『「仔犬のワルツ」で妄想してみるスレ』

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
日本テレビ開局50年特別企画
『仔犬のワルツ』毎週(土)夜9時絶賛放送中

公式サイト http://www.ntv.co.jp/koinu/
まとめサイト http://members.at.infoseek.co.jp/sora_heart/koinu/
2名無しさん@ピンキー:04/06/07 15:50 ID:sSEj7C9s

でも重複だよー
3名無しさん@ピンキー:04/06/07 16:21 ID:qNKePu+B
>>1
4名無しさん@ピンキー:04/06/07 16:44 ID:VbSIYGvw
合流宜しく

ドラマ・シネマのエロ台本
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1084783497/
5名無しさん@ピンキー:04/06/07 19:51 ID:q66aBWRA
>>1
乙!
言い出しっぺの漏れが立てられなくて申し訳ない・・・・・・
というわけで、エロの有無を問わず仔犬で妄想したい人はどうぞ。

即死防止の為漏れも何か投下したいと思いまつ。
6名無しさん@ピンキー:04/06/07 20:24 ID:q66aBWRA
どうやら言い出しっぺの漏れの作品自体エロ無しになりそうだ。というか真っ先に考えついたのが唱吾と歌乃のほのぼの話(ニガワラ)
・・・・・・神降臨に期待します。
7名無しさん@ピンキー:04/06/07 22:37 ID:ie3WC6Fl
特Aクラスのほのぼの話キボン
それかセイカ様
8名無しさん@ピンキー:04/06/08 01:22 ID:Nu/KgVBe
特Aの学園物いいねぇ〜
9名無しさん@ピンキー:04/06/08 12:36 ID:YnxNVPMt
エロパロ板か…絵の投稿はできないな(´・ω・`)ショボーン
105:04/06/08 15:10 ID:RJwDxhZh
とりあえず、唱吾と歌乃の小話書いてみたので投下。
・・・・・・書いてみたらほのぼのですらなくなった_| ̄|○
3話のテスト後、歌乃が救急車で運ばれた後の話。



「だから、せめてあなたがそうなれるように協力してあげる。あたしの・・・・・・生きてる指で」
病院の待合室で待っている間、唱吾の脳裏には歌乃の言葉が絶えずぐるぐると巡っていた。
赤の他人である自分の為だけにピアノを弾いた歌乃。
その思考は、唱吾には理解出来なかった。

やがてドアが開く音が聞こえ、唱吾は視線をそちらに向けた。心なしか顔色の悪い歌乃が、少しおぼつかない足取りでこちらに向かってくる。
「大丈夫か?」
「うん・・・・・・異常は無いけど、疲労が激しいから早く家に戻って休んだ方がいいって」
「そうか。車を手配しておいたから、今日はそれで帰るといい」
「分かった・・・・・・」
やはりつらいのだろう、いつもの明るい笑顔は見えない。
唱吾は、ふらふらと脇を通り過ぎようとする彼女の手を掴んだ。
驚いたように振り向く歌乃に、溜め息混じりに告げる。
「今にも倒れそうじゃないか。車まで送っていくよ」
その言葉を聞いた歌乃は、弱々しく笑みを浮かべた。
「ありがと」
「別に。礼には及ばないさ。途中で転んで手に怪我でもされたら困るしね」
歌乃の手を引いて歩きながら、唱吾は微かに自嘲するような笑みを浮かべた。
手を惹かれて歩く歌乃には、前を歩く唱吾の表情は見えていない。
115:04/06/08 15:16 ID:RJwDxhZh

彼女は、今自分の手を握っているのが外見よりもっと醜い心を持っている男だと気付いているだろうか?
彼女が思っているよりもずっと、汚い人間だと。
・・・・・・いや、きっと気付いていないだろう。
そうでなければ、平気な顔で縋れるはずがない。笑いかけられるはずがない。
もしこの心の全てを知ったとして、彼女はどう反応するだろう。
軽蔑するだろうか。それとも受け入れるのだろうか。

『僕には分からない』
一瞬の逡巡の後、唱吾は自分の問いにそう答えた。
欲しい物なら金で手に入れればいい。金で手に入らないものならば自分から嫌いになってしまえばいい。
そう生きてきた唱吾にとって、利用されるぐらいなら万引き少女に戻った方がマシだと言い切った歌乃は理解不能の存在だった。

理解出来ない。
彼女の笑顔を見る度に沸き起こるこの感情の名も。
金で動くような人間ではない彼女にどうしようもなく苛つく理由も。
理解などしたくない。
金で手に入らないものなら嫌ってしまえばいい。
この感情の正体をはっきりと理解したとして、どうなるというのだ。
金で手に入らないものを追いかけるほどの情熱など、持ち合わせてはいないのだから。

停まっている迎えの車まで、あと数メートル。
もう少しだけ。もう少しだけ、このままで。
そう願う自分の心の声に気付き、唱吾は自嘲するような笑みを苦笑に変えた。



中途半端に暗ぇーっ!!つうか唱吾はこんな奴じゃねぇーっ!!というつっこみはさておき(ヲイ)駄文失礼しました。
かなり慌てて書いたんで文章の推敲もまだまだな部分あるかと思いますが生暖かい目で見守ってもらえたら。

・・・・・・ともきちゃんと幸子除く特Aクラスの面々(と、そのパートナー)の休日の様子書いてみようかな・・・・・・(ボソッ)
12名無しさん@ピンキー:04/06/08 17:57 ID:YnxNVPMt
>5さん
おぉーキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
歌乃タソ萌えなので嬉しいですよ!
5さんの文章だとエライカコイ杉でドランクドラゴソだと思えない…
現時点での放送でドス黒さムンムンの唱吾だけど、黒になりきれない部分があると萌えですな
13名無しさん@ピンキー:04/06/08 19:36 ID:RJwDxhZh
>>12
感想サンクス。
何かのインタビューで唱吾について「ブサイクな奴がカッコつけてるのってムカツクじゃないですか、それが出来ればなぁと」
みたいなコメントがあったのでカッコよさ外見の5割増しにしてみたw
黒になりきれない部分があると萌えは漏れも同意。っていうか今の時点ですでに唱吾に惚れてるっぽい_| ̄|○
145:04/06/08 20:00 ID:RJwDxhZh
名前変え忘れてた・・・・・・スマソ。
ちなみに8話の唱吾は「金で手に入らないものは嫌う」性質が強く出てしまったのであっさり幸子に乗り換えた(わざと歌乃を裏切った)と脳内補完してまつw
漏れが唱吾だったら歌乃がかわいいので脱落しても他の奴と組まないなw
15名無しさん@ピンキー:04/06/09 18:14 ID:w0bP35KL
う〜ん、自分が学長になりさえすればあとからいくらでも歌乃を救い上げる
ことができると考えてるのかもしれないと無理に弁護してみる
16名無しさん@ピンキー:04/06/09 19:31 ID:iR6bZ1FC
ノッティー×葉音
投下してもよかですか?

自分小心者なんで確認とってみる

因みに強姦→和姦のエロ
17名無しさん@ピンキー:04/06/09 19:38 ID:irokRcUn
>>16
カモォ〜ン!!(郷ひろみ風に(古っ))
どんどん投下しちゃってください。
漏れは言い出しっぺにも関わらずエロ書くのが得意じゃないので、書き手さん来てくれてすごい嬉しいよ。

あと、水無月家の兄弟&そのパートナーの休日の様子(エロなし)を連作してみたいと思うんだがおk?
いわゆるデート(ry
今は聖香様&器一編書いてるところでつ。
18名無しさん@ピンキー:04/06/09 19:49 ID:EsNVkMrF
>>16
リアルタイムキタ――――!!

是非是非!!
19名無しさん@ピンキー:04/06/09 19:56 ID:/gke7PxF
>>16
かも〜ん

>>17
セイカ様キタァァァァァァ(゚∀゚)ァァ( ゚∀)ァァ(  ゚)ァァ(  )ァァ(`  )ハァ(Д`)ハァ(;´Д`)ハァハァ
20名無しさん@ピンキー:04/06/09 20:19 ID:vhU6U2xj
>15
ハッ(゚д゚)
そうなのか唱吾!おまえってヤツは…
でも8話の一件で手癖の悪いのは直っちゃったんだよね?<歌乃タン
=ピアノは以前程は達者じゃなくなっちゃたのかな?
だとすると、傍に置いておくなんて愛でる為だとしか思えないなw

手癖の悪かった頃の歌乃タンが聖香様にセクハラしちゃうような百合モノもキボンしてみる。
事情知らない歌乃タンが、お嬢様の反応薄くて(´・ω・`)ショボーンな感じの。
21名無しさん@ピンキー:04/06/09 20:23 ID:e5Reoj1y
っつーかワルツは葉音のパートナーが凄いむかつく。
声聞くだけで腹は立つ



ノッティーって誰だっけ?
22名無しさん@ピンキー:04/06/09 21:14 ID:vhU6U2xj
>>16
気長に待っとるよ
せっかくのエロパロ板だからな!!
23名無しさん@ピンキー:04/06/09 21:41 ID:irokRcUn
とりあえずネ申が降臨するまでの間ほのぼの(&ちょっとしみじみ?)なお話をお楽しみください。相変わらず短くて申し訳ないが・・・・・・
ちなみに5話終了後、7話より前のお話でつ。



ある休日の風景

その1・腹黒長男とお堅いお嬢様の場合

テストもない日曜日の夕方、特に出掛けるアテもなく退屈な時間を持て余していた聖香は、不意に鳴ったノックの音に訝しげな表情を見せてドアの方へ向かった。
この部屋に聖香が居る事を知っているのはホテルの従業員と一部の大学関係者だけのはずであり、こんな半端な時間にボーイがやってくる事はまずありえない。
「・・・・・・どなた?」
「私です」
ドア越しの聞き慣れた声に聖香は少し驚いたようだったが、すぐに表情から動揺の色を消してドアを開けた。
「突然申し訳ありません」
ドアの前に立っていた器一に、聖香は少し不思議そうな視線を向ける。
「・・・・・・珍しいわね、あなたがわざわざここまで尋ねてくるなんて・・・・・・てっきり今日は一日家族サービスでもしてる思ってたわ」
「先週子供にせがまれて遊園地に行ってきたばかりですから」
相変わらず本音の見えない表情の器一に、聖香は深く勘ぐるのは諦めて心の中で溜め息をついた。
年の功もあるのだろうが、彼に対してはどんなに本音を探ろうとしてもサラリとかわされてしまう。
「それで、今日は一体なんの用事があってここに?」
「テスト以外部屋に篭もりっぱなしでは身体に悪いでしょう? 一緒に夕食でもどうかと」
「・・・・・・それはデートのお誘いと受け取ってもいいのかしら?」
「そう受け取ってもらっても構いませんが」
からかうような響きを帯びた聖香の言葉を、器一は優美な微笑みで受け流した。



とりあえず書けた所まで投下。
タイトルが安直でスマソ。アイタタタなところもあると思いますがそれもスマソ_| ̄|○
24名無しさん@ピンキー:04/06/09 22:22 ID:/gke7PxF
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
続き楽しみにしてまつドキドキ
25名無しさん@ピンキー:04/06/09 22:27 ID:AIpw7AlV
>>23
聖香様萌えです。楽しみにしてます!!!
26名無しさん@ピンキー:04/06/09 22:55 ID:GxWuyFES
会話が原作っぽい!
続き、めっさ楽しみですっ。
27名無しさん@ピンキー:04/06/09 22:58 ID:iR6bZ1FC
16でつ
投下しまつ
なんか…わけわからなくなっちまいましたよ_| ̄|〇


「入っていいか?」

 一人で留守番している葉音の元を訪ねたノッティー。
 顔見知りの気安さか、簡単に部屋に男を通してしまう無防備さに、ノッティーは
小さく溜息をついた。

 ソファに座った葉音を見下ろすと、これまた無防備に二つ目まで釦を開けた
シャツから覗く、意外と豊かな胸元。
 それよりもなによりも、葉音が着ている、明らかにメンズのサイズオーバーな
コットンのシャツ。

それがノッティーの心に火をつけた。
28名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:03 ID:iR6bZ1FC
「…っ…!」
 声にならない悲鳴をあげて葉音は両手首を押さえ付けられて押し倒された。

「…葉音…」
 戸惑った顔をしている葉音を見下ろして、ノッティーは苦しげに彼女の
名前を呼んだ。
 その声に葉音の肩がぴくりと跳ね、形の良い唇がきゅっと噛み締められる。

「…葉音」
 もう一度名前を呼び、ノッティーはゆっくりと葉音に顔を近付けていく。

 あと少しで唇が触れ合うところで、不意に葉音が顔を背けた。
 目が見えなくても気配で察したのだろう、唇を噛んだまま葉音はノッティーを拒絶した。

「…ん、だよ…」

 
29名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:05 ID:iR6bZ1FC
 押さえ付けた両手が小刻みに震えているのに気がついて、ノッティの頭に血が昇る。
「おまえ、言ったじゃねーかよ!暗闇恐がるなって!自分は暗闇だって!」
 その言葉に葉音はふるふると首を左右に振る。

「葉音…っ」
「…ゃ、…んぅ!」

 噛み付くみたいに葉音の唇をキスで塞ぐ。
 片手で細い顎を掴んで無理矢理唇を開かせると、躊躇いもなく舌を入れて
口腔を蹂躙する。

「ん…ふぁ…ッ」

 なんとか逃れようと掴まれた腕や押さえ付けられた脚に力を込めるが、葉音が
男の力に敵う筈もなく、徒労に終わる。
30名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:07 ID:iR6bZ1FC
「…そんないやがんなよ」
 唇を離して至近距離で囁く。
 葉音は小さく震えたまま焦点の合わない瞳でノッティーを見つめた。
「初めてだよな?葉音…。俺、優しくするから…」
 呟きながら葉音のシャツに手をかける。
 服を開けられる感覚に葉音の体が再び強張る。

「こわくねーから…」

 抵抗のなくなった葉音の腕を離し、そっと頬を両手で包む。
 目が見えないせいか、いちいち反応を返す葉音に愛おしさが募る。

 開けたシャツの下に覗く白い下着越しに手を触れ、ゆるゆると揉むと、葉音の
手がノッティーのシャツを掴んだ。
31名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:09 ID:iR6bZ1FC
「…葉音」

 唇を柔らかな頬や瞼に這わせながら背中に手を回して、下着のホックを外す。
 突然楽になった胸周りにノッティーのシャツを掴んだ葉音の手に力が加わった。
「葉音…きれいだ」
 晒された真っ白い上半身に思わず見惚れる。
 
 他人に裸を見られている。

 その事実に葉音の頬がどんどん赤く染まっていく。
「…恥ずかしぃ…」

 ぽつんと呟いた葉音に、ノッティーは困ったように眉を下げて葉音の小さな
体を抱きしめる。

「能登くん…」

 ふわりと抱きしめられて葉音は安心したように小さく息をつく。
 
32名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:11 ID:iR6bZ1FC
 目の見えない葉音は、少し触れただけで過敏に反応する。
 それが初めての行為なら尚更だろう。

「――っ、あ…っ」

 開けられた下着の下にノッティーの手が滑り込む。
 同時に鼻にかかった声をあげて葉音は顎をあげた。
 ――柔らかい…。

 小さな体と幼い顔には不似合いな、意外と大きな胸。
 一気に頭に血が昇ったノッティーは葉音の胸を包んだ両手を揉むように動かす。
 掌に当たる蕾がだんだんと固くなってくるのを感じて、嬉しくなる。

「葉音…これ、勃っちゃってるな」

 
33名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:13 ID:iR6bZ1FC
 真っ赤に染まった耳たぶに口づけてからかうように囁くと、葉音はびくっと
肩を震わせて恥ずかしげに首を左右に振った。

 固く自己主張し始めた胸の蕾を指先で弾くと、葉音は小さく声をあげて
見えないはずの目をぎゅっとつつむった。

「…ん、んぅ…っ」
「辛いか?」
「…だぃ、じょぶ…」

 苦しそうな葉音に声をかけると、葉音は小さく首を振って微笑んだ。
 それに安心したノッティーは、触れるだけのキスをして、そのまま葉音の
胸に顔を埋めた。

 白くて柔らかい胸に唇と舌を滑らせて、指先で虐めていた蕾を唇に含んだ。
34名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:15 ID:iR6bZ1FC
「…ぅ、あ…ッ」

 軽く吸うと葉音の背中がきれいに反らされる。
 浮き上がった背中に片手を回して背筋に沿って指を滑らせると、葉音は一層 激しく反応して体をよじった。

「…や、…ぁ、あ…っ」

 ぴくぴくと震える葉音を慰めるように背中を撫でていた手をゆっくり下へ
滑らせていく。
 胸への刺激に気を取られて、ノッティーの手が自分のズボンのファスナーに
かかっているのに気付かない。

「…葉音、腰あげろ」
「ふぁ…っ、はぁ…」

 胸の刺激すらこなせない葉音はノッティーの言葉にすぐに反応できない。
 
35名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:18 ID:iR6bZ1FC
 焦れたノッティーは、少し強引に葉音の腰を持ち上げ、ズボンを下着ごと
降ろしてしまう。

「…!…やぁだぁっ!」

 急なことに快感に飲まれかけていた葉音の意識が浮上する。
 ノッティーは暴れ出した葉音を抱きしめて、自分の膝を葉音の脚の間に
押し付ける。

「――ひゃ…っ!?」

 敏感なところにいきなり与えられた強い刺激に、葉音は悲鳴をあげる。

「やだ…ぁ…!能登く…っ、…んぅっ」
「葉音…っ、葉音っ」

 剥き出しになった葉音の胸にむしゃぶりつきながら、押し付けた膝を上下に
動かす。
36名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:20 ID:iR6bZ1FC
「…んぁっ、あっ、んんぅ…っ」

 暫くして葉音の声と表情に甘さが加わったのを確認したノッティーは
片手を膝で刺激していたところに伸ばす。

 指で触れたそこは確かに快感を感じているらしく、濡れた感触を捕らえた。

「葉音…感じてんのか?…濡れてる」
「…そんな…っ、わかんな…っ、…ひゃぅっ」

 小さいながらも反応して固くなっている敏感な粒に触れると、華奢な腰が
大きく跳ねた。

「やめ…!そこ、ダメだよ…っ」

 ノッティーの手を掴んで必死に懇願する葉音。
37名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:23 ID:iR6bZ1FC
 そんな葉音がノッティーの中の可虐心に火をつける。

「お願…ッ、ふ、あ、なんか…ヘン…ッ!」
「いいぜ。このままイッちゃえよ」
「なん、やだ、やだぁ…っ!んぁ、あ、あぁ…ッ!」
 涙をぽろぽろ零しながら、背中を反らして葉音は初めての絶頂を迎えた。

「――ふ、あ…っ、あ…」「…葉音」

 初めてのことに瞳を潤ませたまま混乱する葉音に優しくキスを繰り返しながら、
ノッティーは自分のジーンズのファスナーを降ろす。
 納まりがきかないくらい固くなった自身を出し、グッタリしている葉音の手を
取るとそれを握らせる。
38名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:26 ID:iR6bZ1FC
「…あっつぃ…」

 初めて感じる男のそれに、葉音は素直に感心したような声をあげた。

「おまえのせいだからな…責任取れよな」

 言いながら葉音の脚に手をかけて開かせる。
 まだイッたばかりで小さく震えているそこに指を這わせる。

「あ、あ…っ!」

 敏感になっているところに触れられて、葉音は素直に声をあげる。
 とろとろと蜜を零しているところにそっと中指を入れてみる。

「…ん、んんぅ!いたぁ、いぃ…!」

 やはり処女なのだろう、狭い。
 馴らすように指を動かすとくちくちと濡れた音がした。
39名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:29 ID:iR6bZ1FC
「葉音聞こえるか…?濡れてる音」
「…っ、ん、ふ…っ」

 ノッティーの問いに葉音はふるふると首を左右に振る。
 瞳に溜まったままだった涙が零れて真っ赤に染まった
頬を濡らした。

「あ…っ、あ、ぁんっ」
「気持ちいーか?」
「…んぅ…っ、…きもち、い…ッ」
「だよなぁ?こんなヤラシイ顔してよ…」

 入れていた指を二本に増やして、更に激しく動かす。
 その動きに合わせて体を震わせて声をあげる葉音。
「――葉音…俺も気持ちよくなりてぇ」
「…ふぁ…?」
「力、抜いてろ」

 ノッティーも興奮で息が荒い。
 
40名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:32 ID:iR6bZ1FC
 葉音の脚の間に自分の腰を進めて細い腰を持ち上げる。

「…葉音…」

 そっと頬にキスをして、自身を葉音の秘所に押し付ける。
 ぐっと押し進めると葉音の顔が苦痛に歪む。

「痛いか…?」
「…ん…、だい、じょぅぶ…」
「俺にしがみついてろ」

 強引に付突き入れたい衝動を堪えながら、葉音の手を自分の背中に回させる。
「――もぅ止まんねぇから。おまえが泣いても叫んでも…」

 とまんねーから。

「葉音…っ!」

 狭いところを押し開いて自身を進めていく。

 
41名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:35 ID:iR6bZ1FC
 ノッティーの背中に回った葉音の手がぎゅっとシャツを掴んだ。
 震える手と体が葉音の痛みを物語っている。
「…っ、ひぅ…っ」
 奥まで入った瞬間、葉音から堪え切れない悲鳴が零れた。

「葉音、わりィ…止まんね」

 葉音の体を抱きしめて、強引に腰を動かし始める。

「――…っ、たぃ…っ、能登く…!いたぃよぅ…!」
「ごめ…、葉音、俺…ッ」
 情けないくらい早く限界を感じて、慌てて葉音から引き抜く。
 途端に白い体液が葉音の薄いお腹に降りかかる。

「――は、葉音…ッ」

 
42名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:38 ID:iR6bZ1FC
 葉音は不思議そうな顔をしてお腹にかかったそれを指で触っている。

「…何、これ…?」
「や、何って…」

 いつまでもお腹にかかったそれを弄っている葉音に、ノッティーは顔を
赤くして葉音の手を掴む。
「いつまでも触ってンなよ…!」

 ――妙にエロくて、またムラムラしてくんだろが。
 ぶっきらぼうに続けると、葉音はますます不思議そうに首を傾げる。

「むらむら?」
「〜〜〜っ!バァカ!」

 その仕種があまりに可愛くて、思わず葉音を抱きしめる。
43名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:42 ID:iR6bZ1FC
 ――そのとき、不意にリビングのドアが開かれて、芯也が入ってきた。

「――葉音?誰か来てるの、か…」

 帰ってきた芯也が目にしたのは、裸でノッティーに抱きしめられている
葉音の姿。

 この後、ノッティーがどうなったのか、誰もわからないのであった。


終わり
44名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:43 ID:iR6bZ1FC
スレ汚しスマソ
疲れた…_| ̄|〇
45名無しさん@ピンキー:04/06/10 00:42 ID:aECSZdX0
>>23続き。



「・・・・・・どうかしましたか?」
「いいえ、別に何も・・・・・・」
ホテルの近くにあるフレンチレストランの片隅で。
向かいに座る器一の表情を窺っていた聖香は、視線に気付いた器一の言葉に平静を装って答えると、デザートの最後の一口を口に運んだ。

聖香の目から見た水無月器一という男は、掴み所の無いという表現がぴったりと当てはまる人物だった。
至極まともな感覚の持ち主かと思えば、どこか常軌を逸した芸術家気質の片鱗を見せる事もある。丁寧な物腰と仕草は時折慇懃無礼にさえ見え、決して本音を見せる事が無い。
どれが彼の本当の顔なのか、それとも全てが偽りなのか。いや、もしかしたら全てが本当の顔なのかもしれない。
聖香にとって、ある意味それはこのピアノレースの事よりも余程興味深い事だった。

「さて、もうそろそろ戻りますか? 会計は私が払いましょう」
「えぇ、お言葉に甘えるわ」
席を立った聖香は、優雅な足取りで出口へ歩き出した。頭の片隅で、器一は家族の前でどんな表情を見せているのだろうかと考えながら。



また書けた所まで投下。完結はもう少し待って下さいな。
46名無しさん@ピンキー:04/06/10 01:40 ID:aECSZdX0
>>45続き。聖香&器一編完結

ホテルに帰る途中の歩道で、聖香はふと視線を上げた拍子に気付いたあるものに足を止めた。
「観覧車・・・・・・」
この近くにある事は知っていたが、わざわざ見上げる事もないので今まで気にも留めていなかった観覧車。
有名な場所にあるもの程大きくもなく、人気があるようでも無かったが、その観覧車には聖香を惹き付ける何かがあった。
「・・・・・・乗りたいですか?」
聖香の呟きに足を止めたのか隣で観覧車を眺めていた器一が、呟くように言う。
「え?」
「絶叫マシーンはともかく、観覧車なら心臓が悪くても大丈夫でしょう? 高い所が苦手なわけではないようですし。もしよければ乗っていきませんか?」
「えぇ・・・・・・」
意外な申し出に戸惑いながらも、聖香は頷いた。
47名無しさん@ピンキー:04/06/10 01:41 ID:aECSZdX0

少し古びて錆びた階段を上り、係員に案内されてゴンドラに乗り込む。
煌々と灯ったビル街の明かりが、まるで宝石箱をひっくり返したように輝いていた。
「珍しいですね、子供みたいに目を輝かせてるあなたは。・・・・・・子供の頃好きだったんですか?」
「・・・・・・私にだって過去を懐かしみたい時ぐらいあるわ」
隣に座る器一の言葉に、窓から外を見ていた聖香はムッとした表情になる。
肩越しに器一が微かに肩を震わせて笑っているのが分かり、聖香は眉間に寄せた皺を深くした。

