伏姫と八房 獣姦リレー小説

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1名無しさん@ピンキー
昔々、ある所にとても綺麗なお姫様がいました
お姫様の名前は伏姫と言いました。
伏姫にはペットの犬がおりました、名は八房
ある日、伏姫の父上(つまりは殿様)が冗談で「もしお前が敵将の首を取ってきたら
伏姫を嫁にやろう」と八房に言いました。
そしたらホントに八房は敵将の首を取ってきてしまいました!
父上はどうしたもんかと考えた挙句、
「伏姫を嫁にはやるがその代わり伏姫と一緒に城から出て行ってくれ。」
と、いう結論を出しました。
こうして八房と伏姫は夫婦となり
城を出て山奥で暮らすこととなりました・・・。

元ネタは里見八犬伝。
犬の八房と人間の女性伏姫の夫婦の物語。
続きを書くのは、あなたです・・・。
2名無しさん@ピンキー:03/05/04 01:48 ID:GPKwtvxS
2ゲッツ!
そういや八犬伝にハマッた時期もあったな…
3名無しさん@ピンキー:03/05/04 23:41 ID:zgq3PHkf
山の奥のそのまた山奥にある小さな小屋。
そこが里美夫婦の新たな新居となりました。
八房の方は何やら喜んでいますが。
伏姫の方は今自分の置かれている状況に困惑していました。
ですが・・・・。
八房との夫婦生活は、以外にもまんざらではないようです。
4あぼーん:あぼーん
あぼーん
5名無しさん@ピンキー:03/05/05 03:24 ID:cA4O509T
八房の背に載せられ、この山奥に連れてこられた初夜の契りのことにございます。伏姫様は
なんの躊躇いもなしに獣、否、忠義の殿方にして姫が愛玩されていらっしゃった犬にして夫、
あたりまえといえばそうなのでございましょうが、あまりにも憐憫をさそうお話に御座います。
しかし、それは凡人のわたくしめが勝手に思い馳せましたことで、獣と人の交わりにおいて
おふたりには垣根などございませんでした。
その夜、月明かりに照らされた大きな獣を前にして伏姫様は何の躊躇いも見せずに、纏いし
衣を落して朱の長襦袢だけになられたのだそうです。
「女、なにゆえに、躊躇っておる?」
伏姫さまは八房さまに傅いていつもされていたように、腕を大きな御首に廻されて抱擁されました。
「妾は人の女子。そなた様は獣の男の子」
耳元では荒い獣の息と、裂けた口からは腐臭のようなものが漂っていたそうにございます。
「何が言いたいのだ。我をそちも謀る気か」
「め、滅相もございません。た、ただ……今宵だけは人として愛してくださりませぬか。八房さま」
 八房殿は獣として交わることの方が伏姫さまには精神的な御負担も無く良いとお考えになって
いたそうにございます。
「ならぬ」
 伏姫さまは襦袢を落して、そのうえに白磁の肌を獣ののように四つん這いにおなりになって
お迎えになったそうにございます。
「ど、どうされたのでござりますか。は、はやく妾をお抱きになってくださりませ」
「声が顫えておるではないか。そちは我が恩賞。どうするも勝手ではないのか」
「さ、さようにござりまする。もうしわけございません。お赦しを、八房さま」
 白磁の肩に掛かる碧の艶やかな髪は、伏姫さまの怯えをお隠しになっておりました。
その双臀からしなやかな御身脚にも掛かってお守りになっているように。しかし、あまりにも八房殿に
焦らされ伏姫の躰は薄っすらと汗に濡れ、白磁のしなる裸身は桜色にきらめいていたように
ございます。
忠義のものに礼を尽くすのは武家の倣い。約束を反故にすることは罷りならぬことと、
覚悟はしていても、いざ交わる段になって御身が獣となってことに至る事に躊躇いがあったので
ございましょう。
6名無しさん@ピンキー:03/05/05 10:20 ID:fYyzk8rL
おおう、なにやら良さげ。
って言うか喋れるんかい八房殿。(別に構わないが。
7名無しさん@ピンキー:03/05/05 10:24 ID:b+wGmBOC
>5タン(・∀・)イイ!!
伏姫の妾口調に萌ぇ〜♪
8名無しさん@ピンキー:03/05/05 17:26 ID:cA4O509T
「お赦しくださりませ、八房さま……妾に……伏に躊躇いなどありましょうや」
 いつの頃からに御座りましょう。伏姫さまは八房殿とお心を通わされ、お心ごと掠め
取られるのを御覚悟されていたと聞き及んでおります。しかし、そのことはわたくしめには
俄かに信じがたきことにございました。
 伏姫さまは我が軍が敵兵に難儀していた頃に八房殿の御声をお聞きになられたそうに
ございます。御前に進みい出、人語を介して初めて主君に語りかけたそうに御座います。
お后さまは殿さまの無体な戯れに蒼ざめ気を失いかけになったそうにござります。
 しかし、伏姫さまは凛としてこう申されました。
「忠義の者の進言、感謝いたします。みごと敵将の身印を取られ帰陣されることを切にお祈り
いたしておりまする。あたらお命をお粗末にせぬように、八房さま」
「伏、なにを気のふれたことを申すか。これは戯言ぞ」
「父上、わたくしは気などふれておりませぬ。この日が来る事は等に判っておりました」
 朱の襦袢に蒼白の御綺麗な裸身を晒して、伏姫さまは堪えておいでになられたそうに
ございます。白く細い手、白魚のような指が襦袢の朱を握り締めて、八房さまの紅色で艶やかな
管にて御開帳されるのを下唇を御噛みになられ息を潜め、終には感情を御解きになられまして
伏姫さまは御泣きになられたよしにございます。
 獣と人との交わりは禁忌にござりまする。その御子も呪われし者となるのでござります。
それは、伏姫さのも八房殿も重々承知なされたよしにございます。
「な、なにを躊躇われておるのです!畜生ならば、畜生道に堕ちるまでのこと!」
「赦せと言わば、挑発とは難儀な女子じゃ」
 一丈もあると思われる八房殿の巨漢はのっそのっそと摺り寄せ、伏姫さまの双臀へと
荒い息を吹きかけたそうにございます。長い伏姫さまの漆黒の御髪が舞い秘肉の裂け目と
御命を守りし儚いまでの叢を晒されたのでございます。
 八房殿は伏姫さまの双丘に黒の尖りにて割り開こうとされていました。伏姫さまの笑窪の
見えまする双臀がお気にめされたのでありましょうか、何度と小突かれて伏姫さまは閨声を
御上げになったのでございます。
9名無しさん@ピンキー:03/05/05 17:29 ID:cA4O509T
  伏姫さまの御柔らかい尻肉が八房殿の黒々とした御鼻で小突かれるたび、微かにではござりますが
蠢いていらっしゃった綴じ目があからさまにひっぱられ、朱の肉襞を覗かせるのでございます。
「ああ……堪忍下さりませ。八房さま。うああっ!」
 秘裂の奥からは伏姫さまの女の蜜があふれ出たようでございます。夫である八房殿の嗅覚
にあからさまに知られることが、伏姫さまの御躰を羞恥に焦がしたのでございます。
「あああっ、は、羞ずかしい……た、堪えられませぬ」
「羞ずかしがることはない、伏。見ている者は、ほれ。天上の蒼白の月のみ。そなたの柔肌のように
綺麗な月のみじゃ」
「な、ならば、早よう、早ように……伏に御乗りくださりませ!」
「そなたは、御仏の御心に背くのが恐ろしゅうないのか」
 伏姫さまは八房殿の鼻息で乱されたおどろの御髪のままの壮絶な美貌で、御貌を捻られ
申されました。
「あなたさまはわたしにとって神。唯一の神にございます。あなたさまは父上の戯言に憤怒されて
のことにござりましょうが、伏は待っていたのです。御分かりになっていただけぬのですか。
伏は哀しゅうござりまする」
 御仏に背いて獣と交われば、永劫に成仏などあり得ぬことにございまする。躊躇われていたのは
八房殿にございました。伏姫さまの凛とした厳かな声音に八房殿は顫えたよしにございます。
歓びに、そして哀しみに、その瞳が万華鏡のように変られたそうにございます。
  何ゆえ人の男の子ではなく、獣なのかを御仏に呪い、伏姫さまのお傍で可愛がられながら
募る恋情をひたすらに打ち消したその日々の想い。
 伏姫さまは八房さまの哀しみと歓びを己がものとして、お伝えになったのでございます。
伏姫さまの胸元には首飾りに連なる八つの水晶が月明かりに照らされ光を放っていたそうに
ございます。その宝玉の光を八房殿は導として伏姫さまの柔肌に御乗りになられたにございます。
10名無しさん@ピンキー:03/05/05 17:38 ID:cA4O509T
保守名目で連続、スマソ。
11名無しさん@ピンキー:03/05/05 23:22 ID:MFWlc/Od
おお、中々良さげな方向に・・・。
続き、期待してますよ。
12名無しさん@ピンキー:03/05/06 07:04 ID:opM5IgeD
http://www.kaigai.co.jp/ukiyoe/about1a.html
江戸時代の人間も同じようなこと考えてハアハアしてたんだな(リンク先の一番下)。
13名無しさん@ピンキー:03/05/06 13:02 ID:Gvx/I9/I
グッジョブ!!
かなぁり(;´Д`)ハァハァしますた。
14名無しさん@ピンキー:03/05/06 18:51 ID:enmgNMGP
age
15名無しさん@ピンキー:03/05/06 20:30 ID:gcWJlMl1
  伏姫さまと八房殿が富山へお入りあそばされたのは、山の木々が燃え盛りしの頃。山に吹く
寒々とした夜風に玉のような肌を晒し、八房殿に御躰を御捧げになられたのです。伏姫さまの
それは清らかな蒼白の御躰に八房殿の巨漢が包み込むかのように被さったそうに御座ります。
 蒼白の肌に掛かりし髪を上へ押しやり、伏姫さまの御肩から生えた黒き翼を拡げるかのように
妖しくも艶やかな眺めを敷いた朱の襦袢に御描きになられたそうです。
 伏姫さまは人の女子。春のはじまりならいざ知らず、冬の厳しい時を迎えねばなりません。
「寒くはないか、伏」
「はい、あなたさまの御躰が伏をやさしく包みます.」
「これからは、そうはいかぬぞ。我の強張りが伏を裂く。わかっておろうな?」
「は、はい……とうに、か、覚悟は出来て……ああっ!」
 八房殿のものが伏姫さまの双臀の肉のあわいにあてがわれたよしにござります。
それにより、伏姫さまの可憐な唇から迸る御言葉。
「わ、妾は……伏はあなたさまの……八房さまの妻にござりまするっ!」
 八房殿は御腰を軽く伏姫さまの臀部を御突きになりました。
「ああっ、い、いやああっ……ああ……」
 人のものよりも遥かに固い肉が伏姫さまの尻肉を小突き、御躰を情欲に煽るのでございます。
その伏姫さまが仰け反った美貌を首筋から頬までを八房殿のざらっとした赫い舌が御化粧を
根こそぎ持っていかれるのです。伏姫さまの頬の御化粧の片側は剥げ落ち八房殿の唾液に
濡らついております。
「はっ、あっ、ああ……き、綺麗なまま……伏を赦してはいただけないのですね……」
 伏姫さまは八房殿の方に仰け反った御貌を向け、裂けた口から垂れ下がっているぬるりとして
唾液を滴らせる舌へ、その白く細い綺麗な手を差し伸べまする。八房殿は目を細め大そう喜んだ
ようですが、すぐに眼を御開きになられて、伏姫さまに告げるのです。
「我は獣。化粧はかりそめの仮面。時とともに移ろい行くものだ」
「それは、違いまする。化粧はあなたさまへの想いにて……ひっ……伏の真心にござり……あああっ!」
16名無しさん@ピンキー:03/05/06 20:42 ID:gcWJlMl1
「そんなことは、いってはおれなくなるぞ。我が思うままに御すれば、爪が伏の柔肌、肩や尻朶を
裂くやもしれんぞ!」
「お、思うままに……ふ、伏を抱いてくださりませ……それが、女子のしあわせにござります!」
 伏姫さまは、蒼白の月に咽喉を突っ張らせ咆哮され、想いを告げたのでございます。
「あやかしの美女、玉梓の呪詛と思わなんだか!」
「な、何故に御座りますか!何故に御苛立ちになられます!妾を、伏を信じてくださりませ!」
「なら、よいわ!望みどおりに裂いてやるわ!」
 八房殿のものから、朱のぬめっとした長い管が出でて、伏姫さまの躰を衝きあげ一気に
沈めたのでございます。そして更なる突き上げに、伏姫さまの華奢な御躰が朱の襦袢から
摺り上がって、白き両腕は後ろに投げ出されるようにして御貌を朱の襦袢に擦りつけたまま、
蒼白の尻を高く掲げる体位をとられたそうにございます。
「ああっ、く、くるしい……ああ……いや、こ、こんなのはいやにござります……
……か、かんにんしてくださりませ」
 肉を裂く痛みよりも、重く一点だけを責める強大な力が伏姫さまの御躰に拡がるのでございます。
「苦しめ、これが獣との交わりの必定!人ならば子壺、妖魔ならば伏魔殿。我の物がそこに
押し入って突き射るのだ!破るやもしれぬ、伏、苦しめ!なにゆえ、我に馴染もうとする!
われはもののけぞ、伏!」
 八房殿の無体な責めに終に伏姫さまの御躰は果てたそうにございます。それは、
甘く蕩けるような快美などではなく。
「あ、あまりのお言葉にござり……うあっ、ああ……いっ、いやっ……た、たすけて…
…ああ……っ!八房さま!ご、後生にございます……」
17名無しさん@ピンキー:03/05/06 20:46 ID:mLOPtKHh
リアルタイムキタ━━━━(°∀°)━━━━!!!!
18名無しさん@ピンキー:03/05/06 21:02 ID:gcWJlMl1
「女子、本音が出おったか!」

 伏姫さまは八房殿の御言葉に烈しく御貌を御振りになられ、御答えになられておりましたが、
その痛みにとうとう耐え切れずに気を失ったそうに御座ります。

 そして、伏姫さまが正気を取り戻したのは、山の夜風の冷たさに目を醒ましたのではなく、
八房殿が伏姫さまの御躰を労わって、仰向けになって寝ておられた伏姫さまの蒼白の太腿の
あわいへと赫い舌を這わしていた図にござりました。いくばくかのピリッとした痛みと、やさしい舌遣いに
伏姫さまの女に火がともり直ぐに御躰に桜を咲かせたようにございます。

 そして、先ほどのような責めによる苦悶の汗ではなく、快美に御肌を薄っすらと濡らしたそうに
御座います。それによって伏姫さまの月光に照らされし裸身は汗でぬらっときらめいていて
壮絶な美貌の額とこめかみには粒状の汗を噴き上げておいでになりました。

 呼吸も熱く淫れて、伏姫さまの柔らかそうな乳房も喘いでいらっしゃって、薄っすらと脾腹には
儚げな肋骨を浮き上がらせ、伏姫さまは八房殿の御躰におすがりになっていかれました。
八房殿は伏姫さまの御心に応えられになって、仰向けになっていらっしゃった伏姫さまのねがい
通りに人として抱擁をされたよしにござりまする。御二人の情欲と熱情の赴くままに焔のなかで
蕩け逢い交わっていかれたそうに御座ります。


 これが、わたくしめの知る伏姫様と八房殿の初夜の契りの伝承にございます。
19名無しさん@ピンキー:03/05/06 21:35 ID:mLOPtKHh
堪能させていただきますた
>「お、思うままに……ふ、伏を抱いてくださりませ……それが、女子のしあわせにござります!」
> 伏姫さまは、蒼白の月に咽喉を突っ張らせ咆哮され、想いを告げたのでございます。
健気に一途な伏姫さま(;´Д`)ハァハァ
ぜひとも続編キボンヌ
20名無しさん@ピンキー:03/05/06 23:41 ID:enmgNMGP
チュン、チュン、チュン・・・。

小鳥のさえずる声で伏姫は目を覚ましました。
そしてすぐ気が付いたのは自身が裸である事実。
そう、伏姫は八房と熱く激しい初夜の後、そのまま眠りに付いたのでした。
すぐさま顔を赤くして身体を隠しますが良く考えたら
周りには旦那である八房しかいないことを思い出し、すぐ気を楽にします。
ふと、横を見るとそこには八房の姿が。
彼は昨夜の激しさが嘘のような安らかな寝顔で眠っておられました。
伏姫は八房のふさふさした身体を一撫でし、
これからの生活に思いをはせるのでした・・・。

自分も続編希望します。
21あぼーん:あぼーん
あぼーん
22名無しさん@ピンキー:03/05/07 07:34 ID:Wu0huKb6
暫くして八房もようやく目を覚ましました。
八房は寝ぼけまなこで辺りを見回します。
・・・と、股間に何やら違和感を感じました。
目線を下に落とすと八房のモノを口で処理している伏姫の姿が。
「・・・伏、お前は一体何をしているんだ?」
八房は伏姫に問いかけます。
「見て解りませぬか?八房様のモノを綺麗にしているのです、
すぐに済みますゆえ、もうしばしお待ちを・・・。」
伏姫はそう言って舌で綺麗に八房のモノを丁寧になめ取るのでした。
「・・・こんな事、何処で覚えたんだか・・・。」
八房はそう思いながらも心地よい快楽に身をゆだねるのでした・・・。

・・・昨日のは割とシリアスだったので自分はぼのぼのと・・・。(ぉぃ
続きは他の人にお任せします。(ぉぃ
23名無しさん@ピンキー:03/05/07 19:52 ID:IsEpqkU5
age
24あぼーん:あぼーん
あぼーん
25あぼーん:あぼーん
あぼーん
26名無しさん@ピンキー:03/05/07 23:01 ID:L+jL2tXE
  仔犬が母犬から乳を貰うように舌を差し出して御貌を近づけ舌を差し出したそうにございます。
伏姫さまの迸らせた雫と八房殿の子種の混じり合っている残滓の穢れを伏姫さまは舐めとって
嚥下しておったそうにございます。
八房殿は躰を起しになられていて、伏姫さまの御躰が入り安そうな格好を取られております。
蒼白でしなやかな細い手は天井の八房殿の腹を御優しく愛撫し、もう一方の御手は柔らかな毛
を生やしていらっしゃる男の子のあかしのふぐりをまさぐられていました。
「誰にしてやったのだ……伏、答えてみよ」
八房殿の目は伏姫さまの妻としての所作に気持ちよさそうに細めていたよしにございます。
「はじめてにございます。伏は母上さまに……教えられたのでございます」
「ならば、春画を見たのだな」
「……」
富山の朝日のきらめきを受けし、伏姫さまの艶やかな黒髪の波に浮ぶ蒼白の御躰は、
八房殿の下にあっても玉のように輝かしくあって、その乳房のうえに輝く数珠に連なりし守護の
八つの宝珠はそれぞれの八つ文字を煌々と浮かび上がらせて伏姫さまを玲瓏の極みへと
導いておいでになりました。御顔にも桜の彩りを見せておいでになって。
「どうした。夫のもとめには答えられぬのか」
「み、見ました……見ております」
 人外の男の子の御躰に伏姫さまの吐息が乱れたそうにございます。伏姫さまの熱い吐息に
朱色の男の子の尖りがぬるっと飛び出して伏姫さまの頬を突いたにございます。更に八房殿は
腰を揺すられて擦られるように突きになりました。
「ああ……。こ、これでは御務めが全うできませぬ」
 伏姫さまの御躰のなかに羞恥と御歓びが交互に反転し襲ってきたようにございます。頬に額に
ぬるっと這うのでございます。喘いだ唇にも押し入って犯すのです。
伏姫さまの眉は細くは整えられてはおられませんでした。太くも無く細くも無く、そして
御髪のように黒々として、その間の太さが伏姫さまの凛とした御気性を示しておいでになりました。
27名無しさん@ピンキー:03/05/07 23:04 ID:L+jL2tXE
  その眉が悦楽にたわみ揺れるのでございます。黒く吸い込まれそうな眼も瞼に固く閉じられて
眦が吊りあがるのでございます。それは伏姫さまの悦びにございました。
しかし、八房殿の烈しい衝きあげに堪らずに御顔を避けになった時にございます。八房殿の
逞しい脚のあわいから、長い毛を蓄えられておられます尾が烈しく揺れているのを一瞬だけ
垣間見たのでございます。人と獣の垣根を真に越えられた瞬間といってもよいかと信じまする。
 責められて気色悪くと皆様方は思いでしょうが、伏姫さまの口元には笑みがこぼれていたそうに
ござります。そして八房殿は御自分の男の子に傅く伏姫さまを御覧になられたそうです。
「春画の男の子に我を想って、おそそを慰めておったのか?」
「さ、さようにございます。ああ……お、御苛めにならないでくださいまし……八房さま」
 伏姫さまは、白い太腿をキュッと閉じ合わせになられたそうです。御歓びから羞恥へと伏姫さまは
悶えるのです。八房殿の御鼻が縦に描かれし臍にあてがわれ、頤(おとがい)をゆっくりと上げられ
伏姫さまの御柔らかい下腹をなぞって、太腿の合わせ目に潜り込んだそうにございます。
「脚を拡げろ、伏」
 女に八房殿の御鼻が擦り込まれるのでございます。おんなの放つ匂いを隅々まで愉しもうとする
八房殿の行いに女子の身の伏姫さまにとって置き所がなくなるのでございます。それでも伏姫さま
はこう御答えになられました。
「は、はい……仰せの通りに……いたしまする」
 伏姫さまの女園はしとどに濡れていたそうにございます。その蜜を八房殿は御鼻に擦り付けたそうに
ございます。反射的に白磁の腿を合わせますると……。 
「ならん!堪えよ、伏!我に傅いたのではないのか」「それが、妻の務めと仰るなら、妾は八房さまに
傅きまする……」 「伏の菊蕾の芳しい匂いもしてきおったぞ」
身を焦がす羞ずかしさのあまり、歔きを洩らしたそうにございます。
「か、かんにんしてくださりませ……」 「伏、奉仕の手が疎かになっているではないか」
「お、お赦し……ああっ!た、たすけてくださりませ……」 伏姫さまはか細く御声をあげられました。
 八房殿のざらっとした舌が秘園全体を覆って、核から下へとひと舐めしたのでございます。
28名無しさん@ピンキー:03/05/07 23:06 ID:L+jL2tXE
また書いちゃって、ごめん。
29名無しさん@ピンキー:03/05/08 00:57 ID:zd2BJ50h
すごくいいです。
文面も綺麗で、情感たっぷりでたまらんでつ。
30名無しさん@ピンキー:03/05/08 07:34 ID:LZ1KTtUH
それにしても誰が語ってるのでしょうか?(聞くな
31名無しさん@ピンキー:03/05/08 09:13 ID:4u6HczNR
>>30
聞きたいのを我慢してたのに…(藁
32名無しさん@ピンキー:03/05/08 14:33 ID:FY2LNaW1
(;´Д`)ハァハァ
つ、続きキボン…
33名無しさん@ピンキー:03/05/08 21:05 ID:w59FiCBE
  伏姫さまの総身に雷に打たれたような閃光が走りました。女芯をぞぞっとざらついた舌で
舐められたのでございます。ふぐりと御腹を撫でられていた御手はふるふると顫える乳房を
挟み縮こまって御口にあてがわれたそうでございます。
「ん、んんっ……」
 そして、八房殿は伏姫さまの秘園をさらにひと舐めされたのでござります。
「はああっ!」
 伏姫さまの御開帳されておられました腿が閉じ合わさるのでございます。八房殿はかるく
内腿を小突いて弾かれました。あからさまに女子の華芯がぱっくりと開かれ、濃密な雫が
下に敷かれていた衣にこぼれ落ち滲みをお作りになられました。
「伏の薫る華が芳しい露を噴いておるわ」
 伏姫さまはああっと御叫びになられると、その細くしなやかな指で御貌を覆われました。
朝日に照らされての秘め事の閨姿、見ているものは天上を舞う鳥ぐらいにございましょうが
篝火のやさしい灯かりに包まれての情愛を伏姫さまは少なからずや願っておいでになりました。
さらに、昨夜のひりつく秘園へ八房殿の舌が割り開いて押し入ってくるのでございます。
 凛とした眉は八の字に吊りあがり、瞼はしっかりと閉じられ眉間には縦皺を刻み、その玲瓏な
容貌を綺麗なままに歪ませるのでございました。伏姫さまは羞恥を通り越してかるい眩暈にも
似た浮遊感に包まれたそうにございます。
「おゆるしを、伏をお赦しくださりませ……んああっ、ああっ……」 ひりつきが快楽へと変化し……
 美貌を隠されていた伏姫さまの頬は涙に濡れて、その涙がどこから来るものなのか御自分にも
よくわからないものにござりました。 『玉梓の呪詛とは思わなんだか!』
(伏は妖女の呪詛やまやかしなどにたぶらかされてはおりません!)
 粗野であっても、庇護されやさしくされていることは女子にはわかるものでござります。さりとて
玉梓の怨霊のことは里見家ゆかりの者にとっては捨て置けぬことにございます。
34名無しさん@ピンキー:03/05/08 21:06 ID:w59FiCBE
  待ち望んでおられたことが、もしまやかしだとしたら取り返しのつかないことをしてしまったのでは
ないのか。悦楽の湯のなかに朱を一滴垂らして隅々にまで拡がるような不安があるのです。
 そして、それをつよく否定される御心と鬩ぎ合うのです。伏姫さまの御躰は汗をしぶかせ弓状に
しなって跳ね上がり、御顔を隠しになられていた手は百八つに連なりし八つの宝珠の数珠を
しっかりと御掴みになられてすがりつくように、御心を確かなものとされて浅い眠りへとついたのでございます。
キリキリキリッと破魔弓を八房殿に引く男の姿に気づかれ、急ぎ伏姫さまはよろめく脚で踏ん張って
御立ちになると、八房殿の御首に抱きついたのでございます。放たれた矢は伏姫さまの背中に
突き刺さったのです。蒼白の肌に一条の朱を描きました。二弾目の矢も放たれ、摺り落ちる
伏姫さまの頭を射たのでございます。
 八房殿は二弾目で目星をつけられ伏姫さまの御躰を跳ね除け、矢を射た男へと炎の矢となって
地を抉り駆けて行かれました。男は伏姫さまを射たことで烈しく動揺されていたのですが三本目の
破魔の矢を素早く抜いて弦に掛けキリキリと引かれ……そして、引きつけるだけ引きつけておいて
射たのでございます。破魔の矢はヒュンと空を裂いて突進する八房殿の眉間に突き刺さり、そのまま
男を突き飛ばして地を揺るがして崩れ倒れたのでございます。

「どうした、伏。躰が痙攣しておったぞ……」「さ、さようにござりますか……も、もうしわけございません」
 伏姫さまは悦楽のなかで幻視を見られておいでになりました。御躰を起こそうとするのを八房殿
が鼻で伏姫さまの躰を倒して御自分の体毛で裸身を包もうとするのです。
「か、かたじけのうござります」 「伏、なにを見た?」
「男が鉄砲で伏を狙っておりました。それを八房さまがお守りになられて……」
「暫らく安め。疲れておるのだろう」 「御怒りにはならないのですか……」「なにを怒ることがあろうか。
伏が我を庇ったのであろう。さあ、ひと眠りするのだ」「は、はい……八房さま……あなた」
 伏姫さまは八房殿の御躰に頬を擦り付けて赤子のように裸身を丸くなされ御眠りにつかれました。
35名無しさん@ピンキー:03/05/08 23:47 ID:jQkUJmr/
八房に寄り添うようにして眠り続ける伏姫、
その光景はとても美しいです。
八房は眠り続ける伏姫をじっと眺めます。

「・・・中々良い夫婦をしているではないか。」

と、八房の頭の中に声が響き渡ります。
と、同時に八房の目の前に妖艶なる美女が現れたのでした。
ただし半透明、しかも何やら靄に包まれています。
「・・・玉梓か死者がこんな所に何しに来た。」
八房は目の前に美女に向かってそう言いました。
「それがお前を生んだものに対して言う言葉か?」
「お前が腹を痛めて生んだわけでもなかろう。」
「確かにね、でもあんたに神通力を与えたのは私だよ。」
「それには感謝しよう、お陰で伏とこうしていられるのだから。」
36名無しさん@ピンキー:03/05/08 23:59 ID:jQkUJmr/
八房の言葉を聞いて玉梓はフンとせせら笑います。
「しかし、見事に愛し合ってくれちゃってねぇ・・・
悲しむかと思ったら、あんたと一緒に居られることに喜んじゃってるもん、
こっちは拍子抜けたよ。」
玉梓は呆れ顔でそう言います。
八房のほうは何も言いませんが、ほっとけ、と言う顔です。
「余りの熱々ぶりにこっちも嫉妬しちゃってさ、
伏にチョットした術をかけちゃったよ。
その娘、何やらうなされてなかったかい?」
玉梓がそう言うと八房の視線が急に鋭くなります。
「・・・伏が見た不吉な幻覚は貴様の所為か!」
その言葉には怒りが込められていました。
「・・・そんな顔しなさんなって、どうせあの玉に守られて
対して障害は残らないんだし。」
そう言うと玉梓の体がスウッと消え始める。
「じゃあ、アタシはもう暫くあんた達の生活を見届けさせてもらうよ。
せいぜい愛し合いな。」
「・・・待て、一つ聞きたいことがある。」
「何だい?」
「・・・伏姫が私に好意を持ったのも貴様の力か?」
「・・・違うね、そればっかりは私も予想外だったよ。」
玉梓はそう言って姿を消しました。

「・・・そうか。」

そう呟く八房の顔は何やらホッとしてました。


・・・エロ書けよ、自分・・・。
37名無しさん@ピンキー:03/05/09 07:28 ID:SFP0vNd6
保守上げ
38あぼーん:あぼーん
あぼーん
39名無しさん@ピンキー:03/05/10 01:05 ID:uA9eWa+i
日も高く昇り、見事なまでの日本晴れ、
そんな晴天の中、伏姫は川で洗濯をしておりました。
汚れてしまった服を綺麗にする為です。
「・・・見事に染みが付いてしまいましたね。」
伏姫は八房の子種と自分の愛液が付いた襦袢を見てそう呟きました。
まぁ、襦袢の上であれだけ乱れればこうなるのは当然ですね。
「・・・匂いもまだ取れないし・・・。」
そう言って伏姫は襦袢にこびり付いた匂いをかぎ始めました。
随分と洗ったと思いましたがそれでもかなり臭います。
「・・・ああ、獣の匂いが・・・八房様の匂い・・・。」
・・・と、伏姫の体が段々火照ってきました。
どうも匂いに当てられたようです。
「ああ・・・駄目、こんな所でしては・・・。」
そうは言っても体の疼きは止められない。
伏姫の指が段々と下腹部へと向かって行きました・・・。
40名無しさん@ピンキー:03/05/10 01:21 ID:uA9eWa+i
くちゅっ、

指が秘裂に触れるとやはりそこは濡れておりました。
伏姫は襦袢を口に加えて自分の秘所をいじり始めます。
「ああ・・・この匂い・・・駄目・・・。」
襦袢にこびり付いた八房様の匂いをかぎながら自らの秘所をいじくり続ける。
そんな異常な行動が伏姫を更なる興奮の高みへと誘いました。
「ん、くうっ!ふあああっ!」
伏姫は指を更に激しく動かします。
しかし、それだけでは満足しません。
伏姫が辺りを見回すと、大きな岩が目に映ります。
「ん、んっ・・・。」
伏姫はその大岩の所まで行くと、岩の角に自分の秘所をこすりつけ始めました。
岩の角と伏姫の秘所がこすれあって卑猥な音を立て続けます。
それにより空いた手は両の乳房を揉み下し始めます。
伏姫の自慰は更に激しくなっていきます。

そして・・・。

「ファっ、駄目・・・何か来る!ファああああ!」
伏姫は遂に絶頂を迎えました。
口に加えていた襦袢はそのまま岩の上に落ち、岩には大きな染みができていました。
伏姫は絶頂を迎えた後の身体を川の中に浸していました。
「八房様・・・ごめんなさい、アナタというものがありながら、
つい、こんな事を・・・。」
伏姫は仰向けで寝転がりながら自分の夫に謝罪するのでした。

・・・閑話休題のつもりで書いたのでエロとしてはイマイチ・・・。
続きは他の人にお任せします(そればっかかよ!
41名無しさん@ピンキー:03/05/10 12:41 ID:MPhH7x+r
age
42名無しさん@ピンキー:03/05/10 19:17 ID:JGN2hZlK
  快楽に火照った躰を鎮める為、夫に身を委ねることなく欲情した穢れを清めようと
川の水に脚を踏み入れたのです。
ゆっくりと素足で砂利を歩まれて、そっと川の水に浸けたのです。誰もいるはずの無いのに、
その水の冷たさからなのでしょうか……思わず乳房を腕で隠してしまわれました。
「躰に水が心地いい……」
陽光にきらきらときらめく水面に細い足首からふくらはぎへ、そして膝から太腿に冷たさが
伏姫の躰を捉えるのです。下唇をきゅっと噛み締めて、肝心の濡れそぼった華芯を水へ
浸けました。伏姫は凛とした黒々とした眉を少しだけ寄せると、瞼を閉じあわせて腰をゆっくりと
落としていきました。まだ火照る華芯を冷水に浸したとき、微かに衝撃が駆けていました。
契りの微かに残るひりつきなのか、快楽に委ねし残り火がそうさせたのでしょうか。
「おゆるしください、八房さま……」
 そう言葉をお洩らしになりながらも、乳房を隠した腕をほときながら秘所に白魚のように
お綺麗な指を這わさずにはおれませんでした。
「わたしは罪なおんななのでしょうか……男女(おめ)の契りを交わしたばかりだというのに
なんと破廉恥な……」
 長き睫毛をふるわせて、眦を濡らしていました。伏姫は腰を落として乳房まで浸かると
水底を蹴って艶やかな肢体を水面に浮かべ富山に抱かれたのでした。
富山のゆったりとした刻に肢体をあずけ川原のせせらぎに耳を傾けながら水面に漂って
おりました。やがてくるであろう厳しい冬の来訪にも関わらず、龍の穴で来るべき春を
待ち焦がれ愛され愛したゆたうと身を寄せすがる日々を伏姫は想うのでした。
足までも届く長い黒髪が水面にゆっくりと拡がっていくのです。躰を真直ぐに伸ばして
きらめく波に浮んでいたのは、伏姫自ら夫を想い慰めて耽溺した美貌とお顔の顎の骨が
描く美しき線と綺麗なふたつのやわらかい乳房と頂の冷水に顫える蕾。そしてやわらかい
下腹に縦に描かれる愛らしいお臍。潜りし繊毛の叢は、よりやわらかさを示して水のなかに
そよいでおりました。
43名無しさん@ピンキー:03/05/10 19:19 ID:JGN2hZlK
川のせせらぎ、鳥の声、山の気の流れに身を任せ伏姫は天上の青空を眺めておりました。
微かに気の乱れを伏姫は感じ取って、躰を起こして水面から立ったのです。
 伏姫の裸身に長い御髪が細い肩に乳房にと掛かっていました。濡れた黒髪は艶やかに
きらめいていて、蛇が蒼白の裸身にのたくるかのように隠してへばり付いていたのです。
「伏の醸す蜜の芳香がした」 「もうしわけございません」
 伏姫は八房の御姿を目にして乳房を隠してしまわれ、視線を落とされてしまいました。
「なぜ羞ずかしがる必要がある。めおとの契りをしたのではないのか」
「は、はい。さようにございます」 「なら、隠すな」 「は、はい。仰せのとおりに」
 八房は乙女の羞恥を弄んでいたのです。
「なにをしておったのだ、伏よ」 「は、はい……」 「はいではわからんぞ」
 八房は水のなかに入られて、伏姫の躰の周りを鼻を鳴らしながら歩きました。
「残り香があるぞ」 「お、おやめください……」 「夫へ指図するのか」 「めっそうもございません……」 
伏姫の貌は赧くそまっていました。
「さあ、早くあがって、していたことを見せてくれ」 「こ、ここでございますか……」 
「そうだ。ここで、あそこの残り香のする大岩でやっていたことをしてみせよ」
 伏姫は水からあがって砂利を踏みしめ大岩へと近づいて躰を屈めると、大岩に両手を
ついたのです。八房は主に従う犬の如く伏姫に付き添って岩にまで寄ってきていました。
 尻のあわいからすでに女の蜜を滴らせ匂いを放っているのを八房は気がついていました。
「ほ、ほんとうにここでするのですか……お、おゆるしを……」
「ならん」 「お苛めにならないでくださいまし……」
 伏姫は八房にそう、か細く洩らしながらも従っていかれました。岩につかれていた手は
抱き締めるようにして乳房は岩に拉げ、ごつごつとした感触がしこった乳首を刺戟するのです。
 すらっとした両脚は開かれて、ぱっくりと開かれた秘所からは女の雫がこぼれ内太腿を濡らし
蠢く秘肉ごと夫のものとはまったくちがう、岩の冷徹なまでの尖りへと被せていきました。
「あああっ……堪忍してください……!」 
「ほれ、牝犬となって尻を振ってみよ」 「ひっ、ひいーッ!」
44名無しさん@ピンキー:03/05/10 20:02 ID:JGN2hZlK
  里見義実は伏姫が八房に連れ去られた日に、金碗大輔孝徳を呼んで討伐の命を下したそうです。
「八房の嗅覚は尋常ではない。わかっておろうな」
「はい、こころえております」 「なら、言うてみよ」
「やつはわたくしの許嫁を奪いし憎っき犬にしてもののけ。敵将の身印を条件に里見家に仇
を成した狼藉赦すまじ」

「大輔、この梓弓と破魔の矢で八房を討て。そして伏も殺すのだ。これは上意ぞ、心せよ」

「ふ、伏姫さまも、でございますか……」
「我が娘と言え、もののけと交わりし女子ぞ!畜生道にも劣るわ!」
 大輔孝徳は血の涙を流しながら、主君から梓弓と破魔の矢を賜りました。
「心するのだ、大輔。これより八房と伏姫を追って山に籠もれ。そして一年時をマテ」
「はい、しかと心に刻みます」
「一年、人の匂いを消して山の気と同化せよ。そして次の年の秋に里見家の意趣を返すのだ」
 大輔はめぐる因果の紡ぎ出した糸にがんじがらめになった己を知ったのです。もとは玉梓に
主君が情けなどかけなければと思うてはならぬことに砂を噛むのでした。

 伏姫の上げた閨声は山々に響きわたっていきました。八房は太腿をあけすけに開いて
大岩にしがみ付き、己が命に従い腰を振り続ける蒼白の尻のあわいを割り開き、
羞恥に煽られて、じんじんと熱を帯びてひくついている菊蕾に鼻を押し付けて
捻じ込んだのでした。そのような場所を嬲られたのは、もちろん初めてでした。
 ただ、母上により、おんなの穴という穴は交わりとして殿方に奉仕するものと
言い含められてはいたのですが、契ったその日に精を受けるかもしれないというこわさに
錯乱し、八房の鼻息がぶわっと送り込まれた際にぶるっと双臀を顫わせて、大声で
泣き叫んでいました。太腿を伝い勢いよく琥珀のゆばりが迸っていたのです。

「いやぁあああああッ!後生です!ああ……か、堪忍してええええッ!」
45名無しさん@ピンキー:03/05/10 23:38 ID:QjdBZTrA
・・・このスレは一応リレー小説・・・ですよね?
>>40
とりあえず、
>>44の続きとして書きます。
あれから一週間たってるという設定です。

・・・まだ続きがあったらすみません・・・。(汗


八房と伏姫が夫婦となってから1週間の時が過ぎました。
朝は昨夜の交わりの後始末、昼は八房は狩りに、伏は雑用に
夜は激しく交わり合うの繰り返し、
こんな生活が続いておられました。
で、現在も朝早くから伏姫が八房のものにこびり付いたモノを
自分の口で綺麗にしています。
「・・・伏、もう良い、顔を上げろ。」
八房は伏にそう命じました。
「ハイ。」
伏はそう言って顔を上げました。
「・・・伏が私の妾となって一週間、何事もなく、平穏な毎日だな。」
「・・・確かにそうですが、私はこの幸せがいつか崩れそうで恐ろしゅうございます。」
伏姫は身体を震わせながらそう言いました。
「・・・そんなに不安になるな、伏。身体によくないぞ。」
八房はそう言って伏姫の肩にぽんと手を置きました。
「・・・そう・・ですね。」
伏はそう言って八房の手をとりました。
46名無しさん@ピンキー:03/05/10 23:47 ID:QjdBZTrA
「・・・ところで八房様、伏は以前から気になる事がありますが・・・。」
と、伏は話題を変えました。
「何だ、いきなり。」
八房はキョトンとした表情になりました。
「八房様が伏と一つになって性を放つ時に膨らむこれは何でございましょうか?」
そう言って伏姫は八房のモノの根元を手に取りました。
八房の根元は風船のように膨らんでおりました。
今は大分縮んでいますが伏はこれが昨夜の結合の時に
手毬位の大きさにまで膨らんでいたのを覚えています。
「これか、・・・ウームゥ・・・どう説明すればいいのだか・・・。」
妻の問いかけに八房はどう答えたら良いか悩んでしまいました。

・・・今度書くときはちゃんと繋げて欲しいです。
なるべくで良いですからお願いします。
4745-46:03/05/11 10:45 ID:xYzcQRtv
>>42-44さんへ

スミマセン、良く見たらちゃんと繋がってたんですね・・・。
48名無しさん@ピンキー:03/05/11 23:32 ID:v52lpCL4
保守age
49あぼーん:あぼーん
あぼーん
50名無しさん@ピンキー:03/05/12 23:15 ID:STBsPPj/
定期あげ再び
51名無しさん@ピンキー:03/05/12 23:59 ID:S2N+WaKB
                Λ_Λ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ハァハァ (* ´Д`)<オナーニの途中だから邪魔しないでくれる?
             _ (||||__⊂)__ \_______________
           /旦/三/ /|
       ((| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  | ))カタカタ
        |愛媛みかん|/
52名無しさん@ピンキー:03/05/13 07:21 ID:RzRrkrbh
「八房様、何をそんなに黙り込んでいるのです?」
伏姫は心配そうに八房の顔を覗き込みます。
八房本人は自分のモノの根元についているコブの正体をどう説明したら良いか考えています。
「・・・ううむ・・・どうすれば良いんだか・・・ん?」
と、八房の目にある光景が目に映ります。
それは二匹の狼がまぐわっている光景にございます。
八房はそれを見てある事を思いつきます。
「伏、丁度良いものが見つかった、こっちに来い。」
八房はそう言って狼の所へと向かいました。
「?何でございましょうか?」「旦那の言う事には黙って付いて来い。」
伏姫の問いかけに八房はそう答えて先へと進みます。
伏姫は慌てて八房の後を追いかけたのにございます。
53名無しさん@ピンキー:03/05/13 07:39 ID:RzRrkrbh
伏姫が八房様の後を追いかけるとそこには2匹の狼がまぐわっている光景がありました。
オスの狼が雌の狼にかぶさって必死でお腰を振っているのです。
結合部分も目に見えてはっきり解るほどです。
「八房様、これは・・・・。」
伏姫は八房の顔を見てそう問いかけました。
「見ての通り、狼同士の交尾だ、伏、ちょっと雄の狼の方を引っ張ってみよ。」
八房は伏姫にそう命令しました。
伏姫の額には当然のごとく冷や汗が。
「や、八房様、流石にちょっとそれは・・・。」
「いいからやれ。」
妾、旦那の命に逆らう流れ。
伏姫はしぶしぶ狼の交尾の元へ向かいました。
「・・・失礼させていただきます。」
54名無しさん@ピンキー:03/05/13 07:39 ID:RzRrkrbh
伏姫は雄のほうの狼を背中から抱きかかえるように掴みました。
当然、狼が睨みかけてきますが・・・。

「獣ども!この娘に傷をつけたら即、あの世行きだぞ!」

八房が目でそう狼に訴えるとすぐ黙り込みました。
伏姫は安全である事を確認すると雄の狼を雌の狼から引き剥がそうと
思いっきり引っ張りました。

しかし・・・・。

「・・・?八房様!何かが引っかかって引き離す事ができませぬ!」
伏姫は八房にそう訴えました。
雄の狼をいくら引っ張っても雌の狼との結合部分が外れる事はないのです。
「・・・そうか・・・なら戻るぞ。」
それを聞いた八房は伏姫にそう言いました。
今来た道を引き返す伏姫と八房。
戻り際にこの夫婦は狼2匹にこういいました。

「スマンな、迷惑かけて。」「遠慮せずに続きをやっていてくださいね。」

・・・そう言って去っていく一人と一匹を狼たちは唖然とした表情で見送っていきました。

やはり今回もエロっぽくなし。
続きは例によって他の人にお任せします。
55名無しさん@ピンキー:03/05/13 15:16 ID:8H8C0dEL
「狼の夫婦には気の毒なことを致しました…それにしても不思議な……。
 今頃はどうしておりますことか……」
お戻りになられた伏姫様ではございますが、先程の光景を思われてか、
頬を薄紅にお染めあそばされ、陶然と宙を御覧になっておられました。
「まだ繋がっておろうの」
「……伏も………夜昼を分かたずに…」
そこまで仰せになって我に帰られたご様子。
「いやっ……妾は何を申しておるのでしょう……。お聞き捨て下さいませ」

人ならぬ八房殿なれば、伏姫様の御心は手に取るように読まれておられました。
姫様の御体より、夫なる八房殿を求める薫香が漂い始めていたのでございます。
「したいのか、伏」
「いえ…そのような……。どうかお嬲り下されますな……」
「そなたの欲するところをはっきりと申してみよ」
「は…い……。…い、致しとう…存じまする……」

強いられて仰せになったとはいえ、姫様は羞恥に御袖で御顔をおおわれます。
そのために、知らず千切れるように振られた尾を姫様に見られなかった事に、
八房殿は安堵なされたようでございました。
「そうか……しかし、ならぬ。夜まで待て」
「待てませぬ……」伏姫様は潤んだ眼を八房殿に向けられました。
「昼夜ではそなたの身がもたぬ、堪えよ。今は……」
「あ」

八房殿は肩口を姫様の胸元に当て、姫様の御体を倒されると、その足元に蹲ります。
そして、姫様の白い足先に真紅の舌を這わせはじめました。
「ひっ…、何を……あっ!……ああ!……こ、このような、このような…!」
真っ白な足指に、また夫々の間に、ざらりとした八房殿の舌が絡み付いては舐ってゆきます。
「あっ!ああ……。お、お許しを……!なりませぬ…、なりませぬ……っ」
かつて覚えぬその感触に、伏姫様は裳裾をはだけ物狂おしく身悶えられたのでございました。
56名無しさん@ピンキー:03/05/13 15:24 ID:8H8C0dEL
ううむ、エッチくないですね…。
玉(?)の話は良く分からなかったので回避してしまいました。すんません。
自分、江戸時代版も読んだ事がありますが、この現代版の方が断然面白い。
でもここでは八犬士に萌えることはまかりならぬのですね…。耐えまする。
>>30
質問の意図とは違うと思いますが…。やはり語りの御大、岸田今日子様かと。
57名無しさん@ピンキー:03/05/13 16:08 ID:QYfT8q0v
八犬士に裾野を拡げた方が面白いと思うんだが、獣姦・・・妖怪
えとせとら。

伏と八房は春夏秋冬……のなかで雪の上での
情交を妄想してみたり。
58名無しさん@ピンキー:03/05/13 23:32 ID:8PCgJxvB
八犬士出したら二人共死んじゃうでしょうが・・・。
・・・ゲストで同盟の人を出すのはアリかもしれないが。
59名無しさん@ピンキー:03/05/13 23:37 ID:8PCgJxvB
主役はあくまでも八房と伏姫、八犬士を出すとこの二人を殺すことになる為、
ちょっと駄目だと・・・。
・・・ゲストで同名の人を出すのはアリかもしれないが。

ちなみに玉の話ですが犬の性器の根元には精液を溜めておく袋があり
結合時にはそれが子宮の中で膨らんで抜けないようにするのです。
このような機能が付いてるのは確実に子孫を残す為だとか。
動物の交尾というのは奥が深いです・・・。
60名無しさん@ピンキー:03/05/14 00:01 ID:jC51W0SO
八房は伏姫の指の間をしつこく御舐めになります。
それこそ、指の間が綺麗になるほどに。
「ああっ!八房様、堪忍してくださいませ!」
伏姫は感じているらしく、秘裂がじんわりと濡れてきています。
「ほう、こんな所が感じるとは以外だな。」
足の指を舐めながら八房はそう呟きます。
「そ、そんな事・・・ああっ!」
伏姫は声を我慢することなく出し続けています。
悶えた所為で服は乱れており、とても色っぽいです。
八房は頃合を見計らって、足の踝から内股に向かって一気に舐め上げました。
「ああーッ!」
伏姫は絶頂を迎えました。
伏姫は服を乱れさせたままで荒く息を続けています。
「・・・とりあえず夜まで待て、その時に伏にも体験させてやろう・・・
あの狼達のようなまぐわいをな。」
八房は伏姫の耳元でそう呟きます。
それを聞いた伏姫は、微かに笑みを浮かべたのです。

