「メイルシュトロム」発生時に、太陽系内の惑星でもっとも甚大な被害を受けたのは土星だった。
平均気温が約マイナス130℃、密度が0.69 g/cm^3という土星の特質は、
トライアイスの激流の前には風になびく風船も同じで、周回軌道を大幅にずらされ、大気の19%を削り取られ、
当時土星に移住していた開拓民の87%が命を落とした。
傷つき打ちひしがれた土星の民に、救いの手はなかった。
いつかくる救助に希望を託して必死に命を繋いでいた彼らを、相互扶助組織である惑星連合体は「絶望的」の一言で
切捨てた。結局、自力で環境を再建させて土星自治組織の代表者が連合体統括本部に乗り込むまで、
土星という星の存在は「なかったこと」にされた。
トライアイスのエネルギー利用に成功、という手土産を携えて国際社会の表舞台に舞い戻った土星は、
月と並ぶ技術大国として熱狂的に迎え入れられた。だが、その周囲の熱に反して、彼らの心は孤独に冷え切っていた。
未曾有の大災害だったとはいえ、余りにも無慈悲に自分たちを切り捨てた世界。
自らが生き延びるために必死で磨き上げた技術を、無頓着に持てはやす世界。
土星の地獄をくぐってきた彼らにとって、かつての世界はなんとも生温く見え──その温度差は隔絶を生み、
他者を拒絶し、自立を望み、そして戦乱が始まった。
今は昔、西暦2320年の話である。
西暦2332年、8月6日、22:05──土星、ディゲイオス基地。
土星自治政府の防衛力であり、存在基盤でもある軍事組織「ゾーリーン」。
彼らにとって政治力とは即ち軍事力であり、権力とは即ち暴力であった。
「う……あ、はあ」
ゾーリーンの士官のなかでも一握りの高級将校にしか与えられない専用官舎の一室で、
二つの人影がもつれ合っていた。豪奢の極みを尽くした寝台に組み敷かれた女性は、
そこに覆いかぶさる男のなすがままにされている。
だが、それが決して彼女の意にそぐわない行為であることは、苦悶に歪む表情が雄弁に物語っていた。
うつ伏せの体勢で、背中を丸めて耐える女性の熟れた肉体を、その背後から男が蹂躙する。
男が腰を打ちつける度、シーツを握った手が固く強張る。
眉根を寄せ、目尻に涙を滲ませながら、彼女は途切れ途切れに言葉を発した。
「こ、んな……馬鹿なマネをして……ぁ、く……ただ、で、済むと………ふ、う、うぅ、あぁぁっ!」
大きくはだけられた胸元から零れ落ちる乳房を握り締められ、彼女は苦痛に満ちた呻きを上げた。
その乱れた着衣から、彼女が土星ではない政府組織の文官であることが窺える。
男は彼女の痛みにはまるで構わず、自らの欲望を叩きつける。
「や、止め、なさい……」
その言葉で、男はようやく反応らしい反応を見せた。酷薄そうな顔面を笑いに歪ませ、とても楽しそうに呟く。
「やれやれ、月の御婦人は気位が高くていらっしゃる」
言いながら、彼女の腰を抱えてさらに深く挿す。奥まで押し広げられる感触に、女性は思わず仰け反った。
「「や、んんんっっ!! お願いです、止めて、くだ、さい……やめ……く、ぅ」
「止める? 止めてもいいんだが……その前に教えてくれないか?」
痛みに加え、執拗な陵辱によって開いた快感の渦の為に朦朧としていた彼女は、その意味が分からず聞き返した。
「な、なにを……?」
「『ザ・マーキューリー』」
そのキーワードに、一瞬、女性の意識が覚醒する。だが、激しさを増した男の動きを受けて思考の筋は霧散した。
「おや、急に締めつけが増したな。貴女は直に知っているな? ならば私に教えてくれ。
そう、貴女たち月面管理機構が隠蔽してる『ザ・マーキューリー』の所在だよ」
「し、知らない……知り、ません」
その声は弱々しかった。
「ほう? 知らない?」
男は彼女の顎を掴み、体ごとこちらに引き寄せた。耳元で二言三言、何事かを囁く。
すると彼女の顔はみるみる青ざめ、瞳いっぱいに恐怖の色が満ちる。
「な……そんな」
震える唇が男の口で塞がれ、そこに舌が差し入れられる。
「ん……んんっ………っはぁっ……わ、分かりました。言います。言いますから」
「それは助かる。感謝しますよ」
顎に掛かっていた圧力が弱まり、男の顔が少し遠ざかる。
彼女は力ない動作で男から離れようとする。だが、男の腕によって押し留められ、更なる陵辱が開始させられた。
