【とっきゅん】武装錬金のSS 第五章【水着】

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1名無しさん@ピンキー
前スレ立てから2ヵ月とちょっとで前スレ消費。
今月は来るか?海水浴!

〜錬金戦士&超常選民の為のおやくそく〜
◎基本的にsage進行で
◎ネタバレは公式発売日(月曜日)の午前0時以降に!
 それ以前のバレはバレスレに!本気で嫌な人は木曜あたりから気を付ける
◎次スレは>>950さんヨロ
 立てられない場合はだれかに委任して下さい
◎SS投下神(エロス・ラブラブ問わず)はもちろん、プロット書きも大歓迎
◎直リン、私怨厳禁
◎荒らし煽りは徹底放置で。マターリできない香具師は核金没収後ブチ撒けます。

初代スレ【バルキリー】武装錬金【スカート】
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1057553474/
二代目スレ【斗貴子さん】武装錬金のSS 第2章【まひろタン】
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1061136195/
三代目スレ【パピヨン様が】武装錬金のSS 第3章【見てる】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1070195663/l50
前スレ【夏だ!】武装錬金のSS 第4章【海だ!】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1083049582/l50

関連スレ、サイトなど
武装錬金-LXXXIV(84)-
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1089636907/l50
【何でもする】武装錬金萌えスレPart25【お願い】
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1089043161/l50
2chエロパロ板SS保管庫
ttp://sslibrary.gozaru.jp/
2名無しさん@ピンキー:04/07/16 01:41 ID:qTlpXTDE
3名無しさん@ピンキー:04/07/16 01:53 ID:ltUFV1dM
乙ッ。
4名無しさん@ピンキー:04/07/16 02:40 ID:RyHAtQOH
(´Å`)乙
5名無しさん@ピンキー:04/07/16 03:01 ID:79MF8r13
おつでし
6名無しさん@ピンキー:04/07/16 03:10 ID:5yFw2qx3
斗貴子さんのバストって何センチくらいだろ?

ブラはBカップ程度だと勝手に妄想してるんだけど
7名無しさん@ピンキー:04/07/16 03:17 ID:ZhnHoMxW
>6
単行本に書いてあるよん。作者には賛美と非難の声が両方きたらしい・・。
8名無しさん@ピンキー:04/07/16 03:18 ID:Ky5gL4Wp
ちとネタバレになるが

最低でもBはある。
まひろは思ってた程でもなかった。
ちーさーは共にAっぽ
9名無しさん@ピンキー:04/07/16 03:19 ID:Ky5gL4Wp
あぁ・・・書いてあったなそういえば
10名無しさん@ピンキー:04/07/16 03:26 ID:uSe/blVo
まひろ85ならアンダー70のCカップっぽいなぁ
11名無しさん@ピンキー:04/07/16 13:59 ID:yzcLUJ9r
へぇえ
12名無しさん@ピンキー:04/07/16 17:03 ID:9h2phGt0
お前らが斗貴子さんに萌えている間も
サクラコさんに萌え続けている俺は蝶勝ち組
13名無しさん@ピンキー:04/07/16 20:07 ID:T2y1a7+4
サクラコさんって誰だっけ
イヤマジデ
14名無しさん@ピンキー:04/07/16 20:59 ID:LFDVDA3q
もう斗貴子さんにしか萌え無い俺は蝶勝ち組み。
ただし・・・大浜ぁぁあ!(・∀・)人(・∀・)ナカーマ
15名無しさん@ピンキー:04/07/16 21:53 ID:E4JReSy8
>>1
乙!
16名無しさん@ピンキー:04/07/16 22:21 ID:sCVdg35E
【和月】武装錬金【////】萌えスレ25【ブラボーだ】
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1089978580/l50

萌えスレの新スレが出来たから
ここに載せとくよ。
17名無しさん@ピンキー:04/07/17 01:38 ID:0KUbkdR4
>>13
サボキャンのあれよ。
1813:04/07/17 03:11 ID:OZWPVBSf
>>17
あ〜あれか。

…って武装錬金関係無いじゃん
19名無しさん@ピンキー:04/07/17 07:00 ID:QJUbmlj0
即死阻止。
つかTQNの水着にときゅ――ん。

まひろは確かにアンダー70のCっぽいな。そしてTQNはアンダー65のBと。
ふたりとも程良い大きさで実に(・∀・)イイ!
20名無しさん@ピンキー:04/07/17 07:31 ID:ggnj1Wur
カズキがどこまで大きくさせてあげられるのかが
これからの武装錬金の重要テーマのひとつだな。

カ「俺はマッサージの達人だぁ!」
斗「コラ!ちょっとヤメ…ん…」
21名無しさん@ピンキー:04/07/17 09:30 ID:8eJbigZe
まひろ「私はローションマッサージの達人よ!」
斗貴子「な、な、・・・・んあっ!!」
22名無しさん@ピンキー:04/07/17 14:16 ID:4Ma4Gp8n
お前らだまされるな、サクラコさんとは斗貴子さんの仮名だ
まだ名前が出てないころ本スレでそう呼ばれてた
2313:04/07/17 14:21 ID:OZWPVBSf
>>22
THX、そういう事か。
24名無しさん@ピンキー:04/07/18 01:42 ID:ZpB5jm4M
保守っとくか
25名無しさん@ピンキー:04/07/18 03:19 ID:AiEhaycG
今週号でつひに、
と、とっきゅんのみじゅぎ・・・
萌え〜! 萌えぇ〜!!

「斗貴子さんおヘソ丸出し」
「見るな!!」

ナイスだ、和月!!
26名無しさん@ピンキー:04/07/18 12:28 ID:VsgP3NF6
おヘソも強力だが、むしろミネラルウォーターを手に顔を赤らめる斗貴子さんの方に、オレはより強くエロスを感じたんだが。
27名無しさん@ピンキー:04/07/18 15:16 ID:VIYKYUGm
「ちょっと待て!それは何の話だ?」
と、言ってるときの見開いてる瞳孔に萌えを感じました
28名無しさん@ピンキー:04/07/18 23:49 ID:D4vM22jg
まひろを除いた3人の胸のでかさの順位が微妙だ
29名無しさん@ピンキー:04/07/19 00:55 ID:6b2294eB
>>26
あの表情はホントヤバイな。艶っぽいというか
30名無しさん@ピンキー:04/07/19 10:40 ID:2rkjZppH
「ああ、いいなぁ」と思ってる表情と見た!
31夏の夕暮れ  (No.1):04/07/19 15:41 ID:a0sorhov
ジーワ、ジーワと蝉の鳴く声が聞こえる。
また、暑い夏がやってきた。

年によっては冷夏などともいわれ、それほど平均気温が高くなかったこともある。
それでも、いつの間にか梅雨が明け、肌に貼りつくような湿気もそのままに、
今年もまた、暑い季節がやってきた。

暑さこそ変わり映えはしないものの、この夏は去年までとは違う様相を呈していた。
それは、生活環境の変化によるところが大きい。

今年の春、私は銀成学園に入学し、寄宿舎に入った。
それまで親元を離れたことがなかったから、両親、特に父はずいぶんと私のことを
心配してくれた。

新しい友達もできた。
まひろと、沙織。
そのことを話したときの母の声は、とても嬉しそうだった。
それまで一人でいることが多く、両親に友達のことを話したことはほとんどなかった。

女友達だけじゃない。
男友達(といってもいいのかは未だに疑問だけど)もできた。
まひろのお兄さんの、武藤カズキ先輩。
その友達の岡倉英之先輩、六舛孝二先輩、大浜真史先輩。
要らぬ心配をかけたくなかったので、男友達の件は両親には話さなかったけれども。

武藤カズキ先輩。
まひろとはよく似た兄妹だった。
何故かしら人を引き付ける魅力を持つ人。
私にはないモノを持つ人だった。
32夏の夕暮れ  (No.2):04/07/19 15:42 ID:a0sorhov
「ねね、ちーちんも行くでしょ?」

まひろと沙織がおしゃべりをしているところに顔を出す。
期末テストも終わり、夏休みも近い。
夏休みの予定の話でもしているに違いなかった。

「行くって、どこへ?」
「海!」

右手をあげて元気に答えるまひろ。
この子はいつもこうだ。

「千葉の海豚海岸なんだってさ〜。
 詳しくはまだ決まってないんだけど、一泊二日で行けたらいいなぁ、なんて」

沙織が説明してくれる。

「いいわね、夏らしくて。
 うん、私も行く」
「やったぁ!」
「うんうん、そうこなくちゃね」
「じゃぁ私、お兄ちゃんに話してくるね!」

そういって教室を抜け、駆け出して行ってしまうまひろ。

「…え?」
「恋のバカンス、アバンチュール!!
 ああ、今年の夏は何かが起きそう…!」

…沙織は既にトリップしてしまっていた。
33夏の夕暮れ  (No.3):04/07/19 15:43 ID:a0sorhov
…ああ、まさかこんなことになるなんて。

泊りがけで、海。
男の人と、一緒に。
二人きりではないとはいえ、それは私にとって初めての経験といってよかった。

中学の修学旅行にも行ったりはしたが、それとはワケが違う。
学校行事なんて義務感によるものでしかないわけだし、何より今回はあの人…
…カズキ先輩が一緒なのだから。

やはり断ろうかとも思ったけど、満面の笑みでVサインまで携えて戻ってきた
まひろには、とてもじゃないが言い出せなかった。

「明後日、終業式の後に談話室で打ち合わせだって」
「ふんふん、それじゃあ明日にでも新しい水着を買いに行くとしますか!」
「さんせーい」

盛り上がるまひろと沙織。

「…あ、私はいい」
「えーなんで?
 まさか、学校指定のスクール水着なんていうマニアックな路線で攻めるつもりじゃ…」

沙織がニヤニヤしながらきいてくる。

「そんなワケないでしょ。
 私だって、プライベートの水着くらい持ってる」
「えーでもさー、高校生活初めての夏なんだし、新調しちゃおうよ」
「去年買ったばかりだから」
34夏の夕暮れ  (No.4):04/07/19 15:44 ID:a0sorhov
…全部嘘だった。

プライベートな水着なんて、持っているわけがない。
私には必要のないモノだった。
…去年までは。

カズキ先輩と、泊りがけで海。
それだけでもドキドキものなのに。
水着姿まで披露しなければいけないなんて。

少し考えれば当たり前のことなんだけど、今の私にはそんな余裕はなかった。
沙織と一緒に買いに行ったりなんかしたら、どんどんエスカレートして、どんな過激な水着を
買わされるか分かったもんじゃない。
かといって、スクール水着などは言語道断だ。

新しい水着を手に入れる。
しかも、極秘裏のうちに。
カズキ先輩に、見てもらうための水着を…。

顔が赤くなった。
でも、惚けてる暇はなかった。
35夏の夕暮れ  (No.5):04/07/19 15:47 ID:a0sorhov
そして運命の日。

電車とバスに揺られ、目的の地へとたどり着く。
海豚海岸。
日差しがまぶしい。
絶好の海水浴日和だった。

淡く、落ち着いた色の水着。
ヒモを首に回して止めるようになっている。
少し背中が開きすぎているような気もしたけど、この水着が一番しっくりきた。

紫外線よけにパーカーを羽織り、日焼け止めを携えて砂浜へと繰り出す。
そこには、強い日差しを照りつける太陽。
そして、あの人…カズキ先輩の姿があった。

カズキ先輩の表情はいつもと変わらなかった。

いつもと変わらぬ、優しく穏やかな表情。
私の水着姿を見てもドキリとした素振りも見せなかったし、斗貴子さんへのまっすぐな視線も、
普段と変わりはしなかった。

津村斗貴子さん。
四月の半ばに銀成学園に転入してきた女性。
顔の真ん中に大きな傷がある女性。
でも、優しさと強さを兼ね備えた女性。

…そして、カズキ先輩の視線を一心に受ける女性だった。
36夏の夕暮れ  (No.6):04/07/19 15:49 ID:a0sorhov
パーカーを脱いだほうがよかったかな、と思う。
もっと過激な水着のほうがよかったかな、とも思う。

…ううん、そんなことをしても無駄だということは分かっていた。

カズキ先輩のために水着を選んでるときは、すごく楽しかった。
昨夜は海水浴のことで頭がいっぱいで、なかなか寝付けなかった。
さっきまでの私は、間違いなく恋する乙女だった。

…でも。

カズキ先輩には、斗貴子さんがいる。
強い絆で結ばれている。
それは、誰の目から見ても明らかだった。

それでも、私は、カズキ先輩のことを…

私は、持てるだけの勇気を振り絞って、行動を起こすことにした。
37夏の夕暮れ  (No.7):04/07/19 15:50 ID:a0sorhov
「武藤先輩、ちょっといいですか?」

カズキ先輩が一人になっているところを見計らって、声をかける。
うっすらと空が夕闇に染まり始めた時間帯だった。

「ん、何ちーちゃん?」

いつもの笑顔で振り向いてくれるカズキ先輩。
その笑顔が少し切なかった。

「少し、お話がしたいのですが…」
「うん? 急に改まってどうかしたの」
「はい。あの、ここではなんなので、あちらの岩場の陰まで」

そういって少し離れた岩場を指差す。
あそこなら、他に誰もいそうになかった。

カズキ先輩はうなずいてくれた。
そして、二人連れ立ってその岩場の陰に向かった。

「ここでいいですね」

私はカズキ先輩のほうに向き直り、先輩の顔を真っ直ぐ見据える。

パーカーは脱いでいた。歩いている間、カズキ先輩の視界に私の背中も
入ってるはずだった。
カズキ先輩は、私の背中を見て、少しでもドキドキしてくれただろうか?
38夏の夕暮れ  (No.8):04/07/19 15:51 ID:a0sorhov
「で、話って?」
「その前に、ひとつお願いがあります。
 少しの間、私がいいというまで目をつぶっていてもらえませんか?」
「? いいけど…」

無防備に瞳を閉じるカズキ先輩。
そんな素直なところが、とても可愛いと思う。
このチャンスを逃す手はなかった。

「んむっ」

すかさず、カズキ先輩の唇を奪う。
身長差があるため、飛びつくようなかたちになる。
不意を突かれたカズキ先輩はバランスを崩し、後ろに倒れこんでしまう。
全て計算どおりだった。

「…っ」

私は目を閉じ、唇だけに神経を集中させた。

カズキ先輩の、くちびる…。
…あたたかい…。
今、間違いなく私達はキスをしていた。
39夏の夕暮れ  (No.9):04/07/19 15:53 ID:a0sorhov
両手をカズキ先輩の肩まで伸ばし、精一杯抱きつく。

その気になれば、私を払いのけることは簡単にできると思う。
でも、それをしないのがカズキ先輩だ。

ギュッと身体を押し付けているため、カズキ先輩の胸の鼓動も感じることができる。
ドクン、ドクン、ドクン…!
カズキ先輩の胸も、大きく高鳴っていた。

そっと、カズキ先輩の下腹部に手を伸ばす。
カズキ先輩のペニスは、既に固くなっていた。

ああ、私を感じてくれている…。
それはとても嬉しいことだった。

私はいったん唇を離した。

「ちーちゃん…」

カズキ先輩が、驚いたような気まずいような複雑な表情で私を見る。

「…急にこんなことしてごめんなさい」
「いや、そんな、俺のほうこそ…」

カズキ先輩がしどろもどろに答える。
カズキ先輩はちっとも悪くない。
私が勝手にカズキ先輩を襲っただけだ。
それなのに、こんなふうに私に謝罪の言葉を投げかけてくれる…
40夏の夕暮れ  (No.10):04/07/19 15:56 ID:a0sorhov
「…私、武藤先輩のことがずっと好きでした。
 あの事件のとき、学校で私を助けてくれたときから…」
「…そう、なんだ…」

私はニコリと笑いながら続ける。

「きっと、こんなことでもなければ一生気が付かなかったんでしょうね」
「う…いや…ゴメン…」
「いいんです、そういうニブチンなところも好きですから」
「はは…」

苦笑い、というよりはよく分かっていないような曖昧な笑顔。
とてもカズキ先輩らしいと思った。

「この水着、今日のために買ったんですよ」
「え、そうなんだ?」
「はい。でも、武藤先輩はお気に召さなかったみたいですね」
「いや、そんなことは…」
「おへそが出てたほうがよかったみたいですね」
「え?」
「だって、斗貴子さんのおへそに夢中だったみたいですから」

意地悪くいってみる。

「えッ!? い、いや、あれはそのあのその…!」
「隠さなくてもいいんですよ、分かってますから…」
41夏の夕暮れ  (No.11):04/07/19 15:59 ID:a0sorhov
ふと視線を落とし、言葉が途切れる。
涙があふれそうになる。
でも。

「武藤先輩が、斗貴子さんのことを好きなのは」

自分に言い聞かせるように、そうハッキリと言葉にする。

「え、いや、あの、ち、違、そ、それはその…」
「なら、私と付き合ってくれますか?
 私を彼女にしてくれますか?」

答えは分かっていた。
でも、きかずにはいられなかった。

「……。…ごめん、それはできないよ」
「…はい。その言葉が聞けただけで私は満足です」

私はにっこりと微笑んだ。
多分、涙は流していなかったと思う。

「…でも、ひとつだけお願いがあるんです」
「お願い?」
「はい。私を抱いてほしいんです。女として」
「え…っ!!??」
「それで、踏ん切りがつくんです。お願いします…」
42夏の夕暮れ  (No.12):04/07/19 16:00 ID:a0sorhov
カズキ先輩のペニスをほおばる。
それは、私が触れる前から固くなっていた。

「んむっ…」

右手を根元に添え、ゆっくりと喉の奥までそれを沈める。
歯を立てず、唇で締め付けるように口をすぼめる。
たっぷりと唾液をからめ、リズミカルに顔を上下させる。

「うっあ、ちーちゃん…」

カズキ先輩は、とても気持ちよさそうだった。

ちゅぷっちゅぷっにゅぷん。
ちゅっ、じゅぷん、ちゅぱちゅぷちゅぷっちゅっ。

何度かのストロークの後、一回目の射精がある。

ビュクッ、ビュクッ、どくん。

口の中全体に、温かくねっとりとした精液の感触が広がる。

「先輩の、とってもおいしい…」

ひととおり味わった後、全部飲み干す。

「うわ、ごめん、吐き出しちゃえばよかったのに…」

カズキ先輩が申し訳なさそうにいう。
43夏の夕暮れ  (No.13):04/07/19 16:02 ID:a0sorhov
「いいんです、もう二度と味わうことができないから…」
「でも…」
「それよりも私、まだ満足してませんから。
 こっちも、先輩ので満たしてほしい…」

下腹部のあたりを、自分でゆっくりなでる。
そして、水着を脱ぎに掛かった。
乳房、おへそ、そして茂みにおおわれたアソコ…
どんどん私の身体が日の光にさらされていく。
既に、準備は整っていた。
自分でもハッキリ分かるほどに、私の秘部は湿り気を帯びていた。

「いき、ます…」

自らの秘部をカズキ先輩の秘部にあてがい、そのままゆっくり腰を下ろす。

「んっあぁ!」

思わず声がもれる。
鈍い痛みを感じるが、構わず続ける。
これが、破瓜の痛みというものなのだろうか?

「あっ、うぁっ、んっ、ひあぁっ、カズキ先輩…!!」

声がもれて、愛液が混ざり合う音と重なっていく。

カズキ先輩と、ひとつになっている…
例えそれが最初で最後の経験になろうとも、もう悔いはなかった。
44夏の夕暮れ  (No.14):04/07/19 16:05 ID:a0sorhov
コトが済んだ後も、私達は手を握り合ってずっと夕陽を眺めていた。

その夕陽も、今はもうその姿を水平線の下にほとんど沈めてしまっている。
空も、水平線との境目にわずかにグラデーションを残すのみで、すっかり星の瞬く世界へと
変貌してしまっていた。

「…そろそろ戻らないといけませんね」
「…ああ…」

かげりを帯びた眼差しで私を見つめるカズキ先輩。

「皆きっと心配してますよ、武藤先輩!」

スッと手を離し、笑顔を作りながら立ち上がる。

「…私、今日のこと一生忘れません」
「ちーちゃん…」
「私のこと思いやってくれるなら、斗貴子さんのこと幸せにしてあげてください。
 悔しいけど、カズキ先輩には斗貴子さんしかいないんですから…」

そうして、その夏の日は暮れていったのだった。



-fin.-
45名無しさん@ピンキー:04/07/19 16:09 ID:a0sorhov
今週のジャンプ、ちーちんのエロ水着に衝撃を受けて書いてしまいました。

ちなみに以前のSSとはパラレルってことでおながいしまつ
46名無しさん@ピンキー:04/07/19 18:12 ID:g7BsOdKc
あれがエロ水着とは・・・(;´Д`)
47名無しさん@ピンキー:04/07/19 18:21 ID:BoB1EO8A
しおらしいちーちんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
アバンチュールな雰囲気がよかったです
出来れば「中学生日記かよ」のツッコミ役なちーちんをぜひ*´Д`)
48名無しさん@ピンキー:04/07/19 18:24 ID:YJIzJ9xN
GJ播(゚∀゚)
49おへそ 1/8:04/07/20 00:14 ID:LZeiWPzM
LXEとの決戦後、私たちは岡倉のバイクで寄宿舎へ戻ることにしたい。

「キミは免許をもっているか?」
「ううん、ないけど」
「じゃあ、それをかぶって後に乗ってくれ」
どういうわけかシートの下に入っていた2つめのヘルメットをカズキに渡した。

「しっかりつかまってくれ」
そう言ってからエンジンをかけた。おなかの前でカズキが両手が組んだ。
「ひゃ!」
「どうしたの?」
おへそのあたりがくすぐったくてたまらない。
カズキが手を少し動かすだけで声が出そうになる。
「ひっ、いや、なんでもない。なんでもないから…その…手を動かさないでくれ」
「?なんだかわからないけど、わかった」

寄宿舎へ帰る途中も何度か声を上げそうになった。
心配そうな顔をするカズキをごまかし、岡倉に鍵を返した後、自分の部屋に戻った。

机に向って頭を抱えてしまう。
(まずい、これは戦士の弱点だ…)
動物型ホムンクルスの中に触手系と分類されるタイプがいる。
かつて倒した花房がそれに近い。
触手タイプの武装錬金を持つ敵もいるかもしれない。
そんな触手に捕らわれ、おへそを攻められたら?私は一瞬で陥落してしまう。
50おへそ 2/8:04/07/20 00:15 ID:LZeiWPzM
(鍛えたい…だが、どうやって?)
(何度も触られれば慣れるか?)
(戦士の弱点克服の特訓だ。カズキに頼むか?)
(しかし、そこを鍛えるだけで済まない気がする)
(済まなかったら、それはそれでうれしいのだが…)
(イヤイヤ、そうではなくてだな…)
果てしなく妄想が広がる。

(こういうことを異性に頼むからまずいのだ)
(例えば、そう、まひろに頼むのは?)
『斗貴子さん、スベスベでいい気持ち〜〜』
(ホムンクルスに操られてさえ、こんな台詞をはいたコだ)
(自我ある時なら、やはり鍛えるだけで済まない気がする…別の意味で)

結論が出ないままに日々が過ぎていく。

3日後に戦士長から待機の指示を受けたり。

精密検査とサンプル収集の指示を受けたカズキと
サン・ジェルマン病院へ同行したり。

衣替えになったので銀成学園の夏服を着てみたが、
やっぱりバルキリースカートが使いづらいので、
前の潜入先の夏服を引っ張り出してみたり。

カズキのベッドの真ん中が私の特等席になったり。

そんなこんなで一学期が終わった。そして…
51おへそ 3/8:04/07/20 00:19 ID:SDK+GjFB
海豚海岸の近くの店。水着を着た自分を鏡に映す。
いくつか試着してみたが、サイズが合うのは1着だけだった。
カズキが好きそうな気がする…イヤ、それはともかく。
おへそが出ている。これはまずい。まずいが、他の水着は胸がゆるい。
(止むを得ない…か)

まひろ達と浜に出てカズキ達と合流した時、カズキの視線に気づいた。
「どーした?何か変か?」
「あ、いや、変というか」
何故か顔を赤くするカズキ。
「斗貴子さん、おへそ丸出し」
「現地調達だから仕方ないんだ!こーゆーのしかなかったんだ!」
思わず、おへそを隠す。
ただでさえ意識しているのに、どうしてそういうことを言うんだ?
52おへそ 4/8:04/07/20 00:21 ID:SDK+GjFB
そして、知った顔のサーファーとすれ違った後、みんなと離れ海に入った。
空を向いて波に体を預ける。真上に見える太陽がまぶしい。
頭の中にさっきの男が浮かぶ。
何故奴がここに?いったい、何のために?不安が心を占める。

「斗貴子さ〜ん」
突然聞こえた声に我に返った。近くにカズキの顔が見える。
「どうした?」
「そっちは遊泳禁止」
言われてみると、赤い浮きがそばに見える。
沖に流されないよう気をつけてはいたのだが、
左右はあまり気にしていなかった。
結果、遊泳区域の端まで来ていたようだ。
「いったん、戻ろう?」
「そうだな」

カズキと並んで浜まで泳ぎ、海から上がった。
まひろ達がいる場所とだいぶ離れているようだ。
「一休みしてから、合流しよっか?」
「わかった」
奥まった岩場を見つけ、そこに並んで腰を降ろた。
無言で空を眺める。照りつける太陽が気持ちいい。
同じ太陽を見ているのにさっき感じた不安がまったくない。
いろんなことがなんとかなりそうな気がする。
そして…眠気が…襲う………
53おへそ 5/8:04/07/20 00:23 ID:SDK+GjFB
「あひゃ!こら!」
カズキがおなかのあたりをくすぐっていた。
「だって、斗貴子さん、起きないから」
「だからって。ひゃ、ひゃめろ!」
「あはは、斗貴子さん、おへそ、弱いんだ」
「ひゃめ、やめろ…あん」
嬌声を上げてしまう。カズキの動きが止まった。
「…あ、ごめん、やりすぎたね」
突然、カズキが股間を押さえて後を向いた。
「イヤ、これは、その…斗貴子さんが色っぽい声を出すから…つい…」
その時、私は自分がカズキとどうしたいか、はっきりわかった。

「…続きはいいのか?」
「…斗貴子さん?」
「…おへそ以外なら…私はかまわないぞ?」
「…でも、その…」
「以前言ったはずだ、私は何でもする、と」
顔を下に向けるカズキ。
「そういうのは気にしないでいいよ、斗貴子さんのせいじゃないし…むしろ…」
「じゃあ言い方を変えよう」
そういって言葉をつなげる。
「私はキミにとってそういう対象じゃないと思っていた。
 でも、もし、私がそういう対象なりうるなら…私はなりたい」
「…斗貴子さん…」
「私じゃイヤか?」
「そういうわけじゃ…っていうか、とってもうれしい…斗貴子さん!」
カズキが顔を上げて抱きついてきた。こちらも抱き返す。
54おへそ 6/8:04/07/20 00:25 ID:SDK+GjFB
ひと月前に屋上で抱きついた時、ただ無我夢中だった。
ひと月前に屋上で抱きかかえられた時、体重を支えられていただけだった。
でも、今は違う。お互いを異性と意識して体を合わせている。

唇を重ねる。そのまま互いに口を開けて舌を絡める。
カズキの海パンを脱がそうとしたが、屹立しているモノが大きくて手間取った。
その間に、自分は裸にされてしまった。
そして、互いの唇が離れ、かわりにカズキの舌が胸から腰にむかって這っていく。
舌先がおへそを過ぎる時、意識が飛んだ。
気が付くと、今度は舌先が茂みを分けて侵入していた。また意識が飛びかける。
「…私だけじゃなく…」
そういって、反撃。体勢を入れ替えて、カズキのモノを口に含んて動く。
初めて同士で、お互いの秘部を責め合える体位には気が及ばない。
「…ごめん、オレ、もう…」
「…なら、中に…」
カズキを岩場に座らせた。
そして、体を向かい合わせ腰を降ろしながら、自分の秘所へと屹立を導く。
「んっ…ぐ…」
カズキが心配そうな顔をしているのを見て、痛みをこらえて笑ってみる。
「心配するな、私がこうしたいんだ」
そのまま最後まで腰を降ろした。痛みとともに未経験の感覚が体を走った。
「大丈夫?」
「…ん、カズキ、動いていいぞ」
「…うん、わかった」
カズキが動く度に何かが体を突き抜ける。そして。
「…斗貴子さん!」
カズキが果てると同時に、私の意識も飛んだ。

意識が戻った時も同じ格好だった。軽いキスをした後、体を離した。
55おへそ 7/8:04/07/20 00:31 ID:RdjLU1Mf
互いの息が整ってから、カズキが話し出した。
「こども、できたりしないかな?」
「戦士長から聞いていないのか?」
「何を?」
「…そうか、じゃあ、私が話そう。あー、ちょっとむこうを向いててくれないか?」
カズキが後を向いたのを確認後、自分も反対を向いた。
そして、水着を着ながら話をつづける。
「核鉄は生存本能に働きかける力がある。これは前に言ったな?」
「うん」
「これは種族保存本能に直結する」
「なるほど」
「短期間なら所有者が核鉄を手放していても効果はさほど変わらない」
「つまり?」
「核鉄所有者は種族保存本能が高い。
 その結果、核鉄所有者の性交に安全日は無いといっていい。
 特に核鉄所有者同士が避妊しない場合の妊娠率は9割以上だ」
「えーーー、じゃあ?」

「まあ、最後まで話を聞け。それからこっちを向いてもいいぞ」
水着を着終わったのでそう言ってみる。そして、自分もカズキの方を向いた。
また軽く唇を合わせる。
「かつては、男女の戦士が交際した場合、意図しない妊娠が頻発したという。
 そこで現在は配偶者がいない全ての戦士に可逆的な避妊措置が施されている。
 私もそうだ。キミも本隊に合流する時にそうなる。
 あるいは、サン・ジェルマン病院での検査時に措置済みかもしれない」
「そうなんだ…ホッ」
「私に限れば、こんな機会はないだろうから不要な措置だと思っていたのだが、
 こうなってみると、本隊の判断は正しかったわけだ」
「あ、なんか、安心したら、また…」
カズキが股間を押さえていた。
56おへそ 8/8:04/07/20 00:32 ID:RdjLU1Mf
その時、遠くから声が聞こえた。
「お兄ちゃ〜ん、斗貴子さ〜ん」
まひろの声。
「次の機会にしよう。機会はいくらでもある」
「そうだね、今はみんなと」
「ああ、そうだな」

カズキの股間が落ち着くの待って、いっしょに立ち上がった。
こちらに向って走っているまひろに手を振り、
ちょっと歩きづらいのを我慢して、カズキとともに歩を進める。

「そういえば…」
「なんだ?」
「さっきみたいなことをした時の…その…核鉄は修復しちゃうの?」
「あー、それはだな。
 核鉄は所有者がキズやケガと思っていない箇所を修復しないんだ。
 そして、もちろん、私はさっきの結果をキズだと思っていない」
「あー、そーなんだ。じゃあ、次回は痛くないんだね?よかった」
「そーゆーことになるな」
「じゃあ」…カズキの視線が私の顔の中央を向き、すぐに逸らされた…「ごめん」
「気にするな、これもそーゆーことだ」

今は話す気になれないが、いつかカズキには話せそうな気がする。
きっとそれほど先のことではない。そんな気がする。

(おしまい)
57名無しさん@ピンキー:04/07/20 00:34 ID:PmGE/woB
>56
ググッググ、GJ!!!

タマランですな。
58名無しさん@ピンキー:04/07/20 01:25 ID:+4pcBlmM
グッジョブ!
自分もなんか書けそうな気がしてきたよ
59名無しさん@ピンキー:04/07/20 01:43 ID:iOQBt4jY
上手い!
6049 ◆3QNSjLC4b. :04/07/20 03:30 ID:HRXZC6TB
>>49 でいきなり誤字かましてた…
> LXEとの決戦後、私たちは岡倉のバイクで寄宿舎へ戻ることにしたい。
じゃなくて
> LXEとの決戦後、私たちは岡倉のバイクで寄宿舎へ戻ることにした。
ね。
他にも誤字多数だけど、1レス目1行目の誤字は情けなさ杉。失礼しました。
61名無しさん@ピンキー:04/07/20 10:53 ID:mXQ0EP4N
>>56
まさにGJ!
62『涙のあと』:04/07/20 18:40 ID:+4pcBlmM
カズキの部屋にいこうと思ったとき、カズキとこうなることを考えていなかったといったら嘘になる。
はじめて会ったときからかわいい子だと思っていた。
・・・カズキを異性として意識したのはいつからだったろう。


あ、痛・・・。まだ、体の中心にカズキがいた名残を感じて身じろぎする。
「斗貴子さん、おきてるの・・・?」
「ああ、すまない。おこしてしまったか。まだ、夜明け前だ。・・・いいからもう少し眠りなさい」
眠そうな声で、腰というかお尻に手をまわしてきたカズキの手をおさえつつ髪をなでる。
・・・・・・エロスは程々に。ってうひゃあ!?
「ちょっ・・・カズキ、どこさわってる!? あう!」
「そんなの言えないよ・・・・」
「んんんっ、寝ぼけてるんじゃ、ない」
「もうちゃんと起きてるよ?ほら・・・・・・」
内腿に、張り詰めたものを擦りつけられてビクンとのけぞった。
でもそんな、一晩に2回もだなんて。
「エ・・・エロスは程々にっ」睨みつけたつもりが、カズキの真っすぐな瞳にあやうく吸い込まれそうになる。
「斗貴子さん、なんでもするっていったよね」
あ、カズキ、もうしっかり目を覚ましてる?
で、でも、ん・・・っんふぅひぁ、やぁ・・・ぁ・・っ、カ、カズキの手や口が触れているところ
全部がなんだか変な感じがす・・・る。
・・・たしかカズキから没収した『Hでキレイなお姉さん』には、
"オンナノコって最初はなかなか気持ち良くなれないの。
でも、オトコノコのためにちょっとガマンしてあげて。ねっ(はぁと)"とか、書いてあったのに。
実際、さっきのはじめてはスゴク痛くて涙が出た。
でも痛いのは最初のうちだけで、目を閉じてカズキの唇や指を感じているうちに、
カズキとつながって裂けてしまいそうに痛い部分からしびれるように気持ちよくなってきて。
「カズキ、我慢しなくていから、動いて・・・・」そう言って自分から腰を動かしてしまった。
あぁ・・・今思うとなんてはしたないコトを。
63『涙のあと』:04/07/20 18:41 ID:+4pcBlmM
「斗貴子さん、いい、よね?」
いいもなにも、キミがこんな風にしたくせに。
んっ・・・ひぅっ!・・・も・・・・ゃ・・・きもちいい・・・・。
目の前にカズキの上気した顔があると思ったときには、
股間にあつくて固いものが押し当てられ、カラダの中心へ分け入ってくる。
「あ゛う゛!!」一番奥まで突かれたら、そんな声がでた。
あぁっ、もっと艶っぽい声もあるだろうに。ちょっと自己嫌悪に陥りながらカズキの様子をうかがう。
ん・・ッ・・・・・く――はぁっ
あ、カズキも気持ちいいのか。顔を真っ赤にしてぷるぷる震えながら我慢しているようなのが、
なんだかいじらしく思えてくる。
「カズキ、我慢しなくていいといっただろう?」
「で、でも斗貴子さん2回目だし。なるべく痛くないようにって」
「いや、大丈夫。さっきはホント泣くほどいたかったけど、今度は全然痛くない。
むしろ、動いてくれたほうが、その、うれしい・・・・」
本当に嘘じゃない。さっきは股間から出血してシーツにシミを作ってしまったのに、それもない。
とろとろとした愛液がどうしようもないくらいあふれてくるだけ。
そうか、核鉄の治癒力・・・?
「ひゃん!あ、ああぁ・・・っ」
くちゅり。じゅぽっ、ぬぷっ、ぐちゅっ、ずりゅん。
64『涙のあと』:04/07/20 18:43 ID:+4pcBlmM
・・・・目の前にカズキの顔がある。・・・あれ・・・え・・っと・・・・。
「ゴメン、斗貴子さん。大丈夫?カラダどっかおかしくない?」
「カズキ・・・、私どうなって・・・・」たずねると、妙に嬉しそうな顔で
「斗貴子さんイっちゃって、気絶したんだよ」
「逝く?・・・私は死んでないぞ」なんのことだ、いったい。
そう言うと、カズキは一瞬きょとんとしたが、すぐに顔を真っ赤にしながら、
もっと嬉しそうにニヤニヤしはじめた。
「斗貴子さん、知らないんだ」
「だから、何が」
「知らないのに、イっちゃったんだ・・・・」
「いく、って場所のことか?」
「そんなのオレの口からは説明できないよ」(・∀・)ニヤニヤ
65『涙のあと』:04/07/20 18:44 ID:+4pcBlmM
なんだか、馬鹿にされてるようで腹が立ってきた。・・・・バルキリースカートでブチ撒けてやろうか。
「ちょっとまってて、えーっとたしか・・・」
不穏な気配を察したのか、カズキがベッドの下をごそごそしはじめた。
一緒になってのぞき込んでみると、『Hでキレイなお姉さん☆エネルギーチャージ』『フルスロットル』
『オーバードライブ』『ブラボー! おおブラボー!』・・・・・。
――――没収、だな。いったい何冊あるんだ、このシリーズ。
そんなことを思っていると
「斗貴子さんここ読んでみて」
手渡された『エネルギーチャージ』にざっと目を通す。
・・・・・うん?―――なっ、ななななんだこれはっ。私はこんなことをしたのか!?いや、されたのか?カズキに?
「ねぇ、ふたりで、もっとうまくやったら『潮吹き』もできるかな」
顔から火を噴きそうになっているこちらの気持ちにお構いなしに更にカズキが無神経なことを言う。
いや、ちょっと興味はあるかな・・・・・じゃなくて。こんな浮ついたことでは駄目だ。
これから更に厳しい戦いが始まるというのに。
いくら戦士長が留守だからといって・・・・。
66『涙のあと』:04/07/20 18:46 ID:+4pcBlmM
ギュッと抱き寄せられて、おもわずそのまま蕩けそうになる自分を叱咤してカズキに向き直る。
「錬金術の究極の目的とは何か知っているか?」
「究極の目的?・・・・なに、それ」
よし、これでいい。これでこそ錬金の戦士、津村斗貴子だ。
しばらく錬金術うんちくをかたむけたらカズキはポカーンとしていたが、まあいい。
年上で先輩の面目は保たれた。
あぁ、朝日がきれいだ・・・。
おもむろに立ち上がり、カズキの視線を意識しつつ胸をそらして伸びをする。
さらに早着替えの特技をイかして、もとい、活かしてTシャツとショートパンツを身につけ、
背中には『Hでキレイなお姉さん』を滑りこませる。
戦士の情けだ『スレンダービューティー』は残しておいてやろう。
「もう、帰っちゃうの?」
「あぁ、シャワーも浴びたいし。キミもそうしたほうがいいと思う。皆が起きだす前に。
・・・このことがばれたら色々と大変だろう」
背中でずれそうになる『Hでキレイなお姉さん』たちを押さえつつニコリと笑ってみせる。
「あ、そうだね。じゃあ学校でまた・・・」
「居眠りして、変な寝言でも言ったら即、ブチ撒けるからな」
「大丈夫!何を隠そう、オレは居眠りの達人だ!」
67『涙のあと』:04/07/20 18:47 ID:+4pcBlmM
そんな他愛の無い話をして自分の部屋に戻る。まったく、昨晩の悲壮な覚悟が嘘のようだ。
「何でもする」「何でも償う」・・・思い返せば、とんでもないことを言ってしまったものだ。
そんなことを言わなくてもカズキの心は変わらない。変わったのは・・・カズキとの関係だ。
ずっとカズキと一緒に生きていきたい。これからどうなってゆくのか、
不安がないわけではないけれど。
いつの日か、死がふたりを別つとしてもそれは本当の別れではない。
私とカズキはふたりで一つのいのち。
何者も、それを別つことなどできはしない。
そう、信じている。そんな風に信じられる確かなつながりがここに在るのだと。
月明かりのなかで、夜明け前のくらやみで、カズキに愛された体を両腕で抱きしめると、
訳もなく嬉しくて涙がこぼれた。

                                        ─END─
68『涙のあと』:04/07/20 18:53 ID:+4pcBlmM
投下失敗_| ̄|○

>>63>>64の間の↓が抜けてた

「・・・斗貴子さん、何か別のこと考えたでしょ」
ち、違う・・・!動いてとは言ったけどこんなに激しく、・・・・しないで。
広がりきって痛いのにゾクゾクして、・・・・・・・おかしくなりそう。
あっ・・・ぅン・・・・・・っ!
「今はオレのことだけ考えて」
まだ異物感を拭いきれないモノを強くねじ込まれて、両方の乳首をぎゅっとつままれる。
へそとか、わきとか、もう体中カズキの唇が触れて唾液でべとべとにされた。
「あっ、あんっあっあっあ・・ん・・・ッ」
「あぁ!っ・・・ぁっ・・・はあっ!あっ!んんっっっ!!」
突かれるたびに勝手に声がでて、せつない。こわれる。いゃ、ダメ・・・・・・・・・・っ!
「かは・・・」
ビクン、と体が痙攣し、背中が弓のようにしなって、頭の奥でなにかがパチンと弾ける音を聞いたあと、
意識は真っ白になってどこかへ飛び去ってしまった。
69名無しさん@ピンキー:04/07/20 19:35 ID:s0bq5ofr
>>68 GJ!
ラストの斗貴子さんの心情描写すごくいいね
萌えた。やはりカズキと斗貴子さんがラブい話が俺は好きだ。
70名無しさん@ピンキー:04/07/20 19:44 ID:2i1pWOzN
なんだかんだ言ってトキコさんがカズキのエロ本をパクる展開は面白いね
71名無しさん@ピンキー:04/07/20 21:45 ID:e1fxbokt
>>68乙!そしてブラボー
72名無しさん@ピンキー:04/07/20 22:27 ID:+4pcBlmM
一度接続をきったので、ID変わってると思いますが『涙のあと』を書いた者です。
いちおうこのSSは前スレに投下した『涙』『涙ura ver.』のつづきで、これで完結です。

レス、どうもです。大変励みになります。
読んでくださったかたがた、有難うございました。
73名無しさん@ピンキー:04/07/20 23:22 ID:2i1pWOzN
(´Å`)ブラボーでした。次も期待してます
74もう一つの未来 1/3:04/07/21 01:06 ID:PZ2ikXA9
「これからキミは100年前のオレと同じ辛苦を味わうコトになる。
十分に覚悟しておけ……」
ヴィクターはそう言い残して飛び去った。
「追うな、カズキ…
 これ以上…この激しいドレインが続けば、
 みんな、後10分ともたない…
 L・X・Eはほぼ壊滅できた。
 霧も晴れてじきに救急車も来る。
 後はこのまま…私達が退けば…みんな助かる!」
そんな斗貴子の声が聞こえないかのように。
「戦え、ヴィクター!」
そう叫んで、ヴィクターを追うカズキ。
「カズキ!」
斗貴子が飛びつくが届かない。

カズキは屋上の柵を乗り越え、空に体を投げ出した。
最初はゆっくり、そしてだんだんと速度を上げ、
ヴィクターと同じ方角へ飛び去っていった。
75もう一つの未来 2/3:04/07/21 01:08 ID:PZ2ikXA9
とある、ニュース番組。

『集団昏倒事件の続報です。
 最初に埼玉県銀成市で確認された集団昏倒事件ですが、
 同様の事件が世界各地に広がっています』

『現在までにNY・パリ・カイロ等現在までに確認されただけで国内外の94都市。
 初期は昏倒だけでしたが、
 最近は死者が出るケースも多く、死者の総数は20名を超えました。
 当局は事件名の変更を検討しています』

『事件があった都市上空では一つないし二つの光が目撃されています。
 今回、その映像の入手に成功しました。ごらんください』

『2つの光が衝突を繰り返しながら激しく動いているのが確認できます。
 倍率を上げてみます…一見、人の形に見えますが、詳細は不明です。
 アメリカ国防省では大きい光をV、小さい光をKと呼び、
 詳細を調査中とのことです』

画像がだんだんとぶれた後、カメラが地面を向き、そこで映像が終わった。

『このビデオを撮影したカメラマンは、
 撮影のために発光現象に接近、撮影中に衰弱し昏倒、
 病院に運ばれましたが命を落としました。
 このカメラマンの症状と目撃情報・被害地域の分布から、
 発光現象近くでは被害の発生率が極めて高いと推測されています。
 この現象を目撃したら、警察に連絡し、決して近づかないでください』
76もう一つの未来 3/3:04/07/21 01:09 ID:PZ2ikXA9
がばっ。

目が覚めた。夢に出てきたのは、
ありえたかもしれないもう一つの未来の姿。

隣を見る。小さな寝息を立てて眠っている斗貴子さん。
毎晩、隣にいてくれるようになったはいつの日からだろうか。
あの夢のようにならないで済んだのは彼女のおかげだ。

時計を見る。
寄宿舎の朝の点呼の時間には、全員が自分の部屋にいなくてはならない。
そろそろ起こさないと。

唇を付けるだけのキス。斗貴子さんがもぞもぞと体を動かしてから目を開けた。
「……ん?もう時間か?」
「おはよう。うん、そろそろ戻らないと」
そう言ってから、今度はちょっと長めのキス。
「それから……」そして、毎朝交わされる会話。「ありがとう」
77名無しさん@ピンキー:04/07/21 01:13 ID:PZ2ikXA9
あまたまさんのBBSに
>斗貴子さんカズキの部屋で寝泊りしてるみたいに見えるし…。
みたいなカキコがあったので、そんな感じで書き始めてみたら、全然違うお話に。

ちなみに、>>49-56 は、すきかえしさんの48話感想に
>斗貴子さのおヘソにいたづらしまくる
>えろまんがが描きたいです
とかあったので、そんな感じで書き始めてみたら、やっぱり全然違うお話に。
78名無しさん@ピンキー:04/07/21 06:29 ID:T0HSbERR
>>77
短かめだけど面白かったよ、GJ
カズキはホントに毎朝斗貴子さんと
こんな会話しそうだ。
>キスして「ありがとう」
7974-76:04/07/21 11:12 ID:lHcnPerQ
>>78
短かったですか。

76で目が覚めた時、朝の点呼までちょっと時間があって、
斗貴子さんが部屋に戻る時間までに、と
2人でナニを始めちゃって、
でも、没頭して時間を忘れちゃって、
コトの最中にカズキの部屋に管理人代理(ブラボーの替り)が来ちゃって、
斗貴子さんが声を潜めたままカズキが返答してやりすごして、
六枡が斗貴子さんの声色で代返してくれて、
朝の点呼をやりすごしてことで朝飯まで時間ができたから、と
2人はまたナニを始めてしまって、
また、没頭して時間を忘れちゃって、
朝飯も食えずに登校することになった…

とかいうプロットもあったのだが、こっちの方が良かったですかね?
80名無しさん@ピンキー:04/07/21 14:38 ID:QeM83pwT
>>79
「短かめ」というのはもっと長い方が良いって
意味ではないですよー。誤解させる書き方でゴメン
読みやすかったし、何よりふたりの関係描写に萌えました

プロットもいいですねー。こっちも読みたい!
朝だけでも二回ってカズキと斗貴子さんラブすぎ。
次も楽しみにまってます
81名無しさん@ピンキー:04/07/21 15:43 ID:dRt0SyZ/
>>80
>朝だけでも二回
二回というのはセッションの回数だからな。一セッションの内に何ラウンド
こなしたかはわからん。とエロ度を煽ってみる。
82名無しさん@ピンキー:04/07/21 16:44 ID:/H9u1n9E
エナジードレインできるはずのカズキの方が吸い取られているとはこれいかに。
83名無しさん@ピンキー:04/07/21 21:12 ID:VIyG9jg+
カズキが斗貴子さんからエナジードレイン→それを斗貴子さんがエナジードレイン。
ステキな永久機関の完成ですねv
84名無しさん@ピンキー:04/07/21 22:29 ID:SR2orqyo
うーむ・・・書き上げたのはいいんだが、めちゃめちゃ長くなった。
そこで質問。ここってどれくらいのレス数までなら一度に投下OK?
15,6レスくらいになってしまったのだが・・・・
85名無しさん@ピンキー:04/07/21 22:32 ID:5IpsRYRH
厳密には決まってないと思う
一気に投下しても小刻み連載してもそれはそれで楽しみなので
お好きなようにドゾー
86名無しさん@ピンキー:04/07/21 22:37 ID:vNz3/vJa
>>84
小刻みに投下してたら「チマチマウゼー、まとめて投下しろよ」
まとめて投下したら「そんなに一度に投下されたら読む気うせるだろうがボケ」

どちらのパターンも目撃体験あり。
けっきょくは自分のやり易いようにやれば、としか言い様が無いかと。
87名無しさん@ピンキー:04/07/21 22:43 ID:SR2orqyo
うい。じゃあ一気に投下することにするっす。
今からちょっと纏めるんで、も少ししたら投下します。
88名無しさん@ピンキー:04/07/21 23:08 ID:SR2orqyo
よっし、纏めれた。ここに、ストロベリー戦士・とっきゅんの第四話をお送りします。
ちなみに15レスになったので、嫌な人は読み飛ばしてくださいな。


余談だけど、今日始めてカラフルキッスの主題歌を聞いたのだが、これやばい。
中毒性がある。さっきからずっとループでかかってる。さらにこれを聞きながら
この話書いてたりするともう手がつけられない。
「よーし、もう勝手にストロベリっちゃうぞー」
とかとっきゅんが言ってる。もう見てらんない。
ポロリ、こぼれた涙さくらんぼー、あはははー


などとぐだぐだいいつつ→                             開劇。
「〜♪〜♪」
「ねねね、ちーちん。何か今日すんごいまっぴーの機嫌よくない?」
「何か昨日、凄いいいことがあったって言ってたけど・・・」
「いいこと?昨日は一日中寮にいたはずじゃぁ・・・」 「・・・なんだろうね」
「えへへ、か〜こよかったなぁ。えっと、たしか・・・超槍戦士サンゼリオンさん☆と・・・」

ストロベリー戦士・とっきゅん 第四話 「ニーハオ!謎の国からコンチニワ」

「ふぁ〜あ。今日もいい天気だけど・・・眠い」
「・・・・・・・そうだな」
今日も今日とて、斗貴子とカズキは二人で一緒に登校する。道中、友人たちにからかわれ(ry
「あれ?斗貴子さんも眠いの?珍しいね」
「ん〜、まぁな。私もたまにはこういうこともある」
確かに、いつもシャキっとしている斗貴子が眠いというのも珍しい。それだけに、カズキは
ついついその理由を邪推してしまう。
「夜遅くまで何かしてたとか・・・?」
「まぁ・・・間違ってはいないな」
斗貴子の歯切れの悪い返事に、思わずカズキはよからぬ事を想像する。
「・・・・・・・・・・・」
「コラ、何を赤くなっている」
妄想ともいうか。
「いや、えっと・・・あはは」
「いつも言ってるだろう。エロスは程ほどにしておきなさい。・・・ふぁ」
いつものセリフにも覇気がなく、そこでまたあくび一つ。
「・・・ホントに眠いみたいだね。授業大丈夫?」
「私を誰だと思っている?そんな不勉強な真似はしないふぁ・・・」
「・・・心配だなぁ」
などと話している内に、学校につく。予鈴がもうすぐ鳴る頃。ちょうどいい時間である。
下駄箱に向かいながら、斗貴子は考えていた。
(変身ポーズどうしよう・・・結局決まらなかった・・・)
・・・寝不足の原因はそれですか。
下駄箱につくと、また掲示板の前に人だかりができていた。きっとまた桜花が写真を掲示しているのだろう。
「あいも変わらず凄い人だかりだね。みんなやっぱり興味あるのかなぁ」
「まぁ・・・化け物が現れて・・・いるん、だからな・・・」
答える斗貴子の言葉は途切れ途切れで、今にも寝そうである。
「あら?武藤クンに津村さん。おはようございます」
ちょうどそこへ、昨日と同じく、早坂桜花が現れる。また、斗貴子をからかうつもりなのだろうか。
「あ、桜花先輩。おはようございます」
「・・・・・・」
笑顔で答えるカズキに対して、斗貴子はだんまりである。まぁ、単純に眠いだけかもしれない。
「うふふ、昨日も『大活躍』だったみたいですね、つ・む・ら・さ・ん?」
嫌味たっぷりに桜花が言う。思えば、潔く斗貴子にストロベリー戦士の座を渡したのも、こうして
斗貴子をからかうためのような気がしないでもない。
「・・・・行くぞ、カズキ」
だが、昨日とはうってかわって、斗貴子は全く動じない。どうしたのだろうか。
「あら?今日はツレないんですね」
「眠くてキサマの相手をするのも面倒だ・・・じゃあな」
激昂を予想というか期待というかしていた桜花は、拍子抜けするも、次の句を考えている間に
斗貴子達はいってしまった。
「あらあら」

「おはよう、カズキクンに斗貴子さん」
「オッハヨーサン。相変わらずストロベリーなことで」
「おはよう。何か眠そうだな、二人とも」
教室に入ってきた二人を見つけると、大浜、岡倉、六舛が声をかけてくる。
「おっはよう。俺はそこまで眠くもないんだけど・・・斗貴子さんが、ちょっとね」
「ふぁ・・・おはよう」
挨拶をしながらあくびをまた一つ。さらに席につくなり突っ伏して寝てしまう。相当眠いようだ。
「・・・すー、すー・・・」
「・・・って、言ってる傍から寝ちゃったね」
「斗貴子氏がここまで憔悴しきってるのも珍しいな。何かあったのか?」
寝ている斗貴子を横目に、カズキはそこで声を潜めて喋る。
「んー、ほら、昨日も例の化け物が出てさ・・・それで俺達が戦ったから・・・」
「なるほど・・・それで斗貴子サンは疲れてる、ってわけね」
一応、まだ周りに正体はバレていないので、岡倉も小声で話すことにする。
「そういうこと。斗貴子さん、変身すると性格変わって張り切るからねぇ」
「確かに、写真を見る限りでは斗貴子氏がメインで戦っているようだな」
「・・・ちょっと、あれが斗貴子さんとは信じられないけど・・・」
それももっともである。だがその事が、仲のいい友人以外に彼らの正体バレない事の、理由の
一つであるだろう。まさか、あのフリフリの戦士が斗貴子などとは、誰も夢にも思うまい。
「・・・カズキ・・・」「・・・ん?」

自分の話をしているのに気づいて起きたのだろうか。斗貴子がカズキの名を呼ぶ。
「・・・弁当、美味しいか・・・?」
『・・・は?』
斗貴子の何も脈絡のない言葉に、4人は目が点になる。どうやら寝言らしい。
「斗貴子さんも寝言言うんだね。ちょっとビックリした」
そう言って大浜が苦笑する。まぁ、普段の彼女のイメージからは少し考えにくいことではある。
「そうか・・・美味しいか・・・よかった、作ってきた甲斐があった・・・」
斗貴子の寝言は続く。内容から察するに・・・
「・・・オマエの夢みたいだな。羨ましいねコンチクショー」
「ははは。そう言うなって。世の中探せばきっと、岡倉を夢に見ている女の子がいるって」
「そうかぁ?」
軽いつもりで言ったのに、岡倉が少し本気にしかけているので、カズキは思わず続ける。
「・・・エッチな岡倉に追いかけられてる夢をね」
「おいおい、そりゃないだろ」
『ははははははははは』
4人は笑う。その笑い声にクラスの注目を少し集めるが、すぐにみんな視線を元に戻す。
彼らが騒がしいのは、いつものことなのだ。
「そう言えば・・・弁当で思い出したんだが」
ひとしきり笑った後、六舛が少し真面目な顔で切り出す。
「昨日、銀成市でちょっとした規模の食中毒があったらしい。20・・・いや、30人だったか」
「あ、それ俺も今朝ニュースで見たぜ。成人男性ばかりが被害にあった、って奴だろ?」
時期が時期だけに、他人事とは思えないらしい。岡倉もそのニュースは気になっていたようだ。
「なになに?何かあったのか?食中毒って?」
一方、疲れきっていたカズキは、朝ニュースを見る暇もなかったらしい。知らないようだ。
「昨日ね、銀成市で食中毒事件があったんだよ。成人男性ばかりが被害にあったんだけど・・・」
そこで大浜は言葉を切る。どう説明したらいいかわからなそうだ顔だ。岡倉が続ける。
「なんかな、その男性達が共通して食べたものがわからないんだと。住んでる地区もバラバラ」
「あまりの不可解さに、どこだったかの美人店員がいる弁当屋が、怪しいとか言われてたな」
まぁ、確かに美人の店員がいれば、男は集まるだろうが・・・
「はぁ〜、食中毒ねぇ。俺達も気をつけなきゃいけないなぁ。俺らコンビニ弁当ばっかだし」
「そゆこと。斗貴子サンにも教えておいてやれよ」
岡倉がそう言った時、チャイムが鳴ると同時に教師が入ってくる。生徒は自分の席に戻った。

「出席取るぞ・・・岡倉!」「うーっす」「大浜!」「ハイ」
教師が出席を取り始める。ちなみにこの学校の名簿は男子→女子の形である。(仮定。本設定でなし)
「武藤!」「ふぁ〜い」「寝不足か、武藤。シャキっとせんか」
思わずあくびをしてしまったカズキを、教師は注意する。カズキは素直に謝った。
「六舛!」『OK牧場』「いや、いるのはわかったから、ガッツ石松の声マネはやめてくれ。笑える」
ちなみに、昨日は安岡力也の声マネだった。出席を取る掛け声は続く。
「津村!」「・・・・」「津村?いないのか?」
斗貴子の名が呼ばれるが、返事がない。未だ寝ているようだ。
「斗貴子さん!名前呼ばれてるよ!斗貴子さんてば!」
カズキが揺り起こそうとするが、起きない。案外深く眠るタイプの人間らしい。
「何だ、津村も寝不足か・・・ん?津村『も』?もう一人寝不足なのは・・・武藤?」
カズキと斗貴子の関係は、生徒のみならず教師の耳にも届いている。その二人が同じく
寝不足とあって、彼は訝しく思う。そして、職務半分、興味半分でカズキに尋ねる。
「武藤、お前昨日何やってた?」
「昨日?昨日はですね・・・斗貴子さんと・・・おっとっと。何でもないです」
まさか自分達が化け物と戦ってたとは言えない。カズキは言葉を濁すが、それがまずかった。
「・・・・武藤、お前まさか」
冷静に考えれば、彼が今頭に思い浮かべているような事を、皆の前で言いそうになるわけもないのだが。
「・・・だからカズキ、そこじゃない・・・あ、そんなに乱暴にするな」
『・・・・・・・・・・・・・・』
とんでもないタイミングで、斗貴子がとんでもない寝言を言う。これでは疑われても仕方ない。
「・・・・・武藤、お前昼休みに津村と一緒に職員室に来ること」
「そ、そんなぁ・・・・」
そんなこんなで彼らのHRは終わる。
「だから、普通核鉄はそんなとこにしまわないだろう。あ、そんなに乱暴に扱うんじゃない」
未だ斗貴子は起きない。寝言を言い続けている。
「ふむ、そうか。キミは〜が好きなのか・・・・考えておこう」
結局、斗貴子はHRどころか、午前中の授業の間全て、幸せな夢を見続けていた。

「はぁ〜、災難だった」
昼休み。カズキと斗貴子は職員室での説教を終えて、屋上に来ていた。
災難とは言ったが、さほど怒られたわけではない。誤解が解けるのが早かったからだ。
ただ、何故か多くの教師が二人を暖かい目で見守ってはいたが。
「すまなかったな。私が迷惑をかけたみたいで」
実は斗貴子は説教が終わってカズキに事情を聞くまで、何故呼び出されたか知らなかったらしい。
「いや、別にいいよ。俺の夢を見てくれるなんて嬉しかったし・・・」
自分で言ってて恥ずかしくなったのか、カズキは赤面する。
「いや、それはだな・・・その・・・実はきょ」
「そういえばさ、斗貴子さん」
恥ずかしさに耐え切れなくなったのか、斗貴子が何かを言うのを遮って、カズキが話を切り出す。
「な、何だ?」
何か言おうとした斗貴子だが、とりあえずはカズキの話を聞くことにしたらしい。
「今日午前中ずっと寝てたけど、昨日ホントに何してたの?普通じゃないよ」
「あー、その・・・何だ・・・」
朝と同じだ。どうにも歯切れが悪い。カズキが心配そうに斗貴子を見る。
「・・・・・てたんだ」「え?」
「変身ポーズを・・・考えてたんだ」
そう言うやいなや、斗貴子の顔は真っ赤になる。当初、カズキが嬉々として変身するのを
呆れの目で見ていたのだ。それが自分もそうなるとは・・・と、いうことだろう。
「え?ポーズならあるじゃない。ほら、LXEのアジトのとこでも見せたアレ」
「い、いや。それは核鉄をセットした後の話だろう?その前の奴だ。ほら、キミの腕を回すような」
しどろもどろに、斗貴子はカズキに説明をする。
「なるほどねぇ・・・って、それで寝不足・・・斗貴子さんも可愛いことするんだねぇ」
「かわ・・・!?ま、まぁ、それだけではないんだがな・・・」
突然のカズキの褒め言葉に狼狽しつつも、斗貴子は何かをボソボソと呟く。それを聞いてカズキが
訝しげな顔をするが、聞かれてはまずいことだったらしい。斗貴子は慌てて二の句を継ぐ。

「い、いや。とにかく。それでキミに助言をもらおうかな、と思うんだが」
「助言って、変身の?」 「うむ」
カズキはうーん、と考え込んでから、ポンと手を打つ。
「じゃあとりあえず、俺の変身ポーズ真似してみる?何かの参考になるかもしれないし」
「ふむ、そうだな。そうしてみるか」
「ハイ、じゃあコレ。俺のポーズ取るんなら、俺のモノ使いなよ」
カズキはそう言って、自分のカードを核鉄を渡す。それを見て斗貴子は気づく。
「あれ・・・このカード、私のと違うな。私のは正面から核鉄をはめるようになっているんだが…」
カズキのものは、変身ポーズを見てもわかるように、横からスライドして入れる様式である。
「ホントだ・・・何でだろ?・・・・・まぁ、ブラボーの趣味じゃない?」
「・・・そういうことにしておくか。で、どうやるんだ?」
深く考えるのはやめにしたらしい。カズキのポーズ指南が始まった・・・
「・・・で、ここでキャッチして、腕をこう内側に回して、変身!」「ふむ・・・・」
カズキは、一通りの事を斗貴子に教えた。
「じゃ、通してやってみようか。あ、大丈夫。変身する気がなければ、変身しないから」
「そうか、じゃあやってみるとしよう」
斗貴子は頷き、足を少し開いて構える。そして、核鉄を上に投げ上げた。「太陽よ!」
当然落ちてくる核鉄。それを斗貴子は右手でキャッチして・・・「私に力を!」
そのまま右腕を内側に勢いよく回して核鉄をはめ込む!「へんし・・」

はずだった。
ガキィィン!
しかし、核鉄がうまくはまらなかったまぁ、あのスピードで腕を振って、なおかつ
核鉄一個分の隙間しかない所に、簡単に入る方がおかしいのだが。
「むぅ・・・難しいな」
「そう?俺はそうでもないんだけど・・・」
斗貴子は何度か挑戦するが、何度やっても核鉄がうまくはまらない。仕方なく諦めたようだ。
「ふぅ・・・やはり、自分で考えねばならんか」
「そうだねぇ。その方が気合も入るってもんだよ・・・ところで」「何だ?」
カズキが急に話を変える。
「岡倉達、どうしたの?」
「ああ、彼らならとっくに昼御飯を買いに行ったぞ」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
斗貴子の声にカズキが大袈裟な声をあげる。まぁ、その理由もわからないでもない。
「だって俺、買ってきて欲しいもの頼んでないよ?」
カズキは説教が終わるまで彼らが待っていてくれると思ったようだ。しかして昼休みは有限である。
「いや、私がカズキの分はいらないと言っておいたからな」
時間がないから先に買いに行ったと思ったら、どうやら斗貴子が促していたらしい。しかし、何故?
「ちょ、ちょっと斗貴子さん!それじゃあ俺の昼御飯どうするの?」
当然カズキの頭にも同じ疑問が浮かぶ。だが、斗貴子はカバンの中をいそいそと探り、
「じ、実はだな・・・キミの分の弁当を、作ってきたんだ・・・」
赤面しつつ、もじもじしつつ、カズキに可愛らしい包みの弁当箱を差し出す。
「え!?斗貴子さんが!?」
さすがのカズキもこれには驚く。だが、間違いなく嬉しそうだ。
「ま、まぁ、昨日のがなかなか好評だったからな・・・」
恥ずかしいのだろう。斗貴子は自分でフォローを入れる。
「何であれ嬉しいよ、じゃあ早速・・・」
そう言ってカズキは斗貴子の弁当を食べようとするが、それを斗貴子が静止する。
「なに?斗貴子さん」
「昨日と同じだ・・・私が食べさせてやろう・・・」


「はい、カズキ・・・口を開けろ。あーん」
「あーんは恥ずかしいけども・・・あーん・・・むぐむぐ」
何だかんだでカズキは口にする。羨ましいなこの野郎。
「美味いか?」
「(ドクン!あれ?また核鉄が反応した。何だろう?)・・・うん、すっごく美味しいよ」
「そうか、それはよかった・・・次はこれだ」
そう言って、斗貴子は次のおかずに箸をつけて、カズキに食べさせる。
「ふぅ。今日は何だか凄い混んでたね・・・」
「ああ。だがカズキ達の時間に合わせるには、丁度いいくらいだろう」
「ねねね、まっぴー。お兄さんの分買ってこなくて、ホントによかったの?」
「ん〜、斗貴子さんがいいって言ってたそうだから、いいんじゃないの〜?」
「斗貴子さんの分は買ったけどね・・・」
「斗貴子さんが言うなら問題ないだろ。うーっす。買ってきたぞ・・・」
どうやら岡倉達が来たらしい。ちなみに、最近はこのメンツで食事を取ることが多い。
「・・・って、超ド級ストロベリィィィィィィィィィィ!?」
ビカァァァァァァ!
岡倉が咆哮と共に、目を光らせる。まぁ、彼らがこの有様ではしかたあるまい。
「あ、岡倉達きたねー」「うむ。遅かったな」
岡倉のそんな反応などどこ吹く風か。彼らはちらりと一瞥した後、食事を再開する。
(お願いだから、羞恥心を持ってください)
そんなツッコミが6人全員の頭に浮かぶ。だが口に出すのもバカバカしい。
「なぁ、最近斗貴子サンとカズキのストロベリっぷりにターボかかかってねぇか?」
「確かに。以前の斗貴子氏では考えられない積極性だな」
「斗貴子さん・・・何があったんだろう・・・」
岡倉、六舛、大浜の通称三馬鹿トリオが、口々に呆れのため息を漏らす。
「あー!斗貴子さんの手作り弁当だー!」
まひろが、カズキが食べているものを見て、大声をあげる。まひろはいつもこんな調子である。
「斗貴子さん、もうすっかりお兄ちゃんのカノジョー!」
確かに、もう二人は全校公認のカップルだ。いい加減、本人らの口からは交際宣言はないのだが。

「・・・いや、私とカズキは・・・そんな間柄では・・・(///)」
まだ言うか、このストロベリー娘め。
「でも、カズキがいいと言うならいつでもいいと言うか、私は準備OKだとか、むしろ私の方から
 言ってしまおうかなとか、でもやっぱりカズキの方から、ちゃんと言って欲しいなと思うし…」
カズキに弁当を食べさせるのも忘れて、斗貴子は体をもじもじしながら、独り言を続ける。
「あー、ダメだ。完全別世界。ほかっといて食べようぜ、もう」
『さんせーい』
岡倉の意見に異論を唱えるものは、皆無だった。

「で、海の件なんだが・・・日程は終業式の次の日から一泊二日、ってとこだな」
食事をしながら、岡倉がそう切り出す。夏休みに入った途端に海にいくつもりのようだ。
「場所は千葉の海豚海岸辺りが穴場だ。宿は俺が手配しておこう」
と、これは六舛。
「じゃ、僕は電車の方を手配しておくよ」
と、大浜。
「俺は何をすればいいかな?」
カズキがそう聞くが、三人は首を振った。
「お前はいいよ。俺らに任せて斗貴子さんとストロベリってろ」
口調は乱暴だが、その裏にある優しさに気づかないほどカズキも鈍感ではない。カズキは素直に感謝する。
「だってさ、斗貴子さん」
「大体今時の高校生なら交際なんて当たり前だし…もういっそ文字通り抜き差しならない関係に…」
「・・・ダメだこりゃ。聞いてない」
「ねね、まっぴー。ホントに私とちーちんも行っていいの?」
さーちゃんがそう提案する。確かに、カズキの妹であるまひろはともかく、その友達のさーちゃん
ちーちんは遠慮してしまうだろう。ちーちんも、コクコクと無言で頷く。
「ん〜。全然問題ないでしょ。皆で行ったほうが楽しいに決まってるじゃない」
「そういうこと。と、いうかただでさえ女っ気が少ない上に、一人はもうお手つきなんだ。是非来てよ」
まひろの言葉を、岡倉がおどけた感じで続ける。ついでにカズキへの嫌味つきだ。
「おいおい岡倉。勘弁してくれよ」
カズキが苦笑する。ちなみに、弁当はかなりの量で、一向に減っていかない。

(・・・・・・・・待てよ?)
そこで六舛が何かに気づく。
(謎の集団食中毒・・・現れない共通性・・・そして、昨日の苺戦士の戦闘方法は・・・まさか!)
どうやら何がしかの結論が出たらしい。六舛はカズキの方に向き直り、
「なぁカズキ。その弁当、一口くれないか?」
と、提案する。カズキも特に断る理由もなく、了承する。
「・・・・・・ゴクリ」
何故か冷や汗をたらしつつ、六舛はおかずを一つ口に入れる。その瞬間。
「・・・・&”#=”)”$IOPKASL+!*+>L!"#E"!W#+!」
六舛が何やらわけのわからない悲鳴を上げる。普段の彼からは考えられない様子だ。
「ど、どうしたの?六舛」
カズキだけでなく、他の皆も心配そうに六舛を見つめる。
「私も昔は花嫁というものに憧れたものだ…子供は何人欲しいか、とか妄想したりも・・・」
訂正。斗貴子だけは未だに旅行中。ともあれ、皆が見つめる中、六舛の顔色が変わっていく。
「六舛先輩!大丈夫ですか!?」
ちーちんが声をかけるも、表情はさらに悪くなる。と、いうかこれは・・・・チアノーゼ?
「だ、だ、だ、大丈夫だ・・・ちょちょちょっと、ほけ、ん、し、つ・・・に・・・・」
途切れ途切れに言葉を発しつつ、六舛は立ち上がってフラフラと屋上の出口に向かう。
「あ、私保健委員ですから、付き添います」
そう言って、ちーちんが六舛に肩を貸し、二人は屋上を出て行った。
「な、何だったんだ・・・」
「六舛君があんなに取り乱すなんて・・・滅多なことじゃないよね」
「ああん、もうカズキ。キミはがっつきすぎだ。エロスは程ほどにしておきなさい」
「大丈夫かな〜、六舛先輩。原因は何だろう?お兄ちゃん、わかる?」
「いや、わからないが・・・」
口々に驚嘆を漏らす面々。約一名、違うようだが・・・
「あ、でも〜、斗貴子さんのお弁当食べたあと、顔色が変わったような〜?」
その時さーちゃんがポツリと漏らした言葉に全員はっとする。
「た、たしかに・・・」「まさかこのお弁当が…」「・・・・毒物?」
「でも、カズキ君、これ平気で食べてたよね?」
「うん。っていうか、普通に美味しかったけど・・・・は!?まさか!」
その時カズキは気づく。斗貴子の弁当を食べた時に起こった共通の現象を。
「何かわかったの?お兄ちゃん」
(ありがとう・・・・ありがとう俺の核鉄)
まひろの問いには答えず、カズキは胸の奥でただ、涙した。
「・・・・・・・・・・ふぅ。おや?六舛とちーちんがいないが、何かあったのか?」
そんな最中、騒ぎの元凶とも言える斗貴子が、ようやく帰ってきた。

そんなこんなでドタバタの食事も終わり・・・

キーンコーンカーンコーン
予鈴が鳴る。もうすぐ授業が始まるようだ。
「あ、予鈴だね。そろそろ戻ろうか」
「そうだな。ほら、カズキ、起きろ」
岡倉がカズキを起こす。カズキは弁当を相当食べて疲れたのか、自分が食べたものから現実逃避
しているのか、深い眠りについていた。しかも、贅沢に斗貴子の膝で。
「・・・う〜ん」
「ダメだこりゃ。起きねぇわ」
「何だかんだでカズキも疲れているみたいだからな。ここは私に任せてキミ達は行きなさい」
斗貴子が、カズキを見て微笑みながら、岡倉にそう告げる。
「そりゃ構わないけど授業に遅れ・・・あー、次の授業なら問題ないか」
次の授業は、どうやら教師が出席を取るタイプではないようだ。加えて斗貴子なら
自主学習で簡単に追いつけるだろう。岡倉は笑ってその場を去った。
「ほら、まっぴー。行くよ」
「いいなぁ、お兄ちゃん。気持ち良さそう・・・」
さーちゃんがまひろを引っ張って連れて行く。まひろは不満そうに引きずられていった。
「まったく・・・まひろは相変わらずだな。さすがはキミの妹だ」
斗貴子さんは寝ているカズキに語りかけるように、微笑む。
「ふふふ・・・・可愛い顔をする」
穏やかな昼下がり。まだ夏と呼ぶには早い。風も吹いていて、心地よい空気である。
「今日は結局一つも授業を聞いてないな。まぁ、たまにはこういうのもいいか・・・」
苦笑して、斗貴子はしばらくはこの空気に身を任せることにした。

ザワザワザワザワザワ
そうして暫くすると、学校中が急に騒がしくなった。屋上にいてもどよめきが聞こえてくる。
「何か、あったのか・・・・・・・・!?あいつらは!?」
何気なく校庭の方を見た斗貴子は、その原因を知る。そこは、以前にも戦ったことのある
ホムンクルスがいた。屋上からでもわかる。何故ならそのホムンクルスは、外見からして
超巨大な人間なのである。一目見て斗貴子は気づいた。
「カズキ、起きろ!奴らだ!」
「・・・・う、う〜ん・・・・何だって!?」
揺り動かされて、カズキが目を覚ます。そして校庭に目をやるやいなや、屋上のフェンスに
向かって走り出す。どうするのかと斗貴子が見ていると、何とカズキは核鉄を外に投げた。
「太陽よ!」さらにそのまま屋上のフェンスを軽々と登り、外に飛び出す。
「俺に力を!」そして見事に空中で核鉄をキャッチする。
「変身!」重力に従って、頭から地面に落下しながらも、カズキは核鉄をセットする。
カズキの姿が変わる。カズキは空中で幾度か回転して、そして膝をついて着地する。
「出たな、化け物!この超槍戦士・サンゼリオンが相手だ!」
続けて、ホムンクルスに指をビシィっと突きつける。その瞬間。
ワァァァァァァァァァ!
校舎から歓声が上がる。どうやら、桜花の嫌がらせが上手い具合に働いたらしい。
「全く・・・派手に登場しすぎだ」
斗貴子は呆れながらも自身も核鉄を取り出す。ストロベリーパワーは先ほどの時間で、
これでもかというくらい溜まっている。斗貴子は核鉄を胸の前でギュっと抱く。
「ストロベリーパワー満点☆ストロベリー、メイク、アップ!」
斗貴子が核鉄をセットすると斗貴子の体は光に包まれた・・・・

「お前・・・確か太とか言ったか」
カズキが目の前に立つ巨大なホムンクルスに、隙を見せないように問い掛ける。
「お約束なんだがナ。俺は太じゃねェ。俺のナは大よ!」
そのホムンクルス−大(ダイ)−はふてぶてしく言い放つ。
「名前なんてどうでもいい。お前の目的は何だ?」
「目的?決まってるだろうガ。ここの連中を食い尽くすことだヨ」
「お待ちなさい!」
その時、どこからか朗々とした声が響く。
「何!?どこだ!」「ここよ!」
そこは時計台−校舎のど真ん中にある−の上だった。戦士に変身した斗貴子が、叫ぶ。
「学園の皆の平和を脅かす悪党!例え世界が許しても、月と私は許さない!」
斗貴子が堂々と口上を述べる。階下では生徒たちのざわめく声が聞こえる。
「貴方を討つは愛の力。愛の力は苺の力。ストロベリー戦士・とっきゅん!ここに見参!」
名を名乗ると同時に、斗貴子は跳び、空中で何度も回転したあと、大の前に着地する。そして
「貴方のハートをブチ撒けチャウゾ☆」
ズドーーーン!
毎度起こる爆発と爆煙。断言できる。間違いなく斗貴子の登場の方が派手だ。
オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!
その瞬間、カズキの時の数倍の歓声が校舎から上がる。
『とっきゅん!とっきゅん!とっきゅん!とっきゅん!』
『サンゼリオン!サンゼリオン!』
コールまで起こる始末である。彼らの人気はかなりのもののようだ。
「ハン。やかましい奴らだ」「僻むなヨ、ケケケケケケケ」
大が鬱陶しそうに口を開くと、もう一人の声がした。だが姿は見えない。
「どこだ!隠れてないで出て来い!」
「ケケケケケ。俺は隠れてるつもりはないんだがナ」

ガサガサガサ
もう一つの声がすると同時に、傍の茂みで何かが動く。そしてその何かは塀を乗り越えて、
外に出て行った。カズキはそれを追いかける。
「斗貴子さん!俺はアイツを追う!こっちは任せたよ!」
「とっきゅん!それはともかく待って!罠かも知れないわ!」
斗貴子の静止も虚しく、カズキはそれを追って、外に行ってしまった。
「ケケケケ、さすがは戦士。罠だと気づくなんて鋭いナ」
「だがよォ。お仲間の方はちょっぴりオツムが弱かったみたいだなァ」

やはり罠だったようだ。未だ姿を見せないホムンクルスの声がする。
「やはり罠だったのね・・・とにかく!姿を見せなさい!」
「ケケケケケケ、しょうがねェナ」
声がそう言うと大の後ろから何かが飛び降りた。本当に小さな何かが、だ。
「ケケケケケケ。俺の名は小(チー)、一応このでくのぼうとコンビをやってるゼ」
「誰がでくのぼうだ!誰が!」
その何かは、人型だった。と、いっても身長が60cmくらいしかない。間違いなくホムンクルスだ。
「・・・・・・・なるほど、それで大と小ね・・・」
「気づいても遅ェヨ。お仲間はどっか遠ク。2対1だ」
「ケケケケケケケケケ」
確かに、形勢は少し不利である。だが、嘆くわけにもいかない。
「そうね。だからさっさと片付ける事にするわ!行くわよ!」
叫んで斗貴子は空中高く舞い上がる。いきなり大技を放つ気だ。空中で宙返りをする。
「ストロベリィィィィィィ!月光(ムーンライト)!キィィィィィィィック!」
ゴォォォォォォ!
轟音を立て、斗貴子は一筋の矢となって、大に迫る。だが、大は動じない。
「小!」「おうヨ!」
大が叫ぶと、小は大の腕に取り付く。そして驚くべきことに、そのまま大きな盾になった。
「何ですって!?」
ガキィィィィィィィィン!
その盾の強度は凄まじく、斗貴子のキックを防いでしまう。さらに、
「ケケケケケケケケケ」
小が再び変形して、斗貴子の体にまとわりつく。斗貴子はそのまま拘束されてしまった。
「く・・・・放しなさい!」
「へっへっへ、あっけねェなぁ、苺戦士。一人だとこんなもんかヨ」
身動きが取れずにもがく斗貴子に、大が嫌らしい笑みを浮かべる。
「で、大、どうするヨ?」「決まってんだロ・・・」
そこで大はさらに嫌らしい笑みを深くし、恐ろしい一言を言い放った。
「この女を・・・・犯す」



次回予告

捕まってしまった斗貴子!命よりもまずは貞操が危ない!急げカズキ!斗貴子を救え!
敵の罠にはまってしまった斗貴子とカズキ!この最大のピンチを乗り越えた時、斗貴子は変わる!

