例えば優雅にお茶を──座布団の座り心地、香るブラックコーヒーの苦み、舌にざらつく安物の味わい。
「うあっ!」
「・・っ!」
あまりに鮮明な感触に驚き悲鳴、またも少女がびっくり、いやいや、こんなこと試してる場合じゃないから。
「・・その、手早く解放してくれ」
「あはは、めちゃ楽しそうじゃん」
ぐうの音も出ない。
「ま、確かにきつい格好だもんね。ちゃちゃっと判定しようかな」
「よろしくお願いします」
ああ、頭を下げられないのが残念だ、と思ってさめざめ、溜息でも吐いて気分転換でもしようとしたら目の前にお姉さんの顔、うお、と息を呑んだ時には唇と唇が重なっていた。
柔らかい感触、何事かと狼狽するべきかと迷ったが却下、何故ならお姉さんの頭の向こうの少女の切羽詰った真っ赤な顔を見た瞬間に醒めたから。むー。
顔を離したお姉さんはにっこり笑顔、いやはや意味不明、はてさてどうしたものか。
「・・あーっと」
胡乱げな俺に対してお姉さんは一つ頷く。
「誰かがいいこと言ったね、体を重ねれば全てが分かる」
聞いたことねー、とか言っても無駄だということは分かっているので黙って首肯、もう解放されるんなら何でもいい。まじで。
「はい、あなたも、ちゅー」
んー、と唇を突き出すお姉さんの顔が接近、少女は枕に頭を沈めて必死に回避しようとしている。
おお、どこまで少女の頭は枕にめり込むのか、という緊迫感の欠片もない興味も湧かない光景を見ていると、不意にお姉さんは頭を止めた。
少女との距離、およそ紙一枚分。
「・・・・あなた、キス、したことある・・?」
息のかかる距離、お姉さんの声は少女の震える唇の隙間から入って口の中へ、じゃなくて耳の中へ、少女は涙目で「・・・・・・ない、です」と小さな声。
「・・・・・・ふーん」
「・・あ、何か思いついた」
って、いつの間にかお姉さんの表情から何かを読み取れるようになってしまっている。
何故か凄い落ち込むがお姉さんは無視、少女から顔を離して俺を見て微笑、うわ間違いなく巻き込まれる、という俺の考えは正しくて、お姉さんは少女を抱き起こして微笑、微笑。
「なかなかねー、想像にも限度があるのよ。たまには体験しないとね」
「・・・・はぁ」
異論は議論に発展する前に笑顔で黙殺されるだろうから適当な相槌で場を流す。
そして流れた場というものは極地だった。お姉さんはおもむろに簡単に俺のズボンを脱がして微笑、一瞬で顔を真っ赤にして目を見開く少女を無視してトランクスも脱がせた。露になるは俺のだらしな
いもので、お姉さんの笑みが濃くなる。
「・・えーっと、何故に?」
「判定よ、判定」
それって嘘ですよね、と訝る俺のまだ柔らかいものを指先で突付く。顔は隣の少女に向けられている。
「ねえ、これ、見たことある? ないでしょぉ」
しかし残念無念、少女は目をぎゅっと閉じて顔を逸らしているので硬くなる俺のものを見ていない。
「あ、ほらほら、おっきくなってきた。見ないの?」
「・・・・・・・・!」
少女は頑な、一向に俺のものを見る様子などなくて、そうする間に俺のものは膨れ上がって最高潮の硬さへと発展した。
「んふふー」
脳内変換に誤差が生じそうな笑い声、それを発しながらお姉さんは少女の肩を掴み、どうするのかと思いきや俺の腹へと倒れ込ませた。
「きゃっ」
短い悲鳴、驚いた少女が目を開けば目の前にあるのは俺の反り返ったもの、再び悲鳴。
「きゃぁっ!」
「・・・・・・・・・・」
うん、まあ、後者の方が驚くのは分かるが複雑な気分、それを知らずお姉さんは悪戯に笑っている。ああ、夢も希望もない。
「初めて見たぁ? ほら、目、開けて」
お姉さんは少女の頭を持ち上げて俺のものに接近させる、うわこのままだと、とか思うがお姉さんに躊躇なし、頭をぐいぐい寄せてくる。
「や、やぁっ」
さすがに異変と立ち向かうためには視界が必要、しかし目を開けた少女の目の前に迫る俺のものを回避する方法は俺にも分からない。
少女の唇が側まで寄って息がかかる。それだけで背筋がぞくっとなるが、お姉さんは当然、それだけでは許さない。
「はぁい、もうちょっとだよ。ほらほら、唇、突き出してー」
迫る唇、少女は頬を強張らせて拒絶反応、お姉さんノリノリ、俺はどうにも複雑な心境、いや気持ちいいのは好ましい上に判定も済むなら願ったりだが嫌がっている人を無理やりに、というのは気持ち
的に昂らないものがある。
はっと天使な彼女の舌打ちする顔が思い浮かぶ。ああ、彼女はどうしていることか。
そんな回想も打ち消す刺激、うわっとなれば少女の桜色の唇は俺の先端に押し付けられていた。
「はい、初きっすー」
「・・・・・・っ!」
ぐに、と柔らかな唇が形を変える。うわあ、やっちったー、と非難がましい顔をお姉さんに向けるが無視、もう無視こそお姉さんの基底概念なのではと疑るというか確信、俺は溜息を吐く。
なるほど、天使な彼女の溜息の物真似もいいかもしれない、いい具合に色々なものが吹っ飛んで妥協を容認できる・・・・いやいや、駄目じゃん。
「ほらぁ、どう? ほらほら」
お姉さんは少女の頭を掴んでゆさゆさ揺さぶる。少女の唇が先端を擦って至極、しかし少女の嫌がる顔が罪悪感。
