1 :
夕暮れトカゲ:
立てといて微妙な誤爆しました…。こっぱずかしい…・。
5 :
18Rの鷹:04/12/19 11:49:15 ID:I4sZputG
6 :
名無しさん@ピンキー:04/12/19 21:01:25 ID:qd4lVZi3
落ちるー
7 :
18Rの鷹:04/12/19 21:01:37 ID:I4sZputG
>>前スレ533の続き
土曜日。Tシャツに短パン、素足にスニーカーを履き、キャップをかぶって待ち合わせ場所に行く。デジタルの腕時計を見ると、11時40分。少し早すぎたかな、と思いながら街路樹がつくる日陰に逃げ込む。
10分ほど待っていると、駅から人がぱらぱらと出てくる。そのなかに、ひときわ目を引くイエローのワンピースを着た彼女の姿が目に飛び込んできた。
「晶良さ〜ん」
人目もはばからず、大きな声で呼ぶ。少し恥ずかしげに頬を染めた顔を麦藁帽子で隠すようにして、それでも久々の再会がうれしくてしかたないといった笑顔を見せて、小走りでこちらに向かってくる。
「晶良さん、かわいいね」
「いきなり何言ってんの。照れくさいじゃない」
「あは。そのワンピース、よく似合ってる。かわいいっ!」
「ありがと」
とびきりの笑顔を見せてくれる晶良。先週のザ・ワールドのイベントでMVPを獲得した重剣士ブラックローズのリアルの姿とは、とても思えない。
(女って…)
「ねぇ。アタシ、お腹すいちゃった。ここでなんか食べてこうよ」
「ん。いいよ。こないだ見つけたタイ料理のお店、行ってみない?」
「うん! 暑いときに熱い国のものを食べるって、なかなかいいじゃん」
「でしょ。夜はおそらく日本食のような気がするし。行こっか」
彼女と手をつなぎ、5分ほど歩いて店に入る。同じようなことを考える人が多いのか、かなり込んでいたが、ちょうど2人がけのテーブルが空いていた。
店内はクーラーがうなりをあげていて、それが料理の辛さを想像させる。タイ風トムヤム・ラーメンとグリーンカレー、タイ風焼きソバを注文。
「タイ料理って食べるの初めてなんだ」
「実はアタシも」
少し待たされて出てきた料理を2人で食べる。店内はキンキンに冷やされているのだが、汗が噴き出してくる。
「かっらぁ」
「でも…おいしい!」
汗を拭いながら、残さず平らげる。
8 :
18Rの鷹:04/12/19 21:04:20 ID:I4sZputG
「ふぅ〜、おいしかったぁ。晶良さん、また、こようね」
「うん。アタシも気に入っちゃった」
「ねぇ、晶良さん。こないだのイベントのMVPの賞品って、なんだったの?」
「ふっふっふ、聞いて驚かないでよ〜。あのさ、旅行券だって」
「う、ん? あんまり驚かない、けど」
「50万円、って聞いても?」
「ブっ」
飲みかけた水を吹き出しそうになる。
「すごいっ!」
「でしょ〜。リョースの給料から引かれてたりして」
いたずらっぽく笑って、うれしそうに話す晶良。
「いつまで使えるの? 有効期限は?」
「それがね、10年間有効なんだってぇ。いいでしょ?」
「へぇ〜。CC社もやるもんだね」
「うん。だれと、どこに行こっかなぁ〜」
「え〜!? ぼくとじゃないのぉ」
冗談半分だが、不満そうに聞いてみる。
「別に、この間のイベントのパートナーとじゃなくてもかまわないって書いてあったもん」
「ちぇっ。あのとき、ウィッチごときに魅了されてなければなぁ…」
「ぼやかない、ぼやかない」
余裕の笑顔で話す晶良が、きょろきょろと周りを見てから顔を寄せ、小声でささやいた。
「新婚旅行で使いたいな。アンタとの…」
「あ、晶良さん!」
「ん。だから、大事にしなさいよ、アタシのこと」
「もちろんだよっ」
思わず、『愛してる』と叫びそうになるのをぐっとこらえ、
「あっ、そろそろ行こっか」
「そーだね。きょうはアタシがおごっちゃおう」
「えっ、いいの。わ〜い、ごちそうさま」
9 :
18Rの鷹:04/12/20 00:52:02 ID:TE0H6g7J
電車を乗り継ぎ、待ち合わせのホテルに着いたのは約束の15分前だった。
「あっ、黒川さん」
ホテルの自動ドアが開くと、その先に浴衣姿の母娘が目に入った。愛娘の深鈴を連れたミストラル、いや黒川真由美だ。
「カイト〜♪」
母親の手を振りきって、1歳半になる深鈴が危なっかしい足どりで走ってくる。かがんで両手を広げて迎え、抱き上げる。
「大きくなったね。深鈴ちゃん」
「カイト〜。好き好きぃ」
ゆっくりと歩み寄ってきた黒川さんがニコニコしながら、
「あらあら。カイトのこと、すっかり気に入っちゃって。ねぇ、カイト。深鈴のお婿さんになる?」
「う〜ん。20年も待ってたら、ぼく、オジさんになってるよ(笑)」
それを聞いた晶良は、反射的に
「ダメっ!」
と言うと、はっとして顔を赤らめる。
「アタシってば、幼児相手になにムキになってるのよ!?」
深鈴はあくまで無邪気に、
「晶良も好き好きぃ」
と小さな手を広げてニパっと笑う。生え始めた乳歯がのぞく。晶良に渡すと、
「ん〜、カイトがいいのぉ」
深鈴がぐずる。晶良は困った顔でぼくを見ると、
「はい、アンタがいいってさ」
「かぁたぁぐぅるぅまぁ」
「はいはい。かわいいお姫さま。これでよろしいでしょうか」
肩車されて大はしゃぎする深鈴。
「こら、深鈴。あんまり動くとあぶないでしょ」
「だぁ〜いじょうぶ。だって、カイトは強いも〜ん」
10 :
18Rの鷹:04/12/20 00:54:11 ID:TE0H6g7J
黒川さんは肩をすくめて
「お転婆さんで困っちゃう」
微笑みながら言う。晶良は
「アタシの小さいときよりマシですよぉ。それにしても深鈴ちゃん、言葉とか、早くないですか?」
「うん。女の子は早いって聞いてたけど、この子はちょっと違う気がするんだ」
「黒川さん、親バカ?」
「いやぁねぇ、晶良ちゃん。それも少しはあるけど…」
まさか、4歳でIQ200超の『天才児』に成長するとは、この時点ではだれにも想像つくわけがない。
「それにしても、浴衣ですか。メールにあった『仕込み』って、そのことですか?」
「うふふ。これも仕込みの一つ。あなたたちのもあるのよ。後で着替えましょうね」
「うわっ。すっご〜い。アタシ、浴衣って似合うかなあ」
「大丈夫よ。晶良ちゃんなら」
「あっ、それって、胸がないからって意味ですかぁ」
「あはは。そうじゃなくて、晶良ちゃん、かわいいから。カイトも惚れ直すわよ」
晶良は照れて赤くなったのをごまかすように話題を変える。
「あっ、そうだ。三十郎さんは?」
そう聞く晶良に、黒川さんが答える。
「それがねぇ。さっき、お部屋に電話してみたんだけど、時差ボケがひどくて、もう少し眠らせてほしいって」
「ザ・ワールドの"もののふ"も、やっぱり人間なのねぇ」
女性2人が語らう横で、ぼくは小さなお姫さまに振りまわされていた。まったく、子供の体力にはかなわない。そこに黒川さんが、
「こらっ、みぃれぇいぃぃ。いい加減になさい(-_-メ)」
顔文字入りでぴしゃりと叱られた深鈴は、ぼくの背後に隠れて上目遣いに母親を見つめて、小さな声でつぶやく。
「ごめんなさ〜い」
途端に黒川さんは慈愛に満ちた笑みを浮かべて深鈴を抱き、
「いい子ねぇ、深鈴は」
と言って娘の頬にキスをした。
即死防止にレスつけとこうか。
しかし500レスで容量限界って前スレはスゴイな…。
6割方が18Rの鷹氏の作品ってのもある意味スゴイが。
鷹氏、自分のHPとかに作品まとめといたほうがいいんじゃ?
過去ログに埋もれさせとくのはもったいない量と質だぞ。
鷹氏、新スレ立つのひょっとして待ってた?
>>7 改めて読み直して、イエローのワンピースに麦藁帽子の速水昌良さんを想像したら、激萌えた…つーかエロカワイイ。
14 :
18Rの鷹:04/12/21 01:56:34 ID:PDwug4tz
>>12さん。千葉県出身の夕暮れトカゲさん。
待っておりましたです、はい。
拙作を投下する場を与えてくださいまして、感謝感謝です!
>>11さん。
HPもってないんですよ…。
15 :
18Rの鷹:04/12/21 02:08:06 ID:PDwug4tz
>>10の続き
「晶良さん、三十郎さんは?」
と、ぼくが聞くと、
「睡眠不足で体調不良、だって。だから、ねっ、ホテルの中、見てまわらない?」
「そうだね。こういうトコくるの初めてだから、面白そう」
「だよね。いこいこ」
ぼくたちの会話を聞いていた深鈴が
「あぁ〜、ボクも行きたいぃぃ」
「私も久々にウインドーショッピングしたいなぁ。でも、お邪魔しちゃ悪いかな(;^_^A 」
気を使ってくれる黒川さんに、
「そんなことないですよ。一緒に行きましょう!」
と元気に答える晶良。もちろん異論はない。女性の買い物に付き合うのがいかに苦痛かなんて、わかる年ではないのだから。
とはいえ、30分もしないうちに、レディスパワーに圧倒されているのがわかるようになってきた。
(う〜、父さんが買いもの行っても、喫煙所で待ってる気持ち、なんとなくわかるぅ)
ブランドの店でペチャクチャ、ケーキ屋さんでキャアキャア、ジュエリー店でアーデモナイコーデモナイ…。深鈴まで一緒になって盛り上がってる。
(こ、これはダメだぁ。女って…大変かも…)
3人の女性陣がいっそう目を輝かせたのが、ウエディングのコーナー。晶良はもちろん、既婚者の黒川さん、1歳半の深鈴までもが瞳に星をちりばめてポヤ〜っとしている。
「きれい…」
タメ息まじりで漏らす晶良。すっかり夢見る乙女モード、だ。
「いいなぁ〜。私ももう一度、着たいなぁ」
と黒川さん。
「ボク、お色直しは、3回やるぅ」
おませな深鈴…。
半ば、呆れながら女性陣を見ていたが、ふっと晶良の花嫁姿が頭によぎり、一気に照れくさくなってしまう。
と、そこに、突然。
素朴な疑問ですが、鷹氏はsageはしないの?
18 :
18Rの鷹:04/12/22 00:11:34 ID:fTaHH77p
「ねぇ、あなたたち! 時間あるかしら。もしよければ、アルバイトしてみない?」
と、女の人から声をかけられた。ウエディング・コーナーの従業員のようだ。そのお姉さんは笑顔を絶やさないのだが、どこか切羽詰まっているように見えた。
「アルバイト? って、何をするのかな」
年長の黒川さんが戸惑うぼくたちの前に出て聞いてくれる。
「実は…、頼んでいたモデルさんが渋滞には巻き込まれちゃって、こられそうにないんですよ」
「あら、それは大変」
「それで、そちらのお若い2人に、結婚式のモデルをやっていただけないかと…」
「えぇ〜!?」
ぼくも晶良も突然の申し出にびっくりし、目を見開いて大きな声を出してしまう。
「あなたたち、とってもいい雰囲気なのよ。そう、アウラを身にまとってるのよ。一目見てピンときたわ。きょう頼んでたモデルさんたちには悪いけど、あなたたちのほうが絶対いい写真になると思うんだけどなぁ」
お姉さんは獲物を見るハンターの目で、ぼくたちのことを上から下まで眺めまわして、そう言った。
照れてぼくの腕にしがみついていた晶良が、おずおずと前に出て質問する。
「あのぉ。ウエディング・ドレス…、着られるんでしょうか」
「もっちろん! あなたのためにこさえたんじゃないかってくらい、よ〜く似合うと思うわよぉ」
「えっ…、そんなぁ…」
お姉さんの歯の浮くようなセリフを聞いて、晶良はますます赤くなっている。
「晶良ちゃん、やってみれば。面白そうだし、これは人助けよ」
にっこり微笑んで勧める黒川さん。晶良もその気になっているようで、
「ねぇ、アンタ。いや?」
「いやじゃないけど。ちょっと照れくさいなぁ」
「そんなこと言わないで。男のコでしょ? アタシ、やりたいっ」
「うん…。いいけど」
「わぁ〜。やったぁ。あの、お姉さん、よろしくお願いします」
目をきらきら輝かせている晶良を見て、ぼくもうれしくなってきた。
「ほんとっ! じゃあ、さっそく準備にかかるわ。着替えとお化粧、お願いっ」
お姉さんが合図をすると、待ち構えていたスタッフたちがわらわらと出てきて、ぼくたちを後ろの部屋に連れ込んだ。
保守
20 :
18Rの鷹:04/12/22 23:44:32 ID:fTaHH77p
3人の女性がぼくを取り囲み、あっという間にパンツ1枚にされる。しかし、照れくさく感じるのがはばかられるほど、スタッフの真剣さが伝わってきて、されるがままにしていた。
採寸がすむと、今度は椅子に座らされて化粧される。かなり濃いめなのを見てギョっとしていると、
「キツめにしたほうがね、写真にしたとき、ちょうどよくなるのよ」
と、ぼくを安心させるように教えてくれる。そう言うときでも手は休みなく動いている。
(なんか、プロって感じ。すごいや)
どんどん違っていく自分の顔など、そっちのけで感心していた。化粧が終わるのとほぼ同時に、
「新郎さまの衣装、完了!」
その声が早いか、衣装班のスタッフが2人、ぼくにとりつく。Yシャツ、パンツ、ネクタイ、タキシードをすさまじい勢いで着せられる。シルクの白い手袋を渡され、最後に靴を履いてフィニッシュ!
「これがぼく?」
姿見をながめて、ぼんやりつぶやく。
「まぁ、素敵!」
お世辞半分だろうけど、それでもうれしい。間を置かず、最初に声をかけてきたお姉さんが撮影の手順などをレクチャーしてくれる。
「あまり緊張しなくていいからね。彼女を見て、素直な気持ちを出してくれれば、きっといいものが撮れるわ」
「うん。わかった。うまくできるかどうかわからないけど、頑張ります」
そう言うと、彼女はニコっと微笑み、
「それじゃあ、行こっか」
撮影用の場所に連れて行かれる。見たこともないカメラや照明器具が何台も据えつけられていて、いやがうえにも緊張してくる。
「表情、硬いわよ? リラックス、リラックス。あそこから彼女が出てくるわ。その姿を見て、あなたの感じるままに動いて、ね」
「は、はい」
少し待たされる。部屋の片隅には黒川さんと深鈴、それに外国人の男性が1人、こちらを見ている。
「三十郎さん」
そう呼んだぼくに彼は笑顔でこたえ、大きく右手を振った。
21 :
名無しさん@ピンキー:04/12/22 23:48:52 ID:/H7l+uHk
一巻
22 :
18Rの鷹:04/12/23 21:45:31 ID:SIxWVpkz
そのとき、ウエディング・マーチが鳴り響いた。胸がドキドキいってる。
奥のドアが開き、花嫁が現れた。最初、それが晶良だとわからなかった。
純白のウエディング・ドレスをまとった晶良。はっと息を飲む。
「きれい…」
うっとりとした深鈴の声が、まるで天使のささやきに聞こえる。
「Oh! Very cute! Beautiful!」
三十郎さんがもらす。
晶良はうつむいていた顔をゆっくりと持ち上げる。健康的に日に焼けた晶良の面影は跡形もなく、透きとおるように白い顔。大きく開いたドレスからのぞく肩も腕も、やはり真っ白だ。
「晶良さん、とてもきれいだ」
自然と言葉がこぼれる。晶良はまっすぐにぼくを見つめ、引き寄せられるように近づいてくる。
「晶良さん」
もう一度、名前が口をつく。ウエディング・マーチは耳に入らない。瞬くストロボの眩い光も気にならない。ここには、ぼくたち2人しか存在していない。2人だけの世界が広がっていた。
ぼくと晶良の距離がゼロになる。ただ見つめあう。潤んでいた晶良の瞳から一筋の涙が流れ落ちる。頬で止まった涙に唇を寄せて吸い取る。
ぼくは晶良をそっと抱き寄せる。身を任せる晶良。ぼくの胸に顔を埋め、幸せをかみしめるように目を閉じる。そこに、
「カッ〜ト! グッジョブ! オッケ〜イ!」
カメラマンの人から声がかかる。途端に拍手が降りそそぐ。瞬間、我に返った晶良は、
「きゃっ、恥ずかしい、よぉ」
と言って、カメラとは逆方向に顔を向ける。その耳に、だれにも聞こえないようにそっとささやく。
「愛してる。かわいい、ぼくの晶良さん」
「あぁ…、アタシも」
その後、いくつかのポーズをとらされて、それを撮影し、お役御免となった。お姉さんが近寄り、
「と〜っても、よかった! 腕によりをかけて素敵な作品に仕上げるから、ね。期待しててね」
と言ってウインクする。
「あの、作品、って…?」
即死保守。
24 :
18Rの鷹:04/12/24 20:53:02 ID:U4B4/Tka
お姉さんはぼくの質問に胸を張って答える。
「日本全国のプリンセスホテルにあるウエディング・コーナーで使うポスターとかパンフレットのことよ。もちろんホームページにも載せるわ」
「えぇっ、ほんとですか? うわぁ〜、なんだか恥ずかしいなぁ」
「あら。ごめんなさいね。あんまり急だったから、そのへんのこと、お話できなかったわ」
一瞬、確信犯では? という考えが浮かんだが、もうどうしようもない。晶良は夢心地でぼんやりとしていて、そこまで考えがまわらないようだ。
(ウエディング・ドレスって、魔法の服なんだ…)
そんなことを思っていると、お姉さんが
「アルバイト代、払わなくちゃね。あなたたちの名前や住所、連絡先なんかを教えてくれない?」
そのリクエストに晶良が答える。
「はい。それで、あの…、きょう撮った写真、いただけないでしょうか」
「いいわよ。何点か見つくろって、CDに焼いて一緒に送るわ。それと、できあがった作品も、ね」
「ありがとうございます」
2人そろって頭を下げる。
「お礼を言いたいのは、こっちのほうよ。きょうは、どうもありがとう。あっ、そうだ」
そう言って、お姉さんは自分のデスクに戻り、一番上の引き出しから白い封筒を取り出してきて、それをぼくに手渡した。
「なんですか、これ?」
「プリンセス・ホテルの無料宿泊券。もちろんペア・チケットよ。系列のホテルなら、日本全国、どこのホテルでも使えるのよ」
「いいんですか、いただいちゃって」
「もちろんよ。きょう私にできる、ささやかなお礼、よ」
お姉さんはぼくにだけ見えるように小さくウインクした。
そこに黒川さんが割り込んできて、手にした袋を差し出しつつ、
「あのぉ、2人の着替えなんですけどぉ、この浴衣を着せてあげてもらえませんか。それと、お願いついでに、あそこにいる外人さんの着付も頼めないでしょうか」
とお願いする。お姉さんはにっこり微笑んで、
「おやすい御用よ。それじゃあ、衣装係さん、お願いね」
後ろの部屋に、三十郎さんと一緒に連れて行かれる。
25 :
18Rの鷹:04/12/25 20:30:38 ID:7H2ho4WW
「はうどぅゆどぅ…、えっと、ないすとぅみぃつぅ…、でいいんだっけ?」
「初めまして。三十郎です。お会いできて、大変うれしいです」
ザ・ワールド同様、流暢な日本語で話される。これでは下手くそな英語を無理してしゃべることはない。
「初めまして! ぼくも三十郎さんに会えて感激です」
あいさつが終わらないうちに、ぼくたちは浴衣姿になっていた。
「Wao! Japanese kimono! Excellent!」
「あは。三十郎さん、これは『ゆかた』っていうんですよ」
「Yukataですかぁ。日本の文化は奥が深いですねぇ」
着替えが終わって後ろの部屋から出る。ぼくは明るいブルー、三十郎さんは濃紺の浴衣だ。黒川さんと深鈴が声をかけてくる。
「2人とも、よく似合ってるわ」
「カイトぉ、すてきぃ。三十郎さんもしぶ〜い」
ぼくたちは互いを見てから黒川母娘に向き直り、
「ありがとう」
「こんなときはもっと感謝の言葉を知っていたらと思いますね。ありがとございます」
と、お礼を言う。そこに晶良が姿を現した。三十郎さんが『ピュ〜っ』と口笛を吹く。
「かわいい…」
思わずつぶやかずにはいられない。健康的な小麦色の肌によく映える鮮やかな黄色の浴衣を着た晶良。ぼくのつぶやきが耳に届いたのか、頬を染めてうつむく仕草もいとおしい。
「晶良ちゃん、とってもきれいよぉ。きょうのワンピースもそうだけど、晶良ちゃんには明るい色が似合うわ。黄色を選んでよかったぁ」
黒川さんの言葉に晶良は照れ笑いを浮かべ、ぼくに小声で聞いてくる。
「ねぇ、どうかな? 似合う?」
「すっっっごぉ〜く、かわいい!」
素直に思ったことを口にすると、晶良は
「よかった。うれしい!」
と笑顔を弾けさせ、それから
「黒川さん、ほんとにありがとうございます」
と言って、ぺこりと頭を下げた。
26 :
18Rの鷹:04/12/26 20:05:52 ID:pvvfq0Hx
そんなぼくたちを見ていたウエディング・コーナーのお姉さんが、うれしい申し出をしてくれる。
「よかったら、皆さんの記念写真、撮りましょうか」
「いいんですか!? やったぁ! スタジオでプロに撮影してもらえるなんて、めったにあるものじゃないし、お願いします」
黒川さんが目を輝かして答える。ぼくたちはまず全員で撮ってもらい、黒川さんと三十郎さんが持ってきたデジカメをカメラマンに渡して撮影してもらった。
それから晶良とツーショットを撮影してもらった。さらに深鈴がぼくに抱きついてきて、晶良の視線を気にしながら写真に納まった。
三十郎さんがお姉さんに丁寧にお辞儀をして、
「Thank you very much! とてもいい思い出ができました。ありがとう」
と、お礼を述べた。
時計を見ると4時を回っている。
「さあ、そろそろ行きましょう」
黒川さんは深鈴の手を引いて歩きだす。黒川さんはホテルの入り口で客待ちの列をつくっていたタクシーに乗り込み、……にある船宿浜元に行ってください、と告げた。
前のシートに黒川さんと深鈴が、後ろにはぼくと晶良、三十郎さんが乗った。タクシーの中、初対面だというのに三十郎さんとの会話が弾む。ぼくたちのリアルの話、サウスダコタのこと、日本でのスケジュールなど、話題はつきない。
しばらく話をした後、晶良が、
「あの、黒川さん。どこに行くんですか?」
と聞いた。
「うふふ。きょうはねぇ、隅田川で花火大会があるのよ。それを特等席で見るの」
「すっご〜い! でも、どこなんですか、特等席って?」
「屋形船の席を予約したのよ。人気があるから大変だったのよぉ」
「へぇ〜。ぼく、船に乗るなんて初めて」
驚きで声が裏返ってしまう。三十郎さんもびっくりしたようだったが、すぐに冷静になり、
「かたじけない」
と頭を下げた。そんな三十郎さんのサムライ言葉に、運転手が怪訝そうな顔をしてルームミラーをのぞき込んでいる。その様子がなんともおかしく、笑いをこらえるのが大変だった。
27 :
18Rの鷹:04/12/27 10:43:54 ID:tzWPZzIC
船が出るまでの時間、ぼくは晶良を誘って船着場を散策することにした。黒川さんと三十郎さんは、待合室でビールを酌み交わして談笑している。
「屋形船って、意外と大きいんだ」
晶良が好奇心いっぱいの目で、あちこち見まわしている。
「そうだね。でも、黒川さんって、いろんなこと知ってるんだなぁ」
堤防に腰を下ろしてつぶやく。晶良もぼくの隣にちょこんと座り、
「うん。アタシも黒川さんみたいな素敵な大人の女性になりたいなぁ」
「晶良さんは素敵だよ。きれいだし、かわいいし」
「そーゆー意味じゃなくて、にじみ出る知性と教養。そーゆーのを身につけたいの」
「ふ〜ん。そーいえば受験勉強、どう?」
「うっ…。きょうだけは忘れさせてぇ」
「あ〜あ。素敵な大人の女性になる前に、ちゃんと女子大生になってよ、晶良さん」
「こいつぅ。生意気言わないのっ。2年後にはアンタだって同じ目に遭うんだからね」
「そのときは家庭教師、お願いね」
「いいわよ。アンタが真面目な生徒をやってくれれば、ね」
「それ、自信ない。晶良さんがそばにいたら、勉強なんてどーでもよくなっちゃうよ」
「ばか」
晶良の向こう側に、無雑作に置かれたコンテナが目に入る。
「晶良さん。あそこなら人目につかなそうなんだけど…」
耳元でささやくように誘う。無言で立ち上がる晶良。ぼくは素早く手をつなぎ、コンテナのほうに歩きだした。
「時間、いいの?」
晶良が聞いてくる。
「あと15分あるよ」
そう答えたら、目的の場所に着いた。きゅっと抱き寄せて、夢中でキスをした。
5分前に待合室に入る。2杯めのジョッキを空にした黒川さんがいたずらっぽく微笑んで、
「さっき、姿が見えなくなったけど、なにしてたのぉ」
晶良はぼくの背中に隠れてしまう。
「えっと、あの、いやぁ」
しどろもどろになってしまう。
>18Rの鷹氏
いつもお疲れ様です。
今回はバックボーンに凝った感じですか?
氏のSSはストーリー展開がまったく読めないので、
読んでいて楽しいです。
頑張ってくださいね。応援しています。
29 :
18Rの鷹:04/12/28 00:40:59 ID:bHX1Ggdo
そんなぼくを見て、三十郎さんは笑みを浮かべて
「ザ・ワールドのアルティメット・パーティーがリアルではベスト・カップルなんて、映画か小説のようですね」
と話し、それから
「おっと。そろそろ時間のようですね。ヤカタブネにレッツ・ゴー!」
と言って勢いよく立ち上がり、さっさと乗船してしまった。
ぼくは三十郎さんに続いて乗船し、振り返って黒川さんから深鈴を受け取る。その場に座っているように言って、言うとおりにした深鈴の頭を撫でる。それから黒川さんの手をとり乗船を助けた。
晶良の手をとったとき、船が少し揺れた。慌てて強く手を引くと晶良はぼくの胸に飛び込む格好になった。
「ひゅ〜ひゅ〜。カイトと晶良、あっつあつぅ〜」
見上げていた深鈴に冷やかされてしまった。
ぼくたちの席は一番前の左側だった。三十郎さんは舳先に出て腕組みをしている。その姿は凛としていて、どこから見てもサムライそのものだ。ぼくたちも舳先に出る。
「風が気持ちいい」
と晶良が沈んでいく夕日に目を細めながらつぶやく。その横顔は朱に染まり、浴衣姿と相まってドキっとするほど艶っぽかった。
出船の声がかかり、ぼくたちは席に座った。エンジンが低く唸りをあげ、屋形船はすべるように川面を走る。スピーカーからはタイムスケジュールやコースの案内が流れてくる。
ふと開け放たれた障子の外を見ると、なぜか左舷一番前方の提灯がなく、裸電球がぶら下がっている。
「なんか変ね」
ぼくの視線を追って、それに気づいた黒川さんが言う。そこに料理が運ばれてきた。黒川さんは天ぷらの大皿を持ってきたお兄さんに声をかける。
「あの、どうしてあそこだけ提灯がないんですか?」
お兄さんはちょっと得意そうな顔をして
「へへっ。あんまり大きな声じゃ言えないんだけど、あれはウチの船が"世界"を救った記念なんだそうだ」
「えぇ〜!? なんですか、それ?」
晶良が驚いて聞き返す。お兄さんは、
「いやぁ、実はオイラもくわしくは知らないんだけど、ウチの大将がおととしのクリスマスに、なんか武勇伝をやらかしたみたいなんでさ。ま、本人がすごいって言ってっから、オイラたちはうんうんってうなずくしかないんですけどね」
お兄さんは早口でまくし立てると、次の料理を運ぶために戻っていってしまった。
もう1レス借りようかな。
>>16 これだけのSSを書いてくれる職人さんなんだ。
ageて原作を知らない新規住人が入ってくるかもしれないしな。
18Rの鷹氏のageには誰も文句は言えないだろう。問題ないよ。
俺はageっていて知ったスレだしな、此処は。
ひたすら「わかってるよなァ〜」連発オヤジの提灯キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
32 :
18Rの鷹:04/12/29 00:11:17 ID:BFY1Rptx
「おととしのクリスマスって…」
晶良がつぶやく。
「うん。"薄明"…だよね」
ぼくが答える。
「世界って、ザ・ワールドのこと?」
黒川さんも考え込んでいる。すると、三十郎さんが
「まあ、いいじゃねぇか。せっかくの料理が冷めちまうぜ。さあ、食べよう」
と言って器用に箸を使って海老の天ぷらをつまんだ。
「やっぱりその口調が似合うわね)^o^( 」
と言う黒川さんの言葉に、三十郎さんは照れ笑いしながら、
「ちょいとビールが効いてきたみてぇだぜ。みんな、許しておくんなせえよ」
みんなで笑ったら、それっきり提灯のことは忘れてしまった。
天ぷら、お寿司、焼き鳥、茶碗蒸し、次々に運ばれてくるご馳走に舌鼓を打つ。
「やっぱり日本で食べる日本料理は格段においしいぜ」
冷酒をくいくいあおりながら三十郎さんが満足そうに話す。黒川さんも冷酒を口に運んでいる。ぼくと晶良は、乾杯のビールだけ付き合って、あとはひたすら食べた。深鈴はデザートのプリンに大喜びだ。
「おいしかったぁ」
「ふぅ〜、もう食べらんない」
後ろに手をついて体を伸ばしていると、『ドーン』っと大きな音。
「あっ、始まったぁ」
深鈴がとことことぼくのところにきて、ちょこんと膝の上に座る。それをうらやましそうに見ながら、晶良はぼくにぴったり寄り添って花火を見上げる。三十郎さんが
「おっ、深鈴ちゃん、特等席だねぇ」
と声をかけると、深鈴はうれしそうに
「うん!」
と言って振り返り、愛らしい笑顔を見せた。
33 :
18Rの鷹:04/12/29 21:21:45 ID:BFY1Rptx
「たぁ〜まや〜、か〜ぎやぁ〜」
あちこちで聞こえる掛け声に合わせて、三十郎さんが野太い声を張り上げる。周りのお客たちも、三十郎さんのフレンドリーな雰囲気に違和感は感じていないようで、みな温かい眼差しを投げかけている。
ぼくは夜空に向けていた視線を横に移す。すぐ近くに晶良の顔。その瞳の中で弾ける花火は、これまで見たどんな花火より、ずっときれいに見えた。
花火に照らしだされる晶良の顔にしばし見惚れてしまう。ぼくの視線に気付いた晶良が、
「どしたの?」
と小首を傾げて聞いてくる。浴衣からのぞくうなじにドキッとする。
「きれいだな、って」
「そーだね。こんなに間近で花火、見たことないもんね」
「いや。晶良さんがきれいだなって思って、見てた」
「ばか言ってないで、ちゃんと花火を見なさい」
晶良はかすかに頬を赤くし、天空の花火に顔を向けてしまった。
クルージングは3時間ほどで終了した。屋形船を降りると、夜風が気持ちいい。三十郎さんは、翌日早起きして都内をいろいろ見てまわると言い、
「みなさん、ほんとにありがとうございました。おかげでとっても素敵な思い出ができました」
と深々とお辞儀をした。最後に全員と握手をして、タクシーを拾ってホテルに戻っていった。
ぼくたちは少し歩くことにする。ぼくの背中で深鈴がかわいく寝息をたてている。
「ごめんなさいね、カイト」
申し訳なさそうに言う黒川さんに、
「いいんですよ」
と答えて笑顔を向けるが、手をつなげない晶良はちょっぴり不満そうだ。それに気付いた黒川さんが、
「そうだっ、晶良ちゃん。ウチに泊まる…っていうか、泊まったことにする?」
と聞いてくる。最初、晶良はその意味がわからず戸惑った顔で、
「えっ…っと。あの、それって、どーいう?」
と聞き返す。
「さっきもらった宿泊チケット、今夜使ったら? アリバイ工作は引き受けるわよ。どう?」
やっと黒川さんの提案を理解した晶良は、
「やだっ、そんな…。気を使わないでくださいよ」
と、申し出を断ってしまう。
34 :
18Rの鷹:04/12/30 17:34:24 ID:3R7ScCuO
黒川さんは、
「あら、いいじゃないの? 久しぶりのデートなんでしょ。ねっ、晶良ちゃん、ケータイでご両親に連絡しなさいよ。私がうまく話してあげるから」
「そんなぁ…」
と言って、ぼくに視線を向ける晶良。ぼくは泊まる気満々の目をして晶良を見つめ返す。
「あの、黒川さん、ほんとにいいんですか」
そう言うと晶良はケータイを取りだして耳にあてる。ぼくは思わぬ展開に心の中でガッツポーズを繰り返す。
「あっ、アタシ。あの、ちょっと待って」
晶良は相手が電話に出るとすぐ、押しつけるように黒川さんにケータイを渡した。
「もしもし、黒川と申します。晶良さんにはいつもお世話になっておりまして。…いえいえ。…それで実は、娘の深鈴がどうしても晶良さんと寝るってきかないものですから。…えぇえぇ、そんな、迷惑なんて、とんでもございません」
横で聞いていると、感心するしかないほど話をうまくまとめていく。黒川さんはひととおり話し終わってケータイを晶良に返し、
「カイトは自分でなんとかしなさいよ? 男のコだもんね」
ニコっと笑みを浮かべながら、ぼくの背中から深鈴を引き剥がす。あっと思って、ぼくは慌てて自分のケータイを取りだし、
「あっ、ヤスヒコ? あのさ、きょう、これからなんだけどさ、泊めてくれない? …あ〜っと、そうじゃなくってぇ、えっと。…だ〜か〜らぁ、つまり、その、ヤスヒコんちに泊まることにしてくれないかなぁ」
こんなことは初めてだから、うまくしゃべれない。そんなぼくを少し離れて見ている晶良と黒川さんは笑いを噛み殺している。横目でそれを見ていると、ますます焦りが募ってくる。
「だ、だからぁ。…そう! そういうこと。お願い。…うんうん、わかった。埋め合わせぇ? わかったよっ。…あ〜、今度ね。…うん、だから頼むね」
ケータイを切って、ふぅ〜っと息を吐く。次は家に連絡しなくてはならない。
「あ、ぼく。きょうさ、ヤスヒコんち、泊まるから。…うん、…うん、大丈夫。…食べたよ。…だから、だいじょぶだって。…悪いことなんてしないって。…飲まないってば。…うん、心配いらないから。じゃあ」
なんとか取りつくろえたみたいで、ほっとする。晶良がニコニコしながら、
「ふ〜ん。アンタ、ずいぶん心配されてるんだねぇ」
35 :
18Rの鷹:04/12/31 15:56:49 ID:5QGwzM8f
「からかわないでよぉ」
きまりが悪くて口を尖らせて不満そうに言うと、晶良は目を閉じ、黒川さんに聞こえないように小声で、
「おとうさま、おかあさま。お許しください。大事な息子さんをたぶらかして、ごめんなさい…なんてね」
と冗談ぽく言って、それから
「やっと2人きりになれるね。悪いこと、しよ?」
潤んだ瞳でぼくを誘惑する。
(いざとなると女のほうが度胸が据わってるっていうけど、ほんとにそうだなぁ。でも…晶良さんとできる!)
ぼくは"悪いこと"がしたくて、元気いっぱいに答える。
「うん!」
黒川さんがいるというのに、晶良を抱きしめてしまう。
「こらっ、まだ早いってば」
「あらあら。お〜い、カイトく〜ん。目のやり場に困るぞぉ(*^^*) 」
晶良に叱られ、黒川さんには冷やかされてしまう。
「いっけね」
顔を真っ赤にして頭をかくしかない。
再び歩きだす。ぼくと晶良は黒川さんの数歩後ろで、ひそひそと話し合う。
「ねぇ、どこに泊まる?」
「う〜ん。三十郎さんのいる東京プリンセスは、なんか行きにくいし。どうしよ」
「アタシ、わかんないよ」
よっぽどラブホテルのほうが気が楽だ、などという考えが浮かんでくる。黙り込んで下を向いていると、
「あなたたち、どこのプリンセスホテルに行くの?」
立ち止まった黒川さんが聞いてくる。
「それが…、よくわからないんで困ってます」
「それじゃあ、赤プリなんて、どう?」
「赤プリって…」
「赤坂プリンセスホテル。途中までタクシーで一緒に行こうか」
「あ、はい。お願いします」
乗り込んだタクシーの中で、黒川さんがチェックインの仕方、部屋の種類などをレクチャーしてくれる。
途中のJRの駅で黒川さんがタクシーを降りてしまうと、赤坂プリンセスホテルに着くまで、ぼくたちは無言でいた。ただ、握りしめた手にじんわりと汗をかいていた。
36 :
名無しさん@ピンキー:04/12/31 16:10:31 ID:PNj1SLY1
37 :
18Rの鷹:05/01/01 15:31:12 ID:1+M/GHjp
「ん…、んぅん…、ぁぁ…、ぅん…」
ドアのオートロックがガチャっと音をたてると、ぼくは晶良を抱きしめ唇を重ねた。晶良も待っていたようで、ぼくの背中にまわした腕は力が入りっぱなしだ。
「ぁぅん」
さし入れた舌を晶良の舌が迎える。互いの唾液が混ざり合う。晶良の口内をねぶりだすと、『ペチャ』という音とともに、
「ぁ…ふぅ」
という、せつなげな吐息が漏れる。さらに舌を動かそうとすると、晶良の舌がぼくの口の中に入ってくる。
「!?」
これまでにない積極的な行為に驚くが、もちろん大歓迎だ。されるがままにする。少ししてから、舌の先を硬く尖らせて晶良の舌に刺激を加える。ビクっと体を震わす晶良。
晶良の腕から力が抜ける。ぼくは彼女の細い手首をつかみ、それから指を絡ませた。長いキスを終え唇を離す。
「はぁあ」
声を漏らし息を吸い込んだ晶良の唇に舌を這わし、ちゅっちゅっと音をたてて吸う。
「あぁぁ、ぁあ、あっ、ぃぃ…」
晶良の声がぼくをますます興奮させていく。次の唇の役目は、思いを言葉にすること。
「かわいいよ。とてもかわいい。晶良さん、愛してる」
まっすぐに目を見つめて、自分の気持ちを言葉として紡いでいく。晶良の目から涙があふれる。
「…うれしい…。アタシも…愛してるよ」
もう一度唇を吸ってから、右のまぶたにキスをする。それから耳に触れるか触れないかの距離に唇をもっていき、
「愛してる」
とささやいた。ぼくの息が耳をくすぐるたび、晶良の体が反応し声が漏れる。
「はぁ…あっ、ぁぅ、…ぁっ」
「晶良さん、ほしい、晶良さんがほしいよ」
耳の形に添って舌を這わせていく。晶良が身をよじる。
「あぅぅ…、あんっ、愛して…、ねぇ…、アタシも…あんたがほしい…」
ドアの前は少し狭く、抱き上げたら晶良の体が壁にぶつかりそうだ。興奮してはいても、周りの状況を観察する余裕はあった。
「晶良さん、ベッドに行こう」
こくりとうなずいた晶良の腰に腕をまわし、体を支えてベッドの横まで行く。
38 :
18Rの鷹:05/01/02 12:04:27 ID:BWmGrWEW
向き合ってキスをしながら、帯の結び目に手をかける。もぞもぞと手探りで解こうとするがうまくいかない。晶良は唇を離すと、
「待って」
と言って後ろを向き、手を後ろにまわして器用に結び目をほどいた。ぼくは後ろ向きになった晶良を抱きすくめ、首筋に唇を強く押し当てる。
「あぁっ、ぅうん…あんっ」
晶良の声が大きくなる。
意識してゆっくりと帯を緩めていく。静かな音をたてて帯が床に落ちた。ぼくも自分の浴衣を脱ぎ、それから晶良のうなじに舌を這わせる。
「あふぅ…、んん」
ぼくの右手は浴衣の合わせ目からすべり込む。ブラジャーの上から柔らかなふくらみに触れると、せつなげな声が漏れだす。
「ぁぁ…」
浴衣を脱がせ、下着姿にする。後ろからきつく抱きしめ、
「愛してる。愛してる。愛してるよ、晶良さん」
久しぶりに晶良を抱ける、そう思うとすぐにでもベッドに押し倒したくなってくる。はやる気持ちをぐっと抑えて、立ったまま愛撫を続ける。
ブラのホックを外し取り去ると、晶良は両手で胸を隠し、朱に染めた頬をぼくのほうに向けて唇をねだってくる。
「ねぇ…キス…んん…」
して、の言葉が出る前に唇をふさぐ。伸びてきた晶良の舌を迎え、ねっとりと絡みつける。晶良の両手に手をかけてブロックされた胸をあらわにし、ふもとのほうからソフトタッチで撫で上げる。
「あふぅっ…あっ!」
ビクっと体を震わせた晶良は唇を外し声をあげる。
「あんっ、あぁんっ!」
ぼくの指は乳首に到達。くりくりとつまむようにいじり撫でると、徐々に大きさと硬さを増していく。
「あぁ…、ああんっ、あふっ…ぃぃ…、あっ!」
晶良の口からは絶え間なく歓喜の声が漏れでてくる。左手は胸の愛撫を続け、くびれたウエストから脇腹にかけて右手の指を這わしていく。
「晶良さん、とってもきれいだ。大好きだよ、愛してる」
「アタシも…あっ! ああぁん、アタシも愛してるぅぅぅ」
かがんでパンティ越しにキスの雨をお尻に降らす。そうしてから背骨にそって首まで一気に舌を這わせた。
エロいよ…氏のSSはもちろん創作なんだろうけど、リアリティ溢れてるよね
新年早々の投下、ありがとう。
氏のSSはレスすら許さない程の貫禄があるね
こうやってレスすると氏のSSが途切れるからいつも躊躇する・・・・・・
いつも…ねぇ?レスストッパーになってしまった感は否めないな。
氏はご自分のペースで頑張っていただきたい。
42 :
18Rの鷹:05/01/03 12:00:00 ID:e2NZP9Wa
>>38の続き
「あ────っ、ぃゃぁ、へんに…おかしくなっちゃうぅ」
そういう晶良の膝はがくがくと震え、いまにも崩れそうだ。
「ベッドに行く?」
耳元でささやくと、晶良はこくんとうなずいた。
一度、晶良から離れ、掛け布団をカバーごとめくりあげる。それから、恥ずかしげに胸を隠し俯いている晶良の元に戻って、肩に手をかける。晶良は潤んだ瞳をゆっくりとぼくのほうを向けて、両手をぼくの首にまわして、「好き。…抱いて」
と言った。ぼくは晶良のおでこと左右のまぶたにキスし、彼女を"お姫さま抱っこ"した。
ベッドに晶良を寝かせ覆い被さる。右手が本能のまま動き、胸を強く揉みしだく。反対側の胸には舌と唇がゆっくりとうごめく。晶良はシーツを握りしめ、
「あっ、あっ、ぅんっ、あうっ、あーっ!」
喘ぎは短く大きく、そして途切れない。
これまでの恐る恐るだった反応とは違う。自分のテクニックがうまくなったのかとも思ったが、やってる行為はいままでと大差ない。間違いなく晶良の感じ方が変わっていた。
「晶良さん、いいの? 感じる?」
手の愛撫を休めずに聞いてみる。
「うん…んあっ、ぃぃ…の、気持ち…いいのぉ」
ぼくの手が下がっていき、指がパンティにかかる。晶良はお尻を上げ、脱がすのに協力してくれる。するりとパンティを取り去り、ぼくは膝の間に割り込む。と、
「いやっ! …きょう、いっぱい汗かいちゃったし、シャワー浴びてない。だめぇ」
最初、意味がわからなかった。晶良の懇願するような恥じらいの目を見ていて、やっと気がついた。
(晶良さんのなら汚いなんて感じないけど…、それに沸き立ってくる匂いもソソるんだけど…)
晶良が嫌がることをするつもりはなかった。ニコっと微笑を見せて体を上にもっていき、晶良の横に寝る。心の中では、
(口が使えないなら、指で頑張っちゃお)
などと考えていた。まずは晶良の気持ちをセックスに戻そうと、耳を攻撃する。
「とってもかわいいよ、晶良さん。たべちゃいたい」
熱い息を吹きかけてから、耳たぶに歯を当てる。耳の穴を舌でまさぐる。
「あっ! ぅぅん…、あぁっ、いいっ」
43 :
18Rの鷹:05/01/06 01:14:50 ID:pZ6EHCvW
少し遅れて指が活動を開始する。まずは掌全体を使って太腿を撫でる。晶良の体がびくっびくっと小刻みに震えている。そうして、手は"中心"に近づき、ようやくそこに到達した。掌で柔らかい毛に覆われた部分をゆっくりと触る。
「ぁぁ…、ぁあっ、あっ、ああんっ」
少しずつ大きくなっていく晶良の声と掌の感触が、ぼくを興奮させていく。
人差し指が割れ目をなぞると、晶良の体はのけぞり、つかんだシーツが持ち上げられる。
「あっ、…あ────っ」
いきなり指が入ってきて、晶良の声がひときわ大きくなった。そこは、熱い粘液で十分に潤っていた。さらに奥へと指を侵入させていく。かきまわすように、撫でつけるように指を動かす。深く浅く出し入れする。
「あっ、ああんっ、あふぅっ…、あっ、あ──っ」
指を抜くと、晶良は潤んだ目をぼくに向け、腕をぼくの首にまわしてくる。
「あぁっ、はぁ…、はぁぁ、あぁ…」
晶良の息が整わないうちに、ぼくの指が再び攻撃を開始。
敏感な突起は、すでに固くしこっていた。晶良の愛液で濡れた指が遠慮なく動きまわり突起を刺激する。
「あうっ! ん…んあっ! あ──っ!」
晶良の腕に力が込められ、ぼくの耳のすぐ近くで晶良が喘ぎ声をあげている。
(もう…だいじょぶ、かな。それにしても、きょうの晶良さん、いままでと全然違う。すごく濡れてる)
指をそこから離し、晶良の腕の力が抜けたのを認識すると、ぼくはやさしくキスをしてから体を離した。そうして、ベッドサイドに放りだした紙袋に入った短パンのポケットからスキンを取りだし、晶良に背中を向けてそれを装着した。
晶良は少し横を向き、重なってきたぼくを受け入れる。ぼくは右手で晶良の膝を持ち上げ、その部分を大きく広げる。羞恥心で目を閉じる晶良の表情がいじらしい、というか、ひどくソソる。
左手で晶良の肩を押さえ、痛いほど勃起した息子を晶良のその部分に押しつけた。2度、3度、そこを探り、ヌプっと収まるところにたどり着く。軽い抵抗のあと、ヌルリと入っていく。晶良が
「あっ」
と短く声を漏らす。ぼくは一気に根もとまで突き入れた。
「あぁ…あ──っ、あっ、あっ!」
もう、これ以上入らないところまできているというのに、ぼくはぐいぐいと腰を押しつける。どこまでも晶良の中に入っていきたかった。
44 :
18Rの鷹:05/01/07 00:00:29 ID:pZ6EHCvW
晶良も逃げようとする素振りはいっさいなかった。むしろ、自分の腰を前に押しだすような感じなのだ。こんなことは、これまでなかった。
「晶良さん、晶良さん、晶良さん…愛してる、好きだっ、愛してるっ」
結合した部分をさらに強く押しつけながら、ぼくは目を閉じて快感に浸りながら言い続ける。晶良はぼくの背中に腕をまわし、きつくすがってくる。
少し押しつける力を緩める。晶良が
「あぁ…」
と漏らす。ぼくが
「痛くない?」
と聞くと、晶良は小さくうなずき、
「うん…、へーき…だけど…、なんか…へん…なの」
「変?」
「よく…わかん、ない」
「動くよ?」
晶良は、こくんとうなずいた。
ぼくはゆっくりと腰を引き、それからグイと突き入れ、それを繰り返しながらスピードを上げていく。
「あっ…あっ! んあっ! んあぁっ! あ──っ! あ───っ! あ────っ!」
ストロークとスピードに合わせるように晶良の喘ぎは大きくなり、そして長く伸びていく。
「…だめぇ、だめっ! いやぁ! あっ、あっ、あ──っ!」
晶良の言うことは、もちろん聞けない。いや、さらに荒々しく犯していこう、とさえ思う。
やめるのが優しさか、続けるのが思いやりか、自問自答を繰り返す。答えは決まっているのだが──。
ぼくは晶良の両足首をつかみ、自分の肩へと運ぶ。二つ折りになる晶良の柔らかで、しなやかで、艶やかな肢体。
晶良の両手は真横に広げられ、すがるようにシーツをつかむ。無防備になった胸を、ぼくの両手が襲う。乳房を揉みしだき、乳首をつまみあげる。
「いっ…、いぃっ…、いいっ、いいのぉ、あっ、あっ、あっ、あうっ! だめっ、あふっ、いやっ、あっ!」
晶良は自分と戦っているかのようだ。快楽のリミナリティ、境界線など、とっくに超えていた。だけれども、晶良はそれを受け入れるのを恐れている。
「ぃやっ! やっ! だめっ、あぅっ、あっ!」
百万言を紡ぐより、いまは行動あるのみ。一気に頂上を目指さず、迂回するルートを選ぶ。
腰の動きを、前夜見たエロDVDの男優さんみたいに、ゆっくりと回転するようにしてみる。
「あっ…ぅぁぁぁぁっ、あっあっあっあっ、…あっ!」
晶良の反応は素直だ。こちらの動きが喘ぎ声に反映される。
45 :
18Rの鷹:05/01/08 00:00:45 ID:bOT2ZUxK
晶良の蜜壷をかきまわしているうちに、自分のムスコがその熱い坩堝に溺れかけていることに気付く。
(ゆっくり動かしてたら、晶良さんの中の熱い感触がもろに感じられるよぉ…。あぁっ、もう…だめぇっ、いきたい、出したいっ、もーっ、だめっ!)
晶良と体を密着させ、腰は激しく動かす。晶良をこれでもかというくらいに犯していく。晶良はぼくの背中に爪をたて、声にならない声をあげている。
「───っ! んあぁっ! あっ! すきっ、大好きっ!」
「晶良さん、晶良…さん、晶良、晶良、…あっ、晶良ぁぁぁあっ、あっ!」
「いいっ、いいのぉ! あっ、だめっ、あっ! あぁっ…、おかしく…なっちゃうぅぅ」
快感が2人を支配し、それが共鳴する。溶け合って一つになっていくかのような感覚──、その刹那、弾けた。
あまりに夢中になっていたせいで、晶良の最後のときの声を聞き取れなかった。ただ、背中にくい込む晶良の爪の痛みだけが、しっかりと体と意識に刻まれていた。
「はぁぁ、はぁ、はぁ、はぁぁ」
晶良の頬にぼくの頬を密着させ、目を閉じて呼吸が普通に戻るのをじっと待つ。膨張しきって破裂した股間の小宇宙は、母なる肉襞に包まれて、いまだに快感をむさぼろうとしている。
組み敷いた晶良を思いやる。顔を動かさずに言う。
「晶良さん、よかったよ。すごく、よかった」
返事はない。
「晶良、さん?」
ぼくの声は晶良の耳には届いていないようだ。そっと抜き差ししてみるが、晶良は反応しない。ぼくの脳裏に初体験のときの光景がよみがえる。
(そういえば…、レイチェルも意識をなくしちゃったんだっけ。晶良さん、『イった』のかなぁ)
晶良に自分の体重がかからないように腕で支える。しばらくすると晶良は少しだけ目を開け、ゆっくりと頭を動かして、ぼくを見上げる。唇が動くが言葉が出てこない。
「…、…、ぁぁ」
「晶良さん、大丈夫?」
小さくうなずき、また目を閉じてしまう。それから再び薄く目を開けて、
「ねぇ…」
「何?」
「キス…、キスして」
そっと唇を重ねる。冷たく乾いている晶良の唇を舌先で舐める。晶良は腕をぼくの頭にまわし、ぼくの唇を強く吸ってきた。
46 :
18Rの鷹:05/01/10 00:12:14 ID:UrJJOzgM
しばらく後戯のキスを楽しんだあと、
「よかった?」
と聞いてみる。晶良は恥ずかしげに目線を外し、
「うん…、アンタとドロドロに溶け合って、どっかに飛んでっちゃうんじゃないか、って思った」
「ぼくも晶良さんと一つになってるって感じた」
「ねぇ、いまもアンタがアタシの中にいる…」
果てたとはいえ硬度は衰えていないし、たまに脈打つように動くムスコ。
「愛してる。これからも、ずっとずっと愛してるよ、晶良さん」
「うれしいっ。アタシもアンタのこと、愛してるっ」
そう言ってしがみついてくる晶良。ぼくはそっとムスコを抜いていく。ヌロンと晶良の外に出た瞬間、晶良は
「あぁん」
と発し、目を閉じて身をよじらせる。それから舌を絡めた。少しの間、戯れた後、晶良が
「ねぇ、シャワー浴びておいでよ。アタシはもう少し休んでたいから」
「うん。じゃあ、お先に」
軽くキスをして晶良から離れ、ベッドサイドに腰掛けて大量の精液を溜めたスキンを外す。晶良は初めてのときとは違って、興味深げにそれを見ている。
晶良の視線に気付いて、いま外したスキンをかざし、
「見る?」
と聞いてみる。晶良はこくんとうなずき手を伸ばしてスキンを受け取った。そうして、しげしげとそれを眺めて、「へぇ。男って、こういうの出すんだ…」
ひとり言のようにつぶやいてから、それを頬にあて、
「熱い…」
目を閉じて言った。それを見ていたら急にドキドキしてしまい、ひったくるようにスキンを取り返し、
「捨てるよ」
そう言って、くるりと一回転させて縛り、ティッシュにくるんでゴミ箱に放り込んだ。
47 :
18Rの鷹:05/01/10 00:14:48 ID:UrJJOzgM
しばらく後戯のキスを楽しんだあと、
「よかった?」
と聞いてみる。晶良は恥ずかしげに目線を外し、
「うん…、アンタとドロドロに溶け合って、どっかに飛んでっちゃうんじゃないか、って思った」
「ぼくも晶良さんと一つになってるって感じた」
「ねぇ、いまもアンタがアタシの中にいる…」
果てたとはいえ硬度は衰えていないし、たまに脈打つように動くムスコ。
「愛してる。これからも、ずっとずっと愛してるよ、晶良さん」
「うれしいっ。アタシもアンタのこと、愛してるっ」
そう言ってしがみついてくる晶良。ぼくはそっとムスコを抜いていく。ヌロンと晶良の外に出た瞬間、晶良は
「あぁん」
と発し、目を閉じて身をよじらせる。それから舌を絡めた。少しの間、戯れた後、晶良が
「ねぇ、シャワー浴びておいでよ。アタシはもう少し休んでたいから」
「うん。じゃあ、お先に」
軽くキスをして晶良から離れ、ベッドサイドに腰掛けて大量の精液を溜めたスキンを外す。晶良は初めてのときとは違って、興味深げにそれを見ている。
晶良の視線に気付いて、いま外したスキンをかざし、
「見る?」
と聞いてみる。晶良はこくんとうなずき手を伸ばしてスキンを受け取った。そうして、しげしげとそれを眺めて、「へぇ。男って、こういうの出すんだ…」
ひとり言のようにつぶやいてから、それを頬にあて、
「熱い…」
目を閉じて言った。それを見ていたら急にドキドキしてしまい、ひったくるようにスキンを取り返し、
「捨てるよ」
そう言って、くるりと一回転させて縛り、ティッシュにくるんでゴミ箱に放り込んだ。
48 :
18Rの鷹:05/01/11 00:00:09 ID:UrJJOzgM
さほど広くないバスルーム。
(これじゃあ、2人で入るのは無理、だよなぁ)
お風呂で戯れるのが割と好きなぼくには、ちょっぴり残念だった。
熱いシャワーを頭から浴びてから、念入りに体を洗う。疲れがお湯とともに流れ落ちていく。
(こんなことになるのがわかってたら、きのう抜いたりしなかったのにぃ)
心の中でぶつくさ言うが、回復力に影響が残る年齢ではない。それに、時間はたくさんある。
最後に冷たい水のシャワーを体に浴びせて終了。バスタオルで水気を拭い取る。パンツは履かずにバスタオルを腰に巻いて、晶良のいるベッドに戻った。
「晶良さん、お待たせ」
晶良はベッドの端に座り、窓から見える夜景を眺めていた。ゆっくりとこちらに振り返り、
「夢、見てるみたい」
「どーして?」
「きょうあったこと、思い出してたんだ。ウエディングドレス、浴衣を着て屋形船での花火見物、それからアンタとの初めての外泊…。いま見てる夜景だってそう。ぜ〜んぶ、夢の中での出来事みたい」
「そうだね。こんな夢なら、さめなければいいね」
「うん」
「晶良さん。シャワー、気持ちいいよ」
「ん。…ねぇ…、寝ないで待ってて、ね」
「もちろんだよっ!」
晶良は前を隠してバスルームに消えた。と、一度閉じたドアが再び開いて、晶良が顔だけ出し
「こらっ。もっときれいに入んなさいよ。床がべちゃべちゃに濡れてるじゃん!」
思いっきり怒られてしまった。慌てて
「あっ、ごめん!」
と謝るが、
「もぉ〜、しっかりしてよ。伝説の勇者がダメ男じゃ情けないわよ」
お姉ちゃん気質を存分に発揮して、晶良はドアを閉めた。ぼくは夢から現実に引き戻され、頭の中では
(姉さん女房、尻に敷かれる)
という言葉がぐるぐる駆け巡っていた。
49 :
18Rの鷹:05/01/12 00:00:02 ID:MIr/p87q
ひとりでは間がもたない。ぼくはテレビの存在に気が付いて、リモコンをつかみスイッチを入れる。チャンネルを次々変えていくと、突然アダルト映像が映しだされる。
思わず見入ってしまう。股間のムスコも元気を取り戻してきた。が、晶良が出てきたときにこれを見ていたのでは、さすがにバツが悪い。すぐにチャンネルを変えてしまう。
シャワーの音がやみ、ドライヤーがうなっている。音が聞こえなくなってから少し間を置いて、バスタオルを体に巻いた晶良がドアを開けた。
晶良は窓に近寄り、カーテンを開ける。
「ねぇ、こっちきて。とってもきれい」
ぼくはテレビを消して、晶良に引き寄せられる。そっと肩に手を置き、
「ほんとだ。東京の夜景もいいもんだね。でも…」
「? でも、何?」
「晶良さんのほうがきれい」
いつもなら頬を赤く染めて、ばか、と言う晶良が押し黙っている。
「晶良さん?」
「…ねぇ。アタシ、もっとアンタと愛し合いたい…。アタシ、いやらしい女かな?」
「そんなことないよっ! ぼくだって気持ちは同じだよっ」
「嫌いにならない?」
「ならない! もっと好きになったよ」
そう言うと、晶良はいたずらっぽい笑みを浮かべ、上目遣いにぼくを見て、
「へぇ〜、アンタって、いやらしい女のほうが好きなんだぁ」
「晶良さん、ずるいっ。自分から話振っといてぇ」
「フフフ。ごめんごめん」
「ぼくはね…」
「ん?」
「いやらしい晶良さん、大好きっ」
晶良が何か言う前に唇をふさぐ。晶良はすんなりキスを受け入れ、つま先立ちして腕をぼくの首にまわしてくるぼくは晶良の腰に手をまわし体を密着させる。キスしたまま少しずつ移動し、ベッドに座る。
さあ、まずはどこに攻撃目標を定めようか、と思った瞬間、あることに気が付いた。
(いっけないっ!)
50 :
18Rの鷹:05/01/13 01:33:35 ID:BSUBSlwN
(スキン、補充してない。さっきのが最後の、だった…)
焦りが動きを止めたのがわかったのか、晶良が何かを察して聞いてくる。
「どしたの?」
「えっと…、スキン、ないんだ…」
晶良は目を伏せて考え込んでから、
「…いい、よ。つけないでも。たぶん、だいじょうぶ、だと思う」
考えてもみなかった展開に、うれしさよりも心配が先にたつ。
「ほんと? ほんとに、いいの? だいじょぶ、なの?」
「うん…。生理、終わったとこだから…」
したくて、やりたくて、どうしようもないのだけれど、
「無理してない? ほんとにいいの?」
と晶良を気づかって聞いてしまう。
「アンタとね、こういうことするようになってから、生理の周期が少し早くなったんだ。アタシ、アンタに変えられちゃったみたい」
「晶良さん…」
「いいの。アタシ、もう、アンタのいない人生なんて考えらんないもん」
「子供、できちゃったら、…ぼく、働くよ…」
「ばか。だいじょうぶ、よ。きっと…」
ぼくは返事をする代わりに晶良を抱きしめた。まだ濡れている髪の毛を撫で、頬と頬をすり寄せる。
いったん体を離し、バスタオル越しに胸に触る。晶良から力が抜けたのがわかった。ゆっくりとバスタオルを外し、乳首にキスをする。唇ではさみ舌で舐めあげると、
「はぁ〜ん」
たまらず晶良が漏らす。手を肩にかけて、そっと押し倒す。右足を晶良の足の間に入れた体勢で覆いかぶさる。
「んん…んっ!」
桜色の乳首を口でもてあそびつつ、右手でもうひとつの乳房をソフトに揉みしだくと、晶良は快感の波に身を任せ、声を押し殺して吐息を漏らす。
ぼくは体を少しずつ下げていく。それにつれて、手も、口も、攻撃目標を変えていく。脇腹を掌でさするように愛撫し、唇と舌は滑らかな肌をくまなく這いまわる。
「はぁ…ぁん…あぅ…んんっ…あっ…いいっ! あっ、あっ、あぁっ」
絶え間なく響く晶良の喘ぎ。
51 :
18Rの鷹:05/01/14 00:30:15 ID:A00aF0ls
黒い柔毛が形づくる逆三角形を見ていた。晶良の両太腿を肩に乗せているため、そこは無防備に全体を、そしてかすかに内部をのぞかせている。
晶良は両手を伸ばして、そこを隠そうとし、
「だめぇ…、あんまり見ちゃ…、恥ずかしぃ…」
上ずった声が聞こえる。それを無視して、ぼくは晶良の足を広げていく。
「いやぁ…」
晶良の手首をつかみ指を絡めて左右に広げ、秘所をあらわにしていく。それから舌で割れ目をなぞった。
「ひっ!」
ビクっとして上体をのけぞらせ、短く鋭い声をあげる晶良。間髪を置かず舌はクリトリスを舐め、そこに唇が攻撃参加する。
「あっ! あぅっ! あっ! あ──っ! んあっ!」
声が左右にぶれている。きっと快感に耐えきれず、顔を振っているのだろう。晶良の背中は浮き上がりっぱなしだ。
「あぁ───っ! んあっ!」
ぶるっと体を震わせてから、晶良の背中がベッドに戻った。唇と舌を離し、顔を上げる。
「はぁっ、はぁっ、はぁぁぁ、…あふっ、はぁっ」
晶良の荒い息遣いが聞こえる。それが少し落ち着いてきたところで、ぼくはさらに大胆な行動に移る。晶良の足を持ち上げ、二つ折りにする。ぼくの唾液と晶良の愛液で濡れた秘所がてらてらと鈍く光を反射する。
「あぁ…、やぁ…、だめぇ」
晶良は顔を横に向けて、本当に恥ずかしそうに声をこぼしている。
ぼくは大きくチュっと音をたてて、そこにキスをする。続いて肉襞を左右に押し広げるように舌を動かしていく。さらに、えぐるように舐め、深みを目指した。
「───っ! んぐぅっ! あぁぁぁ、あんっ!」
いままで聞いたことのない晶良の声。とても興奮しているのを自覚する。
指を攻め手に加える。止めどなく染み出てくる愛液の泉に侵入した指に、晶良は声と体で反応する。
「あひぃ…、ぃやぁぁぁ…、んあぁあぁっ!」
ぼくの指はクリトリスをこすりあげ、晶良を快楽の淵に追い込んでいく。
52 :
18Rの鷹:05/01/15 00:00:20 ID:A00aF0ls
「んんん───っ、んあぁ──っ!」
晶良の体がビクビクっと震え、声にならない声が絞り出される。それから、ふっと力が抜け落ちた。
「ぁぁぁ…、はぁぁ…、はぁぁぁ…」
今度は意識をなくしてはいないみたいだ。ぼくは中腰になって前かがみになり、急角度で天を仰ぐムスコを右手で押し下げて、晶良の秘所に押し当てる。
「晶良さん、入れるよ」
「あぁ、あぁぁ…」
腰をゆっくり下げる。ずぶずぶと音をたてそうな光景だ。晶良は潤んだ目でじっと見ている。亀頭が埋没する。
「あっ!」
さらに腰を下げていく。晶良の声が部屋に響く。
「あぁぁ…、は…入って…くる、アンタがアタシに…入ってくるよぉ…あぐぅ、んあぁっ!」
晶良との距離がゼロになる。全部、入った。
「あぁ…、好き…、愛して…、アタシのこと、い…っぱい…、愛してぇ」
無理な角度で挿入しているムスコは、晶良の中で反り返ろうとして脈動する。そのたびに晶良が声をあげる。
「あっ! んあっ! あぅっ! あっ!」
そろりと腰を上下させる。あまり速くは動かせない。ベッドも、晶良も、そしてムスコも軋んでいるからだ。それでも晶良にはかなりの刺激のようで、
「あぐっ、ひっ! あぐぅっ、だめっ、ぃやぁっ、変に…なっちゃうぅぅ」
(入ってるところがまる見えで、すごくいやらしい…。でも、ぼくの、折れちゃいそう…)
たまらず膝をベッドにつき、体を前に投げだす。しがみついてくる晶良。ぼくは快感をむさぼるべく晶良をえぐる。深く浅く、浅く深く、ときにはこねまわすように晶良を犯す。
「あっ、あぅっ、あ───っ! んぐぅ、んあっ! あっ、あっ、あっ、…あっ!」
しばらく正常位で晶良を楽しんだ後、ぼくは動きを止め、ムスコを引き抜いた。
「あっ…、えっ? どしたのぉ?」
突然の行動に不安そうな晶良。ぼくは晶良の腰をやさしくつかみ、じりじりと裏返していく。
「晶良さん、後ろ向きになって」
ぼくのしたいことを理解して、黙ってうつぶせになる晶良。
53 :
18Rの鷹:05/01/16 00:00:03 ID:VDy8MlSU
まず首筋に軽く歯を立て、鎖骨、肩甲骨のあたりに舌を這わす。背骨に沿って舌を小刻みに震わせながら舐め下りていく。左手は脇腹からお尻を触るか触らないか、微妙な感覚で撫でている。
「あふぅ、ああん、あんっ! あっ」
「お尻、上げて」
ウエストをつかみ、ぐいっと引く。
「あぁ…、いやっ」
恥じらう晶良だが、抵抗はない。というより、力が入らないようで、膝はがくがくと震え不安定だ。
ぼくはかわいいお尻にキスしながら、右手の人差し指を秘所に差し入れた。晶良は頭を上げ、
「あんっ!」
と、かわいい声を聞かせてくれる。それだけで、ぼくはもう我慢できなくなっていた。晶良の足の間に膝を割り込ませて押し広げる。そうして再びムスコを挿入。今度は一気に貫いた。
「あ──────っ!」
休まずに出し入れを繰り返す。ストロークは大きい。
「あっ、あんっ、あぁんっ、あっ、んあっ、あっ」
ムスコが奥に当たるたび、晶良が声をこぼす。その声に興奮して、腰のスピードが上がっていく。
パンっ、パンっ、パンっ、ずちゅ…、パンっ、ぢゅっ…、パンっ、パンっ
晶良の喘ぎに混じって、いやらしい音が部屋の壁に反響する。ぼくは直線的に動くのをやめ、深く挿入したまま腰を回転させる。
「んっ! んあっ! あんっ!」
絞り出すように喘ぎ、ビクっと震えてから、晶良はゆっくりと崩れ落ちた。右の頬をシーツにつけ、半分だけ開いた目はうつろだ。
ぼくは快感をむさぼるのにすっかり夢中だった。腰の回転に加えて、抜き差しする。
「はっ、はっ、はぁっ、はっ、はぁぁっ」
晶良は酸欠になったように、口を開いて息をしている。その苦しげな表情を見て、我に帰った。ムスコをそろりと引き抜き、晶良を仰向けに寝かせる。
「ねぇ…、やさしく…、やさしくして」
「うん。ごめんね、晶良さん」
再び正常位になり、気持ちを込めて挿入。晶良の唇に柔らかくキスした。
54 :
18Rの鷹:05/01/17 00:00:01 ID:B66zTXpx
やさしくして、と言われても、行為自体に手加減を加えるつもりはないし、男の下半身に理性なんかない。ひとたび動きだせば、やさしくなどとはとてもいえないほど荒々しく攻めたてる。
だからといって、晶良がそれを拒絶しているかというと、全然そんなことはなかった。これまで知らなかった快楽の波がとめどなく押し寄せ、それに身を任せるかどうか躊躇しているかのようなのだ。
ぼくは晶良の反応を見つつ、腰の動きに緩急を加える。
そうこうしているうちに限界がそこまで迫ってきた。ムスコは晶良の奥へ奥へ入り込もうとして、いっそう激しい腰の動きを要求する。
「熱いっ、熱いよっ、晶良さんの中…。溶けちゃいそうだよっ」
うめくように言い、目を閉じてこらえようとするが、もう、無理だった。
急激に立ち上がる射精の欲求。
「あぐっ、あぅっ! あぁぁっ、あっ! あっ! あ────っ!」
「いくよっ! 晶良っ…、いくっ!」
大きく口を開き絶叫する晶良の声を聞きながら、ぼくは大量の精液を勢いよく晶良の中に放った。
体をのけぞらせ、ぼくの背中に強く爪をたてていた晶良からフーっと力が抜ける。
「晶良さん?」
呼びかけるが反応はない。目を閉じた晶良の横顔に、ぼくの額から汗が数滴落ちた。
荒く息をしながら、晶良を見下ろす。その、なんともいえない事後の表情を見ていたら、
「あ〜、SEXって、こんなに気持ちのいいものなんだぁ…」
と声に出していた。しばらくじっとして息が整うのを待つ。
数分の後、晶良が
「う…うぅ…」
と、うめくように声を発して、うっすらと目を開けた。
「あぁ…、アタシ…」
「晶良さん、愛してるよ」
そう言って唇を重ねる。それからまぶたにキスし、
「よかった?」
と聞いてみる。晶良はこくんとうなずいて、また目を閉じてしまった。
しばらくして、晶良が、
「まだ…入ってる、ね」
「うん、ずっと晶良さんの中にいたい」
鷹さん、お疲れ様です。コレは…三回戦でしょうか?