次回、ストロベリー戦士・とっきゅん 第五話 「逆転!そして新たなる力」

ヒロイン拘束って特撮モノのお約束だよね、と思いつつ→                続く。
104名無しさん@ピンキー:04/07/21 23:22 ID:SR2orqyo
と、いうわけで今回はここまでです。長々と失礼しました。
105名無しさん@ピンキー:04/07/21 23:24 ID:arREHVnb
ブラボー! オウ、ブラボー!
いやーストロベリっぷりがすごいですな
俺じゃとてもこんなにうまくは書けませんよ
次回も期待してます
106名無しさん@ピンキー:04/07/21 23:35 ID:PoPHti2E
相変わらず力作やね
(゚∀゚)ノ キュンキュン!!
107名無しさん@ピンキー:04/07/21 23:36 ID:AEW+mLCM
>「逆転!そして新たなる力」
まさか果てしない怒りでバイオ…!
108名無しさん@ピンキー:04/07/21 23:51 ID:AEW+mLCM
脊髄反射でレスして書き忘れた_| ̄|○

>>104
蝶サイコーですた、また楽しみにしとります


何か深い悲しみでカズキがロボ化しそう気もしてきた
109衣替え 1/5:04/07/22 01:03 ID:uG+dkbw4
ノックの音がした。
「カズキ、ちょっといいか?」
「うん、開いてるよ」
部屋に入ってきた斗貴子さんはいつもと違う服装だった。

「…それ、銀成の夏服?」
「ああ、明日から衣替えだろう?
 冬服は動きづらかったので、前の潜入先の制服を着ていたが、
 夏服はどうかと思ってな」
そう言うと、持ってきた紙袋から別の服を出してオレのベッドに広げた。
前の潜入先の制服と同じ柄だ。半袖だから夏服なんだろう。比較対象らしい。
「なるほど─」

「私の部屋は、まひろにいつ襲われるかわからないので、ここでテストさせてくれ。
 …って、そういう意味の『襲う』じゃないぞ!」
顔を赤くしたオレに慌ててフォローする斗貴子さん。

「勝手に部屋に入ってきて、トランプやお風呂に連れまわされることがあるんだ!」
「なるほど」…納得。
「それに、ここにカズキと二人でいれば、
 どういうわけかほとんど誰も声をかけてこないしな」
…オレも鈍い方だと思うが、斗貴子さんも相当なものだ。

「こっちはこっちで勝手にテストしているから、キミは自分のことをしていてくれ」
「うん、わかった。そうさせもらうよ」

オレはやりかけだった作業を再開した。
制服の冬服をしまい、夏服を用意するだけだが。
今日まで着ていた冬服と夏服のサイズは同じだから、試着とかはいいだろう。
あっという間に作業終了。

することがなくなったので、斗貴子さんの方を見てみた。
110衣替え 2/5:04/07/22 01:06 ID:uG+dkbw4
くるん、くるん。
あまり大きくないオレの部屋の鏡の前で、
銀成の夏服を着た斗貴子さんがくるくると回っている。

ふわり。
回る瞬間、スカートの裾が少し上がり、斗貴子さんの脚が見えた。
斗貴子さんの脚ってキレイだな。
今までミニスカートだったからさんざん見てきたけど、
長めのスカートから覗く脚は新鮮だ。うん。
それに、前の制服の黒いソックスも良かったけど、
ウチの制服の黒ソックスも負けてない。

「冬服ほどじゃないが、少し動きづらいな」
今度は回るのを止め、部屋を歩きまわりながら、そんなことを言う。
腰の後のリボンも似合ってるし、ヒラヒラもかわいい。

「武装錬金!」
そして鏡の前に戻った斗貴子さんが武装錬金を発動。
発動の瞬間、スカートが舞い上がり、光であふれた。
今までのミニスカートと同じくらいのとこまでしか見えなかったけど、
かなりドキドキした。
それに、元々ウチの女子の制服は色が薄くて透けやすい。薄手の夏服は更にそうだ。
そのせいか、発動の光で下着が透けて見えたような気がして、更にドキドキ。
黒核鉄が発動しないで良かった。闘争心じゃないからか?

光が消えた時、ウェイトモードのバルキリースカートを装着した斗貴子さんがいた。
いったん舞い上がったスカートはすぐに元へと戻り、
小さい武装錬金は、隠れて見えなくなった。

「ウェイトモードは問題ない…人知れず発動しておけるからむしろ便利か─」
そう言って、またくるくる回りだす斗貴子さん。
111衣替え 3/5:04/07/22 01:08 ID:uG+dkbw4
「すまない、カズキ、ちょっといいか?」
「………」
「?カズキ?」
「………」
「カズキ!聞いてるか?」
斗貴子さんが足を止めてこちらを見ていた。
「…あ、ごめん、何?」…見とれていたので、何も聞こえてなかった。

「ちょっと見ててくれるか?」
「うん、わかった」
言われなくても、さっきからずっと見ているけど、それは言わないでおく。
「武装解除!」
斗貴子さんはそう言った後、まっすぐこちらを向いて、両手でスカートを持ち上げた。
太股があらわになる。頭に血がのぼってきたのがわかった。

「武装錬金!」
また武装錬金発動。今度はウェイトモードじゃない。
さっきより少し高くスカートが舞い上がった。ほとんどぎりぎり。
発光による制服透過も確認。
腕より長い4本のアームが太股に装着され、左右に広がった。
「この制服だと、こんな風に手でスカートを持ち上げないと発動できないんだが、
 戦闘時に不利かな?」

そして、スカートを持ち上げていた手を離し、替りに2本のアームで支える。
アームが装着された太股は見えたままだ。
「厚手の冬服と違って、発動後はこうして手を使うことができそうだ。
 ただ、戦闘に使えるアームが減るからぶちまけずらいかもしれない」
そして、またくるくると回る。

「本当は模擬戦でもして試してみたいんだが、キミは戦士活動禁止中だしな─
 どう思う?…って、どうした?おい、大丈夫か!」
オレは鼻血を出して倒れた。
112衣替え 4/5:04/07/22 01:10 ID:uG+dkbw4
気が付くと、見慣れた天井が見えた。自分の部屋のベッドの上。
視線を上に向けたまま少しずらすと、うとうとしている斗貴子さんの顔が見えた。
「斗貴子さん!」
オレは飛び起き…ようとして、軽い立ちくらみを起こし、元の場所に頭を置いた。
そこは斗貴子さんの膝の上。

さっきまでうとうとしていた斗貴子さんが目を開き、小声で言った。
「まだ静かにしていて方がいい」
「斗貴子さん…ありがとう」
「気にするな…体調が悪い中をテストにつき合わせて悪かったな」
…鼻血は体調のせいじゃないんだけど。

「あの時と同じだな」
「あ、そういえば─」
蝶野を倒した後、同じように斗貴子さんに膝枕してもらったっけ。

「結局、夏服もそれに?」
今、斗貴子さんが着ているのは、前の潜入先の夏服。
「ああ。やはりここの制服は戦闘に向かない」

この人はやっぱりこういう優先度なんだ。
オレはみんなを守りたい。そして、この人とずっといっしょにいたい。
そのためにも、また戦えるようになりたい。
だから、ヴィクター化のこと、早くなんとかしたい。焦ってもしょうがないけど。

「このまま寝てもいいぞ。私はキミが眠ってから適当に戻る」
「…でも…うん、じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとう、斗貴子さん」
ほどなく、オレは眠りに落ちた。
113衣替え 5/5:04/07/22 01:12 ID:uG+dkbw4
快適な目覚め。こんなに気持ちがいい朝は初めてだ。体を伸ばし、深呼吸した。
そして、他にも初めてのことを見つけた。斗貴子さんが隣で寝ていた。

「…斗貴子さん?」
オレのジャージを着た斗貴子さんが目をこすりながらこちらを向いた。
「…ああ、おはよう、カズキ。調子はどうだ?」
「順調だけど…どうして?」
「それは良かった。
 部屋に戻るのが面倒になってな、勝手で悪いが隣を使わせてもらった」
「…点呼とかは?」
「六枡がうまくやってくれた。熟睡していたキミの分もな」
なんと言っていいかわからない。時計をちらりと見た斗貴子さんが話を続ける。
「さすがに朝の点呼の代返は断られたので、そろそろ部屋に戻るよ」
そう言って、ベッドから降り、
机の上にたたんであった自分の2種類の夏服を手に取り、紙袋につめた。

「こんな気持ちのいい朝は初めてだ。ありがとう、カズキ。
 ジャージは後で返す。じゃあ、また」

部屋から出て行く斗貴子さんを唖然と見送り、しばらくして我に返った。
斗貴子さんが頭を乗せていた予備の枕に視線を向ける。
(また、こんな朝が来ないかな──)


この後少ししてから、斗貴子さんが毎晩のようにカズキの隣にいるようになるのだが、
それはまた別のお話し。
114名無しさん@ピンキー:04/07/22 01:19 ID:uG+dkbw4
もう一つの未来 AT(朝だけで二回戦なプロット)も
そのうち書くかもしれませんが、
とりあえず、こんなんを書いてみました。では。
115SS保管人:04/07/22 01:38 ID:whLagvdA
書き手が増えて嬉しいんだけど、誰が誰なのかわかりにくいからせめて数字コテでも名乗って欲しいなあ。


以上、保管庫の管理人からのお願いでした。
116名無しさん@ピンキー:04/07/22 01:51 ID:2PDcPxia
そのうちより今のうち
117名無しさん@ピンキー:04/07/22 02:06 ID:AZ03CHzH
>>104
>>114
どちらもGJ!

>>104
ちょいと難を言わせていただければ
ストロベリー戦士・とっきゅん vol4 6/15の
「カズキはそう言って、自分のカードを核鉄を渡す。」のあたり。
『カードと核鉄を』だよね?一瞬どっちを渡したのかわからなかったんで……。
いつもながら敵キャラが面白いね。
次回がどうなるのか楽しみだ。

>>114
夏服でくるくる回るとっきゅんが可愛い。
バルスカ発動させるあたりの描写もイイ!


118名無しさん@ピンキー:04/07/22 02:29 ID:rar8inK2
>>114
GJ 斗貴子さんの回転GIFアニメ思いだしたよ
119名無しさん@ピンキー:04/07/22 04:00 ID:eNAzqG4c
>104氏といい>114氏といい、ホントにここの神はブラボーだ!!
120名無しさん@ピンキー:04/07/22 07:06 ID:vLaXOXRb
>>114
爽やかでイイ!
カズキの部屋でいろいろ試してるところとか
カワイイなー。カズキの脚への考察は同感ですw
121104:04/07/22 07:16 ID:NCf54+fY
>>115
数字コテですか。むーん・・・コテつけるとしたら自分のレス番関係なく
15とつけなければ行けない気もするw考えておきます。

>>117
その通り、ただの誤字でございます。失礼&ご指摘感謝。

レスくれた方々感謝です。毎度毎度の事ながら非常に励みになります。

と、いうか
>>109
普通に萌えました。日常的でいいですな。

122114 ◆3QNSjLC4b. :04/07/22 09:05 ID:dclg35AN
>>115
あとがきかどこかにコテか鳥でもつけねば、とか思いつつ
ほとんど毎度忘れている大馬鹿者です。申し訳ない。
あと、保管庫での >>49 の1行目の誤字修正、感謝です。

以下、最近の投下物。
このスレ >>109-113 >>74-76 >>49-56
前スレ >>787-788 >>783-784
これ以前も数点あったような気がするが、思い出せないから省略。
以上、同一犯の犯行として自己申告します。

>>104
特撮モノ番組体裁なので、全26話とか全52話とか続きそうですね。
毎度、笑いながら読んでます。今後も期待してます。

では。
123名無しさん@ピンキー:04/07/22 11:34 ID:852l+HJX
>>121
非常にGJなんですが、・・・は…にしたほうが読みやすくなると思いますよ。
124名無しさん@ピンキー:04/07/22 11:46 ID:0zjbc0rj
ついでに。
メル欄見えちゃってどうも話の流れが切れてしまうので
なくしてもらえるとありがたいです。
勝手なお願いだとわかってはいますが。
12515 ◆d/tNbfC3.o :04/07/22 15:05 ID:NCf54+fY
俺も数字コテ&トリップをつけるとしますか。このスレの15さんとは全く関係ないですがw
問題あったら言ってください。すぐ訂正します。
>>115
ちなみに俺の作品は苺戦士のみっす。保管庫運営、お疲れ様です。

>>122
ぜ、全26話は敵の数とネタ的にも厳しいなぁw一応それくらいの長さの話の
構想を練ってはいますが、まずはこちらが先ですね。
レス感謝です。お互いがんばりましょう。

>>123
指摘サンクスです。なるほど。確かにそうですねぇ。
ぶっちゃけてしまうと…は「てん」と打って変換するのに対して・・・は・三回でいいので
楽だからそっち使ってました。次からはものぐさはやめます。

>>124
むーん…俺は製作中にこんな事思ってました、みたいなことを皆に伝えたい
寂しがりやでして、(まぁ、今回みたいに全く意味のないものもありますがw)
かといって後書きみたいにあーだよこーだよと書かれても鬱陶しいかな、と思って
こういう形式を取ってましたが、言われてみればその通り。次から気をつけようと思います。
でも・・・多少は勘弁して欲しいかなぁ、なんて甘えてみたりもして。すいません。
126名無しさん@ピンキー:04/07/22 17:47 ID:4oreQWD2
>>125
・三回で … って出るよ?
俺だけ?
127名無しさん@ピンキー:04/07/22 17:51 ID:s3F4g1H2
>>126
変換とかも手間っちゃ手間だしね。
gあたりに登録しておけば一発変換で便利だったり。
128 ◆3QNSjLC4b. :04/07/23 07:52 ID:k/7HPzRU
>>SS保管庫管理人様
どこに書いていいかわからないので、とりあえず、ここに書きますが。
すいません、4-644氏と私は別人です。

それから、自分の投下物を全部覚えてるわけじゃないですが、
以下は私の作品じゃありません。
というか、私はこんなにうまく書けない…
『あふれる想い』
『好奇心』
『インプリンティング』
『望み』
『夏の夕暮れ』
129名無しさん@ピンキー:04/07/23 12:08 ID:hjncjEkN
>>68 GJ!
今更だけど感想レス、萌えますた!
130名無しさん@ピンキー:04/07/23 20:17 ID:kS0LSKTT
…は「さんてん」ですぐ出ますYo
当方WinXP&IME2003(?)ですが
131名無しさん@ピンキー:04/07/23 20:27 ID:eWn7wUdj
「てん」の変換で普通に…になるけど。

>>114
(ー)b
132ナチュラルタッチ 1/2:04/07/24 12:29 ID:7p3qDyA9
真夜中に目が覚めた。
隣では、ハダカの背中をこちらに向けた斗貴子さんが、静かな寝息を立てている。

寝直そうと目を閉じかけたが、ちょっとしたいたずらを思いついた。
後から斗貴子さんに抱きついて胸を揉みしだいてみる。

少しして斗貴子さんが声を出し始めた。
「…あん、ん…カズキ、悪いが寝かせくれ…あっ…」
「うん、わかった。寝てていいよ」…と言いつつ、胸を揉み続ける。
「ん…ばか…それで眠れるかっ…んあ…」
「斗貴子さんの胸、キレイだよ、大好き!」
経験上、大きさの話はしない方がいい。まあ、実際、キレイだと思うし。
「…う…私も…ギュっとされると…ん…好きだが…あ─」
そんなやりとりをしばらくした後、
突然、斗貴子さんがオレの手を払いのけてこちらを向いた。
何故か真剣な面持ちだ。

「こんなつきあいになるずっと前から、キミは私の胸に何度も触っているな?」
「そうだっけ?」
「猿渡との戦闘後、キミに肩を貸した時」
「覚えていないけど」
「鷲尾に上空に運ばれて、キミの武装錬金で着地した時」
「…そうだったかな─」
「それから、連携して鷲尾に臨んだ後、出血を調べるためとはいえ、
 私の胸に手を当てたろう?」
「イヤ、それは─」
「屋上でヴィクターに突き飛ばされた時、胸に手があたった」
「それ、オレじゃないし」
「それから──」
そんなこんなで延々と、実例を挙げられた。
133ナチュラルタッチ 2/2:04/07/24 12:30 ID:7p3qDyA9
「いままでは偶然の事故とばかり思っていた─
 あるいは、呼吸と同じ生態なのかと─
 だから、いちいち指摘しなかったんだが─」

(そんな生態の人、いないって!)…心の中でツッコむ。
でも、ヴィクターのエネルギードレインだって普通じゃありえない生態だしな─
そういえば、オレのヴィクター化、ちゃんと直るのかな?

などと別のことを考えていると、
いつのまにか斗貴子さんの手に核鉄が握られていていた。

「さっきのキミの言葉を聞いて、事故と思えなくなった。どうなんだ!」
今にも『武装錬金!』と叫びそうな勢いだ。
ハダカにバルキリースカートは萌えるかもしれない─
…って、それよりも、オレの生命が危ない!
本隊の指示にそむいて、黒い核鉄で対抗すべきかも?

「わざとじゃないって!だいたい、あの時のオレはそんな余裕はなかったし─」
「私にも余裕はなかった。だからこそ、狙ったんじゃないのか?」
「そんなことないって!信じてよ!」
そう言いながら、さりげなく自分の心臓に手を伸ばし、発動に備えた。

斗貴子さんはオレをしばらく睨んだ後、優しい笑顔を見せた。
「まあ、いい。こうして2人でいるときはともかく、他ではほどほどにな」
「…他はわざとじゃないんだけど─」
「そのことはもういい…気にするな」…斗貴子さんはそう言って、オレの唇を塞いだ。

釈然としない思いを残しつつ、夜は過ぎていく──
134 ◆3QNSjLC4b. :04/07/24 12:30 ID:7p3qDyA9
連投ですいません、もう一つ投下。
135ドレイン・ドレイン 1/1:04/07/24 12:32 ID:7p3qDyA9
毎晩のようにカズキと体を重ねている。
この年頃の男子はこんなものだろうと思う。核鉄の回復力もあるだろう。
それに応じている自分は戦士としてどうか?─
と思わなくもないが、まあ、待機中の身だ。許されるだろう。

が、しかし。

寄宿舎内で表立った男女交際はできないが、親しい連中には隠せていない。
「カズキ、今日もかよ!」
「カズキ君、がんばって」
「カズキ、平均的男子高校生の(以下、薀蓄)」
「お義姉ちゃん、お兄ちゃんをよろしくね!」
こんな風に冷やかされることがしばしばだ。

そして、そんな夜のカズキは特に激しい。
『力が沸いてきている』
そんな風に言う。まるで本当に他人(ヒト)から力を分けてもらっているかの様。

今日も、何度、果てたかわからない。
そして、さすがに精魂つきた様子で眠っているカズキを見ながら思う。

私の中に放たれた内の幾分かは他人の力を吸った結果なのかもしれない─
カズキがシェイプシフトしたわけじゃないが、そんな不安を感じる。
こんな不安な日々がいつまで続くのだろう?

明日から海水浴らしい。不安を忘れて楽しめるといいのだが─
136 ◆3QNSjLC4b. :04/07/24 12:35 ID:7p3qDyA9
>>135
>>82>>83 を元ネタにさせていただきました。ありがとうございます。

本編でも、カズキが級友の応援で何かを成し遂げる度に、
斗貴子さんが心配しているような気がする。

>>117 >>118 >>119 >>120 >>131
ありがとうございます。はげみになります。

>>管理人様
保管庫の修正、ありがとうございました

関係ないですが。
48話でカズキの部屋で斗貴子さんが着ている私服のパンツって
何ていうのでしょうか?
珍しい格好じゃないですけど、名称がわからんので文章化できなくて。

では。
137名無しさん@ピンキー:04/07/24 16:24 ID:Mbsx9lMC
やばい、マジでGJ!
何となくほのぼのしてて(・∀・)イイ!
138名無しさん@ピンキー:04/07/24 18:46 ID:xyj9dPsH
よかったー。
カズキは毎晩の様に、なのか。
ナチュラルタッチは以前から疑われてたからねー
斗貴子さんも不審におもってたのかw
139名無しさん@ピンキー:04/07/24 21:24 ID:ZVt62Dfz
とりあえずだな、とっきゅにんにはカズキのトランクスとTシャツ着て寝る癖を
早急につけてもらいたいものである。
140名無しさん@ピンキー:04/07/25 00:40 ID:via5Xpou
二週間位前に萌えスレで言った斗貴子さんに団扇で扇いでもらうSSですが、
のた打ち回った末なんとか書きあがりました。
いろいろとアラはありますが、まあ暑いからということで。
>保管庫様
バレンタインネタ=トビラ=今回の書き手です。

それではどうぞ「ナツいアツのハナシ」
141ナツいアツのハナシ:04/07/25 00:41 ID:via5Xpou
7月も終わりに近い、台風一過のその日。
「あぁ…」
銀成市は日が傾いても
「暑い…」
一向に気温が下がる気配を見せなかった。
銀成学園寄宿舎の一室。
「いま何度あるんだろ…」
ベッドにうつ伏せで伸びていたカズキは
温度計がなかったかあたりをきょろきょろと見回して
「やめてくれ…確認しても気休めにもならない温度だ…」
「斗貴子さん?」
ドアの前にぐったりと、しかも不機嫌そうに立っている斗貴子を見つけた。
「こっちもあまり変わらないか…」
「どうしたの」
「私の部屋は西日が強くてオーブンみたいなんだ」
「他の皆は…?」
「カズキ…本当に大丈夫か?今は夏休みだぞ」
そう、銀成学園はとっくに夏休みに入り、寄宿生はみな実家に帰省している。
現在寄宿舎に残っているのは、L・X・E騒動の残務処理があるカズキと斗貴子、管理人のC・ブラボーの3人だけだった。
「そうだね。皆いないんだね。皆今頃クーラーが効いた部屋で…」
寄宿舎には当然のようにクーラーがない。
「クーラー!?」
ただ一部屋、管理人室を除いて。
「そうだ斗貴子さん!ブラボーのところに」
「もう行ってきた」
斗貴子の不機嫌そうな顔が、一層苦痛をおびた。
『クーラーが壊れたので一時市街に避難する。ブラボーな戦士斗貴子・カズキ、留守番を頼んだ』
斗貴子は腕を組んだまま、明らかにブラボーの筆致の書置きを見せた。
「…………」
「…………」
カズキも、斗貴子も、ブラボーの行動に本気で殺意を覚えたのはこの時が初めてだった。
142ナツいアツのハナシ :04/07/25 00:43 ID:via5Xpou
斗貴子さん…暑いのダメ?」
カズキはベッドに突っ伏したまま、聞いた。
「…弱い方だ」
斗貴子はベッドに腰掛けて、答えた。
「…暑いね」
「…言うな。余計に暑くなるぞ」
「……あ゙ぁ」
「………これは」
所在無げに部屋を見渡す斗貴子が、机の上に団扇があるのを見つけた。
「カズキ、団扇は使わないのか」
「いや、使っても…」
扇いだ途端、むぅっとくる生暖かい風が斗貴子の頬を撫でた。
「風自体が暑いんだ」
斗貴子は団扇を取り落とし、しばし呆然とする。
「これではサウナだ…」
「ホント、暑いね…」
瞬間、斗貴子の中で何かが切れた。
「さっきから『暑い』とばかり言っているのはこの口かぁっ!」
「イタイ!斗貴子さん目がヤバい!イタいって!」
カズキのほっぺたを両手でつねり上げ、ぐるぐる目で斗貴子は叫んだ。
「イタいって!痛い!イタ…い…?」
痛くない。ほっぺたの手はいつの間にかつねる手から撫でる手つきに変わっていた。
「斗貴子…さん?」
ほっぺたに触れた手に手を重ねて、カズキは解った。
「カズキの頬…冷たい」
「うん、斗貴子さんの手も冷たい」
灼熱の砂漠と真夏の寄宿舎では、体温より気温の方が高温になる。
そんなとき現地人は
「カズキの首も…」
「斗貴子さんの肩も…」
互いに抱き合って涼をとるらしいのだ!
(三笠山出月『うめぼしの謎』より)
143 ナツいアツのハナシ :04/07/25 00:44 ID:via5Xpou
朦朧とした意識の中で、斗貴子はカズキの首に腕を巻いて、
カズキは斗貴子を両腕で抱え込んで、ひんやりと冷たい肌を寄せ合った。

(あれ?私は何をやっているんだ?)
斗貴子の理性は暑さが奪っていった。
(胸がドキドキする…これは…)
カズキと抱き合っているから、とは考えられない。現に何度も抱かれたじゃないか。
抱かれて坂を転げ落ちたり、カズキがヴィクター化したときも抱いたり抱かれたりしたから違う。
そうだ。違うにきまってる。
(暑さのせいだ…)

(斗貴子さんの体、すべすべで、やわらかくて、いい匂い…)
カズキの理性は暑さが曖昧にしてしまった。
カズキの指先が、背中から首筋にかけて斗貴子の体のラインを這った。
「ひゃ…」
びくんと背筋が伸びて、斗貴子はカズキの腕の中で丸くなった。
指先にわずかな湿り気、背中に汗がにじんでいる。
ぴったりとシャツが張り付いた背中は小さくて、丸くて、もそもそと動いていた。
(もそもそ?)
そう、もそもそと。
「気持ち悪いな…」
もそもそとシャツを脱いでるのだった。
144 ナツいアツのハナシ :04/07/25 00:45 ID:via5Xpou
ぺちゃりと濡れ音をたてて、斗貴子のシャツは床に落ちた。
「とっ斗貴子さん!ノーブラだったの?」
微妙に論点がずれている。たぶん暑いから。
「私だって…下着が嫌なときくらい…ある…」
妙にしおらしい。たぶん暑いから。
「いや、そうじゃなくて見えちゃうって!」
「見える…?どうせこの寄宿舎には私とキミしか…」
カズキがいる。一番近しい、けど一番弱い自分を見せたくない人がいる。
「見るなぁっ!」
「うわっ!」
斗貴子は一瞬だけ我に返って、あわてて胸を手近にあったもので覆った。
「…見るな…お願いだから…」
「でも…斗貴子さん…」
それは見られるよりも恥ずかしいよ、とカズキが冷静なツッコミを返すには、
気温が高すぎて、刺激が強すぎて、当事者でありすぎた。
そのとき斗貴子に一番近くて、手っ取り早く胸を隠すものは、カズキの両手しかなかったのだから。
掌に伝わる柔らかさと、心臓の鼓動、小さな突起の感覚。
カズキの掌を自分の胸に押し当てた恥ずかしさと、不思議な安心感。
「………」
「…………」
いつも話し声と足音が絶えない寄宿舎は、その日はとても静かな日だった。
「…斗貴子さん…」
「…どうせこの寄宿舎には…私とキミしか…いないんだから…」
胸にカズキの手を当てたまま、斗貴子はベッドにカラダを横たえ…
「キミがいいなら、その…一線を越えても…」
その言葉は、最後まで言えなかった。
たがいの顔が頬を擦りあうまで近くにあって、
たがいの吐息が絡まりあった途端、
唇を擦りあわせるだけのかすかなキスと、
カズキのかすれたささやき声が
「一線…越えようか」
と、言っていた。
145 ナツいアツのハナシ :04/07/25 00:46 ID:via5Xpou
カズキがシャツを脱ぎ捨てた後、もう一度抱きしめあった。
ぺたり
汗みどろの肌がひんやりとして、大きな安堵の息をつかせた。
触れ合った肌に熱がこもらないように、カズキは体を動かしている。
ぬちゅ…くちゅ…
それが体全体を使った愛撫になって、斗貴子の胸がじんじんとせつなさを増していく。
「斗貴子さんの肌…シャツ越しより、気持ちいい」
「そんなコト…言わないでくれ…」
「…?」
「布越しで、その、当たっているんだ」
斗貴子の股間に、カズキの固くなったモノが。
「これ以上のコト、キミにされると思うと…」
ショートパンツの中は汗と愛液でぬかるんで、カズキのモノと擦れて、ぐちゅ、ぐちゅ、と音を立てていた。
「最後の理性のひとかけらまで…んくっ」
わずかに意識が飛び、つま先がぴんと伸びた。
「…ぁ…ぁぁ…」
うつろだった目を閉じて、快感に浸る斗貴子の顔が、カズキの頬を染めた。
「斗貴子さんのその顔、かわいい」
いつもは恥ずかしくて言えない言葉が、暑さとふたりだけの部屋のせいで漏れ出す。
「やめ…恥ずかしいから…ん…」
「本当に、かわいいよ…斗貴子さ」
言葉を遮るように、斗貴子が唇を重ねる。
「それより…下…脱がせてくれないか…気持ちよくて、気持ち悪くて、狂ってしまいそうだ…」
「うん…」
軽く頷いてカズキは腰に指をかけて一気に引き降ろす。
「いや…君が脱ぐんじゃなくて…」
自分のハーフパンツと下着を。
そそり立ったモノが揺れているのに、斗貴子の目は釘付けになった。
「ああ、斗貴子さんの、ね。ゴメン。」
カズキの理性は、暑さがほとんど奪っていた。
146 ナツいアツのハナシ :04/07/25 00:49 ID:via5Xpou
「いや、いいんだ。どうせキミも…するときは脱ぐんだろうし」
そう言いながら斗貴子は自分で下着を降ろしていく。
薄く生えた恥毛の奥で蜜と汗が溢れて、カズキの目を止まらせた。
「コラ、あまり見るな」
仰向けに膝を立てて寝かされた斗貴子は、視線が怖いみたいに目を腕で隠した。
「ゴメン、今の斗貴子さんすごいエッチだったから」
隠しきれない言葉が(多分)暑さのせいで自然に口をつく。
脚の間に割り入って、斗貴子の目を隠した腕に指を絡めて、取り除く。
「もっとエッチな斗貴子さん…見たい」
斗貴子の裂け目の入り口に、直に当たる肉茎の感覚。
誰にも触れさせたことのなかった花弁がうねり、カズキを迎えようとする。
「あうっ」
股を押し開いた奥の、さらに奥に分け入ろうとするカズキの一部の感覚。
「かはっ…あっ…」
割り裂けそうな下腹部に、熱を帯びた固いモノが埋まっていく。
「……あ…ぁぁ…んっ…」
子宮口に達し、鈍く、内臓を突き揺さぶられる。
「ん…」
「入れちゃったね…」
「まだ…ちょっと…動くな…」
斗貴子の目の端に涙の露が光る。
斗貴子の体はカズキを受け入れようと、痛みをかき消そうと、弛緩と収縮を繰り返した。
薄くしなやかな粘膜はカズキを包み込み、破瓜の血が太股をつたう。
「大丈夫?痛くない?」
「痛いが…だいぶ和らいできた…あ」
目の端の雫にキス。ビクンと斗貴子の体が反応して、つながった部分が擦れる。
「熱っ…」
薄い柔襞が掻き乱されて、熱さに似た痛みが走る。
そのたびにカズキのモノを媚肉が快感に導いて、突き上げたい衝動に誘う。
「熱っ…熱い…んむっ」
斗貴子の声は、カズキの唇が塞いでしまった。
147 ナツいアツのハナシ :04/07/25 00:50 ID:via5Xpou
「暑いって言ったら、余計に暑くなるよ、斗貴子さん」
「それとこれとは…ちがう…うあっ…ぁ…」
傷つけることを恐れるようにゆっくりと、カズキは動き始める。
唇を軽くはみあって、どちらともなく舌が絡みあって、たがいの痛みと衝動、そして熱さをかき消そうとした。
それでも、互いを求めようとして体が動き、斗貴子の肉壁は熱く乱れる。
そのたびに蜜は溢れ、じゅぷ、じゅぷ、と水音が響く。
「…んくっ…つ……ひあっ!」
汗まみれの肌がぬめり、全身が粘膜のようになる。
斗貴子の綺麗に切りそろえられた後ろ髪から覗くうなじを、カズキが撫でた。
斗貴子の薄く心臓の鼓動が直に伝わる乳房の先端が、カズキのそれと擦れあった。
そのたびに意識が薄らいで、より強い快感が身を引き裂いてしまいそうになる。
「いやっ…深っ…ぃ……」
いつしか腰の動きは深く、濃密に貪るモノへとかわり、それに応えるかのように柔肉は締め付け、硬肉を導いた。
「斗貴子さん…もう…」
苦しげなカズキの声が、果てるのが近いことを伝える。
幾度となく突き上げられた子宮口がじんじんと疼き、内臓が微細な振動で蕩け、全てを受け入れようとする。
「くぁ……あぁ…あっ!」
胎内に、熱い、熱い濁流がはじけたのを感じた途端、斗貴子の全身は蕩けきって、意識はしあわせとせつなさで満たされた。
148ナツいアツのハナシ :04/07/25 00:51 ID:via5Xpou
べたり、とした肌触り。
「ちょっと、気持ち悪いね」
背中合わせに座ったカズキが言った。
チリリ…と虫の鳴く音と、薄暗い部屋。誰もいない夜。
「キミに嫌われないうちに汗を流して帰ることにする」
頬を紅く染めた斗貴子の、精一杯の告白。
「じゃあ、一緒にお風呂に行こうか」
裸のままの斗貴子を抱きかかえ、カズキは部屋を出ようとする。
「コラッ!やめろ」
「大丈夫。夏休みで誰もいないんだし」
いつも喧騒の絶えない廊下は、その日は嘘みたいに静かだった。
それでも誰かが見ているような不安に襲われて、斗貴子はギュッと体をこわばらせる。
カズキはそんな姿が愛らしくて、いつまでもこの腕の中から離れないで、と願った。

「せめてシャワーを浴びる時くらい、降ろしてくれないか」
「ああ、ゴメン」
冷たいシャワーの雨に打たれて、口付けを交わす。
太股をつたって、血交じりの精液が流れ出した。
「もう1回、しよ」
「こっ、ココで?」
「片脚、上げて」
「立ったままは…やめ…あ…」
斗貴子は背中を壁に預けて、片脚をカズキが担いで、ふたりはもう一度繋がる。
「すごい…斗貴子さん…繋がってるところが見える…」
「見えても言うなぁ…んっ…キミは…失礼だ……っ」

そのころブラボーは
「源さんの生き様、ブラボーだっ!」
漫画喫茶で『湯けむりスナイパー』を全巻読破しようとしていた!
149ナツいアツのハナシ、おわり:04/07/25 00:52 ID:via5Xpou
さらり、とした肌触り。
夜が訪れて、気温が下がり、涼やかな風がカズキの部屋、寄り添い寝そべったふたりを撫でる。
「…斗貴子さん」
パタ、パタと団扇で涼風を送りながら、カズキが言う
「…どうした?」
目を閉じて体に涼風を受けながら、斗貴子が応える。
「明日も、暑くなりそうだね」
「そうだな…」
「明後日も、暑くなるかな」
「そう、だな…」
「夏が、終わらないといいな…」
「そう…だ…な」
「いつまでも、斗貴子さんと、一緒に…いたいな…」
「……」

コトリと、団扇が、落ちた。
頬に団扇が当たって斗貴子は目が覚めた。
あどけないカズキの寝顔に、斗貴子は思わず微笑んだ。
団扇を取って、カズキを扇いだ。
いつまでもこの夏が続けばいいと、願いながら…。

コトリと、団扇が、落ちた。
頬に団扇が当たってカズキは目が覚めた。
安らいだ斗貴子の寝顔に、カズキはしあわせに満たされた。
団扇を取って、カズキを扇いだ。
いつまでもこの夜が続けばいいと、願いながら…。

コトリと、団扇が、落ちた。
150名無しさん@ピンキー:04/07/25 01:27 ID:jukoJhBR
なんか爽やかだぞ!

内容は暑苦しいがw
151名無しさん@ピンキー:04/07/25 01:30 ID:ihpZKhSQ
わあ。エロエロでラブラブぅ〜(*´_ゝ` )y━・~~

>三笠山出月『うめぼしの謎』
ぐぐったら「精錬されたシュール」「極端なリアリティー」 とか評されてた。
絶版で入手困難らしいね。

抱き合って涼をとりつつ、エロスになだれこむ
描写が萌えですた。
152名無しさん@ピンキー:04/07/25 02:39 ID:ULUvHt7f
GJ!えろいえろすぎる。
斗貴子さんかわええなあ(;´Д`)
153名無しさん@ピンキー:04/07/25 03:11 ID:VoOvebiE
>142
まさかデゲツの名前をこの板で……ってアレか、一応元少年漫画だったな。

虎「今日から君もタイガーだ!!」
獅「舐めてんのか」

だったか? 爆笑した覚えが。

とにかく God job であった。神の仕業よ。
154名無しさん@ピンキー:04/07/25 03:22 ID:KGCRN6uO
>151
大都社から復刻版でてるよ
とりあえずぐぐったのならわかってるかもしれないけど
兄貴がどんどん生き生きしてくるマンガだからね。

A:UFOキャッチャーに対抗してUFOキャッチャー作ってみました
B:どれどれ
バシュウーーー!!
B:取れるか!
155名無しさん@ピンキー:04/07/25 09:39 ID:Vu4jXKZw
>>141-149
抜 き ま し た



2回
156名無しさん@ピンキー:04/07/25 10:34 ID:zl56B7SN
流れをぶった切るようで悪いが、
来週のTQNイイ・・・けど、打ち切りor最終回のヨカーンも

orz
157名無しさん@ピンキー:04/07/25 12:50 ID:N8CwEzgp
>>149
GJ!
らぶらぶで(・∀・)イイ!
斗貴子さん可愛すぎです
158名無しさん@ピンキー:04/07/25 14:57 ID:WwXPLFIm
>>149
グッジョブ。
エチシーンまで持っていく前振りが凄く自然な流れで…
素直に感動した。
159名無しさん@ピンキー:04/07/25 19:04 ID:lNWdqnRT
レスありがとうございます。
実際の学生寮は大抵空調が整備されてますので
受験を考えの御父母様は安心してお子様を寮に入れてあげてください。
十中八九岡倉のようになるのは否定できませんが。

そして痛恨のミスorz

ラスト3行目
×団扇を取って、カズキを扇いだ。
○団扇を取って、斗貴子を扇いだ。

>>142
×斗貴子さん…暑いのダメ?」
○「斗貴子さん…暑いのダメ?」

とてもごめんなさい。他スレで取り乱したことも含めてごめんなさい。
160名無しさん@ピンキー:04/07/25 21:21 ID:ihpZKhSQ
ここはお約束でw

>>159「謝るなよ、偽善者」
16115 ◆d/tNbfC3.o :04/07/25 23:20 ID:d2nckUKy
ふー、ネタバレ解禁前の微妙な時間帯でありながら、書き上げたので
投下させていただきます。今回はバトルメイン。正直バトルストロベリーは
難しいと思いつつ、ただただ彼らがストロベるままに→          開劇。
「この女を…犯ス!」「ケケケケケ!面白そうだナ」
「な…何をふざけたことを!」
「ハン、顔が引きつってるゼ。いい気味だナ…なぁ?…」

ストロベリー戦士・とっきゅん 第五話 「逆転!そして新たなる力」

「ハァ、ハァ…ようやく追い詰めたぞ!ホムンクルス!」
校庭から逃げたホムンクルスを、カズキは必死に追いかけ、ついに袋小路に追い詰めた。
「…ゲ、ゲ、ゲ…」 「…!?お前は!?細じゃない!?」
ホムンクルスの姿を見て、カズキは驚愕する。てっきり細(に似たホムンクルス)だと
思ったのが違ったのである。もっとも、そのホムンクルスも以前戦ったことのある相手だった。
「お前は確か…猿渡」
そう、それはカズキが核鉄を手に入れた日。一度死んだ日。カズキの全てが変わった日、
戦った猿型のホムンクルスであった。
「…ギ、ギ、ギ…」 (…何だ、この違和感)
カズキは、目の前に猿渡に何か違和感を感じる。
「お前と戦うのは、二度目だな!」
その違和感を確かめる意味も込めて、カズキは猿渡に啖呵を切る。
「…ゲ、ゲ、ゲ…」
だが、猿渡は先ほどから奇妙な唸り声を上げるだけで、カズキの問いには答えない。
一連の連中なら、ここで自分の名前を訂正してくるはずだ。だがそれがない。
(言葉を喋らない…いや。人格が、ないのか?どういうことだ?)
カズキの中の違和感がさらに大きくなる。だが、今はそれを考えている時ではない。
「そうだ!早くお前を倒して、斗貴子さんを助けに行く!行くぞ!」
「…ギ、ギィ!」
カズキが構えを取ると同時に、猿渡は奇妙な唸り声を再び上げる。
ザザザザザザザザザザザ
『ギ、ギ、ギ!』『ゲェ、ゲェ!』
それに呼応するかのように、同じく猿型のホムンクルスが辺りに現れる。その数、約10体。
「…以前と同じ、か」
多勢に無勢ではあるが、カズキは退かない。以前戦った時は楽勝とはいかなかったが、
倒すことができた。今はその時より確実に強くなっている。負ける要素はない。
「速攻で片付ける!ゼリオ・ブレェェェェェド!」
カズキが剣を抜いた時、それが戦闘開始の合図と相成った…



「ケケ、で…犯すとは言ったものの、どうするヨ?」
「まぁ待ちナ。まずは変身を解除させるのが先ダ」
拘束された斗貴子の前で、大と小が不気味な笑みを浮かべながら相談をする。
「く…こんなことをして…タダですむと…」
口調は強気であるが、斗貴子も冷静ではいられるはずがない。冷や汗がにじむ。
「確かにただではすまねェよナァ。オ・マ・エ・ガ・ナ」
「そういうこった。ま、そろそろ…」
キュィィィィィィィィィン
大の呟きに呼応するかのように、斗貴子の変身が解け、斗貴子は元の姿に戻る。幸いなのは
大の影に隠れて校舎からは姿が見えないことか。もっとも、そんな事を考える余裕はないが。
「ケケケケ、ホントに解けやがった」
「ハン。データによればストロベリーパワー云々らしいからな」
そう。拘束されたことと、そして何よりカズキが傍にいないことで、ストロベリーパワーを
一気に消費してしまったのだ。変身形態を維持できるほどのパワーがなくなれば、こうなる。
「マ、所詮コイツは一人じゃ何もできネェってことヨ」
「一応この変身核鉄とやらを回収しておくカ?」
小の提案に、しかし大は頭を振って応える。
「いや、どうせコイツはもう変身できネェヨ。それとも何か?俺とお前のどちらかが使うか?」
それを俺に書けというのか。
「ナルホド。もう一匹の方が来なければコイツは変身できネェからな。放置しとくカ」
「ふざけるな!カズキはすぐにここに来る!カズキは強い!」
自身を勇気付ける意味も込めて、斗貴子は叫ぶ。だが、大小は不敵な笑みを絶やさない。
「それは難しいナ。奴には結構な数を当てたからナ」
「ま、miss creation−できそこない−とは言え、これくらいの役には立つダロ」
「それを言うなヨ。時間が経ちすぎたんダ」
斗貴子の叫びも虚しく、大小は不可解な会話を交わす。そして…
「さて…そろそろ始めるカ」 「ケケケケ。待ってたゼ」
遂に大が、斗貴子にその手を伸ばし始めた…


「ゼリオ・スパイラル!!」
ゴォォォォォ!
「ギギィ!?」
カズキがゼリオ・ブレードを軸に、大きく回転して、ホムンクルス達を蹴散らす。
「続けて!サンゼリオ・スラッシャー!」
さらに吹っ飛んだホムンクルスに対して、大きく切りつける。
『グギギィ!』
ホムンクルスは成す術もなく、倒れる。だが、すぐに立ち上がって再び襲い掛かってくる。
「く…こいつら、また…」
何度破壊しても、再生し、立ち上がり、再び襲ってくる。先ほどからこの繰り返しである。
『ギギギ!ギギィ!』
飛び掛る複数のホムンクルス。カズキは再び構えを取って、迎撃する。
「このままじゃ埒があかない…だったら!」
ジャキン!
何か考えが浮かんだようだ。カズキはゼリオ・ブレードを鞘に収め、そして
「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
裂帛の気合と共に、空気が震え、カズキの拳にエネルギーが収束する。
「サンゼリオ・クエイカー!」
ゴォォォォォン!
咆哮と共にカズキが地面に拳を叩きつけると、衝撃波がホムンクルスを襲う。
『ギギギギギギィ!』
破壊をもたらすその衝撃波は、ホムンクルスを吹き飛ばし、完膚なきまでに破壊する。
「ハァ…ハァ…」
今の技はかなりの大技らしい。カズキは地面に膝をつき、肩で息をする。
だが、それでもホムンクルスは倒れない。バラバラになった体がすぐさま結合し、また立ち上がる。
「何で…何で倒れない…俺は、斗貴子さんを助けに行かなきゃいけないのに…」
カズキの顔に汗がにじむ。猿渡がここにいる以上、斗貴子は二対一で戦っているはずだ。
焦りが、カズキの胸を刺す。早く、早く行かなければ。
『ギギギギギギィ!』
しかし、ホムンクルスは倒れない。倒しても倒しても蘇って襲い掛かってくるのだ。
飛び掛るホムンクルス。カズキは未だ地面に膝をつき、起き上がることができない。
「く…一体どうすれば…」
襲い掛かるホムンクルスに、カズキは成す術がない。万事休すかと思われた、

その、瞬間。


ドゴォォォォォォォォォォォン!
『ギギィ!?』
突如として、ホムンクルスが爆発する。呆然とするカズキに、空から声が響く。
「だらしがないな、武藤!」
「蝶野!?」
それは大きな一羽の黒死の蝶。カズキのライバルでもあるホムンクルス。
常に高みを目指す男。パピヨンこと−蝶野攻爵。
「この程度の相手に苦戦して、正義の戦士気取りか。笑わせる」
「…見てなかったのか?こいつら、倒しても倒しても復活してくるんだ」
パピヨンの皮肉に、カズキは苦い顔で返す。苦戦しているのは事実だ。
「…頭を使え。ホムンクルスとはいえ、不死身というのはあり得ない」
「けど、事実こいつらは何度倒しても…ほら、また」
彼らが言葉を交わす間にも、ホムンクルスはまた復活する。これで幾度目だろうか。
「…よく見ろ。さっきまでの戦闘中、全く動いてなかった奴がいるはずだ」
「…!?」

言われてカズキは初めて気づく。先ほどの戦いの最中、猿渡は一歩も動かなかったことを。
「と、すると…」
「ここまで言えば貴様でもわかるか。そう、コイツらの大元はあの猿渡だ」
「なるほど。つまり、アイツさえ倒せば!」
カズキは叫び、そして構えを取る。だが、そのカズキを蝶野が静止する。
「そういうこと。さ、ここは俺に任せてお前は行くがいいさ」
続けてパピヨンが放った言葉に、カズキは驚愕する。
「…どういうことだ?俺を助けてお前に何の得がある?」
彼の疑問ももっともだ。彼らはライバル同士。そもそもカズキを助けることがおかしい。
「お約束なんだがな。貴様を倒すのは、この俺だ。さぁ、さっさとあの女のもとへ行け」
カズキは一瞬頷きそうになるが、ふと気づく。そうだ、第一この猿渡は…
「待て。このホムンクルス、元々はお前が作ったものはずだ。いいのか?」
彼の言うとおり猿渡は蝶野が作ったものなのだ。だがパピヨンは苦渋の表情を浮かべる。
「…だからだ。いいから、さっさと行け!」
パピヨンの表情を見て、信じるに値すると思ったのか、カズキは彼に任せることにする。
「事情はよくわからないが…恩に着るぞ、蝶野!」
言うやいなやカズキは学校に向けて走り出す。その背中にパピヨンは声をかける。
「礼など言う必要はない、貸しだ。俺が生まれて初めて作った、な」
そう言って、パピヨンはフッと不敵に笑う。
(それに、今あの女が死ねば武藤は絶望のあまり、武藤でなくなる。いずれはそうなるとして、
 それは俺の役目だからな…)
声には出さず一人ごちて、パピヨンは猿渡の方に向き直る。
「よくも、こんな劣悪品を作ってくれたものだ。さて、この不快感、どうしてくれよう」
『ギ、ギィ!』
相手が自分を作った人間だと気づいていないのか、ホムンクルスは闘志を剥き出しにする。
「ま、創造主の務めだ…お前らは、俺の手で無に還してやる」
静かに呟いて、パピヨンは自分の周りに無数の蝶を発生させた。
「く…誰が、お前達などに…」
にじり寄る大と小に、斗貴子は精一杯の虚勢を張る。
「ヘ。気が強い女ってのも悪くネェナ」
「ケケケ、声が震えてるゼ」
(ええい、どうにかならないのか…カズキ!)
だが、そんな虚勢に何の意味もない。窮地に立たされた斗貴子の頭に浮かぶのは、一人の男。

彼女が人生を変えた男。彼女の人生を変えた男。今まで誰一人として侵入を許さなかった、
彼女の心にすんなり入って来た男。常に一人だった彼女が、初めて一緒にいたいと思った男。
(ふふふ…こんなことなら、さっさとキミに初めてを上げておけばよかったか…)
斗貴子の頭に浮かぶ諦念。迫り来る大と小。大の手が、斗貴子の服に手をかける。
『待てぃ!』
その瞬間、朗々とした声が辺りに響く。
「ナニィ!?どこダ!」「屋上ダ!」
声の主を探す大に、小が告げる。二人が目をやると、一人の男が立っていた。顔は逆光で見えない。

「人は…一人でも戦う力を持っている。だが、その力には限界があるだろう。人は、誰かと
 支えあって初めて、無敵の力を持つ戦士となるのだ。例えどんな逆境であろうと、信じ、思い
 助け合う心・・・・・・・・・・・・・・人、それを絆と言う」
「ハン、ふざけたことを!何者ダ!」
そこで初めて、逆光で見えなかったその男の顔が見える。その男とは、言うまでもない。カズキだ。
「お前たちに名乗る名前はない!」
一喝すると、カズキは先ほどと同じように、核鉄を宙に投げ、自身も宙に跳ぶ。
「太陽よ…我に力を与えたまえ…」
そのまま空中で核鉄をセットする。
「変身!」
カズキの思いが頂点に達すると、核鉄はそれに呼応して、超槍戦士へと形を変えるのである。
カズキは、超槍戦士に変身することにより、その力を数十倍に発揮することができるのだ!(cv 速水奨
「闇あるところ光あり…悪あるところ正義あり。太陽の使者、サンゼリオン参上!」
マフラーをたなびかせ、カズキは地面に着地し、そして豪快に名乗りを上げた。
「テメェは!?」「アレをもう突破してきたのか」
大と小は、予定よりずっと早く現れたカズキに、驚愕を隠せない。
「遅いぞ!バカ!」
安心したのだろう。斗貴子は思わずカズキに罵声を浴びせる。カズキは鷹揚に頷く。
「ゴメンよ斗貴子さん。今、助ける」
「ハ!させるかよ!」「ケケケ、やっちまえ、ヤロウども!」
『ギギギギギィ!』
一体どこに隠れていたのか、猿渡の取り巻きと同タイプのホムンクルスが現れる。その数、5。
「ゼリオール!」
ヒュィィィン!
カズキの叫びに呼応して、マフラーが形を変え、マントとなる。そのマントでカズキは
ホムンクルスを弾き散らして、斗貴子の元へ向かう。
「お前ら!斗貴子さんを離せ!サンゼリオ・クラッシャー!」
今度はマントがエネルギーとなり、そのままカズキの推進力となる。
「チ!」
その爆発的な突進力に、大は対応できず、斗貴子は、無事カズキの腕の中へと奪還される。
「大丈夫だった!?斗貴子さん」
「遅いぞ…も、うダメ、かと…バカぁ」
内心は相当恐怖を感じていたのだろう。斗貴子の声は途切れ途切れで、嗚咽が混じる。
「ゴメン、ゴメンよ…斗貴子さん」
子供の様にカズキの腕の中で嗚咽を漏らす斗貴子を、カズキは強く抱きしめる。
「もう、絶対に一人にしない…斗貴子さんは、俺が守る!」
「カズキ…」

キィィィィィィィィィィィン
その時、斗貴子の変身核鉄が強い光を放つ。ストロベリーパワーが溜まったようである。
「さ、斗貴子さん…一緒に戦おう。変身するんだ」
「わかった…」
本当はもう少しこうしていたかったが、そうも言っていられない。斗貴子は変身の構えを取る。
(…?何だ、いつもと違う?)
だが、斗貴子は核鉄に違和感を感じる。いつもと感じが違うのだ。
(…!?そうか、そういうことか。これが、本来の…)
シュルルルルル、ガチン!
斗貴子の中で、何らかの結論が出たようだ。斗貴子はカードをセットした。
「ストロベリーパワー満点…ストロベリー…メイク…アップ」
核鉄を胸の前でキュっと抱き、そのまま下に落とし、自身は例のポーズを取る。本来なら重力に
従って地面に落ちるはずのそれは、カードの目の前に来ると、そこに吸い込まれるようにはまった。
ピカァァァァァァァァ!
そして、今までに見たことのない程強烈な光が、斗貴子を覆う。その光が消えた時に
現れたのは、新たなる姿だった。

「ストロベリー戦士・とっきゅん…ミルクフォーーム!」
ズドォォォォォォン!
毎度の如く巻き起こる爆煙。斗貴子の姿は、少し何時もと違っていた。
スカート、リボン、ブローチは鮮やかな赤だったのが、明るい桃色になっている。
そして、左の手首にもブローチがついている。他にも要所が細かく変わっていた。
「斗貴子さん!?その姿は…」
傍にいたカズキも、驚愕に目を見張る。だが、続く句は斗貴子に静止される。
「とっきゅん。それに話は後。まずは雑魚どもを蹴散らすわ…」
静かに言い放って、斗貴子はホムンクルスの集団に、体を向ける。何をするのかと
カズキが見ていると、斗貴子は左腕を目の前にかざす。
「ストロベリー・オーラ!」
トキューーーーーーーーーーーン!
音と共に、斗貴子の左手首のブローチから、まばゆい光が放たれ、ホムンクルスに襲い掛かる。
そしてその光を浴びたホムンクルスは、一瞬で塵となった。
「す…すごい」
そのあまりの威力に、カズキはただただ、驚愕するのみである。
「…ふぅ。やっぱり、ちょっと疲れるわね」
「でも凄いよとっきゅん!一瞬で倒すなんて…大と小には効いてないみたいだけど…」
「今の技は、対動物型ホムンクルス技だからね…当然と言えば当然よ」
ストロベリー・オーラは、相手の内に眠るストロベリーな気持ちを揺り起こす技である。
闘争心しか持たない動物型ホムンクルスは、オーラによってその闘争心を削がれたとき、
自らの体を維持することができず、崩壊してしまったのだ  (cv 中江真治)

「オイオイ、一気に形勢逆転してんジャネ?」
「ハン、雑魚が消えた所で変わりははしネェよ」
それだけの技を目の当たりにしても、大小は全く動じない。そんな彼らを見て、カズキは
ようやく怒りが込み上げて来たらしい。二人をキッと見据える
「お前ら…よくも『俺の』斗貴子さんにひど…」
「…ん?」「…」
「よくも『俺の』斗貴子さ…あの、斗貴子さん?」「何?」
「何で、いちいち『俺の』って、つけるの?」
勢いを削がれたカズキが、斗貴子に問うと斗貴子は顔を赤らめながら応える。
「だって…男なんだからそれくらいの事言ってくれても…」
「いや、あの…言うにしても別に今じゃなくても…」
「ふーんだ、どうせカズキなんか、あたしの事どうでもいいんだ…いいもーんだ」
しどろもどろのカズキに、斗貴子は突然すね始める。と、いうか微妙に口調が変わっている。
フォームチェンジすると、性格まで変わるのだろうか。
「そ、そんなこと言ってないじゃない!」
「いいもんいいもん。カズキなんかあの早坂桜花と、イチャついてればいいのよ」
「斗貴子さ〜ん」
「斗貴子なんて知らないもーん。だってあたしはとっきゅんだから」
「…なぁ、小?」「…何ダ?」
二人がストロベリってるのを見て気が抜けたのか、大が気だるそうに小に尋ねる。
「本当にコレに、銀城や陣外は負けたのか?」
「ケケケ。信じたくネェが、本当だろうヨ」
「さて…冗談はこれくらいにして」
「冗談だよね?本当に冗談だよね?」
問い掛けるカズキの顔は既に半泣きである。斗貴子はカズキに微笑み、そして大小に向き直る。
「さて…よくも散々人を弄んでくれたわねぇ…」
斗貴子は高圧的に呟いて、ニヤリと笑う。本当に性格が違う。むしろ怖い。
「ハン、やる気カヨ。俺たちに歯が立たなかったのを忘れたのカヨ」
確かに、必殺技すらも防がれ、簡単にやられてのはつい先ほどの話である。
「あら?もう負けないわよ。だって…」
だが、斗貴子の自信は揺るがない。そう、先程とは違うのだ。今は…
「今は…一人じゃないもの」「とっきゅん…」
そう、今は一人ではない。カズキがいる。カズキさえいれば、ストロベリー戦士は、負けない。
「さっさと片付けるわ…」

シャキィィィィン
斗貴子は呟くと、左手首のブローチから、刀を取り出した。日本刀である。
「ヘ!一人だろうと二人だろうと一緒なんだヨ!いくぞ小!」「おうヨ!」
大の叫びに小が答え、小の体が変わる。今度はグローブになり、大の右手に装着される。
「…ハン、死ね!」
ブゥゥゥン!
轟音を立てて、巨大な拳が斗貴子に襲い掛かる。斗貴子はその場を一歩も動かない。
ゴゥゥゥゥゥン!
そしてそのまま拳は、斗貴子に直撃した…かに見えた。
「ケッ!大口叩いた割には大したことネェなぁ。なぁ!チ…チー!?」
小に語りかけた大は、自らの拳に装着されている小が、真っ二つにされているのに気づく。
「名刀・いちごみるく…切れ味は、ちょっとよすぎるみたいね」
ズシャァァァァァァ!
何時の間にか大の後ろにいた、斗貴子がそう呟いた瞬間、小は大の右腕ごと真っ二つになる。
小は、断末魔の悲鳴を上げることなく死んでいった。
「グ、グァ!?」
大は、そこでようやく自分の腕も斬られていたことに気づく。とてつもない威力だ。
「…何て切れ味だ。俺の出る幕、ないかも…」
「ええい!こうなったら片腕だけでもキサマらを!」
ヤケになったのか、大は作戦も何もなく、斗貴子に襲い掛かる。だが、
そんな攻撃を食らうほど、斗貴子は甘くない。
「無駄よ…だって、今の貴方は一人だもの…苺真剣奥義…」
大が左腕を地面に叩きつけるも、斗貴子は既にそこにはいない。
「章姫(あきひめ)!」
斗貴子は、一瞬の内に大の左側を払い抜けていたのだ。
ズシャァァァァァァ!
今度は、大の左腕が切り裂かれる。これで大は両腕を失った。
「一気に決めるわよ、サンゼリオン!」
ここがチャンスとばかりに、斗貴子はカズキに呼びかける。
「わかってる、先に仕掛けるよ!とっきゅん!」
応えてカズキは、大に向かって突進する。
「てぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!苺真剣奥義!」
斗貴子が大に袈裟懸ける。カズキが払いぬけて、二人は大を挟む形となる。
「重ね栃乙女(とちおとめ)!」
そして、再び大を切り結ぶ!
「切捨て御免!」
「グァァァァァァァァァァァァァァァ!」
パチン!ドゴォォォォォォン!
二人が刃を収めた瞬間、ホムンクルス大は、爆煙と散った。

「ふぅ…今回は、ちょっと危なかったね」
変身を解いたカズキが、斗貴子に話し掛ける。
「全くだ。キミがあんな単純な罠にかかるから…」
「あはは、ホントゴメン」
「まぁ、おかげで絆が少し深まったと思えばいいか…」「…ん?」
斗貴子がポツリと本音を漏らす。カズキはしっかり聞いていなかったようだ。
「何?何か言った?斗貴子さん」
「何でもない。さ、バレないように校舎に戻るぞ」
そう言った斗貴子の顔は、少し赤かった。
「そうだね。戻ろうか…って・・・」
戻ろうと校舎の方を見た二人は、そこにある光景を見て絶句する。
『○○先輩!私ずっと先輩のことが好きでした!付き合ってください!』『ボクもだ!××さん!』
『なぁ、俺たちずっと喧嘩ばかりしてきたけど…これからは仲良くしないか?』『…うん』
『姉さん!姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん!』『ペッ(゚д゚)、武藤クン武藤クン武藤クゥゥゥン!』
校舎には、何故かとてつもなく甘い空気が流れていた。それを見て斗貴子が唸る。
「あ〜…そっか」
何か心当たりがあるようだ。斗貴子はバツが悪そうに頭をかく。
「原因がわかるの?斗貴子さん」
「あー、何だ、その…さっきのオーラの余波だったり………………てへ☆」
「…それ、普段の斗貴子さんがやっても似合わないと思う…」
「…私も、そう思う」
おかげで、彼らは今回も正体がバレませんでしたとさ。




次回予告

辛くも学園を守った斗貴子達。だが、斗貴子達はその学園で気になる噂を聞く。
その噂とは、銀成学園の制服を着た二人組みの化け物が、街で悪さを働いている
というもの。今度は奴らの偽者かと思った矢先、当の早坂姉弟が不審な動きを見せる。
まさか…彼らが?不安をぬぐい切れずに、斗貴子達は先手を打って調査を開始する!

