【修羅】川原正敏漫画でエロ( ̄ー ̄)ニッ【海皇紀】
「パラダイス学園」「あした青空」「エンジェル」「ヒーロー」
「修羅の門」「修羅の刻」「海皇紀」でお馴染みの
有りそうで無かった川原正敏作品をよりエロくするスレ。
ルール無用何でもアリアリ。多方面のエロ投下よろしく。
川原ヒロインを剥いちゃって下さい。
尚、一応書いとくが
出海×龍馬、ファン×ニッカなど腐女子は帰れ。
川原作品はエロである。落ちなかったら嬉しいなぁ・・・
2 :
1:04/09/01 05:13 ID:JIYctpHQ
・・・・が しかし
立てた次の日アッちゅうまに風下に落ちて座礁沈没。
2get以外のレス付けてくれたヤシら有難う。
落ちたスレで
漢キャラにスケベ心が足りないとか、少年漫画なので致命的などの意見もあり
やっぱり無理があったんかとも思ったが
パラダはもともと輪姦、陵辱、屈辱紛いのオンパレードだろ?
修羅以降がやりにくいんだろうか?
弁慶、武蔵、土方、トゥバンなど
ストイックなキャラも多いため、絡ませようがないかもね。
なんなら現在は鳴りを潜めてる、ヴェダイとか、ヴェダイとか、ヴェダ(ry‥
と、半分冗談ではないがさておき・・・
取り合えずもう一回だけ懲りずに立ててみる。
>>1 スレ立て乙。
だが
>>1よ、正直に言って川原正敏でエロは難しいのでは?
ヘタレな俺は川原キャラでエロを想像することが出来ない。
まあ、とりあえず頑張ってくれ。
前の即死だったんだね。俺はエロく感じるから少数派っていう奴か?
とりあえずあげとくか。
川原作品きちんと度読んだの修羅の刻幕末編くらいだけど、
>パラダはもともと輪姦、陵辱、屈辱紛いのオンパレード
そんな作品もあるんだ。知らんかった。
6 :
名無しさん@ピンキー:04/09/01 20:49 ID:3DRyfRRF
確かに見たいのもあるんだが。
信長編の蛍とか、御前試合編の円とか。
海皇紀で見たいのはカロの港のお嬢だったり。
ところで即死判定というのは同じ人間が何回もレスしてたら回避できるのか?
7 :
名無しさん@ピンキー:04/09/01 20:55 ID:YsTftE1J
このスレ何人みてんだろ。
そういう自分は前スレでレスした中の一人だったりする。
スレタイの「ニッ」だが、川原作品なら「ニィッ」だろ。
9 :
1:04/09/01 22:11 ID:f6jlnv9D
個人的には『修羅の門』の舞子は結構ツボだったけどな。
確かボクシング編で、九十九を追いかけてアメリカに
渡った舞子が九十九のトレーナーの部屋の前で寝込んでしまい、
そこに現れた黒人二人組にレイプされる? って想像させる
シーンがあってあれでヌイタ記憶がある。
>>1 乙
こんなスレあるんだな
小説「修羅の刻」川原正敏著 にゴカーン未遂があったなと思いつつ
12 :
1:04/09/01 22:26 ID:f6jlnv9D
そうそうレイプ。ゴーカン。
しかしこのまま神職人さん光臨をひたすら待つにも、切り上がり角度がイマイチなんで
パラダは良しとして、修羅以降作品について勝手に一言。
川原キャラの女って真面目で気ぃ強そうだけど
バカ(言葉悪いが作中時に褒め言葉)で、そんなとこがかわいいし
羞恥やレイプは勿論、調教とかにもぴったり来るキャラに見えるんだよね。(パラダのせいか‥??)
そこで、千年子種絶やしてない家系の陸奥はスケベ心アリアリだと思うし
だが、戦う事が天命なんで、逆にそっちはプレイ感覚でやる時ゃやってると見たんだが・・・
海皇も海の男は、港港にだろ?
けっこう上陸してる間とか、ここぞとばかりなんだろうなと。
(未婚者の間では素人童貞大量発生してそうだが、ニッカ、ト−マ、ナオ、ジン、ギルゴマとかw)
あと、海の一族って言うか八番艦は、あれだけ結束力固いから女も共有してそう・・・
ま、一応嫌がる相手を輪したりとかはナシなんだろうけど(パラダじゃないし)。
職人さん降臨キボンなら、関連スレに貼って来るなどどうか?
14 :
1:04/09/01 23:11 ID:f6jlnv9D
>>13 関連って漫画板とか? 一応ここは、21歳以上!子供はだめ!だからなぁ‥どうなんだろ?
>>13 一般向けの板に21禁板への誘導はタブー
厨を招き入れるだけだから
パラダスレに絵職人さんが居るみたいで羨ましかった。今は反省してる。誘導正直スマンかった・・orz
まぁまぁ
余裕があるわけじゃないかもしれんが、マターリしよう。
とりあえず、しおらしくなったニルチッイ萌え
あえて関係スレというのなら、
マガジン作品のエロパロか、スレの無い作品のスレだな。
そういえば蛍って何歳くらいの頃に八雲を生んだ計算になるんだっけ?
確か、連載終わった時に漫画板で話題になって、それなりに年数経たないと
八雲の歳がおかしくなると言う結論になったのはおぼえてるんだが。
19 :
1:04/09/02 04:08 ID:goS4NVt4
>>18 このまま職人さん不在のままなら、近々お仲間がいそうなスレに主張営業してみるよ。
しかし >スレの無い作品のスレ って・・・?
あと、蛍の出産年齢がわかると何か良い妄想エロ話しの役に立つのかい?>なんなら漫画板で聞いてみますが。
で、少しでも書いて(描いて)みようかと思う神がいるやもしれないので
切り上がりの角度とか付けてみる。
1. 舞子拉致られ羞恥レイプ←九十九がヘルプそして‥
(ちひろ←司馬、ニルイッチ←雷、圓←天斗、サリウ←ファン?など)
2. ライバル不在でやることくなった八雲の、その後詩織とのしたい放題
3. さな子、出海と龍馬で3P
4. アニータ、静、螢、オリカ、グリスなどの幼女好きの幼女好きによる(ry
5. エロ設定されたガルディアンか触手付き土武者&森守にマイア、メルダ−ザが?!
6. ライエ、エールラ、グリス(スクラ三姉妹)とソル4P
7. 意外に鬼畜なニッカさん
あー、登場人物には事欠かないから他にもいろいろあるよね‥>エロシュチエーションみんなもよろしく。
ハル爺×ウラニスさん、ルファ、ナギア以外ならなんとかなりそうか?
(いや、これでエロく創れる職人がいたらホントの神!w)
ま、立てた責任上自分も頑張って見るけど(待っててねって、もう寝るけど)・・・たぶん・・・・ムリポ??
21 :
名無しさん@ピンキー:04/09/02 20:46 ID:fwnK/FQe
何か落ちそうだなあ・・
作品できてからスレができた方がいいような気がしてきたよ・・・
ん〜、リレーとかやる気のある香具師いる? あっ、上げときゃよかったか・・・
23 :
10:04/09/02 22:14 ID:9y72Rynt
SS書きたい気持ちはあるけど、今は他のスレのやつを書いてるんで
しばらく無理。それに書くとしたら10に挙げたシチュのような舞子の
レイプものになると思うが、こういうスレでいきなりレイプものってのも
なんだと思うし、しばらく様子見します。その気になった時、このスレが
落ちてなければいいけどねえ・・・・
結局、即死回避は30だっけ?
今後に期待ということで保守しときます
保守!
舞子レイプSSでヌケる日を願いながら保守!
まだ生きてるか。
即死回避したのかな?
週末は新スレいっぱい立つから、これ以上ない角度で切り上がろうぜ!
総帆展けぇ!
サー!
舵戻せ!
俺は手伝えることなさそうだから酔ってるメルダーザの世話してるわ。
無理は承知で純愛キボン
>>34 どっちも歓迎。
陸奥の性格をちょいといじらないと難しいだろうけど
今起きた。まだあったよ。気になって朝イチでチェックしちゃったじゃないか。
川原スレかぁ。
そういや、なかったんだ気付かなかった。
確かにそこそこメジャーでないのがおかしいのかも。
とは言え、俺は、この人デビュー当時から、一応ファンなんだが。
ファンだけにこう言ったスレは微妙だな。
何せ、頑張ってようやく描きたい路線を描けるようになった苦労人だと
思ってるから。
昔から知ってると作れないんじゃないかな。
あとやっぱり、女性キャラ少ないし、基本、女性キャラ強いし、レイプシチュは、
難しい。
と言っても、真田円らが、天海の忍びに襲われるシチュは、レイプ輪姦系だけど。
無空破の振動で!
39 :
1:04/09/05 01:22 ID:KJSTBOJF
>>21の意見もふまえ、己も書いてみてる途中であるが、如何せん・・・・!
文章じたい最近はメールと2ちゃん‥と言うか、学校の作文以来みたいなもんだから
書けるわきゃ‥ ●...l ̄l_
>>20 無知ですみませんでいた。
で、職人さん不在のままではヤバいので、只今出張営業して来ました・・・が
そこにも川原作品は皆無でした(そこの前スレまでは見なかったけど)。
>>23 現在のお仕事終わり次第、いきなりレイプもの、至急降臨お願い致します。
>>37(ファン・ガンマ・ビゼン氏へ)
昔を知ってるからこそ、現在のヒロイン達をレイプ輪姦な目で見てしまうオレって‥
保守しとくよ。
久しぶりに読み返そうしたけど、コミックが行方不明。どこだ・・・?
仕方ないからアニメのビデオでも借りようとしたら、店に置いてなかった。
うーん、かなしい。
津波警報発令!
パラ学は一昔前のエロゲメーカーがパクッてもよさげなストーリーだったな。
とうとう キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! って感じで見てみれば…
_l ̄l○ <ヤット ミツケタト オモッタノニ
エロパロ板って女性人気が高い作品のスレが賑わってるじゃないですか?
だけど川原作品はメジャーの癖にあんまり女の子は読んで無さそう…
そういう私も刻と海しか見た事無いおにゃのこなんですがね…
はやくここのSS読んで○○○○○○○です。
アニメの蘭の声が合ってねぇ〜、っていうわけで、誰かツブラの褌絡み投下キボン
>>46 そだね、ごめん。
だって好きな漫画のエロパロがやっと読めとか思ったちゃったからさ、ちょっちね…
おいおい女の子がエロとか言っちゃダメでしょ、エロとか!
で、○○○○○○○の中はちゃんと書け、釣られたじゃねぇか!
>>45 蘭の声が合ってないことには禿同。ただ、じゃあ誰が
適役かと訊かれると・・・・
あと『刻』シリーズでは「詩織」がイイ!
和姦でも陵辱でもシチュは何でもいいから職人さんカモン!
漫画だと少女、てイメージだよね。
蘭はあの声の感じだとアニメでは20代に設定してあるのかな?
詩織、圓 、蘭 いいねぇ〜全部。
スレ的は、刻人気が高いように見えるね。
蛍は流石にまずいですかw
誰か琥珀好きの賛同者はおらんのか
最近、メルダ−ザのことばかり気になって・・・
螢もコハクもメルもジュル・・だけど、親父がみんな恐そうだ。
琥珀の場合、親父というか兄貴と旦那と息子二人が恐いけどな
57 :
名無しさん@ピンキー:04/09/12 22:11:50 ID:2iGyXj6u
こんなに下に居ては職人さんの目に止まんないよ〜ん…で、age
ヴェダメルとかキボン。
マイメルとかは有りですか?
>>58 ヴェダイのチキンハートでは
あの長いリーチでメルたんのスカートをめくるまでが関の山だ。
それはそれとしてメルダーザは当然ノーパンだよな?
手を出すには惚れさせるか対価を払うか。
………ヴェダイガンガレ
ガンガレ、保守する。
二週間たってもSS投下なしか。やっぱ、川原作品でエロは難しいのかも・・・・
支援も兼ねて『刻』の詩織でシチュ妄想してみる。
○和姦編
武蔵との対決を終え伊織とも別れた八雲と詩織。八雲は詩織を自分の
生まれ故郷に連れていく。
「俺はお前に十五文で用心棒に雇われたんだ。約束通りお前の用心棒、
一生続けてやるさ」
「八雲・・・・」
「その代り、詩織・・・・ 俺の・・・・子を産め」
ってそのまま詩織を押し倒して青姦で。
○陵辱編
原作で川で水浴している詩織が人の気配に振り向くとそこに八雲がいた、
というシチュがあったけどそれをやや変えて。
振り向いた詩織の目に映ったのは叔父が差し向けた刺客の一団
「ぐっ・・・・ み、見られた」
慌てて自らの一糸纏わぬ裸身を隠そうとする詩織
「これはこれは、まさか女が男になりすましていたとは・・・・」
「(こ、殺される)」
「男だろうが女だろうが関係ない。俺達は命じられた通りお前を
殺す。しかし・・・・ 美しい・・・・ ただ殺すには惜しいな」
じりじりとにじり寄る男達。必死に逃げようとする詩織だが
ついに捕まり組み伏せられる。
「いや、いや、いゃぁぁぁ!」川原に詩織の絶叫が響く。
てな感じでお願いしたいが・・・・ バカですな。スマン、逝ってキマツ。
八雲に限らず、陸奥の口説きセリフを考えた時
「俺の子を産め」しか思いつかなかった・・・・
やっぱり継承者は大切だからねえ。
そっか‥、もう二週間も経ったのね・・・
結構メジャー作品なんで、スレ立てしたら即職人さん降臨オメって感じの筈が‥
読みが甘杉た・・・!
それでもスレを支えてくれた漢達(女達も?)よ、心から感謝致す!
やはり
>>21の意見にドキッと来て、自らも努力をしなくてはダメかと思い
合間合間に一応書いてはみたものの、10日経過した現在も未刊のまま・・・・
普段からエロい所しかROMらなかったりしてた非礼な自分であったが、いざ、書いてみると
そのシーンには粋なり逝けず、エロパロと言うより、只のパロディになってしまいました。orz
しかしこのままではスレの存亡に関わるので
その駄作品を持ってして、おもいきって人柱になってみます。
今夜は時間取れそうなので、手直しながら初投下してみるけど
ちょっと見直しただけで、マジで恥ぃの通り越して、キモイよオレ‥
○前置きが超長い
○肝心なところはぬるぽ
○未だ途中
最悪の三拍子揃っちゃってますが、ま、とりあずこのスレの「間に合わせ」って事でお許し下さい。
更に、日本語(特に文法的な事)ダメだし、誤字脱字の指摘など
今後の課題にして行きたいのでよろしくです。
気長なつづきの投下を御希望あらば・・ですが‥
尚、エロ無しシーンを素っ飛ばしたい香具師らは
13レス目ぐらい(投下時ずれたらスマン)から読んでくれれば良し。 か〜、無駄に長ぇ‥
タイトル :ニッカさんが、おしえて あ・げ・る♪(*^ー゚)b(デビュー作)
ロケーション:最終決戦を前にした補給先の港の宿屋にて‥
四日間の予定であった。
万全へ向けての積み荷を満載するには、充分過ぎる時を必要とした。
ある者は港で自由にくつろぎ、仕事のない者は近くにあるらしい湯治場へ出掛けて行った。
みな英気を養うかのごとく、それはいつもの上陸と少し違っていた。
一日目の夜。
マイアは特に落ち着きがなかった。
補給先の港で、初めて一人で夜を過ごすのは初めてであった。
トゥバンやメルダ−ザと一緒に居る事に、慣れ過ぎてしまっていた事もあったが
これからの事を考えると、マイアの胸は今にも押し潰されそうになっていた。
静まり返った宿屋の一室で、一人で居る事にいたたまれず、とりあえず部屋を出た。
自室のある廊下から階段を降りた踊り場には窓があり、そこから月が見えた。
(父様、母様‥もうすぐです‥‥とうとうここまで来る事が出来ました‥‥‥
でも私は‥‥‥みんなに助けられてばかり‥‥‥‥そしてあの人にも‥‥‥
‥‥‥‥この戦いを、一番望んでいたのは私‥‥‥‥‥‥
だけどこのまま‥‥‥‥‥‥総てが終わってしまったら‥)
「こんな夜更けに、男でも買いにいくのか?」ザ
「‥‥‥ファン!?」
聞き慣れた声の方を向くと、そこには海の一族で大海帥の官名を持つ、影船八(零)番艦艦長
ファン・ガンマ・ビゼンが立っていた。
「いい匂いだ・・風呂上がりか?」
「そ、そうよ‥‥」
「ここは港町だ・・いくら屋内でも、女が一人でうろつくには物騒だぜ」ニイ
「‥‥‥‥‥‥」
「トゥバン達と一緒じゃなかったのか?
・・オレも仕事がなければ、今頃いい湯に浸かって、じっくり命の洗濯でもしてたんだがな」
「わ、私は‥‥今はそんな気にはなれない‥‥‥!」
「まぁいいさ・・・悪いことは言わないから、早く部屋に戻れよ」
「‥‥‥‥‥‥そう言うファンは‥?」
「そう言うオレは、女でも買いに行くところだ」ニイ
「‥‥‥‥!!!」
「そう恐い顔すんな、オレとしたことが、冗談が通じない相手にしちまったな‥
ま、長い航海で疲れてんだ・・今夜はおとなしく寝るさ」ポン
「‥‥‥‥‥ファ‥‥ファン‥」
「ん?」
「ファンは‥‥‥‥ファンは、私を‥‥買ったのよ‥ね‥‥‥」
「正確には違う・・が‥、まぁ、そんなこともあったな‥今思い出した・・
おまえはオレの成功報酬だった・・な」
「じゃあ‥、な、何故それを‥‥‥一向に受け取っては呉れないの?!」
「・・・なんだ、やけに薮から棒な言い方だな‥」
「ファン! これで本当にロナルディアと戦えるのよね‥‥‥!
だ‥だから、私は‥‥今直ぐにでも、払いたいの‥!」
「‥で、先払いか・・・?? まったく、薮から棒だ・・」
「先払いじゃないわ! あなたと取り引きしたのはグリハラの前よ!
なのに・・・なのに、ここまで来て‥‥
あなたはもう、充分条件以上のことをしてくれたわ!!
それにトゥバンにも言ってたじゃない、今までにないきつい戦いになるって‥‥
あ‥あなたに‥‥‥‥あなたに、貸しがあるままじゃ‥‥‥‥‥私‥」
「まるで、死んじまうみたいなこと言うなぁ・・・・
ま、誰も死なせねぇよ‥」ポン
「‥‥‥‥‥」
「じゃあな‥その話は、戦の後でも遅くはないさ・・今夜はもう寝ろ」ザ
「あっ、待ってファン!!」
「あん?」
「わ、私もタダでものを貰いっぱなしは、もう嫌だって言っているのよ!」
「そんなに貸しをつくっておくのが嫌なのか?
それともまだ・・・ものの価値をわかってない‥とかか?」
「そ‥そうね‥‥‥、へ‥‥減るもんじゃないし‥‥‥‥」
「そう言うおまえさんは、減るとか減らないとかどうしてわかるんだよ?」
「わ‥、わかるもなにも‥」
「男を知っているのかよ・・って、ことさ」
「!!!‥‥‥‥‥べ、べ‥べ‥、べつに!!!
で、でも‥、ソレのどこがいけないの?! 何か問題あるの‥‥‥‥?!!!」
「で・・・ソレかよ‥」ニイ
「な、なによ‥‥‥!」
「べつに・・・・それともオレに本気で惚れたとか・・か?」
「ちっ、ち‥ちち‥‥っ、違う!!!」
「知ってると・・思うが、マイア・・・・・
オレがいくら心やさしい男前で、腕が立つ天才だとしても‥
一国のお姫さんが、一介の一流の船乗りに・・惚れちゃダメだぜ」
「だから、違っ!!!」
「なぁマイア・・おまえの言いたいことは、なんとなくわかった・・・が、
そういうことは、本気で人に惚れた事のある
大人の女になってからでも遅くはないんだぜ」
「‥‥で‥、でも‥‥‥!」
「まぁ、そう何でも焦りなさんな‥って、ことだ・・・
オレの怠け癖が、少しはおまえさんにも移ると良かったんだが・・な」
「‥‥‥‥‥‥‥」
「そう言うことだ・・・いい女になるのを楽しみに待ってるぜ、じゃあな‥」ザ
「待って‥‥‥!!
じゃあ、私が‥あなたに‥‥‥‥‥‥本気で惚れていればいいんでしょ‥‥?
そうよ‥そうすれば‥‥‥‥‥‥
いくら貸しを作るのが好きなあなたでも、私を抱いてくれるんでしょ?!!!」
「堅いな、おまえさんも‥」
「バカにしないで! 真面目に答えて!!!」
「わかった、わかった‥‥、ではな・・・・
オレはこれから安宿の湯につかって、命の選択でもしてくる・・
そのあいだおまえは、自分の部屋に戻っていろよ‥」
「ま‥、待ってればいいの?」
「たぶん・・・・な」ニイ
「‥‥‥!」ザ
「あ・・マイア・・・・今の話はないしょだぜ」
「‥‥‥誰にも言わない」ザ
ファンは自室に駆け戻るマイアの後ろ姿を見送った。
程なくして、部屋の扉が閉まる音を確かめると風呂へ向かおうとした。その時。
「私は聞きましたけどね‥」
そこには、アイスダガ‥基っ! 海都の近衛兵長に比肩される男
ニッカ・タンブラが立っていた。
「なんだニッカ・・こんな時間にめずらしいな・・・
いつもは、港の娘や人妻と、商談がてらにしっぽりしてるん頃なんじゃないのか?」
「残念ながら‥ここの口入れ屋は男所帯・・でした」
「それともオレの命の選択に付き合ってくれんのか?」
「私はもう済みました・・・通り道に居るもんだから、困っていたところです‥
湯冷めをして風邪でも引いたら、あなた達のせいにしますよ」
「・・・で、どこらへんから居た?」
「心やさしい男前とか、天才とか
自分で自分の事を賞賛するセリフを吐いてたところですかね‥」
「けっこう聞いてたのな」ニイ
「・・・・・・」
「ふぁ〜ぁ、今日も働きすぎた・・・
戦の前の船長は、なにかとやることあるんでな・・・
だからしばらく、休ませておけ」ザ
「嘘突き‥」
「おいおい、オレは、夜の女の一人歩きは良くないってことをだ‥」
「それが嘘だって言ってるんです・・・あれじゃあ、マイアさん
一晩中眠らずに、あなたの事を待ちますよ・・」
「怒るな‥?」
「ですよ」
「でもあいつはまだ蒼いくせに、おまけに跳ねっ返りときてる‥」
「ですね」
「ま、そこが・・あいつのイイとこでもあるんだ・・・が・・・・まいったな‥」
「でしょうね」
「さて‥どうするかな・・・・オレの怠け癖は天性なんだよ・・な」
「処女なんて付加価値以外のなにものでもありませんからね
得てして痛がりますし、やりにくったらない代物ですよ‥
始めからわかってて、怠け者のくせに契約交わす方が悪いんですよ」
「いや、オレはわからなかったぞ」
「何とでも言ってて下さい・・だからあなたは嘘つきで非道で酔狂だって言うんです
まぁ‥腕の立つ一流の船乗りってところだけは認めますけどね・・・」
「それさ‥!」ニイ
「・・・・な‥なんですか?」
「責任は‥とる!」
「・・・・・・」
「‥で、その尊敬に値する一流の船乗りから、腕の立つ一流のクルーに
たのみたいことがあるんだがな」
「なんとなくわかってきましたが・・・」
同じ頃、マイアは一人部屋に居た。
今この港は、これから戦う相手には知られて居ない、もしかしたら最後になるかも知れない一時の休息。
オンタナが落ちた日から復讐を誓い、トゥバンに支えられ、そして八番艦に出会った。
今日まで来れたのも、そのクルーに、そして何よりあの艦に、あの男がいたからだ。
(今しかない‥今しかないのよ‥‥‥‥)
来るかも知れない、来ないかも知れないその男を待っていた。
その時扉を外から叩く音が聞こえた。
「あっ‥‥!」
外の誰かを確かめようともせず、マイアは慌てて内鍵をはずし
そしてゆっくりドアをあけた。
「ども‥今晩は」
「ニ、ニッカさん‥‥?!!」
「私は女の人の部屋に訪れたつもりなんですが、少し不用心すぎやしませんか?
・・それとも・・・誰かが来るのを待っていたとか‥」
「!!!」
意地悪そうにそう言うと、マイアの頭越しにざっと部屋の中を見渡した。
目の前に小窓が見え、その壁にぴったりと平行にベッドがひとつと
申し訳程度に置かれた小棚があるだけの部屋だった。
「まぁ、いいです・・・ちょっと中に入らせてもらいますよ」ザ
「え?あ?‥‥ど‥どぅ‥」
と、マイアの答え終わるよりも先に
少し強引に部屋に入って来たニッカは、そのまま後ろ手で内鍵を掛けた。
「今更ながらですが、やはりその様子じゃ
ファンから何も聞いていないのは、本当なんですよね・・・」フゥ
「ファン‥‥!?」
ニッカは少しあきれたような顔でため息をついた。
扉からベッドまでは2メードもない距離で、他に椅子のようなものもなかった。
ニッカはベッドに目を落す。
「そこに座ってもいいですか?」
「えっ、ええ‥、 いいわ‥‥どうぞ‥」
マイアも始めは戸惑いもあったが、ニッカの口からファンと言う言葉を聞いた事もあり
もはや淡々としたニッカのペースに、ゆっくりと呑まれていった。
ニッカはベッドの端に腰を降ろし、ふと前を見ると扉の横の姿見が目に入った。
(へぇ‥こんな安宿に似つかわしくない調度品だ・・・
高価そうだな‥あんなに大きな一枚鏡なんて珍しい・・・この辺りの特産品か?
早速仕入れリストに‥って、商売の事を考えるのは明日にしよう‥)
と、擡げた商魂を拭い去り、扉の前で只立ちすくむしかないマイアを見上げ話を続けた。
「・・・今から簡単に説明します。そのまま聞いて下さい。」
「・・・・・・」
ニッカはその時、あの後交わしたファンとの会話を思い出していた。
『あいつが今直ぐ払いたいって言うのなら、それでもいい・・・が、
その前に、ニッカ・・おまえが、マイアにとっかかりを教えてやってくれ』
『は?』
『だからその時、オレが切り上がりやすいように・・・だ
・・・痛々しいのはどうも好かん』
『やっかいな事ばかり、私に任せるんだから・・・
で、面倒臭くない体にしてから、結局自分も犯るんですね‥』
『なんだぁ、まるでオレが悪人みたいな言いかただな』
『悪人でしょ‥』
『出来ない事は、任せねぇよ・・』
『買いかぶりです』
『なんせニッカは、オレの次ぎだからな‥』
『何がですか?』
『テクに決まってるぜ‥いや、それともデカさか?』ニイ
『・・・・・・・・・・』
『ま、ニッカが、オレがし易い様に、道を作ってくれたら・・助かる』
『・・・・マイアさんが、私から離れられなくなっても知りませんよ‥』
『そいつは、少し困るな‥
その時は、オレが船首で、おまえは船尾担当だ』
『また訳わかんない事、言って・・・しかもなんで私が船尾なんですか』ムッ
『で・・・まず、オレの懐刀を差し向ける・・・・氷りの・・な
オレはニッカを、信頼してるからな・・・いい言葉だろ?』
『つごうのいい、言葉ですよ・・・ね』
『じゃあ、頼んだぜ』ザ
思い出した後、内容をそのまま伝えないよう考慮しながら
ニッカは説明を続けた。
「えーゴホン、マイアさん‥
以前あなたは、うちの船長と取引きしたそうです・・ね」
「え、ええ‥‥、初めてカロの港に行った時よ、忘れる筈が無いわ‥
だって私の方からもちかけたのよ‥‥‥
それに私だって、人からタダでものを貰う気はないわ‥」
「ですよね・・・しかし、グリハラでは、あのような結果に終わり
現在ロナルディアは、もはやマイアさんだけの敵ではなくなっています‥」
「‥‥‥‥で、それが何?」
「しかも、私も側にいなかったし、借用書などは存在していません‥
則ち、あの取引きは、あってないようなものなんです・・・
それでもあなたはファンに、今すぐにでも払いたい‥と・・・・その‥体で」
「な‥、何故‥‥!? 何故、ニッカさんが知っているの‥‥‥!?」
「副官として知っているのは当然の事・・・
ま、冗談はさて置き‥、船長命令で私はここへ来たんです」
「命令って!? ‥‥‥ファンがそう言ったの!? 何故? どう言うこと!?」
「口約束にすぎなかったって事ですよ・・それを承知で、あなたは払いたいと言うのなら
ファンは報酬の内容を変えたら受け取る・・と言ってましたので」
「わかった‥‥‥それで、何て言って来てるの?」
「今のままのマイアさんじゃ犯れ‥、えっと‥ぁあ‥報酬に値しないと‥」
「!!!‥‥‥‥そぅ‥‥‥やっぱり、私じゃ‥」
「いえいえ、そういう訳ではなく
あの人の希望にあったマイアさんに、なればいいんです‥よ」
「なに‥? どういう事・・・?」
更に話を続ける、解説説明担当のニッカであった。
「それで助力を乞いに‥いや、手伝いを‥(あー、面倒臭いな!)
ですから、もっとわかり易く言うと‥
マイアさんの始めての相手に、私がなれとの船長命令・・です」フゥ
「?!!!!!‥‥‥‥な、何!? そんな命令、全然わかんない!?」
「でしょうね・・・でもマイアさんだって、ここまで来たら
報酬を完璧な形で払いたくはないですか?
遠慮はしなくていいですよ・・・
私なんか、込みの値という事で‥いや、この場合利子か‥」
ファンの口車にまんまと乗せられた為、ニッカは説明しながらも
自分の言葉に説得力が無い事に気付いていた。が・・・。
「ま、無理強いはしません、有って無いような口約束なんですから‥
何にしてもファンの望むような形に・・・ですね」
「ファンの望むように・・・・!?」
「(喰いついた・・・)まぁ、なんでもいいです‥
私は上陸中は一番忙しい身なので、さっさと済ませちゃいましょう‥
さ、服を脱いで下さい(おいおい)」
「‥‥‥そんな‥‥‥そ‥そんな事、急に言われても‥‥‥‥?!!!」
「ですよね・・・でも、減るもんじゃない・・でしたよね‥
ヴェダイが言い廻って有名ですよそのセリフ・・・それともやはり強がりでしたか?」
「強がってなんか‥‥!!」
「私はファンと違って怠け者じゃないので・・・
なんなら手伝いましょうか?(あつかましい‥とは、この事ですね・・)」
「!!!‥‥‥‥‥‥わっ、わかったわ‥‥‥‥減るもんじゃないし‥‥‥!」
(でも、受けてしまうわけだ・・・とうとう私も悪人だな・・・)
少し自己嫌悪だが全く表情を変えないニッカの目前で、マイアはゆっくり脱ぎはじめた。
統べて脱ぎ終えたマイアは、一糸纏わぬ姿でニッカの前に立ち直した。
「‥‥‥‥で‥、どうすればいいの?」
強気なセリフであったが、少しうつむいたマイアの顔は
今にも火を吹きそうなぐらい真っ赤であった。
「へぇ‥、・・・・これはファンも喜びますね・・」
「ファ‥ファンが‥‥?」
「ファンだけじゃないですよ・・・
顔は別嬪だと認めていましたが・・そんな奇麗な体をしてたんですね・・・」
「べ、べつに普通よ‥‥‥!」
「顔が真っ赤ですよ」
「‥‥‥‥!!!」
マイアは溜まらず、両手で体を隠し少し後ずさった。
しかしその細い両腕で、全裸の体を隠すにはたかが知れていた。
「今更、遅いですよ・・・、やっぱり・・金髪だったんですね‥」
マイアはますます真っ赤になり、ニッカはそれを見逃さなかった。
「強がり言ってもダメですよ‥私もだいたいあなたの事は解っているつもりです・・
ベットに粋なり押し倒すより‥は・・・、まず・・・・・よっと!」
そう言いながらベッドから少し体を浮かし、両腕を延ばしたニッカは
マイアの細くしなやか腰を押さえ付け、後ろ向きに軽く反転させた。
「あっ‥?!!!」
指が触れた瞬間、マイアの腰が少しピクついたのをニッカは洩らさなかった。
(感度も良さそうだ・・・)
マイアの体は、反転しながらバランスを崩し、引き寄せられるまま
座り直したニッカの膝の上に、お尻から座り込む形になってしまった。
「この方がいいですよ・・・ね?」
「えっ‥‥!!!?
嫌っ!! いきなり何よ!! は‥、放して!!‥‥‥‥‥は‥な‥‥せ‥!!」
全裸のまま男の膝の上に座ってしまった事で、マイアはパニックになり
慌てもがいたが、ガッチリとニッカの両腕に固定され、離れる事が出来なかった。
ニッカは更にマイアの体を引き寄せ、耳もとで囁いた。
「そんなに恥ずかしがらなくてもいいですよ‥だからこうしたんです・・・
お互いの顔が、見えない方がいいですよね・・・・マイアさん?」
マイアの動きが一瞬止まり、それを確認したニッカは
耳の後ろから、白く滑らかな首筋に唇を這わせていった。
「ぁっ‥!」
そして舌も使いゆっくりと、首筋を何度か往復したあと
今度は首の付け根から肩口に這わせていった。
マイアは初めて受ける感覚に身じろぎも出来ず、ただ体を震わせていた。
その様子を見計らったニッカは、今度は震える彼女の体をやさしく撫で始めた。
「ぅ‥っ‥‥‥‥ふぅ‥‥っ‥‥‥‥くっ‥」
撫でていた指先がマイアの胸の膨らみの端に触れた。
「ぃ嫌っっ!!!」
マイアは我に帰り再びもがきはじめたが、ニッカは両方の掌で今度は胸を覆った。
もはやマイアは、その二の腕にしがみつくような形にしかならなかった。
「嫌ぁ‥っ、放して‥‥‥!!!」
「おとなしくしてた癖に・・・・」
「ぃ‥嫌ぁっ‥‥‥!!」
「手に余るとまではいきませんが・・張りがあって・・なかなか揉みごたえ・・ありますよ‥」
「ぅ‥っ、うるさ‥‥ぃ‥放‥っ‥!!」
「真っ白で、滑らかで・・・・特に奇麗な色ですね・・・ここ」
そう言うと粋なり、未だ桃色の乳首を二つ同時に指で摘んだ。
支援
「はぁっ‥!!」
マイア体がピクリと跳ね上がった。
そのまま、捏ねくり、摘み、指の腹で一番先端を弾いた。
「ぃやぁぁ‥っ‥‥‥く、ぅ…っ‥‥‥」
再び掌に納めるとやさしく揉みしだき、たまに乳首をいいように弄んだ。
マイアは、始めて味わうその感覚に必死に耐えていた。
「く‥っ‥‥ぅっっ‥‥‥‥‥‥くぅ‥」
「そんなに遠慮しなくてもいいのに・・・
声を出せば楽になりますよ‥」
「ぃゃ、嫌ぁ‥‥っ」
「・・・しょうがないですね・・・」
そう言いながら、右手を下半身の方へ擦らしていった。
「ダメっ、ダメぇ‥‥っ!!!」
マイアは本能的に危険を感じたのか、その身を必死で前に倒し抵抗した。
「そんな態度取ってると知りませんよ‥
あなたがこんなだから、ファンも困ってしまう訳だ・・・」
「ファンが‥あっ?!!」
マイアの体が一瞬柔らいだその隙に、金色の薄毛に守られた股間に指を差し入れひと摩りした。
「ゃあぁっっ!!!」
始めて男の指に触れられたその部分は、僅かにだが確かに湿り気を帯びていた。
「なんだ・・・口ではそう言っても、カラダは違っているみたいです‥ね・・・・
じゃあ‥もっと・・、気持ちよくして上げます‥」
そう言うと、マイアの堅く閉ざされた膝を両手で掴んで抉じ開けようとした。
「嫌っ、ダメ!! 止めて!! ニッカさんお願い‥‥っ!!!」
しかしその手はフェイクで、膝を更に堅く閉じた事でマイアの足首が開いた。
そこへすかさずニッカは自分の足を絡め、両足の間に抉じ入れてたかと思うと
ふわりと体を持ち上げ、マイアのつま先が床から離れた。
「いやーーーっ?!!!」
マイアは、ベッドの端に腰掛けたニッカの両大腿に、股がる形になってしまった。
今まで堅く閉じられいた白い太腿が、左右に大きく開かれた。
「いや!いや‥‥っ! 降ろして‥!!!」
マイアは懇願したが床から足が離れている為、体をくねらすのがやっとであった。
「そんなに動くと落ちちゃいますよ‥」
うなじに唇を一つ落し、くねる肢体を軽く支えるようにして
ニッカはマイアの上半身をゆっくり愛撫しはじめた。
「ぃ嫌ぁ‥っ‥‥‥やっ‥‥ゃ‥‥」
「どうです・・マイアさん・・・?」
胸を愛撫していた右掌をそっとはずし、そのままゆっくと下半身へ進めた。
ゆっくりいやらしく、ニッカの指は下腹部から腰の縁を通り太腿を撫でた。
「だめ‥っ‥‥ゃ‥だ‥‥めっ‥‥」
いつのまにか左手も胸からはずれ、今度は両手でじっくりと滑らかな内腿を撫でた。
今まで堅く閉じていたそこも、今では大きく開かれ無防備になり
その周辺に指を這わされただけで、マイアの体はフルフルと震えた。
「ゃ‥‥ゃ‥‥‥もぅ‥やめ‥‥て‥‥!」
恐怖で身を震わせながら、マイアは尚も必死でニッカの両腕を掴んだが
そんなことはおかまいなしに、両指は少しずつ秘部に迫っていった。
「いゃぁあっ!!!」
大きく開かれた秘部に指が触れた瞬間、マイアの体が大きく跳ねた。
「マイアさんも嘘突きですね・・・・結構‥濡れてきてますよ・・」
ニッカは既にしっとりと濡れた割れ目に、指を何度も往復させた。
「やめ‥っ‥く‥ぅ‥いゃ‥‥ぃゃ‥め‥‥っ‥!」
「私が指を動かす度・・マイアさんのここが、潤って来るのがわかりますか‥?」
マイアはニッカの腕にしがみ付き、前屈みで首を左右に降った。
「そうですかぁ、それはおかしいですね・・・
どんどん指がスムーズに動かせるようになって来てるんですが・・・」
「ぃや‥ぃや‥‥くふ‥っ‥ぃや‥っ‥‥くぅ‥っっ‥‥」
「なかなか我慢強いですね・・・・」
「ゃ‥やめて‥‥く‥ぅぅっ‥いゃ、ぉ‥ね‥‥がぃ‥ょ‥‥ぃや‥」
「そんな態度取ってるとファンに嫌われますよ‥」
「嫌われ‥‥っっ‥!」
「なんせあの人は・・ベッドの上では鮪も真っ青の、怠け者なんですから・・」
「ファ‥ファンが‥‥‥マグ‥ロ‥っ‥‥!??」
「ですから・・もっと積極的になって貰わないと・・・
今のままですと、また申し出をはぐらかされてしまいますよ・・・
それとも・・・
未だマイアさんは未熟だったと報告して・・ファンには諦めてもらいましょうか‥」
そう言うとニッカは指を止めた。
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
「ですよね・・」
「‥‥‥‥!!!!」
ありったけ上半身を反転させ、真剣な眼差しでニッカを見上げた。
「‥‥‥わっ、わかったわ! 私‥素直になる‥‥!
‥‥‥だから‥‥‥‥‥‥‥だから‥‥‥やめない‥‥で‥っ!!」
上気した頬で懇願するその顔は、まだ幼さを残しとても美しかった。
「わ‥私を‥‥、一人前の女にして‥‥‥!」
「・・・・・・・・・・・・・わかりました‥」
ニッカは再び、上半身と下半身の指を動かし始めた。
「はっ‥は‥っ‥‥く‥っ‥‥」
「で・・・気持ちいいですか?」
「ぁ‥っ‥んっ‥‥んっ‥‥ぁん‥‥くふぅ‥っ‥‥」
「そうですか・・・やはりあの人には、諦めてもらいましょうか?」
「ぇ‥‥ぃんっ‥い‥っ‥‥‥ぃぃ‥ん‥っ‥‥‥‥だから‥‥
だから‥‥‥ぁ‥あの人には‥‥んっ‥‥ファン‥っ‥には‥」
その名前を会話に入れるとマイアの態度が変わる。
その事はニッカは承知の上ではあったが・・・
「ん‥んっ‥ぁんっ‥‥んんっ‥んっ‥んっ‥‥ぁん‥‥ぁぁ‥っ‥‥」
マイアは胸と割れ目を同時に指で弄ばれる事に、少しづつだが快感に身を委ね始めた。
身を震わせながら初々しい喘ぎ声を上げる彼女の姿は、正直可愛かった・・・。
しかしその素直で可愛いいマイアの変化は、ファンに向けられたものだと思うと
だんだん腹立たしくも思え、それがニッカの気持ちに火を付け
彼をサディスティックな気持ちに駆り立てていった。
そんなニッカの心の変化を他所に、マイアは尚も可愛い喘ぎ声を上げている。
これから始まる羞恥に繋がるとも知らずに・・・。
何故ニッカさんでこんなのにしまったのか?!書いた本人も解らないまま、一応出来てたとこまで。
途中邪魔が入ったり、サムチャン見たりして遅くなったが、さすがにこんな連続投下は初めてだったので
孤独な作業中、荒らしをしてる様な気分になったよ‥
そんな中、
>>81よ、紫煙どうもでした。ザオ
夜更かししたカイが有りまスタ。水曜休みの仕事(もしかして1さんも?)でラッキーゴチ。
>>87氏
GJ!時間ができれば俺も頑張ってみまつ。
90 :
名無しさん@ピンキー:04/09/17 19:03:52 ID:FVKsCmTM
>>87氏に続くんだ、みんな!
ついでに週末上げしとく
パロも充分面白かったよ。特にアエギ声が好みでした。原作読み返したくなった・・・
普通、カギかっこの直後に擬音を入れるのってツッコミ入りそうなもんだけど
川原SSではむしろ必須なのな。ニィ
そうそう、必須、必須。ニィ 一刻も早い続き投下キボン。ザ
94 :
名無しさん@ピンキー:04/09/17 21:16:03 ID:DN5GTpoG
rr
↑何の意味?
ロックン・ロール
または
リアル・リアリティ(本当の現実、実在)
超先生絡みならマンセ−か貶してるのか判らんカキコだからちゃんと書いた方がいいですがよ
括目して待ってる目を表していると思われ。
「いや……陸奥の奴はまだ抜いてなんかいないぜ」
ジイイイイイーーーッ ポロッ
「ぬ、抜く!!」
よく考えてみたら九十九が履いているズボンって
ファスナーなんてついてないおな、たぶん orz
続きまだぁ〜
いよいよ来週は最終回だな。って、刻アニメ。
ここも下がると更に淋しくなるから、目に着く様にたまに上げた方が良いかもね。ってsage。
同じ板のSS書きの控え室ってスレとか読むと、エロパロ板じたい過疎化傾向らしいね。
このスレには頑張って貰いたいものですが。。。
刻も来週いよいよ最終回か・・・
たとえ住人が数人しかいなくても、なんとかなるさ。
俺もそのうち何か書いてみるよ。
103 :
名無しさん@ピンキー:04/09/26 17:49:51 ID:p1PB85kO
そのうちとは言わず、是非、書いてみて下さい。>タイムリーに出海×蘭とか(?)
それと続き激しくキボン。
激しく上げちまった。スマソ!
上がってるから職人さん降臨かと思った・・・が・・
捕手
ならばお供致す
108 :
名無しさん@ピンキー:04/09/28 19:06:21 ID:VJ82xPLW
age
109 :
名無しさん@ピンキー:04/09/30 08:27:14 ID:E2icl7lz
age
静かだなぁ 外は雨降って来たし 寂しい限りだなぁ とりあえずは本格的秋の到来の前に保守しておこうか
アニメも終わっちゃったしなぁ とりあえずは月マガ発売待つとするか
保守
震源は茨城県南部!
津波の心配はありません。
保守
さびれてるなあ。
やっぱり原作のメイン男キャラがストイック過ぎるのが
(【門】、【刻】、【海】)問題のような気がする。何かエロパロを
想像(創造)しにくいもんなあ。女キャラはいい素材(?)多いと
思うんですけどね。特に「舞子」、「詩織」、「ニルッチィ」あたりは
結構ツボなんですが。
電車の中から保守しときます。
TVで 高橋克実が邪(ヨコシマ)な考えって言っているのを聞いてちょっとここを思い出し
よこしまな考えでひさしぶりに覗いてみたが、マイア続きは愚か新作も未だないのね。。。
落ちてないだけでも良しとして…
危なそうなんでこれからは保守協力しつつ気長に待ちますんで
川原漫画の女でエロSS読ませてくれ、頼んます…。
118 :
名無しさん@ピンキー:04/10/16 22:55:09 ID:doqOxE9n
詩織は後ろからスマタ!
(現実にそんななぎヤツ居ないとか言うのはおいといて、漫画的表現として)ニョキッと
ティムポを前に出して、「男」とか。
茨城県沖連続地震発生!
いや修羅は関係ないから
地球に無空派?
>>118 自らそれをSS的に表現してみるとか。
恥じらう詩織に「男になってるぞおまえ」みたいなこという八雲をキボン
で、ここでめでたくデビューを果たした不破眼魔学園さん(1サン?)は今いずこに…
124 :
キー:04/10/19 23:03:17 ID:a/gsnThG
女性がオリキャラ可なら、木村さんか飛田さん辺りで書けなくもないですが……。
懐かし漫画板では田中さん(神武館のメガネ受付嬢)が
密かな人気があったような気がする。
てゆーか一話目で九十九の到着が遅れていれば
絶対キバちゃんにレイープされてたよ。
川原正敏は少年マンガでここまでやったのか?
想像以上だな・・・・パラ学
さすがにここまではしてないぞ
まあ似たようなものだが
木村、飛田でたのんます。
130 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/10/21 23:35:34 ID:mx19dICR
とりあえず導入部のみ貼ります。 妖し桜 「いいか!絶対に一人歩きだけはやるなよ!特に、柔道の帰りにはな!」
「木村…誰に電話してるんだろ?」
受話器をきつく握ったまま大声で話す木村を見て、大原が他の寮の住人に尋ねる。
「彼女。作家で空手と柔道やってる子なんだと。……俺も顔は知らないんでどうとも言えないが。ただ、顔見知りの陣雷曰く、色っぽいベッピンさんらしいよ。」
「へぇ……。」
いつの間にそんな美女を捕まえたのかと思わず感嘆する大原。
「いいか、桜の並木道や桜のある公園も避けるんだ。…でないと…」
改行きちんとしてくださいよー
でも乙
特に木村さんというのが良い
とりあえずは携帯から書いて下さってるのかなァ? 兎に角ガンガレです!
133 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/10/22 21:04:38 ID:SRYsSYbx
妖し桜2 「…はよ帰って茶飲みたいわ。はあ。」
八重桜が満開の公園の並木道を愚痴りながら歩く一人の女性。乾き切らない髪を両脇でお団子にしたせいか、丸顔が余計丸く見える。
顔立ちは柔らかな印象を受けるが、白い肌と柔らかな赤い唇がが彼女の容貌に艶を醸し出していた。
見ようによってもおしとやかにも見える彼女だが、その肉体は鍛練によって引き締まっている。
「…にしても、ソメイヨシノもえぇけど、八重は、こう……艶やかのがええな…。」
ちらちらと散る桜を眺め、呟きながらも手は髪止めに自然とかかる。
ふわあっ。
髪を纏めていたピンを外すと、まだ湿り気を残す髪がゆったりと広がり、漆黒の髪が首筋や肩にまとわりつく。
零れた八重桜の花びらが髪に落ちた直後、
「奥寺はん。うち、何か忘れ物でもしましたか?」
彼女は背後にいる人間にきつい口調で問い掛けた。
「いや…。お前に用事があって来ただけだ…弥生。」
「うちをそう読んでええのは木村はんだけどす!」
きつく言い返した弥生は反射的に舌打ちした。
奥寺一人だけなら何とかなる。
そう思って振り向いたが、後ろにいたのは奥寺他数人。一人だけならまだしも、この人数をさばききる力は弥生にない。
携帯にうちこんで書いておりますので、改行不完全でしたらごめんなさい。
前置きがやっと書き終わったので、終わった分貼ってからHシーンを書きにかかります。すいませんがしばらくお待ち下さい。
134 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/10/22 21:16:59 ID:SRYsSYbx
妖し桜3
仕事の関係で連絡した彼女達と木村の勘にかけながら、弥生は彼らを睨むように向き直った。
「うちが部屋に行くにはここをどうしても抜けなあきまへん。…鬼道館の看板に泥塗る覚悟で来てはるんですか?」
全国二位の選手が婦女暴行を起こしたとなれば、鬼道館の名に泥を塗ることになるのは火を見るより明らか。牽制の言葉が自然に口を突く。
「……関係ねぇ。」
「はい?」
「そんなもん関係ねぇ。……お前をモノに出来るんならな!」
何の構えも取っていなかった弥生の腕を奥寺が掴む。慌てて振りほどこうと暴れる弥生。奥寺は無理矢理押し倒すと、弥生の顔を平手で殴った。他の連中が弥生の両手足を押さえ付ける。
「なぁ…弥生…お前は、綺麗過ぎたんだよ…。」
熱の籠もった奥寺の囁きを拒むように、きつく目を瞑り顔をそむける弥生。
「…自分から誘惑してるのに、拒むその生意気な面、俺がメチャクチャにしてやる。」
奥寺の手が弥生のシャツを躊躇なく引き裂く。裂け目から覗いた柔肌が否が応にも欲望を増幅させていく。
「ーっ!」
「待ちなっ!」
だだだだんっ!
その時だった。 階段を軽々飛び降り、輪の中に綺麗に飛び込んだ影が、数瞬で強姦の共犯を倒していく。待ち人が一人到着したのだ。
「雑魚ばっか…桜酔いでもしてたんですか?」
少々呆れた口調の女性に、弥生は思わず安堵が交じった苦笑を零す。思わぬ邪魔者の出現に、奥寺が弥生から離れ、女性に対峙する。
と、その時。
「弥生、無事か!」
木村が息を切らして階段を駆け降りてきた。
135 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/10/22 21:57:30 ID:SRYsSYbx
妖し桜4
きつく注意はしていても、弥生の花見は止められないと分かっていた。
それに今日は週一の柔道の日。奥寺が同じ道場でたまに顔をあわせることも聞いている。
おまけに雑誌記者から耳にした噂も加われば、嫌な予感は確信へと変わっていく。…と言っても、今晩は執筆が一段落ついた弥生の部屋に、久々に行く気だったのだが。
「服を破られたうえに平手一発。忍ちゃんのおかげでそのくらいで済みましたわ。」頬を押さえながら弥生が答える。
「同じ女として、……許せませんね。」
「……女?」
一瞬だった。忍のフルパワーのタックルが奥寺を軽々と木村の方へと吹き飛ばす。
反射的に落ちてきた奥寺を弥生の方へ蹴り上げる木村。
とどめに弥生が投げで地面に叩きつけた。怒濤の連続攻撃に敢えなくやられた奥寺を忍は思い切り踏み付ける。
「後始末はあたしがやりますから、お二人は行って下さい。」
136 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/10/22 21:59:29 ID:SRYsSYbx
妖し桜5
いくらガタイが良くて強くても、忍はれっきとした女である。見事に地雷を踏んだ奥寺にほんのわずかだけ同情した木村は、危ういところだった弥生に駆け寄った。
「弥生………!」
さ、桜酔いだーっ!
心の中で絶叫した木村は思わず生唾を飲んだ。
乱れた髪に散る鮮やかな八重桜の花弁。頬はわずかに上気し、先程とは違う潤んだ眼差しで木村を見上げている。
桜酔い。桜に見とれて酔ったようになる弥生の特異体質で、この時の弥生は木村をいつもより強く求めるのだ。
「木村はん…。」
とろける様な甘い声が木村の理性に絡み付いてくる。木村は弥生を抱き抱えると、駆け足で公園を抜けていった。
137 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/10/22 22:50:22 ID:SRYsSYbx
妖し桜6
弥生の部屋に飛び込み、後ろ手で施錠する。
弥生を降ろすと同時に首に絡み付いてくる腕。唇を重ねれば、舌がするりと口腔へ忍び込んでくる。
「……ん、………。」
舌を絡めあい、誘われるがままに深く唇を貪りあう。
ぴちゃ…、ぺちゃっ。
濡れた音を立てて貪るたび、弥生の白い肌がゆっくり桜色に染まっていく。やがて、木村はゆっくり唇を離すと、弥生の目を覗き込んだ。
「中、…行こうな…。」 囁きに頷いた弥生は、抱き上げてと言わんばかりに木村にきつく抱きつき、胸を押しつける。木村はそれに答えるように弥生を抱き上げた。
ほうほう
ドキドキ
139 :
名無しさん@ピンキー:04/10/23 03:48:33 ID:paxSqG57
携帯からご苦労様。 ageて待ってます。
新潟県の人達大丈夫かー!?
141 :
キー@恐かった ◆uVMM0Pi.Co :04/10/24 07:46:27 ID:iGiqk6jI
やっとつながったんで新潟下越から状況報告。
一度目の時、私は晩飯の調理中でございました。
二度目の時、慌てて避難して裸足で外まで駆け出してしまいました。
三度目の時、「地震を酒の肴に飲んでる」と、東京の大叔父に言った祖父が仏に見えました。
…両親姉妹の帰宅後、恐かったと訴えましたが、……新潟地震を経験した両親は強かった…。
妖し桜はこの後直ちに貼りますのでしばしお待ちを。
142 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/10/24 07:51:37 ID:iGiqk6jI
妖し桜7
ぼふっ。
弥生をベッドに乗せた木村は、上半身裸になって弥生の上にゆっくりのしかかる。
と、弥生が木村の手を取り、自分の頬に押し当てた。感触と体温を確かめるように目を細めて息を吐く。
「歯とか骨、大丈夫か?」
「大丈夫です。ただ、頬は腫れるかも…」
木村の手を取ったままの弥生は、そのまま手を下に下げ、自分の胸に触れさせた。
「…今夜は、離れんといて…」
木村を見上げる弥生の目から涙が一筋零れる。その涙を、木村は優しく舐め取った。
「っ…ん、ぁ…んっ……。」
ベッドの下には脱ぎ捨てられた木村と弥生の服と下着。木村の舌は弥生の乳房を這い、もう片方の乳房は木村の大きな手で柔らかく揉まれている。
「…あ、っ…ぅん…、木村、はぁ…ん…!」
乳房をきつく吸われ、弥生の体がピクンと跳ねる。
唇が離れた後に残るは、赤い、花弁。
「…ふ、ぅ……」
体を起こした木村は弥生の肌を指先でなぞりながら、腹部に花弁を散らすように跡を残していく。その度に弥生の体はびくりと跳ね、快感に素直に反応を示し、甘い悲鳴を上げた。
よりによってピンポイントかい>キーさん
無理せずゆっくりやってくれ(ノ∀`)
キーサン気を付けて過ごしつつ投下願うよ…
145 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/10/24 22:50:05 ID:iGiqk6jI
妖し桜8
「…すごい、濡れてるぜ。…桜酔いしてるだけじゃ、ないみたいだな…。」
木村が弥生の太股をしっかり掴んで広げさせた時、秘裂は既に愛液でびっしょり濡れていた。木村の指摘に弥生は震えた声で答える。
「……久々、…やから…。うち、……っ!。」
秘裂を指で軽くなぞられ、腰を跳ねさせる弥生。背を仰け反らせると同時に、髪に張りついた桜の花弁がひらりと零れる。
「…あ、…ぁぁ…はぁ……。」
くちゅ、くちゅ。中に侵入した木村の指を弥生の膣はきつく締め付け、その指が動く度に弥生の内股がびくびく震える。木村はその内股に、キスマークを残していく。
「っ…あ……あぁ…えぇ……」
弥生は力の入らない腕で上半身を起こすと、内股に見えた赤い跡を恍惚とした表情で見つめた。それから倒れないように片腕で上半身を支えながら、木村のうなじを優しく撫でる。
「……木村…は、ぁんっ……。」
「どうした、…弥生…?」
顔を上げた木村を弥生は欲情して潤んだ目で見つめた。体の奥が甘く疼いて止まらない。体が、木村を欲しがっている。弥生は埋め込まれた指を銜え込む様に腰を揺らしたが、桜の精気で酔ってしまった体はそれでも足りない。
「入れて、ぇ……。」
146 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/10/25 23:23:14 ID:2b86E1Ck
妖し桜9
ごくん。
生唾を飲み込んだ音が木村の耳にはっきり響く。
弥生の肌は鮮やかに紅潮し、首筋や頬には乱れた黒髪が汗で張りついて艶めかしさを強調させている。
「ね、…っ…ぁ…早ぅ………!」
我慢し切れなくなったのか、先程まで木村を撫でていたその手で、自らクリトリスをいじり出している。唇から零れるのは既に声にならない喘ぎで、その吐息さえも、甘い香が漂う程とろけきったものになっている。
「…早…ぅ…。」
とすん。ゆっくりベッドに横たわった弥生は、自らの指で秘裂を広げ、腰を浮かせて木村を待っている。
「…あ…あぁ…。」
弥生のあまりの乱れ振りに少々戸惑いつつも、体を起こし、再び弥生にのしかかる。
弥生の媚態に煽られたのか、木村のぺニスはしっかりと勃起しており、その先端を入り口に押し当てただけで、弥生の体がひくりと跳ねる。木村は弥生の腰を掴むと、そのままゆっくり奥まで腰を進めた。
「…くるっ…木村はんのが、…奥まで……!」
弥生の両脚が深く木村を受け入れようと、強く絡み付く。
「っ…!ぅぅ……。」
弥生の中は熱くとろけていて、微かに動くだけで中の肉襞がきつく吸い付いてくる。下手に動けば直ぐに果ててしまいそうなその快感に、木村は眉をしかめて耐える。
147 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/10/26 23:23:22 ID:CTPlkeCD
妖し桜10
「…動いて…。」
と、その時、甘えた声で弥生が木村に囁いた。弥生の腰はさらなる快楽を欲して揺らめき、その度に中の木村のペニスに刺激を与える。
「…我慢、…せぇへん、っ…といて……。」
弥生の腕が木村の逞しい体を抱き締め、鮮やかに色付いた唇が木村の肌に赤い跡を残す。
木村の肌にある痣や傷痕の中で、鮮やかについたそれは弥生のそれを移されたかのように熱や疼きを孕んでいた。
「…生…だぞ?…」
「…構いまへん。それに、もう…入ってますやん?。」
木村とのやり取りが可笑しいのか、くすくす笑う弥生。その仕草さえ、情欲を誘う媚態となる。
ふつっ。
媚態に負けた下半身からきたものが、あっさり木村の中の理性を断ち切った。
「…っ、…んっ、…うぅ…ぬ…。」
くちゅ、ぐち、くちゅ、ぬちゅ。
「ぅうん、…ぁ…ああ……はっ…。」
木村が腰をぶつける度に、弥生は嬌声をあげて腰をくねらせる。弥生の腰が揺れる度に中の肉襞が熱くねっとり絡み付いてくる。互いに快感を与え、互いに快楽を貪る。
久方ぶりのセックスな上に弥生の桜酔いと言うスパイスが加わって、行為は一気に激しくなっていった。
キーさんへ
上越とはいえ、余震、お察しします。。。
149 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/10/27 17:44:10 ID:RRmU4QdS
皆様へ。
状況報告をしたせいで、間違われている方がいられるみたいなので訂正いたします。
我が家は下越の白根市にあります。余震の影響は多少ありますが、私及び我が家我が街は今現在ほぼ無傷です。
ご心配おかけして申し訳ありませんでした。
妖し桜は書け次第随時貼っていきますので安心してお待ち下さい。
150 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/10/29 12:31:54 ID:h2r/hgAc
妖し桜11
「…ぅあ…っ、あぁ…んぅぅ、…もっと……!」
きゅうきゅうと木村のペニスを締め付けながら、更に激しい動きをねだる弥生。肌はじっとりと汗ばみ、恍惚とした瞳からは生理的な涙が零れて筋を作っている。
「…っ、待て、…堪え…ぅうう…!」
一方、木村は激しすぎる弥生の情欲に煽られ、限界が近づきつつあった。
気を抜けばすぐに達してしまいそうなのを必死に堪え、弥生をイかせようと、愛液で溢れた肉壺をぐちゃぐちゃとかき回す。行為の激しさに二人の体重を受けとめるベッドのスプリングの軋む音が大きくなる。
「っ!…ぁ、ああ…はぁ、…ぅ…」
木村の攻めが効いたのか、弥生の喘ぎが徐々に切羽詰まったものに変わっていく。
「…ぁ、…はぁ…んっ…っぅん……!!」
木村に抱きつく腕がわずかに痙攣を始める。だが、限界が近づいているのは木村も同じ。弥生の中はひくひくと収縮して熱く絡み付き、木村の男根をきつく締め上げる。先走りがじわりと中に広がると、弥生はうっとりと笑い、木村の肌に赤を散らした。
「…っ、……んぬぅっ!…う……。」
先走りさえも容赦なく搾り取る弥生の体に、木村は負けそうな気さえしてきたが、ぐっと耐えて、更に突き上げを激しくした。
ドキドキ
(゚∀゚)グッジョブ!
153 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/10/30 23:52:50 ID:7Ab6Qlzp
妖し桜12
「…っ、あ、…えぇ…溶け、る…!」
脳髄まで突き上げる快感に、弥生は高いところまで浮遊していく感覚に捕われる。腕が、脚がびくびくと震えて、強ばっていく。
「…あ、…っあぁ……あ、…ぁあー……!」
絶頂を迎えた瞬間、体の全てが木村と解け合う感覚に襲われた。木村にしがみつく指が白く硬直し、愛液で溢れた膣は収縮して、木村の男根を強く締め上げる。下半身から波の様に体を満たす快感に、弥生はしなやかに背を仰け反らせた。
「…っ、…ぁ…しまっ…う!……!」
きつく締まる膣に、慌てて抜こうと腰を引いた木村だが、その締め付けと肉襞の感触に耐えられなかったのか、弥生の体内にたっぷりと射精してしまう。
「…っ、んぅ…ぁは…あ……。」
自分の中に広がる熱い白濁の感覚に、弥生は再び軽い絶頂に達した。二度の絶頂に弥生はくったりとベッドに沈む。
「…弥生…。」
木村の呼び掛けに、弥生が薄目を開けて木村の顔を見つめる。
「…っ、木村はん…ぅ…。」
その顔は余韻に酔い痴れつつも、未だ物足りないのか、腕はしっかりと木村の背に回されたままだった。木村はゆっくりと腰を引き、弥生の中から男根を抜いた。抜けると同時に秘裂から白濁がわずかに零れ弥生がぴくっと反応する。
154 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/01 23:06:24 ID:sJvjsZHW
妖し桜13
「…ややぁ…。」
中から抜かれたのが不満だったのか、弥生が抗議する。
木村はそれを止めるように弥生の唇を強引に塞いだ。加減無しにきつく吸い上げ、絶頂直後の敏感な体を追い詰めるように、汗の滲んだ乳房をきつく揉み立てる。その強い刺激に弥生の体はびくびくと反応した。
「…っは、…はぁ…。」
ちゅぱ。
木村が唇を離すと弥生は大きく息を吐き、呼吸を整えるように数回深呼吸を繰り返した。
「…木村…はんぅ…。」
「…酔いは醒めたか?」
木村の問いに弥生は首を小さく横に振る。
「…醒めまへん…。」
弥生は木村をきつく抱き寄せると、そのまま寝返りを打つようにして、木村を押し倒した。
「…あんなことしたら、余計火を点けるだけどすぇ………。」
木村の胸に頬を押し当てたまま囁くと、弥生は木村に抱きついていた片手を離し、それをそのまま木村の股間へとやった。
「…っ……!」
弥生の指が柔らかく木村の男根を包み、軽く扱き上げる。その感触に木村が小さく息を飲む。
「…木村はんかて、まだ元気やないですか?」
半勃ちの男根を優しく扱きながら、弥生が艶やかに笑う。色香に満ちた妖艶な笑みに、木村のそこは素直に反応を示す。
二回戦突入ハアハア
京女のエロいいね
157 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/03 20:59:07 ID:/WcwPlJw
妖し桜14
「…………。」
弥生の指摘に木村は思わず顔を赤くして黙り込む。
酒に酔った時はひたすら静かな弥生だが、桜に酔った時は淫らと言っていい程妖艶になる。
もともと美人である弥生だが、特に春はその美貌に妖艶さが加わる為、実力行使に出る輩がどっと増える。そのせいでこの時期、長く会えない時は心配になってしまうのだ。
「…弥生。…今日はやけに…積極的だな…?」
「…恐かったんどす…。」
木村の問いに、弥生は愛撫の手を休めて答えた。
「…うちを…抱いてええのも、…うちが抱かれたいのも…木村はんだけどす…。」
真剣すぎる声と同時に、弥生の手が再び動きだし、ツボを心得た動きで木村の欲望を引き出していく。
「…っ、…うう……。」
股間が熱くなっていくのが自覚できるぐらい血が熱い。
木村は弥生の方はあえて見ずに、快楽を享受した。淫らで妖艶な笑みを浮かべた弥生が、長い指で自分の男根を愛撫している。脳裏に浮かべたその情景だけでも煽られてしまうのに、ましてやその姿をはっきり目にしてしまえば、あっさり果ててしまいかねない。
付き合いだしてから幾度となく肌を重ねてはいるが、桜酔いした弥生の妖艶な色香にだけは未だに負けてしまう。勿論、同じ時間を過ごした分だけ、弥生への情も深くなっているが。
海皇紀を読んだ。
修羅の門を読んだ。
あの男達はなんで性欲よりも戦闘欲の方が強いんだ!?
少しはパラ学の奴等をみならってほしいもんだ。
天兵と田中娘、得ろまで時間がかかりまくり
恐ろしい事に初SSなんて無謀な代物でよければ
貼らせていただきたいです。
よしゃこい!
