっちゃったり?(黙れ)
わー、皆さん有難う御座います。 短くってすいません、ホントに。 また色々考えてきます。……いや、色々考えてはいるんだけど、なかなか形に出来ない……。 皆さんを見習って精進します。 700いってないのにすごいですね。 ちなみに、スレ1は917でストップでした。それ考えると、ホントに早い…… 長編投下が来るようだったら、次スレの用意、した方が良さそうな。
投下しようと思っているのですが、なかなか筆がすすみません。 皆さま待っていてくださるでしょうか? 二人で旅行中に和服でしっぽり。。。という感じで。 腰紐でしばっちゃったり、とかは、どうでしょ?
日本の温泉地旅行… のだめぜったい秘法館にはいりたがりそー(中身は知らず) (パラダイスの雰囲気を嗅ぎ取るんだろうな) そいでもって中身知ってて必至で入館嫌がる千秋…
温泉、温泉Hでしょ!
腰紐縛り上等です!!!是非やっちゃってください!!!www
686 :
いよかん :05/03/16 10:09:13 ID:kK2iAV8K
dropさんGJ!!! すごく色気のある文章で、ほんと尊敬してます。 あと、みなさま感想ありがとうございました。 いつも励まされております。 しかし、もう次スレですか。本当に早いですねー。 長編書きかけてますが、もうしばらくあっためときます(笑) 今日は短いのを1つ、投下予定です。
「夢の中」〜N side〜 ふと目が覚めて。 うす暗闇の中、壁に掛かった時計の針へ視線を向けると。 4時20分。 至福の2度寝タイムに突入、と外気に触れて少し冷たくなった肩を 再び毛布に潜らせる。 すると耳に規則正しい寝息がそよそよと掛かり。 くすぐったくてくるりと身体の向きを変えた。 目の前には、普段絶対に見せないようなあどけない顔。 キリリと真っ直ぐにそろった意思の強そうな眉に。 軽く閉じられた瞼に影を作る長い睫。 スッと筋の通った鼻に。 少し荒れた、薄い唇。 本人に気付かれることなくこうもまじまじと見つめることのできる時間が。 とても贅沢な気がして。 くふふと一人、笑う。 触れたくなってそっと指先をその頬に乗せると。 ひんやりとしていて。 手のひらで包み込むようにしてから、軽く口付けを落とした。 「……のだめ」
起こしてしまったかと思ったけれど。 どうやら彼はまだ夢の中の住人のようで。 イイコイイコと艶やかな黒髪を撫でるとんー、と微かに笑って。 また安らかな寝息が聞こえてきた。 貴方はどんな夢を見てるんでしょう? どんな夢でもきっとそこには美しい音楽が流れていて。 その真ん中に、私がいたらいいのにな。 そんなことを考えながら、うつらうつらし始めたとき。 明け方、恋人におっぱい鷲づかみにされました。 クスクスと笑い声をたてながら幸せそうに眠る彼に。 いったいどんな夢を見てるんデスカ! と少しムカついたので。 その手にこの間拾ったソフトボールを握らせてやったら。 途端に眉をひそめて。 うーんうーんと苦しそうにうなされてる。 その様子にプププと笑いながら。 オヤスミナサイとも一度キスをして。 私は再び目を閉じた。 一緒に、貴方と甘い夢を見ましょう。 ふたり共にキラキラとした音の溢れる国の住人になって。 おわり
689 :
いよかん :05/03/16 11:25:54 ID:kK2iAV8K
以上です。 というか、も一つS sideがあるんですけど。 とりあえず、投下しました。つづきはまた後で。 私、やっぱりギャグ体質なんでしょうか。 落とさないではいられない……orz
こういうの、ステキデス。スキデス。 落として落として(^^)そしてほんわかさせてください♪ はやくS side読みたーい。楽しみにお待ちしておりマス
いよかんさん素敵でした!GJ! Sサイドお待ちしてます〜♪
「夢の中」〜S side〜 ふと目が覚めて。 カーテンから漏れる朝の光りに目をしかめながら時計の針に視線を向けると。 6時40分。 そろそろ起きるか、と伸びをしたら右手に何か違和感を感じて。 見てみるとなぜかソフトボールが握られている。 なんでこんなモン持って寝てたんだろう。 考えてみてもよくわからないのでとりあえず床にポンと転がした。 その音に反応したのか。 むーと寝返りをうった彼女の毛布がめくれてしまい。 その白い肌が背中のあたりまで明るい日差しに晒される。 そこには昨夜の蜜事を鮮明に思い出させる印がいくつも刻まれていて。 赤くなりながらもあわてて毛布を掛け直す。 ついでに頬に掛かるその栗色の髪を掻き揚げると。 目の前には、スヤスヤと幸せそうに眠る子供のような顔。 きれいなカーブを作る整えられた眉に。 寝息に合わせて微かに震える長い睫。 ちょこんと備え付けられたような小さな鼻に。 ふっくらと赤く染まった唇。 普段は恥ずかしくてこうもまじまじと見つめることができないけれど。 こうしている時間はやっぱりくすぐったいような感じがして。 必要も無いのに照れて、一人笑う。 触れたくなってそっと指先をその頬に乗せると。 やわらかくて。 ぷにぷにとその感触を楽しみながら、軽く口付けを落とした。 「……せん、ぱい」