次回 ストロベリー戦士・とっきゅん 第六話 「激突!ヒーローバトルはお約束?」

あー、偽姉弟の名前どうしよう。全然考えてないや、けど→           続く。
17515 ◆d/tNbfC3.o :04/07/25 23:31 ID:d2nckUKy
毎度毎度長々と失礼致しました。今回はここまでです。
いつだったか、誰かが言ってたナレーションネタ、拝借致しました。では、また。
176名無しさん@ピンキー:04/07/25 23:34 ID:cv0xkRS1
お疲れ様ですー。
秋水が不憫でならんw

>偽姉弟の名前
変態仮面の姉弟みたいに春夏と秋冬とか…
177名無しさん@ピンキー:04/07/25 23:40 ID:lo8STn4l
乙ですー今回も力作だ!
斗貴子さんの変身前後での性格の激変ぶりが
あいかわらずいいなw
178名無しさん@ピンキー:04/07/25 23:50 ID:x7kVokWM
>「いや、どうせコイツはもう変身できネェヨ。それとも何か?俺とお前のどちらかが使うか?」
>それを俺に書けというのか。
ワロタ。ちょっと読みたい気もするw
179見廻り 1/8:04/07/26 00:05 ID:0FFKTpzn
右手に何かを感じて、目が覚めた。
オレのベッドの隣で寝ていた斗貴子さんが、
上半身を起こし、オレの右手に左手を重ねていた。

目の前の斗貴子さんの背中を見て、
ヴィクター戦の屋上でのよく似た情景を思い出した。
あの時、斗貴子さんの慟哭でこの世に引き戻されたよう気がする。

今とあの時と違いは─
今の斗貴子さんは哭いていないこと、
今の斗貴子さんはハダカなこと。

そんな斗貴子さんの背中を指でつついてみる。
ピクッ、っと反応をした後、こちらを向いた。
うん、やっぱり、哭いてない。よかった。自然と笑顔がこぼれる。
180見廻り 2/8:04/07/26 00:06 ID:0FFKTpzn
「すまない、起こしてしまったようだな…ん?何がおかしい?」
「ううん、こうしていられるのがうれしいだけ。時間は?」

わずかに入る朝陽の中で、斗貴子さんが顔だけを回して、部屋の時計を見た。
「朝の見廻りまで間があるから部屋に戻るには早い─
 かといって、寝なおすほどでもない─
 微妙だな」

オレは無言で斗貴子さんの手を引き、抱き寄せた。
舌を奥まで入れたキス。そして、手を秘所に向けた。

「おい!夜にしたばかりじゃないか!」
強引に唇を離し、そんなことを言う斗貴子さん。
とっさに言葉が浮かばず、じーっと斗貴子さんを見つめる。
でも、秘所の奥まで入れた指は動かしっぱなし。
斗貴子さんの顔がだんだん上気してきた。
そして、しばらくしてから下を向き、根負けしたようにぽつりと言った。
「…一度だけだぞ」
オレは空いている左手で斗貴子さんの頭を抱いた。
181見廻り 3/8:04/07/26 00:06 ID:0FFKTpzn
体を一つにした後、何度か体位を入れ替えて、
今は、上に跨っている斗貴子さんを突き上げている。

突き上げる度に斗貴子さんの肉壁がリズミカルに脈動し、結合部からは蜜が溢れる。
粘膜を掻き分けた自分の分身が斗貴子さんの奥に当たる度に、先端が熱くなる。

そんな、突き上げを繰り返しながら、
両手を斗貴子さんの胸に当てて、持ち上げてみた。
「…あん、あっ…」
途切れず出ていた斗貴子さんの声の調子が変わった。
斗貴子さんの胸は大きい方じゃないけれど、
服の上から見るよりかは大きい。着やせするタイプなんだろう。
この胸に触っていると、なんか安心する。

「え─と、2年B組、武藤君?」
突然、ブラボーの替りの管理人代理の声が聞こえた。
まずい、いつのまにか見廻りの時間がきていたらしい。
没頭しすぎたオレたちは、時間を忘れていたのだ。
返事をしなかったり、おかしな様子があれば、確認のために部屋を見られてしまう。

あわてて手と腰を動かすのを止めた。
そうしたら、今度は斗貴子さんが腰を動かし始めた。現状に気づいていないらしい。

目をつぶってオレに腰を押し付け、前後左右に回し続ける斗貴子さん。
上下運動だけではありえない方向からの快感に、
オレも腰を動かして応えたくなったけど、なんとかこらえて、ささやいた。
「まずいよ…斗貴子さん?」
「…ん、あ…」…それでも腰を動かし続ける。
182見廻り 4/8:04/07/26 00:07 ID:0FFKTpzn
「はいぃ!」
しょうがないので、とりあえず、部屋の入り口に向って返事をしてみる。
自分の声が激しく上ずっているのがわかる。
「ん?武藤君、大丈夫ですか?」
そこをあなたが開けなければ大丈夫!─そんな返事をできるはずもなく。

開けられた時の用心に、斗貴子さんの頭を胸に抱き、布団をかぶせた。
そうしたら、やっと状況を把握したようで、声を潜め、動きも止めてくれた。
オレも腕と肩を布団にいれて、服を着てないことを隠した。

「武藤君?入るよ?」
「はい!はい!はい!武藤カズキ、一名。まったく問題なく在室です!」
それでも扉が開いてしまった。そして、その瞬間、ベッドから布団が落ちた。
オレはどうしていいかわからず目をつぶった。

寄宿舎内での男女同衾はもちろん厳禁だ。
(停学だったかな?…斗貴子さんといられなくなっちゃうのかな─)
これから起こる出来事が頭に浮かんだ。
183見廻り 5/8:04/07/26 00:07 ID:0FFKTpzn
しかし、覚悟していた破滅の音が聞こえてこない。
不審に思い、薄目を開けて様子を伺うと、元通りに閉まっている扉が見えた。
落ちたはずの布団も元に戻っている。そして、去っていく足音が聞こえた。

腰の両脇に金属に近い感触を感じ、布団の中を覗き込むと、
バルキリースカートで布団の端を内側から固定している斗貴子さんが見えた。
あの瞬間に無音無動作で発動し、対処してくれたらしい。

「ん…もう…大丈夫か?」
「うん…ありがとう」

ほっとしたら、射精感がこみ上げてきた。こらえきれずに放ってしまう。
斗貴子さんも目をつぶって体を震わせていた。
そして、その震えに合わせたような締め付けを感じ、
搾り取られるようにオレは出し続けた。
184見廻り 6/8:04/07/26 00:08 ID:0FFKTpzn
少しして、斗貴子さんがバルキリースカートで上半身を起こし、
オレの胸に両手を置いた。下半身は繋がったままで、お互いの息もまだ荒い。

「ハァハァ…あぶなかったな」
「ハァ…ハァ…うん、でも、斗貴子さんの部屋の見廻りまであとちょっとだよね?」
「…ハァ…そうだな、部屋に戻らないと…武装解除」
そう言いながら、バルキリースカートを核鉄に戻す斗貴子さん。
その斗貴子さんの中でオレのモノは回復しつつあるのだが、
見廻りをなんとかしないとそれどころじゃない。

その時、枕元に置いていた携帯が鳴った。

手にとって表示を見たら六枡からだったので、通話スイッチを押した。
「ハァ…カズキ、それは…ん…」
斗貴子さんが何か言いかけ、オレの手にある携帯を取ろうとしたが、
その動きで交わりの角度が微妙に変わり、体が反応してしまったようだ。
声にならない声を出し、動きを止めてしまった。

「六枡?」
『何故、お前がでるんだ?』
「え?あ─」
これ、斗貴子さんの携帯だった。
『お前の部屋の点呼の様子が聞こえたから、そんなことだろうと思ったよ』
「…ハァ…いや、これは─」
『心配するな、斗貴子氏の点呼はなんとかする』
六枡はそう言って、通話を切った。
185見廻り 7/8:04/07/26 00:08 ID:0FFKTpzn
寄宿舎からの通学路。

「…で、なんで、全力疾走してるんだ?」
「走らないと、遅刻するから!」
「朝食もとらずに?」
「朝メシとシャワーの2択でシャワーを選んだのは斗貴子さん!」
「その2択になったのは誰のせいだ!」
「オレたち、2人のせい!」

そう、朝の見廻りをやりすごしてちょっとだけ時間ができたオレたちは、
また、始めてしまったのだ。
次に時計を見た時は、朝メシの終了時間間際。
シャワーを浴びるなら朝メシは無理。ホント言うとシャワーの時間すらきびしい。
そして、今、学校に向って並んで走っていたりする。

突然、斗貴子さんが足を緩めた。いつもより内股に見える。
「どうしたの?」…オレも減速して、斗貴子さんに合わせた。
「…昨晩と、今朝の2回…」
「うん、した回数?」
オレの的確な表現に、斗貴子さんが顔を赤らめ、横を向いた。
「…キミの…が…その…これ以上走ると─」
斗貴子さんが言いたがらない単語を脳内で補って状況を推測してみた。
「…オレの精液が逆流して出てきた…とか?」
斗貴子さんが顔を真っ赤にして声を荒げた。
「ばか!はっきり言うな!」
そして、顔を下に向け、小声で言った。
「……その通りだ」
斗貴子さんの太股の内側に目をやる。慌ててカバンで隠す斗貴子さん。
一瞬だけ見えた様子からすると、まだそこまでは出てきてないようだ。
それなら。
186見廻り 8/8:04/07/26 00:09 ID:0FFKTpzn
オレは迷わず斗貴子さんを背負い、走り出した。
「カズキ、やめろ!恥ずかしい!」
「これなら走れるよ!」
「降ろせ!」「イヤだ!」
「降ろしなさい!」「イヤです!」
「降ろして!」「イヤん!」
「…こうなると、キミは何を言ってもやめないんだったな─」
「そういうこと」

あきらめたらしい。
さっきまでオレの背中を叩いていた拳を解き、オレの前に回した。
そして、オレの心臓のあたりに手のひらをあてて言った。
「黒い核鉄のこと…早く解決するといいな」
「うん、そうだね。ブラボー、早く戻ってほしいよ」

校門が見えてきた。どうやら、間に合いそうだ。
187 ◆3QNSjLC4b. :04/07/26 00:10 ID:0FFKTpzn
>>79 で書いたプロットで書いてみました。

>>137
ありがとうございます。はい、ほのぼの、目指してます。
本編に近い時間軸でほのぼのできるのは今のうちだと思うし。
でも、黒核鉄ネタを入れてたりはする。

>>138
ありがとうございます。
毎晩ってことにした方が書きやすかったんで、そうしてしまいました。

>>139
同衾者や行為の有無にかかわらず、
就寝時の斗貴子さんは着衣してそうな気がするのですが、
それだとうまく書けなかったので、
今回の投下物も含めて、ハダカで寝ていることにしてしまいました。

>>141-149
エロ萌えました。GJ。

>>162-174
笑い萌えました。GJ。

これからジャンプ買ってきます。

では。
188名無しさん@ピンキー:04/07/26 00:22 ID:/H+3pubD
>>187
GJ! プロットの方も読んでみたいなーと書いた者です。
今回も良かった。こういう平和な時間のなかの二人の話、もっと
読みたいと思ったり。新作も期待して待ってます
189名無しさん@ピンキー:04/07/26 01:50 ID:Vtt0InYn
今週の展開はある意味予想通り。
しかし掲載最下位かよ・・・
まー先週と今週のとっきゅんみじゅぎでまた復帰すると思うがw

しかし黒い核鉄3つか。
てことは1つがヴィクターで1つがカズキで残りの1つがパピヨンで決定だなw
あまり先が読める伏線はるのもどうかと思うぞ和月。
早坂秋水は入院から退院まで、一睡もしなかった。
聖サンジェルマン病院での話である。
元々寝つきはいい方で、入院前などは早坂桜花を求める夜以外は朝まで熟睡していたが
しかし退院までの10日間は、一秒たりとも寝なかった。

きっかけは入院前日の夜、月明かりの下で見た綺麗な顔。
カズキと秋水の傷を引き受けて、死に瀕していた桜花の顔だ。
秋水は夜になるたび、脳裏に浮かぶその顔に眠るコトすら忘れ、
冷え乾く手や軽くなる肩や寂しく渦を招く胸奥からの咽びといった
全てが崩れゆく感触を一つ一つ鮮明に巻き戻し
執拗なまでに生暖かい死臭の中で、顔だけが綺麗なのを悲しんでいた自分を思い出す。
早坂真由美にしろ脱落し食われていった信奉者にしろ
最期は醜い姿を晒し、彼の見てきた「死」はそういうものであったから
綺麗なままで死んでいく顔は、彼の現実から離れすぎていた。
しかし別たれる時は、重ねた手からどうしようもない現実として伝わり続けていて
受け入れられないままに、綺麗な顔を悲しんでいた。

強くなりたかった。いや、強くなれるだけ強くなれたと思っていた。
だが結局は渦に呑まれるまま、ただ見ているだけしかできなかった。
間接的にとはいえ、自分の手で追いやった守るべき人を助けられないまま。

どうしようもなく無力だったと何度も思う。暗澹たる自責も込めて。
その数が増える度に、胸奥の渦が姿を変える。徐々に徐々に熱を帯び始め。
彼は戸惑った。
熱の中には、「何か」を成そうとする衝動がある。
暴悪でも自虐でもなく、ただあるべき姿を成そうとする、整然とした衝動が。

秋水は、何日目か分からないその夜から胸の奥の衝動と一人静かに向き合う事にした。

この得体の知れない「何か」に形を得られれば、二度と無力な自分には戻らない、そうすがるように信じながら。

そして彼が「何か」に形を得たのは、彼自身は数えていない入院9日目の夜だった。
聖サンジェルマン病院の昼下がりは、病院のクセに騒がしい。
ほとんどの患者は昼食の後に眠りについているのだが
起きている連中ときたら、テレビのある部屋に集まって
やれ、いつになったらみのもんたはテレフォンショッキングに出るんだとか
やれ、ごきげんようは一日で月曜から金曜までの放映分を順に撮ってくから、
だんだんバテてテンションが低くなっていくハゲの様子が、トークよりも面白いとか騒ぎ立て
メガネの看護婦が注意しても、集団で「看護婦さんかーわーいーい ヒューヒュー」とうやむやにされてしまう。
集団のタチの悪さに、看護婦は毎日頭を抱えている。
中庭の方はもっとヒドイ。
芝生を敷き詰めて所々に白いベンチを置いてある、何の捻りもない憩いの場で
ドッヂボールをして芝生を荒らしたり、一人でミントンしてフン! フン! とかやってるのが沢山いる。
一度、そんな運動できるなら退院して。頼むから休み取らせて!と看護婦がキレた。
(その前日、彼氏から忙しくて会えないのを理由に振られていて、機嫌が悪かった)
「神や仏がいなさって悪を罰して下さると小さい時に聞きました。
それはやさしい慰めと大きくなって知りました。やさしさ頼りに生きてはきたが
やさしさだけでは生きてはいけぬ…… 今日の私は機嫌が悪いわッ!」
とばかりに白いベンチ片手に暴れまわったら、しばらくは静かになったが
しかし、その恐ろしさを体感した人間に限って元気だから、すぐ退院してしまう。
そして新たな入院患者はそんなコトなど知らないから、結局騒がしいままなのだ。

まぁそんな感じに、喧騒が病院を包む昼下がり。
早坂秋水と早坂桜花は昼食を食べ終わった後のこの時間から
毎日夕方にある戦士長の尋問まで、数少ない会話を楽しんでいる。
メガネの看護婦は、そんな彼らの話の腰を折らないよう
食器を下げたりする時は、スっと部屋に入ってスっと部屋を出るように心がけている。
だから、彼女と早坂姉弟はほとんど会話をしたコトがない。
ないのだが。
「妙ね」
早坂姉弟が入院して6日目、午後1時。桜花の病室前。
珍しく早くやってきた戦士長から二人の病状を尋ねられ、ひとしきり説明すると、看護婦は呟いた。
片手に尿瓶を持っている。だって桜花は動けないし。こういうナースのお仕事は必然なのだ。
「妙?」
戦士長が怪訝な声で聞き返した。相変わらず銀色の変態衣装だ。
彼の横を通りすぎてく人は、早足で目を合わせないようにしている。
「何かこう、別れ話が出てもおかしくない雰囲気があるわ。あ、弟クンの方からね。
どこか線が切れてしまったような、話すべきコトを後回しにしてるような、そんな空気が」
一日の内に数十秒しか触れない空気だが、経験から分かるらしい。
この時、6歳くらいの女のコが、戦士長を珍しそうに眺めながら近づいてきた。
パフェに乗せるチェリーのように、右斜め上にちょんと黒髪を束ねているのが愛らしい。

「…彼らは姉弟だぞ」
「だから妙なの」
女のコが(ワーォ)という顔で防護服をつつき始めたのを見ると、看護婦は少し頬を緩めた。
それで女のコに気づいた戦士長が「ブラボーな服だろう?」と誇らしげに声をかけると
女のコはびっくりして「ゲロ怖あああっ!!」とハジけるように泣き叫びながら、逃げた。
「俺ってゲロ怖いのか……?」
「まぁ、ドアを開けた先に突然いたら怖いわね。変質者に見えるかも。そんなコトより」
落ち込んでるのに、二人ぼっちで生きてきた信奉者たちの話に戻されて、戦士長はムっとした。フォローくらいしてくれ。
「姉弟で別れようとするコトなんてあるのかしら。仲は悪くないのよ?」
ぎこちなくだが笑い合ってる二人を思い出しながら、看護婦は不思議そうに呟いた。

「普通はないが、しかし…」
男は時として、現状を捨ててでも「何か」を成し遂げようとするコトがある。
今の戦士長がそれだ。外では二度と防護服を着ないぞ、子供を怖がらせないぞ、と決意していた。
もっとも、すぐ、いや待て、信念を崩すのはなってないな。実になってないしブラボーでもない。
そんな俺を子供たちが好きになってくれるワケはない! ならば俺はこのままで行くぞッ!
と思い直し、秋水の心境を考え始めた。
秋水は「桜花を守り、強さを得て、二人だけの世界で生きていく」コトを成そうとしていた。
しかしあの夜、彼はカズキに負け結果的に桜花を瀕死においやり、そして助けられず
桜花は少しだけ外に心を向け、LXEとも縁が切れ、めざした全てが挫折の憂き目に遭っている。
秋水はそれを引きずる性格ではなく、経験の一つとして受け止めているだろうが
しかし、早坂桜花を守れなかったという一点に関しては、深く無力を感じているハズだ。
と同時に、カズキを一種の「壁」として見ているのではないか。
彼に負けたせいで全てが崩れ、しかし彼のおかげで姉は命を拾っている。
自分を下した相手に、自分が渇望しつつもできなかったコトをされるというのは、いわば完全敗北だ。
それをもたらしたカズキを倒すコトこそが、無力を断ち切る最後のケジメとして捉えてはいないだろうか。
そんな彼が「何か」を成そうというのであれば、
無力から脱却し、ケジメをつけられる強さを得るための原点回帰と再出発だろう。

ただ、それは彼にとっては難しい。
秋水にとっての原点を考えるなら、やはりそれは、
生まれた時からずっと一緒であり、苦境の中で肩を寄せ合い生きてきた桜花だろう。
目が濁るほどの苦難から絶えず桜花を守り続けていたからこそ、今の彼がある。
その原点に回帰した後、彼がどういう再出発を選ぶかは分からないが
少なくても、新しい世界を信じ始めている桜花と共には行かないだろう。
再び自分と同じ道を歩ませるのは、新しい世界を信じている桜花を閉じた世界に戻しかねないし
彼自身もカズキに嫉妬し、卑屈な選択に逃げているようで、それらは秋水の生真面目な性格が許さない。
だが、桜花は彼の原点であるから、離れるコトは難しい。
これまた性格ゆえに、桜花を一人置いていくのが見捨てるようで辛くもあるだろう。
そういう矛盾と葛藤があるせいで、秋水は別れ話を切り出せずにいるのではないか、

と言うようなコトを考えると、戦士長は短くまとめ、看護婦に話した。
看護婦は、変態から突然マジメな話をされて、少しドキっとした。こういうギャップに弱い。
「男には、空を駆ける一筋の流れ星のような自分の世界がある、というコトだ。わかるか、この例え?」
その例えはわからないが、看護婦は何となく秋水の心境を理解した気になった。
と同時に、自分を振った彼氏がそこまで生真面目に自分のコトを考えてくれたらと
未練がましく思ってしまい、看護婦は慌てて話題を変えた。
「あ、そうだ。あまり彼らにマンガを貸さないで」
病室に山と積まれている横山作品の数々を思い出しながら
少し怒っているのは誰に対してか、分からない。
「彼らがマンガ読むために夜更かしでもしたら、治るモノも治らないから」
「むむっそれは聞けないぞ。何故なら横山作品はブラボーだから! 読んでるだけでいろいろ治るから!
事実俺は、仮面の忍者赤影を読んでエボラ出血熱を治したコトがある! ゾナハ病だって治したぞ!」
「それはあなたが頑丈だから。彼らはまだ寝ていなきゃならないのよ」
いやあなたどこに行ってたの、ゾナハ病って何なのと突っ込みたくなったが、看護婦は敢えて冷たく注意だけを告げる。
「そうだ、マーズや伊賀の影丸を読むか? これはヤマケンさんが一番好きな作品らしい」
「ヤマケンって…ダレ?」
ちょっと看護婦は突っ込んでしまい、ああしまったと思った。これではバカを調子に乗らせてしまう。
「キミは盲腸の手術を見たコトあるか? 俺は見たことないがそんなカンジの人だ。
…ところで、その手にしているのは尿瓶だな? 早坂桜花の尿処理を終えたのだなッ! くれ!」
調子に乗りながらいつものように尿瓶を見つめる戦士長に
看護婦は「変態趣味は服装だけにしろ」という顔で呆れた。
「必殺仕事人のテーマソングと交換でどうだ!」
「なにその飛躍!? …そりゃあのシリーズ好きだけど、尿瓶は渡さないわよ」
けど欲しいらしく、ちょっと紅くて困った顔になった看護婦に、戦士長はニヤニヤした。さっきフォローしなかった仕返しだ。
実の所、戦士長は液体には興味がない。いつも冗談でやっているだけで変態的な性癖はなく、覗きが大好きだ。
「と、すまない。話が長引いてしまったな。今日の所は尿瓶を諦めるが、いずれ必殺仕事人とマーズと影丸は持ってくる
マーズの終わり方は衝撃的だぞ。アルベルトさんよりも!」
「べ、別に欲しくは… マンガだって読まないし…」
と看護婦が言いかけた時には、戦士長は、尋問まで暇つぶしをするつもりか、中庭の方へ歩いていた。
実に素早い。もう後姿が小さくなっている。
しかし鍛えぬいた聴覚に看護婦の声は聞こえたらしく、振り返ると親指をグっと立てて、去っていった。
その後ろ姿を見送りながら、看護婦は「相変わらず変な人…」とちょっとだけ笑った。
ペースがつかめない人間だが、不思議と憎めない。仕事人のテーマもくれるらしいし。
ちなみに彼女が笑うと、厳しい顔つきがウソのように、とても優しげな顔になるのだが
それはかつての彼氏からすら言われたコトがないので、看護婦自身もどんな顔をしているかは分からない。

ふと、一度飲みに誘ってみるのも悪くないかもしれないと思った。
居酒屋で一緒に騒いだり、愚痴を聞かせる分には戦士長はいい男なのだ。変態ではあるが。
ヒドい話だが、恋愛対象としてはみなしていない。看護婦はそれでいいと思っている。
もっとも、えてして居酒屋で愚痴をこぼせるような人間こそが、結婚相手になるものだが
彼女はそんなコトは考えずに、仕事に戻った。
医療というモノは昼夜を問わず過酷なモノなのだ。
それからしばらく後、看護婦は早坂桜花の部屋で怒っていた。
病室に入ると、エンゼル御前がこっそり買ってきたメロンパンを桜花に食わそうとしていたのだ。
「コラァ! まだ少ししか喋れない重体なんだから、こんな消化に悪いモノ食べちゃダメでしょ!」
魔がさす棹さす将棋さす、許せぬ悪に止めさすっ!とばかりに
看護婦は御前をはたき、ひったくったメロンパンを力いっぱい握り締めつつ
日々の過酷を感じさせないその瑞々しい指を早坂桜花の鼻先へ突きつけた。
御前は頬をさすり涙を流しながら、その様を睨んでいたが
桜花は平然としたもので、握りつぶされ、床に落ちゆくメロンパンを
ああ食べたかったのにと未練がましく見つめていた。
「…わかった!?」
そんな態度にカチンときた看護婦は、厳しく返事を促した。学生時代はきっと委員長だったに違いない。
その委員長に怒られている生徒会長は、なんで御前の存在を普通に捉えているのとか
そもそも御前が買い物できる病院もどうかとか
別にいいじゃないメロンパンの一つくらいとか、まぁ色々思ったが
逆らってもいいコトが無さそうなので、とにかく一生懸命(に見えるような美しい笑顔を作り)頷いてみせた。
「…とにかく、メロンパンは没収」と、半ば呆れ気味に呟いた看護婦が部屋を出ると
御前は床に落ちたメロンパンを、憤怒の形相で拾い食いしながら叫んだ。
「チクショー性悪女めメロンパン返せ! そんな性格と胸じゃ彼氏できねーぞッ!」
看護婦は見た目、胸がない。胸がない女性=凶暴=大キライという図式が、この時御前の中で確立された。

ちなみに桜花は、夜、消灯時間が過ぎてから電気スタンドを御膳に設置してもらい、三国志を読みふけっている。
両方とも戦士長からの借り物だ。揃いも揃って医療関係者をなめている。
看護婦に見つかったら絶対に怒られるだろうけど、その時は大きなウソ泣きでごまかす気でいた。
あわよくば、それを聞いた他の病室の者たちがかばってくれるかも知れないから。
些細な出来心を罵る看護婦と、泣きじゃくる可哀相な少女では、どちらに利があるかは一目瞭然なのだ!
ウソ泣きを! 一心不乱の大ウソ泣きを!!
我らはわずかな病人集団、十人に満たぬ敗残兵に過ぎない。
だが諸君は一騎当千の古強者だと、桜花は信仰しているのだ。
…何だか別の作品を読むべき気もするが、まぁとにかくこっそりこっそり三国志を読んでいる。
面白い、という理由もあるが、寝付けないせいでもある。
怪我の重さのせいで、秋水と別々の個室になって以来どうも寝付けない。
入院して2日目の夜、桜花は何故だろうと天井を見ながら考えた。そして気づいた。
寝息だ。
いつも隣でしていた限りなく規則正しい寝息が消えたから寝付けないのだ。
(けど、寝息が子守り歌っていうのもヘンな話ね)と、桜花は一人、クスクスと笑うと
寝付くまでの暇つぶしに記憶を辿る。そういえば寝息の主は全く寝返りをうっていなかった。
整然と寝ている姿に、よもやと思い一晩中秋水の寝姿を見てみると、彼は全く微動だにしていなかったのだ。
普通、人は寝ているとき、一箇所が圧迫されて床ズレを起こさないよう何度か寝返りをうつ。
しかし秋水は全くしない。岸部露…もとい、早坂秋水は動かない。
桜花は早坂真由美を思い出してヒヤリとしたが、寝息をしているのに安心するといたずら心がわいてきた。
頬をつついたり鼻をつまんだり唇を触れ合わせ、端整な顔を弄んだが
しかし、彼はスースーという寝息も寝相も崩さなかった。
無反応すぎるのもかえって面白い。以後桜花は、秋水が求めてこない夜中には
彼の顔にちょっかいをかけ、床ズレを起こさないようにこっそりこっそり寝相を変えるのが習慣になった。
そして朝、寸分も変わってない寝相を見るたび、桜花はこらえた笑いに肩を震わし、秋水に怪訝な顔をさせた。

と、ここまで記憶を辿った時、桜花はもう一つ寝付けない理由に気づいた。
手だ。
引き締まっているのに、しなやかでスベスベな、男のコっぽくも女のコっぽくもある秋水の手。
彼が女のコだったら、誰かさんが趣味に従って『前向き』に行動しそうなキレイな手に
桜花はいつも握ってもらっていた。求められた時も寝顔を見る前も寝相を正す前も。
(だから安心して寝ていたのね…)と
桜花は、遠い昔のコトのようにしみじみと実感しながら、ようやくその夜は眠れた。

その日以来、壁一枚隔てた秋水の部屋に耳を澄まし、聞こえない寝息に嘆息をつき
眠くなるまで三国志を読むのが、桜花の新たな習慣になっている。
そして入院9日目。桜花は三国志を読みながら物思いに耽るコトが多くなった。
その中核には秋水がいる。最近の、どこかぎこちない態度が怖い秋水が。

桜花の中で、最も秋水の存在が集約されているのは、彼女の手を引き前を歩いている姿だ。
病院から抜け出した時、高熱に奪われそうな意識の中で一生懸命見ていた姿。
裸足で歩く荒れた道のささくれよりも、引いてくれる手の柔らかさをよく覚えている。
それは、桜花が初めて覚えた「守られている」という安心感と同じ意味で結びつき、今も残っている。
桜花自身を新しい世界から引き戻しかねないほど、しっかりと。

夜はますます深くなる。
暗い病室の中で山吹色に照らされて、定まらない思考のごとく茫洋と浮かぶ三国志は
桜花があの夜見た、山吹色の尖光と馬鹿がつくほどのお人好しを思い出させ、深くため息をつかせた。

「二人ぼっちの世界から新しい世界が開くかもしれないんだ」という彼の言葉を信じてはいる。
だが、桜花はしばしば二人ぼっちに追いやられた過去を、屈折した賢明さにつき合わせて
悪い方向にと、恐ろしい方向にと世界を考えてしまう。
受け入れられるとは限らない。だが秋水のそばにいれば、必ず安心を享受できる。
ならば結局、開いた世界などは何の意味も成さないのではないのか。

悪女じみた顔をわざと作って自嘲する。
「ちっとも変わってないわね」
秋水がいなくなるコトだけを恐れて「ずっと一緒にいてね」と呟いた時と。
変わっているとすれば、それでもお人好しの言葉を信じたがる所だろう。
感謝か敬意か、それとも恋心か、初めて外に抱いた得体の知れない感情のせいで。
ならばお人好しだけに寄っていけばいいのだが、しかし、それでは秋水の時と変わらない。

ふと、桜花は、早坂の扉以上に秋水を縛っていたのでは、とも思う。
なぜならば、桜花に深く根ざしている秋水は、前を歩いているからだ。
ともすればその姿は、桜花から離れて一人で外の世界に行きかねない危惧を招く。
桜花が手をつなぐ度にその危惧がのしかかり、秋水の歩みを鈍くしていたのではないだろうか。
再び外の世界へいく機会を得た彼は、重みを嫌い、今度こそ自分から離れようとしているのではないだろうか。
桜花はまたため息をついた。
たかが壁一枚を挟んで9日離れただけで寝付けなくなり
恐ろしげな思考の沼に浸り、秋水の態度を恐れている。
桜花は逃げるように三国志へと思考を戻した。
「あら……」
場面は、桃園で「同じ日に死ぬ事」を誓った関羽の死を、信じたくないと泣き崩れる劉備の所だった。
自分も秋水と離れてしまった時は、こんな風に泣くのだろうか。
静かな夜の中で、桜花はじっと息を呑んだ。その時。

コン コン

不意に静寂を破った扉に、桜花は三国志からばっと視線を移した。
と同時に枕の下から核鉄を抜き出したのは、LXEの刺客かと思ったからだ。
時計に目をやれば、いつの間にやら午前4時。普通の人間ならば、まずこんな時間に来ない。
桜花が誰何の声をあげようとした時、
「姉さん、起きてる?」
聞き慣れすぎた声が響き、桜花は安堵しながらも驚いた。秋水だ。
「え、ええ」
不意のコトに少し焦っていたらしい。
核鉄と間違えて三国志を枕の下に入れそうになりながら、桜花が
「立ち話もなんだし、部屋に入ってもいいわよ?」
と促すと、「…うん」と、秋水は遠慮がちに返事をし、部屋に入ってきた。
焦りは言い知れぬ予感に姿を変え、いまだ桜花の心臓を波打たせている。

「御免、夜遅くに。…その、寝付けなくて」
病室に備え付けられているイスに腰掛け、謝る秋水に桜花は一抹の不安を覚えた。
床についてすぐ、寝相すら変えないほど熟睡していた秋水が
寝付けないというコトがあるのだろうか。
仮に寝付けないとしたら、自分と同じように「何か」を考えていたのではないか。
得体の知れない「何か」に形を得たから、彼は、それを告げに来たのではないか。

病室の中の夜気が、冬のような冷たさで桜花の肌を冷やした。
200名無しさん@ピンキー:04/07/26 12:00 ID:Q2r5ezid
>>187
GJ!
2人が良い雰囲気ですね。
赤くなる斗貴子さんが可愛いです。萌えました
201名無しさん@ピンキー:04/07/26 12:16 ID:GxRK5bsW
>>199
IDがLOVEだ。いい仕事してやがる…
だけど顔ネタは辛いなーorzいいネタ漫画を葬り去ったもんだ
202名無しさん@ピンキー:04/07/26 12:46 ID:peNLM4CG
>>174
GJ! 毎度毎度面白く読ませていただいてます
ロム兄さんワロタ
203名無しさん@ピンキー:04/07/26 12:46 ID:EWC26o7K
今週は斗貫子さんバリヤバ。
20415 ◆d/tNbfC3.o :04/07/26 15:19 ID:xvq/l/CD
レス感謝です
>>176
秋水は、萌えスレや絵板など、どうにも不憫な扱いというキャラが定着してきたので
それに便乗です。次回か次々回辺りにもっといたぶろうかなと。ファンの人ゴメン。
名前、まだ決めてなかったり。思い浮かばなかったら使わせてもらうかも。

>>177
実は変身すると性格が変わるのは設定当初ではなかったネタ。とっさに入れたけど
味が出たと思う。まだフォームはいくつかあるので、性格を思案中。

>>178
ホント、勘弁してくださいorz

>>187
エロ萌え。登校中の会話がかなり好き。

>>199
すいません、シリアス秋水よりも尿瓶を欲しがるブラボーにただただ笑えるんですがw

>>202
ロム兄さんは個人的に一番かっこいい登場の仕方なので、絶対やろうと思ってました。


今週のジャンプ読んだ。前半萌え。後半orz
新展開のネタも取り入れようと思ったけど、無理っぽいや…面白そうだけどね。
205名無しさん@ピンキー:04/07/26 15:50 ID:0FFKTpzn
>>199
GJ。>>196 で御前のこんな姿が浮かんだ。

自動ドアを開けた人間のすぐ後に続いて売店に入った。
パン売場に向おうとすると、パジャマ姿でジャンプを立ち読みしていた少年が、
ちらりとこちらを見て、道を譲ってくれた。
たまには買ってアンケ出してくれよ!掲載順やばいんだからな!
などと思いながらその脇を抜け、目的地でメロンパンを探す。
そして、御前からすれば大きいメロンパンを抱えてレジへ飛び、
そのパンをバーコードリーダーの上に落とし、お金をレジに置いてみる。
「405号室の御前ちゃんだっけ?お大事にね」
不審顔を見せずにそんなことを言うレジの女性から、つり銭を受け取った。

武装錬金に金を持たせて買い物させる入院患者もどうかと思うが、
当然のように用が足せる売店もどうかと思った。
206名無しさん@ピンキー:04/07/26 19:53 ID:GGAzcmEz
ルパンかよw!
2074-544:04/07/26 20:51 ID:UV0rRRfc
すいません、非エロSS投下しますね。
今週の早バレみて、軽く鬱ったあとにうかんだネタです。

メテオ・ストライクで万事解決。
ブラボーの再殺宣言に、真っ白になったカズキの脳天を
隕石が直撃。不思議パワーで尻化抑制!
とかお馬鹿ネタもうかんだものの、ギャグは正直苦手なので
脳内設定で突っ走ってみました。

では、投下します。
208『宙空の住者』:04/07/26 20:54 ID:UV0rRRfc
高度一万五千メートル───成層圏、空と宇宙のはざまに人ならざるものはいた。
あたかもそこに見えざる玉座の在るごとく中空に座す影。
淡く光る蛍火の髪は強風にも乱れることなく、戦士の筋肉に鎧われた赤銅の肌は
厳寒の空気をものともせず、程よい緊張を保っている。
ヴィクター。彼は黒い<賢者の石>をその身に宿した超常の者であり、世界中で
頻発している集団昏倒事件の元凶である。
彼が錬金術師ドクトル・バタフライの修復フラスコを用い、かつての同胞の手で深く
傷つけられた肉体を憎悪によって再練成してから、すでに二ヶ月が過ぎようとしている。
死とも生ともつかぬ状態に陥ってから100年。
世界はある意味では変貌し、またある意味ではまるで変わっていなかった。
世界は傷ついていたが、なおも美しかった。
人は変わらず愚かで、闇の中に孤立していることに気づかないまま、己のものでない光を
奪いつくさんと奔走している。それこそ自らを奈落へと突き落とす行為であるというのに。
ヴィクターの拡大した意識の端を、自然ではありえない軌跡を描く人工の星がかすめ、彼は目をひらいた。
「ふむ…。この高度まで上昇し瞑想状態に入れば、
オレの力が地上に及ぼす影響は微々たるモノだな」地上の生物を必要以上に傷つけることは彼の本意ではない。
いまも細心の注意を払って星の軌道上をゆっくりと移動しつつ、彼は己の思考に没入していった。
209『宙空の住者』:04/07/26 20:55 ID:UV0rRRfc
───あの突撃槍の錬金の戦士、オレと同じく"黒い核鉄"を命に換えた者、
今頃はかつてのオレと同じく、地獄の辛苦を味わっているのか。
信じた者たちは彼を裏切り、よりどころとするものはすべて破壊されるだろう。
戦士としての誇り、守るべきものたち、愛するもの、100年前オレが護ろうとしたものは
ことごとく、オレの手をすり抜けていってしまった。それと同じように。

彼にとどめをさすべく、振りかざされた死神の鎌の武装錬金と
その主のたおやかな手が思い出されてヴィクターは我知らずその手を左胸に押しあてる。
修復フラスコの中で目覚め、突如としてそれが外部からの力で破壊されたとき
視界に飛び込んできたのは、まるでかつての彼のように戦士の誇りと力にあふれた一人の少年だった。
何の疑いもなく、皆を守るのだと敵に立ち向かう姿。また、奇妙な形ではあったが
確かにデスサイスを思わせる武装錬金の女戦士と少年の間には強い、強い絆が存在していた。
なんという相似。
しょせん、世界は閉じた円環で、あやまちは常に繰り返し続ける悪夢なのか。
彼にしか解らない深い絶望とともに、自分に向かってきた少年の武装錬金を
フェイタル・アトラクションで打ち壊し、かつての彼自身を殺したつもりだった。
だが、世界は彼を冷笑し、更なる悪夢を提示する。少年は彼と同じ存在へと変貌した。
「…逃げる気か」少年が言う。
そうだ、自分は逃げるのだ。いまだ己を縛る円環の世界から。
210『宙空の住者』:04/07/26 20:58 ID:UV0rRRfc
"世界とは発展的円環、常にゆらぎ変化する螺旋(ロタティオン)である"
そう錬金術の教理(ファーマ)は述べる。
錬金戦団の大戦士であり、戦団屈指の錬金術師でもあったヴィクターはそれを信じていた。
正すことのできないあやまちはないと。未来はつねに無限の可能性と希望にあふれているのだと。
そして、彼はヒトの分を超えた望みをかなえようと<大いなる作業>を軽んじ、
<作業>によらない邪法によって同輩の錬金術師とともにみっつの"黒い核鉄"を精製したのだ。
…結果、罪業はそれを生み出した者の身に舞い降り、彼をとらえて離さない。
錬金術のすべてが彼の敵となった。錬金の戦士もホムンクルスも、錬金術が生み出したモノ
全ての始末をつけなければならない。でなければ彼は、閉じた円環の結び目として永劫、
この世界に囚われ続けるのだ。
ヴィクターは絶望していた。
その絶望こそが、彼を円環の結び目たる存在として縛り続けていることに気づかずに。だが───

「……宙空の住者、星々の子らよ。願わくは、あの少年にあらんかぎりの祝福を。世界よ、
もしおまえが螺旋であるならばあの少年には、オレとは違う運命を与えてくれ。
"黒い核鉄"を生み出し、命永らえるためにそれと同化したオレの罪は罪。しかし、彼には何の罪もないのだから」
願いとも、祈りともつかないヴィクターのつぶやきは彼のもとを離れ、風にまかれていずこかへと駆け去った。
想いは、どこかにたどりつくことができたのだろうか?
目を閉じて、ふたたび己の内なる闇との対話にもどるヴィクターの背後で
一条の流星が光の尾をひいて、まっしぐらに地上へと降りていった。

                                                    ─END─
211名無しさん@ピンキー:04/07/26 21:59 ID:SmmNlxXE
おもろい。
ただ尻がカズキの身を思うってのは
ちょっと違うような。
ともあれGJ。
212名無しさん@ピンキー:04/07/26 22:14 ID:WLVGr1j1
カズキも「同じ辛苦を味わう」っていったことから、やっぱり
ヴィクターも信頼してた人から再殺するとか宣告されたかもしれんね。
直接的ではないにせよ、なんらかの指針をカズキに与えてくれるキャラ
だとヴィクターに期待してる俺。
>>207 乙です!
213名無しさん@ピンキー:04/07/26 22:45 ID:1QquMNZe
しかしなんだな、最近急にオーケン(というかステーシー)ぽくなってきたな。ニアデスにしろ、再殺にしろ。
214名無しさん@ピンキー:04/07/26 23:14 ID:aKWNokl7
再殺指令のことは当然、とっきゅんは知らないわけだよね?
215名無しさん@ピンキー:04/07/26 23:22 ID:HSrLTSzA
 胸が苦しい。心臓が走ったわけでもないのに、ドキンドキンッと早鐘を打っている。
 あの人のことを思うと、胸が張り裂けそうだ。
「ブラボー……」
 その名を口にしてみると、まひろの顔に笑みが零れる。
 想い人を思って頬を染める。年頃の女の子ならば、誰でも一度は夢想した事のあるシュチュエーション。
 まさかそれが横文字になるとは、それこそ夢にも思わなかった。
「しかもオジサンだし」
 正確には、いくつ歳が離れているのかはわからない。
 でも親子ほどとまではいかなくても、向こうから見ればやっぱり自分は子供だろう。
「困るよね…… 子供に告白されちゃっても……」
 でも、この気持ちを抑える事が出来ない。だから子供なんだと言われればそれまでだ。
 そんな子供っぽいエゴにも、彼は優しいし、大人だから、困った顔はしてもおそらく自分を気遣ってくれるだろう。
「私だって……傷つく覚悟くらい出来てるよ、ブラボー……」
 声に出して言ってみた後、まひろは震える手でドアをノックした。
「おう、開いてるぞ」
 彼の声を聞くと、一番聞きたいはずなのに、なぜかこの場から逃げたくなる。
「お、おじゃましま〜〜す」
 自分でもびっくりするくらい声が裏返っていた。
 オンナとして、初めてオトコの部屋に入る。武藤 まひろ が大人の一歩を踏み出した瞬間だった。


話しの腰折って申し訳ない。今回のジャンプに萌えたので、とりあえず出だしだけ書いてみました。
216名無しさん@ピンキー:04/07/27 11:45 ID:VjCpuNTT
ブラボーいらね('A`)
2174-544:04/07/27 22:24 ID:lW286d1x
レスくれたかたがた、ありがとう。
蛇足と思いつつ、錬金術関係でウソを書いたので一応補足しときます。
補足とは言っても、書いた本人が実はその手のことに詳しくなく、インターネットの情報
などを参考に書いているので、マジにとらないでね。


錬金術の教理とは、一般的にはエメラルド・タブレットやヘルメス文書のことで
うえのSS中の螺旋うんぬんは創作です。

ロタティオンとは、「錬金作業の最終工程で、最終工程は最初の工程へと回帰し、
発展的円環、すなわち螺旋をなす。永遠に繰り返されるこの輪廻をロタティオンと呼ぶ」
というものらしいです。よくわからない。

たぶん次は、エロスSSが投下できると思います。エロは難しいので、
いつになるかわかりませんが、また読んでもらえるとうれしいです。
218名無しさん@ピンキー:04/07/28 08:52 ID:Xz+cQL4X
悩殺!カズキキッス!


に悩殺される御前さま。
219名無しさん@ピンキー:04/07/28 12:48 ID:hNHcckq1
>>218
ブラボー技だからブラボーにしか使えないんだろ?
対抗してカズキ技を開発かw
220名無しさん@ピンキー:04/07/28 19:26 ID:hPDObMbV
>>215
続きあるんなら読みたい
221名無しさん@ピンキー:04/07/28 22:13 ID:1bd/D1KQ
ここのところ日課は 斗貴子さんに電気アンマ。
身体をクネらせて「キャハハ、こら、やめろやめろ、
やだやだ、ストップ、フフフ」と騒ぐ。
3分経過後
「や、やぁめ、、う、うぅぅぅ・・おし・・っこもれちゃぅぅうぅぅ」と泣きそうな顔でジタバタ。
しかし手が届かずどうにも出来ない。俺はそのまま小刻みに足を動かす。
更に2分経過後
泣きながら 「お、おしっこが・・・う゛ぅ゛ぅうぅぅうぅぅぅぅぅッッ!!」と引き絞るような声を上げて硬直。
短パンの横からのぞくパンティが溢れ出た液でぐっしょりになる。
絶頂冷めやらぬまま責められて「うッ・・らめっっ・・ウ゛ッ・・・・うぅッ・・・」と顔を紅潮させてうめく。
太股をよじらせ、Tシャツの裾を掴んで皺くちゃにして耐えているのがいやらしい。
更に10分 。Tシャツは汗で透けて、短パンもぐっちょりだ 内股はぬめぬめと光っている。
時々身体をビクビクさせながら
らめ、、、らめ、、、カズキ・・・たすけて・・カズ・・
それの繰り返し。
222名無しさん@ピンキー:04/07/28 22:17 ID:tmUAPWjg
なんてヤヴァすぎる日課だ…
223名無しさん@ピンキー:04/07/28 23:03 ID:ymOVoRtO
だがそれがいい
224名無しさん@ピンキー:04/07/28 23:17 ID:lqlbBZs8
>>215 続きです。

「どうした 今日は一人か?」
「う、うん」
 畳張りの、ちゃぶ台とテレビしかないがら〜〜んっとした部屋だ。
 ブラボーは隅から座布団を取ってくるとまひろに薦めてくれる。
「まだ制服ってことは帰ってきたばかりだろう? 嬉しいねぇ、取るもの取らずオニィサンのところに来てくれるとは」
「え!? あ、ああ、うん……」
 彼にとっては軽い、場を和ませる為のオジサンギャグだったんだろうがまひろはドキリッとした。
「レディが来てくれたのにお茶も出さないのは失礼だな」
「あ!? い、いい 私が淹れるから、お茶淹れの達人だし」
「そうか、悪いな」
 まひろはブラボーの視線から逃げるようにそそくさと立ち上がると、テキパキとした動作でお茶を淹れる。
 さすがに達人を自称するだけあって、その手際は見事なものだ。
 さしたる時間も掛からず、ブラボーの前には湯気を立てる湯呑みが置かれる。
「ありがとな それで、オマエのは?」
「へ!?」
 ブラボーの前には湯呑みがあるが、まひろの前にはなにもない。
「わ、私、そ、そうだ ダイエットしてるから!!」
「……そうか」
 いかにも『いま思いつきました』と言ってるようなセリフだが、ブラボーはそれにはツッコまず、“ずず〜〜”っとお茶を啜る。
「で、恋愛相談か?」
「へ!?」
 さっきからまひろはこればっかりだ。でも、なんの前フリもなしにズバリ言い当たられては動揺を隠せない。
225名無しさん@ピンキー:04/07/28 23:18 ID:lqlbBZs8
 まひろは兄と同様に、そこまで器用な性格ではなかった。
「まあ、年頃の女の子が頬を赤らめる理由ぐらいは察しがつく」
「う、うん」
 どこまで、察しがついてるんだろうか? それは、なぜか厳しい表情をしているブラボーの顔からは読み取れない。
「相手は年上か?」
「うん……」
「ふむ オマエラの年齢だと、だいたいは男女問わずに年上に憧れるものだからな」
 それは当たっているのかもしれない。まひろの兄 カズキ がげんにそうだ。
「だがな、憧れって言えば聞こえがいいが、そういうのはほとんどは錯覚だ」
「え……」
「父親や母親、兄や姉でもいい 肉親に求めていた愛情を他人に求めたとき錯覚する、エレクトラ・コンプレックスてやつだな」
「え……」
 ブラボーがなにを言っているのか、まひろにはわからなかった。ただ、血の気が失せていく顔で呆けた返事を返す。
「オマエより長く生きてきた……なにが言いたいのかくらいはわかるが……応えられんよ…オレには……」
 言うと、クルリッと背中を向けテレビを点けてしまう。『話しはここまで、もう帰れ』背中がそう言っていた。
「嫌われてるのかな? 私……」
 声が……震えている。たったこれだけの言葉を紡ぐだけで、まひろの瞳から涙が零れそうになった。
「嫌いじゃない、まひろの事は好きだ でもな……」
「子供だから?」
「そういう事を聞くから子供なんだ 大人と子供は恋愛できん 同じくらいの歳の……なにをしている?」
 錬金の戦士として、常に最前線で戦ってきたブラボーには、後ろを見なくとも、まひろがなにをしているかはわかっていた。
 壁にもたれて、まひろがスカートをまくり上げている。
226名無しさん@ピンキー:04/07/28 23:19 ID:lqlbBZs8
「子供は……こんな……エッチな事しないでしょ?」
「だから、そういうのが子……」
「んッ……」
 ブラボーの言葉を遮るように、まひろの指がショーツの上から秘密の部位を撫でた。鼻に掛かったうめきが漏れる。
「私ね、毎日……してるんだよ」
 恥ずかしい告白をしながら、隠れている快感を少しずつ暴くように、まひろは指を秘裂にそって蠢かせる。
「こうやって……んぅッ…毎日……ふぅッ……ブラボーの事考えて…んンッ……してるの……」
 残った手は、乳房に指がめり込むほど強く揉んでいた。
 思慕の念を抱くものが近くにいるからなのかもしれない。その動きはいつもの一人遊びよりもずっと大胆で、官能的なものだった。
 ショーツの薄い生地を突き上げる突起を、中指と親指でそっと触れる。
 いつもなら、もっと自分を焦らしてから触るのだが、もういまは我慢できない。
“きゅっ”
「ひんッ」
 カズキですら聞いたことのない、はしたなく、甲高い声をブラボーに聞かせる。まひろは子供じゃない自分を見てほしかった。
 だが、ブラボーが振り向く気配はない。ぴくりともせずにテレビ番組(なんかジャニーズが出ている)を見てる。
 まひろは切ない視線をその背中に送るが、よく見れば、熱い熱いお茶をブラボーが口にする回数がやたらに多かった。
「ひッ……あ…あ……んあッ………」
 目はブラボーを追ったままで、つまんだ突起を指の腹で転がしながら、まひろは途切れる事のない快感を貪る。
 しかし、いけない指遊びを覚えてからまだ日の浅い若い身体は、そんなに長くは快楽を享受できなかった。
 少しきつめに突起をひねる。
「ひぅッ…んッ……んあぁッ!!」
 ビクンビクンッと身体を震わせながら、まひろが白い喉を晒して仰け反った。
227名無しさん@ピンキー:04/07/28 23:21 ID:lqlbBZs8
「あ……ン……はふぁ……」
 せつなげなため息とともに、高々と腰を突き上げていたアーチが崩れる。
 短い静寂。しばらくは、まひろの荒い息遣いとテレビだけが、音の全てだった。
「……終わったか」
「……うん」
 ブラボーは背を向けたまま、結局、まひろを一度も見てはくれなかった。
 もう、まひろに出来るのは、涙をブラボーの前で見せない事だけである。それでも、目頭が熱くなるのはどうしょもなかった。
「ほれ……」
“トンッ”
 後ろ手で、ブラボーがティッシュをまひろに寄こす。
「それで、その、拭け」
「うん……あ!?、う、うん」
 最初は涙の事かと思ったが、まだ流れてない。ふっと股間を見ると、びしょびしょだった。
 突然、忘れていた羞恥心がまひろの中に蘇る。あわててティッシュを受け取ると、まひろは耳まで真っ赤にして後始末を始めた。
 でもこれで終わりなのだと思うと、手はノロノロとして、拭き取るだけの作業がなかなかすすまない。
 いつの間にか、泣きながら手を動かしていた。
「また……」
「……うん?」
 不意に、ブラボーの方からまひろに語りかける。
「いつでも、来ていいからな」
「あ……うん♪」
 この部屋に来て、今日初めてまひろが弾んだ声を上げた。
228名無しさん@ピンキー:04/07/28 23:22 ID:lqlbBZs8
「じゃあ……また」
「……ああ」
 いまだに、ブラボーはテレビを見たままだ。それでも、まひろは笑顔でドアを閉められた。
“パタンッ”
 ドアが閉まる。まひろの気配が完全に消えると、ブラボーは、
「ふぅ〜〜」
 大きく息を吐いた。
「よく耐えた、我ながらブラボーだ」
 視線は股間へ。そこは隆々と、初心な女子高生が見たら腰を抜かすくらい勃起している。
「あそこでどうにかなってたら、カズキに会わす顔がないからな」
 本音を言えば、女子高生は、いや、まひろはオンナとして充分魅力的だ。身体に触れられたりしていれば、押し倒していただろう。
「なんにしても、オレなんかに汚されなくて良かったよ……」
 でも、次に迫られたときも、大人の顔が出来る保証はどこにもなかった。

                                    終わり

コメントありがとうございます。うぅ〜〜ん、あんまりエロくないなぁ。やっぱりエロは難しい。
229名無しさん@ピンキー:04/07/28 23:53 ID:g1jdhFgr
>228
GJ!これ、続編とかあります?気になって仕方がありません。
230名無しさん@ピンキー:04/07/28 23:55 ID:MGOHLwPg
>>228 播(゚∀゚)GJ













>>221 たまんねぇ(*´Д`)ノヽアノヽア
231名無しさん@ピンキー:04/07/29 00:03 ID:xbSXX2oe
>>228
ブラボーだ。
というか普通にエロいよ、まひろ。
232名無しさん@ピンキー:04/07/29 00:20 ID:ymVyMzMQ
見せ付けてクレル!!
(*゚∀゚)=3
233名無しさん@ピンキー:04/07/29 00:45 ID:1ZBC1tox
男のやせ我慢は美しいぞ、ブラボー!
234SS保管人:04/07/29 01:14 ID:1ZBC1tox
ちなみに、
このまひろのお話でSSファイルのナンバーが100突破(rennkinn100.html)
私が見てないスレではもっと多い作品もあるのかもしれないけど、
保管庫の中では鋼の錬金術師と並んでTOP。
アニメ化もされてないし、話数の少ないのに勢いがあるなあ。
235戦士の服装 1/2:04/07/29 01:30 ID:8X653ifY
梅雨らしくない梅雨が続くある日。
私とまひろはとあるフリーマーケット会場に来ていた。

銀成市での活動がこれほど長期に及ぶと予想しなかった私は、
夏物の手持ちがあまりなかった。
身を飾る機会がない戦士としては、華美な服装は不要だが、
それなりの数がないと任務に支障をきたす。
そこでそれをまひろに相談したところ、ここに案内してくれたのだ。

「まだ開店前のようだが…とりあえず、並んでおくか?」
「うん、フリマは開店前に来るのがコツなの」
「キミは詳しいのか?」
「何を隠そう、私は(ry」
女カズキとそんな会話をしていると開店時間が到来。
ダッシュで会場内に突撃するまひろに苦笑しながら私も中に入った。
こういうところに来るのは初めてだが、けっこう店が出ているし、思いのほか安い。
予定したより多めに買ってしまった。
一点、かなり迷った服があったが、試着はしたけど、結局、買わなかった。

そして、他のフリーマーケットもいくつか回った後、駅前のロッテリやで昼食。
ハンバーガーを食べて人心地ついた後、まひろがポテトをつまみながら言った。
「斗貴子さんって、今日もそうだけど、
 下はほとんどショートパンツかミニスカートだよね?
 今日買ってたのも、そーゆーのばかりみたいだし。お兄ちゃんの趣味?」
「何度も言っているが、私とカズキはそういう間柄ではない!」
「うん、うん、斗貴子さん、脚、キレイだもんね。お兄ちゃんも見とれちゃうよね!」
「…すばやく発動するため、だ」
「すばやく…はつどう?」
長めのパンツやスカートを着ている時に敵の奇襲を受けたら、
武装錬金で服を破る分、最初の行動が一瞬遅れてしまう。
だから、戦士として、私の服装は決まっているのだ。
236戦士の服装 2/2:04/07/29 01:31 ID:8X653ifY
しかし、反射的に答えてしまったが、まひろに聞かせる話じゃなかった。
「…すまない、今のは忘れてくれ」
「…あ、うん…ええと、他の格好も嫌いじゃない?」
「嫌いではない」
「じゃあ、はい、これ。プレゼント!」

そう言って、まひろが自分の買い物袋から出したのは、
私が最初のフリーマーケットで買うかどうか迷った7分丈のハーフパンツ。
特別な物ではないけれど、たまにはこんな格好もいいな、と手に取った服。

「…何故、これを?」
「斗貴子さん、すごく欲しそうな顔してたよ?
 膝まで隠れちゃうけど、脚の線はちゃんと出るから、斗貴子さんに似合いそうだし。
 いろいろ事情があるんだろうけど、
 お兄ちゃんから見たら、こーゆーのは新鮮だと思う」
「だから、カズキとは!…それに、キミからもらう理由がない」
「学校が襲われたとき、敵を倒s」「だああああああああ!」
誰が聞いているかわからないこの場所で、この話題はまずい。

「じゃあ、いつも、お兄ちゃんがお世話になってるから」
悪魔のような笑顔で、そんなことを言うまひろ。
「…わかった。ありがとう、いただくとしよう」
私に残されたのは全面降服だけだった。

そして、寄宿舎の自分の部屋に戻った後、今日の買い物を整理してみた。
最後に残ったのは、まひろからもらったハーフパンツ。
──戦士失格だな…まあ、待機中だけでも使うとしよう。
そう一人ごちて、他の夏物といっしょにした。
237 ◆3QNSjLC4b. :04/07/29 01:32 ID:8X653ifY
48話の斗貴子さんの私服が元ネタ。

まひろ、って名前、難しいですね。ひらがなに埋もれちゃう。
読みやすくしようとすると、読点が多すぎちゃうし。

>>187
ありがとうございます。本編、平和じゃなくなってきましたね。

>>200
連載初期だと斗貴子さんが赤くなるくだりを書くだけで一苦労だったけど、
最近の斗貴子さんだと割と楽かも。

>>204
今思えば、食パン咥えて走らせる手もあったかも。
偽姉弟は名(桜花・秋水)はそのままにして、姓だけ変えるとか(速坂?)
「桜花先輩!」と呼んだら、真偽両者が返事をし、
「腹黒い方の桜花!」と呼んだら、やっぱり両者が返事をする、とか。

では。
238名無しさん@ピンキー:04/07/29 01:36 ID:6+GlId6e
>234
乙です。
そんなにたくさんの作品が生まれてきたのですか。すごいなぁ。
239 ◆3QNSjLC4b. :04/07/29 01:38 ID:8X653ifY
すません、アンカーミス。
>>237>>187>>188 の間違い。
240名無しさん@ピンキー:04/07/29 01:40 ID:6+GlId6e
>237
リロードするの忘れてたOTL
GJ!エロなしでもイイ!

ところで、自分もエロなし書いてたり。いつ出来上がるか分かりませんが(汗)
241名無しさん@ピンキー:04/07/29 01:41 ID:H39KUXuM
>>237
よんだ。和みますねー。GJ
おそらく本編の重い展開のせいでもあるでしょうが、
こういった日常を描いたSSをもっと読みたいと思う自分。
24215 ◆d/tNbfC3.o :04/07/29 19:34 ID:zxVfivm2
>>234
保管運営お疲れ様です。一つお願いがあるのですが、よろしいでしょうか?
前スレにて上げた主題歌の歌詞なんですが、四行目において

この街は この街は悪の手に沈む

と、「この街は」をだぶらせて投下してしまいました。
お手数ですが、もしよろしければ当方の次の作品を、上げる際にでも訂正して
頂けますでしょうか?気が向いたらでよろしいので。

>>237
ネタ提供感謝ー。それも面白いネタですねぇ。とりあえずやるネタは決まったので
後は名前だけ。何とか予想の斜め上を行きたいところです。
243215:04/07/29 22:14 ID:iJWs4GWV
>>228 の続き

“ずず〜〜〜”
「……今日もお茶が美味い」
 点いてはいても見てはいないテレビ画面に向かって、ブラボーはぽつりと呟いた。
 歳を取ると独り言が多くなると言うが、彼はまだそんな歳ではない。ちゃんと同じ部屋には応えてくれる相手はいる。
「……んッ」
 ただ、その声はか細く、なにかを堪えている、鼻に掛かったものだった。
 まひろは、昨日よりも声のトーンは抑えてはいるが、その声はたった一日でずいぶんと艶っぽさを増している。
 【男子三日会わざるば……】と言うが、オンナは一日で変わるらしい。
「ぅあッ……は………んぅッ!!」
 どこか、オトコに聞かせるための媚を含んだ声。ブラボーは昨日に倍する自制心を必要としていた。
 昨日の今日でいきなり来るとは『また来てもいい』たしかに言ったが、なんとも、兄に似て非常にせっかちな娘である。
 そして、昨日と同じようにお茶を淹れると、ブラボーが背中を向けたのを合図に、勝手に一人遊びを始めた。
 いや、勝手にというのは違うかもしれない。
 切ない潤んだ瞳でまひろが部屋に入ってきたときから、こうなるだろう事は、漠然とだがブラボーは予感していた。
 『やめろ……』とも言えない。そのセリフを言うべき時機は、もう逸している。
 今更言うのであれば、あのとき少しでも受け入れるべきではなかった。だからこうして、させたいようにさせてやるしかない。
「んんっ…あッ……はぁあッ……ふぅ」
 どうせすぐに、若い身体を見もしないオッサンなど厭きるだろう。……そうあってほしい。だが……
244215:04/07/29 22:15 ID:iJWs4GWV
「!?」
 ふらりっと、まひろが立ち上がる気配がする。
 ブラボーにはまだ、まひろがイッてないのはわかっていた。ふらふらっとした足取りで近寄ってくる。
 年甲斐もなく心臓が跳ねた。たとえ戦闘中でも、よほどの強敵を前にしなければブラボーが取り乱す事はない。まひろは……強敵だ。
 それでも、負けるわけにはいかない。大人の余裕を、子供になぞ興味が無いところを、見せねばならない。
「……手強いな」
 ブラボーはぼそりっと呟いた。


コメント下さった方、ありがとうございます。
自分で書いたのはエロいのかどうか、自分ではよくわからないので少し安心しました。
245名無しさん@ピンキー:04/07/29 23:27 ID:bGPZ3nbt
オオーイ(;´Д`)オワリデツカァー
ソーリャナイヨー(´Д`)
246うっかり斗貴子さん:04/07/30 00:11 ID:cCXKjH7d
4月。

「キミの名前ってナニ?」「……すまん、言い忘れていた」

「今だから話すが、核鉄を心臓代わりにするのは実はかなり荒療治なんだ」「そーなの!?」

5月。

「それより何それ?」「キミには話してなかったな。信奉者とは──」

そして7月。

「本隊のコト、戦士・斗貴子から、どの程度聞いている?」
「どの程度って…核鉄を管理してホムンクルスを倒す組織ってコトぐらいで名前もまだ──」
「そうか。ではそこから話そう。我々錬金の戦士を束ねる組織。その名は錬金戦団!!!」
「錬金戦団…!」

(なんか、微妙なネーミング…それはともかく。
 まただ…斗貴子さん、組織の名前くらい教えてくれたっていいのに!
 ブラボーの話が続いているが、頭に入らなくなってきた─)
247うっかり斗貴子さん (おわり):04/07/30 00:12 ID:cCXKjH7d
「目的は大別して3つ。今、オマエが述べた2つに加えて更にあと一つ──"賢者の石"の精製」

(これもだ…目的のウチ、2つしか教えてもらえてなかったんだ…
 オレを戦いに巻き込まないための気遣いと思ってたけど、今は一緒に戦う仲間と認めてくれてるみたいだしな─
 戦士にとって敵味方の情報は有用なはず。
 なのに、そーゆー話をしてくれないってことは、ホントはうっかり屋さんなんじゃないかな?
 今後も『キミには話してなかったな』が続くんじゃないかな?)

