「引越しか…」
高そうな花器を箱に収めている。
「えっ、これも割れてる」
意外に欠けている食器が多いので、片付けながら驚いている。
「誰か皿洗いが下手くそなメイドさんでもいるのかな…。結構痛手だぞこれは」
執事に頼まれていた本を数冊渡すと、引越しの準備のために自室へと一旦戻る。
「もう3月になるんだ…。あっという間ね、ほんと」
引越しのための荷物を乗せたカートを押している。
858 :
椿 杏樹:04/02/29 00:47 ID:Rbd4UAZ6
(引越し業者さん、今回は来ないのかなぁ)
どことなく寂しい引越し風景に違和感を覚えつつ、自分の好みの小説本を
書庫から持ち出して、自分の荷物に加えて廊下を再び歩き始める。
「…うう、なんかこの辺、特に静か過ぎてお化けが出そう…」
>>859 「あ、このみさん、お疲れ様です」
ぺこりと頭を下げ、微笑みかけながらすれ違う。
トラックに大量の鉢植えを載せて新館に向かっている。
「トラックだけじゃ不便だな、車持って来ようかな?」
「さて、と」
厨房に姿を現すと、瀬名に二言三言話しかけて、頼み事をしてからまたそこから去る。
「ああ、忘れてた。サンドイッチ作っておいたから、誰かメイドが来たら渡して配るように言っておいてくれ。じゃあな」
瀬名の反応は気にせず、ワインセラーから小瓶を一本持ち出して外へと向かう。
863 :
椿 杏樹:04/02/29 00:57 ID:Rbd4UAZ6
まだお化けが出るのではないかとビクビクしながら、遠くにいるこのみに
「あっ。このみさん、お疲れさまです〜」
声をかけ、少しずつ新館に自分や奏、凛香(ついでに悠斗)の荷物をカートで運んでいく。
「…だいじょうぶ、お化けなんて出ない出ない、出ないもん」
新館からあわてて戻ってくると、同僚のメイドたちから声をかけられる。
「え、タマタマ上手くいっただけですよ〜」
誉められて、照れているらしい。
>>862 「あー了解、でも誰か……来るかな?とりあえず来たら言っとく……」
背を向けたままで棚の整頓をしつつ、山城に返事をする。
「っておい!まだ片付け終わってないよ!なあ、ここ!!」
スタスタと出て行ってしまう彼に驚き、やっと振り返る。
「おーい…」
山ほど残っている厨房機材の箱を、泣きそうな顔で運び出し始める。
「なんだよあいつ…マイペースすぎだよ…」
「来宮さん、お疲れ様です」
このみに優しく声をかけると、自分もはりきってメイド達に指示を出していく。
「もう。こんな日に限って飯塚さんも執事長様も外回りだったり忙しかったりなんだから」
>>865 自分の荷物を運び終えて戻ってくると、
厨房で瀬名を見つける。
「瀬名様、大変そう……ですわね。よろしければお手伝いさせていただきますわ」
カートを差し出すと、キョロキョロと辺りを見回す。
「ええと……どれから運びましょう?」
868 :
木村 香:04/02/29 01:09 ID:TtbbN9/L
「……んんぅ……」
寝ぼけながらごろんと寝返りを打つと、やけに固い感触がする。
「……ん…? あれ? ベッドが無……というか、あれ!?」
ベッドはおろか、綺麗さっぱり何にもなくなった部屋に、一人で寝ている自分に気付く。
「『香さん、どうしても起きなかったので勝手に運びました』……って、何処に?!」
どうやら引越しの話は聞いていなかったらしい。
>>867 「ありがとう!い、いやあんまり重いのはいいよ。女の子だし」
軽めのものが入っているダンボールをカートに何個か乗せる。
「うーんこんなもんかな…押せる?」
「頑張ってくれたら御褒美あげるから、頼むね」
爽やかな笑顔で瑞葉に微笑みかける。
リネン室からシーツを大量に運び出している。
そのうち一枚が風にあおられ、頭に引っかかってまるでおばQのようになっている。
「うわぁ〜前が…
なんとか見えるようになった…
面倒くさいからこのまま運んでいこう」
「ふむ、新館が建ったか。このみもご苦労だったな」
たまたま出会ったこのみに労いの言葉をかけると、一足先に花咲館へと向かう。
(ふふふ…これでご褒美と称してこのみにあんな事やこんな事を……)
そんな考えを、真顔で歩きながらできるのだから大したものである。
>>869 「ええ、大丈夫ですわ。これだと結構楽に運べますし」
>頑張ってくれたら御褒美あげるから、頼むね
「う……」
さわやかな笑顔から赤面して目を反らす。
「ええと、その……えっちな御褒美……ですの?」
チラリ、と期待するような非難するような、微妙な視線を向ける。
みかさから受け取った本にざっと目を通し、そのまま、それを自分のデスクの抽斗に収める。
「……しかし、こうもあっさりと……」
何を考えているかはよくわからないが、何やら思案深げな表情をにじませる。