起こしてしまったかと思ったけれど。 どうやら彼女はまだ夢の中の住人のようで。 ヨシヨシと色素の薄い髪を撫でるとんー、とゆるゆる抱きついてきて。 また安らかな寝息が聞こえてきた。 貴女はどんな夢を見ているのだろう? どんな夢でもきっとそこには中央にピアノが置かれていて。 すばらしい音色が奏でられているに違いない。 その傍らにはオレがいて、現と同じように耳を傾けているだろう。 そんなことを考えながら、彼女の背中に腕を回すと。 朝方、「裸エプロン、ステキでス〜」と恋人に変な妄想寝言を言われました。 クスクスと不気味な笑い声をたてながら幸せそうに眠る彼女に。 いったいどんな夢を見てるんだ! とかなりムカついたので。 その身体にこの間買っておいたヒラヒラエプロンを装着させて。 その様子にニヤリと笑いながら。 オヤスミとも一度キスをして。 オレは再び目を閉じた。 一緒に、貴女と甘い夢を見よう。 ふたり共にキラキラとした音の溢れる国の住人になって。 1時間後――。 プギャ―――ッ! なんでのだめこんなカッコしてんですか!? おまえの趣味だろ? イヤー似合う似合う。アハハハッ! ムキー! 先輩のおっぱい星人!! 変態女!! くだらない言い争いをしつつも、再びシーツの海に沈みこむ恋人たちの姿があった。 おわり
694 :
いよかん :05/03/16 14:07:23 ID:kK2iAV8K
以上です。 千秋、キミはいかなる理由でヒラヒラエプロンを購入したのかな? 貴方もりっぱに変態だと私は思いますよ? なんて自分の書いたものにつっこみを入れる私orz 690さん、691さん さっそく感想ありがとうございます。 S sideいかがでしたでしょうか? またコメントいただけるとうれしいです。 それでは。
695 :
690 :05/03/16 14:37:24 ID:Vhx/M4ca
よみましたー。 感想一番かな? 嬉しぃw S sideもイイ! N-side読後、S-sideは千秋がおっぱいwわしづかみにする夢の話かと予想してたら、ソフトボール握らされた後の話で。 N-sideと比べつつ読みました。構成似てて、ほんと本職みたい。いよかんさんスゴイ のだめの寝言以降、形容詞の雰囲気が変わるあたりとか、頭に二ノ宮絵がうかんで 一人でニヤニヤしてしまいましたw また是非投下しにいらしてください〜
お互いの寝言に吹き出してしまいました(w それぞれの寝顔の描写がいいですね〜。素敵です。 でもしっかり笑えました。GJ!! そして、まだスレ内でアンカー使える内に、現スレの目次置いておきますね。 各職人さん、訂正・ご要望等ありましたらレスくださいませ。
エロパロ板のだめスレ2 目次 ※このスレッドの目次です。
◆完結SSリスト
(特にCP表記が無いものは全て 千秋×のだめ。 "&"表記はCPではありません。)
01.「新婚さんいらっしゃ〜い♪−未来形」……842(改めいよかん)さん作
【前スレ>904-906、>910-911、>914-915】
>>16-21 、>31-35、>37、>74、>155-158
02.「トンネルの向こうに(Lesson67より)」……ピアノさん作
>>54-59 03.「Christmas Memory 〜ふたつの願い〜」……ヴァイオリンさん作
>>84-133 04.「床の上」……けろりんさん作
>>141-143 、>145-148
05.「二人のコンチェルト」……名無しさん作
>>162-173 、>198-201
06.「君が手を離さないでと言ってくれるだけで」……842(改めいよかん)さん作
>>185-194 07.「泡」……ピアノさん作
>>206-214 、>216-225
08.「unconditional love」……dropさん作
>>236-248 09.「そして僕らは間違っていく」……842(改めいよかん)さん作
>>257-260 、300-303、310-315、331-335
10.「熱に効く薬」……けろりんさん作
>>267-272
701 :
677 :05/03/16 14:57:04 ID:FcyMyDCO
千秋の裸エプロン、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!! でもこんな風に書かれると、変態ちっくな妄想なのになぜかイイ! やっぱり裸エプロンはDカップでこそ似合う気もします。 おっぱい星人なら裸エプロンが嫌いなはずがない。な。千秋。
すいません。対にしておきたいと思うので、投下させてください。 『小さな死』ののだめサイドです。続きっぽい?です。
703 :
いよかん :05/03/16 15:30:47 ID:kK2iAV8K
わーい! もう感想きてる〜!! みなさん、ほんとに読んでくださってありがとうございます。 695(690)さん 再びすばやい感想ありがとうございます。 千秋が見た夢の内容は、ご想像におまかせ、です。 お褒めのお言葉すごくうれしいです。 696さん 楽しんでいただけたようでよかったです。 目次乙です! ありがとうございました。 701(677)さん 千秋の裸エプロン、いただいてしまいました(笑) そう、ヤツはぜったいに好物なはず。←確信 それでは。