今度は正面から侵入され、彼女のは否応なく男の姿を見せ付けられる。
精悍な顔つきながらも瞳は貪欲に光り、ある種の狂気を感じさせた。
「そ、んなっ……言うっ…言うって……う、ぁ、ああ、は」
「それとこれとはもはや別の問題だよ。月の御婦人」
男は彼女の片脚を持ち上げ、自らの肩に掛けた。貪るように彼女を味わいつくす男に、
彼女は脅えた眼差しを向けることしか出来なかった。
「ああ……とてもいい眼だ」
「くぁ、は、う……あ」
半ば放心状態に陥った彼女の口から、少しずつ甘い響きが籠もりだす。
それに合わせるように男はさらにスピードを速めた。その獣じみた乱暴さに、彼女は墜とされようとしていた。
混濁した意識の中で、自分が絶頂まで昇りつつあることを知る。生理的嫌悪がそれを必死に押し留めようとするが、
繰り返される律動の前にそれはあまりにも無力だった。
「ふ、ああ、だ、ダメ……もう……壊れちゃう……こわ、あ、ああ」
汗ばんだ彼女の首筋に歯を立てて、男はうっそうと呟く。
「私は……壊すのが大好きなんだ」
「ん、んぁ、は……ひっ………ダメ、もう……も……あ、は、あああぁぁぁっっっ!!」
脳裏が真っ白に塗り替えられる感覚に、彼女は訳も分からず男の胸にしがみついた。
身なりを正して寝室のドアを開けた男の前に、敬礼をした軍服姿の少年が立つ。
「トゥールス大佐」
男──トゥールスは少年に軽く頷いてみせる。
「『ザ・マーキューリー』の基幹ユニットは地球だ」
「地球、ですか」
「そう、モルジブの軌道エレベーターの最下層にある」
「了解。ただちに奪取します」
「時間は?」
「跳躍ゲートを併用すれば36時間で地球に到達可能です」
「よろしい。今すぐ向かえ」
「了解」
再度敬礼する少年の視線が、開かれたままのドアへと向く。
その暗がりの奥には、半裸で虚脱状態にある、月面管理機構の派遣した講和調停士がいるはずだった。
「気になるか?」
トゥルースが顎をしゃくってみせるのへ、少年は首を振って否定した。
「いいえ」
西暦2332年、8月8日、11:20──地球、モルジブ。
「スピカぁ……怖いよぉ」
半泣きの同級生の頭を撫でながら、少女は自分も泣いてしまいたい衝動を堪えるのに必死だった。
「大丈夫だよ……大丈夫……」
いったいなにが大丈夫なのか、言ってる本人すらさっぱり分からないが、友人と自身を勇気付けるため、
少女は呪文のようにその言葉を繰り返していた。
(ママ、助けて)
無駄だと知りつつも彼女は、ついさっき別れたばかりの母親に胸中で助けを求めた。
彼岸スピカの乗るエアシャトルに、物々しい集団が乗り込んできたのは10分前のことであった。
スピカの乏しい経験では、それがなにを意味するのか判然としなかったが、
目の前で乗務員が銃で撃たれて死んでしまったあたりから、これはいわゆるハイジャックというやつなのだと理解した。
ニュースなどで見るハイジャック事件の様相を思い出し、その世界に自分が片足をつっこんでいること、
無機質な発声のキャスターが「○○人の乗客が死亡しました」というあのカテゴリに自分が属する可能性に思い至り、
初めて遭遇する死の危険に、スピカは心底から恐怖した。
乗客はそのほとんどがスピカと同じ身分、つまり小学生で、数少ない大人たちも、その引率者であり、
子供たちの身を案じた大人がなんの抵抗もしない以上、スピカたちもあえて逃げたりはしなかった。
そのため機内は平穏が保たれていたが、充満する血の匂いとハイジャック犯の抱える重火器が、
その平穏が長く続くものではないとスピカに教えていた。
外の状況がまったく分からないので、助けが来るのかどうかすら定かではなく、スピカの不安は高まるばかりだった。
母親に助けを求めてみても、本当に助けにくるはずはない、と認識できるだけの客観性は持ち合わせている。
自分一人で武装集団を叩きのめしたりとか、「やっぱ気が変わった」とか言って彼らが引き上げていくとか、
そういった可能性を否定する現実感覚も備えていたので、スピカは絶望していた。
今自分が泣いても誰も慰めてくれないだろうな、みんな自分のことで精一杯だから、という周囲のへ気配り(?)が、
辛うじて彼女を冷静な世界に押し留め、流れそうになる涙を止めていた。