「夏休みが終わる頃にはオマエはヴィクターと同じ…存在(いる)だけで死を撒き散らすモンスターとなる。
 そうなる前に…始末をつける…!それがオレの新たなる任務」
「ブラボー?」

(なんか、ブラボーの話が続いてるけど、適当に答えとこうっと。
 それはそれとして、オレ、とんでもない女の子を好きになったのかも─
 でも斗貴子さんならうっかり屋さんでもいいかな─)

「「一度ホムンクルスに殺され、戦士・斗貴子の手によって蘇った彼(か)の命は在ってはならない。
  武藤カズキを再殺せよ」」

(クールでお姉さんな態度と、うっかりのギャップがたまらないよな─
 『今だから話すが』でピンチになってもそれはそれで萌えるっていうか─)

「…おーい、カズキ?ヒトの話を聞かないのはブラボーじゃないな」
248名無しさん@ピンキー:04/07/30 00:21 ID:aEGEZcRn
うっかりすぎるぞ斗貴子さんw
でもカズキとのストロベリーではうっかりなんて
ことはないのだ
249名無しさん@ピンキー:04/07/30 00:27 ID:wRYATVXk
>>248
「今だから話すが、今日は危険日ど真ん中だったんだ」
250名無しさん@ピンキー:04/07/30 00:53 ID:35Ozm1RQ
てぇへんだてぇへんだぁ!
251名無しさん@ピンキー:04/07/30 01:16 ID:ptnTzP7+
>243-244
なんなんですか、この絶妙の引きっぷりは!
つ、続きが気になる・・・
252名無しさん@ピンキー:04/07/30 01:21 ID:ptnTzP7+
うっ、レスミス。
>246-247
うっかり斗貴子さんイイ!(;´Д`)ハァハァ
ヒトの話を聞かないカズキもイイ!
253名無しさん@ピンキー:04/07/30 07:24 ID:idUiZ1he
>>249
それは、うっかりではあるまい。
254名無しさん@ピンキー:04/07/30 09:12 ID:c7i3rhcV
既成事実を作る気かwあざとすぎるぞ、とっきゅんw
255名無しさん@ピンキー:04/07/30 22:48 ID:35Ozm1RQ
前スレの825ハァハァ(*´Д`)

ナースまひろのパラレルなやつとか書いてみたいけど、
そういうのってアリなんだろか?
256名無しさん@ピンキー:04/07/30 23:03 ID:1zsvl79e
>>255
アリかナシかじゃない
萌えるか萌えないかだッ!
書いてください御願いしますprz
257名無しピンキー:04/07/30 23:29 ID:7OBOw/ao
>>224-228 >>243-244
まひろよりブラボーに萌えた漏れは危険ゾーンですか?
258名無しさん@ピンキー:04/07/30 23:36 ID:JsdorTNN
カ「もうあれから結構立つけど・・・ちゃんと来た?」
斗「いや、全く音沙汰無しだ。流石に少し不安になってくるな・・・」
カ「うん・・・そうだね」

ブラボーから連絡待ちをしている2人だが
偶然まひろ達に会話を聞かれて大騒ぎに
259255:04/07/30 23:43 ID:35Ozm1RQ
>>256
ありがとう、ガンガってみるYo
(゚∀゚)
260名無しさん@ピンキー:04/07/31 00:38 ID:Fo8dJ7Fq
>>256
おまい・・・鼻の下伸ばしすぎだw
261初々しい?ふたり:04/07/31 01:10 ID:en1tq3k5
寄宿舎のカズキの部屋。鍵はしっかりとかけてある。
普段よりやや小さく開けた窓から夜風が入る。
ベッドに並んで座るカズキと斗貴子。ほとんど密着状態のふたり。
カズキは斗貴子の肩に手をまわしている。斗貴子は真っ赤に
なった顔をカズキから背けてはいるけど、体は離していない。
さわさわ。クチュ。
「カズキ、あの…。まだ、続けないとダ、ダメなのか?」
「ウン。そ、その、できれば続けてほしいなー、なんて」
「そんなに、気持ち良いものなのか…?」
ズボンは膝までおろされ、露になっているカズキのトランクス。
布ごしでもハッキリわかる彼の固くなった股間を、斗貴子の
白くて細い指がゆっくりと、やや単調にさすっている。
「私は何をしてるんだ…。ん?いまピクって動いたぞっ」
「ごめん。とても、気持ち良い…。もっと、ちゃんと握って…」
「…。キミがこんなにエロスだとは。こ、今回だけだからな!」

意を決したかの様に、背けていた顔をカズキに戻す斗貴子。
視線を落とすと、さすっていたカズキの股間の先端がすこし濡れて
いた。人さし指でツンと触る。指先が湿る感触。
カズキが唇を重ねてきた。
ファーストキスをカズキに捧げたのが…一週間ちょっと前か。
こういうのって早すぎないだろうか?他のカップルはどうなのだろう。
その場の雰囲気に流され、私は軽はずみに要求を飲んでしまっては
いまいか?…ああ。頭がボーっとして…思考がまとまらないな…。

唇を貪り、舌を絡ませあう。流れ込む相手の唾液を受け入れる喉。
カズキの股間に添えていただけの手に、今度はしっかりとペニスを
握らせる斗貴子。布越しでも形状が浮き彫りになり、ドキリとする。
唇を重ねつつ、ぎこちないなりに緩急をつけペニスをしごき始める。
呼吸と鼓動が荒くなる。このまま続けたらどうなるのだろう?
熱に浮かされた様な頭のなかで、斗貴子は知りたいと思った。
未知の体験にすこし恐れはあるが、カズキとなら、たぶん大丈夫だ。
262261:04/07/31 01:17 ID:en1tq3k5
勢いで投下しちゃった。
カズキと斗貴子さんのラブい話が好きなので
いつか自分でもかきたいなーと思ってました。
短いですが、読んでもらえたらうれしいです。

つづきもできれば書いてみたい
欲張りな261でした
263名無しさん@ピンキー:04/07/31 01:28 ID:UP4V024Z
>261
激しくイイ!GJハァハァ(*´Д`)
264名無しさん@ピンキー:04/07/31 01:34 ID:XxQTnl/w
>261
GJ!
続き待ってます!
265名無しさん@ピンキー:04/07/31 14:50 ID:QFQ6F97R
>>261
GJよん!
こういうの大好きなので、続き蝶きぼん

>>264
ID惜しい!
26615 ◆d/tNbfC3.o :04/07/31 19:18 ID:mvP9xgJ6
うーむ、二三日放置していただけで、いきなり書き方のリズムと言うか、テンポと
言うか…わからなくなってしまった。おかげで今回は今まで以上に内容のない
話になっております。それでも頑張って書き上げましたので、辛辣な言葉は
なるべく胸の内に秘めて頂けるとありがないかな、なんて。

毎度のことながら愚痴りつつ、ストロベリー戦士・とっきゅん vol7→     開劇。
「ふぅ…ようやく帰ってこれた…待っていてくれ、姉さ…ん?あれは…」
「目的…?決まってるだろうガ。ここの連中を食い殺すことだヨ!」
「あれは…太!?バカな、倒したはず…ん?誰かが戦っている。すまない、君」
「え…?何です?」
「あそこで戦っている人は、一体…?」
「あの人は、最近街に現れる化け物と戦う正義の味方です。その名も…」

ストロベリー戦士・とっきゅん 第六話 「激突!ヒーローバトルはお約束?」

「昨日の事件、あんまり大きくは取りざたされてないみたいだね」
ホムンクルス大の襲撃の翌朝、カズキと斗貴子はいつものように一緒に登校する。
今日も腕を組んでいるが、最早気にとめるものすらいない。
「まぁ、一般人は知らない方がいいだろうからな。上が手を回したんだろう」
取り留めのない会話をしながら、ただ学校へと歩く。穏やかな時。
「あ、お兄ちゃんに斗貴子さんだ!オッハヨー!」
ところが、そんな時間はあまり長く続かなかった。底抜けに明るい声が、後ろから届く。
「キミはいつも元気だな、おはよう」
「おう、まひろ。おはよ…」
「えいっ!」
カズキの言葉を遮って。まひろがカズキの腕に飛びつく。斗貴子が腕を絡めていない左側にである。
「…まひろ?」
「えへへー、私も腕組んじゃおーっと」
突然の妹のスキンシップ(なのか?)に、カズキは少々戸惑いを隠せない。
「…………」
それに対して、斗貴子は何か言いたそうではあるが、自分も同じ事をしているので、何も言えない。
「あ〜、斗貴子さん拗ねてる〜。独り占めはさせないからねー」
「……斗貴子さん、もしかして…昨日の余波がまだ残ってるんじゃ…」
「あ〜。私も今それを考えていた。昨日の時点でどこかに発散してなければ、そうなるな」
昨日は大変だったのだ。校舎に戻るなり、桜花がカズキに突進してきたり、数多の男子
生徒が斗貴子に突進してきたりして、二人とも対処にてんてこ舞いだったのである。
「はぁ…それじゃ、しょうがないか」
「すまないな。次からはちゃんと加減するよ」
「斗貴子さ〜ん、お兄ちゃんの独り占めはずる〜い。姉妹で仲良く半分こしようよ」
彼らの嘆息に気づいているのかいないのか、まひろはさらにカズキに絡める腕に力を
こめながら、さらりととんでもないことを言う。
「!?いや、だから…私とカズキはそんな関係ではな………………………………そうだな」
「斗貴子さん!?」
斗貴子の口から思わぬ言葉が出て、カズキは思わず、裏返った声を出す。
「わ!ついに本人の口から交際発言。おめでとう!お兄ちゃん」
突然のことでまひろは目を丸くしながらも、カズキを祝福する。よくできた妹である。
「…え゛!?えぇ゛!?」
対してカズキは、未だ驚いたまま。何だ、喜ばないのか。
「嬉しくないのか…カズキ?」
そんな彼の様子を見て、斗貴子が目に見えてしゅんとする。
「そ、そ、そんなことないよ!嬉しいよ!で、でも…まだ、そんなおおっぴらに…」
彼自身何を言っているか、理解できてなさそうだ。しどろもどろにカズキは喋る。
「ふむ…」
斗貴子は何も答えず、自分の鞄の中を何やらゴソゴソと探る。
「斗貴子さん?どしたの?」
まひろの問いにも答えず、斗貴子は鞄の中から何かを取り出し、スイッチを入れた。

『もう、絶対に一人にしない…斗貴子さんは、俺が守る!』
その瞬間、流れるカズキの声。取り出した何かとはテープレコーダーだったようだ。
「……3wmlarfw:;la,[@omas@pqew;elqw!?」
改めて聞くと恥かしいらしい。カズキは声にならない悲鳴を上げる。
「わわわわわ、お兄ちゃんだいた〜ん。もうプロポーズしてる〜」
「い、いや、えっと…これは、その…」
「ここまで言っておいて、後には引けないぞ、カズキ」
表情一つ変えずに、斗貴子は言い放つ。あんな非常時に録音するとは、したたかなものだ
「…もう、何も言わない。けど、一つだけ。斗貴子さん」
「何だ?」
「まさかとは思うけど…それ、目覚ましに使ったりしてないよね?」
何を根拠にしたのか知らないが、カズキはそんな事を斗貴子に聞く。
「…おかげで、朝しっかり目が覚めるぞ」
しかし、カズキの嫌な予想が当たっていたらしい。斗貴子は嬉しそうに微笑む。
「お願いだから止めてください。他の部屋に聞こえたらどうするの…」
カズキの指摘にも、斗貴子は動じることもなく言い放つ。
「まぁいいじゃないか。もう全校公認だし」
「いきなり開き直らないでよ…」
彼が本気で焦るのを見て、斗貴子はしばし思案する。何か代替案はないか考えているようだ。
「キミが代わりに起こしに来るとか…」
「…え!?」
突然の提案にカズキは驚くが、すぐに少し考えて顔を赤くする。何を想像しているのか。
「…と、いうのはいくらなんでも問題だな」
「そ、そうだね」
物凄い残念そうな顔で、カズキは相槌を打つ。斗貴子はまたしばし思案する。
「ふむ、仕方ない。苺屋の苺サンデーで手を打とう」
「…俺に奢れってこと?」
うむ、と斗貴子は鷹揚に頷く。しかしカズキは納得が行かなかったらしい。食い下がる。
「俺、今月お金ないんだけd…」

『もう、絶対に一人にしない…斗貴子さんは、俺が守る!』
「わかりました。奢らせて頂きます」
斗貴子がレコーダーを再生した途端に、カズキはあっさり引き下がる。まぁ、仕方ないが。
「斗貴子さんさ…最近凄い我侭になってきた気がする…」
『もう、絶対に一人にしない…斗貴子さんは、俺が守る!』
「スイマセンスイマセンスイマセン。我侭なんてこと絶対ないです」
そんな二人の様子を見ながら、まひろは思う。
「お兄ちゃん、将来絶対斗貴子さんのお尻に敷かれるだろうな〜」
禿同。
校舎内に入るといつものように掲示板の前に人が…いなかった。
「あれ?今回は桜花先輩記事作らなかったのかな?」
「昨日のキミに対する突進を見る限り、作ってる暇がなかったんだろう」
ここにも昨日のオーラの影響があったようだ。そう考えると、あの技の威力の高さが伺える。
「あら、おはようございます。武藤クンに津村さん、それからまひろちゃんも」
カズキ達が学校に来るタイミングに合わせているのだろうか?今日も桜花が現れる。
「おはようございます、桜花先輩」
挨拶に応じた彼の様子を見て、桜花は一瞬眉を潜めるも、即座に平静を装って言う。
「あらあら、両手に花ですわね、武藤クン。ストロベリーな事ですね、つ・む・ら・さん?」
「うむ。任せておけ」
「…!?」
堂々と答えた斗貴子に、桜花は驚愕の表情を隠せない。あまりにも予想外だったようだ。
「な、な、な…」
「用件はそれだけか?行くぞ、カズキ」
「う、うん…」
驚愕にその身を固める桜花に、斗貴子は一瞥をくれると、その場を去ろうとする。
「ちょ、ちょっとお待ちなさい。津村さん」
このまま放っておくわけにもいかないらしい。彼女は慌てて斗貴子を呼び止める。
「何だ。まだ何かあるのか」
「え、えっと、え〜っと…え〜〜っと………」
呼び止めたはいいものの、二の句を考えてなかったらしい。桜花は言葉に詰まる。
「…行くか」
彼女の様子を見て、斗貴子は再び立ち去ろうとする。一瞬勝ち誇った気がしないでもない。
「そ、そうだわ!私は生徒会長として、学園の風紀を乱すような貴女のその行動は…」
「…必死だな、早坂桜花」
いかにも苦し紛れな桜花の言葉を、斗貴子は一言の下に切り捨てる。
「そうですわ、そうですわよ!学校内でストロベるのはやめて貰えます?風紀に関わりますわ」
「ふむ…それも一理あるか」
少し前まではそのような関係であることすら否定していたのだが、変わるものである。
「そうでしょう?わかってもらえたなら、幸いですわ」
斗貴子が納得したのを見て、桜花はほっと胸をなでおろす。ところが、墓穴だったようだ。
「うむ。『学校内』ではストロベるのはやめるとしよう。『学校内』ではな」
「…え?」
「カズキ、苺サンデーを奢る約束は覚えているな?週末にでも行こうか」
「な…何ですって!?」
「早坂桜花。自分で言ったからには、学校内ではカズキに近づくんじゃないぞ」
「…く!?」
「…修羅場だね、お兄ちゃん」
息もつかせぬ二人の攻防に、さすがのまひろも少々押され気味である。当事者である
カズキを見ると、頭を抱えんばかりに困惑している。もてる男は辛いな。

「…そういえば桜花先輩、秋水先輩帰ってきたんですよね?」
「こうなったら生徒会の呼び出しでも使って、無理やり手篭めに……え?え、ええ。そうよ」
空気を変えようと彼が発した質問が、功を奏したらしい。何やら危険発言をしていた桜花が反応する。
「昨日、修行を終えて帰ってきましたわ」
「あ、ちーちんにさーちゃんだ、おはよー!」
ちょうどその時、まひろはさーちゃんとちーちんを見つけ、そのままそっちへ言ってしまった。
「…で、帰ってきたのか、秋水は」
話の腰がいきなり折られた事に多少辟易しつつ、今度は斗貴子が桜花に尋ねる。
「ええ。修行を終えて。L・X・Eとの決戦に間に合わなかったと、残念がってましたけど」
「秋水先輩らしいや」
「……なら、秋水とイチャついてればいいじゃないか。あんなに仲がよかったじゃないか」
ふと思いついたかのように、斗貴子が提案する。確かに、彼女ら姉弟は相当の仲のよさだった。
「え…?それは、ほら、やっぱり姉弟で、なんて道徳的によくありませんから」
「…秋水が聞いたら泣くぞ」「…先輩、可愛そうに」
キッパリ言い放つ桜花の態度に、斗貴子とカズキは秋水への同情を禁じえない。
「…ま、いいか。お前が秋水の事をどう思っていようが、私には関係ない。カズキも渡さん」
「ちょ、だから斗貴子さん…そんな大っぴらに…」
斗貴子の直球すぎる言葉に、カズキは照れながら制止する。だが、斗貴子はレコーダーを取り出す。
「…スイマセン」
「わかればいい。行くぞ、もうすぐ授業も始まる」
「ちょ、ちょっと津村さん…あぁん、もう」
桜花の言葉を今回は完全に無視し、斗貴子達は教室に向かった。
−それから数日−

「カズキ、今日の授業が終わったら、商店街に行くぞ」
「オッケー、お金もちゃんと用意したよ」
今日は土曜日。授業は午前中で終わり、午後からは自由である。街に繰り出すにはもってこいだ。
「そう言えばさ、斗貴子さん…気になる噂を聞いたんだけど…」
カズキが少々深刻な顔をして、切り出す。どうやらあまりいい噂ではなさそうだ。
「ここ二三日、街で妙な二人組みが出没して、悪さをしてるらしいよ」
「…私も少し聞いたな。大きな動きがないから、話半分に聞いていた程度だったが…」
斗貴子も話は聞いていたらしい。とはいえ、怪我人が出たという話は聞かないので、特に
気には留めていなかったようだ。
「それがさ。男と女の二人組みらしいんだ。しかも銀成の制服っぽいのを着てるって」
「男と女…銀成の制服…まさか!?」
提示されたピースが、斗貴子の中で組みあがっていく。カズキも同じ考えのようだ。
「うん。金城、陣内…は、俺は知らないけど…太と細…現れた奴らの偽者…」
「銀城、陣外、それに大と小…順番は同じ、か」
成る程、彼らがオリジナル(?)と戦った順と同じ順で、敵は襲ってきている。そう考えると
次は早坂姉弟の偽者が現れてもおかしくはない。
「…で、当の早坂姉弟達は、この噂を知っているのか?」
当然の如く浮かぶ斗貴子の疑問に対して、カズキは嘆息しつつ答える。
「聞こうと思ったんだけど、会えなかったんだ」
「会えなかった?」
「うん。何かここんとこ避けられてるみたいな感じがするんだけど…」
「ふむ…そう言えば、ここ二三日は早坂桜花は姿を見せてないな」
道理で、朝が静かだったわけだ。しかして、今はそんな事を言っている場合ではない。
「…しかし、気になるな。私達を避けている…?まさか、奴らじゃないだろうな、不審人物」
「そんなことはない……と、思うけど」
否定する彼の声にも勢いがない。早坂姉弟に怪しいところがあるのは事実だからだ。
「丁度いい。今日、商店街に行くついでに、それとなく調べてみるか」
「そうだね。そうしよう」
「…言っておくが、ちゃんと奢ってもらうからな」
さすがは錬金の戦士。抜け目のないことである。
−と、言うわけで場所は商店街−

「実は、私はあまりこの辺りの事には詳しくないんだ」
「へ?そうなの?でもこの街に来てから随分経つと思うんだけど…」
彼らが出会ってから早二ヶ月。一つの場所に慣れるには充分すぎる時間だ。
「…必要最低限の場所にしか、行かなかったからな」
「斗貴子さん…」
斗貴子の瞳に一瞬覗いた憂いを見て、カズキはふと気づく。そうだ、そうだった。
彼女は錬金の戦士である。今までこう言った賑やかな場所とは無縁だったのだ。
ましてや、親しい人間と遊びに行くなどとは、全くもって未知の世界なのである。
思えば、先日の斗貴子の我侭も、彼女にとっては初めての我侭であろう。
「…よっし!」「な、なんだ?いきなり大声を出して」
彼は思う。折角の平和な時間だ。いつまた戦いが始まるとも限らない。だからせめて今くらいは
斗貴子と一緒の時間を楽しもう、と。彼女の可愛い我侭を聞く程度なら、安いものだ。
「折角のデートなんだ。楽しもうか」
「デ、デート!?いや、えっと…あぁ〜…………そ、そうだな」
斗貴子は真っ赤になりながらも、嬉しそうに頷く。そして彼らは仲良く苺屋に向かった。

「ところで斗貴子さん…一つ気になってることがあるんだけど…」
「む…むぐむぐ…何だ?」
店に入り、注文した苺サンデーを食べる斗貴子を見ながら、カズキは話を切り出した。
ちなみにカズキはコーヒーのみ。財布の都合だろう。
「この前さ、まひろがストロベリー・オーラの余波で俺に飛びついてきたじゃない?」
「…んぐんぐ…そうだな」
カズキが話す間にも、斗貴子は手を休めない。なかなか美味しいようだ。
「でもさ、よくよく考えるとまひろ以外は、翌日まで余波が残ってるってことはなかったんだよね」
確かに、他の生徒は翌日には平常通りだった。前日カズキに突進してきたほどの桜花も、である。
「んくんく…コクン。だから、発散してなかったから残ったんだろう、と言っただろう?」
「あ、ゴメン。言葉が足りなかった。何でまひろだけ残ってたのかな、って思ったんだ」
カズキの疑問に、斗貴子は今度は手を休め、しばし考える。
「…そうか」「原因がわかったの?」「ああ。と、言っても憶測なんだが…」
確証は持てないが、と断ってから、斗貴子は説明し始める。
「苺オーラは内に眠るストロベリーな気持ちを揺り起こす技だ。と、言っても
 誰彼構わず、というわけではないんだ。桜花がキミに突進してきたようにな」
「ふむふむ。意中の人がいれば、その人に気持ちをぶつけて発散するんだね」
と、言うことは桜花は自分に気があるということに、カズキは気づいているのだろうか。
「…って、ことはまひろが俺に飛びついてきたってことは…」
自分の出した結論に、カズキは嬉しいのか困惑しているのか複雑な表情である。喜べよ。
「いや、そうじゃない。もしそうなら、昨日の時点でキミに対して迫ってきたはずだ」
斗貴子は一旦、そこで言葉を切って、説明し始める。

「まぁ、事実だけを言うとだ。まひろには明確に好いている人物がいる。その人物は
 学園生ではない。翌日キミに飛びついたことから、キミはその人物の次に好かれている」
「まひろの好きな人…そっか、まひろが…」
わかりやすい事実を述べた斗貴子の言葉を、カズキは反芻する。
「どうした?兄としては複雑か?」
「うーん、何ていうか…まひろも恋をするほどに、成長したんだなぁ、と」
微笑みながら問う斗貴子に、カズキは苦笑しながら答える。
「いつまでも、子供だと思っていたら大間違いだぞ」
「そうだね。でも、誰なんだろ…まひろの好きな人って…」
そこでカズキだと言われれば、ある意味一番納得できる。しかしてその事実は否定された。
岡倉達三人の誰かか?とはいえ、まひろが周りに悟らせずに恋をできるとも思えないが。
(あの時、まひろが見せた表情…まさか、な…)
斗貴子には何か心当たりがあるようであるが、口には出さない。憶測に過ぎないからだ。
「うーん…」(まぁ、なるようになるか)
悩むカズキを前に、斗貴子は考えるのをやめて、苺サンデーの残りに取り掛かり始めた。
「そう言えば、苺サンデー美味しそうだと思ったけど、結局俺食べてないや」
会計を済ませ、彼らは店を出た。今からは調査も兼ねて周辺をブラブラする予定である。
「何を言っている。私が食べるか?といったら、いらないといったじゃないか」
「そりゃあ、あんなに人がいる中で食べさせてもらうのは恥かしいって…」
そう。いつかの弁当と同じように、斗貴子はカズキに食べさせようとしたのである。
「今さら、照れることもないと思うがな…」
何時の間にか、斗貴子よりカズキの方が、羞恥心が勝っているようである。
世の中わからないものだ。
「それはともかく…この辺だね。不審人物が目撃されたのは」
「この辺り…って、思いっきり街中じゃないか」
彼女の言うとおり、人通りの激しい街中である。今は週末、人の多さもひとしおだ。
「にも関わらず、わざわざ現れて目撃されていると言うことは…」
「罠、かもね………………あ!」
その時、カズキが突然大きな声を上げる。何かに気づいたらしい。

「どうした?カズキ」
「今、人通りの向こうに、秋水先輩がいた」
「本当か?」
「うん。こっち見て笑ってた」
言われて、斗貴子も目をやるが、既にそこには秋水の姿はなかった。
「見間違いじゃないのか?」
「そんなことないよ……ほら!あそこ!」
カズキが再び秋水を見つける、今度は斗貴子も確認した。明らかにこっちを見て笑っている。
「…こっちには気づいているな。あれが秋水なら、こっちに来るはずだ」
「ってことは…ビンゴ、だね」
「うむ。追うぞ、カズキ」
「了解!」
彼らは人ごみを掻き分け、秋水に似た人影を追いかけた。
「チッ、明らかに誘ってるな」
「そうだね。どこに行くつもりなのかな…?」
その人影は、彼らと付かず離れずの距離を保ち続ける。間違いなく、どこかに誘っている。
「でもさ、斗貴子さん…」
「何だ?深刻そうな顔をして」
何気なくカズキに答えた斗貴子は、カズキの次の質問に言葉を失うことになる。
「彼らが先輩たちの偽者って事は…人間ってことだよね…」
「…!?」
偽者の存在はよくわからないが、おそらくカズキの言うとおりであろう。今度の敵はおそらく
人間である。敵は敵と割り切っている斗貴子はともかく、カズキは戦えるのだろうか…
「…今はそれを考えている時じゃない。まずは奴を捕らえるのが先だ」
「…そうだね」
それっきり、彼らは黙ったまま追跡を続ける。暫く追っていると、人影は角を曲がった。
「逃がすか!」
追いかけて、斗貴子達も角を曲がる。その瞬間、

バスバスバスバス!
『………!?』
斗貴子とカズキの足元に、光の矢が突き刺さる。敵の奇襲だろうか。だが、今の攻撃は…
「この矢は…早坂桜花か!」
「今度は、桜花先輩の偽者か…」
そう、その攻撃は以前彼らと戦った、桜花の武装錬金と同じものだった。
「片付いたかしら…?」
「いや、多分無理なんじゃないかな…」
足を止めた彼らの前に、会話をしながら現れる影が二つ。
「…やはり、キサマらか!」
見まごうはずもない。早坂桜花と早坂秋水である。偽者とはいえ、瓜二つだ。
「今度は先輩達の偽者か…」
ところが、現れた二人は、カズキ達を見て驚愕の表情を浮かべる。
「津村さん!?」「武藤!?」
「…驚いて見せても無駄だ。お前達は早坂の偽者だろう?今度の名前は何だ?菊花か?春水か?」
「…ちょっと待って斗貴子さん。二人の様子がおかしい」
啖呵を切る斗貴子だが、カズキは異変に気づく。早坂姉弟は驚愕の表情を浮かべたままだ。
「ここに津村さん達がいるってことは…」「はめられたみたいだね、姉さん」
「斗貴子さん…この二人、本物だ」
「…何!?」
カズキの言う通り、彼らが放つ雰囲気は本物そのものである。銀城や陣外と違って、
桜花は最近はよく一緒にいたのだ。雰囲気が違えば、すぐに気づくはずだ。
「ごめんなさい津村さん。今の矢は貴女達を狙ったものではないの」
突然、桜花が謝る。敵の作戦だろうか?
「今、姉さんの偽者を俺達は追っていたんだ。追い詰めたから姉さんが攻撃したんだが…」
どうやら違うらしい。彼らもカズキ達と同様、偽者を追っていたようだ。
「そこに丁度俺たちが来た、ってわけですか」
「ああ。すまないことをしたな」
「…信じられるか」

斗貴子が言い放った言葉に、空気が凍りつく。
「…あらあら。信じられないとは?」
「私達は、秋水の偽者『らしき』人物しか見ていない。いや、第一偽者なんて存在するのか?」
「…何が言いたいんだ」
静かに呟く秋水に、斗貴子は言葉を突きつける。
「全部、お前たちの芝居ではないか、と言うことだ」
「何を根拠にそんな事を言うのかしら?」
「そうだよ斗貴子さん。そんなことしても先輩たちにメリットなんて…」
カズキは早坂姉弟を信じ切っている。今回ばかりは斗貴子に反論するようだ。
「わからないぞ。そもそも、コイツらは元々L・X・Eの一員だ。今回の騒ぎの元凶は
 わからんが、コイツらが敵側についた可能性は充分にある」
「…言いがかりだな」
「そうでもない。早坂桜花なんかは、私のことを邪魔に思ってもいるだろうしな」
そう言って斗貴子は、チラリとカズキの方を見る。なるほど、恋敵と言うわけだ。
「邪魔だなんて。まぁ、貴女がいなければ武藤クンは好き放題♪なんて思ったりしてますけども…」
「姉さんそれ墓穴…………………ッテイウカ、ジョウダンデスヨネ?」
カズキを持ち出されたことで、桜花の声にも硬質なものが混じる。誤解は解けそうにない。
「もしキサマらが元凶なら、放っておくわけにはいかない!カズキ、変身して戦うぞ!」
「え!?ちょ、ちょっと。それはまずいよ斗貴子さん。桜花先輩も何とか言ってください」
先輩たちと戦うわけにはいかない。カズキは思わず桜花に助け舟を求める。
「あら?私は構いませんわよ。この辺りで決着をつけておきましょうか?」
ところがそれがまずかった。まさしく火に油である。
「ね、姉さん…落ち着いて」
姉の態度に本気を感じ取ったのか、秋水までもが止めに入る。
「決着をつけましょう?どっちが武藤クンとストロベるのにふさわしいか…」
「武藤…許さん!」
「秋水先輩!目が濁ってる!」
「カズキ!」
斗貴子が再びカズキを促す。カズキは渋々了承する。どうやら、この場は収まりそうにない。
「あんまり乗り気じゃないけど…」

シュルルルル、ガチン!
ため息をつきながら、カズキはカードをセットする。今回もカズキが先に変身するようだ。
「太陽よ!俺に力を!変身!」
ガチン!キィィィィィィン!
光が発生し、カズキの姿が変わる。装甲を纏う、その戦士の名は、超槍戦士・サンゼリオン。
「銀のランスに思いを乗せて、築け平和の銀成町!超槍戦士・サンゼリオン。強制されて、ただ今参上!」
カズキが名乗り口上を上げると同時に、斗貴子も核鉄を取り出す。今回は力は溜まっていないが…
「斗貴子さん!どうやって変身するの?膝枕より凄いことって…どうするのかな」
とてつもなく期待に満ちた目で、カズキは斗貴子を見る。きっと、斗貴子はあのセリフを言う。
「エロスは程ほどにしておきなさい」
「でも、そんなこと言ったって変身しないと…」
なおも食い下がるカズキを見て、斗貴子は不敵に微笑んで、何かを取り出してスイッチを入れる。
『もう、絶対に一人にしない…斗貴子さんは、俺が守る!』
「ホント、勘弁してください」
速攻でカズキは謝るが、斗貴子は取り合わず二回三回と再生する。
トキューーーーーン
そうこうしている内に、パワーが溜まったらしい。斗貴子は頷き、変身の構えを取る。
「ストロベリーパワー満点☆ストロベリー、メイク、アップ!」
そのまま核鉄を下に落とし、自身は例のポーズを取る。核鉄が、カードのはまる!
キュイイイイイイイイイイイイン!
光が発生し、セーラー服に身を包んだ戦士が現れる。我らがヒロイン、苺戦士だ。
「私とカズキのストロベリーを邪魔する大・悪党!月が貴女を許しても!私は絶対許さない!」
セリフが微妙に違う。カズキに影響を受けたのだろうか。
「貴女を討つは愛の力!愛の力は苺の力!ストロベリー戦士・とっきゅん!ここに見参!」
「…………ホントに、性格が変わるんだな…姉さんが言ったとおりだ」
今回が初見となる秋水が、唖然とした顔で斗貴子を見る。そして、斗貴子は決め台詞を放つ。
「貴女のハートをブチ撒けチャウゾ☆」

ズドーン!
毎度の如く巻き起こる爆煙。変身核鉄のオプションなのか?もしかして。
「フフフ…相変わらずノリノリですこと」
彼らの変身を見ても、桜花は不敵な笑みを浮かべるのみである。何か策があるようだ。
「桜花先輩、今ならまだ間に合うよ…斗貴子さんに謝って」
どう考えても謝るのは斗貴子のような気もするが、ともあれカズキは説得を試みる。
「あら?そんな必要はないですわ。行くわよ、秋水クン」「ああ」
それでも桜花は不敵に笑い、そして何かを取り出した。その何かとは…
「それは!?」
「変身核鉄!?」
驚愕に目を見開く二人の前で、桜花はカードを腰にセットし、変身の構えを取る。
「うふふふ……変身!」
桜花が核鉄をカードにセットした瞬間、激しい光が辺りを包み込んだ…
次回予告

誤解から、戦うことになってしまった斗貴子達と早坂姉弟!何時の間にか変身核鉄を
手に入れていた、桜花の実力とは!?そして、そんな彼らを物陰から除く人物とは!?
さらに、カズキに迫られる選択。カズキが導き出した答えとは!?


次回 ストロベリー戦士・とっきゅん 第七話 「守ることと戦うこと」

次回までにはリズムが戻っているといいなと思いつつ→            続く。


___________________

今回はここまで。毎度毎度長々と垂れ流してすいません。
それと、もし今回偽姉弟を楽しみにしている方がいたら、その方にもスイマセン。
次回に持越しです。では、またー。
281名無しさん@ピンキー:04/07/31 19:45 ID:UP4V024Z
>280
GJ!毎回思いますが、恐ろしいほどの速筆ですよね。
しかもこのクオリティ・・・ホント、頭が下がります。
282名無しさん@ピンキー:04/07/31 19:57 ID:n0dUId3Y
何か、某別板のあるキャラが思い浮かんだのは策略ですか?

ともあれGJ!
283名無しさん@ピンキー:04/07/31 20:33 ID:FZbt8fcn
GJ!!
いつも楽しく読ませてもらってます。
自分は、現在エロ2本、非エロ3本のプロットを転がしてますが
さっぱり筆が進まない。
つか、プロットができた時点でなんか自己満足してしまう ;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン

ともあれ、次回も期待してます。

28415 ◆d/tNbfC3.o :04/07/31 21:35 ID:mvP9xgJ6
レス感謝です。やっとこさ長期休みに入った。今週はキツかった。
>>281
筆が速いというか、このくらいのペースで文章を形にしていかないと、妄想が
溢れすぎてパンクしてしまうというか…すでにラストまで、構想は練ってますけどね。

>>282
策略ですwレコーダーネタは最初からやるつもりでしたが、よくよく考えれば
苺繋がりじゃないかと、急に思いついてやったネタ。セリフ確認の為にゲーム再プレイ。

>>283
>いつも楽しく読ませてもらってます
この一言がホントに、ホントに励みになります。お互い頑張りましょう。
俺は相変わらず非エロ特撮もどき路線を爆進しますがw
285名無しさん@ピンキー:04/07/31 21:48 ID:y5Hs8kg6
>>280
面白かったです
斗貴子さん、大胆になった、というか脅迫してるというかw
テープレコーダーとか用意周到な一面もあるのね
>桜花がカズキに突進してきたり
ここ爆笑しました
闘牛士のかざす赤いマントに突っ込む猛牛が頭に浮かんだw
次回も楽しみにしてます
286名無しさん@ピンキー:04/08/01 00:02 ID:7TuCnS81
あげ
287名無しさん@ピンキー:04/08/01 03:12 ID:eX4v2hu7
ストロベリー戦士・とっきゅん………
三千世界を萌え殺しかねねェネーミングだ………
288名無しさん@ピンキー:04/08/01 06:14 ID:H34h95YQ
本当にGJだなぁ
なんてストロベリーな二人なんだ
28915 ◆d/tNbfC3.o :04/08/01 07:20 ID:F911YHAj
寝起きのボケた頭でレス返し。
>>285
当初は、普段は本編の性格まんまの照れ照れとっきゅんで行こうとしてたんですが…
どうにもこうにもキャラが勝手に動きすぎて、今の形に。楽しんでもらえると幸いです。

>>287
ものすんごくぶっちゃけちゃうと、このタイトルはRXの替え歌を考えたときに、語呂だけで
つけたタイトル。それが何時の間にか作品になってしまう辺り…世の中わかりませんな。

>>288
少しだけネタバレしてしまうと、クライマックスも近いので、日常ストロベリーは今回が
最後になるかもしれない。とはいえ、どんな時でも彼らはストロベるので、ご安心ください。
290名無しさん@ピンキー:04/08/01 09:29 ID:LFPt4ZcT
ネタバレうざいから
291名無しさん@ピンキー:04/08/01 10:19 ID:ePIn6PDd
身体の各部の名称とかいろいろあるんだね
書き手によって違うことがあるから面白い。

双丘とか秘裂(これはあったか自信ないやw)とか。
いざ自分でかこうと思い立った時、こういった言葉の
ストックの無さに我ながら哀しくなっちゃった。
名称の一覧表とかあったら欲しいと切に思った。
292名無しさん@ピンキー:04/08/01 12:57 ID:kMDNLofT
293名無しさん@ピンキー:04/08/01 19:47 ID:E+a8YlrW
>>292
おもしろそう。
結構書き手が造語したモノもあるっぽいね
294あし ◆3QNSjLC4b. :04/08/02 03:17 ID:vzjVbbqV
>>49-56 の「おへそ」の続編です。
295あし 1/5:04/08/02 03:17 ID:vzjVbbqV
旅館三浦屋の一室。
「カズキは?」
「カズキ君ならさっき出ってたよ。こんな時間にどうしたんだろうね?」
「さあ。まあ大体想像はつくけど」

別の一室。
「あれ?斗貴子さんは?」
「さっき出かけたみたい」
「花火してる時にまっぴーのお兄さんと何か話してから、きっといっしょだよ」

そして、浜辺。
「キミたち兄妹は揃ってへそを見ているな」
「あはは、そうかも」

夜の花火が終わって宿に戻った後、カズキと示し合わせて再び砂浜に出てみた。
特に目的があるでもなく、今日あったとりとめもない話をしながら、並んで歩く。
聞こえるのは波と2人の足音。2人を照らすは、三日月と浜辺沿いの道の灯り。
残っている花火の燃えカスに気をつけながら、ゆっくり歩く。
296あし 2/5:04/08/02 03:17 ID:vzjVbbqV
交わす話題が尽きた後、いつしか、昼間の岩場へ足が向いていた。
岩場につくと、無言のまま互いの腰に手を回し、唇を重ねた。
心のどこかで、またこうなることを期待してたような気がする。
「悩殺カズキキッスは怒るけど、これはいいんだ」
私と唾液の糸でつながったままのカズキの唇がそんなことを言う。
その糸を手で切って飲み込みながら、無言の笑顔で応えた。

『しまった、巻き込んだ!!』
あの時、カズキを巻き込んだのは今でも痛恨事だ。
『キミに少し興味が湧いた』
だが、持ち合わせていた核鉄で命を救えたこと、
そして、それが出会いになったことは感謝している。
あれが黒い核鉄でさえなければ──
そんな思いを忘れるために、また唇を重ね、カズキを貪る。

何度目からわからないキスの後、
軽く上唇を噛まれたので、お返しに、舌を吸い出し噛んでやった。
いったん、顔を離し、笑顔を交わす。
297あし 3/5:04/08/02 03:18 ID:vzjVbbqV
カズキが私のおなかあたりに手を伸ばしたので、釘を刺しておく。
「おへそはほどほどにな」
「うん、じゃあ─」
カズキはそう言って手を引っ込めた。
そして、一段下の岩に降りて膝立ちになり、立ったままの私の太股に顔を埋め、
脚に舌を這わせた。
「…斗貴子さん、脚、キレイ…」
「…ん…」
感じるものはあるけれど、なんとなく、主導権をとりたくて、声をこらえてみる。

「…ここ…なんか感じが違うね」
「…ちょうど、装着箇所だな…」
バルキースカートのアームが付く場所だ。筋肉の付き方が少し違うのかもしれない。

太股の後も、右脚と左脚を交互にカズキの舌が降り続ける。
膝、ふくらはぎ。場所が変わる度に、新しい感触を知る。
だんだんと体の力が抜け、自力で立つのが辛くなり、カズキの頭の上に両手を置いた。
これでは、声をこらえても同じかもしれない。

そして、片足ずつ持ち上げられて、靴とソックスを脱がされた。
足の指の隙間を這うカズキの舌が気持ちよくてたまらない。
298あし 4/5:04/08/02 03:19 ID:vzjVbbqV
「斗貴子さん、うしろ、向いてくれる?」

言われたとおりに後を向くと、近くに腰より少し低いくらいの高さの岩を見つけ、
そこに手を置いた。カズキにお尻を突き出す格好だ。
少ししてから、カズキから見た自分の様子が頭に浮かび、顔が赤くなった。
あわてて、カズキの方に体を向けようとしたが、
カズキの舌が足首の裏側を登ってきて、力が抜けてしまった。

そして、さっきと逆の順番でカズキが脚の裏側を登ってくる。
ふくらはぎ、膝裏、そして、太股に。

スカートをまくって脚の付け根まで達したカズキは、
私のショーツに両手をかけて、足首あたりまで降ろした。
そして、あらわになった茂みをかき分け、既に濡れている中へと舌を侵入させてきた。
始めは入り口付近で丹念に動き、その後、だんだんと奥へと入ってくる。
それから、いったん舌を抜き、入口あたりを軽く噛んだ。

「ひ!あん!」
ずっと我慢していた声が出てしまい、理性も飛んだ。
右足首をショーツから抜き、カズキを受け入れやすいように、両足の幅を少し広げた。
それを合図にしたかのように立ち上がったカズキは、私の茂みに屹立を押し当てた。
右手を股間に伸ばし、微妙に位置がずれているカズキの先端を自分に導いてみる。
間をおかずカズキが私の中に入ってきた。痛みはほとんどなく、悦びは昼間以上。
私の中で動き始めたカズキがたまらなくいとおしかった。
299あし 5/5:04/08/02 03:19 ID:vzjVbbqV
帰り道、どちらともなく手を繋いで歩いた。
宿が見えてから手を離したが、名残惜しさを感じた。

宿の玄関でカズキと別れた。
この後、深夜に人と会う約束があるのはカズキには黙ってまま。

電気が消えている部屋に戻ったとたん、まひろの声がして驚いた。
「…ん─お義姉ちゃん、お兄ちゃん、お幸せに──」
よく見ると寝言。他の3人は寝ていた。
さっきまでカズキとしてきたことを思い出して、顔が火照る。
部屋の入り口に近い空いている布団に体を横たえ、時間が来るのを待った。
300 ◆3QNSjLC4b. :04/08/02 03:20 ID:vzjVbbqV
というわけで強引にエロ展開。

最後、えらいわかりづらくて恐縮ですが、
この後、斗貴子さんは中村に会うわけです。

>>240
ありがとうございます。今回はエロですが、難しいっす。
エロなしでもエロありでもお互いがんばりましょう。

>>241
日常ほのぼのはLXE決着後と海水浴編の間が書きやすいです。
本編がその先に進んでも、この時間軸から離れたくないかも。

では。
301名無しさん@ピンキー:04/08/02 05:04 ID:tZy3aKrg
あぁ、甘くてイイなぁ(*´Д`)

でもこれからカズキは・・・
斗貴子さん、頼むからカズキを助けてくれ。
そんで二人で愛の逃避行ヨロ
302名無しさん@ピンキー:04/08/02 06:50 ID:Cu4EbXop
目覚めのコーヒーより、ストロベリーのほうが
よほど眠気に効くなぁ

この後のカズキへの宣告を思うと切なさが…
甘いふたりの話、GJでした
303215:04/08/02 17:56 ID:5JAHWn0G
>>244 の続き

 ストンッと、ブラボーの真後ろに荒い息遣いのまま座り込むと、まひろは握った手をおそるおそるといった感じで肩口から伸ばして
ゆっくりと開いた。
“ファサ……”
 白いショーツがフワリッと、ブラボーの股間へと舞い降りる。
 自分のしている、大胆を通り越した破廉恥な行為に、まひろの頬が、身体が、カーーッと火照った。
「わ、わたしね…… いま、な、なにも履いてないんだよ……」
「……そうか」
「………うん」
 たったそれだけ、勇気を振り絞った恥ずかしい行為にブラボーの返事はたったそれだけ……
 やっぱりなにをしても、オンナとは見てはくれないんだろうか? シュンッとまひろの肩が落ちる。
 しかし、まひろがいまブラボーの前に回り込んでいれば、ズボンの布地を突き破りそうなほど膨らんでいる勃起にショーツが
持ち上げられているのに気づいたはずだ。
 ――でも泣かない……絶対に振り向かせる……
 挫けそうになる自分を叱咤すると、まひろは目元に恥じらいの色を濃く浮かべたまま、制服のネクタイに手を掛ける。
 シュルリッと軽やかな音を立てて抜き取ると、そのまま迷わずボタンを外していく。
 流れるような動きは、決意が鈍らないようにと、まるで自分自身を急かしているようだ。
 制服の上半身をはだけると、ブラボーに熱いまなざしを送りながらブラのホックを外す。カチッという音がやたらに大きく聞こえた。
304215:04/08/02 17:57 ID:5JAHWn0G
隙間から覗くふんわりと盛り上がった乳房は、極度の緊張の為か、肌を紅く染め上げている。
 青白い血管が透けて見えそうなほどに白い乳房、乳輪は小さくて綺麗な薄桃色、乳首は色素の沈着などまるで見られない。
 フルフルッと震える様は、堪らずオトコの嗜虐心を煽る。
 ちなみに、ブラボーの手にしている湯呑みもまひろにバレナイよう細かく振動していて、もういつ割れてもおかしくない。
「こっちを……見て………お願い………」
 まひろがブラボーの背中にもたれかかると、若く張りのある乳房も圧力に耐え切れずに淫らに歪んだ。
 二人の身体を隔てているものは、ブラボーの着ているツナギとシャツだけ、錬金の戦士の鋭敏な感覚を持ってすれば、
なにも着てないのも同然である。
「……ッ!?」
 グラつき出した平常心を、ブラボーはお茶を飲んで取り戻そうとするが、湯呑みはとっくに空だった。
「ん……んンッ………ふぅッ…くぅ……はぁうッ……」
 それに追い討ちを掛けるように、まひろはブラボーの背中に乳房を密着させながら身体を上下に揺する。
 清楚な乳房の頂点にある蕾は、もう固くしこっていた。
「はぁッ……んふッ………ン……」
 オトコに対して奉仕するという発想が出てこないまひろには精一杯のセックスアピールである。
 だが、蒼い性は貪欲に己の快感も求めた。
 ブラボーのツナギを掴んでいた右手がするするっと降りて、スカートの奥に消える。
 さっきの余韻が残っているのか、それとも想い人との密着が新たな興奮を生んだのか、弄っているそこからはすぐに粘つく音がした。
「うぁッ……んッ…んぅッ……」
 まだ、一度も他者の侵入を許した事のない処女の秘裂は、本能的に感じる恐怖で浅くかき回すだけだが、好奇心に後押しされながら
漠然と感じる更なる高みへと快楽の階段を一段飛ばしで登っていく。
 身体の深い最奥から湧き上がる衝動に操られ、まひろは親指と人差し指で真珠を挟みひねり上げる。
「あッ、あッ、あぁッ!!」
 快楽に対してとても達人にはほど遠いまひろは、不意に襲った山吹色の光りに包まれて、ガクリッとその身をブラボーの背中に預けた。
305215:04/08/02 17:58 ID:5JAHWn0G
「また……明日来てもいいかな?」
「……ああ」
 今日もブラボーは振り向いてくれなかった。それでも拒絶されてないとわかるだけで、まひろの心は満たされる。
 もっとも、人間の欲求には果ては無い。それが善でも悪でも……
“パタンッ”
 ドアが閉まる。例によってまひろの気配が完全に消えるのを待って、ブラボーは呟きを漏らした。
「心を偽るのが偽善なら……」
 股間を見る。まひろも二回目とはいえ、この特殊な状況に慣れてないんだろう。
 ブラボーのいまの心境を雄弁に物語る勃起には、白いショーツが被さったままだ。指でクルクルッと回しながら自問してみる。
「俺は偽善者ってことか……」
 『善でも悪でも、貫き通せたものに偽りなどないッ!!』 カズキにはそう言った事があるが……
「これは貫いちゃあ……マズいよなぁ……」
 その疑問に、ブラボーな答えをくれる者はいなかった。



                           一応終わり

ブラボーが手を出さないと話しが広がらないなぁ。
306名無しさん@ピンキー:04/08/02 19:39 ID:2oOJ3A8y
エロイなぁ。GJ
「貫く」ってのは、ダブルミーニングと取っていいのかしら
307名無しさん@ピンキー:04/08/02 20:59 ID:u4hDw0dX
まひろが優勢な状況になってきたね。GJです
次回ブラボーがシルバースキンをまとっていたら
まひろは驚くだろうな
308名無しピンキー:04/08/02 21:18 ID:rmrebfRc
GJですーーー!!!!!
耐えてるブラボーが萌え!なのでずっと据え膳がいい…そんな私は腐ってるのかも……
309名無しさん@ピンキー :04/08/02 21:54 ID:OAH6/IYE
>>307

まひろ「ブラボー・・・・」
 
 迫るまひろ。だが──

まひろ「!
     なに、この感触……
     スッゴイ硬い! 
     まさか……」

 防護服の武装錬金! シルバースキン!



 
 ……なんとかまひろを撃退したブラボーだが、一人股間を押さえて悶絶。

「──衝撃に対して瞬時に金属硬化。内側からでも性能は変わらず、か」
310名無しさん@ピンキー:04/08/02 22:13 ID:KqG+mRCW
ハァハァハァハァGJ('A`*)b
まひろタンは一方通行でモンモンとしてるのが萌えるなぁ…
311名無しさん@ピンキー:04/08/02 22:27 ID:d9zDW6vC
おお、今回も面白かったです
「これは貫いちゃあ……マズいよなぁ……」
このセリフ見事
単発小ネタ 「斗貴子さんの疑問、そして解決」

ホムのアジト前
カズキ「よし、行こう!」
ポン、とお尻を叩かれる斗貴子さん
斗貴子「‥‥」

ホムと戦闘
斗貴子「カズキ、囲まれたな」
カズキ「斗貴子さんオレに掴まって!槍の突進力でヤツラの上を
    飛ぶから!」
カズキにくっつき彼の身体に両腕をまわす斗貴子さん。
カズキは空いたほうの手で斗貴子を支える。手が‥胸に‥。
カズキ「サンライト・スラッシャー!いけぇええ!」
斗貴子「‥‥」

戦闘終了。
カズキ「勝った‥。斗貴子さん、大丈夫?」
斗貴子「すこし、足を挫いたらしい‥」
カズキ「オレに任せて!」
斗貴子をおぶるカズキ。後ろ手にまわした両手がお尻に‥
溜息をつく斗貴子さん。すこし考えて。カズキの背中に胸をあてる。

「痛くない?斗貴子さん。注意してるつもりだけど」
斗貴子を気遣いながらゆっくりと進むカズキ
「‥‥」
納得したのか、微笑んでカズキの首に顔を埋める。
「斗貴子さん?」
「ありがとうカズキ。もうすこしこのままお願いするぞ」
「了解」
313名無しさん@ピンキー :04/08/04 09:32 ID:7UUubR6Z
保守
314名無しさん@ピンキー :04/08/05 21:35 ID:E2L+NMaW
干す
315名無しさん@ピンキー:04/08/05 21:38 ID:fYZXR1ny
ほしゅ?
316名無しさん@ピンキー:04/08/06 01:14 ID:LTnQcNIz
ほしゅ
萌えスレで妄想が涌いたので短いですが投下


ホムンクルスにつかれて下半身不随になった斗貴子
鷲尾を倒した後、カズキに自分を置いて帰るように告げる
「わかった、帰るよ」
「それでいい」
「今すぐ」
「は?」
斗貴子の返事を待たずにカズキの手が伸びる。動けない斗貴子は逃げようもなく成すがまま
がば 閉ざしていた両足をカズキが強引に開く。抗う力もなく足を開かれる様はまるで赤ん坊のようだ
「や、やめろ!何をする!」
羞恥と恐怖で涙を出さなかったのは戦士としてのプライドが勝ったからかもしれない。
かろうじて動く手を自らの股間に添えて守ろうとするが、その手もあっさりと掴まれてしまう
「−−−!!」
全てを観念し、目を瞑る。カズキの手が体のどこを触っているのかも分からない。
だが、不思議と嫌な感じはしなかった。もしかしたらこうなることをどこかで望んでいたのかもしれない。
(死ぬ前に気に入った男の子に純潔を貰われるのも悪くはないか…)
足を触られているような、肩を触られているような、尻を触られているような感覚をくすぐったく感じていると
不意に ふわっと体が浮いた

「カズキ、何をしている?」
「何ってオンブだよ」
「…………」
カズキの考えをようやく正しく理解した。同時に、さっきまで自分が考えていた事を思い出すと顔から火が吹き出そうだ
「コラァーーッ!!人が動けないのをいいコトに勝手な真似するな!」
照れ隠し半分、ごまかし半分に叫んだ所で本編に戻る
318名無しさん@ピンキー:04/08/06 23:39 ID:KPnuBJJN
>>317
萌え!
319261:04/08/07 00:04 ID:qi1zPdRo
>>261で「初々しい?ふたり」を書いた者です。
遅くなりましたが、レスをくださった方ありがとう。
読んでもらえたってコトに舞い上がりっぱなしです。

さて、今回その続きをまた少し投下させてもらおうかなと思います。
公式設定での斗貴子さんの誕生日前にこんなの投下していいのかw
視点が飛び飛びで、読みづらい箇所が多々あるのが辛いですが、
また読んでもらえたら嬉しいです
320初々しい?ふたり(続き):04/08/07 00:29 ID:qi1zPdRo
握っている掌の汗のせいなのか。
布下のペニスの輪郭がしごく度に露骨なものになる。
どんどん硬くなり、熱さを帯びる奇妙な触り心地。
それを促しているのは間違い無く自分の手だという事実が、
我が事ながら斗貴子にはピンとこない。
こっそりカズキの横顔を盗み見る。
痛みではない何かを我慢してる、不思議な表情。
「カズキ、…痛い、のではないのか?」
「…ううん。違う。何かヘンな感じ。斗貴子さんにして貰ってるのが」
「…そうなのか。よく、わからないが…」
「ごめん。オレばっかり、してもらって」
「謝られても、その、困るぞ…」

少しだけ行為に慣れた為か、斗貴子に彼の反応を伺う余裕ができた。
強めに握り、速度を上げると、快感は増すらしい。
先端は敏感な所らしく、親指で円を描く感じで撫ぜると堪らない様だ。
すこし斗貴子は考える。
カズキに許可を貰ってからが良いか?…口に出すには恥ずかしい。
この様子だとむしろ喜んでくれる気もする。不言実行、だ。ええい。
「わわッ斗…」
トランクスのなかへ手を差し入れて、直接カズキの物に触れる。
「あ…指が…」
当然だが、布ごしの時とは全然違う生々しい感触。
熱気のこもる、せまい空間。掌が、指が、手首もソレに直に触れる。
ぬるっとした何かがついた。…今は気にしないコトにしよう…。
カズキの視線を強く意識する。羞恥でまた頬のあたりが熱くなった。
「カズキ。キミが気持ち良いのなら…。このまま、続けるぞ?」

そういった斗貴子の頬へ、おでこへ、カズキは優しくキスをしてゆく。
年上の、凛々しくて、でも小さな肩の小柄な先輩戦士。
好きだ。斗貴子さん。その想いを肩にやった自分の手にこめてみた。
視線が絡む。かすかな罪悪感。オレ、こんなコトさせていいのかな‥。
321初々しい?ふたり(続き):04/08/07 00:35 ID:qi1zPdRo
肩にあるカズキの手に力が入る。
視線が合う。そういうコトだと斗貴子は解釈する。
彼のトランクスの中に隠れた自分の右手。ゆっくりと探ってみる。
下腹の感触。ざわざわとした、これは陰毛‥か。熱い肉の柱を過ぎて。
探れる範囲の一番下で、奇妙な感触。ふにゃっとした、なんというか。
その皮膚の下、弾力のあるカタマリ。つまんでみる‥。
「痛ッ。斗貴子さん、タ、タンマ!」
「えっ?あ、スマン。これは痛いものなんだな‥」
慌てて、さする。私は何をしてるんだろう。苦笑する斗貴子だった。
錬金の戦士を目指す者が養成所で習う格闘教練で、
斗貴子は人体の急所においての攻撃・防御の術を叩き込まれている。
攻撃対象が男性の場合、急所にはもちろん男性器も含まれており、
敵の単独・複数を問わず痛打をそこに加える事は戦意をそぐ上で定石。
教官も、同期の戦士たちもこの教練に臨む斗貴子を恐れた。
誰であろうと彼女は躊躇も容赦もしないからだ。

そんな彼女が戸惑いながらも恋人の為に急所へ愛撫を試みているのは、
ある意味微笑ましくて、滑稽な冗談にも思える。
力の加減が激痛と快感を分けるとは、繊細な場所だと彼女は感心する。
「カズキ、もう痛まないか?」
「ウン。…こういうのなら、ちょっと良いかも」
幼いころ遊んだお手玉の袋の様に、注意して優しく揉みしだいてみる。
そして指を肉茎に添えて上下に撫でた後、そのまましっかりと握った。
掌に伝わる体温と、脈動。また、ピクリと動いた気がした。
「なんか、たまらない。他人の手でこうされるの初めてだから…」
「わ、私だってこんなコト経験ないぞ。キミがあんなに頼むから!」
「正しい言葉の使い方じゃないかも知れないけど、ありがとう」
「礼を言われるのも、困る!集中するからしばらく黙るぞっ」
折角慣れたハズなのに、彼の天然さが再び彼女の羞恥に火をつけた。
322初々しい?ふたり(続き):04/08/07 00:42 ID:qi1zPdRo
しゅっしゅっと、握った手を上下に動かす。
そのたびにカズキの口から切ない吐息が漏れる。
カズキ…。
つられる様に、斗貴子の身体の奥が、疼く。その事にすこし戸惑う。
絶えず手を動かしている為、部屋の温度を熱く感じる。
動く毎に綺麗に切り揃えた髪が揺れ浮かんだ汗で前髪が少し張り付く。
「…ちょっと熱いな」
「あ、そうだね。ゴメンちょっとまってて」
空調を調節して貰えるかなと思った斗貴子は、次の行動に面喰らった。
「な、なぜキミは下を全部脱いでるんだ?早くはきなおせっ!」
「てっきりトランクスの中の事だと…だから脱いじゃった方がって」
「ボケ倒すのも、いい加減に…ッ」

いまやハッキリと姿を現したカズキ自身。
そして自分の右手はそれをしっかりと握っているという事実。
「斗貴子さん、あまり見つめられると、その、困る」
「見つめてなんかいない!」
しかし、言葉とは裏腹に彼女の眼は釘付けになってしまっている。
…男性の、そして、カズキのペニス。初めて目にするものだ。
赤ちゃんとかのなら見たコトはあるし、知識としてなら頭にはあるが。
こんなに大きくなるものなのか?それに。何と言うか、こわい、な…。
なんだか違う生き物みたいで、思わず握っていた手を離す斗貴子。
「斗貴子さん?」
「んっ、な、なに…?」
思わずかしこまって返事してしまう。
「もう、やめてもいいよ?オレ、何か悪い気がして…」
「…何故だ?」
「もし無理してるなら、オレに遠慮しないで…」
真意を探る為カズキの顔を見据える。斗貴子のコトを気遣う優しい瞳。
彼女のよく知ってる、カズキだ。まったく。強引なのか謙虚なのか。
下半身に何もはいてないのは、すこし減点の対象だなと苦笑する。
323初々しい?ふたり(続き):04/08/07 00:52 ID:qi1zPdRo
「無理はしてない。私は拒絶する時はハッキリとする。知ってるな?」
「ウン。でも」
「私はキミが好きだ。…その、キミのカノジョってヤツだ。だな?」
「ウン。オレも斗貴子さんが好きだ。オレの大切なカノジョだよ」
「ああ。そうでなくては困る。…話がそれた。キミは私のカレシだ」
「へへっ。ウン。オレ、斗貴子さんのためなら何だってするよ」
「私も同じだ。…出来るコトであれば何だって出来る…キミになら」
「……斗貴子さん」
「だから無理してるとか、遠慮してるとか思うな。…寂しくなるから」
「ゴメン。そんなこと、もう思わない」

優しい抱擁。互いの背中にまわした手に伝わる相手の温もりと気持ち。
出会ってから、もう何度もこうしてるハズだけど、薄れない安心感。
幾多の戦いや危機の中、積み重ねた絆を強く感じられて、嬉しい。
「私はこうしてるだけでも良いけど、キミは満足できないのだろう?」
「えっ。そんなコトないよ?オレもこうしてるの好きだし」
なんだか可愛い。斗貴子はちょっと意地悪したくなった。
「じゃ、さっきの様なことはもういいな?終わりだ」
「………うう」
「ホントわかりやすいなキミは。もう一度言うが今回だけだ、ぞ?」
「ウン。わかった」
ポン、とカズキの背中を軽く叩いて抱擁を解く斗貴子。
優しく抱いて貰った為か、気分がいい。柄に無く舞い上がってるかも。
キミを知りたい。カズキが喜ぶなら、続けてあげたい。
「じゃあ、…。痛かったりしたらすぐ言うんだぞ」
324261:04/08/07 00:57 ID:qi1zPdRo
とりあえず、今日はここまでです。
なんかもどかしい内容ですが、おそるおそる相手を知ろうと
するラブいカズ斗貴を書こうとがんばりますので、御容赦ください。
このSS、ちゃんとエロいかどうか、ちょっと不安ですw
よければ、また感想を貰えたらと思います。では、また「続き」にて。
325名無しさん@ピンキー:04/08/07 01:06 ID:L913QCcf
>>324
いやエロいね
>痛かったりしたらすぐ言うんだぞ
がなんだか倒錯風味ですごく良かったです。
326名無しさん@ピンキー:04/08/07 03:06 ID:eFL+g09g
彼氏彼女の確認のとこ萌え(*´Д`)
327名無しさん@ピンキー :04/08/07 06:41 ID:tlBkXU34
>>261
乙です!

萌えます〜。
328名無しさん@ピンキー:04/08/07 09:21 ID:OJelgmtf
(´Å`)エロすぎて俺の股間が痛いです。ハァハァ
329斗貴子さんが欲しいモノ:04/08/07 13:58 ID:n6W9W6Uo
「8月7日って斗貴子さんの誕生日だよね?」
「そうだが。何故、知っている?」
「転校して来た時、質問に答えてたから。海から帰ってすぐだよね。何か欲しいプレゼントとかある?」
海水浴に向う途中、カズキからこんな質問をされた。

誕生日なんて自分にはなんの意味もない。過ぎる度に、潜入任務の担当が変わるだけ。
高校への潜入任務は17歳前後の戦士が充てられ、大学への潜入任務は20歳前後の戦士が充てられる。
それだけのこと…そう思っていたのだが。

「物じゃなくてもいいなら…その…なんだ…キミとの時間(ごにょごにょ)」
「え?なに?」

(時間というか、カズキそのものが欲しいというか─)
(ラッピングされていて好きにできるカズキが欲しいというか─)
(遠まわしに言ってキミが理解してくれると思えないが─)
(かといって、そのまま言うのは─ (///))

「ええと、斗貴子さん?」
「(欲しいものはばっちり決まっているが、表現が思いつかないので)少し考えさせてくれ」
「うん、わかった。まだ、時間はちょっとあるしね。オレが用意できるモノならなんでもいいから!」

(そうか、なんでもいいのか…やはり、ここはカズキを─)

果てしない妄想に落ちていく斗貴子さんであった。

(おわり)
330名無しさん@ピンキー :04/08/07 16:42 ID:vBpoFCHN
>>329
乙です〜。

直接的な発想に悩む斗貴子さんよいですな〜。
今回は貰う暇がなさそうだから、今度はカズキの誕生日に自分を
プレうわやめn
331プレゼント 1/3 ◆3QNSjLC4b. :04/08/07 18:51 ID:lOC6lIUw
ごろん。

寄宿舎の自分の部屋で休んでいると、突然、扉が開き、何かが放り込まれた。
そして、いくつかの足音が去っていく。
放り込まれたのは、手足を縛られ、猿轡をされたカズキだった。

「んー、んー」
「いったい、どうしたんだ!」
慌てて駆け寄り、猿轡を外した。

「ありがとう…突然みんなに囲まれて、気が付いたらこんなことに─」
「そうか、とにかく解くぞ」
手を結んでいる紐を解こうとして、そこに着いているメッセージカードに気づいた。
『Happy Birthday to TOKIKO san!』
…どういうことだ?私は紐を解く手を止めた。

「…斗貴子さん?」
「すまない、ちょっと待ってくれ」
カズキにそう言って、しばし考えてみる。
そういえば、今日は8月7日。私の誕生日だ。
7年前のあの日から、誕生日プレゼントと無縁の日々を過ごしてきたが、
ひょっとしてこれがそうなのか?
高校生の一般的な誕生日プレゼントがどんなものかよくわからないが、
こういう形もあるかもしれない。
よく見ると、手足を縛っている紐はリボンのようだ。
他にもそれらしい飾りつけがされている。特に頭についているリボンがかわいい。
『お義姉ちゃん、お兄ちゃんをよろしくね!』という文字も見える。
これは誕生日プレゼント確定のようだ。
332プレゼント 2/3:04/08/07 18:51 ID:lOC6lIUw
「…斗貴子さん?」
不安そうな顔でさっきと同じ言葉を繰り返すカズキに笑顔で答える。
「ありがとう、カズキ!」
「え!?」
「みんなにも後で礼を言うが、特にキミに言いたい!
 素晴らしいプレゼントをありがとう、カズキ。一番欲しかったんだ!」
「…ええと、よくわからないけど、良かったね、斗貴子さん」
そう言いながら、カズキはまだ少し不安そうだ。安心させてやらねば。

「武装錬金!」
「エー!?」
私は両手とバルキリースカートを使ってカズキを持ち上げ、自分のベッドに運んだ。
「と、と、斗貴子さん?」
手足を縛られたままのカズキはまだ不安そうだ。どうすれば安心してくれるだろう?
そうだ、私がプレゼントを歓迎していることを知らせなくては!

武装解除した私はカズキのズボンとパンツを降ろし、
そこに現れたカズキの分身を口に含み、上下に動かした。
「斗貴子さん!」
「安心しろ、私はこのプレゼントをとても歓迎している」
そう言って、さっき見つけたメッセージカードをカズキに見せた。
「…こういうことだったのか─」
何故か天を仰ぐカズキ。
よくわからないが、私がプレゼントを歓迎してることは理解してくれただろう。
333プレゼント 3/3:04/08/07 18:52 ID:lOC6lIUw
分身を咥えた口を動かし続けている私に、カズキがおずおずと口を開いた。
「斗貴子さん…ええと…解いてくれないかな?」
「ん、そうだな」
私は、後ろ手に縛られていたカズキの両手を解いた。
「ありがとう!」
そして、手を前に回し、再び縛った。
「ゑ?」
「どうした?後ろ手が辛かったんじゃないのか?」
「いや、そうじゃなくて…もういいです。ぐすん」
涙目だ。嬉し涙に違いない。顔が諦めの表情に似ている気がするが気のせいだろう。
そうこうしているうちに、口の中のモノがだんだん大きくなってきたので、
もっとすごい歓迎の意を示したくなってきた。

口を動かしながら、自分の秘所に手を伸ばして見る。
うん、私のここもプレゼントを歓迎しているようだ。
手早く自分のショーツを降ろし、カズキの上に跨った。
「!?斗貴子さん?」
「どうした、私にこういう歓迎をされるのはイヤか?」
「イヤじゃないけど…っていうか、大好きな斗貴子さんとだからすごくうれしいけど─
 もうちょっと普通にしたいっていうか─」
「そうか、キミには話してなかったな。私もキミが好きだ」
告白の仕方がわからず悩んでいた日々が冗談のような思えた。
ありがとう、誕生日!ありがとう、プレゼント!