やがて頂上を過ぎ観覧車が地上に降りてくると、少しばかりの寂寥感が襲ってくる。
ムッとした表情から寂しげな表情に変わった聖香は、ゆっくり近付いてくる地上の景色をただひたすら眺めていた。
「終点です、降りてください」
「はい」
係員の声に、器一が立ち上がる。聖香は、咄嗟にその服の袖を掴んだ。
「もう一周だけ、いいかしら?・・・・・・もう一周だけ」
一瞬の間の後、器一はにこりと微笑んだ。
普段の冷笑に近い笑顔ではなく、聖香が今まで見た事の無い、その端正な顔立ちにもっとも相応しい穏やかな表情で。
「・・・・・・もちろん」



・・・・・・兄弟とパートナー、全員くっ付けるつもりですか漏れの萌えハート
・・・・・・もう唱吾と歌乃すらくっつきそうな勢いだよ漏れの萌えハート_| ̄|○
というわけで妄想爆発でお送りしました「ある休日の風景」、次回は「軟派な三男と硬派なヤンキー娘の場合」をお送りする予定です
・・・・・・でも予定は未定(ry
48名無しさん@ピンキー:04/06/10 06:20 ID:LJ1uiNZ7
ノッティー×葉音
聖香×長男
グッジョブ!!
自分も今書いてる別ジャンルが終わったら
ノッティー×聖香書くぞ〜
495.10その他改め琴子:04/06/10 20:59 ID:bFkA/56o
>>48
おお、新たな書き手さんようこそ。
ビシバシ書いちゃってくださいな。

生意気にもコテハンにしてみました。
エロは書けませんがちょくちょくほのぼの系(もしくはしんみり系?)を投下しますのでよろしく。
・・・・・・さて、光&譜三彦編は無事完成するのだろうか・・・・・・実は漏れ女なんだが唱吾に惚れかけてるので歌乃&唱吾編の方が進んでる罠_| ̄|○
50名無しさん@ピンキー:04/06/11 23:26 ID:V5yy0YCX
hosyu
51司紳士:04/06/12 00:07 ID:WP/MiByj
唱吾は歌乃の為に借りているマンションに次の試験の課題曲を伝えるために訪れた。歌乃は早速練
習に取りかかった。彼女が弾くベートベンは唱吾の感覚から見ても素晴らしいできだった。そして
彼女の演奏を聞きながら唱吾は残っているメンバーに思いを巡らしていた。マザーの残したメッセ
ージを5人のパートナーに当てはめてみる。
「ANGEL、DEVEL、GOD.....一体」思わず口にしていた。
「何、それ」無邪気に唱吾に聞き返してくる歌乃が傍にいる。彼女の笑顔で唱吾のペースをいつも
いつも崩される。でもそれが心地よい感じさえ持っている自分を不思議に思うがそれは口にはださ
ない。「例のマザーの遺言だ。今度の学長レースに勝ち残るのはその3人の内の一人だって」
「ふーん......で?」「で、って?何」
「私のことは何だと思ってるの?ANGEL?DEVEL?GOD?」考える迄も無かった。彼女が唱吾にもたら
してくれたものはまさしく救いであったから。「君はどうかな、ANGELって感じかな」
「えーーー私ってANGELより。GODの方がいい!!ゴッドのほうが格好いいもん!!!!」
「格好いいって、そんな」彼女は怒るふりをして、腰に手を当てる。その姿も愛らしさが溢れてい
る。そんな歌乃にペースを乱されまいと唱吾は
「君ならGODって言うよりDogだな!犬の方がお似合いだ」唱吾が言い返すと
「それもいいかな、ワンワン、ワンワン私可愛い?ワンワン」彼女は頭の上に耳の形にちょこんと手
を当て鳴き真似をする。
52司紳士:04/06/12 00:10 ID:WP/MiByj
「どう、ワンワン?」首をかしげ唱吾の顔を笑顔で覗き込む。唱吾は今まで生きてきてこんなにも
ストレートな笑顔を自分に向けてくれる人間を知らない。友人の間は勿論、あの家族の中でも醜く
音楽の才能もない自分への嘲りの笑いしか知らなかったのに。
「君は可愛いよ、本当に.....」
「ウフ、でしょ、私可愛いモン。ワンワンワン」
歌乃も唱吾の言葉に少し照れている自分が不思議だった。『どうしてこんなオジサンに』って思うが
病院で唱吾が母親への気持ちを自分に話してくれたとき、ピアノバトルで倒れた自分を助けて救急車
で自分にかけてくれた言葉は歌乃の心を熱くしてくれている。それでも唱吾は歌乃との距離を決して
縮めようとはしなかった。
「君が可愛いのは十分に認めるよ、本当に本当にとびきにね!君みたいに可愛く才能に溢れる女の子
に出会ったことはないよ、だからもうふざけるのは無しだ。練習を続けてくれ」
ふーっと息を吐き、やっと唱吾は言葉を絞り出す。このまま続けると何か切れてしまいそうで怖くな
り、その場を立ち去ろうと扉へ向かった。






53司紳士:04/06/12 09:46 ID:WP/MiByj
「待って、私、犬だよ!犬だもん」
歌乃は唱吾に向かって叫んだ。自分が何を言っているのか、不意に口をついて出た言葉に
自分自身が戸惑っていた。唱吾と今この気持ちのまま絶対離れたくない、そんな思いが彼
女を突き動かしそんな言葉を口に出させていることだけは歌乃にも判った。
歌乃は唱吾の側に行き、両手を胸の前にそろえしゃがみ込んだ、そう犬がやるチンチンの
姿勢を取り唱吾の顔を見上げ「歌乃が犬なら可愛がってくれるでしょ?」涙が瞳にあふれ
そうになりながらも、唱吾に笑みを向けている。そんな歌乃が愛しくなり堪らなくなった
唱吾は目の前に屈み込む少女の頭を優しく撫でる。
「いいのかい、歌乃」「歌乃じゃない、ポチって、ポチって呼んで」歌乃が両親とまだ過
ごしていた幸せの幼い時に飼っていた犬の名前だった。歌乃もまた傷ついた心を隠した人
間だと唱吾も知った。歌乃と同じように唱吾も屈み込み歌乃の前に手を出した。
「ポチ、お手」「ワン」彼女が唱吾に手を差し出す。「お代わりだ、ポチ」「ワン」嬉し
そうに犬の真似を続ける。調子に乗ってついに触れたこともない歌乃の喉に手をやり撫で
た。「良くできたな、ポチ」「クゥーーン」彼女は軽く目を閉じ唱吾の愛撫に身を任せた
唱吾は彼女の愛らしく美しい顔が優しく変化しているのを感じてふっと手を止め、歌乃を
見つめた。歌乃は目を開けると笑顔で唱吾を見返すと舌をペロッと出し丸めた手を唱吾の
胸に手をかけ顔を近づけると唱吾の顔をペロペロ舐めだした。びっくりして「お、おい歌
乃.....」「歌乃じゃないでしょ、ポチ、ポチよ」唱吾の中で何かがはじけた。
さていよいよエロ突入だ
54名無しさん@ピンキー:04/06/12 13:31 ID:pEpYjKsf
>>51-53キタ━━━━(*´д`*)━━━━!!!
ドラマ板の書きこみを見てあわててきたわけだが
最高でつ
俺、もしかしたら唱吾×歌乃のカップリングが
いちばん好きかもしれない
55司紳士:04/06/12 16:40 ID:WP/MiByj
唱吾は歌乃が狂ったのではないかと一瞬思いがよぎる。でも彼女が精神に異常を来しこん
な行動を起こしたのではないことは唱吾には充分理解できた、いや唱吾だからこそ理解出
来たのかもしれない。いつも笑って元気一杯の彼女だが、その裏で持つ歌乃の持つ苦しみ
を歌乃の寂しさをそして悲しみを唱吾だからこそ理解でき、歌乃にも唱吾なら本能的に判
って貰えると思ったのだ。こんな風に寂しさを埋めようとする歌乃に、唱吾は一瞬でもい
い、どんな形でもいい彼女の苦しみを埋めて上げられるなら何だってしようと決意した。
「さぁ、ポチ思いっきり遊ぼうか?」唱吾は立ち上がった。
「クン」歌乃は嬉しそうに唱吾のズボンに頬ずりした。
「そうだな、ポチに首輪をつけてやろう」傍にあった彼女のバンダナを見つけて手に取り
丁寧に細長く折りたたみ、彼女の首に巻き付けた。決して彼女の首に傷など付けない様に
注意して、少し手が震えてしまい、それを見た歌乃がにこっと笑った。
「やっぱり、おじさん優しいね」「こら、犬は喋らないもんだぞ!」
「ごめんなさい、でもちょっと待って」歌乃はガラステーブルに自分の姿を写し、自分の
首のバンダナに手を当て「私の首輪..........私おじさんの犬?」
唱吾は答えに詰まった。彼女の苦しみをこんな風にしか埋められない自分が嫌だった。で
も「君は、私のポチだよ」「ワンワン」彼女の笑顔が見たかった。それが唱吾の望みとなった
56名無しさん@ピンキー:04/06/14 00:16 ID:sDP0Ygz2
保守
57司紳士:04/06/14 09:47 ID:4zATwufq
      また別の話でダークさ満点ですが
「何よ馬鹿じゃないのあんた!」自分でもこんなに途切れず罵声が口をつくのが不思議だった。
「人の話聞いてるの!何度同じ事言わせるのよ!」私は何度同じ事を彼女に言ったのだろう
彼女は私の罵声にも表情を変えるわけでもない、ただ黙ってうつむくだけ
「ねぇ、あんたも何か言いたいことあるんだったら言いなさいよ」
「言いたい事なんてない、何も」
彼女は私より2つ年下で、私の働く施療院で同じマッサージの仕事をしている。本来ならマ
ッサージの仕事は視力にハンディキャップのある彼女のような人々の少ない働き口だったの
だが、近頃はスポーツマッサージや癒しとか私達の様に目が見える人間の方が有利に仕事が
出来る様になってきて、つまり私達はそういう人たちの生きる場を狭めながら生きているっ
て負い目もあるし、彼女にも優しく接するつもりだったのに
「あんた、お客にも、私達にも口も聞かないの」
彼女は何も答えない。
『私の事を馬鹿にしてるの』『どうして....』『どうして......』
なんだか怒りが沸いてきた、それは確かに理不尽な物だ、が、
許せなかった。
『あんた、目が見えないから同情して貰えるって思ってるの』
心の中の声が目の見えない少女を責め立てる。なにか言って欲しかった。自分の考えを、もし
私達が悪いのなら言っても欲しかった。でも彼女は沈黙するだけ
彼女はもしかしたら私の醜い部分を目の前に引き出すために、ただそれだけの為に沈黙を守っ
ているのではないかと考える事もあった。
私の醜い部分に火をつけ、それをこんな風に引き出す。
『彼女を消してしまい。彼女をいじめる私達が悪いんじゃない、彼女が悪なのだ、彼女が原因
なの、彼女は.......』
私の怒りは頂点に達した。彼女の襟をつかんで、顔を引き起こす。
目が見えない彼女は知らないだろう、自分の顔がどんなに美しいか、私がどんなに望んでも彼
女の様に美しくはなれない。『壊してやろう』
引き起こした顔に手を大きく振りかぶって彼女の頬を殴った。
バシッという音とともに彼女が倒れる
58琴子:04/06/14 23:21 ID:Wy5iyRLa
ネ申キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
続き楽しみにしております。



さて、譜三彦&光編書かねば・・・・・・_| ̄|○
59名無しさん@ピンキー:04/06/15 18:55 ID:DVeCua3+
野島×なっちキボn(ry
60司紳士:04/06/16 21:18 ID:VK7GZIq4
>>57
バタリと倒れた彼女を目で追う、両手を付きなんとか起きあがろうとする。私は彼女の耳に唇を寄せる。
「あなたのせいで私の手が痛くなっちゃった。どうしてくれるの?」
彼女は這って少しでも少しでも遠ざかろうとする。私は彼女の手に狙いをつけて思いっきり蹴る。
ドウッと倒れて思わず呻き手を押さえる彼女の背中に馬乗りになる。
「あーあ、足まで痛くなっちゃった。本当にあんたってどれだけ迷惑かけたら気が済むの?」
彼女が私の下で苦しそうに呻いている。
「ど、う、す、る、の?」私の声に彼女は微かに震える。
「許して」震える小さな声でいう
「あーーー聞こえない、それに人に物を頼むならもっと言葉使いを考えなさいよ」彼女の背で小さく飛び
お尻で圧迫する「グハ」彼女が悲鳴を漏らす。「さぁ、どうするの?」
「許して下さい。お願いします」彼女は悲鳴の様に一気に言う。「心がこもってないナーーもう一回」
「許して下さい。お願いします」彼女の声に泣き声が混じっている様に聞こえる。「許して下さい。お願いし
ます」彼女の声が私の望む声になる。そう私にも誰にも見せない感情が入った人間の物に,,,,
「もう一度」「許して下さい。お願いします。助けて下さい」彼女の声はすすり泣きに変わっていった。
「あーん素直にしてたら私だってこんなことしなかったのになぁ」また思い切り彼女の背で飛び彼女の胸
をつぶす。彼女は俯せになりすすり泣きながら、目から流れる涙を拭っているのであろうか。私は彼女の
表情を見てやろうと肩に手をかけ顔を引き起こす
「さぁ、泣き顔を見せてみな........」
私は凍り付いた。彼女は笑っていたのだ。見えぬ目で私を見据えながら「ウフフ.....フフ」彼女の美しい
唇が私の唇に口づけしてこういった。「あなたの心くらい手に取る様に判るのよ、あなた女の子が欲し
いんでしょう」
彼女は私の首に手を回した。彼女の美しい悪魔の様な笑顔は一瞬で私を虜にした。
「ウフフ.....フフ」
61名無しさん@ピンキー:04/06/17 02:09 ID:qNz3XdSR
続き禿しくキボンヌ
62琴子:04/06/17 02:42 ID:aPhrB2/2
「珍しいですね、子供みたいに目を輝かせてるあなたは。・・・・・・子供の頃好きだったんですか?」
「・・・・・・私にだって過去を懐かしみたい時ぐらいあるわ」
からかいの言葉に返ってきた返事を聞いて、器一は堪え切れずに笑みを零した。
いつもクールな聖香が、今はまるで幼子のように目を輝かせている。
思い出しているのだろうか、自分がまだ他の子供と同じように走り回れた頃の事を。
その後ろ姿を見ながら、器一は目を細めた。

――――年は取っておくものだな・・・・・・私があと10歳若かったら、彼女に手を出さずにはいられなかった――――

器一は気付いていただろう。その時呟いた心の声は、自分に言い聞かせるような響きも帯びていた事に。
例え年齢を重ねていたとしても、自分を抑える事を知らなければ、器一は間違い無く聖香を自分のものにしようとしたに違いない。
彼女は美しい。容姿も・・・・・・その純粋な心も。
彼女に接する事で、器一は自分の中で何かが変わっていくのを自覚していた。
そして今、器一は大きな岐路に立たされている。心臓に病を抱えた彼女を、このままこのレースに参加させるべきなのだろうか、否か。
もし、この先が逃れようのない地獄へ続く下り坂だとしたら。
少しづつ近付く地上を見ながら、器一は学長の座と聖香の未来を天秤に掛け始めていた。



譜三彦&光編で詰まってしまったので急遽器一兄さん追悼短編投下。聖香と観覧車に乗ってる時の器一位にさんの心情でつ。
譜三彦視点で書きたい部分があるんだが鍵二との関係で書きにくいったらありゃしない・・・・・・愚痴スマソ。
63琴子:04/06/17 02:45 ID:aPhrB2/2
ちょと訂正。
参加させるべきなのだろうか、否か。→参加させるべきなのか、否か。

重ね重ねスマソ。
64名無しさん@ピンキー:04/06/19 22:27 ID:uaf9x1e1
ほしゅ
65名無しさん@ピンキー:04/06/19 22:37 ID:uaf9x1e1
age
66名無しさん@ピンキー:04/06/19 23:52 ID:cKO/WZRS
>>62
GJ
67司紳士:04/06/20 23:29 ID:VfIqwDJ0
>>59
 私は高校生の時同級生の女の子に告白をしたの
それはもう胸がつぶれそうな思いだった、苦しくて苦しくて堪らなかったの。女の子に
告白なんておかしいって心の中に閉じこめてたけどもう心を止められなかった。そし
てついに告白したの。 でもね、あくる日から私はもう学校中から変態扱い。彼女が
みんなに面白おかしく話したの、そしてみんな私を見て笑うのよ
「あーあれか、レズの女って」
それだけじゃない、クラスメートは私が触った物は「変態がうつる!あばないぞ!」
って言い始めて終いには誰も私とは喋ってくれなくなった。
 ただ、好きな人に思いを打ち明けただけなのに
 ただ、私の心を知って欲しかっただけなのに
 そしてもう、私は人を好きにならないって決めた.........もう、誰も愛さないって.........
全てを忘れてこの町に来たの。誰にも私の本当の姿を知られない様に注意して暮ら
してきたの。それなのに
 
「私があなたの前にあらわれた」彼女の美しい唇が言葉を紡ぐ
「そう、一目見て私はあなたに恋をしたの、もう二度としないと誓っていたのに」
「私にも あなたの気持ちはすぐにわかったの」
「じゃぁ、どうして、どうして私にこんな事させるの」
彼女の腕を見る。私が蹴った跡が青く、くっきりと痣になっている。
私は彼女の腕を取りその痣にキスをする。
「どうして?」「どうして?」私の問いに彼女は答えない。私は彼女の腕へのキスを続け
る。彼女の答えが欲しい。私をどう思っているの?
「私にはあなたが必要なの。もうすぐある人が私を迎えに来るの。可哀想な少女を、不
幸な少女を...その為に不幸な少女を虐げる、意地悪な同僚が必要なの」
「そんな........」私は彼女にそんな風に利用されているいだけなんて
「私に利用されるのは嫌?」彼女は私に問いかける。「嫌じゃない....けど、誰があなたを
迎えに来るの?」彼女は笑う。「あなたは自分の役割だけ果たしてくれればいいの!」
「そのかわり今は私を自由にしていいのよ.........」             


68司紳士:04/06/21 00:04 ID:Qs/Op0se
ごめん 
>>60だった
69名無しさん@ピンキー:04/06/21 00:16 ID:GuwcoYfE
はぁ…
70名無しさん@ピンキー:04/06/21 01:05 ID:3q4+mUMt
>>67
GJ!
DEVILな葉音にドッキ土器でつw
71名無しさん@ピンキー:04/06/23 20:51 ID:V+rf7gIT
実は森下千里だった仮面少女幸子とともくんでエロキボンヌ
72名無しさん@ピンキー:04/06/23 21:15 ID:XlA9HNkZ
歌乃×聖香キボンヌ

ハァハァ
73琴子:04/06/26 22:19 ID:DtobVXvZ
スマソ、最終回のぶっちぎりっぷりを整理したいのでもう少し待って・・・・・・_| ̄|○
74名無しさん@ピンキー:04/06/26 22:25 ID:3CTAKjM0
さておまいら、アレですよ。
最終回でついに葉音とノッティーがいとこ同士ということが判明してしまいましたよ。
つか譜三彦の子が葉音で鍵二の子がノッティーなんだからほぼ異母兄妹といっても過言ではないわけですよ。
>16の投下した小説がえらい事になりましたよ。近親相姦キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
75名無しさん@ピンキー:04/06/26 23:41 ID:g3MeoMj/
最終回で特Aが出なくてショック
7616:04/06/27 00:34 ID:FwAqTqNl
>>74
_| ̄|〇
77名無しさん@ピンキー:04/06/27 09:28 ID:DtNzgJ/x
エロなしなんですが
ノッティー聖香+歌乃投下させていただきます。

続くかどうかは未定ですが…
続くとすれば聖香の設定は全部無かったことにして、
IFモノになると思います。
78ノッティー聖香+歌乃:04/06/27 09:32 ID:DtNzgJ/x
(おかしいわ…私は何を考えているの??)
 ――傷跡が疼く。
星華は洗面台の前に一人立ち、胸を押さえて顔を歪めていた。
 体温が上昇するのがわかる。
 抑えようという意識に反して動悸が速まり、額に脂汗が浮くのを星華は感じた。
 ギリ、と唇を噛みしめ星華は鏡の中の自分を睨む。苛立ちに任せ醜く眉根を寄せた自分のなんと
滑稽なこと。自分がこんな顔をしたことが、この一年あっただろうか。
苛苛する。何故??
同じ問いが、ここに立ってから星華の中を駆け巡っている。だがその実、星華はその答えが何か
をとうに知っている。


『俺は』

マザーのあの言葉だ。
『女は多少馬鹿でいいから可愛くて』

いや。
正確には。

『こん中なら歌乃だな』
能登の言葉だ。
能登の言葉が星華に慟哭を呼ぶ。


それが何故??なんて――
「……っ!!」
星華は泣いた。
唇を押さえ、必死で外に漏れる声を抑えた。
 涙が溢れて、止まらなかった。
79ノッティー聖香+歌乃:04/06/27 09:34 ID:DtNzgJ/x
歌乃にとって、マザーの言葉は全く思いがけないものだったが、歌乃は悪い気はしていなかった。
(まさか、ノッティーがあたしをね〜…どぉしよっかな♪)
マザーに本音の本音は暴露されてしまったが無論それが全てというわけではない。
男の人が怖い、星華に憧れている、も事実だけれどそれだけで終わりたいと歌乃は思っていない。
むしろ、機会があるのならば男の子と積極的に関わって直していきたい――マザーは読みとらなか
ったが、それは歌乃の中に前から密かにあった思いだった。
 そして、ノッティーはその思いを実現するのには最適な相手のように思えた。最も、最適――で
選ぶ相手が果たして最適なのか。歌乃は少し考えたが特に気にすることもなかった。
(オーケー…してあげよっかな〜♪じゃあ、どぉやって誘ぉ〜?)
80ノッティー聖香+歌乃:04/06/27 09:37 ID:DtNzgJ/x
ノッティーの言葉を考えると心が軽い。
帰る前に、と洗面所に向かう歌乃の顔は無意識に綻び、足取りも軽やかなものになっていた。

ところが。
「星華ちゃん!!?」
洗面所に入って歌乃は愕然とした。
仲間内で自分が好きな――もとい、最も尊敬している少女、星華が、洗面台に身を乗り出し、青ざめた顔をしていたからである。
「気持ち悪いの??」
歌乃は慌てて星華の元へ駆け寄った。
「先生呼ぶ??」
「いいわ…ほっといて頂戴」
「顔色悪いよ〜?」 星華は歌乃から顔を背けたが、歌乃は構わず星華の顔を覗きこんだ。
長い髪が陰りを作って表情がよく見えない。
熱でも、あるのだろうか。
歌乃はそっ、と星華の額に手を伸ばした。
(――バシッ)
「!」
「触らないで!」
だが途端に大きな音をたててその手ははたかれてしまう。
「放っといてって言ったでしょう!?ここにこないで!!一人にして!!」
「…!!」
無論手をはたいたのは星華だ。続けて星華は歌乃に暴言を吐いてにらみすえた。
一瞬、思いもよらぬ星華の態度に歌乃は困惑する。
 だが、驚きに見開いたその目はみるみる内に憐憫の情を持ちはじめ、星華を見つめかえした。
81ノッティー聖香+歌乃:04/06/27 09:39 ID:DtNzgJ/x
 そこには星華を痛ましく思う心こそありけれ、自らに与えられた痛みを呪うふうではまるでない。
 今度は逆に、星華が困惑する番だった。
 歌乃は既に、星華の慟哭に気づいている。

 熱など無い。
 泣いていただけだ。

「……星華ちゃん、どうしたの?」
「……っ!!」
再び、そっ、と額に延ばされた手を星華は振り払えなかった。

歌乃の肩に顔を押しあて星華は泣いた。途中漏れた呟きは誰に対して向けたものでもなかったが、
歌乃は全てを察したのか、ただ黙って星華の髪を撫で続けた。
「…自分でも気づいていない心は、さすがのマザーでも読みとれない、って……事、ね…」

押し当てた瞼の裏で、能登の姿が蘇る。

 何故なのだろう。
 何故、彼なのだろう。
考えたが星華にはわからなかった。

だけれど、きっと、そういうものなのだ。
むしろ、だからこそなのだ。

憶測の中で直感は確信へと変わっていく。
だけれどそれは伝わることなく、今日流れた涙の中で消えていくのだろう。
82名無しさん@ピンキー:04/06/27 12:34 ID:SsbWGY8Y
GJ!
歌乃x聖香に見えるのは私の心が病んでいるからでしょうか
83名無しさん@ピンキー:04/06/28 01:35 ID:twWaMkq9
重病患者がここにも一人…_| ̄|○ノ <ハァハァシチャッタ
84名無しさん@ピンキー:04/06/28 23:09 ID:LS3ZvN7c
少年はそっとドアを開けた。
しかし、この部屋の中央にあるソファに座った少女にとっては、
荒々しく開けるのも、音を立てないように静かに開けるのも、
別段違いがあるわけでも無かった。
だから少年の行為は、自身の感情に起因するのだろう。
少年の中にあるのは、少女に対する、ある種の罪の意識めいたものだった。
少女は元から目が見えなかった。
そして、その後起こったある出来事のせいで、拠り所だった聴覚までも失ってしまった。
無音の暗闇、それが今の少女を取り巻く世界のすべてだった。
おそらく少女は最も聴きたくなかった音を聴いてしまったために、これ以上聴くことを拒んだのだろうと精神科医は言った。
少女の聴力を奪ったのは……一発の銃声だった。
花嫁衣裳をまとい、少年の呼びかけに何の反応も示そうとしない少女がこの部屋に運ばれてきたとき、
少年は信じられない思いでいっぱいだった。
誰がこんな結末を予想できただろう?
今度こそ、心から幸せに笑う少女を見ることができると、そのことを疑いもしなかったのに。
少女の支えだった、少女を導いていた声は、もうこの世界のどこにも無い。
少女は光を失った目で、ただ人形のように座り続けている。
ときおり、壊れたレコードのように、ある言葉を繰り返しながら。
「わたしを愛してると言って」
「愛してる」
それが少女の耳に届くことはないとわかっていても、少年は何度もそう答える。
「言葉に出して言って」
「お前を愛してるよ」
少女の心は、芸術性のかけらも無い、野蛮な黒い鉄の塊によって、粉々に砕かれてしまったのだ。
少年の美しいピアノも、耳の聴こえなくなった少女の心を救うことはできなかった。
何がすばらしい音楽だ。小さな女の子ひとり、助けることもできない……。
少女の瞳は夢を見ている。
ここではない、おそらくあの、最後の音を聴いた瞬間を。
そして、教会での、少女が一番幸せだった、神への誓いの瞬間を。
「愛してるわ」
85名無しさん@ピンキー:04/06/28 23:10 ID:LS3ZvN7c
あるとき、少年は演奏で外国に行くことになり、何日も家を開けた。
演奏は非の打ち所が無いほど完璧で、少年は多くの賛辞を受けながら帰国した。
そして家に帰ってきた少年を出迎えたものは、
少女の世話を頼んだ人間からの、驚くべき話であった。
誰も近づけようとしないのだと、何も食べようとしないのだと。
少年は部屋へと駆け込んだ。
少女は小さな子供のように、ソファの上で身体を丸め、何かに怯えて震えていた。
「葉音!」
肩をつかみ、呼びかけた。安心させるように、何度も、何度も。