彼女…田中十蔵の娘は自分の名前を嫌っていた。
物心つく頃から、母と二人きりになると「あんな男と一緒にならなければ良かった。
お前なんか…、…なんか生まなければ良かった」などと幾度となく言われ
自分の名前が忌むべき呪いの言葉に感じるようになった。
そんな母も彼女が十になる前に他界し、父である田中十蔵は
百圓めあてに酒びたりの体をおして戦い、結果
寝たきりになってしまった。
父は自分の事を「お前」と呼ぶし、寂れた道場には誰も訪れず
結果、人に名前を問われる事も無くなっていた。
このまま、自分の名前を忘れてしまえれば良いのにと、彼女は思っていた。
思わぬ事で、そうもいかなくなってしまったが。
「オレは天兵。あんたは?」
いきなり家に転がり込んできた男が問うてくる。
「あの…あの、私は…田中・・です」
うつむいたまま、小さな声でそれだけ言うのが精一杯だった。
彼は恩人だ。父の仇を討ち、二十圓を差し出してくれた人。
そんな彼に、まともな自己紹介一つ出来ない自分がひどく恥ずかしい。
だが、この人に自分のみっともない名前を言うのはもっと嫌な気がした。
もしかしたら怒らせてしまっただろうかと、彼の顔をそっと見てみると
質問された時と変わらぬ表情で見つめられ、あわてて目をそらす。
やたらと胸は高鳴っているし、彼女は混乱の絶頂にいた。
「…まぁ、無理して言うこたないよ。とりあえず、しばらく世話になるからよろしくな」
彼はあっさりとそう言うと、彼女に向かってニッと笑って見せた。
ホッと一息ついた彼女も、微笑みながら「よろしくお願いします」と挨拶をし
その場はとりあえず収まったようだった。
「名無し…か。まぁうちの親もあんなんだったらしいけどな…」
ぼそりと呟いた天兵の言葉は、彼女の耳に届く事はなかった。
田中親子と天兵の生活は、穏やかに過ぎていった。
天兵はふらりとどこかに行ったかと思うと、川で取ってきたらしき魚を持ち帰ったり
十蔵の為に薬草を持って来たりもした。彼女が知らぬ間に、薪を山盛り割っていた事もある。
まともに動けない十蔵の背を天兵が支え、彼女が薬を飲ませる。
傍から見て「すまないねぇ」「おとっつあん、それは(略」とか
そんな台詞の似合いそうな風情だった。
近所のおばちゃんには「良い男を捕まえたねぇ」とからかわれ
真っ赤になりながら否定をし、そっと天兵の顔を伺えば
別段気にした様子も無く、彼女一人だけがアタフタしているようであった。
「天兵さん…あの、すごくありがたいのですけど…なんだか申し訳なくて…。
なぜ見ず知らずの私たちに、そんな親切にしてくださるのですか?」
道場が潰れた時の、人々の変わり身の速さを見てきた彼女にとって
天兵の行動は不思議なものだった。彼にとって何も良い事など無さそうなのに。
「部屋を貸してもらってるし、メシを食わせてもらってる」
天兵は事も無げにそう言い切ったが
彼女には、とても納得できる答えではない。
「そ…そんな!うちは立派でもないですし・・道場も見ての通り小さいです。
ご飯だって質素で…」「うまいよ」
彼女はぽかんと天兵の顔を見つめた。
「あんたの作るメシ、うまいから。それで充分だ」
「…あのっ!私にできる事がありましたら、何でも仰ってくださいね!」
さりげなく言うつもりが、勢い余って叫ぶように口から出てしまい
『顔から火が出るとはまさにこの事』だと思いつつ
そのままうつむいてしまう。
それでもやる気は伝わっただろうと、心の中で自分を慰めた。
自分が天兵に対しできる事など、ほつれた着物を繕ったりだとか
ご飯のおかわりをよそってあげたりだとか…その程度しかないと分かってはいても
言わずにいられなかった。何か役に立ちたい、一心で。
そんな彼女を、天兵はしばらく見つめていた。
一瞬、何か…言いたくとも言えない、そんな表情になったが
すぐに苦笑し、うつむく彼女の肩を軽く叩きつつ
「ま、そのうち頼むかもな」とその場を去っていった。
天兵に軽くかわされ、その背を見送るしかなかった彼女は
へたり…とその場にうずくまった。
自分の言葉は、一笑に伏される程度の物…分かっていても寂しかった。
母の言葉が頭をよぎる。
「それでも…」
先ほどまで天兵がいた場所を見つめながら呟く。
「それでも、あの方に何か求められた時は…」
私にできる精一杯でお答えしようと、心に誓った。
ほんのりと秋の気配が漂い始めたある日の事。
天兵はどこかへ出かけ、十蔵は薬が効いたのかよく眠っており
彼女は一人、道場の掃除に精を出していた。
父が倒れ、もはや一人の門弟もなく寂れきってはいるが
ここを放置する気はなかった。
自分自身が戦った事は無くても、彼女は確かに格闘家の娘だった。
「ふぅ…今日はこんなものかな」
小さな道場とはいえ、一人での清掃は大仕事。
すっかり全身汗だくになってしまい、着物が蒸れて気持ち悪い。
「天兵さん、まだ帰ってこないわよね…」
掃除道具を片付けた後、父の部屋に行き
様子をそっと伺うと、変わらず安らかな寝息を立てている。
静かにその場を離れ、ささやかな楽しみに向けて準備を開始した。
塀に囲まれた庭にタライを持ってきて、その中に水を注ぎ
傍らには綺麗な着物と手ぬぐいを置いておいた。
なんとなく、きょろきょろと周りを見回した後、そっと帯を外す。
しゅるりと衣擦れの音と共に着物の前がはだけ、汗ばんだ肌が露になる。
十六になったばかりの体は、まだ幼さが残っており
丸みを帯びた胸はそれほど大きくは無いが、張りがあり美しい形状で
薄桃色の突起は彼女が動くたびふるふると揺れた。
ホッ…と一つ息を吐く。
汗を吸い、重くなっている着物を手早く脱いでたたむと、縁側の端に置いた。
片足づつ水に入り、そぉっと腰をおろす
水の冷たさにぶるりと全身が震えたが、じきに心地よさに変わっていった。
風が小枝を揺らし、木漏れ日を作るのをうっとりと眺めながら
水をすくい上げては体に掛け、そっとなでた。
白く瑞々しい肌の上を水滴が伝い落ちていく
木の陰と水の光が反射し、彼女を年齢以上に艶かしく見せている。
「行水するの久しぶり…ふふっ、気持ちいいなぁ」
彼女は昔から行水が好きだったが、天兵と暮らすようになってからは
彼が出かけているときを見計らい、こっそり行っていた。
「まぁ、私の裸になんか興味無いだろうけど…」
ぼそりと呟き、今まであったことをぼんやりと思い出した。
父が寝入った後の深夜、二人っきりで話をしていた時
偶然手がふれあい、はたと見詰め合って…それから
「にらめっこかよ。オレは負けねーぞ」と言われた事。
突然の雷雨に驚き、とっさにしがみついてしまった時
「鳴神がヘソ取りに来ても追い払ってやるから安心しろ」と言われた事。
いつだって天兵は、余裕の笑顔で彼女を茶化すだけだった。
そのまま天兵の姿を思い浮かべる。
凛々しい眉と涼しげな瞳。時に女性のように見えるほど整っているが女々しさは無い。
たくましい体つきに、素晴らしい身のこなし。そして何より恐ろしく…強い。
髪はぼさぼさで無造作に結ってあるだけ、着物だってそんな上等な物ではないが
それでも彼の魅力を損なう事は無かった。
前に少しだけ聞いた話によると、天兵の母は異人の血もひいているらしい。
それでどことなく日本人離れした雰囲気なのだと納得したのだった。
その時、初めて出会ったときに言っていた
「異国に来たら大きな顔はせずに、少しは畏れるものだ
なんでも自分の国が一番だと思いすぎない方がいい」
という言葉は、彼の母の教えなのかもしれないな…などと思ったのだった。
父については「鬼だ」の一言で、とても納得できる物ではなかったが。
『…私なんかより、あの方にはもっとふさわしい方がいらっしゃるわよね…』
心の中で、そう呟く。
しょせん自分は下宿先の娘でしかない、でしゃばった真似はしないように…と
自分に言い聞かせてはいるものの、天兵のことを考えていると
顔が高潮し、へそのあたりがきゅうっと締め付けられる感覚がして
彼女は戸惑いつつも、タライの中で身悶えるのだった。
せっかくの行水なのに、サッパリするどころか
悲しい気持ちになる、変な感覚に襲われるで逆効果だと判断し
さっさと上がってしまおうと決め、ゆっくりと立ち上がった。
そこでふと顔を上げると…天兵が庭の入り口あたりに立っており
お互いしっかりと目が合ってしまった。
頭の中は真っ白で一瞬硬直したものの、すぐ我に返り
とっさに胸を隠して中腰の姿勢から一気に水の中に戻る。
激しくしぶきが立ち、けっこうな量の水がタライから流れ出た。
それでも驚きのあまり、何の言葉も発する事ができないまま
半泣きで天兵を見つめつづけていた。
『…これは何かの間違い…というより、天兵さんは今帰ってきてしまったのね。
そ、そうだ…変な所を見せてしまったんだから謝らなくちゃ…!』
やっと少し落ち着いて、話し掛けようとした彼女だったが
天兵の様子が何かおかしい事に気がついた。とても怖い顔をしている。
そのままじっとしていろ…そういった事を訴えているのだと感じ取った彼女は
混乱しつつも身を縮こませて、動かないようにした。
天兵はゆっくりと塀に沿って歩き、彼女の左後ろあたりに位置する場所で止まると
塀に向け、勢いよく両手を打ちつけた。
そのあまりの勢いに、木でできた塀は吹っ飛ぶか木っ端微塵になってしまう!と
思った彼女はますます身を硬くし、衝撃に備えた。
だが、塀はびくともせず、その代わり塀の向こう側から
何かが吹っ飛んで何かにぶち当たったと思われる音、それに
「ぐぇっ」と蛙が潰れたような悲鳴が聞こえた。
「…お前、覗かれてたようだな。
外で不審な奴を見かけたんで、まずはお前らの様子を見てからと…」
塀にある節穴を指差しながらの説明を、天兵は中断した。
彼女は、節穴よりも覗きよりも、倒壊の様子を微塵も見せない塀に目が釘付けだった。
正確には塀を傷つけず、塀の向こうにいる覗きを攻撃した天兵の技に心奪われていた。
そっと塀にさわり、感嘆の溜息を漏らす。
「天兵さん…すごいです!今のはいったい何なのですか?」
瞳を輝かせて質問してくる彼女から目をそらさず、だけど少々困った顔で
「教えてやらん事も無いが…着物をつけた後じゃ駄目なのか?」と答えたのだった。
塀は吹っ飛ばなかったが、彼女の頭から自分の状況という物は吹っ飛んでいたらしい。
そっと自分の姿を確認すれば、タライからは完全に這い出ており
全裸で四つんばい、腕や太もも、胸の先など体中から水滴がしたたり落ちている姿で
塀に触っているという、必要以上に煽情的な姿になっていた。
…彼女は、本当に変な所で「格闘家の娘」だった。
「〜〜〜!!」
声にならない悲鳴をあげて、勢いよくあとずさった彼女は
思いっきり、タライの水がこぼれて出来たぬかるみに尻餅をついてしまった。
「……」
「……」
しばし、お互いなんとも言えない表情で見詰め合っていたが
天兵は縁側に置かれていた着物を彼女に渡してやり
「お前は家に入ってろ。オレは節穴をふさぐから」とだけ言い
道具を取りに行ったのか、その場を去っていってしまった。
居たたまれない気持ちで着物を羽織り、のろのろと立ち上がると
お尻のあたりから太ももへ、泥水がタラリと垂れてくる。
行水は完全に裏目と化していた。
この情けなさすぎる事態も嘆かわしいが
あんな恥ずかしい姿の自分を見ても、天兵は動じてくれなかったと
思うと、本気で泣き出したい気持ちになっていた。
「裸を見たら、お嫁に貰ってくれる決まりとかあればいいのにな…」
彼女は知らぬ事ながら、覗きはあの後、正気を取り戻し
そのまま寝ておけば良かったと心から悔やむ羽目になる。
そいつは町のチンピラ軍団の末端で、その輩たちは
寂れた道場の娘を誘拐でもして、おいしい思いをしようかなどと
目をつけていたのだが…それが運のつき。
上から下まで全員仲良く
この世で地獄を見るという、滅多に出来ない体験をしたそうな。
172 :
159:04/11/06 18:10:39 ID:Eod8bLPT
今回はここまでです…_| ̄|○
ほんとすみませんごめんなさい
めさおもろい
うまいうまい
ちゃんとストーリーがあるのがいい
174 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/06 23:06:25 ID:QGMeMm+U
妖し桜15
やがて、弥生は手を男根から離し、膝立ちで木村の腰をまたいだ。脚を広げた所為で、股間の秘裂から白濁と愛液が交ざったものが零れて腿を伝う。
「…ぁん…。」
体をずらし、亀頭を秘裂にあてがうと弥生は小さく息を吐いた。
「…木村はん、ちょっとだけ、…動かんといて、…。」
くちゅり、と小さい水音に、木村は視線だけ弥生に向けた。恥ずかしそうに顔を背けた弥生が、ゆっくりと腰を下げて、男根を体内に銜え込んでいく。時折性感帯に触れるのか、小さな喘ぎを零しながら、ゆっくり最奥までくわえようとしている。
「…ぁ…、…はぁ……。」弥生の吐息が背筋をぞわりと撫でるように耳に響く。木村は男根を包む柔らかい肉襞に目を瞑り、そのまま腰を突き上げて、弥生を一気に貫いた。
「…っあ!…あああああっ!!」
体の奥に響く熱さに弥生は嬌声をあげ、背を大きく仰け反らせた。すかさず木村は膝を立てて弥生の体を支える様にしてやる。
「…はぁ…あぁ……。」
体を熱くする快感に弥生は息を整えようとするが、さざ波のように体内を駆け巡る快感にそれもままならない。
震える手をどうにかして木村の腹につくと、弥生はゆっくり腰を上下させはじめた。
(*´Д`)ハァハァ
159さん、田中娘可愛えぇ…、そんなかんじでエロ可愛バージョンよろしく。
キーさん、あいかわらず京オンナの色気炸裂! 木村がうらやまし杉るよ。
177 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/08 00:16:21 ID:hSQIGLpM
妖し桜16
「っ、…ぁあ…く…るぅ……奥まで、…もっと…ぁあ…。」
木村が弥生の腰の上下の動きにあわせて突き上げると、その度に弥生の膣がきつく男根を締め上げる。
「…ぅ、…ん…あ……、くぅ…ふ…。」
その締め付けはきついが心地よく、射精しそうになるのを堪えながら、木村は弥生の体を揺らすように激しく突き上げた。
「…えぇ、…あ…いきそ…っ、…あぁ、…木村、はん…!。」
時折軽く絶頂を迎えるのか、弥生の体がびくりと跳ねる。その度にいきそうになるのを堪えて木村は手加減なく突き上げる。
「…っ、…ぬっ、…あ…あぁ…。」
「…木村、はん……っ、…、…ぁあ…何でぇ…イッてくれへんの……?」
股間から白濁混じりの愛液を溢れさせながら、弥生は震える声で尋ねた。
「…お前、…満足…させないの…やだから…我慢……っ、…う…。」
ぽろり、ぽろり。
弥生の目から明らかに快楽からではない涙が零れたのを見て、木村は息を詰まらせた。
「弥生………?!」
「うちが、……酔うてるからいうて、我慢、…なんてしてほしくない…木村はんも…満足…してもらえへんと…。」
最後の方は震えて声にならない声で言う弥生。木村は上半身を慌てて起こすと泣く弥生を抱き締めた。
178 :
159:04/11/08 18:11:31 ID:3e8XQeNs
173さん、176さん、ありがとうございます!
初SSで冷や汗物だったので、喜んで貰えてほっとしました。
えろ可愛いのが書けるようがんがります。
キーさんのSSはえろえろでラブラブで最高です。ハァハァ
天兵×田中娘の続きがエロ寸前まで書けましたので持ってきました。
今回本当にまったくエロくないので貼ろうか悩みましたが
前ふり無いと陸奥っぽくなくて。すいません。
刻はゆっくりと、しかし確実にすぎてゆき
静かに新年を迎え、また季節は移ろって行く。
天兵が田中親子と暮らし始めて、十ヶ月が経とうとしていた。
十蔵の娘は父の回復を信じ、天兵に教わった按摩をおこなったり
ツボを押してみたり、かいがいしく看病をしていた。
だが、長雨の続く六月…じめじめとした気候は
寝たきりの十蔵の体を蝕んでいく。
シトシトと降り続く雨を、天兵は縁側に立って眺めていた。
ふと、自分を呼ぶ小さな声に気がついて振り向くと
十蔵が手招いているのが見えた。
「親父さん、起きてたのか。具合はどうだ?」
「あ、ああ…だだだいぶいいよ…すま、すまないね…て、天兵君」
後頭部に受けた一撃のせいで、十蔵のろれつは回らなくなっていた。
「無理してしゃべらなくていい」と言いながら
傍らの急須から湯飲みに水を注ぎ、片腕で背中を支え起こしてそれを手渡す。
十蔵は震える手で湯飲みを持ち、飲み干した。
天兵が片腕で支えられるほど十蔵は痩せ細っていた。
格闘家としての面影は、もはやどこにも無い。
神妙な顔の天兵に力なく笑って見せた。
「めめ…面目ない次第だ…よ…へへへ…」
「雨のせいで気が滅入ってるだけだろ、梅雨が過ぎりゃ体調も戻るさ」
我ながら気休めな台詞だと天兵は思った。
梅雨が過ぎれば暑くなる。夏の暑さに耐えられる保証などどこにも無い。
ぱらぱら…ぱらぱらと、屋根に雨水が当たる音が響く。
「いろ…いろいろ…ありがと…な…」
礼を言う十蔵に、天兵は軽く笑った。
「オレは何もしちゃいないよ。礼ならあいつに言ってやんな」
「あ…あれには、ほほ、本当に…苦労かけ…た」
十蔵は、知っていた。妻が隠れて娘に何を言っていたのか。
あえて見ぬふりをし、自分の力を誇示する事だけを考えた。
それがどんなに娘を傷つけていたか。
…自分の不甲斐なさで、娘を不幸にしてしまった。
だが、娘はいつも自分を慕い、尽くしてくれた。
こんな状況にならなければ分からなかった自分が情けなくて、涙がこぼれた。
「て、天兵君…ああ、あの子を…た、頼むよ…」
「……それは…」
天兵はうなずく事が出来ないでいた。
「わか、分かっている…君は…なな何か成さねば…ならない事が、あああるのだろ…?」
「……」
「そ、それが…どんな困難な、こ、事か…知れん…が、その上で…頼む。
済んだらで、いい、いいんだ…。あの、あの子は…君が…」
「ご飯できましたよ〜!今日の煮物はなかなか自信作…あら?」
カチャカチャと賑やかに、ふすまの向こうから夕餉の準備をする音がして
十蔵の最後の一言はかき消された。
さっきまで縁側にいた天兵の姿が見えず、探しているようだ。
そこで話は打ち切りとなった。
翌日、昨夜までの雨が嘘のように空は晴れ渡っていた。
雲ひとつ無い青空を見て、十蔵は少し微笑み…息を引き取った。
天兵が走って連れて来た医者も間に合わなかった。
物言わぬ父を前に、彼女は力なくへたりこんでいた。
あまりに突然で、事態が飲み込めない。
「弔って…やろう、な」
そっと声をかけられ、ぴくりと肩が揺れた。
ゆっくりと生気の抜けた顔を向けると
「…わたし…なにか、まちがえましたか…?」と、呟く。
それに対し天兵は、首を横に振り、一言「それは無い」とだけ答えた。
すると、今まで抑えてきた物があふれたかのように
彼女の瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ち
そのまま胸元にしがみついて、声をあげ泣き叫んだ。
彼女が泣き疲れて寝息をたて始めても、天兵は優しく背中を叩きつづけていた。
墓前に線香の煙が立ち昇り
父の眠りが安らかであるよう、祈る。
「仇討ちでもするか」
思ってもみなかった言葉が返ってきて、彼女は慌てた。
今まで心の中に留め、父にも言った事の無かった柔術への思い。
柔道がもてはやされ、柔術は時代遅れで弱いなどという風潮に
今まで父や先代が培ってきた事すべてを否定されているようで
悔しくて、かといって何もできない自分にも腹がたち、涙があふれた。
そういった気持ちを天兵に話してみたら、あんな返答をされたのだった。
うろたえる彼女に軽く謝罪し、自分の都合だからと言い直した。
「講道館に行って、西郷四郎に文をとどけて欲しいんだ」
彼女は立ちあがって、まっすぐ天兵を見つめた。
…ああ、やっぱりこの方は優しい人だ。
この一戦は、彼の人生においてとてもとても重要な物となるだろう。
そんな大切な事の中に、私の気持ちも汲んでくださっている。
何の役にも立てない自分を、かかわらせてくれようとしている。
以前、自分の中で立てた誓いを思い出す。
この方が何か望んだら、自分の精一杯でお答えしようと…
そう思いつつ、天兵に返した返事は一言、「いや」だった。
結局、天兵は西郷四郎へ文を書き
彼女はそれを講道館へと持って行く事となった。
ちらりと、こんなもの破って捨ててやろうかなどと心によぎったが
それでは自分を信じて文を託してくれた天兵に顔向けできない。
覚悟を決め、講道館の門をくぐった。
無事に文を届け終え、もう一度父の墓前へと足を運んだ。
手を合わせ、呟く。
「…父さん…私は恩知らずな女です…でも…私…」
彼女は一人、嗚咽を堪えた。
夕刻になり、中野橋前でおちあった時には
天兵の腰に白い帯、それに年代物の刀が差し込まれていた。
文を書き終えた後「名を継いでくる」と言い残し、出て行ったのを思い出す。
名を継いだことで、彼の何が変わったのだろう…と彼女は思った。
そして、自分の名を忌み嫌い、捨てたいと思っている自身を思った。
蒼い月の下、死闘は行われた。
彼女は何度も目をそらし、涙を流し、悲鳴をあげ
この戦いを止めようとし、逆に天兵の父である出海に止められたりしたが
その場を離れようとだけはしなかった。
最後の瞬間、何が起こったのか分からなかった。
目に涙がたまっていて、視界がぼやけていたのもあるが
出された技のあまりの速さに、動きを捉えられなかった。
それが父の仇を討ったあの技…「雷」だと分かったのは
ずいぶん後で落ち着いてからの事だった。
西郷四郎が地に倒れ、天兵もがくりと膝を折った。
出海が手を離すと同時に、彼女は転げるかのように駆けていった。
その背を出海はゆっくりと追う。
「天兵さん!天兵さん…し、しっかりなさって…!」
倒れている天兵の傍らにしゃがみこみ、涙を流しながら名を呼びつづけた。
天兵の顔に彼女の涙がぽたぽたと落ち、流れていく。
すると天兵はゆっくりと目をあけ、ちょっとだけ笑いながら
「お前はほんとに…よく泣くよな…初めて会った時から…」と呟いた。
完全に気を失っている西郷を、出海が背に担ぎあげた。
彼女は無造作に置かれたままになっていた刀を拾い上げ
しっかりと天兵を支え、気遣いながらゆっくり歩き自宅へと戻った。
家に着いてからの彼女は、先程までの何もできず
泣くばかりだった人と同一人物とは思えない動きを見せた。
お湯を沸かし、清潔な手ぬぐいをたくさん持ってきて浸す。
自分の布団を敷いて、そこに西郷を寝かせるように言った。
天兵は「お前の布団に…?」と、微妙な顔をしたが
薬と包帯の用意に忙しい彼女は「大丈夫ですよ、ちゃんと干しましたから」と
気にもしていないようだった。
西郷の足から流れる血を拭う。普通の女性なら目を背けたくなるような傷だが
顔色を変えず止血を施し、折れた指もきっちりと固定した。
「朝になったらお医者様をお呼びしましょう…」
出海は天兵に薬草つきの包帯をギッチリ巻きつけた。
それによる息子のうめき声を無視しつつ
「見事な手際だなぁ、嬢ちゃん」と彼女に声を掛けた。
「小さい頃から…道場で怪我をされた方の治療をしていましたから…」と
手を止めず、照れくさそうに答えた。
ざっと治療が完了し、一息ついた所で
出海は「さてと…オレは一足先に帰るとするか」と立ち上がった。
「え…お父様は天兵さんの傍には…?」
驚く彼女に「オレがいては治るもんも治らんと言われそうでな」と笑った。
「手間掛けるが、あれをよろしく頼む」
玄関先まで見送りに出た彼女にそう言うと
「あ、はい!しっかり治療に専念していただきますので」との答えが返ってきた。
ニッと笑って「またな」と、その場を後にした。
背にかかる「お父様もお気をつけて」の言葉に
「お父様…かよ。まぁ悪くないな…」と、上機嫌だった。
彼女は家に戻り、ちらりと西郷の様子を伺うと
先ほどと変わらず眠りつづけているように見える。
そっとふすまを閉めて、天兵の部屋に向かった。
「天兵さん…起きてらっしゃいます?」
控えめに声を掛けると「ああ」と返事があった。
そっと部屋の中に入ると、布団の上であぐらをかいている天兵と目が合う。
何となく不機嫌そうな顔に、彼女は慌てた。
『…ど、どうしよう…怒ってるみたい…?
昼間の文の事かしら…それともさっきの治療で西郷を優先したから…』
西郷のほうが重症だったと言う事もあるが、父親の前で
天兵の体にベタベタ触るのがはばかられたから、なんて理由は言えない。
「あの…あの、ごめんなさい…」
しょんぼりして謝ると、いきなり天兵が吹きだした。
目を丸くする彼女に「お前はからかい甲斐があるよなぁ」と
クックッと笑いながら言った。
「も…もぅ…!」
顔を赤くしてそっぽを向くも、内心ホッとしていた。
ふと、天兵の視線を感じたので、彼女もそちらを見つめ返した。
…無事でよかった…。
彼女は心からそう思った。
勝った事より、ただただ無事でいてくれたのが嬉しかった。
とつぜん目頭が熱くなり、天兵の顔がにじんで見えた。
気付かれたら、また泣いてると笑われそうなので
目をそらしてごまかしながら言った。
「きょ、今日のところはお疲れでしょう…ゆっくりお休みになって下さいね
私は朝一でお医者様をお呼びする為にこのまま起きていますから…」
立ち上がり、部屋から出て行こうとすると
突然手首をつかまれ強い力で引き戻されてしまった。
布団の上に座らされて、横を向けば間近に天兵の顔。
何が起こっているのか理解できず、彼女の口はぽかんと開いたままだった。
「すまんが…しばらくこうしていてくれ」
天兵の顔が胸元に近づく気配を感じ、思わずぎゅっと目を瞑る。
『わ、わたし…っ!こころのじゅんびとかそういうのなんにも…!!』と
歯を食いしばって身を硬くしていたが…ふと落ち着いてみれば
天兵は彼女の膝を枕に、すやすやと寝息を立てていた。
しばらく天兵を見つめて、ホッと息を吐いた。
どっと疲れが襲ってくる。
『そうよ…天兵さんが私なんかにそんな…ある筈無いし…馬鹿よねぇ私…』
天兵の寝顔はあどけなく、ほんの数時間前に見せた
修羅の如き恐ろしい形相からは、とても想像出来ないくらい幸せそうに見えた。
彼女はおずおずと遠慮がちに手をだし
天兵の頭をそっと撫でながら、小さな声で「お疲れ様」と労った。
ウホッ、このままいくのか?いくよね?いくんだよね?
テントを見せっ、じゃなかった。テントよ、男を見せろ!
そしてガンガレ、159さんと田中娘!
ドキドキ
いいねえ
ふたりもネ申がおる〜!!
191 :
159:04/11/09 19:32:12 ID:6cZXhjw+
うおっ…お言葉ありがとうございます!
このスレの方は優しいなぁ…。
今ガンガッテいますので、しばらく待っていてやって下さい。
188さん、彼の名前は「てんぺい」って言います〜。
「刻」14巻の主役(のわりに出番すくねぇ)です。
川原作品はいろいろあるのだから、出典を書くべきでした。
すみませんです。
それにしても、陸奥のネーミングセンスってハイカラだなぁと思いました。
母親がハーフだからな。
その辺りのセンスが入ったんだろう。
193 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/09 22:43:08 ID:hF/F6Dpk
妖し桜17
「…悪かった。」
弥生の耳元で囁くと、木村は腰を小刻みに揺らしだした。溢れるほど愛液で濡れた秘裂は生々しい水音を立て、聴覚で弥生を煽る。
「…っ、あ、…ん…んっ、ぅんっ…!!」
煽られた弥生はとろけた目で木村を見つめ、合わせるように腰をくねらせる。
何度も絶頂に達した体は僅かな動き、僅かな肌の触れ合いさえ快感に変換していく。
「…ぅ、……っ、…うう……!。」
熱くとろけ、ねっとりと絡み付く弥生の中は精を絞るように蠢き、木村はそこから伝わる快感にぎりぎりまで堪えた。
だが、しかし。
「…あ、っ、ああ、っはぁ、……あ、いき、……い、…いくぅっ!……木村はん…っ!」
「…っぁ、…弥生っ……!!」
触れ合う肌から感じる、互いの鼓動。頭の中が真っ白になり、続いて脳天を駆け抜ける凄まじい快感。二人は同時に味わう絶頂に息を止めた。
やがて、ゆっくりと意識が戻り、二人は繋がったまま息を整えようとしていたが、達したばかりの敏感な体が与える快感にそれも出来ず、再び唇を深く重ね、相手を求めて貪り合った。
…結局、木村が寮に戻ったのは翌日の朝だったとさ。
おしまい。
194 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/09 22:56:47 ID:hF/F6Dpk
蛇足。
「……何だこれはーっ!」
数日後。
弥生の通う柔道の道場に、パンツ一丁にされた、強姦未遂犯(勿論奥寺も含む)達の写真が送り付けられた。
勿論、彼らは忍と玲穂(カメラマン。弥生の著作のおまけ栞『著者幻影』の元絵撮影担当。)の手により公園で晒し者になったのは言うまでもない。
因みに、パンツを残したのは忍曰く「武士の情け」だそうである…。
195 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/09 23:05:33 ID:hF/F6Dpk
蛇足その弐
「…ところで、お前の彼女って空手はどこ通ってるんだ?」
「神武館だよ。大原、お前女子部担当したことあるだろうが。わかんないか?」
大原、しばし黙考。
「……あ!もしかして、お前の彼女って蕗錦?防具してるから顔良くわからなくて……って!」
木村、ダッシュで逃走。追う大原。
「門下生に手出すな馬鹿野郎〜!」
「個人の自由だ、口出すなぁ〜〜!」
チャンチャン。
196 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/09 23:24:05 ID:hF/F6Dpk
妖し桜、完結いたしました。皆様のコメント、有り難かったです!
私のSSですが、カップリングは勿論固定でございます。ですので、木村さんの話では、皆様にご好評頂いた京女こと蕗錦弥生も登場いたします。
ところで、質問ですが、飛田さんの話と増畑さんの話、どっち読みたいですか?ネタが浮かんでるんですが、どっち先に書こうか迷いまして…。
え?飛田×増畑? ('A`)
おつかれさま〜
オリキャラ設定細かいスね
198 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/10 00:35:45 ID:pu5oUk1V
>>197さん
そんなこゆいもの書けませんって(笑)増畑×東京在住幼なじみか、飛田×まだキス止まりの年下彼女のどちらかってことです。
是非、うちの飛田で!
しかもうちの飛田に限ってチス止まりなどとは考えられん!
うちの飛田は凄いんだ、年下だろうが幼女だろうが人妻だろうが
あんなことやこんなことやもっと凄っ…ガッ!
秘書「す、すみません、多大なる御迷惑お掛けした事をお詫び致します。
飛田と聞くと見境がなくなるんで・・・
キー様も気にせず創作をお続け下さい。
さ、帰りましょう、社長」
201 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/10 17:35:38 ID:pu5oUk1V
>>199さん(と秘書さん)
GJ!…いえ、気になさらずに。
次のは、これから今日明日様子見て、リクエストの多かった方を書くつもりですんで、まだどうなるかはわかりません。
…ですが、このままだと飛田さんの話になりそうです。
>>200 もしかしてラ○ガーさん?
正しくはあの人、会長だけど。
ライガーだったら羽山とセットだよ
飛田君とこの団体の社長・・・って社長=飛田じゃなかったっけ?('A`)
204 :
202:04/11/11 02:40:13 ID:1TEblPtb
>>203 いや漫画板で頻繁に出没されてたライガー社長(正しくは会長)&秘書ネタにノリが似ていたもんで。
もしくは飛田が真日在籍時の社長だったり。
(修羅には猪木モチーフのキャラはいないんだよな)
205 :
159:04/11/12 00:25:47 ID:2iPrE+uI
続きを持ってきました。
天兵のイメージが崩れたらごめんなさい。
日が昇り、彼女は医者を呼びに行き
天兵と西郷を診てもらった。
医者は「命に別状は無い」と言い
「こんな状態で命に別状がない患者は初めてだ」と
少々不気味がって帰っていった。
三日目には西郷も目を覚まし、彼女に一礼をしたのち
足を引きずりつつも自力で歩いて出て行った。
天兵は怪我なんかしていないかのように動き回っているし
もしかしてこの方たちは、本当に人ではないのかも…と彼女は思った。
夜も更け、彼女はそっと風呂から上がり
洗い髪を手ぬぐいでぽんぽんと叩き、乾かしていた。
涼しげな水色の浴衣に、腰まである長い髪が影を落とす。
「…ふぅ…」
ここ数日間で、いろんな事があった。
そして、それはすべて終わってしまったのだなと思った。
ふと、戸棚の上に置きっぱなしになっている、天兵の刀に目が止まった。
そっと手に取ってみると、ずしりと重みを感じる。
詳しくは知らないが、彼の一族の名を継いだ者だけが
この刀を持つ事が出来て、それが千年だかたいそう長い間続いているとの事。
あまりにも壮大な話に、正直彼女はピンと来ていなかった。
ただ、この刀を…「陸奥」と言う名を継ぐという事の重みや責任は
彼女にも感じる事が出来た。
負けが許されない人生というのは、どんな物だろうか。
いつも一歩ひいてしまう自分には一生分かるまいと思いつつ
それはとてつもなく恐ろしい事だと感じていた。
力を入れ少しだけ抜いてみると、白刃が輝き彼女の顔を映し出す。
刃こぼれ一つ無く、刀の事は良く分からない彼女にもこれは業物だと感じられた。
じっと見ていると、なにやら薄ら寒い感覚に囚われ、いそいで刀を納めた。
「なんか面白いものでも映ってたか?」
背後から声を掛けられ、彼女は飛び上がらんばかりに驚いた。
天兵は先に風呂に入って、部屋に戻っていたので
もう寝ているとばかり思っていたのだった。
「おもちゃじゃないからな…うかつに触ると危ないぞ」
「ご、ごめんなさい…。大切な物を勝手に…」
いたずらを咎められた子供のように恐縮して、刀を手渡した。
刀を受け取った天兵が、その場にどっかり座り込んだので
彼女もちょっと離れて正座をした。
彼女が動くたびに、長い黒髪がふわりと揺れる。
「あのぅ…その刀…」
「ん?」
「その…陸奥一族は無手で無敗を誇って来られたのですよね…
それなのになぜ、刀を伝えていらっしゃるのでしょう…?」
あえて目指す物と異なる物を身に付け、己への戒めとしたのだろうか?
彼女は真剣に考えて、そう質問してみたのだが
天兵から返った答えは「包丁がわりだったんじゃないか?」だった。
その答えにくすくす笑いながらも、彼女は
「でも廃刀令もありますし…持ち歩くのは大変ですね」と聞いた。
「そうだな、親父もそれでめんどくさい目に合ってた。
オレはめんどくさいのは嫌だから」
天兵は彼女の瞳を見つめた。
「だから…オレは里に帰るよ」
ずきんと胸が痛むのを感じた。
ついにこの時が来てしまった…と、彼女はうなだれた。
成すべき事を成した天兵に、もうここにいる理由など何も無い。
それにきっとお里には、彼を待つ女性もいる事だろう。
最後まで泣いていては、彼の門出に水を差す。
そう思い、彼女は必死で涙をこらえて、微笑んで見せた。
「…そ、そうですね…あの…じゃぁ…おにぎりとか作りますね。
長旅になりそうですし…あ…他にも何か、必要な物はありますか…?」
天兵は、自分にそう問い掛ける彼女をしばらく見つめて
そっと彼女の手をとり、優しく両手で包みこんだ。
天兵の大きな手に自分の手を包まれて、彼女はきょとんとしていた。
「必要なのものは…これだな」
「え…っ。わ、私の手を引っこ抜いていくおつもりですか?!」
天兵の肩ががくりと下がる。
「…お前…」
「え、だって…そんな…」
「必要な者はお前だ。手だけじゃないぞ…その、オレと一緒に…来てくれないか?」
半ばやけ気味に、天兵は言い切った。
いつもの余裕はみられず、顔が赤く目も逸らし気味だ。
「え…?え…?でも…あの…」
彼女は目を丸くして、信じられないと言いたげに首を振った。
「天兵さんは…今まで、私なんかに興味ないのだとばかり…」
「…家訓があるんだ」
「か…家訓、ですか?」
苦々しげに、天兵は言った。
「『殺気と色欲は極力抑えるべし』ってな・・・。」
それは『一人前にもなってない奴が女子に手を出すなど千年早いわ』という血の掟。
ご先祖様は、己の血がどのような物か良く分かっていたようだ。
あの日、なんの気なしに立ち寄った拳闘と柔術の見世物。
一目で実力差を見破った天兵は、もうそこに用は無い筈だった。
だが、舞台袖で父の戦う姿を真摯に見つめる、一人の娘に釘付けられた。
体も精神も鍛え上げられているとはいえ、天兵は十八歳。
隙だらけな彼女の、他意の無い煽りに何度もぐらつきそうになっていた。
『身近に強敵がいたものだ…』と思いつつ、表面上は余裕を装う。
そんな涙ぐましい努力を彼女は知らずにいた。
一方、彼女の頭の中には
『家訓って他にどんなのがあるんだろう、誰がどんな顔して作ったのだろう』
などと、どうでもいい考えが渦巻いていた。
「…で?」
「えっ、…あ!」
天兵の言葉で一気に正気に返る。
「…あの、あの…本当に、私なんかで…よろしいのですか?」
こわごわ天兵に尋ねれば、しっかりと頷き
「お前がいいんだ」と返ってきた。
天兵の顔は『もうこんな恥ずかしい事は二度と言わん』と語っている。
ボロボロっと、彼女の瞳から大粒の涙があふれた。
嬉しいやら恥ずかしいやらで、嗚咽が止まらない。
こんな形で、誓いが果たせるとは夢にも思っていなかった。
「…っきますっ…!ついて行きます…お傍にいさせて…下さい!」
そのまま天兵の胸に体を預けると、しっかりと両腕で抱きしめられ
彼女は幸福感でいっぱいになりながら、涙を流しつづけた。
しばらくそうしていると、彼女もだいぶ落ち着いてきたのか
浴衣の袖でしきりに顔をぬぐっている。
天兵は彼女の頭を撫で、濡れた頬に触り
そのまま顎にそっと手を掛け、顔を上げさせた。
『あ、こんな顔が近くに…』と彼女が思った時にはもう、くちづけられていた。
最初は軽く、互いの唇の柔らかさを楽しむように
優しく触れ合っているだけだったが
天兵の舌が彼女の唇をそっと舐めると、彼女の体がビクンと跳ねた。
彼女の頭を右手で撫で、もう一方の手は背中を抱きしめると
薄い浴衣越しに、柔らかな胸が押し付けられる感覚が伝わってきた。
背中に立ち上るゾクゾクとした快感と、うまく息の出来ない苦しさで
彼女の唇は自然に開いていった。
そこに、天兵の舌が遠慮なしに進入する。
くちゅっくちゅ…ぬちゅ…
天兵の舌が彼女の口内を蹂躙する音が響いた。
「んふぅ…んんぅ…っんー…!」
堪らず、彼女は逃れようと両腕に力を入れ、押し戻そうとするも
天兵の体はびくともせず、よりいっそう強く抱きしめられてしまった。
彼女の腰から下はがくがくと震え、力が入らなくなってきた頃
天兵はようやく唇を離し、彼女は荒く息をついた。
二人の唇の間に、てろりと唾液の糸が引いた。
「は…はぁ…っはぁ……て、天兵さん…」
恥ずかしさと息苦しさで顔を赤く染め、彼女は天兵の胸元にしがみついた。
背中に両腕がまわされたのを感じ、抱きしめてくれるのかしらと思っていると
ぐっと体を押し付けられ、気付けば床に仰向けで寝転んでいた。
体の上に天兵の重みを感じ身をよじると、浴衣の衿がはだけ、鎖骨がのぞいた。
彼女は顔を赤くして浴衣の乱れを直そうとしたが
天兵はそれより早く、細く白い首すじを舐めあげた。
「ひゃんっ…!」
ちゅうっと音を立てて吸うと、赤く跡が残る。
少し顔を上げて、耳にふーっと息を吹きかけると
彼女はくすぐったそうに身を縮め
そのまま、耳たぶに軽く歯を立ててやれば、ぴくんと体を揺らした。
自分のする事にいちいち反応してくる彼女の身体に、天兵は悦んでいた。
天兵の緩やかな責めに何も考えられず、されるままになっていた彼女だったが
彼の手が、浴衣の胸元に差し込まれようとした時、はたと正気に戻ってしまった。
「だっ、駄目ですよ天兵さんっ!!」
「…なんなんだよ、急に…」
興をそがれて少々むっとした天兵は、彼女を組み敷いたまま聞いた。
「お怪我がまだ治ってませんのに…こ、こんな事…いけません…」
頬を染めて、目をそらし、か細い声で言う。
とりあえず、自分との行為が嫌だとか
そういう理由ではない事に安堵した天兵は、少々意地の悪い事を考えた。
「こんな事ってどんな事だ?」
「…え?あの…」
「何がどうしていけないんだ?説明してくれんと分からんよなぁ」
『こ…こんな事って言ったら…こんな事なんだけど…え?』
天兵の顔を見れば、大変楽しそうな顔で見つめてくる。
どうやら天兵は、その行為について
自分の口から説明させたがってるのだと気付き
彼女は頭のてっぺんから胸元までカアッと熱くなるのを感じた。
「しっ知りませんっ!ご自分で考えてください!!」
両手で顔を覆って、そっぽを向いてしまう。
そんな彼女の耳元に、天兵は顔を近づけ
「なんだ…説明できないくせに、いけない事だと分かるのか?
じゃ、気にせず続けていいんだよな…?」と囁く。
「そ、それは!…その…」
天兵の体は心配だが、男女の営みについてなど…
そんな恥ずかしい事は口が裂けても言えない。
必死で葛藤する様子が可愛くて、そのままじっと見つめていると
彼女の瞳にじんわりと涙が浮かんでくるのが見え
思わず頭を掻きつつ『…やりすぎた』と反省する事になった。
「すまん、もう聞かないから泣くな…。それに」
目に涙を浮かべたまま、彼女が小首を傾ける。
「陸奥は傷の治りが早い。だから安心しろ」
…冷静に考えれば、あまり解決になってない言葉なのだが
彼女は何となく納得して頷いてしまう。
「その…分かりました…。あの、でも…ここじゃちょっと…」
もじもじと身をよじり、天兵の腕から逃れようとしながら願うのだった。
天兵はさっさと起き上がり、ひょいと彼女を姫君抱きにして持ち上げた。
重みが無いかのように、自分を持ち上げた彼に改めて感嘆するも
もう逃れようがない事を実感し、彼女の体は少しだけ震えた。
恐怖心はとても強かったが、それと同じくらい
体の奥底から沸いてくる衝動のようなものを、彼女は感じていた。
天兵は彼女を抱きかかえたまま、自分の布団の上にあぐらをかいた。
彼女の体をずらし、あぐらの上に腰をおろした状態で座らせる。
背中に天兵の厚い胸板を感じながら
『この格好なら、間近で顔を見られずに済むからいいかも…』などと
思っていると、耳の後ろにくちづけられて、ビクンと体が跳ねてしまう。
敏感な首筋に舌での愛撫を施しつつ、天兵の手が浴衣の衿を引き
するりと脱がしてしまっても、彼女は抵抗しなかった。
天兵の両手が、彼女の柔らかな膨らみに触れ
下から持ち上げるように揉みしだきはじめた。
彼女の胸は、彼の大きな手にすっぽり収まってしまう程度の大きさだが
しっとりとして張りがあり、力を加えればそのように形を変えた。
自分の手が埋もれてしまうような感触に、力が入り過ぎないように慎重にしつつも
頭の芯がピリピリと麻痺してくるのを天兵は感じていた。
天兵の大きく暖かい手が、自分の胸を鷲掴む快感に
ぴくぴくと体を跳ねさせながらも
口元に手をあて、必死で声を抑えていた彼女だったが
硬く立ち上がっていた桃色の突起をつままれ
「ああんっ!」と声をあげてしまった。
初めて聞く自身の『女の声』に狼狽し、またきつく口を閉ざす。
「こら…声出すの我慢すんなよ」
「だ…って…あっ…は、はしたない…です…っ」
乳首をクニクニと弄られ、あふれ出そうになる声を両手で押さえ
彼女は首を左右に振った。
仕方ねぇなぁ…と、口元を覆っている両手を掴み、彼女の背中にまわした。
それを天兵は自分の両腕で挟み込み、そのまま胸を弄り始めた。
「てっ、天兵さんっ!?やっ…は、離してぇ…!」
驚く彼女に構わず、天兵は二つの膨らみを掴みあげる。
彼女の力では、彼の拘束を解くことなど出来る筈もない。
「ふぅっ…んっ…!んん…」
鼻から抜けるような声が漏れ、強く瞑った瞳から涙がこぼれた。
「変な所で強情なんだな…」
天兵が苦笑しつつ言う。
「恥ずかしがるなよ、オレしか聞いてないんだから…。
お前の声って可愛いからさ、聞かせて欲しいんだ」
「…う…」
可愛いと言われてときめいてしまった。
我ながらなんと単純なのだろう…と思いつつ
ちょっと振り向いて天兵の顔を見てみると、ニィと笑いかけられた。
観念してこくりと頷くと、天兵の腕から開放された。
さっきからなんだか意地悪な事をされてる…と、ぼんやり思ったが
天兵の事を嫌う気持ちは湧いてこない。
それどころか、体をぞわぞわと這う快感に
自分の体は何かおかしいのではないかと、少々不安になった。
天兵は彼女の体を横抱きにし、胸元にくちづけた。
「きゃっ」と小さな悲鳴を聞いたが、構わずに
彼女の乳首に舌を這わせ、もう片方の胸を揉みしだく。
ちゅぱ、ぴちゃっと音を立てながら吸い付き、舌先で転がし
軽く歯を立て、彼女の柔肌を堪能すれば
「はっ…あう…ああ…んっ」と、震える声が返ってきた。
胸を舐めながら、右手を彼女の太ももに添え、すす…っと撫で上げる。
そのまま、浴衣の内側に手を差し入れてみた。
少し汗ばんできた肌は、どこもすべすべしており、柔らかく暖かい。
就寝前だったので、彼女は浴衣以外なにも身につけていなかった。
下半身をまさぐられる感覚に、思わず身をくねらせていた彼女は
天兵が自分の腰から下に残る浴衣をまくり上げようとするのを感じ
とっさに押さえつけようとしたが…それは止めた。
どうせ抵抗した所で彼には通用しない。
恥ずかしがっていても仕方ないのかも…と、呆ける頭で思い始めていた。
天兵に裾を思い切り引っ張られ、水色の浴衣は
腰に残る帯以外、もはや着物として機能していなかった。
細くなだらかな曲線を作る腰に、むっちりとした太もも
日に当たる事がほとんどない秘所は透き通るように白く
柔らかそうな陰毛は辛うじて生えているといった様子で
彼女の大切な場所を隠すには、あまり役立っていないように見えた。
覚悟をしたとはいえ、やはり恥ずかしい。
何かにすがりつきたくて、とっさに天兵の首に両腕を絡ませた。
「前に見た時より綺麗になったな…」
耳元で囁かれる、熱のこもった言葉に
彼女は驚き少しだけ顔をあげた。
「…そ…そんな事は…無いかと…」
「いや、本当に…そう思うぜ」
彼の言葉が彼女の身体にじんわりと響いた。
…そう…なんだ、私…綺麗になったんだ……それなら…
もっといっぱい…みられちゃっても…だいじょうぶ…かな…。
首にしがみつく彼女を左手で支え、唇を奪い互いの唾液を啜る。
右手で体を撫で回せば、はぁはぁと息を荒げる彼女につられて
堪らない気持ちになり、天兵はそのまま彼女の秘裂に指を割り入れた。
くちゅり…
天兵の指を濡らす感覚があった。
ねっとりと、秘所を伝う愛液。
そこは熱くぬかるみ、やわやわとした感触に彼の身体が熱くなる。
清純な身体の奥に、こんな淫らなものが隠れていたのかと
思わず唾を飲み込んだ。
その液体を指に絡めながら、優しく滑らせれば
ぬちゃっぴちゃっと水音があがり
その度、彼女は身体を引きつらせ、嬌声を上げた。
「はぁんっ!あっ…ああ…ひゃあぁん!!」
柔らかなヒダをすり上げ、小さく硬い隆起物に軽く触れると
がくがくと身体を震え上げて、ますますきつく首にすがり付いてくる。
彼の怪我は完治しているわけではない。
あの戦いで首を強く絞められ、その痕はまだ残っており
彼女がしがみつけばズキンと痛んだが
理性を保つにはちょうど良いかも知れないと、天兵は思った。
天兵は指に力を入れ、少しだけ奥に潜り込ませようとしたが
きつく拒まれる感覚と、彼女の「いたっ」という声に動きを止めた。
自分のごつくて太い指が、彼女を傷つけたのかとヒヤリとした。
動きを止めた天兵に、彼女も焦っていた。
たしかに、今まで自分でもあんな所に触った事などなく
まったく慣れていない訳だから…痛みはするだろう。
しかしあの程度の痛みにも耐えられないなんて
自分はなんて子供なのかと、情けない気持ちになった。
痛いのは怖いが、それ以上に、そこに添えられたままの天兵の指から
じんじんと伝わってくる快感に、彼女は悶えた。
『やめないで下さい…もっと…して…』
心の中で哀願するも、声には出せなかった。
濡れた目で天兵を見つめるも、指は引き抜かれてしまった。
落胆しうつむきかけると、彼が少し身を引いて
自分を布団に横たわらせようとしているのが分かった。
長く艶やかな黒髪が布団に広がり、彼女の白い肌を際立たせる。
先ほどまで腕の中にあった天兵のぬくもりが失われて
寂しい気持ちになった彼女は、目を瞑り両手で自身を抱きしめた。
そうしていると、いきなり脚を掴まれ大きく開かれて
驚いた彼女は上半身を起き上がらせた。
天兵が脚の間に割り込み、秘所を指で開いてしげしげと眺めていた。
彼女の中は桃色で、愛液によりてらてらと濡れそぼり
密かにひくついて彼を誘っているようだった。
皮に包まれた肉芽はぷっくりとたちあがっている。
「なっ…あっ、あのっ…」
あまりの事に頭の中が白くなりつつ、彼女は無意識に後ずさろうとしたが
天兵の腕にしっかり押さえつけられ、動く事も脚を閉じることも出来なかった。
『みら、見られてる…あんな近くで…ぜっ、全部…!!』
彼の視姦に、泣き出しそうなくらい恥ずかしがっていても
彼女の身体は勝手に反応してまた蜜を溢れさせてしまう。
それを見た天兵に「お前…やらしいな」と言われ
羞恥が彼女の全身を染め上げた。
両手で顔を覆い、いやいやと首を左右に振る。
そんな彼女の秘所に、天兵は口をつけた。
熱くぬるりとした物が這いずる衝撃に彼女は息を飲み
身体を硬直させた。
大きく舐め上げても、蜜は溢れつづける。
それをわざと大きな音をたてて吸い、飲み込んだ。
花芯に舌を這わせ、尖らせつついてみたり、押し付けたりして刺激する。
肉芽を舌先でちろちろと舐めつつ、ゆっくりと膣内に指を差し込んだ。
やはり強い締め付けはあっても、先ほどよりは容易に進み
壁をこすれば指先にざらっとした感触が伝わった。
「ああっあっ!あっ、やだ、いやあ!あああっ!!」
彼女は下半身から競り上がって来る快感に抗えず腰をくねらす。
否定の言葉を上げつつも、腰は自然に浮き
天兵の顔に秘所を押し付けるかのようになっていた。
次第に切羽詰ってくる彼女の声に、天兵は動きを激しくし
強く肉芽を吸い上げた。
「…っ!あっ…あっあああああああーーっ!!」
彼女は身体をのけぞらせ、激しく全身を痙攣させ、達した。
しばらく激しく息をつき、ひくひくと身体を揺らし、脱力していた。
股の間から、天兵の唾液と自分の愛液が混じりあった物が垂れ落ちるのを感じる。
悦楽のような恐怖のような、こんな思いをするのは生まれて初めてで
彼女は両手で顔を覆い、また涙を流した。
天兵はそんな様子の彼女を抱き寄せて、優しく頭を撫でた。
子猫のように縋り付いて、ほお擦りしてくる彼女に
「今日はこれくらいにしとこうな」と伝えた。
その言葉に驚き、彼女は目を丸くして天兵の顔を見つめた。
未発達な彼女の身体に対し、己の身体は凶暴すぎる。
下半身は痛いくらい立ち上がっているが、我慢は慣れている。
これから少しづつ慣れていってもらえばいい…と、天兵は判断したのだった。
だが、彼女はもじもじと身体を揺らしつつ、しばらく考えた後
思い切って「私も…天兵さんに同じことしても良いでしょうか!?」と
彼の顔をまっすぐ見つめながら言った。
223 :
159:04/11/12 00:44:03 ID:2iPrE+uI
今回はここまでです。
つづきます〜。
224 :
sage:04/11/12 01:28:00 ID:XLMB4rer
(゚∀゚)b グッジョブ!!
下げ場所まちがえた・・・
ほうほう
エロいエロすぎる(*´Д`)ハァハァ GJ!
みなさんGJ!!
229 :
159:04/11/15 21:10:54 ID:KJk1fwDW
ええ仕事といわれて嬉し恥ずかしな159です(*´Д`)ありがd
続きを貼ります
「…無理しなくてもいいんだぞ」
気遣わしげに言う天兵に、彼女は首を振り
「してみたいんです。…は、初めてなので
うまく出来なかったら申し訳ないのですが…」と返した。
それを聞き、天兵は軽く頷いたのだった。
浴衣も帯も取っ払われ、全裸の自分に対し
彼はまだ、すべての着物を身につけたまま。
そんな状態も恥ずかしいので、彼女は天兵の着物に手をかけた。
刀を挿すための白い腰紐を引きながら、彼女は考えていた。
あれはまだ天兵と暮らし始めて間もない頃。
桶を持ち、井戸に水を汲みに行くと
その前でなにやら話に花を咲かせている、近所の奥様連中に捕まった。
彼女らが話題にあげていたのは天兵の事。
整った容姿と逞しい身体を持つ彼に、奥様方は興味しんしんだった。
「で、どこまでいったのよ?」
「は?」
…どこまでとは、どこだろう。
キョトンとする彼女に、奥様方は大笑いした。
はっきり事を訊ねられ、「私達はそんなんじゃありませんっ!」と
顔を真っ赤にし、大慌てで否定したのでまた笑われる。
そこでいきなり、人生の先輩である奥様方による
『男の悦ばせ方講座』が始まってしまったのだった。
彼女は貧血を起こしそうになりつつも、最後まで聞いてしまった。
よろよろと家に帰ると、ばったり天兵に出くわして
まともに顔が見られずオロオロしていると
「お前、水汲みに行ったんじゃなかったか?」と尋ねられた。
彼女の頭の中はいっぱいいっぱいだったが
桶の中身は空っぽだった。
あの時習った事を、必死で思い出す。
困った奥様方だが、今は心から感謝していた。
袴の紐を緩め、彼女は少し躊躇した後
えいやっと思い切って脱がしてしまった。
一文字に締められた帯を解くと、天兵の白い着物がはだけた。
そこには、先の戦いで受けた傷に巻かれた包帯。
そしてよくよく見てみれば、体のあちこちに無数の古傷があり
彼女の目はそれに釘付けになった。
動きを止めた彼女に、天兵は少し顔を曇らせた。
包帯を替えるのを手伝いたいという彼女に、やんわりと断りを入れ
彼は自分一人で行っていた。
生々しい傷跡に、彼女が怯えるのではないかと心配していたのだ。
だが彼女は怯えてはいなかった。
陸奥の業は、血と鍛錬により磨かれる。
幼い頃の彼が、もっと強くなりたいと願い
歯を食いしばって耐えている姿が見えるようで
彼女の目頭は熱くなっていた。
「この傷ひとつひとつが、今のあなたを造ったのですね…」
愛しげにつぶやいて、古傷をそっと撫でた。
瞳を潤ませて微笑む彼女に、天兵も微笑み返した。
『今までいっぱい痛い思いをなさってきたのだから…
私は少しでも気持ちよくしてさしあげたい!』
彼女は完全に腹をくくった。
最後の一枚を、手に汗かきながら外すと
天兵のものが起ちあがっているのを目の当たりにした。
それは大きく反り返り、先走りで濡れている。
…腹はくくったが、さすがにたじろぐ。
体の大きな天兵に対し、それはまったく見劣りしていなかったからだ。
『…ええと…これって…もしかしてすごーくすごいんじゃ…?』
比較する物を今まで見たことはないが、それでもそう感じられ
彼女はしばらく、それを見たまま固まってしまった。
「…やっぱやめとくか?」
天兵は苦笑いしながら、固まる彼女に声をかけた。
彼女はハッとし「だっ…だいじょーぶですっ!
しんぱいしないでください!!」と顔を真っ赤にしながら言うので
ちっとも大丈夫そうに見えないと思いつつ、好きにさせる事にした。
彼女は軽く息を吐き、冷静さを取り戻す。
再度、彼のものに目を向ければ、先は濡れていても他は乾いて見えた。
『…乾いたのを無理やり触れば、痛いのは男も女も同じ、と聞いたわ…
それなら…やっぱり…』
あぐらをかいている天兵の股間に、軽く寝転んだような格好で顔を近づけ
彼女は彼の男根にそっと口をつけた。
柔らかな唇が押し付けられる感触に、天兵はピクリと肩を揺らした。
下から上へ、すくい上げるように何度も舌を這わせ
彼の昂ぶりにまんべんなく唾液を馴染ませていく。
『不思議な…感触…』
今まで舌でこんな感覚を味わった事などないが、不快ではなかった。
奇妙な昂揚感を感じ、ますます舌先に神経を集中させた。
ちゅっちゅっと音をたてて吸い付いたり
カリ首に舌を掛けるように舐め上げたりしていると
天兵の食いしばった口元から、低い唸りが漏れた。
技法はつたないが、妙にツボを心得ている。
誰だコイツに変な事を吹き込んだのは!と頭によぎったが
その考えも、彼女からの悦楽により脳裏から押し流された。
彼女は思い切って、昂ぶりを咥えこんだ。
ぐぐっ…とより深く咥え込もうとするも
異物感に咳込みそうになり、涙目で断念した。
『やっぱり全部口に入れるのは無理みたい…』
軽く悔しさを感じ、その代わりとばかりに
敏感な裏筋に舌を押し当て、激しく頭を上下させた。
じゅぷじゅぷと音がたち、彼女の口端から唾液が垂れ落ちた。
「うっ…く…」
頭上から天兵の声が聞こえる。
昂ぶりを咥えたまま、上目遣いで見てみれば
荒く息を吐き、目を瞑り眉根を寄せている彼の顔が見えた。
『…天兵さん…感じて…いらっしゃる…の?』
そう思うと、彼女はへそのあたりがきゅうっと
締め付けられるのを感じ、びくんと身体を震わせた。
大好きな天兵を、自分が悦ばせている。
そう思うと、彼女の身体は素直に『自分も嬉しい』と反応してみせた。
鈴口に舌を差し込みつつ、ぬるついた竿に手をそっと添え
少しづつ力をいれてしごき、もう一方の手は陰嚢を刺激する。
詰め込まれた知識を惜しげもなく披露しつつも、彼女は
この程度じゃ足りないのでは無いのかと思い始めていた。
彼の我慢強さを思うと、自分の口も手も小さすぎると感じられた。
『私…天兵さんにもっと感じて欲しいです…』
彼女は上半身を押し出して、張りのある乳房を天兵の男根に押し付け
それを両手ではさみこみ、さらに亀頭を強く舐め上げた。
突然のことで、天兵は思わず「うおっ!?」と声を上げてしまった。
唾液で濡れた天兵の昂ぶりを、体を振るってすり上げれば
ぬちゃっぐちゅっと卑猥な音が部屋に響く。
その音と、口内の彼の猛り…さらに胸への摩擦感で
彼女自身なんともいえない感覚を味わっていた。
『んぅ…おっぱいも…もっと大きければ…ああっ…んっ…良かった…のに…!』
自らの未熟さを嘆きつつ、身体を震わす彼女に対し
天兵は抗いきれない快楽を感じていた。
ぷにぷにと柔らかく暖かい乳房に埋め込まれる感覚や
熱く湿った舌の感覚も堪らないものだったが
何より、うぶで恥ずかしがり屋の彼女が
長い髪を振り乱し、自分に奉仕している姿を目の当たりにし
彼はもう、自身を押さえる事が出来なかった。
「く…っう、ああっ!!」
「!!」
びしゃっ!と、激しい音をたてて
白濁液が彼女の顔と黒髪にぶちまかれた。
「…っはぁ…はぁ……す、すまん…」
とんだ失態だと、天兵は反省していた。
まだ持たせられる自信はあったし、出す時には顔を離させるつもりだった。
かけるにしたって、せめて胸とか…そう思っていたのに。
結局のところ、すべて予想外で終わってしまった。
人体のどこを殴ればより痛いか、その延長でどこが心地良いかも知っている。
しかしそっちに関しては、彼女と同じく知識の上だけ。
なんだかんだ言って、お互い初心者同士なのだった。
『精神鍛錬を一からやり直しだな…』
そんな事を思いつつ、天兵は部屋に置かれていた
懐紙を取って、そっと彼女の顔を拭った。
ねっとりとした液体が取り去られるのを
上気した顔でぼんやりと待っていた彼女だったが
一瞬、辛そうな顔を見せて、うつむいてしまった。
「…ごめんな、嫌だったよな…」
天兵が申し訳無さそうに言うと
彼女は驚いて首を左右に振るった。
「ちが…違うんです…私……わたしっ…」
彼女は正座の状態から、軽く身体を反らすと
脚の間を天兵に見せつけた。
そこはまた、新たな蜜でじっとりと濡れており
彼の目は釘付けになった。
彼の視線を感じ、かたかたと震える脚と早まる呼吸を押さえながら
彼女はそっと、へそのあたりを手で触れた。
「ここが…この中が、う、うずうずして…変なんです。
私の身体って、やっぱり何かおかしいんですか…?」
紅潮した顔を歪ませて、瞳には涙を浮かべていた。
「…おかしいとこなんて…ねぇよ」
息を詰まらせながら、天兵はそれだけ言った。
…堂々巡りだ…
一方の身体を癒せば、一方の身体に火がついてしまう。
となれば…もう…。
「っは…っ!」
突然力強く抱きしめられて、彼女は一瞬息が詰まった。
そうしている内に布団に押し倒され、天兵と間近で見詰め合った。
「…きっと、ものすごく痛い思いをさせると思う。
優しくもしてやれないかもしれない。…それでも、いいか?」
熱っぽく問い掛けてくる天兵に、彼女は頷いて見せた。
「はい…天兵さん……私を…抱いてください」
239 :
159:04/11/15 21:21:51 ID:KJk1fwDW
つづきます
こんなとこで切ってすんません。
159さん、素晴らしき仕事乙!
早く田中娘の疼きを取ってやって下さい!
滾るぜぇぇヽ(`Д´)ノウォー!!
涙が出るほどグッジョブ!!
続きが待ちきれないYO!
243 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/19 23:24:55 ID:UF8yC8oV
飛田さんの話、ラブシーン手前まで書けたんですが貼っていいですか?
159さんが一段落つくまで待った方がいいなら待ちますけど?
244 :
159:04/11/20 01:01:39 ID:HnbABr58
キーさんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
自分のはもう少しかかりますので、ぜひお願いします。
240さん、241さん、242さん
嬉しすぎるレスをありがとうございます!
次で終われるように頑張ります。
どっちも期待(ニ
だな。ニィ
>>キー ◆uVMM0Pi.Coさん
まだまだ続く余震の中、気を付けて飛田SS投下よろしくです。
それにしても携帯からあんな完璧な文章を・・・頑張って下さい!
>>159さん
田中娘可愛杉。続き期待します。
行っけーっ天兵、応援するぜェェ!
247 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/20 09:42:26 ID:1qlA5AhX
掌中の珠
飛田が初めに惚れ込んだのは、彼女の闘いだった。
場所は人気のない裏通り、状況は女一に対し男数人。しかも男は全員何かしら武器を持っていた。
たまたまその通りに入った飛田が、助けに入ろうと駆け寄ったのも無理のない状況だった。だが、その必要は皆無だった。
女は表情一つ変えず、突き出されたナイフを紙一重で避け、手刀と膝で手首を躊躇なくへし折る。もう片腕は肘で後ろの相手の鳩尾を強打する。
襲ってくる相手を紙一重で避け、無駄のない動きで確実に相手を仕留めていく。その動きはしなやかで、見事としか言い様のない闘いだった。
その見事さに、飛田が彼女の技の流儀を尋ねたのが二人の出会いである。
それからと言うもの、飛田はジムに彼女…橘梓を招いてはその技を研かせる為に仲間や自分と闘わせていた。
やがて、飛田の目は梓の技から梓自身へと移り、はっきりとした恋愛感情を抱くまでになっていった。
幸いなことに梓も飛田のことを想ってくれていたので、二人が恋仲になるまでにそう時間はかからなかった。ただ、問題はその後にあった。
248 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/20 09:43:53 ID:1qlA5AhX
梓は色恋に関してとても鈍感だったのだ。
イイ雰囲気に飛田が持ち込んでも、それに梓は気付かない。
初めて部屋に連れてきた時もキスまではしたが、押し倒す寸前でくーくー可愛い寝息を立て、その気だった飛田の出鼻を見事に挫いたのだ。
「まぁ、俺のことは好いてくれてるんだしなぁ…。」
団体の仲間との前では厳しく、ストイックな顔しかしない梓だが、飛田と二人きりの時には、幼く見えるあどけない笑みや、リラックスした表情を見せる。彼女のそんな姿は、飛田にとっては大事な宝物だ。
現に今も、飛田の背にもたれかかってうとうと居眠りをしている。
梓は、美女と言うよりはりりしいといった方がいい顔立ちで、その体は鍛え上げられたしなやかな筋肉で作り上げられている。
柔らかさが少々足りないその体が、梓を実年齢より一、二歳幼く見せていた。梓は二十歳を既に過ぎていたが、それ以前に飛田と梓の年齢差は片手では足りない。
梓の鈍さは経験のなさが原因だと悩みつつも、飛田は梓を愛しげに見つめるのだった。
249 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/20 09:45:35 ID:1qlA5AhX
「…へ?」
「だから、梓に昔男がいなかったかって聞いてるんだよ。」
数日後、飛田は梓の部屋を訪れていた。
梓は外出中で、居たのは同居人兼護衛兼親友という白木麗しかいなかったが、飛田にとっては好都合だった。
「男ですか…あたしの知る限りでは居ませんね。っつうか、居ません。」
「…その、根拠は?」
「あたしは小さい頃からずっと梓と一緒でしたし、護身術の訓練も一緒に受けてました。口説いてきた馬鹿は梓がのしてましたし、見合い相手は大抵ボコってましたから。」
「…おい、ってことは………。」
すらすらと言う麗に飛田は苦笑で顔を引きつらせた。飛田の頭の中である結論が弾き出される。
「梓って……………やっぱり処女?」
「だと思いますが。どっちにしろその確率は非常に高いですね。…なんなら、聞いてみますか?もうじき、帰ってくる頃だと思いますし。」
片手に泡立て器、片手にボウルを持ったまま振り返った麗は目線をドアに向ける。と、その時。
「ただいま。」
梓が絶妙のタイミングで帰ってきた。
「お帰り。…噂をすれば、影ね。」
「私の、噂?」
首を傾げて尋ねる梓に麗は、
「中身は飛田さんが教えてくれるって。だから、飛田さんのとこに行く準備しな。」
250 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/20 09:47:10 ID:1qlA5AhX
「うん!」
麗の言葉に梓は満面の笑みで頷くと、リビングから自室へと直行した。
「あそこまで嬉しそうに笑う…いえ、笑うこと自体、よその男の人の前じゃね、なかったんですよ。」
梓が部屋に入ったのを確認して麗が言う。
「……何か、友達っていうより保護者の言う台詞だな。確か、同い年だろ?」
「老けてるって言いたいんですか?…それよりも、梓が来たらちゃんと帰って下さいよ。ホテルとか行かないで……ね。」
笑顔ながら迫力を感じる念の押され方に飛田もさすがに少したじろぐ。
「わかってる。…梓の鈍さは十分承知してるから、…何とかやるよ。少しずつ……馴らして、教えてけば、いいんだろ?」
「ま、そんな感じで…お願いしますね。妙なトラウマ残ったりしたら、あたしも辛いですから。」
「…何の事?」
と、出かける支度を終えた梓がひょいと顔を出した。「「何でもない」よ。」
驚きつつも平然とした風に返事する二人。
「用意できたんだな。じゃ、行くか?」
立ち上がる飛田に梓は
「はい!」
と元気良く返事する。「明日明後日の飯当番みんなあたしがやるから、ゆっくりしてきな、梓。」
「え…いいの?」
戸惑う梓に麗は頷くと、
「いいの。だ・か・ら、さっさと行きなって。」
と言い、二人を送り出した。
251 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/20 09:51:04 ID:1qlA5AhX
と、今はここまでです。後は随時書け次第貼っていきますんで。
いいよいいよーGJ!!