そして、仰向けにしたカズキの腰の上に自分の腰を降ろした。
カズキが何か言っている気がするが、気にしないでスリットにカズキの先端を導く。
ゆっくりと腰を降ろし続けると、カズキが私の中に入っていった。
334261:04/08/07 20:01 ID:hr+i5we4
「浮いてないだろうか‥」と反応が気になって仕事中も何か、
ソワソワとした一日でした。
レスを下さった方、どうもありがとうございます。
お互い通じているようで、どこかズレてて、でもやっぱり通じてる。
そんな二人を描けたらな、と思います。キャラ描写が「らしく」
なかったらすみません。一番注意しているつもりですが‥。
カズ斗貴SSは読むのも書くのも大好きです

>>329
悩める斗貴子さん、可愛いです。「あの時の質問への答え、聞いてた
んだな‥」とか、自分に興味を持ってくれてた事を喜んでそうです。

>>331
斗貴子さん、誕生日の贈り物と無縁の日々を過ごしたとはいえ、
拘束されたカズキをプレゼントとして素直に受け取るとは。
カズキもプレゼントのお返しもらえて良かったかも知れないw
335名無しさん@ピンキー:04/08/07 22:52 ID:WrymEakV
>>334
>「浮いてないだろうか‥」と反応が気になって
これすんごい気になるよなぁ。落ち着かないよね。面白かった…というのは
少し違うかもしれないが、面白かったよ。

そして、誕生日ネタ書いた方々も、萌えました。GJ
336プレゼント 4/3 ◆3QNSjLC4b. :04/08/07 23:56 ID:lOC6lIUw
何度か果てた後、カズキの手足を自由にし、胸に体を預けた。
カズキの両手が私の背中に回り、抱きしめられた。
最初から紐を解けばよかったかもしれない──

「斗貴子さん、オレはみんなから誕生日プレゼントだけど、
 オレ自身からのプレゼントもあるんだ。
 受け取って欲しいんだけど、目、つぶってくれる?」
「ああ、わかった。つぶったぞ」
ちゅ。
「あ」
「ごめん、プレゼントのこと、いろいろ考えてはいたんだけど、
 もうこんな時間なんで、今日中には用意できなさそうだし。
 で、オレたち、まだキスしてなかったよね?」
「…そういえば、そうだな、ありがとう…では、プレゼントのお返しだ」
ちゅ。
「じゃあ、お返しのお返し」
ちゅ。
「お返しのお返しのお返し」
ちゅ。
「お返しの─」

(終)
337名無しさん@ピンキー:04/08/08 00:17 ID:F3iNglZL
ゲキモエー━━━(;´Д`)━━━!!!!
最後のそりゃ反則ですぜ兄貴
338名無しさん@ピンキー:04/08/08 00:46 ID:PaB8c4wM
もうアンタら一生やってなさいw
339名無しさん@ピンキー:04/08/08 12:29 ID:JZ7C5hKL
何故かこのカップルはラブ話を書くとバカップルになってしまう…
340名無しさん@ピンキー:04/08/08 13:59 ID:Vj8EmIHZ
カズ斗貴はいいコンビでもあるし、本編でふたりの仲の進展が
微笑ましく描かれてるからね。素直に応援したくなるカップル。
SSで苺濃度をつい上げてしまうのも無理はない
341215:04/08/08 14:14 ID:Qkyp0SbE
>>305 の続き イントロです。

「ここ……置くよ」
「……ああ」
 昨日と同じように、まひろの淹れたお茶がちゃぶ台に置かれる。
 これはもう、二人にとって儀式のようなものだ。 
 背中に……衣擦れの音…………
「……んぁ」
 蒼い身体は覚えたての感覚にひどく敏感なのか、すぐに背徳の響きを帯びた嬌声が漏れ聴こえてくる。
 ブラボーの股間はすでに、カチカチに硬化している。核金はもちろん使ってない。自前のシルバースキンだ。
「んッ…あッ……ふぁッ……」
 ホトトギスも最初の内は綺麗な声では鳴けず、少しずつ経験を積みながら歌を歌うのだが、まひろもそうだ。
 あきらかに一昨日初めて啼いたときよりも、その声は甘い艶を含んでる。
 しかし、『ブラボーだ』とまひろの成長を褒めるわけにもいかない。
「……………………………」
 そして今日も、自分の成長を認めてもらいたい女の子がふらりっと立ち上がった。
 ――――男には負けられない戦いがある……
 悲壮感漂う決意。だが“オトコ”だからこそ勝てない戦いもある。ブラボーはいまにも泣きそうな表情をしていた。


コメントくれた方、ありがとうございます。

》耐えてるブラボーが萌え!・まひろタンは一方通行でモンモンとしてるのが萌えるなぁ…

たしかに、ブラボーに手を出させると話しが安易な気もするので、しばらくはこの路線でいきたいと思います。
それとちょっとお聞きしたいんですけど、ちーちんとさーちゃん登場させると話のバランス崩れちゃいますかね?
342名無しさん@ピンキー:04/08/08 14:19 ID:KHeP3aH1
GJ!キャプテンブラボーは動かないってどっかの読み切りみたいですね
ちーちんさーちゃん登場は腕次第だと思いますよ。どちらかというと登場してほしいですが。
343名無しさん@ピンキー:04/08/08 15:27 ID:niY3Ev8A
>自前のシルバースキン
ワラタ

自分がこんなにもまひろの誘惑に耐えているというのに
呑気にイチャついてるカズキとTQNに朝礼で八つ当たりする
ブラボー希望
34415 ◆d/tNbfC3.o :04/08/08 23:11 ID:/HvC+OXx
どうも、お久しぶりです。各所でとっきゅん誕生日祭が起こっていようと、
もうすぐネタバレ解禁時間になろうと、俺がやるとことはただ一つ。
あいもかわらず、やまなしオチなし意味なしの、ストロベリー戦士・とっきゅん第七話。
ここにお届けいたします。毎度の如く長いので、嫌な人はスルーしてくださいね。






では、別名、秋水クンをいじめようの巻→                       開劇。
「うふふ…変身!」
『…始まったか』
『ちょっとお粗末すぎるかな、と思いましたがうまくいったようですわね』
『ああ…仲間が相手ではやりづらいだろう。勝とうが負けようが疲弊するはず…』
『そこを狙う…』
『ああ。今度こそ、最後だ…』

ストロベリー戦士・とっきゅん 第七話 「守ることと戦うこと」

「世の中に 絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし…」
光が消えて、姿を変えた桜花が現れ、歌を詠みはじめる。
「桜は人の心を乱す。桜は人の心を踊らす。されど桜がなき世には、平和な時などありはしない」
その姿は、銀成学園の制服とはかけ離れた姿であった。そう、例えるならそれは、女性ならば
誰もが憧れるウェディングドレス。頭部にはブーケを被り、胸には桜の花をあしらった飾り。
「美しき彼の力を纏い、悪を討つは可憐な戦士…」
斗貴子に勝るとも劣らない、口上を述べる桜花。ふと見ると、秋水の姿がないが…
「ビューティ戦士・エンゼルチェリー…ここに参上致しますわ」
そこで桜花はクルリと一回転する。ドレスにしては短いスカートが風を孕んでフワリと膨らむ。
「貴方のハートを…頂戴しますわ」
ドガーン!
これまた斗貴子に勝るとも劣らない、巻き起こる爆煙。やはり変身核鉄のオプションらしい。
「…はーっ、はーっ」
と、思ったら後ろで秋水が肩で息をしている。どうやら彼が爆煙を起こしたらしい。
どうやったかは知らないが、ご苦労なことである。
「ありがとう。秋水クン」
「ね、姉さんのためなら…この、くらい…」
途切れ途切れながらも、秋水は桜花に微笑む。所々焦げてる気がしないでもない。
「アナタ…いつの間に変身核鉄を…」
桜花の変身を見て、斗貴子が冷や汗を垂らしながら尋ねる。さすがにこれは予想外だったのだ。
「あら?変身核鉄の入手先は、一つしかないでしょう?」
桜花は不敵に微笑むと、経緯を語り始めた…
「戦士長、私達にお話とは?」
数日前、桜花と秋水は、話があるとブラボーに呼び出されていた。
「うむ。昨日、街で銀成の服を着た二人組が、悪さをしているとの報告が入った」
大した被害は出てないと言ったものの、やはりブラボーの耳には入っていたようだ。
「………まさか、私達を疑っているのですか?」
桜花が、少し声を硬くして尋ねる。それを見て、彼は苦笑する。
「お前達が、もうLXEとは切れている事なんざ、目に見えてわかる。疑ってなんかいないさ」
「……では、何故俺達を?」
ブラボーの言葉を一応信用したのか、秋水が少し表情を柔らかくして尋ねる。
「うむ。お前達を疑ってはいないが、二人組と言うのは間違いなくお前達の偽者だ」
『………』
自分の偽者など、そうそう現れるものではない。それだけに、彼らの表情も複雑である。
「…偽者なんだが、上の連中はお前達がやっているのでは?と思っているらしい」
「先程は、私達を疑っていないと、貴方が仰ったはずですが?」
唐突にブラボーに手のひらを返され、桜花の表情が再び硬くなる。
「まぁ、待て。『俺』は疑ってはいない。けど、上の連中はそうもいかなくてな」
「…なるほど」
疑われるのは仕方ない。事実彼らは敵だったのだから。そう納得する秋水を見て、
ブラボーは苦い表情を浮かべながら続ける。
「で、だ。その疑いを晴らす意味も込めて、お前達に自分達の偽者の討伐を命じたい」
『………え!?』
突然、ブラボーの口をついて出た意外な言葉に、彼らは驚く。
「ついては、桜花。お前用の変身核鉄も無理を言って手配させた。これを使え」
「え?…あ、ハ、ハイ」
未だ驚いている桜花に、ブラボーは核鉄とカードを渡す。
「使い方はわかっているな?そのカードを腰にセットし、核鉄をはめ込む」
「…合言葉は?」
桜花の口をついて出た問いに、ブラボーはニヤリと笑って答える。
「実はな。そんなものは初めからないんだ。あれは、斗貴子やカズキを発奮するための嘘だ」
「…あらあら。戦士長も、なかなかお人が悪いんですね」
ブラボーの表情を見て、信頼に足ると判断したらしい。桜花は微笑んで、核鉄を仕舞った…
「と、いうわけですのよ」
桜花は自信満々に、経緯を話し終えた…のだが、
「あ、とっきゅん見て見て。ほら、野良猫〜」
「(ときゅーん!)か、カワイイ…ね、ねぇ。この子寄宿舎に連れてっちゃダメかしら?」
「ダメだよ、そんなの。確かに可愛いけど…」
「いいじゃないの…ほら。練習だと思って、二人で育てましょうよ」
「れ、練習って何の?」
「何って…決まってるじゃない!もう!言わせないでよ、恥かしい!」
バシバシバシバシバシバシ
桜花の話を完全に無視する二人。斗貴子は照れるあまりにカズキをバシバシ叩く。
「わ、私の話を無視して…挙句に二人でストロベるなんて…」
「ね、姉さん、落ち着いて」
ワナワナと肩を震わせる桜花を見て、秋水は慌てて止めに入るが…
「どちらかと言えば!後者の方が気に入りませんわ!」
「………!?ウソダウソダユメダヨネ。ネエサンハオレノコトヲスキナハズ…」
今度は、自身が桜花の言葉に身を震わせる結果をなってしまう。
「ホント、カワイイわ、この猫。名前つけちゃおうかしら…ん〜、カズキなんてどう?」
「…何で、俺の名前をつけるのさ」
「ん〜、『カズキ』ったらカワイイ。ねぇ『カズキ』、今夜一緒に寝ようか」
「……凄い恥かしいんだけど…」
「ちょっと、貴方たち!人を無視しないで頂けます?」
未だイチャイチャし続ける二人に、桜花は大きく声をかける。
「あ、話終わったみたいだよ、とっきゅん」
「コラ『カズキ』、くすぐったいぞ。エロスは程ほどに…ね。きゃ、だからそんな所を…」
…完全に聞いてないな。
「とっきゅん!」
「あはははは…え?何?」
「桜花先輩の話、終わったよ!」
珍しく、カズキが強い口調で喋る。何だか怒っているようにも見えるが…
「ちょ、ちょっと。何で怒ってるのかしら?私、何か悪いことしたかしら…」
「別に……………………………………………そんな、猫ばっかり可愛がって」
ムスっとしながら、カズキは消え入りそうな声で呟く。なるほど、これは…
「もしかして…嫉妬してる?」
「う、そ、そんなことないよ!」
「赤くなってるってことは図星かしら?やーん、嫉妬するなんて…カーワイイ♪」
「もう…からかわないでよ、とっきゅん」
「いいわよ。カズキが望むなら貴方と一緒に寝ても…」
「そそそそそそそそそそそんなこと、し…た、いな…んて…」
「…お願いですから、私を無視しないで貰えます?」

あまりの彼らの様子に、怒りよりも呆れの方が強くなってしまったらしい。桜花は嘆息する。
変身した後の斗貴子とカズキは、いつもこのくらいイチャイチャしているのだが、思えば
桜花は物陰から見ていたことはあっても、自分が応対するのは初めてである。
「とっきゅん、桜花先輩困ってるよ」
「あら?忘れてたわ。戦うんだったわね」
カズキに言われて、初めて斗貴子は桜花の方に向き直る。
「…俺、あんまり気が進まないんだけどなぁ…」
と、ため息をつくのはカズキ。無理もない。親しい人間と(しかも)誤解で戦うのだから。
「ん〜。別に、貴方は戦わなくてもいいわよ」
そんなカズキに、斗貴子は思わぬ言葉をかける。どういうことなのか。
「だって、あっちも一人みたいなものだもの」
「夢、夢、夢…これは夢…」

斗貴子に促されて秋水を見ると、虚ろな目で何かを呟いていた。確かに、とても戦えそうもない。
「そうですわね。私と貴女の二人だけで、決着をつけましょうか」
弟がそんな状態だと言うのに、桜花は平然と斗貴子に言い放つ。哀れなのは秋水か。
「望むところよ。カズキは下がってて。ついでにソレもどっかにどけておいて」
うん、と頷いてカズキが秋水を抱えながら、脇に退く。
「さて…始めましょうか?」
今度は斗貴子はハッキリ桜花を見据え、そして戦いが始まった…
「エンゼルアーチェリー…」キュイイイイイン
桜花が静かに呟くと、光を放ちながら弓が出現する。
「それが貴女の武器ってことね…」
さして表情を変えず、斗貴子は呟く。想像の範疇であったためだろう。
「何だかんだで、これが一番慣れてますから」
「でしょうね…ストロベリー・リボン」
不敵に笑う桜花に、同じく笑みを浮かべながら、斗貴子はリボンを解く。どうやらそれで戦うらしい。
「あら…?随分可愛らしい武器で戦うんですね」
彼女もこの武器は幾度か目にしているはずだが。おそらく嫌味だろう。
「しかたないでしょ。いくらなんでも、この格好でバルキリースカートはできないわ」
「それもそうですわね…」
言葉を交わしながらも、じりじりと彼女達は動く。間合いを計っているのだ。
「さて…お互い準備もできたことですし…」
「そろそろ…始めましょうか!」

呟くと同時に、斗貴子が一気に中距離程度の間合いまで詰める。相手は弓。当然の判断である。
「させませんわ!」ビシュビシュ!
しかして、桜花もそうはさせじと、続けざまに矢を放つ。
「…そうそう上手くは行かない…わね!」
仕方なく斗貴子は後ろに退く。だが、ただでは退かず、リボンを桜花に放つ。
「甘いですわ!」ガキィィィィン!
予測の範囲内だったらしい。桜花は弓をまるで刀のように振り上げて、リボンを弾く。
「それはどうかしら?」
「……え?」
自信満々に弓を振りぬいた桜花に、斗貴子は不敵な笑みを浮かべる。
「………く!?」ガキィィィン!
斗貴子は、ストロベリー・ティアラを同時に投げていたのだ。今度は桜花は弓を振り下ろし、
何とかティアラを凌ぐ。
「………やりますわね」
「………貴女もね」
戦いはまだ、始まったばかり…
「す、凄い…」
目の前で繰り広げられる攻防に、カズキは思わず口を開ける。
「姉さん…戦ってる姿もやっぱりたまらない…ハァハァ」
その横で、秋水が恍惚とした表情で同じ所を見ている。何時の間にか復活したらしい。
「秋水先輩…加勢しなくていいんですか?」
それは即ち斗貴子が2対1になるということなのだが、カズキは思わず尋ねる。
「いや、姉さんが自分で決着をつけると言っているんだ。邪魔はできないよ」
姉の意思を尊重する、いい弟である。
「…………………………って、いうか邪魔したら何されるか…」
そっちが本音か。
ビシュビシュビシュ!「………うわ!?」
突然、桜花の矢が秋水の足元に飛んでくる。流れ弾だろうか。
「………」
いや、秋水とあった桜花の目が語っている。聞こえている、と
「…スイマセンスイマセンスイマセンスイマセンモウイイマセン」
その瞬間、秋水がいきなり謝り始める。どうでもいいのだが、非常にみっともない。
「しゅ、秋水先輩も苦労してるんですね。実は斗貴子さんも結構…」
ヒュオンヒュオンヒュオン!「…うわわ!?」
カズキが何かを呟いたその時、今度は斗貴子のティアラがカズキの鼻先を掠めていく。
「……………」
「…ゴメンナサイ」
カズキも、秋水に倣って素直に謝る。どうにも男達の方が立場が弱いようだ。
「……おとなしく見てようか、武藤」
「……そうですね」
結局、男性陣は傍観を決め込むようである。

「さすが…」ガキィン!「正真正銘の…」ビシュ!「戦士は違いますわね!」ギィィィン!
「そうね…」ギィィン!「さすがに…」ヒュン!「一般人には負けられないわ!」ガッキィン!
お互いに放たれる矢やリボンを弾きながら、二人は言葉を交わす。状況は互角…とはやはり
いかないらしい。変身して戦うのに慣れているのもあるが、斗貴子の方が優勢である。
「でも…そんな戦うことに生きる人を…武藤クンはどう思うかしら?」
「……え?」
桜花の言葉に、斗貴子が一瞬動きを止める。なるほど、揺さぶりをかける作戦にしたようだ。
「戦うばかりで、ちっとも女の子らしくない貴女を…武藤クンは好きになってくれるのかしら?」
「な、何を言っているの!カズキは私の事を…す、す、す、好きなはずよ!」
戸惑いながらテレながら、斗貴子は言い放つ。後ろの方でカズキが赤面しているが。
「それはどうかしら?少なくとも、貴女は武藤クンの好みを、満たしていない部分がありますわ」
「…な、何ですって!?」
だが、桜花は不敵に笑って斗貴子の言葉を切り捨てる。そして、とんでもない一言を放った。
「少なくとも…武藤クンのベッドの下にある本には、貴女の体型ではほど遠いのではないかしら?」

「何で知ってるの桜花先輩ぃぃぃぃぃ!?」
自身の性癖を暴露されたカズキは、思わず絶叫する。そんな、カズキの肩を、秋水が叩く。
「姉さんの情報を甘く見てはダメだ。徹底的に洗われるんだ、姉さんに関わると」
なるほど、経験者はかく語る、か。
「…あ、秋水クン。貴方が押入れに隠していた本…」
「………!?」
どうやら、秋水も何かを隠していたようである。秋水の体がビクビクっと痙攣する。
「ゴメンナサイね、私は『姉』で…『妹』じゃなくて…」
よりによってそういう趣味だったらしい。秋水はひたすら謝る。
「…………ゴメンナサイ、もう捨てます。一時の気の迷いです」
だが、そんな秋水の言葉も桜花には届かない。桜花は一言の下に切り捨てる。
「…貴方の一時というのは、随分長いのね、秋水クン?」
「ホント、ホントスイマセン。この通り」
土下座までするのか。どうやら桜花との力関係は絶対らしい。
「まぁ、秋水クンは後でたっぷりお仕置きするとして…」
桜花はチラリと斗貴子の方を見る。どうやら、少なからずショックを受けているらしい。
「それは、確かに前も見たけど…でも、この前聞いたら捨てたって言ってたのに…くすん」
弁解のため、慌てて駆けよかったカズキに、斗貴子は呟く。涙目である。
「な、泣かないで斗貴子さん!アレは、その、えっと…」
カズキは何とか弁解しようとするが、言葉が出てこないらしい。
「くすん…もういい。カズキなんて知らない!」
彼がそんな態度を取る以上、斗貴子がこのような態度に出るのは当然である。
「と、斗貴子さん!えっと、え〜っと…………………………………あ〜」
ギュッ
下手な弁解は逆効果だ。行動で示すしかないと思ったカズキは、斗貴子を抱きしめる。
「あのさ、斗貴子さん。ゴメン。俺の話…聞いてくれる?」
斗貴子は黙したまま。それを肯定と受け取ったか、カズキは続ける。
「ホントは、胸が大きいとか、年上とか、どうでもいいんだ。俺が好きなのは…」
そこでカズキは言葉を切る。次の言葉への期待に、斗貴子の鼓動が早くなる。
「俺が好きなのは…斗貴子さんだから」
「………カズキ」
顔を上げた斗貴子は、満面の笑みを浮かべていた。
「ホントゴメンね、斗貴子さん」
「………帰ったら、ちゃんと捨てること」「……うん」
「…………」
思わぬ事態の推移に、桜花が情けなく口を開ける。苺戦士のエネルギーの源を断とうとした
ようだが、読みが甘かったらしい。
キィィィィィィィィィン
その時、斗貴子の核鉄が光を放つ。これは…大と小との戦いの時にも見られたものであるが…
「とっきゅん…?」「ちょっと、離れててね。カズキ」
頷いて、カズキが離れたのを確認すると、斗貴子は例のポーズを取った。
キュィィィィィィン
光が今度は斗貴子の体を包み、そして斗貴子の姿が変わる。
「ストロベリー戦士・とっきゅん!ミルクフォーッム!」
スカート、リボン、ブローチがピンク色に変わる。苺戦士の第二の力、ミルクフォームである。
「……く!?」
それを見て、思わず桜花は後ずさる。無理もない。ただでさえ押されていたのだから。
「女は外見なんかじゃないってこと…教えてあげるよ!」
斗貴子は不敵に言い放ち、そして左手首のブローチから、刀を抜く……と、思ったら
「………マイク?」
そう、斗貴子が抜いたのは刀ではなく、装飾の付いたマイクである。一体何をするのか。
「行くわよ!ストロベリー・コンサート!」
トキュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!
毎度毎度の効果音と共に、平らだった場所に、ステージが出来上がる。
「………」
事態についていけずに、呆然とする三人をよそに、斗貴子はステージの上に颯爽と立つ。
「いきます!ストロベリー戦士・とっきゅんで…『Berry Magic』!」
その瞬間、どこからか音楽が流れ始めた。その曲に合わせて、斗貴子は体を揺らす。
「♪夜更けに起きた女のコ(とっきゅーん!)」「♪こっそり部屋を抜け出して(とっきゅーん!)」
「♪そ。しなやかに。目指すのは。貴方の部屋の中〜」

「な、何ですの…これは」
歌を聴いた桜花に、奇妙な感覚が芽生える。どうやら、ストロベリー・ワールドのような
精神攻撃系の技のようである。に、しても突然歌いだした斗貴子も凄いが、それに絶妙な
タイミングでコールをするカズキもかなりの者だ。さすがのコンビネーションと言えよう。
「♪ベッドに眠る男のコ(とっきゅーん!)可愛い寝顔と寝息で(とっきゅーん!)
 ね。寝ているの?起きないの?あたしここにいるよ(ハーイ!ハーイ!ハイハイハイハイ!)」

「これは…なかなか堪えますわね………って、秋水クン!?何をしているの!」
「ハーイ!ハーイ!ハイハイハイハイ!」
これも技の影響なのだろうか。何と秋水までもがコールに参加している。
「いや、これは…とっきゅーん、ハイ!違うんだ…とっきゅーん、ハイ!体が勝手に…」
ピョンコピョンコ飛び跳ねながら言っても全く説得力はないぞ。
「…く…何て技なの。これは…さすが、に…」
「♪Berry Magic あ・な・た・と 夢の中でもストロベリ〜
  Moonlight Magic いつだってイチャイチャしたいの〜」

カズキと、秋水が飛び、叫び、そして桜花は苦痛に突っ伏する。

「♪Berry Magic ゴ・メ・ン・ね 素直じゃなくてわがままで
  Moonlight Magic お・ね・が・い ずっと傍にいて」

そんな、楽しいのか苦しいのかよくわからないコンサートは、暫く続いた…
「♪Berry Magic し・ん・じ・て 素直になれない私でも
  Happy Magic や・く・そ・く ずっと抱きしめて」

「……ハァハァ、う…く…」
桜花にとっては地獄のようなコンサートが、ようやく終わった。もはや満身創痍である。
「……まだ、続ける?」
そんな桜花に、斗貴子は言い放つ。桜花は首を…横に振った。
「完敗ですわ。武藤クンだけじゃなく、秋水クンまで虜にするなんて…」
「いや、俺は別に虜になっては…!?姉さん危ない!」
バスバスバス!
「……ぐ!?」
秋水が桜花を突き飛ばすと、そこに矢が飛んできた。その内の一つを、秋水は受けてしまう。
「……秋水クン!?」
「大丈夫、大した怪我…じゃ…あ、あれ…何か、意識が…」
「秋水クン!」
「……スー、スー」
悲痛な叫びに答えるは、秋水の寝息。おそらく、先程の矢に薬でも塗られていたのだろう。
「どうやら…本命の登場みたいね!隠れてないで出てきなよ!」
「…やはり、そう簡単には仕留められないか」
斗貴子のどこかに声を掛けると、ソレは現れた。男と女の二人組み。しかしてその姿は…
「貴方達が…私達の…」
そう、今そこに倒れている秋水と、それを抱えている桜花。その二人そのものである。
「私がもう少し性格に狙っていれば…申し訳ありませんわ、秋草兄様」
「なに、気にすることはない。お前の狙いは完璧だったよ、橘花」
ただ違うのは、その名前。そしてどうやら姉弟関係が逆のようである。
「シュウソウに、キッカ…ね。あいもかわらず適当な名前だね」
斗貴子の呟きに、秋草はどうでもよさそうに、答える。
「仕方なかろう。本当は名前などどうでもよいのだがな…ないと何かと不便だろう?」
「よくも秋水先輩を…」
目の前に立つ秋草に、カズキは敵意のこもった視線を向ける。
「だったらどうする?戦うか?殺すか?この、俺を?」
「…………!?」
だが、続く秋草の言葉にカズキは言葉を失ってしまう。そうだ、忘れていた。彼らは人間だ。
「…お前にはできまい。ホムンクルスですら、殺すのをためらったのだからな」
「…蝶野のことか…だけど、お前達を止めることくらいは!」
「できぬ」
過去の傷を持ち出され、いきり立つカズキを、秋草は一言の下に切り捨てる。
「俺達を止めることはできぬ。そもそも俺達はつくr」「兄様。少し喋りすぎかと」
何かを言いかけた秋草を、橘花が制する。何か喋ってはまずいことだったのだろうか。
「冥土の土産くらいにはよいかと思ったが…確かにそうだな。すまなかったな、橘花」「いえ」
「カズキ。キミは無理に戦わなくてもいいよ。あたしが、何とかする」
途方にくれるカズキに、斗貴子がそっと囁く。だが、カズキには懸念すべきことがある。
「……殺すの?」
「………何とか、止めてみるよ」
カズキの問いに、斗貴子は少し間を置いて答え、そして桜花に向き直る。
「桜花。お前は秋水を病院に。とりあえずここにいては危険だよ」
「私もたたk…そうですわね。素直に従いますわ」
何だかんだで秋水のことが心配なようだ。桜花は秋水の肩を支える。
「そうだ。津村さん。これを渡しておきますわ。何かの役に、立つかもしれませんから」
そして、その場を去る前に、斗貴子に変身核鉄を渡していった。

「カズキ。キミも下がってなよ」
「……」
斗貴子を一人で戦わせるわけにはいかない。だが、彼らと戦う勇気もない。
カズキは、所在無くその場に立ち尽くすのみである。
「…行くよ!先手必勝!」
相手は未だ戦闘体制を取っていない。そこをチャンスとばかりに、斗貴子は一瞬で
いちごみるくを抜き放ち、秋草に切りかかる。避けられる間合いではない。だが、
ガキィィィン!
神速の如き抜刀で、秋草は斗貴子の刀を受け止める。
「く…速い!?」
「愚かな…俺に刀で戦いを挑むか」
それだけに止まらず、秋草は一瞬で刀をずらし、その柄の部分で斗貴子の腹を突く。
「あ゛う」「とっきゅん!」
たまらず吹っ飛ばされる斗貴子を、カズキは何とか受け止めた。
「ありがとうカズキ。助かったよ…カズキ?」
礼を言った斗貴子は、カズキの表情の異変に気づく。
「とっきゅん…俺、戦うよ」
その表情は何かを決意した表情だった。だが、斗貴子は思わず尋ねる。
「い、いいの?戦うってことは…彼らを…」
それを聞くことは残酷だと言うことはわかっている。だけど、聞かずにはいられない。
「そりゃ人と戦うなんて嫌だけど…でも、アイツは秋水先輩を、そして斗貴子さんを傷つけた」
ポツリ、ポツリとカズキは語る。
「大切な人と、それから一番大切な人を傷つけられてまで、俺は黙っていられないよ」
そう言って、カズキは斗貴子に微笑みを向ける。少し、悲しい微笑みを。
斗貴子を地に下ろし、そしてカズキは兄妹に向き直った。完全に戦う気である。
「人を傷つけるのは嫌だ。でも…大切な人を、斗貴子さんが傷つくのは、もっと嫌だ!」
「そうよ、それよ!カズキ!」
斗貴子は大きく頷いて、そしてベルトから自身の核鉄を外す。
すると、ガチャンと音がして左手首のブローチが展開する。そして丁度核鉄をはめられる
ようなサイズの隙間が出来た。そこに、斗貴子は自身の核鉄をはめ込む。
『アブソーブミルク』
どこからか、機械的な声がする。さらに、斗貴子は桜花から託された核鉄を、ブローチの
横の隙間にスライドさせる。
『フュージョンシュガー』
また、機械的な声がする。斗貴子は、桜花の核鉄を、ベルトにはめ込んだ。
キュィィィィィィィィィィィン!
その瞬間、激しい光が辺りを包む。今までどんな変身をしても、これほどの光はなかった。
光が収まり、斗貴子の変貌した姿が現れる。それは、白。全てが白。スカートも、リボンも、
胸の、そして右手首についたブローチも、全てが真っ白である。
光が完全に収まったとき、斗貴子は目をゆっくり開き、そして叫んだ。
「ストロベリー戦士・とっきゅん!シュガーフォーッム!」
35715 ◆d/tNbfC3.o :04/08/08 23:21 ID:/HvC+OXx
次回予告


桜花の力を借りて、新たな力を手に入れた斗貴子!果たしてその力は、秋草と橘花に
通用するのか!そして、苦悩の末戦うことを決意した、カズキの気持ちの行方は…



次回 ストロベリー戦士・とっきゅん 第八話 「終わらないジレンマ」


佳境に入ったら、我ながら一気にペースダウンしたなと思いつつ→       続く。


_____________

今回はここまでー。話の連続性を意識したら、いきなりペースダウン。精進が
足りませんな。


…あ、秋水が倒れるときに「妹属性の姉さん…萌え」
っていうネタをやろうとしてたのに忘れてた。まぁ、いっか。
では、またその内ー
358名無しさん@ピンキー:04/08/09 00:05 ID:QzO8SPL3
>>357
乙です〜。
秋水がスゴイことになってますな
野良猫の世話話から一気に将来の育児計画を見据えるのは
さすがとっきゅんというかw
偽者さんもまた微妙なニセモノ加減だ
359ウソ第50話 Nothing to say, Gota:04/08/09 00:44 ID:o7Xd+7lh
「「武藤カズキを再殺せよ」」
「オマエがカズキを殺すというのか!!」
「違うよ。オレの役割は─」
「問答無用!」
「斗貴子先輩?」
「臓物をブチ撒けろ!」
ザク、ザシュ、バシュ。元は人間だった肉の細切れが波にさらわれていった。

(すまない、剛太…)
(カズキのために、これしか方法がなかったんだ…)
(ずっと待機中でブチ撒ける機会がなかったせいじゃないぞ?)
(オマエの尊い犠牲のおかげでこの場所に戦士はいなくなった)
(これでカズキは安全だ…)
(!いや、もう一人いた──戦士長!)
(早く探し出して始末しなくては…カズキと私の日々のために!)
(まだまだ、あんなこともしたいし、こんなこともしたい──)
(それから、ちょっとエッチかもしれないが、あーゆーことも──)

──妄想中、しばらくお待ちください──

(そうだ!早く戦士長を探しだして始末しなくては!)

斗貴子さんは海辺を駆けていった。

(おわり)
360名無しさん@ピンキー:04/08/09 01:19 ID:7nh7oCta
>>344
あの早坂桜花が押されるほどのストロベリー。
ああ、秋水・・・。

>>359
はげしすぎるぜ斗貴子さん。
でもあの場面、実際に殺しそうな剣幕だったね
それでもときめくのは中村がMの素質があるからなのか
361名無しさん@ピンキー :04/08/09 03:32 ID:vPy0LPYL
>>344
乙です〜。
後で読ませてもらいますね。
362名無しさん@ピンキー:04/08/09 15:51 ID:0S/JX7gG
>(とっきゅーん!)
てSEかと思ったらかけ声だったのか。乙
36315 ◆d/tNbfC3.o :04/08/09 20:19 ID:e22Xuowz
レス感謝です。今日、昼寝をしていたら武装錬金アニメ第一話を夢の中で見た。
見たのだが…すごい話だった。かいつまんで話すと、カズキがヴィクター化した
後の話。友人一同がその事実を知って、何とかカズキを助けようとしてた。
ここまではありえそうだけど、何故かとっきゅんが出てこない。しかも一話終盤で
花畑みたいなとこで何故か気絶しているカズキ。さらに何故かそのすぐそばで
セクースし始めるまっぴー、さーちゃん、桜花…なんでちーちんじゃないんだ。
行為も佳境に入ったときに、カズキ気づく→桜花に後ろから…で、第一話終了。
一体何のアニメなのか、さっぱり。とはいえ、2chの反応とかまで夢に出てきた。ハッキリしてたなぁ。


>>358
秋水は、ファンの方に申し訳ないと思いつつ、かなり壊してみました。
予告のとこにも書いたけど、やり忘れたネタとかもありましたが、まぁ充分かと。

>>360
やはりストロベリっぷりでは二人には敵いませんな。余談だけど、今週のジャンプで
いちご100%の後に錬金があってかなり笑った。

>>361
スイマセン、長くって。

>>362
最初は「」で表記してましたが、横に長くなるので今の形に。わかりにくくて申し訳ない。

では、またー。

>>SS保管庫管理人氏
忘れるところでした。OP修正の件、ありがとうございました。お手を煩わせてすいません。
364名無しさん@ピンキー:04/08/09 23:05 ID:qdxqaM2W
何にしても剛太は報われねーよな。報われても困るけど
365名無しさん@ピンキー:04/08/10 00:42 ID:AObbjbZj
報われないからこそ輝くのはエロスと共通してるな
366名無しさん@ピンキー:04/08/10 01:03 ID:SSv/hEpm
>>344
>「別に……………………………………………そんな、猫ばっかり可愛がって」
猫に嫉妬するカズキ萌え

>>359
>(早く探し出して始末しなくては…カズキと私の日々のために!)
カズキしか眼中にないTQN萌え

職人さん乙!
367名無しさん@ピンキー:04/08/11 21:41 ID:cwlfLMSs
ネタ切れ気味かな
剛太はこのスレ的には扱いが難しそうだね
まひろあたりと絡めると面白そうだけど
368名無しさん@ピンキー:04/08/12 00:09 ID:isgcx6o/
>>367
ありえない
369名無しさん@ピンキー:04/08/12 17:27 ID:ypVAAi07
「ありえない」でグーグルのイメージ検索をすると一番最初にものすごい物が
370名無しさん@ピンキー:04/08/12 18:27 ID:+UPjp3h6
少なくとも最初のページにはそれらしいものは見当たんなかったわけだが
371名無しさん@ピンキー:04/08/13 00:05 ID:zeyGK1Qb
『三局(多分それくらい)の戦い其ノ一』
の作者の人はまだいるかな…?

できればまた あんな風にラヴラヴな斗貴子さんが読みたいです。
あれ最高だったんだ!!  頼みます。
372名無しさん@ピンキー:04/08/13 18:34 ID:il1GmX5S
まだ見たことなかったので保管庫で三局其ノ一を見てみた
……うひゃあ!?(*´Д`)
373散歩 1/3 ◆3QNSjLC4b. :04/08/13 20:04 ID:LAx6Vp8f
初夏の朝、妙に早くに目が覚めてしまった私たちは散歩をしていた。
薄暗い丘の上を鳥のさえづりを聞きながら歩く。

「このへんだっけ?斗貴子さんがオレの武装錬金に名前をつけてくれたのは」
そういいながら、腰を降ろすカズキ。
「そうだったな」

カズキを巻き込んで1週間が過ぎたあの日。
蝶野攻爵──パピヨンを倒したカズキを蝶野家の蔵で見つけた戦士長は、
当局の捜査の手が伸びかねない場所にカズキをそのままおいておくわけにもいかず、
かといって、キズが深くてあまり動かせないカズキを寄宿舎まで運ぶこともできず、
結局、蔵の近所で人目が少ないこの丘にカズキを運んだ後、
私に解毒剤を届けてくれたのだ。

私がカズキに並んで隣に座ろうとしたら、突然、手を引っぱられた。
「!?」
わけがわからないまま体をカズキの正面に運ばれ、向い合わせで膝の上に腰を降ろす。
びっくりして、バランスを崩しそうになり、カズキの肩につかまった。
カズキも手を腰の後に回して支えてくれた。

「…どうした?」
「地面、濡れてるから」
「朝露くらいなら気にしないが…そういえば、昨晩、小雨が降っていたな─
 しかし、これではキミの服が濡れるだろう?」
「オレのはもう濡れたからいいよ。でも斗貴子さんのはまだ濡れてないし」
「まったく、キミは…」
374散歩 2/3:04/08/13 20:05 ID:LAx6Vp8f
そして、カズキが地平線から顔を出した朝陽を見ながら言った。
「オレの飾り布のエネルギーってあんな色なんだね」
「ああ、そうだ」
私はカズキの膝の上に座ったまま、ゆっくり昇ってくる朝陽をしばらく眺めた。
「…キレイ」
「そうだな」
本当に綺麗な朝陽だ。
「うん、ホントにキレイだよ、斗貴子さん」
話がかみ合っていない気がして向き直ると、カズキの視線がまっすぐ私を向いていた。
「真顔でそういうことを言うな!」
「でも…こういうのをふざけて言うのはなんていうか失礼?」
「失礼で…その…ありがとう」
そう言って、真剣な面持ちをしているカズキを見た。
朝陽で陰影がはっきりしたせいか、カズキはいつも以上に格好よく頼もしく見える。
しかし、客観的に見ればカズキが図抜けてかっこいいタイプとは思えない。
それを格好よく感じるのは、自分の中の特別な感情がなせる技だろうか?
私を『キレイ』と言ってくれるカズキの中にもそういう感情があるのだろうか?

そんなことを考えながら、無言で見つめ合っていると、
突然、カズキに抱き寄せられた。
「!?」
「ごめん、なんかこうしたくて…イヤだったら言って」
「…イヤではない─」
カズキの胸に頭をうずめて、そう答える。
むしろ、ずっとこうしていたい─そう言えない私は臆病だと思う。
気が付くと、周囲の音が全て消え、互いの心臓の音だけになっていた。
カズキの手が私の顎にかかり、引き寄せされるように唇が近づいていった。
375散歩 3/3:04/08/13 20:09 ID:LAx6Vp8f
ピー、ピー、ピー。ピー、ピー、ピー。カズキの左手が静寂を破った。
「腕時計のアラームだ…オレ、いつもはこれで起きてるから」
ジリリリリリリ。ジリリリリリリ。
今度は私の携帯が目覚ましのベルを模した電子音を奏でた。
「私もだ」
苦笑いを見せるカズキ。努力して普通の笑顔を作って返す。
「そろそろ戻ろうか?」
「ああ、そうだな」
ちょっと残念に思いながら、腰を上げる。
カズキも同じ想いだといいのだが─そう思いながら寄宿舎への帰路についた。
376 ◆3QNSjLC4b. :04/08/13 20:10 ID:LAx6Vp8f
カズキの膝の上に座っている斗貴子さんはsunnytoneさんのこれを想定。
ttp://www.geocities.jp/higeblue_love/picture/kt24.html
というか、この絵を見てSSを思いつきました。

では。
377名無しさん@ピンキー:04/08/13 20:43 ID:G7jnjtBj
乙です
斗貴子さんの心情描写がとてもいいですね
あの丘は特別な場所なんだろうなー

本編読んでて、カズキって人一倍繊細な心の
持ち主なのではと思ったりします。
この丘の上で斗貴子さんを想って涙したカズキに
ひかれて、この漫画にハマりだした自分。
378名無しさん@ピンキー:04/08/14 16:32 ID:Gq+zuuj7
ほしゅ

何とか今日明日にでも投下したいなー
昼の喧騒がウソのように、聖サンジェルマン病院は静まり帰っている。
静寂を破るモノといえば、急患の存在を喧しく知らせる救急車やナースコール、
それに応対する医師や看護婦たちの火急の喧騒に、
もうすぐ買い換えられる古めかしい空調設備の、羽の破れたコオロギのような「ぎぃぎぃ」という鳴き声ぐらいだ。
秋水と桜花が向かい合っているのは、そのどれもが無い、本当に静かな時だった。

電気スタンドの山吹色に茫と照らされながら、桜花は微笑を浮かべた。
胸中は微笑どころではないが、信望のために培った笑顔はそれを感じさせない。
「いいのよ。私も寝付けない所だったから。
でも、怖ーい看護婦さんに見つかったら大変だから、静かにお話しましょうね?」
と言いながらも、この一種の逢引を見つけられ、秋水の「何か」を挫くコトなくこの場が収まのを望んでいる。
だが耳を澄ました廊下にあるのは、コオロギのような雑然とした気配だけで、桜花は微笑のまま佇む他なかった。
その前に座る秋水も無言のまま。
普段の修練のせいか背筋はすらりと伸びきって、座っていても「直立不動」といった印象がある。
そして電照は張り付くように二人に注ぐ。
やがてその中で、影がわずかにゆらめき、消えた。
「姉さん」
「何?」
細い身が微かに震えた。予見できる不可避の言葉を、先に言えればどれだけ楽だろう。
しかし言えないまま、秋水の口は滑らかに開かれた。
「しばらく修行に出る」

廊下の彼方から、重く潰れた電子音が聞こえてきた。
ナースコールらしいその音が、桜花には夢の中の存在に思えた。

音が途切れたと同時に、桜花の思考は現実に引き戻された。
「しばらく修行に出る」
彼の口調からみて、一人で行くのだろう。
秋水は、どんなコトでも(行く場所や、監視者の始末など)桜花に伺いを立てていた。
主導権が桜花にある、というより、何事も二人で決めるのが当然の流れだった。
だが、「しばらく修行に出る」のは、彼の一存だけで決められた。
それに気づいた時、置いていかれる事以上の衝撃を、桜花は緩やかに受け始めた。
走る音が近づいてきた。ナースコールが鳴った後だから、看護婦のものだろう。
体重が軽いせいか靴底が浅いせいか、あまり床に擦れない足音が部屋の前を通り過ぎ
そう遠くない場所で止まり、扉の開く音と入れ替わった。
そんな看護婦の急患に対する動作が一段落する頃、桜花は尋ねた。無意味を悟りながら、なお。

「どうして…?」
想像通りに縛られていて、それを断つ為なのだろうか。
憂いが浮かぶ桜花の目を、秋水は見据えた。まっすぐな視線は細く整った目によく映える。
「あの夜、俺は姉さんを助けられなかったから」
あの夜、とはカズキたちと戦った夜のコトらしい。秋水は続ける。
「…いや、違う。助けようともしていなかった。
姉さんと俺の核鉄を使って傷を治そうとも考えずに
ただ月明かりに照らされる綺麗な顔を悲しむだけだった」
「秋水クンが自分を責める必要はないのよ」
ああするコトで、秋水だけは津村斗貴子に許されて、カズキに救われるとも、どこかで信じていた。
だから「死」そのものには納得していたし、秋水に手を握られながら看取られるのに満足してもいた。
だが、秋水はそうではなく、今の自分と同質の衝撃を受けていた、と桜花は気づく。
「私が一人で勝手に武藤クンをかばったせいで、置き去りにされそうになったんだから」
笑いかけても拭えないほど、逆光の中で端整な顔を沈痛に歪ませていた。
自分が責められるべき出来事が、恐れどおりに彼を縛っている。
逃げるように伏した桜花の目の先には三国志。それは山吹色に溶かされているかの如く、霞んで見えた。

光がざわめいている。その渦中では、まるで二人だけしか世界にいない心持になる。
もし世界が彼らに開いていたとしても、この錯覚だけは二人の中から消えなかっただろう。

この錯覚をして、彼らに、部屋の扉が僅かに開いたコトを気づかせなかった。
外側の暗い廊下に佇んでいるは、メガネをかけた看護婦。
先ほどの足音の主は彼女であり、「なぁ、4っていくつだ?」と聞くためだけにナースコールを押した患者を怒って、4を教えて
ナースセンターへ戻る途中、部屋からの話し声に気づいて立ち聞きを始めた。
彼女は彼女で、この二人の姉弟に興味がある。
覗かれている、などと知る由もなく、秋水はかぶりをふった。
「俺が何もできなかった事に変わりはないんだ。もし核鉄を使ったとしていても」
信奉者という立場上、津村斗貴子から核鉄を借りられず、助けられなかった。
秋水はそれを言い、更に、早坂の扉や公園で熱を出した桜花を引き合いに出し、こう続けた。
「結局、昔から俺は何も変わっていなかったんだ。
泣き喚いて、目を濁らせて、見ているだけで、大事な時にはいつも、俺の手で姉さんを救えなかった」
「不可抗力よ。どれも」
扉の呪縛も、衰弱する姉も、小さな子供にはどうするコトもできないはずだ。
あの夜だって前述の通りで、秋水が自身を責める必要は本当にない。
だが彼は別れを選び、別れれば、もう二度と会えない亀裂が二人に走りそうで
桜花はただ、すがるような思いで呟いた。
「…私は、秋水クンに手を握ってもらうだけで本当に満足だった」
助けられなくても、傍らにいてもらうだけで救われていた。だから─ という二の句は、しかし秋水に遮られた。

「姉さんがそうだとしても、俺は違うんだ」
はっと目を見張る思いで、桜花は秋水に視線を戻した。
つつけば崩れそうなその顔の前で、秋水はゆっくりと、言いづらそうに、答えを出した。

「手を離したら姉さんがいなくなりそうで、それが怖くて、手を引くだけで精一杯だったんだ。
だから姉さんが熱を出している事に、公園で顔を見るまで気づけなかった。
ずっと手を握っていたのに、俺の中には恐怖しかなくて、姉さんの事は考えてやれなかった」
少し静かになった光の中で、桜花は嬉しさと寂しさを、複雑な表情として湛えた。
(私も同じ… ただ安心しているだけで、秋水クンのコトを考えてやれなかったのだから)
もし考えて、二人で別たれる恐怖に向かい合えば、彼は目を濁らせなかった、とも桜花は思った。
秋水は続ける。
「俺が目を濁らせたのは、別たれる恐怖に呑まれるまま
ただ自分の為だけに姉さんを守ろうとしていたからだと思う」
「それでも守ってくれたコトには変わりは……」
桜花は言葉を切った。どうも彼の意見に反対し、引きとめようとしている。
「……しばらく黙ってるわね」
恐れ続けたコトに向かおうとする秋水の意思を汲もうと思った。別れるコトになろうとも。
暗い廊下に、一人の看護婦が佇んでいる。場所柄、その姿は幽霊にも見えなくはないが
しかし彼女は、職務に不釣合いな細足で整然と立ち、S−405室を覗き込んでいる。
目線の先では、秋水が「ベッド、倒そうか?」と、ややズレたコトを言った。
「黙っている」と言った桜花が、座ったまま会話をするのに疲れたと勘違いし
ベッドを倒して彼女を横たえようとしている。看護婦はそう見た。
そして、桜花が「このまま…」と首を横に振ったのを見て、夜中ぐらい横にならないと体に障るわよ、と内心で怒った。
もっとも、体調を慮るのなら、二人に寝るよう注意するべきだろう。
だが看護婦は見過ごした。
部屋の空気が夜霧のごとく、桜花の微笑を湿らせているのが見える。
看護婦は、彼氏に振られ体感したその雰囲気から、二人が別れ話をしていると察していた。
どうも事情が込み入っているらしい彼らのそれを
「今なら阻止するのはたやすいけど… 無粋ね……」と思い、行く末を見届けようと思っている。
ナースセンターに戻るのが遅くなるから婦長に怒られる、とも思いつつ。

ほの暗い部屋の中で、秋水は話を戻した。もはや独白と言った方が正しいが。

「…武藤は違った。
俺にどれだけ致命の傷を与えられても、津村斗貴子と対立しても、姉さんと俺を気遣っていた。
拾った命を、飛び込む必要のない世界で削り続けて、ただ他人の為にあろうとしていた。
しかし俺は彼を刺した。二人だけの世界に執着して、敗北の中で姉さんを失うコトだけを恐れて、目を濁らせて」
桜花はみじろぎもせず、耳を傾ける。
憂いのままに寂々としたその顔は、綺麗であるが似合わない。
「俺に刺されたのも忘れて、彼は姉さんを助ける事を選んだ。津村斗貴子を説き伏せて。
武藤は、他人の為だけに痛みも苦しみも引き受けながら、強さを重ねていた。
津村斗貴子はそれを知っていたから、核鉄を貸した。
だから武藤は、姉さんを助ける事ができた。望みを叶える事ができた」
「…そして姉さんは、武藤と同じになった」
「同じ?」
よく分からない上に、彼らしからぬ変な言い方である。やや拗ねた色もあるのがまたおかしくて
桜花は、聞き返してしまった。その困惑を浮かべた笑みを、秋水は気にも留めず
「武藤の為に、他人の為に傷を受けた。
だからきっと、姉さんには新しい世界は開けていくと思う」
めずらしく優しい声音で答えた。口調には芯から信じきっている様子がある。
桜花は、困った。世界に関して猜疑的なのに、秋水はそう思っていない。
なんだか彼の言葉に、裏切っていたような申し訳なさと、子供のような安心感を同時に覚えてしまい、困った。

「俺はどうかわからない。武藤の言う通り、世界が開くかどうかは。
ただ、目の前で命が消えかけている時は、結果は別として、少なくても諦めたくはない。
そうする事で初めて、ケジメをつけられると思う。……だから、俺は強くなりたい」
自身に誓うように、秋水は言う。
覗いている看護婦が、耳元で言われたかと錯覚するほどの明瞭さを以って。
「武藤と違い、ただ辛苦を避ける為だけに剣を振るい、その積み重ねを強さと信じて
昔と変わらず別たれる恐怖に呑まれ、目を濁らせて、何もできなかった
自分に勝ちたい」
秋水は、一つ一つの言葉を、確実に反芻しながら言い終えた。
と思ったのは桜花だけで、一度間が空き、少しだけ続いた。
「そしてそれは、辛苦の中でしかできないと思う。
だから姉さんと離れて、修行に出る」
どうやら、今度こそ言い終えたらしく、秋水は深く静かに息をついた。
自身と向かい合い、辛苦を選び、桜花を信じているその弟を前に、桜花は
(秋水クンに倣おう。結果はどうあっても)
そうするコトが、彼に対する謝罪であり感謝であり、今、開いた世界に持てる一番の意味だと思った。
少し落ち着いたせいか、桜花は今更ながらに「先生の所へ?」と行き先を訪ねた。
「うん。剣を見つめ直すのは、俺に剣を教えてくれた先生の下じゃないと駄目なんだ。
今から別の道を選んで、俺が見誤って積み重ねた強さを捨てたくはない。
同じ道を選んで、あるべき姿に一から強さを積み直して、武藤を刺した剣と共に生きる。
そうする事でしか、俺は変われないし、自分に勝つこともできないと思っている」

「けど、姉さん」
「何?」
はたと穏やかになった口調で秋水は
「御免。相談もなく修行に行く事を決めて」
二人で物事を決める慣習を破ったのを、深々と頭を下げながら謝った。
「……いいのよそれで。きっと」
相談されれば、桜花は引き止めただろう。
引き止めなかったとしても、表情の端々が秋水を引き止めた。だからこれで良いハズだ。
「私も一人で頑張れるから。ね?」
桜花は、透き通るような微笑を浮かべながら、人差し指を立てた。
秋水は、もう一度謝ると、こう続けた。
「自分に勝てた時、もし俺が、姉さんの傍にいても良いのなら。
二度と俺の無力で姉さんを苦しませない」
助けられなかったコトを負い目にしているらしく、遠慮がちにいう秋水だが
桜花は、(やはり変わってない)と内心で苦笑しながらも、心の奥から安堵した。
考えがいかに変遷を辿ろうとも、「一緒にいたい」というのは
二人の中で変えようがないらしい。二人が姉弟として生まれたように。
さて。そんな姉弟を見ている看護婦も、胸を撫で下ろしていた。
彼らがとりあえずも、修復不能な別れを回避できたコトに。
ふと、戦士長の言葉を思い出し、それは、少しだけ外れていたと思った。
「無力から脱却し、ケジメをつけられる強さを得るための原点回帰と再出発」の為に、秋水は別れを選んだ。
けれども、ケジメは「カズキを倒す」ではなく、「命を諦めない」コトだった。
看護婦はその違いは、秋水自身もカズキと同じく(一通りの事情は知っている)
しかし範囲は極端に狭いとはいえ、「守るコト」を主軸に生きてきたからでは? と思った。
「守るコト」は、医療とも似ている。医療に携わる者のほとんどは、
殺人者を完膚無く千億の灰燼と化すまで討つよりも、患者の苦痛を取り除き、元気にするコトを喜ぶ。
秋水も同じだが、しかしあの夜は見ているだけしかできなかった。
救えるハズの命を、それも一番大事な人の命が消えゆく時に。
守ろうとする者がその無力で命を奪うのは、何よりも辛い。カケラほどの殺意があった方が、まだ救われる。
そう看護婦は身をもって知っている。だから彼女は看護婦たりえる。
秋水も同じなのだろう。過ちを繰り返し、目の前で命を消すのだけは、彼にとっては耐えがたい。
それが、桜花であろうとなかろうと、「見ているだけ」というのが辛いのではないだろうか。

カズキのように、全てを守るコトは秋水にはできないかも知れない。
けれども、殴りかかる悲しみさえ全身で打ちのめし
その胸に蘇る愛の力を武器に、大事な人間を守ろうとしているその姿勢は
「忙しくて会えない」という理由だけで振られた看護婦にとっては
何よりも素晴らしいモノに思えた。同時に桜花が羨ましくも。
姉弟とはいえ、そういう人間が身近にいるのは、それだけで良いコトなのだ。
次いで看護婦は、彼にとっての「剣」は守るコトの原点であったり
桜花が傍らからいなくなった時は、彼は彼女のいる世界を守る為に生きるのだろうか。
そんなコトも思ったりしたが、覗いている部屋の中に
白々とした明け方の光がさし始めたのを見て、ナースセンターに戻るコトにした。
もういい加減戻らないと、婦長に何を言われるか分かったものではない。
ちらりと、秋水を手招きしている(ベッドの上に乗っている三国志を見せるのだろうと看護婦は思った)
桜花を見ると、静かに扉を閉めた。そして

「雨は降る降る血の雨が。人の情けは泥まみれ。あした天気になぁれ」

好きなフレーズを誰ともなく呟くと、とり急ぎ、帰途についた。
この選択が彼女に取り、最良だったと気づく由もなく。

部屋の中では、桜花がそぅっと唇を秋水のそれに重ねていた。
子供のように、ただ軽く触れ合わせ。

佇んでいたせいか、少しぱさぱさしている柔らかい唇が離れると
「その… やめた方がいいと思う。まだ話すコトだって辛いんだから」
別れる前に一度だけ、と秋水は彼を求めてきた姉に言った。しかし
「少しだけなら大丈夫だから。お願い…」
桜花は聞かない。幼くも儚げに笑いながら。
その顔に、胸がつまる思いをしながら、秋水は「辛そうだったらすぐやめる」とだけ言った。
387名無しさん@ピンキー:04/08/14 20:10 ID:KdAHHkxQ
乙です。
早坂姉弟編はシリアスにいくんですね。
こういうのも好きです。秋水カコイイ
入院してる身内の付き添いで、最近病院に泊ったコトが
あったので、院内の描写がリアルだなと思いました。
続きも待ってます
388名無しさん@ピンキー:04/08/14 23:11 ID:80+a55RM
へたれじゃない秋水などいらん
389名無しさん@ピンキー:04/08/16 02:40 ID:0lN9uEYk
>>388
秋水がカッコイイ時は、剛太でがまんなさい。(・∀・)メッ!!
390名無しさん@ピンキー:04/08/16 12:20 ID:SPky4w7H
どっちもイラネ
391名無しさん@ピンキー:04/08/16 16:33 ID:T3gQ0/H9
いや剛太はいる
392名無しさん@ピンキー:04/08/16 17:10 ID:O1IN66AV
顔疾駆の中の人がいるような気がするのは気のせいか
393名無しさん@ピンキー:04/08/16 22:56 ID:SoTyVJfa
>>379
乙です〜。
続き待ってます〜。
ふと目を覚ますと、カーテンが半分開いていた。
そして、オレのベッドの隣で裸で寝ていた斗貴子さんが、
差し込む月明かりの下で、体を横にしたまま本を読んでいた。
どんな本を読んでいるかと覗き込むと──
『Hでキレイなお姉さん』!?

「すまない、起こしてしまったようだな」
斗貴子さんがこちらを向いてそう言った。
「…その雑誌、どうしたの?」
内心、焦りまくりながら尋ねてみる。
「ああ、ベッドの下にあったからな。
 キミくらいの年齢の男子がこういう本を見るのは当然だと思うが、ほどほどにな」
そう言って、パラパラと読み進める斗貴子さん。
隠しておいた本が見つかってびっくりしたけど、怒ってないのでほっとした。
「キミとこういう付き合いになったが、私はこの手のことに疎いのでな。
 勉強のために読んでいるんだ」
そんな言葉を続ける斗貴子さんが開いているページを見ると、
写真が少なめのHOWTO系のページのようだ。
変にマジメな斗貴子さんに感心した。
でも、男性向け雑誌のこういうページが女の子の参考になるのかな?
変に鵜呑みにされても困るかも。
395Hでキレイな斗貴子さん 2/2:04/08/17 09:37 ID:0Hi2BzF3
「しかし、このへんを見ると、体型の違いに愕然とするな─
 私がキミの趣味に合っていないようで、なんだか申し訳ない」
巻頭のグラビアにページを移した斗貴子さんが、胸のあたりを隠しながら、
そんなことを言う。
「体型でこの雑誌を買っているわけじゃないよ!
 『Hでキレイな斗貴子さん』が売っていれば買うんだけど─」
「あたり前だ!私はキミ以外の異性に裸を見せるつもりはないぞ!」
「あ、ごめん、そうじゃなくて…
 『Hでキレイな斗貴子さん系のお姉さん』みたいのが売っていれば…ってこと」
「すまない、そういうことか─で、そういうのは、ないのか?」
「うん、探してはいるんだけど─」
実は六枡が『Hでキレイなお姉さん』の出版社の公式WEBサイトで
『Hでキレイで小柄で貧乳でクールでうっかりで時々狂気なお姉さん』という
ピンポイント過ぎる本の通信販売の案内を見つけているのだが、
『貧乳』の2文字を見た斗貴子さんにブチ撒けられそうで買えないでいたりする。
ちなみに、この出版社は他にも『Hでキレイでスパルタンな先輩』や
『Hでキレイでスベスベでププッピドゥなお姉さん』や
『Hでキレイで同じ年で血がつながっているお姉さん』とかいう
対象読者の存在すら怪しいシリーズを出しているらしい。

「売ってないものはしょうがないな…ところで─」
斗貴子さんはそう言ってからカーテンを閉め、
さっきまで読んでいた雑誌をベッドの下にしまった。
そして、自分の枕をどけて、頭の下にオレの手を引っ張った。腕枕?
「こうすると女の子はうれしいらしい。試してみるとしよう」
笑顔でそういって、目を閉じた。
こういう雑誌で勉強してくれる斗貴子さんも悪くないと思った。
396名無しさん@ピンキー:04/08/17 10:01 ID:2XVgcnWR
>>394-395
GJ
ラブい…。腕枕を試してみる斗貴子さん萌え。
六枡がみつけた出版社は採算とれるんだろうかw
397名無しさん@ピンキー:04/08/17 10:04 ID:+sCAqn7X
『Hでキレイで天然で看護の達人な妹さん』はないですか?
398名無しさん@ピンキー:04/08/17 11:32 ID:N7/zPCb5
カズキのために本でお勉強するTQNハァハァ
399名無しさん@ピンキー:04/08/17 11:40 ID:PEjyG2+u
>>396
剛太は確実に買うぞ。
>>396
買いました。
編集者の名前で「GO太郎」っていうのがいたけど、もしかして…と思わずにはいられない。
あと、投降写真でどう見ても斗貴子さん本人の隠し撮り写真が……投稿者名が「リーゼントマン」
401名無しさん@ピンキー:04/08/17 23:01 ID:NVM5NM7E
「エロス」じゃなかったか?
402名無しさん@ピンキー:04/08/19 03:29 ID:7KAQqRiy
〔埼玉で出版社襲撃 一名重傷  ポルノに反発か〕

19日深夜、埼玉県銀成市に本社を置く出版社「RS出版」を覆面姿の女性が襲撃。
男性編集員一名に重傷を負わせ、社内設備を損壊した上で逃走した。
被害にあった編集員は全身の裂傷と強いショックのため意識不明の重態。
男性の社員証には「GO太郎」という編集名しか記されておらず、同社編集長も
県警の取り調べに対して「素性は秘密!何故ならその方がカッコイイから!!」
などと意味不明の言動を繰り返しているため、身元確認には至っていない。
事件前後の現場ビル周辺では、付近住民により
「覆面をかぶったセーラー服姿の小柄な女性」が社屋から逃走する姿が目撃されており、
県警ではこの女性が事件に何らかの関係があるとして、その行方を追っている。
                                                   (押倉)

                                   【JSN放送 8月19日2時更新】
403名無しさん@ピンキー:04/08/19 06:47 ID:OXqlOEnU
ワラタ

斗「天誅!天誅〜!」
404名無しさん@ピンキー:04/08/20 07:19 ID:xAfr+sQ7
>>402
RSは錬金戦団か?
細かいなw
4054-270:04/08/20 10:58 ID:GhbbiCcA
前スレ813を書いたヤツです。
>115のSS保管庫の管理人さんに従うなら
SS書くときくらいは4-270と名乗ったほうがいいかもしれませんね。

ちなみに自分は
前スレで『向日葵』と『とっきゅんの授業参観』を書いてます。

詰まってなかなか続き書けそうもないですけど
一応書けた分で区切りのいいとこだけ載せます。
でもなんだか萌えも燃えもないようなお話になりつつあります。
4064-270 ◆270FluBods :04/08/20 11:06 ID:GhbbiCcA
前に行っていたので場所はすぐわかった。
早坂桜花の個室の前に行き私は様子をうかがった。

ドアの横に立ってそれとなく聞き耳を立てる。
ぼそぼそと話声が聞こえ、たまに笑い声が混じるけれども
ドアが閉まっているので内容までは聞こえないし、誰が桜花とともに
中にいるのかはわからない。
果たして中にいるのはカズキだろうか?

ドアを開けてのぞきたい気分になったが、それをやったら間違いなく
桜花にばれるだろう。それに廊下には他の患者や看護師の目もある。
そんなことが出来るわけもなかった。
やがて中の話声は止み、静かになった。
一体中では何をしているんだ?
4074-270 ◆270FluBods :04/08/20 11:07 ID:GhbbiCcA
ほんとはドアに耳をつけてでも、のぞいてでも、中にいるのが
カズキなのか知りたい。

もしカズキだったら早坂桜花と二人で何をしているのか?
嫌な考えが思い浮かぶ。

嫌な考えを一人妄想して嫌な気分になっていたら
肩を叩かれた。
思わず声をあげそうになったがそれをなんとか
押しとどめた。
私は完全に中に気をとられていて周囲に注意を払ってなかったらしい。
普通ならこんな近くに人が来るまで気づかないはずがない。

私は振り向いて、肩を叩いた人物に言い訳すべく
言葉を探した。
「あ、あの……。」
肩を叩いたのは桜花の点滴を換えに来た看護師だった。

「お見舞いの時間はもう始まってますよ?」
「あ、……はい。」
「入りづらいのなら一緒に入りましょうか?」

断ることもできず、促されて私は看護師とともに早坂桜花の病室に入った。
カズキはやはりここにいた。
だが病室に入った私の目に映ったのは考えていたのとは違うものだった。
カズキはベッドのかたわらのサイドテーブルで、早坂桜花はベッド上のテーブルで
それぞれ無言で書きものをしていた。
4084-270 ◆270FluBods :04/08/20 11:08 ID:GhbbiCcA
看護師といっしょに入ってきた私を見てカズキは驚いたようだ。
「斗貴子さん、どうして……。」
それだけ言って言葉が続かない。
カズキが言った私の名前に反応して桜花も顔を上げた。
「あらあら、津村さんではありませんか?」
桜花は一瞬見せた意外そうな顔を、すぐににこやかな顔に変えた。
教師生徒からも人望の厚い生徒会長をやっているだけある、
人をひきつけるような笑顔だ。

「いったい二人で何をしているんだ?」
余裕ありげな早坂桜花の表情を見て、思わず詰問口調になってしまった。

「何って、生徒会の仕事をしてるんだけど。」
カズキが答えた。
「生徒会?」
「ええ。あれ以降、生徒会長も副会長も書記も不在で、
しかも生徒会は開かれないまま一学期が終わりそうですし。」
カズキの言葉を受けて桜花も答える。
「それで仕事が滞っているわけか。」
確かカズキもクラス委員だったはずだ。
そういうことだったのか。なんだかカズキらしくて、そして自分の想像と違って
ほっとした。
4094-270 ◆270FluBods :04/08/20 11:10 ID:GhbbiCcA

「斗貴子さんこそどうして来たの?」
なんだかちょっと勘に触る言い方に聞こえたのは私が様子を陰でうかがってたからか。
もしかして来ないといったことを根に持っているのかと思ったけれど
意外そうな表情のままのカズキを見て、それは私の思いすごしかもしれないと思い直した。
「キミが昼食に来ないものだから呼びに来た。」
「あー、そっか。捨てられちゃうもんね。」
「あぁ。一応私の分とキミの分、時間に間に会わなかったら
誰かにあげてくれとまひろに頼んできた。」
「斗貴子さんの分?斗貴子さんも食べてないの?」
「暑くて食べようと思えなかったから、時間を置いて食べるつもりだったが……。」
私は桜花を見た。それからカズキも。
「キミは仕事が終わるまで帰るつもりはないんだろう?」
「うん。」
予想通りカズキは即答した。
「なら私も手伝おう。どうせやるなら二人よりも三人のほうが早い。
もっともクラス委員でもない私がどれくらい手伝えるかわからないがな。」
4104-270 ◆270FluBods :04/08/20 11:11 ID:GhbbiCcA

「それはお二人に悪いです。帰ってお昼を食べてください。」
桜花はすまなそうに言った。
「だいじょぶ、一食くらい抜いたって…。」
しかし強がってみせた直後におなかが鳴り、カズキは顔を赤くした。

「カズキ、一階に売店がある。そこでおにぎりでも買ってきたらどうだ?」
私は桜花を一瞥して、カズキに向き直った。
「そんなのあるの?でもオレ、場所知らないし。」
「それなら御前様に案内させますよ?」
桜花のパジャマのポケットから出た核鉄は姿を変え、
エンゼル御前になった。
核鉄から姿を変えたばかりのエンゼル御前は少しばかりきょろきょろとして
状況がわかると真っ先にカズキに抱きついた。
桜花が私に視線を少し動かした。彼女も私の意図がわかったらしい。
「せっかくだから私の分のおにぎりも買ってきて欲しい。」
カズキは私と桜花を見ている。
「でも。」
私はカズキをにらみつけた。
カズキの横にいるエンゼル御前が少し震え上がった。
「早く仕事が終わったほうが早く帰れるだろう?ならキミが買ってきている間、
私が仕事をしたほうがいい。」
「そうです。こちらは大丈夫ですから、武藤君は息抜きをしてきてください。」
あくまでも穏やかな顔を崩さない桜花に後押しされてカズキは決めたらしい。
「わかった。買ってくる。」
不安そうにこちらを見ながら、カズキはエンゼル御前に引っ張られ
しぶしぶと部屋を出て行った。

4114-270 ◆270FluBods :04/08/20 11:14 ID:GhbbiCcA
以上、ここまでっす。
残りはじわじわと書き進めてます。
>405トリップ付け失敗してあげちまいました。
スマソ。
412名無しさん@ピンキー:04/08/20 12:07 ID:wNUFsCVT
続きが気になるw
乙です〜。
静かな病室になにやら火花が散り始めていますな。
この病院なら御前さまも既に馴染んでいそうだ
413名無しさん@ピンキー:04/08/20 12:42 ID:1VUjJgiK
>>411
GJ!
修羅場クルー?
414名無しさん@ピンキー:04/08/20 20:05 ID:jZq28oZA
斗貴子さんはカズキと桜花のいる病室のまえでどんな
想像をしたのだろう…w
415名無しさん@ピンキー:04/08/21 22:01 ID:5s2648pg
ここを巣立っていった人達も各々のサイトでガンバッとるね
イイ!作品が多い
416名無しさん@ピンキー:04/08/21 23:18 ID:NIZfZT1B
今週は人気投票開催&巻頭カラー&表紙でつ。
このくらいは書いてもいいでしょ。
417名無しさん@ピンキー:04/08/22 00:08 ID:L6+as4AB
先週号の予告に載ってるし…
418名無しさん@ピンキー:04/08/22 02:05 ID:LV+Bcl5a
「仔犬と遊ぶと遊ぶ斗貴子さん」が書きたくなったので書いてみました。
エロスはないですがよろしかったらどうぞ。
419仔犬の目 1/3:04/08/22 02:07 ID:LV+Bcl5a
津村斗貴子嬢は少々困っていた。
先程から、迷子らしい仔犬が彼女の後をついて離れないのだ。
「私はキミの飼い主じゃないんだが…」
斗貴子がため息をついてしゃがみこむと、仔犬は待ってましたとばかりに彼女の膝に飛び
ついた。
犬種はゴールデンレトリーバー、生後三ヶ月と言ったところか。
短い尻尾をぶんぶんと振り、小さい身体で精一杯の好意をアピールする仔犬をそのまま捨
て置けるほど、彼女は冷酷な人間ではない。
何より、まっすぐに斗貴子を見つめる仔犬の視線、一点の曇りもなくキラキラと輝くつぶ
らなふたつの瞳を前にして、何故か呪縛にでもかけられたように、その小さな身体を振り
払うことが出来ないのだ。
――なっ何故だ?
特別に犬好きと言うわけでもないのにと、斗貴子は自分の反応に戸惑った。
仔犬は斗貴子のことを"遊んでくれる人"と認識したらしく、身体の割には太くしっかり
した両の前足で彼女の手をつかまえてじゃれつき始める。
ミルクの匂いのする舌で舐められたり、きちんと生え揃った歯にあまがみされるに任せな
がら斗貴子が子犬を観察したところ、首に首輪の跡があった。
恐らく何かの弾みで首輪から首が抜け、仔犬は飼われている家からちょっとした冒険に出
たのだろう。艶のある毛並みと言い、丸々と太った身体つきと言い、とても大事にされて
いるに違いない。子犬の不在に飼い主が気づいているとすれば、今頃必死で探している筈
だ。仔犬の元気な様子からはそう遠出をしてきたとも思えず、だとすれば飼い主もこの近
所の人間だろう。じきに迎えに現れるだろうと考えて、斗貴子はそれまで箱の仔犬の相手
をしてやることに決めた。
愛犬家ではなくとも、無条件の信頼と愛情を寄せて甘えてくるこの小さな生き物はやはり
可愛い。ふわふわとしたやわらかな毛並みに触れていると、それだけでとても心が満たさ
れる気がする。
それは、斗貴子が少し前まで忘れていたやさしい感覚だった。
思い出させてくれたのは、そう――
「…そうか、わかった」
じゃれつく仔犬を振り払えなかった理由に思い当たり、斗貴子は呟いた。
「キミは、彼に似ているんだ…」
420仔犬の目 2/3:04/08/22 02:09 ID:LV+Bcl5a
いつも一生懸命で、迷いのない瞳をした彼に。
嘘偽りのない感情を、まっすぐ斗貴子にぶつけてくる彼に。
――斗貴子さん。
時折、甘えるように斗貴子の名を呼ぶその声を思い出し、斗貴子は自分の頬が俄かに熱く
なるのを感じた。

「おかえりー、斗貴子さん。ちょっと遅かったね」
寮に帰った斗貴子を、ちょうど玄関先にいたカズキの笑顔が出迎えた。
ほんのわずかな共通点からカズキを連想させた仔犬と同じ、だが威力はその数百倍と言っ
たカズキの笑顔に、斗貴子の心拍数は一気に跳ね上がる。
湯気が出るばかりに頬を紅潮させながら、かろうじて「ただいま」を言うと、斗貴子は早く
なる動悸に胸許を拳で押さえた。
その手にカズキが目を留める。
「斗貴子さん。どうしたの、その手っ」
「え? わっ、な、なんだっ?」
いきなりカズキに両手で手を掴まれ、斗貴子は更に顔を赤くした。
「傷だらけじゃない。まさか一人でホムンクルスと戦ってきたんじゃ…」
「ん?」
カズキに指摘されて斗貴子が自分の手を見ると、確かにそこには細い蚯蚓腫れが何本も
走っていた。子犬に遊ばせていた方の手だから、その時に鋭い歯で傷ついたものだろう。
「馬鹿を言え。ホムンクルスがこんな可愛い傷をつけるものか」
本気で心配しているカズキの剣幕と傷の些細さの落差がおかしくて、そして、カズキのや
さしさが愛しくて、斗貴子は笑った。
仔犬は、あれから間もなく現れた飼い主の元に無事戻った。若い母親と、幼稚園くらいの
少女は斗貴子が恐縮するらい何度も礼を言い、大事そうに子犬を抱いて帰って行った。仔
犬を抱いた少女の安堵の表情と、彼女の腕にすっぽりと収まった仔犬がくんくんと鼻を鳴
らす様子に良かったと胸を撫で下ろす一方、斗貴子は一抹の淋しさを覚えながら彼らを見
送ったのだった。
斗貴子が事の顛末を話して聞かせると、カズキはまた無邪気な笑みを浮かべた。
「そっか。斗貴子さん、やさしいね」
「わ、私は別にやさしくなんかないぞ。…それより、そろそろ手を離して欲しいんだが…」
「あ、うん」
421仔犬の目 3/3:04/08/22 02:16 ID:LV+Bcl5a
頷いたものの、カズキは斗貴子の手を離そうとしない。
じっと斗貴子の手に視線を注ぎ、そして、おもむろにその指先に口唇を押し当てた。
かかる吐息、暖かな体温、羽のような淡い口づけ。
「な」
斗貴子の頬が再び朱に染まる。せっかく落ち着いていた動悸はメーターを振り切る勢いだ。
「ななななな何をするんだ! キミは私を殺す気か!?」
「おまじないだよ。斗貴子さんの手の傷が早く治りますようにって」
斗貴子がカズキに掴まれていない手をぶんぶんと振り回して抗議するも、カズキはことも
なげに答える。
彼の行為に嘘や駆け引きは欠片もなく、その純粋さが斗貴子の心をかき乱してやまない。
「…やさしいのはキミだ」
斗貴子はカズキに向かって微笑んだ。
「ありがとう、カズキ。おかげで早く治りそうな気がする」
今度はカズキの顔が心持ち赤くなる。
「そう言われちゃうと、なんか、その…」
カズキは口ごもり、ゴメンと呟いて斗貴子に背を向けた。
「カズキ? どうかしたか?」
「…あの、ヤキモチ、妬いただけだから」
「? 何の話だ?」
「だから、その、あの、さ。…イヤだったんだ。仔犬でも、オレ以外の誰かが斗貴子さんに
触ったり、傷つけたりするのが。だから…あの、消毒って言うか…」
自分の行動の意味について告白するカズキの耳は真っ赤だ。
それを見つめる斗貴子の瞳が穏やかに和む。
斗貴子はカズキの背中に、こつん、と軽く額をぶつけた。
「と、斗貴子さん?」
照れるカズキの背中に、斗貴子はそっと囁く。
「…キミ、やっぱり私を殺す気だろう」
「ええ? そ、そんな、滅相もございませんっ!」
必死の声で否定するカズキに、斗貴子はくすりと笑った。
カズキは知っているだろうか。
ただそばにいるだけで騒ぐ心を。
胸に湧き起るそのざわめきは、きっと幸せの音色をしている。       了
422名無しさん@ピンキー:04/08/22 06:34 ID:2W50SFfD
うあああ(床を転げ回る)激しく萌え。GJ!
ストロベリー極まれり。
TQNも子犬からおっきい犬まで懐かれて大変だなw
423名無しさん@ピンキー:04/08/22 07:07 ID:axy183SH
乙です。
ほのぼのしてていいですね、堪能いたしました。

>「ななななな何をするんだ! キミは私を殺す気か!?」

斗貴子マインド内部で顔中真っ赤にしてわたわたするミニマムサイズの斗貴子さん、
という心象風景が浮かびました。
424名無しさん@ピンキー:04/08/22 11:47 ID:rR0vMT16
>>418
乙でした。
とっきゅん乙女だねとっきゅん
425名無しさん@ピンキー:04/08/22 19:51 ID:aEO8m2h2
GJ!
萌えすぎる
TQN可愛過ぎる(*´Д`)
426名無しさん@ピンキー:04/08/23 04:00 ID:RChiK5Xy
やば過ぎ…(;´Д`)
>「…キミ、やっぱり私を殺す気だろう」
むしろ俺が殺られました
427名無しさん@ピンキー:04/08/23 21:45 ID:dQXOg+05
祝巻頭C&表紙カキコ

本編の今の展開はすごい面白いけど、SSが作りづらいねぇ
スレの上のほうで誰かも触れていたけど時間軸を再殺宣告の
手前くらいにして、しばらくやり繰りしようかな…w
428名無しさん@ピンキー:04/08/24 02:26 ID:ax/IT3od
>>419
非常にGJ! なんだけど…
> 艶のある毛並みと言い、丸々と太った身体つきと言い、
こういった羅列の意味での 「〜といい」 には 「良い」 を使った方が正しいと思う次第。
単に変換の順が上だからかも知れんし
細かいけど、そういうのが積み重なったら
素直に話に入っていけなくなる人もいる、つーことで〜
うんそうアレだ、 「神は細部に宿る」 ってヤツだ。
429名無しさん@ピンキー:04/08/24 02:37 ID:ZQll66vt
>>428
???

