【個人授業】サモンナイト萌え7【二人の秘密】

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1ファリエル萌え
不覚にも3のファリエルに萌えてしまった…

そんなわけで
サモンナイト エロ小説&画像キボンヌスレその7です。

【PALETTA(パレッタ)】
エンターブレイン出版の季刊雑誌。
大体1月・4月・7月・10月の15〜20日頃発売。
毎号飯塚武史先生がサモンナイトのイラスト&コラムを掲載。

【過去スレ】 関連は>>2以降
2名無しさん@ピンキー :03/08/30 22:48 ID:FDoiteSo
3名無しさん@ピンキー:03/08/30 22:48 ID:ER8vzN0r
4名無しさん@ピンキー:03/08/30 22:59 ID:EMB6EZ4y
>>1
乙。
・・・結局一週間で一本スレ使い切ったのか。
SSスレとは思えん速さだな〜。
5名無しさん@ピンキー:03/08/30 23:21 ID:09YZIBvn
ヽ( ´ー`)ノ ヒャッホウ
もつかれい!
6名無しさん@ピンキー:03/08/30 23:37 ID:WVTSMydU
>>1
乙カレー
7前スレ702:03/08/31 00:13 ID:Trw9++b6
>>1
乙です。ヤード×アティ楽しみにしてます。

イスラ×アティの続きを投下してみる。


「イスラさん。な、何を……?」
 硬直した身体を抱きこむのは簡単だった。
 夜風に揺れる髪からは、ふんわりと花の香りがする。
「シャンプー、いい匂いですね」
「あ、はい。マルルゥに貰ったので今日のお風呂で……って、あの……」
 状況を把握していないようにとぼけた僕に、彼女は顔を赤らめつつ身を離そうとする。
 それを封じるように、腕の力を強めつつ、にっこりと微笑んだ。
「そう。じゃ、準備は良いってことだね?」

「準備……?」と、わけがわからない風情の彼女の夜着を肌蹴させる。
「まったく、貴方って本当に危機感がないよね。そんな格好で出歩いて、もしも帝国軍に
見つかったらどうするのさ?」
 いくら温暖なこの島でも、夜は多少は冷える。
 夜気が僅かに、彼女の身体を揺らした。
 そして彼女といえば……。
 呆然と固まっていた。
「アティさん?」
 このまま先に進むのもいいけど、少しぐらいは反応なり抵抗なりしてくれないと面白くない。
 頬を軽く叩くとようやく現実へと戻ってきた。
「ああああ、あの……ご、ごめんなさい!
 やだ私ったら、ちゃんとボタン留めてなかったなんて……」
 どこかずれた発言をする彼女に、苛立つ。
 自分の状況がわかっているのか?
 どうしてそこで、今にも自分を犯そうと……そういう対象で見ている存在に謝罪ができる?

「……やめてくれる?そういうの」
8前スレ702:03/08/31 00:14 ID:Trw9++b6
 口元から笑みを消して、ボタンをかけなおそうとする手を掴んだ。
「痛っ……」
 わざと痛いように掴んでいるんだから、当然だ。
 彼女の抗議を聞き流しながら、またいつもの笑顔の仮面を被る。
「夜にそんな格好で出歩いていたら、『襲ってください』って言ってるようなものだと思うけど」
 こんな風にね。
 かろうじて胸で引っかかっていた夜着を指先で落とす。
 夜着を落とすのが目的だったけれど、それは別の効果をもたらしていた。
「ぁ……っ」
「あれ?此処、立ってるね」
 指が触れたらしい胸の頂を突付けば、ため息が漏れる。
 童顔なくせに、胸はかなり大きいほうだと思う。普
 段は服やマントで殆ど見えない其処がさらけ出されていることに優越感を覚えた。
 どうせ服で隠れるし、と首筋に唇を寄せる。紅い鬱血が白い肌にじんわりと咲いた。
 その間にも、手で包み込むには丁度良い胸を弄る。
「…………っ」
 先程から声を出すのに抵抗を感じていたのか、必死になって唇を噛んでいる彼女の顔は苦痛
に歪んでいて、とても綺麗だった。
「声、出してもいいよ。どうせ僕以外聞いてないんだから」
 交信の場所は、誰も近寄らないような場所を選んでいたつもりだった。
 だから、彼女のように僕の後をわざわざつけて来るようなことをしない限りは気づかれることはない。
「聞かせてよ」
 胸元を舌で嬲ると、びくり、と一際大きく震えたのがわかった。
「へぇ……、耳も胸も弱いんだ。じゃあ、こっちはどうかな」
「や…やめてくだ……ぁあっ!!」
 わざと言葉で挑発して彼女が口を開いたタイミングで、空いていた手を下着へと伸ばす。
 薄い布越しに、僅かな湿りを感じた。
9前スレ702:03/08/31 00:15 ID:Trw9++b6
中途半端でスマソ。吊ってきます…。
10前々スレ930:03/08/31 00:19 ID:zVLG7Rz0
レシユエ最終話(?)、約40コマ近いの行きます。
…容量食いつぶしまくっちゃってごめんなさい

>>1 THX
>>9 かくいう自分は一度に長々だらだらと大量にぶち込みすぎ…
111/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:21 ID:zVLG7Rz0

(…ユエルさんが悪いんです)

色々な感情でぐちゃぐちゃになった頭で、どうすればいいか考えた。

(本当は男は皆獣だってのに、僕以外の男の人にも平気で抱きつきますし、
どれだけ自分が可愛くて魅力的なのか、ちっとも自覚していませんし!)

どうしたら、ユエルは自分だけを見ていてくれるのか?

(大体、道端に落ちてるお饅頭を勝手に拾って食べちゃったりしますし、
ミニスさんと、酷い時は一人だけで危ないのに町の外に遊びに行きますし!
なんか知らない人にお菓子貰ったらついて行っちゃいそうな所ありますしっ、
塀の上には上がるし、屋根の上には上がるしっ、木の上にも昇るしっ!
特にいつだったかなんて、自分も料理したいとか言い出して、僕に手出し
無用だなんて言っといて、それでも僕がはらはらしながら見ている側で、
でも結局指ザックリ斬っちゃって、ドバーッて血が出ちゃった時なんか、
どれだけ、どれだけっ、どれだけ僕が心配してたと思ってるんですか!?
どれだけ僕が……心臓止まるかと思ったか、判ってるんですかっ!?)

…どうしたら、ユエルを自分から離れられなくしてしまえるか?

(危なくて、見てられなくて、そんなユエルさんを、僕がどんな気持ちでいつも
見てたのか、知りもしないで、それなのにこんなにユエルさんは可愛くて、
可愛くて…ああ、もう! もう絶対に許さないんですからね!? 絶対に!)

一体何を許さないのか、レシィ自身よく判っていない頭で結論づける。
…そうする為の方法は、知識でも本能でも知っていた。
122/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:22 ID:zVLG7Rz0

「…さぁ、ユエルさん、教えてください。気持ちよかったんですか?」
そう問われても、まだ迷っているようにおろおろと
目を左右させているユエル。

「えっ…? え…」
たっぷりそんなユエルの右往左往する様を観察した後、
「…じゃあ『お仕置…」
とレシィが言いかけたところで、慌てたようにコクコクコクと首を振り始めた。
…だがレシィは、それでは許さない。

「…ダメですよ、ちゃんと『気持ち良かったです』って口で言わなきゃ?」
出来の悪い子供に言い聞かせる親のような、
優しく、しかしどこか責めるような口調でユエルに言い聞かせると、
彼女はきゅっと身を竦ませて再び黙ってしまった。
…だから、薄く笑うと。

「…きゃふっ!?」
思い出させるように、再度中のモノを軽く引きずって。
「言えますよね? 口で言うだけですもんね、『気持ちよかった』って」
レシィは執拗に、ちりちりとユエルをいたぶり追い詰める。
そんな、口と刺激とでの両方の責めに耐えかねたのだろう。

「き…気持ち、よかった、よ…」
顔を俯かせて震える口調で、とうとうユエルが口を緩めた。

だが、今の意地の悪いレシィはそれですら許さず。
「ダメです、良かったよ、じゃあなくて、『気持ち良かったです』ですよ?
…ね? ユエルさん。…ちゃんと人とお話しする時には、敬語を使わなきゃ」
133/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:22 ID:zVLG7Rz0

「……そ…そんなの…………む、無理だよぉ…」
恥ずかしいのを我慢して頑張って言ったのに、それすら邪険に扱われて。
ユエルはそう漏らして、またきつく口を結んでしまった。
普段は「です」「ます」などの格式ばった口調なんて、
一度も使った事がない彼女にとっては、
ひょっとしたらある意味その事自体が「気持ちよかった」と口にするのと
同等なくらいに恥ずかしい事だったのかも知れなかった。

そんなだから、今度は妥協の意志が全く見えない事を
見て取ったレシィは、
暖かいのだけれども、しかし確かに冷たさも交えた笑いを浮かべ。
「じゃあ仕方ありませんね…」
「…っ!?」
ぐっと一番奥まで、押し付けるように自分のモノを差し込んだ後。
「やっ…」

「…はい、『お仕置き』です♪」
「や、ややややあああぁ――――――――――――っっ!!」

先程同様、ユエルの内部を一番奥から出口付近までかけて
存分にこすり引き擦った。

…弓矢の鏃部分が三角状になっているのは、
刺さるときには刺さりやすく、
抜ける時には抜け難くしかも引っかかって傷口を悪化させる為。
再び自分の内部を上から下までまんべんなく嘗め尽くすそんな鏃の感触に、
ユエルは身を震わせて叫び声を上げずにはいられない。
144/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:23 ID:zVLG7Rz0

…だが、抜くときに抜き難いという事は、同時に得物にかかる負担も
大きいのだという事実につながる。
途中で折れて体内に鋭利な破片を残すことがむしろ喜ばれる弓矢は
ともかく、剣や槍ではそうはいくまい。
……ましてや、自分の体の一部であれば。
相手の受ける負荷が強ければ、自分の受ける負荷も当然強く。

(…ちょっと、これは、ヤバイです…)
内心の焦りを必死で隠しながら、レシィはこっそり考えていた。
ユエルは自分だけが気持ち良くされていて、レシィの方は全然余裕で
いるのだと信じきっていたが、実際は全然そんな事無い。むしろ。
(…なんでこんなに、締め付けて、…っっ!)
黙っていれば大した事はないのだが、問題は動いている時で。
ただ、こちらがユエルの内部を擦ると。
ユエルに刺激を与えると。
それに反応して、ユエルの膣壁がクックッと締め付けるので。

…それでなくとも、ゆっくりと強くながぁ〜く擦り付けることは、
小刻みに何度も擦りつけるよりも実はかなり辛いのであって。
連続なら10回、今しているように所々にばれない様に休憩入れながら
だったら誤魔化し誤魔化し20回は攻撃できますかねぇ、
なんて事を考えていたレシィは、心の中では冷や汗を垂らしながら
計算を立て直してたりするのだが、けれど絶対にそれは表には、
ユエルにはバレてはならないと、本当はレシィの方も必死だったのだ。

…こんなに誰かに対して――たとえそれが虚勢であったとしても――
自分は強いんだと見せかけたいと、自分の方が強いんだと
思い知らせたい気持ちになったのは、彼もまた初めての事だったから。
155/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:24 ID:zVLG7Rz0

そうやって絶頂を迎えたばかりなのに更に与えられた快楽に、
あそこの周りがピクピクと経験するのを感じながら、ユエルは震えていた。
何だか判らないけど、胸が切なくて、彼女のお腹がキュンとなる。

そうやって再び火が灯ってしまった自分の体に、
しかしおそらく、もう一度『お仕置き』を繰り返そうとしているのだろう、
軽い快感と共に再び奥へと押し込まれて来るそれに、ユエルは…
「…まだ言えないんですか? じゃあもう一度…」
レシィのそんな、とても楽しそうな声が聞こえて……

「きっ、気持ちいいですっ! ユエル気持ちよかったですっ!」

思わず叫んでしまった自分に、一瞬後でユエルは気がついた。
「…はい、よく言えました。偉いですねぇ、ユエルさんは。
やっぱり気持ちよくて気持ちよくてしょうがなかったんですね。
ユエルさんって、やっぱりとってもエッチな女の子です♪」
そう言いながら、レシィが頭を撫でてくれるのだが、
「ぅ… ふぅ……ッゥぅ……ゥ」
ユエルとしては、レシィに面と向かってそんな事を言われると、
もう恥ずかしくて恥ずかしくて仕方が無い。
彼女としては、痛みにだったらいくらでも耐えられる自信がある。
でも、これは… こんなのは…

今は別にレシィのは中で動いていないというのに。
『ユエルさんって、やっぱりとってもエッチな女の子です』
理由は判らないが、普段は優しい、絶対にそんな事は言わないであろう
レシィの声で、そんな事を言われちゃったんだと考えていると、
そこがじゅんっと熱くなって、なんだか息が苦しくなるのを感じるユエル。
166/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:24 ID:zVLG7Rz0

(…ユエルさん? ……! …やっぱり、もしかして、ユエルさんって…)
そんな、別に肉体的快楽は与えていないのに、切なげな顔で震えている
ユエルを、いや、これまで自分が見てきたユエルを思い出して、
レシィは自分の中で確信に代わりつつあったそれを、思わず口に出した。

「…あれ、でもユエルさん、もしかして僕にいじわるされてて
気持ちいいって感じちゃってるんですか?」

まるで心の中を見透かされたみたいでビクリとし、
ユエルは慌ててかぶりを振る。
「…そ…そっ、そんな事あるわけないよっ! ユッ…ユエッ…」
「…でもユエルさん、なんだか恥ずかしいと気持ちよくなっちゃってる
ように見えるんですけどね。…恥ずかしいの、ダメなんですか?」

しかしレシィは、そんなユエルを見ながら実に楽しそうに
何度も何度もユエルに訪ねるのだ。

「ね、ユエルさん、今度はこの事について教えてくれませんか?
ユエルさん、さっき僕のこと意地悪だっていいましたよね?
でもユエルさん、僕に意地悪されて気持ちよくなっちゃってるんですよね?
僕にこんな恥ずかしい事されてエッチな気分になっちゃってるんですよね?
僕、ユエルさんの口から、はっきりと訊きたいな♪」

「ちっ、違っ…」

畳み掛けるようにレシィにそう訊かれ、ユエルは違うと言いかけるが、
…ドキリとする部分が無いわけではないので、僅かに言い淀んでしまい。
177/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:25 ID:zVLG7Rz0

その一瞬をついて、レシィが言った。

「じゃあそれ、なんですか?」
「…え?」

すっとレシィが指差した先、自分の股の下辺りを見ると、
自分の股下で下敷きになり、少し湿った自分の尻尾が、
窮屈そうにパッタパッタと右に左に動いているのが見えた。

「……ユエルさん、自分に嬉しかったり気持ちよかったりすると、
勝手に尻尾を動かしちゃう癖があることくらいは、知ってますよね♪」

…………

「…………ぁ」
「ユエルさんの尻尾は正直ですね。本当はず〜っと言いたかったんですけど」
にやっという笑みを浮かべて、レシィはトドメとばかりにユエルに言った。

「さっきから、ずっと動いてましたよ?」

そう言うと、ぐいっとばかりにユエルの体を抱き起こし、
そのまま抱きかかえるような形で座り直した。
ユエルは擦れる感覚に呻き声を上げたが、逆に窮屈さから
解放されたユエルの尻尾は、また元気よく左右に揺れ動き始める。

「ユエルさんがこういう風に言葉でいじめられるのが大好きな女の子だった
だなんて、僕、知りませんでした♪」

答えるように、ぴょこぴょこと揺れる尻尾。
188/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:26 ID:zVLG7Rz0
嬉しかったり悲しかったりすると、勝手に尻尾を動かしてしまう癖が
自分にある事は知っていた。
トリスや皆は感情表現が豊かでいいことだと言っていたし、
止めようと思えば止める事だって出来た(またすぐに動き出すのだけれど)
そんな自分の癖をとりわけ別段不便に感じた事はなかった、
というか、気にしてすらいなかった。
…いままでは。

「……ちっ、違うっ! 違う違うっ! 違う違う違う違う違うぅっっ!!」

ユエルは慌てて後ろ手に尻尾を押さえようとしたが、
しかしその時レシィがユエルの中に差し入れた自分のものを
すかさず動かした為にその手はすぐに地面についてしまった。
…相変わらず尻尾は止まっていない。

「違いません。…どうして我慢するんですか? 僕は嬉しいですよ?
ユエルさん、僕の事エッチだって言ってましたけど、
でもユエルさんも本当は僕と同じくらいエッチだったんですよね?
だから僕、とっても嬉しいんです」

ニコニコしながらユエルを抱きしめてそう言うレシィを横目に、
しかしユエルはきゅっとお腹に力を入れることで尻尾の動きを
止める事に成功した。
そうだ、その気になれば止めるのなんて簡単……

「違うのっ! 違うの違うの違うのっ! エッチなのはレシィでっ…だよっ!
レシィがエッチ過ぎる事ばっかりするから、ユッ、ユエルっ……」

「…じゃあ実験してみますか?」
199/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:27 ID:zVLG7Rz0

「ユエルさんは、」
そこで大きく息をついて、レシィが言った。
「こんな僕みたいな、気弱で、女の子みたいで、ユエルさんよりも弱い、
エッチで、スケベな、変態メトラルのを、ユエルさんの、大事なところに、
一番奥まで入れられながら、感じちゃってるんでしょう?」
「…っ!!?」

一言一言区切るようにそう言われて、ビクッと、ユエルの尻尾が激しく
痙攣するが、しかし痙攣しただけで…………

「…だったら、ユエルさんだって十分変態ですよ♪」

次の瞬間、バタン、と音が鳴るくらいにユエルの尻尾が上に半円を
描いて反対側の絨毯に叩きつけられた。
そのまま、もの凄い勢いで左右へと行ったり来たりを再開し始める。

呆然としながら(レシィに)何故か動いてしまった尻尾を(ああ言われるの)、
ものすごい勢いで(聞いたら)左右に振れている(なんか胸が切なくなって)
尻尾を見つめながら(お腹がキュンとなって)、ユエルはどうして(あそこが
キュッとして)お腹の力が(だからお腹の力が)(抜けちゃって)(尻尾が)
(ユエルなんでそんな)(あれっ?)(えっ?)(えっ?)(えっ?)(えっ?)

「…ほらっ、やっぱりユエルさん、こういう事言われるのが好きなんだっ!」
「…………!!!!」
2010/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:28 ID:zVLG7Rz0

突き切るように断言されて、

「…ちっ、違うのっ! 違うよぉレシィッ! …なんでっ、なんで、なんでっ、
なんで止まんないの? やだぁ、やだあっ、止まって、止まってよぉ…っ!
…こんな、こんなエッチな尻尾っ、ユエルの尻尾じゃないぃっ、ユエルの…」
「いいえ、違いませんっ!」

そう言って、両手でぐっとユエルの体を掴むと自分の体との間に距離を取り、
ユエルの中から自分のモノを三分の一ほど抜き出して角度を固定した。
「くぅんっ!?」と小さな悲鳴をあげるユエル。

「…んんっ、レシィやだ、そこっ……」
「ここっ! さっきユエルさんをイかせてあげた時に判ったんですっ!
ここがユエルさんが一番感じちゃうところですよね!?」
「…えっ…っぁ! ひっ、やっ、そこっ、だめぇっ、そこはだめぇぇっ!」

先程散々ユエルの中をひっかき回した際に見つけたポイントに限定して、
小刻みな集中攻撃を仕掛けるレシィ。
臆病で、ずっと居場所が無い中、相手の顔色を伺いながら生きて来ざるを
得なかったレシィは、しかし、皮肉にもだからこそ観察眼に長けていた。

「隠したってダメですっ、ユエルさん本当に判りやすいんですからっ!
初めての僕にでも判っちゃうくらいに判りやすいんですからっ!
なのにどうして嘘つくんですかっ! 気持ちよかったら気持ちいいって、
なんで言ってくれないんですかっ、どうして我慢するんですっ!」

ユエルの心の壁に、確実に大きな亀裂が走ったのを確信して、
レシィは休む間も与えず、己の全技術を駆使した最大攻撃を続けるが。
もう少しで、もう少しで彼女は自分の前に完全に屈服するはずなのに。
2111/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:29 ID:zVLG7Rz0

「叫んだって怒りませんから! 泣いたって呆れたりしませんからっ!
叫びそうなら叫んじゃってください、泣きそうなら泣いちゃってください!
聞かせて欲しいんですよっ、僕、ユエルさんの声で聞きたいんだっ!」

どうして歯を食いしばるのか。どうして耐えようとするのか。
確実に決定打は入ったはずなのに、しかし崩れない最後の薄い防壁に、
連続使用に伴う自身の危険も感じて、レシィが焦り始めた時。

「やっ、そんっ、きぃっ、っと、はっ、はっ、できっ、うっ、うあっ、っ、っ…」
自分に必死に抱きついてくるユエルの口の動きを見ていたレシィには。
ユエルが必死に主張している事の趣旨は聞き取れた。
「えっ、ってっ、んっ、あっ、ふっ、はっ、んっ、ふうぅっ、ふうぅぅ、んっ」

『そんな恥ずかしい事なんて出来ないよぉ、
ユエルだって女の子なんだもん、ユエルだって女の子なんだもん…』

…そう、ユエルは言いたいらしかった。

奔放で、屈託のなく、しかしおよそ恥じらいに欠けると彼女の事を評する
人間が決して少なくない事をレシィは知っていたが。
けれど、レシィにはすぐに判った。
彼女が自分と同じように、本来の性別らしくない自分を実は気にしていて。
いつも失敗ばかりだけれど、料理や洗濯、掃除などに挑戦していたり。
ついさっき、ずっと好きだった男の子が誰かを教えてくれた。
意外と恥ずかしがり屋な所があって。実は自分の胸の小ささを気にしてて。

…年頃の女の子なのだから、彼女だって本当は持っていたって当然なもの。
それが今、彼女が最後に必死になってしがみ付いている物の、正体。
2212/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:29 ID:zVLG7Rz0

だが、そんなユエルを、改めて『可愛い』と感じてしまったのが失敗だった。
その感情こそが、現在の彼を支配している黒い衝動の動力源なのであって、
ほんの少しだけ効いた彼の心のブレーキも、次の瞬間には破壊される。

「ふぁっ、ふっ、ふぅっ、あっ、ああっ、んっ、んっ……」

……口を閉じ、両目を見開いて、再び限界に近いユエルを観察して。
やがてユエルの喘ぎ声が鳴き声にも違いものになり。
瞳の焦点が合わず、耳の先がピンと張り、自分に抱きつく力が段々と
強くなってきて、最後にきゅっと尻尾がくねるように上がりかけた所で。

――レシィは、ピタリと腰を動かすのを止めた。

「フアッ!?」

いきなりレシィの動きが止まったので、為されるがままだったユエルも
違和感を感じて失いかけていた目の焦点を取り戻す。
所要時間の少なさと強引さの為に、二度目のよりは弱めだったが、
しかし間近に迫っていた三度目の絶頂を、まさに寸止めされた形になった。

その間、レシィはじっとユエルを観察していたのだが。
10秒ほどで、ユエルは自分の心をさい悩ます燻りに気がついたようだった。
20秒ほど経つと、頭もしっかりして来たのか、目に見えてソワソワし始める。
30秒後、目に見えて狼狽し始めながら、ようやく異常に気がついたようだ。
「レ、レシィ……」
困惑と、しかし微かにだが確実に物欲しげな視線を宿して自分を見る
彼女の目に、目論見の成功を確信するレシィ。

「……それじゃあ仕方ないですが、こっちにも考えがあります」
2313/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:30 ID:zVLG7Rz0

人差し指を出して、つっと軽くユエルの浅めな起伏の谷間を辿ると、
「ふぅっ」という喘ぎ声を彼女が漏らした。
…でもそれだけだ。人差し指で軽くなぞるだけ。
そうやって、さっき彼女が触られたり、撫でられたり、舐められたりすると、
何か特別な反応があった部分を、浅く攻める。

「ふぅ……ふ……レ…レシィ…?」
「『止めてって、休憩してって言ったのに、どうして止めてくれなかったの、
レシィの意地悪!』って、さっき僕に言いましたよね、ユエルさん?」

…でも浅くだ。浅くしか攻めない。
しかも、ユエルの耳の先端部が細かくピピピピピピッと震え始めると、
すぐに手を離してその軽い愛撫すら止める。
彼女が達しそうになる寸前、彼女の耳がこういう風に細かく痙攣し出すのを、
レシィはさっきと今、彼女をつぶさに観察していたせいで覚えてしまっていた。

「…ぁ、レシィ、なんで、止めっ……」
「…あれ? ユエルさん、もしかして止めて欲しくない、とかって言ったり
しませんよね? さっきは止めてくれなかったからって、僕を怒ったくせに…」

困ったようにビクッをする彼女を。
「…ねぇユエルさん、認めますか? 認めてくださいよ」
クスクスと忍び笑いをこぼしながら。
「ユエルさん、『僕』に意地悪な事言われると、とっても感じちゃうんですよね?
『僕』に大切な所の中をかき回されてるから、気持ちいいんですよね?」
肉食獣が獲物をいたぶる時のように瞳を細めて、言った。
「認めてくれたら、気持ちよくしてあげますから……」
2414/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:31 ID:zVLG7Rz0

「…ゃ…やだっ、レシィッ…、そんなの…、…い、いじわる、しないでぇ…っ」
「…じゃあ認めますか? ユエルさんがとってもエッチな女の子な事」

強くしてくれない。いたぶる様に、じわじわと体中を嬲るだけで、
自分の中に入れたものは、これっぽっちも動かしてくれない。
ユエルは気づいていないが、彼女の耳が痙攣し出すと、レシィは止めて、
それが収まるとまた始めて、し出すと止めて、始めて、止めて、始めて…。

「や…、やだぁ…やだよぉ…、レシィ、お願いっ、ユエル、ユエルッ…」
「…じゃあ認めますか? ユエルさん、恥ずかしくされるのが大好きな事」

荒い息をつきながら、目を潤ませてユエルは必死に首を横振る。
レシィにいい様に翻弄されてばかりの自分が悔しくて、レシィにあんな事や
こんな事をされてしまうのが恥ずかしかったが、でも今彼にこうされる事で、
自分がレシィが欲しくて堪らない事を改めて自覚させられてしまう。
そうだ、ユエルはレシィのが欲しかった。レシィのが欲しい、…でもくれない。
レシィが欲しい、でも動かしてクれない。気持チよくなリタい、でもナれナイ。
キモチイイノガ、レシィ、ホシイ、レシィ、ホシイ、ホシイホシイホシイホシイ…

「やだ…、ァッ…、やぁ…っ、ふぅぅんっ、クゥ…ッ、クゥ…ンッ、クゥンッ…」

イきそうでイけない、絶頂間際のその瞬間に保たれ続けるその辛さ。
レシィが動きを止めてから、もう10分近くが立つ頃には、
無意識にガジガジと自分の爪を噛みながら、瞳を落ち着き無く動かして、
まるで赤子のように指をしゃぶるしかない、ユエルがいた。

僅かに空いた口の隙間からは、クゥ…ッ、クゥ…ッという子犬の鳴き声に
似た声を出し、いっそ自分で腰を動かしたいと思って試みても、レシィの
意外に強い両足の力でがっちりと腰を固定されていてそれもできず。
2515/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:33 ID:zVLG7Rz0

そんなユエルを、しかし見ているだけで十分自分を保つ事ができるレシィは。
(でも、じゃあユエルさんをいじめて興奮してる僕って、やっぱり本当に変態
なのかもしれません…)とか内心でちょっと色々思いつつも、容赦なく。

「ユエルさん、ほら、ユエルさんの尻尾も『オアズケやだ』って言ってますよ?
…本当は僕も判ってますから、早く認めちゃったらどうですか?」
「…っ! ぅっ…ウウ…ウウ〜〜〜ッ!!」
先程までの左右とは違い、パタン、パタンと床に叩きつけるように何度も
上下されている尻尾を指差し、震えながら首を振るユエルに、さらに。

「ほら、判りません?気がついてますか? …ユエルさんのあそこ、
さっきから僕のを食べたいって、キュッ、キュッって…ね? 判るでしょう?
エッチな体ですよねぇ〜♪ でもとっても正直です♪」
「っっ!!? ウアッ、ウアアッ!! ウアアアアアアアアアッ!!」
いつの間にか無意識に自分がしてしまっていた事を突きつけられて。
そうされている間も指でいじめられ続けて、さらに。

「認めちゃいましょうよ、ね?」
「ア… アアッ…」
さらに笑顔で。

「認めちゃえば楽になりますから、ね?」
「ウアアア…ア…ア…ア……――〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっ!」
さらに囁かれて。

「認めちゃいますよ、ね?」
「…っっ!! …ミッ! 認めるっ! 認めるぅっ! 認めるからぁっ!」
2616/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:33 ID:zVLG7Rz0

とうとうポロポロと涙を零しながら、ユエルは叫んでしまった。
「…がいっ、お願いレシィっ、ユエル認めるからっ、いじめられるの好きで
いいからっ、エッチな女の子でいいからっ、だからっ、だからぁ…っ!!」
「そうですか、判りました、それじゃあ」

にっこりと笑って顔を上げるレシィの笑顔に、途端に涙が滲む瞳に
喜びの色を浮かばせ、尻尾がくいっと左にひねるユエル。
だが。

「……認めた証拠、見せて貰いましょうか♪」
(――――え?)
『認めれば、レシィから貰える』と思っていた彼女の表情が、カチンと固まる。

「さっき、僕、言いましたよね?『こんな僕みたいな、気弱で、女の子みたいな
ユエルさんより弱い、エッチで、スケベな、変態メトラルのを、ユエルさんの、
大事な所に、一番奥まで入れられながら、感じちゃってるんでしょう?』って」

硬直したままの――尻尾まで硬直させたままの――ユエルに向けて、
実に爽やかな、それこそ天使の様な笑顔で、レシィは突きつけて。

「…あれ、僕、ユエルさんの口から聞きたいな♪ 言い直して貰えます?」

次の瞬間、自分の緑色の瞳の力を使い、ユエルの精神を掴み上げ、
そのままがっちりと万力で固定するかのように押さえつけた。

「ふあっ!?」
脳でも心臓でもない部分を強く掴まれるような感覚に、
ユエルの首から下の部分に力を入れる事ができなくなる。
パタリと落ちる、腕と尻尾。
2717/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:34 ID:zVLG7Rz0

…そもそも呪いというものがそうなのだが、多くの魔眼の本質は精神支配、
『吸い込まれるような瞳』という表現がある通りに、瞳を覗き込んで来た
相手が、一瞬こちら側に心を奪われた瞬間をついて、相手の心、
ひいては相手の本質を自分側の支配下に置くことによって完成される。

…故に、今の精神的に弱った、完全に自分に心を傾けているユエルの
動きを押さえつける事なんて、レシィにしてみれば朝飯前なのであり…、
「…口は動かせますよねユエルさん? …さあどうぞ♪」

意地悪くユエルの乳首を――彼女が達してしまわないよう細心の注意を
払いながら――そっと摘んで、呆然とするユエルに強く促す。

無意識にではあったが尻尾を動かす事で(あ…)、指を噛む事で(やだ…)、
せめて自分の中に納まったレシィのものを締め付ける事で(やだぁっ!)、
辛うじて、一生懸命我慢して、我慢して、我慢してきたユエルの精神は。

「や…だぁ…やだ、やだ、やだやだやだやだやだやだぁっ! …お願い、
レシィ、お…お願いだから、お願いだからぁ、ユエル、もうっ、もうダメなの…
もういじわ……やだ…じわる……ない…でぇ……ウッ……ウァッ…ァッ…」
…もはや臨界で、とうとう本格的に泣き始めてしまう。

そして、そんな泣きじゃくるユエルを見ながら、
(……僕……もう、変態でもいいです……)なんてアブない事を考えつつ、
泣いているユエルに(…僕…ユエルさん…泣かしちゃいました…)、
自分がユエルを泣かしてやったんだという事実に、
うっとりしながら痛いほど勃起している自分を感じるレシィ。
昔もっぱらイジメられる側だった為に、この歳になって好きな子イジメが
こんなに楽しい事だったと知り、そのあまりの快感に夢中になりかける。
2818/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:36 ID:zVLG7Rz0

…けれど、もう一息なのだ。もう一息で、ユエルの羞恥心を、完全に。
「…さ、さあっ! 言ってください、言わなきゃ気持ち良くなれませんよ!?」
思わず腰を動かしかけ、声が震えかけた自分を叱咤して、
レシィはユエルに最後の責めを与え始める。…負けちゃダメだ、と思った。
「うぁっ、あっ、あっ、あっ……」
ユエルの頬を伝って、自分の裸身にポタポタと落ちてくるものの暖かさを
感じながら、知らず興奮に魔眼の輝きを強めつつレシィは叫ぶ。
「さぁ! 言ってください、嫌いになんて、絶対なりませんからっ! さあっ!」

「………………ル、……エル、は、…シィ、みたい…な、ッチで……」
「…声が小さいですよ?」
湧き出す興奮をぐっと堪えて、抑揚の無い声で釘を刺す。
「……ユッ、ユエルは…、レシィみたいな…、エッチで、スケベで…
ユエルより…喧嘩弱くて…おっ、女の子…みたいな…」
「…ダメですっ、もっと大きい声で、はっきり!」
微妙に違うけどまあいいや、と思いながら、レシィは最後の一手を詰む。
涙に濡れたユエルの目が、くっと大きく見開いて、そして。

「ユエルはっ、レシィみたいなっ、エッチでっ、スケベでっ、ユエルよりも
喧嘩弱くてっ、女の子みたいなっ、怖がりのっ、メトラルのっ、オチンチン、
ユエルのエッチな所に入れられちゃってっ、気持ちよくなっちゃっててっ、
恥ずかしくてっ、でも大好きなっ、女の子なんだよぉっっ!!」

言い切ってしまって、眼を大きく見開き、肩をガクガク震わせながら、
カチカチと歯を鳴らしているユエルを見ながら、レシィは。
頭の中が真っ白になって。

「……こえが、ちいさいです。もういっかい…………っ!?」

…気がついたら、勝手に口を動かしてしまっていた自分に気がついた。
2919/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:37 ID:zVLG7Rz0

調子に乗っていた、と思う。

あんまりユエルが可愛くて、自分に虐められているユエルが、自分が
一枚ずつ羞恥心という鎧を剥がしていくのに震えているユエルが可愛くて。
でも腹が立って、自分に気持ちよくされてるのをなかなか素直に認めようと
しないユエルに腹が立って。…やり過ぎたと、後にレシィは認めている。

「…ユッ…、ユエルわあああああぁぁぁ―――――――っっっ!!!!!」
「…っつあっ!?」

パンッという頭の中で風船が弾ける様な衝撃に、レシィは思わず顔をしかめ、
自分の魔眼が――その気にさえなれば、機械魔と化したメルギトスさえ
たじろがせれたはずの魔眼が――打ち破られ、弾き返されたのを知覚した。
(…なっ、なんでっ…ありえないですっ…!?)
魔力の逆流で霞む頭に、さっきまでのユエルの精神の押さえつける事の
容易さを思い出し、何が起こったかに混乱しかけたが。

「そうだよっ! ユエルはエッチな女の子だよっ! エッチな女の子だよっ!
エッチな!エッチな!エッチなエッチなエッチなエッチなあぁぁぁぁっっ!!」
「…っ!? ユッ、ユエルさん? ユエルさんちょっとっ!?」

これまでも色々と叫んでいたとは言っても、それはあくまで限度があって。
人の屋敷である以上、部屋の外までは聞こえないようにという注意は
二人の中にあったのだが、それなのに突然叫ぶ、というよりも絶叫する
と言った方が正しいようなユエルの変貌に、レシィはぎょっとなった。
…そして、ユエルの目の焦点が、合っていない事に始めて気がつく。

ユエルのあまりの可愛らしさに暴走していたレシィの脳みそが、
冷水を浴びせられたかのように、一瞬にして正気に返った。
3020/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:38 ID:zVLG7Rz0

ユエルの純粋で、真っ直ぐで、けどその分こういう事には意外にも奥手で。
あんがい人見知りするだけあって、実は恥ずかしがり屋で、
でもだからこそ、そういうユエルをいじめるのが楽しくて可愛くて。
何も知らない、初めてのなのに、ついつい肉体的にも、精神的にも、
いじめて、いじめて、いじめ抜いてしまった結果。

(…ど、どうしよう、ユ、ユエルさんが、ユエルさんが、こ、壊、れ…?)

もうさっきまでの興奮なんてどこかに行ってしまった。ひたすら怖かった。
羞恥心の鎧だけを全部取り除いて、丸裸の心を自分の目で確認したかった
だけなのに、ひょっとしたらついつい力を入れ過ぎてしまい、むき出しの心
そのものにまで傷をつけてしまったのでは?とレシィは恐怖する。
だとしたら、魔眼の呪縛が強制的に吹き飛ばされた事にも納得がいく。
…縛る先のものが壊れてしまえば、もう拘束のし様など……。

何よりもユエルを傷つけたくなかったからこそ、かつてユエルに酷い事を
したであろう人間達がやったようにではなく、『痛み』を一切使わない、
『快楽』だけでのユエルの陥落をレシィは望んでいたのだ。…いたのに。
…だが、冷静に考えれば、『快楽』でも…、『快楽』でも…、

――『快楽』だけでも、度が過ぎてしまえば十分人の心を壊せるのでは?

「…ユ、ユエルさん、しっかりしてください、僕が、僕がわかりま…」
「でも大好きなんだもんっ!でも大好きなんだもん!でもっ、でもでもでも、
大好きなんだよぉっ! ユエルッ、ユエル大好きなんだあああ―――…」

どこも見てない目で叫び続けるユエルに、レシィは本当に心底恐怖した。
…何より、無駄に金の掛かった客室が30も余っているような屋敷とは言え、
これだけの大声で叫ばれ続ければ誰かに聞かれるのも時間の問題だ。
…それだけは、こんな今のユエルを、誰かに見られるのだけは。
3121/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:40 ID:zVLG7Rz0

「ユ、ユエルさん、ユエルさん、僕……っぁああっっ!!?」
そうせずにはいられず、叫び続けるユエルの頭を抱きしめたレシィだが、
その刹那、自分の肩口に突き刺さるような痛みを感じて顔をしかめる。
…肩に噛み付かれたのだという事を、一瞬遅れて理解した。

「ん―っ! ん――〜〜っ!! んん――――っ!! ん〜〜〜っ!!」

噛み千切る事を意図した噛み付き方ではなくて、ただがむしゃらに、
目の前にあったから噛み付いたという噛み付き方だったから、
肉を食いちぎられるだなんていう事はなかったけれども。
でも肩骨に当たって止まりこそすれ、深々と食い込むそれは激痛だった。
だが、それでもそれは。

「…ご、ごめ…ごめんなさい、ごめんなさいユエルさん! ごめんなさい…っ」
聴こえていないのだとしても、それでも言わずにはいられなかった。
四本の犬歯に穿たれた痛みも、血も、贖罪の痛みと思えば楽になった。
ただただユエルが無事に正気に返ってくれる事を望み、
レシィは震える手でユエルの背中を撫で続ける。…何度も、何度も。

―――…やがて、意外と早く、ユエルの力は弱まり、
唐突に自分に噛み付いた口から漏れるうめき声が、聴こえなくなった。
…一寸の間を置いて、肉に食い込むユエルの牙がするりと抜ける。
血がだらだらと四つの穴から垂れたが、レシィはそれすら見ていない。

「…ユ、ユエルさ「「ユエルっ…」」

そうして、何か言おうとしたレシィの震え声が、しかし途中で
ユエルの小さな声に遮られた。
そうしてレシィは、自分への血以外の熱い液体の滴りを思い出す。
3222/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:41 ID:zVLG7Rz0

「…ユエル、エッチなっ、女の子…、で、恥ずかしい、女の子、でっ…」

ヒック、ヒック、というしゃくり声を、とりあえず鼓膜には受け止めながら、
呆然とレシィは泣きじゃくるユエルを見ていた。

「…ハシタ、ナイし、変態かも、しれない、し…、でも胸、ちっちゃい、しっ、
男の子、みたいだって…、よく、言われっ、ちゃう、けどっ、でも、でもっ…」

(………あ…。…やっぱり、気にしてたんですね、ユエルさん、その事…)
ふいに、自分が本来の性別にふさわしくあろうと努力していた裏で、
彼女も同様本来の性別にふさわしくあろうと必死だったんじゃないかと、
だからあんなに必死で『女の子』たろうとしていたんじゃないかと、思った。
…そう思った所で、つと、自分の股間に感じる違和感に気がついて。
そのままレシィが彼女の顔から下方に視線をずらすと。

「ユエル、ただっ、レシィのこと…、大、好きで…、優しいの、嬉しく、て、
だから、嫌いになられるの、怖くて…っ、嫌われちゃうの…怖くてぇっ、
なのに、意地悪なっ、レシィにも…感じ、ちゃって、嫌いになれなくて…
レシィに、恥ずかしい事、されて…るって、思うと、興奮しちゃ…うの…
…だからっ、だからぁっ!」

ユエルは、そう言いながら、必死になって自分の腰を上下させていた。
…今じゃもうほとんど絶頂は遠のいてしまったはずなのに、
すっかり正気に返り、もう半分近く硬さを失ってしまったレシィのモノに、
それでも必死に腰を擦り付けていて、だけど当然上手くいかなくて。

「…もうっ、もうオアズケ、やだ…ぁ… …最後まで…して………」

そんな嗚咽を上げながら必死で腰を振っているユエルを見ると、レシィも。
3323/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:42 ID:zVLG7Rz0

(…あれ? じゃあ…)

急激に再び頭の股間の両方に血液が集中するのを確認しつつ、
レシィの頭の中で今見た事実が分析される。

(僕、その、ひょっとして)

レシィがユエルを自分だけのものにしたいと思った、その衝動は本当だ。
だからこそレシィは頑張った。必死になって、全力を尽くして努力した。
少しでもユエルを気持ち良く出来、少しでもユエルより強く在れるように。
ユエルの体が発情期で敏感になっている、今がチャンスだとも思ったし、
なによりも第一印象、ファーストインプレッションはやっぱり重要だから。

(…本当に、ユエルさんを、その、『落とせちゃった』んですか?)

でもそういうのはやっぱりその、経験が豊富でないと出来ない事で。
ユエルを自分無しじゃ生きていけない体にしてみせるだなんて、
『もしもそうなったら』と渇望はしても、どこかで絶対無理だと思っていて。
ダメ元で決死のチャレンジをしている自分が確かに存在していたのだが。
でも今、目の前のユエルは、確かにレシィを本音で求めてくれている。

(…僕、ユエルさんを、本当に僕のものに、でっ、でき、できちゃ…っ)

…次の瞬間、再度レシィは夢中でユエルを自分の下に組み敷いていた。
ただ、さっきと違うのは、もうそこにはドス黒い感情は存在していない事で。
ただ、満足感だけが。
3424/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:43 ID:zVLG7Rz0

「…ユエルさん! ユエルさんユエルさんユエルさんユエルさんっっ!!」

ひたすらに名前を呼びながら、レシィは何度も何度もユエルの中に
好きなだけ自分のモノを擦りつけた。…もう、我慢する必要なんてない。

「ユエルさん気持ちいいですか!? 僕にしてもらえて嬉しいですか!?」
「…んっ、…気持…ちいいよぉっ! ユエルっ、嬉しい、嬉しい、嬉しいっ!」

恥ずかしげもなく本心を晒してくれるユエルが、レシィも嬉しくて嬉しくて
仕方がなかった。激しい動きに肩の傷が痛み、たらたらと血が零れ出す
のも、今の彼にはこの際どうでもいい事だった。

…だが、ユエルの方は、自分がその傷をつけたのだという事を朧気に
だが覚えていたらしく、ふいに自分に零れ落ちる血に気がついて眉を
ひそめると、そのままレシィの傷口へとむしゃぶりつく。
…一番簡単な方法で、傷口を消毒する為に。
舐めても舐めても出てくる血を、吸うようにして傷口を舐めるユエルに、
異様な興奮を隠し切れずに叫ぶレシィ。

「ユエルさん…美味しいですか…? 僕の血っ、美味しいですかっ!?」
傷口を舐めるのに夢中な彼女は答えなかったけれども、うっとりとしながら
自分の血を舐めているのを見れば、レシィでも答えはすぐに判る。
(…僕も…ユエルさんに食べられちゃってます…)
肉食傾向が強く、生のまま狩りの獲物を食べる事もあると聞いていたので
最初にユエル出会った頃は、食べられやしないかと怯えた事もあったけど。
でも今は、今はむしろ。

「ユエルさんだったら…っ、ユエルさんだったら、僕のこと食べてもいいです
からっ! でもその代わり…ユエルさんを食べていいのも、僕だけだっ!」
3525/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:44 ID:zVLG7Rz0

そう言って自分の首に吸い付くユエルの頭を引き離し、
そのままお互いに貪るような――これまでのどちらかが一方的に貪る
のとは違う――深い深いキスをした。
絡め合う舌の間に挟まる唾液と血の味が広がるのを、
お互いもはや言葉も忘れて何度も何度も貪っている。

……だが、そんながむしゃらに味わう激しい快感は、同時に瞬く間に
過ぎ去ってしまう儚いもの。
興奮とお互いの味、体温、匂いに意識が白霞む中、しかしレシィは
自分がもう限界に近づきつつある事を切実に感じていた。
あと何度か抽送を繰り返したら、そこで自分は全てを放ってしまうだろう。
愛しいユエルの中に。自分の、全てを。

…それはとても危険だ、と。これほどまでに快感に溺れていても、
頭の片隅で強い警告を放つ自分がいるのは自覚したが。

(でも…っ、気持ち良いです…。ユエルさんの中、とっても温かくて…
…抜きたくない、です。…僕、抜かないで、このまま、このまま……っ)

余りにもユエルの中が心地よく、締め付ける肉の感触がほの温かいので、
このまま彼女の中に最後までいたい、中で果ててしまいたいという、
享楽に流されてしまいそうになる気持ちが、容赦なく自分を侵食する。
…いや、それだけでもない。
このままユエルの最奥で自分の子種をぶちまけて、彼女に自分の子供を
孕ませたいという動物的な衝動もまた、自分を支配しようと画策していた。
彼女がもう自分だけのものなのだという、絶対に消えない印をつけたい。
そうすれば、彼女を自分の手元に置いて、好きなだけ可愛がる事ができる。
やってしまえば。やってしまえばユエルは自分のものになる。
やってしまえば……
3626/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:44 ID:zVLG7Rz0

(……だ、ダメ、です…、ダメです、それだけは絶対に、ダメですっっ!!)

しかし辛うじて、自分に残された理性と精神力を総動員して、
ほんの一瞬だけではあったが、それら全ての衝動欲求を叩き伏せると、
ユエルの中から抜け出ようと身を引くレシィ。

…が、そんなレシィの決死の努力も、次の瞬間全て無駄になった。
己の中から自身を引き抜こうというレシィの気配を敏感に察したユエルが、
後退しようとするレシィの体にしがみ付いて、こう叫んだからだ。

「レシィッ!? いやだっ! レシィッ、行っちゃヤダッ!
ずっと一緒にいて! ずーっとユエルの傍にいて!
いっしょにっ、ずっと、いっしょに…………」

ガチャン、という音がしたかどうかは定かではないが。
強すぎる愛は身を滅ぼす、というその言葉通りに。
なけなしのレシィの理性は、そんなユエルのいじらしい言葉の前に
木っ端微塵のみじんこちゃん♪に粉砕され。

「…う…あああああっっ!! ユエルさん、ユエルさん、ユエルさんっ!
どこにも行きませんから、ずっと傍にいてあげますからっ、だからっ!」
ユエルを抱きしめ返すと、ユエルの一番奥、突き進めるところの限界まで
自分の腰をねじり込んだ後、全ての欲望をぶちまけた。

「フッ…アアアアアアァッ! ふあっ……あっ……つ、い……よ……ぅ」
自分の奥底に、繰り返し痙攣と共に叩きつけられる熱い広がりを、
同時に絶頂に達したその体でぐいぐいと吸い上げて。

…数秒後、ぴぃぃんと音がするくらいに立っていた二人の尻尾が、
同時にへたりと力を失った。
3727/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:46 ID:zVLG7Rz0

…それこそ、獣の様な激しい交わりの後。

その最後の瞬間が、余りにも幸福感と達成感に満ち溢れた
至福なものであったために。
最初はレシィもその事について深く考えなかった…というか、
考える事ができないくらいに、思考が混濁していた。

汗だくになった体で荒い息をつきながら、それでも感覚を周囲に拡大すると、
自分の下で同じように荒い息を吐いているユエルの存在に気がつく。
ぼんやりとした頭で、とりあえずしたかった事をするレシィ。
「……僕の、ユエルさん…………僕の……」
ユエルの体をしっかりと自分の腕の中に抱き止めていると、
同様にぽーっとした眼で息をしていたユエルも、
レシィの胸に匂いでもつけるかのように頭をこすり付けて来てくれた。
「……うん……ずっといっしょ……だよね……ずっと……」

……結局、二人とも言い方や欲する形式にこそ違えど、
同じ事を望んでいたのかもしれなかった。
ころりとそのままユエルの横に転がるレシィ。
400m走でも全力疾走したかのように疲れていて、
そうやって呼吸を整える必要を感じていた。

ほんの数時間前までは、キスどころか手を繋ぐのさえ恥ずかしくて、
告白なんて…ユエルの側からはそれっぽいものも頻繁にされていたけど…
夢のまた夢だとか思っていたのに。
今現にこんな事になっちゃってる自分がいるのだから、
(……本当に……世の中何が起こるか……判りません……)
なんて、今更だけれども考えてみたりする。
3828/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:48 ID:zVLG7Rz0

その上、その数時間前の時点でなら諦められただろうに、
今ではユエルに離れられて行ってしまわれたら…気が狂うかもしれない、
なんて素で考えてしまっている自分が、自身で実感していてちょっと怖い。

(本当に……これじゃどっちが食べられちゃったのか、判んないですよ…)

そう締めくくって、レシィははぁっと一つ溜息をついた。
「……あの、それにしても、…こんな事言ったら怒るかもしれませんけれど、
…ユエルさん、女の子だったん…ですよね…」
あんまり返事が返ってくることを期待しないで隣に話しかけたが、
「…それを言ったら……ユエルだって、ちょっと吃驚してるよ。
…レシィもやっぱり……男の子だったんだな、って……」
ころんと僅かに顔を赤くしてユエルもレシィの方を向いたので、
そのまま、照れ隠しもあって、色々と言い合い始める。

「…あー、えっと、すみませんユエルさん、その、ユエルさんも知っての通り、
僕さっきユエルさんがあんまり可愛かったので、かなり見境なくしてました。
…なんか色々、その、酷い事しちゃったりして……ごめんなさいっ」

「…え? え、えっと、でもユエルの方も、その、いつもはユエルの方が
喧嘩も木登りもかけっこも上手いのに、うんと、さっきはレシィに
色々されたい放題されちゃってるのが悔しくて、ちょっと意地張ってて、
レシィ、ユエルの本当の気持ち聞きたがってたのに…ごめんね?」

「…いや、ですが、こうやって今冷静に思い返そうとしてみると、
僕自身、そのまま二度と思い出したくないような事ばっかり…」

「そ、それを言ったらレシィ、ユエルだってその、肩っ、肩、肩ぁ!」
3929/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:49 ID:zVLG7Rz0

そうユエルに指摘されて、レシィはそこで初めてユエルに噛まれた
肩の傷の事を思い出した。…他にもすっかり忘れてたけれど、
ユエルに引っかかれた背中とか、レシィ自身どこでどう怪我したのか
覚えていない尻尾の付け根とか、なんか体中があちこちズキズキ痛い。
…っていうか、結構血まみれで、下の絨毯もなんか今じゃ何か赤黒いし。

「…うわぁ、もうどうしましょうねこの絨毯、これじゃ絶対こんな事してたの
バレちゃいますよ、僕ちょっとファミィさん誤魔化しきる自信ないです…」
「…って、レ、レシィ? い、痛くないの?」
「……いや、そりゃ痛いですけど、幸い一番酷い肩の傷も噛まれただけの
刺し傷だから、もう血も止まりそうですし、カサブタはいじるとダメですし…」

そう言って、どこか遠くから自分の傷を分析しているこんな今の自分に、
レシィはちょっぴり悲しくなった。
(…僕、確か血とか痛いのが苦手だったんじゃなかったですか?)


…そうだ、思えば変な光に包まれて、気がついたら知らない場所で、
目の前にトリスとブルースライムがいた辺りからが運の尽き。
最初はどうせメイトルパに帰っても結局自分みたいな角無しっ子の
居場所なんてないんだからと、半ばやけくそと自暴自棄で
彼の主人にくっついてた部分が幾分あったのは認めるけど。

ちょっとこっちを本気で殺しにかかってくる野盗さん達に襲われたりとか、
ちょっと恐怖の殺戮集団黒の旅団とかいうのに屠殺されそうになったりとか、
ちょっと暗殺者とか、ちょっと調律者一族の亡霊とか、ちょっと蒼の派閥の
幹部召喚師とか、ちょっとサプレスの中級悪魔三人組とか、
ちょっとサプレスの大悪魔とか、ちょっと究極の機械魔らしいメルギトスとか、
まるで祟られてるとしか思えないように次々そんなのに襲われまくって。
4030/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:51 ID:zVLG7Rz0

それでも決死で自分に価値を見出してくれたトリスのご恩に報いようと、
歯を食いしばって、そりゃ腕を剣でスパッとやられたりとか、そりゃ足を
爪でざっくり抉られたりとか、ちょっとパラ・ダリオやらガルマザリアやら
ジライヤやらゲルニカに巻き込まれたりで(注:味方が放ったもの含む)、
大怪我とか、流血大惨事とか、三途の川日帰りの旅とかしている内に。
いつの間にかこんな『なーんだ、血か』で済ましちゃってる自分がいて。

…しかも気がついたら、どういうわけか『陰ながらリィンバウムを救いし
トリス・クレスメントとその仲間達』の一人になっちゃってたりする自分を、
かな〜り(…僕の人生、何だかなぁ)とか思っちゃったりもするわけで。
今自分が負っている怪我だって、もしもこちら側に召喚されたばかりの頃
の自分だったら、きっと見ただけで確実に失神してるだろうし。

(いや、後悔どころかむしろ嬉しいくらいですけど、でも明らかにあの日
目の前にブルーゼリーがいた瞬間から、僕の人生狂ったというか…)
川で洗濯したり、木の実を集めたりするだけだったメイトルパ時代と、
今の、災難の方が向こうからやってくる『巻き込まれ型いきずり人生』とを
比較して、レシィはちょっと寂然となった。


「レ、レシィッ!? なんでそんな遠い所見るような目してるのっ!?
ま、まさか出血多量で死んじゃったり!?」
ただ、そんなレシィに勘違いしたユエルが明らかに狼狽し始めたので。
「あ、いえ、あのっ…。…と、ともかく、ともかくもう傷は大丈夫ですから!
…それよりもユエルさん、……さっきは、とっても可愛かったですよ?」
適当にお茶を濁したのだが、その言葉に途端にユエルの顔は真っ赤になる。
もっともレシィの方とて、そんな彼女を見ると、やっぱり可愛いと感じて
照れて俯いてしまうのはいつもの彼と同様だったが。
4131/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:52 ID:zVLG7Rz0

「…レッ、レシィも、レシィも結構かっこよかったもんっ。…それなのに、
ユエルよりも美人さんなのは、ちょっとだけ、ムカつくけどねっ!」
「あはは…、いつも喧嘩じゃユエルさんに負けてばかりなのが、
僕の方としてもちょっと複雑なんですけど……」
「でもレシィ、喧嘩する時は絶対魔眼使わないじゃない、さっきみたいに
使えれば、ユエルにも喧嘩で勝てるかもしれないのに」
「…それはちょっと、ズルですから。それにそれを言うなら、
ユエルさんだって、ちゃんと可愛い服を着ておめかしすれば、
僕なんかよりも何倍も美人さんになると思うんですけど」

…そうやって、お互いに好きな相手に『男の子』だと、
『女の子』だと、認めてもらえるのが、とても幸せだったのだけれども。

「…でもユエル、ちっとも知らなかったよ」
「? 何がですか?」
「お母さんになるのって、こんなに大変な事だったんだね…」
「…うーん、いや、それはユエルさんがおか…………」

…………

(…………はい?)

あんまり幸せな気分だったので、すっかりその事を忘れて幸福な気分に
浸っていたレシィの笑顔が、凍りついた。

――お母さん?
お母さん? おかあさん? オカアサン? OKASAN? おkaアさン?
…皆、聞いてくれ。どうやら俺達はとんでもない思い違いをしていたようだ。
まずはこのお母さんという文字をローマ字読―(って、こ、混線してますっ!)
4232/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:53 ID:zVLG7Rz0

――ソウイエバ、サッキ、ボク、ユエルサンノナカデ、ナニシマシタッケ?

……サーッと、自分の中の血の気が引いていくのを感じるレシィ。
見る見る顔が真っ青になっていくが、
隣のユエルはとりあえず全然気がついてないので、幸いなのか不幸なのか。

(…そっ、そそ、そうですっ! 落ち着いて、落ち着いて考えてみましょう!)
ようやく酸素の回り始めた頭をフル回転させ、レシィは必死に状況を整理する。
(…ま、まずっ! そうです、ユエルさんが発情期だったんですよ!)

【発情期 → 妊娠する準備ができた証 → そこに中出し → (σ・∀・)σゲッツ!!】

…………

…数秒後、ガチガチガチガチと歯の根が噛み合わない音を出しながら、
見てて可哀想になるくらいに目を右往左往させているレシィがそこにいた。
顔色はもう青を通り越し、バノッサもレイムも吃驚なくらいに素で真っ白だ。

…一応、人×亜人が可能であるように、亜人×亜人も可能である。
見れば判る事だが、レシィもユエルも決して羊や狼から進化した存在では
なくて、正確には『羊や狼の性質を体に取り入れた人間の亜種』、
つまりは一部の特殊な猛獣的身体能力や獣性の魔力を保持する以外は、
体の外見も構造も人間とほとんど変わらない存在というのが正しい。
『オルフル』も『メトラル』も、『亜人』という一つの種族の中の似たような
特徴を持った者達による小集団、つまりは『部族』としての名称だ。

…つまり、『出来にくい』とかそういうのどころか、一欠片の不安要素すらなく、
ふつ〜に子供は、まるでバナナの叩き売りよろしく、出来るのであって。
4333/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:54 ID:zVLG7Rz0

(…え? ちょ、ちょっと待ってくださいよ? ユ、ユエルさん確か13ですよ?
13でもうお母さんですか? …ちょ、あ、えっ、ええっ? …あ、いや、いえ、
そう、必ずしもユエルさんが妊娠したとは…、はい、そうでない確率も…
い、いくら発情期だからってその、しかし、確率は遥かに高いらしいわけで、
いや正確には知りませんけど、…っていうか、ぼ、僕、一番奥のところで、
その、力一杯出しちゃいましたし、でも、ぼくだってまだ15、ですがそれは、
あ、あんまり関係ないですし、いや、でもやっぱり父親は僕で…すか、はい。
ユエルさんのお腹の中に僕の子供が? …や、今はまだいませんけどっ)

「……レシィ…? どこか具合でも悪いの? 顔真っ青だよ?」
「あっ、いえっ、そんな事はないんですがっ! そのっ、ユ、ユエルさんっ!」

ゼラム市青少年健全育成条例違反の罪で、お城の衛兵に護送馬車に
つめられ、「ドナドナド〜ナ、ド〜ナドナ〜♪」というBGMの下、
「僕は牛じゃありませんよぉ〜(泣)」と泣きながら鉄格子をガチャガチャ
やっている辺りまで妄想を膨らませていたレシィは、けれど純粋に
心配そうな顔で、こちらを覗き込んで来るユエルの顔に気がついた。
(……あ……)

…段々、狼狽が後悔にとって代わって、レシィの心中を覆い出す。
まだ確実にそうと決まったわけでも無いのだけれど、
しかし発情期が来た時に性交渉をするとはそういう事なのであって。
そうでないかもしれないという極々ほんの僅かな可能性にすがって、
現実から目を逸らすなどという無責任は、
律儀なレシィの性格上、絶対に許せない事であって。

だが、そんな難しい事を考えていれば、自然と眉間に皺も寄る。
「レシィ…ひょっとしてユエルがお母さんになるのが嬉しくないの…?」
不安になったのだろう、ふいにユエルがそう聞いた。
4434/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:55 ID:zVLG7Rz0

「そ、そんな事ないですけどっ! そりゃ…あの…もしも…
産まれるんだったら…それは……」

慌ててそんな事は!と否定して。
「それは……僕……の、こど…も…………?」

…………

「……僕、『お父さん』、ですか…?」
「…? そうじゃないの? こういう事すれば、赤ちゃん出来るんでしょ?
ユエル、赤ちゃん作れる体になったから、おかしくなってたんだよね?
だからユエル、本当は頭の奥でレシィとの赤ちゃんが欲しくって、
あんな恥ずかしい事してても気持ちよくなっちゃってたんでしょう?」

首を傾げて純粋にそう聞いてくるユエルの姿に、レシィは今度は顔を
俯けて赤くなった。…本当に、青→白→赤と、見ていて目まぐるしい。
(…や、やっぱりユエルさん、こういうとこ僕より野生の勘が鋭いと言うか、
判っちゃうんですかね? ……だ、だとしたら凄いですけど、でも……)

「…で、でも、困りました。聖王都もファナンも、親の承認なしの婚姻は
18歳以上の人達にしか確か許してませんで、そうなると僕達は、その、
親は存在すれどもこちら側には居らず、そうなると戸籍とか、ええっと…」
レシィとしては責任を放棄するつもりはなくても、
社会的、法律的、道徳的に何か問題があるような気がして、
うーんうーんと脂汗を流して唸り出してしまう。

だが、ユエルはきょとんとしてそんなレシィを見ると。
「あれ? ユエル達召喚獣だから人間の法律は守ってくれないんだって、
いつだったかレシィ、ユエルに教えてくれたよね? 召喚獣は『モノ』扱い
だから、それでユエル達を酷い事に使おうとする奴らがいるんでしょ?」
4535/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:56 ID:zVLG7Rz0

「……あ」

はた、とレシィは気がついた。…そう言えば、そうである。
レシィが良く知る召喚師達のような、召喚獣を同じ生き物として見て
接してくれる人達はいる反面、国側は召喚獣には『人権』を認めず、
国法の庇護の下には置いていない。…でも、そうだというのなら…

「もうっ、レシィの悪い癖だよ、すぐにそういうフクザツな事考えちゃうの!
…それにね、ユエルも嬉しいんだ! ユエル、こっちに来てから
仲間やお友達はいっぱいできたけど…」
彼女は、ちょっと寂しそうな顔をすると、何かを思い出すように
一瞬視線を彷徨わせた。…おそらくは二度と会えない、
メイトルパ側にいる家族の様子を思い出していたのかもしれない。
「でも、やっぱり……、家族、欲しかったから……」

そう言ってそっと自分のお腹を撫でるユエル。
自分も家族が作れる体になったことに感慨を抱いているのだろうが、
そうやって自分の腹部を見つめる彼女の目は、いつもの無邪気な
子供のものでなくて、間違いなく大人の女性のそれであって。
…そんな大人びたユエルの姿に、レシィはちょっとドキリとした。

「…レシィがお父さんで……ユエルがお母さんで……ユエルとレシィの
赤ちゃんがいるんだもん…、きっと素敵な家族になれるよ、ね…?」
目を細めてそう聞いてくる彼女に。

本当は、自分もずっと『家族』が欲しかった事を、レシィは思い出した。
4636/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:57 ID:zVLG7Rz0

角が完全に生えない限り、一人前の男とは認められないあの村の中では。
幼い頃の患いの為、もう二度と角が生えてこないレシィにしてみれば、
つまりは一生半人前、女扱いされ続ける事を運命付けられた日々だった。
幼いながら、そんな大人になってもお爺さんになっても一生半人前扱い
され続けるのだと知っていた子供の彼は、だからこそ自棄になっていて。

どれだけ頑張っても誰も認めてくれないし、誰も自分を必要となんて
してくれない、角が無いのは自分のせいではないのにと。
自分の所には誰もお嫁さんに来てくれないし、だから子供も出来ない、
ずっと一人で寂しくお爺さんになって死んでいくんだと、あの頃は、
夜に布団の中でそんな自分の絶望的な人生を思ってよく泣いた。

だから、強くなろうだなんて思いもしなかったし、
自分はなんて不幸なんだろうと思い込む事で、辛うじて自分を慰めて。
人の顔色を伺いながら、毎日毎日をどうしたらいじめられないで、
どうしたら辛い思いをしないで、どうしたら痛い思いをしないで過ごせるか、
その事だけを考えて『ただただ生きているだけ』の卑屈な自分がいた。

…本当は、家事だってあの頃は大嫌いだったのだ。
ただ、それしかやらせてもらえなかったから、それすらも出来ないと本当に
村から追い出されて死ぬしかなかったから、必死になって覚えただけで。

――でも、今は違う。
自分の価値を認めてくれる人達がいて。自分を必要としてくれる人達がいて。
守りたいと思うものが出来、その為に強くなりたいとも思えるようになった。
それらを守る為にだったら、少しくらいの辛さや痛みだなんてなんて事ない。
…その上、今の自分の腕の中には可愛いお嫁さんが、未来の家族が。
あの時の自分が諦めていたものが、今確かに収まっているのである。
4737/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:58 ID:zVLG7Rz0

「…僕が、『お父さん』で、ユエルさん、いいんですか?」
「うんっ!」
「…僕の、お嫁さんに、なってくれますか?」
「うんっ!」
「…僕の、赤ちゃん、産んでくれるんですか?」
「うんっ、いっぱいいっぱい作ろうねっ!」

きっと皆可愛いよっ、と言って笑うユエルを、思わずきつく抱きしめると、
レシィはそのままお姫様抱っこの形でユエルを持ち上げた。

「…ひゃぁっ!?」
「はいっ! じゃあいっぱいいっぱい作りましょうっ! 男の子も女の子も、
五人でも、十人でも、ユエルさんが欲しいだけっ!」

…災難は(主に彼の主人のせいで)次から次へと沸いてくるし、
危険な目にあった事も少なくは無く(実際何度か三途の川見させられた)、
痛い事も、辛い事も、苦しい事も、メイトルパに居た頃の
何倍も感じる羽目になってはいるけれど、…でも、それでもやっぱり
こっちに来て良かったと、レシィは痛切に感じずにはいられない。
…だって、そうでなければ、今自分の腕の中にいる人には。

そうしてそのままユエルをだき抱えて、今ではかなり酷い有様の
絨毯の上から、彼女のベットの上へと移してあげた。

「え? …レ、レシィ? な、なんでもう一回『そういう目』してるのっ!?
も、もうユエル赤ちゃん出来たんだよっ!?」

だが、おそらくさっきみたいなのをもう一度やられでもしたら、
ちょっと堪らないのだろう、そうユエルが悲鳴をあげるのを聞いて、
レシィはちょっと首をかしげたが。
4838/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 00:59 ID:zVLG7Rz0

「……あ。…そうですね、ユエルさんも詳しい所までは判らないんですよね。
…あのですね、さっき見たいな事を、一回したからって言って、
必ずしも赤ちゃんが出来るわけじゃあないんです。時期や体調なんかに
依る所が大きいんですけど、むしろ出来ない事の方が多いみたいで…」

どうやら、こういう事は一回すればそれで子供が出来るものなのだと思って
いたらしいユエルは、レシィのそんな、ある意味自分の死刑宣告とも
取れ兼ねない言葉に、一瞬恐怖に大きく眼を見開いて尻尾を縮こめた。

「えっ、えええっ、さ、さっきみたいなの、な、何回もやらないとダメなのっ!?
…そ、そんなのユエル、その内絶対ミイラになって死んじゃうよぉ!」
本気でそうなる事を怖がっているユエルを見て、レシィはクスクスと
笑いながら、それでも安心させるかのようにユエルに囁く。

「…安心してください、今からは優し〜くしますから。さっきみたいに意地悪な
事言ったりとか、ユエルさんにオアズケさせたりとかは、絶対しません」
(…僕ももう精神力使い切っちゃいましたから、今日の所は、ですけどね)

内心で呟いてる事は内緒にして、レシィは彼女の顎の下の所にキスをした。

「…で、でももうユエル、今日は疲れちゃったよぉ…、きょ、今日はもう
お休みして、つ、続きはまた明日にしない?」

自分の首筋を動く濡れた温かい感触に、微かに身じろぎするユエル。
でもレシィがにっこり笑ってこう言うと。
「い〜え、ダメです、ユエルさん。一回機会を逃すと結構大変なんです。
…僕も疲れてますけど頑張りますから、ユエルさんも頑張らないと、ね?」
4939/39 レシィ×ユエル(SN2)第四話:03/08/31 01:01 ID:zVLG7Rz0

そんなレシィの、一見何の邪気も無いように見えるこの『にっこり笑顔』に
見つめられると、先程のこともあってか、目を行き場無くオロオロさせて。

「う……、わ、わかったよぉ……」

やがて観念したのか、こっくりと頷いた。
この笑顔の時のレシィに反抗すると、とっても怖いことになり兼ねない
という事は、そろそろ彼女も薄々だけれども感づいて来たようだった。

「それじゃ、ユエルさん。これから毎日毎日、ユエルさんの体の奥に
僕の赤ちゃんの素、いっぱいいっぱい出してあげますから。
…絶対赤ちゃん、可愛い赤ちゃん、作りましょうね♪」

耳元で囁くレシィの『毎日』というフレーズに、一瞬身を硬くするユエル
だったが、彼がぺろりと彼女の弱点の内の一つである耳の内側を
舐めると、すぐに体を緩ませて熱い吐息を吐く。
…そんなユエルを見て、レシィは朝までたっぷり可愛がってあげようと、
内心嬉しさに微笑んで。

「生まれて来る赤ちゃんも、ユエルさんも、絶対幸せにしてみせますから、
皆、僕がちゃ〜んと養って、面倒みて、守ってあげますから、ね…?」

そう言って、腕の中にいる彼の『家族』の事を、強く強く、抱きしめた。


                                  <…終?>
50あとがきのようなもの:03/08/31 01:02 ID:zVLG7Rz0

元の原文は、あの当時は(今でもそうみたいだけれど)なんかよく、
『レシィは女の子だと思ってたのに』『ユエルは男の子じゃないの!?』
という話を聞くので、「じゃあ本人達もそういう事気にしてるんじゃ?」
って思って書き始めたのがきっかけで、つまりはこの話はそういう趣向。
現実の羊も意外とヤバイ生物だって事実もあるし(普通に一日5〜10回)
容量食いつぶすほど長話に、お付き合い頂きありがとうございました。


