カルドセプトでルシエン嬢を中心にハァハァ BOOK3
スレ立てthx!
地王待ちだけど、微力ながら即死防止カキコ。
>>1 強打しちゃうのかよ!
…ってことはグラディエーターたん最強?
こんばんは。地王などと呼ばれた者です。
月末かつ新スレとなりましたので、前スレでの予告通り、続きを投下させて頂きます。
濡れ場がほとんど無いという体たらくですが、即死防止が第一義と、御容赦下さい。
「クラリスさんのここも、熱く、なってて、いやらし、い……」
「どうしたいの、ここを熱くさせて、貴女は何がしたいの?」
ルシエンが立ち上がったことも、ルシエンそのものが起き上がったことも知らず、二匹のクリーチャー
は貪り合う行為に没頭していた。
「したい、したい、したいんです!」
「何を、何を、いったい何を?」
肉欲の女王に押された異形の肉は、快感の階段をそのまま昇り続け、今や人間には達し得ない高み
でもがいていた。しかし、無遠慮に入り込んだ指は粘液に塗れた襞を弄ぶが、望まれる深みまでは潜
ろうとしない。焦れる。
「う、く、ぅん……」
それにしても、この媚態はたいしたものだ、とクラリスは唾を飲む。これほどに人間を模し、人間を上
回るほどに人らしく、人間を欺ききるだけの仕草を行えるこのクリーチャーは、本当にバルダンダースな
のだろうか。カルドセプトに記されたバルダンダースの定義に当てはまるというだけで、セプターに広く
知られたそれとは異なるものではないのだろうか──つまり、自分のように。
「し、したいんです! クラリスさんと、ひだひだを重ねて、ぐちゅぐちゅしたいんです!」
ハ、ハ、この舌足らずな声と卑猥な言、これが擬態だとすれば、いったい何を模してこうなった?
混ざり合い、視線を括り合った魔物を恐れることはない。障りとなるのはあの道化だ。こちらを見てい
るのか? 逃げようとする私を見ているのか?
目を口を心を隠すのが道化。その気が触れているのだ、何を考えているのかなど常人に知れるはず
もない。手毬を突いて歌う道化に怖気がしつこく頭をもたげるが、ルシエンの意志は、それを容易く握り
潰した。
「……でも、今しかありません」
走り出し、目指すのは、まだ見ぬ場所に続くあの出口。右の革靴と左の素足で床を蹴り、水を跳ね上
げ逃げる聖女、に気付いた気狂いは、物憂げな仕草を装ってそちらを見やった。
体を動かすことに慣れていない預言者ではあったが、あらん限りの力を絞り出して走る。長い裾が足
に絡み、倒れ込みそうになる。それでも、体よりも足を前に出し続ける。
「無駄だろうよ」
道化の声が背中を撫で上げた。
「そこは行き止まりだ」
扉の代わりに影の詰まった出口へとルシエンが辿り着くよりも早く、石畳が隆起した。亀裂から溢れ出
す、青すぎる水。
後ろに飛び退いた賢者は、裸足をぬかるみに取られ、尻と両手を付くことになった。その床もまた波
打ち、聖女を縦に横に揺らす。
「動かずとも良いだろうよ」
混乱の中、透けた声で道化が嘲る。
「そこは墓穴だ」
首を巡らせ、賢者はすぐに状況を読み取った。隆起は己を取り囲み、盆地を囲む山脈を為していた。
山々は見る間にその高さを増し、それが床であったことが怪しく思えるほどの様になっていく。
「ジェミナイ様は言ったね、おいたが過ぎるようであれば、殺しても構わないと」
ひときわ険しい山に飛び乗った道化は、麓の預言者を見下ろした。
「諦めて欲しいのだが」
「拒みます」
立ち上がり、強く静かに視線をぶつけるルシエンに、マッドクラウンは腕を組んで首を振る。
「ならば、確実な死が訪れる」
山が崩れる。石や泥が滑り落ち、その本性を露にする。
「クリーチャー、ですか」
「その通りだ、愚かな賢者殿。カードも剣も持たぬ人間が、果たして彼女に勝てるかどうか……」
太さは大木、長さも然り。数で言うなら林の如し。