少女の口から、少年の名前が聴こえた。
その瞬間、少年は無我夢中で少女を抱きしめていた。
「そこにいるの……?」
「……ここにいるよ」
ずっとそばにいる、ずっと……。
目が見えない少女に体温と鼓動で少しでも自分の存在が伝わればいいと、
少年は少女をきつく抱きしめ続けた。
86名無しさん@ピンキー:04/06/28 23:59 ID:hUiyexH9
あの最終回は何だったんだ
87名無しさん@ピンキー:04/06/29 00:07 ID:bOw0GZjC
>84,85
すごくイイ(・∀・)
88名無しさん@ピンキー:04/07/01 10:24 ID:LFhMxHJQ
ここはやおい系はだめなんだよね
801板にもスレ立ってないし、どこでリクエストすればいいんだろう…
89名無しさん@ピンキー:04/07/01 12:34 ID:aS+HJtjP
ノッティー×葉音 (;´Д`)ハァハァハァハァハァハァハァハァモエェー

>88
別にかまわんと思うが。百合もあることだし。
ただ注意書きは入れるべきかと。
90名無しさん@ピンキー:04/07/01 14:15 ID:Wz45r7Dr
保全
91名無しさん@ピンキー:04/07/01 16:29 ID:uSh36Kea
最終回以降の妄想もっとキボン
あれじゃ欲求不満じゃ!
92名無しさん@ピンキー:04/07/01 16:30 ID:rJaU5IDV
宮西×葉音の新婚生活キボン
93名無しさん@ピンキー:04/07/02 00:06 ID:GrCiZJQm
保守
94名無しさん@ピンキー:04/07/04 10:38 ID:fv2p6ICd
保守
95名無しさん@ピンキー:04/07/05 21:54 ID:XMntIugk
保守
96名無しさん@ピンキー:04/07/08 02:09 ID:RcHCEuiN
801ネタでもいいから新しい作品読みたいです(´Д`)ムシロ大歓ゲイ…
97名無しさん@ピンキー:04/07/10 00:35 ID:M4Okpmrv
http://ex6.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1089274000/l50
スレ違いだけどここ面白いよ
98琴子:04/07/10 01:17 ID:Nfzma8LD
エロパロ板でエロ無しばっかというのも気が引けるが、とりあえずほしゅがてらに書けた所まで投下。
大幅に書き直したら異様に時間が掛かったorz



ある休日の風景シリーズ

その2・軟派な三男(仮)と硬派なヤンキー娘の場合

その日、折角の休日だからと昼寝をしていた光は、目を覚ました途端に自分の身体に異変に気付いた。
熱いのに汗が出ないような、重苦しい感覚と、頭の痛み。明らかにいつもと違う。
その時、微かに玄関のドアの鍵が開く音が聞こえてきた。譜三彦が外出先から帰ってきたのだろう。
なんとか起き上がって床に足をついたが、光は酷い眩暈を感じてそのまま床に倒れ込んでしまった。

「38度1分・・・・・・こりゃ絶対安静だな」
溜息混じりに呟く譜三彦の声がやけに頭に響いて、光は眉を寄せた。
昨日の夜は昼間と打って変わって冷え込んだのだが、どうやらそのせいで風邪を引いてしまったらしい。身体の丈夫さには自信があったのだが、季節の変わり目の不安定な天候を甘く見ていたらしい。
譜三彦に手を貸してもらいベッドに戻った光は、鈍い頭痛と倦怠感に襲われていた。
「ったく、もうちょっと早く気付けなかったのか?」
「・・・・・・朝起きた時はちょっと疲れてるな、ぐらいにしか思わなかったんだよ」
余程辛いのか、反論する声にも覇気が無い。
「今日が試験の日だったら間違い無く落ちてたぞ?・・・・・・とにかく、今日は大人しくしてるんだな。とりあえず昼飯作ってやるから」
「わぁったよ・・・・・・」
パタンと音を立てて、寝室の扉が閉まる。
相変わらず思うように動かない自分の身体に、光は小さく溜息をついた。
99名無しさん@ピンキー:04/07/10 09:23 ID:JDjGodmY
>>98
GJ!続きが気になる


にしてもこのドラマにホモ要素なんてあったっけ?
100名無しさん@ピンキー:04/07/10 12:41 ID:06mNm3KS
>>98
Gj,期待してます
101名無しさん@ピンキー:04/07/10 14:15 ID:5Hu7W1H6
>>96
なんでいきなり801なんて出てくるんだ?
それを匂わせるシーンなんてなかったじゃん
102展開を予想:04/07/10 15:06 ID:2Q2VDa68
放送終了後の展開を予想

唱吾の裁判が結審して8ヶ月が過ぎた。刑務所に収監され、独居房から雑居房に移され慣れぬ生活を強いられている。
就寝前の自由時間はわずかな時間に、皆思い思いにくつろいでいる
唱吾も一人静かに過ごしている
「しかし、見事なものだな」思わずつぶやく。
水無月家の報復はまさに見事なものだった。
唱吾の築いた隠し資産も、背任行為をたてにほとんど全てを取り返された。
実の母親片岡久枝も数々の犯罪の賠償金を支払う為に、もはや一文無しの状態になっている。
こうなっては弁護人は私選をつけられず、やる気のない国選弁護人に頼るしかなかった。そして選択の余地はなく判決
に従う他なくなった。
また水無月家の顧問弁護士からも、家名を汚すから水無月の名も捨てる様に迫られ片岡の姓になった。
そして受けた判決は懲役二十年、人を手にかけ、育ての母さえも手にかけようとした身勝手な犯行。
それは確かに軽い刑であるのかもしれない、でも、失ったものの大きさとこれからすり潰されていく自分の未来に心も
重くなってしまうのも仕方がないのかもしれない。

「点呼」刑務官の号令が響く。「1,2,3,..」同室の仲間に合わせて正座して
「6」と返事をする。東都音楽大学の金の流れを一手に引き受け、水無月家の全てを狙っていた男は消え、2204番と
いう番号で呼ばれる囚人がそこにいた。



103展開を予想:04/07/10 15:11 ID:2Q2VDa68
秋になり、風も冷たくなってきた。
「2204番、手紙だ」
「ありがとうございます。先生」刑務官にお辞儀して受け取る
森歌乃からであった。彼女は唱吾が逮捕されたときにも、真っ先に面会に訪れてくれた事を思い出す。
「どう、元気?」彼女は相変わらず、元気一杯で美しい
「うん」唱吾はつぶやく様に答えた。
彼女はいろいろ出来事を話してくれる。身近な出来事、とりとめのない話も時間が止まってしまった唱吾には本当に救いになった。
「私じゃなくておじさんがここに入るだなんてね」歌乃は昔を思い出していた。
スリを重ね警察の世話になることもあった。そんな歌乃をどんな形にしろ、救い上げてくれたのは唱吾であったから。
「私ね、この面会の時にね。どんな関係ですかって聞かれたから、婚約者ですって答えたの」
「え......」
「その方が、色々手続きも楽なんだもん」歌乃はペロッと舌を出す
「おじさんも、そういうことにしといてね」
彼女はそう言い残すと面会室を出て行った。唱吾はあまりのことにあっけにとられた。
そんな、歌乃からの手紙であった。
相も変わらず、近況報告に始まり、話題は最近始めた仕事のこと「葉音の様な目が見えない人々の手助けをしたい」って盲導犬の
訓練士の見習いを始めたこと、その熱意と頑張りは唱吾にもよくわかる。思わず笑みがこぼれる。歌乃の幸せは唱吾にも嬉しかった
そして手紙の最後に「私はあなたが刑を終え出てくるのを待ってます。いつまでも」と書かれてあった。
唱吾はそれをありがたいと思った。


104展開を予想:04/07/10 15:12 ID:2Q2VDa68
れから何回の夏が過ぎただろう、歌乃は変わらず折りにつけ手紙を送ってくれる、服役して
1年が過ぎてからは面会にもたびたび訪れて、唱吾をはげましてくれている。
「何故、君は僕を気にかけてくれるんだ」唱吾はずっと気になっていたことを聞いてみた。
歌乃は少女だったあの時から日を追う毎に美しい大人の女性になっていた
「私、救急車の中であなたに手を握ってもらって話してくれたこと本当に嬉しかった。
 あの時から私、あなたのことを愛しているの。
 あなたは私を利用したいただけかもしれない、
 でも私はあの時初めて私は地獄からすくいあげてもらったのよ」
唱吾は顔を伏せた。こんなに惨めな自分にこんなにも暖かい言葉を書けてくれる人がいる。
それだけで、生きていける、そう思う。
唱吾の頬に涙が流れる。

105展開を予想:04/07/10 15:17 ID:2Q2VDa68
逮捕されて刑に服してから十数年が過ぎようとしている。
そして唱吾にも仮出所の機会が訪れた。嬉しさと、怖さが入り交じっている自分に戸惑いがある。十数年は決して罪を償うの
に十分な時間ではないと判っている、その罪の大きさと償いを考えると決して手放しで喜べるものでもない。
でも、それでも刑務所から出られるそれだけでこみ上げてくる喜びもある。
唱吾はまず、歌乃に仮出所出来そうだと手紙を書いた。
今の正直な気持ちを、恐れも期待もありのままに。

歌乃からの返事はすぐに来たが、その返事に歌乃は唱吾を混乱させるものであった。
「仮出所ほんとうによかったね。あなたが真面目に刑を償う態度が評価されたのでしょう。
 本当に、本当におめでとう。
 実は、私はあなたに謝らなくてはいけないことがあるんです。
 あなたに伝えなくてはならないことが
 ずっと、ずっと伝えたかったのに、言えなかった
 あなたに会いたい。あって話したい、私はあなたが刑を終え出てくるのを待ってます」
歌乃が唱吾に言えない事が、唱吾には想像できない。
一体どういう事なんだろう。唱吾が歌乃に謝やまらならなければいけない事はあっても逆はないはずだ。
あの事件のことだろうか?それとも歌乃自身のことだろうか?
不安になった。

唱吾の仮出所したのはそれからすぐのことだった。保護司の元に出向き今後の生活について話をした。「正業に就くこと、2週間に
1度は保護司に出頭すること」もちろんその他にも細かい決まり事はある。「酒を飲んではいけない」もし一滴でも飲めばそのまま
刑務所へ逆戻り、もちろん車を運転をして違反をして捕まっても刑務所へ逆戻りである。
そう、あくまでも仮出所は「仮」出所なのである。
保護司がこれからのどうするつもりかと尋ねた。
「これから、鍼灸師の学校に通い、夜はアルバイトでやっていくつもりです」
「そうかい、でも勉強しながら働くのはとても大変なことだよ」
「判っています。頑張ります」そう答えるのがやっとだった。
106展開を予想:04/07/10 15:31 ID:2Q2VDa68
仕事を終え、疲れ切った体を引きずる様に暗いアパートに帰ってくると、ドアの前に人影があった。
「どうして、私の所に来てくれないの?」歌乃であった。
「もう、仮釈放になってから、何ヶ月が過ぎてるって思ってるの」彼女はあの頃と変わらない、いや、
確かに大人の女性にはなった。でもあの頃の元気一杯で美しい歌乃の雰囲気は何も変わっていない。
唱吾は歌乃を自分の部屋に招いた。本当に何もない部屋だった。生活する暖かみを唱吾自身が拒否
している様にさえ感じられる。

唱吾は答えた
「君が、手紙で僕に謝らなきゃいけないって、書いてきただろう
 それが何なのか、想像すらできなかった
 あの事件のことなのか
それとも、君自身のことなのか?
 もしそれを聞くと君に二度と会えない様なる気がして怖かったんだ」

本当に怖かったのだ。この世の中で一人になることが、孤独になることが。

「ごめんなさい。私があなたを苦しめているなんて
 私、あなたに秘密していることがあるの
 言えばあなたに負担をかけるだけだと思ったから言えなかった
 あなたを苦しめるつもりはなかったの」
ふーっと深く息を吸い

「つまりね.......こういうこと」歌乃は携帯電話を取り出し誰かに電話をする

「私よ、すぐにここに来て」

誰に引き合わそうと言うのだろか?判らない。
107展開を予想:04/07/10 15:34 ID:2Q2VDa68
ドアがノックされ開けられた。そこには一人の少女が立っている。
唱吾は少女の顔を見て驚いた。そうそこにはもう一人の歌乃がいるのだ、しかも、はじめて二人が警察署の前で
出会った頃の歌乃そのものの少女が立っていたのである。
「ど、ど、どういうこと」歌乃が二人いる。な、何で
「おかあさん、ひどいよ、子供を一人こんな夜中に.....
 んで、この人が?」その少女は歌乃に文句をつけている姿も昔の歌乃にうり二つであった
「もしかして、歌乃君の娘さんかな?」唱吾はおそるおそる歌乃に聞く
「そうよ
 私の若い頃に似てる?」
秘密とはそういうことだったのか。
そうか、歌乃は幸せに結婚してこんなに可愛い娘さんまでもてたんだな。『良かったな』心底そう思える。
塀の中でも歌乃の幸せを祈っていたから。
僕にそんな気を遣わなくてもいいのに..........そう思う唱吾に
「唱吾さんと私の名前から一文字ずつとって、唱乃って言うのよ」
「何故、僕の名前から.....?」
どうしてなんだ。『え』
「おかあさん、話が違うじゃない。お父さんは、すごく格好いいて言わなかった!
 タバコを吸う姿も超格好いい!
 ダンディを絵に描いた様だって
 さんざん、私に自慢してたよね」そこまでいうと、唱乃は唱吾の顔をまじまじと見て
「趣味悪すぎ!」と断言する
「え、格好いいじゃない。昔と全然変わってないわよ」歌乃は唱吾の顔をこれまたまじまじと見ながら言う
唱吾はだんだんと居心地が悪くなってきた
『どういうことなんだ。これは
 この会話の流れは、つまり.......』恐る恐る歌乃に尋ねる。
「歌乃君、唱乃ちゃんの父親って、まさか?」唱吾は自分の顔を指さす。
「そう」歌乃が微笑む。
108展開を予想:04/07/10 15:44 ID:2Q2VDa68
「え.......」
唱吾は絶句する。2回目のピアノ試験後、病院で治療を受けさせて、歌乃をマンションへ送り届けたとき
1回だけ歌乃と関係を持ったことがある。あとにもさきにもあのとき、1回だけ...........
「え.....?.」
あのとき歌乃は安全日だからって、大丈夫だって言っていたはずだ。唱吾のそんな思いを読み取ったのか歌乃は
「計算間違えちゃった........みたい」
ペロッと舌を出す歌乃は昔のままの茶目っ気たっぷりの元気で、美しい歌乃であった。
「ごめんね。黙っていて.....あなたに心配かけたくなかったから
 子供が出来たとき本当に、本当に嬉しくって....
 でも、あなたが刑務所に入って私も不安になちゃうし
 何度も、何度もあなたにこのことを言おうと思ったの
 でも、もしあなたに反対されたらどうしようって怖くなって、言えなくなっちゃった
 本当に、ごめんなさい」
歌乃は頭を下げる
「許してくれる?」
歌乃はあのころからずっと一人で、唱乃を育ててきたのだ。
誰にも頼ることもなく、唱吾にさえ打ち明けることなく
それが、どれほど大変で、つらかったことか
「許すも、許さないもないよ、僕が全て悪かったんだ、本当にありがとう」唱吾は歌乃の優しく手を握る
その言葉を聞いて歌乃の目から涙がこぼれる
「やっと、親子3人がそろったんだもの、
家族そろって、暮らせるのね」歌乃が言ってくれる。
家族で暮らす?それは唱吾にとっては夢みたいなことだ。でも殺人犯で仮出所中の自分が彼女たちの傍
にいたらそれだけで迷惑をかけてしまう。それだけは出来ないから

109展開を予想:04/07/10 15:49 ID:2Q2VDa68
「僕みたいな、人間が君達と一緒じゃ迷惑をかける事に.......
 僕はこれまで通り一人でいいよ
 君達の、自分たちの幸せを一番に考えてくれ」
唱乃言葉に歌乃は首を振る
「私はあなたと唱乃と3人で暮らすことが夢だったのよ
 それが一番の幸せなの」
「僕はまだ仮出所中の身だ
 酒だって飲めない、もし一滴でも飲めばそのまま刑務所へ逆戻りになる、
 車を運転をして捕まっても刑務所へ逆戻りになる
 そんな男が君達の傍にいたら迷惑だけかけてしまう」
つらかった、本当は二人と一緒に暮らしたい。でも、二人に迷惑をかけることは
 絶対に出来ない。そんな唱吾に歌乃は
「お酒なんて、私が絶対に飲ませない
 車の運転だったら
 私凄くうまいんだから、私がやればいい
 家族がやっと揃ったんだもん
 一緒に暮らそうよ、ね....一緒に暮らそう」
歌乃の目に涙が溢れる。唱吾の手に歌乃の柔らかで暖かい手が重なる
「お父さん、私達をもう悲しませないで!
 私もお父さんと一緒に暮らしたい
 ね、お父さん」
唱吾は声を上げて泣いた。本当に嬉しくて、涙が止まらなかった。

110名無しさん@ピンキー:04/07/10 18:09 ID:4U2koYlE
>>102-109
大感動ですたい。・゚・(ノД`)・゚・。
おいらこのふたりがいちばん好きだったから、いろいろ妄想してたけど
この展開で自分の中で補完させてもらいます。ありがとう。
111琴子:04/07/10 20:44 ID:PK87Vnmj
>>98続き


「光? 起きてるか?」
「・・・・・・あぁ」
控え目なノックの音と譜三彦の声に、うとうとしていた光は重い瞼を引き上げて答えた。
ゆっくりとドアが開き、片手に深皿やらコップやらが乗った盆を持った譜三彦が入ってくる。
起き上がった光は、深皿の中身を見て意外そうに眉を上げた。
「これ・・・・・・」
「ミルクのリゾットだ。消化しやすいものの方がいいと思ってな・・・・・・熱いから気を付けろよ?」
皿を受け取った光は、恐る恐るスプーンですくって口に運ぶ。
「・・・・・・うまい」
「だろ? 昔、風邪引いた時なんかによくこれを作ってくれたんだ・・・・・・母さんが」
“母さん”と言った時のぎこちない言い方に一瞬疑問をもった光だが、眉を寄せただけで追求はしなかった。
他人の家庭環境をあれこれ詮索する程、野次馬根性旺盛ではない。
「隠し味にチーズを使うのがコツらしい。その代わり、入れ過ぎてもバランスが崩れちまうけどな」
普通の家庭ではまず食べないであろう小洒落たリゾットに、譜三彦も一応は資産家の息子なのだと妙な所で感心してしまう。
少し時間はかかったが、光は皿の中身を空にした。
112琴子:04/07/10 20:45 ID:PK87Vnmj
「・・・・・・ごちそうさま」
「お、完食か。じゃあこれ、薬と水」
差し出された開封済みの粉薬の包みと水の入ったコップに、光は眉間に深い皺を寄せた。
「・・・・・・」
「露骨に嫌な顔するな・・・・・・こじらせたら余計辛いぞ?」
呆れ顔で言う譜三彦の言葉に、光は渋々とコップを受け取ると、苦い粉薬を一気に口に放り込み水で流し込んだ。
「よし、飲んだな。じゃあ今日はもう寝てろ。次の試験までには万全の体調にしとかないとな」
薬の味に閉口する光を尻目に満足そうを頷くと、譜三彦はそう言いながらまるで親が幼子にするように光の頭を撫でた。その行動に、光は憮然とした表情になる。
「・・・・・・ガキ扱いしやがって・・・・・・」
掠れた声で呟いた光の言葉に、譜三彦は珍しく何も言わず、笑みを浮かべただけだった。
――――気のせいだろうか、その笑みがいつもと違うように見えるのは。例えるならば、まるでガラス細工のように繊細な。
「じゃあ俺は向こうに行ってるから――――」
今彼が居るのは、恐らく自分が踏み込む事の出来ない領域だ。
それが、なぜだかとても哀しかった。
113琴子:04/07/10 20:49 ID:PK87Vnmj
「待て!」
寝室を出ていこうとする譜三彦の背中に、光は思わず声を掛けていた。
きょとんとした表情で譜三彦が振り返る。
一瞬何か言葉を続けようと口を開いた後、光は何も言わずに首を振って額に手を当てた。
「・・・・・・ちくしょ・・・・・・熱のせいでおかしくなってやがる・・・・・・」
自分に言い聞かせるようにも聞こえる声で呟いた光は、大きく溜息をつく。
譜三彦はからかうような笑みを浮かべた。
「・・・・・・らしいな。しっかり寝て治せよ?」
いつもの譜三彦と全く同じその表情に、光は身体の力がふっと抜けていくのを感じた。
「・・・・・・うるせ・・・・・・」
そうぼやきはしたものの、光は大人しく目を閉じた。もう反論する気力も無い。
寝室のドアが閉まる音を微かに聞きながら、光は深い眠りに落ちていった。



なんかワケ分からない文でスマソ。
譜三彦の子持ちの親っぽいところ表現しようと思って見事に自爆・・・・・・ちなみに次回は「高飛車長女と自信家能登君の場合」の予定でございます。
・・・・・・でも予定は未て(ry
114名無しさん@ピンキー:04/07/11 01:32 ID:SUFm2nXY
>>102-109
わ・・・
感動です・・・
本編よりずっといい話です。
できれば歌乃視点でのこのストーリーも見たいです。
115名無しさん@ピンキー:04/07/11 01:42 ID:c+3F5ZiR
>>展開を予想
最高でつ(・∀・)!
できれば全パートナーでやってほしいです。

…器一兄さんは瀕死で生き延びたことにしてください・゚・(ノД`)・゚・
116琴子:04/07/11 03:16 ID:M8MReYmY
>>102-109
GJとしか言いようが無い・・・・・・



漏れの話がホント駄文に見えてきた・・・・・・実は漏れ、3話からしか見てないのだorz。早くDVDで全話見なければ・゚・(ノД`)・゚・
独り言スマソ。
117展開を予想:04/07/11 19:02 ID:dkFIAIbu
>>109 5行目
×唱乃言葉に歌乃は首を振る→唱吾の言葉に歌乃は首を振る 
_| ̄|〇 気付かなかったし、他にもコピペ失敗が.....