ただ、純愛モード→鬼畜モード への変換は簡単だけど、
鬼畜モード→純愛モード への変換は難しいと、そんな事を痛烈に実感。
鬼畜って、途中でいじめる側が挫けちゃったら鬼畜じゃなくなるわけですし。
純愛だったら、『突然の豹変』ってのをいつでも使えるから楽なのだけど。
すんなりと、鬼畜モード→純愛モード、意外とこれ難しく、泣く羽目に。
どこまで言ったら純愛モードに戻せるのかなぁと、延々タイミングを計りつつ
なんか気がついたら四話だけ他三話と比べて長さが倍に、すごい量だ。
四話の前半20コマくらいまでは、もうほとんど新規作成文章だし。


もしかしたらエロ無し、ほのぼの、ギャクの後日談(追加最終)を、
新たに書き起こすかもしれませんが。でも、あんまり期待しないで。
遅筆だし。そもそもにしてエロ無しだから。
51名無しさん@ピンキー:03/08/31 01:05 ID:8rxkQb6u
超神!
52名無しさん@ピンキー:03/08/31 01:05 ID:R5f7oT6S
             _,. -'' " ̄~゙三=-_、_   ,.-'"
          ,,.-''" r _、      三三ヽ."
        /    i {ぃ}}       _ニニ三゙、
       /,.、     `--"      二三三;     _,,. -'''"
       l {ゞ}    i        _ニ三三|  _,..-'''"
      .l `" i_,,...-''|           ニ三三!''"
     _,.-!    !  i         -ニ三三/
      l´,.- l    \/        -ニ三三/
  _.  ! ri l\       __--三三三='"
  j'‘´j `´ | !  ` ミ三三三三三=''"
 i',.. '´}  | |
  l,.. r´   '´
  ‘´

とにかくGJ!
最高でつ
53前スレ702:03/08/31 01:07 ID:Trw9++b6
レシユエ、リアルタイムでキタ―――(゜∀゜)――(。A。)――!!!
激しくGJですた!
54名無しさん@ピンキー:03/08/31 01:10 ID:5Pj5KXQj
キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!!!!
最高でした!「ほのぼの、ギャクの後日談」も大いに期待させていただきます!
全四話、ローカルに保存しとこw
55名無しさん@ピンキー:03/08/31 01:16 ID:JSdW6CTm
乙カレー
漏れもほのぼの、キタイしていますよ(´ー`)


>「…それを言ったら……ユエルだって、ちょっと吃驚してるよ。
細かいところだけど「吃驚」なんて言葉ユエルは使わない気がします。
56名無しさん@ピンキー:03/08/31 01:19 ID:OGGkAju2
>>55
吃驚って誰でも言わないか…?
ひらがなかカタカナで書けってこと?
だとしてもそこまで言わなくてもいいと思われ…
57名無しさん@ピンキー:03/08/31 01:21 ID:734vwNu7
“びっくり”を変換してみれ
58名無しさん@ピンキー:03/08/31 01:22 ID:0RyjEFwZ
す げ え … …
圧巻でした。ただただもう。
59名無しさん@ピンキー:03/08/31 01:25 ID:IAmPPteT
グッジョブ!!
グッジョブ!!!
グッジョブ!!!!!
素ッ晴らしい!ハラッショ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!!!!
もう興奮しすぎて何がなにやら…
60名無しさん@ピンキー:03/08/31 01:28 ID:w5E1LvNC
超大作、お疲れ様でした。
『ほのぼの、ギャクの後日談』も期待して、まってます。
61名無しさん@ピンキー:03/08/31 01:29 ID:JSdW6CTm
そうでつ、平仮名カタカナってことで。
漏れ、そういう所に細かいんだよな・・・

気分悪くしたなら、作者様と>56にごめん(´・ω・‘)

>57
「吃驚」
説明不足でしたごめんなさい。
わざわざ説明してくれてありがとうございます。
62名無しさん@ピンキー:03/08/31 01:48 ID:OGGkAju2
>>61
いや、俺も言い方きつかったかも
ごめん(´・ω・`)
63名無しさん@ピンキー:03/08/31 02:13 ID:raiL5iwW
キタキタキタキタキタキタkチアkタタkタイtカチアkチアtカチアtカイタk
64名無しさん@ピンキー:03/08/31 02:17 ID:Hb+Hh5J4
職人さん、大作お疲れ様です。
やっぱりこの二人はほのぼのしますな。

二人とも可愛い可愛い可愛いかわいいかわいいカワイイ…
65名無しさん@ピンキー:03/08/31 02:20 ID:Kegt+FiH
やばい。萌え死にそうで一回目最後まで読めなかった・・・

もう一回玉砕してきます。乙。
66名無しさん@ピンキー:03/08/31 02:43 ID:dBkQ/eWI
おぉ・・・・・ここはなんと神聖な場所なのだ。
多くの神が住人に萌えを与えていらっしゃる・・・・・。

願わくば、この幸せが永久に続くことを・・・・。
ザーメン。

67名無しさん@ピンキー:03/08/31 02:57 ID:W5kfbuka
>>7-8
GJGJGJ!!
特に
>「夜にそんな格好で出歩いていたら、『襲ってください』って言ってるようなものだと思うけど」
>こんな風にね。

最 高 w 
イスラの言葉攻めがツボに入りまくりです。流されるアティにも萌え。
もっとアティを苛めて下さいイスラさん(;´Д`)ハァハァ/|ァ/|ァ/|ァ/|ァノ \ ア ノ \ ア
いい所でおあずけされると、エサおあずけされた犬の気持ちがわかる様な気がします。
68名無しさん@ピンキー:03/08/31 03:01 ID:raiL5iwW
俺も後日談キボンヌ
それと絨毯ってなんて読むのかワカラン・・・誰か教えてください
69名無しさん@ピンキー:03/08/31 03:10 ID:Kegt+FiH
じゅうたん
70名無しさん@ピンキー:03/08/31 03:12 ID:QYvnLvlX
じゅうたん
だと思います。
71名無しさん@ピンキー:03/08/31 03:13 ID:W5kfbuka
>>68
じゅうたん

カーペットの事だねー。一発変換出来ると思う。
わからない単語・漢字なんかは聞くよりもコピペしてオンライン辞典で調べる方が早いよ。
72名無しさん@ピンキー:03/08/31 03:13 ID:jasjwscA
絨毯=じゅうたんでござい。
神様方乙です。
73名無しさん@ピンキー:03/08/31 03:53 ID:raiL5iwW
なるほど絨毯か
てことはコイツラ床でしてたのか
翌日館の人達の反応が激しく読みたい
74名無しさん@ピンキー:03/08/31 03:56 ID:cpRr3KBR
キャーキャー!!
もう マ ジ で鼻血でそうでつ::
素敵なSSをありがとうございます!神様♪
75名無しさん@ピンキー:03/08/31 04:24 ID:LHvDURuW
遅いですが、
>>1


レシユエキターー!神、乙でしたっ
そしてっ イスアティっ まってますっ・・・! 
76名無しさん@ピンキー:03/08/31 05:50 ID:J5QFfEE6
うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁああああああああ????!!!!!!!!
キタ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ゲホゲホッ キ、キタ━━━━━━━━┓
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━(゚∀゚)━━!!
レシユエ最高です!感動しますた!!!
゚・*:.。. .。.:*・゜゚*・゜゚・*:.。..。・゜・(ノД`)・゜・。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.
77前スレ702:03/08/31 14:00 ID:Trw9++b6
>>7-8の続きでつ。


 指を擦り合わせると、オルゴールが開かれたように、彼女の鳴き声が響く。
「あぁ……や……ぁ……っ」
 隙間から直に触れた其処は、声のトーンが上がると同時に滑らかになっていく。
 それと同時に立っていることさえままならなくなっていた彼女の腰に腕をまわして支える。
 自然と身体は密着し、形の良い胸は身体の間で窮屈そうにつぶれた。
「無理矢理でも、感じるんだね」
 目尻に蓄えられた涙を吸い取りながら、更に羞恥を煽る。
「そ……んな……」
 ことはない、と言いたそうな彼女。
 何処が、だよ。
「此処、こんなになってるのに?」
 既に指先の感触は溢れ出る液体のそれを捉え、まるで導かれるように秘貝の中へと
吸い込まれていく。
 第一関節が収まったあたりで、彼女の口から漏れたのは、苦痛の声だった。
 表情も、上気していた頬も、まるで生気がない。
 抵抗を忘れていた腕が僅かながら動き、力なく押し返そうとしているのを見て、
もしや……と小声で問いかけてみる。
「アティさん、もしかして……こういうことするの、初めて?」
 途端に、僕の頬が鳴った。
 白かった頬がかぁっと赤くなる。
 ……本当に、わかりやすい人だなぁ。期待通りの反応が楽しくてたまらない。
「図星なんだ」
「言わないでくださいっ!」
 叩かれた頬の痛みを分け与えるように、いまだ秘書に埋めていた指で乱暴に掻き混ぜる。
「ひぃ……ぁあっ……」
 すぐに抗議の言葉は苦痛を訴える声に変わった。
 それを気にせずに指をさらに押し込む。滴り落ちた潤いが僕の手首を濡らした。
「……ぁ……。もうや……めぇ……。どし……て……」
 色を失くした唇から何度も何度も「どうして」という問いが紡がれる。
78前スレ702:03/08/31 14:01 ID:Trw9++b6
 どうして?
 そんなの気まぐれだよ。
 まぁ、このまま君が壊れてくれれば、内に眠る剣を手に入れるのが楽になるだろうけど。
 でもそれじゃあつまらないじゃないか。

 指を抜いて、代わりに自身を押し当てる。
 倒れこまないように……挿入しやすいように腰を抱え上げて、一気に貫いた。
「―――――……ぁあああっ!痛い!!」
 痛みで我を忘れて、僕の肩に腕をまわしてしがみつく彼女。
 花のシャンプーの香りの中に、かすかに混じる女の香り。
「っく……。ちょっときつい……かな」
 途中貫いたものが彼女の聖域を守る最後の砦に当たる。
 それでいて、彼女の内部は僕を拒むでもなく、逆に離そうとしない。

 心と身体の乖離。
 それを目の当たりにして自然と笑みが零れる。

「ねぇ、アティさん。僕を嫌い?」
「……ぇ?」
 今だけは視線は彼女のほうが上にある。
 涙に濡れた宵闇色の瞳をじっと見つめて、問いかける。
 こんな状況で何を聞いているのかと自分でも思う。
「貴方にこんなことする僕が、嫌い?」
 どんな答えが返ってきたってやることは変わらない。
 それでも、同意を求めてしまったのは、やっぱり気まぐれで。
「……そ……急に……」
「ちゃんと答えて?」
 ただでさえ重力に逆らって砦の陥落を遅らせているんだから、早く答えてほしいんだけどなぁ。
 噛まれた唇から、待ち望んでいた答えが返される。
「嫌いじゃない……です……。でも……」
 それは、僕が予想していた答えとはまるっきり逆だった。
79前スレ702:03/08/31 14:02 ID:Trw9++b6
 イライラする。
 普通、何の同意もなくこういうことをする人間を「嫌いじゃない」なんて言うだろうか。
 それとも、「誰も嫌いになれない」とか?
 そんな甘いことを考えるから、こんな目に遭っているのに。

「じゃあ、いいよね?」
 唇に初めて触れて、そのまま腰を進める。
「ん―――っ……!」
 悲痛な叫びを聞けないのは残念だけど「嫌い」とは言われなかったから、
これくらいは許してあげるよ。
 最奥を目指すたびに、愛液とは違うぬめりが独特のにおいを放って繋がった
場所から零れ落ちる。
「あははは、すっごく可愛いよ。アティさん」
「はぁ……あ……ん、わ……わたし……」
 ずり落ちそうになるのを必死にしがみついている彼女に、正直な感想を述べる。
 それだけで、彼女の内部は更に僕を締め付けた。
 それに逆らいながら一端彼女の身体を持ち上げて、手の力を抜く。
「あぁぁ――っ」
 一気に奥まで貫かれた彼女の足が、自然と僕にしがみつく。
 それが更に、僕を限界まで煽っているとも知らずに。
「本当に……可愛いよ」
 これでいままでどうして誰からも触れられずに済んだんだろうね。
 彼女の笑顔に毒気を抜かれて、そんな気も起こらなかったのかもしれない。

 でも、僕は……――――。

「可愛すぎて、滅茶苦茶にしてあげたいよ……!」
「ああぁああ――――っ…………」

 身を小さく震わせる。
 今まで彼女の純潔を散らせた証が流れていたそこから、白濁とした液体がトロリと
混じり落ちた。
80前スレ702:03/08/31 14:02 ID:Trw9++b6
 静寂が戻ったこの場に、彼女を横たえる。
 夜着をきちんと纏わせてやったのは、このまま放っておいて誰かに襲われたら嫌だと
思ったからだった。
 僕のモノに、他人のものが混じるなんて、気持ち悪い。
 砂に散らばった赤い髪からはもう、花の香りはしなかった。
 変わりにしみこんでいるのは、僕の香りなのだろうか。
「貴方が好きだよ。アティさん」
 貴方は僕を嫌いではない、と言ったけれど。
「好きすぎて、同じくらい嫌いなんだ」
 僕が欲しい物を全部持っている貴方。
 それを奪うなんてしない。それを壊すだけ。
 壊して壊して、何もなくなった貴方を僕の手元に置きたいだけ。

 きっとこんな考えすら、気まぐれ。

「さて……と。僕も寝ようかな。
 明日は、行動に移すことが多すぎるから……ね」

 月明かりに照らされた、白い顔のままの彼女をそのままに、立ち上がる。
 立ち去るときに、振り返りはしなかった。
 もう、気まぐれで時間を消費することはなかった。

(終)
81前スレ702:03/08/31 14:06 ID:Trw9++b6
一気に終わりまで投下。お付き合い有難う御座いました。
レシユエハァハァの前後にすみません…。

>>67
自分もいつも犬のお預け状態だったりするのですw
そしてあんまり苛められなくてスマソ…。

では、名無しに戻りまつ。
82名無しさん@ピンキー:03/08/31 14:17 ID:SFD9FwPP
ごっそさまー。

乙。イイ!
83名無しさん@ピンキー:03/08/31 14:31 ID:WAViLK5v
age

84名無しさん@ピンキー:03/08/31 14:34 ID:nqKZon3X
眼福ですた。
乙〜
85名無しさん@ピンキー:03/08/31 15:35 ID:W5kfbuka
>>81
イスラ×アティの続きキタァァァ(゚∀゚)ァ( ゚∀)ァ( ゚)ァ( )ァ(` )ハァ(Д`)ハァ(;´Д`)ハァハァ
乙です乙です!仕事早いですねー。今回もイスラの「名」攻めセリフ多くて最高ですた。
屈折したイスラ&攻められるアティに(*´Д`)ハァハァ 
あんまりどころか十分、いや十二分にアティ苛めてましたよw
ああもう至 福 。こちらこそいいもの見せて頂き有難うございました。
86名無しさん@ピンキー:03/08/31 15:38 ID:NpXFy4n3
ネ申ありがとう。
すんげー(*´д`*)ハァハァさせていただきますた。
87名無しさん@ピンキー:03/08/31 17:01 ID:vb5zQOFZ
>>81
GJですた!
イスラ×アティ、ありそうであんまり無かったので美味しかったでつ。
やっぱ苛められるアティたんはイイ!

・・・さて、これでビジュ、魔剣、イスラと鬼畜プレイ向きのキャラは出揃った訳か〜
大本命、オルドレイクもそろそろ来ますかな。
88名無しさん@ピンキー:03/08/31 17:22 ID:hJ2BUEv9
ごめん……イスラアティ連続なんだけどイイ?
あんまエロくない上に長くて恐縮なんだけど……
89名無しさん@ピンキー:03/08/31 17:31 ID:KchIlrw5
イイヨーイイヨー(・∀・)
90名無しさん@ピンキー:03/08/31 17:32 ID:Trw9++b6
>>88
是非おながいします!
91名無しさん@ピンキー:03/08/31 17:43 ID:hJ2BUEv9
 空高く、照りつける日も届かない、闇の底。
 どこか湿った風が、肌を撫でる。潮の香混じりの湿り気ではない。
 黴の匂い。長年の間に僅かづつ降り積もった埃の匂い。
 ―――地の、底へと。誘う死の匂い。
「……く……ふっ……ぅあ……」
 埃と黴と死の香る、昼なお暗い其処。
 生ぬるく立ち込める風に混じって、細い声が途切れる事無く続いていた。
「ぁ……あ、やだ……っ」
 涙に濡れた声音が、拒絶の言葉を紡ぐ。
 それは確かに拒絶を意味する内容で、
 それを縁取るのも確かに涙ではあるのだが。
「っひぅ……」
 そこに含まれた、ごく僅かな艶。
 それは、とうの昔に廃棄され封じられた遺跡にはいかにも不釣合いな、世間一般的に『嬌声』と形容されるものに良く似ていた。
 崩れかけた天井の一部から、ほんの僅かに光が差し込んでくる。舞い散る埃の幕の向こうに、ぼんやりと浮かび上がる影。
 一見奇怪なオブジェのようにも見える。
「……ぁ……はぁっ……も……、や、やめ……て……」
 哀願は、そのオブジェの中ほどから聞こえてきた。
9288です。ごめん:03/08/31 17:46 ID:hJ2BUEv9
 下から突き上げる律動に揺さぶられるまま、腰まである長い髪を振り乱す女性。
 奇怪な影を生み出していたのは、両手を束ねられて宙吊りにされた彼女自身の体であり、腕であり、
その白い肌が羞恥の為に真っ赤に染まるまでに大きく左右に割り広げられた両の足、だったのだ。
 もっとも、それはあくまで影の一部に過ぎないのだが。
 大部分は彼女の体とは別の方向へと、それぞれ意思を持つかのように蠢いている。
 細い手首を縛り上げて天井に繋がっているものは、それとはまた別の手を、
剥き出しにされている柔らかな乳房に這わせている。
 無意識に足を閉じようとする彼女の力に逆らっているのは、床を突き破って生えている方。
 幾重にも太股に巻きつき、火照った真白い肌にそれよりも赤い痣を残して食い込む様は見ていて痛々しいほどだ。
 けれど、それにも増して悲惨なのは、割り広げられた足の、その中央。
 黒々と濡れ光る太い枝の一本が、鮮やかに充血した花弁を歪ませて、内側へもぐりこんでいた。
「あ……ぅああ……」
 ぐねりと蠢いたそれが更に奥深くへと突き刺さる感触に、彼女の背が反り返って震える。
 自由にならない足の爪先がぴんと伸び、そのままの形でふるふると揺れた。
 がくりと首を項垂れ、焦点の定まらない目が自らの秘部を見下ろす。
 ぐちゅぐちゅといやらしい音を立ててひくついている花弁も、弄って欲しいと言わんばかりに震えている花芯も、
視界に入ることは入る。自分の喘ぎも、忌まわしいものを受け入れている其処が立てる卑猥な音も、聞こえることは聞こえる。
 けれどそれももう、厚布でも隔てたような曖昧さでしかない。
 そうして感覚を遠ざける事で、彼女は終わりのない快楽の苦痛で自身の精神が崩壊するのを防いでいた。
 ―――そんなもの、とっくの昔に砕け散っているのかも知れないが。
9388です。ごめん:03/08/31 17:47 ID:hJ2BUEv9
「う……んぁ、はぁ……」
 切なく吐息をもらして、細い腰を揺らめかせる。
 両手足を拘束されて吊られた体は思うようには動かないし、そうして彼女が動けば動いただけ、
彼女を苛む枝はまるで逃げるように引いていく。
 強い刺激を欲して喘いでも、それを理解し認識する精神が存在していないから、
煽られることも彼女に没入することもない。
 ただ機械的に、責め苦と名を変えた愉悦を彼女の体に、心に刻み付けるだけだ。
 幾度となく。果てる事さえなく。
「随分とお楽しみのようだね?」
 差し込む日の光に透けて、舞い散る埃がきらきらと輝いている床の上に、彼女以外の者の影が長く伸びる。
 体に蔦を絡ませ、それによって体内を抉り上げられている彼女ほどではないにせよ、
異形を感じさせる輪郭を持ったその影。
 しかし、一瞬の光芒に包まれ、光が消え去った時には、片手になにかを携えた青年へと姿を変じていた。
「気分はどうだい? 悪くない?」
 携えてきたモノを無造作に脇へ放り投げながら、吊られた彼女に歩み寄ってきた青年は、
目の前で長く揺れる赤毛を掬い取って指先に絡めた。
 うっすらと目を細めてそこへ口付け、戯れとも思える問いかけを口にしてから、
未だ蠢きながら彼女を貫いているままの枝―――とは言っても、表面は金属の光沢を持っている―――と、
それを受け入れている彼女自身の秘部をさらりと視線だけで撫でる。
「悪くはなさそうだね」
 もっとも、悦いって訳でもなさそうだけど。そう呟いて、彼女自身の髪を巻いたままの指で、
赤くしこった花芯を擦る。
「ふぁ……あっ」
 指先の感触とは異なるざらりとしたものに撫で上げられて、彼女の背がぴんと伸びる。
待ちわびていた刺激を漸く与えられた体は更に潤ったようで、
溢れ出してきた蜜が枝を伝い、床に溜まっていた水溜り
―――蜜溜りとでも形容したほうが良いだろうか?―――に新たな水位を注ぎ込む。
9488です。ごめん:03/08/31 17:48 ID:hJ2BUEv9
「反応が薄いね……疲れちゃったかい? もうちょっと声が出てくれないとつまらないよ……」
 くすくすと笑いながら、青年は花芯を弄る指先に力を込める。
 摘み上げて捻じるように指を動かし、絡めた髪を擦りつけた。
「ひ……ぅああっ……!!」
 掠れた悲鳴を上げて仰け反った肢体が激しく震えた。
 浮かんだ汗が散り、水音を奏でていたそこが、ぎゅぅっと激しく収縮する。
 絞り上げるような内側の動きに吃驚した枝が自身を引き抜こうと蠢くが、それさえも許すまいと食い締めて。
「っふ……ああ……」
 力の抜けた様子でぐったりと吐息を漏らした彼女の唇を、青年は僅かに濡れた指先でなぞる。
「触れられただけで達しちゃうなんて……。よっぽど焦らされてたみたいだね?」
「ぁ……んぅ」
 弾む呼吸を吐き出している柔らかな唇を割って、指を滑り込ませる。
 一瞬、戸惑ったように目を見開いた彼女だったが、やがておずおずと舌を伸ばして青年の指を―――そこに纏わった、自分の蜜を舐め始めた。
 ちゅぷ……くちゅ
 指と、それよりも柔らかい粘膜とが触れ合う度に、唾液が卑猥に音を響かせる。
「今日は随分と積極的なんだね、アティ?
奴を片付けるのに思いのほか時間がかかっちゃったから、その間焦らされて大変だったのかな」
 羞恥に頬を赤く染めながらも懸命に舌を動かす彼女の上あごを内側からくすぐり、
ぴくんと跳ねた肌の上に褒美とばかりに口付けを落として、
青年は矢張り、薄い笑みを浮かべたままでそう言った。
「それとも……、本気で僕が欲しかった、のかな?」
 戯れ混じりに問い掛けてみるも、帰ってくるのは熱に浮かされたような虚ろな瞳。
 それに僅かな空虚を感じた青年だったが、直ぐにそれを深い場所へ押し込めた。
9588です。ごめん:03/08/31 17:48 ID:hJ2BUEv9
 こんな形でなければ、駄目だったんだから仕方ないじゃないか。と、自身に言い聞かせるように呟いて。
 唾液の糸を引いて、抜き取った指を滑らかな乳房に這わせた。
 アティが、小さな喘ぎ声を零して身を捩る。
「イス……ラ……」
 掠れた声音が名を呼ばわる。その声も、彼女の瞳同様にどこか虚ろで、
風が吹き抜けていくような感を抱かせるものだったが。
「なんだい、アティ?」
「おねが……もぅ、いかせ……て……」

 彼女の声が、名を呼ばわる。

「ついさっき達ったばかりじゃないか。忘れたわけじゃないだろう?」
「……ちが……」

 アティの声が、そう紡ぐ。自分に向けて、自分の名を。

「何が違うんだい? アティ」
「イスラ……を……いれて……っ」

 アティが呼ぶ。自分を、『イスラ』と。
 ただそれだけで、彼は満足だった。
9688です。ごめん:03/08/31 17:49 ID:hJ2BUEv9
 ぶちぶちと音を立てて、彼女の腕を戒めていた蔦を引き千切る。
 後ろへ倒れこみそうになったアティの手を取り、赤く痣の残った手首を舐めると、微かに鉄の味。
「つかまって」
 自らの首へと腕をまわさせて囁くと、自由になった上半身だけをすり寄せてしがみ付いてくる。
 肩に顔を埋めた彼女は、時折体を震わせて喘いでいた。
 その、原因。
「……退けよ」
 未だ彼女を貫いたままの枝を掴んで、イスラは言った。短い命令の口調で。
 手に触れる枝の感触は見てくれに反して滑らかで、柳のようなしなやかさを供えている。
表面は黒々と光り、アティが流した蜜に濡れててらてらと隠微に輝いていた。
 ぬめって指を滑らせる枝は、彼がそう命じると、僅かに蠢いた。
 ずるりと音を立てて、一杯に広げられた彼女の秘部から姿を現す。
けれど、半ばほどまで抜け、そして動きが止まった。
 名残惜しげに身を捩り、敏感な粘膜を擦り上げる。
「んあっ……!!」
 その感触に、青年の首に回した腕に力を込めて縋りついたアティが耐え切れずに声を上げる。
「ぁ……ごめ……なさ……っ」
「いいんだよ」
 泣き出しそうな表情で詫びる彼女に口付けて、青年は枝を握り締める指に更に力を込めた。
めきりと嫌な音が響いて、鉄色の表面に指が食い込む。
「話がわからない奴だって事を忘れてた……」
 低い声音で呟く青年の背後に、紅くゆらめくオーラが重なる。
 ゆらゆらと揺れる黒髪が鈍い銀色に輝き、黒かった瞳が鮮やかな深紅へと変貌する。
「退け」
 三度は言わない、と言外に含ませた命令。その言葉にというよりは青年の纏う力に気圧されたように、ずるずると枝が退いていく。
 圧倒的な力の前に未練さえも消し飛んだ様子で。
9788です。ごめん:03/08/31 17:50 ID:hJ2BUEv9
「……どうやら君の中はまともな観念さえ消えうせている連中でも夢中になるほど悦いみたいだね」
 長時間太いものをくわえこまされていた秘裂は、青年の指が触れると怯えるように花弁を震わせた。
その奥からはとろとろと際限なく蜜が溢れ出し、彼女を支えている枝を濡らしながら滴り落ちた。
「その気持ちはわからなくもないけどね……」
 呟いて、抱き寄せたアティの耳朶を軽く噛む。ぴくんと華奢な体が跳ねて、すがり付いてくる手に力が篭った。
「イス、ラ……?」
 虚ろな瞳が、青年を見上げる。赤子が覚えたての言葉を使うのと同じ調子で、彼の名を呼ぶ彼女の声音。
 ―――そう、赤子だ。
 かつて在った彼女の心は何処にもない。砕けてしまった。―――否、砕いたのだ。自分が。
「……だって仕方ないじゃないか」
「? イス……ん、んああッ……!?」
 名を呼ばわろうとしたアティの声が、途中で悲鳴に取って代わる。
 不意に過った苦いものを振り払うように、青年は、彼女の中に深く自身を沈めこんだ。
 枝に嬲られ続けていた彼女の中は既に蕩けだしそうに潤っていて、少し動かすだけでぐちゅりと卑猥に鳴いた。
 包み込む粘膜が誘うままに奥へ奥へと埋めこむと、内側を満たしてなお足りず、
足を伝って溢れかえっている蜜が押し出されて更に溢れ、床へと滴り落ちる。
「は……んぅ、あぁっ……」
 枝とはまったく違う強さで突き上げられ、揺さぶられる動きにあわせて、喘ぐアティの内側も、きつく、緩く収縮を繰り返しながら青年のものを啜り上げる。
 もっと奥へ。もっと、もっと。そう言わんばかりに、濡れそぼった粘膜が猛るイスラに絡みつく。
その衝動のまま激しく腰を打ち付け、けれどお互いにその痛みを上回る愉悦に目がくらむ。
9888です。ごめん:03/08/31 17:51 ID:hJ2BUEv9
 それでもまだ足りない気がして、更に激しく打ち付ける。
「アティ……アティ、っ……呼んで御覧、ほら、もっと……!!」
 イスラは片手でアティの腰を引き寄せて腰を打ちつけ、そう囁きながら空いた指を彼女の秘裂へと伸ばす。
繋がりあった部分を軽くなぞり、その上で固く立ち上がっているしこりをきつく摘み上げた。
「きゃうぅ……っ!!!」
 掠れた悲鳴。弓なりに仰け反ったアティの内側がきつく彼を締め上げる。
せりあがってきた解放への欲求を眉をひそめる仕草で辛うじて堪え、更に腰を打ちつけていく。
 交わっているのでも、愛し合っているのでもない。ただ、貪りあっている。
そう表現されるのが相応しいなと、頭の片隅で漏らした感想を握りつぶして。
「い、イスラ……っ……イスラっ……!!」
 喘ぎに混じって紡がれる、自分の名前。耳にするだけで、悪寒にも似た快感が背筋を駆け上る。
「いいよ、アティ……凄く、でもまだ足りない。もっと呼ぶんだ、もっと……!!」
「っあ、ああ……っい、イス……ああああぁああっ……!!」
 名を呼ばわる声が、一際大きく掠れて。アティの体が跳ねた。びくびくと震え、その動きに合わせて秘裂が歪む。
 きつく絞り上げられる感触に堪えきれず、イスラもまた、絶頂を迎えた彼女の中に欲望の全てを吐き出して果てた。
9988です:03/08/31 17:52 ID:hJ2BUEv9
とりあえず……これで前半。後半はエロなしの上にグロくて黒いので駄目な人はごめん
ついでに一気に貼るのもごめん……
それじゃ後半いきます
10088です:03/08/31 17:53 ID:hJ2BUEv9
「……そうそう……忘れてた」
 互いの弾む息が漸く収まってきた頃に、思い出したかのように青年が呟く。
「アティ、君にね……お土産があるんだ」
「……………?」
 枝を払われて床に横たわっていたアティはその言葉に体を起こし、ぼんやりとした表情のまま視線を向ける。
 ゆっくりとした仕草で小首を傾げると、床に広がった赤毛がさらさらと音を立てて流れた。
「碧の賢帝が砕けて君を此処に連れてきてから、僕がいない間君はずっと一人だろう?
本当なら僕が一緒にいてあげればいいんだけど、目障りな連中がまだ多少残っていてね、暫くは無理そうなんだ」
 彼女の頬に触れながら、青年がそう言葉を紡いでも、虚ろな彼女の目にはなんの感情も浮かばない。
 ―――浮かぶ筈がないのだ。碧の賢帝……かつて彼女が振るった魔剣。
 扱うものの精神を具現するという、その剣。それが砕けるという事は扱い手の心が砕けるに等しいという。
「それに、僕にもやることが少しだけ残ってるからね……、それが済んだら、ずっと一緒にいられるんだけど」
 焦点の定まらない目で自分を見上げるアティの頬を優しく撫でながら、青年は言う。
「もう少しだけ寂しい思いをさせるかも知れない。だからね、せめてひとりくらいは、話し相手が欲しいだろう?」
 砕け散った心の空虚に、ものをはめ込むのは存外に簡単だった。
 これでもう、彼女が誰か他の者と自分とを比べる事もない。
 ……いや、他の誰かと同じように『自分も守りたいのだ』などと言い出す事もない。
 -―――自分『も』守りたいのだ。などと。
「僕はね、アティ。昔から何かに依存しなければ存在できない類の人間だったらしい」
 レヴィノス家の末子。アズリア・レヴィノスの弟。
 無色に与する者。軍に属する者。
 ただの人間としての肩書きなどないに等しい。誰もが皆同じ事しか言わないのだ。

 ―――ああ、あのレヴィノス家の。
10188です:03/08/31 17:54 ID:hJ2BUEv9
「……もっとも、それは姉さんも同じことだったんだろうけど」
 女であるというハンデを負ったまま上級軍人を目指した。彼女もまた、恐らくは同じ思いを抱いたに違いない。
「けどね……姉さんには君がいた」
 私をレヴィノス家の者としてでなく、ただの友人として見るのだ。
 そう語った姉の言葉を思い出す。
 そう、きっとこんな風に。
「ずっと昔から、僕は姉さんが羨ましかったけど……、その時は本当に、本気で妬ましいほど羨ましかったよ」
 ……いいや、違う。こんな風では、きっとない。
「アティ。僕を呼んで」
 戯れのような、青年の言葉。語尾が微かに震えたのは気のせいなどではあるまい。
 ―――けれど、それに気づくものは最早ない。
「イスラ」
 請われたとおりに、アティはその名を紡ぐ。けれどそこには何の感情もなく、風が通り抜けていくに等しい空虚しかない。
「……ふ、はは……はははっ……あはははははっ……!!」
 不意に青年が笑い出しても、驚く様子も困惑する様も見せず、ただぼんやりと笑う青年を見上げたまま。
「ふはは……なんでもないよ、なんでも……」
 言いながら、ゆらりと体を動かして、青年は壁の一角―――
先に、戻ってきたとき携えていたモノを放り投げたあたりへ歩いていった。
 崩れかけた瓦礫の中に目当てのものを見つけると、掴み上げ、半ば自らの体で隠すようにしながらアティの元へ持ち帰る。
「どんな君でも、僕だけを見てもらえるならそれで良いと思っていたよ……。始めにあんな接触の仕方、するんじゃなかった」
 ただの、なんの肩書きもない一個人としての自分を……、まるごと受け容れてもらったかのような錯覚。
 嘘と虚栄で上塗りした幸せの錯覚。味合わなければよかった。直ぐに壊れる偽りの幸せなど。
「だから、剣を折ることも躊躇わなかった。そうでもしなきゃ君がこうやって僕を見てくれることなんてなかったろうから。だけどね……」
 どん、と無造作に、イスラは手にしていたものをアティの眼前に放り出した。
 ごろごろと転がって、床の上に止まったソレを目にしたアティの目が見開かれる。
「物足りないんだ。今の君じゃ、どうしようもなくッ!!」
10288です:03/08/31 17:54 ID:hJ2BUEv9
 そう、吐き出した青年の言葉が届いたのか、どうか。
 アティは呆然と目を見開いたまま、目の前にあるものを凝視していた。
 青白い頬に、飛び散った血が髪を張り付かせ、そのまま乾いて赤黒く光っている。
 かつて在った強い光も優しい光もなにも宿さない目は、矢張り紙のように白い瞼の奥に閉ざされ、表情は安らかに見えた。表面上は。
 イスラが切望したように彼女に名を呼ばわれ、それと同じように彼女の名を紡いだであろう唇も固く引き結ばれ、端の方から一筋、紅く乾いた血の跡が顎へと伝い落ちていた。
 けれどその先に繋がるべきものは……
「話し相手が欲しいだろう、アティ? もっともこいつじゃ一方的に君が喋るしかないんだけどね」
 無残にも削り取られ、皮一枚で繋がったのを引き千切られた、赤黒い断面を覗かせる、それは人の……
「ほら、嬉しいだろう? 君はこいつとは随分仲良しだったみたいだからね……もっと喜べよ……、怒れよッ!!」
 叩きつける言葉のまま、青年は目の前のそれ―――既に心も魂も命さえもない肉の欠片―――を蹴りつけた。
 がつんと壁にぶつかって鈍い音を響かせたそれは、床に落ちてごろごろと転がり、まだ乾いていなかった粘つく血をあたりに撒き散らして止まった。
「はは、ははは……あはははははっ……!!!」
 狂ったように哄笑する青年を、アティは矢張り焦点の定まらない瞳で見上ている。
 ―――青年は気づかない。その瞳の奥に宿っていた最後の何かが暗いもので塗りつぶされていくのに。
「……そう……こいつはお気に召さなかったかい、アティ……」
 それに気づかないまま、イスラは笑うのを止めてそう言った。
「そうだね……君の周りには、まだまだ沢山いたからね……ふふ、ふははは……はは……」
 楽しげに紡ぎながら、肩を震わせる青年。それが怒りなのか、悲しみなのか憎しみなのか、最早彼自身にもわからなかった。
「……なら、毎日ひとりづつ連れてきてあげよう……一度に皆連れてきてもいいけど、それじゃつまらないだろうからね……」
 一人づつ、じわじわと追い詰めていこう。鼠をいたぶる猫のように。
 そうすることで、彼女の目に失われた何かが―――憎しみでもいい。空虚以外の何かが灯るのなら、それで。
10388です:03/08/31 17:54 ID:hJ2BUEv9
 青年は気づいていない。否。気づかないフリをしている。
 そんなことをしたところで砕けたものは元には戻らないこと。
 唯一存在していた戻すべき手段を自らの手で壊してしまったこと。
 ―――そうしたくなるほど、己こそ唯一であれと願いつづける自分自身の感情。
「それじゃ……少しだけ出かけてくるよ、アティ……直ぐに戻ってくるから、さっきみたいなお楽しみはナシだ」
 ぼうっとしたままのアティの裸身に彼女自身が身に纏っていた白いマントを被せかけてやると、青年はそう言って踵を返した。
 日の光が差し込んでいた天井からは何時の間にか昇った月の光。
 宵闇の空が一瞬真白に輝いて、変貌を遂げた青年はそのまま遺跡を後にした。


 ―――青年は知らない。


 後に残された彼女が不意に立ち上がり、彼が残していった『手土産』によろよろとした足取りで近づいていったこと。
 裸身が血に濡れるのも構わずにそれを両手で抱き上げて胸に抱え、暫し呆然と座り込んでいたこと。
 ―――やがて、その瞳からぼろぼろと涙をあふれさせ、嗚咽に声を詰まらせながら「ごめんなさい」と繰り返し紡いでいたこと。
 そうする彼女の目を昏く黒いものが完全に覆い隠していったこと。
 壊れる直前に、最後に残った彼女自身が呟いた、首の主の名。


 青年は知らない。


 島の全てが暗黒に……、絶望が名前を変えた暗黒に飲み込まれつつあること。
 そして、それからは決して逃れられないということを。
 ―――けれど、それこそが『彼』の願ったことなのかも、知れない。
104名無しさん@ピンキー:03/08/31 17:58 ID:Lm1e9ETg
リアルタイムキターーーーーーーーーーーーー!!!
終わりです
この期に及んでまだ1周目もクリアしてないので所々妄想まじりですご免なさい
剣が砕けたあたりの会話でイスラアティ……ともやもやしてて、前スレのイスラ×アティで
理性の糸が

というわけで

>81=前スレ702
萌えをありがとうございました……GJ!!

そしてお目汚しスマソ
106膿武者:03/08/31 18:02 ID:OKNa/H+Y
>>50
GJ!!さすがですねぇ。もう何から言ってよいやら、とにかくおつかれ!あんた神だよ!
ちなみにあの二人に子供が出来たとして果たしてトリスとミニスのどちらの召喚獣になってしまうのでしょうか?
騒ぎが起きるのは必死。
107名無しさん@ピンキー:03/08/31 18:03 ID:W7vT79IU
すげーよかったです!
グロイはずなのに表現が綺麗で引き込まれる文章でしたよ。
またお願いします!
108名無しさん@ピンキー:03/08/31 18:18 ID:Trw9++b6
81でつ。
>>88
キタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━!!!!
リアルタイムで読ませていただきました!
GJGJ!

まさに憧れの黒イスラに触手枝…!
も、萌えすぎ…!!
こちらこそ萌えを有難う御座いました…!
是非また…!!
109名無しさん@ピンキー:03/08/31 18:33 ID:nMYeyive
>>106
そうやってずっと使役されるのはやだなぁ・・・
漏れはレシィとユエルが独立して旅に出たりするのが(・∀・)イイ!!

妄想スマソ。
110名無しさん@ピンキー:03/08/31 18:35 ID:WkLKiCkK
お見事でした。
真カルマルートとでも言うべきか・・・
イスラの狂気とか絶望とか、そういったものがひしひしと感じられる一作でしたな。
本編で剣が砕かれたアティが存外元気で物足りなかった身としては大満足でした。
111名無しさん@ピンキー:03/08/31 18:38 ID:325odbbC
イスアティキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!

ありがとうネ申!!
ハァハァ、萌えすぎて息切れ(w
112名無しさん@ピンキー:03/08/31 19:10 ID:I+LO2cDR
神様キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
イスラー。イースーラー(;´Д`)ハァハァ もわもわ妄想してた物が
神の手によって数十倍のクオリティで形に!
113名無しさん@ピンキー:03/08/31 19:36 ID:Jra34LWK
週末の良作連発キテル━━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━!!
やはりここは神の住まう地か。たった1晩でこのような桃源郷が
昨日の晩のぞいた時には今日ほどの大作連続は予想できなかったよ
>レシユエ
ピュアな純愛してるくせにでもエロはむちゃくちゃに濃い二人が神!!
獣チックなところとか、家族が欲しくて子作りに励むあたりとかハァハァ
>702氏のイスアティ
イスラに苛められて悶えよがるアティ先生がエロエロ萌え萌えで神!!
>88氏のイスアティ
こういう一寸の光もない絶望、的なのもまた素敵な味わいで神!!
イスラといいビジュといい3の歪み系キャラは(・∀・)イイ!!奴ばかりだ
114名無しさん@ピンキー:03/08/31 21:35 ID:ngh1MtYu
鬼畜と恋愛が両立する世界が最高だとオモタ。
115名無しさん@ピンキー:03/08/31 21:50 ID:7QjqE8sO
なんだこれ。
新スレたって早々神が2人も降臨ですか
とりあえず今からゆっくり読んできま
(*`Д´)ハァハァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ ノ \ア ノ \ア / \ ア / \ ア
116名無しさん@ピンキー:03/08/31 22:10 ID:4at4Uhs5
>>106
レシィとユエルの子供になります
と、言うかユエルの場合ミニスと仲がいいだけだけで、どちらの「モノ」でもないきがする

レシィはあの後、昨日のことをしつこくミニスに聞かれるんだろうな…
たぶん、ミニスは風邪だと思ってるわけだし
117名無しさん@ピンキー:03/08/31 22:16 ID:PM9uBzJ5
最近神の降臨が減ったなぁと思ってたところに
新スレ大作3連発キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
>>50
レシユエすげえ。純愛エロの理想郷。
この二人の萌え設定を力の限りエロに盛り込んでるのがすげえ。
神としか言いようがない・・・
>>前スレ702氏
あーたまらん!純もほんのりの鬼畜イスアティ最高だ・・・
気まぐれといいつつのめりこむイスラの書き方がすげえいい。
つかアティたんに心底萌えた(;´Д`)ハァハァ
>>88
鬼畜の真骨頂キタキタキタキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
枝触手キチークまぐろグロ痛と鬼畜設定盛りだくさん!
そしてそれらを綺麗にまとめあげる文才に惚れ惚れ。つか描写凄過ぎ
「誰か」とは明言してないけどメル欄なんだろうな…痛さ爆発、そこが最高。

長文感想ウザくてスマソ、興奮を抑えられんかった・・・
118名無しさん@ピンキー:03/08/31 22:26 ID:7QjqE8sO
  _,,..i'"':,
  |\`、: i'、
  .\\`_',..-i
   .\|_,..-┘
とりあえず俺含めたこのスレの住人のために
ティッシュおいときますね


タマラン!!ここのSSはタマラン!!
119名無しさん@ピンキー:03/08/31 23:00 ID:r9nCxHPd
自分としては

>50氏
エロもすごいけど、所々に入る笑いや両キャラ設定の巧みな応用が秀逸
>702氏
イスラ描写もいいが、とにかくアティたんハァハァアティたんハァハァアティたんハァハァ
>88氏
本人は断り入れてるけど、敢えて最後、あそこまで書ききったのに敬服の意

でもこれだけ大作長文&神が一度に出現したので、この後の事がチト怖いな
やはり今は週末なのだとしても、今日のよき日が奇跡の顕現なのだとしても
小ネタや短編でもエロ大好きですから、エロ文職人さん達、がんばってくだせぇ〜!
120名無しさん@ピンキー:03/08/31 23:10 ID:0RyjEFwZ
確かに……なんつうかここまで怒涛の勢いで良作が続くと、
「俺もちょっと書いてみよッかな〜」って人が尻込みしそうだ……。
ここいらでちょっとライト&コミカルな作品の降臨を期待してみる。
121名無しさん@ピンキー:03/08/31 23:17 ID:kNIovP+F
触発されて何か書こうと思ったが
「書きたいシーン」までの展開は思いつかんし
エロは皆無だし…

やはり神は偉大だ
122名無しさん@ピンキー:03/08/31 23:32 ID:+ggYQb5T
最後の戦いの後、島の運命はアティの手に委ねられた
愛に満ちた世界を望んだアティの願いは
ちょっと曲解されてかなえられ
島は愛欲に満ちた世界になってしまいました
そして島のみんなは愛し合って幸せに暮らしましたとさ
めでたしめでたし

…という妄想が浮びますた
神の皆様がた、どなたかこれで書いてみてくれませんか
123名無しさん@ピンキー:03/08/31 23:35 ID:UddlF7P9
>>121
まったくですね〜
私もレックス×ベルフラウで書き始めてみたけどエロ激ムズ( ´Д⊂ヽ
話の展開も知らず知らずの内にありきたりな物になってるし・・・
改めて実力の差を見せつけられましたよ( ´Д`)y-~~
124名無しさん@ピンキー:03/08/31 23:42 ID:qZQZiuez
>>123
完成したら投下を希望します。
ありきたりの展開だろうが、マジでその組み合わせが見たいので。
125名無しさん@ピンキー:03/09/01 00:06 ID:gDfdYfNF
>>121 うむ、実によく判る。50氏のレシユエが神と言われている理由でもあるが
例えばマグナ×アメルとか、ネスティ×トリス(扱ってるサイトは多いが)とか
フォルテ×ケイナとか、ギブソン×ミモザとか、いわゆる公認正統派って

 こ れ が 案 外 も の す げ ぇ エ ロ エ ロ 書 き に く い

マグナとアメル、レシィとユエルの絡みを書こうとして何度も挫折して来た
ヘタレな漏れが言うのだから間違いない。いつも途中で筆が折れるんだよ
いざ書いたとしても、どうしても暴走芋天使や黒レシィに逃げそうになっちまう
だが! その点 ア テ ィ た ん 最 高 ! ア テ ィ た ん 神 !
その豊満な胸や、天然エロ体質もあるのだろうが
特定の親密な相手がおらず距離が曖昧なのがこれほどありがたいとは思わなんだ
126名無しさん@ピンキー:03/09/01 00:11 ID:9K7PSfoE
サモン2だとマグナ×トリスな漏れ・・・
茨だ・・・_| ̄|,,,○
127名無しさん@ピンキー:03/09/01 00:14 ID:tutoqraf
ファルゼンの正体がレックス以外にばれてない時ぐらいで(10話ぐらい?)
ファリエル×レックスの話を書いてるんですが、
ファリエルからは触れて(ファリエル状態で看病してたし)、
レックスからは触れないのかな?

ここのところをどうするか決めないと続きが書けないのですよ。
どうなんでしょう?
128名無しさん@ピンキー:03/09/01 00:18 ID:UR7xjk98
>>125
>特定の親密な相手がおらず距離が曖昧

あ〜、これ分かるわ。
そういうキャラの方がなんとなくエロパロって書きやすいよね。
だからアティたんは主人公なのもあるけれど絡み、絡ませやすいのかも。
アズリアタソやミスミ様、クノンタンあたりとレズらせれる点も手札が豊富だ
129名無しさん@ピンキー:03/09/01 00:19 ID:u4gWCq+E
>>127
(この娘は幽霊だから……抱きしめてやることもできないんだ……)
とかなんとか、レックスが言ってたような。
130名無しさん@ピンキー:03/09/01 00:27 ID:tutoqraf
>>129
そういう台詞とファリエル状態で看病してたこともあったから、
幽霊から人は触れて、
人から幽霊は触れない
と考えたんですよ。
もしかして、両手はガントレットをはめたまま看病したとか?
131名無しさん@ピンキー:03/09/01 00:41 ID:X+jA2588
>>130
ごっついキャラグラフィックが頭に浮かびました。
132名無しさん@ピンキー:03/09/01 00:56 ID:AuSuhIi/
ファリエル関連はもうご都合主義でいいんじゃない?
133名無しさん@ピンキー:03/09/01 01:23 ID:0pFYa2db
ずいぶん前に妄想したネタだが

体に触れることができないで悩んでいるファリエルにメイメイさんが「一時的な体」をプレゼントする。
っていうありきたりなネタなんだがな。

人形師と呼ばれる、シルターンのホムンクルス製作屋が作った「ヒトガタ」
それは一見するとつるつるの卵のような顔の奇妙な人形(マネキンを想像してください)だが
精神体…肉体を持たぬ生命がそれの中に入ると、一時的に肉体を得ることができる。
ヒトガタは精神体が持つ情報にあわせて変化し、精神体の外見をそっくりそのまま再現することができる。
当然、自然の法則に反する『それ』は耐久度が低く、せいぜいもって一日。
だが、その間は完璧に「身体」として機能するという、究極の人形である。

こんなんどうよ。
134名無しさん@ピンキー:03/09/01 01:24 ID:NYKyOU/5
>>121
漏れの場合
エロより、そこまで行く展開とか その後の方が書きやすいんだが…
まぁもともと文才なんぞないがな
135名無しさん@ピンキー:03/09/01 01:34 ID:wnbzujlD
ファリエルに関してはもっと簡単な方法がある
夢の中でいちゃつく
ファリエルがそういう能力をもってることにしてもいいし
そういう召喚獣がいることにしてもよい

つうかこれ幽霊とヤル場合の定番だろ
136名無しさん@ピンキー:03/09/01 01:39 ID:VbrxTCRA
>>134
自分の場合エロに到達する前に書きたいシーンが終わるとそれで満足しちゃって
力が抜けるのでエロ書きには向かない…。しかもエロ以外のシーンが無駄に長くなるし。
つーか、エロは本当に難しい…。だからここの神達は凄いと思いまつ
137名無しさん@ピンキー:03/09/01 02:13 ID:tutoqraf
>>132
そうすることにします。

>>133
それは思いつきませんでしたな。メイメイさんか・・・…。

>>135
>ファリエルがそういう能力をもってることにしてもいいし
これに近いネタなら考えたんですけどね。

ファリエルの存在を知らないアリーゼが散歩中のファリエル(鎧無し)を見て、
「ゆっ、幽霊」と気絶してしまい、凹みながらもアリーゼをどうやって運ぼうか
悩んだ挙句、アリーゼに憑依して運ぶ。その途中で今の状態なら触れ合うことが
できると誘惑に駆られるファリエル

とこんな感じの。
138名無しさん@ピンキー:03/09/01 03:50 ID:pfrq6to5
今更だけど、41の下二行に大ウケしますた
139名無しさん@ピンキー:03/09/01 06:28 ID:E4l80ulA
エロ魔剣ものの続き書いたんだけど投下していい?
聞いておきながらすぐ投下するけど。
140名無しさん@ピンキー:03/09/01 06:30 ID:2DOWwAUe
許可
141エロ魔剣3 前編:03/09/01 06:32 ID:E4l80ulA
喚起の門での陵辱劇から1週間が経とうとしていた。
シャルトスは門で魔力をためることに味を占め、毎夜出かけては、アティを淫らな人形にして魔力を高めていた。
「…行くんですね…」
『ああ。今日は何に犯されたいか?』
「……」
今日も例外ではなく、アティは外に出かけるための支度を始めた。
(もうあがいてもしかたない…。私は従うしかないんですね)
指示されたり、操られたりせずとも、彼女は自ら剣を腰にさし、少しくたびれてきたローブをまとう。
諦めたようにブーツを履いて、ドアノブを回した。
恐る恐る部屋から一歩踏み出すと、低く笑う声とともにシャルトスが言った。
『誰にも見つかるな。見つかればどうなるか…もう言わずとも分かっているな』
「…はい」
一昨日。人知れず船を出て行こうとした所で、ヤードに会ってしまった。
そのときはヤッファの庵で飲んでくる、と苦しい言い訳をしたが…
後に待っていたのは一層激しい陵辱だった。
剣は、スカーレルに見つかったときのように、邪魔されるのが怖いのだろう。
アティはきょろきょろとあたりを見まわしながら、足早に出口へと向かっていく。
船長室とバスルームからは暖かな光。なるだけ音を立てないように気を付けながら、出口に足をかけた。
ああ、よかった…、今日は誰にも会わずに済む。
安堵してふぅ、と息をついた瞬間、船長室のドアの音がした。
「あれ〜?先生!これからどっか行くの?」
思わず、ソノラと共にした陵辱劇がフラッシュバックされる。
142エロ魔剣3 前編:03/09/01 06:33 ID:E4l80ulA
酔ったかのような、陽気な声。ボブ・カットにした金の髪。それに合う、透き通るような瞳。
最後の最後で見つかってしまった、と肩を落としてアティは振り返る。
満面の笑みでこちらを見るソノラに、アティはあいまいな返事で返した。
「ヤ…ヤッファのところに、お酒でも飲みに行こうかなって。多分スカーレルも行ってると思うんでっ」
まくし立てるように、早口で弁明する。これではまるで、嘘をついている事を自分から明かしているようではないか。
言われたソノラといえば、頭の上にクエスチョンマークをいくつも浮かべて、こちらを見ている。
「ん?スカーレル?スカーレルなら今お風呂にいるけど。なんなら呼ぼっか?」
「い、いい…」
ぶんぶんと首を振るアティ。しかしソノラは聞いちゃいないといった風に、バスルームのドアを叩く。
その口元は、にやり、と歪んでいた。
「はいはい、今出るってば!」
バスルームから明るいテノールが聞こえる。
言ったとおり数秒後には、濡れた髪を下ろしたスカーレルが出てきた。
「んもぅ、急かさないでよ。ソノラ、一体何の用事?!…って、センセじゃないの…」
女性のように高めのトーンで喋るスカーレルの声が、アティを見つけたとたん暗いものに変わった。
ソノラだけが、相変わらず明るい声で喋りつづける。
「先生、これからヤッファの所に行くんだって。スカーレルのコト探してたみたいだったから」
「え…」
違う、言いかけた口を閉じ、涙をこぼしそうな瞳でスカーレルを見つめる。
彼はその様子を、同じように哀しい目で見つめ返すしかできなかった。
「悪いけどセンセ、アタシちょっと今日はヤードと飲みたい気分なの。ソノラも付き合ってくれるでしょ?」
「えっ、なんでぇ?!スカーレルってば、先生と一緒に行こうよぉ」
「だーめ。この前、ヤードの人生相談に乗るって言ってたでしょ?」
ゴメンネー、と明るい調子で続け、スカーレルはソノラを引っ張って部屋の方に消えていった。
「ぶーぶー。…じゃ、楽しく飲んできてね、先生!」
かろうじて見える手がぶんぶんと振られる。
アティはそれを神妙な面持ちで見つめていた。
143エロ魔剣3 前編:03/09/01 06:34 ID:E4l80ulA
「ちょっと!なんで邪魔するの、スカーレル!せっかくあたしも行けるチャンスだったのに!」
ずるずると彼の部屋の前まで連れてこられたところで、ソノラは手をふりほどいた。
その声は感情的で、邪魔されたことを怒っている。
「いいじゃない、センセはヤッファとサシで飲みたいのよ」
スカーレルといえば、わざと見当違いな答えを返している。
濡れた髪が照明を受けて照り返す。
「スカーレルだって分かってるんでしょ?!先生がホントは」
「ストップ。それ以上言ったら怒るわよ」
喚き散らすように言うソノラに、鋭い眼光が向けられた。
そんな強い目をみてつい一瞬、ソノラはひるんでしまう。
「あたし、あの日以来おかしくなっちゃったの!エッチしたくてたまんなくって…また魔獣にいっぱい犯されたいの!」
「……でも」
だがすぐに復活し、再びくいつく。そんな彼女を、スカーレルは複雑な気持ちで見ていた。
口が達者なスカーレルが、返す言葉を見つけられずに困っている。
「でも、じゃない!……じゃあさ。スカーレルが代わりに抱いてくれるワケ?あたしのこと、気持ちよくしてくれるの?!」
「……ッ」
「もとはといえば…スカーレルのせいじゃん…。あのときスカーレルがあたしに行かせなければ、こんなことにはならなかったのに…!」
吐き捨てるように言って、ソノラは部屋に消えていった。
144エロ魔剣3 前編:03/09/01 06:34 ID:E4l80ulA
目を伏せて、スカーレルも自室に入る。
(でもなぜ、アタシはソノラを行かせたんだろう。アタシやヤード、それにカイルの中の誰かが行けばよかったのに)
濡れた髪を今一度拭きながら、スカーレルは考えた。
(もし、アタシやヤード、カイルが行ってたらどうなってた?)
男だし、まず犯されることはないでしょ、そう言いつつ、スカーレルはうっかりそんな場面を想像して吐き気を催す。
(う…キモチワル)
その次に、触手に翻弄されるアティの姿が想像された。
スカーレル自身、童貞のような青さは捨てたつもりだったが、少しだけ顔が紅潮する。
そしてそんな自分に後悔する。
(嫌…センセが他の男の手の中に居るなんて、想像するだけでも嫌)
そこまで心の中で呟いて、スカーレルははたと気がついた。
(そっか…アタシ、センセのそんな姿が見たくなくて…。)
アティが他の誰に犯されることも許さないと言う、醜いまでの独占欲。
髪を拭く手が止まると、思わず嘲るような笑いがこぼれた。
笑いつつも、悪い方向への想像は止まらない。スカーレルを待ち構えていたかのように、思考がつながっていく。
(もし行ったのがカイルかヤードだったら、センセはあの2人にも犯されてたかもしれないわ。
ちがう。カイルかヤードが魔獣を倒すの。そしたらセンセ、きっと言うのよ。「して」って。)
そこまで考えて、スカーレルの胸がきゅっと締まった。
全部つながった。アタシが剣に操られるセンセを助けたあの日、センセはアタシとセックスしたかったわけじゃないんだ。
セックスしたかった時そこに居たのが、たまたまアタシだったってだけ。
145エロ魔剣3 前編:03/09/01 06:35 ID:E4l80ulA
いそいそと、まるでそれが義務であるかのように服を脱ぐアティに、シャルトスが囁いた。
『追って来ないな…』
暗闇の喚起の門。昼間見るよりもいっそう妖しくて、アティはここが苦手だった。
「きっともう、私のことなんてどうでもよくなったんですよ」
白々しく、アティは答える。
私を見たときの、あの哀しい瞳。「本当はあなたを助けたい」と語りかけてきたけれども、アティは怖くてたまらなかった。
今までは「助けてくれるかもしれない」と期待しながら陵辱を耐えることもできた。
なのに、もうそれにすがれない。
脱ぎ捨てた服から黒いサモナイト石を二つ、頭上に掲げて召喚の儀式を始めた。
『ロレイラル…。今夜はどんな風に楽しませてくれるかの』
喚起の門が共鳴して、中から召喚獣があらわれた。

つづく
146エロ魔剣3 前編:03/09/01 06:39 ID:E4l80ulA
エロなしですいません…。
しかも前回と展開が似てる…鬱だ。
あっでもそろそろ変わってくると思うので…
次に投下するのはいつになるか分からないですが、
なるだけ早めに投下します。
147名無しさん@ピンキー:03/09/01 06:48 ID:mh2HrQoR
エロ魔剣のネ申キター!! ある意味ソノラまで魔剣に操られてますねw ロレイラルからの召喚でアティたんがどうなってしまうのか楽しみです!
148名無しさん@ピンキー:03/09/01 06:55 ID:Omf1DZGL
             _,. -'' " ̄~゙三=-_、_   ,.-'"
          ,,.-''" r _、      三三ヽ."
        /    i {ぃ}}       _ニニ三゙、
       /,.、     `--"      二三三;     _,,. -'''"
       l {ゞ}    i        _ニ三三|  _,..-'''"
      .l `" i_,,...-''|           ニ三三!''"
     _,.-!    !  i         -ニ三三/
      l´,.- l    \/        -ニ三三/
  _.  ! ri l\       __--三三三='"
  j'‘´j `´ | !  ` ミ三三三三三=''"
 i',.. '´}  | |
  l,.. r´   '´
  ‘´
149名無しさん@ピンキー:03/09/01 07:03 ID:Fa3Zx7oY
エロ魔剣キター!
続きを待ってました。
次は機械姦か〜。後編にも期待しております。
150名無しさん@ピンキー:03/09/01 10:29 ID:pFpaJkCW
エロ魔剣(・∀・)イイ!!(・∀・)イイ!!

最近カイアティ神来ないね(´・ω・`)
最初の頃カイアティ、いい思いしたからな…
151名無しさん@ピンキー:03/09/01 13:35 ID:YDh7ZWpz
>>150
うん。同じく最近カイアテイ神来てないなーと寂しく思てた
今までの神の作品も最高にモエーな素晴らしいものだったけど
まだまだラブエロなカイアテイ読みたいので神の登場を待ち続けてます

そして「孤島のバカンス」の続編も激しくきぼんぬ!!!
次こそは邪魔されずカイルはアテイの中でイけるのだろうか(藁


152名無しさん@ピンキー:03/09/01 13:37 ID:4pVAiqaa
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153名無しさん@ピンキー:03/09/01 14:34 ID:z0ZnUQQd

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154名無しさん@ピンキー:03/09/01 16:12 ID:72Zrn2mI
>>150
しばらく着てないって前回投下されたのまだ一昨日なんですけど…。
あんまし職人さん急かないほうがいいよ。やっぱじっくり(・∀・)イイ!ものを創ってもらいたい。
155名無しさん@ピンキー:03/09/01 17:10 ID:Hcq1ohIJ
>>50
GJ!
最高でつ!エロ小説でこれほど感動したのは初めてだ!!!