・・・いわゆる足攻めですね。
これが感じるのかどうか、私には解りません。
意外と感度良いんですね伏姫って。
61名無しさん@ピンキー:03/05/14 17:58 ID:SBlfdN58
>>59
そういえば、それらしきものが今は亡きウチの犬にあったような…。
そういう用途だったとは…。1回もやらせてあげんでごめんよ。

足攻めは、読むだけでぞわぞわします。まあ、人によるでしょうね。
62名無しさん@ピンキー:03/05/15 07:31 ID:3e+NA7bB
夜、満月が夜空にぽっかりと浮かんでおります。
その月の光に照らされて、伏姫の裸体が白くクッキリと映し出されました。
「アン、うふぅ・・・八房様ぁ・・・。」
その月明かりにさらされた秘裂を八房は丹念に舐め挙げるのです。
朝時の足攻めが効いたのか、既にそこは音が立つほどにしっかりと濡れています。
「八房様ぁ・・・早く、早く伏のココにこれをお入れ下さい・・・。」
伏姫は八房の男の証を手に取りました。
こちらも既に大きくなっており、赤黒く脈を打っております。
普通の人なら直視すらできないであろう代物を、伏姫はいとおしそうな目で見つめています。
「・・・伏せ、四つん這いになれ。」
八房は伏姫にそう命令します。
「は、ハイ・・・。」
すぐさま言われた通りにする伏姫。
八房もすぐに伸し掛かり、腰を軽く降り始めます。
「や、八房様、早く、はやくぅ〜。」
伏姫は八房のモノを求めて必死で声を上げ続けます。
「・・・何だかいつもより激しく求めているな、やはり今朝の行為で興奮しているのか?」
八房はそう問いかけます。
「そ、そうでございます!早く、早く約束どおりに獣のように交わって下さい増し!」
伏姫は何の躊緒もなしに大声でそう叫びました。
八房は躊躇う事無く素直に叫ぶ伏せ姫を見て驚きます。
かなり興奮しているようです、伏姫様。
「・・・良いだろう、そんなに言うなら望みどおりにしてやる!」
八房は伏姫に秘裂に自分のモノを無理やりねじ込むのでした。
63あぼーん:あぼーん
あぼーん
64名無しさん@ピンキー:03/05/15 07:45 ID:3e+NA7bB
「あ、ああ〜っ!」
伏姫は恥ずかしげもなく大きな喘ぎ声を出しました。
八房が腰を動かすたびに伏姫はいつもより激しいあえぎ声を上げ続けます。
「もっとあえぎ続けよ、伏!売女か淫女のごとく声を上げ続けよ!」
八房は伏姫の痴態に対しそう叫び続けます。
「あぁ、あぁ、あぁぁぁーっ!」
伏姫はただ叫び続けるのみ、
どうやら突き入れが激しすぎて八房の言葉が全然耳に入ってないようです。
「感じよ、あえげ!今宵は只では済まぬぞ!」
八房はそう叫び、伏せ姫の中に性を放ち始めました。
それと同時に八房は腰の動きを止めます。
「・・・?どうなされたのです、八房様。」
激しい腰の突き上げが止み、幾分か平静さを取り戻した伏姫がそう問いかけます。
「いきなり動きを止めて何を・・・ああっ!?」
そこまで言って伏姫は自分の体の中で何かが起こってることに気が付きました。
伏姫の体の中で八房のモノが膨らみ始めたのです。
それは八房が性を放つたびに膨らみ続け、遂には拳大にまでなってしまいました。
その膨らみようは伏姫の下腹部がコブのように膨らんでいる事からもよく解ります。
「や、八房様、これは?」
「言っただろう、獣のように交わると、これからが本番だぞ。」
八房は伏せ姫の耳元でそう呟くのでした・・・。

・・・ああ、何だか挿絵がほしい・・・。
ってそこまで言ったらわがまま?
65あぼーん:あぼーん
あぼーん
66あぼーん:あぼーん
あぼーん
67あぼーん:あぼーん
あぼーん
68名無しさん@ピンキー:03/05/16 00:03 ID:nyq2RhFX
伏姫と一つになった八房は止め処なく伏姫の中へと精を放ち続けます。
しかも膨らんだ玉が栓の役割をし、精液を外に出す事はありません。
「ああっ!止まりませぬ・・・一体どうなっているのですか八房様!」
伏姫は体験した事のない出来事に遭遇して戸惑っておられます。
「まだ終わらぬぞ伏姫、この状態がまだ一刻は続く!」
八房は伏姫にそう言いました。

(こ、この状態が一刻も・・・。)

それを聞いた伏姫は恐怖と嬉しさが混ざったような表情になりました。
それと同時に伏姫の秘肉が八房のモノを更に締め上げます。
「ほほう、かなり喜んでいるようだな。」「そ、そんな事は・・・。」
「そうなのだろ・・・?」「・・・ハイ。」
八房の言葉攻めに伏姫は赤面します。
「・・・良い子だ、もっと楽しませてやろう。」
八房はそう言うといきなり後ろを振り向きます。
69あぼーん:あぼーん
あぼーん
70名無しさん@ピンキー:03/05/16 00:29 ID:nyq2RhFX
八房は体勢を変えて伏姫と尻を合わせる様な体制になりました。
「や、八房様、何を・・・!?」
伏姫は自分と反対方向に向いている八房に問いかけます。
しかし、八房は伏姫の問いかけを聞かず、そのまま前に歩き始めました。
「ひぎいっ!」
伏姫は激痛に教われました。
膨らんだ玉が伏姫の秘裂の入り口で引っかかったのです。
「や、八房様、何処に行くのですか・・・伏を置いて行かないで下さい!
しっかり妾を抱いていてくださいまし!」
伏姫は不安に駆られて後ろに居る八房に向かって手を伸ばします。
八房は構わずゆっくりと前に向かって進んでいます。
玉が引っかけとなって結合部分から外れないため伏姫は八房に引っ張られていきます。
「か、堪忍してください・・・く、苦しゅうございます・・・。」
伏姫は秘裂から極限まで膨らんだ八房様のモノが抜けないようにするだけで精一杯です。
膣内を八房の精液でいっぱいにされ、栓までされ、
更には八房に知り合わせの体制で成す術もなく引きずられている・・・。
とても人には見せられない痴態です。
誰も見て居ないのがせめてもの救いでしょうか。

「ああ・・・苦しい・・いい・・・ふぁあ・・・。」

しかし伏姫はこの状況をとても喜んでいられるようです。
そう、獣の夫に成すがままにされている事を喜んでおられるのです。
(もっと・・・もっと伏を汚してください!八房様の精で汚してください!)
伏姫は心の奥底でそう思うのでした。
そしてこの夫婦の結合が説かれる頃には実に一刻半もの時が流れていたのでした。

・・・今回は実際の獣姦を再現したつもりです。
続きは他の人に任せます。(何回同じ事を言ったんだ?
71名無しさん@ピンキー:03/05/16 09:56 ID:h0326NdV
えちねたに参考になりそうなスレがありました。
ttp://wow.bbspink.com/test/read.cgi/hneta/1050858320/l50

(*´Д`)ハァハァ(*´Д`)ハァハァ(*´Д`)ハァハァ
(*´Д`)ハァハァ(*´Д`)ハァハァ(*´Д`)ハァハァ
(*´Д`)ハァハァ(*´Д`)ハァハァ(*´Д`)ハァハァ
72名無しさん@ピンキー:03/05/17 08:37 ID:KUTGD/dp
>>71

役に立つかどうかは解りませんが情報ありがとうございます。
73名無しさん@ピンキー:03/05/17 14:48 ID:cZorRX8f
描いてみますた イメージと違うという方は勘弁してくださいm(__)m

ttp://akm.cx/2d/img-box/img20030517144418.jpg
74名無しさん@ピンキー:03/05/17 23:26 ID:1JSyX9Wv
>>73サンクスコ
黒髪もいいな…まあ漏れの伏姫のイメージはガンガンで連載してた
里見☆八犬伝なんだが(というかそれしか読んでない)
75名無しさん@ピンキー:03/05/18 01:08 ID:xz1d11MK
横顔が凛々しくていいと思うよ
76名無しさん@ピンキー:03/05/18 10:07 ID:I7MDdVhs
伏姫といえばNHK人形劇の新八犬伝のイメージだな
それしか見てない
77名無しさん@ピンキー:03/05/18 12:38 ID:U1Ss2qvP
>>73
うん、中々いいと思いますよ。
78名無しさん@ピンキー:03/05/19 02:42 ID:PI7rDM3P
絵本「よいこの南総里見八犬伝」 最終回(?)

八房、伏姫ニ謂イテ曰ク、
「汝、我ガ婦也。人獣ノ間ト雖(いえど)モ夫婦ノ契リ必ズヤ交サンカ。
速ヤカニ裳(もすそ)ヲ解ク可シ。」
http://akm.cx/2d/img-box/img20030519024204.jpg

粗悪燃料でスマソ…
79名無しさん@ピンキー:03/05/19 13:41 ID:bdAGtWDc
滝にうたれてるとこ、髪を川で洗っているとことかも、リクしたい。
勝手なこと言ってゴメン。

長い足までもとどく黒髪にあって、水に流れと白い肌というのに萌える。
80名無しさん@ピンキー:03/05/19 23:22 ID:yX/zVQZn
>>79
自分もキボン。
81名無しさん@ピンキー:03/05/20 23:59 ID:NJHeuRe/
微妙にリクから外れているんでアレだけど、こんなもんでいい?
ttp://akm.cx/2d/img-box/img20030520235741.jpg
takitokamuzukashiiyo…
82名無しさん@ピンキー:03/05/21 00:23 ID:BxsXr19i
八房に一刻以上もの間精を注がれ続け、やっと結合を解かれた伏姫は
お尻を高く上げたまま、息を切らせておりました。
どうやら腰が抜けて立ち上がる事が出来ないようです。
秘裂からは注がれ続けた八房様の精液が見っとも無く流れ続けています。
その量は良く伏姫様の中に入っていたもんだと感心してしまうほどの量でした。
八房はじっとそんな伏の様子を見つめておられました。
暫くして伏にこう問いかけます。

「・・・満足か?」

そう問いかけられた伏は力なく微笑んでこう答えました。
「・・・次の時も、お願いしますね。」
それを聞いた八房はほんの少しだけ嬉しくなりました。
「・・・馬鹿言え、連日でやったら伏せも私も体が持たん。」
八房はそう答えました。


>>16のシーンを絵にして欲しいです。
なるべく激しく!ですね。

・・・勝手なこと言ってスミマセン。
83名無しさん@ピンキー:03/05/21 14:05 ID:OC28mwya
水遊び・・・・・デブになっちまった(;_;)

ttp://akm.cx/2d/img-box/img20030521140318.jpg
84名無しさん@ピンキー:03/05/21 17:40 ID:336c3XRb
でぶというより、逞しすぎ。肩幅ひろいもん。
でも貌はこっちの方が好きやな〜。
85名無しさん@ピンキー:03/05/22 00:08 ID:qNDKPAkk
さて、ココでちょいと本筋から離れた話をしよう。

「・・・くそっ!まさかこんな事になるとは!」
山のど真ん中で一人の男がガックリとうなだれていた。
男の名は大輔。
そう、あの伏姫の許婚だった男である。
彼は八房夫婦のいる山に入り、そのまま1年かんここですごす事で
自然の空気になじみ、気配を消した所で
八房を抹殺する計画の為、山篭りをしていた。
しかし、山篭り1週間目、彼を悲劇が襲い掛かった。
「まさか、破魔矢と弓を野党に盗まれるとは・・・!」
そうなのだ、八房を殺すのに必要な破魔矢と弓を彼が寝ている間に
盗まれてしまったのだ。
これでは計画が本倒れである。
「この大輔、一生の不覚っ!」
彼はそう叫んで絶望に打ちひしがれた。
・・・八房抹殺計画、ただ今難航中・・・。

完全にエロ抜き、スミマセン・・・。
86名無しさん@ピンキー:03/05/22 01:08 ID:MS8UmQft
>>82
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
>>16 の挿絵…と思って描いてみたけど何か激しくシチュが違っていたよ。ゴメソ。
ttp://akm.cx/2d/img-box/img20030522010607.jpg
87山崎 渉:03/05/22 02:12 ID:kEHAV9zG
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
88名無しさん@ピンキー:03/05/22 23:15 ID:he3Qe0cP
>>86
いえ!中々良かったですよ!
この調子でドンドンお描き下さい!
89名無しさん@ピンキー:03/05/23 02:23 ID:lVn9K9ab
>>82
このスレ見てるめちゃめちゃ少ないんだろうけど、今度こそ >>16 の挿絵。
襦袢まで描き切れねえよ…神キボンヌ。
結構ファイルサイズが大きくなってまった…苦っ。
ttp://akm.cx/2d/img-box/img20030523021946.jpg

>>88
ドンドンかくのは小説の方向で頼んます…。
挿絵のご要望があれば実力の許す限り頑張って描いてみるけど…。
90名無しさん@ピンキー:03/05/23 14:21 ID:eYMfvEfR
キタ━━━━━━\(゚∀゚)/━━━━━━ !!!!!
挿絵マンセー
91名無しさん@ピンキー:03/05/25 00:12 ID:Jv+5RCwd
ようやく身体が動くようになった伏姫はノンビリと川の中で水浴びをしながら
月を見ておりました。
今回は八房様も川で汗を流しています。
伏姫は月を見ながら今までの出来事を思い返しているのでした。
「・・・父上や家のモノは元気にしていらっしゃるのでしょうか。」
ふと、伏姫は自分の家を思い浮かべました。
「まぁ、あの男が私を殺せとかのたまってる以外は平和そのものなのではないか?」
八房はそう答えます。
「・・・そうでしょうか?」
伏姫はそう言って心配そうな顔になります。
伏姫と八房が山にこもって一週間。
そろそろ家族の事が心配になってくる頃でしょうか。
八房はそんな伏姫の不安を吹き飛ばそうと必死になります。
「そんな心配そうな顔をするな!ここの所、戦らしい戦も無い様だ
よほどの強国に攻め込まれない限り滅ぶ事はなかろう。」
「でも・・・。」
「そんな顔するな!そんな顔したら父上も許婚であった大輔も悲しむぞ!」
八房がそう言うと、伏姫はキョトンとした顔になった。
「・・・大輔?誰のことでございます?」
「・・・は?」
二人の間を静寂が支配するのでした。
92名無しさん@ピンキー:03/05/25 00:20 ID:Jv+5RCwd
「・・・お前、大輔の事を忘れたのか?」
八房が信じられないといった顔で伏にそう問いかけます。
「ちょっとお待ち下さい、すぐ思い出しますから・・・
ええと、大輔、大輔・・・・。」
そう言って伏姫は元許婚のことを思い出そうとします。
しかし、中々思い出せません。
「・・・ああ!思い出しました!確か子供の頃から
私に付きまとっていた男の事ですね!」
10分ほど立って、ようやく伏せ姫は手を叩くのでした。
「・・・付きまとっていた・・・。」
婚約者に対してその程度の印象しかないかの、伏よ。
八房はノドから出てきそうな言葉を必死で飲み込みました。
「そういえば父上が許婚だから仲良くしとけとか言ってましたっけ
確か・・・。」
伏姫はそう言って過去の事を回想するのでした。
93名無しさん@ピンキー:03/05/25 00:29 ID:Jv+5RCwd
ココから伏の幼少の頃の回想です

大輔「姫、姫ー!」
伏姫「・・・何ですか?」
大輔「これから流鏑馬の特訓をするので見て言ってください!」
伏姫「・・・スミマセンがこれから八房の散歩がありますので・・・。」
大輔「犬の散歩など後でよろしいでしょう!」
伏姫「・・・・!」

バシィっ!

大輔「・・・!?ふ、伏・・・?」
伏姫「たがが犬の散歩でも、私にとっては大切な事です!
後回しにするわけにはいきません・・・。」
大輔「し、しかし伏姫・・・。」
伏姫「それときやすく私の名を呼ぶのはおやめなさい!
無礼者!」
大輔「ブ、無礼・・・。」

八房「バウ!ハウ!」

伏姫「では、八房様が呼んでますので・・・。
八房様済みません!チョットしつこい男がおりまして・・・!」(そう言って八房の元へと駆け寄っていく伏姫)

大輔「ふ、伏姫ェ〜・・・。」



・・・我ながら、あほなモンを書いたものだ・・・。(汗
94名無しさん@ピンキー:03/05/25 23:32 ID:qKrt7CLP
age
95名無しさん@ピンキー:03/05/26 23:50 ID:cKb7kMVW
>>70のシーンの挿絵希望します。
96あぼーん:あぼーん
あぼーん
97名無しさん@ピンキー:03/05/27 22:16 ID:taL6E9NZ
「今となってはいい思い出ですね・・・。」
伏姫は川の流れに身を任せながら遠い目でそう呟きました。
八房はそれを涼しげな顔で聞き流していましたが内心では
(・・・哀れだな、大輔。)
と、思っていました。
「・・・家の者は、今頃どうしてるのでしょうか・・・。」
伏姫はそう言って家族の者達を思い浮かべるのでした。
そんな伏姫を見て八房は擦り寄って密着してきます。
「八房様・・・?」
「伏、家族の事は今は忘れろ、それでも気になるのなら・・・。」

ガタン!

突然、八房は川の中へと伏姫を押し倒しました。
「キャっ!」
伏姫は思わず川の中へと尻餅を付きます。
綺麗になったばかりの秘裂が八房の目の前に現れます。
「・・・こんな風にして忘れさせてやる。」
八房はそう言って伏姫の秘裂に舌を這わせるのでした。

続きは誰かにお任せします。(ぉぃ
98名無しさん@ピンキー:03/05/28 02:05 ID:VSvNxC06
>>95
(=゚ω゚)ノ
ぼちぼち描いてるけど、気長に待ってみてくれヨウ
あとageても広告しかつかないかと…
99名無しさん@ピンキー:03/05/28 07:20 ID:Xbn9f/ej
>>98
解りました、気長に待ちます。

ちなみに定期的にあげてるのは、ほっといたら流されそうだからです。(汗
100山崎 渉:03/05/28 13:05 ID:3MGJJ1xD
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉
101名無しさん@ピンキー:03/05/28 18:52 ID:NA/VTOzC
さげでも保全できるよ
102名無しさん@ピンキー:03/05/28 19:59 ID:1x/mKx8H
玉梓が怨霊!!
103名無しさん@ピンキー:03/05/28 20:43 ID:0ZSvgEfZ
>>102
ワロタ
104名無しさん@ピンキー:03/05/30 02:36 ID:Jz0wdJz/
>>99
ょぅやっと完成したょぅ。 >>70 の挿絵。
ttp://akm.cx/2d/img-box/img20030530023526.jpg

今週は残業が厳しかったので毎日少しずつ描いた。
中の人は描かなかった方が良かった?
105名無しさん@ピンキー:03/05/30 07:25 ID:1dAaRSyo
>>104
おおう!良く再現されて増すな!
中は書いたほうがらしいので良かったと思います!
106あぼーん:あぼーん
あぼーん
107名無しさん@ピンキー:03/05/30 23:38 ID:AT2j9PIM
>>104
やっぱり犬はこうだよな!!グッジョブ!!
108名無しさん@ピンキー:03/05/31 12:57 ID:5khfpioo
小説の続き、誰か書いて欲しい・・・。
自分だけ書いていたらリレー小説とは言わないだろう・・・。(汗
109名無しさん@ピンキー:03/06/02 07:05 ID:TkvVsN5y
>>93の挿絵をお願いします。
・・・いや、たまにはHじゃ無いものを・・ね。
110名無しさん@ピンキー:03/06/03 07:08 ID:U4HC/6Rk
age
111名無しさん@ピンキー:03/06/03 07:19 ID:ZTbygNzx
112あぼーん:あぼーん
あぼーん
113あぼーん:あぼーん
あぼーん
114名無しさん@ピンキー:03/06/04 00:14 ID:r1BJ789c
>>109
も、藻前、もしや保守代わりに漏れを使っているのではないだろうな…?
betsuni iikedosa…

炉は不得手なんだよぅ、着物描いたことないんだよぅ…
ヽ(`Д´)ノ < ttp://akm.cx/2d/img-box/img20030604001013.jpg
  (  )  ウワァァァン!
  / ヽ =3
115名無しさん@ピンキー:03/06/04 07:45 ID:ggARWC3I
可愛らしい伏、サンクス!
116名無しさん@ピンキー:03/06/04 21:07 ID:8aERdr3E
>>115
漏れが好きで描いているんだから礼はいらねえさ。
つーか、このスレはひっそりしてるからsageで雑談でもして凌がんかい。

なんとなく絵見て気づいてると思うけど、
実は八犬伝読んだことないんだよね。水滸伝なら読んだことあるけどさ。
八房って何犬なん?紀州犬かなんかの雑種かな?
って思って描いていたんだけど。
117名無しさん@ピンキー:03/06/04 21:40 ID:sXrLaYZ+
ttp://www.kabaya.co.jp/oheya/book_4.htm

着物の伏姫

着物のことはよくわからんが、脱ぐと白衣と赤袴なんかな?
118名無しさん@ピンキー:03/06/04 22:48 ID:jq3n3s6s
「ああっ、はァ!」
八房に秘裂を舐められ、伏姫は水しぶきを上げて悶えます。
身体は桃色に染まり、感じている事は明らかです。
「・・・伏、指で秘裂を開いて見せろ。」
八房は伏姫にそう言います。
「そ、そんな事・・・。」「出来ぬと言うのか?」
伏姫はためらいましたが八房にせがまれ、指で秘裂を左右に引っ張ります。
桃色の肉もひだも皮に包まれた豆も八房に丸見えです。
そして、その中心から先ほど八房が放った子種がドロリと流れてきました。
「ほう、伏せのココはこうなっておるのか、普段は余りじっくり見ないから知らなかったぞ。」
八房は伏姫の広がったそこを繁々と見つめます。
「ああ、見ないで下さい、八房様・・・。」
伏姫はイヤイヤと顔を振って恥辱に耐えました。

続きは他の人にお任せします。
って前にも言ったかな?
119あぼーん:あぼーん
あぼーん
120名無しさん@ピンキー:03/06/07 00:03 ID:cnuj020E
傍観者は一人いそいそと保全するのでした・・・。
121名無しさん@ピンキー:03/06/08 01:49 ID:o2qDXX6/
>>1の文章力がすごすぎて皆、自分が小説の続きを書く事で
物語のイメージを壊すのを恐れているんですよ。
皆は自分がROM厨だと思われてないかたいへん恐れています。
”書きたいけれど・・・”そんな憔悴が>>119>>120に見て取れます。
122名無しさん@ピンキー:03/06/08 03:24 ID:ztbiWF4e
>>121
かも知んないね。
だとしたら、俺は壊しまくりだな…。
まあでも、せっかく描いたので>>118の挿絵、見てってや…。
 |      ttp://akm.cx/2d/img-box/img20030608032341.jpg
 |)彡 サッ
 |
 |
123名無しさん@ピンキー:03/06/09 00:11 ID:G/yusYym
・・・そんなに自分の文才があるとは思えないんですけどねぇ・・・。
>>5 >>9 >>15-16 >>18 とかを書いている人の方がよっぽど文才がありそう。
・・・ま、私はイメージ壊れても良いのでドンドン書いていって欲しいですね。
・・・エロ文章が苦手なので。(嘘はついていませんよ。

>>122さん
中々の作品をありがとうございます。
124名無しさん@ピンキー:03/06/11 22:33 ID:g2m31HY0
定期あげ
125あぼーん:あぼーん
あぼーん
126名無しさん@ピンキー:03/06/11 23:06 ID:a9vJ4DuH
 さて、天の柔らかな光の月も傾き、虫達の声も、気のせいかひそやかになろうかとしました頃、
 ふと、隣の伏姫様の気配に八房殿が目を覚ましました、
「伏よ、眠れぬのか?」
 月の光に照らし出された伏姫様のお顔を見るに、涙が一筋…
「どうしたのだ、伏よ」
「夢を、見ておりました」
「悲しいのか?」
 さては、里心に囚われたかと思い、八房殿が心配げにそうおっしゃいますと、
「いえ、とても楽しい夢でした」
 伏姫様の興味を引かれた八房殿が、
「どのような夢であった…?」
「伏が真白き犬となって、私と八房様の御子等に乳を飲ませている夢です」
「では、どうして泣いているのだ…?」
 恥ずかしげに頬を染める伏姫様に、不思議そうに八房殿はお聞きなさいます。
「分かりません。子供達が可愛かったからかも、八房様と子等に囲まれて幸せだったからかも…」
 それをお聞きになった八房殿は、優しく、姫様の頬の涙をお舐めになられますと、
「…実は、我も夢を見ていた。」
 伏姫様は驚いたご様子で、
「まあ、八房様はどのような夢を…」
 八房殿にお聞きになさいますと、
「我が人と成りて、我等のの子等と野山を駆け回っておった」
「皆、元気の良い子等で、良き武人へと育って行ったであろう…」
「八房様、八房様…」
 それを聞いていた伏姫様は、話の終わるや否や、堪えきれぬ様子で八房殿へ抱き付いておりました。
「伏!、伏!」
そのまま抱き合うお二方は、闇の中、さながら一対の白き光の彫像として浮かび上がっておりました。

おお、中天にあった月も大分傾いて来ました様で、今夜はこの位で…。
127126:03/06/11 23:07 ID:a9vJ4DuH
勢いで、ヤッチャッタ…
小説なんて書いたこと無いのに…

ごめんなさい。もうしません。
128名無しさん@ピンキー:03/06/12 00:18 ID:mDln3MkF
いや、中々良かったですよ。
エロじゃないですけどこのスレではそんな小説は珍しくありませんですしね。

・・・惜しむらくは全然前の小説と話が繋がって無い事でしょうか・・・。
(このスレはリレ小スレです、一応・・・。
129名無しさん@ピンキー:03/06/13 23:07 ID:SBepncQh
age
130126:03/06/13 23:36 ID:f78MXH53
>>128
>・・・惜しむらくは全然前の小説と話が繋がって無い事でしょうか・・・。
>(このスレはリレ小スレです、一応・・・。

え、あ、ああっ!!!
すいません。完全にすっ飛ばしてました。
荒らしちゃってたかな…。

>>126は荒し扱いでスルーして下さい。

スレ止まってるし…俺のせいか?

…お詫びと言っては何ですが、>>118の続きでも書いてみます。
131名無しさん@ピンキー:03/06/13 23:51 ID:f78MXH53
「…あ、……はぁ…ぁ……はぅっ!…ん、……あぁっ!……ぁ…」
 八房殿の舌が、ぬるりと伏姫様の秘裂を舐める度、姫様は堪え切れぬ様に声を漏らしております。
 両の足から、水面(みなも)に波が広がってゆきます。
「…あ、…や、八房様、お許しを……んぁっ!」
「伏のここも、伏の匂いも、そうは言っておらぬ様だが…伏の口は嘘つきだな」
 そうおっしゃいますと、八房殿は、なお激しく伏姫様の秘裂を苛み始めました。
「ひゃぅっ!、あ、はぁぁぁっ…んふっ、あ、や八房様……」
 姫様も、これには堪らず、に八房殿に何か問い掛けようとしたその時、八房殿は姫様に囁き掛ける様に、
「陰部(ほと)を八房めに好いようにされ、ご気分はどうですかな?…”伏姫様”」
 八房殿のお口から「伏姫様」とお聞きになられた刹那、伏姫様は一瞬手足を”びくん”とお震わせになりました。
  そして、お顔を真赤になされると、両手でお隠しになりながら、
「八房殿の意地悪っ!姫様などと、…もう忘れておりましたのに!」
 そうおっしゃいますと、八房殿のお背中をぽかぽかと、童の如く叩きだしました。
「姫、…伏がなかなかに強情なのでな、…しかし、聞いたとたんに気をやるとは…伏にはその様な趣味が…」
「八房様っ!!!」
 楽しそうに八房殿が話し出した途端、伏姫様は大声で怒鳴りますと、
白いお顔を、これ以上は無いほどお顔を真赤に染め上げ俯いてしまわれました。
一呼吸の間を置いて、八房殿は優しいお声で、
「で、伏の口は素直になったか?」
伏姫様はゆっくりと頷かれました。
「では、体が冷えてしまわぬ内に、上がろう。」
 お二方は川岸へと上がって行き、

 この続きは誰か他の方、お願いいたします。
132126:03/06/13 23:55 ID:f78MXH53
訂正
白いお顔を、これ以上は無いほどお顔を真赤に染め上げ俯いてしまわれました。
→白いお顔を、これ以上は無いほど真赤に染め上げ俯いてしまわれました。

お二方は川岸へと上がって行き、
→お二方は川岸から上がって行き、

…馬鹿ですな……漏れ…。
133名無しさん@ピンキー:03/06/15 00:09 ID:ebdCjsgn
>>126さん。
書き間違いなら私だってした事あります、
気にしないでドンドン書いて行きましょう!
134名無しさん@ピンキー:03/06/15 23:58 ID:7TcYSaXR
age
135名無しさん@ピンキー:03/06/17 07:19 ID:ohc/rrn7
キャラの性格と設定を考えてみました。

八房:元里美家で飼われていたペット
   現在、伏姫を娶り山で生活中。
   落ち着いた性格の持ち主
   ちなみに雑種。

伏姫:相性は伏、長い髪が自慢の美女。
   八房の奥さんで実家はかなり高名な武家。
   八房一筋の純情乙女。
   ちなみに人間の男には全く興味がないらしい。
   
136あぼーん:あぼーん
あぼーん
137名無しさん@ピンキー:03/06/18 23:29 ID:pMLOjfEk
age
138香取犬:03/06/18 23:30 ID:ljbHjYQ+
           ____________
  ☆☆☆   /
  (・(エ)・) < HPみてね〜!(・∀・)!ムン
  ⊂  ⊃   \____________
  /  /
 U⌒U
139あぼーん:あぼーん
あぼーん
140名無しさん@ピンキー:03/06/19 23:29 ID:jjdJQvu9
夜も更けて、草木も眠る丑三つ時。
伏姫と八房は寄り添うように寝ておりました。
「・・・ん。」
と、八房のほうがゆっくりと目を覚まします。
どうやら眠りが浅かったようです。
ふと、横を見ると伏姫の寝顔が。
「・・・昔から変わらんな、この寝顔は。」
八房は伏姫の寝顔を見てそう呟きました。

141名無しさん@ピンキー:03/06/19 23:37 ID:jjdJQvu9
伏姫と八房が夫婦になる丁度10年ほど前の話をしましょう。

里美家の庭

「八房様ー!八房様ー!」
そう言って八房の元へと走ってくる小さな影がありました。
幼い頃の伏姫です。
伏姫はこの頃、良く農民の子供が着る質素な着物を着てました。
十二単とかじゃ動きにくいから、という理由で。
今の落ち着いた性格が信じられないほど、活発な娘だったのです。
でも、腰まで伸びた長い髪は今も昔も変わりません。
伏姫は八房の元へと駆け寄り、一気に抱きつきました。
「バ、ブバウ!?」
八房は息苦しくなって一瞬そう吼えました。
八房も、この頃は人語も何も喋れないただの犬です。
体格のでかさは子供の頃から顕在だったようですが。
「ねぇ八房様!今日は面白いものを見つけたの!こっちに来て!」
伏姫はそう言うと八房を連れて自分の部屋に向かうのでした。

続きは他の人にお任せします。
142あぼーん:あぼーん
あぼーん
143あぼーん:あぼーん
あぼーん
144名無しさん@ピンキー:03/06/20 23:47 ID:jpfmrS6M
age
145あぼーん:あぼーん
あぼーん
146あぼーん:あぼーん
あぼーん
147あぼーん:あぼーん
あぼーん
148あぼーん:あぼーん
あぼーん
149あぼーん:あぼーん
あぼーん
150あぼーん:あぼーん
あぼーん
151あぼーん:あぼーん
あぼーん
152名無しさん@ピンキー:03/06/28 23:41 ID:O89tnQTd
・・・誰もカキコしませんね・・・。
というか広告ばっかり。
153あぼーん:あぼーん
あぼーん
154名無しさん@ピンキー:03/06/29 00:38 ID:moWDi16j
>>152
ガンガレ!
155名無しさん@ピンキー:03/06/29 00:42 ID:moWDi16j
追伸

メル欄はzzzよりsage_zzzとかの方が良いと思われ。
sageでスレが上がらず、下がってくれば広告も減る。(と思う)

保守代わりに使うって手もあるが…
156あぼーん:あぼーん
あぼーん
157名無しさん@ピンキー:03/06/29 23:46 ID:umBcD1mv
>>155さん

ありがとうございます。
158名無しさん@ピンキー:03/07/06 00:06 ID:iClviy+v
上げ
159あぼーん:あぼーん
あぼーん
160あぼーん:あぼーん
あぼーん
161あぼーん:あぼーん
あぼーん
162あぼーん:あぼーん
あぼーん
163名無しさん@ピンキー:03/07/10 20:02 ID:rXhjMIoB
>>122さんの絵大好きだったのに
もう降臨しないの?
164あぼーん:あぼーん
あぼーん
165名無しさん@ピンキー:03/07/10 23:45 ID:Co26xAFq
リクエストしたら来たりして。
166あぼーん:あぼーん
あぼーん
167名無しさん@ピンキー:03/07/11 00:48 ID:YyaD1onR
>>163
絵師を呼びたかったら書くべし
エロでも萌えでもほのぼのでもいいから
お願い書いて
168あぼーん:あぼーん
あぼーん
169名無しさん@ピンキー:03/07/11 07:28 ID:X7viFyqH
それでは>>125的な絵をキボンヌ。
170あぼーん:あぼーん
あぼーん
171名無しさん@ピンキー:03/07/12 00:23 ID:MMHGQ0zC
>>141の設定、伏姫の「八房様」を「八房」って事でいい?
名実共に八房が”飼い犬”だった頃だし…
それと幼少時だから、今まで続いてきた話からして、絡み無しでOK?
172名無しさん@ピンキー:03/07/12 01:35 ID:NTWWwP6M
無問題
173名無しさん@ピンキー:03/07/12 11:45 ID:KE36+vQ7
別にかまいませんよ。
174名無しさん@ピンキー:03/07/12 23:45 ID:MMHGQ0zC
1/2
 さて、ずいぶんとお待たせした様でございますが、>>141の続きを、

 その頃、伏姫様のお部屋に八房殿が居るのは別段、珍しい事ではございませんでした。
よくご一緒にお昼寝などなさっておりました。
 しかし、この日の八房殿はお部屋に入られた頃からでしょうか、いつもと御様子が違っておりました。
不安げな御様子で辺りをきょろきょろと、まるで何かの所在を探している様でしございました。
 そんな事に全くお気づきになられていない伏姫様は、
「じゃ〜〜んっ!父様の部屋で見つけたんだよ」と、
八房殿に一枚の絵を広げてお見せになりました。
それは、とても美しく、しかし、ぞくりとするほど酷薄そうな女性(にょしょう)の絵でございました。
それを見た途端、八房殿は、びくりとし、身構えるや、低いうなり声をあげ始めました。
「八房?ど、どうしたの?八房」
伏姫様が八房殿のしぐさに驚いたその時でございます。
175名無しさん@ピンキー:03/07/12 23:46 ID:MMHGQ0zC
2/2
「くっくくく、うふ、ははは、…あっはっははは…」
何と、絵から笑い声が、明らかに女の笑い声が立ち、驚いた姫が絵から手を離しますと、
ひらひらと舞い落ちる紙の中から絵の女が立ち現れてまいりました…。
「面白い、何と面白いぞ…そこな犬、畜生とはいえ、
 生まれながらの霊力、なかなかに天晴れ。この玉梓、褒美として直々に姿を現してやろうぞ」
玉梓が現れたその途端、八房殿も、伏姫様も、金縛りに一切身動きが取れなくなってしまいました。
「今しばらく力を蓄え、そこな童の体を乗っ取り、家に仇なそうかと思っておったが、まあ良い。
 ……今この場でも何とかなろう…くっくっく…」
玉梓がそのつややかな黒髪を一房、摘みますと、その御髪(みぐし)は、
…細い黒蛇へと姿を変え、するすると、尻餅をついております姫様の方へと這い進みました。
黒蛇は、伏姫様のふっくらと可愛らしいその御身足に巻きつきますと、
その御身足の付け根の方へと、ゆっくりと這い進んで行きました。
「い、いや…助けて、父様、…父様…」
玉梓は、怯える伏姫様を楽しそうに見ながら、
「無駄じゃ、…さあ蛇よ、女童の”くんだりにーに”に取り憑き、我が依代にふさわしい体を作り上げよ」
やがて、蛇は奥まで辿り着き……、
「いや、…は、入ってくる…嫌ぁーっ!助けて、父様、…助けて八房、八房ぁーーーっ!!」
伏姫様に名を呼ばれた途端でございます。
それまで身動き取れずにいた八房殿はゆっくりと頭を上げ、…火矢の如き激しさで、
伏姫様に取り憑こうとしていた蛇めに噛み付くや、バリバリと砕き、飲み込んでしまわれました。
「は、ほほほ見事、我が力と心の分身を喰らうとは、…これでは、今一度、姫を依代になすに力が足りぬ」
玉梓の楽しげな台詞も耳に聞こえぬ御様子で、伏姫様は八房殿に抱き付き、泣きじゃくっておりました。
「…八房、八房、八房ぁ……」
そんなお二方を楽しげに見つめながら。
「…特に八房、ぬしは我が法力と心を喰ろうた。もう、犬には戻れず、さりとて人にもなれず…、
 どの様な生を全うするのか…なぁ、”我が子”よ…くふっ、あははははは……」
いつの間にやら、笑い声を残し、玉梓は何処かへ消え去っておりました。

なにやら話しすぎてしまいましたか…続きはまた、どなたかが…
176名無しさん@ピンキー:03/07/13 00:16 ID:adTDtu1m
以上、ダイジェストでお送…(ry
177山崎 渉:03/07/15 11:11 ID:7GpObfWE

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
178名無しさん@ピンキー:03/07/17 00:04 ID:Bt0eOBv9
先ほどの事件の後、八房に一つ悩みが出来ました。
八房は人目のつかない草むらで何やら呟きます。

「・・・アメンボあかいなあいうえお・・・。
やっぱり喋れるようになってる・・・。」

そう、八房は人語を喋れるようになったのです。
しかも、元々良かった頭が更に良くなったというおまけつき。

「・・・やっぱ、あの訳の解らない蛇を食ったのが原因か?
食うんじゃなかったなぁ・・・。」

結構、普通じゃない事態に陥ってるのに八房は妙に冷静です。
開き直ってるんでしょうか?

「八房〜!そんな所で何してるの?」

と、そこへ伏せ姫がやってきました。

続きは任せます。
179あぼーん:あぼーん
あぼーん
180名無しさん@ピンキー:03/07/20 18:42 ID:pedWbR5c
「伏・・・ワン。」
八房は思わず人間の言葉で返事しそうになりました。
焦って犬の言葉で言いなおす八房。
「どうしたのさ、八房、そんな焦った顔しちゃって。」
伏姫はきょとんとした顔で八房に話しかけます。
「い、・・・ワン。」
八房はまた人間の言葉で話しそうになりました。
その様子を見て伏姫はクスリと笑います。
「・・・良いんだよ、あたしの前では人間の言葉で話しても。」
伏姫は八房にそう言いました。
「・・・気づいて・・・居たのか?」
八房は目を丸くしました。
「だって一緒に寝てる時、人間の言葉で寝言言ってたじゃない。」
伏姫はそう言いました。

続きは別の人にお任せします。
181あぼーん:あぼーん
あぼーん
182名無しさん@ピンキー:03/07/20 23:41 ID:BOkBGpZ2
も前ら,八房は「子牛ほどの大きさで,8個のブチ(房)のある犬」だよ。
ホルスタインみたいなかんじなのか
183名無しさん@ピンキー:03/07/20 23:58 ID:pedWbR5c
ココではあくまで普通の大型犬の方向で。
184あぼーん:あぼーん
あぼーん
185名無しさん@ピンキー:03/07/21 10:16 ID:4d4FOxEC
むしろボルゾイとかアフガンみたいな方向で
186あぼーん:あぼーん
あぼーん
187あぼーん:あぼーん
あぼーん
188名無しさん@ピンキー:03/07/21 23:57 ID:h+LN0quC
>>185
何ですかそれは?(汗
189名無しさん@ピンキー:03/07/22 21:02 ID:3mi3sbD7
>>188
でっかいワンコの種類です。
あとはバスカーヴィル家のワンコなんかサイズ的にいいかも。
でも洋犬てちがくないか?
190あぼーん:あぼーん
あぼーん
191名無しさん@ピンキー:03/07/26 12:17 ID:YoRpp1zD
アゲ
192あぼーん:あぼーん
あぼーん
193あぼーん:あぼーん
あぼーん
194名無しさん@ピンキー:03/07/26 17:37 ID:I+JqxEc/
戦国時代に南蛮から洋犬が入ってきて、大名が飼っていたらしい。
195あぼーん:あぼーん
あぼーん
196あぼーん:あぼーん
あぼーん
197あぼーん:あぼーん
あぼーん
198名無しさん@ピンキー:03/07/31 07:13 ID:GtaLL71/
そろそろ誰か小説の続きを書いて欲しい今日この頃。
199あぼーん:あぼーん
あぼーん
200あぼーん:あぼーん
あぼーん
201あぼーん:あぼーん
あぼーん
202ぼるじょあ ◆yBEncckFOU :03/08/02 04:48 ID:e3EGd7L5
     ∧_∧  ∧_∧
ピュ.ー (  ・3・) (  ^^ ) <これからも僕たちを応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄ ̄∪ ̄ ̄〕
  = ◎――――――◎                      山崎渉&ぼるじょあ
203名無しさん@ピンキー:03/08/02 06:43 ID:PBd2yCIh
捕手する
204あぼーん:あぼーん
あぼーん
205あぼーん:あぼーん
あぼーん
206あぼーん:あぼーん
あぼーん
207あぼーん:あぼーん
あぼーん
208あぼーん:あぼーん
あぼーん
209あぼーん:あぼーん
あぼーん
210あぼーん:あぼーん
あぼーん
211あぼーん:あぼーん
あぼーん
212あぼーん:あぼーん
あぼーん
213あぼーん:あぼーん
あぼーん
214あぼーん:あぼーん
あぼーん
215あぼーん:あぼーん
あぼーん
216あぼーん:あぼーん
あぼーん
217名無しさん@ピンキー:03/08/05 23:50 ID:+A1QOn7M
「ね、寝言・・・寝言か・・・そうか・・・。」
八房は内心ドキドキしながら言いました。
まさかこうもあっさり伏姫に秘密がばれるとは思わなかったからです。
「ねぇ八房、何で喋れる事を父様にいわなかったの?」
伏姫は八房にそう問いかけます。
「・・・あのな伏姫、もしそんな事がばれたら私はここに居れなくなってしまうぞ、
・・・伏姫はそれでもいいのか?」
八房は真剣な表情でそう言いました。
「・・・八房と居られなくなってしまうのは嫌だな・・・。」
伏姫はそう答えました。
「・・・ならこの事は黙っていてくれ。」
八房はそう言うと茂みから出て行きました。
218あぼーん:あぼーん
あぼーん
219あぼーん:あぼーん
あぼーん
220名無しさん@ピンキー:03/08/06 00:33 ID:id13dezG
>>217
グッジョブ!