彼の唇と滑らかな指先が、自分の体の上をたどっていく。 くすぐったくて身を捩るけれど、彼はその愛撫をやめようとはしない。 逃れられないから笑うと、彼も一緒にくすくすと笑う。 まだ濡れたままの黒髪がシーツの海に飲み込まれていくと、やがて私は彼の腕の中で小さく声をあげ始める。 ふくらみの頂を、彼の舌が探っている。 シーツをめくると、熱に浮かされたような彼の視線に出会った。 「大人なのに……おっぱいが好きなんデスね……?」 そう聞いてみると、認めるのか、抗議したいのか、唇でより強くその果実をはんだ。 ……でも、知っている。 彼がシーツの海を泳ぎ、この双球にたどり着いたとき、宝物を見つけた子供のような顔をする事を。 柔らかさに頬擦りするとき、母に抱かれる子供の安心しきった顔にも似た表情をする事を。 体の中心に湧き上がる泉は、どれだけの時間彼の口腔に啜られ、舐め取られていったのか。 最早それを知る理性もなく。 もっともっととあおるように、彼の髪を梳き、指先を頭皮にたどらせる。 そして、一瞬、閃光に時間をさえぎられた。 焦点の定まらない視線は、目の前に迫る彼の瞳に手繰り寄せられ、見つめられるままに彼の半身が押し込まれると、私は甘美な痺れに背筋をそらせた。 喉奥からあられもなく声をあげ、しがみついては自ら体を揺らす。 彼は端正な顔を歪ませて、打ち込む体の動きに合わせて掠れた声を漏らす。 玉のように噴出した汗は顎を伝い、いくつも私に降りかかる。 その汗さえも愛しくて、愛しくて、舐め取ってしまいたいほどに……。
見つめると、見つめ返されて、目が離せない。 「なに……?」 「…先輩の……真一くんのその顔、やらしくって……好き…」 「おまえだって…すげーやらしい顔、してる……」 彼の体は。 陶器に似た滑らかさを持ち、快楽に甘い芳香を放つ。 気だるい甘さに酔っては、私は軽く眩暈を起こす。 終わりがないのではと思うほど、私は彼によって快楽の深みに連れて行かれ、天も地もない空間でエクスタシーの波にもまれては、前後不覚になりながら彼の名を呼ぶ。愛しいその名前を。 そして、彼のすべてに、私は何度でも小さな死を迎える。 そう、何度でも。 やがて、彼の体は大きく揺れ、彼もまた甘美なる死を迎え入れたのだと理解する。 私は抱きしめる。私の中ではじける迸り。弛緩した彼の体の愛しい重み。 彼のすべてを。彼の新たな息吹を。 おかえりなさい。 ここが、あなたの帰る場所。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━end
リアルタイムキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!! いや〜ん素敵! 素敵すぎです!! dropさんGJ!!! すみませんリロードせずにレスつけてしまいました。 千秋! おっぱいが好きって素直に言え(笑)
以上です。 対になって一つだな…と感じたので、投下させていただきました。 >目次作成職人さん GJ!! 前スレと同じ方でしょうか? ありがとうございます。 大変お手数ですが、小さな死<m>を追加して頂けるとありがたいです。 >いよかんさん コメディとエロが絶妙です。 軽妙なタッチの作品、また投下お待ちしておりますね。
あわわ。またフライングしてしもた。 ごめんなさい……orz
GJ!!!
dropさん 美しい、冴え冴えとした文体、GJ! いよかんさん 笑 い ま し た お2人とも、また待ってます! しかしなんて神が多いんだこのスレは。最高!
711 :
名無しさん@ピンキー :05/03/17 01:40:26 ID:cyEzz2tw
いよかんさんGJ! 2人のやり取りにもう大笑いしましたよ! 寝顔の描写も素敵ですごく萌えました! ほぼ毎日の投下で萌えをありがとうございます! dropさんも素敵でしたよー! きらめくような美しい詩を読んでいるようでした。 すばらしい萌えをありがとうございました! 本当に神ばかりのスレですねー、ここは。 710で473KBというのがなにより物語っていますね。 このままでいくと730ぐらいでスレ立てに入ったほうがよさそうですね。
9−10回分くらいになりそうなのがあるんですが、 今投下しても大丈夫でしょうか? 次まで待ったほうがいいかな…
なんでしたら少し早いですが次スレ立てましょうか? せっかく神職人さんはいらっしゃってるのに、容量に気を使いながらっていうのも嫌ですしね。
>712 神の予告ですか!お待ちしております! >713 そうですね!立てましょうか!賛成です!
712ですが あわわw 別に、次スレにまたいでも構わないので、そんなアセラなくとも… となぜかあわてる
いやいや、次の神のためにも! でも、ちょっと早くみたいかも。
717 :
712 :05/03/17 03:00:31 ID:aimcKYT4
どーしましょう。 とりあえず落としてみましょうか?
そうですか! じゃ、おまちしております☆
719 :
けろりん :05/03/17 03:05:09 ID:aimcKYT4
■1 「はあ…」 今日、何度目のため息だろう。 これから、また松田幸久に会わなくてはならないなんて。 おととい、こともあろうにあんなシーンを見られてしまい。 しまった、という言葉が頭の中を駆け回りながらも、なんとか打ち合わせを 乗り切って、ため息をつきつき部屋に帰ってきた。 すると昨日の夜、電話が鳴ったのだ。河野さんからだった。 明日、松田さんと食事をしないか。彼が振っていたR管時代のソリスト達も来る。 あなたもいろいろ話を聞けるいい機会になるのではないか。 ……確かに、その点は魅力だった。顔つなぎにもなるし。 そもそも、俺は松田さんの棒は好きだ。 だからこそ、自分が創ったオケを任せたいと思ったわけだし、とても尊敬できる 音楽を創る人だ。だが、人間としては、正直……苦手。 よければ彼女も一緒に、と言われたので断ろうとしたとき、 電話の向こう側の相手が変わった。松田さんだ。 「千秋くん?よければ、じゃなくて、絶対に一緒においで。待ってるよ」 それだけ言って、電話は切れた。 ……どうして奴は、こんなにエラそうなんだろう……? というより、どうして俺は奴が苦手なんだろう……?