しかしこれを見て
15年後のレシィ(亜人なので今とほとんど変わってない)×レシィとユエルの子供(12歳くらい?)
を思いついてしまった漏れって・・・・・・(;´Д`)
156名無しさん@ピンキー:03/09/01 18:04 ID:UdfN3ww5
前スレどうする?
このスレまで問題持ち込んでほしくないけど。
俺がこう話しても持ち込んだことになるね。
スマソ。
157名無しさん@ピンキー:03/09/01 18:06 ID:hKCATCdf
前スレで批判してるやつ。まずオマエがSSを書け。話はそれからだ。
158名無しさん@ピンキー:03/09/01 18:08 ID:opJMmvWX
気に入らないSSなら無理にマンセーしろとは言わんがせめてスルーしろと。
ああいう風に叩いたら他の人まで書き込みにくくなる。
159名無しさん@ピンキー:03/09/01 18:11 ID:SfFofh0R
まぁ、いつまでもあの話題引きずっても仕方ないと思うんで止めにしないかい?
神が降臨しづらくなるし。個人的にダメな所を批判されるのは書き手としては有難いけど
言い方を考えて欲しいというか。晒す方もここが2chだということを覚悟した方がいいと思うけど
160名無しさん@ピンキー:03/09/01 18:43 ID:fOhJJJ/n
>>155
それ面白そうハァハァハァハァハァハァ
161名無しさん@ピンキー:03/09/01 18:47 ID:fOhJJJ/n
リジェ
162名無しさん@ピンキー:03/09/01 18:47 ID:fOhJJJ/n
↑誤爆した
163名無しさん@ピンキー:03/09/01 18:53 ID:OOdaoxud
今さらだが・・・
前スレ>711、>721は大きな誤爆をしている。
164名無しさん@ピンキー:03/09/01 19:09 ID:Cj+xO3vq
>>163え?どこが誤爆してるの?さっぱりなんだが…
165名無しさん@ピンキー:03/09/01 19:26 ID:OOdaoxud
誤爆と言うより勘違いかw
166名無しさん@ピンキー:03/09/01 19:48 ID:Cj+xO3vq
うーむむ。やっぱりわからん。どこ?
167名無しさん@ピンキー:03/09/01 19:50 ID:YDh7ZWpz
>>159
同意
168名無しさん@ピンキー:03/09/01 19:57 ID:+KL5ggJ3
>>164
わからないなら放置しる。
169膿武者:03/09/01 20:31 ID:OQIoYJ3n
ここは神が多すぎて投下できそうに無いよ。
書きかけのマグナ×アメルは処分しよ・・・。
170名無しさん@ピンキー:03/09/01 20:35 ID:WWihmuCA
どうでもいいけど処女喪失した時ってホントにブチブチ音するの?
171名無しさん@ピンキー:03/09/01 20:54 ID:yAW08qYa
>170
んなわけねーべ
まぁ、もうちょっと勉強してくださいってこった
172名無しさん@ピンキー:03/09/01 21:00 ID:hKCATCdf
三日前までブチブチ音がすると信じて疑わなかった>>171でした。
173膿武者:03/09/01 21:14 ID:OQIoYJ3n
>>172
三日前に何があったんだ?!
174名無しさん@ピンキー:03/09/01 21:24 ID:aEuFA8EZ
>>169
処分してはならぬ
175名無しさん@ピンキー:03/09/01 21:29 ID:vosD1J1e
 イスラがアティを閉じ込めている部屋に入ると、
不安げな表情を浮べたアティが迎える。
「アティ、気分はどうだい?」
「イ、イスラ……」
 イスラを見つめるアティの表情は、明らかに怯えている。
無色の派閥に捕えられてからというもの、その兵士たちによって日々、
アティの身体は蹂躙されていた。
 今日もまた、大勢の兵士に責め立てられると思っているのだろう。
だがイスラは、今日からアティには新しい快感に目覚めてもらう気でいた。
「君もそろそろ、普通にするだけじゃ飽きてきた頃じゃないかな?」
「えっ……?」
 イスラの言葉にアティは眼を白黒させる。
アティはイスラの言葉の意味が理解できていないようだった。
「僕はね、アティ。君にもっと気持ちよくなってもらいたくてね……
色々考えてきたんだよ」
 イスラはそう言うと、兵士に合図を送る。
すると兵士は様々な道具の詰まった箱を床に置いた。
「な……何をするつもりですか……?」
 今までとは違う展開に、アティは戸惑いと不安の表情を浮べる。
「今日は君に喜んでもらおうと思ってさ、色々な物を用意してあるんだ」
 イスラがそう言うと、アティの表情が曇った。
「……も、もう……いや……いやです……」
176名無しさん@ピンキー:03/09/01 21:29 ID:vosD1J1e
「いや?何がいやなんだい?
僕はただ、君に気持ちよくなってもらいたいだけなんだよ」
 そう言ってイスラは顔に笑みを浮べる。
「イスラ……」
「それじゃあ、みんな。彼女を裸にしちゃって。
そしてやりやすいように押さえつけてくれるかな」
 イスラがそう言うと、
兵士達は待っていましたとばかりにアティの周りを取り囲む。
ただならぬ気配に、アティの表情はどんどん強ばっていった。
「ああ……ああぁぁ……」
 身体を小刻みに震わせながら怯えるアティの姿に、
イスラの心臓は鼓動を早めていく。
「それじゃあ、やっちゃってよ」
 兵士達はイスラの指示でアティへと襲いかかり、
着ているものを全て剥ぎ取ると、身体を押さえつけながら、
大きく開いた脚を椅子にくくりつけた。
「いやっ……いやぁぁっ!こ……こんな格好……い、いやですっ!」
 恥ずかしい格好で押さえつけられたアティが悲鳴を上げる。
大きく開かれた脚の間では、前も後ろもあらわになる。
「はははっ……いい格好だね、アティ」
177名無しさん@ピンキー:03/09/01 21:30 ID:vosD1J1e
ごめん。おわり……。
前スレで残り容量埋めに使おうと思ってなんとなく作ってみものの、
既に書き込めなくなってた……。
処分するのも何なので投下。
178名無しさん@ピンキー:03/09/01 21:48 ID:TvC2PVnM
神GJ!
自分は見てるだけなイスラがイイ!
イスラアティ神多くてウハウハ…。
179名無しさん@ピンキー:03/09/01 22:25 ID:yR78P5hg
>>155
イイ!と思った漏れは犯罪者でつか?
180前レスが書けなくなったので:03/09/02 00:12 ID:WwUMgGr5
(この番号は全部前レスの番号です)
あたた、やはり文章力をつけたほうがいいですか……
あ、ども、叩かれてるモノです。(−−;
>>737-739さん方々。
確かに自分はまだ文書くのが苦手です。注意されたり、批判されるのも、
分かりきってる事です。出直せとか勉強しろとか言われるのもすべて
自分の実力が無いわけです。
しかも確かにクノンは介護人形な訳で、やはり人体構造は知ってると思います。
>>737さんの言うとおりです。
後、良かったって言ってくれた皆様ありがとうございます。
こんな駄文を褒めてもらえるとは正直思ってませんでしたので。
前に自分の書いた小説を心の師匠に見せた時も中々のだめだしを喰らったもので
自分の実力は低いのかな……とか思ってました。
まぁ、実際低いのですけど(鬱)
>>750さん
私も考えてません。今、書きたいと思う。それがやはり大切なのかと……違うか?
751さんと似てる事言っちゃいますが、
やっぱり、自分が書きたいから書くてのが重要ですよw例えそれが下手でも……
……それでは……
181名無しさん@ピンキー:03/09/02 00:22 ID:Y10mdb1+
>>180
ガンガレ、またいつか書いてくれよ。
待ってるぜ!
182名無しさん@ピンキー:03/09/02 00:25 ID:QPi7EBgx
>>180
キニスンナ!とは言えないけどね。
自分はあまり何とも思わなかったけど、あえていうなら
一人称の文体が問題だったんだと思うよ。
心の中でしゃべってるわりには「今、俺は状況を説明している」的な文体だったから。
鬼畜物は難しいしね。
183名無しさん@ピンキー:03/09/02 00:30 ID:isugrI9o
>>180
文章力云々については俺も他人事じゃないからな……。
まあ、叩かれるってことは見てもらえてるってことだから、前向きにいこうぜ。
上達を考えて書きまくってりゃ、実力は確実に培われてくよ。
184名無しさん@ピンキー:03/09/02 01:29 ID:i/AgruIu
 日差しが照りつく中、カイルとギャレオが見つめる先に二人の女が向かい合っていた。
 軍服を身にまとったアズリアは、その暑さに額からとめどなく汗を流し、目の前のアティを見つめている。
 先ほどの行為の名残か、アティの白い肌にはわずかに赤い跡が点々と残っていた。
 それを隠すかのように両手で自分の体を押さえ、困ったような表情でアズリアを見つめ返す。
「あ、あの、外に出たのはいいんですけど、これからどうすれば……?」
「決まっているだろう!私は今からお前と戦うつもりでいる。ここで出会っておきながらむざむざと
逃がすわけがないだろう?」
 アズリアの言葉に、アティはわずかに表情を曇らせる。
 わかっていたことだった。かつては同じ道を目指し、よきライバルとして共に歩んでいた学生時代。
 だが今の彼女と自分は、正反対の志を秘めた敵対する存在なのだから。
「でも、何も今日戦わなくてもいいじゃないですか!?だって――」
「それは貴様が海でのうのうと遊び惚けていたいからだろう。さてはこの私から逃げるつもりか?」
 図星を突かれ、アティは口ごもる。
 日常の心の疲労を癒そうと考え、アティは仲間達とともに海に繰り出した。今日だけは辛い事を忘れ、
楽しさを求めカイルと二人きりの時間を過ごしたいと思っていた。
 そんなさなかにもっとも厄介な帝国兵、しかもアズリアと対面するという事になってしまったのだ。
 それも一度目は前戯の途中。……さらに二度目は本番の真っ最中。
 戦うのが嫌だという理由を抜きにしても、正直今すぐにでも逃げ出したい思いであった。
「この期に及んでまだ貴様は戦いを拒むと言うのか!?抜剣するのは嫌だが、男の抜剣なら食らいたいと
ほざくか!?」
「だ、誰もそんな事は言ってませんよ!」
 顔を赤らめて否定するアティに向け、アズリアの指が鋭く指す。
「黙れ!黙れ黙れダマレェッ!!そこの低学歴海賊男に抜剣されて、貴様は覚醒してしまったのだ!
男に腰を振る卑しい雌犬へと……ぁ……」
「アズリア隊長ッ!!」
185孤島のバカンス(その3):03/09/02 01:32 ID:i/AgruIu
 ふらりと体を傾けるアズリアを、ギャレオは慌てて受け止める。そして素早くポケットから錠剤を
取り出すと、それをバラバラと彼女の口へ放りこんだ。
 膨らんだ口を閉じ、無言でボリボリと錠剤を噛み砕くアズリア。やがてゴクリと飲み干すと、
ギャレオに支えられながら態勢を取り直した。
「ふぅっ……、とにかく逃げる事はこの私が許さん。どうしてもこの場から立ち去りたいと言うのなら、
私を倒してからにするんだな」
 そう言うと、アズリアは腰に帯びた剣に手をかける。
 先ほどカイルを殴りつけたため、鞘は中心のほうがやや歪んでいたが、中の剣にはまったく影響など
ないだろう。
 アティの眉がわずかに動く。だが彼女が何か言うよりも早く、カイルが一歩踏み出した。
「おいっ、卑怯だぞテメェ!アティは今丸腰なんだぞ!?そんな状況で正々堂々、とかぬかすんじゃ
ねえだろうな!?」
「……ふっ」
 アズリアは目を閉じ、鼻で笑う。ゆっくりと目を開けると、カイルに哀れむような視線を投げかけた。
 指先を横に振り、小首をかしげる。
「これだから小卒以下の低学歴は。我ら誇り高き帝国軍人が、そのようなハンデを前提に戦いを
挑むとでも?貴様ら海賊が戦う手段を持たぬ民間人を襲う行為と、同列と見なさないでもらおうか」
「なッ、ななななな!!」
 アズリアのトゲを含みすぎた言葉に、カイルの顔が怒りで赤面していく。こめかみからは血管が
浮き上がり、今にも赤い噴水が出現しそうなほどの状況だ。
「アズリア!カイルさんにそんな事を言わないでください!」
 今にも殴りかからんとするカイルを何とか押さえながら、アティは頬を膨らませる。
「うっ……」
 学生時代にアズリアが彼女をからかった時に見せた表情とまったく同じ。わずかに眉をそらせ、
赤らんだ頬をプゥッと膨らませている。
 可愛い。いつ見ても常識では考えられないほどの愛らしさを、アティの顔は作り出している。
 瞬間、アズリアの意識が遠のいた。
「アズリア隊長!!」
 再び倒れ込むアズリアを受け止め、また錠剤を口に投げ込んでいる。前回の二倍の量の錠剤を
リスのような頬で噛み砕きながら、アズリアは目を見開いた。
186孤島のバカンス(その3):03/09/02 01:34 ID:i/AgruIu
「クソッ、これでは精神安定剤がいくつあっても足りん……」
「隊長、ご自愛を……」
 不安げにアズリアを見下ろすギャレオ。しかしアズリアは「私の事は心配しなくても大丈夫だ」と
優しく微笑みかける。彼女がそのような薬を必要とする理由は、軍人としての過酷な仕事の内容とは
何ら関係ないのは言うまでもないだろう。
「――さて、話は戻るが」
 体をアティの方へ向けると、アズリアは続ける。
「私はお前が何と言おうと、今からお前と戦うつもりでいる。逃げるなどという愚かな選択肢は
存在しないものと思え」
「アズリア……」
「だが、先ほども言った通り、丸腰の相手に剣を振るう事などはしない。ここはひとつ、お前の望む
『傷つけない方法』で勝負をつけてやろう」
「えッ……!?」
 アティは目を丸くして驚きの声をあげた。
 いつも好戦的な彼女からはまず聞く事のないような言葉。
「どんな方法なんだ?その傷つけないやり方ってのは」
「言葉の通りだ、低学歴よ」
 さらりと髪を撫で上げ、アズリアが答える。さすがにカイルも言い返す気力を無くしたのか、
口の端を引きつらせながらも黙っている。
 アズリアがギャレオに目配せすると、彼はいそいそとつま先で彼女の周囲にやや大きめの円を描いた。
そして中心に二本の線を引く。ギャレオが立ち退くと、アズリアは自身の橙色が鮮やかなコートに
手をかけた。
「簡単な事だ。同じ戦いでも、それが『争い』ではなく『勝負』であればよいのだ。――さあ、
思う存分戦おうではないかアティ!シルターン自治区にまつわる伝説の格闘技、帝国で共に過ごした
お前なら知っているだろう!」
 ばさぁっ、と彼女のコートが快晴の大空に舞う。風に揺られ、静かにそれが砂の上に落ちた時。
 ――アティとカイルは彼女の姿に驚愕した。
「……フフ、あの頃を思い出すだろう、この姿は」
「……ア、アズリア……」
187孤島のバカンス(その3):03/09/02 01:37 ID:i/AgruIu
 それは紺色の地味な水着だった。
 彼女のよく言えばスレンダー、悪く言えば起伏に乏しい胸のところには、白い布地に色褪せたマジックで
『アズリア』と書かれている。
 少し窮屈そうにうかがえるその水着は、まぎれもなく――。
「学生時代のスクール水着じゃないですか……」
「黙れ!!」
 アズリアは叫ぶと、ギャレオの描いた円の中で砂を掴み、それを勢いよく振り撒いた。
 両膝に手を添え、軽くしゃがみ込むと、その手を眼前でパンと叩く。
「……」
 その光景に、その場の三人は息を呑んだ。
 額を伝う汗は、今の暑さからきたものではないだろう。
 帝国育ちのアティとギャレオは当然、格闘好きのカイルも、アズリアのその『構え』が何かを理解し、
口元をひくつかせる。
「さあ、勝負だアティ!肌と肌のぶつかり合いは争いではない!清いスポーツだ!
戦うぞ――この 相 撲 で!!」

 ……断れなかった。アティはアズリアに言われるまま土俵に立ち、彼女と睨みあっていた。
 「だってアズリアが、戦いを嫌う私の為に一生懸命考えてくれた方法なんですよ!?」と
アティが必死の目でカイルに告げたのだ。カイルはすでに誰にもツッ込みを入れる気が起きず、
むしろ今猛烈にツッ込みたいのはアティのお股だけだと心の中でつぶやき続けていた。
「はっけよーい……のこった!」
「アティ、覚悟ぉぉ!!」
 ギャレオの掛け声と共に、アズリアは地を蹴り、猪の如き勢いでアティへと向かう。
「えっ!?」
 突然の攻撃にアティはうろたえ、その体はいとも簡単にアズリアに抱きすくめられる。
「……隙だらけだな、アティ。『コートの女神』と呼ばれた昔のお前はどこに行った?」
「私はバレー部だったんですから相撲とは何の関係もありません!『灼熱の雌熊』と呼ばれた
女子相撲部主将のアズリアに勝てるわけがないでしょう!?」
「ッ……」
188孤島のバカンス(その3):03/09/02 01:39 ID:i/AgruIu
 アティの的を射た言葉に、アズリアは苦い表情をかすかに浮かべる。学生時代、アティと
抱擁したいが為だけに相撲部に入り、アティを幾度となく勧誘した。
 だが彼女はそれを受け入れず、バレーに青春を捧げていたのだ。悔しさと彼女に対する反発で、
アズリアは相撲を続けた。
 ――その結果、彼女の張り手は岩をも砕くという噂が広まり、一部ではアティに近づくものは
全てミンチと化すと噂され、周囲から恐れられる事となってしまっていたのだ。
「この程度か!?剣がなければお前はただの女だったのか!?本気を見せてみろ、でなくば
一瞬で決着がついてしまうぞ!?」
「あうぅっ……」
 アズリアはわざとアティの背中に腕をまわし、彼女のみずみずしい肌を抱きすくめる。
 羨ましいほどの豊満な胸がアズリアの胸を圧迫した。
「ちょ、アズリア……?」
 さらに手は背中から腰へと伸び、柔らかな太ももに進んでいく。アティは思わずひるむが、
唇をきゅっと噛むと、必死でアズリアに抵抗しようと腕を掴む。
 だが素人の攻撃などアズリアにとっては攻撃と呼べるような代物ではない。
「その程度か!」
 アズリアはまわしを掴むように、アティのビキニパンツの腰部分を掴み込む。だが細いそれは
アティの体をとらえるには頼りなさすぎ、その生地だけがアズリアの手でぐいぐいと伸ばされていた。
「――!?ア、アズリアやめて!お、お尻がッ!!」
「勝負に待ったもやめてもあるか!」
 ほぼ限界までアティのビキニパンツは引き伸ばされ、それはまるでTバックかと思うほどに彼女の
丸いお尻をさらけ出していた。
 お願いだから、とすがりついてくるアティの胸の突起が、スクール水着に擦れる。
 瞬間、鼻息の荒くなったアズリアの手が力を増し、さらにアティのビキニパンツを引き上げた。
「きゃあああッ!?」
 ほぼ紐状となったそれは、もうパンツと呼べる代物ではない。アティの股間は中心に申し訳程度の
紐ほどの布が食い込んだ状況で、その布地を挟むように、彼女の薄紅色の花弁が顔を除かせている。
「…………」
 ギャレオはすでに審判の役割を放棄し、顔を赤らめて目を閉じていた。
189孤島のバカンス(その3):03/09/02 01:42 ID:i/AgruIu
 一方カイルはいつの間にやら土俵の間際で胡座をかき、今にも土俵から足を踏み外しそうなアティの
ちょうど真後ろでかがみ込んでいる。
「いやあ、第三者の視点でこういうアングルで見るのも悪くねぇな……」
「み、見ないでくださいカイルさん!」
 顔を赤らめながら叫ぶアティに、カイルは楽しそうに含み笑いを漏らす。
「何言ってんだよ。いつもはパンツすら履かない状況で俺に大事なコト見せてるじゃねぇか。
もっとすげぇ体勢で」
 ふに、とカイルの指先が、あらわとなったアティの花弁を突く。
「あふッ……!」
 先ほどまで散々カイルに貫かれていたそこは、わずかな刺激にも異常なまでの反応を示すように
なってしまっていた。彼のペニスとの強烈な摩擦のおかげで鮮やかに充血したそこは、弧を描くように
撫でまわされる指の感触に、新たな蜜を溢れさせる。
「お、おいお前たち!?勝負の最中にいきなり何をやって――」
「あッ……あはぁ……」
 アズリアの声などすでにアティにとっては上の空であった。艶かしい吐息が、恍惚とした表情と
ともにアズリアに向けられる。アズリアに抵抗しようと踏ん張っていた体はすでにその力を失い、
倒れるように彼女にのしかかっている。
 思わず目線の下に座るカイルをアズリアが睨みつけると、それに気づいたカイルはニヤリと
八重歯を覗かせて笑みを浮かべた。
 何度も俺たちのジャマをしてくれたお礼だぜ、とでも言うかのように。
「カ、カイルさんっ!やめてください、こんなところでッ……」
「じゃあやめちまうぞ?」
「えっ、あぅ、そんなぁ……」
 アズリアの瞳には、アティの花弁の中心にカイルの長い指がうずまり、粘液を絡めては膣内から
引き抜かれている様子がまじまじと映し出されている。
「き、貴様らッ……神聖な土俵の上でッ……!」
 その光景にしばらく目が釘付けになっていたアズリアは、ようやく震える声で言葉を漏らす。
「土俵の上じゃねぇ。土俵外だ」
「ふ、ふざけるなぁああッ!!」
190孤島のバカンス(その3):03/09/02 01:43 ID:i/AgruIu

 ぷつ。

 目を閉じていたギャレオは、彼女に精神安定剤を与える事ができなかった。
 次の瞬間三人が見たものは、白目をむいたまま砂の上に仰向けに倒れているアズリアの姿であった――。
「あ……」
「……さすがに調子に乗りすぎちまったな……」

 つづく

さすがに次で終わります。スマソ、明らかに浮いてるかも、このSS…。
スカソノと同時進行はさすがにきつかった…。
191名無しさん@ピンキー:03/09/02 01:45 ID:MzMK+Quv
ワライジヌカトオモタ・・・・

リアルタイムでご馳走様です。
ギャグシーンが冷静に描写されてるのが可笑しくて可笑しくて。
192名無しさん@ピンキー:03/09/02 02:12 ID:A2Kk7zkn
大笑いしますた。GJ!
アズリア、レックス絡みなら普通に可愛い女なのに
アティ絡みだと何故にここまで壊れキャラになるのかw
193名無しさん@ピンキー:03/09/02 02:24 ID:8OwxNwla
アズリアの変態っぷりがおもしろすぎ!
それでいて違和感もなく、
思わず挿絵描いて脳内補完したくなっちまいましたw
GJ!
194名無しさん@ピンキー:03/09/02 09:43 ID:o52VKQoU
キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
GJ!神、いつも楽しみにしてます。
195名無しさん@ピンキー:03/09/02 13:21 ID:vES6y+p9
『灼熱の雌熊』ワロタ なんか妙に違和感ねえしw アズリア=相撲部
っていうかアティタソに偏執的な愛を抱く変態アズリアタソもまた萌えるなあ
196名無しさん@ピンキー:03/09/02 13:59 ID:bKi1wHdD
>>184様 凄い良かったです! 笑いとエロを堪能しました。アズリアが、精神安定剤〜の辺りで某皆殺し映画2作目の教師に見えて…最高です!これからも、頑張って下さい!!
197名無しさん@ピンキー :03/09/02 16:57 ID:bnly2JQr
アズアティキターーーーーーー(゜∀゜)ーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!
相撲部にワラタ・・・。
やべえ、神多すぎて書いてたレックス×アリーゼ小説投稿するの恥ずかしくなってきた・・。
198名無しさん@ピンキー:03/09/02 17:48 ID:12V6yOwp
>>197
アリーゼたん(;´Д`)ハァハァなので、うpして下さい
199名無しさん@ピンキー:03/09/02 18:58 ID:NW0RBVzZ
>>179
女の子でつか?男の子でつか?
200名無しさん@ピンキー:03/09/02 20:05 ID:v67Upumw
>>184〜190
カイアテイの続編キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
やはりこの神の作品は素晴らしい!!
モエーです(;´Д`)ハォハォ GJ!GJ!
スカソノもがんがってください。あまり無理なさらず

201名無しさん@ピンキー:03/09/02 20:17 ID:th7jmihS
神キタキタキタキタキタキタキタキタキタ(((;゚∀゚)))キタキタキタキタキタキタキタキタキタキタ
202名無しさん@ピンキー:03/09/02 20:20 ID:ugT2aJKI
ダメだ、もうゲームでもアズリアが出るたびに笑ってしまうw
203アズリア続き物:03/09/02 21:04 ID:TeBrytDc
私のそこはもう十分に濡れていた。幾度となく繰り返してきた、背徳の交わり。私はもう
弟のモノを見るだけで股を粘液で湿らせる。そんな淫らな雌と化していたのだ。
「はっ…はぁっ…お願いっ、欲しいの……。」
そう言って私は弟にねだる。笑ってしまう。弟に犯されることを望んで股を開く姉。
そんなものがどこの世界にいるというのだ。もう私は眼前の弟の姉ですらない。
「ひっ…はぁっ…イイっ!…イイよぉぉっ…イスラぁぁぁっ!!」
淫液で濡れ細った私の秘部に弟の…イスラのモノが入り込んでいく。充分にこなれた私の
秘肉はイスラの陰茎を受け入れることに何の抵抗もなくなっていた。むしろそれを欲して
いた。熱く火照った私の肉が熱気を発するイスラの肉と触れ合う。互いの粘膜同士がこす
れあう。私の膣内をイスラの陰茎が卑猥な音を立てながら挿入を繰り返す。
「あひっ…ふぁぅあっ…ひっ…あふぅ…」
私はよがっていた。弟と交わることに快楽を見出しよがり狂っていた。最初はイスラの方
が私と交わることを求めていた。しかし今では私の方がイスラを求めていた。壊れてしま
いたかったのだろう。弟に裏切られ、純潔を奪われ、自分の今までの人生が無価値なもの
と思い知らされ…。愛する男に思いを打ち明ける事無く、その思いを打ち砕かれて、私は
壊れてしまうことを望んだ。もう理性なんて欠片もない姿を。何も考えられないぐらいに
壊れてしまえれば、この先なにがあっても受け入れられると思ったから。
「ひゃっ…はぅぅ…あ・・・はは・・・あはははは…」
私は笑い出していた。自分のあまりに滑稽な姿に。弟に馬乗りになってペニスを下の口で
咥え、腰を振る姿。それが今の私。私は望みどおり壊れることが出来た。頭が壊れてしま
わなければこんなことはできないだろう。私にはもう理性なんてないんだ。そう思い込も
うとした。でも何故……
「あははは…はははは……はは…は…」
私の頬にいつの間にか涙が伝っていた。どうして?私は壊れたはずなのに。哀しむことな
ど忘れたはずなのに…。壊れたい…何も考えたくない…そんな私の望み。
そんなささやかな望みも叶えられない。私は心の底から自分に絶望した。
204アズリア続き物:03/09/02 21:04 ID:TeBrytDc
いつからだろうか…。姉さんの方から僕を求めるようになったのは…。実の弟の僕に犯さ
れつづける毎日。そんな生活が姉さんの心を蝕んでいったのは確かだ。
「はむっ…むぐゅ…んっ…んぅっ…」
僕の命じられるまでもなく姉さんは僕に奉仕してくれる。朝目を覚ますと姉さんは僕の朝
立ちした竿を優しく口で舐め溶かす。僕と視線が合うと何も言わずに身体を開いてくれる。
僕の意志を先読みするかのように先手だって奉仕をしてくれる。ただすがりつくように僕
に抱かれることを望む。
「は・・・はははははは・・・…」
ときおり行為の中で姉さんは狂ったように笑い出す。不気味というよりかは哀しい笑いだ。
自嘲。それが一番近いだろう。でも少し違う。あれは絶望の笑いだ。此の世のすべてに絶
望しただもう笑うしかないから笑う。そんな笑いだ。僕にはすぐに分かった。だって僕は
これまでそういうふうに笑いつづけたのだから。
笑いながら、僕に犯されながら姉さんは涙を流す。自分でも意識していないのに流す。
僕にはもう分かっていた。姉さんが自分自身を壊したがっていることを。この現実から
逃げる場所を求めていることを。気付いてひどく罪悪感に苛まれた。
僕が姉さんを…姉さんを…自分と同じ哀しい生き物にしてしまったことに…。
205アズリア続き物:03/09/02 21:05 ID:TeBrytDc
私は夢を見る。たわいもない夢だ。学生時代、田舎上がりの同期生に一方的に突っかかっ
ていく夢。彼に負けまいと意地になる私の姿。それは私にとって一番幸せな頃の記憶。
もう取り戻せない過去。将来に何の疑いもなく純粋に生きていた日々。哀しい夢だ。
それがもう今は幻であることが分かるから…。
(どうしてあんな夢を見るのだろう・・・。)
目が覚めて夢うつつの気分でそう自問していた。
(昔を思い出したってしょうがないのに…もう戻れないって分かりきっているのに…)
考えている内に何かが込み上げてきた。目頭が熱い。いや体全身が熱い。
(私はもう壊れたんだ…このまま弟の…イスラの性処理道具として使い捨てられるんだ。
それでいい…それでいいって諦めたはずなのに…なのに…)
熱い、本当に熱い液体が私の顔を濡らしていた。とめどなく溢れていた。
「ひっく…う……」
私の胸は押さえつけられたように苦しかった。かきむしりたいほどくるおしかった。
声まで出てきた。もう堰を切ったように止まらない。
「う…うあぁぁぁ…うああ・・…ひっ…えぅぅ…あっ…あうぅぅぅぅぅ!!」
泣いた。大声で泣いた。私は泣いた。どうしても忘れられなかった。忘れたくなかった。
「レ…クス…レッ…クス…あ・・・うあああぁっ…あ・・・」
愛しい人の顔を、愛しい人の声を…。私は忘れられなかったのだ。あの日からずっと彼の
ことは忘れようとした。そうでなければ辛かった。そうだ、だから私は壊れてしまいたか
ったんだ。だから肉欲に溺れて弟とまぐわるのを求めていたんだ。彼のことを忘れるため
に。だって…だって…嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ。忘れたい。忘れさせて。どうして忘れさせて
くれないの?何がイスラのためだ…。何がずっと側にいるからだ。私はただ思い出したく
ないだけだったんだ。あの時のことを…。彼の目の前でイスラに犯されたときのことを…
「うっ……ひっく…えっ…あうっ…」
嗚咽が止まらない。泣きながら気付く。自分はどうしようもなくあさましい人間なんだと。
弟の…イスラの悲痛な心の叫びを聞いても結局は自分の事しか考えられない女だと。
情けない。あきれ果てた。もういい。いらない。こんな私は要らない。死にたい。
死なせて。もうこんな自分なんて見ていたくない…。
206アズリア続き物:03/09/02 21:07 ID:TeBrytDc
「姉さん…。」
あの男の名を呼びながら泣きじゃくる姉さんの姿を僕は見ていた。不思議と嫉妬は沸き起
こらなかった。ただ、後悔だけだった。
(これが…君のしたことの結果だよ…)
また例の声が聞こえる。まったくそのとうりだと認めざるをえない。そうだ、これが僕の
したことの結果だ。ボロクズのように姉さんを陵辱し、好きな男の目の前で辱めて。
ただ自分の嫉妬と今までこの世というものに感じてきた憎しみの捌け口にしてきた。
僕は姉さんをこんなに傷つけた。僕は姉さんをこんなにまで哀しませた。
可笑しいな。だって最初は僕は姉さんが憎くて苦しめてやろうと思ってたんだろ?
なのになんで今ごろになって罪悪感なんて感じてるのさ?
(それは…君が…一番…)
そうさ、その通りだよ。僕は姉さんが憎かったわけじゃない。犯したかったわけでもない。
ただ一緒にいて欲しかっただけなんだ。それだけだったんだ。それなのに…
僕は…僕は……!!
どうしてかな…。どうして手遅れになってからきづくのかなあ。もうどうしようもないよ。
もうどうしようも…。


次の日、まだ太陽も登っていない内に僕は目覚めた。僕は決意した。すべて終らせることを。
僕を許してくれる人間はもういない。僕が許されることなんて永遠にない。それなら最後
まで憎まれてやろう。最後まで往生際悪くどうしようもない悪党としてみんなに嫌われな
がら、誰からも同情なんてされる事無く終ろう。それが僕の最後の仕事…。
ごめんね…姉さん。泣かせる事しかできなくて…。
207アズリア続き物:03/09/02 21:08 ID:TeBrytDc
「イスラ……?」
私が目を覚ますとイスラの姿はどこにもなかった。昨夜泣きつかれたのだろうか。
目を覚ますともう太陽は高く昇っていた。イスラはどこにいるのだろうか。
「………!!!」
ふいに、嫌な予感がした。もうイスラには会えない予感。何?これは!?どうして…
胸騒ぎが止まらない。イスラがいなくなる。私の前から永遠に…?
気が付くともう走り出していた。どこにいるかも分からない弟を探して。
私は馬鹿だ。イスラを探して何がしたいんだ。懺悔をしたいのか、恨みをぶつけたいのか、
ただすがりつきたいのか?それさえ分からない。でも…でも…
動かずにいられなかった。どうしても私は…。


「駄目です、サプレスの術が通じません。」
「畜生ぉっ!ストラも効きやがらねえ。」
血まみれで倒れる僕。彼らと僕との最後の戦い。僕はそれに敗北した。剣を破壊されそれ
でも闘おうとする僕にたぶん例の呪いが襲ったんだと思う。今まで剣のおかげで呪いの力
が中和されていたんだ。本当の僕は常に死と隣合せの半死人。
「クックック、礼を言うぞ貴様等には…。」
「オルドレイク!!」
そうこうしているうちにあの男。僕の人生を狂わせた元凶が現われた。偉そうに呪いの
講釈なんか垂れやがってさ。糞野郎。でももう駄目だ…。僕にはもう立ち上がる気力なん
てないよ…。
「諦めるなイスラ…。死ぬな!」
まだ僕を助けようとしてるよこいつは。どこまで人がいいんだろう。おいおい、僕はお前
の敵だろう。知ってるんだよ。お前だって姉さんのことが好きなことぐらい。その姉さん
を僕はお前の前であんな風にしたんだぞ。憎くないのかよ。見捨てろよ。同情なんてする
なよ。馬鹿みたい…馬鹿みたいじゃないか僕は…。そうしてる内に体から生気が抜けてく
のが分かる。僕は死ぬんだ…。
「…!!」
ふいに人影が目に入った。今僕が絶対に顔を合わせたくなかった、それでも会いたかった人が…。
「姉さん!!」
208アズリア続き物:03/09/02 21:13 ID:TeBrytDc
「な…に…」
私は何が起きているのか理解できなかった。どうしてこの場所に足を運んだのかも分からない。
ただ呼ばれたように感じただけだ。辿り着いた先には大勢の集団と…血まみれに倒れた…
「イスラぁぁっ!!!」
私は気付いた。倒れているのがイスラなんだと。イスラが今まさに死にかかっていることを…。
「死なないで!イスラ…イスラぁっ…嫌だ…逝かないでっ…私を置いていかないでっ!」
もう私の目にはイスラしか映らなかった。駆け足でイスラの前に近づく。そして抱き締める。
死なないでイスラ。そう私は心から思った。嫌…死んじゃ嫌ぁっ!!死なないで…
お前に死なれたら…私は…私は…。
「ね…姉さん…」
「イスラっ!!」
私に気付いたのかイスラが声をかける。もうか細い声で。目から生気が失われている。
死相というヤツだ。はっきり分かるイスラがもう…
「ね…さ…ご…め…」
イスラはかすれ声で呟くろくに聞き取れやしない…。
「ひっく…えっ…イスラ…イスラぁっ…!」
イスラが助からないことを悟って私はポロポロ涙を流す。どうしてだろう。どうして私と
イスラは普通に仲良くすることができなかったんだろう。イスラにかかった病魔の呪い。
そんなものはいい訳だ。本当はいくらでもやりようがあったはずだ。普通に会話して
遊んで…。時に困ったことがあれば支えあう。そんな普通の家族の姿がどうしてできなか
ったんだ。馬鹿だ。大馬鹿だ。なんで今ごろ気づくんだ。
「ね…さ…さ…よ…」
「何言ってるの…起きて…ちゃんと・・・でないと・・・」
抱き締めたイスラの体から熱が失われていく。止めて。イスラを連れて行かないで。
私はこの子にまだ何もしてやれてないんだ!
209アズリア続き物:03/09/02 21:15 ID:TeBrytDc
姉さんが泣いてる・・・。僕なんかのために泣いてるよ・・・。どうしてこの人を泣かすことし
かできないんだろう。伝えたいことがあった。ちゃんと謝りたかった。感謝したかった。
愛しかった。抱き締めたかった。でもそんな思いを伝えることも出来ないよ・・・。
「ごめんね。姉さん。大好・・・」
それを言い終えたときが僕の意識の最後・・・・・・



「ごめんね・・・姉さん・・・大好きだよ・・・」
「イスラ・・・?」
はっきりとその言葉だけ聞き取れた。その途端私の手の中の重みが増す。冷たくなった
ただの肉の塊の重みが・・・。
「イスラ・・・イスラ・・・イスラぁぁぁぁぁぁっ!!!」
もうイスラは動かない。そう永遠に・・・。
「嫌ああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!イスラぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
ただ私の叫び声だけが響いたことだけ記憶している。
210鬼畜野郎:03/09/02 21:18 ID:TeBrytDc
なんか萌え萌えなアズリアたんのあとにこんな鬱話投下するのは心苦しいのですが
アズリアシリーズの続きです。今回イスラ君死亡。前回からこの姉弟の鬱な
心情吐露ばっか。エロは薄いですねえ・・・。
まあそんなこんなで後はラストを残すのみ。多分続きかなり遅れるんで先に謝っておきます。
それではまた次回・・・。
211名無しさん@ピンキー:03/09/02 21:43 ID:vz7rSyo4
イスラの肉奴隷かアティ萌えの変態か・・・・・・・・・

凄まじい二者択一ですな。職人揃いで凄ェや、このスレ
212名無しさん@ピンキー:03/09/02 22:01 ID:vjQyynXw
>>211
そう書かれると何となくアズリアたんが不憫に思えてくるので今書いてるの一旦止めて
幸せそうな乙女アズリアたんでも書いて選択肢を増やしてあげようかと思ってしまたよ…
でも正直変態アズリアたんも肉奴隷アスリアたんも好きで
アズリアたん分は満足しちゃってる自分がいるのもまた事実…
213名無しさん@ピンキー:03/09/02 22:14 ID:3vfCejMR
>鬼畜野郎氏
グッジョブ!アズリアたん萌えな自分は毎回ハァハァ!
続きを楽しみにしてます!

あとスカソノの続きも気になって安眠できません〜
カイルへの想いに揺れるソノラがイイ!
214名無しさん@ピンキー:03/09/02 23:01 ID:6ibqUPvN
〉〉鬼畜野郎氏 キタ――! こういう暗い話もイイ! 亀レスだが、〉〉142 GJ!!毎回エロエロでつね 続きが楽しみでつ
215名無しさん@ピンキー:03/09/03 18:33 ID:gLwKHwrm
何か人が減ったぽ…?
216名無しさん@ピンキー:03/09/03 18:39 ID:HCsdocjK
流石に神降臨のペースが落ちてきてるからね。
それでも一日に1〜2本のSS投下があるってのは、
3発売前のスレのペース考えると凄いけど。
まあ、神降臨をマターリと待とうや。
217名無しさん@ピンキー:03/09/03 18:39 ID:g9Y58C5V
学校が始まったからね
大学はまだだけど
218名無しさん@ピンキー:03/09/03 19:31 ID:0bu849uF
>217
素で突っ込んで悪いがここは21禁だ
219名無しさん@ピンキー:03/09/03 19:36 ID:aNug1Qb9
まあ、そんなこと言っても来る奴は来るしなぁ・・・


いいSS書いてくれるなら厨房でもなんでも構わん(*゚∀゚)=3
220名無しさん@ピンキー:03/09/03 20:33 ID:zsE04Hdj
バラさなきゃ良いんだよ、バラさなきゃ、な…
221名無しさん@ピンキー:03/09/03 23:41 ID:tvq2n3Gw
>>219
>>220
心でそう思うのは勝手だが、書き込むべきではない。
ここは「21禁」なのだから。
222名無しさん@ピンキー:03/09/04 00:16 ID:c15zcmas
アティの乳を強制パイズリきぼんぬ
223名無しさん@ピンキー:03/09/04 18:59 ID:6cnEKPCG
保守
224名無しさん@ピンキー:03/09/04 19:21 ID:rNkKBZ/J
>>199
亀レス。
そりゃ女の子だろう・・・








でも男の子でも(・∀・)イイ!!
225名無しさん@ピンキー:03/09/04 19:49 ID:su0oI0/U
亀レスだが、レシ×ユエ最高ですた。
今まで純愛小説にそれほど萌えを感じなかったんだが、
何ていうか・・・次元が違うね。なぜここまで萌えるんだろう?
226名無しさん@ピンキー:03/09/04 19:53 ID:xvosNaGG
それにしてもSS投下がいきなりストップしたね…。
今書いてるところだけど、他の人も書いてる最中なのか?
227名無しさん@ピンキー:03/09/04 19:55 ID:jBD8tUOn
>>225
レシユエの神様の文章力だとおもいます



そっとヤンチャさん×アティきぼんしてみる
228名無しさん@ピンキー:03/09/04 20:38 ID:veT28LL/
皆書いてる最中でこの空白期間が明ければ再び祭りが・・・と信じて待っております。

RPG板本スレだとエロ呼ばわりのフレイズとオルドレイクを、
未だに誰も使わないのが不思議でならない。
229名無しさん@ピンキー:03/09/04 20:49 ID:hgDFzfIJ
>>228
フレイズ×オルドレイク・・・・・・・・・


と一瞬でも思ってしまった漏れは負け組
230名無しさん@ピンキー:03/09/04 21:40 ID:1uvJA+bm
盛んの王オルドレイプ氏を使うとしてどんなシチュがいい?
1 ツェリーヌとの夜の営み
2 ヘイゼルたんおしおき
3 その他女性キャラ鬼畜強姦
231名無しさん@ピンキー:03/09/04 21:41 ID:DrfAbqnu
>>229
い…一瞬想像したじゃないかよ!!゜(゜´Д`゜)゜。
232名無しさん@ピンキー:03/09/04 21:46 ID:WKTBA7Ko
>>230
ツェリーヌがまだ出てきてないんで見てみたい。自分では想像できないし
とゆーわけで1をキボン
233名無しさん@ピンキー:03/09/04 21:47 ID:veT28LL/
>>230
3番にヘイゼルやツェリーヌを混ぜる方向で。
前戯を2人にやらせて王様気分のオルドレイク。
234名無しさん@ピンキー:03/09/04 22:55 ID:T6SbltOd
>>230
2番が見た〜い
というより誰かヘイゼルさんもの書いてくれ
235名無しさん@ピンキー:03/09/04 22:57 ID:T6SbltOd
書き直したらsage消えてた
吊って詫び入れます
236名無しさん@ピンキー:03/09/04 23:11 ID:YlFuzdj9
http://web.quipo.it/monika2001/xxx/


219.111.191.93 , p6fbf5d.t128ah00.ap.so-net.ne.jp ?
237名無しさん@ピンキー:03/09/04 23:42 ID:+IyMY1XD
>>230
3でアティ陵辱きぼん
238名無しさん@ピンキー:03/09/04 23:44 ID:HeAWD5R/
>>227
そうだね。
文章をうまく書けないと思っている、書きたいこと、伝えたい事がうまく伝わらないからね。


レシユエ…ストーリーは考えられるが書く気力と文章力がない('A`)
239名無しさん@ピンキー:03/09/04 23:46 ID:Pr5LJSFI
>>230
希望というよりオルドレイクとなると3しか考えられない俺・・・
俺は純愛派なんだがな・・・
240名無しさん@ピンキー:03/09/05 00:09 ID:2/jrT0p0
純愛+エロはあれで結構書いてて激しく気力消耗するからな

日頃の復讐とばかりにツェリーヌ(+ヘイゼルその他)に調教されてしまい、
ケツの穴に杖突き立てられて「あひぃ〜」とか泣き叫びながら、
けれどよがってしまう真性マゾオルドレイクタンきぼんぬ、とか言ってみる
241名無しさん@ピンキー:03/09/05 00:58 ID:E/EMXaKH
オルドレイクは口調が厄介すぎて想像がつかんな…
242184:03/09/05 02:00 ID:LArkOtAQ
何か書くペースが遅くなってきてしまってるので
出来上がったところからアップしていきます。
完結編はまとめて一気にだそうと思ったけど、いつになるか分からないので…。
「孤島のバカンス」とかは一話は一日あれば書けるんだけどな…。
何かシリアスは書くのに時間がかかる上に出来があんまりな罠…スマソ。
243二本の一方通行路(中編その3…):03/09/05 02:01 ID:LArkOtAQ
 ……スカーレルはまだ帰ってこない。
 壁にかけられた時計を眺めながら、ソノラは彼の香水がほのかに香るシーツに身を沈めていた。
 風呂に入ってからカイルの部屋に行くと言っていたにしろ、いくら何でも遅すぎはしないか。
 ふと、ソノラの脳裏に夕食時の光景が甦る。
 カイルが昼間のキスの事を何気に口にした時、さりげなく注意を促す事はあっても、あれほど直接的に
言葉を発し、相手に対して手を出したスカーレルを見たのは初めてのことだった。
 彼をそれほどの衝動に駆らせたもの。
 それを知った今、ソノラの胸は熱く高鳴った。

『――アタシだって、今はソノラに片思いしてるもの』

 彼の、心の内を明かさない笑顔。
 果たしてその気持ちは彼にとってどれほどのものなのか。
(スカーレル……)
 ソノラはカイルに想いを寄せている。だが、心の奥底から湧き上がるような、この切ない感情は――。
 スカーレルに対する何かが、ソノラの胸を酷く締めつける。
(……やっぱり、このまま待ってるなんてできないよ)
 ソノラはベッドから起き上がると、椅子に引っ掛けていた服を手にとった。
244二本の一方通行路(中編その3…):03/09/05 02:04 ID:LArkOtAQ


「ぐッ……!」
 他の部屋に比べてやや頑丈に作られた船長室の壁。
 その壁に、男の背中が強く叩きつけられた。
 頬が痺れるように痛み、口内に鉄の味が広がる。
 頭を打ちつけると同時に響いた鈍い音が、脳内を駆け巡り、吐き気となって戻ってくる。
 めまいを伴ったまま、口元を伝う生温かいものに気づき、それを手の甲で拭った。
 ……赤い。
「……ふふっ。さすが力自慢の船長サマなだけはあるわね。気に食わない事は力で解決?
……いえ、力でねじ伏せてるのね」
 手の甲の血を舐めとり、床に腰を落としたスカーレルは目の前に立つカイルを見上げた。
「まだ言いやがるかッ、この野郎……!」
 カイルの手がスカーレルの首に巻かれたスカーフを強引に掴み上げる。同時に締まる首の苦しさに、
スカーレルはわずかに顔を歪めた。
 だが彼の顔からは『笑み』は消えない。
 それがカイルの怒りをさらに煽る事となっていた。
「ソノラは俺の事が好きだったんだろ!?じゃあ何でお前はアイツを抱いたんだ!?」
「――あの子が、寂しそうにしていたからよ。好きだった相手に他の女と間違われて、唇を犯されて。
みんなの前でその事を言いふらされたあの子を慰めてあげたかったのよ。……これで満足?」
「――……!」
 胸倉を掴んだカイルの手が、スカーレルの体を壁に叩きつける。
 その衝撃にスカーレルは思わず咳き込む。だが、やがて喉が治まると、肩を震わせながら含み笑いを漏らした。
「……ククッ、調子いいわねぇ。こんな時だけあの子の兄貴ヅラして。……アンタだってセンセを抱いてるでしょ?」
「お前のやってる事と一緒にすんじゃねぇ!!俺はアティの事を愛していて、アイツも俺の事を好きで
いてくれてるんだっ……」
 それはお互いを想い合っていてこそできることだ。彼女の肌に頬を寄せ、心の中からその温もりを
感じる事のできる行為。求めていたものを、その相手から与えられる喜び。
 アティとお互いの想いが通じたあの日、カイルはその気持ちを身に染みて理解していた。
「……だがよ、お前のやった事は一方的な欲望の解消でしかねぇだろ」
「……ッ」
 カイルの言葉に、今まで笑みを浮かべていたスカーレルの眉がわずかに動く。
245二本の一方通行路(中編その3…):03/09/05 02:07 ID:LArkOtAQ
「ソノラに対しては俺も悪い事をしちまったと思ってる。俺も自分のした事の手前、デカイ口は叩けねぇ。
……だけどよ」
 胸倉を掴む手に力がこもる。
「お前は、俺がアイツを傷つけた事を利用したんだろ!?ソノラの悲しみにつけこんで、そのまま
タラシ込んだだけじゃねぇかよ!」
 自分にとって妹のような存在だった少女が、好きでもない男の言葉にのせられ、その体を捧げた。
 第三者のカイルにとってスカーレルの行動は、自分の欲望の為に女の心を惑わせた卑劣な行為としか
見て取ることができなかったのだ。

 ――ソノラを利用した……。

 利用されたのは自分だったのではないのか。
 カイルとの間に生まれた心の溝を、そのすき間に存在する寂しさを埋めるために、ソノラはスカーレルに
体を求めてきたのではないのか。
 想いを寄せる女が自分に体を求めてきて、断るような男がこの世にいるものか。
 ――例えその交わりに、愛が存在しなくとも。
「……ふっ、ふふふ……」
 いまだ強引に胸倉を掴まれ、力なく体を立ち上がらせているスカーレル。彼はカイルの拳で青く
色付いた口元を歪め、声を漏らした。
「そうよ、アタシはあの子の胸の内を知っていて、それを承知で抱いたわ。……でもね」
 垂れ下がっていたスカーレルの手がゆっくりと上がる。
 それは自身の胸元にあるカイルの腕を掴んだ。
「――それでもアタシはあの子に必要とされたかったのよ。どんなに願ったって、あの子の気持ちは
貴方に向けられたままだもの。それなら……抱いてくれなんて言われちゃったら、抱いてあげるしか
ないじゃない?……そんな事でも、あの子にとってそれが慰めになるのなら、ね」
 スカーレルの言葉に、カイルは眉をひそめる。カイルの腕を握るスカーレルの手に力が入るのとは
反対に、彼の手はスカーレルの胸倉からするりと離れていった。
 ……こいつは今、なんて言った?
「おい、抱いてくれって……アイツがお前に言ったのか?」
「……ソノラには言わないでちょうだいね?」
「ウソつくんじゃねぇ。いくらヤケになったからって、処女の体で惚れてもねぇ男に自分から
誘う奴がいるかよ」
246二本の一方通行路(中編その3…):03/09/05 02:09 ID:LArkOtAQ
 カイルの怒りに任せた言葉に、スカーレルの口元がわずかに引きつる。
 彼は無意識に相手の気に障ることを言ってしまう時があった。頭に血が上っている時はなおさらだ。
 いつものスカーレルならそのような事を言われても苦笑して流していただろう。
 だが、今は場合が場合だ。
「……なんで、処女だって言い切れるワケ?」
 うつむいたまま、スカーレルの口から細々と言葉が漏れる。
 カイルは何を言ってるんだと顔をしかめ、怒りをあらわにスカーレルの手を振りほどいた。
 スカーレルはゆっくりと顔をあげると、自分を鋭く睨みつけるカイルの目を見据える。その瞳には、
頬を腫らし、無気力な笑みを浮かべる自身の姿が映っていた。
 ……唇が震えている。スカーレルはその唇を噛みしめると、口を開いた。
「処女じゃないわよ。……前にアタシが強引に奪っちゃったから」


 ドン!

「っ!」
 たたずむドアの向こう側が音を立て、足元にわずかな振動が伝わった。
 ソノラの肩がビクリと震える。
 彼女の先にあるのは――船長室だった。
(な……なに?)
 途端に部屋の中から聞こえてくる喧騒の声。
 それがカイルとスカーレルのものだという事はすぐに理解できた。
「――――!……――――!」
 彼らの会話の所々に入るソノラの名が、その争いの原因と判明するのにそう時間はかからなかった。
 ……嫌な予感はしていたのだ。
 夕食時にあれほど険悪な雰囲気を漂わせておいて、この期に及んで冷静な話し合いがなされるとは
正直思えない。
 ドアノブに伸びていた手がそのまま動きを止め、その指先はかすかに震えている。
 彼女の額を、冷たいものが流れ落ちた。
(今……このドアを開ければ、その間だけでも二人の争いは止められるかもしれない。……でも……)
 その手がノブを回すことを頑なに拒んでいる。
 はたしてドアの向こうから聞こえる争いの声の理由が、昼間の『キス』の事だけだといえるのだろうか。
247二本の一方通行路(中編その3…):03/09/05 02:11 ID:LArkOtAQ
 ソノラの胸を、鈍く重い鼓動が打つ。震えているのが指だけではない事にようやく気がついた。
 
 ――第一、どうしてこんな事になってしまったのか。
 もとはといえば、カイルに想いを寄せていた自分のきまぐれな行為が呼び起こした事ではないのか。
 彼らに争わなければならない理由なんてない。原因はすべて自分にあったのだから。
 それなのに、自分はその騒動に加わるわけでもなく、争いを止めるわけでもなく、ただこうやって
一人震えながら事の成り行きを盗み聞きしている。
 ……彼らのもとに行くという勇気が出ない。
 それは都合のいい言い訳だという事ぐらいは分かっている。
(でもっ……あたしが行ったところでどうすればいいのよ?)
 現実から逃避している自分。
 それはあまりにも弱く、卑怯な存在だった。
「…………」
 やはり自分に彼らの争いを止める事は不可能だった。
 ドアノブに伸ばしていた手を力なく下ろし、廊下を戻っていく。
 ふとその時、小柄な人影が向こう側からこちらに向かって歩んでくる姿が視界に入る。
 それは、沈んだソノラの姿を見つけると足早に近づいてきた。
「――どうしたんです?ソノラ」
「先生っ……」
 まるで先ほどの甲板での出来事がなかったかのように、いつもと変わらぬ面持ちで声をかけるアティ。
「こんな夜遅くまで起きてたら、風邪引いちゃいますよ?私も今から寝ますから」
「………っ」
 彼女の優しい笑みに、胸の内で張り詰めていた不安はゆっくりと溶けていく。
 溶け出したその感情は涙となり、ソノラの頬を伝っていった。
「ソ、ソノラ!?」
 突然の事にアティは慌てて駆け寄る。ソノラの鼻先に、ふわりと心地よい石鹸の香りが漂った。
 ソノラは困ったように自分の顔を覗き込みにくるアティの袖を掴むと、涙の溢れる目を固く閉じた。
 同時にぽたぽたと大粒の涙がこぼれ、くすんだ床を濡らす。
「……何かあったんですか?もしかして、カイルさんが何か言ったんですか?」
 彼女のしなやかな指がソノラの優しく拭い取る。
248二本の一方通行路(中編その3…):03/09/05 02:14 ID:LArkOtAQ
 ――想いを寄せていた男の想い人。
 それなのに嫌う事ができない。
 どうしてこの人は、ここまでまわりの人々に愛されているのか。
 
 それは誰よりも他人を思いやる心があり、その為に自身を愛してやる事をおろそかにしているから。
 だから周囲の人々はそれを補うように、彼女に与えられた『愛情』をその心に返しているのだ。
 ソノラは彼女を見るといつも劣等感に悩まされていた。
 それは今、この状況においても何ら変わることのないものだった。
「先生っ……、あたし、最低だよ。あたしのせいでみんなの関係がぐちゃぐちゃになっちゃってるのに、
あたしはっ……それを見なかったフリして、逃げようとしてる……」
 誰かの事を想っていても、一番大切なのは、結局自分自身。
 誰かに責められるのが怖くて、被害者として居続ける事しかできない自分。
 彼らの輪を乱した自分は、本当は『加害者』なのだという事実を認めたくないままでいる。
 
 あくまでも自己防衛を続ける気持ち――それがアティと自分の決定的な違いだった。

 つづく

かなり中途半端です、スマソ…。なんか盛り上がらないなこれ…。

249名無しさん@ピンキー:03/09/05 02:20 ID:oFxQ1ei7
〉〉184氏。乙です、グッジョブ!
続きを楽しみに待ってます!
250名無しさん@ピンキー:03/09/05 04:54 ID:Y3QGOnSG
>>184
GJですた。
前のアズアティといい、氏はキャラの描写が上手いですな。
最後のソノラとアティの会話が個人的にお気に入り。
続きを期待して待たせていただきます。

>>240
おまいは本当にそれを見たいのかと小一時間問い詰めたい。
251名無しさん@ピンキー:03/09/05 13:53 ID:/lSL0cgF
>250
漏れは>240氏では無いが、個人的に見てみたい。

 ギ ャ グ と し て !
252レクアリ(1):03/09/05 16:07 ID:8Px9WTEr
「あの・・・スカ―レルさん。ちょっと聞きたいことがあるんですけど・・・」
船首にいたスカーレルにアリーゼは少し頬を赤らめながら話し掛けた。
「どうしたの?アリーゼ。あたしに何か相談事?」
「はい・・・あの、突然こんな事を聞いちゃってごめんなさい」
そう言って一息おくと、アリーゼは覚悟を決めたのような表情でスカーレルに叫ぶように言った。
「あのっ・・・男の人を振り向かせる方法って何かありませんか?!」
「・・・え?」
突然の事に一瞬スカーレルは混乱しかけたが、何とか自我を取り戻すとアリーゼに微笑みながら言った。
「何?アリーゼ、あなた好きな人が出来ちゃったの?」
「は・・・はい、それも・・・あの・・・その・・・とても言いにくいんですけど・・・」
そう言うとスカーレルの耳に近付いて小声でスカーレルに言った。
「それも・・・好きになっちゃった人が・・・先生なんです」
「まあ・・・!」
アリーゼの意外な言葉にスカーレルは驚きながらアリーゼのほうを見る。
アリーゼの顔は極度の恥ずかしさに真っ赤になっていた。
253レクアリ(2):03/09/05 16:08 ID:8Px9WTEr
そんなアリーゼを見て思わずスカーレルは笑いかけてしまった。
「あああ、あのっ!こういう事っておかしいでしょうか?!!生徒が先生の事を好きになっちゃうなんて!」
「アリーゼ・・・っ・・・」
相変わらず顔を熟れたトマトのように真っ赤にして必死で何かを弁解するかのようにいうアリーゼを見てスカーレルは思わず吹き出してしまった。
「?あの・・・何笑ってるんですか?」
「アハハハ・・・、ごめんなさい。悪気は無いわよ」
そう言うと軽い溜息をついてアリーゼに優しい口調で言った。
「そっか。先生の事好きになっちゃったのね。でも、それは悪い事じゃないわ」
「そ・・・そうですか?」
「そうよそうよー。それに・・・」
スカーレルはアリーゼの肩を軽く掴んで満面の笑みで言った。
「愛があれば何だってオッケーよ」
「そうですか?よかった・・・」
スカーレルの言葉に安心したアリーゼは本題を思い出し、改めてスカーレルに聞いた。
「あ、あの。それで・・・」
「分かってるわよ。男をいかに自分に気付かせるか・・・教えてあげてもいいわよ」
「本当ですか?!」
254レクアリ(3):03/09/05 16:09 ID:8Px9WTEr
「ただし」
笑顔で喜ぶアリーゼに、まだ早い!とでも言うかのように制止させ、スカーレルは少し真面目な顔になってゆっくりとした口調で言った。
「あたしがこれから教えてあげるのは、本来大人になってからする事よ。それでも・・・覚悟はできてる?」
真面目な口調で言ったスカーレルに一瞬戸惑いながらも、首を縦に振って、
「かまいません。私、どうしても先生の事が好きなんです。生徒として出なく、アリーゼという一人の女の子として・・・好きなんです」
と、アリーゼも負けじと真面目な表情と口調でスカーレルに言った。
そう言うと、スカーレルから真面目な顔は消え、再びあのお気楽な顔に戻って言った。
「そうなのね・・・よし!分かったわ!あなたの覚悟にやられたわ。このスカーレルさんがあなたの望みを叶えてあげるわよ!」
「はい!よろしくお願いします!」
そして、スカーレルのその方法を教えてもらった瞬間、アリーゼの顔は再び真っ赤になっていた。

255レクアリ(4):03/09/05 16:10 ID:8Px9WTEr
そして、その日の夜がやってきた。
船首の方で、極度に緊張したアリーゼと半分楽しんでいるような気分のスカーレルがいた。
「いい?それじゃ、最初はさりげなく、そしてその後はあなた次第よ?」
「は・・・はい。分かりました・・・でも・・・・・・」
その後の言葉を詰まらせながら、アリーゼはスカーレルに真っ赤な顔で訴えた。
「その・・・本当に、その・・・男の人って・・・あの・・・その・・・セ・・・セッ・・・・・・」
「そうよ。女の人からセックスを誘えば大抵の男は乗ってくれるわ。それに、先生ならあなたを体だけの目的で犯したりはしないハズよ。最初は驚くかもしれないけどね」
冷静にかつ面白そうな顔で言っているスカーレルにアリーゼは少し頬を膨らませながら再び訴えた。
「・・・スカーレルさん・・・ひょっとして楽しんでません?」
「そんな事無いわよ。何だって、あたしはあなたの恋のキューピッドなんだから」
「うう〜・・・・・・」
多少うなっていたアリーゼも観念したかのように溜息をついてスカーレルに言う。
その顔からは、これから起こる事に対する不安と覚悟が表情に表れていた。
「それじゃ、行ってきますね」
「いってらっしゃい。充分に楽しんできなさいね」
「スカーレルさん!」
「アハハハ♪」
そう言うとアリーゼはゆっくりとした歩調でレックスのいる部屋に向かった。
そんなアリーゼを見届けた後、スカーレルはマストにもたれかかって空を見上げた。
夜空は相変わらず、無数の星たちがちりばめられた宝石のように光っていた。
「・・・全く、あの子ったら相変わらず不器用ね・・・」
そう呟くと、そのまま自分の部屋に戻って行った。
256レクアリ書き:03/09/05 16:13 ID:8Px9WTEr
とりあえずここまで。
まだエロがでねぇ・・・。(゜Д゜;)
萌えますか?どうですか?
萌えませんか?
;y=ー( ゚д゚)・∵
257名無しさん@ピンキー:03/09/05 16:44 ID:4UIZWIKd
>>256
萌えた、萌えさせてもらった
初々しいアリーゼタソいいねぇ
そういやアリーゼタソってあまり書かれてないね
258名無しさん@ピンキー:03/09/05 16:45 ID:CKjjFxRx
レックス×ファリエルキボンヌ
259名無しさん@ピンキー:03/09/05 17:39 ID:1SDeUA2h
>>257
アリーゼはどうしても問い詰めのイメージが強いから・・・
260名無しさん@ピンキー:03/09/05 20:46 ID:uYluK/aj
桃色青空学校キボンヌ
261名無しさん@ピンキー:03/09/05 20:58 ID:yXRr2bzq
前スレ715氏の続きを
今か今かと待ち続けているのは
俺だけじゃないはず
262名無しさん@ピンキー:03/09/05 21:41 ID:uYluK/aj
クノンネタとかはまだ出てない?
263名無しさん@ピンキー:03/09/05 22:43 ID:rV//iedW
くそ〜、タロットダブりまくりだ・・・(つД`)

え〜と、形にできるかどうかすら不安ながらも1本書いてみようかと思い立ったのですが・・・
ふとしたギモン。和服の下着ってどんな感じのモノなんでしょう?
ご教授可能な方おながいします。
264名無しさん@ピンキー:03/09/05 22:44 ID:0dBB8Tr3
野郎ならフンドシ、女性なら何も着けていないかと
265名無しさん@ピンキー:03/09/05 23:09 ID:rV//iedW
>>264
(´Д`;)なるほど、ご教授サンクス。
フンドシか・・・でもあの人はスニーカーを履いてるせいかトランクスでも違和感無い気がする(藁
とりあえずマイナー極まりない侍×巫女でがんがってみます。

そういえば、番外編でミスミママンが
「巫女はお役目が終わるまでアレするのイク(・A・)ナイ!!」って言ってたけど無視(藁
266名無しさん@ピンキー:03/09/05 23:12 ID:46aXHkbA
>>265
ウィゼル×ケイナか。たしかにマイナー極まりないな。

等とボケてみる。
267名無しさん@ピンキー:03/09/05 23:18 ID:VECl66Oo
>>256 大望のレクアリ キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! GJ!!
268名無しさん@ピンキー:03/09/05 23:35 ID:mJBw0kL7
>>217
壁 紙 キ モ イ !!
269名無しさん@ピンキー:03/09/05 23:37 ID:mJBw0kL7
うわあ…誤爆った
270名無しさん@ピンキー:03/09/05 23:40 ID:jV4nUsys
ワロタ
271名無しさん@ピンキー:03/09/06 00:50 ID:UR39DPD2
>>256
やばい・・・。萌えすぎ・・・。
続きガショガショ書いちゃって下さい!!
問い詰めとか言われようが、アリーゼ最萌えですから!!

てゆーか、アティ先生の誘惑授業とかあるんだったら委員長のアリーゼたんが先生のお手伝いで・・・
とかないんだろか?

誘惑授業中の青空教室

スバル「先生、ここは?」
アティ「あ〜、ちょっと待っててね・・・」
アリーゼ「スバルくん、どこがわからないのか教えてくれる?」
スバル「お、姉ちゃんが教えてくれるのか?」

みたいなのをハァハァ・・・。
272名無しさん@ピンキー:03/09/06 01:36 ID:k0UNd/Dk
≫261
どうも前スレ715です。
ちまちまとアティ×ビジュ書いてたのですが
結局エロのへたれさも壊れアティもどうにもなりやがりませんでした。

…そんなんですが投下よろしいでしょうか?
273名無しさん@ピンキー:03/09/06 01:43 ID:Jtu/qJ8A
>>272
大歓迎ですぜ、ダンナ
274アティ×ビジュ1/6:03/09/06 02:04 ID:k0UNd/Dk
運が悪かった。アティの両親の死は、たった一言で片付けられた。
作物は自給自足、輸出できるめぼしい特産品もなし、
帝国と旧王国の国境近くにあれども軍事的には無視しても問題ない村。
そこが、アティがずっと暮らしてきた場所。
だからどうして予測できただろう。旧王国の敗兵がやってきて、単なる一般人の夫婦を殺すなど。
火掻き棒で必死に応戦した父親は、斧で叩ききられた。
せめて我が子だけでも、と庇った母親は、背中を何度も何度もくしざしにされた。
アティには何もできなかった。
彼らが逃げ去り、他の村人の呼んだ衛兵がくるまでの間、血溜まりのなかうずくまっていただけ。
後でその敗兵たちは捕まったと聞いた。
彼らは相当追い詰められていたらしい。最初は何人だったかは知らないが、村に辿り着くまでには三人に減り、
背後からは殺気立った追跡兵。アティの家に押し入った時には頭のタガが八割方外れていたのだろう。
だけどそれが分かったからといって、両親は帰ってこない。
ずっとアティを支えてくれた村の人は口々にこう言った。
運が悪かった。だから早く忘れてしまいなさい、と。
いつまでも心配かけるのは嫌だから、アティはこう答える事にしている。
「平気ですよ。私はもう大丈夫です」
両親が好きだった、とびきりの笑顔で。
そうやっていればこのどろどろとした感情を隠し通せる気がした。
実際うまくやれていたのだ。
笑うことで。敵を作らぬよう―――誰も憎まなくてすむよう立ち回ることで、他人だけでなく自分も騙しぬいてきた。

ビジュに会うまでは。
275アティ×ビジュ2/6:03/09/06 02:05 ID:k0UNd/Dk
―――憎いだろう?
そうシャルトスが語りかけてくるようになったのはいつからか。
―――認めてしまえ。お前は、あの男を―――
最初は必死になって否定していた。自分のなかにはそんな思いなどないのだと。
けれど。
―――憎んでいると
切り刻まれるはぐれ召喚獣。血まみれの両親。ビジュの哄笑。歪んだ笑みを貼りつけて刃を振り下ろす旧王国兵。
忘れたふりをして胸の奥底に沈めてきた感情が呼び戻されて、今までつくってきた自分を崩してしまう。
―――だから壊される前に
「壊して、しまえば」
熱に浮かされたような呟きに、ふと我に返る。
左手が組み敷いたビジュの喉を絞めつけたままなのに気づき、急いで緩めた。
アティの身体の下でビジュは幾度も咳き込み痙攣を起こす。
その度にぎりぎりと不吉な音を立てるのは、動かぬようシャルトスで地に縫い止めた腕。
鋼の剣とは違うのか、貫いた箇所からの出血は予想ほどではなかった。
もっとも剣の素材が何だったとしても、痛いことに変わりはない。
「余り騒ぐからですよ。少しはおとなしくして下さい」
「ふざけっ……」
また、濁った咳。
「ほら、無理に大声だそうとするから。……なんなら完全に潰しましょうか?」
いつもの口調、いつもの表情でとんでもない事を言い出す。
そこに冷ややかな本気を感じとり、ビジュの背に嫌な汗が滲む。
アティを睨みつける目に少々の怯えが見て取れるのは見間違いではないだろう。
とりあえずはあからさまな抵抗が消えたのを確認し、アティは士官服はだけさせて露出した腹をつと撫上げた。
呻き声とともにビジュが身体を強張らせる。
(これって刀傷ですね。まあ軍属が長ければあって当然でしょうけど)
腹から胸元へと指を移動させると感触が変わる。
276アティ×ビジュ3/6:03/09/06 02:08 ID:k0UNd/Dk
心臓の上辺りから左肩へと続くのは火傷の痕。ひきつれた肌を撫でているうちに、奇妙な感じがした。
火傷の広がり具合が不自然に思えたのだ。
火災で負ったものと言うより松明かなにかを押しつけたような―――
思わずビジュの顔を見た。
手が、止まる。
―――それからの行為の理由はアティ本人にもよく分からない。
ビジュの喉元、先程絞めた痕へと唇をよせる。
そうっと舌を這わせた。息を呑む一連の動きが舌先から伝わる。
喉をつたって鎖骨へ。片手で服をずらしながら肩口へ。弧を描くようにして胸元へ。
唾液で濡れた箇所から、夜風が体温を奪う。
身体は場所を変える度に擦れ合う程度に預けて。
ただひたすらに傷跡を舐めた。
身体を下げるうちに、下腹部に何かが当たる感触がする。
視線を向けると、予想通りの状況だった。
そういえば上着は脱がしたけど下の方はそのままでしたね、なんて事を思いながら手を掛ける。
無造作に引き下ろすと、半立ちのモノを引っ掛けてしまったのか、腰がはねた。
アティは組み敷いたその姿を見る。
じくじくと血を滲ませる腕、古い傷跡、自分の腹を押し上げる屹立。
どくり、と心臓がのたうつ。
ビジュが好きかと聞かれたら、アティは嫌いと答える。
欲しいかと聞かれたら、いらないと答える。
けれど。
今、自分の下でもがく男を『犯して』やりたいと―――好きなように扱って滅茶苦茶にして壊してしまいたい、と、
一瞬だけだが本気で思った。
277アティ×ビジュ4/6:03/09/06 02:09 ID:k0UNd/Dk
再び顔を伏せて今度は腹の刀傷へと舌を這わす。
余計な動きを止めるために足を押さえると、丁度乳房がビジュのモノを圧し包む格好になる。
ふと思いついて身体を上下させてみた。
ニットごしにこするとひくりと持ち上がる。
ごく小さな呻き声が聞こえた。
素直に鳴けばいいのに、と考えて先程自分自身が喉を潰しかけたことを思い出す。
罪悪感はかけらも湧かない。ただ歪んだ高揚感が背筋を駆けるだけ。
上半身を起こすと、胸のあたりが先走りで重く湿っているのがはっきり分かった。
お気に入りのワンピースだったが、
とうに泥やら返り血やらで汚れてしまっているし今更シミのひとつやふたつ増えたところで誰が構うものか。
……でも女としてそれはちょっと悲しい。
頭を軽く振っていらない思考を消し、アティはスカートの奥へと手を入れ下着をおろす。
覆っていた箇所はすでにとろとろと蜜をあふれさせ、指ですくいとれる程。
一度深呼吸すると、ゆっくりと腰を落とした。
互いの体液が混ざりあってぐちゃりと音を立てる。半ばまで咥えたところで、
「……っつう?!」
スローペースにじれったくなったのか、思いっきり突上げられた。
潤ってはいても異物を受入れ慣れていないそこは、急な挿入に悲鳴を上げる。
アティは唇をかみしめて声をこらえるが、生理的な涙までは我慢できずにぼろぼろこぼす。
地面に手をついて砕けそうになる腰を必死に支える。
膝が震えて力がうまく入らないが、このまま流されて完全に身体を預けてしまうのは、
向こうに主導権を与えるようで絶対に嫌だった。
278アティ×ビジュ5/6:03/09/06 02:13 ID:k0UNd/Dk
痛い。とにかく痛い。身体のナカをえぐられるのがここまで苦痛だとは予想だにしなかった。
―――落ち着いて顧みればビジュとて押し倒されてる身。そんなに大きな動きは無理だ。
どちらかというと行為そのものよりいきなりの抵抗というのが原因だろう。
実際最初の突上げの後は断続的に膣内をすりあげてくるだけで。
こちらの都合なんかお構いなしの自己本位な行為。
(って当然ですか。これって元々無理矢理始めたことですし)
そう、最初から相手の意志を黙殺していた。今は単にする側とされる側が入れ替わっただけのこと。
ならば戻せばいいだけ。
アティは腰を浮かせ強引に引き離す。
破裂寸前のソレが外気にさらされ、
「……あ……?」
惚けた声を上げるビジュの胸元に額をあてる。
身体を預けるというより、楽な姿勢をとったらたまたまそうなった―――それだけのこと。
「中は駄目ですから―――心配しなくても最後までやりますよ」
囁いて、愛液に濡れた秘所を先程までつながっていたものにすりつける。
ただし今度はアティが快いと感じる強さとペースで。
不完全なつながり。だからこそ余計に貪欲になるのか。
もう敵同士だとか、片方は腕を地面に縫いとめられた状態だとか、主導権の有無だとかどうでもいい。
挟んで。揺さぶって。突上げて。水音を立てて。
可能な限りつくす行為は快楽を得るためだけに。
アティの手が仕官服の襟を強く握りしめる。こらえきれない甘い悲鳴がもれる。
最後に熱い液体がぶちまけられるのがわかった。
279アティ×ビジュ6/6:03/09/06 02:17 ID:k0UNd/Dk
仕官服を襟元まできっちり合わせてから、ビジュは立ち上がる。
シャルトスで貫かれていた部位には簡単な処置が施されている。無論アティの手によるものだ。
御丁寧にサモナイト石まで残していった。ピコリットとの誓約を示す刻印が見て取れる。
要するにこれを使って回復しろと言うことだろう。
「……畜生が」
投げ捨てようとしたが失血のためか力が思うように入らず、手から転がり落ちるかたちになる。
しばらく青い光を放つそれを睨みつけていたが、やがてふらつく足取りのまま背を向けた。

アティは自室の戸を後ろ手に閉めて、そのままの姿勢でもたれかかる。
どうやって船に戻ったか覚えていない。
情交の跡を消すためか、帰りがけに服のまま泉に飛び込んだのだけが思い出される。
自室のドアにもたれてぽたぽたと広がる水溜りをぼんやり眺めていた。
(掃除……も、明日でいいや……とにかく着替えて寝よう……)
緩慢な動作でワンピースに手をかけるが、肌に張りつき離れてくれない。
「……どうして」
あんな事をしたのか。
(戦力を少しでも削いでおこうと思ったから)
違う。第一あのような方法で削げるわけがない。
(シャルトスに操られていた)
……違う。確かにきっかけを与えたのはシャルトスだろうが、その後の行為は全て自分の意志だった。
では、何故。
……本当はとっくに分かっていた。
「近親憎悪、ですかね」
両親が殺されたあの日からずっと隠してきた暗い感情。それが形をとって現れたようで、怖かった。
だからあんな風に屈服させて、まだ自分は大丈夫だと、感情を抑えきれるのだと思い込みたくて。
「あはは……それって向こうには災難以外のなにものでもないじゃないですか。
 ……私ってば…最低…の……」
肩を抱いて泣く彼女を、誰も知らない。
280前スレ715:03/09/06 02:22 ID:k0UNd/Dk
個人的に
ビジュが不良キャラのくせして軍服きっちり着てるのは傷跡を隠すため、とか
刀持ちのくせして投具使いなのは他人に近づくのが怖いから、だとか
MAT低いくせして召喚術連発するのは以下同上、