ああ、いかなるものか、遺憾なるものか。俺にはどうしようもないんだ、許してくれ。そんな軽薄な謝罪を繰り返しながらも視線を逸らせないのは男の業に違いない、と自分の悪趣味を全ての男に当て
はめて一安心。
「ほらほら、あーんして、あーん」
もはや少女に同情してしまいそうだ、お姉さんは頑として口を開こうとしない少女の太腿に手を這わせて無造作にスカートの奥に手を入れる。
「・・ぁっ!」
驚いた少女の口から声が漏れて、そうなれば口が開いて押し付けられていた先端が入り込み、そこをお姉さんが後押し、というか頭を押して一気に半ばまで銜え込ませた。
生温かい感触が皮に触れて快楽物質が脳内で分泌、だが少女が不憫でならん、まじで。
「・・・・ぅ、ん・・!」
苦しいのか唇を窄めている少女は眉を顰めて呻き声、喉の震える感じや口内の粘膜が張り付く感じは快楽物質多量分泌、うああ、とか思いながらも目を離せない。
「んふふ、ほら、舌を動かして・・ねぇ」
お姉さんは一人暴走、というか独りよがり、独断専攻、少女の後頭部を押して根元まで含ませ、抵抗して少女が頭を上げれば再び後頭部を押す、その繰り返しは少女の唇が皮を扱く行為と同じで、更
には口内を熱い息が行き交っていて、俺のあれは刺激に震えてしまう。
そこにお姉さんの手、指の長い手があれの根元についている袋を揉んでいよいよ降参、いやいや我慢。
「・・もっと、ほら、唾を溜めて・・」
お姉さんは少女の苦しそうな顔、その頬に舌を這わせながら囁いている。
「・・ぐっ、ん・・! ・・ぅ!」
少女はといえば喉の奥から声を漏らすだけで、時たま苦しさのあまり歯が当たる。それが刺激になって快感、俺は変態かよ、いやいや違う違う。
ぐっと堪えて深く息を吐いて落ち着きを取り戻す、それもお姉さんの舌が彼女の唇を舐めると同時に棒に触れたところで決壊する。うああ。お姉さんの舌は根元と袋の境目を這いずって快楽、少女の唇
が上下に動いて扱かれて悦楽。
「・・・・・・ああっと、出す時は、ちなみにどこに?」
まさか床に出せとは言われないだろうと思いながら質問、お姉さんは袋を揉みながら明るい笑みを見せる。
「彼女の口の中ぁ」
「・・・・そうですか」
今、あからさまに少女の口が強く窄められて窪みの部分に歯が当たったのだが、なるほど、どうやら俺に選ぶ権利はないらしい。
「・・・・・・あー、ごめん」
それしか言えない、ほんと申し訳ない、しかし俺が悪いんじゃない、お姉さんが悪いんだ。
そのお姉さんの口が袋を銜えて内部で蠢く玉を舌で突付いて、俺のあれが大きく震える。それに驚いた少女の頭が引かれて、窄められた唇が先端の丸みを帯びた部分を擦った。
「・・だぁ、ごめん・・・・!」
もう、それしか言えない。
俺のあれは過剰なほど震えを起こして射精、精液が袋を駆け巡って棒状の下から上に駆け上り、一気に先端から吐き出されていく。
「っ! ・・んん、ぅぐ・・!」
ああ、申し訳ない謝罪の連弾、精液は大量に吐き出されて少女の唇の端から白く濁った液体がこぼれ出た。
「口の中、一杯になった?」
そう言いながら、お姉さんは少女の口から溢れている精液を舌先で舐め取る。
刺激、その一言で全て解決できるような、全身の産毛が立つ感覚に襲われて俺は深く息を吐く。まるで快楽の全てを吐き出すような快感、俺はひたすら、少女の口内の感触とお姉さん
の舌先の感触を感じて体を震わせる。
うあ、最高に気持ちいい。
全身の力が奪われていく錯覚はやがて途切れた。それと同時にお姉さんの手の押しがなくなって、少女が頭を上げる。唇が俺のあれから離れる際、精液が糸を引いた。苦しそうな表情
と精液の淫猥さを思い知りながら嘆息、お姉さんが未だ精液に濡れている先端を舐めて体が震える。ああ。
「飲まない方がいいよ。喉に引っ掛かるから」
そう言ってお姉さんは少女と口付け、ぼうっとしている少女の顔は幼いながらも性的な魅力を見せた。お姉さんの喉は蠢いて俺の精液を飲み込んでいるらしい、喉を何度も動かしてう
っとり、唇を離せば深く深く息を吐いた。その息で少女とお姉さんの唇を繋いでいた唾液か精液の糸が途切れて消える。
「はー・・あはは、何か久しぶりに生っぽくて楽しかったぁ」
そうですか、少女は目から涙をこぼしてしゃくり上げていますが、そうですか、と射精の余韻の消失とともに広がる罪悪感を覚えながら溜息、溜息、なるほど使い心地がいい。
しかし俺の気持ちも少女の心情も顧みることなく考えることなく、突っ走るお姉さんは笑顔を絶やさずティッシュで俺のものを拭き、そして少女の口からこぼれている精液と唾液を拭
う。
行為の終了、残ったのは俺の罪悪感と少女の涙とお姉さんの笑顔。どうにも比重に差があるような気がしないでもないが、それはともかく俺には聞くことがある。
「・・んで、自由にしてもらえるのか・・?」
これで駄目ならかつてない力を発揮できそうだ、と危ぶむ中、お姉さんはにっこり笑顔で大きく頷く。
「そだね、面白かったし、うん、いいよ。二人とも、合格ー」
「・・・・・・そう、ですか」
何故だろう、合格したのに殴りたい、いやいや女性を殴るのは最低最悪、でこぴん、又は頭突き、それら選択肢を思い描きながらも拘束が解かれて俺の口から漏れるのは安堵の息、少
