ガンダムキャラに萌えるスレ2

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1名無しさん@ピンキー
萌えを語るも、萌えSSを投下するもOK。
自分の萌えと違う時はスルーするか、別の話題をふるが吉。
SSへのマターリ感想は職人さんのビタミン剤。みんなで盛り上げていこう。

前スレ ガンダムキャラに萌えるスレ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1009782805/

関連スレッドは>>2のあたり。
500KBを越えると書けなくなるので、480KB越えたら新スレをよろしく。
2名無しさん@ピンキー:03/10/28 00:26 ID:KJSPHhdT
◎ガンダム関連スレッド

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3名無しさん@ピンキー:03/10/28 00:28 ID:KJSPHhdT
Fekia氏と前スレ610氏の傑作に敬意を表してギコペからAAを。


             _,.. -― ー - 、
          ,r ",. / ⌒,...   \
        /ヽ r   ,.  `     Yレ!
          /    、 i ///⌒ヽ、  -‐'" ),,
       |   r⌒frヾ'"  _,,...ゞミ彡    ' |
      i、 ヽ Y"レ(  ,r;r;,.'-‐'_ゞ彡    リ
       ゙ヾこ ノ,.=く´ーゞ'_,.ニ,ニ、 (ゝ   ノ!
       ゞ、_ il   } イ `ー`'”   |ト,-、r /
        ヽ l゙ 、__j /        ' ク/ ム
         ` ''''|`''"ヾ `       ノ ,ィ
           ヽ  '二 ̄    / |ー'ノ
            ヽ        ∠ -' Y
             〉、 _ .. - ' , .ィ彡|
               { ' / /r'^)) |
             |ヽ  / 〈,r=i  __ト、_
             |トヽ_//ノ (_,.-ニ‐''" `

F91・ザビーネ=シャル
4名無しさん@ピンキー:03/10/28 00:29 ID:KJSPHhdT
                ___
           , -― '´-=  ̄`ヽ、
         /  ""'    ヽ.⌒ヽ.
          /    '"""  '" γ 'ー ヽ
     .    /    , -‐  -‐'´,ノ=;   ヽ
        |   / __,-‐― '´  `ー、_  i
       λ / ./i -―‐-、  , -‐|`ヽ|
       八ゝ,  l /| =r。テ‐  r。テi|  ノ
       .| ヽ, ヽ| | |l  " ̄    ̄|i/
       ト、  '、 l | λ      -〉 /〈
      ,ゝ,ヽ.   i| |  |、   ー_‐ λ l |
      〈 〈 `ヽ.  i|ノ ノ   、 ____ イi .‖|
       ,ゝミ、 λ ノ/'ー‐----、| ノノ リ
      >、_〉-'‐'´ \   ゛゛ ||l (( ノ
  , ---‐‐'ヽ(`ヽ,     \  =‐-|レ'li、i(`'ーr--- 、
  >ー‐--------\__, -ヽ,  '"|| /-、___ノ--‐‐<

F91・ベラ=ロナ(セシリー=フェアチャイルド)
5名無しさん@ピンキー:03/10/28 00:31 ID:KJSPHhdT
すまんが独断で立てさせてもらった。
即死しないようにレスよろしく。
6名無しさん@ピンキー:03/10/28 00:49 ID:WVxu2q6T
乙。F91の艦長代行萌え。
7名無しさん@ピンキー:03/10/28 01:04 ID:YQdtq+/F
>>1
乙です。気分一心できるといいですね。

>>前スレ610様
いよいよ大詰めになってきましたね。
今回のはモニカをもってきたのが良かったと思います。
私はどちらかというとシーブック派なんですが、このSSを読んでいると
ザビーネとベラを応援したくなって困りますw
ハッピーエンドになるといいけど、そうするとシーブックが……ウーン
8名無しさん@ピンキー:03/10/28 01:14 ID:PIRw4lKE
つーか挿絵リクはどーしたのよ・・・口ばっかか・・・。
9名無しさん@ピンキー:03/10/28 01:20 ID:JcTtPvZz
1様スレ立てごくろうさまです。火曜日が迫っているので心配でした。
Fekia氏来てくださると嬉しいなぁ。
10名無しさん@ピンキー:03/10/28 06:41 ID:LJdo6zS0
>>8
自分がでやってくれば良いじゃん。
11名無しさん@ピンキー:03/10/28 12:15 ID:uYl+vAw7
>>10
断る。
だって他のSSのを頼んじゃってるから。
12前スレ610:03/10/28 14:21 ID:yXpLrs/7
新スレ立て、お疲れさまです。そして感想をありがとうございました。
AAは大好きなので、素敵な作品が見られて嬉しいです。
それから、新スレに引っ越しして610が前の番号になってしまったので、
これからは「小雀」(こすずめ)と名乗らせていただきます。
でも「610」の方が呼びやすいようでしたら、それでも構いませんです。

それでは、「Outer Space」の番外編その2をUPさせていただきます
(新スレ最初のSSが私などでいいのかな・・・とも思いますが)。
好みでない方は、お手数ですがスルーをお願いします。
こちらの番外編も第2章と第3章の間の出来事で、ザビーネ×ベラ+
ザビーネVSドレル話です。以下、8レスほどお借りします。
13Outer Space 番外編2 An Elder Brother:03/10/28 14:23 ID:yXpLrs/7
 薄明かりの中で、ザビーネは眼を覚ました。抱き合った後で寝てしまったのだ。隣りではベラが、すやすやと眠っていた。
 一人で眠る夜、こんな風に夜中に眼を覚ますのは、大抵厭な夢を見た後。けれど、今見ていたのはそれとは全く違うもので、内容は覚えていないが、何かとても穏やかな夢だった。
 ベラと出会ってから、悪夢を見なくなったことに気が付く。ベラが浄化してくれているのかもしれない――そんなことを考えてしまうほど、ザビーネにとってベラは聖なる存在だった。

 朝までこの部屋にいる訳にはいかない、自室に戻らねばと分かっているのだが、ベラの幸せそうな寝顔を見ていると出ていきかねる。眠りの邪魔をしないように、そっと髪を撫でた。
 ぼんやりと気が付いたらしい。「ん〜」と寝ぼけたような声をあげ、胸に擦り寄ってくる。ザビーネの肩口に頭を置いて、安心したかのように丸くなり、再び眠ってしまった。
 愛らしい仕草に、ザビーネの頬が緩む。これではとても出ていけない。反対側の手をベラの背中に回し、ゆっくりと抱き寄せる。胸に満ちてくる温かな想い――

 今の事態が一段落したら、一日だけ休暇を取ってベラと過ごしたい。制服を脱いでお忍びで街を歩き、面白そうな店を覗き、小さなレストランで食事をする。
 その時なら、「セシリー」だった頃の話もしてくれるだろうか。ロナ家の一員であろうと気を張り詰めている姿を見ていると、簡単に聞いてはいけないような気がして今まで触れずにきたが、ベラのことなら何でも知りたいと思う。
 きっと、知れば知るほど好きになる。欠点でさえも愛おしく思えてならないのだから。

 指輪も贈りたいものだ。この美しい指には、どんなデザインのものが似合うだろう。喜んでくれるといいのだが。
 いやその前に、初陣の飾りだな。恐らく次の作戦では、ベラもビギナ・ギナで出陣することになるだろう。飾る花を手配しておかねば。ロナ家の紋章にある百合の花。ベラの気高さに、よく似合う花だ。
14Outer Space 番外編2 An Elder Brother:03/10/28 14:24 ID:yXpLrs/7
 初陣と言えば、マイッツアーはベラの出陣を政治的に利用するつもりらしい。
 高貴な者の義務を果たすため、初めて戦場に出てゆくベラに、いずれ夫となる予定の者を付き添わせる――ベラの初陣をコスモ貴族主義を体現する婚約の儀式として扱い、彼女と自分の結婚をクロスボーン上層部に華々しく認知させる計画でいるようだ。
 抜け目のない老人だが、彼なりにベラのことを大切に思っているのも事実だ。仰々しいのは好まぬが、少しは協力するか……


 そんなことを考えているうちに、再び眠ってしまったらしい。もう一度眼が覚めた時には明け方だった。身じろぐ気配に、ベラも眼を覚ます。
「う…ん、ザビーネ……」
「寝過ごしてしまいました。今から帰ります」
「そうね……」
 ベラの寂しそうな表情が気になって、頬に口付ける。
「すぐまた会えますよ。今日は午後から訓練でしょう?」
「そうだけど、こうしていられるのではないから……」

 甘えるように肌を擦り合わせてくる。湧き上がる欲望と必死に戦うザビーネ。
「罪作りな人だ。誘っていらっしゃる」
「だって、ザビーネと触れ合っていると、とても幸せな気分になるんですもの。早く朝まで一緒にいられるようになりたいわ」
 今は身体を重ねることよりも、肌を触れ合わせていたいのだというつもりで、ベラはザビーネの胸に抱きついた。しかし、若い男にその仕草は酷だった。眠りによって新たなエネルギーを蓄えた分身は、既に勇ましく屹立している。

「ベラ……」
 強く抱きすくめ、口付けを繰り返す。何度も舌を絡ませ、歯茎をなぞり、口内を存分に味わう。
「んん……んっ」
 腕の中で身悶えするベラの姿に、理性が音を立てて崩れてゆく。自分だけが知るうめき声に、もっともっとと、ねだられているような気がする。
15Outer Space 番外編2 An Elder Brother:03/10/28 14:26 ID:yXpLrs/7
 乳房に指を這わせる。どこまでも柔らかく、少し力を入れただけで溶けてしまいそうな宝玉。それでいて肌そのものにはピンとした張りがあり、芯の固さも感じられる。まるでベラ本人のような……
「ベラに…触れていると、吸い込まれるような気がします」
「あぁんっ! ……吸い込…まれ、る!?」
「ええ、自分が……ん……ベラの中に吸い込まれてゆく……んっ……ような感じ」
 口も近付け、乳首を唇で挟んだり放したりしながら囁く。

「ザ…ビーネ、駄目よ……」
 ベラはザビーネの頭を抑え、辞めさせようとした。これでは止まらなくなってしまう。ザビーネが居なくなるのは寂しいけれど、部屋に戻る時間がこれ以上遅れては――
「観念しました。あなたには敵いません」
「いいの?」
 一途な瞳が見上げる。いつもはきつくさえ感じられる眼差しが、今はしっとりと潤んでいる。

「そういうベラは!?」
「……こうしていたい……」
 顔に浮かぶ艶めかしい表情が、ザビーネを悦楽の園へと誘う。
「フフフ、それなら一緒ですね」
 短い口付けをひとつした後で、もう一度乳房に向かう。指や掌や舌を総動員して叶う限りの悦びを与えた。

 ベラの嬌声が高まり出す。今度は、太腿を広げさせて間に頭を置き、舌で小刻みに刺激した。小さかった花蕾がみるみる大きくなり、潤沢な水量を持つ泉がこんこんと湧き始める。
 最初の波を迎えたベラの乱れるさまを眼に焼き付け、落ち着いたのを見計らって、体内に錠剤を入れた。下腹部にクッションを置いた状態で、ベラをうつ伏せにしてベッドに横たえ、上から覆い被さる。
 上半身を隙間なく密着させ、いきりたつ分身は花芯近くに当てて、入り込むチャンスを窺わせた。
16Outer Space 番外編2 An Elder Brother:03/10/28 14:27 ID:yXpLrs/7
「こういうのも、いいでしょう?」
「わ、分からないわ……」
 初めての体位、しかも今までになく動物的な体位に戸惑うベラ。クッションのせいで、軽く膝立ちするような姿勢になっていて、尻が背中よりも高く持ち上げられている。
 自分から誘っているようで只でさえ恥ずかしい上、あの場所が後ろから見えたのではないかと思うと、羞恥心で身体が熱くなる。

 すぐにも入ってきそうなザビーネの分身が、気になって仕方がない。けれど、入ってきそうで入ってこない。ザビーネは身体を密着させたまま、首筋を舐めたり耳を甘噛みしたりして、小さな刺激を与え続ける。
「ザビーネ、お願い……」
「どうしました?」
 耳元の囁き声が官能的に響く。

「ほ…しい、の……」
 顔に血が上るのが分かる。なんて恥ずかしいことを言っているのだろう。
「これですか? フフフ……」
 ザビーネが分身で花芯をなぞり出した。しとどに濡れたそこは滑りもよく、分身は好きなように近辺を荒らしまわる。
「あぁぁっ! 駄目!」
 身体中を痺れるような快感が駆け巡る。さらに沸騰する泉。
 ザビーネはベラの身体の前に手を回し、花蕾を刺激し出した。もう一方の手は乳房を鷲掴みにして、荒々しく揺さぶる。再び訪れる絶頂にベラの身体が大きく震えるのを、触れている肌全体で感じ取った。

 波が治まった後で、ザビーネがようやく中に入ってくる。けれど、奥までと願う気持ちを焦らすかのように、先端だけを入れて抜き差しを繰り返す。抜かれる時に笠の部分が膣壁を強く刺激し、その度に愛液が溢れ出る。
 くちゅくちゅっという可愛らしい音が次第に大きくなり、濁音混じりの隠微な音に変わってゆく。
「んんっ、あぁぁぁんっ……意地悪っっっ!」
17Outer Space 番外編2 An Elder Brother:03/10/28 14:28 ID:yXpLrs/7
 耐えきれず、自ら腰を突き上げるベラ。ザビーネはほくそ笑むと上半身を起こした状態で自分の方の動きを止め、ベラの動きを楽しむことにした。内奥が分身を速やかに受け入れ、柔襞がみっしりと周りを取り囲む。
「最高です、ベラ。熱くて……」
「んあぁんっっっ、ザビーネっ!」
 腰を前後に動かせば、ザビーネが奥を強く刺激してくれる。恥ずかしい動作をしている自覚はあったけれど、それよりも快感を求める気持ちの方が強かった。いつもと違ってザビーネの顔が見えないことも、大胆な振る舞いを可能にしている。

「いい……」
 ザビーネはベラの引き締まった尻肉が、下腹部全体に押し当てられては離れる触覚を、心ゆくまで堪能する。愛しい女が自分を求めて腰を振るさまは、それだけで至福と言えた。
 この上なく淫らなことをしているのに、決して下品には見えない。むしろ普段より気高い香気を感じさせるベラに、ザビーネは身も心も絡め取られてゆく。
「ザビ…ーネっ、あぁーー、いくっっ!」
 大きな波に浚われ、ベラの全身が痙攣する。声を止めることができない。口内に溜まった唾が、唇の端から零れ落ちてしまいそうになる。

「ベラ、絞め…過ぎで、す……」
 最奥に突き当たる先端はその度にぎゅうっと包み込まれ、根元も入り口で強く絞られている。そしてその中間は、熱くやわやわとした襞がすっぽりと虜にしている。その上の激しい収縮。全身がベラに吸い込まれてゆくようだ。
 途中で他の体位に変えようと考えていた甘さをあざ笑うかのように、悶絶しそうな快感がザビーネの身体を走り抜けた。本能の赴くままに、ベラの両肩に手を置いた状態で身を反らせて内奥を突きまくる。

 二人の動くリズムが一致した時、新たなそして最大の波が襲ってきた。
「あっ、また…いくぅっ! あーーーーーっっ!」
「うぅぅぅぅっっ、ベラっっ!」
 ザビーネも同時にいく。幸せ過ぎて胸が痛い。甘く切ない想いが全身に広がってゆき、ザビーネはベラの最奥に自らの精を放出しながら、それ以上に強いものを心の中からも噴出させた――「愛」と呼ばれる感情を……
18Outer Space 番外編2 An Elder Brother:03/10/28 14:30 ID:yXpLrs/7
  *     *     *     *     *     *     *

 様子を伺いながら廊下に出たザビーネは、人影がないことに安堵する。いつもより遅い時間までベラの部屋にいたため、既に早朝になっていた。マイッツアーの公認があり、女官たちも見て見ぬ振りをしてくれているとはいえ、こんなところを誰かに見られるのはバツが悪い。
 急いでその場を離れようとした時、前方の廊下の角から思いがけない人物が姿を現した。ベラの異母兄・ドレル――

「ん!? ザビーネか……?」
 身を隠す場所もなく、簡単に見つけられてしまった。今さら逃げる訳にもいかない。
「……ドレル様、おはようございます」
 丁寧な物腰で一礼するザビーネ。

 それを鷹揚に受けながら、ドレルはザビーネが何故こんなところにいるのだろうと、不思議に思った。迎賓館のこの一角は、ロナ家のプライベートゾーンなのだ。
 最初は、祖父・マイッツアーに呼ばれたのだろうかと思った。ザビーネは彼にとても気に入られていて、それが面白くないと考えているドレルだったから。
 しかし、規則正しい生活をしているマイッツアーが、早朝からザビーネを呼び出すとは考えにくい。それほどの緊急事態であれば、自分の元へも連絡が来る筈だ。

 ふいに閃く。
「おまえ、ベラの部屋から出てきたのだろう!? こんな時間に、何をしていたのだ?」
 妹の部屋はすぐそこで、ザビーネがそちらを背にした向きでいたことも、疑惑を呼ぶ。こいつはお祖父さまから、ベラの世話役を命じられていた。それを良いことに……
「……どちらの質問にも、お答えしかねます」
 重々しく答えるザビーネ。

「貴様!」
「誤解なさらないでください。特命を受けて行動しているだけです」
 マイッツアーから受けたベラの世話役という任務は、特命と言えなくはない。とはいえ、先ほどしてきたようなことが、その中に含まれている筈もなかったが。
「何の特命か、分かったものではないわ」
「……」
19Outer Space 番外編2 An Elder Brother:03/10/28 14:32 ID:yXpLrs/7
 ドレルはザビーネの軍服に眼を光らせる。脇腹の辺りに、オレンジ色に近い茶色の髪が一本だけ付いていた。手を差し伸べ、無言でそれを取る。ベラの髪と同じ色だ。長さもちょうど合う。
 ザビーネの背を汗が一筋伝わり落ちる。制服を着た後で、抱き合って口付けした時に付いたものだろう。
「制服につけるものとも思えないが……!?」
「猫を飼っているので、時々ついてしまいます」

 動揺を押し隠して平然と答えるザビーネに、ドレルも負けじと応酬する。
「ほう、おまえにそういう趣味があるとは意外だな。人間も含め、生き物には興味がないと思っていたが」
「最近になって興味を持ちました」
「前の猫はどうしたのだ? 褐色の、愛らしい猫」
「!」
 アンナマリーとの関係を知られていたことに驚くザビーネ。

「ふん、余計なことを言ってくる奴がいるのでな」
 横を向いて吐き捨てるように言う。その手の胡麻すりを嫌っていたため、こんなことにならなければ、ザビーネに言うつもりはなかった。
「何のことか分かりかねます。私は今の猫しか飼ったことがありませんから」
 あくまでもシラをきろうとする姿に、ドレルの罵声が飛ぶ。
「飼うなどと失礼なことを言うな! 妹はおまえの愛玩物ではないっ!」

 ベラとよく似た眼差しで睨みつけられ、ザビーネの心に一瞬の隙が生まれた。
「そうですね、失言でした」
 言った直後に気付く。誘導尋問に引っかかり、ベラとの関係を認めてしまった……背中を伝う汗が二筋に増える。
 ドレルがしてやったりという顔で笑う。次は何が来るのかと、身構えるザビーネ。しかし返ってきたのは意外な言葉だった。
「貴族の一員として、おまえに問う。褐色の猫とはもう無関係だと、信じていいのだな!?」
「はい」
 直立し、真っ直ぐな視線で見返しながら答える。その点で、疚しいところは何も無い。
20Outer Space 番外編2 An Elder Brother:03/10/28 14:33 ID:yXpLrs/7
 ザビーネの様子をじっと見ていたドレルは、一言だけ言い捨てると、自分の部屋の方へ去っていった。
「妹を泣かせたら、絶対に許さんぞ!」
 腹の立つ男だが、ベラが気に入っているのなら致し方ない。いや、ベラだけでなくお祖父さまもだ。ザビーネにベラの世話役を命じたのは、こうなることを望んでのことだったのだろう。
 いくらザビーネにその気がありベラが許したといっても、お祖父さまが承知していなければ、こんな時間まで部屋に居ることはできない。女官に叩き出されるに決まっている……


 ドレルを敬礼で見送りながら、漸く気が付くザビーネ。あの男はなぜこんな時間に廊下を歩いていたのだ? どこかから自分の部屋に帰って来たところと見えたが……ということは! 自分の鈍さに腹が立ったが、既に後の祭りだった。
 それに、どう見てもこちらの方が分が悪い。ドレルの相手が誰かは分からない上、それについて、どうこう言える立場に自分はいないのだ。ベラのことで、何か言える立場にあるドレルとは違って。

 肝の太さと駆け引きのうまさに、驚きもした。動揺につけ込んだとはいえ、自分を見事に罠にはめ、会話を優位に進めていった。手短に話を切り上げたのは、自分も朝帰りしてきたところだった、と気付かれるのを避けるためだろう。うまい引き際だった。
 お坊ちゃんとばかり思っていた男の意外な一面を知り、自分の甘さを反省するザビーネだった。

  *     *     *     *     *     *     *

 この日以後、ドレルはベラのことで、ザビーネをちくちく苛めるようになった。ずっと目障りに思っていたザビーネの、弱点を見つけたことが嬉しくてならないようだ。
 ベラは兄のやり口に呆れて、ザビーネに無視するように言うが、彼の立場ではそうもいかない。将来の義兄と思えば今までのような尊大な態度は取り難いし、ドレルが妹に愛情を持っているのは確かだったから、同じ相手を愛する者としての共感もあった。
 そんなこともあり、ドレルの苛めをひたすら受け流すザビーネであった。彼の苦労は、まだまだ始まったばかり――
21小雀:03/10/28 14:34 ID:yXpLrs/7
番外編2は以上です。
次回は第6章(終章)を、木曜日にUPさせていただこうと考えています。
またよろしくお願いします。
22Fekia:03/10/28 23:27 ID:rm9EHvsb
>>1様
新スレおつかれさまです。これからもよろしくお願いします。

Fekiaです。えーと、前スレではみなさまに色々とお世話になりました。暖かい応援やアドバイス、
本当に感謝しております。
2週間ぶりに作品をUPしに参ったところ、状況がすごく変わってたので驚いてしまいました。
お待たせしてしまったみなさまもいらっしゃるかのようで、たいへん申し訳ないです。
さらに申し訳ないことに、今回はやっぱりエロがありません。
お気に召さない方は、スルーをお願いします。
23Fekia:03/10/28 23:35 ID:rm9EHvsb
 3月25日夕方。フロンティアWの街並は、喧騒に包まれていた。
 クロスボーン・バンガードの将兵を乗せたジープや運搬トラックが、交通規制された車道を、慌た
だしく行き交っている。
 それらを眺めている人々の間から、クロスボーンが何かの準備をしている、という噂話が聞こえて
くる。何かが起こることを示しているような、そんな雰囲気がコロニーを包んでいるのはわかる。
 だが、シーブック・アノーにとって、そんなことはどうでもいいことだった。
 時間の感覚がなかった。自分がどこをどう歩いているのかもわからない。時折起こるフラッシュ・
バックに悶え苦しみ、絶叫したい衝動に悩まされながら、昨夜からずっとあてもなく彷徨い続けてい
る。
 疲労が体を蝕んでいる。それなのに歩き続けてしまう。立ち止まれない。そんな矛盾に心が苛立つ。
解きようのない疑問を抱えた心が。
 何故? どうしてこんなことに? こんな気持ちにさせられるのだ?
 そのたびにフラッシュ・バックが起こる。現実を突きつける。その疑問に答えるかのように。
 目に焼きついた光景。セシリー・フェアチャイルド。美しい少女。その彼女が男にまたがって、腰
を振っていた。
 喜悦に満ちた声。恍惚とした表情。いやらしい体勢で男に貫かれ、汚液を全身にぶちまけられてい
た。
 眩暈がした。気が遠くなりそうだった。セシリーではない。あれは別人だと思いたかった。なのに
何故、あの少女が紛れもなくセシリー・フェアチャイルドだとわかってしまうのだろう。
 そしてわけもなく叫びだしたくなる。何かを殴りつけたくなる。両手で顔を覆ってうずくまりそう
になる。
 昨夜から何度となく繰り広げてきた葛藤。それがもたらすのは、心を満たしてゆくすべてを焼き尽
くすような、何もかも押しつぶすような、灼熱の想い。
 「くそっ……!」
 それらを振り払うかのように、シーブックは走り出した。この思いに浸るほうが楽な気もする。し
かしそれを振り払わなければ、自分が自分でいられなくような恐怖を感じてしまうからだ。
 行くあてなんてないけれど、彼にはただ走り出すことしかできなかった。
 人々に何度もぶつかった。浴びせられる視線と罵声。その中には、元連邦兵であろう、警備兵たち
のものもあった。
24Fekia:03/10/28 23:40 ID:rm9EHvsb
 だが彼らはそれ以上のことはしてこなかった。彼らには何かに追われるかのようにひた走る、薄汚
れた少年の涙を、ただ珍しげに思うだけだった。


 (…………?)
 たどり着いた場所が何処なのかわかったとき、シーブックは自分に苦笑するのを禁じえなかった。
 フロンティアW総合学園。シーブックとセシリーが通っていたハイスクール。
 夜の帳に包まれた学園のシルエットに、活気と整然さが共存したかつての面影はなく、陰鬱な廃墟
のような雰囲気を醸し出している。
 校舎の周辺には、立ち入り禁止と書かれたテープが張り巡らされている。クロスボーンの襲撃のと
き、ここは学園祭の最中だった。建物に落下するモビルスーツ。逃げ惑う人々。楽しいはずの学園祭
の場所が一瞬で、悲鳴と怒号が飛び交う戦場と化したその傷跡が、いまだに残されているようだ。
 郷愁に似た何かに導かれるのを感じて、シーブックはテープを潜り抜け、学園の敷地内に入っていっ
た。まだそんなに遅い時間でもないので、復旧や撤去工事に携わる人たちが、どこかに残っているか
もしれなかったが、シーブックの周囲に他人の気配は感じられない。
 敷地内のグラウンドや連絡通路などは、それなりに整備されてはいるが、建物の損害はそのままに
なっている。シーブックは自分のクラスの教室や、グライダーを作っていた機械工作室に立ち寄って
みたかったが、建物の中に入るのは危険すぎるように思えた。
 あきらめて、あの日ミス・カントリーサイド・コンテストが行われていた広場へと、足を運んでみ
る。
 その広場の復旧作業は、まだなされていないようで、コンテストのステージが、モビルスーツ戦で
の爆風などによって崩れ落ちたままになっていた。その周囲に設置されていた、各クラスの出店のテ
ントも、原形をとどめていないものばかりである。
 その様を眺めながら、シーブックは近くにあったベンチに座り、両目をそっと閉じた。
25高貴なるものの血 4章 3:03/10/28 23:45 ID:rm9EHvsb
 「ふう……」
 溜め息が漏れる。夜風の心地よさが、彼の心の傷を癒すかのように優しく彼を包む。
 記憶の中で、紫の可愛いドレスをまとったセシリーが、シーブックに強い視線を向けていた。

 ──なーに今になって迷っているんだよ。僕はあんたのクイーンに小遣い全部を賭けたんだから!
 ──賭けの対象になるくらいなら、こんなの着なかったわ!

 記憶の中であっても少女のそのまなざしは、シーブックの心を昂らせた。むろん険悪な視線を浴び
たからではない。セシリーに見つめられる、ただそれだけのことが、彼にとっては切なくて胸が締め
付けられるようで、なのにそれがとても嬉しくて、そんな想いが心の中を躍動するから、落ち着いて
なんかいられなくなってしまう。
 いつからそんな想いを抱いてしまうようになったのだろう。シーブックの記憶が、またひとつの情
景を、彼の脳裏に再現する。
 
 ──会いたかったんだよな。なんでか知らないけどさ……。
 ──そう? そうだったの? なんで?
 ──え……? なんでって、好きな人の顔を見たくなるときって、ないかな?
 ──ああ! ありがとう。そういってもらえると嬉しいわ。
 ──……!?

 そういえばあのときからすでに、告白めいた言葉を、何気なく言ってしまっている自分に驚く。言葉
にして初めて気づく自分の気持ち。セシリーへの思慕。
26高貴なるものの血 4章 4:03/10/28 23:50 ID:rm9EHvsb
 彼女と過ごしたそんなひとときは、決して長い時間ではなかったけれど、シーブックにとっては世
界そのものががらりと姿を変えた、新鮮で興奮するようでいて、だけど安らぎを覚える、そんな感覚
に満ちていた。
 だが、眼前に広がる崩壊した学園の姿は、その淡い初恋のひとときの終焉を、彼に教えているよう
に思えた。
 (これで終わりなのか……?)
 だとすれば、なんて残酷な終わり方なのだろう。セシリーの相手の男のことなど、どうでもよかっ
た。ただ自分が知ってるセシリーと、昨日見たセシリーがとても同一人物とは思えないのだ。
 考えてみれば、シーブックはセシリーのことを、すべて知っているわけではなかった。ただ自分の
中のセシリーは、自分が初めて好きになった女性というのは、こういう女性なのだと、勝手に決めつ
けていた気がしないわけでもない。昨夜初めて、彼女がロナ家の血を引いているということを知った
くらいなのだ。
 そして昨夜のセシリーの姿が、おそらく彼女はロナ家の一族として生きるつもりなのだろうという
ことを、シーブックに感じさせた。
 残酷な事実。心が壊れそうだ。だがその一方で、もう一度だけでもセシリーに会いたいとも思った。
 あって何をすればいいかなんて、わからない。これが未練というものなのだろうか。もうシーブッ
クの初恋は終わりなのだと、ほかならぬセシリーがそれを告げたというのに。
 (未練……だよ……な)
 ならば、この気持ちをどこに持っていけばいいのだろう。むしろあの光景を見たからこそ、彼女へ
の思慕は狂おしく彼の心を焦がしているというのに。
 この思いをセシリーに伝えたかった。あのときの、何気ない会話の中での意思表示なんかじゃない。
 セシリーと初めて会ったときから好きだった。ずっと君を見つめてきた。ただそれだけでも伝えたい。
 それですべてを終わりにしよう。この想いを伝えられたなら、僕は君を忘れることができる。
27高貴なるものの血 4章 5:03/10/28 23:54 ID:rm9EHvsb
 結局は何も変わらない。事実を知ってしまった以上、思いが届くことはないと思う。でも、このま
ますべてを、自分すらをも儚んで生きて行くよりは、何倍もましなはずだ。
 そう自分に言い聞かせて立ち上がったシーブックの中で、セシリーが彼に告げる。

 ──ごめんなさい、シーブック。私はもうセシリー・フェアチャイルドじゃないわ……

 シーブックは目を閉じ、その声を噛みしめた。そして目を開けたとき、彼は迎賓館に向かって歩き
出していった。


 そのころ、迎賓館では。
 セシリー・フェアチャイルドは、自室の壁に沿って設置されてある、瀟洒な鏡台の前で佇んでいた。
 鏡に映る自分の顔。その卓越した美貌に酔う趣味など、彼女にはない。むしろ彼女はまだ自分の魅
力に、あまり気づいていないというべきだろうか。自分が学園のアイドルと言われているのは知って
いたが、なぜ自分なのだろうと不思議に思っていた。
 特に今は、鏡に映る自分の姿が、このうえなく醜悪なものに感じられる。
 フロンティアU、Vの制圧が完了したとの報告がもたらされたのは、わずか数時間前のことだった。
その報を受け、クロスボーン・バンガード全軍は、次の作戦ステージに移行することになった。
 すなわち、コスモ・バビロニアのバビロン宣言と、フロンティアT攻略作戦の開始である。
 今でも政庁前の広場には、クロスボーンの部隊が明日のバビロン宣言の式典の準備を行っている。
それにはフロンティアU、V攻略軍やフロンティアW防衛軍以外の、後方支援部隊がほとんど借り出
されているため、迎賓館の周囲には最低限の兵士しか残っていない。
 彼女もまた、明日の式典に出席するため早く休むようにと、ナーイ・フレッツェンに言われていた。

28高貴なるものの血 4章 6:03/10/28 23:58 ID:rm9EHvsb
 「ベラ・ロナか……」
 セシリーは自嘲気味につぶやいて、部屋を見渡した。
 華美な装飾の施された広い室内は、彼女には殺風景に感じられる。自分の部屋だとは今でも思えな
い。
 寝室へとつながる扉が目に映った。セシリーは昨日までの夜を思い出す。
 あの部屋で彼女は、ザビーネと幾度となく体を重ねてきた。いや、体を重ねるというよりは、お互
いの肉欲をぶつけ合う、獣のようなセックスを繰り広げてきた。毎晩行っても飽き足りなかった。
 ザビーネは明日からのことでのミーティングのため、今夜来ることができるかどうかは、わからな
いと言っていた。しかし彼が今夜も来たのなら、また激しく求め合うのだろう。そのことを思うとセ
シリーは心が大きく乱れ、興奮してしまう。自分の下腹部が、男のものを求めたいとでもいわんばか
りに、疼きだすのがわかる。
 (どうして……)
 激しい怒りと後悔が、セシリーを苛んでいた。
 どうして自分は、自分の肉体はこんなにも淫らになってしまうのだろう。ザビーネに抱かれたとき、
何もかもが白熱し、めくるめく快楽に浸り、それを求めるために、あさましいほど貪欲になってしま
う自分がいる。そんな自分に嫌悪を覚えてしまう。だが彼女を満たしてゆく快楽が、それを過敏に感
じ取るその肉体が、彼女のすべてを流し去っていくのだ。一人の少年への思いすらも。
 「シーブック……。私どうしたらいいの……」
 あのとき、ガンタンクのコクピット内でつぶやいた言葉が、もう一度口を出る。
 しかし心の中のシーブックは、いつもセシリーに向けていた、優しくて恥ずかしそうな微笑みのま
ま、何も言ってはくれなかった。
 彼が生きていて今の自分を見たら、きっとこんな風に笑いかけてはくれないだろう。あの微笑みが、
いつしか自分の心の中で大きな存在になっていたと、今になって気づくなんて……。
 もう一度シーブックに会いたかった。奇跡でもなんでもいい。ただもう一度だけ……。
 そして彼女の怒りは、自分自身へと向けられてゆく。
29高貴なるものの血 4章 7:03/10/29 00:02 ID:yf3hLssR
 そのシーブックを見殺しにしたのは、ほかならぬ自分ではないか。そしてシーブックを失ったという
喪失感を、未練を断ち切るためにザビーネに抱かれる道を選んだ。なのにザビーネに抱かれれば、際限
なく快楽に耽り、そのあとはそんな自分に嫌悪を覚え、死んだ人間にすがったりする身勝手な女。
 結局は自分の弱さを、汚い本性を知るだけだった。私は誰かにすがらねば、生きていけない、と。
 (母も、こんな人だったのだろうか……)
 ナディア・ロナ。かつてセシリーは、彼女のことを淫乱だと決めつけたことがあった。でも自分も母
親と同じだった。同じロナ家の血を引く女だったのだ。母を軽蔑する資格なんてない。彼女の血は、確
実に自分に受け継がれている。その証拠に、想いとは裏腹に、ザビーネが今夜も来ることを心待ちにし
て、私は下腹部を熱く濡らしている!
 ザビーネを誘ったのは自分のほうだ。ザビーネとは、これからもずっとこういう関係を続けてゆくの
だと思う。だがザビーネはシーブックではない。ザビーネが彼女をセシリーと呼んだのは、結局最初の
一度だけだった。それから何度体を重ねても、彼は自分をセシリーとは呼ばなかった。
 彼にとってセシリーは、あくまでもベラ・ロナでしかないのだろう。
 もしシーブックに抱かれていたのなら……。私を愛撫する手や唇が、私の中を満たしてくれるものが
シーブックだったのなら……。
 その未練を断ち切るかのように、彼女は鏡に映っている自分の顔を見つめ返し、形のいい唇の端を歪
めた。
 もうセシリー・フェアチャイルドではなく、ベラ・ロナとして生きていかなければならない。それは
彼女が決めたことなのだ。実際に明日は、バビロン宣言の式典でベラ・ロナとして、人々の前に姿を見
せることになる。
 自分がどういう人間か知ってしまった今となっては、それは重圧を感じることでもあった。
 「一人では生きられないし……、覚悟もつかないし……」
 そして彼女は肩まで伸びた金髪を、左手でまとめると、右手の鋏でゆっくりと切り始めた。誰かに頼
らなければ何もできない自分と決別するために。自分で自分の髪を切ることで、新しい自分へと変わる。
それは自らの手でされなければならないと思う。
30高貴なるものの血 4章 8:03/10/29 00:03 ID:yf3hLssR
もう私は、セシリー・フェアチャイルドでいる資格はないのだから。
そんな思いをめぐらせていたため、彼女は誰かが部屋のドアを開けたことに気づかなかった。
「!?」
部屋に誰かが入ってくるのを感じて、セシリーは後ろを振り向いた。
「何者ですっ? 警備兵っ!」
廊下の向こうで、ナーイ・フレッツェンの叫びが聞こえた。確かに眼前に迫る影がいる。セシリーは緊張に身を硬くしたが、その人物の顔を見て、彼女は驚愕した。
「やはりセシリー!」
その人物は、シーブック・アノーだった。彼女が本当に愛するべき、そして愛したいと願う少年。
瞬間、セシリーの中ですべての鬱屈した想いが、弾け飛んだ。
「シーブック!?」
シーブックの微笑みが確かに目の前にある。こみ上げて来るものを感じた。
「あなた生きていたのね!」
喜びとか嬉しさだけではなかった。失われていた彼女の半身が、今彼女の元に戻ってきたかのような、ありとあらゆる幸福感が彼女を包んでゆく。
いろんな言葉が次々と浮かび上がる。あなたを見捨ててしまったことを誤りたい。あなたを愛していると伝えたい。そして、できれば私を愛してほしい。私はあなたさえそばにいてくれたら、それだけで幸せなのだ、と。
溢れかえる思いに、戸惑うセシリーを前にするシーブックもまた、困惑していた。
髪を切っていたのか、若干ショートヘアになっている。それでもセシリーはやっぱり綺麗で、可憐だった。シーブックが知るセシリー・フェアチャイルドだった。今彼女を目の前にして、あらためて思った。
だから彼もいつもの自分に戻っていた。伝えたいことがあるのに、彼女が目の前にいると、それだけで幸せな気持ちになってしまう。
31高貴なるものの血 4章 9:03/10/29 00:07 ID:yf3hLssR
 だが部屋の外では、叫び声が飛び交っている。猶予はなかった。何とか言葉をひねり出す。
 「みんなが心配している。迎えにきたんだよ」
 「迎えって……」
 その瞬間、それまで嬉しそうだったセシリーの表情が、豹変するのを彼は見た。
 シーブックのいつもとかわらない微笑みから、その言葉を告げられたとき、セシリーの視界は、絶
望の色に染まっていった。
 (私は……もう、あなたと一緒に行くなんて……できないのよ……)
 ザビーネと獣のように交わってきた日々が、フラッシュ・バックする。私は、あなたの知ってる私
じゃなくなってしまった。いや、本当の私は、あなたのそばにいる資格はない、汚れた女だった……。
 「なんで今頃きたの!? もう遅いのよっ!」
 「遅いって……?」
 シーブックはセシリーの激しい口調の裏に、深い悲しみがあるのを感じ取った。
 部屋の入り口のドアが、勢いよく開かれたのはその直後だった。セシリーはそこから部屋に入って
きたのが、銃を持つザビーネだとわかった。
 「今さらっ!」
 そう叫んでシーブックを窓側に突き飛ばすと、自らはザビーネの構えた銃の先に出るように身を投
げる。
 シーブックもセシリーの意図することがわかったので、後ろ髪をひかれるような思いだったが、思
い切って窓を突き破って、部屋から脱出した。
32高貴なるものの血 4章 10:03/10/29 00:10 ID:yf3hLssR
 「どういう手合いか……」
 窓の外に向かって2,3発発砲し、シーブックが去ってゆくのを確認して戻ってきたザビーネに、
セシリーはその場を取り繕うように言った。
 「助かりました……」
 「お切りになったか……」
 「はい……」
 ザビーネの視線はどこか、セシリーの心を推し量る輝きを帯びていたが、セシリーには、それを気
にする余裕はなかった。
 「無事でよかった……。!? どうしたその髪は?」
 「はい。ロナ家の者に徹するにはまだ修行が必要かと思い、髪を切りました。そして、これが伸び
たあかつきには、コスモ・バビロニアを継ぐ身でありたいと思いまして……」
 騒ぎを知って駆けつけたマイッツァーの言葉も、自分がそれにどう答えているのかも、よくわかっ
ていない。
 (シーブックが生きていた……)
 その事実と、自分やその運命を呪いたくなるような気持ちで、セシリーの心はいっぱいだった。
 「そうか……。その決意の折に暴漢か?」
 「物取りかと……。だからこそ、連邦の政治を正さなければならないと、思い知りました」
 マイッツァーとのやりとりを、毅然とこなしているように見えるセシリーに、ザビーネは彼だから
こそわかる動揺があるのを感じ取っていた。
 (……)
 彼の隻眼が妖しく光るのを、気づくのは誰もいなかった。


                                      END
33Fekia:03/10/29 00:34 ID:yf3hLssR
ああっ、またやってしまった……。

>>23>>24のタイトルはそれぞれ、「高貴なるものの血 4章」1と2です。
>>30は改行し忘れました。
何度もすみません。

えっと、南極条約さまに自分のがUPされていて驚きました。
管理人様、UPしていただいた皆様、ありがとうございます。
それと、2章でのリクエストですが、もうバリバリ書かせていただきます。
モビルスーツには詳しくないので、つまらなくなるかもしれませんし、
秘密の教育なんてテーマ、自分が書くと馬鹿っぽくなるかもしれませんが……

前レス610様、いやさ、小雀さま。
すばらしい作品を拝見させていただいて、ありがとうございます。
まあ、展開というか、使うエピソードがとやっぱり被りそうなところが
私のは出てきそうです。すみません。
追憶って作品も期待してます。

これからですが、次回もエロはわかりません。ザビーネ×セシリーも検討してますし、
もしかしたらシーブック×ドロシーもあるかもしれないです。
UPは再来週になると思います。
あと、もうお気づきでしょうが、これはシーブックとセシリーが主人公です。

最後になりますが読んでいただいた皆様、本当にありがとうございました。
34名無しさん@ピンキー:03/10/29 01:17 ID:hOOVNsVd
やった!Fekia様がアップしてくれたですよ。
再来週も楽しみです。
小雀様は次で最終回なのが残念。今度はクロスボーンガンダムを題材に書いて
ほしいような。成長したセシリー。って私も漫画これから読むのですけど。
どちらの作品もなんの違和感なくF91の正式な物語を読んでる気になれるのが
素晴らしいです。
35名無しさん@ピンキー:03/10/29 01:51 ID:l3FWCM5N
Fekia様 キタ━━(゚∀゚)━━!!!
乙ですー。相変わらず素晴らしく、読みふけってしまいました。
映画で表現しきれていないセシリーの苦しみ、すごく納得してしまいます。
これだけの作品なら、自分はエロなくても全然問題なしですよー。
とかいってシーブック×ドロシー見たいなんて呟いてみたりして・・・。

次回UPも楽しみに待っています。
がんがってください!
36名無しさん@ピンキー:03/10/29 07:25 ID:KzXxutnh
Fekia様キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

見本の生存を知り葛藤するベラとその体に取り付かれたザビーネの・・・


次回ウプ待ち遠しいです。
37名無しさん@ピンキー:03/10/29 09:09 ID:SHsA17+A
小雀様とFekia様のSSが一度に読めて感激しています。

小雀様
ザビーネは‘セシリー’のこともきちんと考えていたんですね。でも本人には
それが伝わってない。うう、切ない。
モニカが言う擦れ違ってしまった恋なんでしょうか。誤解が解けますように。
F91ではドレルにあまりいいところがなかったので、格好いいドレルを見られて
嬉しかったです。ザビーネは可哀相だけどw
次回でラストなのは寂しいですが楽しみにしています。頑張ってください。

Fekia様
シーブックとセシリーの心理がよく判って面白かったです。
同じ場面なのに小雀氏とは全く違う展開なので、一粒で二度楽しめましたw
前に誰かが書いたように、セシリーとザビーネの光と影をお二人で見事に
表現されていると思います。ザビーネが今後どう出るのか続きが楽しみです。
38名無しさん@ピンキー:03/10/29 13:25 ID:nUuB9GlR
Fekia氏のは、いよいよシーブックが前面に出てきたね。
これも貼っておこう。今まで貼らないでスマンカッタ>ファンの人

                        __
                   _,,.. _,r'r―‐;;,ヽ、
               , ,,::,,;;'',,;;ir,-=ニ二~``ヾ,ヽ
               ( /,;i/"/'      ミミ、 ヾヽ、
              ,-ゞ,|;,ゝミミ彡~`      ミミ ヾ`;
           _,.."-ミ;;;;; ミミ丶        ミミヾi !、
        ,...<'"r'" //;;`   ,.、,'ヾヾヾ )、、、  _,.....ミi.iヽ
       / r'、ヽ, !/r'/ /,//   ),),)-、)、))r'"/   _ヽ i
    _,.r‐''" ゝヽヾ i'/ i'  i、!  .、r'~rt‐; 、ノノ、r//,  / ノ、 )
_,...r ''"     ゝヾ;;ソイ'!i、 |'',゙ニ、 、  ゝ‐'''"  `!,!,!.' i/Y |/
         , r''"~ | i i`゙'iヽ`"ノ       '! !i  | ノ /
       ,r '"    'i ヾ ゙i  ゙ ` __,,.,    ///-! V ノ
     ,r'"       ヽ ヾ-ゝ  ´ ,,     //  ヽ/`'/
     ,r"         ゝ_λ--\     //    /、
   ,i'    ,.---、、  _/ヾヽ、,--ヽ-― ',r''"  ) /  ヽ
--''"/ヽ、 く、-ヾ  `>'"  ヾー====イ'"   ノ/    ), ,,...::-――- 、
  /    `ヾヽ     ヽ、ヽ`ー―'"_,,,,r'''"    //
/       ヾヽ     ヽ `ー―''''"      //

F91・シーブック・アノー
39小雀:03/10/30 15:23 ID:6iQCv56C
過分なお誉めの言葉をありがとうございました。
とても丁寧に読んでくださっているようで、感激しています。

>Fekiaさま
自分も同じ場面を書いているだけに、読んでいて凄く面白かったです。
特にシーブックの心理描写には、いろいろ考えさせられました。
それから被りの件ですが、Fekiaさまが寛大なのをいいことに、
私が自分の話を次々に進めてしまっただけでですから、どうか気に
なさらないでください。2章のリクエストのお話もとても楽しみです。

それでは、「Outer Space」の第6章(終章)をUPさせていただきます。
相変わらずエロなしです。申し訳ありません。
以下、12レスほどお借りします。
40Outer Space 第6章(終章):03/10/30 15:26 ID:6iQCv56C
 先行したスペース・アークを追い、シーブックとセシリーは月へと向かっていた。
 その後をつけてゆくザビーネは、前を行く二機が連れ添うように並んでいる姿に、嫉妬の情を抑えきれなかった。あの時の男なのか!?
 つけられていることには、全く気が付いていないようだ。自分が眼の前に姿を現したら、ベラはどんな顔をし、何と言い訳をするのだろう? その瞬間が待ち遠しいような、来て欲しくないような、複雑な心――

 その頃、月では連邦軍とドレル大隊を中心にしたモビールスーツ隊が、激しい戦闘を行っていた。クロスボーン・バンガードの機動力のあるモビールスーツが強さを見せているが、連邦軍も月から援軍が来たため、勝敗の行方は予断を許さない。
 乱戦のさなかに謎の物体が姿を現す。ザビーネはもちろん、実の息子のドレルも知らないモビールアーマーで、鉄仮面が脳波によって操縦する「ラフレシア」だった。
 ラフレシアの無差別攻撃を受け、連邦軍の戦艦が次々に撃破されてゆく。鉄仮面の狂気は、戦場においては自軍に有利なように作動し、ドレル大隊は一気に勢いづく。

 遥か彼方から、鉄仮面は娘の機体を感知した。一機ではなく、僚機があることも。同じ頃、セシリーたちもまた、彼のラフレシアを察知していた。
「敵よ」
 強くそう確信する。
「血縁は自分の手で断ち切る!」
 ラフレシアの元に急行してコクピットの位置を見極め、攻撃を仕掛けようとするセシリー。ラフレシアの触手・テンタクラーロッドが、ビギナ・ギナに迫る。手や前頭部を壊され、損傷してゆく機体――

  *     *     *     *     *     *     *

 その頃ザビーネは、ザムス・ガルの底部から見たことのないコードを持つ味方機が出ていったのを観測し、情報を得るためにザムス・ガルに舞い戻っていた。
 ベラに対する怒りはあるものの、鉄仮面の陰謀を阻止するという目的で動いているのは、どちらも同じだ。それなら、今ベラたちに仕掛けるのはやめ、目的達成のための役割分担をすべきだろう。
 感情を処理できていることに安堵する。怪しげな味方機との戦闘はひとまずベラたちに任せ、自分たちはその素性を探る。場合によっては、ザムス・ガル乗っ取りも。
41Outer Space 第6章(終章):03/10/30 15:28 ID:6iQCv56C
 ブリッジに腕部のビームガンを当てて脅しをかけながら、接触回線で艦長のジレに、何が出ていったのかと詰問する。「ラフレシア」という名前を教えるものの、自分は関知していないと突き放すように答えるジレ。
 こいつが関知していないということは、鉄仮面が直接関わっている。ジレの隣り座っていた姿が、今はないのも目視した。あの怪しげな味方機に乗って行ったのか。

 鉄仮面のやり方に憤り、ジレをザムス・ガルの外に呼び出して、さらに難詰する。フロンティア I 制圧作戦に、鉄仮面の直属だけが知らされ、思うように動ける作戦が隠されていたというのでは、話が違う。自分は作戦全体を掌握する立場にあったのに、と。
 どこまでも突き放そうとするジレに、ヘルメットのバイザーを左手の銃で撃つ。利き腕でない手も使えるのは、軍人として当然のことだ。官僚肌のジレは、右手だけを注意していたようだが――
 ジレは真空状態に顔を晒し、宇宙空間に流れていって悶えながら死んだ。
「ラフレシアの件、私も知らなければマイッツアーも知らないことだった……」


 ザムス・ガルに、鉄仮面が戻るまでこの空域に待機するように命じる。ラフレシアの援護をされたのでは、元も子もない。
 本来なら、大尉に過ぎず艦長代行ですらない自分に、そのような命令を下す権限はない。ジレを処刑する権限もだ。
 しかし、マイッツアーのお声がかりでベラとの結婚話が具体化しつつある今、ザムス・ガルの上級士官で自分の命令に逆らえる者はいない。彼女との結婚には、ロナ家の一員となり女王の夫となる、という意味がある。

 今回の作戦にベラと自分が連れ立って出陣したことは、マイッツアーの思惑通り、クロスボーン・バンガードの上層部にはコスモ貴族主義を体現する婚約の儀式と見なされていた。
 ロナ家の人間となったベラが、高貴な者の義務――先陣に立って戦わなければならない義務――のために初めて出陣する時に、将来の夫である自分が付き添う。初陣の飾りに贈った百合の花は、二人が無事に帰還した暁には花嫁のブーケとなる。
42Outer Space 第6章(終章):03/10/30 15:30 ID:6iQCv56C
 老練な政治家・マイッツアーは、ベラを大衆のアイドルとして宣伝に使おうと考えていて、この儀式を慣習として定着させるつもりでさえいた。出陣を美化して若い者たちの気持ちを高揚させ、戦場に積極的に赴く者を増やそうというのだ。
 自分が難色を示さなかったら、花束贈呈式までやらされていたかもしれない。百合の花を贈ろうとした気持ちを、そこまで政治的に利用されるのは厭だった。出撃直前のザムス・ガルで人目につくように手渡すことで、なんとか折り合いをつけたが……

 権力を笠に着るのは好まないが、この場合はやむを得まいと割り切って、ザムス・ガルに命令を下した。ベラの実父・鉄仮面が帰艦してくるまでの間は、従わせられるだろう。
 だが、ベラの裏切りが味方に知れ渡れば、自分の通力も落ちてしまう。誰よりも腹を立てていながら、自分の手で彼女を告発できない立場にいる皮肉を、今冷ややかに笑う……

  *     *     *     *     *     *     *

 セシリーのビギナ・ギナは、ラフレシアのテンタクラーロッドに捕まってしまった。そのまま、コクピット近くまで引き寄せられる。
「お前が私の近くに来たいらしいから、こうしてやった。つくづくお前は悪い子だ。大人のやることに疑いを持つのは良くないな」
「機械がしゃべることかぁっ!」
「私は機械ではない! 任務遂行のためにエゴを強化したものだ」

 ビギナ・ギナから火花が出始め、機体が分解し出した。脱出ポットも作動せず、セシリーはコクピットの中に閉じ込められる。鉄仮面が近づいてきた。コクピットの扉をこじ開け、セシリーの手を掴んで宇宙空間へ引っ張り出す。
「手足を使わずにコントロールできる、このマシンを使う私を、ナディアと同じように見下すとは、つくづく女というものは御し難いな」
 激しい怒りと暴力性に満ちた気を浴びせられ、セシリーの顔が大きく歪む。