だったら萌え度が300%増(当社比)だなー、と書いてる途中でふと考えました。
しかしサモンスレで一番おいしい思いしてるのって多分ビジュだろうな。鬼畜な奴に乾杯。エロ書ききれなかった私は反省。
281名無しさん@ピンキー:03/09/06 03:09 ID:PGK6pI10
前スレ715さんお疲れ様です。
イイヨイイヨー(゚∀゚)
萌えましたよー
ゲームでは聖母のようだけどトラウマになるような修羅場を
くぐってきたアティたんとトラウマ持ちのビジュは案外お似合いの
カップリングなのかもと思いました。
激しく続きを希望します。
282名無しさん@ピンキー:03/09/06 04:50 ID:gSCizaBV
純愛にスライドさせられそうだよな、この設定
・・・けっこいいかも
283名無しさん@ピンキー:03/09/06 10:16 ID:rQUbQbCW
むしろ純愛にスライドしてホスィ
と思った漏れはどうだろう?
284名無しさん@ピンキー:03/09/06 10:29 ID:wunaXWqX
すばらしい…
285名無しさん@ピンキー:03/09/06 10:33 ID:2dEYHrW0
まるで我らの理想が形になったかのようだ!
286名無しさん@ピンキー:03/09/06 11:29 ID:AxvSvKcd
>>263
和服、女は腰巻きという下着をつけてるらしい。巫女服はどうだか知らんが…
287名無しさん@ピンキー:03/09/06 12:11 ID:+j+VHats
すごい・・純愛路線で続きキボン
288レクアリ(5):03/09/06 13:14 ID:C3vN/qMc
(うう〜・・・ここまで来たのは良いけど・・・どうしよう・・・)
アリーゼはレックスの部屋の前で立ち止まっていた。
スカーレルに言われた通り、ここまで来たのは良かったがそこから先の事なんでどう考えても普通じゃない。
(別にそこまでして先生と一緒になりたいわけじゃないのに・・・やっぱりアルディラさんとかに相談した方が良かったかなあ・・・)
アリーゼはただ単にレックスに「好き」と言いたいだけなのだ。
何も体まで望んだりはしていない。
だが・・・・・・。
(ホントに・・・そうなのかな・・・)
改めて考えると、何だかおかしくなってくる。
「好き」。その一言だけ言って、レックスから返事をもらって、泣くか笑うかしながらレックスの部屋を後にする・・・それだけでいいのだろうか?
本当は・・・、
(私・・・先生を望んでる・・・・・?)
自分の唇に触れながらそんな事を考える。
先生とキスしたい・・・抱きしめてもらいたい・・・できる事なら・・・。
(そんなこと無い!私に限って!!)
そう考えるとそんな自分が恥ずかしくなってくるので横に頭をブンブン振って頭から邪な考えを振り払った。
(とにかく!今日こそは私の想いを先生にぶつけるんです!)
ムンと気合を入れるとアリーゼは静かにレックスの部屋のドアを叩いた。
軽く叩いたつもりなのに辺りが静まり返ってるせいか、ドアを叩いた音がやけにまわりに響いた。
289レクアリ(6):03/09/06 13:15 ID:C3vN/qMc
少し待っていると、レックスが顔を出した。
「はーい・・・って、アリーゼ?」
「あ、はい!私です・・・」
十分に息は整えてあったはずなのにレックスと目が合った瞬間、心臓の鼓動が急に早くなった。
息苦しい。激しい運動をしたワケでもないのに・・・・・・。
「?どうしたんだい?」
不思議そうに見つめるレックスを見て慌ててアリーゼはあらかじめ用意しておいた理由を述べた。
「あ、あの!ちょっと分からない問題があったので教えてもらおうと思いまして・・・」
「そうかい?それじゃ、入っておいで」
何の躊躇いもなくレックスは部屋に招きいれた。この瞬間、更にアリーゼの鼓動は早くなった。いよいよだ。アリーゼはそう思った。
「は、はい!失礼します!」
そう言ってゆっくりと、一歩ずつレックスの部屋に侵入していく。
入り慣れた筈の部屋が、何故か今は入りづらい。
この間にも、アリーゼの鼓動のスピードは変わらない。
失神してしまいそうだった。いつ気を失ってもおかしくないと思った。
「それで、どこが分からないのかな?」
いつもと同じ勉強の時にだけかける眼鏡をかけてレックスはアリーゼの顔を覗き込む。
一瞬ビックリしながらも、慌てて持ってきた教科書を開いてレックスに分からない問題に指をさす。
「ここなんですけど・・・」
「ああ、ここかい?ここは・・・」
ゆっくりかつ丁寧に教えてくれるレックスを見て、アリーゼはしばらくボーっとレックスのほうを見つめてしまった。
いつもと変わらない、別にどこも変わってない。なのに・・・、
(なのに・・・私・・・先生を見て・・・)
先程から何か自分の様子が変な事には気が付いていた。
理性がだんだん聞かなくなってきている・・・もし、少しでも気を抜けばレックスにそのまま・・・・・・。
290レクアリ(7):03/09/06 13:16 ID:C3vN/qMc
(どうしたんだろう・・・私・・・?)
軽く自分の胸に手を添えて何とか自分を押さえ込む。
その間にも、どんどん自分に対する抑えが聞かなくなってきていた。
(先生を襲いたいなんて・・・私・・・なんて淫らなの・・・・・・)
自分じゃない自分という矛盾にアリーゼはひたすら戦っていた。
好きって言えればそれで良いのだ。それで・・・・・・。
「それで・・・?アリーゼ・・・?どうしたんだい?」
「・・・えっ?」
不思議そうな顔で見るレックスにアリーゼは驚いた。
「いや、何か苦しそうだったから・・・」
「そそっ・・・そんなことありませんよ!大丈夫です!」
そう言って自分を抑えながらレックスに平然を装った。
こんな自分が嫌い。素直に気持ちを言えない・・・こんな自分が・・・。
「そうかい?でも、無理はしちゃダメだよ?」
「はい・・・分かってます・・・・・・」
「それじゃ、ここの事だけど・・・」
アリーゼを気遣いながらレックスは問題の説明を続けようとした・・・が、
「・・・先生」
アリーゼの一言で再び中断した。
「何だい?」
「あの・・・そのっ・・・!」
そう言いながら一呼吸おくと、アリーゼは席を立ち上がって、遂にレックスに自分の想いを告げた。
「先生!私・・・あなたのこと・・・好きです!生徒としてじゃなくて・・・アリーゼっていう・・・一人の女の子として!!」
涙目になりながらも必死で今まで言いたかったことを一気に言った。
好き・・・大好き・・・・・・狂おしいほどに・・・・・・。
291レクアリ(8):03/09/06 13:16 ID:C3vN/qMc
「アリーゼ・・・」
レックスは驚きながらアリーゼのほうを見つめる。
その表情は、信じられない。そう言ったカンジの表情だった。
「私は・・・私は、あなたの生徒になってから、この島に来るまでは、怖くて仕方ない存在だった!でも・・・でも!!」
今は違う。今は私にとって大切で、かけがえの無い存在です!そう叫びたかったのに、叫べなかった。
代わりに、嗚咽だけが喉から出てきた。
「ふっ・・・ううっ・・・うえっ・・・ぇ・・・・・・」
零れ落ちてくる涙を必死で拭いながら、俯いて、声を殺して泣いた。
悔いは無い。後は、先生の返事次第・・・。この涙が、悲しき涙となるか、嬉しき涙となるか・・・。
だが、レックスから返事は来なかった。
代わりに・・・・・。
「・・・?!」
ふわっと、何か自分の体を包み込む感触があった。
まだ涙のせいで赤い目を向けると、すぐそこにレックスの顔があった。
一瞬、アリーゼは硬直してしまった。
何があったのか、一瞬で理解できてしまった。
レックスが・・・アリーゼを包み込むように抱きしめていた。
「せっ・・・先生・・・?」
顔を真っ赤にして慌てふためくアリーゼにレックスは静かな声で言った。
「驚いたよ・・・アリーゼと俺が、同じ考えをしてたなんて・・・」
292レクアリ(9):03/09/06 13:17 ID:C3vN/qMc
「・・・え?」
予想外の言葉に、アリーゼは一瞬我が目ならず我が耳を疑った。
(今・・・なんて・・・?)
アリーゼは心の中で再確認しながらレックスのほうを見つめる。
レックスは相変わらずアリーゼを抱きしめたまま離そうとしなかった。
「俺も・・・そうだったんだよ。あの時、君が帝国の奴らに襲われた時には本当に怖かった。あのまま、君を失ってしまったらどうしようって思った」
アリーゼの頭に回した手をゆっくりと動かし、アリーゼの頭を撫でる。
親にも、まともに撫でてもらったこと無かった。アリーゼはそう思った。
「俺・・・君の教師だからって意味じゃなくて、大切な人って意味で心配したんだ。その・・・恋愛感情って言うかさ、そういうもので・・・」
「先生・・・」
そう言うと、ゆっくりとアリーゼの体を離し、向き合う。
この時も、お互いの胸の鼓動は落ち着かなかった。
「それで、俺、あの時も自分の身を捧げたんだと思う。君が助かってくれれば・・・そう思って」
「・・・!そんなのじゃ嫌です!!」
いきなりアリーゼに大声を出されたのでレックスは驚いた。
293レクアリ書き:03/09/06 13:20 ID:C3vN/qMc
またもやここまで。
連続投稿スマソ・・・・・・
しかもエロもまだねぇし・・・
これでアリーゼのイメージを壊された方いらしたら更にスマソ・・・

・・・・・・吊ってきます・・・  ∧‖∧
294名無しさん@ピンキー:03/09/06 14:18 ID:ci1W8CpW
>>前スレ715氏
なんて素敵なビジュ……!
それと主人公の内面が俺の理想そのものですっげえ嬉しい。
俺が求めてたのはこれなんだと実感しますた。

>>レクアリ書き氏
アリーゼがカワイイなあ(*´Д`)
これからの展開に期待します。
295名無しさん@ピンキー:03/09/06 14:26 ID:5aak3N6+
>>293
数日ぶりに覗いたら待望のレクアリがキテタ━━━━━━(゚(゚∀(゚∀゚(☆∀☆)゚∀゚)∀゚)゚)━━━━━━!!!!!
アリーゼかわイイ!!GJ!
もしかすて>>197の方ですか?違ってたらスマソ

吊らなくていいから!降りてきてくれ(藁
続き、がんがってください
296名無しさん@ピンキー:03/09/06 14:37 ID:AxvSvKcd
(´-`)。o0((藁 は煽るときに使うのが普通…)
297名無しさん@ピンキー:03/09/06 14:55 ID:tNJGcSD1
>>296
スマソ
298295:03/09/06 15:03 ID:tNJGcSD1
レクアリに興奮して馬鹿な間違いを・・・
>>293さん、本当にスマソ
299名無しさん@ピンキー:03/09/06 15:08 ID:DWKrLvII
まあいいじゃん、常識なんて気にせず楽しく生きていこうぜ
300名無しさん@ピンキー:03/09/06 15:12 ID:BAuodExX
ところでレックス×ファリエルキボンヌなのは俺だけ?やはり幽霊は書きにくいのか・・・
301名無しさん@ピンキー:03/09/06 15:14 ID:2dEYHrW0
>>300
いや、ただ個人的にはttp://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1061571105/507
を期待してる訳で
302名無しさん@ピンキー:03/09/06 15:21 ID:BAuodExX
身勝手言ってスマン。気長にまちまふ
303名無しさん@ピンキー:03/09/06 16:00 ID:BbfV34Bu
ファリエルなあ…
亡霊たちにリンカーンとかなら思いつくんだけどねえ
304名無しさん@ピンキー:03/09/06 16:17 ID:BAuodExX
それイイ!Wシンプルながらもベストかも?(おいW)俺としてはキボン
305名無しさん@ピンキー:03/09/06 17:03 ID:UOPfY+4p
亡霊達を鎮める為に自分の体を差し出すファリエル。
亡霊達が満足して眠りに付くまで延々と犯され続ける。

・・・そういやヤッファも亡霊を鎮めてたな、とか思う今日この頃。
306名無しさん@ピンキー:03/09/06 17:14 ID:BAuodExX
シマシマさん来たらむしろ亡霊怒りそうな予感
307名無しさん@ピンキー:03/09/06 18:25 ID:Fr2FHPBC
漏れは憑依プレイに一票入れる
308名無しさん@ピンキー:03/09/06 18:41 ID:BAuodExX
ファリエル需要ほとんど無いな・・・どこかに実現してくれる神がいないものか・・・
309名無しさん@ピンキー:03/09/06 18:51 ID:Fr2FHPBC
>>308
需要はあるが配給がない状態だと思うが
310名無しさん@ピンキー:03/09/06 19:01 ID:BAuodExX
そ.そうか・・・文章間違えますた(;;)
311名無しさん@ピンキー:03/09/06 19:22 ID:L+qC1t5t
レクアリ激しく続きみたいです。
293さん頑張ってください!
312名無しさん@ピンキー:03/09/06 19:42 ID:y9jcR7S+
俺もレックス×ファリエルよりはファリエル×アティだな。

ところで、ここはsageなくて良いのか?
さっきからスレが上がりまくってるけど。
313名無しさん@ピンキー:03/09/06 20:08 ID:P37nDt7y
遅レスですが、>243さんのスカソノ、すごく(・∀・)イイ!
スカーレルが色気あってええね。ソノラの気持ちも凄く共感できる。
思わず、前編から今回のまで1つのページにまとめ直して読んでます。

続きが気になって仕方ない、楽しみにしてますお!

314ファリエル陵辱:03/09/06 20:31 ID:AGPNiY6O
「おい、この女ぁもう動きやがらねえぜ。」
「つまんねえよなあ、…ったくよぉ!!」
そう吐き捨て男たちはボロ屑のように陵辱された少女を足蹴にする。まだ若い娘だ。その瞳にはもう一欠けらの生気もない。戦いに敗れ満身創痍の彼女を男たちは輪姦した。
体中の骨が折れ、内臓が傷つき、放置しておけばそのままでも死にいたるであろう彼女。
その彼女に人間らしい死を鬼畜どもは決して与えなかった。数人がかりで犯され、おそら
くは今だ穢れを知らなかったであろう身体を血と白濁液で染められた。
「もう、死んでるせ、ちゃんと火葬しなくっちゃよぉ!!」
「そうそう。」
既に彼女は死にかかっていた、だがまだかすかに意識があった。不幸なことにも。
自らの身体を焼く業火。肌が焼ける痛み。自分の肉が燃焼する悪臭。此の世のモノとも思
えぬ一切の苦痛を味わいながら彼女の命は失われた。
315ファリエル陵辱:03/09/06 20:32 ID:AGPNiY6O
「嫌あぁぁぁぁぁぁっ!!」
悲鳴とともに彼女、ファリエルは目を覚ます。本来霊体である今の彼女は睡眠などは必要
としない、だがこの地上で存在しつづけるためにはマナの定期的補給が欠かせない。
その間彼女は人間で言う睡眠と同じ状態になる。その睡眠中にかつて生前の記憶が稀にで
はあるが再現されることがある。今回はよりにもよって最悪の記憶であった。自分が殺さ
れた時の記憶を…
「また…あのときの…」
思い出すだけで発狂しそうになる。純潔を汚されたこと。それ自体はもはや死にゆく身だ
った彼女にはそれほどの苦痛ではなかった。だが生きたままその身を焼かれたこと。その
時の苦痛。震えが止まらない。二度と味わいたくない。死後、今の霊体になった後にもそ
の時の痛みが、恐怖が、絶望が、その魂の芯まで染み付いていた。
「どうかなさいましたかっ!!ファリエル様!!」
「フレイズ…。」
大声を聞きつけて、必死の形相で駆けつけてきた副官にファリエルは答える。フレイズ、
今は守人冥界の騎士ファルゼンとなったファリエルの参謀で、死んだ彼女に自らの魂を分
け与え霊体として再生させた天使である。
「まさか…また…あの時のことを…」
フレイズの指摘にファリエルは無言だった。だがそれは明らかに肯定と受け取れた。苦虫
を噛み潰した顔になるフレイズ。あのときファリエルを守ることが出来なかったこと。
そのことをフレイズは今でも悔やみきれずにいる。
「もう…大丈夫よ…フレイズ…。」
「ファリエル様…。」
316ファリエル陵辱:03/09/06 20:33 ID:AGPNiY6O
嘘だ。大丈夫なはずがない。自分にこれ以上心配をかけまいとして言っている事がフレイ
ズには分かった。どうして彼女が未だに忌まわしい過去に苦しめられねばならないのか。
そう思うと胸が詰まってしょうがなかった。
「フレイズ…そう言えば今日は鎮めの儀式を行う日でしたね…。」
「…!!」
鎮めの儀式。あの忌まわしき無色の派閥との戦い以来、この島で命を失った者はその魂を
転生することを許されず亡霊として彷徨い続ける。その亡霊の暴走を防ぐべく、ファリエ
ルは定期的に鎮めの儀式をとり行ってきた。今日がその日である。
「お止めください!今のファリエル様のご状態で儀式を行うなど無茶です。どうかご自愛ください!。」
フレイズは必死の思いでファリエルに思い止まるように説得する。あの儀式はファリエル
の精神をすり減らす。精神の消耗は霊体である彼女には消滅に直結する。今のような万全
出ない状態で執り行うのは危険が予想される。
「簡単なモノならば私でも行えます。どうかファリエル様はお休みください。貴女はこの島
になくてはならない人なのですから…」
「フレイズ…。」
彼の説得には理があった。不完全な状態での儀式はかえって亡霊の暴走を後押ししかねな
い。それならばいっそのことフレイズに任せた方が安全でもあろう。
「でも……」
彼に任せて自分だけ休むことにはファリエルには抵抗があった。元は無色の派閥の実験で
このように歪められてしまったこの島。そのことに対しかつては同じ派閥の一員であった
ファリエルは責任を感じているのだ。
「分かりました。儀式はフレイズに任せます。でも私も同行します。」
「ファリエル様…。」
もしフレイズの手におえない事態になったらその時は自分が替わろう。そう強い意思の元
にファリエルは同行を求める。その決意を拒むことはフレイズには出来なかった。

317ファリエル陵辱:03/09/06 20:34 ID:AGPNiY6O
「どうやら亡霊たちも落ち着いているようですね。」
「……ウム……」
フレイズと重厚な鎧で身を包んだ騎士は亡霊の発生源である遺跡周辺部に辿り着く。
この鎧騎士こそファリエルの守人としての姿、ファルゼンである。
「この分なら私でも大丈夫そうです。ファルゼン様、少し下がっていて下さい。」
「…ワカッタ……ムチャハスルナヨ…」
そう言ってファルゼンは後ろに下がる。元々術自体はフレイズのほうが長けている。だが
同じ霊体同士ということもあってか亡霊の状態が落ち着かないときはファリエルの方が適
任であった。今回は亡霊も比較的落ち着いていてこれならばむしろ術式に秀でたフレイズ
に任せた方が上手くいきそうである。
(よかった…何事もなくて…。)
ファルゼンという鎧の中でファリエルは安堵した。もしフレイズの手におえない場合、今
の自分で儀式を上手く行えるかという不安が解消されたのだ。
「………!?」
ふいに嫌な予感が走る。なにやら悪しき力が膨れ上がるような…、これは?
「…イセキガ…!?」
何故だか分からないが遺跡の力が作動し始めたのだ。不味い。このままでは亡霊たちが…。
「下がって!フレイズやっぱりわたしが…」
「ファリエル様…しかし…なっ!!」
それは一瞬の事だった。
かつて…異界との境界を利用する力を探る目的で作られた遺跡。今はなきファリエルの兄、
ハイネル・コープスが核識となり、緑の賢帝、紅の暴君という二本の魔剣によってその力
を封じられた筈の…。その力の発動。それは亡霊たちに異常なまでの力を与え…
そして…
318ファリエル陵辱:03/09/06 20:34 ID:AGPNiY6O
「ガハッ!!…ファ…リエル…様……グハァ…」
「そんな…フレイズ…嫌ぁっ!!フレイズぅぅっ!!!」
背後から亡霊兵士の槍がフレイズの胸板を貫く。そこから連続して無数に突き刺さる弓矢。
頭部をかち割る斧。全身をなます切りにする剣。
「ファリ…さ…ま…逃げ…」
言い終える間もなく放たれた暴走召喚術がフレイズを一欠けらも残さず吹き飛ばした…。
「嫌ああああぁぁぁっ!!!!!!」
跡形もなく消滅したフレイズ。その悪夢のような光景にファリエルは叫び、立ち尽くすし
かなかった。
「…獲…モノ…」
「次ハ…コイツダ…」
「殺ス…ミンナ…コ…ロス…」
次の獲物を見据えた亡霊兵たちはファリエルに襲い掛かろうとする。
「よくも…フレイズを…」
大剣でもって応戦しようとするファリエル。だが多勢に無勢であった。彼女の外殻ともい
うべき鎧が破壊し尽くされるのに時間はかからなかった。
319ファリエル陵辱:03/09/06 20:35 ID:AGPNiY6O
「オ…ンナ…」
「ヨロイノ…ナカカラ…オンナ…」
「イイ…オンナ…ダキタイ…」
鎧から引きずりだされたファリエル。剥き出しになった少女の姿に亡霊は反応し詰め寄る。
(止めて…いや…)
生前の最後の記憶が蘇るあの時も…
『なんだよ…結構イイ女じゃねェか…』
『どうせこのままほっといても死ぬんだ。頂いちまおうぜ。』
戦闘不能にされ…襲い掛かる陵辱。あの時と同じ…。
「嫌ぁぁっ!止めてェェ…あんな思いはもう…」
敵に破れ惨めに犯される姿。それ以上に思い出してしまう。自分の最後を。地獄の業火に
焼かれながら苦しみ悶え果てた最後の時を。
「痛イィィィ!!!畜生ォォォォォ!!」
「苦シイィィィ!!壊スゥゥゥゥ!!」
「オンナ…コワス…オカスゥゥゥゥ!!」
生前の痛みを引きずりながら荒ぶる亡霊たちはファリエルに襲いかかった。

320ファリエル陵辱:03/09/06 20:36 ID:AGPNiY6O

「止めてぇぇっ!!…お願い・・もう止めてぇっ!!」
亡霊たちの肉棒がファリエルの身体を汚す。本来肉体のない霊体同士の性交。それはあく
までイメージ的なものだろう。実際にはファリエルという霊体を無数の亡霊の霊体が取り
囲み混じりあっているような姿だ。だがその度に彼女の魂は削り取られていた。
可憐な少女が兵隊の慰み者になる、そのようなイメージが展開されていた。
「あぐうぅぅ…うっ…はうっ…」
あくまでも実体の伴わぬ幻の世界。しかしファリエルにはそれは現実。膣内を肉棒が食い
込み内側から引っ張られる痛み。生前犯されたときはもう瀕死で何も感じなかったが、始めて感じる。
「う…うぅぅ…」
ファリエルはすすり泣く。あくまでイメージであったが股の下から血が流れているのが見
えた。死んだ今初めて味わう。破瓜の痛みを…。
「マチキレナイ…コッチモ…」
ファリエルを犯す亡霊達。到底前の穴だけでは足りぬ。アナルも口も胸も髪も、すべてを
犯す。後ろから前から、肉で圧迫される苦痛。内臓が削り取られるような感覚。口の中を
占領するペニス、流し込まれる精液。生臭い香りが鼻腔をくすぐる。左右の乳首に亀頭が
こすり付けられる。まるで乳液のような白濁が彼女の胸から垂れる。そして髪の毛にぶち
まけられるスペルマ、ベットリとその髪にまとわりつく。
(どうして…どうして…こんな…)
そのどれもが肉体を失った今では本来感じるはずのない苦痛。同じ霊体同士だからこその
なせる業であった。生前最後のときもこのように慰み者にされた。だがあの時はもう瀕死
重傷を負っていたこともあり今のように陵辱による苦痛はさして覚えていない。今は違う。
確かに実感する。汚される悲しみ、陵辱の苦痛を…。
321ファリエル陵辱:03/09/06 20:37 ID:AGPNiY6O
「イクゥゥゥ…オレハイクゥゥゥ!!」
「マイッタ…オレハマイッタァァァッ!!!!」
わけの分からぬ呻き声を発しながら亡霊はファリエルの胎内に射精する。生暖かい精液。
それが子宮に流れ込むと同時にまた別のものがファリエルの中に流し込まれる…。
(な…に…?)
暗いとてもどす黒い感情…。男の身体は腐りかけていた。うじ虫が湧き、仲間に打ち捨てら
れそれでも死にきれず、ゆっくりと果てていく。その永遠の繰り返しこれは・・・
「嫌ぁぁぁぁぁぁっ!!!」
おそらくは今ファリエルを犯している亡霊たちの生前最後の記憶。無残な最期を遂げ苦し
み悶え死んでいった記憶。転生できず死を繰り返しつづける苦痛に苛まれた亡霊の絶望。
ファリエルの身体に流し込まれた精液の正体はそれであった…。肉体(というのも正確で
はないが)を犯されるのと同時に魂そのものに行なわれる陵辱。二重三重の苦痛。地獄と
いう言葉でさえ生易しい。そのような絶望と悪夢にファリエルは包まれた。


(痛い…苦しいイ!!)
(足がぁぁっ!!おれの足がぁ!)
(待ってくれ…俺達は味方…)
(嫌だァァ…死にたくないぃぃぃぃ!!)
亡霊たちの最後の記憶。暴走した召喚獣に食い殺されたもの、全身を引き裂かれたもの。
味方の召喚術の絨毯爆撃で死んだもの。その最後のときの記憶が流し込まれていく。
(許して…もう許して…)
犯しつづける亡霊たちに許しを乞うファリエル。無色の派閥の実験で閉ざされたこの島で
は生き物は死んでも生まれ変われず亡霊として生前の最後の苦しみを味わいつづける。
彼らの苦しみ。その責任の一端がかつて兄とともに派閥の召喚士として実験に参加した自
分にもあることをファリエルは認識していた。
(これは…罰なの…?兄さん…あんなことをした…私たちへの…)
今は亡き兄に問い掛けるファリエル。だが問いに答えるものはいない。いるのは彼女の身
体に絶望というスペルマを撒き散らす亡霊たち。子宮も腸内も限界まで精液で満たされた
かのように見えて限界はない。所詮はイメージにすぎないのだから…
322ファリエル陵辱:03/09/06 20:38 ID:AGPNiY6O
「くぅぅぅぅっ…あひぃっ…ふぁっ!!」
背面からまた、肉棒が挿入される。もう何十何百と肉棒を咥え上げた秘所。しかし霊体ゆ
えに身体がそれに慣れることはない。きつく狭い膣内にギュウギュウと肉が押し込められ
る。決して自らの愛液で濡れることのない渇いた膣。吐き出される白濁のみが潤滑油とな
ってピストンを繰り返す。痛い。死んだ自分が言うのもなんだが死ぬほど痛い。
子宮にドクドク精液を流し込まれる。生きた人間の娘ならば妊娠の恐怖に絶望するのであ
ろう。だがファリエルに流し込まれるのは絶望そのもの。亡霊たちの苦痛の記憶。
「あっ…嫌ァっ…あっ…ひぃっ…」
後ろから犯されながら胸を鷲づかみにされる。そのまま乳房で強引に陰茎を挟まされる。
ズリズリと乳肉をペニスが滑る。気色悪さを感じながら舌で亀頭の先を舐めることを強要される。
「あひ……いっ…ぐぅぅぅっ!ぷぁぁぁっ!!
子宮内にもう何十度目か数え切れない射精をされるのと、顔面にスペルマを撒き散らされ
るのは同時であった。それでもなお解放されることはない。馬ほどある巨根がねじ込まれ
たり一つの穴に二本同時に挿しこまれたり、胃から逆流するほどに精液を飲まされたり
それらすべては現実ではない…。だがその虚像は彼女にとっては紛れもない現実…。

323ファリエル陵辱:03/09/06 20:40 ID:AGPNiY6O
「あっ…あぅぅ…あひぃぃ…ひゃぅ…」
それから時が数日経過してもなおファリエルは亡霊に犯されつづけた。もはや彼らと同質
の存在となった彼女。昼間は姿を消し、夜が訪れるたびに亡霊達に犯されつづける。
永遠に死の苦しみを味わいつづける亡霊たち。その慰み者として犯されるためだけに存在
する亡霊として…。
もう人型の亡霊だけではない。メイトルパの魔獣、シルターンの鬼妖、サプレスの悪魔。
この島で果てた亡霊たちすべてがファリエルにその苦痛をなすりつけるようにして犯す。
今もまた1人の天使の亡霊がファリエルを犯していた。
「ファリエル様ァァァァァ!!!、ファリエル様ァァァァァ!!」
「あ・・・うぐっ…あぅあ…フレイズ…あ・・・きひぃぃぃぃぃ!!!」
全身をなます切りにされ頭をかち割られた姿のかつてフレイズだったものはファリエルの
膣内に己が剛直を延々と挿入し続けた。
終りない悪夢。終りない絶望。死したもののみが味わいつづける永劫の呪縛。
苦しみつづける亡霊の痛みを一身に慰み者として吐き出される哀れな少女の魂。
それが救われるときがくるかどうかは誰にも分からぬことであった。
324鬼畜野郎:03/09/06 20:46 ID:AGPNiY6O
根なもんかいてる暇あるならアズリアの続きかけよと言いたくなるでしょうが
久しぶりに鬼畜書いてみたくなったのでこんなん書きました。
フレイズファンの人スマソ。悲惨だなあ今回。
これにくらべりゃアズリアたんはまだ救われてるかも…(最後はハッピーエンドにするつもりだし)
ファリエルは実体がないからそれなら同じ幽霊に犯させてしまえという発想で書きました。
303は実は俺。アズリアのハッピーエンドもはよ書きたいけど結構これでプライベート押してて
また遅れるでしょうね。それよりも果たして俺に最後純愛が書けるだろうか?
まあまた暇な時に書きますんでその時はよろしくお願いします。
325名無しさん@ピンキー:03/09/06 21:02 ID:DwVNlah1
キタ━(゜∀゜)━( ゜∀)━( ゜)━( )━(゜ )━(∀゜ )━(゜∀゜)━!!!!



326名無しさん@ピンキー:03/09/06 21:07 ID:BAuodExX
きっついな・・・けどイイ!なぜあなた方神はこれだけの物を書けるのか・・とにかくGJ!!あとでじっくり拝見しまふ。おつかれでした
327名無しさん@ピンキー:03/09/06 21:14 ID:8OXPQLyh
>326
それはともかくなぜさっきから貴方はsageない?
もしかして知らないとか?
328名無しさん@ピンキー:03/09/06 21:34 ID:AxvSvKcd
キタ━━━━━━゚(∀。)━━━━━━ン
329243:03/09/06 22:14 ID:2lnwS6E6
>>313
うお、あのブツ切り不定期SSを一つにまとめて読んでくれてるんですか?
自分のSSなんかをそんなに楽しみにして頂けるなんて、恐縮です…!
最近スローペースになってしまっていますが、ちゃんと最後まで書くつもりですので
彼らの行く末を最後まで見届けてあげてくださいな。
330名無しさん@ピンキー:03/09/06 22:30 ID:BAuodExX
俺ですか?下げるとは?教えてくれませんか?もし皆さんに迷惑掛けてたらすみません。知らないんです・・・
331名無しさん@ピンキー:03/09/06 22:35 ID:pVlu4ud3
>>330
初心者か?メール欄にsageって半角で入れとけば書き込んでもスレッドが上がらない
スレッドが上がると広告が貼られやすいからみんなsageるんだよ
どの板でも共通なので覚えとけ
332名無しさん@ピンキー:03/09/06 22:44 ID:BAuodExX
こうかな・・・?失礼でした。覚えときます(^_^)
333名無しさん@ピンキー:03/09/06 22:49 ID:BAuodExX
ファリエル萌えの漏れとしては最高でした。ありがたや・・ありがたや・・・
334名無しさん@ピンキー:03/09/07 00:26 ID:2D8gLN0N
厨房はマジ死ねよ。
335名無しさん@ピンキー:03/09/07 00:29 ID:mPQqNBUq
ID:BAuodExX

てゆーかうざいから消えて
336名無しさん@ピンキー:03/09/07 00:38 ID:ai/1YGV/
誰でも初めてのことはあるさ。
大目にみてやれよ。
337名無しさん@ピンキー:03/09/07 01:15 ID:gH1EMuwC
ユエレシキボンヌしてみよう
338タケシー大好きビジュ:03/09/07 01:24 ID:VVcEvdsq
 キンッ!
 甲高い金属音が弾け飛び、直後、断末魔の絶叫が搾り出される。
 ビジュの剣が敵兵を両断し、血しぶきが飛ぶ。
すでに何人の敵を倒したかわからない。
元々ビジュは敵との間合いによって、
剣と数々の投具を使い分ける戦法を得意としていたが、
もう携帯していた投具の全てが底を尽いてしまっていた。
 戦闘が始まった直後こそ優勢だったものの、
時間がたつに従って状況は不利になっていった。
敵兵の数は減る気配がないのだ。後から後からと現れてくる。
「このままじゃすぐに援軍が来るぞ!」
 仲間の一人が敵を切り捨てながら叫ぶ。
 武術と召喚術の双方を会得したエリート戦士の部隊といえど、
これほど敵が多い戦いでは、悲惨な結果を招いただけだった。
「仕方がねェ……このまま森まで退くぞ!」
 すぐさま決断したビジュの叫びに、
もはや五人しかいない部隊は戦いながら後退し始めた。
 ほとんど遮蔽物のない平原から薄暗い森に後退した事で、
追ってきた敵兵もさして時間もかからずに全滅させられた。
 しかし、問題はそれで片づいた訳ではなかった。
339タケシー大好きビジュ:03/09/07 01:25 ID:VVcEvdsq
「俺たちの本隊は――」
 仲間のほとんどが全滅に近い状態。
しかも指揮官をも失い、本隊との連絡が途絶えてしまったことが、
ビジュたちの困惑に拍車を掛けていたのだ。
「なぜ敵部隊がこれほど多く布陣しているのだ?」
 仲間の一人が銃を腰に掛けると、顎に手をやって考え深げに呟いた。
「いや、それよりもなぜ俺たちの部隊が一部隊だけ、
こんなところに派遣されたのかも問題になるな」
 剣を片手にしたもう一人が言う。ビジュは険しい顔で黙り込んでいる。
「どうする、ビジュ?」
 もはや一人だけとなってしまった召喚兵がビジュに問いかけた。
「本隊を待つ」
 ビジュははっきりと答えた。
「馬鹿馬鹿しい!」
 吐き捨てて応じたのは最年長の兵士だった。
「わかっているはずだ!俺たちはただの捨てゴマだったんだ!!
囮だよ、敵を欺くための!
ビジュ、それでもおまえは本隊を待つって言うのかよ!?」
 そう硬い声で言うや、背を向けた。
「俺たちを使い捨ての道具としか見ない帝国にも軍にも何の未練もないっ!」
「待ちやがれッ!」
 ビジュの叫びを振り払うように、男は歩き出していた。
「待っていても本隊は来ないぞっ!」
 肩越しに叫ぶと、男はそのまま戦場を去っていった。
 沈黙が四人に訪れる。
「そうだな……俺たちは見捨てられたんだ……」
 召喚兵が呻くようにそう呟くと、
誰もが言葉を口にすることはできなくなっていた。
340タケシー大好きビジュ:03/09/07 01:26 ID:VVcEvdsq
 長い沈黙を破ったのはビジュだった。
「……それでも……俺は残って戦うぜ」
「……ビジュ……」
 ビジュの眼を見て三人は驚いた顔をした。
「理屈でもない。もう国のためなんかでもない。
もちろん正義のためでもない。ただ残らねェとなって手前が思うから、
残ることを選んだだけだ。誰のためにでもない、自分のために……」
 三人がビジュを眼をみつめた。
普段あまり真面目とは言えない、
この男のこれほど真剣な眼を初めてみたのだ。
「……守りたいからな」
 守るべき国から見放されているとしても、
それでもビジュには守りたいものがあった。
「……そうか。ならば俺は止めん。何も言うことはない。」
 切先についた血を払い飛ばし、仲間の一人がビジュを見つめる。
「……俺も残ろう」
 そう笑みを浮べてはっきりと言う相手に、ビジュは驚きの表情を浮べた。
「お前はどうする?」
 そう言って男はもう一人に目をやった。
 一瞬目を伏せたその男は決まり悪そうな笑みを浮べた後、口を開いた。
「弾はもう残り少ない。……しっかりとサポートしてもらうぞ」
 ため息をこぼしながら、男は再び銃を構えて、弾薬を込め始めた。
「俺はビジュと一緒だぜ」
 ビジュの肩を叩いて召喚兵が問われるより先に答える。
 苦笑いを浮べて、ビジュは仲間たちに問いかける。
「みんな……いいのかよ?」
「これが俺たちの選んだ道だ」
 仲間の答えにビジュは黙って頷いた。
 四人の意志は一つだった。
341タケシー大好きビジュ:03/09/07 01:27 ID:VVcEvdsq
 こんなはずではなかった――。
 ビジュの頬のイレズミが痛んだ。
 目の前のアティとベルフラウの行為をビジュは見続けていたが、
ついに己の暗い欲望が満たされることはなかった。
それどころか不快感が増していくだけだった。
アティをより苦しめるための指示が、
ベルフラウの思わぬ行動によって覆された。
 アティの心に再び力強さが戻っていくのがビジュにはわかった。
「……ちっ!」
 ビジュがアティに執拗に拘るのはそれにあった。
初めてアティを船内で見かけたときから、
その存在をビジュは確かに感じていた。自分でも気がつかぬ間に……。
 だからこそ、あのときビジュは見ず知らずの他人であったアティに、
思わず声を掛けてしまっていたのだ。
 アティの心に秘められた力強い輝き――。
 それが何であるのか、ビジュはわからない。
 それは過去に無くしてしまった、忘れ去ってしまったものだった。
故にアティの輝きはビジュの頬の古傷にどうしようもなく触れてくるのだ。
 どうしても認められなかった。
 何としてでもその心を粉々にしてやりたくなるのだ。
342タケシー大好きビジュ:03/09/07 01:29 ID:VVcEvdsq
ここまでです。エロ無くてごめんなさい。
前スレ>>634からの続きです。
スローペースですが、このままよろしくお願いします。
それではまた今度。
343名無しさん@ピンキー:03/09/07 01:59 ID:67ii/R9S
>>342
乙です。今回の話すごく良かったです
特にビジュの感情表現が
344名無しさん@ピンキー:03/09/07 02:11 ID:5F9gK8oL
>>342
ビジュの過去キター!?
昔はこんな性格じゃなかったんだよなあ。
これからの展開に期待です!
345名無しさん@ピンキー:03/09/07 02:17 ID:05NMYZyJ
カイアティ激しくキボンヌ!!
アティ先生萌!!
346名無しさん@ピンキー:03/09/07 02:24 ID:5F9gK8oL
何か思ったんだけど、ネタはいくらでも思いつくのに
書く手が追いつかないというのは悲しいな…。
カイアティ、ヤドアティ、ビジュアティ…。
347名無しさん@ピンキー:03/09/07 02:32 ID:99/rVtgF
カイアルディラ、レックスベル、ヘイゼルオルドレイク、ウィゼルオルドレイク、ソルカイ…
348名無しさん@ピンキー:03/09/07 03:43 ID:X9oUOHsv
キター!!(゚∀゚)
ファリエル陵辱キター!!
349名無しさん@ピンキー:03/09/07 03:56 ID:gK9EB5yg
あえて女性キャラで最も相手にされてないエルカたんやフィズたんにハァハァしてみる
350名無しさん@ピンキー:03/09/07 06:29 ID:zXUgt6ab
>>342
乙でした。
このスレではビジュ=昔はいい奴で定着しそうな予感。
想像の余地があるってのは楽しい事ですな。
351名無しさん@ピンキー:03/09/07 06:42 ID:yU/Kku32
>>337
俺漏れも
352名無しさん@ピンキー:03/09/07 07:08 ID:+fM9f09A
「あぅ…くっ!!あああ…ふぁ…」
アティが指を抜きさしする度にアズリアは小刻に痙攣し、切ない声を上げた。
そこにアティが言葉で拍車をかける。
「アズリア…こんなにいやらしいお汁を垂らして…いけない子」
アティはそういいながら、さらに指を激しく動かす。アズリアは焦点の合わない瞳を羞恥で揺らす。
掻き乱れる思考をなんとかとどめ、反論した。
「あぅ…違う!…っんぅ。ひぁう!あ…アティ…や、やめ」
「もう。アズリアったらわがままなんですね。」
とアティはアズリアの膣から指をずるっと抜いた。

なんてアティアズエロだけ投下してみる。
…嫌いな方スマソ。ついでにまともな話じゃなくてスマソ。

353名無しさん@ピンキー:03/09/07 08:20 ID:DWB2w44H
ファリエルの正体がまだわからないくらいゲームが進んでないので
ネタバレはやめてくだちい。
354名無しさん@ピンキー:03/09/07 08:34 ID:AAA+WRZ2
>>353
ネタバレ前提のSSスレで何を言ってるか。
つーか、発売して一ヶ月も経ってるんだからネタバレ嫌なら2chにくんな。
355名無しさん@ピンキー:03/09/07 09:20 ID:TjX+vt9R
>354
なんか3が発売してからガキが増えたらしいから。
こういうのは放置プレーでいきましょう。
356名無しさん@ピンキー:03/09/07 09:22 ID:t/+Q+uwE
その餓鬼が何故ココに来てる??
357名無しさん@ピンキー:03/09/07 09:47 ID:krKKT7DE
>>354
つーか喪前のID凄い
358名無しさん@ピンキー:03/09/07 09:49 ID:TyYjlWHm
354のIDはなんかバグってそうだw
359名無しさん@ピンキー:03/09/07 10:27 ID:h9jaLqZS
>>354
はトライエース
360名無しさん@ピンキー:03/09/07 11:54 ID:g/BQBG0w
>>359
スタオースレに行けば神になれるな
361名無しさん@ピンキー:03/09/07 13:19 ID:NnPizFN3
ヴァルキリースレでも神
362名無しさん@ピンキー:03/09/07 15:54 ID:qYB1AlDl
純愛カイアティ小説、投下してもよろしいでしょうか?
神々がおわすスレへ初投下、どきどきものですが…。
363名無しさん@ピンキー:03/09/07 15:59 ID:P9uLiu+I
(・∀・)イイ!!(・∀・)イイ!!投下して下さい、新たな神!
3641/7カイアティSS:03/09/07 16:06 ID:qYB1AlDl
 目覚めて最初に見たものは、日に焼けた浅黒い肌と、その肌の色とは対照的なまでに
白い包帯だった。
 部屋の中を照らす窓からの光は間違いなく明け方の曙光で、そうまぶしくはないものの、
アティは少し目を細めた。
 そうして幾度か瞬きを繰り返し、その包帯が肩に巻かれた物で、彼女自身が巻いたのだと
ようやく思い出す。けれど、右肩に包帯を巻かれているのは目覚めた彼女ではない。彼女の隣で
まだ深い眠りの中にいる彼の方だ。
 広く厚い胸に抱かれ、彼の右肩を枕に眠りにつくのは同じ夜を過ごした時の習慣のような
もの。普段であれば、先に起きてしまった朝は彼が起きるまでそのままおとなしくしているか、
もう一度心地よい眠りに戻ってしまうかのどちらかなのだが、その朝の彼女は違った。
 そのまま眠り込んでしまいそうな心地よさから自分を引き剥がし、疲労にも似た一夜の余韻が
響く体をなんとか起こしたのは、よりによってその包帯を巻いた肩を自分が枕にしていると
気がついたから。仮にも怪我をしている肩を枕にしているなど、と焦って体を起こそうとする
ものの、全身にまだ残っている昨夜の余韻がそれを拒む。
 体を起こすまでに吐息を幾つかこぼし、それでもどうにか起き上がる。体を起こして寝台の
上に横座りになった時、かけられていた薄手の毛布が彼女の細い肩から滑り落ち、朝焼けの
やわらかな光の中、陶器のようにすべらかで白い肌があらわになる。紅玉(ルビー)と紅瑪瑙
(カーネリアン)を溶かし込んだような長く紅い髪がその白い肌を縁取るように覆い、夜陰に
まぎれて落とされたいくつもの紅い花をそっと隠す。
 彼にはまだ目覚める気配がない。
3652/7カイアティSS:03/09/07 16:08 ID:qYB1AlDl
 そのことにほっと安心し、包帯を巻いたカイルの右肩に触れる。
 昨夜、この包帯を巻いたのは今までその肩を枕にしていたアティ自身で、包帯の下にある
傷は彼女の身代わりになったようなものだった。
 指先だけで右肩に触れた後、眠りを邪魔することのない優しい光に照らされるカイルの頬に
触れ、額に落ちかかる前髪の下にそのまま指を滑らせる。静かに手のひらで触れた彼の額は
熱を持っている様子もなく、傷からの発熱がないことに、安堵のあまりにアティは思わず微笑む。
 この様子なら大丈夫。もう少し、寝かせてあげなきゃ。
 心の中でそう呟いて、彼の上に一枚しかない毛布をかけ直す。つい先ほどまで二人で分け
合っていた温もりを彼に与えて、なるべく物音を立てないようにアティは寝台の上から降りようと
した。かすかにきしむ寝台の音にも一瞬どきりとし、そのたびに彼の寝顔をうかがったが、
幸いなことに彼は寝入ったままである。
 寝台の上から部屋を見渡すと、絨毯の上の少し離れた場所に、昨夜身につけていた服を見つける
ことが出来た。しかし、その服は昨夜彼の手で引き剥がされた時のままで置き去りにされていて、
取りに行くにはほんの数歩ではあるが歩かなくてはならなかった。
 誰も見てはいないものの、何もまとわない姿で部屋の中を歩くことに頬を赤らめた彼女の瞳に、
寝台のすぐ下に脱ぎ捨てられた彼のシャツが映る。自然と手が伸び、寝台の上に座ったまま
そのシャツを拾い上げ、アティはそれに腕を通した。
 大柄なカイルのシャツは彼女の細い体が中で泳いでしまうほどで、ボタンを留めるのも
わずらわしく、彼女はそのまま寝台から降りた。
3663/7カイアティSS:03/09/07 16:08 ID:qYB1AlDl
 シャツの下に入っていた長い髪を首筋からかきあげるようにたくしあげ、寝乱れた跡もなく
まっすぐなその髪をゆっくりと背に下ろす。その刹那、男に愛されることを知った女の体の
優美な曲線が、白いシャツの下から朝陽に透けて浮かび上がる。長い髪がシャツの上から背を
覆い、その髪を揺らして彼女は大きな張り出し窓へと歩み寄った。交差する白い足の間には、
ひときわ強く残された花の跡が忍びやかに咲いている。
 窓越しに外を眺めると、水平線上に太陽が現れるまでにはもう少し時間があるようだった。
立ったままでいるのも気だるく、アティは張り出し窓の窓辺にそのまま腰を下ろした。
 体を斜めにむけて肩を預けるように窓に寄りかかり、静かな夜明けの海に目を向けて、
彼女はそのまま瞳を閉じた。


 反吐を吐くという言葉をそのまま表情にしたかのように、たちが悪いとカイルが評した
別の海賊の襲撃を受けたのはつい昨日のこと。
 穏やかな航海の最中に突如として受けた襲撃ではあったが、自分たちが襲ったのが近海では
無敗を誇るカイル一家だと知ると、相手方は明らかにうろたえ、戦意をなくした。
 無用の流血を好まず、相手が逃げるのであれば追わないと言い切ったカイルだったが、
その一瞬の隙をつかれてしまった。
 甲板での戦いをよそに、船尾からひそかにこの船に乗り込んだ敵方の数人が、カイルたち
から離れた船尾近くで事態の推移を見守っていたアティを標的としたのである。
3674/7カイアティSS:03/09/07 16:09 ID:qYB1AlDl
 初めて間近でみる海賊同士の戦いに目を奪われていたせいか、普段であれば確実に気がつく
はずの気配に、彼女は完全に背後を取られてしまうまで全く気がつかなかった。
 気がついたのは、こちらを見たカイルが、怒号に等しい声で彼女の名を呼んだ時。
 振り返った視界の中で不吉な光をひらめかせていた半月刀の一撃をかわせたのは、カイルの
叫びとそれまでの戦闘経験の賜物だろう。
 おそらくは人質として彼女を捕らえるつもりだったのか、数人がかりで襲いかかってきた
海賊たちの斬撃をかわすことで精一杯のアティの目に再び半月刀の刃が迫った瞬間、刃と
彼女の間に見慣れた背中が割り込んだ。それがカイルの背だと悟ったその時、半月刀の斬撃は
彼が掲げた右腕の手甲と衝突して鈍い音をたてた。
 利き腕の手甲で一撃を受け止めたカイルだったが、それゆえに相手の手元が狂った。彼女を
背にかばい、不利な姿勢にならざるを得ない彼の右肩を、はじき返された半月刀が運悪く
なで斬るようにかすめた。
 血に染まる彼の右肩にアティが息をのむより早く、そんな傷など受けなかったかのように、
完全に間合いを読みきったカイルの右腕が容赦なく目前の敵に叩き込まれていた。
 遅れること数瞬、駆けつけたスカーレルの剣がもう一人を鮮やかに切り裂き、ほぼ同時に
ソノラの銃の弾丸が狙いをあやまることなく残る一人の腕を撃ち抜いていた。
 一度は見逃すと言ったカイルだったが、彼のその後の怒りは凄まじいものだった。
 アティの手前、命までは取らなかったが、特に背後から彼女を襲った三人に関しては、
無表情で海に放り込めと言ったきりだった。
3685/7カイアティSS:03/09/07 16:10 ID:qYB1AlDl
 彼の肩の傷を気遣う彼女に、自分よりも他の奴らを先に手当てしてやってくれと言い、
簡単な止血ばかりをしてカイルは戦意を失った残りの海賊に淡々とここから立ち去るように
告げた。その無言の迫力と怒りのすさまじさは、表情のなさと静かな低い声だからこそ、
襲撃者たちを震え上がらせた。
 その後、結局アティがカイルの手当てを出来たのは、夜半も過ぎた頃だった。
 出血はあったがそう深い傷ではなく、彼女がどうしてもと言って施した応急手当が功を
奏したのか、血も完全に止まっていた。
 それでもしばらくは右腕が思うように動かせないのは事実で、治癒の召喚術を使おうかと
言い出したアティに、カイルはやめろと言った。
 俺の油断が招いたことだ。このままでいい。
 そう告げるカイルの心境を、アティはおぼろにではあったが察することが出来た。
 彼が悔いているのは、おそらくは自分の油断が原因で彼女を危険にさらしたこと。
駆けつけるのが半歩でも遅れていたならば、彼女は今頃敵の刃を受けて倒れていたかもしれず、
その油断を自分に戒め、一時でも長く痛みとして残すことをカイルは選んだのだと。
 手当てをする間、二人は無言だった。
 最後に包帯を巻き終わった後、アティはその肩にそっと顔を伏せた。
 …ごめんなさい。
 そう小さく呟いた彼女の髪を、彼の左手がぎこちなく撫でた。
 彼が油断したと言うのであれば、それは彼女も同様の過ちを犯したのだ。
3696/7カイアティSS:03/09/07 16:10 ID:qYB1AlDl
普段であれば気がつくはずの敵の気配を察することが出来ず、こうやって彼を傷つけた。
致命傷などとはほど遠いとはいえ、現に彼は彼女の身代わりになって傷を負ってしまった。
 涙をにじませるアティの顔をどこか困ったような表情で覗きこんでいたカイルだったが、
その手がふと彼女の首筋に触れた。
 そこにはあったのは、一筋の乾いた血の線。
 もう少し深く刃が彼女のその喉に入っていたならば、致命傷にもなりえた傷。
 かわしきれなくて、かすっただけだからと説明する彼女の言葉が終わるか終わらないかと
いうその時、無骨な指が首筋にかかる紅い髪をかきあげ、口づけを落としていた。
 いたわるようなものではなく、何かを欲するような強いその行為にびくりとアティが
背を揺らすと、彼はそのまま彼女を座っていた絨毯の上に組み伏せた。
 怪我をしているのに、という抵抗など無きに等しいものだった。
 殺伐とした戦いの後で抱きしめる肌を欲して血がたぎっていたのか。
 紙一重のような確率で無事だった彼女の命を確かめたかったのか。
 いつにない性急さで肌を暴いていくカイルの手に、抗うすべもなかった。
3707/7カイアティSS:03/09/07 16:11 ID:qYB1AlDl
 何度彼を受け入れて、何度目に意識を手放したのか覚えていない。
 ただ、されるがままに彼の熱を体の奥深くまで受け入れて、幾度も繰り返される律動に
体を揺らされ、彼女の名を耳元で呼ぶ彼の声に嬌声で応えた。
 ひんやりとした窓ガラスに体を預けているにもかかわらず、昨夜のことを思い出すと肌が
火照りだす。
 思い出すまいと固く目を閉じたアティの耳に、重い何かが床を踏みしめる音が聞こえたのは
その時。
 え、と目を開けた時には、張り出し窓に座った彼女を閉じ込めるかのように、たくましい
二本の腕が窓ガラスとその体とで強固な檻を作り出していた。
 夜陰にまぎれて彼女の名を呼んでいた低い声と同じものが彼女の耳に滑り込む。
「…黙って抜け出すんじゃねえ」
371362です:03/09/07 16:12 ID:qYB1AlDl
とりあえずはここまで。
中途半端でスマソ…。
372名無しさん@ピンキー:03/09/07 16:26 ID:ZCCts4Yr
GJですた。
ED後か〜。カイルが男気に溢れてますな。
ほら・・・作中とかだとアティに助けられる場面が多いからw
続きを期待しております。

本スレに誤爆した・・・鬱だ氏のう_| ̄|○
373名無しさん@ピンキー:03/09/07 16:38 ID:cPLrcGaD
>>372
(・∀・)ニヤニヤ
374名無しさん@ピンキー:03/09/07 16:44 ID:rzA914VF
>>372
(・∀・)ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニ
375名無しさん@ピンキー:03/09/07 16:50 ID:mPQqNBUq
>>372
(・∀・)ニヤニヤ
376名無しさん@ピンキー:03/09/07 16:50 ID:IYV4Jixw
>>364〜370
キタァァァァァァ(゚∀゚)ァァ( ゚∀)ァァ(  ゚)ァァ(  )ァァ(`  )ハァ(Д`)ハァ(;´Д`)ハァハァ
GJ!大変おいしくいただきました
鉄腕船長すごくカコイイ!!続編楽しみにしてます
377名無しさん@ピンキー:03/09/07 16:55 ID:7a4y0Z8w
あなたはきっとビジュに夢中になる
妄想夜会話
ttp://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=7621&KEY=1060182619
378名無しさん@ピンキー:03/09/07 17:05 ID:ZCCts4Yr
>>373-375
そんな・・・そんな蔑んだ目で俺を見ないでくれ。
ウワァァン!・゚・(ノД`)・゚・
379名無しさん@ピンキー:03/09/07 17:09 ID:DWB2w44H
∧_∧ 
( ´・ω・)
( つ  つ毒毒毒毒毒毒毒毒毒
     ∵∵∵∵∵∵∵∵∵ パラパラ
     旦旦旦旦旦旦旦旦旦

∧_∧
( ´・ω・) みなさん、お茶が入りましたよ・・・・。
( つ旦O ∫ ∫ ∫ ∫ ∫ ∫ ∫ ∫ ∫ 
と_)_) 旦 旦 旦 旦 旦 旦 旦 旦 旦
380名無しさん@ピンキー:03/09/07 17:18 ID:h9jaLqZS
    _, ._
  ( ゚ Д゚)   >>379イタダキマツ
  ( つ旦O
  と_)_)

    _, ._
  ( ゚ Д゚)   ガシャ
  ( つ O. __
  と_)_) (__()、;.o:。
          ゚*・:.。

こ、これでファリエルたんとセクースできる、よ・・・
381名無しさん@ピンキー:03/09/07 17:45 ID:gK9EB5yg
レシィたんがすごいって聞いたのでやってきますた。


>>379-380
不覚にもワラタ
382名無しさん@ピンキー:03/09/07 19:08 ID:t/+Q+uwE
やべ…>>380に先越される…貰っとこ!!

ノ□
383前スレ715:03/09/07 19:57 ID:vDeHb1Js
レス下さった方々ありがとうございます。
なんか純愛好きな人が多くて意外でしたがうれしかったり。私も純愛好きですし
だが今までエロなしSSばっかり書いてたからでしょうか、鬼畜もエロもいまいち突き抜けられない(喘ぎ声とか描写が甘い……)
しかし純愛だと今度はエロが入れられない……これは今後の課題ですな

つーわけで鬼畜も純愛もイケる>>342氏はかなり尊敬、まさに神
続き期待してます

>>377
萌えすぎて腹筋つりそうです。イイモノありがとう
384名無しさん@ピンキー:03/09/07 20:09 ID:T4ZJ0K1W
ここって3専用?
385名無しさん@ピンキー:03/09/07 20:12 ID:RVHJdJHt
1でも2でも書きたい物を書けばよろし
3が発売されたばかりで3がシリーズ最高の売上(二十万は既に突破、ちなみに2は14万、1は10万もいってないと思う)
だから必然的に3が多くなるわけ。
個人的には少ない1キャラのエロをキボンヌ
386名無しさん@ピンキー:03/09/07 20:14 ID:VVcEvdsq
>>383
剣持ってるのに剣抜かない理由とか諸々、
自分も前スレ715さんと同じ様なこと考えとりました。
ビジュはずいぶんあっさりと逝ってしまったけど、
夜会話収集板のビジュスレとか前スレ715さんのように、
終わり方のあっけなさとは関係無しに人気があって
そこが唯一の救いでしょうね。
自分も前スレ715さんのSSは楽しんで読ませてもらいました。
今後のSSも楽しみにお待ちしています。
387名無しさん@ピンキー:03/09/07 20:37 ID:+PK2cgnh
よっと
388名無しさん@ピンキー:03/09/08 00:36 ID:kbM9dPOJ
カイルさん、カッコイイです…
やっぱ王道はスバラシイ。
389名無しさん@ピンキー:03/09/08 00:43 ID:EC4D+9h3
オウドウッテイウナ!
390二本の一方通行路(中編その4):03/09/08 01:22 ID:4MPEzWms
 自分がとても汚れた存在に思えた。
 汗ばんだ肌。男に抱かれた時のままの体。香水などをつける事のない自分から香る、その匂い。
 おそらく風呂から出てきたばかりなのだろうアティの肌は、艶やかに潤い、石鹸の心地よい香りが
ソノラの鼻をくすぐる。
 男という存在に同じように抱かれているはずなのに、何故彼女と自分はここまで違うのか。
 ソノラの中に激しい羞恥心が込み上げる。セックスの時の肉体的な恥ずかしさとは比べものに
ならないほどの、おぞましいほどの精神的な負の感情。
 今のソノラの体を包んでいるのは彼女と正反対の、情事後の匂い。それをアティに悟られる事を恐れ、
ソノラは慌てて掴んでいた彼女の袖を放し、その距離をおいた。
「ソノラ?」
 一連のソノラの行動の意味が分からず、アティは涙を流し続ける彼女に再び手を伸ばす。
「さわんないでっ……」
「っ!」
 突然ソノラの口からこぼれた攻撃的な言葉。アティの伸ばされた手の先がピクリと動き、
ソノラの手前で止まった。
「あ……」
 自分でも無意識に口にしてしまった言葉に、ソノラはわずかに後悔の声を漏らす。
 アティの事を憎めるわけがないのに。自分を受け入れてくれた彼女を嫌える権利など、
そんな身勝手な権利などあるはずがないのに。
 だがこれ以上アティに干渉され、自分の醜い部分に気づかれたくはなかった。
「――――……」
 ソノラが黙り込んだ事により、船長室のドア向こうから聞こえる声はより鮮明なものとなっていた。
 怒りを含んだ男の声。アティはそれが何かをすぐに理解し、ソノラを見つめた。
 ソノラはうつむき、耳をドアへと傾ける。
 おそらくしばらくは終わりそうにないだろう。
「……もう、どうすればいいのか分かんないよ。今さらあたしが行ったところで、この状況が
簡単に片付くと思う?もしかしたら、余計に話がこじれちゃうかもしれない……」
 もうどうにもならない。力のない声でつぶやくソノラ。
391二本の一方通行路(中編その4):03/09/08 01:24 ID:4MPEzWms
 アティはそんな彼女を見下ろしたまま、困ったように目を伏せる。
「でも……駄目ですよ。ソノラ。これは貴女の問題なんです。だから貴女が彼らのところに行かないと」
「行けない……嫌なのっ」
 目を閉じ、頑なに拒むソノラ。
 行かなければいけないのは分かっている。しかし、そうする事で新たに自分が傷つく事になったら。
 ソノラは全てを恐れていた。彼らの争いに飛び込む事が怖い。仮にそこに行ったとしても、何をすれば
いいのかもわからない。
 頭を抱え、ソノラは身を強張らせる。
 今は自分を心配してくれているアティの存在さえがわずらわしい。彼女の優しい瞳が、まるで自分を
哀れんでいるかのように見える。
 ……アティは、自分とは違う。
 強くて、優しくて、美しい女。自分が何年かけても射止められなかったカイルの心を、ほんの少しの時間で
手に入れてしまっていた人。
 そんな彼女の目には、ソノラは一体どういう存在として映し出されているのか。
 想像するのが恐ろしかった。
「あたし……なんでアニキの事なんか好きになっちゃったんだろ。こんな苦しい思いするくらいなら、
好きになんかなるんじゃなかった。……どうせ実らない恋だったのに」
 うつむいたまま、つぶやくように声を漏らす。
「そっ、そんな事言わないで、ソノラ――」
 ソノラを少しでも慰めようと思ったのか、アティはとっさに声をかける。
 ――だがその言葉は、ソノラにとっては屈辱以外の何者でもなかった。
 ソノラは唇を噛みしめ、アティを見上げる。
「……人事だと思って!そもそもあたしの気持ちを壊したのは先生じゃない!先生がっ……
あたしからアニキを奪ったからっ!」
「っ……!」
 気の昂ぶりがソノラの感情を突き動かす。
 アティを一人の人間として好きでいたいがため、心の奥底に隠していた言葉。
 ソノラがアティに対して抱いていた黒い感情は、思わず口にしたアティの言葉によってその姿を
露出していった。
 もう自分でも何を言っているのかが分からない。ソノラは感情のおもむくまま、言葉を吐き続ける。
392二本の一方通行路(中編その4):03/09/08 01:26 ID:4MPEzWms
「それに先生だって、本当はあたしのこと邪魔だと思ってるんでしょ!?あたしがアニキにキスした事を、
恋人の先生がなんとも思ってないワケないもんね!?」
「ソノラ、もうやめてっ」
 息を荒げるソノラを、アティは慌てて制する。
 彼女の柔らかな手がソノラの肩を掴むが、ソノラはそれをも手荒く振り払った。
「うるさいっ!そうやっていい人ぶるの、いい加減にしてよね!」
「な……」
 その言葉に、アティの瞳が揺れる。
「あたしの事を心配してるふりして、本当はいなくなっちゃえばいいとか思ってるんでしょ!?
あたしのせいで皆めちゃくちゃになっちゃったんだもん。素直に出て行けって言えばいいじゃない!」
「――――……ッ!!」
 アティの頬が朱に染まる。
 それと同時に振り下ろされる彼女の手。
 
 乾いた音が、静かな廊下に響いた。

「……あ……っ」
 頬が痛む。目の前のアティは、怒りをあらわに手をかざしていた。
 その口からはわずかに乱れた息が漏れ、肩は震えている。
 今までに一度も見たことのないアティの表情に、ソノラは身を強張らせた。
「……ソノラッ……」
 ソノラの頬を叩いた手を押さえ、アティは口を開く。
「私がソノラの事を邪魔だなんて、一度でも口にしましたか」
 くぐもった声。それが怒りを含んだものであるという事はすぐに見て取れた。
「言ってないけど、でもきっと先生は心の中であたしの事っ……」
「根拠のないことを言わないでください!」
 その声にビクリと肩が震える。
 だが怒りの声とは裏腹に、アティの目じりにはかすかに光を帯びていた。
 それが涙なのだと分かった時、アティの腕が突然ソノラの体を抱きすくめた。
「せ、先生っ……?」
 うろたえるソノラの体を解放し、アティは彼女を見据える。
393二本の一方通行路(中編その4):03/09/08 01:29 ID:4MPEzWms
「邪魔なもんですか。そもそも私がこの船にお世話になる決意をしたのは、貴女がこの船に
乗っていたからなんですからね……」
「え?」
「知り合って間もない、男性ばかりの海賊船にお世話になるなんて、よほどの勇気がなければ
決断できない事でしょう?カイルさん達に案内されながら悩み続けていた矢先に貴女を見つけて、
凄く嬉しかったんですから――」
 そう言うと、アティの顔はいつも通りの穏やかな笑顔へと戻っていた。
「同じ女の子がいるっていうのはやっぱり心強い事ですし、それに何より、貴女のような明るくて
楽しい子とお話ができるっていう事は、私にとっても元気の源になるものだったんですよ」
 アティの手が、叩いた為に赤らんでしまったソノラの頬を優しく撫でる。申し訳なさそうに手を放すと、
頭を下げた。
「叩いたりしてごめんなさい。……でも、私の貴女に対する気持ちを誤解してほしくなかったの。
私にとってソノラは大切な仲間で、友人で、妹のような存在なんですから」
 彼女のその笑顔に偽りはないのだろう。涙もろい彼女が見せる笑顔は、自分を強がってみせる事は
あっても他人を欺くような事は絶対にしない。
 ……また身勝手な事で人に辛い思いをさせてしまった。ソノラは溢れ出した涙を慌てて拭うと、
首を横に何度も振ってみせた。
「ううん、悪いのはあたしのほうだよ……。自分の殻に閉じこもってて、人の気持ちに気づく事が
できなかったあたしが……」
 ふとその時、ソノラの脳裏にスカーレルの姿が浮かぶ。
 ソノラの事をいつも気にかけ、慰めて元気付けてくれていた彼。
 彼はいまだに船長室にいるのだ。
 不安げにドアに視線を向けた彼女の心を察し、アティは後押しするようにソノラの肩を軽く押した。
「――行ってあげましょう?貴女がそこに入る事で、きっと二人の争いは止まるはずです。だって、
あれだけ必死に争えるほど、二人は貴女の事を大切に思ってるっていう事なんですから……ね?」
394二本の一方通行路(中編その4):03/09/08 01:32 ID:4MPEzWms


「……強引に奪ったって言っても、レイプしたワケじゃないからね。一応は合意の上での事だったし」
 壁際に座り込みながら、スカーレルは殴られた頬を押さえている。口内に溜まった血を飲み込むのを
ためらい、唾液ごと床へと吐き出した。
 ビチャリと音を立て、粘り気のある薄赤い液が床に散る。
 それを眉をひそめて見下ろすカイル。
「……フフッ、ハハハッ……」
 顎を伝った赤い唾液を拭い、スカーレルは楽しげに声を漏らす。
「好きな子を体だけでも無理矢理自分のモノにしようとしたアタシと、自分に想いを寄せる女に
無意識で手を出して、その心を傷つけたアンタ。……男として最低なのはどっちなのかしらね?」
「…………」
 カイルは静かに目を閉じ、黙り込む。しばらくして小さく息を吐き出すと、まぶたをゆっくりと開いた。
「自覚がある分お前のほうがタチが悪いと考えられれば、自覚がない分俺のほうがタチが悪いとも考えられる。
どっちとも言えねぇな」
「そうね……どっちもどっち。その通りだわ。……でも、結果的にあの子の『心』を傷つける事がなかっただけ、
アタシのほうがマシだって思いたい部分もあるのよね」
 カイルは夕食事のソノラの様子を思い浮かべた。
 さも楽しげにキスの事を話すかたわらで、いつになく無言でうつむいていた少女。その異変になぜ
自分は気づいてやる事ができなかったのか。
 酒が入っていた、などという言い訳はできるはずもない。
 答えは簡単だった。
(……俺が、ちっともアイツの気持ちを考えてやっていなかったからか)
 アティにソノラへ謝る事をうながされるまで、自分の行いに非がある事に気づけなかった。
 あまりにも鈍感な自分が情けない。
『ここまで無神経な男だったとは正直思わなかったわ』
 あの時スカーレルが口にした言葉。
 ソノラに想いを寄せている彼は、例えその行動が強引なものであったとしても、ソノラを気遣う
気持ちは確かなものであった。
 アタシのほうがマシだ。――その言葉をカイルは否定できなかった。
395二本の一方通行路(中編その4):03/09/08 01:34 ID:4MPEzWms
「カイル……アタシはね」
 肩ひざを立て、壁にもたれかかるように座っているスカーレル。その視線は上を向いていたが、
目の前に立つカイルに向けられているものではなかった。
 ぼんやりと天井を見つめている。
 目を細め、自嘲するかのように力なく笑うと、静かに目を伏せた。
「アタシは……ソノラの事が好きよ。あんな子供に、って思うかもしれないけど。――でも、愛してるの。
心の底から……ね」
 くしゃりと顔を覆う前髪を手ですくい、それを握り締める。
 初めて目にしたスカーレルの右目は閉ざされていた。それがあえて閉ざしているものなのか、
開く事ができないものなのかは分からない。
 左の常磐色の瞳はただ足元を見つめ、どこか寂しさを含むように瞬きをする。
「でもアタシじゃあの子を幸せにはできないのよ。あの子が貴方の存在に縛られている限り、
アタシはあと一歩のところでいつも踏みとどまってしまう。……本気で告白して、拒まれるのが
怖いんでしょうね」
「スカーレル……」
「貴方にソノラを幸せにしてほしいなんて言わないわ。貴方にはセンセがいるもの。……だからせめて、
あの子に無駄な期待を抱かせるような事はしないであげて。例えそれが無意識の行為だったとしても、
それがあの子の心を傷つける事に変わりはないから」
 あの子の悲しんでる姿は見たくないのよ、とスカーレルは微笑む。
「…………」 
 カイルは目を閉ざすと、静かに息を吐いた。
 情けなかった。一方的に怒っていたのは本当は自分だけだったのではないのかと。自分がアティを
愛しているのと同じように、スカーレルはソノラを愛している。ただそれだけの事だった。
 悪かったよ、とカイルがつぶやくと、スカーレルは「いいわよ」と苦笑する。
「――さて、と。アタシもそろそろ部屋に戻ろうかしらね。ほら、あなたも戻りなさいよ」
 腰を持ち上げ、ズボンのホコリを叩きながらスカーレルが言う。
「おいおい、俺の部屋はここだぞ?」
 カイルの言葉にスカーレルは首を振ると、視線をそっとドアの方へと向けた。
「……アタシは、こっちの観客さん達に言ったの」
396二本の一方通行路(中編その4):03/09/08 01:36 ID:4MPEzWms
 ぐるりとドアノブを回すと、そこにはドアに張り付くように突っ立っているソノラの姿があった。
 突然の事に顔を赤らめ、口を開いたまま彼女は立ち尽くしている。
 スカーレルは、その姿を見ながらアザの浮かんだ口元に笑みを浮かべると、彼女の頭を優しく撫でた。
「心配してくれたの?カイルを?それともアタシを?」
「え、えっと、それは……」
 返答に困るソノラに、スカーレルは「ケンカの観賞代は明日のご飯で負けてあげる」と微笑んでいた。

 つづく

次で終わると思います。長かった…スミマセン。
397名無しさん@ピンキー:03/09/08 01:38 ID:YVEuYOyQ
>>390-396
ソノラタンの嫉妬描写が激しく( ゜д゜)ウマー
毎度ながらグッジョブです。
398名無しさん@ピンキー:03/09/08 13:06 ID:ENaJQq0O
遅レスだが激しくGJ!
399名無しさん@ピンキー:03/09/08 16:56 ID:uemb/icg
同じく遅レスだが、スカソノバンザーイ
昨日もうちょっと遅くまで起きてりゃ良かったなあ
400名無しさん@ピンキー:03/09/08 18:35 ID:Zb6VUmDd
フォルテ×ケイナって需要ある?あるなら書こうかと思ってるんだが。
401名無しさん@ピンキー:03/09/08 18:38 ID:rmoL6eab
ガゼル×リプレなら需要ある
402名無しさん@ピンキー:03/09/08 18:44 ID:bggrGn74
>>400
男×女でも女×女でも801以外なら大抵の組み合わせには需要があると思われ。
というわけでガンガン投稿しろ!
403名無しさん@ピンキー:03/09/08 19:03 ID:EmQHGXNC
需要の有無とか関係なしに書きたいものを書いて
投下したほうがずっと楽しいような気がする。
404名無しさん@ピンキー:03/09/08 19:07 ID:FV8HvnHe
>>400
あるある
小説読んだら好きになりますた
405名無しさん@ピンキー:03/09/08 19:32 ID:K92JgTGW
>>400
その組み合わせは王道だから(゚听)イラネ
406名無しさん@ピンキー:03/09/08 20:00 ID:c3fZ0XmP
>>405
王道…?