艶のある毛並みと「良い」 、丸々と太った身体つきと「良い」

が正しいってコト?
430名無しさん@ピンキー:04/08/24 03:19 ID:Vdb7Fhlp
「…といい」の「いい」は「言う」の連用形じゃないの?
教えて日本語に詳しい人。
431名無しさん@ピンキー:04/08/24 04:06 ID:AKlvNZPq
goo辞書より。

(4)(「…と言う」の形で)…を話題として取り上げる。…に言及する。
「 T さんと―・えば、もうじき結婚するんですってね」「このカメラは性能と―・いスタイルと―・い申し分ない」「劇場は一階と―・わず二階と―・わず客でいっぱいだ」

>>428
注意するなら確証を得てからにしてくれ。無駄に書き手さんを凹ませる事になるぞ
432現地調達の理由 1/1 ◆3QNSjLC4b. :04/08/25 22:23 ID:y0k6k9d4
一学期の終業式があった夜、私はカズキの部屋でくつろいでいた。
窓の外には満天の星がきらめいている。

「俺にとっても共に戦う仲間は斗貴子さんとブラボーだから、
 次の任務もまた三人一緒にやりたいんだ。
 ま、せっかくの夏休みだし、ブラボーが戻るまで、ゆったり構えていこう!」
「そうだな」
「ところで、明日の水着、どうするの?」
「ああ、現地調達と思ったんだが、良く考えると海岸の店は選択肢が少ないだろう?
 今日のうちに銀成市内で買いたいんだが、この時間でも開いている店はあるか?」
「うん、案内するよ」

そんなやりとりの後、私はカズキの案内で駅の近くのデパートに向った。
そして、水着売場に着いた後、カズキが隣の売場を見ているのに気づいた。
「どうした、カズキ?」
カズキの視線を追うと、水着売場の隣でやっている夏物一掃セールの片隅に、
ノースリーブにセーラー襟でジッパー前開きの上着と
ミニスカートのセットが展示されていた。
カズキに視線を戻すと、顔を赤くしている。
「…なんか、脱がしやすそうで…あ、いや、変なこと考えてたわけじゃなくて─」
カズキに簡単に脱がされていく自分の姿が頭をよぎった。そして、その後の展開も。
いつのまにか、私はその展示品を手に取っていた。
そして試着。問題なし。手早く会計を済ませる。
呆然として水着売場の前で固まっているカズキの元に戻ったところで我に返った。
「キミが変なことを言うから買ってしまったではないか!
 だから…その…責任をとってさっきの言葉を確認するんだ!」

その後、急いで寮に戻った私たちは、カズキの言葉の正しさを十二分に確めた。
水着を買い忘れたことに気づいたのは翌朝になってからだった。

(終わり)
433名無しさん@ピンキー:04/08/25 23:33 ID:PXCmusKE
>>432
貴方のかく日常SS大好きだ。
たしかにあの服は機動性に富み、そして脱がしやすそうだw
よかったです
434名無しさん@ピンキー:04/08/26 00:23 ID:hRr2PJ0M
GJ!
斗貴子さんは実用的な服を選んだね
あの服を着た斗貴子さんがカズキに優しく脱がされて
いく様子をみたいかもハァハァ
435名無しさん@ピンキー:04/08/26 06:52 ID:O9Bs3JrD
海で現地調達したあの水着も、よく考えたら脱がしや…ハッ。
まさかTQN…それが購買理由…
436名無しさん@ピンキー:04/08/26 23:13 ID:mXzlK35V
いや、むしろあれは脱がしにくいだろ。
つまり今度は、じっくり脱がされる興奮を味わいたかったんだよ!!
437名無しさん@ピンキー:04/08/26 23:38 ID:bDbbgfd4
違う、あれは脱ぎかけを楽しむための水着だ
438名無しさん@ピンキー:04/08/26 23:53 ID:wh5XNqx1
むしろ着たまま・・・。
後ろに立ち、脇の下からするりと水着の中に手を滑り込ませてみませんか。
>>386続き
秋水は竹刀ダコひとつない綺麗な手で、上着をするりと脱がし背中に手を回すと
さっぱりとした白いブラジャーのホックを片手で外し、白い双丘を明らかにした。
素早い。
これがカズキならば、ホックに両手を使っても指をまごつかせるだけで、笑われただろう。
夜明けの中の薄い山吹色を見ながら、二人は同時に思ったが口に出すワケもなく。
ベッドが倒され、桜花は横たえられた。

その光景を看護婦が目撃していたら、色をなしただろう。禁忌だ、と。
だが、姉弟たる桜花と秋水が恋人のごとく体を重ねるのは、同列で当たり前のコトなのだ。
「ケッコン式ごっこ」が、知らぬままに姉弟の概念を恋人のそれに摩り替えて、体を重ねさせた。
長ずるにつれて、それを禁忌を呼ぶと知りもしたが、関係ない世界の秩序と切り捨てていた。
二人ぼっちで生きていたのだから。

桜花は思う。

強さを積み直そうとしている秋水に倣い、そして世界を歩むのならば
体を重ねるコトを禁忌にしなくてはならない。それがあるべき姿なのだから。
だから今からの一時を最後にしよう。区切りをつけるのなら今がいい。
そして朝が来たなら、恋人として別れを告げよう。姉弟として共に生きるために。
秋水なら分かってくれる。彼の選ぶ別れに倣うのだから。

そう考えている間に、桜花は生まれたままの姿になっていた。
ショーツが取られるのを手伝っていたようだ。
無意識でも抗わないのは、体を重ね続けていたせいだろう。
思い返せば、無限にも思えるほど数多く、互いを求め合っていた。
それが、もうすぐ終わる。

一糸纏わぬ白い体が、少し笑った。
桜花の体には、誰もがうらやむ美しさがある。

まるで子供のように小さなつま先から始まる足は、長くすらりと伸びながらも
膝から先は付け根に向かうにつれ、一段、また一段としなやかに張り詰めていき
濃くも薄くもない茂みのある細く頼りなげな柳腰に、対義的な肉感を付与している。
そしてなだらかに曲線を落ち込ませる腹部は、全身がそうではあるが
ハリのある肌にうっすらと覆われて、瑞々しくも艶かしい。
寝ていてもなおふくよかに盛り上がる乳房もまた、細い体を豊かに見せている。
頂きは鮮やかでいて淡く、ツンとそびえているのが誘惑的であり
二の腕と、それを支える肩は、横の膨らみがウソのように細く
肌の白さは下でばらけている黒髪と美しく調和している。

それだけに秋水には、二つの膨らみの間に残る薄い傷痕と
右のわき腹で、透明なシール(創傷を直す為に使われている一種のバンソウコウらしい。
こっちの方が、消毒液を塗ってガーゼを貼るよりも確実に治る、とは看護婦の弁)の下で
生々しく糸に縛られている傷口は、致命的にも思える。

目線の奥にある気まずさと躊躇を察したのか、桜花はつとめて明るく笑って見せた。
「大丈夫よ。これもあるから。ね?」
その治癒力によって、傷口は消え去るだろうし、今から多少激しい動きにも耐えられる、と言いたいらしい。
津村斗貴子の傷を思い出しながら、それでもいいと思ってもいたが。

秋水は不承不承うなずきながら、電気スタンドを消すと
「…もう、夜明けだから」
言い訳がましく呟き、ドアの近くにある机へ三国志と電気スタンドを置きに行く。
その背後で、桜花はくつくつと忍び笑いを漏らした。
彼はきっと、誰かさんの山吹色に白い裸身を照らされるのが嫌なのだろう。

「じゃあ」
戻ってきた秋水は言葉少なに、妙に見栄えのする病院着を、一枚、また一枚と脱いでいく。
場所と桜花の容態ゆえに、少々ためらっているその様子が
桜花にはなんだか、体を重ね出した頃のように初々しく見え、ひどく懐かしい。
露わになった無駄のない端整な体が、桜花の上で四つ足をつき
子供のように単純に口づけをする。
彼らの中では極めて軽い愛撫だが、(諸々の道具や媚薬をよく使っていた。
ちなみにそれらは、戦士長が原因のある出来事によりベッド近くの棚にしまってあるが
しかしそれを教えて使う気にはならない)今の桜花には心地よく、じっと目をつぶり静かに受ける。
夜明け前の冷えた空気が、熱を帯び始めている体を包んでいく中で、桜花はひたすらに唇を感じる。
やがて感じていたものが離れた。

もうちょっとだけ、といったあどけない表情をよそに
秋水はその唇を柔らかな膨らみの間へとそぅっと移す。
あるのは、彼らが分かち合った寸分違(たが)わぬ双子の傷。
核鉄と医療によって、彼らが日を同じくして糸を抜いたそこはまだ刺激に対して弱く
「ん…」
鼻にかかった甘い息が漏れた。
じっと当てられるネコの鼻のような弾力の唇が、痛くもあるが気持ちよい。
その愛撫と、双丘に擦れる秋水の細い前髪のくすぐったさとを
逃さぬように逃さぬように、桜花は懸命に感じていく。

ややあって、再び唇を離すと秋水は桜花の右脇腹にある傷に唇を押し付けた。
姉と不揃わせている無力の証の傷を、消し去りたい衝動があるのだろう。
彼らしくもなく、熱ぼったい唇をグイグイと何度も押し付ける。
流石にちょっと痛い。
桜花は軽く顔をしかめたが、嫉妬交じりでも乱暴でも彼なりの愛情表現だと思い直し
やれやれといった風で頭を撫でる。
そうして、黒髪を這う白魚の指を見ているうちに、どうしようもなく息が詰まっていく。
静かにもう片方の手を口に当てた。声を出したら嗚咽になりそうで、それだけが怖い。
突如、唇よりも生暖かい感触(多分舌だろう)が走った。と同時に秋水が止まった
「…苦い」
傷を保護しているシールがそうらしい。愛撫をやめざるを得ない程に苦いらしい。
桜花は、不機嫌そうに呟いた秋水をからかうように、「あらあら」とだけ笑った。
嗚咽は出なかった。
「ね、今度は秋水クンが下になって」
ぎこちなく口元を擦る顔を見ながら、桜花はうきうきと笑う。
淫靡というより、子供が「お〜いハニ丸」「できるかな」と言った幼児番組を見るような無邪気さがある。
「寝てた方が」
「しばらくなら大丈夫。コレもあるし」
ひらりと核鉄を見せた。
「…ならいいけど、もう少し待って」
秋水は手短に告げると、桜花の両足を開いて鎮座して
細身に見合わぬ質感を持つ乳房へ右手を伸ばした。
「あっ」
不意のコトに桜花は声を上げた。珍しく舌足らずなのは
大好きな秋水の手が触れたのが嬉しいからだろう。
手は規則正しくぐにぐにと、弾力に満ちた乳房を肩に追いやるように揉みしだく。
「速くしてもいいわよ…」
すぐ刺激を受け入れて、うっとりと息を吐きながら呟く桜花だが
こういう時は不思議と口数の少ない秋水は答えない。
その代わり、左手も加えて勢いをつけ双丘をかき回す。
桜花の鼓動は、その上でぶるぶると跳ね回る弾力と同調し
頬にはうっすらと朱みがさして、か細い息も早くなる。
その様子を認めた秋水が、今度は指で淡い乳紋をなぞる。
知り尽くしている桜花の弱点の一つだ。
「あん……」
しなやかな体をきゅぅっとよじりながら、甘い声を桜花はあげた。
どこか芝居っ気があるが七実三虚。
お互いが燃えるのなら、「ちょっとぐらいお芝居してもいいわよね」とか桜花は常々思っている。
硬く尖っていてもあまり大きくはない突起が含まれた。
「んん」
秋水の頭が、悩ましくも優しげにかき抱かれた。
突起を穏やかに吸う唇の動きが、乳紋にも軽く触れ、微弱でじれったい刺激が走り
「んふぅ… ぅぅん……」
くぐもった嬌声があがる。
大きな刺激を待ちわびるのは気持ちよい。
次はくる次はくると待ちわびながら、しかし裏切られ続けて、
その満たされなさに身悶えるのは、ただ刺激を受けるよりも気持ちよく
清楚なたたずまいの秘所からとろとろと蜜がこぼれ、ねっとりとした甘い匂いが漂う。
触発されたのか、秋水は舌をチロチロと乳紋に這わした。
もっと焦らしても良かったのにと思いつつも、七実虚三の反応を返す。
「やん! ちょっと強…ゃ… 強いってばぁ、秋水クン………」
左右へ振られるくすぐったげな顔のその下で、漆に似た豊髪がふわふわと波打った。
相変わらず秋水は答えない。行為の最中はそうなので、何を考えているか分からない。
あるいは、そんな彼に対する不安が、芝居っ気に繋がっていたのかも知れない。

しかし秋水。喋りはしないが、先ほど胸を触ったように、桜花が頼みもしないコトを仕掛けてくる。
積極的なのか消極的なのかよく分からないその左手が、乳房ごと乳紋をつねった。
「ひゃんっ」
目が軽く見開き、白いノドが仰け反った。核鉄を握る手にも力が入る。
秋水は、緩やかに引き伸ばした柔肉に埋もれる、ぶどうのような感触の
(あるいはアキレス腱とふくらはぎの境目にも似た)乳頭の付け根を何度も
奥から先、奥から先へと、引きずり出すように擦り上げる。
秋水はそのまま桜花に覆い被さると、色の鮮やかさと硬度を増したもう片方の乳首を更に吸う。
流石に笑みも消えて、崩れそうな勢いの細い息が部屋に響く。
「そ、そんなにしたって…はぁ…… 何も出なっ あぁん!」
「でもこっちは出てるよ……」
珍しく喋った秋水は、右の人差し指を秘所に潜り込ませていた。確かに出てはいる。だが。
「やだ秋水クン…おじさんみたい……」
なコトを言うのはいかがなものか。桜花は少し意地の悪い笑みを浮かべる。
秋水はムっとした。
出てるから出てると言っただけなのに、何故そんなコトを言われなくてはならないのだ。
だが桜花はそんな珍しい秋水 ──行為の最中に喋った上に、少し怒っている──に、はしゃいだ。
顔は悪女のそれだ。御前がこの場にいたら、しとやかでおとなしい性格になってだろう。
「『でもこっちは出てるよ……』『でもこっちは出てるよ……』」
意地悪を前面に押し出して、ニコニコしながら声と表情をマネる。
双子ゆえにかなり似ているのが秋水にはまた腹立たしい。
怒った。指を引き抜くや否や、その上の突起の皮をめくりあげ、人差し指と親指で力任せに押しつぶした。
「あ、ぁああん! やめ… そんなに強く… ダ、ダメぇっ、お尻はいじ… ひぐっ!(あ、けどちょっといいかも…)
や、や、やぁぁん! ゴメンなさいっ秋水クン、謝るからっ はぁ、はぁああ! ゆ、ゆるしてぇ〜!」
懇願空しく、ぐしゃぐしゃと粘液まみれで動き回る秋水の手は止まらない。後からも前からも強引にかき回す。
どこかちょっと楽しそうな桜花が気に入らない。後の穴に指が二本入った。彼ら的には新記録だ。
「わ、私はまだ… や、ダメ、ダメだってばぁぁあ!」
まだケガが治ってないからやめて、などと卑怯な言い訳を持ち出す間もなく、桜花は達した。

お互い調子に乗りすぎた。はぁはぁと息をつく桜花の前で秋水は気まずい。
「だが俺は謝らない」
とりあえず毅然と呟いてみる。シリアスなハズのこの話で何を書いてんだオレは。

「ね、済んだコトは忘れて……」
秋水は内心、(言い出したのは姉さんなのに)と思ったが、とりあえず従う。初めて後の穴に入れた指を持て余しながら。
「…上になっていい?」
「いい」
桜花をゆっくりと抱き上げると、秋水は後に倒れこんだ。
その上で綺麗な体がもたもたと、四つん這いで移動して
やがて、姉弟の秘部それぞれがそれぞれの眼前に晒される形になった。
俗にいう69の体勢である。彼らはコレをムーンフェイスから教わった。
二十三夜待と眉月を始めとする十五組が実演月で教えてくれたのだ。だから何書いてんだオレは。

ますます白んでいる光の中で、桜花は朝が間近にあるコトを悟る。
朝が来たなら別れよう。姉弟としてはしばらくに。恋人としては永久に。
だが今はまだ、秋水の上にいる。屹立を感心しながら見つめている。
「…おっきい。ねぇ秋水クン」
「何?」
ちょっと間を置き、そして、
「さっきみたいに……激しくしないでね」
おずおずとした口調なのは、先ほどの行為がこたえているからだろう。
わかった、という代わりに、秋水は膝の裏にある小さな窪みをさすった。
「あん…」
軽い嬌声を上がると、それにつられて二つの膨らみが揺れ、やがて引き締まった腹筋の上で押しつぶされた。
そうして顔を近づけた屹立は、透明な液体を尖端に湛えていて、興奮しているのが見て取れる。
「ふふっ」
カッコ良くてもやっぱり秋水クンは男のコね、と妙な笑いを漏らしつつ
キスの時のように首を傾げながら、屹立に顔を近づけていく。
そして「カサ」に唇を軽く留めると、ミルクを飲むネコのごとく
鮮やかな色の舌を、ちろちろと素早く這わしていく。
場所も角度も速度もひっきりなしに変えて舐め続け、かと思えば
経験がまるでないように、一箇所だけを遠慮がちにつついてみたりする。
気まぐれな舌の動きに、悪戯っぽく浮かぶ表情はよく似合っている。
秋水は後で声を押し殺し、しかし微かに震わされた屹立から刺激を望む証を滴らせてしまう。

立ち込めた匂いは鼻によく染みて、桜花の表情も思考も、うっとりと溶かされていく。
長大な屹立を咥えると、首をゆっくり動かし始めた。押しつぶされている膨らみが、杵の下の餅のように形を変える。
桜花は唾を唇に追いやって、更に滑りやすくしながら動きを早める。
髪が背中から零れ落ちた。
「んっ…んっ…んっ…!」
鼻から漏れる息と、細身を覆い隠すように暴れ回る黒髪に、秋水は眩んだ。
眼前にそびえたつ肉感的な太ももを掴むと、軽く身を起こして秘所に口を付けた。
「太ももはダメ、掴まな… はぁんっ や、やだ、激しくしないで…」
太ももの裏側も弱点の一つ。桜花は悩ましく腰をねじった。
その動きを強引に押さえつけると、秋水は舌をゆるやかに秘所へ潜り込ませた。
「はぅ…」
桜花は細かく叫ぶと、屹立を再び口に含む。
446名無しさん@ピンキー:04/08/27 06:50 ID:357uxD+C
おお、「三局の戦い」の続きだー。
シリアスのさなかに小ネタもキタ−w
ムーンフェイスの実演、想像したら嫌すぎる
秋水桜花は美形キャラの上、(錬金では比較的)真面目だから、
描写に苦労されているみたいですね
447名無しさん@ピンキー:04/08/27 08:38 ID:PsjC4+4z
シリアス話なのに、所々に入ってるギャグにワラタw
こういうの好きだな。
448名無しさん@ピンキー:04/08/27 14:31 ID:67RHlq0E
何だコレ
449名無しさん@ピンキー:04/08/27 17:43 ID:Zo2IkbGq
( ´_ゝ`)
450名無しさん@ピンキー:04/08/27 19:00 ID:9mOcIwxN
剛太が主役のSS(Hシーンあり)を書こうと思ったけど
無 理 だ 。

斗貴子さんしか眼中にない上、振り向かれる可能性がゼロだ。
451名無しさん@ピンキー:04/08/27 19:28 ID:7B2OUT8V
ぶちまけられる可能性なら無きにしも非ず
452名無しさん@ピンキー:04/08/27 19:54 ID:KNlkfDLQ
>>439-445
乙です
近親相姦ネタ(早坂姉弟だから仕方ないw)はちょっと苦手だけど
面白かったよ。相変わらずネタも仕込んでますね
エロ、というより背徳感でなんか胸がキリキリしちゃった
453不口 里獅:04/08/28 04:33 ID:IvcNJXQ3
誰もいない

投下するなら今のうち?
454不口 里獅:04/08/28 04:37 ID:IvcNJXQ3
sage忘れました。

うまれてきてごめんなさい

今度PCで出直します。
携帯は操作なれんわ
455名無しさん@ピンキー:04/08/30 16:13 ID:0w1tLRXI
と言うか なんだ キミ 保守も 程々に な
456忘れ物 1/8 ◆3QNSjLC4b. :04/08/30 19:38 ID:/xuKNvkX
目が覚めた。頭がぼんやりしたまま、周りを見渡す。
六枡先輩と岡倉先輩が辛そうに体を起こしている。
まっぴーが幸せそうに眠っている。ちーちんが目をこすりながらこちらを見ている。
そして、大きな蝶(?)の足につかまっているジャージ姿の人が窓の外に見えた。
近づいてくる救急車の音が聞こえる。
だんだん頭がはっきりして記憶も戻ってきた。
学校がたくさんの化物に襲われて、まっぴーのお兄さん達が助けてくれて、
突然、体の力が抜けて、みんなどんどん倒れて、私も意識がなくなって─
ん?意識を失う前に近くにいた人が一人足りない。
もう一度、周りを見てみる。やっぱりいない。
「大浜先輩は?」
「調子はどう?」
返事がすぐ上から聞こえてきた。見上げると目の前に大浜先輩の顔があった。
「!?」
自分が大浜先輩の両腕に抱えられていることに気づいた。いわゆる、お姫様だっこ?
意識がなくなる前に先輩に抱き上げられたような気がするけど、
その後、ずーっとこうやってだっこされてたのかも─
「ありがとうございます。もう大丈夫です…あ」
と言って、自分で立とうしたが、よろけてしまった。まだ体に力が入らない。
「まだ調子が悪そうだね。保健室に行ってみてもらおうか?」
元のように私を抱き上げた大浜先輩は、保健室へと足を進めた。
先輩の腕の中で私の意識は再び薄れていった。
457忘れ物 2/8:04/08/30 19:39 ID:/xuKNvkX
目覚めた。今度はすぐに頭がはっきりした。
たぶん見えているのは保健室の天井だから、ここは保健室のベッドの上。
ベッドから降りて自分の足で立ってみる。うん、なんとか歩けそう。
ベッドを仕切っているカーテンを開けて、仕切りの外に出ると、
上半身裸の大浜先輩がこちらに背中を向けていた。
「え?あ、あの、先輩、さっきはありがとうございました」
びっくりして両手で顔を覆いながら、お礼を言う。
手の隙間から覗くと、先輩がこちらに顔だけを向けて左手を振っていた。
そして、右肩に包帯が巻かれているのに気づいた。
先輩の向かいに座っている保健の先生が治療したらしい。
「先輩!?肩、ケガしてたんですか?」
「うん。でも、たいしたことないから」
「たいしたことあるわ。直るまでガーゼは毎日交換。お風呂とシャワーは禁止よ」
と、大浜先輩に釘を刺す保健の先生。
…ケガしてたのに、私をだっこしてくれたんだ─
「校医さんが来てくれてるから、あなたは向こうで診察してもらって」
と、今度は保健の先生が私に指示を出した。
言われた通りに診察してもらうと、入院する必要はないとのことで、帰宅を許された。

保健室を出ると、先に肩の治療を終えていた大浜先輩が待っててくれた。
少しでも先輩の肩の負担を減らしてあげたくて、自分と先輩のカバンを持って、
いっしょに寄宿舎に帰った。
ホントはたくさんお礼とか言いたかったのに、どういうわけか緊張し、
うまく話せなかった。
まだ体が回復してないせいかも。
458忘れ物 3/8:04/08/30 19:41 ID:/xuKNvkX
あれから数日が過ぎた。
まだ入院している人が少しいるけど、だんだん元通りの学校になってきた。
私も体育の授業は見学したりしてるけど、他は大丈夫。
今日もまっぴーとちーちんといっしょに寄宿舎を出た。
通りに出ると、まっぴーのお兄さんと津村先輩が少し先を歩いていた。
二人で何か話していて、こちらに気づいていない。
まっぴーが私とちーちんに合図をしてから、猛ダッシュ。
「こっそり核鉄を貸せないかな?」
「発熱で辛そうだったが、命に別状はないんだ。
 何かの拍子にキミの友達を巻き込む方が怖い。我慢しろ」
何の話だろう?─と思っているうちにまっぴーが追いついた。
「おはよう!お兄ちゃん!斗貴子さん!」─お兄さんにタックルするまっぴー。
「うっわ…おはよう、まひろ。おはよう、みんな」─地面に倒されたお兄さん。
「おはよう。キミたちは相変わらずだな」─その横で苦笑している津村先輩。
二人の向こうに岡倉先輩と六枡先輩もいて、こちらに手を振っている。
「おはようございます」─笑顔で頭を下げるちーちん。
私は少し背伸びをし、先輩達の後ろに誰かいないか確認してみた。
背伸びなんかしなくても見えるはずの姿が見えない。
「おはようございます!…あの、大浜先輩は?」
459忘れ物 4/8:04/08/30 19:42 ID:/xuKNvkX
先輩達がちらりとまっぴーを見て少し黙った後、岡倉先輩が口を開いた。
「仕方ない、話すか…アイツ、柄にもなくカゼみたいでさ」
「昨日、早退したんだけど、今朝も熱が下がらないみたい」
「この前のことでみんなまだ体力が戻ってないからな」
「今日は午後から近くの親戚が看病に来るとのことだ」
じゃあ、今、大浜先輩は一人でカゼと戦ってるの?
…そんなことを思っていると、まっぴーも知らなかったようで、抗議を始めた。
「ひどーい!もっと早く教えてくれれば、昨日の夜は私が看てあげたのに!
 何を隠そう、私は(ry」
「うん、オレもそう言ったんだけど、大浜がまひろに黙ってろって」
「うーん、斗貴子さんがギックリ腰の時、私の看病が親切すぎたから、
 遠慮してるのかな?」
「包帯の志々雄巻きがイヤなんじゃねーのか?」
「オレはあの制服だと思うな」
「でも…って、さーちゃん、どうしたの?」
「沙織?」
私は回れ右をして元来た方へと駆け出した。
「ごめん、忘れ物しちゃった。午後の授業は出るから」
460忘れ物 5/8:04/08/30 19:44 ID:/xuKNvkX
寄宿舎に着いたら、すぐに大浜先輩の部屋に向った。
ノックしても返事がないので、扉を開けてみた。カギはかかっていない。
「ごめんなさい、失礼します」
そう言って、部屋に入ると、赤い顔の先輩がベッドの上で唸っていた。すごく辛そう。
すごく熱いおでこの上にタオルにくるまれたアイスノンがあったけど、
場所がずれていたので直してあげたら、少し楽になったみたい。
でも、あんまり冷たくないな。換えてあげなきゃ。
それから、ベッドの近くにトレイに載った朝ごはんがあった。
他の先輩が持ってきたのかな?
見てみると、減っているのはお味噌汁だけ。固形物は食べられないのかも。
私はそのトレイを持って、部屋を出た。

そして、寮母さんに事情を話し、厨房を借してもらって、簡単なおかゆを作った。
私が学校をさぼっていると指摘されたけど、
『寝坊しちゃって1時間目に間に合わないので、2時間目から出ます。
 それまでだけ先輩の看病をします』
と、ウソついちゃった。
461忘れ物 6/8:04/08/30 19:47 ID:/xuKNvkX
それから、出来上がったおかゆを持って先輩の部屋に戻った。
まずはいっしょに持ってきたアイスノンを交換してあげたら、
先輩が目を覚まして体を起こした。
そして、少しぼーっとした目をした先輩が言った。
「さーちゃん、学校は?」
「へへ。寝坊しちゃって1時間目に間に合わないので、2時間目から出ます。
 おかゆ、作ってきたんでどうぞー!」
さっきと同じウソと言ってから、ベッドの横に椅子を持ってきて腰を降ろした。
「うーん─」
先輩はまだ何か言いたげだけど、それを無視して、スプーンでおかゆを勧める。
「!?自分で食べれるよ」
そう言って、利き腕じゃない左手でぎこちなくスプーンの柄を取ろうとする先輩─
─右肩、まだ痛いんだ…なんか、涙が出そうになって顔を伏せた。
「…え?どうしたの?」
私は無理して作った笑顔を向けて、先輩の口の前までスプーンを持って行った。
「なんでもないです。どうぞ」
「………」
今度は何も言わずに食べてくれた。
「熱くないですか?」
「うん、大丈夫だよ。ありがとう、おいしいよ」
…高熱で味はわかんないだろうに。また涙が出そうになったけど、今度は堪えた。
その後、お互い黙ったままで食事が続いた。

結局、先輩は私が作ったおかゆをほとんど食べてくれた。
まだ顔は赤いし、熱も高いみたいだけど、少しは元気になったように見える。
私も少し嬉しかった。
そして、コップで持ってきたお水を飲み干した先輩が言った。
「ごめん、お水、もう一杯、もらえるかな?」
「了解!今度はポットで持ってきますね!それから、体も拭きましょう!」
「イヤ、それは自分でやるから…それに、そろそろ2時間目が始ま─」
「あ、ええと…とにかく、お水とタオル、持ってきますね!」
私はそう言って、部屋を出た。
462忘れ物 7/8:04/08/30 19:49 ID:/xuKNvkX
お水を入れたポットと洗面器、それにタオルを持って部屋に戻ると、
先輩は静かな寝息を立てていた。
今朝、最初に部屋に来た時はよりは随分と楽そうだ。
布団を直してあげてから、机の上に院外薬局の袋があるのに気づいた。
手にとって見る。経口の解熱剤?
毎食後のクスリだけど、今日の朝の分は飲んでないみたい。
こういうクスリをちゃんと飲んだ方が、熱は下がるんだけどな。
でも、クスリのために起こすのはかわいそう。
うん、このまま飲ませてあげよう。水もあるし。
深く考えないで、ポットの水をコップに注ぎ、先輩の口に解熱剤のカプセルを入れた。
もぐ、もぐ。
あー、カプセルなんだから、もぐもぐしちゃダメ!
水といっしょじゃないと無理かも。でも、どうやって水を飲んでもらえば?
…こうなったら、仕方ない。これは看病の一環なんだ。深い意味はないのだ。
そう自分に言い聞かせてから、急いでコップの水を口に含み、口移しで飲ませた。
ごく、ごく、ごくんっ。
クスリ、飲んでくれたみたい。良かった。
………
ええと、もう、唇、離してもいいんだよね?離さないといけないよね?
なんかよくわからないけど、すごく惜しい気がするけど、離すぞ、離すぞ、えい!
…私、何やってるんだろう。舌を出して、自分で自分の頭を軽く小突いた。
眠っている先輩がうれしそうに見えるのは気のせい?

この後、親戚の人が予定より早く来たので、
看病を交代した私は、3時間目から授業に出た。
あの事件から日が経ってないせいか、遅刻の理由を体調不良にしたら、
先生は細かいことを聞かなかった。
そして、授業が終わってから急いで寄宿舎に戻ったけど、
先輩の親戚の人の看病で無事に熱が下がったそうなので、もう私の出番はなかった。
看護士制服を用意したのにやっぱり出番がなかったまっぴーはとても残念そうだった。
463忘れ物 8/8:04/08/30 19:50 ID:/xuKNvkX
翌日、いつものようにまっぴーとちーちんといっしょに学校に向う途中で、
まっぴーが後の方を指差して言った。
「さーちゃん、今日の忘れ物はないみたいね?」
「え?」
振り向くと、少し後に先輩達がいた。今日は大浜先輩もいる!
「おはようございます!」
私は満面の笑顔で手を振った。

(おわり)
464名無しさん@ピンキー:04/08/30 20:05 ID:eAtwtzza
>>463
乙!
おお、なんと健全な…
しかも、かなり珍しいカップリングだし。
ある意味、このスレに似つかわしくないSSだな。
内容はとても良かったよ。
465名無しさん@ピンキー:04/08/30 20:54 ID:oqs7KT1z

 お・お・は・ま〜〜〜っっっ!!!!

 羨ましすぎだ(つД`)
466名無しさん@ピンキー:04/08/30 23:28 ID:qINAfhyH
>>463
カズ斗貴とはまた違った良さのあるストロベリーだなぁ
体格差のあるカップルは萌える。

>包帯の志々雄巻き
作中世界での包帯の正式な巻きかたのひとつなのでしょうか?w
467 ◆3QNSjLC4b. :04/08/31 02:08 ID:l/LyTD+8
レスくださった方々、ありがとうございます。

お互いの呼び方や口調がよくわからないので、かなり脳内補完して書いています。
本編でそのあたりが明らかになる日が待ち遠しいような怖いような。
六枡×ちーちんネタもあったりしますが、大浜×さーちゃん以上に脳内補完が必要で
全然進まないでいます。

では。
468名無しさん@ピンキー:04/08/31 17:42 ID:cU5q7VVz
>>466
るろ剣が漫画としてある世界だろうから正式な巻き方でいいと思う
469名無しさん@ピンキー:04/08/31 20:03 ID:BqqYR1IU
>>456
乙〜。
微笑ましいですね〜。

友人6人衆は今後も出続けてほしいもんです。
桜花はそれからしばし、腰を高く浮つかせたまま夢中で首を動かした。
技巧も配慮もかなぐり捨てて、秋水自身へ粘膜を擦り付ける。
その熱烈さとは裏腹に、細めた目は寒々としているのが桜花には分かり
鼻腔ですり切れる息へ口中の苦味をふぅふぅと乗せながら、ますます脈動を増す質感を愛撫する。
ともすれば起こりかねない嗚咽を押し込めるように。
秋水が動いた。
しっとりと湿った茂みを指で掻き分けられと、突起から柔らかくも強烈な刺激が走り、白顎がのけぞる。
「ふぁ…っ!」
半ばかすれた声を漏らしながら口を少し離す。
右手を伸ばすと、刺激を予期して震えた尖端を三指でつまむ。
親指と人差し指、中指で以ってぐりぐりとねじられるのに秋水は弱いと知っている。
熱い吐息が太ももの辺りに漂ったのを感じながら、桜花はぬるぬるとした指先を動かし
更に核鉄を放した左手で、ころころと屹立直下の袋を撫で回す。
その都度、吐息を漏らしたり軽く震えたりする秋水の反応が、嬉しくもあり寂しくもある。

秋水の息が途切れ途切れになった。達する時の彼のクセだ。
また屹立を飲み込んで、舌でねっとりと二度三度と舐め上げると
一瞬、屹立が張り裂けそうに膨張し、そのまま放出を迎えた。
猛然な勢いで口中を駆け巡る白濁を受けていると、頬を涙が伝っているような錯覚を覚え、思わず手を当てた。
幸い、何も無くホっとしていると、果ての無さそうな放出が終わった。
それら全てを受け止めた桜花に、世界は少し潤んで見えた。

体勢は最初のそれに戻り、臥せる桜花の前に秋水が座している。
核鉄を左手に戻し、口の片隅に残っていた白濁を嚥下すると
「ご馳走さま」
いつもの調子でふわりと笑いかけると、見下ろす視線が軽く逸れた。
「飲まれる」コトに照れがある。ケッコン式ごっこを恥ずかしがっていた時のように。
この先もきっと変わらないだろう。誰の前でもそうだろう。ただし。
(私以外、のね)
小さな笑みの変わりを務めるように、核鉄がはらと左手からこぼれ落ちた。慌ててまた拾い直すと
「ね、秋水クン… そろそろ…」
核鉄を落とさないよう慎重に掌へ収めながら、促した。
「うん」
短い返事の後に、再びベッドに横たえられた。
桜花の目に映る天井は、ますます強い朝の光のせいで汚れがすっかり晒されて、どうも雰囲気にそぐわない。
シミも目に付き、寂しい時はコレでも数えてみようかな…と思っていると
「力を抜いて…」
秋水が挿入する時の決まり文句が耳に届き、桜花は初めての時のような心持で頷いた。
頬にうっすら朱が昇っているのは、初々しくも儚げだ。
その顔を生真面目に見据えながら、秋水は腰を進め、最後の挿入を果たした。

「んんんっ! んああ…」
口をつく甘い声に誘われるまま、緩やかに抽送の速度が上がり
じゅぷじゅぷと粘った音を立て、薄く細い裂け目を、端整な張子のような屹立が出入りしていく。
あつらえたような滑らさの中で、しかし互いが互いを程よく圧されて、奇妙だが心地よい。
口元を意固地に結んだ秋水が身を屈め、傷を避けるように桜花の脇腹を持ち、動きを早める。
「あ、あぁッ ふわぁああ!」
上半身を軽くよじり、激しく揺れる双丘を隠すように左手を胸に乗せる。
だが剥ぎ取られ、淡い紋がぐにぐにと強引に揉まれる。
「や、やだ、痣になっちゃ… あぁんっ」
覆い被さられ、突起が音を立てるほどに吸われた。
目が見開き、首から上が軽く痙攣した。つられて揺れる横髪がくすぐったい。
更に秋水は顔を登らせ、目をつぶった桜花の唇と自分のそれを重ね合わせる。
子供のような軽い口付け。
相も変わらず心地よい無音の闇をじっと感じる。
唇が離れた。しかし秋水の気配はそう遠くない。動かない。
どうしたのだろう、と桜花が目を開くと
その先で、何もかもが全く同じ目が見下ろしていた。
湛えられる寂寥は、軽い驚きと申し訳なさに変わり、そして逸らされた。

「秋水クン…」
同じコトを考えているの? とは言えず、おずおずと別のコトを口に上らせた。
「抱っこしてくれても、いい?」
妙に幼い声音になってしまい、ちょっとはにかんだように笑った。
「いい」
やはり手短に答えると、秋水は桜花をぐっと抱き上げた。
つながったままそうすると、粘膜が微妙に擦られて、桜花は甘いため息を漏らした。
やがて二人は、ベッドの上で向かい合う。対面座位の形だ。
唇がまた触れ合った。
桜花は細い腕(かいな)を、秋水の首の後ろへ回す。
もたれかかって唇を重ねていると、まるで心身の全てを秋水に預けたような錯覚を覚える。
しかし思い返せば、常にそうだった。
秋水の後ろで、手を引かれ、守られて、自分の命運全てを託せるコトに安心しきっていた。
彼は、大事な時に守れなかったと悔いてはいたが、傍にいてくれるだけで満足だった。
何も信じられない世界の中で、秋水だけが確かだった。

がっしりとした肩に顔も預けて、桜花はそっと囁いた。
「激しくして… 大丈夫だから」
囁きながら、右手で秋水の手を握り締める。
秋水は無言のままに、一度、二度、と突き上げる。
「んんっ はぁ、はぁぁ」
背中の後ろでぎゅっと核鉄を握り締め、桜花は揺れる。揺らされる。
黒髪が宙を彷徨い、彼らの下のシーツは、とめどもなくかき出される雫が沁み、そして波打つ。
秋水は、桜花の手を離さないようにしながら、何度も何度も突き上げる。
密着した膨らみは潰されながら強烈に上下して、最奥が間断なく突かれているのが見て取れる。
それら全てがウソのように、軽く唇が触れ合った。
熱い潮の匂いが桜花の鼻腔を満たす。誰のモノかは分からない。
ただ姉は目をつぶり、突き上げ、暴れ狂う電流のような刺激をもたらす弟を感じていく。
声にならない息を吐き、片手でしがみつく。もうすぐ達する。終わりがくる。
秋水の息が途切れ途切れになり、やがて彼自身が激しく震え、静かになった。
「ああ……」
か細い声で、中を駆け巡る液体を感じていく。
膨らんでは萎む脈動が、真っ白な余韻を甘く痺れさせる。
終わった。
思うと同時に、意識が途絶えた。
揺れに揺れるエンジンの音が、階下から響く。
秋水が窓から見ると、すぐ真下に停まったトラックから
運転手が降り、そして事務員と会釈しあうのが見えた。
何を運んできたのだろう。帰る時も会釈をするのだろうか。
朝焼けの中で、秋水は取りとめもなく考える。

秋水は、意識を失った桜花の無事を確認すると
細々とした片づけをして、桜花に服を着せた。
そして窓とベッドの間に座り、桜花の手を握っている。
握ったまま、じっと外を見る。運転手は忙しく段ボールを降ろしている。

「朝ね」
後ろから声がした。桜花が起きたらしい。
秋水は、手早く段ボールを数え合う他人たちを見たまま、「朝だね」とだけ答えた。
彼が修行に行くまであとわずかだが、桜花は触れず、秋水も語らない。

やがてトラックが去った。
「ねぇ秋水クン」
呼びかけられて、秋水は桜花の顔を見た。
浮かべる笑みはだいぶ疲れて寂しげで、しかし透き通っている。含んだ意味が分かるほど。
「今まで、ありがとう」
「…俺の方こそ」
と秋水は返事をした。それで彼女の決めた別れを汲めたかどうか、わからない。
「けど、これからも宜しくね」
いつもの笑顔がそう言うと、秋水はまた「俺の方こそ」と返事をしてしまった。どうも、余裕がない。
桜花はいつものように笑った。
それからしばらく、桜花と秋水はとりとめもない話をした。
看護婦は怖いとか、メロンパン食べたいとか
秋水が戦士長に無理矢理、「闇の土鬼」「項羽と劉邦」「魔法使いサリー」と
言ったマンガを貸し付けられて困っているコトとか、そんな話ばかりだ。
秋水の話し振りから見て、「闇の土鬼」と「項羽と劉邦」は気に入っているらしい。
桜花は「秋水クンにピッタリね」と笑った。かたや武芸者の話、かたや古代中国の話だ。
そうかな? と考え込む秋水に、少なくても魔法使いの話よりは、と桜花は言い、雑談が締めくくられた。

秋水は「一度部屋に戻る」とだけ告げて、部屋を出た。
次にココへ来る時は、一旦の別れを告げる時なのだろう。

遠ざかる足音を聞きながら、桜花は、重荷をようやく降ろせたような安堵と
それでいて、何かがあればすぐ飛ばされそうな心細さを感じた。
彼はきっと帰ってきてくれる。
だから世界の中で頑張ろう。
言い聞かせても言い聞かせても、締め付けられる胸の奥は収まらず
少しだけ泣いた。

秋水は部屋に戻ると、「暫くの間、姉さんを頼む」と手紙を書いた。
「暫くの間、か…」
見る者が見たら、嫉妬を含んでいると言うかも知れない。
修行に行っている間は、という意味で書いたのだが。
「同じなんだろうか?」
生真面目な表情で秋水は考え込んだが、結局、そのまま折り畳んだ。
差し出す相手は邪推もせず、ただ笑って引き受けて、桜花の心細さを和らげてくれるだろう。
それだけ思った。
二時間後。手紙を戦士長に預けた秋水は

「わかってる。いってらっしゃい」
「ごめん。必ず帰ってくる」

理解を示す姉に申し訳なさを感じながら、聖サンジェルマン病院を後にした。
その十時間後、手紙に込めた思惑は少しだけ叶うコトになる。

カズキから「まひろたちみんなから」の花束を差し出された桜花は、ただひたすらに喜んだ。
「みんな本当に心配してたんだ。早くケガを治して、今度はみんなでお茶でもしよう」
傍らで、カズキが微笑んだ。
その言葉と表情に、人は人を見捨てない。そんな当たり前のコトを桜花はしみじみと実感した。
あと1日、秋水が修行に行くのが遅ければ、彼もそれができたのに。
謝るコトもなく、ただ自分の為に修行へ行けたのに。
「本当にいい香り… 秋水クンにも届けてあげたいくらい…」
今は離れた弟を思い、満面の笑顔に薄い涙を浮かべた。

この時、銀成駅構内に佇んでいた秋水を、風とは違う空気が撫でた。
ふわりと逃げ去ったそれが花の香りだと気づき、秋水はあたりを見回す。
しかし花を持っている人間はいない。駅のホームに花壇などがあるワケもない。
「…気のせいか」
病院にいる時はずっと寝ていなかった。そのせいかも知れない。
「──だとしても、いい香りだった…」
甘く柔らかく残る匂いに、秋水はしばし相好を崩した。
ィレ'二二二二くrヽ 面倒くさいと思ったら以降8レスは
/ ,, ● ・ ,, ヽ    読まなくていいです。
! ( O R )  !  簡単にいえば韓信…じゃなくて御前は
ヽ、   ▽   ノ    カズキと斗貴子を覗こうとしてドタバタしたというコトです。
/`'ー−一 ´\      そしてむしろこっちが本題だというコトです。  
                 (元ネタ 横山光輝「項羽と劉邦」 文庫版5巻320P)

※私信 この1レスだけは収録しなくてもいいです。>SS保管人さん。
いつもお疲れ様です。
時間は流れ、戦士長たち3人が寄宿舎への帰途についた頃。
S−405室にて御前は歯軋りしていた。
「天はこの御前を地上に生まれさせながら、何故傷女まで生まれさせたんだよぉ…!
人生ってのは無情だ… ちょっとカズキンをからかっただけなのに」
─今度フザけてみろ、ブチ撒けるぞ…─と、額を刺された怒りは冷めやらぬ。
煎餅を口に放り込むと、バリバリと凄まじい音で噛み砕く。
桜花はやれやれといった顔で、読んでいた「あばれ天童」を閉じた。
「まぁまぁ。津村さんだって不意のコトに焦ってたんだし。
狂け… お腹すかせたワンちゃんに、ちょっかい出したら噛まれるでしょ?
それと同じで、御前様の自業自得よ。確かに、津村さんは胸も色気も思慮もないけど
調整体に比べればいい人なんだから。我慢しましょう。ね?」
ちょっと困った顔で笑いながら、額を撫でる手はとても優しく暖かくて
御前は「聖母だ…!」とか思ったが、しかし拳を固め訴える。
「け、けど、このままじゃオレたちは敗残兵なんだぞ桜花! 陣内だって金城だって何のために死んだかわからねぇ!
大暴れしてやろうぜ! 傷女とバルスカの両方の鼻をあかしてやろうッ!」
「…御前様、あなたは一番…今の私に似てるわね…」
変わり身早いが、まぁ御前のいうコトにも一理はある。斗貴子の恐怖の前に引き下がってよいワケはない。
ノミっているよな。あの虫…まぁいいか。要するにその恐怖に立ち向かい克服するのが人間の素晴らしさだ。
誰だってそうする。秋水だってそうした。桜花もそれに倣うと決めた。大切なのは真実に向かおうとする意思なのだ。

「…そのね、私にも計が無いワケじゃないけど、御前様にだってまったく無いワケじゃないでしょ?」
と、御前を促す。仕返しするつもりはない。影を浮かべてるけど。
「あるにゃああるが」
「じゃあ、それぞれ自分の手にその計を書いて見せ合いましょう」
御前が枕元の棚から取り出したペンでもって、お互いに何事かを書き終わると
「いっしょに開きましょう」
手を開いた。書いてある文字は「薬」と「薬」。思わず二人は笑った。
指をそろえた手を前に突き出し、本当に嬉しそうな表情で大口を開ける、ごくごく一般的なポーズで。
意識共有してんだからこんな真似する必要ねぇ! とか思いつつ、二人は笑ったのだ。
「薬」については、秋水が服を脱いだあたりで少し触れた。(司馬遼太郎風)
コトの起りは、桜花と秋水が入院したその日に遡る。
戦士長が、「(桜花たちの家から)身の回りの物を持ってこようか?」と言った。
その見た目から、桜花は「下着を取られるに違いない」と思った。
お願いしますと笑顔で鍵を渡しながら、御前を先回りさせ、下着と
ついでに媚薬をはじめとする性癖がバレそうな物品の数々も回収した。
そういう経緯があり、今、「薬」は桜花の枕元近くのロッカーに置いてある。
ちなみに、身の回りを持ってきてくれた戦士長がヒドく落胆していたり
桜花が笑顔で「ありがとうございます。ところで顔色悪いですけど大丈夫ですか?」と言ってあげたりしたが、以上は余談。

とにかく、薬を使う。
薬にも色々あって、例えば、秋水が、許しを乞う桜花の柳腰を押さえつけて半日近く突き続けるのもあれば
スプーン一杯の粉を舐めるだけで全身が性感帯になると言った、世間一般のイメージそのままのベタな代物もある。
今回使うのは後者。作り方も書いておこう。
月夜の晩の丑三つ時にヤモリと薔薇とロウソクを、焼いて潰して粉にすれば出来上がり。簡単でしょ?

「けど、粉じゃカズキンまで巻き添えをくらうぞ」
そうなると、”初めて”に臨むカズキの自然な姿が見れなくなる、御前の言いたいのはそれだ。
先ほど「あるにゃああるが」と言ったのもそういう懸念に基づいている。(司馬遼太郎風)
「簡単よ。コレを水に溶かして、小瓶に入れれば」
「ナルホド。オレの作る針につけて、毒矢のように傷女だけを撃てるな。で、天井裏から狙う。
命中すればヤツはひっきりなしに感じまくって、一方的にカズキンから貪られるってワケだ!」
「さすが御前様、飲み込みが早いおかげで話がサクサク進むわ。画面の前のみんなも大喜びね。
けど、武藤クンと津村さんの「初めて」が終わってからするのよ。 …私にだって分別くらいあるんだから」
秋水との別れと、カズキと斗貴子の「初めて」は、その関係に劇的な変化をもたらすという点で
桜花には同じ意味に思える。だから邪魔はしたくない。(筆下ろし云々も冗談だ)
まぁけど、二度目から最後の一つ前までは大して代わり映えしないから邪魔していい
と言うのが桜花の理屈だ。いやダメだろそれも。(司馬遼太郎風)
そのしばらく後、管理人室の屋根裏に御前はいた。
500円玉くらいの覗き穴から、しどろもどろな様子のカズキが見えて、御前の頬は緩む。
だが、その横で服を脱ぎ捨てた斗貴子を見た瞬間、目は濁った。
「もう少ししたら、こいつで乱れてもらうとするか…」
早く使いたいとばかりに小瓶を振ると、体に悪そうな鮮やかな緑色がゆらゆら揺れた。御前様のアホ毛も揺れた。
「このオレの洋々たる未来の為に…!」
乱れた斗貴子の様子を一言一句記憶して、口真似してやるぞ。
うん。そういう距離の近さが世界を開く第一歩に違いない。違いないぞ。
(だから見てやるわ見てやるわ、津村さんが武藤クンに貪られるのを。四字熟語でいうなら「勧善懲悪」ね)

拙いストロベリーな「初めて」に可愛い顔になるカズキン、媚薬で女のコみたいに喘ぎ狂う傷女などなど、
今から始まるであろう光景を思い浮かべた御前はヒャッホウな気分だ。小さく叫ぶ。
「オレの理想! それは自分の肉体はいっさい傷つかずに思い通り動かせて
なおかつ一方的に傷女をいたぶれる… そんな能力っ…!!!」
「…最低の発想だね。そういうのは自分の手でしてこそなのに」
「それがコレだ…って誰だ!」
不意に後ろからした声に、ビビりつつ振り返ればヤツがいる。ヤーヤーヤーな気分だ。
「……グットイブニ〜〜ング! エンゼル御前様…!!」
パピヨンがいた。上下に狭い屋根裏ゆえに四つん這いしてるのが妙に可愛い。

埃が舞うのを、御前は視界の片隅に認めながらしばし佇む。
頬を汗が伝うのは、閉じた空間の蒸し暑さのせいでもないだろう。
「待て、なんでオマエがここにいるんだ」
愚にもつかない質問をされたパピヨンは、濁ってるくせに晴れやかな顔で答えた。
「武藤と津村斗貴子が”修行の仕上げ”をするって聞いたからね。見に来たのさ」
片手をピストルの形にしながら、御前に向ける。小瓶を意味ありげに見つめつつ。
「いうなれば、『天井裏から愛を込めて』って所だね」
「込めるな。つーか帰れ」
御前のツッコミに、パピヨンはぱぁっと嬉しそうな顔をした。躁病患者の空っぽな表情にやや近い。
「武藤の蝶サイコーな声を聞かずに、帰るワケないじゃないか!」
頬に薄紅に染めながら、伸ばした爪でもじもじと覗き穴を開ける。御前は背筋に寒いモノを感じた。
その時、階下で斗貴子が、早坂姉弟がどうとか言ったような気がした。
御前はそっちに耳を傾けようとしたが
「ああところで」
ずいっと顔を近づけてきたパピヨンの強烈さに遮られ、次いで媚薬が取られた。
「こんなモノを使って何をする気なのかな?」
ゼロ距離に濁った目がある。これは怖い。御前は失禁した。魂の汗とかじゃなく、尿 を ね 。
「そ、そりゃ、ここが暑いから飲むんだよ。それってメロンソーダだぞ。いや本当です。ヨン様ってばぁ」
媚びた表情で怒られまいとウソを言う。…あんた、恐怖を克服するんじゃなかったのか?
「ウソつけ。これは『媚薬』、それも性感促進作用のあるヤツだろ。匂いで分かるんだよ」
「ええ!? いつの間にメロンソーダがそんな物騒な代物にぃ!!?」
あくまでシラを切ろうとする御前に
「言い張るな!」
パピヨンは小声で怒鳴ると、殺意も露わに股間へ手を突っ込んだ。御前は抵抗する気力が消えた。つか萎えた。
「大方、武藤の邪魔をしようとしたんだろう」
「いえ傷女の方を。ももももちろん、初めては邪魔するつもりは! それだけは見たいんだぞっ」
「同じコトだ。アイツ自身の力で最初から最後まで特訓の仕上げをさせずしてどうする!」
むしゃくしゃしていてつい出来心でまさか死ぬとは思わなかった今は反省している、
などと呟く御前などお構い無しに、パピヨンは続ける。

「エンゼル御前… いや早坂桜花! キサマは間違っている!
なぜなら、キサマが乱そうとする津村斗貴子もまた、武藤カズキを受け入れる者! 
いわば、武藤の一部! それを忘れて、何が覗きの! 初めての鑑賞だ!
そう、よがり狂っている津村斗貴子を貪らせての仕上げなど、愚の骨蝶ォォォォォォォォッ!!!
痛みを感じてもがく津村斗貴子を、『優しくするから』と困った笑顔でなだめる武藤を見ずしてどうするッ!!
『子供は…オレが一人前になってからじゃないと…』とか言ってゴムをつける全・開!な偽善者振りを見ずしてどうする!!
キサマはッ 目覚めていく未来の世界を諦めない俺のdヵdぁjdゴパァ!!」
盛大に血を吐きながら、しかし恍惚とした顔のパピヨンに、御前は目からウロコが落ちた。
(そうだ、そういう見方だってあったんだ! 
オレは、オレは! 傷女ごとき石くれのために、あやうく宝玉を逃す所だった!)
御前は泣いた。泣きながら言う。
「すまねぇ、オレが間違っていた。だから媚薬返せ」
「返さないよ。キミは面従腹背の女だからね」
哀れ媚薬は股間にしまわれた。もう取り返せない。ああ冷たい消滅命の抜け殻。
そしてヒロインの扱いがヒドすぎだ。

「ところで、なんでオマエはコレが媚薬と分かったんだ?」
当然の疑問である。なぜ匂いを嗅ぐだけで分かったのか?
「…答える必要はない」
濁った目で思いっきり御前を睨む。
実は、この媚薬は人間時代の花房も愛用していて、パピヨン自身も色々な所に塗られていたのだ。
だから分かったのだが、理由は言わない。言いたくも無い。
彼にとり、この媚薬の匂いは彼を捨てた花房の匂いなのだ。
御前はそんなコトなど知らない。
ただパピヨンの目に、秋水も浮かべていた寂寥を見出して、複雑な気分になった。
ああちなみに、どのセリフも小さな声で言ってるから、下の連中には聞こえない。聞こえないのだ!

「とにかくだ。武藤を見よう」
パピヨンの提案に、本来の目的を思い出した御前は従う。
ああ下はワンダーランド。カズキが服を脱いだぞォ!
すぐ横でパピヨンが「あ、武藤が俺の方向いた!」とかはしゃいでいる。
(ちなみにこの時、カズキは『天井裏にパピヨンいたら似合いそうだなぁ』と思っていた)
そしてカズキの屹立が咥えられた。そのカズキの顔に天井裏はヒートアップだ。
御前とパピヨンは目を合わせると、まるで百年の知己のごとく互いに親指を立てた。
不思議なもので、好きなモノを共有しているという感覚がそうさせる。斗貴子の頭邪魔だなオイとも思わせる。
御前は思った。開いた世界は楽しいと。秋水にも見せてやりたいと。
喜ぶわけないだろ。
その後パピヨンと御前が、斗貴子によるサディスティックな
命を賭けて誇りを守る野獣のような愛撫を見ていると
突如として、黒いコードがパピヨンだけに襲い掛かってきた。

何故か御前は無視されたから、
「おー よくワカランがこれでゆっくりカズキンが見れるなッ!」
と喜んでいたら、がしぃっとパピヨンに左足を捕まれてしまい
哀れ階下の管理人室に引きずり込まれ、そこで恐ろしいモノを見た。
百獣魔団の団長さんなら「オッ…オレに聞かんでくれえッ!!!」と泣くような出来事だ。

御前はあまりよく覚えていない。
覚えているのは、陵辱されすすり泣くパピヨンの声と
戦士長から「御前、オレと一緒に地獄を味わえッ!」と
なんたらという秘孔を突かれ、武装解除で逃げれなくなり
桜花が一人で夢の世界に行ったせいか、御前にM字型の髪が生えて
「…御前様、あなたは一番…今の私に似てるわね…」っていう言葉を思い出し
いや似てるも何もと思いながら髪を握ったり、それが3分ぐらいで引っ込んだりとまぁ、色々あった。
そして御前は戦士長から、カズキの様子が収められたビデオを購入するコトになった。
落ち着いてから聞いたが、戦士長はカズキと斗貴子を盗撮していたらしい。
で、そこに来た岡倉が紆余曲折を経て武装錬金を発動し、あんな惨状を招いたとも。
御前は思った。核鉄欲しさに命を張り、そして散っていった太と細と震洋の立場は?と。

しばらく後、御前は病室に戻った。
結局、媚薬を使わなくても受け丸出しだった斗貴子をマネしてから、
「『裏切りはいつでも 爪を研ぎ待っている』 そう信じるのなら 前には進めない、だな。
つらいコトがたくさんあったが… でも楽しかったな。ブラ坊たちがいたから今夜は楽しかった」
しみじみと御前は語る。桜花は水滸伝を受け取り、笑みをこぼした。
「そうね… 楽しかった…(ヘンなモノ見ちゃったけど) 心からそう思うわ……」
互いに「おやすみ」といい、御前が核鉄に戻ると、桜花は考える。
カズキを映したビデオも手に入る。斗貴子のマネもできる。
腐ったポジションのキャラとしては異例の大勝利だ。ビデオとか没収されりゃオチになるのだが。
それはさておき、二人の男性のコトも考える。
秋水はいずれ、カズキと斗貴子のごとく、誰かと仲睦まじくなるのだろう。
カッコいいのに奥手な所があるので、いつになるかは分からないが。
もしそういう相手ができたら、意地悪してしまいそうな自分がいて、苦笑を漏らす。

そしてパピヨン。媚薬のコトを聞いた時、秋水と似た寂寥を濁った目に湛えていた。
きっと彼も別れを知っている。桜花と秋水とは違い、何ら納得できない理不尽な別れを。
それを恐れていたせいか、少しパピヨンが近しく思えた。

もし、蝶野攻爵時代の彼を知っていたのならば、それは一層強まっただろう。
信じた人間のウソを知り、親に捨てられ、誰にも声を聞かれなかったという
桜花や秋水と非常に良く似た背景をパピヨンは持っていたのだから。
「一人ぼっち」か「二人ぼっち」。命運を分けたのはそれだけかも知れない。

桜花は消灯を迎えた病室で、御前が借りてきた水滸伝も読まず、じっと手を見る。

パピヨンの前に、手を握り、存在を認める人間が現れたのならどうなるだろう。
対等な関係を嫌う性格だが、しかしそれでも、どこかで救われるとは信じたい。
信じた所でパピヨンは喜ばないし、そうする義務もないのだが、桜花は信じたい。

手を見ながら、くすり…と笑う。きっと秋水も同じコトを言うだろう。
(秋水クン、今はどこで何をしているんだろう。ちゃんとご飯食べたかな…)
ふと弟を考えながら時計を見れば、時刻は午前1時にやや近い。
この時間ならば眠っているだろう。どこにいても寝相は変えずに。
(あ…そう言えば)
桜花の思考は定まらない。先ほどの様々な出来事がそうさせているのだろう。
唐突に武藤まひろの顔が思い浮かんだ。
秋水はカズキと「相性がいい」らしい。そしてパピヨンもカズキに妙な敬意を払っている。
(だったらまひろちゃんは、秋水クンにもパピヨンにも好かれるかも…)
弟とパピヨンを同列に考えているのも妙な話だが、それに気づかないままに考える。
黒々としたモノを抱えている二人には、ああいうズレた真剣さが似合うし、救いにもなるだろう。
そんな結論を頭に描く。ありえない想像だが、それも楽しい。

もし秋水とまひろがケッコンすれば、カズキと今以上に近くなれる。そういうのも悪くない。
まぁ御前がいたら、「傷女と親族になるんだぞッ!」と勝手な決めつけで怒るだろうが。

うきうきとした気分で未来を想像しながら、桜花は寝るコトにした。
起きたら御前をカズキたちに同行させよう。
一人一人の開いた世界を守ろうとしている彼らの力に、少しでもなれるよう。

決戦を知る人も知らない人も、そして修行に臨む秋水も。
今だけはいい夢が見れますように。
誰にともなく祈ると、桜花は静かに眠りについた。


早坂秋水は入院から退院まで、一睡もしなかった。
そうさせた葛藤や憂いは今は消え、彼も静かに眠っている。
ただ深く、ただ安らかに、秋水は夢を見る。


彼らがかつて彷徨った灯のない世界は、変わらぬ静けさで眠りを包む。
この夜の様々な出来事も、出会いも別れも、ただ静かに包んでいく。
その中を一人の男が飛翔し、街を一瞥して少し笑うと、やがて深い森へと消えていった。

と、言う訳で→                                   続く。
485名無しさん@ピンキー:04/09/02 00:34 ID:yrRNNaw0
蝶・乙です
シリアス編読み終わったとこにナイスタイミングで
ギャグ編が投下されていてワラタ
ツェペリさんの人間賛歌ネタが懐かしい
486名無しさん@ピンキー:04/09/02 17:25 ID:naVcyHKc
>>476
GJ!二種類の桜花を堪能したよw
487名無しさん@ピンキー:04/09/02 17:58 ID:nXym/dqL
乙そしてGJ
今回投下分で一番萌えたのは実は花房の辺りだったり。
488sage:04/09/03 15:36 ID:1THWjdKm
乙でした!
笑い転げつつも切なくなった……。
GJ
489488:04/09/03 15:37 ID:1THWjdKm
うわやっちまったorz
490名無しさん@ピンキー:04/09/05 23:58 ID:3VCByR4w
カズキ×桜花たんキボン
491名無しさん@ピンキー:04/09/06 00:33 ID:W5XIAXpf
むしろ、カズキ×桜花前提の桜花×パピヨンギボン
492名無しさん@ピンキー:04/09/06 11:58 ID:mrKIxmGr
>>491
死ぬほどイラネ
493名無しさん@ピンキー:04/09/06 13:33 ID:ANMFeIxt
>>492
だが今週号の流れからすればアリかもしれんw
494名無しさん@ピンキー:04/09/06 15:34 ID:Av1SKZ6l
ないな
495名無しさん@ピンキー:04/09/06 17:52 ID:L/Gpk4HL
じゃあブラボー×千歳キボン
496名無しさん@ピンキー:04/09/06 23:08 ID:iFwiq17P
ブラボーは幼女趣味だからなー
497名無しさん@ピンキー:04/09/06 23:49 ID:LYMTTtgh
>>484 乙です!
いつもながらジョジョネタ最高!
イギーのとことか笑い死んだ。
498名無しさん@ピンキー:04/09/07 18:18 ID:8Zd/UO+T
>>482
>>斗貴子によるサディスティックな命を賭けて誇りを守る野獣のような愛撫を見ていると

DragonRoad吹いたw

「つまり斗貴子さんは10人目のライダーだったんだよ!」
「なんだt(ry

作者様グッジョブ!!
499名無しさん@ピンキー:04/09/08 14:54 ID:XkiXQEEs
tp://www.easythumbs.com/fdfdddd/mangaman/01/
こんなの発見
「『橘さんが銃をバババーって撃ってる時にかかってる曲』下さい!」
「はい?」
変人バーガーに見切りをつけ、CDショップ「しろへび」でバイトを始めた少女は困った。
心機一転頑張るぞと意気込んだ初日、しょっぱなからヘンな客が来やがった。
指を突き出すやや幼い顔つきのその客は、銀色の変態衣装やら蝶々覆面に比べれば
平凡な、いやむしろ愛らしい容姿だが、にじみ出るオーラは何つーか前者二つよりも厄介な雰囲気だ。そもそも橘さんって誰よ?
「あのうちは… マリリンマンソンとかヨーヨー・マとかの洋楽しか…」
「あった! これのコトだよー」
口を挟む間もなく、人生楽しくてたまらないといった勢いの顔が、レジ前に置いてある赤いジャケットのCDを差し出してきた。
”「仮面ライダー剣(ブレイド)」 オープニングテーマ Round ZERO〜BLADE BRAVE”と書いてある。
いや、ジャケット見て分かるなら最初からタイトル言ってよ。
などと思いつつ胃の痛みを抱えつつお会計を済ますと
「ありがとう。また来るねー」
厄介な客第一号はお釣りをレジ横の募金箱へ朗らかに入れ、去っていった。
(できれば来ないで! ああ、なんで私が働く先々にはヘンな人が来るのよ…)
バイト少女は泣きたくなった。バイトはまだ始まったばかりだ。ガンバレバイト少女。

さて数時間後、その厄介な客第一号こと武藤まひろは寄宿舎の廊下をほくほくした顔で歩いていた。
(これでちーちんとさーちゃんとの約束が果たせるよね)
桃園で友情を誓ったり誓わなかったりする彼女たち3人は、お金を出し合いこのCDを買う約束をしていたのだ。
主題歌もいいが、カップリングされている挿入歌はそれ以上に良いのだ。
そして今それを手にちーちんの部屋へと歩いている。ルンルン気分で。
途中、大浜が前を歩いてのが見えた。手には白色のCDラジカセを持っている。
「あ、大浜先輩、また水飲み場へラジオ聞きにいくのー?」
ブンブンと右手を大きく振りながら声をかけると、大浜は彼らしくのっそりと振り向いた。
「うん。あそこが一番ラジオを聞きやすいから」
ラジオ番組への投稿が趣味の彼にとり、採用されていてもそれを聞けなければ意味がない。
そして外の方が、とりわけ何故か水飲み場が一番ラジオが聞きやすい。
だから外へ行くのは必然なのだ。
「ところでまひろちゃんはドコへ?」
良くぞ聞いてくれましたとばかり、CDを警察手帳のようにビシぃっと差し出すと
「コレを聞きにちーちんの部屋へ!」
幸せそうに笑った。そして思い出したかのように「ところでお兄ちゃんと斗貴子さん見なかった?」と訪ねた。
「カズキ君とはコンビニで会ったけど…帰ってからは見てないよ。
斗貴子さんは病院で見たっきりだね。あと岡倉君もいないけど、どうしたんだろ」
「ブラボーもいなかったよ」
と言うのは、病院からCDショップ「しろへび」を経由して寄宿舎に戻った時のコトだ。
ちーちんがあいにく外出中だったので、CDを聞くのは後にして、さーちゃんと管理人室へ遊びに行った。だが誰もいなかった。
その頃戦士長は、キレた斗貴子を相手に聖サンジェルマン病院の屋上で必死こいて戦っていたせいだ。
で、誰もいないねーとかいいつつ黒板を見ると、誰が書いたのかすごく謎な「カズキ・斗貴子」てな字が相合傘が目に入った。
「あー私もー!」
こういうのが好きなまひろは、目をきらきらさせながら「お兄ちゃん・斗貴子さん」と相合傘を書いた。
それを当の二人に見てもらいたくて、しばらく親友二人との約束も忘れて探し回ったのだがいなかった。
大浜にカズキと斗貴子の所在を尋ねたり、帰ってからちーちんの部屋に向かうまで時間が空いたのには
以上のような理由がある。

ちなみにその頃、まひろにつられる形でさーちゃんが書いた「岡倉・ちーちん」という相合傘が
思わぬ波紋を管理人室とちーちんの部屋に広げていたのだが、間接的な元凶のまひろは全く知らない。
「せっかく相合傘を書いたのに、なんか寂しいねー」
などとのん気に大浜に言ったりしていた。

「じゃあまた明日ー」と去っていたまひろを見送った後、大浜は気づいた。
「あ… 海水浴のコト、言った方がよかったかな?」
そのコトを深く悩んだりもしたが、脳裏に浮かんだ『愛=理解! 海水浴=スクール水着! 誰か一人くらいはッ!』という思いに吹き飛ばされた。
特にさーちゃんは、スクール水着の正当な後継者たる顔と体型だから、大浜はすごく楽しみなのだ。
想像にランドセルを付与してみた。……おお! すごくいいぞ!! 想像力バンザイ!
大浜はハッピーな気分に浸った。その夢がカズキの一言で瓦解するとも知らず。
ちーちんの部屋への道すがら、まひろはさーちゃんも誘うべく彼女の部屋に寄ったが、誰もいない。
「ちーちんの部屋かな」と、別段疑いもせずにまひろは歩き、やがて目的地に着くと

コンコン。

古い引き戸をノックして、極めて脳天気な声でいう。
「ちーちんいるー? まっぴーだよー CD買ってきたから一緒に聞こうよ〜」
この時、ちーちんとさーちゃんは部屋にいたのだが
諸事情により女同士でイケない行為をしていたのでひたすらに黙った。
「あれ? ちーちんもいない… さーちゃんとどこか出かけたのかな?」
うーんと考えるが、どうも心当たりがない。
(そういえば最近のお兄ちゃんも夜はどこかに出かけてる… 
岡倉先輩もブラボーもどこか行ってるみたいだし、夜に出かけるのが流行っているのかな)
「じゃあ待ち伏せだ! 何を隠そう私は待ち伏せの達人よ───ッ!!」
「いや帰ってよ!」と部屋の二人に突っ込まれたのも知らず、まひろは部屋の前へ腰掛けた。

その近くの天井裏で、夢を見ている者がいた。

夢の中の彼は、座り込み、ホムンクルスに体を侵食され喚き散らす花房をぼんやりと眺めていた。
未踏の領域への期待感と昂揚を含みながら、表情は何もない。
床に血だまりができていた。いつの間に吐いていたのか。
用はないと気だるく言った顔が「大丈夫ですか創造主?」と眼前に屈み、ハンカチを差し出した。
叶った安い願望を無表情のまま跳ね除けて、ベッドに潜り込みむと、天井をぼぅっと眺め始めた。

そこで意識を取り戻した彼─パピヨンは、まぁそんなコトもあったかな。と思った。
「当面の問題はだ…」
ここがどこか分からない上に、毒のせいで体調は最悪だ。武装錬金も消え、目すら霞んで何も見えない。
体のどこよりも尻が痛い。尻肉と天井板の間に手を入れ軽くさすると「すまない武藤カズキ」。小声で謝った。謝るなよ変態。
読者の中には、パピヨンの身に何が起こったのか覚えておられる方もいるだろう。(横山光輝風)
要約すると、彼は、武藤カズキと津村斗貴子の「仕上げ」を覗く為、天井裏へ侵入し、
桜花と秋水の意思の下に悪巧みをしていたエンゼル御前と遭遇、媚薬を没収後
岡倉英之がたまたま発動させた武装錬金に階下へと引きずり下ろされ
戦士長ら3名とビデオの処遇について揉めた後、運悪く毒を受け陵辱され
ちーちんとさーちゃんがその場に入ってくると、それで生じたスキを突き天井裏へと遁走したのだ。
どこをどう逃げたのか。彼は今、まひろの近くにいる。大浜ともいずれ絡むだろう。(六舛孝次/談)