今、次スレ用にリスト作成しているので、10分ほど待って頂けたら、次スレ立てますが、 どうしましょう
721 :
けろりん :05/03/17 03:06:03 ID:aimcKYT4
あ、どうしましょう。 待ちますけど。って自分で切ってどうする。
じゃ、次スレでまた、1から投下してください! けろりんさんの作品、大好きです☆
723 :
けろりん :05/03/17 03:08:21 ID:aimcKYT4
わかりましたですー よろしこ (ちょっと恥ずかしいですね、1つだけ落としたままって…)
720ですが、ぎゃあ、ごめんなさい! 急いで立てますので、もう一度最初から投下して頂けますか? 本当にすみません!
725 :
けろりん :05/03/17 03:19:48 ID:aimcKYT4
いまここには3人だけが起きているのかにゃー
スレ立て終わりました! けろりんさん、本当にごめんなさい!
>けろりんさん 新スレでお待ちしています……フフフ
729 :
名無しさん@ピンキー :05/03/20 01:30:36 ID:le4gC5lE
保守
730 :
名無しさん@ピンキー :05/03/20 23:30:32 ID:NU3rNAEG
上野の早春賦。 ぷぎゃ。
↑つぶれたカエルw
732 :
名無しさん@ピンキー :2005/03/23(水) 00:28:20 ID:gngGD4UA
保守
734 :
名無しさん@ピンキー :2005/05/04(水) 00:38:47 ID:clLPI94S
保守
735 :
名無しさん@ピンキー :2005/06/12(日) 10:38:11 ID:bvmAAdAa
エロパロって何ですか?
|・ω・`)じー
ちゃんと限界まで使い切ってから次スレ作ればいいのに… 次々スレも作る、とか言ってる住人頭悪いのか?
もう立てちゃったみたいだね なんか初心者が多いんかな…。 前スレを使い切らずに次を立てて前スレ放置。 これってかなりマナー違反な気がするんだけどね。 誰か教えてやってくれ。
739 :
名無しさん@ピンキー :2005/06/24(金) 10:20:25 ID:hCQkYrgB
500kb超えると書き込めなくなるんだよね? でも、まだこのこのスレもここの次も20kb以上残ってるよ。
741 :
名無しさん :2005/06/24(金) 23:55:47 ID:bquJ92pT
1000合戦しろとは言わないけど、 書き込めなくなるまで何か書くべきなのでは。 どうする?埋める? 2だけじゃなく3も。
あのーう 埋め立て用にちょうどよさげなSSがあるんですよ もう、あんまりここのシリーズ覗く事ないんですが ノート整理してたら見つけまして。だがしかし 自分のSSがどれくらい消費するのか調べてみたんだが イマイチわからんのです。 もしかしたら3にまたがるかもなんですが いいんですかね、そのへんは。
743 :
名無しさん :2005/06/25(土) 00:09:54 ID:H7365dix
のだめネタなら良いと思われ。 たとえまたいでも悪いのは住人だし、まさか咎めないだろう。 塚2も3ももう放置してるみたいだし、やってしまえ。
3つあるうちの一つ目上げ
◆完結SSリスト1 (特にCP表記が無いものは全て 千秋×のだめ。 "&"表記はCPではありません。) 01.「新婚さんいらっしゃ〜い♪−未来形」……842(改めいよかん)さん作 【前スレ■>904-906、>910-911、>914-915】 >16-21、>31-35、>37、>74、>155-158 02.「トンネルの向こうに(Lesson67より)」……ピアノさん作 ■>54-59 03.「Christmas Memory 〜ふたつの願い〜」……ヴァイオリンさん作 ■>84-133 04.「床の上」……けろりんさん作 ■>141-143、>145-148 05.「二人のコンチェルト」……名無しさん作 ■>162-173、>198-201 06.「君が手を離さないでと言ってくれるだけで」……842(改めいよかん)さん作 ■>185-194 07.「泡」……ピアノさん作 ■>206-214、>216-225 08.「unconditional love」……dropさん作 ■>236-248 09.「そして僕らは間違っていく」……842(改めいよかん)さん作 ■>257-260、300-303、310-315、331-335 10.「熱に効く薬」……けろりんさん作 ■>267-272 11.「男同士の頼み」(千秋×のだめ、千秋&峰)……けろりんさん作 ■>281-286 12.「ambrosia」……dropさん作 ■>353-358 13.「褒美の報酬」……けろりんさん作 ■>376-378 14.「あなたの音がココにあって」……842(改めいよかん)さん作 ■>386-407 15.「ガールズトーク&ボーイズトーク」(千秋&峰、のだめ&清良)……けろりんさん作 ■>460-464