つーかお前のほうが(゚听)イラネ
407:03/09/08 20:39 ID:Qu4kdp0A
408名無しさん@ピンキー:03/09/08 20:49 ID:iUp9f3FP
そうだ!
ナップ×ベルフラウがあるぜ!
王道でもなければ覇道でもないぜ、レックス×アティがあるしな。
409名無しさん@ピンキー:03/09/08 20:51 ID:cJmPzgWi
ならハヤト×ナツミ×トウヤ×アヤもおk?
410名無しさん@ピンキー:03/09/08 20:52 ID:cJmPzgWi
っと言ってみたらハヤト×ナツミが書きたくなってしまった罠
411名無しさん@ピンキー:03/09/08 20:54 ID:bggrGn74
>>408
しかしその組み合わせだと大抵兄弟な罠。
まあ、過去には1パートナー4人という組み合わせも存在したが。

1パートナー、マグトリ、3生徒はどうしても兄弟になるんだよな・・・
1主人公と2護衛獣は設定上はっきりと違うし、
レクアティも何故か兄弟って感じはしないんだが。
412名無しさん@ピンキー:03/09/08 20:58 ID:uemb/icg
>>408 うほっ、いいパロネタ

いいね、本編では実現不可だった生徒四人での組み合わせ
「ミャー」なテコに獣姦されてしまうアリーゼたんとかも、どうよ?

>>411 異母兄弟とかなら、まあオケーだろ 貴族王族が普通にやってる事だし
413名無しさん@ピンキー:03/09/08 20:59 ID:Amnbxird
ここでちょいと質問
みなさんはSSを書く時(あるいは読む時)一人称と三人称、どちらがいいと思いますか?
私も駄文を書き始めてみたんですけど、どちらで書き進めるかで現在迷ってます
みなさんの意見を是非聞かせて下さいm(_ _)m
414名無しさん@ピンキー:03/09/08 21:05 ID:Zb6VUmDd
漏れは理由は特にないけど三人称でやる。
415名無しさん@ピンキー:03/09/08 21:16 ID:SrxDFV06
>>413
三人称のほうが色んな視点を書けるし、キャラごとの心情も書けるので
三人称でやってる。
416名無しさん@ピンキー:03/09/08 21:19 ID:46iBVGsV
>>413
エロSSは三人称、普通のSSなら内容によって使い分けてる。
417名無しさん@ピンキー:03/09/08 21:23 ID:cJmPzgWi
>>413
一人称は難しい。
ソノラ一人称で書いてみたけど三人称の数倍は時間かかる
418名無しさん@ピンキー:03/09/08 21:27 ID:uemb/icg
>>413
両方混ぜるかな? このスレでは書いてないけど、
単調化を防ぐために三人称大多数に対して一人称を少量混ぜてる
細かい心理描写の際には一人称視点が便利だよ
419名無しさん@ピンキー:03/09/08 21:30 ID:dqr+uvtN
>>413
どっちも書きますね。ジャンルに合わせて書きやすい方で書きます。
サモ3は三人称ばかりですが、2の時は一人称ばかりだったし。
書きやすいほうで書くのがよろしいかと。
420名無しさん@ピンキー:03/09/08 22:20 ID:hxEPVLrp
>>400
ありまくりでツ
421名無しさん@ピンキー:03/09/09 00:44 ID:8bLHatyV
俺も両方混ぜるなあ、特に最近の鬱話は三人称だと書きにくい
エロシーンのときは三人称が使いやすいけどねえ
422名無しさん@ピンキー:03/09/09 01:45 ID:1+lODSJv
あー、ED絵のアルディラさんはエロいなー。
423名無しさん@ピンキー:03/09/09 02:14 ID:L3+CvTRP
>>410
・゚・(ノД`)・゚・
424名無しさん@ピンキー:03/09/09 03:02 ID:LRar7Hte
衝動的に書きたくなった番外編(カイアテ前提)ベルマグを準備してたけど……。
BGMにしてたCDのせいでクラハヤしか浮かばなくなったw。

SNOW −Album Mix− ってクラレットのイメージソングのようだ。
425名無しさん@ピンキー:03/09/09 03:13 ID:4skotrdC
>>424
イメージソングを探してしまうのはオタクの性…と思いつつも
歌番組とか見ながらついうっかり探してしまう自分がいる…_| ̄|○ 
どのラヴソング聞いても好きカプソングにしか聞こえなくなったら末期
426名無しさん@ピンキー:03/09/09 07:02 ID:K8/dUVPu
最近は歌を聞かなくなったからそういう事はしなくなったけど
昔は結構やってたなぁ…。
らいおんハートとかな(w
427名無しさん@ピンキー:03/09/09 13:20 ID:gW8eoRav
漏れ的ティン×アズのイメージソングはジュンスカの「すてきな夜空」なわけだが
428名無しさん@ピンキー:03/09/09 14:21 ID:iPP7+yKb
>364->370
なんすかこのカイアティは
無茶苦茶(;´Д`)ハァハァなんですが
続きを首長くしてお待ちしております
429名無しさん@ピンキー:03/09/09 15:18 ID:84RNrRAx
ああん・・
430アティ萌えイスラ先生:03/09/09 15:28 ID:qDWSfoFC
 イスラはアティの姿を見つめながら、ニヤリと笑う。
周りの兵士たちも、いやらしい笑いを浮べながら、
無防備な格好のアティを舐めるようにみつめていた。
「いやですっ……見ないで……は、恥ずかしい……」
 アティは恥ずかしさから身体をよじるが、
屈強な兵士たちに押さえつけられていては、
逃げ出すどころか脚を閉じることすらできない。
「さてと……それじゃ、そろそろ始めようか」
「やっ……あぁぁ……な、何を……何をするつもりなんですか……?」
 怯えた表情でそう呟いたアティに、イスラは屈託のない笑みを見せる。
「ふふ……ラトリクスの施設にお世話になっていたとき、
ちょっと拝借したものでね……」
 ガラス製の大きな注射器を取り出して見せた。
「これ……何かわかるかい?」
「な、何ですか……?大きな……注射……?」
「そう、大きな注射だよ。でも針は付いていないだろ?」
 イスラはそう言いながら用意しておいた液体を、
その注射器の中へと吸い上げる。
それを見ながらアティは、不安げな表情を浮べた。
431アティ萌えイスラ先生:03/09/09 15:29 ID:qDWSfoFC
「アティ……浣腸って知ってるかい?」
「か……かんちょう……って……」
「なら、あのお人形さんの代わりに僕が簡単に説明してあげるよ」
 困惑の表情を浮べるアティにイスラがそう答える。
「一種の治療さ。
この注射をお尻に入れて、中の薬をお腹の中に入れるんだよ」
 イスラはそう説明すると、注射器のシリンダーを少し押して、
中に入った液体をピュッと出してみせる。
「この薬が中に入ると、お腹の中が柔らかくなって、
すごく出したくなるんだ」
 その説明を聞いてアティの表情が強張った。
「そ、そんな……いや……そんなことしないで……
私はどこも悪いところなんか……」
 アティは泣きそうな表情を浮べながら、
まるで子供がいやいやでもするかのように、激しく首を横に振った。
 だが、イスラにやめる気など無い。
「ふふ……ダメだよ。今日は君にコレをするって決めたんだから」
 イスラはアティにそう宣言すると、
注射器を持ってゆっくりと近づいていった。
「あぁぁ……い、いや……」
 イスラが近づくにつれ、アティの顔からは血の気が引いていき、
全身はガクガクと震えだす。
そんなアティの姿に、イスラは何とも言えない興奮を感じながら、
注射器を構えた。
432アティ萌えイスラ先生:03/09/09 15:29 ID:qDWSfoFC
「薬がお腹に入ったら、
少し苦しくて痛くなるかもしれないけど、我慢しなよ?」
 イスラは震えるアティへと液体を
いっぱいに吸い上げた注射器を近づけると、
ヒクヒクと蠢くそこへ突き立て、シリンダーを押し込んでいく。
「んんっ!あっ……ああっ……は、入って……お腹の中に……ああぁぁっ」
 注ぎ込まれる液体の感覚に、アティは声を上げて身悶えた。
その全身には鳥肌が立っている。
「どうだい?初めての浣腸は。気持ちいいだろう?」
 イスラはそう問いかけると、アティは激しく首を横に振った。
「こ、こんなの……気持ち悪いだけですっ……
お、お願いです……も、もう……入れないでください……っ」
 涙ながらにそう訴えるアティだが、イスラはその言葉を無視して、
ガラス製のシリンダーをゆっくりと押し込んでいく。
チュルチュルと音を立てながら、注射器の中の液体が、
アティの中へと流れ込んでいった。
「うぅぅ……あっ……あぁぁ……だめ……い、いやぁぁ……」
 ガクガクと身体を震わせながらそう訴えるアティに、
イスラは容赦なく液を全て注ぎ込んだ。
 全ての液体をアティの中に入れ終えたイスラは、
アティのそこからガラス製の注射器を引き抜く。
その拍子に入れたばかりの液体が、
アティのそこからピュッと少し噴き出した。
「おっと、まだ漏らしちゃダメだろ」
 イスラがそう声を掛ける。
433アティ萌えイスラ先生:03/09/09 15:31 ID:qDWSfoFC
「うっ……ううっ……お、お腹が……痛い……」
 そうアティが呟くと同時に、中に入れた薬が効いてきたのか、
グルグルと音を立て始めた。
「んんっ……あっ……ああっ……」
 ゴロゴロと鳴る度に、アティのそこは息づく。
「さてと……おかわりは欲しいかい?」
 イスラは意地の悪い口調でそう言うと、
また注射器の中に液体を満たしていった。
それを見ていたアティは、慌てて首を横に振る。
「も、もう……もうやめてください……っ」
「遠慮することないよ。もっとたっぷり味わいなよ」
 そう言ったイスラは、ヒクヒクと蠢くそこへまた注射器を突き立てた。
「んんんっ!あうっ!あああぁぁっ!!」
 注射器の冷たい感触のせいか、それとも再びそこを刺激されたせいか、
アティは何とも言えない声を上げて身悶える。
「ふふふっ……アティ……いい声を出すね」
 からかうようにそう言ったイスラは、
またゆっくりとシリンダーを押し始めた。
「やっ……あぁぁ……入れないで……も、もう入らな……いやぁぁぁ」
 アティの全身には鳥肌が立ち、脂汗が一斉に吹き出してくる。
それと同時に注射器を咥え込んだそこが痙攣した。
「何を言ってるのさ。まだいっぱいあるんだから……全部飲み干すんだよ?」
 イスラはそう言いながら、ジワジワとシリンダーを押し込み、
液体をアティの中に注ぎ続ける。
434アティ萌えイスラ先生:03/09/09 15:33 ID:qDWSfoFC
「……んんっ……あっ……あうぅ……苦しい……苦しいよぉ」
 アティはそう子供のように呟きながら、腰を左右に振って悶えた。
「ダメじゃないか、アティ。
ジッとしてないと注射器が割れて、お尻が怪我しちゃうよ?」
「で、でも……んっ……くぅぅぅ……」
 どんどん辛くなってきたのか、アティの唇はわなわなと震え、
息遣いが荒くなってきていた。
 これ以上、ジワジワと入れていたらもたないか。
 そう思ったイスラは、注射器のシリンダーを一気に押し込んで、
残りの液体をアティの中へと注ぎ込んだ。
「ひっ!あああっ!入って……い、いやああっ」
 イスラはシリンダーを押し切ってから、
アティのそこから注射器を引き抜く。
「うっくっ……あっ……あぁぁ……」
 二本目を終えると、さすがにアティの表情も険しくなり、
顔色が悪くなっていた。
後ろの穴は大きく広がりかけてはキュッと締まり、
ゴロゴロという音が止まることなく聞こえてくる。
 崩壊するまでは時間の問題だった。
「うぅぅ……も、もう……ダメ……
おトイレに……い、行かせて……ください」
 苦しそうにそう呻くアティに、イスラは首を横に振って答える。
「ダメだね。ここでお漏らしして……みんなに見てもらうんだ」
「そ、そんな……」
 イスラの言葉にアティの表情は、絶望感に彩られた。
 その表情にイスラは欲情する。
 そしてこれから訪れる崩壊の瞬間を、心待ちにした。
435アティ萌えイスラ先生:03/09/09 15:34 ID:qDWSfoFC
「んっ……んんっ……あっ……ダメ……ほ、本当に……あぁぁ」
「いいよ、漏らしても。我慢することないよ?
ほら……早く漏らしちゃいなよ。みんなで見ていてあげるからさ」
「い、いやっ……そ、そんなこと……できませんっ……んあっ……あぁぁっ」
 どんどん排泄感が強まってきたのか、アティは絶望的な表情を浮べながら、
荒い息遣いをする。
「あぁ……も、もう……我慢……できない……っ」
 そこはもう収縮もだんだんと無くなり、
まるで花が開くかのようにゆっくりと広がっていく。
「も……う……だめ……あっ……ああああぁぁぁぁっ!」
 限界を迎えたアティのそこは、内側から押し広げられるように開いて、
溜まっていたものを一気に吹き出した。
 途端にアティの顔が羞恥で真っ赤に染まっていく。
「あぁぁ……見ないで……見ないでくださいっ!」
 あまりの恥ずかしさに声を震わせながらそう訴えるアティを、
イスラと兵士たちは邪悪に笑いながら見つめた。
 その間もアティのそこはヒクヒクと痙攣しながら、液体を迸らせ続ける。
「あっははははは……可愛いよ、アティ」
 イスラがからかうようにそう言うと、アティの羞恥心はさらに煽られ、
身体がガクガクと震えだした。
「も、もういや……こんな……こんなこと……んんんっ……ああぁぁぁ」
 勢いよく吹き出していた液体が、徐々に途切れ途切れになっていく。
 どうやらそろそろ、注いだ液体が全て出尽くしたみたいだな。
 イスラはアティの様子を見計らう。
436アティ萌えイスラ先生:03/09/09 15:36 ID:qDWSfoFC
「お腹の中がキレイになったことだし……それじゃあ次に移ろうか」
 イスラがそう言うと、兵士たちはアティの縛めをほどく。
そして辺りの惨状を片付けると、アティの脚を頭の方へと持ってきて、
お尻を高々と突き上げるような格好にした。
「あぁぁ……もういやぁぁ……も、もうやめてください……」
 必死にそう訴えるアティに、イスラは次の道具を見せつける。
「まだまだダメさ。次はこれで……お尻の快感を開発してあげるよ」
「な、何ですか……?」
 イスラが手にした、いくつもの玉が紐で繋がっている物を見て、
アティは怯えた表情を浮べた。
「ホント、色々な物があって面白いね。無色の派閥は」
 イスラがそう言って屈託の無い笑みを浮べる。
「これからこの玉を君のお尻に入れたり出したりするんだよ?」
「そ、そんな……いやっ、……そんなことやめてくださいっ」
 アティは必死に逃れようとするが、兵士たちがそれを許さない。
「大人しくしてなよ、アティ……」
 そう言って押さえつけられたアティは、それでも必死に抗おうとした。
だが、そんな抵抗も、腰を左右に振る程度で終わってしまい、
かえってイスラの欲情を刺激する。
「ふふ……そんなにお尻を振って……
まるではやく入れて欲しいってねだってるように見えるよ」
「ち、違う……やめて……イスラ……お、お願い……」
 アティが哀願してくるが、
イスラはかまわずそれを後ろの穴へと近づけていった。
437アティ萌えイスラ先生:03/09/09 15:37 ID:qDWSfoFC
「あぁぁ……ああぁぁぁ……」
「さあ……入れるよ……」
 イスラはそう言うと、玉を一つアティのそこへと押し当て、
グッと押し込んでやる。
「あっ!やっ……ああっ!……ああぁぁぁっ!」
 玉をそこへ入れると、アティはビクンと身体を跳ねらせ、
悲鳴のような声を上げた。
「あっはははははっ……さっきのあれでほぐれたから……
ほーら、どんどん入っていくよ?」
 イスラは紐で繋がった玉を、次々とアティの中へと挿入していく。
「やめっ……やめ……てっ……入れな……んんっ!あぁんっ!」
 身悶えるアティの反応を楽しみながら、
イスラは全ての玉を中へと押し込んだ。
「全部入っちゃったね、アティ。……入れた物は出さないとね?」
 イスラはそう言うと、今度は入れた玉を引きずり出し始める。
「やっ……あああっ!い、いやっ!あぁぁっ!」
 玉を無理矢理引き出される感覚に、
アティは大声を上げながら身体をよじった。
その反応に興奮を感じたイスラは、
アティのそこから玉を引きずり出してはまた押し込むという行為を繰り返す。
「や……あっ、ああっ、……んっ!あふっ……ううぅぅ……」
 玉がそこを出入りする度に、アティは何とも言えない声を上げて身悶えた。
438アティ萌えイスラ先生:03/09/09 15:38 ID:qDWSfoFC
 徐々にそこに受ける刺激が気持ちよくなってきたのか、
アティの前の唇は息づくように蠢きながら、ネットリと湿り気を帯び始める。
「ふふふっ……だんだん良くなってきたみたいだね」
 イスラが耳元でそう囁きかけると、アティは顔を真っ赤に染めた。
「そんなっ……あっ、……ふっ、……私……お、お尻で……」
 身悶えながらそう呟くアティに、
イスラはまたゆっくりと玉を押し込んでいく。
「……んんっ!あっ、あぁ……また……また入って……っ」
 アティのそこは、すぐに抵抗もなく玉をチュルンと呑み込んでいった。
その度にアティの口からは、甘い吐息が漏れる。
「嬉しいよ、アティ……。こんなに喜んでくれるなんてね」
 イスラはそう囁きながら、アティの中に玉を次々と押し込み続けた。
「あっ、あふっ、んんん……お尻に……いっぱい……入って……はふっ」
 そう呟いたアティの声は、明らかに感じている声だ。
 もっと。
 もっとアティを堕としたい。
 そんな思いがイスラの中で膨らんでいった。
439アティ萌えイスラ先生:03/09/09 15:39 ID:qDWSfoFC
「それじゃあ……もっと気持ちよくしてあげるよ」
 イスラはそう言うと、玉を全てアティの中へ全部押し込む。
「ふあっ!はぁ……おなかに……全部……は、入っちゃった……」
 そう口にするアティの眼の焦点はすでにどこも捕えてはいなかった。
「まだだよ、アティ。……ここからがすごいのさ」
 そう囁きかけたイスラは、
アティのそこから伸びた紐を掴み力任せに一気に引き抜いた。
「ひあっ!ああっ!あああぁぁぁぁぁぁっ!!」
 玉を一気に引き抜かれたアティは、
大きな声を上げながら身体を仰け反らせる。
「あっ……あぁぁ……あぁぁぁぁ……」
 アティは身体を震わせながら、呻き声にも似た喘ぎ声を上げている。
玉を引き抜かれたそこは、少し広がった状態で痙攣し続けていた。
「……どうだい?気持ちよかったかい?」
 イスラは恍惚の表情を浮べているアティを見つめながら、
満足げな笑みを浮べる。
「あふっ……あっ……わ、私……私……」
 アティは全身を小刻みに震わせながら、うわごとのようにそう呟き続けた。
「それじゃ、アティ……これからももっと色々なことを
僕が教えてあげるから、楽しみに待っていなよ?あっはははははは♪」
 イスラはそう笑いながら、アティを監禁している部屋を後にした。
440アティ萌えイスラ先生:03/09/09 15:39 ID:qDWSfoFC
ここまでです。>>176からの続きです。
半端なままなのも何ので続きを作ってみました。
内容が内容なものなので、気分を害した方には申し訳ないです。
441名無しさん@ピンキー:03/09/09 16:08 ID:LgpXHujp
すかっとろ〜

乙。ではあるんだが、
・・・・・・覚悟という奴があるんで(駄目な人もいるだろうし)
一応宣言してから書いて欲しかったかも。
442名無しさん@ピンキー:03/09/09 17:14 ID:MSAcCbQv
う、確かに俺はスカは勘弁。スマン。
まあ、最初の方で浣腸って単語が出た時点で飛ばしたんで投下自体は構わんのだけど。

先に宣言しておいた方が良いシチュって何があるかな?
801、女体化はスレ違いなのでここでは扱わないとして、
スカ、フタナリ、グロ表現あたりか?
443名無しさん@ピンキー:03/09/09 17:32 ID:tXdLsRlP
俺むかしフタナリは書いたことあるなあ。そんときは何も言われんかったけど
さすがにグロとスカだけは意識的に避けてるけど。
444名無しさん@ピンキー:03/09/09 17:44 ID:/0qBe/IY
自分は初SSがフタナリだったしなぁ…。
自分が居たスレではグロスカ禁止だったし、スカ投下して去っていった職人も
居たからなぁ…。
スカは勘弁…。せめて最初のスカ描写有りって書いて欲しい
445名無しさん@ピンキー:03/09/09 17:53 ID:kVwM2EnJ
ハヤトの女体化長編あったな。
あれは萌えた。
446名無しさん@ピンキー:03/09/09 19:05 ID:kIRpUW6P
そう言えば、以前ベルフラウ×アティを
考えたときフタナリがイメージに浮かんだ……
本格的にそれなりのものを入れると考えると、自分の頭の中じゃ、
それかロレイラル式ミニドリル(大人の玩具)ぐらいしか
思い浮かばなかったです……(;´Д`)

同人誌とかではフタナリもよく見かけたりしますが、
フタナリもやっぱり駄目な人は多いのかな?
447名無しさん@ピンキー:03/09/09 19:17 ID:QCFGfCoR
>>446
個人的にはフタナリはちょっと苦手かな。
まあ、フタナリ×女の組み合わせならまだ大丈夫なんだけど、
フタナリ×男とかフタナリ×フタナリの組み合わせはちと厳しい。
自分的にはフタナリ=男、攻め役なんでフタナリと男の絡みは801に見えてしまう・・・
448名無しさん@ピンキー:03/09/09 19:24 ID:90wqscRt
   _,. -‐ '' " ",. ̄'' ̄` ''‐、        
      ,.-'      ,r''  _,,.. - 、  ` 、      
    ,.r'/// /   ,.-'      `' 、. \
   /       ,r'  ,r'       ,rfn、 \ '、    
  / /////  ,'   ,'  ,rffn.   '"     ヽ ',   
  i     ,.ァ   .i  '"     ,riiニヽ.   ',. ',  
 |  ,.r '"  |.   {  ,riiニヽ      _.    ', ',  ヨコハマタイヤ様が素敵な笑顔で>>2GET!!
 | .,.r'    |   !   ,..  _,,.. -‐' _,..r'  i .i   轢き殺されたくなかったら道をあけろ!!
 |,'      ',   ',   '、., __ ,.. -‐''"゙  }  | .| 
  |       ',    `、  ヽ        !   } .} 
  ',         ',    '、  ヽ      ./   ! .|  >>3 タッチの差だな。タイヤ交換しろ!
   '、       `、   \  `ヽ==='゙    ,' !   >>4 おせーよバカ教習所からやり直せ(プ
    `、        '、     ' 、        / .,'   >>5 クルマ乗る前にオンナに乗れよ(ゲラ
      '、'-..,,_____ ___`、    `''‐- ..,, ,,.. r'  /   >>6 ペーパードライバーって素人童貞のことだろ(ワラ
      \ ヾヾヾヾヾ \          /    >>7 毎晩シフトレバー磨いてんじゃねーぞ(爆
       ` 、  、、、、、、、、 ` - ..,,, _ _,.r'゙      >>8 おめーの人生転がりっぱなしだな(ギャハ
         `' - .,,_       _,. - ''"       >>9 ガキの頃俺の顔見て泣いてたの知ってるぞ(クス
             `"'' '' '' ""           >>10以下はちゃんと空気圧チェックしろよ!
449名無しさん@ピンキー:03/09/09 19:24 ID:90wqscRt
すみません、間違えました。。
450●のテストカキコ中:03/09/09 19:29 ID:zJYaMFnk
451名無しさん@ピンキー:03/09/09 19:32 ID:kIRpUW6P
すごい間違えだ……(;´Д`)

>>447
偏った性癖のシチュは諸刃の刃ってことですかね。
今後よく考えて使うようにしないと……。
452名無しさん@ピンキー:03/09/09 19:36 ID:BB10EqIC
自分はフタナリは苦手かなぁ。読み手だった時は何とも思わなかったが。
書き手になってからはどれだけ元の設定を崩さずに魅力的な話を書けるか…
に重点を置くようになったからかもしれないけど。

>>427
「すてきな夜空」は自分もレクアズソング認定でつ
453名無しさん@ピンキー:03/09/09 19:48 ID:dhb9o963
あんまりスカスカ言わないでくれ。
漏れの最萌えの釜を思い出してしまうじゃないか。
454440:03/09/09 21:00 ID:qDWSfoFC
ごめんなさい。最初に断っておけば良かったですね。
今後は気をつけます。

スカーレルの印象が悪くならないように祈るばかりです。
455名無しさん@ピンキー:03/09/09 21:15 ID:ZI2pht4Z
どうでも良いけど、生徒やチビジャリ他に唇を容易に奪われるレックスやマグナって一体…(´д`)
456427:03/09/09 21:17 ID:gW8eoRav
>>452
ステキナ(・∀・)人(・∀・)ナカーマ
457名無しさん@ピンキー:03/09/09 22:25 ID:hO/evZGb
>>454
釜に本気で心配するも前に萌え

というか俺にとってはGJだったぞ。
ス(ryは好きじゃないが、描写が比較的軽いものだったんで気にならんかった。
いろんなエロがあるのは良いことだー
458名無しさん@ピンキー:03/09/09 22:58 ID:qZyhG1yc
うん、俺にとってもGJだった。
ス(ryそのものよりも、アティの羞恥描写に重点がおかれていた?からかな。さらっと読めた。
それに、イスラの台詞がらしくって、違和感ないのがイイ。
なんか奴は素で言いそうだし。乙です。

>>455
マグナとミニスのは頬だと思ってた。生徒のはまだ見てない。クチなのか……(;´Д`)
459名無しさん@ピンキー:03/09/09 23:10 ID:CJsz7X03
>>458
生徒でレックスの唇を奪うのはベルフラウだけ。
ミニスのは叔父とかにもしてるそうだから、頬の可能性の方が高いが。
ベルフラウはほぼ確実にクチ。
初めてとか言ってるし。
460名無しさん@ピンキー:03/09/09 23:40 ID:SuJUaRHf
>>459
アティタソにはしてくれないのか
461名無しさん@ピンキー:03/09/10 00:25 ID:KV9C95Pu
ファリエル調教ものキボンヌ
462名無しさん@ピンキー:03/09/10 00:28 ID:FxouFyKH
何気に、アルディラさん無いな…
463名無しさん@ピンキー:03/09/10 00:46 ID:1xhqB6uz
クノンもそうだが機械系は書きにくいんだろう
ミスミもそうだが未亡人系はちとエロ書きにくい気がする
このスレだと人気は1位アティ2位アズリアで三位がかなり離されてソノラってとこだろう
464名無しさん@ピンキー:03/09/10 00:58 ID:w8MpE5pI
思いつきのオルドレイク×ツェリーヌ小ネタ投下

ウィゼル「彼の者の持つ欲望…狂気…まさに我が剣に込めるにふさわしき強き感情よ」(じりじり)
フレイズ「汚れも極めれば黒となる…なんと美しい魂の輝き…」(じりじり)
ツェリーヌ「忠実なる下僕よ、苦痛受けたくなくば命に従いて我が敵を討て!」



オルドレイク「どうかしたのか、ツェリーヌ」
ツェリーヌ「なんでもありません、あなた(全くあの御二方は…いつになったら後ろは私専用だと御理解いただけるのでしょう?)」

……なんか変なのまじったやうな。
とりあえず無色夫婦モノ希望と言ってみる
465名無しさん@ピンキー:03/09/10 02:21 ID:ZBxMw3e3
>>463 レオルド×トリスが難しいのと同じ原理だな
性格は実にいいんだがなレオルド、やっぱりモロにメカなのがなレオルド

>>464 オルドレイク×ツェリーヌなのか、ツェリーヌ×オルドレイクなのかが
ちょいと悩むところだな。裏では尻に敷かれてるっぽいんだが・・・>盛んの王
466名無しさん@ピンキー:03/09/10 03:00 ID:FEcHMoZm
盛んの王の浮気があまりに多いので
キレてお仕置きしに行くようなツェリーヌ希望

というわけで後者を…
467名無しさん@ピンキー:03/09/10 04:25 ID:Fz9WWU5k
ツェリーヌ、むしろ怒りの矛先を相手の女に向けて欲しいな。
「泥棒猫にはお仕置きをしなければなりませんね」とか言って。
機界集落ラトリクス、中央管制室。
アティ、アルディラ、そしてベルフラウの揃った、楽しげな談笑の時。
常のように「お姉さま♪」と、じゃれつくベルフラウを
片手間に仕事をこなしながら、アルディラもまんざらでも無さそうに構い。
アティは優しげな瞳のまま苦笑する。
ここ最近、急に人を迎え入れる回数が増えたこの部屋は、
主共々、華やぐことでさりげない喜びを示していた。
……暫しそんな、いつも通りの穏やかな流れ。
「……あ、その……お手洗い、お借りしてもよろしいですか?」
やがて、少し会話が途切れた沈黙に、僅かに腰をもぞもぞと揺すり、言うアティ。
アルディラはにっこり微笑むと、片手でコンソールを操ってモニターに地図を表示し、場所を説明する。
最後に「殆ど遣われていないから新品みたいなモノよ、ごゆっくりね」
などと言われて、アティは目を白黒させた。
(……そういえば、今のここの住人ってその必要無いひとばかりだものね)
そんな思考と共に、それなりに切羽詰っているらしい、いそいそと去る。
ベルフラウはそれを目で追い、後姿が消えた管制室の入り口をぼんやりと見つめ……
「……そ、そういえばお姉さま」
などと、思い出したように会話を再開しようとして
……………凍る。
さっきまでの困ったような、それでも優しげな眼差しはそこに無く、
あったのは、敵意と、冷ややかさに満ちた瞳。
「もう、やめましょう。ベルフラウ。」
「ぇ……なにを……仰ってるんですの?」
引き攣りながら『理解できない』とでも言いたげな表情に
「自分で気付いてないとは思えないけど……」
アルディラがすぅ……と目を細める。
「……ずっとあんな態度をとっておいて、今更、『貴女が好き』なんて言えない」
「……!?」
「だから他の女の子と仲良くしてるところを見せつけて嫉妬させる……」
「なっ!?なにをっ!?」
心外だ、と言わんばかりの様には構わず、続けるアルディラ。
「手としては悪くないわ、古典的だけどね。」
「……っ!」
「今のところ大して効果は無いみたいだけど……これからもそうだとは限らない」
「…………」
「もう……アテ馬にされるのは嫌だ。そう、言っているのよ。」
途中から、むすっ、として聞いていたベルフラウが顔をしかめ
「……そこまで……わかっているなら……協力してくださってもよいではないですか。」
目を逸らし言うのを、アルディラは鼻で笑った。
「敵に塩を送る趣味は無いわ。」
一瞬、わからないけれど。
「…………っ!」
すぐに理解及んで、弾かれたように向き直る。
「……そう……そういうことですの!!」
ぶつかる視線、鬼道の赤と機道の青が火花を散らす。
「……いつから。どうして。……ですの」
「……私とアティの大切な想い出を……貴女に話す義理はないわ。」
「…………」
「…………」
バチバチと戦う熱量のビジョンは、半透明に召喚獣さえ浮かばせる。
「……おあいにくですけどね、先生と私は既に契り交わしてるんですよ?」
「……どうせあの人の優しさを利用して押し倒したんでしょう……
 告白一つまともに出来ないお子様のしそうなことね。」
火炎とスパークが具現化する。
「わざわざ口にしなくても気持ちは伝わってるわ!想い乏しい機械仕掛けと一緒にしないでッ!」
「……言ってくれるわね。……じゃあ聞くけど……何故アティの嫉妬を煽るような真似するの?」
「っ!!!」
「……自信が無いからではないの?」
「……それはっ……」
「私は……貴女のようにはならない!きちんと想いを告げて、きちんと結ばれて見せるわッ!」
びしりと突きつけられた指先に、たじろぐベルフラウ。
荒れ狂う電流に圧されながら、アルディラの背後には爆炎すら見えて……
(って……そういえばここ、管制室なんでしたわね……操作盤ボンボンいってますわよ;)
悔し紛れにツッコんでやろうかとも思うが。
「ちょ……こ、これ、どうしたんです!?」
いつの間にか戻ってきていたアティの声、二人が一斉に振り向く。
「アティ!!」「先生!!」
揃った声に怒鳴られ、びくり、と硬直して目を丸くするアティ。
それを横目に捉えながら……なにかを感じて更に反転、
振り返ったベルフラウがアルディラを見ると、彼女はアティを見詰めたまま
「アティ……」
今度は静かに、ありったけの愛おしさを込めて想い人の名前を呼ばう。
周囲から召喚獣が朧に、スパークが細く短く消えてゆく。
(………………これは、マズイ……)
認めたく無いが、ベルフラウの知るアティは、そーとー押しに弱かった。
(大体私が『上手いことやれた』のだってそのお蔭…………………あぁあっ!?どうしたらっ!?)
「……大事な話があるの……」
泡を喰ってるベルフラウは気付かないが、アルディラもそう言う前に一瞬ベルフラウを見て
……ちいさく笑う。
「だ、大事な話、ですか?……で、でもその……それは……?」
アティが窺うように向ける目線の先には黒煙を上げるコンソール。
どうも今気付いたらしいアルディラは、背後に目をやり「あら」などと言っているが、
さほど気にする様子も無く、すぐ真剣な顔に戻る。
「ううん。別になんてことはないの。それより……」
赤い服を翻し、ベルフラウが割り込む。
「っ先生!そろそろ授業の時間ですわ!!」
突然遮られて不機嫌さを隠そうともしないアルディラを傍目に、ベルフラウも必死だ。
「ごめんあそばせアルディラお姉さま!!私達これから授業がありますの、その大事なお話とやらは……」
「……ベルフラウ???今日の授業はもう……」
物凄い目で睨まれて、アティは途中でそれを飲み込む。
それでもしっかり理解したらしいアルディラは、座ったような目つきをベルフラウに向け
「……いいわ。隠すようなことでも、大して時間のかかることでもないしね。」
どこか危なげに、ふふ、と笑う。
「アティよく聞いて、今まで黙っていたけど……私……貴女のこと」
真っ直ぐ顔を見たまま、堂々とした中にも切なさを込め宣言しようとするアルディラに、
追い詰められたベルフラウの取った行動もまた、あきらかに常軌を逸していた。
「くッ……させませんわッ!オニビッ!!!」

……ズゴォオオォォォオオォォォーーーーーーーッッ!!!!

呼ばれ、床から立ち昇る業火が、アルディラ自身は燃えぬ距離で融機人を包む。
彼女からすれば理解し難い展開なのだろう、呆然と炎の壁を見遣るアティの顔は、朱色に照り返されている。
その腕をベルフラウがしがみつくようにして引っ張り「今の内に帰りますわよ!」と急かす。
一拍の自失後、我に返って、流石に黙っていられなかったのだろう、
「ベルフラウ貴女なんてコト……ッ!!!」
逆に詰め寄られ『この人には無理なんだ』とわかってはいても、
裏切られたような気分にベルフラウはとらわれてしまう。
(この……鈍感!ニブチン!朴念仁!!)
だが、今はそんな愚痴に時間を割いている暇はない。
そう長くは抑えておけないのだ、今にもアルディラが火の結界を
「おいで……ドリトル!!!」

ギュィィィィイィィィイィィッッッ!!!!!

……そんな懸念すら、遥か上方に裏切られる。
猛回転する鋼の尖鋭が炎を突き破り、自分に向かって一直線に迫る光景。
見ながら、ベルフラウの脳裏で
(よくもまああの炎の向こうから正確に狙えたものね)などと、いやにゆっくりした思考が動く。
死の、スローモーション。よけられるタイミングでは、無かった。
しかし
「ベルフラウ!!」
声、そして軽い衝撃と共に時が動き出す。
支え無い後ろに仰向けに倒れながら、さっきまで自分の居た位置にアティが入れ替わるのを見て
何故か冷静に見れた自分の死の予感など、比べ物にならない恐怖がベルフラウを襲う。
(先生ッ!?)
死際の超感覚は既に解かれ、まとまる時間を与えられない思考は、ただ、絶叫した。

アルディラはアルディラで、ベルフラウが避けれぬと知った時、既に後悔していた。

激昂してしまった、そうとしか言い様は無い。
一番大切なときを邪魔された灼熱の怒りは機械的に回路を辿り、一番効果的に『敵』を滅する方法を探る。
結果、三次元フレームで目標を補足することに集中してしまい、意識ごと視野を狭めたのが災いした。
放ち「当たる」と半ば確信した時、冷静さを取り戻して愕然となる。
ベルフラウが心配だったわけでは無い。
無論、心配でなかったわけでもないが。
だがそれよりなにより恐かったのは、アティがそれを決して許さないだろう、ということだ。
身を挺しても生徒が死ぬことを許さないだろうし、それが叶わねば……私が、許されないだろう。
いや、それでも二者択一なら、『ベルフラウが死んで一生許されない方がまだマシ』だったが。
制御を失して消える炎幕の向こう
……………最後の祈りも届かないことを知る。
『誤算』という言葉は当たらないだろう、その光景には既視感すらあった。
貧血のような眩暈。
世界を失う瞬間、刹那に飛び込む黒い影を見た気がしたが……

!!!!ッドゴォオォォオォオォオオォォォォンッ!!!!

爆発
両手を床に、くずおれる。
悪い夢のようだった。
いや、それならどれほど救われるか……
呆然と見開かれる視野の上部に、もうもうと広がる余波の灰煙。
中心から少しずれた場所のそこから、ベルフラウが咳き込むのが聞こえた。
やがて「……先生ッ!先生ッ!!」と叫ぶように探す声を耳にしながら、
この時ばかりは自分の検算能力が憎い。
アティが助かる確率は…………
………………零だった。
「……っ」
こみ上げた吐き気に、俯いたまま片手を口にあてる。
えずき、その拍子に髪が前に垂れ、
数学の問題のように、最後の=(イコール)の後に無残な死骸さえリアルに浮かぶ。
……………………唐突に、『嘘だ』と思う。
『そんな筈が無い、私の愛するあの人が、死ぬわけが無い』と。
自分が手をかけた、なんて、ある筈の無いことだ。
ぐらぐらと精神が分裂して、その数多の欠片から無くしてはいけない大事なものが抜け落ちてゆく感覚。
ああ……こうして人は壊れるのだな。そんなふうに最後の理性が囁いて……
奇跡が、起こった。
「うぅ……」
「先生っ!?」
ベルフラウの声に、弾かれたように顔を上げる。
確かに今のうめきは、アティの声に聞こえた。
考えるより早く、駆け出そうとして……転ぶ。
いつの間にか、半分腰が抜けたような状態だったのだ。
それでもこけつまろびつ、四つん這いすら交えて到着すると、
収まりだした煙幕の中に無事な彼女を見つける。
見れば、多少煤けてはいるが傷ひとつ無い。
嬉しくないわけはないが、逆に信じられなくて……夢でないことを確かめる為、飛び込むように抱きつく。
温もり、匂い、そして『手応え』とでもいうべき現実の重み。
先に抱きついていたベルフラウの存在はこの際無視してそれらを感じると、意識せぬ涙が零れた。
「ん……」
頭上で不可視のひよこが駆け回っていたらしい。
微妙に座らなかったアティの首が、その声と共にやっと芯を取り戻す。
一変した風景、腰のあたりにベルフラウ、首っ玉に私にかじりつかれ、
状況が理解できないのか「あれ?」とか「ぇえっ?」とか言っている。
「「大丈夫?怪我は無い?意識は?」」
見事に台詞が被る。
二人とも抱きついたままなので視線が戦うことはないが、
代わりに『この人は私のものだ!』と主張する為、腕に力込めて強く抱き締めると、
ベルフラウも同時に同じことをしたらしい。
「ぅぇ」と耳元で潰れたうめきが聞こえた。
と、その拍子に首が仰け反り目線の角度が変わったせいだろうか
アティがなにかを見つけたように「ハッ」と、息を呑む音。
「……二人ともっ!離して下さい!!」
振り払うようにもがくアティ。
互いに先に離れるのが嫌でぐずぐずと機を逃すと
「いい加減にしてください!!こんな時になにやってるの!?」
滅多に無い本気の怒声、慌てて同時に離れる。
「ッ……」
そのまま私達に振り返りもせず、床に刺さったドリトルに駆け寄るアティの行く手
ようやく、彼女の怒りの原因がなにか知る。
「ぁあ……酷い……クノン……」
弱々しく膝をつくアティの前にはクノンが居た。
人の三倍以上はあるだろう召喚獣の巨体に左足が完全に潰され、うつ伏せたまま身動きも取れない状態。
どこか虚ろな無機の目は、ここからでは表情の見えないアティを不思議そうに見上げている。
(そうか……クノンが)
さっきの影、あれは見間違いではなかったのだ。
彼女がアティを、私の大切な人を守ってくれたのだ。
褒めてあげなくては、と近付くと
「早くどけてあげて!!」
半泣き顔で振り向き、アティが叫ぶ。
「そ、そうね……。ごめんなさい。」
片手で印を結び送還すると、床にぽっかりと大穴が開く。
両腕に力をこめたクノンが起き上がろうとして……かなわない。
引き摺り出された左足は、もう足としての体を成していなかった。
「ごめん……なさい……私の為に……」
泣きながらアティがそう頭を下げると、クノンは「お気になさらないでください」と首を振る。
優しく慰めるクノンと、涙をこらえて笑おうとするアティ。立場が逆転してしまっているが、
そんな二人を見て、下敷きのクノンを無視する形になってしまったことが、今更ながら気まずい。
隣ではベルフラウが困ったような、傷ついたような顔をしていて、
自分もおそらく似たような顔なのだろうと知れる。
支えあうように肩を貸し合い管制室を出て行く二人に続きながら、少しだけ羨ましい。
手を貸そうか、とも思うが、見た感じバランスをとる邪魔にしかならなそう。
二人は私達を責めることもなく、ただ、いたわりあっている。
最早私の告白どころの雰囲気ではない。
「……リペアセンターでいいんですよね?」
フラーゼンのクノンにとってはそれほどの傷ではないと、本人に説明されてようやく安心したらしい。
振り向いてそう聞くアティに「ええ」と答えながら、聞こえぬよう小さく溜息をついた。
悪いことをしたのに責められない、ということは、時としていたたまれない。
「私、スペアの足探してくるわね。……どこかにあったはずだし……」
お願いします、という返事を受けて道を別れる。と、「お手伝いしますわ」とベルフラウがついてきた。
見れば彼女、目に涙を溜めている。
ライバルとはいえ、そんな顔されては「一人で充分よ」などと無碍にもできない。
まあいい、武士の情けだ。
結局痛み分けた、ということがそんな風に思わせたのかもしれない。
……だが後に、この時どれほどベルフラウに恨まれても
クノンとアティを二人きりにすべきではなかったと、おおいに悔やむことになる……。


手を貸しクノンを横たえたそこは、寝台、というには若干固い。
つややかな黒皮に似た不思議な材質、上部以外はメタリックな計器やら板やらに覆われている。
上半身を起こして足を投げ出すような格好になった彼女は
傍らの台に並べられている、どこか禍禍しい印象すらある道具達に手を伸ばした。
そして『ナイフの刃部分を細い鉄棒状にして先っぽを平らに潰したようなモノ』と
『はさみのように指を通してなにかを摘むような動きをするモノ』とを手に取り
それらを確かめるように手の中で動かす。
なにか手伝うべきなのだろうが、それらの道具に限らずロレイラルの技術はかなり私の理解に遠い。
結局、手持ちぶさたに作業台(という表現が一番近いイメージだと思う)の横にぼけっと立っていると
「アティさま、大変申し訳ないのですが、この足を持ち上げていてはいただけませんでしょうか?」
クノンに上目遣いに、そう頼まれて
「え、あ、うん」
あたふたと、ねじれひしゃげたそれに手をかける。
「えっと……こう?」
「あ」
持ち上げ方が急すぎて、ただでさえ歪んでおかしくなっていた関節の自由角度の限界を超えてしまい
クノンの上半身まで押し倒しかける形になって
「わ」
慌てて今度は急に戻すと、がくん、と軌道を逆戻りしたクノンの顔が
「…………!」
私の顔の至近で止まる。
「……ご、ごめん」
作り物なのに作り物めいてはいない、クノンのびっくりしたような顔を間近に見て、何故か赤面してしまう。
距離をおいて、目線を合わせず、丁寧に指示されるままに持ち上げた足をキープする。
(多分私だけ)気まずい沈黙。
何事も無かったように、キコキコ、カチャカチャ、と自らの腿で忙しく手を動かすクノンの表情は
俯き加減でよく見えない。
少しだけ覗きこむようにすると、影の若干濃い、全くの無表情が見えた。
同時に、目の端にクノンの純白のパンティが映って
(わわっ)
女の子同士なのにまたも頬が熱くなってしまい、目を逸らす。
そういったことに無垢な相手であることが余計に後ろめたく、非常に……なんというか、困る。
暫くして、ごとり、という鈍い音と共に足が外れ
「とと」
支えをなくした、壊れた足の全重量が私の腕にかかる。
「……えーと……ど、どうしよう?」
釣り上げた大きめの魚のように抱いた足をどうしていいかわからず。
救いを求めてクノンを見ると、一瞬、彼女がくすりと笑ったように見える。
(え?)
まばたき一つする間に消えてしまったそれは白昼夢のようで
「ありがとうございました、アティさま」
差し出された手に足を渡す間も、まじまじとクノンの顔を見てしまう。
どうかしました?、などとクノンは聞かない。結構乱暴に、鉄製のゴミ箱のようなものに足を捨て
黙々と腿の断面に処置を施し始めた。
油だか燃料だかが漏れる管のようなものにガーゼを当て。
絡まったコードのようなものを解し。
壊れてぶら下がる部品や、歪んでしまった骨(に当たるものだと思う)を外す。
……そんなことを幾許か続けると、やがて断面は包帯のようなものでグルグル巻きにされた。
ようやくひと心地ついたクノンの姿は、
足が失われたことと、包帯のイメージで、先程より随分痛々しくなっている。
「……ごめんね」
また、言ってしまい、今度は間違いなく笑われてしまう。
「ふふ……アティさま、もうそれで本日謝られるのは十八回目です。」
「ご、ごめん」
「また。……お気になさらないでください。私は皆さんと違い完全な機械仕掛けです
 特に足や腕なら、スペアの有る限り替えも効きますし」
何度もされた説明だけど、別の事実もある。
彼女が命懸けで私を助けてくれた、ということだ。
確かに『足や腕なら替えが効く』のかもしれないが、
以前のアルディラの話では体、特に胸の中枢回路は『クノン自身』と言って差し支え無いものらしい。
そこが壊れて『今までの彼女』が失われてしまうことは死に等しいと思えたし、
あのギリギリのタイミングで、彼女が自己の安全に確信を持って飛び込んだ筈も無い。
……そうか。
「ありがとう。」
最初から、こう言えばよかったのだ。
満足して「えへへ」と笑いかけると、クノンは乏しい表情でなんともいえない顔をする。
「………………罪作り、ですね」
「え?」
ぼそりと呟かれた単語の意味がわからない。
「……いえ、お気になさらず」とすぐ耳に入るが、やはり思考は巡らしてしまう。
結局分からなくて、しつこいと思われるかもしれないけど尋ねようとするも
「ときにアティさま」
先を越される。
「……なに?」
「先程から、何度も謝罪の言葉はいただいておりますが……そもそも何故あのような事態に?」
………………いけない。
そういえばクノンにかまけて、肝心のそれをすっかり忘れていた。
「……私さ、途中……その……トイレに行ってて……事情……よくわかんないんだ。」
正直に告白すると、クノンは案の定、といった風情。
そのまま少し考えるような間があって
「……アティさま、私は、所詮人ではありませんし、アティさまより更にあの場に居た時間は短い、
 けれど僭越ながら……多分、アティさまより事情を解していると思われます。」
言葉を選び、語るクノン、自分を卑下するような言い方がすこし気になる、でも……
「ほんと!?」
それ以上にその内容は衝撃だった。
「はい。」
あっさりとされる肯定。
嘘を言ってる様子は無いし、意味も無い、ほんとうなのだろう。
とすると私は、私より遥かに推理材料の少ないクノンにすら分かることが分からないのか。
これがもう少し軽い問題ならいいが、仮にも人死が出る寸前までいったのだ
「気付いてあげられなくてごめんね」では済まない。
肩を落として消沈すると
「いえ、アティさま、これには事情がありまして……」
かけられたフォローに捨て犬の顔を上げる。
「説明させていただきますので……目を瞑ってくださいませんか?」
素直に目を閉じ……
(???なんで目瞑るの?)
遅まきとはいえ怪訝さに目を開くと、丁度そのタイミングで唇同士が出会う。
「………………っ!?」
ただ触れるだけのそれは、いやらしさを感じさせないけれど。
だからって離れた時に平静を保てる筈も無い。
「なっ…………き、キス……どどどどうしてっ!?!?」
「これが答えです、アティさま。」
さっぱりわからない、わかるわけもない。
真っ赤なままで「全然分かんないよ」と目を泳がせると、クノンが溜息を吐く。
「……好意です、アティさま。アルディラさま達は、貴女への好意が原因で諍っていたのです。」
「こ、コウイ?」
「好きだ、という想いです。……むろん、ライクではない方の。」
解説されてしまう。が、別に意味を知らないワケでは無い。
信じられなかったのだ。ベルフラウはともかくアルディラは……
いやいや、それより
「で、でもそんなのっ……貴女が私にキスする必要無いじゃないっ、ななななんでっ!?」
嫌がって、というより、不意打ちに対しての抗議に、クノンの雰囲気が衝かれたように変わり
「……そうですね、本来、必要ありません。」
どこか沈んだように同意されて、追求の手が緩む。
「クノン……?」
「……後付けの理由なら、あります。
 アティさまが、事情を察することが出来ないことを、たいそう気に病まれているようでしたので
 『私が、アルディラさま達と同じ気持ちを抱いているからこそ、わかったであって、貴女に落ち度はない』
 それを伝える為、という理由が。」
あまり似合わない、自虐的な笑み。混乱した頭は、言われていることの半分も理解できない。
「……心は、ほんとうに不思議です……必要か、必要でないかではなく、
 したいか、したくないかが真っ先に浮かぶ、そして……時として抑えきれない……」
きゅ、と胸で拳を握るクノン。そこにある何かを持て余すように。
「今も……そうです。何故私が……私の気持ちではなく……
 アルディラさまの気持ちを代弁しなくてはならないのか。……そう、考えたら……」
辛そうに、途切れ途切れに語られる本音、
………………ようやく理解する、彼女の……想いを。
「……ご迷惑だということは、重々承知しております、叶うはずもないことも」
先手を打つように、顔を背けるクノン。
「私は……フラーゼンです、人を愛する資格も、機能もありません、
 ハード的にもそうですが……プログラムとして『人を縛る』ことができない。」
震える細い肩。
「……どんなに哀しくても……涙ひとつ、流せません。」
振り向いて綺麗に笑うその顔の奥に、どれほどの辛さを隠すのか。
見ているこっちの胸が痛いくらいの笑顔。
どうしてこの娘は……いつもいつも……こんな風に……。
「クノン」
……いや、無理も無いのかもしれない。前もそうだった。
彼女は…………未知におびえているのだ。
芽生えたばかりの心は、不相応な経験や知識に振り回される。
彼女が恐れているのは、おそらく自分が機械人形であること、ではない。
恋、そのものなのだろう。
そんな彼女の、切ないほどの弱々しさがわかるにつれ、自分の気持ちが傾いてゆくのがわかる。
そして思考の半ば、最後に「お忘れください」と告げられた瞬間、何かが、はじけた。
「…………ッ!?」
細い胸囲を、腕ごと抱き締める。
冷たいというより、体温が無い体。一瞬の震えの後に弱々しい抵抗が感じられて
本気で振り払ってみろ、とばかり、強く、拘束する。
やがて大人しくなるのを待って、少し離れると、
おでことおでこを合わせるように、息のかかる距離で向かい合う。
「クノンは……忘れられるの?」
レンズの瞳が、隠すように閉じられた。
「私は、忘れられない。」
きつく鎖されたままの目、いやいやをするように、すぐ近くの顔がちいさく横にぶれる。
「相手を縛らなければ……繋がっていられない?」
瞼が、ぴくりと動く。
「そんなこと、ないよね……?」
髪の毛を梳くと、潤むこと無い目がおずおずと開いた。
「クノンが泣けなくても……私は、貴方が心を軋ませているのがわかる。……それじゃ……いけないの?」
教師の顔で諭しながら、私は、いつからか覚悟を決めていた。
「いいよ………」
両肩を掴んで、静かに押し倒す。
「私はクノンを……抱きたいけど、抱いてあげられない。
 ……そう、造られたのなら、抱きしめることしか出来ない。
 ……だけどね、クノンに抱かれたいって……思ってる。」
おろおろと、逃げ場を探すようにあちこちを向いていた彼女が横顔を見せて止まり、
そしてそこから恐いものでも見るように、ぎこちなく私にスライドする。
宿るものは、とても饒舌だった。
嬉しさと、驚愕と、なにより色濃い不信。
これだけ言ってもまだ信じられないのか。と、苦笑と共に、ほんの少しのいらだちを感じ
『しょうがない』から、私の方から唇を奪う。
「んっ……!」
強く、押し付けるわけではないけれど、気持ち伝われと、祈りながら目を閉じる。
やがて恐る恐る差し出した舌先が、堅かった蕾を綻ばせた彼女に迎えられた。
くちゅり、と触れ合う粘膜と粘膜、少なくともそこだけは、普通の女の子と何の変わりも無い。
気付けば互いの二の腕を、しがみつくように強く掴んでいて
481名無しさん@ピンキー:03/09/10 07:19 ID:/B7B+R8E
キタキタキタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!
なんかとんでもないところで切れてるけど。(;´Д`)ハァハァして待ってます。
482名無しさん@ピンキー:03/09/10 15:32 ID:NdgZMfle
神の光臨はここまでなのでしょうか?
光臨中に規制でもされたのかな……。

短くて力不足ではありますが、
自分も一つ投下しようかと思っているのですが、
投下していいものか、タイミングが……(;´Д`)
483名無しさん@ピンキー:03/09/10 15:40 ID:4Zw9UpoW
>>482
投下希望。
ちなみに組み合わせは何ですか?
484名無しさん@ピンキー:03/09/10 15:48 ID:NdgZMfle
アティ×ベル……かな。というか続き物ですが。
とりあえず、投下してもいいのかな?
ちょっと神の光臨を途切れさせてしまうようで恐縮ですが。
485タケシー大好きビジュ:03/09/10 15:49 ID:NdgZMfle
 ベルフラウは、アティの腰から濡れた顔を上げて声をかけた。
「先生、だいじょうぶ……?気分はどうかしら?」
「……あ……う、ん……もう身体は大丈夫……みたいです」
 肉体が極度の疲労状態であっても平常心でさえあれば、
もともとダークレギオンの憑依による肉体の支配などは
起こるようなものではなかったのだ。
「ありがとう……ベルフラウ」
 もう私は大丈夫です、とアティが口にする前にベルフラウが囁いた。
「……ねえ、先生。今度は……私にも……して欲しいですわ」
「えっ……」
 アティが問い直す前に、ベルフラウが身体の向きを変えて、
横たわるアティの顔をまたいだ。アティの目の前に、
ベルフラウのそこがくる。
 頬を紅くしたアティが眼を丸くする。
「ベルフラウ、あ、あの」
 ポタリ、と温かい雫が、戸惑うアティの唇に落ちた。
口の中に、初めて知る味が染みこんでくる。
それはベルフラウの狭間から滴っていた。
「わかる?私もこんなになっているの……」
「う、うん……」
「貴方にしてあげてたら……私も変な気分になっちゃって
……責任とってくれる、わよね?」
 そう頬を赤らめて自分を求めてくる少女に、
アティは自分の肉体が求めていた先ほどまでの欲望とは別の
新たな思いが身体を駆け巡った。
 私、まだおかしいのでしょうか……?
 もう自分の身体は何ともないはずなのに……。
 この子がたまらなく愛しい――。
486タケシー大好きビジュ:03/09/10 15:50 ID:NdgZMfle
「……わかりました。ベルフラウ……いっしょにしましょう?」
 ベルフラウはその返事を聞くと上体を下げ、再びアティの腰に顔を沈めた。
ベルフラウの上の唇とアティの下の唇が、また触れ合う。
「あっ……ん」
 アティはベルフラウに応えるべく、
両手をベルフラウの丸く小さなお尻にまわし、顔を持ち上げる。
ベルフラウのそこは滴る液と処女を失った血が滲み合っていた。
それが、まだためらっていたアティを決断させた。
「ん……」
 口づけすると、ビクッとベルフラウの腰が跳ねた。
一度は逃げようとするが、すぐにアティの愛撫を求めてすりよってくる。
 二人はお互いの愛おしさだけで、
もう側で見つめているビジュの視線などは頭に入らなかった。
「あむ、んんん」
 アティが舌を差し入れると、閉じたそこが開き、芳醇な液があふれ出た。
舌を伝って、アティの口の中に流れ込む。
 これが、ベルフラウの……ベルフラウのもの……。
 アティ自身も腰から押し寄せてくる熱い甘美の大波に、身体をうねらせた。
 二人は、お互いのくねる腰や太腿をしっかりと捕まえ、
唇と舌で快感を与え続ける。
「……んあっ……はふ、ベルフラウ、気持ちいい?」
「はぁっ……すごく、気持ちいいわ……あ、ん……貴方は?」
「……はっ、あ……ベルフラウの舌、とてもいいですよ……んんっ」
「貴方の唇も……くふっ、……か、感じて……はぁ……」
 アティは自分に贈られた快楽を、ベルフラウに返そうと夢中で舌を動かし、
ベルフラウの一番敏感な場所を探り当てた。
そこは充分に勃起して、与えられる喜びを待ち焦がれているように、
アティには見えた。
 きれいだった。
 愛らしかった。
 ベルフラウのものすべてが、愛しくてたまらない。
487タケシー大好きビジュ:03/09/10 15:51 ID:NdgZMfle
「あああっ!ふあっ!」
 アティがそこへ舌を這わせると、ベルフラウの声が上がり、
どっとアティの顔が濡れる。
 背中を波打たせて、
ベルフラウも同じく充血しきったアティのそこを唇でつまんだ。
「あっ、く……ああっ!」
 アティも蕩けた叫びを上げ、ベルフラウの顔を濡らす。
 アティとベルフラウの間には、喜びと快感の輪ができていた。
相手が気持ちいいと思うことをすれば、必ず自分に返ってくる。
相手を愛撫すればするほど、自分も気持ちよくなれる。
二人の間で快楽が循環していた。
 それでも、アティはまだ満足できなかった。
意思に反してとはいえ、もう処女ではないのだ。
「お願い、ベルフラウ……もっと奥まで……」
 アティの喘ぎに、ベルフラウは遠慮しながら人差し指を、
アティの濡れた中にゆっくりと差し入れた。
アティのそこが、自分の指を飲み込んでいく様子を、
ベルフラウは息を詰めて見つめる。
 先生の身体の中はこんなに気持ちいいんだ……。
 指に伝わる不思議な心地よい圧力と感触に、ベルフラウは陶酔してしまう。
「ベルフラウ……そのままでは……いやです。……動かしてもらえますか?」
「わ、わかったわ」
 ベルフラウは指を遠慮しながら前後に動かし始めた。
濡れた音が、耳を刺激する。
488タケシー大好きビジュ:03/09/10 15:53 ID:NdgZMfle
「あっ、ふあっ!」
 アティは激しく首を振りたくった。
ベルフラウの指から与えられる快感を飲みつくそうと、
前後左右にうねりまわる。その激しさに、ベルフラウも心を引きこまれた。
「……ベルフラウ、んくっ、もっと強く……奥まで、入れて」
「わかったわ、先生……好きなだけ感じて。……私の指で……んんっ!」
 ベルフラウも敏感な入り口に、アティの指を感じた。
知らずに声が高くなる。
「入れて……先生も!」
 アティも目の前の濡れたベルフラウの中に、人差し指を差し入れた。
 先の攻撃的なものとは違う、癒すような指の愛撫。
 優しく、ゆっくりと。
 ベルフラウの腰が跳ね、キュッとそこが閉じる。
その感触が、アティを震わせた。
「あんんっ、……ふあ……は、ふっ」
「……っ、うあ……はあっ、……ああう」
 アティもベルフラウも、言葉を紡ぐことはできなくなっていた。
そのかわりに指を動かすことで、互いに気持ちを伝え合う。
「んっ、んんっ!」
「くん、んっ!」
 二人はお互いに一番敏感なそこに口つけた。
指の動きもやまない。
迫るそれに我を忘れたアティとベルフラウの声が、高く低く辺りに合唱する。
「はぁ、ふあっ、ベルフラウ……私……またっ」
「あふっ、せ、先生……先生っ、……私も……もうっ」
「わ、私……また……あっ、……あああぁぁぁっ!!」
「私も……んあっ……んあああっ!!」
 二人は迎えた絶頂に、互いの顔と手をぐしょぐしょに濡らした。
489タケシー大好きビジュ:03/09/10 15:54 ID:NdgZMfle
 アティは胸を上下させながら倒れていた。
そのかたわらに、ベルフラウも裸身を横たえている。
二人は夢を見るように静かにまぶたを閉じて、息を静めていく。
 ビジュはそんな二人を眺めながら思考していた。
 やはり自分があのガキを犯してやるべきだったのだろうか。
 そう、ベルフラウをこのままにしておく気はビジュにはなかった。
膨れ上がった怒りの矛先がベルフラウへと向かう。
 犯してから殺すか。
 殺してから犯すか。
「どっちにしろ、目の前でやってやれば、
あの女も楽しんでくれるだろ……イヒヒヒッ」
 ビジュはその自分の導き出した邪悪な答えに笑むと、
それを実行すべく腰を上げた。
 ビジュはベルフラウをアティの目の前で完全に壊すつもりだった。
 ――だが、そのビジュの手がベルフラウに下ることはなかった。
「……そこまでにしておいてやれ」
 低い男の声と鋭い殺気がビジュの背中を突き刺した。
 その殺気にビジュは飛び跳ねるように身体を翻す。
「……っ!?誰だっ!?」
 向かい合った先に立っていた人物は一人の初老の男。
「手前ェは……」
 ビジュはその男を知っていた。
 自分を殺しかけた組織の人間の一人――。
 無色の派閥の剣士、ウィゼルだった。
490タケシー大好きビジュ:03/09/10 15:56 ID:NdgZMfle
本当に短くて申し訳ないですが、ここまでです。>>341からの続きです。
少ないクノンを書いてくださる神に(;´Д`)ハァハァしつつも、
投下しちゃって少し自己嫌悪。ごめんなさい。
491名無しさん@ピンキー:03/09/10 16:04 ID:4Zw9UpoW
>>490
グッジョブ!
この話が完結したら、ベル×レックスも書いてくださると嬉しいです。
492名無しさん@ピンキー:03/09/10 17:11 ID:cVNVjzYS
>>490
続き待ってました。GJ!
ああ、最初は陵辱物だったのがいつの間にかアティ×ベルの和姦物にw
ビジュの逆襲はあるのか?それともこのままウィゼルに斬られて退場か?
どちらにしても楽しみにしております。
493名無しさん@ピンキー:03/09/10 17:43 ID:hsbalmu+
        ,、r'' ""´  ̄`゛゙ ''.‐ 、
    .  ,r'"            `' .、
     ,r"     ./         .`゙゙゙ヽ
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   /     ,r'    / /      ノ    ヽ
   /.    ,r'   / /   /,  ./ i      ヽ
.  /,、   ,r' .,、- 7./  /  /l /'l/゙、  .i, 、,ヽ
. "./ハ  r'-'"´.ミ /'゙./,∠,__  / i゙ / l' ゙,   l ヾ ヽ
  ゙´. ゙,  r"`゙~  /'   .__~~ l/  l.--゙,   .l ` ゙
    ゙, ゙, ' 〈      《,__・)/゙  r《・),.゙,.ハ l
     ゙,, ゝ、,.           ゙,゙'7゙, λ ゙,.l
   ,、、、、i,_/. 、.           〈 i /   ゙
‐'"´゙゙゙゙゙゙゙'''‐゙-'、‐ - 、,_  、 、ニ,__‐,--゛ .l゙>>490 GJ!
 ̄ ̄ ̄`゛゙゙'''‐、`゙ヽ  ゙l / {vヽ~Y/-- 、  
         ヽ. ヽ l, ヽヘェェェ/   /、
          ヽ ヽヽ、 ,`ー‐/   ヽ、
                 ̄
494エロ魔剣3 つづき:03/09/10 22:10 ID:PWLgMRzh
遅くなって申し訳ないでつ。
もうこの話のことなんか忘れてるかい?
オイチャン泣いちゃう。でも投下。


暗かった空が、そろそろ白み始める頃。
アティはよろけ、おぼつかない足取りで海賊船へ戻ってくる。
今日も同じ。
歩くたびに濡れた秘部が気持ち悪いし、なにより犯されつづけ疲労しきった状態では、
いつものペースで歩くこともままならない。
やっとのことでバスルームまで行くと、そこでアティはスカーレルの姿を見つけた。
無造作に組まれた腕、交差した足、そして壁に体を預けた格好。
整えられた眉は少しつり上がって、目は細められまっすぐにこちらを見ている。
…やっぱり、今日も怒ってるんですね。
毎晩、アティが陵辱から帰ってくると、必ず船ではスカーレルが自分のことを待っていてくれた。
汗と愛液と、見知らぬ者のスペルマで穢れたアティのために、あたたかい風呂とふかふかのバスタオルを用意してくれている。
だけど、出迎えてくれる彼はひどく不機嫌で、話し掛けても素っ気無い返事しか返さない。
存在が、まるで闇そのもののようだ。
これにはアティもどうして良いか分からず、スカーレルのことをちらりとも見ないまま、バスルームへ入っていった。
今日は比較的汚れの少ない、ローブとワンピースを脱いでいく。
愛液で重みを増した下着は丸まって床に落ちる。
色気を纏った甘いにおいがバスルームじゅうに広がるのを無視して、全裸になったアティはおもむろにシャワーヘッドをつかむと、湯をひねり出す。
立ち上る湯気とともに体を打つシャワーは、アティの汚れを清めるようだった。
温かい湯が、夜風で冷えた体を溶かしてくれる。
しかし、凍えた心までは溶かしきることができなかった。
スカーレルの、あの冷たい目。射抜くような視線は、アティに自分の穢れを意識させる。
右肩から背中にかけて当てている湯さえ冷たく感じられた。
(気遣いは嬉しいのに…なぜこんなにも居心地悪く感じてしまうんでしょう…)
そう思うと、自然に涙があふれてきた。
495エロ魔剣3 つづき:03/09/10 22:11 ID:PWLgMRzh
「……っ」
じわじわと、大きな瞳に涙がたまってくる。
声をどうにか押し殺したくて、でもそれができずに、かすかな嗚咽がバスルームに響く。
なぜ、彼は夜だけあんなにも冷たいの?みんなと一緒のときは普通なのに。私、嫌われちゃいました?
でも何日か前までは、優しく抱いてくれたのに?やっぱりこんな汚れた体は駄目ですよね…。
ああ、こんなに悩むなら、『恋する乙女は片手で龍をも殺す』を読んでおけばよかった…。
なんで私は、こんなに駄目なんだろう。何も知らない。何もできない。
できるのはただ犯されることだけ。
アティはあふれる涙を落とすように、静かに目を閉じた。