ふと、機内の空気に変化が訪れる。
こちらに銃を向けて威嚇していた兵隊たちが、今まで以上に緊迫した姿勢になる。
まるで、なにか──王者を迎えるような雰囲気だった。
だが、そこに現れたのは、スピカよりも少しお兄さん、といった感じの少年だった。
少年は他の兵隊たちに手振りで合図し、彼らはそれに応えて立ち位置を変える。
まるでオーケストラの指揮者だな、とスピカは思った。
「この機は我々が占拠した。以降は我々の指示に従い、機は土星へ向かう」
と、少年はよく通る声で話し始めた。
「ついては、若干名の人質を残して、あとは解放する」
さざ波のようにどよめきが広がる。少年は銃を高く掲げて、それを制した。
「静かに」
スピカの斜め後ろに座っていた男性教師(スピカの担任である)が、恐る恐る立ち上がった。
「あの……そういうことなら、私が残ります」
「ダメだ」
彼の提案を、少年はあっさり切り捨てた。
「人質は『見殺しにできないもの』が望ましい。そこらへんの一山幾らの大人を見殺しにするくらい、
地球の政府は平気でやってのける。この場合は、女性、しかも若ければ若いほどいい」
そう言って周囲を見回す少年の視線が、スピカの近くで止まり、二人の視線がカチ合う。
(嘘っ!?)
スピカの心臓が早鐘を打ち始める。だが、少し躊躇った後、その視線は外された。
ほっと安堵したのも束の間、少年の視線はその隣、スピカにしがみつく少女のところで固定されていた。
「そこの……君、立って」
うつむいた少女の体はカタカタ震えていた。つつけば泣き喚きそうなくらいに追い詰められた表情は、見るに耐えなかった。
「君だよ。後ろから三番目の列、右から五番目の君。……いや、君じゃない、その隣」
少年の最後のセリフは自分に向けられたものであることに気がつくのに、スピカは少しの時間を要した。
さらに二倍の時間をかけて、いつの間にか自分が席から立ち上がっていることに気がついた。
自分がなにをやっているのか把握できないまま、スピカは上擦った声を出した。
「この子は……牡羊座なの」
む、といった感じで少年が疑問符を投げかける。
「で、あたしは乙女座。『若ければ若いほどいい』んでしょ?」
少年は状況を把握して、少し首をかしげる。
隣の少女も把握したのか、驚きと安堵と心配の混じった顔でスピカを見上げている。
「君、名前は?」
「ひ、彼岸、スピカ、です」
少年はなにか意味ありげにこちらを見ている。隣の兵隊に何かを話しかけ、こちらへと向かわせた。
ああ、あたしったら人質に立候補したんだ、と今更ながらやっと状況を完璧に把握したスピカは、激しく後悔した。
今日はこれだけです。なかなか筆が進みません。まあいいけど。
GJ
続き期待してます
647 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/10(木) 00:47:24 ID:ihqoVzvT
激しいバトルとピンチ希望〜
648 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 23:26:28 ID:DoJaxA38
保守
649 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 00:14:32 ID:NXoXttWX
保守
650 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/02(金) 22:28:43 ID:LNAndIC8
ほしゅ
651 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/12(月) 10:48:32 ID:uTsR4lM6
うんこ食べさせられる展開きぼん
そーでなきゃ駄作確定
653 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 00:29:45 ID:lxWh2fim
保守
654 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 09:26:07 ID:unqvJSAU
未完作品が多いな。イフリーテスやエンジェムルの作者さんは何処?