続きが楽しみだー
皆さんGJ!
>不破眼魔学園(ぬる武者) さん
マイアの続きまってますよ〜
255 :
159:04/11/22 20:41:15 ID:MDvJHRc4
最後まで書けたので貼ります。
無駄に長いですよorz
天兵は、彼女の震える脚を掴んでゆっくりと開いた。
そこは綺麗な形で、まだ幼げに見えた、が
ねっとりと蜜を吐き、自分を誘い込もうとしている。
そのあまりの差に、彼は頭がぐらつくのを感じた。
秘所から目を離し、自分の下で横たわる彼女の顔を見た。
しっかりと目を瞑り、両手を強く握り締め
次の行動を健気に待っている。
『…なんでこんな頼りない身体で生きられるんだ…?』
どこもかしこも細く、柔らかい彼女の身体。
そして、そんな彼女の身体に、恐ろしく反応している自身の身体。
『なるべく…抑えられるといいんだがな…』
この時ばかりは、力に溢れたこの肉体に苛立ちを覚えた。
精を吐き出したばかりというのに、天兵の男根は
先ほどと変わらぬように立ち上がっている。
それを軽く握り、彼女の濡れそぼった秘所にあてがった。
すると、彼女の身体に力が入るのが感じられた。
「力を抜いておけよ…」
「ぁ…は、はい…」
そう返事をしたものの、彼女の身体は
力の抜き方が分からなくなってしまったかのように、固まっていた。
申し訳無さそうな彼女に「ゆっくり大きく呼吸しろ」と伝えると
彼女はそれを素直に実践した。
息を吸うたびに、丸みを帯びた白い胸が上下する。
しばらく彼女を見つめた後、天兵は自身の動きに集中した。
桃色のヒダを指で開き、昂ぶりをそこに擦り付ける。
ビクンと体を揺すり、反応した彼女は
それでも必死で呼吸を続けて力を抜こうとしていた。
そんな彼女に、彼は少し笑った。
ヒダに沿って上下に何度か動かし、鈴口を肉芽に軽く押し付けてやると
彼女の愛液が彼のものに絡み付いてきた。
天兵の昂ぶりと彼女の秘所が擦りあうたび、そこから水音がたつ。
彼女は熱い肉棒のなんともいえない感覚に悶絶し、新たな愛液を溢れ滴らせた。
「はー…っあっ…あふ…ふぅ…ぅ…」
声があふれ出て、うまく息ができない。
彼女が息を吐いた瞬間を見計らって、天兵は少し力を入れ
男根の先端を彼女の中へ押し込んだ。
「…ッ!!」
激痛が彼女を苛み、息を吸うのもままならず
見開かれた瞳から、大粒の涙がぼろぼろと零れ落ちた。
「…っく、い…っ…つ…ぅぅ…」
「ゆっくり…息を……するんだ…」
彼女を少しでも楽にしようと声をかける天兵だったが
実の所、彼にも余裕がある訳ではなかった。
入ったのはほんの先端。
それなのに、彼女の内部は熱くぬるつき
異物を排除しようというのか、激しく抵抗するように締め付けてきた。
彼女はひどく辛そうなので、動く事は出来ない。
先に行く事も、戻る事も出来ない。
それでも、昂ぶりの先端から伝わってくる彼女の内部は
堪らない物で、無理やりにも先に往きたい…!という思いを
天兵は必死に押し込めたのだった。
昂ぶりはそのままに、互いの上半身を密着させ
涙の流れ落ちる彼女の頬を優しく撫で、落ち着かせようとした。
すると、彼女は天兵の首に両腕を絡ませ、きゅっと抱きついた。
「ああ…そうやってしがみついていな…何だったら爪を立てても構わんぜ」
それを聞き、彼女は何度もこくこくと頷く。
二人はお互いのおでこをこつんと合わせ、見つめ合った。
そうしていると、彼女にも少しだけ余裕が出来たようだった。
「だいじょうぶ…ですから…続けてください…」
涙に濡れた瞳で、天兵を見つめて言った。
彼女の言葉に彼は頷き、下半身に力を入れた。
それにより、彼女の両腕にも力が入る。
少しづつ、少しづつ…昂ぶりが埋め込まれていく。
彼女は破瓜の痛みに耐えるため歯を食いしばり
天兵は絶え間なく襲ってくる快感に耐えるため、歯を食いしばった。
遅々として進まない行為に、二人は何時間もそうしているかのように感じていた。
「はぁっ…はぁっ…くうぅ…!」
ぽたり…ぽたりと、彼女の鮮血が身体を伝い落ち、布団を濡らした。
身体を真っ二つに引き裂かれるかのような痛みに、意識が朦朧とする。
なんとかそれを繋ぎとめるために、彼女は天兵をきつく抱きしめた。
腕の中に彼の体温を感じ、彼女は少しだけ力を抜く事が出来た。
こんなに恐ろしくて辛い行為を与えてくるのは、他でもない天兵なのだが
天兵相手だからこそ、耐えられるのだとも思った。
顔を伺えば、なにかにぐっと耐えているように見える。
彼も我慢しているんだ…そう思うと、彼女の中に
愛しい気持ちが溢れてきて、天兵の頭をそっと撫でたのだった。
彼女の細い指が自分の頭を撫でるのを感じ、天兵は動きを止め
しばらくされるままになった後、その手を優しく掴んだ。
そして少し体を起こし、彼女の手をそのまま己の昂ぶりに触れさせた。
「…あ」
硬く熱をもったそれは、ほとんどが彼女の中に収まっていた。
彼女は自分の心臓が、どくどくと高鳴る音を聞いた。
そろりと自らの秘所に触れれば、しっかりと天兵を咥え込んでいる。
「……ぁ…す、すごい…こんな…」
「ああ…こんなに、お前ん中に入ってる」
天兵の言葉に彼女は、一気に頭へ血が上るのを感じた。
反射的に目を強く瞑り、顔を逸らせば
目頭に溜まっていた涙がまたあふれ出た。
脳内には白い靄がかかっているようで、まともな思考ができない。
恥ずかしい…痛いし…怖い。
だけど何より、彼女は強く『嬉しい』と思った。
その気持ちが反映されたのか、彼女の膣内はきゅうっと締まった。
「う…!」
天兵は呆けそうになるのを、歯を食いしばって耐え忍んだ。
全身に、じっとりと汗が浮かぶ。
『こいつは…』
彼女は体内に、何か別の生き物を飼っているのではないかと、天兵は思った。
きつく締め付け、ざわざわとうねくり、奥へ奥へと引き込もうとする。
清純な外見で男を惑わし喰らう、そんな化物が脳裏に浮かぶ。
軽く頭を振り、馬鹿な考えだと自嘲した。
「…恐ろしいな」
ぼそりと呟いた天兵の言葉の意図が読めず
彼女は不思議そうな顔をしたのだった。
そうこうしている内に刻は進み、彼女は少し身をよじってみた。
『…少しは…慣れたかしら…』
まだまだ痛い事は痛いし、きつい事はきついのだが
それでも最初に比べれば、ずいぶん和らいでいるように感じた。
そしてなにより、先程から天兵の顔が辛そうで、気にかかっていた。
「…あの…少しづつ…動いていただければ…その」
彼女は目をそらしつつ、ごにょごにょと小さな声で訴えてみた。
言いながら、みるみる顔が紅潮していくのが分かった。
とんでもなく恥ずかしく、はしたない事を口にしていると言う自覚はある。
それでも自分が言わなければ、彼は気を使い、ずっとこのままだろうから。
痛いけど、辛いけど…それでも彼に気持ちよくなって欲しいから。
彼女は彼の瞳を見つめ、微笑みかけて、はっきりと言った。
「天兵さん…どうぞ、私を好きになさって…」
その一言だけで、天兵は達してしまいそうな程の衝撃を受けていた。
…やはりこの女は恐ろしい。
そして、心の底から愛しいと思った。
彼女の言に答えず、天兵はゆっくりと己のものを引き抜いて行った。
内壁に男根が引っかかる感覚に震えつつも、彼女は
『もしかして…私が変なこと言ったから抜いてしまわれるんじゃ…』と
うっすら不安を感じていた。
そんな彼女をよそに、天兵は膣内を擦りながら引き抜き
もうすぐ全部抜けてしまう…という所から、一気に突き入れた。
「ひっ!!」
不意打ちを食らった彼女は息を飲み、白い喉をのけぞらせた。
天兵はまた昂ぶりをぎりぎりまで引き抜き、今度は膣口をすりあげ
ゆっくりと、じらすように抜き差しした。
何度かそうした後、また一気に奥へと突き入れる。
それを彼は幾度となく繰り返した。
敏感な膣口への執拗な責めに、彼女の脚ががくがくと震えた。
早いとも遅いともいえない速度で
しばらく規律正しく動いていたかと思えば
内壁をぐるりとかき混ぜ、まんべんなく刺激を与える。
彼が動くたび、二人の秘所が擦れ合い水音がたち
彼女は悲鳴なのか嬌声なのか分からない声を上げた。
「ひぃんっ!!ああ…あっ!あうぅっ…や…ああっ!!」
膣内を蹂躙される衝撃に、彼女の頭は何も考えられず
天兵の首にしがみつく力も抜けて、両手は布団の上を滑っていた。
痛みの他に、じわじわと奥底から沸きあがってくる感覚があったが
それが何か良く分からず、彼女は涙を流し耐えるしかなかった。
ぐっと腰をつかまれ、身体が引っ張られたと思うと
あぐらをかいた天兵の上に、座っている状態にされていた。
自分の体重がかかり、自然に彼の男根が膣奥へと突き刺さる。
思わず彼の肩に手をかけ、腰を上げようとするも
突き出された乳房に吸い付かれ、まま成らなかった。
ささやかな抵抗を押さえつけるかのように
天兵は彼女の尻を掴み、揺さぶるように腰を打ち付け
胸を舐めまわし唾液で濡らした。
「あっ、あふっ…ああっ!!…ぁ…て、てんぺいさんっ…!」
全身を愛撫され、彼女は身を震わせ息を荒げた。
しばらくして、胸から口を離した天兵が顔を上げたので
震える手で涙を拭い、ずっと瞑っていた目をそっと開け
彼の顔を覗き込んで…どきりとした。
天兵の口端から血が流れ出ている。
あの戦いで傷つけた場所が、歯を食いしばりすぎたのか開いてしまったようだ。
だが彼はまったく気にしておらず、彼女の身体を貪り続けている。
流れる赤い筋に釘付けとなった彼女は、無意識のうちに
天兵の首に両手を回し、顔を寄せ、彼の血を舐め取っていた。
柔らかな舌を這わせ、そのまま深く口づける。
彼女からの激しい口づけに少し驚いた天兵だったが
すぐに唇を開き、舌を絡みつかせた。
二人の間に鉄の味が広がっていく。
それにより、彼女は背筋をぞくぞくと震えあがらせた。
…私の中に、愛しい男の血を啜って悦ぶ鬼が住んでいる…。
嬉しいのか、悲しいのか、区別のつかない涙が頬を伝い落ちていった。
激しい口付けを続けたまま、二人はまた褥に横たわった。
唇を離した天兵の息は乱れ、眉根を寄せている。
淫らな口付けに煽られ、限界が近いようだった。
天兵は下半身を彼女の身体に密着させた。
自身の恥骨が彼女の肉芽に当たるよう、細かな動きで刺激をする。
今までより直接的な感覚に、彼女の身体はびくんびくんと跳ね上がった。
彼女は天兵の首に強くしがみつき、肩に爪を立てていた。
二人の身体を、ぽたぽたと汗が伝い落ちていく。
「あっ…!あっああっ…ああんっ!…ぁ…」
彼女は自身の身体の変化に戸惑い、悶えた。
じんじんと熱くて、溶けてしまいそうな甘い感覚が襲ってくる。
とても気持ちよくて、おかしくなりそうで
この感覚に身を任せたいと思う本能と
そんな恐ろしい事は出来ないと、理性が争っていた。
「…なぁ、お前…」
耳元で天兵の声が聞こえた。
さっきから彼は黙り込んで事を進めていたので、彼女は少し驚いた。
荒く息を吐きながら彼のほうに顔を向けると、強い視線を感じて
『私、いま変な顔してる…あんまり見ないで欲しいな…』と思った。
「な…ん…でしょう…?」
「お前…名前は?」
彼女の心臓が、どくんと飛び上がった。
何でそんな事を、こんな時に聞こうというの、この人は…。
あ、人ではなく鬼…?と、彼女の頭の中はひどく混乱した。
「い…言いたく…ありません…」
それだけ言ってそっぽを向くと、天兵に顎をひかれて目線を合わされてしまった。
彼女が首を少しだけ振り、否定の形を取っても
涙がつっ…と流れ落ちても、聞き入れてはくれないようだった。
天兵の目を見ていると、息が詰まってくる。
どうしていいのか分からず、ただただ、許して欲しい…と、彼女は願うのだった。
ぐちゅっと音をたて、天兵は下半身を擦りつけた。
「ふあっ!ああ…!!」
「…言わないなら…今回はここまでだな…」
がくがくと震える身体を抑えていた彼女は、その言葉にぎょっとした。
彼女の身体は痛みもほとんど薄らぎ、代わりに生じた
脳が痺れるような甘い感覚に支配されていた。
膣内からは愛液が溢れ、脚は小刻みに揺れている。
『そ…んな…こんな状態で放置されたら…わ、私…どうしたら…』
おそるおそる天兵の顔を伺うと、ほんの少しだけ
焦燥感を滲ませながらも、口の端をあげて笑っていた。
彼だって、いま終わるのは辛いはず…だけど
やめると決めたら必ずやめてしまうだろうから…。
「…」
「ん?」
彼女はもう一度、自分の名前を天兵の耳元で呟いた。
震える小さな声で、一言づつ…無理やり搾り出すように。
まるで、彼の耳が穢れるのを畏れているかのようだった。
言い終えて、彼女は両手で顔を覆い、そこからくぐもった嗚咽が漏れた。
体を蝕む疼きにあっさりと陥落し、嫌で仕方ない事を言わされ
彼女はどうしようもなく恥ずかしく、惨めな気分になっていた。
「…や、です……こんな…変な名前っ…」
「変じゃない」
きっぱりと言い切った天兵を
彼女は泣き濡れた顔で、ゆっくりと見上げた。
「何も変じゃない。…可愛くて、お前に似合う名前だと思うぜ」
その言葉を聞いて、彼女の瞳は驚きで見開かれ、頬にぱぁっと朱がさした。
首を横に振り、戸惑っている彼女の頭を優しく撫で
「ありがとうな、教えてくれて」と天兵は笑った。
名前については思い出したくない事ばかり…
正しく言えば、名前を呼ばれた時に良い事など無かった。
母になじられ、小突かれ、着物に隠れた場所をつねられる幼い自分。
名を問われるのを恐れ、一人ぼっちでいる事が多かった…。
門下生たちに『名無し女』と陰口を叩かれても、何も言い返せなかった…。
そんな思い出が去来したが、目の前にいる彼の
暖かい手と優しい言葉に、辛さ以外の胸の痛みを感じていた。
感極まった彼女は天兵に抱きつき、しっかりと両腕に力をこめた。
意地悪されて、優しくされて…振り回されている気がしないでもない。
『でも…好き!大好きです!!』
単純な女と笑われようと、構うもんですか。
甘えるように身を寄せてきた彼女を、優しく抱き返して
天兵はふっと息を吐き…次の瞬間、己の物が納まったままの
彼女の細腰を引き寄せ、脚を掴みあげた。
たじろぐ彼女に、にやりと笑いかけ
「きちんと言えた礼をしないとな…」と囁いた。
先程までの優しい雰囲気はどこへやら、天兵が発する不穏な空気に
背筋に冷たい物を感じ、本能的に後ずさろうとした彼女だったが
しっかりと脚を掴まれ動く事はできなかった。
まごつく彼女に構わず、天兵は最奥まで己の昂ぶりを突き入れた。
天兵は彼女の敏感な部分、弱い所を容赦なく攻めたてた。
片手で乳房を鷲掴み、硬く立ち上がった乳首を摘み上げる。
「ひっ…やっ…!ああっ!ああんっああ…はっ…んっあああっ!!」
彼の激しい抽送に、あられもない声を上げ、びくびくと身体を仰け反らせた。
涙を散らし、閉じる事の出来ない口内からは唾液が垂れ落ちていく。
膣壁が『もっとご褒美を頂戴』とばかりに彼の昂ぶりに喰らいつき
肉芽は擦りあわされて、充血しきっていた。
「…どこに…出して欲しい…?」
彼女の熱く融けた頭に、息を詰まらせた天兵の声が辛うじて届いた。
「ああっ!あっ…な、なかにっ…!あんっ!なかにいっぱい…!!」
体裁も何も無く叫んだ彼女に、更に激しく突き立て
彼の口から唸り声が上がった。
限界を感じた天兵は、彼女の身体をかき抱いて、その名を呼んだ。
「…!!」
不意に名前を呼ばれ、彼女の脳内は真っ白に染まった。
「…う…っああああああああああああんーー!!」
号泣したかのような叫び声を上げ、彼女は天兵の腕の中で激しく痙攣し
身体の一番深い所に、熱い液体が勢いよく充満していくのを感じていた。
積年、自分の心を縛っていた何かが解けていく…そんな気がした。
二人はしばらく動けず、激しく息を吐き、身体を震わせながら抱き合っていた。
脱力した彼女の頬やおでこに、天兵は軽く口付けを降らす。
うっとりとしつつも、彼女は彼の顔を見る事が出来なかった。
『処女…だったのに…』
それなのに、あんなに激しく乱れてしまった。
『淫乱だと思われたかも……。は、恥ずかしい…!』
なんともいたたまれず、目を瞑りうつむくしかなかった。
しばらくそうしていると、天兵がそっと身を離し
ゆっくりと彼女の体内から昂ぶりを引き抜き始めた。
「ん…くぅ…」
ずるる…っと膣内が引っ張られるような感覚を、眉根を寄せて耐え
完全に引き抜かれたのをちらりと見て確認する。
彼女がほっと息を吐くと、ごぽっと音をたて
膣口から鮮血と精液があふれ出てきた。
「…!!だめっ…!」
小さく声を上げ、とっさに手で秘所を押さえるも下半身に力が入らず
指の間からとろとろと白濁液を吐き出しつづけてしまう。
その有様に、少しだけ泣き出しそうな顔になった。
彼女のそんなしぐさを目の当たりにし、天兵はぽかんとして
「どうしたよ…?」と声をかけた。
一部始終を見られて、ばつの悪そうな表情を見せた彼女は
彼から背中を向けて寝転がり、体を丸めて身を縮めた。
布団に視線を落とし、しばらくもじもじと脚をすり合わせていたが
か細い声で「欲しくて…」と呟いた。
「天兵さんとの…あかちゃん…ほしくて…」
耳まで真っ赤に染め上げて、彼女はそれだけ言い、顔を伏せた。
我ながらなんて気の早い事…と思う。
でも彼と出会い、共に暮らすうちに、ずっとこのまま
一緒にいられれば良いのに…なんて夢見るようになった。
彼に嫁いで…彼の子供を産んで…
そこまで想像して慌てて頭をふり、打ち消す。
…そんな事を、何度も繰り返してきた。
そして、それはもう夢物語ではなくなった。
しっかりと抱かれ、愛し愛されている事をこの身で実感した。
それで思わず、あんな行動を取ってしまったのだった。
『……ああ〜…また私、変なことやっちゃった…』
少しづつ頭が冷えてきて、そのまま頭を抱えたくなった。
いくらなんでも…まだ祝言だって挙げていないというのに…
そもそもよく考えたら、これって婚前交渉…と、背筋を嫌な汗が流れ落ちた。
彼女は自分の失態を取り繕ろおうと、上半身を起き上がらせた。
「あ、あのっ!天兵さ…」
すると横たわっていた彼女に、後ろから覆い被さるようにしていた
天兵と、ばっちり目が合ってしまった。
「あ…の…」
何でこんな近くにいるんですか、天兵さん。
そう聞きたかったが、彼の様子がなにやら違うのを感じて
何もいえなくなってしまった。
彼女は理解していなかった。
自身の一言が、仕草が、どれほど天兵に影響を与えているかなど…。
天兵は彼女の腰を掴み、自分のほうへと引き寄せた。
勢いで、彼女の膣内に残っていた物が、ぽたぽたっと流れ落ちる。
その感覚と、この姿勢では後ろから全部見えてしまう…!という
羞恥心で、彼女は両腕をばたつかせた。
ぐり…っと、硬い物が押し当てられる感覚に、彼女は息を飲んだ。
「てっ、天兵さんっ!?じ…冗談はよして下さい…っ」
無駄な抵抗だと知りつつも、腕に力を入れて彼から逃れようとした。
「冗談…?オレはからかっているつもりは無いぜ…」
背後から、いつもよりずっと低い天兵の声が聞こえてくる。
彼女は口内に溢れる唾を飲み込み、体をなんとか捻って
後ろを振り返り、彼の顔を見つめ哀願した。
「…まっ…て…お願い……やめて…ください……」
「子供、欲しいんだろ?…じゃあ、もっと念入りに仕込まないと…な」
そう言って、天兵はニィ…ッと、わらって見せた。
彼女は、全身に冷水を浴びせられたような気持ちになった。
確かに子供は欲しい、そう自分が言ったのも違いない。
でもそれは、さっきのでもう充分なのでは…と、訴えたかったが
下腹部にかかる重圧に、まともに声が出せなかった。
『そんな…そんな!さっきまでのじゃ足りないの!?』
うつ伏せで、腰だけ高く上がっているという恥ずかしい格好をさせられ
身動きの取れない彼女は心の中で叫んでいた。
彼の精液で潤っている膣内に、また熱い昂ぶりが押し込まれていく。
先程とは違う角度に擦りつけられるそれは、ごつくてじんじんと痛い。
強く瞑った目から涙がこぼれ落ち、押し付けられた布団に染みた。
唐突に、彼の言葉を思い出した。
『殺気と色欲は極力抑えるべし』という『家訓』
千年もの長きに渡って、絶える事の無かった強力な血。
彼女は悟る。
天兵がどうの、と言う話ではないのかもしれない。
これは…これはもはや…
『陸奥って!陸奥ってーーー!!』
彼女は声にならない悲鳴をあげ
あらためて、とんでもない者に惚れてしまった事を自覚したのだった。
天兵は、良心の呵責を感じ、それ以上の興奮を味わっていた。
彼女の仰け反る白い背に流れる黒髪を見下ろす。
先程、純潔を散らしたばかりの身体をまた蹂躙しようとしている。
子供を作るのならば、最初の濃い所を使うのがいいだろう。
彼女の身体も、孕むに向いた日を見極めて…。
…天兵は分かった上で行為に及んでいた。
ただ、彼女を犯す口実を見つけ、それに乗っただけだった。
まさに鬼の所業…そう分かっていても、止められないでいた。
天兵は両手で尻を撫でまわす。
すべすべで柔らかく、手のひらに彼女の震えが感じられた。
ぎゅっと掴んでみると、びくっと跳ね、そのつど菊門がひくひくと動いた。
見ているといたずら心が芽生え、天兵は自分の指を唾液で濡らし
そこに軽く指を這わせて唾液をなすり、ちょんちょんと突付いてみた。
すると、そこだけは絶対駄目!!と全身で拒絶された。
ここからでは見えないが、きっと必死の形相なのだろう。
あんまり虐めても悪いと思い、それはそこで止めた。
「あっ、いっ…いや…っやっあああああああ!!」
圧迫感を伴い、天兵の男根が膣の奥底まで挿入された。
先程から下半身に力は入らず、腰は勝手にがくがくと震えつづけ
自分の体が自分の物ではなく、天兵の物になってしまったかのような
感覚に、彼女は布団を掴む事で耐えていた。
彼女は背筋に柔らかくて暖かい物を感じ、ぴくっと肩を揺らした。
少し振り返ってみれば、天兵が背中に口付けし、舌を這わせていた。
くすぐったいような、ぞくぞくする感覚に身を捩り
合わさった彼の体温に、少し心が軽くなるようだった。
じきにゆっくりと彼が抽送を始め、彼女の身体に緊張が走る。
この体勢のせいかいろんな所が敏感になっているようで
膣壁を引っ掛け、膣口を擦りあげられると
鈍痛と甘い痺れがより直接的に感じられるようだった。
「んっ…んふ…っん…あはっ…あ…!ああー…!!」
最奥に硬いものがねじ込まれるたび、くぐもった声が漏れる。
次第に激しくなる動きに、脳まで揺さぶられるようで
下腹部に受ける感覚の事しか考えられなくなった。
顔は紅潮し、全身から汗がふき出す。
腕を捕まれ、ぐっと後ろに引っ張られると身体が仰け反り
ますます互いの身体が奥底で繋がっていくようだった。
天兵の荒い息が背中にかかる。
二人の身体が合わさる音が響き、彼女の胸がぷるぷると揺れ
嬌声はしだいに強く長くなっていく。
自身の大声にもかかわらず、彼女の耳には届いていなかった。
獣のような姿で、獣ような叫び声をあげている…。
「あーっ!!ああっ…ああああああああああああーーーーっ!!」
ちらりとよぎった最後の理性に嘲笑され
彼女は涙と唾液を垂らし、白く意識を飛ばした。
鳥のさえずりを耳にした。
ゆっくり、うっすらと目を開けば、明るい朝の光が飛び込んできて
彼女は目を細め、手でさえぎった。
『やだ…寝過ごしちゃった…』
いつもは夜明け前に起き出し、朝餉の準備をするのが日課。
彼女は布団から這い出るため、のろのろと体を起こし始めた。
なぜだか妙にだるい…下腹部が痛くて足に力が入らない。
彼女が疑問を感じたその時、布団が彼女の身体から滑り落ちた。
朝日を浴びた自分の身体が目に飛び込んでくる。
何も身に付けていない白い肌には、そこかしこに赤い痕がついていた。
「……っっきゃぁあああああーーー!!」
「…朝から賑やかだな、お前」
後ろを振り返れば、天兵が横たわったまま彼女を見上げていた。
「おはよう」
彼女の脳裏に、昨晩の痴態がまざまざと思い出され
全身から湯気でも出しそうな勢いで赤くなっていった。
「きっ…きゃーっ!きゃーーっ!!」
そのまま勢いよく布団を引っ掴んで、全身を覆い隠し丸くなってしまった。
「ひーん…おはようございますぅ〜…」
布団からくぐもった声が聞こえてくる。律儀な娘だった。
布団に身を隠してしまった彼女を見て、天兵は
幼い頃、両親と一緒に行った海で見た『やどかり』を思い出していた。
「何を今さら恥ずかしがってんだよ…減るもんでもなし」
「減るんですっ!お日様の下だと減るんですっ!!」
何の根拠もない事を口走る彼女に『じゃあ行水した時も減ったのか?』と
聞きたくなったが、やめておいた。
「とりあえず、顔だけでも出してくれよ。…布団と喋ってるみたいで変だ」
「………」
しゅりしゅりと、布団の擦れる音だけが聞こえる。
彼女は布団の中で首を振っているようだ。
それを見て、天兵は小さく溜息をついた。
『…顔を見るのも恥ずかしいって事かよ…』
埒があかず、天兵は強硬手段に出た。
片手で布団を思い切り引っ張ると、身体を丸めていた彼女が小さく悲鳴をあげた。
驚く彼女を引き寄せて、優しく胸元に抱きしめた。
「ほら、これで顔は見えないぜ」
「……」
彼女は小さく頷いて、観念したかのように天兵の背に腕を回した。
逞しい胸板から伝わる体温に、ほっと息をつく。
せめて着物をと思いはしたが、水色の浴衣は見るも無残に皺だらけ
帯もぐちゃぐちゃになっており、袖を通す気にはなれない。
その傍にはいつ外れたのか、天兵の包帯が同じく絡まって落ちていた。
「お体は…大丈夫なのですか?」
「まぁ、ちょっと痛むが大丈夫だ。
…お前は人の心配より自分の心配をするべきなんじゃないか?」
笑いながら言われ、彼女は頬を膨らませる。
「気絶した時にはさすがに焦ったぞ」
その言葉に顔を赤らめ、あわてて反論した。
「あ…あんな無茶苦茶されたら誰だってそうなりますっ!」
「いちおう手加減したんだがなぁ…初めてだった訳だし」
彼女は天兵の言葉を聞かなかった事にした。
天兵は、彼女の髪を梳くように、そっと頭を撫でた。
『…気持ちいい…』
後頭部から背中にかけて、天兵の暖かく大きな手の感覚を味わい
彼女は夢見ごこちで瞳を瞑り、胸板に顔を擦りつけた。
「…なぁ、まだオレの子供が欲しいと思ってるか?」
ほんの少しだけ、自信の無さそうな声が頭上から聞こえた。
いつも堂々とした彼が、今はどんな顔をしているのか…
想像して、彼女はくすっと笑い、答えた。
「もちろんです。…できれば男の子と女の子、両方がいいな…」
すると、彼女は強く抱きしめられ、少し息を詰まらせつつも彼を抱き返した。
身を捩り、顔をあげて見つめあい…口づけを交わした。
「里についたら…祝言を挙げような。それで…子供…産んでくれよ」
「…はい!」
彼女は零れ落ちそうになる涙を必死で堪え、微笑んだ。
天兵も照れくさそうに微笑み返す。
二人とも顔は真っ赤だったが、幸せそうに約束を交わしたのだった。
しばらく黙って腕の中で甘えていた彼女だったが
「そういえば…」と、突然思い立って、言った。
「天兵さんのお父様がお帰りの際『またな』と仰いました」
あれから出海は顔を見せていない。となると…
「お見通し…かよ…」
天兵は頭を掻いて、溜息をついた。
彼女の家に厄介になり始めてすぐ、その事を報告したら
にやにやと意味深に笑われたのを思い出す。
陸奥の名は自分が継いだが、まだ全然かなわねぇなぁ…と、彼は思った。
話題を切り替えるため頭を振り、彼は気になっていた事柄を口にした。
「…まぁそれはいいとして…この後、道場は…どうする?」
天兵は、思い出していた。
彼女が誰も使う事のない道場を、一人掃除している事を。
手伝うと申し出ると「これは私の仕事ですから」と微笑んだ。
額に汗して床を磨く、その愛情深い姿に
一人の武術家として胸が締め付けられた。
親父さんの墓の事もある。
そんな場所から、彼女をさらって行っていいものかと、思いはした。
それでも彼女を手放す気は更々無かったが。
少し顔を曇らせている天兵の頬を、彼女はそっと撫でた。
「気を使っていただいて、ありがとうございます…。あの、大丈夫です」
彼女は彼に、にっこりと笑いかけ、話を続けた。
「前から…お話があったんです、道場を子供たちに開放しないかって…。
それもいいかなぁって…。きっとその方が、道場も喜ぶかなって、思うんです」
天兵は彼女の顔を見つめながら、黙って話を聞いた。
「訳を話して、家ごとお譲りして…代わりに父のお墓をお願いしようと思います」
実家を無くす…それは裏返せば、陸奥の里に骨を埋めるという覚悟。
「また…あの道場が、活気付けばいいなって思います。
強い人が、育ってくれたらいいな…なんて…」
ただ、そこで行われるのは『戸塚楊心流柔術』ではないけれど。
彼女の瞳から抑えていた涙が、堰を切ったようにあとからあとから溢れだし
顔を覆って泣きじゃくるのを、天兵はしっかりと抱きしめた。
「…これからは…陸奥圓明流を伝えていくんだ…一緒に、な」
彼女は嗚咽を漏らしながら、何度も何度も頷いたのだった。
天兵の腕に抱かれたまま、泣き疲れ
うつらうつらとし始めた彼女は、夢を見ていた。
修羅の花嫁となった自分の姿…
そして、新たな修羅の、母になる自分の姿を…。
…そんな事のあった、二日後。
「いたたたた…」
彼女は顔をしかめ、お腹を押さえてうずくまっていた。
月の物による痛みに、すっかり辟易している。
彼女が天兵に抱かれたあの日
あの日はいわゆる『安全な日』だったようで。
『あんなに痛くて、恥ずかしい思いをしたのに〜…』
そんな思いが、ますます彼女を憂鬱にさせていた。
落ち込む彼女の腰をさすってやりながら、天兵は
「ま、こればっかりはな…次の機会って事で」と慰めた。
うつむいていた彼女は、ゆっくりと顔をあげ
じと…っとした目つきで、天兵を見つめた。
普段見せた事のないその目つきに、彼は少々たじろぐ。
「な…なんだよ」
「…天兵さん…もしかして、分かってたんじゃないですか…?」
「さーて、今日のメシはオレが作ってやる。お前は休んでな」
彼女の言葉に答えず、天兵はさっさと立ち上がり、厨にいってしまった。
その後姿を、ぽかんと口を開けて見送った彼女は
しだいにぷるぷると体を震わし…近所中に聞こえるかのような声で、叫んだ。
「て…天兵さんの…馬鹿ーーーっ!!!」
終わりです。
初心者の長文なんて読み辛いもんに、お付き合い感謝します〜!
どんな避妊法もかいくぐって孕ますのが
陸奥って気がしないでもないですけどね。
うああああ!! 乙でした!
リアルに読めて感動ハアハア
159ネ申、次の降臨もお待ち申し上げます
初心者とは思えぬほどさらっと読みやすうございました。
中身は王道でまたよかったと思います。おつかれさま〜
283 :
名無しさん@ピンキー:04/11/23 01:26:35 ID:NoQBQC1r
念入りに仕込まれる田中娘イイ!しかも明記で戸個上手!GJ!
しかし名前が気になる〜!!>川原さんのせいだけど
284 :
159:04/11/23 20:28:36 ID:dugwRhCJ
ご感想ありがとうございます!嬉しいです(*´∀`)
書いている間は「回線切って首斬って氏のう。鬼一みたいに」って
気分でしたが、書き終える事ができてよかったです。
SSを書いたのも、2ちゃんにここまで連投したのも初めてです。
ガクブルしながら投稿しますた。
281さんが温かい目で見守っていてくれたと思うと心強いです。
天兵と田中ちゃんなんて需要無いだろうなぁと思いつつ
自分以外、書く人いないだろうと思ってやりました。
刻カップルで一番好きなんです。
歴代陸奥最弱と言われようと(実は漏れもそう思ってる)
特殊能力どころか、名前まで無くってもオマイらが大好きだ。
お邪魔じゃなければ、別の刻カップルでまた書かせていただきます。
いつになるかは分かりませんが…年末近いもんですから。
>不破眼魔学園(ぬる武者)さん
1さんの立ててくれたスレのお陰で、心に秘めていた妄想を形に出来ました。
ありがとうございます。マイアたんの続きをお待ちしております。
それでは、ROMに戻ります。
285 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/25 20:00:15 ID:1yeN+4mb
「飛田さん。麗と、何の話してたんですか?」
飛田の部屋に着いた梓は、早速飛田に「噂」について尋ねた。
だが、「噂」は内容がアレな上、まさか本人に面と向かって言えるような話ではない。飛田の目が思わず泳ぐ。
「どうしたんですか?…そんなに、私に聞かれたくない話、だったんですか?」
飛田の傍らに座り、飛田を見上げながら梓が困った様な顔をする。
「…い、いや…。」
角度によっては今にも泣きだしそうに見える梓の視線に、飛田はだらりと冷や汗を流す。
「じゃ、教えて下さい。」
真剣な口調の梓。内容に思い当たる節が全くないのだろう。飛田は身を屈め、梓と視線をあわせて囁いた。
「話の中身は口にあまり出来ない奴だから…実地で説明するんでいいか?」
「いいですけど…?」
きょとん、と書き文字がつきそうな顔で飛田を見つめ返す梓。その顔は幼く見えて、これからしようとすることに罪悪感さえ覚えてしまいそうになる。
だが、飛田は躊躇せずに梓を胸に抱き寄せた。
「…飛田さん?」
「…梓、…お前を…」
ダキタイ。
唇だけが動く飛田の囁きに、梓は戸惑いを隠せずに飛田を見上げる。
「えと、それは…抱き締める方…ですよね?」
「違う。」
飛田はきっぱり否定すると、軽く梓の額にキスをした。
286 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/11/25 20:01:39 ID:1yeN+4mb
額に感じた飛田の唇の感触に梓の胸がとくん、となる。
「…そうされるのは、嫌か?」
「…えっ、と…。飛田さんのことは好きですが……その、心の、準備が…。」
どきまぎしながら答える梓。慌てふためく姿が可愛らしくて、飛田は思わず微笑んでしまう。
「…落ち着け梓。」
「え、あ、はい。」
裏返った梓の声に飛田は思わず盛大に吹き出してしまった。堪え切れずに笑う飛田につられて、梓も思わず笑ってしまう。
そうやって暫らく笑いあった後、飛田は宥めるような優しい口調で話しだした。
「経験ゼロなのは聞いたから、無理矢理突っ込むとか無茶な真似はしない。梓。……優しくしきれないかもしれないが…いいか?」
暫しの間。やがて梓の唇がゆっくり動きだす。
「……はい。」
頷いた梓は、少し体を起こすと、初めて自分から唇を重ねた。
触れるだけの拙いキス。しばらくして梓が唇を離すと、今度は飛田が深く唇を重ねてきた。
きつく吸い上げ、わずかに開いた唇の隙間から梓の口腔に舌を侵入させる。
「…ん、…ピチャ…ふ……。」
時折、梓の舌を絡め取って吸い上げながら、快感のポイントを探していく。
飛田の腕の中で梓は、目元を赤く染めて、飛田から与えられる快感にただ酔うしかなかった。
ヒダはパーフェクトだ
288 :
ハングル:04/11/27 02:37:00 ID:r4YhnKjP
出海x蘭ってありませんかね?
良い仕事してますね〜職人方々。 修羅でもここまでエロくなるものかと感動しますた!
続きまだぁ〜?
年末はどこも更新減るよ
なんですと〜?!
293 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/12/02 07:12:15 ID:z4nQKjVs
今必死に書いてます。
いい子にして待ってるよん
同じく
久しぶりに来たら159さんの終わってた…!159さん乙!GJ!
すごく読みやすかったわ屹立したわで大変でした。
漏れ圓タンハアハアです、と次なる刻カプのリクエスト言ってみたり。
次なる投下お待ちしとります。159ネ申よ本当にありがとう〜!
キーさんもがんばってくれぇえええ!ハアハアハア
>>296 圓は(・∀・)イイ!!ね
誰か書いてくれ〜
298 :
159:04/12/05 07:19:17 ID:Mkvsszix
リアルが恐ろしく忙しくて逝きそうな159です。
今を乗り切れば少しは楽になりそうなので、そうしたら
新しい話を書いて持って来ようと思っています。
多分、出海×蘭になるんじゃないかと。
天斗×圓か狛彦×蛍も書きたいと思ってたので
出海×蘭が終わった後、どなたも書いていないようでしたら
自分が書かせていただきたいです。
296さん、感想ありがdです。
でも漏れ如きに神は言いすぎですよ〜。
自分の中にそんな大層な物は宿っておりませぬ。
真の神が現れる時まで、その言葉は取っておいてあげてくだちい。
299 :
名無しさん@ピンキー:04/12/09 00:16:34 ID:VnMBzzUZ
うっひょ〜、下がってるんで上げとく。
これ自然の摂理。
300
八雲×詩織タンとかも読んでみたいでつ
302 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/12/10 23:31:39 ID:RgZSmU4D
「……ふぅっ。」
しばらくして唇を離した飛田は、次に梓の首筋へ顔を埋めた。
梓はキスだけでぐったりしており、飛田の動きを目で追うことしか出来ない。
ちゅ…。
「ぁ。」
額にされたより生々しく感じる熱い感触。舌先でなぞられる度、梓はきつく目を瞑ってピクリと反応する。
「…力を抜きな…。」
強ばる梓に優しく囁きながら、飛田は梓の服を脱がせていった。
急かないように留意しながら、一枚ずつ丁寧に脱がせていく。先に上半身を下着のみにすると、見慣れた腕が露になった。
タンクトップにスパッツ姿というのが、飛田のところでトレーニングしている時の梓の服装なので、似たような姿は見慣れている。
しかし、いつもと違った目で見るその腕は、筋肉のつき方さえ艶めかしく感じた。
「…飛田……さ…ん?」
動きを止めた飛田に、梓が声をかける。
「…あぁ。…綺麗な腕だなぁって、つい見とれてた。」
飛田はタンクトップの裾から手を侵入させると、梓の肌に直に触れた。
そのまま手を梓の背中に持っていき、ブラジャーのホックに手を掛ける。
すると、今までなすがままだった梓が、いきなり飛田の手をタンクトップの上から押さえてしまった。
「…どうした?」
「…床に押し倒されるのは…。」
303 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/12/10 23:33:36 ID:RgZSmU4D
梓の言葉に、飛田は状況を確認する。確かに、このままの流れだと梓を床に押し倒す事になる。
だが、梓はそれを拒否している。優しくすると言ってしまった以上、選択肢は一つだった。
「…ベッドで…ってことか?」
飛田の確認に梓が小さく頷く。
「わかった。……ベッドまで運ぶぞ。」
態勢を直すと、ひょいと梓を抱き上げる。梓も、飛田の首に両腕を絡めてしっかり掴まる形になる。
「…余裕、出てきたな。」
「…ないですよ。心も、体も…何か、変だし…っ。」
困惑と快感が頭の中で渦を巻く。
ぞわぞわとした熱さが、腹部の奥にかすかに蠢いて、体の自由を奪い始めている。
「…飛田さん、……早く…。」
慣れない感覚から早く解放されたい梓は、体内の妙な熱に耐えながら途切れ途切れに声を出した。そうして飛田の頬に唇を押し当てる。
荒くなりだした吐息を感じ、体の力を抜いて飛田に完全に身を任せると、梓は静かに目を瞑った。
早くなっている自分の鼓動。飛田の体温。動き。目を閉じた代わりに色々なものが敏感に伝わる。
少しして、ゆっくりとベッドに寝かせられたのが分かった梓は、離れた飛田を見ようとゆっくり目を開けた。
304 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/12/10 23:35:10 ID:RgZSmU4D
梓が見た時、飛田は既に上半身裸になっており、ズボンに手を掛けていたところだった。
トレーニング中はTシャツを着ているとはいえ、梓は飛田の体を見慣れている。
けれど、状況が違うというだけで、梓の目にはその肉体が全く違って見えた。
飛田に手加減なしの真剣勝負をして貰いたいと思ったことは何度もある。
格闘技の為に鍛え上げられた肉体で、きつい関節技をかけられるのも嫌じゃない。
実際、飛田とトレーニングしている時に、真剣勝負をねだった事もある。だけど、いつも手加減されてばかりだった。
飛田が手加減する理由も分からなくはない。それでも、梓は飛田と本気の勝負をしたいといつも思っていた。
「……………っ。」
梓は飛田の背中を見ながら、自分でズボンとタンクトップを脱ぎ始めた。
そしてブラジャーとパンツのみの姿になる。
脱いだ服を簡単にまとめると、ベッドの下に落とし、待つ態勢になった。目は飛田の鍛え上げられた見事な体を、じっくりと観察している。
抱き締められる時の腕の優しさ、厚い胸板の温かさ、抱きついた時の満ち足りた気持ち。
飛田から与えられてきたものが胸を満たし、梓はふわりとした感覚を覚える。
ぞわぞわとした熱は、不快ではなくなってきていた。
305 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/12/10 23:37:01 ID:RgZSmU4D
全裸になった飛田は、梓の方を向くと、ベッドに腰を降ろした。そのまま近くに寄って来た梓の肩を抱く。
「…下着は着けたままなんだな。」
「…飛田さんの手で、外して貰いたかったから。飛田さんも、外したかったんでしょう?」
梓は体を動かし、飛田の膝の上に乗ると、そのまま飛田に体を預けた。
肩に回されていた飛田の手をそっと握り、背を反らせて顔を見上げる。
「…どうぞ、…お好きな様に。」
軽く背伸びをした梓は、自分なりに可愛い声で精一杯の誘い文句を口にする。
そのまま飛田にキスをした梓は、握っていた飛田の手を自分の胸へと押し当てた。飛田の手から手を離し、両腕を降ろす。
飛田は小さく頷くと、梓の胸から背へ手を移動させ、ブラジャーのホックを外した。
ブラジャーを脱がせると、梓の乳房がようやく露になる。大きさは標準よりやや大きいぐらいだが、張りは飛田が抱いた女性の中では一番あると思われた。
片方の乳房を軽く手で覆い、揉んでみると見かけどおりの弾力が伝わってくる。
「…んっ……。」
小さく声を上げた梓はキスを深くすると、飛田の口腔におずおずと舌を入れようとした。飛田はそれに答えるように薄く唇を開き、梓の舌を受け入れる。
おーきたーきたー
今回は健康的なエロシチュですなー
期待期待
キーさんキタキターーーーーーーーー!
続き続き早くー
309 :
159:04/12/17 20:48:37 ID:BPoBPgUj
出海×蘭が書けました。
なんだか馬鹿夫婦になっているので
イメージを大切になさる方は注意が必要ですぜ。
「…やっと寝たか…」
出海は健やかな寝息を立てる我が子を見つめながら
盛大な溜息をついた。
「四六時中、泣いてる気がするな…こいつは」
「赤ちゃんはいっぱい泣いて、いっぱい食べて寝るのが
お仕事ですから…仕方ないですよ」
出海の傍らで、少々疲れた顔をしつつも蘭が笑って言った。
二人にとって初めての子供、天兵が生まれたのは三ヶ月ほど前の事。
幸い産後の経過は良好で母子ともに健康だった。
その事に安堵する暇もなく、出海は初心者父、蘭は初心者母となり
出海の両親や近所のおばさん連中に叱咤激励される日々が続いた。
すべてが初めて尽くしで、出海は右往左往するしかない。
天兵は火がついたかのように激しく泣き叫び
彼がいくらあやしても、それは止まらない。
そのくせ蘭が抱っこしてあやせば、次第に泣き止み嬉しげに笑う。
『…こいつ』
出海は恨めしそうに息子の顔を覗き込む。そんな毎日だった。
「なかなか眠らないかわりに、一度眠ったら
そう簡単には起きませんよね…この子」
「ああ…近くに落雷があっても寝くたれてやがったもんなぁ」
出海はつくづくと天兵の顔を眺めてみた。
「顔に似合わず、肝は据わってるってこったな」
「…」
天兵の顔は、まるで女の子のように愛らしい。
蘭が天兵をつれて初めて近所を散歩した時、すれ違った村人に
「おっかさんに似てめんこい女子じゃの〜」と声をかけられた。
それに対し「男の子ですよ」とにこやかに対応した彼女だったが
会う人会う人に、可愛い女の子だ、別嬪さんだと言われ続け
困惑した蘭は、散歩の予定を早々に切り上げ
家に戻ってしまった…なんて事があったのだ。
「眉や口元は凛々しくて、あなた似だと思うのですけどねぇ…」
ちょっと困り顔で蘭が呟く。
「大丈夫…ですよね。大きくなれば男らしくなりますよね…」
「陸奥の業を振るうに顔の良し悪しは問題でないからな。
それにどうせ修行を始めりゃ顔なんか腫れ上が…」
蘭のじっとりとした視線を感じ、出海は口をつぐんだ。
「そういえば、小さい頃の雷さんに似ているとも言われました」
蘭は眠る天兵の顔を見つめたまま、ゆったりと話す。
ああ…と、出海は思った。
「確かに、あいつも女顔…と言うのか、優しい顔立ちだったからな」
出海が蘭を伴って陸奥の里へ帰った時にはもう、雷はいなかった。
母が言うには、旅に出た…と言うよりは、ふっといなくなったらしい。
幼い頃から手先の器用だった雷が、気に入ってよく使っていた
代々伝わる小太刀だけを持ち、どこかに行ってしまったそうだ。
小太刀は陸奥の継承者が持つ太刀と違い、さほど重要な物ではなく
持ち出されても気にする者はいなかった。
雷の事も、母にすれば「お腹が減ったら帰ってくるわ」との考えで、今に至る。
その言葉に、出海は頭を抱えたくなった。
「オレが十四…くらいの時だったか、いきなり『弟か妹が出来ちゃうわよ』だしよ…」
親の悪口は言いたくないが…まともじゃない。
溜息と共に呟かれた言葉に、蘭はくすくすと笑った。
「雷さん、今ごろ何処にいらっしゃるのでしょうね。
お会いして、ご挨拶したいです。天兵をお見せしたいですし…」
蘭は出海の顔を見つめ、にっこりと微笑んだ。
そんな彼女に、彼も軽く微笑み返した。
『オレが女房と子供まで持ったと知ったら…あいつはどんな顔をするだろうな…?』
ずいぶん前に別れた時の、まだ幼い弟の顔が思い出される。
どこか物憂げなその表情以外、出海の脳裏に浮かぶ事はなかった。
遠い目をしている良人をしばらく黙って見つめていた蘭は
そっと視線を天兵に戻した。
小さな手を軽く握り、眠りつづけている息子。
優しく頭を撫でてみれば、愛しさが溢れてくる。
…異形の娘と囃し立てられ、忌み嫌われた自分が
こんな幸せを手に出来るとは思ってもみなかった。
憧れた人が淡雪のように消え、この手をすり抜けた時
心の中にあるのは闇と憎悪だけだった…。
だけど、いつからだろうか。
叩き斬ってやりたかったその背中が、白く大きな道標になっていた。
『不思議よねぇ…。お母さんもまともじゃないのかもよ?ふふっ…』
心の中で、息子に語りかける。
指先に暖かさが伝わり、蘭の顔がほころんだ。
いつしかこの手を離れていく、我が子。
しかもこの家に生まれた以上、その生き様は普通の子供よりずっと辛いものだろう。
…覚悟は出来ている。
それでも、この柔らかな暖かさが、幸せな時間が
少しでも長く続いて欲しいと、蘭は願うのだった。
微笑を浮かべて天兵を見つめる蘭を、出海もまた見つめていた。
柔らかな呉藍の髪が灯りに透け、陰影を作る。
我が子の頭を撫でる指は細くしなやかで、とても優しく見えた。
そんな彼女の仕草を、目を細めて眺めている。
『お前は…本当に綺麗だよな』
出海は心からそう思っていたが、口には出せないでいた。
照れくさいのもあったが、陸奥の里に彼女を連れてきて以来
村の連中が口を揃えて「別嬪さんだー!」だの「綺麗だぁ〜」だの
天真爛漫かつ無遠慮に言うものだから
夫である彼がその事を口にする機会を逸していたのだった。
『蘭を見て、ありがたやって拝みだした婆さんもいたっけな・・・』
妙な事になっているなぁ…と、出海は軽く頭を掻いた。
それでも、拝みたくなる気持ちは分からんでもないと思う。
友を亡くし、夢を無くした虚無感は彼を飲み込まんとした。
強敵と戦えども、それは埋まらず…それどころか大きくなっていくかのようで。
その虚無から彼を引きずり出したのは、彼女のひたむきな瞳だった。
出海は蘭の横顔を見つめながら、軽く柏手を打ち、拝んだ。
彼のそんな行動にぎょっとして、蘭はしげしげと見つめ返す。
「…な、なんですか?一体…」
「…さぁ?」
戸惑う蘭に、出海はニッと笑って見せた。
怪訝そうな顔を向ける蘭を、出海は何も言わず抱き寄せた。
口に出せないなら行動で示すまで、と言うのが彼の考えだった。
「ひゃっ!」
出海の突然の行動に、蘭は小さく声をあげた。
分厚く暖かい胸板に頭を押さえつけられ、最初は戸惑ったが
次第に力を抜いて、彼に体を預けた。
夫の行動は読めない事が多い。
それでも最近、こういう事をする時は
何かを誤魔化している時…と分かってきた。
『素直に言ってくださればいいのに…』
蘭は少々不満に思いながらも、こうして抱きしめられるのは
嬉しくて気持ちが良いので、まぁいいかな…などと思った。
しばらくそのまま、淡い色の赤毛や背中を撫で
その柔らかさを楽しんでいた出海だったが、腕の中の蘭が
もぞもぞと動くので力をすこし抜いた。
すると蘭は顔をあげ、出海を見つめながら労わるように言った。
「あなた…今日もいろいろとお疲れ様です…
もう夜も更けてきましたから、私達も寝ましょうか」
「そうだな…そうするか」
出海はそう言って頷くと、そのまま背に回した手で
蘭の寝巻きの帯をほどき、引き抜いた後で無造作に放り投げた。
あまりに手馴れた素早い動きに、蘭はしばらくきょとんとしていたが
自身の寝巻きがはだけてきたのを感じて、慌てて前を隠した。
「な、なにをするんですか!?」
焦りで声が上ずり、顔が赤らむのを感じながら
しっかりと寝巻きの衿を掴んで後ずさろうとしたが
出海の腕が絡みついて思ったようにならなった。
「なにって…寝るんだろ?だから脱がしてやろうと思ってな」
「違いますっ!!もう休みましょって意味ですよぅ…」
朝になれば、大変な子育てと雑務が二人を待っている。
だから体を休めようと提案したのに…。
そう言っている間にも、出海の手は無遠慮に蘭の寝巻きを引っ張っていた。
「いっ…出海さんは…!ほんとに人の話を聞かないんですからっ」
普段は出海の事を『あなた』と呼ぶ蘭だったが、怒ると婚前のように
名前で呼ぶようになる。どうも彼女はその事に気がついていないようだった。
出海はそんな蘭が可愛いなと思い、少しだけ笑った。
「笑って誤魔化そうたって無駄ですから!だいたいいつも…っ」
文句を言い、拒み続ける妻の唇を出海は自身の口で塞ぐ。
何を言ったって無駄だから止めとけと言わんばかりの強引さだった。
驚き、瞳を見開いた蘭は、すぐにぎゅっと目を瞑った。
彼女の右手は寝巻きを掴んだままだったが、左手は
抗議をするように、ぽこぽこと出海の胸を叩く。
それも次第に力を無くして行き、やがて夫の肩に添えられた。
上顎を出海の舌先が撫でると、蘭の肩がぴくぴくと揺れる。
頬の内側を擦り、突付かれ、二人の唾液が彼女の唇から垂れ落ちた。
「んっ…んぁ…っ!ふっ…う…」
蘭は耳まで赤く染め上げ、顔を逸らそうとするが
出海の大きな手が頭に添えられており、逃れられない。
縮こまっている蘭の舌を出海の舌が舐めあげる。
何度かそれを繰り返していると、彼女の舌がおずおずと舐め返してきた。
互いの舌をねっとりと擦り合わせて、強く絡みつかせ、吸い付く。
そのたび口膣から水音がたち、じわじわと背筋に立ち上る快感を味わっていた。
やがて出海はそっと顔を離し、蘭の顔を覗き込んだ。
頬を染めた彼女は、瞳を潤ませ荒く息をつく。
寝巻きの胸元を掴んだ手がかたかたと揺れていた。
しばらくして、蘭はふーっと大きく息をつき
拗ねたような目で出海を睨みつけながら
「…お髭が痛かったです」と一言だけ告げ、ツンとそっぽを向いてしまった。
「そんな顔で凄まれても…ちっとも怖かねぇぞ」
その言葉に、蘭はますますむくれてしまう。
彼女のそんな仕草に苦笑し、出海は頭を掻いた。
「見たところ、お前の体調も戻っているようだし
三月近く触れてないんでなぁ…。何がそんなに不満なんだ?」
単刀直入に聞けば、蘭の顔が申し訳無さそうに変わった。
「不満…がある訳ではないのですが…
その、天兵が目を覚ましてしまうんじゃないかなと…」
「一度寝たら、そう簡単には起きんと言ったのはお前じゃないか?」
目をそらし、もじもじしながら言う蘭に、出海はあっさりと反論した。
出海が天兵の様子を伺うと、相変わらず安らかな寝息を立てている。
「そ、それは…そうなのですけど…」
蘭の言葉はなんとも歯切れが悪く、視線もさまよっている。
しばらく迷っていたが、まっすぐ自分を見つめてくる出海と顔を合わすと
このまま隠していてはなんとも悪いような気分になってきた。
「あの、ですね。体が…ちょっと変でして」
「どこか悪いのかっ!?」
できる限りのさり気なさで言ったつもりの蘭は、予想外の
出海の勢いに驚き、飛び上がりそうになってしまった。
「馬鹿!どっか悪いんならもっと早く言え!!
医者を呼ぶか!?いや、オレがおぶって行ったほうが早いか…」
立ち上がり真剣な顔で思案する彼を、しばらく口をあけて見ていた蘭は
はっと正気に戻り、焦って手をぶんぶん振りながら否定をした。
「ちが、違います違いますっ!!何処か悪い訳ではないんです!」
「…病気じゃ、ないのか?」
そう問われ、勢いよくこくこくと何度も頷いて見せた。
出海はしばらくばつが悪そうに、軽く睨んでいたが
やがて大きな溜息をついて脱力した。
「驚かすんじゃねぇよ…」
「…ご…ごめんなさい…」
二人はそのまま困ったように、微妙な顔で見つめあい
黙りこくっていたが、先に沈黙を破ったのは出海だった。
「…で?何がどう変なんだ?」
「あ…はい。…胸が張って恥ずかしいんです」
蘭は顔を真っ赤にさせながらも、はっきりした口調で言った。
こんな事を夫に言わねばならない事態も恥ずかしい。
それでも、先程真剣に自分の身を案じてくれた出海に
これ以上の心配をかけてはいけないと思ったのだった。
それに正直いうと、内心とても嬉しかったりもしたので…
赤らんで緩みそうになる頬をぴたぴたと軽く叩いた。
「…なんだ、そんな事かよ」
出海は呆れたように言った。
「乳がたくさん出るってこったろ?結構な事じゃないか」
「それはそうなのですが…お見せするにはちょっと…
みっともなくって…」
苦笑いを浮かべながら、蘭は小首をかしげた。
そんな訳なので、諦めてくださいね…と、顔が語っている。
「それじゃなにか、お前の乳が出なくなるまで
オレは我慢しとけって事か?」
どれほど先の事なんだ、それは。
出海は露骨にしかめっ面をし、それを見た蘭は困ったように笑った。
「それに…別にみっともなくは無いと思うがなぁ」
出海の言葉に、蘭の表情が曇った。
…そういえば、先程手を振った時に、寝巻きを離したような…。
出海の視線の先を追えば、思った通り寝巻きははだけて
豊かな乳房が露になってしまっていた。
蘭はうつむき、無言で素早く衿をあわせた。
「やはり馬鹿だな…お前」
出海にそう言われ、まったくもって同意だったので
蘭は何の言葉も返さず、一度だけ頷いた。
「…ともかく今日の所は寝ましょうよ、ね?」
聞き分けの無い子供を諭すように、蘭は優しく言った。
「嫌だ」
こちらは聞き分けの無い子供そのものだった。
「みっともないから嫌なんだろ?オレはみっともないとは思わん。
だから何の問題もなしだ」「……」
出海の勢いに押され、蘭は少しだけ口元を引きつらせた。
『…な、なんだか…必死ですね、出海さん…』
どうしたものかと口に手をあて考えかけた蘭は
その手を出海に掴まれ、あっと思う暇も無く引っ張られた。
驚く彼女の手のひらに、なにやら固いものの感触が伝わってくる…。
自分の手の先に出海の股間があるのだと、目視で確認した蘭は
口をぱくぱくさせて硬直してしまった。
「これはお前の仕業だ。…どうしてくれる」
頭上から、状況に反した冷静な声が降ってくる。
…はぁぁ〜〜
長く溜息を吐き出し、蘭は顔をあげ出海と視線を合わせた。
一度覚悟を決めれば彼女の行動は早い。
「…わかりました。でも、久しぶりですから…優しくしてくださいよ?」
頬を染め唇を尖らせながら言い、顔を伺うと
出海は満足そうに笑って「おう」と答えた。
「本当にお願いですからね!約束ですからね!」
「へいへい」
何度も釘を刺されるのを軽く流しながら、出海は蘭を抱き寄せ
寝巻きの衿元から手を差し入れ、するりと落とした。
一糸纏わぬ姿で褥に横たわらされた蘭は
腕で胸を覆い、腰を捻って秘所を隠している。
「確かに、かなり大きくはなっているかもな」
「…あまり見ないでください…」
蘭は眉根を寄せて、出海から目を逸らしながら呟いた。
異人の血も引いているせいか、蘭の胸は元から大きかったが
出産をし、更に一回りほど膨れ上がって見えた。
細く柔らかい呉藍の髪が白磁器のような肌に絡む。
滑らかな曲線を描く腰に、細くすらりとした脚。
産後の崩れは一切見られない見事な体躯…それどころか
前にもまして女の色香が漂っているかのようだった。
それらをしみじみと眺めて、出海は感嘆の溜息をついた。
「こうして着物を取っ払ってみると…
日本人の血も流れているように見えねぇよなぁ」
出海の言葉に、蘭はぷっと吹きだした。
「あなたったら、前も同じ事を言いましたよ」
「ん…そうだったか?」
初めてそう言われた時、やはり自分の体は変なのかと
不安な気持ちになった蘭だったが、今では
『ただ思った事をそのまま口にしているだけ』という事を知っていた。
「そんなに日本人と違って見えますか…?」
「…そうだなぁ…日本人がどうこうより、人間離れしてるのかもな」
「まぁっ!」
蘭は少し意地悪な笑顔を浮かべて
右手の人差し指を出海の唇にちょんと付けながら言った。
「あなたに言われたくありませんよ?鬼のお方」
「…違いない」
二人は顔を見合わせて、くすくすとおかしそうに笑った。
ひとしきり笑った後、出海は蘭の瞳を覗き込んだ。
鳶色の濡れた眼差しが見つめ返してくる。
吸いこまれるような感覚がして、そのまま顔を近づけていくと
蘭は素直に瞳を閉じ、二人は唇を重ねあった。
日本には鬼の伝説が数あるが、その中には
長身で赤い髪の異人を鬼と見た物もあるようだ。
となれば、やはりこの女も眷属なのだろう…。
出海はぼんやりとそんな事を考えながら、舌先に少し力を入れた。
323 :
159:04/12/17 21:03:11 ID:BPoBPgUj
続きます。
一回で終わらせるつもりが、おかしいな…orz
GJ!!
159さん、ガンガレ
おもしろい
ぐわーーーーーーイイ!!GJ!!
良い子で続き待ってますから!
バカ夫婦キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!
続き期待してよかですかー
328 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/12/25 21:56:42 ID:DAjIdsP2
ぺちゃ…。
飛田の口腔内を舐め、ぎこちないながら、梓は飛田の舌を絡め取り、舌を絡めあったまま深く唇を重ねた。
「…っぅ…ふ…ん…。」
飛田の力強い手で乳房を揉まれ、唇の隙間から堪えきれない吐息を零す。と同時にきつく吸い返され、ぞわぞわとした熱が体を覆っていく。
梓は未知の感覚に若干の戸惑いを残しつつも、飛田が与えてくれるこの感覚に身を委ねていった。
「……っはぁ…。」
とどめとばかり一度きつく吸い上げたところで飛田が唇を離す。
飛田が離れた梓は、くたっとなってそのまま後ろに倒れそうになってしまう。
「わっ…!」
飛田は慌てて梓を抱き留めるとベッドに寝かせた。と同時に梓のパンツを一気に脱がせる。
飛田が脱いだ服の山に投げた自分の下着を見て、うっすら紅潮した梓の頬が真っ赤に染まる。
「……!?」
飛田の目に全裸をさらした梓は、羞恥からか脚を閉じ体を隠そうと身を捩る。
しかし、覆いかぶさってきた飛田に抱きすくめられて抵抗をやめる。
「…ぁ……。」
飛田の体温を直に感じ、心がふわりと浮き上がる。熱が浮遊感と一体になり、梓は恍惚とした笑みを浮かべた。
肌に飛田の唇が触れる度、熱は熱さを増し、梓の心を満たしていく。
「……飛田、さ…ぁ…。」
329 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/12/25 21:58:45 ID:DAjIdsP2
ぞくり。
艶めいた甘い声が縋りつく様に飛田の耳に残る。
「…何か…っ、……凄い……疼く…。」
縋る声は尚も甘く飛田に絡み付いていく。
「…ん…わかった……。」
首筋や鎖骨に唇を落としていた飛田は、小さく頷くと堅くなった梓の乳首を口に含んだ。
軽く舌先で舐めるだけで梓がぴくっと体を反応させる。
「…ふぁ…っ…あ…ぁ…。」
胸にある飛田の頭を抱き締めるように梓が腕を回す。
飛田は乳輪全体を濡らすように梓の胸を舐めていく。乳房を舐めながら飛田は、片手をそっと梓の股間へとのばした。
秘裂からはわずかに愛液が滲んでいるが、濡れ具合が十分ではない。
飛田はまだ閉じかけの秘裂をゆっくりなぞると、クリトリスを探り、指先で弄り始めた。
「っ!…ぁ、なっ……これ……ぇっ、あ…。」
飛田の下で梓が体をびくつかせて、急に強くなった刺激についてこられずに悶えている。
飛田がぐりぐりと強く刺激すると、梓は背を反らせ、腰を何度も跳ねさせた。
「…やぁっ…あ!……ひ、…飛田…っ…さぁ…ん…あ…は、…あぁ!…変に、……なるっ!!」
飛田の頭を抱いたまま身を捩らせると、掴んでいた髪がプツと小さい音を立てて千切れる。
飛田は一旦愛撫を止めると、梓の様子を見ようと顔を上げた。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!