◆完結SSリスト2 16.「すずらんのような彼女」(黒木×のだめ、千秋×のだめ)……けろりんさん作 ■>493-497 17.「秘め事」……ピアノさん作 ■>515-531 18.「江戸のクロキン」(黒木×のだめ)……名無しさん(=いよかんさん)作 ■>575-579 19.「にらめっこしましょ」……名無しさん(=いよかんさん)作 ■>591-595 20.「休日のヒトコマ」……いよかんさん作 ■>608-612 21.「 題名ナシ 」……600さん作 ■>618-619 22.「 題名ナシ 」……ちぇろさん作 ■>629-636 23.「S−1グランプリ」……いよかんさん作 ■>646-650 24.「視線の先には」……いよかんさん作 ■>661-664 25.「小さな死〈S〉」……dropさん作 ■>671-672 26.「夢の中 〜N side〜」……いよかんさん作 ■>687-688 27.「夢の中 〜S side〜」……いよかんさん作 ■>692-693 28.「小さな死〈m〉」……dropさん作 ■>704-705 完結SSリスト 以上。
748 :
名無しさん@ピンキー :2005/06/26(日) 22:03:18 ID:eDCG5uC5
あれ
750 :
742 :2005/06/28(火) 18:42:34 ID:7U0obfja
おまたせしますた。 埋め立てさしてもらいます。
751 :
雨だれ :2005/06/28(火) 18:59:14 ID:7U0obfja
演奏旅行から帰ってきた千秋は、次の日セーヌのほとりにいたのだめと合流した なじみのカフェでブランチをすませ、2人はそのまま街を歩く。 なんとなく雑貨屋に入り、店内を見ていると、のだめが香水コーナーを見つけた。 「はうーいい匂いデスー。」 「これは・・ちょっとキツイな。」 「うう、こっちはラー油風あんこの匂い・・。」 「どんな匂いだよ・・・。」 2人でいろいろな香水をかぐのも楽しい。結局のだめは、小さな瓶の香水を千秋に買ってもらい 店を出ると、空には黒い雲が立ち込めていた。 雨を気にして空を見上げる千秋の横で、のだめはさっそく香水をそこかしこにつけている 「帰るぞ」 「あ、ハイ。」 普通に手をつなぎ、急ぎ足で歩き出した2人に、雨は急に襲いかかった。
752 :
雨だれ :2005/06/28(火) 19:14:12 ID:7U0obfja
部屋の前にたどり着いた頃には、2人はすでにびしょ濡れだった。 「もーお前があそこで転ぶから!」 「センパイが歩くの早すぎなんデス!歩くか走るかどっちかにしてもらわないと」 やいやい言い合いながら、2人は千秋の部屋に入った。 「とにかく、これで体を拭け!今、風呂沸かすから」 千秋は自分も肩にタオルをかけて、のだめの髪をガシガシと拭いてやる。 「や!い、いいです!自分で拭けますから!」 めずらしくのだめは焦ったように抵抗した。 「いいから!おとなしくしてろ!」千秋はのだめの腕を掴んだ。 「はうっ!」 腕をとられビクッとなったのだめは、おとなしく少しうつむいて、髪を拭いてもらっていた。 外の雨は依然としてやむ気配がない。雨音だけが静かな部屋に響いていた。
753 :
雨だれ :2005/06/28(火) 20:11:56 ID:7U0obfja
濡れたのだめの体からは、雨のにおいの混じった香水の香りが立ちのぼり 千秋の脳をビリビリと刺激する。やっとの事で腕をはなした。 「・・・風呂が沸くまで、これでも着てろ。」 そう言って、のだめに自分のシャツを渡し、千秋は着替える為ベッドルームに入った。 やばい、な・・・夜までもつかな・・・。 のだめの、あの香りが頭から離れない。 体の奥が熱を持ちはじめ、本能が目覚めようとしているのを感じて 千秋はあきらめたように首をふった。 だめだ・・・もたねー・・・。
754 :
雨だれ :2005/06/28(火) 20:26:28 ID:7U0obfja
ベッドルームのドアが完全に閉まるのを見届けてから、のだめは浴室の脱衣所に入った。 やばいデス・・・。 のだめはさっきから、体の欲求と戦っていた。 音大時代のようにのんびりしている暇が、今ののだめにはない。 こなさなければならない課題が多く、一刻も早くピアノに向かわなければならなかった。 だが 生理前の自分の体が、恐ろしいほど敏感になっていた。 久しぶりに逢えた千秋が、軽く自分に触れただけで、甘いうずきに囚われる 練習、しなきゃ・・・ 頭で念じるものの、体は千秋を欲しがり啼いている。 そっと秘所に指をやると、そこはすでに粘ついた涙で濡れていた。 はぁ、とのだめはため息をつき、天井を見上げた。 ・・・・だめ、かも。
755 :
雨だれ :2005/06/28(火) 20:43:54 ID:7U0obfja