それにしても、広告すげーな(W


221あぼーん:あぼーん
あぼーん
222あぼーん:あぼーん
あぼーん
223あぼーん:あぼーん
あぼーん
224あぼーん:あぼーん
あぼーん
225あぼーん:あぼーん
あぼーん
226あぼーん:あぼーん
あぼーん
227バートン:03/08/06 22:23 ID:kbD1RlOB
ageるなよ広告だらけになるじゃないかよ


だん、だん、ずんだんだん、だん!だん!
ずんだだだん、ずんだんずんだんずんだん
だんだだん、だだだんだだんだだん

ちゃっちゃちゃちゃらちゃちゃちゃん
ちゃっちゃちゃちゃらちゃちゃちゃん



228あぼーん:あぼーん
あぼーん
229あぼーん:あぼーん
あぼーん
230あぼーん:あぼーん
あぼーん
231あぼーん:あぼーん
あぼーん
232あぼーん:あぼーん
あぼーん
233あぼーん:あぼーん
あぼーん
234あぼーん:あぼーん
あぼーん
235あぼーん:あぼーん
あぼーん
236あぼーん:あぼーん
あぼーん
237名無しさん@ピンキー:03/08/08 15:51 ID:/ISqt93m

ものすごい数のサンプルと画像を集めてみました。モロ
動画系サンプル集、新たにアップ!
こきすぎ注意
http://vs2.f-t-s.com/~moemoe/index.html
238あぼーん:あぼーん
あぼーん
239あぼーん:あぼーん
あぼーん
240あぼーん:あぼーん
あぼーん
241あぼーん:あぼーん
あぼーん
242あぼーん:あぼーん
あぼーん
243あぼーん:あぼーん
あぼーん
244あぼーん:あぼーん
あぼーん
245あぼーん:あぼーん
あぼーん
246あぼーん:あぼーん
あぼーん
247あぼーん:あぼーん
あぼーん
248あぼーん:あぼーん
あぼーん
249あぼーん:あぼーん
あぼーん
250あぼーん:あぼーん
あぼーん
251名無しさん@ピンキー:03/08/11 00:17 ID:OVKtFArE


「・・・zzzz・・・。」
八房は庭の隅っこにある茂みでコッソリと寝ていました。
伏姫ならとにかく、他の人たちに寝言を聞かれたら困るからです。

ガサガサガサガサ・・・。

と、なにやら茂みをかき分ける音が。
八房が目を開けてみると、そこには伏姫の姿があった。
「八房、やっと見つけた!」
伏姫は八房の姿を見てにこりと笑った。
どうやらかなりの間八房を探し回っていたらしい。
「・・・何だ、何かあったのか?」
八房は心配そうな顔でそう問いかけます。
「ううん、違うの!八房が人前で喋っても大変な事にならない方法を
思いついたの!」
伏姫は八房に向かってそういう。
「・・・どんな方法だ?」
八房はそう問いかける。
「・・・あのね、八房が、伏と結婚すれば良いんだよ、
この家の主になれば、負い出す訳にはいかないでしょ!?」

・・・・。

「はぁ?」
八房はあっけに取られた顔でそう言った。
しかし、伏姫の表情は、真剣そのものだった。

ハイ、続きをお願いします。
252あぼーん:あぼーん
あぼーん
253あぼーん:あぼーん
あぼーん
254あぼーん:あぼーん
あぼーん
255あぼーん:あぼーん
あぼーん
256あぼーん:あぼーん
あぼーん
257あぼーん:あぼーん
あぼーん
258名無しさん@ピンキー:03/08/12 18:02 ID:CMJ5GT0V
http://top.sexlola.com/cgi-bin/top.cgi?in=2661
220.144.187.170 , Air1Aaw170.ngn.mesh.ad.jp?
259名無しさん@ピンキー:03/08/15 14:41 ID:+OSMOstk
260山崎 渉:03/08/15 15:57 ID:4fmQeeOf
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン
261あぼーん:あぼーん
あぼーん
262名無しさん@ピンキー:03/08/15 19:53 ID:+OSMOstk
263あぼーん:あぼーん
あぼーん
264名無しさん@ピンキー:03/08/18 21:38 ID:Q4XXklDy
アダルト高校生プライベトサイト!!
http://66.7.65.90/sou/koukousei/
218.41.123.78 , p297b4e.t128ah00.ap.so-net.ne.jp ?
265あぼーん:あぼーん
あぼーん
266名無しさん@ピンキー:03/08/21 21:42 ID:2CTO7oWI
さて、それから一月程たったある夜の事、
里から少し離れた山中にて、
八房殿は山の主と恐れられている熊と対峙しておりました。

話は一月程戻ります。
「結婚…、何をどうすれば……」
八房殿は一晩悩みました。そして、東の空が白々としだした頃、
「…とりあえず、強くなろう……」
…八房殿は、悩む事に疲れ果てておりました……

その日からでございます。
毎晩、八房殿は山へと行き、初めは猪、そして狼、熊とより強い相手を求め戦い、己を鍛えておりました。
しかし、わずか一月で、近隣の狼をあらかたその傘下に置き、十数頭の熊を屠(ほふ)ったのは、
八房殿の恐ろしき才能と言う他ありますまい。

辺りに張り詰めた。あまりにも強烈なヌシの殺気に虫の声も途切れ、シンと静まり返っております。
勝負は一瞬でございました。
「絶・天狼○刀牙!」
八房殿の影が走ったかと思うや、ヌシの巨体はゆっくりと崩れ落ちてゆきました。
(何か、虚しい…)
八房殿は強者の孤独に陥っておりました。

城への帰り、八房殿が人里近くの雑木林を通りがかった時の事、
風上の木の茂みの辺りから男女、犬の匂いが流れて来るのに八房殿は気付きました。
立ち止まり、耳を澄ましてみると女の悲鳴とも何ともつかぬくぐもった声が…、
八房殿は軽い興味を覚え、用心深く近づいてゆきました。

続きが気になる所ではありますが、続きをどなたかお願いいたします。
267名無しさん@ピンキー:03/08/21 23:39 ID:uRyXlvWf
おお、久しぶりに小説の書き込みが!
・・・って言うか、八房って意外と単純な頭の構造してるんですね。
268名無しさん@ピンキー:03/08/24 22:08 ID:23Xyy+re
age
269保守:03/08/31 15:42 ID:gayCBV4J
ここって割と銀牙知ってる人多そうだな。
帝国編のほうで銀牙でも八犬伝ネタパクってたからいいか。
270名無しさん@ピンキー:03/08/31 22:09 ID:E+mwRveU
何ですか銀牙って。
271名無しさん@ピンキー:03/08/31 23:06 ID:vLx8eJpE
>>270
>銀牙〜流れ星銀〜
昔、少年ジャンプで連載されてた犬漫画
打倒、赤カブト(熊)な漫画。その後、犬の抗争漫画に…

今は日本文芸社から
「銀牙伝説ウィード」ってのが出てるんで気が向いたら読んで見ては?
272名無しさん@ピンキー:03/09/01 22:16 ID:ZA3N2wr3
えーと…、

クロスたん(;´Д`)ハァハァ

が、正しい反応の仕方ですか?
273名無しさん@ピンキー:03/09/02 21:16 ID:RyduV2jN
メルたん(;´Д`)ハァハァ
274名無しさん@ピンキー:03/09/03 00:00 ID:guFt9L4q
そんな事より続きを見たい。
275名無しさん@ピンキー:03/09/03 00:05 ID:8G+8XgbL
>>274
ガンガレ!
期待してます(w
276名無しさん@ピンキー:03/09/10 07:13 ID:CTjjaU5e
age
277名無しさん@ピンキー:03/09/11 00:11 ID:1/igMn0D
続き、誰も書かないの?
正直、初期に書き込んでた人達に頑張って貰いたかったんですが…


稚拙な文章しか書けない自分が一番悪いのかも知れない。
278名無しさん@ピンキー:03/09/13 03:48 ID:kAqYQHqO
「リレー小説」に無理があるのではないかと.
279名無しさん@ピンキー:03/09/14 00:04 ID:OOMQCpI7
278>そうですか?私が好きなのでリレ小にしちゃったんですけど・・・。
それなら「八房×伏姫」のカップリングなら
何でもいいって事で。
でもってリレ小も続けます。(訳わかんねぇよ。
280名無しさん@ピンキー:03/09/14 01:39 ID:za2gHJ69
>>279
玉梓に拉致られて調教される伏姫とか、どうよ?
281名無しさん@ピンキー:03/09/14 13:09 ID:sPoX+Eml
280>獣姦にならないのでドボーン
282名無しさん@ピンキー:03/09/15 00:32 ID:ycVpLbGZ
>>281
つまり、調教内容が、
山狗に輪姦、ミミズ攻め、ありんこ攻め、蛇挿入とかなら有りか…。
283名無しさん@ピンキー:03/09/15 09:24 ID:Fq4lEkct
>>282
なんか違う気が・・・
獣をつかったプレーじゃなくて、
獣そのものに犯されるほのいいんじゃないかと思われ。

ついでに、天狗は獣か?(W
284名無しさん@ピンキー:03/09/16 00:08 ID:DgkjMi30
>>283
あんたのイカした言語感覚全開でぜひ何か書いてくれ。

山と天を読み間違える暴走っぷりもナイス!
285名無しさん@ピンキー:03/09/16 00:58 ID:/TurtA7S
>>284
狗をいぬと読めない香具師も多いだろうから、
うっかり天狗と勘違いしたことくらい許して槍。
286名無しさん@ピンキー:03/09/16 02:05 ID:/Uot+nel
>>280
一応このスレでは八×伏のカップリングが前提だと思うので、
八が玉ちゃんの手先になって伏を犯りまくるとか?
それは……



   Σn
   ( E)
   / /
      
287名無しさん@ピンキー:03/09/18 07:25 ID:V3Ocsqzv
「気配の元はこの辺か?」
八房は茂みの向こう側を見てそう呟きました。
確かに茂みの向こう側から声がしてくるようです。
八房はコッソリと茂みの向こう側を覗き込みました。

「ハァッ、ああっ!?」

「良いか?良いのか?」

「ああっ!良いよ・・・アアン!」

茂みの向こう側では男と女が情事を繰り広げておりました!
(・・・何だ、青姦か。)
その様子を見て八房はそう呟きました。
・・・この時代に青姦なんて言葉があるかの突っ込みはしないように。
男と女はしばらく快楽の渦におぼれていましたが、不意に男が立ち上がりました。
「な、何でやめるんだい?」
女はまだ欲求不満な様子で男に言います。
「慌てるな、今回は趣向を変えようと思ってな、おい!出て来いよ!」

ガサッ

男が叫ぶと、茂みから何かが現れました。
それは、八房ぐらいの大きさくらいはあると思われる大型犬でした。

28874243:03/09/18 10:07 ID:lCvyKK4r
289名無しさん@ピンキー:03/09/20 10:15 ID:dEZ+sPLi
290名無しさん@ピンキー:03/09/22 22:40 ID:xwE/AJ/s
>>287
(・∀・)イイヨイイヨ-!! クサバノカゲカライツモミテルヨー!!
291名無しさん@ピンキー:03/09/28 03:45 ID:a0iVKe5j
保守
292名無しさん@ピンキー:03/10/03 00:11 ID:dGCFDIfl
age
293名無しさん@ピンキー:03/10/03 01:13 ID:0K5A/pc4
時代がかったあたりがいい感じですなぁ。
294名無しさん@ピンキー:03/10/08 19:34 ID:voGCO1Ko
h
295名無しさん@ピンキー:03/10/13 20:30 ID:IQywc3QZ
http://www.gazo-box.com/pet/img/2974.jpg
アメリカ人(平均)15.2cm
犬(ボーダーコリー)15.2cm
人(大)20.3cm
犬(ジャーマンシェパード)20.3cm
犬(グレートデン)25.4cm
馬(ポニー)35.6cm
馬(中)55.9cm
馬(大)71.1cm
296名無しさん@ピンキー:03/10/13 21:54 ID:5UwhrTYH
やつふさは牛なみの大きさだからポニー級ってことか。
伏たんの中の人も大変だな。
297名無しさん@ピンキー:03/10/15 03:38 ID:9O3ZASnC
35.6p根元まで全部入るんですか? 「瘤」の大きさはどれぐらいに
298名無しさん@ピンキー:03/10/18 02:52 ID:dwsdxlGr
保守!
299名無しさん@ピンキー:03/10/18 11:55 ID:xEgGQisX
そろそろ誰か小説書いてほしい・・・。
300名無しさん@ピンキー:03/10/20 02:23 ID:HMKK3BqH
hoshu
301名無しさん@ピンキー:03/10/21 01:24 ID:sL9XBDSt
299がんばれ捕手
302名無しさん@ピンキー:03/10/24 00:34 ID:2F8RJgKm
捕手
303名無しさん@ピンキー:03/10/29 00:55 ID:qI3G+17k
ホシュ
304名無しさん@ピンキー:03/10/31 13:44 ID:QgigFg8M
ホシュホシュ
305名無しさん@ピンキー:03/11/02 19:03 ID:jkWhDRs1
hoshu
306名無しさん@ピンキー:03/11/05 01:04 ID:YugbmvT+
age
307名無しさん@ピンキー:03/11/05 01:23 ID:rMIToMKM
・・・何で誰も小説書かないの?
308名無しさん@ピンキー:03/11/09 17:10 ID:JzaVdITP
ホシュ
309名無しさん@ピンキー:03/11/13 00:17 ID:spmWLKAd
その頃伏姫は、お屋敷で退屈そうにしていました。
「・・・・八房、一体何処にいっちゃったんだろう・・・?」
伏姫はそう言ってため息をつきました。
現在、伏姫は居なくなった八房のことで頭がいっぱいです。
「やっぱり、喋れるようになっちゃった事を気にしてるのかな?」
伏姫は八房のことを色々考えていました。
・・・と、その内身体が熱くなって下腹部の方がウズウズしてきました。
「・・・?何?このウズウズ。」
伏姫は疑問に思って下腹部の方を見てみました。
見ると、まだ幼い秘裂の間から何か透明な液体が漏れ出しています。
「な、何これ?」
どうやら、八房のことを考えてるうちにこうなってしまったようです。
伏姫はこの液体の正体をまだ知らずにおりました。
310名無しさん@ピンキー:03/11/13 01:39 ID:WCFsoQAz
>>309
キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
311ヤクシ:03/11/13 02:38 ID:j3J7TvLf
>>309
GJ!!
312名無しさん@ピンキー:03/11/13 23:31 ID:w3PjLgos
>>309
キタ━━━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━━━━!!
313名無しさん@ピンキー:03/11/14 00:51 ID:+5iuBfro
>>309
神降臨
314名無しさん@ピンキー:03/11/22 11:29 ID:MexoWx67
あげ!
315名無しさん@ピンキー:03/11/24 00:34 ID:GJhT/JYy
「なんだろ、この液体・・・。」
伏姫はその液体をなめて見ます。
・・・不思議な味がしました、甘い様なそうでも無いような。
「ン、むずむずして来た・・・。」
伏姫は下半身が疼いてきた事に気づきました。
疼きはドンドン大きくなって、このままではおかしくなってしまいそうです。
「な、何とかしなくちゃ!」
伏姫は何とか疼きを押さえようと、秘裂を指でこすり始めました。
316名無しさん@ピンキー:03/11/24 20:48 ID:xcA2VVft
何かわからぬ液を思わず舐めてしまう伏たん♥
317名無しさん@ピンキー:03/11/27 00:23 ID:ZdTGqE6m
age
318名無しさん@ピンキー:03/11/30 02:40 ID:8dkuZjbQ
保守
319名無しさん@ピンキー:03/12/03 10:12 ID:Dy0tEv7m
いちおう保守
320名無しさん@ピンキー:03/12/03 22:55 ID:V+2PfHjE
いっそ里見八犬伝ならなんでもOKにしちゃえばいいのに
…駄目なん?
321名無しさん@ピンキー:03/12/08 00:53 ID:BYkNmGr7
保守
322名無しさん@ピンキー:03/12/08 23:48 ID:mFchKlHf
ガンガンで連載されてたやつがなだれ込んでくる予感
323名無しさん@ピンキー:03/12/11 23:18 ID:aXgcO5TK
保守
324名無しさん@ピンキー:03/12/14 00:24 ID:Gjv9xfdO
>320 
駄目ってことで。
325名無しさん@ピンキー:03/12/14 14:38 ID:NbbQErZ9
擦る度に甘い蜜は溢れだし伏姫は息を詰まらせ喘ぎました。
「ああ…あぁ…」
指を止める事が出来ず伏姫は妖しいうずきに震えるしかありません。
肌じゅばんは伏姫の蜜で濡れ、大きな染みが出来ています。
伏姫は獣のように四つん這いになると、襟の隙間から手を入れ
乳房を弄り始めます。
経験のない乙女でありながら、
その姿は本能に従う発情した雌犬ようでした。
「私、一体どうしてしまったの?」
伏姫は胸をはだけ淫らに身をよじります。
誘うように腰を高く上げ白い指を激しく動めかします。
「ぅはあっ、八房…早く」
326名無しさん@ピンキー:03/12/14 14:47 ID:NbbQErZ9
伏姫の頭を白い火花が飛び散り、蜜は汲んでも尽きぬ泉の様に滴り落ちました。
「あっ、あふぅっ」
何度も体を震わせ、伏姫は我知らず絶頂に達してしまったのでした。

どれくらい経ったのでしょうか。
淫らな姿のまま意識を失っていた伏姫は、再び熱い体のうずきで
目を覚ましました。
ぴちゃっぴちゃっ
ぴちゃっぴちゃっ
仔猫が水を飲む様な音が耳朶を刺激します。
「…一体何なの?」
甘い吐息を漏らしながら、伏姫はうつ伏せのまま
音のする方へ目をやりました。
伏姫が見たのは己の股間に鼻面を押し付け舐め回す犬の姿でした。
327名無しさん@ピンキー:03/12/14 14:56 ID:NbbQErZ9
「ああ…。ああ。う、嘘!」
俗世を知らず、姫君として不浄なモノには触れぬ淑女たる様、教育を受けてきた
伏姫にもこれが恥ずかしくしてはならぬ行為だと判ります。
「やめなさい!やめて…」
あまりに小さな抗議の声は、巨大な狗、八房が舐めるぴちゃぴちゃという
音にかき消され届きません。
「はぁっ、あっ、いけません…。こんな…」
言葉は拒みながらも、伏姫の体は八房の舌の動きに翻弄されます。
「あ、んん…。ふあっ」
いつの間にか、伏姫は再び四つん這いになり腰を振りたくって八房に応えていました。
328名無しさん@ピンキー:03/12/14 22:21 ID:sTEyPEkU
信乃×濱路も駄目なのか…
329名無しさん@ピンキー:03/12/15 00:13 ID:S1X9QmNd
328
・・・一応、「獣姦」スレですので。
所で小説の続きをどうぞ。

「ふうっ!ううっ!」
伏姫はドンドン昇りつめて行きます。
秘裂からは愛液が湧き出て布団をぬらしていました。
そして、伏せ姫も限界を迎えました。

「ファッ、ファッ、八房・・・八房ぁアアア!」

・・・伏姫は初めての絶頂を迎えました。
しばらく目の前がぼんやりしていましたが、やがて頭の中がハッキリしてきました。
辺りを見回しますが、さっきまで自分のアソコを舐めていた八房の姿がありません。
「・・・あれ・・?八房?」
どうやら八房を思う余り、幻覚を見ていたようです。

「・・・八房、何処に行っちゃったの・・あたし寂しいよぉ・・・。」

伏姫は今度は布団を涙でぬらしました。

330名無しさん@ピンキー:03/12/15 00:14 ID:S1X9QmNd
その頃、八房は何をしてたかと言うと・・・・。

「どうだ、どうだ!犬のモノも中々だろう!」

「アアン!良い良いよ良い!」

「ワオーン!」

「・・・何してるんだ、私は・・・。」
男と女と犬の情事を草むらの間から覗いていました。
・・・ホントに何してるんだか・・・。
331名無しさん@ピンキー:03/12/15 01:00 ID:TOmACs2O
良い!良いぞ!。
早く幼い伏たんと八たんの童貞処女喪失説話を読みたいものですよ。
332名無しさん@ピンキー:03/12/20 10:01 ID:IvoDOGks
IDがdogホシュ
333名無しさん@ピンキー:03/12/25 02:51 ID:WhnrKhS9
聖夜の保守
334名無しさん@ピンキー:03/12/28 23:39 ID:ZvMbjUE7
「・・・久しぶりだな、ココに戻ってくるのは。」
八房はそう言って歩き慣れた街道を歩いていました。
山に篭り、獣を倒し、男と女と犬の情緒を出歯亀(おい)した八房は
どこか大きく成長した感がありました。
「とは言え、伏の待つ屋敷に戻ってきた所で何をしろと・・・。」
そこまで行って、八房は立ち止まり、ため息をつくのでした。
そりゃそうです、いくら強くなった所で、現状は何も変わりはしないのですから。

・・・ガヤガヤ、ガヤガヤ

と、屋敷の前が、なにやら騒がしいです。
335名無しさん@ピンキー:03/12/29 00:25 ID:GR30Wfva
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
336名無しさん@ピンキー:03/12/30 11:53 ID:1dy/WQWP
ニシ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
337名無しさん@ピンキー:04/01/03 21:51 ID:yk8Mre/l
     ∧_,,, ヒガシ…
     (#゚;;-゚) 
     /;;つ,つ
(( 〜/;; ;;.ノ
  (( (/"J
338名無しさん@ピンキー:04/01/05 09:46 ID:DBfz3d3z
ミナミ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
339名無しさん@ピンキー:04/01/10 18:23 ID:MSz56GDk
                         〜⌒ヽ.
        _.〜⌒ヽ.   (´Д`)〜´ `ヽ._.′    ヽ._.〜キテナイ…
キタ?´ `ヽ._.′    ヽ._ノ
340名無しさん@ピンキー:04/01/11 02:16 ID:SbawYpEq
「・・・?一体なんだというんだ?」
八房は群がる民衆の下を潜り抜け、屋敷の前へ出ました。
屋敷の門に張り紙がしてあり、こう書かれていました。

兵士募集!

この度、戦をすることになった、
しかしこの屋敷の兵は不足している。
そこで兵を募集する!
なお、見事的の武将を打ってその首を持ち帰ったものには
伏せ姫との結婚を認める!

「・・・これは、意外なところでチャンスが訪れたというのか?」

八房はその張り紙を見てそう思いました。
341名無しさん@ピンキー:04/01/13 20:52 ID:IWL7Eu6+
当分、エロなさそうだけど…キタワァ━━━━━━(n‘∀‘)η━━━━━━ !!!!!
342名無しさん@ピンキー:04/01/22 09:14 ID:cwKl0WYj
そろそろ誰か続きを書いてほしい今日この頃。
343名無しさん@ピンキー:04/01/25 00:26 ID:itiSExch
え〜と、このスレ初期の神々の皆さん、帰って来て下さい。

…皆の衆も贔屓の神に頼んでみようや…
344名無しさん@ピンキー:04/01/28 00:43 ID:AElTn/I0
補修。
創業当時のガチンコファック頼む。
345名無しさん@ピンキー:04/02/02 23:42 ID:w2FcAlGS
あげ
346名無しさん@ピンキー:04/02/06 19:47 ID:8GIL2VdT
age
347名無しさん@ピンキー:04/02/06 20:11 ID:M3H5EMkX
>>340
>屋敷の門に張り紙がしてあり、こう書かれていました。
>
>兵士募集!

「!」までが書かれていたかと想像したら、ちょっと楽しくなりました。
いや、微突っ込みスマソ。
348名無しさん@ピンキー:04/02/15 21:46 ID:6d94Rh4p
ほす
349名無しさん@ピンキー:04/02/16 00:54 ID:2258277F
思うに姫と八房に限定しちゃってんのが書きにくくしてんじゃないか。
まあ、1の意向じゃしょうがないんだがナー
>>58 >>59
350名無しさん@ピンキー:04/02/25 20:50 ID:YWjw400N
獣姦スレなんでいちおホシュ
351名無しさん@ピンキー:04/03/03 23:42 ID:3d2JjXpa
美女と野獣じゃだめなのか
352名無しさん@ピンキー:04/03/29 11:19 ID:i9ugEAGL
保守
353名無しさん@ピンキー:04/04/09 22:19 ID:dmrihvOk

354名無しさん@ピンキー:04/05/04 01:58 ID:5/sSDGBy
管領扇谷定正との長きに渡る戦いも終焉を向かえ、速やかに戦後処理が
行なわれた。将軍の取り計らいにより、朝廷の仲立ちもあって両者の間に
和睦が成立する。だが遺恨に関しては、人の想いは果てなく暗い。
たとえ、定正が二度と起つことが叶わなく出来ずとも。それにより、血を極めた
ことも数知れず。しかし、人は清き明るき心にも憧れる。闇の鎖を断つ
時なのだと誰しもが解し、安房の国に、待ち望んだ安らぎが訪れた。
大方の取り決めが済んだころに、八人の犬士たちは登城の命を授かる。
八犬士は主君・里見義成よりの褒賞として八人の姫君たちと妻合わせ
られることと相成った。八犬士は一応に、領地も頂き、このうえ更に姫君まで
ご頂戴しての温かい恩義は身に余るものとし、分相応でないことと
受領できない胸を、怒りを買うのを覚悟でと断る所存でいた。
犬士たちのなかでは、それぞれの想い人も心のなかで生きてもいたから。
犬塚信乃もその一人だった。許婚であった浜路を暗い運命に弄ばれ、
挙句の果てに惨死させている。生涯妻を娶らない誓約(ちかい)を
人知れず信乃は立てていた。しかし、八犬士の想いは姫君たちの御姿を
前にして烈しく揺らいだ。信乃でさえも。犬村大角は雛衣を鄙木姫に。
犬田小文吾は稚い沼藺を弟姫のなかに見たのだった。
二人は夫婦のように四阿でより添う。犬塚信乃に娶わせられた姫君は
浜路と名乗って、その声音にも己の耳を疑った、そして面をあげた。顔を
見た瞬間、浜路が蘇ったのかと信乃はうろたえた。信乃だけではなく、
どの犬士たちも驚いていた。
「どうしたのだ。姫たちのあまりもの美しさに声も出ぬか。そうか、そうか」
「殿」
「なんじゃ」
「ここは、若者たちに任すのが一番かと」
355名無しさん@ピンキー:04/05/04 02:02 ID:5/sSDGBy
「それは、もっともなことじゃな。いや、めでたい、めでたい」
義成は高らかに笑い、家老らも伴って出て行った。そのあとで、八犬士は
それぞれの連れ合いを伴って庭園を散策することに。
「いかがされましたか、犬塚様」
「拙者は犬塚信乃と申します。信乃とお呼びください。姫様」
「よろしいのでしょうか」
「なにがで、ございますか、浜路姫」
「わたくしは、いいえ、わたしたちはある言い合わせをしたのでございます」
「言い合わせと申しますと」
「失礼を覚悟の上で、申し上げまする」
「失礼などと思われなくとも。拙者は里見家に仕える身にございます。なにを
そのような遠慮がいりましょう」
浜路姫の涼しい切れ長のおだやかな瞳に翳りを見えた。信乃はいまの
いままで、気がつかなかった。陽の加減では、その耀く瞳は涙を張って
いるようにも見受けられる。正にそれは、婚礼の夜、浜路ひとりを置いて、
名刀・村雨丸を取り戻しに出立した、切り取られた忘れることのできない場面の
浜路の哀しげな微笑だった。
「文武両道に秀でた犬士様であられるのです。わたくしたちは、お父様から
この話を賜った時は、天にも昇るような心持ちでございました。それが徐々に
重荷になってしまったのです」
「拙者たちの意見も同じに御座います」
信乃は落胆の色を隠せなかった。想い人。肉親の面影を背負った八人の女。
姫たち。八犬士が姫君たちの御膳に参じた時の驚きは誰もが一緒だったが、
その想いは複雑だった。だが、皆は殿の申し出を賜る腹積もりで固まっていた。
その矢先のことだった。
356名無しさん@ピンキー:04/05/04 02:19 ID:5/sSDGBy
庭園では八つの想いがことの成り行きに揺れていた。
「ちがうのです、犬塚様」
「なにがちがうというのでございますか」
信乃は乱る気持ちを押し殺して、努めて冷静に浜路姫に訊ねた。もう、
このような擦れ違いはたくさんだと叫びたい。信乃の瞳にもいつしか
涙が浮かび、思わず晴れ渡った天上の遠い白い雲を見やった。
「きっと、きっとにございます。わたくしたちは……八犬士さまに……が、
おられると悟ったのです」
「おられるとは、なんのことにござりますか」
よく聞き取れなかった信乃は浜路姫に、訊いたが声を詰まらせて言葉に
ならないでいる。訝る信乃に対して、顔を見ていられなくなった浜路姫は
袖を顔にあてると、ただただ、さめざめと泣くのだった。
第一の静峰姫(しずお・十九歳)がみるみる暗い貌を呈しているのを見て、
いちばん稚い弟姫(いろと・十五歳)が怪訝そうに訊ねた。
「静峰、姉さま。どうされましたか。御加減がすぐれないのでございますか」
父・義成より八犬士との婚儀の話を賜ったその日、座敷に姫たちは集まって
喜びを喋りあっていた。そんななかで、静峰の様子に変化が訪れていて、
六人の姫たちも弟といっしょに静峰のほうを見たのだった。
「ちがいます、いろと。このような、うれしきことに……、わたしは心から悦びましょう」
「なら、素直にお喜びなされませ。このような良き日に、さような曇りは、
いたずらに凶兆を呼び込みまする」
「いろとや。すこし言葉が過ぎます。それでは、小文吾殿に嫌われますよ」
「城之戸(きのと・十八歳)姉さまのいじわる」
 どっとほがらかな笑いがおこったが、静峰は相変わらず落ち込んでいた。
さすがに、七人の姫に不安が拡がる。
357名無しさん@ピンキー:04/05/04 02:25 ID:5/sSDGBy
「ほんに、いかがされたのですか。いろとの心配も無理ありませぬ」
 鄙木姫(ひなぎ・十八歳)が。
「さようですよ。姉上、いろとの言うとおりに御座います」
 竹野姫(浜路と同いの十七歳)が。
「姉上、よろしければ、お話していただけませんか」
  栞姫(しおり)と小波姫(ふたりは十六歳)が口を揃える。
「わたしらは気づかねばなりません」
 静峰姫の凛としてはいたが、そこはかとない淋しさが伝わる。
「お姉さま……」
 浜路姫は悟った。
「八犬士さまは、文武両道に秀でたお方たちなのです。わたしたちが、いくら想いを
寄せたとて……、すでに、すでに……もうこれ以上は……堪忍して……いろとや」
静峰の言葉を聞いて、妹姫君たちは雷にでも打たれたようになって、座は
一瞬にして凍えてしまう。春のやわらいだ安房の野山、拡がる青空の景色が
虚無に、鴇色に染まるは死にも近しい。
「そのようなことだったのですか」
信乃は安堵した。浜路姫は信乃の貌をすぐに見上げた。そのようなとは、
あまりにも酷い、そう言うつもりだったが、犬八士に迷惑を掛けてはならぬと
明言した静峰姫の言葉を浜路姫は思い出す。
「あくまでも、わたくしたちの我侭として断りをいれましょう」
紅を引いたあかい唇は、しなやかな白い手で覆われて、浜路姫の嗚咽が洩れた。
「拙者たちは、まためぐり逢ったのです。こゆい赤き血に。その情の強さに守られて、
我らは此処にいます。この縁は切っても断ち切れるものではありませんよ。
想い人は、浜路姫にございます」
358名無しさん@ピンキー:04/05/04 02:30 ID:5/sSDGBy
八人の姫君は、同じ言葉を八犬士から等しく貰い、もう綾錦の袖で、
涙あふれる歓びの貌を隠そうとはしない。
「もう、愛しい人の涙は流させません」
信乃は浜路姫の火照って、城下の爛漫の桜のような色をうかべた頬を
温かな両手でやさしく包みこむ。
「うれしい。でも羞ずかしゅうございます」
八人の姫たちの言葉でもあった。信乃の唇が浜路の涙をやさしく啜る。
八犬士の心には、うれしい気持ちと、長きの哀しみの時が浮かび、
やさしき流れにたゆたい。
「これで、名を呼んでいただけましょうか、浜路姫」
「はい、信乃さま」
そして癒されていった。それから信乃は想いをこめて、浜路の真名を
あらためて口にする。

城を腹心の家臣に任せると、信乃は浜路姫を伴って富山の山中に深く
分け入っていた。信乃が浜路姫と契りを交わしてから、五年の歳月が
流れていた。
「殿様」
「恐ろしいか」
「いいえ、そのようなことはありません」
「わたしは、そなたに、もっとおそろしいことを強いうるかもしれない」
『丶大法師(犬を裂くと書き、ちゅだいほうしと読む)殿、わたしは
本当のことを知りたいのです』
信乃は前に浜路を載せて馬を走らせていた。めざすは始まりのあぎと。
伏姫と八房が愛を育んで身籠ったとされる場所だった。伝承によれば、
畜生道に堕ちた末の懐妊ではないとされていた。しかし、伏姫に八房を
拒む理由がほんとうにあったのだろうかと信乃は思う。そのことを信乃は
法師に問うてみた。
359名無しさん@ピンキー:04/05/04 02:40 ID:5/sSDGBy
『愛のかたちは、ひとそれぞれにあって、これというものは……ない。
それが、己が答えとなされませ。よいか、信乃殿。あぎとを閉ざした
大岩の扉、心して触れなさればよろしかろう』
「ふたりっきりのときは信乃でよいといったであろう、浜路」
「はい、信乃」
愛する人の真名を口に添える悦び、浜路の貌が朱にけぶる。信乃の
なかに切なさが募った。浜路を抱くたびに、錯乱が信乃に起ったからだ。
「あぶないから前を向きなさい」
この愛しいおなご。浜路であっても、浜路ではない。ほんとうにそうなのか、
確かめてみたい。幾度とゆめのなかで仰臥したからだを物か何かのように
裏返しにして、丸い臀を抱えて交接したことか。そのような獣の交わりは
呪いとされていた。信乃は浜路の生き写しの浜路姫にそのような後ろから犯す
情欲に煩悶する。耐え切れずに、ある夜、信乃は閨房で告白したのだった。
浜路姫は羞恥に染まりながらも、からだをゆるりと転がし、うつ伏せになり、
信乃に臀を掲げた。信乃は浜路姫のあふれでる蜜を啜るだけで貫こうとはしなかった。
「どうして。信乃さま。信乃さまの摩羅で、この浜路を愛でてくださらないのでしょう」
浜路姫は信乃に口移しに教えられた言葉を発話し、そして泣きながらも自らも高めた。
信乃は雪のような浜路姫の白い背に肌を合わせ覆い被さった。だが、張り切って絖る
尖端は、後ろから白肉の淡いに咲く赤く膨らんだ花芯の潤みを突くことはなかった。
「ああ……、信乃。信乃!信乃さまあぁああ……」
信乃は浜路姫のからだを表にすると、一気にその滾りで貫いた。浜路姫は柳眉を
吊り上げて、眉間に縦皺を刻み頤を突き上げた。あかい浜路姫の唇は、伏姫と八房の
愛のあぎとであった黒い闇をつくって、信乃を狂わせた。
360名無しさん@ピンキー:04/05/04 02:46 ID:5/sSDGBy
「浜路、明日、あぎとへ参ろう。伏姫と八房の」
「あ、あっ、ああっ、いく、いくううっ、逝きまするううっ!」
「浜路、浜路!」
「どこまでも!はあ、はっ、ああっ、信乃さまあぁああぁぁぁ!」
信乃の白い背に浜路姫はしがみ付いて、あかい路をつくっていた。
馬をゆっくりと歩かせ、睦み合う信乃と浜路。
「もっと、わたくしは信乃を見ていたい」
「わたしたちは何処へ向かっているのか、恐くはないのかい」
「こわいはずがありません、信乃。あなたといっしょならば、わたくしは
どこまでも逝きまする」
浜路は信乃にとって母でもあり、恋人でもある大切な女人。なぜに、
このような挙に出たのか追求もしないで、従ってくれた浜路に深く深く
感謝し、馬を駆った。浜路姫のほつれ毛が風に靡いていた。




「保守ですから、すれ違いなんて、野暮なこと突っ込まないでくださいましね」  夏引
361名無しさん@ピンキー:04/05/04 22:35 ID:zjc3FkIH
age
362名無しさん@ピンキー:04/05/05 02:28 ID:zIwDvUwr
>>354-360
(久しぶりの)GJ!
363名無しさん@ピンキー:04/05/17 03:06 ID:U/xDt7lE
ほしゅ
364名無しさん@ピンキー:04/05/23 02:21 ID:PVCWYuTz
hpos
365名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:17 ID:e58gZK9U
保守
366名無しさん@ピンキー:04/06/12 20:38 ID:JBKsO+im
みめうるわしい姫を背に乗せる、仔牛を逞しくさせたような魁偉の妖犬は
大地を前足でドウッ!と蹴った。城主との誓約(ちかい)より得た褒賞、
伏姫を連れ八房は颯爽と天空へ駆け上がっていった。

「どこへ、いく気なのです!」
『人智の及ばぬ処よ』
 伏姫と夫婦となることの夢を叶え(赤い華に白い裸身を横たえ、手を
ひろげる。畜生の牝には無い女のまろみを帯びた膨らみに血が沸き立つ。
そして太腿を拡げて八房は迎えることの本懐の)、あしたを得た畜生だった。

「そのような、場所など行きとうないわ!」
 拒めば組み敷けばいいだけだ。容易きこと八房は考えるが……。
『案ずるな。冥府になどには赴かぬ』
 玉梓が怨霊にとり憑かれた牝狸に、育てられた妖犬。その流れは里見家に
仇名す呪詛の掛けられた存在。されども、強く願うは伏姫への思慕の念。
これに長年温めていた、恋情だった。その好機を得て、敵将の首級(しるし)を
狩って主人に献上したのだった。

 その想い例え、この身が妖女・玉梓に奪われるようなことあらば、いつでも
その場で死ぬる覚悟でいた。伏姫は天空強く吹く風に顔を煽られ、背を低くして
八房の頸にしがみついた。
367名無しさん@ピンキー:04/06/12 21:01 ID:JBKsO+im
『こわいか。愛い奴』
  こわかった。夫婦となったからには、いつどう扱われようが、夫に
従わねばならない。それが、戦乱の世の倣いなのだ。
「そのようなことがあろうか。藁は里見の姫じゃ」
『ハッハハハハ』

  伏姫は愚弄するなという言葉を呑むと、下唇をぎゅっと噛んだ。伏姫には
本心を打ち明けることができなかった。八房に腰掛けた伏姫が綾錦の
きものを靡かせつつ天空を駆ける。八房が伏姫を乗せていても、それは
麗人が魔犬を操っているにしか映らないでいた。
  その見立てはあながち的外れではなく、魁偉の魔犬といえども、伏姫の
姿をまえにしたら、仔犬のままの心のうちであったことをまだ知らないでいた。

  さりとて、いくら気丈に振舞えども、伏姫も人の仔。八房の躍動する逞しい
筋肉の動きに怯えつつも、存念を抱きつつ懐に隠し持った小太刀の柄を
そっと握り締めていた。
  いま天空で、腹を裂けばいい。腹でなくともよい。頸に刃をあてて多少の力で
圧せばいい。動脈を切れば、女子の操は守れると伏姫は踏んでいた。

  血潮をしぶかせながら、まっ逆さまに地上に落ちるまで、事切れていることだろう。
よしんばしくじりをしたとして、この高さからなら四肢は地上でばらばらに砕け散る。
その前に靡いた素振りで、八房を撹乱させ、目を刀先で突いてやれば、あとを追う事は
できないはず。しかし、この身が自分だけのものならば、迷うことなく、すぐにでも
そのようにしようものなれど……。
368名無しさん@ピンキー:04/06/12 21:09 ID:JBKsO+im
 だがその行為は父上に汚名を着せること、父に申したことが反故になってしまう。
綾錦の袂をひるがえして三つ指をついて深く頭をさげ、義実に伏姫は進言した。
「わたくしを、すでに死んだものとおもってくださりませ。父上、母上」
「今生の別れと申すのか。伏姫」
「さようにござります」

 伏姫の母は、父と娘の会話を聞きながら、ただただしくしくと袖で貌を隠して泣くばかり。
ひ弱だった娘はいつのまにか健やかに、こころも清らかな名花に成長したのに、
なぜ犬畜生に嫁がさねばならないのかと慟哭が込み上げる。大声で泣きたいのだ。
しかし、伏姫のこころを思うと、堪えるしか術はなかった。伏と名付けたことも大きな
哀しみを誘った。

「母上、いまいちどお顔を拝ませてくださりませ」
「これ五十子(いさらご)。わしからも頼む」
「殿様は無慈悲な方にござります……」
「母上!」
 五十子は泣き顔を驚きに変えて、夫の義実から伏姫へと向けた。
「すまぬ。五十子。そして、伏よ。わしをゆるしてくれ」
「父さま。そのようなこと、申されないで。わたくしの決心が挫けてしまいます」
369名無しさん@ピンキー:04/06/12 21:18 ID:JBKsO+im
「すまぬ」
 五十子は上座からさがって下座で額を畳に擦りつけた。
「そう思っておりますなら、八房を討ってくださりませ。不埒者にご上意を」
「すまぬ」
「殿様!」
「母上!」

「だまりゃ、伏!殿様、わたくしめの命と引き換えに、八房を討ってくださりませ。
なにとぞ、なにとぞ、お願いいたします!」
 義実に玉梓の因縁が重く圧し掛かっていた。道をあやまれば家を失うやも
しれないのだ。しかし、愛娘をいまここで失くしてしまうことも。
「だめなのだ……」
「なぜにござりますか!義実さま!伏を救ってやってくださりませ!お頼み申します!」
 五十子は義実に詰めよって、面をあげていた。
「母さま……」
 伏姫は涙声で嗚咽している母によっていった。
「わたくしは、操は守ります。ちかいます。八房が仮にも襲うことあらば、この
小太刀で腹を裂きまする」

「ああぁぁぁ……!」
 だれもがわかっていたことだった。落城すんでまで追い込まれた事実を
決して忘れたわけではなかった。五十子は背をまるめ小さくなって畳を掻き
毟った。しいては下々への誓約の背信行為となって示しがつかないのは必定。
敵の将のしるしを獲った、あたら忠義な者を裏切る結果になるのだ。八房を
裏切れば、里見は立ち行かなくなる。
370名無しさん@ピンキー:04/06/12 21:25 ID:JBKsO+im
 さりとて、このままでは犬畜生と交わらざるを得ない伏姫だった。仔を
生し最期には業火に身を灼かれることになってしまう板ばさみに伏姫は
煩悶した。だからといって、夫婦の契りを畜生などと執り行うは、口惜しい。
伏姫の瞳に張っていた涙が風にのって散りゆく。そして八つの宝珠を
連ねた霊験あらたかな数珠が仄かに光りを放ち、地上へと光りを
振り撒きながら不思議な文字を浮かび上がらせていた。

 信乃は馬から降りると浜路を乗せたまま、伏姫姫と八房のあぎとへと
向かった。
「ここにござりますか」
「さあ、おいで。浜路姫」
「かたじけのうござります」
 馬から浜路は信乃の差し出された両手にからだを預け、降ろされると、
ふたりは手を繋いで、ゆっくりと洞穴の入り口に近づいていった。しかし
そこは、人の目に触れてはならない場所。丶(ちゅ)大法師の霊力により
大岩の封印が施され閉ざされていた。
 
 八房は伏姫をあぎとの入り口で降ろすと、沢に水を飲みにいった。
振り返って、尾を振りながら伏姫によろうとしたとき。
「よっ、よるな。これ以上、このあぎとによって、藁を襲おうと思うな、八房。
藁を襲わば、この小太刀で己が喉笛、裂きまするぞ!」

 八房はこの後に及んで気丈に振舞う里見の姫に心底心酔し切っていた。
伏姫はにじり寄る魔犬からの間合いを取りつつ後退って。魔犬は低く唸って
伏姫の精神に語りかけた。
『そなたの間合い、一瞬にて縮めてしんぜようか』
371名無しさん@ピンキー:04/06/12 21:31 ID:JBKsO+im
「よっ、よるなッ!畜生!」
『我の真名は八房』
「とうさまからいただいたものであろう!その名、口にするのも悔しいわっ!」
『さよう。しかし、それが我が名、伏姫。そして、そなたの名は――』
 小太刀の柄を握る伏姫の手がわなわなと震えた。

「いっ、いうなあぁあああッ!藁を愚弄するつもりかあぁああぁぁぁ!」
 伏姫の慟哭は沢を越えて野山を駆けていった。
『契りを拒むのか。それが、武士の女子のすることなのか』
「藁は畜生道に堕ちる気などもうとうないわッ!」

『我との誓約、戯れから端を発したとはいえ、赦すまじ。赦すまいぞ、里見』
 八房の言葉に伏姫はぞっとした。それは、里見家に仇名そうとする、玉梓が
怨霊そのものであった。伏姫は八房の奥底に眠るものとこれより対峙
しなければならなかった。

『我に傅け。その名のとおり、ことを示せ』
「いっ、いうな。いうなああぁぁぁ……」
 伏姫は涙声になって、いまにも崩れそうになっていた。
『それが、宿命。己が名であろう』
 玉梓の言葉に崩れそうになった精神を取り戻し、伏姫は激昂した。
「いうなと……、いうなと言ったであろうぅううッ!八房あぁああぁぁぁッ!」
372名無しさん@ピンキー:04/06/12 21:35 ID:JBKsO+im
  伏姫は陽にギラッと煌いた刃先を喉へと向けると、瞼を閉じる。瞬間、
八房は前足をドウッ!と蹴ったかと思うと、伏姫のからだを押し倒していた。
その姿を見た者がいたとしたら、きっと怪物が手弱女に圧し掛かり、喉笛を
噛み切っている無残絵と映っていたことだろう。

「そっ、そんなことが……」
 信じられない光景を前に、伏姫から弱音が吐き出されていた。瞼を閉じたから、
しくじったのではない。伏姫の紅を塗った赫い唇がわなわなと顫えた。
小太刀は八房に咥え取られ沢に放り投げられた。八房は前足で伏姫の
二の腕あたりを押えていた。伏姫は悔しさと八房の重みに美貌を歪ませる。

『そなたは、我のこころを知らない』
「情欲に狂った、あやかしであろう!」
 八房はさすがに、この言葉には激怒し、濡れた黒い鼻を伏姫に近づけると
低く唸り出した。耳まで裂けた口は生肉を欲するが如くに、涎を伏姫の胸元に
滴らせ襟元に滲みをつくった。

「くっ……」
 しかし、直ぐに伏姫は八房の黄金色に耀く瞳を見据えて、言葉を紡いだ。
「す、好きにしゃあぁ……やつ……ふさ。藁を……好きにしゃれ」
 伏姫はぷいっと横を向いた。
『八房様だ』
373名無しさん@ピンキー:04/06/12 21:39 ID:JBKsO+im
362 読んでくれてどうも。先の展開考えてなくて、書いて
   ませんので、保守ってことで。
374名無しさん@ピンキー:04/06/12 23:26 ID:EkZWfdxZ
THX!>366
     ( ゚д゚) ;y=‐ ;y=‐
     (\/\/
グッジョブ>366
     ( ゚д゚) ;y=‐
     (\/\
          \ ;y=‐
グッジョブ >366
     ー=y;―
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      (゚д゚ )
 ー=y;_/| y |
グッジョブ>366
  ー=y;  ( ゚д゚)   ;y=‐
    \/| y |\/
375名無しさん@ピンキー:04/06/14 04:38 ID:8wZ98i+G
つ・つづきを〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!きぼんきぼん!!
GJ!!
376名無しさん@ピンキー:04/06/15 00:16 ID:S1wWyw0O
とても(´∀`)b グッジョブ!!
でも、藁が気になる…。妾(わらわ)のことでつか。
377名無しさん@ピンキー:04/06/15 02:52 ID:sfkEX1Hg
そうです。もちろん妾のほうです
「藁を」と出てきたので、
調べないまま使ってました。
恥かしい。すいません。
378名無しさん@ピンキー:04/06/15 04:18 ID:bje1FQnG
いやあ…すごいッス。続きが気になります〜〜〜
ぜひ続けてくだされ。

漏れとしては最後の「八房様だ」に萌えますた…
379名無しさん@ピンキー:04/06/18 00:05 ID:iQdUYfoA
「お、おのれ……」
 なぜ、この宝珠は妾を守ってはくれぬ。何故じゃ。何ゆえにと、心の悲痛な叫びが
奥底から湧き起こった。伏姫の中で忌まわしい獣姦という畜生道の闇がぽっかりと
ひらいた。

『ほれ、いうてみよ』
 八房の濡れた鼻先が伏姫の柔らかな頬を圧する。八房のはあはあという熱い息が
吹きかかる。
「うっ、ううっ」
 堕ちる。堕ちてしまう。八房の唾液が垂れて頬を濡らし、乙女の唇に流れ込んでくる。
もう、堪忍。堪忍して。八房の瞳は、唇への唾液の流れを注視する。

『情欲に狂った犬畜生に嫁いだは、いつわりであったのか?言わぬか、伏姫!』
「んっ、ん、んんっ!」
 ぐいぐいと湿った黒鼻で伏姫の頬肉を小突いて、ぐらぐらと揺さぶりをかける。八房は
けものの眼で睨みつけると伏姫を恫喝した。
『ええいっ、言えっ!』

 しかし実際は、この行いも八房にとっては単なる遊戯。なぜなら、伏姫の白粉の
芳香の下、童女とはちがう本来の甘い匂いを、香りの紗幕を破って直に嗅ぐということが
できたからだ。
「いいとうないわっ」
 唾液が口腔に流れた。
380名無しさん@ピンキー:04/06/18 00:14 ID:iQdUYfoA
『強情な女子め』
「妾を愚弄することは、赦さん。八房」
『ふふっ、そうか。ならば、言うまで我はここを退かぬ』

 横を向いたままの伏姫は八房とは目を合わせようとはせず、瞼を閉じた。
そして舌を噛み切ったほうがよいのかどうかの思案をめぐらせる。よほどの
覚悟で望まなければ、しくじりを招いて醜態を晒しかねないことを、心得として
知ってはいた。

 伏姫は信心深く、死そのものは恐ろしくはなかったが、死に様だけは八房には
晒したくはない。死しても、八房はこのからだを犯そうとするのではないかという、
身の毛のよだつ考えがもたげてしまう。だが逡巡のときが、八房の重みをじょじょに
躰に食い込ませて、眉間に薄っすらと縦皺を刻みはじめた。

「や、やつふさ……さま」
 伏姫はついに弱音を吐いた。
『声が小いそうて、よう聞こえんぞ』
 八房は嗤っていた。
「妾はいうた……であろうに。あんまりじゃ……」
 眦に溜まっていた涙が一条の流れをつくって伝い、落ちて土に滲みた。八房は
図に乗ったことを、やりすぎたと悔恨の情にかられる。しかし内掛の下の、白絹のさらに下。
381名無しさん@ピンキー:04/06/18 00:21 ID:iQdUYfoA
 隠れたふくよかな乳房の喘いでる様を見て、押え切れない情欲も込み上げ、
八房の地毛の白とはちがう、銀色の産毛を細かに繁らす逸物からは、黄白色の
膿のような汁を破り、孔からは先っぽの窄まった鴇色の絖った管をぬるんと出した。

『貌を我に見せよ』
「いっ、いやじゃ……」
 素直に答えていれば、見逃して躰から降りようものをと、腹に据えかね、小生意気な
伏姫に嬲りを掛ける。

「んんっ」
 鼻が伏姫の唇に入って貌を仰向けにさせた。咄嗟につぐんだものの歯にまで当り、
潮のあじが口腔に拡がって、どうすることも出来ずに溜まった唾液とともに呑み込んでしまう。
伏姫は下々の唾棄する所作を知らないでいた。懐紙を取り出して姫様ここに、という
付きの者などだれもいないのだから。

『さあ、言え』
「殿様を……お慰め……いたしまする」
 八房は目を細め一瞬警戒を怠った。というより、その注意はべつのところに向けられていた。
濃やかな垂れ髪を拡げ、そこに仰向けになった伏姫から、八房は颯と退くのだった。そのときに、
頬に掛かるみじかく切り揃えた前髪がふわっと舞った。八房の鼻息がそうさせていいたのではない。
382名無しさん@ピンキー:04/06/18 00:30 ID:iQdUYfoA
  小鳥のさえずりが止み、不気味な沈黙が降り注いで、あぎとの周辺の木々が
一斉にざわめいて波の音を立てながら、この一点をめざして黒雲を呼び寄せていた。
「八房。覚悟しゃれっ!」

 その隙を伏姫は突いて、黒髪から抜いた垂れ藤の銀細工のかんざしを握って、
八房のひだり肩を「ずぶっ!」と刺した。目を狙うにも貌を高く揚げて、鼻をくんくんと
利かせているからに、咄嗟に肩を狙いにいった。たが、伏姫はもうひとつの驚愕の
事実を突きつけられた。

 伏姫のかんざしは武家の心得としての、敵将に囚われの身、もしくは慰みものに
なることを退けるための物としての役目を担い、髪を飾っていた。その先は針のように
砥がれていて。伏姫は飾りの垂れ藤ごと、つよく握り締めて、八房の心の臓を狙って
鳩胸を突くつもりが、童女の頃よりから、ずっと凶兆から守り続けていた八房への
無意識のためらい疵となってあらわれ、わなわなと顫える唇を歯でつよく噛み締めていた。
口腔には、怒りの血が口惜しさを伴って流れ鉄の味を拡げた。