>>110,114,115,116
レスありがとうございます
またネタが出来ましたら投下したいと思いますので
よろしくお願いします。

>>116
琴子様
GJ(^o^) 
「ワルツ」の雰囲気を大切にしている作品でとても素晴らしい!
楽しく読ませて頂きました。次の作品も楽しみにしています
118名無しさん@heart:04/07/12 21:10 ID:LxsOkrrY
感動して読ませて頂いてます。楽しみに待ってます
119名無しさん@ピンキー:04/07/12 21:22 ID:tUOYPVfz
>>111-113もよかったよ。GJ!
120妄想爆発:04/07/15 16:43 ID:gUO4RtQZ
身体が重い、光を感じない、私は死んでしまったんだろうか…。
「あっ!看護婦さん!」
誰?
「葉音、おっせーよ。何日眠ってたんだよ。」
聞き覚えのある声…。それが、ノッティーだということにそう時間はいらなかった。
そして最愛の人の空気を探す。
「ノッティー?芯也は?芯也はどこ?」
起き上がろうとしたけど、身体が言う事をきかない。

「もうすぐ包帯も取れるらしいぜ、よかったな。」

目の回りに包帯。そうか、光を感じなかったのはこのせいだったのか。
芯也、どうしているんだろう。


121妄想爆発:04/07/15 16:44 ID:gUO4RtQZ
数日後
聖香、歌乃、光、ノッティー、トモキの見守る中、葉音の包帯は取られた。



「ゆっくり目を開けて下さいね」
ゆっくりと目を開けると、光と共に色々なものが…。え?なに???
「葉音、私が見える?」
「ちょっと、いきなりそんな顔近付けたらびっくりするでしょ」
「おい、俺様の顔、想像と一緒だったか?」
「葉音ちゃん、トモキだよ。結構いい男に見えない?」
「(無言)」

な、何!!!目の前で動く物体、怖い。。。
そうだ、目を閉じてみよう。
ああ、懐かしいみんなの声。

「私、目が見えるのね」
「キャー!葉音!!!」
(歌乃が葉音にしがみつく。)
みんなの笑顔、でも、一番会いたい人の笑顔はない。
「芯也は?」
(一同暗い顔。)

「ねぇ、芯也は?芯也はどこ?」
なんで突然目が見えるようになったのか、なぜ芯也はそばにいないのか、
私は不安を抱えながらただただ繰り返した。
122妄想爆発:04/07/15 16:46 ID:gUO4RtQZ
初めて投下してみました。

頭の中では妄想が広がるのに、文章にするのは大変なんですね。
がんばって、後日続きを投下するのでお付き合いください。

123名無しさん@ピンキー:04/07/16 19:52 ID:ToIgVUne
GJ!!楽しみにしてます!がんがって下さい!!
124展開を予想:04/07/17 07:12 ID:x8QEEf7F
放送終了後の展開を予想

真犯人を見つけだす為に小暮警部は唱吾に協力を求めていた
真犯人は小暮警部達、警察に協力して完全に欺いているつもりでいる。
そこを逆手に取った作戦だった

「小暮警部、でもこれってひどくないですか?
 確かに、犯人役は引き受けましたが、僕の母親が片岡先生ってどういうことですか?
 僕がよその子だって器一兄さんにからかわれたことはあるけど
 僕の母は水無月千世一人です。
 それに片岡先生は医学会でも名の通った医学者ですよ!
 僕はいいとしても、片岡先生がよく承知して下さいましたね」
小暮警部は唱吾に説明用の捜査資料を渡しながら
「まぁまぁ、お話が出来ていないとね
 片岡先生は若い頃の病気が原因で子供が出来ない体になってしまい
 結婚をあきらめ、医療に人生を捧げられたそうです
 そして、水無月家と親交のあった先生が唱吾さんの名付け親になられた
 唱吾さんには我が子同然の思い入れもあるとおっしゃってましたよ
 器一さんが襲われ確実に唱吾さんも襲われる事になるだろうと
 言ったら、片岡先生は自ら進んで協力を申し出て下さいました。
 相手は、私達の想像を遙かに超える相手ですから
 私達、警察が唱吾さん達を母親殺しの現行犯として逮捕し、真犯人が油断する
 そのときが、犯人逮捕の最後のチャンスです。危険な賭ではありますが.......」
最後のチャンス、まさにそうだろう。犯人は人の心を持たない悪魔だ。
悪魔を人が捕まえることは、とても難しい。
榊アツミのときのような幸運な偶然でも重ならない限りは。
あの時でさえ大きな犠牲のうえに成りたった逮捕であったから。
今度もあの時の様な悲劇が繰り返されるのだろうか?
しかし、もし、本当に犯人を捕まえるチャンスがあるとすれば
それは天使が、悪魔の心のありかを見つけ出しだしたときかもしれない
葉音から貰ったクリスタルのハートを見ながら小暮警部は考えていた
125展開を予想:04/07/17 07:12 ID:x8QEEf7F
「それで、器一兄さんは今どうしているのですか?」
唱吾は小暮警部に尋ねる。
「間一髪でしたな、もし片岡先生がおられなければ命はなかったでしょう
 今は警察病院へ秘密裏に転院して頂きましたが
 重傷を負われていますので、まだ大変な状態で、予断を許されないとのことです」
器一は聖香をかばって受けた傷で、危篤状態に陥ったが、何とか命だけはつなぎ止めている
しかし、このままではまた犯人に襲われる可能性があるし、また、真犯人を誘い出す為に
犯罪被害保護プログラムを適用し器一が死亡したことにしている。
このことを知っているのは警察関係者でも一部で、あとは唱吾、片岡医師、そして今も器一に付き添い看病をして
いる聖香くらいで、器一の妻でさえ生存していることは知らされていない極秘事項であった。
126展開を予想:04/07/17 07:13 ID:x8QEEf7F
聖香は『病室ってどうして、どこも同じなんだろ』と思う
私もこんな風に何日も、何日もベッドからグレイの壁を見つめ続けたから、そして今私がしている様に
母がただ、私を見つめ続けていたっけ。ただ、おろおろとベッドの上で動けない私を、涙を浮かべて.......
私はそんな母をうとましく思っていた。
『ほっといて』
『私を一人にして』
もし、あの時人工呼吸器が私の口を塞いでいなかったらと思うとぞっとする。
たぶん、馬鹿な少女が思いつく限りの悪態を、とめどなく、ぐるぐると繰り返していたに違いない。
苦しむ娘に、自分の無力さを知り、ただうろたえる母親に向かって......
今の私の顔を鏡で映してみると、あの頃の母と同じ表情をしているに違いないと思う。

聖香ははじめてここに来たとき器一の傍にいてずっと看病をしたいと申し出たが
「ここは24時間スタッフが看護体制がいるから大丈夫よ
 あなたは、まず、自分の体のことを考えなさい」
片岡医師から諭された。聖香の心臓は少しの無理も許してくれない。
無茶をすることは即、死に繋がることにもなりかねないからだ
「少しくらいなら大丈夫です。ピアノを弾き続けても平気だったし」
「心臓はね、体力の影響が勿論一番大きいけど
 それ以上に心の影響も受けるものよ
 あなたが器一さんの苦しむ姿を見て平気でいられるとは思えない
 私達のことも信頼して任せてくれる」
1日に2時間、ただそれだけが聖香に許された器一との時間であった。
127展開を予想:04/07/17 07:14 ID:x8QEEf7F
ずっと意識を取り戻していない器一の手にそっと手を寄せる。その指の温もりが彼が生きている
確かな証拠の様に思えてただ器一の指に自分の指をからめる。
ただ、いまベッドの上で横たわる人の痛みを少しでもあげたい。しかし、自分に出来ることはただ
この人の手を握ってあげることくらいしかない。
「はやく、目を覚まして.....」
聖香がささやく。それに答える声は返らない。
「器一さん」
聖香が彼の名をこうして呼ぶのはいつからだったろうか。
「器一さん」
包帯が巻かれ、呼吸器に顔を覆われいる彼の顔を聖香は見つめる。
ただ、まぶたを閉じて眠っている、彼を聖香は見つめるしかない。
自然と涙があふれてきて、聖香の頬を伝わる。
『泣いちゃ駄目』と、顔を伏せ声を噛み殺そうとする。
そんな器一の手を握る聖香の指に微かな動きが伝わる。
聖香が驚いて顔を上げる。
「どうして、泣いてるんですか?あなたに涙は似合いませんよ」
器一が意識を取り戻しての初めての言葉だった。
「あなたのせいです。どんなに心配させたと思っているの」
聖香は精一杯の強がりで虚勢を張る。
涙が止められない。
聖香はすぐにナースコールのボタンを押す
病室にすぐに医師と看護師が飛び込んできた。
128展開を予想:04/07/17 07:14 ID:x8QEEf7F
医師は器一を診察し、「痛いところは?苦しいところは?」の質問を器一にする
「痛まないところはありません。何とかして下さい」
器一の答えを聞きながら、診察をすませた医師は聖香に向かって
「峠は越したようです。よかったですね」
聖香は涙を抑える。自分の心が走り出さない様に。
でも、心のそこからの安堵と喜びがわき上がってくるのは止められなかった。
129展開を予想:04/07/17 07:15 ID:x8QEEf7F
器一が意識を取り戻してから数日がたとうとしているが、病状に変化はなかった。
器一の傷はかなり重く、いまだに絶対安静の状況が続いている
自由にに動かせるのは、わずかに指先程度と
ごく短い簡単な会話だけであった
「どう、具合は」聖香の問いかけに
「大丈夫です」器一の答えはいつもそうだった
『私と同じだ』聖香も入院していたとき、母親や見舞客に同じように「大丈夫」としか答えなかった
誰かを心配させることも嫌だったし、同情されるなんてプライドが許さなかった。
精一杯の去勢
そんなところが自分と器一の似ているところかもしれない。
そんな彼を好きになったのかもしれない
彼の傍にずっと一緒にいられないことも判っている
でも、今は彼の傍にいれるだけで幸せだった
130展開を予想:04/07/17 07:16 ID:x8QEEf7F
翌日久しぶりに片岡医師が器一の元を訪れていた。
片岡医師も明日にも小暮警部の筋書き通りに殺人未遂の現行犯として逮捕される事になったことを
器一に報告に来たのだ。
まだ器一は起きあがることもまだ不可能な状態だったが
目を伏せ、片岡医師にわびる
「すいません、水無月家のことでご迷惑をおかけします」
「気にしないで
 私とあなたのお母さんとはもう何十年にもなる付き合いになるし
 子供がいない私にとってあなた方は本当に他人の様な気がしないの
 それに、今度の事件はこうでもしないと
 幕が下りそうな気がしないの」
「すいません..........」
「大丈夫よ
 あなたは自分の体を元に戻すことだけを考えて
 退院できる頃にはすべての決着が付いているでしょう」
片岡医師は笑顔でそう言うと器一の病室をあとにする。
131展開を予想:04/07/17 07:17 ID:x8QEEf7F
その片岡医師を聖香が追いかける
「片岡先生」
「どうしたの?聖香さん」
「すこし、お聞きしたいことがあって」
「器一さんのこと?」
「いえ、私の体のことです」

聖香の心臓手術には片岡医師も参加していた。その、難易度は非常に高く、学会でも注目を集めていた
程であった。聖香の心臓の状態は予想以上に悪く、困難を極めたが、結果は大成功に終わった。
聖香は命を取り留めた。
いくつもの制約が付いてはいたが
132展開を予想:04/07/17 07:19 ID:x8QEEf7F
どういうことかしら?」
「私の心臓の状態で、将来結婚したり、子供を持つことは不可能でしょうか?」
片岡医師は聖香の顔をじっと見る。
思い出していた。昔、自分も病気で子供がもてないと知ったとき、あんな顔をしていた様に思う。
自分の身の不幸を呪った。なぜ自分だけがこんな目にと思った。
あの時、私にも好きな人がいたのに。でも、子供が出来ない体になったとき、自分から身を引いてしまった過去を。
この娘も、いまそんな思いの中にいるのだろうか?
「あなたには、あの時教授から治療に関する説明がされているでしょう
 今のあなたの心臓では、結婚生活はただ寿命を縮めるだけにしかならないわ
 結婚以外にも幸せを見つけることは出来るでしょう」
聖香には少し酷な言い方かもしれない
しかし、医師としては患者には正確な情報を伝える。その上で、治療の方針を考えるというのが片岡医師の方針だった。
「でも、何か方法が........」
聖香の必死な問いかけに、昔の自分をだぶらせる。
自分は命と引き替えにそれらを失った。そのときのむなしさを。
それをこの娘に味合わせたくない
「方法は、あるわ。
 あの時あなたの体の状態では選択できなかった方法
 心臓移植よ」
あの当時、聖香の心臓の状態では提供者が現れるまでとても待ってはいられない程状況は切迫していて
手術しか選択肢はなかった。そして手術は成功し、聖香の命は守られている。
その時点で、心臓移植という選択は消えていた
133展開を予想:04/07/17 07:21 ID:x8QEEf7F
「心臓移植をすれば、私も普通に生活し、恋したり、子供も........」
「もてるかもしれない
 でも、日本では手術例はとても少ないの
 私が以前働いていたUCLA救命センターなら約100例もの手術例があるわ
 ただし、いまのあなたの状態ならまがりなりのも普通に生活が出来る
 わざわざ、そこまでリスクを冒す必要があるのかどうか
 提供者が現れあなたに順番が廻ってくるのを
 アメリカですっと待ち続けないといけないのよ」
片岡医師は器一の病室を振り返る
「まぁ、あなたならその心配は無用でしょうけど莫大な費用もかかるし
 好きな人と何年も何ヶ月も離れないといけない。それでもいいの?」
聖香は顔を赤くしながら
「そんなんじゃありません」
小さな声で答える。
「少し考えてみて。わたしも明日から拘置所暮らしだし時間はたっぷりあるわ
 あなたに最善の方法を私も探してみるから」
そういうと片岡医師は立ち去っていった。

もうすぐ、この事件の幕を降りる。

片岡医師の決断により、歯車は着実にその方向に進み始めていた。
134展開を予想:04/07/17 07:22 ID:x8QEEf7F
あっという間に日々が流れていく。
芯也が学長の椅子に座ることとなり、芯也と葉音の幸せな結婚式がとりおこなわれた。
すべては、幸せの名の下に過ぎていくはずだったのに

だが、最後の悲劇は一発の銃声を轟かせ幕を降ろし、すべての事件は解決した。

135展開を予想:04/07/17 07:23 ID:x8QEEf7F
成田空港
航空会社のカウンターの前で聖香と片岡医師がアメリカ行きのチェックインを行っている。
聖香は、自分の未来を決断した。心臓移植を受けることを。
そして、つい1週間前に事件が解決し、唱吾とともに保護プログラムの終了と名誉回復を終え
た片岡医師にアメリカに一緒に行ってくれる様に頼んだのだった。
片岡医師は積極的に動き、UCLA救命センターで聖香が治療を受けられることが決まった。
そして今日が旅立ちの日だった。
136展開を予想:04/07/17 07:24 ID:x8QEEf7F
聖香を見送りに器一と唱吾歌乃の3人がやって来ていた。
器一はまだ一人で立てる状況ではなく、車椅子に乗っている、まだ、顔や腕に包帯が残って、痛々しい
聖香をさらに驚かせたのが、唱吾と歌乃であった。
歌乃は選考レースから落脱して、唱吾が犯人として逮捕されて以来プッツリと消息を絶っていて会うこと
がなかったから。
久しぶりに見る歌乃は少し感じが違っていた。それは女性なら誰でも敏感に感じることが出来るのかもしれない
「歌乃。もしかして、赤ちゃん?」
歌乃は少し照れながら頷く。
「お父さんは?」
聖香の問いに歌乃は唱吾の方を見る。少し驚いた聖香だが
「そうなんだ。唱吾さん、歌乃を絶対幸せにしてよ!!」
「え、えぇ、勿論。幸せにします」
唱吾の言葉に、歌乃も嬉しそうに
「本当に?大丈夫?」
「頑張るよ!」
必死になっていう唱吾を見て聖香も
『そうだな、唱吾なら、歌乃を幸せにしてくれるだろう』と思った

歌乃と今までのことを聞いていると突然
「あっ」
歌乃が小さな声をあげる
「どうしたの」
「触ってみて」
聖香が聞くと、歌乃は聖香の手を自分のお腹に導く。
聖香は優しく歌乃のお腹に手を当てる
トン、トン、トンと歌乃のお腹の子供が動くのが伝わってくる。
新たな、そして神聖な命の鼓動。
「お腹の赤ちゃんも聖香ちゃん、頑張ってって言ってるよ」
歌乃が優しく微笑む。母親が持つ優しい笑顔。
聖香は自分もいつかこんな風に微笑む事が出来る日が来ると信じたかった。

そして歌乃に促され器一の所へ向かった
137展開を予想:04/07/17 07:25 ID:x8QEEf7F
行ってきます」
聖香が微笑むと
「あなたなら、大丈夫です」
器一も微笑む。本当ならもっともっと言いたいことがいっぱいあるのに、それが言葉になって出て
こない。似たもの同士の二人であった。
器一は聖香に
「あなたに受け取って貰いたいものがあるんです」
小さな箱を手渡した。
「中を見てもいいですか?」
「もちろんです」
中には、器一が愛用している腕時計が入っていた。
「あの時、檻の中でどこかにぶつけてしまって動かなくなっていたんですが
 やっと、修理ができてきました。
 今の時計の針はあの檻の中で止まってしまった時間のままでますが
 あなたが手術に成功し日本へ帰ってくるときには
 この時計の時間を進めて下さい
 また、お会いしましょう」
聖香の頬に涙が流れる
「どうして、泣いてるんですか?あなたに涙は似合いませんよ」
「あなたのせいです。どれくらい私があなたのことをすきだか判ってるの」
聖香は腰をかがめ、器一の唇にキスをする
「あなたは判っていますか?僕が君をどれだけ愛しているか?」
二人はきつく抱きしめ合った。

あれから1年二ヶ月がすぎた。
成田空港にアメリカからの飛行機がいつもの様に着陸した
その飛行機から降り立った、一人の女性の腕には、男性用の少し大ぶりの時計が巻かれている。
勿論、その時計は着実に時を刻んでいた。
138名無しさん@ピンキー:04/07/17 07:44 ID:sCFQGQZB
>>125-137
凄いいいです!´∀`)
聖香様萌え
139名無しさん@ピンキー:04/07/18 16:50 ID:h8IzMPt8
さささささ最高〜〜〜!!
感動しました!!


……どうかケンジと光も作っていただけないでしょうか
生き残ったことにして。
140名無しさん@ピンキー:04/07/18 17:26 ID:XhZHu/P3
私からもお願いします。
ケンジ&光
141名無しさん@ピンキー:04/07/18 23:29 ID:DJsGTFnA
保守
142名無しさん@ピンキー:04/07/21 02:35 ID:vwyHbQMS
>>125-137
あ な た は ネ 申 だ !
143名無しさん@ピンキー:04/07/27 22:39 ID:7TwAbiOd
ほしゅ。
144名無しさん@ピンキー:04/07/29 00:43 ID:MUqU6RF2
ほっしゅまりも♪
145名無しさん@ピンキー:04/08/01 13:19 ID:NReQ2fp7
146名無しさん@ピンキー:04/08/02 18:07 ID:IKsK+1V/
  

  ほ  し  ゅ  。
147名無しさん@ピンキー:04/08/08 01:37 ID:ByCqWbip
保守
148名無しさん@ピンキー:04/08/08 02:18 ID:9srYnJ5Z
149名無しさん@ピンキー:04/08/10 13:31 ID:DEkQaZZG
低視聴率の責任は体で払ってもらおうか。
150名無しさん@ピンキー:04/08/10 16:16 ID:xGFyn8kS
市原犯したい
151琴子:04/08/17 20:31 ID:djTEwCAb
スマソ、夏バテでぐったりしてたよ・・・・・・
近いうちに何か書きます。
152名無しさん@ピンキー:04/08/19 03:04 ID:5xSmyRlk
待ってるよ
153名無しさん@ピンキー:04/08/22 01:25 ID:2lPgxIhN
保全
154琴子:04/08/24 02:52 ID:fig50Qin
新作投下する前に、>>112のラスト2行の後に追加したい文章があるので書きます。

“粗野で、無遠慮で、不道徳で、そのくせ今にも消えてしまいそうな淡い色を思わせる人・・・・・・彼を縛り付けるものが何なのかは分からない。
ただ、光は目の前の男を「連れ出して」やりたいと、それだけを強く思っていた。”

というわけでスマソが各自脳内追加よろ。
155名無しさん@ピンキー:04/08/24 02:56 ID:fig50Qin
というわけでほしゅがてら>>98の続編(というか譜三彦編)投下。何気にサービスショ(ry



ざぁぁぁぁ――――
床を叩くシャワーの音が、今はなぜか気にならなかった。
激しい雨音にも似たその音は、いつも心の琴線を無遠慮に撫でていくというのに。
少し前まで、雨が苦手だった。特に、自分の人生を大きく変えてしまったあの事故の日と同じ、土砂降りの雨は。
自分の半身とも言える存在を奪われ、自身も酷い怪我を負い――――だがそれ以上に自分を叩きのめしたのは、自分の心に潜んだ負の感情に気付いてしまった事だった。

あの事故が起こるまで、何の疑問も無く自分は幸せだと思っていた。才能に恵まれ、裕福な家庭に生まれ、温かい家族に囲まれ・・・・・・自分は幸せだと、そう思っていた。
だが、本当は気付かない内に押し潰されそうになっていたのかもしれない。
重く圧し掛かる両親の期待に。
兄弟達の嫉妬と羨望が混じった視線に。
一時の栄華の為に平気で人を蹴落とす人間が存在する事に。
だからこそ、心の奥底で己の半身を「羨ましい」と感じていた。
期待も嫉妬も羨望も受けない代わりに、どこへでも行ける自由を持っていた「彼」を。
あの事故の後、名前を聞かれたその瞬間に気付かされた・・・・・・気付いてしまった。
自分の中に巣食う感情に・・・・・・憎しみにも似た憧れに。
どうしようもないその感情と、ピアノを・・・・・・自分の存在価値を失う事への恐怖。
――――だから嘘をついた。たった一つの嘘を。
いっその事、あの時直ぐに見破られていた方が幸せだったのかもしれない。その嘘が、誰よりも大切だった人を死に追いやってしまったのだから。
発覚を恐れずに、何より先に彼女にだけは真実を告げておくべきだった。
父の激しい反対に彼女が追い詰められていた事を、自分は誰よりも知っていたはずだったのに。
156琴子:04/08/24 03:21 ID:fig50Qin
「・・・・・・・・・」
手を伸ばして、白く曇った鏡の表面を拭う。
そこに映ったのは、紛れも無い自分の姿だ。他人から見れば見分けがつかない顔でも、自分は「彼」ではない。
心のどこかでは気付いていたのだ。どれだけ憧れても、例え同じ魂を分けた半身だったとしても、自分は「彼」にはなれない。
別々に生まれ、それぞれの名前を与えられた時点で、自分達はもう別の道を歩み始めていたのだと。
命を断とうと思った事もある。どうしても勇気が持てず、死を求めて自分から危険に向かっていった事も。だが、自分は生き残った。
運命に見離されたのか、覚悟が足りないのか。まるで何かに生かされているかのように自分は生き続けた。
けれど、今なら自分が生き残ったその意味を理解出来るような気がする。
今まで生きてきたおかげで、あの日見失った大切なものをもう一度見つける事が出来た。
そして、彼女を失ってから初めて大切だと思える存在に出会えたのだから。
生意気で、強気で、時々とても純粋な表情で笑う少女――――今頃は、風邪の薬が効いて眠っているだろう。
彼女との出会いが、自分に勇気を与えてくれた。
もう少しだけ、誰でもない自分自身の意思で大切なものの為に生きてみようと。
それ以上は望まない。例えそれが自分を縛り付けているのだとしても、もう逃げたりはしたくない。
――――だから。
「――――――――」
無意識の内に呟いた言葉は叩き付けるシャワーの音に掻き消され、譜三彦――――いや。
鍵二はゆっくりと手を伸ばし、シャワーコックを捻って時ならぬ雨音を止めた。



>>155で名前ミスした・・・・・・スマソ。
しかも直前でミスに気付いたもんだから光編との繋がりをバッサリ切るはめに・・・・・・
というわけでなんだか2人1セットになりそうな「ある休日の〜」シリーズですが、次こそ「高飛車長女と自信家能登君の場合」書く予定。
・・・・・・でも予定は未て(ry
157名無しさん@ピンキー:04/08/25 20:34 ID:BXPqme5M
GJ

期待してます!!!!
158和馬:04/08/25 20:44 ID:YndOiPTB
○○○×器一ってどなたか書いてくださいませんか???!
↑は男でも女でもOKです!

私、器一が大好きなんです!
誰か書いてくださーい!!(切実に)
159名無しさん@ピンキー:04/08/26 03:19 ID:I3peeO0z
本スレどこいったんだろう(;´Д`)

>>155-156
GJ!
160名無しさん@ピンキー:04/08/30 20:54 ID:7yvI/Gax
うーん
書こうと思うがなかなか難しいですね
161名無しさん@ピンキー:04/08/31 17:24 ID:b3vdDCod
つーかーじっ
162名無しさん@ピンキー:04/09/01 21:02 ID:nzSz9fyN
age
163展開を予想:04/09/04 18:04 ID:D4rymmdj
お話書いてはいるのですがとりとめのない話になっています。
落ちが付くのはいつになる事やら?