 今、分かった。ザビーネがアンナマリー機を撃ち落した時、なぜあれほどの恐怖と嫌悪を感じたのか。
 彼に鉄仮面と同じものを見て、凍り付いてしまったのだ。祖父の庇護がなかったら、この男は自分と母をとうに始末していたと思う。ザビーネがアンナマリーを始末したように。
43Outer Space 第6章(終章):03/10/30 15:31 ID:6iQCv56C
 愛情があるうちは、ザビーネも同じことはしないだろう。けれど、そうでなくなった時、彼は鉄仮面と同じ人間になる可能性がある。自分を見下す女、自分に歯向かう女、自分の思い通りにならない女を、決して許さない男。
 鉄仮面のような相手は絶対に選ばないと心に誓っていたのに、ザビーネのアンナマリーに対する態度は、この男とよく似ていた。そのことへの絶望……

 セシリーは気力を振り絞って叫ぶ。
「そうさせたのは、仮面を外せないあなたでしょうっ!」
「まだ言うかっ!」
 近付いてこようとしているシーブックの機体を察知して、鉄仮面はセシリーを宇宙空間へと放り出した。自機のコクピットへ戻り、迎撃態勢に入る。
 シーブックはセシリーを気にかけながらも、眼の前の敵・ラフレシアを倒すことを急ぐ。
 テンタクラーロッドを素早く交わすF91の動きに翻弄され、機体の残像も攻撃し出す鉄仮面。隙をかいくぐって、シーブックがラフレシアを撃破しようとする――

  *     *     *     *     *     *     *

 シーブックと鉄仮面が死闘を演じている間、セシリーは巨大な宇宙空間を一人漂っていた。
 発光信号を上げれば助けてもらえると知りながら、そういう気にはなれなかった。ザビーネと祖父を裏切り、実父を殺そうとした自分には、もう帰るところがない。

 束の間の安息を与えてくれたシーブックと仲間たちにも、これ以上は甘えられなかった。自分はどこまでいっても「ロナ家の女」でしかなく、流した血の償いがバグやラフレシア攻撃だけで終わるとは、とても思えない。
 連邦サイドに組する気はなくとも、連邦軍にとって自分は重要な人質になる。身柄と引き換えにクロスボーン・バンガードに無理な要求を突き付けるやもしれず、慈しんでくれた祖父の足手まといにだけはなりたくなかった。
44Outer Space 第6章(終章):03/10/30 15:33 ID:6iQCv56C
 想いが宇宙空間へと流れてゆく。覚醒したニュータイプ能力は、今まで見えていなかった物事の本質を、セシリーに認知させつつあった――

 あの時私は、鉄仮面と似た影をザビーネに見て怖くなり、逃げ出してしまった。でも、本当にそうだろうか? ザビーネは鉄仮面とは違って、相手がきちんと訴えれば、聞く耳を持っている人だったのではないか!?
 暴力的なものを秘めているのは確かだ。それでも鉄仮面のような、自分の弱さを隠すために仮面を被ったり相手を恫喝したりする、そんな人ではなかった。人を支配したり奴隷にしようとしたりもしない。
 むしろ他人と距離を取りたがるタイプで、去る者は追わない。私の寝返りに気付いている筈なのに、何の攻撃もしないでいてくれた。

 ただ、本人の存在感が強過ぎるため、私のような自我が完成していない人間は取り込まれ、自分を見失ってしまいやすくなる。自分の思っていることを察することさえできなくなり、彼という太陽の周りを回る月になってしまう。
 シーブックたちと再会して分かった。彼らの前では自然に振る舞えるのに、ザビーネの前では違うと。気取ってしまったり、無理をしてしまったり、彼好みの女でありたいと願ってしまう。他愛もない話はできても、肝心な話ができない。
 太陽――自ら光を放てる恒星――になれていたら、あんな風にはならなかった。これは私に原因があるのであって、ザビーネのせいではない。私自身の問題。

 アンナマリーも、きっとそうだったのだ。あんな哀しい特攻をするところまで行ってしまう前に、ザビーネに気持ちを伝えていたら、もっと違う未来が待っていたのかも。それが彼女の望む未来だったかどうかは、分からないけれど……
 ザビーネとのことを知っていたら、顔を合わせた時にもっと違う振る舞いができたのにと思うと、悔やんでも悔やみきれない。思いやりのなさ過ぎる、ザビーネの態度を叱りもしただろう。彼女をあそこまで追い詰めてしまったのは、私にも責任がある。
45Outer Space 第6章(終章):03/10/30 15:36 ID:6iQCv56C
 逃げ出したりせず、ザビーネがアンナマリーにした行為を、きちんと糾明するべきだった。どんな理由があろうとも、彼がしたのは私刑でしかない。見ようによっては、自分のしてきたことを隠蔽するための行為にさえ見える。
 そんな行動が、コスモ貴族主義を信奉する人間として正しいのか、自分の持つ高潔さを汚すものではないのかと、指摘するべきだった。帰還後に問いただし、処罰を与える。最悪の場合、軍法会議にかけることも。
 そのせいで、ザビーネが私の夫として相応しくないと言われてしまうなら、罪を償いながら二人でひっそり生きてゆけばよい。その強さを持たなかった私――

 アンナマリーとのことを知って、もうひとつ見えてきた。ザビーネは彼女や私のような、気が強く、それでいて脆いところもある女性が好みなのだ。
 けれど気の強さが前面に出て、それが激しい形で自分に向けられると、うまくやっていけなくなってしまう。アンナマリーにしたように、怒って暴力的な行為に及ぶこともある。
 敵対する相手を叩きのめすやり方には長けていても、親密な相手とより良い関係を築いていくやり方には慣れていない。息子の眼にあんな傷をつける父親の元では、そういうやり方を学べなかったのだろうか。

 シーブックを見ていると、ザビーネとの違いがよく分かる。モニカによく似た優しげな雰囲気を持つ彼は、親密な相手とより良い関係を築いていくための努力を惜しまない人だった。
 腹を立てていても暴力的な行為はしないし、必要とあれば、何に怒りどうして欲しいと思っているのかを、きちんと言葉で説明できる。ニュータイプ能力に頼らずに。

 そういうところは、ザビーネよりずっと大人だ。当然、私よりもずっと。それなのに、子どもっぽく頼りないように思ってきたなんて、私が浅はかだった。
 ザビーネを、完成された大人な人だと思ってきた。だから彼に惹かれたのだと。でも、ザビーネもまた、欠点を抱える生身の人間だった――そのことを今、とても愛しく思う。
46Outer Space 第6章(終章):03/10/30 15:39 ID:6iQCv56C
 子どもができなかったのは、子どものためには、むしろ良かった。私はまだ、親になれる準備ができていない。自分を確立できず、いつも誰かに依存することを考えている。それで母親になろうなんて無理だ。女王になるのだって、身の程知らずというもの。
 それに私は、母親のモデルを持っていない。反面教師ならいて、ああいう母親にはなりたくないと思うけど、ではどういう母親になりたいのかと問われると漠然としたイメージしか浮かんでこない。これでは駄目だ。

 ザビーネの居る場所が私の居る場所だと思ってきたのも、大きな間違いだった。まず自分の居場所を作り、ザビーネの居場所も尊重し、その上で二人で居られる場所を手を取り合って探す――対等な人と人との関わりとは、そういうもの。
 「セシリー」を愛してくれないというのも、私の思い込みだった可能性がある。「セシリー」は私の分かち難い一部で、二人きりで寛ぐ時間や、ふとした弾みに顔を出していたと思う。ザビーネは、それをも愛してくれたのではないか。
 「ベラ」でいようとする私を気遣って、「セシリー」の部分を見ない振りしたり、「セシリー」のことを聞かないようにしたり、してくれていたのかも……細やかな心遣いをしてくれる人だったから。

 宇宙空間のどこまでも続く漆黒の闇は、ザビーネの黒い制服を思い出させる。輝くような金髪と端正な顔によく似合っていたあの制服――
 私が孤独に耐えられる強い心を持っていたら、ザビーネを私の運命に巻き込まずにすんだ。私のせいで心を深く傷つけられ、かかなくてもいい恥をかいてしまう彼に、なんと言って詫びたらいいのか……
 こうして孤独なまま死んでゆくのは、私に与えられた罰なのだ。だから黙ってそれに耐えよう。それが今の私にできる、精一杯のこと。

 シオと駆け落ちした母を節操の無い女と軽蔑してきたのに、同じような行動を取ってしまった。ザビーネという人がありながら、敵方の連邦軍に所属するシーブックに連れられて寝返ったのだから。
 シーブックとは恋愛関係ではないし、疚しいことは何ひとつしていない。それでも他人から見たら、同じようにしか見えない筈だ。婚約式の当日に他の男と逃げた女……
 ザビーネは鉄仮面とは違い、私を失ったからといって仮面を被るような人間ではない――それだけが、唯一の救い。
47Outer Space 第6章(終章):03/10/30 15:41 ID:6iQCv56C
 愛と憎しみは同じところから発するものなのだ。愛情があったから、母や父や養父を憎んだ。彼らを理解すると、憎しみの気持ちや許せない気持ちの行き場がなくなるような気がして、絶対に理解しないでいようと考えていた。
 だけど、理解することと許さないことは、別々に存在させることもできる感情だ。彼らの立場に立って考えてみれば、違うものが見えてきたかもしれないのに、愚かな拘りで眼を塞いでしまっていた。

 意識が薄れてきた……シーブックの笑顔が見える。
 最後に会えて、一緒に闘えて、嬉しかった。鉄仮面を倒してくれてありがとう。身体に波動が伝わってきたわ。あの人は弱い人だった。私の弱さは、悔しいけどあの人譲り。自分の中の厭な部分を見せられるようで、反発しかできなかった。
 あなたには迷惑ばかりかけてしまったわね。ありがとうも、ごめんなさいも、いくら言っても足りない気がする。みんなにも、ありがとうと伝えてね。この戦争で誰も死ぬことがないように、宇宙(そら)から見守っているわ。

 ああ、もう時がない……
 別の世界に生まれ変われたら、同じ過ちはしないでいられるのだろうか?
 いいえ、きっと私は同じことを繰り返す。ザビーネに恋をし、その冷たさに怯え、ザビーネの元から逃げて、お互いの心に大きな傷を作ってしまうに違いない。どんなに愚かしくとも、愛さずにはいられない男(ひと)――

  *     *     *     *     *     *     *

 ザビーネは圧倒されていた。脳の中に次々にイメージが入ってくる。
 ベラが艦長をしている戦艦で、モビールスーツ・パイロットとして一緒に戦っている自分。ベラが焼いたパンを幸せそうに食べている自分。ベラが演説している姿を熱心に見つめている自分――どの場面にも、今より少し大人びて、より魅力的になったベラがいた。
 これは何の映像だ!? ベラが見せているのか? ニュータイプとは、このようなことまで、できるものなのか!?

 百合の花にも似た香りがコクピットの中に漂い、哀しいほど透明な心が伝わってくる。誰よりも愛していたこと、自分の全てとも想っていたこと、そして真っ黒な絶望感と肩にのしかかる重さ――
 固く封印してきた心が解き放たれ、ベラへの愛しさが蘇ってくる。右眼の傷跡に触れた時の、唇の温かさ。
48Outer Space 第6章(終章):03/10/30 15:43 ID:6iQCv56C
 ベラを許せると、理解できると思った訳ではない。怒りは今も胸のうちに潜んでいる。しかし、共に過ごした日々までもが偽りに満ちたものではなかったと、真剣に自分を愛してくれていたのだと、それだけは信ずることができた。
 立ち込める気配を胸にそっと抱きしめる。それは、ありし日のベラの身体のように柔らかく、温かく、優しさに満ちていた……


 大きな衝撃を感じて我に返ると、眼の前でラフレシアが爆発していた。ザムス・ガルから戦闘空域まで駆け付ける途中で、あの映像に出くわしたのだ。
 鉄仮面の操るラフレシアを倒せた、連邦のモビールスーツの活躍に驚く。それほどの大部隊がいたのかと部下たちに索敵させてみたが、戦闘不能のモビルスーツ一機しかいないと分かり、驚きが倍化する。
 新型とはいえ、どういうことだ? あのパイロットもニュータイプなのか? ベラはどうしたのだ!?

 隠れて回線を張ってみる。聞こえてきたのは、動揺しまくっている男性パイロットが、コクピットの中で「セシリー」に必死に呼びかけている声。
「セシリー!? ベラ・ロナを捜しているのか?」
 ベラの名を口にすると、心に激しい痛みが走り、冷静ではいられなくなる。相変わらず感情を処理できない。

 やはりあいつは「物取り」だ。悲鳴のような叫び声に聞き覚えがある。あの時、部屋に来たのは、彼女を連れていこうとしたのだろう。ベラはそれを断り、ロナ家に留まって女王になる道を選んだ。
 あの折のベラの美しさを思い出す。マイッツアーに決意を伝えていた時の凛とした横顔、決意も想いも掛け替えのない真実だと訴えた時の一途な瞳。神々しいほどの姿だった。
 疑ってしまった自分を深く恥じる。ベラと出会いそのものが奇跡だった。幾億の星がさまよう宇宙(そら)で巡り会えた、たった一人の相手……

 あいつとベラが共闘してラフレシアを倒したのか。ご苦労だったな。ビギナ・ギナは大破した様子なのに探しているところを見ると、ベラはコクピットから脱出したのか。


 近くにいる巡洋艦を調べにいっていた部下が、難民収容艦だったと報告する。
 引き上げ命令に、練習艦とはいえ巡洋艦だ、放っておいていいのかと騒ぐ部下。我々もバグやラフレシアになるつもりかと脅し、難民船一艦ぐらい見逃すようにと指示をする。
49Outer Space 第6章(終章):03/10/30 15:46 ID:6iQCv56C
 ベラは宇宙空間で生きている。間違いない。ニュータイプでなくとも、それだけは分かる。身体の奥深いところで結び合った記憶ゆえか、ベラが会いに来てくれたからか……
 あいつがベラを見つける筈だ。そのことも考えて、見逃す巡洋艦――見つけられても、戦闘不能のモビールスーツだけでは、安全な場所まで避難するのは無理だからな。

 ベラは女王になれる資質を持つと同時に、ごく普通の少女でもある。ロナ家やクロスボーン・バンガードで生きてゆくのも、重荷だったのだ。出来うる限り支えるつもりでいたが、力及ばなかったか……
 ビギナ・ギナが大破したお蔭で、ベラは死亡した、としておける。ベラが連邦軍に人質にされる前にそれを発表してしまえば、彼女はベラ・ロナの偽者ということになって、人質としての価値も無くなる。連邦政府も、偽者を処刑したりはしないだろう。
 ベラにしてやれるのが、ロナ家やクロスボーン・バンガードからの解放だけとは、皮肉なものだな。自分がそこに居続けるつもりでいる場所――

 あの新型モビールスーツを捕獲して持ち帰れば、連邦軍の最新情報が手に入る。ニュータイプの疑いがあるパイロットを捕虜にすることも、本来なら重要な任務だ。ラフレシアを倒した件について、状況その他を尋問する必要もある。
 しかしそれでは、ベラを苦しめてしまう。あいつに代わって自分たちが彼女を探して助け出したのでは、クロスボーンに連れて帰らざるを得ず、彼女が一番望まない結果になる。軍人としてはやってはならない行動だが、ベラの心には代え難い。

 ベラがそこに居たいと考えているなら、その間は貴様に預けておいてやる。泣かせたら、絶対に許さんぞ!
 どこかで聞いたセリフだな、フフフ。きっとドレルには罵声を浴びせられる。マイッツアーからもだ。降格処分ぐらいで済めば良いが……やれやれ、とんだ婚約式だったな。
 胸に抱きしめた、あの時の気配を思い出す。あれはベラそのものだった。気高く真摯で、強くて儚い。脳の中に入ってきた強烈な映像は何なのか。いつかまた彼女と巡り会い、手を取り合って戦う日が来るのか。ふっ、未練な……
50Outer Space 第6章(終章):03/10/30 15:49 ID:6iQCv56C

 ベラとの別れに万感の想いを込めて、ザビーネは部下たちに命じる。
「ドレル大隊と合流して、凱旋するぞ!」
 コスモ・バビロニアへと引き揚げてゆく男の、血を流し続ける心を、漆黒の宇宙(そら)がゆっくりと包み込んでゆく。右眼の眼帯の下から一滴だけ落ちた水滴は、汗だったのか、それ以外のものだったのか――

  *     *     *     *     *     *     *

 ザビーネが考えていた通り、シーブックはモニカの助けも借りてバイオ・コンピュータをフル稼動させ、苦労の末にベラ、いやセシリーを見つけることができた。
 一度はロナ家の人間になりながら、再び態度を豹変させて自分たちのところへ来たセシリー。そのことへの不信感と、胸に宿る「ザビーネ」という男への反発が、今までセシリーへの態度を微妙なものにしていた。
 一緒に戦っている間は気持ちを抑えていられたが、その後どうなるのかは自分でも分からなかった。

 けれど、セシリーが宇宙空間に放り出されたあの時、生きていて欲しいと、それだけを願った。
 連邦軍にいても、クロスボーン・バンガードに戻ってもいい。セシリーでもベラでも構わない。ロナ家の人間になっても、他の男を想っていてもいい。ただただ、生きていて欲しかった。
 いつも直向きで、他人と関わる時にも真剣で、一途に人を愛することができる少女――そういうセシリーだからこそ、好きになったのだ。その一途さが自分に向けられなかったのは、寂しいけど……

 死んだように見えたセシリーは、シーブックの必死の呼びかけにようやく眼を開ける。お互いの無事を喜び、抱き合う二人。


 セシリーは遠い空域にあるザビーネの気配に気付く。
 意識を失う直前に、心がザビーネのところへ飛んでいったのを覚えている。最期に、どうしても会いたかった。包み込むように、そっと抱きしめてくれた――その感覚は生涯忘れることができないだろう。
51Outer Space 第6章(終章):03/10/30 15:50 ID:6iQCv56C
 頼もしいところも子どもっぽいところも、誠実なところも意地悪なところも、情熱的なところもクールなところも、みんなみんな大好きだった。眩しそうに私を見つめる時、少しだけ漂う寂しげな影を、今もその眼差しに浮かべているの……?
 さよならが教えてくれた、ザビーネの本当の優しさ。責める言葉のひとつも漏らさず、私たちを見逃してくれた。誰よりも大事な人だった。あなたを愛して良かったと、今、胸を張って言える。

 ザビーネの元に戻らなくていいのかと聞くシーブックに、黙って首を横に振る。
 一度寝返った身で、おめおめとクロスボーン・バンガードやロナ家には戻れない。それに、自分の未熟さに気付いてしまっては、女王としてやっていける自信もない。今は、クロスボーンとも連邦とも関係のないところで、静かに生きてゆきたいと願うだけ。
 ザビーネはクロスボーン・バンガードを捨てられない人だ。私たちの道は、もう分かれてしまっている。もう一度会えば、さよならする決心が鈍るだけ。会いたいけれど、会いたいけれど、会ってはいけない人。
 ザビーネもそれを知っていたから、何も言わずに去っていった。ただ愛だけを残して……

 止まらなくなった涙を察して、シーブックが肩に回した手を強めてくれる。縋りつきたい気持ちを抑え、彼の背に手を置くだけにする。ザビーネの時と同じ過ちを繰り返してはならない。人に依存することと頼ることは違うのだ。
 シーブックは、こんな私にも温かく接してくれる。ありがたいと思う。いつか彼と共に歩む日がくる、そんな予感も少しだけある。でも今は、ザビーネだけを想っていたい。高潔で深い愛をくれた、ザビーネのことだけを……
 次に誰かと共に歩くのは、自分を確立してからだ。自我の確立なくして、本当の意味で人と関わり合うことなど、できはしないのだから。
52Outer Space 第6章(終章):03/10/30 15:52 ID:6iQCv56C
 私を生かしておいてくれた宇宙空間に、何らかの意思を感じる。死ねなかったということは、この世で成すべき何かが残っているという意味なのか。出会うべき人がいて、再び巡り会う人もいると。
 生きてゆくのが、死ぬより辛い時もある。それでも、もう一度生きてみようと思う。
 辛くて辛くて、どうしようもなくなったら、瞼を閉じて帰ればいい。ザビーネと過ごした温かな時間、想い出たちの中へ。いつも微笑んで私を見つめていてくれた、ありし日のザビーネに……
 生きて、できることを探してみよう。今度こそ、自分の足で歩くのだ!

   *     *     *     *     *     *     *

 シーブックがセシリーを見つけられたのは、宇宙空間に浮かんだ一輪の花のお蔭だった。そこに付いていた気配を辿り、彼女のところに行きつけた。
 それはザビーネが、ただ一人の女性・ベラに愛を込めて贈った花――ベラであったセシリーが幸せの絶頂で自機の左頬に飾った、あの百合の花だった。
 宇宙(そら)で散ったその清楚な百合こそ、ザビーネの恋そのものだったのかもしれない。短くも気高く咲き、セシリーを救い、人知れず散っていった恋……

 ザビーネが再び誰かを愛せる日が来るのか、セシリーとシーブックの二人がこれからどうなってゆくのか、まだ誰も知りはしない。
 けれど宇宙(そら)は、幾多の命の遣り取りと織り成される人間模様を見守りながら、今日もそこに存在している―― 【Fin】
53小雀 ◆ZAxBErybqE :03/10/30 15:55 ID:6iQCv56C
「Outer Space」は以上で完結です。13レス使ってしまいました(汗
Fekiaさまを始め、住人の方たちの温かいレスが無かったら、
書けなかった作品だと思います。心から感謝しております。

シーブックファンの方には腹の立つ展開だったかもしれませんが、
私は恋愛面から見たF91を「ザビーネとベラの恋の始まりと終わり、
シーブックとセシリーの愛の予兆を描いた物語」と解釈しています。
ザビーネとベラの間には、恋愛関係かつ公式の婚約関係があったの
だろうと推論しているので(女王になると告げる場面でのザビーネたち
三者の挙動、百合の花の時の二人の挙動、ザビーネのザムス・ガル
への対応他からそう考えました。考察文も書いているところです)。
そのため、このような筋運びにしてみました。

「クロスボーン・ガンダム」に沿った続編も構想していて、そちらでは
シーブックとセシリーの愛の育つさま、ザビーネとベラの恋の決着も
描いてみたいと考えています(実物はまだ読んでいませんが、粗筋は
知っていますので)。また今回の作品とは別の、愛憎絡み合うザビーネ
×ベラ・権力闘争バージョンも考えています。
いつになるか分かりませんが、UPさせていただくことがあれば、
その時はまたよろしくお願いします(ザビ×ベラ用のトリップも一応
探してみましたし/笑)。

言い訳がましい長文レスで、失礼しました。
54名無しさん@ピンキー:03/10/30 23:45 ID:1frEJtQu
もつかれ
55名無しさん@ピンキー:03/10/31 16:41 ID:HUloEMEi
小雀様連載お疲れ様でした。物語堪能しました。
おかげさまで読む時も待っている時もとても楽しめました。
クロスボーンの作品も待ってます!
56名無しさん@ピンキー:03/11/01 00:21 ID:/FqmwOlo
細かい所までよく作ってあって圧倒されました。
シーブック×セシリーの物語としか思えなかったF91をザビーネ×ベラの物語に
書き換えてしまっている。
最後のほうに主題歌の歌詞が入っているからバックに音楽が聞こえてくるし、
キャラたちの心理描写を読んでいると涙腺が刺激されて困りました。
「お見事です(拍手)」(byザビーネ)としか言い様がありません。
続編も期待してます。
57名無しさん@ピンキー:03/11/01 14:17 ID:Rz4QvGfe
相変わらず、自作自演がお得意ですねw
58名無しさん@ピンキー:03/11/01 18:12 ID:5Km87t5l
>>57
わざわざそんな事カキコしなくてもいいのにな。
コワイヨー
59名無しさん@ピンキー:03/11/01 21:30 ID:rqZ/P42g
F91書いてもらって嬉しい。
ここまで書ける人達だから、あえて本音をぶつけてみよう。
人間の物語としては良くかけているが、ニュータイプがひとりもいない。

F91を題材にするなら、もう少し、ニュータイプとは一体なんなのかを
考えた方が面白くできるよ。

とりあえず、お疲れ様。がんばってね。
60名無しさん@ピンキー:03/11/02 00:45 ID:Ajkg+LiZ
>>59
ニュータイプはFekia氏のにはまだ出てきてないけど
小雀氏のには出てきてたよ
61名無しさん@ピンキー:03/11/02 17:38 ID:9ijHgXwl
age
62名無しさん@ピンキー:03/11/02 18:31 ID:/iqOOP4V
エロいエマ中尉キボン
63名無しさん@ピンキー:03/11/02 22:52 ID:XuUK/fHx
しかし職人さんがFekia氏しかいなくなるな
まだスレできたばかりなのに大丈夫か・・・?
>57みたいなのがいると、職人さんがこなくなってしまうぞ
64名無しさん@ピンキー:03/11/03 00:13 ID:5NQIv3f4
職人様には57みたいのは無視してほしいですね。
F91を書いたお二人にはたっぷり楽しませてもらったのに
何でつまんないこと書くのかね?
65名無しさん@ピンキー:03/11/03 01:02 ID:3+DlL5Ld
>>63-64
あーゆーのはしょうがない。
漏れらは職人さんがやる気出るように感想かいたり、挿絵依頼をすればいいのさ。
それが職人さんへのバックアップ!
66名無しさん@ピンキー:03/11/03 02:38 ID:X1Pxxa4M
>>65
禿同。
長年待っていたF91を書いてくれたFekia様と小雀様には、深く感謝してる。
両方とも待った甲斐があったと思える良作で、Fekia様の続きは楽しみだし、
小雀様の続編にも期待大。

小雀様が連続ウPしてくれたお蔭で、ここに日参する習慣がついてしまったw
今そうじゃないのは寂しいけど、廃墟寸前だったことを思うと連続ウPして
もらえただけでも感謝しなければと思う。
67名無しさん@ピンキー:03/11/03 16:28 ID:1INns6Ex
そうだ!F91だぞ!
漏れが何年待ったと思っている!!

しかしこのスレはガンダムキャラに萌えるスレであって
F91キャラに萌えるスレでないのは確かだ
ここは建設的におまえらがどのキャラに萌えるのかあげてみないか

ちなみに漏れはルー・ルカとチェーン・アギ
68名無しさん@ピンキー:03/11/03 16:50 ID:VWotbv3+
>>67
>しかしこのスレはガンダムキャラに萌えるスレであって
>F91キャラに萌えるスレでないのは確かだ
うん、そうだね。ちょっと反省。

私はキエルとハリーかな。
ザビーネとセシリーの、もうひとつの姿のような気がする。
69名無しさん@ピンキー:03/11/03 18:17 ID:1oYT242j
私はセシリー、ルー、アイナ、クリスが好き。

ユーリ×アイナの小説が読みたいなぁ。ドレス姿の時に迫られちゃって。
誰か書いてくださーい。
70名無しさん@ピンキー:03/11/03 23:25 ID:xdXjUFLX
南極のSSで以外に少ないキャラ、カプって何だろう
ルーとかレインとか意外に少ないよな
71名無しさん@ピンキー:03/11/04 17:07 ID:GFX44hBO
南極の挿絵陸誰か行った?
72名無しさん@ピンキー:03/11/05 00:20 ID:9zSJZFUC
一人だけ行ってたけど。
73名無しさん@ピンキー:03/11/05 01:56 ID:Yo99DWmY
英雄録確認は必須。↓の最近の流れを良く読んどけ。
http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/movie/606/1026722441/
74名無しさん@ピンキー:03/11/05 15:42 ID:OE1QJTGi
小雀様最初から一気に読ませて頂きました。
エロ度も高いし、ベラとザビーネの心の動きも詳しくて
とても読み応えがありました。満足ーです。

>愛憎絡み合うザビーネ×ベラ・権力闘争バージョンも
>考えています。
これぜひとも読みたいです。新作楽しみにしてます。
75名無しさん@ピンキー:03/11/06 20:09 ID:pEeLPIGg
Fekia氏が来られるまでの2週間は長いな〜。ウズウズするですよ。
76名無しさん@ピンキー:03/11/07 06:47 ID:oLeUOzun
依頼する絵師もよく吟味した方がいいね・・・
77名無しさん@ピンキー:03/11/07 21:17 ID:g84NnApY
Fekia氏の挿絵、依頼が二つに増えてるね。
78名無しさん@ピンキー:03/11/08 10:01 ID:RbiL6E7f
ゴクローサンだな、ヲイ
79名無しさん@ピンキー:03/11/08 11:48 ID:TFrPq77R
期待あげ
80あなたのそばにいたくて1:03/11/09 21:49 ID:bXdK7c5z
 大きな深呼吸をして、ファはドアをノックした。ややあって、部屋の主が顔を見せる。
「…ファ?どうした?」
 顔を見せたカミーユの表情は、若干の疲れが見て取れた。無理もない。地球から戻ってきたばかりなのだから。
戦いの疲労だけではなく、精神的ショックがカミーユを押しつぶそうとしているのを、ファは知っていた。知って
いて、この時間に訪ねてしまったことを後悔した。
「ごめん、疲れているよね、また出直すわ」
「いいよ、話があるんだろ?入れよ」
 カミーユの部屋は生活感が感じられないほど冷えていた。数日間留守にしていたからだけではないだろう。彼の
悲しみが、部屋までも凍りつかせてしまったのだ。
 ファはすすめられるままベッドに座り、向かい合うようにして椅子をまたいで座ったカミーユを見つめた。何度
かカミーユと離れたことがあった。空港で別れてからアーガマで再会した時、ホンコンから戻ってきた時、そして
キリマンジャロから戻ってきた時。いつもカミーユは、会うたびに大人になっていた。そして痛々しいまでに傷つ
いていた。人の痛みをわが身に置き換え、まるで多くの人を倒してきたことを、自ら罰するかのように。
 誰も、そんなカミーユの心の裡に気づかない。ニュータイプのカミーユは、傷つく心がないとでも思っているの
だろうか。本当のカミーユは、優しく繊細な少年だというのに。
 わたしにできることは、なんだろう。ファはずっと考えてきた。
「ねえカミーユ、わたし、カミーユのこと好きよ」
「なんだよ急に…」
 突然の告白に、カミーユは困ったような笑顔を浮かべた。
「笑わないで、わたし真剣なんだから」
81あなたのそばにいたくて2:03/11/09 21:55 ID:bXdK7c5z
 アーガマに乗る前の二人の関係は、幼馴染以上の間ではなかった。もちろんファはずっと好きだったし、カミーユ
だって、一番親しい女の子はファだったはずだ。だが幼馴染が恋人に昇格するには、何か大きなきっかけが必要だっ
たのだ。この戦争はきっかけにしては大きすぎたが、それでも、二人の間は言葉にしなくても今までとは何かが違う
と互いに感じていた。
 でも、分かってしまった。カミーユはホンコンで恋をした。激しく燃えるような恋をしたて、キリマンジャロでそ
の恋がピリオドを打った。愛する少女の死を持って。ずたずたに傷ついたカミーユの心を、自分が癒せるかは分から
ない。しかし、伝えねばならないと思ったのだ。今は戦争中で、自分たちはパイロット。出撃すれば生きて戻れる保
障はどこにもない。あいまいな形で死んでしまうなんて、絶対にイヤだった。
「世界中が敵になっても、わたしだけはカミーユのこと信じる。そのくらい好きよ」
「大げさだな、おかしいぞ」
 カミーユは駄々をこねる子供をあやすように、困った笑顔を浮かべてファの肩に手を置いた。だが、ファはその手
を振り解いた。
「怖いのよ、カミーユが死に急いでいるような気がして。この世には、もうあなたを引き止めるものが何もないのか
と思うと、ショックだったの。だから忘れないで欲しいの。わたしはカミーユのことが好きで、カミーユが死んだら
すごく悲しいし、辛いってこと」
「……」
「カミーユがどんな思いで戦ってるか知ってる。もう、止められないって事も分かってる。だけど、これだけは忘れ
ないで。カミーユが守ろうとしている大勢の命も、カミーユの命も、どっちも同じくらい大切な、かけがえのないも
のなんだって…」
言いながら、ファは溢れる涙を手の甲で乱暴にこすった。泣き落としだと思われたくない。同情も哀れみもいらない。
絶対泣くまいと誓ったのに、感情のコントロールができなかった。
82あなたのそばにいたくて3:03/11/09 21:58 ID:bXdK7c5z
 と、頬に暖かいものが触れた。カミーユの手だった。大きくて暖かな掌がファの涙を拭い、そっと涙の跡に口付けた。
そのままファの唇を覆い、二人はもつれるようにベッドに倒れこんだ。互いに貪るように激しく唇を求めあう。カミー
ユの手がファの制服のファスナーにかかる。恍惚として受け入れていたファだったが、はっと我に返り、カミーユを跳
ね除け、ベッドから転がりでた。
「やめて…こんなつもりで来たんじゃない。抱かれるために来たんじゃない」
 …嘘だった。傷ついているカミーユは、失った少女の身代わりとして自分を抱くだろう。それでもいいと思った。カ
ミーユのためといいつつ、結局は自分のためにここに来た。自分が好きな人に抱いてもらうために、傷心のカミーユを
利用して。
好きなのに。どうして伝わらないんだろう。なんで体の結びつきによって解決しようとするんだろう。自分の浅ましさ
ともどかしさに、ファは俯いて泣いた。
「…ニュータイプってさ」
 どれだけの時間がたっただろう。カミーユがポツリと呟いた。
「言葉にしなくても、お互いのこと分かり合えるんだって。確かに便利だけど、でも気味悪くも、あるよな。ファの言
いたいこと、頭では分かるんだ。でも俺心で分かるようになりたい」
「カミーユ」
「ファが俺のこと呼ぶ声、好きだな。殺伐とした戦場でも、振り返れば家族が待ってるような、そんな安心感があるんだ」
「カミーユ」
 ファは、カミーユの名を呼んだ。泣きながら何度も。
83あなたのそばにいたくて4:03/11/09 22:03 ID:bXdK7c5z
「戦いという非日常の中にあって、ファだけは変わらない。ずっと、そのままでいて欲しいよ」
 再び、カミーユの手がファの頬に触れた。

「コロニーを離れるとき、持ち出したいものがあったんだ」
「…なに?」
「ホモアビスの優勝トロフィーと、体育祭で盗み撮りしたファのハイジャンプの写真」
「何よそれ!!」
 真っ赤になって叩く真似をするファを見て、カミーユは笑った。久々に見る、心からの笑顔だった。
つられてファも笑った。泣きながら笑った。ずっと、カミーユの笑顔が見たかった。パイロットとし
て活躍して大人と交わっていく中で、年相応の少年らしさをそぎ落としていったカミーユ。そのカミ
ーユに笑顔を与えることができるのは自分だけかもしれない。
 だったら、自分は自分らしさを失わずにいよう。この先何があっても。
「死なないでくれよ、ファ」
 ファの胸に顔をうずめて、カミーユは呟いた。
「ファだけは、俺の傍にいてくれよな?」
「うん。約束する」
 カミーユの手が再びファスナーにかかる。今度は逆らわなかった。二人は目線を合わせ、
頷いてから抱き合ったままベッドにもつれ込んだ。
「…前から思ってたんだけど、ファの制服姿、エロいよな。何で素足なの?」
「だって、普段もこのくらいのスカートはくし。見えてもいい下着はいてるし」
 これからの行為は、二人にとっては未知の領域だった。照れもあるのか、甘やかな情緒も
なく、しゃべることによって必死に間を持たせている、といった感じだった。
「何気にクワトロ大尉がファの後ろに立ってること、多いんだよなぁ。あ、見えてもいい下
着って、これかよ。フツーのパンツじゃん」
「やだ、まじまじと見ないでよ恥ずかしい。何でわたしばっかり脱がすのよ。カミーユも脱
ぎなさい」
 しばらくじゃれあうように服の剥ぎ取りあいをしていた二人だが、全裸となり相手の体温
をじかに感じると、急におとなしくなった。
84あなたのそばにいたくて5:03/11/09 22:05 ID:bXdK7c5z
 カミーユの繊細な指が、唇がファの体の隅々に触れる。乳房を包み、体のラインにそって
唇を下ろし、薄く茂った秘所に這わせた。ファの口からは官能の喘ぎが途切れることなくこ
ぼれる。初めは頑なに閉じていた足だが、とろけるような愛撫でいつ迎え入れてもいいよう
に準備ができている。
 ファにとっては正真正銘の初めてである。恐怖や不安もあったが、それ以上に、大好きな
人に抱かれる喜びで溢れていた。
「ファ…力、抜いて」
 耳元で囁かれたのと同時に、下腹部に激痛が走った。体を二つに裂かれるような痛みにファ
は顔をゆがめた。だが、カミーユはファの苦悶の表情に気づかず、己のたぎった欲望を満足
させるかのように小刻みに腰を突き上げる。ファは悲鳴をこらえて、少しでも痛みが薄らぐ
ようにとひたすらカミーユの腰の動きについて自らも腰を振った。
 やがて、頭に響くような痛みはなくなり、奇妙な官能の波が押し寄せた。腰を振るたびに、
今まで感じたことのない快感が立ち上る。体を内側から突かれる、そんな快感に体がしびれ
た。もっと、もっと欲しい。ファは自慢の長い足をカミーユの腰に絡ませた。
 思っても見なかったファの大胆な行為に、カミーユは驚きつつも期待に応えるべく、さら
に深く腰を打ちつけた。体の全神経が一箇所に集中し、そこだけが熱を持っている。過去に
あった悲しいことも、これから起こるかもしれない悲劇も、どうでもよかった。今この瞬間
の熱さが、生きていることを実感させる。
 一緒に育ってきた幼馴染。姉気取りで母親気取り、口うるささを鬱陶しく思うこともあっ
た。でも、なくしたくない。家族も故郷も恋人も失った自分にとって、たった一つ残された
もの、それがファなのだ。
85あなたのそばにいたくて6:03/11/09 22:05 ID:bXdK7c5z
「ああ…ッ!」
「ウッ…」
 二人は同時に叫び、快楽の頂へと登りつめた。粗い息遣いが部屋に響き、しばらく言葉も
出なかった。ファが心地よい余韻に身を委ねているとやがて、規則正しい寝息が聞こえてき
た。気が緩んだのか疲れたのか、いつの間にかカミーユは、ファの胸に顔をうずめるように
して、健やかな寝息を立てていた。
「……」
 その寝顔は、いつもの張り詰めて怜悧な刃物のような戦士の顔ではなく、年相応の17歳
の少年の寝顔だった。ファはいとおしげにカミーユの髪をなぜ、目を閉じた。今なら同じ夢
が見られるかもしれなかった。
86名無しさん@ピンキー:03/11/09 22:09 ID:bXdK7c5z
…終わりです。
長々と(需要もない)話を書いてしまいました…
鬱陶しいと敬遠されるときもありますが、私はファの健気さが好きなんで。
最終的には主人公とくっつく割に、扱いが酷いし…
つい、脳内補完してみました。
ここに小説を投下するのが初めてなので、無作法があったら御注意下さい。
87名無しさん@ピンキー:03/11/09 22:11 ID:okpDwnKY
乙でした。職人さんは神様です。
88名無しさん@ピンキー:03/11/10 00:29 ID:mE0GTLEi
>80-86
 お疲れ様です。カミーユとファの優しさが、にじみ出ているSSですね。特に>83
の会話が、いい感じだと思いました。
 ただ、前戯の部分が物足りないのが、不満です。ファは初めてなんだから、もう
ちょっと優しくしてやれよカミーユって、思わず突っ込んでしまいました。
 次回作、頑張って下さい。この話の雰囲気好きですよ、自分は。
89名無しさん@ピンキー:03/11/10 21:06 ID:k73c0WG/
職人様お疲れ様です。
ファは需要ありますよ。これからもガンガッテクダサイ
90名無しさん@ピンキー:03/11/10 21:58 ID:AtulJQqL
ファ小説優しい感覚が良かったです。また書いて欲しいです。
9180:03/11/10 22:59 ID:bsj7Ho8i
みなさん暖かい感想ありがとうございます。
南極ではオデッサの名前で種SSを乗せていただいている者です。
本当はZが一番好きだったり…。
エロが苦手なので他の職人さんに比べてぬるいんですが、精進します。
今はヘンケン艦長×エマさんで構想練っています。
エロというより、ほのぼの(あの二人でかよっ!)なんですが。
92名無しさん@ピンキー:03/11/12 00:32 ID:VKmHisR1
Fekia氏のウプ日だと思って来てみたんだが・・・
93名無しさん@ピンキー:03/11/12 15:20 ID:Epwq3fmD
Fekia様が来てなーい(泣)
94名無しさん@ピンキー:03/11/12 21:44 ID:Y40TNPeW
>>92-93
同志よ!
来週になるのかね?ショボーン…
95名無しさん@ピンキー:03/11/13 22:34 ID:q/Cbaoxh
Fekia氏はまだ来てないのか?
南極についに神が降臨されたというのに
96名無しさん@ピンキー:03/11/14 20:21 ID:NL3TNqae
Fekia氏には3つも挿絵依頼が出てるのに小雀氏は0
小雀氏のエロには萌えないということが証明されたなw
97名無しさん@ピンキー:03/11/14 21:39 ID:vZyn+2Sl
>>96
氏ね
98名無しさん@ピンキー:03/11/14 23:07 ID:OqyCvrNK
>>97
嫉み厨はスルー汁
99名無しさん@ピンキー:03/11/14 23:28 ID:ub8rp2Uj
96は、ここ見て煽りに来たんでしょ。
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/x3/1062939253/l50
100名無しさん@ピンキー:03/11/15 00:44 ID:SXTV8xnS
>>99
そこを見て小雀がパクリ厨だと納得したよ。
今度のSSもFekia氏のパクリ。
漏れはそこのスレの109にハゲ同。
小雀が二番煎じの下手糞なSSをうPしたせいで、
Fekia氏がうPしなくなったんだとオモ。
101名無しさん@ピンキー:03/11/15 01:03 ID:4UsmekrD
アホばっかりだな。こんなレスばっかだと余計Fekiaさんも来にくいだろうに。
102名無しさん@ピンキー:03/11/15 03:20 ID:kc94XN3U
狙ってみる
103名無しさん@ピンキー:03/11/15 06:50 ID:JR4RB7CJ
>>102
えっ?!


なにをさ?
104名無しさん@ピンキー:03/11/15 11:02 ID:VWgxvIjW
ルールカとグレミーのSSが読みたいなぁ
105名無しさん@ピンキー:03/11/15 13:45 ID:b79WlLu3
   | Fekiaに何ができるんだよ?
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ∧_∧ *、/      〜      ∧_∧
  __( ´∀`)(''''')            (・∀・ )___
  \ (つ   つ⊥ ____~━⊂ ヘ  .⊂)/
   ゝヽ(⌒)⌒) ゝ   ‖    (⌒)(_)ノ/
    ∧  ̄ ̄ ̄ ヽ.   ‖   /  ̄ ̄ ̄ ∧
 ___∧__________________
 | う〜んとね、自作自演ぐらいかな・・
106名無しさん@ピンキー:03/11/15 15:14 ID:FhwZOZmV
パクリとサイト荒しを暴露された小雀がここでも暴れているようだな
挿絵にどうかと名前を上げられた人間の中にも
小雀の悪行をしっかと見た者がいることをお忘れなく。。
パクリ荒し厨を嫌っているのは保管庫の人間だけではないってこった
107名無しさん@ピンキー:03/11/15 15:29 ID:64tcAdH0
Fekiaと小雀はもうここに書かないでほしい
2人が書くようになってからここがF91スレになって迷惑してた
今みたいな揉め事起こすんなら2人とも出ていってくれ。。
108名無しさん@ピンキー:03/11/15 16:09 ID:39cB9TS7
小雀はともかく、Fekia氏は叩かないで頂きたい。
Fekia氏が来てくれたおかげで
寂れていた前スレに活気が出てきて2スレ目が立ったんだからさ。
Fekia氏にこのスレを占拠するつもりなんてなかったろうし、
ただ他の人が書いてこのスレにうpしなかっただけ。
というか「F91スレになって迷惑してた」んだったら自分で書いてうpして流れ変えろよ。
そんな努力もしないで好き勝手言わんといてほしい。
109名無しさん@ピンキー:03/11/15 16:43 ID:FhwZOZmV
Fekia氏は出て行く必要はないのでは。。。
自分のハートと下半身で二次創作を書くのが職人
他人の書いた二次創作を元に書くのがパクリ職人
Fekia氏は前者で小雀氏は後者だということだから。
110名無しさん@ピンキー:03/11/15 17:02 ID:dW5viDwR
Fekia氏まだかな?


凄く楽しみにしてるのに(´・ω・`)
111名無しさん@ピンキー:03/11/15 17:27 ID:YjSfLhKT
確かにいやな印象を持っていたので、前スレでちょい批判的な事レスしました。
それが気になっていたが、晴れました。
112名無しさん@ピンキー:03/11/15 20:46 ID:j9tSVP5j
よくわからんのだが・・・小雀氏はまだパクリをしているのか?
もうしていないんだったら、それでも叩くっていうのはどうかな。
少ししつこくないか?
113名無しさん@ピンキー:03/11/15 21:03 ID:42TidfHg
待ってるだけでは寂しいので、萌えた所を書き出して職人さんを応援してみるテスト。

高貴なるものの血
エロ 多すぎて悩むが、一番萌えたのは「もはや一匹の雌でしかない(略)精液を存分
に垂れ流す」の所(3章8)
非エロ 「この思いをセシリーに伝えたかった。(略)忘れることができる」の所(4章4)

Outer Space
エロ 「耐えきれず、自ら腰を突き出すベラ。(略)可能にしている」の所(番外編2)
非エロ 「意識を失う直前に、心がザビーネの(略)浮かべているの……?」の所(6章)

あなたのそばにいたくて
エロ 「やがて、頭に響くような痛みは(略)カミーユの腰に絡ませた」の所
非エロ 「…ニュータイプってさ(略)でも俺心で分かるようになりたい」の所
114名無しさん@ピンキー:03/11/15 21:15 ID:19adC/im
>113
 寂しいのなら、あなたもSSを書いてみてはいかがでしょう。ここの住人は優しい
人が多いから、余程の物でない限り、好意的な感想をくれると思いますよ。
115名無しさん@ピンキー:03/11/16 06:25 ID:goAKoyOZ
今度の火曜日にFekiaさん来てくれないと本格的に心配してしまう。
小雀さんも新作書いてほしいなぁ。
116名無しさん@ピンキー:03/11/16 15:22 ID:ogV1TkPC
でも他人の二次創作を元にして書くのはやめて欲しい。
117名無しさん@ピンキー:03/11/16 15:40 ID:IT39Cgpu
>>116
しつこすぎ!
今度パクリと思われる箇所があったら、その時点で指摘すればいいだけの話だろ?
こうまでしつこく叩かれると、小雀氏の新作がなおさら読みたくなった。
118名無しさん@ピンキー:03/11/16 16:29 ID:DpsasUKA
ある程度のオリジナルもあるからいいんじゃない?
119名無しさん@ピンキー:03/11/16 21:33 ID:PEcWbaoD
 小雀さん、あなた幸せ者ですよ。こんな事態になっても、あなたのSSを欲してい
る方が、このスレにまだいらっしゃるのですから。あなたの自作自演でなければ
の話ですがね。
 何があったか詳しい事は知りませんが、人の二次創作を元にした「三次創作」
と言えそうな物をこれ以上書くのは、あなたの為にならないと思います。他人の
二次創作をあなたの視点で見る様な事をなさらず、元ネタとするガンダムを自分
なりに膨らませた次回作を書いて、あなたの力を証明されてはいかがでしょうか。
 もし次回作もパクり呼ばわりされる様なSSでしたら、総スカンを喰らいますよ、
あなた。相手をしてくれる人がいる内が、華だと思いなさい。SSを叩かれるより無
視される方が、よっぽどつらいんですからね。このまま終われば、あなたのSS書
きとしての命も、ここで終わりですよ。
120名無しさん@ピンキー:03/11/16 22:37 ID:PxkB00ti
小雀はもう二度とこのスレには来ないだろうな。普通は恥ずかしくて来れない。逃げるもんな。
121名無しさん@ピンキー:03/11/16 23:57 ID:vpPDnT8t
このスレの総意として、

小雀のSSはFekia氏のパクリ
小雀は今後投稿禁止
小雀のパクリSSが南極にあるのはスレの恥だから取り下げてもらう

これでいいんじゃね?
122名無しさん@ピンキー:03/11/17 00:07 ID:IURtpgfg
萌えれる話さえ、ありゃパクリだろうが盗作だろうがなんだっていい
123名無しさん@ピンキー:03/11/17 00:11 ID:io9lW7DI
総意でもなんでもないだろ。って書くと俺も小雀の仲間入り。
ただ、このスレには投稿するなよ、とは確かに思う。
124名無しさん@ピンキー:03/11/17 10:44 ID:ALAfyQW1
ていうかさぁ、コテハン変えとけよ・・・・・・。
その点がアホかと、馬鹿かと。

>>122
同意。
エロの設定なんざ幅が狭いんだからそれの調理しだいだよ。
話の流れがクリソツだからパクリなんて言ってる奴はアフォ。
125名無しさん@ピンキー:03/11/17 12:13 ID:bUJYJ5gB
証明はできんが前スレ834-836、このスレの1-5だ。自治厨させてもらう。
この流れでは、小雀氏は言うに及ばずFekia氏や他の職人さんまで作品
ウプしにくくなっていると思う。

特にFekia氏。
パクられたのそのせいでウプしなくなったの書かれたら、作品ウプの時に
コメントを出さざるを得ない。
下手なことを書いたら今度は自分が何か言われそうな流れだ。
作品ウプだけで済まないのは負担大だと思う。
しかも小雀氏が先に作品を完結させているから後追いの立場になり、
被るところがでてきたら自分までパクリ犯だと言われかねない流れだ。

他の職人さんもだ。
他人の二次創作を元に書くのは駄目と言われても、何かにヒントを得て
書くのはよくあることだ。
一次創作を元に二次創作するのは良くて三次創作は駄目なのか、
どこまでなら良くてどこからは駄目なのか、明確なガイドラインがない。
小雀氏の作品にしても、どこがパクリなのか具体的な指摘がない。
そんな曖昧なことで批判を受けるスレでは作品ウプはしにくい。

Fekia氏や他の職人さん潰しをするつもりがないなら、パクリだの人の
二次創作を元にするなだの書いている連中は、ガイドライン提示やパクリ
部分の具体的な指摘をするべきではないのかな?
ここでやるか廃墟スレ等を使うかは一考の余地があると思うが。
F91嫌いには>>3-4にF91のAAをウプしたのも勘に触ったのかもな。
>>67-68を見て、テンプレのすぐ下にウプしたのは軽率だったと反省した。
すまなかった。
126名無しさん@ピンキー:03/11/17 14:34 ID:U2Kp9dFz
じゃ、小雀のパクリも容認していくという事でOK?
作られる経緯がどうあれエロ話が読めれば良し。という結論で進めて良いんだよね。
127名無しさん@ピンキー:03/11/17 16:13 ID:/qAi0iNB
パクリ容認つっても、それが完璧な物だったら一切お断りだけどな。
影響を受けただけ、とか単に流れが同じだけ、なら自分はOK。
小雀氏なりに頑張って調理したものだったら、喜んで受け入れるよ。
128名無しさん@ピンキー:03/11/17 16:56 ID:Rlhjyc+d
>>127
禿同
>>126
前のことはわからないが、今回もSSも小雀氏はFekia氏のSSをパクリだと言うなら、その箇所をあげてほしい。

自分もSSを書いているけど、優れた絵師さんのイラストから妄想を膨らませてSSを書いた事がある。
これはパクリか?
また、同じ状況を書いたらパクリか?
そもそも20年以上も前に終わった、それも主役じゃない出番の少なかったキャラのファンって
考える事は似たようなモノだろう?妄想する材料がかぎられているのだからね。
このキャラだったら、こんなふうに感じたり考えたりするんだろうなあと、ファンだったら同じ妄想をするんじゃないだろうか。
それをパクリと言われたら二次制作なんてできなくなってしまう。

だからパクリとカキコする人にどこがパクリなのかと聞いてみたいのだか?
どうですか?126さん?

おれは小雀氏じゃないし、キシリアファンでもありませんよ。
129名無し ◆./x7nXqez2 :03/11/17 17:42 ID:rVxZykpu
そもそも小雀氏は前スレで
「Fekia氏のSSに似たようなザビベラのSSを作ったんですがそれを投下してもよろしいですか?」
と、始めにFekia氏やそのSSを閲覧している人にもちゃんと断っていて、Fekia氏を含む閲覧者の全員
がちゃんと承認しているわけで。承認が出た後に小雀氏はSSを書き始めて、
その作品の完結後に「パクリ」だの「ここに載せるな」だの
いっても「今更言うな、アホ」としか思いようがない。

それにSSもFekia氏と似たようなところはありながらも
オリジナリティのある作品だと俺は思う。
たとえば番外編を挿入したりその番外編に 「ザビーネVSドレル」を入れたり
クロボン編にも挑戦したり…。(実際なさっているかは分からんがな)
パクるつもりで書いた香具師がここまでオリジナリティを入れるか?

サイト荒らしの件については漏れはよく知らんが
小雀氏の作品はFekia氏の作品とは別物である、と俺は見ている。


130名無しさん@ピンキー:03/11/17 19:01 ID:eMPbYFSY
SSを書いてる側から言えば似てる物書きますがいいですか?と問われて
NOとはなかなか言えないでしょう?