 しかし、八房は微動だもせず、迫り来る凶兆に眼を凝らし、低く唸って貌を伏姫の
肩近くまで下ろして、上目遣いに何かを見据えている。
『伏、我の後ろに隠れよ』
 なんと頼もしい声と伏姫は感じ、烈しく羞恥に陥って動くどころではなく、躰が
固まっていた。敵対した者に情けを掛けられていることは汚辱に等しい。
383名無しさん@ピンキー:04/06/18 00:37 ID:iQdUYfoA
  八房の恋情に一時でもこころをひらこうとした事実を。侍女たちと野原を駆け、
馴れ親しんだ忠義の犬。憎くて憎んだのではない。
『なにをしている。わからぬか。はようせい』
 八房はしかたなしと見て、鼻先を伏姫の脇にもぐらせると、ぐいっと頸をねじって、
その躰を後方へと引き摺った。肩に突き刺さった、銀のかんざしの垂れ藤が大きくゆれ、
先にいた燕が空を飛んだ。

「ひっ……!」
『気をしっかりと持て。わからぬか、妖女(あやかし)の妾(しょう)の波動が!』
 平常心を持っていたなら、伏姫にもののけはもとより、妖女の気を読むことなど容易い
ことだった。しかし、御仏の教えに背いて、奇怪な男女(おめ)の契りを結ぼうとすることに
精神(こころ)撹乱されていた。さらに、心細い伏姫のこころに、八房は微妙に、里見義実の
声音をないまぜに語りかけていた。

 伏姫はその声に父のことを想い、気力を振り絞って、あぎとの中に這って行こうとした。
そこで舌を噛み切るもよしと伏姫は思った。
『動くな。我の傍にいよ!さすれば、守ることが出来る』
 あたりは漆黒の闇、その一歩手前までとなり、八房の傷口がかんざしを抜きもしないのに
開いて血糊が天空に飛沫いていった。あたりに燐火が、ぼっ、ぼうっと灯りはじめた。
384名無しさん@ピンキー:04/06/18 02:59 ID:2Y2q3wHx
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
八房が男らしくて燃えますな。
最近は毎日のスレのチェックが欠かせませんな。
次も楽しみにしてますよ。
385名無しさん@ピンキー:04/06/18 19:55 ID:iQdUYfoA
ぼうっ、ぼっ、ぼっと次々に燐火があらわれて、いきもののように浮遊する。
周囲はすっかりと闇夜につつまれた。黄金色の妖(あやかし)・九尾狐の霊力を
凌ぐうねりが天空に起こり、その向こう側からは、玉梓の切れ長の眼(まなこ)が
しっかりと伏姫のうろたえる様を睨みつけていた。その存念、計り知れなく
根深きもの。

 神余長挟介光弘の寵姫として、妖しいまでに美しい一重のきりりっとした涼しい瞳、
すっと通った鼻梁、素肌は吸いつくようにしっとりとまろみがあり、絖る地は
しらゆきの如く。凄艶を極めた玉梓は光弘のこころを離さず、からだを
ひらけば、男根をやさしくつつみこんで精を絞った。光弘が舌を捻じ込んで、
玉梓の熱い吐息を吸い出せば、情欲にけぶる半開きとなった唇からは、
甘露の唾液があふれた。

 後ろから菊蕾を眺めながら豊臀を抱え込んでも、仰向けにして美麗の
乳房の拉げて、からだをくねらせるしどけない姿態に昂ぶって、突いて
蕩けても願えば逸物は直ぐに硬くなり、果てなく女体にのめりこむだけ。
いかようにも、男のこころを操る術を熟知していた玉梓だった。

 そこに、含羞が加わるのだから、男が玉梓のすべてを得たいと想うことは、
至極当然のことだった。光弘が数多の側室を得ていても、玉梓のいる
寝殿に入り浸った。
386名無しさん@ピンキー:04/06/18 19:59 ID:iQdUYfoA
エロくないし、スレ違いと言われそうな・・・すいません。
387名無しさん@ピンキー:04/06/18 20:22 ID:iQdUYfoA
「はあ、はあ、はあ、あっ」
「だいじょうぶか」
「かたじけのうござります」
 玉梓は起き上がって光弘(みつひろ)の衰えを知らぬ怒張の始末をしようと
枕元の懐紙を探る。
「よい。そのまま休んでおれ。喉を潤してやる。待っておれ」
 光弘の拇が玉梓の赫い唇を撫でてから、僅かでも離れることを躊躇うような
趣を放ちながら立ち上がった。

  何度射精しても飽き足らず、膳から盃を取るも、荒淫の疲労からかやつれを
実感するも、男根は力を増していった。それに反して、手が震えて落としてしまうと、
盃はころころと床を転げていった。燭台の近くに転げた盃を拾うため屈もうとした
光弘だったが、思いなおして徳利を豪快に煽った。

 濁った白いお神酒は、光弘の薄まった子種のようにだらだらと唇を流れ、喉から胸、
そして玉梓に絞られても絞られても、むくむくと力をみなぎらせる逸物を濡らすのだった。
光弘の瞳に玉梓のうねる柔らかな下腹と、白くおびただしい、玉梓の清楚な陰阜に
醜の白い粘り気を附着させた、光弘の所業でみだれた陰毛の陰りを観ていた。
おんなの上と下のひらいた赫い唇も含めて。

 玉梓は朱の敷物のうえで白い裸身を仰臥していて、豊麗な乳房を喘がせ、その脾腹には
あやしい肋を描いて昇降を繰返していた。玉梓の瞼がゆっくりとひらいて、朱から
しらゆきいろの肉体をたおやかに起し、そのあとは白狐になり光弘のもとにあやしく
臀をふって擦り寄って来るのだった。
388名無しさん@ピンキー:04/06/18 20:31 ID:iQdUYfoA
「殿様、お清めしとうございます」
「それにはおよばん」
「つめたくなさらないでくださりませ」
 光弘は四つん這いになっている玉梓にまで降りて来て(右膝を立て、
左膝は床板についてしゃがんでいた。太腿の淡いの男根は玉梓の
しなやかな指でくすぐるように愛撫され、びくんびくんと痙攣していた)、
徳利を持った手を右膝に置いていたのをふたたび煽った。

 トン!と徳利を床に置いて、玉梓の両肩を掴んで引き起こして正座させる。
垂れ髪が白い乳房に僅かばかり掛かって美麗の趣を醸す。
その黒髪ごと光弘は乳房に手をおいて撫で廻し、「んっ、んあぁああっ」
口移しにお神酒を玉梓に送り込んだ。「んっ、ん、ん」玉梓は目を細め
躰を顫わせ、喉をコクリと鳴らして飲み干した。
「あっ、はぁ……。ありがとうございます」

「礼にはおよばんぞ。また、おまえに渇きを覚える所業、するやもしれん」
 そう言って光弘はまたお神酒を口に含んで、玉梓の太腿の綴じ目に
貌を落とした。しかし、光弘の顔は玉梓の両太腿の閉じ目をぐいぐいと圧し、
「そ、そんな……。お、おまちください」玉梓は逃げるように躰を横に崩した。

 両脚はずれて、隠れていた秘所をあらわにする。しかし、玉梓は逃げる
ことは無かった。無かったけれど、光弘の顔が淡いに吸い付くと、両肩に
手を添えてかるく押すような所作をしたのだった。
389名無しさん@ピンキー:04/06/18 20:43 ID:iQdUYfoA
 光弘の後頭部を両手で押さえ、濡れそぼる股間に導くのではなく、媚と
いえば媚、羞恥心といえば、そうともとれなくもなかった。
 光弘には玉梓のそんな心根が嬉しかった。たとえ、媚態だったとしても。
玉梓は左膝を取られて、ぐぐっし拡げられると、光弘の肩に爪を立てた。

「ゆっ、赦して……くださりませ」
 内腿の肉がひくひくとしていた。その手触りは、玉梓の脚をもっと
拡げるために降りてきた、光弘の手が一番よく知っていた。玉梓のつぶらな
秘孔に送り込もうとしていた。顔を左右に振って、黒髪で光弘の背を嬲る。
光弘は玉梓の太腿の内側から手を差し入れ、肩でふんばっている
玉梓の両手頸を掴んで、後ろ手をつかせた。

「かんにん」
 光弘は根気よくその行為を繰返した。顔をあげるたびに、玉梓は美貌に
桜を咲かせ、両手で覆うことも赦されず、女陰をひくつかせて歔くのだった。
あらかた、注ぎ込むと、光弘は肉棒を玉梓のお神酒と愛液で絖る場所に
ゆっくりと押し入って、覆いかぶさった。玉梓は歓喜して「あぁああっ」と
かぼそく声を濡らして、太腿を顫わせて仰臥させられた。

 玉梓の肉襞の艶めかしい蠕動にもかかわらず、鞘に剣をおさめたまま、
生かさず殺さずの状態で、光弘は尻を動かそうとはしない。
 たまらなくなった玉梓は、手を光弘の臀部にやり、割り開くと動かしはじめた。
390名無しさん@ピンキー:04/06/18 20:53 ID:iQdUYfoA
「ならぬ」
「なにゆえでしょうか」
 玉梓の瞳が潤んでいた。こぼれた涙を曲げた人差し指がそっと拭う。

「そちのゆばりが観てみたい」
「ああ……。そのような。気がくるいそうにござります」
「狂えばよい」
「ご無体な」
「嫌か」
「殿様がご所望するのであれば、狂いましょう」
「そうか」
 圧されて、玉梓の下腹にむずむずと湧き起こるものがあった。

「出そうか」
「このまま、出すのでござりますか」
 愛らしい声音に、このまま犯せと囁いているようにも思える。それが、
誰の声なのかはわからないが。

「それもよいかもしれん」
「ああ……。せっ、せめて、厠につれていってくださいまし」
 童女のように、光弘に両太腿を担がれて、大股びらきをさせられ、
光弘の見ている前で放尿するものとばかり思っていた。
391名無しさん@ピンキー:04/06/18 22:59 ID:iQdUYfoA
「そのような声を出すな」
 腹部のうねりが伝播して、光弘は玉梓への愛しさが衝迫する。
「殿様。玉梓は、生きたここちがしませぬ」
「気をやって、死ねばよい。それでまた蘇る。さらに、麗人を極めて羽ばたけ、玉梓」
「あ、あっ、ああ……、ひっ」

「どうした」
「な、なにかが込み上げて来まする」
 肉襞を押し切って、深くもぐり玉梓を歔かせてみたい。
「あっ、ぬかないで。もう、もうすこし。ああっ、ああ……、行かないでくださいまし……」
 脚を絡みつかせる玉梓を光弘は笑いながら見下ろして、腰からほといてゆく。

「ぬかなければのう、玉梓」
 絡ませて、腰を振ろうとしていたのをやめ、玉梓は最初の体位に戻して
後ろ手をついて、あけすけに開脚すると光弘を息を潜めて待った。光弘は
膳のうえに置かれていたものを取り払うと、膳だけを持って開脚された淡いに
膳を差し込むのだった。

「さあ、ここにゆばりを出せ」
「そ、そのような、おゆるしを。あぁああ……、おゆるし」
 玉梓には光弘がやろうとしていることがやっと呑み込めた。放尿とともに洩れた
子種を、交媾の果てのふたりの和合水とも混じり合ったものを、ゆばりといっしょに
飲もうとしている。
392名無しさん@ピンキー:04/06/18 23:18 ID:iQdUYfoA
 玉梓はもっとも小さい孔をひくつかせ、雫をこぼれさせた。ちゃんと膳に
ゆばりを収めるには、開脚したままで四肢で躰を浮かせ、奔流を圧して
殺しつつ、排尿をしなければならない。

「ああ……。かんにんしてくださりませ」
 哀訴するも、弱々しい言葉は禁句だった。ともすれば、自分の置かれた
汚辱に酔いしれ、緊張がほときかねない。玉梓は小鼻をふくらませ、
下唇をきゅっと噛み締めた。

 玉梓の黄金水は、それでも勢いを増して弧を描き出す。膳の黒地を
びしゃびしゃっと音を立てながら叩いていた。そして玉梓と光弘の放ったものが、
和合水が膣孔より排出される。
「お、おやめくださりませ。あ、ああっ、ひいっ」
 からだを顫動させた玉梓はゆばりを膳の受けよりも遠くに跳ばして、光弘の
顔に掛けたのだった。

「玉梓のものは回春の妙薬よ」
「御身体に障りまする、殿さまぁぁぁ……」
 勢いが弱まり、懐紙で拭いてやり、床にまた白い花を咲かせた。光弘が顔を
近づけ、女陰から漂う蒸れた感じを受けて尿の芳香を嗅ぎ、膳を持ったときだった。
うしろから刀が空を裂きザクッと下りて、光弘の頸を捉えた。玉梓の尿を飲むことなく、
顔を膳に突っ伏すとがくっと倒れた。血潮は玉梓の白い裸身にぶしゅっと飛沫いた。
393名無しさん@ピンキー:04/06/18 23:32 ID:iQdUYfoA
「ひ、ひあっ」
 玉梓(たまずさ)は光弘を殺した人影に圧し掛かられて、くちを塞がれた。
「さけぶな。よいな。さもなくば、おまえも殺す」
 しかし、男には玉梓を殺す気など端からない。玉梓の眼の色を伺い
そっと離した。離れた手に玉梓の鼻息がそよいでいた。

「定包(さだかね)さま……」
 玉梓と定包の傍に、光弘の血が伝って池をつくる。その匂いにあてられて、
玉梓はぐふっと先刻の食物を吐瀉するのだった。こゆい臙脂の水にまだ
原型をとどめた内容物がびしゃっ!と散る。
「だいじょうぶか」

「ありがとうございます……」
 懐紙が玉梓の口の穢れを拭いて、刷いた紅もいっしょに剥がれていった。
「なぜ、そのような哀しそうな眼をする」
「定包さま。婢女(はしため)にお情けなどはいりません」

「これからは定包の妻じゃ、玉梓。よいな」
 これより、光弘は病死扱いとなり、家臣の定包が跡目を継ぎ滝田城主となる。
しかし、享楽の限りを尽くし、民をないがしろにしたつけは、とうとうやってきた。
 定包と玉梓が、地下牢で人知れず交媾を繰返しているさなかに、里見の
数十年前よりの送り込んでいた密偵によって、謀反を起させ取り押えられた。
394名無しさん@ピンキー:04/06/18 23:37 ID:RlXi+fGK
新作乙!
395名無しさん@ピンキー:04/06/18 23:52 ID:iQdUYfoA
 そのとき、定包は浅黒い巨躯で、手弱女の玉梓を牢の太い木の格子に
圧しつけて犯していたという。玉梓は裸身に朱色の地に錦糸の花々を
綺麗に咲かせた内掛を羽織っただけで、尻捲りにされ格子に両手を
掲げされ、後ろの菊門と繋がっていた。秘孔より垂れる和合水の放つ
蒸れた匂いに、菊を抉っては立ち込める異臭に、牢に降りてきた誰もが
吐き気を催した。定包は目に隈をつくり、頬肉はこけていた。

 玉梓だけは荒淫の限りを尽くしたとはいえ、異臭のなかにあっても、
香のような甘ったるい芳香を放ち、白い素肌は絖るように美しく、垂れ髪の、
地の白に掛かる濃やかな黒の対比に圧倒されるばかり。そこには定包と
玉梓の排泄物もあって、天上より見捨てられた空間をもののみごとに
こさえていた。玉梓は定包にうなじに口吻をされて喜悦の声を迸らせた。

 定包は玉梓の逝くという声を聞き、剥がされて、その場で斬首される。
玉梓は家来たちに姦された。この事態が、かねてよりの滝田の動向を
探るための里見の仕込みであることを知ったのは、黒髪を鷲掴みにされ
引き摺られて、湯殿でふたたび犯されたあげく、詮議に引っ立てられる際に、
滝田の者に毒婦とさんざん罵られ、そのことをついでに教えられた。
玉梓を自らの手でこらしめができたからこそ、安房国の連合に渡してやる
とまで言われた。だが、玉梓はさめざめとするどころか、能面のような貌を
するだけだった。

 たしかに、婢女あがりで妾から姫の地位にまで昇り詰め、満足していた。
しかし、ことごとく男の運命を狂わせた慙愧が玉梓に重く圧し掛かる。
「里見の殿様がきれいなおべべをきせてやれと言うたのよ」
396名無しさん@ピンキー:04/06/19 00:03 ID:ULjRCIM6
「さ、里見……と申されましたか」
「そうじゃ」
 玉梓のこころはチリッと疼いた。滝田に馴染ませ、何代も重ねた仕込みを
行なっておいて、このうえお情けというのか。
「どうした。立ち止まるな」
「もうしわけございません……」
 
 男にはわだかまりがあった。犯していたときは、怒りで我を忘れての
ことだったが、触れてみての感触がうわさとはちがっていた。毒婦というより、
やはり見たままの手弱女。
 だからといって、どうせ死罪。これ以上引き摺ってはあとあと寝覚めが
悪いというもの。いくら精を吐き出して、やさしく包まれるようないい
思いをしたといっても。

 玉梓は玉砂利の引き詰められた場所に引きずり出された。陽光にあって、
玉梓の麗人ぶりはさらに際立っていた。だが、その下座に座る光弘に仕えた
金碗八郎孝義の存在を認めたとき。またこころの奥底がチリッとした。
だが、もうなにもかもが潰えたことなのだ。玉梓は瞼を閉じ合わせた。

 安房国の連合の将たちは、型どおりの詮議を行い、玉梓はすべてを
認めていった。しかし、玉梓の殊勝な態度に想うところがあって、里見義実は
立って降りると、玉梓の傍までやって来た。
397名無しさん@ピンキー:04/06/19 00:12 ID:ULjRCIM6
「これ、玉梓」
「なんでござりましょう」
「申し開きをせぬのか」
「多くの命が失われました。この玉梓の命をもって、おしまいにしとうございます」
 義実は折り畳まれた扇子で、玉梓の頤をあげてみせた。
「わたしの目を見て話せ」
「はい。わかりました」

 扇子を颯と曳いた。そして義実はいくつかの質問で、玉梓のこころを
ひらいていった。
「そなたの眼。民に向けられておれば、またちがった道をきわめたのやも
しれんのう」
「ありがたき、お言葉。されど、ひとつ、お伺いしたきことがありまする」

「申してみよ」
「孝吉さまが手引きされたのでござりますか」
「それを訊いてなんとする」
「わたしは浅はかな女子なれど、神明に誓い、光弘さまも定包さまも愛しておりました」

「なにが言いたい」
「わたくしに、国を観る才などありません。ただ殿様に仕える身にございます」
「戯れたことを申すでない!」
 孝吉が立ち、声を荒げる。それに玉梓は激昂するどころか、くちを噤んで
頭を落としたのだった。
398名無しさん@ピンキー:04/06/19 00:27 ID:ULjRCIM6
 義実(よしざね)は玉梓の傍に腰を下ろすと、小刀を抜き荒縄を切ろうとした。
「なにをされますか、里見さま」
「玉梓のいのち助けようとおもう。国よりの放逐が妥当であろう」

「なんと申されますか。こ、これをご覧下さりませ!」
 孝吉はひれ伏してから、義実に膝で歩み寄り、ふところより巻物を取り出し、
揃えた両手に真横にして義実に差し出した。

「なんじゃ、これは」
「玉梓の所業にござります」
 多少の誇張はあったが、それは光弘から定包と玉梓の閨中で執り行われたことを
仔細に綴ったものだった。そして最後には供述した者たちの署名と血判が押されていた。
「玉梓」
「は、はい」
「赤子の肉を喰らったは、まことなのか」
「それは」

「事実かと訊いておる」
「さようにござります。しかし、それは定包さまが人魚の……ものと。それに、わたくしは、
ひとつも政には口を挟んではおりませぬ」
「いまごろ、申し開きか。それに、赤子は宝ぞ」
「な、なにを言うておる、里見」
「控えろ、玉梓!」
399名無しさん@ピンキー:04/06/19 00:36 ID:ULjRCIM6
「貴様らが戦をしておるがために、民は日々あざむかれ、一向に楽にならぬ
暮らしに、口減らしとして、和朗はただ働き、童女は慰み者じゃ。それも武家が
不甲斐ないばかりにじゃ」
「さらばじゃ、玉梓」
「ええいっ、答えよ。里見!」

「引っ立てよ!」
 孝吉は玉梓の言葉を打ち消すように叫んだ。孝吉は滝田を追われて際、
他国の農村に厄介になっており、そのときその家の濃萩(こはぎ)という娘と
相思相愛になり、孕ませてしまった。しかも孝吉は濃萩に主君を持たない
身であり、守ることはできないと堕胎を薦め、拒まれると逃げるようにそこを
去ったという過去があって、玉梓の叫びは鋭く刺さってきた。

 だが、国は秩序と法を守らねば立ち行かない。玉梓の命を断つことは、
そのうしろに控える滝田のものたちの存念にほかならない。
「た、たすけると言うて、こんどは見殺すのかぁ!妾は命などおしゅうない!
おしゅうはない!筋を通さぬ里見が憎くうて、たまらんわ!祟って、
祟りつくしてやるぞ!」

「だまらせろ」  
「ははっ」
 脇を固めていた者が玉梓の背を踏みつけ、垂れ髪を掴んで、手にぐるぐると
巻き上げる、なおも罵声を吐く玉梓の貌をぐぐっとさらした。だれもがその形相に
鬼女を見ていた。
 玉梓は荒縄を唇に咥えさせられ、きつく締め上げられていった。眼は血走って
里見を睨み据えていた。言葉をうばわれても。
400名無しさん@ピンキー:04/06/19 00:42 ID:ULjRCIM6
『なにを躊躇っておる!』
 伏姫はあぎとに向かっていた右手で土くれをぎゅっと握り締め、手を跳ねて
うしろに廻し八房を見た。八房は両肩を低くして何者かに飛び掛る構えをしていた。
「やっ、八房……」

『羞ずることはない!宝珠を握り締め、我まで這って来い!』
 八房から伏姫ににじりよることは、高めた気をほとくことになり、針の一穴の隙を
つくりかねない。玉梓の妖力を知り得た八房だからこそ、避けたい戦術だった。
野山がごおおうぅううううううッ!と唸りはじめ、伏姫は地割れが起こるのではと思った。
童女より首に掛かる、数珠を見たが、その霊力に縋る気には、いまだなれなかった。

『来い!伏!』
「は、はい」
 内掛を土で穢しながら、右手に八つの不思議な文字を浮かばせる、宝珠を連ねた
数珠を握り締め、その熱が真の臓を包むような気がした。左肘で伏姫は八房ににじりよった。
八房の飛び散った鮮血は渦を巻き、燐火に守られながら女人を模り、『男女のえにしとは、
ほんに奇異なものよのぅ、八房』という美声で発話しながら、怨念を込めたぞっとするような
眼光を闇夜から伏姫に送りながら実体化していった。血の濃い色、肉が壊死して組織が
滅したかのような色合いの内掛を蒼白の裸身に纏っただけの姿で玉梓はあらわれた。
401名無しさん@ピンキー:04/06/19 13:09 ID:ULjRCIM6
『守備よくことをはこんだものじゃ、褒めてつかわそうぞ、八房』
 ぐるるるるっ、と八房は牙を剥いて唸り出すが、その様子にも怨霊、
玉梓は艶然として、天空より見下ろしていた。
『なにをしゃる。はよう、妾のもとに、さあ、きやれ』

 八房は咆えると天空に駆け上がる。伏姫に八房の後ろ足が蹴った、
つちくれが引っ掛かる。巻き尾を尻にぴたりと下げていたはずの
八房は、伏姫に示す態のように、烈しく尾を振り立てていた。
「やっ、八房あぁああぁぁぁ――っ!」

 伏姫は土を数回掻いて、去った八房を追うように、前に進み出た。
右手に握り締めていた数珠。童女のころに、掛かる凶兆を案じた
高僧より、義実と五十子(いさらご)夫妻が貰い受けて、掛け
続けたもので、手弱女として健やかに、多くの美田を有する
安房(あわ)の国のように。
 妖魔を退ける光輪を放つどころか、宝珠は沈黙していた。伏姫の
胸元を飾る、その数珠の変容に気づく余裕すらもたない。

 むずかる娘の身を案じた五十子のたっての願いもあり、寺院に
赴いていた。しかし、その道すがら、ふたりはひとりの老人と
逢うことになる。
 仁に厚い義実は、その老人と会うと、この老人がこれから
赴こうとする僧正さまだと思って、すべてを打ち明けた。五十子と
伏姫を抱く乳母も呼ばれて、高僧は義実と五十子に数珠を
手渡してこういった。
402名無しさん@ピンキー:04/06/19 13:10 ID:ULjRCIM6
また、よそ道にそれます。
ごめんなさい。
403名無しさん@ピンキー:04/06/19 13:30 ID:ULjRCIM6
「数多の凶兆が迫っておる。それを退ける宝珠じゃ」
 義実から五十子の手に。手の平に受けた五十子のうえに高僧は桜の
はなびらが舞い降りるように、そっと手を重ねおく。ふわっと温かい光輪が
五十子と義実をやさしくつつみこんだ。

「さあ、稚児にのう」
 五十子は高僧の貌を見た。はらはらと涙をながしながら数珠を
持ちながら合掌し、義実も頭を垂れた。伏姫を抱いた乳母がふたりの
もとにやって来る。数珠のなかの八つの宝珠は光輪のなかで、霊験
あらたかな文字を浮かび上がらせていた。

        仁・義・礼・智・忠・信・考・悌と宝珠は示す。

「大僧正さまから娘に掛けてやってください」
 伏姫は乳母の腕のなかで泣き叫んでいる。
「これより、掛かる災厄。すべてを退けるものではないのだ。善と悪は
表裏のものと思いなされ。善が栄えていても、必ず陰より様子を窺うもの。
その逆もまた。それを覚悟して、あなたがたふたりで稚児にのう。さあ」

 義実は僧正の言葉に僅かに眉根をよせた。義実は、あの時、定包を
討っても安西景連の不穏な動きを察知していた。暗雲を払っても、
まだまだ気を休めることなどできないでいた。玉梓の怨念にも気がいった。
そのなかでの伏姫の変調だった。
404名無しさん@ピンキー:04/06/19 13:50 ID:ULjRCIM6
 払っても、悪をすべて駆逐することは難。だが、そうではなく、善と悪の
ちからは拮抗していて、なにかの流れで、針が片方に振り切れるだけ
ではないかと、里見義実は無常観にふれて。
 このときに、景連らの敵の連合の動きに、定包と玉梓を討つのに
尽力した金碗考吉(かまなりたかよし)らは、好機と里見義実に討伐を
進言している。

 しかし、義実は民をないがしろにして、戦に入ってはならぬと説いた。
「考吉」
「ははっ」
「そちは、不満だろうが、儂のおもい汲んではくれぬか」
「不満と申されますと」
「玉梓の言ったことじゃ」

「あれは、憐れな女子でありました。それを弔う所存で臨みとう
ございます」
 考吉は即答した。
「よういうてくれた」
 珠梓の言葉が棘のように、考吉にも残っていたからであった。

 それに、この和平、容易く守れるものではないことも重々承知しての
即答であった。常時警戒を怠ることのできないその任、労力は計り
知れぬものとなることは必定。軽んじての発話でないことは、考吉の
眼で義実は悟っていた。
405名無しさん@ピンキー:04/06/19 14:03 ID:ULjRCIM6
 多くの者たちは、義と仁に厚い里見に感服してはいたが、考吉のこころ、
僅かばかりも知らないでいた。義実は孝吉のもとによって、脇差を抜いて
考吉に授ける。安房国に春が訪れた。
 それより、考吉は東条城の城主に押されたが、丁重に断りを義実に
入れていた。その時の光景が義実の心に走馬灯のように蘇っていた。
孝吉は義実の前で自害したのだった。

 国のためとはいえ、かつての主君を裏切るは、義に反する行いであった。
義といえば、流転のなかで世話になった夫婦。そして考吉が愛したその娘。
濃萩(こはぎ)のことだった。堕ろせと言って、濃萩のもとを逃げるように
去ったことを、昨日のことのように思い出す。玉梓の瞳を見て、その想いは
さらに強まってもいた。

「しっかりせよ。考吉。まだ、逝ってはならんぞ。そなたに、逢わせたい
者がおるのじゃ」
 義実ははらはらと涙で、考吉の顔を濡らした。
「里見さまに、尽きるまで仕えれなかった事、おゆるしください。
わたしは、ただの臆病者なのです」

「考吉、なにを申すか」
「ひとりで、死ぬることもできませなんだ。こうして義実さまに看取られ、
逝くことが、倖せ。唯一の褒賞と思うておりまする」
「なっ、なにをいうかあぁああぁぁぁ」
 傍にいた家臣たちも嗚咽を洩らしていた。襖がひらかれ、老夫婦が
通される。
406名無しさん@ピンキー:04/06/19 14:22 ID:ULjRCIM6
「こ・は・ぎ……すまなかった……」
「しっかりしろ。気をしっかりともつのじゃ。逢わせたいものがおると
いうたはずじゃ。大輔、はようここへ来るのじゃ」
 老夫婦に背を押された者こそ、濃萩と考吉の仔、金碗大輔考徳だった。
だが、すでにもう、考吉の瞳は見えてはいなかった。大輔にきものを
掴まれて揺さぶられても、それが濃萩の手と思い、小さな手を握る。

「こは……ぎ、逢いたかった……」
「だ、大輔。父上と呼んでやってくれ」
「父上……。父上!父上!」
 義実は背を抱いてやりながら、考吉に逢わす。
「……こ・は・ぎ」
「父上えぇえええッ!」

 五十子の貌は不安から曇ったが、義実は案ずるなとやさしく発話し、
縺れ合う運命の糸を断つ力をと、娘の倖せを祈りながら。ふたりは
いっしょに携えた数珠を、乳母の抱く我が娘の頸に掛けたのだった。
しかし、その糸は陰より操る、蒼白のしなう指にもゆだねられて、
もつれにもつれていった。

「義実殿。悪は栄えぬ。そう想う、その精神(こころ)こそが大切でな。
おわかりかな。夢と思えば、近づくこともできぬ。精進なされよ」
 老人はそう一礼してどこぞへと去っていった。すると、入れ替わりに
寺院より、様子伺いに使いのものが馬を走らせてきたのだった。それが、
誰だったのか義実は気にはしなかった。しかし、それは小さな棘ではなく
義実の心に残ることになった。
407名無しさん@ピンキー:04/06/19 22:35 ID:ULjRCIM6
 はじまりは美田を有していた安房の国。景連の所領の凶作を聞き、金碗
大輔考徳にその大役を任す。考吉の仔、大輔を十六歳になった伏姫に
嫁がせるつもりでいた。若年ゆえに、この仕事を務めればという思いが
働く。

しかし、景連らに民の窮状を利用され、その姦計に嵌るとはと、義実は
歯軋りをした。城はすでに手勢に囲まれ、悔いても悔い切れなかった。
婿となるはずだった、大輔の生死すら、わからなかった。
義実はふと戯れを八房に吐いた。約束となって生き、犬畜生に手弱女に
育った娘をやることに、よもやなるとは。

「八房、おまえはなにを咥えておる」
 八房は首級を咥えたまま、動こうとはしなかった。なにかを探るように
義実を窺っている。それが、あの誓約だとわかった。
「……まさかのう」

 伏姫をやるという戯れを信じて、「敵の雑兵でも討って来おったか。
関心じゃ」と笑いながら庭に下りて、真に足が竦んだ。
 義実は八房の黄金色の瞳にぞっとした。その瞳の奥のさらなる、
向こう側にこちらを窺うような、忘れようとも忘れられない玉梓の眼(まなこ)を
みつけたのだった。
408名無しさん@ピンキー:04/06/19 22:45 ID:ULjRCIM6
 八房は呼ばれてもいないのに、ゆっくりと義実に近づいて玉砂利の上に
咥えた首級をそっと降ろす。戦慣れしていても、畜生の白い毛並に塗られた
人の血。その尋常でない無残絵と所作に怯えつつも、手を差し出して
撫でてやろうとする。八房は颯と下がると玉砂利のうえに腹這いになった。

「殿、いかがされましたか」
「いやのう。八房が敵の首級を持ってきたのよ」
「たれか、おらぬか」
 家来のものたちが数名すぐに集まってきた。それから、あらためで、
水で血を洗い流し凄まじい形相の首級に手直しをして、再度義実の前に
差し出しに家臣たちはやって来た。そこには、息子の義成も同席した。

「まちがいござりませぬ」
「そうか」
「いかがされましたか」
「いや、なんでもない」
 首あらために入る前に、八房も浴びた血を洗い流すように、そして
なにか食べさせてやれと義実は家臣たちに命じたが、石の様になって、
そこを動こうとはしなかった。

 八房は狸に育てられたという。その異種に魔除けとなることを少なからず
義実は期待した。しかし、狸は別名、玉面(たまつら)という。いまになり、
そのことが鮮やかに蘇る。
409名無しさん@ピンキー:04/06/19 22:53 ID:ULjRCIM6
  五十子(いさらご)との間にもうけた姫は、妻の怜悧玲瓏を受け継ぎ、
宝珠を授かってからは、一時の不安を霧散させ健やかに育った。
「伏……」
「いかがされましたか、父上」
 義成にだけは、姉上の名を呟いたことをしかと聞き取っていた。
「いや、案ずるな」
「はっ」

「義実さま、ここは討って出るべきかと」
「……」
 家臣の進言に思案を崩そうとはしない。
「父上」

 伏姫は盛夏の候に産声をあげた。三伏から取って、伏と名付ける。
それが、よもや犬に傅く人になろうとは。否、そんなことがあって
いいものか。いいはずなどない。いいはずが……。

 義成はすくっと立ち上がって、家臣たちをゆっくりと見渡して発話する。
「皆のもの、よく聞け。大将が動くことはまかりならん。この義成が撃って出る。
里見の底力、みせつけてやろうぞ」
「わたくしも、おともしまする」
 先に声をあげたのは、杉倉氏元だった。
410名無しさん@ピンキー:04/06/19 22:58 ID:ULjRCIM6
「かたじけない」
 すぐさま、声は次々と続いた。義成はひととおり、みなに謝を述べてから、
下座について父、義実に赦しを請う。
「浮足立っているとはいえ、あなどってはならんぞ」
「ははっ」
 一度、義成は父に深々と頭を下げると、面を上げて微笑んだ。
「父上は母上と姉上を守ってあげてくださりませ」

「こやつ、言いよるわ」
 座はどっと笑いが起こって、一気に和んだ。
「みなのもの、撃って出るぞ!決して、気を抜くでない!」
 おおっ!という鬨の声が既に湧きあがった。それは、必ずや帰陣して
みせるという誓約の声でもあった。そして、形勢はもののみごとに逆転した。

 大将自ら立つことなく、息子の義成が出陣。誰一人、死ぬものはいなかった。
好機のあとに、闇はぽっかりと口をひろげて待っていた。
 伏姫の拝領を得て八房は城をいずこへと去った。山中の奥深くにある、
あぎとに籠るべく、八房は伏姫とともにいた。玉梓と対峙して。

 そして、魔を退けるはずの、伏姫の胸元を飾る宝珠はいまだ沈黙を守る。
「やつ、やつふさあぁああぁぁぁ――っ!あやかしに、まどうてはならぬッ!」
『ほれ、きやれ、八房。わが子よ』
「なっ、なにを言うかあぁぁぁ!八房はおまえの仔のはずがないわッ!」
『ハッハハハ!愉快じゃ、愉快じゃ!あの快楽の日々よりもな。アッハハハハ……』
411名無しさん@ピンキー:04/06/20 20:35 ID:aO1yVnD7
…すげぇ、スレ伸びてると思ったら神、光臨…。
GJ!つーか乙!!!
412名無しさん@ピンキー:04/06/21 01:32 ID:DqQ9aIyt
GJ!!!!!!!!
413名無しさん@ピンキー:04/06/21 19:26 ID:br3hgF/b
袖も腰布も、帯すらもつけてはいない、玉梓の内掛に包まれた裸身は
くねって、陰毛はしっとりと濡れていた。燐火があたりを飛びまわって、
白蛇の躰を蒼く見せて。
八房は立てられた、玉梓の両太腿を割って入った腰を荒々しくゆすり、
跳び掛かった際の前足二本が、玉梓の華奢な両肩を捉えて圧し倒していた。
こゆい臙脂の内掛は肌蹴て、血の海に寝そべった蒼白の躰の女人を
漆黒の天空が映し出す。

 玉梓は、両脚を崩して今にも地に伏してしまいそうな、両手でつちくれを
握り締め、こぶしを付いて躰を支えている伏姫を観る。御仏に縋ろうとしていた
精神(こころ)は、ずたずたにあって、その躰すら支えるのもおぼつかないでいた。

「あぁああぁぁぁ……」
 この世を呪うみたいにして泣き叫ぶ伏姫を、玉梓の切れ長の瞳は嗤う。
闇に浮かぶ玉梓の貌は、男根に拝跪するがごとく目が細っていっていって、
そのたぐい稀な綺麗な頤でしゃくって、伏姫にどこぞにでもいきやれと、
勝ち誇るようにやってみせる。

 玉梓は毒々しいまでの赫い唇をゆるりと艶めかしくひらいて、白い歯を
こぼすと、舌が蛇のように出で、先が上唇を右から左へと舐めてから、
口は大きくひらかれて、生き物みたいにして妖しく蠢いた。
414名無しさん@ピンキー:04/06/21 19:45 ID:br3hgF/b
 滝田城主の光弘から、玉梓を奪いたいがために謀反を起したともいえる定包。
ふたりの玉梓にむけられた、暗い欲望に塗られた男根を、淫水のように
あふれる唾液で、ふやけるくらいに、しゃぶり尽くした舌圧。
 その快美に男たちは悶絶しつつも、さらなる快楽をもとめて玉梓の秘孔を
尖端で突き。

 己の身の危険を知らぬほど男女(おめ)は肉欲に溺れて、里見らに
捕まり、主君を骨抜きにしたと責められたは、身内の家臣たちに。
 玉梓はいっしょに殺されることを赦されず、泣き泣き殺してくれと哀訴するも
取り押えられ、散々に犯されて口腔に子種を飛沫かれて呑む。

 無慈悲な扱いもやむなしと思うところあって、菊蕾までも蹂躙されても、
その美麗な裸身は男たちに群がられ異形な肉塊に変容し、うつろな瞳は
彼岸だけを見る。
 それが、詮議の場での里見義実の心変わりで一変する。怨念は玉梓に
あらたな生をあたえて、いま口がその娘、伏姫に向かって毒を吐きつける。

『これが、男女(おめ)の契りというもの。のう、八房』
 八房はくねる裸身を影縫いでもするみたいに、前足で押さえようとするが、
苛立って地を駆けるときの黒い爪を使い剥きだして、玉梓の肩へと立てる。  
 内掛から剥がれようとしていた玉梓の右肩は、血の池の色に白が歓びに
沈む。その水底から、また毒が湧く。
415名無しさん@ピンキー:04/06/21 19:52 ID:br3hgF/b
『おんなごの下の口はのう、なんでも受け入れるものじゃ。稚児(ややこ)を
産み落とすほどに、拡がるものよ。犬畜生ぐらいで、なんの躊躇いがあろう』
 尻尾を振り立てる八房は、腰の動きを速め、ぬるっと何度も鴇色の管を
出す。逸物と管は玉梓の淫水を捉えても、いまだ和合できないで、八房を
低く唸らせていた。玉梓の内腿に、すでにべっとりと湿った陰毛に擦れ。
八房の黄金色だった瞳は血の色に染まる。

「やぁつふさぁああぁぁぁ……!」
 口惜しさに頭を落としていた伏姫は、玉梓を睨め付け、天空を仰ぎ、
かつての穏やかだった美貌には怨念に近い彩りを灯してから、颯と貌を
背けた。胸元の八つ宝珠はぼうっと光り、如是畜生発菩提心の八文字を
浮かばせていた。
『はああ……。ほしいか。妾がほしいか、八房』

 このような仕打ちを受けても、それでも畜生に導かれ、妾に御仏は仏門に
入れというのか……、伏姫は瞼をきつく閉じて慟哭する。天空では、おんなの
まろみを体現させる凄艶な玉梓の躰が八房を捉えて、刻を掛けて、ゆっくり
ひらいていった。

『ハッハハハ……』
「あんまりじゃ、あんまりじゃああぁぁぁ……!」
 伏姫は緊握した右手を掲げて、地に振り下ろした。何度も、何度も、
手の骨が砕けよと振り下ろす。
『アッハッハハハ……』
416名無しさん@ピンキー:04/06/21 19:58 ID:br3hgF/b
 仰向けになっても、かたちを崩そうとはしない、まろむ豊麗な二つの
乳房は、黒い爪が玉梓の華奢な両肩を抑えていても、両腕は翼を拡げる
みたく掲げられて、腋窩を晒してゆく。
乳房の裾野の外側から肩に掛けてを繋ぐ大円筋が張っていって、玉梓の
二つの乳房を縦へとのばしていった。

『どうした、八房。はよう。おっぱいをしゃぶらぬのか』
 八房はそのちからの差に驚いた。玉梓は八房の瞳の変化を見逃しては
いなかった。八房は玉梓の乳房に這わす。ざらっとした舌の感触が玉梓の
乳房を下から上へと舐めあげる。伏姫を守るはずが、自らを欺いて玉梓の
肉の誘いに溺れそうになる。

 玉梓の頬についていた腕が、垂れ髪をつれて動いて、黒髪を絡ませた
冷たくしなやかな指が八房の顔に掛かった。
『おぬしは、妾を裏切るのかえ。もとから、その腹づもりだったのかえ』
 殺らねば、殺られるという想いは八房の牙を剥かせ、玉梓の頸を咥え
振り廻した。ぎゃあぁああぁぁぁ!という魔物の声がして、伏姫は闇夜の
天空を見上げた。狂ったように燐火が八房の周りを飛んで威嚇している。

 そのときだった。伏姫は背後ろから、あぎとの奥の闇から迫り来る
邪気に気がついた。
「八房ああっ、罠じゃあぁぁぁ!逃げよおぉぉぉッ!」
 妾を置いて、おまえだけでも逃げよと、伏姫は叩いていた手を刀のように
空に舞わせ、あぎとを向くと、迫る邪の波動に己の血を放つ。
417名無しさん@ピンキー:04/06/21 20:24 ID:br3hgF/b
読んでくれて、ありがとうございます。

それから、調子に乗って書いてしまい、すいません。
418名無しさん@ピンキー:04/06/21 22:18 ID:C05hdp4D
>>417
お疲れさまです。

ごちそうさまでした♪ GJ!!!
419名無しさん@ピンキー:04/06/21 23:49 ID:B6uiwe91
そろそろ絵師の再登場きぼん
420名無しさん@ピンキー:04/06/22 09:32 ID:0pqhmXgC
補足 八房を玉梓の仔としたのは、玉梓が子供の頃に
    実の父親から孕まされて産み落とし、産後の不安定から
    仔殺しをして食べた。その霊が転生したものとしてます。
    愛妾に登りつめたときにも、もう一度おなじことを
    やっていて(そのときは女の子)、玉梓の仔殺しの記憶は
    欠落していて、八房はいらない仔として母から殺された
    ことを怨んでいる。
421名無しさん@ピンキー:04/06/27 07:57 ID:sKeZfJig
>>417
改めて読み返してみても、なかなかのクオリティですね。
前半も佳いが後半の玉梓と八房の絡みもまた佳いです。
本気で嫉妬してる伏たんにも萌えました。
時間がかかっても全然構いませんので、完成させてください。
続きが読めることを楽しみに待ってます。
422名無しさん@ピンキー:04/06/30 14:38 ID:kkrQ5tgb
 無意識の行い。
「血池滅罪、女人成仏……怨霊、玉梓あぁああっ!」
『小娘がああっ、小賢しいわッ!うぬに、妾の苦しみのなにがわかるかぁ
ああぁぁぁっ!』
 伏姫が口にした、女性を不浄の者とする教えに、玉梓は怒り狂って
隙を生む。八房への衝迫は伏姫の覚醒を生み、袂が舞い手刀が空を切った。

 破れた甲の皮膚からは、噴いた血が白魚の指を伝って、鴇色の爪から
放たれ、しゅっ!と跳んだ。伏姫の赫い血は八つの炎珠(ほむらたま)となり、
向かってくる玉梓本体へと、きりもみしながら舞って挑んでゆく。

 その血はびしっ、びしゅ、びしゅっと玉梓が実体の貌にあたって、鬼女の
美貌を煉獄の焔に灼く。「ぎゃあっ!」と短い叫びをあげるも玉梓は
ひるむことなく、伏姫を暗い魔物の金色の瞳で睨め付ける。先刻の
地鳴りのような風の轟きを纏いて伏姫に肉迫した。

 伏姫の短く切り揃えられた、頬の内に掛かる前髪はたなびき、かまいたちが
斥候で踏み込んでくる。
『伏、珠をかざせ。かざすのじゃあぁああぁぁぁッ!』
「ちっ、父上――ッ!」
 八房の精神に語りかける声が父の義実にかさなって、伏姫は思わず叫んだ。
『おのれええっ、やつふさあぁあああぁぁぁ――っ!』
423名無しさん@ピンキー:04/06/30 14:44 ID:kkrQ5tgb
 八房に組み敷かれていた、玉梓のまぼろしが怒号をあげる。八房に
咥えられて、振り回されてもなお、指を窄め、かざされた手首はかえって
鎌を振り下ろすが如く突き刺さり、八房の肩の傷口を鋭く抉った。
 玉梓の爪は肉に食い込んで捻じ込まれ、更に伸びていって、心の臓に
届けとばかり闇夜に八房の鮮血を飛沫かせる。

 八房の眼はまさに魔犬のものへと変わる。血走っていた瞳は玉梓と
おなじ黄金色に、しかしその想いは生みの親である玉梓とは相容れない
恋情を見据え突き動かされるもの。食い込むあやかしの爪を阻まんと、
叩きつけるように玉梓の頸を捉えた貌を振る八房だった。
『ふっはっはっははは……。妾は実体にあらず。策に溺れた己の未熟、
後悔しゃれっ!』

 その間にも玉梓の風は三匹のかまいたちを呼び寄せ、伏姫の頬を
切り裂くと玉梓の実体は叫ぶ。

『さあ、逃げよ。数珠をかざしている暇など、妾はあたえはせんぞ。
命乞いでもしゃれ。命乞いすれば、すぱっと切り落としてやるわいな!』
「血池滅罪……、女人……成仏」
 伏姫は急いで数珠に手を掛けるが、たなびく濃やかな垂れ髪が邪魔を。
424名無しさん@ピンキー:04/06/30 14:49 ID:kkrQ5tgb
『まだ、いうかあぁああ……!小娘があぁああぁぁぁッ!』
 玉梓の右手が左肩に流れ掲げられてゆくと、その爪は伸びて交わり、
鋭い刀となった。
『その頸級、跳ねて義実の城下にさらしてやるわ』
 伏姫は宝珠までを搾って、頸を絞めると凛とした貌で玉梓を睨む。
伏姫は玉梓の妖気に怯まず、法華経を唱え始め、数珠を掴んで搾ったまま、
がっ!と引き千切った。

 飛び散った珠は後方に流れて、燐火が玉梓のまぼろしに同化するのを
阻むべく初弾は挑み掛かり、燐火がひるんだ隙に、次弾は玉梓が幻術、
その肉体にじゅっ、じゅっと埋まっていく。

『ぎゃあああぁぁぁ』
 断末魔が起こり、八房はすかさず躰をひるがえし、伏姫のもとへと
翔けた。あぎとの奥から吹き荒れる風に対峙している伏姫の躰は、柔和な
輪光に包まれていく。神々しいというのではなく、馴染み癒される、伏姫の
なりを示す慈悲ある光りに、主を中心として八つの文字が浮かんでいた。

 八房は伏姫の頭を飛び越え、八つ文字の環をくぐり玉梓の実体に
挑んで行った。伏姫は八房が跨いで行くのを仰いで、数珠の千切れた
両端を掴んで天空へと掲げた。白い腕が袂から捲れ、黒髪がもつれながら、
八つ宝珠が上がると、闇夜は裂け、日輪の剣が暗黒の邪気を裂き次々と
此処へと降り注ぐ。
425名無しさん@ピンキー:04/06/30 14:53 ID:kkrQ5tgb
 あぎとは依然と漆黒の闇で、日輪の剣の進行を阻んだ。すると、奥からは
「ぎゃん!」という声があがって八房が巨躯を毬のように転がしてきた。

「やっ、やつふさあぁああぁぁぁ!」

『くっ、来るなあぁぁぁ』

『伏姫よ。いつかまた、べつの刻で逢いまみえようぞ。たのしみじゃのう。里見が
滅んでゆくさまを眺めるわ。アッハハハハ……』

「ととさま……。かかさまぁぁぁ……」

 黒雲が裂け、日輪の剣が闇に包まれていた地上を次々と照らし、それを見届けた
伏姫は緊張をほといて、その場にどっと倒れ込んでしまった。
426名無しさん@ピンキー:04/06/30 21:27 ID:kkrQ5tgb
 怨霊の妖気漂う、なまぐさい臭気は霧散し、高笑いとともに実体も喪失
していた。天空からは、玉梓の幻術に埋まっていた、またはそれを囲んで
舞っていた珠たちがパラパラとひょうのように降って、地に倒れた伏姫の
もとへと集まって来る。