164名無しさん@ピンキー:04/09/05 21:21 ID:+baBJKhv
キタ―――(゚∀゚)―――!!
展開を予想さん、いつまでも待っておりますので執筆がんがってください!!
165名無しさん@ピンキー:04/09/06 16:49 ID:07dhIx//
age
166名無しさん@ピンキー:04/09/09 21:01 ID:P7qaRlZh
ワルツの本スレはここでいいんですか?
167名無しさん@ピンキー:04/09/10 17:10:28 ID:wFOE3C6F
age
168名無しさん@ピンキー:04/09/10 23:10:23 ID:99wvZto6
sage sage
169名無しさん@ピンキー:04/09/12 20:16:27 ID:EdeyrTfg
誰か何か書いて〜!
170名無しさん@ピンキー:04/09/13 19:33:08 ID:Scm91kZ/
兄弟ネタが読みたい!
171名無しさん@ピンキー:04/09/13 22:55:49 ID:UlCtTDBp
是非、ノッティー×葉音で!!
172名無しさん@ピンキー:04/09/14 18:08:41 ID:A1cGiD9d
やっぱ、男×男でしょ!
173名無しさん@ピンキー:04/09/15 21:32:39 ID:lo+cMc24
それよりもドラマ板に本スレを
174名無しさん@ピンキー:04/09/17 02:05:48 ID:Wff/MzzM
もうすぐしたらDVDBOXが手に入りますが、皆さんは買われますか?
175名無しさん@ピンキー:04/09/17 23:12:53 ID:Mmbc2eC3
ドラマ板スレがいつの間にか消えてた・・・。とてつもなく切ない。
一晩で1スレ消化していた頃の熱気は何処へやら・・・
176名無しさん@ピンキー:04/09/18 14:25:00 ID:BPReuCWy
誰かいませんか〜??
177名無しさん@ピンキー:04/09/21 18:33:06 ID:LkZKXLN1
必要ないかもしれないけどドラマ板にスレをたてました

【発送メール】仔犬のワルツPart28【キタ━(゚∀゚)━!!】
http://ex5.2ch.net/test/read.cgi/tvd/1095759024/
178名無しさん@ピンキー:04/09/22 13:14:40 ID:9FBylg/X
>>177
乙あり
179名無しさん@ピンキー:04/09/22 17:21:30 ID:EMckgPP2
>>177

  乙  彼  。
180名無しさん@ピンキー:04/09/23 20:47:26 ID:6ZXJSKkQ
保守
181名無しさん@ピンキー:04/09/27 19:54:40 ID:CwaRoP3O
age
182展開を予想:04/09/30 19:26:23 ID:zs7ta3TS
この学長レースに勝ち残る為に何でもする事を誓っていたから
ぼくは歌乃を切り捨てた
自分でも自分が嫌になる
何故、こんな事をしているんだろう。どうしてこんな酷い事をできるのだろう。
あの時の歌乃の顔を忘れる事が出来ない
まさか僕に裏切られるとは思ってもいなかったのだろう。
だが、僕はそうした。勝ち残る為に幸子に乗り換えた。
後悔はない。
違う。違う。違う。
後悔している。彼女の泣き顔を見たからじゃない。
僕はあの時自分の醜さを知ったんだ。
救いようのない自分の醜さを。
あの時、部屋から走り去る彼女を何故、追いかけなかったんだ。
あの時、彼女を追いかけて彼女に...................
謝るのか?
僕を許して欲しいと
183展開を予想:04/09/30 19:27:16 ID:zs7ta3TS

僕はあの時自分から断ち切ったんだ。彼女という救いの糸を

184展開を予想:04/09/30 19:30:20 ID:zs7ta3TS
唱吾は車を運転してマンションへ帰ってきた。もうそこには誰も待ってやしない。
それは確かに自分が望んだ事だ。
でも、あの笑顔が2度と見られない事は本当につらい。
もし、時間をさかのぼりもう一度選ぶ事が出来るなら、僕はどうするだろう。
『馬鹿な考えだ』
唱吾は打ち消しエレベーターを降りる。
部屋の鍵を開けようとして、鍵を差し込む、と、鍵はすでに開いていた。
唱吾はしばらく鍵をみつめて、はっと、気が付き部屋に飛び込んでいく。
「歌乃、歌乃か?」
玄関を開け、リビングに飛び込み歌乃の姿を探す。
どこだ。どこにいる。歌乃の部屋を探す。が、その姿はない。
「は、はは......」
唱吾は笑うしかなかった。
自分は何を期待していたのだろう。
僕は何をやっているんだろう
膝からがっくりと力が抜けて、唱吾は廊下にへたり込む。その時
「カチャ」
洗面室の扉が開き、誰かが顔を出す。
「歌乃!」
唱吾は立ち上がり思わず叫んだ。
「歌乃」
呼ばれた相手はびっくっとして、唱吾の顔を見直す。
「なんだよ。おっさんかよ。びっくりさせんなよ」
歌乃ではなく、宝生光であった。

185展開を予想:04/09/30 19:32:18 ID:zs7ta3TS
「どうしてで君がここにいるんだ?」
唱吾と光はリビングに戻って、光に聞いた。
「試験落ちちゃっさ、あの人のとこの居づらくなって.....
 出てきたのはいいけど行くとこなくてさ
 本当困っちゃって
 歌乃にたよちゃおかーなって
 でも、ここに来たら歌乃にちょうど今から出かけるから
 留守番頼むって言われて留守番してただけだよ」
それを聞いて唱吾は
「歌乃はいたのか?ここに」
「え、あぁ、2時間くらい前かな。ここを出てったの」
2時間か、あのとき、僕もすぐにここに帰っていたら彼女に十分に会えていたのだ。
いや、歌乃は待っていてくれたのかもしれない。
そして今度も僕はそれを選ばなかった。
「歌乃がどうかしたの?」
何も事情がわからなくて、心配になった光が聞いてくる。唱吾はありのままを話した。
「僕は歌乃を切り捨てた。
 彼女はANGELじゃなかったんだ
 僕は幸子に、DEVILにかける事にした」
光の顔に怒りが浮かぶ。
「それであんた歌乃を捨てたの。あんたそれで平気なの
 歌乃が何の為にピアノを弾いてたのか
 なんであんな苦しい思いをして弾いてたのか
 あんた判っているの?」
光の言葉は唱吾の心に突き刺さる。
判ってるのか。歌乃の心を?判っている。だけど、僕は切り捨てた。
歌乃が苦しみの中でなぜ僕の為にピアノを弾いてくれた。それでも僕は幸子を選んだ。
それがどれほど醜い行為か、唱吾自身がよくわかっている。
186展開を予想:04/09/30 19:36:53 ID:zs7ta3TS
「あんたがやったこと
 歌乃が許しても、私が許さない!
 なんで歌乃のことを考えてあげられないの!」
光の怒りはもっともだ。水無月家の争いに何の関係もない歌乃や光達を巻き込んだのも自分たちだ。
僕は彼女の苦しみにつけ込んで、この相続レースに参加させた様なものだ。
そして、僕はとりわけ歌乃に救われたのに、それなのにただ、歌乃を切り捨てた。
「馬鹿!! 大馬鹿野郎!!
 なんで、なんでなんだよ!!!」
光が泣きながら唱吾をなじる。
唱吾には答える言葉がなかった。なにも今の惨めさを埋めてくれるものはなかった。
唱吾はただ俯くしかなかった。
「歌乃はあんたの事好きだって言ってたんだよ
 私達があんなおっさんどこがいいのって
 ひやかしても
 ただ、にこにこ笑って
 本当はとっても優しい人なんだって
 だから、私があの人の望みをかなえてあげるんだって.......
 なのに どうしてなんだよ!」
光が唱吾を詰る言葉を通して、歌乃の心が唱吾の胸に迫る。
自分が選んだ選択の愚かさに今更ながら気づかされる。
そう、唱吾自身が選んだ愚かな選択、救いようのない愚かな選択。
「わかっているよ。
 僕がどうしようもないのは、僕が馬鹿なのは
 でも、僕にはこうするしかなかったんだ」
唱吾の言葉が光の怒りに火をつける
光は唱吾の頬を打つ。
パシシーーーーン
187展開を予想:04/09/30 19:39:10 ID:zs7ta3TS
「嘘、嘘つき」
光は泣いていた。瞳に涙がこぼれている。
「気が済んだら、ここから出て行ってくれ
 僕を一人にしてくれ」
唱吾は光に背を向けた。唱吾も泣いていたけどその泣き顔を見られたくはなかった。
「わかったよ。馬鹿!!」
バタンと音を立ててリビングの扉が閉まり、走り去る音が聞こえる。
唱吾はソファの背もたれに体を預け、天井を見る。
自分の頬に流れる涙が不思議だった。自分にはもう涙なんて無いって思っていた。
人に疎まれ、家族に疎まれていた自分を守る為に、泣くことを許さなかったのに
その自分が歌乃を失って涙を流している。
馬鹿な話だと思う。大切なものを失って、涙を取り戻す。まったく間の抜けた話だ。
一人になってから、どれくらい時間が過ぎただろう。
唱吾はそろそろと起きあがってサイドボードへ行く。
唱吾は全く酒を飲めなかったが経理の責任者という立場柄、出入り業者が色々持ってくる
ので、飾りに置いていた物だ。
きっと、高い酒なんだろうが、唱吾にはよく判らない。
唱吾は封を開け、グラスに酒を注ぐ。
琥珀色の液体がグラスに満々と注がれるのを一気に飲み干す。
喉が焼ける様で、ゴホゴホと咳き込む。
それでももう一杯、グラスに酒を注ぎ、飲み干す。
目が回り、足下がふらつき出す。地面が柔らかくなってくる。
体中に熱を持ち出し、そして頭が朦朧とする。
熱を持ち真っ赤になった手でさらにグラスに酒を注ぐ。
ぐっとまた一気に飲み干す。呼吸が苦しくなる。
世界がぐるぐると回り出し、足から力が抜けてその場に座り込む。それでもグラスに酒を注ぐ
酒を飲み干す。そして琥珀色のボトルに手を伸ばし直接口に流し込む。
意識が遠くなり、目の前の風景がぐるぐると回る。
そのときリビングの扉が開き人が入ってきた。
188展開を予想:04/09/30 19:46:22 ID:zs7ta3TS
唱吾にとってその人は今一番会いたい愛おしい人だった。
唱吾はその人影ににじり寄る。
「かえって、かえってきてくれたんだなー
 許してくれ、僕がすべて悪かった。
 許してくれよー」
足下に抱きつき唱吾は泣いた。もう離したくなかった。
「僕には君が必要なんだ
 君が好きだ
 愛してる」
歌乃は唱吾に何か言って、唱吾の手をふりほどこうとしているが、唱吾はもう歌乃を手放したく
ない一心で歌乃の足をきつく抱きしめる。
歌乃はバランスを失ってソファにしりもちをつく。
唱吾はそのままずりあがり
「愛してる
 本当に好きなんだ」
そう言うと歌乃にキスをする。
そこで唱吾の頭の中が白くひかって意識がなくなった。

189展開を予想:04/09/30 19:50:32 ID:zs7ta3TS
朝の光の中、唱吾は目が覚めた。
まだ頭の中がぐるぐる回っている気がして、気分が悪い。
『ここはどこだ』
僕の部屋じゃない。歌乃の部屋か?酒を飲んで正気を失ってそれから
この部屋まで戻ってきたのか。
とにかく頭がガンガンして気分が悪い。
唱吾が寝返りを打つと腕に柔らかいものが当たる。
「え」
そう、女性の胸の柔らかな感触そのものだった。
「何?」
唱吾の二日酔いでぼけた頭で昨日の事を思い出そうとする。もしかして
「歌乃?」
唱吾は確かめようと振り返り驚いて声を上げる。
「ひ、光君、どうして」
唱吾の横で寝ているのは宝生光だったからだ。
唱吾の横でスヤスヤ寝息を立てている。シーツの間から意外に豊かな乳房が見える。
しかし、何でどうして裸なんだ?
昨日光は出ていった筈だ。
え、僕がキスしたのって歌乃じゃなかったのか?まさか光と?まさか?
光が寝返りを打つ。唱吾の腕に光の乳房が当たる。
唱吾は固まってしまう。とにかくマズイ、非常にマズイ
二日酔いと横にいる光というので頭の中はほぼパニック状態に陥っている。
『そうだ、とにかく確かめないと』
唱吾はシーツの下の自分自身を見る。
『はいてないぞ、パンツ』
パンツどころかスッポンポンだ、唱吾の額に汗が浮かぶ。
『とにかくこの場から離れよう』
190展開を予想:04/09/30 19:53:47 ID:zs7ta3TS
それがいい、唱吾はそろそろと起きあがる。そろり、とベッドから出る。
「ん。なんだ、起きたんだ」
光が目をこすりながら起きあがる。
唱吾はベッドから飛び出し、振り返る。
「やーーー光君、おはよう
 どうして君がここにいるのかな?
 なんで、君裸なの」
「おっさんこそ、大事なところ丸見えだけど!」
「うわぁー」
手近なシーツを取り隠そうと引っ張ると、そのまま光を覆っていたシーツを引きはがす事
となり光の生まれたまま横たわる姿をあますところなく唱吾の眼前にさらけ出す。
「うわぁー」
唱吾は再び叫ぶとシーツを放り投げる。
シーツが光の頭にかかる。
「ご、ごめん」
唱吾は部屋から駆けだし、自分の部屋に戻る。
「どうなってるんだ。一体」
唱吾の正直な感想だった。
191展開を予想:04/09/30 19:56:52 ID:zs7ta3TS
部屋に戻り、とりあえず、服を着る。
『落ち着こう』
そうだ、確かに裸にはなってはいたが、光と何かあったってことでもないだろう。
うん。そうだ。そうに違いない。
唱吾は服を着終えると歌乃の部屋に向かう。光はまだいるはずだ。
ふーっと息を吐き
「コンコン」
ノックをしてドアを開ける。
光も着替え終わっていた。窓が開けられ日差しの中で背伸びをしている。朝のさわやかな風が
吹き込み朝日が美しい光の顔の照らし出す。
192展開を予想:04/09/30 20:02:04 ID:zs7ta3TS
「ごめん、あの......昨日何かあったかな?」
「え」
「いや、酒飲んじゃって何にも覚えてないんだ」
「何にもって、昨日の事全部?」
光が聞いてくる
「全く、覚えてないんだ」
「ひどい」
「ひどいって」
唱吾の顔が青くなる。僕がなんかしたのか?
「本当に何も覚えてないの」
光が唱吾の顔を覗き込む。
「まったく.........覚えてない」
それを聞くと光は顔を伏せてしまい、しだいに肩が震えだす
「ひどい、ひどいよ
 いやがる私を押し倒して
 服を脱がせて乱暴したくせに
 何が覚えていないよ!!!」
顔を伏せた光からすすり泣きが聞こえて、唱吾の顔から血の気が引く
「乱暴.......僕が?」
なんてことをしちまったんだ。唱吾はそのままその場に膝まつき、土下座をする。
「本当にすまない。何も覚えてないんだ
 許してくれ
 殴ってくれてもかまわない
 警察にだって行くよ
 許してくれ、すまない
 出来る限りの償いはする」
唱吾は土下座するしかない。
193展開を予想:04/09/30 20:03:50 ID:zs7ta3TS
光を傷つけるつもりもなく、ましてや歌乃の友人に手を出すなんて
こんなことが歌乃にしれたらまた軽蔑される。どうすればいい
ただただ、謝り続ける唱吾に
「本当に償ってくれるの」
光が唱吾に聞く
「じゃ、しばらくここに泊めてよね!」
「えっ」
唱吾が驚いて顔をあげると、にこっと笑う光がいた
「どう、泊めてくれるの?」
「それは、構わないけど」
「約束よ」
「君は、君は嫌じゃないの?」
「平気よ」
「平気って、僕は君に酷いことしたじゃないか。どうして」
唱吾の問いかけに、光はくすくす笑う
「あのね、このアタシが酔っぱらいの一人や二人にどうこうされると
 思ってるの。しかもあんたみたいなオッサンに!!」
「え、それじゃ」 光を傷つけるつもりもなく、ましてや歌乃の友人に手を出すなんて
こんなことが歌乃にしれたらまた軽蔑される。どうすればいい
ただただ、謝り続ける唱吾に
「本当に償ってくれるの」
光が唱吾に聞く
「じゃ、しばらくここに泊めてよね!」
「えっ」
194名無しさん@ピンキー:04/09/30 20:21:33 ID:zs7ta3TS
唱吾が驚いて顔をあげると、にこっと笑う光がいた
「どう、泊めてくれるの?」
「それは、構わないけど」
「約束よ」
「君は、君は嫌じゃないの?」
「平気よ」
「平気って、僕は君に酷いことしたじゃないか。どうして」
唱吾の問いかけに、光はくすくす笑う
「あのね、このアタシが酔っぱらいの一人や二人にどうこうされると
 思ってるの。しかもあんたみたいなオッサンに!!」
「え、それじゃ」
「何もなかったわよ!!
 昨日忘れ物を取りに帰ってきたら、あんたいきなり抱きついてキスしようとしたから
 一発、アゴに喰らわしたらのびちゃって
 ほっといて帰るのも可哀想かなって部屋に連れて行こうって思ったのが間違いだったのよ
 あんた気分が悪くなってゲロゲロってなって
 あなたの服だけじゃなくて私の服まで汚されちゃったのよ
 それでまとめて洗濯機の中よ
 あ、あなたの服は私が脱がしたんじゃないからね!」
「何もなかったわよ!!
 昨日忘れ物を取りに帰ってきたら、あんたいきなり抱きついてキスしようとしたから
 一発、アゴに喰らわしたらのびちゃって
 ほっといて帰るのも可哀想かなって部屋に連れて行こうって思ったのが間違いだったのよ
 あんた気分が悪くなってゲロゲロってなって
 あなたの服だけじゃなくて私の服まで汚されちゃったのよ
 それでまとめて洗濯機の中よ
 あ、あなたの服は私が脱がしたんじゃないからね!」
「そうなんだ、良かった!」
ほっと唱吾は胸をなで下ろす。
195展開を予想:04/09/30 20:26:21 ID:zs7ta3TS
「なによ!その露骨な喜び方は
 普通こんな美少女となんかあったっていったら
 喜ぶのが普通でしょ」
「いや、君に済まないって、どうしようって思ったから...............
 君を傷つけたと思ったから
 でも本当に良かったよ何もなくて
 本当騙すなんてひどいよ」
「昨日の事全く覚えていないって言うからちょっとしたいたずらよ
 それより約束よ、歌乃が帰ってくるまでこの部屋使わしてよね」
「歌乃が戻ってくる.........」
唱吾の心が現実に引き戻される。歌乃はここに戻ってきてくれるのだろうか?
こんな僕の所に戻ってきてくれるのか?
「うん」
それだけいうと唱吾は部屋を出て行く。そんな唱吾を見送りながら
「重傷ね、こりゃ」
光はつぶやく。
196展開を予想:04/09/30 20:30:07 ID:zs7ta3TS
歌乃をあんなに思っているのに、どうして歌乃を裏切ったりしたんだろう。
そんなに水無月家の財産や学長の椅子が欲しいの?どうして泣くほど好きな女を失ってまで手にいれたいの?
譜三彦も同じなのかな?もうあいつは私の事をもう忘れちゃってるのかな?
どうしようもない馬鹿だ、救いようがない。
しかしどうしようもないのは私も同じだ。
光は部屋を片づけ始める。
昨日の二人の痕跡を消していく。
唱吾はあの説明で納得したのだろうか?
確かに唱吾に服を汚され洗濯したが、それが二人が裸で寝てた理由になるって思ってるんだろうか、本当に。
あのときボロボロになって泣いてる男が、私の事を好きだ、愛してる、許してくれって抱きついてきた。
それが人違いだって私には判っていても、私には彼を振り払う事が出来なかった。
大切な友達の歌乃が、好きな男だってことも判っているのに、放っておけなかった。
私は単なる身代わりだった。彼は何度も、何度も私の事を歌乃って呼びつづけていた。
「好きだ、愛してる」って言っては私を抱きしめて、私は動けなくなった。
私は大切な友達の好きな男の腕に抱かれた、
そして私の友達を愛している男に抱かれた。
大切な友達の歌乃のベッドの上で
このことは私の胸の中だけにしまっておこうと、光は決めていた。

197展開を予想:04/09/30 20:33:33 ID:zs7ta3TS

その日から唱吾と光の生活が始まった。
唱吾は朝大学に出かける為に光に
「これが合い鍵だ、もしこの家を出て行く気になったら鍵はポストにでも放り込んでいってくれ」
「判ってるよ、いつまでもやっかいになる気はねーし!ちゃんと行き先探すから」
「そりゃ助かる」
そう言い残して出て行こうとすると
「オイ!朝飯食ってかないのかよ」
「僕の分も用意してくれてたの?」
テーブルの上にトーストやサラダやコーヒーが唱吾の分も用意してあった。
「ま、居候の身だからね。これでも気はつかってんだから」
唱吾は素直にテーブルに着く
「いただきます」
トーストを取り食べ始める。
唱吾には不思議だった。今まで歌乃が座っていた椅子に光が座っている。
なにからなにまで歌乃とは違う光がこの家にいて、それでも時間が過ぎていってしまう。
唱吾が食べているとその姿を光が見つめられているのに気づいて
「何、何かついてる、何か変?」
「うん、似てるなって思って」
「誰に」
「あんたのお兄さんに」
光は唱吾の中に譜三彦の影を見つけた。そんな光に
「何を言ってるんだ、僕があいつに似ているって。冗談じゃない!
 僕が水無月の中で一人だけ違うってこと位判ってるよ
 それで僕がどんなに嫌な思いをした事か君には判らないだろう
 まったく、面白くもない冗談だ
 ごちそうさま」
唱吾は席を立つ
198展開を予想:04/09/30 20:35:07 ID:zs7ta3TS
「なんだよ、そんなに怒る事無いだろ」
「後はよろしく」
バンとドアを閉め出て行く。
「いってらっしゃーい.......やっぱり、兄弟ね」その姿を見送って光はつぶやく
もちろん、その容姿が似ていない事は誰が見ても一目でわかるけど
でも、ふとした仕草がやっぱり似ているって思う、あの人に
どうして、こんなに違う唱吾に譜三彦の姿を探しているんだろう。
私はあの人の所に戻りたいんだろうか。
残りのパンを囓る。
『これからどうしよう』と途方に暮れる
テーブルにアゴをのせフーっと深くため息をつく。
「仕事探さないと」
起きあがり光も出かける準備を始める。あてはない。でも何もしない訳にはいかない。
ここで立ち止まってしまう訳にはいかない。
光はいつものスカジャンを羽織ると街へ出かけていった。
199展開を予想:04/09/30 20:36:53 ID:zs7ta3TS
夕方になって両手に買い物袋をぶら下げて光が帰ってくる。
仕事はなかなか見つからず、気が重い帰宅だった。
「ただいまー」
夕日が差し込む部屋の中は誰もいなくて静まりかえっている。譜三彦と一緒の時は大抵は
譜三彦は家にいて光をお帰りって迎えてくれていたのに。
「おかえりなさい」
自分で自分に声を掛ける。
「さて始めますか」
光はキッチンに向かう。冷蔵庫に食材をいれて食事の準備を始める。

200展開を予想:04/09/30 20:42:32 ID:zs7ta3TS
唱吾はその夜遅くマンションに帰りついた。光のいるマンションに帰りにくかったって単純な
理由だったのだが、扉を開け玄関に入ると、光の靴があるのをみる。
『そうか、光君まだいるんだな』
「ただいま」
小声でつぶやく。歌乃がいる頃からの癖だった。夜遅く帰ると歌乃によく怒られたっけ。
スリッパをはき静かにソロソロと自分の部屋に向かう。そこに
「何時だと思ってんの!」
リビングの扉が突然開けられて光が唱吾に怒鳴る
「え」
唱吾はびっくりして立ち止まる。
「もう、待ってる方のみになってよ」
「待っててくれって、誰も頼んでないぞ」
「あ!そういうこと言うかな
 遅く帰ってきた人が、待ってる人間に頼んでないとか言うかな!
 悪い事したのはどっちかな」
「だから、僕は」
「悪い事したときには謝るって学校で教わりませんでしたか?」
光は美人だけど怒ると怖い。唱吾は思わず謝ってしまう。
「........ごめん」
「そうよね。素直に謝るのが普通よね」
光は腕組みをしてツカツカと唱吾の所までやってくる。
「晩ご飯は?」
「まだ、だけど」
「用意してるあるから
 早く食べましょう」
光は言うとリビングに行く。唱吾は光の後ろ姿を目で追いながら以前に歌乃と同じような
会話をしていた事を思い出した。
201展開を予想:04/09/30 20:48:34 ID:zs7ta3TS
歌乃も僕に同じように怒って、そして僕にご飯食べようって言ってくれたっけ。
「どうしたのよ、ぼっとして」
歌乃との事を思い出していた唱吾に光が声を掛ける
「いや。なんでもないよ」
「さぁ、早く食べようよ。私もお腹すいちゃったし」
「君もまだ、食べてないの?」
「だから言ってるでしょ!待つ方の身になってよって!」
「だから、僕は頼んでないって!」
「あーまだ言うの!そういう事!」
「ごめん」
リビングのテーブルには夕食の準備がしてあった。二人は向かい合って席に着く。
「すごいね。本当にこれ君が作ったの?」
「まあね。これでも料理には自信があるのよ」
「へー、人は見かけによらないね」
「どういう見かけよ」
また光の顔が怖くなる。唱吾はこれ以上へたに口を開くと墓穴を掘りそうな気がして
「いただきます」
と手を合わせて、食事を始める。
「おいしいよ」
唱吾は少し驚いていた。水無月家は食事も専門の家政婦が作りおいしい物を小さな時から食べな
れている唱吾からしてもかなりレベルが高い出来であった。
「でしょ。うん」
うれしそうに光がいう。唱吾は光を見ておかしな事に気が付いた。
202展開を予想:04/09/30 20:53:39 ID:zs7ta3TS
光の指に絆創膏が貼られていた。そうだった。
「君は指が.....」
光は人差し指の神経をマザーに切断された筈だ。
「まさか、指一本使えないだけでこんなに不自由になるなんて思わなかったな
 私が包丁で怪我するなんてドジな事するなんて考えもしなかった
 たった指一本なのにね」
寂しそうに光は自分の指を見つめる
「病院には行ったのかい?
 指の神経も治るのかもしれない」
特Aクラスでも技巧派と言われた光がそんなつまらない怪我をする
唱吾はそんな光が心配で聞いてしまう。
「いいのよ、私は」
「よくないよ」
「いいのよ」
「よくない」
「いいって言ってるでしょ。放っといて」
光が怒る。しかし今度は唱吾は一歩も引かない。
「放っておけない。水無月のことで君が傷を負う事はないんだ
 譜三彦兄さんが君を放っておいたとしても
 水無月家の一人として僕にも責任がある」
光の顔に強い怒りが浮かぶ。
「あなたに何が判るの
 私の何が判るの?あの人の何が判るのよ
 勝手な事言ってるんじゃないわよ
 この指は私が選んだ
 私が選んだ道なのよ」
光の瞳に涙が浮かぶ。
203展開を予想:04/09/30 20:54:45 ID:zs7ta3TS
「でも、君は」
唱吾が反論しようとするのが光に怒りの火をつける。
光は唱吾の頬を打つ。
パシシーーーーン
「どうして判った様なこというのよ」
光は泣いて、涙がこぼれている。
光は席を立ち、バタンと音を立ててリビングの扉が閉まり、走り去る音が聞こえる。
「また、殴られたな」
唱吾は一人残されたリビングで光の事を考えていた。