Fekia氏に創作意欲残ってればいいですが。

131名無しさん@ピンキー:03/11/17 19:13 ID:Rlhjyc+d
>>130
それはそうだよな。
でも小雀氏に好意的な見方をすると、後からうpしたらまたパクリと言われるのを
恐れてかもしれん。
なんとも言えんけどなあ・・・。
132名無しさん@ピンキー:03/11/17 19:32 ID:avredBl0
何にせよ、小雀さんは一回ここで何か話すべきだと思うよ。
133名無しさん@ピンキー:03/11/18 00:02 ID:fKJDhUlc
そんなことしたって粘着アンチに罵倒されるだけで終わるだろ
134名無しさん@ピンキー:03/11/18 00:29 ID:Brjnmzo/
>133
俺もそう思うな
135名無しさん@ピンキー:03/11/18 00:29 ID:bO17+EdR
俺はエロ漫画の流れをそのままSSに転用したり
エロ小説やエロゲーからエロ描写の1文を引用したりしてるがなぁ。
136名無しさん@ピンキー:03/11/18 00:40 ID:5hSrOjd3
罵倒されて逃げて終われば、その程度の奴だって事だろ。
小雀は味方がいる内に詫びを入れて、新作を書いた方がいいと思うけどね。
137名無しさん@ピンキー:03/11/18 00:56 ID:b+AuRE05
自治するのもいいけど
議論を続けていく内にこのままスレが死んじゃうぞ。

小雀氏のグレーな部分は好意的に見てもやはりグレーさは消せないし
Fekia氏もこの状況では何も言えないだろうし

その二人の意見が出ないまま周りが騒いで雰囲気が悪くなって
誰もSSを投下せずに廃れていくのみ。という未来が見える。

そもそも他人の二次創作から共感を得て・・・という部分では
ありがちな話だけど小雀氏はそのやり方が少し露骨にエグ過ぎたのと
過去の事があったんだから名前を伏せたままの方が良かったんだよな。
自己顕示欲が強かった為に自分の名前を名乗ってしまったのが失敗。
今後、小雀氏は名前を変えるか、名無しのままSS描きするのが賢明な選択だと思う。

このスレの建て直しについては・・・今はどんな議論をしても無駄だろうから
時間が過ぎて落ち着くのを待つしか無いんじゃないだろうか?
138名無しさん@ピンキー:03/11/18 02:24 ID:RF+LZLY7
今の時代は悪貨が良貨を駆逐する事は多いよな。
139名無しさん@ピンキー:03/11/18 16:08 ID:+OP09Xyc
125氏に全面同意。
議論でスレが死ぬ以前に曖昧なパクリ批判が激しくて
もうすでに作品を発表できるような雰囲気じゃない。
その原因を小雀氏やFekia氏に求めるのも何処か違う。
127氏指摘のように、両氏は合意の元で同カップル同背景のSSを書いた。
そのことに異義がある、パクリだというなら自らのガイドラインや
具体的なパクリ箇所を示して欲しい。
140『孤独の果て』の人 ◆HcwCZnpTzw :03/11/18 20:13 ID:5hSrOjd3
 笑いに来ました。自分を追い出した時の勢いが全くありませんね、ここは。

 小雀さん、何か書き込みなさい。固定ハンドル名と、トリップを出して。あなたの
過去の言動の始末がキチンと出来ていないから、ここのスレが混乱しているので
はないのですか。
 叩かれるのが怖いのですか。都合が悪くなれば、逃げ出すのですか。よくそれ
で、貴族主義者のザビーネを好きだと言えますね。抜け抜けと恥ずかし気も無く。
「貴族は血を流す事を恐れてはならない」とマイッツァーは言ってた筈ですけどね。
 「ごめんなさい」の一言も言えないのですか。何も言わずにいれば、「修正」が
続くだけですよ。言い訳でいいから、何か書き込んだらどうですか。
 あなたには、SSを書ける才能があるのです。それを守りたかったら、出て来て
何か言ったらどうですか。逃げ回って成長したガンダムの主人公は、一人もいま
せん。このままでは、あなたの過去があなたの未来を潰す事になりかねません
よ、小雀さん。
141『孤独の果て』の人 ◆HcwCZnpTzw :03/11/18 20:13 ID:SEkezLYE

 このスレの住人の皆さん。今日はFekiaさんが来ると良いですね。Fekiaさんが
来なくて、「萌え」という名の欲望の口を空しくを開閉させて、SSを望んでいるあな
た方の姿をを眺めているのも、中々楽しいですけどね。
 結論の出ない議論をグダグダ続けるのが嫌なら、どなたかSSを書いて投下して
はいかがですか。これだけ水掛け論的文章が並んでいるのですから、一人くらい
はSSを書ける方がいると思いますけどね。
 特に>122さん、萌えられれば盗作でも構わないと言われるのでしたら、一つあ
なたが盗作SSを書いて、ここに投下されてはいかがですか。後で揉める覚悟が
あるのでしたら、いくらでもやってみて下さい。今なら諸手を上げて、他の住人に
歓迎される筈ですよ。
 この書き込みで腹が立つのなら、見事にスレを立ち直らせて下さいよ。自分だっ
てここを叩き出された後、色々あったおかげで、精神を立ち直らせてSSを一本書
いたんですよ。寄ってたかって自分を散々罵倒したこのスレの住人なら、ここを元
に戻す事くらい、容易に出来る筈でしょう。
 強いスレになりたいんでしょ。なってよ、強いスレになりなさいよ! 今からでも
遅くないわ、さぁ!
142名無しさん@ピンキー:03/11/18 21:15 ID:O515o3/c
釣り…?
143名無しさん@ピンキー:03/11/18 21:58 ID:XujeE83X
前スレから見てきたけど、ここまでくると普通にリアル……だと思う。
144名無しさん@ピンキー:03/11/18 23:00 ID:hS1kjZEe
>>141
話が以外な方向に進んでいるが
君の話は興味深いよ。
今回の事をどう思うかもう少しだけ意見を聞きたい。
145名無しさん@ピンキー:03/11/18 23:27 ID:/rGccatL
>>140-141
すげえ気迫を感じるレスだ。あんた面白いな。
自分も>>144と一緒で、あんたの意見を聞いてみたい。
146Fekia:03/11/18 23:36 ID:coP11cE0
えっと、皆様お久しぶりです。
先週は私事とはいえ、うpできなくて申し訳ありませんでした。
しかも前回ザビーネ×セシリーとか、シーブック×ドロシーとかいってましたが
作品全体の流れを熟考した結果、断腸の思いではずすことにしました。
期待されていた皆様、申し訳ありません。
そんなわけで、今回もそして次回もエロはありません。
番外編は、完結後に書きます。

それで……なにかしばらく来ないうちに大変な状況になっているようで……。
何といってよいものやら……。
小雀氏の昔のことは私にはなんとも言えませんが
このスレでの氏の作品と自分のとの経緯は、前スレのとおりですし。
ただ自分も何か言わねばならないので、この際懺悔します。
147Fekia:03/11/18 23:41 ID:coP11cE0
旧シャア板に昔、ベラ・ロナに萌えるスレというのがありました。
(今ではdat落ちして見れませんけど)
そこに「高貴なる〜」のストーリーそのままのレスがあります。
つまり、セシリーがザビーネに寝取られたほうが個人的には萌えるとか、
セシリーはシャクティとカテジナの原型だと思うとか書いてあります。
このレスをしたのは実は自分なんです。
あのときは自分がSSを書くとは思ってなくて、誰かそんなストーリーで
SSを書いてくれんもんだろうか、と思っていただけでした。
で、結局自分で書くことに決めたんですけど。
証明できるものはないので、信じる信じないは、皆様にお任せするしかありませんが……。

それで>>140−141様の意見は自分も聞きたいんですが(南極のカテジナのお話は個人的にはとても好きです)、
どうしましょうか? まず私のやつを投下してからがよろしいでしょうか。
148『孤独の果て』の人 ◆HcwCZnpTzw :03/11/18 23:47 ID:5hSrOjd3
>147
 どうぞ、先に書き込みをされて下さい。自分の意見を上手くまとめるのに、時間
が掛かりそうなので。とても眠いので、自分は寝てしまうかもしれませんし。
149Fekia:03/11/18 23:55 ID:coP11cE0
はあ、それでは投下いたします
150高貴なるものの血 5章 1:03/11/19 00:00 ID:CqPUoQq2
 3月26日。クロスボーン・バンガードは、フロンティアWにてバビロン宣言を行い、コスモ・バ
ビロニアを建国した。
 政庁前の広場に設けられた式典会場では、クロスボーンの高性能モビルスーツや、一糸乱れぬ規律
で統率された兵士たちが、集まった民衆にその威容を存分に見せつけている。
 「……クロスボーン・バンガードはそのための尖兵にしか過ぎず、この再建なったコロニーに、捨
てられたように住まわされた皆さんの力によって、地球圏全体を守っていかなければならないのです」
 高らかに宣言する鉄仮面ことカロッゾ・ロナを、式典中に狙撃する者もいたが、フロンティアWの
市民たちは、おおむね支持の意思を示した。
 クロスボーンのフロンティアW侵攻は、わずかに10日前のことである。これだけの短期間で、曲
がりなりにも侵略者である彼らが、市民の支持を得ることができたのは、カロッゾやマイッツァーの
政治手腕だけでなく、これまでの歴史が育んできたスペースノイドとアースノイドの対立が、背景と
して存在していることが最大の理由だった。クロスボーンの侵攻がもたらした市民への被害は、死者
5千人という悲惨なものだったが、それは連邦軍による市民をかえりみない無謀な迎撃と戦線拡大の
ためであり、また連邦政府の配慮に欠ける見解の発表も、フロンティアW市民の不信感や反感を強め
てしまうことになっていた。
 反連邦を掲げる勢力の存在は、その主張の実態がどうであれ、期待するよりほかない。それがスペ
ースノイドの感情的な本音だった。中にはコスモ貴族主義の欺瞞、あるいは限界を見抜く者がいたと
しても、その理屈よりは感情を優先させてしまう。それほどまでに追い詰められているのが、当時の
スペースノイドの現状であり、そして連邦政府はそのことにあまりにも無関心で居過ぎていた。


「ザビーネ・シャル大尉の黒の戦隊は、かねての作戦通り、偵察部隊の手引きにしたがって、フロン
ティアTの内部に侵入し、抵抗派を殲滅せよ」
「はっ」
151高貴なるものの血 5章 2:03/11/19 00:03 ID:CqPUoQq2
 統合司令本部の一室。ザビーネ・シャルは、彼に命令を与えたジレ・クリューガー大佐の次の言葉
に、少し驚くこととなった。
 「なお貴官の部隊には、ベラ様のご出陣の警護も任務に含まれている」
 「ベラ様を……?」
 バビロン宣言と同時に、クロスボーンはフロンティアT攻略作戦を発動した。この作戦を成功させ
れば、コスモ・バビロニアは完全な国家として、独立を宣言することになる。
 「そうだ。故に戦場にあまり深入りする必要はない。貴官はベラ様の教育係だ。ベラ様のモビルスー
ツの操縦技術も考慮して、危険と判断すれば、貴官の判断ですぐに撤退してかまわん」
 ジレが目を細めた。その深謀は鉄仮面の信任も厚い。あくまでも武人肌であるザビーネとは、相容
れぬところもあるが、この痩身の仕官の高い実務能力は、ザビーネのみならず、他の誰もが認めてい
る。
 確かにフロンティアTの抵抗派は頑強に抵抗しているとはいえ、クロスボーンが本腰を入れて攻め
込めば、殲滅は時間の問題であり、黒の戦隊は後方からの支援に徹するだけでも充分である。それに
セシリーのパイロット適正の高さは、実戦でも充分に通用することを、誰よりもザビーネが知ってい
た。
 それでも戦場では何が起こるかわからない。ザビーネが、すぐに首肯しかねていると、ジレの後ろ
にいた人物から、くぐもった声が発せられた。
 「ザビーネ大尉。ベラの教育はすすんでいるか?」
 それは鉄仮面ことカロッゾ・ロナのものだった。カロッゾとのやりとりは、彼がクロスボーンの最
高司令官であることとはまた別の緊張感を、ザビーネに強いさせた。その鉄製のマスクに隠された表
情と、その心理の計りがたさは、ザビーネのような男には、不快な感覚を覚えさせる。
 そしてその発せられた言葉は、不気味な圧迫感を帯びて、ザビーネの脳裏に響いた。
152高貴なるものの血 5章 3:03/11/19 00:06 ID:CqPUoQq2
 「はっ、すでに我が軍のパイロットたちにも、ひけをとらぬほどであります。順調に経験をつめば、
ドレル様にも匹敵する実力をつけられることでしょう。部下の中には、ベラ様はニュータイプなので
はとも……」
 その圧迫感に思わず気圧されたザビーネが、知らず多弁になるのを制するかのように、カロッゾが
低い声色で笑った。
 「フフフ……、経験か……。そうだな、何事もまずは経験せねばな……」
 「……!?」
 言葉の端々にある沈黙は、ザビーネの精神を恐ろしい強さで鷲掴みにした。彼の衆に優れた豪胆さ
がなければ、鸚鵡返しに声を漏らし、内心の動揺を曝け出させることになっただろう。
 だがカロッゾの言葉の意味と、どこかザビーネを嘲笑うかのような響きは、彼の心を大きく揺さぶっ
た。
 (どういう意味だ……?)
 カロッゾは何かを知っている。まさかセシリーとの関係が気づかれているのだろうか。
 セシリーとの行為は、時として大胆な状況下のときもあったが、そのぶん周囲に対して、入念な
チェックを怠っていない。だがカロッゾが仮面の下から覗くものも、その真意もザビーネには分かり
かねているのだ。カロッゾなりの手段で、初めから監視されていたのかもしれない。
 「……では、自分はこれで失礼いたします……」
 あえて隻眼をカロッゾに向けたまま、ザビーネは部屋から退出した。だがその脳裏から、鉄仮面の
言葉が離れない。
 セシリーとの関係が知られているのだろうか、という推測はあくまでも現段階では推測でしかない。
露見されたときは露見されたときであり、推測ひとつで動揺するほどザビーネは小心者ではない。
 しかしカロッゾの言葉は、あきらかにザビーネを嘲笑っていた。その仮面の下で、ザビーネを存分
に見下していたであろう雰囲気が、カロッゾからはっきりと感じられた。
 自分の何を見下すというのだ。強固な騎士道精神。有能な軍人であるが故の矜持。侮辱されるよう
ないわれはない。
153高貴なるものの血 5章 4:03/11/19 00:09 ID:CqPUoQq2
 それとも、やはりカロッゾは知っているのだろうか。セシリーとの行為の際の、獣欲を剥き出しに
した自分の姿を。
 (……!)
 全身がうっすらと熱を帯びていた。鼓動が激しさを増している。通路を歩く彼の足が、自然と速く
なった。
 セシリーが髪を切っていた。そのときの彼女の、あきらかな動揺を、必死で隠そうとしている態度
が気になっている。
 あの日、彼女の部屋には確かに見知らぬ男がいた。そして彼女は男に脱出を促すかのように突き飛
ばし、自らはザビーネの射撃を邪魔するかのように、彼に体を預けてきた。
 そのことを、刹那の状況でありながら、ザビーネははっきりと見て取っている。
 セシリーが庇う男。それには何の興味もない。だが、その男を庇うセシリーの態度が気になるのだ。
 (間男か……?)
 彼女が誘い込んだのだろうか。もう他の男の味を覚えたくなったというのか。
 17歳とは思えぬ成熟した肉体。淫乱な本性。それはザビーネが誰よりも知っている。誘惑されれ
ば、いかなる男も抗し得ない危険な魅力。
 そして自分もまた彼女のその魅力に屈し、理性のかけらもない、自らの真の姿を思い知らされた。
 「確かに……嘲笑うべきだな……」
 その対象が、ザビーネ自身のことであることは、いうまでもない。
 セシリーへの執着が、急速に冷えていく。無論それは恋愛感情などではなく、あくまでもセシリー
の肉体への欲望である。
 自分との関係も、本来なら禁断の行為なのだ。もしあの夜の男が間男なら、彼女の飽くなき欲望は
もはや、唾棄すべき汚らわしいもののように思える。
154高貴なるものの血 5章 5:03/11/19 00:13 ID:CqPUoQq2
 それはあくまでも仮定でしかないが、何よりも自分への怒りが、彼の全身を焦がすほどに熱くさせ
ていた。
 コスモ貴族主義を信じ、その理念に忠実でありたいと思っていたし、実際そうしてきた。しかし蓋
を開けてみれば、打倒すべき連邦体制同様に、腐敗しきった自分がいた。
 その自分の堕落が、セシリーによるものだとは思わない。それは自分自身の精神の弱さに起因する
と思う。
 いくら妖艶とはいえ、17歳の少女がもたらす官能に、だらしなく執着し溺れる男。そんな人間こ
そ、抹殺すべき対象なのだ。
 ザビーネは大きく息を吐いた。今でも、思い起こせば下半身を熱くしてしまうほど、セシリーとの
夜は強烈な快楽だった。しかし未練を感じるわけにはいかない。
 「ザビーネではないか。貴公もジレに呼ばれていたのか」
 背後から声がした。振り向くとそこには、ドレル・ロナがいた。紫色の髪を持つ、ロナ家の御曹司
にして、戦闘大隊を率いる若きエースパイロット。その技量はザビーネにも劣らぬほどである。それ
に戦場における異様な勘のよさからニュータイプだとも言われている。決して口に出すことはないが、
いずれコスモ・バビロニアの全軍を指揮する、偉大な将帥となりうる才幹を秘めていると、ザビーネ
は思っている。
 あきらかなライバル意識をたたえた瞳が、ザビーネを見つめていた。常日頃からのそのライバル意
識は決して不快ではない。自分とドレルのパイロットとしての技量や、軍人としての資質を比べてみ
て、自分がドレルにひけをとるとは思っていないが、5年後はどうなるかわからない。それがザビー
ネの率直な判断である。
 「聞けばこの作戦には、ベラも参加するというが……」
 ドレルの瞳が、不敵な輝きを帯びる。
 「気をつけてくれよザビーネ。彼女はわが妹であるが、それ以上にコスモ・バビロニアの象徴たる、
重大な責務を背負っているのだからな」
 「はっ……」
155高貴なるものの血 5章 6:03/11/19 00:15 ID:CqPUoQq2
 「しかしどうしたというのだ、ザビーネ。珍しくやつれているではないか」
 「やつれている……? 自分が、でしょうか?」
 「フフフ……、ベラに色々教えるのもほどほどにな」
 「!?」
 ドレルの不敵な笑みに、ザビーネは思わず息を呑んだ。彼も感づいているのか……?
 そのわずかな表情の変化を読み取ると、ドレルは満足そうに去っていった。
 「ザビーネ、あまり失望させてくれるなよ」
 去り際にはなったドレルの言葉が、ザビーネを容赦なく貫く。
 やはり間違いない。ドレルもまた、ザビーネとセシリーの関係に気づいている。
 (この勘の鋭さこそがニュータイプ……? フン、馬鹿馬鹿しい)
 そう思ってみたものの、ザビーネはそこに立ち尽くしたまま、一歩も動けないでいた。ロナ家の血
を引く者たちに、得体の知れない脅威を感じていた。


 その日の夜。
 セシリーは迎賓館内の執務室で、自分もフロンティアT攻略作戦に参加する事を聞き、思いを新た
にしていた。
 ついに戦場に起つことになる。誰かを殺すことになる。そのことに恐怖を感じてもいる。しかし後
戻りはできなかった。後戻りしたくても彼女が戻るべきところはない。
 昨夜は一睡もできなかった。できるはずもなかった。シーブック・アノーが生きているという事実。
そして現実に、彼は危険を冒してまで、彼女に会いに来た。
 彼女がセシリー・フェアチャイルドとしての、本当に帰るべきところへ誘うために。
156高貴なるものの血 5章 7:03/11/19 00:18 ID:CqPUoQq2
 しかし、彼は知らないのだ。彼女の本当の姿を。
 だから彼を突き飛ばした。もう、彼とともに生きてはいけないから。
 だがそれは、彼女とシーブックの本当の、そして永遠の別れを意味した。シーブックはきっと、セ
シリーがもうセシリー・フェアチャイルドに戻る気がないと思うだろう。そして戦火を逃れて、普通
の少年として生きていくのだろう。
 私のことも、いつかは忘れてしまうのだ……。
 そして私はコスモ・バビロニアの女王となる。二人の未来は、永遠に交じり合うことはない。
 それでも、それでも私の心から、シーブックが忘れ去られることはない。忘れたくない。
 だがその純粋な想いは、彼女にのしかかる重い十字架でもあった。
 どうせなら、シーブックが死んでいてほしかった、とさえ思う。あまりにも非情で身勝手なのはわ
かっている。しかし、死んでいたのなら諦めもつくのに、生きているのなら諦めなんかつくわけがな
い。
 現にシーブックのことを思うと、すべてを捨てて彼の元に行きたいと思う自分が、ここにいるのだ。
 何もかもが闇に閉ざされてゆく。ロナ家の血筋であることが恨めしかった。私に許された未来は、
コスモ・バビロニアの女王という、虚飾と血に塗れた道。
 「気負うではないぞ、ベラ」
 作戦会議が終わり、退出する際、カロッゾ・ロナが声をかけてきた。
 「はい……」
 彼とともに部屋を出る。しかし実の父親である彼への不信感は、相変わらず存在している。彼の仮
面に隠された素顔への記憶が、遠くなってきているからかもしれない。
 ただ今のカロッゾからは、彼がコスモ貴族主義などというものを、実践するのには相応しくないと
いうことが感じられるだけだ。
157高貴なるものの血 5章 8:03/11/19 00:21 ID:CqPUoQq2
 (私も、同じか……)
 そのとき、背後から聞き覚えのある声がした。
 「セシリー!!」
 セシリーは自分とよく似た、中年の美しい婦人が駆け寄ってくるのをみた。
 「さがれっ! ナディアである!!」
 制止しようとするジレ・クリューガー大佐を、頭ごなしに叱りつけたその婦人は、紛れもなくセシ
リーの母ナディア・ロナだった。
 「!!」
 「セシリー、家へ帰りましょう」
 ナディアはセシリーの腕を掴んだ。すぐにでも彼女を連れ帰ろうとする勢いである。
 「各自は艦艇へ」
 ナディアを見ても、沈着に部下に指示を出すカロッゾの態度に腹が据えかねたのか、ナディアはか
つて主人であった男に食ってかかった。
 「あなたがカロッゾであっても、この子を渡すわけにはまいりません!」
 「私がこんなものをかぶらざるを得なくなったのも、おまえのおかげだったと知っていれば、そん
なことは言えんはずだ」
 「加害者が被害者ぶるのはおやめください! おじい様がいらっしゃりながら、なぜここまできて
しまわれたのです!?」
 怒りの矛先を向けられたマイッツァーは、冷ややかな目でナディアを睨みつける。
 「高貴な生まれも考えずに、感情だけに走る女なぞ我が娘ではない。ベラの未来はベラ自身に選ば
せればよい」
 マイッツァーの言葉は、ナディア以上にセシリー自身にも突き刺さった。感情だけに走る女。だと
したら自分も同じだ。私もロナ家の人間である資格はない。
158高貴なるものの血 5章 9:03/11/19 00:24 ID:CqPUoQq2
 「まだそういう歳ではないでしょう!」
 なおも食い下がるナディアを見るに絶えず、セシリーはナディアに話しかけた。
 「お母様、作戦終了後にゆっくりお話し合いをさせてください」
 ナディアは娘のその言葉、自分をお母様などという呼び方で呼ぶ娘を、叱りつけるかのような表情
で振り向いた。
 「セシリー、おまえはベラ・ロナではない!」
 母のその表情や美貌は、いくつかの月日を重ねたとはいえ、セシリーの記憶どおりに美しく懐かし
かった。だが、鼻腔では決して嗅ぐことのできない、特別な何かがナディアから感じられた。セシリー
が幼いころから感じていたそれは、ザビーネに抱かれ、大人の女性になって、初めてわかるものだっ
た。
 (ああ……、そうか、この人は……)
 間違いなくナディアは、シオやセシリーと暮らしているときも、そして彼女たちを捨ててからでも、
どこかの男たちと何度も夜をともにしてきている。充実した性生活を送っている女でしか出せない、
濃密な色気が感じられる。
 セシリーは自分自身が可笑しくなった。自分がこの女の血をひいていることが、馬鹿馬鹿しいほど
に納得できてしまった。
 自分がザビーネとの行為にのめり込んだことも、そのときの自分がどれほど淫乱になってしまうか
も、それは母の責任なんかではない。母のせいにするわけにはいかないことは、わかっている……。
 「いいえ! 私はビギナ・ギナのパイロット、ベラ・ロナです」
 何もかもを母に叩き付けたい。そんな衝動を押し殺し、代わりに母のすべてを否定するような厳し
い口調で、セシリーは答えた。
 「お母様のおっしゃる自由は、逃げまわるための口実にしか聞こえません」
 そう言い残して、セシリーはナディアに背を向け、歩き出した。
159名無しさん@ピンキー:03/11/19 00:26 ID:N9CI56Pp
>>Fekia氏キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!

待ってました━━━━━━!!
160高貴なるものの血 5章 10:03/11/19 00:26 ID:CqPUoQq2
 「それは違いますっ!」
 声を荒げる母の言葉を、もう聴きたくはなかった。彼女を見ていると、自分のなかの醜い部分が、
際限なく溢れてくるような気がしたからだ。
 「シーブック……」
 彼の元に行きたかった。彼とともに生き、ロナ家とは関係ない二人の新しい家族を築く。それこそ
が自分が進まねばならない道だったと、彼女は気づいた。ナディアはロナ家であることから逃げ、セ
シリーはロナ家の一員であることを受け入れた。でもそのどちらもが、ロナ家の血筋であることに囚
われていることなのだ。
 しかし、進んでしまった時間は、戻ることはない。これから私はロナ家の一員として、戦地に赴く。
そこで人を殺し、そして或いは殺されることになるかもしれない。その覚悟は決めてある。
 連邦との戦争はこれからである。戦火がどれほど広がるかどうかわからない。
 それでもシーブック、あなたには生きて続けてほしい。生きて、私ではない誰かと、幸せな人生を
過ごしてほしい。
 だけど私はきっと、あなたを好きなままでいると思う。あなたへの想いを忘れないで、心の中にずっ
と秘めたまま生きていくわ。想うだけなら、いいわよね、シーブック……。
 セシリーは通路の壁にある窓から、外の景色をのぞいた。闇の向こうに、人々が日々の生活を送っ
ていることを示す、いくつもの明かりが見える。
 窓を開けると、夜の風がセシリーをつつんだ。その涼しさがあまりにも心地よくて、セシリーはお
もわず、涙が溢れた。
161Fekia:03/11/19 00:33 ID:CqPUoQq2
終わりです。
南極条約様で私のSSの挿絵をリクしていただいた方と
すばらしいイラストを描いていただいた絵師様。
ありがとうございました。
次回はいつになるか保障できませんが(すみません)
火曜日です。
でも早めにうpできると思います。多分……。
162名無しさん@ピンキー:03/11/19 00:48 ID:/FITW9QF
Fekia氏が小雀の自作パクリに何も触れないのは
小雀にパクられて、はらわたが煮えくり返っているからだ。
行間から怒りの大きさが伝わってくる。
隠れてないで早くFekia氏に詫び入れろよ小雀!
163名無しさん@ピンキー:03/11/19 01:12 ID:ugd1psGc
>行間から怒りの大きさが伝わってくる。
電波ゆんゆんですな。
叩きたいからってFekia氏をだしにするのは失礼と思わんのか。
164名無しさん@ピンキー:03/11/19 01:22 ID:0jwhi/SH
ほっとけほっとけw
>144,145
 ありがとうございます。自分をからかうつもりでそう言っているのでしょうけど、感
謝だけはしておきます。

 まず、小雀さんについて。
 自分は、小雀さんの文章力を買っています。実際、上手いなと思った部分もあり
ますし。
 あの話(名前も呼びたくない)の途中まで、感想のレスを付けていました。改行の
仕方を見れば、どれが自分のレスか一目瞭然だと思います。原作をなぞるだけ
になってから、つまらないなと感じる様になったので、レスを付けませんでしたけ
どね。
 Fekiaさんは不愉快だろうなとは、思っていました。しかし、せっかく現れたSS書
きです。このスレの為には感想を書いて、小雀さんを伸ばすべきだろうと思いまし
た。
 自分のSSに好意的な感想、また建設的な批判をくれた方への恩返しだと思い、
SSには好意的なレスを付けるつもりでいるからです。もっとも、自分が元ネタを知
っているSSにしか、感想は書けませんけどね。
 でもこのスレで、小雀さんの第二次パクり騒動が起こってから、当の本人は全
く姿を現しません。それに腹が立つのです。
 都合の良い時だけ現れて、都合が悪くなれば逃げ出す。人の心を動かす事だ
けを好み、自分の心が動かされる事を嫌う。それはつまり、他人を上から見下す
だけで、自分以外の人と同じ高さの視点を持とうとしない行為ではないかと思え
るのですよ、自分は。
 それが一番腹立たしい。はっきり言ってパクりよりも卑怯ですよ、それは。その
様な愚劣な行為を二度も行なうなど、他人を馬鹿にするにも程があると言いたい
ですよ。たとえ頭の中で思っていも、それは表に出してするべき行為ではない!
 とにかく小雀さんは、何でもいいからここに書き込むべきです。自分が生み出し
たSSに誇りが持てないのならSSなど書くな、文字の力で人の心を弄ぶなと言い
たいです。傷付くのは心だけで体は痛くありませんから、言い訳なり懺悔なりを
して欲しいですよ、本当に。
 もしかしたら、パクりだから自分のSSに誇りがもてないのかも知れないのかな
と小雀さんを挑発して、終わりにします。悔しかったら、ここにやって来い! パ
クりよりも、あなたの今の行為と態度に腹を立てているんだ、自分は!!

 さて、このスレの現状についてです。
 最初に。Fekiaさん、本当にお疲れ様です。こんな風に混乱しているスレに、SS
を書き込まれるのですから。あなたのなした事は素晴らしいと、素直に思えます。
 焦るザビーネの態度が、面白かったですよ。次も頑張って下さい。
 本題。>141に大人気ない部分が多々ある事を、まずお詫びしておきます。
 でもねぇ、無茶苦茶腹が立ちましたよ。自分に「萌え」を親切に教えてくれた人
達の中に、>122の様な奴がいる事が。正直、小雀さんの自作自演の援護レスだ
と思いたいです。
 パクりでOKなら他のスレからSSを拾ってきて、キャラ名だけ変えてここに投稿
しなさい、あなた。そのSSを書いた方の原作への想いと、読んだ方の感想を踏み
にじる行為をして、その後どうなるか、覚悟があるならばの話ですけどね。
 全く。叩かれた後しばらくの間、自分の頭の中でカミーユとカテジナが憎しみの
火花を散らして戦っていたというのに、その憎しみを生み出した連中に、こんな下
衆な奴がいるとは。捻じ曲がった自分の精神を立ち直らせてくれた方々に、本当
に申し訳無いです。
 クロボンを元にした新作を一気投下して荒らして、少し前の自分の精神と同じ様
に荒廃させてやろうかしら、このスレ。クラックス・ドゥガチを気取ってさ。
 また、大人げない事をしてしまいました。ごめんなさい。
 閑話休題。
 個人的には、議論は過疎スレだった旧シャア板のスレでやって、ここはSSスレ
に戻すべきだと思います。自分をこのスレから追い出した人達が、板違いの行為
を延々やってスレが荒れているのですから、悲しくもなりますよ。
 それもこれも、事態を収拾しようとしない小雀さんが、一番悪い。このスレの住
人の心を愚弄するのも、いい加減にしなさい!
 SSを読んでいる方へ。あなたもSSを書く事に、挑戦されてはいかがですか。こ
この住人は優しい人が多いですから、余程酷いか自分の様な板違いの話でなけ
れば、好意的な感想が貰えると思いますよ。
 あなたが好きなスレの死を見たく無いのなら、頑張ってみてください。自分を追
い出した時の情熱を、創作に向けてみて下さい。SS投下を待っているだけでは、
本当にこのスレは死にますよ。
 ちなみに>141の最後の文章は、ラジオドラマ版ガイア・ギアから取りました。気
付いて貰えませんでしたけどね。

 長いだけで上手くまとめられませんでしたが、こんな所です。早くスレの平和が
戻る様、陰ながら祈っています。
169名無しさん@ピンキー:03/11/19 08:21 ID:JfIowwHV
Fekia様何だか妙な空気の中でもアップしてくれたことに心から感謝します。
もう読めないかと半ば諦めてましたので嬉しいです。続き楽しみにしてます。
170名無しさん@ピンキー:03/11/19 12:02 ID:Ldd2U2Hq
>◆HcwCZnpTzw
前スレ649〜は名無しの書いたネタの設定パク→改変ssのようだが、あれはありなんだな?
許可も取っていないようだが。まあ名無しに許可もへったくれもないかもしれんが。
人には「パクは駄目、出てこい」って、自分はちょっともやっていないつもりか?
なんつーの、来るなって言われてるのにノコノココテ背負って出てこなけりゃ
こんな事言われないで済むと思うんだが。
◆HcwCZnpTzwが>>165-168音読して一遍自分の行為を省みる展開きぼんぬ。
171名無しさん@ピンキー:03/11/19 13:07 ID:Z6zwHSNz
>>Fekiaさん
ツャア板(別れる前ですね)のベラスレの住人だったんですか。漏れもその一人でした。
今回も大変楽しく読ませていただきました。今回のザビーネ、いいですね。

次回をマターリとお待ちしてます。
172名無しさん@ピンキー:03/11/19 14:17 ID:gbtxbPCK
>>170
>名無しの書いたネタの設定パク→改変ss
なんの問題も無いぞそれ。
173名無しさん@ピンキー:03/11/19 15:36 ID:zOEalR3q
>>170
それと小雀のやってる事とは話の次元が違うし
孤独の言ってる事が間違ってるとは思わんよ。
174名無しさん@ピンキー:03/11/19 17:48 ID:tLwTfJj6
>Fekia氏
スレがこんな状態の中、ss投下乙です。
今回も素晴らしかったです。ザビーネ(・∀・)イイ!!
次回も首を長くしてお待ちしております。
175『孤独の果て』の人 ◆HcwCZnpTzw :03/11/19 18:39 ID:yQX4H8AR
>170さん
「こんな所にノコノコ出て来るからぁ!」
 と、あなたに撃墜されに来ました。
 ええ、自分でも馬鹿な事をしたと反省しています。許可を取らずにここの前スレ
に書き込んだのは、完全に自分の落ち度だと言われても、仕方ありません。
 あなたが挙げたSSを書き始めた後、元ネタのスレの展開が自分の話とは全く別
物になって行ったので、
「完全にスレ違いの話に育ってしまったなー、これ」
 と、変な事で悩んで投下をためらっていました、あの時は。それ以前に、元ネタ
のスレがSSスレでないので、SS投下はスレ違いもいい所ですしね。
 悩んでいないで、元ネタのスレで許可を取った後、そこに投下すれば良かったな
と、今でも思っています。向こうもこのスレ同様、今更自分に謝りに来られては迷
惑千万でしょうが。
 という訳で、自分としては、あの話を盗作だとは思っていません。その辺に転が
っている他愛も無い小さなネタを拾って来て、自分なりにSSに育てる事が出来た
と思っています。あなたはご不満でしょうけど。自分を叩きたいのならば、叩いて
下さい。
 自分みたいに、叩かれるのが分かっていても書き込みをして欲しいのですよ、
小雀さんに。小雀さんの反省の書き込みがあれば、ここのゴタゴタは二〜三日で
済んだと思いますけどね。
 170さんが、話をそらせたい小雀さんだという見方は、うがち過ぎですか?

>172さん,173さん
 自分を庇う様な言動をして下さって、ありがとうございます。優しいのですね、あ
なた達は。
176『孤独の果て』の人 ◆HcwCZnpTzw :03/11/19 18:39 ID:+IF5bcQn

>Fekiaさん
 あなたの良質なSSの投下後に、自分の醜い文章を晒して、本当に申し訳ありま
せん。ごめんなさい。次も頑張って下さい。
 それと、自分のSSを褒めて下さって、ありがとうございます。とても嬉しかったで
すよ。

>小雀さん
 自分はパクり疑惑ではなく、あなたがここに来ない事を不愉快に思っています。
最初の内はパクり紛いの行為が気になっていましたが、それは消えて(自分もや
っていましたしね)、あなたが何も書き込まない事が次第に許せなくなって行きま
した。
 あなたのSSを面白がっていた人が、このスレにはいるのです。その人達を裏切
る様な真似を続けるのは、本当にやめて下さい。
 逃げているだけでは、SS書きとしてのあなたの才能を、自分で殺している様な
物です。Fekiaさんが、あなたの事を怒っていないと言った(と解釈出来る)今が、
出て来るのに一番いい機会ではないでしょうか。叩かれるのは怖いかも知れませ
んが、慣れてしまえばそれなりに得る物も多いですよ。
 あなたはSSが書けるのですから、今回の事を糧にして、次回作に挑戦して下さ
い。過去が消せないからこそ、あなたの未来の為に、あなた自身に頑張って欲し
いのです。

 では、自分は消えます。色々と、ご迷惑をお掛けしました。
177 ◆ZAxBErybqE :03/11/19 19:49 ID:R/8OHi7I
ご無沙汰しております。以前F91のSSをUPした小雀です。
完結後は続編を書くのに熱中していて、FekiaさまのUP予定日翌日しか
こちらのスレを見に来ていなかったため、レスが大幅に遅れてしまいました。
そのせいで不快な思いをした方たちには、ただただ申し訳ありません。
フォローしたり応援したり忠告したりしてくださった方たちには、深く感謝
しています。ありがとうございました。

作品に関係することだけ書きます。それ以外はスレ違いだと思うので。
F91のSSのパクリ問題に関しては、パクっていません、と申し上げます。
FekiaさまのSSにインスパイアされて書いたものではありますが、
表現を真似したりはしていませんし、ザビーネ・ベラ・シーブック・アンナ
マリーなどの関係性や心理状態が全く違いますから。

以前のSS「Decadent Vassal 第1部 1」も同様です。
この時は私のチェックミスで、二人がパーティ会場で出会うという設定が
被っていることに気付くのが遅れたのですが、完成少し前に漸く気付き、
相手の方にネタ被りの許可をいただいた上でSSを書き上げました。
完成後に読んでいただき、立ち位置や描かれ方が異なる次元で展開されて
いるという、有り難いお言葉も頂戴しました(この話もスレ違いなのですが、
作品関係ということでお許しくださいませ)。

>>Fekiaさま
大変ご迷惑をおかけしました。心よりお詫び申し上げます。
拙作のUPを寛大なお心で許してくださったこと、深く感謝しています。
本当にありがとうございました。
178 ◆ZAxBErybqE :03/11/19 19:50 ID:R/8OHi7I
以下、個別のレスを。今でも同じお考えかは分かりませんが、当時の
レスに沿う形でレスさせていただきます。

>>59-60
59さまのレスには「人達」とあるので私も入っているように思うのですが、
ニュータイプの描き方が物足りなかった、の意味でしょうか?
でしたら、痛いところを突かれてしまった、というのが正直な気持ちです。
精進しなければ。貴重な忠告を、ありがとうございました。

>続編や新作を期待してくださった方たち(まとめレスで失礼します)
続編は一部完成しています。今のところ、こんな形になる予定です。
・F91のラストから「クロスボーン・ガンダム」までの10年間の話
 ザビーネ×ベラ(×シーブック)、10章程度を予定
・「クロスボーン・ガンダム」を背景にした話
 キンケドゥ×ベラ×ザビーネ(愛憎絡み合うザビーネ×ベラ)

今日はFekiaさまのUPを期待しつつ、前者の第1章をUPさせて
いただこうかとこちらに来たのですが、このような事態になっていて
驚きました。これ以上ご迷惑はかけられませんのでUPは取りやめます
(発表方法は未定ですが、書き続けることだけはするつもりです。私に
できるのは、SSを書くことだけだと思うものですから)。

こちらのスレには大変お世話になりました。
それにも関わらずこのような事態を引き起こすきっかけになってしまい、
またレスが遅れてしまい、本当に本当に申し訳ありませんでした。
長々と失礼いたしました。
179名無しさん@ピンキー:03/11/19 20:28 ID:+IF5bcQn
>>ALL
このスレでの議論は、もう終わりにしような。
色々不満はあるだろうが、綺麗に終わり始めているみたいだからな。
続けたい奴は、旧シャア板の方に行ってくれ。
頼む。
180名無しさん@ピンキー:03/11/19 21:18 ID:RRYe9c0g
ひたすらディアナ様のパイズリずくしのエロSSを書いてくれ!
>>182!!!
181名無しさん@ピンキー:03/11/19 21:48 ID:LdayQ1RO
頼むね↓
182名無しさん@ピンキー:03/11/20 16:25 ID:sUgNn/K9
っていうかあんな職人モドキが戻って来て長文書き込むあたり、このスレもうだめ」。
183名無しさん@ピンキー:03/11/20 16:28 ID:pX3cYSXv
小雀さんUPしないのですか。すごく残念です。読みたかったのに。
184名無しさん@ピンキー:03/11/20 18:34 ID:cTgZwi2G
しかし小雀は都合よく書き込んだよな。
正直、タイミング待ちしてたべ?

パクリじゃないと本人が言い切るのは天然とゆうか、なんというか、呆れる
185名無しさん@ピンキー:03/11/20 21:25 ID:xUg2nIrZ
IDO

近頃SSを書きたがる輩が増えている
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/x3/1062939253/
186名無しさん@ピンキー:03/11/21 01:44 ID:nDECHPK4
つまんないスレだな
187名無しさん@ピンキー:03/11/21 14:19 ID:Cs3xS4pu
漏れ的に今回一番面白かったのは◆HcwCZnpTzwの言動不一致と変わり身の早さだ。
小雀のSSに絶賛レスを付け続け「ハイレベル」「本当に見事」「自分も下手なSSが投下
出来ない」(してたけどな)なんて書いてたのに>>165では「あの話(名前も呼びたくない)」で
パクリ呼ばわり。パクリだと思うのになんで絶賛レスを付け続けたんだか。
ありゃ「好意的なレス」の範囲を越えてたぞ。漏れは小雀信者かと思ってた。

小雀のSSに比べるとあんまし熱心なレスを付けてこなかったFekia氏なのに>>176では
妙に擦り寄り出した。今度はFekia氏に媚びを売ろうとゆうのがみえみえ。
>>140-141,>>165-169,>>175-176に自分はねちっこく書いといて>>179(>>176と同じID)では
「このスレでの議論は、もう終わりにしような」。
笑いすぎて腹がいてえ。次は何をやってくれんのか素で楽しみだ。
そつのないレスしか書かん小雀よか◆HcwCZnpTzw眺めて突っ込んでるほうがなんぼか面白い。
188名無しさん@ピンキー:03/11/21 14:43 ID:QLWYs6bf
418 名前:通常の名無しさんの3倍 投稿日:03/11/20 17:49 ID:???
http://www.2ch.net/before.html
頭のおかしな人には気をつけましょう

利用者が増えるに従って、頭のおかしな人もそれなりに出没するようになって来ています。
頭のおかしな人に関わるとなにかと面倒なことが起こる可能性があるので、注意しましょう。

頭のおかしな人の判定基準

・「みんなの意見」「他の人もそう思ってる」など、自分の意見なのに他人もそう思ってると力説する人
 他人が自分とは違うという事実が受け入れられない人です。
 自分の意見が通らないとコピペや荒らしなど無茶をし始めるので、見かけたら放置してください。

・根拠もなく、他人を卑下したり、差別したりする人、自分で自分を褒める人
 他人を卑下することで自分を慰めようとする人です。
 実生活で他人に褒めてもらう機会がないがプライドだけは高いとか、
 匿名の掲示板しか話し相手のいない人です。可哀想なので放置してください。

・自分の感情だけ書く人
「〜〜がムカツク」とか自分の感情を掲示板に書くことに意味があると思っている人です。
 何がどのようにムカツクのか論理的に書いてあれば、
 他人が読んでも意味のある文章になりますが、
 そういった論理的思考の出来ない人です。
 もうちょっと賢くなるまでは放置してあげてください。
189名無しさん@ピンキー:03/11/21 17:21 ID:R4AT8xtA
未だ引っ張るのかよ。
190名無しさん@ピンキー:03/11/21 19:17 ID:85+nbZOx
>187
IDの件は、奴自身が先に向こうのスレで言ってる。
ま、キチガイに一貫性のある行動を求めても無駄って事だ。
あんまり相手をしてると、また来るぞ、あいつ。
191名無しさん@ピンキー:03/11/21 22:57 ID:QLWYs6bf
IDO

近頃SSを書きたがる輩が増えている
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/x3/1062939253/
192名無しさん@ピンキー:03/11/23 10:47 ID:cgdi1U7Q
SS程度の事でパクリも糞も無いもんだ
自分のSSまとめて出版する訳でもあるまいに
だいたい、騒ぐ香具師のに限ってたいした内容でもないんだよな。
193名無しさん@ピンキー:03/11/23 11:35 ID:sV4Jlf5q
ここでのパクリだのなんだのの話はいい加減終われ。
続きは>>191のスレで。何回移動と言われたらわかるんだ。
194名無しさん@ピンキー:03/11/24 22:59 ID:YV/tyzbZ
age
195名無しさん@ピンキー:03/11/26 00:02 ID:pAYoU6JD
今週はFekia様来な〜い(泣)
196名無しさん@ピンキー:03/11/26 11:44 ID:u4aeF6Yp
次の火曜日待ちましょう。
197名無しさん@ピンキー:03/11/28 14:03 ID:L/LtngCN
Fekia様は来週まで待つとして、小雀様が続きをここにウプしてくれないかな…
魅力的なベラをもう一度見たい。
荒らしなんかに負けないでほしい。
198名無しさん@ピンキー:03/11/28 17:39 ID:kVrTt+nR
F91ネタは自分とこでやるって。
>>191のほう行って確かめて。
199恋愛ビギナー:03/11/28 22:44 ID:8X7uPMKd
 私室に戻って、エマはベッドに倒れこんだ。手にはヘンケンからのプレゼントが握ら
れている。ラーディッシュから戻ってきたレコアが意味ありげな笑みを浮かべながら投
げてよこしたものだ。あなたへのプレゼントですって、と言って。ピンクのリボンのか
かった小箱。どういう意味を持つものか、分かっているだけに気が重い。
 開けずにそのまま返そうか。…しかし、それではあまりにも相手に悪い。だが、もら
ういわれのないものを黙って受け取るわけにもいかないし…。真面目で律儀なエマは、
小箱を前に難しい顔をした。
 しばらく考えて、とりあえず開けてみることにした。もしかしたらプレゼントではな
いかもしれない。中には秘密の指令書でも入っているかもしれない。その可能性もない
ではない。…エマは、やや生真面目だった。
「あら…」
 中から出てきたのは、花を象ったベビーピンクの指輪だった。24歳の自分が身につけ
るには可愛すぎるような気もするが、アクセサリーや華美な装飾品とは縁のない軍隊生
活を送っていたエマにとって、その指輪は心躍るものであった。軍人とはいえやはり年
頃の女性である。無骨なヘンケンがどうやってこの指輪を買ったのか、その風景を想像
して口元がほころびかけたが、表情を引き締めた。
 受け取っていいのだろうか。エマは躊躇した。ヘンケンが自分に好意を抱いているこ
とは、いくらエマとはいえ気づいていた。ヘンケンを嫌いではない。だが男として好き
かと聞かれれば、関心がないと答えるしかない。そういったことにまで気にかける余裕
はない。今は自分が生き残ることを考えるだけで精一杯なのだから。
しかし、きらめく指輪の誘惑は大きい。しまいかけたエマは、一度だけはめてみるこ
とにした。十本並んだ指を見つめて、悩んだ結果左手の薬指を伸ばした。その指がど
んな意味を持つものかは知っている。ヘンケンもそのつもりで用意してくれたのだろ
う、と自分に言い訳をして。
「!!」
 …指輪は、入らなかった。
200恋愛ビギナー2:03/11/28 22:46 ID:8X7uPMKd
 翌日、ブライトの書簡を持ってラーディッシュに言ったエマは、その足で休息中のヘ
ンケンの部屋のドアを叩いた。しばらくの沈黙の後、獣のような咆哮と共にドアが開いた。
「起こしたヤツは自習室行きって言っただろ!!」
「……」
「エ、エマ中尉!?な、なんでこんなところに」
 ヘンケンは気の毒なくらいうろたえた。一気に覚醒したらしく、顔を赤らめて頭をバ
リバリとかいて、必死に気の利いた言葉を探しているようだった。エマはわざとツンと
した表情のまま、ポケットから小箱を取り出した。
「艦長、昨日レコアから預かったものですけど、私宛ではなかったみたいですね。お返
ししますわ」
「そ、そんなエマ中尉!これは中尉にと思って…。いやその、なんだ、深い意味はない
んだが、えー、受け取るだけ、受け取ってもらえんか?」
「受け取れません。誰か他に方に贈るものだったのでしょう?」
「違う!俺は中尉だけ…、いや、なんでもない。とにかく、これは中尉にと思って買った
んだ。迷惑なら捨ててもいい。受け取るだけ受け取ってくれ」
「でもこれ、私の指に入りませんよ」
「なにっ?」
 ヘンケンは目をむいた。エマはこらえきれなくなって噴出した。
「せっかくですけど、指輪のサイズ小さすぎますわ」
 エマは小箱から指輪を取り出して薬指にはめてみた。指輪は爪のすぐ下のあたりでつ
っかえてしまった。
「そんな!フォンブラウンの宝石店の店員に中尉のことを話して相談したら、このくら
いのサイズでぴったりのはずだと」
「艦長、私は軍人で、その辺のお嬢さんと同じ綺麗な手ではないのです。ゴツゴツして
いて、みっともない手ですわ…」
「そんなことはない!中尉の手は綺麗だ!!」
 ヘンケンは叫び、エマの手から指輪をひったくると、全身の力を込めて引っ張り始め
た。突然の行為に、エマは驚いて悲鳴を上げた。
201恋愛ビギナー3:03/11/28 22:47 ID:8X7uPMKd
「やめてください艦長!そんなことしたって、指輪は大きくなりませんよ!」
 エマは夢中でヘンケンの腕にすがって指輪を奪おうとした。が、もみ合っているうち
に指輪の石の部分がかすり、エマの白い手に一条の鮮血がほとばしった。
「痛…ッ」
「あ、あ中尉!大変だ!」
 ヘンケンはとっさにエマの手の甲に唇を這わせた。ドクン…。唇の触れた箇所が一瞬
熱を帯びたような気がした。ヘンケンは強引にエマを部屋に連れ込んで、引き出しから
救急箱を取り出して、手馴れた動作で消毒をしてから薬を塗って包帯を巻いた。一見し
て重症患者のようであるが、実際は石がかすっただけである。
「大げさですわ、艦長」
「いや、中尉の綺麗な手に痕でも残ったら…」
 言いかけて、ヘンケンは自分がエマの手を握りっぱなしだと気づいて、慌てて手を離
した。
「別に下心があったわけじゃないぞ、断じて」
 ヘンケンのストレートすぎる行動に、エマは笑いつつも癒されているのを感じた。飾
り気のない、無骨でストレートなヘンケンの大らかさは、ティターンズ時代からの職業
軍人気質の抜けないエマにはないものだった。
「この指輪…、せっかくですからいただきますわ。ほら、見てください、こんなに歪ん
でしまって。これじゃ返品したって引き取ってくれませんよ」
「しかし、そんなんじゃもうどこの指にも入らないだろう?」
 指輪はヘンケンが力任せに引っ張ったので、無骨な楕円になっていた。
「鎖を通して、ペンダントにでもしますわ」
「そうか。…それならちょっと待ってくれ中尉、確かこの辺に…」
 エマを置いて机に向かって何やら作業をし始めたヘンケンは、戻ってくるなり、チェ
ーンに通した指輪を見せた。
202恋愛ビギナー4:03/11/28 22:49 ID:8X7uPMKd
「指輪を買ったときに、特別セールっていってこのチェーンもくれたんだ」
「…セール」
 エマはがっくりした。そんなことまで言わなくていいのに。その馬鹿馬鹿しいまでの
正直さが、ヘンケンのいいところでもあるのだが。
と、鼻息も荒く自分を見つめるヘンケンに、エマは今更ながら男を感じた。唇が触れ
た甲は、未だに熱い。部屋は薄暗く、二人きり。おまけに部屋はブリッジやクルーの部
屋からも隔離されている。
エマはふと、レコアの言葉を思い出した。恋愛経験の乏しいエマに、レコアは先輩面
してよく諭したものだった。
「エマ中尉はガードが固すぎるのよ!ヘンケン艦長は、あなたのこと本当に大切に思っ
てるんだから、もうちょっとガードを緩めてもいいと思うわ」
 軍人としての生き方を貫こうとするエマと、女として生きようとするレコア、二人の
意見は平行線のままだったが、なぜかこのとき、レコアの言葉を受け入れてもいいと
思った。それはたぶん、つい先日、自分より子供だと思っていたカミーユとファが、幼
いながらも愛情を育んでいるところを目の当たりにしたからかもしれない…。
 エマは目を閉じて、顎をツンと上に向けた。
「艦長、それ、つけてくださいます?」
 自分のなりの、精一杯のアピールであった。エマは高鳴る心臓を押さえて、そのとき
を待った。このままどうなっても良いと思った。顔のすぐ近くに気配を感じる。頭の後
ろで、パチンと金具を止める音がした。シャワーを浴びてくれば良かったかしら。よく
考えれば下着だって軍支給の安物だし、それよりアーガマに戻ったときにバレるかし
ら。そうよね、絶対バレるわ。どうしよう。
 エマは、頭の中にピンク色の靄がかかるのを感じた。ああ、私もやっぱり女だったのね。
203恋愛ビギナー5:03/11/28 22:52 ID:8X7uPMKd
 ところが。
「中尉、もういいぞ」
「え?」
 エマは思わず目を開けた。目の前には、いつもと変わらぬヘンケンがいた。
「うん、よく似合ってる。…どうかしたのか?顔が赤いが熱でもあるのか?」
 …この人、分かってない!!
 よく考えれば、自分が勝手に妄想しただけである。しかし、自分がそんな妄想したこ
とが恥ずかしいやら悔しいやらで、エマは悲鳴を上げるかのように叫んでいた。
「私、アーガマに戻ります!」
「ちゅ、中尉?どうしたんだ急に怒ったりして」
「何でもありません!」
「せっかくだからお茶でも…」
「けっこうです!」
 大またで歩きながらエマは思った。
(やっぱり私に色気を出すのは無理なのかしら…)
 一方、呆然と見送るヘンケンも思った。
(風邪を引いているのか…。今度アーガマに行くとき、よく効く薬でも持っていくか)
 二人の関係が親密になるのは、まだまだ先のようだった。
204オデッサ:03/11/28 22:57 ID:8X7uPMKd
エマ×ヘンケンです
本当はエロまで突入したかったんですが、流れが変わってしまいまして。
基本的にこんなのばっかり書いているので、エロパロ板の題材としては
スレ違いかも知れません。一応、萌えるように描いてみたんですが、
女性が同年代の女性に萌えるのは難しいですね。
205名無しさん@ピンキー:03/11/29 00:54 ID:Oj+3aJUA
>>198
自分のとこでやれと言ってる人がいるだけで、
ご本人は>>178の「発表方法は未定ですが」しか言ってないよ。
206名無しさん@ピンキー:03/11/29 02:55 ID:eIKgsznN
>>204
エマさん可愛いし、良い感じのカップルですね。
続きがとても読みたいです。
207名無しさん@ピンキー:03/11/29 09:45 ID:SmfVx6CL
>>エロパロ板でF91の挿絵にどうかと名前を上げられた漏れですら知っているのにな
(小雀のパクリSSの挿絵など絶対に受けないから依頼するなよ)