「想像してたよりなんてコトはなかったな… むしろカイカンだけど」
荒々しい無機の異物感を思い出すと、まだ血の滴るそこがムズムズしてきてたまらない。
「一度狙った獲物(カズキの様子ね)を二度も逃がすなんて生まれてはじめてだ… ちょっと許しがたいねあのエロスは…」
死神っぽいセリフも吐いてみる。ダイ17巻P116のだ。
仮面は既にクリアしてるから、あとはバルスカと御前を使えれば13本の透明な刃やらトランプを使えるだろう。ごめんね。分かり辛い例えでごめんね。
それはさておき、蒸し暑く淀んだ空気の中で、ジトジトと嫌な汗が滲む。
無様だと思う。嫌いなイモ虫のごとく動けない自分を。
「一人では高くも遠くへも飛べない出来損ない」
盗み聞いたバタフライの言葉を反復し、くくっと笑う。逃げを打った点ではそうかも知れない。
(だが世界のせいだ)
いつだって何かを得ようとする度に、世界はそれを阻む。
栄誉は病魔に、不老不死の夢は弟に、ビデオテープは変態どもに。
常に阻まれ、変わりに欠陥を背負わせる。誰もかもが一つ覚えの嘲笑と優越感とで見下せる欠陥を。
(それでも飛ぶさ)
予想外に出てきた高熱に息を激しくしながら、核鉄を手にとり武装錬金を再発動した。
ニアデスハピネス。
暗闇に溶け込む黒色火薬の蝶の群れが、彼の背中へと集まり羽となる。
(とりあえず横だね。横が一番いい)
上の屋根はブ厚いから無駄手間がかかる。下にはせせら笑う人間がいる。
脱出するならば、円滑に吹き飛ばせる横の壁を探さなければならない。
幸い無事な聴覚を集中し、ここがどこか分かりそうな音を一つ一つ拾っていく。
パピヨンの左からは、雑談やら女同士で絡んでいるらしい甘ったるい息と声が
前からは歌のようなモノを唸り散らしている女の声が、それぞれ聞こえた。
かすかに覚えている寄宿舎の間取りとそれらを照らし合わせる。
(つまり、左が部屋で下が廊下だな。というコトは)
右へのろのろと這っていき、手で闇先をつついてみる。はたして、壁があった。
基本的にこの寮は、屋外と部屋が廊下を挟んで向かい合う構造なのだ。
些細なコトだが、推察が当たるのは心地よい。
パピヨンはニヤっと笑いながら黒死の蝶を一匹、手元に手繰り寄せた。
脱出してもアジトには戻らず、どこかその辺りで回復をまとう。
野ざらしで臨死の恍惚を味わうのも悪くは無い。保護されるよりは。
皮肉めいた笑みを浮かべ、手をかざし蝶を飛ばそうとした瞬間。
バケツを床に叩きつけたような音が天井裏に響いた。
大量の血が口から溢れたようだ。
しまったと思う間すらなく。
コントロールが乱れた蝶は下の板に着弾し、パピヨンもろとも吹き飛ばした。
意識は一度、そこで途切れた。

「気のせい?」
この時、水飲み場でラジオを聞いていた大浜は
寄宿舎の方からかんしゃく玉が弾けたような音を耳にした。

「何っ!?」
まひろは驚いた。突如、屋根が乾いた爆音と共に崩れたかと思うと、何か降ってきたのだ。
立ち上がり、おそるおそる近づいていくと、蝶々覆面をしたなんとも奇妙な格好の人物が
焦げた天井板の破片と共に横たわっている。
「うわ、変態さんが降ってきた!」
驚愕の声を上げたが、しかし、ぴくりとも動かず所々に傷や火傷があるその変態さんを見ると
看護の達人としての使命感が巻き起こる。
「手当てをしなきゃ!」 あ、丁度あんな所に荷物とか運ぶのがあるっ! 何を隠そう私は搬送の達人よッ!」
都合よく存在するカートを持ってくると、変態さんを乗せてまひろは走る。
走りながら探し当てる最後の(最後の)切り札といった気分だ。
ガラガラ走る! メロスのようにまひろが走る!
風に栗色の髪をなびかせながら、グラグラ揺れる変態さんを見ると、まひろは思い出した。
「ひょっとしてこの前お兄ちゃんが探してた人かも!」
掟をつらぬいて朽ち果てれれば不老不死などどうでも良さげな似顔絵と比べると
線が細いが、しかし仮面は同じ蝶々だ。
「でも、配色間違ってるよね。ちょうちょならピンクと白のが可愛いのに。そして部屋へ到着ー!」
引き戸を跳ね返るほどの勢いで開け、カートを中に入れた。

ふぅふぅと息をつきながら、座椅子をベッドに敷き、カートに横たわるパピヨンの左腕を
自分の左肩に預け立ち上がったまひろは、一拍置いて、やや深刻な顔をした。
「お兄ちゃんより背が高いのに…」
体重を預かっている変態さんはひどく軽い。
ちらりと右を見てみると、仮面越しでもわかる大まかな顔の造りから
さほど年齢は離れていないと分かる。だが、雰囲気に溌剌とした若さはない。
「若いのに苦労してるのかな… でもなんで天井から降ってきたの?」
一人ごちながら、まひろはパピヨンをベッドの上に横たえた。
その足元、部屋の片隅にある淡いピンクのビニールロッカー(服を収納する家具)を開けた。
取り出したるは看護婦の制服一式だ。それとパピヨンとを交互に見比べて、うーんと唸るとまひろは呟いた。
「その、ちょっとだけガマンしてね。…見ちゃダメだよ?」
掛け布団でパピヨンの顔を覆うと、もぞもぞとした動作で長いスカートを脱ぎ、どこかの豚さん曰くの「下着」を露わにした。
そのまま、パピヨンをちらちらと見ながら、クリーム色のシャツのボタンを外す。
やがてシャツも床に落ち、たわわに実った胸が、下着一枚越しに外気へと晒された。
ほんのりと赤い顔でパピヨンに背を向けて、彼女にしては迅速に看護婦の制服を着てナース帽を被る。そして一言。
「これで完成! 看護婦! まひろ!!」
ちょっとパピヨンが反応したが、知らぬまま服をビニールロッカーに投げ込んで、布団を元に戻した。
次に、机とベッドに挟まれている本棚の上から救急箱を手にすると
取り出した脱脂綿で、パピヨンについた血やススを拭き取っていく。
真剣な面持ちでそーっとそーっと、傷口を探し、触れないように。
やがてそれが終わると、薬指に軟膏をつけて傷口に塗る。
ふと、指の動きが止まった。
「熱があるかも?」
軟膏越しに触れる肌はじんじんと熱い。
手を伸ばし、蝶々の触覚を模した仮面の部分に潜り込ませて、自分の額のそれと比べてみる。
「ウン、やっぱり熱い。37度7分くらいある」
一人で勝手に喋るのはクセらしい。薬箱から体温計を取り出すと、血色の悪い唇に突っ込んだ。
「ポッキーと似てるけど食べちゃダメだよ。食べても卵や牛乳飲んだら大丈夫だったけどね〜」
食べたコトあるのか? まぁそれはさておき、ビニールロッカーの隣(正確には多少の隙間がある)の小型冷蔵庫の前へ行く。
その中から2リットルのミネラルウォーターを、上からは入浴用の洗面器とタオルを、それぞれ手に取った。
「あと2分くらいかなー その間にタオルの準備準備」
とぷとぷと洗面器にミネラルウォーターを注ぎ、更にタオルを浸してぎゅーっと絞る。
「もうそろそろ。……ホラやっぱり37度7分。寝てた方がいいね」
小声で一人呼びかけながら、体温計を引きタオルを乗せる。
「このちょうちょの触覚の部分って、タオルが固定できるから便利だね。
…あ、そうだちょっと待っててね。変態さんが見つかったってお兄ちゃんに知らせなきゃ」
ひたすら一人で喋りながら、まひろは一旦部屋を出た。カートも戻しにいくらしい。

その頃大浜は、野球中継の延長でお気に入りの番組が潰れたので
何かいい番組はないかと、ラジオの周波数を変えていた。
ちなみに彼のラジオの周波数の変え方は、ツマミを回す前時代的なモノではなく
デジタル式で調整が可能なタイプだ。CDプレーヤーのトラックを変えるような感じで変えられるのだ。
ボタンをぽちぽちと押して、9KHz刻みのAM放送を変えていく。
夜空の下でそんな地味な作業をするのも、ラジオを聞く醍醐味の一つなのだ。

目を覚ましたパピヨンは、一瞬、蝶野攻爵時代に戻った気がした。
嗅ぎなれたアーモンドっぽい部屋の匂いがそう思わせたのだ。
しかし自分の部屋ではない。ハッスルした鷲尾にブチ壊された部屋があるわきゃない。
「じゃあココはどこだ?」
額に置かれたタオルで熱が下がったせいか、視界は戻っている。
そして布団から漂う甘い匂いに気づき、奇妙なざわつきを感じた。
(毒のせいか… 体が動かないね)
辛うじて動く首でぐるりと部屋を見渡したパピヨンは、「…これは確か」と呟いた。
足元にあるビニール制の家具から、一歩半ほどの距離を置いた所に冷蔵庫がある。
彼が目を留めたのはそれではなく、更にその横に置いてある奇妙な形の器具だ。
その長さはパピヨンが伏せているベッドの幅よりやや狭い。高さもそれ位だ。
横から見れば「コ」の字を描くそれは、立体的には五本の線で構成されている。
まず下部は、真上から見下ろしたなら、アルファベットの「H」を引き伸ばしたような形だ。
四隅にキャスターが付いているその「H」の、パピヨンから見て右の交差点から垂直に、もう一本が上へと伸びている。
それは他の3本と同様、スチールでできているらしくクリーム色の塗料の上からでも冷え冷えとした空気を滲ませている。
登りきったその線は、横に伸びる茶色の線と交わり、「コの字」を完成させている。
茶色の線を上から見下ろしたなら、角の丸い長方形の板だと分かるだろう。
(だが何故ここに…?)
実はこの奇妙な器具を、パピヨン自身も使ったコトがある。入院している時に。
「ベッドサイドテーブル」というそれは、主に患者が食事をしやすいよう使われるのだが
彼にはあまりありがたい代物ではない。
いくつか種類があるらしく、今目にしているものとは違う真っ白なスチールの板の上へ
毎日毎日、まるで機械が図ったように同じ時間に、淡々と病院食を置いてかれたり
それが全部残っていても全部食べられていても、さしたる感情も感想も浮かべずに
淡々と皿を引いていく看護婦の顔が、パピヨンの気分を苛立たせ、透明な寒気を覚えさせた記憶があり、好きではない。
もっとも彼は蝶と自分以外の全てが好きではないが。
ベッドサイドテーブルの後ろへ目を移した彼は、記憶より寒い思いをし、しばし固まった。
彼の胸ほどの高さのカラーボックスの上に何かが沢山いた。
よく見ると、蛙井が買い漁るたび、巳田や猿渡や花房に粉々にされていたタイプの人形だと分かったが
なんだか雰囲気がおかしい。
計6体、並んで座っている人形の首から下は、服も肩も足の付き方も、どれもが硬くどれもがプラモデルのそれだ。
二の腕から突き出す三角形のパーツは、「鷲尾もこんな感じだったな」とパピヨンに思わせた。
前へと無造作に突き出された黒く巨大な握りこぶしからは、きっと鋭い爪が花開くのだろう。
体はどうもそんな戦闘的な印象があるのだが、顔は違う。

パピヨンは、ヒマなので「どうしてこんなモノが地上に?」と思いつつ、人形の顔を観察する。
日本人形的な不気味さを湛え、体との統一感の無さが異形を決定付けている顔を。

見れば、みな一様に小首を傾げている。どうやらコイツらも自身の存在を疑っているようだ。
と思ったが、しかしその思惑は「目」に打ち消された。
眉は薄く、眼窩は落ち窪み、存在を疑うモノはいつであろうと呪殺できる、
そんな威圧感を誇示するように6体全てが目を下へ剥いている。ぞっと悪寒が走り、体力が奪われた。
恐らく、この真っ赤な目こそが不気味さの根源なのだろう。
厚ぼったく結んだ唇から「オレァクサムヲムッコロス!」などと奇声が出ても不思議ではない。
そしてバナナの房のように額の辺りで分けているセミロングの青い髪の上に、張り紙がある。

「モッコスぐんだん さんじょう〜っ!」
この人形の名前はモッコスというらしい。きっと呪術人形なのだろう。
部屋の主が書いたのか、ひどく気楽な文字は下の不気味さがウソのようだ。
(作中は5月。これの発売は6月。時系列はおかしいが気にしない)
「あ 起きてた〜っ!」
張り紙の文字そのままの気楽な声が響き、パピヨンは横を向いた。その先の開いた扉にまひろがいた。
にこにこと頭が悪そうに笑っている女。パピヨンの第一印象はそれだった。
(だが看護婦? 寄宿舎にか? いや待てこの顔はどこかで…)
色々と考えてみたがどれも結論にはつながらない。
実はカズキが蝶々覆面を探している時、パピヨンとまひろは水飲み場で会っているのだが
人の顔と名前を覚えようともしないパピヨンは思い出せない。
まひろも同じく。パピヨンが仮面を被っていようといまいと
人の顔と名前を覚えてもすぐ忘れるまひろだから思い出せない。
じゃあなんで似顔絵は覚えてたのか? さあな… そこんとこだがおれにもようわからん。
とにかく言えるコトは、パピヨンは看護婦が嫌いで、まひろは変態さんを看護しようとしている。
それだけなのだ。
510名無しさん@ピンキー:04/09/09 16:54 ID:18h0r095
乙!
今度はいよいよパピですか
続きも楽しみにしてるよ〜
511名無しさん@ピンキー:04/09/09 17:23 ID:mEp3mjxQ
お疲れー
いやはやここまでの長編を書けるのはほんとすごい
512名無しさん@ピンキー:04/09/09 23:34 ID:ElIrIU6f
乙!
すげぇ、繋がってきた。続き楽しみにしてます。
513名無しさん@ピンキー:04/09/10 00:38 ID:XfqlLhyH
こいつはいつもそうだがカプが糞すぎて話にならんな
514名無しさん@ピンキー:04/09/10 00:51 ID:4/tW252q
久々にSS保管庫へ行ったら
武装錬金とるろうにだけで一つの部屋になってて驚いたよ。
みんな頑張った。蝶頑張った。
515名無しさん@ピンキー:04/09/10 16:45:58 ID:pKoxYsNn
>>513
同意。
今度はパピヨン×まひろか…('A` )キモ
516名無しさん@ピンキー:04/09/10 17:57:21 ID:ln12gvo+
パピヨン×カズキは…
517名無しさん@ピンキー:04/09/10 19:18:33 ID:YMD3Fc8W
801はスレ違い
518名無しさん@ピンキー:04/09/10 21:37:29 ID:y5IGKyxj
>513 >515
蓼喰う虫も好き好きって言うだろうが。黙ってろ。
519She wants to atone for...:04/09/11 01:57:09 ID:SGGQbume
深夜。
昼間の激しかった戦いが嘘みたいな静けさだ。
ヴィクターが去って行ったあの後、エネルギーを吸われた生徒たちにしかるべき処置を施すと、戦士長はこの夜のうちに本部へ向かった。
残されたカズキと私は、出来ることも無く、またいつもの生活に戻されることになる。
といっても、今夜は宿舎に半分しか生徒が居ないように、周りがまた”いつも”に戻るには幾分時間がかかりそうだ。

色々あったせいで寝付けない。
こんな夜更けだというのに、カズキの部屋を訪ねてしまう自分が居た。
甘えてしまっているのかな、なんて考えが頭を過ぎる。
「カズキ―――?」
ゆっくりと扉を押す。
案の定鍵はかかってなく、部屋は明るかった。
「斗貴子さん」
ベッドに腰掛けているカズキがこちらに顔をむける。
「やはり―――眠れないか?」
「うん・・・・・・昼間は色々あったからね。」
「私も眠れなくてな。こんな夜更けにたずねてきてしまってすまない。」
「いや、ぜんぜんかまわないけど。」
いつもの笑顔とは違う、少し影の入った微笑み。
無理もない、突然自分の体を変異が襲ったのだ。
いくらカズキだって不安にならない方がおかしい。
―――ぐっ、と唇を噛みたくなるのをこらえる。

520She wants to atone for...:04/09/11 01:57:49 ID:SGGQbume
「体のほうは大丈夫か?」
我ながらなんて間抜けな質問だろうか。
原因は私だって言うのに。
「うん、平気。あれからはなんともない。斗貴子さんは大丈夫?」
「ああ、平気だ。―――ありがとう。」
こちらの礼に、素直に頬を赤らめるのが可愛らしいなんて思う。

―――こんな風に思い始めたのはいつからだっただろうか。
始めはただ、真っ直ぐなところが好ましかった。
まるで危なっかしい弟のように感じていた。
私が止めようとしても、結局戦士としての道を選んだ、ちょうど修行を始めた頃。
真っ直ぐな力に、決意が加わって、少しだけ、頼もしくなった。
そうして今、共に戦う戦士としてここにいる。

―――嗚呼、この気持ちはいつからだったろうか。

「……カズキ。」
名前を呼ぶ。
カズキの瞳が「何?」と真っ直ぐにこちらを向く。
私は耐えられず俯いた。
「……本当に―――すまなかったと思っている。」
言ったとしても、ただ彼の重荷になるだけだと、そう判っていて口にした。
「私が、キミを巻き込んだ。」
視界が滲む。
いまさら許しを請う自分が腹立たしい。
顔が上がらない。
目を見ることができない。
521She wants to atone for...:04/09/11 01:59:07 ID:SGGQbume
カズキは逆に謝罪の言葉を口にする。
それは判っていた。自分がそれにすがりたいだけだということも気付いていた。
「私は何でもするといった。……カズキ。わたしを―――――」
「嫌だ。」
静かに、そして強く否定される。
「―――そういうと思っていた。」
本当の表情を隠すため、精一杯、薄い笑みを貼り付ける。

これは償いのはずなのに。
これは罰のはずなのに。
どうして拒否されてこんなにも悲しくなるのだろう。

「ああ。そうだな。私の体なんかで済むわけが無かった。こんなんじゃキミも満足できないだろうしな。」
半ば自暴自棄で品のない言葉を口にする。
もう、どうしていいか分からなかった。
どうすれば罪を償えるのか。どうすれば彼を救えるのか。
本当は泣きたかった。
ひどく、みっともない自分がいた。

522She wants to atone for...:04/09/11 01:59:36 ID:SGGQbume
「い、いや。別に斗貴子さんとする、っていうのが嫌なんじゃなくて。」
「その……俺は斗貴子さんが好きだから、斗貴子さんが望みもしないのに、そういうのでするなんて、嫌だ。」

「――――――――?」

予想外の言葉に頭が真っ白になる。

なんだ?それはなんだ?
やった!とか、嘘?!とか、もしかしたら私はすごく鈍いんじゃないか?とか、そんな思考が一瞬で頭を駆け巡る。

「いや、だから。その。償いとかそういうの抜きでなら―――凄く、うれしい、けど……」
ゴニョゴニョ
顔を真っ赤にして、それでもこっちを見て言おうとするが、やっぱり恥ずかしいのか、最後には俯いた。


「ああ、わかったカズキ。じゃあ、言い方を変えよう。」

もしかしたらこれはもう償いでもなんでもないじゃないかとも思う。

「君が望むなら―――私は何でもしたい。
これは紛れもない私の望みだ。」

―――――まあ、しょうがない、か。
この状況で、どうしようもなく浮かれてる自分がいるのだから。
523519:04/09/11 02:00:38 ID:SGGQbume
│ω・`)・・・

│彡サッ
524名無しさん@ピンキー:04/09/11 02:17:04 ID:EZ5UiSp6
>>523
乙。ヨカッタヨー
このふたりの事だからガチガチになって
大したことせずにそのまま朝迎えていそうだw
525名無しさん@ピンキー:04/09/11 02:22:28 ID:eQwCBBU7
キスだけで一晩使いそうな予感w
526名無しさん@ピンキー:04/09/11 07:26:50 ID:FwpNAOjY
>>523
GJ!
斗貴子さん可愛すぎ(*´Д`)ハァハァ
神だな
527名無しさん@ピンキー:04/09/11 12:38:40 ID:rHT77/j4
>>523
シリアスに見えて実は甘々じゃないですか!
激しく萌えました
528名無しさん@ピンキー:04/09/11 20:13:49 ID:U0TFVXQD
空気読んでないが,パピ×桜花希望…。
529名無しさん@ピンキー:04/09/11 20:17:18 ID:3yWT9thP
腹黒カップルw
530名無しさん@ピンキー:04/09/11 20:48:06 ID:FwpNAOjY
>>528
(゚д゚)ハァ?
531名無しさん@ピンキー:04/09/12 02:15:14 ID:8Zgl+9a0
>>528漏れも空気を読まずにそれをキボン
532名無しさん@ピンキー:04/09/12 13:32:25 ID:hJOYWxbN
自演乙( ´,_ゝ`)
533パピ桜:04/09/12 19:50:51 ID:rojISqea
所はドクトルバタフライの秘密拠点ー
パ「…この条件でなら、甘んじて利用されてやろうじゃないか。」
「…だが、俺の報酬は、何かな?」
その、人外の頬笑み。彼が欲する報酬はおそらく…私の肉。
覚悟はできていた。暗い闇の世界に生きてきた自分に光を与えてくれた彼を救うためならば…
「旨いのだろうな…女の肉は。特におまえは上玉だ…」
「だが、あの偽善者との決着によけいな要素は入れたくはない。」
「報酬は秘密利に受け取らせてもらおう」
「…!?」
その言葉の意味を理解する間もなく、
ワタシハ ヤツニ オシタオサレタ。
534531:04/09/12 21:25:16 ID:8Zgl+9a0
>>532 え・・・・? 漏れ528氏じゃないですよ。
535名無しさん@ピンキー:04/09/13 00:31:17 ID:qImv5KDt
気持ち悪い
536名無しさん@ピンキー:04/09/13 00:47:34 ID:KrOenpGW
桜花はエロイ
537名無しさん@ピンキー:04/09/13 14:17:32 ID:mLKq41VE
           _∧_∧
        / ̄ ( ´・ω・`)⌒\
   __    /  _|     |   |
   ヽヽ   /  /  \    |   |           ,,,,,,,iiiiillllll!!!!!!!lllllliiiii,,,,,,,
    \\|  |____|   .|   |           .,llll゙゙゙゙゙        ゙゙゙゙゙lllll,
     \/  \       |   |           .|!!!!,,,,,,,,       ,,,,,,,,,!!!!|
     | ヽ_「\      |   |、         |  ゙゙゙゙!!!!llllliiiiiiiiiilllll!!!!゙゙゙゙ .|
     |    \ \――、. |   | ヽ         .|     .゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙     |
     |   / \ "-、,  `|  |  ヽ       |               |
  _/   /    "-, "' (_  ヽ  ヽ      .|               |
/    __ノ      "'m__`\ヽ_,,,, ヽ      |               |
`ー― ̄          ヽ、__`/ー_,,,, ゙゙゙゙!!!!!!!lllllllliii|               |
                    \゙゙゙゙゙゙゙!!!!!lllllllliiiii|               |
                      \   ヽ   |               |
                       ヽ   \  |               | グチャ!!
                        |     \.|               |
                        `ヽ、,,_ノ|               | >>533-534
                              ゙゙!!!,,,,,,,,       ,,,,,,,,,!!!゙゙
                                   ゙゙゙゙!!!!llllliiiiiiiiiilllll!!!!゙゙゙゙
                                /.// ・l|∵ ヽ\  



538萌えスレよりコピペ:04/09/13 15:30:21 ID:4Kxrdf6p
754 :二人の痴話喧嘩 :04/09/12 20:46:48 ID:u/tN4hQn
カズキ(なんだってこんなことに…)
斗貴子「君が、わるいのだからな…」
そういう斗貴子さんの頬は涙で塗れている。一方自分は床に倒れ込み両足を斗貴子さんに持ち上げられている。追記しておく事はと言えば…斗貴子さんの右足が俺の股の上に乗っているということ。
斗「私を辱めた罪は重いからな…」
ことの起こりは二日前…エッチできれいなおねえさんを見ていたら、体付きがすこし斗貴子さんに似ているグラビアの人を見つけ、ほんの出来心で斗貴子さんの顔写真を以下略。
カ「お願い許して…」
斗「ダメ」
俺は絶叫した。


…電気あんま?
539名無しさん@ピンキー:04/09/13 17:38:56 ID:T2HQ0bdu
女性に電気あんまかけるとどうなるのかな…
540名無しさん@ピンキー:04/09/13 19:42:33 ID:KrOenpGW
斗貴子さんの足の裏で射精させられるカズキ
靴下ごしにその微妙な感触を感じ取ってしまう斗貴子さん
541名無しさん@ピンキー:04/09/13 20:13:06 ID:3812sls+
ちゃんと納得いくように書ければどんなカップリングだろうがいいけどね
542名無しさん@ピンキー:04/09/13 20:53:25 ID:DbZjfYA8
>>539
電気あんま専門のスレがあるよ。

しかも男女それぞれw
543名無しさん@ピンキー:04/09/13 22:50:36 ID:KrOenpGW
しかし男のほうは寂れている…
斗貴子「そんなわけだ、カズキ」
カズキ「どんなわけなのっ!?」
斗貴子「地獄の痛みのなかでイカせてやる。」
カズキ「うわあぁぁぁいやああぁぁー!!!」
544519:04/09/13 22:53:23 ID:QPxYedKb
│ω・`)

なんかアク禁とやらをされたので、ビューア導入して書き込んでます
IDとか変わるの?よくわからん

とりあえず、初めてちゃんとしたのを投下してハラハラしてますた
気に入ってくれた人もいたようでヨカターヨ。・゜・(ノ∀`)

エロは書きません
むしろ書けません
545名無しさん@ピンキー:04/09/13 23:16:13 ID:RXVp22Jn
>>544
これからも素晴らしいSSをお待ちしてます
546名無しさん@ピンキー:04/09/14 06:17:41 ID:a5iymySd
ガンバレヨ、応援しとるぞ(・∀・)ノシ
5474-270 ◆270FluBods :04/09/14 12:08:35 ID:ZwCp2a75
誰もいない……。
投下するなら今のうち。

>>保管所管理人様へ
このSSの題『二人の思い』でよろしくお願いします。

>>519
ブラボーだ!
なんだかほのぼの萌える。
こういうSS好きだなぁ。
5484-270 ◆270FluBods :04/09/14 12:09:45 ID:ZwCp2a75
看護師は桜花の点滴を換えて出て行った。
騒がしそうに見える二人(いや、一人と一匹か?)がいなくなって
あきらかに安心した顔をしていた。
きっと二人に困らされていたに違いない。

私は看護師を見送ってから桜花の方へ向いた。
「核鉄を持っていたのか。」
「ええ。戦士長さんが治るまで持っていることを許してくださいました。」
沈黙が部屋を覆った。
あちらはどうなのか知らないが、気付かれないようにしながら
相手の意図するところを読み解くなんて、こちらは得意ではない。
単刀直入に尋ねてみた。
「キサマ……何を考えている?」
「別に何もありません。」
すました顔で桜花はにっこりとこちらに向けて笑った。腹黒め。
「武藤クンのことが心配ですか?」
私は桜花から顔を背けた。
「昼食に呼びに来ただけだ。」
5494-270 ◆270FluBods :04/09/14 12:10:48 ID:ZwCp2a75

言葉が続かず再び沈黙になった。
沈黙を破ったのは桜花だった。
「武藤クンの核鉄、変化したのでしょう?」
「!」
私は桜花のほうを振り返った。
「その少し前まで御前様を通してわかっていましたから、
あとのことを武藤クンに聞いたら話してくれました。」
私はほぞをかんだ。
あのことは誰にも言うなとカズキに言い含めておくべきだった。

桜花の表情から笑いが消えた。
彼女の周りを取り巻く、空気とも雰囲気とも言えない何かも
すっと温度を下げたような感じがした。
殺気か。私は核鉄をポケットから取り出した。
「もし私と秋水クンがあなたと再び敵対することになったらどうします?」
桜花の目には光があった。こちらを試すような光だ。
5504-270 ◆270FluBods :04/09/14 12:11:44 ID:ZwCp2a75

「知れたことだ。今度こそキサマたちを殺す。」
私は核鉄を握った手をぐっと桜花に向けて突き出し、
目を逸らさずにらみ返した。
もしここで戦うことになっても、おそらく療養中の彼女などに私は負けはしない。
しかし核鉄を持つ二人がぶつかりあったら周りは無事ではすまないだろう。
にらみあいつつも頭の中でどこに桜花をおびき出して戦うか私は考えた。

黙然とにらみあったが、先に桜花が私から視線をはずした。
そして目を伏せたまま言った。
「津村さんが武藤クンを助けたように、私と秋水クンも武藤クンに助けられました。
武藤君が津村さんを裏切らない限り、そして津村さんが武藤クンを裏切らない限り
きっと私があなたと戦うということはないと思います。それは秋水クンもきっと同じでしょう。」

「……。」
私は核鉄を下ろして、息を吐いた。
気がつかないうちに息まで止めてたらしい。
5514-270 ◆270FluBods :04/09/14 12:12:44 ID:ZwCp2a75

「でも。」
桜花は微笑み、こちらへ向いた。
「もし、戦うことになったらあのときみたいに諦めませんよ?
武藤クンに助けていただいた命です。簡単に諦めてしまったら
武藤クンに失礼ですから。」

「フン」
それはこちらも同じだ。
カズキは敵の命さえ惜しむ様なヤツなのだから。

それにしてもカズキが早坂桜花にヴィクター化のことを話してしまうとは。
後で厳しく言っておかなければいけないだろう。
「武藤クンは…」
「ん?」
「……武藤クンは核鉄についてはなにも。
あれは私のはったりです。いまごろ武藤クンが
検査に来ているからカマをかけてみたのですけれど。」
彼女のことだ。カズキにも私と同じような引っかけをしたのだろう。
「先輩に迷惑がかかるから話せないとだけ言いました。」
再び伏せてしまった彼女の顔からは表情はわからない。
ただその肩が寂びしげだった。
5524-270 ◆270FluBods :04/09/14 12:17:31 ID:ZwCp2a75
以上です。
まだ書き上がっていないのですが
とりあえず終わりまでがんばります。
553名無しさん@ピンキー:04/09/14 14:17:35 ID:nBP8ifg2
がんばれ。
続き期待してるよー。
桜花とTQNの絡みは妙な緊張感があって
面白いねw
554名無しさん@ピンキー:04/09/14 16:01:16 ID:LnagLBxG
>>552
GJ!
桜花の寂しげな雰囲気が良いですねー。
続き待ってます
555名無しさん@ピンキー:04/09/14 16:52:59 ID:eS44Yujo
>>552
桜花たんイイ!
556カズキ 1/2 ◆3QNSjLC4b. :04/09/15 18:50:34 ID:vL792g7+
浜辺に横たわっているカズキの近くに歩み寄った。
目に見えない何かが体を覆い、体力を奪い始めた。
私はそれにかまわず、膝をついてカズキの手を握った。
「目を覚ませ、カズキ」
ジ、ジ、ジジ。ザシュ。
「夜が明けたら二人で向かおう。
 もしかして何かキミを元に戻す手掛かりがあるかもしれない」
エネルギードレインが激しくなったが、私は言葉を続けた。
「私が君に埋め込んだ核鉄を手に入れた始まりの地へ!」

しばしの間、私はカズキの手を握ったまま彼の回復を願った。
そして、ふと思いついた。
─近づいただけでエネルギードレインが始まり、手を握るとそれが激しくなった。
─ということは、もっと密着すれば?
「剛太、少しの間、向こうに行ってくれ」
「今度は何すんだよ?
 こいつ、エネルギードレインしてんだから、人工呼吸なんか要らないだろう?」
「人工呼吸ではない」
「じゃあ、何を?」
「…」
私は黙ったままカズキのジーパンとトランクスを一緒に脱がせた。
「斗貴子先輩!?」
「ドレインしやすくしようと思ってな」
私はそう言って、カズキの物を取り出し、口に含んだ。
「………うわあああん───」
そんな言葉を残して足音が走り去っていった。
557カズキ 2/2:04/09/15 18:52:34 ID:vL792g7+
カズキの物を含んだまま少しの間、口を動かす。
いつも程の大きさや堅さにならないが、やむをえないだろう。
自分の下着を脱いでカズキに跨り、ゆっくりと腰を降ろした。
そして、カズキの物を自分の中に入れた。
「ん…あっ…目を覚ましてくれ、カズキ」
そう言って、横たわったままのカズキの上半身に自分の体を密着させた。
この時ばかりは、胸が小くて密着しやすい自分の体をうれしく思った。
密着している上半身と、つながっている下半身の内側から力が抜け、
手を握っていた時とは比較にならない激しさで疲労が溜まっていく。
今の目的はカズキを生き返らせることなので、腰を動かしているわけではない。
そもそも、腿のケガのせいで、まとも動けそうにない。
だから、性的な快感は無いに等しいが、
自分から失われた力がカズキの回復に使われると思うと、それが悦ばしく思えた。

しばらくそうしていると、疲労のためか意識が朦朧としてきた。
そんなわずかな意識の片隅に、近づいてくる誰かの足音が聞こえた。
「…先輩─」
涙声。そして、背中に拳くらいの大きさの何かが置かれ、足音が去っていった。
ドレインは続いているが、体はずいぶん楽になったように感じる。
そして、カズキの顔にじょじょに生気が戻ってきた。

「──…
 う……」
いけない…疲労で意識が飛んだ。何秒?何分?
誰かが背中に置いた何かは今は近くに無いようだ。
そして、意識が飛ぶ前は目の前にあったカズキの顔も見えない。
「カズ─」
慌てて周りを見回す。
「大丈夫?」
こちらに背を向けたカズキが波打ち際に立っていた。
「死んだり生き返ったり、生き返ったり死んだり。
 いつも世話を焼かせてゴメン」
558名無しさん@ピンキー:04/09/15 20:01:56 ID:+aVdFB5R
>>556-557
GJ。まさに一心同体というかなんというか。
斗貴子さん、それはあまりにもスパルタンすぎますw
559名無しさん@ピンキー:04/09/15 22:59:19 ID:+n81vxnL
え、エロい。
あの浜辺、すぐ後ろに道を挟んで人家が立ち並んでいたような…
大胆だなとっきゅん
560名無しさん@ピンキー:04/09/16 07:00:36 ID:bOXgrk2v
カズキはドレインしたのか。
むしろドレインされたのかw
5614-270 ◆270FluBods :04/09/16 10:39:40 ID:g8axynk3
>>553-555
レスありがとうございます。
桜花の話口調がなかなかつかめなくて
昔のジャンプを引っ張りだしてどういう口調なのか
いろいろ調べて書いた甲斐があります。

斗貴子さんとの緊張感を出したかったので
それが何とか今回は出すことが出来たかなと
思ってレス読んでホッとしています。


562名無しさん@ピンキー:04/09/16 16:51:46 ID:tIhATz9G
>>560
カズキが斗貴子さんからエナジードレイン。
斗貴子さんがカズキからエナジードレイン。

無限ループの永久機関w
563名無しさん@ピンキー:04/09/16 17:11:41 ID:FIqw92jg
ストロベリー永久循環システム。
S2機関って感じか
564名無しさん@ピンキー:04/09/17 00:15:27 ID:i4edeDVF
>>556
GJ!

今週の話は、ストロベリー全開だったなv
もうこれは告白だよな??
565名無しさん@ピンキー:04/09/17 00:55:31 ID:klC2eRuK
>>564
本人たちには自覚がないかもしれんが、100人が聞いたら
100人は告白だと思うなアレは。

いつかハッキリ自覚して想いを伝えあう日が来てほしいぜ
566名無しさん@ピンキー:04/09/17 01:28:15 ID:kYYLsj3C
>>565
少なくとも剛太はそう思ったんだろうなあ
567名無しさん@ピンキー:04/09/17 22:35:15 ID:qjQhQgBg
>>564-566
剛太が真面目に可哀想ですた・゚・(ノД`)・゚・
568名無しさん@ピンキー:04/09/18 16:18:44 ID:VbBPeN7K
死別も拒否したんだよな。「一心同体」の誓いって。
早坂さん家の姉弟の結婚式ごっこを超えちゃった。
569名無しさん@ピンキー:04/09/19 17:44:13 ID:eY523ruO
いろんな意味で超越してるな
愛というより熱すぎる友情だ
570名無しさん@ピンキー:04/09/19 18:10:50 ID:a1JiOfxr
いや、愛情だろ
571名無しさん@ピンキー:04/09/19 18:21:59 ID:hKUm/0qg
エナジードレインを背負うカズキに対して、
これ以上に想いのこもった言葉は無い>一心同体
だからこのシーンに俺は素で感動した。
「キミの側から離れない!」
「斗貴子さんが死ぬ時がオレの死ぬ時だ!!」
ドレインの設定って、この告白シーンのためにあったのかと
思っちゃったよ。
572名無しさん@ピンキー:04/09/19 20:22:29 ID:JGeNzXB2
>>570
いや本人達にはその自覚が無さそうだからよ
剛太含む第3者には告白にしか見えないけど
573名無しさん@ピンキー:04/09/20 06:52:03 ID:XcX4xO/0
周囲はみんな気付いてる
知らぬは当人達のみ
もどかしいカップルだ
574名無しさん@ピンキー:04/09/20 18:14:09 ID:+WQ663LU
だが、それがいい(;´Д`)ハァハァ
575名無しさん@ピンキー:04/09/20 22:46:35 ID:PYOo0jVf
蝶野→花房を考えていたら花房ホム化時の妙な話になりました。
エロス・ラブラブの欠片もありませんので、興味のない方はスルーして下さい。
576残り香:04/09/20 22:47:47 ID:PYOo0jVf
ハイヒールの踵が立てる靴音が暗い路地に何処か神経質に響いた。
夜の住宅街は既に人気もなく、等間隔に並んだ街灯の灯りだけが家路を急ぐ女の足元を頼
りなく照らす。
その街灯の一つの蔭から、冷ややかに女を見つめる視線があった。
「――先生」
聞き覚えのある声にそう呼びかけられて、女は足を止める。振り向いた先に知った顔を認
めた女の目に煩わしげな色が浮かび、すぐさま媚びるような愛想笑いがそれを上手に打ち消した。
「どうしたの、攻爵君? こんな時間にこんな所で」
女はわずかに首をかしげ、艶のある長い髪を耳の上にかき上げながら教え子である青年―
―蝶野攻爵に問い掛ける。そうした仕草が自分をより魅力的に見せ、まだ初心な年下の男
の優位に立つのに効果的だと知った上での行為だった。
さらさらと流れる黒い髪、白い指先とマニキュアに彩られた爪の綺麗な赤。
蝶野の瞼に焼きついた、誘惑の色。
「…先生こそ、こんなに遅くまで大変だね。次郎の家庭教師は楽しい?」
蝶野は女の問いには答えず、逆に問い返した。
女は少しだけ困ったように眉を寄せたが、それも恐らくは演技だろう。彼女は本来蝶野の
家庭教師だったが、今は彼の弟の個人教授も同様に務めている。それを長兄である蝶野が
不満に感じ、子供じみた嫉妬からわざわざ皮肉を言いに来たのだと思えば、高慢で自己愛
の強い彼女にとって気分の悪い筈がなかった。
案の定、女は余裕の笑みを浮かべて、出来の悪い生徒に言い聞かせるように優しく囁いた。
「そうね。教え甲斐はあるわ。…でも、やっぱり攻爵君の方がずっと飲み込みが早くて優秀な生徒よ」
――嘘吐きだね、先生。
次郎の前では俺よりあいつの方が優秀だと言っているくせに、と蝶野は声には出さずに女を罵る。
「ねぇ、身体の具合はどう? 安静にしてなくていいの?」
本気で気遣うような女の口調に、蝶野は笑い出したくなった。
彼女が心配しているのは蝶野の家とその莫大な財産を継ぐ人間であって、決して蝶野自身
ではない。蝶野が病に倒れ家督を継ぐことが困難だと判断された後、もう蝶野には何の価
値もないと、これからは弟の方と親しくしておくつもりだと、彼女が友人に話しているの
を蝶野は自分の耳で聞いているのだ。
577残り香:04/09/20 22:50:04 ID:PYOo0jVf
蝶野に対する女の必要以上の親切が下心あってのものだということにはとうに気づいてい
たが、そうとも知らず年下の男を手玉に取ったつもりでいる女の浅はかさも、自らの欲望
にすこぶる忠実に振る舞うその様もいっそ爽快で気持ちが良いほどだった。
女の艶やかな笑みを映した蝶野の双眸が、静かに濁り始める。
「…そうやって、今度は次郎を誘惑するわけ?」
蝶野に仕掛けたのと同じように。
「それとも、もう落としてるのかな。先生御自慢のその綺麗な顔と身体でさ」
甘く囁く声で、ひんやりとした指先で、紅く濡れた口唇で、熱い肌で。
蝶野に触れた、そのすべてで――
「…いけない口ね」
はっきり色仕掛けだと指摘されたことが気に障ったのか、或いは図星を指されて動揺した
のか、女の目許が不快げに歪んだ。蝶野を見返す眼差しに侮蔑と嘲笑が入り混じる。
「どこでそんな悪い言葉遣いを覚えたのかしら?」
彼女の口調は上から見下ろすそれだった。
彼女はまだ蝶野が自分の手の中にあると信じて疑ってはいないのだ。
世間知らずのお坊ちゃんなど、自分の言葉一つで簡単にあしらうことが出来ると本気で信
じている。彼女の言葉にも仕草にも、初めから何の魔力もなかったというのに。
蝶野は笑いを噛み殺し、そっと顔を伏せた。学生服のポケットに忍ばせた手の中で小さな
物体を握り締める。
「先生。さっき、どうしてオレがここにいるのかって訊いたよね」
「え? ええ…」
「先生にお別れを言いに来たんだ」
「お別れ?」
「そう」
きっと彼女は怪訝な顔をしているだろう。蝶野の言葉の意味を彼女が理解することは永遠
にない。そう思うと可笑しくて、蝶野は笑いながら顔を上げた。
「――今夜が先生の最後の夜になるんだから」
死の宣告をすると同時に蝶野はポケットから手を出し、手の中のものを彼女に向かって投げつけた。
「きゃっ! な、なにっ!?」
“それ”は意思を持ったようにまっすぐ彼女の額にぶつかり、そしてそのままその場所にぴっ
たりと貼りついた。肌の上をもぞもぞと蠢いて、皮膚を突き破りその小さな身体を食い込
ませていく。
578残り香:04/09/20 22:56:29 ID:PYOo0jVf
「いや…っ。なんなの、これ…あ、あ、ああぁっ!!」
女が悲鳴を上げた。髪を振り乱し、顔を掻きむしるようにして自分の中に侵入してくる何
かを引き剥がそうと必死にもがく。だが、そんな抵抗もむなしく"それ"は既に女の手の
届く場所からは消え失せていた。
"それ"が骨を通過し脳を侵蝕していく苦痛と、理解することなど到底叶わない得体の知
れない恐怖に女は絶叫し、全身を震わせながらその場にくずおれた。
両手で頭を抱えた女が激しく首を打ち振り、断末魔の呻き声を立ててのたうち回る姿を、
蝶野は瞬き一つせずただ黙って食い入るように見つめる。
彼の作り出した脆弱で小さな命が生きる為の場所を求めて別の命を食い尽くそうとしてい
る、その奇跡のような一瞬を。
やがて女はぴくりとも動かなくなった。乱れた長い髪がアスファルトの上に広がる。
「…失敗した…?」
蝶野は微動だにしない女を見下ろし、呆然と呟いた。
古い資料を基にした独学による研究ではやはり無理があったのだろうか。
研究の成果を試すこの実験が成功すれば、女は寄生したそれにより新たに生まれ変わる筈
だった。それを製造した際の基となった薔薇の化物として。
基礎に薔薇を選んだことに大した意味はない。実験の第一段階として動物よりは細胞が複
雑ではない植物が妥当だったことと、薔薇が手に入れ易い環境にあった、ただそれだけの
ことだ。女を実験対象にしたのも、両者が似通った性質の持ち主だったからに過ぎない。
その美しい姿で人を誘い、触れれば鋭い棘で傷つける――そっくりではないか。
尤も寄生された人間の精神は残らないから、自分が化物と呼ばれる存在になったことを女
に思い知らせることも出来ないのだが、実験が失敗に終わった今となってはそれも意味の
ないことだった。
「…やり直し、か…」
蝶野は酷く落胆していた。三年間の研究が実を結ばなかったからか、それとも――
「…う…」
微かな呻き声が蝶野の耳朶を打つ。
はっとして瞠目する蝶野の目の前で、女の指先が小さく痙攣し、倒れ伏したまま動かなかっ
たその身体がビデオのスロー再生のようにゆっくりと起き上がった。
そして、蝶野はぎこちない動作で顔を上げた女の、乱れた髪の間から覗く額に章印と呼ば
れる化物の証をはっきりと見た。
579残り香:04/09/20 22:59:51 ID:PYOo0jVf
女の虚ろな目が徐々に焦点を結び、女は蝶野をまっすぐに見上げて笑みを浮かべた。
忠誠と畏敬の念に溢れたその笑みは、今まで女が蝶野に見せたことのない表情だった。
蝶野は女が完全に死んだことを知った。実験は成功したのだ。
創造主、と女は蝶野に呼びかける。生成の過程で発生した薔薇の意識は蝶野を絶対的な支
配者と認識しているようだ。
「新しい命を与えてくださって、ありがとうございます」
女は姿勢を正し、蝶野に向かって恭しく頭を下げた。
「…ただの親切でお前に命を与えたわけじゃない。俺の為に働いてもらうぞ」
「どうぞ何なりとご命令を。心よりお仕え致します」
蝶野の言葉に女は従順に頷く。
そこにいるのは蝶野がよく知る女の姿をしていても、もはや元の女とは全く別の生き物だった。
人外の力を持った、忠実な彼の僕。
彼女が甘えるように蝶野の名を呼ぶことは二度とない。柔らかな指先が悪戯めかして蝶野
の肌の辿ることも、決してない。
実験は成功し、蝶野は自らの望みに一歩近づいた。女の死すらも蝶野の望みだった筈だ。
けれども今蝶野の胸を占めるのは言いようのない空虚だけで、実験の成功に対する喜びや
達成感などはまるでなかった。
心の中にぽっかりと大きな穴が空いている。底の見えないその闇の中ではただ風だけが荒
れ狂い、びゅうびゅうという誰かの泣き声に似た風の唸りを蝶野は聴いた。
この隙間を埋めるものが何処かにあるのだろうか。
それを得ることが出来れば、この空っぽの心も満たされるのだろうか。
――馬鹿馬鹿しい。
つまらない感傷だと、蝶野は自分を嗤った。
そんなもの、俺はいらない。
欲しいのは自分が生き延びる為の力、他のものは何もいらない。
「行くぞ。行動開始だ」
蝶野は女に背を向けて歩き出した。立ち上がった女が少し遅れてその後を追う。
背後から、ほんのわずか甘い香りがした。
嗅ぎ覚えのあるそれは蝶野の鼻腔をくすぐった刹那、夜風に攫われるようにして消える。
女が好んでつけていた香水の、最後の残り香だった。
                                                  ――了
580名無しさん@ピンキー:04/09/20 23:07:53 ID:3GJ1SNmY
面白かったヨー
創造主からみたらナイスバディな女でも
所詮は化物にしか過ぎんのかねぇ
うーむもったいない(花房結構好みなキャラ)
581575:04/09/21 22:06:55 ID:/wXUJppU
>580
ありがと。
パピの美的感覚からすると人間よりホムの方が綺麗だと思ってそうなんで
部下とか実験材料ってことで一線は引いてても、化物だからと見下したりはしてないかと。
花房→パピの御奉仕Hならなし崩し的にありかも。
582名無しさん@ピンキー:04/09/21 23:21:00 ID:qZAJvai5
乙。良かったよ。
花房が脳を奪われるとこ、結構恐い描写だった。
TQNのお腹の時といい、やっぱホムは異物だから
体に侵入されると痛みが過ごそうだなー。

本編でもまたホム出てきてほしい
583名無しさん@ピンキー:04/09/23 19:22:18 ID:1B1UHm2P
乙。
面白かった。最初エロかなーと思って読まなかったが
読んでみたらいい感じ。ホラーだね。
花房がホムになるところは怖かったけど
それ以上にパピヨンの心情がしっかり書かれていて良かったよ。
584三局(多分それくらい)の戦い其ノ四:04/09/24 00:31:04 ID:w/HmBpcS
ちなみにまひろは、寄宿舎中を走り回っていたが
カズキたちがいる管理人室には「ブラボーがいなかったからいるワケない!」と行かず
見つけられないまま部屋に戻った。そして起きているパピヨンに喜んだ。
と同時に、ボケ進行中ボケ執行中なせいで色々忘れた。
カズキとどういう知り合いか尋ねたり、しかし今はカズキが不在なのを伝えたりとか。
そのままへーへーほーと与作が木を切るように息を整えている。汗が滲んでやや涼しい。

そんな様子をパピヨンは興味なさげにちらっと観察した。
(部屋に馴染んでいる所や顔つきからして、ヒマな学生といった所か。
しかし、どこかで…いや、似た光景を見たのか…?)
扉の前で汗をかき息をついている人間、それをどこかで。
スゴく重要なコトのように思えたが、とりあえずパピヨンは部屋の観察を済ませるコトにした。
好奇と言うより、やりかけたコトを頭の悪そうな女に中断されるのが気に入らないのだ。
まず、モッコスとかいう人形のある棚と扉の間にパイプ椅子が一つ。
首を動かし、視界の中でまひろを適当に流すと、部屋に備え付けの古い机と椅子が見えた。
机の上にはCDプレーヤーや洗って無さそうなコップ、筆記用具、
本がいくばくかと場違いな塩の小瓶が不規則に散乱している。
(ロクなヤツではないな)
結論づけたのは机上もそうだが、そことベッドの間にある本棚の状況だ。
パピヨンの枕元に近い場所で、不揃いな本たちがゴチャゴチャとはみ出している。
漫画に混じって看護や家庭医学に関する本が見えるが、しかし様子から熟読玩味は期待できない。
大方、ナース服と同じく格好をつける為だけに買ったのだろう。
そういう意味で、”ロクでもない”ヤツが
「37度7分も熱あったけど大丈夫? 変態さん」
扉の近くからひょいとパイプ椅子を取り上げながら聞いてきた。息は整っている。
「…変態? 俺がか? 蝶々の触覚からブーツの先までどうしようもなくステキじゃないか…!」
気だるそうに、だがきらびやかに答えた。
「オシャレ間違ってるよ変態さん! 蝶々はピンクと白じゃないと!」
「フン。まぁそれも悪くはないが、この毒々しい紫色のセクシャルには断じて及ばないね!」
まひろは白く固まった。セクシャルの意味が分からないのだ。
585三局(多分それくらい)の戦い其ノ四:04/09/24 00:31:39 ID:w/HmBpcS
まひろは、服装のセンスについて「何ていうか口で言っても通じそうにないよね…」と諦め、黙った。
パピヨンも同じく黙った。今しがたオシャレについて語りはしたが
本来ならば、自分を中途半端な知識で『保護』しているつもりのヤツとは口も聞きたくないのだ。
カタ、と乾いた音がしてパイプ椅子がベッドの傍に置かれた。
コイツはしばらく傍にいるつもりらしい、そう認識した瞬間、パピヨンは天井を睨みつけた。
その顔を覗き込むと、まひろは小首を傾げた。
「アレ? もう傷が治ってる。カサブタもないし…なんでだろう」
まひろは知らない。パピヨンがホムンクルスという化け物で、あの程度の傷はすぐ治るなどと。
ちなみに核鉄も、どういうワケか気絶した瞬間に元の鞘に戻っていて、治癒を助けている。
だが二つの治癒能力を以ってしても、いまだ体は動かない。病気の気だるさも抜けない。
それがもたらす苛立ちは、当たり前のコトに驚くまひろともう一人とに向いていく。
(あのエロスめ。厄介な毒をよくもまぁ!)
珍しく顔は覚えた。明日必ず同じ目に合わせて燃やし尽くしてやる、そう誓った。
その刹那、頬がつつかれた。
「つつくな」
不機嫌まっさかりに手を出され、パピヨンは声を荒げた。
「うーんやっぱり治ってる…でもなんで? ねエねエどうして変態さん?」
「まだ変態というか! この衣装は……いいかよく聞けッ! 真の『オシャレ』とはッ!(中略)傷とか簡単に直るのさ!!」
「なら納得! あともう一つ… そのお面はどーやってつけてるの? 
ゴムとか見当たらないけど。わーすごいぷにぷにー」
表情を忙しく変転させながら、結局まひろは頬をつつく。
「関係ないだろオシャレとは。ちょ…やめろコラ! やめ…」
パピヨンは怒鳴ってから口を頑として塞ぐ。ついつい喋りすぎてしまったと目を濁らせた。
どうも調子が狂う。というかついつい乗ってしまう。
(何故だ…?)
パピヨンは知らない。まひろが武藤カズキの妹で、似たような波長を持っているからなどと。
まひろは熱心にお面を見だした。どう付いているか気になるらしい。
「外したら死ぬぞ」と脅されると、ガクガクと震えて素直に引き下がりはしたが。

しかし、蝶々覆面は本当にどうやってついてるのか謎だ。エニグマ並みに謎だ。
586三局(多分それくらい)の戦い其ノ四:04/09/24 00:33:12 ID:w/HmBpcS
(フン。取りあえず寝るか。これ以上口を聞きたくないからね)
不服そうに考えた。眠りについてコイツを徹底的に無視して、体の回復を待っていよう。
野ざらしで寝ていようと、部屋でベッドに包まれようと、どうせ同じだ。世界はどこでも変わりはしない。
パピヨンは目を閉じた。看護などされたくもないと思いながら。

「あ…また寝ちゃった。もっとお話したかったのに」
残念そうに呟いた。しかし流石に病人を起こす気にもならず、とりあえずタオルを替える。
天井から落ちてこようと、格好がかなりおかしかろうと、病人は病人。ちゃんと面倒はみるべきなのだ。
まひろは冷蔵庫からリンゴを取り出し、机に置いた。リンゴの皮剥きを看護の第一歩と信じている。

「けどその前に、ちょっとだけ休憩…」
汗を手で拭いつつ、机の方の椅子に腰掛けると、ふぅっと息が漏れた。
パピヨンを部屋まで運んだり、カズキを探す為に走ったせいで疲れているらしい。
机上のコップにコーラをなみなみとつぎ、それを半分ほど飲み干すと、頬杖をついて目をつむる。
(お兄ちゃん、毎日ドコへ行ってるんだろう。そだ、明日こそはちーちんとさーちゃんと歌を聴かなきゃ)
とりとめもなく考えていると、薄い眠気が巻き起こり、うつらうつらと舟をこぐ。ああ夢の世界でピンクのクジラさんが手招き
「って寝ちゃダメ! リンゴぉっ!!」
ガタンと立ち上がると、大慌てでリンゴを手にした。食べてもらえるかどうかは考えていない。

その頃大浜は、偶然入ったラジオ番組を聴いていた。
『ハーイ 二見坂コトミの”マシーネンナイト”の時間で──す。
リスナーのみんなぁ、さっそく恒例のオープニングクイズぅ──っ!
電子レンジに入れちゃダメなモノはネコと何?』
「ア……アルミホイル?」
『正解っ! 賞品は死刑!!』
「ええー!!」
『ジャンジャランジャ──ンジャンジャランジャ──ンジャ…ブツッピュウルリルィィン!』
アカペラのワルキューレの騎行が始まると、大浜は周波数を変えた(↑こんな音がする)。引いたのだ。
で、変えた先では。
『ザッ! ザー… ああ、ヘルトラマンの右腕がミキサーに掛けられてグチャグチャだよぉ…(丸文字)』
「ロ、ロクな番組がやってない…」
ヘコんだ。
587三局(多分それくらい)の戦い其ノ四:04/09/24 00:33:43 ID:w/HmBpcS
ステキ衣装を腰の辺りにだぶつかせているパピヨンは、もっと寝ているべきだったと後悔していた。
寝ている時には気づかなかったが、下に座椅子が敷かれていたらしく、今はそれごと座る姿勢た。
そして上体の汗を拭かれている。それがたまらなく嫌で、
蝶野攻爵だった頃の惨めな気分に戻りそうで、苛立ちが募っていく。

一時間足らずで目を覚ました彼への第一声は「汗拭くねー」だった。勿論断ったが──…
「ダメだよ汗はちゃんと拭かなきゃ。じゃないと肺炎になっちゃうしギャングが舐めに来るよ。ブローノが来るよ!!」
「来るか! 幹部を上の名前で呼ぶな! 下らない看護婦ごっこに付き合わせずにとっとと寝かせろ!
抱きかかえて身を起こすなスーツをズリ下げ…こ、こら! 脇なんか拭くな…」
「まぁまぁ。いいからいいからーテリーを信じてー くすぐったいだろうけど脇は一番汗かいてるから念入りに〜」
「何一つ良くないし、俺はドリーじゃないから信じ…う、うおお、脇はやめ、やめッ…………ぁっ…」
とまぁ、聞きたくもない口を聞かされた上に押し切られ、体を拭かれ始めて約1分。
大分楽になっているが首以外は動かないので、されるがままだ。

毒を排出しているせいか汗は嫌な光だ。それはまひろはせっせせっせと一生懸命拭いていく。
パピヨンの肌をタオルが撫でるたび、爽やかな空気が体に触れるが、しかし腹立たしい。
人間嫌いの性質ゆえに、すぐ間近で蠢くベトついた栗色の髪と
そこから漂うくすんだ汗と脂の匂いが腹立たしい。
人の汗より自分の汗をどうにかしろ、そう思っているうちにタオルが離れ、ステキ衣装が着せられた。
「とりあえず終わりっ! 2分20秒また世界を縮めたー!」
気楽極まりない笑顔で終了を告げるまひろに、少しだけパピヨンは驚いた。
確かに拭かれ始めてから3分も経っていない。今までなら5分はかかっていた。
(手際の良さだけが救いか)
どの看護婦よりも真っ当な迅速さと丁寧さを感じつつ、憎々しげに鼻を鳴らした。
588三局(多分それくらい)の戦い其ノ四:04/09/24 00:34:05 ID:w/HmBpcS
と同時に、グウウウ…と何とも間抜けな音が響いた。
それが自分のモノだと気づくと、パピヨンは恨めしい気分になる。
ホムンクルスでも腹は減る。傷を負った後なら尚更に。
屋根裏やら管理人室やらココやらで騒ぎすぎたせいもあるだろう。
「お腹空いてるみたいだね。ちょうど良かった」
まひろは待ってましたとばかりに立ち上がり、先ほどパピヨンが観察したベッドサイドテーブルを引っ張ってきた。
「『コの字』!…と私はコレを名付けて呼んでるんだけどね」
言いながらくるりと踵を返すと、「コ」の支柱の部分へ回り込み、ゆっくりと、乳母車でも押すような仕草で押しながら続ける。
「昨日通販で買ったんだよー ちなみに使ったのは変態さんが初めてだからおめでとー!」
心底嬉しそうな声と共に、あまりめでたくないパピヨンの眼前へ木製の板がスライドしていき、やがて止まった。

パピヨンの胸中は揺れた。
まだビニールすら剥がされていない板の上には、ガラスの皿が一つ。
そこには綺麗に剥かれたリンゴが山と積まれている。
リンゴは食べたい。けど腕は動かない。迷っていると、まひろがコの字を挟んで右斜め前に移動した。
このままではリンゴを人の手により喰わされる。それは矜持が許さない。
(動けッ! 俺の腕!! なぜ動かんッッ! クソ…今は動けないそれが運命らしいが諦めはしないぞ!)
だが哀れ。まひろは屈み込み、フォークをざくっとリンゴに刺して口の前に持ってきた。ああここからいなくなりたい。
「さぁ口開けて」
優しく朗らかに言われたが開かない。他人に食わせてもらって嬉しいワケがない。
「おいしいよー」
まひろはリンゴをぐぃぐぃっと唇に押し当て始めた。そうすりゃ開くと思っているらしい。
(殺す…つーか痛いぞ! フォークがリンゴから突き出して唇を通って歯に当たり、ガチガチ鳴ってるぞ!)
思った。こんなワケの分からないアホに比べたら、まだ無表情な看護婦の方がマシだと。自分はボケかツッコミか分からないと。
「リンゴは嫌い?」
「オマエが嫌いだ」
一旦手を下げたアホに言ってやりたいが、口を開けば絶対にリンゴをガツンと突っ込んでくる。そう突っ込んでくる。
そうしかねないアホは、無言のまま凄まじく濁る目を不思議そうに覗き込み、突如叫んだ。
589三局(多分それくらい)の戦い其ノ四:04/09/24 00:34:31 ID:w/HmBpcS
「コーラだ!」
「は?」
思わず声が漏れ、慌てて口をつぐんだ。しかし何を突然言い出すのだ。
「コーラみたいな目だね」
何を言っているんだ本当に。腐ったドブ川がコーラに見えるのか。
「オマエ… 感性がおかしいだろ?」
皮肉げに言われたまひろは、蝶々覆面とステキ衣装とを交互に見比べ、呆れた微笑を浮かべた。
パピヨンはそのアホ丸出しの表情に一層腹が立った。
正確には、アホにステキ衣装を観察されて少し嬉しい自分に腹を立てた。
「あ、そうだ」
まひろはパン!とかしわ手を打つと、机から飲みかけのコーラと塩の小瓶を持ってきた。
話を変えたのではなく、思いつくまま動いてるだけらしい。
「変態さんはこーいうの知ってる?」
皿の横にコップを置き、その中へ塩を振りかけると、底面から巻き起こった無数の泡が表面で小気味よくぷしぷしと弾け始めた。
「すごいでしょー? 更に取っておきのダメ押しで塩をもう一つまみ…エイ! おお〜」
(すごくも珍しくもないな。というか身を乗り出してくるな! ああ汗臭い上にやかましい! ああリンゴ喰いたい!)
塩が炭酸を追い出しているだけの光景を、キャーキャー騒ぐ。
その楽しげな顔のせいで頬はますます引きつった。
ちなみに、コーラは塩が核になって炭酸が気化するエネルギーがうんぬんで泡立つらしいが、小難しい理屈は本題とズレるので省くッ!