夏だし…翌日まで時間が進んだら赤プリのプールで遊んで夕方に駅で
別れる…って感じになるんじゃなかろうかとか絶対当たりそうも無い先読みをしときます。
まあ、単に水着もアリだなってだけなんですが。受けじゃないけど黒いバラのプリントの
水着を着た昌良を想像しただけなんですけどね〜。
56 :
18Rの鷹:05/01/18 00:00:01 ID:JRvaHr+5
「意識が…飛んでっちゃった…みたい…」
「気持ちよかったの?」
「ん〜、よく…わかんない…けど、たぶん…」
「ぼくは…、ぼくはね。すっごく気持ちよかったよ」
「うん。よかったぁ」
ニコっとして、すぐに目を閉じてしまう晶良。ぼくは右手を伸ばして肩をつかみ、それに気づいて目を開けた晶良の唇を求めた。半分だけ目を閉じて応じる晶良。
「ん…んん…ぅん」
舌を入れると、自分の舌を絡みつけてくる。射精したとはいえ硬度を保っているムスコを少しだけ動かしてみる。
「ぅん…、ぁ…ん」
右手で胸を軽く揉む。
「はぁ〜ん…だめぇ」
キスから逃げて、ちょっぴり抗議の色をにじませて晶良がぼくを見る。
「だって…かわいいんだもん」
晶良の目線をかわして横を向いてつぶやく。
「もぉ〜。ばか」
「えへへ。でも、ほんとだもん」
「あぁ…。好き、大好き」
と言って強くしがみついてくる晶良。ぼくもきつく抱きしめる。と、思い出したように晶良が
「シャワー、ねぇ、シャワー浴びなきゃ」
「…あっ、そうだっ。晶良さんの中に出しちゃったんだっ」
慌ててムスコを引き抜く。
「あぁん」
と晶良が漏らす。ぼくはティッシュを箱ごとつかんで3回引っ張り、それを精液が流れ出してきた晶良の秘所に押し当てた。
「自分でやるよぉ」
と恥ずかしげに言う晶良に一瞬ためらったが、自分用に2回引っ張ってからティッシュの箱を手渡した。
57 :
18Rの鷹:05/01/19 00:56:41 ID:9mzAAJhU
晶良に背を向けてムスコを拭う。晶良が
「ねぇ。シャワー、一緒にいこ?」
と誘う。ぼくは晶良のほうに向き直り、上半身を起こした晶良に腕を伸ばして抱き上げた。
「アンタって…意外と力、あるね」
感心したように、うれしそうに晶良が言う。
「見直した?」
「うん。あっちばっかり大人じゃないんだなって」
「え? あっち、って?」
「エッチ」
意味を理解して赤面してしまう。照れ隠しに
「あ、晶良さん、ドア、開けて」
「ウフフ、はいはい」
いたずらっぽく笑む晶良が、このときばかりは年上だと感じた。
バスタブの中に晶良を降ろす。晶良の太腿には拭いきれなかった精液がしたたっている。晶良はシャワーからお湯を出して、
「アンタもこっちきなさいよ」
と、ぼくを呼ぶ。バスタブに入ると晶良はムスコに手を伸ばし、シャワーを浴びせて
「熱くない?」
と聞いてくる。
「うん。でも、晶良さん、先に洗って」
「いいの。いま洗ったって、子供できちゃうんなら、手遅れだって」
(怖いこと、言うなぁ。ほんと、女のほうが度胸ある…)
さすがに2回出しただけあって、晶良の愛撫、じゃなくて丁寧な指使いを受けてもムスコは元気にはならない。
「へぇ〜。こんなにフニャフニャしてるんだぁ」
興味津々といった様子で晶良は熱心にお湯を浴びせる。
「男はみんな、こうだよ。その、たぶん…」
「あのときは、あんなに硬くて大きくなるのに…。なんか不思議」
58 :
18Rの鷹:05/01/20 00:00:00 ID:+G2L6FlB
シャワーを終え、備えつけの寝間着を身につけて、2人でひとつのベッドに入る。
「あっちのベッド、部屋に入ったときのまんまだね」
ぼくが話しかけると、
「何してたか、まるわかりだよね」
晶良はおかしそうに言う。なんとなく照れてしまい、
「そ、そうだね」
と口ごもってしまう。なにげなく足を動かすと、そこだけ冷たくなっていることに気付く。
「あれ? 足元のところ、なんかこぼしたっけ」
そうつぶやきながら体を起こして見てみると、シーツが直径30pほど濡れている。
「?」
首をかしげていると、晶良が赤面して
「い、いいからっ。気になるならバスタオル持ってきて敷きなさいよ」
と早口で強く言う。
「あ、うん」
ぼくは自分の体を拭いたバスタオルを濡れた部分が隠れるように敷く。そこで、
「あっ」
気が付いた。晶良は知らんぷりしてる。
(晶良さんの…だったんだ、これ)
「さ、寝ましょ」
「うん。ねぇ、晶良さん。あした…って、もう、きょうか。何時に起きる?」
「う〜ん。お昼には家に帰ってたいし…、8時に起きて朝食、食べよ」
「そだね。バイキングだっけ、朝食。ちょっと楽しみ」
「ふぁ〜。眠たくなってきちゃったぁ。きょうはよ〜く眠れそう」
「じゃあ、晶良さん。おやすみ」
「ん。おやすみなさい、…ん、ぅぅん」
おやすみのあいさつにしてはちょっぴり濃厚なキスをして、明かりを消した。いろいろなことがあった1日の疲れがどっと出て、2人ともすぐに眠りに落ちた。
59 :
18Rの鷹:05/01/21 00:00:01 ID:egWTWBLH
翌朝8時。けたたましいアラームの音で目覚め、飛び起きる。
「おわっとぉ」
(あれ…、ここ、どこ?)
アラームにはびくともしなかった晶良が、ぼくの声に反応し、
「ん〜。なに大きな声出してるのよ」
と聞いてくる。
(あっ、そうか。晶良さんと赤坂プリンセスホテルに泊まったんだっけ)
ようやく意識が覚醒し、見慣れぬ光景と記憶が一致した。晶良が上半身を起こし、
「ん〜、よく眠ったぁ」
と伸びをしながら声に出す。それから、目をパッチリと開き、ぼくに向かって言う。
「おはよ」
「あっ、おはよー」
少し寝乱れた寝間着が色っぽい。そんな視線を感じ取った晶良はさっと乱れを直し、
「すけべ。…ね、おはようのあいさつは?」
「えっ? いま言ったけど…」
「んもぉ。全部、言わせないの!」
そういって晶良は目を閉じて少し顔を持ち上げる。やっと気付いて、唇を重ねた。舌を入れようとするが、晶良は唇を閉ざしている。顔を離し、
「なんで?」
「だぁめ。歯磨きしてから、ね」
2人、並んで歯を磨く。顔を洗って飛沫を飛ばし、また怒られる。逃げるように洗面所を出て、さっさと着替えをすませた。さすがに浴衣は着られないので、きのう家を出てきたときの格好だ。
晶良も出てきて、イエローのワンピースに着替える。向き直った晶良を抱きすくめ、濃厚なキスをした。
「晶良さん、かわいいね、そのワンピース…」
「ん? なに?」
「脱がしちゃ、ダメ?」
「ダメっ! 朝からなんて、できません!」
「ちぇ〜っ」
がっかり、だ。ムスコは準備OKとばかりに勃起しかけているというのに…。
60 :
名無しさん@ピンキー:05/01/22 01:51:09 ID:XbIH2ewr
先にチェックアウトを済ませてからレストランに入る。入り口で朝食のクーポンを女の人に渡しテーブルに着いた。
「さあ、食べましょ」
「そうだね。バイキングって初めて。何食べよっかな」
席を立ち、いろいろな食べ物が乗った大皿がずらりと並ぶテーブルに向かう。
「う〜ん。パンもいいけど…、やっぱり朝はご飯に味噌汁、それに納豆、焼魚にハムとウインナーだな」
「アタシは…洋食! クロワッサン、サラダ、スクランブルエッグにベーコンと、…もう1回、取りにこよっと」
テーブルに戻って、いっぱいに料理を乗せたトレイを置き、再び料理を取りに行く。
「何人できてるんだか、わかんない量と種類だね」
と言って笑う晶良。
前夜のセックスのせいか、かなりお腹がすいていた。おしゃべりもせずにひたすら食べる。ご飯を2度おかわりしたのを見て晶良は目を丸くして驚く。
「よく食べるね〜」
「だって、育ち盛りだもん」
そう言って、フルーツを山盛りもってくると、
「見てるだけでお腹いっぱい。ごちそうさま」
と晶良は呆れたように言う。デザートを平らげ、
「晶良さん、なんか飲む?」
と聞くと、
「あ、アタシ、アイスティ飲みたい」
「ん。取ってくるね」
自分用のアイスコーヒーも取ってテーブルに戻ると、ウエイターさんがテーブルを片付けてくれていた。落ち着いたところで、晶良が表情を曇らせて切り出した。
「ねぇ。しばらくアンタと会うの、よそうと思うの」
「えっ、どうして? ぼくのこと、嫌いになったの」
「ううん、違う。そうじゃなくて、アンタと会ってると受験勉強なんて、どうでもよくなっちゃいそうだから…」
「うん」
「だから、とってもつらいけど、当分の間、勉強に集中しようと思うの」
61 :
18Rの鷹:05/01/23 00:00:03 ID:XbIH2ewr
ほんの少しの時間の中で、ぼくの脳は急激に動く。
(年下なんだから、泣きそうな顔してイヤだって言おうか。いやいや、やっぱりここは男らしくしなきゃ)
「わかったよ、晶良さん。会えなくなるのは、すっごくつらくて我慢できないことだけど、晶良さんのためだもん、仕方ないよね」
「ごめんね。アタシも我慢できるかどうかわかんないけど、頑張るって決めたんだ」
「そうだよね。でも、晶良さん。電話しちゃダメ? メールは? どれくらい会えないのかな?」
「う〜ん。アタシのほうが先に電話しちゃいそう…。でも、声聞いちゃうと、絶対会いたくなっちゃうだろうし…」
「じゃあ、週末だけ。土曜日には声聞かせて」
「ん。いいよ、わかった。メールも毎日だと困るけど、時々はほしいな」
「うん。できるだけ我慢する。だって、愛する晶良さんのためだもん」
「ありがと。あのね…、夏休みが終わったら…」
「終わったら?」
「また、デートしよ」
「うん! あ〜っ、早く夏休み、終わんないかなぁ」
「ばか」
「えっ…、あは、あはははは。まだ夏休みになったばかりだったよね」
「9月かぁ、待ち遠しいなぁ。ねっ、来年はさ、2人で海行こうよ」
「いいね。…って、晶良さん。ちゃんと女子大生になっててよ。浪人してて、暗〜い海なんてヤだかんね」
「あっ、こいつぅ、生意気言うな。アタシ、やるときはやるんだかんね」
「信じてる」
手をつないでホテルを出る。とたんに真夏の暑さが襲ってきた。晶良はつないでいた手を振りほどいて、
「あっつ〜い! ごめんね、手に汗かいちゃうから…」
申し訳なさそうに言う。
「晶良さん、帽子持ってたよね?」
「あっ、そうだ」
と言って、紙袋から麦藁帽子を取り出す晶良。
(ほんとにかわいいなぁ、晶良さん。あ〜あ、とってもつらい1か月半になりそう。はぁ〜)
さよならをした駅で、ぼくは晶良の後ろ姿が小さくなっても、じっと見送っていた。
62 :
18Rの鷹:05/01/24 01:14:37 ID:whFcaEkl
七姉妹の*%#ニ?
人に恋せしゆえに、影持つ身となり、ダックを追放さる
もって、落ちたる*%#ニ?と呼ばるなむ
流浪の果て、アルケ・ハオカーに隠栖す
されど、その日々、つづかず
再会のありやなしや
*%#ニ?の姿消え、波の先駆け来たる
<Eroparo of The Twilight>
.hack//関係拡大 vol.3 第2章 <開始>
63 :
18Rの鷹:05/01/24 01:16:03 ID:whFcaEkl
晶良から夏休み中は会わない、と告げられて10日がたとうとしていた。
ぼくはヒマをもてあますのがイヤで、アルバイトをすることにした。少し前から、時間が空いたときだけでもやらないか、と親戚に誘われていたのだ。
仕事の内容は、トラックの助手席に同乗して配送先で荷物の積み降ろしを手伝うというもの。
(体を動かせるし、お金も手に入るし、一石二鳥だよね)
晶良との久々のデートを心待ちにして、週に5日間アルバイトにはげむことにした。比較的仕事が少ないという火曜日と水曜日が休みだ。
その仕事は、体が慣れるまで結構きつかった。おまけに猛暑のなかでの作業だし、仕事の手順も覚えなければならない。肉体的にも精神的にも、かなりしんどかった。
それだけに、家に帰り夕食と風呂をすますと、すぐに睡魔が襲ってきてしまい、晶良にメールするのもおぼつかない日が続いた。
5日間働いて最初の休みの日に、アルバイトを始めたんだ、と晶良にメールを送信。夜になって、連絡がなくて心配してた、と返信が入る。それを読んだぼくは、もう我慢できなくなってしまった。
電話は土曜日だけと決めたのに、ケータイを手に取り
「あっ、あの、久しぶり」
晶良に電話していた。
「そーだね。ずいぶんアンタの声、聞いてなかった気がする」
「元気? 勉強、頑張ってる?」
「うん。元気でやってるよ。体、動かさないから、ストレス溜まってしようがないけど」
「えっ。まさか、食べるほうに走って、太ったりしてないよね?」
「ばか。だいじょーぶ。文和を相手に運動不足とストレス、解消してるから」
(うわっ…、文和くんの心配したほうがよさそうだ)
そんなことを考えていたら、少し間ができてしまった。晶良は話題を変えて、
「ねぇ。アルバイト、つらくない? 無理しないでね」
「だいじょぶ。仕事にも慣れてきたから、今度の土曜日には寝ちゃわないで、ちゃんと電話するよ」
「うん! アタシもそれを楽しみにして頑張る。じゃあ、きょうは声聞けてうれしかった」
「ぼくも。晶良さん、愛してるよ」
「アタシも。それじゃ、おやすみなさい」
「おやすみ」
64 :
18Rの鷹:05/01/24 23:59:56 ID:whFcaEkl
ケータイを机に置いて、ぼくはほっと息をついた。それから、何気なくカレンダーを見て、あることを思い出した。
(あっ、あしたは…。そうか、もう1年になるんだ…)
翌日もアルバイトは休み。ぼくは『会いに行こう』と決め、早起きすることにした。
* * *
──1年前、「夏を制するものが受験を制す!」とかゆうスローガンのもと、机にかじりついていた。
そんなある日、調べものをするために立ち上げたパソコンに、メール着信を示すアイコンが点滅していた。
(ん? ザ・ワールドのメーラーに着信…って、だれからだろう? しかも2件…)
あの"薄明"から半年以上が過ぎている。あれからしばらくは、いわゆるフツーの冒険をずいぶん楽しんだが、リアルの事情がぼくをザ・ワールドから遠ざけた。
そう、中学3年生になり高校受験を控える年度に突入したのだ。ある日突然、ザ・ワールドからフェードアウトするプレイヤーは少なくない。しかし、自分はそうしたくなかった。
だから、春休み以降にパーティーを組んだ仲間には、自分が受験生となることを告げていた。しばらくザ・ワールドにインすることはない、と。
(まあ、そろそろ息抜きしたいと考えてたところだから…)
などと思いつつザ・ワールドにインし、メーラーを開いた。
1件は、ミストラルから、だった。
件名:オフ会のお誘い
──やほ〜。今度ねぇ、オフ会やろうと思ってるんだ。(^o^)
──でねぇ、8月で都合の悪い日、教えてくれる?
深呼吸してから、もう一度読み返す。
(オフ会…かぁ。彼女、ブラックローズは参加するのかな? 会ってみたいなぁ)
もちろん彼女は参加する。後でわかったことだが、このオフ会はブラックローズ…速水晶良が、ミストラル…黒川真由美に話を持ちかけて実現したのだから。
ぼくは胸の高鳴りを自覚していた。
65 :
18Rの鷹:05/01/26 00:02:02 ID:C2//lFJ6
すぐにスケジュールをチェックし、都合の悪い日をミストラルに返信。それから、もう1件のメールを開いた。
クリックしたぼくは、くすっと小さく笑う。そっけない件名。あのころのまま、だ。しかし、内容を読んで、笑いは消えうせた。
「えっ? どういうこと」
思わず、声に出していた。
件名:来い!
──新里大学病院にいる。
胸騒ぎを覚えた。
(新里…って、オルカ…ヤスヒコが入院してたとこだ)
ぼくは、すぐにザ・ワールドからログアウトし、パソコンの画面を検索にする。病院名を入力し、ヒットしたURLをクリック。
総合病院だけあって、ホームページだけでは彼女の病気がなんであるか、まったくわからない。いや、そもそも、メールの文面、彼女のこれまでの言動からいって、入院していると決めつけるわけにはいかない。
(それでも行かなきゃ…。なんか今回は、これまでとは違う気がする…)
すぐに、翌日の午前10時に行くから、とメールする。ヤスヒコのお見舞いに行っていたので、病院の中の記憶はあった。待ち合わせ場所は1階の売店前にした。
(でも、パソコンからだよね、メールしてきたの。ノートパソコンを病院に持ち込んでるのかな…。それとも、通院してるだけ? まさか、看護師さんになったとか?)
気になって勉強どころではない。シャワーを浴びてベッドにもぐりこんだ。
朝。いつもより早く目が覚める。寝汗をかいているのは、熱帯夜だったせいばかりではない。病院、という言葉がプレッシャーになり、熟睡できなかったからだ。
「ちょっと、出掛けてくるね」
朝ごはんをさっとすませ家を出た。時間の経過とともに気温は2次曲線を描くように上昇していく。額の汗を拭いながら、新里大学病院に急いだ。
途中、花屋でお見舞い用に花を買う。
66 :
18Rの鷹:05/01/27 00:10:47 ID:DRPaIr2Y
待ち合わせの売店前には9時55分に着いた。それらしい女性はいない。きょろきょろと周りを見まわしていると、40歳くらいの女性がぼくに近寄ってきて、
「あの、失礼ですが、カイトさんではないでしょうか?」
と声をかけられる。
「はい。カイトですが」
「実は、娘のパソコンを使ってメールをしたのは、わたくしなんです」
「えっ。それって…どうして? …なにか、理由があるんですか」
「娘は…ICU、集中治療室におります」
そのひとは顔をそらし目を伏せる。そうして涙声で続ける。ぼくは何も言えない。
「娘が生きていられるのも、あとわずか…」
目の前の光景がぐらりと揺れ暗転する。声を振り絞り、
「病名は…、どんな病気、なんです…か?」
「APL」
「えーぴーえる? APLって…?」
「急性前骨髄球性白血病…極真空手で世界一になり、K-1グランプリをも制した鉄人アンディ・フグでさえ勝つことができなかった不治の病」
ハンマーで頭を殴られたような感覚が襲ってくる。持っていた花を落としそうになる。それに気付いた彼女の母親は、
「その花…」
「はい」
「やっぱり、あの娘のこと、わかってくれているのね、あなた…」
「いえ…そんな」
口ごもる。
「娘は、我慢強い子…なんです。その娘がうめき声をあげるほど強い薬を投与されています。押し殺すように、絞り出すように口にするのは、あなたの名前…、カイトという名前なんです」
涙があふれてくる。何か口にしたら、その瞬間、堤防は決壊してしまうだろう。ぼくはただ黙っていた。
「1週間前、…その日はお医者さまに娘の運命をはっきりと告げられた日なんですけど…。わたくしは家に帰って泣きました。泣いて、泣いて、泣き疲れたころ、娘に残された時間で、わたくしがしてあげられることは何か、考えました」
67 :
18Rの鷹:05/01/28 00:00:26 ID:UVNULmt2
「そうして…思い出したんです、あの娘がたまにパソコンに向かって、うれしそうに微笑んでる姿を」
ぼくはじっと次の言葉を待つ。
「娘の日記をのぞき見るような罪悪感を振り払い、IDとパスワードをなんとか探しだして、ようやくたどりついたザ・ワールド…」
「はい、彼女にはずいぶん助けてもらいました。ぼくの友達、ザ・ワールドをやっていて意識不明になったんです、ぼくの目の前で…」
つらい思い出を話す。
「まあ…」
「それで、その友達が入院していたのが新里大学病院、ここだったんです」
「そうだったの…。娘はあなたのお手伝いができたのね」
「ええ。おかげで友達やほかの意識不明者は無事に帰還できたんです」
「娘とあなたのメールのやりとりも見てしまったの。…ごめんなさいね。それで、どうしても、あなたに会いにきてほしいと思って…」
「メールをくれたんですね」
「ご迷惑だとは思ったんですが、娘を思う母親のわがままと理解してください」
「迷惑なんて、とんでもないです。…あの、彼女は、どの部屋にいるんですか」
このまま話していたら、涙で目が真っ赤になり彼女にあやしまれてしまうと思い、面会を急ぐことにする。
「1階の一番奥の部屋です。2人きりで会ってやってください」
「はい」
と返事し、母親の目を数秒見つめて、お辞儀をしてからくるりと背を向けた。
部屋の前に立ち名札を確認。初めて彼女のリアルの名前を知る。深呼吸してからドアをノックする。
「…」
返事は返ってこない。眠っているのかもしれないと思い、静かにドアを開けて部屋の中に入った。
思ったとおり彼女は小さく寝息をたてていた。頭はすっぽり包帯で覆われている。
「?」
ふと疑問が湧く。髪の毛のボリュームが感じられないのだ。
(薬の副作用…。強い薬って、お母さん、言ってたよね)
涙がこみ上げてくる。落ち着くまでじっとしていて、それから動く。起こさないように、そっとベッドに近寄る。ベッドサイドのテーブルに置かれた写真が目に入る。
68 :
名無しさん@ピンキー:05/01/28 19:44:41 ID:2gWbvMPP
GJ!!
保守あげ
いい話だあああ;;
70 :
18Rの鷹:05/01/29 00:01:21 ID:UVNULmt2
薙刀を構えた凛々しい女性の写真。彼女だ。
(こんなに元気そうなひとが、なんで病魔にとりつかれてしまうの)
悲しみが、やるせない怒りが湧き起こる。そんな気持ちをそらすため、顔を左右に動かして病室の様子を観察する。
いくつもの千羽鶴が下げられていた。多くの花が飾られていた。何も考えられず、ただ目に入るものを見ているだけだった。その時、
「オマエか」
声のしたほうに向き直る。
「あ、起こしちゃった? ごめん、あ、あの、ぼく…」
「わかっている」
「あ、あの、これ、お見舞いの…」
ぼくは持っていた花のことを思い出し、それをさしだす。
「これは…、よく見つかったな」
「え、なんで?」
「梔子の開花時期は6月から7月だ」
「そうなの!? あ、そういえば、花屋さんで梔子くださいって言ったら、『運がいい人ね。きょうはたまたま入荷があった』と言われたんだ」
「ふふふ。オマエはそういうヤツだ」
彼女が微笑んだせいで、ピーンと張り詰めた病室の空気が緩んだ。ぼくも笑顔を見せる。
「あの、あらためて。初めまして、カイトです」
「うむ。一目見てすぐにわかった」
(意外と元気そう)
そう思ってほっと息をつく。
「いまは…痛みはない」
「うん」
「おかしな話だ。薬によって生じる痛みを別の薬で抑えているなんてな」
「話していて大丈夫なの?
相手の体を気づかい聞いてみる。
71 :
18Rの鷹:05/01/29 23:38:39 ID:iVtaaqC5
「ふっ。無口、くちなし、ガーデニアからガルデニアと名乗っていた私なのにな。…不思議だ。オマエが相手だと、つい余計なことまでしゃべってしまう」
「え…っと」
「ガルデニアでいい。本名で呼ばれたら、熱が上がりそうだ」
「え?」
「なんでもない。こちらの話だ」
話題を変えようと、あたりを見まわしてから
「すごいお見舞いの数だね。ガルデニアって、人気者なんだ」
「ほとんど後輩の女子がもってきたものだ。手紙は読んでいないが…」
ザ・ワールドで初めて会ったときのことが思い出される。
「そのうちの何人かは、毎日のようにここにくるものでな、つい意地悪をしてしまった」
「意地悪って?」
「私には好きな男性がいる、そう言ってやったんだ」
「うそ、ついたの」
そう聞くと、ガルデニアは顔を横に向け小声で
「いや…、全部が全部、うそというわけではないのだが…」
と言い、続けて
「黄昏の碑文でいえば、さしずめプレアドになったわけだ」
自嘲気味な言葉。悲しい気持ちになる。と、
「そんな顔をするな。おかげで静かな療養生活が送れるようにはなった」
こちらの気持ちを察し、笑顔を向けてくれる。
(やさしい女性なんだ、ガルデニアって)
そんなことを考えていたぼくに、
「梔子の花言葉、知っているか?」
唐突に質問が飛んでくる。
「いや…知らない」
「とてもうれしい、幸福者、私はあまりにも幸せです、清潔、優雅、だ」
「へぇ〜。ガルデニアって、ほんとに花が好きなんだね」
72 :
18Rの鷹:05/01/30 23:23:52 ID:h7m3Il2G
「花は裏切らないからな。…それにしても、皮肉な花言葉だな」
「そうかな。清潔とか優雅って、ガルデニアにぴったりだと思うよ」
「ふふ。そっちか。まあ、いまの私は、オマエに会えて『とてもうれしい』がな」
ストレートな言葉に照れて顔が熱くなる。そんなぼくを見てガルデニアはにこっと笑み、それから真上を見ながら話しだした。
「前に、花が好きなのかと、聞いたことがあったな」
「うん」
「あの時、私は答えなかった…。が、いまなら教えてもいい。花の命は恐ろしく短い…。しかし、その短い時間のなかで精いっぱい生きる。私は…」
「ガルデニア…?」
彼女のお母さんの言葉がオーバーラップし、胸を締めつけられる。さらに複雑な気持ちにさせられる言葉が投げかけられる。
「もしも、あしたにでも死んでしまうとわかっていたら、何をしたい?」
「考えたこと、ないわけじゃないけど…、そんときになってみなきゃわかんないよ。どうしたの? 突然そんなこと…」
「いや、聞いてみただけだ…。そうか…そうだな。私は花畑に寝そべって、静かにその時を待ちたいと思っている。そして、そのまま土にかえって、花々の養分に…。いや、気にしないでくれ」
「ガルデニア…」
(気にするな、と言われても…)
「時間だ…。ここでお別れだ」
「お別れ? なにいってるんだよ! …まさか! そんなのイヤだよ!」
「イヤ…? イヤでもなんでも仕方がないだろう…。わがままなヤツめ…」
「え? …だって命がどうのとか…お別れとかって…」
「なるほど…どうやらとんでもないカンチガイをしているようだな…。そろそろ昼食の時間なので、面会できる時間が花の命のように短い、と言っている!」
「…あんな言われ方したら、だれだってそう思っちゃうよ…」
「そんなもんか? まぁいい。私はまずい食事を食べなければならない。またきてくれ」
73 :
18Rの鷹:05/01/31 23:01:19 ID:2iONib7F
後ろ髪をひかれる思いが残る。それでも、出ていけ、と言われてはどうすることもできない。ぼくは彼女に背を向け、ドアノブに手を伸ばした。そのとき、
「待て…、待ってくれ…、いや…、待ってください。あの、もう一度、そばにきてくれないか」
掛け布団で顔を半分隠して、彼女がぼくを呼び止めた。
「何? ぼくにできることがあったら、なんでも言ってね」
笑顔で振り返り、ベッドサイドの椅子に座る。そうして彼女の顔をのぞき込む。
「こら…あんまり見つめるな、恥ずかしい、ではないか」
「ガルデニア? …もしかして、照れてるの?」
「ば、ばかっ。急にオマエが顔を寄せるからだ」
真っ赤になった頬、上気した表情。とても、病人には見えない。ぼくは笑いながら、泣いた。
「よくなるよね、すぐ。ねぇ、退院したらさ、ぼくとデートしてくれない?」
「な、なにを言いだすんだ、オマエは…。まあ、その、あの、なんだ、…いい、ぞ」
「ほんと!? やったっ! 約束だよっ」
「うむ。私はうそはつかん」
「じゃあ、指きり」
ぼくは彼女の細い腕をそっとつかみ、小指と小指を絡ませる。
「指きりげんまん、うそついたら、針千本、の〜ます」
途中から彼女も一緒に歌った。でも、それは消え入りそうなほど小さな声だった。
「…お願いがある」
「何?」
「こんなこと、いつもの私なら、とうてい頼めはしないのだが…」
「うん」
「きょうは、オマエの笑顔に勇気をもらった」
「だとしたら、うれしいな」
「いや、…たぶらかされた、というべきか」
「えぇ〜、ひっどいなぁ(笑)。で、お願いって?」
ますます真っ赤になった彼女は目をそらして、
「2度は言わんぞ」
74 :
18Rの鷹:05/02/01 23:12:45 ID:oAvpJH7z
「…その、口づけ…してはくれまいか」
「えっ!?」
びっくりして声が大きくなってしまう。彼女はすっぽりと布団をかぶってしまった。
(ぼく、経験ない…。ファーストキス…なんだけど、いいのかな)
考えたってしようがない。いやだと言って帰るわけにはいかない。まして、相手はかなりの美形だ。
「いいよ」
ゆっくりと布団を下げながら彼女が顔をのぞかせる。
「ほんとうに…いいのか」
「うん。ぼく、初めてだから、うまくできるかどうか自信ないけど…」
「ばかもの、私だって、初めてだ」
「それじゃあ、ファーストキス同士だね」
「キ、キスなどと…恥ずかしいでは…ん、んん」
ゆっくりと顔を近づけていき、唇を重ねる。一瞬、驚いたように目を見開いた彼女は、すっとまぶたを閉じた。
じっと唇を合わせるだけのキス。時間がゆったりと流れる。視界が曇る。まばたきをすると、彼女のまぶたのあたりにしずくが落ちていく。
そのしずくは次第に数を増していった。彼女の目の端に落ちたしずくは、彼女の涙とまじり流れ落ちていく。嗚咽をこらえきれず、ぼくは彼女から離れた。
「ごめん」
「? なんだ、あやまったりして」
「だって、涙、こぼしちゃったから」
「気にするな」
「うん…」
なぐさめられて変な気分だ。ぼくは彼女の顔に口を寄せ、涙を一つひとつ丁寧に吸い取った。
「くすぐったい…が、いやではないな」
彼女の微笑みにまた涙がこみ上げる。
「こんどこそ、ほんとうに時間だ」
「うん。またくるよ。その次は外で会おうね」
75 :
18Rの鷹:05/02/02 23:02:25 ID:2MlknDub
「そうできるよう、私は必死で病気と戦おう」
「きっと勝てるよ」
ぼくは無理やり笑顔をつくり、精いっぱいのカラ元気をだして大きく手を振り病室を後にした。
パタンと音をたててドアが閉まった瞬間、堰を切ったように涙がこぼれ落ちる。後ろ手にドアノブを握りしめたまま、体をくの字に折り曲げて肩を震わせ、声を押し殺して泣いた。
顔を上げると、少し離れたところに彼女の母親が立っているのが見えた。ドアノブから手を引き剥がし、ハンカチを取り出して涙を拭う。それから、ゆっくりと歩いて母親の前まで進んだ。
「……」
「……」
2人とも頬を濡らしていた。ハンカチは握りしめたまま、涙を拭うこともせず、お互い向き合っていた。
ぺこりと頭を下げたぼくは、下を向いたまま反転する。次の瞬間、駆けだしていた。自動ドアをすり抜け、炎天下の往来を走った。全力で走った。
涙でにじむ視界の片隅に小さな神社が入った。大きな杉の木に頭をぶつけるように飛びつき、ぼくは大きな声を出して泣いた。それをかき消すようにセミの鳴き声が降り注いでいた。
* * *
新里大学病院に行ってから2週間が過ぎた。パソコンのディスプレイにメール着信を知らせるアイコンが点滅している。
なんとなく予感はあった。だから、見たくなかった。ぼくは目をつむって深呼吸を3回。それからメールを開いた。
悪い予感は当たっていた。最初にお見舞いのお礼が書かれ、彼女が1週間前に亡くなったこと、身内だけで葬儀をすませたことが記されていた。そして、静かで安らかな顔で逝った、と。
こぼれ落ちる涙が机にたまりをつくっていく。
メールの最後にお墓のある場所が書かれ、花を供えてくれたなら、あの娘も喜ぶでしょう、とあった。
翌日。季節はずれの冷たい雨が降っていた。探しまわって買い求めた梔子を一輪持って、ぼくは彼女に会いに行った。
──だから、ぼくにはファーストキスの甘い思い出はない。
。・゚・(つД`)・゚・。
vol.4が入手出来たらもの凄い勢いでガルデニアの好感度上げよう
このスレまだあったのか・・・・・
正直、泣いた。
ゲームで同じ流れの台詞見てたのに。
悲しすぎ。
。・゚・(つД`)・゚・。
…………………
。・゚・(つД`)・゚・。
80 :
名無しさん@ピンキー:05/02/03 10:02:57 ID:eiAwLUg/
職人さん、あんた最高だ。
こんな良スレに出会えてよかった。マジで。
これからもがんばって下され。
81 :
名無しさん@ピンキー:05/02/03 23:11:28 ID:4QO7ztHd
・゚・(つД`)・゚・ ウワァァァン
82 :
18Rの鷹:05/02/05 01:21:25 ID:OcP+1Rym
蒼ざめた馬の疾駆するがごとく
怒張した肉の塊、境界を超えゆく
阿鼻叫喚、慟哭の声、修羅、血股に溢るる
逃れうるすべなく、
喪われしものの還ることあらざる
時の流れは不可逆なればなり
<Eroparo of The Twilight>
83 :
18Rの鷹:05/02/05 01:22:05 ID:OcP+1Rym
8月も半ばを過ぎた。始めた当初は疲労困憊だったアルバイトにも慣れてきて、元気がありあまってしようがないといった感じだ。
世間がお盆休みに入った火曜日。ぼくは久しぶりにデートをした。ただ、相手は晶良ではなかった。
前の晩。アルバイトを終えて帰宅し、夕食をとって風呂に入った後、ベッドに横になる。目を閉じて、ずっと気にかかっていたことについて、思いをめぐらせていた。だが、いい考えは浮かばない。
(なんとかの考え、休むに似たり、かぁ…。よしっ、会おう。会ってちゃんと話せば、きっと彼女はわかってくれるさ)
あまりにも根拠のない自信ではあったが…。行動すること以外、解決策はないように思えた。
(とりあえずいいと思えることからやっていこう。そうすることでしか前に進めないから)
ベッドから勢いよく跳ね起きパソコンを立ち上げる。そうして、急で悪いけど、あした会えないかな? とメールした。
返信はすぐにきた。ハイ! という文字が躍っていた。うれしさがにじみ出ている。それを見て、さっきの自信はかなりの部分が崩れ落ちていったが…、もう後戻りはできない。
朝9時に新宿のファストフード店で待ち合わせする。15分前に行ったにもかかわらず、彼女はすでにそこにいた。淡いパープルのキャミワンピを着て、店の前に立っていた。丸見えの白い肩にドキッとする。
「待たせちゃった?」
申し訳なさそうに聞くと、
「いえっ。わたしもいまきたばかりです」
うそだ、と思った。少し日焼けした顔、額の汗がかなりの時間待っていたことを雄弁に語っていた。
「暑いから、店の中で待っててくれればよかったのに」
と言うと、彼女はペロっと舌を出し、右手で拳をつくって自分の頭にコツンと当てながら、
「えへ。カイトさんに久しぶりに会えるんで、うれしくって早起きしちゃいました」
そんな姿を見ていたら、ふっと気が緩んでお腹がぐぅと鳴った。
「さぁ、入ろう。ぼく、お腹すいちゃった」
その場を動こうとせず、俯いて上目遣いでぼくを見るなつめ。
「…」
「? どしたの?」
「あの…、サンドイッチ、つくってきたんです」
「ほんとに? わ〜い、なつめって料理上手だから、楽しみ」
84 :
木葉:05/02/06 02:46:52 ID:IgQKnXzR
ガルデニアは泣いた…
85 :
18Rの鷹:05/02/06 23:34:31 ID:eMA+kTtk
つい、笑顔になってしまう。
(いっけないっ、きょうはシリアスな話をするつもりだったのに…)
とはいえ、食欲には勝てそうにない。
「でも、ここで食べるわけにはいかないし…」
どうしたものかと思案する。この炎天下に外で食べる気にはとてもならない。
「2人きりになりたい、です」
消え入りそうな声でなつめが言う。はっとする。
「えっ!? それって…」
驚いて聞き返すが、なつめの目がぼくの言葉を遮る。
「2人きりに、なりたい」
ぼくの目を見て、今度ははっきりと言う。
「なつめ…」
「わたし、どこへでもついていきます」
(…う〜ん。でも、まあ、ちょうどいいか)
「行こうか」
となつめに言い、手をつなぐ。その手をぎゅっと握り返して、
「はい」
なつめはほんとうにうれしそうに答えた。
(2人きりで話すしかないよね。もう会えないって言うのなんて。そんなの、だれにも見せられないよね) これまで2度入ったラブホテルに向かって歩きながら、ぼくはそんなことを考えていた。
部屋はどこでもよかった。適当に選んでキーを受け取る。こういうところに入るのはもちろん初めてだろう、なつめは黙って下を向いている。素肌の肩に手をかけて、なつめを押すようにエレベーターに乗った。
部屋に入るなりなつめは振り向き、ぼくの胸に飛び込んできた。出鼻をくじかれ焦る。
「なつめ、最初にぼくの話、聞いて」
やさしく諭すように話す。が、
「いやっ! いやです!」
「…」
「あぁ…、好き…、大好き、抱い…て、お願い」
「だめだよ、なつめ。こんなことしてたら、みんな、みんな不幸になっちゃうよぉ」
なつめはさらに力を込めて抱きついてくる。もう、食欲はどこかにいってしまっていた。
86 :
18Rの鷹:05/02/07 23:04:26 ID:wkxS2+Rc
「わたしは…、わたしはだれにもしゃべりません!」
少し涙声のなつめ。ぼくは何も言えない。
「カイトさん。あなたは、わたしのこと、彼女に話したんですか?」
「話せるわけ、ないよ!」
思わず大きな声で否定する。
「でしょおぉ。2人の、2人だけの秘密…絶対、だれにもわからないっ」
泣きながら訴えるなつめ。涙とともに濡れた言葉がこぼれ落ちる。
「わたしのこと、嫌いですか?」
「いや…、そういうわけじゃないけど…」
「それなら、それなら…いいじゃないですかっ。わたし、絶対、カイトさんたちのおじゃまはしませんっ」
心を鬼にして、嫌いだ、そういえばよかった。だが、もう遅い。
「わたしから連絡はしませんっ。あなたからの、カイトさんからの呼び出し、それだけを待ってます。だから…、会えたときは…」
「なに?」
声が跳ね上がる。上ずっている。
「抱いて…。わたしを…抱いてっ! わたしのことだけ見てっ!」
ドクン。心臓から大量の血液が血管に送られる。これまで、モテたことはなかった。異性と普通に口をきくのは、ザ・ワールドが初めてだった。触れ合うのは、そのザ・ワールドで知り合った晶良が初めてだった。
ドクン。血液は体温を上げただけではなかった。体の一部に集まりだしてしまったのだ。
「なつめ…」
名前を口にした時点で負けだった。ぼくはなつめの細い体に腕をまわし、きつく、きつく抱きしめた。
「あぁ…」
なつめの漏らす吐息が、ぼくからぼくを引き剥がした。
「…ん…んん…んぅん…」
なつめの唇をむさぼる。やわらかな感触が、ますます血液を1か所に集める。
もう…だめ…だった。
「かわいい、かわいいよ」
耳に熱く語りかけ、それから、彼女を抱き上げてベッドに運ぶ。バイトのおかげか軽々と持ち上げることができた。
顔を上げてベッドを見た瞬間、ぼくの動きは止まった。
87 :
18Rの鷹:05/02/08 22:49:56 ID:FXPIO14a
(わぁっ…、丸いベッド…回転ベッド…っていうの? こーゆーの)
我に返って周囲を見る。ピンクの、いかにも淫靡な照明が目を刺激する。おまけに壁はすべて鏡張りだ。さらに興奮してしまう。
ゆっくりとなつめをベッドに横たえ覆い被さる。唇をふさぎ、舌を口内深く侵入させ、ねぶりまわす。
「ん〜…、んん…、ぅぅん」
服の上から胸を揉みしだくと、なつめが吐息を漏らす。さらに強く揉む。セックスに夢中になる前に、言っておかなければならないことがあった。手の動きを止めて、唇を離す。
「ごめんね。この間はひどいことをして」
「謝らないで…、お願い。それに、ひどいことされたなんて、思ってない」
「なつめ…」
「あなたが気持ちよくなってくれれば、私、それだけで…うれしい」
体を起こし、着ていたTシャツを脱ぐ。履いていたGパンも脱ぐ。ムスコはパンツが破れるんじゃないかというほど、いきりたっていた。
Gパンのポケットに入れていた財布からスキンを取り出し枕の横に置く。
それからなつめの体を起こし、キャミワンピと純白のブラジャーを体から取り去った。形のいい乳房がこぼれる。
「きれいな肌」
そう言って体をかがめ、乳首に唇を寄せる。
「あぁ…」
唇が触れそうになったところで舌を伸ばし嘗めると、
「ぁっ、あんっ」
びくっと体を震わせ、なつめが声をあげる。頂上から山腹にかけて、円を描くように舌を這わせていく。反対側の胸には右手をあてがい、触れるか触れないか微妙な間隔で掌を動かす。
「はぅ…くぅぅ…ん、はぁぁ、くぅん」
「かわいい声、もっと聞かせて」
「あぁ…」
体を支えているだけの力が入らない、そんな感じでなつめが倒れこむ。
のしかかり、唇と舌、両手をフルに使って、やわらかなふくらみを楽しむ。
「ぅんん、くぅぅん、くぅん、はっ…ぁぁあ」
愛撫の仕方を変えると、なつめの音色はさまざまに変化する。
88 :
18Rの鷹:05/02/10 02:22:56 ID:dS4I/FkK
右手が下がっていきパンティの中に潜り込む。
「足、広げて」
乳首を嘗め上げながら言う。なつめは喘ぎながら、
「あ…、は…ぃ」
と小さく返事をし、おずおずと足を広げていく。自由に動けるなった右手は喜々としてターゲットに向かい、そして捕らえた。人差し指を割れ目にあてがい、ゆっくりと挿入していく。
「あひっ、あぅぅ、あっ、ああっ」
「痛い? 怖い? やめる?」
「いやっ、やめない…で。あぁ…、痛く…ない…です」
言葉どおりとは思えない。なつめは目を閉じ、かわいい顔がゆがんでいる。
(きょうはひどいこと、しないようにしよう。やさしくしよう)
「無理しちゃだめだよ。なつめが嫌がることはしないよ」
「あぁ、うれしい…。好き、大好きっ」
パンティから右手を退けて、脱がしにかかる。
「お尻、上げて」
なつめは黙って言うとおりにしてくれる。体をずらし、なつめの両足の間に入る。膝を立たせ、その左右の膝に手を置いて広げていく。
「あぅ…、は、恥ずかしい…ですぅ」
なつめは両掌で顔を覆ってしまう。そんな仕草がますますぼくを興奮させる。左の太腿のちょうど真ん中あたりに、ちゅっと音を出してキス。
「あっ!」
なつめは短く声をあげ、上半身をびくっと震わせた。
舌を伸ばし、唾液で絵を描くように嘗めまわす。秘所にすっと近づき、ゆっくりと遠ざかる。膝の裏に手をやって持ち上げ、のぞき込むようにして裏側に舌を這わす。
「くっ…ぅぅん、ぅんっ、くぅん、あぁぁん」
舌が左足に移る。途中、秘所を横切ったときに、ちょっとだけ下から嘗め上げる。と、
「んあっ! あっ!」
激しい反応。しかし、焦らすように左足の太腿を舌と唇に味わわせる。右足と同じにはせず、唇も使ってあちこち吸った。ちゅっ、ちゅっと音をたてるたび、なつめは敏感にこたえる。
「あっ…あっ…んあっ…あぁっ…あっ!」
89 :
18Rの鷹:05/02/11 00:29:38 ID:QKRUYrpp
再びなつめの両膝を押し広げ、その中心に顔を近寄せる。羞恥に耐えかねて、なつめは両手で自分の秘所を隠してしまった。ぼくはお構いなしに舌を這わし、なつめの指を唾液まみれにしていく。
「はぁぁん、だ…めぇ…、ぅぅん、はぁぁ…、見、な、い、で、ぇ…」
「手、どかして。よく見せて」
言うことをきかないなつめ。よほど恥ずかしいのだろう。ぼくは彼女の手首をつかみ、少しだけ力を入れて最終防衛ラインをやすやすと突破した。
「あっ、だ…めぇ…、ぁぁ…、ぁあ…、ああ…」
息がかかるほどの距離まで顔を寄せ、じっくり観察する。それから、そこに唇を押しつけた。
なつめが反り返る。唇を動かし、舌を差し込むと、
「ぅぁぁああぁ、んあぁっ、あーっ」
これまでとは全然違う声。行為に熱中する。膝を持ち上げていた手に、指に次の指令を発する。それは舌が動きやすくなるよう、「そこ」を広げること。ピンク色の肉がのぞく。
顔を少し横にして、ディープキスをする感じでねっとりと唾液をすり込んでいく。
「ぁあっ! くっ…くぅぅ…んんん、あんっ、…はぁぁぁぁあっ」
喘ぎとともに染み出てくる愛液が、さらにぼくの舌の動きを潤滑する。それをすくい上げ、亀裂の上のほうで硬くしこってきた突起に塗りつけていく。
「ぅあっ! あっ…あ──っ! んぅあぁぁあっ!」
この声が、ぼくから冷静さを剥ぎ取り、性急な行動──挿入に移るきっかけになった。さらに、
「あぅぅっ、あっ! も…ぉ…だめぇ…」
相手は1度の経験しかないことを、すっかり忘れていた。ついこの間、晶良を絶頂に導いたせいで過信していたのかもしれない。
(もう入れてもいいよね)
それは自分の都合だった。アルバイトで体力を使っているせいか、性欲処理は4日ほどご無沙汰していた。
そそくさと体を起こし、スキンを手に取る。なにを焦っているのか、うまく袋が破れない。それがさらに焦りを募らせる。やっとこさ、スキンをムスコにかぶせることができた。
「入れるよっ」
一方的な宣言。
「えっ!? …ぁ、ぁ、まだ…、あの…はぃ」
少し驚きつつも、ぼくの意向に逆らわないで受け入れようとするなつめ。
90 :
18Rの鷹:05/02/12 00:00:48 ID:QKRUYrpp
いつもなら、晶良になら…。もう少し、いや、もっとねちっこく。そこだけでなく、いろんなところに。あんなことや、こんなことをするのに…。なつめの表情を見る余裕も失せていた。
ただ、結合部だけをにらんで、あてがう。ムスコをなつめの蜜壷に埋没させていく。
「あぅっ、いっ…」
いい、だと思った。だが、それは「痛い」の「い」だった、「嫌」の「い」でもあった。
一気に奥まで突き入れる。
「あぐ…ぅ、っ…、た…ぃぃ」
(あっ、なつめって1回だけしか経験ないんだった)
遅ればせながら気が付く。
「痛かった? ごめん」
「ぃぇ…、だい…じょうぶ…です」
やめよう、と思う気持ちを押しのけさせたのは、熱い蜜壷の中できつく締めつけられているムスコに対する刺激、快感だった。
「動かすよ? ゆっくり、ね」
「は…はい」
なつめは唇をかみしめ、目をぎゅっと閉じて痛みをこらえている。
腰をそろりと少しだけ引く。なつめごと腰についてくるような感じでムスコは出てこない。
「あぅぅぅ」
なつめのかわいい顔が苦痛にゆがむ。ぼくはさらに腰を引く。ムスコが2センチほど空気に触れる。それを再び押し入れる。
「はぅぁっ! はぅぅっ」
シーツをつかんで引き上げるなつめ。見れば涙が頬を伝って流れ落ちている。
(これは…、やめよう)
「ごめん、ごめんね、なつめ。痛かったよね、ごめん」
痛みが少しでも小さければと願いながら、ぼくはなつめからムスコを抜いた。やっと目を開けたなつめに、もう一度、
「ごめん」
と謝り、やさしく唇を吸った。なつめはつかんでいたシーツから手を離し、ぼくの体に腕をまわして力を込めてくる。また涙がこぼれている。
91 :
18Rの鷹:05/02/13 00:42:01 ID:2agBOl0w
「わたし…、わたし…、ごめんなさい」
唇を離すと、なつめは申し訳なさそうな顔をして謝る。
「いいんだよ。なつめが謝ることなんかないよ。ぼくが悪いんだ、焦っちゃったから…」
そう言ってからぼくは体を反転し、なつめの横に寝転がる。
(あ〜、自己嫌悪…)
なつめは体を起こし、ぼくの胸に頭を乗せる。ふんわりとした髪が少しくすぐったい。
ぼんやりとピンク色の天井を眺めていたら、まだ元気なムスコに何かが触れるのを感じた。
「?」
少し顔を持ち上げるが、なつめに遮られてムスコの様子はうかがえない。首がつりそうになるくらい、さらに頭を上げる。
「なつめ」
ようやく見えた。なつめがムスコに指をかけているではないか。ぼくが発した声にも反応はない。じっとムスコを見ている。ややあって、
「かわいそう…。男の人って…出さないとつらいんでしょう?」
「いや…、そんなこともないけど…」
「わたし…、うまくできるか、わかんないけど…」
「えっ?」
首が限界にきて、頭が枕に落ちる。同時になつめが体を下のほうにずらした。なつめは横座りになって、両手でムスコを包み込むように握り、恐る恐るスキンをはずした。
なつめの行為を止めることができなかった。いや、期待が勝っていた。わくわくしていた。
「ん…」
なつめはひざまずき、右手を根本に添え、左手は自分の体を支えるようにベッドについている。なつめがムスコを口の中に収めようとする。唇がまくれ上がり、それがなんともいやらしく見えた。
「は…、はぁ…、気持ち…いぃ」
その言葉をくすぐったそうに聞いて、なつめは一度ムスコを口から出し、
「わたし、頑張ります。もっと、もっと気持ちよくなってください」
ぼくのほうを見ながら言って、再びムスコと対峙した。
「どうすれば気持ちいいか、どんどん言ってくださいね」
92 :
木葉:05/02/13 05:50:14 ID:gkY/r1F7
今過去の小説読んできたが(2時間かかった…)黄昏の…さんの作品はどうなったのだろうか…続きが読みたい…そして18Rの鷹さん割り込んでしまってすまない…続き頑張って(  ̄ー ̄)
それ言ったら水色たんはどこへ・・・・
94 :
18Rの鷹:05/02/14 00:01:01 ID:sMXkT2A4
手を伸ばせば触れられる距離なのに、なんだかすごく遠くの光景を見ているような錯覚に陥る。
ムスコは膨張しきって、いまにも破裂しそうなほど怒張している。鈴口からは透明な液体がにじんできていた。それを、なつめは舌を伸ばして嘗めた。快感が走る。
「あぅっ」
思わず声が漏れてしまう。パンパンに張って鈍い光沢を放っている亀頭に、なつめが舌を這わせていく。唾液が塗られ、さらに怪しく輝いていく。
(気持ち…いい…)
ぼくは、よく見たいという欲求を抑えられなかった。なつめの髪を手でかきあげる。ほんの少し、なつめの頬が赤くなった気がした。
亀頭をあまさず嘗めたなつめは、口を大きく開けムスコを飲み込んでいった。それから、頭を上下させる。
「ん…、ん…、ぅんん…、ん…んふぅ」
苦しげに漏らす声も、たまに浮かべる苦悶の表情も、やわらかな唇を出たり入ったりする肉棒のまがまがしい姿も、すべてがぼくを興奮させた。
あまりの刺激に上半身をそらすと、下半身を突き上げる形になってしまい、ムスコはなつめの喉に届いてしまった。
「んぐっ…げほっ」
腕を伸ばし頭を跳ね上げて、吐き出すようにムスコを口から出すなつめ。
「あ、ご、ごめんっ。痛かった? だいじょおぶ?」
唾液と混じりあった透明の液体が、なつめの唇から垂れ下がっている。
「はぁ…はぁ…、はい、だいじょうぶ…です。ちょっと、びっくりしただけ、です…」
不意に訪れた休憩時間を利用して、ぼくは体をずりあげて起こすことにする。
「なつめ、体をどかして」
言うとおりにするなつめ。ぼくは後ろに腕を伸ばしてベッドの端につかまろうとした。と、何かスイッチのようなものに触れてしまう。
ウィーン…低く唸るような音を発してベッドがゆっくり回転を始めた。
「な…!?」
「わぁ…なんか、すごいです」
絶句したぼくの下方で、なつめが興味津々に目を輝かせて嬌声をあげる。
95 :
18Rの鷹:05/02/14 23:00:59 ID:sMXkT2A4
ベッドが1周したところで、ぼくは回転を止める。行為に集中したかった。
背中をキャビネットにもたれさせ、足を広げる。ムスコは天を指してそそり立ち、なつめの口唇での奉仕を待っている。
「さあ、続けて」
「はい」
返事をしながら、なつめは手首にしていた緑色のゴムで髪をまとめた。そうして、ぼくの両足の間におずおずと体を入れ、ムスコに手をかけた。
まっすぐに唇をムスコにあて、頭を下げていくなつめ。唇が徐々に広がり、あるところを通過すると、ほんの少しすぼまった。さらになつめの頭が下がる。
「んん…」
吐息を漏らしたところが限界のようだ。肉棒はまだ5pほどが空気に触れている。根本まで口中に収めたい、しかし無理はしちゃいけない。
「ん…、んっ…、んん…、んっ…」
なつめはゆっくりとストロークし始めた。限界点に達すると声にならない声が漏れてくる。
「はぅっ、はっ…、はぅぅっ」
なつめの熱い口の中を往復する感触がムスコを刺激する。とくに亀頭の最下部、カリの部分を唇が往復するたび電流が走った。
ぼくは体を起こして右の腕を伸ばす。
「んぁ?」
なつめが上目遣いに見る。ぼくはなつめの胸をまさぐり、乳首を指ではさんだ。
「んっ! んぅんっ」
予期していない刺激になつめは体をびくっと震わせた。掌で柔らかな胸を揉んでいく。
「ぅんんっ、んぁぁ、んっ」
「動き、止めちゃだめだよ?」
ぼくはさらなる刺激を求める。なつめはストロークを再開させるが、ぼくには物足りない。
「つらかったら言ってね(って、言えないか…口をふさいでるんだもんね)、いや、右手を上げてね」
何を言われているのか理解できず、なつめの目から戸惑いがこぼれる。
「少し…、少しずつ、奥に入れていくよ」
ぼくは両手をなつめの頭にやり、そっと力を入れる。さっきより、なつめが限界としたポイントより1pほど深く押し込む。なつめの唇が巻き込まれるのが見えた。
96 :
18Rの鷹:05/02/15 23:23:32 ID:L7A4BtGg
「んんっ!」
「あっ、だいじょぶ?」
なつめは目で「大丈夫です」と答える。ぼくはほっとしつつも満足を笑みで表し、なつめの頭を引き上げる。唇がカリに引っかかり、快感が走る。
「いいっ! 気持ちいいよ、なつめ」
亀頭が口からこぼれ出る前に、ぼくは腕に力を入れてなつめの頭を下げていく。さっきと同じ深度まできたとき、なつめの右手がぴくっと動く。
「へいき?」
なつめはくわえながらうなずく。その刹那、意思とは別に体が、いや快楽を追求する本能が動いた。
腰を突き上げる。
「ぅんっ!! んぐっ!」
なつめの苦悶は感じとれたが、もう我慢できなかった。
「ねぇ、なつめ、速くっ、もっと速く、もっと激しくして」
なつめは健気に、頭を一生懸命上下させる。しかし、その動きでは満足できなかった。
ぼくはなつめの頭をつかんだ腕にさらに力を入れ、
「こおっ! これくらい…、いや、もっと…、あっ、なつめっ、いいっ、いいよっ!」
「んん〜っ、ぅん〜っ、んっ! んっ、んっん〜っ!」
なつめの頭が最下点に到達するタイミングを正確につかんで、ぼくの腰は勝手に突き上げる動きをする。右手を上げて苦しさを訴えるなつめだが、ぼくはそれを無視して左手でつかんでしまう。
右手でたばねた髪をつかんで激しく上下に動かし、腰のストロークをだんだんと大きくしていく。
なつめは右手でムスコを握り、なんとか指のぶん以上の侵入を防いでいる。細く白い指が唾液で濡れ、いやらしく光っている。
唐突に限界がきた。
「あ…っ、だ…めっ、もおっ、だめっ! いくっ! 出るっ! あぅぅっ、あっっ! 出すよっ!」
なつめの髪に広げた指がしっかりくい込み、反射的に逃げようとする動きを阻止する。腰がベッドから浮くほどムスコをなつめの口中深く突き入れる。ムスコが弾けた。
「んっっ! ん───っ! んっんっ…んっ…」
口内に大量の精液を勢いよくぶちまけられて、なつめの悲痛なうめきが部屋に響く。
「あぅぅっ、はぁぅぁぁ…、よ…かっ…たぁぁ」
なつめは力が抜けきってしまったみたいだった。
97 :
18Rの鷹:05/02/16 23:53:39 ID:x15yeFVU
上目遣いするなつめの目の奥に戸惑いと、ちょっぴり抗議の色が混じっている。頭から手を離すと、なつめは両手をベッドについて、ゆっくりとムスコを口から引き抜いた。
なつめは口をきゅっと閉じている。少し頬がふくらみ、口の中にあるものの量が感じられる。ベッドにあひる座りをして目を閉じたなつめは、顔を少し持ち上げてそれを飲み下そうとする。
「なつめ…」
が、なつめは顔の前に両手をもっていき、白濁した液体をあふれさす。その流れはしばらく止まらなかった。
(いっぱい、出しちゃった…)
射精の余韻でぼんやりとしたぼくは、ローズピンクの唇と白い液体のコントラストにドキっとしながら、そんなことを思っていた。
なつめは涙のにじむ目を開けて、
「だめぇ…、飲、め、ないぃぃ」
はっと我に返ったぼくは、
「い、いいんだよっ、なつめ、そんな、飲むなんて…、いいんだよっ」
強い口調で言いながら、なつめを抱き上げていた。
「シャ、シャワー、シャワー浴びようっ」
なつめは掌の精液をこぼさないように、じっとそれを見ていた。
バスルームに駆け込む。なつめを降ろして大急ぎでシャワーからお湯を出し、まずなつめの手から精液を流した。それから、
「あ〜ん、して」
白い糸をひいて粘ついている口内にまたドキっとするが、すぐにお湯ですすいでやる。
「なつめ…あの…」
ぼくが、ごめん、と言う前に、なつめが口をはさんだ。
「ごめんなさい…、あなたの…飲めなかった…」
「いいんだよっ、なつめ。そんなこと、いいんだよ。…また、ひどいことしちゃって、ごめんっ!」
なつめはふるふると顔を横に振り、
「ひどいなんて、思ってない。それより…あのぉ」
「なに?」
「気持ち、よかったですか?」
「うん…。その、すっごく、気持ちよかったよ」
98 :
名無しさん@ピンキー:05/02/17 00:06:00 ID:pB5DLZdD
今度はなつめをいかせまくってやりなされ。
99 :
18Rの鷹:05/02/17 23:41:50 ID:cPvroZaf
それを聞いたなつめは、
「よかったぁ」
と無邪気な笑顔を見せた。うれしさが罪悪感を上まわる。ぼくはなつめの体をきつく抱きしめ、それからむさぼるように唇を吸った。さっきまで自分のムスコに奉仕してくれた唇がいとおしくてたまらなかった。
「ん…ぅぅん、あぁ…」
なつめの喜びが声になって漏れてくる。ぼくは舌を差し入れ、傷口を嘗めるように口内をまさぐった。
ぼくの背中にまわしたなつめの腕にも力が入っている。2人、夢中になってキスをした。しばらくキスを楽しんでから、ぼくは顔を離した。
「はあぁぁ…好き…」
と言ってなつめは、ぼくの胸に顔を埋めた。そのとき、ぼくのお腹がぐぅ〜っと鳴った。
「プっ」
「あはは」
おでこをくっつけて笑った。その声はバスルームに幸せそうに反響した。
「お腹、すいちゃった」
「サンドイッチ、食べてください」
「うん。じゃあ、先に出てるね」
「はい」
ぼくはシャワーを自分の体に浴びせる。すると、なつめがムスコにそっと手を添え
「ここは…わたしが、洗ってあげる」
「えっ、い、いいよ」
拒否するが、なつめは強引にぼくの手からシャワーを奪い、そっとムスコにお湯をかけた。
「わたしのつばで汚しちゃったから…」
やさしくしごかれて残っていた汁がにじみ出て、なつめの指をまた汚した。なつめは指を口にくわえ、
「今度は…飲めるように、なつめ、頑張りますっ」
と、ザ・ワールドでのなつめのように元気に言った。ぼくは何を言っていいのかわからず、
「もう、きれいになったよ。ぼく、出るね。なつめも早く出ておいで。一緒に食べよう」
「はいっ!」
元気な返事がまた聞かれた。
100レス目にして112KBか・・・・・
このスレも500レス目に逝く前に容量オーバーになりそうだな
101 :
名無しさん@ピンキー:05/02/18 01:05:52 ID:kM6qMNlw
カイト、もうなつめにしとけ!さよなら黒薔薇の君〜
>>鷹氏
いつも乙カレーさまです。楽しませてもらってます。
>>101 黒薔薇と黒曜の君をかけたんだね。最近、なつめがなつきに見える漏れorz
斎賀みつき+梶浦由紀ですっかり引き込まれちゃったのは漏れだけじゃないハズ。
スレ違いsage。
見えるというのは画面上で文字を見たときにという意味で。
>>102は誤解を招きそうなので追記…スレ違いスマソです…
104 :
18Rの鷹:05/02/19 00:58:05 ID:KLx3EJi5
バスタオルで体を拭き、それを腰に巻いてベッドに寝転がる。目を閉じると、不意にレイチェルの顔が浮かんできた。
「あっ!」
記憶がよみがえり、ぼくは思わず声を出していた。飛び起きてバスルームのほうを見る。シャワーの音に遮られ、声は届いていないようだった。
(そういえばあの日、レイチェルに口でしてもらったとき、「あかんっ。お初はあたしがいただくけど、お口くらいとっとかな、申し訳ないやん」って言われたんだっけ…)
「はぁ〜ぁ」
(なんか、ぼくの『初めて』って晶良さんじゃない女性のほうが多い…)
そこに、
「おまたせしましたぁ」
なんとなく自信にあふれた明るい声。バスタオル一枚の姿でなつめが出てきた。なつめはテーブルに投げ出した紙袋をかがんで取る。チラリとのぞいたお尻とその奥の暗がりにドキっとする。
ぼくはじっとしてられなくて立ち上がり、冷蔵庫からジュースを2本取り出して、テーブルの横にあるソファに腰をおろした。なつめがそっと寄り添うように座る。
「たくさん食べてください」
「うん。いただきまぁ〜す」
ぼくは卵サンドを頬張った。
「おいっしい! おいしいよ、なつめ」
「よかったぁ。たくさんつくっちゃったから、どんどん食べてくださいね」
卵サンドを食べきらないうちに、ぼくはハムサンドに手を伸ばす。それを食べ終わると次はポテトサラダのサンドイッチ、それからまた卵サンドを平らげた。急いで食べたせいか、喉に詰まらせてしまう。
「げほっ、うぇ〜」
ジュースを飲んでなんとか落ち着いた。なつめはそっと背中をさすってくれる。くすくすと笑いながら、
「慌てないでいいんですよ、サンドイッチは逃げませんから」
「うん。なつめの苦しさがちょっとわかったよ」
「えっ? なんのことですか」
「さっきの」
「いやっ」
真っ赤になって、手で顔を覆ってしまうなつめ。
105 :
18Rの鷹:05/02/20 00:41:46 ID:NzGm1t+Q
「ふぅ〜。お腹いっぱい。ごちそうさまっ」
ソファにもたれながら、ふくれたお腹を撫でる。なつめはようやく残ったサンドイッチに手をつけた。
「待っててくれたの?」
「はい。あんまりすごい勢いで食べるから、足りなくなるんじゃないかって、はらはらしてました」
(いいコだな、なつめって。きょうはできるだけ一緒にいてあげよう)
それは問題の先送りでしかないのはわかっていたが、
(バレなければ…いいじゃないか、なあ)
と囁く黒い自分の存在が大きくなっていくのを自覚してもいた。
「もう少し、残しとけばよかったかな」
「いえ、そんな。わたしはこれくらいでお腹いっぱいです」
「あとでケーキ食べにいこうよ。ぼく、バイトしてるから、ご馳走させて」
「カイトさん、やさしい…。なんか感激です! ありがとうございます! うれしい!」
心の底から喜んでいるのが伝わってくる。
「じゃあ、その前に…」
「えっ? ん、ぅんん…」
軽いキスをして、抱き上げ
「今度はぼくがなつめを気持ちよくしてあげる」
耳元でささやいて、ベッドになつめをそっと寝かせた。唇を吸いながらバスタオルをほどき、柔らかな胸に掌をあてた。
「ん…んふぅ…」
なつめの唇に舌を這わせ、先ほどの奉仕に対しての感謝の意を表す。くすぐったそうに、それでいて気持ちよさそうに、なつめは身をよじらせる。
「くぅ…ぅん、ぁぁあ…ぁん」
半開きの口に舌を差し込み、なつめの舌を絡め取る。胸に置いた手は次第に力を増していった。
「ん…、んふぅ…、あんっ!」
耳たぶを、首筋を執拗に愛撫していくと、なつめの喘ぎ声は早く、そして大きくなっていった。
「ぁっ、ぁぁん…、あんっ、くふぅ…、あっ!」
なつめの体にのしかかるようにして、胸への愛撫に唇と舌が加わる。固くしこってきた乳首を唾液まみれにしていく。
106 :
18Rの鷹:05/02/20 23:01:06 ID:NzGm1t+Q
「どう? なつめ、気持ちいい?」
「は…ぃ、とて…も、あぁんっ! 気持、ち…いぃぃぃ、あぅっ」
体がびくっと震えると、口からこぼれ出る声も振動する。ぼくのすることに敏感に反応する。
右手を胸から脇腹と、ゆっくり滑らせていく。陰毛をかき分けるように進んだ指は、秘裂をなぞるようにして止まった。
「あっ」
なつめは右手の甲を口元にあてて、恥じらいが漏れるのを隠そうとする。
くいっと人差し指を折り曲げると、熱いぬめりの中に沈んだ。
「はぁぁ…、あぁぁん、あぁぁ」
顎を上げ、目を閉じて声を漏らすなつめ。無理はしないつもりだったが、そこは十分に潤っていて、ぼくの指を引きずり込もうとしているかにさえ思えた。
ぬぷっと指をさらに奥に進める。
「んあぁぁっ、くぅぅ…」
いままでより大きな声に驚き、ぼくはあわてて指を引き抜く。
「痛かった? ごめんね」
「ぃぇ…痛くはない、です」
「ん」
ぼくは体をずり下げながら、指の動きを再開させた。体をなつめの両足の間に入れ、おもむろにクリトリスを唇ではさみ、舌で嘗めあげた。
「ひぃゃぁんっ」
なつめは体をのけぞらし、聞いたことのない喘ぎ声をあげた。唇と舌の動きを大きく速くする。指を再び挿入し、出し入れさせる。
「あ──っ、あっ、あっ、あ──っ、んあ──っ、あっ!」
なつめが体をぶるっと震わせたのを感じ、ぼくは身を起こして素早くスキンを装着。覆いかぶさって一気になつめを貫いた。
「あ────っ」
なつめがしがみついてくる。
「んあぁっ、好きっ…、好きぃっ」
107 :
18Rの鷹:05/02/21 22:31:56 ID:S+QGJQB2
ぼくはじっとして動かず、なつめの息遣いが戻ってくるのを待った。
「だいじょぶ? 痛くない?」
ぼくの問いかけに、なつめはようやく目を開け、答える。
「ん、ん。…だい…じょお…ぶ」
その目から涙がこぼれ落ちる。それを見て、動くのをためらうぼくに気づいたなつめは、
「ほんと…に…、だいじょおぶ…です…から…、はぁっ、ぁぅぅ」
こらえるような声が漏れる。なつめは口で息をしながら、
「はっ、はぅっ、わた…し、しあわせ…。はぁ、はぁぁ」
「なつめ…」
「だっ…て、好きな…人に、カイトさんに…抱かれてるんだもん…、あっ、はぁうっ」
複雑な気持ちで押し黙るぼくに向かって、なつめは顔をゆがませながらもさらに言葉を続ける。
「はぁ、はぁぁ…、だから…お願…い。わたしで…、わたしで、気持ちよくなって…くださ…い」
「なつめの中ね、すごく、気持ちいいんだよ」
「うれしい…」
そうつぶやいて目を閉じたなつめのまぶたにキスし、ぼくはゆっくりと腰を動かし始めた。徐々に深度を増していき、それにつれてスピードも上げていく。
「うっ、ぅぐっ、ぐっ、あ…あぁっ、あぅぅっ」
突き入れるたび、なつめの吐息が短く漏れる。痛みをこらえているのだろう、なつめは目をぎゅっと閉じ、顔の横に置いた左手はシーツをきつく握りしめている。
これまでの経験、短時間のインタバルをおいただけの2度目の交合とあって、なかなか射精の欲求は高まってこない。スキンを装着しているせいもあった。
腰をまわすように動かして刺激を求める。なつめの喘ぎがかすれていく。
「はぅ、ぅぅぅ、あぅ、あぐっ、はぁぁ」
さらになつめの両足を肩に乗せる。挿入が一段と深くなる。
「あぁぁぁぁ、あんっ、あ──っ」
それまで自分の体を支えていた右手は自由が利くようになり、胸への愛撫へと役割を変えた。腰の動きは直線的なものにシフトし、ストロークはムスコがなつめから抜けそうになるくらい大きくする。
「あぐっ、ひっ、ひぃっ、ぅあっ、あっ!」
「い…き…そ…おぉ、なつめっ、なつめっ、あぁ、出るっ、なつめぇぇっ、いくっ!」
声をあげ、ぼくは果てた。多量の精液がスキンをいっぱいに満たした。
108 :
18Rの鷹:05/02/22 22:11:51 ID:PQKd4QgM
「よかった…、とっても、よかったよ、なつめ」
やさしく言ってキスをする。なつめの目から涙のしずくがこぼれ落ちていく。
「痛かった? ごめんね、だいじょぶ?」
「はい、大丈夫、です。痛みは、初めてのときよりは…少ないです」
まだ、なつめの中にいたかったが、それはかわいそうだ。名残を惜しんでムスコをもう一度ぐいっと奥まで突き入れる。
「んぐぅっ!」
と、うめき声をあげ、顔をゆがませるなつめを見下ろしながら、ぼくはムスコを引き抜いた。
「ぁ…ぁぁ…」
痛みから解放されてほっとしたのか、なつめの表情が緩む。なつめはぼくの頭に手をもっていき、引き下ろそうと力を入れる。
「どうしたいの?」
「あ、あの、キス」
ぼくは願いを聞き入れて唇を重ね、ねっとりと舌を絡ませた。
しばらくしてから、ぼくは体を起こして自分の後処理をする。スキンを外し1回転させて縛る。それからティッシュでムスコを拭った。
なつめはじっとして動かない。ふと見ると白いシーツに赤い点がにじんでいる。
(また出血させちゃった…)
ぼくはなつめを抱き起こし、
「ごめんね。痛かったよね、ほんとうにごめんっ」
「カイトさん…」
「血が…血が出てる…。ひどいことしたんだって思うよ、ぼく」
なつめは息子を見る母親のような、包み込むような温かい微笑を浮かべ、
「大丈夫ですよ。女は月に1度、血を出してるんですから」
「だって…」
血を見てすっかりビビってしまったぼくは、泣きそうになりながらなつめを見つめる。
「痛そうで、かわいそうだから、わたしのこと、もう抱かないって言われるほうが、ずっとつらい」
「でも、だって…」
「女なら、だれもが通らなくちゃいけない痛みなんですよ。その痛みを経験させてくれたのが、あなたでよかった」
109 :
18Rの鷹:05/02/23 21:10:51 ID:YHJUJtpJ
ホテルを出ると、なつめが
「あのぉ、手、つないじゃだめ、ですか」
と恥ずかしそうに小声で聞いてくる。
「だめじゃないよ」
そう言って、ぼくは指を絡ませるようにして、なつめと手をつないだ。
(そういえば、晶良さん、汗かいちゃうからって言って、あんまり手をつながせてくれないなぁ)
一瞬、そんな考えが浮かんで、ぼくは顔をぶんぶんと横に振る。それを不思議そうになつめが見つめていた。
「あっ、そうだっ、ケーキ」
ごまかすように早口で話しかける。なつめは
「本屋さん、行きましょう」
「情報、仕入れるんだ」
「そうです。せっかくカイトさんと食べられるんだもん。おいしいケーキ、食べたいです」
ほんとうに喜んでいるのがわかる。心からそう言っているのがわかる。
(なつめって、ほんとにかわいいや。晶良さんのことは愛してるけど、なつめのことも好きになりそう)
また顔を振る。
「あのひとのこと、考えてるんですか」
俯いたなつめがひとり言のようにつぶやく。
「えっ!? い、いや、そ、そんなこと、ない、よ」
「うそ」
「うそなんかついてないって。なつめのこと、好きかな…って、ちょっと思った」
ぼくの言葉に返事はなかった。なつめは俯いたまま顔を上げない。
「? どおしたの?」
心配して、顔をのぞきこむようにして聞く。なつめは涙ぐんでいる。
「うれしい…」
消え入りそうな声で漏らすなつめ。
「な、泣かないでっ、お、お願い」
慌てるぼくに、なつめは泣き笑いの顔を向け
「はい!」
と元気に答えた。PCを思い出させる細くつぶった目に浮かんだしずくに、夏の太陽が輝いていた。
なんか、鷹の人の描くなつめって相当に地雷な気がするのは俺だけ?
111 :
18Rの鷹:05/02/24 21:27:52 ID:0T3E9kxu
ケーキ屋さんを出ると、なつめはいつにも増して丁寧にお辞儀をして帰っていった。
(できるだけ一緒にいよう、と思ったけど、これでよかったんだよね)
まだ太陽は高い。家の近くの駅に着き電車から降りても、全然涼しくなってこない。ねっとりと不快な空気がまとわりついてくる。
「なんて…暑いんだ…」
永遠に明るいままなんじゃないかと思えてくる空を見上げ、うらめしそうにつぶやく。
「ただいまぁ」
家に戻ったぼくは無言で風呂場に向かいシャワーを浴びた。汗とともに、この嫌な空気も、そして罪悪感も洗い流せたら、どんなにいいだろうと思いながら。
夕飯はご飯一膳だけで箸を置く。どうしたの? と心配する声に、
「アルバイトの疲れ、かな。それに、きょうの暑さでバテた…。きょうはもう寝る。おやすみなさい」
母親の顔をまともに見られず、一方的に言って自分の部屋に戻った。
ベッドに身を投げて、目を右腕でふさぐ。深いタメ息を一つついて、ぼくは考える。
(いいのかな、このままで)
もうひとりのぼくがささやく。
(バレやしないって。大丈夫。それに、なつめの体、すごく良かっただろ?)
実際、なつめとの性交は十二分の満足が得られるものだった。初めて口の中に出した快感、晶良とは違う柔らかな体、締めつけてくるあそこ…。痛いのをこらえる顔にも興奮させられた。
ぼくは自問自答を繰り返す。
(でも…、ぼくが、どうにかしたら、これって…終わるのかな?)