(´-`).。oO(この絵師様はだれだろう?)
208名無しさん@ピンキー:03/11/29 15:40 ID:YEzohRLg
騙りでしょ・・・
209名無しさん@ピンキー:03/11/29 18:09 ID:90oJuAcI
>>208
同意。数を頼む粘着な叩きだったからね。

自分で書いといて言うのもなんだけど、この話はもうやめようよ。
小雀氏が打たれ強いことを期待してる。
210名無しさん@ピンキー:03/11/29 19:47 ID:K0zBTTh6

     || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
     ||自作自演は      Λ_Λ  いいですね。
     ||すぐばれる!  \(゚ー゚*)
     ||________⊂⊂ |
  ∧ ∧   ∧ ∧    ∧ ∧    | ̄ ̄ ̄ ̄|
  ( ∧ ∧ (   ∧ ∧ (  ∧ ∧ |    |
〜(_(  ∧ ∧ _(  ∧ ∧__(  ∧ ∧ ̄ ̄ ̄
  〜(_(  ∧ ∧_(  ∧ ∧_(  ∧ ∧ プッ。
    〜(_(  ,,)〜(_( ,,)〜(_( ,,)
      〜(___ノ 〜(___ノ  〜(___ノ
211名無しさん@ピンキー:03/11/30 10:42 ID:ksH2GeTA
         サザエです。私はこの三週間ずっと「チョキ」をだしてきました。
         チョキチョキチョキときたから、もうチョキがない
 @@@     などという読みはそれほど間違ってなんかいません。
@゜д゜)  ○  しかし、一歩間違えるとそこがスキとなります。
(つ  つ│  正しいとなると人はとたんに疑わなくなります。
(_)_)    まして、その理で勝ってきたとなればなおさらです。
         理ある故に無防備・・・・・・必ず殺せます・・・・!
         それじゃあ星はもらっていきますよ。悪く思わないで・・・
         さて、次回は
         「タラちゃん 船井に騙される」
         「カツオ 「グー」を買い占める」
         「波平 別室行き」  の3本です。
212名無しさん@ピンキー:03/11/30 13:43 ID:CSGbolqh
             
  
  
        ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ヽ ___\(\・∀・)<ジサクジエン無駄無駄無駄無駄無駄ぁぁぁ!!
             \_/⊂ ⊂_)_ \_______
           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
        |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| :|
        |           .|/
213名無しさん@ピンキー:03/12/01 21:28 ID:+5RcgeEx
何やってんだよ、みんなっ!!
214名無しさん@ピンキー:03/12/02 00:43 ID:dgMcL8hK
さて運命の火曜日になりました。Fekia様来てくれるかな〜
215名無しさん@ピンキー:03/12/02 19:27 ID:gtK+NkAC
Fekia様キテナ-------------イ・・・
216名無しさん@ピンキー:03/12/02 22:27 ID:r7qz98mY
気長に待とうじゃないか_| ̄|○
217Fekia:03/12/03 00:23 ID:A8booBFH
>>195,196,214,215,216

すみませんっ!! モビルスーツ戦の難しさに難航してます
嗚呼、こんなにも難しいものなんて・・・_| ̄|○

きっ金曜日までにはっっ・・・かならずうpしますっっ・・・!
しかし約束をほとんど守ったことがないな・・・自分。
遅筆にもほどがある・・・すいません逝ってきます・・・(涙)
218名無しさん@ピンキー:03/12/03 00:30 ID:lmT40Cex
>217
変な言い方ですけど、無理だけはなさらずに、頑張って下さい。
219名無しさん@ピンキー:03/12/03 07:04 ID:dpU5V/Mw
   | Fekiaになにができるんだよ?
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ∧_∧ *、/      〜      ∧_∧
  __( ´∀`)(''''')            (・∀・ )___
  \ (つ   つ⊥ ____~━⊂ ヘ  .⊂)/
   ゝヽ(⌒)⌒) ゝ   ‖    (⌒)(_)ノ/
    ∧  ̄ ̄ ̄ ヽ.   ‖   /  ̄ ̄ ̄ ∧
 ___∧__________________
 | う〜んとね、自作自演ぐらいかな・・
220名無しさん@ピンキー:03/12/03 09:36 ID:RRnihyxj
>>217
おーFekia様だ。モビルスーツ戦、自分なら絶対書けないですねw
新作ものすごく楽しみですが、無理せずにアップできる時にしてくださいませ。
221Fekia:03/12/05 12:08 ID:uzN6dYto
大変長らくお待たせいたしました。
はじめに>>217のレスの一部を訂正させてください

 × >>195,196,214,215,216
 ○ >>195,196,214,215,216様

いくら余裕がなかったとはいえ、大変失礼なことをしてしまいまして、誠に申し訳ありません。
そしてあらためて、>>195,196,214,215,216様、そして>>218,219,220様
続きが出来ましたので、よろしくお願いいたします。
222高貴なるものの血 6章 1:03/12/05 12:15 ID:uzN6dYto
 「なんだ!? おい、どうなったんだ!?」
 シーブック・アノーは、鉱山の戦線から撤退するモビルスーツ、ジェガンのパイロットに戦況を聞
いてみた。口調が強くなっているのを自覚してはいたが、この状況下ではそれも仕方がない。
 「連中は速い。この大型ジェガンタイプじゃダメだ」
 「そうなのか……」
 中年であろうパイロットの、怯えを含んだ声の不甲斐なさに、苛立ちや疑念の感情が、自分の中に
芽生えることは、否定しない。
 だがここは戦場なのだ。ついにクロスボーン・バンガードは、フロンティアTに攻めてきたのだ。
余計な雑念は不要である。それは充分にわかっていたし、雑念を抱く余裕もなかった。
 いや、なかったはずだった。
 精神が、必要以上に過敏になっていた。少しのことで、感情が過剰に反応するのが、自分でもわか
る。思いが、一瞬戦場を離れ、記憶の中の光景を脳裏に浮かび上がらせてくる。
 「ビルギットさん!」
 その光景を振り払うかのように、シーブックは彼の前方で、クロスボーンのモビルスーツを迎え撃
とうとしているビルギットのヘビーガンを追った。
 迫ってきた、一機の漆黒の機体めがけて、ヘビーガンのビーム・ライフルが火を噴いたのが見えた。
直撃する、と思ったその瞬間、その機体デナン・ゲーの左腕がビーム・シールドを展開し、ビームの
一撃を弾く。
 続けざまに放たれた、ヘビーガンのライフルの二撃、三撃も同様に防ぐと、デナン・ゲーはヘビー
ガンに肉迫し、ビームサーベルを強振した。
 ヘビーガンも何とかそれをかわし、距離をとるべく、バルカンで弾幕を張りつつ後退した。だが、
それを追うデナン・ゲーの追従性の高さといい、そのパイロットのビーム・シールドとビーム・サー
ベルの扱い方といい、ヘビーガンでは対抗しえないレベルであることは、シーブックにもすぐわかっ
た。
223高貴なるものの血 6章 2:03/12/05 12:19 ID:uzN6dYto
 ヘビーガンのビーム攻撃が、またもその光の盾に防がれる。シーブックのF91にも、同様の装備が
なされているので、彼もまたビーム・シールドの高い防御力を知っている。
 「ビーム・ライフルではダメか!?」
 焦った瞬間、彼の意識下に、V・S・B・Rを使うという判断が浮かぶ。F91に乗るようになって
から、ごく稀にではあるが、極めて鋭敏な直感や、戦場の状況を無意識のうちに知覚してしまう、柔
軟な感性が働くようになったのを自覚している。シーブックはそれが、F91に搭載された、バイオ・
コンピューター機能によるものだとは知っていたが、その未体験の感覚に戸惑う部分もあった。
 ヴァリアブル・スピード・ビーム・ライフル。F91のバックパックに備え付けられた、F91本体の
高出力ジェネレーターに直結する大型ビーム・ライフルである。ビームの初速を変化することによっ
て、その威力をコントロールできるという、最新式の装備。敵を殺すためではなく、敵の攻撃から身
を守るという認識で、モビル・スーツに乗るシーブックにとっては、さして必要ではない代物だった
し、実際今までにも使ったことはない。
 しかしこの兵器でなければ、ビーム・シールドを破ることはできないという、瞬間的な判断に彼は
従った。でなければ、ビルギットの危機を救うことができないのだ。
 「!」
 左側の砲門を前方に展開させ、照準をロックする。ちょうど旧世紀時代のガンマンのようなスタイ
ルで、F91はV・S・B・Rを発射した。
 強烈な反動。そして轟音とともに、従来のビーム兵器のそれとは明らかに違う、分厚い光の収束体
がデナン・ゲーに襲いかかる。それはビーム・シールドをやすやすと突き破り、デナン・ゲー本体に
突き刺さった。
 直撃を受けたデナン・ゲーが、爆発を起こして四散するのを見て、シーブックは戦慄した。
 (……。こいつは強力すぎる……)
224高貴なるものの血 6章 3:03/12/05 12:22 ID:uzN6dYto
 こういう、人を殺すための道具の威力を強化してきたのが、兵器の歴史である。それに携わってき
た人々、ひいては、そんな兵器を使って戦争を繰り広げてきた人々の感性が、シーブックには歪んだ
もののように感じられて仕方がなかった。そしてこういうことに、彼女も関わろうとしているのだ……。
 「シーブック、よくやった!」
 接触回線から、ビルギットの声がした。よくやった、と言われても、シーブックには喜べない。
 「偶然……、偶然ですよ」
 「うんや、火力と機動力だ。オレが牽制するから、キサマが落とせ!」
 「そんな……!?」
 シーブックの返事も聞かず、ビルギットはF91から離れていった。それについて行こうとしたとき、
シーブックの精神の中に、ざらついたような感覚が走った。
 「アンナマリー!?」
 アンナマリー・ブルージュ。クロスボーンから突然投降してきた、女性パイロット。なぜ彼女の名
を口にしたのか、そしてその感覚が、アンナマリーの思念なのかはわからない。彼女が乗る機体ダギ・
イルスは、とうにシーブックから離れてしまって、モニターからは確認できなくなっている。
 彼女がシーブックを呼んだと言う感じではない。ただ、彼女の孤独が、クロスボーンを裏切って、
かつての戦友と戦う道を彼女に選ばせたその孤独が、感じられたような気がした。
 なぜそんなことが感じられるかなんて、気にしてはいられなかった。彼女を見捨てるわけにはいか
ない。彼女が孤独かなんて確証などないが、もしそれが本当なら、見捨てるわけにはいかなかった。
シーブックもまた父レズリーを失い、リィズと兄妹二人だけになってしまったのだ。そしてセシリー
とも、もう永遠に出会うことはないのだ、きっと……。
 クロスボーンとフロンティアT抵抗派との戦端は、陸上、空中ともに広範にわたって展開していた。
闇雲に動いていてはまず見つからないし、何より自分が敵の中に孤立してしまう危険もある。
225高貴なるものの血 6章 4:03/12/05 12:25 ID:uzN6dYto
 どう動くべきか、シーブックが判断しかねていると、アンナマリーの思念のようなものが、シーブッ
クの中に飛び込んできた。
 “そんなに家の名前がほしいのか!!”
 憎しみに満ちた絶叫だった。どす黒い情念の塊。そんな負の感情がアンナマリーを支配している?
 それは彼女にとって、とても危険なことのように感じられた。シーブックは、その思念が飛び込ん
できたと思える方角に向かう。一刻の猶予もならないと言う気がした。
 彼女の思念と思しきものが、緊迫感とともに断続的に飛び込んでくる。
 “デッチあげの名前をいただいて、人類の粛清などと……!”
 “ともに死ねば、お前の口惜しさは消えるのか!?”
 彼女が戦っていると思われる相手の男の思念に、凍りつくような殺意を感じた。バイオ・コンピュー
ターと連動した意識が、彼の肉体を超えて、爆発するように拡大する。シーブックは絶叫した。
 「アンナマリー! 離れろ!!」
 だがそう叫んだ瞬間、彼女やその相手の男からの思念が途絶えたのを感じた。それだけではなく、
この奇妙な感覚自体も、ゆっくりとおさまっていった。あとには不気味な沈黙が、感じられるだけだ。
 「アンナの気配が消えた……。やられたのか!?」
 それは、認めたくはないけれど、事実だと思った。だが呟かずにはいられない。彼女が、父の死に悲
しむリィズを、慰めてくれていたのを思い出した。その横顔は、年相応の普通の少女の優しさがあった。
 アンナマリー。しかし、どこか思いつめたような表情もしていた。戦争でなければ、彼女がそんな表
情をすることはなかったのだろうかと思う。
 アーサーの死も、レズリーの死も間近に見てきて、親しいものが死ぬということの辛さは味わってき
た。だからといって、それに慣れることもなければ、慣れる気にもならない。
226高貴なるものの血 6章 5:03/12/05 12:30 ID:uzN6dYto
 ただ、もしかしたら自分もアンナマリーのように、思いつめたような顔をしているのかもしれない、
とシーブックは思った。
 あの夜の、髪を切ったセシリーの表情を思い出す。それは、喜びと絶望、そして悲しみに彩られて
いた。その前の男の上にまたがって、肉欲に身を震わせて喘いでいた彼女の姿も、依然目の奥に焼き
ついている。シーブックにはもう、どうすればいいのか、どう思えばいいのかわからなかった。
 ──なんで今頃きたの!? もう遅いのよっ!
 そう叫んだセシリーの言葉を、額面どおりに信じるには、彼女の声音はあまりにも悲しみに満ちて
いた。しかし確固たる決意のようなものを、帯びてもいたようにも思える。
 それはベラ・ロナとして、クロスボーン・バンガードに加わり、人を殺すということだろうか。噂
されている過剰人口を掃討する作戦に参加するということなのだろうか。
 男と体を重ねているセシリーを見たとき、彼女に裏切られたと言う気がしないでもなかった。だが
シーブックとセシリーは、別に恋人同士と呼べる関係ではないから、セシリーが誰と恋愛をしても、
裏切りと呼ぶには筋違いとは思っている。しかし理想やら革命の名の下には、武力行使を厭わぬとい
う組織に入り、さらには無関係の市民まで掃討しようなどという、常識はずれの軍隊に味方すると言
うのは、彼女の本意がなんであれ、人として許せることではない。
 何より、危険を賭して彼女を迎えに行ったのだ。頼ってほしかった。何かを思いつめて、苦しんで
いるのなら、僕にすべてを任せて、一人で抱え込まないでほしかった。だが、拒絶された。その現実
は、シーブックの精神の深奥を容赦なく焼いた。彼女にとって、自分はその程度の、頼りない人間に
しか思われてないのだろうか。
 セシリーの裏切り。そんな想いとそれを否定できない自分に、どうしようもなく苛立つ。
 それから芽生えた自暴自棄、あるいは開き直りとも呼べる感覚に、自分が支配されていることは、
シーブックにもわかっていた。モビルスーツに乗って戦うという、普段の自分では考えられない行動
も、リィズや仲間を守るためだと理由付けていた。しかし、セシリーへの未練を断ち切れぬまま、む
ざむざと死にたくないという感情が、彼の本音だった。
227高貴なるものの血 6章 6:03/12/05 12:35 ID:uzN6dYto
 こんな気持ちのままでは、死ぬに死にきれない。何があっても生き抜いてやる。生存への強固な執
念が、シーブックを突き動かしていた。そのためにも雑念にとらわれたり、思いつめていたりするわ
けにはいかない。なんとしても、この戦場から生きて帰るのだ
 「ビルギット!?」
 僚機を探すシーブックの前に、一機の敵が立ちはだかる。メガ・マシン・キャノンで弾幕を張りな
がら、シーブックは敵の攻撃を、ビーム・シールドで防いでいく。
 「抵抗するんじゃない! 行っちゃえよっ!!」
 業を煮やしてライフルで狙い打つ。光の粒子は狙い通りに直撃し、その敵機は爆発に包まれた。
 「ホレ見ろ!」
 シーブックは吐き捨てた。そうでもしないと、人を殺したと言う罪悪感と嫌悪感を拭いきれない。
 視線を変えると、下方の空域に、別の敵から追撃されるヘビーガンが見えた。F91との距離はだい
ぶあったが、シーブックは躊躇せずにビーム・ライフルで攻撃する。
 二撃目まではかわされたが、三撃目が敵の背中に命中するのが見えた。
 「シーブック、すまない」
 またも危機から救ってもらったビルギットが、わざわざF91に近づいてくる。普段のビルギットは
口も悪いし、嫌味なところもあるが、こういうのを見ると、結構義理堅いタイプなのだろうかと思い
つつ、シーブックは素っ気なく、きたよ、と返事をした。まだ戦闘が終わったわけではないのだ。
 シーブックはヘビーガンと距離をとった。一箇所に固まっていてはいけない。モビル・スーツの空
中戦闘は、機動力が生命線なのだ。
 「まだ正面に三機!?」
 途絶えていたあの鋭敏な感覚がよみがえり、新たな敵機の接近を告げる。そしてその敵のいる方向
には……。
228高貴なるものの血 6章 7:03/12/05 12:38 ID:uzN6dYto
 「! スペース・アークか!?」
 そこには、リィズや仲間たちがまだ乗っているのだ。スペース・アークを攻撃させるわけにはいか
ない。
 スペース・アークもその三機に気づいたようで、メガ粒子砲を発射してきた。それをかわした三機
のうちの一機が、F91にビーム・ライフルを撃ってくる。
 シーブックもV・S・B・Rを構えて応戦したが、その必殺となる一撃は空をきった。
 「なんでこんな所にくるんだよっ!」
 苛立ち紛れに吐き捨てる。しかし次の一撃は、向かって左側の敵機に命中した。同僚の死に激昂し
たのか、残った二機はビーム・ライフルを乱射させながら、猛然と迫ってきた。
 その攻撃をかわしながら、シーブックも狙いをつける。しかしV・S・B・Rの威力はあまりにも
強力だ。
 「コロニーの中じゃ、むやみに撃てないってのに!」
 V・S・B・Rだけでなくビーム兵器の使用自体、コロニー内では好ましくない。放たれたビーム
の先の地表には、無関係の民間人がいるかもしれないし、何よりその強烈な破壊力は、地表を突き破っ
てコロニーに穴を作りかねないからだ。
 シーブックは最低限の抵抗をしながら、とりあえず敵の攻撃をかわすことに専念した。ジェガンタ
イプとは違って、F91はクロスボーンのモビルスーツ同様、小型化された最新鋭機である。その機
体性能は、デナンタイプと同等かそれ以上のはずだ。避けることだけに集中すれば、そう当たること
はない。
 F91のその行動は、敵の二機を焦らさせた。次第にその動きが散漫なものになってくる。そうして
できた隙を、シーブックは見逃さなかった。
 狙いをつけたビームの閃光が、一機のデナン・ゲーに命中し、それは炎を撒き散らしながら地表へ
と落下していった。残る敵は一機である。しかしシーブックがそれに注意を向けたとき、スペース・
アークの信号弾が、その機体をかすめるように駆け抜けていった。
 その信号弾の動きに、デナン・ゲーの意識が向いているのがわかる。F91のビーム・ライフルの閃
光が、デナン・ゲーの右肩部に命中し、その右腕が切断された。
229高貴なるものの血 6章 8:03/12/05 12:43 ID:uzN6dYto
 「それで帰れるはずだ! 出てけよ!」
 だがそう叫んだ直後、シーブックの感性が、別の敵の存在を感知した。
 「!? まだいる!?」
 薄いパープルがかった白色の、見たこともない機体が、ビーム・ライフルを撃ちながら迫っていた。
 その突進するスピードにあわせて、シーブックはその攻撃をかわしながらF91を旋回させ、逆に絶
妙なタイミングで、V・S・B・Rを二門同時に発射する。それは、絶対に相手には避けられないは
ずのタイミングだと思ったが、その見たこともない機体は、当然のようにそれをかわした。シーブッ
クはビーム・ライフルを投げ捨て、両のV・S・B・Rを、あらためて持ち直す。ライフルで狙いを
つけての射撃より、V・S・B・Rでの射撃のほうが、ダイレクトに敵の動きにあわせられると踏ん
だのだ。
 「速いっ!?」
 間違いなくこれは隊長機だ。シーブックは沸き立つ緊張感をしっかりと受け止め、その敵を倒すこ
とに集中する。自分より技量もあれば、その機体もF91以上の性能かもしれない。そういう相手には
常に先手を取り、主導権を握らせてはいけない。
 ビーム・ライフルの三連射をかわし、シーブックは眼下に広がる分厚い雲の中に、F91を突っ込ま
せた。そして最大スピードでその中を駆け巡る。センサーで捉えられれば、雲なんてカムフラージュ
にはならない。しかし敵のパイロットがF91をセンサーで追うか、目視で追うか判断をつける前に、
ケリをつけるつもりだった。
 案の定、その敵の動きが一瞬止まる。その瞬間を見逃さず、シーブックは敵の死角から現れて、V・
S・B・Rの一撃を見舞った。
 その攻撃にも反応し、ライフルを撃ち返した敵にシーブックは驚いた。だが、さすがにこの攻撃は
完璧にはかわし損ねたようで、直撃は避けたようだが、ビームがかすった衝撃で完全にバランスを崩
し、雲の中に逃げていく。
 「こんな所にのこのこくるから!」
230高貴なるものの血 6章 9:03/12/05 12:47 ID:uzN6dYto
 シーブックは敵を猛追したが、あまりのスピードにV・S・B・Rの照準が定まらない。
 「銃身がブレて……!」
 シーブックは射撃をするかわりに、右腰部の装甲内のビーム・シールドの予備をつかみ、それを敵
機に投げつけた。苦し紛れの判断だったが、幸いにも相手はそれがミサイルか何かと判断したようで、
態勢を立て直してながら、それをビーム・ライフルで打ち落とす。その隙にシーブックのF91は敵の
機体に接近し、左手で相手の肩を掴んで、右のV・S・B・Rの銃身をコクピットに向ける体勢にま
で持ちこんだ。
 “ああーっ!!”
 「!?」
 感知した敵パイロットの悲鳴に、シーブックは違和感を覚えた。そのパイロットだけは、間違って
傷つけてはいけない気がする。
 その直後、シーブックの肉体に衝撃が走った。シートに固定された全身が激しく振動し、彼は思わ
ず息を詰まらせた。
 横合いから、別の敵機に体当たりされていた。そのまま、白いほうの機体から引き剥がされていく。
 「ぐうっ!」
 シーブックは無理に抵抗せず、ビーム・サーベルを発振させて、敵のコクピット部分に押し付ける。
金属が焼きつく音がし、しばらくすると、その機体からの突進に勢いがなくなった。
 「や、やれた……!? うう……」
 F91から離れ、ゆっくりと地表に落下するその機体をみて、シーブックは吐き気を覚えた。ビーム・
サーベルで、コクピットもろともパイロットを焼き殺した感覚は、戦場での決断とはいえ、気分のよ
いものではない。
 「うっ!?」
 シーブックが気づいたときには、先程の白い機体が、ビーム・ライフルを構えて眼前に迫っていた。
だが不思議と殺意のようなものが感じられず、シーブックは戸惑った。
231高貴なるものの血 6章 10:03/12/05 12:52 ID:uzN6dYto
 「……その息づかい、シーブックでしょ!」
 「え……!?」
 「シーブックよね!? シーブック!」
 その声の主、そのパイロットが誰なのかがわかったとき、シーブックは目の前が真っ白になった。
体から力が抜けていく。知らないこととはいえ、彼女と殺しあおうとしてたのか!?
 いや、それよりもなぜ、彼女がここにいる──!?
 「セシリー……、セシリー!?」
 「接触回線、聞こえるわ! シーブック、本当にそれを操縦しているのね!?」
 幾分速い口調の、しかし紛れもないセシリー・フェアチャイルドその人の声だ。しかし、それに
懐かしさや親しさを覚えるよりも先に、いまだ胸をくすぶっていた戦いの興奮が、シーブックの、
押し殺していた彼女へのわだかまりを呼び起こした。
 「セシリーこそ、その白いモビル・スーツを!? どうしてさ!!」
 結局……、結局こういうことなのか……。何をしに、こんな所まできたのだ。他の男に抱かれ、
血の繋がりのままに軍事集団に身を投じ、よりにもよって、自らモビル・スーツなんかに乗り、人
を殺しにきたというのか。
 それが、きみが選んだ道なのか……!?
 シーブックの問いに答えるかのように、白いモビル・スーツのコクピットのハッチが開いてゆく。
そこから現れたのは、オレンジ色のノーマル・スーツに身を包んだセシリーだった。
 その顔を見た瞬間、たぎるような憤りと、それをはるかに上まわる愛おしさが激しく交錯し、た
まらずシーブックは絶叫した。
 「セシリー!!」


 シーブックの、自分の名を呼ぶ切なげな叫び。それは、敵のモビル・スーツを操っているのがシー
ブックだとわかってから、激しい勢いで溢れ出したセシリーの感情の奔流を、抑えられないものにし
た。
232高貴なるものの血 6章 11:03/12/05 12:55 ID:uzN6dYto
 シーブック。彼にまた出会うことができた。戦場とは意外でもあったが、そんなことより、こんな
にも早く彼に再会できるなんて。もう、あきらめていたことだった。奇跡にしか思えない。
 私を連れて行って。あまりにも素直な気持ちで、そう思った。私をずっと、あなたの側にいさせて。
言葉にしようとしたが、できなかった。感情のコントロールがうまくいかない。
 ただわかることは、この気持ちを伝えられなければ、彼女の願いを叶えられる機会は、永遠に巡っ
てこないということ。
 「こうなっちゃったのよ! こうできちゃったのよ!!」
 はやる気持ちのままに飛び出た言葉は、自分でも驚くほどに支離滅裂だった。これでは、シーブッ
クには何も伝わらない。もっと、ちゃんとした言葉を……。でもどう言えば……?
 「……どうしたらいい……!?」
 彼女のすがるような言葉は、シーブックに、ここ数日で彼が見た、すべての光景を思い出させた。
 「どうしたらって……」
 身勝手じゃないか、と率直に思った。ロナ家の一員として生きることは、自分で決めたことではな
いのか。そして僕は見てしまったんだ。あの夜の出来事を。あんなものを見てしまった僕に、何をし
ろって言うんだ。
 僕だって、きみのことを……今でも……、なのに!!
 それでも、暴発する感情のまま喋って、彼女を傷つけたくもなかった。慎重に言葉を選ぶ。
 「セシリーは髪を切って、ロナ家に戻るつもりだったんだろ!?」
 喋っていくうちに、シーブックは不思議な感覚を覚えた。さっきまでの戦場で感じた、感性が肉体
を超えて広がっていくあの感覚。まるで、吐き出した自分の言葉にいざなわれたかのように、それは
広がっていった。拡大した意識が、目の前のセシリーを感じたとき、セシリーの心の奥にある真意が、
シーブックには朧げながら、見えたような気がした。
233高貴なるものの血 6章 12:03/12/05 12:59 ID:uzN6dYto
 シーブックの言葉にこもる熱に、セシリーは、彼の怒りを感じた。それも仕方のないことだろう。
あの日、危険を賭して迎えに来てくれた彼を、状況が状況であったとはいえ、拒絶してしまった。考
えてみれば、単身で迎賓館に乗り込んでくるのは、相当の苦労があったはずなのだ。何よりフロンティ
アW脱出の際、自分と生き別れてからも、きっと大変な思いをしたはずだ。現に今ここで、彼はモビ
ル・スーツに乗って、命がけで戦っている。
 シーブックから見れば、私は身勝手な女に移るだろう。ザビーネとも関係を持ってしまった。そし
て自分に流れる血は、高貴でもなんでもない、軽蔑すべきものだった。
 でも、私の居場所はあなたの側に。もう一度だけでも、あなたと同じ時間をすごしたい。そしてあ
なたのぬくもりを、感じたい!
 「違うわ! あなたたちがみんないなくなったから……。他にしょうがないって思えたから!」
 相変わらず、うまく伝えられない自分が、もどかしく感じた。そういうことを言いたいわけじゃな
い。この胸の中でときめく鼓動を、あなたに伝えたいだけ……。
 だが、シーブックの拡大した意識は、セシリーの動揺の理由も、その裏側にある、セシリーが伝え
ようとしていることも、はっきりと感じとれるほど、研ぎ澄まされていた。言葉として聞かなくても、
彼女の思いのすべて──彼女の中の苦しみとシーブックへの想いを、彼は驚きながらも、自然に受け
止めることができた。
 「そう……、そうだったのか」
 彼女へのわだかまりが、消え去っていく。シーブックは、彼女の背負った業の深さに戦慄した。そ
して狂おしいほどの自分への想いに、涙が溢れそうになった。
 「私はまだ……、セシリー・フェアチャイルドよ!!」
 切なげな彼女の叫び。それがたまらなく愛おしかった。
234Fekia:03/12/05 13:11 ID:uzN6dYto
6章終わりです。モビル・スーツ戦はシーブック視点で、
原作において、正確に確認できない箇所は、独自の判断で進めました。
スレ違いな展開続けてすみません。

それで、次回で最終回です。エロあります。久しぶりに。
それではまた次回に。ありがとうございました。
235名無しさん@ピンキー:03/12/05 19:56 ID:doMOsrHB
Fekia様キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!

そして(・∀・)イイ!!

NTの定義に、思いを言葉にした時にずれが生じる。そしてこれが誤解を生むがNTはそれを超え
正確にコミュニケーションが取れるとありますが、そこに完全に到達できていないセシリーとNTに
成りつつあるシーブックを見事書き綴ってますね。
いやぁ、よかたー。

次で最終回ですか・・・楽しみにしてますが終わってしまうのも残念のような・・・
見本とセシリーだと嬉しいですがエロエロなものも期待してます(w
236名無しさん@ピンキー:03/12/05 21:27 ID:bWItKTIp
やっぱりFekia様の文章は良いですのー。しみじみ思います。
次回はエロがあるのが楽しみですが、最終回なのが残念。
237名無しさん@ピンキー:03/12/05 22:51 ID:aOt/Gr1M
やっぱり凄いね。次回にも期待してます。
ただ、F91がセシリーとザビーネの恋愛物だった、とかいう理論は発表しないでください。
238 ◆ZAxBErybqE :03/12/08 22:10 ID:34sesIAS
お久しぶりです、小雀です。
>>177-178を書いた後、続編の発表場所について色々と考え悩みましたが、
何人かの方から励ましをいただいたこともあり、やはりこちらでUPさせて
もらいたいと思うようになりました。
励ましてくださった方たちには、心からお礼申し上げます。

不快に思う方もいらっしゃるでしょうが、スルーしてくださいと願うばかりです。
名前欄に「◆ZAxBErybqE」か「追 憶」の文字を必ず入れるようにしますので、
NGワードに指定していただければ。

それでは、「追憶」の第1章をUPさせていただきます。
「F91」のラストから「クロスボーン・ガンダム」の直前までの、10年間の話
(といってもいきなり5年後ですが/汗)で、第1章のカップリングはザビーネ×
ベラ(×シーブック)です。以下、13レスほどお借りします。
239追 憶 〜The Way We Were〜 第1章:03/12/08 22:12 ID:34sesIAS
「真実の誕生日時から五分間だけ、窓を開けておかれたし」
 セシリーは数え切れないほど読み直したメモにもう一度だけ眼を通すと、火をつけて台所の流しで粉々になるまで燃やした。燃え滓を注意深く掻き回し、決して復元できないようにバラバラにする。誰にも見せてはならない秘密通信。
 指定された夜中の時間まで、あと一時間。網膜にハッキリと焼き付いた癖のある文字が、胸を絞めつけるような懐かしさと困惑とをもたらす。

 一年前に受け取った同じ筆跡の手紙には、母・ナディアの死亡の知らせが記されていた。
 鉄仮面に眼の前でシオを殺されてから徐々に心を病み、回復しないままに死去したこと。そして臨終の様子などが、分かる人間だけに分かる慎重な言葉遣いで綴られていた。あの時も、こうして手紙を燃やしたものだった。文字と文章を一字一句、頭に刻んだ後で。
 今でも胸が疼く。なぜ分かり合うのを後回しにしてしまったのか!? 自分はもう二度と、母と和解できないのだ!

 手紙の主にも強く心を揺さぶられた。身元を推測させるものが何ひとつ記されていなくとも、誰なのかはすぐに分かった。見覚えのある筆跡、簡潔な中にも深い思い遣りの篭もった文章――
 年に二度、まとまった金銭を送金してくれてもいた。こちらは祖父の意向だろう。幸い生活には困っていないので、一部を使った以外、いざという時のために貯蓄してある。下手(へた)に動けない自分に代わって、今では親友となったドロシーがうまく取り計らってくれた。
 今回のメモと一年前の手紙は、どちらもドロシーの父親経由で届けられた。連邦軍直轄の情報局でかなりの地位にいるのに、クロスボーンとも誼を通じているらしい。どういう意図なのかは分からないけれど……

 ベッドに腰掛けて、時が来るのを暗闇の中でじっと待つ。寝ているように見せるため、部屋の明かりは全て消しておいた。不吉な予感が胸を過る。また誰かが……? 前回と違って会いに来ようとしている――そのことは確信していた――のは、なぜなのか?
 クロスボーン・バンガードがフロンティア I を制圧したあの日、クロスボーン側はマイッツアー総帥の孫娘である「ベラ・ロナ」の死亡をいち早く発表した。お蔭で自分は表向き別人とされて、連邦政府の人質にされずにすんだ。
240名無しさん@ピンキー:03/12/08 22:13 ID:3xEgrsqc


      巛彡彡ミミミミミ彡彡 
       巛巛巛巛巛巛巛彡彡 
   r、r.r 、|:::::           | 
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  |_,|_,|_,|/⌒      (・ )  (・ )| 
  |_,|_,|_人そ(^i    ⌒ ) ・・)'⌒ヽ  ハァ? 
  | )   ヽノ |.   ┏━━━┓| 
  |  `".`´  ノ   ┃ ノ ̄i ┃| 
  人  入_ノ´   ┃ヽニニノ┃ノ\ 
/  \_/\\   ┗━━┛/|\\


241追 憶 〜The Way We Were〜 第1章:03/12/08 22:14 ID:34sesIAS
 とはいえ、行動は常に監視されてきた。「セシリー・フェアイチャルド」だと主張している自分が、「ベラ・ロナ」である可能性は、政府も充分に承知している。
 今住んでいるアパートの一室では辛うじて自由に振る舞えるし、シーブックに協力してもらって、盗聴器などの確認も定期的にしている。しかし、部屋への出入りや訪問者のチェックは、ドロシーの父親とは別の命令系統によって念入りに行われている様子だ。
 その監視の眼を逃れて、ここまで無事に来れるのか!? 万が一、捕えられたら……?

 時間きっかりに、窓とカーテンを人が一人通れる幅にそっと開ける。勢い良く入り込んできた真冬の冷気は、緊張と興奮で火照った身体には、心地良くさえ感じられた。
 自分のとてつもなく大きな鼓動のせいで誰かに見咎められるのではないかと、非科学的なことまで考えてしまう。
 何時間にも感じられる時間――実は二分足らずでしかなかったが――を過ごした後で、何者かが部屋の中に入ってきた。


 見覚えのある人影を見た瞬間、弾かれたように立ち上がる。名前を呼ぼうとする唇を、しなやかな掌が覆って止めた。手真似で黙っているようにと伝えてくる。
 突然触れられて硬直する身をよそに、人影は窓とカーテンを調べながら閉め、部屋の壁と天井を念入りにチェックして家具も一通り点検して回る。暗くてよく分からないが、機械のような物も使っているようだ。隠しカメラや盗聴器を警戒しているのだろう。

 調べ終えて、再び傍に来る。
「ベラ様、来るなり失礼しました。この部屋は大丈夫なようですね」
「ザビーネ! よく無事にここまで……」
 会えた喜びと懐かしさが胸に溢れ、言葉が続かない。
 暗闇の中で顔は見えないが、声に間違いはなかった。かつて誰よりも愛した相手、婚約者でもあったザビーネ・シャル――クロスボーン・バンガードの要人である彼が、連邦政府支配下のこのコロニー来てこの部屋に辿り着くまでには、かなりの危険を冒した筈だ。
242名無しさん@ピンキー:03/12/08 22:16 ID:GFg9Glim
(゚听)イラネ
243追 憶 〜The Way We Were〜 第1章:03/12/08 22:17 ID:34sesIAS
「些か苦労しましたが、メモの意味を分かっていただけて助かりました。覚えていてくださったのですね」
「ええ。筆跡にも見覚えがあったから、すぐに分かりました」
 公に記されているデータと違い、自分が本当に生まれたのはこの日時なのだと、昔ザビーネから聞かされた。両親が無頓着な人間だったため届出が遅れてしまった、誰も知らないことだが、と。

「フフフ……相変わらず、良い勘をしていらっしゃる」
 余裕のある笑い声に、ようやく気持ちが落ち着いてきた。
 もう一度腰を下ろし、ザビーネにも座るように勧める。居間がないため、座って話せる場所はここか食卓だけ。食卓で向かい合うより、ベッドで横に位置した方が小声で話せるだろう。
 ベッドという場所に一瞬戸惑う素振りを見せたザビーネだったが、言われるままに腰を下ろした。


 明かりは消したまま用意しておいた飲み物を渡し、一番気になっていたことを聞く。
「何かあったのですか!? また誰かに不幸が……?」
「マイッツアー様が床に伏されています。そう長くはない命かと……」
「お祖父さまが!?」
 老齢ではあるが、まだ寿命という歳ではない。それどころか記憶に残る祖父は、若い者よりも意気軒昂だった。一体何が……

「一週間ほど前にドレル様が戦死なさってから、めっきり気落ちされて、寝ついておられるのです。ドレル様の技量からすると敗れるような相手では無かったのですが、連日の出陣で疲れが溜まっていたのかもしれません。僅かな隙を付かれたようで――」
「!」
 考えてもいなかった人物の死。戦場に出ているとはいえ、一番年若いドレルが死ぬなど想像すらしていなかった。ありし日の爽やかな笑顔が脳裡に浮かぶ。一つ違いの、優しかった兄……

「マイッツアー様は、昨年ナディア様を亡くされてから気弱になられていて、留めを刺されたような格好です。血の繋がりはなくとも、幼い頃から孫として遇してきた方ですからね、ドレル様は。鉄仮面亡き後、心頼みにされることも多くなっていましたし」
「お兄さまと……お祖父さまが……」
 初めて聞く話ばかりで頭がついていかない。ドレルお兄さまが戦死!? お祖父さまが長くはない命? それでは、クロスボーン・バンガードはどうなるのか!?
244追 憶 〜The Way We Were〜 第1章:03/12/08 22:20 ID:34sesIAS
 この五年の間、クロスボーン・バンガードと連邦軍の小競合いは、ずっと続いていた。
 連邦政府が事態を軽く見ていたりスペースノイドの支持を受けたりしたせいで、当初は戦いを優位に進めていたクロスボーンだったが、最近では物量に優る連邦軍の前に劣勢に回りつつある。
 フロンティア・サイドの一部を連邦に奪い返され、投降する者も増えてきているという噂は、戦争と距離を置いている自分の耳にさえ入ってきていた。それでも祖父や兄がいるから大丈夫だろうと思えた、いや思いたかった……


「ベラ様、コスモ・バビロニアに戻ることは叶いませんか?」
 突如ザビーネが言う。この一言のために、命がけでここまで来た。
「お祖父さまのお見舞いにですか?」
「それもありますが、ロナ家直系の人間として、コスモ・バビロニアの女王になっていただきたいのです。私が全面的に支えますから」
「そんな……今さら……」
 あまりの意外な話に、それだけ答えるのが精一杯だった。

「そういう気にはなれませんか?」
「私は一度寝返りましたし、女王になれるような器ではありません」
 ザビーネとアンナマリーの一件で激情に襲われたのが切っ掛けだったとはいえ、一度は連邦軍に身を投じた自分なのだ。
「ベラ様さえ決心してくださるのなら、寝返りの件は何とでもできます。五年前の戦闘で名誉の戦死を遂げたとされていて、真実は伏せられていますから。それに私とて、器のない方に話を持ち掛けるために、これだけの無理はしませんよ」

 顔は見えなくとも、真情は充分に伝わってきた。冷静にならなければと、自分に言い聞かせる。
「それはお祖父さまの意向なのですか?」
「いいえ、私の一存です。ただマイッツアー様も同じようにお望みだろうとは思います。ベラ様のことは気にかけておられましたし、女王になる気がないのが残念でならないと、よく私におっしゃっていました。今回ここに来るに当たっても、止められませんでしたから」
 祖父の声が聞こえてくるような気がする。女王をやって欲しいと言われた、あの日――
245追 憶 〜The Way We Were〜 第1章:03/12/08 22:22 ID:34sesIAS
「ザビーネとお祖父さまが私を買ってくれるのは嬉しいのですが、やはり女王にはなれません。金銭の援助を受けている身で、恩知らずとは思いますが……ああ、お礼を言うのが遅れてしまったわ。送金やお母さまの死の知らせを、ありがとう」
 自分を様付けで呼び、距離を保って座っているザビーネの姿を物哀しく想う。ベッドという場所を選んだのは、そういう期待からではないけれど、自分が想い出に過ぎないと知らされるのは寂しかった。唇には、まだザビーネの掌の感触が残っている……

「金の件はお気になさらずに。そういうつもりではありませんから」
「えっ!? あれはザビーネのお金だったの!?」
「いえ、自分ではなく、マイッツアー様のものであります」
 慌てて言い足すザビーネ。

「その言い方で分かったわ。お祖父さまの了解を得た上で、ザビーネが自分のお金を送ってくれていたのね」
 嘘はついていないが本当のことも言っていない時、彼には二人きりの会話が軍人口調になる癖があった。五年前にそれを実感したのがアンナマリーの撃墜直後だったと思い出し、複雑な気持ちになる。
「……」
 ザビーネは失言を悔いる。勘の良さを、忘れていた訳ではないが……

「どうしてそこまで……? 私、お祖父さまからの送金だと思っていたから、気にしつつも頂いていたのよ」
 ザビーネの気持ちが分からない。特別な想いがあるとは、到底思えない立ち振る舞いなのに。
「……私の、せめてもの気持ちです。義理のお父様が亡くなられお母様とも離れ離れのベラ様が、生活の糧を得ながら学校に通うのは大変だろうと思い、少しでも援助できればと」
 観念して答える。本当は永久に隠しておくつもりだった。

「ザビーネは自分もそうだったから、私を気にかけてくれたのね」
 働いて得たお金でハイスクールに通ったという、苦労人ならではの配慮に違いない。それ以上の意味を考えて、自惚れないようにしなくては……
「まあ、そうですね。マイッツアー様からも言われました。自分の立場では寝返った者に送金することはできないが、おまえなら、と」
246追 憶 〜The Way We Were〜 第1章:03/12/08 22:24 ID:34sesIAS
 祖父らしい拘りだと思い、尚も聞いてみる。
「あんなに沢山のお金を送るのは、大変だったのではなくて?」
「大したことはありません。マイッツアー様が上乗せしてくださっているようで、高給をいただいていますし、軍隊にいると金を使う必要は殆どありませんから」
「そう……ありがとう、ザビーネ。私、全然気が付いていなかったから、恩知らずな言動をしてしまうところだったわ」
 ザビーネは五年前も、細やかな心遣いをしてくれた。

「恩など……先程も言ったように、そういうつもりの送金ではありませんから、この件はもうお忘れください。それよりも、なぜそこまで女王になるのを厭うのでしょう? 私の支えでは信用できませんか!?」
「そうではなくて……私は連邦政府が正しいとは思いません。でも、クロスボーンが全面的に正しいとも、思えないのです」
 沸き上がってくる感情を抑え、理性だけで答えようと努力した。

「コスモ貴族主義に納得がいかない、という意味でしょうか?」
「ええ。連邦政府の性根の腐った役人に、コスモ貴族主義を叩き込んでやりたいと思うこともあります。けれど、何か危ういものを感じてならないのです。うまく説明できませんが……」
「……そうですか。分かりました」
「えっ!?」
 あっさり引き下がろうとするザビーネに戸惑う。無理を重ねてやって来たぐらいだから、もっと粘り強く説得されると覚悟していた。

「断られると予想していました。それにベラ様のお幸せのためには、今のままの方がいいのだろう、とも」
「それなら、なぜここに!?」
「一度だけ、お気持ちを確かめてみようと思ったのです。そうしないと、後悔しそうでしたから」
「そう……」
 ザビーネの物静かな声に、どこか遠い所から聞こえてくるような錯覚を覚える。この感覚は……?
247追 憶 〜The Way We Were〜 第1章:03/12/08 22:25 ID:34sesIAS

「もし女王を引き受けてくださるのなら、最初の仕事として、ドレル様の追悼演説をしていただこうと考えていました。聞けなくて残念ですよ、フフフ」
 ザビーネは昔見た、演説している映像を思い出しながら言う。やはりあれは幻だったのか……
「お兄さまの追悼演説!?」
「ドレル様はクロスボーンの若い者たちや民衆に、大層人気がありました。ですから、妹君のベラ様が女王となってドレル様を悼む演説をしてくだされば、戦意が高揚するだろうと。昔のザビ家でも、そういうことがあったと聞いていますしね」

 今から五十年近く前、連邦政府に対して、初めてスペースノイドが独立戦争を仕掛けた。その時の指導者一族であるザビ家の末息子が戦死した時、総帥であった兄が国民の戦意を高揚させる見事な演説を行ったという話は、伝説となって残っている。
 しかし、それと同じ役目が自分に回ってくるなどとは、考えたこともなかった。改めてロナ家というものを認識する。自分もまた、伝説となって残るかもしれない一族に生まれてきたのだ。

「お祖父さまの考えそうな政略だわ」
 祖父・マイッツアーは老練な政治家で、そういう宣伝行為を得意としてた。自分たちの婚約も、個人的祝福とは別に、政治的に利用しようとしていたぐらいだ。不肖の孫娘のせいで失敗に終わってしまったが。
「いえ、マイッツアー様ではありません。私が考えました」

 驚きのあまり、大きな声を上げてしまう。
「ザビーネが!?」
 昔の彼は政治的センスは持ちながらも、一方で軍人としての身分に拘りを持っていたため、政治には殆ど介入していなかった。五年の歳月を実感する。
「マイッツアー様がお元気でしたら、そうお考えになったでしょうが、今はそんな状態ではありませんので」
「そう、でしたね」

 ザビーネは、祖父と同じ思考をするようになっているのだろうか? 昔から祖父のお気に入りではあったけれど……
 自分が死亡扱いになったせいで、共に出陣した婚約者としての責任を問われたのではないかと、ずっと気になっていた。送金してくれたり母の死の知らせをくれたりしたので、地位を失っていない様子を察知できて、ホッとしたものだった。
 今夜の言動を見ていると、地位を失うどころか祖父の片腕となっている様さえ窺える。クロスボーン内部では、かなりの力を持っているようだ。
248追 憶 〜The Way We Were〜 第1章:03/12/08 22:27 ID:34sesIAS
 考え込んでしまったセシリーをどう受け取ったのか、ザビーネが語り出した。
「話が逸れてしまいましたね。とにかく、これで吹っ切れました。ベラ様の決意を尊重します。今戻られるについては、正直言って、私の中にも迷いがありました」
 再び、声に遠さを感じる。弱音を吐くことのなかったザビーネが、そこまで言うとは!
「戦況は、そんなに酷いのですか!?」
「あのドレル様が、戦死なさるほどですから」
「……」

 五年前の兄は、優れた操縦術を持つモビールスーツ・パイロットだった。実戦経験を積み、さらに腕が上がっていた筈だ。その兄が戦死するほどの状況――
 高貴な者に先陣で戦う義務を負わせているコスモ貴族主義とはいえ、ロナ家の御曹司をみすみす死なせるなど、普通はあり得ない。自分が戦場に出た時も、ザビーネの部下が助けてくれた。毎年喪に服す、彼とアンナマリーの命日……
 クロスボーン・バンガードは、ロナ家の者を守りきれない所まで、追い詰められている!

 信じる物のために命を賭け、血の繋がらないロナ家に尽くし抜いて死んだ兄と比べると、自分が卑怯で小さな人間に思えてくる。二十代になり、生き方を具体的に考えるようになった身としても、彼の生き様には強く惹かれるものがある。
 しかし女王になるというのは、自分一人のことではなく、多くの人間に多大な影響を与えることだ。クロスボーン・バンガードの精神的支柱であるコスモ貴族主義を無条件に受け入れられない自分が、コスモ・バビロニアの女王に相応しいとは、とても思えない。
 一時の感情に流されて、軽率な決断をしてはならない――何度も、そう言い聞かせた。


「今になってみると、ベラ様にお会いしたい気持ちだけで、ここまで来たような気もします。突然の、しかもこんな遅い時間の訪問で、失礼しました」
 突然、立ち上がる気配がした。心の琴線に触れる言葉にも関わらず、声に感じる錯覚は益々強くなる。
「ザビーネ!?」
「これでおいとまします。どうかいつまでもお健やかに。神を信じてはいない私ですが、あなたの幸せだけは神にも祈りたい気持ちです」
 言い終えると、静かに窓際へと歩いてゆく。
249追 憶 〜The Way We Were〜 第1章:03/12/08 22:28 ID:34sesIAS
「待って、ザビーネ。顔を……顔を見せて!」
 言わずにはいられなかった。この世では、もう二度と会えない相手――ザビーネはクロスボーン・バンガードに殉ずるつもりなのだ。あの感覚が何よりの証拠。近い将来の死を覚悟しているから、声が遠い所から聞こえてくるような気がした。
 自分のことを大切に想っていてくれたのも嬉しかった。例えそれが、想い出への愛惜に過ぎなくとも……

「ベラ……様!?」
 窓の近くで立ち止まる姿に、もう一度懇願する。
「お願い、ザビーネ……」
 暗闇の中で話をしていたため、一度も顔を見てない。引き止められないなら、最後にどうしてもザビーネの顔が見たかった。誰よりも愛した男(ひと)、人生を共にしようとまで考えた相手――

 少しの間(ま)の後で、ザビーネはカーテンを小さく開け、隙間から入ってくる光に顔を晒してくれた。すぐ傍まで行き、食い入るように見つめる。
 変装のためだろうか、髪型は違っていたものの、整ったクールな容貌は五年前と全く変わっていなかった。それでも、あの頃より凄みを帯びている表情が胸を打つ。クロスボーン・バンガードの苦境にどれほど心を痛め、夜も昼もない戦いに身を砕いているのか……

 もっとよく顔を見ようと影になっている右側に回り込み、驚愕する。
「手術……したの!? よく決心したわね……」
 右眼には義眼が嵌め込まれていて、瞼にあった傷は跡形もなく消えていた。実父が憎しみによって付けたという傷――手術したのは、父親を許す気になったのか……?