いえークリスマスおめ
・・・まだ投稿中だったのか_| ̄|○
キーさんがんばれ
332 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/12/25 22:00:51 ID:DAjIdsP2
肌は快楽に紅潮し、いつもは鋭い光を宿す瞳は、涙で潤みきっていた。喘ぎ過ぎたせいか唇は少し乾き気味だったが、端からは涎が少し零れている。
はふはふとせわしなく息をしていた梓は、顔を上げた飛田の頭から腕を離し、飛田と見つめあった。
「……飛田、……さん……?」
「…変に、なるの…恐いか…?」
飛田が静かに問う。しかし梓は首を横に振った。
「……止めないで、…下さい…止められると、…余計…疼いて…変に、…なります…。」
声を出す度に、疼きが体を侵食する。梓は腕を伸ばすと、飛田の肩を掴んで言った。
「…続けて、……下さい。」
梓は飛田の首に腕を回し直すと、心持ち脚を広げて飛田の動きを待った。巻き付く腕がかすかに震える。
「…あ…っう…んっ………!」
潤ってきた秘裂を飛田の太い指で撫でられると、ぬちゃりと生々しい水音が響く。指先で擦ると、梓の腰がびくびくと痙攣し、更に愛液が秘裂から滲み出る。
「…んぅっ……うっ……、ぁあ…あ…。」
甘い息を吐きながら、梓が腕に力をいれて飛田の顔を引き寄せる。
視線があい、一瞬動きが止まるが、それもわずかなことで。
自然に目を閉じた二人は唇を深く重ね、再び行為へと没頭していった。
333 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/12/25 22:11:43 ID:DAjIdsP2
>>330さん ありがとうございます!
皆様へ
ちょい遅めな私からのクリスマスプレゼントです。…続きはしばらくお待ちを。
334 :
159:04/12/25 22:17:12 ID:3zgm76Vl
リアルタイムでキーさんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
なんてラッキーなクリスマスだ!
梓さん可愛いです(*´д`*)ハァハァ
キーさんからのプレゼント、しかと頂きました。アリガ♪
336 :
159:04/12/28 21:22:53 ID:7HyZuYwV
馬鹿夫婦の続きを持ってきました。
唇を離した出海が、蘭の頬に軽く口をつけると
ふふっとくすぐったそうに彼女は笑った。
そのまま首筋に移動しようとしたが、蘭の手が軽く押し止めた。
また『髭が痛い』などと言い出すのかと思っていると
出海の寝間着に手をかけ、そっと脱がし始めた。
寝間着を肌蹴させると、逞しく鍛え上げられた体が露になる。
左肩に、大きな刀傷。
これはもちろん蘭がつけたものではないが
彼女はこの傷と同じ場所に斬りつけた事があった。
その事による傷は跡形もなく消えうせていても
この大きな刀傷を見るたびに、彼女の胸に様々な想いが去来し
ちくりと痛むのだった。
蘭は傷にそっと唇をつけ、下から上へと舌を這わせた。
裂けて変形した皮膚の感覚が舌先に伝わってくる…。
舐めた所で傷は消えないし、過去も消えない。
それでも出海と初めて肌を合わせたときから、蘭は必ずこうして来た。
そしてそんな彼女を出海が止める事はなかった。
柔らかく生暖かな感触に出海の肩が少しだけ揺れる。
鳶色の瞳を細めて傷跡を舐めあげる蘭の姿は
小動物のように愛らしく、獣じみて淫猥だった。
出海は蘭の肩を軽く掴み、そっと離すと
彼女の唇から銀糸が引かれた。
頬を染めている蘭の唇に出海は親指で触れる。
ふにふにと柔らかく、紅も引いていないのに鮮やかに赤い。
この感触も好きだが他の柔らかさも愉しみたいと彼は思った。
「次はオレの番な」
「…あ」
出海は蘭の鎖骨に唇をつけ、軽く吸った。
ぴくんと彼女の身体が跳ね、反応するのを感じながら
下へと移動しようとしたが…すぐに蘭の腕に阻まれてしまった。
しっかりと両腕で胸が覆われている。
顔をあげ、蘭の表情を伺うと『やっぱり恥ずかしいんですよぅ…』と
言いたげに眉根を寄せていた。
そんな様子の彼女に、出海は少々意地悪く目を細めて見せた。
蘭にも分かっていた。
自分が出海に抵抗するすべなど持ちあわせていない事に。
こんなささやかな抵抗など…さして力も入れずに取り払われる。
そう思って目を瞑り身を硬くしていると、やはり手首を掴まれ、くいと引っ張られた。
「…!」
指先が暖かくぬかるんだ物に包まれ、驚いた蘭は目を見開いた。
出海は彼女の右手を掴み、細い指に舌を這わせていた。
関節や指の付け根を舌先で突付き、舐めあげて唾液で覆っていく。
神経の多く通った敏感な指先はくすぐったいのか
気持ち良いのか分からず、蘭は微妙な感覚に震えた。
「…ひゃ…あんっ…」
自らの口から漏れる奇妙な声に照れ、蘭は無意識に左手で口元を覆った。
身を捩るたびに、二つの豊かな膨らみがたゆんと揺れる。
彼女の指を咥えながら、そんな姿を見下ろして
出海は楽しそうに口元を歪ませた。
ちゅぽっと音をたて指を離され、蘭がホッと息をつく暇もなく
出海はそのまま唾液で濡れた手を胸元に戻してやった。
軽く力をこめ、下から揉み上げるように。
出海の唾液で濡れた蘭の手が、蘭自身の胸に押し込まれ、乳首を擦り上げた。
「やっ!ああんっ!!」
思いもよらない事に、彼女の肢体は瞬時に仰け反る。
その刺激で突起した先端から乳が吹き出してしまい、蘭の手と出海の腕を濡らした。
腕にかかった乳白液に、出海は少々面食らったようだ。
蘭は今にも泣き出しそうな顔で、必死にもがいている。
出海のほうは彼女のそんな様子に意も解さず、押さえつけた片腕はびくともしない。
「いっ…いやぁぁっ!!はな、離して下さいっ!!」
「すげーな。こんなに吹き出たぞ…」
「感心してないで離してぇー!!」
分かった分かったと言いたげに、掴んだ手を胸から離した。
蘭の両目には涙がたまっている。よほど恥ずかしかったようだ。
「出海さんの馬鹿!!だから嫌だって言いましたのに…」
「ああ、ほんとに悪かった。もったいない事をしちまったな」
蘭は一瞬安堵しかかったが、すぐに顔を引き締めた。
…もったいないってどう言う事です?
口には出さなくても、引きつった顔がそう告げている。
流石は己の子供を産んでくれた女、察しがいいよなぁと出海は笑った。
握ったままの右手を布団に磔るようにして押さえつけ
さきほどとは逆の胸に顔をうずめ、乳首に吸い付いた。
口内に母乳の味が広がる…。妙な味だった。
『赤ん坊の好みってのは変わってんだな』などと思いつつ
蘭の胸から口を離す事はなく、舌を擦り付けた。
片胸に指を這わせ、軽く捏ねると新たに乳が零れ落ちてくる。
ぬるりとして暖かいそれを指に絡ませながら乳房を揉みあげた。
胸は出海の大きな手にも余り、彼はその重量感を愉しんでいた。
「あっあ…ぅああ…ひっ…ん!いず…み…さん…いやぁぁ…」
羞恥と快楽が混ざりあった声が、出海の脳髄に響くようだった。
語尾が涙声だ。きっと本当に涙を流しているのだろう。
…少し可哀想だとは思う。意地悪な事をしていると分かっている。
朝になれば口をきいてくれないだろうし、きっとお袋に
『あんたまた蘭ちゃんを苛めたの!?』なんてお小言を喰らうだろう。
それでも出海は止められないでいた……楽しかったから。
『オレは生まれつきこういう性質だからなぁ…ま、諦めろ』
彼は勝手にそう結論付けて、行為に没頭していった。
一方、蘭は荒く息を吐き、なんとか目を開けた。
胸を捏ね回される刺激に身体は勝手に反応しつづけている。
『…もぅ…本当に大きい赤ちゃんみたい……困った方…』
恥ずかしくてどうにかなりそうな反面、辛うじて冷静な自分もいる。
そろそろ止めないと、本当に困った事になりそうだと感じていた。
「…い、出海さん……はぁ…っもう…その位にして…
あっ…お願い…それ以上は…その…」
その…天兵にあげる分が…。
傍らで眠っているとはいえ、夫婦の睦み事に
子供の名前を出すのはなんだか恥ずかしい。
蘭ははっきりと伝える事が出来ず、潤む瞳で出海の頭を見つめた。
すると、胸を弄るのに夢中で話など聞いていなさそうだった出海が
突然顔をあげ、そのまま蘭の唇を奪ったのだった。
「…んぐっ!?」
目を白黒させた彼女は、自分の口腔に彼の舌と
奇妙な味の液体が流し込まれるのを感じた。
あらかた液体が移し変えられると、しかめっ面をしながら
唾液でその液体を薄め、何とか飲み干す。
察してくれたのは有り難かったが、これは勘弁して欲しいと蘭は思う。
彼女は口元を押さえつつ、涙目で出海を睨みつけた。
「……いずみさん…」
「確かにちょっと絞りすぎたかもしれん。だから返してやった」
悪びれる事もなくサラリと言い、出海は満面の笑みを浮かべた。
「……」
その言葉と笑顔で、蘭は怒る気力が急速に失せて行くのを感じ、脱力した。
ほんとは怒ったほうが良いのかも知れないと思いつつ…
「もぅ…次からは、やめて下さい…ね…?」
「はいよ」
蘭の言葉に、出海は素直に頷いて見せた。
蘭の胸は速い呼吸に合わせ上下し、乳と唾液でべっとりと濡れている。
『じゃあ、こっちはどんなもんかね…』
出海は手の平を彼女の胸元から細腰へと、撫でるように降ろしていった。
それにより蘭は体を揺らし、出海の肩にしがみついたが
抵抗する事無く身をゆだねていた。
出海の指先に、さりさりとした物が触れた。
『…下の毛も赤いんだもんな…すげぇよな…』
初めて見た時の衝撃が思い出される。
あと、その事を言い、たいそう怒られた事も。
…こいつには幾度も驚かされ、何度も怒られているなと出海は思う。
きっと、これからもそうなのだろう。
「…っ…あぁ…」
思ったとおり、そこはじっとりと熱く濡れていた。
蘭は恥じるように腕に力を入れ、よりしっかりと抱きつき
無意識か意図的か、脚のほうまできつく閉じてしまった。
出海の指が柔らかく汗ばんだ太ももに挟み込まれる。
「蘭…脚を開けよ…」
「あっ!……は、はい…」
その言葉に、はっと気付いたように蘭は頷き
瞳を伏せ、そろりそろりと両足を開いていった。
ねとりと熱を持った場所が外気に触れ、彼女の身体は自然に震えた。
今回は出海も意地悪を言っているわけではなかった。
蘭が脚に力を入れたところで、出海の力ならすぐに開けるだろうが
勢い余って彼女の秘所を傷つけてしまっては大事だ。
指先まで凶器なのだから…気をつけるに越した事は無い。
となると、自然に蘭の協力が必要になるという訳だった。
…などという理由があるものの、恥らいながら自ら脚を開く蘭を
見るというのも、出海の楽しみになってはいたが。
とりあえず、自由に動かせる程度の空間ができたので
そっと秘裂をなぞるように指を滑らせた。
するとまた蘭の脚が閉じかけ、出海の腕に太ももが当たってしまった。
「おい」
「………だって…」
わざとではないんですよ…と呟き、蘭はばつが悪そうな顔をした。
久しぶりの快感に、躰が防御策を取ってしまうようだ。
そんな蘭の様子に出海は少し考えてから、口を開いた。
「勝手に閉じちまうんなら、手で押さえておいたらどうだ?」
「え…!……」
蘭の顔に戸惑いの色が広がった…が、彼女は
その表情に反して出海の言った事を従順に行った。
彼の首にすがりついていた腕を名残惜しげに外し、ゆっくりと
膝を曲げた片脚を胸のほうへと引き上げ、自らの手で押さえつけたのだった。
まるで進んで自分の恥ずかしい所を見せ付けているような姿と
片手が使えないので、出海に抱きつく事も出来ない心もとなさは
蘭の想像以上の物だった。
それでも…口にこそ出さなかったが、じらすように秘所に添えられた
指のせいで、彼女の我慢も限界に来ていたのだ。
その証拠に出海の指には、白くねばつく物が糸を引いていた。
脚を大きく開いた事で秘所も自然と開き、にちゃっと音をたてた。
充血して赤らんだ内壁は粘液で潤い
襞がくにくにと柔らかく動いて、出海の指をねだっている。
蘭は心臓が激しく高鳴っている事に気がついた。
脚を抱える手の平に、しっとりと汗が浮かぶ。
出海の視線を感じるが…動いてはくれない。
…まだ…、まだです…か…?
体中が火照り、蘭は喘ぐように息をついた。
胸元の汗が母乳で白く濁り、流れていく。
そんな彼女を凝視し微動だにしない出海だったが
冷静に事を運んでいる訳ではなく…むしろ逆だった。
指なんかより別の物を突っ込んで無茶苦茶にしてやろうか…。
乱暴で物騒な欲求が頭をもたげてくる。
それを何とか理性が押し留めるまで、動けないだけだった。
しばらくして、出海は蘭と同じく一つ息を吐いた。
出海の指が、ほんの少しだけ動き
その些細な動きに蘭の躰は激しく揺れ動く。
そのままゆっくりと指を二本、膣内に埋もれさせていった
「はっあ…!あぁ…んっ……!」
熱を持ち、じんじんと苛まれる体内は
出海の指が蠢くのを感じ取り、きゅうっと締め付けた。
最初はごつく太い指を二本も入れられ、苦しさを感じたが
程なく馴染んでいった。
襞を掻き分けるように指をねじ入れ
ざらつく膣壁を軽く引っかくようにしながら引き抜くと
奥底から掻き出されるように愛液が溢れ出した。
蘭の口からたまらず嬌声があがる。
彼女は声の大きさを気にしてか、口を縫い縛ろうと試みたものの
上手くは行かず、出海の動きに翻弄されるばかりだった。
指を開いて押し開き、円を描くように膣口を刺激し
ぷっくりと起ち上がっている花芯を親指で突付く。
しどとに濡れた秘所からは、動かすたびに水音が立ち
二人の欲情を煽っていった。
「あっあっ…ああっ…あはぁぁっ!!あん……いず…みさんっ…!」
「…これが…いいのか?」
「あ…あぁ…っ!は…っ、はい…っ!」
出海の言葉に、蘭は夢中で頷く。
膣内に埋もれた指先は、こりこりと硬い場所を探り当てた。
「ひぅっ!!」
蘭の白い喉が反り、瞳が見開かれる。
彼女の激しい反応を見、出海はその場所を重点的に攻めたてた。
「や…ああっ!!だめ、だめぇっ…そこ…っ…いっ…あああ!!」
蘭の哀願に耳を貸さず、出海はぐりぐりと指で抽送を続けた。
躰の奥底から何かがあふれ出そうな焦燥感に首を左右に振り
必死で堪えようとした蘭だったが、汗ばんだ手がずるりと滑った。
抱えあげていた脚が落ち、その衝撃で出海の指がめり込む。
その瞬間、蘭の中で何かが断ち切れた。
「ひっ…ああああああああぁぁ――――!!」
蘭の秘裂から勢いよく液体が噴出した。
それはびしゃっと激しい音を立てて出海の腕に当たり
彼の太い腕を伝い落ち、布団に染みていった。
もう一度擦り上げると、びゅくっと軽く吹き出し、蘭は全身で慄く。
指を飲み込んだままの膣内はうねるように収縮した。
出海は少しづつ、余韻を残すように指を引き抜くと
蘭の肢体はびくびくと大きく痙攣し
つま先まで突っ張っていた脚から、次第に力が抜けていった。
しばらくすると、強く瞑られていた瞳がうっすらと開かれた。
焦点は合わさっておらず、宙を彷徨っている。
「は…はぁ…はぁ……っ…はぁ…ん…っ」
ぐったりと重い躰を動かす事も出来ず、ただただ肩で息をつく。
白く靄がかった頭が、少しづつ正常に戻っていく。
そんな蘭の耳に、ぴちゃ…と粘っこい水音が響いた。
その音が気になり、うつろな瞳のままゆっくりとそちらに顔を向けると
出海が自身の指を舐っているのだと分かった。
ねっとりと、彼の指に絡み付いた愛液を舌で掬い上げている。
「…っ…!!」
体中が沸騰するかのようだった。
目を逸らしたいのに体は金縛ったように動かず、出海を凝視し続ける。
呆けたような視線に気付いた出海は蘭を見詰め返し
指に添えた口端を上げ、薄く笑ってみせた。
347 :
159:04/12/28 21:34:12 ID:7HyZuYwV
続きます。どうやら年内中には終われんとです…。
良いお年を〜(;´∀`)ノシ
159さん素敵(エロエロw)夫婦つづき面白かった〜
年越したら、さらなるつづきを楽しみに待っています。ノシ
キーさんのつづきは年内に拝めるのでしょうかねぇ?
どうか年末(大出血?)プレゼントになりますように。。。ナムナム
梓さんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
バカ夫婦キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
お歳暮お返ししたい程だ…!!ハアハアです!
悶えた。漏れ悶えた。
続きお待ちしてます。良い初夢を見られそうです。
お二方、よいお年をお迎え下さい。ノシ
うひょ
バカ夫婦キター
351 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/12/31 05:43:32 ID:5iEs4fxN
ぴちゃ、ぬちゅ、ぺちゃ、にちゅ…。
舌の絡み合う音と秘裂から溢れる愛液と肉の擦れる音が交じりあい、区別がつかなくなりかけた頃、飛田は指先を入り口に軽くあてがってみた。
愛液で濡れたそこはわずかにひくついており、指一本ぐらいなら抵抗なく受け入れられそうになっていた。
ちゅぷっ。
「…!…んぅ…。」
ゆっくりと差し入れられた指に、梓が眉を寄せる。やがて根元まで飛田が指を入れると、狭い膣を解すように中を掻き回しだした。
「……ぅう…ぁ…んぅ……。」
唇の隙間から零れるのは、梓の切なげな吐息。飛田が唇を離すと、梓は飛田の首筋に顔を埋めた。
目の前に見えた龍破の傷らしき傷痕に頬を寄せ、飛田の匂いに目を細める。
「んぅ…ぁあ…あ…はぁ…っあ…。」
中で指が動くのを感じ、切なげな喘ぎを零す梓。にちゅにちゅと飛田が膣を掻き回す音がはっきり耳に響き、体は無意識に指を締め付ける。
「…はぁっ、…あ…っ…ああん…あっ……!!」
「…っ、…ここか…?」
飛田の指が内壁の一部を撫でた瞬間、梓の体に強烈すぎる快感が走る。
すると、飛田の指の動きが急に変わった。中を掻き回しつつも、指先はその場所を擦り続ける。その動きに、梓は一気に快感の高みへと追い上げらていった。
352 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/12/31 05:44:51 ID:5iEs4fxN
「…っ、…ぁあ…あっ!……ぁあ…ああん…んあ…ああああぁっ……!!!」
頭の中が真っ白になり、快感に四肢が堅く強ばっていく。
訳もわからず梓はきつく抱きつき、切羽詰まった嬌声を上げるしかなかった。
「…ぁあ…あ…っ……。」
自分の下で絶頂へと昇りつめる梓の体を、飛田は優しく撫でた。指の動きを加減して梓をうまく高みへと昇らせていく。
「……はぁ、はぁっ、あぁっ、あぁ…。」
絶頂を越え、ゆっくりと弛緩していく梓の体。その肌にはびっしりと汗が浮いていた。
飛田は一旦中から指を抜いて、梓が落ち着くのを待つ。達した直後の梓の体は敏感になり、触れ合う飛田の肌にさえ感じてしまう。
初めての絶頂に梓は、ぐったりとして荒い息を吐くしかできなかった。
「大丈夫、か?」
「……とりあえ…ず……。」
飛田の声にきつく瞑った目を開き、飛田を見上げる梓。快感からくる涙で潤んだ目には余韻の色が滲み、初々しい色香に満ちている。
その艶めかしい様子に飛田は、魅入られたかのように梓の頬に口付け、零れた涙を舐め取った。
「…っ…ぅん…。」
頬に感じる飛田の唇にさえ感じてしまい、小さく反応する梓。恥ずかしさに思わず横を向く。
だが、体は飛田を求めて再び疼きだしていた。
353 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/12/31 05:46:12 ID:5iEs4fxN
「…飛田、…ぁ…さ、ぁん…続き…。」
「…ん…。」
ぬち、…にゅちゅっ。
「…っ!………んぅっ…!」
飛田の指を二本挿入され、梓は辛そうに顔をしかめる。だが、飛田が指を動かし始めると、梓の体は強い快感に支配されていった。
にゅちゅっ、ぬちゅ、にゅちゅっ、ぬちゅ、にゅちゅっ……。
「はぁ、あぁ……あ、ん……ぅあ、あっ、んぅ…。」
先程までの急速に追い上げられていくのとは違う、丁寧な前戯。時折奥の方を抉られると、それだけで達しそうになる。梓は達きそうになるのを堪え、蕩けた喘ぎを零し続けた。
飛田はその甘い吐息が耳に入るたび、理性をかき消されかける。
闘いの場ではストイック、二人きりの時はあどけない顔を見せる梓が、艶めかしい喘ぎを上げて自分の下で官能的な様を見せている。
その姿に飛田は激しい情欲と言い様のない愛しさをかきたてられた。
今すぐ己を刻み付けたい衝動に耐えながら、飛田は梓の肌にキスマークをつけていく。
「…、ぁあ、っ……はぁ、……っ、あ……んぅっ…!」
顔は梓の首筋に埋めたまま、飛田は枕元の周辺に空いた手を伸ばした。
すかっ。
手は見事に空を切る。
「………………あれ?」
手応えがないのに気付いた飛田は、思わず顔を上げて確認した。
354 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/12/31 05:47:37 ID:5iEs4fxN
「……んぅ……飛田、…さん?」
飛田の唇が離れたのに気付いた梓は、焦点が合わない目で飛田の顔を見た。
飛田は間の抜けた顔をして枕元を見つめている。
「…どうしました?」
指を止められた下半身は快楽を欲して疼きだす。
梓の声にやっと我に返った飛田は苦笑で顔を引きつらせて答えた。
「……コンドーム、切らしてた。」
前の彼女…いや、何回か一回限りもあったし…梓と知り合ってからは部屋で女抱いてないし…。
考えを声に出さないように気をつけながら、焦った飛田は自分のドジを心から悔いていた。
「悪い、…俺バカだ…。…ごめん。」
「……いい、ですよ。無くても。」
落ち込んだ飛田を救ったのは、梓の一言だった。
「…え゛…。」
「…中途半端で…放り出されてる方が、…きついですから……。」
疼く体を抑えるように自らを抱き締め、微笑む梓。そして、飛田の広い背中に腕を回して抱きつき、こう囁いた。
「……もしもの時も、責任とって…くれますよね?」
「……、…あぁ。」
囁いた梓にしっかり頷いた飛田は、前戯を再開した。飛田の指の動きに、梓の体は敏感な反応を示す。
「…あぁ、ああ…っ…あ、ああ、あ…。」
梓の肉襞は指をきつく締め付け、秘裂は愛液を溢れさせる。梓の体は快楽に馴染んでいき、うっとりとした顔で飛田を見上げた。
355 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :04/12/31 05:48:55 ID:5iEs4fxN
ちゅぷり。
梓の眼差しに飛田は小さく頷き、愛液で潤った秘裂から指が抜かれた。
「……梓、…力抜いてくれ。」
体を起こした飛田は、梓の脚を両脇に抱える。
そして、ぐしょぐしょに濡れた梓の秘裂に、猛ったペニスをあてがった。
飛田の体躯に見合った大きなそれを、少しずつ、腰を小刻みに動かして挿入していく。
「…っ、…うぅ…ん、…うぅっ……うわっ……。」
少しずつ肉が押し広げられていく感覚に、梓は辛そうに目を瞑り、歯を食い縛って痛みに耐えていく。
ぷつっ。
聞こえるか聞こえないくらいな音がした瞬間、梓の内股に鮮血の飛沫が飛んだ。
「…、っ!つっ……。」
無意識に腰が動き、飛田のペニスから逃げる様に体が無意識にずり上がる。
しかし、飛田に脚を抱えられている状態ではそれもままならず、ついには奥まで飛田のペニスを受け入れた。
「ん…うぅ、……痛…っ…。」
梓がうっすら目を開けると、飛田が体を倒して梓を抱き締める。その表情は何かに耐えている様で、梓にはその顔が辛そうに見えた。
「…梓…。締め…。」
飛田が全てを言い終わる前に、梓は飛田にきつく抱きつき、大きく息を吐く。
それだけで締め付けと痛みがだいぶ和らいだのか、飛田の顔にも若干の余裕らしきものが見えてきた。
「動いて…いいか?」
いいともー!
あけおめ
職人さん達今年もヨロ
飛田君エロいよ飛田君
358 :
謹賀新年:05/01/03 06:02:58 ID:zFlqlT2/
動けぇぇぇっ!!!
動け、動け、動け、動けぇっ!!!
あけおめ>ALL ことよろ>職人方々
職人さん達、仕事始め心よりヨロ。
俺は川原の描くオッパイが好きだ。 大きすぎず、小さすぎずの手のひらサイズでプリッとした感じっつーの。 そんであの、これから立たせたいと思わせるチクビとか。
わかります
363 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/08 20:56:44 ID:tHSI7S9J
「………っ。」
飛田の囁きが梓の体を熱くする。いつもと全く違って聞こえる飛田の声に、梓は黙って頷くしかなかった。
梓が頷いたのと同時に、飛田がゆっくりと腰を動かし始めた。
ずちゅ、ずちゅ、ずちゅっ…。
「…っ、…ぁ、あっ、…あぁ、あぁ…っああ……。」
中で飛田が動きだすと、梓の下半身に疼痛が広がる。じんじんとしたその痛みは確かに痛かったが、同時に感じる疼きがそれを緩和させる様に広がった。
梓はがっちり飛田にしがみつき、疼痛がもたらす不思議な感覚に声を上げて耐える。
「…っ、…ああ…ああぁ……。…ああ、あああああぁ…。」
「……梓、気持ちいいか?」
梓の痛みを堪える声に、快楽の甘さが交じったのを感じてきた飛田は、腰を動かしながら尋ねた。
受け入れたとはいえ、梓の体に負担がかかり過ぎているのではないかと気掛かりだったのだ。
「…そんな…聞かない…で…あぁ……。」
飛田の問いに頬を赤らめる梓。その後の吐息の甘さに、飛田はついにんまり笑みを浮かべてしまう。
「……そうだな。…その声で…分かったよ。」
「……飛田…さん…ぅ…。」
文句がありそうな顔で自分を見る梓を大人しくさせようと、飛田は腰の動きを激しくした。
「!やっ、…まっ…ああん、…ぁ…。」
364 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/08 20:58:17 ID:tHSI7S9J
飛田の動きが激しくなったと同時に、梓の感じていた疼痛が快感へと変化する。
ぼんやりとした感覚が一気に鋭くなり、梓は嬌声を上げて腕の力を強くした。
「あ、…っああ、ぁん、…はぁ、…あぁ…ああ…んぅ……。」
指先に無意識な力が籠もり、飛田の背中に赤い痣を作る。
「……っ、…うぅ…。」
快楽に目覚めた梓の中はとろけきっていた。ぎちぎちに締め付けられ、飛田は達しそうになるのを必死に堪える。
「…あ、…ぁあ…んぅ…はぁ…いぃ…。」
秘裂から血の混じった愛液が溢れるのを感じ、自分を貫く飛田の熱さに、梓は歓喜の笑みさえ見せ始めていた。
「…っ、…凄……いぃ…あぁ…あっ……飛田、…さ…ん…。」
喘ぎ過ぎて擦れた声で、梓は必死に飛田の名を呼ぶ。
「…気持ち…いぃ……幸せ…です…。」
高ぶった感情からくる言葉。そこには何一つのごまかしや偽りもない。
零れた言葉は、そのまま飛田の胸に染み渡った。
「…俺も。」
格闘家として、恋人として。大事に育ててきた梓が、自分の腕の中で「女」へと変化していく。大切に磨き上げてきた掌中の珠が、さらに輝きを増していくのを飛田は強く感じていた。
「…っ!…う…あ…あず…さ…。」
「…っ!…あぁん…はぁ、あ…飛田、さん……!…」
梓を追い上げる突き上げに、梓はがっちり飛田の背中にしがみつき、自然と腰を揺らしだす。
鋭い快感が子宮から全体に広がっていくのを感じ、梓は体を強ばらせた。
「…っ、…あっ…あ、あぁ…ひ、…飛田さぁんっ!!。」
達した梓は体を硬直させ、秘裂から大量に愛液を溢れさせながら、きつく飛田のペニスを締め上げる。
「………ぅ!!…っ、ああああぁっ…!。」
飛田のペニスが熱い白濁を吐き出すと同時に、梓は意識を手放した。
365 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/08 21:00:04 ID:tHSI7S9J
初めての夜から一週間程たったある日。飛田は部屋で悩んでいた。
梓がなぜか、その翌日から飛田の前に姿を見せなくなったのだ。
「…まさか……。」
妊娠。
飛田の頭にその二文字がくっきり浮かび上がる。いつ頃からそう言う兆候が現われるのか、飛田は全く分からなかった。
が、そうなったのなら、自分はきちんと責任を取らなければならない。飛田が覚悟を決めて電話をかけようとしたその時だった。
部屋の電話の着信音が鳴った。
「はい、飛田です。」
『あ、飛田さん。白木です。』
「……どうも。ちょうど今、かけようと思ってたんだ。あの、梓なんだが…。」
『ああ、梓なら生理痛でねこんでますよ?』
「え?!」
『飛田さんちから帰ってきて、数日して生理きましてね。梓貧血で唸ってます。』
「……そうか、ならいいんだ。」
『ということで。飛田さん、今度は忘れないでくださいね?』
「ああ。」
何で電話をかけようとしていたのか麗にはしっかり分かっていたようだ。苦笑する飛田。
『梓ったら、具合悪いのに動こうとするんですよ。本番が近いからって…。』
「何の?神武館の大会か?」
『よさこいソーランです。………梓!』
受話器の向こうで物音がする。少しして、電話口の人間が変わった。
366 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/08 21:01:15 ID:tHSI7S9J
『飛田さん…。』
「梓か?」
『はい。…ご心配かけました。』
受話器の向こうから聞こえてきたのは、普段どおりの梓の声。飛田の苦笑が優しい笑みに変わる。
「いや、いいんだ。俺が悪いようなものだから。…で、よさこいって聞いたんだが…四国か?」
『札幌の方です。やっと衣裳が出来たから、通しやりたいのに、麗が…。』
『貧血で這ってるくせに何言ってんの。まだダメだっ…。』
『飛田さん、六月の十日頃って予定は?』
受話器の取り合いは梓が勝ったらしい。飛田は頭の中で予定を思い起こしてみた。
「あ、……休みはないな。」
『そうですか…』
淋しそうな梓の声に飛田の胸がちくりと痛む。
「………別のイベントに出る時は教えてくれ。見に行くから。」
『はい!…貧血治ったら、行きますんで。それじゃ、失礼します。』
電話が切れると同時に、飛田も受話器を置いた。思わず安堵の溜め息を洩らす。
「梓…。」
声。表情。体。心。闘い。自分だけが知る梓の全てが愛しく思え、また、他の男に取られたくないという気持ちが強く沸き上がる。
梓は飛田の宝だった。
367 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/08 21:06:12 ID:tHSI7S9J
ぬるすぎる………。
これで掌中の珠、完結でございます。エロが少なめになった感がありますが、その辺はご容赦願います。次回は増畑話、その次は温泉ものを書く予定ですが、それまでまた、しばらく後でお会いいたしましょう…。
(´ー`).。oO(そうですなあ。ラストにオチがあるとよかったかも?でも面白かったですよ乙)
梓タンの次なる増畑相手(ヤッパオリキャラ?)楽しみにしとります。
370 :
159:05/01/12 21:39:52 ID:l6M9iuDz
遅くなりましたが、あけおめ〜。
キーさんお疲れ様でした!次も楽しみにしております。
馬鹿夫婦話も今回で終わりです。
出海の口から指が離れると、つっと糸が引かれ、切れた。
それを目にした蘭も、己の体を金縛る何かが切れるのを感じた。
「…っ!!」
とっさに顔を両手で覆うと、額や手の平に浮かぶ玉のような汗に気付く。
躰のすべてが熱を持っている…その熱は一番奥から湧き出し
じくじくと自身を苛み続けている。
その熱を押さえつけようと、蘭は小刻みに震える脚を閉ざそうとした。
が、ぬるりと濡れた大きな手に膝を掴まれ
「まだ閉じるには早いんじゃねぇか…?」という呟きを聞いた。
そろり…と、顔を覆ったまま指だけ開いてみると
目前に出海の顔があるのに気付き、息を飲んだ。
脚を割り、出海の厳つい体が蘭に圧し掛かる。
柔らかく張りのある胸に、厚い胸板がめり込むかのように重ねられる。
「く…は…っ」
息苦しさと熱さで、蘭は首を反らせて息を吐きだした。
それでも蘭の手は出海を拒絶する動きは見せず
むしろ彼が離れないよう、首へと回された。
「ん?」
出海は何かを問うように、しがみ付く彼女を伺うと
「……ん…」
蘭は小さく一度だけ、頷いた。
上半身を重ね合わせたまま、出海は蘭の片足を抱え上げ
濡れそぼる秘所へ己の昂ぶりを押し付けた。
先端が溶かされそうに柔らかく、暖かな場所に触れる。
蘭の腕がしっかりと首に絡みついているため、出海は下腹部を見られず
収まるべき場所を感覚で探った。
愛液で滑りなかなか当りが付けづらく、男根は秘裂を二度三度となぞる。
その度に蘭の躰は跳ねあがり、また目的の場所から外れてしまった。
「あ…ああ…ん!」
「…く…」
焦れる二人の躰が同時に震えた。
出海は一つ息を吐き、急く自身を押さえると
ゆっくり、じわりじわりと腰を押し進めた。
すると蘭の躰は少しづつ、きつい入り口を広げていった。
「ふっ…あああ…っ……ひ…うぅ…っ」
凶悪な程の圧力を持つ物を押し込まれ、蘭の唇から搾り出すような声が漏れる。
強く瞑られた目頭から涙が一粒零れ落ちていった。
幾度となく肌を重ねても、恐怖と悦楽に支配されるこの瞬間に慣れる事はない。
力を抜くために大きく長い息を吐き
恐ろしさを薄めるために、出海を強く抱きしめた。
中程の狭く抵抗のある場所へ、変わらずじっくりと押し入れていく。
くにくにと動き、優しく包み込んでくる襞と
咥え込んできつく強く締め付ける壁…二つの感覚に
食い縛った出海の口元がわずかに上がり、笑いの形をとっていた。
その口端に汗が伝い落ちていく。
伝い落ちた汗は蘭の顔に当たり、それに身じろぎ目を薄く開ける。
目前にある夫の顔を伺い、後頭部に回されていた手を
ゆっくりと頬に沿えながら、喘ぎの漏れる口を開いた。
「あっ…はぁ…ぁ……ど…して…?笑って…いるの…?」
「…笑って…?…っく…ああ、そうだな…」
出海は蘭の耳元に顔を埋めた。…もっと近くに添いたいと願うように。
彼の荒い息が蘭の耳にかかり、彼女は首を竦ませた。
「嬉しいのさ。…またこうする事が出来て…な」
「あ…!…うれし…っです…か…?」
耳元で囁かれる言葉と吐息に、蘭の頭はとろりと融けるように白くなる。
「そりゃぁ…こんな別嬪の嫁とやれて…。お前はどう思うよ?」
「!!…ぅ…くぅ…!」
背筋を突き上がるような快感を生じ、蘭の躰は悶え震えた。
この里に来て、村人から幾度となく掛けられた言葉が
出海の口から発せられるだけで、こんなにも
自身に影響を与えるのだと蘭は全身で思い知った。
出海の素直な言葉に蘭の躰も素直に答え
膣内は無意識に蠢き、陰茎を締め付ける。
奥底へと引き摺り込まれるような快感を、出海は拳を握り凌いだ。
しばしそうしていると蘭の躰が少し弛緩し
出海も汗の浮かぶ拳を緩める事が出来た。
耳元に顔を寄せたまま、横目で蘭を見ながら言う。
「…正直者」
「……ば…馬鹿ぁ…」
出海が開放された上半身を起こすと
二人の躰の間で滴っていた汗が小さく音を立てた。
更に膣内に押し込むと亀頭に圧迫を感じ、もうこれ以上先へは往けないと悟る。
そのまま最奥に二度三度、ぐり…と擦りつけると
「ひぃ…っいぁ…ん」と絞り出すような声を上げ、蘭の身が縮こまった。
内部は動かすのに支障なく広がり、ねっとりと出海の動きを待っているようだった。
それでも彼は急く事無く、腰をゆっくりと引き抜く。
押し広げられた肉壁と深い襞が出海の男根を捕らえ引っかかり
くちゅ…じゅぷ…と、止めようにも止められない水音が零れた。
「あっ、あっ…!ああ…な、なか…が…っ…」
「中、が?」
じりじりと動きつつも止める事はなく、自分を見下ろす出海に問われ
蘭はふるふると首を振り、咄嗟に口をつぐんだ。
彼女の動きに合わせ、しっとりとした呉藍の髪も揺れ動く。
『…中…なか…が…あぅっ…!ぅ…き、気持ちい…い…』
無意識に口走ってしまいそうになるのを、何とか堪えたが
引きずり擦りあげられ、蕩けてしまいそうな快感に抗い
ぎりぎりの所で照れや見栄に縛られる自分を恨めしく思った。
…そしてもう一つ、恨めしく思うものがある。
先程からの、虫がとまるのではないかと思えるような鈍重な動き。
蘭の中へと押し込む時、引き抜く時には
知り尽くされた弱い場所を的確に突いているのだが
遅々とした動きに決定打が無い、と言った具合だった。
蘭にはどうしようもなく、悶えに唇をかんで耐えるしかない。
これなら動かずにいてくれる方がまし…とすら思えてきた。
じんじんと熱く、まるで甘く溶けるような快感が蘭の躰を這いずる。
だがそれも緩急が無く、延々と続けば拷問と同じだった。
「ひっ…ああ!あぁん…あ…や…だめ…っ!や…だぁ…っ!!」
がくがくと躰を震わせる様は、壊れたからくり玩具を思わせる。
うわごとのように漏れる蘭の哀願にも、出海の態度は変わらず
長く糸を引くような、粘っこい音が部屋に響く。
『…ど…して……分かってるくせ…に……わかって…っ…ばかぁ…!!』
蘭は心の中で悪態を吐いた。
このままでは、お互い達する事は出来ないと経験上分かっていて
自分を組み敷く夫は、早く動こうと思えばいくらでも出来ると分かっていて
そんな事は彼も承知の上だろうと分かっていて
…分かっていても、どうにもできない。
最早蘭の躰も脳内も、ぐちゃぐちゃだった。
そしてぐちゃぐちゃの思考の中、唐突に一つの思いに突き当たってしまった。
瞑っていた瞳を開くと、紅潮したすべらかな頬に涙が一筋こぼれ落ち
切なげに潤む瞳を出海に向けながら呟いた。
「いず……出海さんは……あっ…き、気持ちよく…ないのですか…?」
「……は?」
蘭のいきなりの言葉に、さすがに出海の動きも止まる。
「何だ?いきなり…」
「…っく…だって…さ、さっきから……ぁ…
良くない…から、面倒くさく…なってしまったのか、と…」
悲しげな蘭の顔をしばし見詰めていた出海は
苦笑いを浮かべ「体が交換できりゃあなぁ」と言った。
「お前の躰で良くないとこなんか無い…し、んな失礼な事するか馬鹿」
オレを何だと思ってんだ…と、言いたげな口調でまくしたてる。
その言葉で蘭の顔が少しだけ明るくなったが、納得は出来ないままだった。
「…でも…でも、それじゃ何で…」
「お前はもう少し自信を持つべきだな…それと言った事に対する責任も」
「いった…こと…?」
「優しくするように約束させられたんだがな、オレは」
「………あ」
呆けていた蘭の脳裏に、数十分前の言葉が一気に蘇ってくる。
久しぶりなので優しくしてくださいと…何度も、何度も、確かに言った。
髪に同化しそうなほど顔を赤く染め、声も無い蘭に
出海はにこやかに追い討ちをかけた。
「…お前もよかったろ?」
「!!…なっ……なん…」
「動いてたぜ、お前の腰。…ずっとな」
とんだ失態に蘭の全身から更なる汗が吹き出してきた。
無意識とはいえ、なんてはしたない…いや無意識だからこそ
率直な欲情をさらけ出していた事が堪らなく恥ずかしかった。
出海にしてみても、ずっと同じ調子で行為を続けるのは
なかなかにしんどい事ではある。
それでも、ゆっくりと捏ねるように揺らめく蘭に合わせて動き
その姿を堪能するのに、悪い気はしなかった。
「だが…どうも期待に添えられなかったようだしなぁ…」
出海は手早く蘭の両脚を抱え上げ、ぐいと腰に体重をかけながら
息を詰め、眉根を寄せている彼女に語りかけた。
「…優しくは、やめでいいか…?」
「あ…!ああ…っんああ…あぁ…!!」
甘く震える喘ぎが肯定の証だった。
最奥から膣口へ、大きく反り返ったものが勢いよく引かれ
また奥底へと突き込まれる。
「ひゃぅっ…!あ、ああっあああんんーっ!!」
膣内が擦り取られるかのような衝撃に仰け反り
蘭の顔を透き通った涙と唾液が流れ落ちていった。
豊かな乳房は突かれるたびに激しく揺れ動き、汗が飛び散る。
「ああーっあっ!ああんっ…ひああっ!ああ!!」
躰同士のぶつかり合う音に、愛液の滴り落ちる音
身を捩れば擦れる褥。鳴き続ける蘭と出海の荒い呼吸…
小さな灯りが一つ燈るだけの薄暗い部屋に、生々しく淫猥な音が響き渡った。
引きつけたようにびくびくと躰を震わす蘭は
微量の羞恥と怯えの中、いかに自分が出海を欲しがっていたかを知る。
自分の事なのに、自分では分からない事もあるのだと…。
『ああ…出海さんっ…!もっ…もっとぉっ…もっと教えて下さいっ…!!』
突き動かされる想いが、意味を為さない嬌声となって蘭の口から溢れ出た。
ぐるりと陰茎を膣壁全体に擦り付け、恥骨を押し付けると
泣き濡れて髪を振り乱す蘭に、何もかも溶かされそうな感覚が襲ってくる。
固唾を飲み、息を整えようにも落ち着かず、限界が近いと悟った。
「蘭…っ……く…期待には…添えれた…かよ…?」
「あああっ!あん!!あぅ、ぃ…はっ…い!はいぃ…っああーっ!!」
「…なら、いく…ぞ…」
出海は蘭の細腰を両手でしっかりと掴み、今まで以上に激しく速く打ち付けた。
二人の音は更に大きく響く。大きくなるほど二人の耳から遠ざかる。
ただただ互いの躰の熱さを感じて、貪りあう。
「ああ、ああっ…いずっ…いずみさんっ…!……っ…す…き…好きぃ…っ…
っく、ひっ……あ、あ、ああああああああああぁぁ―――――――!!」
蘭の躰はつま先までぴんと張られ、悲鳴のように長い声と涙を散せた。
びくんびくんと大きく跳ね上がる腰を、がっしり掴み上げたまま
出海は強く絡みつく内部から昂ぶりを勢いよく引きずりだし
獣のような唸りあげながら白濁液をぶちまけた。
どろりとした大量の液体は、蘭の腹部や胸にかかり
力なく横たわる彼女の躰の線にあわせて垂れ落ちていった。
「……、…ん、蘭…おい、大丈夫か…?」
…低く通る声…それは彼女の好きな声。
遠く響いて、あまりよく聞こえなくて
耳を澄まそうと意識をし…
その声は、本当はとても近くから聞こえているのだと気付くと
蘭の意識は急速に引き戻されていった。
「……あ…、あなた…おはよう、ございます…」
「…まだ夜は明けてねぇよ」
息が整い切っていない出海の、苦笑交じりの言葉を聞いて
蘭はゆっくりと彼を見た後、自分の体に視線を移した。
「……わぁ〜…すごい状態ですねぇ…」
蘭の意識が飛んでいたのはそう長い間ではなかった。
久しぶりの行為にかかわらず、その程度で済んだのは
出海の『中に出すのは駄目だ』という思いが抑止力となったからだった。
まぁ、そのおかげで蘭の体は『すごい状態』としか
言い様の無いありさまになっている訳だが…。
「二人目は…しばらく作らないって…決めましたものね…」
「まぁな」
まだぼんやりしているのか、少し間延びした声で
言うのに出海が答えると、彼女は手を差し出す。
出海は蘭の背を片手で支え、抱えるようにゆっくりと起こした。
懐紙では埒があかず、手ぬぐいで体を拭いながら
「二人分の修行を見るのは…きっと大変ですし…」と呟いた。
出海はそれには答えず、黙ったままだった。
「あなた?」
「…まぁ…うん。…それもあるが…な」
含みのある言い方をした後、腕の中の蘭から目を離し
変わらず眠り続ける天兵へと目を逸らしてしまった。
彼のそんな横顔をしばらく不思議そうに見つめていた蘭は
ふと得心がゆき、いたずらっぽい笑顔を浮かべ
そっぽを向いている出海の頭を優しく撫でまわした。
少々癖のある硬い黒髪が、しなやかな指に絡む。
自分の赤く細い髪とはやっぱり全然違うなと思った。
突然の柔らかな感覚に出海は目を丸くし、振り向いた。
「おい、な…」
「甘えん坊さんですねぇ」
「…………」
ものすごく反論したいが、なんと言えばいいやら分からん…
といった表情を浮かべている出海に
「天兵ばかり構って、寂しい思いさせてごめんなさい」と微笑んでみせた。
先程まで、さんざんっぱら泣かされた仕返しなのか
にこにこ笑う蘭の顔は本当に楽しそうだ。
実の所、はっきり言えば図星なので
出海の敗北は目に見えて明らかだった。
「私…天兵も出海さんも同じくらい大好きですから」
「……………天兵のが先かよ」
拗ねたような出海の言葉に、ついに蘭は吹きだしてしまった。
肩を揺すって笑っている蘭を渋い顔で睨みつけ
もう一度、押し倒してやろうか…と思いかけた時
彼女は出海の頭を二、三度くしゃくしゃと撫でた後
するりと腕を離れ、寝間着を持って立ち上がってしまった。
まだ足に上手く力が入らず、少しよろめき柱に手をついた。
思いがけず逃げられ、少々落胆しつつも
蘭の不安定な姿を出海は気にかけた。
「おい、無理するなよ…どこ行くんだ?」
「今からお風呂は入れませんし…手ぬぐいを濡らして持ってきます」
「それくらいオレが行ってやんのに…」
気遣う出海に蘭は優しく微笑みかけて、しっかりと寝間着の帯を締めつつ
「ありがとうございます。…天兵を見ていて下さい」
と礼を言い、ゆっくりと背を向け部屋を出ようとした。
そんな、ふすまを開けようとする蘭の手がぴたりと止まる。
「すぐ戻りますから、寂しがらないで下さいね」と出海を振り返り
含み笑いを漏らしながら、今度こそ部屋を出て行った。
「馬鹿が……ったく…」
遠ざかる足音に呟き、頭をがしがしと掻いた。
それでも、への字だった出海の口元がうっすらと綻ぶ。
悔しいと言えば悔しいが…悪くは無くて、ひどく可笑しかった。
本当に、つくづく…自分達は馬鹿な夫婦で
それは少々困るくらい、心地良い物だと出海は実感したのだった。
出海はよれた寝間着をたぐり寄せ、適当に皺を伸ばした。
今日の所は蘭を許して大人しく寝る気になったようだ。
袖を通そうとすると、目端にもぞもぞと動く物を捉え
首を巡らせそちらに視線を向けると……天兵がぱっかり目を開いた。
「……」
父と息子の視線が、しっかりと合う。
そしてすぐに、天兵の目はとろりと細まり
おくるみの端を咥えて眠りに落ちていった。
出海は、そのまま天兵の顔を凝視しつづけた。
たかだか産まれて三月の赤子…自分の思い過ごしだと思う。
思うのだが…
『…今こいつ、すげぇ冷たい目で見やがらなかったか…!?』
濡れた手ぬぐいを持ち、寝室に戻った蘭の目に
眠る天兵と、それを睨みつけるように見つめている出海の姿が映る。
『見ていてください、とは言ったけど…
なにもそこまで見ていなくても良いですのに…』と
困惑しきった顔で立ち尽くしてしまった。
傍らに立つ木の枝から、鳥の羽ばたきを耳にして
出海は思考の深淵から戻った。
腰掛けた岩に揺れる木陰が複雑に形作る。
顔をあげれば澄んだ青空が目に飛び込んできた。
陸奥の里を見渡せる高台に、初秋の気配が漂い始めている。
ずいぶん昔の事を思い出したもんだ…と、一つ息を吐く。
空を見るのをやめ、彼がこのような場所で座っている理由に目をくれる。
視線の先には、地面にぽたぽたと汗を滴らせ、天兵が片手腕立てを続けていた。
その背にはご大層な重しも乗せられ、しかめっ面だ。
風情ある里の風景にまるでそぐわない。
「天兵…あと百、追加」
「はぁ!?…朝からずっとこんなんばっかで、いい加減飽きたんだけど」
そっけなく言う出海に素っ頓狂な声を上げ、天兵は抗議した。
しかめっ面だったのは、疲労や何より退屈だからだ。
出海にしてみても、そんな事は分かりきっている。
自分がそうだったから…。だから、自分が父に言われたように言う。
「馬鹿、基礎は大切なんだ。つべこべ言わずとっととやれ」
「…わかってるよ…ったく。…親父はオレに恨みでもあんのかね…」
………………
「いいや、別に」
……おい、なんだよ…今の間は。
天兵は聞くに聞けず、二人の間に奇妙な沈黙が広がる。
「本当に逃げようかな…」
「何か言ったか?」
「…なんでもねーよ」
げんなりした口調の息子に、出海は少し笑った。
月日が流れるのは本当にあっという間だと出海は思う。
天兵は十四になり、最近やたらと反抗的になってきた。
それでもはっきりとした目的が見えた為か
そっけなく見せかけて、内心とても燃えているのだと分かる。
『十四か…』
雷が産まれた時、自分の満年齢も十四だった。
ずいぶん年の離れた兄弟が出来ると知った時は
嬉しい反面、反抗的な気持ちになったものだ。
そんな事を考えていたら、次から次へと
いらん思い出まで蘇ってしまったのだ。
出海は頭をばりばりと掻き、軽く振った。
結局、子供は天兵一人だけしか作らなかった。
意図的だったり無意識だったりしつつ、色々やってきたが
結果としてはこれで収まっている。
…『色々』の所は、あえて思い出さないようにしつつ、口を開く。
「…なぁ、天兵」
「なんだ?」
「お前、弟か妹が出来たって聞いたらどう思う?」
片腕で支えられていた天兵の体が、がくんと勢いよく潰れかけた。
地面への激突を何とか辛うじて踏みとどまり
腕に血管を浮き上がらせながら体勢を立て直す。
ものすごい形相のまま、肩で息をついた。
「気を抜くな…骨が砕けるぞ」
「お、親父がいきなり妙な事…!いや、それより…嘘だろ!?」
「嘘だ」
「……………」
呪詛交じりの視線を軽く受け流しながら、やはりこういう
反応になるよなぁ…と出海は得心して頷く。
やさぐれた雰囲気を漂わせながら修練を続ける天兵を
しばらく見守っていた出海は、立ち上がり眼下の里を見渡した。
彼の髪を揺らす風にも、秋の気配は感じられる。
結局、今の今まで雷が帰ってくることは無かった。
それらしき人物の噂も聞かないし、天兵を連れて旅した時も
情報収集をしてみたのだが結果は同じだった。
いつも暢気で元気だった母が、臨終の床で見せた涙が頭をよぎる。
「………」
陸奥の歴史の中には、血を分けた兄弟の悲話もある。
…産まれた時から闘うことが運命付けられた双子。
…妹夫婦にその首を捧げた、兄。
弟と多く共にいたのは、どちらかと言えば父より自分だった。
もしかしたら、と思う。
『もしかしたら…あいつを追い詰めてしまったのは…オレなのかもしれん』
そして、己の子を一人しか作らなかったのは
これらの悲劇が降りかかるのを無意識に恐れたからだろうか。
出海の顔に、深い苦悶の色が浮かぶ。
『…こんなオレが、新たな陸奥を創るなど…』
「隙あり!」
こん、と後頭部に軽く手刀が入れられ、自分がどれだけ
深く思案していたかを出海は知った。
振り返ると、そこには日に透ける呉藍の髪。
「うふふ…陸奥に無手で一撃加えるなんて、私もやりますでしょ?」
「ああ、今のは効いた」
蘭は心から嬉しそうに、ころころと笑う。
ふっと、肩に入っていた力が抜けて行き、出海は目を細めた。
「お昼が出来たので、下から呼んだのですけど…
あなたったらぼーっとして、返事もしてくれないんですもの」
「悪い…」
「何を考えてたのですか?」
興味深そうに首をかしげて聞いてくる蘭に、出海はニッと笑う。
そっと彼女の耳元に口を寄せ、囁いた。
「…若い頃のお前を思い出してた。天兵が生まれて間もない頃の…な」
「え、あ……も、もぅっ!」
蘭の顔がほのかに赤く染まった。
出海と同じく、あの夜の事を思い出してしまったのだろうか。
「どうせ今はもう若くありませんよ…皺も増えましたし」
「皺ならオレも増えたがな」
少しだけ拗ねた風に蘭が言うのに、出海は答えた。
「それに…皺が増えようとお前は別嬪だしな」
「!!……」
蘭は茹蛸のように赤い頬に手を当て、うつむいてしまった。
それでもなにやらごにょごにょ言っているので
出海が耳を近づけると「あなたも…素敵です」と呟いた。
そんな蘭に、出海は満足そうに微笑む。
年老いると言う点では、圓明流の使い手である出海のほうが
絶頂期の動きを知っているだけに、より切実に感じていた。
業の速さも威力も、以前に比べれば随分と衰えてきたと思う。
…それでも、蘭と顔を見合わせていると
それはそれでまぁ良いか…と思える自分もいた。
自分の黒い髪も、蘭が今だに気にしている赤い髪も
揃って白くなっちまえば同じなのだと。
軽く笑って、出海は何かを吹っ切るように空を仰ぎ見た。
『…その日がくるまで、オレはオレのやれる事を
やって行くしかねぇか……な、雷…』
「よし…じゃあ蘭、一旦帰るとするか。
天兵は終わらせてから来い。数を誤魔化すなよ」
「…あんまり無理しないようにね」
二人は息子に向け、対極の言葉を掛けた。
夫婦愛の寸劇が繰り広げられている横で、一人黙々と
腕立て伏せを続けていた天兵は、無言のまま頷いた。
寄り添って歩いていく両親の後姿を横目で見送った後
天兵は長ーく溜息をついた。
あの二人の所構わずっぷりは今に始まった事ではないし
仲睦まじい事は良い事だ、と分かってはいるものの…
いいかげん胸焼けしそうなのも否めない。
最近では両親の馴れ初め話も、本当は全部
嘘っぱちなんじゃないかとさえ思えてきた。
『早く家を出てぇな…』
どんな形でもいいから、早くそうなりゃいいと彼は思った。
汗がまた一粒、落ちて地面を濡らす。
しかし、それと同時に…天兵の脳裏には
『久々に実家に帰ったら、母が弟か妹を抱っこしてお出迎え』
などという状況が想像され、心からげんなりしてしまった。
「有り得ない…と言い切れねぇ所が嫌だよな…」
まぁ、そんな先のことを気にしていても仕方ないか…
天兵は案外あっさりと、その件を脳裏から追い出した。
それよりも昼のおかずはまだ残っているのだろうかと
気に掛けながら、腕立ての回数を消化していった。
終わりますた。また無駄に長くてスマソorz
前に書いたのですが、今の所、圓タンを書く人はいないようなので
次のはそれを書かせてもらおうと思います。
でも実は温泉が出てくるんすよ…。
キーさん、内容かぶったら申し訳ないです。
390 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/13 00:09:29 ID:MwM2TYkL
被んないと思います。うちの方は謎の秘湯で二組別々のしっぽり…って感じですから。
それより先に増畑話なんですけどね。
アズマ(´Д⊂
159さん乙
よかよか159さん。感動致しました。
遅ればせながらアケオメー
キーさんも159さんもお疲れ様ァアアアアア!!!
新年早々眼福眼福。悶えた悶えた。
増畑話も圓タンも楽しみすぎて待てません先生!
先程ちょっと風呂上がりに携帯からちょちのぞいてみましたが
このまま寝ちゃえと思ったけど、PC立ち上げ今年二度目のカキコ
前半悶えさせ、後半感動しますた・・・
パンチーも枕も濡れちゃったよん。
天兵キャラ立ってるなあ。面白かったよ
漏れは濡れ発言にボッキュしますた
漏れはボッキュ発言に尻穴が(ry
398 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/17 23:52:33 ID:zf22dint
氷の魔女
「はぁ…。」
札幌の街角を溜息混じりに歩く一人の女性。彼女の名は鳩羽藍。
現在東京在住、出身はここ札幌。彼女の溜息の元は、これから向かう先にあった。
「大志のバカ、ちっとはマシな体になってりゃいいんだけどな。」
彼女が今向かっているのは、神武館札幌支部。藍は現在本部に通っているが、元は札幌支部の門下生であった。
藍は神武館四鬼竜の一人、増畑大志と幼なじみなのである。
「デブってたら魔女の箒百回の刑………それより、『お預け』が効くか。どうせ一度は魔女の箒かますんだし。」
藍は帰省する度、増畑に肉体改造を通告している。その甲斐あってか、増畑の空手はただのパワー任せの空手から少しずつ変化していた。
だが、藍が肉体改造を通告しているのは、全く別の理由からだった。
150Kgもある野郎に押し倒されてちゃ身が保たない。
増畑は藍にベタ惚れだが、藍は増畑を親友以上恋人未満の存在として扱っている。
二人の間には肉体関係があるが、それはあくまでスキンシップの延長線上で、恋愛感情のないものとして、藍は考えていた。
「いないことを祈るしかないわね。」
藍はくたびれた感じの顔で神武館の入り口をくぐっていった。
399 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/17 23:54:05 ID:zf22dint
「藍〜♪」
道場に一歩足を踏み入れた瞬間、増畑を知る人間なら誰でもひいてしまいそうな猫なで声と同時に、2Mの巨体が藍の方へと向かってきた。
藍は軽く踏み込むと、無防備な増畑の鳩尾に蹴りを入れた。
そのまま三角飛びの要領で壁を蹴って今度は胸に膝を叩き込む。その膝を真直ぐ上にあげ、止めに顔面を蹴りあげた。
ダン、ガッ、ダン、ゲシッ。
壁と増畑の間を三角飛びしながら増畑を攻撃し、最後にバク宙で着地する。
これが藍の対増畑用必殺技、「魔女の箒」である。
ぐらり。どーんっ!
「藍、ひどい…。」
「学習しろ、馬鹿。」
見事に尻餅をついた増畑にきっぱり言い放った藍は、増畑の足を踏み付け、睨み付けた。
「素足なんだから、そんなに痛くないでしょ。で、大志。今の体重は?」
唇は笑みを浮かべているが、眼差しは氷の様に冷ややか。嘘をつこうものなら、どんなお仕置きが待っているか分からない。増畑は顔を引きつらせた。
「130…。」
「上出来じゃない。」
前回言い渡した数字より良い成果をあげた増畑に、藍がにっこりと微笑む。そこでようやく増畑は安堵した。
「でも、それをキープ出来なきゃ意味ないわよ。」
足を退かしながら藍が言う。
「分かってる。で、藍。何でこんな時期に帰ってきたんだ?」
400 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/17 23:55:54 ID:zf22dint
「よさこいソーランの下見。帰るんなら、会場の大体の幅とか見てきてって頼まれた。」
「よさこいソーランって、六月のだろ?藍、出るのか?」
「合同チームだけどね。…差し入れ、四十人分忘れないように。」
「飲み物で良いか?」
「十分。数こなすから酒はいらない。」
親しげな会話を交わす二人を遠巻きに見る門下生。藍を知る者はいつものことと見ていたが、藍を知らない門下生は困惑した表情で二人のやりとりを見ている。
「誰なんすか、あの人。」
「あー、増畑のダチ。昔はここの門下生で、女子最強だったんだ。何せ増畑に勝てたのは彼女だけだったし。」
「勝ったぁ?!」
年配の師範の言葉に、若い門下生の視線が藍に集中する。その視線に藍は好戦的な表情で返した。
「大志、荷物頼むね。」
持っていた鞄と薄手のジャケットを増畑に放り投げた藍は、構えて言い放った。
「遊んであげるよ、坊や達。」
黒帯初段二十人、所要時間一時間。
軽く汗をかいたと言う風な顔で談話室に来た藍は、先に来ていた支部長と増畑の二人と向かい合う席に腰を下ろした。
「支部長。お久しぶりです。」
「相変わらず元気だな。鳩羽。」
「タフじゃないとやってけない仕事してますんで。」
小さく笑みを零す藍。
401 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/17 23:57:42 ID:zf22dint
「で、いずれは俺のよ…」
がん。
増畑の無駄口を拳で黙らせる藍に、支部長が盛大に吹き出した。
藍は東京の葬儀屋の社員。増畑の実家は葬儀屋。藍の実家はその隣の花屋。
増畑は藍に嫁に来てほしい。藍はその気はおそらくまだない。
「お前ら、相変わらずだなぁ。」
「こいつが相変わらず馬鹿なだけです。」
「藍が素直じゃないだけっす。何せ夜…。」
こり。
増畑の喉仏を藍が掴む。
「大志。鍛えられない急所、わかるよね?」非常ににやついている藍の嫌な笑顔に増畑は半泣きで首を縦に振った。
その二人のやりとりを戸の隙間から覗く門下生達は、藍の凄さを改めて思い知った。
「増畑さんをびびらせるなんて凄ぇ…。」
「女にしちゃあでかいけど、精々160ぐらいだろ?」
「さすが鳩羽。札幌支部の良心。」
「でもなんか、美女と野獣っぽいすよね。」
「あいつは美女じゃなくて魔女だよ。俺はそう思ってるがな。」
「…聞こえてるよ。」
わざと少しだけ開けておいた隙間から、覗く面々に向かって藍が一言。
妙にドスの効いた声に、覗いていた門下生が脱兎のごとく逃げ出す。その様子に藍は呆れた笑みを浮かべた。
「…すいません支部長、私、そろそろ帰ります。」「あぁ。居るうちにまた顔出してくれよ。」
「…押忍。」
402 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/17 23:59:20 ID:zf22dint
藍は一礼すると、談話室を後にした。
その日の深夜。
夜間部に出た後で帰宅した増畑は、部屋で爆睡していた。
その眠りはあまりに深く、両親が急な仕事で出たのにも気付かない程である。
と、そこへ隣家の二階の屋根から増畑の部屋のベランダに跳び移る人影。その物音に全く気付かない増畑。
人影は手慣れた様子で鍵のかからない窓を開けると、静かに室内へ侵入していく。
「相変わらず凄い眠りっ振りだこと。」
布団をはぎ取り、増畑を上半身裸にし、頑丈な鎖つきの手錠で両腕を頭の上でまとめてベッドに固定する。それでも起きない増畑に人影は呆れた顔になる。
「ま、これくらい鈍いなら遊び甲斐もあるか。」
差し込む月光を浴びながら、人影…藍は羽織っていたローブを脱ぎ捨てる。
コルセットとブラで別れる、黒いエナメルのビスチェ。重要な部分を隠すだけの露出度の高い革のパンティー。ビスチェと同じ素材のガーターベルトをパンティーの下に着け、革製のストッキングをそれで固定していた。
藍は髪を結う紐を外す。すると、毛先に癖のついた髪が首筋を覆った。ローブを拾い上げ、ポケットに入れていたコンドームの箱を取り出す。
「さぁて、サバトの始まりと参りましょうか。」
そう呟く藍の表情は冷たくも妖艶だった。
リアルタイムで支援しる!キーサンガンガレ!
404 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/18 00:02:39 ID:saeM+qgj
何げに400取っちゃいました。(^-^)
この後は濃厚かつマニアなHへ突入予定なのでお楽しみにして下さい。
相変わらずの文学的表現流石!乙デス! ビバ!マニア向け文学!