別のぼくが言う。
(終わるかもしれないし、終わらないかもしれない。…それはだれにもわからない)
さらに自分に聞く。
(でも、何かを始めるためには、終わらせなきゃいけないことって、あるよね。…終わりにできるかな…これ)
別の自分が答える。
(終わりがこないことなんて、ない。ただ、いろんな終わり方があるだけ)
結論はもちろん出なかった。ぼくはいつの間にか眠っていた。
112 :
名無しさん@ピンキー:05/02/25 03:00:12 ID:wUcB5OdY
どうせなら晶良も入れて3Pの方向で
114 :
18Rの鷹:05/02/25 23:48:25 ID:HZXzi0ps
翌水曜日もアルバイトは休みだ。いつもより2時間よけいに眠ったら、疲れはすっかり抜けていた。
体を気遣ってくれる母親に、ご飯3杯おかわりすることで答える。ひと休みして、ぼくは駅前にあるフィットネスクラブに行くことにした。ぼくの家族はここのファミリー会員に登録していて、たまに利用していた。
いくら冷房の効いたトレーニングルームだからといっても、汗まみれになるのは嫌だった。そんなのはアルバイトで十分だ。ぼくは更衣室からまっすぐプールへ向かった。
("マーメイド"に勝ちたいもんね)
年下の男のコにふさわしい負けず嫌い。ぼくは1レーンを占領して、クロールでがむしゃらに泳いだ。100m、200m、400m…。さすがに疲れてくる。乳酸が体中に蓄積されていくのがわかる。
いったんプールから上がりベンチで休憩する。きのう2回出したせいか、プールサイドの女性たちの水着姿にも平然としていられた。というより、ちょっと年齢層が高くて、興味の対象外だったせいが大きいが…。
15分ほど休み、再び泳ぎだす。今度は平泳ぎでゆっくり距離を稼いでいく。25mプールを20往復、ジャスト1000m泳いだところで、ぼくはプールから出た。
気持ちのよいけだるさが全身を覆っていた。空腹をまぎらすのと暑さから逃避するために、ぼくは途中でアイスクリームを買い、それを口にしながら家を帰った。
昼のメニューはソーメンだった。大人ってのは、なんで夏バテだとかっていって、あっさりしたものばかり食べるんだろう。
「夜はトンカツにしてね」
とリクエストして、それを聞いた母親はお腹いっぱいという表情を浮かべた。
結局、ソーメンでは満足できず、朝の残りご飯を自分でチャーハンにして食べ、デザートにスイカを4分の1たいらげて、やっと満腹感を得られた。
腹の皮が突っ張れば目の皮はたるむ。お腹はいっぱいだというのに、じゅうじゅうと音をたてるトンカツの夢を見ながら、よだれをたらして昼寝を楽しんだ。
「ご飯よぉ〜、起きなさ〜い」
という母親の呼びかけに、寝ぼけた声で返事をして、大きく伸びをしてから食卓につく。夢で見たとおり、トンカツが食欲をそそる音をたてていた。ご飯を大盛りによそい、
「いっただきまぁ〜す」
口の中を火傷しそうになりながら、ものすごい勢いで食べていった。
115 :
18Rの鷹:05/02/26 21:42:28 ID:4qmihQFK
腹ごなしに散歩に出るが、きょうも熱帯夜。30分も歩いたら汗まみれになっていた。
家に戻るなり風呂に飛び込む。といっても、湯船につかる気にはなれず、シャワーですませた。最後に冷たい水を浴びてから部屋に戻った。
宿題をするつもりでパソコンを立ち上げるが、どうもそんな気にはなれなかった。
(夏休みはまだ2週間もあるじゃないか)
甘えが顔をのぞかせる。ここんとこ何事につけても甘えてやしないか、と思ったが、現実逃避することに決めた。
ザ・ワールドにログインする。そこにいけば、そう呼ばれるのに気恥ずかしさはあるものの、"勇者"だった自分を取り戻せるかもしれない。少しばかり期待していた。
マク・アヌのカオスゲートに転送される。イベント『モンスター街侵入』以来だったから、初心者向けのサーバーにきてしまったというわけだ。
Δでは物足りない。すぐにΛサーバーに移動する。文明都市カルミナ・ガデリカは多くのPCでにぎわっていた。
ふと横を見ると、見覚えのあるPCの後ろ姿が目に入った。だれかと待ち合わせだろうか、壁に肘をついて、対岸にある摩天楼の明かりをながめている。
「はる」
呼びかけると、小柄な女性剣士はるは振り返り、ぱーっと弾けるような笑顔を見せた。
「カイトさん! あ、あの、お久しぶりです」
「久しぶり。元気だった? カズくんと待ち合わせかな?」
「はい。私たちまだ中学生なので、おこずかいも少ないし、アルバイトも禁止されてるんで、あんまりリアルで会えないんです。だから、ここでのデートばっかり」
はるはそう言って少し寂しげに微笑んだ。
「それに、姉弟そろって受験生だもんね、速水さんち」
「あの〜、カイトさんも晶良お姉さんとデートできないんですか?」
「うん。夏休みに入ってすぐに、彼女から勉強に集中したいって言われて…」
「かわいそう…」
自分だって恋人とあまり会えないというのに、ぼくのことを気遣っている。ぼくはにっこりと微笑んで、
「はるはやさしい、いい娘だね。カズくんがうらやましいや」
「そんな…」
はるは恥ずかしそうに下を向いてしまった。
116 :
18Rの鷹:05/02/27 21:02:43 ID:VyqfIu+n
「カズ、遅いなぁ。どうしたんだろう」
心配そうにつぶやくはるに、
「ぼくでよかったら話相手になるよ」
「えっ、いいんですか。うれしい!」
両手を胸の前にもっていき、目をきらきらさせている。こげ茶色のツインテールが揺れる。
「カイトさん、カズとリアルで会ったことありますか」
無邪気に聞いてくるはる。カズ、速水文和とブラックローズ、晶良がリアルでは実の姉弟であることはお互い了解事項だ。そして、ぼくが晶良と恋人同士だということも。
「いや、リアルではまだなんだ。その…彼女の家にも行ったこと、ないんだ」
「そうなんですか。私はこの間、招待されたんですよ。晶良お姉さんとも会いました。とっても素敵な女性ですよね」
「そうだね。あっ、写真は見せてもらったっけ。晶良さんと文和くんが近所に住んでいた双子の兄妹と写ってるやつ」
「私もそれ見せてもらいました。カズ、あの写真より、ずっと大人っぽくなってるんですよ。体もがっしりしてきたし」
体、と聞いて、
(もう経験したのかな、この2人)
などと考えてしまう。
「はるはカズくんのこと、本当に好きなんだね」
「うん! カズ…すごいやさしいんですよ! カズとはいろんな話したんです。カズに話してから、自分のこと少しだけ好きになれたんです」
「自分のこと、って?」
「私、お姉ちゃんがいるんです。その姉にコンプレックスがあって…。お姉ちゃん、頼りになるし、なんでもできるし…。それなのに、私は…」
足元の石畳を見つめながら、いかにも自信なさげに話すはる。
「はるにだって、いいところはいっぱいあるよ。お姉さんと自分を比べたってしようがないよ」
「カイトさん、やさしいですね。ありがとうございます」
はるはお礼を言ってぺこりと頭を下げた。と、カオスゲートに白い呪紋使いが転送されてきた。はるがうれしそうに、そのPCの名を呼ぶ。
「カズ!」
117 :
18Rの鷹:05/02/28 20:56:12 ID:Gv9HtUyI
「ごめんっ、はる。遅くなっちゃって…」
肩で息をするモーションをつけて、カズは大慌てでインしてきたことをアピールする。
「ううん、いいの。カイトさんが相手してくれたから、待ってるの、苦にならなかったわ」
カズはこちらの存在を確かめるように顔を横に向ける。
「あっ、ねぇちゃんの彼氏の…。ど、ども…こんばんは」
「こんばんは。元気そうだね、カズくん」
「いやぁ、元気じゃないっすよぉ。ねぇちゃんときたら受験勉強のストレスで体力あり余ってて、オレのこと、そのはけ口にしてるんですよぉ」
なんとかしてほしい、と救いを求めるように訴えるカズ。
「まあ。カズ、大丈夫なの?」
はるが心配そうに問う。彼女に対してはいいところを見せたいのか、カズはちょっと得意げに、
「えへへっ、ま、オレ、逃げ足は速いからさ。でも、さっきは逃げらんなくて…」
「ひどい目に遭った?」
ぼくがそう聞くと、
「いやぁ、彼氏に聞かせちゃっていいのかなぁ」
言いにくそうに口ごもるカズだったが、頭をかきながら
「ねぇちゃん、食後の運動よってSTF仕掛けてきて」
「エスティーエフ、って?」
はるが首をかしげながら聞く。
「ステップオーバー・トーホールド・ウィズ・フェイスロック。プロレスの絞め技」
カズが説明すると、はるはびっくりした顔で絶句してしまう。それを見てカズは
「あっ、手加減してくれるから大丈夫なんだ」
「そうなの? よかったぁ」
「いつもはね…」
「えっ?」
ぼくとはるはユニゾンで声をあげた。
「きょうはさぁ、オレ、『あれ、ねぇちゃん、胸おっきくなったんじゃないの?』ってつい言っちゃったんだよねぇ。そしたら、ねぇちゃん、キレちゃって、チョークスリーパーに移行して…」
「絞め落とされた?」
ぼくの問いにカズはこくんとうなずいた。はるは沈黙したままだ。
118 :
18Rの鷹:05/03/01 20:10:29 ID:E+XyPwGt
「お父さんに活を入れてもらって、ようやく息を吹き返してインしてきたってわけ」
ぼくは申し訳なくてカズと視線を合わせられず、そっぽを向いたまま聞く。
「えっと。それで、晶良さんは…?」
「下でお父さんとお母さんに説教くらってる。『もう少し女のコらしくできないのか!』とか言われてたなぁ」
それで少し溜飲が下がったのだろう、カズはニコニコしながら話している。それから、まじまじとぼくを見て、
「でもさあ、よくねぇちゃんみたいなのと付き合ってられるよなぁ…。オレ、姉弟じゃなかったら付き合いきれないよ…(笑)」
半ば感心するように、半ばあきれるように言った。
「晶良お姉さん、そんなことする女性には見えなかったけどなぁ…」
はるがつぶやく。カズはタメ息まじりに
「まあね。ねぇちゃん、外面はいいってゆーか…。あれで、やさしいとこもあんだけどね」
はるに対してか、ぼくに対してか、それとも自分も姉のことが好きだからなのか、フォローを忘れないカズ。
(心根のやさしい弟なんだな、カズくんって)
などと目を細めていると、突然カズが、
「あっ、ねぇちゃんが呼んでる。ちょっと行ってくるから。ごめん、はる、待ってて」
目の前のカズのPCが動きを止める。AFK──アウエー・フロム・キーボード、だ。
残されたぼくとはる。かなり気まずい。
「カ・イ・ト・さ・ん」
はるが上目遣いでにらんでいる。
「はい! なんでしょーか!?」
返事をしながら直立不動の姿勢になる。怖くて目は合わせられない。
「自分の彼女のしつけくらい、ちゃんとしてください! カズがケガでもしたら、どうするんですかっ」
PCの身長差が逆転したように感じられるほど、ぼくは小さくなる。
「あの、その、えっと、…ごめん」
「な〜んて、ね。うふふ。冗談ですよ」
顔を上げると、そこには笑いを一生懸命こらえているはるがいた。
「女同士。」
ねぇ。昴。
なに。司。
これ見て欲しいんだ。
きゃっ///なにそれ。
きゅうにおおきくなっちゃたんだ。
はぁはぁ・・・
昴?
うぁ!?
あ ひぃぃぃぃぃ。
う。ぅぅぅぅぅぅぅ。くぅ。うん。う。ふぅ。
ぴちゃ。ぬちゃ。ぺろぺろ。
む。ぬふぅ。
to be continude・・・
120 :
18Rの鷹:05/03/02 20:28:52 ID:w9xU+CQX
「晶良お姉さんとカズ、それに幸太くん、お父さんとお母さん、速水家はみんな仲いいの知ってますから。あっ、プレーリードッグのハナちゃんも」
一気に脱力。はぁ〜と深く息を吐き、
「でもまあ、はるがカズくんを心配する気持ち、よくわかるよ」
(なんといっても、カズくんが絞め落とされた原因、晶良さんの胸を大きくしたのって、ぼくだもん)
そこにカズが戻ってきた。
「ね、聞いて聞いて。ねぇちゃん、こっぴどく叱られたみたいで、『ごめん』だって(笑)。しかもさ、幸太とハナの後ろで小さくなってんの」
くっくっくっと笑いを漏らしながら話す。ひとしきり笑ったカズは真顔になって、
「あっ、いまの話、全部ねぇちゃんには内緒だからね! ねぇちゃん、本気で怒ると手がつけられないからさ〜…(笑)」
口に手をあてて小声で話す。ぼくは苦笑しながら
「うん。わかってるよ」
と答えた。それを聞いてカズは安心したようで、
「何か言おうものなら『あんた、まだ懲りてないの!?』って、すごい形相でさぁ…。自分は楽しんでるくせに(T^T)」
顔文字入りで不満を表す。
「楽しんでるって?」
ぼくが疑問を声に出すと、カズは冷やかすようにニヤっと笑みを浮かべ、肘でぼくをつんつん突く。
「最近のねぇちゃんの話ときたら、あなたと花火を見に行ったとか、新宿で遊んだとか、あなたのことばっかりですよ…」
(うわぁ〜、晶良さん、そんなことまで話してるのぉ!?)
自分の秘密をのぞかれたみたいな気になって動揺してしまう。そこにはるが
「いいなぁ〜。ねぇ、カズぅ、私もいろいろ連れてってよねぇ」
「あ〜、うん…。でも、今月、小遣い、ピンチなんだよなぁ。ねぇ、はる、も少し待ってて」
カズはかがんで顔の前で手を合わせて懇願する。
「もぉ! 無駄遣いばっかしてないで、私とのデートに使ってよね」
「ごめん! 月末にはなんとか…」
「そんなこと言って。宿題に追われてデートできないなんてなったら、私、怒っちゃうから!」
はるの剣幕に押されて反論できず、カズはひたすら小さくなっていた。
>>119 続けます。
や。。。。だめ。。。やめようよ。昴。
どうして。司。
だってこん。。。あ。。。。
ふ。ふぅ。
ふふ。じゃあなんでここがこんなになってるのかな。。。。
そ。それは。う。ふぅ。。ぅぅぅっぅ。
きゅ。
ふひぃ。
122 :
18Rの鷹:05/03/03 21:43:22 ID:SZ2Orfor
「あっ、そうだ、はる。約束してたフィールド、行こ? ね」
名案を思いついたかのように喜々として誘うカズ。
「うん。そうね。カズが遅れるから遊ぶ時間が短くなっちゃったじゃない」
「ごめんってば。でも、困ったな。ほんとに時間がないや。どうする? また今度にする?」
「イヤ。私は時間、大丈夫だもん」
はるに振りまわされてオロオロするカズに助け舟を出すことにする。右手を上げて発言を求め、
「えっと。もし、よかったら、お手伝いしようか?」
「いいんですか? 勇者カイトとパーティー組めば、攻略なんかあっという間だっ」
飛び上がらんばかりに喜ぶカズ。はるも丁寧に頭を下げて
「よろしくお願いします」
と言ってくる。
「こちらこそ。で、どこに行くの?」
ぼくの質問に2人は声を合わせて答える。
「Λ悩ましき 誘惑の 別れ道、です!」
3つのワードを組み合わせて生成するザ・ワールドのエリア名。偶然できた言葉の意味など、これまで考えたことはなかったが、リアルでいろいろな経験をしてきたせいか、一瞬固まってしまう。
(悩ましき誘惑の別れ道って…なんか意味深)
「? どうかしましたか、カイトさん」
はるが不思議そうに聞いてくる。
「い、いや、べつに…。じゃあ、行こうか」
「はい!」
【カイト>>パーティー編成希望!】と送ると、すぐにはるとカズが入ってくる。カオスゲートの前に立ってワードを入力すると、そのフィールドに転送された。
夕闇に包まれた腐葉土のフィールドに降り立つ。リアルならなんとも蒸し暑そうな場所だ。すぐにエリアのデータをチェックする。
(レベルは…34、木属性か。どおってことないな)
「何があるの? ここ」
ぼくが聞くと、カズが答える。
「アイテム神像にレアな剣があるかもっていう噂がBBSに書き込んであったんですよ」
「そーなんだ。よしっ、じゃあ、ダンジョンに行こう!」
123 :
18Rの鷹:05/03/05 01:38:05 ID:INqDegM7
妖精のオーブでマップを表示させると、ダンジョンは左後方、すぐのところにあった。
「行くよ!」
と2人を促してフィールドを駆け抜け侵入を果たす。途中、炎の燭台を3つ見つけて発動させていた。リグセイム(HP回復)、アプコーブ(物理攻撃力UP)、アプコーマ(魔法攻撃力UP)を得られ、
「さすがぁ」
とカズに感心してもらえた。
(大丈夫。勘は鈍ってない)
そう思うと余裕の笑みがこぼれる。
ダンジョンの階段を下りるなり、妖精のオーブを使用。
「こっちだ」
と先頭にたって最短距離を進む。魔法陣からは、冷や水老、インビジブル、エノキング、グリーンウィルム、バルキリーといったモンスターが出現した。
魔法陣が開くたび、ぼくははるの前に出て彼女を守る位置から攻撃に移った。何度目かの戦闘を終えたとき、はるがぼくに話しかけてきた。
「あーゆーふうにされると、うれしいな」
「えっ?」
「姫を守るナイト、みたい。頼りになる男性って素敵」
はるは瞳をキラキラさせている。もちろん悪い気はしないが、カズの気持ちを考えると喜んでばかりもいられない。
(ま、まずい。ぼくがお姉さんの彼氏だってわかってるとは思うけど…、フォローしとかなきゃ)
「でも、パーティーの命綱を握ってるのは回復役だよね。さっき、はるが状態異常にされたとき、カズくんがすぐに気付けソーダを投与してくれたじゃない?」
はるは後ろで得意げに胸を張るカズをちらりと見やってから、
「それはそうですけど」
と少し不満そうにつぶやき、聞こえよがしに言い放った。
「女のコはね、自分を盾にしてまで守ってもらえるってシチュエーションに弱いの!」
困った顔をして肩を落とすカズ。ぼくは考え込んで、そして思い出した。だれにともなくつぶやく。
「ブラックローズは敵が現れると、すぐに向かって行っちゃったからなぁ。守るヒマなんてなかった…」
少しの沈黙のあと、その光景を思い浮かべたのだろう、プっと吹きだすカズとはる。雰囲気がなごんで、ぼくはほっと胸をなでおろす。
124 :
18Rの鷹:05/03/05 21:02:51 ID:INqDegM7
アイテム神像部屋は地下4階にあった。カズとはるはゆっくりと宝箱に近寄っていく。開ける直前に、2人は振り返ってぼくを見た。ぼくは無言でうなずき返す。
はるが宝箱を開けた。そのまま立ちつくしている。こっちが不安になるほどの長い沈黙の後で、
「これじゃない…」
はるはがっくりと肩を落とす。カズもどう声をかけていいかわからず表情を曇らせている。
「たぶん、その書き込み…デマだと思うよ…」
ぼくは遠慮がちに2人に言った。こういうとき、ぼくが言うとソフトに聞こえるみたいだった。
「しようがないよ。今度はちゃんとした情報、仕入れてくるからさあ」
なぐさめるように話しかけるカズ。振り返ったはるは、もう立ち直っていた。
「そーだね。でも、楽しかったぁ」
と笑顔でカズに答え、それからぼくのほうを向いて
「きょうは、その…ありがとでした」
と言ってペコリとお辞儀をした。
「いいよ、いいよ。ぼくも楽しかったよ」
社交辞令でなく本当にそう思った。自分より年若いカップルが楽しげにプレイする姿を見せられ、無我夢中でザ・ワールドの謎を追っていたころの自分を取り戻すことができた気になっていた。
見つめ合うカズとはるに向かって、ゴホンとせきばらいを一つして、
「とりあえず、タウンに戻ろう」
2人はユニゾンで
「はいっ!」
と元気よく返事をし、カズが精霊のオカリナを使ってダンジョンを脱出、タウンに帰還した。
カルミナ・ガデリカに戻るとすぐ、カズが上ずった声を発する。
「あっ、お母さんが早く寝ろって怒鳴ってる! ま、まずい」
「大変! カズ、あしたメールするね。おやすみ」
まだ一緒にいたいはずなのに、はるはカズを思いやってサヨナラを告げる。カズは
「うん。はる、またね。おやすみ」
名残惜しそうにはるに手を振る。それからぼくのそばにやってきて一礼し、なにやら口ごもっている。ぼくはじっとカズの言葉を待った。
「……………ねぇちゃんのこと、よろしくね(笑)」
そう言ってカズはログアウトしていった。
>>121続き
らめぇ。うjひ;きゅうl;。む。ふぅぅ。
く。ふうぅうううう。あん。っつっつっつ。
ふひぃ。くtrつむふふ;う。
ふぁ。
はぁあひ。ぃ。
126 :
名無しさん@ピンキー:05/03/06 10:29:26 ID:JxrRQTki
127 :
18Rの鷹:05/03/06 22:44:48 ID:woMGHYtt
ぼくはてっきり、はるもすぐにログアウトするものだと思っていた。ところが、
「あの…、カイトさんももう落ちちゃいますか?」
はるが寂しそうな、それでいて甘えたような声で聞いてくる。
「いや…。あしたもアルバイトはあるけど、30分くらいならここにいられるよ」
そう答えると、はるの表情がパーっと輝いた。
「やったぁー! うれしい」
PCだとわかっていても、そばにいてあげたくなる。いや、男は女に弱いのだ。
「はるのPCって、かわいいよね」
「えへ。リアルに似せたら不格好になっちゃいました」
はるは照れ笑いしながら話す。
「不格好なんてことはないよ。リアルに似せたんなら、きっと実際のはるもかわいいんだろうね」
後半は社交辞令。
「そんなぁ」
はるは恥じらって身をよじる。そうして、少しの沈黙のあと
「会ってみませんか?」
不意をつかれたぼくは慌ててしまい、
「えっ、えっと、あの、その、あ〜」
返答に窮してしまう。そんなぼくにかまわず、はるは
「この間のイベントのときのこと、覚えてますか?」
静かに聞いてくる。とっさには思い出せない。
「私、『相談に乗ってほしいこと、あるんです』って言いました」
忘れてしまっているぼくを攻めるでもなく、はるは続ける。
「私の悩み…モンスターに魅了されて殺されたときに聞かれちゃったんですけど…」
(な、なんだっけ?)
こういうときは黙っているに限る。
(ヘタなことをしゃべってボロを出したら、取り返しがつかないことになる…)
ギリギリの状態でした最良の選択だった。はるは気付かずに話し続ける。
「実は…」
ぼくはゴクリと生唾を飲んで聞き返した。
「なに?」
128 :
18Rの鷹:05/03/07 20:01:24 ID:jmaRzYAs
「ここでは…話しづらい、話せない」
はるは目を閉じて顔を横に振る。
「ぼくで役に立てるなら、あしたにでも会おうか?」
ザ・ワールドで、と言おうとした瞬間、はるのレスポンスが勝ってしまった。
「ほんとですか!? うれしいっ。やっぱりカイトさん、やさしい!」
「え…っと」
「あ、私は時間はいつでも大丈夫です。…へへへ、不良娘、ですから」
いたずらっぽく笑って話すはるに、ジョークで切り返すこともできない。
「あ…っとぉ」
「夜、ですよね。アルバイトがあるっておっしゃってましたもんね。何時ごろならいいですか?」
もう後戻りはできない。いまさらリアルで会うのは嫌だなんて言うのは、男らしくないように思えた。ぼくは楽観的に考えることにした。
(悩みを聞いてあげればいいんだよね。カズくんとの交際は順調みたいだし…、まあ、受験勉強のこととか、だよね)
「う〜ん。アルバイトはだいたい夜の7時前には終わるから…。はるはどこなら待ち合わせできる?」
「はい。出ていくのに一番便利なのは新宿です」
「それなら、新宿の東口にあるファストフード店に7時半でどうかな」
「はいっ! 待ってますっ」
「ぼくは赤いTシャツとデニムの短パン、スポーツサンダルを履いて、ホワイトのキャップをかぶって行くから」
「わかりました! 私は、PCと同じ、このツインテールが目印です」
そう言ってはるは頭を左右に振ってこげ茶色の髪を揺らした。
「それじゃあ、ぼくはそろそろ落ちるよ。おやすみ」
「私もログアウトして、もう寝ます。カイトさん、あした楽しみにしてます。おやすみなさい」
フェイス・マウント・ディスプレイを外したぼくはパソコンと部屋の明かりを消し、そのままベッドに倒れこんだ。
(考えてもしようがないことは考えない)
開き直って、あしたに向かうことにした。
129 :
名無しさん@ピンキー:05/03/07 20:40:40 ID:ploerHlP
130 :
18Rの鷹:05/03/09 00:27:05 ID:ailHmSKY
3軒目の配送先で、ぼくは不意にあることを思い出し、
「しまったぁ!」
と声をあげていた。トラックの運転をしている先輩がいぶかしげな視線をこちらに向ける。
「えっと、あのぉ…、なんでもないっす」
「どーしたんだぁ、彼女の誕生日でも忘れてたのかぁ」
という軽口に照れ笑いで答え、一目散でトラックの荷台に駆け上がった。荷物を運びながら、
(イベントのログを見とけば、はるの悩みってわかったんじゃ…)
後悔したが、もう遅い。
この日の仕事をすべて終え、会社に戻る車中で、
「おまえ、きょうはデートの約束でもしてて、それを忘れてたんだろ?」
先輩が変に気をまわしてくる。
「い、いや、ち、ちがいますよ」
慌てて否定するが、言い訳じみていたのか、
「いーって、いーって。で、どこで待ち合わせだい?」
待ち合わせ、だけは合ってる。
「えーっと、新宿なんです。あ、でも、デートじゃないですよ」
「まあ、そーゆーことにしといてやるよ。新宿ならオレの帰り道だ。会社でシャワー浴びたら、オレのクルマで送ってやるよ」
「いいんですか。ありがとうございます。でも、ほんとにデートじゃないですからね」
「いいって、いいって。にしても、いいよなぁ、若いヤツは」
ちょっぴり下品な笑いに嫌悪感を覚えたが、普段は面倒見のいい先輩だけに、甘えることにした。
待ち合わせのファストフード店には7時10分に着いてしまった。それらしい女のコの姿はない。あたりはようやく暗くなりだしたところだ。ぼくは店の前で待つことにした。
5分ほどが過ぎたとき、横断歩道の向こう側に、小柄な女のコがこちらを見ているのに気付く。信号が青になると、そのコは一直線に走ってぼくの前にきた。
「はる?」
身長は150pに満たないくらい。PCと同じ、こげ茶色のツインテールがかわいらしさを強調する。
オーシャンブルーのノースリーブからのぞく小麦色の肌、オレンジのミニスカートから伸びた脚はすらりと伸び、ムダな脂肪はいっさいついていない。素足に履いたミュールもキュートだ。
「はい! カイトさん、すぐにわかりました! 思ってたとおり」
131 :
18Rの鷹:05/03/09 21:08:33 ID:ailHmSKY
「え〜、どんなふうに思われてたのかなぁ?」
「やさしそうで、カッコいい!」
「あは。ありがとう。はるもかわいいよ、PCよりずっと」
そう言うと、はるは頬をほんのり赤らめて
「えへへ。…やっぱり、やさしい」
うれしそうにつぶやいた。
「さあ、中に入ろう。お腹ペコペコなんだ」
「はい!」
クーラーの利いた店内。カウンターはどこの列も2〜3人が並んでいた。運よくすぐに順番がまわってきて、はるがアップルパイとチョコレートシェイクを、とぼくに告げる。ぼくはそれを店員さんに伝え、
「チーズバーガー2つ、フレンチフライのラージ、10個入りのナゲットをバーベキューソースで、それからコーラのL」
と注文し、お金を払った。トレイを持って2階に上がり、人の少ない一画のテーブルについた。
「あの、お金…」
はるが言いかけたとき、
「いいって。おにいさんがもつよ」
「いいんですか。ごちそうさまです」
ちょこんと頭を下げるはる。
(ん〜。礼儀正しいし、かわいいなぁ、はる。妹って、こんな感じなのかなぁ。そういえば、年下の女のコって、これまで出会わなかったよなぁ)
ザ・ワールドで知り合った女性は、晶良をはじめとして年上ばっかり。だから、というわけではなかったが、年下のはると会うのは新鮮で心弾んでいるのは確かだった。
話を聞く前に空腹を満たさなければならない。ぼくはハンバーガー2個をあっという間に平らげた。はるはアップルパイを半分食べたところだ。
「すごぉい」
驚くはるに、
「そりゃあ食べ盛りだし、アルバイトは肉体労働だからね」
ポテトとナゲットを交互に口に放り込みながら答える。頼んだものをあらかた食べ終えたところで、ぼくは切り出した。
「はる。ぼくに相談って?」
132 :
18Rの鷹:05/03/10 20:45:00 ID:s+enx8sV
はるは目だけ動かして周りを見渡してから、テーブルに視線を落とし
「カズ、文和のこと」
(げっ、想定外…)
「とても仲よさそうに見えたけど、きのうは…」
はるは顔を上げない。
「仲はいい、です。でも」
「でも? でも、何?」
「文和は、まだ…」
言葉が出てこない。やけに唇が乾くのはクーラーのせいだけではない。はるがこちらを見やる。その目には涙がいっぱいたまっていて、いまにもこぼれ落ちそうだ。
「キスもしてくれないの」
はるのまっすぐな視線を外して考える。自分を落ち着けるべく気付かれないように深呼吸をする。
(どーしよぉー。恋愛関係の悩みなんて…よくわかんないよぉ)
はるが悲しげな声でつぶやく。
「私、魅力…ないのかなぁ」
「そんなことないよ!」
反射的に答えていた。はるは、すがるような目で見つめてくる。もう一度深く息を吸ってから、
「はるはとってもかわいいよ。文和くんが何もしないのは、それだけはるのこと、大切に思っているからだよ」
諭すように話すが、はるはよほど悩んでいるのだろう、ぼくの言葉だけでは納得しない。
「そうでしょうか…」
「きっとそうだよ。それに文和くん、気がやさしい男のコみたいだし、強引なことってできないんじゃないかな」
今度ははるが少し考え、それから
「やさしい…。そう、文和はとてもやさしいの。…でも、もっと私のこと、引っ張ってほしい」
(あぁ、そーゆーのってあるよね)
「晶良さんも年上だけど、そんな感じのとこあるなぁ」
ザ・ワールドでの図式は、慎重派のカイトをブラックローズがぐいぐい引っ張っていった。だが、リアルでは逆が求められたわけだ。
「文和とカズはイコールなの。やさしいカズのまま」
なんとゆーか…最高です!!
134 :
18Rの鷹:05/03/11 20:24:03 ID:g2ubttYu
「はる。それは悪いことではないよ」
「わかっています。わかってるんだけど…」
ぼくはこくんとうなずいて、はるの言葉を促す。
「私、自分に自信がないんです。だから、言葉がほしい、それ以上に行動がほしいの」
「だれだって自信なんてないよ。好きな相手に嫌われたくない、まずそう考える。ぼくも、文和くんも」
はるは黙り込んでいる。ぼくの言葉を一生懸命理解しようとしているようだ。
(なんとかわかってもらえそうかな)
そう思ったぼくは話を続ける。
「それに、きみらにはまだ時間がたっぷりあるじゃないか。焦らなくても大丈夫だよ」
納得がいかないのか、はるは下を向いてしまう。
(ダメか…)
うまく話せない、はるの役に立つことができない自分がもどかしい。
はるが顔を上げる。次の瞬間、ぼくは自分の耳を疑った。それほど衝撃的なはるの言葉だった。
「私がヴァージンじゃないから…」
息を飲んで、ぼくは言葉を失った。そして脳ミソまでパニックを起こしている。
(ウ、ウソ…、はるって中学生…だよね。い、いや、きょうびの中学生は進んでるから…。い、いやいや、はるって童顔だから、そんなことしてるなんて全然見えないし)
「だから…、だから文和、私に何かするの、ためらってるんじゃないかって…」
ぼくはまだ立ち直れない。頭は言葉がつくれず、喉はダムになってうめき声を通さない。
「男って、やっぱり、処女じゃなきゃダメなんですか」
はるが問いかけてくれたおかげで、ぼくはようやく言葉を取り戻した。
「そんなことはないよ。自分が好きになった女性は、自分の目の前にいるひとなんだから」
「ほんとに?」
ぼくは大きくうなずいてから、
「人それぞれだろうけど、過去は気にしない、なんてことは無理だよ。でも、それは時間が解決してくれる、と思う。だって、好きなんだから。愛しているんだから」
はるの頬に涙の筋ができる。だが、はっきりと笑っていた。うれしそうだった。
透明のビニールでできたトートバッグからハンカチを出し、涙を拭ったはるは、
「ありがとうございました!」
と元気に言った。
135 :
18Rの鷹:05/03/12 23:32:51 ID:rFFolejW
喉に刺さった魚の骨が不意に除かれたように、はるは明るい表情を取り戻した。
「あのぉ、カイトさんはぁ、晶良お姉さんとどこでしてます?」
話は延長線上ながら、声から深刻さは消えている。ただ、ぼくの心臓は鼓動を速くした。
「げ、げほっ。し、してるって?」
はるはいたずらっぽく目尻を下げて、
「あぁ〜、いま、いやらしいこと、考えたでしょ」
「い、いや、いやらしいことなんて…べ、べつにぃ」
「うふふ。カイトさん、かわいい。…キスです」
「えっ、キス!?」
すっかり年下の女のコに振りまわされている。
「はい。晶良お姉さんと、どこでキスしてるんですか」
「えっとぉ。とある公園の死角になってるポイント、とか。ホテルとか」
思いっきり小さい声で言った。
「ふ〜ん。私も文和も、どっちも自宅だからなぁ…」
「ぼくたちだって同じだよ」
「でも、私たち、お金あんまり持ってないし、中学生だし…」
「そうだけど、これから時間はいっぱいあるよ。我慢も大事」
はるはちょっぴり不満そうに、
「それは、『してる』人の余裕ですよぉ」
「そんなことないって。ぼくだって晶良さんと、もう1月…会って…ない…。はぁ」
現実を思い出し、ぼくはタメ息をつく。うなだれたぼくを気づかうように、はるは、
「あの…、ごめんなさい。私ったら、自分のことばっかり…」
「あっ、いいんだよ、はる。気にしないで」
晶良とは1月『してない』が、2日前になつめとセックスしていた。それも2回出していた。だから、(ひどい話ではあるが)性欲面では満たされてはいた。
場が落ち着いて、ぼくは思う。
(話、聞いてほしかったんだよね、はる。ふぅ〜、一時はどうなることかと思ったよ)
空気がまったりとして、はるが
「あの、出ません?」
と聞いてくる。もちろん異論はない。きょうはゆっくり眠れそうと思っていた。いま、夜の8時過ぎ。
136 :
18Rの鷹:05/03/13 21:19:15 ID:/o8YGon+
店の外に出ると、むし暑さは少しやわらいでいた。なんとなくほっとしながら駅に向かって歩き出そうとすると、腕を引っ張られる。
「はる?」
「あのぉ…、お願いがあるの」
「なにかな?」
「ホテル、連れていってもらえませんか」
「え────っ!?」
ぼくの声に道行く人が何人か、怪訝そうな顔をして振り返る。慌てたぼくは、はるに顔を近づけ、
「ど、どーゆーこと? 言ってること、わかってる?」
小声で聞いたその問いに、はるは目線を外さずにこくんと頭を下げ、
「うん、わかってる…。私、もちろん文和も、そーゆーとこ入ったことないから…。そのときに失敗したくないから…。だから、一度見てみたいの。お願い」
はるは思いつめたような顔で懇願してくる。ぼくが困惑して黙っていると、はるは足元に視線を落として言葉を続ける。
「来年の春、文和が高校に合格したら、私を抱いてもらうって決めたの」
どこかで聞いたようなシチュエーション。
「はる…」
「きょう、カイトさんと話をして、私、文和とのこと、急がないことにしたの。でも…、だから…、その日のために…。ねぇ、お願い」
どうも、ぼくは頼まれたら断れない性格、らしい。さらに、困っている人を放っておけない性格、でもあるようだ。前に晶良、ブラックローズからそういうことを言われたのが思い浮かんだ。
「入るだけだよ?」
あえて言わなくてもいいことだが、念を押すように言う。すると、
「あ…、ありがとうございます!」
明るい笑顔が弾けた。
「妹のような女のコのお願いだからね。…じゃあ、行こうか」
あきらめたように話す。そんなぼくにかまわず、はるはぼくの腕にもたれるようにすり寄ってくる。
「文和くんに怒られちゃうよ、こんなことしたら」
「へーき。だって、だれにもしゃべらないもん」
あっけらかんと言うはるの無邪気さに、思わず苦笑してしまう。
カミサマー(・∀・)カミサマー
138 :
黄昏の…:05/03/14 01:22:49 ID:Na6VHWd0
約5ヵ月ぶりにカキコ。
久々にUnizonとGiftのDVD見たら懐かしくなりますた。
書き溜めしておいた分、投下しときまつ。鷹さん流れブッた斬ってスマソ。
「今学期の図書室運営について、具体的な案がある人は挙手をお願いします」
放課後。
今日は図書委員会の運営会議の日。
各学年・各クラスの図書委員が図書館に集まり、今後図書室に
設置する新刊や読書週間に向けての新聞発行などを話し合うための会合である。
「あの…ちょっとよろしいですか…?」
「どうぞ、大黒さん」
「は、はい。
えっと、新刊についてなんですが前回行ったアンケートを参考にして
ファンタジー関係の書籍をもっと置いてみたら…ど、どうかと思いまして…」
前回のアンケート。
確かに先月の読書週間中、図書室カウンターにはアンケートが設置されていた。
掻い摘んで言えば、どんなジャンルの本をよく読むか…とか図書室に置いて欲しいか、など。
彼女、図書委員2年の大黒なつめの指摘通り、先月のアンケートではファンタジー関連本の人気が高い。
「なるほど。
映画などの影響も手伝ってるとは思うけれど、需要は無いわけでもないかも…。
それに活字に縁がなくてもRPGなどのTVゲーム…それにPCゲームのザ・ワールド。
最近は富にファンタジー系がブームのようだし…検討する価値は大いにありそうだわ」
「あ、ありがとうございます!」
139 :
黄昏の…:05/03/14 01:23:48 ID:Na6VHWd0
図書委員会の中にも結構な数のザ・ワールドユーザーが
いたことも手伝ってか、なつめの提案通り、来月に仕入れる本はファンタジー系書籍に決まった。
近年はファンタジーを原作とするヒット映画も多いことだし、書店で買うよりも
図書室で仕入れて借りてもらった方が、運営も滞ることなく続けられる…という寸法である。
「ふぅ〜。それじゃ、今日は解散。
最後の人が鍵を閉めて職員室に持ってくるように…暑い中おつかれさま」
先生の号令と共に図書館から去ってゆく生徒達。
猛暑の図書室から解放され、みな嬉しそう…帰りに何処かに寄ったり、部活にでも行くのだろうか。
まぁ、帰宅部の自分には無縁な話だけれど。
「なつめ先輩」
「えっ…あ」
センチメンタルな気分に浸っていたなつめを現実に呼び戻す声。
会議中は極力意識しないようにしていたのに、やはり近くに来られると身体が自然と火照ってしまう。
それでなくとも図書室は先週、クーラーが故障して蒸し暑いと言うのに…。
「良かったね、提案承認されて」
「カ、カイト…さん」
カイト。
何の偶然か、あの黄昏事件後に彼が入学してきたのはなつめの高校だった。
彼曰く「家から一番近かったから」とのことだが、ここは都内でも結構な進学校のはず。
なつめでさえも受験勉強時はザ・ワールドへのログインを止め、何とか受かった程。
そして中学同様に図書委員会に入ったのだが、まさか彼まで委員会に入るとは思わなかった。
140 :
黄昏の…:05/03/14 01:24:44 ID:Na6VHWd0
「学校じゃ僕が後輩なんだし、カイトさん…ってのはちょっとなぁ」
「で、でも、やっぱりいつも呼び慣れてる名前の方が…よくないですか?」
「それはそうだけどさ、
仮に僕がいつも通りになつめ、って呼んだら上級生に対して失礼かなぁって」
「え、と…それは…」
今時、下の名前で呼び合う男女など皆無。
よほど仲のいい友人同士が、彼氏彼女の関係にあるものくらいだろう。
…自分達の場合は後者に当たるワケだが。
「あ、あたし達、お付き合いしてるんだし、あの…学校の中でも、ふ、2人きりの時なら…」
「ん、なつめが良ければそれでいいよ」
「は、はい!」
改めて思う。
彼がこの2年で随分と男らしくなった(身長とか声とか)のに対し、自分は全然成長していない。
人前に出て発言することには慣れたが、面と向かってカイトと接するのが未だに…。
「でもさ、何かあっと言う間って感じだよね」
夏服の前を掴んでパタパタと風を起こしながら、カイトが苦笑いを浮かべる。
「ついこの前まで世界の危機が…とか言ってたはずなのにさ。
気がついたら受験勉強してて、高校受かって、もうすぐ夏休みで…って」
「そう、ですね。あたしも来年は受験生ですし…」
「なつめは夏期講習とか塾とか行く予定?」
「あ、特に予定なしです。独学でまた…」
「そっか」
141 :
黄昏の…:05/03/14 01:26:12 ID:Na6VHWd0
受験。
当面の目標は取り合えず、国立大に入ること(多分、無理だが)。
でも大学に入った後のことは全然考えてはいない。
自分はこれからどうするべきか、どういう道を歩むべきなのか…全然考えられないのだ。
「カイトさんは夏はサッカー部の合宿とかあるんじゃ…」
「うん、あるよ。4〜5泊くらいだと思うけどね」
カイトはあの戦いの後、もう彼の夢を見つけた。
サッカー部でも新1年期待のエースとして頑張っている。
放課後、一緒に帰るために待ちながら彼の練習している姿を見る限り、誰よりもカッコよいと思った。
「“夢を持つと時々すっごい切なくなる。でも時々すっごい熱くなる。
僕には夢が無い…でも、夢を守ることはできる”…」
かつて【Ω 清浄なる 白夢の 守り人】でミストラルによって授けられた言葉。
あの王を名乗る究極のAIバグとの戦い以来、カイトは自分の夢を模索し続けていた。
結果は現在の通り。
特別な夢を持つよりも、今までの自分らしくいることができればそれでいいという結論に至ったのだ。
カイトなりに考えた結果、またサッカーを始めたのが何よりの成果である。
「でも驚いちゃった。入学したら、なつめがいたんだもん」
「だ、だってカイトさん、何処の高校受けるか教えてくれなかったじゃないですか!」
「まさか一緒の高校とは僕だって思わなかったし」
入学式の日、2人は再会した。新入生と上級生として。
それ以前にカイトからメールで高校に受かったとは聞いていたが
何処の高校に受かったのかまでは聞いていなかったのだから。
それからとんとん拍子に話が進み、カイトは図書委員会に籍を置くことに。
2人が正式に付き合いだしたのも、実はほんの数ヶ月前…ということになる。
142 :
黄昏の…:05/03/14 01:27:02 ID:Na6VHWd0
「でもなつめってさ、年上って感じじゃないよね。
どっちかと言うと妹とか幼馴染って感じかな」
「そ、そんなぁ」
自分はそんなに幼く見えるだろうか。一応は17歳なのだが。
確かに背はカイトより低いし、スタイルもそんなに良いとは思っていない。
何より生来のマイナス思考のためか、未だに自分に自信が持てないのが玉に瑕。
「あー、ゴメン。
つまり親しみやすいって言おうとしたんだけど」
「う〜」
カイトはカイトでなつめの扱いにまだ慣れていなかった。
いや、本当はザ・ワールドの時と同じようにあしらえばいいのかもしれないが、そうもいかない。
これはゲームではなく、現実。彼女もPCキャラではなく、生身の人間―――1人の女性なのだから。
「…あたし、心配なんです」
「な、何が?」
「カイトさん、カッコいいから…」
「へっ?」
何のことかサッパリ判らない。
カッコよかったら何が心配なんだろう…乙女心は複雑過ぎて、カイトにはまだ理解できない。
「カイトさん、本当に私なんかと付き合ってよかったんですか?
ブラックローズさんとか良子さんとかガルデニアさんとか…みんなカイトさんが好きだったのに!
…何で私なんかを選んだんですか?」
143 :
黄昏の…:05/03/14 01:28:20 ID:Na6VHWd0
なつめも最後は判っていた。
みんな、カイトが好きだったこと。
なのに彼は自分を選んだ。なつめはそれが他の女性達に悪い気がしてならない。
言わば重責。カイトに自分は相応しくないのではないか、と思ったことは多々ある。
「…なんか、じゃないよ」
「え」
「なつめはいつも僕と一緒にいてくれたじゃない。
何か、一緒に居ると安心できるし…一緒に居るだけで嬉しい人だから。
だから、この学校に来れて…なつめにまた会えて良かったって、本当にそう思う」
彼と向かい合った瞬間、心臓がドキリと高鳴った。
窓から差し込む夕日によって双方がオレンジ色の遮光を纏う中、
彼はいつもと変わらない笑顔で、優しい口調でこう言い聞かせてくれる。
「なつめが好きなんだ」
「…ハイ」
「ずっと一緒に居たい、そう思ってる」
「…ハイ」
「ヤラしい奴と思われても構わない。いつも…なつめのことばかり考えてる」
「…ハイ!」
その言葉だけで胸が嬉しさでいっぱいになる。
自分を必要としてくれている人間が居る、ということだけで、胸が熱くなる。
それが自分の想い人ならば尚更。彼が自分を想ってくれるなら、尚更のこと。
「だから自信を持って。
自分を信じてよ…なつめはなつめが思ってる以上の女性(ひと)なんだから」
「カイトさぁん…っ!」
144 :
黄昏の…:05/03/14 01:29:03 ID:Na6VHWd0
感極まり、思わず学校の中であることを忘れてカイトの胸で泣きじゃくるなつめ。
彼に跳び箱の跳び方を教えてもらい、やっと達成できた時も嬉しさで泣きそうだった。
でも、今程じゃない。自分を想ってくれる人の前だからこそ、泣きたくなる時だってある。
「カイ…さ…あたし…あたしも…」
「うん」
「あたしも…カイトさん…大好きです…!」
「…ありがとう」
セミの鳴き声が耳を劈く。
グラウンドからは夏の大会に向けて練習を続ける野球部員達の声。
夏服越しのなつめの身体はとても軟らかくて、また繊細でもあった。
女の子、というよりは女性という言葉が該当しても何ら可笑しくはない。
彼女はもう、十分に大人だ。
「だから泣かないで。なつめにはいつも笑っててほしいもん」
「はっ、はい!」
やっとここが学校、しかもクーラーが壊れた猛暑の図書室だったことをなつめは思い出す。
抱きついてしまい、彼は暑くなかっただろうか? そんなことにしか頭が回らない。
これが彼女が彼女である由縁…か?
「ご、ごめんなさい! 暑苦しかったでしょ?」
「あは、ヘーキ。久しぶりになつめの感触も楽しめたし」
「か、感触って…」
「ん、特に胸の辺りがふかふかしてて気持ちよかったカナ」
「カ、カイトさん〜!?」
145 :
黄昏の…:05/03/14 01:29:41 ID:Na6VHWd0
「ね」
耳元で彼が囁く。
いつもと同じ声だけど、さっきとはまた違った感じで優しく艶っぽい感じで。
「触ってもいい?」
「えっ、で、でも…ここ学校…」
「今日はもう誰も来ないよ、多分」
今日は図書委員会が放課後に会議をする、ということで図書室は閉鎖状態にある。
つまりは委員会のメンバーがカイトとなつめを残して出ていってしまった以上、誰も来ることはない。
鍵を閉めてしまえば、あっと言う間に2人だけの密室の出来上がり。
「あたしがカイトさんのおねだり、断れないの知っててワザと言ってませんか…?」
「ヒドいなぁ、僕ってそんなに信用ない?」
「そういうワケじゃな…ふっ…ん…!」
ただでさえ薄い生地の夏服なのに、
身体にカイトの指が触れただけでもう声が出てしまう。
まだ自分には耐性が無いだけとは思うが、学校内…という気恥ずかしさもある。
「駄目…誰か…来たら…」
「鍵かけてるし、大丈夫」
余裕だった。
どうやらザ・ワールドでの経験のせいか変な方向の自信がついたらしい。
若いと言えば若い行動理念だが、校内でのこういう行為は初めてのなつめにとっては拷問に他ならない。
「暑いけど我慢して」
「我慢する前に…は、恥ずかしくて…頭が変になっちゃいます…!」
146 :
黄昏の…:05/03/14 01:32:09 ID:Na6VHWd0
まだ勘が取り戻せてないけど…こんな感じで最後まで補完予定でつ。
よく考えたらもう3年くらい書き続けてるのね、.hack…。ではでは。
147 :
名無しさん@ピンキー:05/03/14 01:39:27 ID:RTgp0mSw
神キター!
校内ってのが萌えでイイ!
1スレ目の頃からいるけど
もう3年も書いてたんですか…
やっぱ神だ…
150 :
18Rの鷹:05/03/14 22:26:07 ID:aU5hjHue
>>136の続き
ホテルに着くまでの道のり、まるで仲のいい兄妹のように会話が弾んだ。
(セックスするわけでもないのにホテルに行くのって、なんか変な気分)
などと、ぼくはのんきに考えていた。
「私、本名は千春っていうんです」
「いい名前だね」
「そんなぁ…。そう言ってくれたの、文和とカイトさんだけ」
「みんな、そう思ってても口に出さないだけだよ。ところで、はる…、千春は受験、どうなの?」
聞いたばかりの名前で呼ぶと、千春は頬を少し赤く染めてはにかみ、それからぼくの質問に答えた。
「私、短大までエスカレーターでいける女子校に行ってるんです。こう見えても、高校に進学できるくらいの成績は取ってるんですよ」
「へぇ〜。千春は優等生なんだ」
「へへへ。そんなこと、ないですよ。成績はクラスでまん中くらいの不良娘です」
「ほんと。不良娘だね、千春は…」
「ひどぉ〜い」
口を尖らせる千春。その表情もかわいくて自然に笑みがこぼれる。
「だって、ホテルに行こう、なんて言うんだもん」
おどけて言ったぼくに千春がなにか言おうとしたとき、ホテルの前に着いた。ぼくの視線に気付いた千春は、目を伏せて、
「ここ?」
と小声で聞いてくる。組んでいる腕に力が入ったのがわかった。もちろん立ち止まったりせず、歩くスピードを変えず入り口をくぐった。
自動ドアが閉まると、千春は
「はぁ〜」
と大きく息を吐き、
「緊張したぁ。でも、すっごく自然に入っちゃって、ドキドキする間もなかったぁ」
ぼくは少し得意げに、
「そお?」
なんて言ってみたりする。部屋の写真が並ぶパネルの前にくると、千春が驚きの声をあげる。
「すっごぉ〜い」
151 :
名無しさん@ピンキー:05/03/15 02:48:46 ID:Ixx1LBkj
>>147 「次回作」じゃなく「続き」だった…
それに完結してないのにGJは早かったな…
スマソ
続き待ってます
18Rの鷹さんもがんがれ
152 :
18Rの鷹:05/03/15 22:55:31 ID:weuYjM5N
「ここで入る部屋を選ぶんだよ」
「私、ここ! この部屋に入りたい!」
ある写真を指さして千春が言うが、その写真は明かりが消えていた。
「暗くなってる写真の部屋は、いま利用中だよ」
「利用中?」
「ほかのカップルがしてるんだよ」
どうして、こういうホテルってのは、いやらしい方向に思考をもっていくんだろう。ぼくは激しく後悔する。
(ほかの言い方があるよね。「してる」なんて言っちゃだめじゃないか)
とはいえ千春はあまり気にしてないようで、興味津々といった目でパネルを見ている。
「じゃあ…、ここ。お姫さまのベッドみたいな部屋がいい」
4階にある部屋だった。ぼくはその部屋の写真の下にあるボタンを押す。キーが落ちてくる。
エレベーターの中、さすがに2人とも無言だ。ガタンと小さく揺れて、ドアが開いた。ぼくは千春の手をとり、部屋にエスコートする。
その部屋は薄明るい照明が灯っていて、なんともいえず淫靡な感じだった。もっとも、いやらしい雰囲気じゃない部屋なんてないのだが…。
ミュールが床にくっついて離れなくなってしまったかのように動かない千春の背中をそっと押し、
「中に入ろう」
と声をかける。千春は
「うん」
と消え入りそうな声で答え、そろりと歩を進めた。ソファの前まで行くが、千春は立ったまま部屋を眺めている。
「待ってて。いま部屋の照明、明るくするから」
そう言って後ろを向いたとき、千春が背中にしがみついてきた。予期せぬ行動に戸惑ってしまう。
「千春?」
自分の声が震えているのがわかる。
「…オニイチャン」
千春の口から、考えてもいなかった呼びかけがこぼれる。
「えっ、え?」
腰にまわされた千春の手を握りしめながら、ぼくは明らかに狼狽していた。
おおぉぉぉぉ!!!
お二方ともに(;´Д`)ハァハァ直前(?)でつか!?
頑張ってください
どこまでもROMってまつ
漏れVol.1からROMってます
>>153氏共々どこまでもROMります!!
155 :
18Rの鷹:05/03/16 22:59:37 ID:LRRm3Ow2
「おにいちゃん」
今度ははっきりと呼ぶ千春。ぼくはしばらくじっと動かずにいた。そうしたら少し落ち着きを取り戻せ、千春にやさしく穏やかな口調で聞いてみる。
「なんで? どうしてそう呼ぶの?」
「私のお姉ちゃん…、自分にも他人にも厳しいの。だから、私、ずっと、やさしいおにいちゃんがほしかった…」
「ぼくでよければ、千春のおにいさんになるよ」
「うれしい」
千春の腕を自分の腰から引きはがし、そうして向かい合う。にっこりと微笑みを投げると、なぜか千春は俯いてしまう。
「どおしたの? 千春」
やさしく、ささやくように訊ねる。千春は思いつめたような目をして
「おにいちゃぁん、私…、千春って、ほんとうにかわいい?」
思春期特有の情緒不安定か、それとも…。
「かわいいよ」
「じゃあ、おにいちゃん…千春のこと、抱いて…」
「えっ!? そんな…だめだよ!」
「…やっぱり、千春がかわいくないから…」
「そんなことないよっ、千春はかわいい。ほんとにかわいいよ」
「うそっ。おにいちゃんのうそつき」
「うそなんかついてないって」
(ひょっとしたら、この部屋の雰囲気に酔っちゃったのかな。それなら…)
「千春。ここから出よう」
手をつかみ、ドアのほうに体を向けようとする。しかし、千春は
「いや! おにいちゃんの意気地なし!」
そう言い放って、ぼくの胸に飛び込んでくる千春。ぼくの両手は持っていく場を失って宙をさまよっていた。
千春は顔を上げ、ぼくをまっすぐに見つめてくる。その視線は、受け止めるにはあまりに重かった。追い打ちをかけるように千春が迫ってくる。
「キスして…、ねぇ、抱いて」
156 :
18Rの鷹:05/03/17 23:32:13 ID:l9wRa4o2
「だめだよ」
ぼくはやっと絞り出す。それでも千春は、
「抱いて…抱いてぇ」
と、両腕に力を込めてくる。千春の声はだんだんかすれてきて、やがてすすり泣きに変わった。
「…お、願い…。私…、私、自信が…ない…の。おにい…ちゃん、千春のお願い、…聞いて」
途切れ途切れに哀願する千春。気持ちが揺さぶられる。
「千春…」
「おにいちゃん」
力ずくで千春の手をほどき、それから、かがんで千春の頬に唇を寄せた。
「かわいいよ、千春」
涙で潤んだ千春の瞳をじっと見つめ、言い聞かせるように話す。
「だけど、それは妹に『かわいい』っていう気持ち、だと思う」
「…女、としては見てくれないの? 私、女としてかわいいって言ってほしい」
「かわいい女のコだって思うよ。でも、ぼくには…」
千春は目を閉じてふるふると顔を振る。それから涙で満ちた瞳をまっすぐぼくに向けた。
「…わかってる。そんなこと、わかってるぅ。私にだって文和がいるわ」
「それじゃあ…」
千春は、なんでわかってくれないの? とでも言いたそうに、もどかしそうな表情をして吐露する。
「おにいちゃんじゃなきゃ、だめなの。私のこと、かわいいって言ってくれたおにいちゃんに抱かれて、自分に自信がもてるの。だから…」
ひと呼吸置いて、
「千春のこと、抱いて」
部屋に沈黙が訪れる。反論も説得も、材料のもちあわせはなかった。
(悩ましき誘惑の別れ道…か。ホテルに入った時点で、ぼくには逃げ道はなかったのかもしれない)
気持ちとはうらはらに、いや期待していたのかもしれない…、ムスコは静かに勃起していた。それでも、ぼくはまだためらってはいた。どこかに突破口があるんじゃないかと思っていた。
(千春が『いや』って言ったら、そこでやめよう。たとえ泣かれても、やめよう)
ぼくは千春のまぶたに唇を押しつけた。押し出されるように涙がこぼれ落ちる。ぼくはそれを舌で嘗め取った。千春がうれしそうに、せつなそうに、吐息を漏らした。
「あぁ、おにいちゃん…」
157 :
18Rの鷹:05/03/18 23:33:26 ID:g6q9qfz6
そっと唇を重ねる。千春の両手がぼくの頭にまわされ髪の毛に触れた、と思ったら、ぐいと引き寄せられる。互いの唇が変形したのがわかるほど、きつく唇が合わさる。
千春の先制攻撃にひるんだぼくに二の矢が放たれる。千春は舌を伸ばしてきて、ぼくの唇をこじ開けてしまった。その瞬間、ぼくの理性もパキーンと音をたてて飛び散っていった。
千春の舌を迎え入れ、自分の舌を絡めて押し返す。千春のかわいい唇を割ってぼくの舌は千春の口内へと侵入した。
「ん! ぅん…、んふぅ…」
千春の背中にまわした両腕に力を込めると、せつなげな吐息が漏れてくる。その声がかわいくて、さらに興奮してしまう。ムスコは痛いほど血液を集め、臨戦態勢を整えている。
舌をねっとりと動かしながら、ノースリーブを脱がしにかかる。ブラジャーがあらわになるところまでめくりあげ、露出した素肌に右手の掌を滑らせる。
「ぅんん、ん──っ」
舌を巻き取られ千春の声はこぼれ出ない。長いキスを中断する。
「あぁ…」
うっすらと開いた目はとろんとしている。混じりあった互いの唾液が千春の口の端から流れている。あどけなさの残る千春のそんな表情は、たまらなくコケティッシュで、エロティックだった。
ぼくは千春の顔についた唾液を嘗めとり、大げさに口を動かし頬を愛撫する。そうして、
「かわいいよ、千春。食べちゃいたい」
と耳に熱い息を吹きつけながらささやく。
「ぅんん、おにいちゃん、うれしい…。食べて…、千春のこと、食べてぇ」
快感に身を任せるように目をぎゅっと閉じ、千春はひとり言のようにつぶやく。
ぼくは千春のノースリーブを剥ぎ取ることにした。
「千春、ばんざい、して」
千春はゆるゆると両手を上げた。ぼくはノースリーブのすそをつかみ、もちあげていく。弾けそうな若々しい肌が心拍数を上げる。
顔のところまでノースリーブを脱がしたとき、ぼくは千春の両手首を左手でつかんだ。
「おにいちゃん?」
千春の少し不安そうな声がノースリーブの布地越しに聞こえる。それを無視して、ぼくは右手でブラジャーのホックを器用に外した。
「あぁぁ、おにいちゃん、恥ずかしい」
いや、と言われるのを半分期待していた。だが、そう言われずに、ほっとしている自分もいた。
158 :
18Rの鷹:05/03/19 12:58:29 ID:hqV9RGHe
ブラジャーから解放され、無防備になったふくらみに右手をあてる。
「ぁぁん」
服の布地越しに聞こえるくぐもった喘ぎ。
「声もかわいいね、千春は」
言いながら指に力を加える。揉むこともままならない幼いふくらみ。それにも欲情のボルテージは上がっていく。
「ぁん! ああん、ぅぅん…。おにい…ちゃん、くるしい」
そのまま愛撫を続けたかったが、
「あ、ごめん」
「ねぇ、脱がせて」
襟を右手で広げて千春の顔を通す。息苦しさ、恥ずかしさ、興奮…、いろんな要素が絡んで千春の頬は紅潮している。
「おにいちゃんのエッチ!」
真っ赤になった頬をぷっとふくらます千春。その顔もたまらなくかわいい。
「ごめんね、エッチなおにいちゃんで。もう、やめる?」
ぎりぎり最後。ここでやめられなければ、自分はきっと千春と最後までしてしまうだろう。そして、そうしたい気持ちがすでに勝っていた。
「いやっ、やめない! もっと…もっとエッチなこと、して」
ぼくはその答えを待っていたのかもしれない。いまは何も考えず、ただ千春とセックスしたかった。
「おにいちゃん、ベッドに連れてってぇ」
鼻にかかった甘ったるい声でねだられると、ぼくの心拍数はまた上昇した。
「うん」
肩を抱いて歩きだそうとすると、千春はいやいやをして
「ううん、抱っこ!」
ぼくはにこっとして答える。
「はいはい、かわいいお姫さま」
そう言って千春の唇にちゅっとキスしつつブラジャーを取り去る。
「きゃ」
「かわいいよ。千春の胸」
「小さいから恥ずかしい」
隠そうとする腕を押さえて、ぼくは千春の胸に舌を這わせた。千春の肌はほんのり甘い香りがした。
159 :
名無しさん@ピンキー:05/03/19 13:40:35 ID:CIYZq0er
俺は人食い
160 :
18Rの鷹:05/03/21 00:58:15 ID:J9pbfCCc
「ああ〜…、あん、ああん…あっ!」
乳首に舌が触った瞬間、千春はびくっと体を震わせる。
「千春は感じやすいんだね」
「あぁ〜ん、おにいちゃんがぁ…あんっ、感じさせてるんじゃ…ない…のぉ」
ぼくは千春の乳首を口に含みながら、お姫さま抱っこで持ち上げる。千春が身悶えるが、ぐらついたりすることはない。
数歩前へ進んで、四隅にカーテンがくくられているメルヘンなベッドへ。ふわふわの掛け布団は足元にめくられていて、淡いピンク色のシーツが見えている。2つ並んだ枕もピンク色だ。
そっと、羽が舞い落ちるように、千春をベッドの横たえる。
千春は両手で胸を覆い、少し顔を横に向けて恥じらいを表している。ぼくはまずミュールを脱がし、千春の幼い肉体に挑みかかった。
胸を隠す手をどけ、乳首を唇ではさみ、舌でツンツンと突く。もう一方の胸には掌でのソフトな愛撫を加えていく。
「はぁ…はぁぁぁ、あぁん、あぁぁ」
千春の声はだんだんと大きく、高くなっていく。その口をキスでふさぎ、唾液の交換を舌で要求すると、千春も積極的に舌を動かしてくる。
(ずいぶん開発されちゃってるんだなぁ)
あどけない顔の千春と、けして受身でないセックスをする千春。ぼくはそのギャップに驚き、妙に興奮している自分を自覚していた。
濃厚なキスで千春の口内を味わいつつ、ぼくは千春のパンティに右手をこじ入れた。
「ぅ…うっ!、ぅん! ぅぅん」
千春が身をよじるたび、ぼくの右手はパンティの奥へと進んでいった。掌が陰毛の存在をとらえる。それは秘所を守るには少々頼りなく、薄くしか生えていなかった。
「ん! ぅんん! ん──っ」
指が秘裂をなぞると、千春は体をのけぞらし声をあげようともがいた。
「もう、こんなに濡れてる…」
千春にささやきかけるため唇を外すと、
「あぁぁぁ、あぁん、おにいちゃん…、あっ! あぁぁん…、いいっ、いいのぉ!」
自由になった口から思いきり歓喜の喘ぎをあふれさせる千春。
161 :
18Rの鷹:2005/03/21(月) 19:57:31 ID:d0/2DUSa
空いた左手を動員しパンティを取り去る。両足をMの字に広げ、むき出しになった千春のアソコに人指し指を挿入。狭い膣の抵抗をなだめるように、ゆっくりと出し入れする。
「うぁあ、あっ…、あふぅ…、んぁあああ…あぅっ」
体をずり下げ、指の愛撫に唇と舌が参加。幼い顔、体とはまるで異なり、千春のそこは、すっかり大人の形態になっていた。
固くしこったクリトリスに舌で唾液を塗りつけ、強弱をつけて唇ではさんだ。わざと「ヂュっ」と大きな音を出すと、
「んぁぁああっ!」
と絶叫が響く。指を回すように動かしながら出し入れすれば、千春のアソコからはますます愛液がにじみ出てきた。
「あっあっあっ、あ────っ」
背中がシーツから浮き上がるほど体をのけぞらせて、千春は絶頂を迎えた。
(いくことまで仕込まれてるんだ…)
年下の女のコの痴態に驚きを隠せない。しかし、驚くのはまだ早かった…。
指を抜いて体をもち上げ、千春の顔をのぞきこむ。
「あぁ…、おにいちゃん…、とっても上手…、千春…、いっちゃったぁ…」
若いだけに回復が早いのか、千春はすぐに普通に戻る。そして、体を起こして、
「今度は千春がおにいちゃんを気持ちよくしてあげる。おにいちゃん、横になって」
「あ、うん」
ぼくは言うとおりにする。千春はぼくの両足の間に体を入れ前かがみになる。期待とともにムスコもふくらむ、張り裂けそうなほど…。
じっとぼくのムスコに見入っていた千春が、はぁ〜と熱い吐息を漏らしながら、
「おにいちゃんの…、おっきい」
とつぶやいた。それから千春は右手でぼくのムスコを握り、顔を近づけていく。
ムスコまで数pのところまできたとき、千春は舌を伸ばし上目遣いでぼくの顔を見た。その目には妖しい光がたたえられ、ドキリとさせられる。鼓動はムスコに伝わり、千春の手の中でビクンと脈打った。
ついに千春の舌がムスコの根元にあてられた。千春は裏筋に沿って嘗め上げてくる。
「あぅ、ち、千春…、いい!」
ぼくは思わず声をあげていた。うれしそうにニコっとした千春は、右手を小さく上下させながらムスコをくまなく嘗める。ゆっくりと唾液をムスコ全体に塗りつけている。
「気持ち…いいよ、とっても…。ああぁ」
162 :
18Rの鷹:2005/03/23(水) 02:39:45 ID:VgHp+peD
上ずってしまう。竿の部分をひととおり嘗めた千春は亀頭を重点的に攻めてくる。
舌での愛撫に唇も加わって、ムスコは歓喜の涙、いや先走り汁をにじませる。千春の顔が離れるたび唇と鈴口にアーチがかかった。
「ち、千春ぅ…、ねぇ、くわえて」
「ん〜、千春のお口に入るかなぁ…。でも、千春、がんばる」
右手をストロークさせつつ千春は答え、口を大きく開けて亀頭をくわえた。
「ん…んふぅ、…んん」
亀頭が少しずつ千春の唇に隠されていく。舌先をチロチロ動かして刺激を加える千春。
(す、すごい。あ〜、き・も・ち・い・いぃぃぃぃ)
すっかり亀頭は千春の口内に収まった。千春はさらに奥までくわえ込もうと顔を振るが、それ以上飲み込めないでいた。しばらくして、千春はムスコを口からこぼし、
「だめぇ…、おにいちゃんの、おっきくて、全部、入んなぁい」
泣きそうな目で訴えてくる。ぼくは困惑しながらも快楽を追求しようと、千春にリクエストする。
「ぼくはね、ここ、傘のふちのところが感じるんだ。ここをね、千春のかわいい唇ではさんで、ね?」
「うん。おにいちゃん、気持ちいい? 千春、ヘタじゃない?」
「とっても…気持ちいいよ」
ぼくの言葉をうれしそうに聞いた千春は、再びムスコをくわえて頭を上下に動かし始めた。いっぱいに口を開いているが、唇はきつく亀頭を締めつけている。カリを通過するたび、
「うっ、あぅ、あっ、あっ」
と声を出していた。快感に溺れそうになったころ、千春がムスコを口から外して体を起こした。千春の唾液でテラテラと光るムスコは、実にまがまがしく見えた。
「千春、おにいちゃんがほしくなっちゃった…。ねぇ、おにいちゃん、入れてもいい?」
うんもはいも言えず、ぼくは大きなモーションで2度3度うなずく。
千春はぼくの体をまたぎ、膝で前ににじり出て自分の中心をムスコの真上にもってきた。
小柄な千春だけに、シーツに膝をつけたままでは起こしたムスコが上にき過ぎてしまう。千春は左手をぼくの腰について体を上に持ち上げた。
そうして千春は少し前かがみになって、右手でムスコの角度を合わせ、ムスコを自分の膣口にあてがう。
「あぁ…あぅっ! はぅぅん」
亀頭が千春のアソコに飲み込まれていく。千春は入ったぶんだけ外に押し出すように熱い吐息を漏らす。
あがってたので通りすがりに読んじゃったけど
うはぁGJ!!!
なんつーか
すごくいいです。すげえや
165 :
18Rの鷹:2005/03/23(水) 20:07:24 ID:VgHp+peD
「あ〜ん、おにい…ちゃん…」
千春の体はまっすぐに起きている。膝もシーツについている。そのぶんだけ、ムスコは千春の膣壁を押し広げ、さらに深く飲み込まれたことになる。
「あっ…、あふっ、おにいちゃん…が…、あっ…いっぱ…い…、千春の中…いっぱいぃぃ…」
「熱くて、きつくて、すごく…いいよ」
ひとり言のようにつぶやく。きつい膣の締めつけを味わいながら、一気に貫きたい欲望をかろうじてこらえていた。
「あぁ…、はぁぁ、んあぁぁ…、はぅっ」
千春の喘ぎは声にならなくなってきた。それでいて、千春は腰を前後に揺すっている。わずかずつムスコは千春の膣をえぐり、奥へと侵入していく。
「あっ、あぁっ、あ、あ、あ、あっ、あ〜ん、い…っぱい…、千春の…中が…いっぱ…いぃ」
いまにも前に崩れ落ちそうな千春の体を、ぼくはねっとりと視姦する。
(胸はないし、腰のくびれも…全然ない。だけど、かわいい! こんなかわいい娘が、こんなにいやらしいことするなんて…。あぁ、もっと…もっと千春の体、楽しみたい!)
両手を伸ばして千春の胸に当てて体を支える。指の間に乳首を挟むと、
「あぁんっ! 千春、感じちゃうぅぅぅ」
嬌声が弾ける。我慢しきれず腰を上下に動かしだす。それまで奥へと進むだけだったムスコが出し入れされる。引く瞬間の、膣を引っかく刺激がさらなる快感を千春にもたらした。
「あんっ! お…に…ぃ…ちゃ…ぁぁん…、あぅっ、だめっ、…あ──っ!」
支えていたぼくの手に千春の体重がのしかかった。ゆっくり肘を曲げていくと、千春がぼくの胸に崩れ落ちた。
「あぁ…はぁ…、はぁ…はぁぁ…、…はぁ…」
千春は大きく肩で息をする。呼吸が整ってきて千春は顔を上げる。目は焦点が合っておらず、口を半開きにしている。陶酔した表情だ。
「お…にぃ…ちゃん」
そう言って唇をねだってくる千春。ぼくは右手で華奢な肩を、左手で背中をやさしく抱きしめ、千春の唇を吸った。舌を入れようか迷ったが、ぼくは「下」をかき回すことに決めた。
「? ! んっ!」
大きく腰を引き、一気に突いたとき、千春の声にならない声が、ぼくの唇に伝わった。千春は両腕を突っ張り体を起こす。ぼくの眼前に千春のゆがんだ顔、それはそれでそそられる顔が浮かんだ。
166 :
18Rの鷹:2005/03/24(木) 23:33:02 ID:85V0i9mT
小刻みに腰を動かし千春の反応を観察する。圧倒的な圧力が膣壁をこするたび、千春は目を閉じ、背中を丸め、体を小さく震わせる。
「あぁん…あんっ! おにい…ちゃん…、気持…ち、い…い…、いいっ!」
両手で千春の肩を押さえつけ、ぼくは徐々にムスコのストロークを大きくしていく。千春の狭い膣を遠慮なしに押し広げ、えぐっていく。
「あんっ! い…く…ぅ…、あっ! いくいくっ、ちはる、いっちゃうぅぅう…」
大きく腰を突き上げ、それまでで一番奥までムスコを突き立てた瞬間、
「あぐぅっ」
といううめきとともに千春の体から力が抜け落ちた。じっとして千春の回復を待つ。しばらくすると、千春は
「は…ぁぁ、はぁ…はぁぁ、あぁぁ…」
うつろな目でぼくを見下ろしながら、口で呼吸している。
「よかったよ、千春」
ぼくがそう言うと、千春はまだ意識が朦朧としているようで、ぎこちなく微笑み、
「うれしい…」
とつぶやいて再び目を閉じた。数秒の後、意識がだいぶ戻った千春が聞いてくる。
「おにいちゃん…、おにいちゃんは、いった?」
ぼくは顔を横に振り、
「まだ、だよ」
と答える。千春は悲しげな表情になり、
「千春じゃダメ? 千春じゃいけないの? 私の、気持ちよくない?」
と訴えてくる。ぼくはまた顔を横に振る。そうして、千春の目をじっと見すえて、
「避妊、しなきゃいけないし…」
言いかけたとき、千春が割り込む。
「だいじょうぶ。千春、あしたか、あさって生理だから…。だから、いいの。おにいちゃん…、千春の中でいって」
スキンをつけるタイミングを失い、そのまま挿入してしまって不安だったが、これで思いきりできる!