655 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 16:42:35 ID:MkKoZ+T3
hosyu
母親に限定されなければ、エロ込みロボット戦記書けそうだけど…
>656
ぜひぜひ!お願いします
あの、いちおうスレタイがスーパーロボットに乗って戦うお母さんなんで、
そこははずさないほうがいいとオレは思うけどね。
たとえ誰も書かなくてこのスレ自体が沈没しても、それはそれ。
狭いエリアのアンソロジーとしてここはとても優れてるよ。
だいたいネット上探してもここにしかないし。
ぶっちゃけ、漏れは若いヒロインでこのジャンルをもう少し見てみたい
嫌いではないがなんで母親ものしかないんだろう? フェチ板のスレもそうだが
スーパーヒロインスレじゃ駄目なの?
んーと…以前、
「スレタイにやや沿わないSSを、許可取って貼って、
しかしその後、その事が問題で激しく荒れて、最終的にスレ潰した。」
という過去があるのでやめておきます。
良スレ潰しちゃったら、元も子もないしさ。
てか重複とかじゃねーもんな。
664 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 06:43:26 ID:q3wSaR4B
age
保守
保守
667 :
名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 09:08:57 ID:R9Lg17nW
太陽が登る…
その日の光を浴びながらロウガの旗艦を望む山の峰に純白の機体がそびえたつ、その横には同じく蒼い機体が並び立っていた。
それは風見弥生、速水七瀬両名の駆るシルフィールド、ウィンディーナ。
イフリーテスを上回る巨大な天使の羽を模した翼で更なる高機動性を可能にしたシルフィールド、
ウィンディーナは各種サポートメカと合体することで高い汎用性を得ることに成功している。
「七瀬さん、本当にいいの?」
「ええ、私がファーストで海中から奇襲し敵の注意をひきつけ…隙をついて甲板の真理恵さんの救出を弥生さんにお願いしますわ」
「あんな姿に晒させ続けるるわけにはいかないものね…」
二人の見つめる先にはイフリーテスが先の戦闘でボロボロになった状態のまま十字架に架けられていた。
目の光はなく完全に機能は停止しているようであった。
「真理恵ちゃん…七瀬さん!」
「ええ、いきますよ!!コード、ブルー!アクアパーツ、ゴォ!!」
七瀬がコックピット横のパネルを押し込み音声認識用のコードを叫ぶと地球連合軍極東基地から蒼い塊が地平を割り飛来する。
「ハァッ!!」
ウィンディーナと空中でその蒼い塊、サメを模したサポートメカの影が重なり合う。
サメの頭部が分離し、二つに分かれると肩アーマーになりウンディーナに装着され、さらに脚部に残りのサメの胴体部が合体し、
甲冑を装着した人魚のような姿になり、そのまま海中に飛び込んだ。
すさまじい速度で旗艦まで肉薄しようとするウンディーネ、だが、海中にもまた敵、異星人デスゾックの駒は配置されていた。
デスゾックの使用する一般兵器、小型UFOに足のような推進器のつけられた一見蛸のような機体が海中に何十機と浮いている。
それが一斉にウィンディーナに向かっていく。
シュバババババッ!!