「……ふむ……今回は間に合いませんでしたが、早急に手を打たなければなりませんな……」
そう言って、デスクの横に置いてあったブリーフケースを手に取り、執務室を後にする。
頭に引っかかっているシーツがゆれて視界が安定しないせいか
ふらふらしながら新館へ向かっている。
875 :
椿 杏樹:04/02/29 01:21 ID:Rbd4UAZ6
どこかびくびくし続けて荷物を移動させていたが、
>>870のこのみと遭遇。
その長身とシーツに包まった姿に、思わずお化けかと思ってしまい
「え。」
「…!!…っ、きゃあぁぁぁ!!おばけ、おばけ出たぁ〜!!」
珍しく思いっきり大きな声を上げてカートを押しながら猛ダッシュ。
>「…!!…っ、きゃあぁぁぁ!!おばけ、おばけ出たぁ〜!!」
杏樹の叫ぶ声にビビッてよろけてしまう。
どこにお化けがいるのかわからず、とりあえず猛ダッシュで逃げている
杏樹を追いかけて逃げている。
「お化け怖いよ〜杏樹さん待ってぇ〜」
外回りから帰ってくると、屋敷は引越し作業の真っ最中。
「……さて、それじゃあ俺も手伝っ――」
どげしっ! と景気のいい音を立てて、驚いて暴走した杏樹のカート(
>>875)に轢かれる。
「そう言えば、麗センパイがいなくなってからもう結構経ったんだ……」
はぁぁぁぁ…とまた溜め息をつくが、その後で気持ちを入れなおす。
「うん、でもその分をもっともっと私が頑張らないとね。志保さんも何かと忙しいし」
実際、麗が抜けた穴を頑張って埋めているメイドの主力なのだが。
>>872 >えっちな御褒美……ですの?
「さーてどうだろうか。
…そうかー、瑞葉さんはエッチな方がいいのかな。なるほど」
意地悪くにやっと笑いつつ瑞葉の頭を撫で、からかう。
「困ったなあ。そんな顔されちゃ、体がいくつあっても持たないよ俺。
ま、とりあえずは頑張ってからのお楽しみ。だよ」
「ふう……」
屋敷の庭、そこにある古いベンチに腰掛ける。
空は雲の流れが速く、時折月が覗いた。
渋みの強いワインを喉に流し込み、天を仰ぎながら小瓶を握り締める。
「何でかな、角が取れていくみたいで不安なのか、俺は」
独り言とも、遠い場所にいる誰かに向けて話しているともとれるような言葉。
不意に夜風が舞い、長めの髪を乱れさせていく。
「……けっ」
またぐいっとワインを流し込むと、目を閉じる。
風の音と木や草のなびく音だけが響く空間で、何やら物思いに耽った。
「まあ、いいよな。俺は……自由に生きるだけだから」
やがてすっくと立つと、自身の影を引き連れて花咲館へ向かう。
執務室を出、廊下を歩いていると
>>877で倒れている飯塚を発見する。
「……飯塚、皆さんが引っ越しで忙しい時に、何をこんな所で寝ているのですか?」
実情を知らないせいか、何げに口調が厳しい。
いや、知っていても厳しいだろうが。あ、いやいや。
一つ溜め息を吐き、懐から手帳を取り出すと、なにかをメモし始める。
「……飯塚……まだまだ見習いの域を……出ず。寧ろ、見習い以前、と」
>>879 「む〜……もうっ、知りませんっ!」
すねた様子で頬を膨らませると、カートを押して厨房を出て行く。
ブツブツ言いながら廊下を進んでいくと、
立ち上がりかけていた飯塚の脛にカートをぶつけてしまう。
「あっ! ご、ごめんなさい!」
883 :
木村 香:04/02/29 01:31 ID:TtbbN9/L
「ああああっ、家具はみんなプチプチ付けられてるし、小物は何にもなくなってるしっ!」
ようやく引越し作業に出遅れた事に気付いたらしい。
「ああぅ〜、御主人様にこんなこと知られたら……」
杏樹を見失いキョロキョロしながら逃げている…(なにから?)
廊下を曲がったところで名無しの執事を見つけ、ようやく落ち着きを取り戻すが…
「あ、執事様!お化けが出たんですって!」
飯塚を踏んづけている事にはまだ気付いていないようである。
>>881 「ちょっ…ちょっと待って下さい執事長様! 今のは不可抗――」
慌てて跳ね起きて抗議した瞬間、瑞葉からの第二撃。
>>882 >立ち上がりかけていた飯塚の脛にカートをぶつけてしまう。
「……っ?! 痛ぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
反射的に身をかがめて、悶絶する。と――
>>884 「げぶっ……!」
今度はこのみに踏んづけられる。
886 :
椿 杏樹:04/02/29 01:36 ID:Rbd4UAZ6
「!な、なんか踏んだ〜!!いやぁ気持ち悪いー」
ぐにっとした感触に、余計無駄に驚いてしまう。
実際は
>>877の飯塚なのだが、気付いてなし。
シーツを被ったこのみに追いかけられたので、必死にパタパタと走る。
「きゃあっ、お、追っかけてきてる?やー、伊達さん助けてー!