女も取り敢えずは涙を涸らした。
「・・・・あっと、ごめん、本当に・・」
「・・・・・・・・いえ」
そう言う少女の声は小さくて凹んでて、うあ、俺が凹むよ。
「あははは、楽しかったー。あ、そだ、家は空いてるとこを探して勝手に住み着いていいよぉ。食べ物とか、そういうのはないから。なくても平気だから。精々、想像に励んで充実した毎日を送ってね」
うふ、と片方の目を閉じて魅力的態度、しかし俺から漏れるのは溜息ばかり、なるほど天使な彼女の心意気というか心情が分かったような分からないような、ともあれ俺は晴れて自由の身、扉に向かう。
「・・んじゃ、俺は失礼します」
「・・あ、私も・・・・」
俺の後に少女が続いて、お姉さんのひらひら振られる手を背中に受けて家から脱出、拘束から自由へ、外は普通の町並みで面食らった。
「・・・・・・はぁ」
まだ顔の赤い少女の口から漏れる溜息、なるほど理由も分かる、普通の格好した人らが歩いている道路、見慣れたマンションの壁、家、それらは俺の倫理や常識から何ら外れることがない。
「・・・・・・・・取り敢えず、家を探すか」
呟いた俺の手に温もり、怪訝になって隣を見れば少女が真っ赤な顔を俯かせて俺の手を握っている。
「・・・・・・不安、なので・・・・」
「・・・・なるほど」
「・・・・・・しばらく、一緒に暮らしませんか・・?」
「・・・・・・あー・・・・」
なるほど、とは言えない。
いやはや人の気持ちは分からない、感情は意味不明の連続、俺は少女の頬を見ながら空いた手で後頭部を掻く仕草を見せる。
「・・仲良くしますか」
「・・・・・・はい」
よし、取り敢えずは家を探そう。
俺は溜息を吐いて周囲をぐるりと見渡した。
終わり。
GJ!!
毎度すごいな。
普通に読み物として面白いぞ
すばらしいです、GJ!
「あー」も主人公の口癖と割り切るとあんま気にならんな
GJ
すげぇー!
続きを是非・・・
大名?大名なのか?
670 :
名無しさん@ピンキー:04/11/21 08:43:20 ID:V9GR8zOX
ほしゅ
良スレ発見〜
hosyu
早く新作が読みたいよ〜
674 :
3話:04/11/29 20:44:06 ID:DPOm3SaR
疾走も失速、取り敢えず神様の前に立った俺は完全に引いた。
「・・あ、え、なに? 言葉次第では地獄に落とすぞ、おい」
年の頃なら少女と同じぐらいか、釣り目と黒髪、果たしてワックスの力なくしては有り得ない棘のようになっている髪の毛、それに髑髏がプリントされたTシャツとジーンズ、おいおい間違いなく阿呆丸出
しの女子高生だろう、とか思うが神の間というプレートの掛けられたマンションの最上階の部屋の中にいるのだから、神様なのだろう。
神様、神様、神様、駄目だ三度唱えても信じ込めない。
「・・・・あーっと・・その、ほんとに、神様?」
「あん?」
低めの声は勘違いでなく俺を脅迫、ソファに踏ん反り返る神様を突っ立ったまま見つめる。
「不届き者が、死ねよ馬鹿、ったく、頭でも吹き飛ばすか? くそ」
おいおい、口悪すぎだろう。ナチュラルに傷付いたぞ。とかいう問題は些細というか眼中にもないらしく、神様はわざとしか思えないほど捻くれている目で俺をためつすがめつ見ている。
普通のマンションの一室、窓の向こうに広がる景色は青空、何か現実感がひしひしあって死後の世界とは考えられんが、まあ悩んでも仕方がない。
「・・んで? 何の用で来たんだ?」
「・・・・・・いや、ちょっと野暮用で・・・・」
鋭い視線に言葉も濁る、何しろ神様は舌打ち連弾で苛々の募りを表すように肘掛を指で連打、もう俺の言葉なんて聞く気もねえよと言わんばかりだ。
しかし、しかし言わねばならない、俺は少女の悲壮な顔を思い出す。
「・・・・ここ・・ってか、天国か、天国って、想像力だけで暮らしていけるんだよな?」
「・・・・・・ああ。んで?」
「あー、その、想像力に乏しいというか・・・・まあ、うまいこと想像できない子がいて、何か悩んでるんで、神様の力でどうにかできないものかと・・・・・・」
恐る恐るおっかなびっくり、まさか本当にいきなり頭が吹っ飛んだりしないよな、などと首の後ろに寒気を感じながら提案、神様は腕を組んで右腕の二の腕を指先で叩く。
「・・生まれ変わりってことか?」
静かな言葉に否定反応で応える。
「いや、そうじゃなく・・天国にいるのはいいんだが、想像力がないと厳しいとか・・だから簡単に想像できるようになりたい、と」
やはり本人でないと本人の悩みは鷹揚に語れないものだな、と全く不必要な納得をしながら発言、神様は比喩でも暗喩でもなくカーペットの敷かれている床に唾を吐いた。
「馬鹿が、我侭だろ、そんなの。生きてる間に想像力を養わなかったそいつが悪い。死ね。地獄に落ちろ。くたばれ。帰れ」
「・・・・・・あー、なるほど」
何か最後の言葉は俺に向けられている気がしないでもないが、誰にでも勘違いはある、俺にだってある。