蛸の足のようにうねるその先端から魚雷が同時に斉射された。
総計百発以上にも及ぶ魚雷の群れがウンディーネを襲う、直撃すれば恐らく屑一つ残さず消滅するだけの火力…、
「ふふ…イフリーテスのような攻撃力、シルフィールドのような機動力はないけど…このウィンディーナには!!」
ウンディーナの流線型の魚を模した人魚のパーツが展開したかと思うとそこからミサイル発射口が覗いた。
「三機の中で最大の防御力がありましてよ!!」
そのミサイル発射口が火を噴いた。ミサイルはそのまま飛んでいくと途中で先端が展開、
中から何十発ものボールベアリングが発射されタコ型UFOの魚雷と相殺されていく。
「はぁあああああっ!!せい!!てやぁっ!!!」
浮き足立った敵機体の陣中に突っ込むと手に持った三つ又の槍を縦横無尽に使いタコ型UFOを次々落としていく。
同刻、旗艦デスギャリガンのなかでその様子を巨大モニターで眺める敵の首魁、皇帝ロウガ。
「あれか!?我が弟ガザンを殺したアルテミスとやらは!?」
「いえ、データにない機体ですがおそらくあの赤い機体と同型機と思われます!!」
「そうか…おそらくは…あの女を助けに来たのだろう。もはや無駄だということも知らずにな!!ガハハハ!!」
大笑するロウガの玉座の肘掛のモニターにはデスギャリガン甲板に十字架に架けられているイフリーテスの中の真理恵の姿が映し出されていた。
そこにあった真理恵の姿は…
『ひゅー…ひゅーっ…ひゅふぅ…っ』
コックピットの各所を使って特殊な素材のロープで十字架に架けられて、肌を大きく晒す際どい皮のボンデージに身を包み、
同じく皮の目隠しを架けられ何を見ることも許されず昨晩から着けられたままのギャグをかまされ涎をボトボトこぼし、
子宮と直腸を攻めるディルドーを二穴に突き刺され悶え狂いながら荒い息をつく贄の姿だった。
海面が爆ぜるたびに敵の海中UFOが破壊されていく、それを山陰から伺いながら突入のチャンスを待つ。
旗艦のハッチが開くと通常の空中戦用のUFOが発進される、それらは激しく海面が赤く光るウィンディーナとタコ型UFOとの戦場に向かう。
ぴぴっ、とウィンディーナに通信を開く弥生。
「…七瀬さん、敵UFOが出たわ。そろそろ…いいかしら?」
「ええ!こちら側は私一人で十分かく乱できますので今のうちに真理恵さんを!!」
「了解!!いくわよ…マッハウィング!!」
通信を閉じると機体を一旦上空に飛翔するシルフィールド、バサァっ!!!と翼が開くとその翼の根元にあるブースターが火を吹いた。
「くぅぅぅぅぅぅぅぅ………っ!!」
すさまじい加速がかかる、そのGに耐えながら飛翔する弥生はなんと一瞬でデスギャリガンの甲板に降り立っていた。
「よし…これで後はここでこの敵陣をひきつけて弥生さんが真理恵さんを奪還したら帰還できるわね…あなた、もうすぐ帰ります」
海中を縦横無尽に泳ぎ敵を破壊し続けながらコックピットで軽く息をつく七瀬。
だが、七瀬は気づいていなかった。その機体を狙う巨大な赤い瞳を持った黒い塊が深海からウィンディーナという餌を狙っていたことを…。
一方、突如イフリーテスの十字架の側に現れたシルフィールドに騒然とするデスギャリガンの艦橋
「ば、ばかな!?一体どこから!?」
「なんという加速だ!!!」
「いかん、捕虜が奪われる!」
喧々囂々とするブリッジクルー、そこにロウガの一喝が飛んだ。
「やかましい!!」
「「「「 !!!!!! 」」」」
一瞬で沈黙するブリッジ、ロウガはニヤニヤと笑いながら余裕の笑みを浮かべていた。
「心配するな、今に静かになる」
「……??」
クルーの怪訝な表情を無視して酒をあおるロウガ。その言葉の意味することを彼らはすぐ知ることになった。
『真理恵ちゃん!真理恵ちゃん!?聞こえる!!?答えて、真理恵ちゃん!!』
イフリーテスの肩を抱き、問いかけ続ける弥生。だが、何の返事もない。
そのことに業を煮やしカメラONで通信回線を無理やり開き真理恵の様子を伺おうとした。
『んひゅーっ……ひゅうーっ……ひゅぐぅんっ!!ひゅうう〜〜っ!!』
(ああ……弥生さん……やっと……助かる……あっ、やぁ!動かないでっ!弥生さんの前でこんな姿見せないでっ!)