204展開を予想:04/09/30 20:58:44 ID:zs7ta3TS
翌朝、光は朝早く目が覚めてしまった。
昨日の唱吾とのケンカでよく眠れずにいた。唱吾は自分の事を考えてくれてああ言ってくれ
た事は解る。でも、あんな言い方をされたら光の事を全部否定しているのと同じだし、譜三
彦と自分の関わりを否定された様な気がした。
また、なんか言われたら文句を言ってやろう決めて、部屋を出てリビングにはいるとキッチ
ンに唱吾はいた。
「おはよう」
唱吾は既に起きていた様だ。
「おはよう、もう起きてたんだ」
「うん、昨日はごめん
 あんな言い方して悪かったよ
 許してくれ」
気が張っていた光は機先を制されてしまう。
「え、私の方こそ、ごめん」
と、つられて、謝ってしまう。唱吾は笑って
「よかった、許してくれて」
その笑顔を見て、まったく似ていない人の事を思い出してしまう。
本当にどうしてこの人をみてあの人を思い出すのだろう。
私は本当にどうかしていると光は思った。
205展開を予想:04/09/30 21:05:10 ID:zs7ta3TS
唱吾が光に声を掛ける
「朝ご飯、準備しようと思ったんだけど」
目玉焼きが真っ黒に焦げ付いたフライパンを光に見せる。
「何やってくれてるのよ!
 こんなになるまで
 どいて、私がやるから」
「ごめん」
「もう、余計な仕事作らないでよ」
「ごめん」
光はクスッと笑う
「いつも、おっさん謝ってばっかりだね」
「そうかい?癖だな」
唱吾も笑う。歌乃といた頃から始まった癖だ。
「ここはいいから、テーブルへ行って!シッシッ」
「シッシッってひどいな。目上の人を敬う態度が出来ていないな」
「目玉焼きの一つも作れない人にはこれくらいでちょうどいいの!
 席について。おいしい料理作るから」
唱吾は素直に席に着く。光はテキパキと料理を作りテーブルに並べる。
「さぁ、食べましょうか」
「本当に君は料理の天才だな!凄いよ」
「オッサンが出来なさすぎるだけ。これくらい普通だろ」
「いや、僕は結構おいしいもの食べてきたけど
 この料理の出来は凄いよ。おいしい!」
「そう」
「君をお嫁さんに貰える男は幸せだろうな。こんなうまい料理毎日食べられるなんて」
「えー、照れるな。それじゃ私をお嫁さんにしてくれる?」
唱吾は口の物を噴きそうになり、手で口を押さえる。
206展開を予想:04/09/30 21:08:08 ID:zs7ta3TS
「よしてくれよ。冗談は」
「そうよね、歌乃に叱られちゃうからね」
「そういう問題じゃない
 歌乃とはそういう関係じゃない
 ただ.....」
「ただ.....何よ」
「彼女は僕の天使だったんだ
 そして天使を裏切ってしまった。僕は最低のバカだってこと
 それだけだ」
光はそういう唱吾を顔を見つめて
「ぎゃははぁ」大声で光は笑う。笑いすぎて文字通りお腹を押さえて笑い転げる
「何がおかしい」
「だってオッサン、その顔で真顔でそんなこと言うんだもん
 僕の天使?
 寒い、寒すぎ。歌乃にも同じ事言ったの?君は僕の天使だって」
「言えるわけ無いだろう!僕がそんな事言えてたら、こんな事になってない」
「じゃー何で私の前じゃ言えるのよ?そんな寒い事」
唱吾も光の顔を見つめる
「どうして,だろう。君には気を遣わなくていいのかな?君にならなんでも話せる気がする」
唱吾に顔を見つめられて光は自分の顔がどんどん赤くなっていくのが判る。
「早く食べてよ。ごはんさめちゃうでしょ」
「うん」
何とか光はその場をごまかす。本当にどうしちゃったんだろう、こんなオッサンに赤くなる
自分が信じられず、チラチラ唱吾を盗み見る
207展開を予想:04/09/30 21:10:54 ID:zs7ta3TS
「それでね、実は光君に今日付き合ってもらいたいんだ」
「え!デート?」
「違うよ、病院だよ」
「そ、そうよね。病院っておっさんどっか悪いの?」
「違う。君の指を片岡先生に診て貰おうと思うんだ。
 君がこの特Aクラス選抜に賭けていたのも、譜三彦兄さんとの事を大切にしているのも判る
 でも、これからの君の長い人生に、君だけに水無月のことでそんな傷を負わせる訳にはいかない
 確かに治るかどうかも判らない
 それでも医者に診て貰うだけでも診て貰って欲しい
 頼む。僕の勝手なお願いだけど聞いてくれないか」
唱吾は光に頭をを下げる。
光にはそれ程唱吾が何故自分の事を気にしてくれるのか判らなかった。
「どうして、私の事をそんなに気にしてくれるの」
「僕は歌乃を切れ捨てた。ただ歌乃の思いを裏切ったんだ。
 水無月家の全てを手に入れる為にね
 人を傷つける事も裏切る事も平気なはずだったのに
 歌乃の涙を見て、自分の醜さを知ったんだ
 自分の醜さを誰かを助ける事で、許されたいんだと思う」
208展開を予想:04/09/30 21:12:12 ID:zs7ta3TS
「誰に?」
「自分にさ。自分勝手で醜い自分から許されたいんだ
 ごめん。僕何を言ってるのか」
「あなたの為に私が診て貰わなきゃいかないの?」
「ごめん」
「いいわ、診て貰う。あなたの為に」
「本当に」
唱吾は安心して背もたれに体を預ける。そこへ光が
「でも一つ条件があるの」
「何、何でも聞くよ」
「ご飯、残さないできれいに食べてよね」
「え」
唱吾は微笑む光を見てすごくきれいな女性だなと改めて思う自分に気づいていた。

209展開を予想:04/09/30 21:18:05 ID:zs7ta3TS
「誰に?」
「自分にさ。自分勝手で醜い自分から許されたいんだ
 ごめん。僕何を言ってるのか」
「あなたの為に私が診て貰わなきゃいかないの?」
「ごめん」
「いいわ、診て貰う。あなたの為に」
「本当に」
唱吾は安心して背もたれに体を預ける。そこへ光が
「でも一つ条件があるの」
「何、何でも聞くよ」
「ご飯、残さないできれいに食べてよね」
「え」
唱吾は微笑む光を見てすごくきれいな女性だなと改めて思う自分に気づいていた。
210展開を予想:04/09/30 21:20:57 ID:zs7ta3TS
光は唱吾は一緒に病院に来ている。
「片岡先生には君も会った事あるだろう」
「うん」
「いい先生だから、安心して相談すればいいよ」
看護師に案内されて診察室に入ると、片岡医師が迎えてくれた。
「こんにちは、唱吾さん」
「お世話になります。先生」
「で、このお嬢さん?」
「はい」
唱吾に促されて光は片岡医師の前に座り
「よろしくお願いします」と頭を下げる
「気を楽にして、ちょっと指を診せて貰える?」
「どう、動かせない指も触れば感じるかな?」
片岡医師の診察が始まる。
「光さん、少し目を閉じて貰える」
光が目を閉じると、針がついた器具を滅菌用バーナーで焙り熱して、人差し指に当てるが
ピクリとも指は動かない。そこで、針を動かし中指に当てた瞬間に
「熱い!」
手を引っ込め光は声を上げる
「何すんだよ」
少し怒って文句を言う。
211展開を予想:04/09/30 21:23:29 ID:zs7ta3TS
「ごめんなさいね。手を診せて」
確かに人差し指の反応は全くない。片岡医師は考えを巡らす
『どういうことだろう。見たところ外傷や電流斑もない
 唱吾さんに聞いた状況で、こうまで完璧に神経の切断が出来るものだろうか
 あの時辰巳由貴さんが命を落とした経過も不可解だし
 それを具体的に説明するには.......』
片岡医師の考え込む姿を見て唱吾が声を掛ける
「先生、どうなんでしょう」
片岡医師は看護師にいくつかの検査の指示を与えながら
「もう少し時間をかけて検査しましょう」
光に笑顔で話しかけるが光は
「治る見込みは無いって事でしょ」
険しい顔で人差し指を見つめながら言う
「違うわ。私はあなたの指が元に戻る可能性は十分にあると思うの
 ただ、それを私の思いつきでなく確実なものにする為に検査が必要なのよ」
笑顔で片岡医師は続ける
「あなたの事、心配している人もいるし私も全力を尽くすつもりよ」
片岡医師の言葉に光は唱吾を振り返る。唱吾は顔を赤くし
「いや、僕は.....
 先生、本当に光君の指は治る可能性あるんですか」
「ええ、本当よ。ただ今は可能性としか言えないの
 それを確実なものにしたの。その為の検査よ」
「そうですか。よろしくお願いします」
唱吾が頭を下げるのを見て、光もつられて頭を下げる。それをみて片岡医師は
「本当にお似合いのカップルね」
と笑う。それを聞いて二人は同時に
「そんなんじゃありません」
「そんなんじゃねーよ」
と声をあげるが、あまりにも声が揃いすぎて二人は顔を見合わせる
212展開を予想:04/09/30 21:26:26 ID:zs7ta3TS
「あなた達の仲がいいのはよくわかったから、光さんは検査の方ちゃんと受けてね」
「だから、そんなんじゃないって」
光がそういうと
「あら、そうなの?唱吾さんの事嫌い?」
あらためての片岡医師の問いかけに光は言葉が詰まる。前までならすぐに『好きじゃない』って
即答できたのに、今はその答えに詰まる自分がいるのに戸惑っている。
言葉が出ない事が自分の気持ちを表してる様な気がしてまた気が重くなる。それを見て唱吾は
「本人がいる前で嫌いだって言いにくいモンです、それに彼女は譜三彦兄さんが好きなんです」
それを聞いて光は少し腹が立った。唱吾は自分の事を何にもわかってない
「違う」
「え、何が」
「あんたの事嫌いじゃないし、譜三彦の事も関係ない」
「そうなの?」
唱吾は光の言葉の意味がよく判っていない。それは傍にいた片岡医師にさえ伝わったのに。
「まぁ、いいじゃない。すぐに検査にとりかかりましょうね
 少し時間がかかるから唱吾さんはいったん帰って後で光さんを迎えに来てあげて」
唱吾は片岡医師に「よろしくお願いします」と頭を下げ診察室を出て行った。
213展開を予想:04/09/30 21:37:45 ID:zs7ta3TS
後に残された光に片岡医師が
「唱吾さんって決して悪い人じゃないのよ」
「それは判ります」
「私、水無月家との長い付き合いもあってあの子の名付け親なのよ。小さな赤ちゃんだ
 ったのにあんなも立派な大人になって.....私も歳をとるのも無理ないわね。
 彼の母親があんな事になって、私もいろいろ相談にも乗ってきたけど、もう、あの子も
 私より、別の誰かの支えが必要なときかもしれないわね
 今、水無月の家の事でもかなりの問題がある様だし
 できたら、 あの子の事支えてあげてね」
「私、そんな」
「無理にとは言わないけど。でも、少しだけ、ほんの少しだけ
 あの子のこと見ていてあげて
 ごめんなさいね。勝手な事言って
 さあ、検査をしましょうか。あなたの指が元に戻る様に頑張りましょう」
片岡医師が唱吾の事を大切に思っている事が光にもよく判った。
光に片岡医師が優しく微笑む。
それは光に母親の事を思い出させる優しいものだった。
214展開を予想:04/09/30 21:39:02 ID:zs7ta3TS
随分と長い時間がかかってやっと光の検査が終わった。
『何だか病院って疲れるな』
もちろん慣れない検査で疲れたのもあるがなんだかそれ以外の事でもどっと疲れが来た気がする。
たくさんの他の患者や見舞客とで人が溢れているロービーにまで出てきたとき、光は受付の
ソファーの端で小さくなって眠っている唱吾を見つけた。
『待っててくれたんだ』
そっと唱吾の側に行き彼の横に座る。ずっと待っていて、待ちくたびれて眠ってしまった
のだろか。唱吾の静かな寝息が聞こえる。
どうしてこの人は私の事をこんな風に思ってくれるのだろう。
いや、本当の理由は光にも判っている。
私はあの時と同じように歌乃の単なる身代わりなのだ。歌乃を失った寂しさを私で埋め
ているだけ。それは判っているのに
『私は単なる身代わり、それでもいい』光は心の中でつぶやく
少し唱吾の肩に寄りかかり頭を預ける。唱吾の体の温もりが伝わってくる。
そのとき唱吾も目を覚ます。唱吾は肩に頭を乗せ寄り添う光に驚く。
「光君」
「少しだけこうさせていて。お願い」
唱吾の温もりが少し光を安心させる。光は寄り添う腕に力を込める抱きしめる。
「どうしたの?」
心配そうに尋ねる唱吾に
「お願い。何も聞かないで」
それを聞いて唱吾はいつもと違う光の様子にどうしていいか判らずただ動けずにいる。
光は唱吾の存在を確かめる様に唱吾の腕を抱きしめ続ける。
人のざわめきが行き交うロビーの片隅で静かに、静かに二人の間を時間が過ぎていく。
215展開を予想:04/09/30 21:46:07 ID:zs7ta3TS

すみません

とりあえず今回はこれまで

オチは迷っています(光に悲惨な話しか思いつきません)

また書ければUPしたいと思います



気長にお待ちいただければ嬉しいです。
216名無しさん@ピンキー:04/09/30 22:24:15 ID:epFoIcNw
お待ちしておりましたー!!
光と唱吾というのは始めてみる組み合わせで、続きが楽しみです。

がんがってください
217名無しさん@ピンキー:04/09/30 22:29:58 ID:7OVKAOBs
ネ申キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
超GJ!!!!!!!
唱吾の仕草に譜三彦を見る光…たまらんです
218名無しさん@ピンキー:04/10/01 05:54:08 ID:ndQwXmjc
歌乃に続いて光までも・・・・
俺は唱吾になりたい!!
219名無しさん@ピンキー:04/10/01 06:24:08 ID:0ct0RXyP
>>218
ワラタ 器一兄さんに調教されてもよろしいか?w


そんな調教ものもキボン
220名無しさん@ピンキー:04/10/01 06:38:54 ID:ndQwXmjc
それで特A美女にもてるなら構わない。
ついでに幸子ともつかのまの自由を
楽しみたい。
221名無しさん@ピンキー:04/10/01 08:48:17 ID:0ct0RXyP
聖香×光って需要ありますか?
濡れ場はありませんが_| ̄|○
しかもグダグダですが_| ̄|.....○
222名無しさん@ピンキー:04/10/01 11:42:04 ID:ndQwXmjc
聖香×光よろしくお願いします。
光は真っ先に消えたので需要大です。
223名無しさん@ピンキー:04/10/03 19:50:29 ID:QEXOLbq5
ほしゅ
224名無しさん@ピンキー:04/10/04 05:31:38 ID:hbGo3xWD
本スレも未だに結構レスついてるし嬉しいなー
同人誌とかどっか書いてくれないかな・・・読みたいよ。
225名無しさん@ピンキー:04/10/11 18:22:48 ID:6LvZM8xW
保守age
226名無しさん@ピンキー:04/10/14 21:44:55 ID:GCN8htp+
芯也×葉音が読みたいなあ
Hなしでもいいから。
227名無しさん@ピンキー:04/10/16 06:46:39 ID:2AV/LTBY
保守がてら、もはやSSですらない意味不明文

百合ウザーな方はスルーよろ。(光×葉音)


「皆を応援してる。――だけど葉音、おまえを一番に」
その言葉に嘘は無かった。むしろ、これ以上ない真実だった。
「だっておまえにはふたつしか無いからだ。ピアノと、……あの人の」
本当は、それだけじゃない。
言いたくて堪らなかったその言葉を光は言わなかった。
伝えたいその気持ちに蓋をした。
 
葉音の、見えないけれど澄んだ瞳の向こうに、あの人への想いが見えていた。
自分は試験に失格した。同時に、このまま皆の傍にいる資格も失ったんだ。
きっと、葉音の傍にいる資格さえ。

だから、今は葉音には言えない。
いつか、もしももう一度葉音の傍にいられる資格を与えられたら、その時に―――

「葉音にはあたしがついてる。大好きだ」
228名無しさん@ピンキー:04/10/16 21:26:47 ID:a5jBF7I6
短いけど、イイ!!
またなんか思いついたら書いてクレクレ
229名無しさん@ピンキー:04/10/18 19:37:50 ID:GgwaVpWb
GJ!!!!!!
230名無しさん@ピンキー:04/10/23 08:56:51 ID:XiEJzAKP
保守age
231名無しさん@ピンキー:04/10/24 14:04:10 ID:pUccXCdH
密かに>>221に期待
232名無しさん@ピンキー:04/11/01 20:17:29 ID:2QzN8h3i
 
233展開を予想:04/11/02 19:26:07 ID:u9c7FPhL
あれからも二人の生活は変わらず続いている。
光はあれからは唱吾に特別な態度は見せない様にしている。
二人の間は少し縮まった様に思えたが、取り立てて二人に関係が変わった訳ではなか
った。単なる同居人という関係。単なる友人という関係そんな関係から一歩も踏み出し
た訳じゃない。いや、そうだからこそ光はまだ唱吾と一緒にいられたのかもしれない。
二人で朝食をとっているとき、ずっと光は気になっている事を唱吾に聞いてみた。
「なー、おっさん。また選抜試験あるんだろ。大丈夫なのか」
「次の試験は問題なく突破できるさ」
唱吾は父の水無月奏太郎が入院しているのですぐには試験はないだろうと思ってはいたが
学長代理の座に座った兄の器一の動きは気になるし、その辺の動きも探ってはいる。
ただ、今度は試験で一人落ちるとしても3人は残る筈だ。そうなれば、マザーの予言を信
じるならDEVILである幸子が残る可能性はかなり高い。
234展開を予想:04/11/02 19:27:46 ID:u9c7FPhL
他のメンバーのパートナーが誰がGODで、誰がANGELか見極める絶好の機会って位
に思うが、器一兄さんには油断は禁物だ。もちろん律子姉さんもそして一番不気味なのは芯
也兄さんだと考えてはいたが。
「そうじゃなくて。危なくないのかって思って
 今までこの試験がらみで何人死んだんだよ。
 私の指だってそうだし.............
 止められない?この試験」
「いまさら止められないよ。この勝負を僕から下りる事は出来ない」 
「心配なの」 
真剣な表情の光が唱吾にも嬉しかったが、唱吾の答えは
「ありがとう、でも僕は大丈夫だよ。この試験を勝ち抜く。」
「どうしても駄目?」
「ごめん」
二人はそこで会話が止まってしまう。食事を終え後かたづけをする光に唱吾は話題を変えて
話しかける。
235展開を予想:04/11/02 19:29:39 ID:u9c7FPhL
「あのさ、仕事見つかった?」
「なかなか見つからなくて
 指の障害の事もあるし
 いろいろあたってはいるんだけど」
光は自分が本当にやりたいこと、今度こそ自分をかけられる何かを見つけたくていろいろ
探してはいたがなかなか見つけられずにいた。
「そう。この前偶然に大学時代の先輩にあってね、その人はフードデザイナーをやってい
 るんだけど、君の料理の腕を話したら、是非って、向こうが言ってくれてね
 君がもしよかったら考えてみてくれないかな」
「でも、私の指は」
「君の指は治るって僕は信じてる。片岡先生がきっと解決策を探してくれるさ。
 ピアニストを目指していた君にどうかとは思ったんだけど
 本当に君の料理を食べて感動したから、先方に会うだけ会って話しを聞いてみないか」
「ありがとう。本当に」
光は唱吾がこの話をたまたま持ってきたんじゃなく、光の為に色々手を尽くして動いてくれたも
のだと十分に判っている。

236展開を予想:04/11/02 19:30:25 ID:u9c7FPhL
光は唱吾を笑顔で見ながら
「私、会ってみたい。私に出来る事なら何だってやってみたい」
その答えに唱吾はとても喜んで
「そう。向こうには連絡しておくから、都合のいいときに行ってみてよ」
「今日でもいいの」
「もちろん。相手には電話で連絡しておくよ」
そう言うと唱吾は大学へ出かけて行った。光は自分の指を見つめる。もし、仕事が決まって指も
治ったらここを出て行かなくちゃいけないのかな?いや、それよりも歌乃が帰ってきたら私の
居場所はここには無くなる。それが怖いと感じている自分にも気づいている。
「どうしちゃったんだろう。私」
深いため息が出る。譜三彦と全く違う唱吾に自分が引き寄せられていく。そんな自分を止めら
れる自信がだんだん無くなっている自分がいた。

237展開を予想:04/11/02 19:31:16 ID:u9c7FPhL
その日、光は唱吾に紹介されたフードデザイナーを訪ねて、面接を受けていた。
仕事は外食チェーンの新メニューの開発や、テレビや雑誌への創作料理や世界の料理の紹介ま
で多岐にわたっていた。その、もの作りの姿勢や、新しいものへの取り組みが光にはとても新
鮮で自分の感性にあっているように思えてその場で働かせて下さいと頼み込んだ。唱吾の紹介
もあって話はトントン拍子にまとまって、会社を後にした。
光はなんだか嬉しかった。仕事が見つかったのもそうだが、唱吾が自分の事をよく理解し光の
事を思って仕事を紹介してくれた、そのことが嬉しかった。
「今夜はまた、オッサンの為に料理の腕振るっちゃおうかな」
マンション近くのスーパーで買い物を済ませて出てくると、思いもかけない顔を見つけた。
光が暴走族まがいの夜遊びをやっていたとき出入りしてたチームの頭をやってた男だ。
「久しぶりだな。集会に何で顔を見せ無いんだ」
「別にあんたのとこに入った覚えはないけどね」
「そっちになくても、こっちにはあるんだ。随分最近いい思いしてるらしいじゃん」
金が無くなったといえばかつ上げから、ひったくり、果てはシンナーなどの薬物迄流してい
た男だ。粗暴なだけの馬鹿男、光はこんな奴らとつるんで憂さ晴らしをしていた自分が情け
ないが今はそんな事言ってられない。
238展開を予想:04/11/02 19:32:42 ID:u9c7FPhL
とにかく、あんたらと私は何の関係もない。まぁ文句があるなら聞くけどね!」
光の顔がきつくなる。昔の様にナイフを持ち歩く事はないが、それでもその迫力は少しも
衰えてはいない。こんな男の一人くらい何でもないと思っていたところに男の視線が動く
光は囲まれているのに気が付いた。男女あわせて7,8人はいるだろうか。中には隠して
いても光には物騒なものを持っているのが判る者までいた。まったく、こんな場所でこん
な風に取り囲むなんて馬鹿にも程がある。
「なぁ、俺たちはただスジを通した話がしたいだけなんだよ」
『なにがスジだよ。この馬鹿連中』光は心の中で毒づく。
「場所変えて、話しようぜ。騒ぎにしたくないだろう」
場所を変えてこの連中を蹴散らすか、逃げるか?しかしこれだけ人数を揃えてきたからに
は今のマンションの場所も知られているだろう。後々に面倒を残すのも嫌だし
「話をつけるか」
自分の蒔いた種を刈り取ろうと光は決意し、取り囲む連中とその場を後にした。