千秋のシャツ一枚になったのだめがリビングに戻ると、部屋は暗かったが、すでに暖められてあった。 ソファに座っている千秋の視線が、のだめの足を見ている。 自分のシャツの裾から伸びる、のだめの白い太ももが、恥ずかしそうにもじもじするのを見て 千秋の背中が一気に逆立った。 「こっち、こいよ・・・。」 かすれた声で手招きをすると、のだめは素直に近づいてきた。 隣に座ろうとするのだめの手を取り、自分に股がせるようにソファの上で膝立ちにさせる。 千秋の目の前に、胸の豊かなふくらみが来て、先程の濡れた甘い香りが千秋を包んだ。 胸には直接行かずに、のだめの太ももをゆっくりと撫で上げると、千秋の肩に掴まっていた のだめのくちびるから、甘い吐息が零れた。 「センパイ、のだめ・・・だめです。」 「うん、俺も・・・だめだ。」 通じていようがいまいが、どうでもよかった。
756 :
742 :2005/06/28(火) 20:47:22 ID:7U0obfja
とりあえず、今回はこのへんで。 埋め立て用なんで、あんま期待せんでくださいよ・・・ では飯ってきますー。
埋め立て用とは思えん面白さ。 期待しちゃうかも。
758 :
名無しさん :2005/06/28(火) 21:37:02 ID:EZW0k+EU
埋め立てようには勿体ないかも…! 足りなかったら3も埋めちゃえ。期待してます。
759 :
742 :2005/06/29(水) 17:38:40 ID:5jLhRkb0
おお、レスなんかくれちゃってありがたい。 もうね・・・年くったせいか 苺パフェを食べきるテンションないんです。 ではつづきをどぞー
760 :
雨だれ :2005/06/29(水) 18:01:50 ID:5jLhRkb0
千秋の手は、そのままシャツの中に入り、体のラインにそって上がってゆく。 そのせいで、のだめのくびれたウエストとパンツがあらわになる。 「ぁ・・ん・・・・。」 自分の手が動くたびに、のだめが零すせつなげな声に聞き惚れ しっとりと吸いついてくる肌を愉しみながら、千秋の手はのだめの脇の下まで上がった。 ブラがすでにないのを確認すると、あえて我慢していた胸のふくらみに、やっと手を伸ばす。 途端にのだめがピクッと反応した。 「あっ・・センパイ、もっと・・・やさしく・・」 「・・・お前、胸デカくなった?」 確かに、今日のそれはいつものやわらかい感触とは違い、重たげに張っている。 見れば白いシャツ越しに、赤い乳首がツンと立っているのがわかる。 千秋はシャツの中でのだめの胸をしぼり、突き出た乳首をシャツごと口に含んだ。 「やぁ!ぁん・・!」 シャツのこすれと千秋の舌先が、甘いしびれとなって、のだめを貫く。
761 :
雨だれ :2005/06/29(水) 18:19:36 ID:5jLhRkb0
いつもと違う張りのある胸は、千秋の手におさまろうとせず、突き返してくる。 シャツの上から乳首を舌でころがすと、千秋の唾液でそこだけ湿ってゆく。 「今日のここ・・・ビーチボールみてぇ。」 「な・・・そんな・・・こと・・・ひうう。」 自らの唾液でシャツを湿らしつつ、千秋の両手は胸を離れ、背中を撫でながら尻へと下がってゆく。 ちらりとのだめを見ると、目を閉じて顔を横に背け、頬を赤くそめ、せつなげに甘い吐息をついていた。 たまんねー・・・その顔・・・。 千秋の手が尻から回りこみ、のだめの秘所に指が届くと のだめがビクッとなった。 そこはすでにぐしょぐしょに濡れ、パンツに大きなシミができていた。
762 :
雨だれ :2005/06/29(水) 18:35:03 ID:5jLhRkb0
「お前、もうこんなに濡らしてんのか。」 「ぃや・・・」 「すげーヌルヌルだ。着がえの時から濡らしてただろ。」 「そんなこと・・・。」 はっとしたように目を開けて、まっ赤な顔で千秋を見下ろすのだめの顔には <なんで解ったの?>と書いてあるようだった。 千秋はニヤリとすると、尻を抱えこむようにグッと引き寄せ 指先をクロッチのワキからつぷっと入れた。 「ひあっ!・・・ああ・・!」 のだめは快感のあまり天井へと顔をそらす。 湿った暖かい部屋にそれまで響いていた雨音から、ヌチャヌチャとやらしい水音へと変わっていった。
763 :
雨だれ :2005/06/29(水) 19:00:50 ID:5jLhRkb0
乳首をシャツ越しに舐められるのと、動きながら入ってきた指に、のだめはもうすでにイキそうになりながらも センパイも・・・ホントは、あせってる・・・? とぼんやり考えてみたりしていた。 「ずっと、こうしてほしかったんだろ?」 あえて意地悪な事を言うと、のだめは苦しくあえぎながらもイヤイヤと首を振る。 だが、千秋に遊ばれているのだめ乳首は、同意するように口の中でピンッと尖った。 それに応えるように、千秋は片手でシャツのボタンをはずしにかかった。 ボタンを全てはずすと、シャツの間から甘い香りと共に胸が零れて、千秋は息を呑んだ。 青すじが見えるほど大きく張りつめた胸の上で、千秋の舌でさらに敏感になった赤い乳首が 舐めてほしいと小さくふるえている。 のだめから立ちのぼる甘い香りに促されるように、もどかし気に自分の服を脱ぎ のだめを押し倒した千秋は、夢中になって胸を揉み、乳首を口に含んだ。 千秋の急な激しい愛撫に、体が敏感になってるのだめは、痛みにきゅっと眉を寄せる。 「いたぃ・・まって、センパイ・・・あ・・ベッドに・・・」 「・・・だめだ、待てねーよ。」