「眼帯のままでは、ここまで来れませんから。連邦には顔を知られている身ですしね、フフフ」
「ここに来るために? そのために手術を!?」
「はい」
「あなたは傷跡に拘りを持っていたじゃない? 今は違うの!? それでいいと、本当に思えたの?」
 実父への怒りと憎しみ、拘りの気持ちは自分も同じで、だからこそザビーネの苦しみを自分の苦しみと受け止めた五年前……
250追 憶 〜The Way We Were〜 第1章:03/12/08 22:29 ID:34sesIAS
「……この場合は、致し方ないでしょう……」
 声に混じる溜息が、苦渋の決断だったと告げている。
「ザビーネ、あなた馬鹿よ! 私なんかに会いに来るために……馬鹿よ! ザビーネの馬鹿っ!!!」
 泣き叫びながら、握り締めた手でザビーネの胸を叩き続ける。そこまでした男に、自分が返せるのは「NO」の返事だけ――それを知っていたのに、ザビーネは!

 変わってしまったように見えたのは表面だけだった。本質は昔も今も変わらない、不器用なまでに誠実な男(ひと)。
 自分がこれと思い定めて身を投じたクロスボーン・バンガードのためなら、どんなことでもやってのける。沈みゆく船であろうとも、最後まで踏みとどまって全力で戦い抜こうとしている。その姿が哀しいものに思えてならない。


 ザビーネは無抵抗なまま拳(こぶし)を受けていた。腕が一度だけ上がりセシリーの背中に回るかに見えたが、再び元の位置に下ろされる。
 腕に代わって、懐かしい体臭がセシリーを包み込んだ。それを、最後に強く嗅いだ場所を思い出す。あの時、自分は……背伸びをして、右の瞼にそっと口付けた。想い出と同じように。
「ベラ!」
 呼び方と篭められた想いに、心を絡め取られる。ずっと、そう呼んで欲しかった!

 たった一声で金縛りになってしまったセシリーを、背に今度こそ回されたザビーネの手が、強く抱きしめた。二人の全身が密着する。セシリーも抱き返す。五年分の想いを込めて。
「ザビーネ……あぁ、ザビーネ!」
 声に誘われるように唇が下りてくる。眼尻に残る涙を優しく吸い取られ、嬉しさと同じ仕草をされた昔を思い出してセシリーが微笑んだのも束の間、その後は奪い尽くすような口付けと荒々しい愛撫が襲いかかってきた。

「あぁぁんっ! あふぅんっっ……」
 全てがザビーネに開かれてしまう。情熱を浴びせられた心と身体は、感覚が普段の何倍にも鋭敏になる。
「ベラ……」
「ザビーネ、もう…駄目……」
 立っていられなくなり、ベッドに崩れ落ちる。
251追 憶 〜The Way We Were〜 第1章:03/12/08 22:31 ID:34sesIAS
「ベラ…ベラ……」
 ザビーネは上に覆い被さり、服と下着を剥ぎ取るように脱がすと、自分も手早く脱ぎながら口付けと愛撫を繰り返す。枕に残り、肌からも漂い出した甘酸っぱい香りが、欲望を駆り立ててならない。
 手を伸ばし、愛しげに触れて回るセシリー。以前にはなかった積極さが、ザビーネを熱狂させる。

 セシリーは驚いていた。本当にもう五年も経っているのだろうか?
 自分を知り尽くしている指と舌は、昨日の続きのように身体を自在に這い回る。記憶と寸分違わぬ巧みさと激しさに酔い、悦楽の園へと押し流されてゆく――
「あぁぁぁーーーーーっっ!」
 大きな波に全身を震わせ、泉をザビーネのためだけに沸騰させた。


 最後の理性を繋ぎとめ、ザビーネの耳元で囁く。
「避妊…は、…あっっ…してある……あぅんっ! …から、大丈…夫……よ……」
「それは、どういう……? もしや誰か――」
 動きを止めるザビーネ。避妊を忘れるほどの激情から我に返り、決まった相手がいる可能性を全く考えていなかった自分に愕然とする。いや違う、考えたくなかっただけだ。他の男を愛するベラなど!

 報告書にあった、一人の男の名前を思い出す。浅からぬ因縁のある相手。あの男なのか!? ベラを守るためと考え、存在に眼をつぶりはしたが……
 他の男のせいで、先程のような積極的な仕草を覚えたのかと考えると、嫉妬の炎が噴き上がる。自分にそんな権利はないと知りながらも、感情を処理できない。何年経とうと、ベラの前ではいつもこうなのだ。

「違うわ。自分の身体は、自分でなんとかしなくてはと、考えるようになったの。あの頃よりも私は、大人になったのよ。こういうことは人任せではいけないのだと」
 少しだけ嘘が混じっている。ドロシーやモニカに感化されて、そう考えるようになったのは本当だったが、このタイミングで避妊していたのはシーブックのせいだった。五年の月日の間に二人は歩み寄り、今では恋人と呼んでいい所まで来ていたのだから。
252追 憶 〜The Way We Were〜 第1章:03/12/08 22:34 ID:34sesIAS
「そう、ですか……」
「私、ザビーネと別れてからは誰とも……ザビーネを忘れられないうちは、そういう気になれなかったんですもの……」
 こちらは全て本当だった。シーブックと一線を越えられないでいたのは、心と身体に残るザビーネの存在感のせいだ。気持ちが固まるまで待つと言ってくれたシーブックに申し訳ないと思ってはいても、どうしても決断できず、今日まで来てしまった。

 ザビーネと別れた直後は、一人で眠るのが寂しくて堪らなかった。恋しくて恋しくて、枕を何度涙で濡らしただろう。触れているだけで、安らぎさえ感じさせてくれた人。
 教え込まれた悦楽は、身体を以前とは全く違うものに変えていた。思い出しただけで痺れてしまう脳髄、震えてしまう身体、濡れてしまう花芯――
 それでも、ザビーネと同じかそれ以上に愛せる相手でないと、同じ安らぎや悦びは得られないと知っていた。だから性的なことはみんな封印した――シーブックがいつか、そういう存在になってくれるように念じつつ……

「あなたは、どうしてそんなにも愛らしいのか!」
「ザビーネが、そうさせているのよ。忘れようと思ったのに、それがいいと思ったのに、忘れさせてくれなかったじゃないっ! ザビーネの意地悪!!!」
 大好きだった低音の声に、涙が再び溢れて止まらなくなる。こんなに心が残っていては、シーブックと抱き合えなくて当然だ。ドロシーには融通が利かな過ぎると笑われ、万が一に備えて避妊だけはしてきた……

「それでベラに愛してもらえるなら、私はどんな意地悪だってしますよ」
 他人行儀に振る舞いながらも、自分への想いが僅かなりとも残っていて欲しいと願っていた。繋がりを絶ち切りたくなくて、自己満足な送金を続けた。
 その相手が、忘れられなかったと言ってくれた。胸が打ち震える。心に身体に、自分の証しを刻み付けたい……ベラを自分だけのものにしたい!

「それならして! この宇宙(そら)で最高の意地悪を、私にして、ザビーネっ!」
 愛情なのか郷愁なのか、自分でも分からなかった。分かっているのはただ、餓(かつ)えるようにザビーネを求めているということ。他の男には考えもしない欲望を、ザビーネにだけは抱いてしまう自分――
 今、シーブックはとても遠い。何年もの積み重ねがあるというのに、あのメモを見た瞬間からザビーネに囚われてしまった。
253追 憶 〜The Way We Were〜 第1章:03/12/08 22:36 ID:34sesIAS
 ここ暫く上の空だったから、シーブックも何か気付いているかもしれない。戦場で覚醒した自分たちのニュータイプ能力は、平和な日常の中で徐々に衰えてきたけれど、直感力はいくらか残っている。
 それでも、母の時のような後悔はしたくなかった。生きているうちにしか、できないことがある。シーブックに憎まれ罵られ、彼を失うことになっても、ザビーネが欲しい!


 ザビーネは足を投げ出して座り、愛着して止まない女を抱き上げた。自分と向かい合わせに膝の上に座らせ、固く抱きしめて口付けを繰り返す。逸る気持ちを抑え、待ち望んだ瞬間を少しでも先に延ばす、贅沢な一時(ひととき)を堪能する。
 初めて心を通い合わせた日にしたのと同じ姿勢に、セシリーの胸もときめく。ザビーネも覚えていてくれたのが嬉しくてならない。あれが二人の始まりの日だった……

 数え切れないほどの口付けの後で、ザビーネはベラに自分の分身を埋め込んでゆく。記憶に残るものより遥かにきつく熱い内奥を突き進み、深く、深く、これ以上ないほど深く、身体を重ね合わせる。
「あぁぁぁんっ、ザビーネっっ!」
「ベラ……くぅぅぅっ!」
 あの時と同じく、眉間に皺を寄せて快感に耐えるザビーネ。セシリーもまた、気が遠くなりそうな悦びに見舞われ、ザビーネの身体に強くしがみ付いた。

 視覚が使えない分、他の四感が冴えてくる。ザビーネの荒い息遣い、汗の匂い、唾液の味、滑々した胸と力強い腕、何よりも愛しいこの分身――あらゆるものを脳に、肌に、胸に焼き付ける。どんな時にも思い出せるように、決して忘れないように。
 この先どうなろうと、この夜の想い出だけは残るのだ。だから今は何も考えず、この瞬間を、この悦びを、ザビーネのことだけを、心に深く刻み込もう……

 隠微なぐちゅっぐちゅっという音が、激しく腰を動かす二人の周りに鳴り響く。繋がった所から這い登る熱で、互いの心と身体はどろどろに溶けてゆく。情念に支配され、空白になる頭――そこにはもう時間の概念がなかった。理性すらも。
 暗闇の中で二つの影が複雑に絡み合い、離れ、再び絡み合う。荒い息遣いが飛び交い、嬌声に変わり、雄たけびが轟く。
 ザビーネを幾度迎え入れたのか、絶頂を何度味わったのか、それさえも分からなくなった頃、セシリーの意識は闇の中へと沈んでいった。そしてザビーネもまた……
254 ◆ZAxBErybqE :03/12/08 22:40 ID:34sesIAS
第1章は以上です。
相変わらずのザビーネ×ベラ話で、シーブックファンの方には申し訳ありません。
彼の存在感は少しずつ増してゆく予定で、「クロスボーン・ガンダム」に繋がる
ように書いていきますので、生暖かく見守っていただけると助かりますです。
なお、「クロスボーン・ガンダム」を背景にした話は、>>178に書いた通り「追憶」
の後に続々編として書くつもりでいます。

次章は、ザビーネとシーブックがニアミス+ドロシー登場の予定です。
255名無しさん@ピンキー:03/12/08 22:41 ID:KBXd1vah
別の作家さんが去ってくれなければいいね。
256名無しさん@ピンキー:03/12/08 23:57 ID:UTdMynyq
>254
NGワード推奨というのなら、全部の発言に(SSだけではなくレスを含む)
共通の物を入れるべきだと思うよ。
この発表方法なら、トリップをタイトルにも入れるべきかと。
それでも、専用ブラウザ使用者以外には意味の無いことだし、
当然この方法は最善ではないと思う。
このスレに固執する理由は、正直自分には理解できないんだが…まぁ、頑張れ。

ただ、あなたを叩いていた人間の全てが、例の関係者だけでは
無いということも、心に留めておいた方がいい。
便乗していた煽り好きの馬鹿は論外としても、色々思うところのある人は少なくない。
みんな大人だから、あえて、このスレで言わなかっただけの事だから。
257名無しさん@ピンキー:03/12/09 14:23 ID:Xnn1J3tn
小雀様新作読めて嬉しいです!!ストーリーがしっかりしていて
とても良かったです。私には知らない事情があるようですが、ぜひ最後まで
掲載してほしいです。
258名無しさん@ピンキー:03/12/09 14:59 ID:RZtNhoKo
楽しみにしていたこっちとしては他でやられるより断然ありがたい。
256は親切心から言ってるというよりこれの書き手を排除したいだけのようでうざい。
259名無しさん@ピンキー:03/12/09 18:08 ID:tmE03oDN
読み手はいいが書く方としてはいい気はしないだろ。
260名無しさん@ピンキー:03/12/09 18:12 ID:D4i/9a3i
小雀氏がHN変えればすむことじゃねえ?
261名無しさん@ピンキー:03/12/09 21:49 ID:PwQigMQo
時系列がありえないね。クロボン好きとしてはあんまり歓迎できないなあ。
262名無しさん@ピンキー:03/12/10 16:50 ID:7r5hYEHP
知識不足ってことじゃないの?
263名無しさん@ピンキー:03/12/10 21:30 ID:+62FolBL
ありゃ小雀さんの新作がUPされてますね。嬉しい。
やっぱりベラのエッチシーンが良い具合です。続きが楽しみ。
264名無しさん@ピンキー:03/12/10 22:27 ID:ftXvfEsp
禿御大がNT同士の邂逅はセクース以上の快感だといってるからなぁ。
NTとしてシーブックと感じあえるベラが肉体的欲求をザビーネに求めるかはチョト疑問。
その辺を上手く処理してほしいかな。漏れも黒本好きだから。

でもNTは幻想って打ち出したガソダムXを禿御大は∀で黒歴史という形で
認めているんだよな・・・
265名無しさん@ピンキー:03/12/10 23:15 ID:hJ6eHIgN
266名無しさん@ピンキー:03/12/11 07:39 ID:clyfeGtt
>>264
お前がその上手い処理とやらをみせろってこった。
ハァハァしてやる。
267名無しさん@ピンキー:03/12/11 10:22 ID:tPbcbBr1
漏れには書けない
268名無しさん@ピンキー:03/12/12 03:30 ID:Xeuvy1lj
書き込みテスト
269名無しさん@ピンキー:03/12/12 03:37 ID:Xeuvy1lj
SSをもしここで発表するとしたら、大体何レス位が目安なのでしょうか?
スレ容量の関係もありますから、無論数十レス使うのは論外でしょうが。

結構前からこのスレを見ていて、そこら辺がちょっと不明だったので・・・。

ちなみに上の>>268はリファラ表示が出てしまったんで調整の為に書き込んでしまいました。
すみません。

270名無しさん@ピンキー:03/12/12 06:34 ID:DW8OmFZ3
>>269
今までからすると20レス以下なら大丈夫そうに見える。
まだ200KB未満だから容量は気にしなくていいと思う。
でも上の小雀氏へのレスを見ても判る様に、
ここの住人は文句が多いから、よほどレベルが高く
自信のあるSSでなければ止めておきな。
職人さんが傷つくだけだから。
271名無しさん@ピンキー:03/12/12 07:58 ID:Cj3/fEYC
1投下につき10〜20レスあたりが妥当かと。
小雀氏の件はあらかた片づいたようなので(゚ε゚)キニシナイ!!でよし。
レベルとかも(゚ε゚)キニシナイ!!
272名無しさん@ピンキー:03/12/12 08:45 ID:crL24+pE
>>269
まあFekiaさん、小雀さんが1度にアップするのと同じくらいにすれば
良いのでは。アップされるの楽しみにしてます。
273名無しさん@ピンキー:03/12/12 10:41 ID:WcMpnFu6
俺はレベルなんて関係ないよ。投下してくれるだけで嬉しいな。
最初は低いレベルでも、どんどん上手くなって神レベルまで達した職人さんだって沢山いるんだし。
うpしてくれる人は大歓迎だ。
274名無しさん@ピンキー:03/12/12 17:39 ID:YGo5xBmt
初めから神な人なんて、そういない。
なんどもなんども練習して、精進して初めて神になれるのだと。
275名無しさん@ピンキー:03/12/12 21:42 ID:0Ejd0wRy
Fekia氏みたいな傑作がウpされてる所にウpしようというんだから
腕には自信ありなんでないの?

それよかかぶりに気をつけて欲しい
云い回しが似ないようにするのは当然として
カプやシチュやネタかぶりは一切ないようにするか
そんぐらいでガタガタ言うな(゚Д゚)ゴルァ!!!な態度を貫くか
中途半端だとまた荒れる基になるんでね
276名無しさん@ピンキー:03/12/12 23:10 ID:PHtlAjNJ
>Fekia氏みたいな傑作がウpされてる所にウpしようというんだから
>腕には自信ありなんでないの?


・・・・・・・・┐('〜`;)┌
277名無しさん@ピンキー:03/12/12 23:43 ID:Z/Wg68BE
>269
まぁ、とりあえず書き込んでみて。
278名無しさん@ピンキー:03/12/13 00:18 ID:yAe11afU
>>275
お前がうっさい
279名無しさん@ピンキー:03/12/13 01:16 ID:Nh7/9Hps
275みたいなのをスルーするのが一番いいんじゃね?
280名無しさん@ピンキー:03/12/13 01:30 ID:d62LVvcO
275みたいなのがいるから、粘着小雀氏叩き厨が無くならないんだ。
281269:03/12/13 05:42 ID:gazbOmZC
>>270-272
大体10〜20レス位が目安ですね。
こんどFekia氏、小雀氏の投下の様子を見て研究?して見ます

>>273-274
ありがとうございます・゚・(ノД`)・゚・
書こうかな、と思ったのは、某南極やその他の(非18禁系含む)サイトで、ただ受身でSS読んでるだけとか、
自分で男女カプの脳内補完を妄(ryしてるだけじゃ駄目だな、と思ったので文章にしてみようかと。
(今現在文章にしている分だと、かなりレベル低い俺ガンカプSS厨文章になりそうな悪寒がヒシヒシと・・・・・(・∀・;))
↑第3者が見て、出来的に相当ヤバかったら恐らくうpしないかもしれないです。ごめんなさい

>>275
>Fekia氏みたいな傑作がウpされてる所にウpしようというんだから
(新旧シャア板系統の)18禁系SSで、ジャンルフリーな所だと、ここのスレしか無いような気が・・・(;´Д`)

>腕には自信ありなんでないの?
ちなみにこういう系統のSS書くのも初めてだし、個人サイト・サークルも持ってないです。
もし持っていたのだとしたら多分そちらにうpするしょうが、それだと下手すればマンセーな意見だけの閉じた世界に
なる可能性は充分にあるでしょう。(所謂『井の中の蛙』状態っていうのはちょっとどうかと・・・・)

>それよかかぶりに気をつけて欲しい
>云い回しが似ないようにするのは当然として
>カプやシチュやネタかぶりは一切ないようにするか
>そんぐらいでガタガタ言うな(゚Д゚)ゴルァ!!!な態度を貫くか

ゲフッ!!(吐血 でも重要な点かもしれない・・・・(・∀・:) 肝に銘じておきます。
(でもそういうのはしょうがない時もあると思う・・・・職人さんそれぞれの好きな作品もあるでしょうし)

そして自分のSSが原因でスレが荒れる事は(出来れば誰もがだと思う)したくないです。ハイ(TДT)

282269:03/12/13 06:15 ID:gazbOmZC
上で書き漏らしてしまったのですが、(長々と書き込んでしまってすいません)
皆さんは大抵の場合、TV等の映像化された作品をベースしたSSを投下しているんですよね?

小説版(●川ス●ーカー文庫)をベースにした作品は大丈夫ですか?



ああ、しかし途中ながらも自分の文章を読み返してると、
自分の文才は某F駄以下かもと100万回思う時が有(ry

スマソ、∀の月光蝶喰らってロストマウンテンで繭に成ってきまふ・・・・・



283名無しさん@ピンキー:03/12/13 06:46 ID:izBYu5b0
>>282
個人的には小説版でもオケと思ってる。ただ映像に比べると不利かもね。
読んでない人に判り難いなら、前書きか後書きで説明しとく手もあり。

つか職人さんの誘い受けは嫌われやすい。
自分語りも、ウプの前後に少し語る程度ならいいけど、ウプ前から長長と
やるのはやめといたほうがいいよ。
おせっかいでごめん。
284名無しさん@ピンキー:03/12/13 07:39 ID:yAe11afU
>>281
ssはがんばって書けよとしか言いようがないが、
自分語りが嫌われる理由というものも研究しようや・・・な?
285269:03/12/13 08:37 ID:4ujQY4wn
>>283-284

確かにそうですね。すみません…
以後気を付けます。
286名無しさん@ピンキー:03/12/13 09:36 ID:suSEGNr5
批判もあるだろうが真摯に受け止められるようだしガンガレ!!
応援しとる。

287 ◆ZAxBErybqE :03/12/13 22:28 ID:3zRYlQ5s
こんばんは、小雀です。
温かい感想や有り難いアドバイス・フォローを、ありがとうございました。

>>256
NGワードを共通にすべきというのは、その通りですね。失礼しました。
最善の方法とは思っていませんが、私にできる範囲のこととして、名前欄に
「◆ZAxBErybqE」を必ず入れるようにします。

>>261-262
自分なりに考えた末、第1章は128年2月1日の夜のこととして書いてみた
のですが、何かまずかったでしょうか?(汗

>>264
Fekia様のSSとお間違えではないでしょうか?
私の方は前作「Outer Space」の頃から「ベラはNT同士であるシーブックと邂逅
してもセクース的な快感を感じることはなく、それよりもザビーネに囚われている」
という描き方をしていますので、方向性が全く違うのですが・・・?

>>269 >>281
私に関連したことのせいでUPしにくくなってしまっているとしたら、誠に申し訳
ありません。勝手な言い草ながら、新作を楽しみにお待ちしております。

それでは第2章をUPするために、14レスほどお借りします。
好みでない方などは、お手数でしょうがスルーをよろしくお願いいたします。
 二人が眼を覚ました時には、日は既に高く昇っていた。闇の中で見えなかったものが、漏れてくる日差しの中で露(あらわ)になる。
 セシリーの眼に映るザビーネは、とても魅惑的だった。自信に満ちた眼差し、凛々しい唇、そして頬に浮かぶ微かな憂いには色香さえ漂う。整ってはいたものの、どこか冷たく感じられた昔とは違う人間味のある表情は、どんな女も振り向かせずにはいられないだろう。
 肩や腕にもさらに筋肉が付いたようで、精悍さを増している。この逞しい身体が自分に何度も重なったのだ……

 ザビーネの眼に映るセシリーは昔より尚美しく、意思的に見えた。表情やちょっとした仕草にも、気品と知性が感じられる。
 ロナ家に来た頃と同じように髪を伸ばしている姿からは、たおやかさが匂い立つようで、五年前には硬さを残していた肢体も今では柔らかく花開いていた。
 忘れ得ない女を再び胸に抱けた幸せと、その女が一層魅力的になっていた喜びが、心を温かく満たしてゆく。

 見つめ合い、どちらからともなく口付ける。小鳥がついばむような小さな口付けを二度、三度――
 唐突にセシリーが問う。
「ザビーネ、恋人は居るの?」
「居たら、こんなことはしませんよ」
 もう一度、口付ける。後ろめたい真似は何一つしていないという自信が、余裕のある態度を取らせている。

「そうね。でも五年の間には、居た時期もあったのでしょう?」
 食い下がるセシリーに、ザビーネは訝しげな視線を返す。
「なぜ、そのようなことを?」
「なぜかしら…ね……会わなかった時間を埋めたいのかも」
 自分でも、よく分からなかった。

「……居た、こともありました」
「そう…そうなの……」
「ベラ!?」
「見ないで! 私、その人に嫉妬してるわ。身勝手だと思うけど、嫉妬している……」
 顔を逸らして辛そうに答えるセシリー。眼が潤み、涙が零れ落ちそうになる。
289追 憶 第2章  ◆ZAxBErybqE :03/12/13 22:31 ID:3zRYlQ5s
 ザビーネはセシリーを胸に抱き寄せた。嫉妬してもらえた嬉しさと軽率な発言への悔いが、胸の中で交錯する。
「あなたが妬く必要は無いのですよ。聞かれるまで、存在自体を忘れていたような相手です。短い期間で別れてしまいましたし、そうなったのもベラゆえなのですから」
「私のせい!?」

 あやすように髪を撫で、言葉を足す。
「ベラを忘れられなかった、私のせいです。いちいち比べてしまった。ベラならここで笑うのに、とか、こう言い返すのにと。そんな調子では、長続きする筈もないでしょう……フフフ、未練がましい男だと呆れましたか?」
「呆れる訳、ないじゃない!」
 ザビーネを強く抱きしめ、自分から口付ける。今度は嬉し涙が溢れそうだった。昨夜から何度涙を湧かせたのだろう。ザビーネの傍にいると、喜びも哀しみも、普段の何倍にも感じられる。


 長く濃厚な口付けの後で、ザビーネが聞く。
「夜まで、ここに居てもいいでしょうか? 日中に出てゆくのは危険が多すぎます。私はともかく、私が出ていったと知れて、ベラに迷惑がかかっては――」
「もちろんよ」
 即答する。拒む理由など一つもなかった。

「私が居る間に連邦政府の者が踏み込んできたら、無理やり押し入られたと訴えてください」
「何を言うの!? そんなの厭よ!」
「そうしないと、ベラが疑われてしまいますから……私がいけなかったのです。夜のうちに出てゆくつもりだったのに、明るくなるまで居座ってしまった」

 セシリーは首を大きく横に振る。
「私だって望んだのよ、ザビーネのせいじゃないわ! 大丈夫。最近は監視も緩んでいるようだし、踏み込んで来たりしないと思うから」
「そうならいいのですが……」
290追 憶 第2章  ◆ZAxBErybqE :03/12/13 22:32 ID:3zRYlQ5s
 心配そうな顔を見ているうちに、言わずにはいられない気持ちになってくる。
「本当は私、ずっとここに居てほしいのよ」
「……」
「分かっているわ……だから無理は言いません。でも、それまでの時間は私に頂戴」
 涙を堪えてキッパリと言う。一夜だけしか過ごせないと思っていたザビーネと、もっと長く一緒に居られるのだ。その時間を大切にしなければ……

「はい。ベラと一日が過ごせるなんて、夢のようです」
「私もそうよ。そんなの初めてですもの。えっと、まずはシャワー浴びましょう……あのね、一緒に入っていい? そういうことも、してみたいの」
 勢いよく起き上がって言う。今日だけは、望みを全て口に出してみようと心に決めていた。普段なら、とても言えないことも。
「ベラ、喜んで」
 頬を染めて自分を一途に見つめる愛らしい姿に、今すぐ押し倒したい気持ちを抑え、ようやく返事をした。

  *     *     *     *     *     *     *

 シャワー室の鏡に向かって立ち、上半身を映す。
「美しい……」
 鏡の中の姿をじっと見つめたまま、ザビーネがセシリーの頬から顎、首から鎖骨へと指を滑らす。
「あ……あっ……」
 触られたところから電流が流れ込み、全身に広がってゆく。反応を探るかのようなザビーネの流し眼に心が震え、耐えきれなくなったセシリーはザビーネに抱きついて唇を強く吸った。

 熱い口付けを幾度も交した後で、寄り添った姿勢でシャワーを浴びる。先程の感覚を肌に残すセシリーが呟くように言った。
「まだ胸がドキドキしているわ」
「そうですか? よく分かりませんね……」
 手で左の乳房を包み込み、ゆっくりと掌を回す。
291追 憶 第2章  ◆ZAxBErybqE :03/12/13 22:33 ID:3zRYlQ5s
「あんっ! ザビーネったら……」
「洗っているだけですよ」
「じゃあ、これは!?」
 顔を下に向け、自分に押し当てられているモノを眼の端で捕らえる。逞しく屹立していて、すぐにも入ってきそうなザビーネの分身。見ているだけで心臓が高鳴ってしまうのが恥ずかしい。

「中も洗った方がいいでしょう?」
「ザビーネのエッチ!」
「ベラの前でだけ見せる姿ですから」
 ザビーネは笑いながらシャワーを止めると、セシリーの髪を洗い出した。

「私の前だけって、本当かしら? 怪しいものだわ」
「心外な。私はそんな浮気者ではありませんよ。五年も前に死んだ婚約者が忘れられないでいる男としては、有名なようですがね」
「そんな昔の相手は忘れて、私にしておきなさい」
「おやおや、浮気の誘いですか?」
「うふふふふ」

 洗い流した後は交代して、セシリーがザビーネの髪を洗う。
「他人(ひと)の髪の毛を洗うのって難しいのね。ザビーネは慣れていたみたいだけど、どうして?」
「マイッツアー様の髪を洗っているせいでしょう。寝つかれてから気紛れで一度やってみたら、専属にされてしまいましたから」
「分かる気がするわ。ザビーネの洗い方は、凄く気持ちがいいんですもの」
 たどたどしい手付きでも、なんとか洗って流し終えた。

 手に直接ソープを泡立てて、セシリーの身体を洗うザビーネ。吸いつくような肌に魅了され、必要以上に撫で回してしまう。自分のつけた花びら状の跡が、そこここにクッキリと残っているのも、嬉しい眺めだった。
「誕生日のプレゼントを何も用意……いやんっ…してなかったわ。会いに来てくれることばかり…ううっ……に気を取られていて……」
「プレゼントなら、山ほど貰いましたよ。こことか、こことか……ここは?」
「あぁんっ……もう駄目! 交代!」
292追 憶 第2章  ◆ZAxBErybqE :03/12/13 22:35 ID:3zRYlQ5s
 今度はセシリーがザビーネを洗う。筋肉質なのに肌は滑々としていて、触るのが心地良い。
 所々に痣があるのは、戦闘の時に付いたものだろうか。以前より傷跡も増えている筈と思っていたが、予想は外れていた。エースというのは、そういうものなのかもしれない。
 背にそっと抱きついてみる。ザビーネは、前に回した手に上から手を重ねてくれた。再びの口付け――

 そこを洗う時だけは少し戸惑ったが、大好きな場所だったから、屈み込んで丁寧に洗った。みるみる強度を増してくる様に、驚きつつもワクワクとした気持ちになる。
「ベラ……」
「ザビーネ……」
 ザビーネの眼差しに、低音の囁き声に、手の中の分身に、官能がせり上がってくる。


 互いの泡を流した後で、立ったままセシリーを後ろから抱きかかえ、指で花芯を細やかに刺激するザビーネ。
「こんなに濡らして……」
「シャ…シャワーを……浴びたせいだわ。はぁんっ! お湯が残…うぅんっっ…っていたのよ……」
「湯より粘り気があるようですがね」
「あぁっっっーーー!」
 昨夜から達し続けたセシリーは、瞬く間に絶頂を迎える。

 ザビーネは揺れる身体を支えながら、そそり立つ乳房を揉みしだく。その感触と分身を押し当てている尻肉の柔らかさ、セシリーの恍惚とした表情に我慢しきれなくなり、背中を壁に押し当てて正面から一気に貫いた。
 片足を上げさせ、自分の腰に巻きつけるように抱きかかえて、内奥を攻めまくる。
「あぁぁぁんっ……いいっっっ!」

 鍛え上げた強靭な足腰は、この程度の運動など物ともしない。普通の男ならすぐに膝が笑ってしまうような体勢でも、余裕を持って最奥に迫り続ける。
「ザビーネっ! いくぅっっ!」
「ベラ、ベラっっ!」
 強く包み込む柔襞に脳髄が蕩かされそうな快感を覚え、さらに動きを早める。
293追 憶 第2章  ◆ZAxBErybqE :03/12/13 22:36 ID:3zRYlQ5s
「駄目ぇっっーーーーー!!!」
 三度迎える絶頂は、ザビーネの限界をも越えさせた。
「んあぁぁぁっっっ!」
 激しい収縮の中に飛沫を噴出するザビーネ。生命(いのち)の炎を燃やし、強く熱く深く、二人の魂を共鳴させる――

 セシリーの脳裡を、避妊していたことへの哀しみが過ってゆく。同じ姿勢で抱き合った五年前は、子どもが欲しいと強く望んでいた。同じ望みを持ってしまう今、それは叶うべくもない。
 あと何時間、一緒に居られるのだろう……? 沈んでいきそうな心を奮い起こし、入ってきたザビーネの舌に自分の舌を絡める。この感覚を、きっと忘れない……

  *     *     *     *     *     *     *

「もっと時間があれば、パンを焼いたのに。時々焼くのよ」
 食事を終えた食卓で、満面の笑顔を浮かべたセシリーが言う。ザビーネが他の部屋も調べて大丈夫だと言ってくれたため、心置きなく話ができた。
 二人で初めて過ごす日常が楽しくてならない。ザビーネがオムレツ作りの名手だと知ったのも、嬉しい発見だった。
「ああ、育ててくれたお父様は、パン屋をやっていたのでしたね」
 昔見た、報告書を思い出して言う。

「私もよく手伝ったわ。こう見えても看板娘だったんだから、うふふ」
「そうでしょうね。その頃のベラも見てみたかった……いや、『セシリー』ですか」
「ザビーネに『セシリー』と呼ばれると、不思議な気がするわ」
「そうですか? 今のあなたの、大切な名前でしょう? そう考えると、私が『ベラ』と呼ぶ方が、おかしいのかもしれませんね」
 一抹の寂しさを感じる。自分も「セシリー」と呼ぶべきなのか……?
294追 憶 第2章  ◆ZAxBErybqE :03/12/13 22:37 ID:3zRYlQ5s
「でもザビーネには『ベラ』と呼ばれたい。あの時の、精一杯頑張った私を知っていてくれるザビーネには、この名前で呼んで欲しいの」
 「セシリー」も「ベラ」も、かけがえのない自分自身なのだ。
「そう言ってもらえると、私も呼びやすくなります。しかし、それとは別に『セシリー』の話も聞いていいですか? 私自身、気になりますし、マイッツアー様にも報告したいので」
 「ベラ」と呼び続けられる喜びが、頬を綻ばせる。

「お祖父さまは私のことを調べさせているのでしょう? ザビーネも知っているのではなくて?」
 母や養父と暮らしていた頃も、祖父は調査を怠らなかった。今もそれぐらいはしている筈だ。ザビーネからの連絡がいつも一方的で、こちらの話を聞こうとしなかったのは、およそのことを知っているからだろう。
「それでも、ベラの口から直接聞いた話は、良い手土産になると思います。差し支えなかったら、話してください」
「分かったわ」


 問われるままに、五年間の話をする。
 ザビーネたちが去った後で、宇宙空間をさ迷っている所を見つけてもらい、スペースアークに乗って月へ行ったこと。クロスボーンが「ベラ・ロナ」の死亡を発表してくれたお蔭で、連邦政府の人質にされずにすんだこと。
 政府の監視は続いているが、最初の頃に比べると大らかになってきていること。

 スペースアークで研究者のモニカと知り合うことができ、彼女に保護者代わりになってもらって大学に通っていること。
 成績が良かったため学費を免除され、臨床心理学を学んでいること。心理学を専攻したのは、親たちへの込み入った感情を整理する糸口があるのではないかと、期待したから。政治にも興味があったが、政府の監視がきつくなりそうな気がしたので諦めたこと。
 卒業後は大学院に進む予定でいること。

 モニカの勧めにより、彼女の家の家事や、彼女の知人の娘たちの家庭教師を請け負って生活の糧を得ていること。慎ましく暮らしているので、送ってもらったお金は余り使わずに済んでいること。
 モニカの勤めているサナリィは連邦軍の息がかかっている研究施設なので、彼女を通じて連邦から間接的に金銭を貰っている形になる。複雑な想いがあるけれど、自分の労働で得たお金で暮らしたいため、割り切ろうとしていること――
295追 憶 第2章  ◆ZAxBErybqE :03/12/13 22:39 ID:3zRYlQ5s

 後ろめたさもあってシーブック本人については極力話さないようにしたが、皮肉にもザビーネは、かつてのF91のパイロット・シーブックの話を聞きたがった。
 サナリィのスタッフが用意したF91の後継機で、シーブックは少しの間クロスボーンと戦った。その時にザビーネとも何度か対戦したらしいし、寝返った後の自分がF91と一緒に居た姿も見ていたのだから、ザビーネが関心を持つのは当然とも言えた。
 だが、二人との間に個人的な関係を持つ身としては、そう簡単には語れない。ザビーネがどこまで知っているのか不安に思いつつ、その後のシーブックの話をした。

 彼は元々高校生で止むを得ず戦場に出ただけだったので、このコロニーにあるサナリィの施設に母親が異動したのを機に、軍属の身分を抜けて高校に復学した。今は工学部の大学生になっている。
 「若きガンダム・パイロット」「レジスタンスの旗手」とマスコミに派手に取り上げられたせいで、正規の軍人たちが妬み、それもあって軍を抜けられた。モニカが、息子を辞めさせないならバイオ・コンピュータの研究を辞めると言ったのも、きいた模様だと。

 セシリーは言葉を選んで話すのに疲れ、反対にザビーネの五年間を聞く。自分が連邦軍に寝返ったせいで苦労をしたのではないか、気になっていた。
 大丈夫ですよと、穏やかに返すザビーネ。
 顛末を伝えた時、一瞬眼を剥いたマイッツアーだったが、すぐに冷静な判断を下して「ベラ・ロナ」の死亡を発表した。ドレルには当初散々罵られたが、マイッツアーが生存を伝えてからは、そういうこともなくなった。

 マイッツアーは納得してはいないと言ったものの、思うところがあったようで、処遇は変わらなかった。ほとぼりが冷めてからは、前以上に重用してもらえたと言えよう。ベラの子どもの頃の話や五年前の話を、よく二人でしていた。
 ドレルは、「お前を弟と呼ばずに済んで良かった」などと憎まれ口を叩きながらも一目置いてくれたようで、協力し合って一緒にやってきた。そのため彼の戦死は、自分にとっても大きな衝撃だった……

  *     *     *     *     *     *     *
296追 憶 第2章  ◆ZAxBErybqE :03/12/13 22:40 ID:3zRYlQ5s
 互いの話が終わった頃には、短い冬の日は西に傾いていた。
 セシリーはドロシーに連絡をして、ザビーネの名は出さずに、食料を買ってきてもらえないかと聞いてみる。家にある物では心もとなかった。自分で買いに行くことも考えたが、見張りの疑惑を招きそうなので断念した。何よりも、ザビーネと片時も離れていたくない。
 頼みごとをするような事態になるかもしれないと話しておいたため、すぐに意味が分かったようで、二つ返事で引き受けてもらえた。

 立ち戻って、ザビーネにドロシーのことを話す。昔一緒に逃げるまでは顔見知りの同級生という程度だったが、その後スペースアークで再会し、月で過ごす間に親しくなったこと。
 熱烈な恋愛をした自分に、それまでより親近感を持てたからだと、後になって言われたこと。恋愛至上主義の彼女からしたら、淡い恋の経験すらなかった頃の自分は、何の興味も引かない相手だったようだ。
 ザビーネとの話を聞いてもらえる嬉しさもあって息投合し、共に今のコロニーに来てからは、親友付き合いをしていること。クロスボーンのフロンティアIVへの侵攻で被害を受けた一人だが、憎しみが憎しみを作っていく真似はしたくないと、言ってくれていること……

 昨夜から考えていた件も言ってみた。
「私なんかに期待するより、ザビーネがクロスボーンの表に立てばいいのよ。五年前にもあれだけ実力を認められていたのだから、今ではかなりの地位に居るのではなくて?」
「地位は……まあそうですが、私では駄目なのです。ベラでなければ」
 断言するザビーネ。直向きな視線がセシリーに向けられる。

「ザビーネほどの実力と人を惹きつける魅力があれば、人の上に立つのは難しくないでしょうに。クロスボーンは実力主義なのだし」
「一国を率いてゆくためには、民衆に夢を見させる能力が必要です。そこに立っただけで人の眼を奪う存在であれば、尚良いでしょう。私にそういうものはありませんから。参謀肌といいますか、表に立つタイプではないのですよ」
「そうかしら……?」
「軍人暮らしが身に染みついていますしね。政治は嫌いではありませんが、表立って動くのは苦手です」
「……」
297追 憶 第2章  ◆ZAxBErybqE :03/12/13 22:42 ID:3zRYlQ5s
 考え込むセシリー。
 昔、私はザビーネを太陽だと思った。自分のような自我が完成していない人間を月として取り込んでしまうほどの、大きな存在だと。でも本人の弁を聞いていると、ザビーネこそ月だということになる。そして私が太陽だと。
 以前と違って、考えをきちんと言えるようにはなったけれど、太陽だなんておこがまし過ぎる。彼が太陽の光を受けて輝くタイプだというのも、信じ難く思える。ザビーネは自分の力を過小評価しているのでは……?


 突然、玄関のベルが鳴った。セシリーは銃を構えるザビーネの姿に驚く。抱き合っていた間も、常に手の届く所に銃を置いていた。彼にとってここは敵地だから、当然の行為なのだろう。元々そういう所で生きてきた人だ……
 ドロシーだと思うから安心するようにと伝え、モニターを見る。だが映っていたのは、シーブックの心配そうな顔だった。予定の時間になっても家に来ないとリィズから聞いて、様子を見にやって来たと言う。具合が悪いのかと問う声に、身体が硬直する。

 パニック状態になりそうな頭を懸命に整理し、ザビーネの存在を知られてはいけない、帰ってもらわねばと考える。
 自分だけの問題ではない。クロスボーン・バンガードの主要人物である彼が、連邦政府支配下のこのコロニーに居る事実は、何としてでも秘密にしておかなければならなかった。
 シーブックが自分たちの関係に怒り、見張りの者たちに告げたら、ザビーネの命さえ危うい。

 風邪で寝ていた、連絡をしなくてごめんなさいと伝えると、シーブックが案じてあれこれと問いかける。電話をせずにいきなり来たのは、何か感じるものがあったからかもしれない。
 見苦しい姿なので部屋には上げられない、ドロシーが来てくれる予定だから大丈夫だと伝え、ようやく引き取ってもらう。本当はドロシーのことを言いたくなかったが、そうしないと話が長引くばかりに思えた。


 席に戻って来たセシリーに、銃をしまったザビーネが言う。
「シーブック・アノー……いや、『物取り』ですね。迎賓館に忍び込んで来た男」
「……ええ」
「ベラ、責めるつもりはありません。そんな顔をしないでください」
298追 憶 第2章  ◆ZAxBErybqE :03/12/13 22:50 ID:3zRYlQ5s
 真摯な瞳が心に痛く、セシリーは正直に打ち明けようと決心する。
「ザビーネ、これだけは信じて。あの時、シーブックとは高校の同窓生という関係でしかなかった。むしろ彼が来たことで、私はあなたと生きていこうと決心できたのよ。仲間たちの元へは帰らずに、ザビーネと人生を共にしようと……」
「あの時も、そう言っていましたね」

 無難な返事をして、別の考えにふけるザビーネ。
 それだけの関係の相手を危険を冒して忍び込み、連れ去ろうとする男はいない。また、それだけの関係でしかない相手が来たところで、決断する切っ掛けになるとは思い難い。二人の間には独特な心の交流があったということだ。
 しかし、以前のそれは――少なくともベラにとっては――淡いものでしかなく、自分との結び付きの方が強かった。では今は……!?

「私が寝返ったのも、シーブックのせいではないの。ザビーネがアンナマリーにした仕打ちにショックを受けて、すぐ後に出会った彼に、別の場所へ連れていって欲しいと頼んだだけ」
「私に五年間の生活があったように、ベラにも自分の暮らしがあったのは当然です。あの男がベラを守ってきたのは理解していますよ」
 皮肉なものだと思う。五年前に忍び込んで来たのはあの男だったのに、今度は自分が侵入者なのだ。どこまで因縁のある相手なのか。

「守ってきた……そうね、彼と彼の家族にはとても良くしてもらって、凄く感謝している。最近では恋人と呼んでいい所まで来ていたわ。だけど、シーブックへの気持ちは、ザビーネへのとは全然違う……違うのよ! 彼と抱き合うことは、どうしてもできなかった……」
「……私はベラを抱くべきでは、なかったのかもしれませんね。あなたのために、もう何もしてあげられないのだから」
「そんな哀しいことを言わないで! 私、人類全てを敵に回しても、決して後悔しないとさえ思ったわ。だから、そんな風に考えたりしないで!」

 身を乗り出すようにして訴える姿に、ザビーネの心も溶けてゆく。席を立って傍に行き、セシリーを背後から抱きしめた。
「ベラ……ありがとう……」
「ザビーネ……」
 空けてもらったスペースに腰掛け、ザビーネは膝の上にセシリーを抱き上げる。
「フフフ、本当のことを言うと、あの男に焼き餅を妬きました。ずっとベラの傍に居られたのですからね」
299追 憶 第2章  ◆ZAxBErybqE :03/12/13 22:52 ID:3zRYlQ5s
 セシリーはザビーネの言葉に驚いて、思わず聞き返してしまう。
「妬く!? ザビーネが!?」
「何か、おかしいですか?」
 きょとんとした様が妙に幼く見えて、首に手を回しながら小さく笑う。
「ザビーネは大人だから、妬いたりしないのかと思ってたわ……うふふ」

 率直な言いように、ザビーネも笑い出した。
「そこまでは人間ができていません。いや、そういう面では、一生人間ができないままでしょう。私は独占欲が強いのですよ。ベラに関してだけ、ですがね」
 一途な眼差しに引き寄せられ、唇が合わさるかと思った瞬間、再び玄関のベルが鳴った。

「今度こそドロシーだと思うわ」
 残念そうに首を竦めてみせるザビーネにクスリと笑い、膝を下りて再びモニターの所に行く。思った通りドロシーだった。早速ドアを開けて中に迎え入れる。品物だけ渡して帰ろうとするのを、せめてお茶ぐらいと引き止めると、部屋に上がってくれた。
 フロンティアIV侵攻に関わったザビーネと顔を合わせるのを厭がるかもと危惧したが、好奇心の方が優ったようだ。


 互いを紹介した後で、セシリーはお茶を淹れるために台所へ行った。その隙にドロシーが、小声でザビーネに言う。
「セシリーって面食いだったんですね。ザビーネさんが、こんなに二枚目だなんて聞いてなかったから、驚いちゃった」
「誉めてもらえて光栄ですが、どんな話を聞いていたんですか?」
「耳にタコができるほどの惚気です。やれザビーネはこんなに優しかった、ザビーネはこう言ってくれた……何年経ってもそんな話ばかり。どうやったら、ここまで好きになれるんだろうと、呆れるぐらいで――」
「ドロシーっ!」

 戻ってきたセシリーが慌てて遮る。ザビーネはその姿を見やり、心の底から嬉しそうに笑った。
 彼の表情に深い愛情を見て取り、ホッとするドロシー。親友の初恋話を聞き続けてきた彼女は、ザビーネとの再会でセシリーが辛い想いをするのではないかと、心配していた。これなら大丈夫そうだ。
 シャツとジーンズという軽装なのに、セシリーの身体からは艶(なま)めかしさが溢れている……
300追 憶 第2章  ◆ZAxBErybqE :03/12/13 22:53 ID:3zRYlQ5s
 食卓には椅子が二つしかないため、セシリーは勉強机の椅子を自分のために持って来ようとした。すぐに立ち上がり、手を貸すザビーネ。二人の間に熱い視線が交わされ、お互いしか見えていない様子が傍目にもハッキリと分かった。
 ドロシーは、お邪魔虫は早々に退散しようと心に決め、お茶を飲むのに専念した。砂糖はいらないのかとセシリーに聞かれ、思い切り手を振って断る。これだけ甘い雰囲気を見せつけられた上に砂糖など入れては、本気で胸焼けがしそうだった。

 差し入れをして父親に迷惑がかからないのかと聞くザビーネに答え、猫舌を堪(こら)えてお茶を飲み干し、すぐに宣言する。
「これ以上居ると余計なことまで話しそうだから、これで失礼します」
「そんな、まだ居てくれていいのに……」
「そこまで野暮じゃありません。ザビーネさん、セシリーをよろしくお願いしますね。あなたに惚れきってますので」
「もう……ドロシーったら!」
「……はい。私で良ければ」

 玄関まで見送ってくれたセシリーに、ドロシーが囁く。
「こんなの付けちゃって、見てらんないよ」
 赤く染まった箇所を指差され、頬に朱を散らすセシリー。全身に同じ物がある。ザビーネの痕跡を留めたくて、付けてもらった物。
「ご馳走さま。今度会った時に、美味しいもの奢ってね」
 恋愛に関しては勘のいいドロシーは、すぐに意味が分かったようだ。軽く笑い飛ばすと、風のように去っていった。

  *     *     *     *     *     *     *

 ベッドで抱き合って過ごす。間に食事を取り、想いの篭もった会話をし、そしてまた身体を重ね合う。セシリーの花びらの跡はさらに増え、ザビーネにも点々と赤い跡が刻まれた。
 膝枕も腕枕も胸枕も全て行い、それでもまだ足りない気持ちでいた頃に、昨夜と同じ時が巡ってくる。暗黙のうちに二人が、考えていた時刻――

 身支度を終えたザビーネが、大きな瞳を潤ませている想い人に声をかける。
「ベラ、そんな顔をされたら、行けなくなってしまいます。どうか笑ってください。あなたの笑顔だけを覚えていたいのです」
「ザビーネ……」
 零れ落ちそうになる涙を必死に堪え、両手を強く握り締めて笑顔を作った。望む形で見送ってあげたい……
301追 憶 第2章  ◆ZAxBErybqE :03/12/13 22:54 ID:3zRYlQ5s
「ベラに出会えて幸せだったと、心から思っています。こうして再び会い、素晴らしい時間を過ごせたのも、狂おしいほど幸福でした」
「……」
「けれど私のことは、もう忘れてください。あなたには、これからの人生がある。それを守るためには嘘も方便でしょう。私とのことは、あの男には言ってはいけません。気付かれてしまったとしても否定しなさい。それがベラのためなのですから」
 抱きしめて耳元で囁く。二人きりの時間に酔いながらも考えていた、別れの言葉――

「そんなこと、そんなことできないわ! したくもない! 誰がなんと言おうと、ザビーネ自身が望もうと、私はザビーネを忘れません……忘れられる筈、ないじゃないっ!」
「困った人ですね……しかし、それだけの強さがあれば、私のことなど乗り越えて生きていけるでしょう。あなたの生命力を信じます。どうか幸せに……それだけを祈っています」
「ザビーネっ!」

 最後の口付けを交わし、ザビーネは音もなく窓の外へと去っていった。
 枕に顔を押し当て、残り香を胸一杯に吸い込んで慟哭するセシリー。
 死を覚悟している彼を、どうしても引き止めることができなかった。自分の考えをきちんと言えるようになっても、一番肝心な言葉は相変わらず言えなかった。縛り付けてでも、戦場に返したくなかったのに!