「気狂いでも分かる、無駄なことはやめたまえ」
多頭の大蛇が、瞼を持たぬ数多の瞳で、聖女を見下ろしていた。
「この姿……ヒドラ!」
「ハイドラ、と言って欲しいね。ソルタリアの人間は発音が悪い」
ルシエンを囲んで立ち並ぶ蛇頭が、緩やかに動きながら獲物を値踏みする。
「なるほど。彼女の本体は、床下ですか」
「然り然り。つまり、分かるね?」
ハイドラが、ルシエンの知るヒドラと同じものならば、その特性が同じであるならば。
「分かっています」
半ば不死である首の群れと、しばらく戯れなければならないということだ。
「気狂いっ、何やってるの!」
少女と尼僧も駆け付けるが、蛇上の道化は、目も向けない。
「ジェミナイ様に従っている」
「そんな……ルシエンさまでは、もっと遊びたいのに」
「殺すことには異存無いけどさ、私たちは混ぜてくれないわけ?」
二匹の抗議にも、煩わしそうに手を振るだけで取り合わない。
「ここは道化師の領地だ」
そう言葉をかけるだけでも大儀だと言わんばかりの声色に、バルダンダースとサキュバスは顔を見合
わせ、呆れた溜息を吐いた。
「さて、賢者殿。さっそくだが終わりにさせて貰おうか」
蛇の一匹が鎌首をもたげ、預言者に狙いを付ける。
「やってみてはいかがですか?」
「お別れだ、最後の人間よ」
稲妻の閃きで、ハイドラの首が襲いかかった。
「ああ……ああ、悲しい幕切れだ」
蛇は噛み付くでも呑み込むでもなく、押し潰そうと首を伸ばし、床を貫いた。青い水飛沫に土煙が溶け、
泥の柱が上がった。
「気高さが生んだ悲しみだ、頑迷さが呼んだ死だ」
泥柱が地に落ち溶けたときでさえ、マッドクラウンは勝利を疑っていなかった。いかな熟達の戦士であ
れかわすことは出来ぬ、必殺の一撃に思えたのだから。
「気狂い! 外したぞ!」
そのため、クラリスの声が何を意味しているのか理解できなかった。首々の影から飛び出した聖女が
無傷で、泥すらほとんど被らぬ姿でいるのを見ても、すぐには反応できなかった。
賢者の手には、尖った石の破片が握られていた。床から引き抜いたばかりのハイドラの頭に、瞼の無
い瞳にそれが突き刺さったとき、ついに道化は気が付いた。
あの、カードも持たぬセプターは、ハイドラの攻撃をかわしたのだ。
傷付き悲鳴を上げる蛇頭を呼び戻し、気狂い道化師は考える。今の速さに反応できる者が、人間に
いるというのか。それも、このような女がそうだというのか。
信じられないながらも、叫ぶ首に飛び移り、刺さった破片を取り除いてやる。傷口が泡立ち、道化の考
えがまとまる頃にはすでに、ハイドラの目は完治していた。
よけられたのは何かの間違いであるからして、次かその次で、賢者殿は床の染みとなる。
よしんば逃げ続けたとしても、ハイドラの再生能力を打ち破る攻撃など、仕掛けられようはずもない。
「いやはや賢者殿、素晴らしい立ち回りだったが、残念、ハイドラにとってはこれくらいの傷など物の数
ではないのだよ。つまり、絶望的な状況は何一つ……」
「肩書きの割には、当たり前の話をくどくどと繰り返すのですね」
ルシエンは笑っていた。目を細め、口の両端を吊り上げるその顔は、道化が気狂いとなってからずっ
と忘れていた、怒りというものの残滓を揺り起こす。
「どうぞ、続けてみてはいかがですか?」
「強がりはやめたまえ」
ハイドラの首が、今度は二本動いた。
三匹の中にあって少女だけは、この事態を把握していた。ハイドラに繰り出させる攻めがことごとく、
それも魔法のようにかわされる理由。
「すごい……」
見ようによらずとも、明らかに怒り狂っている表情を仮面に浮かべた道化は、手毬の一つに己の魔力
を注ぎ込んだ。膨れ上がり、金色の髑髏へと姿を変えたそれを、ルシエンに投げつける。歯を打ち合わ