『っ!!!!ひ、ひどい……こんな、こんなの』
画面に映し出された真理恵の悲惨な姿に対し、涙があふれだし目が潤む。
そして、命を共にした友人に対する淫靡な仕打ちにふつふつと怒りがこみ上げてきた。
「今…今、助けてあげるね!!早く解放してあげるから!!」
イフリーテスを十字に絡めとる手首足首の枷を腰のレイピアを抜き去り砕いていく。
ガシャリ、と力の抜け切ったイフリーテスがシルフィールドに抱き寄せられる。
赤の女神を優しく抱きかかえると、その機体のボロボロの状態に、改めてどれほどの苦痛を彼女が受けたかを思い知らされた。
『んぶぅ……っ、んっ、んひゅぅう……』
(やぁっ……こんなときにイきたくない……っ)
真理恵の甘く身悶える声が耳に届き、一刻も早く淫具を外してあげたいが、敵旗艦の甲板上という敵陣まっただ中にぐずぐずするのは得策ではなかった。
『ごめんね……もうちょっと待ってて……すぐに外してあげるから』
『ひゅぅぅー……っ』
(たす……かった、だけど、一樹を失って私は……)
陵辱からの解放を喜びながらも、最愛の息子を失った悲しみにアイマスクの中の瞳が曇る。
そんな真理恵に弥生は優しく言葉をかけると、レイピアを腰のアーマーに収納して十字架に背を向けて飛び立とうとする。
コォォォォ………ッ
シルフィールドの背中のブースターが白い火をたたえる。
今、まさに翼の女神が飛びたたんとした瞬間……
ザシュッ!
「はひぃっ!!?」
「ひゅぐっ!!?」
コックピットの白いぴっちりとしたパイロットスーツに包まれた豊満な体がビーンっと緊張したように反り返る。
わき腹あたりがパリパリと閃光のショートをあげている。
「あ……ぐ?」
激痛に自分の体を見下ろす弥生、その瞳に映ったのは腹部に突き刺さった愛機のレイピア、そしてそれを突き刺すイフリーテスの姿だった。
「そんな……そんな……なんで……真理恵ちゃ……ん?」
「ひゅうぇ!?ひゅひっ!!??ひゅうう!?」
(何!?どうしたの!?弥生さん!?何が起きてるのっ!?)
視界を完全に遮られている真理恵には何が起きているのかはわからない。
だが、自分が動かしているはずの無いイフリーテスの駆動音が聞こえてくるのが不気味だった。
ズシュウッ!
「はうゥッ!!」
弥生の問いかけへの返答は、腹部のレイピアを引き抜かれることによる激痛だった。
小さく開いた装甲の穴から、赤い血のようなオイルが白い機体を流れ落ちる。
「う……うぅ……」
フラフラと、その機体の損傷を抑えながらたららを踏むシルフィールド。
その友の機体の前に仁王立ちで立つイフリーテス、その手のレイピアがシルフィールドへ飛ばされた。
ザシュゥッ!!
「ッ!!!!!!ヒィぃッ!!」
シルフィールドの足の甲を貫いて、文字通り甲板に釘付けにするレイピア。
激痛に上ずった声をあげる弥生、シルフィールドのコックピットが敵増援のアラートのけたたましい音を鳴らす。
「コ、コウモリ……?」
黒く、大きな羽を広げた邪悪な容姿をした機体がシルフィールドの真白い体に影を落とす。
更なる苦境に立たされようとした彼女の眼前で驚くべき情景が展開された。
その増援……イフリーテスの操縦系統を完全に支配した黒きコウモリ型ロボット、
ヴァンバイガーが頭部、脚部、羽、胴体が二つに分かれて合計五つのパーツに分かれる。そして…
ガキィィンッ!
「ヒュビゥゥゥっ!!?」
ヴァンガイガーの脚部がイフリーテスの腕部に合体した。
だが、イフリーテスにそのような合体システムなどあるはずが無く、駆動系やコントロールの伝達は、ヴァンガイガーのパーツからパイルが飛び出し、
イフリーテスの装甲を突き破って、その配線に無理やり介入して楔を打つことによる侵略だった。
神経を直接切り刻まれるような激痛に真理恵はギャグから大量の唾液を吹きこぼし、鼻水まで垂らして泣き叫んだ。
ガキィィンッ!