764 :
742 :2005/06/29(水) 19:17:29 ID:5jLhRkb0
そんな事言わないで、もちっと待って下さいよ、アニキ。 機械がポンコツなもんで、長時間の書き込みができないんす・・・ なんかやばいくらい熱もってるぞ。このPC そんなワケでこんなぶつ切れで申し訳ございませんが、続きはまた明日>< ちゃんと最後までできあがってますんで、お許しを・・。
うぅ、いいところで。 もちっと待ってます。
>>764 ノートパソコンなら、絶縁に注意しつつ、アイスノンみたいなので底部を冷やしてやるといいかも。
デスクトップなら、本体に扇風機の風を当ててやると少しはマシかも。
>>742 ムハー!早くー (*゚∀゚)=3
PCおだいじに
楽しみに待っとります
わおー!エロいー ( *´Д`)ハァハァ 続きお待ちしてます
769 :
雨だれ :2005/06/30(木) 12:47:57 ID:3kf0aRx0
中指を秘所でうごめかされ、親指でその上の芽をいじくられると、いつもより感じやすいのだめは 快感にひくつき、いつもより多くの愛液をどろりと出し、千秋の手を濡らす。 「あ・・・も・・イっちゃう・・うぅ。」 「・・・もう、イっちゃうのか?」 泣きそうな顔であえぐのだめを見ている千秋は、熱くなる本能を抑えるように冷たく言い放つ。 淫らに指を動かしながら、千秋はのだめの耳を嬲るようにささやいた。 「欲しいんだろ?俺が。」 「っ!・・・あ・・・。」 「言えよ・・・ほら」 千秋は乳首から舌を離し、秘所の中で動かしていた指を抜いてしまった。 かわりに濡れた手を乳首に持っていき、乳首を愛液でヌルヌルとこする。のだめは秘所が刺激を求めきゅっとしまり 愛液がしぼり出されたのを感じて、乳首へのいたずらをやめない千秋を見上げた。 センパイ・・・顔に<挿れたい>って書いてある・・・ のだめは目を閉じ、千秋の汗の匂いを深く吸いこみ、千秋の少しはやい呼吸を聞く。 それは、のだめの大好きな匂いと音。千秋が自分に感じてくれている証。 のだめは目をあけ、濡れて揺れる瞳を千秋に向け、粟立つほど色っぽい声で言った 「ちょうだい・・・しんいちくん。」 同時にのだめの手が千秋のパンツに伸び、パンパンに堅くなっている千秋をきゅっと握った 千秋の理性は、かけらも残さずふっ飛んでいった。
770 :
雨だれ :2005/06/30(木) 13:29:26 ID:3kf0aRx0
ゴムを着けた千秋が、のだめの下着を荒々しく剥ぎ取り、間もおかずに入ってゆくと のだめの秘所からはゴボゴボと愛液が溢れ出し、着ているシャツの裾をびっしょりにした。 「んあっ!ああっ!」 全身を貫かれるような感覚に、のだめの体は大きくのけぞる。 千秋はのだめの腰を持ち、その体をグッと引き寄せた。 すげ・・・熱くて・・・ちぎれそうだ・・。 突き上げを始めると、のだめのひたいの汗が増えてゆく。 「ひ、あ、あ、あん、んっ」 演奏旅行の間、密かに待ち望んでいたこの瞬間を 千秋はきつく目を閉じて味わっていた。
771 :
雨だれ :2005/06/30(木) 13:46:28 ID:3kf0aRx0
汗でしっとりと湿ったのだめの胸を揉みしだきながら、千秋は突き上げを徐々に速めてゆく。 そのたびに、のだめの体から匂い立つ甘い香りが強くなって、千秋の脳をじりじりと熱してゆく。 まぎれもなく自分を狂わすその匂いを、目を閉じまま千秋は深く吸い込んだ。 「すげー、いい、匂い、おかしく、なりそうだ。」 「あ、そんな、こと、あ、あん、ああ。」 ゆっくり目を開けてみれば、突き上げる自分の下にいるのだめが見えた。 頬を赤く染め、何かに耐えるように顔を背け、ギュッと目を閉じている。 お前にもっと、もっと、俺の匂いをつけてやる・・・ 千秋はのだめを抱き起こし、両手で抱えこんだ。 起こされた事で、突き上げる千秋自身が奥まで届き、肌とこすれる秘所の芽がのだめをさらに狂わせた。
772 :
雨だれ :2005/06/30(木) 14:00:38 ID:3kf0aRx0
「ひあっ!ああ、も、イく、イっちゃう、うう、うん。」 千秋の汗と自分の汗に濡れたのだめの体からは、むせかえるように甘く湿った官能の香りが立ちのぼり その匂いに狂ったように、千秋はのだめを激しく突き上げる。 「しん、いち、くん、も、だめ、い、イっちゃう」 「俺も、イきそうだ、めぐみ・・・」 やがて、のだめの強烈な締めつけを受け、大量の愛液が自身にかかった感触で 千秋の背すじがぞくりと震えた。もう一度、その香りを深く吸い込んむ。 「あ、あう、ああ!」 「くっ・・・ぅああ!」 千秋は濡れてヌルヌルするのだめをかき抱き、力をこめて精を解き放った。
773 :
雨だれ :2005/06/30(木) 14:45:06 ID:3kf0aRx0