せながら空を滑る髑髏は、非力なマッドクラウンの攻撃とはいえ、ただの人間にとっては命を奪うに足
る一撃である。それも、あんな女など。
怒りの表情が和らぐ、会心の一手。低空を薙ぐようにして襲いかかったハイドラの首を、伏せることに
よってやりすごしたばかりの賢者には、よける余裕などあろうはずもない。
「無駄です」
口にしたのは少女だったが、預言者の表情も同じことを言っていた。
セプターは素早くも冷静に、伏せたまま転がって、すんでのところで死を逃れる。髑髏は聖女を噛み
損じ、そのまま床を滑って壁に歯を立てた。かちぃん。
「信じられぬ、信じぬ、これほどに、まぐれが、馬鹿な」
「道化、息が上がりましたか?」
本来セプター能力を有していないマッドクラウンでは、他のクリーチャーを御し続けるのには自らの魔
力を削るしかない。己を保つための力を残しつつ仕掛ける、そんな余裕はあと一回と、道化は踏んだ。
「万策尽きたわけではない、愉快なのはこれからだ」
「そうですか……」
ルシエンの呼吸も荒い。これで終わらないはずがない。
全ての首が狙いを定める。これまで控えてきた全方位からの攻めを行うにあたり、道化にはまだ必勝
の策が残っていた。
「では、今度こそさよならだ。美しくも強き賢者殿」
「こちらからも、そのまま。前半分だけ」
首が一斉に後ろに引いて力を溜めたその時、策が動いた。地下のハイドラが、大きく体を揺する。
「あわっ!」
少女が転びそうになるのを、夢魔がどうにか支える。速いが単調であった攻撃からの転調は、賢者と
いえど予想できるものではない。よろめき、足を奪ったところをハイドラが一斉に襲うのだ。もし転びでも
すれば、噛んで毒を流すくらいの遊びをしてもいいだろう。死にながら嬲り辱められれば、もうあのよう
な態度も取れないだろう。
「あ」
しかし、聖女は宙にいた。ほんの一瞬の跳躍は、ほんの一瞬の地震と完全に重なっていた。揺れの
収まりつつある床に降り立ったルシエンに思いを巡らせるのはやめ、気狂い道化師はハイドラをけしか
けた。ここで仕留めるしかないのだ。
「ハイドラァァ!」
裏返った声に従い、首が繰り出される。しなる巨木を横飛びでかわし、すぐに後ずさって垂直に落ちて
くる蛇頭をいなし、それを盾にして迫り来る一本を防ぎ、迷わず伏せて追いすがる二本を交差させて制
し、おそらく道化にとって最後の賭けであろう上下左右からの立体攻撃を、僅かに立ち位置をずらすだ
けで無効化する。
魔力も尽きかけ、ついにマッドクラウンは現実を受け入れた。
「気が……触れたのか、この道化は!」
「いかれてるだろ、とっくに」
笑いながら、クラリス。淫らな夢を統べるクリーチャーは、顎で道化を下がらせた。ハイドラもルシエン
の退路こそ塞いでいるが、動きから精彩が失せている。
「強いねえ、ルシエン様は。だけど私には分かってるさ、いちいち指示を出して、なおかつあんな大振り
ばかりじゃあ、ちょっと頭の回るやつには読まれても仕方ない。ま、気狂いの限界だわね」
ルシエンは答えず、一歩も引かず、サキュバスを見据えている。
「どうだろうね、私は殺し合いなんざしたくないから、またおとなしく、その臭くて品の無い、爛れた……」
「拒みます」
その言葉で、尼僧の口が喜悦に裂けた。
「そぉおうかい! じゃあ仕方ないね、壊しちゃおうか!」
右腕をゆっくりと、肩の高さまで水平に持ち上げる。
ぞっ、という音が鳴り、袖に穴が空いた。
「クラリスは。骨も残さぬ。そのつもり」
再び人間らしさの失せた道化は、平たい声で漏らす。
「これは、あはは、これは、あはははは、痛いよお?」
空いた穴は、内側から溢れ出す魔力による腐食だった。千切れた布は風もないのに舞い、そのまま
空気に溶けた。
現れたクラリスの腕は、紫色に染まっていた。その手首には、白銀の腕輪が嵌められている。
「パワーブレスレット……」