増畑に合掌!! く(´ー`)
増畑ってコイツか・・・
今日やっと文庫コミックスの門で確認できたけど
ダダでさえマニア展開にこりゃまたマニアックな人選を、、、
藍様がベッドに固定後どうすっか期待。
片山君は彼女いなさそうだから期待できないのが残念
409 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/20 20:59:55 ID:Apn10n2t
「ん…。」
増畑の上に乗った藍は、首筋に顔を埋めた。そこからつつ…と、ゆっくり唇で増畑の肌をなぞる。
筋肉の割れ目を舌で軽くなぞり腹部までいったところで、藍は増畑の腹に顔を寄せた。
「生きた人肌って…やっぱ、いいなぁ。」
手は自然に脇腹や胸の愛撫に動き、指先で増畑の乳首をつまんだ藍は、それを弄ぶ。
「む…ん?……。」
と、その時。増畑が薄目を開けた。半分まだ寝たような状態の頭では状況が把握できないらしく、藍のやることをぼんやり眺めている。
藍は寝呆けた増畑に小さく笑うと、体をずらし、脇腹を甘噛みした。筋肉に添って見せ付けるように舌で舐め回し、そのまま唇でズボンのゴムの部分を噛む。
そのまま口でズボンを脛まで引き下ろすと、太股に歯を立てて噛み付き歯型を残した。
そこでやっとはっきり目を覚ました増畑は、自分の状況に気付いて声を上げた。
「藍……!」
「いつもの夜這いでしょ?何驚いてるの。」
「これのどこがいつもの…。」
腕を動かした増畑は、自分の手首を拘束しているものに気付いて目を見開いた。
金属の輪の内側に柔らかい毛皮の付いた手錠は、長い鎖の中間がベッドに固定されていて、増畑が力をこめてもびくともしない。
外そうともがく増畑に藍は告げた。
410 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/20 21:01:18 ID:Apn10n2t
「言っておくけど、大志の力じゃ壊れないからね、それ。ちゃんとテストしたのを貰ってきたんだから。」
「それも…か?」
体を起こした藍のあまりにも煽情的すぎる衣裳に、生唾を飲みつつ尋ねる増畑。
「これはあたしが作って貰った奴。イメージとサイズを伝えたら凄いの作ってくれてさ。手錠は別件の人から分けて貰った。」
藍は艶やかな微笑を返すと増畑の下腹部に腰を下ろした。そのまま手を増畑の胸板に伸ばし、柔らかいタッチで撫で回す。
「っ…な…んっ!」
「…ここは、どう?」
笑みを崩さないまま、藍の指が増畑の乳首を弄ぶ。肌を重ねる度に開発されていった性感帯を攻められ、増畑は思わず反応した。
「……っ!……ぅ…。」
「我慢しなくても、いいのにさ。…大志も口は結構素直じゃないじゃん。」
腰を少し後ろに引くと、もっこりとした感触が藍の尻に触れる。
「体の方が正直だね。大志は。」
藍は増畑の胸に顔を埋め、片方の乳首を口に含んだ。舌で転がしながら時折歯を立てると、増畑の体がびくんと反応する。
「………っ!」
反対側もそのまま指で弄ばれ、増畑は歯を食い縛り、喘ぎ声を上げないよう耐える。しかし、藍の体に触れている増畑の股間は、確実に質量を増していった。
411 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/20 21:02:34 ID:Apn10n2t
ぺちゃり。
唾液をたっぷり含ませた舌で舐め上げながら顔を上げた藍は、増畑の上から退き、脛の上に座り直した。
中央が大きく膨らんだトランクスを一気に引き下ろすと、半勃ちになった増畑の巨大なペニスが露になる。
藍は、ビスチェの胸元に手を突っ込むと、胸の谷間から短いベルトを取り出した。
「…藍。頼む、それだけは………!」
使われたものは違ったが、よくやられていた行為が頭に浮かび、叫ぶ増畑。
「やだ。」
藍はそれに構わず慣れた手つきで、増畑の巨根の根元を、そのベルトで少し緩めに締め上げた。そして、腰を浮かすと、半端に脱がせていたズボンとトランクスを増畑の足から外す。
藍は体を倒し、増畑の半勃ちの巨根を乳房で挟んだ。胸の谷間からはみ出た部分に息を吹きかけながら、弾力のある乳房で巨根を刺激する。
「…、……!…ぁ…っ…あ、い…。」
唇をすぼめ細く息を吹きかける度、巨根が硬度を増していく。藍が体を上下させ、胸で巨根を擦り上げると、増畑は苦痛と快楽の狭間を漂った。
「っい、…痛っ…う、…あ、…くっ!」
完全に勃起した巨根の根元をベルトが締め付ける。
藍は増畑の上から離れ、ベッドの上に置いたコンドームの箱を取ると、封を切って中から一つ取り出した。
412 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/20 21:03:51 ID:Apn10n2t
コンドームの袋を破った藍は、先走りを滴らせる増畑の巨根にそれを被せると、増畑の脚をまたいで膝立ちになった。
そして、腰の両脇に手をやると、パンティーに付いている止め金を外した。股間を覆う部分が落ち、藍の秘裂が露になる。
欲望を煽られつつも、それを吐き出すことを止められた増畑は恨めしそうに藍を睨む。
「…藍、…殺す…気…か…。」
「うん。生殺しにね。」
すぐにはイかせないと言う風に囁いた藍は、巨根を秘裂に押し当てるように股を押しつけ、太股で挟むように腰を下ろした。そのまま素股で腰を動かす。
「…ん、…あ…っ…あっ…あ…。」
藍は、片手でクリトリスをいじり、巨根に当たるように秘裂を広げながら、もう片方の手はビスチェの上から胸を強く揉んでいる。
快感で頬を赤らめて喘ぐ様は艶めかしい。が、それも今の増畑にとっては拷問にしかならなかった。
「……ん、っ痛!…あ…う…っ…!」
淫らな藍の姿。
ペニスを刺激する熱く濡れた秘裂。
今すぐ組み敷いて、無茶苦茶に犯してやりたいと言う欲求が頭を支配する。だが、両腕を拘束された今の状況では抱き締めることさえ出来ない。
解放されない欲望が体内を渦巻き、快楽と苦痛が最大限に高まった瞬間、
「…………っ!!」
体を強張らせた増畑は、射精しないままイかせられた。
続き続き
早く読みたい〜
その状況で半勃ちとは!
しかもその後射精しないままイかせられる巨大なチンポの持ち主!
増畑、恐るべし!!!
415 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/23 09:10:20 ID:4FnVbzGF
「…はぁ…あぁ……はあ……。」
虚ろな目で藍を見上げ、荒い息を吐く増畑。
藍はその眼差しに潤んだ眼を向けると、腰の動きを速めた。と同時に、止め金を外し、ビスチェの胸の部分を外す。
張りのある乳房を露にした藍は、直接乳首をいじりながら、愛液を擦り付ける様に、腰を回しだした。
「ぁ…ぁんっ…あ…っあ…はぁ…んぅ……。」
一気に水音の粘り気が増えたような感じになり、煽られた増畑はせめて、動かせる下半身を使おうと、腰を上下に動かした。
「っ!ぁ、……はぁ、あっ…!」
増畑が腰を上下させる度に、クリトリスをきつく擦られた藍が甲高い嬌声を上げ、腰をくねらせる。だが、それは逆効果だった。
「痛!…ぐ…あ…っ!…うわぁっ!!」
腰を動かしたことで秘裂に刺激されたペニスが更に堅く張り詰める。先走りさえ止めてしまい兼ねないきついベルトの締め付けに、増畑は思わず目の端に涙を滲ませた。
「…大志、…出したい……?。」
クリトリスをいじっていた手を増畑の巨根に伸ばした藍は、自分の愛液で濡れたそれの裏筋をそっと撫でた。
「…っ…!」
ざわりとした感覚に息を詰まらせ、増畑は縦に首を振る。
今にも泣きそうな増畑の表情に、藍は薄く笑って頷くと、巨根の根元に手を伸ばした。
416 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/23 09:18:27 ID:4FnVbzGF
かちゃかちゃ。
ゴムが破けたり外れたりしないよう、注意してベルトを外す藍。
ずるりと抜き出したベルトは増畑の体液を吸ってぬめっている。
藍が軽く扱いただけで、巨根はあっさりと白濁を吐き出した。
「…ぅお!…っ…おぉ…。」
吐き出された精液はコンドームをすぐに満たし、溢れた白濁は幹を伝って増畑の股間を濡らす。
藍はコンドームを外してやると、器用に縛ってゴミ箱へと放り投げた。
「…はっ、はあっ…、…藍……。」
「……まだ、駄目。」
新しいコンドームを箱から出しながら、藍は増畑の言葉をすぐに遮る。
「…先に、綺麗にしなきゃでしょ?」
「え?……おぉっ!」
藍の言葉を一瞬理解出来なかった増畑が、藍の次の行動に嬉しそうな顔をする。
藍が体をずらし、増畑の股間に顔を埋め、精液塗れのペニスを舐め始めたのだ。
「…っ、ん……ふっ……。」
根本から先端に向かって、舌を動かし、白濁を舐め取る藍。
舐め清めることだけが目的の為、細かな舌技は使わないが、美味そうに精液を飲み込む姿は淫らで、出したばかりの巨根も、すぐに熱を帯び始める。
「…お前、…キスはさせて、…っ…くんない、けど…口でするのは、…好きだよな…。」
「…ん……。」
増畑の言葉に生返事を返し、藍は熱心に巨根についた精液を舐めていく。巨根に付着した精液が減る度に、増畑の巨根も勢いを取り戻し、堅く勃起していった。
417 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/23 09:19:40 ID:4FnVbzGF
こく。
最後の白濁を飲み込み、巨根を綺麗にした藍は、顔を上げて増畑の顔を見た。
「…生きてるから…だと思う。……」
「はぁ?」
「…今更、だけど…あたし葬儀屋でしょ?…で、あたしはどうしても、…御遺体の湯灌やら…修復とか、やること多いのよ。…で、時々無性に生きた人肌に触れて…精気を貰いたくなる時があってさ…。」
「…で、夜這いに来ると。」
「うん。あんたなら面倒ないし。…彼氏じゃないから、キスはさせないけどね。」
彼氏にしない理由まで聞くと興醒めになってしまうのを分かっている増畑は、わざと話を変えた。
「…で、何で手錠なんか付けたんだ?」
「あんたに完全にリードさせたらこっちの身が持たないから。ま、遊びだと思って割り切ってよ。」
綺麗にした巨根に、新しいコンドームを着けながら、藍はさらりと返した。コンドームを着けた上から再びベルトを着けるのを見た増畑は、不満そうに藍を睨む。
「また、我慢させるのか?」
「文句あるなら、このまま朝までいてもらうよ?…手錠の鍵はあたしが持ってるんだからね。」
「………わかった。」
渋々頷く増畑。藍は勃起した巨根をまたぐように膝立ちになると、二本の指で秘裂を広げ、巨根の先端をあてがう。
「久々なんだから、…入るまで、腰、使わないでよ?」
予め釘を刺した藍は、そのままゆっくり腰を沈めていった。
ヽ(゚∀゚ )ノ 続き楽しみ!
増畑さらば!! (´ー`)ノシ
逝っけ〜〜〜〜〜!!!
421 :
名無しさん@ピンキー:05/01/27 22:58:18 ID:pyilmqxY
支援age
なんか性格似てそうなカザルとマイアで、どなたか書いてもらえませんかに?
423 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/28 03:56:05 ID:CmrZ3sGy
「っ…、ぅん…ぁ…はぁ…っあ…っ…。」
ゆっくりと腰を降ろし、奥まで受け入れたところで、藍は増畑の腹に手をついた。そのままゆっくりと腰を動かし始める。
「…んぅ…あ…っ…んぁ、…ふぅ…はぁ…ぁ…。」
「…う…ん…ぐぅっ……。」
クリトリスを擦り付けるように腰を上下させる藍の唇からは甘い声が、耐えず藍の肉壺の刺激に快楽と苦痛を与えられている増畑の唇からは呻き声が零れる。
にゅちっ、にゅちゃ、にゅちっ…。
愛液が潤滑剤となり、生々しい肉が擦れ合う水音が響く。
「…んぅ、あぁん…はぁ、…あっ…ん……。」
みっちりと埋まる巨根に藍の内部はうねるように蠢き、藍の顔には自然と快楽に恍惚とした表情が浮かぶ。「…はぁ、ああ…い…ぃ…ぁん…ああ、あ…。」
魔女というより夢魔といった方が正しいその媚態に、増畑の意識が一瞬苦痛から解放された次の瞬間。
「…ぐっ…う…あ…!!」
びくん、と体を仰け反らせた増畑は、藍を深く突き上げると同時にベッドに深く沈み込んだ。喘ぎ声と呻き声を上げ続けた唇の端からは涎が零れ、目は見事に白目を剥いてしまっている。
「…あぁっ……あ、んぅ、ああ!!っ……はぁ…あっ……ちゃあ…。」
きつい突き上げに達した藍は、身動きしない増畑に、やり過ぎたか、と言う顔になる。
424 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/28 03:57:14 ID:CmrZ3sGy
「…大志、…生きて、る?」
繋がったまま、増畑の顔をぺちぺちと叩く藍。
すると、わずかに呻き声を上げながら、増畑が藍を見上げた。しかしその顔にいつものふてぶてしさはない。
「…藍、…イかせて…くれ…頼む、から……。」
「ぅん…ちょっと…やり過ぎだった、ね。……………猿みたいに腰振りっぱなし、の奴が言う…台詞じゃ、…ない、…け…ど……。」
突き上げられた際に根元まで巨根を受け入れた藍の体を、増畑は揺らす様に突き上げる。
藍は快感に堪えながら、腰を少し浮かせ、根元を締め付けるベルトを外しにかかった。
「っしょ、…これで…、……っ、…ん、ぁっ!ああ…っ!!」
「ぅ、あっ、……あ……!」
ベルトを外した瞬間、内部で巨根が熱く脈打ち、それと同時に突き上げられ、藍は強い絶頂に達する。と同時に増畑も射精し、心身疲れ切った様に再びベッドに深く沈み込んだ。
「…はぁ、はあぁ…、んああ…。」
体を仰け反らせ、達した時の姿勢のまま息を整える藍。
「…はぁ、はぁ、はぁ…。」
漸く解放され、荒い呼吸を整えないまま、余韻に浸る増畑。
「……とっ…んっ…。」
しばらくして、藍がゆっくりと腰を上げて巨根を抜く。抜けた瞬間、愛液が股間を伝って腿を濡らす。藍は小さく息を吐き、増畑に尋ねた。
425 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/28 03:58:16 ID:CmrZ3sGy
「まだ、…いける?」
ベルトを放り投げた藍の問いに、増畑はこう答えた。
「…いける。…いや、…泣かす。そうしないと、俺の気が済まない。」
「上等…。」
増畑の答えに楽しそうに笑った藍は、増畑の脛に腰を降ろした。精液の溜まったコンドームを外すと、それを縛ってゴミ箱へと放る。
「じゃあ、…空打ちなしのガチでいくよ。」
藍は精液塗れの巨根を胸で挟むと、谷間からはみ出た先端をちろちろと舌先でくすぐりだした。たっぷりとついた精液を舐め取りながら、感じるツボを集中攻撃するように舌を使う。
乳房を手で押さえた藍は、扱くように胸を手で上下させた。
「……ぁむ。……んっ…。」
亀頭を口に頬張り、頬を窄めて尿道に残った分を吸い取るように吸い上げると、増畑の内股がびくりと反応を示す。
藍は片手を増畑の内股に伸ばすと、追い打ちをかけるかのように内股を優しく撫でた。
「…っ、…ぐっ……。」
「…っ、…んう……はぁ、…んっ……。」
喘ぎ声を出すまいとこらえる増畑の険しい顔を、ちらりと見た藍は、乳房をしっかり掴むとそれで巨根を揉み扱くよう、きつく擦り上げた。
強いパイズリで、根元についていた白濁が乳房の表面に付着すると、藍は見せ付ける様に舌でそれを舐め取った。
426 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/01/28 04:00:28 ID:CmrZ3sGy
>>422さん
私は門専門なんで、すいませんが無理です。
泣かす!
いいねえ〜
>「まだ、…いける?」
>「…いける。…いや、…泣かす。そうしないと、俺の気が済まない。」
> 「上等…。」
上記の会話から、お互いの信頼関係が伺い知れます。
プレイには信頼関係が重要なのでね。
キーさんこらからもマニアックな作品に挑戦キボンです。
さびれだしてんな、、、っと、保守
430 :
名無しさん@ピンキー:05/02/05 01:04:35 ID:XcqsrEoJ
じゃ、目立たせよ〜
ここは大人板だからageたとしても荒らしの餌食になりにくいしね。
431 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/02/05 05:26:48 ID:2TLZMbXA
「濃いねぇ…やっぱ、空撃ちさせてから出した奴は…。」
白濁を舐め取りながら、美味そうに啜り上げる藍。その表情自体が情欲をそそる。
「…………っ!」
淫ら、としか言い様がない藍の顔に、増畑は息を飲んだ。
いなくなった直後は知らないが、ここ二三年は自分としか肌を重ねていない筈の藍が、妖艶過ぎる。
呟く声、魔女と言うあだ名の由来ともいえる、わずかに異国の血を引く容貌。美味そうに精液を啜る唇。飲み込む時の喉の滑らかな線。
月に三日帰ってきてれば奇跡、と言うぐらい姿を見るのは稀。性行為に及ぶなど二月に一回あればましな方なぐらい、藍に会うこと自体が少ないからか、欲求のせいでそう見えているのかもしれないが、藍はその存在全てで、増畑を魅了していた。
「んっ…ご馳走様。……元気になったねぇ……。」
ちゅぷっ。精液を思う存分味わい尽くした藍は、堅さを取り戻した巨根にコンドームをつける。そうしてから、再び増畑の股間をまたいで膝立ちになった。
「…っ、…ん…ぅ…!」
少し勢いをつけ、腰を落とす。奥まで受け入れたところで、藍は腰に力をいれ、銜え込んだ巨根を締め付けた。
「…っ、あ…ん、…き、つ…。」
「………どう…?」
淫らな表情のまま、ゆっくりと藍が腰を動かし、体を上下させる。
432 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/02/05 05:28:07 ID:2TLZMbXA
その度に、とろけた肉襞が吸い付くように巨根に絡み付き、奥へと吸い上げるように蠢く。
「…っ、…うぅ…っ…くっ。」
肉襞の感触に増畑はしばし意識をとろけさせていたが、泣かすと決めた以上、とろけっぱなしではいられない。
増畑は、藍を揺らす様に腰を動かし始めた。
「…ん、…あん!…抉られて…ああ…!」
カリが膣壁を強く刺激し、高い嬌声を上げる藍。しかし、これだけでは済まなかった。
ぎち、ぐちゅ、ぎち、ぐちゅ、ぎち、ぐちゅ…。
子宮口にはまった亀頭が、入り口を広げるかの様に、藍の一番奥を何度も突いてくる。
「っ…あ、効く、っ、きてる、っ、あ、あ…っ!!。」
体の奥を熱くする巨根の突き上げに、藍の腰が自然とくねる。
「…いぃ、……がんがん、…来て、よ…っ!あ、はぁ、っ。」
膝立ちで腰を上下させ、両手できつく自分の乳房を揉む藍。堅くなった乳首を指で捏ね回すたびに、藍の中は収縮を繰り返し、精気を絞るように巨根を締め上げる。
増畑は無意識のうちに、ぷっくり堅くなった乳首に触れようとするが、手錠の音に舌打ちをする。
「…頼むから、…胸、…揉ませろ…。」
「…、ダメ……腰、…っん、……使って、イかせて、みなよ……。」
喘ぎの混じった擦れた声で、なおも言い合いする二人。
433 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/02/05 05:29:11 ID:2TLZMbXA
そうしながらも、行為が治まることはなく、さらに激しさを増していく。
「…っ、ん、…うっ、…あっ。」
藍が腰を沈める度、増畑は深く突き上げ、きつく締め付ける膣をかき回す。
「あ…っ、んぅ、あぁ…、きてる、ぅっ!あ、っん、はあぁ…!」
その度に藍は嬌声を上げて腰を揺らめかせた。
やがて、強い快感に膝の力は抜け、体を支え切れなくなって、根元まで増畑を受け入れる。
「っ…、ぁっ…いっぱい…つまってる、…あ、んっ、はっ…いぃ、いぃ、よ、ぉっ!」
快楽からくる歓喜の涙で目を潤ませる藍。肌は鮮やかに紅潮し、滲む汗が体を覆うコルセットやガーターベルト、ストッキングを湿らせる。
ゆっくり体を増畑の上に横たわらせた藍は、胸を擦りつけながら腰を回した。指を股間に伸ばし、クリトリスをいじりながら、体を揺らめかせてひたすら快楽を貪る。
「っ!あ、あっ、はぁっ、ん、あ、ぁっ……!」
淫らな嬌声が切羽詰まったものに変わるとともに、藍の内部も激しく蠢いていく。
気を抜けばすぐに達しそうな程の快感に、増畑は歯を食い縛って耐え、藍の腰が跳ねるくらいに激しく小刻みに突き上げた。
「…、っ!ぐっ、あ、ん、うっ、…う、おぉぉっ…!」
「っ、やっ、あ…!…いぃ…っ。」
434 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/02/05 05:30:22 ID:2TLZMbXA
二人の嬌声は限界が近いことを互いに告げ、動きも更に切羽詰まったものに変わってくる。
体液の混ざった匂いが部屋に籠もり、ぐちゅ、ぬちゅ、ぐちゅ、ぬちゅ、ぐちゅ…と肉の擦れ合う卑猥な水音が二人の聴覚を支配する。
藍は跳ねた腰を増畑の腰に叩きつけるように尻を振り、増畑の巨根は愛液を滴らせる肉壺を貫く。
結合部から大量の愛液が溢れて二人の動きに更に拍車をかけた。
「…ん!ぬっ…う!ぁ、あっ…ぐ、ぅ、ああ…っ!う、おぉ、おおぉっ!」
「や、あっ、いぃ、壊れる、熱い、いぃ、よ、ぉっ!っ…あああああっ!」
同時に達した瞬間、二人の意識は同時に真っ白になり、そのまま意識を手放した。
それから数時間後。目を覚ました増畑は、手錠が外されているのに気付いた。
ベッドの周りを見回すと、手錠は汗と愛液塗れになった衣裳とともに床に置かれている。
隣に目をやると、普通の下着姿の藍が安らかな寝息を立てていた。おそらく、自分が気絶した後で汗を流しにいったのだろう。
さすがに自分を運ぶことは出来なかったらしく、増畑の体は互いの体液でびっしょりと濡れ、股間には愛液と精液の混じった粘ついた液の乾いたものが貼りついている。
「藍………。」
襲うなら今。増畑が思った次の瞬間である。
「起きてるかい?」
435 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/02/05 05:31:45 ID:2TLZMbXA
ドアの向こうで、増畑の母が声をかけたのだ。次の瞬間。
がばっ!
「はい、起きてます。」
藍が飛び起き、返事をしたのだ。
「おはよう。藍ちゃんの着替え、ここに置いておくから、着替えたら下に来てくれる?」
「はい。わかりました。」
さっきまで寝ていたとは思えないしっかりした声で返事する藍。唖然とする増畑。
「ああ、うちのバカもついでに起こしておいてくれない?何せ、特級ものだから、バカの手もいるくらい忙しいのよ。」
「はい。…あぁ、起きてますよ?」
ひょこっと、増畑を振り返る藍。その顔には悪戯っこのにやにや笑いが浮かんでいる。
「ああ、ならいいわね。大志、花輪運び手伝いなさいよ?」
「へーい…。」
出鼻を完全に粉砕され、うなだれる増畑。その目の前にはすっかり仕事人の顔の藍がいる。
「次は、手錠持ってこないであげるから。よさこいおわった後で休み一日とれたら、相手したげるよ。」
ひらひらと手を振り、部屋の戸の前まで行った藍は、置いてある二着の作業着と黒いスーツを取り、てきぱきと着替えていく。その姿に増畑は心の中で号泣した。
「藍のバカ野郎〜〜〜〜!」
436 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/02/05 05:33:02 ID:2TLZMbXA
氷の魔女蛇足。
六月。札幌の街はよさこいソーランの熱気で溢れ返っていた。
街に溢れる、色とりどりの衣裳をまとった踊り手達。その中に、藍や梓、弥生が所属するチーム、神龍娘々の姿も会った。
「大志、サンキュ。」
踊りの合間、差し入れの飲み物を手に笑顔で礼を言う藍。その明るい顔に増畑は嬉しくなる。
胸までの丈の振り袖の上着に、同色の裾を絞った袴に帯。色は赤、青、白、黒の四色。背中にチーム名が入った衣裳姿の仲間達がそれぞれ増畑に礼を言う。
が、それらは増畑の耳を素通りしていた。増畑の目は、完全に藍しか見ていなかったのだ。
「あれ、増畑…君?」
聞き覚えのある声に増畑が振り返ると、そこにはカメラを手にした猪熊の姿。
「押忍…あ、どうも。仕事っすか?」
「休み。仕事できてたんだけど、昨日で終わった。増畑君は見物?」
「いえ、彼女が参加してるんで差し入れです。」
殴ろうとする藍を忍がはがい締めで押さえ付ける。
「猪熊さん…でしたよね?すいませんが、写真撮ってくれませんか。タイマー忘れたんで集合写真撮りたいんです。」
それまでずっとカメラマンに撤してきた玲穂が、猪熊に自分にカメラを渡そうとする。が、猪熊はカメラを受け取らず自分のカメラを構えた。
「僕ので撮ったげるよ。後で送って上げるから。はい、皆並んで〜。」猪熊の声に神龍娘々の面々が一斉に整列する。
「はい、チーズ!」
かしゃっ!
その後、猪熊の撮った写真がちょっとした事件を起こすのだが、それはまた、別の機会に。
437 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/02/05 05:45:26 ID:2TLZMbXA
氷の魔女完結です。
感想、ありがとうございました。
作中に入れ忘れたのですが、藍の夜這い装束と手錠は、ローブ以外忍のこしらえたものです。テストも忍が行いました。なので
パワーは忍>>増畑となります。補足までに一言。
今後は小話入れた後、温泉モノに突入します。京オンナ弥生と少し成長した梓の艶姿をお目にかけますので、しばしお待ちを。
>>428さん。
信頼関係だけはしっかりしてるんです、この二人。(笑)マニアモノについては…努力します。
では、いずれまた。
>>437 GJ!禿しくGJ!!
萌えますたハァハァ
猪熊さんいたのかw
乙〜カレー
_, ,_
( ‘д‘)<お〜ん、せん!お〜ん、せん!
⊂彡
温泉コールしてみた
乙です。でもキーさんシリーズに一言だけ苦言を呈するならば、
女性キャラの描写がおおよそ川原漫画らしくないって事ですかね。特に忍。
パラ学時代から女はいくら強くとも、男の引き立て役でかませで搾取される側なんですよね。
まあ二次創作だからいいのかな。それ以外はとても楽しませていただいております。
これからも頑張ってください。
続編ありそうで楽しみ!
>>441 まぁ、ジパングの桃井一尉的女キャラつーの。たまにいるよ>忍
(;´Д`)ハァハァ
今日初めて来て今読みおわった。フゥ〜。。。職人さん達乙です、つーかゴチです。
そう言や無かったんだなっと川原エロパロ。
門からぐらいしか知らなかったけどエロ萌え漫画も描いてたんだと驚いたが、
いや、噂では知ってたんだけどね、最近の海皇紀からは想像も付かないと言うか、
そんな中で妄想掻き立てられ、楽しくモエさせてもらいました。
好きな漫画家さんなんで応援させてもらいます。
屈辱ものやレイプものも読んでみたいと我侭心も出て来ましたがダメですかね?
スレ立てした人のマイアは、あの後屈辱になりそうな感じだったけど
居なくなっちゃったのかな。
最初の方にレイプもの書いてくれそうなレスもあったし、
あっ、足掻いて連カキコスマソ
舞子レイプとかでしょ?ナニ毛に待ってるんだが…
447 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/02/10 23:00:20 ID:1PMfw2hM
>>441さん ん〜。私のほとんどの女性キャラは「相手を様々な意味で『守れる』存在」って言うのを基本理念にして作ってますんで…。世界観ぶち壊してるのならすみません。
忍に関しては作者当人も半ば性別無視して動かしてますんで、ご容赦頂ければと。
レイプものは、私はもどきかオチつきじゃないと書けないですねぇ。逆でよければ書けなくもないですが。
それと、皆さんに質問です。温泉、木村と弥生、飛田と梓。ここまでは決まりました。が、肝心の温泉の設定が決まらなくて指が止まってしまいました。候補が二つあります。どちらがいいか、リクエストありましたらお願いします。
1よさこい仲間の友達が女将。従業員全員元裏稼業。部屋は離れ(ただし一つは幽霊つき)
2部屋は普通の二人部屋。他の客は忍・玲穂たちの同窓会と大量の記者。
この他にもリクエストがありましたら寄せて下さい。参考にさせて頂きます。
は〜い、まいどお世話になって乙のキーさんに質問で〜す!
>レイプものは、私はもどきかオチつきじゃないと書けないですねぇ。
>逆でよければ書けなくもないですが。
もどきかオチつきのレイプものでも勿論OKなんすが
逆とは、門漢どもがレイプされるって事っすか?
>温泉、木村と弥生、飛田と梓。ここまでは決まりました。
そのニ組のカップル(死語_| ̄|○)が一つの温泉で
二つのシュチュ候補でバッティングするって事っすか?
漏れとしては
シュチュ1なら
女将が美人でエロくて、元裏稼業従業員達もエロエロで
幽霊が超チカラを使ったりして超エロエロ攻撃するなどしたら歓迎です。
シュチュ2なら
乱交ぽいものなら歓迎です。
あ〜、でもエロ攻撃かわしつつしっぽりもいいな。
どっちにしても木村と飛田が最後はヒロインとおいしい(羨ましい)思い
するんだろうけど。
特に会長がどっから見てるかわからないしね。
ライガー出るのかYO
450 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/02/11 07:42:51 ID:iJplctjW
>>448さん
質問の回答ですが、二つともその通りです。因みに、逆レイプネタの被害者は陣雷さんを予定してます。
>皆様
このスレのKB数がわかる方、すいませんが現在のKBを確認して下さい。
書き込みついでに聞きますが、ヒロインの詳しいデータが欲しい方はいらっしゃいますか?いらっしゃる場合はレスで公表しますが。
KB数でdat落ちとかに関係するんでしたっけ・・・?
とりあえず、オニャノコ設定キボン!
269KB>現在のKB数
dat落ちの条件
1)981発言以上あり、1日レスが付かなかった場合
2)480KB以上あり、1週間レスが付かなかった場合
3)nレス以下で1日レスが付かなかった場合(通称:即死・基本的に非公開が原則)
4)801スレ以上になった場合、発言のなかった順に101スレ(通称:圧縮)
とりあえず dat落ちの心配はない。
453 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/02/11 20:23:08 ID:iJplctjW
>>452さん
スレの容量が500KB越えると投稿できなくなるって話を聞きかじったんで今のここの容量確認したかったんです。ありがとうございました。
では、451さんからリクエストありましたので、ヒロインの詳しいデータ、のっけていきます。
妖し桜
蕗錦弥生(ふきにしきやよい)職業 作家
158cm 55kg 陣雷+1歳
3サイズ B90D W66 H93
武術 空手三段 柔道四段剣道初段
容姿 丸顔の和風美人。柔らかい体付き。見事な黒髪を頭の両脇でお団子にしている。
性格 温厚だが正義感が強く、厄介事に首を突っ込むはめに陥りやすい。
好み 和風の物が好き。好きな色は淡い花の色と濃い緑と茶系。
備考 京都出身。地元には両親と姉夫婦がいる。(父と姉夫婦は警察官)部屋は2LDKの標準的なアパート。隣の部屋には義理の妹(義兄の妹)が住んでいる。
454 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/02/11 20:25:06 ID:iJplctjW
掌中の珠
橘梓(たちばなあずさ)職業 スポーツインストラクター
150cm 50kg 陣雷-1歳
武術 空手四段他、護身術を会得。
3サイズ B85B W65 H83
容姿 引き締まった体付きで胸は大きくない。顔立ちはりりしく整っているが、表情は乏しい。髪は黒のショート。
性格 ストイックで頑固者だが、心を許す人間の前では優しい顔を見せる。
好み 機能的なもの、服装も動きやすいものを好む。。好きな色は赤系。
備考 四国出身。地元には資産家の両親と二人の姉がいる。部屋は3LDKの少し大きめのマンション。親友兼護衛の麗が同居人。家事は分担している。
455 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/02/11 20:26:11 ID:iJplctjW
鳩羽藍(はとばあい)職業 葬儀社社員
162cm 52kg 陣雷と同い年
武術 空手三段
3サイズ B90C W65 H86
容姿 顔はすっきりとした卵形。肩ぐらいまでの長さの髪をひっつめている。凄味がある整った顔立ち。
性格 責任感が強く冷静。執念深い。
好み 魔術的な物が好き。好きな色は黒とダークブルー系。
備考 札幌出身。地元には花屋の両親と兄がいる。部屋は2LDKの標準的なアパート。曾祖母の母がヨーロッパ系で、藍も多少その血を受け継いでいる。
>>447(キーさん)
設定候補のリクエストは、登場人物と幽霊から想像も付かないところで2番をw
>>452 乙!
大量の記者の中に先輩が出るんなら設定リクエストは2で
外出から帰って来た
>>456ですが、大きな間違いをしました!
>>447(キーさん)への 設定候補のリクエストは1番です!!
書き込みは×で
○ 設定候補のリクエストは、登場人物と幽霊から想像も付かないところで1番を
と、訂正します。
キーさん、関係者各位、本当にすみませんでした・゚・(ノД`)ノ・゚・。
459 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/02/13 08:09:28 ID:gRWQO6eI
途中経過
現在同数、次のリクエストの方で1か2か決まります!
460 :
名無しさん@ピンキー:05/02/16 04:51:30 ID:ghMbh7rB
じ、地震age
461 :
159:05/02/17 19:14:22 ID:JH0Id1MZ
天斗×圓が途中まで書けました。
まだエロまで至っていないのに60レス分くらい書いてたよ(ノ∀`)
ごめんね、母さん前振り無いと書けないから、ごめんね。
全部投下するのは悪いので、とりあえず途中までやっときます。
鬱蒼とした草木の生える林の中、うらぶれた廃屋があった。
暗緑色の葉中へ、ゆるりと溶かされていくかのようなその姿は
どこからが木でどこまでが板なのやら見分けはつかず、気に留める者など誰もいない。
いや、それは林の外の事。外にいる者は気に留めないが
あえてこの状況を善しとし、そこに留まろうとする者もいた。
まともに往けないものは、まともで無い処を好む。
事実その者達も、表通りを堂々とは歩けぬ身であった。
「…すげぇ悪人みたいだな、オレ達」
裂けた木壁から外を伺いつつ、天斗はぼそりと呟いた。
「…なにか、言ったか?」
「いんや。それよりもお前…」
「こっちを向くなっ!!」
ぴしゃりと叩きつけるような声を浴びせられ
天斗は首を竦め、また外に目を向けた。
…九月もそろそろ終わりに近づこうとしている。
ぬるい風に揺れる葉音、盛りを逃した蝉の音が、弱々しく林に響く。
狭く、埃の舞う室内に、汗と血液の臭いがたちこめ
壁の裂け目から流れ込んでくる濃厚な緑の匂いと混じりあった。
声の主……圓は一喝したのち、力無く息を吐いた。
息を吐くたび背中がずくんずくんと脈打つように疼く。
撃たれた傷は浅く、血も止まっている。
なのに、圓はその傷から幾筋も幾筋も…何かが零れ出て行くのを感じていた。
零れ出るたび、力も抜けていくようで。
治療の為、着物を腰までおろした剥き出しの背中が総毛立ち
へたりこんだ足は、凍りついたように動かない。
寒くもないのに歯の根が合わず、かちかちと音を立てた。
………いけない……
薬草を付けて、包帯を…巻かなくては。
傷を塞いで……それで…
………早く…やらなければ……。………。
もう、オレが怪我したからって、手当てしてくれる者は…おらぬのだから。
自分で…せねばならんのだ……。
『おらぬのだから、もう、佐助は…どこに…も……。』
血の気の失せた指先から、包帯が滑り落ちた。
包帯を拾わねば、と思うのと、突っ伏して成るように任せたいと思うのと…
頭の中はめまぐるしく動き、それに反して体はぴくりとも動かなかった。
目も、口も乾き切って、全身の水が失せたような感覚。
少しでも動けば、体がぼろりと崩れ落ちそうで…
ひどく恐ろしく、そのくせそれを望む自身の声も聞いた。
傍らにひっそりと横たわる老爺に視線を向けた。
今は古ぼけたムシロが被せられ、姿を見る事は出来ないが
着物が血でべったりと覆われ、体が萎んだように小さく見えるさまは
圓の瞳にしっかりと焼き付いている。
そんな凄惨な姿に反し、深い皺が刻まれた表情はこの上なく穏やかで…
その穏やかさが圓の胸をぎりぎりと締め付ける。
あの騒乱から離れ、背負った温もりが徐々に失われるにつれ
彼女は身の震える実感と損失感を味わっていた。
『佐助…さすけ……オレは………』
「おい」
突然声を掛けられ、圓の体は大げさな程に反応した。
ぎこちなく振り向くと…いつの間にか、真後ろに立つ天斗を見上げる形となった。
薄暗い室内、逆光で遮られた表情を図る事は出来ない。
まったく気配が感じられなかった事にひどく狼狽し、とっさに胸元を隠して体を縮こませた。
圓の青白い肌が、みるみる血色を取り戻していく。
「こっ、こ…こちらを、見るなと言っ……ごほっ!!…っく、けほ!」
からからに渇いた口を無理やりに開き、また怒鳴るつもりが
埃っぽい空気をさんざ吸いこみ、苦しげに咳込んでしまった。
口を片手で覆い、喉の不快感を押さえようとするも咳は止まらず
唾液のわいて来ない口内に舌が貼り付きそうになる。
止め処なく咳込めば、背中も引きつり痛んだ。
強く瞑られた目にも涙は浮かんで来ず、圓には
体のすべてが自身の罪を責めたてているように思えた。
そんな憔悴しきった体に、そっと暖かいものが触れた。
それは優しく背中をさする…当然傷には触れないように。
息苦しさで思考停止に陥り、辛く苛まれる感覚しか無い中
気遣うような温もりに圓の心もほんの少しだけ軽くなるようだった。
それもあってか、咳は徐々に収まっていった。
「けほ!!けほっ…っは…こほっ!……はぁ…はぁぁ…」
肩で息がつけるくらいに落ち着いてくると、はた、と
背中をさすっているのは大きく武骨な手だと気がついてしまった。
それと同時に、肌に直接触れられている事
そしてそれが出来るのは一人の男だけだと思い立つ。
かぁっと音が立ちそうな程、勢いよく顔が紅潮していった。
無断で背中に触れる手を払いのけてやろうと思い
睨みつけながら顔をあげると、その鼻先にずい、と筒が差し出された。
突然の事に思わずたじろぎ、動きを止めて筒を見つめる事しかできない。
「ほら、水だ…。ゆっくり飲みな」
圓の横にしゃがみこんでいる天斗が、水筒を差し出したのだった。
出鼻をくじかれた圓は、しかめっ面のまま
竹の水筒と天斗の顔を交互に見まわした後
ひったくるように水筒を手に取り、一気に飲み込んだ。
「………っ…けほっ!」
水は適温で甘ささえ感じられ、体中に染み入るようだった。
だが、勢いよく喉に流し込んだ為に少しむせ、また咳込んでしまう。
圓のそんな仕草を黙って見ていた天斗は、やると思った…と
言いたげに苦笑いをし、また彼女の背をさする。
今度は先程より力も入り、荒っぽい動きになっていた。
「大丈夫か?…そんな驚くとは思わなくてな。悪かった」
俯いたまま、はぁはぁと息を荒げる圓の背をさすりながら、天斗は謝罪した。
口端から零れた水を手で拭うと、圓はまたゆっくりと顔を上げる。
その目はもう睨みつける物ではなく、長い睫は伏せられ
度重なる失態に打ちひしがれているのだと分かる。
そっと身を捩りながら「もういい…」と呟くのを聞き
天斗は彼女の背から手を離し、少し身を引いた。
すると彼の動きに合わせ、腐りかけの床が歪んでぎぎぃと音をたてた。
その音に圓の体は軽く慄き、瞳が見開かれた。
『……少し動いただけで…このような音が…』
今になって気がついた事に、愕然とする。
普段ならばどのような些細な音にでも、気がつく自信があるというのに。
こんな大きな音にも気がつけぬほど…今の自分は…。
……きっと天斗が背後に立った時も、大きな音はしていたのだろう。
それなのに、気付けなかった。
『謝られる筋合いなど……無いではないか…』
「…で、なんだ…?オレはこちらを…けほっ!……向くなといった筈…だが」
まだ違和感の残る喉元を押さえ、圓は顔を歪ませながら問う。
この言葉一つを伝えるのに、随分と手間取ってしまった。
正直言えば、今すぐ後ろを向いて欲しい…と思い、胸を覆う腕に力を入れた。
「手当てをな、自分でやれるっつったから待っていたんだが…
いつになっても終わる気配が無いんでな。手伝ってやろうかと」
「…!い、いい!!いらぬ!」
天斗の言葉に圓は激しく動揺し、首を振りながら少し後ずさった。
焦りつつも思い立ち、床に落とした包帯に手を伸ばす
…が、拾い上げるとそれは埃まみれになっており、明らかに使用不能だ。
ぽかんと開いた口はそのままに、彼女の顔に絶望感が漂った。
圓の焦りは手に取るように分かる。本当に分かりやすい娘だ。
天斗は不謹慎と思いつつも笑ってしまいそうになり
拳を口にあて、誤魔化すように一つ咳払いをした。
「背中だからやり辛いのは分かるが…傷を晒したまま放置は良くねぇぜ」
埃だらけの廃屋は、お世辞にも衛生状態が宜しいとは言えない。
そんな事、オレかて分かっておる!…と圓は思うが、口には出さず
佐助の風呂敷包みから新たな包帯を出している天斗を盗み見た。
彼はとっくに自分で治療を終えている。
あれ程の傷を受けておきながら、何事も無かったかのような顔をして
動いているのを見ると、圓の胸にうっすらと不安が広がっていった。
『…ばけもの…だな…』
そんな化物が、名を騙る者を許して、それどころか助けているのは何故なのか。
圓には良く理解できず…理解出来ないから不安を覚える。
かといって…自分一人で、今この状況をどうにか出来るかというと
口惜しいが『否』としか答えの出ぬ身である事は、痛いほど理解していた。
「…手当てした所で…どうせ逃げ切れぬわ……」
「ずいぶん諦めが早いな」
圓の心細さから、つい零れてしまった弱音に天斗はからかい口調で言った。
「…今のオレ達は天下のお尋ね者だぞ………
外には見回りがうろうろしておる…もう江戸からは…出られぬだろうよ……」
埃の溜まった床を見つめ、力無く圓は呟く。
また先程までの脱力感が、じわりと彼女を蝕んでいくかと思われた。
…だがそれは、天斗の一言で収まりを見せた。
「江戸を出られたら、どこに行きたいんだ?」
「…え……」
圓は瞳を二、三度瞬かせ、ゆっくりと天斗の顔を見つめた。
軽く頷き返す天斗から、また視線を床に移し…思案する。
とはいえ、深く考えなくても、彼女の心は一つに占められていたのだが。
…行ける…なら、ば…。
「………大阪…に」
眠る義父を目端で捕らえながら、圓はそろりと口にした。
なにかを恐れるかのように、ぽつりぽつりと語る彼女を
天斗は最後まで口出しせず、じっと見つめていた。
「…ずっと…佐助の心は……親父と共に逝けなかった…あの地に…
あったのだと…思う。じゃから…そこに埋葬してやれたら……いいと…」
「決まりだな。こっからなら…まぁ四日って所か。
普段ならもう少し速かろうが、怪我も勘定に入れりゃあな」
事も無げに、大雑把な計算を口にする天斗に圓はあわてた。
「ちょ、ちょっと待て!何でそんな………っったぁー!!」
「そうと決まればさっさと手当てして備えるぞ」
独特の匂いを放つ液体を布に浸し、天斗は圓の傷に押し当てたのだ。
…消毒の為の酒だった。それは染みた。とても染みた。
「…おま…おまえなぁ〜〜……」
痛みで背筋がぴんと伸び、冷や汗がにじむ額に皺を寄せ、唸った。
「なんだ、酒を口に含んで吹きかける方が良かったか?」
「…そんな事しやがったらぶん殴る」
威勢が戻った圓の言葉に、天斗は喉の奥で笑った。
とんとん、と軽く押し当てられる布に顔をしかめながらも、圓は大人しくしていた。
これは治療……治療なのだから背中を晒していようが
これっぱかしも恥ずかしくなんぞないわ…!と心の中で繰り返しながら。
それでも、時に背筋に触れる天斗の指先と息に、おかしな反応を示しそうになる。
妙に気が焦るのを押さえ、唇をかみしめながら胸を覆う両腕に力を入れるが
押し潰れた膨らみの柔らかさが、やたらと気に掛かって仕方なかった。
一方、天斗の動きは迅速だった。
消毒をし、ついでに流れてこびりついた血を拭い落としてやる。
薬草を貼りつけ包帯を巻き、きっちりと固定…それだけだ。
圓が焦れていた時間はなんだったのだ、と思うほどさっさと終わった。
包帯を巻く時、天斗の両腕が体の前に回され、だ、抱きしめられる!?
……などと焦った事なんか無い!!と圓は強く念じた。
「…どうかしたか?」
「な、なんでもないわっ!」
圓は憮然とした面持ちで、怒鳴るように言いながら少し振り返ると
天斗が佐助の持ち歩いていた薬瓶を見つめているのに気がつく。
「おまえこそ、どうかしたか」
「……ああ、いや。蓋に薬名が彫ってあって便利だと思っただけだ」
「…佐助は…几帳面じゃったから…」
この廃屋を見つけ、事が済んだ後の一時避難場に指定したのは佐助だった。
松平伊豆守の別邸に軟禁されている間、一人抜け出した彼は
御前試合が行われる周辺の偵察や、逃走の道筋確認を怠たらず
目にした物、耳にした事はすべて二人に伝えていた。
更に、薬や保存食などを自分の荷物と共にまとめあげ、廃屋の奥に隠し置いた。
それなのに廃屋内には、長きに渡って誰も立ち入らなかった証である
積もり積もった埃が床を覆い尽くしたままであった。
万が一、何者かが覗いたとしても…汚いあばら家にしか見えなかっただろう。
この床に足跡一つ付けず、そのくせ道具には埃がかぶらないように
……何をどうしたらそんな芸当が出来るのか、想像もつかない。
そしてその答えは、永久に分からないままになってしまった。
御前試合の前日まで、ほぼ毎日のように抜け出す佐助に
「気の小さい事よのぅ…」と嫌味を言えば
「わしの留守間、天斗殿と喧嘩などなされませぬよう願いますぞ」
などと返され…怒鳴りつけるといつもの笑顔を浮かべて出て行った。
本当に言いたかった事は、そんな事ではないのに。
『足…斬られたのだろ?……無理せず休んでおれ』
……喉まで出かかって、押し留めた言葉。
何故こんな簡単な事が言えなかったのか、分からない。
他にももっと…もっと聞きたい事、言いたい事
単純で基本的な言葉が…沢山、たくさんあるのに…
あった筈なのに………。
圓の顔が目に見えて曇っていく。
薬瓶を見る素振りをしながら、彼女の様子を伺った天斗は
軽く一つ息を吐き、手に持っている瓶の中身を取り出した。
俯きかかっていた圓の視線は、目前に差し出された天斗の手に引き止められた。
指先に黒い小粒の丸薬を摘んでいるのだと分かる。
「…なんだ…?」
「痛み止めだ。飲んでおけ」
指先をぼんやりと見つめていた圓は、少し顔を近づけ、自然な動きでそれを口にした。
化粧気の無い桃色の唇が丸薬と天斗の指先を捉える。
思いがけず生じた、しっとりと湿る柔らかな感触に天斗の腕が震え
軽く触れた舌先が離れると、微かに水音が立ち、切れた。
天斗の硬い指先が触れる感覚と、口内にじわりと広がる丸薬の苦味で
圓は今、自分が何をやらかしたかを急速に思い知った。
……単純に、何も考えたくなくて、何も考えずに動いてしまった…。
包帯の巻かれた背中に、じっとりと嫌な汗が浮かぶのを感じられた。
『お……オレはアレか!?餌を差し出された鯉か!!』
この事態をすべて流すがごとく、竹筒に残っていた水で丸薬を飲み込んだ。
目を瞑って一気にあおり、真っ赤な顔で息を吐く。
そしてあたふたと忙しなく着物に腕を突っ込み、衿を正そうとした。
「…あ」
圓の呟きに、しばらく茫然としていた天斗が我に返った。
聞かなくとも何となく察する事は出来た。
なので天斗は首を軽く振り、先程の感覚を追い出した後
また荷物を探り、目当ての物を取り出した。
「ほれ」
圓の肩越しに針と糸を差し出すと、彼女は面食らったような表情を見せた。
そしてしばらく、裁縫道具を見つめていたが…一向に受け取ろうとはしない。
その様子に、もしかして早合点だったか…?と思い、天斗は口を開いた。
「どうした?破れた着物を繕うんじゃないのか?」
「……裁縫なんか、した事…ない」
ふて腐れた圓の一言に、天斗は呆れ顔を表に出さないよう気をつけながら
裁縫道具をひっこめ、頭を軽く掻いた。
『……まぁ、今までの様子からしたら…そうだよなぁ』
大食いで腕っ節が強く、野山を駆け回る…以外は良いとこの我侭姫君と変わらず。
村正より重い物を持った事はございません……てなもんだ。
「……何がおかしい…!!」
「あ?…ああ、笑ってたか。…詫びの変わりに繕ってやるから、こっち向けよ」
浮かんでしまった笑みを引っ込めもせずに言い、軽く手招くと
圓は彼とは対照的な、憮然とした表情を向けた。
それでも裂けた着物の端をしっかりと摘み、胸元を隠しながら
傍らに体を寄せてきたので、藪を突っつく…と思いつつも、からかってしまう。
「お、なんだ?やけに素直じゃねぇか」
「……馬鹿と鋏は使い様だと思っただけだ」
圓の忍装束と同じ色の糸を一本、束から抜き出す。
薄紅梅のそれは、ちっとも忍んでいないよな…と天斗は思った。
小さな針穴に糸をあてがい、迷い無く一度で通してみせると
息を潜めて見つめていた圓も、珍しく素直に感心してみせた。
「なるほど、そういう時に片目瞑ってると便利なわけか」
「……もうちょっと他にも便利な時だってあるぜ…」
いつものように瞑られた天斗の右目を見ながら、圓は妙な納得をし、うんうんと頷く。
そんな彼女の言葉に、天斗は嫌そうな声で付け加えておいた。
「言っておくが、たいして上手くは無いからな…文句言うなよ。
……手をどけてくれ。それじゃ縫えん」
「あ、ああ…」
着物がめくれないよう、右手で裂けた所を摘んでいた圓は
おずおずと、その場所を天斗の左手に明け渡し、困ったように目を逸らした。
しばし互いの間に言葉は無く、圓の耳に届くのは
ときおり天斗の引く縫い糸が布と擦れ立つ音。
…そして、自身の心臓が早鐘を打つ音だった。
至近距離で、いつになく真剣な天斗の顔を見る羽目になり
彼の左指が着物の内側に入っているという、この状態。
気にしまい、気にしまい…と思えば思うほど気になってくる。
…何かの弾みで……指に胸の先端が触れてしまいそうだ。
そうしたら、心臓がおかしいほど早いのに気付かれてしまうかもしれん…!
圓は混乱のあまり見当違いな心配をし、身を硬くしていた。
体は動かさないが視線は一所に定まらない。
圓がそんな状態で固まっていると、天斗の体がほんの少し揺れた。
何事かと思い、手元を見てみると…どうやら針を指先に刺してしまったようだ。
しかし動揺を見せたのはほんの一瞬で、すぐに裁縫を再開している。
だが、その一瞬の動きのおかげで、圓にも少々余裕が出来たのだった。
「痛いか?」
「痛ぇよ」
「……嘘だな」
「嘘だと思うんなら聞くな」
軽口を叩いて、ふっと息を吐く。
そして圓は、先程から気にしていた事柄を切り出す事にした。
「…本当に…江戸から出られるのか…?」
「嘘だと思うんなら聞くなって」
「そういう訳ではないが……何か、策でもあるのかと…」
真剣な目で答えを求めてくる圓を、ちらと見た天斗は
裁縫する手を止める事無く口を開いた。
「策なんか無い…が、あちらさんはそこまでやる気じゃねぇとは思っている」
「…はぁ?」
訳がわからず、圓は間の抜けた声を出してしまった。
「追っ手を差し向けないとでも…?そんな馬鹿な」
事実、町中には見回りが居るではないかと、非難じみた視線を向けると
「まったく追っ手が無いとは言わねぇよ…。ただ、多くも無いと思うんでな」
そっけない程の返事に、圓はますます混乱した。
「な…なんで…」
顔を上げなくとも圓の表情が分かるようで、天斗は口端を上げた。
また指に針を刺さないよう、気をつけながら手を動かしつつ
のんびりとした口調で語りかけた。
「…まず一つ…。思い出してみろよ、家光の様子を。
天下のお殿さんが失禁した上に失神だぜ…。
さらにあれだけの手練れが居たにもかかわらず、賊を取り逃がしちまった。
…お前、こんな事が町の連中、ひいては諸大名の耳に入ったらどうなると思う?」
「……それは………」
さぞや奴等にとって困った事になるだろうとは思うが、それとこれと
今の自分達にどう直結するのか圓にはいまいち飲み込めない。
「今回の件…御前試合自体が、無かった事になるだろうよ」
「な…!?」
「決して他言しないよう、あの場にいた者達に言い渡される。
となりゃ、あれ以上の人数は増えないって訳だ」
「………人の口に、戸は立てられぬ」
「まぁな。でも立てちまうのがあいつらだ」
権力で押さえるか、金の力か…もしくは。
天斗は針を持つ手で、首を掻き切るような仕草をみせた。
その様子に圓はひどく顔をしかめ、目を逸らす。
「ま…まぁ、実際にそうなったとしよう…。
だが、それなら益々オレ達を口封じしようと躍起になるのではないか…?
あの場にいた者は、まだ大勢おったぞ!…そいつらが全員追って来ないとも限らん…」
「二つ目は」
矢継ぎ早の問いかけを封じるかのように、天斗は低い声で言う。
「オレを追わねばならない……って事だ」
その言葉を聞き、圓は背に冷たい物が流れ落ちていくのを感じた。
また体が強張りかけるのを、拳を握って抑えこみ
ぎこちなく視線を天斗の手元に落とした。
針を持つ手も、着物を摘む手も、皮が剥けて生々しい傷を晒している。
それはそうだろう…。真剣ならば、刃毀れで使い物にならなくなるであろう
人数相手に、その拳を振るって来たのだから。
むしろこの程度で済んでいるという事実のほうが、圓には恐ろしく思えた。
「それに、あの場にいた武士が全員追っ手として動くなど、ちょいとありえねぇよ。
そんな事した日にゃ目立ちすぎる。…目立てばその訳も露見するだろ?」
「…………」
「…とは言えこれらはオレの予想に過ぎん。
どうなるかはその時次第だが…まぁ、何とかしてやるさ」
気楽に発せられた天斗の言葉に、圓は否定も肯定も出来ず
ただ彼の手を見つめ続けるしかなかった。
何の前触れもなく天斗は顔を上げ、陰りの落ちた圓の目線とあわせた。
唐突に、息が触れそうな程の距離で見つめられ
彼女はたじろぎ眉根を寄せたが…視線を外す事は無かった。
「不安か?」
「!……べ、別に…そんな事」
自分がいかに情けない顔をしているのかを圓は自覚し、あわてて表情を引き締め
いつもの挑むような瞳で天斗の目を見据えた。
「……ただ、分からんだけだ。…お前が何故ここまでオレに付き合うのか」
「佐助に頼まれたからな」
「…………」
「ま、裁縫よりは上手くやれる自信はあるぜ」
存外に暢気な様子で言うのを見て、圓の顔に
呆れたような、困ったような複雑な表情が浮かぶ。
「信じられんか」
その言葉には軽く首を振り、否定の形を取った。
ゆっくりと目線が、また天斗の手元に落ち…呟かれた声は何処となく寂しげだった。
「……陸奥の力…疑ってなどおらぬ。……ただ…」
「…ただ?」
「天斗は、嘘つきじゃから…」
廃屋に、重苦しい沈黙が広がった。
今までの自分の言動を思えば、こう言われても
何の反論もできんな…と素直に認め、天斗は黙り込んだ。
頭を掻こうと手を上げかけるが、針を持っていてはそれもままならない。
「やばくなっても、お前を置いて逃げたりはしないが」
「!!…そ、そのような事は思ってなどおらぬ!
お前は嘘はついても裏切りはしな………いと、分かっては…おる…ぞ…」
苦笑交じりで呟かれた天斗の言葉に、圓は弾かれたように顔を上げ
勢いよく首を振りながら否定の意を表した。
彼女が動くたび、高く結い上げた髪も激しく左右に揺れる。
しかし途中で自分の必死さに気づいてしまい、どんどん言葉は弱く
どんどん顔は赤くなっていき…終いには俯いてしまった。
「まったく信用が無いって訳じゃねぇんだな」
笑いながら俯いた顔を覗き込んで来たので、圓は黙って顔を逆に向けた。
不機嫌そうな顔をしながらも、圓は思っていた。
偶然に出会ってから、それほど長い日々を共にしたと言うわけではない。
本当の姓を今日になって知るなど、目前の男は分からない事だらけだ。
色々と嘘をつかれ、無神経な事を言われ、態度も偉そうで腹立たしい所は多い。
それでも…信用に足りえる人物だという事だけは、分かっている。
それは何よりも、天斗の拳の傷が雄弁に語っていた。
しかし、理屈で分かっていても、心の奥底の不可解な不安が拭い切れない。
「……嘘つきなのは、オレもだけど……でも…」
圓は顔をそむけたまま、か細く呟いた。
「嘘つき同士、手打ちって事では……納得いかないか?」
「………」
そっぽを向いている圓は、何の反応も示さず
一つにまとめられた烏羽色の髪だけがさらりと落ち、細いうなじを晒す。
「…………。なら、こんなのはどうだ」
真剣みを帯びた天斗の声に少しだけ顔を上げ、続く言葉を待った。
「オレはお前らを大阪に連れて行く為に力を尽くす。
それを無事に終えたら、お前はオレの言う事を一つ聞く」
「……え、ええ…??」
「とりあえず、分かりやすいだろ」
天斗は、圓が天海と取り交わした約定を思い出していた。
取り決めと平等さを示したほうが、安心する性質なのかもしれん…と思ったのだ。
そして、読み通りだったのか、振り向いた圓の険は少し薄れていた。
「…言う事って、どんな」
「そりゃ、この件が済んだら考えるかな」
「……本当に…ひとつでよいのだな?」
「おう」
しばらくの間、埃で白くなっている床を睨むように見つめ、唸っていた圓は
思い切ったような表情で背筋を正し、力強く頷いてみせた。
「分かった、約束しよう。……後で数を増やしても聞かんからな」
「ああ、約束だ」
「…本当に、大丈夫なのだな?」
「陸奥に敗北の二字は、今んとこ聞いた事がねぇよ。ま、大船に乗った気でいな」
「泥舟でない事を祈るぞ」
二人は互いの目を真っ直ぐに見つめ、軽口交じりに命賭けの約定を交わした。
圓は、ぼやけていた道筋がはっきりとしたような気がして
幾分かすっきりとした気分になっていた。
が、もうすぐ終わる裁縫を続けている天斗の顔が、なんとなく妙に嬉しそうで
『…もしかして、早まった?』と、別の不安を感じてしまうのだった。
……漆黒の深淵から、突然肩を揺すられ引きずり戻され
圓は重い瞼を持ち上げると、気だるげに首を巡らせた。
すると、頭上に天斗の顔があるのだと、ぼやけた目が捉え
徐々に逞しい上半身に下がり…彼が着物を身に着けていないのだと気づく。
「そろそろ起きてくれよ」
「………う、うわぁっ!?」
飛び跳ねるように身を起こし、一気に覚醒した圓は
どうやら自分は天斗の足を枕に寝こけていたのだと悟った。
「え…な、何でいつの間に!?オレ寝てたのか?」
「痛み止めの丸薬に睡眠作用があったのかもな。
いいんじゃねぇか?少しでも眠れたなら体も休まったろうし」
「そ、それはともかく…!何でお前は脱いでおるのだっ!!」
「裁縫。ついでにオレのも直しておこうかと思ってな」
そう言って天斗は血のついた上着に腕を通した。
見れば確かに、すっぱりと斬られていた腹の部分が繕われている。
しかしそれは随分と大雑把な縫い方に見えた。
『オレのとでは…全然縫い方が違うんだな…』
圓は自分の胸元に、そっと視線を落とした。
線はがたがたで、お世辞にも達者とは言い難いが
目は細かく頑丈な仕上がりだった。
「袴も切れているんだが…お前が頭を乗っけていて直せなかった」
「…それは大阪についた後で、勝手にやるが良い」
照れ隠しに、圓はつっけんどんに言い
こっそりと口元を触って涎を垂らしていないか確認した。
『…裁縫が終わって…まだ少し時間があると聞いたんだったか…。
それで膝を抱えて目を瞑った…所までは覚えておるぞ。……ああ、くそ』
薬のせいとは言え、自身の不覚を呪い、頬をぴしぴしと叩く。
周りを見渡すと、日は落ちかけ薄暗くなっていた。
それほど長くは眠っていなかったようではあるが。
ほんの近くで、くぁーくぁーと薄気味悪い烏の鳴き声が響き
風に揺れる木々の擦れ合う音が、大きくも、静かにも聞こえた。
「もうすぐ完全に日が落ちる……そうしたら出るぞ」
天斗の低く落ち着いた声で、圓の全身に氷のような緊張が走りぬける。
そしてもう一度、頬をぴしり、と叩いた。
保存食を水で無理やり流し込み、腹を満たすと
圓は立ち上がり、しなやかな肢体を大きく伸ばした。
背中が引き攣れて痛んだが、納得行くまで筋をほぐす。
烏の鳴き声はもう聞こえず、代わって虫の涼やかな音で溢れていた。
佐助の体をムシロに包んだまま背に担ぎ上げ、しっかりと紐で括りつけた。
風呂敷包みと鍋を担いでいる天斗を一瞥した後、首を背後に傾け
口に出す事無く佐助に語りかけた。
『しばしの辛抱じゃ…佐助。必ず、お主をかの地へ連れて行くからな…』
傾きかかった戸を開けると、やかましい程だった虫の音がぴたりと止み
圓はぎくりと体を震わせたが、天斗が気にも留めず外に出たのを見て、慌てて後を追った。
室内の埃っぽい空気から開放され、緑の匂いと共に肺いっぱいに吸い込み
ゆっくりと吐き出せば、全身に冴え冴えとした感覚が蘇ってくる。
でこぼこした地面に足を取られぬよう注意しながら歩き
林の出口付近に身を屈め、周囲に目を凝らした。
遠くにぽつりぽつりと、揺れる提灯の明かりが見えた。
さして多くも見えず、表面上は普段通り…と言った所か。
圓は、びっしりうようよと見張りの者が居ると想像していただけに、少し拍子抜けした。
天斗の読み通り、様々な恐怖が染み入った結果がこれなのだろう。
そして、その恐怖に飲まれ、自分も被害妄想に陥っていた事を知り……圓は恥じた。
「あまり多くは無いだろ?」
耳元で囁かれ、自分の思いが見透かされたようで、少し苛立つ。
「……まぁ、な。…だが見つかって仲間を呼ばれでもしたら…」
「呼べないようにすりゃ済む事だ」
林を抜け、闇に乗じて二人は歩き出した。
まったく光の届かない新月を圓は幸運だと思う事にした。
走り出しそうになるのを堪え、佐助に教わった事を反芻する。
急いては事を仕損じる……。
なんにせよ老爺を担いでいる圓は、素早く動こうにも動けない状態なのだが
それでも急く気持ちを押さえ、じっくりと歩を進めていった。
見回りや、事情を知らない暢気な酔っぱらいが行き来するのを見極めながら進む。
まるで先に進んでいないような…いつまでも終わりが見えないような…
そんな気の遠くなるような感覚に、圓は歯を食いしばった。
十字路を横切ろうとした時、天斗に軽く腕を掴まれ
踏み出しそうになっていた足を引っ込めた。
彼の目線の先に、うっすらと光の帯が見える。
圓は舌打ちを一つすると、物陰に身を潜めてやり過ごす事にした。
その見回りの者はおぼつかない足取りで、落ち着き無く周りを見渡していた。
提灯に照らされた顔は、若いが引きつっており
未熟者と言って差し障りない雰囲気を醸している。
これではどちらが追われる身なのか、錯覚を起こしそうだった。
昼間の恐怖が、その身の髄まで染み入っているのだろう…
圓にその姿を嘲笑う気持ちは湧いてこなかった。
仕事を放棄していないだけでも、誉めてやるべきなのかもしれない。
ぎこちなく歩み去る彼の後姿を見送った後、天斗は
「あれなら枯れ尾花も幽霊に見えるかもな」と冗談めかして言った。
圓はただ一言「馬鹿」とだけ返事をしておいた。
どれほどの時間が経っただろうか。
少しづつ進められていた歩は実を結び、民家や人の気配が次第に薄れてゆく。
この道を抜ければ、以前連れ去られる羽目になった、あの河原に出られる。
嫌な思い出が胸を突くが、それよりも終わりが見えてきた事に圓は喜んでいた。
しかし、この河原は…やはり彼女にとって鬼門なのだろうか。
少々早まった足は、完全に死角となっていた路地を前に止まることは無く
突然横顔に眩しさを感じ、心臓を鷲掴まれたような衝撃で息を飲む。
『しまっ…!!』
しかし、息を飲んだのは見回りも同じで。
薄明かりの提灯一つでは、何が起こったのか
圓にも、見回り自身にも見えなかった。
かといって、日の下であっても全てが見えたかどうかは確証が持てないが。
ごぎ…と、何かがひしゃげる音が圓の耳に届く。
初めて聞くその音は、それより先に起きた、人が倒れ地面に打ちつけられる音
…こちらは時に圓も耳にしている音…よりも、はっきりと聞こえた。
地に倒れぴくりとも動かない見回りから、天斗がゆっくりと体を起こすと
硬直していた圓の体もようやく動きを取り戻した。…いささか動きすぎな程に。
心は、やめておけ…と囁くが、体が止まってくれない。
壊れたからくり人形のようなぎこちない動きで、倒れているものに目を向けた。
提灯の灯りで照らされた顔に、影がゆらゆらと揺れ映る。
目は軽く驚いているように見え、潰れた鼻や口元からは
だらりと血が溢れ、舌が垂れ下がり、顔の上と下とが、噛みあっていない。
そして……喉元が不自然にめり込んでいた。
なんっ…だ……これ…!!…………何…!?
………喉を潰せば、そりゃ仲間は呼べんよなぁ…。
恐慌状態の自分と、異様なほどに冷静な自分が、同時に感想を述べる。
乾いた喉奥に虫が這いずるような、ぞわぞわしたものを感じ
無理やり息を吸えば、ひゅうと細い音を起てた。
視線を感じるが…そちらに顔を向けるのはとてつもない苦労に思え
佐助の足を抱える手に、じっとりとねばつく汗が浮かんだ。
倒れたものを挟んで、鬼が彼女を見つめていた。
その左眼はなんの感慨も無く、ただ『早くこちらへ来い』とだけ語っている。
圓は喘ぐように息をつき、小さな咳を一つした。
『……おまえ…なんなんだ。……どっち、なんだ…?』
咳込む自分の背をさすってくれたのと、この者の喉を潰したのと。
喉の奥が、ひゅぅ、ひゅぅと鳴きつづけている。
声にならない問いかけの返答を求めるよう、眉根を寄せ
ぎこちなく見つめると、鬼が口元を歪ませ、ニィ…と嗤った。
瞬間、圓は頭に勢いよく血が上って行くのを自覚する。
『……なに…………何が可笑しいってんだ!!畜生!』
柳眉を吊り上げ、奥歯をぎりりと噛締め、射抜くような瞳で睨み返し
根が張ったように重く動かなかった足を踏み出した。
倒れたものに最早一瞥もくれず、その脇をすり抜けていった。
486 :
159:05/02/17 19:39:24 ID:JH0Id1MZ
今回はここで区切ります。
残りは様子を見てから投下させてもらいます。
159さんはホントにここでデビュー!?と思わせる程読ませますね。
圓って、特に色恋沙汰には小中学生の男の子並みだろうなところが
自分的には萌え所なキャラなので早く続きが読みたいです。
これからどうなるのか・・・期待大!!