「んぎゅあーーーッ!!!」
二つに分かれた胴体は細長い長方形となり、そこに空いた空洞にイフリーテスの細い脚が挿入されて再び打ち込まれるパイル。
ふくらはぎ、ヒザ、すね、踵、足の甲…真理恵は髪を振り乱して痛みに泣く。
ガキィィンッ!
「ひぎゅぅウゥっ!」
自身の翼をもがれたイフリーテスの背中に突き刺さる黒い悪魔のような翼。
そして……最後のパーツが挿入された。
「ひゅーっ…ひゅぅ……っひゅぁああ!!??!?!?!?
むぐぅぅぅ……ッ!おあアアアアぁ………うぶぅ……」
コウモリの頭部が展開したかと思うと上あごの部分がイフリーテスの乳房の部分に覆いかぶさる。
パイルは……その双山の先端に打ち込まれた、これまでとは違ってゆっくりと、ゆっくりと。
乳管にペニスを挿入されているような、あまりの乳房への圧迫感に皮製のアイマスクの中の瞳は白目を向きかけていた。
頭の中で幸せだったころの家族の情景が写真のようにいくつも浮かぶ、だが、そこに黒い墨汁のような霞がかかっていく。
グググググググ・・・ジャキンッ!
「んぶぇッ!!??!?」
乳房の中に進入していったパイルの先が三つに分かれ「返し」を作り出した。
ビクーーーン!と真理恵の体が棒のように硬直する、と、しゃああああああ……と湯気を立てながら失禁してしまった真理恵。
もはや真理恵の頭の中は黒い霞だけが支配していた……。
「なるほど、こういうことですか」
「そういうことだ、くっくっく……地球人同士で殺し合わせるのもまた一興、というやつだ」
先ほどのロウガの言葉の意味を理解し、ニヤニヤとモニターに映る二人の機械仕掛けの女神のこれから起こる悲しき戦いを見守るブリッジクルーたち。
はらり、と真理恵の視界を封印していたアイマスクが剥がれ落ちた。
だが、その瞳にはまったく光が無く、意志の力を見ることはできなかった……、そして、真理恵の頭を支配する霞が命令を下す。
目の前の白い女神を破壊せよ、と……。
シャコォンっ!
ヴァンバイガーの翼の付け根から棒状の物体が飛び出す。
だが、それはイフリーテスの得意としたバーニングランサーではなく黒い刀身を持つ鎌、シャドウサイズだった。
「真理恵ちゃん!?」
ゆっくりと鎌を構えながら近づいてくるイフリーテス、いや、もはやダークイフリーテスと呼んでもよいその機体。
(操られているの…?だけど、ここでやられる訳にはいかない!)
「……っく!んんんんんっ!!!はうっ!!!」
足に突き刺さっているレイピアの柄を手に取ると引き抜いていく。
激痛がゾクゾクと駆け上り、目じりに涙が浮かぶが必死に耐えて抜き去って、イフリーテスに向けて構える。
(三機の中でも最も攻撃力の高いイフリーテス……だけど、シルフィールドの機動性を生かしてあの黒い余計なパーツを破壊すれば元に戻るかも……)
弥生は親友を助け出すために、意を決してブースターに火を入れる。
フッ、とその場から白い機体が姿を消す。このスピードはイフリーテスのレーダーシステムには捉えられないはずの速度…のはずだった。
「く、うぅぅぅぅぅっ!!」
すさまじい加速Gにきしむ体に耐えて、弥生はダークイフリーテスの背後に回りこむ。
まずは、背後の翼部分を破壊して機動性を奪うというつもりだった。
(真理恵ちゃん…っ、ごめんっ!!)
レイピアを両の手で握って翼を斬り落とそうと振り下ろした瞬間、ダークイフリーテスがシルフィールドの方を急に振り向いた。
「そんな!?」
弥生の驚愕の声と同時に、黒い鎌が一閃された。
ヒュウウゥゥゥゥゥンン…………………ガシャッ!!