賢者が呟いたのは、カルドセプトに記された、破滅の力に満ちた腕輪の名。
「う、あ、あはぁ……力そのものが満ちてくる。これこそ、この世で最高の気分だよ……ブチ込まれるの
を別にすればねェ!」
腕が、関節一つ分長くなる。指はどれも二本分の長さになり、爪は三倍の長さにねじれて伸びた。
「さっそく濡れてきた。さっさと済まして、続きに戻りたいよ」
「分かりました」
法衣を突き破り羽根を生やし、サキュバスは飛びかかる。
「無駄ですよ」
少女はクラリスにそう言ってみたが、羽ばたきに散らされて届かなかった。
この後、もう少し我慢してお付き合い頂ければ、濡れ場に達する予定であります。
この新スレでも、気長にお待ち頂ければ幸いです。
>>1様
スレ立て有難うございました。
正直、自分が立ててることになって何か失敗をしまいか、戦々恐々としておりました。
>オルメク頭氏
書くには不得手な甘い恋物語、一読者として堪能させて頂きました。
しばらく投下は控えられるとのことですが、拙作のような変わり種が幅を利かせてはスレの
為にも良くありません。復帰の日を心待ちにしております。
それではまた、できれば近いうちに。
>>ダークマスター様
最高ですね。ホント。
こんなドキドキしながら小説読んだの久しぶりです。
ああ、次回が待ち遠しい。
追伸:そう言えば保管庫ってもう更新されないんですかね。
新スレおめでdということで急遽落書きしにきました
ハイドラァァ!でてっきりこういう展開になるものだと思ったのに…ちくしょォ!
http://members.jcom.home.ne.jp/zaku7/img/040831.jpg あー、私の物置はリンクはずしてもらって構わなかったんですけど…
ちょくちょく更新とかできそうにないので今後もたまに貼りに来るだけになりそうです
>無敵頭氏
らぶらぶ萌えでした。
これっきり、とは残念ですが私(達)は待つのにはもう慣れっこなものでして
気が向いたら是非またいらしてくださいね。
地王のSSを読むだけでなく、ぼじゃノロイ様のイラストまで拝めるとは!!
何故この展開にならなんだ。今回のルシエン姉さんの雰囲気は物凄くツボです。
ちくしょう、生きてるっていいな。
地王のSSって、台詞回しがニュアンスたっぷりで凄いと思う。
地の文を(たぶん)「わざと」悪文にしたりしているところに、手馴れたものを感じるのです。
それにしても、ヒドラをわざわざハイドラとしたところでニヤリ。
ゴスロリの一件といい、地王もお好きですなぁ。(`・ω・´) テコトハ、ダゴンモデルノデスナ
>ぼじゃノロイさん
>>21氏ではありませんが、何故あのまま濡れ場にしなかったのかと悔やむほどに
素晴らしいイラストを有難う御座います。
このルシエン嬢のおかげで、日々頑張れそうです。
これからも、ぼじゃノロイさんのイマジネーションをかき立てるような小説を書いて
いきたいなと、何とも調子の良いことを考える私であります。
>>19氏
おだてられても、何もでませんよ。いや正直、恐縮です。
>>21氏
(`・ω・´) ヨマレテシマイマシタカ!
>>1 新スレ乙こんな素敵なスレに居られるの幸せを満喫してます。
ゲームをメインでやってたころはルシエンなんて顔色の悪いおばちゃんくらいにしか思ってなかったのに……
んーハイドラでダゴンで悪文、HPLかな?
あの水分の多い狂気の世界はいいですよね、くどい修辞をいっしょに呼んでくとなんだか背中がくすぐったくなる。
地王様の作品はエロもそれ以外も背中に来ます、ぞわぞわと。
愛作さんもそうだが、今回はS・キングのクリスティーンも入ってましたぜ。
違ってたら恥ずかしいけど、たぶん地王のことだから合ってると思う。
「これこそ、この世で最高のにおいだね・・・プッシーを別にすれば」(うろ覚え)