 八房はまだあきどの入り口に横たわったままで、牙を剥いて口を開け、
舌をでろっと出している。
 死んだようになっていた。瞳孔はひらいたままで。
「やっ、八房……。しっかりせい。しっかり……」
 伏姫は躰を引き擦って、八房の巨躯ににじり寄ると、柔らかい腹に両手を
置いて動かす。

「どうした。答えぬか。なにをしておる。妾を守るのではなかったのか……。
そうであろう。誓約は守るのが武士ぞ、八房」
 自分を貶める魔犬。八房のことを一時でもそう観てしまった己を悔いて、
情動に突き動かされ、揺するも、びくともしない巨躯はいまだめざめない。

「やっ、八房。妾が悪かった。ゆるしてたもれ……、ゆるして……」
 八房の血まみれの口腔からは、玉梓が怨念の腐臭が漂う。そして、
伏姫が付けたかんざしの疵は大筒を撃ち込んだようにぽっかりと穴が
開き爛れ、肉が灼ける匂いを放っていた。
「なぜ、起きぬのじゃああぁぁぁ!なぜ、なぜ、なぜじゃああっ!」
427名無しさん@ピンキー:04/06/30 21:40 ID:kkrQ5tgb
 伏姫はもういちど八房の白い腹に両手を添えて強く揺すった。すると、
上になっていた左の後ろ脚が地を蹴るみたいにして、弱々しく伸びた。
 だが、下になっていた、右脚はぴくりともしない。
「なにをしておる。妾をひとり置いていくことはゆるさん。ゆるさんぞ。
やつ……。起きよ。起きぬかあぁぁぁ……。起きてくれ……、妾のために」


 伏姫は下腹にも目がいった。玉梓と交わろうと見せかけた場所は、
あやかしの肌、そして淫水に触れた為なのか、灼け爛れ異臭を放つ。
涙がみるみると張って視界がぼやける。伏姫はよろけながらも起き
上がって、内掛けを八房の躰に掛けてやる。そして、八つ宝珠を握りながら、
経を唱える伏姫は、躰を小刻みに顫わせていた。

「ひとりは……いやじゃ。いやじゃ……」

 颯と立ち上がり、帯をしゅるるっと急いでほとく。あいぎを落とし、襦袢姿のままで
沢にいって躰をつけしゃがみ込んだ。沢の冷水の水流が容赦なく伏姫を突く。
 ふと目を落とすと、底にキラッと光る刃があった。小太刀を拾い、気を
放って疲労した躰で、ふらふらとよろけながらも八房の元に戻ると、内掛けを
取り払う。

「くううっ……」
 爛れは更に進んでしまい、しゅうしゅうと煙を立てていた。清水を吸った
襦袢を脱ぎ、小太刀でそれを裂きに掛かる。御仏に縋る経を唱えながらきつく
搾った襦袢の切れ端で、八房の傷ついた躰を清めていった。
428名無しさん@ピンキー:04/06/30 21:51 ID:kkrQ5tgb
 伏姫は白足袋だけを履いた、一糸纏わぬ姿で八房の躰を拭った。口には
蝿が数匹、死臭を嗅ぎつけてか、円を描いて舞っていた。
「おのれ、よるなっ。はっ、はあ、はあ……」
 その手には宝珠を握り締めたまま、懸命に八房の躰を労わり、
縋るように裸身をよせていった。

「八房しっかりせい。妾を見よ。見るのじゃ」
 穴の開いた疵に手を添えて、そっと撫で擦ると、八房の躰に柔らかな
伏姫の波動が拡散していった。心の臓が動いて、八房は地上に留まった。
「かっ、かっ!かはっ!かはっ!」
 舌を死んだように、だらりとしていた口は息を吹いて、咳き込むと
血反吐を出した。

「よ、よかったぁ……。八房、しっかりせい。もっと、もっとじゃ。毒を、毒を吐くのじゃ」
 伏姫は八房の躰を擦る。そして、肩の疵に口を付けると、血を吸って
吐き出した。右手に宝珠を握り締めながら、八房の躰を撫で、左手は
八房の喉を撫でていた。
 伏姫の豊麗な乳房は喘ぐかのように、揺らいでいた。八房は霞む眼で
まろやかな伏姫の女体を観る。ぼうっと光る裸体はまさに天女だった。

 死の淵で肉欲にめざめるとは、八房は苦笑するが、その時下腹に激痛が
走った。その痛みは脳天にまで駆け上がって、後ろ脚は蹴るように動いて、
伏姫の脾腹を捉えて蹴り飛ばした。
429名無しさん@ピンキー:04/07/01 02:32 ID:pJS4ftuX
投稿乙!
430名無しさん@ピンキー:04/07/01 21:06 ID:0U7ejSTM
 伏姫の裸身はもんどりをうって転げた。白い肌に土と垂れ髪の黒が
絡みついた。八房はなおも、かっ、かっとむせているのをみて、伏姫は
恐れずに、すぐに這っていった。
 右乳房の下から脾腹、そして腰骨あたりまで八房の黒い爪に
引っ掻かれて、赤い痣ができあがった。転がった時に、口に吸った
玉梓によって穢れた血を僅かばかり伏姫は嚥下していた。

「八房、しっかりとせぬと……、ううっ、うっ……」
 はあ、はあ、はあと舌をでろっと出しながら喘いでいる八房の口元を
伏姫は拭っていたが、巨躯に両手をついて背中を丸くした。
 嘔吐が込み上げて、右手で伏姫は口を覆った。玉梓の妖気が忍び
伏姫の肉体を内から苛もうとしている。

 ごぼっと指の隙間から、あふれでたのは胃液。伏姫は八房が横たわる
傍で、尻を突き出すようにからだを丸くして、腕を付いて御仏に
縋るかのように両手を握り締めた。その手のなかには、八つ宝珠を携えて。

 少量の毒を体内に入れたとはいえ、玉梓の毒気の衝撃は凄まじいものがあり、
伏姫はその暴れる妖気を己の躰の内に閉じ込め、滅罪しようとした。
 正座の体位で膝を抱くように乳房を上に載せて小さくなる。しかし、
口からは依然として、げえっ、げえっと黄色い胃液が噴出していた。
 やがて、そこに朱が混じりだした。伏姫は躰を仰臥して裸身を
陽光に晒し、仰け反って乳房を迫り出して痙攣する。
431名無しさん@ピンキー:04/07/01 21:10 ID:0U7ejSTM
 瀕死の八房は横たわる巨躯を懸命に動かして、躰を弓なりに仰け反る
伏姫の腹を右から左腰骨に鼻をすべらせて掻き抱き折りて、自分の躰に
圧しつけた。それでも、伏姫は両肩を外側に拡げるように苦悶した。
 時が、伏姫の躰を己が霊力で癒すまで、八房は余力を行使して、跳ねて
玲瓏の肌に傷つけ掻き毟ろうとするのをひたすら抑え込んで、おこりが
落ちるまで、ただただ凌ぐしかなかった。

 獣と人なれども、お互いを庇い労わり合う姿は夫婦そのものだった。
伏姫は苦しみの中で、温かな輪光に包まれるような浄土を感じる。
『ゆっ、ゆるさんぞ、伏。我を置いての往生など。誓約はどうしたのだ。どうした』

 吐く物がなくなったのか、伏姫は背を八房の躰にあずけながら、
八房の頸が腹を抑え、頸周りに乳房を、頤を八房の頸の上に載せて、
ぜえ、ぜえと荒い息を吐いていた。
 八房は頸で伏姫の裸身を抱いて、左腰骨のところに鼻を置き、伏姫の左太腿を
唾液で濡らしながら眠る。ふたりして時が過ぎ行くのを静かに待った。

 陽は傾き、沈み始めていた。凄惨酸鼻を尽くした場が、また闇にまた包まれる。
先にめざめたのは八房だった。下腹部が依然としてチリチリとしていた。
 垂れ耳をぴくぴくと動かして、伏姫の鼓動を窺った。生きていた。
獣でありながら、せつない想いが衝迫する。陽は山陰に沈む間際の、
血の色に染まるのが、そうさせていた。相対死せずに、生き延びたことを実感した。
432名無しさん@ピンキー:04/07/01 21:19 ID:0U7ejSTM
エロくないけど、いいのかなあ?
スレ違いとも言われそうで。
433名無しさん@ピンキー:04/07/03 23:53 ID:1JzuGpgi
GJ!
次はいよいよ八房と伏姫のまぐあいですかね。
楽しみ。
434名無しさん@ピンキー:04/07/07 00:02 ID:JnHJy3rd
今はまだエロくなくても
435名無しさん@ピンキー:04/07/14 10:37 ID:IfGk+gRM
『伏姫、しっかりするのじゃ。眼をひらけ』
 誰かが彼方から声を掛けてくる。だのに、自分は水底に深く沈んでいて
声を掛けられても答えることは出来なかった。その水に包まれる裸身が
伏姫には心地いい。このまま躰が冷えていって召されれば、御仏に
不浄の魂と躰も救われるのだろうか。伏姫の落とした頭、八房の貌に
雫がかかりおちる。

「だ、だれ……じゃ。妾をどうしたいのじゃ……。なにをするというのじゃ。
もしや……、ととさまでござりますか。かかさま……にござりますか」
 伏姫の縋りたい気持ちの言葉は発話されないでいた。ふっと喉の
灼けるような痛みの感覚は去っていた。伏姫は薄く眼を開いた。
空は血の色に染まっていた。ほっそりとした頤をあげて、刻々と山々の
陰に沈みゆく陽を眺めていた。その色にまた伏姫の気は遠くなる。

「わらわは……彼岸に……きておるのか……」
 日没の血の色は人をそこはかとなく不安に陥れるもの。それは、人の
精神を持つ八房とて例外ではなく、しかし、夜が迫りつつあるなか、
玉梓に奪われた力もすべてとはいかないまでも取り戻しつつあった。
 魔物の血が野山の気の流れを傷ついた躰へと収斂させて回復を
図っていたからだ。

 八房は珠梓が童女の頃に実の父との間にもうけた子で、一歳に
なろうかという時に、精神錯乱から子殺しをして、その肉を喰らっていた。
その魂が転生したのが八房であり、その八房を育てたのが妙椿(みょうちん)。
それが玉梓と八房の因縁。
436名無しさん@ピンキー:04/07/14 10:52 ID:IfGk+gRM
 珠梓の悪霊が憑依した牝狸だった。生きた証拠を思わせる血潮の落日の色が
八房に語りかけてくる。闇の存在であることを。
 伏姫を好いてしまったのも、己が救われたいと思ったからではないのかと畜生である
我が身を呪った。

 だが、なにより生を実感できたのは、背をあずけている気を失った伏姫の
躰の重みだった。腹這いになり、躰をコの字に柔らかく丸めて伏姫の裸体を
守っているのは倖せなことだった。

 八房は伏姫の躰を抱き締めてやれなかった。 性愛という意味合いからではなく、
心細そうな思いに駆られているであろう女人を躰ごと包んでやることはできない。 
 華奢な十六歳の女体を受け止めてやり、頸を曲げて抱き寄せることが
今はすべて。風が冷たく変わっていた。

 鳥たちの忙しないさえずりも聞こえ、ねぐらの木々へと戻ってきているのだ。
八房は伏姫の腰から貌を外して、むくっと起き上がった。鼻を風の匂いに晒して
くんくんと鳴らしていた。玉梓の妖気は感じられない。
『別の刻で逢い間見えよう』、玉梓を吐き出した楔を思い出しながら
あぎとを向いた。伏姫は躰をゆさぶられて、瞼をゆっくりと開いていた。
「八房……。妾は……」
437名無しさん@ピンキー:04/07/14 11:03 ID:IfGk+gRM
『生きておる。玉梓は駆逐された』
「玉梓……。魂は成仏して……」
『死んではおらぬ。奴も生きておる』
「そうか」
 伏姫の虚ろだった眼に生気がみなぎり始めていた。手を伸ばして八房の
口に触れる。八房は口を開いて舌を伏姫の動きにみを任せた。

「勝てぬと思っておった。ありがとう」
 伏姫は敵と見ていた八房に素直に頭を垂れた。
『なぜじゃ。なぜに、珠梓の霊に勝てぬと思うた』

「御仏に見捨てられた身じゃからな、妾は……」
 つい言葉が出て、伏姫は裸身で白足袋だけしか履いていないことを知ると、
投げ出すようにしていた両脚を膝を地に付けて両脚を合わせ引き寄せて
陰阜をそっと隠した。

 生えそろってはいないまばらな和毛をそれで完全には隠したとはいえなかった。
八房の嗅覚なら、体臭やら腋窩の匂いはもとより、陰阜の匂いでさえも嗅ぎつけて
囚われということを悟ったから、乳房ごと両太腿を用いてまで隠す気には
なれないでいた。むしろ、そのことで女陰を太腿の淡いから晒しかねなかった。
438名無しさん@ピンキー:04/07/14 17:03 ID:IfGk+gRM
『我も裸じゃ、というわけにもいかぬか』
 伏姫は覗いてくる八房の視線にカアッと顔を赧らめて、それによって、
八房の口に入れて舌をいらっていた手を颯と引き抜いていた。
そして、尾の方を見た。八房の尾は上がっていてパタ、パタと音を立てて
振られている。

「わかりやすい、やつじゃな」
 負け惜しみを伏姫は口にしていた。笑みが少しだけ洩れたが、八房は
見てはいない。伏姫は直ぐに笑みを隠し、その先の場所を観た。日没の
つくる血の色の先には、先刻のあぎとの闇があった。

『おそろしいか』
「妾はおそろしゅうなど……ないわ」
『さようか。ならば、あぎとを探索してくる。よいな、伏姫。ここに
じっとしているのだぞ』
「置いてゆくのか、八房。妾を……」
 伏姫は気丈に見せようとはしていたが、不安が面に現れてしまっていた。

『玉梓は確かに去った。じゃが、妖女(あやかし)の気が魔物を
呼んだやもしれんからな』
 伏姫も立ち上がって握り締めた八つ宝珠を胸に置いて八房に言う。
「妾を連れて行け」
 もう片方の手で八房の毛を掴んでいた。八つ珠は喘いでいた乳房の
上にあってぼうっと耀いていた。
『ならぬ』
「なにゆえじゃ、八房。妾に申開きをせぬか」
439名無しさん@ピンキー:04/07/15 18:03 ID:srHPCNeZ
『おそろしかった。そなたの命は我の命。玉梓に喰われたらと思うと、
胸が張り裂けそうであった』
 珠梓の幻術との闘いで八つ珠以外の珠たちが伏姫のもとに集まってきた
場所に向かって手を合わせると、小太刀と銀細工のかんざしをそっと
添え置く。

「恋の呪詛じゃ、八房」
『呪詛というか』
「いかにも。人である以上、伏は、八房より早く身まかるもの」
『我は犬。畜生ぞ』

「ただの犬ではあるまい。その想いは、八房が、いづれ味わうもの。
避けては通れぬものじゃ。いずれは死ぬのじゃ。妾にそんな気遣いは
無用と心せよ」
『我がそなたに、仔を孕んで欲しいと頼めばなんとする』
 伏姫は頭を落として様子を窺って来る黄金色の八房の瞳を見た。
達観していたはずの貌に曇りが差した。

「本気なのか」
 赤い陽が沈みかかる。夜はそこまで迫っていた。
『戯言ではない。よく考えてみよ。我は玉梓の血を引く者。うぬも
聞いておったであろう。珠梓の言葉を』
 伏姫の前髪の生え際から跳ねて頬に掛かる黒髪が風にゆれていた。
別の刻で相まみえようぞ、と伏姫に放った言葉にふたたび戦慄が走る。
440名無しさん@ピンキー:04/07/15 18:09 ID:srHPCNeZ
 なにを暗示しているのか、伏姫には計りかねたが、その凶兆は
確信をもって降り注がれる。確かに八房の言葉にも一理あった。掛かる
里見家の災厄。
 毒には毒をもって対抗せねば、戦うどころか、いずれ立ち行かなくなる。
里見は無防備の裸だった。伏姫は手掛かりの八つ宝珠を握り締めた。

「誠であったのか」
 御仏は人身御供になれと妾を試しているのか。獣の肉欲に、この身を
委ねること。そして、里見の安泰を祈ること。煩悶して伏姫は下唇を
ぎゅっと噛み締める

 握っていた八房の体毛をきつく握り締めていた。そして宝珠は一瞬、
白閃光を放って煌きを失って鎮まった。
『偽りなどではない。我はそなたが欲しい』
「……」
 父、里見義実の声音をないまぜにして伏姫の精神(こころ)に語り
かけてくる八房。魔犬はおぞましいことを言っていた。伏姫は瞼を閉じて
涙をこぼした。

『わかったか。ここで、待っておれ』
「迷いは足手まといというか」
『さよう』
「だまれ」
 伏姫は打掛を拾い裸身に羽織って、細帯を締める。
「どこにいても、おなじじゃ。なら、妾は八房について行く」
441名無しさん@ピンキー:04/07/15 22:38 ID:kTWxSPIW
乙華麗。マターリ待ってるのでがんがってくださいよ。

ところで、八房って子牛の如き巨体の白犬で
牡丹のような八つの模様があるんだよな。
犬種は何に近いのだろうか?和犬といってもいまいちピンとこないしね。

442名無しさん@ピンキー:04/07/17 00:18 ID:KcwriTKB
//images-jp.amazon.com/images/P/4037444801.09.LZZZZZZZ.jpg

伏姫のうしろにいる、ケンケン(こま犬)みたいな感じ。

土佐犬より秋田犬(耳が立っていて、巻き尾)を大きくしたようなのを
イメージしやすいと思ってますが、
馬琴は耳が垂れている方の、土佐犬に近い
獅子みたいな狛犬を想定していたのでは。
443名無しさん@ピンキー:04/07/17 22:09 ID:KcwriTKB
八房は後ろ足を蹴って、玉梓との戦いで流した血に砂を掛けていた。
気を消すということでは常套ではあったが、いささか滑稽でもあった。
それに数珠を頸から切った際の散った飾り珠が再び集まって、
かりそめの防御陣を描いていた。
そこに伏姫の守り刀と銀でこさえたかんざしで補強したのだから、
暫らく外からの魔物はあぎとへの依り憑きはないものと、伏姫は思っていた。

余裕が生まれたからか、愛嬌ある仕草に、先刻の熾烈な戦いを思えば
消耗していたとはいえ、構えた力みもほとけて笑いが込み上げた。すると
八房の眼光が伏姫を睨め付ける。
『なにを笑っておる』
「すまない」

 伏姫は気まずそうに、貌を八房から逸らした。しかし、伏姫が小太刀と
鋭利にこさえたかんざしを置いたことには、別な意味もあった。それは、
すべてを八房に委ねたこと、生殺与奪の権を伏姫は八房に捧げことに
ほかならない。集まってきた珠に念を込めた時、伏姫はそのことを意識した。

『なにを考えておる』
「八房は妾の精神(こころ)を読めるのであろう」
『そうしてほしいのか』
 砂を掛け終えて、伏姫に巨躯を寄せて、八房の意外な言葉が返って来た。
毛のふさふさとした感じが心地いい。温かく包まれるように。
444名無しさん@ピンキー:04/07/17 22:14 ID:KcwriTKB
「妾は……そちの……。そなたさまの妻となりましょう」
『我の体毛を握って離すではないぞ』
「わかりました」
 さりとて、敬う言葉は出にくいもの。眼を伏姫は玉梓の本体が出でた
闇を見据え。物の怪のような口の前に立つと、闇よりの冷気が流れ素肌を
撫でていった。悪霊玉梓の妖気の残り香なのか、新たな魔物の気が
伏姫の耀く魂を欲してそうさせるのか。

 八房はあぎとの外より、玉梓が出てきたあぎとの胎内が一番安全と
踏んでいた。今はまだ、玉梓の霊力を憑代として、集まる魔物たちの鳴動を
その珠梓の強い毒が阻むと信じて。そのことからも、一刻も早くあぎとの
胎内に入って馴染まねばと思っていた。残った霊気を取り込みさえすれば、
次の策は立てられる。

 だが、外に残れと言ったのは、伏姫の精神を読んでしたものではなかった。
玉梓が出でた魔界の裂け目があるかもしれない。八房は脚を前に出して、伏姫も
それに倣う。
『珠を拾わなくともよいのか』

「八つ宝珠がまだある」
 伏姫はあぎとの闇の奥を見つめ、凛としていた。そう生きたいと祈って。
「それでよいのか」
 我の妻となるのかという八房の含み。伏姫に訊く。
445名無しさん@ピンキー:04/07/22 03:42 ID:t10p+cQO
「よい、それで。珠は皆、いずれ御仏のもとへと戻ってゆくものじゃ」
 それもまた含み。数珠から離れた珠を振り返らず、八つ珠と残りの珠を
胸に携え、腰を揺らし膝が裾を割った。伏姫は背筋をしゃんと伸ばして、
すっと足を運んで道を歩む。
己のさだめを見据えるが如く、獣の足とまだ穢れの少ない白足袋の
小さな麗人の足が、あぎとの闇へと踏み込んでいった。

 そのあとに残されていた、伏姫へと集まってきた数珠から弾けた珠は
淡い光を放ち、戦いで地を穢した血痕と八房を手当てするのに裂いて
使った間着と襦袢は珠といっしょに、ふっと掻き消えてしまった。伏姫の
小太刀と藤を模した銀のかんざしだけが此処に留まった。


 犬飼信乃とその妻・浜路姫は、伏姫と八房の住まったというあぎとの
前に立っていた。馬から降りた処からも、塞ぐ大岩は見えていた。
丶(ちゅ)大法師が置いたとされるだけあって、大きさでも見てくれ
でもなく、確かに大岩なれども、その発せられる霊力から小文吾を
もってしても斯くやという代物だった。

そのことは八犬士のひとりでもある信乃にも、夫を慕う浜路姫にも
感じられていたことだった。
 信乃は苔を生やした大岩に手を置いてみた。不思議なことに岩からは
何の波動も感じられなかった。顔が曇った。大法師がなにを仕掛けたのか
信乃にはわからなくなっていた。
446名無しさん@ピンキー:04/07/22 03:45 ID:t10p+cQO
「信乃さま、いかがされましたか」
 浜路は信乃の貌の微かな変化に気がついて声を掛けていた。信乃は浜路姫の
貌を観た。沢を馬で泳いだ時でさえも見せたことの無い夫を想う顔だった。
 浜路に強いたさだめの、あの時の……。
「不安にさせて、すまなかった、浜路」

「いえ、そのような」
 浜路姫は自分の向こう側に、もうひとりの自分がいるような感慨に
囚われることは、信乃といっしょになったことで歓びに昇華されていた。
だから、もうひとりの愛された女といっしょに信乃を支え生きたいと祈る。

「わたしの精神が足りぬということらしい」
 刀を抜いても大岩には通用しないことは信乃には明白だった。剣技に
長けた者は相手の力量を見抜くことができる。ましてや、技量の開きに、
技を持って立ち向っても歯が立たないことは重々承知していた。
それが剣の理だった。強いものは決して弱きには挫かれはしない。
あの戦いは神がかり的な後ろ盾あってこその勝機と信乃にはわかっていた。

「信乃さま……」
「徒労だったやもしれぬな。赦してくれ」
「そのようなことはおっしゃらないで」
 浜路姫は大岩に触れている信乃の右手に、寄り添って同じ手で触れていった。
すると大岩の向こう側が春を迎えた雪のように、透けて見え始めたのだった。
447名無しさん@ピンキー:04/07/22 03:47 ID:t10p+cQO
445 犬塚・・・です
448名無しさん@ピンキー:04/07/22 22:39 ID:gSz57giK
GJ。二つの時代を駆け巡っているのでしたなあ。
449名無しさん@ピンキー:04/07/26 21:49 ID:625LbcJH
 伏姫と八房のあぎとの大岩は大法師の想いでもある。ひとの世にふれず、
そっとしておきたいという祈りでもある。勝ち負けではないと知りつつも、
信乃は大法師、伏姫と八房の想いにどれだけ近づいて、大岩の封印を
解けるのかという迷いがあった。

 融けて大岩の消えゆくさまに、ふたりは息を呑んでいた。人智では計り
知れぬ数多の事象を見ていながら、こうも胸を掻き毟られるのは何故か。
伏姫と八房のあぎとは大岩の封印を開放し、信乃と浜路姫を招き入れ
ようとしていた。

 大岩に手を添えていた信乃の右手は岩雫で濡れ、女人の吐く蜜の
ようでもあり、涙にも見えていた。
「まあ、きれい」
 やがては消えて、信乃の手の平に痕を残す。銀粉を塗したようになって
陽に照らされて煌いていた。浜路姫は重ねていた手を移し信乃の肩に添える。

 にもかかわらず、封印が開かれたといって素直には喜べない信乃。
係わった人達。善悪の係わりなしに散った花々と仲間が流した幾多の涙を想い、
振り返って浜路姫の手を握り締めていた。おもいっきり抱いてやれなかった
女の想いに還って最後に手にする。

「信乃さま……。いかがされましたか」
 あの時の輝かしかった命の光体は先細り、あまりにも小さくなって、
かがり火は信乃の知らぬところで、浜路の兄犬山道節に見守られながら、
ふっと消えてしまっていた。浜路とを結んだ赤縄(せきじょう)は断たれた。
信乃はそう思った。
「これが、赤縄……というものなのか……」
 絞り出すように呻く信乃。
450名無しさん@ピンキー:04/07/26 22:08 ID:625LbcJH
「信乃さま」
「すまなかった。浜路」
 里見義成の娘、浜路姫の中のもうひとりの浜路にも信乃は語り掛ける。
生涯忘れることのない笑顔。なによりも村雨と立身出世に固執するあまり
無下にした浜路の淋しそうな哀しみを湛えた眼。その横顔。

 信乃は絶えず浜路姫を抱くときに煩悶した。犬塚信乃にとっては浜路姫との
初交は心乱れるものとなった。その気持ちは身を委ねた浜路姫にも伝播した。
何度目かの契りの夜に、信乃の身に起こったこと。
 浜路の最期の情景が信乃の瞼に浮かんで、あれほどまでに逞しくいきり
勃っていたはずの陽根はみるみる力を喪失して、浜路姫の濡れそぼった
陰門を押し拡げることなく、小さくなって萎えてしまった。信乃はうな垂れて
浜路に謝ると寝所を去ろうとしたら、浜路姫は上気した貌で縋っていった。

「置いていかないで下さいまし。去るのであれば、このわたくしが」
 脱いだ白の肌襦袢とだて締めを取って、自分の責任と感じている
可愛い女。浜路姫と交媾に及べなかったことで、殻に閉じこもった己を恥じて、
仕打ちを丁寧に詫びる。
「一向に、わたくしは……。あっ、ああ……」

 そして無下にした女をきつく信乃は抱いていた。浜路姫は信乃に
抱き締められ、羽織ろうとした肌襦袢を落とされ、喘ぐ乳房を揉まれた。
そして両太腿を割られ、いま一度の同衾(ともね)に及ぶ。潤う女陰を
愛撫され歓びの声を上げていた。その声に翳りはなかった。満ちたりた
女の声が、はばかりなく信乃の耳に届けられる。
451名無しさん@ピンキー:04/07/27 03:14 ID:UdBmEt8t
「浜路」
浜路姫は力強く耳元で囁かれて、信乃に言い名付けられて。
「よいのですよ。わたくしは……。憎んでいただいても仕方なき身」
「なにを申されるのだ」
 信乃は浜路姫の言葉に戸惑い、己の中の闇路を見た。浜路姫を犬の格好で
臀部を掲げさせて後ろから抱いてみたいと烈しく思うのだった。

「わたくしも思っていました。あの時に言った言葉に嘘偽りはございませんが……」
「城で逢わされた時のことなのか。申されよ」
 浜路姫は、信乃の問い掛けに応えはしなかったが、涙を張った瞳、瞼をそっと
閉じる。ながい沈黙が続いた。浜路姫の胸に重しが圧し掛かる。信乃の手が
こころを和らげようと乳房をそっと二度三度と撫でていた。

「信乃さま……」
「いかがした」
「わたくしもおなごにござります。きっと心のどこかに、浜路さまへの
悋気をいまでもどこかに……棲まわせているのでありましょう」
「そのようなことは……」
 信乃の言葉を浜路姫が遮った。

「だから、憎まれて、どのようにでも扱われてもよいのです。想うままに信乃殿。
なさってくださりませ」
 浜路姫の発話に、信乃は思わず泣いてしまっていた。それを隠して、
浜路姫の仰け反る白い頸筋を舐めて、鎖骨の窪み唇をあてて吸い立てた。
浜路姫は信乃の後頭部を観世音菩薩の如くに抱きしめて、それに精一杯に
応えていた。
452名無しさん@ピンキー:04/07/27 10:22 ID:UdBmEt8t
信乃の喪失した摩羅を浜路姫は撫で擦る。しかし、信乃の逸物は力を
取り戻さぬまま、浜路姫は性戯に溺れていった。
閨鬼とまで成らずとも、男女が交わるのには、愛ばかりでは立ち行かぬ
ものとされ、ほどよい嗜虐の微かな歪みを持って臨むことが、春情を掻き
立て快楽を手にできるものだという。

 八犬士に圧し掛かる、愛しき者の姿を纏いし姫君たち。しかし相ばかりか
心根も等しく、日常に溶け込み同衾に及ぶは、一概に冥加とは言いがたい
ものだった。
 されど、それがないことには摩羅は勃たないことも事実であり、八犬士は
狭間に揺れていた。

 両の白い脛を掴んで膝裏を捉えて掲げる。夫を穢すまいと抗い、近づく唇を
菊座までも晒され生きた心地がしない。玉門から遠ざけようと必死になって
臀部を揺さぶっても、こころならず誘ってしまう。
 姫君たちは不浄とされる女人の股座に主人の貌を挟んで啜り泣いた。春水も、
そして互いを極め合った和合水でさえも主人にあけすけに啜られて、麗人は
貌を悦楽に歪め仏罰を恐れながらも、慄き歓喜して逝った。

 玉門は火処(ほと)となり、陽根を咥え込んで蠕動して、灼かれる瞬間を渇望して、
未来永劫、お家安泰の逞しき子種を欲して、肉襞は子壺への蠕動を繰り出す。
それが姫君たちと八犬士の閨中であった。
 男女(おめ)は肉に溺れずに精進していった。八犬士は姫を、そして国を
守るために日々己を磨いた。そして姫君たちは、さらに美しくなっていった。
 何故の精進であったか。それは去っていった花々への責務と信じていたから
こその成せる技とする。
453名無しさん@ピンキー:04/07/28 00:21 ID:6b3SPbsE
「信乃さま……。摩羅の口取り、させてくださりませ……」
 濡れる浜路姫の瞳が信乃に縋ってくる。男根の隠語だけ蚊の鳴く声で言い、
浜路姫は寝具から肘を付いて上体を起こそうとした。いくら信乃に教った
とはいえ、武家の娘で一国の姫君。よほどの覚悟が入ってのこと。

 信乃にすれば、あの浜路が蘇って生きているように思えた。生きていて、
日に日に美しくなっている。愛するものが生き写しということは、すなわち
外道とされる屍との姦淫を匂わすことに通じた。

 己も苦しければ、想いを寄せて慕ってくる姫君に申し開きが立たないのは、
他の犬士も皆おなじだった。そこに行のような千日の鍛錬が重なっていた。
 しかし里見の八人の姫君は八犬士が心を開くのを辛抱強く静かに待った。
観音世菩薩のように。否、各々に歳相応の悩みを抱きつつも夫を信じ、真の
生母といってもよい、伏姫の如きに接して、おんなを磨いて。今は黒き牡丹の
花も消え、宝珠の文字も二度と浮かぶことのない、係わりを失ったかに見えた
男たちではあったが、紛れもなく兄弟であり里見の姫君たちを初めて会った
時より、もっと虜としていた。

「浜路姫を犬にして犯したいと思っておりまする」
「さようか」
  丶(チュ)大法師は眉をぴくりともさせずに、救いを求めて彷徨っている
信乃にあっさりと応えた。
「わたくしは……外道なのです。己がたまりませぬ」
 信乃は法師に心情包み隠さず打ち明け、正座した膝の上の袴をきつく
握り締めている。
454名無しさん@ピンキー:04/07/28 13:27 ID:6b3SPbsE
犬を裂く者と己の因縁を名乗る法師は己の運命を改めて語り出す。愛とは
形あって無きものだと信乃に語った。この世に存在して、いずれは還ってゆく
ものだと。

伏姫との許婚の話を聞かされ金碗大輔は奮起した。男子なら立身出世の野望を
人並みに持ち合わせていたが、姿こそ知らなくとも名君と謳われ仁愛に深いと
皆々から慕われる、主君の娘・伏姫との話を聞かされた日から恋情を募らせて
いったのは至極あたりまえなことだった。

大輔は主君里見義実から婿に欲しいとの定めを聞かされた。しかし、
里見義実が玉梓と係わったばかりに、後に安西景連らの姦計に陥った。景連らは
領地が飢饉に喘いでいると惨状を訴え、美田を有する里見に援助を求めてきた。
里見義実は掌中の玉を思う気持ちから、若年の大輔を使者として推して
遣わした。なにもかもが大輔と伏姫の婚儀を滞りなく進めるためのものだった。

掛かる暗雲は魔犬・八房が景連の首級を取ったことを機に危急を脱し、
勢い付いた里見勢が景連らを怒涛の如く討ち獲った。退けたかに見えた凶兆は
単なる発端に過ぎなかった。

平定された安房国に大輔は、とうとう戻ることはなかった。命を賭すまでには
至らなかったが、かといって伏姫を拝領するべくおめおめと戻って主君に貌を
見せる恥までは持ち合わせていない。
455名無しさん@ピンキー:04/07/28 20:59 ID:6b3SPbsE
里見義実は姦計と知らず遣わした大輔に負い目を感じ、帰参すれば詫びを
入れてまでも、伏姫との婚儀を押し切る腹積もりではあったが、大輔も去って、
伏姫も下々への裏切りになると父を思いやって約束を守り、魔犬・八房と
共に城を去った。安房国の和と里見城の秩序だけが保たれた。

里見義実は大輔の気持ちに己を重ねて見ていた。家臣に大輔の安否、
その行方の探索を続けさせていた。玉梓はもうひとつの糸を巧みに
手繰り寄せていた。里見の飼い犬が伏姫を妻とって城から連れ去った
という噂を大輔は小耳に挟んで……。

「大輔。よう帰って……。よう帰って……くれたのう」
 里見義実は探索の報せを待たずして、金碗大輔と対面することとなる。大輔が
死する覚悟で拝謁を願い出てきたのだった。
「義実さま。わたくしは……」
 実義は玉砂利にひれ伏している大輔を見て、直ぐに人払いをして、降りていって
我が子のようにひしっと抱き締めてやった。

「案ずるな。もう、なにも言わずともよい。なにもじゃ。わしに全て任せればよいのじゃ。
大輔、勝手に八郎のもとに往くことは赦さんぞ。これより姿をくらますことも」
 義実のうれしそうな笑顔を大輔は見ていた。父・金碗八郎孝吉以上の愛情に
触れて、大輔は男泣きに号泣しそうになっていたが、堪えに堪えて。
「実は、ここに恥じを忍んで帰参いたしましたのは、伏姫のことにござります」
456名無しさん@ピンキー:04/07/28 21:19 ID:6b3SPbsE
「伏姫は死んだものと思ってくれ。大輔には、才媛を探して」
「義実さま。よろしければ大筒を賜りたく存じます」
 里見義実はその言葉に、帰参した大輔の真意を悟った。だが大輔の嘆願に、
あえて直ぐに応えようとはしなかった。伏姫が出奔したその日に探索を
命じてはいた。伏姫を救うためのものではあったが、義実には辛い選択だった。
 探索が意味するところ、既に遅すぎるほどの時は過ぎて、伏姫と八房は
人と獣の姦淫を結んだものと考えねばならなかったからだ。

 すなわち救うということは、居所を突き止めて魔犬・八房を抹殺し、本意では
なかったとはいえ妻となった我が娘を手に掛けるということだ。腹を切る覚悟あらば、
それで幸いとせねばならない。また、伏姫が命乞いをすることも考慮しなければ
ならなかった。

 だが、義実の不徳から出たこと故、伏姫の不憫さを思えば、上意の如きは耐え難き
もので、義実は伏姫と八房の居所の探索するだけに留めていた。
 義実と大輔の間に長き沈黙は続いた。
「伏を諦められぬか、大輔」
 大輔に義実の声が不思議に思えた。やさしく届くのだが、その違和感がなんなのかは
計れないでいた。
「申しわけございません」

 大輔は額を砂利に擦り付けて詫びを入れる。恩に報いる為だけに帰参したが弁明は
しなかった。そう思ってくれたほうが都合いいとさえ思ったからだ。八房の討伐に
そうしていれば義実が手を貸してくれるものと思われた。そして大輔は義実の発話に
耳を疑った。
「大輔の手に掛かるのであれば、伏も倖せと思わねばならぬのかもしれんな」
457名無しさん@ピンキー:04/07/28 21:38 ID:6b3SPbsE
 城の慌しい動きに気づいた五十子(いさらご)は夫を探し、側近を捕まえて
詰問していた。
「奥方さま……」
 五十子に付き添っていた侍女たちは、おろおろするばかり。

「奥方さま。どうかご勘弁を」
「ならぬ。今、城でなにが起こっているのか申してみよ」
 切迫した物言いに、いつものたおやかさはなかった。家臣は胸倉を掴まれて
揺さぶられ、その迫力に気圧され折れてしまう。

「大輔が帰参したというのか」
「さようにございます」
「殿は大輔に……。伏姫の討伐を命じたのか。応えよ」
「お人払いをしましたので、わたしたちには計りかねます」
「まだ、なんの命も受けておらぬのじゃな」
「それは」
「はっきりといたさぬか」

「奥方さま。もう、お諫めください」
「だまりゃ。わが娘を思わぬ母などおらぬわっ」
「なりませぬ」
 家臣は五十子の前に立ちはだかった。戸惑っていた侍女たちも、五十子を
宥めに掛かる。
458名無しさん@ピンキー:04/07/28 21:44 ID:6b3SPbsE
「どかぬというか。命が惜しゅうなったか」
 五十子は手にした扇子を小太刀のように掲げて、その気持ちを扇子に込める。
「退けというのがわからぬのか」
「奥方さま。秩序が保たれませぬ。伏姫さまもそれを願ったのではござりませぬか。
なにとぞ、この場をお収めください」
「そのようなこと、わかっておる」
 語気を荒げる。

「でしたなら」
「わかって……」
「殿様を信じなされませ」
 振り上げた扇子を五十子は床へと落とした。家臣がそれを拾おうとしたのを
突き飛ばしてすり抜けると駆けていってしまった。

「わたしは伏姫を救いたく思っておりまする」
「つまり、大輔。それは伏を楽にするということじゃ」
「仁愛に深い殿の言葉とは思えませぬ」
「わしをまだ、殿と呼んでくれるのか」
「義実さま……」

「大輔、居場所の探索の報を待て」
「義実さま。わたしは伏姫のお命を救いたく、ここに参上いたしました」
「大輔の心根はうれしい。感謝する。だがな、獣と交わってまで生き長らえた伏は
本当に倖せになれるのか」
459名無しさん@ピンキー:04/07/28 21:57 ID:6b3SPbsE
「わたくしが……」
「伏を娶るというか。どのような結果を生むか考えたことはあるのか、大輔」
「生きて。生きてお救いくださりませ。殿様」
 義実の妻・五十子が場の空気を裂いていた。
「五十子……」
 義実は振り返って、駆けてくる妻を見た。それは娘を思うだけの憐れな
母の姿だった。

「なにとぞ、おねがいいたします。殿様」
「五十子も生き長らえさせて、伏を座敷牢に永劫に入れよとでも申すか」
 義実に近づいて足元で土下座する五十子の背が顫える。義実は傅く妻を抱き
起して背を撫でてやっていた。五十子は夫の胸に抱かれながら、拳で義実の胸板を
どんどんと叩いていた。

「では、大筒の拝領を」
 大輔が口を開いて、義実に抱かれていた五十子は嗚咽の声を洩らす。
「それはならぬ」
「なにゆえにござりますか」
「八房はただの犬ではない。あやかしにも等しい。故、大輔に破魔の弓と矢をつかわす」
五十子は義実の衣を握り締めて話しを聞いていた。

 金碗大輔孝徳は一ヶ月後、城からふたたび姿をくらましていた。四ヶ月の月日を
掛けて野山に馴染んで体臭を消し、あぎとへと近づいた。沢を挟んでの斥候であったが、
大輔の視力も山中に馴染んで遠くまで見渡せるようになっていた。
460名無しさん@ピンキー:04/07/28 22:19 ID:6b3SPbsE
 そこで木陰に身を隠しながら、大輔はとある情景を観ていた。外に出て姦淫に
いそしむ、伏姫と八房の姿を初めて目視したのだった。獣の交わりは、大輔には
ただの獣の交わりでしかなかった。伏姫の我が身を捨てて、玉梓と拮抗する種を
宿そうとする真意など知るはずもなく、堕落した伏姫の姿。
 種を残す為の交わり。雄が後ろ取りをして押えて、力に屈服した雌が声を噴き
上げて子壺に獣の精を受ける、伏姫と八房だった。一色に交媾に興じる伏姫の
獣の姿。
 
 大輔は八房の行動を知り、しくじりを無くすための斥候の役目を忘れて、破魔の
弓を携え、箙(矢を入れた筒・えびら)から矢をすっと抜いていた。
 狙いを定めたのは八房に犯され、貌を桜色にして菩薩顔を極めようとする
伏姫の眉根を寄せる中央一点。

 大輔はこめかみに粒の汗を噴きながら矢尻を弓弦に掛けて、きりきりと
引いていった。忌まわしいどころか、八房を羨ましくも思っていた。
 大輔は狙いを落として矢を収めた。その場を去って遠くに来までると、沢に入り
腰布を解いて天上を突くような男根を握り締め、刀の柄を握ろうとしたが思い
留まった。

 それは出血を抑えることできず、命をあやうくして得策とはいいがたく、
大輔はそのまま烈しく逸物を刀の柄の如くに握り締めて扱いていったのだった。
大輔の錆朱色にてらてらと絖る傘は開いて、白き飛沫が凄まじい勢いの弧を描き
吐き出されていた。
461名無しさん@ピンキー:04/07/30 02:54 ID:I/fcY7md
大輔は沢に両膝を落とし、両手も付くと貌を沈めて慟哭した。大輔の放った
子種は沢の流れに、伏姫に寄せた恋情も届かずに流されてはいったが、大輔の
心から消えてしまう、水泡(みなわ)の如きにはならなかった。
だからこそ丶(チュ)大法師は八犬士の痛みを知り、犬塚信乃の祈り、願いを
聞き入れたのだった。伏姫と八房のあぎとへの道行き止めようとしなかった。

「浜路姫。わたしはそなたを抱きたい」
信乃の躰が浜路姫の耀くばかりの白い裸形から去ると、浜路姫もあとを
追っていって、純白の寝具の上で相対し正座してみつめあう。

信乃はあの頃を思い出していた。初夜に衣を着て睦み合ってから同衾に入り、
横たわる浜路姫のだて締めを解いて胸元から手を差し入れて乳房を揉みしだき、
白い長襦袢の裾を割り開いて、潤いを与えようと秘所に触れに分け入ったところ、
信乃の手は驚きで止まってしまっていた。
「浜路姫……。此処は、いかがされたのです」
「なんでござりましょう……」

「おなごの飾りが見当たらない」
「そこは。なにも……、なにも言わずに抱いてくださりませ」
眼を伏しながら、浜路姫は信乃に応える。秘園は女童のように草叢を生やしては
いなかった。
「ああ。抱きましょう」
「そうしてくださりませ。わたくしを抱いてください、信乃さま」
462名無しさん@ピンキー:04/07/30 02:59 ID:I/fcY7md
初夜に交わされた言葉で、情景が過去から渡されてくる。勃起を取り戻した信乃に
逸って口取りしようとする浜路姫は、信乃の正座した両太腿の外に両手を付いて、
白く綺麗な細い腕を畳んでいった。女体の背が信乃の眼に晒されて沈んでゆく。
「信乃さま。信乃さま。お慕いしておりまする。信乃さま……」
 信乃は生唾を呑んだ。その美しさは自然のものなら山腹。人のつくりしものならば、
社寺の軒反りを思わせる、なだらかで繊細な曲線を描き出す。その線は陽根を口取り
するという昂ぶりに、刻々と変化するのだった。

信乃は初夜に浜路姫の美富登に納得ができず、結局は問い詰めてしまっていた。
「浜路姫を責めているのではないのです。嘘偽りではなくて、もとより無いのですね」
とんでもないことを訊いてしまっていると思った。

「……」
 案の定、浜路姫は一瞬眼を大きくし、涙を張っていた。
「仮に偽りならば……。何故かわかりませんが、嘘を突き通すのなら、容易ならざること。
後々辛くなるのは……ご自身なのですよ」
 浜路姫は恥毛を剃ってはいない。それは事実だった。

 浜路姫は犬塚信乃と初交に及んだ歳は十七。そろそろ女のかたちを成す頃合。
もとより無ければ信乃はそれでもよいと思った。だが合点がいかなかった。
もやもやっとしたものが残っていたが、信乃は言葉を待たずに乳房に唇を下ろして、
吸い付きながら、浜路姫の無垢の秘所を愛撫し緊張を解そうとした。
「信乃さまっ、あっ、ああ……」
463名無しさん@ピンキー:04/07/30 03:02 ID:I/fcY7md
 膝を浮かせて、脚を閉じようとしたのを内腿の愛撫で拡げさせる。寝具に仰向けに
されていた浜路姫は襦袢を開放して裸身を信乃に観られていた。
「羞かしい……」
生贄のような心地が衝迫する。それとも虜囚なのか。両手で貌を覆おうとしたら、
手頸を掴まれて信乃の男根へと連れて行かれた。

 熱く硬い肉棒に触れさせられた浜路姫は、貌のやり場に困っていた。片手で貌を
隠しているのも無様である。だからといって片腕で両眼を覆ってあふれそうな涙を
隠すのもどうかと思われた。もう一方の手も、屹立に導く信乃の腕に付いて行って、
両肩を窄め、しがみ付くしかなかった。

「ほら、生えていますでしょう」
「はい」
 小さく応える。羞恥に横を向きたいのは山々だったが、頤を引いて眼で頷くのが
いっぱいだった。
「浜路姫にも草叢が生えれば、しゃりしゃりと逢わせができます」
「そんな。あっ……」

「いかがされましたか」
 信乃の肉棒がびくんと跳ねた。
「信乃さま……のみしるしが……」
「浜路姫の膣内(なか)に入りたいと言っています。どうされましたか」
 指で浜路姫の眦にこぼれた雫を拭う。
464名無しさん@ピンキー:04/07/30 03:08 ID:I/fcY7md
「わたくしは生え揃った、飾りを秘薬で落しました」
 涙声で浜路姫は信乃にぽつぽつと語り始めた。
「浜路さまとわたくしは姉妹のように瓜二つと信乃さまは申されました」
「いうべきことではなかったと、思っています」
「わ、わたくしは、うれしゅうござりました」
「浜路……」

「しかし、いくら貌付きは似通っていても躰は。ましてや富登(ほと)の飾りまで
おなじとは思いません」
「そのようなこと、気にせずとも」
「だから、わたくしは……草叢を……秘薬で消そうと思いました」
 懇意にしている腰元に浜路姫は相談したという。その秘薬とは、石灰水に
卵白を混ぜてこさえた脱毛剤だという。

「もう、そのようなことはせずともよいのです」
 どのような思いで、腰を屈め薬液を塗りつけていたのかと信乃は憐れんだ。
「わたくしは浜路さまの果たされなかった夢への責務があります」
 そう考えたのは浜路姫ばかりではなかった。

「いいですか。二度とそのような……ことはしてはなりません。玉の肌が
台無しになりましょう」
「申し訳ありません。愚かな女でした。でも、お慕いしております。好いて、
好いて、たまりません」
 浜路姫のいじらしさに信乃はうたれて、逸物はいきり立つ。怒張の尖端を
あてがわれて瞼を閉じると眉間に縦皺が浮かぶ。
465名無しさん@ピンキー:04/07/30 03:13 ID:I/fcY7md
「ひっ……。んっ、んん……。あ、ああ……」
秘孔を圧し拡げて、眦の吊り上がった浜路姫の処女を散らす。白き乙女の柔肌は
肉情の焔に焙られて、さくらの花弁を舞わせ歓びの涙に濡れる交媾となった。