239展開を予想:04/11/02 19:33:33 ID:u9c7FPhL
唱吾は仕事を切り上げてマンションに帰り着いたが光はまだ帰っていなかった。
『どうしたんだろ』
友人から光の就職が決まったとの連絡を貰い、先方も光の事を高く買っていてくれる様だっ
たから、就職祝いをしようと早く帰ってきたのに。
唱吾の携帯電話が鳴る。光からの着信に電話を急いで取ると聞き慣れない男の声で、光を拉
致した事を告げた。昔の仲間の光が勝手に族を抜ける事は許せない。だから制裁する。もし
助けたければそれなりのものを用意しろという話だった。
「仲間から抜けるには義理を通せ」と話す男に唱吾が
「金なら用意するが、光君は無事なんだろうな?」と聞くと
「まぁな、早く金を用意しろ」といい残し電話は切られた。
唱吾は警察に通報しようと電話を取る。が唱吾は思いとどまる。たぶん警察に通報すれば光
を取り戻してくれるだろう。しかし、未成年の光はその事件の大きさから間違いなく唱吾の
元から本来の保護者か、公的な機関の保護される事になる。
240展開を予想:04/11/02 19:34:17 ID:u9c7FPhL
そうなれば、自分はまた一人になる。どうしよう。どうすれば。
自分勝手な思いから光を危険な目に遭わせる事になるかもしれない。
それでも光を失いたくない。
『どうしたらいい』唱吾は思いを巡らす、そして思い出した。
「あの人なら何か判るかもしれない」
本来なら決して頭を下げるようなことはしたくない相手ではあったが、今は光を救い出す為
には何だってするつもりだった。唱吾はその相手に電話をかける
呼び出し音が数度なり女性が電話に出た。
241展開を予想:04/11/02 19:35:16 ID:u9c7FPhL
その夜の深夜、本来全く人気がないはずの倉庫街の一角に車が数台止まっていて、中からは
怒声と大きな物音を響いてくる。唱吾もその倉庫の中に入っていく。中には見るからにヤク
ザな男達が正座している暴走族の少年達を取り囲み威嚇している。唱吾はその中で一人の男
に近づく。パッと見たところ普通のサラリーマンにさえ見えるが、彼がこの中のヤクザのト
ップであり、それどころかある広域暴力団の幹部でさえあった。
「今回はお世話になりました。あとでお礼に伺いますので」
「それには及びませんよ。
 彼には私は返さなきゃならない恩が山ほどある。
 こんな事くらいで返せる筈もない程ね。
 あなたから彼によろしく伝えて下さい」
「ありがとうございます。それで彼女は?」
「奥の部屋にいます」
242展開を予想:04/11/02 19:36:18 ID:u9c7FPhL
唱吾は急いで奥の部屋に向かう。そこには額から血を流し、床の上に両手に手錠を嵌められ
た光がいた。殴られたのだろうか、美しい顔にもあおい痣がついて痛々しい。それでも強い
目の光を失っていないのが光らしいが、唱吾は慌てて駆け寄る
「大丈夫か」
「何とかね。まさか物陰からいきなり棒で殴ってくるとは思わなかったから、不意打ち喰ら
 っちゃったんだ、様無いね」
傷を負った光を唱吾は助けおこすが、光の足には力が入らないのを、唱吾が肩を貸し何とか
部屋から連れ出す。
「彼女の手錠の鍵はどこですか」
唱吾が男に聞くと、男は目で手下に合図する、それを見て手下が正座している暴走族の少年
の頭を手加減無しに蹴り始める。ゴツンゴツンバキィと嫌な音が響く。
「手錠の鍵はどこかな?」
男が笑いながら少年達に聞く。顔が変形し血を流す少年が震える手で鍵を差し出す。それを
受け取った男が唱吾に鍵を渡しながら
「今回の件はこれで許して貰えますか?
 もちろん今後このようなことがないように
 私達が彼らには十分に教育しときますから」
と笑っていう。凄まじい暴力を平然と振るう男に唱吾は言葉もない。唱吾は頷き鍵を受け取
ると、光はその場で手錠を外すと手錠を尻ポケットに突っ込み唱吾を引っ張って倉庫を出て
いく。光は額の血を拭いながら、鋭い視線を唱吾に向ける。
243展開を予想:04/11/02 19:37:18 ID:u9c7FPhL
せっかく助かったのに、怒っている光に唱吾が訳を聞くと
「あんた、ああいう連中と付き合ってるの。
 私もワルやってたから判るけど、ああいうのと関わるとろくな事がない。たとえどんな時
 でも利用してもされてもツケはこっちに回ってくるんだ。特にあの親玉なんか私が見た中
 でも群を抜いてる。
 悪い事はいわない。すぐに縁を切ったほうがいい」
あまりの剣幕に唱吾はたじろぐ
「僕の知り合いじゃないよ」
「それじゃ.....譜三彦の?」
「それも違う。
 実はあの人、芯也兄さんの知り合いなんだ。
 芯也兄さんは水無月家に養子に入る前、施設を出た後、車の整備工場で働いていて、その
 時不良グループとも繋がりがあったって噂があってね。もしかしたら、暴走族の知り合い
 でもいるかなって電話してみたら、あんな本物が出てきてしまって、こっちが驚いてる。
 もちろん水無月の家に入ってからそんな事一つも感じさせた事も無かったけどね。
 でも、幸運だったのは電話に桜木葉音が出てくれた事だ。もし直接芯也兄さんに繋がって
 たら無視されてたかもしれない。」
「芯也さんの.........まさか」
意外だった。まさか芯也にそんな一面があっただなんて、芯也の事を純粋に信じ、慕ってい
る葉音の思いを知っているだけに葉音の事が心配だった。
「葉音大丈夫かな」
助け出されてすぐ友達の心配をする、そんな光を見て
「ここを出よう。君の傷の方が僕には心配だ」
唱吾が優しく声をかける。その言葉にやっと自分の傷の痛みに気づく、なんだか頭もくらっと
する。
244展開を予想:04/11/02 19:38:42 ID:u9c7FPhL
「大丈夫かい。歩ける?」
「うん大丈夫。歩けるよ」
二人は唱吾の車に乗り、片岡医師の病院で治療を受けマンションに戻ってきた。頭の傷も何
とか骨にも異常もなく、もしなにか異常があれば病院にまた来て下さいとの事で帰ってこれ
た。唱吾は頭に包帯を巻いた光を見て暴走族の少年達に怒りが舞い上がった。本当に無茶苦
茶な連中だ。女の子にこんなひどい暴力を振るうなんて。今日の事に懲りて二度とこんな馬
鹿なマネをしない様になるだろうが、唱吾は光を青く痣のついた顔を見て、あまりに痛々し
い様子に光に言葉をかけるのさえなくしていたが
「本当にひどい連中だな。女の子の顔をそんなになるまで殴るなんて」
「まぁ、私も黙ってやられてた訳じゃないから。
 きっちり、私の顔と同じだけ、痣つけてやったから!」
と唱吾にガッツポーズを取る。それが唱吾に対して強がっているのが見て取れ
「いいんだよ。僕には強がらなくたっていいんだ」
唱吾が光の肩に手をやると、今まで戦ってきた恐怖と救い出された安堵感に、心が一杯になっ
て耐えきれなくなった光が声を上げて泣き出す。光はケンカをしても、たとえ傷を負ったとき
でも今まで涙を他人に見せることなんて格好悪い事だと思っていたのに、唱吾の言葉を聞いて
涙が止められなくなる。
245展開を予想:04/11/02 19:39:30 ID:u9c7FPhL
「バカッ、どうしてそんなこというのよ」
光は唱吾に抱きつき、声を上げて泣き続ける。そんな光を唱吾はただ優しく抱きしめるしかで
きない。ただただ光は子供の様に泣き続けて、そして泣き疲れて眠ってしまって、それでも唱
吾から離れまいとしっかりと抱きついたままだった。唱吾は泣きじゃくる光の顔を見て愛おし
い気持ちが沸き彼女を抱きしめていた。
246展開を予想:04/11/02 19:40:36 ID:u9c7FPhL
二人を朝陽が照らし出すまで唱吾はそのまま光を抱き続けた。朝のさわやかな風に光が目を覚
ます。唱吾が昨日のまま傍にいたことに安心した様に
「おはよう」
「傷の具合はどう?」
「もう、平気よ、それよりずっと私と一緒にいてくれたの?」
唱吾は照れながら
「君が泣いてて、離してくれなかったから」
「それだけ、わたしが泣いて離さなかったから、一緒にいてくれたの?」
光の瞳がまっすぐに唱吾を見つめる。唱吾ももう、気持ちを隠せなかった。
「本当は君が好きだから、君と離れたないから」
その言葉を聞き光はにっこり笑い唱吾に唇を寄せる。光の唇が唱吾に重なる。
「タバコくさいわよ」
「そうかい」
唱吾も笑って光を抱きしめキスをする。そして二人はもつれ合う様に床に崩れ落ちる。
光が唱吾の首に手を回す。二人は熱いキスを交わす。
光を抱きしめる唱吾は光の大切な人になっている、唱吾にとって自分はどんな存在なのだろ
う。『唱吾がすき』という光の心は止めようとしたのに言葉は止まらなかった。
「歌乃より私の事がすき?私の事を歌乃より愛してる?私の方が大切?」
唱吾の動きが止まり、悲しい目で光を見つめる。
247展開を予想:04/11/02 19:41:31 ID:u9c7FPhL
「どうして言ってくれないの。はっきり言ってよ」
唱吾は光に回した腕を静かに外し、起きあがる。光の胸に痛みが走る。あのとき私は身代わり
でもいいって思っていたのに。今私は唱吾にしっかりと自分だけを見て欲しいと思っている。
他の誰でもない。私だけを見て欲しいって。
唱吾の唇が動く
「君を好きなのは本当だ。もう離したくない。本当に本当に好きになってしまったんだ。 
 でも、まだ心の中に歌乃がいるのも事実なんだ
 まだ君だけを愛してる、歌乃を愛してないって言えない
 ごめん、こんな中途半端な気持ちで君を抱こうとして
 許してくれ」
「いいの、気にしないで」
そう言うと光は元気に立ち上がる。
光は唱吾のどこまでも正直な所が好きでちょっと憎らしくもあった。
248展開を予想:04/11/02 19:42:15 ID:u9c7FPhL
いつか、あなたに私だけが好きだって言わしてみせるから
 今日の事は無し、無しにしましょう」
「すまない」
うなだれる唱吾に光は軽くキスをする。驚く唱吾に
「さぁ、私今日から新しい仕事を始めるの。新しい一日の始まりよ
 おいしい朝ご飯作るからあなたも仕事頑張ってね
 二人の新しいスタートよ」
「きみ、その傷で仕事に行くつもり?」
「あたりまえでしょ。これくらい迫力あった方が先輩方にも舐められなくていいのよ
 それに悪者に誘拐された美しいお姫様を愛しのダーリンが助けてくれたって大ロマ
 ンスもあるから注目の的よね」
「愛しのダーリンって......?ぼくの事じゃ?
 お姫様って......もしかして君の事?」
「そうよ。何か文句ある?」
光が唱吾をにらむ。
「ないけど」
唱吾言うと、二人は顔を合わせて微笑む。
249展開を予想:04/11/02 19:43:13 ID:u9c7FPhL
光が作った食事を済ませると、台所で後かたづけを始める。出かける準備をしている唱吾に
「私の事、好きだって言ってくれたの本当よね?」
光の言葉に唱吾は頷く
「だから助けに来てくれたんだよね
 もし、わたしが歌乃の様にあなたの目の前から消えたら悲しんでくれる?」
「冗談でもよしてくれ、君がいなくなるなんて」
唱吾の真剣な表情に光は
「冗談よ、わたしはあなたといる。いいでしょ?」
「もちろんさ、ぼくと一緒にいてくれ」
「うん」
唱吾は光の答えに笑顔で大学に出かけていく。残された光は一人になって
「どうしてあんなこといっちゃったんだろ」
あの時歌乃の事を聞かなければ、二人は新しいスタートを切れたのに、あの時何故あんなこ
とをいってしまったんだろう。
唱吾にとってどうしてもわたしは歌乃の身代わりしかならないなのだろうか。
光の頬に涙が流れる。
250展開を予想:04/11/02 19:44:24 ID:u9c7FPhL
その日の晩に初仕事を終え光が帰宅したとき、電話にメッセージのランプが点灯しているのを見つけ
た。なんだろうと思い光が再生ボタンを押すと
「今日器一兄さんから選抜テストをやるって言われた
 今日はいつ帰れるか判らない
 先に休んでいてくれ」
乾いた声でそれだけ告げると伝言は終わっていた。とうとうまた始まってしまった。テス
ト関係者の死が続き光は指を失い、学長の水無月奏太郎は重傷を負い、それでもまたテス
トは続こうとしている。唱吾の事を考えると光は凍り付く。
「無事に帰ってきて」
ただ、祈っている光がいる。なにもする気にもならず何も考える事も出来ない。ただただ唱
吾からの連絡を待って電話の前に座り込む。何時間過ぎただろうか。そう日付さえもかわり
電気もつけず真っ暗の闇の中に座り続ける光の前の電話機が鳴り、光が飛びつく。
「もしもし、唱吾!もしもし大丈夫?」
光は受話器に向かって半ばさけんでいた。
251展開を予想:04/11/02 20:20:35 ID:MMNMeTvZ
「ああ、ぼくは平気だよ」
唱吾の声はさっきの電話と同じように声が乾いていて光の心配を増幅させる。
「今、どこにいるの?」
「片岡先生の病院だ」
「どこか悪いの、怪我でもしたの」
「いや、ぼくじゃない、器一兄さんが..........死んだんだ
 今日は帰れない」
「死んだって.........どういう事」
「また、帰ってから説明するよ。君は先に休んでいてくれ」
ついに水無月家の中でも死者が出てしまった。光は衝撃で言葉も出てこない。
聖香はどうしたんだろう。無事なんだろうか?他のみんなは?唱吾はどうしているのだろう
光は自分の部屋に飛び込み着替えるとマンションを飛び出しタクシーを拾うと病院へ向かう
タクシーの中での時間がもどかしくて「急いで下さい」運転手に頼む。
何故か時間がのろのろと進む気がする。
252展開を予想:04/11/02 20:21:23 ID:MMNMeTvZ
やっとタクシーが病院について病室に向かう、暗い廊下のベンチに唱吾を見つけて声をかける。
「大丈夫」
「わざわざ来てくれたの。ありがとう。ぼくは大丈夫だよ」
俯いたままそういう唱吾の横に座る。
「他のみんなはどうしたの?」
「生徒達はみんな家に返したよ。
 説明を受けに姉さんや、兄さん達は片岡先生の所だ
 器一兄さんの遺体は司法解剖が必要だって警察の人に言われて
 僕たち家族も最後の別れをするまもなく警察病院に運ばれて行ったよ」
「そう」
「どうなっているんだ、水無月家は
 ぼく達の都合で君の様に傷つけて、こんなに多くの人が死んで
 狂ってる。何かが狂ってるんだ」
「唱吾」
「でも、ぼくもその流れに逆らえない。逃げ出せないんだ。くそっ」
光は唱吾の肩に手をやりながら
「あなたが変えようと思えば必ず変われる」
光は自分の言葉がどれ程唱吾に伝わったか自信が持てなかった。それでも唱吾の傍にいて
唱吾の事を見守っていたかった。
253展開を予想:04/11/02 20:22:58 ID:MMNMeTvZ
「何も食べてないんでしょう。ジュースでも買ってこようか」
「ありがとう。でもぼくはいいよ.......」
「無理しないで。ちょっと行ってくる」
光は自動販売機でジュースを買おうと暗い廊下を進み、階段を下りて売店に向かう。その
自動販売機の明かりの中に浮かぶ人影が光に声をかけてくる。
「久しぶりだな。光」
254展開を予想:04/11/02 20:24:30 ID:MMNMeTvZ
暗い廊下の中に譜三彦の顔が浮かぶ。光がかつて惹かれていた譜三彦の美しい顔にもさす
がに少し疲れが浮かんでいる。
光は文彦がこんな場所で自分と突然の再会を果たしたのにあまり驚いていないのが不思議に思えて
「譜三彦......どうして私がここにいるのかって聞かないの?」
「俺んち、出て行ってから唱吾の所にいるんだって」
「知ってるの?」
譜三彦は光の問いかけに肩をすくめる。
「まぁな!ご親切に唱吾や兄貴達の行動まで教えてくれる奴がいる。
 まったく、水無月家の中に魑魅魍魎まで居やがるんだ
 でも、みんなその化け物にみんな言いなりだ」
「化け物?」
「あぁ、人の心に入り込み自由に操り思うがままにする化け物さ」
「誰なの?それ」
譜三彦は乾いた笑顔を見せる。それは唱吾とどこか似ていた。以前は唱吾の中に譜三彦の影
を探していたのに、今は譜三彦の中に唱吾の影を探している自分がいる。
「人間じゃない。悪魔だよ。誰もが心の中に飼っている魔物
 誰も逆らえない悪魔が人の形をして水無月家のなかに混じってる」
「まさか......」
255展開を予想:04/11/02 20:26:08 ID:MMNMeTvZ
それは誰の事を指しているのだろう。そんな悪魔が身近にいるのだろうか、光の声も微かに震
える。そんな光を見て譜三彦は声を上げて笑う。
「あはは、何を本気にしてんだよ!悪魔なんているわけねえだろう!」
「何よそれ。あんたおかしんじゃない。
 仮にもお兄さんが亡くなったっていうのにそんな冗談言うなんて
 不謹慎でしょ!」
光が怒って言うと
「変わらねーな。お前は、判りやすい」
「何言ってるのよ」
そういう光の傍に譜三彦が近づき、光を抱きしめようとするが光は譜三彦の腕をすり抜ける
光の顔に浮かぶ悲しげな表情に
「判りやすいな。お前は
 あいつのことが、唱吾の事好きなんだな」
「ごめん」
「謝る事じゃないさ。光、今、おまえ幸せか?」
「幸せ?そうね......」
たとえ歌乃の身代わりでも唱吾の傍にいられればいい。彼の支えになれればいい。今はそ
れでいいと思ってる。そんな思いを抱いている光の表情を読み取ってか譜三彦が 
「あいつ、まだよちよち歩きの時から鍵二のあとばっかりちょろちょろついていってな
 苦手なピアノの練習でも鍵二と一緒ならあいつも何とか頑張ってた
 本当に鍵二のこと好きだったんだろうな
 そんな、あいつだから鍵二を事故に巻き込んで死なせた俺を凄く憎んで
 その怒りをまっすぐに俺にぶつけてきた
 あいつのそんなまっすぐなところは俺は嫌いじゃない
 きっとあいつはお前を幸せにしてくれさ」
「うん」 
光の目に涙がこぼれる。そんな顔を譜三彦に見られない様に顔を伏せる。その涙の意味が
光の心が譜三彦にはよく判った。
不意に譜三彦は光の唇に口づけをする
256展開を予想:04/11/02 20:28:07 ID:MMNMeTvZ
「おまえは幸せにならなきゃ駄目だ」
「譜三彦........」
「さよならだ。今度こそ、な」
そう言い残して光を残して暗い廊下に消えていく譜三彦を光は見送る。
「ありがとう。さよなら」
初めて出会ったあの夜、ヤクザから逃げ突っ走り夜の海へ二人で飛び込んで以来、二人で
困難な試験にもいろいろな問題にも立ち向かってきた。
光の心の重しも譜三彦が見つけ解放してくれ、いつしか譜三彦に心惹かれて好きになって
いたのに、今はもう違う人に思いがあるのに。そんな私に『幸せになれって』っていって
くれる変わらない譜三彦の優しさに今は報いる事も出来ない
「私ってなんなんだろう」
光はしばらくその場に佇んでいたが、ジュースを買って唱吾の元に返っていく。それが光自
身が出した結論だった。
病室の廊下を戻ると唱吾は変わらずにベンチに座っていて、光は唱吾の横にこしをかけて
ジュースを渡しながら唱吾の顔を見てその目に涙が浮かんでいるのを見つけ驚く
257展開を予想:04/11/02 20:29:38 ID:MMNMeTvZ
「泣いてるの?」
「泣いてない、ちょっと目にゴミが入っただけだよ」
唱吾は子供みたいないいわけしか思いつかない
「一つ聞いていい」
「何?」
「お兄さんが亡くなって悲しい?」
唱吾達兄弟が学長の座を巡って激しく争っていた兄弟達の死だった。その争いは光達特Aク
ラスのメンバーから見ても異常で理解の範疇を超えていた。
「そうだな。器一兄さんもぼくの目的を邪魔するライバルだったから.....
 器一兄さんには子供の頃からよくからかわれてね
 兄弟仲もよくなかったな、いや最悪だった
 いつか、あの人を見返してやるって思ってた
 死んでしまえばせいせいするっていつも思ってた
 それなのにね
 どうして涙なんてでるのかな」
唱吾の遠くを見つめるその瞳から涙が流れる。
「よかった」
「何が?」
「あなたがお兄さんの為に涙を流せる人で」
そんな唱吾を光は優しく抱きしめる。『唱吾と一緒に行こう』その思いを一層強く新たに
していた。そして唱吾も寄り添ってくれる光の暖かさに自分が救われているのに改めて気
づいていた。
258展開を予想:04/11/02 20:31:01 ID:MMNMeTvZ
器一の死は事故と事件の両面で捜査される事となって、警察の動きも激しくなり、唱吾も
何度となく事情聴取に呼ばれて外出の際にはそれとなく行動に警察のマークがつく様にな
っていた。唱吾は疑われている事を怒っていたが、かえって光はそれで少しは安心していた
警察が近くにいれば唱吾の身の危険が少しでも低くなる様になるし、監視の目がつけば唱
吾の無実も証明出来る。一石二鳥とはこのことだ。
でも、それでもなお光の心から不安が消える事はなかった。
譜三彦の言った悪魔が水無月家を狙っている事は光にも漠然と判った。悪魔が狙う物の中
に唱吾の命が入っていない理由はないと思う。
唱吾がこの学長レースから降りれば悪魔の牙から逃れられるのかもしれない。
でも光が何度もその話を唱吾にしてみるのだが、答えは決まって
「ぼくが降りる事は出来ない」
と言う返事ばかりだった。唱吾が何故そこまで学長の椅子にこだわっているのか光には理
解が出来ずにいた。その思いをわかりたくて
「どうしてなの?」
「それは.......」
歌乃にも同じように自分の気持ちを打ち明けた事を思い出した。唱吾には母親を取り戻し
自分と一緒に生活したいという思いで、母の心を壊した水無月の呪縛から助け出したいと
思っていることを。水無月の全てを握らないと母を取り戻す事はできない
「お母さんの為に.......」
「うん」
「でも、お兄さんが亡くなってそれでも、それでもまだ?」
唱吾もどうしていいのか悩んでいる様だった。
「少し考えさせてくれないか?」
唱吾の言葉に光は喜ぶ。
「本当?」
「考えてみるよ」
少しでも唱吾の危険を減らしたい光にはその言葉が嬉しかった。
259展開を予想:04/11/02 20:32:05 ID:MMNMeTvZ
「今日も警察に呼ばれてるの?」
「小暮警部にまた呼ばれてね」
「あの人、馬鹿じゃないの!あなたと話して人を殺す様な人間かどうか判らないなんて!」
光が自分の為に怒ってくれるのが唱吾には嬉しかった。
「君は判るの?」
「あたりまえでしょ」
光の言葉が唱吾を勇気づけ、唱吾の顔に笑顔がもれる。
「ありがとう。それはそうと、君はちゃんと片岡先生の所に行ってるの」
「検査、検査で大変なのよ。最近はわけ判らないことまでやらされて」
「何を?」
「インクの染みみて何に見えるとか?印象に残った夢の話とか家の絵を描けとか、子供の頃
 の話をしろとか指と全然関係ないじゃない、訳わかんないよね」
「何それ?」
唱吾も何だかよく判らないが
「また、ぼくも一緒に行ってどんな状態か片岡先生に聞いてみようかな」
「うん」
「大丈夫さ。きっとよくなる」
唱吾と光はお互いに支え合い、お互いに無くてはならない存在になりつつある事がより
確かなものになっているのを二人はしっかりと気が付き始めていた。
「じゃ、僕は警察に行ってから仕事に行くよ」
「夕ご飯つくって待ってるから、早く帰ってきてね」
「わかったよ、行ってくる」
光はこんな、なにげない会話がいつまでも続けられればいいなと思いながら出かけていく唱
吾を見送った。
260展開を予想:04/11/02 20:33:10 ID:MMNMeTvZ
しかしそしてその晩帰って来た唱吾はなにか様子が変わっていて、光には唱吾がなにかひ
どく難しい問題を抱えている様に見えた。
「どうしたの?」
光の問いかけに唱吾は
「明日、また試験がある。
 ぼくは試験を降りない事に決めたよ」
「どうして?考えるって言ってくれたのに」
「それは.....そうするしかないいんだ。そうするしか.....」
「訳わかんないこと言わないでよ!理由を説明してよ」
「ぼくには.....ぼくのやりたいようにさせてくれ」
唱吾の言葉に光は納得できなくて、いらつき髪の毛に手をやり思わずかき乱してしまう
「明日はどんな試験なの?」
「よく、わからない。ただ試験会場は今入港中の豪華客船だって」
「わたしも一緒に行っていい」
光が聞くと唱吾は大きな声で
「駄目だ。絶対に!!」
「どうして」
「器一兄さんのこともある。きみが危険な目に遭わないとも限らないだろ」
「危険?あなたはどうなの。あなたこそ危なくないの」
「ぼくは大丈夫だ」
「どうしてそんな事言えるのよ」
「ぼくは大丈夫なんだ」
そしてそれ以上唱吾は何も答えなくなった。気まずい中で二人は食事を済ませると唱吾は
自分の部屋に閉じこもってしまう。
261展開を予想:04/11/02 20:34:15 ID:MMNMeTvZ
光は唱吾が悪い方向に進みつつある予感に胸が押しつぶされ、その夜はついに眠る事が出
来なかった。
次の日の朝早くそっと唱吾は部屋を出て駐車場に向かった。
もう危険な事には光を巻き込みたくない。
一人車に乗り込むと試験会場へと車を走らせた。
ANGEL,DEVIL,GODの対決の場へと思いをはせていた。

しかし唱吾がもう少し廻りに目を配っていたら気が付いたかもしれない
唱吾の車の後を少し離れてついてくる光のバイクに


262展開を予想:04/11/02 20:38:39 ID:MMNMeTvZ
すみません

とりあえず今回もこれまで

また書ければUPしたいと思います



気長にお待ちいただければ嬉しいです。
263名無しさん@ピンキー:04/11/03 21:04:22 ID:Q908taN6
待っていました。
展開を予想、さんの話はどれも本当に素晴らしいです!!


続き、ゆっくり書いて下さい
264名無しさん@ピンキー:04/11/06 00:07:45 ID:ti/rBUi9
保守age
265名無しさん@ピンキー:04/11/13 07:34:40 ID:QfafQ25i
保守age
266名無しさん@ピンキー:04/11/15 21:17:27 ID:KLd7a33L
初めてここ来たが泣いた。
ありがとう、こんな世界があるとはしらなかった……・。+"・(ノД`)。*;゚,
267名無しさん@ピンキー:04/11/22 22:35:43 ID:JjYGmtE3
age
268名無しさん@ピンキー:04/11/30 00:24:51 ID:IlFAcjiu
age
269名無しさん@ピンキー:04/12/07 00:16:43 ID:w2p6+eAN
age
270名無しさん@ピンキー:04/12/14 00:12:52 ID:3tLYMba4
age
271名無しさん@ピンキー:04/12/19 20:05:56 ID:UtQ/jOAU
 
272名無しさん@ピンキー:04/12/25 17:23:06 ID:SHevejzB
age
273名無しさん@ピンキー:05/01/03 23:06:09 ID:KPNpcn5m
    
274名無しさん@ピンキー:05/01/14 17:41:25 ID:hvvValQR
   
275名無しさん@ピンキー:05/01/23 12:10:39 ID:WZ9+5vcT
ageます。
276名無しさん@ピンキー:05/01/31 01:32:22 ID:8bA7dS6G
age
277名無しさん@ピンキー:05/01/31 20:25:56 ID:82PmGWrm
まだこのスレ残ってるなら
譜三彦×光投下してもいいでつか?

たとえシメがあんなでも、大好きなんだ譜三彦×光…
278名無しさん@ピンキー:05/02/01 08:10:26 ID:pNj7q+6j
展開予想様ですか!?