(中に出すのって、スキンつけてるのと気持ちよさが全然違うからなぁ)
「ほんとに、いいの?」
「うん、いいの。ねぇ、おにいちゃん、千春の、気持ちいい?」
「すごくね、気持ちいいよ。それにね、いかなかったのは…」
まさかここで切らないですよね。
続きはまた明日。なんですか。
つ支援
168 :
18Rの鷹:2005/03/25(金) 19:42:48 ID:F5kEpy3D
言いかけて目がまじになる。千春ははっとして聞き返してきた。
「えっ?」
小さな体を抱えてくるりと反転、千春を組み敷いた。両腕で千春の脚を広げるように持ち上げながら、
「もっと楽しみたいんだ、千春のこと」
言いながら、ぐいっとムスコを奥まで突き入れ、ストロークの大きな往復運動を開始した。
「ひっ、あひぃ! あっ、あっ、あっ、ぅぅん」
千春のアソコに出たり入ったりするムスコをながめるうち、どんどん興奮していくのがわかる。ムスコはさらに血液を集めて硬度を増し、腰の動きはより大きくなってスピードはぐんと速くなっていった。
「あぅっ、あぐぅ、はっ、あっ、あふっ、ひっ、あひっ、あひぃっ」
両手でシーツをぎゅっとつかみ、顔を左右に振りながら、千春は喘いだ。その声は千変万化し、ぼくを楽しませてくれる。
いったん動きを止め、千春の両脚を肩に乗せ、そのまま前に体重をかける。二つ折りになる千春。
「あ────っ! あ────っ!」
騎乗位では全部入れられなかったムスコが、いまは根元まで千春のアソコに収まっている。ぎしぎしとベッドを軋ませながら、ぼくはさらに千春を犯していく。
「ひぃぃっ…、ぁぐぅぅ…、あひぃぃぃ、…いい────っ!」
激しい行為にもよくこたえる千春の体。アソコはムスコを握るように締めつけてくるし、染み出る愛液は潤滑の役目を果たしながら摩擦の快感を損わない。
(いい! 千春の、すごく、いい!)
ぼくはすっかり千春にのめり込んでいた。眼下で、快感に溺れて悦楽の声をあげる千春の顔が見える。あどけなかった顔がいまは妙に艶めかしく、嗜虐の本能をくすぐる表情に変化している。
(あぁ…、この娘の中で…出したら…、どんなにいいんだろう? 年下の千春、年下…)
とりとめのない考えがぐるぐると脳の中を駆けめぐるのは、きっと千春の体に夢中になっているせいだ。
ぼくは、フィニッシュのときを迎えるべく体を起こす。千春のほっそりした両足首をつかんで大きく広げ、アソコへの攻めは激しさを増していく。
動かしやすくなった腰を思いきり千春の股間に打ちつける。そして──、
「あぅっ! 千春っ! いくっ! あっ、出すよっ!」
「ぅぁっ! ぁぅあ──────っ!」
ぼくの雄叫びと、千春の声にならない絶叫が混じりあい、壁や天井に反響した。
169 :
18Rの鷹:2005/03/26(土) 19:20:33 ID:nmgQ12mm
千春の膣奥深く、ムスコはこれまでにないほどの量の精液を放っていた。千春の膣は熱いほとばしりのすべてを受けとめた。
ぼくは精液とともに体の力もすべて放出してしまったかのように、千春の上に崩れ落ちた。耳のすぐ横で千春が荒く呼吸をしている。
ぴったりと合わさった胸、心臓の鼓動がシンクロする。最初、早鐘のようだったそれは、すぐに平常のリズムを刻んだ。
「ぁぁ…、ぁぅん…、ぁふ…、はぁぁぁ」
ずっと眺めていた千春がうっすらと目を開けたとき、
「よかったよ、千春。とってもよかった」
目を見てささやく。千春はぼくの体に腕をまわし
「あぁ…、うれしい…。おにいちゃん、大好き」
満たされた気持ちを言葉にして漏らした。
「ん…んん…、ぁぅん…」
どんなときでも、かわいく声を漏らしていた千春の唇をゆっくり味わう。後戯のキスをじっくりと楽しむ。小さな胸に手をやると、
「あぁん」
また千春のかわいい声が聞けた。乳首を指で転がしながら、ゆっくりとムスコを引き抜く。
「ぁあんっ!」
ムスコがアソコからこぼれ出たとき、千春は体をよじらせ、目をきゅっと閉じて短く喘いだ。
ぼくはすぐにティッシュの箱を手に取り、千春のアソコにあてる。千春はされるがままにしている。ぼくがぶちまけた精液はなかなか出てこない。
(奥に出しちゃったからかなぁ)
ぼくは人差し指をぽっかりと開いた千春のアソコに挿入し、ほじくりだすようにかき回す。すると膣壁が収縮してきて、ぼくの指を締めつけてきた。
「あんっ! ああんっ…、ぁぅぅんっ」
かわいく喘いで体をよじる千春。ようやく精液がドロリと流れ出てきた。ティッシュ4枚使って拭い、それからムスコの後処理をした。
「おにいちゃぁぁん、千春のそばにきてぇ」
甘ったるい声で千春が呼んでいる。言うとおりに千春の横に寝ると、
「腕枕して。おにいちゃん」
170 :
終わり。:2005/03/27(日) 06:43:16 ID:nAC3Onib
>125続き
っつふあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁっ
はぁはぁ・・・ ふぅ。
「司。イった?」
「うん。昴は?」
「もぅ・・・っちょっと。 ふぅん」
「く。あぅ。ふぅぅぅん。」
──────────────────────────
司「わぁ。ディスプレイが液まみれだよ〜。」
昴「大丈夫よ司。私も///だから。。。」
171 :
18Rの鷹:2005/03/27(日) 19:03:23 ID:SrFU6evO
「甘えん坊だなぁ、千春って。してるときとは別人みたいだ」
「やぁ、そんなこと言っちゃあ。千春、恥ずかしい」
「ふふふ。千春はほんとうにかわいいね」
腕を差し出すと、喜々として頭を乗せてくる千春。その唇をまた吸った。
キスから解放した千春の唇は本来の役目に戻る。それは話すということ。
問わず語り。ぼくは相槌を打つだけだった。
「中学に上がって初めての期末テストでね、千春、平均点より少し上の成績だったの」
「うん」
「でも、お姉ちゃんがいつも学校でトップ3に入る優等生だったから、だれにも褒めてもらえなかった」
「それは、悲しいね」
「だから、私、無茶がしたかった」
「うん」
「パソコンとザ・ワールドは入学のお祝いに買ってもらったの」
「文和くんと出会ったのは、そのころなんだ?」
「そう。無茶がしたくて、分不相応なエリアに行って、死にかけて…。文和、カズは見ず知らずの私に回復魔法をかけてくれた」
「やさしいよね、彼」
「だけど、カズは突然、私の前から姿を消してしまった…」
その事情はよくわかっていた。まさに当事者だったのだから。
千春は話し続ける。
「私、ヤケをおこしちゃったの…。最初はカズのこと、探しまわっていたわ。待っていたわ」
「うん」
「ブラックローズさんが…晶良お姉さんがあのとき、本当のこと、話してくれていたら…」
そのとき、晶良が話せるはずはなかった。しかし、事情はそのときどき、人それぞれ異なるものだ。
「私、リアルに無茶を求めてしまったの…」
ぼくはその言葉の意味が理解できず、千春のほうに顔を向ける。千春は天井を見つめたまま話し続ける。
「ナンパされたの…。私、名前も知らない男にヴァージンを…」
何も言えない。千春の横顔をじっと見ながら、ぼくは千春の次の言葉を待った。
「遊んでそうな男。女の扱いに慣れてそうな、ちょっと自信過剰なヤツ。いま思えば、つまんないヤツ」
千春の声は少し震えている。それでも話す千春。
「そいつとは、それっきり。ただ、痛かった。それだけ。処女を捨てたって、私は救われなかった」
172 :
18Rの鷹:2005/03/29(火) 00:30:06 ID:xEvuJeDv
ぼくの視線を意識したのか、千春がぼくのほうを見やる。
「おにいちゃんだったら、よかったのになぁ」
冗談めかして言う千春。すぐに真顔に戻って、
「しばらくはパソコン、つながなかった…。ザ・ワールドにインしたくなかったんだ…。私、カズに捨てられた気分になっていた」
「う、ん」
「カズに会いたくて、どうしても会いたくて…。クリスマスの前だった。私、インしたの」
その年のクリスマス、薄明──。
「会えなかった…。うん、あとで話は聞いたわ。会えるはずがなかったこと、しようがなかったってこと…。でも、だからって、そんなに簡単に納得できないっ」
涙声の千春。ぼくの頭にある疑問が浮かぶ。
(まさか、千春、真相を話さなかった晶良さんを恨んでる? ぼくとセックスしたのって復讐?)
「千春、晶良さんのこと…」
はっとする千春。
「えっ、晶良お姉さん? 大好きよ、私。なんで?」
「い、いや、晶良さん、その、結果的に、千春に隠すことになってしまったでしょ、文和くんのこと…。だから、その」
「そうだけど。それは、仕方ないですよ。私、気にしてない…」
そう言って口ごもる千春。ぼくの疑問に気づいたようで、少し考えてから
「…こともない、かな。うちのお姉ちゃん、晶良お姉さん…、なにかで勝ちたかったのかも」
千春はぼくの目をじっと見てから、
「あのとき、晶良お姉さんが本当のこと打ち明けてくれてたらって、考えたことはあるの。いまは文和と付き合い始めて幸せだけど、回り道したのは確か」
「う、ん」
「だから、かな…。ううん。違う。おにいちゃんとしたのは違う」
まっすぐな目で見つめられ、ぼくも真面目な顔でうなずく。千春は、
「おにいちゃんは…。う〜ん、なんて言えばいいんだろう…。うまく言葉にできないけど、リアルのおにいちゃんに魅かれたのは間違いない」
「リアルで会ったの、まずかったかなぁ」
173 :
18Rの鷹:2005/03/29(火) 20:13:07 ID:xEvuJeDv
なんとも情けない発言だ、とは思ったが、
「そんなことない! 私、おにいちゃんと会えてよかったって、心の底から思ってる」
「ん。ありがとう。千春のためになれたのなら、ぼくも素直にうれしいよ」
そう言って、ぼくはにっこり微笑んだ。千春もうれしそうな笑顔でこたえる。うれし涙なのだろう、瞳の潤いはいまにもこぼれそうだった。
「おにいちゃぁん、ねぇぇ、千春、シャワー浴びたいなぁ」
甘えた声で言ってくる。
「うん。一人で行ける?」
「だめぇ。おにいちゃんがあんまり激しくするからぁ、千春、起き上がれなぁい」
半分はうそだとわかったが、
「はいはい。それじゃあ、おにいさんが抱っこして連れていってあげましょうね」
「うふふぅ。抱っこぉ〜」
両手を差し出してくる千春。軽々と抱きあげる。
(肉体労働のアルバイトも悪くはないかな)
などと思い、余裕の笑みがこぼれてしまう。しっかりとした足どりでバスルームへ。股間では、満足しきってうなだれたムスコがだらしなく左右に揺れていた。
ドアを開けると、思ったよりバスルームは広く、明るかった。入った途端、千春の肌が輝いて見え、つい「次の展開」を考えてしまう。
(いけないいけない。これっきりにしなきゃ。…でも…)
端に置いてあった椅子を足を使って引き寄せ、そこに千春を座らせる。
「この椅子、なんか変。真ん中がないのぉ」
落ち着かない様子でもじもじする千春。よくよく見ると、その椅子は腕がすっぽり入れられそうなほどの溝があり、漢字の凹のような形をしていた。
それが「スケベ椅子」と呼ばれる代物とは、このとき知るよしもなかったが、なんとなく使用法はすぐに理解できた。ぼくは湧いてきた生唾をごくりと飲み込んだ。
シャワーを手に取り、お湯を出す。少しぬるめに設定したのを自分の掌で確認してから、千春の肩に浴びせた。
「きゃっ」
年相応のかわいい声を発する千春。みずみずしい肌は浴びせられるお湯をすべてはじいてしまうかのようだ。
174 :
18Rの鷹:2005/03/30(水) 20:19:03 ID:M03+yP2D
「熱くないかい?」
と聞くと、千春はとろけるような表情で答える。
「うん。おにいちゃん、気持ちいいよぉ」
ぼくは自制心をゴミ箱に放り捨て、頭に思い描いた「次の展開」へと行動を開始する。
壁には、曇り止め加工を施されているのだろう、湯気が立ち上ってもきれいに写りこむ大きな鏡が張られていた。気恥ずかしさを感じたが、千春はあっけらかんとして幼い体を無防備にさらしている。
千春のすべすべの肌に掌を当て、シャワーにあわせて撫でまわす。愛撫ではなく、あくまで汗を流してあげてるおにいちゃんといった体裁をよそおって。
やさしくされて千春はうれしそうだ。
「おにいちゃん、気持ちいい!」
すっかりご機嫌で、少女の顔に戻って明るい声をバスルームに反響させていた。
「もっと気持ちよくしてあげるからね」
つとめて明るく言う。欲望を行動に移すには、もう少しムスコに時間を与えたかった。千春の肌を掌で楽しみながらも、ムスコはまだ息を吹き返さなかったからだ。
例の椅子はもう一つあった。千春の前にその椅子を置き、向かいあって座る。目を細めてシャワーを浴びる千春を見つめながら、ぼくはまた生唾を飲み込む。
(そろそろ、よさそう。千春、楽しませてもらうよ)
ぼくは心の中でそうつぶやいていた。
シャワーを胸に当てると、
「あ〜ん、くすぐったぁいぃ」
と千春は体をよじらせる。シャワーの水流をブロックしようと千春は腕を上げるが、その動きよりぼくの右手が一瞬早く胸のふくらみを捕らえた。ゆっくり掌と指で揉むと、
「あんっ、おにいちゃんのエッチぃ。くすぐったいよぉ」
千春はまだぼくがやさしいおにいちゃんのままだと思っている。暗い情欲に気づいていない。
「あは。ごめんごめん。千春があんまりかわいくって、つい」
右手の動きを止めることなく、ぼくは笑顔で千春に答える。千春は安心しきっている。
「あぁぁん」
右手が胸の愛撫をやめ、脇腹とおへその周りを軽く撫でてから太ももの内側へと移ったとき、千春がこれまでとはトーンの異なった声を漏らす。
シャワーの水流が千春の薄い陰毛を濡らしている。
GJ!!
176 :
18Rの鷹:2005/03/31(木) 20:43:29 ID:ahyvAZ9S
「ぼくが出したの、きれいにしなくっちゃね」
「あぁ、だめっ。おにいちゃん、そこは千春がやるぅ」
「だめだよ、千春。おにいちゃんがきれいにしてあげるよ」
千春がぼくの腕を押さえようとするが、ぼくは椅子のえぐれた部分にシャワーを上向きで差し入れた。
「あぁ〜ん、だ…め、だめぇ」
千春の声が艶を含んで、ぼくを高ぶらせる。ムスコもむくりと起き上がってきた。
ぼくはかがんで、千春のアソコを洗う(攻める?)ことに専念する。左足で器用にシャワーを固定し、両手でいじくりまわす。
「はぁ、はあぁぁぁ、あぅん、おにい…ちゃ…ん、あんっ、はぅぅ」
左手で押し広げ、右手の人指し指で中をかきまわし、中指で周囲を撫でまわす。
「よく見えないなぁ」
ぼくはそうつぶやいて、さらにかがみこむ。
「恥ずかしいよぉ…、おにいちゃん…、見ないでぇ」
「だめ。おにいちゃんの言うこと、ちゃんと聞いて」
「あぁ〜ん」
鼻にかかった千春の声がぼくのセックスをつかさどる中枢をもろに刺激する。
「足、もっと広げて」
シャワーを止める。水流にじゃまされてよく見えなかった千春のアソコが無防備にさらされる。
「ヌルヌルしてる」
「やぁぁ」
「や? いやなの、千春。かわいい千春をきれいにしてあげてるのに…」
「あぁん、おにいちゃん、意地悪、しないでぇ」
ぴちゃ、ちゅぷ、ぴちゃ、にちゃぁ、くちゅ、ぬちゅ…。バスルームにいやらしい音が響く。
「おにいちゃんのも、きれいにしてくれる?」
「はぁ、はっ、ぅぅん、はぅっ、うん…」
再びシャワーからお湯を出し、千春の左手に渡す。それから右手を勃ちかけているムスコに導いた。
千春はムスコにお湯を浴びせ、小さな手で包み込むようにしてしごいてくる。お互いが手で相手の性器を愛撫する光景に、ムスコはみるみる元気を取り戻していった。
「お、っきく、なって…、はぅん、きたぁ、ぁあん」
顔を寄せて唇を重ね、舌を千春の口内に入れてねぶる。
「んん〜、んっ」
177 :
18Rの鷹:皇紀2665/04/01(金) 19:41:58 ID:U223EKM0
千春はシャワーを手から落としてしまう。それでも、夢中で右手を動かしていた。
唇を離す。千春は目をとろんとさせている。たまに体を小刻みに震わせ、そのたび喘いだ。
「あっ、はぁ、はぁあぁぁっ、あんっ」
目を閉じて快楽の波に身をまかせていた千春が目を薄く開ける。その目はアソコ同様、潤んでいた。千春はぼくを見つめて途切れ途切れにつぶやく。
「おにいちゃんの、おおきく、なってる。すごく、かたく、なってる」
それが合図となった。GOサインだった。
「かわいい、かわいいよ、千春。おにいちゃん、また、千春がほしくなってきちゃった」
「あぁ、千春もぉ、千春もほしい…。おにいちゃんがほしい」
千春の右手の指から力が抜けて、ムスコが反り返りながら勢いよく飛び出る。天を仰ぐムスコを見て、千春は
「すごぉい」
と目を見開いている。
「千春がかわいいから、だよ。千春をほしがってる」
千春は顔を上下させ、ぼくの目とムスコを交互に見て、
「はぁぁぁ」
と熱のこもった吐息を漏らした。
「さあ、立って」
ぼくが促すと千春はのろのろと立ち上がる。足に力が入らないのか、ふらふらしている千春を、素早く立ち上がったぼくが支えた。
千春は、これからベッドに運ばれ、濃密な前戯を受けて、逞しく勃起した男根で貫かれ、かきまわされて、甘美な世界を味わい、絶頂にいざなわれるものと思っていた。
ぼんやりとモヤがかかったようになっていた頭でそれを考えると、千春のアソコからはまた愛液がにじみ出た。
しかし──。
ぼくは横抱きした千春の肩に手をかけ、意識して静かな声で言った。
「後ろ、向いて」
「えっ?」
驚きの声をあげる千春の体を180度回し、両手を鏡が張られた正面の壁につかせた。
ぼくに見えているのは揺れるツインテール、背中、そしてお尻。熟れる寸前の桃のように発育途上のお尻。大きくはないものの、軽く持ち上がって、やわらかそうで、その丸みはエロティックですらある。
178 :
18Rの鷹:2005/04/02(土) 19:19:28 ID:GJiEM6cE
鏡には困惑している千春の顔。これから自分がしようとしていることに、ものすごく興奮する。
ぼくは半歩前に進み、千春の腰を両手でぐっと押さえる。かわいいお尻を愛でたい気持ちもあったが、ムスコが「早くしろ!」と急かしている。
「おにいちゃん?」
千春が顔を少し横に向け不安そうな声を出す。ぼくは何も話さず、ただハァ、ハァと荒い息遣いをバスルームに反響させていた。
膝を曲げ、ムスコを千春のお尻の間に割り込ませる。少し膝を伸ばすと、ムスコの先端は正確に千春の膣口に押し当てられているのが感触でわかった。
「えっ? え──っ」
どうなっているのか、どうしていいのかわからず、千春は肩越しに振り返って、自分のお尻のほうを見ようとする。
さらに膝を伸ばす。柔肉の花びらをかき分けて亀頭が千春に侵入する。千春はびくっとして背中を弓なりに反らせた。
「あっ…、あ〜ん」
千春は無意識に逃げようとしてつま先立ちしようとする。だが、腰にはぼくの指ががっしりとくい込み、上に逃げられないようにしていた。
ゆっくりと膝を伸ばしていく。ムスコが少しずつ千春に押し入っていく。狭い膣をえぐる快感にムスコは喜びをあらわすように脈打っている。
「あっ、おにいちゃんが…おにいちゃんが、入ってくる…、入って…くるぅ…」
はやる気持ちを抑えるように、ぼくはわざとゆっくり挿入していく。自分がなにをされているか理解した千春は、素直に快感を受け入れた。
「あっ、あっ、あ──っ、あっ…、こ、こんな…の、初めてぇぇ…」
顎を前につきだし、叫ぶように言葉を漏らす千春。
「なにが初めて、なの?」
奥へ奥へと進みながら、千春にただす。自分を犯してくるムスコがもたらす快感に喘ぎながら、
「あっ! あぅっ、こんな…、あっ! カッコで…、す、る、…のぉ…、あんっ、千春、初めてぇぇぇ」
千春の絶叫と同時にムスコは、それ以上入らないところまで到達した。
「はぁ、は…あっ! あんっ、あんっ、ああんっ」
ぐいぐいと腰を前に押し出す。千春のキュートなお尻がそのたび形を変える。千春が声を発するたび、ムスコはきゅっきゅっと締めつけられた。
「あ〜…、千春の中って…いいっ! いい、としか言えないっ」
179 :
18Rの鷹:2005/04/03(日) 19:05:26 ID:9Vp+WRPC
「ひっ! ぁひぃぃ、はひぃ」
腰を引き、そして突き出す。単純な動きながら、人が獣なのだと思い出させてくれる本能の動き。
千春の腰を強靭な腕で固定し、ひたすら直線的に犯していく。突き入れるたび、引き抜く際にカリが膣壁をひっかくたび、
「あっ! あぅっ! あっ! ひぃっ! あぐっ! あっ! あひっ!」
千春は短く、鋭く、歓喜の声を吐き出し続ける。
(このままじゃ、すぐに出ちゃう…。もっと、もっと、千春を楽しみたい)
ぼくは腰の動きをいったんストップ。右手を前にまわして、千春のクリトリスに中指をあてる。円を描くように撫でまわすと、千春は体をビクっ、ビクっと震わせ、
「はぅっ、はぁぁん、あんっ、あぁんっ、はぅぅ──っ」
せつなげな声で喘いだ。しばらくして、ムスコの活動を再開させる。ただし、奥を突くのはやめて、浅い挿入深度までムスコを引き、入り口付近で小さくピストン運動をする。
ムスコが千春のアソコに突き刺さる様子が上からはっきり見え、鼻息が荒くなった。
ちゅぷ、じゅぷっ、ちゃぷ、ぴちゃ、くちゅ…。
「あっ、ぁぁっ、あぁっ、あんっ、あぁんっ」
濡れた音が、千春のかわいい喘ぎとともに、聴覚を刺激する。
ぐいーっと奥まで挿入。千春は背中を弓なりに反らして、
「あ──────っ! いいぃぃっ!」
絶叫する。ぼくは一番気持ちのいい深さ、ストロークを見つけだそうとして、深く浅く、早く遅く、ムスコの動きを変化させた。それに合わせて千春の声も変わっていく。
「あぁっ、あぁっ、あぁっ、あっ、あっ、あっ、あ──っ、あ───っ、あぁっ、あっ!」
一番いいのは、ムスコが半分くらい見えるまで引き、奥まで到達するほど深く突っ込むストローク。
ぐっ、ぐちゅっ、ぐぼっ、くちゅ、ぐぽっ…。
「あぐっ、ひっ! あっ、あぁっ、あ──っ、千春、あぅっ、あっ…、いっちゃ…うぅ」
千春の声が射精の欲求を急激に高める。腰のスピードを限界まで上げ、
「ぼくも! おにいちゃんも、いくっ! 千春っ、いくよっ!」
「あっあっあっ、あっ! あ────────っ!」
千春がつま先立ちするほど突き上げた瞬間、弾けた。一度目よりも大量の精液が勢いよく千春の膣奥に放たれた。少し引き、また突き入れると第2射が噴出する。4度繰り返し、ぼくは果てた。
たまりません
レスもはばかれるほど
ここのSSを読むときは常に前かがみになってしまう俺
182 :
18Rの鷹:2005/04/04(月) 20:01:38 ID:xS1OAaHJ
バスルームには2人の荒い息遣いと、床に転がったシャワーから出るお湯の音が反響していた。
心臓の鼓動が平常に戻って、ぼくはムスコを千春から引き抜いた。
「あぅぅっ」
ぐぼっという淫靡な音がするのと同時に千春がうめく。千春の腰にはぼくの指がしっかりくい込んだまま。千春は足を震わせ、アソコをひくつかせていた。
ずびぃっ…という音がして、千春のアソコから濃い白濁液が出てきた。
ぴちゃ…びちゃびちゃ、びちゃぁ……ぴちょん、ぴちゃ。
大量の精液が濡れた床に落ちた。床に転がったシャワーから出るお湯に流され、ぼくの精液はまるで生き物のようにうごめきながら排水口へと消えていった。
「あぁ…、あぁぁ…、あ…、あぁぁぁ…」
放心したように吐息を漏らし続ける千春を、ぼくは椅子に座らせた。シャワーを拾って、お湯をアソコにかけてあげる。千春はされるがままだ。
「おにい…ちゃん」
シャワーの音にかき消されそうなほど、か細い声でぼくを呼ぶ千春。
「どうしたの? 千春」
やさしい声で聞くと、
「変になっちゃうかと、思った…」
うつろな目で答える千春。
「ごめん。おにいちゃん、千春にひどいことしちゃった…」
千春はふるふると顔を左右に振り、
「ちがうの。気持ち、よかった、の。あんなに感じたの、初めて」
千春は目を閉じて、唇を突き出す。ぼくは千春の体を抱きしめ、やさしくキスをした。
キスのあと、ぼくは千春を立たせ、シャワーの温度を少し上げて体に浴びせる。
「ふぅー」
気持ちよさそうに吐息を漏らす千春。ぼくは手早く自分にシャワーを浴びせて(ムスコはしっかり洗って)、千春に向かって
「少し待ってて」
と言い、ドアを開けてバスタオルを手に取った。それで千春の体を拭いてやると、千春はうれしそうに
「やさしいおにいちゃん、大好き」
と笑顔で言った。
やば、萌え死ぬ
184 :
18Rの鷹:2005/04/05(火) 20:30:44 ID:CaLKBCTF
2人、バスルームから出る。ぼくは腰に、千春は体にバスタオルを巻きつけて、ふかふかのソファに体を沈めた。
「なにか飲む?」
「うん。千春、あんまり酸っぱくないのがいい」
立ち上がって冷蔵庫からオレンジジュースを出して千春に手渡し、自分用のコーラを持ってソファに戻った。なにげなく時計を見る。いま、9時20分。
ぼくの左側にちょこんと座っていた千春はオレンジジュースを一口飲んで、ぼくの体にもたれかかってくる。そうして上目遣いでぼくを見て、幸せそうににっこりと微笑む。
(ん〜。ほんと、かわいいな、千春は。目が離せない妹、って感じ)
先ほどまでしていた行為など、たとえ夢の中であっても存在しなかったかのような錯覚に陥る。しかし、これ以上ないほどだらしない状態になっているムスコが現実にあったことだと教えていた。
「私、おにいちゃんが3人め、なの」
千春が静かに話し始める。ぼくは黙って耳を傾ける。
「初体験してから、2か月くらいたって、私、ケータイの出会い系、やったの」
ドキっとするぼくをよそに千春は話し続ける。
「最初は冷やかし。でも、私、寂しかったから…。会う約束、した」
「ぅん」
「28歳のコンピューター屋さん、って言ったわ、その人」
千春はジュースをまた一口飲んで、
「その人のマンションに行ったの。ドアが開いて、出てきたその人、まじめそうだった」
「それで」
思わず続きを聞きたいと思っている自分がいる。
「危なそうだったら、そのまま走って帰るつもりだったけど、やさしそうな人だったから…」
千春はぼくをちらりと見て、
「お兄ちゃんに少し似ていたかな、その人。だからなのかな、部屋に入ったの」
喉が渇く。手にしたコーラに気づき、一気にあおる。
「そのときは、なにもされなかった。私の話を黙って聞いてくれたの。だから、私」
「うん」
「それで安心して、また部屋に行く約束をしたの」
185 :
18Rの鷹:2005/04/06(水) 20:01:51 ID:XrOiV+hY
千春は話し続ける。
「1か月後、私、その人に抱かれたわ。すごくやさしくしてくれた。入ってきたとき、ちょっと痛かったけど、我慢できた」
大きく息を吐いてから、千春はぼくのほうに微妙な笑みを投げかけてくる。
「?」
ぼくが首をかしげると、千春はニコっとして
「いま考えるとぉ、その人の、ちっちゃかったなぁ。おにいちゃんのほうが、ずーっと大きい」
飲みかけたコーラを吹きだしそうになるのをなんとか堪える。
「でも、私にいろいろしてきて、感じるところを教えてくれた。それから、男の人がどーすれば気持ちよくなるかも、いろいろ教え込まれたわ」
(なかなか、いい"先生"だったわけだ)
見ず知らずの男に感謝しそうになるが、それは変だろう、と自分につっこむ。
「その人のところには半年間、毎月行ったの。その人、自分はもう年だから、とか言って、1回に1度しかしなかった。だから、その人とは5回しただけ」
「うん」
「それも、向かいあってするのばっかり。私を上にしたのだって、5回目のときだけ」
不満そうな千春。だから、なんなのだろう。千春の言ってることが即座に理解できない。
「私ね、感じやすい、ってゆーか、セックスが合うみたい。その人と2回めにしたときには、いっちゃったんだ」
つい先ほどの千春の痴態を思い出し、なんとなく納得してしまう。そんなぼくを気にも留めずに
「私がその人に連絡するのって、いっつも生理前だったって、さっき気がついたの。それできょう、体がむずむずしてたのかも…。だから、おにいちゃんと会えて、おにいちゃんにしてもらえて、すっごくよかったぁ」
奔放な千春が心配になり、自分でしたことは棚に上げて聞いてみる。
「避妊、ちゃんとしてた? 生理前だって危ないんじゃない?」
「千春ねぇ、全部の学科の成績はまん中くらいだけど、保健体育は一番なの。えへへ」
ちょっぴり自慢そうに千春は胸を張る。
「それにね、その人、必ずコンドームつけてたよ」
少し間を置いて、ぼくは首をかしげながら訊ねた。
「…ってことは?」
「千春の中にせーし出したの、おにいちゃんが初めてだよ」
186 :
18Rの鷹:2005/04/07(木) 22:04:41 ID:dJEwbWDU
言葉を失った。目は焦点が定まらず視線は泳いでいる。ようやく口が動いて、
「と、ところで、千春。そのこと…、千春がその、け、経験したって、文和くんに言ったの」
千春はためらうことなく、
「うん。言ったよ。恋人同士、隠しごとしちゃダメでしょ?」
「いや、まあ、そうだけど…。でも、それで嫌われたりしたら、よくないんじゃないかなぁ」
「でも、それで別れるなら、そこまでの関係だったってことでしょ。…文和は驚いてたけど、それでも私のこと、好きだって言ってくれた」
「う〜ん。…じゃあ、よかったんだ」
「だけど、全部ほんとーのこと話してはいないんだ。最初のことだけで、2人目のことは内緒」
千春はそう言って、ペロっと舌を出した。そんなかわいい仕草をする千春に、
(小悪魔…)
という言葉が不意に頭に浮かんだ。千春はぼくの腕に絡みついてきて甘えた声で、
「おにいちゃんはいいなぁ〜。晶良お姉さんと愛のあるセックスしてるんだもん」
などと言ってくる。ぼくは照れて頭をかきながら、
「いやあ」
と言って口ごもる。
「千春は、まだ愛し合った人と結ばれたこと、ない。愛のあるセックスって、したことない」
寂しそうな千春をなぐさめるように話す。
「ぼくは千春と愛のある、その、セ、セックス、した、つもり、だよ?」
照れくさくて、セックスという言葉をどもったぼくを、千春は気にもせずに、
「えぇ〜、うっそぉ!?」
「うそじゃないよ。愛してる…って言うのは晶良さんだけだけど。愛がなければ、千春のことだって抱けなかったよ」
真顔で言うが、千春はニマっとして、
「おにいちゃんの、ウ・ワ・キ・モ・ノ・ォ」
(げっ…、そ、そうくる!?)
千春はぼくから離れ、自分の膝に両手をまわして、
「あ〜ぁ、早く文和と結ばれたいなぁ。愛のあるセックス、したいなぁ」
なんとなく聞こえよがしに思えるのは気のせいか。千春はひとり言のようにつぶやく。
「おにいちゃんにはオモチャにされちゃうし…」
187 :
18Rの鷹:2005/04/08(金) 21:59:53 ID:BDUEEuRw
「なっ!」
あっけに取られるぼくを後目に、
「千春、愛されてなくてもいいから、やさしく抱いてほしいなぁ〜」
横目でじーっとぼくを見て千春が言う。言葉に熱が帯びている、気がした。千春がたたみかける。
「おにいちゃん、しよ?」
「えっ!? ダ、ダメだよ、そんな。3回もしたこと、ないもん!」
「ねぇ〜、しようよぉ。千春のこと、やさしく抱いて」
バスタオル越しに千春がムスコを撫でてくる。
「こ、こらっ。ダメだってば」
ぼくの制止に耳を貸さず、
「う〜ん、元気にならないなぁ」
と千春はつぶやき、なおいっそう掌の動きに熱を込めてくる。
(できっこない…よ、1時間ちょっとで2回出してるんだし…)
そう思って、制止もせずに千春のやりたいようにさせていた。
(無理、だと思うなぁ。まあ、そのうちあきらめてくれるでしょ)
ぼんやりしていたら、千春がバスタオルをめくり上げ、ムスコを直接握ってくる。
「元気になって、おにいちゃん」
千春はムスコに向かってお願いするように話しかけている。業を煮やしたのか、千春はかがんで、ムスコを口に含んだ。少し快感が走った。
ムスコをくわえたまま、千春は床に跪いてぼくの両足の間に体を割り込ませてきた。
「ん、ぅん、んっ、んっ、んっ」
小さいままのせいか、口を自在に動かしてムスコに刺激を与え続ける千春。
ぺちゃ、ぴちゃ、ちゅっ、ぢゅっ、ちゅぅぅっ、くちゅ、ぴちゃ…。
舌をまとわりつかせ、唇は強く弱く締めつけてくる。と、頬がへこむほど吸われる。
「うっ」
はっきりと快感が走ったのを覚えた。千春はムスコを口から出して、
「おっきく…なって…きたぁ」
瞳を潤ませ、頬を紅潮させ、唇の端からよだれを垂らして、勝利のつぶやきを口にした。
千春は再び口にムスコを収め、頭を前後に動かし始めた。
ムスコが千春の唇を上下左右に押し広げていく。
188 :
18Rの鷹:2005/04/09(土) 21:52:58 ID:la6LqPIN
感覚が鈍っているのは間違いなかった。だけど、これまでしたことがないからといって、3回できないというわけではないようだった。いや、ムスコは全然OKとばかりに怒張していく。
千春がムスコから離れる。と、千春の頭が沈んだ。
「!?」
次になにが待ってるのか、期待がふくらむ。わくわくする。
ぺろ〜っと、千春は袋に舌を這わせた。
「あうっ」
声が出てしまう。さらに吸われる。千春は口の中に玉を吸い込み、舌を使う。えもいわれぬ快感が走る。
「い…いいっ! すごく…いいっ!」
千春のツインテールを両手で握りしめて引き寄せ、さらなる快感を千春に要求する。
「ここ、気持ちいい?」
そう言って、千春は縫い目を嘗め上げてくる。
「はっ! はぅっ! はぅぅぅ…」
信じられない快感に涙がにじんでくる。ムスコはすっかり元気を取り戻していた。
玉袋から竿へ、竿から亀頭へ、千春の舌が這いずりまわる。痛いほど勃起しているのは、2回出したせいなのだろうか…。
「今度は千春のこと、気持ちよくして」
千春はぼくの右膝に乗っかり、腕で口を拭いながら言う。濡れた唇が別の生き物のように見えた。
自分の陰部をくわえていた口だが、汚いなどとはまったく思わなかった。むしろ、いとおしささえ感じていた。しかし、ソファで交わろうとは考えなかった。
(千春を愛してあげよう。やさしくかわいがってあげよう。自分勝手なセックスばかりじゃダメだよね)
頭のほんの片隅に残っていた理性が、ぼくを冷静にさせた。しかしそれは、単に2度出しているせいで性欲が落ち着いていただけかもしれないが…。
「続きはベッドで、ね。千春のこと、いっぱい愛したい」
愛、というぼくの言葉は予想以上に千春を感激させたみたいだった。千春は目を潤ませ、
「おにいちゃん、うれしい! 千春のこと、愛して」
ぼくの首にしがみついてくる。千春を抱き上げベッドへ。
時計は10時を指していた。時間が時間だけに延長はできない。宿泊料金になってしまうからだ。持ち合わせはあるが、あまり遅く帰宅するわけにもいかない。
(ぎりぎり、だな。まぁ、バイト先の先輩と一緒とは言ってあるから、うちは大丈夫と思うけど…)
189 :
18Rの鷹:2005/04/10(日) 20:47:20 ID:fKKumYvw
ベッドに千春を寝かせ、不安材料を排除するため、まず聞いた。
「時間はだいじょおぶ? 今、10時だけど」
ぼくの心配をよそに、
「あぁ…、1時間も愛されたら、千春、壊されちゃうかも…」
うっとりとした表情を浮かべ、ぼくの心配とは全然違うことを口走る千春。
(不良娘…か。自分でそう言うだけのことはあるなぁ)
あきれるやら、うれしいやら、複雑な気持ちになる。
「アリバイ、つくってきてるの。すっごい優等生の友達の家にいってることになってるから…大丈夫」
(…ってことは、ぼくとこうなることも織り込みずみだったわけだ)
小さく息をついた。そんなぼくに、
「おにいちゃん…」
千春は待ちきれないといったふうに、ぼくに熱い視線を向けてくる。
(1度だけの火遊び、だよね。だって、千春は文和くんのもの…。それに、ぼくには晶良さんがいる)
そう考えたら、いまを十二分に楽しもうという気になってきた。
さすがに、晶良と別れてまで千春と恋仲になろうなどとは考えなかった。年下の娘とのアバンチュール、ひと夏の甘い夢だと、なぜか割りきれた。悦楽に溺れ、自分に都合よく解釈している。
(今夜だけ、今夜だけ)
繰り返し自分に言い聞かせてから、千春にのしかかる。
「はぁ〜ん」
せつなげに漏らす千春。
「重くない?」
「うん、おにいちゃんに乗っかられるの、好き」
腕をまわして、きつく抱きしめ、唇を重ねて吸う。バスタオル越しに胸をさわると、
「ん…んふぅ、んん…」
千春の口から喘ぎが漏れ落ちる。少し開いた唇を割って、ぼくの舌はやすやすと千春の口内に侵入していった。
ちゅぷ、くちゅ、ぴちゃ…、
わざと音をたててキスをすると、千春の息が荒くなっていくのがわかった。
「ん…、ぅうん、んん…、ふぅぅん…」
舌を絡め、唇の裏に舌を入れ、歯ぐきを嘗める。ぼくの肩にかけた千春の手に力が入る。
190 :
18Rの鷹:2005/04/12(火) 00:33:45 ID:sBOUBHnG
舌を千春の口内から後退させ、柔らかな唇に這わせていく。たまに唇ではさむと、千春はつぶった目をさらにきゅっと閉じて、
「はぅっ…、はぁ〜ん…、ぁぅぅ…ん」
気持ちよさげで、もどかしげな喘ぎを聞かせてくれる。
頬とまぶたを「チュっ」と音をたてて吸った後、唇と舌は耳への愛撫に移る。熱い息をやさしく吹きかけると、千春の体はビクっと震え、
「あっ!」
と声をあげる。それに気をよくしたぼくは、耳たぶに軽く歯をあて、甘がみする。
「ぁぁん、あん、あーっ」
「いい? 感じる?」
息を吹きかけながら問いかける。
「ぃ…ぃい…いいっ、いいのぉっ」
目をぎゅっと閉じて快感に溺れようとしている千春が大きな声をあげる。左右の耳を愛撫し終え、首筋に攻撃目標を切り替える。すべすべの肌が若い香りを放って、ぼくの鼻腔をくすぐっている。
「はっ! はぁぁ…、はぁん、あんっ!」
千春の喘ぎを聞いているうち、3度目の交わりとは思えないほど興奮していく。
ぼくの頭にある考えが浮かぶ。愛撫を中断し、千春に話しかける。
「キスマーク、つけたいな。つけても、いいかな?」
突然の申し出に、はっと我に返る千春。
「えっ!? えっとぉ、…いいよ。おにいちゃんに抱かれた証、つけて」
快諾してくれた千春ににっこりと微笑み、首の下あたり、ちょうど服で隠れるあたりに唇を寄せた。
ちゅぅ…ちゅっ…ぢゅっ…、少しずつ唇の位置をずらしながら音をたてて吸う。唇を離すと、千春の白い肌に、赤黒いキスマークがハートの形についていた。
あごをいっぱいに引いてそれを見た千春は、
「かわいい」
とうれしそうに言って、かわいらしい笑みをぼくに投げた。
「バスタオル、取るよ」
ささやいたぼくに、千春は瞳を潤ませてこたえた。
「千春のこと、かわいがって。いっぱい…、いっぱい、かわいがって」
やさしく微笑みながら無言でうなずき、ぼくは千春の体を覆っているバスタオルに手をかけた。
191 :
18Rの鷹:2005/04/12(火) 21:32:43 ID:sBOUBHnG
中に折り込んでいた部分を指で解き、はだけさせる。濃いピンク色の乳首は硬く尖り、期待に震えているようだ。
あらためて眺める千春の体。色白の肌が薄い桜色に染まり、下腹部の黒い部分を目立たせている。恥ずかしそうに頬を赤らめる千春だが、手は投げ出したままで体を隠そうとはしない。
バスタオルを抜き取るため力を込めて引っ張る。と、千春は大げさに体を転がし、うつ伏せの姿勢になった。
すべすべした背中には染みなどあるはずもない。少女から大人へ変身するにはまだ少し時間が必要そうな体だが、そんな状態の肌に触れられる喜びがムスコを大きく硬くしていく。
視線を動かすと、幼さが消えないお尻が目に入る。ぼくは最初の攻撃目標を決めた。
「かわいいお尻が丸見えだよ」
そう言いながら、顔を丸みに寄せていく。掌で大きな円を描くように撫で、舌を這わせる。
「ぁぁんっ、ぅ〜ん、はぁ〜ん」
早くも千春の口からせつなげな喘ぎが漏れてくる。千春の両足の間に体を割り込ませ、両手で双丘を揉みしだく。舌を小刻みに震わせながら、割れめを嘗め下げると、
「んぁ〜っ! あっあっあっ、あーっ」
千春の声が大きくなる。顔を上げると、千春の白い肌がそこだけ赤くなっているのに気づいた。さきほどのバスルームでの行為で、押さえつけていたぼくの指の痕だ。
「千春、さっきは痛かった? 痕、ついちゃってる…」
申し訳ない気持ちを吐露すると、千春は
「おにいちゃん、痛くなんてなかった、よ。千春、肌が弱いから…。そんな痕、すぐ消えるよ」
ぼくは傷口を癒すように唇を、舌を這わす。
「はぅぅっ…、おにいちゃん、ぃぃ…、気持ち、いい」
左右の赤い痕を嘗め終え、脇腹を攻める。ちゅっちゅっと音をたてて軽く吸うと、
「あっ! あっあっ!」
千春は体をびくっとさせ、短く鋭い喘ぎを聞かせてくれる。背骨に沿って一気に嘗めあげる。
「はっ…はぁ────っ」
肩甲骨を舌と唇を駆使して愛撫し、柔らかな首筋に軽く歯をあてれば、
「あんっ!」
千春はびっくりしたように大きな声をあげた。
うーむ、年下をいぢめまくるのが実に楽しそう…読んでるほうも前かがみ。
やはり、ろりろりはつよい。
193 :
18Rの鷹:2005/04/13(水) 20:02:51 ID:6XwO+Wmc
「あぁ…、おにいちゃん…、あぁぁぁ、…千春、感じちゃうぅ…」
千春の小さい口から吐き出される息は熱を帯び、瞳は泣いているかのように潤んでいる。いとおしくて、いやらしくて、さらに前戯を加速させる。
もちろん手も遊ばせてはいない。左手を千春の体とシーツの間に潜り込ませ胸を愛撫する。右手の掌と指は太腿をやさしく丁寧に、それでいていやらしく撫でまわした。
「あっ…、はぁぁぁっ、ぁんっ、はぁっ、ぁ〜ん、はぁっ」
喘ぎとともに身悶える千春。
「おにぃ…ちゃ…ぁん、あぁっ、いい…、気持ち…ぃぃ」
ムスコは逞しく勃起している。もし、この日初めてのセックスだったとしたら、このまま千春を四つん這いにして、後ろからねじ込んでいただろう。しかし、3度目とあって気持ちに余裕があった。
(千春の体のすべてを愛してあげよう。あますところなく愛撫しよう)
ぼくは千春の胸をまさぐっていた左手を抜き、再び下半身のほうに体をずらす。太腿、膝の裏、足首、足の指…、舌と唇、掌を使って愛撫する。
「あっ…、そ、こ…、あぅっ…、そこも…感じるぅ、あっ!」
(そろそろ…)
ぼくは千春の足首をつかみ、じりじりと体をひっくり返していく。足が、下腹部が、上半身が、そしてツインテールが揺れながら、ゆっくりと反転した。
千春が仰向けになるのと同時に、ぼくは素早く千春の両足を自分の肩に乗せ、アソコへの口撃をスタートさせる。
「ひぁっ! あっ! あぅっ! あ───っ! あひぃぃぃっ」
それまでの緩やかな愛撫から一転、秘所への強烈な刺激が千春を乱れさす。
ぴちゃっ、ちゅぅっ、ぺちゃ、…ぴちゃっ、くちゅっ、ぐちゅっ、
「あひぃ、ひぃぃぃ、あ───っ! あ────っ!」
右手の人指し指が膣に深々と挿入され、さらにかきまわすように動く。舌でクリトリスをぺろぺろと嘗めると、千春は大きく体をのけぞらせ、
「あ────────ぁぁぁぁっ」
愛液をにじませ続けながら最初の絶頂を迎えた。
指でクリトリスをいじりながら、ぼくは体をずりあげていく。硬くなった乳首に舌を這わせ、吸い、軽く歯を当てる。
194 :
18Rの鷹:2005/04/14(木) 20:30:19 ID:bm3bmOVJ
「はぅぁっ!」
まだ意識が戻りきらないうちに、さらなる刺激が襲ってきて、千春は顔をのけぞらせて声をあげる。
「あ〜っ! おにいちゃぁ…ん、ちはる…、変になっちゃうぅぅ」
反対側の乳首にも歯を当て、それから強く吸う。クリトリスをこする指の動きも強く速くする。
「あっ! あっ! あぁぁっ! あ…ぁっ! い…ぃ…ぃくぅぅっ、あっ! いくっ!」
たて続けにいかされ、陶然とする千春の口からはよだれが垂れている。
「ぁぁ…、ぁぁ…、ぁ…ぁぁぁ、はぁぁ…」
口で息をする千春の表情に興奮を覚える。ぼくは両手で千春の肩を押さえ、ムスコを膣口に押し当て一気に挿入する。
「はっ! はぁぁぁぁっ、あっ! あぁぁぁぁぁ」
奥まで突っ込み、さらにぐいぐいと押しつける。
「はぅぅ…、あぐっ、ひっ! あひぃっ」
小刻みに往復運動を開始。千春はぼくの背中に両手をまわし力いっぱい抱きしめてくる。そうして襲いくる快感と戦っているようだった。
「あんっ、あんっ、あ──っ、あっ、あっ、あ──っ」
「いい? いいの?」
ぼくの問いかけに千春は喘ぎながら答える。
「あっ、変…に、おかしく…なっちゃ…うぅ、あっ! いいっ! あんっ! あ──っ! いいぃぃっ」
千春の歓喜の声を聞いて、ぼくは腰の動きをスピードアップ。「の」の字を描くようにえぐり込むと、千春はさらに声を大きくして上りつめた。
「あ─────っ! んあっ! …ぁ…ぁ…ぁぁ」
息も絶え絶えの千春をさらに攻めるべく、ぼくは手を使って千春の両足を閉じさせる。それから千春の腰を抱いて上下を入れ替えた。再び千春の両足を開かせ、下からゆっくりと突き上げる。
「あぁぁ…、おにぃ…ちゃん、あぁ、だ…めぇ、ちは…る、こ…われ…ちゃ…うぅ…」
もはや体を起こすこともできない千春がうめくようにつぶやく。ぼくはいったん動くのをやめ、千春の回復を待つことにした。
「だいじょうぶ? 激しすぎた?」
やさしくささやく。千春はふるふると頭を横に振り、
「はぁ…、はぁぁ…、ううん、へーき。いっぱい…感じちゃった」
ぼくはうなずくと、ゆっくり腰の上下運動を再開させた。
195 :
18Rの鷹:2005/04/15(金) 20:46:41 ID:y7g91yJ/
くちゅ…、ちゃぷっ…、にちゃっ…、じゅぷっ、じゅぶっ、ずちゅ…、
淫靡な音をたてる結合部。千春の半開きの口からは、
「あっ! あっ、あっ、あっ、あっ、はぅっ! あぐっ! あぁん」
気持ちよさげな声が押し出されていく。
ぼくは千春の両足を持ち上げながら上半身を起こし、対面座位に移行する。千春はぼくの首に両手をまわし、深い挿入に耐えている。
「ぁぅぅう〜、ふ…か…いぃ、深いのぉぉ、おにいちゃんのが、ちはるの奥にぃ…、深くにぃ…」
あごについた千春のよだれを舌を出して嘗めとる。
「あぅ…、はぅぅん、あぁ…」
されるがままの千春の口に舌を入れ、かきまわす。同時に腰をそろりと突き上げると、首にまわされた千春の腕に力が入ったのがわかった。
「あぅっ、あんっ、あ──っ」
キスから逃れ、声をあげる千春。そのまま体を前にあずけ正常位に戻る。この体位はあくまで「つなぎ」だ。ぐいっと奥まで押し込んでから、ムスコをあっさり引き抜く。
「えぇ? おにいちゃん?」
不安そうな表情を浮かべる千春に、
「千春、後ろ向いて。四つん這いになって」
腰と足に手をかけて、ぼくが要求する。こくんとうなずき、のろのろと千春はお尻をぼくに向けた。
「足、広げて」
「あぁ、おにいちゃん、恥ずかしい…」
と言いながらも、千春はじりじりと足を広げてくれる。
「お尻、突き出してごらん」
「あぁ、だめぇ」
「言うこと聞いて。ね、千春」
「あぁ〜ん」
恥じらいの吐息を漏らし、もじもじする千春。ぼくは体を寄せ、膝を使って千春の足を開いた。
「あぁっ」
さらにウエストを両手でつかみ、自分のほうへ引き寄せる。
「千春のいやらしいところが丸見えだよ」
「あぁ〜ん、恥ずかしいぃ、おにいちゃん、見ちゃダメぇぇ」
196 :
18Rの鷹:2005/04/16(土) 20:44:33 ID:CX33vHVf
ムスコの先端を千春の花びらにくっつける。焦らすようにつつくだけで、まだ挿入しない。
「ほら、わかる? 千春の中に入りたがってる」
「あぁ〜、おにいちゃぁん、入れてぇ、ちはるの中に、入れてぇぇぇ」
「いやらしいなぁ、千春は…。ほしいの?」
「うんっ、ちはる、ほしいっ。おにいちゃんが、ほしいのっ」
ウエストをつかんでいた手を引き寄せる。亀頭が千春の中に沈んで、続いて竿がずるずると膣に侵入していく。
「あ────っ、いいっ! いいのぉっ! おにいちゃん、いいっ!」
「動くよ」
そう宣言して、腰を前に突き出し、手をひきつける。ムスコは千春の深遠に到達した。
「あっ! あぁっ! あっ、あっ、あっ、あぁぁぁっ!」
ずっ、ずっ、ぐっとムスコを出し入れさせると、千春の喘ぎはひときわ大きくなった。次第にストロークを大きく速くしていくと、千春は自分の体を支えられなくなって、シーツに横顔を埋ずめた。
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ…、
「あぐっ! あひっ! あぁっ! あっ! あっ! あぅっ!」
お尻に打ちつけるたびに響く音はいやらしく、よだれを垂らして喘ぐ千春の横顔はなまめかしい。
それでも、ぼくは射精の高まりを感じていなかった。快感はあるのだが、さすがに3度目とあっては、まだまだ刺激が足りなかった。
ぼくは千春の肩に手をかけ、千春の体を引きずりあげる。千春の背中が弓なりに反る。
「あぅぅぅぅっ、あひっ、ひぃっ、あっ!」
右手をクリトリスにまわして撫でてやると、千春は腰を振るように身悶え声をあげた。
「いいよっ、千春。とっても、いいっ」
「あっ、あっ、あぁっ、わた…し…もぉ…、ちはるも…感じるぅぅ」
もう一度、千春のウエストを両手でがっちりと固定し、ずんずんと突きまくる。ようやく、出したい、という欲求が高まってきた。
ぼくは急ブレーキをかけて腰の動きをストップ。ぐぼぉっという音をだしながら、ムスコを一気に引き抜いた。
「はぁ、はぁ、はぁぁぁ」
荒く呼吸をする千春を仰向けに寝かせる。そして、覆いかぶさるなり、びちゃびちゃに濡れた千春の秘所を貫いた。
「あっ、ああ───っ! あ────っ!」
197 :
18Rの鷹:2005/04/18(月) 00:24:39 ID:+TJNErf1
歓喜の絶叫を吐き出しながら、しがみついてくる千春。その唇を吸いながら腰を荒々しく動かす。
「ん、んぐっ、んぐぅ…、あひっ、あひぃっ、ひぃぃっ」
数回突いただけで千春は唇を外し、悲鳴のような喘ぎをこぼし続ける。千春がぼくの背中に爪をたてる。
「ぃつっ」
と漏らすが、千春の耳には届かない。さらに爪がくい込んでくる。
痛みで少し気はまぎれたが、千春の膣の気持ちよさ、その締めつけの強さにムスコが音をあげかけていた。もう射精の欲求は抑えられないところまできていた。
「ち、千春、いくよっ」
そう言ってムスコを大きく動かして膣をえぐり、膣奥に亀頭をぶつける。
「あ─────っ! あ───────っ! いくっ! いっくぅぅぅっ!」
絶頂を迎えた千春の絶叫が響く。それを聞いたぼくは、
「いくっ! 千春っ、出るっ!」
半失神した千春の膣に、この日3度目の精を噴出させた。多少勢いと量は落ちたかもしれないが、射精の快感はまったく変わらなかった。
「あぁ…、よかったぁ…、とっても…よかったぁ」
千春に体重をかけないように両腕で自分の体を支え、時計を見る。9時40分を少しまわっていた。
「ふぅ」
少しだけ時間に余裕があったので、ほっとする。しかし、後戯を楽しんでいるわけにはいかない。
息が整ったところで、ぼくは千春からムスコを引き抜く。ティッシュを手に取って、千春のアソコから流れ出る自分の精液を拭う。
(3度目なのに、いっぱい出たなぁ)
そんなことを思いつつ、自分のムスコをティッシュで拭いたところで、千春がようやく覚醒する。
「はぁぁぁ、おにいちゃん、ちはる、すごく感じちゃった。とっても、よかった」
キスをしようと顔を近づけたとき、部屋に備えつけてあった電話がけたたましい音をたてた。ティッシュの箱を千春に手渡してから、ぼくは受話器を取った。
「はい。…いえ。…はい、帰ります」
体を起こした千春は首を傾げている。
「あと15分、だって」
「うん」
まだぼんやりしているのか千春はぎこちなく微笑んで後ろを向き、ティッシュで自分のアソコを拭いた。
198 :
18Rの鷹:2005/04/19(火) 02:06:21 ID:re/c+Ayh
ぼくはソファまで行ってパンツを履く。それから自分と千春の服を持ってベッドに戻った。
「ありがとう、おにいちゃん」
千春がうれしそうに言う。
「どういたしまして。ぼくのほうこそ、ありがとう」
と言って、千春の頬にキスをした。
「でもなんで? なんで、おにいちゃんが私にお礼を言うの?」
「だって、千春、とってもよかったから」
ぼくが思ったまま答えると、千春は頬を赤らめて、
「いやぁ、おにいちゃんのエッチっ」
「あは。かわいいよ、千春」
ぼくは、千春とはおそらく最後になるだろうキスをした。
「さあ、着替えて帰ろう」
ぼくが促すと、千春は
「うん!」
と元気に答えて、服を着ていった。
エレベーターが1階に着く。千春は下を向いて、ぼくの腕にぎゅっとしがみついてくる。
フロントの返却口にキーを投げ入れ、千春の目を見て
「行こう」
とささやく。千春は無言でこくんとうなずく。ホテルを出るときはさすがに緊張した。
(中学生とホテルから出てくるの見つかったら、やっぱりまずいよね)
50mほど歩いたところで、千春が
「はぁ〜」
と、ため息をつき、それから
「あぁ!?」
と変な声をあげた。なにが起こったのかわからず、
「どしたの?」
立ち止まって聞いてみる。千春は言いにくそうに、
「あの…、おにいちゃんの、ちょっと残ってたみたい」
「え?」
「出てきたの。ぬるぬるして、少し変な感じ」
毎回レスは入れてませんが
毎日読ませてもらってます。
エロもすごいけど展開も楽しみだ。
200レスにしてもう235KBかよ・・・・・
このスレも500レスまで逝かないうちに容量オーバーになりそうだな
201 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/21(木) 00:55:21 ID:vSCWeq/U
ぼくは困って、きょろきょろと周りを見渡す。
「あ、でも、へーき。あとでトイレに行って拭くから…」
「あ、うん。ほんとにだいじょぶ?」
「うん」
胸をなでおろしながら、
(ひやひやさせてくれるよ。目の離せない妹だね、ほんと)
などと考える。千春は道端にアクセサリーを並べている露店を見つけて、
「おにいちゃん、ちょっと見てっていい?」
ぼくの返事を待たずに小走りで台の前に行き、アクセサリーをのぞき込んでいる。
「これ、かわいい」
そう言って千春が手に取ったのは、ゴールドに見えるオレンジ色の珠がついたペンダントネックレスだった。
その珠を吊っているのは鈍い光沢を放つ金属で、形は複雑。葉っぱのようなデザインのフロント、その後ろには爪のような突起を生やした玉が2つあり、さらに同じ大きさの玉が上に乗っている。
細い革紐を通しているのは、太い釣り針のような形だ。
(ザ・ワールドのモンスターから出てきた宝箱に、あんなのがあったなぁ)
などと記憶をたどっていると、千春は試しにそのペンダントネックレスを首にかけた。とてもよく似合っている。
「買ってあげよっか?」
ぼくが言うと、千春は
「そんな…。でも、いいんですか?」
「うん。いいよ」
「ほんとに!? わぁ〜い、うれしいっ!」
千春はこれ以上ないほどの笑顔を見せる。
(ほんとに無邪気な笑顔だなぁ。ホテルの千春とはまるっきり別人みたい)
お金を払いながら、ぼくはそんなことを思っていた。
お店の人から受け取ったペンダントネックレスを渡そうとすると、千春は甘えた声で
「おにいちゃんがかけて」
言われたとおり、革紐を広げて髪を通し首にかけてやる。
「とってもかわいいよ。よく似合ってる」
202 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/22(金) 01:14:47 ID:dRNe4log
「おにいちゃん、ありがとう!」
千春の明るい声を聞いたら、ぼくもうれしくなった。
「さあ、帰ろう。あんまり遅くなると、いけないからね」
おにいちゃんらしく言ってみる。
「は〜い」
元気に返事をしながら、千春は腕に絡みついてくる。
「こらこらこら」
「駅まで。いいでしょ、おにいちゃん?」
(あ〜、まったく困った妹だなぁ。ま、甘えたいだけなんだろうけどね)
駅の階段を下り、千春が切符を買う。改札まで送ってあげると、千春はぼくを上目遣いで見つめ、
「また会いたいな」
「だ〜め。これっきり」
「え〜っ」
あからさまに不満だという顔をして、それからいたずらっぽく笑み、
「おにいちゃん、またねっ!」
と元気に言って改札をくぐり、右手をぶんぶん振りながら走って帰っていった。
* * *
家に着いたのは日付けが変わってからだった。起きてきた母親の小言から逃げるように部屋に直行し、アルバイトの時間にあわせて目覚まし時計をセット。洗面所で歯を磨いて、ベッドに身を投じた。
「はぁ───────ぁ」
タメ息をつく。それは、まるで体中の空気がすべて抜け出てしまうんじゃないかと思えるほど長く、そして深かった。
3度も激しいセックスをした疲れがどっと襲ってきて、1日を振り返ることもできず眠りに落ちた。
朝。やっとのことで起きだし、着替えを済ませてアルバイトに向かう。どうにか遅刻せずに行けたが、その日はさすがにしんどかった。
(太陽が…、黄色い太陽が…、3つ見えるぅ〜)
へとへとになって仕事を終えたぼくは、20日でアルバイトを終わりにしたいと社長さんに告げた。
高校の課題もあったし、なによりも晶良に猛烈に会いたかった。
千春編乙!!
もうハァハァしっぱなしでした
204 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/22(金) 19:29:26 ID:dRNe4log
夏休みもあと10日。
「んもぉ〜、我慢できないぃぃぃ」
勉強に集中できないまま日付けが変わったころ、アタシは天井に向かって声をあげていた。
「アイツってば、きょうでアルバイトは終わりって言ってたのに、全然連絡よこさないじゃないっ」
頬をふくらませ、鳴らないケータイに向かって不満を吐き出す。いっそ自分から電話すればいいのだが、こんな夜更けにそんな非常識な真似はしたくない。
アタシはパソコンのメーラーを開き、「会いたい!」を100回コピペし、送信してやった。それで少しは荒れた気持ちが静まり、ベッドに寝転がってタメ息をついた。
(送別会とかしてもらってて連絡できなかったんだよね、きっと)
ストレートに感情をぶつけたメールにちょっぴり後悔したが、くよくよ考えないのが速水晶良なのだ、と開き直って眠ることにした。
(あした起きたら、アイツからのメール、きっときてる。きっと、きてるんだから)
自分に言い聞かせ、明かりを消した。
翌朝。いつもより早く目覚めたアタシは、寝ぼけ眼をこすりながらパソコンを立ち上げる。
「きてたっ!」
左手で小さくガッツポーズをしながらマウスを操作し、メールを開く。文面を見るなり、
「ぷっ」
思わず吹きだしてしまった。そこには「ごめんっ!」が100回コピペされていたからだ。
「な〜にやってんだか」
そう言いながら自然と笑みがこぼれる。「ごめんっ!」が途切れ1行開けて、アタシが待ち望んでいた言葉が紡がれていた。
──ぼくも晶良さんに会いたいっ! 会いたいよ。
──夏休みが終わるまでなんて、とても待てない。
──晶良さん、きょう午前中に電話しちゃダメかな?
──晶良さん、愛してる。
顔が熱くなったのは、残暑のせいばかりではなかった。
205 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/24(日) 23:31:47 ID:/I2+Urel
すぐに返信メールを打つ。
──もちろん!