ガンガレ、159さんノシ
続き投下汁!
エロなぞオマケに過ぎん!!
本編の補完ものとしてありがたく読ませていただいておりますGJ続き期待
490 :
159:05/02/18 23:19:34 ID:11J/0Gz4
487さん
小中学生の男の子並…ソレダー!
圓ってホントそんな感じがするんです。
それでこんなにエロまで遠い道のりなのかw
489さん
でも最終的にはメロメロでエロエロにするべく頑張ります(*´∀`)
では、続きを投下させていただきます。
江戸を抜けても、当然気は抜けない。むしろこの先が長いと言える。
微量ながら町の明かりが届く場所で、佐助の持っていた小さな照明器具に火を灯す。
それすらも圓の気を焦らせたが、ここからは月の光も期待できぬ夜
しかも山道になると聞き、不承不承頷いた。
ほんの先も見えず、石や木の根が出っ張った道は、町中に比べ随分と歩きづらい。
それでも町中のように遠慮する事が無くなると、彼女は精一杯の速さで
…何かに追い立てられるかのように歩を進めた。
「おい…そんなに飛ばすな。後がもたねぇぞ」
圓の背後を追うように歩く天斗の耳にも、彼女の荒れた呼吸音が届いている。
小さな体で老爺を抱える姿は、今にも押し潰れそうに見えた。
しかし振り向きもせず、速度も落とそうとしないので
腕を掴もうとしたが…体全体を揺するように振り払われてしまった。
天斗は軽く溜息を吐き、しばらく思い通りにさせる事に決めた。
それほど待つ事無く、圓の足取りは心許ない物へと変化していった。
引きずりこそしないが、ほとんど上がってもいない。
それでも、歩みを止めようとだけはせず、真っ直ぐ暗闇の先を睨みつけている。
「…っあ」
自身の両足をもつれさせ、圓の体がぐらりと大きく揺れた。
両手はおぶった足を抱えているために、姿勢を上手く保てず倒れかける。
そこを、天斗は危なげなく抱き支えた。
頬に体温を感じて、圓の心臓は疲労以外でも大きく跳ね上がった。
立ち止まると、足の裏と筋に感じていた鉛のように重い痛みが一層強くなる。
なので天斗の体を押しのけ、また歩き出したいと思ったが
一向に彼は自分を解放しようとはせず…徐々に焦りと苛立ちを覚えだした。
「は…離せ…」
「圓、聞こえるか?」
自分の言は無視され、いきなりそう問い掛けられても、圓には何の事だか見当もつかず
とりあえず耳を済ませてみたが、聞こえるのは虫の音と天斗の鼓動だけだった。
「水の流れる音だ。…休憩するぞ」
「や、休んでなど……わっ、んぐっ!?」
腰に腕を回され、ぐいと力が篭められると
地面からほんの少し圓の足が浮きあがった。
その勢いで彼女の唇が天斗の鎖骨に押し付けられ、慌てて首を捻って避けた。
無理やり引き摺られ気味に連れて行かれても、両手がふさがっている以上抵抗も出来ない。
天斗の左手には照明器具が握られている。片手で、二人も支えている訳だ。
『……とんでもない、膂力だな………化物め』
地面にゆっくりとしゃがまされ、そのまま天斗が佐助の体を支えているのを見て
圓は反抗するのも面倒に思え、体を締め付けている紐を外した。
拘束による息苦しさから開放され、息を吐くと全身に脱力感を覚えた。
すると背中がずきんと痛み、損傷を激しく主張し始める。
天斗は佐助を横たわらせると「ふぅ…やれやれ」などと呟きつつ
右手を軽く振りながら、水を汲みに行った。
夜が明けると二人は元の道を外れ、細い獣道に分け入った。
夜中に歩いた道は多少荒れているとはいえ街道に違いなく
獣道に比べれば、断然歩きやすい物だった。
それでも街道では追っ手に見つかりやすい事
そして、こちらなら少しばかり近道だという事で
圓は断固として譲らず、天斗の助言に耳を貸さなかった。
天斗の懸念通り、険しい道は圓の体力を容赦なく奪っていった。
ごつごつした石ころは足を傷つけ、露に濡れた草はすべる。
好き放題に伸びた枝に頬を打たれると、赤い筋が浮かび上がった。
先導する天斗は何度か彼女を振り返り、同じ問いかけを口にした。
「…佐助を…変わるか?」
「…………いい…」
圓の答えも同じ調子で呟かれた。
ずり落ちかけた佐助の体を背負い直すと、傷が擦れるのに歯を食いしばり耐える。
ぎちぎちと食い込んでくる紐は、体を捩って微妙にずらすが、すぐにそこも痛みだす。
あれから包帯を替えたものの、痛み止めは口にしていなかった。
眠くなる事を恐れての事だったが
その代わり痛みは絶え間なく、脂汗が圓の額に浮かんでいた。
町中では、ぴんと張られた糸のような緊張感を絶えず感じていたが
ここではそれも少々緩み、良くない結果を生んでいた。
…それでも、決して弱事を言わず、歩みを止めようとはしない。
前しか見ていない瞳は虚ろで、憑かれた者の色を湛え始めていた。
泥の中を歩いているような重みを両足に感じながらも、一歩、また一歩と進む。
『…もう少し…もう少しじゃからな………』
背負った老爺に語るようで、実の所、自分自身を鼓舞していた。
ぽた
肩に何か、生暖かいものが触れた気がして
首を少しだけ後ろへと向けた。
目の前に、口から大量の血と、舌を垂れ下げた男の顔があった。
喉元が大きく落ち窪み…音にならない怨嗟の声を発する。
ぽたぽた…ぽたぽた……肩に、胸元に、どす黒い血が流れ落ちてくる。
青白く氷のような手が、絡み付いてくる。
それはひどく恐ろしい力で喉を締め上げて………
「………ひぃっ…やぁああああ――!!!」
びくんと痙攣するように、一つ体を震わせ…圓は目を覚ました。
激しい鼓動と、べたつく汗が急速に冷えていくのが感じ取れる。
足先に、細かな石の感触。
一定で、絶え間ない流水音。
肺に冷たい空気が流れ込み…無意識の内に、喉元に添えられた手が震え
ああ、息ができる……と、心から安堵した。
「大丈夫か…?」
傍らに天斗がしゃがみ、顔を覗き込んでいる。
問題ない事を示す為に起き上がろうとするが、背中が激しく痛み、呻きながら体を震わせた。
「無理して起きなくてもいいぞ」
「…いや…大丈夫だ…」
起きなくていいと言われても、圓はもう目を瞑る気にはなれず
ゆっくりと、気をつけながら上半身を起き上がらせた。
ふと見れば、腕に鳥肌が立っており…それをそっと撫でさすった。
周りを見渡すと、夕刻の朱に照らされた河原。
獣道を何とか抜け、山間に流れるこの川までたどり着き
気を失うように眠り込んだらしい。
少し離れた所で、焚き火の上に乗せられた鍋がぐつぐつと音を立て
傍には大量の枯れ枝が山を作っている。…いささか多すぎやしないだろうか。
『夢を見て叫ぶなど……不覚。……ふん、まるで童だな』
圓はわざと強く自嘲げに思い、まだ肌に残る薄ら寒さを追い出そうとした。
揺れる炎を凝視していると、天斗が湯気の立つ椀を差し出してきた。
受け取ると、中身は乾し飯を湯で戻した物。
両手で包んだ椀を通して、じんわりとした熱が伝わってくる。
「やけどすんなよ」
その言葉に、余計なお世話だと言わんばかりに軽く睨み
何度も息を吹きかけて、慎重に口へと運んだ。
……五臓六腑に染み渡るとは、この事だろうか。
自分がいかに空腹で、そしてそれに気付かないほど疲れ切っていた事に、今さら気が付く。
圓の青白かった頬に、ほんわりと赤みがさしたのを見て
天斗は微かに安堵の息を吐き…自分も椀に口をつけたのだった。
川の水で椀を濯ぎ、風呂敷に収めると、天斗は山に足を向けた。
「……どこに行くんだ?」
「焚き木を拾ってくる。お前はそこで待ってな」
「?……こんなにあるというに……まだ必要なのか?」
天斗の声は低く…それでいて、反論を許さぬ力強さがあった。
「ああ………佐助を、荼毘に付すからな」
足元の小石をじゃりと音立て、一歩踏み出す。
その刹那、圓は紺藍の袴を両手で掴み、取り縋っていた。
ひどく冷静で、冷徹な一つ目が彼女を見下ろす。
「荼毘にって…佐助を…?」
「ああ」
「佐助を………燃やすって、言うのか…!?」
「そうだ」
袴を掴む手が小刻みに揺れ、彼女の涼やかな目元も赤く揺れていた。
「い…」
「圓」
名を呼ばれ、彼女の体がびくりと震え上がった。
「圓、よく見ろ。そこに佐助はもう居ねぇんだ」
袴を掴んだまま、首をゆっくりと巡らせ…佐助を見た。
古ぼけたムシロに包まれた体は、静かに、力無く横たわっている。
それは、わざわざ口に出されなくとも、分かっていた。
それでも…自分にとって、大阪まで…せめて大阪までは共にあるのだと
それだけが願いで、支えだと言うのに。
背負った重みを感じ、少し振り向けばそこに居る。
血まみれで舌を垂らした者なんかじゃなく、佐助がそこに居るのだと。
……ずっと、思っていたかったと言うのに。
圓の中で何かが弾け、袴を引き裂かんばかりの勢いで掴みあげ、吼えた。
「…お、おまえが……お前が勝手に決めるな!!そのような権利も無いくせに!」
「無いな、権利は。…だが」
天斗は腰を屈めると圓に目線を合わせ、その両肩を強く掴んだ。
「約定はある。オレはお前らを連れて行く為に力を尽くす。
そん中でも最重要なのはお前の身。…そうだろ?でなきゃ約束は果たされねぇ」
「そ…それなら…そんな約定はもう……」
それ以上、圓は二の句を継げなかった。
…ここまでつきあわせておいて、何を今さら……。
言いよどんで、口をつぐんで…肯定も否定も出来ない状況に体を震わせる。
そんな圓に天斗の言葉は、まるで追い討ちにしか聞こえなかった。
「背中の傷…見せてみろ」
「っ!…………や……嫌だ…」
圓の口が閉じきる前に、彼女の細い肩を掴んでいた両手が降りた。
その手と共に薄紅梅の着物が腰まで引きずり下ろされ
柔らかな膨らみをふるりと揺らし、冷汗で湿った肌を秋風に晒した。
首の後ろに回された大きな手により、圓の顔は天斗の胸に押し付けられ
身動きが取れない間に包帯が剥ぎ取られる。
傷にべったりと貼り付いていた薬草が剥がれ、肌の引きつる痛みに息を飲んだ。
…あまりの速さに、悲鳴一つあげる間が無かった。
痛みと、羞恥と、怒りを内包した涙が一筋、彼女の頬を伝い落ちていく。
せめてもの反抗で、天斗の胸に震える爪をめり込ませたが
彼はそんな事を意にも介さず、握った包帯を突きつけた。
「見な」
命令口調に憤慨する心とは裏腹に、圓の目は包帯に吸い寄せられた。
変色した薬草と、白い布地に付着した血液。それに、どろりとした黄染み…。
それらは異様な臭いを放ち、こんな物が体に貼りついていたなど考えたくもなかった。
「傷が広がって、膿んでやがる…。これ以上無理したら……死ぬかもな」
「!!………な…」
何を大げさな…と、笑い飛ばしてやりたかった。
が、天斗の目は冗談を挟み込めるような物ではない。
「それに、この痣…」
天斗が圓の肩に視線をおとし、首を押さえつけていた手を軽く滑らせると
響くような痛みに強く目を瞑り、体を硬直させくぐもった呻きを漏らした。
そこには紐による締めつけで出来た、赤黒い痣がくっきりと付いていた。
「気が済めば…と思っていたが、もうこれ以上は駄目だ」
「…で、でも……し…死ぬと決まったわけでは……」
天斗の胸に突き立てた指先から、次第に力が抜け、震えだけが残った。
言い訳じみた事を口にする圓自身、背中の異様な痛みは尋常でないと感じている。
それでも……納得は出来なかったから。
そんな彼女に対し天斗の口を突いて出たのは、抑揚も、容赦もない言葉だった。
「そうかよ。体が腐れるまで締めつけて…もしかして償いのつもりか…?
そりゃ殊勝なこった。だがな、そんなもん佐助を弔うのに何の足しにもならんぜ」
胸を抉るような言葉に頭がぐらりと揺れる。
引きつるような痛みがはらわたを撫で、血反吐が溢れ出そうだった。
…こんなにも痛いのは、それが寸分違いなく的を射て
嫌になるくらい、自分自身わかりきっていた事だから…なのだが
「……お前が……天斗が背負うのも、駄目か…?」
それでも圓は哀願し続ける。…まるで命乞いだと、冷静な声が頭によぎった。
「………お前がどうしてもと言うんなら、そうしてやるさ…。
…だがな、どうあっても大坂に着く前には荼毘に付してやらなきゃならねぇ。
佐助のためにも……な」
「佐助の……ため………?」
「ああ…」
天斗の声がほんの少し緩み、どことなく子供をあやす風に変わっていた。
秋風がなるべく圓の体に触れないよう、気にしながら。
「佐助の体をそのまま埋葬するとなると、大穴を掘らにゃならんよな?
そうなると人目につきやすい……。大阪のような町では、特に」
「……………」
「…それに、もう一つ」
天斗の声が下がる。
その声に圓はほんの少しだけ顔を上げ、面前の男を伺った。
目が合うと、一瞬辛そうな苦い表情が浮かぶ。
「…そのまま埋めて、野犬などに掘り返されては……嫌だよな…」
「!!」
「埋めた後、ずっとそこに居られるわけじゃない。
墓守はいないんだ…そういう事が、起こらんとも限らん」
…墓を掘り返される………
圓の脳裏にその様が閃くように映し出され
あまりの昏さ、物悲しさに、おもわず自らの口と胸元を押さえこんだ。
唇は冷え、心臓は中から叩きつけるように鳴っている。
自らの体の柔らか味に触れた後、圓はじわり…と身を引き、天斗の腕から抜け出た。
秋風が剥き出しの上半身を弄り、長い髪を揺らす。
「…それでも…オレ……オレ…は…………嫌だぁっ!!」
天斗に背を向け、圓は崩れ落ちるように佐助の体に取り縋った。
熱い涙が落ち、古ぼけたムシロの表面に付いた埃を巻き込む。
ささくれた藁が体の柔らかい所を擦り、傷つけても
構わず佐助の上半身を起こすかのように抱きしめた。
「圓…」
「うっ…うう……っく……。も、もう……ほって……おいて…」
それでも…背中の激痛はいかんともしがたい。
支える腕に上手く力が入らず、佐助の体はずるり…と傾く。
圓は焦り、急いで抱きかかえ直した。
じゃりん
「…………え…?」
傾いた佐助の胸元から、なにかが抜け落ちた。
上品な杜若色の布で包まれたそれは、とてもとても、大切な物のように見えた。
水音の響く河原の小石が、それらを遠くに飛び散らす事を抑えてくれた。
「銭…が………六枚……」
「……六文銭…か」
六文銭は、六道銭。
三途の川を船で渡る際の御代……そしてそれは、真田の旗印。
圓はそれを、震えの収まらない手で、ゆっくりと拾い上げた。
何の変哲も無い、銭六枚……。
布の紫中、鈍く光るそれに水滴が落ちた。
「…こんな…もの…を……佐助………お前、用意して………
……ずっと………ずっと持っていたのかよ……!?
………そん…そんなに………そんなにオレじゃ駄目かぁぁ!!」
圓は握り締めたそれを、地面に叩きつけようとした。
…が、振り上げられた腕が下ろされる事は無く
握られた物は、汗の滲む手の平に食い込まんばかりだった。
夜が明けると、圓の心を写し取ったような陰鬱な曇り空が広がっていた。
骨壷などという気の効いた物がある筈もなく
包帯代わりの布を広げ、そこに拾い集めた骨を包んだ。
そっと胸に抱き、前を行く天斗について歩く姿は、正しく葬列のそれだった。
泣き腫らした目を軽く伏せ、黙って山道を歩いていると
昨夜の事が、思い出す気はなくとも脳裏に垂れ流されていった。
背中の膿を搾り出し、熱湯につけた布を当てる拷問のような治療を終え
無理やり痛み止めを口にねじ込まれた。
それからは全身が鈍く、重く
まるで何かを背負っているかのような感覚が体を支配した。
山間の河原にも闇が落ち、月はほとんど無く
焚き火の光だけが辛うじて辺りを照らしている。
この河原に辿り着くには、あの獣道を通るしかない。
たとえ、酔狂な者が山道を越えて来たとしても
盛大に鳴く虫達が、その事を教えてくれるだろう。
だが……追っ手の事も、虫の音も、月も…何もかもがどうでも良く
淡々と準備を進める天斗を、ただ朦朧とした頭で見つめるだけだった。
支度が整うと、六文銭を佐助の胸元に戻し、髪を一房、切り落とした。
白く、細く………、年老いた人の、弱い…髪だった。
……爪の一欠だろうとオレの元になんぞ居たくはないかもしれんが…
そう思いもしたが、結局それは自分の正した衿にしまい込み
今もこの胸元に、存在している。
火は自分でつけた。
ほんの目前に炎があるというのに、歯の根が合わないほど、寒い。
寒くて…あまりにも寒くて…暖を取りたくて、炎に向け足を一歩踏み出し
……次の瞬間には、後ろに強く引っ張られていた。
太い腕が背後から、体を締め付けるように回され……
暖かさと、恐怖が身体を覆った。
オレは後ろを恐ろしくて振り向けず、大声でわめいた。
…何を言っていたかは、覚えていない。
ただただ、わめいて、わめき散して、終いには大声で泣いて
回された腕に涙がぼたぼた垂れるのも構わず泣きじゃくって…
…何もそれ以上は覚えていない。
ただ、分かっているのは、あれ程までに泣いたのは生まれて初めてで
この先はもう二度と有り得ないだろう…という事だ。
「…そうだ……大丈夫…だ……。もぅ………」
圓は自身を客観的に見返し、そう結論付けて呟いたのだった。
…何が大丈夫なのかは分からないまま。
結局、まったく客観的とは言えない…無意味な思考はそこで閉じた。
そのまま二人は出来る限りの人目を避け、歩き続けた。
二人の事情など関係なく、また日は暮れ、昇る。
幸いにも圓の傷はあれ以上悪化する事はなかった。
元々基礎体力があり、回復も早い。表面上は彼女の思ったとおり「大丈夫」であった。
それもこれも、佐助の教育の賜物…なのだろう。
大阪に近づくにつれ、さすがに人とすれ違う回数も増えてきていた。
急ぎ足の商人、物見遊山の老人、遊び人風の男達、眠そうに目を擦る子供…
天斗らと同じく男女の二人組もいた。
圓はそれらを、ほとんど顔を上げる事無くやり過ごす。
老若男女、様々な人間が居たが、どのような者でも例外なく
腰から下しか見えず、彼女を不安にさせた点では同じだった。
また一人何事もなくすれ違い、圓はほっと息を吐いた。
すると前を歩いていた天斗が突然足を止め、俯き加減でいた圓は気付かないまま
背に担がれた鍋におでこをにぶつける羽目になった。
くわゎん、と間の抜けた音が響く。
「い…いってぇ…!……………急に止まんなよっ」
「前を見ていないのが悪い。にしても…お前、さっきから挙動不審すぎるぜ」
「きょ…!?…な、なんだよ!目立たないようにしてるだけだろ!!」
精一杯の自己防衛をあっさり一蹴され、圓は不愉快そうに語尾を荒げ
…それでも声は落し気味に反論した。
その反論に、天斗はいかにも仕方ない…と言いたげな顔をする。
「馬鹿、こういう所は堂々としておいたほうが逆に目立たねぇんだよ」
「…そうは言っても…顔を見られて、もしかしたら……」
「気持ちは分かるが、それじゃ逆効果だ」
「逆効果…って……?」
「………あのぅ、すみません〜……」
圓が続く言葉を口にしようとした時、突然おっとりとした声が掛けられた。
振り向いた天斗の眼下に、穏やかな顔の老婆が一人、半紙を手に立っている。
圓は条件反射で顔を伏せ、天斗の背に隠れるように身を縮こませてしまった。
「あいすみませんねぇ、お話中に…」
「いや、構わんよ。どうかしたかい?」
「道をお尋ねしたくて…ここに行くにはどうすれば宜しいでしょうかねぇ…?」
老婆は半紙を天斗に見せながら、のんびりと尋ねた。
圓は黙り込み、天斗が立ち止まったせいで面倒に巻き込まれた…と唇を尖らせた。
そんな彼女の思いも知らず、二人の会話は続いている。
「オレ達もこの辺に詳しい訳じゃないが…。
ああ、ここなら……そこを出て真っ直ぐ行きゃ、石の目印が見える筈だ。
それを右に曲がればいい。……これで分かるか?なんなら途中まで案内…」
「……?…どうなされました?」
「あ、いや…。案内は出来ないんだ、悪い…」
半紙を見たり、今まで歩いてきた道の遠くを指差したりしながら
交わされる天斗と老婆の会話を耳にして、圓は目を丸くしていた。
ひどく驚く事が、二つ。
この状況を分かっていながら、天斗が案内役を買って出ようとした事。
そして、口に出した事を引っ込めた事……。
特に後者は、なぜだか圓に奇妙な違和感を抱かせたのだった。
「いえいえ…ご丁寧にありがとうございますねぇ。大体分かりましたゆえ
ご心配には及びませんよ…。御免なさいねぇ、奥様をお待たせして」
先程の違和感がなんなのか頭を捻っていた圓は、突然耳に飛び込んで来た
老婆の言葉の意味合いを飲み込めず、きょとんとした顔をしていた。
「先程からお背中に隠れるように…照れ屋さんですのねぇ。可愛らしい事…」
「ああ、人見知りが激しくてね。そんな訳で婆さん、すまないな」
「いいえぇ…それでは、失礼いたしますねぇ」
会釈をして歩み去る老婆に、軽く手を上げ答えた天斗は
背後で固まっている圓に向け「…な?」と声をかけた。
「な……って…何が…?今の婆さんは目が悪そうだったけど……
…と云うか!お、お前………なにを出鱈目いっておるのだ!?」
「いいじゃねぇか別に。あそこで否定しても説明が面倒だろ」
悪びれもせず言う天斗に、圓は心から呆れかえった。
そして思う。…こいつはやはり、ものすごい大嘘つきだ…と。
もう少し文句を言ってやらないと、なんとなく腹が収まらない。
圓は口を開きかけたが、その刹那、天斗に手首を掴まれていた。
天斗は何も言わず、老婆とは逆の方向へと少々足早に歩きだした。
驚いた顔のまま引っ張られる圓の目に、道から外れ、人気の無い風景が広がる。
「た…天斗…?」
「しっ」
何がなんだか分からず、胸に抱いた包みを持つ手に力がこもる。
不安げな目で周りを見渡すと…突然、伸びっぱなしの草を揺らし
三人の見知らぬ男たちが沸き出てきた。
品も無ければ柄も悪い。とりあえず一見で人に好かれるようには見えない。
あまりにも分かりやすい外面の男たちだった。
町を歩けば、人が勝手に避けてくれて便利と言えば便利かもしれないが…。
その者たちの好奇の目は、自分に注がれているのだと圓は感じ取った。
歩き出したのと同じ唐突さで足を止めた天斗に引っ張られ
気付けば彼の背中に隠されるような格好になっていた。
大きな背に阻まれ、正面を見ることは出来ないが
男たちがにやにやと下卑た笑いを浮かべ、近づいて来ているのは分かった。
「へへ…兄さん、わざわざ人気の無い所に来てくれるやなんて…親切だねぇ」
「そうでもないけどな」
嘲りを含んだ男の言葉に、天斗は軽く笑って答えた。
ちき…と、鍔鳴りの音が響き、威圧するように刀が引き抜かれるのを
天斗は変わらぬ笑顔で見つめている。
「兄さんよぅ…その女、ちょいと貸してくれへんかなぁ」
「左眼も潰されたかぁ無いなら、よぅ」
「…嬢ちゃん、大人しそうな割りに足も腕も剥き出しで…あんたの趣味か?」
…男たちは完全に調子に乗っていた。
恐怖のあまり、笑い顔が貼りついているのだと思い込める程
無防備に突っ立っている若者の顔は穏やかだったから。
そして、身を隠している女子の顔は、恐怖に引き攣って見えたから。
実際は、違う。一片たりとも合わさる所など存在してはいなかったが。
圓の顔は引き攣っていた。
……怒りで。
『…貸して…くれだと…?大人しそう……だって!?
この着物が…天斗の趣味??………この着物は佐助の趣味だ、馬鹿野郎!!』
オレは黒や紺の忍装束で良いと言うたのに…。
『目立つにはこの色が宜しいかと』などとうそぶいて
このような突拍子もない色味にしおって…こんな、いかにも女子の好みそうな…
『………って、今はそのような事を考えている場合ではない、か』
状況に反し、脱線しそうになる思考を圓は軽く首を振って正した。
…男は形状について語っていたのに
色の事を考えているという間違いにも気付かぬままだ。
『にしても貸せってなんだ?…こいつらは、オレに何をしようとしてるんだ…?』
圓は、心から分からないでいた。
それでも…女を物のように言い、暴力により奪おうとして憚らない
下衆共への本能的な嫌悪感は全身を巡り、総毛立たせていた。
そして、分かった事もあった。
天斗が先程、老婆の道案内を言い出しかけ、断った事。
つけられている事に気付き、老婆を巻き込まないようにしたのだろう…と。
出来ない事は元より口にしない…これだったのだ、あの違和感は。
圓は、目前の背中をゆっくりと見つめ、軽く息を吐いた。
そうと分かればこれ以上、この場にいる必要などどこにも無い。
自分たちも、こやつらも。
「…天斗、地味に手早く」
「あいよ」
「な?言っただろ」
「…だから…『な?』と言われても分からぬわ。さっきから」
呼吸一つ乱さず、いつも通りの飄々とした顔をして言うのに
圓は半目で睨み、うんざりした様子で返答した。
二人は何事も無かったかのように街道へと戻り、話しながら歩いている。
鳥の鳴き声が秋風とともに響き、空は蒼く高かった。
「逆効果って事な」
「…うーん……。確かに勘違いはされたが…逆効果ってのはなぁ…?」
圓はいまいち納得いかずに考え込み、首を捻る。
包みを胸に抱いていなければ、きっと腕を組んでいる事だろう。
そんな彼女の様子を横目に、天斗は微かに微笑んでいた。
『……いくら考えたって分からんさ…お前自身には』
自分の顔ばかりは、どう努力した所で見えはしない…。
天斗は視線を前に戻しながら胸中で呟き、数刻前の出来事を脳裏に描いた。
まだ朝靄の残る街道を、天斗は前を見据えて歩いていた。
背後を歩く圓から言葉は発せられず、顔も合わせていない。
それは別段気にするほどの事でもなかった。
しかし、何度も同じ事が起こり、天斗もようやく不審に思った。
道ですれ違う者が、なぜだかこぞって振り返るのだ。
急ぎ足だった商人風の男はぽかんと口を開け、間抜け面を晒し
野菜を担いだ中年の女は、ひどく心配そうに立ち止まった。
長き月日をその顔に刻み、様々なものを目にして来たであろう老人が
しみじみと「早起きは三文の得よな」と呟くのを聞いた。
様々な表情を、様々な人間が見せる。
…出来るだけ目立たぬよう、早朝を狙って歩いている意味がまるで無い。
天斗は表面上は普通の顔をしつつも、この不可解な現象に頭を捻っていた。
目立つ物といえば…精々、着物に付着した血ぐらいなものか。
しかしそれも、ここに至るまでの間
水に浸した布で叩き、薄めてあった。それほど目立つとも思えない。
…だいたい、普通の人間において、それに三文分の価値がある筈も無い。
また一人、すれ違った。
若い男が顔を赤らめ…露骨に見つめる視線の先。
天斗はその男を振り返り、そのまま、背後へと首を巡らせた。
足は止めず……そしてまたゆっくりと、正面に向き直る。
早朝独特の白っぽい風景が、ますますもって白く滲むような感覚だった。
『…なんて……顔してやがる…』
縋るように包みを胸に抱き、それに注がれるように伏せられた漆黒の瞳は
長い睫に縁取られ、ひたむきに、切なげに揺れ動いて見えた。
色をなくした肌にあって、閉じられた唇だけがひどく紅く、濡れている。
けぶる朝靄を纏うその姿はどこまでも儚げで、これに血が通った暖かさはあるのか
そこに間違いなく実在しているのか、触れて確認したい気持ちに囚われた。
それらを全て振り切って前を向くのは、さしもの天斗も骨が折れる行為だった。
そんな『大人しそう』に見える佇まいと、奇妙に大胆な形の着物。
薄紅梅に、揺れ動く緑の黒髪は互いに映えてよく似合っている。
思量という物が不足している者に於いては
不埒な考えを胸に宿すのも、致し方ないのかもしれない。
…もっとも、だからと言って赦される筈はないのだが。
朝靄もすっかり消えうせ、秋独特の真っ直ぐ差し込む日の下で
眉根を寄せつつうんうん唸っている今の姿には、その影も無い。
天斗はもう一度横目で圓を見やり、こっそりと息を吐く。
秋の日が眩く、天斗は目を細め
ふと胸をよぎる思いに注視した。
『…これがもし、正しく姫君として生きていたなら…』
きっとそちらの生に於いても、血が流されたであろう事は、想像に難くなかった。
『もしも』の話など、この上なく無意味だと分かりきっていて
普段は簡単に止められるそれを、なぜか今は押し留められないでいた。
天斗の思考は、じっとりと暗部に落ちていく。
「……おい……どうした…?……おっかない顔をして……」
怪訝そうに、そして少し不安そうな声が耳に届く。
遠くを見ていた目だけでなく顔も向け、真っ直ぐ見上げてくる瞳を覗き込めば
面白くない妄想に真剣になり、顔を歪ませていた自分を知る。
自分の顔ばかりは、どう努力した所で見えはしない…。
天斗は、圓の事をどうこう言えた義理じゃないと、薄く苦笑した。
結局、考えあぐねた所で答えは出ず、天斗も人の悪い笑みを浮かべるばかりで
答えてはくれず、終いに考えるのが面倒くさくなってしまった。
『ようは、下を向いていなければ良いのだろ!…まったく…』
様々な思惑があったものの、結果…圓は父がこの世を去った
かの地へ堂々と、胸を張るかのように前を見て、立ち入る事が出来たのだった。
…そこは、ただただ秋風に身を捩る木々が擦れあう音の響く森。
人気が無く、緑烟るさまに、江戸の廃屋が思い出される。
風に煽られる髪を撫で付け、圓はゆっくりと周りを見渡した。
その瞳には、これといった感慨もない。
「本当にここでいいのか?」
「……ああ…。この辺に…親父の陣があったようだし…」
天斗の問いかけに呟いて、もう一度大きく周りを見渡した後
無造作にしゃがみこむと、傍らにそっと包みを置いた。
そして、地面に向けて両手をつけ、土を掻こうとしたが
予想以上に硬く、少々顔をしかめた。
「ここまで来たら、討たれたという地まで行くのも良いと思うが」
言いつつも、天斗は同意を求めている訳ではない事を示すように
圓と同じくしゃがみこみ、地面に指を立てた。
「……あまりに近うても、佐助の事じゃ、遠慮するであろう…。
……それに…正直言えば…。オレは親父がどこでどう討たれたか、よう知らん」
白く汚れた自身の指先を、ひどく遠い物のように見つめながら呟く。
「いや、聞き及んではおるぞ?神社がどうのとか…な……。
けど……それは、佐助の口から聞かされた話ではないから……オレは………」
少し苦しげに、自嘲気味の笑みを浮かべた。
「…仇を討つと、あれほど息巻いておった割には……な」
独り言のように紡がれる言葉に、天斗はなんの返答もせず
手だけを黙々と動かしている。
ふと圓は『苦無を使えば穴が掘れる…』と思いついたが
手の傷に土が触れるのも構わずに、どんどん掘り進んでいる天斗を見て
その事を口に出すのはやめた。
表面の硬い所を過ぎれば、後は柔らかな茶色の土。
圓は掘るよりも、邪魔な土を脇へどかす事に専念した。
たいした時間も掛からず、かなりの深度を誇る穴が出来上がった。
その穴を覗き込み、これなら掘り返される心配はないな…と思い
一つの懸念を払拭できた安心感に浸りつつも、圓はわざと意地悪い口調で言った。
「これはまた……天斗、お前は鬼だかモグラだかわからん奴だのぉ」
「ああ、たまに右目を開くと眩しいのはそのせいか」
「…ふん」
軽く返され、圓はそれ以上口を開かず、穴から包みへと視線を移した。
とても軽いそれを、そっと両手で包みこむ。
胸の奥底からぐっとこみ上げてくる物があるが…それは唇を噛む事で堪え
丁重に優しく、穴の底へと腕を伸ばし、安置した。
屈みこんだ背中が痛んでも、取りこぼす事はなく
むしろ包みを掴んだ両手を引き離すのに労力を費やした。
ぎこちなく体を起こし、しばらくそのまま俯いていたが
視線を無理やり穴底から外すように、傍らの土の山に手をかける。
両手に盛られた土が、少しづつ穴へと消えてゆく…。
ゆっくりと繰り返されるそれを、天斗は手出しせずに見つめていた。
塞がった地面に適当な石を乗せ、目を瞑り、静かに手を合わせると
言いたかった事は山のようにあった筈なのに
ただ『すまなかった』の一言しか、心に浮かぶものは無かった。
手向ける花も無ければ線香も無い…。
数日もすれば、周りの自然に埋没するであろう景色。
圓はそれを、生涯忘れまいと、強くしっかりと目に焼き付けた。
それが不意にじわりと歪み…あわてて腕で拭い取った。
「……行こう…人が来ぬうちに…」
立ち上がり、震える右手で無意識に
佐助の髪が納まっている胸元を押さえながら、圓は小さく呟いた。
墓に向けた小さな背中を見上げ、天斗も無言のまま立ち上がる。
一度だけ足を止め、振りかえったきり…圓が二度と後ろを見ることは無かった。
515 :
159:05/02/18 23:45:37 ID:11J/0Gz4
書けているのはここまでです…。
また書き溜めて投下しにきますので、よろしくおながいします。
516 :
名無しさん@ピンキー:05/02/19 01:00:54 ID:biRSai1Q
159さん
すごくおもしろいです。楽しみにしてます!!
>>489氏の言わんとする事もわかるが
やはりそのオマケの部分を刮目して待つ。
>>489であるがおまけの部分もちゃんと好きなので安心しておくれ
真田の六文銭泣けた
時代考証きちんとしてるっぽいのが良い
そして信長編の双子の片割れにお前もちゃんと亡骸燃やして運べと言いたくなったのは秘密
ともかくグジョブであり続きを座して待つのみである(ニィ
時代考証…、キターーーーーー!!
あのころ(御前試合)を思い出しました。。。
あまり評価のよくなかったウニメでさえ、天斗偏のあたりはよく出来ていたかと思われ。
ちょっとスレ違いなカキコだったかな、スマソ
佐助ぇぇぇ〜っ・゚・(ノД`)ノ・゚・。>圓タンに幸アレ!!
続き投下宜しくです。>職人さん方々オネorz
保守
期待応援保守!
524 :
名無しさん@ピンキー:05/02/28 00:57:04 ID:Yrhuxwhd
なんか300以上下がってる・・・
誰も居ないし、不安なかんじだから上げときますね。
>>459のキーさん
遅ればせながらリクエスト1で‥
既に主筆活動中であればそちらのままでヨロです。
>>516の159さんもタイヘン楽しみな続きヨロ。
みなさん、風邪や花粉などに気をつけてがんばって下さい。
圓タン可愛すぎて悶えてます。
こんな圓タンがめろめろでえろえろですとう!?
ドキがムネムネして…いや、むしろ濡れた。
落ち着いてられません。つ、続き…!!
527 :
159:05/03/04 19:21:08 ID:KwRTwya+
今回も途中まで持ってきました。
続きを書く時間がなかなか取れず、遅くて申し訳ない。
ホント 日数の少ない二月は地獄だったぜ! フゥハハハーハァー
>>525 ぬる武者さん
貴方も書かないか?
来た道を戻るように、出来るだけ早く町中から離れ
一度水を汲んだ事のある川まで二人は辿り着いた。
昼を少し過ぎた時間の気だるさが、辺りに漂っている。
江戸からの強行軍、図らずも様々な河原で休息を取ってきたが
この川は大きくも小さくも無く、木々に囲まれなんの変哲も無い。
鳥は暢気にさえずり、水面はきらきらと輝き、平和そのもの…と言った風情だ。
「…はぁ…」
圓はへたり込むように、木陰の落ちた川縁にしゃがみこむと
手を擦り合わせてしっかりと土を落とし、その上で一口、水を啜った。
ほ…、と息を吐くと、肩に入っていた力が指先から抜けていくかのようだ。
手をもう一度水につけながら「天斗…お前も」と声をかける。
しかし、返答は無く…いぶかしげに振り向いた彼女の目に
その相手が、担いでいた鍋と荷物の横で
ばったりと仰向けに倒れこんでいる様が飛び込んで来た。
「お…おい!どうかしたか!?」
見慣れぬ弱々しい姿に圓は驚き、いそいで傍に近寄り顔を覗き込む。
そんな彼女に天斗は、目を覆っていた腕を少しずらし
「…ねみぃ」と一言、返答した。
「ちょっと…寝てもいいか?…ああ…でもこれが願い事になっちまうか…な」
「ば…馬鹿!オレはそこまで染みったれではないわ!……いいから寝ちまえよ…もぅ」
「…悪い…」
ほぼ間をおかず、微かな寝息が聞こえ始めた。
鍛え上げられた胸板がゆっくりと上下するのを見つめていた圓は
不安感で早まった鼓動をごまかすように、大きく溜息を吐いた。
手を天斗の顔の前で、ひらひらと振ってみた。…これといった反応は、無い。
『本当に寝おったわ…』
片目はいつも瞑られているが、両目を瞑っている所は見た事がなかったな…と
ふと思い……そういえばこの数日間、寝ている姿も見ていないと気付く。
『……まったく寝ていない…って訳では…ないと思うが……』
それでも、ほとんど眠っていなかったであろう事は確かで。
無事に目的を達成し、さすがに気が緩んだのであろう。
圓の胸が、ちくちくと痛んだ。
そのまま身じろぎもせず寝顔を見つめていたが
そんな彼女に背を向けるように、天斗はいきなり寝返りを打った。
背を丸め、体を縮こませるように眠りつづけている。
それを見て圓は、少し吹きだす。
『子供のような寝相よの』
……実際こんな大きな子供がいたら、嫌だが。
ちょうど背中が目前にあり、腰に差し込まれている太刀が寝るには邪魔くさそうに見えた。
圓はそれを両手で掴むと、ゆっくりと慎重に引き抜く。
幸い目を覚ます様子は見えず、太刀を持ったまま一歩身を引き座り込んだ。
川の流れる音に身を浸しながら、掴んだ太刀をぼんやりと見つめた。
ずしりと重い、古ぼけた太刀。
そういえばこれで猪を捌いていたな、などと思い出す。
「陸奥、か……」
ほんの小さな呟きが、数ヶ月前の圓自身の呟きと重なった。
「陸奥、か……」
「なんでも、無手の業をもって数百年不敗だとか」
「…数百年…!?それはまた随分と長生きな……」
「……嬢、それでは仙人にござりますれば。一人ではなく、代々受け継がれて…」
「わ、分かっておるわ!!ちょっとした戯言じゃないか……」
「で?その陸奥とやらが何なのだ?」
「いえ、別に深い意味はござりませぬよ。
ただ…陸奥圓明流を文字にいたしますと、この通り…」
「…オレの名と、同じ文字じゃな」
「ええ、それでふと、思い出してござる」
「……陸奥圓…か。…よし、それでいこう」
「嬢……」
「なんにせよ、偽名を使わねばならんしな。一石二鳥だ」
「…圓様、やはり、なりませぬ」
「様をつけて呼ぶな!……何を今さら怖気づいておる。
御前試合など、この上ない好機ではないか」
「…御前試合もそうでございますが……陸奥を名乗るなど…。
その業は、ただただ、人を殺めるだけの物と伝え聞いておりまする…」
「……何が違う。オレとて人殺しの業しか教わってはおらぬぞ」
………あの時の、佐助の顔…。
息を詰まらせた、苦しみとも悲しみとも取れる、あの顔……。
指先が白くなるほど強く、太刀を握り締めた。
口元がぶるぶると震え、目頭は溶け落ちそうなほどに、熱い。
『……佐助、佐助の言う通り……何もかもが違ったよ…。
オレは何も出来なかった。むしろ只の足手纏いだった。
今はもう何も無い。村正すら無く、背も両手もからっぽだ。
お主の事も、天斗の事も……共に居る者の様子にすら気付けない……
自分の事しか考えてない、甘ったれの……大馬鹿者なんだ!!』
それでも、圓の口からは慟哭も、瞳からは一筋の雫もこぼれる事は無かった。
震えを体内に押し込めるかのように、硬く息を潜める。
ひんやりとしていた太刀の柄に、震える圓の熱が伝わっていた。
半刻ほどが経ち、天斗は行過ぎる秋風と
それに揺れる草が頬を撫でる感触で目を覚ました。
のそり…と鈍い動作で起き上がり、軽く首を振る。
多少霞みがかった脳裏を正常にするため、息を一つ吸い、ふと気が付く。
腰の辺りが妙に軽い…。体を捩ってみると、太刀が無くなっていた。
そして、いつもならすぐに目に飛び込んでくる薄紅梅が、どこにもない。
天斗の背にすっと寒い物が走り、全身が活性した。
「…圓!!」
「は?なんだ??」
河原に響く大声は、流れる水音に吸い込まれるように消えていった。
岩陰にいた圓は、ものすごい勢いで名前を呼ばれ、面食らった。
足を滑らせないように気をつけながら立ち上がり返事をすると
何故だか切羽詰った様子で立ち上がっている天斗と目が合った。
「なに、お前…もう起きたのか?別にまだ寝ていても良いぞ」
「……………完全に目は覚めた」
ぶっきらぼうに呟き、誤魔化すように頭を掻いた後
着物についている砂を叩き落とす。
彼の様子に圓は少しだけ首をかしげ、ああ、と思い立った。
「お前の刀、鍋の横に置いてあるからな」
見れば確かに、大きな鍋の横に鎮座ましましているのは、代々伝わる刀。
勝手に引き抜かれても気付かないほど熟睡していたのかと、溜息が漏れる。
そして、鍋の中の風呂敷が開いているのにも目が止まった。
「お前は何やってたんだ…?」
言いながら、天斗は岩陰から顔だけ出している圓に近づく。
「う、い、いや…その…」
すると彼女は困ったような表情を見せ、口篭もりながら顔も引っ込めてしまった。
岩陰に隠れた姿を追うように、ゆっくりと覗き込む。
汚れた包帯が置かれている横で、圓はばつの悪い顔を向けていた。
手にも白い布。…ただそれは、大きく裂けてはいたが。
「…もう、使える包帯なくなるだろ…だから、その、洗濯……」
「そうか…感心だな」
「………二枚破れたけど…」
「破いたんだな」
「…もう一枚……さっき名前を呼ばれた時に流された…」
「じゃ、それはオレのせいだな」
天斗は水に手をつけ、すっかり忘れていた土汚れを落とし
ざぶざぶと豪快に顔を洗った。
拭うものは手元に無いので、大きく首を振って水滴を飛ばす。
「洗濯なぞ初めてしたが…あんがい汚れは落ちぬものだなぁ」
しっかりと絞った布を岩の上に広げ置き
風で飛ばぬよう小石で固定しつつ、圓は少しくたびれたような口調で言った。
汚れた包帯の最後の一枚を掴み、水につけ
「血染みなんかは仕方ねぇさ」と手馴れた様子で擦る。
圓はその様を見下ろしながら、自分より強いくせに何で破れないんだ…と
なんとなく納得いかない気持ちになっていた。
手持ち無沙汰になり、傷に触らぬ程度に岩にもたれて流れる水に目を向けた。
落とせるだけの汚れは落とし、いちおう裏も確認し、天斗は軽く布を絞った。
先程から暇そうに川を見ている圓に布を渡そうと
顔を上げ声をかけようとしたが…そのどちらも途中で止まってしまった。
『…おいおい』
洗濯にはコツがいる。下手にやれば水が飛び散り
どちらが洗濯物か分からなくなってしまう。
今の圓は、その典型と言えた。
薄紅梅の着物は吸い込んだ水により色を濃くしていた。
胸元から下腹部にかけて、しっとりと染まり
ふっくらとした胸の膨らみと、つんと上向く先端の突起までも浮き上がらせていた。
ぺったりと張り付き、引き締まった太ももの形を露にする裾から
一筋透明な液体が垂れ落ちている。
煽情的という意味合いでもこの姿は大層問題ではあるが…それ以前に今はもう秋。
いくら体力があるとはいえ、このままでは体調を崩しかねない。
背中の傷にも障るだろう。
そして何より……水に濡れた体を秋風に晒していても
気にもしない、気付いてすらいない…
透き通る水の、更に遠くを透かし見るような…
そんな遠い眼差しをしている事の方が、天斗の気に掛かった。
天斗は布を軽く引っ張り、皺を取りながら立ち上がると
その布を無造作にさし出し、圓の頭上で手を離した。
圓の視界が唐突に白く染まる。
ぺしゃ、と音立て、頭から鼻にかけて張り付いてきた布を
「うわっ」と短い声を上げ、慌てて両手で剥ぎ取った。
いきなりの事で焦りつつも布を落とす事が無いのは流石と言える。
「……な…なにをすんじゃー!!」
「それも干しとけ。オレは火を熾すから」
瞬時に激昂する彼女にそっけない一言を残し、天斗は背を向け歩み去った。
圓のいる岩陰からは、もうその姿を見ることは出来ない。
彼女は手にした布をしげしげと眺め、むぅ…と軽く唸った。
「包帯は薄いからすぐ乾くだろうが…着物はどれくらい掛かるんだ…?」
「そんな簡単にゃ乾かねぇよ。……ったく」
水に濡れた圓の着物は、焚き火から少々離れた所にある石の上
同じく水を含んだ脚絆と共に広げられ、焔色を映し出している。
破れた手甲と篭手は、江戸を出る時から邪魔なので外し
風呂敷に突っ込んであったため、今回の難を逃れていた。
更に焚き火の傍らには、捕ったばかりの川魚が立てかけられ
香ばしい匂いを放ち始めている。
それにより圓の腹が、ぐぐぅ〜と派手に自己主張をする。
慌てて両手で抱くように腹を押さえると、火の向こう側に座っている天斗が
軽く笑った気配を感じ、顔を赤らめ睨みつけながら言った。
「…し、仕方ないだろ…!こっち見んなよ、もう」
圓は天斗がいつも着ている白の上着と帯を借り、身に付けていた。
彼女の体には随分大きいそれは、膝までを覆い隠しているが
言ってしまえばその先は何も無い。
いつもは膝から踝にかけ、脚絆で覆われているので気にならないが
今は剥き出しの脚を秋風が撫でれば、なんとも心許ない気分になってくる。
しかもこの着物…借りておいて文句を言うのもなんなのだが…あちらこちらと
裂け目があり、本当に着物として機能しているのか疑問だった。
思わず手であちこち触れ、首を巡らせ自分の姿を確認しなおしてしまう。
その目が天斗を捉え、次の瞬間にはすぐに外された。
天斗は下帯しか付けていない姿で、自分の袴を裁縫している。
『……大阪についたら勝手にやれ、とは言ったけどよぉ……はぁ』
お互い、いささか目のやり場に困る格好ではある。
正面向いて座るのを避けると、自然に体は川の方を向く。
さぁさぁと変わらぬ流れを見ていると、圓の胸に『自業自得』の四文字と
数分前の出来事が浮かびあがってきた。
天斗が火を熾し「お前は火にあたってろよ」と言われた圓は
そこで初めて着物が濡れている事に気がついた。
断る理由も無く素直に従うと、天斗はいきなり着物を脱いで川に入っていった。
唖然としてその姿を追っていると…それもまた唐突で。
捉えられない速さで動いたと思った瞬間、手にはぴちぴちと身を捩る
川魚がつかまれていたのだった。
圓は、真に心から驚愕し…それと同じくらい悔しくもなっていた。
即座に立ち上がり、せっかく乾きかけていた着物もそのままに
止める天斗の声も聞かず、ずかずかと川に入って行った。
……結果……魚は逃げ、魚ばりに水に漬かっただけで終わった訳だが。
「…だいたい、非常識なんじゃ。泳いでおる魚を素手で捕まえるなど…」
「お前は考えてる事が顔に出すぎるからなぁ」
「魚にそんなもん分かるものかよ!!」
むきになって言い返しながらも、圓は両手で頬を押さえそうになっていた。
だが、そこで左手に握られている物の存在を思い出す。
不機嫌な顔のままながら手をゆっくりと膝の上に降ろし、左手をそっと開く。
…紐に括られた佐助の遺髪は、ばらける事こそ無かったが、しっとりと濡れてしまっている。
少し俯く圓の心に、沸き立つ泉のような反省の念が溢れてくるのだった。
紺藍の袴に対して、黒の糸が針に通っている
そんな相違を天斗は気にもせず、切れ目を縫い合わせていた。
「…しかし、少々意外だな」
焚き火の向こう側、ぼんやりと左手を見つめていた圓が少し首を傾ける。
「用意周到な佐助が、お前の着替えを準備していないとは」
「……ああ…まぁ…あるにはあったぞ、前は」
その言葉に天斗は手を止め、圓のほうへ顔を向けた。
すると目が合い、彼女はちょっと怖い顔を作り、手をしっしっと振る。
『いーから続きをやれ』と言いたげな仕草に、苦笑しながら袴に視線を戻した。
「普通の女子が着るようなのを持ってはおった。…佐助が作ってくれた。
でも、今回の件を決めてから…かさばる物はあらかた売りとばしたんだ。
……また作ってもらえば良いと思っていたのでな」
「その店は?」
「……分からん。面倒事は全部、押し付けていたから…」
圓は自嘲気味に目を細め、ちらりと薄紅梅の着物を見やった。
「いいんだ。…佐助の着物は出来が良かった、もう売れてしまっておろう。
それにオレにはこの装束がある」
「………」
「ま、でも古着の一つも買わんといかんかなぁ。これから冬だしな」
憂鬱そうに彼女は頬杖をつこうとしたが、動くと体に合わない着物が
肩からずり落ちそうになる。それを引っ張り直した。
「お前は年がら年中、この妙ちくりんな着物なんだろ」
「妙って言うな。…ま、そうなんだけどよ」
「いいよなぁ…馬鹿は風邪をひかぬものなぁ……」
「おい」
さすがに憮然とした顔を見せる天斗を鼻で笑って無視し
『特にこの馬鹿は鍛え方が違うと来てるしな』と胸中で呟く。
雪が降ろうが春風が吹こうが、きっと変わりなくこの姿で、いつものように笑うのだろう。
圓はその様を想像し、何故だかおかしくて少し笑いかけ……唐突に表情を変えた。
『……オレは……』
ずしりと重みを持った鳩尾を、佐助の髪を握り締めたままで押さえつけた。
『オレは……いつまでこいつと……共にいられると思って……!?』
何を頼まれるのか分かった物ではないが、自分達を繋ぐのは約定が一つだけ。
事によっては、今日中におさらば、などと言う事も有り得るのだ。
『……それなら、それで…いいじゃないか。これからは独りで…自由気ままに…』
そうは思ってみても、鳩尾の重みは晴れず、更に大きくなるばかりで。
自由気ままという言葉から受ける楽しげで明るい印象は、圓には感じ取れなかった。
なので、得体の知れない感情に振り回される彼女の耳には、最初届かなかった。
だが何かが…炎の向こう側から聞こえた気がして、鳩尾を押さえる手はそのままに
ゆっくりと顔をそちらに向け、掠れる声で「…え?」と聞き返す。
「……だから、すまなかった…って言ったんだ」
繕い物を胡座の上に置いた天斗は頭を掻き、少々渋い顔をしている。
耳に届いたからとはいえ、それがいつでも理解できる物とは限らない。
その一言だけで、圓の混乱は様変わりし、更に分からない物になっていた。
いつでも偉そうで自信に満ちたこの男が、何を詫びようと言うのか。
「………え……なにが……」
「ここ数日、色々と酷い事を言った。悪かった」
短く簡潔、かつぶっきらぼうに天斗は言い切り
圓は聞いた事は理解できても、この状況は理解できず目を瞬かせた。
「オレは…ああいう時、女子にどのような言葉を掛けた物やら分からなくてな。
だがきっと、言い過ぎだったんだろうと思う」
「………」
どうやら彼は、佐助を荼毘に伏した時の事を言っているようだった。
圓は、おなご扱いをされた事に妙な気恥ずかしさを覚えながらも
あわてて首を振り否定の意を表す。
「……あ…あの時は………その、なんか頭が朦朧として……
あまり良く覚えておらぬ!…だから、その、気にすることは無いぞ」
「…そうか?……それにもう一つ」
「……な、なんだよ…」
更にまだ何かある事に驚きを隠せず、考えようにも他に思い当たる節も無く
圓の目はきょろきょろと落ち着きなく動く。
焦り続ける圓に対し、天斗の声は低く沈んだ物だった。
「お前の…背の傷。……結構でかい痕になって残っちまう」
「え…」
「オレじゃ上手いこと処置しきれなかった。すまん」
圓はその言葉に、少しばかり胸を撫で下ろしていた。
思っていたほど驚く事でもなく、そもそも謝られるような事でも無い。
神妙な顔をしている天斗が大げさに思え、圓は気楽な口調で答えた。
「なんだ、そんな事か。そんなのどうでもいいって事よ」
「どうでもいい…?」
「オレは子供の頃から生傷が絶えんかったし。別に何か困るって訳でなし。
だから、お前も気にするなって」
軽く笑い、手をひらひらと振る。
それに対し、天斗は一言「そうか」と先程と同じ言葉を口にした。
しかし、彼がつられて笑ってくれる事は無かった。
そのまま二人は何か言いたげな気配だけを残して黙り込んだ。
間を遮る焚き火と、目前のせせらぎが、ぱちぱちさぁさぁと音を立てる。
天斗は無造作に枯れ枝を火に投げ入れた。
『……うーむ…』
圓は冷えた足先をすり合わせたり、魚を何度もひっくり返したりと落ち着きが無かった。
この沈黙を何とか打破したかったが、気の利いた嫌味の一つも浮かんで来ない。
彼女はもう一度、心の中で唸りを上げた。
ちらちらと盗み見ても、天斗はただ黙って裁縫をしているだけで
別段怒っているとか、不機嫌そうといった様子は見受けられない。
それでも…何故だか妙に空気が重く感じられる。
『……オレ…なんか変な事言ったか…な………』
「あ……!」
唸るように胸中で考え、そこまで思って唸りがぴたりと止まる。
こぼれた呟きと共に、閃くようにあの時の言葉が蘇ってきた。
『約定はある。オレはお前らを連れて行く為に力を尽くす。
そん中でも最重要なのはお前の身。…そうだろ?でなきゃ約束は果たされねぇ』
「……………」
圓は遺髪を硬く握り締め、その手をごちりと額に押し当てた。
『……天斗は…ほとんど眠りもせずオレの身を気遣っていてくれたってのに…。
それをオレは……どうでもいい……などと……』
何故そこまでしてくれるのか、何故そこまで気遣ってくれるのか…正直分からない。
その姿が本当なのか、あの容赦の無い姿が本当なのかも今だ分からない。
分からないが、圓は凝り固まった鳩尾の重みが、少しづつ解れていくのを感じていた。
もう一度、握った拳を額に押し当て、ゆっくりと息を吐く。
いつまで共にいられるかは、分からないが…
『…いつ別れる事になっても良いように、しておかねばならんよな……佐助…』
袴の裂け目は、残り一針二針という所まで塞がった。
摩擦の多い場所だけに、上着のように大雑把に縫うわけにもいかず
思ったよりも時間が掛かっちまったと天斗は思う。
魚もそろそろ…と考えたのと同時に、炎を揺らめかせながら
唐突に圓が立ち上がり、それにつられて彼も顔を上げたのだった。
「…?」
声をかける間もなく、つかつかと大股で焚き火を迂回してきた彼女が
自分の前まで来ると仁王立ちで見下ろしてくる。
それを天斗は、何も言わず見つめるしかなかった。
何やら決意を固めたような顔に、口出しは無用だと思ったのだ。
白い着物の衿元を片手で押さえている。
いつも適当に着ているあの着物は、胸元が勝手に開くような癖がついているせいだろう。
そこらじゅう破れていて、袖はなく、血が染みついている。
…そのように見慣れている着物なのに、何故だか今は別物のように思えた。
圓の顔が、すっと下がり、そのまま体も天斗と同じ高さに来る。
彼女は彼の目前で座り込んだのだった。
ただ、その姿は今までして来たような男勝りの胡座ではなく、折り目正しい正座。
そのまましっかりと目を合わせた後、三つ指をつくと深々と頭を下げた。
とはいえ、左手は握られたままであったが。
下げられた頭と共に、烏羽色の髪がゆっくりと地面に落ちた。
頭が地に着くかのように下げられた姿のまま、流れる水音にかき消される事無く
はっきりと淀みのない、だがどこか緊張した声が紡がれた。
「この身の安全だけでなく、家臣の永きに渡る想いにも応えられました事
すべて陸奥殿の合力のお陰。御礼の言葉もござりませぬ」
飾り気のない、真っ直ぐな言葉だった。
思ってもみなかった事態に、天斗は圓の頭を暫く見つめていたが
頭を軽く掻いた後「いいから…頭上げてくれ」とだけ言うのがやっとだった。
しかし天斗の言葉にも、圓の頭はなかなか上がらない。
『似合わない事はやめろよ』とでも笑って言ってやれば
怒ってすぐさま頭も上げるだろうか、と思いはした。
だが、困った事に…一連の流れるような仕草は、まるで舞のごとく
擦り切れた着物を身に纏った上でも損傷なく、似合っていたから始末に悪い。
仕方なく、なだめるような口調でもう一度声をかける。
「その格好、背中が辛いだろ。…河原で土下座もないんじゃないか?」
ようやく、ゆっくりと圓の頭が上げられた。
少しむっとして、耳まで鮮やかに赤く染まった顔を逸らす。
「…幼い頃から、口酸っぱく言われておったのじゃ。
『どなたかの助力を受けたならば、礼を惜しんではなりませぬ』
ってな。……佐助の教育が悪かったなどと思われてはたまらんからの」
背筋を伸ばし正座を崩さぬまま、憮然とした表情で二の句を告ぐ。
「そんな訳で……ほれ、言うが良い」
「ん?」
「誤魔化さずとも良い。…願い事だよ、願い事!
どうせ本当はもう決めてるんだろ?オレはまどろっこしいのは嫌いなんだ」
そこまで一気に言うと、圓は尖らした唇の先で呟いた。
「…だから…機嫌直せよ」
それに対し、天斗は少し不思議そうな顔を見せ
「別に、怒っても何もないが」と返した。
天斗の顔を見て、先程までの重い空気はただ単に
自身の後ろめたさが作り出した物だと悟り、圓は心の中で舌打ちをする。
そこであえて彼女は胸を逸らせてふんぞり返り、芝居がかった口調を作った。
「妾が褒美を取らせて進ぜよう。なんでも遠慮のう言うてみい!」
余裕ぶっているが、やたら言葉が多いのは緊張の裏返しなのか
先程から握られっぱなしの左手が赤くふるふると震えている。
その手の中にある物の事を思うと、指摘した物かどうか天斗は迷い、苦笑した。
「ま、今度こういう事をする時にゃ、お互いもう少しマシな格好の時に頼む」
「…願われずとも、もう二度とせぬから安心しろ。……そうじゃないだろ」
「うーん…」
天斗は繕い物の上で頬杖をつき、軽く笑ったまま圓の顔を眺めた。
圓の肩が、ぴくりと揺れる。ぐっと息を詰めるのが気配で伝わってきた。
「それじゃ…そうだな」
「……」
「お前、この後どっか行きたい所は無いのか?」
天斗の答えを、衿を押さえる手にも力をこめて待っていた圓は
突然の質問返しに虚を突かれた。そのまま戸惑いを隠しもせず、口を開く。
「お…オレの事はどうでも良いだろ…!?それより…」
「いいから、行きたいとこ」
「…………」
埒があかないと思い、圓は少々頭を捻るが、すぐにそれも止まる。
「……ない、な。…オレ達はあまり一所に留まる事はせなんだ。
基本的に根無し草よ。だからこれと言った思い出も無い。
それでも…佐助のお陰で不自由な思いをした事も無いが…な」
ふと、幼い自分の修練の日々が思い起されたが、すぐにそれを打ち消す。
自分の答えはここまでと言いたげに口をつぐみ、天斗を伺った。
「そうか…。そんなら、オレの行きたい所について来てくれるか?」
「……え」
「オレ達がお尋ね者なのは変わっちゃいない。
つわもの探しも気楽に出来んのではな。…仕方ねぇから故郷に帰るさ。
だが一人旅ってのも結構つまらん。だからお前も付き合え」
圓はしばらく硬い表情と、姿勢を崩さなかった。
「駄目か?」と天斗が声をかけるまで、緊張しつづけていたのは
てっきりその先に続きがあるものと思い込んでいたからだった。
「…………?………続きは?」
「いや、それだけだが」
「え…と、それはお前の…故郷についていけばいいって…事か?」
「ああ」
天斗はあっさりと頷いたが、圓はまだ慎重な姿勢を崩せずにいた。
硬さの残る口調で確認を続ける。
「その……故郷についた後は……?」
「別に。その後はお前の好きにしていいぜ」
そこまで聞き…圓は正座の下の地面へと、全身の力がどっと抜けていくのを感じた。
どんな無理難題を吹っかけられるのか、悲壮なまでの覚悟で臨んでいただけに
想像を絶する簡単さに、拍子抜けも極まれりと言った具合だった。
「…そ…そんな事で…いいのかよ……」
「ん?なんだ、もっと凄い事を頼んでも良かったのか?」
「いっ!いやいやいや!!」
激しく首を左右に振り、つられて振られた髪が肩にぴしぴしと当たる。
ついでに着物もずり落ちそうになり、焦って掴み上げた。
慌てふためく様を頬杖をついたまま見ていた天斗はくっくと笑い、左目を細めた。
「う……。そ、そうだ!……お前の故郷ってどこにあるんだよ」
焦りを誤魔化すように、乱れた髪を撫で付けながら肝心な事を思い口にした。
「みちのく」
「……陸…奥…?」
天斗の視線が、圓の背後に流れる川へと移された。
少し遠くを見るようにしながらも、これといった感慨も無く淡々と語りだす。
「…何にもねぇ、退屈な所だよ。見渡す限り山ばっかでな。
冬になりゃ見渡す限り大雪。そんな所だ。……ああ、でも温泉は悪くねぇか」
「温泉…」
「打ち身に切り傷に捻挫、そういうのに良く効く。お前の傷にもいいかもな」
「それはまた、お前の故郷らしい湯だの」
繰り出された効能に、圓は思わず吹き出した。
くすくすと笑い続けている彼女に不敵に笑いかけ
「まぁな。あと子宝の湯って言われてるぜ」などと茶化す。
だが『そんな物オレには関係ないわ!』等の返答を期待していた天斗は
圓が首をかしげ、不思議そうな顔をしたのを見て、少々戸惑った。
「……ん…まぁ…そういう訳だ。で、いいのか?」
「えっ?……あ、ああ!別にそれで構わぬぞ。約定じゃ仕方あるまいて……
うん、仕方ないよな……。…はは…あははっ!」
かくりと、圓の姿から力が抜け、足が崩された。
握り締めた左手で腹を押さえ、徐々に肩を揺すぶり笑い始める。
「あははは!なーんだ、あはっ…ははは!!…ふふっ」
約束の容易さに素直に心から安堵し、怯えきっていた自分を圓は笑い飛ばす。
可笑しくて可笑しくて、じんわりと涙まで浮かんできた。
もっと別に何か…とても安心した事があるが、それはあえて考えないでおいた。
「くく……はぁ…。……あ〜、悪いがオレの魚取ってきてくれ。…足が痺れて動けぬわ」
547 :
159:05/03/04 19:41:04 ID:KwRTwya+
今回はここまでです御免なさい。
GJ!!!!!!!
もうなんかたぎってたぎって仕方ないんですが。
圓タン可愛すぎてアヒャー!!
159さんおつかれ様です。続き、続き待ってます!
549 :
名無しさん@ピンキー:05/03/04 20:06:16 ID:0b9Eavzl
>159
続き待ってました!!!GJ!!!!
うひょひょいい感じ
これからも頼んます
ところで 今だ×未だ○ だと思うのですがどうかなあ(よくある間違い)
551 :
名無しさん@ピンキー:05/03/05 00:57:46 ID:BvDYdzl4
多忙と思われる中、よくぞ書いて下さいました!
傷付いた圓タンにも萌々でしたが、
今回の『子宝の湯』 には、マジかも〜な感じで、GJ!
う〜、、、このまま圓タンがいつ天斗に押し倒されたりするのかと
待切れない気持ちもありますが、
マイペースで続きアップを刮目して待ってます!
後、
>>526の159さんの意見に禿同!
>ぬる武者さん 貴方も書かないか?
居なく成られたとかと思ってましたよ。。。
ごめんなさい間違えました!
×
>>526 ○
>>527 でした。。。
しかも下げ忘れ。。。重ね重ねすみません!!
土器が胸胸な心境…
つ、つづきを…
554 :
キー ◆uVMM0Pi.Co :05/03/09 07:20:55 ID:wiIwjcAN
159さん
上手い、の一言しか出ません!自分のへたれぷりをついつい実感してしまいます。
皆様へ
新作は設定1で着々とちまちま書いております。様子見て投下しようかと。
キーさんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
みなさんの続きまったり待ってま〜す
修羅の刻の主人公達って、エロいことに関しては禁欲的(原作中に描写無し)
なので書ける人は尊敬。
少年誌だからさ。なんでそこらへんをココで…と思うが。
でも義経編で合体シーンあったし。海皇紀でもヴェダイがやらかしてたし。
そのまんまずばりじゃなくていいから、
匂わせる感じの話は原作でもうちょっと欲しいね。
そんなもん描かせたらマスター川原は放尿シーンばかり(ry
そんな中でのカザル妹の失禁大股アップと
今まさにヴェダイに舐められようとしてるマイアの蒼いビーチクアップには燃えたね
確かに放尿、お漏らしシーン多いね。圓と、ニルチッイ(合ってる?)もか?