「ザビーネ、ザビーネ……ザビーネっ!」
 何度も名前を呼ぶ。さっきまでなら、間違いなく「ベラ」という優しい声が返ってきた。けれど今は、自分の声が空しく響くだけ。もうあの声を聞くことができない。あの笑顔も見ることができない。あの真摯な眼差しも、思い遣りに満ちた動作も、情熱的な愛の仕草も!
 昨夜から酷使し続けた内奥が痛む。心に比べたら問題にもならない痛み。この痛覚こそが、ザビーネが愛してくれた証しなのだから……


 窓の外に朝の気配が忍び寄ってきた頃、泣き疲れて痛む頭を抱えながら、セシリーは懸命に考えていた。
 私はザビーネに生きていて欲しいと熱望している。本当に方法はないのだろうか? ザビーネはもちろん、クロスボーンの人々を死から救う方法――
302 ◆ZAxBErybqE :03/12/13 22:55 ID:3zRYlQ5s
第2章は以上です。

そして第3章はエロ無しになりそうです。申し訳ありません。
その分、第4章で頑張りたいと思いますので、どうかお見逃しくださいませ。
303名無しさん@ピンキー:03/12/14 08:18 ID:y/KYvjYN
小雀さん書くの早いですね。嬉しいことです。
今回も感情が入った話でとても良かったです。次も楽しみ。
304名無しさん@ピンキー:03/12/14 10:19 ID:8tP2Hqd6
興味なければスルーしろとか言って強制的に駄文を書き込むのって
見なけりゃいいでしょとか言ってちんちんを出しまくる露出狂といっしょだよな。
305264:03/12/14 17:37 ID:Duj8/J1b
>>287
いえ、間違えてないですよ。
306名無しさん@ピンキー:03/12/14 23:04 ID:DgdwU3/k
エロではないんだが↓みたいな絵は好きだなぁ

ttp://www.c3-net.ne.jp/%7Eg-girls/hama5_b.jpg
307名無しさん@ピンキー:03/12/14 23:05 ID:DgdwU3/k
スマン、誤爆した・・・
308名無しさん@ピンキー:03/12/15 17:44 ID:UwFOCl8j
小雀さんとFekiaさんの文体自体は嫌いではないか
F91とクロスボーン好きとして、やはりどうしても
受け入れない所がありますな
309名無しさん@ピンキー:03/12/16 09:22 ID:Gm9CKuPG
>>308
じゃー読まなきゃいい。そんだけだろ。
310名無しさん@ピンキー:03/12/16 16:12 ID:Xe8hslGR
今日は火曜日!!今週はまだ無理かな?
311名無しさん@ピンキー:03/12/17 00:10 ID:PfgKXXnN
>>309
だから嫌いじゃないと言ってるでしょう?2次創作の一つとして読んでる
唯ね、クロスボーンのザビーネはああになって、アヒャヒャなわけだろう?
そこには何らかのフォローが見せて欲しいんだ。
このまま進めるとアヒャになるのはザビーネじゃなく、キンケトゥになりそうだ
312名無しさん@ピンキー:03/12/17 14:27 ID:eVgytFYQ
>>311
まああれだ。書き方が悪かったんだよ。
>やはりどうしても受け入れない所がありますな
これじゃ「じゃあ読むなよ」って言われて当然かと。批判してるだけに見える。
最初から、>>311みたいに書けば誰もどうこう言わんかったと思うよ。
313名無しさん@ピンキー:03/12/17 16:41 ID:UJcSVkl6
Fekiaさんは金曜日かな?
314名無しさん@ピンキー:03/12/17 16:43 ID:UJcSVkl6
時期が時期だけど、区切りよく年内で終わ
315名無しさん@ピンキー:03/12/17 21:08 ID:EkLbtquR
>>311
> このまま進めるとアヒャになるのはザビーネじゃなく、キンケトゥになりそうだ
Fekia氏のはそんなことないんじゃ?
小雀氏のも10章あるって言ってるうち2章がウpされただけなんだから
決めつけるのは早計じゃ?
もしかして前にセシリーがシーブックを殺しそうだと文句言った人?
シーブック×セシリーが好きなら自分で書けばいい。
人のSSに自分の萌えを押し付けるのはなんか違うとオモ
316名無しさん@ピンキー:03/12/17 22:04 ID:7OdJsfaY
評論を知らない人。
317名無しさん@ピンキー:03/12/17 22:37 ID:EFwBKiWi
Fekiaさん来てない・・・

>>311
漏れもF-91、黒本好きだけどFekiaさんのはF-91が題材ですが、黒本まで描く小雀さん
設定にはない恋愛物のようですし、ガノタではないようなので単純に原作隔離と見て
あぁならないザビーネも楽しんでは如何?
318 ◆ZAxBErybqE :03/12/18 13:29 ID:qpyNZYr2
こんにちは、小雀です。感想とフォローをありがとうございました。

>>311
>>254に書いたように、「クロスボーン・ガンダム」に繋がるように話を進めて
いく予定でいますから、キンケドゥがアヒャになる展開は考えられません。
このシリーズでは、前作もそうだったように、原作のエピソードやセリフに
沿う形で書いていこうと考えていますので、「クロスボーン・ガンダム」での
ザビーネのことは前作の頃から意識して設定しています。
ベラとの恋愛もそのひとつです。ネタばれになってしまうので、今はこれ
ぐらいしか書けませんが。

>>305
それは失礼しました(汗


それでは第3章をUPするために、14レスほどお借りします。
今回はエロなしです。申し訳ありません。
好みでない方などは、スルーをよろしくお願いいたします。
 セシリーはシーブックに会い、告げた。あなたを裏切ってしまった、どうか別れてくださいと。
 彼の存在も共に過ごした五年の月日も、遠いものに感じられてならない。身体中に散る花びらの跡と痛みを残す内奥が、ザビーネとの時間だけをクッキリと浮かび上がらせる。自分の中からザビーネが溢れ出そうだった。

 愕然とするシーブック。ここ数日、何かおかしいと思っていた。部屋に様子を見に行った時も他人行儀な雰囲気で、そこに誰か居るのかと聞きたくなったものだ。監視の者に見咎められるのを恐れて聞くのを断念したが、間違いなく誰か居た。
 考えられる相手は一人だけ。セシリーのかつての婚約者で、彼女が想い続けていた男――赤く潤んだ凄絶な瞳は、その男を想って泣き、今も恋い慕っているからなのか……

 シーブックがザビーネの名を出した時、セシリーは首を強く横に振った。あの来訪は誰にも知られてはならない。連邦政府はもちろん、クロスボーンの人間にも。命の危ないマイッツアーの傍を離れて自分に会いに来ていたと知られれば、非難を受けるだけだ。
 別れるのは厭だと言い張るシーブックに、自分のように薄情で移り気な女のことは早く忘れて、もっといい女性(ひと)を見つけて欲しいと繰り返す。こんな気持ちのまま付き合い続けるのは、とてもできなかった。

 話半ばで彼の家に行く筈だった時間になり、セシリーは仏頂面のシーブックと連れ立ってアノー家に出向き、いつもの家事をこなした。
 夜になって仕事から帰ってきたモニカに、今までのお礼と家政婦を辞めたい旨を告げる。理由を問われ、シーブックを傷つけてしまいましたから、とだけ答えた。部屋に閉じこもったままのシーブック。
 モニカは、若いうちは色々なことがある、どちらが悪いというものではないからと、言ってくれた。改めて自分の身勝手さを自覚する。それでも、後悔はしていなかった。
320追 憶 第3章  ◆ZAxBErybqE :03/12/18 13:34 ID:qpyNZYr2

 アノー家を出て、ドロシーの所へ行く。今日シーブックに話すつもりだと伝えたら、心配して帰りに寄るようにと言ってくれたのだ。母親を亡くし父親と二人暮らしで、その父親も家に殆ど居ないため、時々遊びに行っていた。
 顔を見るなり泣き出してしまった。心の中を様々な想いが駆け巡る。シーブックへの申し訳なさ、モニカへの感謝の気持ち、そしてザビーネへの激しい恋情――ドロシーは何も言わず、抱きかかえるようにして部屋へ連れて行ってくれた。

 ひとしきり泣いて気持ちがようやく落ち着いた頃に、ドロシーが言う。
「セシリーは間違ってないよ。あれだけ好きだった男が、今生の別れに命がけで会いに来てくれたんだもの、握手してサヨナラなんてできっこない。あたしだってきっと同じことをする。ううん、あたしなら帰さない。セシリーみたいに物分り良くないからさ」
「ありがとう、ドロシー」
 一言一言が心に染みる。自分の行動を肯定してもらえるのが嬉しかった。

「セシリーはお姫様なんだなぁと、つくづく思ったよ。ザビーネさんがナイトみたいに傍に居ると、そうとしか見えない。お似合いだし」
「そんなに似合って見えた?」
 クロスボーンに居た頃も、よくそう言われた。
「うん、凄く似合ってた。シーブックでは位負けしてるんだよね」
 根が正直なドロシーは、そんな寸評まで言ってみせた。

「私ね、ひとつだけ後悔してるの。避妊なんて、してなければ良かったって。そうしたら、ザビーネの子を生めたかもしれないのに……」
「セシリー!」
「分かってるわ。ザビーネはそんなことを望んでないし、私一人では育てるのさえ覚束ない。それでも、それでも欲しかったのよ! あの人の形見が!」
 涙が再び沸いて止まらなくなる。

「あんた今、狂おしいばかりに女だね。そんな女っぽい姿を見るのは初めてだ。セシリー、形見はあんた自身だよ。その心、身体、そういうの全てがザビーネさんの形見なんだと思う……こんなこと言っても気休めにしか聞こえないかもね。でも、あたしはそう思ってる」
「ありがとう。ザビーネの形見なんだと思えば、自分のことが前より好きになれるわ。ドロシーのお蔭で、とっても助かった。ありがとう、本当にありがとう!」
 喜びと涙とで、泣き笑いのような表情になってしまった。
321追 憶 第3章  ◆ZAxBErybqE :03/12/18 13:35 ID:qpyNZYr2
「そんなこと言われると、照れちゃうよ」
「あのね、我侭ばかり言って申し訳ないけど、お願いがあるの。お父さまに会わせてもらえないかしら? できれば、この家で」
「いいけど、会ってどうするの?」
 突然変わった話に、怪訝な顔をするドロシー。

「戦争を終わらせる方法を聞いてみたいの。私、決めたのよ。ザビーネやクロスボーンの人たちをこれ以上死なせないために、できることは全部やってみようって。戦場に立つだけが闘いではないわ。私は私の闘いをしてみようと思うの」
「分かった、協力する」
「ありがとう。よろしくお願いします」

 多くの人に支えられていると実感する。ドロシーもクロスボーン・バンガードの侵攻で被害を受けた一人で、クロスボーンやザビーネには複雑な想いもあるだろうに、いつも力になってくれる……自分も、一人でも多くの人の役に立ちたいと思った。
 ロナ家に生まれてきたのは自分で選んだ人生ではないけれど、今は責任の方を強く感じる。高貴な者という意味ではなく、特定の立場に居る者には義務と責任があるのだと。ロナ家の一員であり、戦争と距離を置いてきた自分にだからこそ、できることがある筈だ。


 三日後の夜、セシリーは多忙なムーアと彼の家で会えた。ドロシーがお茶を置いて部屋を出て行くや否や、すぐに話を切り出す。
「単刀直入にお聞きします。連邦政府には、クロスボーン・バンガードとの戦争を終える意思はあるのでしょうか? ある場合、条件は何でしょう?」
 ザビーネが、連邦政府の役人にしては骨のある人間だと、評していたムーア。ハト派という評判も、今夜の訪問を後押ししていた。手紙やメモを取り持ってくれたのは、戦争終結のための駒として、自分を使おうという意図だったのでは?

「戦争に関わらないようにしていた『セシリー・フェアチャイルドさん』の口から、そういう話を聞くとは思いませんでした。近頃、心境を変えさせるような出来事が、あったのですか?」
「……大学のレポートで、必要になっただけですわ」
 ザビーネの一件を言われているのは分かっていたが、会話を録音されているかもしれず、迂闊な返事はできなかった。
322追 憶 第3章  ◆ZAxBErybqE :03/12/18 13:36 ID:qpyNZYr2
「レポートね、ふふふ。まあ、質問にはお答えしましょう。戦争を終える意思はありますよ。条件は……クロスボーン・バンガードの解散と武装解除、フロンティア・サイドの連邦への返還、これは譲れない線でしょう。賠償と責任問題については、交渉次第とだけ」
「分かりました。教えていただいて、ありがとうございます」
 ムーアの率直な答えに驚く。連邦政府も戦争を早く終わらせたがっていると、見ていいのか!?

「こちらからも質問していいですか?」
「『セシリー・フェアチャイルド』に答えられる内容でしたら」
「では、あなたが『ベラ・ロナ』だったらどうするか、という前提でお聞きしましょう。あくまでも仮の話として」
「分かりました」
 慎重に受け答えせねばと、自分に言い聞かせる。

「では早速……マイッツアー氏を説得するつもりですか?」
「ええ。私が『ベラ・ロナ』なら、そうすると思います」
「なるほど。しかし、別のプランも考えておいた方が良いのでは? マイッツアー氏は高齢です。失礼かもしれませんが、説得が功を奏しないうちに、お亡くなりになる可能性もある。その時のことも考えた、二面計画が必要ではないでしょうか?」

 祖父が病床にあると、知っているのかもしれない。なるべく彼に話させるようにしなければ――
「その場合は誰が後を継ぐかが、重要になってきますね」
「簡単です。『ベラ・ロナ』が後を継げばいい。そして自分の手で戦争を終わらせるのです」
「『ベラ』が!?」
 自分が後を継ぐなんて、考えてもいなかった……

「マイッツアー氏の血縁で、他に後継ぎに推されそうなのはディナハン氏、シェリンドンさん、シェリーさんです。『ベラ・ロナ』と違って、クロスボーンに間接的に関わってきた人たち――その人と側近を説得するのは、至難の技だと思いますよ」
 ムーアはマイッツアーの息子・ハウゼリーの子どもたちと、兄・エンゲイストの子どもの名前を挙げた。「ベラ・ロナ」からは、従兄妹や母の従姉に当たる人々だ。ドレルの名がないのは、彼の死を知っているからか……?
323追 憶 第3章  ◆ZAxBErybqE :03/12/18 13:37 ID:qpyNZYr2
「かといって『ベラ・ロナ』が後を継ぐなど、それこそ至難の技ではないでしょうか!? とうの昔に死亡した人間ですし、クロスボーンの人々との馴染みも殆どありません」
「ですが、不可能ではないでしょう。例えばザビーネ・シャル氏。ご存知かどうか、彼には一年ほど前に縁談がありました。シェリーさんの娘さんと結婚させ、同時にドレル氏とシェリンドンさんを結婚させるという話です」
「!」

 ムーアは呆然としているセシリーを見やりながら、尚も続けた。
「ザビーネ氏とドレル氏はマイッツアー氏の血縁ではありませんが、ロナ家やクロスボーンに深く関わってきた人たちで、次代のホープでもある。この結婚によってロナ家の一員とさせ、ドレル氏にロナ家を継がせてザビーネ氏に補佐させる、という計画だったようです」
「その話は、壊れたのではありませんか?」
 気持ちを立て直して答える。計画通りになっていたのなら、ザビーネは自分の所へは来なかっただろう。それに彼の心の中は、自分の存在で一杯だった。

「ええ。ザビーネ氏は断り、ドレル氏も乗り気ではなかったようで、沙汰止みになったと聞いています。ですから、後継問題は宙に浮いたままです。しかし、そのような計画が出たことで、ザビーネ氏の立場が相対的に上がったのは確かでしょう」
「クロスボーンの中で重要な地位を占めるようになった、という意味ですか?」
「他の側近から抜け出した格好ですね。後継ぎの補佐役にという話が出たほどですから。縁談をすぐに断ったせいで、女性たちの支持も獲得したとか……若くして死んだ婚約者が忘れられないという誠実さが、好評だったようです。何が幸いするか分かりませんな、ふふふ」

 隠しきれない喜びを顔に浮かべるセシリーを興味深そうに観察し、ムーアは語り続ける。
「そういった経緯(いきさつ)もあるので、ザビーネ氏の動き次第では、『ベラ・ロナ』が後を継ぐのも不可能ではないと思いますよ。正式な婚約者だったのですしね。マイッツアー氏を説得する場合でも、彼を味方に付けた方が話が進み易くなるでしょう」
「ひとつ大事なことをお忘れですわ。クロスボーンは世襲制ではありませんよ」
 一矢報いてみる。
324追 憶 第3章  ◆ZAxBErybqE :03/12/18 13:40 ID:qpyNZYr2
「血縁以外の人間では求心力が低下してしまいます。マイッツアー氏の影響力が大き過ぎましたのでね。この場合は血縁に継がせる方が、うまくいくでしょう」
「分かりました。お陰様で、良いレポートが書けそうです。今日はありがとうございました」
 ムーアの分析に内心で深く頷く。切れ者の評判は伊達ではないのだ。ここまで情報をくれたのは、自分に後を継がせたがっているからなのか……
「どういたしまして」

 頭の中で情報を整理しつつ、ムーア邸を辞去する。後継ぎの話が仮定の域を出なかったのは、マイッツアーがまだ存命だからだろう。ザビーネは長くない命と言っていたが、持ち直したのかもしれない。
 一番気になるのは責任問題だった。戦争を始めた当事者である祖父――高齢で命さえ危ないと言われている身を連邦に捕縛させるのは、血縁として耐え難かった。代わりに罪を被ってでもと考える。フロンティア I 制圧作戦には、自分も同意したのだから。


 計画を練り直したり、コスモ・バビロニアへ行くための身辺整理をしたりして、慌しく過ごす。
 一週間後、突然ドロシーが訪ねて来た。話があると言っていたのに、中々切り出そうとしない。他愛もない話を小一時間ほど続けた後で、ようやく居住まいを正して語り出した。
「あたし、シーブックと寝たわ」
「ドロシー!?」
 思いがけない話に、気が動転して言葉が続かない。

「誤解しないでね。愛だの恋だのじゃないから。成り行きというか、同情みたいな感じ。酷く荒れてて放っておけなかったのよ。あたしも関係してたから、ちょっとばかり責任を感じちゃって」
「でも、今は違うのでしょう!? 一度きりの関係なら、私にそんな話をしないと思うわ」
 ドロシーの口癖は「恋の始まりと終わりは身体が告げてくれる」だった。心に拘り慎重になりすぎる自分と違って、彼女は身体の声に耳を澄ますタイプであり、抱き合った後で恋かどうかを判断する。今回の判断は……!?
325追 憶 第3章  ◆ZAxBErybqE :03/12/18 13:42 ID:qpyNZYr2
「……まあね」
「そう……」
 何とも言えない気持ちになる。ドロシーならという気持ちとシーブックのために良かったと思う気持ち、よく知っている二人の性的関係を付きつけられて生々しさに戸惑う気持ち、僅かな間の出来事が信じられない気持ち、そして少しばかりの嫉妬心……
「あいつ、責任感じたんだか、付き合おうって言ってくれた。けど心の中は、まだセシリーのことで一杯だと思う」

 いかにもシーブックらしいと思うが、ドロシーは――
「それでもいいの?」
「良くはないけど仕方ないよ。ま、暫くは様子見だね。ドロシーさんの良さが分からない男だったら、こっちから振ってやるさ。セシリーも、その方がいいと思うでしょ!?」

 明るく言う姿に、調子を合わせて答える。
「思うわ。そんな男なら、振って眼を覚まさせるべきよ」
「それでこそ我が親友! 振った時には盛大に失恋パーティやるから、よろしくね」
「やらなくて済むように祈ってるわ」
 強く願う。ドロシーは奔放に恋をするものの、一回一回はいつも真剣で、傷つくことも多かったから。


 だが、その願いは僅かな間で打ち砕かれてしまった。
 シーブックが連邦軍の志願兵になると言う。ドロシーから彼を説得して欲しいと言われたセシリーは、話を聞いて愕然とする。ドロシーの一言が、切っ掛けになったのだという。
「自分だけの平穏を追いかけてる男が、命を賭けて戦ってる男に敵いっこないよ。女はそういうのに弱いんだから」

 それは一面の真理であったし、シーブックに苛立つ彼女がそう言いたくなった気持ちも理解できた。しかし、戦争を終結させようと考えている身には、自分のせいで彼が戦場に行くというのは耐え難かった。
 ドロシーが、そんなことをしてもセシリーは戻って来ないと言うと、シーブックはプライドの問題だ、戦場で勝負をつけると答えたという。ザビーネと対戦した時に引き分けに終わったり、昔見逃してもらったりしたことなども、引っ掛かっているのかもしれない。
326追 憶 第3章  ◆ZAxBErybqE :03/12/18 13:43 ID:qpyNZYr2
 シーブックを工学部棟で掴まえ、懸命に訴える。
「ドロシーから聞いたわ。お願い、志願するのだけは止めて! 私が言えた義理ではないのは分かってる。それでも……」
「……」
 無言のままではあったが、逃げようとはしない様に希望を繋ぎ、さらに言う。
「私は戦争を終わらせようと考えているの。お祖父さまを説得するために、コスモ・バビロニアに行くつもりよ」
「本気なのか!?」

 やっと返ってきた言葉に力を得て、早口でまくし立てる。
「この五年の間、ずっと考えていたわ。あの時、私が生き延びた意味を。きっと、このためだったんだと思う。ドロシーのお父さまによれば、連邦にも戦争を終わらせる意思はあるそうよ。だから条件次第では、話し合いができると思うの」
「もう動き出しているのか……」
 セシリーには優柔不断なところもあるが、一度こうと決めた後は素早く行動する。

「急がなければならないの。これ以上、人を死なせたくないから」
「その中に、俺も入ってる?」
「当たり前よ! だからお願い、志願兵になるのは止めて!」
 シーブックは、望んでいた答えが返ってきてホッとする。自分のことも、少しは影響していた。

「俺も付いて行くよ。どうせ戦場に行こうと思っていたんだ。そっちの戦場の方が、やり甲斐があると思うからさ」
「シーブック、本当に!?」
「ああ。一人よりはいいだろう!?」
 クロスボーン・バンガードに、一人で行かせるのは心配だった。戦争を終わらせたがっていると知られれば、そのまま軟禁されてしまう危険もある。

「とても心強いわ。でも、向こうには……」
「分かってる、ザビーネも居るって。恨みを忘れた訳じゃないが、今は横に置いておくから、セシリーは心配しなくていい」
「駄目ね、私。付いて来てくれると聞いた途端に、甘えようとしている。あんなに酷いことをしておきながら……」
「俺だってドロシーと何度も……お相子(あいこ)だよ」
327追 憶 第3章  ◆ZAxBErybqE :03/12/18 13:44 ID:qpyNZYr2
 胸を過る苦い想い。ドロシーの優しさを利用してしまった自分に、深い嫌悪感を抱く。初めて知った世界は魅惑に満ちていた。愛情があれば尚更だろう。理性の上ではセシリーの行動も理解できた。納得は決してできず、今でも胸が張り裂けそうに痛むけれど。
 もっと時間をかけて付き合えば、ドロシーを好きになっていたのかも……だけど恋愛にはタイミングが大切なのだ。自分とセシリーのタイミングは、いつも合わない。それに引き換え、あの男とセシリーのタイミングは、腹が立つほど合っている……

「お相子なんかじゃないわ、私は――」
 言い募ろうとするセシリーを遮って、言葉を尽くす。このまま終わってしまうのは厭だった。
「甘えていいんだよ、セシリー。これからやろうとしているのは、一人でできることじゃない。力を貸そうという人間はもちろん、力になってくれたら助かりそうな人間も、どんどん巻き込んでいかなきゃ。ザビーネだってね。今はそっちの方が大事だろ!?」
「……そうね。その通りだわ。本当にありがとう、感謝しています」

  *     *     *     *     *     *     *

 ドロシーは、シーブックの話を受け入れたという。セシリーは居たたまれない想いで彼女の前に立った。
「こんなことになってしまって、ごめんなさい。殴ってもいいわ、私のこと」
「そんな気はないよ。説得して欲しいって頼んだ時から、覚悟はしてたから」
「でも、それでは……」
「親友を殴るなんてできないって、言ってるの!」
 睨むような眼で見返すドロシー。

「まだ、親友と思ってくれるの!?」
「当然でしょ! 女の友情は固いのよ。ドロシーさんの良さも分からない、あんな男のせいで、壊されてたまるもんですか!」
「ドロシー、ありがとう……ありがとう!」
 シーブックを罵る言葉とは裏腹の、ドロシーの潤んだ瞳――自分は、掛け替えのない友を持っている……
328追 憶 第3章  ◆ZAxBErybqE :03/12/18 13:46 ID:qpyNZYr2
「その代わり約束よ、絶対に戦争を終わらせて。フロンティアIVに平和を取り戻して欲しいの。セシリーになら、ううん、『ベラ』にならできる筈だわ。信じてるからね」
「ええ。私の命をかけてでも」
 頭のいい人間というのは、彼女みたいな人なのかもしれない。人と関わる上で、何が一番大切かを知っている女性(ひと)。


 ムーアに再び会ってもらう。今度は正面から話をした。連邦が終戦を望んでいるなら、そのために動く自分が「ベラ・ロナ」であった方が、政府にも都合が良いのだから。
 自分とシーブックがクロスボーンへ出向くと伝え、戦争を終わらせるために行くので、途中で拘束されないようにして欲しいと頼む。できれば一時的な停戦もと。政府に邪魔されては、まとまる話も壊れてしまう。

 やり取りの後で、ムーアは拘束させないと約束し、停戦については力を尽くすとだけ言ってくれた。クロスボーンにも、「ベラ・ロナ」が帰還する予定だと、伝えてくれたという。そして封筒を差し出す。
「これはプレゼントです。勇気あるあなたへの、私からの励ましと思ってください」
 入っていたのは、ザビーネと一緒に写っている数枚の写真。視線を交わし合っているもの、正面を見て話している様子のもの――背景や着ている服から見て、彼が来てくれた時に部屋で撮影されている。いつの間に!? 隠しカメラを、あれだけ警戒していたのに!

「まさか、ドロシーが!?」
 どう見ても、ドロシーと向かい合って話している時に撮られている。他のアングルが一切ないことから考えて、彼女が関わっているのは間違いなかった。
「ドロシーは知らないことです。ちょっとした仕掛けを使いましてね」

 洋服かアクセサリーにカメラが仕掛けてあったと直感する。さすがのザビーネも、彼女の身体検査まではやらなかった……
 この写真はドロシーが居た間の物だけだ。彼女も知っての行為なら、去った後も撮影できるようにしておく筈だから、ドロシーは直接関わっていない――親友に裏切られたのではないと分かってホッとする。
 ムーアを警戒して、ドロシーにはザビーネの来る正確な日時を教えなかったが、何かの方法で察知されてしまったのだ。
329追 憶 第3章  ◆ZAxBErybqE :03/12/18 13:47 ID:qpyNZYr2
「クロスボーンと繋がっている証拠がこの通りあるから、公にされたくなかったら言うことを聞け、という意味ですか!? それとも、クロスボーンが大変な時に女に会いに来ていた人間を庇いたかったら、言うことを聞けと?」
「それも考えましたが、あなたの婚約者の方が一枚上手(うわて)でした」
「婚約者!? ザビーネですか……?」
 この写真はザビーネやクロスボーンに対しての方が、より有効に使える。自分に見せるより先に、彼に見せたのか……

「ええ。差し入れを買ってきたのはドロシー・ムーアだ、という証拠を固めてある。彼女の会話も録音済みだ。この写真を使ってあなたに何かしたら、それらを連邦政府に差し出してドロシーはクロスボーンのスパイだと暴露すると、言われましてね」
「ザビーネが、そんなことを……」
 ドロシーと自分が無邪気な会話をしていた裏で、ザビーネとムーアが鍔迫り合いを演じていた事実に驚く。
 録音した会話というのはきっと、差し入れのせいで父親に迷惑がかからないのかと、ザビーネが聞いた時だ。ドロシーは熱いお茶に顔をしかめつつ、連邦政府を批判し、クロスボーンを擁護する返事をしていた。

「食えない若者ですな。良いナイトをお持ちだ」
「……それでは、この写真をくださる意味は?」
「最初にも言った通り、ただのプレゼントです。お二人とも幸せそうな、いい笑顔をしている。五年ぶりに会ったとか……私にだって人の情はありますよ」

 ここまで言うからには、信じても良さそうだ。いずれザビーネから話を聞くと踏んで、先に打ち明けたのだろう。
「分かりました。ありがたくいただきます」
「その代わりと言っては何ですが、ドロシーを責めないでやってください。私も娘に絶交されたくはないですし、この手はもう使えないでしょうから」
「責めるつもりも、言うつもりもありません。彼女にはとても良くしてもらっていますので」

 セシリーの言葉に、にこやかに笑いながら言うムーア。
「それを聞いて安心しました。こう見えても娘には弱いんですよ。男親というのは、そういうものみたいですがね。では、先方に行ってからのことは、よく考えてみてください。あなた次第と言っても過言ではないのですから」
「はい」
330追 憶 第3章  ◆ZAxBErybqE :03/12/18 13:48 ID:qpyNZYr2
 この人は仕事のためなら阿漕な真似もするが、一方で「父親」もしている……
 ふとシオを思い出す。成さぬ仲の娘をよく可愛がってくれ、母が出奔してからも変わりなく慈しんでくれた、実直な男。最後は裏切られてしまったが、ロナ家を敵に回して生きてゆく人生を思えば、許すことはできなくとも理解することはできるようになった。
 今になっても血縁の絆を感じられず、嫌悪感しか沸いてこない実父とは違って、自分にはシオこそが「父親」だった。

「考えるには、大学の図書館の資料が役に立つかもしれませんよ」
「え!?」
「親世代からの忠告です。遊んでばかりいないで図書館ぐらい行きなさい、とね」
 意味ありげなことを言い、ムーアは部屋を出ていった。

 もらった写真をじっと見つめる。クロスボーン・バンガードから身ひとつで出てきたため、ザビーネの写真は一枚も持っていなかった。二人で撮ったり、祖父と一緒に撮ったりした写真があったのに。
 この写真の彼は眼帯をしていないし、髪型もストレートで、どこか違う人のように見える。自分の中では眼帯も含めてザビーネなのだと、改めて実感した。クロスボーンに戻って、再び眼帯をしているのだろうか? 一日も早く、その姿が見られますように!


 ムーアの「忠告」に従って、大学の図書館を訪れる。彼は無駄な口を利かない男だ。きっとここに何かがある。
 受付にいる一人の職員の顔が、記憶を呼び起こす。エメテイ・ヘイズ――クロスボーンに居た間に警護官を務めてくれた女性だった。
 さり気なく先に立って歩き出す姿に、本を探す振りをして付いてゆく。関係者のみの立て札を越え、小さな部屋で向かい合った彼女は、ザビーネから連絡役として送り込まれたと教えてくれた。

 ザビーネが無事でいること、直接連絡できることを喜ぶ。ムーア越しでは真意がどこまで伝わっているか分からず、不安で堪らなかった。早速、祖父の病状を聞く。大分持ち直したと言われ、ホッとする。
 コスモ・バビロニアへ行きたいと話すと、エメテイはいくつかの質問をした後で、明日の同じ時間に再び来て欲しいと告げた。以前の物慣れない姿は影を潜め、テキパキと応対してくれる……五年の間に、彼女もまた変わっていた。
331追 憶 第3章  ◆ZAxBErybqE :03/12/18 13:50 ID:qpyNZYr2
  *     *     *     *     *     *     *

 マイッツアーの寝室には、今日もザビーネが訪れていた。マイッツアーの命令を他の者に伝えるだけでなく、代わりに判断を下すことも多く、今ではすっかり代行者となっている。
 ベラに断られたという報告を、ザビーネから受けたにも関わらず、暫くしてマイッツアーは起き上がれる所まで快復した。そして、色々な者を呼びつけて、何やら画策していた。その折の無理が祟ったか、今では再び寝ついている。
 ザビーネも、幾人かに引き合わされたり使者として方々に行かされたりしたが、明確なものは見えてこなかった。戦争終結に関係あるらしいとは、おぼろ気に分かったのだが……

「ベラが来るのは、私を説得するためであろうな。戦争を終わらせよと」
 ベッドサイドに立つザビーネにマイッツアーが言う。人払いをした後の、二人だけの密談だった。
「情報局のムーアと接触しているようですから、恐らくそうでしょう。受け入れ準備は整えておきましたが、どうなさいますか?」
「それまで命が持てば良いが……いや、持たない方がいいのかもしれぬ」
 問いには答えず、独り言のように呟く。

「は!?」
「私が死んだ方が、ベラが後を継いで動きやすくなるということだ」
「ベラ様が、後を継がれる!?」
 あれだけキッパリと拒絶された後で、気が変わったりするだろうか?
「そうだ。自分の幸せだけを追いかけられる娘ではないからな」
 断定的に言うマイッツアー。

「しかし――」
「ザビーネ、お前はロナ家の女というものが、まだ分かっておらぬ。ロナ家の女は皆ライオンだ。百合の顔(かんばせ)を持つライオンなのだ。いつかベラも、お前に牙を剥く日が来るやもしれぬぞ、ふふふ」
 ロナ家の紋章・百合とライオンになぞらえて言う。ナディア、シェリンドン、シェリー、タイプは違えど皆ライオンだ。
332追 憶 第3章  ◆ZAxBErybqE :03/12/18 13:52 ID:qpyNZYr2
 不服そうなザビーネの顔を含み笑いで見返して、マイッツアーは語り続ける。
「ベラはコスモ貴族主義の象徴となろう。そのための仕掛けは作っておいた。後はおまえ次第だ、ザビーネ」
「『仕掛け』とは何でしょうか?」
 この場に及んで、何を企んでいるのだろう? あの画策が「仕掛け」か!?

「そのうち分かる。私はコスモ貴族主義が世に残るなら、クロスボーン・バンガードが消滅しても良いと思っている。元々、コスモ・バビロニアの建国が完成した暁には、別組織に改編する予定だったからな。ザビーネ、ベラを頼む。あれを支えてやってくれ」
「言われるまでもありません」
「そうであったな。見たかったぞ、お前たち…の結婚式と……コス…モ貴族……主義…の……」
 声が次第に細くなり、空(くう)へ差し伸べられた手がパタリと落ちた。快復したように見えたのは、生の最期の輝きだったのだ。


 突然の死に驚きながらも、瞼をそっと閉じさせ、マイッツアーの顔を凝視し続けるザビーネ――
 今、思う。この男は自分の「父親」だったのだと。反面教師にしかならなかった実の父親と違い、生き様というものを自分に見せてくれた。
 理想のために一生をかける真摯な姿、狡猾さと計算高さ、家族への素朴な情愛、延命措置をせず死に臨んだ潔さ、死後のことまで画策する執念深さ――矛盾するものを全て持ち、それらが入り混じった所に存在している人間だった。

 常に冷静に観察し距離も置いてきたつもりだが、影響は大きかったようで、最近では自分を「マイッツアーの隠し子」と噂する者さえいる。それだけ似て見えるのだろう。いくらマイッツアーが豪胆でも、息子と孫娘を結婚させようとするほど非常識ではなかろうに。
 彼の未来予想は信じ難い気もするが、孫娘への愛情とは別に冷静な判断力も持つマイッツアーのことだ、一概に否定する気にはなれない。それが当たるかどうかを見守るのが、これからの自分の仕事なのかもしれぬな……
333 ◆ZAxBErybqE :03/12/18 13:54 ID:qpyNZYr2
第3章は以上です。

第4章はコスモ・バビロニアに舞台を移し、ザビーネとシーブックの初顔合わせ
+ベラVSザビーネの予定です。
334名無しさん@ピンキー:03/12/18 18:01 ID:oubnJFF9
追憶、物語としてとても面白いですね。ベラが良い女に書かれてます。
次回はエッチあるのだろうか?楽しみです。
335名無しさん@ピンキー:03/12/18 21:22 ID:hYdaokh6
所詮エロパロなんて妄想の賜物なんだからどんな作品でもそれ自体はいいけど、
原作に沿う、とかっていうなよ。沿ってないよ。
336名無しさん@ピンキー:03/12/19 16:43 ID:wVHbUm3G
もうちっとエロを加えて欲しいな。
エロ無さ杉。
337名無しさん@ピンキー:03/12/19 22:44 ID:UByCF/vZ
>>269のSSはまだか?
338269@携帯:03/12/20 00:46 ID:f2QZCM9g
>>337
メル欄に。
339名無しさん@ピンキー:03/12/20 18:26 ID:l+lnoeci
>>338
楽しみにしてますよ
340名無しさん@ピンキー:03/12/21 09:53 ID:F2b+UU11
誰かが〜まだか?と書いたら
2時間ちょっとで本人の即レスがつくというのもスゴイな。
341名無しさん@ピンキー:03/12/21 21:39 ID:byEzmg9m
あげ
342名無しさん@ピンキー:03/12/22 01:35 ID:4stpSBI3
ネット人口の多い時間帯だから2時間ちょっとは気にならなかったが、
>>337みたいなレスが欲しくて>>281を書いたんだろうとは思った
上でも言われてたように誘いうけ臭がしたから

つか>>285のメル欄見て、奴が帰ってきたらどうすんだよ書くなよと思った
んで>>339
269はSSよりまずレスの書き方を学んで来て欲しい
自分語り、誘いうけ、荒し呼び戻し
SSウプ前からこれだけ目立ってる職人も珍しい
343269:03/12/22 04:46 ID:tphHwzBd
>>342
本当に申し訳ないです。
このスレを長い間読んでたのに、何一つ学習してなかったですね・・・・

回線切って、永遠に立ち去ります。




344名無しさん@ピンキー:03/12/22 08:29 ID:9+M9YdVa
>>342
禿同

>>269
前スレ読んでたのだったら、
ああいう自分語りとかする前にスレの雰囲気もっとよく嫁

まだこうやってスレ住人に指摘されるだけ良い方だと思うよ

言いたいのはそれだけ
まあ今更言っても遅いだろうけど。
345名無しさん@ピンキー:03/12/22 12:21 ID:zHg9OaxO
また一つ自治厨にキルマークがついたわけだ。
そういうスレなんだから仕方ないけど。
346名無しさん@ピンキー:03/12/22 15:32 ID:+Y1a5CGc
>>343
269たんよ、>>342>>344みたいな租チンの糞野郎がいるスレに無理して投下する必要は無いよ。
基地外の相手をまともにしたら駄目。
南極あたりのBBSに投下するか直接メールで送ったらどうか?
347名無しさん@ピンキー:03/12/22 20:20 ID:xloSszvB
南極だってこの周辺のスレやトラブルは見てきているわけだろ、269みたいなのは迷惑ちゃう?
269、南極のシタラバで醜態さらすなよ。
348名無しさん@ピンキー:03/12/23 00:50 ID:U6MPVu6h
>>347
お前みたいなもんの方が嫌われるってw
349名無しさん@ピンキー:03/12/23 08:06 ID:LPe5EpVH
>>342はレスの書き方を学んで来て欲しいと言った。
出ていけとは言ってない。ロムするなとも。
それに対して269は永遠に立ち去ると答えた。

そうゆうとこが誘い受けと言われるんだよ。
「立ち去るなんて言わないでください。SS待ってます」とレスされたいのか?
342に‘自分を追い出した香具師’のレッテルを貼りたいのか?
「申し訳ないです。もう一度学習してきます」で充分だろが。
永遠に立ち去るつもりでいても、それをまんま書いたらスレが
荒れるだろうって想像つかんのか?

269はコミュニケーション能力無さ杉。2ちゃんで職人やるのはむいてない。
悪いこと言わんから、自分でHP作ってそこに載せな。
南極に直接メールもいいかもな。
350名無しさん@ピンキー:03/12/23 08:17 ID:9QH1rriL
結局、ロクな職人が来ないな、ココ。
なんか他スレじゃあ相手にされない香具師が来るガンダム系姥捨て山みたくなってる。
351名無しさん@ピンキー:03/12/23 10:16 ID:TyG+VeHX
>>350
それ現在ここでSS書いて下さってる職人さんに凄く失礼だと思わんのか?
まあ基本的には>>346に同意な訳だが。
新たに来るSS書きさんたちにあんな暴言吐いてりゃ、そりゃ誰もより付きもせんだろう。
今SS落しに来てくれてる職人さんに感謝しろよ。
352名無しさん@ピンキー:03/12/23 12:15 ID:NPDuRkkj
結局、269叩きは
小雀タンやメンヘルタンを叩いてた香具師らだろ?
そいで暇になったから今度は269叩きか。おめでてーな。
353名無しさん@ピンキー:03/12/23 18:12 ID:8DRyk5uf
Feikaさん、来ないのかな?最終話がとても読みたい
354名無しさん@ピンキー:03/12/23 18:41 ID:mMlwLqeR
もう23日だし今年は難しいかもね。
355名無しさん@ピンキー:03/12/26 04:34 ID:ilHMubW+
地味に保守・・・・・
356 ◆ZAxBErybqE :03/12/27 22:37 ID:KKI0bpGv
こんばんは、小雀です。感想や意見をありがとうございました。
前作と違って書き溜めている量が少ないので、UPの間隔があいてしまって
申し訳ありません。
以下、第4章UPのために15レスほどお借りしますので、好みでない方などは
スルーをよろしくお願いいたします。
 クロスボーン・バンガード上層部の人間たちは呆気に取られた。とうの昔に死亡した筈の「ベラ・ロナ」が実は生きていて、近々帰還してくるという。総帥・マイッツアーの孫娘で、かつての女王候補。
 しかもそれを告げたのがザビーネ・シャルだったから、関係者の困惑は甚だしかった。彼が自分の権力基盤拡大のために、偽の婚約者を登場させようとしているのではと、疑う者もいた。総帥が寝込んでいる隙に実権を握るための、陰謀だろうと。

 しかし、死の少し前にマイッツアーが、主だった者を集めて自分も承知してのことだと告げたため、再び驚かされた。
 五年前の死亡発表は、ベラが連邦軍に捕えられたための、苦肉の策だったという。人質として使われないようにすると同時に、本人の身の安全を図る――敵を騙すには味方からという鉄則に従い、今日まで生存を秘密にしてきたと。
 連邦政府に監視され続けた彼女だが、秘密のルートを使って自分やザビーネと連絡を取り合ってきた。女王になるための力不足を痛感したという本人の意思を尊重し、市井で学び続けるのを許した、というのだ。

 ザビーネは、つい最近もベラに会いに行っていたという。幸せそうな二人の写真やネガまで見せられては、信じざるを得なかったというのが本当のところだ。連邦の眼をかいくぐるためとはいえ、決して外さなかった眼帯を取り去った姿で写っていたのだから。
 一年前の縁談を彼がすぐに断ったのも、事情を知れば納得できる。当時は女性たちには支持されたものの、野心を持つ男性たちには不思議なこと、理解できないこととして扱われたものだった。

 その上、エメテイ・ヘイズに連れられてコスモ・バビロニアに姿を現した「ベラ・ロナ」は、指紋やDNA、虹彩判定などを経ても本人であるという結果しか出てこなかった。経緯から考えるに、クローンの可能性は極めて低い。
 加えて、マイッツアーの遺言状があった。そこにはベラをロナ家の後継者に任ずると、明記されていた。

  *     *     *     *     *     *     *
358追 憶 第4章  ◆ZAxBErybqE :03/12/27 22:44 ID:KKI0bpGv
「ザビーネ、改めて紹介します。シーブック・アノーさん、昔のF91ガンダムのパイロットです。何度か対戦した相手だと思いますが、今はそのことを忘れて彼を見てくれると助かります」
 マイッツアーが使っていた執務室に、ベラの歯切れのよい声が響く。遺体との対面を済ませ、気持ちを落ちつけた後の初仕事だった。久々に着た軍服。髪もあの時のように短く切り、覚悟を決めての里帰りだ。丁度、同じ季節――

「……はい」
 黒の軍服を隙なく着こなしたザビーネが、向かい側のソファーから、射抜くような視線をシーブックに当てる。負けまいと見返すシーブック。激しく散る火花。執務室にいるのは三人だけで、他の者は人払いしてあった。
 シーブックの隣りに座るベラは、素知らぬ振りで通す。全ては自分が蒔いた種だ。ここで怯んではいられない。
「シーブック、ザビーネ・シャルさんよ。祖父の側近で、私の帰還に一方(ひとかた)ならぬ骨を折ってくれた人――」
「婚約者としては、当然のことですよ」

 ザビーネの言葉に戸惑いながらも相槌を打つ。
「そうですね。ザビーネとは以前婚約をしていた――受け入れ準備をしてくれて、深く感謝しています」
「ベラ様、『以前』という認識は間違っています。クロスボーン・バンガードでは、私たちの婚約は今でも生きているものとして扱われていますので。だからこそ、私も今回の働きができたのです」
「!」

 今になって気付く。昔、駆け落ち相手に連れられて、元の夫の前に現れた母親を軽蔑した。なのに自分の行為は、それと同じようなものではないか! クロスボーンから逃げる時に協力してくれた男性を伴って、「婚約者」の前に姿を現した女。
 馴染みの薄い場所に来る心細さと、ザビーネを敵に回す可能性のある計画を胸に秘めている不安から、シーブックの好意に甘えてしまった。考えなしのところまで母親そっくりで、強い自己嫌悪を感じる。それに婚約が今も生きているなら、ザビーネの立場は!?
359追 憶 第4章  ◆ZAxBErybqE :03/12/27 22:47 ID:KKI0bpGv
「ザビーネ、私はあなたの顔に泥を塗ってしまったのではなくて? シーブックを連れてきたせいで」
「大丈夫です。同行者がいると連絡を受けていたので、ベラ様がお連れする人間の件は私も承知していると、伝達しておきましたから」
「そう……ありがとう、ザビーネ」
 細やかな気遣いに感激する。心を広く持ち、影から自分を支えてくれる男(ひと)。眼帯姿が懐かしい……

 一方シーブックは、ザビーネに油断のならない男だという印象を抱く。恋敵というだけでなく、一人の人間としても、回り過ぎる頭脳と強過ぎる意思に危険なものを感じた。
 こんな奴が傍に居たら、彼女が大きな影響を受けてしまうのも当然だ。自分のここでの役割は、セシリーがこの男に惑わされずに行動できるよう、手助けすることだな……

 ザビーネが言葉を繋ぐ。
「クロスボーンから離れて久しいベラ様に、最近の状況は分かり辛いだろうと考えて、説明したまでです。しかし、部外者の居るところで申し上げたのは軽率でしたね。以後、気を付けます」
 ザビーネは、シーブックが居る限り機密に関する話はできないと、言っている。

「……シーブック、ごめんなさい、席を外して頂戴。最近のクロスボーンの様子を、ザビーネから教えてもらわなければならないの。あの計画を実行する上でも、とても大切な情報――でも、あなたがそれを知ると、モニカたちに迷惑がかかってしまうかもしれないわ」
「……」
「クロスボーンの急進派が、モニカやリィズに危害を加える可能性だってあるのよ。私たちがここに来たせいで、今だって連邦の人質みたいな状態になってしまって申し訳なく思っているのに、これ以上彼女たちに何かあったら……」

 母や妹の名まで出されては、シーブックも頷かざるを得なかった。
「分かった。だけど話が終わったら、すぐに呼んで。こんなんじゃ、お袋やドロシーに怒られちまうよ」
「ええ、そうするわ」
 ザビーネは隣室の秘書官を呼びつけた。シーブックを客間に連れて行くように命じ、重要な客人だから丁重におもてなしするようにと、言い添える。シーブックは案内に従って部屋を出た。息の合った二人の姿に強い嫉妬を感じつつ。
360追 憶 第4章  ◆ZAxBErybqE :03/12/27 22:51 ID:KKI0bpGv
  *     *     *     *     *     *     *

 客間に落ち着いてからも、シーブックはザビーネのことを考えていた。
 五年前、戦闘の最中にセシリーの心を読んでしまった瞬間から、自分の前に立ちはだかっていた相手。長い時間をかけて築き上げた絆を、たった一晩で粉砕した男!

 初めて見た恋敵は、思いもかけぬ美青年だった。均整のとれた肢体、輝く金髪と白い肌、切れ長の瞳、通った鼻筋に引き締まった唇。右眼を覆う眼帯さえも、端正な顔立ちを引き立てていた。連邦軍から悪魔のように恐れられている男が、あれほどの美形だったとは!
 洗練された動作は貴公子そのもので、セシリーの隣に居ても全く位負けしていない。美人で気品のある彼女の横に立つと、自分も含めて大抵の男は下僕のように見えてしまうが、あの男だけは違っていた。認めたくはないけれど……

 連邦と五年も戦える組織を作り上げたマイッツアーが、女王をやらせる予定の孫娘のために選んだ男は、外見だけの人間ではないだろう。あの男のモビールスーツ操縦の腕はずば抜けているが、それだけでも駄目だ。
 「女王の夫」は並みの者には務まらない。限りなく有能でありながら、妻を越えてはならない影の存在。
 結婚なんて遠い未来の話にしか思えない自分と違って、あの男はセシリーと結婚しようとしていた。人生を共にし、二人でコスモ・バビロニアの象徴となろうと。

 七つ上というが、落ち着いた物腰を見ていると、もっと年上に感じられる。あの男の今の歳になった時、自分が同じように振る舞えるとは思えないし、同年代の男たちとも全然違う。二十代前半から権力者の傍で過ごした年月が、あの姿を作り上げたのか?
 だとしたら、幾つになってもあの男に追いつけない。いや、そんなことはない筈だ。きっと何か道がある。あの男を越えてゆき、セシリーを奪い返す方法……

361追 憶 第4章  ◆ZAxBErybqE :03/12/27 22:52 ID:KKI0bpGv
 シーブックは無自覚のうちに、打ち壊し乗り越えるべき目標としてザビーネを位置付けていた。通常、男の子がそういう者として意識するのは父親であることが多いが、彼にとって父親のレズリーは違った。
 男手ひとつで育ててくれたのを感謝しているため、敵対する意識は持てなかったし、自分の軽率な行動のせいで死なせてしまったと悔いている身では、ライバルに擬すなど到底できない。そのため、彼にとって初めての目標は、ザビーネとなった――

  *     *     *     *     *     *     *

 執務室に残ったベラとザビーネは、微妙な鍔迫り合いを演じていた。ザビーネがおもむろに言う。
「ベラ様、少し軽率過ぎませんか? ロナ家の者というだけで、何をしても無条件に受け入れるほど、クロスボーン・バンガードは甘い組織ではありませんよ」
「……そうですね……」

 婚約式の当日に、敵方に寝返った過去――その時に関わったシーブックを同道した自分の行為を、ザビーネが個人的感情とは別に、政治的な意味合いから非難しているのは間違いなかった。場合によっては、庇いきれないぞと。
 シーブックをこの部屋に入れ、隣りに座らせたのも咎めている。執務室という公の場所に友達感覚を持ち込んだこと。平穏な生活の間に、そういう配慮を忘れてしまった自分を深く反省する。昨日までとは違う意識を持たなければ……ここは政治の地なのだ。

 最初から失敗してしまった上、今からやろうとしている行動を思うと、酷く緊張する。ザビーネの意に反する計画。打ち明けた時に彼はどういう態度に出るか、不安で不安で堪らない。
 内緒でことを運ぼうとは考えていなかった。それはフェアではないと思うし、隠しごとのできる相手ではない。何よりも、ザビーネに理解して欲しかった。彼の死を、人々の死を、これ以上望んでいない自分の気持ち。

 神さま、私にお与えください。自分に変えられないものを、受け入れる落ち着きを。変えられるものを、変える勇気を。その二つを見分ける賢さを――
 今では精神安定剤になった言葉を、心の内で呟く。宇宙世紀以前に流布された、依存症から回復するための「平和の祈り」。心理学を学ぶ中で、恋愛依存症になりかかっていた、かつての自分に気付き、戒めのために呟くようになったフレーズ……
362追 憶 第4章  ◆ZAxBErybqE :03/12/27 22:53 ID:KKI0bpGv

 ベラの張り詰めた気配が、ザビーネを苛立たせる。
 何を警戒している!? ベラに再び会えて喜んでいるのは事実だ。久々の軍服姿に眼を奪われてもいる。だが、執務室でけじめのない行為に及ぶ気は毛頭ない。そういう自分の気性は、彼女もよく知っているのに。
 いや、考え過ぎだ。きついことを言ってしまったから、ショックを受けているのだろう。それならば――

「ベラ……」
 肩をビクッと震わせるベラ。その様を苦笑して見守り、ザビーネは言い足す。
「誤解しないでください。そういうつもりは全くありません。『ベラ様』では話しにくいこともあるので、呼び方を切り替えただけです。しかし、それほど無分別な男と思われていたとは」

 溜息をつくザビーネに、ベラが慌てて言う。
「ごめんなさい。そういう訳ではないの。問題は私の方にあって、その……ザビーネと二人きりで居ると、きちんとした話ができなくなってしまうのよ。もっと他のことを望んでしまう……」
「望みを叶えた方がいいですか?」
 顔を綻ばすザビーネ。

「今は駄目。そんなことをしたら、いよいよ話ができなくなってしまうわ」
「今は……ね、フフフ」
「……」
 ベラは頬を赤く染める。こんな重要な場面で、自分は何を言っているのか。
「それで、何の話をしようというのです? 先程言っていた『計画』ですか?」
 余裕を取り戻し、穏やかな声で問いかける。気軽に話せる雰囲気になったのが嬉しかった。


 ベラは大きく深呼吸した後で語り出す。声が震えそうになるのを、握り締めた拳で必死に抑えながら。
「正直に言うわ。私はクロスボーン・バンガードの人たちに向けて、コスモ貴族主義を否定する演説をしようと考えています」
「ベラっ! どういうつもりですか!?」
363追 憶 第4章  ◆ZAxBErybqE :03/12/27 22:55 ID:KKI0bpGv
 自分を睨みつける眼差しに、ベラは心を引き裂かれそうになる。ザビーネに憎まれるのは堪らなく辛い。それでも、今、言わなければならない。
 シーブックとドロシーの顔を思い浮かべ、私怨を捨てて力を貸してくれた友人たちに恥ずかしくない行動をしようと、自分を励ます。これは卒業試験なのだ。ザビーネと対等な人間として関わり合うようになるための、大切な試練……

「戦争が終わることを、私は強く望んでいます。でも今のクロスボーンでは、完全な終戦に持っていくのは無理だと思うの。コスモ貴族主義という精神的支柱を持っているから、一時停戦しても、いずれまた戦争になる……」
「それをあなたは、ぶち壊そうと!?」
 ザビーネの隻眼がさらに光を増す。

「ええ。コスモ貴族主義を唱えたマイッツアーの後継ぎである私が、主義を否定する演説をしたなら、クロスボーンにしがみつく人はかなり減るでしょう。そうすれば、連邦政府との講和条約締結やクロスボーン・バンガードの解散も、スムーズに運べると思うから」
 ザビーネが会いに来てくれた時に、ドレルの追悼演説の話をしたのがヒントになった。ハイスクール時代に弁論部で学んだ演説手法――それを戦意を高揚させるためではなく、平和をもたらすために使いたいと考えた。

「あの男の影響ですか!? コスモ貴族主義を否定するなどと言い出したのは?」
 ぞっとするほど冷たい声。こんな声をザビーネから向けられるなんて! 哀しくて切なくて、涙が溢れそうになる。
「違うわ。自分で考えたの……ザビーネ、分かって! 私は戦争を終わらせたいのよ。何よりも、あなたに死んで欲しくない……生きていて欲しいの!」
「……」

 怯みそうになる心と戦い、想いのたけを懸命に訴える。
「クロスボーンはよく戦ったと思うわ。スペースノイドの支持をこれだけ得られたのも、連邦に問題が多い証拠。だけど、甘え過ぎてはいけないと思うの。主義に拘る余り多くの人々を道連れにしたのでは、結果として、バグやラフレシアと変わらなくなってしまう」
 無言のまま自分を凝視しているザビーネの視線が痛い。
364追 憶 第4章  ◆ZAxBErybqE :03/12/27 22:57 ID:KKI0bpGv
「情報局のムーアさんは、連邦政府にも戦争を終える意思はあって、クロスボーン・バンガードの解散と武装解除、フロンティア・サイドの連邦への返還が必要だと言っていたわ。そのためには、コスモ貴族主義を否定しないと駄目だと思うの」
「……」
「何もしてこなかった人間に、説得力なんてないのかもしれない。でも、傍観者ゆえに見える物もあるのよ。時の流れに逆らおうとして、却って違う方向に押し流されていってしまう人たちが、私には見えるの。引きずられていく人々が……ザビーネ、お願い、分かって!」