──電話、待ってる。
送信ボタンをクリックして、ようやく気持ちが落ち着いた。彼からきたメールを読み返していると、ふと送信時間が気になった。
(夜中の2時、か。眠かったはずなのに、メールくれたんだ)
そう思ったら、うれしくて少し涙がにじんだ。それを家族に見られるのが気恥ずかしくて、アタシはそそくさと顔を洗い、歯を磨いた。
トレーニングウエアに着替え、入念にストレッチをしてからジョギングに出る。秋の色を含んだ風を胸いっぱいに吸い込み、気持ちのいい汗をかいて帰宅した。
「お腹すいたぁ〜。お母さん、ご飯、まだぁ〜」
彼からの電話が待ち遠しくて、それまでにやらなければいけないこと、すべてをすませてしまおうと思っていた。なるべく落ち着いた気持ちで話したかった。
「どうしたの、晶良。最近は夏バテで食欲な〜いとか言って、朝抜きだったのに」
あきれたように話す母親に、照れ隠しの言い訳をする。
「えへへ。もう暑い夏は終わり。食欲の秋、だもん」
「まだ8月よ」
そう言って母親は軽くタメ息をつき、
「あと15分でご飯が炊けるわよ。シャワー浴びて、汗流してらっしゃい」
「はぁ〜い」
元気よく返事して部屋に戻り、着替えを持ってバスルームへと向かった。
キャァキャァ言いながら冷たい水を頭から浴び、シャワーの温度を上げると鼻歌がもれる。最後にもう一度、冷水を浴びてバスルームから出た。
バスタオルで髪をガシガシと拭いていると、
「なにか、いいことでもあったの?」
朝食の支度をしている母親が背中越しに聞いてくる。
「べ、べつにぃ」
うまくとぼけることができなくて、ドキっとしてしまう。
206 :
木葉:2005/04/25(月) 01:04:10 ID:CiMmIASV
相変わらず素晴らしい小説だ…しかしカイトモテまくってるな…うらやましい…
207 :
18Rの鷹:2005/04/25(月) 03:19:29 ID:lnwZOoQN
2つ折りのケータイが電子音を奏でたのは、11時を少し回ったときだった。だれからの着信か、確認もせずにケータイを耳に当て、
「あっ、アタシ」
「久しぶり。元気?」
「うん。元気だよ」
「きのうはごめん。その…先輩たちに12時過ぎまで付き合わされちゃって」
「何してたの?」
「ご飯食べてから、カラオケ」
「ふ〜ん。…あのさ、アルバイト、お疲れさま」
「ありがとう」
3日前の土曜日に聞いたばかりの彼の声。だけれども、ひどく懐かしく思えて言葉が出なくなってしまった。数秒の沈黙。
「晶良さん?」
彼に呼ばれて我に返る。でも、まったりとしてしまって焦ったりしない。
「ん?」
アタシはここにいる、どこにもいかないよ。
「ねぇ、晶良さん。夏休みの課題、…数学なんだけど、よくわからないとこ、あるんだ」
「うん。それで?」
「教えてもらえないかなぁ。晶良さん、数学は得意でしょ」
「数学『は』じゃなくて、数学『も』、よ」
「あは。先生、よろしくお願いします」
おどけて言う彼の口調に笑みがこぼれる。最後に一緒だったプリンセスホテルで、デートは夏休みが終わってから、と言ってしまっていたから、会う口実としては申し分ない。
「これから支度するから…、1時にいつものところで待ち合わせ、でどう?」
「やったっ!」
急に彼が大きな声を発した。
「えっ?」
「だって、きょう会えるなんて、最っ高!」
「アタシだって…」
そこまで言って口ごもる。続きはもちろん、会いたかったんだから、だ。
208 :
18Rの鷹:2005/04/25(月) 20:01:09 ID:lnwZOoQN
彼はそんなアタシをスルーして、
「それじゃあ、待ってるね。晶良さん、愛してる」
「アタシも」
ケータイを充電器に戻し、目を閉じて再会できる幸せをかみしめる。
それからアタシは準備を始める。
(きょうは、あいつの課題を見てあげるんだから…)
デートではないんだと思っても、心がウキウキとしてくる。首を2、3度横に振り、自分も少しは受験勉強しようと考え、苦手な暗記モノをバッグに放り込んだ。
それから、衣装ダンスを開けて服選び。花火見物をしたときのイエローのワンピースが真っ先に目に飛び込んできた。
「うん。やっぱり、これね」
つぶやき、それを取り出す。ふと高校の制服が目に入る。
(これ着てったら、アイツ、びっくりするだろうなぁ)
などと考え、彼の驚く顔を想像したら頬が緩んだ。しかし、ある考えが頭に浮かび、顔を赤くして制服から目をそらした。
(もしも…、ホテルに行こうってなったら、さすがに制服じゃ入れないじゃない…)
そんなことを期待している自分にハっとして、ますます顔が赤くなる。
もう一度歯を磨き、火照った顔を冷やそうと顔を洗う。それから下着を履き替え、イエローのワンピースを着て準備完了。麦藁帽子をかぶり、バッグを抱えて玄関へと急ぐ。
「あら、晶良、出掛けるの?」
母親の問いに、
「うん。図書館行ってくる。それから友達と会うんで、きょうは夕ご飯、パスするね」
「あんまり遅くならないのよ」
「はぁぁい。じゃあ、いってきま〜す」
時間は十分過ぎるほどあるというのに、彼に会えると思うと歩みが早くなってしまう。
電車に乗る。席はガラガラだったが、座るよりも立っていたかった。窓を流れる景色は見慣れたものだが、この日は何もかもが輝いて見えた。
待ち合わせの駅には15分も前に着いてしまった。電車を降りて、
(きょうはアタシのほうが先にきちゃったかな)
と思って改札を抜けると、彼の姿が目に飛び込んできた。
209 :
18Rの鷹:2005/04/27(水) 00:39:33 ID:4mOecLMT
しばらく会っていなかった彼は、いい感じに日焼けしていて精悍になったように見えた。
アタシに気付いた彼が、大きく右手を振りながら走り寄ってくる。
「久しぶり」
「ん。そーだね」
言いながら見つめ合う。彼に飛びつき、太くなった腕で抱きしめられたい、そう強く思った。だけど、気持ちをぐっと抑え込む。落ち着いた、年上らしい口調になるように気をつけて、
「で。きょうはどこに行く?」
と聞いてみる。すぐにでも2人きりの世界に飛び込みたかったが、彼の口から発せられた言葉は、
「図書館、かな。調べものもあるし…。静かなところで勉強に集中したいんだ」
(なんだ。それなら、アタシと一緒じゃなくてもいいじゃないの)
不満が表情に出てしまう。敏感にアタシの気持ちに気付いた彼は、表情を少し曇らせ
「晶良さん?」
と心配そうに聞いてくる。アタシは少し動揺してしまい、
「えっ? っと、ね。うん。アタシも苦手な暗記モノ、頑張るから…。行こっか」
早口でまくしたてた。彼はあくまで優しくアタシの手を握り、出てきたばかりの駅に向かって歩きだす。
目指す図書館は、前に何度か利用したことがある。高校入試を控えた彼の受験勉強(という名目のデート、ではあったが…)に付き合ったことがあった。
電車に乗る。今度は並んで座った。
「アンタさあ、ずいぶん変わったね」
「そおかな? 自分じゃよくわからないや」
「逞しくなった、よ」
「うん。筋肉はついたかな」
そう言いながら腕を曲げて、力こぶをつくる彼。アタシは右手を伸ばして力こぶをそっと撫で、それから思いきり指に力を入れてみた。
「!」
力こぶはへこみもせず、彼は余裕の笑顔を向けてくる。
「へへへ。もう、晶良さんに腕相撲で負けないよ」
付き合い始めたころ、戯れにした腕相撲。男とはいえ中学生相手に本気を出したアタシは、あっさり勝利をものにしてガッツポーズまでしていた。
「そりゃそーよ。アタシはかわいくて、かよわい、オンナのコだもん」
210 :
18Rの鷹:2005/04/28(木) 00:04:38 ID:eJs4VFJi
冗談めかして言う。彼はにっこり笑って、
「そだね。かわいくて、きれいで、すてきな女性だよ。晶良さんは」
照れもせずに真面目な顔をして言う。その言葉に真っ赤になったアタシは、恥ずかしくなってプイと横を向く。なんとか気を取り直して、
「前にも言ったでしょ? そーゆーことは人前で言わないの。恥ずかしいでしょ」
彼の答えは、やはり前と同じだった。
「うん。ごめんね。2人きりになったら、いっぱい言うよ」
「もう。バカ…」
目を合わせられず、自分の足に向かって小声で言った。
駅を出て図書館までの道、アタシは彼と手をつないで歩く。暦のうえではとっくに秋なのだが、ことしも残暑が厳しい。まだまだ外は暑く、掌にはじっとり汗をかいていたが、彼と触れ合っていたい気持ちが勝った。
いつも思う。図書館って、なんで空気が涼しく感じられるんだろう、と。人の熱気が感じられない気がする。独特の静けさのせいか、本の放つ冷気がそうさせているんだろうか…。
2階に上がり食堂に直行。メニューが豊富で、そこそこおいしく、それでいて安い。お小遣いが少なかったころ、ずいぶんお世話になっていた。
過去、食堂はまた、2人の勉強の場でもあった。それぞれが自分の課題と向き合いつつ、彼が難しい問題に直面したとき(それは数学に限られたが)、アタシが教えたりもした。
つっかえたり、脱線しかけたり、お世辞にも要領がいいとはいえないアタシの説明を、彼は辛抱強く聞いてくれた。
必要なときに話せないのでは2人で図書館にくる意味がなかった。だから、小声でも話せる食堂は格好の場所だった。
「アタシ、ほんとは図書館って苦手」
日替わりランチを食べながら彼に話かける。
「ふ〜ん。晶良さんは体育会系だもんねぇ」
スパゲティをフォークでからめながら彼が答える。
「まぁね。学校で図書委員だけは、ぜ〜ったいにできないわ」
彼の動きが止まり固まっている。
「どしたのぉ〜?」
「えっ…、あ、いや、その…。ぅん、なんでもないよ」
211 :
18Rの鷹:2005/04/28(木) 21:34:08 ID:HRU+gKuK
まさか、彼が動揺した原因が『図書委員』という言葉にあったとは、気が付くはずもない。
彼はスパゲティとカツカレーを脇目も振らずに口に運んでいる。それを見て目を細め、
「ほんと。おいしそうに食べるね」
「ん〜。今度さ、晶良さんのつくったもの、食べたいな」
無邪気に言ってくる彼。でも、それはアタシにとっては地雷だった。
「えっ? …っとぉ。アタシ、料理は…、ちょっと自信…ないかな…。えへへ」
照れ笑いでごまかそうとするが、彼は
「ぼく、なんでもおいしく食べる自信あるよ。それに、晶良さんの手料理を食べられたなら、死んでもいいっ!」
「う〜、ほんとに死んじゃうかも、よ?」
「あは。だいじょぶだよ。ね、ね、晶良さん。今度のデートのとき、お弁当、お願い、ね?」
…いまは受験勉強だけに集中したい、ってのに…。家庭科なんか、受験にないっていうのに…。
「もぉ〜。ほんっとに、おなか壊したって、しらないから…」
困った展開だ…。だけど、次のデートの約束ができるとあれば、文句はない。まあ、毒を盛るわけではないから、とんでもないことにはならないだろう。アタシは気を取り直して、
「じゃあ、9月になったら、アタシの高校のテニス部の練習試合、あるから。一緒に行こ?」
と誘ってみる。彼は満面の笑みで、
「うん! 楽しみっ!」
最後のカレーライスを口に放り込み、そう答えた。
「はぁ〜。じゃあ、この話はおしまいにして、勉強、頑張りますか」
「うん。そーだね。ねぇ、晶良さん、ここなんだけど…」
彼はカバンに手を突っ込んで参考書を取り出し、付箋を張ったページを広げてアタシに見せた。
「ん。…これはね。ここを、こーして、んっと、こーすれば、こーなるでしょ?」
「そっか! うん、わかった。さすが、晶良さん」
「へへ〜ん。まっかせなさ〜い」
ちょっぴり胸を張る。彼は次の付箋をつまんでページをめくり、アタシに問題を突きつける。
「これは、ね。いまやった問題の応用。自分でやってみなさい」
「ん〜。えっと、今の問題は…。う〜ん…あっ、そっか。これをここに…、ん〜違うなぁ…。じゃ、こっち…かなぁ?」
救いを求める仔犬みたいに心細げな目を向けてくる彼。きゅん、と胸が鳴る。
212 :
18Rの鷹:2005/04/29(金) 19:47:24 ID:xgWRpX5p
「そ。それでいーの。わかった? このテの問題は、ね。ぜ〜んぶ、この応用」
「ふ〜ん。でも、そんなに簡単に考えちゃっていいのかなぁ…」
「アンタねぇ、難しく考える必要、ないじゃん。世の中はシンプルにもっていったほうが、いいことが多いのよ」
「う、ん。晶良さんに言われると」
「そんな気がしてくる、でしょ?」
「いや、逆。心配になってくる」
「こらっ! アンタ、生意気っ」
「しーっ。晶良さん、いくら食堂だからって、声、おっきいよ」
「あ…っちゃ〜。いっけない」
周りが見えなくなるのはアタシの短所だ。肩をすくめて反省する。そんなアタシを見る彼の視線は年下とは思えない。それがちょっぴり不満で
「な、なによぉ」
口を尖らせながら言ってみる。
「あっと。ごめんね、晶良さん。いや、晶良先生」
おどけて言う彼。ほんとに憎めない。人を愛するって、こういうことなのか!? 照れ隠しに、
「つ、次、次の質問は?」
と言って彼を促す。彼は小声で
「うふふ。かわいい」
などとつぶやいて、ますますアタシの顔を赤くする。それから、
「数学はOKかな。今の問題だけ引っかかってたんだ。あとは自分でいろいろな問題を解いてみるよ」
「うん。アタシ、アンタの役に立てた?」
「もちろん! 晶良先生、ありがとう。ぼく、少し調べものしてくるね。晶良さんはどーする?」
「アタシはここにいる。暗記モノ、頑張ってやらなくっちゃ」
彼は静かに席を立ち、軽く手を振ってから図書室に入っていった。一人残されたアタシはバッグからノートを出して、苦手な数字覚えに励むことにした。
30分ほどで彼が戻ってきた。没頭していたアタシは、自分の前に座った彼に気付かなかった。しばらくしてから、
「晶良さん」
彼の声。はっとして顔を上げると、そこにはアタシの大好きな彼の笑顔。
213 :
18Rの鷹:2005/04/30(土) 19:10:05 ID:84CMM9Zq
「いつ戻ってきたの?」
「ついさっきだよ。晶良さんがあんまり真剣だったから、声、かけなかったんだ」
アタシは彼の次の言葉を待つ。
「あ、あの、晶良さん。勉強は…、もういい、かな? 出ない? ここから」
「うん。いいよ。出よう」
そそくさとノートをカバンにしまい込む。席を立ち、
「どこ、行く?」
そういうアタシの言葉は期待に震えていた。彼はアタシの目をじっと見つめてから顔を寄せて、
「2人きりになりたい。ダメ、かな?」
待っていた言葉、だった。火照った顔を彼に向け、無言でうなずく。彼はアタシの腕を取って、やはり無言で歩きだした。
少し歩く。人通りがまばらになったところに一軒のホテルが見えた。
「あそこ?」
と聞くと、彼は
「うん」
視線を前に向けたまま答えた。どうでもいいことを聞いてみる。
「ネット? 図書館での調べものって…」
「まさかっ! 違うよ。家で見てきたんだ。その、図書館の近くに、晶良さんと2人きりになれるところはないかな、って…」
こちらを見て真面目な顔で反論する彼。
「そーよね。いくらなんでも、だよね」
「図書館ではちゃんと勉強してたよ、ぼく」
「うん。アタシは…、早くアンタと2人きりになりたかった」
「晶良さん…」
打ち水のしてあるホテルの入り口をくぐる。真夏の平日の昼下がりだというのに、利用者は結構いるのか、はたまた掃除中なのか、部屋はあまり空いていなかった。
「和室ばかり、だね」
「うん」
生返事。部屋なんか、どんなのでもよかった。早く、早く彼に抱かれたかった。
214 :
18Rの鷹:2005/05/01(日) 19:45:18 ID:kCuDHcF3
和室といいながら、部屋の出入り口はドアだった。
(鍵かけなくっちゃいけないものね)
靴を脱いで部屋に上がる。ドアがパタンと音をたてて閉まると、彼が背後から抱きつき、首筋に唇を押し付けてくる。
「あんっ」
声が漏れる。目を開けていられない。
「この黄色のワンピース、とってもかわいい」
彼が耳元でささやく。くすぐったくて、ぞくぞくして、やるせない。身をよじり、
「ふ、服、だけぇ?」
不満げに漏らす。すかさず彼は
「晶良さんは、もっとかわいい。…あぁ、晶良さん、会えなくて寂しかったよ、とっても」
「アタシも。アタシもぉ。抱いて、ねぇ、きつく抱きしめて」
彼はいったん手を緩め、アタシと向き合う。目を合わすだけで体がとろけてしまいそうだ。
「好き」
そう言って彼の胸に飛び込む。逞しさを増したのがすぐにわかった。
「愛してる」
言いながら腕に力を込める彼。息が漏れる。
「あぁ…」
息ができなくて苦しくなるほど抱きしめられる。ふっと彼の腕の力が緩んだ。間髪を入れず、彼の顔がアタシの顔に覆いかぶさり、唇をふさがれる。再び彼の腕に力が加わる。
「ん〜っ、…んっ、……ぅん、………ぅぅん」
むさぼるように、久々のキスを味わう彼、そしてアタシ。どちらともなく舌を伸ばす。絡めあう。
んちゅ…、ぢゅぅぅ、ぴちゃ…、ちゅっ…
無意識なのだが、アタシは目を全部閉じられない。半分だけ開けている。以前、彼にそう言われたことがあり、意識して覚えていようとしたことがあった。確かに目は閉じていなかったが、何かが見えているわけでもなかった。
「ぁふ…、んふぅぅ」
彼の舌がアタシの口内をかき回しだすと、気持ち良さがあふれ声が漏れてしまう。
アタシはされるがまま。彼の舌が生き物のように動きまわる。緩急をつけて、歯を、歯茎を、舌の裏側を、愛撫してくる。
215 :
18Rの鷹:2005/05/02(月) 19:10:35 ID:ywxodk+I
熱いキスを中断して、彼はアタシを抱き上げる。
「晶良さん、やせた?」
太くなった腕でアタシを軽々と持ち上げ彼が言う。アタシは顔をそっと左右に振り
「ん〜ん。アンタが…、アンタ、逞しくなったね」
彼の、男としての成長がうれしくて目を細める。頬がぽっと熱くなる。
隣の部屋に敷かれていた布団のわきまできて、彼はアタシを抱いたまま腰を下ろした。アタシは彼の両脚の上で体を起こし、両手を彼の首にまわす。
「好き、大好き。ねぇ、愛して…、いっぱい…、いっぱい愛して」
彼は目を合わせたままコクンとうなずき、アタシの大好きな言葉を言ってくれた。
「晶良さん、愛してる」
何度聞いても顔が熱くなる。しかも、ずいぶん久しぶりに聞いただけに、体まで熱くなった。
再び唇が重なり濃厚なキス。彼は羽毛の掛け布団を勢いよく跳ね上げ、アタシを抱えながら身を横たえた。それから唇を離し、アタシの体を真っ白なシーツの中央に寝かせた。
着ていたTシャツの裾をつかんで一気にまくり上げると、ブ厚い胸板が目に飛び込む。アタシは右手を伸ばして掌を彼の胸に滑らせる。
「男らしく、なったね」
吐く息が熱い。彼ははにかんで
「なんか、恥ずかしいや」
そう言いながら、彼はアタシの両肩をつかみ体を反転させようとする。その動きを察し、自分でうつ伏せになる。
彼の吐息が耳にかかる。彼の手がアタシの服を脱がしていく。
「このワンピース、脱がしたかったんだ」
耳元でうれしそうに言う。彼はさっとブラのホックを外し、右手をシーツと胸の間にこじ入れてくる。喜々として指に力を込めてくる。
(声…、出ちゃうぅ…)
「あんっ、えっち」
「そうだよ。ぼくは、エッチなんだ。もっとエッチなこと、するよ?」
そうしてほしいけど、さすがに言葉には出せない。代わりに口からもれるのは、
「はぁ…、あぁ…、あんっ」
熱を帯びた喘ぎだった。
216 :
18Rの鷹:2005/05/03(火) 19:31:09 ID:L/ZYbVwN
「晶良さん、体、少し持ち上げて。自分の腕で支えて」
耳を甘がみし舌を這わせながら、彼が要求してくる。
「えぇ〜? あっ…、はぅ…、恥ずかし…ぃょぉ」
抵抗を試みるが、彼は首筋に『チュっ、チュっ』と音をたててキスをして、アタシの防衛線を突破しようとする。
「晶良さん、お願い」
そう言って、彼はアタシの腕を強引にずらしていく。胸がシーツから引き剥がされていく。すぐに彼の両掌が胸を覆う。指が柔らかなふくらみの感触を確かめるようにゆっくりと動きだす。
「あぁぁ…、あぁん、はぁぁぁ」
「胸、おっきくなったね。晶良さんの胸、柔らかくて大好き」
「あっ…、ダ…メ…ぇ、感じ…ちゃ…うぅ」
快楽の世界に追い込みながら、彼がアタシに覆いかぶさってきた。お尻に熱いかたまりが押し付けられるのが、パンティ越しに感じられた。
「あっ、お尻が…、はうっ…、はぅぅ…、お尻があついょぉ」
「もう、大きくなってるの、わかる? 晶良さんに入りたがってるの、わかる?」
「ぅん、うんっ。アタシもぉ、アンタが…ほしぃ」
恥ずかしいけど、それがアタシの本音だった。アソコが濡れているのがわかった。
パンティをずり下ろされ、このまま貫かれてもいい、とまで思ったが、彼はまだまだ前戯を楽しみたかったようだ。
「んあっ!」
彼は背中に舌を這わしてくる。これまでなかった刺激がアタシに大きな声をあげさせる。
「きれいな肌。すべすべしてる」
「あぁ…、ぃぃ…、いいっ!」
彼はパンティに手をかけ一気に引き下ろし、すぐに顔をお尻に寄せてくる。
「あっ、いゃ、やっ…、恥ずかしいよぉ、ダメぇ」
羞恥心を蹂躙するように、彼は双丘を揉みしだき、柔肉を唇ではさみ、舌で嘗めてくる。
「あっ、あっ、あ〜ん、あぁ〜、はぁ〜ん」
彼が軽く爪をたてて脇腹を引っかく。
「んあっ! あっ!」
1オクターブ、声が高くなった。
217 :
18Rの鷹:2005/05/04(水) 23:13:39 ID:mfUI1FGO
ヌプっ。
「んあぁぁぁっ!」
濡れそぼったアソコに何かが挿入された。
ニチャ…、くちゅ…、ぴちゃ…
聞きたくもない淫靡な音が耳に届く。
「ぃやっ! やぁっ! だぁめぇ…よぉぉっ」
アタシがかきまわされている。彼の人指し指が、アタシのアソコをかきまわしている。
「あっ! ぅっ! んあぁぁぁっ!」
別の指が敏感な突起に触れる。頭の中が真っ白になる。
(あぁ…もっと…もっと…もっとぉ!)
もちろん口には出せない。まだ羞恥心が勝っている。でも、体は正直だった。それを彼が言葉にする。
「すごい…。晶良さん、すっごく濡れてるよ。感じる? 感じてるの?」
答えられない。彼の指がスピードを増していく。アタシは枕に顔を埋ずめ、声が大きくなっていくのを隠そうとする。
「いやっ! だめっ! やぁっ、やっ、やぁぁっ! ぁぁぁぁ、ぁ、ぁっ、…んあっ!」
ふっと意識が途切れる。
「はっ! …はぁ…はぁ…はぁ…、あぁぁ…、あっ、あぁっ!」
意識が戻って目に入ったのは、部屋の天井だった。いつの間にか、アタシは仰向けにされていた。意識はなくしていたが、口からは間断なく歓喜の喘ぎをもらしていたらしい。
アソコへ与え続けられている快感は、これまでのものとは違っているのに気がつく。『濡れた感覚』におののく。
ペロペロと、彼の舌の感覚が敏感な部分全体を襲っている。聞こえてくるのは
ぴちゃ、ぴちゃ…、ちゅぷ…、ぺちゃ、ぺちゃ…
なんて、いやらしい音なんだろう。耳が、感じやすい耳がものすごく熱くなる。恥ずかしさは最高潮なのだが、あたしの口から吐き出されているのは
「あぁ〜っ、あんっ! あんっ、あぁん、はぁ〜んっ!」
あられもない喘ぎ声だった。
意を決して目を開き、顔を持ち上げる。最初に目に飛び込んできたのは、自分の両太腿だった。そこにくい込む彼の指。アタシの両足を大きく左右に押し広げている。
218 :
18Rの鷹:2005/05/05(木) 19:28:55 ID:w7MD8Ghy
その真ん中に黒いものが見えた。夢中でアタシのアソコを嘗める彼の頭だった。彼が上下左右に頭を動かすと、ちらっと彼の舌が垣間見える。卑猥に、てらてらと濡れ輝くベロ…。
「あぁ…、あぁ…、あぁぁぁ…」
言葉が出てこない。いくら家を出る直前にシャワーを浴びてきたとはいえ、ホテルに入るなり『行為』に突入してしまった。
「シャ、シャワー、浴びてない…、だめ、だよ…ぉ」
「気にしないよ。晶良さんのだもん、きたなくなんてないよ」
「あぁ…、ああっ! ぁぁ…だめ…だめぇ」
恥ずかしくて、感じすぎて、もう目を開けていられなかった。途端に快楽の波が押し寄せてくる。
「あっ! あっ! んあぁっ! んあっ! あっ…あ────っ!」
体が仰け反り、背中はシーツを離れっぱなしだ。
「─────っ!」
また意識が遠のいた。
「はぁ…はぁ…はぁ…、はぁぁ…、はぁ…はぁぁぁ」
意識が戻りアタシは口を開けて息をする。彼はようやくアソコへの口撃をやめ、今度はおっぱいを攻めている。
右手が乱暴に左の乳房を揉みしだき、右の乳首を唇がやさしくはさんでいる。左右の刺激の差が脳髄をしびれさせる。また、声が出る。
「はぁ〜ん、あっ、あっ、あっ、あふっ、はぁぁぁ」
「いい?」
彼が硬く大きくなった乳首から唇を離し聞いてくる。答える代わりに喘ぐアタシ。
「あふっ! んあぁっ! んあっ!」
それに満足したのか、彼は左の乳首に舌を這わせてくる。歯を当ててくる。
「あんっ! あぁんっ! あ〜んっ!」
さらに、彼は右手を再びアソコにもっていき、指を侵入させてくる。
「はぅっ!」
痺れるような快感が体を貫いた。背筋に電流が走ったかのようだ。
激しく指が出し入れされ、それからクリトリスをこすられる。痛いほど目をぎゅっと閉じ、快楽の波に溺れた。
「あぁ…あぁぁ…、あぁっ! んあっ! ま…またぁ、あっ! あぁっ! あ────っ!」
219 :
18Rの鷹:2005/05/06(金) 19:31:44 ID:h9Q4ZKE2
…どのくらい意識を失っていただろう…。
重いまぶたを引き上げると、アタシの視界に入ってきたのは、大好きな彼の顔。
「…好き…」
絞り出すように、やっと声を出す。彼はにっこり微笑んでから唇を重ねてきた。ゆっくりとしたキス。彼の重みが心地よい。
かれはそっと離れると体を起こし、アタシの両足を広げていく。彼の次の行為に期待と羞恥が膨らんでいく。
さあ、いよいよ、というタイミングで、アタシははっとする。
「あっ、ダメ。きょうは危ない日なの。ねぇ、あれ、つけて、お願い」
彼もはっとした表情になり、
「あ、うん」
と言って、脱ぎ捨てたGパンからスキンの袋を取り出した。
彼はアタシの足の間で、天を衝くほど大きくなったおちんちんにスキンを被せていく。アタシは恥ずかしくって直視できず、顔を横に向けてしまう。
彼が膝を少し前にずらす。アタシの両足が持ち上げられ、そして広げられる。
目を閉じて、じっとその瞬間を待つ。彼は右手でおちんちんを握りしめ、それを上下させてアタシのアソコにこすりつけてくる。舌とも、指とも違う刺激がクリトリスに加えられる。
「ぅう〜ん、ぁっ…」
でも、それはアタシがいまほしい刺激じゃなかった。
「じ、焦らさない…で…、ねぇ…」
「どうしてほしいの?」
意地悪をする彼。
「ほ…ほしい、のぉぉ」
恥ずかしい…。
「何が?」
アタシは我慢しきれず彼の腰に手をまわして引き寄せようとする。
「あぁ…、意地悪…しないで…、入れ…て」
何を? と聞かれたら、アタシはなんと答えるんだろう。でも、それはいらない心配だった。
「あ───────っ! あっ! んあぁぁぁっ!」
一番奥まで彼のおちんちんが入ってきた。頭の中で火花が飛び散る。
純粋に毎回エロいですね
ここはエロパロ新規参入者が、たぶん一度は覗くスレ。
氏のssを読んで、発奮してほしいですね。
私も頑張りたいものです。
そういえば、今、視点が晶良モードなんですよね…うーん、こういう手で来ましたか。
>>219 >脱ぎ捨てたGパンからスキンの袋を取り出した。
なんだ、つけてるのかwww
224 :
18Rの鷹:2005/05/07(土) 19:11:59 ID:ynb0NM71
>>219の続き
ほんの数か月前、アタシの体を引き裂くような苦痛を与えるだけだった『肉凶器』。それがいまでは、とてつもない快感をもたらす『魔法の棒』に感じられた。
無言のまま、腰を前後に揺する彼。そのたびアソコから背骨を通して脳髄に快感が走り、アタシにあられもない喘ぎ声をあげさせた。
「んあっ! あんっ! あぁっ! あっ! あっ! あ──っ!」
まるで酸欠の金魚みたいに口を開けたまま喘ぐ。彼は少しも休む間をくれず、ただひたすら快楽の淵にアタシを追い込んでいった。
唐突に彼が動きを止める。やっと目が開けられた。
「はぁ、はぁ、はぁぁ」
大きく息をするアタシに彼の顔が近づいてくる。彼の胸とアタシの胸が合わさる。
「あぁ…」
うれしくて声がもれちゃう。彼はアタシの目を射抜くように見つめ、真剣な表情で言った。
「愛してるよ、晶良さん。ずっと、ずっと愛してる」
いいしれない感激が目を閉じさせる。それまでシーツをぎゅっとつかんでいた手を彼の背中にまわす。
「うれしい…。アタシも、アンタのこと、ずっと愛してる」
「うん」
彼が唇を求めてくる。むさぼるように舌を絡ませた。キスをしながら彼は動きを再開させる。少しずつ、ゆっくりと、彼がアタシをかきまわしていく。
「んっ! んんっ! んんぅっ!」
うめくようにもらすと彼はようやく唇を外し、いまさら、の質問をしてくる。
「晶良さん、痛く、ない?」
「うん、うんっ! 痛くない、よ。…それより」
「え?」
「あぁ…、モット」
「聞こえないよ?」
うそだ、と思ったが、彼がぐいと奥まで突いてきた瞬間、大きな声が出てしまう。
「あ───っ! もっとぉぉっ! もっとぉ!」
「もっと、どうすればいい?」
意地悪。アタシをこんなにも乱れさせて…。ちょっぴり彼が憎く思えてくる。
225 :
18Rの鷹:2005/05/08(日) 19:19:06 ID:fQuEnxCe
「も…っと、もっと突いてっ」
恥ずかしさで、だと思う…。言って、顔が熱くなる。
「こう、かな?」
彼がゆっくりと腰を前進させる。快感で全身が燃えるようだ。
「あっ! そ…ぉ…、ぃ…ぃいっ」
意識して、ではなかったが、アタシは彼の背中に爪をたてていた。彼は痛そうな素振りを見せずに、あたしの両手首をつかんでシーツに押し付けた。それから体を起こし、アタシを見下ろして、
「もっと、深く、入れるよ」
アタシの返事を待たずに、彼はアタシの奥深くにおちんちんを突き入れてくる。彼とアタシの間隔は髪の毛1本入れることもできないほどだ。
「んあっ! あ──っ! いいっ、いいのぉっ」
「晶良さんの中、とっても熱い。すっごく気持ちいいよ」
彼の上ずった声が遠くに聞こえる。
彼に組み伏せられ、両足を広げられて、深々と貫かれているアタシ。恥ずかしい、なのに、『次の展開』を期待している自分がいる。
あたしの脳は考えることを放棄してしまった、かもしれない。感覚が思考を凌駕したのかもしれなかった。いまはただ、快感をむさぼることを脳は命じていた。
「ぁぁあぁぁあ、…は…ぁ…あぁ…あっ」
動かない彼がもどかしい。要求を口にしろ、と脳が命じている。羞恥心をどこかに放り出して『はしたない』言葉がこぼれ出る。
「ねぇっ! もっとぉ」
顔を彼に向けるが目は開けられない。彼が落ち着いた口調で言う。
「もっと? もっと、どうすればいいの?」
「あぁ…あぁ…もっと、もっと、えぐってっ! もっと、もっと、かきまわして、ねぇっ!」
彼の顔は上にある。彼の両手はアタシの腕を押さえている。なのにアタシは乳首に刺激を感じていた。ピンっと立った乳首がぴりぴりと痺れるような感覚に襲われていた。
「んあっ! あっ、あっ、あっ、あ──っ、あっ、あっ、あっ、んあ───っ!」
彼が腰を動かす。ときにはこね回すように、あるときには杭打ち機のように直線的に…。乳首の快感は空気との摩擦が生んでいた。彼が動くたび、乳房が大きく波打った。
226 :
18Rの鷹:2005/05/09(月) 20:47:13 ID:tZfdkNHa
彼はアタシの手首を解放すると、今度は足首をつかんだ。それから、力強く広げていく。
「あぁ…ぁ、ぁ、ぁ、ぃやぁ…、だめぇ…、恥ずかしぃぃ」
アタシのお願いは聞き入れられない。足はこれ以上ないほど広げられてしまった。
アタシは恥ずかしい部分を隠そうとして、自由になった手をのろのろと動かしていく。
「だめだよ、晶良さん。よく見えないよ」
なんてこと言うんだ、アタシの彼は…。年下のくせに…いや、年は関係ないか。
「見ちゃ、やぁ」
「晶良さんの声、かわいいっ」
アタシの必死のお願いも、彼の『興奮剤』にしかなっていないようだ。彼はじっとその部分を凝視しながら、腰をゆっくり大きく動かし始めた。
電流が、いや快感が走り抜ける。また声が出ちゃう。
「はぅっ、はぁっ、ぅあっ、あっ、んあっ!」
彼がまた、アタシの足を持ち上げて動かし、自分の肩に持っていった。そのまま体重を前にかけてくると、アタシは二つ折りにされていた。腰に彼の重みがのしかかる。
「! ふ、深いっ! 奥に…、奥にぃぃ…」
顔を左右に振り、信じられないほどの快楽に耐えようとする。しかし、それは無駄なあがきだった。彼のスピードが上がる。全体重をかけてアソコに腰を打ちつけてくる。
もう声が出ているのか、わからない。アソコが、体が、脳が、すべて溶けていった。
頭の中が真っ白になっていく。意識がどこかに飛んでいく瞬間、彼がアタシの名前を叫んだのが、遥か彼方に聞こえた。
「あきら、あきら、晶良ぁぁぁぁぁぁっ」
セミの声がうるさい、そう思った。
重ったるいまぶたをこじ開けると、彼の顔がそこにあることがとっさに理解できない。もう一度、目をつぶって脳が活動を再開するのを待つ。
「晶良さん?」
彼の呼びかけが唐突にアタシの意識を現実に引き戻した。
「あぁ…、好き、よ。アンタ、大好き」
「ぼくも。晶良さん、大好き。愛してる」
その言葉に満足して、アタシはまた目を閉じた。そのまぶたに彼の唇が触れる。
227 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/09(月) 20:51:58 ID:XOr4jXGH
228 :
18Rの鷹:2005/05/10(火) 20:20:03 ID:9Jd4jAbL
「ん…ぅん…」
くすぐったくて、気持ちがいい。
「聞こえないね」
「え?」
びっくりしたように顔を上げる彼。
「さっき、ね。セミの声がうるさいって思った」
「う、ん」
彼が困ったような顔つきになる。
「アンタがさ、アタシのこと、いじめるから…。アタシ、壊れちゃったのかな」
ちょっぴり非難の意を込めて、彼をにらんでやる。彼は予想以上に狼狽し、
「え…、そ、そんな、こと、ないよっ。いじめるなんて、そんなこと、ないって」
そんな彼がおかしくって、つい意地悪したくなってしまう。さっき、いろいろと恥ずかしい思いをさせてくれた復讐、そんな気持ちもちょっとはあったが…。
「そぉお〜? アタシが恥ずかしがるの、楽しんでたでしょぉぉ?」
「い、いや…ぁ、え…っと、そのぉ」
彼は真っ赤になった顔をぷいと横に向けて、言い訳がましく言った。
「だって、かわいいんだもん」
「もおっ、ばか」
「あは。でも、ほんとのこと、だよ?」
大好きな笑顔を見せて彼が答える。アタシは彼の頭に手を伸ばし引き寄せた。唇が重なり舌を絡める。
「ん…、ぅぅん、んあっ」
彼がまだ硬いままのおちんちんを動かす。後戯にしては刺激が強く、大きな声が出てしまう。
「だめぇ、休ませてぇ」
「え? あ、うん」
彼が戸惑っている。その顔には、そんなつもりじゃないのに、って浮かんでいる。彼は名残惜しそうに腰を引いていき、おちんちんをアタシから引き抜いた。
「ぁぁん」
彼がアタシから出ていったとき、最後の快感が走った。アソコはまだジンジンしている。
大きく息をつきながらアタシの横に寝転がる彼。
「はい」
と言って差しだした彼の左腕に、アタシはちょこんと頭を乗せた。
229 :
18Rの鷹:2005/05/11(水) 23:38:31 ID:4Ikhfsk0
「ごめん」
彼がいきなり謝ってくる。
「? ん〜、なにがぁ?」
「そのぉ、久しぶりだったから…」
「なによ、わかんないよ?」
顔を横に向け、上目遣いで彼を見る。なんでだろう、彼は本当に申し訳なさそうな表情をしている。胸騒ぎがしてくる…。
「晶良さんとずいぶんしてなかったから、早く出しちゃった…。ごめん」
杞憂もいいとこ、だ。あきれて声が出てこない。ドキドキして損した気持ちになる。…ったく男ってヤツは、んなことばかり気にしてんの〜!?
「ばかものぉ。早いとか遅いとか、女のコにはなんだっていーの。好きな人と抱き合えるがいいの」
諭す。彼は半信半疑な視線をアタシに投げて、なおも聞いてくる。
「ほんと?」
「ほんと、よ」
強く言いきる。納得したのか、彼の表情がぱーっと明るくなり、
「ねぇ、晶良さん」
「なによ?」
「感じた?」
「へ?」
彼の言ってる意味がすぐにはわからず、変な声を出してしまう。
「だから、さ。良かった、かなぁ?」
やっと質問を理解したアタシは彼に背中を向け、真っ赤になって吐き出す。
「知らないっ!」
めげない彼は背後からアタシの肩にそっと手をかけ、
「かわいい、晶良さん」
などと、うれしそうに言う。
「もぉぉ」
ため息まじりでもらしたアタシは、太腿のところに冷たい感触を覚えた。
「あれ?」
と言いながら身を起こす。
カイト・・・絶倫だねぇ・・・
231 :
18Rの鷹:2005/05/12(木) 20:51:45 ID:lvRbxIAA
冷たい、と感じたシーツのところを掌で探り、アタシはますます真っ赤になる。そこは、ちょうどアタシのアソコがあったところ。直径30pほどもある濡れ染みができていた。
「こんなに濡らしちゃった…。アタシ、はしたない女…だね」
目を伏せて自嘲気味につぶやく。と、言い終えるかというタイミングで彼が
「そんなことないよっ。晶良さんは、その…、かわいくて、きれいで、素敵な女性だよっ」
彼のあまりの慌てぶりに笑ってしまいそうになる。そして、気持ちがじんわりあったかくなった。
「アタシね…、いっぱい、感じたよ。おかしくなっちゃうんじゃないかって思ったくらい」
「愛してる」
彼は真剣な顔をして、アタシの目を見つめて言う。照れくさい、それにアタシは現実に戻っていた。
「…ねぇ。汗、いっぱいかいちゃった。お風呂…、シャワー浴びたいな、アタシ」
何を考えたのか、彼はごくりとつばを飲み込んだのがわかった。
「こらっ。きょうはもうできません。アタシはもう、ごちそうさま」
「え〜っ!? 久しぶりに会えたのにぃ。いっぱい、いっぱい晶良さんとしたいよぉ」
「アタシのこと、愛してるんでしょ? たまにはアタシの言うこと、聞きなさいよね」
彼はなおも不満そうにブツブツと言う。
「だって、だってさ…」
してるときとは大違いの彼。思わず知らず、お姉ちゃん気質を刺激される。アタシはやさしく彼の頭を撫でて、
「アタシね、アンタのものだよ。だからね、そんなに焦らないの。がっつかないの」
「…うん」
なんか、かわいそうにすらなってくる。それでも心を鬼にする。っていうか、彼のこーゆー顔に何度だまされたか、記憶がよみがえってきていた。
「また、今度っ!」
歌うように、楽しげに、アタシは彼に最後通牒を突きつけた。彼は口を尖らせ、さも不満そうにもらす。
「ちぇ〜」
アンタは子供かっ!? 心の中でツッコミを入れている。
「さっ、シャワー浴びに行こ?」
両手を大きく広げて彼を迎える。アタシの望みどおり、彼は軽々とアタシを抱き上げてくれた。
「2つ下なんて思えないよ。男、って感じ。頼もしい!」
目を合わせて褒めまくる。彼は恥ずかしげに、それでいて誇らしげな笑顔を見せた。
相変わらずピンポイントな萌えですな
個人的にはかなり感情移入出来てますよ
お疲れ様です。
鷹さん、エロくて大変楽しんでおります。
なんとなく、風呂場でふぇらーりがありそうに思えるのは私だけ?
いや、君だけではない
みんながそう思っているのだ
235 :
18Rの鷹:2005/05/13(金) 23:11:24 ID:ZYeeLulb
「次のデートなんだけど…。いつ会えるかな?」
1回しかできず不完全燃焼だったせいか、気が急いている。帰りに寄ったファストフード店で、ガムシロップとミルクを2つずつ入れたアイスコーヒーを一気に半分ほど飲んで、ぼくは聞いた。
「ん〜」
はぐらかそうとしているのか、晶良は生返事だ。ぼくはことさら真面目な顔をして、
「ぼく、覚えてるからね」
強く言いきる。晶良は観念したように、
「あ〜ぁ。変なことはちゃんと覚えてるんだからぁ。きょう勉強したとこ、ちゃんと覚えた?」
「だめだよ、晶良さん。話、そらそうとしたって。勉強も、お弁当の話も、ちゃ〜んと覚えてるもんね」
あきらめたように2度3度、力なく顔を左右に振る晶良。
「知らないよ? お腹、壊しちゃっても…」
「い〜の。で、晶良さん。テニス部の練習試合、いつなの?」
いつになく往生際が悪い晶良は、この期に及んでまだぶつぶつ言ってくる。
「受験勉強に集中したいってのにぃ。料理の勉強なんて、してる時間ないのになぁ」
「晶良さんはなんでもできる素敵な女性だって、ぼく信じてるから」
このとき、ぼくは晶良のことを半分も理解していなかった。それを思い知らされるのは半月も先のことではあったが…。いや、これから先、何度も何度も思い知らされることになるのだが…。
それはともかく、晶良はようやく覚悟を決めたようだ。深く息を吸い込むと、スケジュール帳をバッグから出して広げ、
「試合は来月、秋分の日の次の日。23日の日曜日、ね。会場は横浜。時間は10時から」
「うん、わかった」
ぼくも自分のスケジュール帳を出して、そこに時間と場所をメモする。
「いい? 会場に入るまでは一緒だけど、中では別行動よ」
「えっ!? なんで?」
「恥ずかしい、から」
「ぼくが? 一緒にいるのがぼくじゃ、恥ずかしいの?」
悲しい気分になる。が、
「違う違う。普段は厳しい先輩がぁ、彼氏と一緒にいてデレデレしてたらぁ、これから試合する後輩たちにしめしがつかないでしょ」
「まぁ…、そうかな」
236 :
18Rの鷹:2005/05/14(土) 20:35:18 ID:BuvFQ+RO
晶良の気持ちもわからないじゃない。もし逆の立場だったら、見せびらかしたい気持ちがある半面、やっぱりどこか照れくさい。
「朝ご飯はちゃんと食べてきなさいよ。お昼は、試合が長びいたら遅くなっちゃうからね」
人指し指をぼくに突きつけて言う晶良。まるで脅迫だ。
「わかった。で、晶良さん、何、つくってきてくれるのかな」
「う〜ん。おにぎり、かなぁ。それならアタシでも失敗しないと思うし…」
「おにぎりだけ? おかずもほしいなぁ」
晶良は困り果てた顔をして、
「はぁ〜。アンタ、何が食べたいのよ」
「ぼくねぇ、卵焼きとトリのから揚げが好き。あと、ハンバーグも!」
「そ、そんなにぃ〜!? 徹夜になっちゃうじゃない!」
真顔で驚く晶良がかわいくて、思わず吹きだしてしまう。
「あはは。だいじょぶだよ。前の晩にちゃんと下ごしらえしとけば、ぼくだって1時間かかんないよ」
「簡単に言ってくれちゃってぇ。アタシの家庭科の成績、知らないから言えるのよ、それ」
あまりにも真剣に言う晶良。最初は冗談半分かと思っていたが、ちょっぴり心配になってきた。
「えっと、晶良さん。料理、したことあるんでしょ?」
「ぜんっぜん!」
なぜか胸を張って答える晶良。不安がドス黒い霧となって、ぼくの周囲を包み込む。
「げっ!? ほ、ほんとにぃ〜?」
「アンタ。いまさら、アタシのお弁当、食べたくないなんて言わないよね」
「い、いや、そ、それは…。あ、あの、えっと、そうは言わない、けど」
「なに、どもってんのよ。アンタがそんなに楽しみにしてるんなら、って、アタシ、その気になったからね。もう、後戻りはできないわよ」
まぁ、そんなにひどいものを食わされるわけじゃないだろう。
「うん。楽しみにしてる」
覚悟を決めて、にっこり笑った。額に汗はにじんできていたが…。
「じゃあ、図書館に逆戻り、よ」
「えっ、なんで?」
「お料理の本、コピーしてこなくちゃ。ん〜、卵焼き、トリカラ、それにハンバーグだっけ」
その気になった晶良が頼もしくもあり、ちょっぴり心配でもあった。
237 :
18Rの鷹:2005/05/15(日) 23:05:41 ID:a3kZvr53
9月23日、日曜日。天気は秋晴れ。ようやく残暑も消えうせ、すっきりとした空気が気持ちいい。
高校生になってから、すっかりコーヒー党になった。といっても、砂糖にミルクはたっぷり入れなければ苦くて飲めないけど。トーストを2枚たいらげ腹7分目くらいで朝飯は終了。
(しっかり食べといて、って晶良さんは言ってたけど…、空腹は最高の調味料って言葉もあるし)
出掛ける前に歯を磨いて、ぼくはスニーカーをつっかけた。
待ち合わせの駅。この日は晶良が乗ってくる電車のホームの端で待つ。2本、電車をやり過ごす。その次の各駅停車が止まると、ドアから晶良が顔をのぞかせ手招きする。
「おはよう! 晶良さん」
「おはよ」
視線を絡ませ、あいさつをかわす。こころなしか晶良の瞳が潤んでいるように見える。
(試合を見た後は、ホテルで晶良さんのお弁当食べて、それからデザートに晶良さんを…ごくっ)
などと不埒なことが頭をよぎる。晶良はフニャっと表情を崩し
「ふぁ〜、ん〜」
あくびをしてから伸びをする。
「あは。なんか猫みたいだね」
そう言うと晶良は、
「猫はお弁当、つくったりしないよ。おかげで寝不足だわ」
よく見ると、晶良の手にはいくつかの絆創膏。
(わぁ〜、ぼくのために一生懸命つくってきてくれたんだ)
感激する。さらによく見ると、晶良は見慣れないパンツを履いている。
「あれ、晶良さん、きょうはスカートじゃないんだ」
「ん。まぁ、何があるかわかんないからね。アタシが試合するわけじゃないけど、動きやすいカッコのほうがいいと思ってさ。そーいえば、初めてだったっけ、アタシのパンツ姿を見せるのって」
パンティ姿は見たことあるよ、とは、もちろん言えない。
「よく似合ってる。ボーイッシュな晶良さんもいいね」
「それって、アタシが女っぽくないってこと?」
「そ、そんなことないって。晶良さんはかわいくって、きれいで、素敵だって」
慌てて言ったら、つい声が大きくなってしまう。
「しっ! 人に聞かれたら恥ずかしいでしょ」
空いた車内を見回しながら、絆創膏を巻いた人指し指を口に押し当てる晶良。
238 :
18Rの鷹:2005/05/16(月) 20:29:01 ID:hjFVwKiW
目的の駅まで30分ほど電車に揺られる。車内で晶良は試合会場のこと、練習試合のこと、テニス部のこと、いろいろ話してくれる。目がきらきら輝いている。
この日の試合はどちらかの高校で行うのではなく、秋季大会の舞台となるテニスコートを使うのだという。本番に向けてモチベーションを高めていく目的もあるわけだ。
電車を降り、駅前からバスに乗る。10分ほどで競技場前という停留所に到着。
「懐かしいなぁ」
競技場を見ながら、晶良が目を細めている。きっと、選手としてここに乗り込み、テニスコートを駆けまわった日々の記憶に浸っているのだろう。ぼくは晶良の横顔を黙って見つめていた。
「じゃあ、アンタはスタンドに行ってて。アタシは後輩たちに気合つけてくっから」
そう言って晶良はバッグをぼくに放り投げるようにして渡し、右手を軽く振って行ってしまった。
さして大きくないスタンドの中段に腰を下ろす。コートでは相手高校の女子部員がアップを終えたところだった。ほどなくして、朝陽高等学校テニス部の面々がコートに姿を現した。
「集合!」
部長なのだろう、その一声で空気がピンと引き締まった。整列する部員の前に晶良が登場する。空気がさらに緊張したのがわかった。
「速水先輩っ、おはよーございますっ!」
部員一同の声が響き渡る。ぼくは恋人の存在感に驚かされる。自分の知っている晶良はそこにいなかった。
「おはようっ! きょうは練習試合だと思わず、本番のつもりで相手をブッつぶしてこいっ! 以上」
かなり離れてはいたが、晶良の声ははっきり聞こえた。
(すごいっ…)
晶良の檄一発で部員たちの目に炎が灯ったのが見えた、気がした。
後を次いで部長(らしき女性)が訓示するが、迫力の違いは明らかだ。それが終わり、いっせいにコートに散ってアップを始める部員たち。そのなかの一人が晶良の前に行くと、
「先輩っ、アップ、付き合ってくださいっ」
と叫ぶように言った。晶良は上着を脱いで承諾の意を相手に伝えると
「よしっ」
と自分自身に気合を入れるように大きな声を出した。それから晶良はマネジャーらしき女性に上着を手渡し、軽いストレッチをした後、ラケットを受け取ってコートに立った。
何度か素振りをしてから、構えた相手にものすごいサーブを繰り出す晶良。
239 :
18Rの鷹:2005/05/17(火) 21:41:13 ID:bo012HPj
まばたきもできず、晶良の躍動する姿に見惚れていた。しばらく見ているうちに、ようやく目の前で繰り広げられる光景の意味を理解できた。
(晶良さん、すごいっ)
晶良は相手の打つボールをほとんど同じところに打ち返していた。それに対して相手は同じように打ち返せないでいる。つまり晶良は前後左右上下に振られているのだ。
にもかかわらず晶良は最小限の動き、まったく無駄のない動きでボールに追いつき、なおかつ相手にとって最も打ちやすい位置に打ち返しているのだった。相手は半歩も動いていなかった。
ところが…、
「あっ」
後輩がミスショットして声を出した、気がした。ボールは晶良の右側に大きくそれていく。そのボールにはとても追いつけない、そう思ったのはぼくだけではないだろう。しかし、晶良だけは違った。
「はっ!」
気合一閃、目にもとまらぬ速さでボールにダッシュしていった。
次の瞬間、ぼくの目に飛び込んできたのは、倒れこむ晶良の姿だった。ラケットを放し、自分の左足首を押さえてうずくまる晶良。ぼくは我を忘れて走りだしていた。
「待ってっ」
痛みで顔をしかめた晶良は、右手を上げて駆け寄る後輩たちを制止する。その動きはぼくに向けられたものでもあったはずだ。ぼくは最前列を越えてコートに飛び降りようとしたところだった。
「だいじょぶ、だから」
上げた顔に微笑みさえ浮かべ、晶良は取り囲んだ後輩たちに言い放った。でも、ぼくにはわかった。晶良が心配をかけないように痛みを我慢しているってことを…。
「ん〜、わるいっ。受験勉強で体なまってたかな。さっ、みんな、アップ続けて」
気丈にも晶良はだれの助けも借りずに立ち上がり、しっかりとした足どりで歩きだす。後輩たちに背を向けた瞬間、晶良はぼくのほうを見てウインクし、出口のほうに視線を送った。
ぼくは晶良の言いたいことを理解した。座っていた席に急いで戻り、バッグをつかんで一目散で走っていった。
「みんなっ、頑張ってねっ!」
コートを後にする瞬間、晶良は振り返って両手を口のところに持っていき、大きな声で叫んだ。
「ウォッス!」
全員が声を張り上げた。でも、ぼくの耳には何も聞こえなかった。ただ、晶良が心配だった。
エロじゃないとこも………(・∀・)GJ!!おもしろいですな。
241 :
18Rの鷹:2005/05/18(水) 21:29:56 ID:ULTFFyN4
「えへへ、ごめん、ね。あぃたたた…」
「だいじょぶ? 晶良さん。痛い?」
「よゆー」
ほんの少し強がった晶良だが、表情に余裕は見られなかった。
「…でもないかな。…古傷、なんだ。1年のときにやったとこ、また捻挫しちゃった、みたい」
顔をしかめる晶良。その表情で痛みを理解したぼくは、晶良に背を向けてからかがんで、
「はい、晶良さん。おんぶ、するから」
「そんな…。いやよ、恥ずかしいじゃないの」
「恥ずかしがってる場合じゃないでしょ、晶良さん」
イヤも応もない。そんな場合じゃない。そう思うと急に涙が込み上げてきた。
「晶良さん! ぼく、そんなに頼りにならない? ぼく、晶良さんの役に立ちたいよっ!」
背中で晶良の様子を探る。しばしの沈黙。晶良は涙声で、
「…ごめん。…アタシ、さ、強いお姉ちゃんでいなきゃ…って無理してた。…ねぇ、アタシを助けて」
「もちろんだよ! さあ」
背中にもたれかかった晶良から、押し殺したようなすすり泣きが聞こえる。
「晶良さん、痛い?」
「ぅぅん、アンタと付き合ってよかった、って思ったら、涙が出てきちゃったよ」
ぼくは大切な女性の重さをしっかり受け止め、
「ぼく、2つ下だけど、もっとしっかりした男になる。晶良さんにふさわしい男になるよ」
返事はなかった。背中に小刻みな振動を感じた。そして、首に回された晶良の掌に力がこもる。
「つっ…」
晶良の人指し指と中指と薬指の爪が肌の柔らかいところに食い込む。その時、脳裏に声が響いた。
(………………三爪痕(トライエッジ)を知っているか?)
辺りをきょろきょろと見渡す。だれもいない…。気のせいだと思うことにした。
晶良をおんぶしてバス通りを歩く。背後から心配そうな声が聞こえる。
「ねぇ、無理しないで。バス停で待ってようよ。バスこなかったら、タクシー拾おうよ」
「うん。でも、歩きたいんだ。晶良さん。愛してるよ」
「…ばか。なんで、こんなときに…そんな…こと、言ってんのよ」
晶良が泣いているのがわかった。ぼくはなんともいえない幸せをかみしめて、足を前に動かしていった。
早速G.U.ネタキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
なんだ?この神スレは
しかしよくこんなにネタ思いつけるなぁ
文章作るのも上手いし
神ゆえに
245 :
18Rの鷹:2005/05/19(木) 21:26:32 ID:lDn9Dpc4
結局、駅まで歩いてしまった。駅前に病院を見つけて、
「晶良さん、保険証、持ってる? 診てもらおうよ」
「うん、持ってるよ。捻挫だと思うけど、早めに治療してもらったほうがいいよね」
日曜日だったが診察はしてもらえた。待合室には2人いたが、科が違うのか、座って間もなく晶良は診察室に呼ばれた。
肩を貸してドアのところまで付き添う。入る際、晶良は少し心細げな表情を浮かべ、
「待っててね」
とつぶやいてドア向こうに消えた。パタンっと乾いた音をたててドアが閉なった。
ぼくは待合室の長椅子に腰掛け、見るとはなしにテレビの画面のほうを向いていた。天気予報が、きょうはさわやかな陽気で行楽日和の一日になるでしょう、と告げていた。
晶良を心配する不安な気持ち、晶良のためになれた誇らしい気持ちが入り混じり、考えをまとめられずにいた。時計の音が妙に大きく感じられた。
20分たったとき、不意にドアが開く音が響いた。左足に包帯を巻いた晶良の姿が目に飛び込む。ぼくはすぐに駆け寄り、心配そうに聞く。
「大丈夫?」
「うん。骨に異常はないって。やっぱり捻挫だったわ」
お金を支払い、病院を後にした。
「でも、ごめんね。こんなにいい天気なのに」
ぼくの背中で晶良が本当に申し訳なさそうに言う。
「気にしないでよ、晶良さん。晶良さんをおんぶできるなんて、ちょっと幸せ」
「これがほんとのケガの功名、ね」
痛みはそれほどでもないのだろう、冗談を言って微笑む晶良に安心した。
駅のホームに上がると、ほどなく電車がきた。車内は人もまばらで座ることができた。
規則正しい電車の振動に身をまかせる。晶良が診察室でのことを話してくる。
「レントゲン撮ってね、湿布してもらって、ホータイ巻いて、それで終わり。あとは家の近くの病院に通ってくださいって」
「よかった、骨折とかじゃなくて。晶良さんがコートに倒れたときには心臓が止まるかと思ったよ」
「心配かけて、ごめん。…あ〜ぁ、アタシも年かなぁ。はぁ〜」
「そんなことないよっ。受験勉強漬けで、運動不足だったんだよ、きっと」
ムキになって言うぼくに、晶良はうれしそうに笑顔を見せた。
246 :
18Rの鷹:2005/05/20(金) 21:05:33 ID:R1W7gLhj
晶良の降りる駅に到着。当然のように荷物を持って降りようとするぼくに、晶良は
「アンタ。どこまでくる気?」
びっくりしたように聞いてくる。晶良の言ってることの意味が理解できない。
「どこって、晶良さんの家まで送るよ、もちろん。その足じゃ歩けないでしょ」
「そ、それはそーだけど。でも、だって、そんな…」
なにを気にかけてるんだろう、この人は? 晶良がなにを考えているのか、なにを言いたいのか、全然わからなかった。言葉を探していると、晶良が口ごもりながら話しだす。
「初めてウチにきてもらうときは、もっと、こう…。ん〜! なんか、違うっ」
やっとわかった。なんだ、そんなことを気にしていたんだ、と思う。女のコらしい晶良の恥じらいに、思わず笑みがこぼれてしまう。
「あは。こんなことでもなければ、いつ家に招待してもらえるかわかんなかったから。ぼくはちょっとうれしいかな」
「んもぉ〜。人がケガして痛がってるってのにぃ。ひどい人」
頬を赤く染めて、上目遣いでぼくをにらんでくる晶良。だが、その目には感謝の気持ちが込められているのが読み取れた。
「だから、晶良さんを大事におんぶしていくよ」
「う、ん。よろしく、お願い、します」
ぺこりと頭を下げる晶良。
「いやだなぁ、晶良さん。男として、当然だよ」
頭をかきながら答える。顔が熱くなったのを自覚していた。照れ隠しに晶良に背を向ける。
「さ。晶良さん」
「ん。ありがと、ね」
晶良を背負い力強く歩きだす。エスカレーターに乗って下に降り、改札をくぐって外に出る。人目なんて全く気にならない自分が、ちょっぴり不思議だった。
そのとき、
「晶良っ、晶良じゃないっ!」
叫ぶような女性の声が背後から聞こえた。ぼくは立ち止まり、声のしたほうにゆっくり振り返った。声の主が視界に入る。
「やっぱり晶良だ。どうしたの? その足…」
きれいな女性だなぁ。それが第一印象だった。
新キャラ登場?
248 :
18Rの鷹:2005/05/21(土) 23:33:07 ID:ltFd00+x
その女性は駅前にあるケーキ屋さんから飛び出してきたようだった。エプロンに入ったロゴと、後ろに見えるお店の看板の文字が一緒だったから、そう思った。
「翔子! ぃやぁ、実はテニス部の練習試合に応援に行ってさぁ…」
バツが悪そうに話す晶良の声が耳にくすぐったい。それを聞いた「翔子」と呼ばれた女性は、
「晶良ぁ。彼氏にいいカッコ見せようとして、頑張りすぎたんでしょ?」
腰に両手を当てて胸を張り、それでいて涼しげな視線を向けてくる翔子。その表情は、あきれているというより、とても温かみのあるものだった。
(晶良さんとすごく仲のいい女性なんだろうな、翔子さんって)
態度、口調からそんなことが推察できた。
「翔子には、なにもかもお見通しだね。きししし」
「その笑い方、よくないよ」
晶良がやり込められているのが、なんともおかしかった。ぼくはくすりと笑いを漏らす。
「なに、笑ってんのよぉ」
背中で晶良が暴れる。慌てて、
「ごめんごめん。ねぇ、晶良さん、友達? 紹介してよ」
「あ〜、うん。アタシの親友でねぇ、翔子、ってゆーの。えっと、ほら、こないだ、ザ・ワールドのイベントで会ったでしょ? Syuaよ」
「あ、っと。初めまして。カイト、です」
ニコっと微笑みかけて、晶良を背にしたままペコリと頭を下げた。顔を上げると、
「翔子です。晶良とはなんでも話す仲よ。ま、…くされ縁、ていうのかな。よろしく、ね」
魅力的な笑顔を見せながら翔子は自己紹介をした。艶やかな長い黒髪を後ろで束ねている。
「それにしても、やさしい彼氏だね、晶良。ずっと、おんぶしてきてくれたんだぁ」
「えっ、えっ? まあ、そーかな。えへへ」
「なんか、さ。晶良にはもったいない」
真ん中にいるぼくを無視して、女子高生2人がおしゃべりに興じている。しばらくはそれを黙って聞いていたが、あることに気がついたぼくは、
「あの…、翔子さん? アルバイト、いいんですか?」
はっとして右手を口にあてる翔子。
「いっけない。そーだ、アルバイト中だったんだ、私。いきなり晶良がそんな格好で前を通るから、ビックリして、つい。…そーだ、晶良、なんか買っててよ。ウチのケーキ、すっごく美味しいのよぉ」
249 :
18Rの鷹:2005/05/22(日) 20:11:45 ID:GXwhG5jP
「ケーキかぁ。晶良さんちの人、好きかなぁ」
これから初めて訪ねる恋人の家に持っていくお土産として、ケーキは申し分なく思えた。
「ウチはみんな、ケーキ好きよっ。もちろんアタシも、ね」
無邪気に言う晶良にニッコリとうなずき、向き直って、
「それじゃあ翔子さん、とびきりおいしいのをください」
とリクエストする。翔子も魅惑的な笑顔をぼくに投げかけ、
「あら。ウチのケーキは、どれもあなたたちみたいに甘〜いわよ?」
冷やかしてくる。ぼくも晶良も顔を赤くし沈黙してしまう。
「ふふふっ」
声を出して歌うように笑いながら、翔子はお店のほうに歩いていった。慌てて後を追う。
ショーケースの後ろにまわった翔子がさっさと何種類かのケーキを箱に詰めていく。
「翔子ぉ、アタシ、まだ注文してないよ」
戸惑いながら晶良が小声で翔子に話しかける。
「実は、晶良のお母さん、よく買いにきてくれるんだ。だから、晶良んちの人の好きなケーキ、だいたい覚えてるんだ」
箱に4種類のケーキを1つずつ入れたところで翔子が答えた。
(4つ、ということは、ご両親と文和くん、それに末っ子の幸太くん、か)
「で、晶良と彼氏はどれがお好み?」
翔子にうながされて、はっとし、振り返って晶良に聞く。
「えっと、晶良さんはどれがいいの?」
「ん〜。アタシはぁ、イチゴのショート!」
「じゃあ、ぼくもそれ」
「あ、そうだ。翔子、それ、もう1つ、入れといて」
(晶良さん、2つ食べるつもりかな。自分に対するお見舞い、とか?)
首を傾げていると、晶良がささやく。
「言っとくけど、アタシが食べるんじゃないからね。いいから、ね」
「あ、うん」
納得できずにいたが、返事だけはしっかりする。箱詰めを終わった翔子に
「それじゃあ、レジでお会計してね」
と言われ、ぼくは財布を出した。
いつもながら素晴らしいのですが…
弁当フラグは…
251 :
18Rの鷹:2005/05/23(月) 21:33:58 ID:R/cV1H20
翔子はもう一度お店の前まで出てきて、ぼくたちを見送ってくれた。
ぼくの胸の前で晶良が持つケーキの箱が揺れている。
「ねぇ、タクシー捕まえよーよ。アンタ、大変でしょ」
晶良にそう言われるが、ぼくは歩いていきたかった。
「いいよ、…いいんだ。だって、これから晶良さんの家には何度もくるだろうから、一人でくるときのために早く道順を覚えなきゃいけないし」
返事はなかった。しばらくしてから、ぼくの後頭部に伏せていた晶良が顔を上げ、ひとり言のように、それでいてうれしそうにつぶやいた。
「うんっ。…これから…、か。そーだね。…これから、かぁ」
将来のことなんてわからない。でも、いまのぼくには晶良と別々の人生を歩いていくなど考えられなかった。
「あ、そこを右ね。曲がったら、しばらくまっすぐ」
コントローラーの操作どおりに動くPCのように、ぼくは晶良の言うままに歩く。晶良の暮らす街が興味深くて、ぼくはきょろきょろと辺りを見まわしながら歩いていった。
「そこの角を曲がったところがウチ」
少しドキドキしてきた。いや、かなり緊張してきた。
(えっ…と、自己紹介からだよね。でも、まさか、晶良さんの彼氏です、なんて言えっこないし…。どーしよー!? いや、晶良さんをおんぶしてる、この状況をなんて説明すればいいんだろう?)
ここまできて気持ちが右往左往している。われながら情けなくなるが足は勝手に動くし、そうすればイヤでも晶良の家に近づいていく。
晶良はあっけらかんとして、ぼくの背中越しに右手を伸ばし、人指し指をピンと前に突きだして、
「あ、あそこ! あれがアタシんち」
いよいよ、だ。こんな気持ちは初体験の日(ちなみに失敗した日だが…)以来だ。ぼくはごくっとつばを飲み込み、深く息を吸い込んで覚悟を決めた。
ずんずんと晶良の家に接近し、一気に門を開ける。ガラガラガラ…。門扉が動く音がやけに大きく聞こえた。玄関を前に足を止める。インタホンに指をもっていこうとしたそのとき、
「アタシぃぃ〜。ただいまぁ〜、だれかいるんでしょぉ、ドア、開けてぇ〜」
晶良の大きな声がぼくの鼓膜を激しく振動させた。思わず片目をつぶる。数秒の後、
「こらっ、晶良。女のコなんだから、そんなに大きな声、出すもんじゃないぞ」
野太い声とともにドアが開いた。
252 :
18Rの鷹:2005/05/25(水) 01:48:21 ID:aN+s1glk
晶良のお父さんだと、すぐわかった。その男の人はおんぶされた晶良と、おんぶしているぼくの困った顔を大げさな動作で交互にながめ、
「晶良、どしたんだぁ?」
緊張感のかけらもない、のんびりとした調子で聞いた。つっ立ったままのぼくの背中で
「ちょっと捻挫。テニス部の練習試合でね、後輩のアップの相手しててさ」
きまり悪そうに答える晶良。お父さんは無言で後ろにまわり、晶良をぼくの背中から引き剥がした。そうして晶良を抱えてスタスタと家の中に入っていってしまった。
晶良の視線とぼくの視線が絡む。まるで、無理やり別れさせられる恋人同士のように、お互い悲しい目をしていた。ボー然と立ちつくしていたら、
「お〜い、きみ。上がって上がって。さあ、遠慮なんていらないから」
お父さんが顔だけ振り返って、ぼくを呼んでいる。
「あっ、はいっ」
慌てて返事をして、ぼくは急いで玄関に入りドアを閉めてから靴を脱いだ。家に上がって、お父さんの後を追う。
さして広くない、というより標準的な日本の家なのだが、ダンジョンを歩いているような錯覚に陥る。と、お父さんが左に折れた。意識が現実に戻り、はっとする。
そこはリビングだった。数歩遅れてぼくが入ると、お父さんは椅子に晶良を座らせているところだった。そばにいたお母さんが包帯を巻いた晶良の足を見て、心配そうに声を出す。
「晶良っ、どうしたの!? 大丈夫なの?」
晶良は小さくなって、
「心配かけて、ごめん。捻挫しちゃった」
両親を交互に見て言った。お父さんはぼくの存在を思い出したようで、晶良に問いかける。
「そういえば、晶良。こちらの男性は?」
「あ、あの…、アタシの、ボーイフレンド、なんだ。ずっと、おんぶしてきてくれた、んだ」
いつになく歯切れの悪い晶良のもの言い。きっと、ぼくのことは一度も話したことがないのだろう、と想像できた。
晶良の言葉を聞いて、まずお母さんが大げさに驚いた顔をして、
「まあ、それは。どうもありがとうございました。ったく、ウチの娘ときたら、まったく、お転婆で…。あなたもお困りでしょう? ほんとにもぉ」
頭を下げながら話す。
253 :
18Rの鷹:2005/05/25(水) 20:00:56 ID:er/Egcle
それを聞いた晶良は、
「え〜!? お母さん、ひどぉい。そりゃあ、おしとやか、とは言わないけどさぁ…」
不満そうに頬を膨らませ抗議する。そんな娘をなだめるように、お父さんが口を開く。
「…にしても、晶良が彼氏をウチに連れてくるなんてな。晶良もそんな年か…」
言って、飲みかけのお茶を口にすると、口元に笑みを浮かべて、ぼくのほうに向き直った。
「なかなか好少年みたいじゃないか、晶良」
ぼくはドギマギして、一度座った椅子を倒しそうになる勢いで立ち上がり、あいさつをした。
「あの、初めまして。カイトといいます。晶良さんとは、その、いいお付き合いをさせてもらってます」
うまくしゃべれずホゾを噛む。
(もっと、しっかりした男って印象付けたかったのにぃ。なんか、芸能人の記者会見みたいだ…)
そんなぼくを目を細めて見ていた晶良が両親に向かって言う。頬が赤く染まっている。
「アタシの大事な人、だよ。アタシより2つ下だけど、ずっとしっかりしてるんだ」
ぼくは照れてうつむき、頭をかいた。
「そういえば、きょう行った競技場は遠かったんじゃないか。そこからおんぶしてきてくれたのか?」
あらためてお父さんが聞いてくる。
「うん!」
なぜか得意げに答える晶良。お父さんはあきれたようにぼくを見て言う。
「さっき、晶良のこと抱えたけど、体育教師をしてるお父さんが、ずいぶん重くなったなぁって思ったんだよ。よくもまあ、ここまでおんぶしてきたもんだ」
「そんなぁ。晶良さんは全然重くなかったですよ」
晶良のてまえ反論したが、実はバテバテだった。
「そーよ、そーよ。オトメに重いは失礼よ、お父さん。女子生徒から嫌われちゃうわよ〜」
(オトメは、違うんじゃないかな)
などと心の中でツッコミを入れてみる。
「はっはっは。そーか。年頃の女のコに重いって言っちゃまずいか。はっはっは」
豪快に笑うお父さん。
(ん〜。なんとなくだけど、晶良さんって、お父さん似かも)
そのとき、ぼくのお腹が「GU」と鳴った。
「あら、アンタ。お腹すいてんだ」
「うん。あ、そうだ、晶良さん。お弁当、食べていいかな?」
>>253 >ぼくのお腹が「GU」と鳴った。
GU・・・ハッ!!.hack//GU!!
255 :
18Rの鷹:2005/05/27(金) 00:26:40 ID:GDIyzMh8
ぼくは横に置いた晶良のバッグを見ながら、腹ペコの犬のように目を輝かして聞いていた。
一瞬の沈黙の後、
「…食べるの? 本当に、食べるの?」
真面目な顔をして暗い声で念を押す晶良。それを聞いていたお母さんがつぶやくように言う。だれとも視線を合わせないように言ったのは、ちょっと気になったが。
「まあ、私が横についていたから、食べられないようなシロモノにはなってないと思うけど」
「味付けとか、自信ないっ。食べたらキケン、かもよ?」
これだけ空腹なら、たいていのものはおいしく食べられる。ぼくはそう思っていた。晶良の言葉を無視してカバンをテーブルの上に載せる。
「はぁ〜」
ため息一つついて、晶良はあきらめたようにカバンからお弁当の入った包みを取り出した。
お父さんは何も言わないが、娘のつくったものに興味津々といったふうに目を輝かせて身を乗り出している。お母さんは無言で冷蔵庫を開け、取り出した麦茶をコップに注いでいた。
「いっただきま〜す!」
アルミホイルにくるまれていたおにぎりを頬張る。お父さんも、
「どれどれ」
と言いながら、アルミホイルを剥がして口に入れた。
「…」
目が白黒する、という体験を初めてした。お母さんが入れてくれた麦茶を一気に飲み干す。
「す、すいませんっ、もう一杯、くださいっ」
コップになみなみと注がれていく麦茶。こぼれそうになったところで、ぼくは喉にぶつけるように麦茶を流し込んだ。はぁはぁと肩で息をしながら横を見ると、お父さんも2杯目の麦茶を飲み終え、
「あ、晶良…。いくらなんでも、塩、効かせすぎだぞ、これは…」
「そっかなぁ」
腑に落ちない表情をして、晶良は自分で握ったおにぎりを一つ口にした。
「むぎっ! んぐぅぅっ、…うっひゃぁぁぁ。お、お母さん! お水っ、麦茶っ!」
悶絶しながら、母親の注いだ麦茶を瞬時に飲む晶良。もう一杯おかわりして、それも一気に飲み、
「…いやぁ、塩は殺菌効果があるっていうし…。お腹、壊しちゃ、まずいかな…って」
「だからって、晶良。加減ってものを覚えなさいっ」
3杯めの麦茶を自分でコップに入れながら、真っ赤な顔で言うお父さん。
256 :
18Rの鷹:2005/05/27(金) 19:29:57 ID:LRBDGUFj
ようやく落ち着いたぼくは、無謀にも(?)おかずに箸を伸ばす。
「卵焼きはどーかな?」
速水家一同は息を飲んでぼくの一挙手一投足を注視している。
おっかなびっくりで口に入れる。目をつむって咀嚼すると、
「ん? んん? ん〜? あれ、味がしない…」
ぼくのつぶやきを聞いて、お父さんが卵焼きを指でつまんで口に放り込んだ。
「…おほっ。母さん、ケチャップをくれないか」
ぼくはお父さんの言葉にうんうんとうなずいた。ケチャップをかけられた卵焼きを最初に食べたのは晶良だった。ぼくも続いて真っ赤になった卵焼きを食べた。
「ん〜。なかなかのものじゃない」
満足そうに胸を張る晶良に、思わず言ってしまった。
「でも、外で食べてたら、ケチャップがなかった…」
「アンタねぇ〜。男は細かいこと、気にしないっ!」
「はぁ〜い」
小さくなって返事をしたぼくに、お父さんが顔を寄せてきて
「味なし卵焼きってのは、細かいことじゃあないよなぁ」
と耳打ちをする。お父さんは小声のつもりなのだろうが、晶良には丸聞こえだ。
「お父さん! 余計なこと、言わないでくれる」
「お〜、こわ。どーも、ウチの家系はオンナが強くってなぁ」
お母さんの目がギラリと光る。
「あなた。なにか言いたいこと、あるんですか」
首をすくめるお父さん。ぼくまでつられて身を縮めると、お父さんと目が合って笑ってしまった。話をそらすように、お父さんがトリカラに手を伸ばす。途端にお母さんからチェックが入る。
「あなたっ。ちゃんとお箸、使ってください」
「お、おう」
お父さんはしぶしぶ箸を使ってカラアゲにかじりついた。反応を待ち構えるぼく。そして、晶良とお母さん。数秒後、お父さんは静かに言った。
「母さん。すまないが…」
口の中に残ったカラアゲを飲み込んで、お父さんは続ける。じっとお父さんを見ていたぼくらはつばを飲み込んでいた。
誰か18Rの鷹氏の作品のまとめサイト作ってくれ
259 :
18Rの鷹:2005/05/28(土) 22:49:52 ID:xTX++KTP
「ビール!」
すでに冷蔵庫に手をかけていたお母さんが瓶ビールを取り出し栓を抜いた。
「味付けしてる時間、ちょっと長いんじゃないかなぁって思ってたのよねぇ」
お母さんは無表情でビールを注ぐ。ぼくは目の前のカラアゲをにらみつけ、ようやく決心がついて一つを口に投げ入れるようにして食べた。
「んぐぅ」
唇が乾いていくのがわかった。まるで赤道直下の砂漠のように、ぼくの喉はカラカラになった。
「きみも…一杯やるかい?」
お父さんがビールの瓶を差しだして聞いてくる。戸惑いを飛び越え困ってしまう。ぼくはぶんぶんと頭を横に振った。
「お父さん! 教師が高校生にビール勧めてどーすんの!」
晶良とお母さん、ユニゾンでお父さんを責めたてる。
「うへぇ。そうか、それはいかんな。母さん、麦茶のおかわり、入れてやってくれ」
ぼくはまだしゃべれず、麦茶を注いでくれるお母さんにペコリと頭を下げ、一気にそれを飲み干した。
「ふぅー。晶良さん、味、濃すぎ!」
抗議する。体が塩分を排出しようとしているのか、涙がにじんでいる。
(もし、外で食べてたら…。近くに自販機なかったら…。なんて、考えたくないっ)
「まあ、ビールのつまみにはいい味だがな」
慰めるようにお父さんがカラアゲを食べ、ビールを飲みながら言う。
晶良はこちらをじっと見てから、やや口調を強めて言う。
「ハンバーグも食べなさいよね」
(あ、開き直ったな。晶良さん)
もちろん文句など言えない。直径4pほどのハンバーグを箸で2つにして口に運んだ。
「ん! おいしい、これはおいしいよ! 晶良さん」
ちょっと焦げてはいたが、ちゃんとハンバーグの味がした。うれしくなっておにぎりを一緒に頬張り、後悔した…。
「なんだ。それならハンバーグから箸をつけるんだったな」
とお父さん。ぼくたちの言葉につられて、お母さんも試食し、
「あら、晶良。上出来じゃない」
260 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/28(土) 23:47:16 ID:IfVR3FLm
>>259 鷹氏、いつもありがたく読ませてもらってます。お父さんが個人的にかなりツボ…
ところでみんな聞いてくれ!
さっき英語版のサイト(
ttp://www.dothack.com/)
に久々に行ってみたらサイトが.hack//G.U.になってるよ!!
しかもプロモ映像まで公開されてる。で、見てみたら
カイトが出てきたんだが、黄昏氏の黒いカイトそっくり…!
261 :
260:2005/05/29(日) 00:03:40 ID:DiDnfNZj
日本語サイトの方が先にうpされてたみたいだ…orz
時代設定が2017年らしいから、鷹氏の最初の頃の作品とピッタリだね。
カイト21歳。The World発売から10年。黄昏の腕輪伝説から3年。
もしや鷹氏は関係者か(え
263 :
18Rの鷹:2005/05/29(日) 23:48:32 ID:MIlmPVzT
ようやく晶良の顔が明るくなった。
「えへへ。これで料理に目覚めちゃったりして」
調子に乗って話す晶良。お父さんはぼくの肩をぽんとたたいて、
「まあ…、頑張ってくれたまえ」
「え?」
「味見役、だろ? きみは」
お父さんに同情の眼差しを向けられて、ぼくは晶良に救いを求める。
「えっ、えっ? 晶良さん、家の人に食べてもらうんだよね、そうだよね!?」
さっきまで笑っていた晶良が、一気に不機嫌になった。
「アンタ! なによ、それぇ。アタシの料理が食べたくないってぇのぉ」
これは脅迫だ。答えの選択肢に「No」は、ない。深く沈んだため息をつき、
「はぁぁぁ。晶良さん、お願い! 早く上達してね」
命ごいをする絶体絶命の悪者みたいに懇願する。晶良は自信満々に
「まっかせなさぁ〜い! アタシが本気になれば、料理なんてか〜るくマスターしちゃうわよ!」
その自信がどこから、どんな根拠をもって出てくるのか、ぼくにはわからない。でも、そんな晶良が大好きなのも正直な気持ちだった。
(しようがないか…。おいしそうなレストランとか連れてって、味覚を鍛えてもらうしかないか…)
心の中であきらめのため息一つ、それから決意も一つ。
(そのための軍資金稼ぎ、バイトしよっと)
そんなことをつらつら考えていると、晶良が思い出したように大きな声を出した。
「そうだっ! ケーキ、買ってきたんだった。アンタ、まだ入るでしょ? ねぇ、ケーキ、食べようよ」
晶良のうれしそうな声。
(「口直し」は禁句、「口直し」は禁句)
心の中でそう繰り返し、ぼくは晶良に同意する。
「そうだね。ケーキは別腹って、晶良さん、よく言ってるもんね」
「んもぉ〜、ばか。そんなこと…恥ずかしいじゃないのっ!」
両親の前では猫かぶっているんだろうな、と思う。くすりと小さく笑う。
「あら、翔子ちゃんのお店のケーキかしら。あそこのケーキ、美味しいのよねぇ。それじゃあ、お紅茶、入れましょうか」
晶良の本性などお見通し。そんな感じでお母さんはケトルをガス台にかけて、お湯を沸かし始めた。
264 :
18Rの鷹:2005/05/30(月) 19:39:19 ID:25lfsRlU
「お、おい、晶良。ちゃんと7つ買ってきたんだろうな? お父さんも食べたいぞ」
自分の分がなくなるんじゃないかという不安から、ちょっぴり強い口調で聞くお父さんに、晶良は元気よく胸を張って答える。
「もっちろん。あっ、そうだ。お父さん、お願いなんだけど…。文和と幸ちゃん、呼んできてくれない? アタシは足がこれだからさあ…」
「よし、わかった」
立ち上がったお父さんはリビングを出て、階段の下から大きな声を張り上げた。
「お〜い、文和! 幸太ぁ! 下りてこ〜い! ケーキ、食わんかぁ?」
2階から声が聞こえる。
「えっ、ケーキあるの? 食べる食べるー! すぐ行くー!」
素っ頓狂な声で返事をしたのは文和くんだろう。すぐにドアが開く音が聞こえ、階段を駆け下りる音に続き廊下を走る音が響いた。そうして、
「ケェキ、ケェキ、わ〜い」
うれしさにあふれた小さな男の子の声。
(幸太くんだ。確か…小学1年生、だったよね)
晶良から家族の話はいろいろ聞かされていたから、すぐにわかった。
幸太は見ず知らずのぼくと目が合って表情を硬くし、それから晶良の足の包帯を見て、
「あれ〜? おねえちゃん、どーしたのぉ、あし…。あっ、そいつにやられたんだなぁ〜。そいつ、ワルモノだろー。おい、おまえ、おねえちゃんをいぢめると、ぼくがショーチしないぞぉー!」
ファイティングポーズをとる幸太。慌てて晶良がとりなす。
「幸ちゃん、違うのよ。この人はいいおにいさんよ。アタシを助けてくれたのよ」
「ふぅ〜ん。じゃあ、せいぎのひーろーだね。ありがとお、おにいちゃん」
幸太はニッコリとして、ペコリと頭を下げた。子供らしい姿に微笑みがもれる。
「いえいえ、どーいたしまして。幸太くん、はじめまして。よろしくね」
ぼくがかがんで差し出した右手に、幸太は照れくさそうに小さな右手を伸ばした。
「えへぇ、よろしく〜」
ほのぼのとした空気がリビングに流れたそのとき、だった。
トン、トンと階段を人が下りてくる。トントトン、トトン、トトトン…。
(あれ? なんか2人いるような気が…。晶良さんちって、お父さん、お母さん、晶良さん、文和くん、幸太くん、5人だよね!?)