他に誰かいたかな?
ここらでパラ学を書くツワモノはおらぬか?
おっしゃ〜!まかしてくれ!!!
って、とあるところに頼んできま・・・
懐かし漫画板から徹夜明けで来ました。
記念カキコ。なんてね。
漏れ的には放尿マスターの名を欲しいままにしてるんだが、川原氏。
とりあえず新しい女子が出てきたら
放尿シーンは何時来るんだ!と良い子にして待ってる。
性的描写に関しちゃかなりストレートな作家さんだと思ってたんだけど
そう感じない人もいるんだな。
逆にストレートすぎてエロさが無いと言うことか。
放尿は既にパラダイス学園の1話で頂点を極めてしまったからな
連載デビュー第一話にしてマスター星三つですか
え〜と、オリカたんの放尿シーンは何巻掲載だったっけ?
単行本買うのやめちゃったんで覚えてないんだよ…
勝手にシーンを捏造しないw
ええ!?
じゃあ、あのハマーン様カットした三姉妹の次女が
ファンの船に潜り込んでるときに、用足しが我慢できなくなって
船室の隅でしゃがみこんで「…んっ」と放尿したシーンも俺の勘違い!?
いや、このスレ的にはそれで正しいと思われ。
勘違いなどこのスレには存在せん!!!
シーン捏造=良き妄想→名作エロパロ誕生
それもこれもマスターがおもらしマニアなのが原因なんだ
だが三姉妹の長女(ライエさんだっけか?)だけはお漏らしをしないと俺は信じる。
ああ信じるとも。
なんとなく初見、ああっ女神のベルダンっぽいのか?みたいな
折れの中で妄想が…>三姉妹長女
声も脳内変換は、永遠の17才にしてるし
とてもしんぱい
もしも真のマスラオならばオニャノコのおしっこに萌えるべし、と
静たんも唄っておられました。
静タンはお兄ちゃんに裸見られたんだよね。
いや〜、陸奥一族のことだし
静たんも兄さまの前で平気で放尿してたことだろう。
580 :
名無しさん@ピンキー:2005/03/24(木) 21:58:29 ID:2KoK8CGB
神降臨を願いあげ
神々もお忙しいのだろう・・・マータリ待つよろし
ついでに、絵職人降臨を願い上げ
夢は大きい方が(このスレ的に)カコイイやねん
パラ学スレなら絵師の痕跡が・・・
大馬鹿な奴は好きだ、と思われるためには
せめて言いたい事を3分の一に絞るべきだったな。
つーかホモサイトを嬉々として薦めてる時点で引いた。
まぁ、絵がうまいってことなんじゃねーの
引いたけど
最近レス数増えてる傾向は嬉しいが、本筋もそろそろ…
>>584 ありがとう・・・ありがとう・・・ ニッ
>>585 言いたい事を絞り込めなかった583だけど >嬉々として
ってところで、その筋(男, モーホじゃ無し)の知人に聞いたら
そりゃ引くわな。と、言われた。
絵的にはかなりリアルに川原絵再現出来てるサイトだと思ったんで・・・
大馬鹿、つーか只の馬鹿だったな漏れ。無知でごめん。
>>588 確かに軽率だったが、まあ気にするな。
おまいの川原作品にかける情熱はよーくわかった。
漏れの情熱を汲んでくれて、みんな、、、 ありがとう。。。
>>590の尻穴から露にされてくなんてのちひろに燃えた!!
が、ID:7D6Vpg9L=
>>584でしたが、
>>588でまたやってしまった・・
×言いたい事を絞り込めなかった583だけど
○言いたい事を絞り込めなかった584だけど
583の方、御迷惑お掛けしました。誠に申し訳なかったです・・・orz
情熱だけあっても、やっぱ漏れ軽率で馬鹿で阿呆だわ。。。
たぶん女性だな
あんま興奮すんなやー
では私が、大馬鹿になり切れなかったあなたに代わり上げときますね。
>>592 27才リーマン歴4年男性。
板的にはあり得るが、この漫画にエロを求める女性っているんかな?
特にパラ学知ってる女は、漏れの廻りには皆無。。。
>>593 あなたって漏れ?
続きと新たな神は降臨キボンは同意。
ちょっとアンタ文体やうざさが腐女子じみているので
そろそろ気をつけたほうがいい。
誰もこんな所で他人の自己紹介なんざ読みたかないし、自分たちとてしない。
ここって陵辱SSの需要あるの?
今、舞子のレイプSSを書いてる途中なんだけど、このスレ的に陵辱ものは
まずいですか? 全く救いのない鬼畜な強(輪)姦ものですけど。
今時モレなどと使う男は嫌だ
だがおもらしマスターへの称号なら許す
>596
救いがないというと司馬が死んだりすんの?
奴は自分が生きてる限りどこまでも婚約者の陵辱阻止に動く猛者であるぞ
舞子じゃあね〜
かと言って他に適当な妙齢キャラもいないか〜
司馬って・・・ 舞子だから九十九だよね。
>>596 で、モレは、九十九が助けに行けなくったって
もしくは、九十九眼前での陵辱姦しだって、鬼畜強、どんと来い!
でも、痛そうなのと、死ぬのは勘弁。
>>596 舞子物自体が今まで無いなあ。
本編のヒロインなのに人気無いのか?
陵辱物でも別にいいよ。
あ、間違えた
舞子の方か、ちひろ(パラ)と勘違い
舞子は600に任せよう
残虐なのはチト勘弁
と言っても俺がスルーすればいいだけだから
何でもドンと来い!
スレとしてはいろんな種類のSSがあった方がいいと思う
俺はレイプ物は苦手だから読めないけど
自分は凌辱SSドンと来い!で あります!ケロッ
陵辱大いに結構待ってるヨン。
607 :
596:2005/03/29(火) 22:37:56 ID:qU3JCbJd
ご意見どうもです。とりあえず陵辱ものでも問題はなさそうなので
書けたら投下していきます。ただヘタレのうえかなり遅筆なんであまり
期待しないで気長にお待ち下さい。
>>600 603
「死ぬ」とかいうのはないです。「残虐」でもないと思います。
まあレイプものだから「残酷」ではあるかもしれませんが。
>>601 そうなんですよね。「舞子」って人気ないんですかね。
個人的には「舞子」「詩織」「ニルッチイ」「蘭」あたりが
結構ツボなんですけど。
やった!4人目SS職人さん決定だねv
596さんの壷った女がほぼ好みが等しいんで、これからも期待しちゃうよー
>>607 舞子はですなあ、
1部までは正統派ヒロインて感じで感情移入できてたんだけど
2部以降はただのテレビ見てるお客さん(神武館sみんなそうだけど)と化したのに
なんでそこまで盛り上がれるんだお前は?という感じで読者としては置いてきぼり感がw
物語構成上、九十九が海外ブラブラしてて日本のメンツはTV見てるしかない、
という状況になっちゃってるのはしょうがないんですけどね。
それはそれとして頑張ってくだされ。
たまにはフローレンスのことも思い出してあげて下さい
そして何時までも
>>86の続きを待ち続ける俺
>>610 心の底から同意するっ!実はずーーーっと続きを待ってる。
い、今だ、奴が風呂に入ってる間に・・・!!
なんかレス数もわりと順調なようで、皆さんのおかげです。
更に、職人さんと言うか、神レベルのSSを拝めて立てた者としては本望でした。
まるで本物の小説並みのクォリティの、デビュー同じくした(と言っては痴がましいが)159氏。
細かい設定とオリキャラで「門」世界を(アブノーマルまで展開させた)読ませるキー氏。
誤字満載で小房作文並みの文章力のオレ。って感じで
こりゃオレは、ROMに徹した方がいいやね、と‥
そんでこのまま次ぎスレまで逝って、即死しそうになったら
ちと溜めたぶん、細々投下して見ようかなと思ってました。
・・・が、なかなか溜まってない・・・・!
月マガでもマイア、ニッカぶん足りないし、某レースゲーム70%だし
つーか、一番の問題は、メェル欄で察してくれると助かる・・・
しかしもう、いたたまれないのと腑甲斐無いので、ごめん!
己を奮い立たせ、続き努力します!
596氏は即死回避あたりもレス書いてくれた人ですかね?
凄っごく楽しみなんですが。
だせぇー、メェル欄失敗!
『居間にデスクトップ』でした‥orz
危うく「ラップトップなら別の部屋に持って行って引きこもれ!」と言う所だった
それはさておき、
神キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
期待待ちしてます!
159サン、不破γサンの続き
キーサン、596サンの新作
マータリ待ってまつノシ
海皇紀 記念カキコ
同じく
海皇紀 記念パピコ
へ〜、今日からか…
へっ?今日だけ?!四月場可か?
取り敢えず、皇紀記念カキコ
記念カキコ
エイプリルフールだけだったのかorz
( ̄ー ̄)ニィ
せっかくの皇紀だったって事か…残念。
儚い命だった・・・
逃したか…残念
保守カキコ
天斗×圓続き待ってるのれす
同じく待っているのれす
俺もだー待ってるぜー159氏!
今更の話題で申し訳ねーが
絵師職人、一人いい人知ってるんだけど
ここ見てるらしいから光臨はないんだろうなあ…
そうです貴方の事です。描いてくれよう。頼むよう。
実は俺も待ってたんだ。
>>629のお知りあいの絵師さん
是非、描いて下さい!
SS職人さんも、引き続き投下よろしく
この週末こそオレをモエさしてくりー。
632 :
159:2005/04/08(金) 23:58:19 ID:XQx6vJ29
ぐあああ…申し訳ありません…。
風邪と私用でなかなか続きを書く時間が取れず
まだ区切りの良い所まで書きあがっておりません。
しばしのご猶予を頂きたい所存です。
こんな野郎のSSを待っていて下さって、本当にすっげえ感激です。
キーさんの温泉しっぽり話、ぬる武者さんのマイアたん
そして新風、596さんのSSを、いち読み手としてドキドキハァハァしながら
マターリとお待ちしております。
…にしても、キーさんもぬる武者さんもご自身を過小評価していらっしゃる。
あと俺の事誉めすぎだよう…orz
絵師様かぁ…なんとも甘美な響きですなぁ…(*´Д`)ハァハァ
でもやはり、絵って文に比べて描いた人が分かりやすいのもあって
大人板に投下するのは、かなりの勇気とリスクを必要とすると思うのですよ。
だからこちらも、描きたいなと思った神が自然に光臨なさるのを
一緒にまったりお待ちしませんか?
633 :
629:2005/04/09(土) 04:07:40 ID:M9NkxVDe
159氏、乙!!よい子にして待ってますんで!!
風邪、治ってからゆっくりお願いします…(つД`)
で、絵師様のことですが、まさに159氏の仰るとおりみたい。
足が着くからなあーって言ってた。
ちなみにその方は知り合いじゃなくて、よく行くサイトの管理人さんっす。
俺ロム専なんで面識ないんだけど、日記にこの板のこと書いてた。
挿絵つけてえのは山々なんだーとか何とか言ってたよ。
すげえ上手でエロも描ける人なんで、是非とも!と思ってるんだけどな…。
ちなみに、俺はそこでここの存在初めて知って見に来ました。
634 :
◆qyMORTEYE. :2005/04/09(土) 08:32:05 ID:8X4ArmDX
ミューズかつ緑錦。
微妙に違う気もするが。
うぅ〜んと…、えぇ〜と……、ごばく?!
とりあえずテカテカしながら職人さんを待ってます
+ +
∧_∧ +
(0゚・∀・) テカテカ
(0゚∪ ∪ + テカテカ
と__)__) +
637 :
596:2005/04/10(日) 22:13:40 ID:bOmf4Tyo
『書けたら投下する』などとほざいてから2週間近く・・・・
ここのところ色々と忙しくて書き進めることが出来ません。
まだ書き終えてはいないのですが、いつまでも下ろさないと
忘れ去られてしまいそうだし、159さん、キーさん、ぬる武者さんに
先を越されると、その後では私のヘタレSSなど投下しにくくなって
しまうので順次投下していきます。
一応次のような感じのSSです。
【タイトル】 餌食
【組み合わせ】 舞子 × 黒人二人
【内容】 鬼畜陵辱展開(輪姦)
【スレ数】 たぶん20程度
一応、『門』の15巻ネタですが、話の都合上、細部のシチュエーションは
多少変えてあります。内容は鬼畜なハード展開で救いがないので
そういうのが苦手な方、和姦マンセーな方はスルーしちゃってください。
あと、他の3人の職人さんに比べ文章がかなりヘタレで読みにくいかも
しれませんがその点は容赦ください。
638 :
餌食@:2005/04/10(日) 22:16:04 ID:bOmf4Tyo
『オレは勝てる時にしかリングに上がらない』
自信満々の態度でそう言い放ったアーロンの言葉が舞子の脳裏に蘇る。
九十九はアーロンには勝てるなどと簡単に言っていた。だが、この目で
直接確かめたアーロンは本当に強かった。その上で九十九対策を完璧に
こなし、かつ油断やスキなど微塵もないまさにプロと呼ぶにふさわしい強靭な
男だった。
九十九に、九十九に自分の目で確かめたアーロンの強さを伝えたい。
九十九がそれを知って戦ってさえくれれば・・・・・
支社に戻る谷山と別れ、テディ・ビンセントの部屋の前に立つ。
「(帰ってて・・・・ お願い九十九・・・・)」
そんな強い願いを込めながら舞子はドアをノックした。
「すみません」
しかし彼女の思いとは裏腹にただ返ってくるのはしんとした静寂のみ。
「(帰っていない・・・・ どこに・・・・ どこにいるの九十九ぉ・・・・?)」
ナップサックを背中からはずして腕に抱え、汚れて傷だらけの壁に背をもたれ
そのまま沈み込んだ。
「(今のままじゃ、あのアーロンには勝てないよ・・・・ 九十九・・・・
アーロンは強いよ・・・・ 本当に・・・・)」
無意識のうちに髪をまとめていた白いリボンに手をかけてはずすとそれを
握りしめたままぐったりとしてうつむく。すると今日一日中九十九を探しまわった
疲れが急激な睡魔となって彼女を深い眠りの底へと誘い込み、その誘惑に
耐えきれにずとうとうそのままドアの横で眠り込んでしまった。
舞子は気づいていなかった――そう、治安のいい東京ならさほど問題にも
ならなかったはずのその行為が彼女自身をおぞましい悲劇へと導くこと、
そしてその悪魔の足音がひたひたと忍び寄ってきていることにも。
639 :
餌食A:2005/04/10(日) 22:18:03 ID:bOmf4Tyo
「たっく・・・・ やってらんねえぜ。明日からどうしろっていうんだよ!」
二人の黒人が古びた階段を昇ってくる。味がとうに失せたガムをいつまでも
噛み続けている短髪の男・ジョージと、禿頭で長身の男・ケリーだ。
二人ともこれまで勤めていたハンバーガーショップを今日解雇されたばかりだ。
「すまないね」と形ばかりの言葉と共に雀の涙ほどの退職金を放り投げるように
渡してよこした日本人マネージャーの顔が脳裏に蘇る。
「くそっ、あのジャップが!」
店では厳禁だった侮蔑の言葉がジョージの口をついて出る。
自らの部屋のある階にたどり着き、部屋へと続く廊下の視界が開けた時、
彼らの目に映ったもの・・・・ それは自室のはす向かいにある部屋のドアの
すぐ横でナップサックを抱きかかえ、立て膝の格好で座り込んで眠っている
少女の姿。
立ち止まって顔を見合せる二人。が、再び足音を忍ばせながらゆっくりと少女に
歩み寄って上から見下ろす。ナップサックをしっかと抱え込み、両膝を左右から
斜めに突き合わせる格好でわずかににうつむき寝入っている。
ジョージが腰をかがめて顔を覗きこむ。明かに東洋系だ。
「(チャイニーズ? いや、ジャパニーズか?)」
区別はつかなかったし、二人にとっては少女がそのどちらでも関係なかった。
ただ、紛れもない事実、それは今まさに二人の目前で呆れるほど無防備に
眠り込んでいるその少女がこの辺りでは中々お目に掛かれない美少女だった
ということだ。
「ヒュー」
ケリーが思わず小さく口笛を鳴らし、ジョージの顔に浮かぶ卑猥な笑み。
男達の目を惹いたのは彼女の整った容姿だけではなかった。
リボンが解けてほつれ髪が散っている細いうなじ、ゆったりとしたシャツの
首回りからわずかに見え隠れしている胸元、スカートでの立て膝によって
その裾から大きく露出した白い大腿部。それら全ての煽情的な光景は
解雇されたばかりでささくれ立っていた男達の心の深い闇に情欲の火を灯し、
それをさらに歪んだ情念へと昇華させていくのに十分すぎるほどだった。
640 :
餌食B:2005/04/10(日) 22:20:40 ID:bOmf4Tyo
二人の男の視線が絡み合う。口に出さずとも双方の顔に浮かんだ淫猥で残酷な
笑みで互いの意思が疎通した。
「(どうする・・・・ 犯っちまうか?)」
「(ああ、まだまだガキって感じだが、これはこれで楽しめそうだ)」
二人の視線が再び交錯した時、寿命が尽きかけ、不規則に点滅を繰り返していた
天井の蛍光灯の一つがフッと消え、まるでそれが合図になったかのように二人は
動き出した。
ケリーが自らの部屋のドアの鍵を開け、開放して固定する。二人は周囲の様子を
じっと窺って、人の気配が全くないのを確認すると、ジョージが舞子の横に立ち、
両腕を壁に滑らせて彼女の背中に回し、両腋の下に挿し入れる。そしてケリーは
閉じ合わされている彼女の両膝に手を掛け、両脚をそっと押し広げてその空間に
自らの身体を割り入れ、腰を落とし膝裏を両腕に抱え込む。
「せーの」二人は小さく掛け声を合わせると、ゆっくりと舞子を抱え上げた。
「うんっ・・・・ うっ、ううん・・・・」
抱え上げられた拍子に舞子が一瞬目を覚ましそうになったが蓄積された疲労が
それを妨げ、彼女は再び深い眠りの底へと落ちていってしまった。そしてその時、
握り締めていたリボンがはらりと床に落ち、ケリーがそれを知らずに踏みつけて
そこにどす黒い靴痕がくっきりと刻まれた。
穢れのない無垢な白いリボンが無慈悲に踏みにじられ、汚される――それはまるで
これからの彼女の身に降りかかる悲劇を象徴しているかのようだった。
二人は舞子を抱えたまま部屋に入り、ケリーが後ろ手でドアに鍵を掛ける。
その「カチリ」という無機質な音こそが、こ今からこの密室の中で繰り広げられる
おぞましく淫猥な惨劇の開始を告げるファンファーレとなったのだ。
641 :
餌食C:2005/04/10(日) 22:23:34 ID:bOmf4Tyo
二人の男は奥の部屋のベッドの上に舞子を運んでそっと下ろして横たえ、もう一度
その蛇のような視線で彼女の身体を舐めまわすようにねめつけ見下ろす。
年齢は13、4歳くらいか? いや、東洋人の女は実年齢よりかなり幼く見えると
聞いたことがあるから実際はもっと上かもしれない。
だがそのいずれにしても、今自らの身体の奥底から激しく突き上げている『牡』の
劣情を十分満足させるだけのもの――女としての、いや『牝』としての器官と機能
――をその身体に備えているであろうことは、丸みを帯びた女性らしい身体つき
から間違いあるまい。
ゆったりとしたシャツの下で胸の膨らみが寝息と共に微かに上下しているのが
見て取れる。童顔のわりにはその膨らみも中々のものだ。グラマーとまでは
言えないが決して貧弱ではなく、さらにその形の良さは服の上からでも十分に
想像できた。そして横たえた拍子に半分ほどめくれ上がったスカートの裾から
はみ出た白く豊かな大腿部が彼等の歪んだ情欲を一段と刺激する。
「クックックッ・・・・ この女、まだまだガキかと思ったがそうでもねえ。
中々そそる身体してやがる。こりゃあ楽しめそうだぜ」
ジョージが不敵に笑い、その暗く淀んだ瞳の奥に怪しい光が宿る。
「ああ、今夜一晩、たっぷりと可愛がって・・・・」
ケリーがいったんそこで言葉を切り、そして続けた。
「ボロボロになるまで犯しまくってやる!」
上等の“獲物”を目前にして二人の男はいまや完全に残酷な淫獣と化していた。
ジョージが無言でポケットから10セント硬貨を取り出し、右手親指で弾いて
放り上げ、その甲の上に落とすと左手をすばやく被せた。
「表」ケリーが無表情に答える。
ジョージが左手をゆっくりと開けると現れたのは「10」の文字。
「チッ!」ケリーの舌打ちとジョージの卑猥な笑み。
「オレが先だな」
そう言いながらジョージはベッドの上に這い上るとゆっくりと舞子の身体の上に
覆い被さっていった。
642 :
596:2005/04/10(日) 22:25:03 ID:bOmf4Tyo
とりあえずプロローグみたいな感じで・・・・ 次回から陵辱開始です。
ヘタレな文章でスマソ。
キタキタキタ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━!!!!
>「オレが先だな」
イイ!!
早く舞子を可愛がれニガー!!ハァハァ!!!!
職人さんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
すげー好みの展開かも(*´Д`)ハァハァ
キタキタキタキタ━━━━━━(*´д`*) ━━━━━━!!!!
移動中に…。。
えぇけっしとるのぉ(*´Д`)ハァハァ
うはっwwwおkwwwうえっwww??
↑
あんた誰? なんのつもりよ?
650 :
餌食D:2005/04/13(水) 22:37:08 ID:5UM+cgPj
舞子は自らの身体に覆い被さる圧迫感で目を覚ました。
「うっ、ううっん・・・・」
すぐには自分の身に何が起こっているのか分からなかった。だが、目前に突然
見知らぬ黒人の顔が迫り、悲鳴を上げるまもなく唇をその男に奪われてパニックを
起こした。あろうことかそれが舞子のファーストキスだったのである。
「(なっ!・・・・・)」
必死に抗い顔を背けようとするが、両手は左右に広げられて完全に封じられ、
互いの唇で密着し圧迫された顔も動かすこともままならずに初めて奪われた
唇を男の思うままに蹂躙されてしまう。
ジョージは舞子の小さくやや薄い唇に自らの分厚いそれを強引に押しつけて
容赦なく貪り、その柔らかな口唇の感触を味わいじっくりと楽しみながら
すばやく舌を挿し入れて口中の内粘膜にその舌先を這わせ、逃げ惑う彼女の
舌を難なく絡めとって弄ぶ。
ねとっとした生暖かい唾液が絡んだ二人の舌を伝って舞子の口中へと次々と
流れ込み、そのあまりにおぞましい感触に舞子は吐き気を催すが、塞がれた
口ではそれを吐き出すこともかなわない。そして尽きることなくなだれ込み続ける
その生温かい液体はついには口中に溢れんばかりに溜まり、その息苦しさに
耐えかねて舞子はそれを飲み込まざるえなかった。
「ゴッ・・・・クッ」
ジョージは舞子の喉元が微かに上下し自らの送り込んだ液体が流れる通過音を
耳にしてようやく彼女の唇を解放し卑猥な笑みを浮べながらごう然と言った。
「起きちまったか。まあ、全く無抵抗の女を犯るってのもおもしろくねえしな。
多少は抵抗してくれねえと『レイプ』って気分が盛り上がらねえからよ」
日常の英会話には全く苦労しない舞子だが、下卑たスラングを早口でまくし
立てられては男が何を言っているのかは分からなかった。しかし、男の顔に
浮かんだ卑猥な笑み、そしてかすかに聞き取れた『RAPE』という残酷な言葉が
今の自分が置かれている状況、そして自らの身にこれから何が起ころうとして
いるのかを背筋が凍るほどの恐怖感と共に知らしめた。
651 :
餌食E:2005/04/13(水) 22:40:21 ID:5UM+cgPj
「いやっ、いやっ、なっ、何するの! や、やめてっ!」
解放された口から発せられる悲鳴。必死に抵抗し脱出を試みるが、両手首を
しっかと掴まれて大の字に押えつけられ、さらに彼女の小柄な身体の全てを
覆い隠さんばかりのジョージの大柄な身体の重みで全く身動きが取れない。
「うるせぇ! じたばたすんじゃねえよ!」
ジョージの強烈な平手打ちが舞子の両頬を襲い、強烈な痛みが走る。
その痛みに一瞬怯んだ舞子にジョージのぎらついた顔が迫ってくる。
「いやっ、いやっ、いやぁぁぁぁ! やめてっ、やめてぇぇぇぇ!」
舞子はいったん自由になった両腕をめちゃくちゃに振りまわして、ジョージの
顔面に叩きつけ、両脚を必死にばたつかせて抵抗する。
ジョージはその抵抗に手を焼き、何とか舞子の両手首を掴まえて再び彼女を
大の字に押え込むが、自らの身体の下で激しくもがく彼女を押さえ込むことで
精一杯でこのままでは自分も両手を使えず、目的を達成することができない。
「くそっ!」ジョージはケリーを振り返り怒鳴った。
「おい、そんなとこに突っ立って黙って見てねえで手伝えよ! コイツの両手を
押えとけって! それに口も塞いじまえ! 隣の部屋に聞こえたらヤバイ!」
その言葉に弾かれたようにケリーがベッドの上部に回り込み、ジョージの代わりに
舞子の両手をがっちりと掴んで力任せにベッドに押えつけた。
「いやぁぁぁ! やめてぇぇぇ! 誰か、誰か、助け・・・・」
舞子の叫びが途中でかき消える。ケリーが自分のシャツを丸めて彼女の口に
押し込んだのだ。汗臭く饐えたような臭いが彼女の口中から鼻腔へと充満し、
彼女の悲鳴は低い呻きへと変わる。
「うぐっう・・・・ ぐうっ・・・・ うっうっうっ・・・・」
ジョージがゆっくりと身を起こすとまさに獲物を目前にした野獣の表情で舞子を
見下ろし、薄笑いを浮べる。
「さあて、それじゃあたっぷり楽しませてもらうとするぜ、お嬢ちゃん。安心しな、
命までは取りゃしねえよ。なあにアンタの・・・・」
ジョージの視線が舞子の下半身へと這い、一点で止まり凝視する。
「アンタの・・・・ あ・そ・こにぶち込ませてもらうだけだからよ、クックックッ」
652 :
餌食F:2005/04/13(水) 22:43:38 ID:5UM+cgPj
ジョージが舞子のシャツをすばやくたくし上げる。スカートから引き抜かれたそれは
一気に彼女の首筋までめくり上がり、形の良い胸の膨らみを覆う白くシンプルな
柄のブラジャーが露出する。
「んぐっ! んぐっ! ぐうっ! んぐっう!・・・・」
室内にこだまするくぐもった舞子の悲痛な呻き。
ジョージの手がブラの中央部に掛かる。そして躊躇することなく力任せに一気に
下方に引き千切り、無惨に引き裂かれたそれを床に投げ捨てる。
そして現れた無垢の双球。それは決して豊満とは言えなかったがそれでも
想像以上に豊かで左右バランスの取れたこんもりとしたきれいな膨らみ、
その色は雪のように白く、頂きにかかる小さい輪は赤みがかったピンク、
そしてその中心にさらに薄いピンクの小さな蕾が乗ったそれはまさしく
惚れ惚れするような美乳だった。
「ヘッヘッヘッ、なかなか綺麗なパイオツしてやがんな」
ジョージの大きく脂ぎった掌がその双球を包み込み、その柔らかな肉を
捏ね集めるようにして下方からゆっくりと揉みしだく。
「(いやっ、いやっ、いやぁぁぁぁ! お父さん、おかあさん・・・・
九十九ぉぉぉ! 助けてぇぇぇぇ! 九十九ぉぉぉぉ!)」
「ぐうっ! 柔らけぇ・・・・ いい揉み心地だぜ」
653 :
餌食G:2005/04/13(水) 22:47:18 ID:5UM+cgPj
掌にじわりと吸いつく冷たくしっとりとしたまるで上質のシルクのような感触、
強く揉みしだけばその掌に返ってくる弾けるような心地よい抵抗感が男の加虐心を
一層加速させ、その武骨な手による陵辱はますます荒ぶり、引き千切らんばかりの
握力で膨らみを鷲掴み、そのたびに美しい乳房が大きく歪み変形する。さらに男の
指がその先端の蕾を捕らえて二本の指でこ擦り合わせるようにしながら摘みあげ、
捏ね回し思うがままに弄ぶ。
「うぐっ、うぐっ、んぐっ!」
今までただの一度も異性に指一本触れさせたこともなかった女の象徴を見ず
知らずの暴漢によってなすがままに弄ばれる恥辱に舞子の目尻から涙が溢れた。
「(どうして・・・ どうして・・・・ こんな・・・・)」
ジョージは舞子の双球を執拗に両手で弄びながら、上半身を乗り出してぐいと
覆い被さると今度は彼女の首筋にしゃぶりつき、舌をうなじに這わせる。
男の舌が彼女の首筋から胸元をゆっくりと這い、ざらついた舌先でその滑らかな
肌を味わい、唾液でべとべとに濡らしながらゆっくりとなだらかな曲線を描く胸の
膨らみを這い上がっていく。そして頂点に達して小さく可憐な蕾の先端を舌先で
転がすように舐り、吸いつき、そして強く噛む。
「ううっん!」
舞子の身体がその鋭い刺激に一瞬飛び跳ねる。
「クックックッ・・・・ いい反応してくれる。こりゃ相当の上玉だぜ」
男の手と口による執拗な愛撫、いや惨たらしい蹂躙は舞子の膨らみを延々と
貪り続けていった。
654 :
餌食H:2005/04/13(水) 22:50:15 ID:5UM+cgPj
「さあて、そろそろこっちをご開帳といこうか」
舞子の乳房乳首をその手と舌先で存分に弄んだジョージはゆっくりと身体を起こし、
彼女の下半身に視線を移す。
「(いやっ、いやっ、いやぁぁぁぁ! やめてぇぇぇぇ! たっ、助けてぇぇぇ!
九十九ぉぉぉぉ!)」
決して愛しい相手には届かない舞子の悲痛な叫び。
ジョージは身体を下方にずらせて舞子の膝頭の上に腰を落とし、その手を
スカートの中へと滑らせる。その手の動きに連れてスカートがめくれ上がって
彼女の大腿部の全貌が露わになる。空手をしている彼女のそれは肉付きが
よく、キュッと引き締まっていて、何よりもその眩しいほどの白さが男の目を
釘付けにした。
そしてその付け根の秘めた部分をわずかに覆い隠すのは今やただのボロ着れと
なって床に散らばっているブラと同様にシンプルな柄の白いコットンのショーツ。
ジョージの武骨な手がその白い大腿部を這いながら奥へ奥へとゆっくりと滑り、
その指先が鼠渓部に到達、ショーツとの境目をつぅーっと走る。さらにその下に
すっと潜り込んで秘めた柔肌を蹂躙、絡みつく茂みを掻き分けて奥のクレパスへと
たどりつく。そこはしっかと閉じてはいたがうっすらと湿り気を帯びていた。
「うぐっ、うぐっ、ううっん!」
舞子が必死に身体をくねらせその指の蹂躙から逃れようとするが、蜘蛛の網に
掛かった美しい蝶のもがきにも似たそれはますます男の獣欲を煽るだけだ。
なおも執拗にショーツの中をまさぐり弄ぶジョージに
「おい、何やってんだ! 遊んでねえでさっさと脱がせて犯っちまえよ!
俺も早くぶち込んでやりてえんだからよ!」
舞子の両手を押えつけているケリーが苛立ったように急かす。
「慌てんじゃねえよ。それに見ろよこの女、なかなかいい身体してやがる。もっと
たっぷりと可愛がってやろうぜ、お楽しみは最後の最後にとっておくもんさ」
「それならオレに先に犯らせろよ! オレはとにかく早くそいつにぶち込みてえん
だからよ!」
655 :
596:2005/04/13(水) 22:55:21 ID:5UM+cgPj
とろい展開でスマソ。つぎでようやく陵辱本番です。
それにしても文章が・・・・ 表現の拙さが自分で書いてて悲しいです。
>>643〜646
カキコどうもです。期待を裏切らないか心配ですがとりあえず頑張ります。
|∀・)< はぁはぁ (イイヨイイヨー ありがちょー)
神武館の跡取り(?)娘とはいえ黒人二人相手じゃなんともならない舞子りん…
武道館戦終わって行方をくらました九十九を思い一人ベットの上で
(たしか?)>バカ…あんたなんか、大キライなんだからね…
みたいな事言ってる舞子の涙顔を思い浮かべながら、陵辱本番待つとしよう。
キタ*・゚゚・*:.。..。.:*・゚(´∀`。)゚・*:.。. .。.:*・゚゚・*!!!!!
ミナミ*・゚゚・*:.。..。.:*・゚(´∀`。)゚・*:.。. .。.:*・゚゚・*!!!!! タッチャン
カンリニンサン*・゚゚・*:.。..。.:*・゚(´∀`。)゚・*:.。. .。.:*・゚゚・*!!!!! ゴダイクン
神キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
662 :
餌食I:2005/04/17(日) 00:15:08 ID:2NDtfL2w
「チッ・・・・・ しゃあねえな」
ジョージはショーツの中から指を引きぬくと、すばやくスカートのサイドを探って
ホックをはずしファスナーを引き下げ、緩くなったスカートをショーツと共に一気に
引き下げ、そのまま脚から引き抜く。それらはまるで果物の皮でも剥くかのように
するり剥ぎ取られ、ついに舞子の秘めた部分が剥き出し露わとなって男達の淫らな
視線に犯される。
「(いやぁぁぁぁーーーー!)」
「(ゴクッ・・・・)」男達が思わず唾を飲んだ。
濃いとはいえない黒い茂みの下で微かに見え隠れする陰唇がまるで誘惑するかの
ように瞬くその淫靡で煽情的な情景は彼らのテンションを最高潮に盛り上げる。
「クックックッ、女のここは白人も黒人もジャップも変わんねえな」
「ばーか、あったりまえだろう、そんなの」
「どうれ、ちょいと確かめさせてもらうか」
ジョージの二本の指がしっかと閉じていた陰唇の扉を押し広き、すばやく中へと
侵入して、奥に広がる未通の肉襞に蹂躙の限りを尽くす。
「うぐっ、うぐっ、うっうっうっ!」
穢れなき聖域を暴漢の節くれだった太い指に陵辱され、そのおぞましい感触と
激しい痛みに舞子の身体がぴくぴくと痙攣し小刻みに跳ねあがる。
そんな彼女の反応を楽しみながら更にジョージの指は奥へ奥へと侵入していく。
散々身体を嬲られ弄ばれて舞子の中は彼女の意に反して熱い滴りで十分に
濡れており、さらに荒ぶる蹂躙にまるで応えるかのように、秘心の奥からも次々と
愛液が溢れ出し、男の指に絡みつく。
「(クックックッ・・・・ 身体だけじゃねえ、こっちも中々上玉のようだな)」
ジョージは指を引きぬき、その先端に纏わりつく愛液をぺろりと舐めた。
「もういつでもOKって感じだぜ。すっげぇ濡れてやがる。まさに犯し頃ってやつだな
クックックッ・・・・ これは楽しめそうだぜ」
663 :
餌食J:2005/04/17(日) 00:17:38 ID:2NDtfL2w
「だから早く犯っちまえって言ってんだろ!」
ケリーがもう我慢できないといった態で急かす。
「分かったよ、たくっ・・・・」
ジョージはいったんベッドから飛び降りると、すばやくシャツを脱ぎ捨て、ジーンズの
ベルトの留め金をはずして弛め、もどかしげにそれをブリーフと一緒に一気に
ずり下ろした。そしてそこに現れたはち切れんばかりに怒張、屹立し、雄雄しく
天を衝いてひくひくと蠢くどす黒い極太の肉棒。
そのあまりに醜悪な姿を目にして、舞子の身体が硬直し表情もこわばり、そして
そんな青ざめ怯えた舞子の表情を見てジョージは酷薄な笑みを浮べ言った。
「さてと・・・・ それじゃあ本番といこうか。せっかくなんだ、お互い楽しもう
じゃないか、お嬢ちゃん」
ジョージが再びベッドに近づく。歩を進めるたびにそのいきり立った凶器が
彼の下腹部をぴたぴたと叩きながら不気味に揺れる。
「(おっ、犯される)」
改めてそのおぞましい現実を突きつけられた舞子は思わず脚をくの字に
折り曲げ身体に引きつけ、露わになっていた秘部を必死に隠そうと身体を
堅くするが、その姿は返って男の征服欲を掻き立てただけだ。
ジョージはすばやくベッドの上に這いあがると、舞子の両膝頭をその手でぐいと
鷲掴み、そのままベッドに押しつけるようにしながら力任せに彼女の両脚を
左右にぐいぐいと押し開いていく。
「うぐっ!」
男の体重と腕力が舞子の両膝に一気にかかり、その重みで閉じていた両脚は
あっけなく割られて左右に押し開かれる。いわゆるM字開脚状態とされて、
より一層開かれ剥き出しとなった彼女の秘部が男の容赦ない視姦の餌食とされ、
さらにその口を二本の指で押し開かれて奥にきれいな薄桃色の肉襞が覗く。
「なかなかいい色をしている。どうやらまだ男を知らねえみたいだな」
「えっ、マジかよ! この女、バージンか!」ケリーが素っ頓狂な声を上げる。
「ああ、生娘を犯す、いや輪姦(まわす)なんて久し振りだぜ。クックックッ・・・・」
664 :
餌食K:2005/04/17(日) 00:20:04 ID:2NDtfL2w
ジョージが押し開かれた両脚の間に身体を割り入れ、腰を落として醜悪な凶器を
ゆっくりと舞子の秘部へと下ろしていく。
「(いやっ、いやっ、絶対いやぁぁぁ! 九十九ぉぉぉ、助けて、九十九ぉぉぉぉ!)」
舞子はあらん限りの力で抵抗を試み、そのおぞましい凶器から必死に逃れようと
するが、全ては無駄なあがき、男の狂った情欲の火に油を注ぐだけだった。
「あきらめるんだな、誰も助けになんてきやしねえよ! てめえは犯されんだ!」
そう言い放ったジョージの腰ががくんと落ち、その熱く滾った剛直の先端がついに
舞子の花弁を捉えてその扉を押し開く。
「(んっーー!)」
凶器の先端が膣への侵入を果たす。ジョージは間、髪を入れずそのまま舞子の
穢れなき聖域に容赦なく力ずくで押し込み、彼女を一気に刺し貫いた。
「そらぁぁぁ!」
「(ぎゃぁぁぁぁぁーーー!)」
信じがたい激痛が股間を貫く。それはまるで焼けついた火箸を突き込まれ、
そこから身体を二つに裂かんばかりの衝撃だった。
「(つ、・・・・九十九ぉぉぉぉ!)」
愛しい男(ひと)の精悍な顔が一瞬脳裏に浮かび、そして瞬時に消えた。
ジョージは十分奥まで挿し込まれた事を確認すると舞子の膝頭を押えていた
両手を脹脛へと持ち替え、すぐさま彼女の両脚を両肩に担ぎ上げると、そのまま
身体を浮き沈みさせ腰を激しく振ってグラインドを開始する。
「あうっ、うぐっ、ぐうっ・・・」
ジョージの腰が突き動かされるたびに襲いかかる脳天へと直接突き上げてくる
凄まじい激痛に舞子の身体は激しく痙攣しエビに反る。
そしてその時、白いシーツの上に紅い滴り――舞子の処女が非道な暴力で
無惨に犯され、散らされたことを証す破瓜の鮮血――が飛沫となって散った。
男の凶器は情け容赦なく、舞子の柔らかな肉襞を貫き、抉り、潜りこんで陵辱・
蹂躙の限りを尽くす。初めての『男』に踏みにじられた舞子の『女』はその暴力に
悲鳴を上げるが、それでも蹂躙された肉襞は彼女の意思に関係なくその暴虐な
侵入者に絡みつき締め上げ、男に歓喜の雄叫びを上げさせる
「うおっ! こっ、こいつ、よく締まりやがる。たまんねえ、最高だぜ!」
665 :
餌食L:2005/04/17(日) 00:22:48 ID:2NDtfL2w
クチュッ・・・ クチュッ、クチュッ・・・・
「んぐっ、あぐっ、うぐあっ、ううんっ、あっぐぅ・・・・」
腰を振るたびに男の凶器が容赦なく舞子の柔らかな肉襞を抉り貫く淫猥な音が
漏れ響き、そしてそれが舞子の悲痛な呻き声と淫猥なハーモニーを奏で、
その卑猥な響きが男をより一層刺激、興奮させる。
ジョージはさらに強く、激しく、そしてより奥深く舞子を繰り返し貫き抉り続け、
その激しいグラインドが10分近く続くと、さしものジョージの息も上がり、限界が
迫ってきた。
「ぐぉっ! もっ、もうたまんねえ! ぶちまけてやる!」
ジョージが最後に大きく腰を突きこんで最深部まで強く深く侵入させると、
その刺激が限界一杯だった男の凶器の引鉄(トリガー)を引いて暴発、
ついに絶頂を迎えて全てを解き放った。
ドクッ! ドクッ! ドクドクドクッ!
大量の獣欲の熱い滴りが一気に迸って白い洪水となって舞子の中に充満し、
子宮の奥へと流れ込む。
「(いやぁぁぁぁ!)」
自らの身体の中に放出されたその液体の激しい熱さが『強姦された』現実を
舞子の身体と精神(こころ)に鋭い刃となって果てしない絶望感と共に刻みつけた。
ジョージは長い長い射精を存分に楽しみ、そして全てを吐き出し尽くすと、
その凶器を一気に引き抜いた。
「ぐあっ!」内臓ごと引きずり出されんばかり凄まじい衝撃。
「ふう・・・・ こりゃ大した上玉だ」
ジョージはまさしく精を出し尽くしたといった感じで気だるげに笑う。
そしてシーツの上に散っている紅い染みを確認して満足げに言った。
「やっぱりな・・・・ クックックッ、なかなかよかったぜぇ、お嬢ちゃん、
アンタのバージンはとびきりの上物だったぜ」
『強姦』――力ずくで奪われた上に中にまで出されるという最も忌まわしい形で
舞子はその処女を無惨に犯され、純潔を非道に散らされたのだ。
リアルタイムに支援!
667 :
596:2005/04/17(日) 00:28:47 ID:2NDtfL2w
まだもう少し舞子陵辱は続きます。
舞子って結構「犯され」キャラに適役だと
思う私は逝ったほうがいいでしょうか。
|∀・)<はぁはぁはぁ
よろしいんじゃないでしょうか
お待ちしております
(*ノ∀ノ)イヤン
もすかすて、コナンスレで青子陵辱モノを書いておられたネ申と同一人物でしょうか?
俺が許すので突き抜けちゃって下さい
舞子がかわいそうなので、最後は外人をボコボコにしてください。
祖父・父・陸奥、誰が相手でも外人には悲惨な結末だな・・・
祖父・父・陸奥の三人でしばき倒すとか
over killもいいとこだな・・・
>舞子って結構「犯され」キャラに適役だと
>思う私は逝ったほうがいいでしょうか。
596氏とは気が合いそうなんで
オーバー斬るでも、BAD宴怒でも
俺も許すので好きなように突き抜けちゃって下さいw
それと、159氏と596氏へ
初降臨時のアンカーがコテだと窓6個しいので
コテ付け直してもらえると助かる
もまいの凄まじい漢字変換がまどろっこしいわいw
Window,six, 海
679 :
餌食M:2005/04/20(水) 22:29:22 ID:qK0uZ/GQ
処女を『強姦』というおぞましくも呪わしい形で犯され散らされ、そのショックで
息も絶え絶えの舞子に今度はケリーが近づく。
「さてと・・・・ 今度は俺の番だな」
彼に捕われていた両手をようやく解放された舞子だったが、ジョージがすばやく
その手を一つにまとめ、タオルできつく縛ってベッド上部の鉄柵に固定した。
薄ら笑いを浮べながらケリーがジョージに文句を言う。
「たっく・・・・ にしても最初っから中にぶちまけんじゃねえよ! 次に犯るオレの
ことも考えろよな。てめえのザーメンで一杯のとこに突っ込むなんでぞっとするぜ」
ジョージも同じく薄ら笑いで答える。
「そりゃ悪かったな。この女、あんまりいいモン持ってるからよお、つい・・・・
まあ犯ってみればわかるさ。ほら、おまちかねだったんだろ。さっさと犯っちまえよ。
ホントいい締めつけしやがるぜ、ギュンギュンとなあ・・・・ こんな犯しがいがある
女は久し振りだぜ」
そう言いながらジョージはベッドの上に横座りすると、再び舞子の乳房を鷲掴み、
揉みしだき、舌を這わせ、乳首を口に含んで舐め転がし弄ぶ。
「ホント、いい身体してやがる。たまんねえな、クックックッ・・・・」
「うぐっ、うぐっ、うっうっうっ・・・・」溢れ続ける涙が止まらない。
「(九十九ぉ、九十九ぉ、九十九ぉ・・・・ 私、私・・・・ 犯された・・・・
犯されちゃったよ・・・・ 九十九ぉ・・・・ ご・・・・めん・・・・)」
いつかは愛しい男(ひと)と結ばれ、その身を――初めての清らかな身体を
捧げたい・・・・ 漠然とではあるがそう思い描いていた舞子の秘めたる想いは
二人の男、いや狂った野獣達によって無惨に踏みにじられ、夢と散った。
全くの見ず知らずの男達に陵辱・蹂躙の限りを尽くされ力ずくで処女を奪われる。
それはキスすら経験のなかった舞子にとって到底受け入れがたい現実であった。
『強姦』――女にとって、いや人間にとって最も恥辱的で許しがたい犯罪行為――
そんなものが自分の身に振りかかろうとは・・・・ 信じられない、いや絶対に絶対に
信じたくない。しかし、これはまさしく現実であり、その上、舞子には『輪姦』という
さらなる陵辱の嵐が待ちうけているのだ。
680 :
餌食N:2005/04/20(水) 22:31:38 ID:qK0uZ/GQ
ベッドの上によじ登っていたケリーがなぜかいったんベッドを離れた。
「おい、何してんだよ? 犯らねえのか?」
ケリーはステレオに近づき電源を入れると大ボリュームで激しいロックの曲を
流すと、ニヤリといやらしく笑った。
「これなら多少騒がれたってわからねえだろ」
そう言って引き返してきたケリーはベッドに飛び乗って舞子に覆い被さると、
彼女の口に押し込められていたシャツを引き抜いた。
やっと口を解放された舞子の息がぜいぜいと上がる。
「おっと・・・・ 休んでる暇はねえんだよ!」
ケリーはいったん膝立ちすると、ジーンズとトランクスを一気に引きずり下ろし、
下半身を露わにした。そこに現れたのはジョージ同様、いや彼のモノよりもさらに
長く太く膨張した醜悪な凶器。それが上下に揺れながら不気味に蠢く様はまるで
いまから犯す獲物を目前にしてそれ自身が歓喜しているかのようだった。
「いっ、いやっ、いやぁぁぁ! や、やめてぇぇぇ! だれか、誰か、助けてぇぇぇ!
九十九ぉぉぉぉ!」
舞子の口から必死の叫びが迸るがロックの大音量にかき消され、まぎれ込む。
ジョージに上半身を弄ばれながらも、舞子は必死に脚をばたつかせて、濁った目を
ぎらつかせながら迫ってくるケリーに抵抗を試みる。
しかしケリーはそんな抵抗を全く意に介さず突進して、ばたつく左脚をその肩で
受け止めるとすばやく足首を掴んでそこに固定し、さらに右脚も掴まえてがっちりと
確保して彼女の抵抗をいとも簡単に封じてジョージに目配せした。
ジョージはすばやくその意を察し、舞子の両足首をケリーから引き取ると左右に
大きく開いて中空で固定する。
そうして舞子は臀部がやや持ち上げられた状態で大股開きにされ、たった今
踏みにじられ、汚されたばかりにもかかわらずまだまだ美しさを失っていない
彼女の花園の奥で陰唇が再び大きく口を開けてケリーの目前に露わになった。
早く続きを頼む(*´д`*)ハァハァ
おお!リアルタイムだったのか。
683 :
餌食O:2005/04/20(水) 22:35:10 ID:qK0uZ/GQ
「グフッ・・・・」
ケリーは獣のような叫び声を上げるといきり立つ自らの分身を舞子の花園へと
下ろして擦りつける。
「いやぁぁぁぁ! やめてぇぇぇ! 九十九、九十九、九十九ぉぉぉぉ!
助けてぇぇぇ! 九十九ぉぉぉ!」
繰り返される舞子の悲痛な叫びも、この淫猥な惨劇をより淫らに彩る最高の
BGMとなる。
ケリーの両手が舞子の両肩を押えつけながらその身体が沈み込む、と同時に
再び舞子の『女』の中へ『男』の容赦ない侵略が始まった。
二度目の侵略は最初のものよりさらに過酷だった。ぱっくりと口を開かされた
膣口にケリーの極限まで硬化した長大な剛直がめりめりと音を立ててねじり
込まれていく。
「ぎゃああああ!」
再び襲う凄まじい激痛。そのあまりの痛みに気さえ失いそうになる。
「いやぁぁぁぁ! やっ、やっ、もうやめてぇぇぇぇ!」
「グフッグフッグフッ」
相変わらず獣のような叫びを上げながらケリーはさらに激しく腰を打ちつけ、より
深く抉ってその陰茎の奥までねじり込み、一転今度は激しく出し入れし始める。
「んっ――! あうっ! ぐあっ! いっ、やっ・・・・ やめっ!・・・・」
ケリーの凶器がジョージのザーメン、舞子の愛液がまだ満ちている密壷を容赦なく
突き上げ、抉り貫く。グラインドはより苛烈を極め、突き入れるたびに舞子の肉襞は
その剛直の情け容赦ない侵略・蹂躙に悲鳴を上げる。
「あうっ! いっ、痛い!! お、お願い、もうやめてぇぇ!」
舞子の悲痛な懇願も男の耳には届かない、返ってその整った容姿を苦痛に歪めて
泣き叫ぶ美少女のそれはその残酷な行為を加速させる触媒にしかならなかった。
「お、お願い、も、もうっ、や、やめてぇぇぇぇ!」
繰り返される舞子の懇願、しかし、そんな彼女の意思とは裏腹に舞子の『女』は
蹂躙をつくす『男』を受け入れ、締めつける。
「ぐおっ、ぐおっ こりゃすげぇすげぇ! 確かにオマエの言った通り大した上玉だ!
しっ、締めつけやがる!」
684 :
餌食P:2005/04/20(水) 22:38:33 ID:qK0uZ/GQ
自らの凶器を絞り上げる舞子の肉襞に歓喜の雄叫びを上げながらケリーは
さらに身体の向きを変えてインサートの角度を変化させる。そして突き込む度に
舞子の膣はいびつに変形し、その苦痛に彼女の顔が歪む。
しかし、その時だった。いままで苦痛のあまりに身体をエビに反らせひくひくと
痙攣させていた舞子の反応が微妙に変わったのは。
本来ならば愛し合う男女がそれを確かめ、互いを歓喜の絶頂に導く行為も二人の男、
いや狂った獣に暴力で相次いで犯される今の舞子にとってはただただ苦痛でしかない・・・・はずだった。
しかし、犯され、蹂躙される度に彼女を襲いくる身体を引き裂かれるような長い長い激痛の後に舞子に訪れたもの、
それは苦痛とは全く正反対の何か――その“何か”が今まで経験したことのない、まるで脳髄に直接訴えかける
しびれるような『快感』、であることを舞子は必死に精神(こころ)で否定しようとした――が全身を稲妻のように
駆け巡る。
「あうっ、んぐっ、あっあっあっ・・・・ も、もう、あっ、ああっん・・・・ やめっ、
やめてぇぇぇぇ!」
繰り返される悲痛な絶叫の中に微かな喘ぎの響きが混じっていることに男達は
聞き逃さなかった。
「おっ、この女・・・・ どうやら感じてるようだぜ」
「ヘッヘッヘッ・・・・ レイプでイカされちまったってわけか。女ってのはどんな
情況でもイケちまうんだな、クックックッ・・・・ もっとイカセてやるぜ、そらぁっ!」
ケリーはその舞子の反応に満足して、さらにグラインドのスピードを早め、より強く
深くを舞子を抉り貫き続ける。
「あうっ・・・・! んぐっ、んぐっ・・・・ あっあっあっ・・・・ やっ、やめっ・・・・
これ以上・・・・ あっ、ああっん! もっ、もうっ・・・・ やっ、やめっ・・・・」
その艶っぽい悲鳴混じりの喘ぎがさらにケリーを加速させていく。
「ぐおっぐおっぐおっ!」ケリーの雄叫びのトーンもドンドン上がっていく。
果てしないとも思われたグラインドの連続にいよいよケリーの限界も近づいてきた。
「ぐおっ、ぐおっ、たっ、たまらねえ! ぶちまけてやる!」
ジョージと同じセリフを吐き、そして一段と甲高い雄叫びを部屋中に響かせて
ケリーは頂点に達し、全てを舞子の中に解き放った。
685 :
餌食Q:2005/04/20(水) 22:40:48 ID:qK0uZ/GQ
トムの店で食事を済ませ、九十九、クラウザー、テディの3人が部屋に戻ってきた。
その時、斜向かいの部屋から大きく響いている大音量のロックにテディの顔が
わずかに歪む。
「全く何時だと思っているんだ!」
クラウザーが憤懣やるかたないといった感じで音源の部屋をにらみつける。
テディが小さく肩をすくめ、鍵を取り出して部屋のドアを開け、入る。
九十九はクラウザーの剣幕に苦笑しながらテディに続いて部屋に入ろうとしたが
突然立ち止まり、その視線が廊下のある一点でとどまる。
「どうしたの、ボーイ?」
テディが九十九の視線の先に目をやるとそこに落ちていたのはどす黒い靴痕が
くっきりと刻まれた白いリボン。
「(これは・・・・)」
九十九がそれを拾い上げた。
それは確かに見覚えのあるリボン――先日公園で舞子とすれ違った時に微かに
香ったあのなつかしい甘い匂いのする髪をまとめていたもの。
「どうしてこれが・・・・?」九十九の顔が険しくなる。
もう一度、テディが九十九を覗きこむようにして問いかける。
「そのリボンが、どうかしたの? ボーイ」
その時だった
「しっ!」九十九がティディの声を手で制する。
九十九の耳に響き渡る大音量のロックの中に混じるほんの微かな声――
自分の名を繰り返し泣き叫ぶ悲痛な舞子の悲鳴――が確かに届いた。
「舞子!」
九十九は斜向かいの部屋のドアの前に立ち、ドアノブをガチャガチャと回し、
激しく拳を叩きつける。
「舞子、舞子、そこにいるのか、舞子!」
686 :
餌食R:2005/04/20(水) 22:43:44 ID:qK0uZ/GQ
大音量のロックが響き渡る部屋の中で獣達の狂った性宴はいつ終わるとも
知れず、二人の獣は交互に舞子を犯し続けていた。2度目にジョージは
背後から舞子を貫き犯し、再び代わったケリーは彼女に口での奉仕を強制した。
そしてたった今、ジョージの凶器が三度(みたび)舞子を抉り貫いたのだった。
最初は犯されながらも必死に抵抗をみせた舞子だったが、休むまもなく5度に
渡って犯され続け、もはや抵抗の気力も体力もとうに失われ、今はただただ涙を
流し、歯を食いしばって獣達の蹂躙に身を任せるしか術はなかった。
「(お父さん・・・・ お母さん・・・・ 九十九・・・・ 九十九・・・・
九十九ぉ・・・・)」
そうしてケリーに3度目の順番が回ってきた。
「さてと、今度はこっちを頂くとするか・・・・」
ケリーは舞子をうつ伏せにひっくり返すと、その臀部をぴしゃりと叩く。
「ひぃっ!」思わず声を上げる舞子。
「けっ!・・・・」ジョージが唾を吐き捨てた。
「相変わらず趣味の悪りいやつだな。そんなとこに突っ込んで何が楽しいんだ」
「うるせえよ。俺はここが最高に燃えるんだ。一番締まりのいいのがここなのさ」
二人掛かりで舞子をよつんばいの格好にさせ、突き出された格好の舞子の臀部に
ケリーが迫り、その形のよい引き締まった二つの膨らみに両手をかける。
「なっ、何をっ・・・・」
知識としてはそういう行為があることは知っていた。しかし、現実にアヌスを犯される恐怖――
まさしく心臓が凍りつかんばかりの恐怖が舞子を襲った。
「いやっ、いやっ、いやぁぁぁぁ! やめて、やめてぇぇぇぇ、助けて、九十九ぉぉぉ!」
ケリーがごう然と仁王立ち、舞子の菊門のとば口にその凶器の切っ先をあてがう。そのあまりに
おぞましく絶望的な感触に舞子の絶叫が轟いた。
「九十九ぉぉぉ! 九十九ぉぉぉ! 九十九ぉぉぉ! 助けてぇぇぇ、九十九ぉぉぉ!」
「うるせえよ! いくら騒いだって誰も助けになんか来やしねえ! これだけ犯られ
まくったんだ、いまさら尻を犯されるぐらいたいしたことねえだろが!」
ケリーが狙いを定めて一気に突き込もうと、腰を引いたまさにその瞬間(とき)、
ガチャガチャとドアノブが激しく鳴り、ドアを激しくドンドンと叩く音が響いた。
「舞子、舞子、いるのか、舞子!」
687 :
596:2005/04/20(水) 22:45:45 ID:qK0uZ/GQ
次のアップで終了のつもりなんですけど、まだ最後の最後がうまくまとまらず
書き終えていない・・・・ 何とか週末にはアップしたいと思っています。
ア、ア、、、ア、アアア、、、、、ナル!
九十九キタ━━(゚∀゚)━━!!!
でも遅い・・・遅いな・・・。舞子はもう犯されてしまった。
青年誌以上のタイミングの悪さで九十九キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!
陸奥園明流奥義・・四秘入(ヨンピイ)・・
舞子「なにい!?3人だと!?」
男前な舞子にワロタ 支援パピコー
珍しく朝から元気だな〜モマイらw
そんじゃオイラも営業出る前に支援。
695 :
餌食S:2005/04/24(日) 00:02:24 ID:uv79oVNJ
二人の顔に緊張が走り、ジョージがすばやく舞子を背後から抱きかかえるように
しながら彼女の口を塞ぎ、声を封じる。
「ちょっと見てこいよ。どうせ、ロックの音がうるさいとかいう苦情だろうぜ。
他の部屋のヤツだったらうまく追い返しちまえ。まだまだこの女には楽しませて
もらいてえからよ」
舞子の口を右手で塞ぎながら左手で彼女の乳房を弄び、その首筋に舌を這わせ
ながらジョージがドアの方向を顎をしゃくって指し示す。
「うぐっ、うぐっ、うぐぅ・・・・」
舞子の耳にも届いた叫び声、あれは、あれは間違いなく・・・・
「ちっ! せっかくいいとこだったのによ」
ケリーがしぶしぶといった感じでズボンだけを身に着け、ベッドから降りる。
ジョージが舞子の首筋にナイフの刃を当て、どすを利かせた声で低く言った。
「騒ぐんじゃねえぞ。声を立てたら殺す! 本気だ!」
その鋭い刃が舞子の首筋にわずかに食い込み、一筋の紅い鮮血が流れ、
彼の殺気がその冷たい刃(やいば)を通して伝わってきた。
ケリーがいったんロックの音量を下げ、奥の部屋から出ていきジョージの視界から
消えた。と同時にすさまじい物音――鍵の掛かったドアが一撃で蹴破られる音――
が響き渡った。
「なっ、何だ、てめえは!」
ケリーの怒声が響く。だが、それに続いたのは鈍い呻き声。
「ぐあっ!」
「どうした! どうしたんだ! ケリー、何があったんだ!」
そして慌てふためくジョージの目前に現れたのは――
「(九十九ぉぉぉ!)」
狂った獣達の非道な陵辱にその身を蹂躙されながらもひたすらその名を叫び
助けを求め続けていた愛しい男(ひと)。
「舞子!」
一糸纏わぬその白い裸身には無数の歯型が刻み込まれ、おぞましい白濁した
液体で塗れていた。そして何よりその白い大腿部に流れる紅い鮮血――舞子の
身に何が起こったのかは一目瞭然だった。
696 :
餌食21:2005/04/24(日) 00:04:39 ID:uv79oVNJ
「だっ、誰だ、て、てめえ!」
ジョージが舞子の首筋に突きつけていたナイフの切っ先を九十九の方に向けた。
しかしその瞬間、ジョージの右手に激烈な痛みが走り、ナイフは一瞬にして蹴り
飛ばされ、壁に突き刺さる。
「なっ!」
驚愕する暇(いとま)すらなかった。九十九がジョージの目前へと飛びすさった刹那、
何も身にまとっていなかったジョージの下半身、すなわち剥き出しとなっていた
その股間に熱い衝撃が炸裂して「グシャッ」という不気味な音をとともに、舞子を
非道に3度貫き犯したその醜悪な凶器が一瞬にして蹴り潰された。
「ぐあっぁぁぁぁぁ!」
その激痛にもんどりうって倒れ、股間を押えながらのた打ち回るジョージ。だが、
その次に彼の目に映ったのは自身の顔面に打ち込まれる九十九の拳だった。
「ぐあっ!」
すさまじい衝撃でジョージの前歯がへし折れ、口内から血が溢れだす。さらに
倒れ込んだジョージに馬乗りになった九十九の強烈な殴打が繰り返され、
ジョージの顔が醜く変形し、九十九の拳も紅に染まっていく。
「ひっ! こ、殺される! たっ、頼む、もっ、もう、やめてくれぇぇぇぇ!」
九十九の手が一瞬止まる。しかし・・・・
「舞子が叫んだ時、オマエらはやめたのか!」
再びジョージの顔面に打ち下ろされる九十九の拳。その姿はまるで悪鬼が
乗り移ったかのように凄惨だった
「ぐわっ! ぐうっ! ぐおっ・・・・」
拳が打ち下ろされるたびに上がる悲鳴が徐々に小さくか細くなっていく。
「もうやめるんだボーイ! それ以上やったら死んでしまう!」
ようやくクラウザーが九十九を背後から抱え込み、その殴打を何とか止めさせ
ようとするが、それは止まらない。しかしその時だった
697 :
餌食22:2005/04/24(日) 00:06:46 ID:uv79oVNJ
「やめてぇぇ! 九十九ぉぉぉ! お願い、もう、やめてぇぇぇぇ!」
その舞子の叫び声で九十九の動きがぴたりと止まり、正気に返ったように
舞子を振り返る。
「もういい、もういいの、九十九ぉ・・・・ お願い、もう・・・・」
舞子はふと意識が遠くなり、そのまま気を失った。
「舞子!」
九十九がジョージから離れ、ベッドに倒れ込んだ舞子を抱え上げる。
「舞子、舞子、しっかりするんだ、舞子!」
遅れて部屋に入ってきたテディは目前に広がる惨状に声を失った。
ドアを開けてすぐの部屋にはケリーが口から泡を吹いて倒れており、そして
奥の部屋のベッド横では顔面血だらけのジョージが無惨に潰れた股間を
手で押さえながら半死半生の状態で身体をひくひくと痙攣させ呻いていた。
「いったい、何があったというの、ボーイ」
そして九十九に抱きかかえられている一糸纏わぬ舞子の姿――明かに
陵辱の限りを尽くされたことが容易に想像できる姿――を見て天を仰ぎ
全てを悟った。
「ジーサス・・・・ 何ていうことを・・・・」
床に落ちていた毛布を拾い上げ、舞子の身体にかけてやり、クラウザーを
振り返り言った。
「フランク、すぐ救急車を呼んで・・・・ それに警・・・・」
いったん言葉が切れた。一瞬の間、そして続けた。
「警察もお願いね」
警察を呼べばどうなるのか・・・・ テディには全て分かっていた。
「(終わったね・・・・ ボーイの、そして私の夢も・・・・)」
698 :
餌食23:2005/04/24(日) 00:09:50 ID:uv79oVNJ
舞子が次に気がついたのは病院のベッドの上だった。
「ここ・・・・は・・・・」
そして彼女の目に映ったのはいつどんな時でも笑みを絶やさない明るい母親が
今まで見たこともないような青ざめた顔で自分を覗きこんでいる姿だった。
「おかあ・・・・さん」舞子がわずかに身を起こす。
「舞子・・・・」
母親は舞子を抱き起こすとしっかとその胸に抱きしめた。
「おかあさん、私・・・・私・・・・」
舞子の身体が小刻みに震える。
「いいの、舞子、今は何も言わなくていいの・・・・」
母親は最愛の娘を慈しむように優しくそれでいて強く抱きしめた。
「いいのよ、舞子、今は何も言わないで・・・・ あなたは2日も寝込んでいたの」
「おかあ・・・・さん」
どのくらいそうしていただろう。舞子が必死に搾り出すような声で言った。
「おかあさん・・・・ 九十九・・・・ 九十九は・・・・」
「彼は・・・・」言葉を濁す母親。
「おかあさん、九十九は、九十九は・・・・」繰り返す舞子。
母親が新聞が黙って差し出した。その一面には・・・・
「不戦敗・・・・ 九十九が・・・・ 不戦敗」
ジョージは何とか一命こそ取りとめた。しかし事情が事情とはいえ彼を半死半生
にまで追い込んでしまった九十九が翌日のリングに上がれるはずもなかった。
九十九の不戦敗を大きく書きたてている新聞には、もちろんそうなった詳細な経緯
――舞子の身を襲ったレイプ事件――にまでは触れられてはおらず、その記事は
九十九がアーロンを怖れてわざと暴行事件を起こして対戦を逃げたのだろうという
論調一色だった。
舞子の目から大粒の涙が零れ落ちる。
「私の・・・・ 私のせいだ・・・・ 私があんなところで・・・・」
母親が再び娘を抱きしめる。
「舞子、自分を責めちゃ・・・・」
その時、ドアをノックする音がした。
699 :
餌食24:2005/04/24(日) 00:13:03 ID:uv79oVNJ
現れたのはテディだった。
「すみません。舞・・・・子さん、少しお話が・・・・ お母さん、よろしいですか?」
母親が席をはずし、病室から出ていく。椅子に腰かけたテディと舞子が向い合う。
「テディさん・・・・ 私、私・・・・ 私のせいで九十九は・・・・」
「舞子・・・・さん、自分を責めてはいけません。あなたは悪くない、決してね。
悪いのはあの男達です」
「でも・・・・ 九十九は、九十九は・・・・ 私のせいで・・・・」
舞子が唇をぎゅっと噛み締め、先ほどの新聞記事に目を落とす。
「舞子さん、あなたはボーイのことが好き・・・・ いや愛しているのですね?」
うつむき目を伏せる舞子。肩が小刻みに震えている。
「舞子さん、私はアーロン戦が戦えなくなったと分かったあとボーイに聞きました。
『こんなことになって後悔はしてないのか』とね」
「・・・・・・」
「ボーイははっきりと言いましたよ。『後悔などしてない』とね」
「・・・・・・」
「エンメイリュウがリングの上でも最強であることを証明するためにボーイは海を
渡り、私と出逢った。私は最初無茶だと思った。あの小さな身体でヘビー級の
ボクシングのリングに立つなどということはね。しかしすぐに分かりました。ボーイが
とても本気だということ、そしてその無茶がボーイにとって本当に大事なことだということにもね」
「それを私は・・・・ 私のせいで・・・・ 九十九は・・・・」
「舞子さん、ボーイは『後悔していない』と言った・・・・ 私はその時思ったんです。
ボーイにとってリングの上でエンメイリュウの最強を証明することはとても大事な
ことだった。しかし、舞子さん、あなたは・・・・ あなたの存在はボーイにとって
それと同じくらい、いやそれ以上に大事なものなのではないか、とね」
「えっ・・・・」
「だからボーイは、あなたに・・・・ あのようなひどいことをしたあの男達を決して
許せなかった。たとえその結果、リングに上がれなくなったとしても後悔しない
くらいにね。舞子さん、ボーイにとってあなたはそういう存在なんです」
700 :
餌食25:2005/04/24(日) 00:15:53 ID:uv79oVNJ
「九十九ぉ・・・・」
再び舞子の目から大粒の涙が零れ落ちる。
「舞子さん、あなたはまだ若い。今回の不幸な出来事は狂犬に噛みつか・・・・」
そう言いかけてやめた。こんな陳腐なセリフなど今の舞子には何の慰めにも
ならない。それよりも・・・・
「舞子さん、聞いて下さい」
舞子が頭を上げ涙でくしゃくしゃの顔をテディに向ける。
「舞子さん、ボーイの言葉をそのまま伝えます。彼はこう言いましたよ。
『舞子、元気になったらまた飯を作りに来てくれ、おまえの作る飯は美味いからな』
とね」
「九十九ぉ・・・・」零れ落ちる熱い涙が次々と溢れて止まらない。
「舞子さん、私もボーイが褒めていたあなたの料理が食べてみたいです。
私からもお願いします。早く元気になってご飯を作りに来てください。
ボーイも私も楽しみにしています」
舞子は答えられなかった。ただただ泣きじゃくり、嗚咽を上げている。
「(九十九、九十九、九十九ぉ・・・・)」
舞子がレイプされたという非情な現実は何も変わらない。しかし彼女にとって
その九十九の一言はどんな治療、どんな薬よりも大きな力となるはずだ、
とテディは信じていた、いや信じたかった。
テディはそっと部屋を出て、ドアの横でじっとたたずんでいた母親に一礼する。
「テディさん」母親が立ち去ろうとするテディに声をかける。
「何ですか」
「彼に・・・・ 伝えてください。舞子は大丈夫だと、きっと私が立ち直らせてみせると。
いえ、きっとあの子は立ち直ります。舞子は・・・・ 修羅の花嫁になる娘ですから」
「分かりました、必ず伝えます」
テディが病院を出ると強い陽射しに目が眩み、思わず足元がふらついた。
九十九と出会ってからのわずかな期間に起こった出来事の全てが夢のようだと
テディには思えてならなかった。
完
701 :
596:2005/04/24(日) 00:18:17 ID:uv79oVNJ
お終いです。本当は22で終わりの予定だったのですが、23〜25を
急遽付け加えました。しかしこの部分は蛇足だったかもしれません。
それでは、「ぬる武者」さん、「キー」さん、「159」さんの新作と、
新たな書き手さんの登場を期待しつつ、一読み手に戻ります。
最後に、このような駄文に最後までお付き合いしていただいた方、
ありがとうございました。また色々と支援カキコしてくださった方にも
改めてお礼申し上げます。
陸奥の歴史が変わった━━━(゚∀゚)━━タマツブシキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!