さて、まさか神様を説得することが斯様に難関だとは想像もしていなかったが、さりとて背中を見せるわけにもいかない。帰ることで責任が生じるわけではないが、後味の悪さが発生してしまう。
「・・・・その、無理、ですか?」
「無理だよ。いや、あたしの気持ち的にも無理だが、力的にも無理だ。あたしの力は創造するだけ、それ以外は対象外。土瓶や世界や男や女や大地や雲や水溜りを作ることはできても、それらの辿る運
命やら精神的なことには拘われん。無理」
きっぱりはっきり明快爽快気分は暗鬱、あっさり言われて気分が重たくなる。
はてさて、どうしたものか。
「・・うー・・今まで、その、上手いこと想像できんって人がいたと思うんだが、そういう人らの末路は・・?」
神様はちらと天井を見てから俺の視線を貫く。
「輪廻転生、生まれ変わりだな」
「・・・・左様ですか」
なるほど、つまり生きてる間に想像力を磨かなかった人は、死んで天国に来たとしても生まれ変わるしか道がない、ということか。
そうなると、悲哀な顔をさせれば天下一品、護ってやるぜと叫びたくなる少女も、ここでは生活することすら難しい、というわけか。
「理解したか? なら、帰れ。あたしは忙しいんだ」
しっしと手を振られて俺はすごすごと背中を見せて歩き出す。例えば神様の傲慢さで無理と言われれば説得の道もあるが、根本的に無理と言われれば致し方ない、俺にできることはない。
せめて少女が悲しまぬよう慰めて、尚且つ生まれ変わりの素晴らしさを空々しさ満点で披露して、その空想物語でくすりと笑わせてあげよう。
俺にできるのはそれぐらいだ。
そう決意して帰宅、十二階建てのマンションの三階の八号室、エレベーターを降りて曲がって突き当たりの扉を開ければ、室内灯の黄色い光が俺を出迎えた。
「えーっと、帰りましたー」
スリッパを履いてフローリングの床をぺたぺた、リビングに顔を出せば少女がテーブルに頬杖をついて溜息を吐いている。うあ。
「・・あ、お帰りなさい、です」
上がった顔は憂鬱に悲壮、少女の顔を最大限に引き立てている。
「・・・・えーっと、はは、うん、ただいま・・」
取り敢えず少女と向かい合うように椅子に座れば、流れるは沈黙、明らかに俺の言葉を待っているのか静寂が責め立ててくる。
覚悟を決めろ、こここそが俺の正念場、まずは考えをまとめるために目を閉じる。
暗闇の中で浮かぶは単語の数々、それら単語を繋ぎ合わせたところで辿り付くは少女の悲壮な顔、はあっと失望の溜息が俺を残念な気持ちにさせる。
いやいや、違う、そうじゃない。
俺は少女を楽しませるんだ。一緒に天国で暮らすんだ。
よし!
「実は──」
勢いつけて疾走、どうにでもなれ、と話し始めようとして少女が顔を上げると同時に、インターフォンの間延びした音が鳴った。
「──だぁっ!」
挫けた言葉に苛々、びくっと表情を歪めた少女にかろうじて笑みを見せて「ちょっと待ってて」と言って立ち上がる。
少女は小さく頷くが、表情にあるのは不安のみ、早くも俺のもたらす言葉から絶望を感じ取っているらしい。ああ、と思いながら玄関に向かい、うるさく鳴るインターフォンに舌打ちしながら扉を開ければ
、神様が仏頂面で立っていた。
「・・な、何用・・?」
自然と引き攣る顔は俺の正直さを表している、と無理やりに好意的な解釈をしてみるが、無理があったらしい、神様は舌打ちを放って顎で俺に『どけ』と指図する。
はいはいと脇に避ければ神様は土足のまま上がり込み、ずんずんと臆することなく遠慮もせずリビングに降臨した。
「・・あ、あの・・・・」
見知らぬ誰かに呆然となっている少女と神様の対面、はわわっとなる俺の目の前で何が展開されるのか、知るは正に神様のみ。
「今から審査するぞ」
「・・・・・・・・は?」
見事なハーモニー、俺と少女の声が綺麗に被って何故か照れた少女が頬を染めて俯く中、神様は不敵に笑って先程まで俺が座っていた椅子に腰を落ち着ける。
審査・・・・・・それは恐らく俺ではなく少女に向けられたものだろうが、一体どのような内容なのか、気にする俺を焦らすように神様はテーブル上の蜜柑を手に取った。そして皮を剥いて半分に割って更
に半分に割って更に半分に割って、八分割された一つを口に含んで不機嫌そのものの溜息を吐く。
「・・・・蜜柑ってこんな味だったか? ・・何か苦いぞ」
それは舌がおかしいんですよ、という言葉を本当の寸前で呑み込んで息を吐く。
しかし蜜柑が苦いとは、なかなか聞かない感想、はてと思っていると少女の切迫した表情が目に入る。
「・・? あ、と、どうかした?」
「え・・あ・・・・」
少女はびくりと体を震わせ驚愕、額に汗を浮かべて空気を飲み込む。
「ん?」
さしもの神様も異変に気付いたのか、本人は怪訝なつもりなのかもしれないが傍から見れば脅迫としか思えない目を向ける。
いやはや、純粋に恐いから、と思いながらも言えないもどかしさ、それはともかく少女は俯き、目を閉じた。
「・・・・? ・・どうした? あたしは見た目は恐いかもしれんが、これは世話係の趣味で、本当は滅茶苦茶優しい上に笑顔が素敵だぞ」
「・・・・・・・・・・」
ああ、ああ、嘘ばっか! と叫びたいが、言ってしまったが最後、どうなるか分かったものじゃない。ああ、ああ!