これは…
修 羅 場 キタ━━━━(゚Д゚;)━━━━ッ!!
266 :
水色:2005/05/31(火) 22:23:44 ID:q91b90+h
一応保管庫の続きから再投下。
まさにヘビににらまれたカエル状態。
司は世の中には2種類の人間がいるのだということを知った。
すなわち、捕食者と被捕食者である。
「これでふたりきりですね……」
うふふふ、と昴は妖しく笑った。
いえ、すぐ横に爆睡かましてる女子高生が一名います……と司は思った。
ああお腹出して寝て。タオルケットかなんかかけてあげなきゃ。
「昴、あの、ミミルあのままじゃ風邪ひいちゃうから……」
司はきわめて論理的かつ紳士的(どんなだ)に昴と話し合おうとした。
しかし酔っ払いに理屈は通じない。
昴の目は完全に逝ってしまっていた。
「そんな……やっぱりつかさはみみるのほうがわたしよりすきなんだぁ……」
ひっく、うぇ……と昴は大声を上げて本格的に泣き始めた。
昴の涙が、司の肌の上にこぼれた。
それを見たとき、司の中で何かが芽生えた。
「……泣かないで」
司はそっと頬に落ちる昴の涙をぬぐった。
「僕、昴に泣かれるのは……いやだ」
「つかさ……」
昴は自分の頬に添えられていた司の手をとると、そのまま胸のふくらみに導いた。
そして先ほどまでとは違うはっきりした口調で言った。
「THE WORLDでは、あなたは私の鼓動がわからなかった。今はどうですか。
私がここにいること、あなたを想っていること、伝わっているでしょうか」
押し当てた手のひらから、とくん、とくんと心臓の音が響いてくる。
リアルの、生身の身体。
確かな肉体、一つ一つの細胞に宿っている命。
ゲームの中のグラフィックではない現実がそこにはあった。
司はこくんとうなづいた。
「ではどうか、私を受け止めてください。本物だということを、あなたが確かめて」
昴の言う思いを伝える方法を、司はひとつ知っていた。
267 :
水色:2005/05/31(火) 22:25:04 ID:q91b90+h
いつも自分がして貰えてうれしいことをしよう。
そうすればきっと昴も、僕の気持ちをわかってくれる。
司は昴の身体を支えると、腰から上を起き上がらせた。
昴の足に負担がかからないように位置を整えて、背を支えながら、そのままゆっくり後ろに傾けた。
ベッドの枠に昴の背中が当たり、止まる。
「つらくない?」
「いいえ」
もたれるようにそれに体重を預ける昴の首筋に、司は唇をつけた。
満足げな吐息が昴の口から漏れた。
司の舌がちろちろと昴の肌を這っていく。
投げ出された動かない足の間に、司は自分の身体を入れた。
手と舌での愛撫。
同性に対してやるのは初めてだったけれど、自分のときを思い出しながら一生懸命やった。
骨と骨の間のくぼみを舐めあげる。
跡をつけないように優しく吸う。
「あ……」
昴も気持ちいいんだ、と司は嬉しさを隠せなかった。
もっと喜ばせてあげたい、気持ちよくしてあげたい。
司は昴の胸に耳をくっつけた。
はっきりとした鼓動と、肺が空気を吸い込む音が、大きく耳に飛び込んできた。
「聞こえるよ。伝わってるよ。昴はここにいる。僕は、ここにいる」
THE WORLDの中で男だったはずの自分が記憶を取り戻し、
リアルでは女であることを自覚したとき、一番恐れたのは昴との関係が崩れることだった。
まるで恋人のように思っていたから、そしてそれはとても幸福な関係だったから、
女である自分を拒絶されるのが怖かった。
本当に男だったら良かったのにと願ったこともあった。
だが、今はそんなこと関係ないと思える。
あの時昴の言ったことの意味が、わかるような気がした。
司は昴の服に手をかけて、しかしはっと気づいたようにそれを止めた。
昴の目が、司を不思議そうにじっと見つめる。
268 :
水色:2005/05/31(火) 22:26:05 ID:q91b90+h
「どうしました?」
「あの……脱がしても、いい?」
「かまいません」
昴は司が脱がせやすいようにするためか、腕を床から少し離した。
服から頭を抜くと昴の髪が軽く乱れたのでそれを直し、司は昴の頬に自分の頬を当てた。
柔らかく、弾力のある少女の肌は司の心をとても安心させた。
このぬくもりのおかげで自分はモルガナにも負けない強さを手に入れることが出来たし、父親も怖くなくなった。
「昴、あのね、僕、女の子にするのはじめてで、うまく出来ないかもしれないけど……」
頬ずりしながら司は言った。
「気持ちいいときはちゃんと教えて。昴に気持ちよくなってもらいたいんだ」
昴はにっこりと笑んだ。
「はい」
それを見ると、司はそうっと昴の胸をもみ始めた。
(さっきミミルが僕は色が白いって言ってたけど、僕よりも昴のほうが白くてキレイだよ)
乳輪の周りを刺激するようにきゅっと手のひらで揉み解していくと、昴の口から声が漏れ出した。
その声を聞いて、司はますます嬉しくなっていく。
「あ……ん……ぁふ……ぁぁんっ……」
だんだんと胸の頂が固く立ち上がる。
ピンクに少量の茶色を混ぜたような色をしたそれは、今の昴の状態を明確に告げている。
爪で傷をつけないように優しくひっかくようにすると、昴の肩がぴくんと跳ねた。
「んっ……!」
「気持ちいい?」
「あっ……ああ」
司は手を休めずに乳首をつまんでぎゅっと押しつぶしだす。
あえぐばかりできちんと答えない昴に、司はため息と共に言った。
「ちゃんと教えてっていったじゃない。ねえ、どうなの?」
「きゃぁぅ! あ、き……気持ちいいっ……ですっ」
「そう、なら良いんだ」
269 :
水色:2005/05/31(火) 22:26:53 ID:q91b90+h
安心して司は昴の胸を責める。
揺れる白い胸の先についている蕾に、司は己の唇を当てた。
「ひあ……」
舌先をすぼませて、まるでアイスを舐めるようにぺろぺろと繰り返す。
しばらくそうしたあと、おもむろに吸い付いた。
口に含みながらなおも舌で刺激をくわえていく。
「はぁん……つ、つかさぁ……」
その声がひどく甘く、司はもっと聞きたくてまた舌の動きを速める。
「あっ、ああっ、ああん……ぁあ、あっ」
吐息と共に吐き出される嬌声。
司がもう片方の乳房を手で円を描くようにほぐしていると、
「つか……さ、もうひとつも、ちゃんと触って……ください」
熱っぽく昴が懇願する。
けれど司は昴を責めるのに没頭していたため、昴の要求がよくわかっていなかった。
「ちゃんとって、どこ?」
「っあの……むね、に」
「胸なら触ってるじゃない?」
仕方なしに昴は、顔を赤くしながら恥ずかしそうに言った。
「ち、ちくび、を……もっと、いじって欲しい……です」
「あ、うん。わかった」
昴の望みをかなえようと、司は両方の胸の突起を同時に攻略することにした。
270 :
水色:2005/05/31(火) 22:28:09 ID:q91b90+h
ベアとのことを参考にして、今昴に愛撫を施しているので、司は必然的に彼との行為を思い返すことになる。
頭の中で、いつもベアがどう自分に触れてくれたか、ベアの触れたどこが自分は気持ちよかったかを再現しながら、昴に実践していく。
そういえばベア、僕の胸触るの好きって言ってたっけ……。
ふとそう考えたら、一気にさまざまなことが脳裏によみがえってきてしまった。
彼の大きな手のひらにちょうど納まるくらいだった司の胸は、
先ほどミミルが指摘したように少しずつ大きくなってきていた。
15歳、まだまだ発育しきっていなかったこともあって、愛のあるセックスは司の胸も育んだようだ。
ベアは司の胸を触るのも好きだがしゃぶるのも好きで、司も結構気持ちいいのでなんとも思っていなかった。
しかし、彼の書斎にあるとある小説の登場人物が、
『胸が好きな男はマザコンであるせいだ』というようなことを言っていたのを読んでしまい、
なんとも言えない微妙な気分にしばらく悩んだこともあった。
……彼には、言わなかったが。
だから彼は、するときはやはり胸に執着し続けた。
そして司の胸を満足いくまでたっぷりいじりまわしたあと、彼はターゲットを足へと変える。
彼にとって、若いしなやかな足はとても魅力的であるらしい。
彼の手がゆっくりと自分の肌を撫でて、腿の付け根に近いところだとか、
ひざの裏側だとかを往復する感触に、たまらず司は降伏してしまう。
もっと奥まで触って欲しくなるのだ。
焦らさないで、はやく来て欲しい。
そう伝えると、彼のほうもそろそろ限界だったらしくて、用意してあったゴムを司に手渡す。
つけかたは彼に教えてもらったので、彼の猛るモノにかぶせると、司はベッドに身体を横たえる。
彼の身体がゆっくり覆いかぶさってくる。
司は彼の腰に自分の足を回し、そして――――。
「ぁふぅ……いい、です……っ」
昴の声で、司はわれに返った。
途端、かぁーっと恥ずかしさがこみ上げてきた。
僕ってば、なんてことを!
気づけば司の身体も、ベアとのことを思い出してしまったせいで火照り始めていた。
271 :
水色:2005/05/31(火) 22:29:29 ID:q91b90+h
昴の胸を舐め上げながら、司は足をもじ、とこすりあわせた。
は、恥ずかしい……僕ってえっちだったんだなあ。
ううん、違うよ、ベアがいけないんだよ!
と、この場におっさんがいないのをいいことに責任をおっかぶせて、ちらりと昴の顔を上目で見る。
上気した彼女の顔は色っぽいのに可愛らしく、気持ち良さそうだなあ、と司も嬉しくなる。
「昴……可愛いよ」
「そんな、つかさぁ……」
「そうだよ、司の方が可愛いよ」
声は意外なところから聞こえた。
えっ、と振り向く前に、四つんばいになっていた司のおしりのあたりにふぅーっと息がかかる。
「んふふ……昴だけ気持ちいいのは不公平だと思いまーっす」
「ミミル!?」
寝てたんじゃなかったの!?
いつのまにか夢から覚めたらしいミミルが、司の腰に抱きついていた。
けれど酔いが醒めたわけではないらしい。
眠りに落ちる前と変わらず酔っ払ったままで言動が怪しかった。
「ずるいずるいずーるーいー」
「ミ、ミミル」
駄々っ子のように、ぎゅうぎゅう司を抱きしめて頭を振る。
そんなミミルに、昴に対する司の愛撫も止まった。
久しぶりだから勘が戻らん…また亀の歩みで投下させてください。
272 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/31(火) 22:47:35 ID:/vhshOAF
水色時計氏キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
長い間待っていた甲斐がありました。・゚・(つД`)・゚・。
273 :
18Rの鷹:2005/05/31(火) 23:21:26 ID:Vj/i83RM
>>264の続き
姿を見せたのは文和だった。そして、その背後に隠れるようにして小柄な女のコがついてきた。ツインテールの片方が恥ずかしげに揺れている。
(あっ…、千春、きてたんだ…)
晶良がケーキを一つ多く買ったわけがようやく飲み込めた。
文和は、幸太と握手をしているぼくを見てきょとんとしている。すぐに晶良が紹介してくれる。
「カイト、だよ」
「えっ!? カ、カ、カ、カイトさん!? ほ、ほんものの? うっわぁ〜! すっげぇ〜!」
「はじめまして。文和くん。カイトです」
「は、は、はじめまして! 会えて感激です。そのせつはお世話になりましたっ」
上ずった声で叫ぶように話して深々とお辞儀をする文和。今度はお父さんとお母さんがきょとんとしている。お父さんが聞く。
「おい、文和。おまえ、こちらのこと知ってたのか?」
「うん! 会うのは初めてだけどさ。意識不明だったぼくを助けてくれたザ・ワールドの勇者カイト!」
またゲームの話、と言いたげに、あきれた顔をするお母さん。お父さんはぽかんとしている。
(まぁ、ザ・ワールドの出来事って、大人の人に言っても信じてもらえないよね)
勇者カイトがいかにザ・ワールドですごかったか、両親に伝えられず、文和は地団駄を踏む。そこに、
「ねぇ、カズ。ちはるのこと、紹介して」
文和の着ているTシャツのすそを引っ張りながら千春が言う。
「あ、うん。カイトさん、はるです。リアルでは千春っていいます。ぼくのガールフレンド!」
「はじめまして」
ぼくは一生懸命、演技する。笑顔はちょっぴり引きつっている。背中に汗が一筋、流れ落ちていくのがわかった。
「はじめまして。ちはるです。ザ・ワールドではいつもありがとうございます」
ほんとに初めて会うみたいにあいさつをする千春。
(やっぱ、男は女には勝てない…いろんな意味で)
文和くん、千春の順に握手する。千春は握った手に力を込め、ぼくだけに見えるようにウインクした。また背中に冷たい汗が流れた。
千春はぼくの背後に視線をやると、ぼくの手を振り払って、
「晶良お姉さん、その足…、どうしたんですか!?」
小さな手を丸めて、自分の口の前に持っていき驚きを表す千春。
勇者様、修羅場ですね
275 :
18Rの鷹:2005/06/01(水) 20:17:08 ID:DWaA6zDp
「てへへ。テニス部の試合前の練習でね、ちょっと頑張りすぎちゃったんだ」
晶良は左足に巻かれた包帯をさすりながら千春の質問に答えた。
「痛そう…。大丈夫なんですか?」
「うん。捻挫だから、たいしたことないよ。それに彼がおんぶしてきてくれたから…」
恥ずかしそうに答える晶良。千春はぼくのほうを見て
「へぇ。やっぱり、お…、カイトさん、やさしいんですね」
といって目を輝かせた。
(ち、ちはるぅ、『おにいちゃん』って言いそうになったでしょぉ。頼むよぉ、気をつけてよぉ)
冷や汗が額からぽたりと落ちた。それを目ざとく見ていた晶良が
「あれ。アンタ、暑いの?」
「い、いや、そ、そんなことないよ」
「ふぅ〜ん。千春ちゃんがあんまりかわいいから、テンション上がってんじゃないのぉ」
「そ、そ、そんなこと、ないって!」
ムキになって否定する。千春との秘めごとなど知るはずのない晶良は余裕の笑顔で、
「でも、千春ちゃんって、ほんとにかわいいよねぇ。文和なんかにゃ、もったいない」
「あ〜、ねぇちゃん! なんてこと言ってんだよぉ。ひっでぇなぁ」
「文句あんの? ったく、だいたいねぇ」
晶良が姉弟ゲンカをふっかけたところで、ケトルがピーっとけたたましい音をたてた。
「お湯が沸いたわ。文和、お紅茶いれるから、テーブルかたづけて」
そう言ってお母さんは、一触即発の空気をものの見事に静めてしまった。
「はぁ〜い」
返事をしながらテーブルにあったお弁当の入っていた容器を流しに運ぶ文和。
「おばさま。ちはるもお手伝いします」
「あら、千春ちゃん、ありがとう。じゃあ、お皿、出してくれる?」
「はいっ」
弾むように答える千春。そのはつらつとした姿を見ていたお父さんがしみじみ言う。
「女のコのいる家庭っていいよなぁ」
瞬間、ぼくの隣の空気が凍りついた。晶良が低い声で、
「お・と・う・さ・ん。それ、どーゆー意味かしら?」
ぎくりとして固まるお父さん。
もうお父さんが大好きだ!
277 :
18Rの鷹:2005/06/02(木) 02:18:08 ID:RC3aj5ps
「あ、いや、その、あの」
ビールを飲んでいるせいか、とっさにうまい言い訳が浮かばないみたいだ。たたみかける晶良。
「速水家には女のコ、いないってーの?」
「す、すまん」
晶良ににらまれ、あっさり白旗を揚げるお父さん。
「昔はさ、『晶良は世界一かわいい』って言ってくれてたのにぃ」
「だから、すまんって」
平身低頭のお父さん。ぼくは緊張感みなぎる空気に耐えられず、
「ケ、ケ、ケーキ。ケーキ、食べよ。ね、晶良さん」
はっとしてぼくを見た晶良は、途端に表情をやわらげ、
「うん! そーだね。さあ、千春ちゃん、座って座って」
ぼくは、お父さんが声を殺して息を吐き出したのを聞き逃さなかった。
全員がテーブルを囲んで座り、お母さんのいれてくれた紅茶に砂糖とミルクをたっぷり入れて準備は完了。みんなして、穏やかな笑顔を浮かべ、
「いっただきまぁ〜す!」
はからずも声がそろった。用意されたフォークを手に取り、イチゴのショートケーキを口に運んだ。
「! おいっしぃ!」
一口食べて、ぼくは思わず声を出していた。
「うん! おいしいね」
晶良が微笑みかけてくる。
左隣ではケーキより甘いんじゃないか、という光景が展開されている。
「はい、千春。あ〜ん」
「あ〜ん。…ん〜、おいしいぃ。じゃ、カズにもお返し。あ〜ん」
「あ〜ん」
2人の世界に入っている文和と千春。うらやましい、と思っていたら、そこに晶良の不機嫌そうな声。
「アンタたちねぇ、見てらんないわよ。ったく、こっちが照れくさくなってくるじゃないのっ」
晶良が文和をにらみつけて注意する。千春はぺろっと舌を出して首をすくめ、
「ごめんなさぁ〜い」
すぐに謝った。しかし、文和は口を尖らせ姉に反抗する。
「ちぇっ、いいじゃん、べつにぃ。たまにしか千春と会えないんだからさぁ」
278 :
18Rの鷹:2005/06/02(木) 20:01:44 ID:qitkJQo/
千春はテーブルの下で文和のTシャツのすそを引っ張り、顔を寄せて小声で言う。
「カズ、やめなよ。せっかくのケーキが台無しになっちゃう」
それで気を取り直した文和は、デレ〜っとして千春に答えた。
「うん、そーだね。千春の言うとおりだね」
晶良は満足そうにケーキを食べながら、
「よしよし。最初っから素直にアタシの言うこと、きーとけばいいのよ」
お姉さん風を吹かせる晶良に、文和がカチンときたのがわかった。反撃に転じる。
「どーせ、ねぇちゃんだって、カイトさんと『あ〜ん』ってしたいんだぜ、きっと」
「文和! なにいってんのよっ」
「怒るのは図星ってことだろ、ねぇちゃん。欲求不満なんじゃないの」
晶良の目がギラリと光った。
(敵に向かっていくときのブラックローズの目だ…。そ、それにしても、姉弟ゲンカにしちゃあ、激しすぎる気がするんだけどぉ)
息を飲むぼくなど、まるで眼中にない晶良がドスの利いた声を吐き出す。
「ふ・み・か・ず。てっめぇ、いま、言ったこと、よっく覚えてろよぉっ。後悔してぇんだな? あーっ!」
キレた晶良の口汚い言葉に、お父さんが怒声をあげる。
「こらっ、晶良。女のコがそんな口きいちゃ、いかんっ!」
一方的に叱られた晶良は、悲しげな顔をして言い返す。
「な、なんでよ。お姉ちゃんは我慢しなきゃダメ? お姉ちゃんはいつもいいコにしてなきゃダメ? アタシだって…、アタシだってねぇ…」
両目を押さえてうつむく晶良を見て文和はオロオロし、慌てて謝罪する。
「あ、あの…、ねぇちゃん、悪かったよ。ごめん」
すぐに千春が続いて、
「晶良お姉さん、ごめんなさい」
謝ると、晶良も気を取り直し、無理に笑顔をつくって言った。
「あ、いいのよ、千春ちゃん。こっちこそ、ごめんね。みっともない姉弟ゲンカ、見せちゃって」
(どーしていいか、わかんないよ、あーゆーときって。あ〜、ドキドキした)
ほっと胸をなでおろしながら汗を拭うぼくを後目に、速水家の人たちは何事もなかったようにケーキを食べ、紅茶を飲んでいた。
>>「な、なんでよ。お姉ちゃんは我慢しなきゃダメ? お姉ちゃんはいつもいいコにしてなきゃダメ? アタシだって…、アタシだってねぇ…」
ちょw黒薔薇の頭に辞書登録されとるw
280 :
18Rの鷹:2005/06/03(金) 01:32:19 ID:6lRaMvM8
「あ〜ぁ。アンタさぁ、なんでアタシと同じケーキにしたのよぉ。別のにすれば2種類、味わえたじゃないのよぉ」
不満そうに言う晶良。なだめるように返す。
「ぼく、こんなにおいしいケーキ食べるの、初めてだよ」
「ま、男のコじゃあ、あんまりケーキなんて食べないか…。あっ、アンタ、イチゴ食べないの?」
ぼくのお皿を見ながら、舌なめずりして晶良が言う。大慌てでお皿を引き寄せてガードし、
「だ、だめだよ、晶良さん。これはぼくが最後に味わって食べようと思って残しといたんだから」
「ちぇ〜。アタシ、そーゆーのって信じらんない。おいしいものは最初に食べなきゃ、後悔することになるじゃない」
「後悔って?」
「もしも、よ。もしも、いま地震がきたら、『あのとき、最初にイチゴを食べておけば』って、絶対後悔すると思うんだけど」
当たり前でしょ、とでも言いたげに話す晶良。それを聞いていたお父さんとお母さんは、ユニゾンでため息をつき、
「なんで、こんな娘に育っちゃったかなぁ」
「だいたい、あなたが甘やかすから、いけないんですよ!」
「オレは甘やかしたりしてないぞ。母さんが厳しく言わないからだろぉ」
夫婦ゲンカが勃発してしまった。ところが、晶良も文和も、ニヤニヤして見ているだけだ。
次の瞬間、お父さんが普通の口調できりだす。
「あ、そうだ、母さん。晩は寿司でもとらんか。千春ちゃん、カイトくんがせっかくきてくれたんだし」
「あら、いいわね。お寿司なんて久しぶり」
何事もなかったかのように会話している。
(なんか、この空気って、きっと慣れることはできないんだろうな)
残ったイチゴを口に入れたが、甘いんだかすっぱいんだか、わからなかった。
口の周りにクリームをつけた幸太くんが歌うように歓声をあげる。
「たっまごやきぃ。あなごぉ。おっすし、おすしぃ!」
目を細めて弟の子供らしい姿を見ていた晶良が、ぼくのほうに向き直って聞いてくる。
「ね、アンタ。食べてってよ。いいでしょ?」
「あ、うん。でも、いいのかな。突然おじゃまして、ごちそうしてもらって…」
あまり図々しい男だと思われたくない、なんて考えたが、それはいらない心配だった。
281 :
18Rの鷹:2005/06/03(金) 20:48:25 ID:dndEZh17
「遠慮しないでくださいな。ケーキと、それになんといっても晶良のお弁当を食べてもらったお礼よ」
お母さんに笑顔で勧められる。断るのも失礼になると判断。
「それじゃあ、ごちそうになります」
ぺこりと頭を下げた。
「お弁当つくってあげたんだから、お礼をしてほしいのはアタシのほうだっつーの」
口を尖らせて言う晶良。お父さんはぼくの肩にそっと手を乗せ、じっとぼくの目を見つめた。その目の奥には同情がはっきりと感じられ、『大変だな』という言葉が書いてあった。
「あのぉ…、ちはるはサビ抜き、お願いします」
「わかったわ。それじゃあ、お寿司屋さんに電話しなくちゃね」
お母さんはコードレスの電話機を手に取り、メモリーからお寿司屋さんを呼びだす。
「あ、速水でございます。今晩6時に出前をお願いしたいんですが。…はい、2人前を5つ、サビ抜き1.5人前を2つ、全部で7つです。…はい、…はい。それでは、お願いします」
時間はたっぷりあった。紅茶のお代わりをゆっくり飲んで、それから晶良に、
「ねぇ、アタシの部屋、行かない?」
と誘われる。すごく興味がある。首を縦に2度振った。
「じゃあ、おんぶ」
お父さん、お母さんの前だというのに甘えてくる晶良。ちょっぴり困る。すると、お母さんが、
「文和、千春ちゃんも一緒に行ったら。若い人同士のほうが話が弾むでしょ」
それとなく両カップルが2人きりにならないように予防線を張ってくる。
(そうか。さっきまで文和くんの部屋には、『お目付け役』で幸太くんが送り込まれていたのか…)
感心する。2人きりになりたい気持ちも少しはあったが…。晶良は少し頬を膨らませたが、
「そんでは、みんなでウノでもやろっか」
一応、お姉さんらしくふるまっている。幸太はあくびをし、昼寝の時間がきたことを知らせていた。
「うぃ〜っす」
しぶしぶ(?)同意する文和。千春はニコニコと笑み、文和の腕を取ってうながす。
「さ、行きましょ」
ぼくは席を立って晶良の前までいき、くるりと背中を向けた。晶良はテーブルに手をついて自分の体を支え、それからぼくの背中に体重をかけて、
「レッツ・ゴー!」
元気に号令を発した。
282 :
18Rの鷹:2005/06/04(土) 03:34:19 ID:RoydZr+p
ピンポ〜ン、と呼び鈴の音が響いた。お寿司の到着だ。
「ふぅぅぅぅぅ」
ぼくと文和、千春の3人がいっせいに深いため息を吐き出した。みな焦燥しきっていた。
ウノは晶良の一人勝ちだった。実の弟の文和はともかく、千春や、恋人のぼくにもいっさい手加減なし…、いや情け容赦すらなかった。
守りにまわればもろい晶良だったが、ひとたび攻勢に転じるや、その攻め手は半端でなく、まさに強烈無比だった。なんとか打開しようと3人が暗黙の了解で組んだものの、木っ端微塵に粉砕された。
タイミングよく繰り出されるリバースにスキップ。そしてドローフォー、ドローツーの連打…。などなど、まさに完膚なきまでにたたきのめされた。
(やっと…、やっと解放される。もう少しで、晶良さんのこと、嫌いになるとこだった…)
「お寿司、きたわよ〜。下りてきなさ〜い」
少し間を置いた後、お母さんの呼ぶ声が階段の下から聞こえた。
「はぁ〜いっ! すぐ行くぅー!」
返事をする晶良の元気いっぱいな声が恨めしい。まだ、ウノの敗戦のショックから立ち直れずにいた。
「よ…っと。ほんじゃあ、下、いこっか」
文和が立ち上がりながら千春を誘う。千春のウノの敗戦のショックからか放心状態で、
「ん」
と言ったきり立てないでいる。焦点の定まらない目をする千春に向かって文和が、
「千春? ねぇ、どーしたの、だいじょうぶ?」
「え? あぁ、うん…。へーきよ」
全然平気じゃない気がするが…。ともかく、千春はふらつきながらも立ち上がった。遠慮がちに手を差し伸べて千春の腰を支える文和。その手つきに大胆さなど、かけらも感じられなかった。
(高校入試に合格するまでオアズケか。千春、ちゃんと我慢してるんだ)
この2人は未経験だ。ぼくは確信した。
「はい」
ぼくは晶良に背中を差し出す。
「ん。ありがと」
すまなそうに、それでいて満足そうに晶良が肩に手を掛けて体を起こし、それから体をぼくにあずけてくる。背中に感じる柔らかな胸の感触が心地よい。
勢いもつけずに軽く立ち上がる。まだ高校1年生、「よっこらしょ」なんて言わない。
283 :
18Rの鷹:2005/06/05(日) 01:38:30 ID:ZqPuo/cr
「それじゃあ、いくよ。晶良さん」
電気を消し、ドアを閉めると、
「階段、気をつけてね」
晶良が耳元で言う。耳にかかる晶良の吐息にぞくぞくしてしまう。危うくムスコが勃ちそうになる。ほんの少し立ち止まったままでいると、晶良が心配そうに聞いてくる。
「どーした?」
「あ、いや。なんでもないよ。階段、下りるよ」
まさか、勃起しちゃった、とは言えるわけはない。ごまかすように言って足を踏みだした。
テーブルにはすでにお寿司の桶が並べられ、湯のみからは湯気が立ち上っていた。ほかの5人は席についている。
肩を貸して晶良を座らせ、ぼくも隣に座る。
「いっただきまぁ〜す!」
全員が声をそろえて、お寿司にぱくついた。文和も千春も食べるのに夢中で「あ〜ん」とか、いちゃついたりはしなかった。
「ふぅー、ごちそーさま。お腹いっぱい」
ガリまで残さず平らげ、晶良がお腹をさすりながら言う。ぼくも最後のギョクを食べ終え、
「ごちそうさまでした。おいしかったぁ」
お父さんとお母さんに笑顔で言った。
熱いお茶をすすり、食後の休息をとっていると、千春が申し訳なさそうに文和に告げる。
「ちはる、そろそろ帰らなくっちゃ。きょうは遅くなるって言ってきてないんだ」
文和は残念そうに表情を曇らす。
「え〜っ。千春、まだいいだろ。もっと遊んでいってよ」
「ごめんね。ちはるももっとカズと一緒にいたいけど…。きょうは帰るね」
「ぶぅー」
あきらめ悪くブーたれている文和。そこに晶良の雷が落ちる。
「こらっ。千春ちゃんを困らせないのっ! 未練たらしい男は嫌われちゃうぞぉ」
「そ、そんなぁ。千春、ごめん。でも、ねぇちゃんはいいよなぁ。カイトさんがまだ帰らないから」
うらやましげにぼくを見る文和。そんな弟を見かねた晶良は強がって言い放った。
「あら。かわいい女のコを一人で放り出すわけないじゃないの」
それから、ゆっくりぼくに視線を向けて言った。
284 :
18Rの鷹:2005/06/05(日) 02:06:00 ID:ZqPuo/cr
「アンタ。いい? 千春ちゃんのこと、ちゃんと送ってってね」
「あぁ…、う…、うん。わかった」
(きょうは…、キスもしてない。せっかく久しぶりのデートだったのに…)
とはいえケガをしている晶良を押し倒すほど鬼畜ではない。それに、ここは晶良の家だ。どっちにしたって最後までいけるわけはなかった。
千春はそそくさと帰り支度をすませていく。ぼくは身ひとつ。用意もなにも、靴を履くだけだ。玄関で千春を待つ。
晶良はお父さんの肩を借りて、玄関まで見送りに出てきてくれた。
「じゃあ、また。ね、今夜、メールして」
「うん。わかったよ。帰ったらケータイにメールする」
晶良と見つめ合っていた。ぼくはお父さんの存在に気づく。その後ろにはお母さん、幸太くんが見送りに出てきてくれていた。
「あの、きょうはおじゃましました。どうも、ごちそうさまでしたっ」
大きな声であいさつし、深々と礼をした。
「懲りずにまた遊びにきてくれよ」
「晶良のこと、よろしくお願いしますね」
お父さん、お母さんにまじめな顔で言われる。
「そ、そんなぁ。あ、あの、また遊びにきますっ。ありがとうございましたっ!」
もう一度、頭が床につくほど体を折り曲げて礼をし、きびすを返した。そのとき、
「あ、カイトさん、もうちょっと待ってて」
文和の慌てた声が聞こえた。見れば、千春のバッグを持って立ちつくしている。
「千春ちゃんは?」
ぼくが声をかけると、文和は口ごもる。
「あの、もおちょっと待ってやって、ください」
(あぁ。トイレ、かな)
ぼくの考えは当たっていた。ほどなくして、千春はハンカチで手を拭きながら小走りで姿を現し、
「すいません。お待たせしましたぁ」
焦っているのか、声が少し上ずっている。ぼくはやさしく微笑みかけて言う。
「だいじょうぶだよ、ちはるちゃん。それじゃあ帰ろっか」
「はいっ!」
ニッコリ笑って千春は見た覚えのあるミュールを履いた。
文和と千春はこれからベッドインですかな?
このまま千春がまたカイト誘って、いたしている最中に晶良から電話なんてこわーい
ことになりそうな気が…。
まあ、私の予測は絶対当たらないし〜。
そんな事言ってネタにされたりしたらどうするんだ!!
・・・・・・面白そうだな。
288 :
18Rの鷹:2005/06/05(日) 22:33:27 ID:ZqPuo/cr
ドアの外まで出たぼくと千春を追うように、文和が切実な目をしてくっついてくる。ドアが重い音をたてて閉まった。
「千春ぅ。今度はいつ会えるかなぁ。あっ、帰ったらメールしてね。必ずね」
「わかった。カズ、家に着いたら、すぐにメールするから…。じゃあ、ね」
名残惜しいのだろうな。まだまだ一緒にいたいんだろうな。この状況ではなかなか速水家の門から出られない。ぼくは年若い恋人たちに気を利かせて、
「それじゃあ、ぼくはそこの角を曲がったところで待ってるから、ね」
そういって2人に軽くウインクしてみせた。文和と千春はともに顔を赤らめて、
「あ、ありがとうございますっ!」
元気に言ってから、じっと見つめ合っている。そんな2人にあてられて、
「じゃ、あんまり遅くならないでね」
くるりと後ろを向き、上げた右手を振って速水家を後にした。
ヒグラシの声に秋を間近に感じていた。ぼくはいらいらしたりすることはなく、2人の愛の交歓が終わるのをゆったりした気分で待っていた。
(きょうはいろいろなことがあったなぁ)
などと、ぼんやり考えていた。5分ほどたっただろうか、
「文和! 早くウチに入りなさい」
晶良の声がここまで聞こえてきた。思わずビクっとした自分に苦笑する。と、ドアの閉まる音と同時に、
「お・ま・た・せ・ぇ」
千春の上気した声が耳をくすぐる。別れのキスは相当熱かったのだろう、泣いているじゃないかと思えるほど瞳は潤んでいた。
「さあ、帰ろう」
コクンとうなずく千春。ぼくは駅に向かってゆっくりと歩きだす。
「でも、びっくりしちゃったぁ。リビングに行ったら、おにいちゃんがいるんだもん」
「驚いたのは、こっちのほうだよ。それに、ちはる、『おにいちゃん』って言いかけただろ」
「えっへへぇ。ばれてたぁ?」
小さく舌を出して笑う千春。
(あのかわいい舌にぼくの舌が絡みついたんだ…。あのかわいい舌がぼくのムスコを嘗めた…)
混乱している。混乱している自分を自覚している。慌てて話題を変えようとあがく。
「ち、ちはる。文和くんとは、その、もう…。あ、いや、なんでも、ない」
誰か司とカイトのエロをキボン
聞きたいんだが、5スレ目ってどっかで見れない?
291 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/07(火) 12:32:39 ID:vYJfASGB
「?」
不思議そうにぼくを見る千春の瞳には、邪気がまるで感じられなかった。ぼくは自分が恥ずかしくなった。千春の潤んだ瞳を見て、文和くんとのキスシーンを想像してしまったのがいけなかった。
それでもなんとか気を取り直し、深呼吸して涼しくなった空気を胸いっぱいに吸い込んだら、どうやら落ち着くことができた。
文和との交際は順調なのだろう。幸せそうな千春の表情、態度に、それがにじみ出ている。
ぼくは妹に接するように千春に話しかける。
「あれっ? 千春、ずいぶん大人っぽくなったんじゃない」
「わかります? 胸は3?おっきくなってぇ、お尻も3?。逆にウエストは2?減ったんだよぉ。あのね、…おにいちゃんに抱かれたから、だよ」
ぼくは、かなり動揺した。それをごまかそうとして、
「こらっ。そんなわけないでしょ」
たしなめるように、それでいて強い口調にならないように気をつけて言い、お尻をポンっとたたいた。
「あん、もぉ。晶良お姉さんに言いつけちゃおっかなぁ。おにいちゃんがちはるのお尻、さわったって」
100%言うわけはないのだが、一瞬だけ真に受けてしまう。
「そ、それ、困る」
(しまったっ、適当に受け流しとけばよかったんじゃ…)
千春が追い打ちをかけてくる。
「ねぇ、おにいちゃん。ちはるの成長、確かめてみる?」
「そ、そ、そんなことっ! な、な、なんてこと…、だめだよ」
慌てるぼくを見て、千春は口元に小悪魔の微笑を浮かべる。
「おにいちゃんだって、きょう、晶良お姉さんとするつもりだったんでしょ? それが晶良お姉さんのケガでダメになっちゃって…。だからさぁ、ちはるとしよ?」
なにが、だからなのか、よくわからない。そんなことないよ、と建前を言うつもりだった。ところが、口をついたのは本音。
「そりゃあそうだけどさ」
(いっけないっ…、つい…。うわ〜、『そ』しか合ってないじゃないか)
「ちはる、生理前だよ?」
「な、なにを…」
「ちはる、また、おにいちゃんとしたいなぁ。…えへっ、あのね。お風呂でぇ、うしろから…」
「げほっ」
292 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/07(火) 20:42:07 ID:K2VwqQcw
「おにいちゃんになら、ちはる、どんなことされてもいいのになぁ」
「あ〜っ…と」
千春は前にまわって、ぼくの歩みを止める。抱きついてきて、押しつけてきた腰を左右に揺らし、
「おにいちゃん、おっきくなってるぅ」
頬を染めてはいるが、うれしそうに言う。
「えっ? …えぇ〜っと」
「ねぇ、おにいちゃん。キスして」
「だめだって。それに千春、さっき文和くんとキスしてたんじゃないの? ぼく、ヤだよ、彼の後ですぐにキスするなんてさ」
恋人同士、仲良くやってるんだから、浮気なんかしちゃいけないよ。そう言いたかったのだが…。
「うん、わかったぁ」
かわいい笑顔で答えた千春にほっと胸をなでおろす。
(ふぅ〜。あきらめてくれたかな。文和くんの名前を出せば、千春も自重してくれるよね)
ところが。
「じゃあ、おにいちゃん。ホテルで歯を磨いてからならいいでしょ?」
「えっ? ち、ち、ちが」
慌てて言いかけたぼくを遮って、
「行こ? ね? おにいちゃん、ホテルに連れってって。ちはるのこと、いっぱいかわいがって」
もはや、ぼくに千春を説得する材料や、その言葉の持ち合わせはなかった。
「んぐぅ…、え…っと…、その…」
ぼくが口ごもったのを、自分に都合よく「承諾」と解釈した千春は、
「晶良お姉さんに教わったんだ」
「えっ、な、なにを?」
「男のコなら、ちゃんとエスコートする!」
いままでとは違う強い口調に言葉を失った。まるで晶良に命じられたみたいだった。「気をつけ」の姿勢をとったぼくの反応を楽しむように千春はニコっとして、
「えへへへ。カズがぐずぐずしてたら、こう言いなさいってね。晶良お姉さんに言われたの」
「あ〜、びっくりして心臓が止まるかと思ったよ。晶良さんに言われたかと思っちゃった」
驚いたせいでムスコは縮みあがっている。しかし、千春が腕を組んできて小さいふくらみを押し付けてきたら、すぐに元気を取り戻してしまった。
>>271 水色時計氏!!! お帰りなさい!
/SIGNの最終回で司のその後は明示されず、放送後は置き去りにされた気持ちだったのだけど、
氏の作品で幸せそうな司に会えて、とても救われました。
超亀ながら、感謝をお伝えしたい。
ゆっくりお待ちしておりますので、ぜひ昴とミミルの心も救ってあげてください。
千春タソ(;´Д`)ハァハァ
気を静めるために歩きだす。次の展開を考える余裕は、ない。千春があれこれ話しかけてくるが、すべてうわの空だ。
「おにいちゃん! ちゃんと聞いてる?」
「え? あ…、あぁ。その、文和くんの話、だよね」
頭の片隅にこびりついていた単語を引っ張りだし、なんとか取り繕おうとする。
「そお。カズねぇ、とってもキスが上手なの。情熱的っ!」
どうやら、千春は話すことに夢中で、ぼくがろくすっぽ聞いていなかったことに気付いていない。
(でも、文和くんのことだってのは合ってた)
ちょっと安心する。女性の話に生返事をすると、とんでもないしっぺ返しをくらう、というのを学ぶのはまだまだ先のことではあるが…。ともあれ、話し続ける千春に耳を傾けることにする。
「ファーストキスはね、カズ、震えてたんだよ。でもね、ちはるが口と舌と唇でレッスンしたら、す〜ぐ上手になったの」
「ふぅ〜ん。それはさ、愛の力だよ、きっと」
「うん! ちはるもカズのこと、だ〜い好き。カズに抱きしめられてキスされると、なにも考えられなくなっちゃうんだ」
絡めた腕をほどいて、ぼくは千春と手をつないだ。「おにいちゃん」ではなく「お兄ちゃん」として接したほうがいいと判断したからだった。
駅に近づくにつれ道を照らす街灯が増えて明るくなり、人通りが多くなっていった。ぼくはあることを思い出す。
「あ、そろそろケーキ屋さんだ。ねぇ、千春。晶良さんの友達にこの姿を見られるのは、ちょっと…」
ぼくは言って手を離そうとする。
「ちはるは見られたって、どってことないよ」
意味ありげな笑みを浮かべ、ぼくを困らせる小悪魔。
「でも、カズに心配かけたくないし…。ちはる、我慢するね」
やっと手を離してくれた。もうケーキ屋さんまで10mくらいしかなかった。店の前を通り過ぎるとき横目を走らせると、翔子はちょうど接客をしていて、ぼくたちに気が付いていないようだった。
駅に着く。乗り込んだ電車は満員に近いくらい混雑していた。千春を自分とドアの間に位置させ、乗客に押されるのをガードする。しかし、親切は裏切られることになる。
小柄な千春はすっぽりと隠れてしまっている。ゆっくりと首を振り周囲の様子を確認した千春が、意味ありげな笑みを浮かべた。
>>271 お帰りなさい。
待ってたと言うにはブランク長すぎたがとても嬉しいよ。
297 :
18Rの鷹:2005/06/10(金) 12:13:46 ID:iYoUwYjt
「ん…んん?」
股間に微妙な感触。視線を下にもっていくと、襟からのぞく千春の白い肌が目に入った。ドキっとして思わず目をつむった。
股間では相変わらずなにかが動いている。すぐに目を開けて、さらに視線を下げる。
「!」
千春の右手がムスコを撫でている。叱ろうにも大きな声は出せない。背中には絶え間なく圧力がかかり、体をずらすこともままならない。それをいいことに、千春はさらに力を込めてムスコを愛撫してくる。
次の駅に到着。開いたのは反対側のドアだった。人の乗り降りもない。どうすることもできないまま、ムスコは体積を増していくばかりだった。
「んっ! ぅうん!」
千春をにらんでセキ払いで注意する。しかし、千春は行為をやめない。そればかりか、千春は顔を上げて、口だけ動かして
(おっきい)
と声を出さずに、うれしそうに言った。それから千春はようやく手をムスコから離した。ほっとする間もなく、電車の揺れに合わせて千春がぼくに抱きついてくる。腕がぼくの腰にまわされる。
運が悪い日、というものはあるものだ。止まる駅止まる駅、開くドアは全部反対側。おかげでずっと、千春のお腹あたりの柔肌によるムスコへの愛撫が続けられた。
意識をそらそうとしても無駄な努力。ムスコは欲望に忠実に、その姿を大きく変化させていく。
そうこうしているうちに終点の新宿についてしまった。
「はぁぁぁぁ」
やっと千春の体が離れた。ぼくの頭はぼんやりとしたまま。うつろな目でため息を漏らした。千春に手を引かれて電車を降りる。思考停止に陥って歩いていたら、いつの間にか改札をくぐっていた。
「ち、ちはる? ど、どこに行くつもり?」
向かっている先には覚えがあった。千春は、なにわかりきったことを聞くの? という顔をして、
「もちろん! ホ・テ・ル」
両足を踏ん張って急ブレーキをかける。
「だ、だめだよ!」
声が上ずってしまっている。千春は悲しげな目をすると、両手を顔の前にもっていき、
「うっ…、うっ…、ぐすん。おにいちゃん、ちはるのこと、きらいになったのね? ちはる、泣いちゃうぅ、ふえ〜ん」
水色氏キタ━━━━━━(・∀・)━━━━━━━!!
キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━!!
キタ━━━━━━(・∀・)━━━━━━━!!
キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━!!
水色さんの作品は今までのどの作品よりも
好きなので、楽しみに待っていますね。
自分、エロパロなんて書いたことないけど、
もし、ちゃんとしたのが書けたらこちらに投稿させてもらいたい
と思いますー。
誰×誰を書くとかは考えてないっすけど…
というか・・・
神の降臨されている、このスレに俺みたいなのが
投稿しちゃってもいいんだろうか…
気にしないで投稿してくれていいぞ。
鷹氏の作品に不満は無いんだが、毎日毎日鷹氏のSS「だけ」ってのは、その、なんだ、飽きる。
どんなにウマい極上のステーキでも、毎日出されてたら
たまにはさっぱりしたと刺身とかが食いたくなったりするんだよ。
別にこのスレは鷹氏専用スレじゃないんだからさ。
>>302 お前言いにくい事はっきり言ったなぁ・・・。
要するに色々な味を楽しみたいといったところだろ。
投下してくれる人は多いければ多いほどいい。そういうことでおk?
305 :
18Rの鷹:2005/06/12(日) 20:09:53 ID:MYC+toBR
>>297の続き
往来のど真ん中で女のコに泣かれる。これは、男にとってかなりやばい、絶体絶命の状況だ。道行く人たちが、かわいそう、とか、ひどい男ねぇ、とか、小声で言っているのが聞こえてくる。
(ま、まずいぞ、これは)
「ちはる、行こう」
ぼくは焦って、ちはるの手をつかむと早足で歩きだした。思わず知らず、ホテルに向かっていた…。
「おにいちゃん、手、痛いよ」
「あ、ごめん」
歩く速度と握力を緩める。と、涙の痕などまるでない千春の顔に気が付く。
(あれっ? 千春、泣いてたはずじゃ…。あーっ、もしかして、ウソ泣き!? …やられたかも…)
もうホテルは目の前だった。千春はもうしゃべらない。まっすぐにホテルを見て、ぼくの手を強く握り、そうして入り口を早足でクリアした。
足を止めた千春はぼくを見上げ、目で「あとはよろしくね」と訴えてくる。
(ぼくは最後まで抵抗したんだ。そりゃあ、足はホテルに向いてたけどさ。でも、だって、しようがなかったんだよ、その、きっと)
自分に言い訳を繰り返す。小さく息を吐いてから、
(まあ、したかったのは間違いないんだよね。晶良さんじゃないのはがっかりだけど。でも、まあ、その、しようがない、よね!? それなら…)
ぼくはようやく開き直ることができた。そういうことならと、前から興味のあった部屋をさっと選んだ。
「おにいちゃん。どんなお部屋にしたの?」
キーをつかむと同時にエレベーターに向かったため、千春は部屋のパネルをよく見れなかったようだ。
「かわいい感じの部屋だよ」
うそをついた。本当は…。
エレベーターのドアが閉まると同時に、ぼくは千春をきつく抱きしめた。
「ぁっ…、…ん…ぅん」
奇襲をかけたつもりだったが、千春はぼくの胸に顔を埋ずめ、せつなげに吐息を漏らした。
選んだ部屋は最上階、5階の部屋。とても、とても時間が長く感じられる。唐突にガタンという音と、ガクンという振動。エレベーターのドアが開く。薄暗い廊下を歩いて一番奥の部屋へと向かう。
その部屋は、ドアからして淫靡なオーラを発していた。もちろん、すべての部屋が淫靡な空気に包まれているのは間違いないのだが、そこはただならぬ気配を漂わせていた。
でもこの作品は俺は飽きない。
むしろおかわり( ;´Д`)ハァハァ
>>302 マーローキタ━━━(゚∀゚)━━━ !!
308 :
18Rの鷹:2005/06/13(月) 21:16:10 ID:BMRceBVx
生つばを飲み込む。重いドアを開け、千春を部屋の中に入れる。掌にはじっとりと汗をかいていた。
その部屋は薄暗かった。照明はロウソクを模したもので弱い光が本もののように揺らめいている。それは淫靡な空気をさらに強めているかのようだ。ぼくは目が慣れるまで、じっとして待った。
「暗い、ね」
千春のかすれた声。
「明るくできるのかな? でも、暗いままのほうがいいよね」
ひとり言のようなぼくのつぶやきに、千春は黙ったままコクンとうなずいた。
「さあ、入ろう」
ようやく目が慣れてきた。千春の腰に腕をまわし、部屋に入っていく。ベッドルームには直行せず、まずは洗面所に入った。ここの照明は普通で、まぶしいほど明るかった。
「歯磨きタ〜イム」
部屋の雰囲気で緊張している千春の気持ちを和らげようと、つとめて明るく言う。備え付けの歯ブラシに小さな歯磨きのチューブを押しつけ、それから口に入れた。
「ひひゃるも、しゃあ」
歯を磨きながら呼びかけたら、変な発音になってしまった。千春が声を出して笑う。
「あははははは。おにいちゃん、おっかしぃぃ」
肩を震わせながら、ちはるも歯磨きを始めた。
ひと足先に歯を磨き終えたぼくに、いやらしい気持ちがむくむくと頭をもたげてきた。
千春の背後にまわり覆いかぶさる。両手を小さな胸にあて下から上に揉みあげる。この間より揉みごたえを増した胸の感触に興奮する。
「んん! らめぇ」
歯ブラシを口から出し、身をよじって抵抗する千春。
左手を大きくまわしてがっちりと千春を抱き、右の胸を攻める。空いた右手はホットパンツのボタンを外し、ジッパーを下ろし、そうして床に落とした。
「あぁん、らめ、は、みがけにゃい」
正面にある大きな鏡に千春の苦しげで、せつなげな顔が映されている。口元から垂れる唾液まじりの白い液にますます興奮する。
Tシャツをまくり上げ、ブラジャーのホックを解除。直接胸に指を這わせていく。乳首を軽くつまむ。
「はぁぁあ、らめ、らめぇ」
持っていた歯ブラシを落とし、洗面台のヘリをつかんで喘ぎ続ける千春。
ぼくはキスがしたくなっていた。
309 :
18Rの鷹:2005/06/14(火) 23:51:01 ID:H9vSM4Th
「口、すすいで」
コップに水を注ぎ千春に手渡す。左手の掌全体を使って左の乳房を撫でつつ言う。
「あ…はぁ…はぁぁ…」
途切れ途切れに息を漏らしながら千春は口をすすぐ。
「んくっ、くちゅくちゅ…、んんっ! あ"ーっ」
人指し指の腹で乳首をなぞり上げた途端、千春は口に入っていた白濁した水をすべて吐き出した。
「おにいちゃ…ん」
目を潤ませて振り返る千春。その口からあご、首筋にかけて、水が滴り落ちている。千春を自分のほうに向かせ、かけてあったタオルをつかんで千春の顔をふいてやる。
「もぉぉ、おにいちゃん、たまってるのぉ?」
頬を膨らませて言う千春。言葉とはうらはらに、目には抗議の色はない。返事は口ですることにした。
「ん〜、ん…、んん…ぅぁん…」
唇を重ね、むさぼるように口内を舌でかきまわす。ちょっぴり歯磨きの味がした。千春も待っていたのか、腕をぼくの体にまわし、喜々として舌を絡みつけてきた。
長く濃厚なキスを中断し、次のステップへと移行することにする。なにせ、ムスコは張り裂けんばかりに怒張し、すぐにでも千春に入りたがっている。
「千春、お風呂、入ろ?」
「ぅん…」
上気した顔で答える千春。Tシャツを脱がし、肩にかかっているだけのブラを外す。千春は乳首をツンと立たせた胸を隠そうともせず、両腕をぶらりとさせたままだ。
「かわいいの、履いてるね」
白地に薄いブルーのストライプが入ったパンティを脱がそうと、かがみこんだ。そのとき、目の前にあった乳首を口に含むと、千春は身をよじって喘ぐ。その声は実際の年齢より、はるか上に感じられた。
「は…ぁっ! ぁあぁん、あっ」
丸裸の千春。白く透きとおるような肌、うっすらと茂る陰毛が目立っている。ムスコは限界まで硬度を引き上げ、そのときを待ちきれない様子で脈打っている。
素早く着ているものを全部脱いだぼくは、すぐ横にあるバスルームのドアを開け千春の背中を押すようにして入った。
「わぁ〜、広いお風呂ぉ」
入るなり、千春が声をあげた。
千春に夢中になってきてる勇者様
連れ込んだ部屋って、やっぱりSM対応部屋?
千春ってだr(ry
313 :
18Rの鷹:2005/06/15(水) 19:56:13 ID:gH+tOLKd
千春の言うとおり、この部屋のバスルームはこれまで入ったどの部屋のものより広かった。
「あれ? なんで、あんなのがあるんだろ」
壁に立てかけてあった銀色のビーチマットを見て思わず声が出た。海水浴で遊んだ記憶が浮かんでくるが、それがなぜラブホテルのバスルームにあるのか、即座に理解できなかった。
「…ベッド、じゃないかな」
それの用途に気付いた千春が顔を赤らめ、小声で言う。
「え? どーゆーこと?」
まだ気付かない。千春はうつむいてしまった。少し考え込んで、はっとした。
「あっ、そうか! あのマットを敷いて、するのかぁ」
間抜けな声がバスルームに反響する。千春はもじもじして、上目遣いでぼくを見た。その顔はGOサインだと、ぼくは自分に都合よく解釈した。
「まずはシャワー浴びようね。汗、流さなくっちゃね」
はやる気持ちを抑えようとして、ぼくは微笑みながら千春に話す。
「…ぅん」
ちょっぴり不満そうに承諾する千春。歯磨きしながら受けた荒々しい前戯のせいで、すっかり体に火がついているようだ。
シャワーを出し、千春の口元に浴びせる。
「ヴぅっ、ぃやん」
目をぎゅっと閉じて顔をそむける千春。苦しげな表情にそそられる。
(ごくっ。もっと、もっと…千春の悶える顔を見たいな)
左手でシャワーを持ち千春にお湯を浴びせながら、幼い体の成長を確かめるように強弱をつけて右手を這わす。
「はっ…、はっ…、はぁ…、はぁ…、ぁあ〜ん、おにい…ちゃ…ん…、ぃ…いいっ」
「少しだけ、大きくなったね。ちはるの胸」
感想をもらすが、千春の耳には入っていないみたいだ。
「はぁ、あっ、あ〜ん」
乳首をピンと立てて千春が喘ぐ。濃いピンク色をしたそれを少し強めにつまむと、
「ん! あんっ!」
千春はひときわ大きな声をバスルームに反響させた。
ぼくはシャワーの的を乳首から外し、代わりに口に含んで舌で転がした。
いつもながらクオリティ高いねぇ、鷹氏の作品は。
ときにだ。いち早くGUネタ(三爪痕(トライエッジ)を知っているか?) を
持ち出してきた鷹氏なわけだが、なぜここで「トライエッジ」を出したかというと
現在のカイトの女性関係(黒薔薇・なつめ・千春の3人との肉体関係アリ)を
「三股」=「トライエッジ」と表現したと俺は予想する!
>>241でGUネタを出してきたのは、今後なつめも加わって
女三人による壮絶なカイト略奪合戦が繰り広げられることを暗示した
鷹氏からの我々へのめっせぃじなのだよ!!(キバヤシAA略)
な、なんだっt(ry
鷹氏のネタも相まってGUへの期待が高まったよ
316 :
18Rの鷹:2005/06/16(木) 20:25:24 ID:8ypJ/aAS
「あぁ〜ん、あん、あん、あーっ」
シャワーが柔毛を濡らしていく。ぼくの指が器用に動いて、その奥の秘裂を広げる。撫であげると、お湯とは違う粘度の高い液が染み出しているのが感じとれた。シャワーを止める。
「もう、こんなに濡らしちゃって…。ちはる、ぼくのが欲しいの?」
「あっ、あっ、…うん! ほしい! おにいちゃんの、ほしいっ!」
人指し指を入れる。相変わらずのキツさだ。
「あ──────っ!」
シャワーの音がやんだバスルームに千春のあられもない声が響き渡った。
しゃがみこんだぼくは、自分の指が抜き差しされる千春のアソコをじっくり観察する。深く差し入れると、肩に置かれた千春の手に力が入る。
「はぁっ、はっ、はっ、はぁ…あ────っ! あっ!」
千春の膝はがくがくと震え、立っているのがつらそうだ。ぼくは引き抜いた指を千春の目の前にもっていき、
「こんなに濡らしちゃって、千春はエッチだね」
わざと冷たく言う。
「ぃやぁ、やぁぁ…」
恥じらう千春。その顔、その声、どうしてもいじめたくなってしまう。
「これ…、なんだろう?」
マットを床に置こうとしたとき、そのボトルに気がついた。シャンプーとも、ボディソープとも違うボトル。張られていたラベルには『ローション』とあった。
千春をマットに座らせてから、ぼくはそのボトルを手に取った。キャップをひねり逆さまにしてみる。かなり粘っこい透明な液体が、じれったくなるほどゆっくり流れ出てきた。
千春は好奇心に満ちた目で見ている。と、手を伸ばし、ぼくの掌の上の液体に触れた。
「ヌルヌル〜」
両手をこすり合わせて液体の感触を確かめた千春は、うれしそうに指についた液体を口にする。
「どんな味なの?」
ぼくの質問に、千春はちょっと考え込んだように上を見て
「ん〜。味は…しないなぁ」
目をつむってぼくも嘗めてみる。なるほど味はない。
「でも、何に使うんだろ、これ…」
317 :
水色:2005/06/16(木) 23:58:00 ID:v9yFxagM
>>271の続き
司は困惑して、自分の腰にぶら下がったミミルを見る。そしてミミルの抱きついている部分も見る。
さっきひん剥かれた半裸のままだし。上、ブラ取れてボタンも外れたパジャマだし。下なんか、パンツだけだし。
そのパンツに、ミミルの指がかかる。
「あたしも仲間にいーれて」
「えっ、でも」
いくら司といえど、一度に二人の相手は無理だ。
ためらっていると、ミミルはあからさまに落ち込んだ顔をした。
「仲間はずれは……やだよ……」
「ミミル」
うつむいて悲しそう、しおらしい彼女に司の心は動かされた。
バスルームでのことを思い出す。
――――どうせ司は、あたしのことなんてどうでもいいんでしょ!?
THE WORLDで、結局司が選んだのは昴だった!
リアルでも、司が大事にしてるのはあたしじゃない!
あたしなんか、司にとっては昴とベアの単なる添え物でしかないみたいでさ、 なによそれ、なんなのよっ、ぜんぜん納得いかないよ!
そんなだから、あたし、あたしは……!!
あたしだって、司のこと大切に思ってるのに――――
僕が頑張ればいいんだ、それだけのことじゃない、と司は考え直す。
そうすれば、ミミルにも昴にも、悲しい顔をさせずにすむのだから、それが一番いいに決まっている。
自分さえ頑張れば――。
途中で放り出された昴が、「つかさぁ」と甘くねだる声で呼んでいる。
ミミルはぎゅっと司にしがみついている。
司は、ミミルの髪の毛に触れた。
「うん、いいよ。ミミルも一緒に」
318 :
水色:2005/06/16(木) 23:58:25 ID:v9yFxagM
>>317 ミミルの顔が上がり、ぱあっと明るく輝く。司は言葉を重ねる。
「僕、三人ってやったことないけど……、きっと、頑張ればなんとかなるよ。二人とも気持ちよくしてみせるから……」
「だよね、昴だけ気持ちいいのはズル! ヘルバの全ステータスMAXぐらいズル! だから」
「わかったってば、だからミミルも」
気持ちよくすればいいんでしょ、と続ける前に、相手から爆弾が来た。
「司も気持ちよくしたげるね!」
ミミルの無邪気なにっこり笑顔つき爆弾に、なるほどそのパターンで来るんだと司は半ば感心してしまった。
でも感心したって納得できなきゃ意味がないのだ。
「え、僕はいいよ」
脱衣所でのときと違い、今回のこれは、自分まで気持ちよくなってしまったら流石にベアに対して申し訳がなさすぎる気がする。
「……なんていうか、精神的な浮気というか。いや、肉体的にも浮気になるのかな?」
「女同士なんだからいいじゃん」
「そういう問題じゃなくない?」
「いいからいいから。細かいこと、気にしない」
「つかさぁ……、はやく……」
「ほら、昴呼んでるよ。続けて続けて」
急かす昴をいつまでも放っておくわけにもいかなかったので、ひとまずミミルの言葉に甘えることにして、昴に向き直る。
そこにあったのは、司を心待ちにする女の表情だった。
あぁ……と切なげに息を吐き、行為の続きを望んでいる。
司も待たせてしまったお詫びの意味も込めて、丁寧に奉仕していく。
ぴちゃ、と舌を這わせ、せわしなく指を動かす。昴の尖ったピンク色の部分が震えた。
それを唇で押し挟み、さらに細かな振動を与えてから、温かい口の中に含む。
「あっ……はぁぁっ……あん、あ」
「んっ……」
そのとき、司の下半身がすぅっと涼しくなった。
「んむぅっ!?」
パンツを脱がされたのだ、と認識する前に、司の性器にぬるりと生温かい舌が押し当てられた。
隊長!鷹氏と水色氏の相互爆撃で萌え死にそうです!
(右手の)動きを止めるな!
321 :
18Rの鷹:2005/06/17(金) 20:49:51 ID:NJ/dt2YD
>>316の続き
自分に聞くようにつぶやく。
「こうするんじゃないかな、きっと」
そう言いながら、千春がムスコを握ってくる。ヌルっとした快感が走った。
「あっ、こら、ちはる、だめだって」
「うふ。おにいちゃん、おっきくなってるよ。それにすごくかたぁい」
今度はぼくの顔が赤くなった。千春は喜々としてムスコを両手でしごいている。
「よ〜し。おにいちゃんも、ちはるのこと、ヌルヌルにしちゃうぞぉ」
ボトルをつかむが、手にはローションがついていて、まるでウナギみたいに滑る。
「お…っとっとぉ」
なんとか左手の肘のところでボトルを押さえ、口でキャップをこじ開ける。千春の手は間断なく動き、しかもスピードを上げていく。
「ふ…ぎぃ…ぃぃ」
ようやく反撃の態勢は整った。キャップをくわえたまま、ぼくはニヤリと笑みをこぼす。
「ひぃぃはぁぁるぅぅぅ」
ドボドボとローションを右手の掌に垂らし、その手を千春の胸にあてがう。
「きゃあ」
冷たい感触に嬌声をあげる千春。ムスコが解放される。
(さあ、反撃開始!)
掌で踊るボトルに悪戦苦闘しながら、千春の首筋に直接ローションをかけていく。間髪をおかず、それを右手が千春のみずみずしい体に塗りこんでいく。
「あぁ…、あぁぁ…、あぁん」
千春の攻撃は完全に沈黙した。ぼくは体をあずけ千春をマットに横たえた。ローションまみれの体を、ローションまみれの手でまさぐる。
「ん! んんっ!」
素肌のままの頭部では、ローションに負けず劣らずの粘っこい行為を繰り広げる。キスだ。それも、とびきり濃厚なキス。
「ちはる、舌出して、伸ばして」
「えぇっ!? こ、こぉ?」
自分の唾液でいやらしくぬめった舌に、ぼくは舌を巻きつけるように絡めた。千春が目をぎゅっと閉じる。ぼくは千春の口に唾液を送り込む。
322 :
18Rの鷹:2005/06/18(土) 20:00:04 ID:90JgkTJW
「んはぁ…、はぐぅっ…」
ぴちゃっ、じゅるぅっ、ぬりゅっ。
つりそうになるくらい舌を激しく動かし、千春の口内を味わう。互いの唾液が絡みあって流れ落ちていき、それが千春の口の周りを汚していった。
手は胸への執拗な愛撫を続け、ローションを柔肌にすり込んでいった。経験したことのない感触が異様な興奮をもたらしている。
右手は胸から離れ、ゆっくり移動していく。すぐにアソコに到達する。
「んぁあああぁ」
千春はそこに右手が置かれただけで大きな声を上げ、マットの上でヌルヌルになった体を弓なりにのけぞらせた。
「ちはる、足広げて」
素直にぼくの言うことを聞く千春。ぼくが望んでいたよりも広い角度で両足を広げ、アソコを無防備にさらしている。いや、早くいじりまわして、と言わんばかりに腰を突きだしている。
指が秘裂にやすやすと侵入を果たす。めくりあげたそこはローションの助けなど必要ないほど、蜜をあふれさせていた。
クリトリスにローションまみれの指をあてる。そっと撫でただけなのに千春はビクっと体を震わせ、
「んあっ! あっ! あ────っ!」
絶叫に近い声をあげ、滑るぼくの体をしっかり捕まえようとして爪を立ててきた。
「どおしてほしい?」
千春の息づかいが落ち着くまで指を動かさず、ぼくは意地悪な質問をぶつける。
「…ぁぁ…ああぁ…、おにいちゃん、おにいちゃん…、…も…」
「も? も、って何?」
射抜くように千春の目に冷たい視線を浴びせ、ぼくは聞く。
「…あぁっ! もっと! もっと、ちはるのこと、みだれさせてっ! 感じさせてっ! お願いぃ」
千春の答えは、ぼくの期待したとおりだった。
「こお、かな」
ローションをまぶすように指でクリトリスをこねまわす。親指を動員してつまむ。力を入れると、ローションの滑りで逃げるようにクリトリスがはじかれた。その瞬間、
「んぁっ! あ───────っ! あ───────っ!」
両足をピンと伸ばし、ビクビクと全身を痙攣させて、千春は気を失った。
323 :
18Rの鷹:2005/06/19(日) 19:38:22 ID:/bTd4MY4
(さて、どーしたらいいのかな?)
動かぬ肉人形と化した千春を見下ろして、ぼくの頭は次の展開に思いをめぐらせていく。
(意識のない千春に何かするっていうのも…。う〜ん、どうなんだろう? つまんないかな)
それでは、千春が意識を回復するのをただ待っていられるか、というと、どうも無理そうだ。なにせムスコは怒張しきって、先端からは我慢できないとばかりに透明な液体を先走っている。
(このまま、入れちゃおうか…。うんっ! こーゆーのもいーかな)
ぼくは滑る千春の体をなんとかひっくり返し、うつ伏せにした。
「…ん…、ぅぅん…」
千春は小さくうめき声を漏らしたが、目は閉じられたままだった。
ローションにまみれたお尻がいやらしく輝いている。ムスコもまがまがしく光っている。
千春の足を少しだけ広げ、なるべく体重をかけないように注意しながら千春にのしかかった。左手1本で自分の体を支え、右手は千春の肩をつかむ。
「入れるよ、ちはる」
自らの決意をささやく。反応はない。肌を密着させる。弾力あふれる千春のお尻が、ぼくを押し返そうとする。この抵抗感がまた、さらに興奮度を引き上げていく。結構な運動量があるのか、それとも焦りからか、額に汗が浮かんできた。
この体位ではムスコも千春のアソコも見ることはできない。ムスコに手を添えることもできない。腰を前後左右上下に動かして入り口を探す。
(ここで、いいかな)
ようやく亀頭の先がそれらしいヌメリを探りあてた。弓なりに反り返ったムスコを、蜜壷を包み込むように囲んでいる花びらに押しつける。
「ん…、んあ!? …えっ、えぇっ、おにいちゃん?」
「入れるよ、ちはる」
もう一度言った。今度は千春に聞こえたはずだ。花びらを押し広げながら、ムスコはゆっくりと侵入していく。亀頭がすっぽりと飲み込まれた。
「あっ! あぁっ! あぁあっ! い…ぃい、いいっ!」
千春の喘ぎに冷静さが吹っ飛んだ。一気に最奥まで貫く。
「あ────っ、あっ!」
激しく動かす。締め付けてくる膣を屈服させるように力強く突き入れ、間髪を入れず引き抜く。それを何度も何度も繰り返す。
324 :
18Rの鷹:2005/06/20(月) 20:45:16 ID:EQoRgQnq
「あっ! あふっ! あぅっ! あぅぅぅっ! あぁんっ! あっ! あっ! あっ! あ──っ!」
短く、鋭く、千春の小さな口から吐き出される喘ぎがバスルームにいやらしく反響する。にちゃ、にちゃっとローションが音をたてて、淫靡さを増幅させた。
まばたきもできないほど興奮していた。
(もっと、もっと千春の奥に突き入れたい)
ぼくは千春に命じる。両手をマットにつき上体を徐々に起こしていく。腰は動かしたままだ。
「ちはる、四つん這いになって」
前より少しだけくびれたウエストをぐいっとつかむ。ローションで滑るため、指をしっかりと柔肌に食い込ませた。
千春の体を引き上げる。千春は膝を滑らせ、大きく開脚してしまう。動きの自由度を増したムスコが、待ってましたとばかりに深く深く侵入する。
「あぁぁあっ!」
たまらず千春は、これまでよりも大きな声をあげた。
腰を千春のお尻に打ちつける。これまで後背位でしたときは、『パン、パン』と音がしたのだが、いまはローションのせいで、濡れた打音になっていた。
「あっ! あっ! あっ! んあっ! あっ! あっ! あぁっ!」
千春は腕に力を入れていられないようで、顔をマットにくっつけて喘ぎ続ける。
ぼくは汗がだらだら垂れるのも気にせず、行為に熱中した。全神経がムスコに集中しているんじゃないかってくらい快感が走り続けている。そして、二次曲線を描いて高まる射精の欲求。
「ぐ…ぅ…、ち、ちはる、いいっ! すごくいいよっ、あぁ、いきそーだよっ」
「あぁっ、きてっ! おにいちゃん、きてっ、ちはるの中に、出してっ」
(そういえば、千春、生理前って言ってたよね。…あぁ、出、出るっ)
頭の中が真っ白になって、それから稲妻が一閃した。
「ちはる、ちはる、ちはるぅぅぅぅっ!」
「あぁあぁあぁっ! あ…っ!」
2人の獣のような声が混じり合う。
千春のお尻がゆがむほど突き入れ、ぼくは濃く熱く大量の精液を千春の膣奥にぶちまけた。
「うおっ」
第2射を放つべく腰を思いきり引いた。勢いがよすぎたようでムスコがこぼれ出てしまった。久しぶりに空気に触れた感覚のせいか、そのまま射精してしまう。
325 :
18Rの鷹:2005/06/22(水) 00:33:42 ID:Nde+JQw4
ローションまみれのお尻に白濁した液がたたきつけられる。ぼくはムスコを握り、最後の一滴まで絞り出そうと大きくしごく。噴出した精液がまた千春のお尻を汚した。
若くてみずみずしく、そして白くて柔らかい肌を生き物のように伝っていく精汁。ローションと混じりあって粘度は高くなったのか、低くなったのか?
千春はゆっくりと崩れ、マットにうつ伏せになった。
「あぁ…、はぁ…、はあ…、はっ、はっ、はぁっ、はぁぁぁ…」
千春の呼吸音で我に返る。
「ち、ちはる? だいじょぶ?」
「あぁ…、はぁぁぁぁあ、…あぁぁ、らめぇ」
焦る。
「えっ、だめ? だめなの? しっかりして、ちはる」
「えっ…へへぇ。らいじょーぶらよ。…あぁ、れも、らめぇ」
「そんなカッコしてたら、その、風邪ひいちゃうよ」
「こんなカッコさせたの、られよぉ」
「うっ…」
鋭く切り返され言葉に詰まる。だからといって、このままにしておくわけにもいかない。自分が出したものとはいえ、千春のお尻にべっとりこびりついた精液が、なにかいけないものに感じられていた。
「それじゃあ、そのままシャワー、かけちゃうよ。いい?」
念を押すと、千春は
「さっきもおしりに、かけられちゃったしぃ」
「うっ…」
再び絶句する。引きつったぼくの顔を横目で見た千春は、おかしそうに言う。
「ねぇ、おにいちゃん。ちはるのこと、きれいにして」
「うん、わかった」
「ちはるのぉ、中もしっかり洗ってね。おにいちゃん、熱いの、いっぱい出すんだもん」
言っている内容にドギマギする。それでも、千春の言葉の中に漢字が混じりだし、意識が正常に戻ってきたことにホっとしていた。
シャワーを出して浴びせると、
「ん〜。きっもちいぃ。はぁ〜」
千春は目を閉じて満足そうに息を吐き出した。
326 :
さき20才:2005/06/22(水) 18:49:53 ID:IRa5NgHm
倉庫行けない?