―喚起の門―
アティが涙する、その数時間前。裸のアティは、二つのサモナイト石を高く掲げて、召喚の儀式をしていた。
(肩…重いなぁ…なんだか…胸が張っているみたいで…)
そう思いながらも儀式を続け、召喚獣を呼び出す。
呼び出した機界の召喚獣を見て、アティはその破天荒さに目を丸めた。
出てきたのは、ボックス型の大きな機械と、ちいさなローター。
ローターはいいとして、見たこともないような機械には、ボックスのまわりに金属のアームやリング、じゃばらが二本ずつ、それと赤いランプが鈍く光っていた。
じゃばらの先には料理で使う透明のボウルのようなものが取りつけられていて、ボウルとじゃばらはつながっている。
「な…なんですか…」
『まあ、そう焦って考えなくともよい。お前はただ、犯されていればいいのだからな』
「…!」
シャルトスが言い終わらないうちに、ボックス型の機械がアティに寄って来る。
待ち構えていたかのように、二本のアームをアティの乳房に伸ばす。
弾力のある乳房まで辿り着いたアームは、かっと指を開き、彼女の胸を包み込んでいく。
金属の感覚が冷たい。
496エロ魔剣3 つづき:03/09/10 22:12 ID:PWLgMRzh
「…ん…っ……や、ぁ」
ぎこちない動きで乳房全体を掴んでは、引っ張って胸を伸ばし、急に離す。
アティからは、物足りなさそうな喘ぎ声が聞こえ、連日の陵辱で淫らになった体は強い刺激を求めていた。
かくかくした機械らしい動きで胸をこねては、力をかけて押しつぶす。
アティのたわわな胸はそうされるだけで苦しくて、思わず身をよじった。
「や…だめ…ぇ」
『どこが駄目なのか?本当は駄目なんかじゃないだろう』
甘く囁くようにシャルトスは言う。するとアティは切なげに首を縦に振って、声をあげる。
「たりないの…もっと、きもち、いい…刺激がほしくて…」
言うとアティは、自ら背中を反らせて、白い胸を突き出した。
その様子をみて、シャルトスが鼻で笑う。
「機械に…言っても聞こえないかもしれないけど…もっとぉ…してほしいんです」
すると機械が、押しつぶしていたアームをどけて、再び胸を包み込んだ。
また、揉み出す。しかし今度は滑らかな動きで。
裸の乳房をねっとりと揉みしだく機械。アームの指の部分を動かすたびに形を変えるアティの乳房は、ひどく扇情的である。
もし揉んでいるのが生を持ったものだったとしたら、すぐアティは犯されていたにちがいない。
次にアームたちは指を一つにまとめ、弾力にとんだ胸をつう、と撫でていった。
まるで生殺しだ。そのうちに左右のアームが、それぞれの目的地に辿り着く。
ピンク色の乳首。
指がアティの乳首に突き刺さる。同時に、今までの甘い快感と比べ物にならない電流のような快感が乳首から快感中枢を刺激する。
アティはその刺激に全身の力が失われるのを感じた。
497エロ魔剣3 つづき:03/09/10 22:13 ID:PWLgMRzh
アームが乳首をもてあそんだまま、今度は二本のリングがアティに迫ってくる。
「ふ…くっ…なに…ぃ」
リングはちょうど、人の手を最大に開いたくらいの大きさで、アティの乳房に嵌る。
ちょうど、輪投げの柱に輪が入ったような状態だ。
そこから、ぎゅうう、とリングの大きさが狭まっていき、アティの胸が締め上げられる。
「痛いっ…や…っ…何するんですか…ぁ」
締め上げられて強調されるアティの豊満な乳房。異様な光景に、シャルトスが笑った。
『気持ちいいのだろう…?なぁ、お前の体は我のものだ。お前が感じていることぐらい、手に取るようにわかるのだよ』
「あぁぁ…っ、かはっ…。私の…っ…気持ちがわかるの?…あっ…なら…何故…こんなこと…ぉ」
『お前の気持ちなどどうでもいいのだよ。必要なのはその器だけだ』
鈍かった赤い光が、強く光り出す。同時にじゃばらのついたボウルがうねりながらアティに近づく。
『最初は…お前の人格を消してしまおうと思っていたのだがな。お前の体を意のままに操れる今…わざわざそんなことをする必要もあるまい』
「どういう…」
『今の我なら、お前を淫らな人形にするのも簡単なことだ、と言っているのだ。…最近、胸が張っている気はしないか?』
「…!」
『お前のホルモンの量をな…変えてやったのさ。この機械のために、だ』
ボウル型の透明な機械が、きつく締められたアティの乳房に照準を合わせる。
≪充電準備終了…コレヨリ充電開始シマス≫
「な…に…やっ…いやぁああ」
498エロ魔剣3 つづき:03/09/10 22:15 ID:PWLgMRzh
すいません今日はここまでです。
中途半端なところで終わっていて非常に申し訳ない。
あんまり間があかないように頑張るよ・・・。

質問なんでつが、
スカアティって需要ないですか?
499名無しさん@ピンキー:03/09/10 22:36 ID:QKj06GHz
投下乙華麗
釜アティ需要全然ありです
500名無しさん@ピンキー:03/09/10 22:54 ID:zTb6Ps3R
スカアティ好きだよ!
なのでもっと絡みキボンと言ってみる。
501名無しさん@ピンキー:03/09/10 23:49 ID:ZBxMw3e3
>>498 ハァハァ ヽ(゚∀゚)ノ搾乳バンザーイヽ(゚∀゚)ノ搾乳バンザーイヽ(゚∀゚)ノ
502名無しさん@ピンキー:03/09/11 00:32 ID:Adi7ynHZ
まってたよー
スカアティ需要ありまくり
しかし「恋する乙女は片手で龍をも殺す」ってどんな本だ?w
503名無しさん@ピンキー:03/09/11 00:36 ID:2GWYec2j
搾乳クル━━━━(゚∀゚)━━━━!!?
504名無しさん@ピンキー:03/09/11 00:59 ID:wZCZutUA
スカアティ…ヘイゼルイベントで何かスイッチ入った気がしたんだけどなー・・・(自分が)
505名無しさん@ピンキー:03/09/11 02:59 ID:NfFk1qgy
スカアティ大本命な自分にとってもう正にハァハァハァハァハァハァハァ(ry


漏れもそのうちなんか書くぜ(・∀・)ノシ
506名無しさん@ピンキー:03/09/11 05:45 ID:WFc93+jq
前スレ>>5>>10で出てたカルマED後ベル×レックスネタを書いてみたんだけど、
無駄に長い上にエロが本当に後半にならないと入ってこない上大してエロくもない
エロパロ…という趣旨にはあまり副わない代物になってしまったんで晒さない方がよろし?
しかも頭から最後まで純愛で後半までダラダラとひたすらベルの心理描写が
書かれてるような代物なんだけど…意見聞かせてもらえると嬉しいです。
507名無しさん@ピンキー:03/09/11 06:42 ID:7+6/kQ7J
>>498
乙ですた。
むう、微妙なところで終わってますなw
スカアティも需要はありますよ〜。

>>506
構わないから投下しろ!
ぶっちゃけ、エロパロ板だからってエロが中心である必要は無いし。
個人的にはエロ無しSSでも別に構わんくらい。
508名無しさん@ピンキー:03/09/11 07:25 ID:pyRwDbOj
>>506
萌えることができればイイ!投下しる!
509506 :03/09/11 08:06 ID:O1iX/yqC
取り合えず投下するだけしてみます。とにかく長いので前編、中編、後編に分けての
投下になることをお許し下さい。純愛でしかもエロは後編にしかありません…。
それとカルマEDのネタバレになるのでご注意下さい。
本編のカルマ最終話からの話だと思って頂ければ幸い。
(本編とは多少変えてありますが…)
予兆は確かにあったのだ。
ただ、彼はいつものように笑って「何でもない」って言ったから。
その言葉を信じていた。信じていたかった。
本当は誰もが心のどこかで気付いていて、でも口に出来なかった。
いつか来るであろうその日のことを。

誰もが恐れたその時が訪れたのは沈む夕焼けと同じくらい大地が血で真っ赤に染まった時のこと。
無色の上陸。帝国軍の全滅。そして覚醒。
彼を真の覚醒へと誘うには十分過ぎるほどの筋書きが用意され、
まるで全てが初めから決まっていたかのように残酷な結末への扉は開いた。
最悪な結末を避ける方法は一つしかなかった。
どれだけの危険を伴おうとも守りたかったものがあったから。
廻りだした運命を止める他の方法を持たなかったから。
だから全てを覚悟してそれぞれの想いを胸に決戦の地へと赴いた。
それが全て裏目に出るとは思いもせずに。

「みんながどうしたか…知ってるんだね?」
集いの泉に独り取り残されたベルフラウにレックスは問うた。
澄んだ瞳に見つめられ、ベルフラウは言葉に詰る。
嘘を吐くことを許さない厳しさがそこにはあった。
吐いたところで、すぐに嘘だと見抜く力強さがあった。
だから、話してしまったのだ。話さなければ良かった。後で何回も後悔した。
だって、話してしまえば彼がどんな行動を取るかなんて最初から分かっていたのだから。
そしてやっぱり彼は予想に違わぬ行動を取ろうとした。
だから事情を聞いて仲間のもとへと向かうと言うレックスに抱きつき、ベルフラウは泣き叫んだ。
それしかできなかったから。
そうすることでしか無力な自分は彼を止める術を持たなかったから。
511さよなら。前編2:03/09/11 08:09 ID:O1iX/yqC
「やだ!やだやだっ!やだやだやだやだやだイヤあぁぁぁっ!!」
普段子供っぽい態度を取る事を嫌う彼女が初めて見せた年相応の子供の姿だった。
自分でも情けなくてみっともないと思った。
けれど彼を止めるためなら自分のちっぽけなプライドなんて簡単に捨てられた。
だって、このまま行かせてしまったっらこの人は――。
「行かせてあげなさい」
駄々をこねるベルフラウを止めるかのようにかけられた声は思いがけない人物からのものだった。
「メイメイさん…」
レックスはその場に現れた凛とした声の主の名を呼んだ。
メイメイは何時もとは全く違う厳しい表情で二人に近づく。
「みんなは遺跡の中で戦ってるわ。急がないと、本当に間に合わなくなる」
「!」
「余計なこと言わないで!」
メイメイの言葉に弾かれたようにベルフラウの荒い声が上がった。
今は本音を隠す余裕もない。
自分の中の激情が言葉となる。
「止めても無駄なことは貴方が、一番よくわかってるでしょ?」
「……」
メイメイの言葉に、納得しかけて止めた。
そんな言葉で諦めきれるほど簡単な想いなら初めからこんなにみっともなく縋りついたりしない。
彼を困らせていることは十分に分かってはいたけど、ベルフラウは諦めることなどできなかった。
「それでもっ、私は貴方を行かせたくない!
やなの…貴方を、失いたくないの…失いたくないのよぉ……」
唇がわなわなと震える。涙で声が掠れるのが分かった。
どんなに自分勝手でも失いたくなかった。
彼を救う方法が他にあるならどんなことをしてでも見つけていた。
けれど、そんなものは思いつかなかったから。
ただ、こうして泣いて縋るしか彼を繋ぎとめる方法を知らなかったから。
512さよなら。前編3:03/09/11 08:09 ID:O1iX/yqC
ベルフラウは泣きながらただひたすらにその体を抱きしめた。
背中にまで廻らない短い腕が、小さな手が歯痒かった。
彼を抱きしめきれないのが寂しくて切なくて胸が締め付けられる。
「ベルフラウ…」
名前を呼ばれる。頬に手が寄せられ、白く長い指が涙を掬うのが分かった。
いつも自分を守ってくれた手に雫が落ちる。
「ごめん、俺は君を泣かせてばかりいるね…」
声が近くて、思わず俯いた顔を上げればすぐ目の前に顔があって心臓が止まるかと思った。
少し困ったように笑うその表情はいつもと変わらない。
レックスはベルフラウの顔を覗き込んだまま言葉を続ける。
「不甲斐無い先生でごめん。けど、これだけは覚えてて。俺は、君の先生をやれて良かった。
幸せだった。君の教師であれたことを誇りに思うよ。これだけはどれだけ時が経っても絶対に変わらない」
涙を拭っていた手が背中へと廻される。嘘みたいに強く抱きしめられる。
その腕の力強さに息が止まりそうになる。
触れた体温から鼓動が聞こえてくる気がした。
体が少しだけ震えたけど、どちらのものか分からなかった。
抱きしめられていたから表情は分からなかったけど泣いているのかもしれなかった。
「沢山の優しい言葉をありがとう。温かい思い出を、笑顔をくれてありがとう。
もし君が忘れても俺は絶対に忘れないから。だから…」
「何、言ってますの…」
だって、それはまるで永遠の別れのような。
その言葉に聡く「さよなら」の響きを感じてベルフラウは思わず顔を覗き込む。
吐息が近い。心臓と心臓がくっついたのかと思うくらいの距離。
触れ合う体温。響く鼓動。
それは、あまりに突然すぎて目を閉じるのも忘れた。
一瞬だけ、本当に一瞬だけ唇が触れて離れていく。
けれど、そんなことされたの初めてだったから。
息が詰って、抱きしめる力が抜ける。
513さよなら。前編4:03/09/11 08:10 ID:O1iX/yqC
触れた唇がそっと耳元に寄せられる。そして囁く。
「ごめん」
「な…!」
言いかけた言葉が止まる。
鈍い衝撃が体に走り、意識が遠のく。
鳩尾に拳を叩き入れられたのだとこの時は知る由もない。
支える力がなくなって、重力に遵い倒れていく体を力強い腕が支えた。
自分の意志とは関係なく薄れていく意識の中、優しい声が響く。
「さよなら」
その残酷な言葉を最後にベルフラウの意識は途絶える。
ガクリと力なく自分の腕に凭れ掛かるベルフラウの小さな体を
レックスは抱き上げるとメイメイの方へと向かう。
「…行くの?」
「ええ。もう、決めましたから。…この子を、お願いします」
そう言ってベルフラウの体をメイメイに渡す。
抱き上げてみて、初めてその軽さや温かさに気付く。
ずっと、側にいて自分を支えてくれた温もり。
それが如何に大切だったかということを今更実感する。
「行けばどうなるかは自分でも分かってるんでしょう?…それでも、行くの?」
メイメイの低く真剣な声が響く。その顔はどこか泣きそうにも見える。
メイメイの言葉にレックスはゆっくり首を縦に振ると口を開く。
「…自分の体のことは自分が一番よく分かってますから。
たぶん、もう一度でも剣を抜けば俺は俺でなくなる。
今でも、少しずつ剣が俺の精神を蝕んでいて、
体が人じゃないものに変わりつつあるのも分かってるんです」
514さよなら。前編5:03/09/11 08:11 ID:O1iX/yqC
いつもと変わらない笑みで、吐き出すその言葉は重い真実。
変えようのない残酷な現実。
それを打ち消したくて、変わらぬ声音でメイメイは言葉を続ける。
「今ならまだ、その剣を捨ててこの子を連れて逃げることもできるのよ?
この島でのことを全て忘れて、生きていくことだってできるのよ?」
問うたところで答えは変わらないだろうけど。
それでも、確定された運命を変える切っ掛けを作りたかった。
そんな言葉に返ってきたのはやっぱり変わらぬ笑み。
「…たぶん、この子のことを考えるならそれが一番利口なやり方なんでしょうね。
でも逃げ出すのは簡単だけど、きっとそれは最低な道だと思うから…だからやっぱり行きます。
頭では分かってても感情を理性で押し殺すことができるくらい俺は大人にはなれないから…
せめて自分にできる精一杯のことをしてきます」
その瞳に覚悟の色を見てメイメイは言葉を止める。
もう確定された運命は止められない。
誰がどんな言葉をかけたとしても止まらない。
だからせめて見届けようと思った。
この島の行く末と、一人の青年の運命を。
「メイメイさん。最後に、俺の我侭聞いてもらえますか?」
「いいわよ。この際だから何でも言っちゃいなさいな」
メイメイは笑って答える。もう自分は傍観者になるしかないから。
だからせめて最後まで笑っていようと決めた。
きっと、この人は泣き顔より笑顔が好きだろうから。
そんなメイメイにレックスも普段と変わらない苦笑いを返す。
「もし俺が帰って来なかったら、この子に約束を守れなくてゴメンって伝えて貰えますか?
剣の力なんかに負けたくないけど、でももしどうしようもなくなった時、
きっと俺はこの子の元に戻ってはこれないと思うから。だからゴメンって。
それと側にいてくれてありがとうって。そして、俺の事は忘れて欲しいって伝えて下さい」
515さよなら。前編6:03/09/11 08:11 ID:O1iX/yqC
一瞬だけ苦笑いを浮かべていた顔が歪む。
涙を堪えたのかもしれなかったがまたすぐに笑みの形を作ったからよく分からなかった。
「本当に、酷い男ですよね。
俺は、誰かを失う哀しみを誰よりも深く知っているはずなのに、この子に同じ思いをさせようとしてる。
だから忘れて欲しいなんて自分勝手すぎますよね。
こんな勝手な言い分、きっと彼女は怒るでしょうけど最後の我侭になるだろうから許してもらおうかな」
「…貴方は怖くないの?」
笑みを崩さずに言うレックスにメイメイは問う。
自分が消えてしまうことが。全てを失ってしまうことが恐ろしくないのかと。
メイメイの言葉にレックスの俯く。
けど、落ち着いた声音は全く変わらない。何時もと変わらぬ声が新しい音を紡ぐ。
「…怖い、ですよ。守りたかったものを守れなくなるのも、
大切のものに手が届かなくなってそれを忘れていくのも。自分が自分でなくなるのは本当に怖い。
情けないけど、気を抜けば体の震えが止まらなくなるくらいに怖いです。けど、いいんです」
伏せられた顔が上げられる。そこには満面の笑顔があった。
「大丈夫です。俺は幸せだったから。だから平気です。
みんなに出会って俺は沢山の優しさを、笑顔を貰ったから。その思い出さえあれば強くなれるから。
だから今度は俺が返す番なんです。俺は、俺の大切なものを守る為に、行きます」
返ってくる強い言葉。それを信じようと思った。
この力強い笑顔が、優しい想いが運命を変えるのを。
真っ暗な夜にも月の光が差すように、その強い想いが絶望を打ち砕く光となることを。
星の巡りを観る者としてではなく一人の、この世界に生きる者として信じたいと思った。
「それじゃあ、俺、行きます。メイメイさん、最後まで俺の我侭聞いてくれてありがとうございます。
俺、貴方に会えて良かった」
「私も貴方のそういう不器用な生き方しか選べない所、嫌いじゃなかったわ。
帰ってきたら一杯やりましょう?とっておきの一本があるのよ」
「そうですね、期待してますよ。帰ってきたらみんなでまた鍋でも囲えるといいですよね。
誰一人欠けることなくみんなで…」
516さよなら。前編7:03/09/11 08:12 ID:O1iX/yqC
叶わない夢を見るのは愚かだろうか。
遠い未来に希望を馳せるのは無意味だろうか。
不安を押し殺して、明日また会えるような挨拶を。
そうすることでしか胸の中の絶望を殺す術を持たなかったから。
去り行く背中にメイメイは掛ける言葉を持たなかった。
だからその背中を黙って見つめていた。
きっと、もう二度と見ることが出来ないであろうその背中を。
「王よ…私は一体、あとどれくらいこんな思いをしなくてはならないのですか…?」
彼が去った空間に嗚咽の様に吐き出されたメイメイの言葉は、
誰の耳に入ることもなく霧のように空気へと溶け込んで消えた。

ベルフラウが目を覚ました時にはもう彼の姿はなかった。
意識が覚醒すると同時に駆け出す。
自分がどれくらい眠っていたのかだとか、
何で気絶してしまったのかとか気になることは沢山あったけどそんなのに構ってる余裕はなかった。
だって、このままじゃあの人が――。
まだ微妙に痛む体を引きずるベルフラウにメイメイが言葉をかける。
「彼の所に行くの?」
メイメイの言葉にベルフラウは振り返らずに答える。
「止めないでよ。私は誰になんて言われようともあの人の所に行くんだから!」
「…例えそれが絶望を知ることになるだけだとしても?」
「そんなの、行ってみなくちゃ分からないじゃないの!」
その言葉を振り切るようにベルフラウは走る。
普段から手入れしてる髪は乱れてボサボサだし、喉はカラカラで体だって痛い。
けど、そんなのは気にならなかった。
あの人の痛みに比べればこんなのなんでもなかった。
517さよなら。前編8:03/09/11 08:13 ID:O1iX/yqC
気の遠くなるような長い距離を走り終えてベルフラウが遺跡に着く頃には全てが終わっていた。
紅。その一色だけが視界を支配した。
あの日の夕焼けよりずっと濃い紅が床を、人を、そしてあの人を染めきっていた。
まるで水遊びでもしたかのように広がる紅い血の海。
無残に転がる嘗て人であった者たちの肉塊。
そこには昔仲間として接していたイスラのものもあった。
そして、その中心に立つ彼は血に染まった床やあの日の夕焼けよりも真っ赤だった。
鮮やかな赤い服は血を含みどす黒く染まっており、
真っ白な雪みたいな髪と肌には夥しい量の血が塗りたくられ、
まるで紅い華が散ったかのような錯覚に襲われる。
完全に右手と一体化した剣も真っ赤で、
それは血に染まることによってますます光を増しているかのように見えた。
ここで何があったかなんて聞かなくても分かった。
全てが遅かった。間に合わなかった。
胸に巣食う絶望を振り払うかのようにベルフラウは口を開き、血の海へと足を踏み入れようとする。
「せんせ…」
「来ルナアアアァッ!」
「…っ!?」
彼の口から出た無理矢理搾り出したかのような声にベルフラウは体を震わせる。
こんな声、今まで一度も聞いたことない。
レックスはそのままベルフラウと距離をおくかのように数歩後ずさる。
「近づいちゃ…っダメだ…。コロシテ、しまウから…ッ」
「あ、あああ…っ」
その言葉に涙が溢れた。
518さよなら。前編9:03/09/11 08:13 ID:O1iX/yqC
この優しい人がどんな気持ちで剣を振るったのか。
どんな気持ちで人を殺めたのか。
砕けそうな心を、優しい気持ちを殺して、涙さえ見せずに。
その痛みはどれほどか。
「ごめんよ…みんな…。もう、俺は…笑えない…」
何故かあの人の声が遠かった。
叫ぶ仲間たちの声もノイズのように聞こえる。
これは…現実?夢を、見ているんじゃないかと思う。
だとしたらこれは悪夢だ。どうしようもない悪夢だ。
「だから、お願いだ。
過去の憎しみや悲しみたちは全部まとめて、このまま連れて行くから。
俺の代わりに笑ってくれないか?」
「そんなの、できるわけないじゃない!」
レックスの言葉にベルフラウは涙で震える声で叫んだ。
諦めたくない、絶対に。
失いたくなんかない。どんなことをしてでも。
「私は貴方がいないと笑えないの…笑えないのよぉっ…!
貴方が側にいたから笑えるようになったの…!
貴方が笑わなかったら、私…どうすればいいのよ…。諦めないでよ…!
約束したじゃない、ずっと守ってくれるって!ちゃんと約束守りなさいよぉ!」
お願いだからいつもみたいに笑ってみせて。
その為ならどんな憎まれ口だって叩くし、最高の笑顔だって見せてあげるから。
みっともないって罵られても縋りつくから。
けれど、返ってくる言葉は残酷な一言。
「…頼むよ?」
どうして願いは叶わないんだろう。そんなことを思う。
519さよなら。前編10:03/09/11 08:14 ID:O1iX/yqC
望んだのはささやかなこと。
ずっと、側で笑っていられれば――。
それ以上のことは望まなかった。
それなのにどうして、あの人が傷つかなきゃいけなかったんだろう。
幸せを、諦めなきゃいけなかったんだろう。
守りたかった。優しい心を、笑顔を。
ずっと側にいたかった。ただそれだけなのに。どうして――。
「約束、守れなくなっちゃってごめんね」
声は優しいのにそこに笑みはない。
声音は変わらないのにどうしてこの人はいつもみたいに困ったように笑ってくれないんだろう。
ただ一度微笑んでくれれば、こんな哀しみすぐにでも忘れられるのに。
「嫌よ!嫌なの、嫌なのよぉ!お願いだからいかないで…私をおいていかないで…!
貴方の側にいたいの…そこが私の居場所なのよぉ!」
もう自分でも何を言っているのか分からなくなっていた。
ただ、失いたくなくて。ひたすら叫んだ。
叫んだ所で何かは変わるわけではなかったけれど。
それでも叫ばずにはいられなかった。
「ごめんね…」
ベルフラウの叫びを聞きながらレックスは痛みに耐えるように目を閉じた。
体が自分のものじゃないように痛い。
剣の力を引き出しすぎて体がその負荷に耐え切れなかったのだろうか。
まるで意識を手放せと言うかのように体が引き裂かれるかのような痛みと
鈍器で殴られたかのような断続的な頭痛がする。
耳鳴りが酷くて声を聞き取ることすら辛い。
けれど、その痛みよりベルフラウの言葉の方が何十倍も痛かった。
520さよなら。前編11:03/09/11 08:14 ID:O1iX/yqC
誰かが強く命令する。目の前の肉を引き裂けと。
その命令に逆らおうとすればするほど痛みは酷くなる。
心が壊れるような、精神が病むような痛みに耐えられのも最早時間の問題だった。
狂気は確実に自分を蝕んでいることを、知っていたから。
体はもう完全に人ではないものに変わっていたから。
ベルフラウの他にカイルやソノラ、他の仲間たちも叫んでいた。
その声すらもう遠い。
なあ、剣よ聞こえるか?
問うた所で意味などないことは初めから分かっていた。
それでも語りかける。
みんなが自分の為に泣いてくれてる。
声を、掛けてくれてる。
自分の消滅を哀しんでくれている。そこには優しい気持ちが沢山あった。
仲間を思い遣る温かい想いがあった。
それだけで十分幸せだった。
命を懸けてまで守る価値があった。
もしこの剣が憎しみや恨みしか知らないのなら、そんなのは哀しすぎるから。だから。
せめて自分の優しい思い出をあげようと思った。
自分を庇ってくれた両親の優しさ。支えてくれた村の人たちの優しさ。
側にいてくれたアズリアの優しさ。居場所をくれた島で出逢った人たちの優しさ。
そして、自分をいつも励ましてくれたベルフラウの優しさ。
その全てを忘れずに、剣の憎悪や呪詛と共に抱きしめていこうと思った。
ありがとう。
もう笑うことはできないけれど、自分の為に泣いてくれる人たちにその言葉を伝えたかった。
けど、そんなことは許されていなかったから換わりに。
「さよなら…」
永遠の別離を示す、別れの言葉を。
521さよなら。前編12:03/09/11 08:15 ID:O1iX/yqC
「せんせええぇぇっ!」
たまらずにベルフラウは駆け出す。
死んでも構わなかった。取り残されるくらいなら。
この人に殺されるなら悔いはないとすら思った。
だから少しでも側にいたくて――。
手を伸ばす。その体に触れそうになる瞬間、その手は空を切る。
「えっ…?」
確かにそこにあったはずの温もりが消える。最初から何もなかったかのように。
まるで液体が気体になって消えるかのように
確かにそこにあったはずの姿は一瞬にしてなくなっていた。
「う、そ…?」
ベルフラウの声が震えた。
だって、今までここであの人は話していたじゃない。
確かにここにいたじゃない。
なのに、どうして。
「いやああぁぁ!せんせぇ…せん、せえっ…!」
ベルフラウの悲痛な叫びが遺跡に響く。
「ち、くしょおぉおお!」
「せんせ…せんせぇ!」
カイルとソノラの声が聞こえた。泣いているらしかった。
「嘘…嘘よ……だって…そんな……」
「本当に…馬鹿、よ…どうしようもない馬鹿よ…!」
ファリエルとアルディラの口からも嗚咽が零れた。
遺跡の中に慟哭が響く。
ねえ、先生聞こえてる?
貴方が大好きだった人たちがみんな泣いてるのよ?
誰も笑ってなんかいないのよ。
だから。お願いだから。
522さよなら。前編13:03/09/11 08:16 ID:O1iX/yqC
「約束したじゃない…守って、くれるって……」
今でも優しい声と、温もりが頭に蘇る。
手を握って、名前を呼んでくれたの。
屋敷にいる間ベルフラウに名前はなかった。
「お嬢様」。誰もが皆そう呼んだ。けど、それはベルフラウの名前ではなかった。
屋敷を出てもベルフラウを名前で呼ぶ者はいなかった。
「マルティーニ家のご息女」それが彼女の名前だった。
誰かに呼ばれてもそれは自分の事ではなくて、いつだって孤独だった。
構って欲しくてわざと我侭を言って困らせてみたりもした。
ただ返ってくる反応は諦め。「お嬢様だから仕方ない」その一言で全てがすまされた。
諦めなんて欲しくなかった。叱ってくれてもいいから自分を見て欲しかった。
けれど期待は裏切り続けられ、その度に心は傷ついていった。
いつか期待することも諦めて、孤独にも慣れた。
期待なんてしなければ傷つかずにすんだから。
寂しさを感じなければ泣くこともなかったから。
けど、彼は違った。
名前を呼んで、手を引いてくれた。
間違ったことをしたら叱ってくれて、よくできたら褒めて頭を撫でてくれた。
たったそれだけのことだったけれど、どうしようもなく嬉しかった。
心の隙間が優しい気持ちで埋まった気がした。
背伸びをしなくても話ができるよう屈んで話を聞いてくれるような人だった。
不安になったら手を握って「大丈夫だよ」って微笑んでくれるような人だった。
だから側にいたかった。側にいて欲しかった。
なのに――。
「ずっと、側にいられると思っていたの…。今日も明日も明後日も、これからずっと…」
本当は分かってた。「これから」なんて何一つ分からないこと。
永遠なんて存在しないってこと。
523さよなら。前編14:03/09/11 08:16 ID:O1iX/yqC
でも笑顔が近くて、温もりは常に側にあったから信じていたかった。
ずっと側にいられるって。
幾つもの季節を共に過ごして、そしていつかは釣り合う位の身長になって、
胸だって大きくなって、歌を唄うかのように自然に愛の言葉を言える二人になれるって信じてた。
キスを交わして、笑顔を向けられる。そんなことが日常になるって願ってた。
「私…まだ好きって言ってあげてないの…。
こんなことになるんだったらもと好きって言ってあげれば良かった…!
もっと、抱きしめてあげれば良かった…っ!」
伝えたい言葉があった。話したいことが沢山あった。
けれど、結局何一つ伝えられずにいる。
守られてばかりで、与えられるばかりで何一つ返せていないことに気付く。
その微笑みに甘えてばかりで、
彼のことを何一つ分かろうとしていなかった自分に腹が立つ。
あんなに側にいたのに。
誰よりも近くにいたのに彼の痛みにも弱さにも気付いてあげられなかった。
貴方が好きでした。ずっと、ずっと前から。
涙と共に零れたベルフラウの言葉を受け取る者はもうそこにはいない。

紅く塗り潰された遺跡の中、一つの恋が終わった。
残されたのは思い出の中の触れた唇の温かさと、優しい声。
そして、「さよなら」の一言。
524506:03/09/11 08:22 ID:O1iX/yqC
取り合えずここまでで。実際カルマED主人公はあの場から走って逃げたっぽいですが、
走って逃げるのは何となく盛り上がりに欠けるのでこういう形にしてみました。
強引なこじつけとかは中編、後編で明かしていこうと思ってるんで現段階では勘弁して頂けると幸い
取り合えずまだ最初だけなんで…。
前スレ>>5氏の期待に添えられるかは分かりませんがもう少しお付き合いして下さると嬉しいです
525名無しさん@ピンキー:03/09/11 08:30 ID:zexhmpgx
>>506
GJですた!
いや〜、面白いですよ。
今回のカルマEDは俺も好みだったんで(キャラはアティ×ベルでしたが)、
こういう話が読めて満足です。
続きでどう展開していくのかを非常に期待してます!
526名無しさん@ピンキー:03/09/11 13:16 ID:wWA5hy3I
こういうシリアスな小説も結構好きなんでオレ的にGJです。
中編、後編も楽しみにしてまつ。
527名無しさん@ピンキー:03/09/11 14:32 ID:KHc8ShZl
。・゚・(ノД`)・゚・。
泣けた。文章ウマーですね。GJ!!
528名無しさん@ピンキー:03/09/11 17:07 ID:RlA/5Hpo
シリアスウマー。萌えではないけどこういうのも好きだなぁ。
続きガンガッテください。カルマはほんと泣けるなー
529名無しさん@ピンキー:03/09/11 18:38 ID:CuIafT/m
カルマEDまだ見てないので、ED絡みのSSはやめてくだちい
530名無しさん@ピンキー:03/09/11 18:44 ID:ufcugDaD
>>529
ネタバレが嫌ならエロパロに来るなと(以下略
531名無しさん@ピンキー:03/09/11 18:48 ID:tTKmuri+
乙!
いや〜漏れもその組み合わせでカルマ行ったので(しかも一週目で)
かなり泣けた。
ってかサモ3は物語としてはカルマが真エンドだと思うよ。
・・・え・・・・1と番外編が成立しないって?
532名無しさん@ピンキー:03/09/11 21:05 ID:JMNxEjVs
>>531
俺もだ、兄弟。
抜剣抜きでは難しすぎるばい
「ベル、起きて。もう朝だよ」
「う…ん……?」
眩しい朝日と共に慣れ親しんだ声が聞こえる。
大好きな、声。
ゆっくりと目を開けるとそこには鮮やかな緋色が広がっていた。
「今日は珍しく随分とお寝坊さんなんだね。
何時もは俺がいつまで経っても起きないって責めるのに」
「…そりゃあ私だって寝坊の一つくらいはしますわよ」
視界に飛び込む笑顔に少し頬を膨らませて答える。
昔は絶対にできなかった子供っぽい反応。今だからこそできる。
ベッドから体を起すと同時にそのまま顔を近づけてキスをする。
彼は少し驚いたようだったけれど、そのまま受け入れてくれた。
当たり前の日常。ずっと望んでいた幸せな日々。それが今ここにある。
触れるだけの軽いキスをしてベルフラウはベッドから立ち上がる。
羽織っているものは少し大きめの男物のシャツだけであり、
立ち上がるとシャツの端から伸びる美しい四肢が惜しげもなく晒される。
女性特有の丸みや柔らかさを含むそれは紛れもなく男を知った女のものであり、
その美しく滑らかな曲線は同性でさえ魅了しそうな完璧なバランスを保っている。
真っ白な、まるで陶磁器のような肌理細かな肌には紅い無数の華が散っており、
それは昨晩の情事を思い出させた。
「随分魘されてたみたいだけど、大丈夫?」
自分と同じく白い肌に紅い華を散らした彼が心配そうな表情で覗き込んでくる。
その紅い華がまるで独占印のようにいやらしく主張しているのにベルフラウは満足気に目を細める。
その態度を否定と取ったのか肯定と取ったのかは分からなかったが、
彼はそのまま心配そうに言葉を続けた。
「怖い夢でも見たの?」
眉を下げてちょっと情けないような表情で自分を覗き込んでくる顔。
534さよなら。中編2:03/09/11 22:12 ID:GwUptO0q
温もりが近くて安心する。
その顔を両手でそっと挟み込むとベルフラウは苦笑いで答える。
「なんでもない…なんでもないのよ。大丈夫、だって貴方はここにいるんだもの」
顔に触れた手を髪へと廻し、優しく梳く。
さらさらと擽る様に触れる髪にそっとキスを落とす。
まるで、彼がここにいることを確認するかのように。
髪から手を離すとベルフラウは徐にレックスの手を引き、歩き出す。
驚く彼にとびっきりの笑顔を向ける。
「それより、朝ご飯にしましょ。
今日は久しぶりにデートに行くんだから急いで準備しなくっちゃ」
そう言って今まで見ていた夢の内容を振り払うかのようにベルフラウは寝室を後にした。
洗面台へと向かうと其処には色違いのお揃いの歯ブラシ。
彼は照れくさいから嫌だと言ったのだけれど、ベルフラウが無理を言って同じものを買った。
「まるで夫婦みたいよね?」と言ったら顔を真っ赤にして苦笑いを返された。
着ているシャツは彼の匂い。日常の至る所に彼の気配が感じられてそれが嬉しかった。
同じ食卓で、同じ朝食を取る。意外にも彼が料理上手だと知ったのは一緒に暮らし始めてから。
自分より上手かったのはちょっと癪に障ったけれど、それでも一緒に料理するのは悪くなかった。
幸せな日常。ベルフラウがずっと望んでいたものがそこにはあった。
「ところでさ、どんな夢見てたの?ベルが魘されるなんてよっぽど怖い夢だったんだろ?」
朝食に手をつけながらレックスが問う。その言葉にベルフラウは俯くと、ゆっくりと言葉を吐き出す。
「…うん、まあね」
そこまで言ってベルフラウは口篭る。あまり思い出したくない。恐ろしい夢。
535さよなら。中編3:03/09/11 22:12 ID:GwUptO0q
少し間を置いてから言葉を搾り出す。
「貴方が、いなくなってしまう夢を見たの…」
幸せな日常に相応しくない少し沈んだ声が漏れる。声音に隠し切れない不安が覗いた。
「変よね、貴方はこうして私の側にいるのにそんな夢見るなんて。
でもね、本当に怖かったの。夢の中の貴方は全身血塗れで私に「笑えない」とか言うのよ。
貴方なんて笑うことくらいしか特技がないのにそんなこと言うの。
そうして、貴方は私を置いて消えてしまうの。まるで最初から居なかったかのように。
それが悲しくて、夢の中の私は涙が止まらない…の……」
「ベル…」
言いながら涙が零れたのが分かった。雫が頬を伝ってテーブルへと染みを作る。
「お、おかしいわね。こんなことで涙がでるなんて。あれは夢のはずなのに。
今は、幸せなはずなのに…!」
涙で視界がぼやける。あの人の顔が滲む。
幸せなはずなのにどうして涙が出るんだろう。
こんなに悲しい気持ちになるんだろう。
どちらが現実か分からなくなる。
あの夢が現実で、この幸せな日々が夢なのか。それともこちらが現実なのか。
夢なら覚めないで欲しい。そう思うのにだんだんと景色がモノクロに染まっていく。
優しい夢が終わるかのように。
嫌。嫌だ。もう離れたくない。側にいたい。
「先生っ…!」
気持ちが爆発して手を伸ばす。けれどそれは空を切る。
「え…?」
消える温もり。浮かぶ涙。それはあの夢と全く同じ――。
「嫌あぁぁああ!」
536さよなら。中編4:03/09/11 22:13 ID:GwUptO0q
「ベルフラウ、しっかりなさい!」
強い声が自分を呼ぶ。
その声に意識が覚醒していく。夢を、見ていたのだと気付くのに少し時間を要した。
幸せな日々。それは全部幻だった。お揃いの歯ブラシなんてどこにもない。
あるのは、残酷な現実と目の前にいる馴染みの海賊の顔と無力な子供でしかない自分だけ。
そこに、彼の姿はない。たったどれだけのことなのにどうしようもない絶望が身を襲う。
「…また、あの日の夢でも見たの?」
自分を気遣う優しい声。けど、それは望んだものじゃない。
もう聞くことはできない声を思い出してまた泣きそうになった。
どうして彼はここにいないんだろう。
そこにあったはずであろう幸せな未来を夢見る度そんなことを思った。
「あの日」のことは今でも忘れていない。
目を閉じれば鮮明に思い出すことができる。

「せん、せぇ…!」
綺麗な顔を涙で汚しながらベルフラウはもうそこにはいない人物の名を呼んだ。
消えてしまった大好きだった人の名を。
その声に答える者はなく、嗚咽だけが紅く染まった遺跡に響いた。
「涙を拭いて顔を上げなさい、ベルフラウ」
突然声を掛けられてベルフラウは驚きに目を見開き、顔を上げる。
自分の隣に立つその人物に驚き、思わず名を呼ぶ。
「メイメイ、さん…」
床を染める血に似た色の衣装を靡かせながら彼女はそこに悠然と立ち尽くしていた。
そしてベルフラウの顔を見下ろしながら言葉を吐き出す。
「貴女が、決めなさい」
「―…何、言ってますの…?」
メイメイの言葉の意図が分からずべルフラウは問い返す。
537さよなら。中編5:03/09/11 22:14 ID:GwUptO0q
ベルフラウの揺れる声にもメイメイの厳しい表情は変わらない。
硬質な響きを持つ声が遺跡に響く。
「貴女が、自分で決めなさい。選べる道は二つあるわ。
一つはここでのことを全て忘れてこの島を去ること。
そうすればこの島に来る前の平和な生活に戻ることができる。
これが、一番賢いやり方だわ」
「馬鹿、言わないでよ…」
メイメイの言葉を遮るようにベルフラウが口を開く。
その声は低く、けれど確かな激情を含んでいた。
「忘れられるわけないじゃない、あの人のこと!だって、好きだったのよ…ずっと…ずっと…。
簡単に忘れられるような想いならこんなにみっともなく泣いて縋ったりしないわよ!
諦めたくないの…忘れたくなんかないのよぉ…」
忘れたくなんかない。諦めたくなんかない。
だって彼は確かにここにいた。触れた唇は温かくて優しかった。
けど、どんなに願っても彼を助ける方法なんて思いつかなかったから。
その事実と無力感にまた涙が流れた。
そんなベルフラウを見下ろすメイメイの瞳はそれでも厳しさをもったままだ。
その口から出るのは無機物のような声。
「もし、彼が貴女に忘れられることを望んだとしても…?」
「…そんな勝手な言い分、納得できるわけないでしょ…。
忘れてあげたりなんかしないわよ…。
例えあの人がそれを望んだとしても、私は絶対に忘れたりなんかしない。
諦めたりなんかしない…!」
ベルフラウは涙を拭うと立ち上がる。
助ける方法なんて本当は分からない。
もしかしたらどうしようもないかもしれない。
けど、今助ける方法がないなら探すか作るかすればいい。
最後まで諦めない。それが、あの人が教えてくれたことだから。
538さよなら。中編6:03/09/11 22:14 ID:GwUptO0q
「彼は、死んでなんかいないわよ」
「!」
突然のメイメイの言葉にベルフラウは動きを止める。
そんなベルフラウにメイメイは微笑みを向ける。
「剣の力を使いすぎて今は体がその負荷に耐えられなくなって
一時的にその存在を保てなくなっただけであって彼は消滅してなんかいないわ。
今の彼の体はもう「人」ではなく「剣」や核識に近いものになってるでしょうから。
今もきっと、この島のどこかで力を蓄えてる。
剣がある限りはこの島から離れることも死ぬこともできないだろうから」
メイメイはベルフラウを見据える。強い、その瞳。
その力強さはどこかあの人を思い出させる。
「きっと、貴女が選ぶ道は長く辛いものになるわ。それでも構わないの?」
「構うもんですか!
どんなに時間がかかったって絶対にあの人を見つけ出してお説教してやるんだから。
私を泣かせた責任、取ってもらわなくちゃ」
そう言ったベルフラウの目にもう涙はなかった。
可能性はゼロじゃない。
ほんの少しの可能性に自分の人生をチップにして全てを懸ける覚悟をもう決めたから。
この恋を、簡単に終わらせたりなんかしない。
絶望や不安を希望に変えて、ベルフラウは一歩を踏み出す。
もし、あの人が闇に捕らわれいるならその足元を照らす一筋の光になれればいい。
不安や絶望に怯えているなら大丈夫って言って抱きしめてあげればいい。
そして、とびきりの笑顔で言うのだ。
「おかえり」と。
沢山の思い出と一つの決意を胸にベルフラウは遺跡を後にした。
そこには不敵な笑みがあった。涙はもうない。
539さよなら。中編7:03/09/11 22:15 ID:GwUptO0q
それから幾つも季節は巡った。
低かった背は伸び、体は女性らしい丸みを帯び、表情にも色気を感じさせる。
ベルフラウの体はもういなくなってしまった彼に釣り合う位に成長していた。
それはあの幸せな夢の中に生きる姿、そのものであった。
メイメイの言葉を信じてベルフラウはあの日から毎日島中を駆け回った。
島は思っていたより全然広くて、長い年月をかけても調べ尽くせそうになかった。
メイメイは言った。
「もしかしたら例え彼に会えたとしても、それは以前の彼ではないのかもしれないのよ?」
その言葉に恐怖がないといったら嘘になる。
それでも伝えなければならない言葉があったから。諦めるわけにはいかなかった。
毎日クタクタになるまで歩き回った。
ぐっすりと夢を見る間もないくらい深い眠りにつければあの人の夢を見なくてすんだから。
それでも、寂しさに耐えられなくなって心が壊れそうな夜は彼の使っていたベッドで眠った。
彼の匂いがして安心した。
結局、海賊達は島に残った。船の中の彼の部屋は手を加えられずにそのまま残してあった。
いつでも、彼が帰ってこれるように。
内緒で、彼が使っていた机を開けてみた。
沢山の物の中で彼の日記を見つけた。
男にしては丁寧な文字で書かれたそれには自分の名前が沢山載っていた。
言葉の一つ一つを聞き逃さず、きちんと聞いていてくれたのだと知る。
日記の間には授業で出した課題や作文が挟まれていた。
解読困難なお世辞にも綺麗とは言えぬ文字の答案は全部赤で添削してあり、大切に保管されていた。
あの人がどれだけ生徒を大事に思っていたか、初めて知る。
その中で、彼の肖像が書かれた紙を見つける。
自分でもいつ書いたか覚えてないくらい適当に書いたそれを、
彼はまるで宝物のように大切にしていたのだ。
540さよなら。中編8:03/09/11 22:16 ID:GwUptO0q
どうして、もっとちゃんと書いてあげなかったんだろう。
もっと色んなことをしてあげたかった。
もっともっと色んなことを語り合えたはずなのに。
後悔だけが押し寄せて胸が締め付けられる。
彼がここに存在していたことを証明する物は沢山あるのに。
確かに側に居たのに。
それなのにどうしてだろう。
あの人の顔を思い出そうとしても思い出せない。
あんなに側にいたのに。あんなに好きだったのに。
顔も声も仕草も、何一つ思い出せない。
誰か、あの人の顔を思い出させてください…。
あの日から日付が止まったままの日記帳を抱きしめながらベルフラウは声を押し殺して泣いた。

夏の、日差しが強い日だった。
強烈な日差しを剥き出しの岩肌が反射して、視界に強い刺激を与える。
滲み出る汗に髪が張り付いて気持ちが悪い。
もう、その日もどれだけ歩いたか分からなくなっていた。
擦り傷だらけの足はもう上げるのすら困難だったし、呼吸も苦しかった。
けれど、諦めるわけにはいかなかったから。
ベルフラウは足を進めることを止めなかった。
「そろそろ疲れちゃったかしら?オニビ」
そう言って自分の側に歩くパートナーを抱き上げる。
弟分である彼の体にもまた細かい傷が沢山あった。
あの日から。
大好きだった人が消えてしまったあの日からベルフラウは島中を歩き回っていた。
あれから随分と時は経ち、島で探していない場所も残り少なくなっていた。
541さよなら。中編9:03/09/11 22:16 ID:GwUptO0q
人が踏み入れるべきではない場所にまで危険を冒して入った。
少しでも、手掛かりを見つけたかったから。
その度に傷を作ったけど、気にならなかった。
あの日、心に受けた傷の方がずっと痛かったから。
誰もがもう諦めていた。
メイメイの言葉が真実だという保障はどこにもない。
希望が絶望に変わるのには十分すぎるほどの時間が流れていた。
それでもベルフラウだけは諦めなかった。諦めきれなかった。
「ごめんなさいね、つき合わせちゃって…」
「ビビー?」
抱きしめたオニビが控えめに声を上げた。
その姿は美しく成長したベルフラウとは違い、あの日から全く変わっていない。
「貴方も、先生に会いたい?」
細く白い指でオニビを撫でる。その指にも幾らか傷が見てとれる。
「ねえ、先生のこと覚えてる?」
日の当たらない岩陰に腰掛け、ベルフラウはオニビを撫でながら話し出す。
まるで、お伽話でも話すかのように優しく。
「本当に馬鹿な人よね…。いつだって自分より他人のことばっかり気遣って。
いっつも誰かを庇って傷ついて…。心配するこっちの身にもなってもらいたいわよね、ホント。
しかもこんないい女泣かせちゃって。本当に大馬鹿だわ…」
ベルフラウは知っていた。彼が戦いでついた傷のことを誰にも話さないでいたことを。
誰かを庇って傷を負っても「大丈夫、掠り傷だよ」そう言って平気そうに笑ったから誰もが安心していた。
けれど、本当は違った。平気なはずなんてなかった。
彼の部屋で血に汚れた包帯を見つけて、ベルフラウは初めて気付く。
怒って詰め寄ったらいつもの困ったような笑みで「誰にも言わないで」と返された。
542さよなら。中編10:03/09/11 22:17 ID:GwUptO0q
今なら分かる。滲む血をその血と同じ色の服で隠していたのと同じように、
心の傷を笑顔でひたすら隠していたあの人の弱さが。
どうして気付かなかったんだろう。
決して口にすることはなかったあの人の痛みに。
言葉にできなかった寂しさに。
独りきりで眠れぬ夜にそんなことを何回も悔いた。
「でもね…好きだったの……」
言葉共に涙が零れた。けれど、その涙を拭ってくれる人はもういない。
水道の蛇口のように止め処なく流れる涙がオニビの体に落ちる。
「本当に馬鹿な人だったけど…それでも好きだったの……。
どうしようもないくらい好きだったの…!」
いつ好きになったかなんて分からなかった。
気が付けば好きで好きで仕方なくなっていた。
手を繋いだら優しい素直に気持ちになれて、
初めてキスされた時は嬉しくて心臓が止まりそうになった。
大好きだった。離れたくなんてなかった。ずっと側にいたかった。
でも――。
「こんな想いするくらいだったら出逢わなければ良かった…!
嫌いになって忘れられれば良かった…!」
嫌いになれたら。忘れられたら楽になれたのに。
出逢わなければ寂しさに泣くことも、恋を知ることもなかったのに。
叶わぬ夢に想いを馳せることもなかったのに。
でも本当は分かってた。
出逢わなければきっと自分は永遠に寂しさを認めることのできない
哀しい人間にしかなれなかったことを。
誰かに縋って泣くこともできない寂しい大人になっていたことを。
出逢った事を後悔する以上に与えてもらった喜びは大きかったのだ。
543さよなら。中編11:03/09/11 22:18 ID:GwUptO0q
「…ごめんなさい、泣いてばかりじゃダメよね。
さあ、行きましょ。まだまだ先は長いんだから」
涙を手の甲で拭うとベルフラウは立ち上がる。そしてしっかりとした足取りで歩き出す。
ベルフラウを急かすかのようにオニビが前を走る。
そのオニビの後を追うかのようにベルフラウの足も速くなる。
いつもは後ろからついてきているオニビが今日に限って前を走るのは不思議だと思ったが、
先ほどの話で彼もまたあの人に会いたくなったのだろうと深く考えずにいた。
オニビの走るスピードはだんだんと速くなり、
ベルフラウも歩いているだけでは追いつかなくなる。
「ま、待って、オニビ!」
ベルフラウが声をかけても振り返ろうともしない。
全く疲労など感じていないかのような速さで先を行くオニビを追いかけ続けると、
気が付けばそこはゴツゴツした岩場ではなくしっとりとした植物が多い茂る密林だった。
今まで一度も見たことのない植物が何かを守るかのように四方八方に広がっていた。
まだ太陽は沈んでいないはずなのに陽は差し込まない。
様々な色を放つ蛍にも似た光が舞うその森はどこかこの世のものではない雰囲気を醸し出していた。
未知との遭遇に本来なら恐怖で足が竦むはずなのに、何故か気持ちは安らいだ。
この島にこんな場所があったなんて知らなかった。
もしかしたら誰もが知らないのかもしれない。
だって、自分はどうやってここまできたか覚えていない。
異世界を彷彿させるその森をベルフラウはオニビを追って少しずつ進む。
暫くあるいた所に植物に覆われ、まるで隠れるかのように佇む建造物を見つける。
その建物の造り、石の冷たさや硬さにベルフラウは覚えがあった。
封印の遺跡――それとほぼ変わらぬ物がそこに存在していた。
オニビはその中に入っていったらしかった。
544さよなら。中編12:03/09/11 22:18 ID:GwUptO0q
恐る恐る廃棄された遺跡に中に足を踏み入れれば歩く度足元から硬質な高い音が響いた。
そっと冷たい岩壁に触れるとまるで遺跡が呼吸しているかのような錯覚に襲われる。
遺跡の中には森に舞っていた光と同じものが飛び交っており、その光のお陰で視界には困らなかった。
「ビービビー」
「オニビ!」
遺跡の奥で大切なパートナーを発見し、ベルフラウは駆け寄る。
心なしか精気が失われているかのように見えるのはここまでの長い道のりのせいだろうか。
「良かった…心配させないでよ…」
そっと手で触れて、
抱き寄せようとするがオニビはその手をすり抜けると更に奥へと導くように歩を進める。
オニビの向かった方へ目を向ける。
ドクリ、と心臓がなった。
瞳孔が開ききったかと思うくらい目を見開く。
息が止まる。
手が震える。
体が熱くなる。
頭が考えることを放棄して真っ白になる。
あの日から、ずっとモノクロなままの視界に映る鮮やかな緋。
大好きな色。
止まっていた時が動き出す。
高鳴る鼓動。
踏み出す一歩すらスローモーションのように感じる。
「先生っ!」
何年も何年も想い続けた姿をそこに見つけてベルフラウは叫んだ。
また夢を見ているんだろうか。
でも、夢だったらこの足の痛みも疲労も説明できない。
夢なんかじゃない。幻なんかじゃない。
545さよなら。中編13:03/09/11 22:19 ID:GwUptO0q
「先生っ…先、生…レックスッ……!」
気を失ったまま力なく遺跡の奥に眠るその体を抱きしめる。
別れたあの時よりずっと強く強く。
抱きしめた体が温かくて涙が出た。
あの日の温もりと何ら変わりのないそれは彼がここにいる証だった。
「せんせぇ……」
まだ意識を取り戻さない彼の額にそっとキスを落とす。
「―…ぅ、ん………?」
ベルフラウの声と温もりに気付いてか、腕の中で愛しい温もりが目覚めるのを感じた。
ゆっくりと瞼が上げられその隙間から透き通った水晶の様な藍が覗く。
意識が完全に覚醒しきっていないレックスに手を伸ばし、ベルフラウはその頬に触れる。
そうして満面の笑顔を向ける。
あの日から、ずっと作ることのできなかったそれが自然に浮かんだ。
「おかえりなさい」
ずっと言いたかった言葉が優しい音となって唇から零れた。
微笑んだ目の端から溢れる雫は光を受けてまるで雪か宝石のように輝く。
それを拭うかのように少し体温の低い手がベルフラウの頬に触れた。
指先で零れた宝石を拾いながらレックスの口が開く。
ゆっくりと、別れる前と同じ音色が新たな言の葉を生む。
「―…君は、誰…?」
懐かしく優しい声音が吐き出したのは拒絶にも似た、あの日告げられた「さよなら」より残酷な言葉。
ベルフラウは全身が氷のように冷えるのを感じた。
546506:03/09/11 22:22 ID:GwUptO0q
ここまでで。駄文なのに連投みたいな形になってしまって申し訳ない。
何だか中編なくてもいいんじゃ…?という気は凄くしているのですが…。
ダレてるのは自分でもよく分かってるんで。次で完結でようやくエロです。
ダラダラと長くてスミマセン。もう少しだけお付き合い下さい。
ツッコミ所は満載でしょうが言い訳なんかは完結してからしてみたいと思います。
漫画なら1コマで表せる場面を文章に直すと無駄に長くなってしまうので、
やっぱり文章は難しいなぁと思います。
3では何だかメイメイさんが凄くお役立ちキャラになったなぁ(何でもあり)
という感じだったので好き勝手使わせてもらいました。
547名無しさん@ピンキー:03/09/11 22:39 ID:ChA1Orrw
キタキタキトゥワ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!
もう駄目、神降臨のショックで萌え死ぬ。
前編に続いて中編乙彼様です。
さ、先が気になってハァハァハァハァハァハァハァ
548名無しさん@ピンキー:03/09/11 22:58 ID:NpIBzt4J
す、凄ぇ。

それしか言えない…
549名無しさん@ピンキー:03/09/11 23:41 ID:wZCZutUA
今スカアティ書いてみてるけど、

ヤバい。収拾つかなくなってきた。
これエチーまで辿りつくのか、みたいな感じでどうしよう。
脛に傷持つ者同士って萌えませんか?燃えるよね?!とかなんとか。。。頑張ります。
550名無しさん@ピンキー:03/09/12 00:00 ID:SiFx1qAQ
>>506
最早神としか言い様のない作品
素晴らしいです、どうやったらこんなにいいものが書けるんだ・・・

>>549
ガンガレ!投下待ってるぞ
551名無しさん@ピンキー:03/09/12 00:32 ID:OF3IjQSs
真EDはカルマEDな自分にはもう辛抱たまらんとです……。
  _n
 ( l    _、_
  \ \ ( <_,` )
   ヽ___ ̄ ̄  )   GJ!!
     /    /
552名無しさん@ピンキー:03/09/12 00:34 ID:01vArYEB
>>506
レベル高・・・(゚д゚)
なんていうかもうすごいの一言・・・
でもこんなん書かれた後じゃ今書いてる
拙いレク×ベルなんざ投下出来ないよ( ´Д⊂ヽ
553名無しさん@ピンキー:03/09/12 00:37 ID:OF3IjQSs
>>552
そんなことはないかと。投下をキボンヌ。
完成をいつまでも待ってます。
554sage:03/09/12 00:55 ID:095ogxKq
う〜ん、レベル高すぎる。
何者ですか? という感じです^^;
555名無しさん@ピンキー:03/09/12 00:56 ID:095ogxKq
げっ、名前とメル欄間違えた><
556名無しさん@ピンキー:03/09/12 01:40 ID:LsROucyD
>>506
マジ凄いです。完結編が楽しみです。

>>552
自分もです。
しかも、同じ組み合わせでカルマEDのやつなんで・・・。

以前、書いてたファリエルの話でも書き直すとするか・・・。
557名無しさん@ピンキー:03/09/12 01:46 ID:G8q01MkZ
>>556
気にせずそっちも投下を希望。
もちろん、ファリエルのも希望です。
558名無しさん@ピンキー:03/09/12 01:58 ID:Ppwf4BeW
>506
レベル高・・・・!!!!!
すっごいです・・・
続き楽しみにしてます
559名無しさん@ピンキー:03/09/12 03:00 ID:6HenoAyo
>>506
スゲエ・・・GJですた。
完結編も楽しみに待ってます。

>>552,556
気にせず投下プリーズ。
それにしても、意外とレクベルの組み合わせは多いんだね。
レックス絡みはレクアズが殆どかと思ってたけど。
560名無しさん@ピンキー:03/09/12 03:17 ID:jlI9mOPc
暫く来ないうちに神が降臨されておられる…!
レクベルでカルマ目指してプレイしたくなってきた…。
561名無しさん@ピンキー:03/09/12 04:16 ID:rdNQbtfv
アティとミスミの絡みが読みたいのですが。
あの後どうやって帰ったかは覚えていなかった。
ただ覚えているのは彼が握っていた魔剣が何故か粉々に砕けていたことだけ。
頭が真っ白になって何も考えられなくなった。
気が付けばあの人も自分も海賊船に帰ってきていた。
何回も流したはずの涙さえ出なかった。
姿も声も温もりも以前と何ら変わりはない。
けれど確かに感じる違和感。
ただ、思い出を失くしただけなのに。
なのに、目の前にいる大好きな人が全く別の人間に見えるのはどうしてだろう。
「カイルさんたちは優しいね」
以前自分が使っていたベッドに横になりながら
レックスは側で黙って俯いているベルフラウに話しかける。
その声は前と変わらない。
けど、以前の彼なら絶対に「カイルさん」とは呼ばなかったはずだ。
それだけなのに、こんなに側にいるのに近くにいない気がしてくるのはどうしてだろう。
「昔もこうして優しくしてもらったのかな…?」
「―……」
以前だったらそこにあるはずの苦笑いは今はない。
彼はもう笑わない。
その事実が胸を締め付ける。
何か話して安心させてあげたいのに言葉が思い浮かばなかった。
彼が記憶を失っていることはすぐに分かった。
しかも最近の、この島にきてからのものだけ。
昔のことやこの世界の事は覚えているのに、
最近のことだけが記憶からすっぽりと抜け落ちていた。
どうせ失うのなら全て失ってもらいたかった。
そんな残酷なことすら思った。
563さよなら。後編2:03/09/12 06:44 ID:gvdyLUYL
好きな人に忘れ去られる辛さと切なさ。そして哀しみ。
目の前に彼がいても寂しさで心が壊れそうになった。
「…ごめんね。君のことだけでも思い出してあげられれば良かったんだけど…。
こんな都合のいい記憶喪失なんて信じられないよね…」
記憶がなくて一番不安なのは自分のくせに。
それなのにこの人は他人のことばかり気に掛ける。
そんな所は昔と変わらない。
「君はね、どこか俺の友達に似てるんだ。アズリアっていうんだけどね、同じ学校の―」
レックスの言葉は最後まで告げられず途中で消えた。
その唇を強引に塞がれたから。
その言葉の先が聞きたくなくて我武者羅に唇を押し付けた。
―「アズリア」。
その名前が彼の口から飛び出した時今まで抑えていたものが一気に溢れ出した。
他の女の名前なんて聞きたくない。
それはどこか嫉妬に似た感情だったのかもしれない。
自分の胸の激情の正体も知らずにベルフラウは無理矢理唇を割り、舌を絡ませた。
腕を自らの手で押さえ込み、体の上に馬乗り相手の自由を奪う。
いきなりのことに戸惑い反射的に逃げをうつ舌を追いかけ、口腔を蹂躙する。
「……ふぅ…んく……」
「…っんんぅ……」
混ざり合う熱い吐息。直に感じる体温。鼻腔を擽る相手の匂い。
その全てが興奮に繋がる。
全てが欲しくなる。
全部独占したい。
「……ぁ…ベルフラウ…?」
長い間自分の口腔を犯していた舌と唇から解放されたレックスは
恍惚の表情を浮べながらどこか艶のある声で名前を呼ぶ。
その声に、瞳に、体が疼く。熱く、潤むように。
564さよなら。後編3:03/09/12 06:44 ID:gvdyLUYL
「貴方の口から…他の女の名前なんて聞きたくない…!」
自分の胸に湧き上がる強く激しい想いが言葉となって零れた。
「どうしてっ…私のこと覚えてないのよぉ…!
笑ってよ…笑って、私の名前を呼んでよ…!」
ずっと堪えていたベルフラウの切なさが声になる。
誰かに止めてもらいのに止まらない衝動。
制御不可能な気持ちが溢れ出した。
「…ずっと、貴方が好きだったの……。
今でも貴方が好き…好き、です……」
「ベルフラウ…」
腕を握るベルフラウの白い手が微かに震えていた。
何でもいいから言葉を返してあげたいのに
何一つ返す言葉を思いつかない自分が歯痒かった。
ベルフラウは俯いたまま言葉を続けた。
「…ごめんなさい…本当は分かってるの。こんな事言ったって貴方には迷惑でしかないって。
けど、私の気持ち知っていてもらいたかったから…」
「―……」
俯いたままだったのでベルフラウの表情は窺い知ることはできない。
けど、泣いているような気がしたからそっと頬に手を伸ばした。
ベルフラウは自分の頬に触れた手にそっと自分の手を添える。
そうしてその手に愛しげに愛撫しながらそのままレックスの首筋へと腕を伸ばす。
露になっている月明かりに照らされて淡く光を放つ白い首筋を指で撫でれば
自分の体の下で彼の体がほんの少しだけ震えたのが分かった。
「体、触ってみてもいい?」
「…いいよ」
首筋を触れていた指が鎖骨を辿って胸へと降りる。
筋肉質なそれは自分のような柔らかさはなく、それが更にベルフラウの興奮を誘った。
565さよなら。後編4:03/09/12 06:45 ID:gvdyLUYL
掌を当てればそこから生を紡ぐ音が聞こえてきて、
彼が確かにここに存在しているのだと確信して安心した。
「…不思議よね。
こうして貴方に触れていると心が、指先が、呼吸してるような気がしてくるの。
呼吸は口でするものなのにね」
その温もりに直に触れてみて初めて気付く。
自分はずっと何年も心が息をしていなかったのだと。
もしかしたら心は胸でも頭でもなく手にあるのかもしれない。
誰かに触れていないと、いつか冷えて息ができなくなってしまうのかもしれない。
そんなことを思いながらベルフラウはレックスの手を握るとそれを自分の胸へと押し当てる。
「ベ、ベル…」
「嫌なら無理強いをするつもりはないけれど、私は貴方に抱かれたいって思ってる。
私の呼吸も、体温も、全てを貴方に感じてもらいたい。
私がここに生きていて貴方の側にいることを感じてもらいたい」
そう言って少し体温の低いレックスの手にキスを落とした。
「貴方の手、好きよ」
例えその手が血で真っ赤に濡れていようとも。
汚れた所も弱い所も全てを愛したかった。
「私のこと、嫌い?こんな自分勝手な女、やっぱり抱きたくなんかない?」
突然のことに言葉を失っているレックスに
ベルフラウは追い討ちをかけるかのように言葉を続けた。
自分でも、ずるいと思った。
こんな言い方されて、彼が拒絶できるはずなんてないのに。
「…そのさ、恋愛感情で好きとか嫌いとか、
そういうのはまだよく分からないけど君のことは嫌いなんかじゃない。
これだけは確かだよ。それに君が自分勝手だとも思わない。
そもそも俺が君のことを覚えてさえいれば君が傷つくこともなったんだし…。
君の想いを傷つけてしまって、ゴメン。君が望むなら、その責任は取りたいと思ってる」
566さよなら。後編5:03/09/12 06:45 ID:gvdyLUYL
少し間をおいてからゆっくりと吐き出される返事。
その言葉だけ聞ければ十分。
レックスの拙い言葉を聞きながらベルフラウは自分の服に手を掛け、それを脱ぎ捨てた。
真っ白なその体は窓から差し込む月明かりと同じ色だ。
闇に映える細くしなやかなその体は息を呑むほど美しい。
「触って?」
レックスを下に組み敷いた体勢のままベルフラウはレックスの手を自らの胸へともってくる。
「その…小さくてごめんなさい…。けど、触れられればちゃんと感じるのよ…?」
頬を羞恥で真っ赤に染め上げながらベルフラウはその体温を求めた。
「…あっ……んあ……あん…」
ゆっくりとたどたどしくも優しく愛撫が始まり、ベルフラウの口から甘い声が上がった。
触れているのがあの人の指であるというだけで自分の中の女の部分が反応しているのが分かった。
「……ん…ぁ…せん、せい…名前、呼んで…?」
快感に溺れながら相手の体温を感じ、ベルフラウは吐息と共に甘えるような声を出した。
「ベルフラウ」
「……っあ…レック、ス……」
「ベルフラウ」
「せん、せ……レ、ックス……んふ…あっ……」
名前なんてそれまでは固体識別の記号でしかないと思っていたのに
その声で呼ばれるだけで何か特別な意味を持ったもののように感じられるのが不思議だった。
呼び合われた名前がまるで何かの呪文のように自分の価値を変える。
その声に、自分をみつめる瞳に、触れる指に。その全てから快楽を得る。
このまま溶け合えればいいのに。そう強く願った。
でも、きっとそんなことはどんなに願ったって無理だから。
だからこんなにも強く求めてしまうのかもしれない。
567さよなら。後編6:03/09/12 06:46 ID:gvdyLUYL
胸を愛撫していた手が脇腹を通って下半身へとのばされる。
その手の動きに体をビクリと震わせながらベルフラウもまた
レックスの下半身へと手を伸ばす。
衣服の上からでもはっきりと分かるくらいに誇張したそれを
剥き出しの状態にするとベルフラウはその白い指でそっと優しく撫でた。
「…先生も、私を見て興奮してたの…?」
男を満足させるには決して魅力的とは言えない自分の体で興奮してくれたのなら
それはベルフラウにとってひどく喜ばしいことだった。
「…っあ……はぁん……」
ベルフラウは自らの指を秘所へと這わせ、濡れそぼったそこを押し開く。
自慰の経験などあまりない彼女は指の挿入ですら恐怖を伴う。
しかし恐怖よりも快楽と相手を求める欲求の方が勝っていた。
この人の全てが欲しい―その欲望が興奮に拍車をかけた。
「…ぅふ……っく…ん……」
潤んだ声を上げながら濡れた場所を指で十分に解すと、
ベルフラウはレックスの勃ちあがっているそれにそこを当て、ゆっくりと腰を下ろしていく。
「……ぅあ…!」
いくら濡れて慣らされていたとはいえ初めて咥えこむ男根の
想像以上の圧迫感と異物感に小さな悲鳴が上がる。
「ベルフラウ…」
「だ、大丈夫よ…心配しないで…っふ……」
心配そうに見上げるレックスに無理矢理笑って答える。
自分から望んだことだ。
どんなに痛みを伴おうとも弱音なんて吐かずに最後までやりとげようと決めた。
最後までやりとげたいと、願った。
568さよなら。後編7:03/09/12 06:48 ID:gvdyLUYL
「…ふぅ……あ…」
少しずつ腰を沈めていくが上がる声は抑えられないし、痛みも治まらない。
けど、そんな状態にもどかしさを感じているのはきっと自分だけではないはずだ。
ならばいっそ――。
ベルフラウは一度目を閉じ、体の力を抜くと一気に腰を下ろした。
「…く、ぁああっ…!!」
高い悲鳴と共に滲んでいた愛液に赤い液体が混じった。
純潔の喪失に堪えきれない涙が溢れた。
「…ぅ……だ、大丈夫だから…本当に……」
レックスが自分に謝罪や労りの言葉をかける前に先手を打って笑って見せた。
正直痛みや圧迫感は酷かったが相手の体温や匂いを感じるだけでそれに耐え、
笑みを見せる余裕さえある自分が不思議だった。
一度深く深呼吸をするとベルフラウは手をレックスの肩へ置き、
痛みを堪えゆっくりと動き始める。
ぐちゅりぐちゅりといやらしい水音が耳に響く。
その音さえも更なる快感を引き出す手助けとなる。
「…はぁ……あん…ああっ…せんせ……感じる…?…私の、こと……?」
自ら腰を振り、快楽を探し当てながらもベルフラウは
下で荒い呼吸を繰り返しているレックスに問う。
彼が快楽を感じていることは表情や時折漏れる声を聞けば分かったが彼の口から聞きたかった。
「…うん、感じるよ…ベルフラウのこと……っ」
「…ぁは……私も、せんせのこと…凄く感じてる……気持ち、いい…っん!」
自分にいいように動いているせいかベルフラウの体を痛みを上回る快感の波が襲う。
頭が痺れるような感覚。体の欲求に素直に獣のように相手を求めた。
まるで今まで感じていたもどかしい距離感を全て埋め尽くすかのように、
揺すって、擦り上げて、快楽を求め合う。
中を擦り上げられるたび、ベルフラウの女の部分が歓喜の悲鳴をあげた。
569さよなら。後編8:03/09/12 06:49 ID:gvdyLUYL
「…っく、ベル…俺、もう……」
「……っは…いいわ…中で、出して……はんっ…ぁ…っ!」
ベルフラウの体が弓なりに反り、一瞬締め付けがきつくなる。
その刺激に促されるかのように中のレックスのものが震え、
ベルフラウの中に熱い迸りを放つ。
「……は、ぁああっ…先生っ…!!」
体が、心が発熱する。言葉にならない想いが熱となって発せられる。
中でレックスの絶頂を迎えた後ベルフラウはゆっくりと腰を浮かすと
中にあったものを引き抜く。
「…んぅ……先、生……」
完全に中のものが引き抜かれるとベルフラウはレックスに抱きつくように
ベッドの上に転がる。
疲労感と彼に抱かれている安心感からか寝転がるとすぐに睡魔が襲い、
それに従うままに目を閉じれば意識はすぐに遠のいた。
落ちいく意識の中自分の髪をそっと撫でてくれる彼の手が感じられて、
もう悪夢は見ないだろうと漠然と思った。

朦朧とした意識の中、誰かの声が聞こえた。
よく耳をすませてみればそれは歌だと気付く。
低くて優しい声が紡ぐ音にベルフラウは目を覚ます。
「あ、ごめん。起しちゃった?」
声の主はベルフラウが起きたのに気付くと、口ずさんでいた音を止める。
「…そんなことないわ。それより、今の歌は…?」
完全に覚醒しきってない意識の中、ベルフラウは問う。
ベルフラウはその歌を知っていた。
その歌は――。
570さよなら。後編9:03/09/12 06:50 ID:gvdyLUYL
「…さっきね、何故か唐突に思い出したんだ。いつどこで覚えたのかは知らないけど、
何となくいい歌だなって思ってつい口ずさんじゃったんだ」
「―…貴方」
ベルフラウは言葉を失くす。
だって、その歌は彼女が昔彼に教えたものだったから。
記憶を失っているはずなのに。
なのに自分との思い出の一部を思い出してくれた。
そのことがどうしようもなく嬉しくて、ベルフラウの顔が綻ぶ。
胸に巣食う不安の中に希望が生まれた気がした。
「あのさ、ベルフラウ」
寝転んだままのベルフラウにレックスが話しかける。
そっと伸ばした手に相手の手が触れて、指が絡み合う。
繋がれた指先から生まれる温もりに安心する。
「…やっぱり俺はね、君のことは思い出せないし上手く笑えない」
「―……」
分かっていたことだけれど、口に出されると矢張り辛い。
ベルフラウの表情が曇る。
「でもね」
ほんの少しだけ声が強くなる。
触れている指先に力がこもる。
「俺は諦めたくないんだ、笑うことも、生きることも。
だから、君に側にいてもらいたい。色んなことを教えてもらいたい。
記憶がないのは正直凄く不安だけれど、
思い出はこれからいくらでも作っていけると思うんだ。
今はまだ笑えないけど、これからまた笑えるよう努力するから…。
昔みたいに君の名前を笑って呼べるよう、頑張るから。だから…」
571さよなら。後編10:03/09/12 06:51 ID:gvdyLUYL
だんだんと小さくなる声音。
そこから彼の弱さを感じてベルフラウは強く手を握り返す。
もうどちらが握ってあげいるのか、分からなくなっていた。
「君に、側にいてもらいたいって思ってる。
昔の俺を好きでいてくれた君にこんなことを言うのは残酷だって分かってる。
もしかしたら俺は不安から逃れる為に俺に好意を寄せてくれている君を
利用して逃げているだけなのかもしれない。けど、俺は俺の中に生まれた感情を信じたい。
大切にしたい。君の想いにきちんと応えられるまで気持ちが育つのを待っていてもらいたい」
ああ、なんだ簡単なことだったんだ。
「好き」ってそれだけ。けど、たぶん一番大切なこと。
今は幼くあやふやな想いでも、いつかきっと形になるから。
理屈はちゃんとついてくるから。
そこから新しい思い出なんていくらでも作れるから。
今は純粋な想いを信じたい。
「馬鹿ね…」
そう言ってベルフラウは唇に触れるだけのキスを落とした。
一度目は突然すぎて目を閉じるのも忘れた。
二度目はただ我武者羅に互いの熱を感じあった。
三度目のキスをして、ベルフラウはレックスに抱きつく。
優しく、全てを包み込むような抱擁。
「そんなこと言って…もう二度と離してなんかあげないんだから。
覚悟してよ?」
抱きしめ返してくる腕の強さが心地良かった。
春の日も、夏の日も、秋の日も、冬の日も。ずっとこの温もりを感じていられればいい。
何年間も口に出来なかった想いを少しずつ伝えて、ゆっくり距離を埋めていけばいい。
この人と一緒ならきっと、寂しさだって素敵な思い出に変えられるから。
572さよなら。後編11:03/09/12 06:51 ID:gvdyLUYL
昔見たあの夢を現実のものに変えることだってできるから。
だからこうしてずっと抱きしめていてね。
息も出来ないくらいにキスをして、星の数より沢山愛の言葉を囁くから。
ずっと側で名前を呼んでいてね。
力強い腕の中でベルフラウは眩暈のするような甘ったるい幸福を味わっていた。

「ご苦労様、よく頑張ったわね…」
メイメイはその腕に力なく眠るオニビを抱きながら子守唄のように優しく囁く。
「私に見えていたのはおぼろげな未来でしかなかった…。
きっと、こうして現実になったのは貴方と、あの子達の想いの力なんでしょうね…」
優しく指で撫でながら言葉を続ける。
「私の見えていた未来にはね、「彼」という人格は存在していなかったのよ…。
彼女の会う彼はもう既に「彼」ではなく「剣」になっているはずだった。
なのにこうして「彼」がここにいるのはきっと誰かが外から手を貸したからなんでしょうね…」
そう言って自分の腕の中眠るオニビを優しく見つめながら
メイメイは腕の中の温もりを強く抱きしめる。

「…貴方なんでしょ、ハイネル?」
アルディラはレックスの眠っていた遺跡の中で呟く。
彼女はその場所を知っていた。
そこは、剣の生まれた場所。
床に散らばった剣の破片を拾い上げ、
その綺麗な手が血で汚れるのも構わずアルディラはそれを握り締めた。
「…こんな姿になってまで…私たちの笑顔を、
彼を守ってくれたんでしょう…?本当に、馬鹿な人……」
アルディラの目に光の粒が浮いた。
普通の人間が剣の侵食に耐えられるはずがなかった。
きっと、彼が最後の力で守ってくれたのだ。
一度完全に取り込まれてしまったあの人をこの世界にまた連れ戻してくれたのだ。
完全に力を失い、遺跡の意志と剣の意志に取り込まれたはずの
彼の精神に再び力を与えることになった原因は分からない。
573さよなら。後編12:03/09/12 06:52 ID:gvdyLUYL
もしかしたら、誰かを想う気持ちや優しい気持ちが引き金になったのかもしれない。
新たな剣の所持者の記憶の中に昔の自分と同じ感情を見つけて、
それに反応したのかもしれない。
真実なんて何一つ分からない。
けれど言おう。
この言葉を。
「でも、貴方を愛していました…マイマスター…」
そう言って粉々になった剣の破片にキスを落とした。
「アルディラ…」
不意に声を掛けられてアルディラは振り返る。
そして心配そうに佇む獣の青年に微笑みを向ける。
「安心して。もうあの時みたいに死にたいなんて言ったりしないから。
だって、マスターは私の心の中に生きてるんですもの。
私が生きてる限りマスターは私の心の中で生き続ける。
だから、簡単に死んだりしないし忘れもしないわ。
それにマスターが命懸けで守ったあの子達を見守ってあげたいの。
マスターもきっと、それを望むだろうから」
そう言って剣の破片を握り締めたまま歩き出す。
「キュウマとファリエルを呼んで。貴方たちに見届けて欲しいの。
私が昔の自分とさよならするのを」
その言葉に強い力を感じた。
大丈夫。もう大丈夫。この世界を愛していける。生きていける。
そんな言葉を何度も繰り返しながらアルディラは遺跡を後にした。
574さよなら。後編13:03/09/12 06:53 ID:gvdyLUYL
「人が人を愛する想いは、いつになっても変わらないものなのかもしれないわね…」
メイメイは優しく瞬く星を見つめながら呟く。
代償は適格者の思い出と一つの命。
引き金は適格者と、そして核識の記憶の中にある強い想い。
同じ形と輝きを持つ者だったからこその同調。
それ故に起こり得た奇跡なのかもしれない。
「王よ…大丈夫です…。貴方の信じたものは、こうして今も生き続けています。
私はこれからも貴方の愛したものたちを見守り続けます」
メイメイは愛の言葉を吐くように言う。そこに安らかな表情を浮かべながら。

「さよなら、マスター…。愛していたわ…」
ハイネルと最後に別れた場所でアルディラは
ヤッファ、ファリエル、キュウマの三人に見つめられながら剣の破片を海へと落とす。
もうきっと、彼にも自分達にも剣は必要ない。
剣がなくても強くなれる、新しい力を見つけたから。
破片が風に乗り流れる。
それは星の光を浴びまるで雪か花火のように輝く。
いつか、二人で行こうと誓った島の外の遠い海へ彼を還す。
捨てるわけじゃない。忘れるわけじゃない。
けれど新しい自分に変わる為に過去の自分と訣別するのだ。
風の中で踊り、キラキラと輝き続けるそれを四人はずっと見つめ続けていた。
575さよなら。後編14:03/09/12 06:54 ID:gvdyLUYL
「先生、見て。綺麗…」
窓から見える光にベルフラウは感嘆の声を上げた。
「流れ星、みたいだね…」
「じゃあ、消える前に三回お願い事をしたら叶ったりするのかしら?」
隣にいる大好きな人に笑顔を向けながら、
ベルフラウは密かにこの幸せが続くことを強く願った。
失ったものもきっと埋めていけるから。
きっとこの人の側でなら弱い自分も愛していける強い自分に変われるから。

だから泣いてばかりいた独りぼっちだったあの頃の自分に、「さよなら」を――。

おわし
576506:03/09/12 06:55 ID:gvdyLUYL
ようやく完結です。ここまでお付き合い有難う御座いました。
もう見てるかは分かりませんが前スレ>>5氏、期待に副えてなかったらスミマセン。
カルマED後の話をハッピーEDにするのは実は凄くハードルが高くて
ない頭を捻ってみた結果
覚醒(一時的に剣と完全同化)→力を使いすぎて一時的に消滅→復活の為力を蓄える(数年)
→体が復活するも一時的にレックスと同化したことによってレックスの感情に
剣の中のハイネルのずっと眠っていた正の感情が同調し目覚める
→剣の意志(負)とハイネルの意志(もしくはレックスの心)の衝突
→内側での力の激しい拮抗に耐えられなくなり剣が砕ける
→剣が砕けた影響でレックスの記憶に障害
という強引な展開にしかならず…。本当はレックスは精神崩壊とか幼児退化
くらいやろうかと思っていたのですが、いざ書いてみたらキモすぎたので却下。
それと実はこれ書いているときは剣は核識封印の為に作られたのだと思っていたので
剣は当然島で作られてその剣を作った施設もあるだろう!と思っていたのですが
実は違ったのですね…_| ̄|〇  まあ遺跡も派閥の始祖達が作ったわけだから
その時一緒に剣も作られたという方向で…(遠い目)。
ご都合主義全開な話で申し訳ないのですが融機人が木になれたりする世界なんだから
これ位可能だろうということで見逃して頂けると幸い。
こんなダラダラした話に感想下さった方、どうも有難う御座いました!