心が七転八倒を繰り返す最中、唐突に不自然に、神様がテーブルに頭突きを食らわせた。
「おぉっ」
少女の緊張を解すための捨て身の一撃か、と感動する俺を置いて少女が露骨に申し訳なさそうな顔を見せる。
ん? 何かがおかしい。神様の顔を覗いてみれば、表情は悔しそうに歪み、今にも怒声を発しそうな雰囲気をあらん限りにしている。
「・・・・・・あーっと・・え・・?」
何かしら作為的なものを感じて少女を見れば、少女の目には涙が溜まっており、その目が俺を捉える。
「・・・・あー・・え、何かしら理解を超越した展開になってるが、もしや、君が・・?」
「・・・・・・・・はい」
少女は深く頷いて、転がる蜜柑の実を手に取る。
「・・・・・・これに、麻酔薬を・・」
「・・・・・・・・え、麻酔薬?」
絶句という選択肢を初めて体感したのも束の間、俺の言葉に少女は重々しく頷き、ひしと熱意に満ちた視線を見せた。
「・・・・だって・・一緒に住んでるのに・・それなのに、想像ばっかりで・・・・私なんて、いてもいなくても同じで・・だから・・・・!」
「・・・・・・だから?」
「・・だから、動けなくして・・・・・・既成事実を・・」
瞬間、少女の顔がぼあっと赤くなって、言葉も語尾を濁す。
なるほど、つまり・・・・・・少女は俺とやりたかったわけか! というのは勝手な勘違いで、少女は単に、必要とされないことに不満を感じたのだろう。それで麻酔薬を仕入れて俺を拘束、その俺と無理や
りに強烈な接触を持つことで、想像と戯れる俺の根底を壊したかったのだ。
違うか? いくら想像を体験できるといっても、やはり心まで掴むことはできない。なので俺に少女の詳しい気持ちは分からない。
だが、考えることはできる。考えて解答を模索することはできる。更には模索をぶつけることで反応を窺うことだってできる。
「・・・・・・悪い・・あー、鈍いってか、馬鹿で・・・・でも、俺は、君のことを蔑ろにとか、そういうんじゃなくて・・・・そうじゃなくて、好きだから・・・・・・」
そう言うと少女は顔を真っ赤に染めて目をまん丸にする。それでも俺の言葉は止まらない。
「・・ほんとに、なんていうか・・うん、まあ、死んだ仲っていうか・・・・変な仲かもしんないが、それでも・・・・・・」
それでも俺は、少女のことを大切に思っている。それは詭弁や慰めの言葉ではなく真実で、だからこそ言えるのであって、だからこそ本当なのだ。
潔癖なる真実の思いを告げ終えると、少女は目の端に溜めていた涙をこぼし、それから薄弱としている笑みを浮かべた。
「・・・・・・うん、ありがとう・・・・」
一体、何に対する礼なのか。
それは定かでないが、明らかにする必要もない。果たして不明の魅力、未定のまま保管されるのが最も幸福、そうして頷く俺と少女の間に確かなる絆が生まれかけた時、神様が呻き声を発した。
「・・・・・・・・おい、馬鹿馬鹿しい展開はいいから、早く解毒剤を用意しろ・・さすがに、万能の解毒剤なんてものは想像もできなければ創造もできん・・・・」
顔も上げずに薄弱と強気に呻く神様に視線を向けて困った顔を少女に見せる。少女は同じく困った顔、はにかんだ面持ちで途方に暮れる。
どうやら解毒剤なる万能薬は存在しないらしい。
「・・・・・・さて」
どうしたものか、懊悩も束の間、ともあれ神様がテーブルに頭突きした格好では忍びない、腰を掴んで両脚の膝裏に腕を入れて持ち上げる。
「・・・・おい、触るな、殺すぞ・・」
などと言われたところで神様の力は全く皆無、だらりと垂れ下がった腕や脚は重たくてソファーに運ぶだけでくたびれた。
そんな感じで神様を真っ赤なソファーに寝かせると同時、少女が立ち上がる。何かと思いきや少女はソファーの側に立ち、真摯な目で俺を見上げている。
「・・・・・・あの」
「・・はあ」
何を言うのやら、何故か本能が警戒を促す不思議に耐えつつ怪訝、少女はちらと神様を見下ろす。
「・・・・ストレス、だと思うんです・・・・」
「・・・・・・はあ」
「・・発散、させればいいと思うんです・・」
「・・・・はあ?」
つられて神様を見下ろせば、釣り目の凶悪、少女の視線から何かを察したのか殺すぞと言わんばかりの顔をしている。
ああ、この場で彼女は神様なのですよと告げてあげるべきなのだろうか、しかし今更、尚且つ奮い立った少女の腰を折るような真似は、ああ、と悩む間に少女は神様の頬に指先を当て、頬の柔らかさ
を試すように突付いている。
「・・・・・・おい、この馬鹿女を止めろ・・」
「・・・・・・えっ? あー・・んー・・」
そこで話を振るなよ! という感じだが、さて、どうするか。
「・・・・・・・・・・」
力の入らない神様は仰向け、横向けた顔も動かせず目だけを俺に向けている。その顔はやはり筋肉の弛緩から来る影響か、本来の面立ちそのまま、素の顔なのだが、その素の顔が釣り目で細い目
という恐いものなので見ているだけで低頭しかねない。
一方、少女は不安と不満と解放への希望と俺への期待で複雑な色を見せている。ここで止めれば、間違いなく関係性が破綻しそうな、危うい気配と緊迫した雰囲気がひしひしと感じられる。
そんな沈黙が静寂を彩る空間、そこに俺の一言が求められれば、言うべきことは一つしかない。