23以降がないと本当に救いがありませんなw
お疲れさまどした。いや本当にどうなるかと思った・・・
ギャラリーフェイク見ようとしてたら
修羅の花嫁キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!! ツイデニ キンテキハモ!!!!!!!
テレビ見るの止めて読ませてもらった!
GJ!!596!またの名をゴクロー!
596氏、お疲れ様。
楽しませてもらいました。最後、丁寧にまとめてあって良かったです。
俺はいまだに『超爆』日向高文のタマキンが心配なんだ…
金的破ってすごい技なんだよなあ。
超爆とジョージの漢の魂(タマキン)に幸あれよと小一時間
707 :
159:2005/04/27(水) 22:11:06 ID:hGIcGGCX
596さん、お疲れ様でした!
天斗×圓の続きです。
「書いてみたらとんだラブコメだった。しかもまだ終わっていない。
今は反省している」って内容なんですけども…。
虫唾もダッシュすると思いますので、甘っちょろいのが苦手な御方はお気をつけ下さい。
>>550さん
これはお恥ずかしい!(*´Д`)ご指摘ありがとうございます。
しかしこれからも誤字脱字をしそうです。馬鹿なもんですから(誉め言葉でなく)
行き先は決まったものの、江戸を抜けていく道は使えない。
遠回りにはなるが、京に出て大きく迂回していく事を二人は決めた。
日を追うごとに濃くなる秋の気配がつくづくと感じられる。
涼やかな風は心地よく、虫の音はどこまでも雅だ。
もうしばらくすれば、見事な紅葉が目を楽しませてくれる事だろう。
天斗は自分が風情あるものを愛でるような性格ではないと分かっており
実際、腹の足しにもならない事に興味は無かった。
それでも、肌を突き刺すような夏の陽射しが影を潜め
静かに落ち着き姿を変える…そんな初秋は嫌いではなかった。
咥えた小枝の先についた葉が秋風に揺れ、彼の髪も揺らす。
そんな様子で一人佇んでいると、背後からばさばさと布の擦れあう
賑やかな音が近づき「用意できたぞ!」との声が掛けられた。
のんびりと振り返った彼の目に飛び込んできたのは
上から下までずんと落ちた闇の色。
まるでそこだけ夜にでもなってしまったかのような染まり具合で
いつもの薄紅梅は見られなかった。
水浸しの体験を教訓に、古着を購入した圓は早々に着替えて来たのだった。
天斗を前に、彼女は袖を少し引っ張りつつ「どうよ?」と澄ました顔を作ってみせる。
しかし、感想を求められた天斗の顔には苦笑いしか浮かんでこない。
「…どうよ…と聞かれてもなぁ……」
歯切れの悪い天斗の言葉に、圓は少々顔をしかめた。
「なんだよ…こういう時には世辞でも誉めておく物だぞ!気の効かん奴め」
「そりゃまぁ、そうかも知れねぇけどよ…。流石にその着物はなぁ…」
圓の購入した着物は、暗い藍錆色の中にささやかな柄がかろうじて入っている
全体的に古ぼけた、おおよそ華やかさとは無縁の代物であった。
適当な古着屋で、適当に目に付いた物を引っ掴んで買おうとし
店の者が心配して他の物を薦めて来たほどの物だった。
「忍装束の方が派手だってのはどういうこった?」
用途と色味がちぐはぐな圓の着物を思い浮かべながら、天斗はからかい口調で言う。
先程から不満げな彼女は、その赤い唇を尖らせた。
「…あれは……特殊だから。目立つ事と動きやすさに重きを置いていたのでな…。
…しかしこれからは隠密行動!地味な色は当然であろうが!!」
「隠密行動ねぇ……」
あの河原で『自分達はお尋ね者』『目立つ行動は出来ないから故郷へ帰る』
そう言ってお前を誘ったのはオレだけどよ……と、天斗は胸の内で呟いた。
それにしても、隠密行動とはまた大げさな話である。
その大げさっぷりは、彼女がわざわざ買い求めた
『夜になったら闇に紛れる色』の着物が大いに語っている。
なんというか、地味すぎて逆に目立ってしまうのではないかと思えるほどに地味だ。
極端な女だなと、彼は思う。
「変装と防寒も兼ねての選択よ。一石二鳥!」
しみじみと考える天斗をよそに、圓は腰に手を当て、ぐっと胸を張った。
その顔はとても得意そうに見える。
少ない労力で大きな効果を得る事に、喜びを見出す性質なのかもしれない。
ふんぞり返る彼女をつくづくと眺めた後、天斗は何となく自分の着物に視線を落とした。
いつもと何ら変化の無い、血染みのついた破れ着物…。
『オレの格好は何ら変わっちゃいない訳だが。それは問題じゃないのか…?』
そんな疑問も湧き出てくる。
天斗は少し口を開きかけたが、問題を拡大しても面倒なだけな気がして
そのまま口をつぐんでしまった。
とはいえ、声にしなくとも引っ掛かりは多少顔に出てしまっていたらしい。
「なんか文句ありそうだな」と圓は見咎め、少し強い調子で言い切った。
「…いいんだよ、これで!オレみたいに綺麗で若けりゃ、どんな着物でも似合うのだからな!」
「ああ、それはそうだな」
「!!」
微妙に噛み合わない会話ながらも、天斗は率直に答えを返した。
彼にしてみれば、正直、忍装束の色のほうが好みではあった。
しかし自分の好みを押し付けようとする気もなく
暗い色も、言われてみれば似合わない訳でもなく…
こいつが納得してるんだから、まぁ良いか…などと納得しかけた時
先程から圓がぴくりとも動かない事に気がついたのだった。
自分で言っておきながら、即答で肯定された圓の体は硬直していた。
顔はまるで茹であがった蛸。暗い色の着物に、実によく映えている。
きょとんとした天斗の左眼と、見開かれている圓の瞳が合わさった、その瞬間
「…………世辞などいらぬわっ!馬鹿!!」
腹の底から突き抜けるような声量で怒鳴りつけると、不意を突かれて
耳を押さえた天斗を置き去りに、彼女はずんずんと勢い良く歩み去ってしまった。
とはいえ、足を覆い尽くす着物では大股で歩けず
本人の気持ちとは裏腹に、二人の距離はちっとも伸びてはいない。
大きく振られた腕に焦る気持ちが現れ、袖がばっさばっさと大きな音を立てている。
その姿からは『隠密行動』の『お』の字も見受けられない。
そんな彼女の後姿を見つめ、耳鳴りの響く耳を押さえつつ
天斗は「…どっちだよ」と呟くしかなかった。
必要最小限の買い物を終えると、市場を後にして
昼下がりの長閑な風景の中を二人はのんびりと歩き出した。
とはいえ、別に好き好んでのんびり歩いている訳ではなく
むしろ圓にとってみれば、長閑さなど感じる余裕などこれっぽっちも無かった。
普通の、何の変哲も無い、女物の着物…
それはこんなにも動きづらい物であっただろうか?
圓の胸中は、そんな疑問でいっぱいだった。
足が開かないゆえに早く歩けない、足を開こうとすれば着物ごと大きく開く。
……ものすごく…ものすごくうっとおしい。
落ち着かず、その気は無くとも俯き加減になってしまっていた。
今すぐ脱ぎ捨てて、忍装束に着替えたい気持ちに支配されそうになる…が
せめて江戸の近くを抜けるまでは、用心の為に変装をしていなくては…と思い直した。
顔を上げると、並んで歩いていた筈の天斗が一歩ほど前にいた。
袖の無い着物に先の絞られた袴。
戦う事を前提として作られているのだから、動き辛いはずもない。
…圓には彼の軽装が羨ましかった。
距離を詰めようとしてもなかなか上手くはいかず、ふと置いていかれる焦燥感に囚われる。
気がつくと、天斗の手首を掴んでいた。
その事に一番驚いているのは彼女自身。呆然と伸ばした手の先を見つめた。
彼が立ち止まり、振り向くより早く手を離すと、勢い良く一歩飛び退る。
…あ、この着物でも結構動けるなぁオレ…などと、妙な感心が頭をよぎっていた。
「は、早すぎだ。歩くの……。本当に気の効かん奴だな…」
本当はこちらが遅いだけだがな…と分かっていつつも、圓は悪態をついた。
それはきっと天斗も分かっているだろうと予想はついたが
あっさりと「すまんな」と言われ、彼女はばつが悪そうに目を逸らした。
なので、少し休むかとの天斗からの提案に、反発する事なく頷いたのだった。
天斗の手首を掴むなど、前にも一度、握り飯を取り合った時にしている事。
なのに今、何故このように動揺してしまうのか…得心が行かず、首をかしげた。
道の外れは軽い斜面になっており、踵の辺りまで伸びた草が風に揺らいでいる。
足を滑らせないように中程まで降り、圓はその場にしゃがんで足を伸ばした。
距離としてはさほど多くは歩いていない。
しかし、もつれる足に負担はかかっていたようで、じんわりと痛みだす。
早々にこれでは先が思いやられ、自然に溜息がついて出た。
秋晴れに、無数の赤とんぼが好き勝手に飛び交っている。
それらと斜面の下に広がる野原を眺めていると、のんびり後をついて来た天斗が
担いでいた荷物を降ろし、彼女の横にごろりと寝転がった。
すいすいと赤とんぼが圓の鼻先を掠めるように飛び
彼女は戯れに、それを捕まえてやろうと両手を差し出した。
お椀型に丸めた手を素早く合わせると、ぽふっと軽い音がたつ。
…が、空を切った感覚しかなく、手をそっと開いてみても何も無い。
元々真剣に狙った訳でもなく、軽く息を吐き肩をすくめた。
そんな彼女に横から何か差し出された。
見れば天斗の指先が、赤とんぼを摘んでいる。
「……いいから、逃がしてやれ」
呆れの混じる口調で言うと、天斗の手から逃れた赤とんぼは戸惑ったように飛び
すぐに他のものに紛れて分からなくなった。
赤とんぼにも飽きた圓は軽く欠伸をすると、投げ出していた足を抱えた。
すると胸元が押され、硬質の感覚に彼女の動きが止まる。
そこに収まった物の存在が思い出されたのだ。
着物の他に、圓が購入した物がもう一つあった。
小さく、硬く丈夫な木筒。簡素に見えて、きめ細かな意匠が施された逸品である。
即決だった着物と違い、じっくりと時間をかけて選び抜いたそれに
油紙で包んだ佐助の遺髪を入れ、胸元に収めたのだった。
藍錆色の着物に包まれて、今それを目にする事は出来ないが
圓は胸元に視線を落とし続けながら、ぽつりと呟いた。
「……変装など…本当は必要無いのかもしれぬがな………」
少し昏い響きを持つ圓の言葉に、天斗は何も答えず
ただ咥えた小枝だけが微かに揺れ動いた。
買物をした時や、昼に立ち寄った茶屋などで、二人は様々な噂話を耳にしてきた。
それの多くは『幕府は伴天連追放を強化するらしい』という物。
異教徒に対する迫害は、これまでも凄惨を極めており
火あぶり、磔は当たり前……竹で作られたノコギリで首を擦らせたり
体を紐できつく締め付け、逆さ吊りにした上で血を抜き、じわりじわりと追い込む…
そんな人でなしの所業を、より強くしようと言うのだ。
人々は震え上がり、家光公は鬼であるか…?と囁きあった。
時に、御前試合の噂を聞かないでもなかった。
しかしそれは、つわものが集まって試合をしたらしい…
試合はしたものの、結果はどうなったのか良く分からない…
と云うか、本当にそんな事が行われたのか?…などという、ひどく薄暈けた物であった。
試合に負けて途中で帰った者もいた。噂が流れるのは当然と言えよう。
それでも、真実は薄墨のごとく霞み、より衝撃の強い噂話にかき消されていた。
「本当の家光は腰抜けの小便垂れ、などと触れ回った所で…いまさら誰も信じぬのだろうな」
「やめとけよ…」
「言われずとも!…そのような馬鹿な真似はせぬ……けどな…」
命を賭して挑んだあの日は、殆ど無かった事にされてしまった。
そして皮肉にも、それにより自分達の身は思いのほか安全かもしれないと圓は思った。
自分達を探し回るお触れや人相書きはまったく見かける事が無く
そんな噂話しか、流れていなかったからであった。
こちらの状況は圧倒的に不利ではあるが、あちらにしてみても
触れば只で済まない陸奥と、これ以上の関わりを持ちたくはないのだろう。
こちらが大人しくさえしていれば、相互不干渉にて手打ち…そう言われている気がした。
口惜しかった。
口惜しかったが、それに歯向かうには痛い目にあいすぎていた。
胸元を抱くように着物の上から触れ、圓は不快感をぐっと飲み込んだ。
「結局…全てお前の言う通り…か」
「ん?」
「……なんでもない…」
考え込んだ所で彼女の状況は変わらず、気持ちは落ち込むばかりであったが
もう一つ、陰鬱な気分に陥った事柄について口を開く事にした。
「…何故…そこまでするのだろうな……?」
「…?」
「宗教を……拷問してまで捨てさせたり…死しても信じたり…
何故そこまでするのか?…目に見えぬものに、何故そこまで……」
感情を押し殺した声は逆に怯えるような音で紡がれた。
それに気付きつつも、圓は胸元を抱いたまま言葉を繋ぐ。
秋風に細められた目に、飛び交う赤とんぼが滲んで見え
それはまるで青い布に広がる血染みに思えた。
「天斗……織田信長って知っておるか…?」
「!…………ん…まぁな」
「オレが幼い頃…佐助がな、昔話みたく色々と聞かせてくれたのだが…
以前にもこういった…厳しい宗教弾圧があったのだって………。
オレの親父が……身を寄せていた、大阪城のあった場所な
昔は石山本願寺と言うて………ええと……い、いっきょう……?」
ぽつりぽつりと、一つづつ確認するかのようにそこまで言い
圓は曖昧な記憶に慌てて首をひねる。
そこに、寝転がって空を見上げたままの天斗から、妙に冷静な声が掛かった。
「一向宗」
「………ん……そう、言ったかな?……
その一向宗とかいう宗教の本山だったそうだな……。
で、それの門徒が……信長により焼き討たれたのだ。二百人だか大勢…」
赤とんぼの飛び交う空から、天斗は圓に視線を移した。
彼の知識の中では、焼き殺されたのは二万人。まったく桁が違っている。
しかし、縮こまっている彼女の背に向け、その間違いを叩きつける気は起きなかった。
「切支丹狩りといい…何故にそこまで…」
「…さぁな。こればっかはオレにもさっぱり…だ。
ついでに分からん事と言や、何でそんな事をお前が言い出したか、だな。
一向門徒や切支丹が可哀想に思えたか?」
「……え、いや…そんな……」
ずばりと突っ込んできた天斗の言葉に、圓は動揺を隠せずうろたえた。
可哀想などと奇麗事を思っていた訳ではなく…むしろ
その思いの純粋さ、深さが『恐ろしい』とは感じていた。
…恐ろしいが…、勝手に信じているのだから、それはそれで良いと彼女は思う。
圓が真に引っ掛かりを覚えていたのは、信者たちの事ではなかった。
「……そうではない…。そうでなくて…ただ、考えていたのじゃ…」
彼女は中空を見つめ、自身が耳にしてきた事が間違いではなかったか
もう一度ゆっくりと思い返し……思い切ったように口を開いた。
「確か……信長と家光は…血の繋がりがあった筈」
「……………だった筈…だが?」
「ああ。そうだ」
天斗は少し苦笑いを浮かべながら、はっきりと肯定した。
更に、ぼそりと「…忘れてたけどな…」と呟かれたのだが
それは圓に届いてはおらず、彼女は独り言のように続けた。
「やっている事がよう似ておる…と思ってな。容赦がなくて、非道で…
これはあれか、血の為せる業ってやつなのかのぅ…」
「そうだろうな」
「……え?」
思わず圓は聞き返していた。
宗教弾圧がどうのと真面目ぶった事を言いつつも
実の所『これってただの愚痴だよな…』などと思いかけていた所だったのだ。
天斗からの答えも、深く求めていたわけでなく…
そこまではっきり言い切られると、少々体裁が悪い。
「人でなしの血は人でなしに、鬼の子は鬼に。そう言うもんだろ」
「い…いや…まぁ、そうなのかもしれぬがなぁ……うーん…
信長は勇猛だったと聞くが、家光は腰抜けだったわけだし………」
「なんだよお前、さっきと言ってる事が違うんじゃねぇか?」
痛い所を指摘された圓は息を詰まらせ、苦い顔を天斗の方へと向けた。
見れば彼は、何がそんなに可笑しいのか…人の悪い笑みを浮かべている。
その態度にかちんと来ながらも、彼女ははっきりと言い切れない理由を述べた。
「…だって、そんなこと言ったら……稀代の軍略家だの、日本一の兵だのと
佐助が褒め称えていた親父とオレとじゃ…全然違うじゃないか…」
惨めな言い分であったが、自分自身に嘘はつけなかった。
幼い頃から佐助に聞かされてきた、昔々の話。
名将であった顔も知らぬ父と、その仇の話。
繰りかえされたそれらは、いつしか圓の業前を磨く糧の一つとなっていた。
父が為し得なかった事を、自分が果たしてやりたい……
そしてその仇は、かつて魔王と呼ばれた者のように
討つに値する者である……寧ろそうであって欲しい…と、思い込んでしまっていた。
それはまるで、想い歪んだ片恋のように。
しかし…それもこれも、身勝手な夢想でしかなく
その代償に何もかも取り上げられてしまったのだが…。
膝を両手で強く抱えなおし、そこに顔を埋め、重く溜息をついた。
只の愚痴のはずが、気付けば自分の首を絞めている。
口を開けば己の馬鹿さ加減を露呈するばかりな気がして
もうこのまま、目的地に着くまで口を縫い縛っておくか…などと、いじけ気味に思う。
すると前触れなく、横に寝ていた天斗が体を起こす気配を感じ、圓の肩がぴくりと揺れた。
……いいかげんな事を口走ったのを咎められるか…嗤われるか…
分からなかったが、顔をあげる事も出来ず、そのまま固まったかのように動けずにいた。
すると突然、頭の上に何かが乗せられた。
最初は何なのか良く分からず、俯いたまま瞳を二、三度瞬かせた。
藍錆色の着物に包まれた視界は暗く、それだけに感覚が良く伝わってくる。
一つに結われた髪の流れに沿うように、頭の前方から後ろへと滑るような…
少し、くすぐったいような…そんな感覚と、適度な重みに不思議な安心感。
強く押さえつけられている訳ではなく、寧ろ優しく、労わるような暖かさがあった。
そこでようやく、大きな手にゆっくりと頭を撫でられているのだと彼女は自覚した。
顔全体に、ぱぁっと勢いよく熱が広がる。
激しい動揺にうろたえ、顔をあげる事も出来ないまま
心臓と脳だけは激しく動き、この状況をどう動かした物かと思案する。
子供扱いするな!と、払いのけようかと心をよぎるが…考えてみれば
その子供扱いを、佐助から受けた事は無かったな…と、昂揚した気持ちが少し沈む。
誉められた事や注意された事は幾度もあったが
それはいつだって、かしずくような態度だった。
自分と同年代の子供が、父母に頭を撫でられていた。
それを見て、別に羨ましいなどと思った事は無いが…
ただ、あれはどのような感覚なのだろう…とは、思っていた。
そして今、あえて感想を述べるなら『結構気恥ずかしい』
それゆえに彼女はじっとして、天斗が変わらず頭を撫でながら話し掛けてきても
されるがままになるしかなかった。
「ま…確かに、お前は軍略家には向いてねぇかもな」
「………」
「策を練るには、お前の根は真っ直ぐすぎる。真面目な程に…な。
けど、別にそれは悪い事じゃないぜ」
……圓は、自分の心臓が大きく跳ね上がるような感覚も味わっていた。
穏やかな声に、暖かな手。それに波打つ鼓動。
暗い色の着物を掴む指先から、少しづつ力が抜けていく。
慰めなど普段なら不快にしか感じないが、なぜか今は心地が良かった。
ふと…今だからではなく…この男だからか…?と、思いかけた時
「とはいえ、真っ直ぐすぎる根っこはすぐ抜けちまうけどな」
などと無神経な言葉を耳にし…
いっぺんに正気へと立ち戻り、口元をひくりと引き攣らせた。
頭に乗っかった手を無理やり首の力だけで持ち上げると、片目の天斗に対し
圓は半目で睨みつけ、腹の底から響くような、低い、低い声で呟いた。
「…お前なぁ……誉めるか貶すか…どちらかにしとけよ……」
「そうか。だったら次からは片方だけにしておくかな」
「次は無いわ!……馬鹿者が…!!」
その視線と声に、要らん事言いの天斗に対する恨みと
弱っていたとはいえ、甘い事を一瞬でも考えてしまった自身に対する恨みを
呪いでも掛けんばかりの勢いで込め、圓はぶつけた。
しかし天斗は変わらない様子で、恨みがましい視線に対し微笑み返す。
「…お、なんだ。泣いていた訳じゃないんだな。偉い偉い」
「ばっ…!!……童じゃないんだ!いつまでもめそめそしてなどおらぬ!!」
圓が睨みつけている間、怒鳴りつけている間も、変わらず天斗の手は頭を撫でる。
まるでそうする事で、彼女の溢れる悪意を受け流しているかのようだ。
その証拠に、怒りにまかせて喚いている筈の圓の口元が、少しひくひくと動き
可笑しそうに、馬鹿馬鹿しそうに歪んでいく。
思い起せば頭を撫でられていた子供は皆、嬉しそうな顔を見せていた。
人の頭には、撫でられると強制的に和んだ気分になってしまうツボでもあるのだろうか…
圓はそんな事を考えつつも、くすぐったさに身を捩り、ついには哀願し始めてしまった。
「…もう良い!もう怒らぬから止せ……もう本当に…いいんだってば!!」
もしもこれが勝負なら、分り易いほどに勝敗はついていた。
目的地に着くまで、ずっと口を縫い縛っておく…などという考えは早々に捨てた。
下手に落ち込んだ所を見せたら、また頭が削れんばかりに撫でられ倒されるに違いない。
なんとか逃げるかのように立ち上がり、おぼつかない足取りで道に戻った圓は
まだ少しむずむずする頭を、髪を直す振りに見せながら撫でつけ、溜息まじりに口を開いた。
「…お前の故郷って…どれくらいで着くんだよ…?」
「なに、すぐだよ、すぐ」
「……なら、その間…おかしな愚痴は二度と言わぬ…」
自分でも滑稽に思えるほど不機嫌に、かつぶっきらぼうに宣言する。
「だからもう、その……二度とオレの頭に触るなよ」
しかし、その願いに対し返って来た答えは一言「なんで?」という物。
分からないと言いたげな天斗の顔を、圓は半口開けたまま睨つけた。
…この野郎……普段は分からなくて良い所まで察する事ができるくせに
なんでこういう時だけ…と、苦渋が顔に浮かぶ。
「な…なんでじゃなかろう!!…じ、人体における急所だからだっ!!ここは!」
「別にオレは急所を攻めているつもりは無かったんだがなぁ…」
顔を真っ赤にして、真剣に怒って見せる圓に
天斗は「へいへい」と気の無い返事をするに留まったのだった。
…二人の耳には届いていないが、裏の世で口端に上るものがあった。
『真田の姫が密かに生き延び、その者には鬼が憑いている』という
不吉で、どことなく淫靡な響きを持つ噂。
それはあくまで内密に…そのくせ尾ひれをつけて面白おかしく語られたのだった。
しかし秋晴れの下、じゃれあうように歩く二人の姿からは
そのような噂の主であると感じさせる物は、微塵も存在しなかった。
……こんな調子で、旅は続いていった。
天斗が最初に願った通り『つまらない旅』には程遠い道中。
からかわれ続ける圓にとってみれば、たまった物では無かったのだが。
腹立ちを隠しもせず「まだ着かんのか…」と呟き
簡単な約定に安堵した事が恐ろしく昔の事に思え、うんざりと溜息をついた。
そんな彼女の様子に彼は笑い、また彼女はむきになって怒る。
そんな他愛の無い事の繰り返しが、のんびりと続いていく。
圓にとって、このような旅は初めての経験で。
今までも一所に腰を落ち着けず、あちらこちらを転々とする生活ではあったが
待っていれば佐助が食事を作り、洗濯された着物が出てくる…
そんな状態が当たり前で、これといった苦労も知らないで生きてきた。
しかし、今となってはそれも望めない。
自分で自分の為に、乏しい知識と慣れない腕前を振るおうと覚悟を決めていた。
覚悟だけでどうこうなるほど、日々の雑務は甘い物ではないのだと
彼女が悟るのも、そう時間は掛からなかったが…。
特にそう悟るきっかけとなったのは、圓が考え無しに取ってきた茸を
これまた考え無しに、出来上がりかかっていた鍋につっこんでしまった時だった。
「暗殺がしたいんなら、もう少しばれないようにやんな。
そうでないなら、まずオレに聞け。…聞くだけならタダだからよ」
掘った穴へと、異様な匂いを放つ鍋の中身を捨てながら言う天斗に対し
空きっ腹を抱えた圓は素直に頷くしか出来なかった。
とはいえ、生来の意地っ張りな性格に加えて、他人に物を請う事に慣れておらず
しかも相手はどこまでが本気か分からない大嘘つき。
最初の頃は、まさに渋々ながらと言った趣で、意思の疎通も効率も悪いものだった。
だが、料理や裁縫、洗濯の仕方など…
意外なほどに懇切丁寧な天斗の説明を聞き、一つづつ手立てを覚えて行くうちに
何事も二人でやっていくのが自然となっていった。
物事を覚えると、その苦労も分かるようになる。
亡き養父の並々ならぬ労力に、伝えたいのにままならない、感謝の気持ちと悔恨がよぎる。
遺髪の納まる胸元はきりりと締め付けられ、彼女の瞳はまた遠くを見つめる。
すると「馬の尻尾みたいだよな」などと言いながら髪を引っ張られたり
口端を左右に引っ張られたりなどして…意識も現実に引っ張り戻された。
その度に『…頭に触るな…とは確かに言ったが…こんの大馬鹿は…』と思い
だんだん考える事自体が馬鹿馬鹿しくなってくるのだった。
圓もそんな他愛の無さに、良くも悪くも慣れ始めて来た頃
歩みと共に寒さも増し、北へと向かう旅路はしんしんと冷え込んで来たのだった。
山中の廃屋と化した神社を今夜の宿に決め、板の間に立つと底冷えが体を振るわせた。
普通の着物の下に忍装束を着込んでみても、寒いものは寒い。
彼女は両腕で自身を抱きしめながら、寒さを紛らわすために室内を歩き回った。
どうやらこの神社、他にも旅の者達が休憩する場として利用しているらしい。
親切心で置いていったか、それとも捨てて行っただけなのかは分からないが
ボロ布やらゴザやら、他にも様々な物が無造作に置かれており
それらはささやかな生活臭を醸し出している。
神社としての様相は外面以外留めていない。
これでは奉られていた神様も荷物を纏めて出て行った事だろう。
ぎいぎいと喧しい床を踏みしめながら、横目で連れに視線を向けた。
誰が持ち込んだ物やら、端のかけた火鉢が一つ
天斗はそれに火をつけようと背を向けている。
その姿はどう見ても自分より薄着にしか見えなかった。
それなのに、何故にああも平然としていられるのか…。
予想していた事とはいえ圓は呆れ、気温とは別の薄ら寒さを感じていた。
さほど大きくも無い神社の中は、歩けばすぐに壁へと行き当たる。
彼女は方向転換をすると、また彼の背を見つめて歩き出す。
『寒いとか……痛いとか…そう言うのを感じる所が麻痺でもしておるのか…?』
眉間に皺を寄せ、考える。
『……それとも…人より体が熱い、とか…?』
火打石を擦り、燃え出した付け木を放り込めば、火鉢の中身がじんわりと揺らめき始めた。
破れ神社は隙間風が入り込み、これだけでは大して暖は取れないだろう。
それでも無いよりはましと思い、火に軽く息を吹きかけ、勢いを増した。
…ふと、そこで天斗はようやく気がついたのだった。
あれほど賑やかだった足音が止んでいる。そして、真後ろに立つ人の気配を。
寒さに待ち切れなくなったのだろうか。
彼は後ろを振り向きかけ…突然背中に軽い衝撃を受ける事になった。
…衝撃というには柔らかく、暖かい感触に少々面食らう。
首を捻って振り向くと目前に黒く長い髪があり、それが鼻先に触れた。
背中に背中を付け、もたれかかって来た訳か…と、即座に状況を判断し
時々こうして繰り出される、圓の読めない行動に苦笑いがこぼれた。
…気になりだすと、どうにも止められない自分の性格を何とかすべきだなぁ…
広い背中にもたれかかりながら、圓は喉の奥で軽く唸っていた。
別にここまでしなくとも、手をくっつけるなりすれば済む筈の事ではある。
だが、白い着物の背を見つめていると……背中には背中でなくては
駄目なのではないか?などという考えが浮かび、その考えを捨てられなかった。
彼女なりの紆余曲折を経て、背中を実験台とし導き出した結論は
「…あんがい、普通…」という物で、ついその思いを声にしてしまっていた。
「何が普通だか知らんが…期待外れだったか?」
「う。…い、いや。別に……そのような事は…無いぞ。…うん」
頭の真後ろ、とても耳に近い所から聞こえてくる声に
圓は少々焦りながら、たどたどしく答えを返した。
結局『人より体が熱い』などと言う事は無かった。
だが、人並みの…人肌は温かく、鍛え上げられた背筋の感触は
なかなかに心地よく…寒さと相まって、何となく離れ難い気持ちにさせられた。
背の温もりを感じつつ、それに反して少しばかり冷静になってみれば
初めて出会ったあの日…裸で猪鍋を食い終わった天斗がくしゃみをし
『冷えてきた』だの何だの言っていた事が思い出されてくる。
思わず圓は頬を掻き、低く乾いた笑いが口から漏れ出るのを止められなかった。
『…そういや…そうか…。となると麻痺って訳でも無し、か…』
それに今まで何度か抱きしめられたりして来た訳だが
これといって気になるほど熱いと思った事も………
…そこまで考えて、頭の奥底に封印していた様々な記憶が呼び起こされそうになり
圓は慌てて首を左右に振り、天斗は怪訝そうな顔をしたのだった。
くだらない事をしてしまった物だと圓は思う。
それもこれも寒い所で寒がらないコイツが悪いのだと、勝手に責任転嫁をし
さてこの状況、どう誤魔化して切り抜けたものやら…と頭を捻ろうとした。
すると突然支える物が無くなる気配を感じ、無意識に両手を床につけ、体を支えた。
遠慮気味に振り向けば、天斗の体は前方へと傾き、背が離れてしまっている。
『……………。邪魔……だったか……な……』
彼女の背中に、すっ…と凍えるような空気が入り込んできた。
ちょうどゴザのない所に手をついたため、床は指先から染み込むような冷たさで
それよりもよほど、きりきりと冷たく、心が痛んだのだった。
後悔に眉根を寄せ、うなだれて身を引こうとした彼女の背後で
何やら動いたかと思うと、木の床がごとりと鳴った。
つられるようにそちらを見た圓の目に飛び込んできたのは
天斗がいつも腰にさしている、古めかしい太刀。
それが床に置かれていた。
「………」
「これがあっちゃ邪魔だよな。……どうした?寒ぃから早く来いよ」
先程の姿勢に戻った天斗は指先で招く。
ぽかんとして太刀を見つめていた圓は、その言葉で視線を指先に移すと
『そ…そんな本腰入れてくれんでも…』などとごにょごにょと一人ごちた。
「今度はオレがもたれていいってんなら、そうさせて貰うが」
「…ばっ、馬鹿…いくらオレでも支えられる訳なかろう!息が詰まってしまうわ…。
……………ちょっと待っておれ…」
憮然と…赤らむ顔で前へ向き直ると、足に力を入れ体を後ろにずらす。
するとすぐに背中が当たり、またじんわりと暖かさが戻ってきた。
確かに先程とは違い、間を遮る刀が無くなった分だけ、より心地良い。
…より心地良くなった分、圓の腹の中は居心地悪さでいっぱいになったのだが。
誤魔化すように、必要以上に背中に体重をかけ、ごつごつと軽い頭突きを喰らわせた。
「やめろって…ほらよ」
ずず…と重たげな音と共に、天斗は片手で火鉢を移動させた。
増えた暖房器具を見て、圓は背後への嫌がらせを素直に止めると
冷えた指先を火鉢にかざして暖めた。
肩越しに彼女の指先をちらと見て、ふっと息をつくかのように天斗は笑い、口を開く。
「なんか『おしくらまんじゅう』みたいだな。ガキの頃にダチとよくやった。
この年になって、またやるとは思わんかったぜ」
「……まぁ…言われてみれば……。…オレも混ぜてもらった事がある…」
薄いものながら、圓にもそんな記憶があった。
遊んでいる子供達を遠巻きに眺めていると、声を掛けられ手を引っ張られた。
隣り合った子供と腕を組み、円の中から押し出せれぬよう力をいれて…。
どこでそうしたのか、どんな子供達だったかも思い出せない昔の話。
ただ、佐助にその話をすると、嬉しそうだったという事は、はっきりと覚えていた。
ぼんやりと火鉢に視線を落とすと、ふと思い立ち
ふところから苦無を一本取り出して、それを火箸代わりにそっと中身を突っついた。
思考の半分は回想に占められたまま、なんとなく言葉を発する。
「ふぅん…そうか…。天斗にも友人がいるのか……」
「……お前、さり気なくひでえ事言うのな」
少々低く、不満げになった声にはっとする。
その気は無くとも嫌味に聞こえる言い方をしてしまった事に
彼女は慌て、取り繕うように手を振りながら後ろを伺った。
「い、いやいや、違う…。ただちょっと驚いただけだ。
小さい頃など、今のお前からは想像もつかぬから……」
そこまで口にして、改めて本当に想像がつかないな…と圓は気が付いた。
友人の件もそうだが、体が小さく、強くない…そんな姿など、どうにも考える事が出来ず
薄墨色をした天斗の左眼を、思わずしげしげと見つめてしまう。
見つめた所で、過去が見られる訳でもないのだが…。
そんな圓の仕草に、その目がふっと細められ、口端が上がった。
…苛めっ子の顔つきだった。
「お前のガキの頃は、何となく想像がつくけどな」
「……どういう意味だよ…それ…」
今度は圓の声が低く不満げになったが、天斗はそれに構う事なく姿勢を戻した。
苦い顔をしながら、圓も彼の背にもたれ直す。
また火鉢に苦無を突っ込むと、いささか力が入りすぎたのか
灰がほわりと舞い上がり、暗い色味の袖をまだらに彩った。
「ま、それはともかく。その様子だと背中の傷も良さそうだな」
袖の灰を叩き落としていた圓は、言われてしばし考えた後
背中をくっつけたまま、もぞもぞと動いてみた。
撃たれたとはいえ、自力で玉が取り出せる程度の傷。順調に回復へと向かっている。
…順調すぎて、怪我に効くという温泉に入る前に
完治してしまうのではないか?…と思う程に。
「そりゃまぁ、わざわざ痛い真似などせぬ。…少々むず痒いくらいか。
最近は包帯も使わなくて済むようになったし……」
「ああ…そうだな。お陰でオレの楽しみが一つ減っちまったけど」
ごすっ
「……お前の傷も塞がって来ておるようで、何よりだ」
刀傷のある天斗の左脇腹に向け、容赦なく肘鉄を食らわせると
冬の隙間風にも負けないような冷たい声で言い放ち、ふんと鼻を鳴らす。
一撃入れた後、澄まし顔で姿勢を戻す圓の指先に、こつりと硬い物が触れた。
床に置かれた太刀…その鞘も、とても冷たくなっている。
指先をつけたまま、しばらくそれを見下ろしていたが
ゆっくり離すと火鉢に指をかざし、暖めてから自身の足に手をかけた。
こうして座り込んでいると、今日一日、寒空の下を歩き続けた疲れをいたく実感する。
重く痛む足を撫で、膝から指三本ほど下にあるツボを探り、押さえると
疼痛が、じぃんと響くように感じられた。
その足の痛みと共に、ふとまた、いつとも知れぬ過去の記憶が彼女の胸をついた。
今ほど体力も無かった頃…歩き疲れて思わずへたり込んだ事があった。
その時、佐助がこのツボを指圧すると、嘘のように疲れが取れ
『これは何の忍術じゃ!?』と驚きの声を上げていた。
『このツボは足三里と言いまして、その名の通り
押せば三里の道をも行ける…などと言われておりますのじゃ。
…由来の真偽は分かりませぬが、効果の程は…ほれこの通り』
指圧を終えると両手を開き、まるで本当に忍術でも使ったかの如く見せ
おどけた口調で微笑みかけてくれたのだった。
そして、足の痛みも忘れてころころと笑っていた自分…。
優しい記憶を想い起こしながら足を揉んでいると
足の重みの変わりにまぶたが重くなって来た。
軽く首を振って睡魔を払うも、すぐにまた視界が狭くなる。
外はすっかりと暗く、強くなった風が神社の戸板をかたかたと揺らす。
森の木々が揺さぶられる音は、いかにも寒々としているが
今夜はこの火鉢と、脇腹押さえて少々傾いている背中のお陰で
凍える事は無さそうだと思うと…気が抜けて、力も抜けた。
足を掴んでいた手からも力が抜け、すとんと落ちると
また天斗の太刀が指先に触れた。
目を瞑ると心に過ぎる。
ずっと背負っていた父の形見。あれは今…どうなってしまったのだろう…と。
そして背中の痛みと共に、その重みまでも忘れかけていた自分は
とんでもない薄情者だな……と…。
そんな思いが一瞬浮かびつつも、急速に眠りの淵へと引き寄せられたのだった。
脇腹の痛みが治まると、天斗は一つ大きく息をついた。
ついつい気を抜きすぎていたらしい…。それなりに、効いた。
「お前なぁ、手加減しろとあれほど…」などと口にしながら
傾いていた体を起こそうとすると、返事が無い代わりに圓の体がぐらりと傾いた。
瞬間、素早く体を捻って片手で支えると、慌てて顔を覗き込む。
そこにはこの上なく平和な寝顔を晒している圓の姿。
かくりと首が傾き、長い髪が天斗の腕をくすぐるようになぞり、落ちていく。
唖然としながら見つめていたが、しばらくすると
彼の表情は呆れの混じった物へと変わっていった。
「勝手に暴れて勝手に寝るのかよ…」
頭を掻きながらそう呟いてみても、腕中の様子は変わらなかった。
腰を捻って片手で支えているという姿勢は、少々無理がある。
彼女が倒れないように頭を肩にもたれさせ、腰に手を回し
流石に目を覚ますか…?と思いつつ、身をずらして姿勢を整えた。
今の姿はこれまでの背中合わせと大きく変わり、圓の体は天斗の胸元に納まった。
ここまでしても、圓の目が覚める事は無かった。
天斗の動きに無駄が無かった事もあるが、少し身じろいだだけで
相変わらず安らかな寝息を立てている。
見様によっては、その寝姿は豪胆。
どのような状況においても、眠けりゃ寝るんだという根性の表れとも取れる。
…が、天斗には分かっていた。
「ただ単にガキなんだよな…お前はよ」
起きている時に口にすれば、本気で噛み付かんばかりに文句を言ってくるであろう
暴言にも、圓の穏やかな表情は変わらない…。
すっかり弛緩しきった彼女の体はぽやぽやと暖かい。
普段は凛々しく上った眉も今は下がり、時に長い睫をぴくんと揺らす。
胸板につけられた頬は柔らかく、血色良く染まっている。
そこに前髪が淡い紫の影を落す。
…いつの間にか、穴が開きそうなほど寝顔を見つめている事に気付く。
天斗は視線を無理やり引き剥がすように外すと、誤魔化すように首を振り
先程、圓に対して言った『お前のガキの頃は、何となく想像がつくけどな』という
自分自身の言葉を思い起していた。
今までも圓の寝つきはとても良く、意図はせずとも寝顔を拝む事は多くあった。
旅をはじめて間もない頃は、怪我の痛みか悪い夢か
眉根を寄せて苦悩しているような表情を見せていた。
しかし最近は、このように無邪気で穏やかになって来ている。
その顔を見て『体を縮めりゃ、まんま子供だな』と思ったのだ。
あの言葉はここから来ていたが、そんな事は圓自身に分かる筈も無い。
『それに…』
胸中でぼそり一言呟くと、室内の隅に目を向け、更に思い起す。
この旅中、様々な事を圓は質問していた。
それに自分はそれなりに答えて来た、と天斗は思う。
そしてある日、小さな村を通りかかった時の事
転げまわって遊ぶ子供らを見ながら、彼女は一言呟いたのだった。
『なんで家によって子供の数が違うのだろうな』と。
最初、天斗にその意図は掴めなかった。
少々戸惑いを滲ませながら『…そりゃ、その家それぞれの都合ってもんだろ…』と答えると
圓もまた『都合…で、子供の数が変えられる…ものなのか?』と戸惑った顔を見せた。
家の都合…養子縁組やら、それこそ口減らしやら…別段聞かない話ではない。
しかし圓の口調は、それらの事を指しているのではないように思えた。
もっとこう、根本的な事が分かっていない、そんな雰囲気を感じる。
『子宝の湯』の時の反応といい…。
そこで天斗は何となく察する事ができた。
こいつはもしかして、いや、もしかしなくとも…
子を成す手立てという物を分かっていないんじゃあないか……と。
そこまで考えて、長く深い溜息をついた。
目線の先…狭い神社の隅は、火鉢によるほんの薄明かりで影が濃くなっている。
そこからまた目線を戻し、胸にもたれる無邪気な顔をそっと覗き込んだ。
信頼されたもんだよな…と、天斗は呟く。
…それは、無知だからこそできる顔だと思うと
彼の胸になんとも複雑な思いが湧いてくるのだった。
『それがしは忍びの技しか知らぬ男でござる』
静かで、どことなく愁いを帯びた佐助の言葉が蘇る。
『…それにしたってもよ、爺さん…』
呼吸に合わせてゆっくりと動き、藍錆色の着物を柔らかく持ち上げている圓の胸元
遺髪の収まっているそこに目を落しながら、ここにはいない者へと思いを馳せた。
腕の中の圓がまたもそもそと揺れ動いた。
軽く眉根を寄せ、胸に頬擦りするように顔が動き
穏やかな顔つきに戻ると、薄く開いた唇から規則正しい寝息が漏れる。
抱える腕に、胸元に…彼女が培ってきた身体のしなやかさと
二十歳の盛りと誇る、女性特有の柔らかさが擦り切れた古着越しでも伝わってくる。
……それでいて中身はてんでお子様とは。
「ちょいと卑怯じゃねぇのかよ…ったく」
圓に向けてではなく、彼女の養父に向けた恨み言が口を突く。
とはいえ、佐助だけを責めるのも酷なような気がしないでもない。
ここに至るまで、洗濯やら食事の作り方やら、圓に問われるままに天斗は教え
今ではかなり手際も良く、彼女の物覚えの良さに正直驚いたほどだった。
興味を持った事柄に関しては見事に吸収してみせるようだ。
そうして忍の技を己の物とし、ここまで成長してきたのだろう。
…しかし、得てしてこういう性質の者は、興味のない事にはまるで見向きもしなかったりする。
佐助が年相応の知識をつけようとした所で、右耳から入って左耳を抜ける…か
『つまらん』の一言で一蹴、などと容易に想像がつく。
恥らうようになる前の行動がどんな物であったのか、天斗はあまり考えたくなかった。
「……どうしたもんかね…」
夜風に揺れる木々のざわめきに、彼の呟きはかき消されていった。
夜も白々と明け、外から聞こえる鳥のさえずりは喧しい程。
圓はボロ布に包まりゴザに寝転んだ姿で目を覚ました。
寝転がったまま、ぼんやりとさえずりに身を浸していると
夜に強く吹いていた風は止んだのか…と、頭が働き始めた。
起き上がろうとすると、布の隙間に冷気が入り込み
彼女はぶるりと体を振るわせ、身を縮こませた。
一つ大きな欠伸をし、目を二、三度擦った所でふと足りないものに気が付く。
壁の隙間から漏れる光に反射した、舞い散る埃が輝く室内に首を巡らせ
「…天斗?」
小さな声で名を呼んでも返事は無く、布を肩にかけたまま、ゆっくりと立ち上がった。
神社の扉を開けて外を覗くと、そこには探し人が鍋を前に背を向けていた。
注ぐ陽射しは白い着物を透かし、影になった体の線が映って見える。
ほっ…と軽く息を吐き、しばらく背中をぼんやりと見ながら
昨夜の事を思い起してみたものの、いつの間に寝入ってしまったのか分からなかった。
「おはよう」
考えている所に突然声を掛けられ、驚いた拍子に布を落しそうになった圓は
いつの間にやら振り返っていた天斗にたじろぎながらも
「…はよ……」と返答し、頬を軽く掻いた。
「よく眠れたか?」
今朝も変わらず、片目を閉じて飄々とした表情を見せている。
そして、やはり変わっていない天斗の全身をすっと流し見て口を開く。
「まぁ……うん…。寒くは無かったし…」
寝付く前の事は思い出せないが、凍えて目をさました覚えも無いと思う。
今はこんなに寒いのだが。朝方は冷えるから仕方ないのか?…と、なんとなく納得した。
朝日の中、ぽつりぽつりと会話する二人の息は白い。
「そう言うお前はどうなんだよ…」
なんの気ない質問返しではあったが、どことなくその口調と目つきには
遠まわしに天斗の薄着を咎めるものが宿っている。
しかし、返って来たのは「オレは熱いくらいだったから」などという
信じられない言葉と軽い笑顔であった。
「…変なやつ」
呆れかえって呟き、背を向けて神社に引っ込んでしまった圓には
天斗の言葉の意図が分かろう筈も無かった。
支度を済ませ神社を出る際、火鉢の傍らに置かれた苦無を手にとり
灰を払って懐に仕舞おうかと思った圓は
それをしばし見つめ、そっと火鉢の中に立てかけ置いた。
ここには火鉢はあっても火箸は見当たらない。
次に訪れた旅人が代わりに使えば良いと彼女は思う。
ほんのささやかな、一晩の宿に対する礼…
そんな気持ちを抱いた者達が、今の自分のように何かを少しづつ置いていって
あのように物がたくさん置かれている状況が出来上がったのだろうかと
朝日を受ける破れ神社を少しだけ振り返り、考えたのだった。
二人の思惑など気にもとめず、季節は刻々と移り行く。
雪混じりの向かい風は、花弁を乗せた追い風に変わる。
花はあっという間に散り、緑萌ゆる季節を迎えた頃、圓の着物が一枚増えた。
しかし色は藍錆色に負けず劣らず暗い物…。
忍装束に袖を通さないのは、せっかく様になった足さばきが
また衰えるのを嫌っての事だった。
五月雨に走り、照りつける日に辟易し、くだらない話に笑い
時に理由も思い出せないような些事で激しい口喧嘩をする。
それでも離れる事なく、二人の歩みは進められて行く。
そして何事も、確実に終わりの時は来る物で…。
日を追うごとに濃くなる秋の気配がつくづくと感じられる。
涼やかな風は心地よく、虫の音はどこまでも雅だ。
もうしばらくすれば、見事な紅葉が目を楽しませてくれる事だろう。
圓は自分が風情あるものを愛でるような性格ではないと分かっており
実際、腹の足しにもならない事に興味は無かった。
それでも、肌を突き刺すような夏の陽射しが影を潜め
静かに落ち着き姿を変える…そんな初秋は嫌いではなかった。
嫌いでは、なかったが……。
風に前髪が揺れ、少々くすぐったさを感じながらも、それを払う事はしない。
老木が大きな影を落すその下で、彼女は気だるげに寝転がっていた。
それだけならば、これといっておかしくはない。
しかし、地面に伏せて置かれた鍋に頬をくっつけて、まるで人形でも抱くかの如く
両手で風呂敷包みを抱えているのは如何なものだろう。
竹筒に水を汲んで戻ってきた天斗にも、その姿は奇妙に映っていた。
「枕にするには硬すぎないか?」
「……」
問いに答える事なく、圓は面倒くさそうな表情で彼を見上げ
これなら文句なかろうと言いたげに、重々しく体を起こそうとした。
「ああ、いいって。そのままでも」
竹筒を手渡すと、彼は傍らに座り込んだ。
圓は片手で受け取った後、しばらくそれをぼんやりと見つめていたが
やがて寝転がったままの姿で口へと運ぶ。
かなりの行儀悪さだが、天斗は何も言わず自分の水を一口飲んだ。
頭上より、はらりはらりとくすんだ色の葉が舞い落ちる。
天斗がその様を何気なく見つめていると、小さく「嘘つき」との声がした。
見下ろせば、鍋に張り付いたままの風変わりな横顔と目線が合う。
「確かお前…『すぐに着く』みたいな事を言っておったよなぁ…。
オレには、今また秋が来ているように感じられるのだが…?」
「そうだな…一年なんてぇのはあっという間だなぁ…」
暢気な天斗の言葉に、きつく睨みつけた。
…つもりだったが、姿勢の為に上目使いの瞳は妙に潤んで見える。
「けどよ、吹雪で足止め喰らったり、増水で足止め喰らったり…
色々とあった割りにゃ『すぐ』だったと思うぜ、オレは」
「……数百年も同じ事をしている家に生まれると…
あれか、時の流れも違って感じるわけか?」
重々しく口にした嫌味は、自身の頭に響いて聞こえていた。
これは鍋に顔をくっつけているせいだろうかと思った。
更に圓は口を開く。
「ま…確かに。色々とあったわな…。誰かさんが『つわもの』の噂を
聞きつける度にそっちへ行きたがってくれたりな」
目立てないからと帰郷を決めたはずなのに、見るだけでもと言って聞かない
天斗を何とか押し留め、頭を抱えた事が何度かあった。
なだめすかしたり、彼の白い腰紐を渾身の力で引っ張ったり
…よく破れなかったものだと、今になって思う。
時として本当に来た道を戻り、噂は噂に過ぎなかった事を二人で確認すると
圓はこっそりと安堵の溜息を吐いたものだった。
そして思うのだ、おのれは子供か!!と。
「仕方ねぇだろ。耳に入ったからには、礼儀としてだな…」
「そんな礼儀は要らん」
吐き捨てるように一蹴された天斗は、頭をぽりぽりと掻いた。
見上げたその顔は手に隠れて見えないが、きっとばつの悪いものだろう。
圓は枯葉が積み重なった地面に目線を移す。
「…どうせオレじゃ、お前の相手は務まらぬ…」
どこか拗ねたような響きの小さな言葉は、天斗の耳までは届かず
彼は『何か言ったか』と言いたげに見下ろしてきた。
しかし、彼女が同じ言葉を繰り返す事は無かった。
「……ふん。まぁ良いわ。どうせこの苦労とももうすぐおさらばじゃ…。
……お前の故郷にはもう…」
「ああ、三日もあれば着く」
「……」
圓は目前の風景がくらりと揺れ、霞んで見えたような気がした。
何故だか息まで苦しくなってきたようで、かかえた風呂敷包みの上から押さえつける。
「…ならば、さっさと行……」
「とはいえ、着くにはもう少し日が要るだろうがな」
二人の言葉はほとんど同時で、圓の言葉が途中で消えた。
言葉の代わりに細まった瞳が戸惑う気持ちを告げている。
「帰るのは、お前の熱が下がった後でもいいだろ…。
少し行ったとこに村がある。そこで休ませて貰おうぜ」
「!!」
圓は咄嗟に竹筒を握ったままの腕を額につけ、慌てて離した。
熱がある事がばれていた事、そして、あまりの熱さに驚いたのだ。
朝からだるく、戯れに鍋に触ればひんやりと心地良かった。
このような体調の変化は、幼い頃しか経験が無く、彼女はひどく戸惑いつつも
そんな大した事でも無いと思い込もうとしていた。
「べ、別に…この程度。大丈夫…」
「じゃねぇだろ。とりあえず、その包みを貸してくれ。確か薬があったはず」
天斗は手を伸ばしかけ、その動きが止まる。
彼女は包みをきつく抱えると、そこに顔を埋めるようにしてしまったのだ。
風呂敷越しに、くぐもった声が伝わった。
「オレが大丈夫といったら大丈夫なんだ!薬などいらぬ!!」
怒鳴り声はそのまま彼女へと跳ね返っていた。
くわんくわんと響き、痛む頭に顔をしかめつつ、無理やりに体を起こした。
もうすぐ…あと五日くらいで着くぜ。良かったな。
二日前、ほとんど日課となっていた
『あとどれくらいで着くのだ』と言う問いに返って来た言葉だった。
その晩から、何故かどれほど疲れていても、なかなか眠りにつく事が出来なくなった。
これでもう、自由になるのに。
これでもう、からかわれなくて済むのに。
あれだけ早く着けば良いと願っていた筈なのに…
薄ぼんやりとした不安が胸を占め、自分がよく分からなかった。
あんな瑣末な一言に、呆れる程の動揺を見せるとは
まるで手玉に取られているかのようで、彼女は苛立ち、ますます眠りは遠ざかる。
その蓄積が熱となって噴出してしまったらしい…。
そしてそれを、見透かされるのは嫌だった。
彼女としては、いつものように座っているつもりでも、勝手に体が傾いていく。
気付けば背後の老木に取り縋るようにもたれかかっていた。
木の表面のひやりとした感覚が、熱を吸い取ってくれるかのようだ。
傍らで水の流れて行く音がする。
見ればいつの間に手から離れたのか、竹筒が落ち、中の物を地面に吸い込ませていた。
「なぁ、薬だけでも飲んでおかないか?」
流れ行く水を魅了されたかのように見つめていた圓は
その言葉で我に返り、黙ったまま重苦しい動きで首を横に振る。
その様子に、天斗は困ったような薄い笑顔を見せた。
「みちのくの秋は足が速いって事を言いそびれていたオレが悪かった。
けどよ、何もそこまで頑なでなくても良いんじゃねぇか…?」
「……」
「圓、オレは…」
「言うなっ!!」
鋭く悲痛な声が、秋の気配を含んだ空気に響く。
それと共に彼女は両耳を手で押さえ、顔を伏せた。
何を言われるのかはまったく分からなかったが
聞いた所で良い事など一つも無いように思え、闇雲に拒絶していた。
拗ねきった、だだっ子のような姿になっている事には熱のせいか気付いていない。
両手が離れた風呂敷包みが転げ、水溜りに落ちそうになる寸前で天斗は捉えた。
迷い無く包みを解きながらも、圓から目を離さない。
耳を押さえていた手は頭を抱えるようになっており
きつく瞑られた目と寄せられた眉根、赤くとも健康的に見えない頬の色は
彼女の苦しみを端的に表している。
無理に大声を出したせいで、目に見えて症状は悪化していた。
叩きつけるように激しく大きな心臓の音と、ひどい頭痛
暗闇の中、それらをうんざりするほど味わう羽目になった。
とはいえ、先程まで見ていた歪んだ景色を思うと、目を開ける気にもなれない。
ふっと気が遠くなり、すぐにまた痛みと共に戻される。
突如、何の前触れも無く、唇に硬い物が触れた。
驚きつつも目を開けることは無く、口も咄嗟に縫い縛ると
閉じた合い間にある唾液から、じんわりと独特な苦味が伝わってきた。
『これは…』
圓の脳裏に、痛みの隙間をついて一年前の出来事が蘇る。
天斗の指先が、薬を飲ませようと押し付けているのだ。
それを避けるために、彼女は顔をそむけた。…オレは鯉じゃない!と思いながら。
散々な気分だった。
この気分の悪さは体調の為だけではなく、自身の不甲斐なさから来る
自己嫌悪だと理解出来ているというのも辛い物だ。
あまりの情けなさに、容易に気を失う事も出来はしない。
溜息のように熱っぽい吐息が漏れ、閉じたまぶたが悲しげに震えた。
そして、これもまた突然の事だった。
唇にまた何か触れた。諦めの悪い奴だと顔をしかめて避けようとするが
頬に添えられた手のせいで、大した力も入っていないのに動けない。
あれ…?と思う間もなく、少し強めに口が塞がれる。
初めて感じる柔らかさと暖かさに、それは指先ではないと言う事だけは分かった。
『これは……なに……?』
疑問と共に、一瞬詰まった息で薄く唇が開く。
対して瞳は更にきつく閉じられた。
頬に添えた手が導くように動き、そっと顔が上げられ
口腔にほんの少しづつ何かが流れ込んできた。
少々温んだそれは苦く、じわじわと口いっぱいに広がり彼女はたじろぐ。
溶けた薬が混じった水は不快でしかなく、今すぐ吐き出したかったが
逃れようと顔をずらすと、唇に何かが擦れ合い、背筋を寒気ではないものが走る。
勝手に肩がぴくんと揺れ、その勢いで口にたまった液体を飲み込んでしまった。
更にゆっくりと流れ込んで来るのを、観念した圓はこくんこくんと喉奥で受け止めつづけた。
息苦しい中思うのは、何を自分はされているんだという物よりも大きく
何でここまでしてまで薬を飲ませたいんだろう…という疑問だった。
…ここまで来たら約定が果たされたも同然…放って置けば良いのにと、思う。
最後の雫をひと飲みすると、そろりと唇を圧迫していた何かが離れた。
一瞬、躊躇するようなその動きは、名残惜しげに感じられたのは気のせいだろうか。
はっ…と、忘れかかっていた呼吸をすると、秋に染まる空気が流れ込む。
舌を上顎に擦り付け苦味を唾液で薄め、くらつく頭を前方に傾けると額がぶつかった。
ひんやりとした天斗の胸…押しのける気力も無く、そのまま力無くもたれ続けた。
「…オレは……」
閉じられ続けている瞳から、一粒零れ落ちたものが頬を濡らす。
「オレは…いきたくないから…じゃない。…こんなになったんじゃない…!」
「分かってるさ、そんな事…」
低く優しい声は、溶けた薬と共に染み入るようで。
ほっと息を吐いた彼女は、瞑ったまぶたから少し力を抜くと
気付かぬ間に真の闇へと引き込まれていた。
圓が重いまぶたを開けると、一瞬背が高くなったかのような錯覚の後
広い背中に担がれて、深い森の只中を移動しているのだと気付く。
……背負うのはオレの役目…なのに…
そう思って、またすぐに瞳は閉じられた。
次にぼやける頭が意識を繋いだのは、遠くから人の声を聞いたからだった。
牛の乳のような、濃密な白い霧。
その中から聞こえる声が気になって、耳をそばだてる。
「…から……の男どもはおなごの扱いがまるでなっておらぬ!
…私も塀の高さを放り投げられた時には……」
「お義母様ったら、またそのお話…ふふっ……あっ」
「おお、目が覚めたようじゃの」
遠いと思ったその声は、ほんの近くで交わされていた会話だったようだ。
晴れてゆく霧の中、ぼんやりと見えてきたのが古ぼけた天井で
圓は不思議な気持ちでそれを見つめていた。
…さっきまで、森の中にいたような気がしていたというのに…。
「大丈夫?」
聞きなれない、優しい女性の声。
答えを返そうと口を開こうとしても上手く行かず、戸惑って圓は相手を見上げた。
声に見合った優しい微笑を湛えて、その人は見つめ返してきた。
可愛らしくも強く、柔らかな色香のある姿はまるで陽だまりの中の花だ。
たおやかな奥方様といった風情のその人は、当然圓の記憶の中には無い。
いつまでも見詰めあっているのも変に思えて、圓は慌てて目線を逸らした。
そしてもう一人の女性に目を向けた。
力強い眉と瞳が印象的だった。
七十まで行ってはいまい。圓の父が生きていたなら同じ位の年代か。
顔には皺が刻まれつつも、生命力に満ちている。
ちゃきちゃきとして何となく頑固そうではあったが
安堵したような表情が、心配していてくれた事を告げている。
こちらも圓が初めて見る顔…。
なんとも対照的な二人だなぁ、などとぼんやりと彼女は思う。
そして、当然の疑問が湧きあがってきた。
「…あ…」
良かった、声が出せる…と安堵して、次いで言葉を紡ぐ。
「…あ…の、あんたがた…だれ…?」
すると二人は仲良く同時に顔を見合わせ、軽く笑う。
「ああ、これはすまなんだ。…私は蛍。天斗の祖母じゃ。して、こちらが…」
「はじめまして、圓さん。私は天斗の母で詩織と言います。
…あの子がご迷惑をお掛けしたようで、ごめんなさいね」
優しく語られたその事実を、圓の頭が吸収出来たのは、だいたい十秒ほど経った後だった。
ぼんやりとしていた瞳が、思い切りよく見開かれた。
「………えええっ!!たっ、天斗のっ…!?」
額に乗っていた濡れ手ぬぐいをふっとばし、今は一つに結われていない
背を覆う長い髪を揺らし、彼女は勢いよく体を起こす。
…しかし次の瞬間、両肩をつかんだ詩織によって布団に横たわらされていた。
手弱女にしか見えない彼女の意外な力強さに圓は面食らう。
そんなにも体が弱っているのだろうか…と、初めて自身の病状を懸念した。
詩織は布団を掛けなおすと、傍らに置かれていた湯飲みに水を注ぎ
「まだ起きてはいけないわ」そっと手渡しながら言う。
少し戸惑いつつも、素直に圓は湯飲みを受け取り口をつけた。
一口飲むと、熱を持ち乾いていた体に染み入るようで、一気に飲み干してしまった。
その様子を見ていた詩織は、くすっと顔を綻ばせた。
ほっとして、またもぞもぞと寝なおせば、蛍が手ぬぐいを水につけ
硬く絞ると額にそっと乗せてきた。
遠慮がちに「どうも…」と礼をいい、肩に入っていた力を抜くと
しっとりとした冷たさが心地よく、熱がまだ高いことを自覚させられる。
子供を寝付かせる時にするように、布団をぽん、ぽんと軽く叩き
「ここはね、陸奥縁の里よ…。だからもう、なにも心配する事は無いからね。
もう少ししたら重湯を持ってくるから、それまでお休みなさい…」
子守唄の如く、ゆっくりと囁かれる詩織の声を聞き、軽く頷く。
頷きつつも、物思いが心を占める。
…なぜ…心配要らないのだろうか…
…天斗は…どこにいるのだろうか…
声に出せない問いを飲み込んで、圓はゆっくりと瞳を閉じた。
747 :
159:2005/04/27(水) 22:51:10 ID:hGIcGGCX
今回はここまでです。
話としては、えちシーン込みで半分くらいまでは来たのかなぁ…。
頭の中で考えている長さと、文字に起こした長さじゃ全然違うっすね。
まさにド素人の読み違いですよ。申し訳ないことですorz
更新乙です
続きが楽しみですが、ゆっくり書いてください
あのう・・・・
大変な力作で結構なんですが現実的な話を一つ。
そろそろ新たなスレ立てないとKBの値が・・・・
確か501KBが限界じゃなかったっけ?
751 :
159:2005/04/27(水) 23:08:14 ID:hGIcGGCX
ぎゃー!しまった!!まさかこんなに容量食うとは思いもよりませんでした。
もう490Kだよ。どうしよう、俺スレ立てられないしなぁ。
レイプもこっち(159)もどっちもGJ!!!!!
次スレにて、続きお待ちしておりますノシ
双子編からの三世代陸奥嫁が見れるとは幸せじゃのう
保守させてもらうぜ(ニィ
ホシュ
待ち
新作待ち
760 :
名無しさん@ピンキー:
続編待ち(ニィ