自分、そのために維持してました…!
是非是非お願いします!!
279名無しさん@ピンキー:05/02/01 13:40:04 ID:iRv1SD7p
>279

ごめんなさい違う者です・゚・(ノД`)・゚・

あんな素晴らしいものは書けない・・・orz
280278:05/02/01 14:53:16 ID:pNj7q+6j
>>279
ギャアッ!!早とちりして申し訳ありません〜〜〜!!_| ̄|○

楽しみにしてますので、どうかお願いします!
281名無しさん@ピンキー:05/02/07 15:35:39 ID:NcDZe8sz

282名無しさん@ピンキー:05/02/15 00:45:49 ID:+K/iTQyF
ほしゅ。
283琴子:05/02/15 01:41:49 ID:RETD9LG+
ほしゅがてら急遽書いた唱吾×歌乃を投稿しようと思ったんだが、間のプロセス全部すっ飛ばしていきなり「事後」です(ニガワラ
・・・・・・漏れには真っ最中は書けんorz
284名無しさん@ピンキー:05/02/15 01:45:28 ID:RETD9LG+

「どうしてこうなったか」と問われれば、自分自身でもその理由を上手く説明出来ないに違いない。
何となく相手に背中を向けながら、歌乃は小さく溜息を零した。
どうやら、気まずいのは向こうも同じらしい。
何も遮る物が無く触れ合った背中だけが、未だ冷め切らない熱を共有していた。

きっかけは、「マザー」による試験の後。
あまりに残酷なマザーの裁定にとても和やかに話すような雰囲気ではなくなってしまった他の面々が帰っていく中、ふと仕事に戻ったはずの唱吾の事が気になって様子を見に行った歌乃は、すぐにその異変に気付いた。
殴られでもしたのか口の端が切れてアザになっていたし、服も髪も乱れていて明らかに誰かと争った様子を示している。そしてそれ以上に、何があったか尋ねる自分に「何でもない」と答えた彼の酷く追い詰められた表情が、不安を駆り立てた。
だから咄嗟に「送ってほしい」と頼み込んたのだが――――

(こう考えると、なんか最初からその気で誘ったみたいじゃない)
記憶を辿るうちに今更ながら羞恥心が湧いてきて、思わず身体を丸める。
ちゃんと布団は掛かっているのだが、何も着ていないというのは想像以上に心許ない。
身体の一番奥を苛む鈍痛が自分を責めているような気がして、歌乃はまた1つ溜息を零した。
何か会話でもあれば少しは気が楽になるのかもしれないが、広く薄暗い部屋には時計の秒針の音だけが響いている。痛いぐらいの静寂だ。
相手が何も言わない理由に大方見当が付いている歌乃は、勇気を振り絞って自ら沈黙を破る事にした。
285名無しさん@ピンキー:05/02/15 01:46:26 ID:RETD9LG+
「・・・・・・もしかして、何話したらいいか分からない?」
唐突な問いかけに、触れていた背中が一瞬強張る。あからさまなその反応に、歌乃は思わず笑みを浮かべた。
相手も戸惑っているだけだとはっきり分かって、気持ちが少しだけ軽くなる。
「見た目だけは貫禄充分のくせに」
「・・・・・・僕をからかうのがそんなに楽しいのか?」
からかうような言葉に、憮然とした掠れがちの声が返ってきた。その言葉に、歌乃は更に笑みを深めて即答する。
「うん、とっても」
呆れたような深い溜め息の後、ピッタリとくっついていた背中が離れた。
床に脱ぎ捨てた服から何かを探す気配がした後、ライターに火を灯す微かな音。
身体を捻って背後に視線を向けると、視界の端を紫煙が掠めていく。
「寝煙草は火事の元だよ?」
「へぇ、君の口からそんな言葉が聞けるとは思わなかったな」
すっかりいつものふてぶてしい物言いに戻った唱吾は、さっきのお返しとばかりに嫌味の込もった言葉を返す。
いつもならムキになって反論する所だが、歌乃は怒る様子も無く身体ごと唱吾の方を向いた。
邪魔な羞恥心はとりあえず心の隅に押しやる。どうせ散々見られているのだから、今更恥ずかしがっても仕方が無い。
「変に気を使わなくたってそうやっていつも通りにしてればいいのに。・・・・・・それとも、今更後悔してる?」
うつぶせになって気だるそうに煙草を吹かしていた唱吾は、その反応が予想外だったらしく目を丸くして歌乃の目を見つめた。
「・・・・・・この状況で『後悔してる』なんて言えるわけないだろう?」
気まずそうに目を逸らして、ポツリと呟くように言う。
歌乃が何も言わないでいると、何か勘違いしたのか慌てた様子で「別に、本当は後悔してるとかそういう事じゃないんだけど」と付け加えた。
自分が傷付かないように気を使ってくれたらしいが、やけに必死なその様子がおかしくて、歌乃はクスクスと笑う。
286琴子:05/02/15 01:47:46 ID:RETD9LG+
「分かってるよ」
ふと表情を曇らせ、歌乃は手を伸ばして唱吾の頬に触れた。
親指で唇の端をなぞると、傷に染みたのか少しだけ眉が寄る。
「でも、大事な事は何も教えてくれないんだね」
怪我の理由も、どうしてそんなに追い詰められた顔をしているのかも。
「・・・・・・なんか悔しいな」

この先に待ってるのは、あたしの力じゃ変えられない流れ。もっと別の言い方をするなら、避けられない「運命」。
逃げる事は出来ないし、誰も助けてくれない。
それを分かってて自分の気持ちを押し付けたのは、ちょっと卑怯だったかな?

「・・・・・・歌乃?」

酷く追い詰められたあなたの目を見た瞬間、たった一瞬でも「届かない」って思ってしまった。
自分からもっと深い闇へ落ちようとしているあなたは、きっとあたしの手を振り払ってしまうって。
簡単に諦めてしまうつもりなんてないのに
――――なんであたしは、あなたと離れてしまう事ばかり考えてるんだろう?

「何でもない」
心配そうに自分の方へ身体を向けた唱吾にそう答えると、歌乃は尚も見つめてくる視線から逃れるように身体を摺り寄せ、彼の胸に額を押し当てた。
「・・・・・・だから、今はそばに居て」
不安に震えた声に、気付かれなかっただろうか。一瞬の沈黙の後、躊躇いがちに抱き寄せられた。

すぐそばまで来ているかもしれない別れになど、気付かない振りをして。

再び秒針の音が響くだけになった薄暗い部屋の中、目を閉じた歌乃は背中に触れた温かい腕の感触だけを感じながら深い眠りに落ちていった。
287琴子:05/02/15 01:48:31 ID:RETD9LG+
名前欄変え忘れたorz
というわけでほしゅでした。
288名無しさん@ピンキー:05/02/15 18:03:15 ID:ruhw0gVW
グッジョブです!!
289   どっちも:05/02/16 20:40:43 ID:fcXVuCre
「どうしよう......」
光は船を前に途方にくれてしまった。

290名無しさん@ピンキー:05/02/17 08:38:48 ID:e5bhgpzw
保守保守
291展開を予想:05/03/01 22:49:38 ID:zLTynTh7
「ありがとうございます!!」
律子に光は深々とお辞儀をしていた。そんな様子に
「おい。礼を言う相手を間違えてないか?」
光にあきれたように声をかけてきたのはノッティーだった。
「なによ」
光がキッと睨むとノッティは
「船を見上げてぼーっと突っ立ってたお前に声をかけたら、
 『ノッティお願い私をこの船に乗せて』ってワーって泣き出されてあせったぜ。本当」
そう、あの時船に乗り込む唱吾を見送るだけで、何も出来ずただ焦るだけの光に声を
かけてきてくれたのはノッティだった。そしてわらにもすがる思いで助けを求めたのだ
「感謝してるわよ」
「あんまり、感謝している気持ちが伝わらねーけど.....」
「まぁ、実際、手配に動いてくれたの律子さんだしね。それでもあなたがいてくれて助か
 ったよ。ありがとう」
「本当に、感謝されてないな」
「してるわよ」
「どうだか.....」
落ち込んだように声を出すノッティに律子が笑いながら声をかける。
「ホント、港の桟橋で泣いてる女の子に抱きつかれてるあなたを見たとき声をかけていいのか
 迷ったのよ。大事な試験の前なのにって」
「何だよ。それ」
「律子さん。本当にありがとうございます」
「だから俺にも感謝しろって」
「あ. り. が .と .う」
「ダーーーー」
「アハッ」「ウフッ」
そんなノッティをみて律子と光は声を出して笑いあった。



292名無しさん@ピンキー:05/03/06 10:25:56 ID:1glDg5Ei
展開を予想さん、待ってました〜!!(の割にはレス遅いですが)
続き楽しみにしております、がんがってください!
293展開を予想:05/03/07 00:22:57 ID:xj/dsbOP
「もう、いいよ。オレ試験会場に様子見に行ってくるわ」
ノッティーは肩をすくめドアに向かう。そんなノッティに光は声をかける
かつてはライバルでもあり厳しい試験をくぐり抜けてきた仲間であり大切な
友達だった。そして今回も私に救いの手をさしのべてくれた。
「ノッティー。本当にありがとう
 ノッティが声をかけてくれなかったら私どうしていいか分からなかった」
「水くさいこというなよ。
 マザーもあの試験の時いってたぜ。お前が俺に惚れてるってな。
 まぁ、そんな女の子を泣かせておく訳にはいかないしな」
ノッテイーなりの照れ隠しと光を気遣った言葉に
「はぁ?あんたやっぱり馬鹿だわ」
光流に切り返す
「なんだと!!」
そういってノッテイは光を睨むがすぐにお互いの顔に笑顔が浮かぶ
「試験、頑張ってね!優勝できる?」
「たりめーだ。オレ以上のピアノが弾けるやつなんていない
 オレは世界一だぜ」
ノッティは振り返ると律子に微笑み、手を挙げ光に答えて部屋を出て行った。
294展開を予想:05/03/07 00:24:50 ID:xj/dsbOP
部屋には律子と二人きりになった。光に律子が声をかける
「あんな弟のためにこんなに必死になってくれる女の子がいるなんてね
 どこがいいの?あんなの」
「え、どこだろ、アハ、ハ」
「教えてくれないの?」
「恥ずかしいですよ
 そうだ私が教える代わりに、私にも一つ教えてください」
「何を?」
「律子さんは、律子さんはどうして試験を続けるんですか?」
光には唱吾や譜三彦や水無月家の人が何故こんな試験を続けているのか
理解できない部分もある。光はその答えが知りたかった。
「そうね。あなたが今ここにいるのと同じ理由かもしれない」
律子は遠くを見つめる目になる
「私と一緒........?」
「前に進むため.....かしら」
「前に進むため?」
それ以上は律子は何も言おうとしなかった。前に進むため、それを光と
同じ理由といった律子の顔に迷いはなかった。
律子も何かの重い決意を持ってこの試験に臨んでいるのだと、過去では
なく未来のために戦っていこうとする決意を光は感じていた。
295展開を予想:05/03/07 00:26:52 ID:xj/dsbOP
「で、唱吾のどこが好きなのよ?」
突然律子が話題を変える。光がまた話題を戻されて目を白黒させるのに
「えー教えてよ。約束でしょ」
「.............」
「は や く」
律子が強い口調で言うと、もうしょうがないなぁという感じで、でもどこか
嬉しげに
「一番は優しいところかな、私のことをとっても大切にしてくれるとことか
 本当に本当に優しい人なんです」
「そうなの」
「私の守るために危険なとこにもとびこんできてくれたし」
「唱吾が?」
「そうなんですよ!!悪い奴らから私を助け出してくれたんですから
 あのときのあの人むちゃくちゃカッコ良かったですよ!!
 傷ついた私を優しく慰めてくれたし」
「へーー唱吾がね」
「あ....それに私が作った料理をとってもおいしいって食べてくれるんです
 食べてる顔がとっても幸せそうで私うれしくなっちゃうんですよ
 それに私が叱るとシュンとしちゃってでもその顔がまた可愛いし
 それに」
「待って!まだ続くの?」
「えっ、もう聞いてくれないんですか?」
きょとんとした顔の光に律子が笑顔で
「もう勘弁してよ」
「えー、まだまだあるんですけど」
本当に嬉しげな様子でそう言う光の様子を見て律子も笑顔になる
「ありがとう」
「何がですか?」
「弟を、唱吾をこんなに思ってくれて」
律子は光の手を優しく握る。
296展開を予想:05/03/07 00:30:49 ID:xj/dsbOP
「あと、すこしですべてが終わる
 私は自分自身の手で決着をつけるわ」
「律子さん」
律子の顔に強い決意を光は読み取った。
「これがすべて片づいたら唱吾とあなたと一緒に食事でもしましょうよ
 うれしいな、こんな可愛い妹が出来るなんて」
「妹???」
「そうなるかもしれないでしょ?」
『妹ってことは私,,,あれ』今までそんなこと考えたことなかったんだけど。
光は自分で顔が赤く耳が熱くなってきているのがわかる。
「わかりやすいわね。あなた」
「そ、そんなこと」
誰かにも言われたな。『私ってそんなにわかりやすい??みたいよね』
自分でもそう思う。特に唱吾のことでは自分でも不思議なくらい正直に
なってしまう自分がいる。
「もうすぐ試験だわ。行きましょうか」
「はい、律子さん」
律子はおかしそうに
「もう、お義姉さんって呼んでくれてもいいのよ」
「な、何を言ってるんですか!!」
二人の間に笑顔が浮かぶ。初めて出会ったときはあんなにも衝突しあった二
人なのに今笑いあえている。
光にはこのような時間がいつまでも続けばいいと願わずにはいられなかった

297展開を予想:05/03/07 00:32:37 ID:xj/dsbOP
客船のホールはオーケストラが3人のピアニストを待ちかまえていた。
そして中央に3台のピアノ。
そこにつながる音響機器はある種の禍々しささえもっている。そしてそれら
はこの試験の真の審判者につながっている。
ANGEL,DEVIL,GOD、決戦の幕が切って落とされようとしていた。
298名無しさん@ピンキー:05/03/10 21:43:14 ID:9VPllHX6
展開を予想さん、続き楽しみにしてます。
299展開を予想:05/03/13 16:02:21 ID:RABMAfOG
すでにノッティと幸子はホールへ向かい、そして今ワルツと葉音が
ホールに向かっている。
とワルツが小さく鳴き声をあげる。
「誰?」
目が見えない葉音はワルツが吠えた方に顔を向ける
「もう、ワルツたら」
小さく『メッ』とワルツ笑いながら言うと、しゃがみ込む
「光?」
「久しぶりだね。
 うーん、でもあの試験からそうはたってないか?」
光がワルツを撫でると嬉しそうにワルツは吠える。
「葉音、どうかしたの?体、具合悪い?」
光は静かに試験に臨む友を見守るつもりだったが、ワルツに見つかって
いや、葉音の様子に声をかけずにいられなかった。
「なんでもないよ、大丈夫」
葉音はそう光に答えながらも自分を不安にさせるついさっき芯也とのや
りとりを思い出す。
『もうすぐ君のそばから....』と言う芯也に
『試験が終わってもずっと一緒にいて
 もう一度約束して』
芯也と交わした指切りを
それでも不安が葉音を突き動かす。芯也がいない世界を。一人ぼっちで
取り残される不安を。隠しようのない不安が葉音を押しつぶされそうだった
でもそれを口に出し説明することも出来ない
それは誰にもわかってもらえない孤独だから
300展開を予想:05/03/13 16:04:31 ID:RABMAfOG
「なんでもない。大丈夫」
「葉音、ワルツが心配してるよ」
「ワルツが?」
「そうだよ。だからワルツは私のことよんだの」
ワルツと葉音の強い結びつきは光には感じられた。ワルツは葉音のただならぬ
様子を心配して、それで私に助けを呼んだのだと光は感じた
「ごめんね。ワルツ」
葉音もしゃがみワルツの頭を撫でる
「そうだよ。ワルツにあんまり心配かけないで
 それに心配してるのはワルツだけじゃないよ
 葉音の今みたいな顔見たら私だって心配だよ」
「光......」
「葉音は一人じゃないよ
 私は葉音を応援してる。一番に」
「私には二つしかないから?
 ピアノと芯也さんへの思い、だから」
「違う、あのとき確かにそう思った。
 でもね。今は違うよ
 葉音は自分で掴もうとしている。未来を、自分の夢を」
それなのに葉音の顔には強い不安が浮かんでいる
それが光には心配だった
「光」
「葉音は一人じゃないよ」
光は葉音の手を力を込めて握る
「頼りないかもしれないけど、私も力になるからね」
「ありがとう」
葉音もまた光の手を握り返す
301展開を予想:05/03/13 16:06:17 ID:RABMAfOG
「私、そろそろ試験会場にいかなきゃ.........」
「そうだね。がんばって」
「うん」
立ち上がりワルツに声をかけ行こうとする葉音に光は
「葉音、一つお願いがあるの
 幸子に,DEVILには絶対勝ってね」
「どうして」
「それは、あの......その
 唱吾さんにこの試験から降りてもらいたいの
 終わりにしてもらいたいの」
「唱吾さんに?」
「まぁ、説明すると長くなるからさ」
光は恥ずかしそうに鼻の頭をかく
「好きだから?」
「え」
どうして葉音はこうも人の心が読めるのだろう。そう思っていると
葉音は微笑みながら
「光、今顔が赤くなってるでしょう?」
「どうして」
光はさっとほほに手をやる
目の見えない葉音が何故わかるのだろう
「だって、声の調子が変わったもの」
葉音は本当に鋭い。怖いくらいに
でも葉音はポツリと
「私、幸子さんには勝つことも出来るかもしれない
 でもDEVILには勝てないかも」
「どういうこと」
葉音は光に答えようとはせず廊下を試験会場に向かって行く
光には大きな何かをを抱えたまま廊下を行く葉音がとても痛々しく見えた
302展開を予想:05/03/13 16:07:25 ID:RABMAfOG
光も葉音の後をついてホールへ向かう
ホールの端で光は葉音やノッティをそして幸子を見る。
準備はすでに整えられているようだった。
学長の声が響く。今回の試験は「祈り」
「奇跡を起こしたまえ」
水無月奏太郎が告げ、オーケストラの音が響く。
『チャイコフスキー、白鳥の湖か』
ANGEL,DEVIL,GODの決戦には相応しいのかもしれない
光は3人のピアノに神経を集中していく
3人がそれぞれ美しい旋律を刻む。
光も動かぬ指をおして3人の旋律を追う。
確かに3人の音は変わった。単に技量が上がっただけではない。
何か、本質の部分で。
『もう、追いつけないかな』
それは光には淋しい現実だった。
オーケストラとピアノが旋律が光の中に染み込んでくる。
しかし、それは何か違和感を光に覚えさせる。
『何?』
3人の音は、そしてその奥にあるもの、それは光の予想を裏切る
そして強い衝撃を光に与える。
それはノッティが崇高で残酷なGODだったからでも、葉音が
暗い絶望を抱えたDEVILだったからでもない。
幸子が人を希望を支えるANGELだったから
303展開を予想:05/03/13 16:07:57 ID:RABMAfOG

それは唱吾が裏切ったと思っていたANGELを結局は選び取って
いたから、単に歌乃から幸子に移っただけで、決してANGELを
裏切ってなどいなかった。

304展開を予想:05/03/13 16:08:40 ID:RABMAfOG
光の膝から力が抜け、座り込んでしまう
唱吾の本当にANGELを求めている
そしてもし唱吾の前に再び歌乃が現れたら......?
唱吾は決してANGELを裏切れない
私はそのとき.....
唱吾の選択はきっと
305展開を予想:05/03/13 16:56:54 ID:RABMAfOG
光は気分が沈んでいく。その心の孤独に葉音の旋律が沈み込んでくる
葉音の孤独が、暗き不安が染み込んでくる。
光は頭を振り耳を押さえ音を防ごうとするが、それでもあとからあと
から音は押し寄せる。
よろよろと立ち上がり、何とかホールから出て扉を閉める。
光の頬に涙が流れる。
葉音が光に突きつけたもの、それを自分は受け止められるだろうか
不安が心の中をうずめいていた。

光は船のデッキに上がり透き通るような青い空を見上げる。
まばゆいばかりの太陽の陽がさんさんと降り注ぐ。
ここまではオーケストラの音もピアノの音も届かない。
海のきらめきと優しい潮風は光の心に何とか落ち着きを取り戻さ
せてくれる。
306展開を予想:05/03/13 16:58:26 ID:RABMAfOG
あれからどれくらいこうしているだろう。今頃はたぶん決着はついている。
たぶん、「奇跡」を起こす幸子はこの試験には残れないだろう
あのピアノを聞いてわかった。
この試験の意味が、学長のねらいが
あのピアノを聞いてわかった
葉音は言った言葉の意味がやっと分かった。
『DEVILには勝てないかも』
葉音自身がDEVILであったから
その言葉の意味が、重みが、そして痛みが伝わってきた。
『私はなにを葉音にいったんだろう』
抜けるような青空の下ますます気分は沈んでいく
307展開を予想:05/03/13 17:01:30 ID:RABMAfOG
「どうしたよ」
光に声がする方に顔が向けるとノッティがたっていた。
「あんたは?
 早すぎるんじゃない?こんな所にいるには」
「律子さんにピアノの前から引きずりおろされた」
「そう」
「そうって、それだけかよ、感想は」
「うん」
「あーあ、どうしちまったかな。
 オレはただ世界一になりたいだけなんだけどな
ややこしすぎるな。なにもかも」
「そうね」
本当にそうだ。どこでこんなにこんがらがってしまったのだろう
「今日は無事におわりそうね
 律子さんに挨拶して私も帰るわ」
「そっか」
ノッティと光は律子の部屋の前までやってくる
光がノックするが答えがない
「あれ、とっくに戻ってるはずだけどな」
不思議そうにいうとドアのノブを回すとスッとドアが開く
ノッティが部屋の中へ入っていく。それにつずいて光も入
っていくと突然立ち止まってしまったノッティにぶつかる
「なによ。もう」
文句を言うがただノッティは呆然と立ちすくんでいる
光はノッティの向けている視線の先にあわせる
するとすごい悲鳴が聞こえる
どこから?誰が?
それが自分の上げた悲鳴だと気づくのにこんなにも時間がかかるなんて
思いもしなかった。
洗面所の流れ出す水の中に真っ白のドレスを着て顔をうずめて動かない
律子を見たからだった
308名無しさん@ピンキー:2005/03/25(金) 08:37:57 ID:AxnXF6fi
期待age

気づくのめちゃ遅れて申し訳ありません…
309名無しさん@ピンキー:2005/04/04(月) 12:08:10 ID:N3XM8mWH
本スレがなくなっちゃったよう・・・
310名無しさん@ピンキー:2005/04/04(月) 17:47:03 ID:ejupHM0s
ならばここを本スレに!
age
311名無しさん@ピンキー:2005/04/11(月) 22:47:00 ID:Ru9enSO7
懐ドラ板に立てたいよ。
312名無しさん@ピンキー:2005/04/12(火) 21:50:35 ID:rwwNd1mK
それもそうだね。
ならたてる?
313名無しさん@ピンキー:2005/04/12(火) 22:35:06 ID:hgfX4hxd
立てたい。
314名無しさん@ピンキー:2005/05/01(日) 20:24:59 ID:r0mcIC3i
ビデオ見なおしたらまたはまってしましました!!
誰か器一兄さんの話をかいてください!!!
なんでもいいです!!
どんな話でもいいです!!

個人的には、兄弟×器一希望(笑)
315名無しさん@ピンキー:2005/05/02(月) 03:11:11 ID:KZMYw2pN
ホモはいらん
316名無しさん@ピンキー:2005/05/02(月) 13:49:24 ID:cEAzntf0
レズもいらん
317名無しさん@ピンキー:2005/05/10(火) 12:36:14 ID:xTO2FbtZ
取り敢えず展開を予想氏宛てにセクシー光タンを燃料投下。

http://gazoubbs.com/3ji/img/1104776591/477.jpg
318名無しさん@ピンキー:2005/05/19(木) 08:50:20 ID:GQuRWl4+
真っ暗な闇の中にピアノの音が聞こえている。
なにも見えてはいないのにピアノの音だけがはっきりと光の耳に響いている。
『そうだ、この旋律は』
光にはこのピアノの旋律ははっきりと聞き覚えがある。この曲は選抜試験の課
題曲。あの時の曲......。
光の指は自然にその旋律を指が追いかける。
『どうして?』
なぜだろう、ただその旋律が繰り返される。すると徐々に真っ暗だった視界に
徐々に明るさが取り戻されていく。
深く立ちこめた霧の中に旋律を紡ぎ出す自分の姿がテレビでも見ているように
見えてくる。そして周りに立ちこめた霧もだんだん薄らいで周囲もはっきりと
目に見える。
『私だ.....?どうして』
ピアノを奏でているのは他ならぬ光自身だから。
まるで幽体離脱でもしたかのように、ピアノを弾く自分の姿を外か
ら眺めている。本当に不思議な気分だ。
光が旋律を紡ぎ出す指の先には糸が繋がっている。その先にはご丁
寧に錘まで。そうあの時そのままに。
『これってまさか』
光が周囲を見渡すと、視線の先には器一がそして律子もいる。周り
には特Aクラスのメンバーがみんな揃っている。
319名無しさん@ピンキー:2005/05/19(木) 08:51:32 ID:GQuRWl4+
もちろん唱吾もいる。第2回の選抜テストの会場。ピアノがずらりと並びあの
旋律を紡ぎ出している。
『夢....?』
違うよね。これ夢なの?
旋律と共に一人、また一人と脱落していく。
「ねぇーぇ、いつまでやっても同じじゃない。みんな一斉にやめようよ!」
歌乃が言う。
「そうね、みんな同時なら文句はないわ」
聖香が同調する。
「私もそれでいいよ」
ピアノを弾く光の口から言葉が出てくる。
『嘘!皆終わる気なんてないの!止めちゃ駄目!』
光はピアノを弾く自分自身に叫ぶ。しかしピアノを弾く自分には聞こえ
ていないようで、ただピアノを弾き続ける。
「いい。1.2.3!」
歌乃のかけ声と共にピアノの前の光とノッティがピアノを弾くのをやめる
が後のメンバーはかまわずピアノを弾き続けている。
「騙したのかよ!汚ねーぞ!」
ピアノを弾く私は怒鳴るが、歌乃はペロリと舌を出し笑っている。
「能登君、光さんご苦労様でした。試験終了です。」
ピアノを弾いていた光は怒って席を立ち、会場を出て行ってしまう。
そうだった。私はここで出て行ったのに.....
私はここに居なかったのに、幻を見ている私はここにとどまり続けて
いる。試験の行方を見守り続ける。
320名無しさん@ピンキー:2005/06/05(日) 01:44:11 ID:xhZ54lhe
ほしゅ。
321名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 16:40:58 ID:btqhMqUs
ほす
322名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 20:13:59 ID:vV/EvRcG
保守がてら唱吾と光のSM画像でも貼ってみる。

ttp://gazoubbs.com/3ji/img/1117405063/103.jpg
ttp://gazoubbs.com/3ji/img/1117405063/104.jpg
323名無しさん@ピンキー:2005/07/07(木) 06:08:10 ID:qP7SDy5i
  
324名無しさん@ピンキー:2005/07/12(火) 22:09:14 ID:IC9VRQma
   
325名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 18:30:19 ID:rSXN8jN3
保守
326名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 18:39:19 ID:tpBs1GWj
327名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 16:13:55 ID:Q3+ZS9vM
保守
328名無しさん@ピンキー
保守