>>552>>556
投下キボン!この二人の話、見たくて仕方ないんで!
577名無しさん@ピンキー:03/09/12 06:59 ID:BdIFytyE
リアルタイムで堪能させて頂きました。
もう、何と言うか、上手く言い表せ無いです_| ̄|○

506氏、お疲れ様ですた。
578名無しさん@ピンキー:03/09/12 07:05 ID:jlI9mOPc
リアルタイムでのたうちまわってしまいました。

ベルフラウが健気で一途で本当に可愛かったです。
更にハイネル×アルディラまで堪能させていただきました。

506様、御疲れ様でした…!
579名無しさん@ピンキー:03/09/12 07:07 ID:ItoN75lL
スゴイのキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゜゚・* !!!!!

GJ!!!
580名無しさん@ピンキー:03/09/12 07:11 ID:Fwb3D2cj
>>506
乙でした。
今回も非常に楽しませてもらいました。
後編、ベルレクもそうだけどアルディラやメイメイさんがいい味出してますな。
カルマEDからハッピーEDに上手く繋げる事の出来る、その手腕に脱帽です。
581名無しさん@ピンキー:03/09/12 10:11 ID:095ogxKq
すごすぎます。
なんか文章も去ることながらキャラクターを愛してないととても書けないなぁ
と思いました。
これからも期待してます。
582名無しさん@ピンキー:03/09/12 12:23 ID:kUsn7S51
すげぇ…
一週目ベルフラウウザーだと思ってたけどもう一度やり直したくなったYO!
583名無しさん@ピンキー:03/09/12 12:35 ID:OF3IjQSs
GJ!
文章も上手くて……
キャラクターを愛してないととても書けないですね、本当に。

このスレではレックスはアティより出番少ないように見えますし、
もっとたくさん×レックス×が読みたいですね。
584タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:39 ID:OF3IjQSs
「ヒヒヒッ……ウィゼルさまほどのお方が、
お一人で何の御用があってこんなところに?」
 ビジュは探るようにウィゼルに問いかけた。
「それは俺も訊きたいところだ。
……砕けた魔剣を探してみれば、このようなところに出くわすとはな……。
おかげで探して回る手間が省けたが……」
 そう言うとウィゼルは、
ビジュの側で横たわるアティとベルフラウの姿に眼をやる。
その表情からは感情は読めなかった。
 再びウィゼルはビジュに視線を戻す。
「まさか、お前があのツェリーヌの一撃を免れていようとはな」
「運が良かったみたいでしてねェ…イヒヒヒッ」
 ビジュがウィゼルの足元に碧の剣帝のカケラを投げる。
「ウィゼルさまもそいつをお探しで?
……だったらそいつはウィゼルさまに差し上げますよ。
それで今は見逃してくれませんかねェ……?」
 ビジュにとって、それはもはや何の価値も無い物だった。
そんな物で目の前の男が退いてくれるというのなら、それだけで充分だった。
 だが、ウィゼルは退かない。そしてハッキリとビジュに命ずる。
585タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:39 ID:OF3IjQSs
「……そこの女と娘も渡してもらう」
 その言葉にビジュは一瞬呆然とした表情を浮べた。
「いくらウィゼルさまの命令でもそいつは聞けねェなァ……ヒヒヒヒヒヒッ」
 元々ウィゼルも自分を殺しかけた無色の派閥の一員。
そんな男の命令などにビジュは応じてやるつもりはなかった。
 ビジュが本性をウィゼルに見せ始めた。
「あのときだって散々帝国の軍人を殺してた手前ェが、まさか今さら、
善人みてェに、こいつらを助けようって言うんじゃねェだろうな?」
「……」
 ウィゼルはビジュの問いに無言で答えた。
「だんまりかよ……。
この女どもを俺がどうしようと、手前ェには関係ないだろうがよッ!?」
 ビジュが不快感をあらわにして叫ぶ。
そんなビジュにウィゼルは再度宣告する。
「おとなしくそこの者たちを渡して立ち去るがいい」
「いやだって言ったらどうするんだよ?」
「……」
 今度のビジュ問いには、
ウィゼルは腰元の剣の柄に手をかけることで答えた。
「……だろうなァ……イヒヒヒッ」
 ビジュはあきらめたように応えると、
身体のいたるところに隠された投具の一つに手をやる。
586タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:41 ID:OF3IjQSs
 自分は目の前の男を相手にできるのだろうか。
 ビジュは瞬時に思考を張り巡らせる。
 ウィゼルはオルドレイクの傍らにいつもいた男だった。
それだけオルドレイクから受ける信頼も厚く、実力もかなりのものなのだろう。
 ビジュにとってウィゼルの実力は未知数だった。
 だが、相手は今は一人。そして武器は剣。
 間合いを取りつつ攻撃を繰り返していけば、
勝機は自分にあるとビジュは考えた。
「ヒヒヒヒッ……後悔させてやるぜェ」
「ふ……俺に勝てるつもりか?」
 ビジュから戦闘の意志を悟ったのか、ウィゼルから凄まじい闘気が放たれる。
「……っ!?」
 その闘気にビジュは足を一歩後ろに下げそうになるが、グッと堪えた。
その闘気だけでもウィゼルの相当な実力が、ビジュに伝わってくる。
「お前のような男が俺を相手にできると思うておるのか?」
「く……ッ!なめやがって……くたばりなァ!!」
 纏わりつく相手の闘気を振り払うかのように、
ビジュは大きく叫ぶと、身体を動かし、攻撃を仕掛けた。
 放たれたジョーカースローが的確にウィゼルの急所を狙う。
だが、ウィゼルはそれを紙一重のところで回避すると、
一瞬でビジュの懐まで踏み込み、腰の剣を横に抜き放った。
「ちっ!?」
 ウィゼルの素早さと繰り出される、そのあまりにも速い攻撃に、
ビジュは一瞬驚愕の表情をつくる。
しかし、ビジュもまたその一撃をすんでのところで避けてみせた。
587タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:42 ID:OF3IjQSs
 切っ先がビジュの目の前に突きつけられていた。
突きつけられたウィゼルの剣は、
鬼妖界シルターンのサムライが用いるカタナだった。
 それは切り裂くことを目的とした、極めて鋭い刃を持つ武器。
回避できなければ命は無かったかもしれない。
 ウィゼルの刃が美しくも妖しく光る。
「ほう……」
 必殺の一撃を避けて見せた、
そのビジュの俊敏さにウィゼルは意外そうな顔をして感心する。
 お互いの脚の素早さと動きの俊敏さをビジュとウィゼルは、
この最初の両者の一撃で理解し合った。
 ―-それはほぼ互角。
「少しはできるようだな……。だが、お前は俺に勝てぬ」
 次はウィゼルから攻撃を仕掛けてきた。次々と斬撃が繰り出される。
だが、ビジュもその一撃一撃を俊敏に次々と巧みにかわす。
「なめるんじゃねェ!!」
 ウィゼルの攻撃をしのぎつつ、ビジュもまた投具を相手に放ち続けた。
しかし、お互いの素早さが同じである以上、
ビジュはウィゼルとの間合いを十分に取ることができないでいた。
 後退しつつ攻撃するビジュとそれに向かって
踏み込みつつ攻撃していくウィゼル。
 ウィゼルの重い一撃とビジュの細かな攻撃が交錯し合う。
588タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:43 ID:OF3IjQSs
 しかし、回避できなければ致命的な一撃であっても、
それを当てることができないウィゼルに対して、
深い傷を与えられないではいるが、
ひたすらに攻めたてるビジュの投具による攻撃は、
確実にウィゼルの身体に細かな傷を残していった。
 ビジュは戦闘において飛び交う矢や、銃弾を
完全に見切ることができる眼を持っていることに対して、
ウィゼルにはそれがなかった。
 そこにこのような戦闘の差が生まれていたのだ。
 次々と迫る投具の刃を見切ることは、
さすがのウィゼルにも困難を極めていた。
 いける!
 ――-そうビジュが確信したときだった。
「大した動きだ。だが、そのような玩具で俺を止められると思うておるのか?」
 ウィゼルが冷たい声でビジュに言い放った。
自分の確信を覆すようなウィゼルの一言に、ビジュは動揺が走った。
「何を言ってやがるッ!?」
 攻撃をしながらビジュは後退を続けた。
 またウィゼルが踏み込んでくる、そうビジュは予測した。
ビジュは次のウィゼルの一撃を読む。
 しかし、ウィゼルがビジュに踏み込んでくることはなかった。
その動きは止まり、剣も鞘に収められ、ウィゼルは奇妙な構えをしてみせる。
「……っ!?」
 ウィゼルのとる不可解な行動とその余裕がビジュには理解できなかった。
 やっとウィゼルとの間合いがとれたというのに、
ビジュは自分に迫る危機感を拭えない。
「な、何のつもりだ……?」
589タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:44 ID:OF3IjQSs
「見せてやろう……イスラの小僧さえも退けた、我が居合いの技を……」
 居合い――。
 ウィゼルの言葉の中にあった、
その一つの単語に、ビジュはハッとした表情をつくる。
 このウィゼルがとった行動も、
あの構えも次の絶対的な一撃の予備動作なのかもしれないということに、
ビジュは気づいたのだった。
 帝国軍にいた頃にビジュは聞いたことがあった。
 居合いとは、鬼妖界シルターンの剣士、サムライが用いる特殊な剣法。
特殊な構えと精神の集中によって、刃に己の意を走らせて放つ一撃。
達人ともなれば、硬度や距離さえも無視して、
目標を切断してのけるというほどの技だ。
 その話が本当であるならば、
今やっとできた自分と相手とのこの間合いさえも、
まったく無意味なものであることをビジュは悟った。
 まさか、この男がその居合いの使い手だとでもいうのか――。
「さらばだ……」
 ――全ての答えが次の瞬間にビジュに示された。
 抜く手も見せずに、ウィゼルの刃が一閃した。
凄まじい剣風が巻き起こり、
その一閃は光と共に前方のビジュを切り裂いたのだった。
「がッああああァァッ!!」
 ビジュの口から苦痛の悲鳴が上がった。その叫びが暁の丘に響き渡る。
「言ったであろう……お前は俺に勝てぬ、と」
 薄れていく意識の中でビジュはそんな冷たいウィゼルの言葉が聞こえた。
590タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:45 ID:OF3IjQSs
 この島に着てからというもの、
ビジュは記憶の底に閉じ込めていたものを次々と思い出していった。
 ――忘れ去ろうとした、あの日々を。
 それがビジュの心を掻き乱していた。
 きっかけはあの船の中でアティと出会ったことだったかもしれない。
 しかし、ツェリーヌの召喚術に死に掛けたとき、
またはベルフラウとアティの二人を眺めていたとき、
あるいはもっとさまざまな場面でも、何かがビジュの記憶の底に触れてきた。
 そして今また、ウィゼルの一撃で意識を失いかける中、
忘れ去った記憶にビジュは還っていた。
 ――あの運命の日に。
591タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:46 ID:OF3IjQSs
 目の前で仲間が倒れている。
 その親友である剣士は男の手から、
握られた愛用だった銃を取ると、胸元で手を組んでやる。
「これで俺たちの部隊は三人だけになってしまったな……」
 男は後ろにたつビジュと仲間の召喚兵に声を掛けた。
「あァ……」
 ビジュがうわ言のように呟くと、その言葉に頷く。
 自分がここに残るという決断をしなかったら、目の前で静かに眠る仲間も、
こんなところで倒れることは無かったのかもしれない。
ビジュの心には後悔と罪悪感が過ぎっていた。
「そんな顔するな、ビジュ。あいつは後悔なんかしてないさ……」
 目の前の男はそうビジュを励ますと、自分の剣をビジュに差し出す。
 鬼妖界シルターンのサムライが用いる剣、
カタナのような柄を持った、珍しい形の剣だった。
「……何だ、こいつは?」
 ビジュは差し出された剣に困惑を示した。
「お前の剣、もうボロボロだぞ。そんな武器でどうやって戦う?」
 男の言うとおりだった。
ビジュが手に持つ剣は、
もう何人もの敵と斬り合う間に刃が折れ、元の形を留めてはいなかった。
 だが、そんなビジュの剣とは対照的に、男の剣は何度戦いを経ても、
幾人もの敵を斬り倒そうとも、刃毀れ一つしてはいなかった。
592タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:47 ID:OF3IjQSs
「こいつを使え。安物の剣とは違うぞ」
 ビジュは知っていた。
目の前の剣士は代々帝国の軍人を輩出している家系であり、
この剣もまた代々受け継がれていく、家宝のような物だということを。
 酒の場だったが、自分が剣を受け継いだということを嬉しそうに漏らした、
目の前の男をビジュは鮮明に覚えていた。
 この剣が、どこであったか有名な海上都市で
特別に造られた物だという話も聞いていた。
 そんな仲間の大事なものだからこそ、
さすがのビジュも遠慮をして、その剣を持とうと手が出せない。
「いいのかよ……大切な物なんだろ?」
「気にするな、ビジュ。仲間一人の命より大切なものなんてない」
 男が言う、その仲間一人の命は、
自分の命を指していることをビジュは理解していた。
 投具も尽き、剣は折れ、その上ビジュには召喚術の心得すらなかった。
 確かにこのままでは自分の身を守ることすらできない。
 ビジュは男の心遣いに感謝しつつ、その剣を手にした。
「すまねえ……しばらく貸してもらうぜ。
……だけど、手前はどうやって戦うんだよ?」
「俺にはこいつがある」
 そう言って男は、よく使い古された銃を手にするとビジュに応えてみせる。倒れた仲間の遺品だった。
「もうしばらく、こいつにも一緒に戦ってもらうさ」
 男はそう言って最後にもう一度だけ、
倒れた仲間を目にすると二度と振り返ることはなかった。
 ビジュもそれを黙って見つめていた。
593タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:50 ID:OF3IjQSs
「ゲレレ!ゲレーッ!」
 突然の上空からの奇妙な鳴き声にビジュたちは我に返った。
仲間が偵察に召喚していたサプレスの精霊、タケシーの鳴き声だった。
「敵が来るぞ!」
 召喚兵の鋭いささやき。
 偵察により、自分達の前方には大きな敵部隊があることは察知していたが、
敵兵がいつの間にか背後まで回っていたことまでは、
さすがのビジュたちも気がつけなかった。
 前へ逃げることができない以上、
後方からやってくるこの敵兵たちを退くしかない。
「見張りのつもりが見張られていたみたいだな……!」
 召喚兵が皮肉交じりに言いながら、召喚術を唱える準備に入った。
「三人だけだとっ!?……囮か……?」
 やってきた敵兵の中から驚きの声が上がる。
 だが、ビジュたちは自分たちが、
囮のような使い捨ての駒ではないということを信じていた。
「俺たちは囮などではない!」
 だからこそ、仲間たちからも、そう否定の声が上がるのだ。 
 それが帝国軍のある一部隊、その最後の戦いの始まりだった。
594タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:50 ID:OF3IjQSs
「何とかやりすごしたみたいだな……」
 ビジュがあたりを見渡すと背後を振り返って言った。
 たった三人という人数を相手に手間取り、そして、
そんな囮かもしれない者たちを相手に時間を掛けることが、
敵の兵たちの戦いに焦りを招いたのだった。
運良く、敵兵たちの個々の実力が低く、数も少ないこともあったが、
そこをビジュたちは上手く切り崩していった。
 だが状況は変わらない。
「本隊はまだなのか……」
 悲劇が起こったのは、その直後だった。
「ビジュッ!」
 不意に仲間の召喚兵の叫びが飛んだ。
同時にビジュの背中に何かがぶつかってくる。
 突き飛ばされた格好のビジュは一歩前によろめき、
体勢を立て直して背後を振り返る。
「お、おいっ!?」
 召喚兵の軍服の胸元が赤く染まり、その輪が急速に広がっていく。
「大丈夫……だ――」
 起き上がろうと男はそのまま力を失って地に伏した。
「ゲレレッ!」
 タケシーが悲鳴のような鳴き声を上げて男に飛んでいく。
「くそ!まだいたのか!?」
 仲間の剣士がそう悲痛な声を上げた。
595タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:51 ID:OF3IjQSs
 ビジュは射線から敵の銃使いの位置を探し当てると、
その方向へ疾風のごとく駆けた。
 敵を倒したビジュが戻ってくると、
タケシーが仰向けに倒れた男の上をグルグルと回っていた。
「おい……」
 ビジュの問いにタケシーは悲しい鳴き声を上げるだけだった。
サプレスの精霊であるタケシーには人の魂の輝きが見える。
しかし、今このタケシーに見えるのものは、
急速に失われていく自分の主の魂の輝きだけだった。
「ゲレッ!ゲレッ!ゲレーッ!」
「は、ははっ……このままじゃ、おまえ、
……はぐれになっちまうかもしれなよ、な――」
 男はそう口にすると、自分を悲しげに見つめる召喚獣のために
送還術を唱え始めた。その詠唱は苦しさからか、途切れ途切れなものだった。
普段は数秒かからない詠唱が、長く長く唱えられる。
「今まで、あり、がとよ……」
「ゲレレ……」
 召喚士は、長い間自分に仕えてくれた召喚獣に最後にそんな別れを告げた。
 男の手に握られた、紫色のサモナイト石にタケシーは帰っていった。
 だが、男は握る手の力が入らないのか、
そのサモナイト石を緩んだ手からこぼれ落とす。
 ―-―しかしビジュの掌がその落下を防いだ。
「おっと!……大事なもんなんだろ?しっかり握ってろよ」
「へ、へへ……すまん――。
ちょっとの間……持ってて、くれよ。……無くすなよ?」
 ビジュが黙って頷く。
 重苦しい沈黙が流れた……。
596タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:53 ID:OF3IjQSs
 だがそんな重い沈黙も、前方からくる新たな敵の気配によって破かれた。
 おそらく、あの大きな部隊が動き出したのだろう。
 仲間の剣士がビジュと倒れた仲間を交互に見つめると、
覚悟したように声を上げる。
「ビジュッ!そいつを運んで逃げろ!!」
「な……いきなり何を言ってやがる!?」
 突然、自分に向って逃げろという仲間にビジュは戸惑った。
「行け!そいつはもう戦えない……お前が連れて、避難させるんだ!」
「馬鹿言ってんじゃねえ!手前だって、もう戦えないだろ!
弾もないのにどうやって戦うんだよッ!?」
 男の銃にはもう一発の弾も込められていないことを、
ビジュは気付いていた。
それにビジュも仲間を置いて、この場から逃げ出す気などなかった。
「……本来のやり方で戦うのさ」
 男はそう冷静な口調で言うと、
倒れた敵兵から剣を拾い上げると、それをビジュに構えてみせる。
そんな男の余裕のある仕草がビジュを苛立たせた。
「だが、一人で戦うのは無茶だぜッ!?」
「お前はあのとき、たった一人でも残ろうとした……俺も同じだ。
俺にも守りたいものがある――」
597タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:54 ID:OF3IjQSs
 男がそう口にするとビジュは言葉を無くした。
 目の前の男は自分と同じなのだ。
 仲間を連れて逃げるか、残って敵を食い止めるか、
今はその役回りが違うだけで。
「それに旧王国のやつらに言ってやりたいのさ」
 そう言って男はニヤリと笑った。
それは倒れていった部隊の仲間と親友のことを思ってかもしれない。
「……帝国軍人をなめるなってな」
「俺だって戦っ……」
 ビジュも残って敵を食い止めたかった。
 だが、迫る敵の気配が、選択の議論をしている間もないことを伝えていた。
「そいつを……頼んだぞ」
 男はそう言って、ビジュに背を向けた。
 もう目で姿を確認できるほどに敵は近づいていた。
 そしてビジュに最後の声を掛けた。
「走れッ!!」
 仲間の剣士は敵に向かって駆け出して行った。
二度と振り返ることなく……。
「……ちくしょうがッ!!!!」
 脈が弱々しくなっていく仲間を肩に担ぎ上げ、
ビジュもまた男を振り返ることなく、駆け出した。
598タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:55 ID:OF3IjQSs
「……ビジュ……」
 もうどれくらい走っただろうか。
召喚兵がビジュに背中で弱々しくささやいた。
「俺を……置いていけ――おまえ、まで――」
「馬鹿を言うんじゃねえ!じきに仲間が来る――」
 ビジュの声に男はかすかに微笑んだ。
「そうか……そうだよな」
 ビジュはそんな男の返事に満足そうに笑むと会話を続けた。
「それに、あいつに任されちまったからな。手前のこと」
「へへ……迷惑かけるな――」
 ビジュの首筋にかかっていた息も切れ切れになっていく。
ビジュの背中で男の体が急速に冷たくなっていくのが感じられる。
「お前と残って――俺たち、良かったよ――」
 もうどんな会話していたのか、ビジュにはわからなかった。
最後はそんな言葉で男の声はとぎれた。
「おい、もう少しだ。もう少しだ……」
 ビジュは何度も何度も、そう繰り返し続けた。だが、無駄でしかなかった。
本隊の助けも来ることなく、敵が再びビジュの目の前に現れた頃には、
最後の仲間の一人は帰らぬ人となっていた。
 ――ただの捨てゴマだったんだ!!囮だよ、敵を欺くための!
 戦場を去っていったあの兵士の叫びがビジュの耳に残っていた。
 ビジュの手には紫色のサモナイト石と一本の剣だけが残っていた――。
599タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:57 ID:OF3IjQSs
 夢はそれで終わった。
 倒れていたビジュの意識は急激に覚醒した。
光を失いかけた眼にまた力強さが戻る。
 ウィゼルの居合いを受けて、間もない時間だった。
 だが、ビジュにはとても長い、長い間、夢を見ていたように感じた。
 昔を思い出すと、ビジュは決まって気分が酷く悪くなる。
 後悔、絶望、憤怒、憎悪……。
 そんなあらゆる負の感情が入り混じった、最低の気分だ。
 だが、不思議なことに今のビジュの心は悲しみしかない。
「……ちっ!……何なんだよ」
 ビジュはそう呻くように呟いた。
 もう既に息は無いものと思った相手の口から言葉がこぼれ出した、
その驚きからウィゼルは振り返る。
「……まさか、俺の居合いまでも免れるとはな」
 ビジュはそんなウィゼルの言葉を受けながら、再び立ち上がった。
ウィゼルの居合いの傷は深いが致命的なものではなかった。
 ビジュの胸元の居合いの切り口から一つのサモナイト石が零れ落ちた。
 ――それはサプレスの紫色のサモナイト石だった。
600タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:58 ID:OF3IjQSs
「それがお前の命を守ったか……」
 碧の賢帝、紅の暴君、使い手の意志を体現する魔剣というものは、
その元はサモナイト石と同じである。
ならばサモナイト石もまた、それを持つ者の心の強さで、
その強度が増すことがあったとしてもおかしいことではない。
 だが精錬され、武器となった魔剣と、
ただの鉱石でしかないサモナイト石は決定的に違う。
「俺の居合いを防ぎきるほどの硬度……。
よほどお前の心が強かったのか――」
 あるいは、よほどの思いがその石に詰まっていたのか――。
 ウィゼルは考え深げに、落ちたサモナイト石を見つめていた。
 ビジュは無意識の内に、そのウィゼルの視線の先にある石を拾い上げると、
再び大事そうに胸元にしまった。
そして、そのまま自分がいつも携えていた剣の柄に手をかける。
 その剣はあの日以来、一度も抜いてはいない剣だった。
 ――いや、ビジュには抜けなかったのだ。
 抜こうとすると決まって激しい吐き気がビジュを襲ったのだ。
 ビジュはそんな、役に立たなくなったこの剣を何度も捨てようと思った。
 しかし、ビジュにはそれもできなかった……。
 抜けないのに、いつも側に置いておかないと気がすまないのだ。
601タケシー大好きビジュ:03/09/12 12:59 ID:OF3IjQSs
「何でだろうなァ……」
 今のビジュには何故か、この剣を抜けるような気がしたのだった。
「ふ……面白い。お前は剣も使えるのか」
 そのビジュの行動を再戦の意志ととらえたのか、
ウィゼルは再び己の剣を構えて向かい合う。
「……こいつと一緒なら……」
 呻くようにそう言葉にすると、ビジュは剣を抜き放った。
 一振りの刃が風を切って閃く。
 手入れもろくにされていなかったはずのその剣の刀身は、
あの日と変わらない輝きを見せる。
 ウィゼルはその剣の輝きに眼を奪われた。
「ほう……良い武器だ……」
 だが、ウィゼルにはその輝きの美しさと共に、
その剣は悲しみを湛えていることに気がついた。
 ビジュは切っ先をウィゼルに突きつける。
先ほどまでとは違う、無言のビジュの気迫に、
ウィゼルも闘気を放ち、ビジュに迫る。
「……」
 二人の男は再び刃を交えて対峠した。
 ビジュは自分の傷から、そう長い間戦うことはできないと悟った。
 渾身の一撃で決める――。
 そうビジュは決断したのだった。
602タケシー大好きビジュ:03/09/12 13:01 ID:OF3IjQSs
 ビジュとウィゼルは彼我の距離を測りながらジリジリと互いに回り始めた。
このままの間合いではどちらも攻撃ができない。
もう一歩、いや、半歩踏み込む必要があった。
互いにその機会をうかがっているのである。
 ウィゼルの構えは上段。対してビジュは下段で半身に構えている。
 眼に見えぬ二つの殺気が両者の間でぶつかり合ったせいだというのか、
地面に落ちた木の葉がカサッと小さな音を立てて揺れた。
 刹那、ウィゼルが動いた。同時にビジュも足を滑らせるように踏み込む。
 互いの剣が風を切った。
 横から薙ぎ払われるかと思われたビジュの剣は一瞬翻り、
ウィゼルの頭をめがけて天に駆け抜けた。
 ウィゼルの左からビジュの剣が迫る。
 顔を逸らしながら、ウィゼルは己の剣をビジュの顔めがけて叩き落した。
 上下から刃が交叉した一瞬、ビジュの剣が駆け抜けた宙を鮮血が迸った。
かわしきれなかったウィゼルの左の頬が深く斬られたのだ。
「ぬうっ……!」
 ウィゼルから苦悶の声が上がる。
 だが、膝を折って地面に伏したのはビジュの方であった。
「ぐ……っ」
 ウィゼルの一撃はまたも致命的なものではなかったが、
今度こそビジュの動きを封じるには充分なものだった。
「……いい技量だな。……そして良い武器を持っている」
「……」
 ビジュは睨みながら、そんなウィゼルの言葉を無言で返す。
「惜しむべくは、やはり先の傷か。
今の戦いが最初にできたのであれば、俺の相手もできたかもしれん」
603タケシー大好きビジュ:03/09/12 13:02 ID:OF3IjQSs
 何故、今まで剣を抜かなかった――?
 そうビジュに訊くことを、ウィゼルはしなかった。
 何故なら、ウィゼルには全てを察することができていたからだ。
 聞こえていたのだ。悲しげに鳴く、ビジュが持つ剣の声が――。
「俺の命を奪わなかったのは同情か?
それとも、俺を殺すことで、その大事な武器を汚したくないからか?」
 苦痛を堪えたビジュの問いにウィゼルは答える。
「その両方だ。……今のお前は俺がこの武器で斬るに値しない」
 カタナ鞘に収めると、今度はウィゼルがビジュに問いかけた。
「……それにお前もここで全てが終わってしまいたくはなかろう?」
「なるほどな。わかったぜ……。だが、感謝はしねェ……。
必ず後悔させてやるぞ……」
 ビジュはようやく立ち上がり、振り向いた。
 ウィゼルの頬からは深く抉るような傷が走り、どす黒い血が流れ落ちている。
もう、その傷跡は消えないかもしれない。
だが、それでもウィゼルはビジュに問いかけた。
「お前の名を聞いておこう」
 ウィゼルはようやく自分が、目の前の男の名前を知らないことに気がついた。
 イスラについてまわるだけの小物、ただそれだけ……。
 ウィゼルはビジュをそう見ていたのだ、今までは――。
「……ビジュ」
 ビジュは振り返ることなく答えた。
「ビジュよ、その武器と真に向き合えるようになってみせろ……」
 ウィゼルは真っ直ぐにビジュの背を見つめながら、そんな言葉を投げかけた。
 その言葉に、ビジュは一瞬息を飲むような仕草をする。
 そしてそのままウィゼルを二度と振り返ることもなく、去って行った……。
604タケシー大好きビジュ:03/09/12 13:02 ID:OF3IjQSs
とりあえず、ここまでです。>>489からの続きです。
続きものな上に、妄想炸裂し過ぎなもので、
もうわけわからなくて申し訳ないです。
最初から読ん貰えれば、少しは理解……できませんね(;´Д`)
605初リアルタイムです。:03/09/12 13:09 ID:yoT+iGn3
さよなら 後編とfelys(BGM)とのトリプルパンチで静を根も尽き果てました⊂(。Д。⊂⌒`つ。


感動しました。GJ。 
606名無しさん@ピンキー:03/09/12 13:18 ID:chSqMyKv
ビジュよすぎだよ、なんかカコイイぞ
このまま仲間の分も生き続けないといけないな
更なる活躍を期待!
607名無しさん@ピンキー:03/09/12 13:52 ID:hOVrXLbv
泣きますた…
ビジュもいいが仲間もいい、タケシーもいい、ウィゼルもいい…
ここにきてすっかりビジュ好きになったよ
608名無しさん@ピンキー:03/09/12 15:01 ID:HFSmREDF
GJ!

しかしどこまで往くのかビジュ・・・・?
作者さんの愛を感じました。
609名無しさん@ピンキー:03/09/12 15:31 ID:rO2QgMMJ
GJですた!

いかん、だんだんビジュの過去はオフィシャルでこうだったと
俺の中で誤認してしまいそうだw
610名無しさん@ピンキー:03/09/12 15:37 ID:ZGbMKE4E
>>604
GJ!
おまいさんの名前にはこういう由来があったのね。
つーか鬼畜・純愛・感動・戦闘シーンまでハイレベルで書かれるとは・・・
まさにネ申!ビジュ燃え!
611名無しさん@ピンキー:03/09/12 16:06 ID:OobQrBjA
なんかもうすごい
すごすぎて死ぬ 職人様方GJ

とりあえずダイソー逝ってこよう
612名無しさん@ピンキー:03/09/12 16:06 ID:095ogxKq
なんかビジュがただの悪人じゃないように見えるw
私がビジュを評価していた点は、やられた時の叫び声がチンピラらしくていい
ぐらいでしたが、こういう小説読んでると間違ってるのかも?と錯覚してしまい
そうです^^;
613名無しさん@ピンキー:03/09/12 19:13 ID:oDF580Ul
ビジュ格好良いなぁ…とても本編の小悪党ぶりからは想像できない
それにしてもウィゼルは女二人ほったらかしで帰っちゃったのか…しょうがねぇおっさんだなw
614名無しさん@ピンキー:03/09/12 19:34 ID:TIw6UWEx
激しく遅レスだが
>>506氏GJ!
マジ泣きしそうだったよ。・゚・(ノД`)・゚・。

>>604氏もカコイイビジュGJ!
615名無しさん@ピンキー:03/09/12 20:58 ID:BLYZx7AE
なんでこのスレには神がたくさんいるのだろうか?
616名無しさん@ピンキー:03/09/12 21:24 ID:FPHStxnm
すげえ・・置いていかれたアティとベルフラウのことが気がかりです
617名無しさん@ピンキー:03/09/12 22:18 ID:WiowtYqs
神がたくさん降臨中ですが、時期を見計らわないで投下してみます。




「これで、ラストっ!」
廃坑の中に声が響き、俺の剣がジルコーダの胴を薙いだ。
ジルコーダは切り口から体液をさせてしばらく痙攣していたが、それもやがて動かなくなった。
「クノン、まだ敵はいるかい?」
息を荒げながらクノンに訊いた。剣を握る手にも力が入らない。正直言ってもう限界だ。
「いいえ 敵性 生物 の 反応 は 感知 できません」
無表情でクノンが答える。
体のあちこちに傷を作りジルコーダの体液を浴び、両の手刀を鋭く尖らせた女の子に無表情でいられるとちょっと怖い。
「そうか、もう大丈夫みたいだね。…お疲れ様」
張り詰めていたものが途切れ地面にへたり込んだ。剣を拭って鞘に収める。
「レックス 様」
「おわ!」
気の抜けたところに感情の無い声が突然頭上から降ってきて、一瞬びっくりしてしまった。
「戦闘モード を 解除 しても よろしい でしょうか?」
「え? ああ、いいよ」
「了解 しました。戦闘用 サブシステム を 終了 します。通常 モード に 移行中…」
俺はすることも無くぼんやりとクノンを見上げる。
三十秒ほどクノンはうつろな目でつぶやき続けていたが、彼女の目に急に光が戻った。
「通常モードに移行完了」
そういうとクノンは急に崩れ落ちるようにして倒れた。慌てて抱き起こす。
618617...2/6:03/09/12 22:19 ID:WiowtYqs
クノン! どうしたんだ!?」
「心配要りません。通常モードに移行した際にリミッターを再設定したら、脚部関節の一部が動作不能になっただけです」
「???」
よくわからないが、さっきの戦闘で脚に負担がかかって動けなくなったらしい。
「他に怪我はないの?」
「いいえ、脚部以外の状態は良好です」
「よかった。…クノンが壊れちゃったら、俺、悲しいからさ」
「レックス様…」
不思議そうな顔を浮かべるクノン。彼女が口を開きかけた、その時、
「おおーい、大丈夫かぁ!?」
廃坑の入り口のほうからカイル達の声が聞こえてきた。やっとこさお迎えが来たようだ。
「みんな来てくれたみたいだね。帰ろうか、クノン」
クノンを立たせようとするが、倒れかけて慌てて支える羽目になった。
「ごめんごめん、歩けないんだっけ。じゃあおぶっていくよ」
「え、あ、あの、わあぁ!」
クノンをおんぶして立ち上げる。小柄なクノンの体は…結構重かった。さすがフラーゼンだ。
「しっかりつかまってて。ちゃんとラトリクスの集落まで送ってってあげるから」
クノンの細い腕が首に回され上半身が俺の背に預けられる。
「レックス様…ありがとうございます」
「ん。アルディラの薬の材料は持った?」
「ちゃんと保管してあります。私はそのためにここに来たのですから」
耳元に囁かれる誇らしげなクノンの声。おんぶしてて顔は見えないが、きっと微笑みを浮かべているのだろう。
「よし、しゅっぱーつ!」
一声あげて気合を入れると、ゆっくりと歩き出した。仲間の待つ方へ。
619617...3/6:03/09/12 22:20 ID:WiowtYqs
帰り道はいつも以上に賑やかになった。
何しろ俺とクノン以外は戦闘をほとんどしてないのだ。
ソノラとベルフラウはお喋りを止めることを知らない小鳥のように話し続けた。
いつもと違ってメンバーにクノンがいるので、話題は自然とクノンとアルディラについてに集中した。
クノンも話題を振られたら黙って無視するわけにもいかず、彼女の口数はずいぶん多い。

今まではラトリクスからもほとんど出ず、アルディラ以外の島の住民とも会話を滅多にしなかったこと。
アルディラの世話が仕事の大半だったが、
俺たちが流れ着いてから看護用フラーゼンとしての本来の仕事ができてうれしいこと。
アルディラは、暇なときは『夕時だよ!全員集合』などの記録ディスクを見るのが趣味だということ。

いろんなことを話しながら歩く。気がつくとラトリクス集落の入り口に差し掛かっていた。
「俺、クノンを送ってから行くよ。皆は先に帰ってて」
「え〜、あたしも送ってくよ〜」
「だ〜め、ソノラは今日の夕食当番でしょ?」
スカーレルの指摘にソノラがぷくっと頬を膨らませた。
「ぶーぶー、しかたないなぁ。じゃあ、今夜はせんせーの好きなえびスープにするからね」
「それはお前の好物だろ」
「ちがうよぉ!」
620617...4/6:03/09/12 22:21 ID:WiowtYqs
笑い声とともに仲間たちが去っていく。それを集落の入り口で見送って、
「行こうか、もう少しだから」
よいしょ、とクノンを背負いなおして歩き出した。
夕日の茜色がビルの滑らかな外壁に反射して集落全体を染めた。
街灯がつき始め、俺たちの影が複雑に踊る。先ほどと違い、二人とも黙って進む。
ふと訊いてみた。
「疲れたかい?」
「え?」
「さっきさ、あの二人のお喋りにずっと付き合ってたろ? いつもあんな感じなんだよ」
苦笑してみせる。しかし、俺の背でクノンが首を振る気配がした。
「私、あんなに会話をしたのは初めてでした。とても興味深かったです」
「へえ、どんなところが?」
「お二人の会話は論理的な飛躍に満ちていて、人間の発想の柔軟さを感じさせます」
「…そうなんだ」
その感想はどうかと思ったがツッコミをいれないでおくことにした。
「ところで、どこまで送っていけばいいの? アルディラのところ?」
「リペアセンターの地下までお願いします。そこにフラーゼンのメンテルームがありますので」
「はいはい」
621617...5/6:03/09/12 22:22 ID:WiowtYqs
リペアセンターまでつき、エレベータで下る。
地下階は地上と違い殺風景で薄暗い廊下が広がっていた。
薬品庫や演算機室、メンテルームなど、地下に用があるのがフラーゼンだけだかららしい。
「奥から二つ目の部屋です」
やっと着いた。はっきり言って結構しんどかった。
メンテルームと書かれたプレートが張ってあるドアを開けると、
部屋の真ん中には椅子の背もたれを倒したようなベッドのようなものがあって、
その周りを様々な機械が埋め尽くしていた。どの機械がなんに使われるかさっぱり分からない。
「ベッドに寝かせてください。あとは私一人でできます」
彼女を背から下ろし、ベッドに座らせた。ベッドサイドの機械をなにやら操作するクノン。
「なにか俺に手伝えることある?」
クノンはちらりと俺のほうを見て、少し考えるようなしぐさを見せるとポケットから小さな包みを取り出した。
「免疫剤の原料です。アルディラ様にお渡し下さい。作り方はアルディラ様もご存知ですから」
「俺が渡していいの? クノンが苦労して採ったのに」
「免疫剤の定期摂取予定日は明日です。
 しかし私のメンテナンス終了予定時刻は2日後の13時22分。これでは間に合いません」
「そうなんだ。うん、分かったよ。ちゃんとクノンのことは話しておくから」
「よろしくお願いします。今日中にお渡し下さい」
そう言うと、クノンはまた機械の操作を再開したり、体にコードを繋いだりしていたが、やがてベッドに身を横たえた。
「メンテ前処理は全て終了。これより機能停止します」
「ああ、ちょ、ちょっとまった!」
「はい?」
俺の呼びかけに体を起こし小首を傾げる。
622617...6/6:03/09/12 22:22 ID:WiowtYqs
何の御用でしょう?」
「あー、特に用はないんだけど…。とにかく今日はお疲れ様」
そういってクノンの頭をなでた。さらさらとした髪の感触を指の間に感じる。人間の髪とまるで変わらない。
「髪、すごいね。人間みたいだ」
ぽつりと感想を漏らすと、クノンは一瞬意味を図りかねているみたいだったが、
「私の体表部は人間のそれと同じ感触になるように作られています。患者の安心のために必要なのです」
といった。その言葉を聴いて興味がわいた俺は髪から頬へと手を移動させてみた。手のひらでそっと撫でる。
「…本当だ」
体温(というべきなのか)はちょっと低めだが、ひんやりとした柔らかくすべすべの頬は触ってて気持ちがいい。
「…レックス様」
「あ、ごめん!」
あわてて手を離す。怒られるかと思ったが非難する様子はなかったのでほっとした。
「御用がないならばメンテナンスを開始したいのですが」
「うん、俺ももう行くよ。じゃあね。おやすみ」
「……おやすみなさい」
廊下に出る。機械の作動音が背中越しに低く聞こえてきた。
手にはクノンの感触がはっきりと残っている。
そういえば最近ご無沙汰だったななどと考えながらリペアセンターを後にした。
623617:03/09/12 22:24 ID:WiowtYqs
とりあえずここまでです。
まだeroくないですが、これからeroくするのでどうかお許しください。
それでは〜
624前スレ5:03/09/12 22:50 ID:CSyjxnrE
>>506
凄いです。「good job」のoを抜いて「god job」、もうネ申の仕事です。
つーかもう>>506氏のやつが真エンドでいいですよ。
では、次回作にご期待しております。
625名無しさん@ピンキー:03/09/12 23:05 ID:wSpRByJh
クノンたんSSキタ━(゚∀゚)━!!!
(;´Д`)ハァハァして待ってます。GJ!!
626名無しさん@ピンキー:03/09/12 23:07 ID:hZWLWBWX
前スレのレックス×クノンの方ですか?(´ー`)
627名無しさん@ピンキー:03/09/12 23:50 ID:VfJTU9Vh
何か剣の力で年齢が逆戻りした幼児レックスや幼女アティが出来そうだな。
628名無しさん@ピンキー:03/09/13 00:26 ID:FRzrWk2R
>>627
幼児ティンコ×幼女たんてーキボンヌとか言ってみる
629エロ魔剣3 つづきのつづき:03/09/13 00:31 ID:Lz9fsyj2
遅くなりました。えろ魔剣3はこれでおしまい。
____________________________________________________
ドーム状の物体がアティの胸に覆われる。
これからこの機械が何をしようとしているのか悟ったアティは、叫びをあげた。
そう。この機械は…所謂搾乳機というもので、これから彼女の胸を絞ろうとしているのだ。
「…ぃゃ…」
その声を待ち構えていたかのように、機械が動き出す。
ウィィィン…
ドームの内側がアティの乳房を吸引する。
「あ…ぅ…っ…なにこれっ」
『ふふ…気持ち良いだろう。…まあ、見ておれ。面白いことがはじまるぞ…』
会話の間にも、吸引されていく乳房。
いまにもはじけそうで、膨らんでいるようでもある。
熟れた果物のようなアティのそこを、胸に嵌っていたリングがさらにしめつける。
「くぅっ…痛…っ…!!」
アティが苦痛に声を上げた瞬間、乳房に変化が起きた。
乳首につながったままで居たアームが、きゅっと乳首をつまむ。
それと同時に、淡いピンク色の乳首から白い液体が勢い良く飛び出した。
「やっ…なに?!おっぱいが…」
ドームはアティの胸に圧力をかけつづけ、彼女の母乳を搾り取ろうとしている。
母乳は真っ直ぐにドームの中を飛ぶと、その先にとりつけられたじゃばらの中に吸い込まれていく。
じゃばらの向こうでは機械がせわしなく動き、まるでアティの母乳を飲んでいるかのようだ。
「ゃ…ンん…っく…あ…だめぇ」
630エロ魔剣3 つづきのつづき:03/09/13 00:32 ID:Lz9fsyj2
機械はアティの声など聞かず、貪るように乳房に吸い付いている。
噴出す母乳の勢いはとどまるところを知らず、勢いを保って出つづける。
いまだ、乳房のはりも失われていない。
『お気に召したか?ご自慢の胸から母乳がでる感覚は』
「や…そんなことな…っぁあ…」
『ふふ。そんなことない、か。ならばなぜ股の間がヌルヌルしている』
「…!」
経験したことのない、胸を刺激する感覚。
痛みさえ感じたが、体はすっかり快感を掴み取っていた。
『認めてしまえ。これはお前にとって気持ち良いのだよ』
「んぅ…はっ…ゃあ…嫌です…」
ここで認めては、完全に心が支配されてしまう。
アティは言葉を発するのもままならないまま、首を横に振った。
そこでタイミングよく機械が、搾乳機のパワーをあげる。
<充電>の最終段階だ。
「ぃやぁぁあああっ…だめっ…ぁ…気持ち…いい…」
先ほどよりも量、勢いとも強くなった母乳が、じゃばらの中を満たしていく。
胸はやっと、苦しいハリがなくなってきたところだった。
《充電完了。終了準備ヲ開始シマス》
631エロ魔剣3 つづきのつづき:03/09/13 00:33 ID:Lz9fsyj2
アームとリングとドーム、全てがアティの胸から外され、アティは四つんばいにさせられていた。
搾乳を終えた機械が次の作業の準備をするその横で、もう一つ呼び出してあったローターがアティの膣内にとりつけられる。
先ほどとは正反対の細かな刺激が、アティにとっては逆に強い快感をもたらした。
一方、機械といえば、じゃばらやらドームやらをしまいこんで、次に細身のドリルを組み立て始めていた。
アティはドリルの使い道を想像して、更に秘部を濡らす。
《準備完了。コレヨリ運転ヲ開始シマス》
ただ一つしまわれないで居たアームが、アティからローターを引きぬく。
「あっ…」
一瞬、アティから抗議の声が漏れる。
『まあ、そう焦らずともよい。すぐに気持ちよくしてくれるぞ』
四つんばいであらわになった秘所からは滴りそうなほどの愛液があふれ、じゅくじゅくになっている。
彼女の後方では組み立てられたドリルがものすごい轟音をたてながら回転を始める。
そしてそのまま彼女の膣口にドリルの先端を当て、ゆっくりと体に沈めていく。
「んっ…んあぁああ!!」
いきなり膣内をえぐられる感覚に、悲鳴にも似た嬌声をあげるアティ。
その声すら、ドリルの音にかき消される。
「やぁあっ…ああっ…!!だめぇ…!っ…っぅ…いっちゃう…あっ…ああぁあっ!!!」
ピストン運動などしなくても、アティの体を悶えさせるには十分だった。
ものの数秒にして、上り詰めるようにイってしまう。
イきながらも次の快感が与えられつづけ、気を失うことさえ許されない。
アティは機械の充電がきれるまで、イかされ続けた……。
632エロ魔剣3 つづきのつづき:03/09/13 00:33 ID:Lz9fsyj2
―ふたたび、バスルーム―
水音に混じって聞こえてくる微かな嗚咽に、スカーレルは眉をひそめた。
もたれた壁伝いに床に腰を下ろして、自嘲気味に口元を吊り上げる。
日の出の近い暗闇にも響かない小さな声で言った。
「ねぇ、センセ…?どうしたらいいの…?」
泣いている声が、自分を責めているように聞こえる。
なぜ止めないの。なぜ助けないの。なぜ優しくしないの。なぜ、なぜ…。
頭の中をまわる声たち。
耳をふさいでしまいたいけれど塞いではいけない、スカーレルは耳のかわりに目を閉じた。
敏感になった聴覚が、さっきよりシャワーの音をよく捉える。
その音が雨みたいで、スカーレルの心の奥を冷やしていった。

「夜をもっと短くしてあげられたら、いいのに…」

おわり

「えろ魔剣3」としては一応終わりです。
この後魔剣もの4を書く予定。
今回ソノラが最初しか絡まなかったので、次かその次はソノラメインで。
633名無しさん@ピンキー:03/09/13 00:35 ID:yGsKhpLG
クノンSS乙です!!

>>604
IDがSS(・∀・)
>>608
IDがSM(゚∀゚)!!!
>>613
ウィゼルが帰ったのではなくて、ビジュが去ったんだよ
ウィゼルはきっと女性を放っておくような御仁ではないさ〜
634名無しさん@ピンキー:03/09/13 00:36 ID:yGsKhpLG
うお、エロ魔剣キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!
635名無しさん@ピンキー:03/09/13 02:39 ID:2wZCk3GS
今思いついたネタ。

・アルディラ、普段から行儀の悪いカイルを矯正。
・ヤードの読み書き教室にちと疲れたミスミ、ヤードを誘惑。
・ウィゼルとオルドレイクのガチンコ。
「ウィゼル…優しくしろよ…?」
・抜剣して若返ったゲンジ対アティ。

下から二つ目は山川純一も裸足で逃げ出す位濃いやつを。
636名無しさん@ピンキー:03/09/13 03:49 ID:5jiqfepK
>>632
乙です。
さて、メイトルパの獣人、ロレイラルの機械と来たから
次はサプレスかシルターンでつか?
次も楽しみにしてます。
637名無しさん@ピンキー:03/09/13 04:03 ID:n7ZMxFOH
>・ウィゼルとオルドレイクのガチンコ。
>「ウィゼル…優しくしろよ…?」

Σ(゜д゜lll…( ゜д゜)…((((((゜Д゜;)))))
638名無しさん@ピンキー:03/09/13 05:23 ID:wmKiby98
マジで?
639名無しさん@ピンキー:03/09/13 10:18 ID:3lTY5CIW
>>635
二番目が個人的に読みたいかも。
640604:03/09/13 18:01 ID:rXo9cXBk
良かった…。取り合えずリクして下さった方の希望には副えたようなので安心しました。
次回作に期待をかけて下さっているのに申し訳ないのですが、自分の描きたい物が見えてきたので
そろそろ本業(紙媒体で漫画)に戻る為にも書き手から一人の名無しに戻ろうと思っていたので
次回作は暫くお待ち頂く事になるかもしれません…_| ̄|〇  暇ができたらまた投下させて下さい

心残りは前スレと今スレで2作しか投下できなかったことですが
前スレレクアズとさよなら。に感想下さった方、本当にどうも有難う御座いました!
641640:03/09/13 18:05 ID:rXo9cXBk
うわ…604じゃなくて506だったyp!
最後まで痴態を晒しながら今度こそ本当に名無しに戻ります…。
見るな…そんな哀れみの眼で僕を見るなあぁぁあアアぁァァあ!!!
642名無しさん@ピンキー:03/09/13 18:14 ID:06GSEzOY
>>506
(・∀・)ニヤニヤ

・・・嘘です。冗談ですハイ。
氏のSSは非常に楽しませて頂きました。
こちらに来る頻度が下がるのは寂しいですが、
またの降臨を気長に待っております。
本業のほうも頑張ってください!
643孤島のバカンス(その4):03/09/13 20:49 ID:1dmZs48x
「ん……」
 頬を撫でる冷たいタオルの感触にアズリアは目覚めた。
 うっすらと目蓋を開くと、そこにはアティの顔が、間近で心配そうにこちらを覗き込む光景が
映っている。
「アティ……」
「目が覚めましたか?アズリア」
 アズリアの後頭部には、枕替わりにされた素肌のひざの感触が。
 どうやらあれから気絶してしばらくの間、アティの膝枕の上で看病されていたらしい。
 そんな事なら太ももの感触を楽しむ為に、もう少し気を失ったフリをしておくべきだった……と
内心後悔する。
「もう大丈夫ですか?膝枕をしていなくても」
「あ、いや……まだ体がだるくてな。もう少しこのままでいさせてくれないか?」
 アティの膝枕をたった数秒で手放すなど、アズリアの彼女に対する愛のプライドが許すはずがない。
 そうですね、とアティが微笑むと、彼女は顔をあげてその場から立ち上がった。
「……え?」
 だがまだ頭には太ももの感触が。
 視線をアティから自分の真上に向けると――。

「それじゃあ、もうしばらく膝枕をしてあげていてくださいね。ギャレオさん」
「ああ、分かった」

 ――そこには海水パンツ一丁となったギャレオが、額と逞しい胸筋から汗を流しながらアズリアを
覗き込む姿があった。
「暑くはありませんか?アズリア隊長」
「…………気温が一気に10度は跳ね上がったな」


 アズリア達が海賊一行と、戦いという名のバカンスを満喫している間、その上官にすでに
忘れ去られている存在があった。
 それらは森に充満する熱気と虫の鳴き声に眉をひそめながら、ひたすらにアズリア達の帰還を
待ちわびていた。
644孤島のバカンス(その4):03/09/13 20:51 ID:1dmZs48x
 ……彼女の部下、帝国兵の集団だ。
 いつも以上の気温が思考を鈍らせ、彼らの士気を減退させつつあった。
 しかし、皆が無言で座り込んでいる中、ただ一人だけが歯を軋り、苛立たしげに舌打ちを
繰り返している。
 その男は我慢の限界が訪れたのか突然立ち上がり、乱暴に近くの草むらを蹴り飛ばした。
 その衝撃に、その中にいた動物が慌てて逃げ去っていく。
「ふざけやがって!!いつになったら戻ってくるんだよアイツらは、あァ!?」
「お、落ち着いてくださいよ、ビジュさん」
「うるせぇッ!!」
 ビジュは待機という、ただ無意味に待ち続ける行為を酷く嫌っている。しかもこの暑さの中では、
彼が怒りを感じるのも仕方がなかっただろう。
「ちょっと行ってくらァ。こんなクソ暑い場所でじっとしてたら脳が溶けちまうからな」
 彼は武器を手にとると、周囲が止めるのも聞かずに森を抜けていった。
 まだあの二人が帰ってきていないという事は、向こうで何かトラブルが起こったのかもしれない。
 ある程度時間が過ぎても戻ってこなければ出動せよ、との命令だったが、まだその時間には達していない。
 だがその時が訪れるまで待っていられるほど彼の気は長くはなかった。
(それに……トラブルがあるって事は、何か面白ェ状況になってるって事だろうしな。ヒヒヒッ……)


「あの女隊長の様子はどうだ?」
「まだ起き上がれないみたいです……」
 崖下の空洞から出てきたアティに、外で呑気に砂遊びをしていたカイルが声をかける。
 アティは彼の目の前に座り込むと、その砂山の上に砂を盛り付けた。
 カイルはその様子に子供のような笑みを浮かべると、それに対抗するように両手で砂をすくい、
さらに上からばさりと落とす。
「あ……」
 だが上から降りかかる砂の重みに耐えかね、砂山は崩れてしまった。
「わりい、調子に乗りすぎた」
「いいですよ。また作りましょう」
 そう笑い掛けてアティは砂をかき集める。しかしその手がふいに動きを止めた。
「……先生?」
645孤島のバカンス(その4):03/09/13 20:53 ID:1dmZs48x
 崩れた砂山を見つめるアティの目は、どこか悲しげな光を帯びている。
 集めた砂から手を放すと、アズリアのいる空洞へと視線を向けた。
「この崩れちゃった砂山がね……彼女みたいだなって思ったんです」 
 そうつぶやくアティにカイルは驚いたように口を開き、眉をひそめる。
 この脆い砂が、あの飢えた野生の熊のような女だと?
 カイルの後頭部を殴り、あたり構わず大声を発し、土俵で四股を踏むあの生命体のどこが
この砂山に見えるというのだ。
 苦笑しながらカイルは首を横に振る。
「ありえねぇ!あの女のどこが――」
「彼女だって大変なんですよ?親の期待を一身に背負って、女だって言うハンデを持ちながら
一生懸命に任務をこなそうとしているんです。……何もかも一人で背負いすぎているんですよ。
このまま彼女の背中が重みを増していけば、この砂山みたいに……いつかはその使命感に
押しつぶされてしまうんじゃないかって」
「…………」
「だから、今日のアズリアはちょっと元気そうで嬉しかったんです。学生時代の彼女を思い出すことが
できたから……」
 空洞のほうを向くアティを、カイルは静かに見つめる。
 自分の知らないアティの過去。
 彼女の体の事なら他の誰よりも知っているが、学生時代の話題を出されては、そのような出来事を
知るよしもなく口を出せないでいた。
 その時ばかりはアティが少し自分のそばから遠ざかったような気がして、アズリアに妬いている
自分に気がついた。
「――先生」
 カイルの指がアティの肩をつつく。
 どうしたのかとカイルのほうに振り返ると、彼の顔はいつの間にやら彼女の眼前まで近づいていた。
 ふいにされた行動によける事ができなかったアティに、カイルは静かに唇を重ねる。
「んっ……?」
 ひざで砂山を崩し、身を乗り出すと、カイルは両腕をアティの背中へとまわした。
 さっきまでの少し強引だった行為とは違い、アティはそのまま優しく彼の胸へ引き寄せられる。
 彼の胸はわずかながら、いつもに比べて早く脈打っていた。
 しばらく重ねるだけのキスを交わすと、カイルはアティからそっと唇を解放した。
 目が合った彼女に、カイルはイタズラじみた笑みを浮かべる。
646孤島のバカンス(その4):03/09/13 20:55 ID:1dmZs48x
「へへ、スキありってな」
「カ、カイルさんってば!」
 頬を赤らめて声をあげるアティに笑いながら、カイルはくしゃくしゃと髪の毛をかく。
「……男のクセに情けねぇとは思うんだがよ、やっぱ嫉妬しちまうんだよな。お前が俺以外の
奴の事を考えてるのがさ。男にも、女にも、お前は分け隔てないからよ……」
 アティがどれだけ他の人間を気にかけようと、彼女の恋人は自分である事には変わりない。
 だがそれでもカイルは自身の心を落ち着かせる事ができないでいた。
 周囲に愛される彼女は、それだけカイル以外の男に想いを寄せられる可能性も高いという事なのだから。
 力なくアティの肩に顎を落とすカイルに、彼女はその心を読み取ったかのように首を横に振った。
「――心配しなくても、私が“愛して”いるのはカイルさんただ一人ですから」
「……」
 みるみる染まっていく頬をアティに見られるのが恥ずかしく、カイルはアティの顔を胸に
押し付け、強く抱きしめた。
「んッ……!カ、カイルさんっ?苦し……」
「……しばらくこのままでいさせてくれ」
「そんな、駄目ですよ変態低脳船長。離れてくださいってば……」
「…………」
 明らかにアティの声とは違う、やや低めの声に、カイルの口の端が引きつる。
 次の瞬間、彼の頭にドサリと砂が降り注いだ。
「ぶふっ!?」
 慌てて砂を払いのけて顔をあげるカイル。
 そこにはいつの間にやら水着の上にコートをまとい、額に青筋を浮かべたアズリアがギャレオに
支えられて突っ立っている姿があった。
 しかもその小脇には剣を携えている。
「……私が目を放すとすぐにコレか。貴様の頭の中は性欲のみで構成されているのか?

――この歩く肉棒がァッ!!」
「ちょ、アズリア……!?」
 アズリアはアティを乱暴に押しのける。そしてカイルの懐に飛び込むと、手を彼の下へと伸ばした。
「お、おい、何す――」
「決まっているだろう!――こうするんだぁッ!!」
 そう叫ぶなり、アズリアの手は素早くカイルのパンツの中へ潜り込んだ。
647孤島のバカンス(その4):03/09/13 20:57 ID:1dmZs48x
「!!!」 
 彼女の突然の行為に二人は言葉を失う。
 カイルに至っては抵抗するという判断すら思いつかず、パンツの中へ姿を消したアズリアの
手をあ然と見下ろしている。
「むッ!」
 パンツの中で手にした確かな手ごたえ。
 アズリアはそれを掴むと、パンツの中から外に向けて一気に引っ張り出した。
「いでえぇ―――ッ!!」
 びん、とまるで体の芯を左右から引っ張られるような感覚に、カイルの背中がのけぞる。
 相撲部主将の握力で握られたカイルのペニスは、その圧力に先端が血液の充満で赤く染まっていた。
「ふ……ふんっ。平常時はこの程度の大きさか」
 それでも並みの人間に比べれば余裕で勝る大きさのものだったが、アズリアはそれを見下ろしながら吐くように言う。
 そして片手で鞘から剣を引き抜くと、刀身をペニスの根元へ当てた。
「――――ッ!!?」
 カイルの全身に悪寒が走ったのは、急所に触れる冷たい刃の感触のせいだけではないだろう。
「こうすれば貴様も一日中アティにちょっかいを出す事はできまい!?――ほ、本気だぞ私は!!」
 もはや錯乱状態に達したアズリアの唇は細かく震え、それと同時に刀身も震えている。
 少しでも力が入れば――刃が食い込むだろう。
「ちょっちょちょちょっと待て――――ッ!!」
 カイルはもちろんアティと、まさかそこまでするとは思っていなかったギャレオまでもが悲鳴混じりの
絶叫を上げる。
 だが下手に彼女の手を動かせば、それこそ最悪の事態を引き起こしてしまうかもしれない。
「じょ、冗談キツイぜオイ……!!」
 カイルの脳裏に、一つの光景が浮かび上がった。
648孤島のバカンス(その4):03/09/13 20:58 ID:1dmZs48x


 ――穏やかな大海原を、海賊船が悠々と突き進んでいく。
 甲板には筋肉質なブロンドの女が、黒いコートを肩に引っ掛け、海の輝きに目を細めていた。
 伸ばし始めたばかりの髪がくすぐったく気になるのか、時折首筋を撫でている。
「――どう?カイル、最近の気分は。……いえ、この際姐さんって呼んだほうがいいかしらね?」
「ああ……こういう生き方ってのも悪くねぇな。こういう体になってから、色々と新しいものが
見えてくるようになったしな」
「ダメよぉ、姐さんってば。ちゃんと女言葉使わなきゃ」
 スカーレルの指摘にカイルは眉をひそめる。
 カイルは少し気恥ずかしげに目を伏せると、静かに息を吐き出し、大きく目を見開いた。
 スカーレルにメイクされたマスカラと紫色のアイシャドーが、彼の目を鮮やかに彩っている。
 真っ赤なルージュをつけた唇が、口を開いた。
「――行くわよみんな!!女海賊カイル一家、次の陸まで全速前進―――ッ!!」
649孤島のバカンス(その4):03/09/13 20:59 ID:1dmZs48x


「ぎゃああああ気色わりぃ――――――ッッ!!!!」
 涙を流しながら悶えるカイルに、驚いたアズリアは一瞬ひるむ。
「今だっ……隊長、お許しください!」
 ギャレオはすかさず彼女から剣を奪い取ると、それを遠ざけるように放り投げた。
 剣はくるくると宙を回り、砂の上に静かにその身を落とした。
「……はぁっ……」
 ようやく去った難に、カイルは安堵の表情を浮かべる。
 ――しかし。

 バシィッ!!