328 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 21:14:32 ID:NT+uwfSw
このスレ凄いな。
スレの半分以上がSSで埋まってる……。
329 :
18Rの鷹:2005/06/22(水) 22:10:28 ID:VRq4C2lp
>>325の続き
ボディソープのボトルを手に取り、数回ポンピングしてスポンジに含ませ泡立てる。それを千春のお尻にあてて円を描くようにこすりつけていく。スポンジ越しにヌルっとした感触が伝わってきた。
(ローション、だよね!? ぼくのはシャワーで落ちたはずだよね…)
そんなことが頭をよぎる。手に力が入っていたようで、
「あ〜ん、おにいちゃん、もっとやさしくぅ」
千春が振り向いて口を尖らせ不満を漏らした。
「ごめんごめん。ちはる、少しだけ腰、浮かせて」
「えぇ〜、おにいちゃん、またするのぉ?」
「ち、違うって! そんなにすぐにはできないよ。…って、そおじゃなくて」
「うふふぅ。はい」
からかっているのか、本気なのか、千春は微妙な笑顔をのぞかせて腰を浮かし、おまけに足を開いた。
至近距離からシャワーを浴びせ、人指し指でかき出すようにして花びらの奥を洗う。
「ぅ…んっ、あふ」
千春は切なそうに喘ぎ声をもらすが、やめるわけにはいかない。そうして、流れ落ちるお湯に混じって白い液がこぼれ出てきた。それはマットを伝って泳ぐように排水口に消えていった。
お尻の泡をシャワーで流し、ぼくは千春を体育座りさせた。首筋から背中、手を前にまわして胸、お腹と洗っていく。
「えへ。おにいちゃん、ちはる、ね」
「ん? なに」
「すっごくうれしい!」
「うん。よかった」
ぼくに妹がいたら…と考えそうになって首を横に振る。
(バカだな。ほんとの妹に、こんなことやあんなこと、するわけないし、できるわけないよ)
そんなぼくを不思議そうな目で見ている千春。その目には一点の曇りもない。
(なんで、こんなにかわいい娘が、あんなエッチなことできるんだろう?)
そう思って、はっとした。つくづく自分の棚は大きく頑丈だと思う。自分でしたことなのに、女のコには天使の純真さを求めている。
(男って、身勝手な生き物なのかもしれない…)
千春に聞こえないように、そっとため息をついた。そんなぼくに気づかず、無邪気に千春が話しかけてくる。
それが.hackクオリティ
332 :
18Rの鷹:2005/06/23(木) 20:17:29 ID:1432rlEZ
「ねぇ、おにいちゃん。時間…、あんまりたってないね」
壁にかかった防水時計に目をやるが、入った時間は見ていなかった。それでも、なんとなく、ホテルに入ってから15分くらいしか過ぎてないのがわかった。
「えっと…、そーだね」
そう答えるのが精いっぱいだった。しばらく(といっても、3日間オナニーを自粛しただけだが…)出していなかったのが、挿入してから射精までの時間に影響を及ぼしていた。
「ちはるはね、すっごくよかった」
早く出してしまったことを責められるんじゃないかとドキドキしたが、それは大丈夫だったようだ。
(セックスって、単純に長く入れていればいいってものじゃないんだ…。量より質、ってゆーのかなぁ)
うまく言葉が出てこず、ぼくは笑顔を見せることで千春に答えた。それから照れ隠しのつもりで千春に背を向けて自分の体を洗い、シャワーのコックをひねった。
千春の体を覆っていた泡をシャワーで洗い流していると、千春がまじめな顔をして、つぶやくように聞いてくる。
「やさしいおにいちゃんと、エッチなおにいちゃん。どっちがホントのおにいちゃんなの?」
「どっちもぼくだよ」
そんなこと、考えたことはなかったが、なぜか即答できた。
「ふぅ〜ん。だけどぉ…、だけどは変か。晶良お姉さんって、やっぱりすごい」
唐突に話題を変える千春。ついていけない。
「えっ、なにが?」
(出した後って、ちょっとボーっとするんだよね。女のコのほうが回復は早いのかな)
「だって、晶良お姉さん、いっつもあんな激しいエッチしてるんでしょ? すごいなぁ」
目は点になり、体は凍りついたように固まってしまった。千春はそんなぼくに構わず続ける。
「ここのホテルって3時間よね? その時間であんなのを3回…、いつもいつも…。…はぁ〜」
「い、いや…、そ、そんな、こと…、ないって。いつもは2回…、1回しかしないときもあるよ」
「へぇ〜」
千春は驚いたように目を見開いて口を大きく開けている。ウソはついていないのだが、なんとなくバツが悪くなり、ぼくは横を向いて小声でつぶやく。
「…いや、時間が許すなら、晶良さんとは3回といわず、4回も5回もしたいんだけどね…」
それは千春の耳には届かなかったようだった。向き直って、千春に言う。
「1日に3戦はきついよ…」
>>333 お前はこのスレの神数名に喧嘩を売った。
代理人として俺がサウナ室で(ry
335 :
水色:2005/06/23(木) 22:50:01 ID:e+Qqo8fP
>>333 (´・ω・`)ショボーン
>>318 昴の乳首をうっかり噛んでしまいそうになり、慌てて唇を離した。
「やっ……、ちょ、ミミル……ダメだってば、あぁん」
ミミルの舌がぴちゃぴちゃと濡れた音を立てる。
司の膝から力が抜けそうになる。
昴の身体にしがみつくのがやっとで、愛撫を続けるどころではない。
「あっ……はっ、そんな、激しくしちゃ……!」
「もう司、わがままー。仕方ないなあ」
わがままとかそういう問題じゃないんだけど!
ミミルの言葉につっこみを入れたくても、司の口から漏れるのは意味を成さない甘い声ばかりだ。
女の子の指が、司の入り口を左右に広げたので。
「あ、ひ、んんっ!」
「じゃあ舌はやめたげる。さっきもしたし、ワンパだと飽きちゃうのも無理ないもんね」
だから飽きたとかでもなくって!
突っ込まれた指のせいで、またすぐぐちょぐちょと音が立ち始める。
司は快感に耐えつつ、途切れ途切れながらも懸命に昴の胸を揉み解し、そして昴は、ミミルの言葉を聞き逃さなかった。
「さっきも……した……?」
昴様GIFTモードスイッチ・オン。
336 :
水色:2005/06/23(木) 22:51:11 ID:e+Qqo8fP
>>335 「さっきもした、とは、どういうことですか」
「えっ」
思わず司は血の気が引いた。
けれどミミルの闘争心には逆に火がついたようで、彼女は負けじと昴を見る。
昴は司の腕を引っ張ってミミルから奪った。
そして司の頭を自分の胸に抱え込み、ミミルに向かって言う。
「私を出し抜くなど、許せません!」
「なによお、そんなタレ乳に押し付けられたら司かわいそうでしょ!」
ミミルもむきになって司の足を引っ張る。
司は痛みをこらえつつ、「え、第2ラウンドの始まり?」と小さく呟いた。
しかも第1ラウンドより状況が悪化してるし。
「た、タレ乳……!? この張りのあるバストのどこがたれていると言うのですか!」
「タレ乳の温泉に間違えて行ったんでしょ? クリムと銀杏つれて」
「タレ乳ではありません、たちがれです!」
「似たようなもんじゃん」
「違います!」
銀杏はスルーなんだ、と司は思った。
>>336 水色氏キテル━━━(゚∀゚)━━━ !!
司たん( ;´Д`)ハァハァ…と1年ぶりに言えたのも水色氏のおかげでつ。
銀杏ワロタ(w
>>333 わかってるよなぁ〜?(Liminalityの警備員風に)
さて、今現在エロパロには何人くらいの読み手が居るのだろうね?
エロパロという性質上
「ネタ元しらんから読まね」
という読み手が多いのだろうか?
もしそういった読み手が多いのならもったいないね
まー此処はちと特殊で読み手が書き込むのにはかなりの勇気がいるのかもな
…なにが言いたいのかといえば…
精子臭い素晴らしいスレということだねぇ
hackは今はかなり安いし、買いのゲームでもあるとも言っておこうかな
書き手の皆さん、いつもお疲れさまです
ほぼ毎日のように1レスずつ連載していく職人がいるスレなんて
エロパロ板広しといえど、このスレくらいだろうしなぁ。しかも長期にわたって。
鷹氏の爪の垢を飲ませたい作家のなんと多いことよ。アイツとかあいつとかアイツとか。
ていうか、18Rの鷹 の稀有な文才を湛えるべきであって、
他の職人さんたちにまで、見習えとか真似しろとかいう類のことじゃないじゃろ。
341 :
18Rの鷹:2005/06/25(土) 01:22:56 ID:Wc+JtJci
「ん〜。そっかぁ。じゃあ、おにいちゃん、次の1回がラストね。…じゃあ、も〜っと頑張ってね」
そのつもりではいるのだが、
「あのね、ちはる。男はね、一度出したら、そんなにすぐにはさ、次ってできないんだ」
まじめな顔をして、男の性(さが)について講義する。でも、千春はにわかに信じられないようで、目を丸くしている。
「え〜っ、うっそぉ!? 男の人って…、特におにいちゃんはぁ、すぐに何度でもできるって思ってたぁ」
ため息が漏れる。
3人の男(自分を含む)と性体験があり、早熟でセックスが好きで、保健体育の成績が一番いいといったって、異性の体についての知識なんてこんなものだ。
「ぼくはフツーの男のコだよ。だから、ね、文和くんにも無理言っちゃダメだよ」
「はぁ〜い」
した後は妙に素直になる千春がおかしくもあり、かわいくも感じられた。
(いまのは、ちょっと早く出しちゃったけど、時間はあるし、ゆっくり楽しませてあげるよ、千春)
しつこくヌメっていたローションだが、ようやくきれいに洗い落とすことができた。ぼくたちはバスルームを後にして、『プレイルーム』へと移動した。
ぼくは腰に、千春は体にバスルームを巻いただけ。着ていた服は洗面所に置きっぱなしだ。
赤と黒の刺激的な色使いをしたベッドを目にして、千春はじっと動かない。
(ベッドの色なんて、実はたいしたことはないんだよ)
頭の中で冷たい自分の声が響く。
ここは、前からホームページで目をつけていた部屋だった。いろいろと面白そうな「道具」が用意されていて、ちょっと変わったセックスができる、というようなことが書かれていた。
(ほんとは晶良さんと入りたかったけど…。晶良さんは絶対嫌がりそうだもんね、この部屋)
千春との2回めのプレイに思いをめぐらせる。しかし、ムスコはまだ、だらりとしたままだ。不意に千春が振り向く。
「うそつき。かわいい感じの部屋って、おにいちゃん、言ったよね?」
少し怒ったような表情に思わずたじろぐ。
「…」
絶句したぼくに千春は意外な言葉を発した。
「ちゃんと言ってくれればいいのにぃ。ちはる、変わったエッチもしてみたかったんだぁ」
ほっとした。これで、あれこれ、いろいろできる。
流石カイト、俺たちにできないことを平然とやってのけるっ!!
343 :
18Rの鷹:2005/06/25(土) 19:30:59 ID:7ltNzOM9
臨戦態勢が整うまで、ぼくたちはソファに並んで座り、アリバイ工作にはげむことにした。2人、ケータイを取り出して、それぞれの相手にメールを打つ。ぼくは晶良に、千春は文和に。
「えっと…、ま・だ・てん、帰・る・途・中・まる。か・あ・さ・ん・に・買・い・物・頼・ま・れ・ち・ゃ・っ・て・まる。あ・と・で・ま・た・メ・ー・ル・す・る・ね・はぁと」
声を出しながら、一文字一文字打ち込んでいく。そんなぼくを千春がくすくす笑いながら見ている。文和へのメールはとっくに送信してしまったらしい。
手持ち無沙汰なのか、千春はテーブルの上にあったリモコンをいじくっている。突然、大きな音が鳴り響いた。
「おわっ!?」
驚くぼくにかまわず、慌てた素振りなどまったく見せずに千春はボリュームを下げた。それから、あれこれチャンネルを変えていく。いろんなジャンルの音楽が聞こえてくる。
「へぇ〜。こんなのもついてるんだぁ」
リモコンを凝視しながら千春が感嘆の声をあげた。と、音楽が途切れて、なにやら聞こえてきた。
「これって…お経?」
スピーカーから流れる般若心経に千春はぽかんとしている。
「こんなの、聞く人いるのかな? ここ、ラブホテルだよね」
あまりにも不似合いなものを聞いて、千春は不機嫌そうにまたチャンネルを変えた。今度は、ジャラジャラガラガラという音に混じって、ポンとかロンとか話す人の声。
「なに、これぇ?」
不思議そうな顔をして、ぼくに聞いてくる千春。
「う〜ん。まぁじゃん、麻雀かなぁ」
答えながらも、なんでこんなチャンネルがあるのか、疑問は深まるばかりだ。千春がリモコンを操作する。今度は、カンカンカンという踏み切りの警報音が鳴る雑踏の音だ。
「あ、なんか、これ、うちの近くにそっくりぃ」
千春が視線を上げて言う。続けて、
「カズにTELしよっかなぁ」
そう言うなりケータイのリダイヤルを操作し耳に当てている。
「あっ、カズ。…、あのね、声、聞きたくて。家に帰るまで待ちきれなくて電話しちゃった」
ぼくのほうを向いて片目をつぶり、右手の人差し指を立てて口に押し当てている。
(大胆というか、無邪気というか…。小悪魔…)
やけにラブホに詳しい18Rの鷹氏について
>>333訂正
誤:職人は1人しかいないけどね
正:職人は2人しかいないけどね
住人は何人くらいいるんだろう
点呼でもしてみる?
1
ここが過疎スレなら、点呼を取るところだが…
鷹氏のおかげで、スレ容量がとてつもなく圧迫されとるしのぉ。
前スレなんか550手前でパンクしたしな。点呼なんかとれん。
ほんに鷹氏の努力には頭が下がるよ。下の頭は上がるほうが多いが。
349 :
18Rの鷹:2005/06/26(日) 19:08:25 ID:MkjEXJqn
>>343の続き
ケータイを切って、ぼくを見る千春。うれしそうに、
「カズね、すっかり信じ込んでたわ。踏み切りの音を聞いて『いま、あの辺だね』だって」
くすくす笑っている。自分にはそんな電話はとてもできそうにない。
「ひどい彼女だなぁ、ちはるは…。なんか、カズくんがかわいそうになってきたよ」
千春を斜めに見て冷たい視線を送る。
「あ〜、おにいちゃん、ずるいっ。ちはるにい〜っぱいエッチなことしたのにぃ」
「うっ…」
できれば真正面から向き合いたくなかった現実を突きつけられ、言葉に詰まってしまう。
逃げるように立ち上がり、冷蔵庫に飲み物を取りにいこうとする。と、ガラス戸のついたキャビネットに目が釘付けになった。いや、キャビネットではなく、その中にあるものに、だ。
大小さまざまな男性器を模した大人のおもちゃ、手錠、鞭、毒々しい真っ赤な色をしたロウソク…。どれも初めて目にするものばかりだ。ごくりとつばを飲み込むと、ムスコがむくりと起き上がってきた。
ガラス戸を開き、2つ、手に取る。ゆっくりと千春のほうに体を向けて1歩前へ進む。千春はそれまでの表情を一変させ、怯えた顔をしてぼくから逃げようと後ずさる。
「ちはる、なぜ逃げようとするの」
「だ、だって…、おにいちゃん、なんか、怖い」
「怖くなんてないよ。かわいがってあげるから、ね?」
これからすることへの期待と興奮で声が震えている。じりじりと千春との間隔を詰めていく。千春はソファに足を上げ体を丸めてしまった。
「それ、なに?」
千春は泣きだしそうな顔をしている。嗜虐の本能を大いに刺激される。
「これ? う〜ん、拘束具、ってゆーのかな。ちはるの手をね、こうするんだよ」
細い腕をぎゅっとつかみ、強引に背中にまわす。
「いやっ! やぁぁぁっ、あぁ…、おにいちゃん、こわいっ」
悲鳴に近い声。だが、それはムスコを硬く大きくしていくだけだった。
赤いビニールでできたリストバンドのようなベルトを千春の左手に巻きつけ、あまりきつくならないように注意しながらベルクロのテープで固定する。
「ね? 痛くないでしょ」
もう獲物はわが手に落ちた。もがいている千春に余裕の笑顔を向ける。鎖でつながれたもう一方のベルトで右手を拘束し、準備の第一段階はクリアした。
ちょ、勇者様エロ杉w
352 :
18Rの鷹:2005/06/27(月) 20:06:05 ID:7YAZwmLo
千春の体を抱きかかえ床に下ろす。不安そうな目をしてぼくを見上げる千春。
「変なことはしないよ。だから、心配しないで」
微笑みかけて言うと、千春は緊張をほどいたようで、
「痛いのとかはイヤよ。おにいちゃん、やさしくして」
好奇心に満ちた瞳を向けてくる。ぼくはその瞳を隠すことにする。
「えっ? おにいちゃん、見えないよ、怖いっ」
もう一つ持ってきた道具はアイマスクだった。視界を奪われ、再び千春に不安が襲う。
「怖がらないで、ちはる。ぼくの言うことを聞いてね」
つとめて静かに言ったつもりだったが、微妙に声が震えている。ムスコはすでに勃起し、バスタオルを押し上げていた。
「ちはる。舌、出して。大きく前に突き出して」
上から命令する。
「こ、こう?」
千春はまだ少し怖がっているようで、声は消え入りそうなほど小さい。でも、これから自分がどうされるのか興味があるようで、素直にかわいい舌を伸ばした。
自分の舌になにが触れるのか、頬を紅潮させながら待つ千春。ぼくは期待(?)を裏切ることにした。そっと音をたてないよう、気配を感じさせないようにかがみ、千春の舌を唇で捕捉した。
「ん! んんっ、ぅぅん…」
千春は意表をつかれたようで、身をよじって吐息を漏らしている。すぐに唇をはずす。
「どうしたの? なにがしゃぶりたかったの?」
「えっ? なにが…って…、ちはるはべつに…」
「ウソ、ついちゃだめだよ。本当のことを言いなさい、ちはる。なにがほしかったの?」
「…おにいちゃん…」
弱々しく首を振る千春。ぼくはそれ以上追い込むことはせず、立ち上がってもう一度命じた。
「ちはる。舌を出して」
「はい…」
ピンク色に濡れた舌に、ぼくは人指し指を押し当てる。千春の唾液が指を濡らしていく。それから、その指で唇をまさぐった。
「ぁ…、ぁぅん…、んん〜っ」
左手で腰に巻いたバスタオルを解く。逞しく勃起したムスコが天に向かって屹立している。
勇者様が(;゚∀゚)
暗黒カイト
やべぇ、どちらかなり好きなだ(笑)
しかし書き込んで書き手の邪魔にならないのか?
フィクションとは言えこのテクニックはうらやましい限りだ(w
ハァハァしつつも現実でもこういう風に悦ばせられればとか思う…
357 :
18Rの鷹:2005/06/28(火) 20:42:16 ID:vCgmZ/HJ
>>352の続き
「ちはる。舌を出して。…もっと、もっといっぱい。ちはるのほしがってるもの、あげるよ」
ぼくは立ち上がり、ちはるの頭に左手を乗せ、やさしく撫でながら言う。右手でムスコを自分の体に対して直角になるくらいまで押し下げた。
「ごく」
つばを飲み込む音がやけに大きく耳の中で響いた。
千春の頭に置いた左手に力が入る。何かが近づく気配を感じて千春は少し顔を持ち上げた。膝を軽く曲げて高さを調整。そして、腰を突き出すように前に出す。亀頭が千春の舌先に触れる。
「あぅ…、ちはる、舌が触れているもの、嘗めて。ぺろぺろ嘗めて」
「ぁぁ…、ぁぁ…、ぁぁ…」
張り裂けんばかりに膨らみ、てらてらと鈍い光沢を放っている亀頭に、千春はぎこちなく舌を這わせていく。苦しそうな呼吸音にそそられる。
ぺちゃ、ぴちゃ、ぺろ、ちゅぅ…。
千春は一生懸命に嘗めている。開けっ放しの口の端からはよだれが白い糸となって垂れ下がっている。
「はぁ…はぁ…、はっ、はっ…、く…、くわえて」
舌が口の中に戻る。めくれた唇は唾液で濡れていて、ぼくを誘っているかのように見えた。
「さあ」
千春の後頭部に場所を移した左手を引き寄せる。同時にムスコを唇にぐいと押しつける。
「ん…んんんっ!」
千春の苦しげな声をムスコが喉に押し戻した。空いた右手も千春の頭にもっていき両手で固定して、ゆっくり大きなストロークをとって腰を使う。
千春の小さい口はこれ以上開かないところまで広げられている。肉棒が往復するたび、千春の唇は巻き込まれ、また引きずり出された。
「ん〜っ! …んっ! …んんっ、んんっ、んんん〜っ!」
後ろ手に縛られ、目隠しをされた少女の口を犯す。目の前で展開される光景に、少女の漏らす苦しげな喘ぎに興奮していた。
次第に腰の動きは速く大きくなっていく。
「んぐぅっ! ぅぐっ!」
千春がくぐもった悲鳴をムスコにぶつけ、イヤイヤをするように顔を振った。
はっとした。我にかえって慌てて腰を引いた。ぐぽっという音を響かせて、ムスコが千春の口から飛び出した。
358 :
18Rの鷹:2005/06/29(水) 20:17:17 ID:b8rec161
「あ"ぁ…、げっ…げほっ、ごほっ、げほっ」
むせて、せき込む千春。粘りけが強く白く濁ったよだれが口から床まで伸びる。
「ご、ごめ、ごめん。だいじょぶ?」
急いでアイマスクを外し、千春の顔をのぞき込んだ。千春は焦点の定まらない目をして、
「はぁ、はぁ、はぁぁ、はぁ、はぁ」
と息を荒くしていた。少しして落ち着いた千春は、ぼくにとろんと潤んだ瞳を向けて、
「あぁ…、おにいちゃん…、ちはるね、あぁ…、あのね…、すっごく…こーふんしちゃったぁ…」
「ちはる…」
「こんどは、おにいちゃんが、ちはるのこと、いっぱい気持ちよくして」
もちろん、そのつもりだ。あのまま続けていたとしても、千春の口の中で果てるつもりはなかった。なんとなくだけど、自分だけよければいいなんてセックスは違う、と思っていた。
千春の体を抱き上げる。ベッドに運ばれる、千春はそう思っているはずだ。しかし──。
「おにいちゃん? どこ行くの?」
答えない代わりに、意味ありげな笑みを投げかけた。
見たこともない形をした椅子に千春を乗せる。リクライニング、背もたれの角度が自在に変えられるビニールレザーが張られた椅子だ。なによりも特徴的なのは、足を乗せる部分だった。
右足、左足、それぞれが独立していて、しかも開閉ができるようになっている。さらに、暴れる(であろう)足を固定するため、膝のあたりと足首のあたりに革のベルトがついていた。
千春を座らせたとき、足の部分は閉じたままの状態だった。無言でベルトを締める。千春はまるで抵抗しない。されるがままで、ぼくのすることをじっと見ているだけだ。
「準備…おっけーだね。さあ、ちはる。いっぱい、かわいがってあげるね」
言うなり、ぼくは千春からバスタオルを剥ぎ取った。
「あぁ…」
全裸にされて、期待からか羞恥からか、頬を染めて声を漏らす千春。ぼくは無防備にさらされた乳首に唇を寄せた。隠そうにも千春の両手は拘束具によって後手に固定されている。
「あっ!」
口に含むなり、乳首に軽く歯を当てた。千春は予想以上に敏感に反応する。強く吸う。
「あぁぁぁぁぁっ、あふっ、あっ!」
もう一方の乳房を右手が揉みあげる。手に吸いつく柔肌を楽しみ、乳首をつまんでやる。
「あっ! あぁんっ! はぁん、あぁん、あんっ!」
359 :
18Rの鷹:2005/07/01(金) 00:01:36 ID:pN65vQXt
じっくりと千春の小さなおっぱいをなぶりつくしたぼくは、千春の可憐な唇を堪能することにした。舌先を尖らせて外周に沿うように唇を這わせていき、柔らかな唇をはさんで味わう。
「あふぅっ、あぅ、は…ぁぁぁ、あんっ」
漏れだした吐息を押し返すように、ぼくは一気に舌を口内に侵入させる。
千春の舌を自らの口内に吸い寄せ、表面も裏面も味わいつくすかのごとく舌を絡みつける。
「ん…んふっ、あふぅ…、んっ、んんっ、ん〜っ」
口をふさがれた千春は鼻での呼吸だけでは追いつかず、苦しいのをうめき声で訴える。
「はぁっ、はっ、はっ、はぁぁっ」
上体を揺らし、大きく口を開けて息をする千春。静まってきたところで、ぼくは耳元でささやいた。
「あそこにも、同じこと、してほしい?」
なんで、こんなことが言えちゃうんだろう? 自分が何者なのか、わからなくなる。
目隠しをされた千春は、ぼくの声がしたほうに顔を向け、ちょっとびっくりしたような表情をのぞかせたが、すぐに顔を縦に強く振り、
「うんっ! おにいちゃん、してっ、いっぱい、してっ!」
口の端からよだれを垂らしたまま懇願してくる。不意に晶良の顔が、なつめの顔が、頭をよぎる。
(年上の女性たちのほうが恥じらいそう…。というより、あの2人だったら泣かれちゃうよね、絶対)
だからこそ、いま、千春を楽しもう。そう強く思った。
(晶良さんとは、きっと時間をかければ、そーゆーことができる関係になれる、そう思うけど…)
いま、したかった。でも、だれでもいいわけじゃあなかった。いまは、千春としたかった。
無言で千春の左の膝に手をかける。その手を自分のほうに引き寄せると、椅子の脚の部分が音もなく広がった。それも、左右が連動して。
「えっ…、えぇっ!?」
足を広げられ、秘所を剥きだしにされていく戸惑いが千春に声をあげさせた。
「まだ…、もっと…、広げられるかな?」
言葉が自然に口をつく。千春の羞恥心を燃えあがらせ、ムスコの仰角をさらに上げる言葉が。
「ひっ…、ぃやっ! だめぇぇ、おにいちゃん、は、恥ずかし、ぃ。恥ずかしいよぉぉ」
無視する。千春の広げられた足の間に、黙って体を沈ませる。目の前には千春の秘所。かわいい顔からは想像できないほど、大人の形態をしたアソコ。
360 :
18Rの鷹:2005/07/01(金) 20:50:52 ID:WNfCZDyi
焦らす、なんて無理。気持ちに余裕はなかった。今度はぼくが舌を伸ばし、敏感な突起に押しつけた。
「ひあっ!」
千春の体が椅子の背もたれから離れる。あごを跳ね上げ天井に喘ぎ声を響かせる。
「はうっ、あんっ、あっ! あ──っ! ぁ…あっ!」
花びらを左右にかき分けるようにして奥を目指す。蜜がとめどなく染み出てくる。ぼくの鼻がクリトリスに当たるたび千春は体をのけぞらせた。
「んあっ! あ──っ! あっあっあっ、あ────っ!」
どんなに伸ばしても舌では限界がある。ぼくは人指し指を嘗め、千春に挿入した。
「はっ! はぅっ! はぁぁぁぁぅんっ!」
声の調子が明らかに変化した。指をゆっくりと回しながら深みを目指す。
「あぁ…あぅっ、あふっ、あふぅ…、あっ、あっ、あっ」
「すごく濡れてる」
「あぁっ、ぃぃ…」
「なに? 聞こえないよ?」
指の動きを止めて、もう一度千春にその言葉を言わせる。
「あぁ…やめないでぇ…、おねがぃ」
「ちはる。もう一度言って。言わないと、抜いちゃうよ?」
「やぁっ、だめぇ。…ぃ…ぃぃ、の…、とっても! いいのぉぉっ!」
「うん。もっと気持ちよくしてあげるよ」
指をこれ以上入らないほど深く挿入し、くちゅくちゅと音をたててかきまわす。さらに舌と唇がクリトリスをいじめだした。
千春が跳ね上がる。
「んあっ! あ─────っ! あぐぅ…」
体中の力が抜け落ちてしまったかのように、がっくりと崩れる千春。顔を横に向けピクリとも動かない。ただ規則的に呼吸を繰り返すのみだ。
(イっちゃったかぁ。ほんと、感じやすい娘だね、ちはるは)
ぼくは千春の足の拘束を解き、椅子の脚を閉じた。それから、大事なものを持つようにそっと抱き上げベッドに運んだ。途中、だるそうに目を開けた千春は、
「あぁ、おにいちゃん…」
それだけ口にして、また目を閉じてしまった。
ベッドに千春を横たえ、両足を大きく広げさせて覆いかぶさる。耳元でささやいた。
「今度はぼくが気持ちよくしてもらうよ」
361 :
18Rの鷹:2005/07/02(土) 19:38:01 ID:czqrTaog
「おにいちゃん。腕についてるの…、外して。お願い」
甘えた視線で懇願する千春。ぼくはやさしく微笑み、そして答える。
「だめだよ」
千春の華奢な肩を両手でつかみ、十分に潤った秘所にムスコを突きたてた。
「んあ〜っ」
不意に挿入され、大きくのけぞる千春。腕の自由を奪われているうえに肩を押さえつけられ、できることといったら喘ぎ声をあげるだけだ。
「あっ、あっ、あぁっ、あっ、あっ、あっ、あーっ」
深く浅く、浅く浅く深く、また深く、浅く…。変化をつけてムスコを膣に送り込むたび、千春の音色がさまざまに奏でられる。
体を起こし、千春の膝をつかんで前に折り曲げる。少し上を向いたアソコは足が閉じたことによって、きつさもさらに増したようで締めつけられる快感が走る。
「ち…はる、い…いいっ」
打ちつけるように腰をぶつけると、自然に声が出てしまう。逆に千春の声はかすれて聞き取れない。
「──────っ!」
膣からムスコがかき出した蜜は、会陰、肛門をつたってシーツに染みをつくっていく。それでも狭い膣をえぐる快感は少しも損なわれない。
(あぁ、きもちいいっ。もっと、もっと、ちはるを楽しみたいっ)
千春の脇の下に両手を差し入れ、腕に力を込めて一気にシーツから引き剥がした。
対面座位に移行する。左手を千春の腰にまわして体を支え、右手は千春のあごにあてて顔を起こす。半開きの口をむさぼるように味わいつつ、腰を前後に揺すった。
「んっ! んあっ!」
突き上げられる快感に、たまらずキスから逃げて喘ぐ千春。
腰のスピードとストロークをシフトアップ。さらに、右手を器用に使って千春の左右の足を宙に浮かし、より深い挿入を求める。
「あっ、あふっ、んっ、んんっ、ん…あっ!」
かわいい顔をゆがめて快楽に溺れる少女。そんな千春をさらに楽しむべく、ぼくは仰向けになって騎乗位にスイッチした。両手を伸ばし千春の胸を少し荒っぽく揉みしだく。
「ちはる。動いてごらん。自分で気持ちいいようにしてみて」
「あぁ…、だめ。おにいちゃん、だ…めぇ。ちはる、うまく、うごけな…い」
362 :
18Rの鷹:2005/07/03(日) 19:03:40 ID:8vgYVoA1
「しかたないなぁ。それじゃあ、おにいちゃんがいっぱい動いて、ちはるのこと、いっぱい気持ちよくしてあげるね」
「あぁ、ちはる、こわれちゃうぅぅ」
両手でウエストをつかみ千春の動きを制限する。同時に、ムスコが抜けてしまいそうになるくらい腰を引き、再び膣奥を目指してゆっくりと突き上げていった。
「んあ──────っ!」
(だんだん声が大きくなる、これって音楽で習ったけど、なんていうんだっけ)
まるで関係ないことが頭をよぎるのは、きっと気持ちよすぎるからだ。
快感をむさぼるように腰をフル回転させる。千春の声が歌うように部屋に響いた。
「あっ、あっ、あっ、あふっ、あっ、あぁっ! あっ! あ───っ! んあっ!」
唐突に動きを止める。千春は肩を上下させて大きく呼吸し、不安げな目をぼくに向けてくる。
「? どー…した、の? おにいちゃん」
「ちはる。ぼくのを入れたまま、後ろ向きになって」
「えっ?」
即座に理解できないようだ。ぼくは千春の右足首をつかんで、ぼくの体をまたがせるようにする。
「こーゆーふうに回って」
「あぁっ!」
「うっ!」
お互いの性器がねじられるような感覚に声が漏れてしまう。千春はぼく要求がどういうことか、ようやくわかったようだ。
「あぁ…あぁ…あぁぁぁ」
喘ぎながら、体をびくっと震わせながら、ムスコを絞るようにゆっくりと向きを変えていった。
後ろ向きになった千春をじっくり見る。
そよ風に吹かれているように揺れるツインテール。触れただけで壊れてしまいそうな、たおやかな肩。すべすべした背中は部屋の照明をなまめかしく反射している。ボリュームはないがお尻もかわいい。
そして、背中で拘束された両腕が、男の本能をいたく刺激してくれる。
「おにいちゃん?」
じっと動かずにいたぼくを千春が振り返って呼ぶ。
「…えっ? っと。あ、あぁ。ちはる、かわいいよ」
「えー、どしたの。おにいちゃん」
「あ、うん。なんでもない」
363 :
18Rの鷹:2005/07/04(月) 21:03:08 ID:8SA6Mf4Y
腰の動きを再開する。途端に千春が喘ぎ声を弾かせた。
「はぅっ、あっ! あぅん、いいっ! あ───っ!」
前に後ろに大きく揺れる千春の華奢な体。思いきり突き上げたとき、千春は前に崩れ落ちそうになる。
(この体位は、腕を拘束したままだと危なそう)
そう考えて、ぼくは体を起こすことにした。立てた膝の外側に千春の足を絡ませ広げていくと、
「あぁ──っ! おくに、奥に、おにいちゃんが…、あ───っ!」
自由に動かせる手を遊ばせておくわけない。左手で左右の胸を交互に揉み、乳首をつまむ。
さらに右手。太腿に軽く爪をたててゆっくり撫で上げる。
「ひぁっ! あっ、あぁっ、あっ」
千春の反応を楽しみながら、
「こうするとは…どうかな?」
クリトリスに人指し指の腹がそっとあて、小さい動きでこねる。千春の上体が伸び上がった。
「あふっ、あぅっ、あんっ、あぁんっ、あぁ〜んっ、…だめ、だめぇ、だめぇぇ」
出し入れは単調な動きだが、指はさまざまにクリトリスをいじくりまわす。そんな行為をする自分にひどく興奮している。
「うっ、うあ──────っ!」
千春がまたイった。
(女って、すごいっ。何度でもイけちゃうんだ)
男は出したら終わり。なにか割り切れない感じ、損したような感じを抱く。しかし、出すまでの過程を存分に楽しんでいるのはむしろ自分のほうだ、ということに気付き、苦笑いがもれる。
(さあ、そろそろ、ぼくも出したくなってきた)
快感曲線をじわじわ引き上げてきたぼくは、フィニッシュを迎えるべく体位を変えることにした。
千春の体を持ち上げてムスコを引き抜く。それから千春の体を前に倒し、四つん這いの姿勢をとらせた。拘束具を外して千春の腕を解き放ってやる。
「はぁ、はぁ、はぁ」
千春はのろのろと自由になった腕を動かし、シーツに肘をついて顔を上げて一生懸命息をしている。
ウエストをつかんでお尻を持ち上げる。
「あぁ〜ん」
恥ずかしげな声が漏れる。膝を千春の足の間にこじ入れ大きく広げる。
「あぁ、だめぇ」
恥ずかしさからか、力が入らないのか、肘が広がりシーツに顔を埋めてしまう千春。
364 :
18Rの鷹:2005/07/05(火) 20:22:22 ID:taTFIgtK
愛液で濡れて妖しく光っている千春の花びらにムスコを押しつけ、一気に最奥まで貫いた。
「あ──────っ!」
千春は上体がシーツから離れるほどの反応を見せた。お尻を揉むようにつかみ指をくい込ませる。
力を入れて血管が浮き出た自分の腕が千春を引き寄せるのに合わせて、膣奥深く侵入しようとするムスコの願望を叶えようと腰が精いっぱい突き出される。
「あっ! あっ! あっ! あっ! あ───っ!」
奥まで突き入れるたび、千春はかわいい顔をゆがめ、シーツをぎゅっとつかんで鋭く短い喘ぎ声を吐き出した。
腰の動きを限界まで大きく速くする。唐突に、さっき、千春の声が大きくなっていったときに浮かんだ疑問の答えを思い出す。
(…だんだん強く…クレッシェンド、だ。思い出した)
いまの自分の動きもクレッシェンド、いや、フォルテッシモだ。パンっパンっパンっという音も、千春の喘ぎをかき消すほど大きい。
目を開けていられないくらいの快感が波のように襲いくる。波ゆえに逃れる術はない。それでも、抵抗を試みるが耐えられそうになかった。
(やっぱり…、バックはいいっ! 2度目も、このまま…このカッコで…だしちゃお)
ぼくはあっさり白旗を掲げることにした。
「あおっ! ち…、ちはるっ! いくよっ、いくっ! ちはるっ!」
この日2度目の射精だったが、ものすごい快感がムスコを駆け抜けた。
「んあぁっ!」
熱いほとばしりを膣奥に浴びて、千春も果てた。
気を失った千春に最後の一滴まで放出したぼくは、ムスコをゆっくりと引き抜く。亀頭が精液を引き連れてきて、シーツに白いたまりをつくっていった。
ゆっくりと崩れ、うつ伏せになった千春の足を閉じてやる。アソコからはまだぼくの精液が流れ続け、たまに白い泡をつくっている。
ぼくもベッドに体を横たえ、目をつぶって息が整うのをそっと待つ。けだるさが全身を支配していた。
しばらくすると千春が目を覚ました。見開いた目はいまだトロンとしている。
「あぁ…、おにいちゃん。ちはる…、こんなの、はじめて…」
「うん」
なんと答えていいかわからず、笑顔だけ返した。
365 :
18Rの鷹:2005/07/07(木) 01:53:09 ID:a5H67wld
どちらもが何も話せず5分ほどが経過した。ぼーっとした頭はだいぶはっきりしてきた。
「ねぇ、千春。あの、さ。ちょっと聞いていい?」
「ん。なに、おにいちゃん」
「えっ…と、ね。ぼくが、そのぉ、出したときって…、わかるの?」
我に返ってから聞くにしては生々しい質問だ。しかし、千春はあっけらかんとして、
「うん、わかる! 千春のアソコのね、一番奥がね、溶かされちゃうんじゃないかって思えるくらい、熱〜いのが入ってくるの、わかる」
「へ…、へぇ〜…。ふ、ふぅ〜ん、わかるものなんだ…」
あさってのほうを見ながら話す。そんなぼくを見てくすくすと笑いながら、
「変なおにいちゃん」
まだホテルの時間には余裕があったが、帰ってから晶良にメールをしなければならない。ムスコも満足しきって、3回目を求めたりはしそうになかった。
「あ、そうだ。シャワー浴びなきゃ、ね」
自分の都合を押しつける。千春は不満そうに、
「おにいちゃんも男なんだなぁ。出すと途端に冷たくなるんだからぁ」
「えっ、そ、そ、そ、そんなことは、ないって」
慌てるぼくを見て、おかしくてしようがないといったふうの千春。
「う・そ。おにいちゃん、だっこして、バスルームに連れてってぇ」
甘えた声を出して両手を伸ばしてくる。
「はいはい。千春お嬢さま、きれいきれいしましょーね」
「あん、もお。子供扱いしないでよね、おにいちゃん」
「はははっ、ごめんごめん」
抱き上げると、千春のアソコからぼくの出した精液がつーっと糸を引いてシーツに落ちた。
シャワールームでは、当たり前だが、2人、体を洗い、汗と疲れを落とした。
時間が残っていたため、もう1度したいのか、少し不満そうな表情を見せる千春にあきれながら部屋を出ようとしたとき、千春はバッグからペンダントを取り出し首にかけた。
それをぼくに見せつけるようにかざす笑顔はたまらなくかわいい。最後にきつく抱きしめて唇を、口内をむさぼり、チェックアウトした。
「またね、おにいちゃん」
駅の改札で、弾けるような少女の笑顔をぼくに見せつけ、千春は右手を大きく振って帰っていった。
366 :
18Rの鷹:2005/07/07(木) 20:58:09 ID:a5H67wld
このままずっとイくのね 嘘を積み重ねても
踏み外した道を戻ることは出来ない
君が今何処にいて何を見つめていても
そんな風に心離したまま二人は愛し合うの
<edge>
.hack//関係拡大 vol.3 第3章 <開始>
367 :
18Rの鷹:2005/07/07(木) 20:59:17 ID:a5H67wld
「海が見たいです」
返信メールには、そう記されていた。
晶良の怪我の回復はあまり思わしくなく、なかなかデートできなかった。だから、というわけではないが、ぼくはしばらくぶりになつめに「会えないかな?」とメールした。
夏休みからいままでの間、ただの一度も連絡を取っていなかった。それにザ・ワールドにログインすることもなかった。だからといって、なつめのことを忘れていたわけではなかった。
自分からは別れ話をきりだせない。そんな情けなさもあって、会わない間にぼくよりも彼女にふさわしい男性が姿を現しはしないか、淡い(というか甘い)期待はあったが…。
しかし、ほとんど間をおかずに返信されてきたメールには、文面にこそ表れていないが、そこかしこから、いわゆる行間から喜びとうれしさがにじみ出ているのが感じられた。
こちらまでうれしくなってきてしまい、笑みがこぼれてしまう。しかし、すぐに頭の中にある疑問が浮かんできた。
(そ、そんなことよりも、海…って。いま10月だよね。う〜ん?)
考えてもわかりそうにない。ぼくは「どういうこと? 海って」とメールを送った。
すぐに、なつめからメールが返ってくる。
──夏休みは図書館にばかり行ってたんです。だから…海が見たいなって思ったんです。
──それに私、泳ぎは苦手です。水着になるのも照れくさいし。えへへ。
──あの、横浜、連れて行ってください。お願いします。
なんだ。横浜でデートしたいってことか。大きく息をついてから、待ち合わせの時間と場所を打ち込んで送信した。
ベッドに体を投げだし、少し不安に駆られる。
(横浜、か。晶良さんと鉢合わせ、とかないよね!? だいじょぶだよね。晶良さん、「中華街なんて、高1になって初めて行ったんだ」って言ってたし)
と、メール着信音が聞こえた。のろのろと起き上がり、もう一度パソコンの前に座ってメーラーをクリック。
てっきり、なつめからだと思っていたから、送信者の欄を見て青ざめた。
(晶良さんからだ。なんだろう)
ドキドキしながらメールを読む。
なつめ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
カイトがドキドキしながらメールを読んでるとき
漏れはドキドキしながらレスを読んでる
369 :
18Rの鷹:2005/07/08(金) 20:21:15 ID:2MlCmlCh
読み終えて、ほっとした。タイミングがタイミングだっただけに、まずい展開になりやしないか結構心配だった。もう秋も深まっているというのに、額にはうっすら汗をかいていた。
晶良からのメールの内容は、
──久しぶり! って、きのうもケータイで話したっけ(笑)。
──きょう、病院に行ってきたよ。もう、ほとんど治ってるって。う〜ん、早く走りまわりたいよぉ!
──あのさ。11月3日なんだけどさ、アタシの高校の文化祭にこない?
──アタシらは3年だから、大したことはできないけど、そのぶんヒマだからさ。
──アタシの高校、文化祭は結構おもしろいみたい。案内するから、絶対きてね!
──しばらくはリハビリと文化祭の準備で忙しいから。…会えなくて寂しいよぉ(涙)。
誘われたうれしさと、会えない寂しさ、それにダブルブッキングを避けられた安堵感が入り乱れて、なんともいえない気持ちだ。
ひと息ついてメーラーに目を移す。もう一通、着信があった。なつめからだった。
──はい! 楽しみにしています!
──お弁当、つくっていきます。食べてくださいね。
──
──カイトさん。
──わたし、あなたのことが好きです!
喜びを隠しきれない文面。罪の意識がどんどん大きく、そしてドス黒くなっていく。
(二股どころか三股だもんなぁ…。こんな悩み、だれにも相談できっこない…。どうすればいいんだろう? どうすれば、だれも傷つかず、みんなが幸せになれるんだろう?)
リセットできないゲームもある。人生という「RPG」には都合よくヒントや正解は用意されていない。
(まあ、なるようにしかならないよね。それに、毒を食らわば皿まで、っていうし)
数ある選択肢のなかから、ぼくが選んだのは「開き直る」だった。となれば…。
(もしも、ってこともあるしね…。いや、可能性はかなり高そうだけど…)
自分に言い訳しつつ、パソコンの画面をインターネットに切り替える。「ファッションホテル 横浜」と入力して検索。時間がたつのも忘れて、いろいろなホテルのホームページに見入ってしまった。
370 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 08:14:24 ID:e7XeYf+W
・・・413kb・・・
そろそろ8番作る準備しないといけないころ・・・?
(早すぎ 400行く前に500kb達成も・・・
GJ!!
そういや保管庫っていつ更新されるんだ?
>>371おれもそこが物凄く気になる。
途中読み逃したところがあるから鷹氏のも水色氏のも、よめねええええええ。
最初が分からないと次を読めない性質なんだよ・・・。
管理人様、頼むから急いでくれ・・・。次回の更新はまとめてって、1年2ヶ月もまとまれば十分だろ('A`)
どうでもいいが、バルカイがよみt・・・(エラー。強制的に切断されました。
373 :
18Rの鷹:2005/07/10(日) 19:34:07 ID:/UxSHCit
>>369の続き
デート当日。高くなった空が秋を感じさせてくれる。
待ち合わせは桜木町の歩道橋の上にした。エスカレーターは使わず、階段を一気に駆け上がる。
少し離れたところになつめが見えた。声をかけようと右手を上げかけて、
「!?」
様子がおかしいことに気がついた。なつめの前に2人の男が立ちはだかり、落ち着きなく体を揺らして、なにやら話しかけている。
なつめは両腕を体の前にもってきて身を硬くしている。拒んでいる。嫌がってもいる。表情や態度から、それは明らかだ。
「やめてくださいっ。人を待っているんですっ」
小走りに近づいたぼくの耳に、なつめの切羽詰まった声が届いた。
「なつめっ!」
3mほどのところまできて、ぼくは叫ぶように呼んだ。まるで危機一髪のところで正義のヒーローが登場したかのように表情を一変させるなつめ。
「カイトさん!」
2人の男を突き飛ばして駆け寄ってくる。ぼくはなつめを自分の後ろにまわし、ずいと一歩前へ出る。
「なにか用ですか?」
にらみつけ強い口調で言う。男たちはニヤニヤと不快な笑いを浮かべて、
「おいおい、怖い顔すんなよ。彼女が退屈そうだったから、相手をしてやってただけだよ。待たせるお前が悪いんだぜ」
その物言いにムカっときたが、振り上げようとした右手をなつめがつかんで言った。
「いきましょう、カイトさん」
泣きそうだけど、しっかりした目をぼくに向けてくる。
「うん…。そうだね。行こう」
なつめの手をとって歩きだした。背中越しに下品な口笛が聞こえたが無視することにした。
階段を下り、しばらく歩いたところで、なつめが足を止めた。ぼくの目をじっと見つめて
「ありがとうございました」
と言ってペコリと頭を下げる。
「ぼくがもっと早くきていれば、なつめに嫌な思いをさせずにすんだのに…。その、ごめん」
「そ、そんな。わたしが悪いんです。わたしにスキがあったから…」
なつめは悲しげに顔を伏せてしまう。
慣れてるようで慣れてないカイトいいなぁ。
ファッションホテルじゃなくて素直にラブホの方が引っかかりやすいぞ青少年(w
ヒーロー登場なシーンよりもそっちに反応する漏れダメポ
375 :
18Rの鷹:2005/07/11(月) 20:20:55 ID:vzNsbrmD
「忘れちゃおうよ。ね?」
ぼくはそう言って、顔を上げたなつめに微笑みかけた。なつめの表情もぱっと明るくなった。
「そうですね。あんなののせいで、わたしの大事な時間を無駄にしたくありません」
「うん。そうだよ」
「でも…」
「え? でも、なに?」
「うれしかった」
そのときの感激がよみがえったのか、頬が紅潮している。なつめが続ける。
「カイトさんの姿が見えたとき、涙が出るほど、うれしかったです」
「そ、そお?」
照れくさくて頭をかく。
「それに、盾になってわたしを守ってくれた。やっぱりカイトさんは、わたしのヒーローです!」
「いやぁ、そんなにカッコいいもんじゃないよ。ぼくはフツーだよ。…ただ、なんとかしなくちゃいけないって思ったんだ。そうしたら、自然に体が動いてたかな」
なつめはぼくの二の腕に頭をちょこんと寄せて、
「やっぱり…大好き」
ひとり言のようにつぶやいた。自分の顔が赤くなっていくのがわかる。ぼくは上を向いて、
「いまになって足が震えてきたよ。あ〜、怖かった」
ゆっくりとなつめのほうに顔を向けていく。なつめも顔を上げ視線が交差した。どちらともなく、ぷっと吹き出し、それはやがて笑い声に。ひとしきり笑って、なつめが
「あんなヤツら、カイトさんのデータドレインで『ザコ』とか『わんころ』にしちゃえば、わたしがキュっとしめて、キャンっていわせちゃうのにぃ」
頬を膨らませて言う。
「なつめには、そんな言葉遣い、似合わないなぁ」
すぐに憤りを沈め、いつもの気弱そうにも見える穏やかな顔に戻るなつめ。話題を変えることにした。
「どこに行こっか? なにも考えずにただ歩きだしちゃったから…。ん〜っと、こっちだと…」
歩道の端に寄って、きょろきょろと辺りを見まわす。ヒントになりそうなものはない。いや、あったとしても土地勘がなかった。なつめはバッグからガイドブックを取り出し、
「ランドマークタワーがあそこだから…。カイトさん、このまま歩きましょう」
「あ、うん。えっと…、どこに行くのかな、なつめさん」
いつになくしっかりもののなつめに敬意を表し「さん」付けで呼んでみる。
376 :
18Rの鷹:2005/07/12(火) 23:58:04 ID:ZLOpIMpm
「最初はですね。赤レンガ倉庫!」
楽しくてしようがないといった笑顔。
「横浜、くわしいの?」
「いえ。くるの、初めてです。…あの、好きなひとと横浜にくるのが、わたしの夢だったんです」
両手を体の前で交差させてもじもじするなつめ。こっちまで照れてきてしまう。
「あ…っと。じゃあ、そこ行こう、赤レンガ倉庫。あっ、そうだ。そのバッグ、ぼくが持つよ」
ひったくるようにバッグを手に取ると、危うく落としそうになってしまった。
「おっと、重いね、これ。ずっと持ってたんだ…。気づかなくて、ごめん」
「そんなぁ。お弁当、頑張っていっぱいつくっちゃったから。あ、持たせちゃって、ごめんなさい」
「持つのは全然オッケーだよ。…そっか、お弁当かぁ。楽しみ!」
腕に力を込め、目の高さまでバッグを引き上げて眺めていると、なつめが申し訳なさそうに言う。
「あっ、もう少し我慢してくださいね、お弁当」
「? 食べるとこも決めてるんだ?」
「…はい」
はにかんだなつめの顔は、はっきりわかるほど赤くなっていた。答えは聞けそうにない。着いてからのお楽しみ、ということか。ついでに、お弁当の中身もお楽しみ、だ。
左手でバッグを持ち、右手をなつめに伸ばす。
なつめは赤ベースのタータンチェックのロングスカートで掌をごしごしとこすり、それからぼくと手をつないだ。白いブラウスの上に着た、これまた白いカーディガンがとてもかわいい。
「きょうの服、かわいいね」
素直な気持ちを口にすると、なつめは恥ずかしそうに目をそらしてしまう。
「そ、そんなぁ。でも、一番お気に入りの服、選んできたから、うれしいです」
「とても似合ってる」
「スコットランド、好きなんです。アイルランド、イングランド、ウエールズも好き。なんといっても、ファンタジーの聖地ですから」
熱っぽく語るなつめ。ぼくは黙って聞いている。
「やだ、わたしったら。つい、夢中になって自分だけ話しちゃった」
右の掌を自分の頬にあてて、うつむいてしまった。
「ぼくの知らない世界の話。興味あるし、とても面白い」
少し身をかがめ、なつめの耳元でささやくように言う。
377 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 17:20:23 ID:WW+jbgvH
このスレを見てなんか無性に.hackのエロパロを書きたくなった不束者ですw
ガル様ものとヘルバものだったらどちらがいいと思いますか?
なんとなくですがシチュはかたまったんですがwなんか展開が似てしまう感じなのでどっちにするか迷ってるんですが^^;
黙ってガルデニア物を所望する。
後メール欄にsageと入力するのが吉かも
>>378 助言どもですwガルデニアで行くことにいますたw
なんか今の板は上限近いらしいので次のスレがたってから書き始めますw
男キャラの候補で、ぴろし・カイト・バルムンクがいるのですがどれにしましょうか?
自分的にはぴろしが良いのですがwww
あとジークとかもいいなぁとおもってるのですが・・・w
やっぱガル様ならカイトが相手でしょ?
>>381 カイト1票ですねwいまいろいろ組み合わせ考えてますw
多分カイト多そうだからカイトで書いたほうが良いのかなぁ^^;
>>376 なつめたん好きでこの展開はもう転がりたいくらい萌えですorz
なんなんだ・・・・・・、この核兵器並の威力は
384 :
18Rの鷹:2005/07/13(水) 23:28:11 ID:HDCub5Va
>>376の続き
「ほんとですか? よかったぁ。カイトさんだって、スコットランドの民族衣装、似合いそうですよぉ」
「へぇ? それって、どーゆーの?」
なつめは自分のスカートをつまんで少し持ち上げ、
「へへへ。スカートです! スコットランドの正装なんですよ、男の人のスカートって」
「え〜っ!? なんか、それはヤだなぁ(笑)」
「そんなことないですよ。そういうのを着て、バグパイプを持ったら、きっと素敵です」
自分のスカート姿を想像してしまい、なんともいえない気分になる。と、
「あっ! 見えたっ。赤レンガ倉庫です」
テレビとか写真では見たことがあった。でも、実際に見てみると、それは歴史という風格を身にまとい、思っていたよりかなり大きく感じられた。
「へぇ〜。これって、古い建物だよね。でも、ずいぶんきれいで、なんかいい雰囲気だね」
立ち止まって、じっと見ていると、なつめが歴史やらなにやら、いろいろと説明してくれる。ぼくは一生懸命に話すなつめの顔をじっと見つめ、それでも真剣に話を聞いていた。
ひととおり話し終えたなつめは、ぼくが持っている自分のバッグに手を差し入れて、古いコンパクトカメラを引っ張り出した。
「そのカメラ…」
「いまどきフィルムを入れるカメラなんて、おかしいですよね。…でも、わたし、好きなんです」
「ふぅ〜ん。そーいえば、プリントした写真って、あんまり見ないなぁ」
「私は、写真は、液晶のディスプレイで見るのより、昔ながらのプリントが好き。おかしいですよね?」
「いや、そんなことないよ。ちっちゃいころの写真を張ったアルバムとかって照れくさいけど、たま〜に見ると、つい見入っちゃうんだよね」
「ですよね! 私も、写真の入ったCDをパソコンに入れる気にはなかなかならないけど、アルバムはなんとなく見ちゃうんです」
カメラを手に、きょろきょろと周りを見まわすなつめ。30歳くらいに見える長身で細身の男性をまっすぐに見て、小走りで近寄っていく。
「すみませ〜ん」
と声をかけるなつめ。どうやら、写真を撮ってほしいとお願いしにいったようだ。相手の男の人は身をかがめて熱心にカメラの操作法を聞いている。
なつめは自分でファインダーをのぞいて構図を決め、ペコリとお辞儀をするとぼくのほうに走って戻ってきた。
385 :
18Rの鷹:2005/07/14(木) 20:52:24 ID:sOxDiNkV
「あの、カイトさん。腕、組んでも…いいですか?」
「えっ、あぁ、いいよ」
肘打ちでもするように慌てて左腕をさしだすと、なつめは恥じらいながら、ぶら下がるように右腕を絡ませてきた。はにかんだ顔が秋の太陽に照らされ、やわらかく輝いている。
「いいかい、撮るよ」
なつめの目線に合わせるため中腰になってカメラを構えた男の人が、右手を上げて声をかけてくれる。
「はいっ! お願いします」
返事をするなつめの右腕にぐっと力が入る。
「チィィズっ、ハイっ。…もう一枚、ハイっ」
気を利かせてくれたのか、男の人は2枚撮影してくれた。カメラを返してもらい、なつめは深々とお辞儀をする。男の人は側においたジャケットを拾うと、さっと右手を上げて立ち去っていった。
すたすたと歩いていくその男の人に向かって、少し離れたところにいた女性が呼びかける。
「か・ず・し・さ・ん」
その男の人は立ち止まって、顔だけ女性に向け笑みながら少し楽しげに答えた。
「ずっと見ていたの? はるかさん」
年齢からいって夫婦だろうか、とても自然に歩きだす2人の後ろ姿から目を離せずにいた。お互いがお互いをわかりあって同じ空間にいて同じ空気を吸う、とてもいい雰囲気をまとっている2人だった。
それは、なつめも同じ考えだったようで、
「すてきなカップルですね〜」
思いを熱い息に込めて吐き出す。
「そうだね…」
ふわふわとした答えをこぼす。なつめは頬を紅潮させて話している。
「あこがれちゃうなぁ。ああゆうふうに年とっていけたらいいなぁ」
ぼくは15年後の自分を想像していた。いま、すぐ近くにいて話しているなつめには悪いけれど、ぼくの隣にいるのは、手をつないでいるのは、晶良だった。
「カイトさん?」
「え? あ…、あぁ。あ、あのさ、次はどこに連れていってくれるのかな」
ごまかすように笑顔を向けると、なつめは複雑な表情をさっと隠し、
「はい! 次は…、次は大さん橋です!」
明るさを装うようにして元気に言った。
386 :
18Rの鷹:2005/07/15(金) 20:54:06 ID:/AriGxnn
なんでだろう、どちらもが口を閉ざしたまま歩いた。重苦しい空気に耐えるのは、かなりつらい。
といって、話をしようにも話題の持ち合わせはなかった。黙ったまま、ただ歩き続けていた。そうこうしているうちに、いつの間にか大さん橋に着いてしまった。
巨船の甲板を思わせる板張りを、なぜか急ぎ足で歩き、ついに突端まできた。
「風が冷たくって、気持ちいい」
髪を潮風に泳がせながら、なつめがつぶやく。でも、言葉とはうらはらに表情に翳りがさしているのを、ぼくは見逃さなかった。
「ねぇ、なつめ。なにか心配ごとでもあるの?」
手すりに両手を乗せ、顔だけなつめのほうに向けて核心をずばりと突いてみた。
「えっ? ぃぇ…、その」
なつめは口ごもって目を伏せてしまう。
(やっぱり…、ぼくとの関係で悩んでいるんだろうな…)
かける言葉も見当たらない。話を振っておきながら、ぼくは途方に暮れた。
「写真、絶対だれにも見せません。だから…、だから、きょうはいっぱい写真、撮らせてください」
いきなり、なつめが一途な目で訴えてくる。ぼくは心の中で息を吐いた。
(なんだ、そんなことを気にしてたのか…)
「もちろん、いいよ。きょうはさ、めいっぱいなつめに付き合うよ」
ニッコリ笑って答えた。うれしそうな笑顔が返ってくる。
「カイトさんもいります? 写真」
それは持っているわけにはいけないもの。
「ぼくは、心のアルバムに張っておくよ」
なつめの表情はみるみる曇っていった。
「…ですよね。ばかですよね、わたし、調子に乗って。わかっているのに…。わかりきっているのに…」
また2人の間を沈黙が支配した。真摯な目をぼくに向けてなつめが話す。
「わたし、自分の気持ちを確かめたかったんです」
「え…っと。よく、わかんない…」
また沈黙。なつめは話そうかどうしようか、迷っているようだ。
少したって、なつめが打ち明け始めた。
「…夏休みに、図書館で男の人に話しかけられたんです…」
うなずく。ただそれだけの単純な動作なのに、なぜかぎこちない動きになってしまった。
そういや、まとめの更新まだ?
渡会さんだ〜。
389 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 08:03:18 ID:JulztHMw
カイト!なつめを現地妻にしてしまえ!
>>387 なんか、ログさえ残ってれば別に俺がまとめてもいいけどヽ(;´Д`)ノ ログがないんだよなー。
393 :
18Rの鷹:2005/07/16(土) 20:26:18 ID:wgIQmoG4
>>386の続き
「大学院生。学生証、見せてくれました。あやしいものじゃない、って言って。すごくまじめな人なんです。身なりも、話し方も」
「ふぅ〜ん。そうなんだ」
その人とどうかなったんだろうか。話を急かしたい気持ちをぐっと押さえ込み、なるべく平静を装って相槌を打つ。
「わたし、ほとんど毎日、図書館に行ってて…。その人も、毎日きていたので、いつからか、あいさつするようになっていたんです」
「うん」
「夏休みの最後の日です。喫茶室に誘われて『もう会えなくなっちゃうのかな。できれば図書館ではないところで会いたい』って、言われたんです」
「うん。…それで、なつめはなんて答えたの」
「はい。…い、いえ、いまのはカイトさんへの返事です!」
変にうろたえるなつめ。続けて、
「お断りしました。でも、はっきりと言えなかったみたいで…。その人、ちょっと思い違いしちゃったみたいで…。携帯電話のナンバーとメールアドレス、渡されたんです」
そこまで聞いて、ぼくには変な感情が湧き起こっていた。いや違う、変な、ではない。自分勝手な感情だ。嫉妬、ジェラシー、だった。
(なんか、おもしろくない。なつめは、ぼくが好きなんじゃないの!?)
思いが顔に出る。なつめがぼくの表情の変化に気づく。涙をいっぱいにたたえた瞳をぼくに向け、
「ごめんなさい! わたし、わたしは…カイトさんが好き!」
涙が頬を伝ってあごでたまり、重力に耐えきれず落ちた。
「いや…、その…、あの…、ごめん。なつめ、泣かないで、お願い」
なつめはぼくのお願いを聞いてくれなかった。胸に飛び込んでくると、周囲を気にもせずに泣いた。
「ごめん…なさ…い。ごめんなさい」
嗚咽に混じって聞こえてくるなつめの言葉。ぼくにできることは、そっと抱きしめることだけ。
きょろきょろするわけにはいけない。目だけ動かして周囲をうかがう。
(なんか…、だれも見ていないなぁ)
安心するより拍子抜けだ。しかし、きょうは休日で、ここは横浜赤レンガ倉庫。恋人たちが集う場だ。
(そっか。みんな、自分たちだけの世界に入っているんだ)
ほっとしたぼくは、なつめの気がすむまで抱擁を続けることにした。
394 :
18Rの鷹:2005/07/17(日) 00:34:03 ID:1euCY0mz
しばらくして、なつめは静かにぼくから離れた。
「落ち着いた?」
ぼくの問いに、なつめは言葉ではなく、うなずくことで答えた。それから顔を上げたなつめの目は泣き腫らして真っ赤になっていた。
「なにか、飲んでいかない?」
目のことには触れずに誘う。返事はまた聞かれず、なつめはこくんと小さく顔を下げた。
少し戻ってカフェに入る。実際、喉はからからだった。席に着くと横浜の名所が一望できた。2年前の大火災の傷跡は、そんなことがあったなんて信じられないほど、すっかり癒えている。
なつめが遠くの景色をじっと見ている。徐々に表情から緊張が抜けていくのが読み取れた。
「素敵…」
つぶやくなつめ。
「いいところだね。きてよかった。なつめ、ありがとう」
素直な気持ちでお礼が言えた。でも、考えていたのは、
(今度は晶良さんときたいなぁ)
だった。ふと、自分がひどい男に思えてきた。動揺しかけたところで、ウエイトレスさんがオーダーを取りにきてくれ、ほっとする。
「アイスコーヒーを」
「わたしは紅茶、オレンジペコをください」
飲みものがくるまで、どちらも話せないでいた。ぼくは運ばれたアイスコーヒーにガムシロップとミルクを入れ、ストローを使わず半分ほどを一気に飲んだ。
なつめが頼んだ紅茶は少し遅れて運ばれてきた。カップにティーサーバーからオレンジペコを注ぎ、ミルクと砂糖を入れて、ゆっくりとスプーンを回しながら、なつめは本当にすまなそうに話した。
「取り乱して、すみませんでした」
「そんな。ぼくこそ、ごめん」
「カイトさんは謝らないで、ください」
なつめはまた目を伏せ、声を震わせる。
「あ、あのさ。きょうは笑っていようよ、ぼくも、なつめも。そのほうがずっと楽しいよ」
「はい!」
無理に笑いをつくり明るい声を絞り出すなつめがとてもいじらしい。
395 :
tatibana:2005/07/17(日) 01:35:28 ID:YuUVgTPc
396 :
18Rの鷹:2005/07/18(月) 18:11:04 ID:bElASibj
喉の渇きもおさまり、歩き疲れもすっかり回復した。穏やかに会話したせいか、なつめの目もだいぶ平常に戻ってきた。
「ねぇ、なつめ。そろそろ出ようか」
「はい。次に行くところでお昼にしましょう」
「やったぁ。そう聞いたら、なんかお腹がすいてきた」
「でも、あと30分くらい歩いてからなんです」
申し訳なさそうに言うなつめ。ぼくは自分に笑顔、笑顔と言い聞かせて、
「だいじょぶ。なつめのお弁当、食べられるなら、30分くらいへーきだよ」
ニッコリ笑って強がってみせた。
カフェを出て、大さん橋をバックに写真を撮った。近くにいたカップルの男のほうにシャッターを押してもらい、それからぼくがカメラを受け取ってなつめを写した。
手をつないで歩く。途中、「山下公園」という道標を見て、そこが目的地かなと思ったが、どうやら違うようだった。
「まだ先です。ごめんなさい」
「謝っちゃダメだよ、なつめ。笑顔、笑顔」
「あ、はい。もう少しですからね、お腹すいたでしょうけど、我慢してくださいね」
なつめはぼくのお腹におずおずと手を伸ばし、円を描くようにさすってくる。その途端、ぐぅ〜っ。
「やだっ、カイトさん。無理にそんな音出さなくても、私、楽しいですよ」
「ち、違うよ。わざとなんて出せないって。ほんとにお腹すいてるんだってばっ」
真剣に釈明するぼくを見て、なつめはくすくすと笑っている。
なつめの笑顔を見ていれば、空腹なんてそれほど気にならない。上り坂はだらだらと続いていたが、足どりは不思議なくらい軽かった。
「港の見える丘公園、っていうんだ、ここ」
公園の入り口の前で、ぼくはなつめに話しかけた。なつめは少し息が苦しそうだ。
「だいじょうぶ? 落ち着くまで少しじっとしていよう」
「はい。ありがとうございます」
なつめはゆっくりと深呼吸を繰り返している。
「運動不足だよ、なつめ。図書館にばっかこもってちゃだめだよ。たまには外の空気も吸わなきゃ」
冗談めかして笑顔で言う。なつめは小さく舌を出して拳を握りしめ、ぼくをまっすぐに見て答える。
「ほんとにそうですね。体、鍛えなくっちゃ。よ〜し、来週からウオーキング、頑張るぞぉ〜」
397 :
18Rの鷹:2005/07/19(火) 20:00:21 ID:lb76Cmcy
「その話し方、なつかしい」
目を細めて言うと、なつめも気がついたようで、
「えへへ。でも…、やっぱり、わたしには運動って向いてない気がする…」
「そんなことないよ。最初っから無理するんで長続きしないだけだよ。ゆっくり、自分のペースで、ね」
「はい。なんか、できそうな気がしてきました。だけど、まだ心臓がドキドキいってるんですよ。ほら」
なつめがぼくの左手をとって自分の左胸にあてる。思わず指を曲げてしまい、心臓の鼓動をさらに速くしてしまった。なつめははっとして、
「いけない。わたしったら…、恥ずかしい」
両手を胸の前にもっていき、後ろを向いてしまった。ぼくは目の前に左の掌をかざし、わけもなく指を曲げ伸ばしする。
(したい気持ちって、お腹すいてるときのほうが強い気がする…)
などと考えていた。その時、なつめが笑顔で振り返り、
「さあ、行きましょう。お昼にしましょう」
ぼくの手をとり、引っ張るようにして公園に入っていくなつめ。そんな行動をとるなつめが、とてもいとおしく思えた。
展望台に着く。ベイブリッジが白鳥の翼を広げている。立ち止まり息を飲んで見てしまう。
「…本当はここで食べたかったんですけど、人が多すぎますね。ほかに行ってみましょう」
なつめは残念そうに話す。
「うん。でも、すっごくいい眺め。食べ終わったら、またここにこよう」
ぼくがそう言うと、なつめは心の底から喜んだ顔を見せてくれた。
ひとつ空いたベンチで、なつめがバッグからお弁当を出している。ぼくは黙ってそれを見詰めている。
「きょうはおむすびにしてみました。おかずもいっぱいつくっちゃいました。カイトさんのお口に合うといいんですけど」
言葉とは違って、なつめの口調は自信にあふれている。こと料理に関しては、どこかのだれかさんと違って疑う余地などない。
「わぁ〜」
包みを開くと、俵型のおにぎりが5つ。形も大きさもそろったおにぎりがきれいに収まっている。海苔を巻いたの、ごま塩を振ってあるの、のりたまがかけてあるの、見ているだけで食欲が倍加する。
ごくりとつばを飲み込み、ぼくは猛烈な勢いでおにぎりに手を伸ばした。
「いっただきまぁ〜す!」
398 :
18Rの鷹:2005/07/21(木) 00:20:26 ID:MfpmrGgj
おかずの入ったランチボックスを用意しながら、なつめは母親みたいな笑みを浮かべて言う。
「そんなに慌てなくても、まだまだいっぱいありますからね」
両手に一つずつおむすびを持ち、どちらも2口で平らげる。喉に詰まらせると、すかさず
「はい」
と言って、なつめが水筒から冷えたお茶を注いで渡してくれた。ごくごくと一気に飲み干し、
「ありがとう」
と言って微笑む。なつめはうれしそうに、
「おかずも食べてくださいね」
と勧めてくる。味がどうかなんて聞いてこない。それはぼくの食べっぷりを見れば明らかだったから。
ランチボックスをのぞき込む。トリカラ、卵焼き、ハンバーグ…。どこかで見たような、リクエストしたような料理が行儀よく並んでいる。
「おいっしぃ〜」
ハンバーグを頬張り、おにぎりと一緒に飲み込んで、ぼくは目を見開いて言う。うれしそうななつめ。
「カイトさんの食べっぷりを見てたら、なんか、わたしもお腹すいてきちゃいました」
そう言ってなつめは、おむすびの入った包みを2つ開け、一つをぼくの前に置いて、もう一つから海苔を巻いたおむすびをつまんで食べる。
「この卵焼き、すっごくおいしい! ケチャップなんていらないや」
なつめはケチャップと聞き、不思議そうに首を傾げている。ごまかすようにトリカラを口に運ぶ。
「くぅ〜、この味付け。最っ高〜!」
続けて3つ、ぺろりと平らげた。しゃべる間も惜しんで、ぼくは一心不乱に食べた。
「ふぅ〜。おいしかったぁ。ごちそうさま」
残さず食べつくし、冷たいお茶を飲み干す。ふくらんだお腹を撫でながら、ぼくはなつめに向かって笑顔で言った。なつめは満足そうな笑みをこぼしながら、
「よかった。あんなにおいしそうに食べてもらえると、お弁当つくってきてよかったって思えます」
「なつめはきっといい奥さんになるよ」
満腹で気が緩みまくっていたせいか、地雷原に足を踏み入れるような軽口をたたいてしまった。それに気がついてドキリとするが、なつめは素直に言葉に反応し、
「そんなぁ…」
と言って、両頬に両の掌をあてて照れている。
なつめが後片付けを終えるのを待って誘う。
「じゃあ、さっきの展望台に行ってみようよ」
399 :
18Rの鷹:2005/07/22(金) 03:49:51 ID:FvnonMfD
展望台ではたくさん写真を撮った。フォトグラファーになったりモデルになったりを繰り返すなつめ。息を切らせて、それでも楽しそうに動きまわっていた。
36枚撮りのフィルムをすべて撮影したのを機に、ぼくたちはベンチに座って一休みすることにした。
「ほんとは夜、きたかったんです、ここ」
「どーして?」
「夜景がすっごく素敵だって、ホームページで見たんです」
「昼間でもこんなにきれいな眺めなのに、夜はもっとすごいんだ?」
「はい。でも、高校生では夜遊びなんてできませんから、仕方ないです」
そう言いつつも、なつめはきょうのデートに満足しているようで、穏やかな笑顔をぼくに向けてくる。
日は短くなったとはいえ、まだ時間はある。
「ねぇ、なつめ。次はどこに連れて行ってくれるの?」
横浜にはまだまだたくさんのデートスポットがあるはず。期待に目を輝かして、ぼくは聞いた。
「…」
答えはすぐに返ってこなかった。
(息はとっくに戻っているはずなのに、変だな。どうしたんだろう?)
「…2人きりになりたい…」
「えっ? っとぉ」
「ここからは、カイトさんがエスコートしてください」
声は小さいが、なつめはしっかりした口調で要求してくる。
(やっぱり…、こうなるんだ…。夕べ、ネットで調べといてよかった…のかな?)
なつめを抱きたかった。
デートのお礼に相手の望むことをする、それは悪いことなの? いけないことなの?