俺は誠意の込められた視線で神様を見つめ、口を開く。
「・・・・まあ、うん、はは・・」
言葉は出なかったが、少女の肩を優しく叩いてあげれば、後はもう野となれ山となれ、少女は複雑な面持ちのまま頷いて行動を開始した。
「・・・・・・殺す」
はは、何も聞こえない、うん大丈夫、と心を落ち着けることに必死で何も言えない。
しかし少女は強い、本当に爆発しそうな空気の中、恥ずかしそうに頬を染めてスカートを下ろす。露になった水色の下着は当然とばかりに膨れていて、少女が下着を下ろせば、俺のものよりは細さの
あるものが姿を現した。
「・・・・・・・・・・」
沈黙は強がりか、神様の顔が一瞬だけ恐怖に歪んだ気がするが、少女はそれに気付いた様子もない。
少女は震わせているそれを神様の顔に近付け、躊躇もなく、薄紅色の唇に押し付けた。
「・・・・・・く・・」
無抵抗の唇に押し付けられたそれの感触に神様の表情が変わる。変わるといっても、より目付きが厳しくなり、全ての力を振り絞るような懸命さで唇を閉じるぐらいだったが、いや俺にしてみればそれ
だけで物理的な破壊力すら生まれそうだったのだが、変に鈍い少女は気付いていないのか、それとも先端に触れる柔らかみに恍惚となっているのか、頬を朱に染めて熱に浮かされたような顔をしている。
まあ・・・・・・さもありなん、実際問題、俺も少女の唇にあれを触れさせた時、確かに強制ではあったが腰が砕けるような心地を受けた。
それは抵抗している相手に行っているという背徳感、そこに負荷される屈服感など、負っぽい感情のない交ぜが生み出す一種のトリップ、我を忘れる衝動でしかないのだが、初体験の少女にそこまで
悟ることは難しいだろう。
現に少女は、棒の根元を小さな手で操り、神様の唇、上唇に下唇、その隙間など、ありとあらゆる箇所を犯している。
「・・ぅ・・く・・・・」
神様はといえば、抵抗ははかどらない、かといって受容するには屈辱的、その狭間で思い悩んでいるのか表情は渋面、それでも隙間から一気に押し込まれないように小さく首を振って耐えている。し
かし、その首を振る動きで、少女の先端が唇になぶられ頬を赤く染め上げていっているのだが、恐らく両者ともに気付いていない。
少女は中腰だったのだが、その姿勢を維持することに限界を感じたのか、不意にソファに上がりこみ、神様の胸を跨ぐ格好で安定、両手で神様の頭を上向け、唇に先端を押し当てる。
「・・・・くっ・・」
漏れるは神様の悔しさ、その気持ちも男ながらに分からないではない。
もはや立場的に一目瞭然、それほど少女は神様を犯す立場にいた。
少女は先程からやや息を荒くしている。あたかも長距離疾走の後の気だるい溜息の連続のような吐息の音が響く中、少女は神様の唇に先端を押し付け、神様が拒むものだから狙いが逸れて先端で
頬を擦ったりしている。少女のものは僅かながら神様の唾液に濡れていて、そのため、逸れれば神様の頬に微かな唾液の跡が残った。
さすがに淫猥、とまではいかないが傍観者として背徳の念を感じるものは多々ある。それは自然の摂理、忘却もできない浮世無常、さながら避けられぬ衝突、淡白に言えば色気か色香に中てられて
立ってしまったわけだが、この場合はどうすべきか。
一人で想像の世界にでも逃げ込むか、と思案する俺の袖を引っ張る感触があって、ん、と顔を向ければ少女が伏し目がちに俺の膨れているズボンを見ていた。
「・・・・・・一緒に、します・・?」
素晴らしい提案ですね! と食い付けば恐らく確実、神様の突き刺す視線が向けられるのは目に見えている、いやいやと苦笑しながら欲望を飲み込んで回避。
ただ、その回避も、いつの間にやら神様の口を無理やりに広げて奥まで入れられている少女のもの、更には神様の悔しそうな顔を見た瞬間、回り込まれて逃げ道封鎖、行き場を失って立ち尽くした。
「・・・・・・あー・・と」
引っ張られるように足を踏み出せば腰のすぐ前に神様の顔がある。
有耶無耶の迷いも閃き、少女が腰を引くと神様の口から細めのそれが出てきて、伸びた唾液の糸は神様が咳き込むと揺れて千切れた。
「・・・・は、ぁ・・殺す、絶対殺すぞ・・」
恨みがましい神様の目は、気付けばチャックを開けて取り出していた俺のものを睨んでいる。
「・・あ、いや・・その・・・・まあ、うん、ごめん」
素直に謝ることが大事と誰かが言った、そうして腰を前に出せば、膨れている先端が神様の唇に触れる。
唇に塗られた口紅が口周りを仄赤く汚していたが、気にせず腰を前後に揺すれば、棒状のものが唇を滑って生温い刺激が走る。抵抗から唇を閉じようとすれば棒の部分を挟まれる感触に襲われ、背
筋が粟立った。
「・・あ、私も・・・・」
少女が神様の頭を持ち上げると同時に腰を引き、一息つく。しかし神様に息を吐く余裕はなく、仕方なくだらしなく開いた口に少女のものが入り込み、目元を苦しさに歪ませた。
う、と心が痛むが何のその、少女は銜えさせたまま腰を止めて俺を見る。
「・・・・・・一緒に・・・・」
「は?」
素直に疑問、疑惑の反論、?の乱舞、どうしたものかと怪訝にする俺を鼓舞するごとく、少女は神様の唇、端っこの隙間に指を入れて、ぐにぃと口を開かせて大きな隙間を作った。