 ベラの言葉を聞きながら考え込むザビーネ――
 今のクロスボーンに連邦軍と対峙し続ける余力は、もう殆どない。ブッホ・コンツェルンも、戦争を続けるだけの資金を供給するのが難しくなってきている。であれば、一旦戦争を終結させるのも手ではある。
 これまでを思うと無念でならないが、全ての戦力を失ってしまう前に撤退するのは、意味のある戦略だ。タイミングとしては今が最適だな。開戦を指導したマイッツアーが死去し、戦争に関わらずにいたベラが後継者になった、このタイミング。

 マイッツアーは、彼女の主義否定演説まで予想していたのか? コスモ貴族主義が世に残るなら、クロスボーン・バンガードが消滅しても良いとは言っていたが……
 十代の頃から自分の支えだった思想を、ベラに否定されようとは夢にも思わなかった。だが本気で主義を嫌っているというより、手段としての否定のようだ。それなら、まだ望みはある。

 それに、いくらコスモ貴族主義を否定しようと、平和な生活を投げ捨てて戦争終結のためにこの地までやって来たベラの姿は、主義そのものだ。彼女が象徴となるとは、このことか。
 この姿勢を保ち続ければ、ベラの元には賛同する人間が集まってくる。連邦政府の堕落しきった支配が続く限り、違うものを求める人の心も失われはしない。今は雌伏の時だな。
365追 憶 第4章  ◆ZAxBErybqE :03/12/27 23:00 ID:KKI0bpGv
 マイッツアーの「仕掛け」にも希望を繋いでいる。彼の死後、長らく傍仕えをしていたナーイ・フレッチェンからカードを受け取った。全く知らされていなかった情報の入ったカード――いつの間に、あんなものを作ったのやら。
 最期まで食えない老人だったが、見識とシミュレーション能力の高さには、恐れ入ったというのが本当のところだ。ベラはあの「仕掛け」に乗るだろう。黙って見過ごすとは思えない。

 マイッツアーの失敗は、連邦に正面から宣戦布告したことだ。腐った組織とはいえ、強大さは予想を遥かに越えていた。一時的、局地的な勝利は収められても、武力だけで独立を勝ち取るのは、今の時代ではまだ無理なのだ。
 しかし、あの「仕掛け」が成功すれば、連邦と直接戦わずに自分たちの存在意義を世に訴えられる。貴族主義者の人心を集めるのはもちろん、もっていきかた次第では独立を容認させるのも可能だ。そこを拠点に、連邦の中に主義者を送り込んでゆくことも。

 となれば自分は、マイッツアーが段取りを組んでくれた方法で根回しに励み、ベラをバックアップすれば良い。ブッホ・コンツェルンも、こちらの資金なら無理せず供給できる。旗艦バビロニア・バンガードも、もうすぐ完成予定だ。
 コスモ貴族主義を形あるものとして世に残すには、最適な方法――それがベラとの共同作業でできるとは喜ばしい。封印の解ける音が聞こえてくる。一度は諦めた幸せの未来図が、夢ではなくなるかもしれない。今度こそ、そう今度こそ……


「……分かりました、協力します。心からの賛同とは言いかねますが、手段を選べるほど、時間の余裕がありませんしね」
「ザビーネ、本当に!? 本当に協力してくるの?」
「はい。戦争を終わらせる方法を模索していたのは、私も同じですから」
「ザビーネも、戦争を終わらせたかった……!?」
 思いがけない話に、ベラは眼を丸くする。
366追 憶 第4章  ◆ZAxBErybqE :03/12/27 23:01 ID:KKI0bpGv
「実は、ベラに会いに行っていた間に一部の者が暴走し、コスモ・バビロニアの民間人に対してバグのように残虐な殲滅戦を行ったのです。ゲリラを炙り出すという名目で。マイッツアー様がご健在か私が居たなら、そんな真似はさせなかったのですが」
「なんてことを!」
「関係者は厳重に処罰したものの、私の気持ちにも変化が起きましてね。そんなやり方をしてまで続ける戦争に意味があるのだろうかと、考えるようになりました」
 殲滅戦が行われた事実とそういうやり口を厭う気持ちは本当だったから、言葉が滑らかに出てくる。

「そうだったの……」
「そういった経緯もあるので、できる限り協力します。早速ですが、いくつか提案してもいいですか?」
「お願いします、ザビーネ。あなたの手助けが得られるなら、百人力だわ」
 袂を分かたずに済んだ嬉しさに声が弾む。ザビーネの隣りに席を移動し、全身で聞く態勢を取った。


 ザビーネはまず、マイッツアーの葬儀をベラが主催して大々的に執り行い、ロナ家の後継者であると内外に示す必要があると述べた。古今東西、権力者が死んだ時には後継者が葬儀を主催することで、世間へ代替わりを告知してきたのだからと。
 幸い彼の死は極秘にしてあって、一部の者にしか知られていない。情報が漏れ、敵討ちに名を借りた報復戦を望む声が高くなる前に葬儀を執り行なって、新体制を示してしまうのが一番だ。

 そして、その席でベラが追悼演説をして、クロスボーン・バンガードを解散し連邦と講和すると述べる。
 他の場所での発表と違い、葬儀の席の演説であればマスコミを呼びやすいし、一方で警護も厳重にできる。怒り出して演説を妨害する人間を、マイッツアーの死を冒涜する者として捕縛することもでき、驚いて戦意を喪失した人間が数多く出てくれば尚更好都合だ。

 演説の後、間髪いれずに連邦と講和条約を結ぶ。時間をおくと反対派が巻き返す恐れがあるので、この時までに連邦との間で条約の内容を詰めておく必要がある。
 戦争に関わった者の免責を条文に入れさせ、ブッホ・コンツェルンなどでの再就職の道と今後の住まいを用意しておくのも、重要なポイントだ。この三つがなければ、殆どの軍人は今のまま戦い続けてしまうから、と。
367追 憶 第4章  ◆ZAxBErybqE :03/12/27 23:02 ID:KKI0bpGv
 ベラは提案のそれぞれに納得しつつも、やらなければならない案件の多さと煩雑さに、目眩がしそうになる。自分とシーブックだけでは、そのうちの一つさえ満足にできない。
 ザビーネの助力を得難いものと思う。これだけの事柄を直ぐに口にできたのは、言っていた通り、以前から戦争終結を考えていたのだろう。慎重な彼のこと、成功を確信できる裏付けが、何かあるのかも……


 クロスボーンの内部情報を教わりながら詳しい打ち合わせを終え、やっと寛ぐことができた。ベラは真っ先にザビーネに聞く。
「戦争が終わって全てが片付いたら、ザビーネはどうするの?」
「少し休んだ後で、どこかで働くつもりです。前から声をかけてくれていた所が、いくつかありますから」
 来る筈のない、来て欲しくはない未来の話。

「ザビーネぐらい優秀だったら、引く手あまたでしょうね」
「それなりに、と言った程度ですよ。ベラはどうするのですか?」
「大学へ戻って、まずは卒業を目指すわ。暫く休んでしまうから、頑張らないと」
「そうですか。ベラが卒業して私が働き口を得ていていたら、プロポーズしてもいいですか?」
 この未来だけは来て欲しい。

「きっと私、すぐにOKするわ。待ちきれなくて、自分からしてしまうかも……でも、言い難いことだけど、きちんと言っておいた方がいいと思うから……その…暫くの間、私たちの関係は凍結して欲しいの」
「凍結!? どういう意味ですか?」
「ザビーネも気が付いているでしょう? シーブックが今も私を想ってくれているのを」
 ザビーネは黙って頷く。この世で一番、不愉快な名前――

「彼は私のザビーネへの気持ちも、私たちの関係も知った上で、手伝ってくれようとしているの。私が望み通り動けるように全力を尽くすからとまで、言ってくれて」
「……」
「自分を犠牲にしてくれているシーブックの傍で、あなたとの関係を続ける気にはなれないの。いくらなんでも無神経過ぎると思うから」
「それで、私たちも色恋抜きでいようというのですか!?」
 あんな男のために、そこまで気を使うなど!
368追 憶 第4章  ◆ZAxBErybqE :03/12/27 23:03 ID:KKI0bpGv
「ええ。それに、今はそういうことに時間や心を奪われている時ではないと思う。お願い、分かって頂戴……」
「婚約の件はどうするのです? 破棄したと発表せよと?」
「いえ、そこまでは……ずるいかもしれないけど、婚約があった方が動きやすいなら、それを利用して構わないわ」
「……不本意ですが、ベラの気持ちは尊重しましょう」
「ありがとう、ザビーネ。分かってもらえて嬉しい」
「どうですかね――」


 言うや否や、ザビーネはベラの身体を強引に抱き寄せた。
「ザビーネっ!」
「今すぐからとは言いませんでしたよ!? これぐらいはいいでしょう? 暫くの間、ベラを眼の前にしながら、我慢しなくてはならないのですから。ここで…っん……するつもりはありませんでしたが……んんっ……やむを得ませんね」
 服の横から手を入れて乳房を指で愛撫し、時間を惜しむかのように、せわしなく口付けを重ねる。

 ベラは口付けや愛撫そのものよりも、温もりと体臭に酔っていた。生きている、生きている……ザビーネは生きていてくれた!
 コスモ・バビロニアに帰ってきて無事な姿を見た時、本当は抱き付きたかった。周りに大勢の人がいたから、眼で訴えることしかできなかったけれど。あの時、ザビーネの眼も告げていた。抱きしめ、口付けたいと。
 その後も、主だった者たちに挨拶したり祖父の遺体に対面したりで、二人きりになれる時間は無かった。今こうして二人だけになり、胸に身を投げたいと思っていたのは、自分こそだった……

「髪を切ってしまったんですね。んっ……長い髪のあなたも好きだったのに、残念です」
 ザビーネはベラの髪を撫でながら耳元で囁く。
「五年前…うぅっ…と同じように、覚悟を決めようとし…あっ!……たのよ……」
 小さく喘ぎ声を漏らしてしまう。

 いつの間にか、口付けや愛撫にも酔わされていた。扉の向こうに人がいる、声を抑えなくては、これ以上は駄目だとザビーネに言わなければと考えていても、痛いほどの想いが胸に溢れて何もできない。
 舌が耳や首筋を這い、弱点を知られている身体は正直な反応を返す。胸を突き出して愛撫をせがむ。もっと、もっと、感じさせて欲しい。指が下着の中に分け入り花芯を攻め始めた。いけないと思いつつも腰が動き、迎え入れてしまう。下腹部が疼き出す……
369追 憶 第4章  ◆ZAxBErybqE :03/12/27 23:04 ID:KKI0bpGv
「んっっーーー!」
 声にならない声を上げてベラが達した。腕で支えていたザビーネが、唇の端を少しだけ上げて問いかける。
「ここまでに、しておきましょうか?」
 返事を待たずに指を加速させる。

「うぅぅぅっっっ!」
 ベラは答える間もなく二度目を迎えた。
「フフフ、身体は正直ですね」
「意地悪っ!」
 負けじと鼻を舐める。一番の弱点――

「うっ!」
 ザビーネが怯む隙に小声で言う。
「最後まで…して。避妊はしてあるから」
「ベラが望むのでしたら」
 快楽に溺れ濡れたように艶めかしく光る瞳と、頬を真っ赤に染めている初(うぶ)な姿のアンバランスさに、ザビーネは強く魅了される。ベラの軍服と下着を太腿まで下ろし、執務机の上に上半身をうつ伏せに倒させた。

「こ、こんな格好……」
 臀部を突き出すような動物的な姿勢を取らされたベラは、羞恥心に悶える。必要なところだけを露出させている今日の姿は、あまりに即物的で淫猥に思える。
 ザビーネは無言のまま、美しい曲線を描く双丘を撫で回した。吸いつくような肌が手に心地良く、分身が一段と膨らむ。真っ白な太腿を伝わり落ちる雫が眼に眩い。

「お祖父さま…うっっ……の使っていた机で、こんなこと……」
「だからですよ。マイッツアー様の最期のお言葉は、お前たちの結婚式を見たかった、でした」
「お祖父さまが、そんなことを?」
 ザビーネと結婚したいと告げた時、手放しで祝福してくれた姿を思い出す。あの時の彼はクロスボーンの総帥ではなく、孫娘を溺愛する一人の老人だった。ザビーネに抱き寄せられて以後、部屋の空気が優しいものに変わったのは、祖父の意思が宿っているのだろうか?
370追 憶 第4章  ◆ZAxBErybqE :03/12/27 23:06 ID:KKI0bpGv
「ええ。申し訳ないことをしたと、悔やまれてなりません」
 手を前に回し、指で花蕾を転がす。辺りにベラの匂いが立ち込め出した。軍服がきつく感じられてならない。
「駄目! んんっーーーーー!」
 再会できた喜びかスリリングな場所ゆえか、ベラはいつも以上に感じやすくなっていて、三度目の波に襲われる。

 ザビーネは自分もそこだけ脱ぐと、下腹部に付きそうなぐらい反りかえった分身で膣口を攻め始めた。滴る蜜が摩擦をなくし、先端だけの小刻みな出入りを可能にさせてくれる。
「ザビーネ、焦らさ…いやんっ……ないで……」
「やっと会えたのに、つれない態度ばかり取る……っんっ……あなたへのお仕置きですよ」
「そんなこ…うぅんっ……とないわ。私だって嬉し……はぁっっ…かった、も…の……」
 抜き差しされる度に傘の部分で擦られ、背筋に電流が走る。口を開けていると、唾が零れてしまいそうだった。

「本当ですか? ここにも聞いてみないと――」
 最奥まで一息に突き刺す。
「あぁっっっ」
 左手でベラの口を塞いで声が漏れないようにし、狂おしく腰を動かすザビーネ。一月(ひとつき)ぶりに味わう柔肉は、極上の感覚をもたらしてくれた。みっしりと取り囲んで絞り上げる快感に耐え、肉壁を這うように分身を動かして攻めまくる。

 ベラは猛り狂う灼熱の肉塊を内奥全体で感じ取る。貫かれるたびに、声を上げそうになる。祖父が使っていた執務机で淫らな行為をしていると思うと、それだけで内部から泉が湧き出てきた。
 子宮の入り口近くまで伸びてくる先端。最奥に当たるたびに淫音が鳴り響く。ザビーネの唇が耳たぶを捕え、甘噛みして新たな刺激を与えた。四度迎える絶頂。押し寄せては去ってゆく、大きなうねりに酔いしれる。

 ザビーネも小さく声を漏らす。限界がそこまで来ている。脈打つ分身は強く絡め取られ、すぐにも弾けてしまいそうだ。自分を求めて腰を蠢かす姿が愛しくてならない。
 歯を食いしばって分身を一旦抜き出し、ベラを机の上に座らせる。軍服と下着から片足だけ引き抜いて太腿を押し開き、再び奥深く挿入した。腰を抱えて緩やかな抽迭と口付けを繰り返し、ベラの恍惚とした表情を脳裡に焼き付けて後、渾身の一撃を加える。
371名無しさん@ピンキー:03/12/27 23:07 ID:TFvFNCHE
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!




_| ̄|○
372追 憶 第4章  ◆ZAxBErybqE :03/12/27 23:07 ID:KKI0bpGv
「んぁっっっーーーーー!!!」
 五度達するベラ。仰け反るように全身を震わせ、悦楽の園へと飛翔してゆく。
「くぅぅぅっっっ!」
 ザビーネはベラの香りを胸一杯に吸い込みながら、痙攣する最奥に全ての精を放った。自分が吸い込まれてゆくような感覚――

  *     *     *     *     *     *     *

 ベラが気を失っていると気付き、ザビーネは慌てた。ソファーに運んで、そっと身体を横たえる。互いの軍服を元通りにして、サイドボードに飾ってあったブランディを気付け薬代わりに嗅がせ、様子を見守った。
 しばらくして意識を取り戻したベラに、声をかける。
「大丈夫ですか?」
 熱情と嫉妬から激しく攻め立ててしまったことを、少しだけ後悔した。

「……私、一体……!? あぁ、力が…入ら、ない……」
「暫く休んだ方がいいでしょう。私が部屋に連れて行きますから」
 黙って頷くベラ。ザビーネは窓を開けて部屋の換気をした後で、横抱きに抱き上げて耳元で囁く。
「私の胸に顔を押し当てていなさい。その方が恥ずかしくないでしょう?」
 ベラは言われた通りにする。


 ベラ様は具合が悪いようなので部屋にお連れすると秘書官に告げ、警護兵を前後に従えて廊下を悠然と歩いて行くザビーネ。行き交う人々に二人の姿をたっぷりと見せつけ、好奇の視線を取り澄ました顔で撥ね返す。
 フフフ、思わぬ余禄が付いてきた。婚約者のザビーネ・シャルに抱かれ、甘えるように胸に顔を埋めるベラ・ロナ――デモンストレーション効果は抜群だな……
373 ◆ZAxBErybqE :03/12/27 23:08 ID:KKI0bpGv
第4章は以上です。
第5章はザビーネVSシーブックなどの予定で、UPは年明けになるかと思います。
みなさま、どうぞよいお年を。
374名無しさん@ピンキー:03/12/27 23:16 ID:OvEBdXpM
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!

必要なところだけ出てるベラ様(・∀・)イイ!!

これからも馬鹿どもに負けずがんばってくださいね!
375名無しさん@ピンキー:03/12/27 23:33 ID:DLmw0k6y
>これからも馬鹿どもに負けずがんばってくださいね!

よっぽど煽りたくてしかたないようだな、てめぇは。
お前みたいなのが一番鬱陶しい。
376名無しさん@ピンキー:03/12/28 16:53 ID:z4qG6O9W
カイ「ミハル、俺はもう悲しまないぜ。このスレに厨房を増やさないために、小雀を叩く、 徹底的にな!!」
377名無しさん@ピンキー:03/12/28 17:52 ID:MpKZKlr9
>>376
笑った
378名無しさん@ピンキー:03/12/28 19:22 ID:rxbf5bgO
>>373
よがるベラがすっごくエロくて良いですねぇ。興奮しました!
次も楽しみです。
379名無しさん@ピンキー:03/12/29 23:07 ID:7i4xRT9P
a
380名無しさん@ピンキー:03/12/29 23:12 ID:xgT7daVt
381名無しさん@ピンキー:04/01/01 17:30 ID:YlDT2wNh
追憶のベラとザビーネのカップルはエッチな雰囲気が良い感じ。
シーブックのこと忘れそうw
382名無しさん@ピンキー:04/01/02 13:01 ID:WEEbd8FF
ゴクローサン
383名無しさん@ピンキー:04/01/04 00:54 ID:bZNH2zAh
Fekia氏作品の最終回が待ち遠しい
384名無しさん@ピンキー:04/01/04 14:55 ID:BsOEL762
シャア版キエルスレ住人です。
こちらで、SSを投下しても宜しいでしょうか?
今ならタイミング良さそうですし。
カップリングはギンガナム御大将×キエルお嬢さんです。
もし他にもっと適当なスレがありましたら、誘導お願いします。
385名無しさん@ピンキー:04/01/04 15:25 ID:prDQBNOc
御大将×キエル?

接点がわからんのでなんかオモロイ。
386サムライと少女 ◆JwgQMiO9V2 :04/01/04 17:12 ID:BsOEL762
ミスルトゥが月面に衝突するという最悪の事態だけは免れたと聞き、
キエル・ハイムは胸を撫で下ろした。
しかもロランが地球から隠し持ってきた核を使って破壊したとのことだ。
キエルは、美しい銀髪の素直な少年が
これほどまでに大胆な行動を取り、かつその力を正しく使おうとする姿勢に、
内心感嘆するのであった。
『ロランがいてくれれば、ソシエもディアナ様もきっと大丈夫、守ってくれるわ・・・』
また一方で、ソレル家の思い出の地が破壊されたことで、
ディアナが心を痛めているであろうと思うと、
キエル自身もひどく沈鬱な気分になるのだった。

勿論、憂鬱になるのは、ミスルトゥの破壊やそのことによるディアナの心痛だけが原因ではない。
自らの現状を顧みると、例えようのない不安が胸をキリキリと締め付けるのだ。
敵艦に自らディアナと名乗り、乗船しているという状況はソレイユにいた時とさほど変わるわけではない。
だが、問題はギンガナムという男であり、しかも彼は彼女が偽ディアナだと感づいている。
それでも、ディアナとして遇しているのは、彼にとって偽女王のキエル・ハイムはまだ使用価値があるからだ。
しかし、それすら、いつ何時、彼の気まぐれで否定されるかわからない。
数分先の命さえ保障されていないのだ。
自らの味方といえるのは、ハリー・オード只一人である。
だが、肝心のこの男の心がキエルには全くわからなかった。
キエルは小さくため息をつくと、窓の外に広がる闇を見つめた。居住区の灯火管制は解かれている。
『ディアナ様のところに戻りたい・・・』
387サムライと少女 ◆JwgQMiO9V2 :04/01/04 17:15 ID:BsOEL762
そう思った瞬間、突然ドアが開いた。大きな人影が部屋に映る。
インターホンで名乗りもせずに、不躾な、とキエルは腹を立てたが、
わざと鷹揚にその方向へと体を向けた。
こんなことをするのは、ギンガナム以外にありえない。見るまでもなく、この男だった。
椅子に座り憮然とした表情のキエルにギンガナムは遠慮なく距離を詰めていく。

「女王陛下に戦闘終了のご挨拶を申し上げに参りました」
慇懃無礼な言葉使いとは裏腹の、その奇妙な気安さに、キエルは不快感を隠せなかった。
だが、つとめて平静に、「そうですか。死傷者は出ていますか?」と、そっけなく尋ねる。
ギンガナム軍の戦闘状況に興味などないが、どんな戦いでも死傷者は出したくない。
「行方不明者が出ておりまして、捜索を続行させております」
ギンガナムはキエルの顔に自らの顔を近づけ、
「ディアナと名乗る地球の娘がミリシャに合流した模様です」と言いつつ、
彼女の顔を覗き込んだ。

『ディアナ様がご無事で・・・良かった・・・』
と内心安堵しつつも、キエルは、ギンガナムから顔をそむけ、
「彼らは月に向かっています。私も、その後を追います。シャトルの準備を急ぎ・・・」
とそこまで言った瞬間、男の指が彼女の美しい金髪に触れた。
キエルは反射的に椅子から飛び上がった。
「このような不埒な真似をするなどと・・・」白い頬が赤みを帯びる。
ギンガナムは、怒りに燃えるキエルの碧眼を美しいと思った。
その怒りの炎をさらに掻き立てみたい、と、彼女の金色の髪を自らの口元へ運ぶ。
が、キエルはその手をすかさず叩き落した。
「・・・地球の娘は勇敢だと聞いているが、貴嬢は格別のようだな。案外、
本物のディアナ・ソレルよりも、女王に向いているとお見受けしたが」
そう言って、にやりと笑いかける。
彼の巨躯に気おされるように、窓際に追い詰められる格好になったキエルだが、
「つまらないことを!」
男の顔を見据えて、そう切り捨てる。
388サムライと少女 ◆JwgQMiO9V2 :04/01/04 17:17 ID:BsOEL762
「貴女なら・・・」ギンガナムはさらに彼女を壁際に追い詰め、
その体に覆いかぶさるかのように、壁に右手を付いた。
左手で彼女の頬に手を触れる。
「小生と手を組んでも、うまくやっていけそうだが」
そして、頬から顎へと手を触れる。
「そんな気はありません!」
と鋭く叫ぶと、キエルはギンガナムのその手を振り払おうとするが、
逆にその華奢な手首を掴まれ、頭上にねじ上げられてしまう。

「何を・・・する・・・」そう呻きながら、空いている左手でもがくように男の手を振り払おうとするが、
却ってその手を壁際に押し付けられる。
ギンガナムはゆっくりと腰の位置を落とし、彼女の目線に合わせる。
つくづくこうもディアナに似た娘が地球にいるとは信じられない。
そして、ゆっくりと唇を合わせた。
男の舌が彼女の唇を割り、その口腔をまさぐるにつれ、少女の抵抗が激しくなる。
だが、その体の動きすら、男の体躯に阻まれ、抵抗の体をなさない。
その柔らかな唇を堪能した後、男はようやく唇を離した。キエルの顔が紅潮している。
「わたくしを離しなさい。このような下衆な真似など!」
吐き捨てるように言い捨てると、ギンガナムの顔を見つめた。

だが、彼はニヤリと笑うと、右手をポケットに突っ込み、
丸いコンパクトのようなものを取り出した。
そして、細い透明な糸を引き出すと彼女の手首に絡み付ける。
キエルが事の重大さに気づいたときには、
既にその両手は自由を奪われ、窓枠に固定されてしまっていた。
顔から血の気がすうっと引いていくのが、キエル自身にもわかった。
「・・・一体・・・何のつもりで・・・」
ギンガナムはゆっくりと彼女の頬を撫でた。
「抵抗しなければ、大丈夫だ。可愛がってやるよ」
389サムライと少女 ◆JwgQMiO9V2 :04/01/04 17:21 ID:BsOEL762
彼の手がつと、彼女の胸元に止まり、白いブラウスのボタンを一つ一つ外し始める。
キエルが叫び声を上げる。だが、その声が聞えないかのように、
ギンガナムはボタンを全て外すと、白いレースのついた下着が露わになる。
その胸元に白いリボンが蝶々結びに止められている。
男は、下着のボタンを素早く外すと、最後に残ったその細いリボンを掴んだ。
「外すぞ」
そういって、少女の顔を見つめた。
美しいブルーの双眸から涙が溢れる。
キエルの心に一人の男の姿が浮かぶ。

赤いバイザーをかけた銀髪の青年。

何度もこの男の名を心の中で叫んだ。だが、彼は助けに現れない。
「・・・ハリー・・・助けて・・・」
言葉にならない。
深い絶望がキエルを襲った。

ギンガナムは女王と瓜二つの地球娘を見つめた。
最後に助けを求め、名を呟くのは、かの男。
「ははは!」突然、ギンガナムは狂ったように笑い出した。
そして、キエルの顎を掴んだ。
「ハリーに手篭めにされて、女王の真似などしているというわけか?
なるほどな、あの男に体で言いくるめられたのか?!所詮市井の小娘か!」
そう叫ぶと、彼女の胸元のリボンを引き抜き、下着を押し開いた。
390サムライと少女 ◆JwgQMiO9V2 :04/01/04 17:22 ID:BsOEL762
瑞々しい少女の乳房が晒される。男はゆっくりと、その膨らみに手を当てた。
中心に手を触れぬように、ゆっくりと撫で回す。
そして、ふいにその中心に触れる。
指で摘み、弾き、こねる。たちまち、敏感なその部分は硬くそそり立った。
キエルは声を出さないように唇をかみ締める。
だが、彼女の吐息が深くなるのを男は気づいていた。
ふいに、彼女の耳元を噛む。
たまらず、彼女が顔を逸らそうとする。
「やめて・・・」
手のひらで乳房を全体的に撫でつつ、硬くなった乳首を指の間で刺激する。
キエルの白い顔が徐々に赤くなっていく。唇が少し開く。
ギンガナムは彼女のその表情を楽しそうに見つめると、
その乳白色の首もとに唇を近づける。
キエルの唇から「あっ・・・」と甘い吐息が漏れた。
彼が首元から唇を離すと、彼女の瞳が少し潤んでいるのがわかる。
ギンガナムは左手で胸を愛撫しつつ、右手は下半身へと向かう。
手を足に這わしつつ、するっとスカートの中へ手を入れる。
「イヤ!!」
キエルは激しく抵抗する。両腕はふさがっているので、下半身を必死で動かすのだが、
ギンガナムに押さえ込まれているため、
結局、足だけがバタバタと動く。男の手が少女の太腿を撫でる。
男の手が入らないように、少女は足を閉じようとする。
だが、彼の手が一瞬先に入り、少女の内腿に触れる。

「・・・やめて」

涙が溢れる。

「ハリー・・・」

その呟きは、男をいらだたせるのに十分だった。
391サムライと少女 ◆JwgQMiO9V2 :04/01/04 17:23 ID:BsOEL762
その頃、ハリー・オードは艦内で情報収集に余念がなかった。
この艦には古い知り合いや元部下も多く、彼らの情報を総合すると、
現在ミリシャは月に向かい、アグリッパ・メンテナーとの面談申し入れをしているとのことだ。

『ディアナ様に早く合流した方がよさそうだな・・・』

ハリーはふと、通信機を仕込んだペンダントが手元にあることに気づいた。
キエルに渡そうと思って、忘れていたのだ。
ゆっくりと居住ブロックに向かって体を流しながら、

『ところでギンガナムはどこにいるのだろうか・・・?』

ハリーは、側にいた兵を捕まえると、ギンガナムの居所を尋ねた。
「よく存じ上げませんが、さきほど居住ブロックの方へ行かれるのをお見かけしました」
その返事に、ハリーは胸騒ぎを覚えた。
392サムライと少女 ◆JwgQMiO9V2 :04/01/04 17:27 ID:BsOEL762
男は、少女のスカートのボタンを外し、ペチコートを脱がし、ズロワースをひきずり下ろした。
白くすらりと伸びた肢体が露わになる。小さな臍に、薄い金色の茂み。

ギンガナムは彼女の太腿の内側を何度も撫で、徐々にその指を奥へと伸ばしていく。
キエルはその指を避けようと、必死で体をくねらせる。
男の目には、その姿がなんとはなしに、可愛らしいものに映った。
左手で乳房を愛撫しながら、右手の人差し指でゆっくりと割れ目をなぞっていく。
「もう・・・やめて・・・ください」

少女は小声でそう呟く。
だが、女王を犯すかのような背徳感に満ちたこの行為を男が止められるはずはなかった。

男の指が、金色の茂みの中をまさぐる。
肉芽のまわりをゆっくりと撫でるが、その中心には触れていない。
すでに、その部分は熱い液体で濡れている。男は、ふいに、その敏感な中心に触れる。
あっ、と少女が小さな声をたてる。
その反応を見て、ギンガナムはニヤリと笑うと、感じやすいその突起を、
親指と人差し指で、つまみ、ゆっくりとこねるように、もてあそんだ。
たちまち溢れた液体を、中指ですくい、肉芽にこすりつけた。
ぬるぬるになったその部分が硬くそそりたっていく。
キエルの唇から、甘い声が漏れた。
「・・・もう、やめて・・・こんなこと・・・されたら・・・わたくしは・・・」
涙目でギンガナムを見つめた。
「お楽しみはこれからだ。もっと感じさせてやるよ」
ぶっきらぼうに、囁くと、男は、彼女の足をふいにつかみ、持ち上げた。
少女の濡れそぼった秘所が男の目に晒される。
淡い桃色の襞と、赤く充血した突起が、ぬるぬると光っている。
393サムライと少女 ◆JwgQMiO9V2 :04/01/04 17:29 ID:BsOEL762
「いや!やめて!見ないで!」
キエルは激しく叫んだ。
「ふふ、恥ずかしいのか?」
男は笑うと、肉芽に手を触れ、その中心を剥き出しにした。
触れるか触れないかくらいの、微妙な加減でそこを責める。
キエルは耐え切れずに、甘く鼻にかかった声を上げた。
剥き出しになった赤く硬い突起を親指と人差し指で弾くように激しく転がすと、少女の吐息が荒くなる。
羞恥心と激しい快感からか、女の蜜が次々にあふれ出し、太腿に伝って流れ落ちた。
彼は、ゆっくりと、中指を液体でぬめる襞の中心に差し入れようとする。
が、厚い肉壁に阻まれた。

ギンガナムはキエルの耳元で囁く。
「生娘か?ハリーにはまだ抱かれていない?」
キエルは彼から顔をそむけ、
「大尉は・・・そのような方ではありません・・・」
上ずった声で、途切れ途切れにそう答える。
ギンガナムはどうしても靡こうとしない娘に対してさすがに苛立ちを隠せなかった。
「・・・あの男はディアナの犬だ。忘れろ」
と、人差し指と親指で、肉芽を捻るように転がし、襞の中心に無理やり差し込んだ中指をくいくいと動かす。
溢れた液体がくちゃくちゃと音を立てた。
「いい音だ」
「・・・やめて、もう、お願い・・・」
あえぎながら、キエルは懇願した。

さらさらとした液体が彼女の内股を伝っていく。
だが、懇願されても、男は愛撫の手を緩めなかった。
それどころか、ますます激しく、一番敏感な肉芽をこねるように責めた。
さらに、空いた左手で、硬くそそり立った乳首を撫で回す。
キエルの白い足がガクガクと震え、息遣いが激しくなる。
やがて、「あっ」と小さく叫び声をあげて、キエルの体が崩れ落ちた。
394サムライと少女 ◆JwgQMiO9V2 :04/01/04 17:30 ID:BsOEL762
ギンガナムは倒れる寸前の少女の体を抱きとめた。
そして、彼女の表情を覗き込んだ。
放心したかのような虚ろな眼差しに涙の痕。
やがて、半開きになった少女の唇にゆっくりと自らの唇を重ねた。
キエルは無抵抗のまま男の唇と舌を受け入れた。
やがて男の唇が首を這い、鎖骨へとその痕を残す。

「もう・・・やめましょう、ね、ギム・・・」
かすれた声で少女が男の耳元でささやく。
彼は驚いて少女の顔を見上げた。

不安げで泣き出しそうな眼差しと、強い意志を示すかのようにキュッと結ばれた口元。

このアンバランスさが胸を衝いた。
「・・・初めて私の名前を口にしたな、キエル・ハイム」
彼は、少女の金色の髪を撫でる。
だが、その愛撫は、彼自身も気づかないほど、優しい。
男の肩にあごを乗せ、キエルは彼のなすがままに任せた。
抵抗する気力もなかった。

キエルがゆっくりと目を閉じた、その瞬間、ドアが開いた。

そして、次に目を開いた時、その目に飛び込んできたものは、かの男だった。
395サムライと少女 ◆JwgQMiO9V2 :04/01/04 17:32 ID:BsOEL762
ハリーは、目の前に広がる光景に呆然とした。
半裸で男と絡み合う金色の髪の少女。

それは、キエル・ハイムその人だった。

「これは一体?」
ハリーは叫び声を上げ、二人のもとに駆け寄った。
ギンガナムは、キエルの体からゆっくり離れると、ハリーを見つめた。
キエルは、支えを失い、だらんと、両手をあげたまま窓枠にぶら下がっている。
「よぉ、何だ、ハリー。せっかくお楽しみ中だったのに、邪魔してくれるな・・・」
「ギム・ギンガナム!何の真似だ!」
ハリーは彼に詰め寄った。ギンガナムは、右手の人差し指をぺロッと舐めてみせた。
「ただの味見だよ。地球のお嬢さんはかわいいものだな」
「!!」
怒りのあまり、銃を抜こうとするハリーのその右腕を、ギンガナムが反射的につかんだ。
「おっと、ハリー、守りきれないのに、連れて来るお前が悪い。
女好きなお前が手を出していないのは、勿体なかったな」

そう言うと、なぜかハリーにウィンクして、部屋を出て行った。
396サムライと少女 ◆JwgQMiO9V2 :04/01/04 17:34 ID:BsOEL762
後に残されたのは、キエルとハリーの二人。
ハリーは、彼女の方に向き直ると、絶句した。

ブラウスの前ははだけて、白い胸が露わになっている。
張りのある形のよい乳房に、薄い桃色の小さな乳首がつんと上向きについている。
下半身は、靴下と靴以外は何も身に纏っていない。
白い両肢はすらりと伸び、金色の茂みが柔らかそうな色を添えている。
まさしく、その裸体は、地球の大地で健康的に育った若い娘のそれだった。

だが、太腿にぬらぬらと光る透明な液体が、その行為の後を残していて、ハリーを激しく動揺させた。

自らを落ち着かせるかのように深呼吸して、彼は、キエルの元へ歩み寄った。
だが、
「来ないでください!わたくしのことは放っておいでください!」
と、鋭い叫び声があがる。
長い金色の巻き毛で彼女の顔は見えない。だが、泣いているようだ。
ハリーは躊躇した。少女の肩が震えている。泣き声を押し殺しているのがわかる。
こんなときですら、感情を抑制しようとするキエルを見て、彼は唇をかみ締めた。
素早く、彼女のもとに近寄り、左腕で彼女の体を抱き上げた。
だが、キエルは、激しく抵抗し、泣きながら、
「向こうに行ってください。お願いですから!」
と、彼の腕の中で暴れた。手首に巻きつけられた糸を切ろうとするが、
キエルが激しく抵抗するために、なかなか手元が定まらない。
そのうち、その透明な細い糸が彼女の白い肌に食い込み、赤い血がにじみ始める。
ハリーは苛立った。こんな状況下でキエルに手を出すつもりなど毛頭ないのだが、
彼女はその意図を誤解していると思った。

「キエル嬢、ご安心ください。手首の糸を切るだけです。
これ以上動いては、怪我をしますから、じっとしていてください」
と、耳元で囁く。そこで、ようやく、キエルは大人しくなった。
397サムライと少女 ◆JwgQMiO9V2 :04/01/04 17:36 ID:BsOEL762
ハリーは、キエルの両手を自由にしてやってから、
彼女の体を抱き上げると、ベッドに運び、その端に座らせた。
シーツで彼女の体をふんわりと包み込むと、そのまま彼女の肩を抱きながら、
自らもその横に腰掛けた。

「キエル・ハイム・・・私が彼のように不埒な真似をする男だとお思いか?私は・・・」
と、ハリーは静かな口調で語りかける。
だが、キエルがキッと顔を上げた。泣きはらして目が真っ赤だ。
「そうではないのです。あなたに・・・こんな姿を・・・」
キエルの瞳から涙が溢れる。
「こんな姿を見られたくないのです・・あなたにだけは・・・・」
うつむき、声を押し殺して泣く彼女に、ハリーはため息をついた。
激しい後悔の念しかなかった。
彼女の手を取り、その手首をみた。細い糸の痕が二重にも三重にも残り、血が滲んでいる。
そして、泣き続ける彼女をゆっくりと抱きしめた。
金色の髪を優しく撫でる。ふと、その首元に何か赤い痕跡が見えた。
その正体が、口付けの痕だと気づいた瞬間、ハリーは何か言いようのない激しい感情に襲われた。

ギンガナムはこの少女の何を見たのか?
どこをどう触れたのか?あの男が触れ、口付けした箇所を全て、確認したい。
そして、代わりに自分がその痕を拭い去るように、触れ、口付けしたい・・・

この感情の正体を自覚した瞬間、ハリーは、キエルの体をゆっくりと離した。
398サムライと少女 ◆JwgQMiO9V2 :04/01/04 17:38 ID:BsOEL762
「・・・間もなく、この艦を出ます」
そう告げた。キエルは、無表情のまま彼を見上げた。
ハリーは袖口から、小さなペンダントを取り出して、彼女の手のひらに載せた。

「何ですの?」
「通信機が内臓されています。これで、連絡が取れますから」
そう言って、ペンダントをつまみあげると、彼女の首に自ら掛けてやった。
キエルは俯いた。これが意味することを悟ったからだ。
「・・・で、大尉はどちらに?」
「もう少し、艦内で情報を集めてから、ディアナ様のもとへ向かいましょう」
「・・・そうですか。わかりました。そばにいてくださいと申し上げても無駄だとわかっていますから」
と、小さな声で無気力にそう呟く。
ハリーは唇を噛んだ。彼女にこのようなことを言わせてしまうのは不本意だ。
ただでさえも自らを抑制しがちなキエルに、これ以上我慢を強いるのは心が重かった。

「申し訳ありません。ですが、もう二度とギンガナムにあのような振る舞いはさせません。
いや、どんな男でも、貴女に指一本触れさせませんから・・・どうか私を信じて頂きたい」

ハリーはキエルの足元に跪いた。

今できるのはこれだけだ。

『そう、あなたの体に触れることができるのは、私だけ・・・』
と、密かに心の中で付け足した。

−完−
399Marron ◆JwgQMiO9V2 :04/01/04 17:41 ID:BsOEL762
前と後が長くてすみません。
あんまりエロくないぞ、ゴラァ!と思われるかもしれませんが、
ぬるい萌えエロということで、ご容赦を。

長々と失礼しました。

400名無しさん@ピンキー:04/01/04 19:07 ID:g642mlY7
Fekia様キタ━━(゚∀゚)━━!!!


と思ったのに…_| ̄|○
401名無しさん@ピンキー:04/01/04 21:57 ID:7LUCjy2s
>400
なんじゃ、そら。もう少し考えて発言しようよ。
402名無しさん@ピンキー:04/01/04 22:35 ID:SRyfFHnZ
          ___ 
          (っ )      n_____n
     .n_____n|  |     ノ ' __,   ,_ヽ
     ノ '     ヽ|  |    i  ;;;ノ,  ●|
    i  ●  ●l  !  '..,' メ、. (__●.) . ミ
    ,メ、. (__●.) ._ /  ’, ・ /   .じ'  \
  ∠ニつ .じ' /   ∵ ’/ >>400 /ヽ J


403名無しさん@ピンキー:04/01/04 23:01 ID:f6gI2w/n
>>400
折角投下してくれたのになんて言い草だ。こんな奴がいるスレなんて寂れて当然だな。
404名無しさん@ピンキー:04/01/04 23:11 ID:6AhfH9C5
age
405名無しさん@ピンキー:04/01/04 23:14 ID:uWqk/HcQ
自分の萌えと違う時はスルーするか、別の話題をふるが吉。

ちゃんと嫁

406名無しさん@ピンキー:04/01/04 23:28 ID:+b6x8O8g
釣られてばっかで誰も感想書かない。
スルーなレヴェル?
407名無しさん@ピンキー:04/01/04 23:32 ID:0XXcf9p1
うん、どうみても板違い?
408名無しさん@ピンキー:04/01/05 06:59 ID:90b7hYPb
>>399
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!投下、乙です。

御大将×キエルとは、誰も思いつかんかった罠。

409名無しさん@ピンキー:04/01/05 13:14 ID:+4BzOmQi
ありそでなかったよな。
職人さんありがとう。∀ネタがもっと読めますように。
410名無しさん@ピンキー:04/01/05 22:26 ID:l3GIyGAi
>386-398
乙&d。良かったらまた書いてください。
(・∀・)ノ旦~~
411名無しさん@ピンキー:04/01/08 00:45 ID:UyXkOL49
>>400-407
こんなんだから誰も投下したがらないよな。
ここはFekia専用スレでもないんだし
ま、釣られてる俺も俺だが。いちいち新職人が来る度に撃墜してると駄目だろ
412 ◆ZAxBErybqE :04/01/09 13:45 ID:+HMI7g1V
小雀です。明けましておめでとうございます(と言うには遅すぎますが/汗)。
昨年は大変お世話になりました。また感想や励ましを、ありがとうございました。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

それでは「追憶」の第5章をUPするために15レスほどお借りしますので、
好みでない方などは、お手数でしょうがスルーをお願いします。
「セシリーは? セシリーをどこにやったんだ!?」
 執務室に再び迎え入られたシーブックは、当然あると思っていた姿がないことに声を荒げた。
「疲れている様子なので部屋で休ませている。こっちに移動しろ、私の部屋だ。マイッツアー様の部屋を、私が勝手に使う訳にはいかないからな」
 執務室の横にある扉を開けて、中を指し示す。

「本当かどうか、分かるもんか!」
 こいつが何か企んだに決まっている。
「後で顔を合わせた時に、どうしたのかなどとは聞くなよ。ベラが困るだけだ」
 ザビーネはシーブックの憤りを歯牙にもかけず、立ち戻って執務室の部屋の窓を閉めながら言い足した。

「! セシリーに……貴様っ!」
 直感で意味を察したシーブックが、殴りかかろうとする。簡単に止め、反対に腕を捻り上げるザビーネ。
「手間を取らせるな」
 苛立たしそうな声と込められた力の強さが、全く手加減していないと告げている。

「うぅっ……セシリーはそんな女じゃない! 貴様が無理強いしたんだっ!」
「何の話をしている? 私は休憩中だと言っているだけだ。政治に携わる人間が体調管理を怠ってしまったと、本人も気にしているから聞いてやるなと」
「……」
 嘘だと思っても反論できない。これ以上言うと、セシリーをもっと辱めてしまいそうだった。

 体勢を逆転しようともがくシーブックに、ザビーネが言う。
「おまえは何をしに来た!? ベラの役に立つ気がないのなら、とっとと帰れ。私は演説の準備で忙しいのだ」
「演説!? あの話をOKしたのか?」
「ああ。ベラにも協力すると伝えた。そのためのお膳立てを急がねばならん」
「それなら手伝うから、この手を離してくれ」
414追 憶 第5章  ◆ZAxBErybqE :04/01/09 13:48 ID:+HMI7g1V

 ようやく解放されたシーブックは、移動した隣室で思いがけないものを見つけた。書棚に飾ってあった一枚の写真――寛いだ様子のセシリー・マイッツアー・ザビーネの三人が写っていて、そこだけ温かな空気が流れている。セシリーの幸せそうな笑顔。
 愛し合っている二人への激しい嫉妬が心を覆う。コスモ・バビロニアに着いて、この男と顔を合わせた瞬間にセシリーの全身から立ち昇った、切ないまでのオーラ。そして、この男もまた……

 机に座ったザビーネが、写真に見入っているシーブックを横眼で捉えつつ、話し始める。
「手伝うと言うが、何ができる!? 演説の下原稿作成か? マスコミへのブリーフィングか? 条約文の原案作りか?」
「……機械の整備と、モビールスーツの操縦なら……ブランクがあるけど」
 椅子を勧めてもらえないため、机の前に立ったまま答える。

「あの計画に、そういう人手は必要ない」
「……」
 無力感に打ちのめされるシーブック。セシリーの役に立ちたくて、付いてきたのに。
 その様を見て取り、内心でほくそ笑みながらザビーネが言う。
「仕方がないから、仕事を与えてやろう。ベラの身辺警護だ。私が居る間はいいが、居ない時は貴様がベラを守れ」
「言われなくたって、そうするよ」

 ザビーネは言葉を継ぐ。
「ベラが後継者になることに反対する勢力がある。あの計画を知られれば、敵は更に増えるだろう。殺すか監禁するか……専門の警護官も付けるが、最後にモノを言うのは心だ。馴染みの薄い警護官よりは、貴様の方が守れる可能性がある」
「……分かった」

 シーブックは、セシリーの傍に居られると分かってホッとしたものの、「殺す」「監禁する」などという物騒な語句が簡単に語られることに驚く。自分の日常とは全然違う世界――
 今は圧倒されるばかりだが、いつかきっと、この男を負かしてみせる。こんな殺伐とした、闇を背負った男はセシリーに相応しくない。彼女にはもっと穏やかな、光の中の暮らしが似合うんだ。
415追 憶 第5章  ◆ZAxBErybqE :04/01/09 13:50 ID:+HMI7g1V

「それから、ここで『セシリー』と呼ぶのはやめろ」
「どう呼ぼうが、あんたには関係ない」
「関係があるから言っている。能天気な生活を送ってきた大学生には分からないだろうが、これは個人的な問題ではなく政治的な問題だ。この地に居る以上、政治的な判断をしなければ、ベラに迷惑をかけるだけだ」

 そんな簡単なことも分からないのかと、冷ややかな瞳が言っている。しかし、シーブックには意味が分からなかった。「政治的」とは?
「何が迷惑なんだよ!?」
「分からん男だな。ベラを偽者と決め付けたがっている者が居るのに、偽者扱いに口実を与えてしまう『セシリー』という名を呼び続けるなど、考えがなさ過ぎる」
「そういうことか」
 ようやく合点がいく。呼び方にも気を使う必要があるなんて、なんとういう面倒な場所だ。

「人前では必ず『ベラ様』と呼べ。大して役に立たんのだから、これぐらいは協力しろ」
「でも、レジスタンス・パイロットだった俺が『ベラ様』と呼んだら、却って偽者っぽく見えないか? あの計画がバレた時、俺が『ベラ様』と呼んでいたせいで、『これは連邦政府の送って寄越した偽者で、それでコスモ貴族主義を否定するんだ』と言われそうだ」
「ほう……貴様、馬鹿ではないようだな」
 あざけるような表情で笑うザビーネ。

「当たり前だ!」
「そう怒るな。試してみただけだ。では聞くが、どう呼べば良いと考える?」
「……『ベラ・ロナ』」
「理由は?」
「俺は友人でもあるから、『ベラさん』では胡散臭く聞こえちまう。『ベラ』では馴れ馴れし過ぎてあんたたちが気に入らないだろうし、婚約者を持つ彼女の立場もある。『ベラ・ロナ』という距離感のある呼び方が、一番無難だと思う」
416追 憶 第5章  ◆ZAxBErybqE :04/01/09 13:51 ID:+HMI7g1V
 黙って聞いていたザビーネは、口元を僅かに上げると言った。
「少しは頭を使い出したようだな……結構だ、その呼び方にしろ。それから、貴様は『シーブック・アノー』でいいのか?」
「え!?」
「この地でその名を名乗って、家族などに迷惑がかからないのかと、聞いている」

 シーブックはもう一度考えて、言葉を返す。
「……大丈夫だ。戦争を終わらせるために動くんだから、連邦にとっても良いことなんだし」
「そうか。では使わせてもらうぞ、その名前」
「使うって、どんな風に?」
 相手が相手だけに、不安な気持ちになる。

「ベラが演説をする時、横に付き添っていろ。マスコミに映像や写真を撮らせ、『かつてのレジスタンス・パイロット、シーブック・アノーとクロスボーン・バンガードが和解』と宣伝させる。終戦の和平ムードを盛り上げるのに使えるからな」
「よくそこまで考えるもんだ」
 計算高さに呆れる。クロスボーンの侵攻以来、それまで何気なく見ていたマスコミ報道にも裏があると知った。けれど、自分と同じ二十代の人間が、その「裏」を作っていようとは……

「貴様が考えなさ過ぎるだけだ」
「悪かったな……せいぜい見させてもらうさ。あんたの陰険な策士っぷりをね」
「嫉妬は見苦しいぞ。妬ましいのなら、自分もやればいいだけだ」
「……」
 胸の内を正確に言い当てられて、言い返すことができない。こいつの傍に居ると、自分がいかに幼いかを思い知らされるばかりだ。


 話は終わりだ客間に戻っていろ、と言われて部屋を出ていきかけたシーブックの背に、ザビーネが声をかける。
「言い忘れるところだった。モビールスーツの操縦訓練をしておけ」
「そういう人手は必要ないって、言ったじゃないか」
「念のためだ。徹底交戦を叫ぶ輩が出てくるかもしれない。こちらで対処するが、人手があるにこしたことはない」
417追 憶 第5章  ◆ZAxBErybqE :04/01/09 13:52 ID:+HMI7g1V
 今後、起こるだろう混乱を思うと、シーブックも身が引き締まる想いに駆られる。
「慎重だな」
「当然の処置だ。あらゆる可能性を考えなければならん」
「分かった。セシ……じゃなかった、ベラ・ロナの傍に居なくていい時に、やっておくよ」
「それだと、大抵は夜になるな。連邦サイドの貴様に大っぴらに訓練させる訳にもいかんから、丁度いい」

 ベラとザビーネの間で取り交わされた約束――暫くの間、二人の関係を凍結すること――を知らないシーブックは、頬に血を上らせた。夜の時間は二人で過ごすからか……
 頭を振って妄想を打ち払い、せめて一太刀を浴びせようとする。
「あんた、自分の身は大丈夫なのか? あの計画に協力すると、クロスボーンの連中から裏切り者扱いされるぞ」
「それぐらいは考えている。それに命を失ったなら、その時はその時だ」
「……」
 この男は命を賭けている。そこまでさせるものは何なんだ……?