言い訳を繰り返すたび、脳裏に浮かぶのは晶良の笑顔だった。
必死になって戦う。一生懸命、自分と戦う。八相と戦ったとき以上の労力をはらって戦った。
勝負の行方は──、自明だ。
「ぼくも、なつめと2人きりになりたい。なつめを抱きたい」
なつめの目をしっかりと見すえて言う。余裕なんて、これっぽっちもありはしない。潤んだ瞳をぼくに向け、その瞳をまぶたが静かに覆って、なつめの返事が、なぜか遠くに聞こえた。
「はい。どこへでも、あなたが望むところに、連れて行って」
なつめの手をきつく握って、ぼくは無言で歩きだした。
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402 :
18Rの鷹:2005/07/22(金) 21:02:43 ID:FvnonMfD
「あ…っ、あっ…、…あっ…、く…ぅん」
なにも特別なことはしていない。柔らかい、それでいて火照った肌に唇を押し付けるだけで、なつめはこらえきれないといった感じの熱い吐息を漏らし続けた。
日が傾きだしたころに入ったホテル。部屋のドアが閉まると同時に、ぼくはなつめをきつく、きつく抱きしめ、唇を、口内をむさぼった。服の上から胸を揉みしだいた。
濃厚なキスですっかり上気したなつめの柔肌を楽しむ。立たせたまま、頬に、耳朶に、首筋に、唇を押しつける。吸ったり、舌を這わせたりは、まだしない。それは、ベッドの上で全裸で絡みながら、と決めていた。
カーディガンのボタンをゆっくりと外していく。
「…あぁ…、あ…あのぉ…、ここで…脱がすんですか?」
頬の色を濃くしながら、恥ずかしげに声を振り絞ってなつめが聞いてくる。
「我慢できない。なつめが欲しい」
言葉で愛撫する。本心は、どのタイミングで、なつめをベッドまで抱いていくか考えていた。
しかし、ぼくの言葉になつめは想像以上の反応を示す。
「抱いてっ! 好きっ! だから…あなたの好きなように、わたしを抱いてっ!」
普段のなつめからは考えられないほど、情熱的に飛びついてくる。ぶつけるように唇を合わせ、積極的に舌を入れてくる。
「ん…んんっ…」
目の前にはなつめの顔。腕に力を込めて引き寄せ体を密着させる。同時に、入ってきたなつめの舌を思いきり吸い込んだ。
「ぢゅぅうぅぅっ」
すき間から空気が入り込み、いやらしい音をたてた。なつめは目をぎゅっと閉じ、時折眉間を寄せて苦悶を表しぼくの行為に耐えている。
「ん゛…、ん──っ」
なつめの小さな掌がぼくの背中をつかみ、それで苦しがっているのがわかった。舌を吸い込む力を弱めるが、なつめは放心してしまって舌はぼくの口内にとどまっている。
顔を少し横にして唇をすぼめ、ゆっくりと顔を前後に動かす。なつめの舌を唇に強弱をつけて愛撫。
「ぁ…ふぅ…、んっ、ん──、ぅぅん」
せつなげな息が漏れるごとに、なつめの唾液がこぼれ出た。なつめの舌を解放してやり、ぼくは丁寧に顔をつたう唾液を嘗めとっていった。
おー、今回もようやく「むさぼり」に入りましたなー。
エロいっすよー。
404 :
18Rの鷹:2005/07/24(日) 18:43:36 ID:FvWkXE12
「…はぁ…、…はぁ…、ぁぁぁ…、あぁ…、わたし…、しあわせ」
なつめの両頬に軽くキスをすると、なつめは目をとろんとさせてそうつぶやいた。
(そろそろ、ベッドに行こう。ここで立ったまま後ろからじゃ、なつめにはかわいそうだよね)
ぼくはもう一度キスをして、なつめの唇を、舌を、口内を味わった。
「続きはベッドで、ね」
目をじっと見つめてやさしく言うと、なつめは目じりを下げて、こくんとうなずいた。
抱きかかえて、しっかりとした足どりでベッドルームを目指す。なつめはぼくの胸に顔をぴったりつけて、なにも言わない。
ベッドになつめを横たえ、ぼくは着衣を脱いでいく。それを見ているなつめに気付き、
「そんなに見つめられると、なんか、恥ずかしいや」
照れ笑いしながら言うと、
「ふふ。カイトさん、かわいい」
と、いつものなつめらしくない言い方をする。これから自分がされることは、そんなことで恥ずかしがってはいられないのは間違いないが。
パンツ一丁になって、なつめに覆いかぶさる。控えめに開かれた唇を素通りし、ぼくは閉じられたまぶたに唇を落とした。なつめの両手がぼくの腕をつかむ。
「ぁぁあ…、気持ち…いい…です」
左右のまぶたに、チュっチュっと音をたててキスをする。それからぼくは、欲望に忠実にリクエストをした。
「ねぇ、なつめ。眼鏡、もってる? 眼鏡をしたなつめが…」
なつめは黙って体を起こして言った。
「あの…、バッグを取ってください」
ぼくは立ち上がり、ドアのところに置きっぱなしにしたバッグを取ってきた。それをなつめに渡すと、なつまは眼鏡ケースを取り出し、ふたを開けて眼鏡をかけた。
「これで、いいんですか。わたし、眼鏡かけるとかわいくないって、自分では思うんですけど…」
なつめは自信なさげにうつむいてしまう。ぼくは微笑みながら、思いを込めて言う。
「かわいい。とてもかわいいよ、なつめ」
「ほんとに? ほんとですか、カイトさん」
「うん。ほんとうだよ。見てごらん、ほら」
ぼくは腰を前に突き出す。怒張したムスコがパンツを押し上げているのが、はっきりわかる。
なつめはその部分を凝視したまま動けなくなってしまっているようだ。
「なつめがかわいいから、だよ。なつめをほしがっている」
ぼくを見上げて、なつめが言う。
「抱いて、抱いてください」
近寄って唇を吸い、体重をゆっくりとかけて、なつめを横にする。間近で見る眼鏡をかけたなつめに、たまらなく興奮してくる。
ディープキスには移行せず、一度体を起こしてなつめの服を脱がすことにする。ボタンの外れたカーディガンを脱がし、ブラウスのボタンをゆっくり丁寧に外していく。
腕をそっとつかんで袖を抜き、ブラウスも脱がせた。なつめはされるがままだ。
なつめの背中に手を潜り込ませてブラのホックを解き、そのままブラを取りさった。
「あぁ…」
胸を隠そうとする腕をつかむと、なつめは恥じらいの吐息を漏らした。
「かわいいよ、なつめ。もっとよく見せて」
「あぁ、恥ずかしい、です」
腕を放すと、なつめは胸を隠してしまう。ちらちらとのぞく乳首がそそる。すぐにでもしゃぶりつきたくなる。そんな気持ちをぐっと押さえ込み、スカートに手を伸ばした。
「…ん、ぅぅん」
思わず身をよじるなつめ。そんな反応もいじらしく思えるし、欲望に火をつけもする。
自分でも驚くほど慣れた手つきでロングスカートを剥ぎ取ることができた。もちろん、なつめが恥ずかしがりながらも、お尻を浮かせてくれたせいもあった。
ソックスを右、左と脱がし、小さい足の甲に軽く唇をつけた。びくっとするなつめ。
寄り道はそれだけだった。パンティに左右の手の指をかけ、一気に引き下ろす。
「あっ、ぃやっ…、ぃぇ、ぁぁ、は…、はずか…しい…ですぅ」
全裸になったなつめを見下ろす。眼鏡をすると中学生くらいにしか見えない顔、白く細い首、手にすっぽり収まる大きさながら弾力にあふれていそうなおっぱい、無駄な脂肪などいっさいないお腹。
そこまで見てきて、ごくりとつばを飲み込む。アソコを覆っている柔毛は申し訳程度の薄さだ。ボリュームはないけど丸みがきれいな腰まわり、スリムな脚は乱暴に扱うと折れてしまいそうだ。
頭のてっぺんからつま先まで、じっくり嘗めまわすように見つくすと、ぼくはパンツを脱いで全裸になった。ムスコがお腹にくっつきそうなくらい勃起している。
勇者様だんだん手慣れて来てるw
406 :
18Rの鷹:2005/07/25(月) 19:49:50 ID:JjJvYUqr
なつめとのこの日最初のセックスは、ただ自分の欲望をぶつけようと考えていた。ただし、なつめの嫌がること、痛がることはしないと心に決めていた。恥ずかしがることは大いにしようと思っていたが…。
左膝をなつめの両足の間に割り込ませ、それから体を合わせる。もちろん体重をかけるなんてことはしない。しっかり肘で自分の体重を支え、適度な密着感をなつめに与えた。
「あぁ…、あなたと抱き合える…。わたし、もう死んでもいい…」
ぼくの背中に両腕をまわし、しがみついてくるなつめ。
(死にたくないって思えるほど、なつめを感じさせてあげるよ。ぼく、頑張っちゃう)
髪を撫でながら、そっと唇を重ねていく。待ちきれない、といったふうに唇を開き、ぼくの舌を迎えいれるなつめ。じっくりとねぶる。ぼくの舌が、唇が動くたび、背中にまわされたなつめの手に力が入る。
キスを中断し、ぼくの右手はなつめの左手をそっとつかみ、指を絡めてベッドに押しつける。そうしてから、ぼくはギリギリの言葉を口にした。
「離したくない」
愛してる、とは断じて言えない。愛しているのは晶良だけだ。好きだ、と言ってしまうのは簡単だが、言えない。LIKEもLOVEも、日本語にすればどちらも「好き」だからだ。
「うれしい」
なつめは目を閉じて、ぼくの言葉をかみしめている。
静から動へ。ぼくは荒々しくなつめに性欲をぶつけることにした。
「あっ!」
左手をおっぱいにあてがい、ゆっくりと揉んでいく。たまに指で乳首をはさんであげると、なつめの1オクターブ上がった声がよく響いた。
「あっ、んっ…、くふぅっ」
横を向いたなつめの耳を唇ではさみ込み、舌を這わせ、甘噛みする。熱い息を吹きかける。
「ぅぅん、くぅん…、ぅん…ぅ〜ん」
左手の指は乳首に狙いを定め、つまみあげるように愛撫を繰り返す。右の乳首だけ次第に硬さを増していく。
「はっ! はぅっ…あぅぅっ、く…ぅ…」
素直にぼくのすることに反応するなつめがかわいく思える。愛撫の仕方によって変わる喘ぎの発音、大きさ、トーンをじっくりと楽しむ。
首筋に唾液をすりつけ、それを皮膚ごと吸い込むようにする。うっすらと痕がついてしまうが、それを心配するより、もっと強く吸ってキスマークを刻みたい欲求を押さえ込むのに苦労する。
「ぁあ───っ、…あっ! …あっ! …く…ふぅぅ…、あっ!」
左の乳首を口に含む。右の乳首は勃起しきって、ぼくの左手は乳房をもてあそぶのに夢中だ。
「ぅふうぅ…、あっあっあっあっあっ、あ─────っ! あっあっあっ、あ───っ!」
舌と唇を駆使して乳首を攻めると、なつめはのけぞって喘ぎ続けた。
「気持ちいい? …ねぇ、なつめ。ほんとに、死んじゃってもいい? いいの?」
セックスを中断し、なつめの目を眼鏡越しにじっと見つめて、ぼくは聞いた。なつめが答えられる状態になるまで、しばらく時間がかかった。
「…、いや、…です。…、いやっ! 死んでもいいなんて、うそっ。…ずっと、カイトさんと抱きあっていたいです。なんどでも、いつまでも…」
涙をにじませて訴えるなつめにひるんでしまう。
言葉の愛撫のつもりだった。いやらしいこと、いっぱいしてっ、と言わせたかった。でも、それは自分に、自分だけに都合のいい考えだと、遅まきながら気が付いた。
「ご…ごめん」
目をそらし、なぜかわからなかったけれど、なつめに謝っていた。なつめは涙声を深くして、
「ぃ…、ぃぃの…、いいんです。…わたし、わかってるから…。…いいんです」
「なつめ…」
「このままでいいっ! いいのっ!」
堰を切ったように涙がこぼれ落ちていく。なつめの頬を大粒のしずくが流れていく。
(こんなはずじゃなかったのに…。楽しくて、気持ちいいセックスがしたかっただけなのに…)
軽はずみな自分の言葉に、激しく後悔していた。すると、
「だめ…じゃないかっ、なつめっ! もっと、もっとカイトさんに愛してもらうんじゃ…なかった…の」
声を震わせて言葉を天井にぶつけるなつめ。その天井は、あとで気がついたのだが、鏡張りだった…。
「なつめ…。ぼく、なつめのこと…」
なつめはぼくの次の言葉を目を閉じてじっと待つ。言ってはいけない言葉がこぼれ出る。
「好きだっ! なつめ…、好きだっ! ぼくの…なつめ」
なつめの答えはあふれ出る涙だった。
ぼくにできることは、なつめのなみだを吸い取ることだけ。そんなぼくになつめはしがみついてきてくれた。はっとしてなつめを見るぼく。
「抱いて。お願い。抱いてください。やさしくなんて、しなくていいです。ただ、あなたのお好きなように…して。…抱いてっ!」
407 :
18Rの鷹:2005/07/26(火) 20:00:01 ID:a+1M9bN6
救い(?)は勃起したままのノーテンキなムスコだ。メンタルが落ち込んでも、こいつだけはひたすら快楽を求めている。射精のときを待っている。いや催促している。
(一からやり直し。楽しもう、いまを。楽しもう、なつめを)
切り替えの速さは性格だ。いいとか、悪いとかいう問題ではない。
「ごめんね、なつめ。ぼく、なつめと一緒に気持ちよくなりたい。…していい?」
なつめのほうが切り替えは速かった。うれしそうに艶っぽく微笑み、
「もちろんです。わたしのこと…、あの、その…」
「ん? なに?」
なつめの答えがまったくわからず、思わず聞き返した。
「わたしのこと、楽しんで。気持ちよくなって、ください」
真っ赤になって小さくなるなつめ。ぼくは無言でキスを求め舌をなつめの口内の奥深くに挿し入れた。
キスをしながら、右手がなつめの体を滑るように這っていく。スピードに緩急をつけて、すべすべとした肌理の細かい柔肌を掌に堪能させる。
刺激の強い部分を愛撫する前に、キスをやめて口を解放してあげる。どんな音色が吐き出されるか、それも楽しみだ。
なつめは唇をかみしめ、たまに顔を小さくのけぞらせたり、いやいやをするように左右に振ったりして、掌による愛撫に反応する。気持ちよさに溺れてしまうのに抵抗しているみたいだ。
右手が太腿に到達すると、なつめはたまらず熱い吐息を漏らした。
「はぅ…、あぁぁ…」
膝の後ろに手をまわし、足を開かせる。軽い抵抗の後、なつめの足からすっと力が抜けた。
「さわってほしい?」
耳元でわざと意地悪な質問をする。
「は、はい」
なつめは健気に律儀に返事をする。
掌で太腿の裏をやさしく、やらしく撫でていく。すぐに掌が陰部全体を覆った。柔らかい毛の感触をしばし楽しみ、おもむろに中指を折り曲げていく。
「ぁ…あっ! く…ぅぅ…、んっ! んんっ!」
アソコの中は十分に潤っていた。挿入した中指をきつく握ってくるようななつめのアソコ。回すように動かして少しずつ奥に埋没させていく。
「熱い、とっても熱いよ。なつめの中」
「ぁっ…、ああっ! はぅっ、あぁ…、くふぅ」
中指を出し入れする。くちゅ…、ぴちゃ…という音が遠くに聞こえてくる。いったん中指を後退させ、今度はより器用に動かせる人指し指でアソコの中をまさぐる。
「あっ! あぅっ! はっ! はぁっ! あっ、あっあっ、あ──っ!」
なつめの愛液で濡れた人差し指をクリトリスに押しつける。すでに硬くしこった肉芽をぐりぐりとこねくりまわす。
「はぅっ! はっ! はぁ…あ────っ! あ────っ!」
強い刺激がなつめに大きな声をあげさせた。なつめは左手でぼくの右手をつかんでくるが、握る力は弱弱しく愛撫の妨げにはまったくならない。
「く…ぅ…んっ…、くふぅ…、ぅん…、あっ! あふっ! あふぅっ! い…いいっ!」
自分で出したはしたない大声に恥じらったなつめは、右手を口にあててこらえようとする。しかし、それは無駄な努力だった。
ときには軽く指の腹で撫であげ、ときには強く押すようにこねまわし、それから中指を膣に侵入させると、なつめは再び大きな声をあげていた。
「あぁぁぁっ! ぃ…いいぃぃ、いいっ! あひぃ…、ひぃぃぃ」
ぎゅっと目を閉じ、顎を上げて喘ぐなつめ。その表情をじっくりと楽しみ、苦悶する顔に舌をいっぱいに伸ばし嘗めまわした。
「あぁぁぁっ! んんっ! んあ──っ!」
ピンと立った乳首に歯を当てる。また、なつめの喘ぎのトーンが変わった。
「いい? いいの? 気持ちいいの?」
わかりきったことをあえて聞く。なつめは目を開けることもできず、くいしばる歯をなんとか離して、絞り出すように答えた。
「は…はいぃぃ、うあっ! あっあっあっ、あぅっ…、いいっ! 気持ち…いいっ!」
(指だけでイかせられるかな)
なつめの反応を見て、そんなことを思いついたぼくは、指に最大戦速を命じた。指がつりそうになるくらい激しく動かし、クリトリスをねぶった。
「ひあぁぁあっ! あっあっ! あ──っ! あぁっあぁっあぁぁっ、ん…あっ!」
なつめが暴れる。両手でシーツを握りしめ背中を大きく浮かせて、イった。
「はぁ…はぁ…はぁ…、はぁぁぁ」
指の動きを止め、なつめの息が落ち着いてくるのを待つ。
408 :
18Rの鷹:2005/07/27(水) 20:29:01 ID:BcKWInFa
「よかった?」
ようやく目を開けたなつめだが、まだぼんやりとしていて言葉は出てこない。
そっと唇を重ねる。しばらくすると、なつめはのろのろと腕をぼくの体にまわしてきた。顔を離し目をじっと見つめて、もう一度同じことを聞いた。
「よかった?」
なつめは恥ずかしそうに一度視線を外し、それからぼくの目に視線を戻して、
「は…い。自分でするのとは、全然ちがう。…おかしくなっちゃうかと、思った」
途切れ途切れに答えるなつめ。
「わたし、ばっかり、気持ちよくなって…。ごめん、なさい」
「いいんだよ。なつめがよかったんなら、ぼくもうれしいよ」
「あぁ…、カイトさん、大好き、です」
「うん」
微笑みかけると、なつめは安心したような笑顔を見せた。それから、
「わたしも、カイトさんのこと、気持ちよく、してあげたい、です」
すごくエッチなことなのに、普通に言ってくるなつめ。ドキドキしてしまう。
「えっ? あ、あの、いいよ、いまはさ。その、シャワー浴びてから、してくれる?」
「はい!」
さあ、今度は自分がイく番だ。なつめは経験が少ないから、まだ挿入でイくことはないだろう。
行為を再開する。唇を挟み込むようにキスし、指を動かした。
「ぅ、ぅう〜ん」
なつめはとまどうことなく、ぼくの意図を理解し行為を受け止める。熱い吐息が続きを催促しているかのようだ。
膣を犯す指は、きつい締めつけにあいながらも、とめどなく染み出る愛液のおかげでスムーズに出し入れできている。
(もう、挿れても、だいじょぶかな)
指を引き抜き、なつめの足の間に体を割り込ませた。それから、なつめの両足を大きく広げる。
「挿れるよ。いい?」
「は…い」
声が震えている。まだ痛みの記憶が残っているのだろう。ぼくはやさしく微笑みかけ、
「痛かったら、痛いって言ってね。なつめが嫌がることはしたくないから」
「へえき、です。…カイトさん、きて」
そう言って、なつめはきゅっと目を閉じた。
ぼくがスキンを取ろうとしたとき、なつめがおずおずと
「あの、つけなくても、だいじょうぶ、ですよ。きょうは」
「えっ? そんな、だめだよ」
スキンをつけずにできるのはうれしいが、万が一にも妊娠なんてことになるのは絶対に避けなければならない。それは、なにもかも失ってしまうことを意味する。
ひるむぼくに、
「わたし、あしたから生理なんです」
快楽をとるか、安全をとるか、逡巡するぼくに、
「赤ちゃん、できちゃったら、わたしが一番困りますから。だいじょうぶです。それに…」
「それに?」
「カイトさんと直接、触れ合いたい、です」
ぼくは快楽をとることにした。伸ばしかけた手を引っ込め、自分のムスコを握る。それをなつめの秘裂にあてがった。
十分に濡れたなつめのアソコに亀頭が飲み込まれていく。手を添えていなければ弾かれそうなほど抵抗はきつい。
「うっ…、ぅあっ! あ…ぁうぅぅ、ぅんっ」
なつめのうめき声に罪悪感を覚える。なつめの手ほぼくの腰にあてられ、無意識のうちに腰の前進を阻止しようとしている。だからといって、ここでやめるわけにはいかない。
「あぅっ…、あぅぅぅぅっ」
徐々に亀頭が姿を消していき、ついになつめの中に収まった。あとは一気に貫いてしまえばいいのだが、
ぼくは一度ストップした。
「なつめ、痛くない? つらくない?」
心配そうなトーンをにじませ聞いてみる。なつめは目をぎゅーっと閉じたまま、荒い息を弾ませている。
「あ…あぁ、はっ、はっ、はぁっ…、はぅぅっ、あ…の…、あぅっ、へえ…き…、…きてっ!」
ムスコから離した右手でなつめの肩を押さえる。左手はなつめの手をとり、指を絡めてシーツに押しつけた。
「ぅあっ! あっ! あぁっ! あぁぁぁぁあっ!」
痛そうな、とは少し違うニュアンスを含んだ声が、なつめの口から吐き出されていく。
なんか勇者様VSなつめだけ文章長いなw
410 :
18Rの鷹:2005/07/29(金) 01:51:46 ID:vzSz0Bn9
気持ち余裕を残してムスコの大部分がなつめに収まった。なつめが呼吸するたびにムスコが締めつけられる。その脈動を快感として意識する。油断したら、あっという間に射精してしまいそうだ。
「なつめ、痛くない? 無理しないで」
「はっ、はっ、はぁっ…、こ、これまで、とは、な…、なん…か、ちがい…ます、うぅっ」
なつめの言ってることは理解できなかったが、心配には及ばないような気がした。
「ゆっくり…動いてみるよ?」
「は、はい…」
ぎし…、ぎしぃ…、ぎし…、ぎっ、ぎっ、ぎっ…。ベッドが軋み音をたてる。その音に合わせるように、なつめの喘ぎがかぶさる。
「うっ…ぁあっ、…ぅくっ、…くっ、…くふっ、く…ぅん、…あっ!」
あふれそうな水流をなんとかこらえていた堰が決壊した。
「あぁっ! あっ! な、んかっ、あっ! へんっ! へんですぅっ」
右手をおっぱいに移し、形がよく弾力にあふれた感触を存分に楽しみながら、徐々に速度を上げて腰を前後させる。
左手はなつめの手を離し、太腿を押し広げていく。無論、より深い挿入を求めての所業だ。
「あっ…あひっ…ひぃぃぃっ! あっ! あっあっあっ、…あぁぁあっ」
限界まで挿入する。腰のストロークを大きくとり、1回1回、奥の奥まで突き入れる。そのたび、なつめは口を大きく開け、普段では聞いたことのない大きな声を吐き出した。
その声に興奮した。そして、きつくムスコを包み込んでくる膣の具合に思いきり興奮していた。
(千春のより、きついんじゃ!? なつめの、よすぎるぅ)
このままでは、あっという間に果ててしまいそうだった。
4人の女性との経験によって、このごろでは射精をコントロールできるような気になっていた。だが、なつめのアソコのよさは、おのれの考えの甘さを痛いほど(気持ちよすぎるほど?)感じさせた。
(少し、動くのをやめよう)
ぼくは腰の動きを緩め、なつめに覆いかぶさった。そうして、なつめの耳に口をつけて、
「なつめ、ぼくを抱きしめて。ぼくの体に腕をまわして」
そろそろと腕をまわしてくるなつめ。
「あぁ…、し、あ、わ、せ…」
心の底からうれしそうに言葉をこぼすなつめがいとおしくて、唇を求めた。
「ぅぅん…、んん…、んっ!」
唇を離すと、唾液が白く糸を引いている。眼鏡越しに見るなつめの目は潤んでいた。
(動かなくても…、だめ。もお、出しちゃいたいっ)
「なつめ、ぼく、そろそろ…」
「?」
ぼくの言ったことの意味が理解できず、なつめは首をかしげた。いちいち説明するのも変だし、ぼくは体を起こして行動で示すことにした。
なつめの細い足首を右、左と順につかんで肩にかけ、腰にゆっくりと体重をかけていく。
「あぁっ! あぁっ! あぁぁあぁぁっ!」
なつめは顔を横に向け口を大きく開いて、ぼくの圧力を受けている。
「少し…、激しくするからね」
なつめの体を2つ折りにして、ムスコを限界までなつめに埋める。そのまま腰を押しつけ、ぐりぐりとかきまわすように動かす。
「あぁぁぁあぁぁぁぁっ」
体を前後にずらして、一番動きやすい体勢をとる。それが決まると、ぼくは思いきりなつめをえぐり始めた。高速で見え隠れするムスコは、なつめの愛液でてらてらと妖しく光っている。
「あぁっ! あぁっ! あぁぁっ! あっあっあっ、あぁっ! あっ! あ──っ!」
こらえきれないといったふうに顔を左右に振るなつめ。痛がっているわけではないが、いささか苦しそうだ。動きを止め、肩から足を外す。
「はあっ、はあっ、はあっ」
荒く息をするなつめ。呼吸が整うのを待ってやる余裕はまったくなかった。
なつめの両膝をつかみ、おへその前でくっつける。足が閉じられ、その間にのぞく結合部は目をそむけてしまいそうになるほど淫靡だ。腰を回すように動かす。
「あっ! あぁぁっ、あぁっ! ん──っ! あっ!」
(感じてるのかな、なつめ。…って、そんな余裕ないよぉ。ほんとに、出そお)
イく前に、ぼくはなつめにキスしたかった。なつめの足を離し、ぼくはなつめにのしかかった。きつく抱きしめて唇を重ね、舌をねじ込んで口内をねぶった。
キスをやめ、腰に限界スピードを与える。顔をのけぞらしてあられもない声をあげるなつめ。
「なつめっ! いいっ! いいよっ! ああっ、なつめ、なつめ、なつめぇぇぇっ!」
とっさの判断だった。ぼくは強烈な意志をもってムスコを引き抜いた。精液の橋がかかる。先端はなつめの眼鏡に届き、頬、唇の端、肩甲骨、乳首、お腹にかけて、ミミズ腫れのようになって落下した。
飽田
永井
出されたご飯は残さず食べる。
転んでも泣かない。
思うに保管庫にまとめたら凄いことになると思うんだ。
415 :
18Rの鷹:2005/07/29(金) 20:31:50 ID:vzSz0Bn9
>>410の続き
第2射も勢いよく噴出したが、精液は胸まで飛んで失速して落下。第3射にいたってはおへそまでしか飛ばなかった。それでも、量はかなり多く、なつめの体にべっとりとこびりついた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
肩で息をしながら、射精後のぼんやりした頭で、ぼくは自分の決断について考えていた。
(中で出すのは、だめだって思ったんだ…。なんでかはわからないけど…)
膣外射精。言葉は見たことがあったが、実際にするのは初めてだった。
(これって…、避妊には効果ないって、書いてあったっけ。なつめは大丈夫って言ってたけど、やっぱりリスクは少しでも減らしたい…)
なつめは熱い精液を浴びせられて放心している。顔にまでかけてしまったため、後戯のキスをするのをためらっていた。自分の精液を嘗めるのは抵抗があった。
ティッシュの箱を取るため手を伸ばしたとき、なつめと目が合った。ぼくはニコっと微笑みかけ、
「いま拭いてあげるからね。待ってて」
と、やさしく言った。なつめは黙ったままだ。
ティッシュを3枚引っ張り出して、なつめの顔にかかった精液を拭う。新しいティッシュをまた3枚出して、胸からお腹にかけて拭いてやる。
されるがままにしていたなつめが口を開く。
「わたしの中で出してくれて、よかったのに…」
「うん。でも、こういうことも経験したかったから」
言い訳だ。それでも、なつめは信じてくれたようで、顔を赤らめて聞いてくる。
「あのぉ…、わたし、気持ちよかった、ですか?」
「もちろん! すっごく、よかったよ」
即答だ。それから後戯を楽しむ。唇を吸っておっぱいを揉んだ。なつめは体から力が抜け落ちてしまったようで、ぼくの行為をただ受け入れていた。
横になって左手を伸ばし、なつめに
「はい」
と声をかける。なつめはおずおずと頭を乗せ、
「うれしい」
とつぶやいた。それから、
「あの、眼鏡、もう外してもいいですか?」
と聞いてくる。
「あっ、気がつかなくて、ごめん。あと、汚しちゃって、ごめん」
まだ白濁した液がこびりつく眼鏡を見て慌てて謝った。なつめは眼鏡を外しながら、
「いいんですよ。あなたが満足してくれれば、わたしはうれしい」
「ありがとう」
素直にそう言えた。なつめを腕枕して、ぼくたちはしばらく話した。学校のこと、料理のこと、好きな本のこと…。うなずいたり、感心したり、ときには笑い声をたてたり…。楽しい時間を過ごした。
「ねえ、なつめ。シャワー、浴びにいかない?」
「はい。あなたの望むように」
ぼくはなつめの頭を腕に乗せたまま、お姫さま抱っこで持ち上げた。
シャワールームでなつめを立たせ抱き合った。体を密着させて、音が漏れるほど激しいキスをした。
唇を離すと、白い糸の橋が架かった。なつめの顔は上気している。
(むずむずしてきちゃった。ムスコは…どーかな?)
目だけ動かして下をのぞき見る。半勃ちしている。
(2回目もベッド。ベッドまで我慢、我慢)
ぼくは自分にそう言い聞かせて、シャワーからお湯を出した。
「さあ、なつめ。座って。体、流してあげる」
ごく普通のバスチェアを足で引き寄せ、そこになつめを座らせてお湯を浴びせる。
「うふ。気持ちいい」
ボディソープを泡立て、なつめの体を丁寧に洗う。ここでもなつめはされるがままだ。体中に泡をまとったなつめが明るい声で言ってくる。
「今度はわたしがカイトさんの背中、流しますね」
「え、あ、うん。じゃあ、よろしくお願いします」
なつめはぼくをバスチェアに座らせ、向かい合う。そうして、ボディソープの泡をつくった両手でいきなりムスコを握ってくる。
「おわっ。な、なつめ。そ、そこは、いいって。そこは自分で洗う、から」
「いいんです。じっとしていてください」
子供を叱るような調子で言われ、
「あ、うん」
おとなしく言うことを聞く。そっと包み込むようにしてムスコをしごくなつめ。一生懸命、だ。
「わたしを変えてくれる"魔法の棒"、大好き」
416 :
18Rの鷹:2005/07/30(土) 19:48:04 ID:hmPs5pMH
愛撫されて…いや、洗われていくうちに、徐々に形態を変化させていくムスコ。
「また、したくなっちゃうよ?」
荒くなっていく鼻息を抑え込んで、ぼくはなつめに告げた。
「はい。してください。何度でも…」
潤んだ瞳をぼくに向けて答えるなつめ。上体を寄せ抱きしめる。なつめの両手は動きを止めない。
「あ…う、ぅうっ…、あぅっ!」
声を出しているのはぼくだった。
(ま、まずい。ぎこちない手の動きがまた、いいっ。よすぎるって)
「な、なつめぇ。あの。か、からだも、洗って、ほ、ほしいぃぃ、なぁあ」
「カイトさん。こんなに…、硬くて…、あぁ…大きい。はぁぁ」
ぼくの言ってることなど耳に入っていない。ムスコをしごくことに熱中している。
(お風呂場で最後までいくのは、まあ、好きだけど…。手で出されちゃうのは、もったいない気が…)
なつめの左右の手首を両手を動員してギュっとつかみ耳元でささやく。声がちょっぴり上ずっている。
「続きは、ベッドで、ね?」
顔を上げて、
「はい」
と言うなつめの瞳は泣いているのかと思えるほど潤んでいた。ぼくはなつめの唇を吸い、舌を入れて味わった。キスをやめると、なつめは名残惜しそうな顔をしながら、ふらふらと立ち上がり、
「お湯、かけますから。熱かったら言ってくださいね」
とシャワーを手に取った。そうして、なつめは背中にまわり、首からお湯を浴びせてくれる。そっと掌で撫でるように泡を落としていく感触がなんとも心地よい。
「カイトさん。立ってください」
「えっ? ぼく、もう勃ってるよ」
「…?」
きょとんとするなつめの気配を背中に感じて、ぼくは言ってることの間違いに気がついた。慌てて立ち上がり、なにを思ったのか、なつめのほうに向いてしまう。なつめの眼前にムスコを突き出してしまう。
「…」
逞しく勃起した泡まみれのムスコを前に言葉の出ないなつめ。少しして
「たって…ますね、確かに」
ぼくの間違いをうれしそうになぞる。
なつめはぼくの下腹部にシャワーを浴びせて泡を流し、水滴でつやつやと輝く亀頭に見入って、
「すごい…」
そうつぶやいてムスコを両手で握りしめた。ひざまずき、それから膝を伸ばして自分の口とムスコの高さを合わせるなつめ。顔を横に向け、目をすっと細め、ムスコに濡れた唇を寄せていく。
次の行為に期待が広がる。やり場に困った両手がどうしようか迷って虚空をさまよっている。
なつめの小さい口が、柔らかい唇がムスコにあてられる。
「うっ…!」
小さな声が漏れてしまう。なつめの顔がゆっくりと遠のき、そしてまた近づいてくる。おずおずと伸ばしたなつめの舌が控えめにムスコを嘗めている。
じれったい。でも、気持ちいい。だけれども、もどかしい。
「くわえ…て」
なつめは姿勢を直し、ぼくの正面に正座する。左手をぼくの腰にあて、右手は深くムスコを握る。
唐突に口をぱかっと開け、ムスコを飲み込もうとするなつめ。亀頭の真ん中あたりに唇が触れた。濡れた唇がさらに大きく開いていき、亀頭をすっぽり収めたところですっとすぼまる。
喉まで押し入れたい欲求をかろうじてこらえる。腰を引き、ゆっくり大きく突き入れていく。
「んっ! …んんんっ…んん…」
苦悶するなつめの表情がまた、そそる。快楽を追い求める気持ちに負けて無茶とも思える要求をついしてしまう。
「舌…、使って。舌、動かせる?」
「ん? んん…」
顔を上げ下げして承諾の意を伝えるなつめ。そんな小さな動きも快感を走らせる。
「ん…、んん…、んんん…、んんっ! んっ…、ん〜」
小さい口をいっぱいに広げ、その中いっぱいに押し込まれたムスコに一生懸命、舌を這わせるなつめ。
「あぅっ…いいっ! いいよっ! なつめっ」
声が出てしまう。なつめを思いやる気持ちとはうらはらに、体は素直に快楽を求めてしまう。
「ん────っ!」
「あぁっ! はぁっ! はぅっ! はっはっはっ! あぁぁぁっ!」
腰を激しく前後に動かしていた。口を喉奥深くまで犯され、なつめの苦痛を訴える悲鳴が亀頭に響く。ぼくの口からは快楽に浸った荒い息遣いがこぼれだしていた。
「んっ…んっ、んぐぅ、ぐっ…んぐっ」
俺は飽きないけどな
まぁ原作は飽きたがね
ま、氏のストーリーは何と言うか
たとえ悪いかもしれんが、ラブホ備え付け日記(今時あるかしらんが)
を読む感覚に似ている
若いバカップルの赤裸々な独白を読んでいるとも言うか
ぶっちゃけ.hackキャラはおまけで、
別の名前でも、ちょいいじれば立派な官能小説になり金取れるレベルだよ
さすがにそのレベルのモノに飽きたと言える奴は
よっぽど様々な小説読んできた奴らなんだろうな
微妙に尊敬してやるよ
ま、楽しく読んでる読者もいるということで
418 :
18Rの鷹:2005/07/31(日) 19:14:18 ID:n8uU18//
苦痛に耐えかねたなつめの両手がぼくを突き飛ばす。はっとして我に返った。
「ご、ごめん!」
せき込むなつめの口の端から大量の唾液が垂れ下がっている。
「だ、だいじょうぶ、です」
顔を上げ無理に笑いをつくるなつめがかわいい。ぼくはシャワーを出してなつめの口を洗ってやり、それから痛いほど勃起したムスコにお湯を浴びせた。
「出ようか」
「はい。あの、カイトさん、先に出てください。わたしはもう少し洗ってから…」
はにかむように言うなつめに、
「うん。ベッドで待ってる」
と言い残し、バスルームを後にした。体についた水滴をバスタオルで拭いていると、シャワーの音が聞こえてきた。横目で見ると、なつめは股間にシャワーをあてて洗っているようだった。
ごくりとつばを飲む。バスタオルを腰に巻いて、そそくさと移動した。
脱ぎ捨てたGパンからスキンを取り出し、枕の下に隠してからベッドに横になってなつめを待つ。
「おまたせしましたぁ」
「おいで」
上体を起こし両手を広げたぼくの胸に、なつめは勢いよく飛び込んできた。
「…抱いて、くださ…、んん…」
なつめの言葉が終わらないうちに唇を重ね舌を侵入させる。なつめがまとっていたバスタオルを剥ぎ取り、左右の手で2つのふくらみを揉みしだいた。
「ぁあ…、ぁあ…、は…ぁ…ぁ…、はぅっ!」
キスをやめて喘ぐなつめの顔をじっくり観察する。指が乳首を挟むと、なつめはびくんと反応する。
「感じる? こうしたら、どうかな?」
両方に乳首を人指し指と親指でこねまわす。力の入れ具合で変化するなつめの声に興奮する。
「あっ! ああっ! く…ふぅ…、あぁぁぁあっ! くぅ…」
なつめの両の乳首はとっくに硬くしこっている。顔を下げ、なつめに見えるように舌を伸ばして嘗め上げる。声が1オクターブ高くなった。
「ひあっ!」
体を入れ替え、なつめをベッドに寝かせて組み敷く。唇と舌、ときには歯を使ってなつめも乳首をいじめ続ける。
右手がなつめの体をすべっていく。
「はっ、あふっ、あぁっ、あんっ」
触れるところすべてがスイッチであるかのようになつめが喘ぐ。右手は太腿を撫でてから、なつめの秘所に軽くタッチ。なつめはびくっと体を震わす。期待を裏切るように、右手は太腿の内側を撫で始める。
「あぁ…あぁ…くふぅ…、くぅん」
なつめの足がわずかに開いている。おそらく意識はしていないのだろうが、期待が体を動かしている。
「どこをさわってほしいの?」
意地悪をする。なつめは答えられず、目をぎゅっと閉じてふるふると顔を振るばかりだ。
「やめちゃうよ?」
「いやっ! だめっ!」
「それじゃあ、ぼくの手を持って、さわってほしいところにもっていって」
ほどなくして、覚悟を決めたなつめはぼくの右手をつかみ、おずおずと柔毛のところに運んだ。
「ここ、だね?」
言うなり中指で秘裂を割った。そこはもうしとどに濡れていて、中指は吸い込まれるように膣へと入っていった。なつめはのけぞりながら大きな声で喘ぐ。
「んあぁぁぁっ! あぁぁぁぁあっ! あっ! あぅっ! あぅぅっ!」
指が膣をかきまわす。なつめの口は開きっぱなしで声をあげ続けている。なつめに気付かれないように枕の下からスキンを取り、そのまま体をなつめの足の間に移した。
「あ…あぁ…、あぁぁ…、ぃ…」
「いや?」
「ぃ…ぃぇ…」
顔を下ろしていき、しばらく見入る。吐息がかかって柔毛が揺れる。
「ぁあ…あんまり…、見ないで…くださ…い」
おもむろに口を押しつける。唇でクリトリスを挟み、少し出した舌でちろちろと嘗める。
「あぁぁぁあ…あぁぁぁぁぁっ、あっあっあっ、あぁぁぁあっ! あひっ! あひぃっ!」
なつめの足を押し広げ、Mの字の形にする。目の前のなつめのアソコは、すべてにおいて「つくり」が「こぶり」で、ここに自分のものがすっぽり飲み込まれるとは、とても思えない。
そんなことを考えると、ますます興奮していくのを自覚する。
花びらを舌で左右に押し広げ、中にさし入れて蜜を味わう。頭の上では間断なくなつめの悲鳴のような喘ぎが聞こえていた。
419 :
18Rの鷹:2005/08/01(月) 20:37:09 ID:eJbEm9LG
口唇での愛撫に夢中になりながらも冷静な自分がいた。スキンの袋を破り、素早くムスコに装着した。体をずり上げてなつめと重なり、手を添えずに挿入してみようとアソコにムスコをあてがう。
「挿れるよ」
言って、腰をぐいと前進させる。
「あぁっ! あっ…、あぁっ!」
いままで眺めていたなつめの小さなアソコを犯していく。その感覚にますます硬度を増していくムスコ。アソコの抵抗をものともせず、奥を目指して突き進んでいく。
「は…ぁ…、はぁ…、はぅ…、あぁ…」
ぼくの陰毛がなつめの陰毛を押しつぶす。ムスコは余さずなつめの中に収まりきった。なつめが呼吸するたび、ぎゅっと締めつけられる。
反撃、というわけではないが、ぼくもお尻の穴を締めるようにしてムスコを脈動させる。その刺激がなつめに声をあげさせる。
「あぁ、あぁ…、わたしの中にあなたがいる…、入っているのが…、わかる。あぁ…」
動きだしたい気持ちを抑え、ぼくはなつめの頬に右手を軽くあててささやいた。
「なつめ、目を開けてごらん」
「はい」
じっと見つめあい、
「かわいいよ、ぼくのなつめ」
「あぁ! うれしい、…うれしい」
涙を浮かべたなつめにキスをしたところで、動くのを我慢していたムスコに限界がきた。
強く押し付けながら、すりこぎのようにまわす。もう入らないところまで挿入されたムスコが、さらになつめをうがっていく。
「うっ! はぅっ! あぅっ! あっ、あぅっ!」
腰を引き、突き入れる。スキンをしてはいるが、なつめの肉襞の熱が感じられる。
「いいっ! いいよっ、なつめ」
「あっ、あっ、あっ…、あひっ! ひぃっ、あふっ…、ん…あぁっ!」
なつめがしがみついてくる。ぎしぎしとベッドが軋む。かなりスピードを上げて出し入れするが、この日2度目の交合なので、気持ちよさは高まってもまだまだ射精には至らない。
体位を変えてなつめをもっと楽しもうという思いを実行に移す。奥を激しく突いたところで腰の動きを止めて、
「ねぇ、なつめ。足、閉じて」
と要求を伝える。
「は、はい」
のろのろと足を動かすなつめ。ぴったりと閉じたなつめの足を両足で挟みこんで、腰のピストン運動を再開する。
「うあっ! あぁっ! ひ…ひぃぃっ、あひぃぃ、ひぃっ、はぅっ!」
なつめの喘ぎ声がこれまでより大きく響く。
(感じてるのかな、なつめ。きつくって、ぼくも気持ちいいぃ。足、閉じてするのって、いい)
快楽に溺れる。しかし、両腕だけで体重を支えているせいか、長続きできない。また、体位を変えることにする。
動くのをやめ、なつめの体を抱きかかえてくるりと反転。なつめを上にする。動くたびムスコが刺激を与えるのか、それとも初めての体位に恥じらっているのか、なつめは声をもらした。
「あぁ!? あぁっ! ぃゃぁ…、ぁぁぁ…、あぁん」
手を下に伸ばして、なつめの左右の足をつかみ、今度は広げていく。なつめがぼくにまたがる格好になると、すべすべしたお尻を力を入れてつかみ、腰を突き上げた。
「あぐっ! はぅっ、はぅぅぅっ、あっ! あぁっ!」
天井が鏡張りだと気がつく。なつめとセックスをする自分が見える。まるで他人の行為のようで、不思議と罪悪感は感じない。それよりも快感が勝っていた。
「なつめ、体、起こしてみて」
ゆっくりとした動きで浅く出し入れしつつ、なつめに求める。なつめは困惑した表情をぼくに向け、
「そ、そんな…、は…ずかしぃ…ですぅ」
いやいやをするように顔を振る。女性上位なんて考えたこともないのだろう。でも、その恥じらいが本能の火を燃えあがらせた。
「だめ。体、起こして。ぼくになつめをよく見せて」
強い口調で命じる。それでももじもじして動こうとしないなつめ。
(しようがないなぁ)
ぼくはなつめの肩をつかんで、強引に持ち上げていった。
「あぁっ、だめぇ、やぁぁ」
鏡の中の自分はひどく楽しそうだ。視線をなつめに戻す。目をぎゅっと閉じて頭を下げ、必死に恥ずかしさと戦っている。
420 :
18Rの鷹:2005/08/02(火) 20:16:28 ID:q60EEhOq
右手を肩から胸に移動させる。下から包み込むように揉みしだくと、なつめからふっと力が抜けたのがわかった。
「く…ぅ…、ぅうん…、あ〜ん」
左手も胸の攻撃に参加する。こちらは乳首に重点を置いて責めていく。なつめの手がぼくの両手の動きを阻止しようとするが、抵抗は散発的で力もまるで入らない。
「あぁ〜、あ〜、はぁ〜ん」
聞いたことのない甘い声がなつめの口からあふれる。その声がどう変化するのか、ぼくはわくわくしながら腰を思いきり突き上げる。
「ひっ! あひっ! あっ! あっ! あっ! あ──っ!」
期待したほどの変化はなかったが、それでも十分にぼくを興奮させてくれる。下に視線を転じれば、なつめの秘裂をめくるように出入りするムスコが見えた。なつめの愛液でてらてらと輝いている。
(自分で動いて、って言っても、それは無理だよね。そこまで要求しちゃ、かわいそうかな)
ダメもとで聞いてみる。
「ねぇ、なつめ。自分で動いてみてくれる?」
「あぅっ、えっ!? えぇっ? そ、そん…な、…だ…め…ですぅ」
(やっぱり、無理かぁ。ま、いいや)
予想どおりだったので、別に落胆したりしない。しかし、わざと冷たく言う。
「なつめはぼくの言うことが聞けないんだ? 悲しいなぁ」
「そ、そんなぁ。でも…、だって…」
「なんて、ね。うそだよ。なつめがあんまりかわいいから、少し意地悪したくなっちゃっただけ」
「あぁ、カイトさん…。わたし、頑張ります、から。動けるように、頑張りますから」
健気にぼくの要求にこたえようとするなつめが、とてもいとおしく思えた。
「ごめんね。おわびに、ぼくがいっぱい動いて、なつめのこと、いっぱい気持ちよくしてあげるね」
言い終えるなり、ぼくはベッドからお尻が浮き上がるほど力強く腰を突き上げ始めた。
「んあっ! あっ! あぎぃっ! ひぃぃぃっ! ああっ! んあ───っ! あっあっあ──っ!」
激しい行為にさらされて、なつめの体が不安定に揺れる。腰の動きを弱めて上体を起こし、なつめの体を抱きしめた。自然に対面座位に移行していた。
なつめは肩を大きく上下させて荒い息遣いをしている。しばらくじっとしていると、
「はぁ、はぁ、はぁ〜。…あの、カイトさん、キス…して」
ぼくの首に両腕をまわして懇願してくる。
答える代わりに唇を重ねた。柔らかいなつめの唇を挟んだり嘗めたりして楽しむ。
「…あふ…、あんっ、あぁん」
体も心も気持ちよさがあふれてくるかのような、なつめの喘ぎが耳に心地よい。
「気持ちいい?」
キスを中断し、聞いてみる。なつめはうっとりとした目を向け、
「はい。カイトさんのキス、じょうずで大好きです」
ニコっと微笑みかけて褒められた感謝の意を伝える。それから再び唇を重ね、今度は舌を絡めるディープキスをして、なつめの口内を存分に味わった。
キスをしつつ、背中にまわして抱きしめていた腕をなつめの足にもっていく。内側から膝のあたりを持ち上げると、なつめの体重がアソコに集中し挿入をさらに深くした。
「! んっ! んあぁぁっ!」
唇を外し声をあげるなつめ。ぎこちない動きで腰を前後させ、ぼくはセックスを再開した。
「あぁ…、あぁっ、はぁぁぁっ、はぅん、ぅう〜ん、あぁぁっ」
(この体位は好きだけど、出したくなるほど気持ちいいものじゃないなぁ)
ぼくは前に体重をかけ、正常位に戻ることにした。なつめの足を肩にかけ、自在に動けるようになった腰に仕事をさせる。前後左右に強弱をつけて、なつめの蜜壺をかきまわした。
「あっ、あ〜っ、あっあっあっ、あ──っ! ああぁぁっ! あっ!」
ぐいぐいと力まかせに責めたてると、なつめの体がベッドの端までずり上がっていった。最初とは2人の向きは180度変わっているから、2人の頭はベッドの下端を向いている。
なつめの頭がベッドからこぼれるが、なつめは全然気付いていないようだ。いま、ぼくがしているのは、それを意識できるほど生やさしい行為でもなかった。白く細い首がさらに情欲をかきたてた。
なつめの体がベッドから落ちそうになるほど突き入れ続ける。
(そろそろ…、出そうかな)
フィニッシュの体位は決めていた。動きを止め、ムスコを一気に引き抜く。
「はっ、はっ、はぁっ、はっ、はぁ、はぁっ、あぁっ、はっ、はぁぁっ」
おっぱいが揺れるほど荒く息をするなつめ。引きずるようにしてベッドの中央に運び、肩をつかんでうつ伏せにした。それから、ウエストを引き寄せ四つん這いにする。
「あ…あぁ、あぁ」
まだ大きく息をするなつめの足を容赦なく広げ、そこに割って入る。なつめは振り向こうとして首を左右にまわしている。
421 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/02(火) 23:32:21 ID:lJ9eHi42
ーってかGIFTに昴の裸が載ってる件について・・・過去スレで書いてあったらスマソン
422 :
18Rの鷹:2005/08/03(水) 19:56:29 ID:KkMM/O1m
>>420の続き
「入れるよ。気持ちよくしてもらうよ」
左手でなつめのくびれたウエストをつかみ、指がくい込むほど強く押さえる。
「あぅっ」
痛かったのか、なつめがうめくが気づかっている余裕がない。イくために挿入することだけが頭にあった。それに、目の前にあるぐずぐずに濡れたなつめのアソコが余裕など吹き飛ばしていた。
右手でムスコの仰角を下げ、なつめに押しつける。軽い抵抗を受けつつ押し入れる快感がたまらない。
「あぁぁぁぁぁぁっ!」
右手の指もなつめのウエストにがっしりとくい込んだ。両手を力強く引き寄せ、腰も思いきり前に突き出す。なつめの喘ぎは途切れない。
「ぅあぁぁぁ…、あぁ、あぅ、あぁ、あぁぁあぁあぁっ! あぅぅっ」
勃起していればお腹にくっつくほどの仰角を誇るムスコだけに、強制的に(?)角度を下げさせられる後背位はけっこうつらいものがある。しかし、得られる快感はそれをものともしない。
「あぁ、いいっ! すごくいいよっ! なつめっ!」
締めつけてくる膣壁を屈服させるように往復するムスコ。小さいつくりのアソコは張り裂けんばかりに押し広げられている。ムスコが姿を現し、また消えるたび、ぐちゅ、くちゅといやらしい音が響く。
「くぅっ! うっ! ぅあっ! あぁっ! あぁぁああぁっ! ぅあっ!」
なつめは両方の手で拳をつくり、顔をシーツに埋めて、ぼくのすさまじいばかりの責めに耐えている。
直線的に突きまくる。もう、イくことしか頭になかった。ひたすら快感を求めて、なつめの膣奥深くめがけて、ムスコを突き入れ続けた。
「うっ! 出るよっ! あぁ…、いくっ! なつめっ、なつめぇぇぇぇっ!」
唐突に射精のときがやってきた。爆発するように弾けたムスコは、たっぷりの精液をなつめの膣に、いやスキンの精液溜まりにぶちまけた。
なつめが前に崩れ落ちるほど体重のすべてをかけ、精液のすべてを射出する。
ぼくは最後の一滴まで出そうと一度腰を引いて突き入れた。絞るようにぐいぐいとムスコをねじ込むと、
なつめの両膝は耐えきれずに崩れた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
ピクリとも動かず呼吸音だけを響かせるなつめ。うっすらと汗をかいている背中がなまめかしく波打っているのが見えた。
「よかった。とってもよかったよ、なつめ」
背中に覆いかぶさり耳元でささやくが、反応はなかった。
どうしたものか少し思案したが、出してしまった男がイった女にできることなど、ない。なつめは寝息をたてているのかと思えるほど、規則的に呼吸している。
「抜くよ?」
返事を期待せずに言って、ムスコを引き抜いた。スキンの先っぽは白い液体に満たされて張り裂けんばかりに膨らんでいた。
意識を失ったなつめに後戯をしても意味はない。ぼくは疲れた体をベッドに投げだした。
「ふぅ〜」
天井の鏡に向かって息をつくと、なつめが覚醒した。
「うぅ、あぅぅ…、あぁ…」
意識は戻ったものの体は1ミリも動かせないようだ。ぼくは後戯のつもりで、なつめの背中にキスの雨を降らす。
「あぁ…、も…う…、だめ…ですぅ」
行為に対する拒絶、と受け取った。少し寂しい気持ちになる。出してしまったからではないと思うが(そうとも言いきれないが…)、なつめに対する気持ちが少し冷めていく。
なつめから離れ、再び横になる。自分の腕に頭を乗せ、
「はぁ〜」
もう一度、深く息をついた。なつめは眠ってしまったのかと思えてくるほど、じっとして動かない。少し心配になって呼びかける。
「なつめ?」
返事はない。もう一度、呼んだ。
「なつめ、眠っちゃった?」
ゆるゆると顔をこちらに向け、うつろな目でぼくをみつめるなつめ。開いた口から
「ぁぁ…、信じ…られない、くらい…、しあわせ」
言葉をこぼし、そのまま目を閉じてしまった。
(やっぱり、かわいいなぁ、なつめ)
ちょっとだけだが、休んで心に余裕ができたせいか、微笑んでいる。処女をもらい、幾度か体を重ね、ようやく絶頂を覚えたなつめがいとおしかった。それを教えたのが自分だと思うと誇らしかった。
なつめの肩に手をかけ、仰向けにする。やさしく抱きしめてキスをした。
「よかったよ、とっても。なつめは?」
「わたしも…よかった、です。自分がばらばらになって、どこかに飛んでっちゃうかと、思った」
424 :
18Rの鷹:2005/08/04(木) 22:16:05 ID:FjoJzyrC
>>422の続き
もう一度キスをして、ねっとりと舌を絡ませ唾液を交換しあった。
「シャワー浴びて、帰ろ?」
「はい。あ、あの、カイトさん。つけてたんですね? それ」
なつめは視線を下に向け、残念そうに言ってくる。
「えっ? あっ、あぁ。うん。その、スキンつけるのって、エチケット、だから…」
なつめは素直にぼくの言い訳を受け入れた。
「ありがとうございます。なんか、感激です」
「ぃ、いやぁ、そんな…」
「大事にされるのって、あったかい」
照れくさくなったぼくは、起き上がってなつめに背中を向ける。それからスキンを外して、ティッシュで後処理を済ませた。
体中の力がすべて抜け落ちてしまったかのようななつめの体を軽々と抱いて、バスルームへと向かう。
シャワーを浴びながら、ぼくらは戯れた。口を吸い、胸をさわると、
「きゃっ」
と明るく嬌声をあげるなつめ。2度放出して満足していたのでいやらしい気持ちにはならず、互いに体を洗いシャワーを浴びた。
脱ぎ散らかした服を拾い、それを着る。なつめが服を着るのを見ていると、
「恥ずかしいから、そんなに見ないでください」
たしなめられてしまった。でも、それほど嫌がっているふうではない。ぼくはなんとなく目を離せずに、ついに服を着終えるまで見てしまった。
「お待たせしました」
駆け寄ってきたなつめを抱きしめ、この日最後のキスをした。
日が落ちて、すっかり暗くなった横浜の街。手をつないで歩く。
「ご飯、食べていこっか? 中華街…、ごちそうするよ」
「いえ。遅くなると両親が心配するので…。すごく残念ですけど…」
ぼくの申し出を断って、すまなそうな顔をするなつめ。
「いいよ。気にしないで。じゃあ、帰ろう」
笑顔で言って、最寄りの駅に向かった。
乗り換えの駅でなつめと別れる。胸の前で小さく手を振るなつめの寂しそうな顔に見送られて、ぼくを乗せた電車が走りだした。
425 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/05(金) 02:08:23 ID:5qS2ijkY
神降臨キボンヌ(。ω。)
426 :
18Rの鷹:2005/08/05(金) 20:54:46 ID:mEut0fFc
この場所を出て歩く道のことを考える
空はまだ早い夕方、雲の色を残して
隣の子供は同じ歌 もう三度も歌ってる
終わる言葉 思い出せず 最後だけずっと繰り返して
始めも終わりもいらなかった、きみの目がつぶやいた
どんな記憶を探したら胸の奥へ届くのだろう
長すぎた、きみの言う日々は一夜の夢のようで
終わる言葉 信じられない 目覚めのときはまだ遠い
千の夜を消せないで まだここを立てない
<千夜一夜>
文化の日。もともとは日本国憲法が公布された日、という話だ。でも、高校生にとっては「文化『祭』の日」というほうが身近。ニュースでやってたとおり「晴れの特異日」で、この年の11月3日も秋晴れだ。
自分の高校の文化祭も、もちろん同じ日だった。しかし、開催は土曜と日曜の2日間。
ぼくはクラスメートに頼み込んで、3日の土曜日は抜けさせてもらっていた(その分、日曜日はめいっぱいこき使われることになっていたが…)。
前日きた晶良からのメールには「昼ごろにきてね」とあった。遅めの朝ごはんを食べ、シャワーを浴びた。まじめ過ぎず、それでいて崩し過ぎない服装をして、神奈川の朝陽高等学校に向かった。
駅で晶良に「いま、着いたよ」とメールする。間をおかずに届いた返信メールを目にする前に、ぼくは見覚えのある女性に声をかけられた。
「お久しぶりね。私のこと、覚えてる?」
切れ長の目で見つめられると心臓の鼓動が速くなる。
「翔子さん、ですよね」
「そーよ。覚えていてくれて、ありがとう」
艶やかに微笑む大人の女性の顔にドギマギしてしまう。そんな態度の変化を気取られないように、ぼくはケータイのメールをチェックする。
「晶良から、でしょ? 私が連れていってあげるわ」
ケータイと翔子の顔を交互に見て、
「あっ、あの…、ありがとうございます」
と言うのが精いっぱいだった。素早く読んだ晶良のメールは「翔子が駅前にいるから、一緒にきてね」だった。
「私は就職組だし…、あんま、やることないんだ、3年の文化祭って」
「へぇ…、そーなんですか。翔子さん、頭、良さそうなのに」
「家庭の事情、ってヤツ。うちさ、母子家庭だから…。母さんには苦労かけたからね」
明るい表情で軽く話す翔子。そんな深刻なことを、さも当然のようにしゃべっている。
「やさしいんですね、翔子さんって」
感動を伝えたくて、わざと大げさに言う。翔子は意味深な微笑を浮かべてぼくに振り返って言った。
「そーでもないよ? フフフっ」
ドキっとする。晶良と同じ2つ上の女性だが、艶っぽさは比ではない。
(晶良さん…、しっかりしてるときの晶良さんと比べても全然おっとなだなぁ、翔子さんって)
「翔子さん、ほんとに晶良さんと同じ年ですか?」
どっちもまとめ更新しねーな・・・・・・・
428 :
18Rの鷹:2005/08/07(日) 01:14:17 ID:RX4DJm0O
>>426の続き
冗談めかして言ってみる。と、
「あ〜ら。私、そんなにふけて見える? っていうより、晶良が子供っぽすぎるのかな?」
そう返されて、ぼくは真剣に考えてしまった。
「う〜ん。たしかに晶良さん、年上らしくないところあるし。でも、そこがかわいいっていうか」
声を出してのひとり言。翔子にはまる聞こえだ。くすくすと笑っていた翔子が、やがて声をたてて笑いだす。
「くっくっくっ、あは、はははは。…きみ、あはは、…カイトくん、面白すぎっ。あは、あはははは」
どうやらツボに入ってしまったみたいだ。そのツボがなんなのかわからない身としては困るしかない。そっぽを向いた顔を赤らめ、ぽりぽりと頭をかくしかない。
「あはは…、はぁ。さ、行きましょ。晶良が待ってるわよ」
「あ、はい。…あの、翔子さん、さっきの、そんなにおかしかったですか?」
ぼくの質問に翔子は足を止めて答えた。
「うふふ。晶良ときみ、お似合いよ。晶良がきみのこと、照れくさそうに話すのを思いだしたら、おかしっくって」
答えになっているような、いないような…。
「はあ…」
ぼくは首を傾げつつ、歩きだした翔子のあとを黙ってついていった。しばらく歩いたとき、翔子が振り返って、ぼくに聞いてくる。艶やかな長い黒髪が舞った。
「ねぇ、晶良のクラスの出しもの、なにか、聞いてる?」
「いえ。きてからのお楽しみ、ってメールには書いてあったんですが、なにやってるんですか?」
翔子はちょっと考え込んでから、
「それじゃあ、教えないほうがいいわね」
含み笑いをしながら言った。
学校に近づいているのだろう、徐々に道行く人が増えてきた。やがて校舎が見え、ほどなくして「朝陽高等学校 文化祭」と書かれたアーチのかかる校門をくぐった。
初めての文化祭。校内は祭りの賑わいであふれ、そこにいるだけで心が躍った。
きょろきょろと見まわしながらも、翔子の背中を常に視界に入れて校内を歩く。階段を上っているとき、
翔子が晶良と同じくらいの身長だと気がついた。
(翔子さん、大人っぽいっていうか、すごく落ち着いているから、大きく見えたんだな)
じっくりと観察する。学校独特のにおいのなかで、翔子の『女』が香っていた。
翔子のことをずっと眺めていたら、何階まできたのかわからなくなってしまった。翔子が廊下のほうに曲がり、ある教室の前で止まって振り返った。ぼくの顔を見ながら指で「ここ」と合図している。
「え…っとぉ…、m、a、i、d、c、a、f、e…。メ、イ、ド…、メイドカフェぇぇえ!?」
ボー然とするぼくを見て、翔子はお腹に手をあて声を押し殺して笑っている。
(ぼくの高校でも喫茶店をやるクラスはあるけど…。晶良さん、メイドのコスチューム着るのかな!?)
見てみたい、と思った。翔子が手招きをしている。緊張した足を動かし、メイドカフェに入店した。
「お帰りなさいませ、ご主人さまぁ」
5〜6名ほどの黄色い声が出迎えてくれる。そのなかから晶良の声を聞き分け、その声が発せられた方向を凝視する。頬を赤らめた晶良が上目づかいに視線を絡めてくる。
翔子のエスコートで暗黙の了解ができていたのだろう。かわいいメイドたちの列から晶良がすっと前に出て、ぼくたちを席に案内してくれる。椅子に座るなり、晶良が顔を寄せてきて、
「ちょ〜恥ずかしいんだよね、このカッコ」
「よく似合ってる! すっごくかわいいっ」
小声でささやき合う2人に、翔子が咳払い一つして、
「メイドさん、私もお客さんなんですけど」
「あっ、翔子…、じゃなくって。ご主人さま、失礼いたしました。あの、ご注文は?」
マニュアルどおりにしゃべる晶良がおかしくて涙が出そうだ。それは翔子も同じだったようで、手で口を押さえ必死に笑いをこらえている。
「ぼくはアイスコーヒー。翔子さんは?」
「ロイヤルミルクティをくださいな」
「かしこまりました。しばらくお待ちください」
ペコリとお辞儀をした晶良は、大きくタメ息をついてからぼくに顔を寄せ、
「あと1時間で交代だから。学校、案内してあげるね」
小声で言ってウインクし厨房のほうに行ってしまった。晶良がいなくなって、
「あはははは。まったく、晶良のクラスも変なことするよね〜。笑いをこらえるのって大変」
ぼくは晶良のメイド姿にあてられて少しぼんやりしていた。翔子に愛想笑いを返す。
「ほんとに、そうですね」
「きみ、コスプレも好きなの?」
いきなりの質問に、口まで運んだ水を吹きだしそうになる。
「ぶっ。え、翔子さん、な、なんて!?」
429 :
18Rの鷹:2005/08/07(日) 19:44:39 ID:RX4DJm0O
「コスプレ。好き?」
翔子にたたみかけられる。バカ正直に「したことはないけど、うん! 大好きっ!」と答えられるはずもない。
「え、いやぁ、あのぉ、そのぉ、う〜ん、好き、かも」
口ごもり、つっかえながら答える。
「あの衣装ね〜、自前だから。文化祭が終わったら、晶良はきみだけのメイド、かな」
ボンっと音をたてたんじゃないだろうか。爆発したように顔が熱くなるのがわかった。そこに、
「お待たせいたしました。アイスコーヒーとロイヤルミルクティでございます、ご主人さま」
うやうやしく頭を下げて飲み物をテーブルに並べる晶良。ぼくにウインクして
「あとで、ね。…ん〜!? アンタ、顔、真っ赤だよ。どしたぁ?」
と話しかけてくる。答えられずに口をもごもごしていると、晶良は翔子に向かって、
「もう少し、コイツにつきあってあげてね。よろしく」
拝むように手を顔の前にもっていき頼んだ。翔子は晶良の目をまっすぐ見て、
「はいはい。晶良の大事な人だもんね。まっかせなさぁい」
ぽんっと胸をたたいた。
晶良が目の前からいなくなると、翔子は頬杖をつき謎めいた微笑みをぼくに向けてくる。影がありながら、とてもきれいな翔子の顔に、心臓の鼓動が大きくなった。
「これ…、きみでしょ?」
いきなり、だった。翔子は自分の携帯電話を出してボタンを操作。ある画像をディスプレイに写しだして、ぼくのほうにそれを向けた。
「! …」
息を飲み絶句した。驚きで言葉が出てこない。そこには…。
「私ねぇ。バイトしてたんだ、あの日、その場所で」
目の前の翔子がぐらりと歪む。息が苦しくなるほど動転していた。翔子の言葉が続く。
「相手は…晶良じゃないよね? ふふふ、浮気?」
「ち、ちがう…」
やっと声が出た。翔子はぼくの言葉を受け流し、
「見かけによらず悪い男のコ、なんだね。きみは」
「そんなこと!」
思わず声が大きくなってしまう。店内はそれなりに賑わっていて、だれも気にしていなかった。翔子は平然と言い放つ。
「そんなこと、なくはないよね。このあとの写真はないけど、私は全部見てたのよ」
また黙ってしまう。なにを言っても、もちろん無駄なのはすごくよくわかっていた。
「あの日、大さん橋で、きみは、この娘をやさしく抱いて…」
うつむいたぼくの目に飛び込んできたのは、したたり落ちる自分の汗だった。翔子の『証言』が続く。
「兄妹…、には見えなかったなぁ。もちろん姉弟にも、ね」
年からいったら姉弟なのだが…、そんなしようもないことが頭をかすめる。
「あの娘がだれか…、なんて私には興味はないわ」
顔を上げる。翔子の目をきっと見つめて、ようやく言葉が、意味を持つ言葉が出せた。
「その写真、晶良さんに見せるつもりですか?」
抵抗のできない獲物がじたばたと悪あがきをする、それが楽しくって仕方がない。翔子の顔はそう語っているかのようだ。
「ふふふ。そうね、どうしようかしら。晶良は私の大切な親友。できれば幸せになってほしいわ」
この場で土下座をしようか…。いや、そんな目立つことはできない。同じ教室には晶良だっている。きっと怪しまれる。真実は、言えない、言えっこない。
「そんなに怖い顔しないの。私はきみの敵ではないわ」
恐怖におののき、それが憎悪に変わっていた。微笑む翔子のきれいな顔が冷たく見えた。
「ぼくは…、どうすれば、いいんですか?」
その言葉を待っていたかのように、翔子の表情が変化する。
(獲物をがんじがらめにして、むさぼりつく瞬間の雌蜘蛛)
冷や汗とともに頭に浮かんだイメージだ。ぼくは蜘蛛の巣にかかった獲物…。
翔子は目だけで晶良の位置をうかがい、それからぼくの目を射抜くように見て言った。
「2時間後。校門のところで待ってるわ。もちろん、くるよね」
「あ、晶良さんは…」
「ふふ。それは大丈夫よ。晶良の次のシフトくらい頭に入ってるわ」
「それで…。それで、あの写真、消去してもらえるんですか?」
「それは、あなた次第。それじゃあ、2時間後にね」
そう言って翔子は、ロイヤルミルクティを一口だけ飲んでレシートをもって出て行ってしまった。
取り残されたぼくに、だれかが話しかけている。
「…ねぇ! こらっ」
思うように動かない首をなんとかまわし、声の主に顔を向ける。
勇者様ピンチ!
ちなみに現在497KB。
431 :
18Rの鷹:2005/08/08(月) 19:57:27 ID:azS/AFci
「どーしたのよ? アタシさぁ、これから2時間、休憩だから。学校、案内してあげる」
メイドさんがご主人さまに命令してる、さぞや変な光景だろうな。
「あ、あぁ。うん。い、行こう、晶良さん」
なんとか平静を装おうとして、かえって声が裏返ってしまう。
「きょうのアンタ、変! さっきは真っ赤になってたし、いまは真っ青よ。体調、悪いの? 寝不足?」
お姉ちゃん気質を全開にして晶良が聞いてくる。
「いや、そんなことないよ。晶良さんが、その、あんまりかわいいからさ。ちょっと緊張してる」
2時間後になにが起こるのか、想像もつかない。いまはただ、目の前の晶良に気の利いた言い訳が言えたことにただホっとする。
「ばか…。いくわよっ」
顔を赤らめて言う晶良。なんとか急場はしのげたようだ。
「お腹、すいちゃったなぁ」
黙っているわけにはいかない。2時間後のことが気になって食欲どころではないが、晶良を安心させるために無理をする。
「そっか。じゃあ、テニス部の後輩がやってる模擬店、いってみようか」
階段を下りる晶良の背中が遠く感じられる。心の中で「ごめん」とつぶやいた。
「実はさぁ、アタシもお腹すいてたんだよねぇ。ホットケーキとかクレープ、食べたいな」
「お疲れさま。きょうは、ぼくがおごるよ」
罪の意識を少しでも軽減したい気持ちがそう言わせた。晶良は素直にうれしがる。
「やったぁ。…ほんとはね、年下に甘えちゃいけない、って思うんだけどさぁ。アンタにやさしくされるの好きだから…。ごちそうになるね」
人目も気にせず晶良は腕を組んできて言った。うれしくないわけはない。しかし、後輩の教室が近づいたら、晶良はすっとぼくから離れる。ぱぁっと晴れた気持ちに雲がかかる。
「ごめんね。やっぱり恥ずかしいから…」
「うん」
そう言ってくれる晶良の気使いがうれしい。だからこそ、浮気を「見られた」自分が情けなかった(勝手なもので、浮気をした自分、ではない…)。
いろいろ食べ、飲み、おしゃべりをしたが、全部うわの空。かろうじて晶良に怪しまれない程度に笑顔で会話できた。笑いは多少引きつり気味ではあったが。
あっという間に2時間がたった。この日の文化祭が終わってからの待ち合わせをして、晶良はメイドカフェに戻っていった。
んー、次スレどうします?
このスレも私が立てたんだが…。
435 :
18Rの鷹:
>>431の続き
「あら。ちゃんときたのね」
妖艶な、いや冷たい笑みを浮かべた翔子と対峙する。ぼくは翔子の目を見つめたまま黙ってうなずいた。
「ついてきて」
きびすを返した翔子はゆっくりとした足取りで歩きだす。
「どこへ?」
少し距離をとって翔子のあとを追い、ぼくはやっとのことで言葉を絞り出した。緊張で心臓が張り裂けそうだった。
立ち止まり振り返った翔子は、拍子抜けするほど明るい笑顔を見せてくれた。脅迫(?)されている身ながら、ドキっとするほどチャーミングな笑顔だった。
「私の家よ。きみが嫌がったり怖がったりすることなんか、もちろんしないわよ。それは晶良を悲しませることになるからね」
「ほんとですか?」
「本当よ。晶良と私は親友だもの。これまでも、これからも」
体の力が一気に抜けた。緊張がほぐれ、どっと疲れが襲ってきた。
「はぁぁぁぁあ」
前かがみになって大きなタメ息をつく。翔子はくすくすと笑っている。
「晶良の彼氏、ザ・ワールドの勇者のリアル。興味あるじゃない。だから、2人で話がしたかったの」
「なんだぁ、それならそうと言ってくれればよかったのに」
安心したせいか、不満が口をつく。翔子は一瞬だけ真顔になり、すぐに笑顔に戻って言った。
「あのね。きみの浮気の証拠、私は握ってるんだけどなぁ」
「うっ…、ぐぅっ…」
忘れていたかった事実を突きつけられ、ぼくは絶句した。翔子はそんなぼくを無視して、
「うちね、歩いてもいけなくはないんだけど、時間が惜しいからバスに乗りましょ。どうせ、あとで晶良と会うんでしょ? それまでには私の用は終わって、きみは晴れて自由の身、よ」
にこやかに話す。バス停まで15mくらいのところでバスに追い越され、ぼくたちは走って乗り込んだ。
翔子が言っていたとおり、歩いてもさほどかからない距離でバスを降りる。少し歩いたところに翔子の家はあった。
なんとなく、きょろきょろ周りを見ていると、翔子に言われる。
「晶良の家、わりと近いのよ。街の雰囲気、似てるでしょ?」
それを聞いて、晶良の家族に見られはしないかと、首をすくめた。