いやはや俺のものも入りそうな隙間、しかし神様の口は無限大ではない、有限の美的、ただでさえしかめっ面なのに口を引っ張って開かせれば、かなり阿呆、否、間抜け面、違う、素っ頓狂、否定、変
な顔、妥協点? な顔になってしまっている。
「・・・・・・・・」
ごくりと唾を飲んで決心決意、腰を前に出せば神様の口を広げている少女の手になぞられ、むず痒い快楽も隙間に押し込んでしまえば強烈な刺激に劇的な変化を遂げた。
「・・・・・・ぁ・・」
思わず漏れた声は俺ではなく少女のものだ。
なるほど、と頷くほど少女の喘ぎは分かる。狭い口内、そんなところに二本を差し込めばどうなるか、窮屈間に満たされる。
俺のものは神様の唇と口内と少女のものに触れて圧迫されている。中でも先端に触れる神様の熱い息、更に滴る唾液がかかり、そんな状態のものの先端に少女のものの先端が触れる。擦れる感覚
は半端ではなく、ともすれば今にでも出してしまいそうだった。
「・・ぁ、ぁ、ぁ・・」
深く息を吐く俺の目の前で少女が軽く腰を前後に動かし、前のめりになっていく。
そこに予兆を感じ取った神様が二本も口に突っ込んだ状態で首を振ろうとするが、その動きで口内の俺のものと少女のもの、その先端同士が激しく擦られて、少女は呆気なく果ててしまった。
「・・ぁ、は・・・・!」
背中を丸めて荒く息を吐く中、先端から粘ったものを大量に吐き出している。それが何故に分かるのか、それはもう、俺のものの先端にかかり、神様の口内を満たして唇から垂れ落ちる精液の流れが
棒に触れる感触で把握できる。
「・・・・は、ぁ・・はぁ・・」
少女が抜けば、生じた隙間から精液が溢れて、唇の端からこぼれていく。
それを見た俺は突然に暴走、乱雑に神様の頭を抱えて横向け、その際に精液が更にこぼれてくるが、無視して無理やりに腰を前後に動かす。乱暴な動きに神様の呻き声が上がったが、今の俺を止
めるには足りない。腰を押せば神様の口の中で少女の精液が掻き乱される感触があり、引けば濡れた唇がじゅぱと卑猥な音を鳴らす。
その音の連続が錯綜、今を夢幻のように思わせて、ふと気を戻せば射精の感触、あれの根元から塊がせり上がって先端の狭き割れ目から吐き出されていく、落ち着く頃には既に全ての精液を吐き
出していた。
「・・・・・・あ」
俺の射精を見て取った少女が、未だ神様の口内に入れたままの俺のものの根元を握り、扱く。扱かれると無防備な部分に直接刺激が与えられるような感じがして、慌てて腰を引いた。
またも生々しい音がして、横向きの神様の口から大量の精液、俺のものと少女のものが混じった精液が溢れ出してくる。
「・・・・・・・・はー」
あるのは、背徳的な満足感。
神様の虚ろな顔、しかし素の状態が強気なため蹂躙を易々と思い浮かばさせる、その顔を見ているだけで、俺は──と、ぱん、と小気味いい音が響いて頬に痛みが走り、はっとなって目を開ければ
テーブルを挟んで少女が涙を流している。
え、あ、何で、ソファに神様はいない、俺は椅子に座って少女と向き合っている。
「・・・・・・もう、いいです・・!」
それは決別の言葉で、そこで理解できて、しまった容易に想像の世界に行けるせいで気付かなかったが全ていつの間にか想像していたのか、と理解した時には少女は既に部屋から消えていた。
「・・・・・・・・だぁ・・!」
やっちまったー、と頭を抱える。阿呆だ。
少女に神様の言葉を伝えるため考えをまとめようと目を閉じた瞬間、色んな単語が浮かんで、その単語から想像を想像してしまっていたのか・・・・間抜けだ、救いようがない。
激しい後悔の念の連続に訪れるは溜息の連弾、その全てが重たくて気分を滅入らせる、否、少女の方がよほど傷付いているはずだ。何しろ想像力の問題を抱える最中、相談相手の俺が想像の世界
に入り浸っていたのだから。
「・・・・・・うあー・・・・」
もう後悔しかない。
まさか自分がここまで愚かだったとは、と自己嫌悪も最高潮、本気で落ち込んでテーブルに突っ伏し、溜息ばかり吐き続ける。
だけど駄目だ、だけど駄目だ、そう思い始めたのはしばらく経って溜息の吐き過ぎで喉が痛み始めた頃だった。
後悔しているだけでは何も解決しない、少女を追い掛けなければ、そうだ、想像を捨てて少女とともに、と立ち上がった瞬間、リビングのテーブルとソファの間に、あたかも部屋の区切りであるかのよう
な扉が現出する。
「え」
呆然となる他ない。
え、何これ、と立ち上がったことも忘れて口を開け閉め、唐突に扉は開き、そこから神様が現れた。
黒髪ワックスの尖がり頭、小柄な体を悪辣な表情でカバーする、どこからどう見ても神様には見えない姿。それは紛れもない神様だ。
「・・おう、久々」
「・・・・はあ、どうも」
久々も何も、という感じだが一先ず挨拶、神様は扉を閉めると流れ動作で床に手をつける。
「・・・・・・えーっと、何を・・? ・・いや、そもそも、どうやって・・・・?」
問うた瞬間、床に扉が現れた。
「・・・・ん? お前の家に繋がる扉を想像したんだ。ちなみにその扉はもう消せんぞ、神は創造するだけだからな。そんで今、地獄へと通じる扉を創造した。ちなみに何で床に作ったかというと、やっぱ地
獄なら落ちる方がそれっぽいからだ」
「・・・・・・・・へえ」
ん? いや、何か凄まじく嫌な予感がするが錯覚か?