「信乃さま。好き。好きです。お慕いしておりまする」
浜路姫は初夜の時に触れた、誠のおんなにした信乃の逞しさを手にあらためて
感じていた。力を取り戻した信乃の灼ける肉塊にしみじみ頬擦りをする。
荒くみだらに濡れる息が、信乃の黒々とした下腹の剛毛をそよがせて浜路姫の
両太腿の淡いにもある、黒く濃やかな草叢は朝露を吐いてしっとりとした潤いを
見せていた。
浜路姫は信乃の根本にしなやかな指を絡め、もう一方の手で珠を包む薄き皮の
袋を下から受けて取ると、そっと揉み撫でる。

信乃の肉棒は浜路姫の柔らかな手の中で烈しく暴れた。肉茎に青筋を立てて
いきりたつさまに女陰をまた濡らす。張っててらつく尖りに、浜路姫は赫い蕾を
忍ばせて華を咲かせ、舌先で鈴口からの透き通った春水を掬い取ると、信乃は
打たれたような擦れた声で呻いていた。

ぬくい美富登の思いに、信乃のいっぱいに皮を張らせて絖る亀頭に、浜路姫は
美形の唇を被せ情火の肉塊の腹に舌を絡め根本にまで降りていった。くぐもった
浜路姫の声が鼻翼を膨らませ洩れ聞こえてくる。唾液の音も絡んで信乃は浜路姫の
情の深さに歓喜した。
466名無しさん@ピンキー:04/07/30 03:20 ID:I/fcY7md
浜路姫の恥戯に臨んだ心を労って、桜を刷いて窄める頬を二度三度と撫で擦る。
正座して踵の下に付いていた浜路姫の臀部は浮いて揺れていて、双丘の淡いから
春水をだらだらと滴らせて寝具に滲みをつくり昂ぶる春情に躍った。
信乃の手には頬肉越しに、己の尖端の突かれる感触がわかる。上体を後ろに逸らし
両手を付いて浜路姫の口戯に身を委ねたいと思ったが、言わなければならない
大事があった。

「犬にして浜路姫を犯したい……」
 浜路姫の口取りが数瞬凍えたが、今度は万里を極めようと没頭しだしたのだった。
喉奥深くに肉棒を呑む回数は増え、頬肉と唇、喉奥の筋も駆使して亀頭をも責めて、
信乃の摩羅を扱きに扱く。

硬くなっている陰茎を噛み切られるかもしれないと信乃は思った。萎えるどころか、
更に逞しくなって浜路姫の口腔で跳ねていた。浜路姫に男を噛み切られ、赫い唇から
血を滴らせ、喰い千切られた怒張を白い寝具に、ぼとっ、と吐きだされ、痙攣して血を
どくどくと流す情景が明滅した。
白雪の浜路姫の胴は丸くなっては、蛇のようにしなってのたうつ。信乃は下腹を
波打たせながら、浜路姫が正座してひれ伏し、股間に貌を埋め怒張を頬張る姿態に痺れた。

(瑠璃……を、慰めてください。信乃さま)
 蝋燭の仄かな灯りに照らし出された浜路姫の美臀は蒼白の月となって肉情に揺れる。
信乃は丸まって傅く浜路姫の骨を浮き上がらせた背に覆い被さって頬擦りをする。
 重く圧し掛かられて、浜路姫は喉奥を深く入れて、信乃の股間でぐふっという
呻き声を洩らしていた。
「あぎとへ往こう。伏姫と八房のあぎとに、浜路を連れて行く」
 信乃は腰を撫でながら臀部に下りて交互に双丘を廻して揉みしだいた。やがて女陰に
忍んで弄られ浜路姫は身悶えた。
467名無しさん@ピンキー:04/07/30 20:25 ID:I/fcY7md
「はあっ」と信乃をやっと口から吐き出して唾液を滴らせながら、仏罰をと
言って信乃に尻を向けたのだった。菊座を裂かれてもよいとまで口走って、
浜路姫は美臀を掲げると、自ら両手で割り開いて見せる。その昂ぶりに菊座の
窄まりは、みだらなひくつきを示しているのが眼に留まって、信乃は蠱惑に
己を見失いそうになった。一旦は手で肉棒を握り締めて開く蕾にあてがって。
いま一度浜路姫の躰に圧し掛かっていって、信乃はどちらの口も股間の
こわばりで抉ることなく、ひしっと華奢な丸い肩を抱き締めていた。挿入を
試みはしなかったが、臀裂にあてがった陽根は尻を振って扱いて、閨にまだ
馴染んでいない浜路姫の火照る躰を責め立てた。
信乃はどちらの口も突くことなく浜路姫の背に、いま一度圧し掛かって華奢な
両肩をひしっと抱き締めて、後ろからの抱擁のあと、仰向けに女陰を衝きあげて
法悦に溺れさせる。
「伏姫と八房のあぎとに」
(はい。信乃さま……。連れて行って下りませ……)
「ご一緒に……。あっ、はあっ、ああ……」
 浜路姫は小壺に信乃の精を受けて、とうとう失神してしまったのだった。

 浜路姫がこの道行きを理解していたといっても、おんなでもあり、せつなくも
なってしまう。想い人と生き写しという悪戯に、御仏の導きを怨まないでもない。
 浜路姫はあぎとに入ることの躊躇いを見せた信乃を情愛のこもった眼差しで
みつめた。信乃が言い名付けるはずだった、おなごは此処にはもう居ない。
 浜路姫の手が信乃を握り返して、心を撫でるように包んで、さむけをぬくく
していった。浜路姫の信乃を仰ぐ貌をあぎとからの風が撫でていく。ほつれ毛が
微かにそよいでいる。
「いきましょう。信乃さま」
「浜路……姫」
「約束にござります」
「すまぬ」
「それも」
浜路の無垢な笑顔に涙があふれそうになっていた。
468名無しさん@ピンキー:04/07/31 11:02 ID:AjHwUVXS
閨で信乃に臀を向けて寝具に蹲った、蝋燭の灯りに照らされた白い背が罪と知りつつも
幽玄に浮かんで衣の下が肉情に躍った。みだれ髪とさくらを刷いた貌を落として太腿を
閉じ合わせている。どうにでもして、と浜路姫の躰が信乃に語り掛けていた。喉から手が
でそうなほど、臀裂の淡いから覗いた小舟のかたちをした美富登に魅せられた信乃。
 信乃が臀肉に触れると顫えながらも両肩を寝具に付いて、掌を後方に流して割り開いて
見せたのだった。ぱっくりと開いた花唇の奥からは春水がとろりとあふれ落ちる。それを
信乃は指で掬い、開き始めている菊蕾に塗りこめた。唇を噛んで堪えている浜路姫からは
重たい呻きが洩れた。乳房を圧し潰して、躰も貌も揺すって散っていた濃やかな黒髪が
波立った。逸ることはない。逸ることは……。雁頸を捉まえて入り口へあてがう信乃は
己を抑えた。

「浜路」
「信乃さまのお貌がこわい……」
 握り締めていた信乃の手が上がる。浜路姫は手をほどいた。胸元に留まっていた手が
寄り添う信乃の胸板に添えられ、瞳の奥に見えた性愛の闇に浜路姫を慄かせた。
「昨夜の続きを想い描いていた」
 信乃を睨め付けることが赦されるはずの浜路姫の眼差しではあったが、昨夜のことを
想い夫にみつめられると、武家のおなごとしていたたまれなくなった。
「いかがされた」
 信乃は臆面なく応えると、浜路姫は眼を一旦は伏してからみつめかえした。
「咎人になってしまったようです」
「閨に咎人などいないから」
「……はい、信乃さま」
(わたくしはその後、信乃さまにどうされたのでしょう……)
 さくらがみるみる朱に変わる。信乃に両の掌で頬を包まれ火照りが極まった。信乃の
逸物もびくんと跳ね返る。浜路姫のほつれ毛を掻き揚げて耳後ろに梳いてやって、下ろされた
手を結ぶと、ふたりはあぎとへと足を踏み込んで往った。
469名無しさん@ピンキー:04/08/01 22:28 ID:uOSoFqKe
乙です!
ボリュームありますね。いつものことながら読み応えありました。
470名無しさん@ピンキー:04/08/03 01:17 ID:QjQLXEtF
いつも、読んでくれてありがとうございます。
それと、つづきをまだ書いていないので、
すみません。
471名無しさん@ピンキー:04/08/07 03:01 ID:GiL5PwTy
hoshu
472名無しさん@ピンキー:04/08/19 01:10 ID:tHPfTYAM
喪主
473名無しさん@ピンキー:04/08/24 04:40 ID:f1JefFJ+
ほしゅ!!
474名無しさん@ピンキー:04/09/01 00:11 ID:f4l2UXhY
九月
475名無しさん@ピンキー:04/09/12 23:57:22 ID:I4b0DNPo
476名無しさん@ピンキー:04/09/26 01:51:25 ID:ypLnSUXF
どうも>>340の続きです。

同じ頃、屋敷の中で伏姫は何かを見ていました。
それは、屋敷の前に張られていた張り紙と全く同じものです。
「・・・全く、とうさまも私の都合も考えずに・・・。」
伏姫はそう言ってため息をつきました。
いくら女性が文句をいえないご時世だからって、
戦でヤバイ状況だからって。
人のだんな様を勝手にこんな事で決めないで欲しい。
伏姫はそう思いました。

(・・・私だって、旦那様を選ぶ権利があるわよ、例えば・・・。)

伏姫は自分の未来の旦那様を想像しました。
・・・しかし、その結果浮かび上がったのはたくましい男性とかではなく。
4つ足の白い獣・・・突然ふらりと姿を見なくなった八房の姿でありました。

「・・・なんか最近変かも、私。」

伏姫はそう言って深いため息をつきました。
477名無しさん@ピンキー:04/09/26 21:44:08 ID:3e0nnwj6
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
478名無しさん@ピンキー:04/09/30 00:18:25 ID:Sr8DXj8P
保守
479名無しさん@ピンキー:04/10/04 01:01:18 ID:H1ERj9nX
保守
480名無しさん@ピンキー:04/10/08 07:32:39 ID:j1ZKPqgx
もいっちょ保守
481名無しさん@ピンキー:04/10/19 00:55:46 ID:6KgY2Pyj
その頃、八房はと言うと・・・。
何故か張り紙を口にくわえて人の行列に加わっていました。
張り紙に書いてあった、里見家の兵士場集に参加するためです。

「何だ?犬がいるぞ。」

「ほっとけ、どうせ野良犬だろ?」

「でも、張り紙を口にくわえてるぞ。」

「どうせ骨と間違えて咥えてるんだぜ。」

兵士志願者は八房の姿を見て言いたい放題。
でも八房はそんな兵士達の言葉なぞ耳にも入れず、じっと行列の中で待っていました。
482名無しさん@ピンキー:04/10/30 17:16:18 ID:xQPpXCkE
保守
483名無しさん@ピンキー:04/11/03 01:58:21 ID:T6S1V/hs
保守
484名無しさん@ピンキー:04/11/20 14:09:15 ID:J7cXWu6D
保守
485名無しさん@ピンキー:04/11/29 07:47:46 ID:rdTyp5tb
保守
486名無しさん@ピンキー:04/12/02 19:26:00 ID:QacfcWNx
487名無しさん@ピンキー:04/12/22 15:39:09 ID:UykuJ0bw
保守
488アーケード板住人@182cm:04/12/23 20:51:25 ID:1Zrqm6Aw
伏姫さまにうんちを喰わされたい
489名無しさん@ピンキー:05/01/02 07:28:15 ID:1EqhpeK6
ほしゅ
490名無しさん@ピンキー:05/01/09 18:12:26 ID:NEe6rmeE
age
491名無しさん@ピンキー:05/01/27 18:07:43 ID:ZGf+C/Fy
このスレの初期に上がってた画像ってどこかに保存されてないんですか?
492名無しさん@ピンキー:05/03/07 00:07:33 ID:lAP6e61b
保守
493名無しさん@ピンキー:05/03/12 02:52:22 ID:zvAl8/qh
hosyu
494名無しさん@ピンキー:05/03/13 21:27:14 ID:MmqKr/P+
495名無しさん@ピンキー:05/03/13 22:11:59 ID:YuwaqVIj
496名無しさん@ピンキー:05/03/15 14:23:53 ID:e+XjnTqE
あげてみる
497名無しさん@ピンキー:2005/05/02(月) 19:42:06 ID:FB6Iz4V3
498名無しさん@ピンキー:2005/05/13(金) 10:33:57 ID:MAZMqThB
ほっしゃげー!”
499名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 00:00:04 ID:sgGDtyZo
hosyu
500名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 01:25:06 ID:TEXDNdKZ
女神転生では八房を使ってました。八房可愛いよ八房
501名無しさん@ピンキー:2005/08/11(木) 23:24:07 ID:H+wnGB4R
まだまだ落ちない
502名無し@ピンキー:2005/08/21(日) 11:18:21 ID:DjNU8QFs
もしゅもしゅもしゅ
503名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 00:34:28 ID:QU6ds1ke
保守
504名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 19:52:06 ID:BWu7qodA
あのさ、赤岩一角の若後家の窓井を犯して子供を産ませた山猫の話も一応獣姦だよな?

あのネコ、窓井に欲情して彼女を手に入れるために、庚申山で一角を殺したって言うし・・・。
夫の一角になりすました化け猫に、夜毎にその肉体を開き開発されていく若妻って萌えないか?

そんなSSを誰か書いてくれまいか。
505名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 18:21:41 ID:sYH10133
初期の人凄いな。古典調なエロスは初めてみた。
506名無しさん@ピンキー:2005/10/10(月) 16:08:58 ID:0t8CdX5x
まだまだ、落ちないよ
507名無しさん@ピンキー:2005/10/12(水) 02:01:57 ID:E6YOBxeH
ageまする
508名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 21:17:00 ID:QuvOv+l1
ぬこたん萌え…
509名無しさん@ピンキー:2005/11/05(土) 17:32:27 ID:Ip2lEYU5
来年正月にTBSで八犬伝をやるらしいが、これが目の前に浮かんできそうw
510名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 22:20:37 ID:nWVYH1E1
新作、まだ〜?
511名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 00:37:00 ID:MTAroDRy
>509
マジで?
キャストへっぽこだったら見ない方が精神衛生上いいよな
512名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 01:06:10 ID:O7IKwEs3
寝てる彼女にHなコトやって見た(ワロスw)
http://infobreak.biz/fqjjt
513名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 13:44:38 ID:YjbCe/LH
八犬伝ってやばい話だったんですね^^;
514不燃ゴミ:2005/12/11(日) 19:24:27 ID:wqWTBYTh
妄想誘導、という意味では・・・。
515不燃ゴミ:2005/12/11(日) 19:29:02 ID:wqWTBYTh
にしても、いいですね。「闇の淫符に対抗するためといいながら、その恋望の情は、熱く激しく、畜生といえど止まりも知らず・・・。その「二人」の想いに、人生を狂わされる一人の男・・・・。」

2chで本で出たら、速攻で買いマックス!
516名無しさん@ピンキー:2005/12/11(日) 21:02:13 ID:kIFbhjAN
517名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 15:57:06 ID:6rxMBPzp
なんだこれ?
518名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 22:20:27 ID:GAuGyzph
誰か本書いて!
519名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 22:20:30 ID:szmV+rdC
正月が、楽しみだな。
520名無しさん@ピンキー:2005/12/25(日) 16:59:44 ID:HwKG5nJt
山田優もえー。
521名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 20:03:16 ID:+iMtUCFu
八房・・かわいいな
522名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 20:43:16 ID:pBL4idyP
放送日あげ
523名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 22:56:52 ID:pKw2wjZu
これからこのスレ繁盛するだろうなww
524名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 23:50:09 ID:YeMMlFUV
一時間ほど見過ごしたが、八房様は原作通りに出たのか?
525名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 00:23:41 ID:Ecz4cvPe
>524
原作は完全無視だった・・・
妄想獣姦プレイは放送コードに引っかかるのか!!?
526名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 12:02:54 ID:ju76qUMM
八房さまが楽しみでテレビつけたのにあまりの完全カットぶり……
「そなた、孕んでおるぞ」
って、だから八房出せよ!
知らない人には(子どもとか)
なんで犬に怯えてんのかわかんないだろー!
誰かここで補完してくれー
527名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 13:01:13 ID:gn9QIeSC
最初見た時、渡部篤朗は八房が人間の姿をとったものかと思ったよ
528名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 22:47:05 ID:6CrZXHk4
ドラマ記念age
529名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 23:23:46 ID:BaCRxEtj
実況はお塩先生スレにいますた。
530名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 11:27:01 ID:0D7O1DOp
八房様萌え
531名無しさん@ピンキー:2006/01/10(火) 00:07:09 ID:gaKcxxJc
大して盛り上がらないみたいだね。
まあ、あの出来じゃなあ
532名無しさん@ピンキー:2006/01/13(金) 16:49:49 ID:iu3SOz2j
八犬伝スレってのがあって即死だったのね
533名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 16:32:48 ID:2uBlyW0f
保守
534名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 17:08:29 ID:Lt5khLlN
原作読んだことないんだけど、結局伏姫と八房はどうなるんだ?
ラブラブ?…なわけないよな……
535名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 18:42:39 ID:K7IBvS1R
保守
536名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 01:50:12 ID:/F/ShQ4P
また保守
537名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 16:44:18 ID:7S+1YjmG
保守
538名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 23:27:25 ID:VhZY/XbX
保守
539名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 23:28:40 ID:Mx+jBe0b
女性向けゲーム出るようですが
540名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 12:15:43 ID:1gGB8zCT
保守
541名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 02:02:51 ID:GFFDVtmN
わんわんにもふもふする話が読みたい
542名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 23:24:09 ID:9Mxn3g4g
八房萌え
543名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 20:09:32 ID:pcspWXSV
保守
544名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 15:06:10 ID:E6KmsFXX
保守
545名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 23:18:02 ID:wvvGkDve
八房も不憫な奴だな…伏姫と一緒になれたらよかったのにな…
546名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 07:20:21 ID:s+oPH3AZ
保守
547名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 18:23:28 ID:+KzwqIjq
珠梓が怨の消滅に、熱波がいちどきに伏姫の肌を嬲って去っていった。
洞窟の冷たさは、妖力で焼けた肌を、手疵となる前に癒すかのように撫でていった。
浴びた毒の残滓も躰から抜け出るようで心地よい。

遠くでは地下水の流れる音がしていた。安らぐ心地よい調べだと伏姫は思った。
玉梓との一戦を終え、緊張からようやく解き放たれ、伏姫と八房に訪れた、
しばし穏やかな沈黙の間。

歩きながら尾を振り続ける八房は、玉梓の化身である、狸と一緒に居た場所で、
伏姫を玉梓の怨霊から匿おうとした。
育った場所が唯一の盾となることを八房は心得ていた。
伏姫の踏む砂利音と、息遣いが姫と獣のつがいの心を結ぶ。

外からの僅かな光りを侵食し、洞窟内に漆黒が忍びよる。
「やはり魔をもって、臨まねばならぬのか……。出過ぎたことを申しました。
妾を赦してくださりませ」
 八房の心を気遣ったが、守護されたいという媚は伏姫には無い。礼に近しい。
怨との拮抗の力を八房から授かるといっても、里見の娘としての気位はある。
 しかし、いかに気丈であろうとも、そこは女子。
548名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 18:31:36 ID:+KzwqIjq
『伏姫』
「はい。なんでござりましょう」
 伏姫の精神は乱れ、御仏の力では到底及ばぬのか、という疑念。
ふつふつと湧いて来ようとしていた。

『宝珠を首に掛けなおせ』
「よいのですか。それで」
『我は闇に蠢く物じゃ。安心するがよい』
 その言葉、伏姫に儂はそなたの守護者だと届いていた。

 それでも凪の湖面はにわかに波立つ。
 伏姫は八房の魔性を深くは追求しないまま、黙して松明の代わりに
かざしていた数珠を下げて、素直に八房の命に従った。

 素肌に羽織った袿(うちき)の袖から細い腕を出し、濃(こま)やかな
黒髪を持ち上げる。八房は洞窟に漂った、伏姫の芳香に鼻をひくつかせていた。
 盆の窪に手早く、数珠の切れた糸の両端を持っていって、結び目を
しっかりとこしらえた。
549名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 18:37:54 ID:AQzC32Zp
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +        
 と__)__) +

長く保守している甲斐はありますな
550名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 18:41:37 ID:+KzwqIjq
「八房……殿」
『気弱はならぬ。まだ緩めるでない。よいな』
 伏姫の白い胸元の宝珠は弱々しく耀いていた。
 珠はかりそめの本懐を遂げて、しばらくの眠りに入るのだと思った。
身繕いを終えて、八房の筋骨隆々とした肩先に片手を添え、伏姫は
灰白色の体毛を掴んだ。

『では、ゆくぞ』
 伏姫を待っていた間、八房は一度たりとも妻の姿を振り返りはしなかった。
「あい、わかりました」

 里見家に仇なす、怨の化身である、狸に八房が育てられたという、
玉梓のあぎと深くに赴こうとする。八宝珠を掛け直し歩き出す。
玉梓の怨霊が幻出した闇へ。

 狸と犬は相容れない存在。それゆえに、狸に育てられた八房を、
御仏の使いと、病弱だった伏姫の守りに城の裏庭に飼ったのだった。
 ただし、いくら危急存亡に直面していたとはいえ、敵将の安西景連の
み首級(しるし)を獲って、城に帰陣することは甚だ尋常ならざることなり。
551名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 18:55:20 ID:+KzwqIjq
 義実が弱音を含み裏庭で戯れを吐いてから、八房の姿を見るものは
誰一人としてなかった。
 仔牛ほどの犬がどこへ消え失せてしまったのかと、侍女たちの間で
瞬く間に噂となり、里見落城の凶兆とざわめく。

 その夜、真紅の布を拡げて、義実は五十子と最期の交会を結ぼうとした。
床の間に二つの雪洞(ぼんぼり)を設置し、赤の褥(しとね)の四隅には
燭台の灯りが四つ置かれていた。
 暖色は男根の闘争心を駆り立て、か弱き女子の白肌を浮き立たせた。

 床の間に二灯の雪洞を置いたのは、これが初めてではない。五十子は
伏姫と同い歳の十六に、義実と契りを交わした。
 一儀に及んでから八日目にして、五十子は初めての口取りを義実より仕込まれた。
 口取りのその日。
 習いは女子が先に入って待っているのに、義実からはあとから寝所に
来るようにと賜っていた。

 二人の供に従って、燭の灯りに誘われるまま、漆黒の廊下を歩いた。
妖女(あやかし)になってしまったようで慣れない。かといって陽の下で
抱かれるなど、いまの五十子に想像もできなかった。
552名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 19:08:57 ID:+KzwqIjq
 匂いがした。古い檜の薫りだ。いのちの繋がりは、人の棲みかとなって
いま此処にある。それでも、この匂いはどこか物悲しい。
 なぜだろうと五十子は考える。まだ母上のような、愛されるという実感が
湧かないからだろうと思った。

 別れの日に、「義実殿に末永くかわいがってもらうのですよ」
と泣き顔を隠しもせずにいってくれた母上が恋しい。
 灯りがあっても、夜陰は初交の痛みを柔肌にひしひしと五十子に刻む。
教わった魔羅という仏法の禁忌が五十子に浮んで来る。

 愛されてこその女子なのだ。まだ、義実の陽根の姿かたちも
覚えていない五十子は、卑しいとされて憚られる言葉に、その身と瞼を
灼いていた。けれど忌まわしいとは思わない。雛尖(ひなさき)が
疼きかけていた。

「さあ、五十子さま。どうぞ、お入りくださりませ」
「もう下がるがよい」
「では、わたくしどもはこれにて」

553名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 19:25:34 ID:+KzwqIjq
 侍女の二人は慇懃に頭を下げて、手燭灯りとともに、漆黒に呑まれて
消えていった。五十子は急に心細くなっていた。

 女子の心得は、母上や乳母(めのと)からも教わってはいたが、
閨事(ねやごと)において交媾(こうこう)は浅く、まだまだおぼこでしかない。
 女としてのこれからを義実に縋って学ぶ。

 義実はおんなを知っていた。それもまた習いなり。元服に際して
筆おろしを済ます。それ以前に男子が交わりをすることも。嫡男が乙女の
侍女に手をつけても、無論お咎めはない。

「殿様、五十子にござります。ただいま、参りました」
 五十子は一度襖に礼をしてから、床に正座し、許しを待った。
「入るがよい」
 すぐに返答が来た。

「参らせていただきます」
 爪先を立て、右の膝蓋(しつがい)を左膝のほうにやり、
やや立てながら襖を静かに開けた。緊張で顫えるかと思ったが、
そうはならなかった。
554名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 19:33:30 ID:+KzwqIjq
 練香の匂いが微かに漂っていた。五十子は義実に礼をしてから
戸を閉めた。
「ここまで来るがよい」
「はい、殿様」
「儂を名づけよ」
「それはなりませぬ」
「儂が赦す」
「よ、よしざねさま」
「さあ、顔を上げ、儂の元に参れ」
「は、はい」

 幾らか緊張の解けた五十子は、義実に顔を上げたものの眼を丸くした。
義実は床の間に片肘を突いて横たわっていた。その両端に雪洞が二灯。
床の間の下には紫の布が敷かれていた。
 膝でにじりよる距離に褥は別にあったが、義実までの距離は遠かった。

 義実は陽の下で写経をする、五十子の横顔を眺めるのが好きだった。
筆をきれいな手にそっと持ち、真摯な美貌は、日々の想いを字に綴っている。
字とは気持ちを写す。きれいな字にも義実は見惚れていた。

 五十子は殿様が部屋に参っているのに気がつき、無礼をしたことを詫びた。
義実は、儂が勝手に参ったのだから、と出て行こうとするのを無理に引きとめて、
赤い糸で綾取りをしないかと誘ったのであった。
555名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 19:42:31 ID:+KzwqIjq
 義実は訝ったが、おぼこでありながら艶然とした五十子に誘われて
付き合った。その時の、俯いて、指と赤い糸を眺める、五十子の顔が
印象的で、それが今宵の口取りの一儀に繋がった。

「そこに立って、いさらごをもっと見せてくれ」
 もとより拒む理由は五十子にはあるはずがない。
「はい……義実さま」
 途端に動悸が激しくなった。足元から沼にのめり込んでいきそうだ。
白い褥に立った五十子は帯を解いて、白単衣から丸い脆弱な両肩をさらし、
とさっ、と迷いも一気に落とした。

 濃やかな黒髪は褥の白を染めようとしているかのようだった。
 頬に垂れ髪。
 乳房まで流す垂れ髪もある。それは白肌にみごとに映えた。黒髪は女子の
肌を引き立てもする。

 その肩と乳房が、五十子の息の荒さを如実に義実へと伝えていた。
「どうか、かわいがってくださりませ。義実さま……」
 怜悧の相に瓜実のかたち。この美貌を組み敷きたいという肉情が
義実に湧き起こっていた。
556名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 19:53:53 ID:+KzwqIjq
「今宵はいさらごに、口取りを教えてしんぜよう」
「はい」
「来るがよい」
 褥から降りた、五十子は腰を落として膝と爪先で義実までよった。
義実の眼に五十子の飾り毛がぶれた。まだらに生えた素直な陰毛。

 獣は腹を撫で擦ることが服従の体位という。五十子も儂に服従の意志で
身をあずけて、と思うと血汐が装填され、力は漲った。
 義実は己の帯を解こうとした。すばやくにじり寄った、五十子の
黒髪からは尖るような耳殻があらわれるのを見て、逸物が跳ね上がる。

「妾にさせてくださりませ」
 はやくに馴染まねばという思いが五十子に発話させていた。しかし
五十子の顔はみるみる赧らんだ。
「赦す」
 義実の声も昂ぶる。

「ありがとうござります」
 顫(ふる)える手を義実の帯に手を掛け、単衣の裾をひらいた。逸物が顔を出す。
雪洞の二灯が五十子には眩しい。光量としてはしれていたが、
橙に照らされた異形の者を目にし、怖気づきそうだった。
557名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 19:58:55 ID:+KzwqIjq
>>549
ごぶさたしております、というかすみません。
伏姫と八房じゃなくて、両親のほうにそれてしまって・・・。
558名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 20:31:43 ID:+KzwqIjq
「さあ、顔をつけるのじゃ」
「はい、義実さま」
 紫に乗った義実と五十子は橙に肌を灼く。開脚した義実の淡いに
正座した五十子は躰を進めた。
 柔らかそうな乳房がゆさっと揺れた。
 前屈みになりしなう華奢な裸身。細い両腕を畳んで掌を義実の
逞しい太腿の上に置く。

「さあ、触れてみよ」
「はい。義実さま……」
 五十子の白い背に流れる黒髪姿は、義実にとっての至宝となった。

 赤の褥の中央に、男女(おめ)白単衣の姿。仁王立ちになった義実の
帯に五十子の細く長い指がかかり、優雅な所作でほどいてゆく。
 義実の単衣の裾をひらけば、肉は既に天上を突く威容を示していた。

「このかたち、妾はうれしゅうござります」
「いさらごが美しいからじゃ」
 四隅に弱い灯り。床の間に強い橙色が妖しい陰影を女人につくる。
五十子も最期ということがことさらに強調されて、肉情が込み上げていた。
559名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 20:53:15 ID:+KzwqIjq
「灯りの幻にござります、殿様」
「うつつじゃ。信じるがよい」
「はい。では口取りをいたしまする」
 うつつの夢を呑んで、五十子は左手をそっと下から持っていって、
ふぐりを軽く撫でた。指先に珠を当てぬように掌に乗せ、情を込めて
指を閉じて揉む。

 義実の逸物の弓なりのかたち。錆朱より濃ゆい臙脂に魅せられた。
この肉色をしかと目に焼き付けようとすると、五十子は潤んで涙が張った。
下腹のくちにも。濡れた瞳に、尖端は鍾乳石を研磨した珠のように絖って映る。

 開かれた白単衣を挟み、浅黒い肌。下腹の黒々とした剛毛から突き出た、
太い逸物に傅く五十子は、明日ある我が身に倒錯した。
 景連に抱かれる前に自害するのは道理なれども、伏姫は……と思うと
動悸が激しくなって胸が苦しくなった。

 生きるのならば、慰みになってしても、耐えて側女としてでもあってほしいという
親心が芽吹く。
 それはならぬこと。なぐさめてと肉槍に右手の指を絡ませ、小鼻を擦りつけ、
義実のふぐりをやさしく吸った。
560名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 21:03:20 ID:+KzwqIjq
 義実は天上から、長い睫毛を顫わせながら恥戯に没頭する、燭台の
灯りと赤の敷物に白い上気しはじめた肌を浮ばせて、今宵最期の五十子を眺めて
血汐を滾らせていた。

 八房との戯れは、もはや命運尽きたとの諦め、自害の決断をという
心づもりもあった。こうして五十子を見ていると、敵の雑兵にも、景連にも
決して渡すまいという誓いと憤りが明瞭になる。
 死なすわけにはゆかない。生かして天寿を全うするまで五十子を
愛でていたい。このような理不尽なことが天寿などであろうはずがない。

 五十子が舌で珠を転がした。ぬくく蠢く五十子の舌と口に、仁王立ちの
義実の左内太腿は突発的な痙攣を繰り返し、
と同時に五十子の肉槍を握った手は斜めに責めの扱きを
下腹に持っていって密着させたりと義実を玩弄する。

 黒髪を撫でていた義実の手は、五十子の儚い両肩の上に突いてしまいそうになった。
五十子はふぐり責めをやめて、義実の肉槍を横笛にみたてる。
 ねっとりと唇を吸い着かせ、裏筋に舌を這わせ尖りに昇っていった。
561名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 21:10:56 ID:+KzwqIjq
 尖端を熱い舌に嬲られ、義実は妖しく揺れる黒髪の後頭部を掻き抱いて、
己の淡いに恥戯に励む、五十子の美貌を圧し付けたくなった。
 五十子の真の口取りがはじまった。
 生きるも死ぬるも、おんなの一生を支配した、これひとつなのだ、
と思うと女子の胸は掻き毟られた。

 まずは唇を絖る尖りによせ、ありったけの情を込め、そっと口付けをした。
義実の鈴口を五十子の舌先が掃いて、唇が被される。
 ふたたび飴でも扱うみたいに口に転がし、内頬に尖りを擦る。

 五十子の相は、頤が外れたように大きくなった。頬は肉槍の尖りが
突き破るかというくらいにもなっていた。かたちのよい小鼻の両翼は膨らみ、
浅ましく憐れにも見えた。
 美を留めるのは、橙色に照らされた、額と変容した頬にへばりつく
汗に濡れたほつれ毛。

 女子への愛と内在する男子の攻撃の性の増幅。
 義実が五十子の頭のうしろに手を廻すと、そうされることを待っていたかのように、
肉情に身を委ねた五十子はおもむろに喉奥へ尖りを持っていった。
562名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 23:52:20 ID:+KzwqIjq
「んっ、ん、んんっ」
義実の黒々とした剛毛の生えた下腹に五十子の荒い鼻息が吹いた。
窄まる頬。肉槍の尖りがあたる、五十子の喉奥までも締まって、
猛々しい逸物を扱く。

義実は五十子の口唇戯と、艶めかしい女子の眺めを愉しむ間もなく、
後頭部を両手で押さえ、五十子の口を使った。
「うっ……うっ」
 喉奥を抉るというより、両手を万力のような圧で五十子の頭をがしっと
挟んでいるだけで、己の股間に強引に導いたわけではない。

 主導権は五十子にあった。されども、きれいな小鼻は拉げ、
怒張を咥えていて、堪えに堪えて孕んでいた、呻きがいちどきに外に噴いた。
「ぐううっ、ぐふっ」
 五十子の口腔で、義実の逸物は膨れ切って弾けた。仔結いの種が喉頭を射て、
五十子の頭を白閃光で灼き尽くした。

 五十子に任せていたとはいえ、義実に多少なりの抉りは生じた。五十子が
望んだでいたこととはいえ、麗人の両頬を苦悶の涙が濡した。
 熱情の火消しに使われなかった、子壺の届かなかった涙なのかも。
 または、里見家の命運を思ってのものだったのかもしれない。
563名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 00:45:19 ID:ItNe8n/O
「次は儂の番じゃ」
 五十子は絡みつく子種を嚥下し、逸物を清めつつ、名残り惜しそうに
ゆっくりと義実を離した。
 かるい身繕いをしようとしていた五十子に、「そのまま横になるのじゃ」
と義実は命じた。

 口から吐いた義実の絖った尖りに、五十子の瞼はまだ熱かった。
淫らなまま横になることに慣れはない。
「はい、義実さま……」
 頬が灯りにあてられた所為もあってか、五十子はかなりの上気をしていた。
荒い息を吐きながら、おまかせいたしますと義実に従って、赤い敷物に
乱れた単衣姿の五十子は仰臥した。

 刹那、五十子は右から義実の腕を背に廻されて、届いた左肩をつかまれ、
ぐいっと抱き寄せられた。頭はぐらついて仰け反り、唇を掠め獲られた。
 両肩は男子の力で窄められ、義実より送りこまれる唾液を、
おいしそうに飲んでいった。五十子は雛鳥になっていた。

 仰臥した五十子の紅には、洩れた義実の白濁が附着したままだった。
まだ気道にも嚥下しきれなかったものが残っているのだろうか。五十子は息苦しくも、
この閨事が心底愛しかった。
564名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 01:12:41 ID:ItNe8n/O
 病弱だった伏姫の参籠を義実に直訴したおり、五十子はうしろ並びに、
身を許して義実と交わった。
 犬などではない、犬などでは、
と義実は何度も五十子の耳に吐いて臀を使った。
 恥辱だったのか、はたまた随喜の涙だったのか、五十子には、
あの時のことは定かではない。
 上になっていた五十子の右太腿を義実は担いで、おなじく上に
なっていた義実の右太腿に脚を掛けられ、四つん這いにならない、
逢わせ横臥で偕老同穴の契り。義実に腰を使われ五十子は
甲走った嬌声あげて跳んだ。


 これから決戦に臨もうとする主に、今度こそはと、すべてを
任せるつもりでいたのに、「畜生だけは、赦してくださりませ」と、
つい弱さが洩れてしまった。

 義実は黙して、五十子の白単衣の裾をひろげ、美富登(みほと)を
天井にさらして湿り気具合を確かめた。吐精したとはいえ、
儚い命を想えば血汐は逸物にすぐに滾った。
565名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 01:26:22 ID:ItNe8n/O
 五十子を赤の褥の上で転がして、錦手毬にさせ、うしろの菊座を
嬲ることもやぶさかではなかったが、膣内に収めることに義実は早り
こだわった。

「ああっ、堪忍っ」
 初物の如き五十子の振る舞いに、義実の肉槍は空で揺れて痙攣した。
「さあ、片脚を担ぐがよい」
「はっ、はい」

 上になっていた右手で外側から膝蓋の裏側に、五十子は腕を通して
持ち上げた。吐いた女蜜が下になった内腿から流れた。
 やがて義実の尖りが肉襞を押し退けて、怒張は滑り込んだ。
 呼応して五十子は唇をひらいて息をふうっと吐いていた。

 赤い褥の下になっていた左手は、天上の陽を掴もうとでもするみたく、
五十子の横たわる頭上に、床の間の二灯の雪洞に向かって伸びていった。
律動による躰を揺れから跳ばされんとする、五十子の考えであった。
 義実は裸になっていて、単衣を捲っただけの五十子と交わっていた。
566名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 01:38:02 ID:ItNe8n/O
 五十子は自分だけが単衣を纏っていたことを知らなかった。
知っていたなら、顔から火を噴く羞恥に責められていただろう。
 義実の律動はゆっくりとはじまった。

 いのちを抱きしめられる快美に酔い、五十子の顔に咲いた唇の赤。
女子のくちびるにも血汐は滾る。
 華からは朝露の如く雫がとろりと垂れて褥の赤に滲んだ。
「あっ、あ、あ、ああっ」

「五十子を犬畜生などにはせん。安心して気をやるがよい」
「よっ、よいのですか。殿様の好きにっ、なさって、くうっ、あっ、あ、ああっ……」
「ならば、こうしてやろうっ」
「あっ、あ、ああっ、しっ、し、してくださりませっ」
 義実は五十子の帯を落としてから、ぐっと引き抜き、褥の外に投げ捨てた。
右脚を五十子の脚の淡いにもぐりこませ、義実は起き上がった。

「とっ、殿様。妾は四つにっ」
 躰を捩ろうとしてくる、五十子の乳房は縦に伸び揺れた。肉の寄り。
宙に舞う、細き腕が可憐だった。義実は五十子の不意の動きに射精しそうになって、
五十子の右脚を胸板にしかりと抱いて、じっと堪えた。
567名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 01:44:37 ID:ItNe8n/O
「こっ、これでよい。よいのじゃ。このままじゃ。犬ではなく鳥になれ、いさらごっ」
 義実と五十子の茂みが混じり合う。
「は、はい。義実さまっ」
「さあ、気をやりながら、儂を名付て鳴くがよいっ」

 五十子はひとり起き上がった義実に右太腿を抱かれ、横臥で開脚した
淡いを肉槍に穿たれて悲鳴をあげていた。打ち付ける下腹の音に、
湿った和合水の調べが重なる。
 宙に投げた右足と赤に這う左足の指は内側にもぐり、足裏の脛に皺をこさえていた。

 義実の汗が横たわった五十子の揺れる乳房に飛び散るのだった。
激しい責めに苦悶して、頭を掻き毟る右手を、伸びてきた義実の左手が救っていった。

 五十子は「義実さまああっ」と何度も何度も、気を失うまで叫んで
飛翔する燕となった。
 両足の指はいっぱいに拡がって外側に捲れていって、躰は硬直し荒れた海に落鳥した。
568名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 01:49:31 ID:ItNe8n/O
「儂はそちを殺しはせぬ」
「どうか、どうか妾をもっとかわいがって下さりませ」
 荒い息遣いの中、沈んだ快楽の深淵から引き摺り戻して欲しいと
五十子は哀訴する。
「あい、わかった」

 ふだんは睦み合うものなれど、戦に破れる凶兆に時が惜しい。
義実も明日に疲れを残すことより、肌の重ねに後悔など残して
出陣はしたくはなかった。
 そして安西景連の持ち込んだ影が、倒錯の炎でふたたび
男女(おめ)の春情をちりちりと焙っていった。

「殿、火急の用向きにござります」
「ひっ」
 膣内に呑み込んだままの逸物が、五十子に声を上げさせてしまった。
「構わぬ。入るがよい」
「……御免」

 赤の敷物を敷いた為に、間仕切りは立ててはいない。五十子は
横臥して義実と交媾していた為に、伝令にはかろうじて背を向けていた。
 伝令も心得ていて、奥方に恥を掻かせぬよう、頭を上げはしなかった。
569名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 01:53:15 ID:ItNe8n/O
「なんじゃ。申してみよ」
「はっ、八房が帰りました」
「なんじゃと」
「それが……」
「み首級を持参したというのだな」
「えっ、あ、はい。さようにござります」
「わかった、すぐにまいる」
「殿、いまひとつ」

「なんじゃ、いうてみよ」
「首検めをしようとすると、八房は低く唸って、家来の者を近づかせようとはしないのです」
「儂をつれて来いということか」
「さように思われます。どうか、首検めに、おいでくださりませ」

「あい、わかった。もう下がるがよい」
「はっ」
 伝令が去って、五十子は顔を隠していた両手を取って、義実を見ていた。
「義実様……いかがされました」
「……」
「義実さま」

「ん、なんじゃ」
「お顔の色がすぐれませぬ。いかがされましたか」
「八房が儂との誓約を守ったのじゃ」
 膣内(なか)の義実のものがみるみる萎縮したのがわかった。五十子の中に
得体の知れぬ不安が渦巻いていた。
570名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 01:58:35 ID:ItNe8n/O
 五十子は逸物の抜去されるのを待ってから起き上がり、義実に単衣を
着せた。義実は振り向くと、両手で不安がる五十子の両頬をやさしく
つつみこんだ。

「いさらごを存分に愛でてはやれなんだな。つづきは帰陣してからじゃ」
「ご武運をお祈りしております」
「いってくる」
「いってらっしゃりませ」
 つつんだ義実の手首に五十子の手が絡み撫でていたが、両手は降ろされ、
主は離れ、出て行って戸が閉まった。

 義実はことを密にすることなく、八房が安西景連のみ首級を獲ったと、
憚らず公言した。決戦に臨んで畜生に遅れを取るな、と鬨の声も上げ、
混乱した安西の陣に雷の如く攻め入り、怒涛の展開で敵勢を制圧をした。

 敵陣は将を惨殺され、かつそれが里見の犬と知った動揺は計り知れないものであった。
しかし、この勝機。里見にとっては瀬戸際の賜物でしかなかった。
571名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 02:03:48 ID:ItNe8n/O
 こと安西軍との闘いは熾烈を極めた。昔、安西領地が凶作の折に、
隣国のよしみと手を差し伸べたにもかかわらず、いざ里見方が
凶作に見舞われれば、手を返したように見て見ぬふりを決め込み、
弱り果てたところで城攻めを仕掛けて来た。

 檄を飛ばしても里見友軍の城はすでに包囲され、生命線たる補給は
断たれてしまった。食料不足は里見の喉元に届いた鋭い刃だった。
 時を経ず糧を求め小競り合いが城の中ではじまり、士気の低下を招いた。

 しかし城下では馬や牛を食らった者も出た。それならまだよい。
火を通すことなく、生肉を食したために疫病も流行る。
更には病死した者の人肉、腐敗した獣の死肉を食らうまでに至り、
地獄絵図となる。進退きわまり、討ち死にを決断するだけとなる。

 それを義実の戯れに端を発したとはいえ、八房は安西景連の喉笛を
牙でかっさき、首をもいで城に帰陣したのだった。灰白色の体毛が
血染めになった八房を見たときは、城の誰もが妖魔が里見に舞い降りたと
信じて疑わなかった。
572名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 02:08:55 ID:ItNe8n/O
 魔性の者なのか、御仏の使いなのか。
 いまさらここで真偽を求めたところ、伏姫には意味のなきことだった。
昨日までは飼い犬と思っていて、ずっと可愛がってきた。
「八房殿……は、策士なのじゃな」
 少しでも心の距離を縮めようと努力して、伏姫は口をひらいた。

『馴染まぬのならば、呼び捨てでよい』
 八房は伏魔殿をめざしている。そこで、この身は闇に完全に閉ざされてしまって、
日々仔を孕むまで、肌に黒爪を突き立てられて交わる。
 孕んでしまっても八房は繋がることを求めるだろうかと、伏姫はさむくなった。

「そうはいかぬ。妾はそなたの妻となった。妾は八房殿の妻なのじゃ」
 事実を認めるという発話にこそ意味があったが、言葉尻は弱々しくなり
微かな顫えがあった。
『かまわぬ』

「そのようなことを、いわぬでもよいではないか。妾は……」
 八房を責めるような、伏姫の拗ねた弱音とも甘えともつかない発話に、
あえて受け流そうかと思案したが、八房は繋いだ。
573名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 02:16:03 ID:ItNe8n/O
『里見の城が恋しゅうなったか』
「だ、だれがじゃ」
『主さまがじゃ』
「主じゃと。妾は……」

『気を張るな、伏姫』
 父、義実の声で精神に語られると、伏姫は眼に涙を張りそうになった。
流れ出そうな涙を隠す所作は取りたくはなかった。

 八房が珠梓の化身の狸に育てられたという場所。まわりの壁に石筍(せきじゅん)の
かたちが薄く見て取れた。
「それにしても、みごとなものじゃ」
『見えるのか』
「洞窟に眼が馴染んだのじゃ」

『フッ、ハハハッ』
「嗤うことはなかろうに。妾は……どうすればよいのじゃ」
『そなたを愛しいと思っただけじゃ。気に障ったか』
「そ、そのようなことはないが」
『わるかった、赦せ』
 意外な言葉に、八房に人としての親しみを感じていた。

「やさしいのじゃな」
『やさしいか』
「そ、そう思ったのじゃ」
『なら女子はどうなのじゃ』
574名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 19:33:58 ID:ItNe8n/O
「妾のこと、眼鏡違いをしておられる」
 伏姫は足を止めた。
『五十子殿もよう知っておる』
「母上と妾を比べるというのか」
『似ているといったのじゃ』
「おなじではないか」
『おなじなどではない』

「八房殿は女子の心を知らぬ、と、いうたではないかっ」
 伏姫は語気を荒げていた。
『そのようなこと、申してなどおらん』
「似たようなものじゃ。だから八房殿は妾に訊いたのであろう」
 打ち解けるどころか、伏姫と八房は暫らく黙ってしまった。

『女子のこころとな』
「側女を父上は置かぬ。それが、どういうことなのかを母さまから教わった」
『五十子殿にか』
「ただしくは、母上の……。もう、この話しはよいではないか」
『なぜじゃ。儂は聞きたい』

「女子の悋気(りんき)は怖いものぞ。八房殿は花といっしょにいる
女子を良いと思うたことはないか……」
『うむ』
「女子のだれもが、等しく花を好いているわけではない。無論、こころも違ってはくる。
うつくしゅう思ってはいても、それぞれなのじゃ』

『それは道理であろう』
「たしなみとされるのは嫌じゃ。また、賞(め)でてはいても、どこかで花を愛しているという心に
己が酔ってしまっているのじゃ。それが女子。女子というもの……なのじゃ」 
 華美に飾るのも、男子あってのこと。されど、男子ほど単純ではなく。
575名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 19:42:53 ID:ItNe8n/O
『五十子殿の教えか』
「ちがう。叔母上からじゃ」
『よいではないか。花の精は心を苦しゅうさせるものじゃ。
男子にとっての女子もまたおなじ』

「よくはないのじゃ!よくなど……と。女子が不浄とされる謗(そし)りは
永劫に免れぬ。のがれられぬのじゃ」
『伏姫もそうなのか』

「妾にはわからん!」 
(玉梓……は、なにゆえ、里美に仇なすのじゃ)
 伏姫は闇の蠢く者の気を感じて、躰を硬くし身構えた。
『いかがした』
八房に連れられ、玉梓のあぎとに踏み込んだ刹那、伏姫は肌に
妙な気を感じてはいた。

 空いていた、もう片方の手で、首に掛けなおした、数珠の八つ黄水晶を
そっと握りしめた。また、伏姫の中のべつのなにかが共鳴して。
「残留した、玉梓の怨じゃろうか。収斂(しゅうれん)されるのか」
『玉面(たまつら、狸の別称)の居たところじろゃ。錯覚ではないが、
多少はあるとみるがよい』
576名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 01:40:04 ID:InAopByr
「あい、わかった。邪悪な怨は八房殿と妾で、とうに退けたのじゃ。
彷徨如きに、もはやまどうことあろうか。取るに足らぬことじゃ」