志保さん伊達さんを呼び出してー!!」
自分の中の思考ではどうやらお化け繋がり?で助けを求めてしまったらしいが
もはや言っている事が滅茶苦茶である。
>>885 「本当にごめんなさいっ、今度お詫びしますか……あっ!?」
目の前で飯塚がこのみに踏まれるのを目にして
救いを求めるように執事を見るが……
「……わ、私、これを新館に運んできますから……」
もう一度ペコリと頭を下げると、その場を逃げるように去ってしまう。
>>885 走り去っていくメイド達を身軽にかわしながら……
「……あわせて、注意力散漫。そして、上司に抵抗する。と……」
手帳をぱたん、と閉じ、懐に戻す。
そして……
「……ふむ、スカート付きのジェットストリームアタック。黒い三連星ですかな? ああ、いやいや」
……と、何げに意味不明なことを口走ってしまう。
「へ?じぇっとすとりーむあたっく?なんですか、執事様?」
いまだに足元には飯塚がいるのだが、気付いていないようである。
「(待ってくれ……誰か教えてくれ……俺、そんなに悪い事でもしたのか……?)」
涙をだくだく流しつつ、そんな事を思いながら、瑞葉の謝罪の言葉や執事の呟きを聞き流す。
なんかもうどうでもよくなったらしい。
>>890 「……飯塚さん」
ズタボロ状態の飯塚を見て、顔に手をやって呆れている。
「もい執事の威厳も何も無いですよ。それじゃむしろ情けないだけです」
その場の騒ぎについていけなくなったのか、やれやれといった表情で新館へ向かう。
>>891 「いいって……もう……なんかもう俺はこのまま朽ちて行くような気がするよ……」
自分を踏みっぱのこのみにも、由依の言葉にも、すでに怒る気力まで失ったらしい。
>>887 「ああ、お気になさらず。こんな所で寝ている飯塚がいけないのですから」
そう言って、その場から走り去っていく瑞葉を安心させようとする。
>>889-892 そして……
「ああ、いえ、お気になさらず。時折、私の中でゴーストが囁くのですよ。……おや?」
またしても意味不明なことを口走ってしまい、思わず首をひねる。
しばし、思案顔を浮かべた後、その視界の中の違和感に気が付き……
「ああ、来宮さん、いけませんよ」
と言いながら、このみの足下で踏みつけられている飯塚を指差す。
「……靴が傷みますよ? では」
にやりと笑いながらそう告げると、後ろ手に手を振りながらその場を後にする。
「ああ、飯塚。それに葦名さん。まだまだ仕事はたくさんありますから、速やかに職務に復帰するように」
すでに振り返りもしなかったりする(笑)。
894 :
木村 香:04/02/29 01:50 ID:TtbbN9/L
「仕事が無い……仕事、仕事〜!」
屋敷内のあちこちを回ってみるも、すでにあらかた片付いた後で、手を加えられそうなところが見つからない。
「ふぅ……」
色々と会って火照った顔を夜風でさましている。
「飯塚さん、さっきのこと上手く忘れて下さるといいですけど……」
何気に酷いことを呟く。
>>893 >こんな所で寝ている飯塚がいけないのですから
「(誰も寝たくて寝てたわけじゃないんだよ……)」
>……靴が傷みますよ?
「(まてそこ、部下より靴の心配か)」
>まだまだ仕事はたくさんありますから、速やかに職務に復帰するように
「(言うことはそれだけか〜?)」
などと、心の中のどこか冷めた部分がひたすらツッコミし続ける。
897 :
椿 杏樹:04/02/29 01:53 ID:Rbd4UAZ6
>>892 新館に両隣の荷物を運び、やっと自分の荷物を運ぶために旧館に戻ってくる
が、廊下が何やら騒がしいのでひょこっと覗いてみると
「?」
飯塚が他の住人に遊ばれている。(ように見える)
「うわぁ。…だ、だいじょうぶ〜?」
自分が轢いたとは全く気付いてないらしく、近づくと口元に手をやり不安げに様子を伺う。
「靴ですか?」
足元を見ると無残な姿の飯塚が…
「きゃ〜〜〜ごめんなさい、重かったでしょ?」
飯塚を起こすと、ギュッと抱きしめる。
899 :
木村 香:04/02/29 01:54 ID:TtbbN9/L
まだ屋敷内をうろつく。既に涙目。
「えうぅ〜……なんで誰も教えてくれなかったの〜! お仕事〜!」
屋敷の中が賑やかなのを見て首をかしげている。
「何か、変な事でもあったのかな?」
「わかりました、執事長様」
飯塚には目もくれず、自分の仕事の処理に向かう。
(御主人様、どこに行ったのかな…もう新館?)
そんな事を考えつつ。
>>896 執事の首が、まるで軋む音を立てているような錯覚を感じさせながら、飯塚の方へと振り向けられる。
「……なにか仰いましたか……?」
その顔は冷ややかな笑みをたたえている。
「ま、ジョークを解するようになってこそ、一人前の紳士でございますからな」
そう言うと、まるで般若の面を思わせるような引きつった笑みを浮かべてみせる。