「きゃあッ!!」
 突然彼らの周囲に降り注ぐ稲妻。
 わざと外したのか体に命中はしなかったが、ピリピリとかすかに肌が痛む。
「ちくしょう、テメェ……攻撃用の召喚石まで持ってやがったのか!?」
 慌てて身を起こし腕をさすりながら、カイルはうずくまるアティをかばうように抱きしめ、
アズリアを睨みつける。
「アティにまで当たったらどうするつもりだ!?」
「わ、私は……」
 違う、というように首を横に振り、否定を表す。
「ウソつくんじゃねぇ!それじゃあ一体誰が――」
 そう叫んだ時、彼の視界に人影が映りこんだ。
 遠くに立つ人物がアズリア達と同じ帝国の軍服を着ていることは、その鮮やかな橙色ですぐに判明した。
 カイルの異変に気づき、アズリア達も同様に視線をそちらへと向ける。
 瞬間、その人物が何者かを察し、彼らは目を見開いた。

「……どうなってんだァ?こいつは……」

 くぐもった声は、彼に怒りの感情が満ち溢れている事を示していた。
 ゆっくりと近づいてくるその表情は、声色と同じく険しい。
650孤島のバカンス(その4):03/09/13 21:01 ID:1dmZs48x
 額から汗を流し、手を眉の辺りにかざして眩しさをしのぐ姿は、思わずこっちの日陰に入りなよと
声をかけたくなるほどの代物だ。
 男は歯を軋りながら、吐き捨てるように叫んだ。

「――遊んでんじゃねぇかよォッ!!」

「…………」
 誰一人として否定ができなかった。
 全員揃って仲良く着用している水着。崩れた砂山。もみくちゃになって騒ぐ光景。
 これが島の平和と軍人の使命をかけた正当な戦いだと言えば、今まで国の平和をかけて
戦い抜いてきた先人にどつき殺されても文句は言えないだろう。
 男――ビジュはアティ達のもとまで歩み寄ると、口元を引きつらせながらアズリアとギャレオを
見下ろした。
「隊長殿ォ……まさか森の中にあれだけ俺サマ達のことを待たせておいて、『忘れてた』なんて
抜かしませんよねェ?」
 彼の頬や首には小さな赤い膨らみが点々とあった。おそらくは森の中で虫にでも刺されたのだろう。
 冷たい召喚石を赤らんだ場所に当て、少しでも痒さを紛らわせようとする様子は涙ぐましいものがあった。
「どうなんだって聞いてんですよ!あァ!?」
 乱暴に言いながらも、彼の手は袖の上から腕を擦っている。どうやら服の中まで刺されてしまったらしい。
 暑さ、痒さ、苛立ちに全身を覆われた彼の姿は、最初にアティ達の前に現れたアズリアの姿とは
到底比べものにならないほどのものであった。
 アズリアとギャレオは互いを見合うと、苦しげに目を伏せる。
 そして正座すると、二人はビジュに向かってペコリと頭を下げた。

『……忘れてました。ごめんなさい』
651孤島のバカンス(その4):03/09/13 21:03 ID:1dmZs48x


 駐屯地に向かう頃には、すでに空は赤く染まり始めていた。
 丸腰のアティ達を始末しようとしたビジュを何とか抑え、結局彼らは何も手中に収めることなく
手ぶらでの帰還となった。
「ギャレオ……私は、この仕事には本当は向いていないのでないか……?」
 沈んだ顔でつぶやくように言うアズリアに、ギャレオは慌てて首を横に振る。
「なんという事をおっしゃるんですか隊長!?貴女ほど部下を想い、知的……で、えっと、
冷静……?で……。と、とにかく、自分は隊長ほど自分の上司にふさわしい方は存在しないと
思っておりますから!!」
「まぁ、普通は上司相手に向いてねぇなんて馬鹿正直に言えねぇよなあ。イヒヒッ……」
「ビジュウウウウッ!!貴様がそれを言うかあぁぁッ!!」
 ギャレオの絶叫を背に、アズリアはアティと最後に交わした会話を思い出していた。

「アティ。今度会うときは必ず、その剣を奪回してみせるぞ。次が貴様の最後だと思え」
「アズリアッ!……私達、どうしても戦わなくてはいけないんですか……?」
 悲しみを帯びたアティの瞳を見るのは辛かった。
 だが、互いが反する意思を持つ以上、戦いは避けられないものだ。どちらかが折れればそれで終わる。
 とても簡単な答えだ。
 しかし、その妥協という行為ができないからこそ、戦いは各地で今もこうやっておこなわれているのだ。
 アティの問いには答えなかった。
 ……答えたくはなかった。
 どちらでもない答えを見出す事など、戦いで勝敗を決め続けてきた人間である限り、できはしないの
だろうか――。

「…………」
 ギャレオとビジュの小競り合いはいまだに背後で続いている。
「おい、お前達。少しは黙って歩けないのか」
 アズリアがたしなめると、ギャレオはビジュを突き飛ばし、慌てて頭を下げた。
「うぉッ……!」
「も、申し訳ございません隊長!しかしビジュの奴が――」
 ビジュは思わず転げそうになったがとっさにバランスを立て直し、二人を眺めながら舌打ちをした。
652孤島のバカンス(その4):03/09/13 21:05 ID:1dmZs48x
「ケッ、部下をほったらかして遊んでたテメェらに言われたかねぇんだよ」
「……ッ!!」
 顔を真っ赤にしながらも言い返せないギャレオを尻目に、ビジュは小さく息を吐いた。
(一体いつになったらこんなバカ上官どもの部隊から抜けられるんだ……?いつもみてぇに
素行不良繰り返してりゃ他の場所に飛ばされると思ったってのによォ……はぁ〜……)
 ビジュの苦労を知るものは誰一人としていない――。


「いてッ!いてててッ!待ってくれよ先生ッ……!」
「ダメです」
 夕食が済んだ後、アティはカイルの部屋でベッドに腰掛け、彼の背中に薬を塗っていた。
 日焼け止めを塗っていなかった彼の腕や背中は赤く染まり、とても痛々しい。
「まさか後からここまでひでぇ事になっちまうなんてなぁ……。ガキの頃は日焼けしても
大した事なかった気がするんだがなぁ。俺ももう歳か……」
 そう言って溜め息混じりに肩を落とす彼を見つめながら、アティは静かに微笑む。
 色々あったが、今日が楽しい日であった事には変わりない。アズリアとはビジュの乱入で
うやむやになってしまったが、次に会う時こそ彼女を説得してみればいいのだ。
 戦わずに平和を築く事は困難かもしれない。
 だがそれを成し遂げてこそ、本当に全ての人の笑顔を守る事に繋がるのではないか。
「……アティ?」
 手の動きが止まったアティに、カイルは振り返る。
「あ、ごめんなさいっ」
「いや、……今日は結構楽しかったな。もしかしたら……また明日から戦う事になっちまうかも
しれねぇけどよ」
 アティの心を読み取ったように、カイルは苦笑する。
「あの女……あれだけお前に執着してりゃあ簡単に折れるかもと思ったんだが、そう簡単には
いきそうにねぇな。でもよ、そうやって意地でも自分の意志を曲げねぇ奴ってのは厄介だが、
その根性自体は嫌いじゃないぜ」
 ナニをブッたぎられるのだけは勘弁してほしいモンだけどな、と冷や汗交じりに笑うカイルに、
アティもつられて笑い出す。
 その時、薬を塗るアティの手が、なぜか彼の胸の方へと滑っていった。
 そのまま彼女の指はカイルの乳首へたどり着く。
653孤島のバカンス(その4):03/09/13 21:07 ID:1dmZs48x
「ア、アティ?」
 カイルが首を後ろに向けると、アティは照れるように笑みを浮かべながら、親指と人差し指で
乳首をこねるように押し始める。
「ふふっ、昼間の仕返しです。……どうですか?カイルさん。困っちゃうでしょ?」
 本当にただ指で触っているだけのような指の動きに、カイルは目を閉じ、口元にわずかな笑みを浮かべた。
「……バカだな、アティ」
「え?」
 胸に伸びる彼女の手を掴み、カイルは続ける。
「お前の指のテクニックじゃあ、まだまだ俺を勃たせるにはほど遠いぜ。……だが」
 カイルはそこまで言うとアティの手を振り払い、素早く向きをアティのほうへ変える。
 しまった――、アティが彼の思惑に気づいた時にはすでに遅かった。
 カイルの手がアティの肩を掴み、彼女の体はそのままシーツの海へと沈められる。
 アティが逃げ出そうとするよりも早く、カイルは彼女の体の上へとまたがった。
 息がかかるほどの至近距離まで顔を近づけられ、アティは引きつった笑顔でカイルを見上げる。
「――だが、この俺を欲情させちまう効果は充分にある!……分かるよな?アティ」
「……ふ、ふざけてごめんなさいカイルさんっ!あの、今のはなかった事にッ――」
 アティが言い終わる前に、カイルは彼女の唇を強引にふさいだ。角度を変えて何度も唇を重ね、
舌を絡めていく。
「んぅッ……んん……!」
 頬を真っ赤に染めながらわずかに身じろぐアティは、やはりいつも通り純情で可愛らしい。
 ようやく唇を解放すると、カイルの舌がアティの口内から透明の糸を引いていた。
 カイルはアティの顎を伝った唾液の糸を指で拭うと、再び顔を近づける。
「今日は二回もいい所で中断させられちまったからな。今夜こそは思う存分抱かせてもらうぜ?」
 そう言うと、カイルはアティの頬に音を立てて口付けた。
 彼の慣れた口付けに翻弄され、耳まで赤くなったアティは、彼女の服に手をかけていくカイルに対して
成す術がない。
 潤んだ瞳でカイルを悔しげに見つめる眼差しは、余計にカイルを興奮させるものであることを
彼女は知らなかった。
「いっその事、今夜は俺の部屋に泊まっていくか?アティ?」
「〜〜もうっ、カイルさんったらぁ!!」
654孤島のバカンス(その4):03/09/13 21:08 ID:1dmZs48x


 その頃、帝国軍の駐屯地では――。
「ギャレオ。この本に『女を落とすには言葉を使え』とあるのだが……どういう意味だ?」
「そっ、それはですね!小さい胸も好きです!とか、ボサボサ頭も可愛らしいです!とか、
異常な恋愛表現を抱く貴女も自分は愛しております!とか……まあそういうタイプの言葉ですよ!!」
「ふむ……」
(……その本くれてやるからさっさと出て行ってくれよ。ここは俺のテントだぞ……)
 ビジュの眠れない夜はまだ終わらない――。

 おわり


10日以上書いてませんでした…。思い出したように完結編を書きましたが、
今回で無理矢理完結させようとしたせいで、内容をはしょりすぎてイマイチなものに
なってしまいました…スマソ。
ちなみにビジュとギャレオのセリフがゲーム中であったものと似てるものがあるのは
わざとです。
655名無しさん@ピンキー:03/09/13 21:21 ID:06GSEzOY
GJ!
いや、笑わせてもらいました。
姐さんがもう笑い死ぬかとw
ここでもビジュはちょっといい人・・・つーか、苦労人だし。
656名無しさん@ピンキー:03/09/13 21:49 ID:baQj079W
>>615
・・・謎だな。
まさか・・・1人の神がコテはんを使い分けて・・・ありえね。

神々GJ
657名無しさん@ピンキー:03/09/13 21:52 ID:WtbhXNts
ん〜俺もそろそろ続き書かんとなあ〜
次スレ立ったら投下できるように頑張ってみるか
ただいま苦戦中
658名無しさん@ピンキー:03/09/13 22:23 ID:/nr1k0rC
グッジョ━━(゚∀゚)b゚∀゚)b゚∀゚)b゚∀゚)b゚∀゚)b゚∀゚)b゚∀゚)b━━━ブ!!!!
カイル姐さん素敵杉だ(w
659名無しさん@ピンキー:03/09/13 22:25 ID:u53S1sC/
>643
GJ!!
つーか、ハゲワラw
660名無しさん@ピンキー:03/09/14 01:28 ID:6ddBX2Th
>643
GJ!!
めちゃワロタ。またこのシリーズ書いて欲しいくらいだ…!
661タケシー大好きビジュ:03/09/14 03:04 ID:0vuHFvdu
「湯加減はいかがかしらぁ?」
 メイメイの声が扉越しに浴室に響き渡る。
メイメイの扉越しの声に、アティも応えた。
「ちょうどいいみたいです……。ありがとう、メイメイさん」
「お風呂で飲むお酒は、すっごくおいしいんだけどねぇ……
ここのお酒はメイメイさんのだからぁ……ごめんねぇ?にゃははははっ」
「あはは……そ、それはいいですよ」
 ここはメイメイの店にある浴室である。
突然ボロボロな姿でやってきたアティとベルフラウに、
メイメイは何も聞かずに湯を沸かしてくれた。
アティはそのメイメイの心遣いに心の中で感謝する。
 メイメイ自身も今は、もう一人の客人に手当てを施しているところだろう。
 アティとベルフラウは意外な人物に助けられた。
 ――自分達の敵であるはずの無色の派閥にである。
 アティたちをビジュから救い出したのは無色の派閥、
その一員であるウィゼルだった。
 ビジュとウィゼルのあの激しい攻防。
それさえも時間にしてみれば一瞬のこと。
 気がついたアティたちの目の前に立っていたのはウィゼルだけだった。
あのビジュ姿はもうどこにも無かった。
ウィゼルは気がついたアティたちに黙って服を着させると、
このメイメイの店まで連れてきてくれたのである。
662タケシー大好きビジュ:03/09/14 03:04 ID:0vuHFvdu
 敵であるウィゼルを信用すること、それをベルフラウはとがめた。
だが、アティはウィゼルに素直に従った。
ウィゼルの全身には細かな斬り傷があり、
その頬からは血が止まることなく流れ続けていた。
そのような傷を負ってまでビジュと戦い、
自分たちを助けてくれた人物を信用しないことなどアティにはできなかった。
 ウィゼルの頬の傷はかなり深く、
大丈夫なものなのかアティは真剣に心配した。
しかし、店に着いてみれば「このメイメイさんに任せなさいな!」と
自信たっぷりに口にするメイメイに、アティは不思議と安心をしてしまった。
「それにしても、
あの人がメイメイさんと知り合いだなんて、ちょっと驚いたわ」
 体を洗いながら、ベルフラウはそう言った。確かにアティも驚いた。
 ウィゼル・カリバーン。伝説的な魔剣鍛冶師――。
 メイメイが口にした言葉をアティは思い出す。
「でもあの人、本当に先生の剣を直せるのかしら?」
 ベルフラウは心配そうに呟いた。
 ウィゼルとメイメイが知り合い同士だったことも驚いたが、
それよりも敵であるはずのウィゼルが自分の剣を直してくれると
申し出たことのほうが、アティを驚かせた。
 無色の派閥、そしてイスラ。
これからの戦いにはどうしても剣の力が必要になるだろう。
だからこそ、剣を修復できるというウィゼルの言葉は
アティたちに小さな希望を与えていた。
「きっとウィゼルさんなら直してくれますよ。……信じましょう?」
 アティが浴槽から、ベルフラウの背中に声をかけた。
「そうよね……」
 アティの言葉にベルフラウも、かすかに微笑んだ。
663タケシー大好きビジュ:03/09/14 03:05 ID:0vuHFvdu
 それっきり会話が途切れた。
「……」
 会話が続かなくなると、やがて二人に重い沈黙が訪れる。
「……ごめんなさい、ベルフラウ」
 会話がないと、やはりビジュとのことを思い出してしまうのか、
アティは重い口を開いた。
「私、あなたを守れなかった……」
「……」
 ベルフラウは黙ってその小さな体をせっせと洗っている。
「それに……あなたに酷いことを……本当にごめんなさい……」
「……ああ、もう!」
 何度も同じように謝ろうとするアティの言葉を、
ベルフラウがうんざりしたように遮る。
「もうその話はやめにしましょう?
私は気にしてないんだから、いいじゃない」
「でも……」
 それでもアティは暗い顔で言葉を続けようとする。
だが、ベルフラウがそれを許さない。
「もう!……貴方だって、酷いことされたでしょう?……私以上に」
「……」
「貴方が私のために苦しんでいたのに、私だって何もできなかったわ……。
……おあいこよ」
 ベルフラウがそう言うと、
アティも多少気持ちが軽くなったのか、少し表情に明るさが戻った。
664タケシー大好きビジュ:03/09/14 03:06 ID:0vuHFvdu
「……」
 やがて二人とも何も言うことはなくなったのか、また静かな沈黙が流れる。
 体を洗い終えたベルフラウが、アティが入っている湯船に入ってきた。
 ベルフラウが入ると、あまり大きくはない湯船からはお湯が溢れ出る。
 アティとベルフラウは肩を寄せ合って湯に浸かった。
「……あの」
 沈黙を破ったのはまたもアティだった。
「なに……?」
 ベルフラウは湯加減が心地よいのか、
眼を閉じながらアティの言葉の続きを待った。
「……でも、本当ならベルフラウは、……その……アルディラと……」
「え……?」
 何故いきなりアルディラの名前が出てくるのかと、
ベルフラウは不思議そうに眼を見開く。
 アティは恐る恐る言葉を続けた。
その頬はお湯に浸っていたせいか、何故か紅い。
「初めてはアルディラと……その、した……かったんじゃ……」
 突然のその言葉の意味がわからなかったのか、
ベルフラウは一瞬ぽかんとした表情を作った。
「……な、ななな……」
 だが、その顔は途端に紅くなってくる。
「なにを言っているのよ!そんなわけないじゃない!!
私にそういった趣味はありませんわよっ!?」
665タケシー大好きビジュ:03/09/14 03:06 ID:0vuHFvdu
「え、えーと……でも、私に……して……くれましたよね?」
 アティとの行為を思い出したのか、
ベルフラウは耳まで紅くして声を上げる。
「う……あ、あれは……しかたなく……そうよ、しかたなくやったのよ!!」
「あ、あれ?そ、そうだったんですか……?私、てっきり……はは……っ」
 アティは何となく思い出していた、
軍学校時代にアズリアを困らせていた後輩たちを、頭の隅にへと追いやった。
「……ちょっと?貴方、今、思いっきり安心したでしょ!?」
「そ、そんなことないですよっ!?」
「まったく貴方という人は……もとはと言えば、
貴方がしっかりしていなかったのがいけないんですからね!
……あんな召喚獣に言いようにされて!」
「うう……ごめんなさい」
 アティの顔が再び暗くなる。
ベルフラウはそのアティの顔を見ると、
しまったという表情をつくって慌ててアティを慰めるような言葉かける。
「で、でも、私は本当に貴方とのことは気にしてなんかいないんですからね?」
 それは確かに紛れも無いベルフラウの本心だった。
 初めては……素敵な殿方にあげたかったけど――。
「……私、先生が男の人だったら……きっと本当に好きになっていたから……」
 それはアティには聞こえない、ベルフラウだけのささやきだった。
666タケシー大好きビジュ:03/09/14 03:07 ID:0vuHFvdu
「……え、なんですか?」
「な、なんでもないわよっ!」
 自分は何を呟いているのかと、ベルフラウは恥ずかしさから慌てふためく。
「あ、貴方はもうちょっと胸の栄養も
頭に送ったほうがいいかもねって言ったのよっ」
 目線にアティの形の良い胸があったせいか、
勢いでそんな言葉がベルフラウの口から漏れてしまった。
 アティは自分の胸を見つめて沈黙する。
「……な、ななな……」
 今度はアティが、既に紅い顔を耳まで紅くした。
「そ、そんなことを言う子は、大人になっても大きくなりませんよっ!?」
 アティはのぼせてしまったのか、意味不明な言葉で言い返す。
「……な、何ですって!?何を根拠にそんなこと言うのよっ!?」
 だが、そんな意味不明な言葉でもベルフラウには効果は十分だった。
少女は自分の将来に少し不安があったらしい。
 ベルフラウは自分の将来の姿とアルディラの姿を重ねてみた。
「あと少しすれば、私だって貴方がびっくりするような、
素敵な女になってみせるわよ、絶対に!」
 ――しばらくの間、
そうやってアティとベルフラウの二人は湯船でじゃれ合った。
 今日の心の傷を互いに癒すように……。
 浴室の向こう側では、メイメイがウィゼルの手当てを終えた頃だった。
「にゃにをやっているのやらねぇ、あの二人は……」
 浴室から聞こえてくる二人の声に、
メイメイはウィゼルに楽しそうに笑いかける。
「むぅ……」
 ウィゼルにはそう唸ることしかできなかった……。
667タケシー大好きビジュ:03/09/14 03:08 ID:0vuHFvdu
短いですが、ここまでです。>>603からの続きです。
連続でエロ無くて本当に申し訳ないです。今度のはエロつけます。
668名無しさん@ピンキー:03/09/14 04:53 ID:JcDo6ltj
>>667
GJですた。
アティ×ベルのラブラブというか・・・ほのぼのしてますな。
こういう雰囲気は結構好きだなぁ。
概ね本編の展開に戻ったけど、ここにどうビジュが絡んでくるのかに期待してます。
669名無しさん@ピンキー:03/09/14 10:36 ID:LcKLnKbx
ウィゼル・・・・w
670名無しさん@ピンキー:03/09/14 15:45 ID:WTKPHMTY
最終回の少し後の話(つーか妄想)

ラスボスを倒した(名前忘れた(w
レックスたちは島のみんなと、祭りをしていた
(なんかあっとゆうまに終わったな.....)
明るい町を見ながらそう思った...
「隣...いいか」
「ああ、アズリアかどうしたの?」
「少し、な、飲むか?」
「ああ、ありがとう(ゴクリ)」
沈黙して数分後...
「レックス....」
「?、どうしたの」アズリアが急に真っ赤になった
「あ、あの....その...キ...キスしてくれないか」
真っ赤になった顔でレックスの顔見つめていた、そして、だんだんと顔が近かずいて
キスをしようとした....
全員「だめーーーーーーーーー!!!!!!!」
「えっ!!!」
後ろを振り向くと....(右から、アルディラ(怒りMAXと半なき)クノン(怒り)ソノラ(怒り&半泣き)ベルフロウ(怒り)マルルゥ(怒り)ファリエル(泣き&怒り)
ベル「先生がいなかったから心配したのに....」
アルディラ「こんな所で、いちゃいちゃしてたなんてねぇ...」
ソノラ「先生サイテー」
クノン「覚悟....よろしいですね」ガチャリ
「ちょっと....みんな?.....」
「問答無用!!!!!!」


671名無しさん@ピンキー:03/09/14 15:52 ID:WTKPHMTY
670のつづき
何とかみんなの攻撃から逃げた、レックス達
「あいててて.....」
「すまんな....私が、変な事行ったから...」
「......」チュ
「!!!!!なっ!!!!」
「すきあり」
「.....馬鹿.....」

とりあえずつづく
672名無しさん@ピンキー:03/09/14 16:03 ID:z5wQ1vJR
( ゚д゚)

( ゚д゚)……

( ゚д゚)ポカーン
673名無しさん@ピンキー:03/09/14 16:12 ID:G1jpkOaj
>>670
・・・まあ、あれだ。とりあえずsageろ。
674名無しさん@ピンキー:03/09/14 16:27 ID:lkkgemtH
(´・Å゚`)エエェー
675名無しさん@ピンキー:03/09/14 16:44 ID:SC3fAC9e
>>670
( д ) ゚ ゚
676タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:20 ID:0vuHFvdu
「先生……私……ちょっと疲れちゃったわ」
 今日一日のできごとは幼い少女には負担が大きすぎたのか、
二人が浴室から出る頃になると、
ベルフラウは疲労をアティに訴え始めていた。
「ベルフラウはもう、今日は私のところで休ませてあげたらどう?」
 カイルたちや集落のみんなには、
既にベルフラウの無事を自分から上手く伝えてあるという旨を
メイメイはアティに伝えた。
アティもそれならばと、
ベルフラウを今日はもうメイメイの店で休ませてもらうことにする。
 ウィゼルもまた戦闘の傷と疲れを癒すため今日はもう休み、
剣の修復は明日から取り掛かるという意をアティに伝える。
おそらく、ウィゼルも今日はメイメイのお世話になるのだろう。
 アティは一人でカイルたちの待つ船へと帰ることになった。
「それじゃあ、メイメイさん……ベルフラウをよろしくお願いします」
「はいはい、任せておいて、先生」
 別れを交わすアティとメイメイ。そしてアティはウィゼルに軽く会釈をする。
「それでは……」
「……確たるものを探せ。お前が、剣へと込めるべきものを……」
「え?」
 店を出ようとするアティの背中にウィゼルの声が投げかかる。
677タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:21 ID:0vuHFvdu
「俺が明日打つ剣は今までのものとは似て異なる代物だ。
遺跡の意志ではなくお前の意志を核としてその剣は、力を振るう……。
お前の心の強さがそのまま、剣の力へと転じるのだ」
「私の、心の強さ……確たるもの……」
 ウィゼルの言葉にアティは困惑を示す。
そんなアティにメイメイが再び声をかける。
「難しく考えなくていいのよ、先生。
貴方にとって一番、大切な想い……それが、答えよ」
「一番、大切な……」
 アティの心の中にある人がよぎる。
たが、胸の痛みがすぐにそれを消し去る。
その痛みはビジュが残した、心の傷跡だった。
「会ってらっしゃいな。貴方が今、思い描いたその人に……。
きっと、その人が貴方を導いてくれるわ」
「……でも」
「にゃはははっ、それじゃ先生、またねぇ」
 戸惑うアティをメイメイは強引に店の外へと押しやった。
店の外へ出ると、空から日はもう完全に消えていた。
678タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:22 ID:0vuHFvdu
 暗がりを一人で進むアティ……。
 さっきまではベルフラウとあれだけふざけ合えたのに、
独りになってみるとその余裕などもうどこにもない。
自分が今日、何を失ってしまったのか、
それをあらためて思い知らされてしまう。
 一日の出来事をどうしても思い出してしまう、アティ。
 ベルフラウもまた独りになれば、
自分と同じように、今日のことを思い返してしまうのだろうか。
 それとも、もう夢の中で泣いているのだろうか。
 自然とアティの頬に涙が伝った。
「……あれ、……私……」
 立ち止まって涙を拭う。だが、拭っても拭っても涙が溢れ出てきてしまう。
「どう、して……涙……止まらないです……っ」
 自分はもう大丈夫だと思っていたのに――。
 不安で、寂しくて、悲しくて、苦しくて――。
 側に誰かがいないだけで、今の自分はこんなにも弱いものなのか――。
「あ、ああ……うああぁぁっ……私、……私……っ」
 アティは泣き崩れると、その場から一歩も動けなくなってしまった。
 心細かった。独りは嫌だった。
 会いたかった。自分が思い描いた、その人に。
 だが、それ以上に怖かった。
汚れてしまった自分をどんな眼でその人が見るのか、
それがアティには怖くて怖くてたまらなかった。
「私……どうしたら……っ」
 暗闇の中アティは孤独に泣き続けた――。
679タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:23 ID:0vuHFvdu
 どれだけ、アティは泣き続けただろうか。
 ふと、泣き続けるアティの肩に声がかかった。
「アティ」
「……っ!?」
 顔を上げたアティは、そこに立っていた人物に驚いた。
何故なら、今、自分が会いたいと思っていた、
その人がそこに立っていたのだから。
「……カ、カイルさ……ん?」
「あのなあ……泣くにしたって、
こんなところでわざわざ泣くこたあないだろうが」
「ど、どうして……こんなところに……」
 カイルは照れくさそうに人差し指で顎を掻くと、アティに応える。
「いや、それはな……お前が帰ってくるのがあんまり遅いから、……な」
「心配して、くれたんですか……?」
「ああ……まあな。お前、今日は一回も顔を見せなかったしな」
 そういえば今日は一日ずっとカイルと顔を合わせていなかったことを、
アティは思い出した。
いや、それ以前に
こうやってしっかりと眼を合わせて話すのも随分と久しぶりのことだった。
「そういや、ベルフラウはどうした?見つかったんじゃないのか?」
 そうキョロキョロとするカイルに、
アティは一度だけ微かに微笑むと事情を話した。
カイルが側にいるだけでアティの心には、
先ほどまでのあれだけの心細さはもうどこにもなかった。
680タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:24 ID:0vuHFvdu
「そうか……まあ何にせよ、一度船まで戻ろうぜ。……ほら、立てるか?」
 カイルはそう言って、足元のアティに手を差し出す。
アティはその手を取って立ち上がった。
冷えたアティの手に、カイルの手はとても暖かった。
「ごめんなさい……カイルさん」
 そうアティはカイルに謝ると笑ってみせる。
「帰りましょう?」
 そして、アティとカイルは船へと歩き始めた。
 いつもと同じアティの笑顔がそこにあった。
 だが、カイルにはそれがどうしても
無理をした笑顔であるように見えて仕方がなかった。
「心配したわよ!先生!」
「ベルフラウもアティさんも姿を消してしまって……。
みなさん、とても心配したんですよ」
 船へ戻ったアティをソノラとスカーレル、それにヤードが温かく向かえる。
アティはみんなに心配をかけたことを謝ると、
ベルフラウの事情を――もちろん、ビジュの話は上手く省いて説明した。
 その後、久しぶりにアティと海賊一家は顔を合わせて食事をした。
ベルフラウがいないこともあって、少しそこは寂しい感じもしたが、
それでも今までと変わらない夕食の風景がそこにあった。
 ――だが、それも表面上だけだった。
 アティの心の下にはまだ消えない、恐れ、不安、悲しみ……
そんな感情が渦巻いていたのだ。
681タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:25 ID:0vuHFvdu
「ねえ、アニキ……。先生、ちょっと様子変じゃなかった?
これまでも部屋に篭りっ放しだったけど、
それとはまたなんか、違うような感じで……」
 食事を終え、部屋で休んでいたカイルをソノラが訪ねてきた。
「……お前もやっぱりそう思うか、ソノラ?」
「うん……。カンなんだけどさ」
「お前のカンは当てになるのか?」
 そんな冗談を言うカイルに、ぶーぶー!とソノラはカイルにぼやいてみせる。
「ねえ、先生にちょっと会って話をしてみてきてよ」
「……ああ、そのつもりだった」
 カイルの脳裏に暗い道で独りで泣くアティの姿が過ぎった。
 あのとき、カイルは自分がアティに声をかけるべきかどうか長い間迷った。
 泣いているアティにすぐにでも手を差し伸ばしたかった。それが本心だった。
しかし、それをしたら、その伸ばした手からアティが
逃げていってしまいそうな不安を、カイル感じたのだった。
だからこそ、すぐにはアティに声をかけられなかった。
 ああやって、アティに声をかけたのも、やっとのことでだったのだ……。
「……たぶん、兄貴じゃないと先生は助けられないと思う……」
 ソノラは気づいていた。
アティの様子がおかしいのは、特にカイルに対してなのだった。
 アティの様子は普段と変わらない。
だが、カイルに対してだけ、なんとなく、なんとなくだが、
ソノラはアティが無理をしているような気がしてならなかった。
「行ってあげて、アニキ。先生を助けに……」
「ああ」
 ソノラのその言葉にカイルはハッキリと頷いた。
682タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:26 ID:0vuHFvdu
 コンコン!
 部屋の扉を叩く音が廊下に響いた。
「アティ……ちょっと話があるんだが……」
「カ、カイル……さん」
 突然の訪問者にアティの驚くような声が、扉の向こうから聞こえた。
「なあ、入っていいか?」
「……」
 部屋の中から、アティの返事は返ってこなかった。
「……入るぞ」
「来ないで!……入って……来ないでください……っ」
 カイルの言葉に、否定の叫びが上がった。
「アティ……お前、また泣いているのか……?」
「今、入ってきたら……
私、カイルさんのこと……キライになっちゃいます……」
 そのアティの言葉に、カイルの胸がズキリと痛んだ。
 そっとしておくべきなのかもしれない。カイルは悩んだ。
 だが、だがそっとしておいたからこそ、
アティは今こんなにも傷ついているんじゃないのか――?
 カイルはそう自問する。
 イスラにあれだけやられたのに、
それでも独りにしておいた、それがこの結果なんじゃないのか――?
 カイルは葛藤を続ける。
 アティとカイルの間に重い沈黙が続いた。
 時間はどれだけ流れただろうか。
「……お前には嫌われたくはねえよ。
だけどな……嫌われても、今のお前を放っておくことなんて、
俺にはできねえんだよ……わりぃ……入るぞ?」
「……カイルさ、ん」
 それがカイルの答えだった。
683タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:27 ID:0vuHFvdu
 扉を開き、アティの部屋の中へと足を運ぶカイル。
扉を閉じると、その視界に、
ベッドの上でうずくまるように泣いていたアティの姿が飛び込んできた。
「やっぱり泣いていたのか」
 カイルがそうポツリという。
 部屋の中に入っても、気まずさが流れていた。
「今日は一日中出かけていたみたいだけどよ……何かあったのか?」
 カイルの言葉にアティの身体がビクッと震えた。
アティのそれを、カイルは肯定の反応だと理解した。
「何かあったんだな……?なあ、よかったら俺に話してみちゃくれねえか?」
 カイルはアティそうやって優しく問いかけた。
「もしかしたら、俺でもお前の助けになれるかもしれねえ。
……まあ大した力にもならねえかもしれないけどな」
 カイルの言葉はアティを思ってのことだった。
だが、そのカイルの問いかけにアティは怯えたような表情をつくり、
嗚咽を漏らすだけだった。
「……話せませんよ……だって……カイルさんに、嫌われちゃいます……っ」
「バカ……何で俺が嫌ったりなんかするんだよ……。
まあ話したくないなら、無理には聞かねえよ。
だけどな……俺はお前の力になってやりたいんだよ」
 アティのその様子にカイルもあきらめたのか、
そんな言葉をその背中に優しく投げる。
「俺は……迷惑か……?」
「そんな……っ!でも……でも、今は……
私のことは放っておいて欲しいです……」
「それはできないな」
 そういってアティの拒絶をハッキリとカイルは否定した。
684タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:27 ID:0vuHFvdu
「どう、して……?」
「そんなの決まってるだろ……」
 そう言うとカイルはアティへ向かって歩みよって行く。
そしてアティの震える片をそっと掴んで、アティの眼を真剣に見つめた。
「あ……」
 アティとカイルはお互いに真っ直ぐと見つめ合った。
そしてカイルは思いの丈をアティに告白した。
「お前が……好きだからだよ、アティ」
「カイ、ル……?」
「俺はな、お前の本当の笑顔が好きだ。
だからこそ、今のお前を放ってはおけないんだ
。……もちろん、仲間としても放っておけない。
が、それ以上に個人的な理由でお前を放ってはおけないんだよ」
 その言葉はアティがずっと待ち望んでいた一言だった。
だが、同時に今のアティには最も残酷な言葉でもあった。
「カイル……っう、うう……私、……私……」
「お、おい?……すまねえ……急に俺、変なこと言っちまったな……」
 また突然泣き出してしまったアティに、カイルは困惑する。
「違……っ、私、カイルの言葉……すごく、嬉しい……よっ!
でも、でも……私、カイルにそんな言葉、言ってもらう資格なんて
……もうないの……っ」
「バカ!何を言ってんだよ、資格なんてもんは必要ないだろう?」
「そうじゃない……そうじゃないの……私……うわあああぁぁぁぁ……っ!!」
 激しく泣きじゃくるアティに、カイルはもう何も言えなくなってしまった。
 アティが泣き止むまで、
カイルはずっと胸を貸して側にいてやることしかできなかった。
685タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:29 ID:0vuHFvdu
 重苦しい時間が流れた――。
「……」
 アティが泣き止むと、部屋には静かな沈黙しかなかった。
 カイルとアティは互いに肩を寄せ合っていた。
「……私……」
 沈黙を先に破ったのはアティだった。
ついに重い口をアティは開いたのだった。
「……私……汚されてしまったの……」
 そして予想もしていなかった言葉とその重さに、
カイルはどう答えていいのかわからなくなる。
そんな中、アティは詰まりながらも言葉を続けた。
「私……無理やり……っ、好きな人にあげたかったのに……」
「アティ……」
「……玩具のように何度も弄ばれて……そして……そして……っ」
「もういい……アティ……もう何も言わなくていい……」
 カイルはそのアティの告白を聞いているだけで、
自分の握り締めた拳に力と共に怒りが篭ることを感じた。
「……私、ベルフラウまで傷つけて……」
 カイルはいたたまれなくなって、思わずアティの身体を抱きしめる。
「カイ、ル……」
 カイルの腕の中でアティの身体は小刻みに震えていた。
「すまん……すまねえ……アティ……俺が助けられなかったばっかりに……」
 今日という一日を安穏と過ごしていた自分を、カイルは責め続ける。
そんなカイルをアティは真っ直ぐに見つめ続けた。
686タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:30 ID:0vuHFvdu
「お前を守れなかった俺が、もう言えるものでもないかもしれないが、
まだ間に合うなら……まだ貫いていけるなら、……俺は貫きたい」
「え……」
「惚れた相手は、守り抜け。何があろうと手放すな。
カイル一家の三つの掟……最後の、一つをさ」
「これからは……お前は俺がずっと守り続けてやる。ずっとな」
 そのカイルの真剣な表情をアティはじっと見つめた。
「ずっと……?」
「ああ。ずっと一緒だ。離すもんかよ……絶対にな……」
 そう言ってカイルはアティの唇を寄せる。
「あっ」
 静かな、そして優しい口づけだった。
「んっ……うん……むっ」
 カイルが口を離すと、アティの唇からぷはっと息がこぼれた。
 頬を紅くするアティ。
「カイル……」
 恍惚とした表情を浮かべ、カイルの眼を見つめるアティ。
カイルもアティの眼を優しい眼で見つめ返す。
「それじゃあ……ずっと一緒にいるってこと……証明してください」
 アティは少し恥ずかしそうにそう言って、その眼を伏せた。
アティの照れた様子に、カイルは全てを理解した。
「いいのか?俺で……」
「カイルでないと……ダメです……」
 その言葉にカイルの心臓は高鳴っていく。
ここまで来たら後には引けなかった。
カイルはアティとずっと一緒にいると決めた。それを証明する。
687タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:30 ID:0vuHFvdu
「アティ……」
 カイルはアティの服に手をかける。
少し服がはだけると、アティのその綺麗な肌が露出する。
「カイル……」
 アティがカイルの名前を呼ぶ。
「……私……汚れてしまっていますか?」
「そんなことないさ……すごく……綺麗だよ……お前は…」
「本当に?」
「ああ、本当だ」
 はだけた服のアティが、カイルにはまぶしく輝いているように見えた。
「だったら……このまま抱いて……ください……。
じゃないと、私……ずっと汚れたままのような気がして……」
「アティ……」
「お願い……カイル……私を抱いて……。
カイルに抱かれたら……私……少しは癒されるような気がするの……」
 そんなアティの訴えに、カイルは胸が痛む想いを感じる。
「いいのか?アティ……」
「うん……私……カイルに……抱かれたいから……」
「それじゃあ……」
 カイルはアティの服に手をかけ、優しくゆっくりと脱がせる。
「あっ……」
 思わず恥ずかしそうに声を上げるアティの身体から服を取ると、
カイルはそのまま、下着姿のアティの身体をベッドの上に横たえた。
688タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:31 ID:0vuHFvdu
「カイル……」
 アティの瞳が真っ直ぐカイルを見つめてくる。
カイルはその瞳に吸い込まれるように、アティの肌に触れた。
「んっ……あっ……」
 カイルの手が触れた途端、アティの口から甘い声が漏れる。
その声にカイルの胸は高鳴る。アティのこんな声を聞くのも初めてだった。
「……アティ……?」
 カイルがアティに尋ねるような視線を送る。
カイルの問いかけにアティは小さく頷いた。
「カイル……いいです……。
カイルに触られると……何だか、すごく気持ちいいです……。
だから……続けて……」
「ああ……」
 カイルはそう言うと、アティの胸を下着の上から触れる。
「あんっ……あっ……な、なにか……違う……」
「わ、わりぃ……」
「そ、そうじゃないの……カイルがいいの……。
今まで、辱められたのと……全然違うの……。
すごく……すごく、いい気持ち……」
 アティの言葉にカイルは複雑な心境になってしまった。
 カイルはアティを癒したかった。
 そして、それ以上にカイルは、今、アティを愛したかった。
「アティ……」
689タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:31 ID:0vuHFvdu
 カイルは優しくアティの乳房を布越しにまさぐりながら、
その耳元で名前を呼んだ。
「あっ……ああっ……カイル……カイ、ル……」
 アティも自分の名前を呼び返してくれる。
それがカイルには、すごく嬉しかった。
「出会ったころにさ、名前……呼んでもらったよな?
今は自然に俺の名前呼べている……。嬉しいぜ、アティ」
「……カイル……」
 今カイルは、アティをすごく感じたかった。
アティの温もりを、どうしようもなく感じたかった。
その為には、アティの身体の一部を覆っているものが邪魔だった。
「下着……とってもいいか?」
 思い切って問いかけたカイルの言葉に、
アティは頬を紅く染めながら小さく頷く。
 カイルはまるで壊れ物にでも触れるかのように優しく、
アティの身体から下着を脱がせていった。
「……は……恥ずかしいです」
 生まれたままの姿をカイルの前にさらしたアティは、
消え入りそうな声でそう呟く。
「恥ずかしがることなんかないさ……お前の体……すごく綺麗だ……」
 アティの身体は、カイルの想像以上にか弱かった。
 船で出会った頃から、アティとは戦いのイメージが離れなかった。
いつも前線にたって剣を振るうアティの姿をカイルは思い出した。
 最前線で孤独に戦うアティ……。
 それは碧の賢帝があったためもあるのだろう。
 だが、目の前のアティはどうしようもなく儚げな存在だった。
 俺は、こんな女を戦いの中に置いていたのか――。
 カイルの胸にそんな罪悪感と後悔が過ぎった。
690タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:32 ID:0vuHFvdu
「これからは……俺が必ず隣にいてやるよ……」
 カイルはそう呟くと、アティの首筋にキスをした。
「んっ……あっ、……あんっ……」
 キスに身悶えるアティの身体に、カイルは舌を這わせる。
 首筋から乳房へ……。
「あんっ……そこ……い、いいです……っ」
 乳房から、その先にある乳首へ……。
「……ひあっ!カイル……そこ、感じすぎちゃう……」
 乳首を先まで舐めてから、
カイルの舌はお腹からヘソの辺りを丹念に舐めまわした。
「んっ、んんっ……カイル……そんなに……舐めないで……あぁぁ」
 身悶えるアティから舌を話すと、カイルは耳元で囁きかける。
「こうやって俺が綺麗にしてやるよ。
お前が汚れてるって思ったなら……その汚れを全部……俺が消してやる」
「カイル……」
 カイルの言葉にアティの瞳から、一筋の涙が零れた。
 カイルはその涙を、指で拭ってやる。
「俺はお前の側にいるから……だからもう……泣くな」
 カイルがそう言うと、アティはしっかりと頷いて見せた。
それを見たカイルは、アティの女の部分へと顔を近づけ、
そこへ沿わせるように舌を動かす。
「あっ、ああっ……ダメ……カイル……そこ……汚い……」
「お前に汚いところなんてないさ、アティ」
 カイルはそう言うと、アティのそこに沿って何度も何度も舐め続けた。
691タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:33 ID:0vuHFvdu
「んんんっ……あんっ!あぁんっ!カイルっ!……カイルっ!」
 カイルの舌先がそこを舐め上げる度に、
アティはビクンと身体を痙攣させる。
そして奥からは、ネットリとした蜜が溢れ出してきた。
 カイルは浅く舌先を入れて、その蜜を音を立てて舐め取る。
「あっ、そんな……んんっ、あぁっ……」
 アティのそこは、カイルの舌が動く度に蠢く。
「はぁ……あんっ、あぁ……カ、カイル……」
 アティの甘えるような声に、カイルはだんだん興奮してくる。
 もっとアティの身体を感じたい。
 そんな思いが強くなって、
カイルはアティの腰に顔を埋めたまま、両手を乳房へと伸ばした。
「あっ、ああっ、そ、そんなこと……されたら……んんんっ、あっ、あんっ」
 カイルは柔らかいアティの乳房をまさぐりながら、
アティの女の部分に沿って舌を這わし続ける。
その刺激にアティは、小刻みに身体を震わせて、時々ビクンと跳ねた。
「はぁんっ、あっ……あんっ……カイル……ダメ、です……。
わ、私もう……おかしくなっちゃいますよぉ……」
 どこか切なげにそう呟いたアティの言葉に、
カイルはゆっくりとそこから顔を離す。
そして大きく膨らんでしまった性器をアティのそこへと押し当てながら、
身体を重ねていった。
「いくぞ……アティ……」
 カイルはそう囁きかけると、
アティの中に自分の性器を、ゆっくりと押し入れていく。
「んんんっ!あっ!ああぁぁぁ……」
692タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:33 ID:0vuHFvdu
「アティ……大丈夫か?痛いか?」
 声を上げたアティを気遣うようにカイルが尋ねると、
アティは首を横に振った。
「だ、大丈夫……だから……お願い……つ、続けてください……」
「ああ……」
 カイルはできるだけゆっくりと、アティの中へと入っていく。
「あっ……ああっ、カイルが……私の中に……入って……ああっ」
 中の液がカイルの性器に絡みつき、アティのそこが優しく包み込んできた。
「お前の中……暖かいな……」
 思わず呟いたカイルの言葉に、アティの顔が真っ赤に染まる。
「そ、そんなこと……い、言わないでも……」
 恥ずかしそうにそう言ったアティが、カイルにはすごく可愛らしく思えた。
「アティ……動いても……いいか?」
 アティをもっと感じたくなったカイルは、耳元でそう囁きかける。
するとアティは頬を紅く染めたまま、小さくコクリと頷いた。
「じゃあ……動くぞ」
 カイルはそう言うと、
ゆっくりとアティの身体を求めるように、腰を動かし始める。
「……んんっ、あっ、あんっ、あぁんっ……」
 カイルの腰が前後する度に、アティの口から甘い声が漏れた。
その声にカイルの心臓は鼓動を早めていく。
「アティ……本当に……大丈夫か?」
「う、うん……大丈夫……。
それに……カイルに抱かれていると……すごく、安心できるの……。
だから……このまま……つ、続けて……」
「わかった……」
 カイルはアティの言葉に頷くと、そのまま腰を前後させ続けた。
「んんんっ、あんっ、あっ……カイルの……す、すごく……あ、熱い……」
 カイルの性器を奥まで受け入れたアティが、震える唇でそう呟く。
アティのきめの細かい肌は、徐々に赤みを帯びてきていた。
「アティ……」
693タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:34 ID:0vuHFvdu
 アティが自分を感じてくれている。
そう思うとカイルは、どんどん熱くなっていった。
そしてさらにアティを求めるように、腰の動きを速めていってしまう。
「あっ!はぁっ!だ、だめっ、声が……声……で、出ちゃう……っ」
 アティは恥ずかしさと快感の狭間で身悶え続けた。
そんなアティの姿にカイルも興奮が高まって、
どんどん腰の動きを激しくさせてしまう。
「あっ、ああっ……カイルのが……
お、奥まで……きて……んんんっ、ああぁぁぁっ!」
 カイルの腰の動きが激しくなるにつれ、
アティの口から漏れる喘ぎ声も、だんだん大きくなっていった。
そして繋がった場所からはどんどん液が溢れ出して、湿った音を立て始める。
「あんっ、やっ、ああっ……こ、こんな……音……は、恥ずかしい……」
「恥ずかしがるなよ……アティ。
……もっと……素直に俺を感じてくれよ……」
 カイルはそうアティに囁きかけながら、優しく髪を撫でた。
「カイル……私で、いいの?
……あなたと……初めてなのに……こんなに……感じちゃうのに……」
 少し寂しそうな表情を浮べながら、アティはカイルにそう尋ねてきた。
「バカ……俺もお前じゃなきゃ、ダメなんだよ……。
……ったく……大胆なくせして、妙なところで神経質だよなお前は……」
 優しくそう答えたカイルは、アティの頬に軽くキスをする。
「あっ……カイル……」
 カイルの言葉に少し安心したのか、アティは潤んだ眼で見つめてきた。
「だから……素直に……俺を感じて……」
 そう囁いたカイルは、またアティの身体を求め、腰を動かし始める。
694タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:34 ID:0vuHFvdu
「……あっ、あんっ、ふあっ……カイル……」
 アティが甘い声を上げて身をよじる度に、
カイルの性器を包み込んだそこがヒクヒクと痙攣した。
そこが擦れるが、カイルに何ともいえない快感を与えてくる。
その快感に突き動かされるように、カイルは何度も何度も腰を前後させた。
「ふあっ……カ、カイル……カイルっ!」
 アティはカイルの名を何度も呼びながら、身体を激しく痙攣させる。
「ア、アティっ……!」
 カイルもアティの名前を呼びながら、激しく求め続けた。
「んあっ!はあっ!ああっ!わ、私……もうっ!あああぁぁっ!!」
「お、俺も……二人……一緒に、な……うっ!くうっ!!」
 アティとカイルはほぼ同時に声を上げ、大きく身体を仰け反らせる。
その瞬間、アティの中でカイルの思いがドクンドクンと脈打った。
「んっ……ふあっ……ああっ……
カイルが……いっぱい……わ、私の中に……」
 注ぎ込まれる熱い感触に、アティは唇を震わせて身悶える。
「も、もっと……いっぱい……
カイルので……私を満たして……あぁ……あぁぁぁぁ……」
 アティはそう言いながらカイルにしがみついてきた。
「アティ……」
 カイルもアティの身体を優しく包み込むように抱きしめる。
 そのまましばらくの間、アティとカイルは繋がったまま、
互いの温もりを感じながら抱き合い続けていた。
695タケシー大好きビジュ:03/09/14 17:37 ID:0vuHFvdu
ビジュいないですが、ここまでです。>>666からの続きです。
こんなアティには更なる不幸が降りかかるかもしれないのでした……(ノд`)

気持ち的にはここで一区切りです。
ビジュの救済的なものを考えて、ここまでやってきましたけど、
とりあえずは本編のビジュの墓ED→ビジュ行方不明ED
ぐらいにはなったかなぁ、と……(;´Д`)
続きも書こうと思いますが、しばらく間が開いちゃうと思います。
そのまま続きも書かずに自然消滅しちゃったりするかもしれませんので、
そうなったらごめんなさいです。
だから、ここで一旦今まで読んでいてくれた方々にお礼を言わせてください。
このようなものに長い間付き合ってくださいまして、ありがとうございました。
続きがあれば次回はビジュ×クノンで陵辱気味かもしれません……。
それではまた今度。
696名無しさん@ピンキー:03/09/14 17:38 ID:6Ai2K0wD
>>695
697名無しさん@ピンキー:03/09/14 17:41 ID:6WgMFfon
エーアティたんカイルに側にいるって約束してもらったのにまだ
かわいそうな目に合うんでつか?それだとこのシーンの威力が半減に
(;´Д`)

でも果てしなくハァハァ。乙
698名無しさん@ピンキー:03/09/14 18:27 ID:7apR5iDH
>>695
GJですた。
ああ、哀れなりアティたん。
不幸のどん底から這い上がりついに幸福を掴んだかと思えば、
更なる不幸が彼女を待ち受けているのでした。
だが、そ の 虐 め ら れ っ ぷ り が む し ろ そ そ る 。

・・・骨の髄まで鬼畜か、俺は。
続きも期待しております。
699名無しさん@ピンキー:03/09/14 18:30 ID:kAgPsKSu
うおおお激しく萌えー!!
よもや>>695様のビジュSSでカイアティが拝めるとは…。
無理はなさらないで…といいつつ早く続きが読みてぇと思う自分…。
ハァハァしまくりました。
700名無しさん@ピンキー:03/09/14 18:34 ID:Ywte52vx
もうすぐ480超えるから新スレ誰かよろしく
701名無しさん@ピンキー:03/09/14 20:40 ID:vFkPoIV6
ちょっと思ったんだが、このスレってSS職人と読み手含めて何人くらいいるんだろう。
20人…もいないか?それとももっといるのかな。
702名無しさん@ピンキー:03/09/14 20:56 ID:6WgMFfon
読み手含めればわりかし居るんじゃね?
書き込む奴より書き込まない奴の方が倍以上いるもんだよ。
703名無しさん@ピンキー:03/09/14 21:14 ID:z+SwHz6o
704名無しさん@ピンキー:03/09/15 13:07 ID:Szmif5wr
埋めるか
705軍医さんの休日1/4:03/09/16 01:50 ID:NqNfQfFz
※この話は以下の脳内設定を使っています。
 1,アティが帝国軍に所属している
 2,アティとレックスは双子。レックスの方はおおむね本編通り(でも出番なし)
 ……埋め立てだから無茶は大目にみてやってください。あとえろくないのもごめんなさい。


「お休み、ですか?」
おうむ返しに呟くアティに、アズリアは頷く。
「そうだ。アティはこの隊でたった一人の軍医だから、ずっと働きづめだったろう?
 だからせめて明日くらいはゆっくり休んではどうだ」
「けど、皆さんが働いてるのに……」
「いいから休め。これは隊長命令だぞ?」
内容の割に優しい顔を向けられては逆らえない。
しかし、
「どうやって過ごしましょう……」
「お前の好きなように過ごせばいいさ……ってどうしたんだ?」
難しい顔して考え込んでたアティがおもむろにアズリアを見つめ、
「困りました」
「なにが」
「……何したらいいか思いつかないんです」
「……は?」
ぽかんとするアズリア。
「だってお休み貰うのなんて久しぶりですし」
「悪かったな……。って本当になにもしたいことがないのか?」
したいこと、と呟いて再び考え込む。
「……学生の頃は、お前は日曜は勉強してるか昼寝してるかだったな……。そうだ、長期休暇の時はどうしていたんだ」
「ええと、図書館で涼みつつ勉強してるか、学費稼ぎにアルバイトを……」
「……」
「……」
「……」
「……どうしましょう」
「そのくらい自分で考えろ」
706軍医さんの休日2/4:03/09/16 01:52 ID:NqNfQfFz
で、一晩考えてはみたものの。
(結局思いつかなかったなあ……どうしよ)
「まあ、なーんにもしない一日っていうのも悪くないですよね、多分」
言い訳のように呟いて、アティはさしあたって駐屯地を散歩することにした。
気温は少し肌寒いくらいだが、日差しが暖かいのでかえって丁度いい。絶好の散歩日和といえよう。
で、ハミングなんぞしながらアティの向かった先は。
医療テント。
つまりアティの職場。
「……休めてないです、私」
無意識のうちに出勤コースをたどってしまったらしい。
おやすみ、今日はおやすみと自己暗示かけつつ立ち去ろうとしたその時。
「ぎぃやああああああああああ!!!」
ものすごい悲鳴がテントから聞こえた。
咄嗟にテントにとびこみ、
「負傷者ですか?! ……ってアズリア?」
中には怪我人らしき兵士が数名と、アズリア、ギャレオがいた。
何故だかアズリアの手にはピンセットが握られており、つまんだ脱脂綿を兵士の一人にぐりぐり押しつけている。
兵士Aは涙と洟水と脂汗とでぐしゃぐしゃになった顔を向けて、
「あああアティさん助けてください!!」
「こら彼女は本日休暇だと何度言えばわかるんだ。だからこうして私が軍医代理をしているのだろうが!」
―――なんとなく、こうなった理由は把握できた。
脇に立つギャレオを見ると、悟りきった表情で首を振る。
「大体なんだ薬がしみる程度で悲鳴をあげて、それでも貴様栄えある帝国軍人か?! もっとしっかりしろ!!」
「ひだだだいたいいたいですけがしたときよりいたいですっ!」
「……こういうわけだから、ここは諦めてくれんか」
「……出来る範囲で構いませんから、アズリアのことよろしくお願いします。本当に」
ほとんど白目むいて悶絶しかけている兵士Aと、次はおのれの番だと隅で泣きそうになってる一団に、
心の中で合掌しつつアティはテントを出た。
707軍医さんの休日3/4:03/09/16 01:54 ID:NqNfQfFz
―――というわけで、行く所がなくなったんです」
「行動範囲狭いなオイ」
数十分後。アティは炊事場でにんじんの皮むきをしていた。
隣では食事当番のビジュがじゃがいもの芽をくりぬいている。
「はあ、私って昔から暇の潰し方が下手なんですよね。やることがないと却って調子が狂うみたいです」
「で、包丁握って晩飯づくりか……どこが休みなんだ?」
「正直こっちが聞きたいですよ」
ぐち垂れる間も包丁器用に動かして綺麗にむきあげてしまう。終わったのは空鍋へと放り込んで、新しいのを手に取った。
「ところで夕ご飯はなんですか?」
「煮物。……しかしたまには芋以外のものが食いてェなあ」
「同感です。購買のクリームコロッケパンが懐かしいですよ」
「そんなにうまいか、あれ。俺はバターロールのほうが好みだけどな」
「ビジュはシンプル派ですか。私は惣菜パンがお得感があって好きなんですけど……」
「……」
「……」
虚しいな、とビジュが言った。虚しいですね、とアティが返す。
とりあえず一番虚しいのは『食べたいもの』を考えた時、
購買か仕事場近くの居酒屋のメニューしか浮かばないさみしい食生活だったりするのだが。
互いに黙ったまま、ひたすら野菜の皮むきを続けた。
708軍医さんの休日4/4:03/09/16 01:56 ID:NqNfQfFz
医療テントから出て、アティは思い切り背伸びをする。
夕飯後、やはり気になって負傷兵らの様子を見に行ったのだが、命に別状はないので一安心した。
皆一様に蒼白な顔して「隊長……ひどいです」とうわ言を繰り返していたのはさて置いて。

とりあえず、今日はいい日だった―――のだろう、おそらく。
親しい人と剣を交えることもなく、同朋を失うこともない、ひどく穏やかな一日。
明日がどうなるかは分からないが、少なくとも今夜は、
「久しぶりに夢見が良さそうですね」
アティは誰にともなく微笑んで、自分の寝床へと向かった。
709名無しさん@ピンキー:03/09/16 02:20 ID:TBGuhS+Z
ビジュと皮むき・・イイ!
710名無しさん@ピンキー:03/09/16 07:58 ID:pQ3DU9Cd
イイね。
作中だと割とピリピリしてた帝国軍も、
アティが居るだけで随分とのんびりした雰囲気に。
711名無しさん@ピンキー:03/09/16 21:01 ID:6NqpVrRb
GJ!!
ビジュが素敵だ。
712名無しさん@ピンキー:03/09/16 21:21 ID:52yLlCaz
最高。
ビジュはその性格のほうがいいかも
713名無しさん@ピンキー:03/09/16 22:22 ID:rNH8qpf8
                  ∩
                  ( ⌒)      ∩_ _ グッビジュ!!
                 /,. ノ      i .,,E)
             / /"      / /"
  _n  グッビジュ!!   / / _、_   ,/ ノ'
 ( l     _、 _   / / ,_ノ` )/ / _、_    グッビジュ!!
  \ \ ( <_,` )(       / ( ,_ノ` )     n  
   ヽ___ ̄ ̄ ノ ヽ      |  ̄     \    ( E)  
     /    /   \    ヽ フ    / ヽ ヽ_//  
714名無しさん@ピンキー:03/09/17 00:32 ID:uYXQtmgh
とっても良い
715名無しさん@ピンキー:03/09/17 03:53 ID:HxsvsBAQ
こういうマターリとした話もイイね
716名無しさん@ピンキー:03/09/18 04:13 ID:9keeYgvD
レシィ大好き。
717名無しさん@ピンキー:03/09/18 09:55 ID:Z1kOWKPQ
なんとなく、夢オチっぽいなぁ・・・と思った。
現実では12話13話のあたりだったりして。

すごく良かった。
718名無しさん@ピンキー :03/09/18 17:30 ID:ax8zh1f/
ビジュも昔は普通の性格してたっていうしなぁ

和んだと同時になんか寂しくなったな(´-`)
719名無しさん@ピンキー:03/09/18 19:32 ID:qLkZDuYl
OPのGDAゲッツ
720名無しさん@ピンキー:03/09/18 23:06 ID:hJ9P9CoV
>713ワロタ。不覚。
721名無しさん@ピンキー:03/09/18 23:56 ID:u5NZyboX
突然だけど帝国軍に味方するルート欲しかった
ビジュ使いたかったし、ギャレオも最初から育ててれば使える奴になったかもしれないし
あの三人+召喚型主人公だと結構バランス良さげなんだけどなー

つか、スレ残りビジュ萌えで埋めます(笑?
722名無しさん@ピンキー:03/09/19 05:18 ID:EMQ1g9C8
>>720で初めて気付いたw
723名無しさん@ピンキー:03/09/19 17:17 ID:EyWXxyGL
>>721 同意。ビジュ狙ってたのになぁ・・
724名無しさん@ピンキー:03/09/19 17:29 ID:SlaA1IAi
最初に海賊じゃなくて帝国と会っていれば、
どうなっていたんだろうかねぇ…

まぁ、はぐれを襲うビジュと対立して結局どちらも敵に回しそうだがナ。
725名無しさん@ピンキー:03/09/19 18:51 ID:MOArENVd
>>724
ビジュじゃなくてアズリアと最初に会ってれば協力関係になったかもな。
元々知り合いだし。
その時点じゃ剣の事とか全然知らないから渡せと言われれば素直に返すだろうし。
726名無しさん@ピンキー:03/09/19 23:27 ID:HtzqrZrc
>>725
こんな感じでしょうか

島を探索する最中に再会する主人公とアズリア。
偶然に驚きつつも軍の野営地へと向かうと、はぐれ召喚獣に襲われていた。
抜剣して追い払う主人公。シャルトス見て驚くアズリア。
「お前、その剣をどうして……」
「俺にもよく分からない。ただ、この剣があったから俺も生徒も生き延びることができたんだと思う」
「そうか……。
 軍事機密だから詳しい説明はできないが、その剣は危険なものなんだ。
 こちらに返して欲しい」
「分かったよ」
「すまない、何の説明もできなくて」
「気にしないでくれよ。
 俺だって元軍人だから、任務の守秘義務くらい知ってるさ」
「そう言ってもらえると助かる」
で、剣を渡すかわりに軍に保護してもらう。
主人公は昔取った杵柄ということで、軍への協力を申し出て、アズリア達と共闘することとなる。

妄想爆発ですな
書きかけSS全然進まないのにこういう小ネタばかり思いつく……
727名無しさん@ピンキー:03/09/20 02:57 ID:EVVKDhpG
海賊一家とは敵対か。
んで海賊一家は集落一同と共闘するから……

主人公、生徒、アズリア、ビジュ、ギャレオ、イスラ

わずか六人で海賊と集落一同を相手にするのか…
728名無しさん@ピンキー:03/09/20 04:07 ID:C+W9DGTF
いや、先生抜きでカイル一家と護人が手を組む可能性は低いんじゃ?
帝国、一家、護人の三つ巴。
集落同志の交流も先生の尽力以前は頻繁じゃなかったそうだし、事によると護人も遺跡復活派と封印派に分かれて四つ巴かも?
729名無しさん@ピンキー:03/09/20 06:19 ID:Op14LF2w
ってか、そっちのほうが面白そう。
730名無しさん@ピンキー:03/09/20 08:11 ID:af442v06
最初は剣をアズリアが管理してるけど、
ピンチになるたびに主人公の元に戻るので
戦力不足を補う意味も含めてアズリア公認で主人公が剣を預かる形になるとか。

アズリア「今はどんな物であれ戦力が欲しい。そしてこの剣を扱えるのはお前だけだ。
     レックス、この剣はお前に預ける。だが事が終わったら・・・」
レックス「判っているさ。全てが終わったならこの剣は必ず返す」


帝国軍、味方になると一般兵が全然居なくなりそうだな。
で、代わりに海賊一家や護人は船員や住人をゾロゾロ引き連れて出てくると。
なんだかラングリッサーみたいだ。
731名無しさん@ピンキー:03/09/20 12:10 ID:EVVKDhpG
帝国軍:アズリア、ビジュ、ギャレオ、イスラ(当然裏切る)

海賊一家:カイル、ソノラ、スカーレル、ヤード、ジャキーニ、オウキーニ(中盤あたりで参戦)

集落軍(とりあえず一くくりだが最初はこんな感じで分かれてそう)

集落鬼、獣:ヤッファ、マルルゥ、キュウマ、ミスミ、スバル
集落霊:ファリエル、フレイズ(中盤あたりで正式に鬼、獣と合流)
集落機:アルディラ、クノン、ヴァルゼルド(中盤参戦)、(中盤あたりで孤立化)

主人公は帝国軍に居続ける事も出来るし、海賊の言葉に耳を貸すことも出来るし
集落一同と共闘することも出来る。

・帝国一同は排他的なのでイスラ裏切りまでは帝国軍四人のみ。
・海賊、もしくは集落側につくと海賊か集落組に中盤あたりで合流可能。
・裏切りルート有り。帝国軍ならイスラ、ビジュと共に無色と合流
 但し裏切った場合、海賊集落帝国連合軍と、主人公、生徒、オルドレイク、ツェリーヌ、ヘイゼル、ウィゼル、イスラ、ビジュのみで戦う羽目になる。

なんてな。
732名無しさん@ピンキー:03/09/20 18:21 ID:tOhzox8r
そんなパラレル同人ゲームが出ないだろうか…
マヂで欲すぃよ。
733名無しさん@ピンキー:03/09/20 19:29 ID:EAvMmEi7
俺がものっそい天才だったらナ…
734名無しさん@ピンキー:03/09/20 20:17 ID:LZP7Te+r
ゲー板や攻略板では見られない、味わい深い妄想ですね。
大好き。
735名無しさん@ピンキー:03/09/20 21:58 ID:NfRNCv+R
下らん妄想なのに、そういうふうに言ってもらえると嬉しいよ。

そういえば本スレで妄想垂れ流してた頃にエロパロを潤してくれとかも言われたけど、結局投下してなかったな。
そのうち投下しようかな……。
736名無しさん@ピンキー:03/09/20 22:28 ID:8GSdphxi
>>735
投下ぜひお願いします。楽しみにしてますよん

ここ見て「面白そうだから書いてみようかな」と思う職人さんが現れたら、
かなり嬉しいなあ……とふと考えてみたり
737名無しさん@ピンキー:03/09/20 23:32 ID:ClR4bg4/
次スレ

【帝国軍】サモンナイト萌え8【身体に聞きます】
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1063541511/l50
738名無しさん@ピンキー:03/09/21 00:34 ID:xdke1SJr
     ,, -,,' ´ ̄" ` ''ー`、 `ヽ.
   ___ ,,.. -' "/ { ` -一-ヾ ヽ.  ヽ    ☆
 /      ▽ / ∧ ヽ、, _,,  }}_} ・  ii /
/        {  {ゝ{__`ー-Y´f。Vハ'V } * ・ ii
! 〃      i  ハ ´{ ヽ   、ソ  } く  ☆ ii
ヾ{{    ☆ `ヾ、_`ヽ'^' ヽ   " ! ! } ゚ : ii   
  ヽ{{  * .      ハ  く) /{ i !  ; .ii
   ヾ、.        { ` ーj‐'  {ムノ_   ノ
     ヾ       , '´  ̄ー‐‐- '   ` く
        ` ー---─,'         、   、}
            ,'   ,〈 , -ー‐-、}ノ´⌒ヽ.
           ,'  ∧<= 二‐ノヽ、二 ソ
          , '  / } `"'''" ;  `テi´
.         /   ,' /     ' ,イ i
          /  , ' /"" `''ー--‐'ノ\ i
739名無しさん@ピンキー:03/09/21 00:35 ID:xdke1SJr
                  ‐,<
                ,.-‐,=‐-、_   X   ,.-──────────
          , ‐,ニ,.ニ´,  -、 -、 `ヽ、   /
        //,. i   ! ,  ヽ.、ヽ ヽ\  l    sage♪
      / / / l l l | _|l ヽ」」_l 、 ! i  ヽ、
       | ! i | |,.ri「l. l|  リl._l」ト、l | |  //`ー────────
      l l. l l、!ヽl,xト!ヽ ' ´ ,, `|ル'!'  '´
      ヽ.ヽヽ.iヽ!Y ,, , -‐┐  〈 ′
         Y`トzヾ`   l   | , イ、
     ,   ゝニィ >t.、_ヽ_ノィNソ′ 丿丿
    l l  (NT{^ァ┴rYYnヽrニュ、 ´
    ヽ ヽ.  ` `/``ーl二二トiー‐‐t
          ィ -‐y'    | |     !
         `、 /    ,' .l    l
           ヽ     /  !   .ノ
            fヽ._,r´   `ーt'
            l _       _ゝ
              j_   ̄  ̄  _.>
          / / ̄l ̄ T  ̄! \
         \.」_  |   |_.」-‐′
           l   ̄Ti ̄  l
             ,!    l l    !
          /   ,' l    l
         ,'   /.  l    l
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743名無しさん@ピンキー
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       !_!LlL__ `゙'     /;;`゙'シ<  リl| |!lil.|  | li| ill.ト、ヽ
      / `ヽ、,`! '     丶;,::.:.:.::;〉ヽ|l i l llj   | | il !
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      i  ノーノ| |l ト、        _,. ゞリ 〃 |lヾノ / ハ||  \
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