要するにまひろは、世界の全てが大好きなのだろう。
とにかく泡にはしゃいだ後、パピヨンを指差し──彼には人差し指がやたら大きく見えた──得意げに解説を入れた。
「ようするに、変態さんの目の色はこんな感じだよ!」
(だからなんだ! オマエは濁りと泡の区別もつかないのかァッ!?)
泥を煮立てているような黒く粘った微熱に苛立ちがシフトして
「あげる!」
と笑顔で薄汚いコップを差し出す扱いの軽さに対し、堰が切れた。
「いるか!」
犬歯も憎悪も露わに叫ぶ。しかしのん気な顔はのん気なままだ。
「炭酸の抜けたコーラは栄養たっぷりだし、塩は水分補給を助けるから大丈」
「ごっこ遊びに人を巻き込んで勝手な御託を並べて楽しそうな顔をするな! この──」
ゴパァ!と勢い良く血が吐き出されたのは「偽善者」と言おうとした瞬間だった。
590三局(多分それくらい)の戦い其ノ四:04/09/24 00:35:35 ID:w/HmBpcS
(またか…)
びちゃびちゃと陰惨な音を立て、面白いように血が出て行く。
目前の真新しい板が朱に染まり、まひろは唖然とした表情のまま動かない。
パピヨンは吐瀉で滲んだ視界にそれら二つを認めると「いい気味だ」と思った。折角の新品が台無しだ。
だが良いコトはそれだけだ。
だらしなく口の端をつたう生暖かな血も、冷たく湿ってひゅうひゅうと雑音を立てる気管支も窒息も
何一つとして改善されない。蝶野攻爵の頃から、何一つ。
(腕さえ動けば…)
力が抜け、グラっと倒れゆく体を感じながら目を濁らせる。恍惚だがどこか惨めだ。
まひろが正気に返ったのはその時で、崩れ落ちそうなパピヨンを見ると
「…あ、えと、危ない!」
大慌てで手を伸ばし、両肩をどうにか支えた。

しかしどうしよう。
そんな表情で、苦しげな息のパピヨンを見る。
血を吐いた人間を見るのは当然初めてで、冷たい汗が頬をつたい、寒気がした。だが。
(こ、こういう時こそ頑張らきゃ! でもどーすればいいかわからないから)
本で読んだ要領で基本から。パピヨンが吐物で窒息しないよう、横向きに寝かせてみる。
次にパピヨンの頭を少し後ろにそらし、気道を確保すると、すぅっと一回深呼吸して覚悟完了、
牙無き人の明日のために!!とばかりに務めて明るく呼びかける。
「大丈夫、任せてね!」
(…コイツには何を言っても無駄なのか?)
背中を向ける格好で思っていると、どっさりのティッシュが口周りにやってきて
慣れた手つきで血を拭き取り始めた。
(頼みもしないコトをいちいちするな)
思ったより赤黒くなったティッシュが宙を彷徨い、コの字に止まる。まひろは記憶を反芻する。
(え、えーと確かこの次は…そだ! 確か!)
極めて茫洋な対処法を反芻しながら、パピヨンの胸の側面に左手を置いた。
そして固めても柔らかな右こぶしで左手を叩く。
トン、トン、トンとおっかなびっくりなリズムが部屋に響いた。
591三局(多分それくらい)の戦い其ノ四:04/09/24 00:39:53 ID:w/HmBpcS
「こうやって叩くと楽になるらし…楽になるから安心してね」
とは言いつつ、叩くペースは定まらない。どうすれば最良かまひろには分からないのだ。
(やはりうろ覚えか。そもそもそれは喀血の処置だろうが)
不規則で不器用で的外れな処置に揺らされながら、パピヨンは思った。
「吐血」も「喀血」も共に血を吐く現象を指すが、それぞれ消化器と呼吸器からの出血という違いがある。
パピヨンがしたのは吐血(だって特技に吐血って書いてあるし)で
まひろがこぶしでトントン叩くのは、喀血に対する対処法なのだ。
その違いなど知らず、治るワケでもないのに、緩急と強弱が何度も工夫されつつ胸の横を叩いていく。
嫌になるほどズレている。そのくせ真剣で懸命だから始末が悪い。まるで昔の誰かさんみたいに。
(一番嫌いなタイプだ)
柔らかさが響く胸の奥で毒づいた。随分と穏やかに呼吸をしつつ。

しばらくするとコツをつかんだのか、叩くペースも定まった。
それまでに何度も「…まだ苦しい?」と聞かれたがパピヨンは無言でいた。

更にしばらくすると、まひろは別のコトを口にした。
「その…ゴメンね」
「何がだ」
心当たりが多すぎるパピヨンは腹立たしそうに聞き返した。
一瞬手が止まり、そこから、トン、トン、トン、とバツが悪そうな三拍を刻むと
「リンゴ。無理に食べさせようとして…気づけなくて……ゴメンね」
沈んだ口調でまひろは答えた。血を吐くほど悪い体調に気づけなかったのを謝りたいらしい。
(……偽善者め。謝る位なら最初からするな。次はどうせ反省顔でリンゴを下げるのだろう?)
だが、そんな好き勝手を許してやるのは気に入らない。
偽善者に騒がれるのも謝られるのも気に入らない。
「…リンゴ喰ってやるから、しばらく黙れ」
驚いたらしい。下りたこぶしがメメタァッ!とめり込んだ。左手は無事だが下のパピヨンは真っ白になりつつちょっと血を吐いた。
「ダメだよ! ほら、また血を吐いてるしもうちょっと後にした方が! というか救急車呼んだ方がいい?」
「黙れ! つい今しがたオマエが吐かせておいてその言い草はなんだ! 救急車は面倒だから呼ぶんじゃ…ゴパァ!」
「ああ…またー!?」

血を拭かれた後、パピヨンは、動けるようになったら本当にさっさと帰ろうと思った。
592名無しさん@ピンキー:04/09/24 00:45:56 ID:aJxBzEnk
乙〜!
まひろは女カズキだなホントw
やりとりが微笑ましいな-
593名無しさん@ピンキー:04/09/24 02:50:10 ID:ZRSQyfNx
乙!
やばい、まぴ×パピすごく(・∀・)イイ!!
594名無しさん@ピンキー:04/09/24 12:57:39 ID:D7tvk4Gc
気持ち悪い奴だな
595名無しさん@ピンキー:04/09/24 22:39:32 ID:OxSd/m48
保守
596名無しさん@ピンキー:04/09/25 00:54:17 ID:jEyuYzoB
ここんとこ女性の書き手が増えてる?
昔に比べて随分スレの空気が変わった気がするな


597名無しさん@ピンキー:04/09/25 01:26:27 ID:YgQynQ9Q
少し前の荒れてた頃は男性比率が高かったなw
598名無しさん@ピンキー:04/09/25 16:09:45 ID:Ne/b289l
ここで性別を聞くってのは野暮ってモンでしょ。
>>596
599名無しさん@ピンキー:04/09/25 21:29:47 ID:djzs6WqC
>>598
同意
600三局(多分それくらい)の戦い其ノ四:04/09/28 22:04:59 ID:2mcN4JnX
大浜はその頃、「名作劇場イボンヌとゴンザレス 第18話 セザンヌ大爆発!」を聴いていた。
以下は抜粋。
──ゴリっ! ゴリゴリっ! イボンヌがゴンザレスの後頭部にレンガを叩きつけていく!
うらぶれた路地裏で繰り広げられる淫靡なショータイムは、まだ始まったばかりだ。
「おいこらゴンザレス! カゼ治りましたかッ! 鼻水はひきゃァがったか!!?」
「ゴゲゴゲゴゲゴゲェェェ! グルッ! グルルンヴァシャアアアッ!!」
ゴンザレスは妖怪なのだ。返事の代わりか、口から緑色の粘液を撒き散らし、醜い雄たけびをあげた。
「死んじゃわないでゴンザレス! インフルエンザは暖かくして寝てなきゃダメだ多分! 死ね!!」
イボンヌはレンガをゴンザレス目がけ振り下ろした。
ゴキャ。引きつった断絶の音が夜の帳にこだまし、イボンヌは屍にすがり号泣した。降り始めた雨が、冷たい。
どかーん☆! 時を同じくしてセザンヌはガス漏れに気づかず電気つけたから大爆発した。続く。──
大浜はなんでこんな番組聞いているのかと思った。

吐き掛けた血が、まるで醤油のように難色なく拭き取られていき、パピヨンはどうも奇妙な気分だ。
「あ、ところでコレ…どうしよう?」
「いちいち聞くな。ゴミ箱にでも捨てればいいだろう」
血を拭いたティッシュのコトを聞かれ、パピヨンは面倒くさそうに答えた。
楽になり再び座っているが、腕も体もまだ動かない。
まひろはちょっと困った顔をした。
「なぜ困る?」
「なんていうか、その、そういうのって失礼のような気が……」
おかしな理由で迷うまひろに、パピヨンは嘲るようにため息をついた。
「オマエは鼻血を拭いたティッシュを取っておくのか? いいから捨てろ。目障りだ」
「う、うん」
不承不承頷きながら、まひろは立ち上がった。
ゴミ箱は扉の左、パピヨンから見て机に隠れている部屋の隅にあるらしい。
そこにティッシュを捨てると、まひろは手を合わせた。
「…フン」
吐かれた血は汚物と変わらない。そういう扱いを受けてきたし、パピヨン自身もそう思う。
なのになんでいちいち気遣うのか。そういう自分と違う感覚をパピヨンは認める気になれない。

ゴミ箱の方から、「リンゴ食べるー?」と何も考えて無さそうな声がした。
601三局(多分それくらい)の戦い其ノ四:04/09/28 22:05:31 ID:2mcN4JnX
とりあえずリンゴを喰う。
フォークで差し出された細かいのを丸ごと口に入れて。
しゃくっ、しゃくっと音がなるたび、口の中には
程よく咀嚼されたオリゴ糖の甘く瑞々しい匂いが広がるが、
別に美味いとも不味いとも言わず、とにかくパピヨンはリンゴを食べる。
「気持ち悪くなったらちゃんと言ってね。無理しちゃダメだよー?」
とまひろがまたリンゴを差し出したが、やはり答えないままリンゴを食べる。
(変態さん意外に元気… けど油断は厳禁! 安心するにはまだ早い!)
まひろはパピヨンに変調あらばすぐ対応できるよう、じーっと様子を見ながら
とりあえずリンゴをあげる。
長いフォークの柄のほとんどを握りこぶしに収めて、手を伸ばしきり、力いっぱい差し出しながら。
その様子はなんだか、やる気まんまんの銀行強盗が包丁を突きつけているような格好にも似ているが
しかし二人は全く気にしない。この二人にはそれはない。
あるのはシンプルな、たったひとつの思想だけだ。たったひとつ!
(リンゴを喰うッ!)
(リンゴをあげる!)
(それだけだ…)
(それだけが満足感よ! ああでもちょっとお腹すいた…)
フォークで差し出すリンゴを見ていると、胃袋がスカスカな気分になってくる。
だが看護の達人が患者より先に食べていい訳がない。
(ガマンしなきゃ…今はまだ…)とまひろは必死に言い聞かせた。

グウウウ…

だが腹は鳴った。なんか崩れまくった表情で懸命に弁明する。
「い、今のは気にしないでね! コレが生まれつきだから!」
その様子にパピヨンは舌打ちした。先ほど騒ぐなと言ったのに騒がれている。
「勝手に喰え。鬱陶しい」
とだけ言って、12切れ目のリンゴを飲み込んだ。一切れのリンゴで静かになれば安いと思っている。
「いいの? ありがと──!!」
二切れ。まひろは本当に嬉しそうに頬張った。
丸っこい目で頬をぷぅぷぅ膨らませているその顔は、パピヨンにはハムスターかリスに見えた。
602三局(多分それくらい)の戦い其ノ四:04/09/28 22:06:25 ID:2mcN4JnX
このどこかおかしな光景に、おかしな歌が加味されている。吐血の直後。
──そうだ歌を聞こうよ変態さん! 歌は健康にいいし和むんだよー(カチャ。←CD再生した音)
『殴(や)れ! 刺(や)れ! 犯(や)れ! 殺(や)れ! 壊(や)っちまえ―――!!!』──と
パピヨンが和まなかったり和んだりする曲の後に、色々なのが流れているのだ。
ビルの街でガオーだったり、姉三六角でカエルピョコピョコだったり、
上野発の夜行列車がどうとか、ベーダーの一味に狙われているから任せろとか、とにかく色々流れている。
『メタルファイヤぁ…(ジャカラバンバ-ン!) 燃えてきィたァッ!(ジャカラバンバ-ン!!) メェタルフゥゥゥゥルコォォオ─ツッ!!』
(選曲の基準がわからん)
リンゴ食べるパピヨンの横で、まひろが「あーそうだ覚醒!」と立ち上がった。
「待っててね。いい歌があるけどちーちんの部屋の前に忘れてきたから取ってくる!
……えと、そうだ! ケータイ渡しておくから、具合悪くなったらこのケータイでこのケータイに連絡してね!」
慌しくケータイを渡すと、まひろは脱兎の如く部屋を出た。

「待て、オマエ今すごく矛盾したコトを言わなかったか?
どう連絡をつけ……ま、別に頼る気はないけどね」
ナースコールの代わりらしい携帯電話を掌握しながら、一人ごちる。
『まーずしさーにまけたぁー いいえ、世間にまぁけたー』
辛気臭い曲が流れ始めた。選曲基準は全くもって分からない。
「どうせならあの曲かけろあの曲… ん? いや待て」
とパピヨンが思ったのは歌に対してではなく、手のコトだ。動かないハズなのに携帯電話を掌握してる。
「コレはひょっとすると」
腕が上がるかどうか試してみる。上がった。左腕も同様だ。
足の方はまだ動かないが、しかし大分状況は良くなった。リンゴだって自力で喰える。
そう。自力で。皿に盛られた残り二切れのリンゴを──…
「…満腹か。まぁリンゴ二個くらい喰ったからな」
誰にともなく呟き、手を止める。
(それにしてもヒマだ。アホでもヒマ潰しにはなっていたらしい)
『しーあわーせーなんてのーぞまぬが ひーとーなーみでいたーぁい』
跳ね上がった声量に顔をしかめたが、しかしヒマだからちょっと歌ってみたくなった。
で、時は流れた。(横山光輝風)
603三局(多分それくらい)の戦い其ノ四:04/09/28 22:07:46 ID:2mcN4JnX
「ふぅたぁりは〜枯れすすぅきぃ〜!」
「おお、変態さんが歌ってるー」
歌のラストをちょっと歌った瞬間、ソロモンよ、まひろが帰ってきた!
(クソのようなタイミングで!!)
パピヨンは顔を紅潮させた。あくまで怒りにだ。うん。
まひろは相変わらず楽しい顔だ。
「一緒に歌う? 昭和枯れすすき。時々お兄ちゃんと歌っているから得意よ!」
「う、歌うか!!」
「あ、リンゴ! 残してくれてたんだ。ありがとー」
皿に残っているリンゴを認めると、まひろは嬉しそうにお礼を述べた。
(違うね。俺が満腹なだけさ。それ以上でもそれ以下でもない。
誰が人に配慮をするか。してやった所で何の得になる。そう、俺は満腹なだけだ…!)
思っていると、まひろが冷蔵庫からリンゴが山と盛られた皿を取り出した。
「リンゴね、まだあるから一緒に食べよう!」
「そこにあるのになんでさっき俺のを取ったァッ!?」
パピヨンはキレた。なんかこういうアホな行動が腹立つ。つかリンゴはあんたのじゃないだろ。
まひろは思案の色を浮かべながら歩いてきた。そしてパピヨン前に到着。そして結論。
「うーん、なんでだろう?」
「質問を質問で返すな! 疑問文に疑問文で…」
怒鳴ろうとした口に、人差し指が当てられた。
「ダメだよ怒鳴っちゃ。また血を吐いちゃうから。ね?」
まひろはマジメな顔をしながら言い聞かせて、最後に優しく笑いかけた。
確かに一理はあるが、しかし腹の虫は収まらない。置かれたリンゴの山をちらりと見ながら
「少しはこちらの都合も考えろ。……いいか、しばらくリンゴは食べないからな」
パピヨンは憮然と答えた。
どうも調子が狂う。
(照れてるのかな…? あ、そうだCD聴かなきゃ)
まひろは「仮面ライダー剣」と書かれた赤いCDジャケットから
ビニールをペリペリ剥がすと、机の方まで歩いていきCDを入れ替えた。
604三局(多分それくらい)の戦い其ノ四:04/09/28 22:08:33 ID:2mcN4JnX
「この歌、覚醒って言うらしいけど、昭和枯れすすきよりもカッコいいから、きっと変態さんも気に入ると思うよー」
ニコニコしながらまひろが語るが、パピヨンにはどうでもいい。そしてミュージックがスタートした。

その頃大浜は、リクエストした曲が採用されていて喜んでいた。
『ハイ、というワケで最初の曲は銀成市にお住まいの
ラジオネーム、ハチミツボーイ君からのリクエスト。
仮面ライダー剣より「覚醒」。EDらしいけど実質的には挿入歌だよねコレって。
あとゴメン! 時間が無いから最後の部分だけをどうぞー』
「やった! コレで99通連続採用! あともう一曲は…掛かるかな。どうだろう」
考える大浜をよそに、ラジオから物騒な感じの音楽が流れ始めた。

…Gonna shake it up!
浅い眠り醒めたように気付く 未知の強さ 
走りながら探し当てる 最後の(最後の)切り札

飛び込んでく 嵐の中 何も迷わずに ためらう瞬間 その闇に飲まれる
疑うより信じてみる 自分の可能性 目醒めて行く未来の世界を 諦めない

叫んでいる 嵐の中 かき消されたって 動きを止めたら 自分を失くしそう
誰より今信じてみる 自分の未来を 目醒めて行く心誰にも 止められない…

Gonna shake it up,and keep you alive Gonna shake it up You keep me trail
Gonna shake it up,and keep you alive Gonna shake it up Just stir away

Gonna shake it up,and keep you alive Gonna shake it up You keep me trail……

「どう? カッコいいでしょー?」
傍でまひろが熱を帯びた口調で言う。片手にリモコン持ちながら。
CDラジカセのいいも悪いもコレ次第で、敵に渡すなで、再生とかが手元でできるらしい。
パピヨンは答えない。
強いて言うなら「疑うより信じてみる 自分の可能性」という部分が
自分に合っているとは思ったが、それ以外は騒がしいだけの曲で興味はない。
605三局(多分それくらい)の戦い其ノ四:04/09/28 22:09:15 ID:2mcN4JnX
「特に最初とかの『こにしきらぶ ざぴーぴーらぶ こにしきらぶ でぃすぷぇあれー』ってトコが」
まひろは調子外れに歌う。
「Gonna shake it up,and keep you alive Gonna shake it up Just stir awayだ」
パピヨンは突っ込んだ。天才だからヒヤリングはお手の物だ。
「おぉ───っ!! 何言ってるかわかるんだー! すごいよ変態さん!」
まひろは尊敬やら感心に瞳をキラめかせながら、マネをしだした。
「えと、がなせきら きーぴゃらい がなせきら じゃすとろーくれ?」
黒目がちにこちらを見据える瞳は、バカな小型犬に似ていると思いつつパピヨン。
「Gonna shake it up,and keep you alive Gonna shake it up Just stir away」
ちっとも合ってないんだよと侮蔑を込めて、ゆっくりと流暢に聞かせてやる。
まひろは真剣な表情で反復する。
もっともパピヨンから見れば、怒り眉毛を描かれたマヌケなチワワの顔だが。
「ごなしぇいくあっぷ あんどきーぴゅーあらいぶ ごなしぇいくあっぷ じゃすとすてぇあうぇい…かな?」
チワワの分際で確実に上達している。
パピヨンは苦々しく舌打ちをすると「まぁ歌えなきゃ意味ないけどね」と続けた。
チワワは確かにそうだという顔をした。…なんだか、犬同士のやり取りを描いてる気分だ。
「やってみるっ! 何を隠そう私はごなしぇいくあっぷの達人よ!」
「ウソつけ」
「あ〜信じてない! Gonna shake it up,and keep you alive Gonna shake it up Just stir awayでしょ!」
驚きながら怒る顔をよそに、覚醒が再生された。

ズ ズズゥ…ダン!(ヒュンヒュンヒュン…) タンカンカンカンカン(チャッチャッチャッチャ!) カンカンカカッカン(ビュヴォ─z__ン!)
タンカンカンカンカン(ウゥ〜ッ! チャッチャッチャッチャ!) カンカンカカッカンッ ギュゥゥルルウ〜ウンッ!

何だか景気の良いイントロが終わや否や、まひろが歌い出す!
「ごなしぇけあっ… あ、あんだきーぴゅー…ごな… じゃす すてあ…んがっ!」
だが追いつけなかった!
「舌噛んだぁ〜!」
せいらしい。心底痛そうな顔を向けられたパピヨンは、バカめ…と冷笑で返してやった。
しかしまひろは気分を害した様子もなく、口をぐにゃぐにゃの曲線にして
頬をほんのり朱にそめて、バツが悪そうにはにかんだ。
パピヨンはそれを見ながらやや黙り込み、不意にまひろの鼻をつまんだ。
606三局(多分それくらい)の戦い其ノ四:04/09/28 22:15:21 ID:2mcN4JnX
「みぎゃあー! 」
中国人に投げナイフを40本位刺されたドイツ人死刑囚みたいな
もしくは尻尾を踏まれたネコみたいな、そんな素っ頓狂な悲鳴を上げると
まひろは「痛い痛い」と両手をバタバタさせた。
反応が面白くて、パピヨンはニタぁっと笑いながら、手を離す。
「な、何をするの突然! もー!」
涙目になりながらの必死な抗議がますます楽しい。
パピヨン自身、別に意味なんてなくスカっとしそうだからやっただけだが
この下らない思いつきは予想以上の成果だ。スカっと爽やかな笑いが止まらない。
まひろは鼻をさすりながら恨めしげに睨む。チワワの眼光は可愛いだけだが。

その頃大浜は「そろそろ点呼の時間だ。一旦部屋に戻らなきゃ」
とCDラジカセを片手に、部屋へ戻る最中だった。
途中、なんだか顔が赤いさーちゃんを見かけたが
ジュースでも買いに行ってたんだろうと別に気にも留めない。
彼女の身にどんな異様なコトが起こったのかなんて知らないのだ。
大浜だけは、本当に変わり映えしない日常の中に居る。
…え、六舛? 彼は存在自体が非日常さ。

一気に上機嫌なパピヨンは、得意顔で勿体ぶりながら話を始めた。
「ところで、さっきの英語の意味を知りたくないかな?」
「教えて!」
好奇心が一気に怒りを押し流した。ストレス無さそうな性格だ。
「『目醒めよ、生きるために。目覚めよ、今この時』だね。
もう一つの、Gonna shake it up,and keep you alive Gonna shake it up You keep me trailは
『目覚めよ、生きるために、目覚めよ、さぁ続け』さ。つまり──…」
「『覚醒』ってタイトルにかかってるんだー! すごいねー。変態さんも作詞した人も」
得意げな説明に割り込まれたパピヨンはムっとした。
その顔色を機敏に察したまひろは、ハっとした様子で鼻を抑えた。
(…まぁいいか。このアホの制御法は覚えた)
おかしなコトしたら、その都度脅していけばいい。
我が意を得たと思うパピヨンだったが、しかし思惑はまひろの次の一言で吹き飛ばされた。
607名無しさん@ピンキー:04/09/28 23:49:38 ID:JKVlh5V4
濃い。濃すぎる。
なんかほのぼのしてて良いね。
小ネタが過積載気味でワラタ。大浜のペンネーム、どうかと思うw
乙です〜
608名無しさん@ピンキー:04/09/29 22:33:54 ID:dSQ31f3a
なんだかなあ…
609名無しさん@ピンキー:04/09/30 06:34:07 ID:dHWbbOjR
おっ続きがきてるー
乙。独特のリズムがあって好きだよ

スレもとうとう448kBまできたかー
あとどれくらい投下できるかな?
610名無しさん@ピンキー:04/10/02 00:42:04 ID:Pe40laMO
携帯じゃ過去スレ見れねぇ!畜生!にしてもぱぴが可愛い…
611名無しさん@ピンキー:04/10/02 00:44:06 ID:D0Iu+DtE
>>610
SSだけなら>>1の保管庫で見れるよ。
612名無しさん@ピンキー:04/10/02 02:16:32 ID:Pe40laMO
携帯でも保管庫見れるの?
613名無しさん@ピンキー:04/10/02 03:11:59 ID:D0Iu+DtE
スマソ。勘違いかも知れない。
614名無しさん@ピンキー:04/10/02 04:29:36 ID:8zluVUQX
↑目標をテキスト化してSDカードに…
615名無しさん@ピンキー:04/10/02 20:16:32 ID:swfFyrQv
>>612
容量が小さいやつなら見れる
616名無しさん@ピンキー:04/10/04 14:26:23 ID:MQyct83s
ほしゅ
斗貴子さんの新しい私服可愛い
脱がしやすそうで良かったなカズキ!
617名無しさん@ピンキー:04/10/06 21:07:58 ID:Sr6ReTqM
脚に巻いた包帯がエロい感じがした
ちくしょうカズキのやつ良いなぁ
618ネタ投下:04/10/08 21:03:39 ID:1xpWtxp3
蝶野に一服盛られるカズキ…それは何とバイアグラ。
抜いても抜いてもおさまらない下半身のために部屋から出ることもできず苦しむカズキ。そして斗貴子さんが一肌脱ぐ…?


こんなネタで何か書いて欲しいっす。
619名無しさん@ピンキー:04/10/08 21:23:53 ID:pEG6SYFU
お前が書け、クズ
620名無しさん@ピンキー:04/10/08 21:46:52 ID:sHFAW73o
>>618
何とか頑張ってみる
日付けが変わるまでに投下できたら良いけど、うーん。
短い話になると思いますが、それでよければ…。
ではまた〜。
621名無しさん@ピンキー:04/10/08 23:42:04 ID:Y+RUF0zC
>>620
ガンガレ(・∀・)ノシ
622620:04/10/09 00:17:15 ID:mDxxGJ0k
結局日付けをまたいだ上に、肝心のエロスパート直前で
集中力が切れてしまいました…
エロの殆ど無い前半のみの投下、ほんとゴメン!
エロパートは今日土曜の夜に、ですね。
なんだかわからないモノになってますがつづきも頑張ります
応援レス感謝です>>621

題は「おくすりの時間」です
623「おくすりの時間」その1:04/10/09 00:19:52 ID:mDxxGJ0k
きっとオレはどうかしてたんだと思う。
正常な判断を下せず感情の赴くままに
あんな愚かな行動を取ってしまうなんて…

オレは戦士失格だ!

確かにあの日、オレはどうかしてた。
夕刻、寄宿舎内での食事が済んで部屋に戻った
ときに目にした光景。
ベッドの下の秘蔵のコレクションが紐でくくられて
勉強机の上にまとめて置かれ、その横で
斗貴子さんが呆れ顔で腰に手をあてて立っていた。

オレはパニックを起こして何ごとか叫んだ後
部屋から、寄宿舎から飛び出していって、
気がつくと夜の銀成市をトボトボ歩いてたんだっけ。
シトシトと降り始めた雨。

斗貴子さんは悪くないんだ。
オレが戦士になると決意して戦士長との特訓に入って
からは、いつも何かと世話を焼いてくれてて。
あの時も部屋の片付けをしてくれてただけなんだ。
ああ。ベッドの下の事を忘れちゃうなんて。

雨の街は寂しくて肌寒くて。
それでかも知れないけど、風邪を引いちゃったのか
熱でポ〜ッとしながら寄宿舎に戻ろうとした時に。
何故か蝶野に出くわしたんだ。
624「おくすりの時間」その2:04/10/09 00:24:44 ID:mDxxGJ0k
ニタリと濁った目で笑みを浮かべてる蝶野。
「何だかしょぼくれてるな武藤カズキ」
「何故ここに?っていうか雨の日もそのスーツ?」
「これは素敵だから天気など関係ないのさ」
何だろうか。
奴とオレは休戦協定を結んでいるのでここで戦闘を
始めるために現れた…訳じゃないだろうし。
「具合が悪そうだな武藤。大丈夫か?」

オレは耳を疑った。あの蝶野が。オレの心配?
「何だその顔は。この雨の中歩く内に体を冷やしたか」
「…うん。ちょっと熱っぽいかな」
「それは聞き捨てならんな。好敵手の体調は俺の関心事だ」

そういうと蝶野はスーツの股間へと手を伸ばし、そこから
小さな小ビンを取り出してオレに見せたんだ。
「錬金術は貴様の味方だ。これを飲めば蝶回復」
「蝶野悪い、オレには飲めない!」
「貴様!俺の善意を拒絶するのか」
「なんでちゃんとポケットがある癖にお前は股間なんだ!」
「大事なのは善意と効果だ!飲ませてやる」

元気なホムンクルス相手では、発熱して意識がボンヤリな
オレがかなう訳なくて。
オレに無理矢理小ビンの中身を飲ませた後、蝶野は
高笑いしてあっけなく姿を消してしまった。
「手間が省けたので蝶サイコーだ。お大事に」

なんだったんだ。
一抹の不安を感じつつオレは寄宿舎に戻った。
625「おくすりの時間」その3:04/10/09 00:28:31 ID:mDxxGJ0k
部屋にはもう斗貴子さんの姿はなかった。
綺麗にしてくれたんだなー。
後でお礼のメールしなきゃ…
あ、あれ。
なんだ…この変な感じ。
不安は現実になった。
だるいようで鼓動は高鳴っていて、
熱っぽいようで意識ははっきりしてる?
落ち着かないなぁ…。
いや。
一番の問題は…。
…なんで?
オレ、興奮してるのか?なんで?
思わず手で股間のあたりを抑えてみたら、ギンギンに
固くなっていた。
男なら別にはじめての事ではない体の変化なんだけど。
全然収まりそうにないのはなんで?
…うーん。どうしよう。
解消する方法は簡単で、行えばスッキリ落ち着くはずだけど。
斗貴子さんが綺麗にしてくれたばっかりの部屋でするのは
何かちょっと心が痛むなぁ…。
……………。
斗貴子さん、ゴメン!
オレは我慢できなくなって、結局始めてしまったんだ。
入り口にしっかり鍵をかけて。
ベッドの下の…は紐でくくられてるから使えないや。
本棚にある、一冊だけハードカバーの本。
「写真で綴る激動の二十世紀」。
もちろん偽装。中身は「Hでキレイなお姉さん・極」
岡倉の秘蔵のなかの秘蔵。
最近になってやっとオレに譲ってくれたお気に入り。
はやく済ませて寝てしまえば収まるだろう…。
626「おくすりの時間」その4:04/10/09 00:34:10 ID:mDxxGJ0k
もう何回目だっけか。
ぜーんぜん収まる気配もない。
ちょっと恐くなってきた。
蝶野…アレは何の薬なんだ。
お前との決戦、明日にでも始めたいぞ。
うう。
誰か…助けて。
「お兄ちゃんいるー?入るよー」
「まひろ!?だ、駄目だ!明日にしてくれ」
「カギかけて何してんのー?…あー!」
扉の向こうでまひろが素頓狂な声をあげた。
「今そこに斗貴子さん遊びにきてるんでしょ?」
何だか嬉しそうにヒソヒソ話しかけてくる。
「斗貴子さんどこいったかなーって探してたけど」
「こ、ここにはいないよ、まひろ」
あれ?斗貴子さん部屋に帰ったと思ったけど。
「まぁまぁ。ごゆっくり〜」
「だから居ないってば!」
まひろはオレと斗貴子さんが一緒にいると決めつけたまま、
どうやらどこかへと去って行ったようだ。
まずは一安心。
妹のまひろと話していた間、ずっと収まらずにギンギンだった。
これじゃあオレ変態じゃないか…。
とても悲しくなったので、冷蔵庫に冷やしてある青汁でも
飲んで気分を紛らわせる事にした。
ベッドを降り、冷蔵庫のある間へと移動する。
あれ。なんか人の声がしたような?…気のせいだ。
目的の青汁を手に取ってベッドのある間へと戻る。
ああ、なんか最低な一日になってし…
斗貴子さんがベッドに座ってる。
顔を真っ赤にしてオレを見てる。…なんで。
オレはあまりのことに倒れて気を失った。
627620:04/10/09 00:37:35 ID:mDxxGJ0k
とりあえずここまでです。
エロないですね、すみません。
つづきではそこにベストをつくします。
ではまた〜
628名無しさん@ピンキー:04/10/09 01:04:48 ID:mNK9fGdT
>>627
カズキの消沈ぶりが良いと思う。
どこかのん気で暗すぎない雰囲気が読んでいて面白かったよ。
629名無しさん@ピンキー:04/10/09 15:58:59 ID:6bMhrbd5
>>627
続き待ってるよー
630620:04/10/09 23:41:19 ID:Ln+IO4Xx
レスありがとう!
申し訳ないですが続きは明日になりそうです
…うまくまとめられなかったorz
「カズキらしく斗貴子さんらしく」に全力つくします
ではまた〜(ホントごめん)
631名無しさん@ピンキー:04/10/10 01:08:13 ID:bZcMEkYI
>>620
ガンガレ(・∀・)ノシ
期待しときます( ´ー`)y―┛〜〜 
632名無しさん@ピンキー:04/10/10 13:48:14 ID:59XGPF1f
>>630
頑張れ。待っとるよ
633名無しさん@ピンキー:04/10/10 13:55:29 ID:xqaFFB5f
>>631-632
まだまだだな。ここで言うべきセリフは一つだろう。
>>630
謝るなよ、偽善者
634名無しさん@ピンキー:04/10/10 20:29:07 ID:1bWPq2a6
+   +
  ∧_∧  +
 (0゜・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゜∪ ∪ +        
 と__)__) +
お待ちしてます〜
635名無しさん@ピンキー:04/10/10 21:23:45 ID:9LKfDfzl
今週号ではよくよく見たら相合い傘。
相変わらずストロベりってんなお二人さん。
そんな二人に合流する剛太。いいのか、おい?
636620:04/10/10 23:51:42 ID:5fiwuvdm
優しい励ましのレスありがとう〜

…丁寧に書いていこうと頑張ったらどんどん
間延びしていくorz
次回でやっとエロくなる予定です
とりあえず投下できる部分だけでも…
637「おくすりの時間」その5:04/10/10 23:55:56 ID:5fiwuvdm
…どれくらい時間が経ったのかな。
気がつくとオレはベッドの上にちゃんと
寝かせられていた。額のうえの冷たい感触。
固く絞られた冷たいタオル。
お腹のあたりまで被せてくれた毛布。
誰がやってくれたのかは言うまでもない。
「起きたのか、カズキ」
「斗貴子さん」
勉強机の椅子をベッドの側に持ってきて
ずっとオレの事看ててくれてたんだ…。
「キミの着てる服な、雨で濡れてたみたいだから
勝手に着替えさせて貰ったぞ。パジャマに」
優しいな。
何か世話ばっかりかけてるのが情けないや。
この街に任務で来てから、彼女はずっとオレの
お守に振り回されている。
オバケ工場の夜。
…オレの「命」に対する責任から
望んでそうしているかもしれないけど、
…オレが無理させている事には変わらない。

「部屋の片付けサンキュ。オレの部屋じゃないみたい」
「キミが言う程散らかってなかったぞ」
「でもオレ、本とか読んだら投げっぱなしとかするし」
「ちゃんとわかってるなら改善しろ」
オレも斗貴子さんも何か可笑しくなって、クスクスと
小さく笑いあった。……本。あっ。いやそれよりも!
いまようやく気付いた。マジなのか。
まだ収まってない。ってことは気絶してた間もずっと!?
着替えさせて貰ったパジャマ。まさか。
「斗貴子さん…?」
638「おくすりの時間」その6:04/10/10 23:59:10 ID:5fiwuvdm
「なんだ。素頓狂な声をあげて。顔も赤い。…熱が」
「そっ、その!着替えさせて貰えてありがたいけど…」
「ああ。少し手間取ったな。パジャマを探すのとか」
「…みたの?」
「ん。なっ、何をだ?」
途端に斗貴子さんの顔がパっと赤くなった。
どうやら最悪のケースを辿ったようだ。
「わ、私はなるべく見ない様にしたぞ!断じてジロジロと」
「…もうひとつだけ聞いていい?」
気まずそうにうつむく斗貴子さんにオレは弱々しく尋ねた。
「もしかして…みたの?オレが…」
「……」



「カズキ」
毛布から何から頭から被ってベッドの上のダンゴ虫に
なったオレに、遠慮がちに声をかけてくる。
「…実はな。私は、キミの読んでるあの…何とかいう本な」
机のうえに紐でくくられた本。ああ。あれもみられたんだよな。
「片付けが終わって、帰ろうかと思った時、何故だか…
魔が差したのか。キミが愛読する程の内容ってどんなのかと」
ベッドの下に隠すくらいの内容です…あれは。
「試しに一冊手に取って読んでみようとしたらキミの気配が」
うう。
「もう手に取ってたんでな。慌てて無音無動作で錬金発動させて」
…たぶん。天井に張り付いたとみた。死角になる様移動しつつ。
「上から様子を伺っていた。隙をみて部屋を後にしようと」
でも部屋に入ってきたオレが、まさかそのままあんな…。
「あの。…すまん。プライベートな事だろう、あの、」
「軽蔑するよね。…あんな姿」
「わ、私には良くわからない。でも…驚いてしまったのは確かだ」
639「おくすりの時間」その7:04/10/11 00:03:15 ID:fF99KVcb
「オレって最低だ。…もう顔合わせられないや」
毛布のなかの暗闇で、オレはすこし涙ぐんでしまった。
「いや、キミも多分そういうコトするだろうとは何となく
理解はできる。そういうものだと何か本で読んだ気がする」
懸命にフォローしようとしてる声。
「オレ斗貴子さんのコト尊敬してるし守りたいって思うし」
「カズキ?」
「あんなに痛いの我慢してみんなのために戦ってる姿みてさ」
「…」
「オレ絶対強くなって斗貴子さんに認めて貰えるような戦士に」
「…」
もう自分でも何言ってるのかわからないけど止まらない…。
「できれば格好良いとこもみせたかったんだ」
「キミは頑張ってるじゃないか、カズキ」
オレの丸めた背中にあてられた斗貴子さんの手の感触を毛布ごしに感じた。
「毎日毎晩頑張ってるじゃないか」
「斗貴子さんにだけは見られたくなかった」
話してる間もずっと状態は変わらない。
もうずっとこのままなのか?
いつも前屈みになって戦ったり学校行ったりするのか。
誰もオレの側になんか来ないだろうな。
「カズキ。そもそもずっと、それはその状態なのか?」
躊躇いがちにオレに聞いてくる。
「…こんなの初めてだよ。ありえない」
「そ、そうか。大変だな。男というのは」
不意に会話が途絶えた。
しょげてるオレよりも励まそうとする斗貴子さんのほうが
その沈黙の時間は気まずかったのだろう。
とにかくオレを落ち込ませまいと話題を振ろうとしてくれたのか、
「え、えーと。そうだ。どんな時にそうなるんだカズキ?」
凄い質問をオレに投げかけてくる斗貴子さん。
今思うと、この言葉が、始まりだったんだ。
640620:04/10/11 00:09:38 ID:fF99KVcb
今回はここまでなんですが…
文章をかくことの難しさを思い知りました。
あと数回かかるかと思いますが、
読んでもらえたらすごい嬉しいです
ではまた明晩(予定)〜
641名無しさん@ピンキー:04/10/11 00:09:47 ID:8wfGskSO
キタ*・゚゚・*:.。..。.:*・゚(n'∀')η゚・*:.。. .。.:*・゚゚・* !!!!!
642名無しさん@ピンキー:04/10/11 11:25:52 ID:a4BsZpcf
>>640
GJ!
続き期待
643名無しさん@ピンキー:04/10/11 21:21:23 ID:p0j3wmzI
ご・・・剛トキ書いてみたんだけど、投下してもおK?
644名無しさん@ピンキー:04/10/11 21:32:55 ID:nXRDVQEP
>>643
かもん
645名無しさん@ピンキー:04/10/12 00:30:01 ID:nK3W8JY6
>>643
良いわけないだろ
死ね
646名無しさん@ピンキー:04/10/12 00:50:08 ID:iAedi0CH
>>643
期待してます
647名無しさん@ピンキー:04/10/12 00:51:25 ID:4wlwb2us
>>643
是非!!

>>620
続き楽しみにしてます
648名無しさん@ピンキー:04/10/12 00:52:37 ID:ENtahUIV
「おくすりの時間」のあとにしてもらいたいものだ。
649名無しさん@ピンキー:04/10/12 00:57:51 ID:nK3W8JY6
>>646ー647
自演乙

           _∧_∧
        / ̄ ( ´・ω・`)⌒\
   __    /  _|     |   |
   ヽヽ   /  /  \    |   |           ,,,,,,,iiiiillllll!!!!!!!lllllliiiii,,,,,,,
    \\|  |____|   .|   |           .,llll゙゙゙゙゙        ゙゙゙゙゙lllll,
     \/  \       |   |           .|!!!!,,,,,,,,       ,,,,,,,,,!!!!|
     | ヽ_「\      |   |、         |  ゙゙゙゙!!!!llllliiiiiiiiiilllll!!!!゙゙゙゙ .|
     |    \ \――、. |   | ヽ         .|     .゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙     |
     |   / \ "-、,  `|  |  ヽ       |               |
  _/   /    "-, "' (_  ヽ  ヽ      .|               |
/    __ノ      "'m__`\ヽ_,,,, ヽ      |               |
`ー― ̄          ヽ、__`/ー_,,,, ゙゙゙゙!!!!!!!lllllllliii|               |
                    \゙゙゙゙゙゙゙!!!!!lllllllliiiii|               |
                      \   ヽ   |               |
                       ヽ   \  |               | グチャ!!
                        |     \.|               |
                        `ヽ、,,_ノ|               | >>646ー647
                              ゙゙!!!,,,,,,,,       ,,,,,,,,,!!!゙゙
                                   ゙゙゙゙!!!!llllliiiiiiiiiilllll!!!!゙゙゙゙
                                /.// ・l|∵ ヽ\  
650名無しさん@ピンキー:04/10/12 00:59:44 ID:VPq9x9jg
>>649








(*´Д`)ポッ…
651名無しさん@ピンキー:04/10/12 01:02:48 ID:TyMYve67
>>643
TPO弁えてくれ。
どうしても人に見せたいなら自分でホームページでも作ってくれよ。
652名無しさん@ピンキー:04/10/12 01:09:43 ID:I8jt+PVM
>ID:nK3W8JY6 - ID:TyMYve67
自演乙

           _∧_∧
        / ̄ ( ´・ω・`)⌒\
   __    /  _|     |   |
   ヽヽ   /  /  \    |   |           ,,,,,,,iiiiillllll!!!!!!!lllllliiiii,,,,,,,
    \\|  |____|   .|   |           .,llll゙゙゙゙゙        ゙゙゙゙゙lllll,
     \/  \       |   |           .|!!!!,,,,,,,,       ,,,,,,,,,!!!!|
     | ヽ_「\      |   |、         |  ゙゙゙゙!!!!llllliiiiiiiiiilllll!!!!゙゙゙゙ .|
     |    \ \――、. |   | ヽ         .|     .゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙      |
     |   / \ "-、,  `|  |  ヽ       |               |
  _/   /    "-, "' (_  ヽ  ヽ      .|                |
/    __ノ      "'m__`\ヽ_,,,, ヽ      |                |
`ー― ̄          ヽ、__`/ー_,,,, ゙゙゙゙!!!!!!!lllllllliii|               |
                    \゙゙゙゙゙゙゙!!!!!lllllllliiiii|               |
                      \   ヽ   |               |
                       ヽ   \  |               | グチャ!!
                        |     \.|               |
                        `ヽ、,,_ノ|               | >ID:nK3W8JY6 - ID:TyMYve67
                              ゙゙!!!,,,,,,,,       ,,,,,,,,,!!!゙゙
                                   ゙゙゙゙!!!!llllliiiiiiiiiilllll!!!!゙゙゙゙
                                /.// ・l|∵ ヽ\  
653647:04/10/12 01:14:42 ID:4wlwb2us
ここってカズトキ以外は駄目なの?
普通に剛トキ読みたかっただけなんだけどなぁ…
空気読めてなかったみたいで悪かった。

ちなみに俺は>>646じゃないよ。
654名無しさん@ピンキー:04/10/12 01:15:18 ID:1adT2FGe
カズトキだけにこだわらなくても、色々なカップリングがあったほうが
スレにも広がりが出ていいとおもうけど。
655名無しさん@ピンキー:04/10/12 01:24:22 ID:doX4kt2T
カズトキ以外は、カップリングを名前欄に書くということでどうよ?
読みたくない奴は読まなきゃ良い。
656名無しさん@ピンキー:04/10/12 01:31:31 ID:TyMYve67
カズキと以外の絡みは駄目だろ。
別に斗貴子さんじゃなくても良いけど
657名無しさん@ピンキー:04/10/12 01:33:04 ID:I8jt+PVM
>>656
初耳だ・・・

つうか今までもエロスとか無かったか?
658名無しさん@ピンキー:04/10/12 01:37:21 ID:HNDdrpvC
>>655
同意

それにカズトキ意外駄目なんて規則ないハズだ。
苦手な作品はスルー荒らしもスルーこれ基本。
つーわけで>>643投下して下さい(・∀・)ノシ
楽しみに待ってまつ( ´ー`)y―┛〜〜 
659名無しさん@ピンキー:04/10/12 01:39:18 ID:GZO66oQk
>>656
激しく同意。
剛トキとか言ってる人は
嫌がる人が多いんだから少しは考えて欲しい。
660名無しさん@ピンキー:04/10/12 01:50:25 ID:Ysh0Dy03
激しく同意って・・・。
お前ら狭量すぎやしませんか。
俺も確かにカズトキの方がいいけどさ
違うカプに萌える人だっているだろう。
個人的にはエロスなしで剛太が惚れてく過程とか見たい気もする。萌えスレ向きか
661名無しさん@ピンキー:04/10/12 01:53:35 ID:I8jt+PVM
>嫌がる人が多い
って何を根拠に・・・?

つうかカズ×トキ以外を病的に嫌悪してて他のカップリング嫌がる奴と
カズ×トキネタ以外も嗜好しててそれ以外を禁止されて嫌がる奴と
どっちが多いだろうな
662名無しさん@ピンキー:04/10/12 01:56:54 ID:TyMYve67
嫌悪感を示す人がこれだけいて、積極的に読みたい人がほとんどいないっていう状況を考えれば
何が最善かは自ずと分かると思うけどね。
荒れる元だし他の作品も投下しづらくなる。
663名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:03:15 ID:ehxq+7os
これだけって
ほとんどお前さんじゃねーか

俺はカズキ×TQN以外も激しく見たいぞ
ブラボー千歳とか
664名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:06:14 ID:iAedi0CH
カズトキが好きなのは勝手だが、他カプ叩きはスレが衰退する元だよ。
間口を広げる意味でも、>>643には頑張っていただきたい。
665名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:09:24 ID:TyMYve67
剛トキとかを投下する方が余程衰退するだろ。
そんなカプを書こうとすること自体理解不能。
666名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:13:02 ID:rarDqWrl
やっぱ剛太×TQNは荒れるな…そりゃカズキ好きカズトキ好きで、
恋敵とTQNのカラミなんざ見たくない奴は多いと思う。でもだからって
「書くな」はねぇよな…というわけで、がんがれ>>643!俺の上を見て分かるように、
見たい奴も大勢いるんだ!

正直、俺は見ないと思うけど…許してくれ、戦士>>643
667名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:15:29 ID:jKc3WXyZ
俺もとてもじゃないけど剛トキなんかと共存できないなぁ
どうしてもそんなカプでっていうなら違うところに投下すれば良いのに
最悪、自衛手段としてスレを荒らすっていう行動に出ざるを得ないかもしれない
俺にとってはこのスレが衰退する以上に
そんなSSを読むのが嫌だからね
668名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:17:21 ID:VE8lI34d
剛×トキは人気急上昇中だぞ?
特にお姐さま方を中心に

まぁ最終的に剛太不幸オチが多いわけだが
669名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:27:10 ID:Ysh0Dy03
>>667
>最悪、自衛手段としてスレを荒らすっていう行動に出ざるを得ないかもしれない
>俺にとってはこのスレが衰退する以上に
>そんなSSを読むのが嫌だからね

何じゃそりゃ。ただの我侭なガキじゃん。
読みたくないならメール欄に剛トキとか入れてもらってNGワードすればいいだろ
670名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:28:45 ID:TyMYve67
少しは空気読めよってことだ
671名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:29:13 ID:8IeaLPVT
いや、ふつうに
読みたくない奴は読まなきゃいいじゃんと思うのは俺だけか?
別に投下された奴は強制的に読まなきゃいけないわけじゃないんだし。
そりゃ801とかスカは駄目だけどさ、そこまで嫌悪感を覚える奴とかいるのか?カプで。
というわけで頑張れ>643
672名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:33:35 ID:VE8lI34d

γ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
| では >>ID:TyMYve67  は
| 
| いただいていくぞ  さらばだ 
人______   ________ノ
           `y´
 >>ID:TyMYve67
      ↓     _
         ./⌒T 萌ヽ─、
       ,'⌒⌒ヽl =_=l/~)ノ
     / ,:::::(⌒)..)= ノ
    (l,, l。/ ,,/|\/⌒ヽ
     Ul,,_ /l .|,).Y○)={.
        しし´:::|l|::〈\,_ゝ
         /ヽ/ヽ_,,ゝu)ノ
        ,,_L_,,/\-"フ
        \_,,/  |,,_/
         /_ヲ  l:::::ヽ.
             ` - '
673名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:35:01 ID:jKc3WXyZ
>>671
おいおい勘弁してくれよ、どう考えてもいるだろ
スカが駄目なのと同じ理由だから
剛トキなんてチラシの裏にでも書いててくれよ
674名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:37:43 ID:8IeaLPVT
どうやら一部に極端な趣味な人がいらっしゃるようなので、新しくスレ立てた方が荒れなさそうだな
675名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:41:21 ID:jKc3WXyZ
そうだな、剛トキとか異様なことを言い出す奴がいるからな
専用スレにでも隔離するしかないな
676名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:41:23 ID:VE8lI34d
こんな極端な奴そうめったにいるもんじゃないんだがなw
スレ立ては控えた方がイイ
どうせ過疎になるのは目に見えてるんだしスレ乱立は避けよう
レンコンファンのマナーとしても
677名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:42:34 ID:5OXzkerQ
正直言って俺はカズキ×桜花があまり好きじゃないんだが
書いてあったとしても別に気にしないけどな
嫌なら自分がスルーすればいいだけだし
>>655が言うようにカップリングを名前欄に書けばいいんじゃね?
そうしてるスレよくあるしさ
678名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:46:21 ID:TyMYve67
カズキ絡みなら多少の好き嫌いはあるだろうが些細なことだろ。
男キャラが違うってのは全く話が違ってくる。
腐女子の方以外にとってはね。
679名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:49:22 ID:8IeaLPVT
>678
そんな個人の趣味をさも常識のように言われてもねぇ



〜錬金戦士&超常選民の為のおやくそく〜
◎基本的にsage進行で
◎ネタバレは公式発売日(月曜日)の午前0時以降に!
 それ以前のバレはバレスレに!本気で嫌な人は木曜あたりから気を付ける
◎次スレは>>950さんヨロ
 立てられない場合はだれかに委任して下さい
◎SS投下神(エロス・ラブラブ問わず)はもちろん、プロット書きも大歓迎
◎直リン、私怨厳禁
◎荒らし煽りは徹底放置で。マターリできない香具師は核金没収後ブチ撒けます。

初代スレ【バルキリー】武装錬金【スカート】
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1057553474/
二代目スレ【斗貴子さん】武装錬金のSS 第2章【まひろタン】
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1061136195/
三代目スレ【パピヨン様が】武装錬金のSS 第3章【見てる】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1070195663/l50
四代目スレ【夏だ!】武装錬金のSS 第4章【海だ!】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1083049582/l50
前スレ【とっきゅん】武装錬金のSS 第五章【水着】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1089908924/

武装錬金-CVI(106)-
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1097477418/
【いけません】武装錬金萌えスレ35【お仕置きです】
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1096895694/
2chエロパロ板SS保管庫
ttp://sslibrary.gozaru.jp/

上二行は次スレ>>1に託すとして四行目は錬金戦団&超常選民のがしっくり来るかな? どうだろう。
681名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:51:40 ID:c/UUqHOX
漏れはカズトキも読みたいが剛トキも読みたい。
前にエロなしでもいいかと職人さんが聞いてたとき
ダメって言うヤツもいたからな。ま、人それぞれだろ。
ただ載せるなって言うヤツはお門違いだ。
ここはそいつのスレじゃねぇしな。
682名無しさん@ピンキー:04/10/12 02:54:15 ID:E2tjVvo7
カズトキ以外のカップリングは最後にこの一文をつければ全て解決!

「…なんだ、夢か」
683名無しさん@ピンキー:04/10/12 03:28:39 ID:ENtahUIV
今晩は「おくすりの時間」こないか…寝よ。
684名無しさん@ピンキー:04/10/12 08:24:10 ID:lQYQ7ZNq
nK3W8JY6
ENtahUIV
nK3W8JY6
TyMYve67
TyMYve67
GZO66oQk
TyMYve67
TyMYve67
jKc3WXyZ
TyMYve67
jKc3WXyZ
jKc3WXyZ
TyMYve67

剛トキに反対する意見のIDを抽出すると、その粘着振りがよくわかる
685名無しさん@ピンキー:04/10/12 09:31:27 ID:f0c43LsN
一度スレが消えかけた時を思い出させてくれる人が現れましたね。
686643:04/10/12 13:49:53 ID:y4wVqK+H
投下する前に一応聞いてみてよかった・・・
俺のレス1つでこのスレの雰囲気悪くしちゃったみたいでごめん。
カズトキ以外は駄目って思う人もいらっしゃるみたいなので、投下は控えます。
期待してくれてた人にはホント申し訳ない。
687名無しさん@ピンキー:04/10/12 14:00:29 ID:Xx75hgTO
>>686
いや、一部の粘着の言葉に惑わされないで欲しいんだが・・・
俺としてはカズトキはもうお腹いっぱい気味でそれ以外のネタも欲しいし

つうかココで控えたら激少数のキチガイ粘着の思う壺でますます他作品が投下しにくい雰囲気になるので
その意味でも是非とも投下してほしいんだが
688名無しさん@ピンキー:04/10/12 14:09:47 ID:TyMYve67
>>686
賢明な判断だな
689名無しさん@ピンキー:04/10/12 14:17:21 ID:Xx75hgTO
すげぇなアンタ・・・
まだ居るのか>>ID:TyMYve67
690名無しさん@ピンキー:04/10/12 14:36:29 ID:1X0Vlf1r
>>686
どうしても投下したかったら、
>>1にある保管庫の方に直接上げてもらうのはどうだろう。
メールで送るのもいいし、あそこにあるうpろだを使うのも手。

少なくても俺は読みたい。
読んで向こうの「連絡用スレッド」で感想を書かせてもらうよ。
691名無しさん@ピンキー:04/10/12 16:14:13 ID:LRl5KNOL
>>686
うん、流石に斗貴子さんとカズキ以外の男の絡みはまずかったかな。
止めといた方がいいだろうね。
けどブラボー千歳とか、別にカズトキ以外駄目ってことは全然ないので
めげずに頑張って下さいね。
692名無しさん@ピンキー:04/10/12 16:26:58 ID:Kf3HlNve
妙に固執する奴がいるだけで別に全然まずくないと思うが
693名無しさん@ピンキー:04/10/12 17:57:01 ID:JG+Mu906
他カプを蛇蝎のように忌み嫌うのって腐女子だけじゃねーんだな…
694名無しさん@ピンキー:04/10/12 18:24:31 ID:N3wtod4E
>686
雰囲気を悪くしたのはあなたじゃないから、それだけは本当に気にしないで欲しい。
自分は剛トキもどんな感じなのか、気になるから読んでみたかった。
待ってるから、気が向いたら投下して下さい。

昨夜からぎゃんぎゃん吠えてる一部の人、読みたくないのは勝手だけど、
人の読みたいものまで奪う権利が君らにあんの?
荒らして書き手を追い払うような人がいるスレからは、いずれ職人さんがいなくなる。
それを狙ってやってるようにしか見えないんだけど。
695名無しさん@ピンキー:04/10/12 18:40:40 ID:30uS/6v+
>693
男の嫉妬許容量は女の5万倍ですよ
696THE ANOTHER THIRD IS GONE:04/10/12 20:04:51 ID:W6wy3Gfk
『俺にとっても共に戦う仲間は斗貴子さんとブラボーだから、次の任務もまた三人一緒でやりたいんだ』

「一人、欠いてしまったな…」
「うん。もう多分これから先、三人で戦うコトは…」
私は右手をカズキの背中に回した。
「カズキ、私はずっと共にいる。三人ではなくなったが、キミが一人になることはない」
「斗貴子さん…」
カズキの右手が私の背中に回った。そして、自然と顔同士が近づく。
サバァ。「ぶっはぁッ!!」
海の方で気配がしたが、殺気はないようなので無視して唇を重ねた。
「先輩…!」
雨に紛れて声が聞こえたが、気にせず舌を絡める。
サバァーン。
気配が遠ざかっていったので、私はカズキだけに心を向けた。
697名無しさん@ピンキー:04/10/12 20:11:24 ID:Kv30FtTW
>>686
粘着が暴れてるだけなので、投下しても本当に問題ないと思う
つーか読みたい
698名無しさん@ピンキー:04/10/12 20:13:21 ID:xsdo+dL6
>>697
どっちが暴れてるのか良く考えてみような。
つーか自演か?
699名無しさん@ピンキー:04/10/12 20:17:50 ID:l3jJX3ka
不自由だな
好きな物を好きに投下させてやれよ
いやならスルーすればよい
700名無しさん@ピンキー:04/10/12 20:39:05 ID:CfTJJ7VV
全然関係ないが昨日からいる粘着にまさにピッタリのレスを見つけたのでコピペ

822 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 04/10/12 15:38:12 ID:uPygonjV
>>779
同一人物なんじゃないかという気が物凄くする。
「俺が多数派なのは明らか」とかの無茶論法使う人が何人もいてほしくない……。
701名無しさん@ピンキー:04/10/12 21:12:29 ID:xsdo+dL6
反対意見が一人だって思えちゃうのが凄いよなw
思考停止ってやつか
702名無しさん@ピンキー:04/10/12 21:35:56 ID:Fxxaphde
読みたくないなら読むなよとしか…
801やグロって訳でもないし、ここはカズトキ専用じゃないんだし。

萌えの新境地開拓ができるかも知れないぞ?
703名無しさん@ピンキー:04/10/12 21:51:21 ID:ma/XSvHx
スレタイ武装錬金だしなあ…一応このスレは剛トキおkで次スレは住み分けとか、
カズ斗貴以外はNGワード付けて読みたくない人はシャットアウトできるようにするとか?
704名無しさん@ピンキー:04/10/12 22:18:39 ID:wMqm3Yvk
武装のSSスレなんだから
ゴウトキがダメなわけないとおもうのだが…
705名無しさん@ピンキー:04/10/12 22:29:58 ID:frkllAO2
>>703
読み分けできない香具師が住み分け出来るはずがないじゃん

他人の萌えを否定する人にいちいち口出しされちゃかなわんな
今はカズトキさえ書けない空気を作ってる
706名無しさん@ピンキー:04/10/12 22:59:41 ID:YFqR8jG/
>>696
剛太がんばれ、いっぱいがんばれ
707名無しさん@ピンキー:04/10/12 23:19:26 ID:KezNNnzZ
別にゴウトキいいじゃん。駄目とか言ってる奴ら意味が分からない。何仕切りたがってるの?
708名無しさん@ピンキー:04/10/13 00:28:59 ID:QXzQYxZe
やるんだったら夢だったとか妄想だったとか何らかのオチつけたらいいんじゃないか。
萌えスレではそうすることによって剛トキでも叩かれずに済んでる。
709名無しさん@ピンキー:04/10/13 00:55:24 ID:bhW4nueC
寂れてるー!!Σ(´Д`;lll)
とりあえず、妄想は人それぞれ。
個人のカプ押し付けてるんじゃねぇよ。
ちなみに俺は、カズトキも剛トキも大好きだ!
なにを隠そう俺は妄想の達人だからな!!!!!!(*`д´)b
つーわけでガンガン投下お願いします(・∀・)ノシ
710名無しさん@ピンキー:04/10/13 01:06:47 ID:8qkxixrv
>>とりあえず
書けもしないのに職人さんに対して文句言う奴

が、出てくるとしばらくネ申降臨が無くなる
ってコトぐらい知っといて欲しい

書くほうからすると禿げしく萎える
711名無しさん@ピンキー:04/10/13 01:17:05 ID:mmzjNTV2
それより今は483キロバイト。
新スレ立てれたら立てるけど…行ってきていいか?
712名無しさん@ピンキー:04/10/13 01:22:01 ID:8qkxixrv
よろしくたのむ!
713名無しさん@ピンキー:04/10/13 02:55:43 ID:mmzjNTV2
立てた。

【選りすぐり】武装錬金のSS 第6章【ストロベリー】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1097603483/

4行目と、スレ立てのところをちょっと変えてみたので
不備があれば次々スレで訂正をば。

んじゃ。寝る。
714名無しさん@ピンキー:04/10/13 07:37:12 ID:LbXdibvm
>>713
お疲れ。
715名無しさん@ピンキー:04/10/13 08:09:04 ID:YblPy5IL
マダ書き込めるかテス
716名無しさん@ピンキー:04/10/13 09:22:00 ID:2dGuhQKL
煽り耐性が皆無のスレですね
717名無しさん@ピンキー:04/10/13 12:14:37 ID:9JKKxB2x
カップリングどころか、純愛・鬼畜だろうが関係ないスレです




                                 にょ!
718名無しさん@ピンキー:04/10/13 21:45:29 ID:6uAHtdIu
あえてこっちで聞くから、新スレには持ち込まんでくれよ。
鬼畜っぽいのってアリ、なのか?
719名無しさん@ピンキー:04/10/13 22:08:49 ID:XvI+9pDV
アリ、だと思うな。見たくない香具師はスルーすりゃいいんだし。
ちょっと名前欄かどっかにその旨書いておけば親切だな。
720名無しさん@ピンキー:04/10/13 22:40:19 ID:Me4rjB1M
俺は見たいが、正直今の流れだと、カズトキの純愛物以外じゃ何しても荒らされる気がする
721名無しさん@ピンキー:04/10/13 22:52:10 ID:qlIUXJ5L
下手に縛ってしまうのは良くないと思います
鬼畜かと見せかけてカズキが助けに来るという展開も不可になりそうですし
この流れでは
722名無しさん@ピンキー:04/10/13 22:52:10 ID:ySO2FKGo
>718
個人的には嫌いだが、貼るのは構わない。
723718:04/10/13 23:09:28 ID:oI3bXDwB
荒れる可能性があるんなら、こっちに貼ったようがいいのかな? いや、たった今、出来たんで。
724名無しさん@ピンキー:04/10/14 00:12:38 ID:/feLctLK
>>718
名前欄に鬼畜や陵辱など、わかりやすいキーワードを入れ、嫌な人はスルーの一言だけ前置きして投下、
そして言い訳せずにさっと消える。

たぶん、お伺いを立てたり、投下後に言い訳してるよりその方が荒れにくいと思う。
725鬼畜っぽい:04/10/14 00:40:14 ID:sEZVpiSE
 間違ってはいない、間違ってはいない、間違ってはいない、間違ってはいない、間違ってはいない。
「? どうしたんだ。顔色が悪いぞ」
 学校の屋上、昼休みが始まったばかりのそこに人の姿は少ない。オレの隣には斗貴子さんがいて、調理パンを片手に持っている。
「・・なんでもないよ」
 野菜ジュースと繋がっているストローを銜えたまま、作り笑いをする。
 斗貴子さんは怪訝な様子で俺を見ていたけど、何も見抜くことはできなかったのか、そうか、とだけ呟いてパンを頬張った。
「・・・・・・・・・・・・」
 柵の向こう、眼下に広がる運動場には早くも遊びに出ている生徒がいて、その声がここにまで届いている。それが沈黙を際立たせたけど、オレは何も言わない。
「・・・・なあ、カズキ」
 牛乳で口の中のものを飲み下した斗貴子さんが、冷ややかな、しかし慈愛に溢れた瞳を向けてくる。
「・・君は、やはり後悔しているのではないか? このようなことに巻き込まれてしまって・・・・」
 それは何度か繰り返された、俺の答えも既に決まっている質問だった。
「・・・・ううん、そんなことないよ。オレは自分の意思で、今、こうしてるんだ」
「・・・・・・そうか」
 果敢なくこぼれた笑みが、俺の心を締め付ける。
 斗貴子さん・・・・たった一人で戦い続ける女の子。オレより年は上だけど、しっかりしてるように見えるけど、でも、放っておけない。
 そうだ、オレは自分の意思で戦うことを選び、蝶野攻爵を殺して、今、こうしているんだ。
「・・・・斗貴子さん、体、大丈夫?」
「ん?」
 斗貴子さんの牛乳パックから、ずずっ、という音がこぼれる。
「なんだ、君はまだ気にしていたのか? 解毒剤は飲んだ。特に悪いところなどない。安心したまえ」
「・・・・・・うん」
 重たい表情を隠すことできないオレの顔を見て、斗貴子さんは目元を綻ばせて笑う。
「心配性だな、君は」
 ハンカチで口を拭う斗貴子さんに、やっぱりオレは、小さく頷くことしかできなかった。
726鬼畜っぽい:04/10/14 00:40:38 ID:sEZVpiSE

「・・・・う、あ・・・・」
 体育館の用具室、明かりの欠落した埃っぽくて狭い部屋に、掠れた呻き声が響いた。
「うわ、おい、こいつ、大丈夫かよ? すげー、やばそうだぞ」
 名前も知らない誰かが、立ち尽くして喉を鳴らしているそれを見て、気持ち悪そうに顔を歪める。
「・・・・大丈夫だよ。痛みがあれば、言うことだって聞く」
 部屋の隅っこの跳び箱に腰を下ろしたオレは、片足を投げ出し、片足を胸に抱くような格好で、感情の入っていない声を出す。
 オレの言葉を聞いて、誰かは被虐的な笑みを浮かべた。
「いいのか?」
「・・・・好きにすればいい」
 その言葉を確認した次の瞬間、誰かは笑ったまま、手の甲でそれの頬を張った。ぱん、と甲高い音が響き、それがよろめく。
「跪けよ、おい」
 誰かは、その命令事態に興奮を覚えているようで、目の奥の光は尋常さを欠いている。しかし、それに判断する能力はない。言われるがまま、それは跪き、誰かを見上げた。
「はは、おもしれー」
 そう言って、誰かはそれの黒髪を乱暴に掴み、上向けさせる。それの瞳は茫漠としていて、焦点すら合っていない。唇の端からは涎が垂れていた。
 誰かは、興奮が限度を超したのか、おもむろにズボンのチャックを開けて怒張したものを晒す。男根は、それの目の前にあり、そのせいなのか、それが口を半開きにした状態で呼吸するたびに、膨れ
上がったものを大きく震わせている。
 それは、醜悪なものが目の前にあるにも拘わらず、無防備に口を開けて、ぜえぜえと息をしている。
「おい、銜えろよ、おら」
 誰かが腰を突き出し、それの髪を引っ張ると、それがくぐもった声を上げる。小さな口に無理やり男根を突っ込まれると、それは更に苦しそうに呻いた。
「・・・・ぐ、が、ぁ・・うっ・・・・」
 それは虚ろな力で唇を閉じようとしているが、顎の力も入れらない状態では、どうしようもない。
 喉の奥まで男根を突っ込まれて、苦しそうに喉を鳴らして、吐き気に震えるように胸を上下させて、唇の端から唾液をだらだらと流して、みっともない姿を晒し続ける。
「はは、動くぞ、いいなっ」
 誰かが声を荒げて、腰を前後に振る。それのだらしなく開かれた口は、涎が潤滑油にでもなっているのか、すんなりと誰かの激しい突きを受け入れている。
727鬼畜っぽい:04/10/14 00:40:57 ID:sEZVpiSE
「おら、もっと吸えよ、おいっ」
「・・ぁ、がっ、かはっ・・!」
 片手で髪を掴まれ、もう片方の手で鼻を塞がれたそれは、喉を鳴らして、意識を失っているのではと疑うほど目を虚ろにしている。
 だけど、誰かは薄ら笑いを浮かべたまま腰を動かし続けて、それはされるがままに、受け入れている。
「ちっ、これじゃ、いつまでもイけねえよ。なあ、おい、下も使っていいんだろ?」
 誰かが男根を抜いて、口から溜まった涎を垂れ流すそれを横目で見ながら、オレに聞く。
「・・・・好きにしろ」
 俺の言葉に、誰かは笑みを濃くして、それの肩を蹴り飛ばした。それは呻き声を上げて仰向けに倒れて、その際にスカートを捲れさせる。
 それには抵抗する素振りもない。天井を見上げる瞳にも何も映ってはいない。
 誰かは乱暴にそれの下着を脱がし、足を開かせると、割れ目が露になった。誰かはそこに指を走らせると、潤っていなかったのか、舌打ちを漏らし、それの口に指を突っ込む。
「おい、舐めろよ、早くしろっ」
 それは片手で首を絞められ、緩慢な動作で舌を伸ばす。誰かはその舌に自分の手を擦り付けて、そして十分に手が濡れると、その手でそれの割れ目を擦った。
「じゃあ、いくぞ」
 誰かが腰を進めると、膨張した男根が、それの割れ目を押し開く。開かれた割れ目に男根は易々と侵入していき、難なく根元まで呑み込んだ。
「はは、なんだ、使い込んでんのかと思ったら・・・・きついぐらいだ」
 そう言いながらも、誰かはスパートのごとく腰を振った。ぱんぱんと肌の打ち合わさる音が速いテンポで響いて、それが壊れたラヂオのように淀んだ声を漏らす。
「おら、おら、ははっ・・!」
「・・っ、は、う、うぅ、あっ、あぁ・・!」
 誰かは、それの両膝の後ろに腕を回して、顔と両膝をくっつけさせるような格好を強いている。それは無理な格好のせいで腰を浮かせていて、その浮いた腰、丸い尻に、誰かの肉付きのいい腰が容赦
なく打ち付けられている。
 ぱんぱんぱんぱん、と肌の打ち合わさる音が響き、それのしゃがれた声が漏れ、誰かの笑い声が木霊する。
 オレはただ、その光景を、真っ暗に染まった瞳に映している。
「おい、出すぞっ」
728鬼畜っぽい:04/10/14 00:41:16 ID:sEZVpiSE
 誰かが短く言い、打ち付けていた腰を沈めたまま落ち着けた。その腰が小さく震える。
「・・・・ぁ、うあ、ああ・・・・」
 それは目に涙を溜めた姿で、呻き声を上げた。その口を誰かの口が塞ぎ、それの口内が蹂躙されているのが、それの口回りの肌の動きで分かる。
 唇を離したそれと誰かの間には唾液の糸がかかり、誰かが腰も引いて男根を抜くと、そこにも細い糸がかかった。
「・・・・はは、いい具合だったぜ」
 そう言って、誰かがオレを振り返る。
「おい、やった後に金はなしだぜ?」
「・・・・いらないよ、お金なんて」
「はは、そうかい。んじゃ、俺はおさらばするよ」
「・・・・ああ」
 誰かが立ち上がり、用具室の扉に向かおうとする。
 その時、オレが言った。
「・・・・食べていいよ」
 その言葉を聞いた誰かが振り向いた先に、それの立ち上がった姿があった。
 細い肢体、紺色のスカート、おかっぱのような髪型をした黒髪、そして鼻を横切っている傷痕。その手には六角形の核鉄が握られ、その瞳は紅く輝いている。
「・・・・・・お、おい・・・・?」
 怯えて後ずさりする誰かの背中が、扉に触れる。
 その音が微かに鳴った時、それが慣れ親しんだ言葉を口にして、次の瞬間、継ぎ接ぎの四本の鎌が誰かを切り刻んでいた。
 悲鳴を上げる暇すらない、速さを超越した四本の鎌は、刹那の一瞬の間に誰かの体をばらばらにして、顔の判別すら不可能にした。
 おびただしく溢れる血液、その臭いが用具室を満たしていく。それはその臭いにつられるように膝をついて、床に顔を寄せ、広がっていく血に舌を這わせた。
 それから・・・・・・それから、誰かの体を、それは食べ始めた。
729鬼畜っぽい:04/10/14 00:42:02 ID:sEZVpiSE

 間違ってはいない、間違ってはいない、間違ってはいない、間違ってはいない、間違ってはいない。
 解毒剤は確かに間に合った。
 斗貴子さんは完全なホムンクルスになんかならなかった。
 ただ、後遺症として、一時的にホムンクルスのようになってしまうだけだ。
 ホムンクルスの時の記憶はない、普段の記憶ははっきりしている、ホムンクルスじゃない、いつもの斗貴子さんは斗貴子さんで、それ以外の誰でもない。
 だからオレは、殺さない。完全なホムンクルスじゃないから、オレは殺さない。きっと、こんなことはいつまでも続かない、もうすぐにだって斗貴子さんも、そしてオレも殺されてしまうんだろうけど、それ
でもオレには、どうしたってオレには、斗貴子さんを殺すことなんて、できないんだ。
 オレは、オレは、間違ってなんか、いない。

 終わり、しばらくこのスレから消えます。
730名無しさん@ピンキー:04/10/14 00:50:43 ID:Zh/e0F2r
>>723
いけー!
731名無しさん@ピンキー:04/10/14 00:59:58 ID:Zh/e0F2r
…と、書いた時にはイキ終わってた_/>●

リロードしろよ漏れ
て、まだいけるんかこのスレ?
732名無しさん@ピンキー:04/10/14 01:40:01 ID:/feLctLK
なかなかにエグい展開だけど、良い出来だからGJ
733名無しさん@ピンキー:04/10/14 10:30:44 ID:mTH1v/58
面白かった。
鬼畜系は好きじゃないんだが、こういうのなら全然問題ないと個人的には思う。
ひたすら意味なく残虐行為が繰り返されるような、嫌悪感の強いものでなければ基本的には大丈夫じゃないかな?
734名無しさん@ピンキー:04/10/14 22:58:17 ID:NkArlERX
こんなにすんなり読めた鬼畜は初めてだ・・・・・。
いままで苦手だったけど、この作品はGJ!!(*´д`)b
735名無しさん@ピンキー:04/10/14 23:17:29 ID:0pGck7pw
無理して褒めるのはかえってよくないと思うが
736名無しさん@ピンキー:04/10/14 23:22:46 ID:GHlq1Q1c
誉めてるヤツは素直にいいと思ってるんだろ
受け付けられなかったヤツは反応せずスルーするし
737732:04/10/15 00:38:52 ID:GLGIhfvl
>>735
そんなにキャラ壊してないし、カズキの心情や斗貴子さんが
一時的にホムンクルスのようになってしまうという設定も新しくて
面白かったとわりと本気で思うわけだが・・・・(´・ω・`;)
738名無しさん@ピンキー:04/10/15 04:25:17 ID:tJOSk0RT
俺も。
なんかマルチエンディングのバッドエンドみたいな感じでいい。
獲物を殺す前に性行為があるのは、そういうひどいことをされた相手でもないと斗貴子さんのブチ撒けフラグが立たないのかなーなどと勝手に妄想。
739名無しさん@ピンキー:04/10/15 20:43:44 ID:VchUa7uA
>>738
俺は、「これから喰われる人間に、せめて最後に…」的な、
カズキの歪んだ情けかと思った
740名無しさん@ピンキー:04/10/15 22:25:39 ID:f92zyoVz
>>738
俺は「そういう酷いことができる人間だから殺されても仕方ない」とカズキが思うためかと思った。
何の罪もない通りすがり捕まえて喰うよりは心の負担も軽いだろうし。

741名無しさん@ピンキー:04/10/15 23:11:08 ID:qvmD62v9
こういうのを平気で書いたり読んだりできる人がいるっていうのは信じられない。
何か人間として間違ってるような…
女性の読者がいるってことも考えて欲しかったです。
742名無しさん@ピンキー:04/10/15 23:20:31 ID:/6Z3j7bz
ププ
743名無しさん@ピンキー:04/10/16 04:37:29 ID:8yHo2Q81
ワロタ
744名無しさん@ピンキー:04/10/16 07:02:43 ID:Hea9cfx6
女でもこういうの読むのが好きなやつだっている
745名無しさん@ピンキー:04/10/16 08:42:17 ID:bVitOBfc
>741
断っているんだからスルーすればいい
実は俺もNGワード入ってるので全然読めないんだ上の話。
さてIE開いて見てくるわ。
746名無しさん@ピンキー:04/10/16 21:06:40 ID:4+Ja/NI1
>744-745
>741は痕かなんかのレビュー改編ネタなので。
747名無しさん@ピンキー:04/10/17 11:30:28 ID:8cioLXNn
すげえ解りづらいネタだな。
748名無しさん@ピンキー:04/10/17 13:01:56 ID:3VdPuIgu
改変ネタだろうが何だろうが、スレを荒らす為に貼られたものなら荒し行為だろ。
749名無しさん@ピンキー:04/10/17 20:56:45 ID:mShwb4Pn
わかっていればネタとして成立するものなので、一概に荒らし扱いするのもなぁ・・・。
わかりづらいのは確かだが。

ただ、鬼畜系書く時には>>741みたいなことも少しは頭に入れておくべきかもね。
先頭に注意書き入れたりするなどは自主判断でやっておいたほうがいいかと思う。
750名無しさん@ピンキー:04/10/17 22:32:52 ID:3VdPuIgu
>>749
逆に言えば、わからなければネタとして成立しないわけですが。
そして本人が申告するまで誰もネタとわからなかったわけですが。
古いエロゲの、しかもゲームそのものではなくレビュー、
ネタとして成立すると思う方がおかしい。



ついでに言えば、鬼畜であることを予め宣言してから投下した書き手に対して、あなたのレスは的外れも甚だしい。
751名無しさん@ピンキー:04/10/17 23:53:32 ID:2TUwbBA0
ちゃんと分かりやすいように名前欄に注意書きしてる人に対して、
文句を言うのはマナー違反ではないか??
苦手な人の事を思ってない香具師はこんな真似しない。
752名無しさん@ピンキー:04/10/18 11:41:26 ID:473qdKgK
関係ないけど、菊地さんって鬼畜ってあだ名つけられることあるよね。
753名無しさん@ピンキー:04/10/18 12:17:13 ID:2copc3Ll
スマイリーキクチ
754名無しさん@ピンキー:04/10/19 13:23:57 ID:9vdhoPzL
可哀想だな、菊池さん・゚・(ノД`)・゚・
755名無しさん@ピンキー:04/10/19 14:39:25 ID:++ZkOgdO
『武装錬金萌えスレ』ってドコにあるんですか・・・・○| ̄|_
756名無しさん@ピンキー:04/10/19 15:06:12 ID:SMeMD/ED
週刊少年漫画板検索してみれ
757名無しさん@ピンキー:04/10/19 23:35:28 ID:mfr/Gn2y
>>756
見つけた!有り難うvv
758名無しさん@ピンキー
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