「ア………ア………アァァァァァァァアァァァァァッ!!!」
レイピアを握った両腕が「人」の字のまま、シルフィールドの肘から下が切り落とされて甲板に落ちていた。
弥生はコックピットの中でだらりと両手をぶら下げたまま泣き叫ぶ。
「腕が…ッ!腕っ!私の…私のうでがぁぁぁっ!!ひぅううっ!痛いッ、痛いッ痛いよぉぉぉっ!」
がくりとヒザを付くシルフィールド、実際に弥生の腕が切り落とされたわけではないがフィードバックされた感覚に混乱し始めた頭では理解できるはずもなかった。
そんな、弥生に夢遊病者のようにふらふらと近づいてくるダークイフリーテス。
「ひ……やめて…やめて…真理恵ちゃん……お願い……ひっ、ぐぅえっ!?」
しかし、その返答は自分をサッカーボールのように扱う鋭い蹴りだった。
「ぐ、お、……うぇぇぇっ……うっ、うぶっ……うぇあ……」
みぞおちの辺りにダークイフリーテスのつま先が突き刺さっていた、潰れた蛙のように惨めな悲鳴を上げて血の混じった胃液を吐き出す弥生。
黄色と赤の混じった液体が弥生の豊かな熟した体を包む真っ白なパイロットスーツに染みを作っていく。
ぐぼ……とつま先が離されると甲板に前のめりに倒れ付すシルフィールド、コックピットの中の弥生もみずからの吐しゃ物の中に倒れ伏す。
「う……あ……」
たった二回の攻撃でシルフィールドと弥生は闘う力の大半を奪われてしまっていた。
コックピットでうめく弥生、だが、邪悪に操られた親友は容赦をしない。
まるで、田を耕す鍬を構えるかのように鎌を振りかぶると……それを、うつぶせに倒れこんでいるシルフィールドの背中に振りおろした。
ガシュッ……
「ぎぁっ!!」
背中を貫通して腹部から鎌が生える。
内臓を刻まれる激痛に弥生の体は大きくのけぞらせ、ビィーンっと強張った腕や足がプルプルと震えている。
ぐいっとダークイフリーテスが鎌を引き抜くと、解放されたかのようにぐったりとロウガの母艦UFOの甲板に体を預けるシルフィールド。
だが……
ガシュッ!……ザシュッ!…ガシュ!ザシュッ、ザシュウッ!!
「ヒィィッ!ヒッ!ヒィィ〜っ!やめてっ!やめ、やめてぇぇっ!ぎぁぁああああ!!」
何度も何度も、何度も何度も何度も何度もシルフィールドを刺し貫くシャドウサイズ。
コックピット内の弥生は体を反らせ、屈めながら激痛に泣き叫ぶ。
時間が全く取れなかったのですごい久々の投下です…。
4月から異動があれば少し楽になるのでこれからはコンスタントに投下したいですね。
もうすでに忘れてしまっている方もいると思います、申し訳ありませんでした。
674 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 13:46:39 ID:ngNUX7vv
イフリーテスキタァーーーッ
イフリーテスというと、エルハザードを思い浮かべてしまう…
おおっすさまじい!!GJです。
登場シーンでかわいらしく指切りをしてたのに、こんなエライ目にあうギャップがすばらしいです。
677 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 13:18:07 ID:gu/tA/Mg
ハードな戦闘&ヤラレがイイ!
続きに期待。
他の作者の皆様も帰還してください!
679 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/20(月) 17:42:25 ID:q4q/oJIp
ほしゅ
680 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 15:00:41 ID:RlQoJLuR
♥
681 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 17:01:14 ID:X4BWLhPb
マジンガー系スパロボもよろしくお願いします
ほしゅ
684 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 01:43:34 ID:5rQq+974
ライガー系のバイオアーマーものも良かった。
685 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 01:47:30 ID:UggJqMOm
誰か・・・
>>685 いることはいるのだけれど…。
保管庫も消えてしまったような。
懐かしいですな。1話しか載ってないが母乳搾られながら悶えるお母さんロボが好きでした