疑る俺の前に神様が立ち、腕を組み、相変わらずきつい目を向けてくる。
「お前、地獄に落とすから」
「・・・・・・・・・・は?」
頭が破裂するような衝撃、さっぱり意味不明で混乱の極地、言葉もままならない。
「いや、さっき少女が転生を願いに来たんだよ。理由を聞けば、お前のせいだと答えた。それで詳しく聞いて、尚且つその言葉の全てが嘘でないことを確かめたんだが・・・・・・」
だらだらと冷や汗の流れる俺を知らず、神様は面倒そうな口調でちゃっちゃと終わらせようという速度で説明してくれる。
「・・・・この世界、拘わり合いなんぞなくても生きていける。それなのに他人を傷付けるってのは、あたしの世界では許されない。そんな奴は地獄に落とす。だから落ちろ」
「・・・・・・え、いやいやいやいや・・」
混乱が膨れ上がってやばいことになっている、考えが追いつかない、それでも否定が正しいと首を振るが、無駄だった。
神様に脛を蹴られ「ぐあっ」と片膝付けば、目の前には扉のノブがある。
「その扉は真実を見極める。見極める問題は、以下の通りだ。『お前は少女を傷付けたか?』」
「・・・・・・・・・・」
「さあ、開けろ」
「・・・・・・・・・・」
見上げれば神様の冷徹な顔、それは恐いので俯き、少女の顔を思い出す。
柔和な面立ち、白い肌、はにかむ顔、泣き顔、そして扉を開ければ──落ちた。
風が下から上に、ごおっという耳鳴り、圧倒的な浮遊感、見上げれば遥か高みに長方形の光があり、その光は凄まじい速度で小さくなっていく。
「・・・・・・・・!」
苦しくて喋ることもできないが、なるほど、と俺は思った。
確かに俺は少女を傷付けた。それは間違いない。悪いのは全て俺だ。
ならば地獄へと落ちる?
「・・・・・・・・・・・・」
まあ、仕方ないのかもしれない。
どうせ訳の分からない展開の連続、もう慣れてしまった。
もともと地獄行き、例外で天国を体験できただけでもハッピー、そう思えば苦しくもなかろう。
地獄も意外といいとこかもしれないし・・・・何しろ神があれなのだから、地獄の神、閻魔? 誰かは知らないが、そいつが凄くいい人かもしれないではないか。
そうして落下を許容する心構えができると、心に余裕ができる。
思い浮かぶは・・・・・・何故か天使な彼女の溜息を吐く時の顔。
はは、まあ俺はしぶとい、どこでだって何とかやっていけるって。
そう思いながら俺は、ひたすら落下、落下の継続は俺の神経のどこかを壊して、目の前にちらつく天使な彼女の溜息を吐く仕草に笑いが吹き出そうになって、それでも風の圧迫のせいで笑えなくて、
落ち切るまで何か場違いな苦しみを味わい続けた。ははは、腹が痛い、顔面も痛い。
終わり。
キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
神乙
よく見りゃ容量が487kb、
次スレを立てないといけませんね。
書き手さんには投下前に宣言してもらって、
次スレを立ててから即死回避を兼ねて次スレに投下してもらうのがいいかな。
保
たもつ?
( ・∀・)<エロいな
おしゃべりチョッパー。またはチャッピー。
ホッホー
696 :
名無しさん@ピンキー:04/12/20 01:08:53 ID:KuAMumeV
上ーい
697 :
名無しさん@ピンキー:04/12/22 22:26:18 ID:baueaDXd
age
良スレ保守
たもつ!
700 :
名無しさん@ピンキー:05/01/03 07:03:27 ID:Pg+1q758
700
701 :
名無しさん@ピンキー:05/01/07 23:07:35 ID:ob17peQy
終わったな
良スレなんだけどな。このまま消えるのは惜しい。
スレを救う職人の降臨が無いものだろうか。
前ふりがちょっと長くなりそうな感じなんだけど、ここに書き込んでもいいんですか?
それとも次スレたつのを待ったほうがいいでしょうか
250レス以上使いそうなら途中で以下次スレにすればいいとおもう。
あ、488KB行ってるのか・・・。500制限だったっけ?容量。
次スレ立てて即死回避に張るのがいいと思われ。
706 :
テンプレ?:05/01/16 16:59:57 ID:A6wCXBG7