「どうした!? 怖気づいたか?」
「命を粗末にするなよ。あんたが死ぬと、セ……ベラ・ロナが悲しむ」
「貴様にはその方が都合がいいだろうに」
「馬鹿にするな! そんなんで勝っても、ちっとも嬉しくないっ!」
「ほう、私に勝つつもりでいるのか!? これは面白い。お手並み拝見といこう」
 楽しそうに笑い、値踏みするような視線を向ける。

「ふんっ」
 悔しいがセシリーの選択は間違ってない。自分が彼女の立場でも、こいつを選ぶ。権力の傍で培った、的確な判断力と行動力。豪胆さと細心さ。優れた頭脳と悠然たる態度。女から見て、これほど頼もしい男は居ない。
 だけど俺は執念深いんだ。セシリーを諦めるものか。こいつとは違う形で、きっと相応しい男になってみせる!
418追 憶 第5章  ◆ZAxBErybqE :04/01/09 13:54 ID:+HMI7g1V

 部屋を出てゆくシーブックを、ザビーネは何食わぬ顔で見送りながら考えていた。
 戦闘能力は優れていたが、その他の面では経験不足が目立つ。しかし勘と飲み込みはいいようだし、鍛えれば数段ましになるだろう。
 報告書には温和な性格とあったのに、今回は短気で感情がすぐ顔に出ていた――あれは嫉妬と動揺のせいか。それだけベラに惚れ込んでいると。そこを突けば、こちらの思う通りに動いてくれそうだな。
 ベラの傍でぬくぬくと過ごした五年間の返礼に、存分にこき使ってやるから楽しみにしていろ、フフフ。

 頭の中が回転し出す。
 葬儀の手配、演説の草稿作成、ベラへのスピーチ指導、連邦との講和条約締結交渉、武装解除とクロスボーン・バンガード解散の下準備、フロンティアIV明け渡しのための段取り、主だった者たちとブッホ・コンツェルン関係者への根回し、マスコミへの呼び掛け。
 暫くは不眠不休だな。ベラの部屋の隣に私室を確保しておいたが、幾晩そこで眠れるやら。その方が我慢する必要がなくていいのかもしれないが。

 短期間でこれだけの仕事をやってのけるのは、相当な激務だ。秘めた思惑と惚れた弱みがなければ、到底やる気にはなれん。しかもそれは、自分が懸命に築いてきたものを、全部ぶち壊す仕事。
 今は一段落した後だけが楽しみだ。ベラだって、そうそう痩せ我慢はできまい。まあ自分もだが……

  *     *     *     *     *     *     *

 壇上から、ベラのよく通る声が響く。マイッツアーの葬儀の締めくくりとなる追悼演説。ボイス・トレーニングとスピーチ・レッスンを受け、この日のために念入りに準備してきた。
 右横にはシーブックが付き添う。正式な席と考えてスーツを着ようとしたところ、ラフな格好の方がレジスタンス・パイロットらしく見えていいとザビーネに言われたため、いつものブルゾン姿のままだ。
 最初の頃は呆れるばかりだったザビーネの計算高さも、今では見事な人心収攬術だと見て取る気持ちになっている。自分も同じ真似をしようとは思わないけれど。
419追 憶 第5章  ◆ZAxBErybqE :04/01/09 13:55 ID:+HMI7g1V
 マスコミ各社は、「かつてのレジスタンス・パイロット、シーブック・アノーとクロスボーン・バンガードが和解」というシナリオに沿った写真や映像を、撮り続けている。
 彼の素性を知らない人間にとっては、なぜあんな若造がベラ様の隣に居るのかと、訝しく思う光景でしかなかったが。


 ベラ・ロナはまず彼を悼む言葉を述べ、次に共に闘ってきた人々への感謝の気持ちを述べた。クロスボーン・バンガードの挙兵が民衆に支持されたのは志の高さゆえであり、自分はそれを誇りに思っていると。
 その上で、後継者の自分がする最初の施策は連邦政府との条約締結だと、公言する。以前フロンティアI制圧作戦に同意し、出陣した自分ではあるが、武力ではなく対話によって未来を作ってゆく時期が来ているのだからと。
 少数の者がざわめいたが、ザビーネの根回しで予め知っていた人々の落ち着いた様子に、すぐに沈静化した。

 そしてベラが声も高らかに言い出したのは、コスモ貴族主義の否定だった。
 一握りの人間が「貴族」「高貴な者」を名乗って他の者を導くというやり方は、導く者だけが物事を考え、他の者は何も考えなくなってしまうという危うさを持っている。
 コスモ貴族主義は、人は生まれながらにして平等だという考え方と相反するものであり、人と人の間に階級や選民意識を作ってしまうものだ。

 「貴族」が間違いを犯さないという保障はない。現に鉄仮面は五年前、バグやラフレシアを使って人類粛清のための大量虐殺行為を行った。
 ここに居るシーブック・アノーのお蔭でその陰謀を潰すことができて、自分は心から感謝しているが、「貴族」が再び同じ行為をした時、誰がどうやって止めるのか!?

 そういった安全装置を持たず「貴族」の良心や個人的能力だけに頼ってしまうコスモ貴族主義は、個人で信奉する分には問題がなくとも、国を形作るものとしては不適格である。
 主義を唱えたマイッツアーの直系の孫であり後継者でもある自分は、コスモ貴族主義による建国の否定と、それを精神的支柱にしてきたクロスボーン・バンガードの解散をここに宣言する。
420追 憶 第5章  ◆ZAxBErybqE :04/01/09 13:56 ID:+HMI7g1V
 戦争を終結させ、フロンティア・サイドを連邦政府へ返還するための講和条約を、今から締結する。条約文には戦争に関わった人々の免責が明記されているから、あなた方が罪に問われはしない。
 向後の勤め先はブッホ・コンツェルンが全面的に支援するし、住居もブッホ・コロニー内に用意する。今はただ、粛々と残務整理を行って欲しい。
 条約締結は、スペースノイドの自治権獲得運動を否定するものではない。スペースノイドの地位向上のために、自分は今後も連邦政府に粘り強く働きかけていく所存である――


 クロスボーン要人たちの一部にとっては、初めて聞く話だった。ザビーネからは、連邦政府と一時的な停戦条約を結ぶとだけ、聞かされていたのだ。
 彼の言葉に疑いを持つ者もいたが、そういう者でさえ急速に講和条約締結までいくとは考えておらず、呆然とする者が殆どだった。罵声を上げる者は警護兵が容赦なく押さえ込み、抵抗すると反逆罪で捕縛すると脅す。
 サクラの声援に乗せられた者たちが「ベラ様万歳」を叫び始める。怒涛のような歓呼の声。長引く戦乱に疲れ果てていた人々にとって、ベラの姿は救国の女神に見えた。祖父の過ちを正し、全ての責任を自分の手で果たそうとする、潔く実行力に飛んだ優秀な指導者。

 影の演出家であるザビーネは、要人たちの最前列に座り、ベラの気迫の篭もった演説を見守っていた。
 騙されていたと知った者たちが向ける、刺すような視線と怒号は全く気にならない。それよりも演説場面に鮮明な既視感を覚え、驚いていた。
 昔見た映像は、この場面だったのか! となると、ベラが艦長をしている戦艦で、モビールスーツ・パイロットとして一緒に戦う未来もやってくるのだろうか!? 前線に立たせるような、危険な真似はさせたくないのだが。

 ベラの姿に見惚れてもいた。鮮やかに煌く意思的な瞳、気品に満ちた表情と仕草、凛とした声に乗って内面から溢れ出る知性――姿形だけでなく、自分の力で未来を形作ってゆこうとする、その生き様こそが美しいのだと思う。
 ロナ家の一員であろうと気を張り詰めていた世慣れぬ少女が、今、自ら輝きを放つ一人の女性として自分を強く魅了する……
421追 憶 第5章  ◆ZAxBErybqE :04/01/09 13:58 ID:+HMI7g1V

 ベラは連邦政府の首席全権を壇上に上げ、講和条約に正式に調印した。
 政府の弱点を鋭く突いたザビーネの交渉と、クロスボーンと裏で繋がった政府高官たちの協力により、免責事項が組み込まれた条約文。補償も最小限で済み、ブッホ・コンツェルン所有のコロニーの権利も、引き続き認められている。

 ベラの脳裡に浮かぶ過ぎ去りし日々。
 あの世の母やドレル、カロッゾ、そしてマイッツアーは、今日の光景を見て何と言うだろう? ロナ家の生き残りの者として、この行動は何一つ恥じることがない。誰かがやらなければ、ならなかった。
 逝ってしまった血縁の者たちへの情愛と自分の言動への肯定感は、矛盾することなく両立していた。彼らを愛するからこそ、自分は今、ここに居る。

 ザビーネという素晴らしい援助者に、心から感謝したい。彼には本当に助けられた。戦争終結をいくら訴えても、自分一人ではとてもここまで漕ぎ着けられなかった。
 複雑な想いがあったろうに、感情を抑え、自分の望み通りになるように動いてくれた。大局観と行動力を得難いものと思う。祖父の眼は確かだった。ザビーネを選び、巡り会わせてくれたこと。
 シーブックにも深く感謝している。軍人たちの妬みに辟易して軍を抜けたにも関わらず、元レジスタンス・パイロットとして、彼を裏切り傷付けた自分に付き添ってくれた。大々的に報道されることで、また厭な想いをするかもしれないのに……

  *     *     *     *     *     *     *

 その夜の条約締結祝賀パーティが終わりに近付いた頃、ベラはザビーネの姿を探し求めていた。少し前までは会場に居て自分をエスコートし、一緒に踊ってもくれたが、いつの間にか居なくなってしまったのだ。
 彼の秘書官に聞いても知らないと言うし、探させた者たちは会場には居ないようだと報告する。胸騒ぎがして、客を見送った後で心当たりのある場所を探してみる。あちこち回った末、ふと思いついて、マイッツアーが使っていた執務室に行った。
422追 憶 第5章  ◆ZAxBErybqE :04/01/09 13:59 ID:+HMI7g1V

 真っ暗な部屋の中に窓から薄らと明かりが入り、見覚えのある人影を浮かび上がらせている。肩が小さく揺れていた。微かに漏れてくる声。
 気配を感じたのか、孤影がゆっくりと振り向いた。
「ザビーネ……」
 心に突風が吹き荒れる。ザビーネの苦悩、傷心、哀感が、胸に迫ってくる……

「あなたに見られるとはね……」
 いつもの穏やかな声が返ってきた。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ザビーネ! あなたに甘えて、厭なことばかりさせてしまって――」
「いいのですよ、私も同意したのですから。少し感傷的になっていただけです。来し方を振り返ったりしてね」
 どこまでも静かな声が、それゆえに深い想いを伝えてくる。

「ザビーネ!」
 走り寄って抱きつく。言える言葉が一つもなく、ただ触れていたいと願う。背伸びをして眼尻の水滴を全て吸い取った。いつもザビーネがしてくれるように。
「一人にしておいて欲しいと言うつもりでしたが、ベラには敵いませんね」
 背に回された手から感じる仄かな温かさ。

「その方がいいなら、そうします。勝手に踏み込んでしまって無神経だったわ……ごめんなさい」
「……私と一緒に居てください。同情でも構いませんから」
 物哀しい言葉に、声を限りに叫ぶ。
「同情なんかじゃないわ、愛してる、愛しているのよ! それなのに、ザビーネを苦しめてばかりいて、私は……」

 額に軽く口付けて言う。
「ベラが悪いのではありません。私の力不足なのです」
「違うわ! ザビーネはいつも最善を尽くしていたもの!」
 強く抱きしめる。ザビーネが悪いんじゃない、ザビーネのせいじゃない!
423追 憶 第5章  ◆ZAxBErybqE :04/01/09 14:01 ID:+HMI7g1V

「関係の凍結は終わりですか? こんなことをすると、今すぐ押し倒してしまいますよ」
 からかうように言い、手を下ろして尻の辺りを撫で始める。
「ザビーネったら!」
「フフフ、私はベラに飢えていますから」

 身体でしか語れない想いもある。今、ザビーネと心を通わせるには、言葉よりも抱き合った方がいいのかもしれない。
「……私の部屋でなら、いいわ……」
「会場に居なくていいのですか?」
「パーティはもう終わりよ。片付けをしている人たちが残っているから、後でまた顔を出…うぅん……」

 話半ばで唇を奪ったザビーネが、ニヤリと笑いながら告げる。
「後で、ね。私がそれを許すとでも?」
「……」
 前回、この部屋で倒れてしまった自分を思い出して赤面する。この一月(ひとつき)の間、心も身体もずっとザビーネを求めていた……

  *     *     *     *     *     *     *

 部屋に入り、再び口付けを交わした後でザビーネが言う。
「いつも夜中に様子を見に来ていたでしょう? 嬉しかったですよ」
「気が付いていたの!?」
 夜遅くまで働いているのが心配で、ちゃんと寝ているかどうか、毎晩部屋を見に行っていた。姿の無い日も多かったけれど、寝ていた時は起こさないように注意していたのに。

「ええ。腕を掴んで抱き寄せようと、何度思ったか」
「私、拒めなかったかも」
「それを知っていたら、痩せ我慢などしなかった……罪な人ですね、あなたは。それはともかく、今日の演説は素晴らしかった。乾杯しましょう。無事に終戦を迎えられたことに」
424名無しさん@ピンキー:04/01/09 14:01 ID:4rk5iStQ
あぼーん?
425追 憶 第5章  ◆ZAxBErybqE :04/01/09 14:03 ID:+HMI7g1V
 グラスをベッドボードに置き、ブランデーを注ぐザビーネ。
「グラスひとつだけで乾杯?」
「ひとつで充分ですよ」
 中身を口に含み、そのまま口付ける。

「んっ……あぁ……」
 口移しで強いブランデーを飲まされ、吐息を漏らす。恋しい男が注ぎ込んだ美酒は、心までも一気に酔わせてくれる。
 ザビーネは口に残った分を自分で飲み下すと、唇を再び合わせ、今度は舌を入れてきた。
「うぅんっっ」
 歯の裏側から歯茎をなぞられ、痺れるような快感が背筋を走る。

 競うように、互いの服を脱がせ合う。部屋の明かりを落とそうとするベラを、ザビーネが止めた。
「明るいところで身体を見せてください」
「え!?」
「頑張った褒美に、いいでしょう!? そういう機会も無かったのですから」
 ベラは俯いて無言の肯定をする。低音の声で囁かれると、それだけで理性が蕩けてしまう……


 ベッドの上に横座りになった裸体を、ザビーネの舐めるような眼が辿ってゆく。
「美しい。どんなに言葉を費やしても足りません。ただ、美しいとしか」
 なよやかな曲線に彩られた肢体は芸術的とも思える優美さで、激務に荒んだ神経を和らげてくれた。
「ザビーネ……」
 率直な賛辞と熱を帯びた眼差しに、早くも泉が湧き出す。恥ずかしさと悦びが胸に溢れ、ザビーネに自分からしがみ付いた。

 ザビーネは片手で抱きとめ、もう一方の手を裸身に這わす。真っ白な宝玉の頂点にだけ、ほんのりと色が付いている。指をそこに置き、頂上から裾野へと弧を描くように動かしてゆく。ふもとに到達すると再び山頂へ。そしてまた山裾へ――
「はぁぁんっっっ!」
 おののくベラ。初めはやや冷たく感じられた乳房が僅かな間に燃え上がり、先端が固く尖り出す。悩ましげに宙を見つめる菫色の瞳と、淡いピンクに色付いた肌の、可憐なコントラスト。
426追 憶 第5章  ◆ZAxBErybqE :04/01/09 14:05 ID:+HMI7g1V
「ベラは本当に感じやすいですね」
「ザビーネだからよ。……っあぁん……そうでなかったら、こんなには…んっ……ならないわ」
「可愛いことを」
 ザビーネは微笑んで唇を強く吸うと、ベラの下半身に移動する。髪と同じオレンジ色の草むらをかきわけて、花蔭をそっと押し広げ、白露(しらつゆ)を煌かせている場所を露出させた。

「ザビーネ!? 駄目よ」
 ザビーネの頭を引き離そうとする。こんなに明るい部屋で、至近距離からそこを眺められるのは初めての経験だった。ブランデーが体内でかぁっと熱を放つ。
「これも褒美のうちですよ。一番好きな場所なのですから、ゆっくり見させてください」

 ベラの手を自分の頭から外し、太腿を広げた状態で固定して、尚も見つめ続けるザビーネ。時折上眼遣いに視線を走らせ、顔を真っ赤に染めて恥じらうベラの表情も、たっぷりと堪能する。
「もうっ、意地悪なんだから……」
「ここは喜んでいるようですが!? ほら、こんなになっている。いい匂いまでさせて」
 わざと音のするように指を動かし、沸き立つ甘酸っぱい香りを胸一杯に吸い込む。

「っやめ……ぁあ…っ! な…泣いているんだわ。それは私…はぁんっ……の涙よ」
「では、もっと泣かせてみましょうか……あなたの涙も大好きですので」
 尖らせた舌で花襞の両脇をツツツと辿り、腹の方を使って大きく舐め上げた。
「あぅんっっ! シャワー、浴びて……んんっ…ないの、に……」
「あなたを味わうには、その方がいいのですよ」

 花蕾を舐め回し、膣口も舌を出し入れして刺激する。素直に反応する様が嬉しく、久々に賞味する蜜にも惹かれて、くどいほどに挑発してしまう。
 ベラの腰が動き出す。愛撫を求め、快感を求めて、忘我の極みに落ち込んでゆく。
「いやぁぁぁんっ……ああぁーーーっ!」
 昇り詰め、頭を振って身悶えする姿が堪らなく艶っぽい。
427追 憶 第5章  ◆ZAxBErybqE :04/01/09 14:07 ID:+HMI7g1V

「私に…も……触らせて」
 ベラが荒い息のまま、分身を握り締めた。
「ベラ!? うぅぅっ!」
 えもいわれぬ快感がザビーネを襲う。熱愛する女の掌に包まれて、心の奥底から情欲が迸り出す。

 手を動かす都度に逞しさを増す肉塊とザビーネの上気した頬が、ベラをも悦ばせる。太腿を伝わり落ちる雫――
「私が上になるわ。避妊もしてあるから大丈夫よ」
「今日は一体、どうしたのです? 今までになく積極的で」
「少し酔っているから……かも。こういう私は厭?」
「大歓迎ですよ、フフフ」

 ベラは下腹を這うように屹立している分身をそっと起こし、ザビーネに手伝ってもらって、ようやく位置を定めた。ぬぷっという淫猥な音を皮切りに、ゆっくりと身体を落としてゆく。大きく開いた笠が内奥を徐々に押し広げ、脳裡に甘美な電流を走らせる。
「あぁぁぁん! ……感じ…る……」
「ベラ……っん…熱い……」

 身を伏せてザビーネに口付け、肌同士の密着感と角度を変えた質感に胸を躍らせる。
「あ……奥に…当たる……」
「どんな感じです?」
「素敵……ザビーネで一杯だわ。でも、もっと…もっと、ザビーネを感じたい……はぁぁんっ!」
 内部で膨らむ気配に、全身をぶるっと震わせる。

「ここは?」
「いっちゃ……ああーーーんっっっ!」
 花蕾を指で転がされ、ベラは二度目の波にさらわれる。愛らしい嬌声と潤んだ瞳、そして収縮する肉襞が、ザビーネを直撃した。
「ベラっ!」
 腰を掴み、奥深く貫く。艶(なま)めかしく揺れる乳房と、滴る愛液が更なる興奮を呼び、繋がった所から身体中に熱が広がる。
428追 憶 第5章  ◆ZAxBErybqE :04/01/09 14:08 ID:+HMI7g1V
「ザビーネ、いいっ!」
 眼も眩みそうな一撃に、心までもが射抜かれる。
「ベラ! …ベラっ……」
「ザ…ビーネっ……」
 下から力強く突き上げるザビーネに、熱く腰を振って応える。たぎる内奥が視覚と言語を奪ってゆく。

「あっ、あっ、あっ、あんっ、あぁぁんっっ!」
「ベラっ……そんなに動いたら…うっっく……いきそ…う、です……」
 ベラが喘ぎ声を上げる度に、肉襞がきゅっと締まって分身を絞り上げる。その上、貪欲に求める扇情的な姿態を見せられては、自制も限界だった。

「来て、来てっ!」
「くぅぅぁぁぁーーーーーーっ!」
 ザビーネは上体を大きく仰け反らせ、腰を突き出して達する。天に向かって吹き上げるかのような激しい噴出。ベラも五感を解き放って快楽の海に溺れる。胸に秘めた哀しみを、ほんの一瞬だけ忘れながら……

  *     *     *     *     *     *     *

 余程疲れていたのだろう、ザビーネは間もなく寝入ってしまった。切ない眼差しで寝顔を見つめるベラ――
 執務室にザビーネの姿を見つけた時ほど、心の距離を感じたことはなかった。私には喜びだった終戦が、彼にとっては苦痛でしかなかった事実。生きていて欲しいと望んだのは、身勝手な我侭だったのかもしれない。
 人は所詮一人なのだ。どんなに深く愛し合っていても、心の全てを重ね合わせることはできない。だからこそ、身体だけは少しでも深く重ね合わせたいと望むのか?

「ベ…ラ……」
 ふいに甘やかな声が上がる。起きていたのかと驚いたが、寝言だったようだ。幸せそうに微笑み、再び眠りの中へと入ってゆく。
 夢でまで自分を求めてくれている様が、胸に小さな明かりを灯す。そっと口付け、横たわって全身をザビーネに密着させた。今はただ、温もりだけを感じていたい……
429 ◆ZAxBErybqE :04/01/09 14:10 ID:+HMI7g1V
第5章は以上です。
書き溜めていた分をこれで全部UPしてしまったので、第6章のUPはずっと
先になりそうです。最終章までの構想は決めてあるのですが、箇条書き
状態の部分が多いものですから・・・
申し訳ありませんです。
430名無しさん@ピンキー:04/01/09 21:49 ID:4nI37TFb
ああ、大量にあぼ〜ん掛かってるってことは、またゴミが来たか…
自動で消えるから精神衛生上はいいんだが
ひょっとして…また前書きやら後書きやら痛い書き込みしてたりするか?
431名無しさん@ピンキー:04/01/09 22:26 ID:cpUwOrAR
>小雀さん
2次創作だからなんともいえないか、正直、ここまで来てどう考えでも
クロボン一巻の状況まで持っていくのは無理あると思う、
無理やり繋ぎ合わせるのもかえて萎えるから、いっそう原作の後の
シチュエーションを無視して、新のストーリーラインを作るのは如何でしょうか?
432名無しさん@ピンキー:04/01/09 22:47 ID:vgm5GtVK
>431
激しく同意。
433名無しさん@ピンキー:04/01/10 00:05 ID:5uQ7N2ie
>>430
気になるならNGワードになんて登録すんなよ。ただの厨だろそりゃ。
434名無しさん@ピンキー:04/01/10 08:05 ID:NAaH2u/Q
最後まで構想が出来上がっているということだし時間かかっても最後まで読ませて欲しい。
435名無しさん@ピンキー:04/01/10 17:58 ID:cxyXCBVN
クロボンとのからみは正直どうでもいいな。上手く繋がれば感心は
するでしょうが、それよりサビーネとベラのお話が面白いしエッチ
も興奮するのでそれだけで楽しみにしてます。小雀さんとしては
それでは不本意かもしれないけど。
436名無しさん@ピンキー:04/01/11 11:02 ID:vfXdclyE
age
437名無しさん@ピンキー:04/01/11 15:27 ID:O5DzTjCK
ミライのファン少ない?
438名無しさん@ピンキー:04/01/11 15:30 ID:z4PJQ13I


439名無しさん@ピンキー:04/01/11 23:45 ID:5y5lnCTt
>>437
何で?いるよー、折れ熱烈ミライたん萌えー!!
440名無しさん@ピンキー:04/01/12 19:57 ID:nIyGwHo5
今度こそFekia様キタ━━(゚∀゚)━━!!!
と思ったのに…_| ̄|○

いいかげんスレが汚れるから、ヤシには他へ逝って欲しいなあ…
441名無しさん@ピンキー:04/01/12 22:23 ID:V54J08kT
もちつけ。荒れるような発言をするな。お前がスレを汚してどうする。
442名無しさん@ピンキー:04/01/12 22:32 ID:GgGeWC09
いや、この間からキタキタ言ってるのは荒らしだろ
443名無しさん@ピンキー:04/01/12 23:10 ID:SqI6axan
奴の方が荒らしだろ
444名無しさん@ピンキー:04/01/13 21:42 ID:qdHxdVbR
汚れるほど高尚なスレでもないし。
445名無しさん@ピンキー:04/01/13 22:31 ID:bK7xcJLq
アンチ

必 死 だ な(藁
446名無しさん@ピンキー:04/01/13 22:34 ID:MbR/hfB6
マンセー

いないじゃん(藁
447名無しさん@ピンキー:04/01/15 21:22 ID:YLVIgYJy
嫌な奴を死ぬまで叩きたがる暇人粘着アンチがいるスレはここですか?
448名無しさん@ピンキー:04/01/15 21:30 ID:Vn/D+D/x
ハマーンを苛めたい
449名無しさん@ピンキー:04/01/15 21:50 ID:CWmDMFX6
……。

このスレも終わったな…


     ∧∧  ミ _ ドスッ
     (   ,,)┌─┴┴─┐
    /   つ.  終  了 │
  〜′ /´ └─┬┬─┘
   ∪ ∪      ││ _ε3
            ゛゛'゛'゛
450名無しさん@ピンキー:04/01/16 16:36 ID:9VD/o/Rj
Fekiaさんの最終話が気になって仕方がないです。読みたいよ〜
451名無しさん@ピンキー:04/01/16 17:35 ID:3FC2I3tR
結局、風呂敷を畳めない人だったってことかな。
452名無しさん@ピンキー:04/01/16 22:25 ID:VlSGfisM
>>451
決めつけるのは早いだろ。
間が空き過ぎてはいるし伏線を張ってそれっきりの物が多いのは気になるが。
453名無しさん@ピンキー:04/01/16 22:37 ID:wNtnU4Y6
叩くことしか楽しみのない粘着厨がいるこんな空気の中で作品投下するのは難しい
454名無しさん@ピンキー:04/01/16 23:33 ID:ds8UL7MR
>453
おやおやFekiaさんデスか?
うまい具合に作品が駄作だった時の言い訳ができて助かりましたね?

いや、ひょっとして叩きは全部ジサクジエンでしたか?
455名無しさん@ピンキー:04/01/17 00:02 ID:FrumgJ6J
>>454
あなたかなり痛いお方ですね
456セイラ:04/01/17 00:02 ID:BcjQnjY3
を犯したい高飛車な鼻をへし折ってhttp://monomosu.ash.cc/imode3/
457名無しさん@ピンキー:04/01/17 02:28 ID:F8otj5/i
叩きや煽りは論外として、好みの別れる話だとは思う。
セシリーが原作よりもっとDQNになってるから、嫌う香具師はいるだろう。
ニュータイプなのに、ザビーネの野望が全然判ってなくて踊らされ通し
なのも矛盾してて、話としての荒さもある。
だからって駄作とは思わない。
緻密に書かれててうまいとこも多くあるし、DQNについても最終回で
挽回してくれるんじゃないかと期待してる。
458名無しさん@ピンキー:04/01/17 12:30 ID:F7XKj5yt
煽るとこまで煽らないと気がすまない、21歳未満の暇人厨房がいるスレはここですか?
459名無しさん@ピンキー:04/01/18 00:23 ID:oeDzg5/w
>>457
萌えられなかった訳が分りました。

Fekia様には、最終話で聡明なセシリーを書いて欲しいです。
460名無しさん@ピンキー:04/01/18 12:06 ID:GPOyV0Oq
>>459
トゲがある言い方だな。いやなら読まなきゃいいだろ。
お前が聡明なセシリーとやらを書いてみせろ。
461名無しさん@ピンキー:04/01/18 12:35 ID:nB+GgdAG
Fekiaさんのは筋通ってると思うよ。
462名無しさん@ピンキー:04/01/18 15:31 ID:UuH6ZVtj
なんつーかここまで厨を感情移入させるフェキアさんはすげーなー。
463名無しさん@ピンキー:04/01/21 09:04 ID:CK9GAzWy
南極さんで素晴らしい挿絵もUPされたしFekiaさん続きお願いです!!
464名無しさん@ピンキー:04/01/21 09:54 ID:SRml+B9a
>>463
禿同!!
465名無しさん@ピンキー:04/01/21 15:53 ID:J78RtqvD
ザビーネが男の体に見えない。
指や爪もセシリーと全く同じで男と女の描きわけが出来てないから、
ペ○スがなかったら百合に見える。
あんな挿絵じゃFekia様の傑作が台無しだよ。
466名無しさん@ピンキー:04/01/21 16:25 ID:GytcQhVA
変な信者に取り憑かれてるねFekiaタソ
467名無しさん@ピンキー:04/01/21 22:39 ID:PHizkvXP
釣りなんだろうが、あえて釣られてやるよ(藁



 F e k i a 信 者 、 ウ セ ゙ ェ



あんな挿絵じゃって何様のつもりだ、二度と来るなボケ
468名無しさん@ピンキー:04/01/21 23:35 ID:jODjQ2Y1
>465
そこまで言うなら挿絵はあんたが描いたらいいんじゃネーノ?
頑張ってね〜
469名無しさん@ピンキー:04/01/22 01:16 ID:0YPbxhWa
465は勘違いしてるな
南極の挿絵依頼システムは一部の読者が満足するための物で、
その他の読者が満足できない事は良く有る事だ
嫌ってる挿絵でも、作者は我慢してお礼を言わないと駄目
嫌いな挿絵を自作と一緒にウpされて意欲を無くした作者もいるが、
南極は絵描き>>>>>>>>>>文字書きだからしょうがない
470名無しさん@ピンキー:04/01/22 01:23 ID:FOkGqcTX
>嫌いな挿絵を自作と一緒にウpされて意欲を無くした作者もいるが、
誰?
471名無しさん@ピンキー:04/01/22 03:47 ID:RFTp/7Wv
なんつーかここは変な厨に憑りつかれてんなー
>>465みたいな生き物は明らかに釣りだろ。
スルーしろよ。

>>469こいつもな。
472名無しさん@ピンキー:04/01/22 11:07 ID:/X6CFvvB
>>467
別の意味で釣られてるよ・・・

>>471のレス通りFekiaさんのFANを騙った釣り氏。
473名無しさん@ピンキー:04/01/23 00:24 ID:EuLVSWTJ
>>470
469です
474名無しさん@ピンキー:04/01/24 11:54 ID:2KjcCr/S
今粘着されてるのがFekiaなんだか小雀なんだか知らんが
のこのこと現れて駄文を勝手に書き込んで
興味なければスルーしろとこちらに一方的に手間を強要するんだから
ゴキブリみたいに叩かれるのもしょうがないじゃあないのか?

興味なければスルーしろなんて命令するとは随分いい身分だよなあ?
475名無しさん@ピンキー:04/01/24 12:34 ID:GmkuFd28
また絵に描いたような。
476名無しさん@ピンキー:04/01/24 13:49 ID:tqIz8JTu
なんでここ粘着ばっかなん?
477名無しさん@ピンキー:04/01/24 16:25 ID:3Qp1geu0
ガノタに粘着が多いのはシャア専用板を見てれば仕様だから仕方ない。
478名無しさん@ピンキー:04/01/25 08:36 ID:Z105q8l7
それにしたってここのは悪質だろ。
479名無しさん@ピンキー:04/01/25 12:08 ID:KrDtbngB
なんでこう釣られるかなあ
職人も住民もクズばっかだから、しゃーないか…
480名無しさん@ピンキー:04/01/25 19:37 ID:/WU0Ozm4
よく飽きませんね。
他にすることないの?(藁
481名無しさん@ピンキー:04/01/25 19:48 ID:d9ojrHpK
これがまたナインです。
482名無しさん@ピンキー:04/01/25 19:49 ID:qXrWg9C5
ユウ×オデッサの荒鷲きぼん
483名無しさん@ピンキー:04/01/29 00:15 ID:nRSABOpJ
<このスレの住人の特徴>
・常に誰かを叩いていないと気がすまない
・一度、目をつけたやつは地の果てまで叩き続けないと気がすまない
・すぐに釣られる
・スルーの言葉の意味を知らない
・Fekia信者、アンチ小雀
・自分の考えがグローバルだと思うやつがいる
・精神年齢21歳未満の集まり
・自作自演の天才
・一日中このスレをリロードしている
・最近、パソコンかテレビの前にしかいない
・リストラされたことがある
・もちろんガノタ
・童貞、デブヲタヒッキー
・未婚
・くだらんことでよくもめる
・ガンダムのヒロイソの萌えキャラでシコってる
・何気に腐女子付き
・結局住人全員がメンヘル


484名無しさん@ピンキー:04/01/29 00:17 ID:Mv6d05HD
>483
自分をよく理解してるようで、羨ましいです。
485名無しさん@ピンキー:04/01/29 14:40 ID:/NPnZTf6
>>483
すごいな。そんな奴いないって。
486名無しさん@ピンキー:04/01/29 17:01 ID:QlHjOZ4/
>Fekia信者、アンチ小雀

つまり>>483は小雀信者。もしくは本人?
487名無しさん@ピンキー:04/01/29 18:36 ID:qBusfxkv
>>486
そうかも(w

488名無しさん@ピンキー:04/01/29 21:29 ID:P5Curysg
いい加減スルーを覚えろよ。それとも偽善を装った荒らしか?
489名無しさん@ピンキー:04/01/29 21:39 ID:JI3QbKz0
俄は黙っててください。
490名無しさん@ピンキー:04/01/29 23:35 ID:21D4Juv7
       / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       | マタツレタ。ココハヨクツレルナー
       \
サカナガ      ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄
ドキュンナダケサ… エサガイイノカ? , -ー,
          _, ._      /   |
ー`)      ( ゚ Д゚)  /    |
        ( つ  @/      ∧_∧
        と_)_)       /(*´д`)ハァハァ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|        |J  J
 ...          |     〜|  | 。 ポタポタ
 ...          |      ・U U・ o 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜'''"""'''"'〜〜

491名無しさん@ピンキー:04/01/30 06:00 ID:RQegDkAT
>488
仕切るなクズ。
492名無しさん@ピンキー:04/01/30 09:10 ID:2E5XbQFU
>>491
オマエモナー
493名無しさん@ピンキー:04/01/30 10:44 ID:SOrPEERN
       \     ∩__∩   どこまで行くクマ?
         \   /     ヽ
          \  |●  ●  |                        (´⌒
            \(_● _)   ミ ̄ ̄ ̄ヽ___,-、     (´;;⌒  (´⌒;;
              |∪|   ___   ───⌒ヽ(´⌒;;(´⌒;;
              ヽノ-、____)───(´⌒(´⌒;;     ズサ────
494名無しさん@ピンキー:04/02/02 15:34 ID:i+wSh/f0
やべぇ職人さん来ない
495名無しさん@ピンキー:04/02/02 23:43 ID:q56gGZbo
せめてFekiaさん作品の最終話だけでも読みたいです。ずっと気になって
仕方がない。
496名無しさん@ピンキー:04/02/03 00:30 ID:YV8T1n7o
きっと、上手くまとまらなかったんだよ。
497名無しさん@ピンキー:04/02/03 12:50 ID:727xlogh
>496
そういうこと言うなよ。意地が悪いなあ。
498名無しさん@ピンキー:04/02/03 17:57 ID:aYfHTXTE
>やべぇ職人さん来ない
自業自得。ココの住人アフォ杉
499名無しさん@ピンキー:04/02/04 03:02 ID:EE14+F/g
粘着女を放置したのがまずかったな
500名無しさん@ピンキー:04/02/04 11:01 ID:oYeOmCjZ
500
501名無しさん@ピンキー:04/02/04 23:49 ID:SnYJ5s91
ア キ ラ メ ロ
502名無しさん@ピンキー:04/02/05 01:56 ID:wEq1kjrQ
女体化ロラン×キースが読みたいぜー

ただの仲のいい友達って感じでー
ロランはいい奴だけど常識が少し疎い感じでー
ロランからは恋愛感情無しだしキースの微妙な気持ちにも気付いてないけど、
キースの朝立ちとか見て親切心から、他人から変な知識つけられたフェラとかしてあげて、
キースは動揺し、罪悪感を感じながらも快感から止める気にならないみたいなー
503名無しさん@ピンキー:04/02/05 21:14 ID:QtJ5oE6R
>>502
あーたが投下汁!
504名無しさん@ピンキー:04/02/07 16:37 ID:RcjebBcs
なんとなく
505名無しさん@ピンキー:04/02/07 16:38 ID:RcjebBcs
レスを
506名無しさん@ピンキー:04/02/07 16:39 ID:RcjebBcs
伸ばすと
507名無しさん@ピンキー:04/02/07 16:40 ID:RcjebBcs
ネタが
508名無しさん@ピンキー:04/02/07 16:41 ID:RcjebBcs
投下された
509名無しさん@ピンキー:04/02/07 16:42 ID:RcjebBcs
と誤解するけど保守
510名無しさん@ピンキー:04/02/07 18:22 ID:C6wnHyUm
誤解したぞ(`Д´)ゴルァ
511名無しさん@ピンキー:04/02/07 22:07 ID:/Xs2pLz2
512名無しさん@ピンキー:04/02/07 23:33 ID:EPQs+cMi
513名無しさん@ピンキー:04/02/07 23:57 ID:vZ1Z3j0+
514名無しさん@ピンキー:04/02/08 00:51 ID:L9JDQ8T9
515名無しさん@ピンキー:04/02/08 04:30 ID:kdK6TEfw
見事に干上がったね…当然の成り行きか
516名無しさん@ピンキー:04/02/08 05:21 ID:CX+qcrxZ
とりあえず寒いから、意味なし書き込みはヤメろ。
517名無しさん@ピンキー:04/02/08 11:00 ID:75q1haUk
今日はじめて前スレとこのスレを読んだけど、かなりムカついている・・・
住人が偉そうにほえると職人を潰すっつー、いい見本のスレだな。
気に入らない&おもしろくないと思ったらスルー。これが出来ない限り
職人さんは書き辛いだろうが・・・

あと職人さんへの要望は設定ぐらいだけにして、こまかくは注文つけるな
人それぞれ感性が違うんだから、枠にはめると面白かったものもつまらなくなる。
オタの感性にそった作品になってしまうと、典型的な屑の萌えアニメみたいな
糞つまらないものばかりになるから自覚して口を出すなよ・・・


SSそのものはまぁまぁ読めて面白かったから、いつか気が向いたら
続きを書いて欲しい・・・でもまぁ2chどこでもこんな馬鹿ばかりだから
書くからには叩きはスルーする根性が必要かな
518名無しさん@ピンキー:04/02/08 13:18 ID:N0y+npE0
         \   ∩─ー、    ====
           \/ ● 、_ `ヽ   ======
           / \( ●  ● |つ
           |   X_入__ノ   ミ   そんなエサで俺様がクマ――!!
            、 (_/   ノ /⌒l
            /\___ノ゙_/  /  =====
            〈         __ノ  ====
            \ \_    \
             \___)     \   ======   (´⌒
                \   ___ \__  (´⌒;;(´⌒;;
                  \___)___)(´;;⌒  (´⌒;;  ズザザザ
                               (´⌒; (´⌒;;;
519名無しさん@ピンキー:04/02/08 13:20 ID:N0y+npE0
>>510-518
は見事ID:RcjebBcsに釣られた訳か・・・
520名無しさん@ピンキー:04/02/08 19:15 ID:nw7wvEft
っていうか蒸し返し厨の>>517は正直鬱陶しい。
お前が一番スルー出来てねぇだろうと小一時間(ry
521名無しさん@ピンキー:04/02/08 19:33 ID:LB6IzY6I
>>520に先にレスされた・・・
堪え忍んで作家さん待ってるのに空気読めないで蒸し返すヴァカはイラネ、激しくムカツク。
522名無しさん@ピンキー:04/02/08 22:32 ID:75q1haUk
おっと・・・怒りのあまり、思わず愚痴が先走りました・・・
前スレ&このスレでSSを投下してくださった職人のみなさん、
俺はけっこう楽しませて読ませてもらいました。どもありがとう

腹黒い煽り厨や下手糞な自治厨ばかりじゃなく、素直に楽しみたい方も
お見受けしますので(もちろん俺も)、まぁ気が向いたときにでも
投下してくれたら嬉しいっす

スレ汚し失礼
523名無しさん@ピンキー:04/02/08 22:54 ID:LB6IzY6I
君自身は素直に楽しみたいと思っている様だが実は違う。
下手糞な自治厨だよ。
524名無しさん@ピンキー:04/02/08 22:58 ID:LB6IzY6I
おっと・・・怒りのあまり、思わず愚痴が先走りました・・・

すいませんでした。
525名無しさん@ピンキー:04/02/09 10:58 ID:wfxinkZd
マターリ待てつ保守
526名無しさん@ピンキー:04/02/09 17:48 ID:m2MwKg72
マーベットっていがいといいよね
527名無しさん@ピンキー:04/02/09 23:17 ID:9yXkI1RB
アースレットもいがいといいよね

スレ汚し失礼
528名無しさん@ピンキー:04/02/10 02:20 ID:vyagvfWD
マーベットのよさ

インド中近東系のエキゾチックな美形
男性モデルも顔負けの長身(軽く190cm以上あるか?)
モデル体形のスレンダーバディ
しっかり巨乳
母性本能が強そうな面倒見のいい性格
けっこうヤキモチ焼き

いい女だよなぁ・・・マーベットさぁ〜ん〜
529名無しさん@ピンキー:04/02/10 10:38 ID:916Ccpz7
殉教カテジナ車輪
530名無しさん@ピンキー:04/02/10 10:38 ID:Kg/wA2al
マーベットって美形の部類に入ってたのか・・・
漏れはマヘリアやペギーの方が(・∀・)イイ!!
531名無しさん@ピンキー:04/02/10 14:06 ID:myZQxhIp
>>530
シュラク隊スレにいくといいよ
532名無しさん@ピンキー:04/02/10 17:13 ID:ZqQ8ggEx
今日こそFekia様が来てくれますように
533名無しさん@ピンキー:04/02/11 19:31 ID:y1L3xQIV
期待age
534名無しさん@ピンキー:04/02/12 20:08 ID:P//jHU0g
ageだけじゃ芸がないから、萌えを語りながら待つってのはどうかな?
つーことで俺から・・・

マーベ(ry
535名無しさん@ピンキー:04/02/15 01:11 ID:97MZo9Xo
エイミー・バウアーって知ってる香具師おる?
536名無しさん@ピンキー:04/02/16 09:21 ID:pFNfq16C
ベッケンバウアーなら知ってるよ
537名無しさん@ピンキー:04/02/16 13:12 ID:YkNWykVG
神谷に口説かれてこい
538名無しさん@ピンキー:04/02/19 14:11 ID:gXCoZUNW
神待ち保守
539名無しさん@ピンキー:04/02/25 16:34 ID:PjQwTBT4
保守
540名無しさん@ピンキー:04/02/28 13:52 ID:+aclm552
/■\
541名無しさん@ピンキー:04/03/03 05:51 ID:wZTRgsiO
スレ保守。
542名無しさん@ピンキー:04/03/04 07:12 ID:l56mmS+B
職人降臨待ち保守・・・・・
543名無しさん@ピンキー:04/03/08 21:29 ID:B4sFBx9w
今日も来なかった_| ̄|○

544名無しさん@ピンキー:04/03/11 22:16 ID:KZ6a8x+5
信じて待つのみ
545名無しさん@ピンキー:04/03/12 00:11 ID:RuYterzE
いや、普通にもう来ないだろ
546名無しさん@ピンキー:04/03/12 02:31 ID:C+NjxDrM
誰を待ってて誰が来ないのか、会話が読めん。
547名無しさん@ピンキー:04/03/12 05:49 ID:k46IPn6q
職人ダロ?
548名無しさん@ピンキー:04/03/12 12:38 ID:0D7HFJhT
おまえらが土下座すれば来るかもな(藁
549名無しさん@ピンキー:04/03/12 16:46 ID:4fbQt6Gm
あ、まだ張り付いていらっしゃいましたか。

‥‥もうこんなスレdat落ちにしたほうがいいね、マジで。
550名無しさん@ピンキー:04/03/13 09:51 ID:fiW60JLm
>>549
って書き込んでるうちはdat落ちしないがなーw
551名無しさん@ピンキー:04/03/14 12:25 ID:8xkVYJya
書きたい人どぞ↓
552名無しさん@ピンキー:04/03/14 13:44 ID:JaBhaRar
むかしむかし
553名無しさん@ピンキー:04/03/14 20:05 ID:9GyVpeOq
おじいさんとおばあさんが死んでいました
554名無しさん@ピンキー:04/03/14 20:13 ID:Z09onT2G
ももたろうはしんでいるおばあさんをおかしました
でもおばあさんはしんでいるので、そしするひともいませんでした
しまりつきもなかったので、たいしてきもちよくありませんでした

めでたしめでたし
555554:04/03/14 20:13 ID:Z09onT2G
やい、おまいらここを盛り上げるために、新作持ってきたぞ!
感謝しる
556シーマ・ガラハウ物語:04/03/15 14:28 ID:D3CDDp12
軍における女性士官の役割は、主に戦闘以外の部分で発揮される。
男性のみで構成された軍は、長期間の任務には向いておらない。
連邦では、必ず数人の女性士官が艦に乗り組み、任に着くのが
常となっている。

これに対し、ジオン公国では男性間の信頼関係、連携を重んじ、
女性がその中に入ることは忌み嫌われる傾向にあった。
長期任務の艦には、女性犯罪者や職業女性が帯同される
こともあったが、男性のみで任に着く部隊も少なくなかった。

これらの部隊は男色が趣味な訳ではなく、戦地において
必要な物は現地調達するという、海賊精神に溢れる者達
であった。

こういう環境の中、ジオンで女性がMSに乗る為には、
強固な後ろ盾が無ければ容易には実現できるものでは
なかった。
557名無しさん@ピンキー:04/03/15 22:19 ID:4afGRt0V
任務には向いて「おらない」ってオマエは何歳だよ(藁
あと、「任に着く」じゃなくて「任に就く」

┐('〜`;)┌
558名無しさん@ピンキー:04/03/16 02:27 ID:Vui6HLcB
まあ、多少のミスはあっても、
設定については、なんだか面白そうな気がする俺としては、
続きに期待したい
559名無しさん@ピンキー:04/03/16 10:40 ID:wPABrZAH
「任に就く」 じたい間違ってるよ

┐('〜`;)┌
560名無しさん@ピンキー:04/03/16 13:06 ID:356p8uKc
見たことある文章だから、何かのコピペじゃないの?>556
561名無しさん@ピンキー:04/03/16 16:51 ID:U/qqy/nq
>>560
コピペちゃうわ。
トミノ風の文体になんとかしようと試みているんだが、なかなか難しくて・・・
下手な文でスマソ

デハマタ
562名無しさん@ピンキー:04/03/16 17:41 ID:eK3rrTVy
さんざん、神を叩いておいて追放してて
いざ新作が降臨しなかったら、自分のせいであることも知らずにまだーってほざく
新作が降臨したらしたで、職人を叩きまくる…

ここの住人が分からん!
563名無しさん@ピンキー:04/03/16 21:53 ID:N8ZA0gqU
叩かれたのは神じゃないよ。
只空気を読めなかった人。
564名無しさん@ピンキー:04/03/16 22:12 ID:CC18ZwoQ
>562
じゃあ、他のスレにいけばぁ?
565名無しさん@ピンキー:04/03/16 23:02 ID:TA2+QeOn
神はまとめられなくて逃げたんだよ
566名無しさん@ピンキー:04/03/16 23:40 ID:1CSLhcgz
Fekia様らぶらぶ♪

             ∩___∩
             |ノ⌒  ⌒ ヽ    
             / ●)  ●) |
マダナノ━━━━━━|   ( _●_)  ミ━━━━━ン??
            彡、  |∪| 、`
              /  ヽノ  ヽ
             / 人    \\   彡
           ⊂´_/  )    ヽ__`⊃
                / 人 (
               (_ノ (_)

567名無しさん@ピンキー:04/03/17 02:58 ID:6lQNbEjG
>>561
自分もどっかで見たと思った。
つか1レスだけの投下ってなんだよ。
続きを読みたいですっていうレスを狙った誘い受けか?

>>565
まとめられないってことは、神じゃなかったってことだ。
568名無しさん@ピンキー:04/03/17 11:23 ID:4QkOJHAA
いちいちウザイこいつ何?
569名無しさん@ピンキー:04/03/17 16:48 ID:1rgOqq0x
>568
別に普通じゃん、このスレじゃ…

こんな時はFekiaさんを呼ぼう!!

             ∩___∩
             |ノ⌒  ⌒ ヽ    
             / ●)  ●) |
マダナノ━━━━━━|   ( _●_)  ミ━━━━━ン??
            彡、  |∪| 、`
              /  ヽノ  ヽ
             / 人    \\   彡
           ⊂´_/  )    ヽ__`⊃
                / 人 (
               (_ノ (_)
570名無しさん@ピンキー:04/03/18 01:23 ID:ygDr4aia
Fekia信者がウザい。
自分たちのせいでスレの雰囲気が悪くなってることに気付かないのかね。
571名無しさん@ピンキー:04/03/18 17:39 ID:EZyohP6+
逆ですが何か?
572名無しさん@ピンキー:04/03/19 17:01 ID:GT+6XKCQ
どっちも同レベル
573名無しさん@ピンキー:04/03/29 01:22 ID:WG0vRtUe
ちくしょうやっぱり来ない・゚・(ノД`)ノ・゚・・゚・。ウワァァァァァン論争したヤツ反省しろよ。
574名無しさん@ピンキー:04/03/29 15:38 ID:xEGN4CFO
Fekia様光臨期待age
575名無しさん@ピンキー:04/03/29 20:20 ID:A3yr1JTI
Fekia以外の職人は来るなってことか。
4ヶ月近くほったらかしの職人を崇め続けるなんて
本人のジサクジエンとしか思えん。
576名無しさん@ピンキー:04/03/29 21:54 ID:jPugxHP4
頭悪すぎ
577名無しさん@ピンキー:04/03/29 22:41 ID:ufXnehj6
こんな糞スレ、終わらせてやるーーーーーーーーーーー

           _
          //|,   ⌒ ` ヽ 、     Λ
        //∠___    ))   / ヘ
       ///  |  ● || 冂 /ヲ /^´ ⌒ `ヽ/| しゅごー
     / く/  「/7フ´(~((~((~((ノ< ̄ヽ   ヽ、,亅   しゅごー
     | く´  /〔匡〕」7~^~^~^~  }へノ  , / ̄》
      \\< / /   ̄ ̄/    ヽ__ノノ,,  」   __
       \\\ \ ""  ヽ"""   |  T" ̄「  ̄ ̄   \
       /⌒)〉\ 弋\ ヤ^  イ二) ̄ ̄\/         | ̄ ̄\        _-ー- _  へ
      /x ノ7   _____イ二二」    /^l        |    \    / ̄       ̄  |
    γ/⌒)  ∠⌒)      ノ       〔  _亅        |  (((~((~((~((~((~((~(()         | ̄\
    /  /   厂ゞ7⌒/⌒/7´`ー-、 _    ̄/         |    ~ ~人~ノノ            /   |
   (/      じ´ ぐ人_ノイ\\    ̄  ̄   \      /       /^\           /  \ |
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578名無しさん@ピンキー:04/03/29 22:44 ID:ufXnehj6
こんな糞スレ、終わらせてやるーーーーーーーーーーー

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579名無しさん@ピンキー:04/03/29 22:45 ID:ufXnehj6
こんな糞スレ、終わらせてやるーーーーーーーーーーー

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580名無しさん@ピンキー:04/03/29 22:46 ID:ufXnehj6
こんな糞スレ、終わらせてやるーーーーーーーーーーー

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581名無しさん@ピンキー:04/03/29 22:49 ID:ufXnehj6
こんな糞スレ、終わらせてやるーーーーーーーーーーー

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582名無しさん@ピンキー:04/03/29 22:51 ID:ufXnehj6
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583名無しさん@ピンキー:04/03/29 22:53 ID:ufXnehj6
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584名無しさん@ピンキー:04/03/29 22:56 ID:ufXnehj6
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585名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:00 ID:ufXnehj6
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
586名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:00 ID:ufXnehj6
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
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MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
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MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
587M作戦機動:04/03/29 23:02 ID:ufXnehj6
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
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MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
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MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
588M作戦機動:04/03/29 23:06 ID:ufXnehj6
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
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589名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:07 ID:ufXnehj6
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MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
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MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
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MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
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MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
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590名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:08 ID:ufXnehj6
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MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
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MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
591名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:09 ID:QB05sbza
GJ
592名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:09 ID:ufXnehj6
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
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593名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:10 ID:ufXnehj6
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594名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:11 ID:ufXnehj6
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595名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:13 ID:ufXnehj6
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596名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:14 ID:ufXnehj6
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597名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:15 ID:ufXnehj6
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598名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:17 ID:ufXnehj6
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599名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:20 ID:ufXnehj6
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600名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:21 ID:ufXnehj6
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601名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:22 ID:ufXnehj6
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602名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:23 ID:ufXnehj6
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603名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:25 ID:ufXnehj6
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604名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:27 ID:ufXnehj6
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605名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:28 ID:ufXnehj6
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606名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:30 ID:ufXnehj6
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607名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:31 ID:ufXnehj6
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608名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:32 ID:ufXnehj6
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609名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:34 ID:ufXnehj6
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610名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:36 ID:ufXnehj6
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611名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:37 ID:ufXnehj6
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612名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:38 ID:ufXnehj6
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613名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:39 ID:ufXnehj6
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614名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:40 ID:ufXnehj6
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615名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:43 ID:ufXnehj6
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616名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:43 ID:ufXnehj6
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617名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:45 ID:ufXnehj6
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618名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:46 ID:ufXnehj6
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619名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:47 ID:ufXnehj6
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620名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:48 ID:ufXnehj6
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621名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:49 ID:ufXnehj6
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622名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:51 ID:ufXnehj6
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623名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:51 ID:ufXnehj6
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624名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:53 ID:ufXnehj6
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625名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:53 ID:ufXnehj6
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626名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:55 ID:ufXnehj6
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627名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:57 ID:ufXnehj6
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628名無しさん@ピンキー:04/03/29 23:58 ID:ufXnehj6
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629名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:00 ID:3i9WNqNM
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630名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:02 ID:3i9WNqNM
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631名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:03 ID:3i9WNqNM
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632名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:04 ID:k7DGsl/C
こいつ、俺と同じホストじゃないといいなあ・・・
633名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:05 ID:3i9WNqNM
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634名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:07 ID:3i9WNqNM
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635名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:10 ID:3i9WNqNM
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636名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:11 ID:3i9WNqNM
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637名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:13 ID:3i9WNqNM
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638名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:15 ID:3i9WNqNM
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639名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:15 ID:3i9WNqNM
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640名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:16 ID:3i9WNqNM
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641名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:17 ID:3i9WNqNM
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642名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:18 ID:3i9WNqNM
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643名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:20 ID:3i9WNqNM
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644名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:20 ID:3i9WNqNM
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645名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:22 ID:3i9WNqNM
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646名無しさん@ピンキー
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