伏姫、剥き出しの怒りに身を委ねるがよいわ。
心地よいものぞ。怒りに抱かれるがよい。
終わりなどではないわ。始まりを。石柱の心で、妾は永遠を体現す。

魔性の欠片に、護身刀と銀簪(かんざし)をあぎとの傍に置いて来たことを、
いささか悔いて、伏姫はうしろを振り返りそうになった。
『我の背に乗れ。戻る』
「なにをいっておるのじゃ」
『護身刀を取りにじゃ』

「よい。あれは魔除けにと、外の固めに置いたというたであろう」
『よいのだな。誠、悔いはないのだな』
 どちらも護身の物であったが、刀は義実から、簪は五十子が、
伏姫にと贈ってくれたものだった。ないといったら……嘘になる。
577名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 01:48:16 ID:InAopByr
『戻る』
「よいっ。よいのじゃああっ、八房。妾は……」
 いまは、この珠にだけ縋って。縋る……とな。御仏に。御仏にじゃ。
 八房などに……。獣とこれから交わらんとす、
妾は……いったい何者なのじゃ。御仏は応えてくれるのであろうか……。

 光りが消えてゆく。
 なんという女子……であろう。妾は非力にして、不浄なる者でしかないではないか。
玉梓とさして……変わらぬ。
 否、妾は里見の為に、怨霊と凶兆への拮抗の力。子種を授かるだけの器……なり。
そうであろう。それが妾の真名であるのならば、かりそめの躰にさしたるこだわりも、
なんの意味なども持たぬわっ。
 
 仔は八房殿に託し、賭して、これからの道を示すだけ。そうあればよい。
それだけじゃ。それで妾は倖せなのじゃ、
と、伏姫はいくら鼓舞してみせても、そこはかとない迷いは突然に
やってきて、日没の鴇色をゆるりと描きだした。
『戻るがよかろう。考え直せ』

 いかようにして、犬の仔が妾の孕んだ腹から出てくるのか……。

「何度もいわぬ。妾を愚弄するなああっ!」
578名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 02:04:58 ID:InAopByr
 落ちる陽の色が妖しく、恨めしそうに万物を血色に染めて、
伏姫を掴んで離さず。心はどうしようもないくらい、せつなくなって胸を突く。

 里見の城との突然の別れ。だれにも語ることのなかった伏姫の風景。
先刻までの死闘と、玉梓の怨の予兆のかさねに歩みをとめて、
伏魔殿への導きをいま切ってしまおうかと、伏姫は八房に置いた手を
ほどきそうになった。ほどけば、ほんとうの孤独が伏姫を待っている。

『さようか』
「す、すまぬ。言いすぎじゃった。心細いのじゃ。たまらなく。たまらなく。だから、妾は……」
『……伏姫』

「八房殿を失いそうになって、あれほどに泣いたというに」
 あれは此処より生まれし、長年により培われ育まれたものと、
伏姫は気に止めぬと刻む。魔は退けた。
 たぶんに、霊山へ女人が入ったという、禁忌を破った心の昂ぶりが
そうさせているのだろうと至る。

 禁忌じゃと……。ああ……っ。
 伏姫の根はくじけ、狂いそうになっていた。 
 もっと。信じて、信じたい……。
 信じるのじゃ。
579名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 02:37:09 ID:DKIt+DEh
涙が出るほどGJ!
580名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 03:49:02 ID:YTTAvn0H
GJ!そして乙!
581名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 22:06:15 ID:Walh4tVB
捕手
582名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 03:46:52 ID:+wbmAOzK
なんかすごい勢いで続編キテターーーーーーーーーーーーーー!!!
583名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 02:18:50 ID:Or4wc1Vq
 もっと強く、
 愛を――。

 靄につつまれて、わだかまりに伏姫は眉根を微かに寄せた。
「うっ」
 小さく呻いていた。八房に届いてほしいという願いもあった。
 もしかしたら珠の感触なのかと、宝珠に飾られた胸元を伏姫は見下ろした。
数珠を掛けた場所は桜色の痣になっていた。

 変容した珠の波動の伝播は、伏姫の霊力を鈍らせ、痛みを温かな波動と
錯覚させていたのだと知った。八宝珠・黄水晶の翳りに。

「い、いつからの……ことなのじゃ……」

 ――めぐり逢いを。

 霊験あらたかな宝珠による胸に微かな痛み。乳房なのか、心の臓へと
つづく圧なのかは伏姫にわからず。
 御仏の教えに背いてまでも、力を得ようと獣と交じわらんとす、
仏罰なのかと、総身に拡がる疼痛に伏姫は顔を歪める。こめかみには
細かな珠の汗を噴いて、髪をへばりつかせていた。
584名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 02:26:00 ID:Or4wc1Vq
 背を丸め、伏姫は頤を上げた。うしろから闇の手が髪に触れられたような気がした。
洞窟の漆黒に一点の裂け目が生じ、雫が滴る。鴇色から茜に色を変えて溢れ、
伏姫の足元に伝ってくる。

 血池は女子の不浄とす。
 伏姫のなかで、八房の姿が靄になって散る。
 玉梓怨霊との闘いから煌々と光っていた宝珠。更に光りを増して、黄水晶の中に映る、
仁義礼智忠信考悌の八文字は薄らいで、伏姫は手にした宝珠に目を凝らした。

 常時、光りを放っているわけではないことは心得てはいたが、尋常ならざること。
「殿……。八房殿……。待てくれ。待てというにっ。妾を置いてゆくなっ。
赦さん。妾から離れることなど、赦さんぞっ」
 黄水晶には、べつな影が浮かび上がって、今ある文字を喰らい、
あらたな真名を形成しつつあった。

 里見の国を。
 父上と母上を。
 弟、義成(よしなり)を。
 忠義な家臣を。
 民を愛することが、これからの扉をひらくと信じていたい。
 あしたへ。
585名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 02:30:39 ID:Or4wc1Vq
「夢を叶えることが妾の……」
 この身をさわやかに過ぎ去る一の風とし、涼やかに、しなやかに、
そして強くありたいと、己を律してひたすら祈り続けた。

 だが、宝珠は伏姫の心の祈りに応えることはなかった。やわらかな
黄金の光りを消失し、変わりの珠文字が明瞭に読み取れていた。
 畜生道。すなわち八房が伏姫のこれからを示す……、と八宝珠にはあらわれていた。


 珠の最初の変化に伏姫が気づいたのは、城奥庭で八房の首に両腕を巻きつかせ、
抱きついて遊んだ童女の頃だった。
「これ、伏姫や。そのように飼い犬とじゃれあってばかりいてはなりませぬ」
 芝に腹這いになっていた八房は頭をもたげ、愛らしく垂れ下がっていた両耳を動かした。

「なぜですか、母さま。伏は今日の手習いは、もう終えました」
 そうなのですか、という意を含みつつ、侍女たちを五十子が一瞥すると
侍女の皆が頷いて応えていた。
586名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 02:35:41 ID:Or4wc1Vq
読んでくれて、ありがとうございます。
八房との具体的な絡みがないのに、
ほんとうに、感謝です。
587名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 02:55:17 ID:Or4wc1Vq
 伏姫は五十子に発話してから激しくうろたえた。
 あまりにも八房との遊びに夢中になっていたことで、五十子に
ぞんざいな応えをしたこと。
 さぞかしお気を悪くされたのではないかと、酷く心配になっていた。

「母さまに口ごたえをした、伏をお赦しくださりませ」
 心配は無用だった。五十子は伏姫の瞳を見て、心が重なる気がした。 
子に戻ろうとするとき、伏姫は母さまと母上のふたつの言葉を選んで、
時々に使い分ける。

「そなたを責めてなどおりませんよ」
 そんな伏姫を五十子はずるいとは思わない。むしろ五十子の伏姫への
情愛は濃くなる。
「まことですか、母上」
 五十子は微笑んでみせた。

「八房は大きくても、こんなにも可愛いのです。母さま、もうすこし八房と
一緒にいさせてくださりませ」
 五十子の赦しに、すぐに伏姫は発話していた。
588名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 18:08:06 ID:cVBZoBb9
「されども」
「よい匂いもいたしまする。これは陽の薫りなのでござりましょう。
母さまもいかがですか。こうしてみては」
 八房の首のふさふさとした体毛に、小鼻と頬を擦りつけると、伏姫の明るい
笑い声が城の裏庭で響いていた。

「八房も纏わりつかれて、さぞかし困り果てているのではないのですか」
「そうかのう、八房」
 覗き込む八房の表情からは、その心は読めない。五十子の緊張は高まる。
薄く口を開いて、牙をみせていたかと思えば、閉じて、おもむろに裂けた口から
溢れさすように舌を出す、この繰り返し。
 仔牛ほどの体躯に、犬の所作は見る者の恐怖を煽った。

「どうじゃ、妾に答えてみよ」
 尾で、ぱたぱたと芝を叩いていた八房は一声大きく咆えた。
野太い声が裏庭の空気を破るように響き、周りの侍女たちを驚かせた。守役たちは伏姫への
務めを一時忘れ、身構えてしまっていた。
 五十子もおなじ間を取ったことをいたく恥じていると、伏姫が無邪気な笑顔を向けてきた。
589名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 18:22:18 ID:cVBZoBb9
「母さま、八房の声、確とお聞きになりましたでしょう」
 伏姫がかつては病弱だったとは、今では信じられない五十子だった。
 宝珠を授かった法師への感謝。
 参籠を赦してくれた夫、義実への忠誠。そして――伏姫の災厄からの
守りとして飼われた八房……。

「誠によい犬じゃのう」
 その八房の声。すなわち、心。八房の挙動を見ていた五十子は、
畜生が見る先にあるものを実感してしまう。
「はい」
 心。五十子に悋気の炎がぽっと灯った。
「よい犬じゃ」

「そうでござりましょう」
 童女にして、名花の五十子に通じた、うりざねの怜悧な顔立ち。
額に、はっきりとした意志を示した眉のかたち。唇は花のつぼみのように
ふっくらとしていた。

 五十子を向いたことで、伏姫の頬垂れ髪と胸垂れ髪を揺らして、白い耳が尖る。
黒い童女の瞳に吸い込まれ、五十子は眩暈を感じた。
 伏姫の両耳が、犬のものに見えた。
590名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 00:16:39 ID:E5Z9zEFN
>>588
(;´Д`) ハァハァ…GJ!続き楽しみに待ってるよ
591名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 05:53:19 ID:WIERDQVH
ちょっと気を抜くと大量うpしている…うーん、読みますた!
592名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 16:02:06 ID:kjfF5eAB
「この忠義に応えてやらねばの」
「八房。母さまが、そちに褒美をくれるそうじゃ。喜ぶのじゃぞ」
 愛らしい顔で伏姫は八房を覗き込むと言葉を解するかのように
尾を盛んに振りたてている。

 五十子は八房の頭に手を伸ばした。
「母上から褒美をもらうがよいぞ」
 八房はまた高らかに、ひと咆えした。

 伏姫の気性は少なからず、母の五十子からもたらされたもの。
五十子はいささかも身じろがず、八房の頭に手を置いて撫でながら、
拇の頭で鼻筋を擦ってやると、八房はうれしそうに眼を細めていた。

 一人の侍女が素早く寄って、五十子の手に和紙に包んだ砂糖菓子を渡すと、
伏姫も八房と一緒に五十子の動きを追った。
 際立つのは、伏姫の頭と四肢の動きのせわしなさ。平素より姫としての
立ち振る舞いは薄まって、愛らしいだけの童女になる。

「きっと、心が重なっておるのじゃな」 
(心とな……、妾はなにを言うておるのじゃ)
「はい。母さまっ。八房と妾は――」
 伏姫の真直な声が五十子に応えていた。

593名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 16:12:59 ID:kjfF5eAB
 五十子はつつみをひらいた、白い花の上から菓子を取って差し出した。
八房が頬張ると、五十子の掌は僅かに唾液が着いた。五十子への感謝と
親愛をこめて、ひと舐めしていた。

 五十子のなかで、歪みが水底から気泡となって幾つも湧いてくる。
気泡は水銀のように硬質でありながら、とらえどこなく、水面に近づくにしたがい、
陽をあびて耀きは増していった。

八房の心に重なろうとする伏姫に五十子は煩悶した。それがどこから
来るものなのか、探れども、茫漠としてとりとめがなかった。
 あるとしたなら……。思いつくは、夫、義実との房事。

 いらぬ取越し苦労が、いずれ凶兆を招くだろうことも心得てはいた。
だが、伏姫のことを思っての参籠は正しかったと思う。それだけは
五十子の確信だった。

 華奢な躰にあふれ出る伏姫の気。未知の力をたくわえた器が心許なくも見え、
まだまだ庇護しなければならない存在なのだと思う。
 母として臨む証しに、ほほえましく、それだけで五十子は倖せだった。

594名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 16:21:06 ID:kjfF5eAB
「ほら、伏姫も八房にやりなされ」
と、菓子を分け与えた。
 伏姫の舞った濃やかな五十子ゆずりの黒髪は、八房の巨躯を撫でていった。
その場の微妙な気のみだれを感じる。

 八房は発情に至らないまでも、尊いものと八房の鋭敏な嗅覚は、歓んで
幼き貴人の匂いをと、肺いっぱいにと送り込むのだった。
 伏姫の臀にまで伸びた、黒髪の呪力に、八房は完全に縛られ虜になっていた。
 病弱だった娘の守りにと里見城の裏庭に飼われ、主は里見義実なれども、
八房にとっての真の主人は伏姫しかいなかった。

 菓子を分け与える際に、五十子は八房に問うてみた。

 妾の娘、そなたは夢のなかで遊んだのか。何度戯れた。
 いうてみよ、八房。

 五十子は八房の瞳に黄水晶の耀きを見ていた。
 八宝珠の数珠ではなかった。参籠の際に法師が泣叫ぶ赤子の伏姫の胸元に
置いた時の輝きにあらず。
 深淵な闇から、こちらの様子を虎視眈々と窺っている誰かの双眸の黄金色。
595名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 16:24:03 ID:kjfF5eAB
 そなたは誰じゃ。いったい誰なのじゃ。
「奥方様」
 あやかし……なのか。八房……。
「……」

「五十子さま。いかがされました。御気分がすぐれないのではありませんか」
「いや、なんともない」
「僭越ながら、しばし、縁側にておやすみになられてはいかがかと」

 小さな躰をものともせずに八房にぶつかり、たくましい首にしがみつく我が娘。
剥き出しの恋情を畜生に見た気がした。
 もしかしたら、娘の心にも――。五十子は到底信じることなどできず、直ちに
打ち消そうとしていた。

「案ぜずともよい」
「さようにござりますか」

 閨で肉交に励む折りに、逸物と崇めて義実に縋るしかない、自分の
あさましい姿を見てしまいそうで、怖くなってしまったから。
 だからなのか、伏姫が八房に跨ることも、五十子は真っ当な道理をつけて、
伏姫のそれを良しとはしない。
596名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 16:30:17 ID:kjfF5eAB
「伏姫や。さりとて、畜生は畜生。これは事実なのですよ。主君と家臣がかくあるように、
八房に、人とのけじめは、ちゃんとつけねばなりますまい」
 五十子は昂ぶりつつあった感情を殺して、やさしく伏姫に説いた。

「さように思いますが、ほんとうは母さまもこうしたいのです。それに八房は特別なのです」
といって仔牛ほどの八房にまた抱きつく始末。
「これこれ、伏姫」

 五十子は正直、八房が苦手だった。娘と親しく遊ぶ様はやはり微笑ましく和むもの。
 だが、犬の貌は表情が読めないから。
 義実は尾をみればよいではないか、と笑い宥めようとするのだが、
五十子は納得できないでいた。

「伏姫や。どう、特別なのですか」
 故意ではないにせよ、仔犬らがじゃれあうようにして、八房も伏姫に、いつ何時
喉笛を噛み切りはしないかと不安でたまらない。そういった平素に潜む闇もある。
 侍女たちも同様の不安を絶えず抱えていて、その言葉を聞いて
見に来たのだった。五十子に裏庭に来なければよかったという思いが掠めていた。
597名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 00:15:22 ID:+1emLB/o
「母さまは先刻、申されていました。心が重なると」
「……確かに言うたが」
「わかるのです」
「なにがじゃ」

「母さま、妾には八房の心がわかるのです」
「着物に八房の涎がつくのですよ。それに八房の体毛も」
 もう五十子は待ってなどいられなかった。
「体毛は抜けませぬ。八房はこんなにも忠義な犬なのです」

 確かに八房は、季節の変わり目にも体毛が目立って抜けたことなど一度もなかった。
奇怪といえば、八房は犬と馴染まぬ、狸を母とするとも、譲り受けた
世話人からの話も聞いてもいた。

 伏姫を抱こうと近づく五十子に八房は立ち上がった。
 その時の、伏姫が首に掛けていた、宝珠の変化を五十子は見逃しはしなかった。
黄水晶の八宝珠は、温かな色を消失していた。
598名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 00:32:35 ID:+1emLB/o
 如是畜生、発菩提心

 八房はいきなり近づいた五十子に驚きはしたが、無邪気に尾をふって
応え、伏姫を五十子に返そうとした。

「母上。母上。母さま……いかがされましたか」
 顔面蒼白の五十子を伏姫は見ていた。畜生に抱きつく伏姫が、
五十子の頭にあぶな絵となってゆらいだ。

 もちろん五十子は、獣と女人の交媾絵図など見たことはない。
折に侍女たちが、戯れに話しをしているのを小耳に挟んだ程度のことで、
それに侍女たちは珠文字の変容には気がついてはいない。

 さすれば、早くに五十子の元に報告に来たはずと合点しようとも、
いいようのない凶兆の不安が躰の毛穴をひらいて滲みくる。
 噂の出所を五十子はようやく、真に肌で解するのだった。

 凍りつく五十子を見て、伏姫は泣きそうになった。ようやく五十子は
伏姫と眼を交す。
 伏姫は五十子が自分を見ていたのではないと悟った。八房の背から
掠め取られ、抱きかかえ頬擦りをされた。
「そなたはよい子じゃ、よい子じゃ」
「母さま、母さま……」
599名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 00:48:33 ID:+1emLB/o
 伏姫は胸元の変化に気付き、その時、八房の尾が一瞬、まっすぐに
垂れ下がったのを、周りの誰もが見落としていたが、それは仔細なことだった。
 かかる新たな凶兆を、五十子は伏姫の命を抱きしめながら、
ひしひしと感じるのだった。
 八宝珠と八房を守りとし、伏姫の凶兆は退けられたと信じたはずだった。



 伏姫の赤子の頃は、病弱で言葉もろくに発せず、尚且つ笑いもしない
年月が三年過ぎていた。我が娘に降りかかった不幸に心を痛めない親はいない。

 伏姫の災厄を祓うため、かねてより、五十子たっての願いを
粗略に扱うことはできないと、里見義実は悩んでいた。
 義実は、安房郡(あわ)の国、洲崎明神(すさき)に参籠させると、
ようやく肚を決めていた。

 だがそこは、安西景連(かげつら)の領地。
 たとえ隣国といえども、そうそう融通がきくものではない。
600名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 00:55:00 ID:+1emLB/o
 領地ではない場所に赴かせ、洲崎に参籠させようとするこの願い、
伏姫の身を案じた五十子も重々承知してのことだった。
 妻の母としての祈りが伝わればこその決心だった。

「無体とは存じております。しかし、このままでは娘の、伏姫の命が
立ち行きませぬ。なにとぞ、お願いしとうございます。殿様のお情けを
いただきとうございます」

 義実が寝所に入るなり、五十子は再度伏して願い出た。我が娘の為なら
命を捨てる覚悟もあった。
 義実は和合に至ろうとする場所で、深刻な悩みを抱え、思わず情けを、
といった五十子の言葉に苦笑していた。

「願い、確と心得たと昼にも申したはずじゃがのう」
 慈愛に満ちた、やわらかな義実の声ではあったが、五十子は緊張で
それすらもわからず躰を硬くしてしまっていた。

 このようなことで、躰をひらくことができるのかとも、唇を紫にして。
 子を守ろうとする五十子の姿は義実に美しく見えた。それを抱いて崩すと思うと、
陽根に血汐が滾りだすのがわかった。
601名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 01:01:12 ID:+1emLB/o
 儚い女子を愛しいと思う心。女人を凋落させ、賞でることの
葛藤があった。白単衣に形つくる五十子の臀のまろみに乗った、濃やかな黒髪が
はらりと蒲団に落ちた。
「男子とは罪つくりなものよ。赦せ、五十子」

「はっ、はい……」
「儂が信用できぬのか」
「めっそうもござりません……」
「語気が消え入りそうじゃな」
 義実はまどうている、白単衣の女体を引き寄せて、きつく抱きしめた。

「あっ……」
 子ならまた作れば良いというのか、
と五十子は訝りそうになるが、義実の大きく温かな両手で白単衣の上から
揉みしだかれる。
 心地よさに五十子の臀はむずむずとなって、躰は宙に浮いて跳ねそうになった。

 お情けを
 妾にきわみをさずけてくださりませ
602名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 01:22:20 ID:+1emLB/o
 五十子の首筋に、うしろ獲りした義実の唇が吸い付いて、
そこは白肌に桜の花弁を散らした。

 男子のあふれる春情に女子は呑み込まれてしまいそうで、
いてもたってもいられなくなり、貌を捻って行って義実の真意を
確かめようとした。

 五十子は唇を合わせられ、心の岩戸を押し開き蕩けされる。
肉情に埋没しそうと、思わず両膝を擦り合わせていた。
 瞼に浮ぶ陽根に、下卑た言葉としりつつ、逸物と思わなかった
己を五十子は責めて、肉魔道に堕ちて躰は弛緩した。

 本心ではない抗いを綯い交ぜに、両の乳房に乗る、義実の手首に
五十子は手を妖しく絡めていた。

 五十子は乳房に埋まる指頭に、眉根を寄せ吊り上げていた。
 強く、ときには撫でるように。乳房を揉む手に呼応して、義実の手首と
甲をいらったり握ったりもした。

 苦悶の声は義実の唇に呑み込まれ、かわりにぬくくて、とろりとした
甘露な蜜が流し込まれ、口端から幾らかあふれ、頤を濡らして首筋にも伝う。
603名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 18:21:29 ID:+1emLB/o
「んっ、んっ、んんっ、ゆっ、ゆるしてくださりませっ」
 白衣の上から、義実に肌を弄られ、息はみだれて、しっとりと濡れた
吐息が、五十子の唇から洩れた。

「もう、よい。よいのじゃ」
 義実の口が五十子の髪を掻いて低く囁くと、女芯を微かに響かせた。
そのあとで、舌先は五十子の耳に入ってくる。

「はああっ」
 参籠を直訴し続けていたことといい、そのことを閨にまで持ち込んでしまったこと。
罪の意識に五十子は疼いた。ならば、義実に簡単に堕ちてしまう、
卑しい女になりたくはない。思われたくない。武家の娘としての気位か。

「な、なりませぬ」
「合わせようとするときに、五十子が閉じてなんとする」

 衣を剥がないで、胸元から義実の手が滑り込み、右の乳房がこぼれた。
ぷくっと膨らんだ乳暈の周囲をすすっと、義実の指の腹が刷いて、
そこに載った尖りを指頭が浅く圧してから、人差し指とで摘まれる。
604名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 18:25:33 ID:+1emLB/o
「殿様っ」
 唇は五十子の白い首筋を這った。
「今は忘れよ。わしを信じるがよい。よいな」
 義実の頭は揺れて、擦り付けられ、語りかける。男子の荒い吐息と、
掛かる圧に五十子は痺れた。
 
「はっ、はっ、はあっ」
 肉の疼きが勝っていて、五十子の岩戸から和合の誘い水がとろりと
溢れ出ていた。

「わしの名をよべ、いさらごよ」
「さっ、義実さまっ」
 縋る夫の名を発話しながらも、すでに心は春情の霧に迷い、
没頭し始めた。

 五十子の眼は焦点を失っていた。

「なんじゃ」
「い、いっしょに」
 名花の酔芙蓉の如き色つきのみだら。たくましい男子に、縋る歓び。
相対して、睦み合う昂ぶりが、さらなる昂ぶりを呼ぶ。
605名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 18:32:41 ID:+1emLB/o
 五十子は裸に剥かれ、蒲団に仰臥した。ひりつくような渇きを
下腹に感じながらも、義実に両膝をひらいていって、絖り蠢く
赫い花を差し出した。

 両手は腰の脇に、義実の恥戯に耐えて、耐えて、蒲団を握りしめる。
喘ぐ両の乳房は義実へとひらいて。

 義実は舌先で、膨らんだ螺肉(つびにく)を丹念に舐め廻してから、
雛尖(ひなさき)を鞘より捲り、先で圧して嬲った。

 暫らくして、乳房から義実は離れていった。五十子の両太腿を束ね、
右へと、抗いを静かに寝かせた。
 蒲団の上の五十子の肢体は、腰を捻った形となった。

「いさらごを賞でることができぬのが惜しい」
「あっ、ああっ……」
 先のことに、羞恥に焙られた声を五十子は洩らす。

 義実は己の唇と、寝かせた女人との螺逢わせをしようとしていた。
女人ふたりが閨で快楽にけぶるのに、合わせは相対して睦み合えば
それでよいが、男子の口との逢わせには、これがいちばん適していた。
606名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 18:52:11 ID:+1emLB/o
 義実の唾液と五十子のしとどに濡れる美肉。ふたりのものがいくら
交じり合っても、かりそめの和合水。
 されど、あけすけに音をたてて、啜られる五十子の身はたまったものではなかった。

 火消壺で義実の怒張を慰めたい。満たされたい。義実のたくましい、
腰さばきで沈められたい、という祈りは続いた。
 それでもせつなく顔を捻って、五十子はただ待って、歔いているしかなかった。

 義実の怒張姿を描いて、侘しさを埋めようと、瞼を灼いていた。
埒がないと思っていたら、ふたたび戻されて五十子は拡げられた。
 胴と脚を繋いだ筋が張って、絖る淡い近くの内腿を割っていた。
下腹は羞恥に痙攣していた。

 五十子の膝蓋に、義実の愛おしむ温かい両手が乗る。
「だっ、抱いてくださりませ。……たまりませぬ」
「わかった」

 手は膝裏にもぐって、五十子も義実を助けるように両太腿を抱いた。
義実の熱い逸物が挿入され、羞恥に染まった顔は感極まって仰け反る。
「うむっ」
 五十子の相。雪白に咲く、赫い唇は、妖しい闇を描いていった。

「休んでおるがよい」
「あ、あっ、ああっ」
「よいというておる。いさらご、降ろすのじゃ」
607名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 00:34:46 ID:P+UYWpfq
 五十子は義実に従い、両太腿の裏で結んだ腕をほどいた。
蒲団に落ちた手は、律動を受けながら、徐々に義実へと這って、
散らばった黒髪に突いている手首を掴んだ。

 義実は五十子の脛を肩に担ぐと、腰を深く入れて、尖端で小壺を
押し上げる。
 五十子の手は登っていって、揺さぶりに振り落とされまいと、
義実の腕に縋った。
 義実の重みが、五十子の乳房のかたちをいくらか拉げさせた。

「お、奥にっ、とどいておりまするっ」
 義実も腰さばきに集中しようと、突いていた両手を花が咲くように
外ひらいていって、逆手の位置にした。

 縋る肉襞を払うように退いて、ずん、と一気に深く五十子の膣内に分け入る。
五十子は真一文字のかたちに唇をしめていても――

「ひっ」
 宙にあった五十子の両足。せつなさに内側にちぢこまっていた足指は
反り返って、指股を晒し、義実の腕に爪を立ててしまう。
608名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 00:41:13 ID:P+UYWpfq
 義実は五十子の滾った火消壺を攪拌して、また退いてゆく。
「ああっ」
 ――噛みしめてみたところで、声は洩れしまった。

 満たされたかたちを逃すまいと、義実の腰に枷を掛けようとしても、
術である両足は義実の肩にあった。

 ずん、とまた義実の突きが入って、
「うむっ」と、生臭い呻きを吐いた。
 肉を叩く和合音と、湿り気を帯びた音が薄暗い閨を支配する。

「も、もっと」
 五十子は腕から離れ、肉槍で突きを繰り出す、義実の腰に
触れようとした。

 手は義実の臀肉を割って、強く掴むことはなかった。五十子を心から
揺さぶる腰に、やさしく羽根で刷くようにしただけ。
「もっと、なんじゃ」
609名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 00:44:25 ID:P+UYWpfq
「ああっ、そのように……」
 義実は両脚を担いだまま降りてきて、両手で五十子の交媾に喘ぐ顔を
抱きしめた。律動は止まない。

「そ、そのように」
「くるしくはないか」
「あ、ありませぬっ」
「まことか」

「いっ、いつわりなど」
「相が歪んでおるぞ」
「あっ、あっ、ああっ」
 義実は五十子の美富登への責めの手は緩めてはいなかった。

「きれいじゃ」
「うっ、あんっ」
 確かに義実の重みは、屈曲した五十子に苦しみをもたらしたが、
麗人は交媾の歓びに染まり切っていた。そして、更なる極みを欲して。
「きれいじゃ」
「あっ、あっ、あっ、お、お情けをっ、くださりませっ」
610名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 00:52:36 ID:P+UYWpfq
「きれいじゃ、いさらご」
 義実は一儀に煩悶する、五十子の貌をもっと抱きしめたいと思った。
「暫し、耐えよ」
「情けをっ」

 声は五十子に届いてはいなかった。義実は右肩の足を掴むと、
左肩に寄せ、束ねた両脚を上に、褥に横たわった。

 五十子は斜めに両脚を宙に突き出す格好で、義実と横臥で睦む。
義実の腕につつまれ、嵐に揉まれた五十子の貌は童女のようになって、
泣いていた。

「行くのじゃ」
「逝きまする」
「いっしょにじゃ」
「義実さまっ」
「いっしょに」
「いきまするっ」

 義実の鈴口がひらいて、飛沫は五十子の子壺を叩き、硬直した。
 水底に深く沈む感覚から、義実により繭にされ、闇に包まれた五十子の躰は、
更なる息苦しさと狂おしさをあじわいながら、白閃光に灼かれていった。
611名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 00:57:33 ID:P+UYWpfq
 城下の紙漉きに特注させた、簾紙(みすがみ)を、義実は桐の箱から
取り出してきて、仰臥する五十子の絖る淡いにあてがった。

「ああ、たいせつな子種が……」
 閨事では本来、妻が夫の始末をするのが役目。
 五十子もまっとうしようと躰を起こそうとしたが、義実が制止して
立ち上がっていったのだった。

「もうよい。楽にしておるがよい」
「もうしわけありません」

 子壺にしぶかれた子種を溜めたまま、ひと時じっとして睦み合って、
過すのも夫婦仔授かりの倣いでもあり、それを破ったことに、
女子としての役目をないがしろにした責めが重く圧し掛かっていた。

「いかがした。まだ参籠のこと、こだわっておるのか」
「いえ。もう……」
 確かにまだこだわりはあった。
612名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 01:17:20 ID:P+UYWpfq
「金碗孝吉(かなまりたかよし)の仕事が一段落するまでと、
儂は思っておったのじゃ」
「金碗……」

「そうじゃ。乳母といっしょに夫婦とみたてて、送るつもりでいた」
 義実は五十子の膣内に果てたとき、ひとつの策を思い付いていた。
 それは策というより……。

「うれしい、義実さま」
「愛いやつよ」
 五十子は顔を赧らめるしかなかった。

「されど、そう容易くは無い。洲崎は我が領地にあらず」
「……はい」
「仕込みもなにかと必要なのじゃ」



 翌朝になって――。
「きのうのことじゃが」
 義実にそういわれ、昨夜の情交に五十子は頬を生娘のように赧らめて俯いた。
613名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 01:25:53 ID:P+UYWpfq
「これ、いさらごや。話しを聞いておるのか」
「は、はい。殿様」
 しょうのないやつじゃ、と思い、義実は五十子をからかってみたくなった。

「今宵も励むとするか」
「お、おおせのとおりにいたしまする」
「なら、ふたりで行く気はないか。昨夜もいさらごは何度も、何度も
行くというたであろう」

「は、はい」
 義実がなにを語り掛けていたのか、要領を得なかった。肉交のことを
はばかりなくしゃべられて、困窮していた。
「ゆくのじゃ」
「い、いかようにもしてくださりませ」

「これ、伏姫の参籠のことじゃ」
 さすがにかわいそうになって本心を打ち明けた。
「はい」
「忍んで行こうというのじゃ」

「……は」
「なんじゃ、そのまのぬけた返答は」
 義実はひさしぶりに豪快に笑っていた。
 命賭けの道行きになるかもしれなかったが。
614名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 09:06:34 ID:oMA/AY4q
俺も励むぜ!


ひとりで…
615名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 01:10:00 ID:y0a9oADH
 義実は金碗を呼びつけ、夫婦で洲崎参籠に行くことを伝えていた。
更に洲崎明神にも里見義実と、その妻、五十子が参ることを伝えよ、
と命じた。

「その命には従えませぬ」
 金碗は頭をさげて意見した。
「なにゆえじゃ、申せ」
 義実は壇上から降りて来て、金碗の前に腰を落した。

「はっ。洲崎の斎主(いわいぬし)さまが……安西と通じるやもしれませぬ」
 もっとものことだった。実子とはいえ、姫。城主として命をはることの
価値がどこにあるのかがわからないのだろう。仔を想う心と国の行く末。
 義実と五十子は、伏姫に対して、いろんなことを試していた。

「だから、そちに頼んでおる。顔をあげよ」
「はっ」
 孝吉の複雑な顔を見て、先刻の五十子のことを思い出していた。
「儂は思うのじゃ。誰にとっての神なのかと」

「……」
「城主か。それなら民あっての城じゃ。民とて五穀豊穣あってのことではないか。
その収穫は誰がもたらすのじゃ」
616名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 01:17:07 ID:y0a9oADH
「それは」
「里見。安西だけの神とは、なんぞや。果たしいかなるものなのか」
 金碗孝吉は君主の顔を仰いだ。

「仮に安西が飢饉に喘いでいたとして、我が領地だけが豊穣の
 祝いにあること、素直に喜べるか。
 神の計りごとに、人智は及ばん。
 神と人の心はちがう。
 参籠したところで、神は伏姫を見放すかもしれん。なら後悔はしたくない。
 儂と五十子は洲崎に縋りたいのじゃ。人の心を信じたい。
だのに偽ってなんとする」

「確と承りました」
 伏姫を助けるのにこの策しかないという切羽詰った想いが
金碗に通じた。

「そちには苦労を掛ける」
 義実は孝吉の両手を取っていた。
「ありがたき、お言葉。倖せにごさりまする、義実さま。
この任、完遂いたしまする」
617名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 01:21:44 ID:y0a9oADH
 金碗はその日の内に法師に姿を変え、安西領へと出立した。
役目引継ぎの折には、隠密行動のできる精鋭を数名、直ちに揃えて
置くようにと命じて。

 開白(かいびゃく)から結願(けちがん)までの七日を無事に納め、
義実と五十子は木々に囲まれた道を歩いていた。
 
 足早に歩きたい、城にという気持ちを抑えての道行き。遠くから里見の
手の者が見守っているといっても、絶えず不測への構えは必要だった。

 だからといって、他者に気取られてもまずい。義実は心得があったが、
武家の娘といっても五十子にはこたえていた。
 伏姫は五十子の腕のなかでぐずり、泣叫んでもいた。五十子の動悸は
速まっていった。

「そこの木陰ですこし休もう」
「しかし」
「揺れて、伏姫も疲れておるのじやろう。休むが肝心じゃ」
「はい、義実さま」
618名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 01:27:31 ID:y0a9oADH
 深い緑を眺め賞でている余裕など義実と五十子にはなかった。
 とある年老いた法師と擦れ違って、ふたりは深々と頭を下げてから、
木陰にある、涼むに丁度いい岩のほうに行こうとした。
 五十子の腕で揺れた所為なのか、伏姫の声はもっと大きくなった。

「これ、待ちなさい」
「なんでござりましょう」
 義実が法師へ応えていた。
「その稚児(ややこ)、儂に見せてはもらえぬか」
 義実は五十子と顔を見合わせる。

「これこれ、儂が異形の鬼に見えるのかな」
「めっそうもござりません」
 義実は五十子の肩を抱いて、老法師の前に押す。

「洲崎明神さまにもうでましたのに、いっこうに泣き止まぬのです」
 五十子は縋った。
「ずいぶんになるのかな」
619名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 01:32:37 ID:y0a9oADH
「はい」
「これは怨に祟られておるにちがいない」
「……」

「いかがした。顔色がすぐれぬぞ」
 五十子は自分のことを言われたと思ったが、義実の顔を見て、
ことの重大さを感じた。

「法師殿は、怨霊が伏姫に祟っていると申すのですか」
「この稚児は伏姫というのか。母御に似て利発そうな子じゃのう」
「あっ」
 義実が声をあげ、五十子に緊張が走った。

「案ずるな。儂は鬼ではないといったであろう」
 刀の柄に手を掛けそうになった義実は老人に詫びた。
「なにか心当たりでもあるのかな」


 赦というたではないかあああっ!里見の痴れ者があッ!
 控えろ、玉梓
620名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 01:40:35 ID:y0a9oADH
「はい……」
「申してはもらえぬか」
「……」
 義実は五十子の前では、玉梓の話しをしたくはなかった。

「そうか」
「いっ、戦で女子を斬首いたしました……。その時に奴は末代まで
祟るとといって」
 女子が犯され、殺されたとしても、戦ではありきたりのこと。



 赦すというたではないかあああぁぁぁっ!

 天空はにわかに黒くなり、雷鳴が轟いた。
 白州検めに引き立てられた玉梓は荒縄で拘束され、両側から棒を交叉し
首を押さえられていた。
 それでも、頤をしゃくり、髪を振り乱して睨みつける。

 仁徳に厚いとはそのように軽いものなのかっ!
 赦すまじ、義実!義実!里見義実!
621名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 01:45:38 ID:y0a9oADH
 黙れ、この阿魔っ
 金碗、きさまも同罪じゃ!呪ってやる、呪ってやるっ!

 玉梓の凄艶にして怒気を含んだ貌を大きな雨粒が叩いていった。
白い顔に黒髪が蛇のようにへばりついていた。
 


「事情は訊かぬ。じゃが、その怨と対峙する覚悟はおありかな」
「私には守るべきものがあります。ゆえに、降り掛かる火の粉は……」
「それで、安西領の洲崎にもうでたのか」

「……」
「そのように迷うのも人なり。では、これをそなたの稚児にしんぜよう。
伏姫ともうしたな」
 年老いた手が数珠を取って、伏姫の胸元に置いた。

「かたじけのうございます。伏は三伏の候に生まれました」
「それでじゃったか」
「はい。あっ」
 あんなにもむずかって泣いていたのにも驚いたが、数珠につらなった
八つ珠は温かく発光し、その中に文字を浮かび上がらせていた。
622名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 02:20:37 ID:y0a9oADH
「こ、これは」
 義実も驚きの声をあげる。現象のみならず、驚きは他にもあった。
 数珠は百八つの粒でできている。吉兆の八を中心とし、黄水晶の宝珠にてつくられ、
より強い祈りが数珠に込められていることが、ふたりによくわかった。
数珠の波動が伝播していた。

「いずれ疳の虫も治まるであろう」
「さようにござりましょうか」
「安心しなさい。この数珠により、導かれるであろう。されど、
 これよりいかに迷うことあろうとも、決して魔道になど
堕ちてはならぬ」

「迷うというのですか」
「さようじゃ。心して待機するのじゃ。
 そして、魔に怒りで対峙してはならん。さすれば勝つじゃろう。だが、
忘れれば、お主が手に掛けた、女子とおなじ道を辿ることになると心得よ。
御仏に縋りなされ。では、さらばじゃ」
 義実と五十子に言ったのか、それとも伏姫に言ったことなのか。

「ありがとうござりまする」
 義実は去りゆく法師を五十子と見送りながら、伏姫を抱く手を包んでいた。
623名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 17:34:35 ID:y0a9oADH
「仁義礼智忠信考悌」の八つ文字は沈み、かわりに「如是畜生発菩提心」
と数珠の黄水晶にはあらわれる。

 八房が伏姫の道を示すと見て取れた……。
 足音も無く、忍び寄って、伏姫の躰を包む何かかがあった。
 自然よりの洞窟で育まれた冷気に隠れ、闇に潜み蠢く者。

『いかがした』
 八房が声を掛けた。
「案ずるなと」
 気配りをしたものの、誤解により、伏姫への肉情を殊更につよく
読み取られてしまってはもともこもない。

 畜生は穢れたものだという、揺り戻しが伏姫にはじまりかねなく心配だったが、
想いを流して、八房は歩みを止めずに前を向いた。

「むかしのことを思い出していた」
 胸の傷みによる気弱。宝珠の変容に、伏姫はつれない八房を
引き止めようとした。
624名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 17:38:00 ID:y0a9oADH
『さようか』
 魔を退けた今となっては、はやく伏姫を安全な場所に囲う必要があった。
 魔には魔をもって制すること。
 玉梓の化身である狸に育てられた場所へ。

 それは伏魔殿しかないと、考えは当初からあって。
 いまひとつは、玉梓の蓄えられた怨念の大きさを計ることが八房の目的。

 伏姫と添い遂げることにおいては、無謀とはわかっていても、
母、玉梓との対峙は避けては通れない道と心得る。

「つれないのだな、八房殿は……」



 このようなことになる数日前のこと。
「なんと美しい……」
 伏姫は童女になって駆け出した。夢で出逢った森の奥。水面に天上の
青を映す隠れの湖。

 水はどこまでも透明でいて、朧に藻の傍で泳ぐ魚たちがいて、
底までも見えるようだった。
625名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 17:40:09 ID:y0a9oADH
「八房も来るがよい」
 伏姫は振り返ってみると、八房は関心なく、ぷいっと横を向いて
腹這いになって寝入る。しかし尾が振られていた。

 凪の日の湖水に、伏姫はみそぎをしようと、着物を脱ぎ捨てていた。
 誰も人は来ない。
 木々からの小鳥の囀りが降り注がれるだけ。
 なぜこれほどに大胆になれるのか。柔肌に陽光を浴びながら、
爪先をそっと浸けてみる。

 伏姫の浸けた一点から始まる円紋。瞬く間に拡がっていって消える。
「なんと、きもちのよい」
 もういっぽうの足も浸けて、伏姫は湖を進んでゆく。

 前脚を地に突いて胸を上げ、八房は伏姫の後ろ姿に顔を向けていた。
じっと伏姫の所作を観ていた。
 垂れ髪が藻のように水面に漂っている。

 白い背を隠す濃やかな黒髪に、まろみの腰つき。肩に白き憧れの
肌が見てとれていた。
626名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 17:44:07 ID:y0a9oADH
 八房の心が伏姫になだれ込んで、女であることの悦びを知ってか、
唇の赫が増していった。

 伏姫の眼がひらいて醒める。

 ひらいてもまだ眠りにあるようで、忌まわしい
と思いつつも、伏姫の躰は火照っている。
 裾をひらいて、淡いを確かめると、指頭が濡れを掬っていた。

 なにゆえに八房に恋情をつよくするのかと、伏姫は八房への肉情をも
否定する。

 妻となった伏姫を守ろうとする、八房の忠義の心情は伝播することはなく、
伏姫の心は外に居た時よりも和むどころか、しきりとさざ波をたてて、
闇が伏姫の精神を歪ませもした。

「八房、妾は灯りがほしい……。闇は嫌じゃ、闇は……」
 天の拡がりも閉ざされて、漆黒に息が詰まる。脈動が頭で早鐘の如く鳴り響く。

 外に転がる小石より、洞窟の石は大きくなっていて、伏姫の歩みは、
みるみると落ちていった。石が戦で散っていった命にも見えた。
627名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 17:45:58 ID:y0a9oADH
 怨霊との壮絶な死闘を演じたというのに、石に躓いてしまい、
足の生爪を剥いでしまうことを今は案じてしまっている。
 伏姫の頬に一条のしずくが流れた。

 誉れ高い里見の娘であるというに、妾は……なにを想っているのじゃ。
 先導する、八房の肩先の毛を伏姫は離してしまっていた。

『ようやく離したのう。うれしや』
 魔犬のつれあいとなった、ためらいか。
 それとも畜生道に堕ちた自分を受け入れない心を見つけてしまったからなのか。
 八房からは邪悪な心を感じたことはなかった。忠義を示した八房に
疑念を抱く己こそが鬼ではなかったのか。

 妾は伏姫じゃ。

 里見家を守るに、玉梓の妖力に拮抗する術。もしくはそれをも
凌駕しうる力を授からねばならないことは明白。
628名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 17:49:26 ID:y0a9oADH
 たとえ御仏の意に背いて、仏罰を受けようとも、伏ひとりが地獄に
堕ちればそれでよいことと、わが名を言い、迷いを正そうと
したはずなのに、心のみだれは一筋縄では治まらない。

 なぜ、このような名をお授けになられたのですか。
 なにゆえに……。
 愛する父と母を、心の闇の奥に触れ、玉梓の伏魔殿に近づくたび、
更に恨めしく思うのだった。

 己を案じている。なんと醜いこと。
 いやじゃ
 いやじゃ
 いやじあぁぁぁぁああああああ――っ!