雨はまだふりやまない。 薄暗くなった部屋は、暖かい湿気でしっとりとよどんでいる。 2人はハアハアと息をきらし、抱き合いながら横たわっていた。 部屋に響く雨音が、2人をけだるく包んでいる。意識を先に取り戻したのは千秋だった。 今さらのように雨の音に気づいて、ぼんやりと窓に目を向けると、水滴が窓を濡らし、筋を作って落ちてゆくのが見えた。 視線を元に戻すと、のだめが自分の腕の中でまだ少し肩を揺らしながら、ゆっくりとこちらを見上げた。 眠たそうに、でもしっかりと自分をみつめ微笑む、澄んだ大きな瞳。 千秋は改めてのだめの体のラインを指でなぞった。 やせたよな・・・しばらく見ないうちに・・。 くすぐったそうに身をわずかによじるのだめを見て、千秋は胸がつまった。 だが胸の乳首が千秋に触れた時、千秋はもう別の事を考えていた。立ち上がって、ゆっくりとした足どりでバスルームに入ってゆく。 のだめはそれを見送ると、体を仰向けにして、シャツで前を覆った。 はうー・・・気持ちよかった・・・ 千秋がシャワーを浴びてるのかと思うと、自分も浴びたかったが、余韻が強くてまだ起きられない。 思い出したようにシャツの裾がべっとり濡れているのを感じて、のだめは赤くなりながら顔をちょっとしかめた。 と千秋が戻ってきた。
774 :
雨だれ :2005/06/30(木) 15:49:39 ID:3kf0aRx0
「・・・風呂、入るぞ」 「・・・一緒に?」 「いっしょに。」 それは弟2ラウンドを意味する事をのだめは知っている。 求められる喜びを隠して、のだめはほっぺをプウッとふくらまし、口を尖らせた。 「えー?のだめおなかいっぱいで起きれませーん」 「・・・じゃ、起こしてやる。」 「ぎゃ!ちょ!センパイ!」 千秋にかかえ上げられたのだめが、動くたびに、シャツの隙間から濡れた乳首がちらちらと覗く 「言ったろ、まだまだこれからだって」そう言って千秋はニンマリした。 ・・・言ってないデス・・・ のだめは思ったが口には出さず、このかっこカワイイ千秋の首に腕を絡め、キスをした。 静かになったリビングに響いていた雨音も、だんだん小さくなってゆく。 fin
775 :
742 :2005/06/30(木) 16:11:52 ID:3kf0aRx0
以上でございますー。 ああ最後のトコロが納得いかない、きぃーっ ほんとはもっと入れたかたのに「改行が多すぎます」っていわれ続け 削りにけずってこんな尻つぼみ・・・ でも・・・こいつをこんな体に仕立てたのは俺だから 離さない・・・絶対に なーんてアニキに思ってもらうつもりだったのに・・・ううう まー埋め立て用にと思い投下しましたが、皆様の暖かいお言葉に浮かれて 貴重な平日の休みを潰しちまった自分ですよ。 読んでくだすった方々、どうもありがとうございました。
776 :
名無しさん :2005/06/30(木) 22:02:07 ID:yvzFPWsm
だいぶ時間があいたが言わせてもらう (*´_ゝ`)d<GJ!
休み返上してまで乙!拝んどく (`人´) 雨の描写ヨカター エロもヨカター また何かネタ浮かんだ時投下して戴けたら誰かが幸せになります
いや〜、GJですわい。 面白かった。 またの降臨求む。
重めのも悪くないけど、さくっとエロだけのもいいね。 GJ!!
780 :
742 :2005/07/01(金) 21:58:11 ID:LO99UsS2
なんてこったい 褒めてもらった上に拝まれちまった>< ホントどうもありがとう。読んでくれたお姉(兄?)さま方。 調子にのってまたなんか書いちゃうかもデス(埋め立て用の域は出ないが) ああ、また「改行が多すぎます」って言われるんだろーな・・・(−_−;)
781 :
名無しさん :2005/07/01(金) 22:15:19 ID:NH6F7Uur
多改行上等! リアルタイムなら支援しますねー
782 :
名無しさん@ピンキー :2005/07/04(月) 23:36:55 ID:nzxxe5JB
GJ!最高でしたよ! またよろしくお願いします!
のだめで検索すると三スレもあるんだね ちと驚いた 遅いけど面白かったです お疲れ様でした
あれ・・・
>>774 よく見たら「弟」じゃねーかw
あはー 弟2Rきぼんぬとか言ってみる
なんかまた……イヤな流れだねえ。 現行スレ……
賑わってくるといろんな人が書きこむからね・・・ お互いスルーできればいいんだけど。
789 :
名無しさん :2005/07/13(水) 17:04:00 ID:MPhM8fQT
2が残ってるうちに5が立てられなきゃ それでいいや、と思う自分ガイル
3もまだ書き込めるんだよね? 今見たら477kbだったよ
>>789 同意見だね。でも立てられちまいそうな悪寒もする。
入れ替わりとかで住人の性質が変化してきたのかのーと
古巣の年寄りひとりごと
「最近読み始めました」という人は多いね。 それはそれでかまわないんだけど、やっぱりここは2chだしね。 初心者は半年(ry ……とか思ってしまうな。 ところでここは500kb越えたから、もう時間の問題だ。 住人の性質もそうだけど、職人も性質が変わってきたのかな……とも思う、私もここの古巣SS書き。
可ちゅだとあと1kb… 500で書き込めなくなるんだよね?