 ひんやりと我が身を包んでくる玉梓の邪気の残留に、徐々に息継ぎも
ままならなく、胸を圧迫されていった。伏姫は抗い、そして闘い続けた。

 たかが、残存する僅かな妖気になにを恐れることがあろうか、
と伏姫は精神を鼓舞した。
629名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 17:56:08 ID:y0a9oADH
『伏魔殿へようこそ、じゃな。
――伏姫や。
しかし、それはまだ先のこと』
 やさしく耳元で囁く声音に悪寒が走る。まぎれもなく玉梓のものだった。

「玉梓ああぁぁぁ――っ。やつ……八房……なのか……。
妾を試そうとしているのか、返答をせいっ」
 伏姫は金切り声をあげていた。
 
『八の腰を振っている姿。御主の歔く貌が妾にはよう見えるわ。
はよう契りたかろう。いとそう願っておるのであろう、伏姫や』
 魔犬は振り向きもせずに先を急ぎ、闇に呑まれてしまい、
伏姫の精神には玉梓の怨念だけが語りかけてくる。

「なにをっ……。八房……。こら、待てというに。やつ……、
聞こえぬのか。返事をせい。せよというにっ……!」

『仇敵であっても赤縄(せきじょう)で結ばれし縁。八房と妾は一身胴体。
 そして妾はついに好機を手繰り寄せた。
 待っていたぞよ、伏姫。怨むなら、その名を呪うがよい。
フッフフフ、ハッハハハッ。
 なにが観世音菩薩。うつしみなどとは片腹痛いわのう』

 あぎとにある玉梓の残留する、砕け散っていた邪気が蠢いて、
突如一気に収斂されて、八房と伏姫の後を追ってきていたのか。
630名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 18:02:21 ID:y0a9oADH
「かっ、躰が動かぬ……。なっ、なぜじゃ。やつ……ふ……さぁぁぁ……」
 邪気が毛穴から噴き出てくるように、地から無数の糸が立ち昇り、
玉梓の像を結びはじめる。
 伏姫の声が出なくなる。八房はどんどん先を歩いていった。

『男女(おめ)の契りで赤縄に縺れるがよい。妾が確と結んで
しんぜようか。
 うれしいかえ、うれしかろうて。里見の娘子よ。
畜生の殿御に縋りゃああっ!』

 地の底より湧き出る、玉梓の暗い笑い声が、天上を摩するほどに
高くなって鳴り響いていた。

 玉梓の気は先刻の伏姫と八房との戦いで大半を使い果たしたはずだった。
伏姫はそう読んでいたが、ここは八房が育った魔窟。
 ゆえに完全な実体化をみないままでも、伏姫の躰を這い上がって、
とぐろを巻いた。

「うっ……、はっ、あ、あ、ああ……っ」
 伏姫は八房を信頼した己が甘さを呪った。
631名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 18:13:30 ID:y0a9oADH
「くううっ」
 玉梓の人差し指が伏姫の頤のたるみにふれ、赫い爪でくいっと掻いた。
長い爪が頤の肉のたるみに刺さってきて、伏姫は顔をあげざるをえなかった。

『いい声で啼きよるわのう。我が子との絡みが愉しみじゃて。さすれば、ぬしも妾の娘』
「だっ、だれがっ!血池……めっ、滅……浄……」

『妾を侮るな、伏姫。名が示す通りに鬼畜生となって、
 八房とまぐわってみせよ。
 そしたらじゃ、のう伏や。
はらはらと喜悦の涙を流す様を見て、嗤いながら、祝いの酒でも
天上から振り掛けてしんぜようか。
 ちがう、ちがうぞよ』
 玉梓の伏姫を睨め付ける双眸は愉しそうに細まるが、黄金色の耀きは
激しくなっていた。
 
『女子とは不浄のものだからのう。子を孕み、さすれば、妾とそなたは
永遠の同族じゃ。
 そして犬の如くに、八つ子を孕むがよい』

 爪で清く柔らかな皮膚が破けて、珠の血がぷっと白に噴く。
ぐぐっと圧して、たらりと滴り、玉梓の長い指爪が伏姫の血を啜る。
「おっ、おのれ、妖女(あやかし)っ」
632名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 18:23:54 ID:y0a9oADH
『さよう。妾は義実のきまぐれで一度は情けを掛けられた女子。
 うれしゅうて涙が出たわいな。
 怨に躰を抱かれるは快楽。
 心地よいぞ、伏姫。
 じゃがな、その里見の厚い温情に裏切られたがために、妾はあやかしに
堕ちたのよ。その存念、おまえ如き粒の命で償えるものではないわっ!』

 玉梓の瞳の黄金色の瞳孔がぱんっと弾け、虚無の漆黒に壊死した
臙脂の色で巴紋を描き、くわっと赫い唇を開いて伏姫に牙を剥いた。
 八つ宝珠に拮抗する、裏の力を伏姫に見せ付けた。

「ひっ」
『喉笛を噛み切ったりなどはせん』
 玉梓は長い舌を出して伏姫の首を舐める。焼鏝を近づけられたような
激痛に意識は遠のく。眩暈に襲われた。

「なにを怯えることがあろうか。妾は八房と子を成して魔を退けるっ。
 変わらぬ人の情と絆。
 異形の子らに、いまいちど妾は見出してみせるッ」

『闇に堕し者が光りになどなろうか。
 静謐なるはかりそめ。
 それは来る
地獄のはじまりと心せよ、伏姫』
633名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 18:58:58 ID:y0a9oADH
「ぐっ、ぐえっ、げほっ、けほっ、けほっ」
 呑んだ水を伏姫は吐き出し、覚醒した。八房は仰臥していた
伏姫の胸板を圧していた。その前脚を退ける。
 しかし、畜生ゆえに、伏姫を抱き起して、背を撫でながら
水を吐かせることもできないで、悔しい思いをしていた。

『気がついたか。案じていたぞ』
「うあああっ。あっ、あ、あっ、あああああぁぁぁ――っ」
 伏姫は裸の自分に錯乱したのではなかった。洞窟に入ってからの
八房との道行きが定かではなかった。

 叫んでいると、あとからあとから、幾度と体感したことが一気に
流入してきて、心はこわれてしまって、発狂しそうになった。
 ようやく、八房の顔が目の前にあり、裸であることにも気付いた。
「あっ、あっ、ああああああっ、あっ、あっ」
 伏姫は狂ったように四肢をばたつかせ、眼を剥いていた。

『くそっ』
 八房が伏姫を抑えに掛かろうとすると、すりぬけて今度は
繭のかたちで両膝を抱きしめ横たわる。伏姫は泣いていた。

『伏姫、正気を取り戻すのじゃ』
「あっ、あ、あっ、あああっ、妾はっ、妾はっ」 (死にたい)
『玉梓の毒が抜けきってはおらぬのじゃ。それに伏魔殿の気とも
共鳴していたのであろう』
634名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 23:39:34 ID:HhKxzrNf
>>633
更新おつかれ
635名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 02:50:16 ID:tKBnA1nF
「なにやら、温かい灯りが向うに。蛍のような」
 犬塚信乃は、伏姫の魂に引かれ、ある存念を持って浜路姫と八房の
あぎとの封印を解き、奥へと進んできた。

「伏魔殿の灯りにござりましょう」
 信乃が教える。
「はい」
「とうとう、ここまできましたね」

「あれが、伏姫と八房の暮らした……場所」
 おんなの決心を伝えようと、浜路姫は信乃との閨事の結びつきを
思い出しながら、繋いだ手をしっかりと握りしめていた。

 もともと信乃には、同名の浜路という想い人の許婚がいた。
「はい」
 信乃の許婚だった浜路は、名刀村雨丸の異形の質ゆえの、因果の渦に
巻き込まれてしまっていた。

 腹違いの兄、犬山道節との再会を果たし、窮状を訴えて奪われていた
村雨丸を、想い人、信乃の元にどうか届けて欲しいと、瀕死のなか、
浜路は直訴した。

636名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 02:56:15 ID:tKBnA1nF
 犬山道節は危機に直面した浜路を腹違いの妹と知り、助けはしたものの、
仇討ちという存念がある。道節はきっぱりと浜路に説いた。

 温かき人情を、兄にしめされず、信乃の不遇をうれい、悲嘆のなかで
浜路は非業の死を遂げていた。

 すべての事情を知って、信乃は慟哭し、二度と妻を娶るまいと誓いを
立てた。
「信乃さま、なにゆえに、里見にとって清浄の地を、伏魔殿と申すのでしょうか」

「善と悪は表裏一体。光りと闇。陽と月なのです」
 しかし、人のめぐり逢いとは不思議なもの。

「波に映る月。陽の光りをきららと反射する水面なら、わたくしは、そのどちらも好き」
 甘えるように、辛き心をいくらかでも癒そうと、浜路姫は信乃に
やさしく言葉を置きに行く。

 里見家に仕え、関東連合との熾烈な戦いをくぐり大軍勢を退けて、
仇敵、扇谷定正と和睦に至る。
 それを受けて、里見義成は八犬士に恩賞と縁を結んだ。
637名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 03:00:48 ID:tKBnA1nF
「わたしもですよ、浜路姫」
 義成の姫は八人いた。

「しかし、なにゆえに発光しているのでしょう」
 浜路姫も他の七人の姫たちとかたちは様々でも、ほぼ同じ思いの
体験をしていた。

「あそこまで行くのには試練が必要なのです」
「試練にごさいますか」
 八人の姫たちのつよく、よき恋情。
 八犬士が出逢う、親族、想い人の縁、面影をそれぞれの姫の顔に
みつけたこと。

「さようです、浜路姫」

 つらい交わりでもあった。
 一度は断ろうかと八犬士は悩みつつも、受け入れる。
 赤縄(せきじょう)で、八犬士と姫たちは結ばれていた。

「信乃さま、浜路とお呼びくださりませ」
 信乃と浜路姫はみつめあった。
638名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 03:17:46 ID:tKBnA1nF
「八犬士が持っていた宝珠をおぼえていますか」
 役目を終えた八犬士から、宝珠はいずこへと消えていっていた。
 皆は伏姫のもとに還ったのだと思った。

「はい。わたくしたち八人もお忘れはいたしません。逢わせてくれた、
里見と八犬士さまとの縁にごさいますから」
 痣も消えてはいたが、八犬士の絆は、いままでより、超越したものとなっていた。

「あの黄水晶の輝きが洩れて、こちらのほうまで届いて来ているのです」
「洩れてきている……」
「`大法師(ちゅだいほうし)さまが、申しておられました。あそこまで行くには、
地下を潜って行かねばなりません、と」

「水があるのですね」
「こわいですか」
 信乃が浜路姫に訊いた。
639名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 03:24:03 ID:tKBnA1nF
>>634
ほんとに、読んでくれてありがとうございます。
640名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 19:41:34 ID:X7K9UZWk
>>639
楽しみに読んでますよ〜
でも、原作知らんので登場人物とかよくわからんorz
641名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 02:59:39 ID:bq6RP4Wp
転生八犬士封魔録っていうゲームが出るらしい…
642:2006/04/24(月) 21:57:39 ID:fNaw1mgj
『里見義実と安西景連との間に戦が始まるまで』


 安房(あわ)の半国を治める神余光弘(じんよみつひろ)が、
美女玉梓に手をつけ寵愛し、昼夜といわず肉交にけぶったことから運命が狂う。
 そのころ、実務を取り仕切っていたのが、光弘に取り立ててもらった、
山下定包(さだかね)。

 人当たりもよくとも、急な出世は怨みをかってしまう。密告者の進言から、
定包は窮地に立つ。ならば、これこそ好機と玉梓に近づき、抜き差しならぬ関係となる。
 どちらが悪人で善人ということではなく、貧しい家の出の玉梓にとっても、
妾から正室への誘いは魅力的だった。

 玉梓にとって野望に燃えた若き男子は、日に日に快楽に耽溺し、
老醜を極める光弘を否定し、定包に将来とおんなを託したのは必然だった。
 山下定包の奸計により、滝田城主神余光弘は命を落とした。

 一方、残り半分を治めていた、平館城主麻呂信時と館山城主安西景連は、
主君に謀反を働いた定包の討伐に動くも、安泰のなかで戦を忘れて、
こちらも奸計ばかりにたける。

 落ち武者となり安房に流れ着いていた、里見義実は安西を頼り仕える。
山下定包討伐の命を受け、そのころ神余光弘に仕えていて出奔した、
金碗孝吉と出会った。

643:2006/04/24(月) 22:01:21 ID:fNaw1mgj
 義実は安西景連から、ひとつの試験をあたえられていた。三日以内に鯉を
釣ってこなければ、裏切ったとみなす。 鯉は戦に臨むにあたって神事に用いる。
 義実が釣り糸を垂れ、いくら時を掛けても、吊れるのは鮒ばかりだった。

「里見どの、安房には鯉はおられませぬぞ」
「なんともうした」
「おそらく、里見どのの器量を計って恐れ、謀殺しようとしていたのではありませぬか」
「わたくしは、この美しい安房の国で生きてゆく決心をいたしました。金碗どの。
山下定包討伐に尽力していただけませぬか。これはわたくしのため」

 里見義実の存念を受け、金碗孝吉は、お恥ずかしながらと、これまでの苦汁の経緯を
義実に打ち明けた。
 義実は残党に金碗孝吉をあわせ、少数でも山下包定を討てる奇策を練った。

「わたくしが、囮となりましょう。奴らは、わたくしの顔を存じておりますので、
不審な奴と開門いたして殺そうとするでしょう」
 孝吉は義実に笑ってみせた。
「かたじけない」
644:2006/04/24(月) 22:05:22 ID:fNaw1mgj
「いえいえ、わたくしこそ、好機を与えてくれた、里見どのには感謝しております」
 里見再興を掲げる手慣れの軍勢に、民をないがしろにし、快楽を貪婪に求めていた
山下の兵は総崩れになったが、敵も策を弄する。

 実情を訴え、山下定包討伐の張本人、安西景連、麻呂信時に援軍を求めた。
策謀が乱れ混沌とする。そこが、山下定包の目のつけどころだった。
 
 後の覇権をめぐっての相打ちに至ると。だが、山下定包の城、滝田も
似たようなものだった。

 里見義実はたくさんの鳩に書状を結んで放っていた。皮肉なもので、
心に鬼を棲まわせた家臣により、裏切り者に加担したのではないと、
山下定包は捕らえられた。定包は因果応報とあきらめもつく。

 ただ、玉梓はちがっていた。確かに女子としても、定包との散華を願っていた。
里見義実は玉梓に情けを掛けようとした。
「こやつが、光弘公をたぶらかしたのです。玉梓こそ諸悪の根源なのです。里見どの」
645:2006/04/24(月) 22:07:35 ID:fNaw1mgj
「なにをいわるっ。そちは光弘さまを裏切って出奔したのであろう。
戯言をおっしゃりますなっ」
 玉梓は金碗孝吉を睨め付ける。
「そちの色香の魔道に堕ちて、光弘公は金碗どのを退けたのじゃ」

「義実っ、なにをいうておるっ」
「もうよい。儂がおろかじゃった。此奴を刑場に引っ立ていっ」
「ははっ」

「きさまああっ、赦すと、赦すというたではないかあああっ!」
「無礼なるぞっ」
 金碗孝吉は玉梓を嗤う。

「その瞳、忘れぬぞ」
「祟られるものなら、祟ってみよ。この金碗孝吉がふたたび成敗してくれるわ」
 玉梓は刀の露となって散って、里見滅亡の存念を、怨へと転生したのだった。
 安房の国の静謐は、半身だけに里見義実によってもたらされた。
民たちも、そしてお家再興の宿願成就に里見の残党らも祝いに酔っていた。
646:2006/04/24(月) 22:11:02 ID:fNaw1mgj
 尽力した、金碗孝吉の稀に見る働き。里見の家臣らも納得していた。
軍功と感謝を込めて、金碗孝吉を里見義実は腹心として篤く取り立てようとしたが、
金碗孝吉は本懐を遂げたと、その場で主君光弘公を追って自害した。

「なにゆえじゃ。あまりといえば、あまり……無礼ではないのか、金碗どのっ」
「いうてくれますな。里見どの……」
 義実を含め、里見家臣たちも金碗孝吉の忠義に感服して涙を流していた。

「いっしょに、この安房を富める美しい国にしたかったのじゃ」
「このことは、確かと光弘公にお伝え申す。お喜びしましょう」
 抱きかかえられた孝吉は、血に濡れた手で、義実の手を掴む。

「まだじゃ。まだ、逝ってはならぬ。儂の最初で最後の命じゃ。はよう大輔をここにっ!」
 義実はかねてより、金碗孝吉の肉親を探していて、孝吉ですら知らない、
息子の存在を掴んで、祝いの席に逢わせようとしていた。
「大輔と……。わたくしに……身内は……。ああっ……」

「おったのじゃ。おったのじゃ、孝吉どのっ」
「濃萩(こはぎ)。濃萩……こっ」
 義実は孝吉の血を裾で拭う。
647:2006/04/24(月) 22:14:33 ID:fNaw1mgj
 孝吉は光弘公に乱れるまつりごとの進言をしたため、左遷され出奔した。
 その折に、とある農家に世話になっていたことがあった。そこの気立てのよい、
明るい娘に孝吉は疵を癒され、次第に惹かれていった。

 春情を交わせば仔を孕むのは女子。しかし、孝吉は浪人の身ゆえと、濃萩には苦労を
掛けてしまうと、世話になった感謝と謝罪に金子を置いて、翌朝に出立した。
 そののち濃萩は大輔を産んで死んでいた。

「こ……はぎ……。逢いたかった……」
「大輔、はよう、来るのじゃ。父上ぞ」
 義実は大輔に手を振る。

「すまなかった……こはぎ……」
 血に塗られていた孝吉を見て、怖気づいていた大輔は、決心して近づいて、
義実より渡された父の手を取る。

「父上、父上っ!大輔にござります!」
「わ……たしを……赦して……くれ……」
 大輔とわかったのか、濃萩が逢いに来てくれたと思ったのか。
息子、金碗大輔は、義実の腕に抱かれながら、息を引き取る父を看取る。
648:2006/04/24(月) 22:16:59 ID:fNaw1mgj
 金碗大輔は里見義実に家臣として取り立てられた。
 里見の領地は安泰だった。

 里見義実と安西景連の因縁も残ったが、義実は安西が暗躍するのを黙って見ていた。
里見が治める領地に侵略の手を伸ばした時にこそ、討つべきと決めていたからだった。

 実質、里見と安西の対峙の形勢が生まれつつあるころに、安西領は飢饉に見舞われた。
里見は躊躇わず、安西領に救援の物資を搬送して、危機を救う。

 恩を売ったとは義実は思わない。
 安西もまた、生き長らえたことを、義実になど感謝はしていなかった。



 もつれた糸はどこまでもつづく。
649:2006/04/24(月) 22:23:49 ID:fNaw1mgj
 玉梓の怨。
 やがて静謐の終わり。
 飢饉の災厄は里見領地にも降り掛かってきた。義実は景連にやむなく援助を求める
決心をする。

 この役目を金碗大輔に託す。帰陣し、大役を見事成し遂げた折りには、
かねてよりの願いでもあった、伏姫と添い遂げさせようとしていた。
 だが、義実の願いもむなしく、安西景連の策略に遭い、金碗大輔は消息を立つことになる。

 遂に里見と安西の間で戦の火蓋は切って落された。

 



 義実の息子。伏姫の弟。里見義成のもとに八犬士を集わせようと、伏姫の忘れ形見を
探して諸国を行脚し、尽力したのが金碗大輔こと、犬を裂くと名乗る
`大法師(ちゅだいほうし)。

 強敵、玉梓の怨霊と関東管領扇谷定正(おおぎがやつさだまさ)の大軍勢と戦うために。
650:2006/04/24(月) 22:29:50 ID:fNaw1mgj
創作も入ってますけど
だいたいの導入のあらましです。

八房がこの安西景連の首を持って来て・・・という。
651名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 03:03:53 ID:2L81dpfa
「はい。おそろしゅうございます……」

 地下水の溜まった水は冷たく、水神龍の爪となって心臓までも捉えて
圧迫するだろうと、浜路姫は思った。
 あぎとの封印は解けたとしても、本当の居場所に来られることを
伏姫と八房が拒んでしまったらと思うと。

「行きますか。それとも、引き返しますか」
 信乃の浜路姫への皮肉などではなかった。きっぱりとやめると言えば、
浜路姫の心が傷つく。

 信乃は浜路姫とここから帰ってもいいとさえ思っていた。ゆえにその答えを
導きやすくと、最後に持ってきて待っていた。
 浜路姫も信乃のまっすぐな瞳のなかに、まごころはみてとれて。

「そのようなことは、おっしゃらないで。わたくしは信乃さまに縋って、きっと試練に
耐えてみせますから。わたくしをおいてはいかないで」
「どうして、浜路姫を」
「も、もうしわけありませんでした。ただ、信乃さまが、お一人でどこか
遠くへと行ってしまいそうで」
652名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 03:09:12 ID:2L81dpfa
「不安にさせましたか。浜路を置いてなど、もうどこにも行きはいたしません」
 信乃の変容ぶりにとまどいつつも、その熱情に触れるにつけ、浜路姫の
おんなも昂ぶるのだった。

「あっ、信乃さま」
 信乃の目つきが変わっていた。洩れてくる黄水晶にぼうっと照らされる。
浜路姫は信乃に引き寄せられ、抱きしめられた。

「どこまでも、いっしょに」
「うれしい信乃さまっ」 
 信乃に浜路の声が聞こえる。 

 両腕を折り畳み、信乃の胸に浜路姫は、のぼせそうな頬を芳しい匂いの
白粉といっしょに擦りつけた。

 合わさる男女(おめ)の鼓動は、春情を掻き立てるが、信乃と浜路姫の
真の目的は、伏姫と八房の居た場所。
「浜路」
「はい。信乃さま」
653名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 20:11:57 ID:JIoL8pfs
これは…すごいな
面白い
654名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 02:31:44 ID:JA2lsARp
「きものを脱いで行きましょう」
 抱擁のあとに、信乃は浜路姫に切り出した。
「わかりました」

 浜路姫が信乃の胸から離れてゆく。胸には僅かな圧が残っていて、
浜路姫は俯くと、淡い輝きに照らされ、含羞んだ顔を、信乃に
見られまいとして背を向けた。

 夜の海に映るような月。向こう側から来る、黄水晶の明かりに照らされて、
信乃を揺さぶり、浜路姫の嫋々(じょうじょう)とした所作に、巻き布の下の
逸物に血汐は流れて膨れ上がり、怒張を形成しようとする。

 契りに及ぶわけでもないのに、浜路姫も信乃の逸物をことさらに意識してしまい、
はばかりのない肉情に驚いていた。水面に映る夜の月は満ちていても、
そよぐ風にみだらにみだれて揺らいで。

 逢瀬のような心もちに、浜路姫の柔肌は仄かに赧らんでいて、
衣を落として、激しく火照るおんな肌を闇に晒す。

 刀を置いて、つばと柄の音が立つ。
 浜路姫の耳にも、信乃の衣擦れの音が届いた。
655名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 02:40:04 ID:JA2lsARp
 浜路姫の腰が疼く、というよりもすべてが裸になっていくようで、
つらくもあり、せつなくてうれしい。
 裸でありながらも、きものを纏っているおんなが居る。信乃に背中から
抱き竦められてこそ、ほんとうの裸になった気がするのだった。

 浜路姫の胸は高鳴り、乳房も下腹も喘いだ。赫の華は露を垂らしていた。
 信乃は浜路姫のうしろ姿に、肩がわななくのがわかる。信乃は脇差を抜いた。
刀身を抜く小気良い音に、浜路姫は振り返った。

「信乃さま……いかがされ……」
 信乃は腰を落とし、手にした己の肌着を脇差で裂いていた。
 浜路姫のために、腰巻ではない、男子物の腰布をつくっていた。

「浜路、こちらへ」
「はっ、はい……」
 石灰と卵白を溶かした、秘薬で落としたという浜路姫の淡いが
信乃の双眸に入ってくる。かぐわしい匂いまでも。
 浜路姫のおんなが潤ってきらめいていた。
656名無しさん@ピンキー:2006/04/27(木) 22:53:15 ID:cLMf+6C/
------- ここまであまさず読みました -------
657名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 03:24:21 ID:BXiyKUiY
 身を灼く羞恥に、猫背となるにはみすぼらしくて、気持ちを
削ぐのではないかと。さりとて、胸を張ってしまうのもどうかと思うが、
やはり信乃には、きれいを見せていたい。

 紅をさした赫い唇を信乃に赦した記憶が蘇る。掠めてもらいたくて、
きれいに飾るのに、いざ一儀に及ぶと、どうしてほしいかが伝えられない、
このもどかしさ。

「もそっと、腰を」
 胸元で右手の甲を左の掌で包み、脇をしめながら、両の腕を折り畳んで
乳房を隠す。柔らかな膨らみを潰し、拉げさせていた。

 犬山道節も浜路姫を見て、我が妹に生き写し……という。藤の花のように
うつくしい女。

 胸を張って俯く先には、慕う信乃が居て。女子として名付けられる歓びを、
浜路姫は信乃のかつての想い人にかわって噛みしめて。
「はい」
 消え入りそうな小さき声はためいきのよう。
658名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 03:35:30 ID:BXiyKUiY
 信乃の眼に、両の白い太腿の膨らみに挟まれた、浜路姫のしっとりと
濡らす、あえかなる秘所。

 ひらきかけている螺(つび)の綴じ目より、かすかに覗いている、
鴇色の肉花弁も、男根の誘い水の絖りを受けていて、美富登(みほと)というにふさわしい。

 信乃は浜路姫に聞こえぬよう、喉を鳴らさず、生唾を呑んでいた。
ここが城の閨であったならば、朱の長襦袢を纏わせたままで、目の前で拡げさせ、
蝶にさせて、両膝を突いて愛でたい。

 拒む浜路姫の前に両膝を落として、信乃は顔をつける。
 終に拒み切れなくなって、淡いに挟まった信乃の頭に両手を添えていって
歔くしかない浜路姫。

 対面位での、美富登の怒張を含んだ色は眺めることはできないが、
鞘を剥いて、雛尖(ひなさき)を痺れさせるほどにねぶりつくしもしたい。
 浜路姫の躰を跳ねさせて、十分に潤わせたところで、犬の体位で、
うしろからの一儀を取り行なう。
 それには、伏魔殿で確かめたいことがある。伏姫と魔犬の居た場所で。
 
「こらえてくださりませ」
「あっ」
 浜路姫は腰を曳きつけられて、声をあげた。
659名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 03:49:06 ID:BXiyKUiY
>>656
記憶だけでつづきを書いてしまったので
かなり恥ずかしいです
660名無しさん@ピンキー:2006/04/30(日) 02:01:38 ID:BoWK1I1o
「きつくゆきます」
 信乃が抱き寄せた浜路姫の躰。
「はっ、はい、いかようにも」

 白い肌に足袋と草履だけなのが、とてもみだらで悩ましく、このまま
押し倒したくはなるのだけれど、信乃は浜路姫の螺肉の綴じ目を指頭で、
おしひらくことも撫でることもしてはいない。

「ごめん」
 浜路姫はみじかく、ひゅっと息を吸った。
信乃より加えられた力により、左側の脚は上擦って、内太腿は痙攣していた。
躰が火照ってきて、狂おしかった。
 
 蝶を捕まえれば、砂利の上では女子の肌に傷がつく。信乃の仰臥した上に、
浜路姫を乗せたとしても、膝蓋を覆った薄い肌に、細かな石は突き刺さる。
 肉情の果て。
 忘我の境に、血を滲ませかねない。

 布を廻して、浜路姫の艶腰に巻きつけ、尻朶の柔肉の感触が知覚される。
信乃は、浜路姫のしっとりとした、吸い付くようなもち肌を愉しむことはできず、
よけいに倒錯感は育まれた。
661名無しさん@ピンキー:2006/04/30(日) 02:22:29 ID:BoWK1I1o
 血汐は肉棒に十分なほどに装填され、浜路姫の火消壺への渇望を
訴えていた。信乃の突いた両膝に痛みはなかった。

「んんっ」
 剥き出した浜路姫の雛尖が布で擦れていた。
 信乃の逸物が腰布の下で、また跳ねる。

「こらえてくだされ」
 信乃の言葉は己に吐いたものでもあった。浜路姫は浅い快美に、
瞳を熱くして、うすく涙を張りながら潤ませ、信乃にこくりと頷く。

「水の中は冷とうございます。これが精神の依り所となりましょう」
 臀の裂に食い込んだ布地に、浜路姫は苦しそうに眉をたわませた。
「できました」
 信乃は浜路姫につけた、男子の腰布の締まり具合を確かめた。

「もう……、よいのでしょうか……」
「はい、済みました。向こうについてから、取ってさしあげましょう」
 下腹を隠すかたちの布地。浜路姫の肩が喘ぐ。仰ぐ信乃の顔にも、
浜路姫は赤面しても、慕い縋りたい気持ちもある。

 信乃に蓮っ葉な女子と思われようとも……せっかく締めてくれた腰布を解いて。
662名無しさん@ピンキー:2006/04/30(日) 13:30:34 ID:BoWK1I1o
信乃と浜路姫の視線が絡み合った。
「赤八汐(あかやしお・淡紅色の山ツツジで赤紫もある)……だ」

いくら黄水晶の明かりが届いてきているといっても、洞窟は薄暗く、
光りと朱は混じる。火も起こせず、確かめる業もなし。

届く快楽。届かぬ、快楽。

男子は未来の種を残す為に、女子の膣内(なか)にしぶくもの。
「……なにか」
女子とておなじで、子壺に強き種を授からんと、男子に躰をひらく。
睦び月は満ちる。

「い、いえ。なにも」
信乃は二本の刀と衣を取って、浜路姫の脱いだ衣の傍に置いた。
信乃が草履を脱ぐのに従い、浜路姫も足袋だけとなる。

「さあ、参りましょう」
「はい、信乃さま……」
腰布を巻かれ、揺らした浜路姫の躰は布地を濡らす。潜ってしまえば、
女子の縦溝よりこぼした、花露の痕は消えてなくなる。
663名無しさん@ピンキー:2006/04/30(日) 13:38:31 ID:BoWK1I1o
 見て欲しい……。
 見ては欲しくない。

 浜路姫は地下水をまだ知らなかった。春情を吹き飛ばしてしまうほどの
本当の冷たさを。
 
 信乃の手が包むように、浜路姫の手をやさしく取ると、強く握り返され
驚いた。人は野生の者なのだ。本来は。

 信乃は関東管領との大戦を終え、平和のなかに虚無を抱きつつあった。
野性の者としての生涯は、それで終わっていた。

 情動が浜路姫との閨事に結びついたとも言えなくもない。
 許婚の浜路と添い遂げられなかったことは、信乃に心の欠落を
招いてしまっていた。

 浜路姫も抱かれながら、信乃の心から伝播する浜路の道行きを
知って彷徨する。女子の野生とは、家にあって子を成し、
男子に安らぎをもたらすこと。

 人は命の危機を知るに、肉情の炎を激しくあがらせるという。
死に至らないまでも、信乃と浜路姫にとっては、それに近しいこと。
664名無しさん@ピンキー:2006/04/30(日) 13:48:13 ID:BoWK1I1o
>>662
訂正・五段目

「い、いえ。なにも」
 問い掛けに咄嗟に応え、信乃は二本の刀と衣を取って、
665名無しさん@ピンキー:2006/05/01(月) 10:55:07 ID:7Jf71v4W
>>664
乙かれ、(*´Д`)ハァハァ
666名無しさん@ピンキー:2006/05/03(水) 01:14:16 ID:FwH80S3i
足の踝は地下湖水に浸され、進むにつれて、水の跳ね音を立てていた。
洞窟は一度、得度したような荘厳な眺めに出た。

伏姫と八房の棲まった伏魔殿かと思うような、蕩々とした場所ではあったが、
此処ではないことは、すぐにわかった。
 黄水晶の輝きはまだ奥から届いてきていて、天井を眺めている
信乃と浜路姫の顔もぼうっと照らしていた。

 信乃の浜路姫を握る手に力は籠る。寒くはないですか、
と思わず馬鹿なことを訊きそうになっていたからだった。

 信乃の力を感じながら、浜路姫は思っていた。
 地下湖の中には流れが存在するのだろうか。
 だとしたら、どれほどのものなのだろう。

 浜路姫は城の外のことは耳学問でしか知らない。信乃は浜路姫に
地下湖を潜って、伏魔殿に至ると伝えていた。

 天井も低くなり頭に迫り、冷たい湖水は膝蓋まで上って素肌を刺す。
寒さに加え、生きながらに埋葬されたような息苦しさを覚え、
浜路姫の肩と胸は喘ぐ。
667名無しさん@ピンキー:2006/05/03(水) 01:34:36 ID:FwH80S3i
 信乃と浜路姫は更に洞窟の奥へと進んだ。道は細り、洞窟の奏でる音に、
浜路姫は叫びたくなり、不安を一層煽っていた。いまは信乃の握る
力だけが手懸り。

 ふと浜路姫は、髪の元結紙を結んだ場所が気になりだしていた。
裸になるときに、きものの袂より出したもの。

 麻紐より強固な、なかには針金が仕込んではあるが、いつ何時にでも
取れてしまって、長い垂れ髪が散って縺れ、信乃を苦しめでもしたなら。

 女子の命でもある黒髪を、邪魔になるからと、信乃が置いてきた
脇差で切ってくれとはついに言えなかった。悔しくなり、足袋の中の指を
内側にきゅっと曲げた。知覚が鈍っていることに気づいた。
爪先も痛くなくなっていた。痺れている。
 これは喜んでいいことなのだろうかと思った。

「浜路」
「信乃さま……」
 悔しさに唇を噛んでいたのも、寒さを堪えるものに取ってかわっていた。
「前屈みになり、胸に水を浸してくだされ。いくらかでも、慣らすのです」
668名無しさん@ピンキー:2006/05/03(水) 17:41:39 ID:FwH80S3i
浜路姫は手早く腕を上げ、束ねてあった垂れ髪を掻き上げて肩に。
舞った細く華奢な浜路姫の腕に尖る肘。晒された腋窩。ほつれ毛のうなじ。
ながれた黒髪は湖水をたっぷりと吸う。
信乃は尋常ならざる時にみる浜路姫に我を忘れそうになった。

「どっ、どうぞ、信乃さま……」
浜路姫の白い背に浮き出ている軸骨は痛々しい。喘ぎが脾腹にも
肋骨を浮き彫りに無残を写し取る。これが好いた女子に強いることなのか、
との疑念渦巻けども、事ここに至っては意味の無きこと。

 信乃と浜路姫は波を立てながら、伏魔殿のとば口ともいうべきところにまできた。
道は切れ穴が開いて、どのぐらいの深さなのかと、浜路姫はそらおそろしくなった。
 飛び込むのをためらっていると、信乃が先に穴の上に進み出た。

「あっ」
 信乃は首まで湖水に浸して立ち泳ぎをして、水面から右手を浜路姫に差し出した。
 信乃から見る、淡い黄水晶の明かりに照らされた、浜路姫の立ち姿は
天女を思わせた。
 浜路姫も下からあふれてくる耀きの上で泳ぐ信乃に、熱きものを感じて、
迷わずに飛び込んでいた。
669名無しさん@ピンキー:2006/05/03(水) 17:44:15 ID:FwH80S3i
「はい、わかりました」
 洩れてくる伏魔殿の光りは強くなるのに、唇は耀きを失い、肉交への
想いは薄らぎつつあっても、たったふたりの洞窟。女をのめりこませる
生の執着。信乃の子種がほしい。

 戦慄く恥は晒したくはない。信乃の繋いだ手を離し、浜路姫は両太腿を
ぴたっと合わせたまま前屈みになる。

「ひッ」
 両手で掬った冷水を、浜路姫は胸元へ無理に着けた。
「もういちど」
 容赦のない信乃の声が背に掛かる。

「はっ、はい」
 促がされて、柳眉をたわめ根をよせながらも、垂れた両の乳房に
湖水をまた掛ける。

「背にも掛けまするから、こらえて」
「ま、まって――」
670名無しさん@ピンキー:2006/05/03(水) 17:46:43 ID:FwH80S3i
また訂正

668と669は逆です。
すいません。
671名無しさん@ピンキー:2006/05/04(木) 01:35:58 ID:+IElgYLr
「は、はっ、はあっ」
水をかぶり、耳と頭のかたちを際出させた。首筋を強張らせ、鎖骨の深い
窪みをこさえている。
浜路姫の躰をすかさず曳きよせ、首に抱きつけと信乃は言った。

「だいじょうぶか、浜路」
 閨で躰を信乃に転がされたみたいな羞かしさ。乳房は信乃の背で潰れた。
本来揉みしだかれながら、唇を奪われて舌を蕩けさせ、
総身を痺れさせていただろうに。

「みっ、水を呑みました」
 信乃は顔を捻りながら浜路姫を見て、首に巻きついた腕に触れる。
地下湖水の冷気につつまれていても、高揚感からなのか、ふたりに
笑みがこぼれていた。互いに安堵を認める。

「これより、深く潜ります。浜路姫、お覚悟をッ」
「は、はい」
「ではッ」
 信乃の掛け声で、浜路姫は大きく息を吸い込んだ。信乃は浜路姫を連れて、
地下湖深く潜っていった。
672名無しさん@ピンキー:2006/05/04(木) 01:45:57 ID:+IElgYLr
 浜路姫は信乃の首にしがみ付いて、瞼をきつく閉じていた。
ひい、ふう、みい……。

 流れはあったものの、急流というほどではなかった。ただ深度が増すにつれ、
冷たさは躰の芯に滲み込んで、鷲の鍵爪となって刺さる。

 六十にかぞえが掛かろうとした頃、圧し潰されそうな苦しさから
ついに浜路姫の瞼はひらく。
 ゆらぐ春霞のなかに輪光が見えた。

 浜路姫の気は弛んでしまい、息継ぎをしてしまった。鼻孔と口から、
水は一気に肺へとなだれ込んで意識が遠退きかける。

 信乃は背の変化を察知し、左手で首に巻かれた浜路姫の腕を掴み、
ありったけの力を振り絞って、水中を掻き泳いで絆の場所をめざした。

 とば口とおなじつくりかと思ったが、載ったそこは小さな棚になっていた。
信乃は浜路姫の躰を横に抱え陸へと上がった。

 躰が重く感じると踏んでいた信乃だったが、光りを浴びた途端に
疲労感は和らいでいた。
「浜路、浜路ッ」
673名無しさん@ピンキー:2006/05/04(木) 02:01:35 ID:+IElgYLr
 むせながら、呑んだ水を吐き出す。降ろされた浜路姫は、背を叩かれ、
また水を吐いた。脚を閉じ合わせ畳むこともできず、女子の脂ののった
下腹は信乃の怒張で刺されたように喘ぐ。

 浜路姫に確かな春情が蘇ったわけではなかったが、水を吐いたことで
息は揚がり、なにやらの変化を奥にもたらしはした。

「あっ」
 浜路姫は強引に腕の中に抱かれた。
 信乃を仰ぐと、あらわれた悔恨をみつけて、顔を左右に振って胸に埋め、
両腿をそっと合わせた。

「あたたかい……」
 寒さからのではない、肌に赤味が戻ってきた。
「浜路姫にもわかりますか」
「先刻のように浜路と――うれしかった」

「……浜路」
「はい」
 浜路姫の熱い吐息が信乃の胸板をくすぐる。

「これが里見家、有縁の結晶なのですね」
「さようにござります」
 宝珠の耀きは知ってはいたが、信乃もこれほどのものを見たのは
初めてだった。浜路姫も顔を上げて、天井から辺りをゆるりと見渡していった。
674名無しさん@ピンキー:2006/05/04(木) 21:46:22 ID:+IElgYLr
伏姫と八房の居場所は、金碗大輔こと丶大法師により、永らく封印され
人をよせつけないでいた。
たいせつな時を刻んだところには、微量の金木犀の芳香が漂っていた。

あまりにもの美麗さに、あたら想いをつよくさせるも、信乃と浜路姫は
理解した。
あらかたの様子を観回してから視線を落とすと、何かが中央に
置かれていることに気付く。

「いってみましょう」
 信乃は興味を持って促がす。浜路姫は黄水晶のなかで晒される裸身に、
ちりりっ、と身を灼いて含羞をみせた。

「歩けます。ですから、降ろしてくださりませ。信乃さま」
 抱かれた腕のなかから降りようと、浜路姫は信乃の肩を掴んで、
繊麗な躰と四肢を動かし、細い首筋を強張らせた。

「信乃さま……もう、かんにんッ」
浜路姫の裸身に頼りなげにある腰布だけを巻いた姿に、
信乃は顔を落としてくる。
 白い花の乳房と硬直する裸身を見られ、浜路姫は男子の逞しい力に
尚も抗っていた。
675名無しさん@ピンキー:2006/05/04(木) 21:49:36 ID:+IElgYLr
 浜路姫は背を反らし、濡れた躰を跳ねさせる。清麗な乳房を躍らせ、
臀を揺すっていた。信乃の肌に爪を立てないよう、気を配りながらでは
長くは続かない。
 信乃は浜路姫の腰布を掴まず、あとわずかのところで落とすところだった。

「よいではないですか」
 湖水を泳いでいた時は、ずっと乳房を信乃の背に圧しつけて、
しがみついていた。
 責められても、仕方ないのだけれども。

「こう甘えてばかりでは、なりませぬ。ですから」
 閨にずっと居て、心待ちにしていたものが、唐突に訪れたことに
あばれていた。

「いいでしょう、浜路。このままでも」
 浜路姫はカアッと顔を火照らせる。あきらめるしかなかった。

「えっ、ええ……」
 信乃にこのまま浄土へ、すぐに連れて行ってほしい。ゆめうつつに願いながら、
浜路姫はおとなしくなって、水の調べを聞いた。
676名無しさん@ピンキー:2006/05/04(木) 22:02:52 ID:+IElgYLr
 浜路姫を抱きながら、歩く信乃の足元に、先刻取って来たばかりかと思う、
様々な木の実や果実が置かれていた。
 伏姫と八房が日々の糧としていたもの。手折った花や枝も置かれていて、
ひとつの季節に咲いたものではなかった。

 中央に立って、信乃は浜路姫をゆっくりと下ろした。
 まあたらしい木彫りの菩薩像が数体置かれていた。精緻な彫りで
女人の柔和な顔立ちであった。ありがたくも、憐れ。

 伏姫と八房。

 一緒に両手を合わせて祈る、信乃の横顔に浜路姫の愛しさが募る。
浜路という同性の女性がもつ情動の導きなのか、浜路姫の肩は、
昂ぶった春情に喘いでいた。
 心が剥き出しになりそうで、たまらない。


「伏魔殿の気……と共鳴……」
 伏姫は死にたい、と言って閉じた眼を開いた。
『そうじゃ』
「なら、すぐにでも妾と契ってくれまいか」
677名無しさん@ピンキー:2006/05/05(金) 01:32:56 ID:kdxlIg67
『契る。一儀を欲するというか』
「いつわりなど、言わぬ。だから、色に……染めて……。
八房殿の傍へ、妾を往かせて……くださりませッ」

 横たわり繭になっていた伏姫は、両脚を乳房にきつく圧しつけ、
足指を内側に曲げていた。
 泣かぬ。
 泣くものか、
と伏姫は心に念仏を唱えだす。

『それでよいというのなら、我に』
 言った間もなく破り、八房は伏姫の閉じた両脚に、鼻を、ぐっ、ぐいっ、
と無慈悲に割って入れてきた。

『伏姫、傅け』
「ひッ」
 八房の柔らかな顔の毛が伏姫の内腿を撫でた。

「ッ……、いっ、いやあっ」
 八房は裂けた口から舌を出して、下になっていた内腿を舐めた。
躰を捻り、地から背を剥がして、伏姫は擦り上がろうとした。

 獣の突っ込まれた濡れた鼻先が、伏姫の美富登の飾り毛ごと
螺肉を小突く。
 湖水に濡れた場所に、八房の絖りが刷り込まれた。
678名無しさん@ピンキー:2006/05/05(金) 01:44:59 ID:kdxlIg67
「やっ、いやじあぁっ、いやじゃあぁぁぁっ、あっ、あっ」
 頤を突き上げ、それでも敵から眼を逸らすまいとすぐに引き降ろし、
臀を地面に擦りながら、泣き顔で淡いに潜む物の怪を睨め付けている。

『もう後戻りはできぬぞっ』
「やっ、やあああっ」
『仔種は、もういらぬのか』
 八房から退こうとした、伏姫の両肘の動きは止んだ。

 口惜しさから握りしめていた砂利も離し、あきらめた伏姫は後頭部を
地面につけて、黄水晶の耀きに照らされる天井を見つめる。
 伏姫は顔を隠す袖もなく、両手で顔を覆う気力も失せた。

 涙に明かりは幾重にもなって光輪を描いていた。
妾にはふさわしくないもの、と瞼をそっと閉じ合わせ、眦から涙が
流れるのがわかった。
 
「ん、んっ」
 八房は伏姫の螺の綴じ目をただ舐め擦っていたわけではない。
熱い獣の舌が淡いを包むようにして、ざらりと擦る。

 助けを求めたところで、だれがこんな所にまでくるものか。

 掌で美富登を包まれて、上下に動かされているようなおぞましさ。
気丈さを取り戻した伏姫は悲鳴を殺し、かわりにくぐもった喘ぎが噴いた。
679名無しさん@ピンキー:2006/05/05(金) 14:21:37 ID:kdxlIg67
『かわいいぞ、伏姫』
伏姫の頬垂れ髪が、貌を裂くように貼りついて艶を極めようとする。

乳暈の周りと、匂う淡いの飾り毛には朝露を。
慄く腹に載る湖水の珠が散る。
揺れる八宝珠を掛けた胸元に、太腿にも流れても、さほど形を崩さずにとどまっている。

『伏姫が愛しい』
  
 鞘を擦られ、剥かれた雛尖を掠められる。跳びそうに、腰が上擦りそうになると、
八房の舌はじっとして待った。美富登はじんわりと温かくなった。

 八房を挟む、両の太腿に力がわずかに加わった。ただ伏姫は、これよりどうしたいのか、
どうすればよいのかがわからない。

「父上の……お声で……」
 獣の双眸は、もうひとつの童女のような切れ込みを窺っていた。
臍の窪みは躰が屈曲になっているのにかかわらず、縦筋のようにきれいだったが、
やはりわずかに変形した。

 伏姫の白い下腹もあわれ、女性(にょしょう)の岩戸をひらくようになる。
680名無しさん@ピンキー:2006/05/05(金) 14:28:21 ID:kdxlIg67
 両膝を立てて秘する淡いに、八房の頭を挟み込み、仰臥していると
底知れない闇が迫ってくる。

 八房にとって、伏姫はみだらに波打っていただけ。

 空の白み始める、夜明け前こそが、真の闇と伏姫は知る。
怨霊を退ける、仔種を授かる為の時。

「父上の……声で……口上はいわないでっ……」
 弱々しい哀訴をする。

『これが我のこえ。これしか知らぬ』
「おっ、お願いいたしまする」
『口上なども言わぬ』
 血が滲みそうになるくらい、下唇を噛んだ。立てていた膝を伏し、
投げ出すようにし、伏姫は開脚した。

「ん、んっ、うっ、うっ」
 かりそめの和合水を塗した八房は、仰臥する伏姫に地面を、
ざっざっ、と掻いて圧し掛かってきた。
 八房の黒い爪で、素肌を破かれると伏姫は思った。

「あっ、ああっ」
 押し潰されるのではないかという恐れと、鴨の腹のような体毛の心地よさが
伏姫の女体を刷いて悶えさす。
681名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 01:52:04 ID:5I2YZR3B
隆起と沈降を悩ましく繰り返す伏姫の腹に、八房は靫(うつお)を裂いて、
鴇色の絖った蛭の如き蛇神を出だす。
 血を啜る余興とばかりに、伏姫の内腿と下腹を舐め廻していた。

「うっ、ううっ」
それを八房はせわしなく、出し入れをして、伏姫になんどもぶつけていた。

 尖端は針のかたちからから、血汐が収斂されていって、壺か分銅の
ようなものとなる。そして。
 鎌首に尖りが変化するのは、伏姫の膣内深くに昂ぶりを収めてしまう時。 

「うあっ」
 ちょん、と突いて、ぬらっと肌を這う。伏姫は眦を吊り上げていた。
八房は眼を細めて腰を使いながら、歓びに躰をぶるっと震わせる。

『そろそろ頃合か。挿入るぞ。尻を向けよ』
 八房は四肢で伏姫を潰さぬように、踏ん張りを利かせている。獣の下で
伏姫は降り掛かった悲劇に、重たくなった躰を廻し、腹這いになって
獣へと臀を向けていった。
682名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 02:03:26 ID:5I2YZR3B
 八房の律動は、舌を尖らせて臀を舐め廻されたようでむず痒く、
熱い吐息が洩れそうになった。
 伏姫は臀をさしだし、逸物が仔壺に分け入るのを耐えて待った。

 母、五十子の貫禄には及びはしないものの、乙女の清美を結ぶ。
その双臀の淡いにある、笹舟のように楚々としたものをさしだす。
獣に絖りを授かった場所を。

 鎮めるのは人の逸物ではなく、獣のもの。
 本来なら金碗大輔と添い遂げるまで、守るべき操のはずだった。

 人ではない八房は、鮮麗な伏魔殿の明かりのなかで、交媾の態をいかに
取ろうとも、伏姫の陰影を描いていた、臀の笑窪も賞でることは
十分にできてはない。

 それでも、あえかなる花を手折るこの歓び。伏姫の仔壺の肉襞を存分に
あじわうことに八房は意識を傾けた。

 乳暈に載る尖りはしこって痛くなり、伏姫は地面に突いていた肘を後退させ、
背に深い窪をこさえると、躰をしなわせ、八房の逸物を求めていた。
683名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 19:16:40 ID:5I2YZR3B
「うっ、あうっ」
後足で地を蹴って、乙女の白い躰を衝きあげる。八房の低い唸り声が
背から滲みた。

伏姫は焔に身を投じていると思った。その焔をもってしても罪は永劫に
浄化されず、人と獣との交わりを御仏は決して赦しはしないだろう
と確信する。

観世音菩薩の写し身などではなく、もうひとりの玉梓となり仔を成して、
里見家に災いとなる魔との戦いに身を置き備えるなり。

八房が伏姫と交媾を望んだのは恋情と肉情。一儀に及ぶかたちは
純粋に血を残さんがための、弱き牝に君臨する、強き牡の猛々しい姿。

だが、八房は伏姫の臀に黒爪を使って、躰を起こして腰を振ろうとはしなかった。
684名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 19:21:21 ID:5I2YZR3B
伏姫は手を掻き寄せて、人差し指を噛んだが、灼熱の肉に攪拌される
痛みは増すばかりだ。
肌に散っていた珠だの湖水は、伏姫が噴いたあぶら汗になる。

しかし、自分を制圧する八房の力、躰の隅々まで及ぶ。
強き力を残さんがために孕まんとする女子の等しき願いに通じ、堪えながら
無意識に息んだ。

伏姫の菊座と円らな孔は窄まり、それにより仔壺は八房の逸物をとば口で扱く。

「ととさまあぁぁぁ……かかさまあぁぁぁ……ッ」
上の口からは乙女の叫び。

 弱音を吐き出して、涙と涎を垂らし、土に滲ませる。
 突かれる地獄の痛みに、右手の指。ぜんぶを含んでも追いつかず、
吐き出して額を地に擦って泣き叫んでいた。

 両手は土を掻き毟って童女に帰る。八房にしぶかれて、ついに伏姫は
意識を跳ばし屈服させられた。
685名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 22:48:02 ID:Lr1/smHx
待望のシーンキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
686名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 03:28:34 ID:NsfBu5A4
>>684
GJ&乙!
687名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 23:56:35 ID:834i0JH/
 伏魔殿の交媾は、伏姫に前で両腕を組み、面をそこに伏せる余裕すら与えず、
凄まじいものとなった。

「ん、んっ、うあっ、うっ、う……」

 淡いから頭を裂くような疼痛が伏姫の総身に拡がり、穴という穴から
血を噴く思いに身を捧げ、獣との交媾に揺れたあと。
 もう地面を掴み、掻き毟ることもできなくなってしまった。歯を食い縛っていた所は
徐々に弛んでいった。

 伏姫の唇だけは、すぐに血流を収斂させてよみがえり、深い哀しみに戦慄きながらも
赫(あか)く、玉梓の娘になってしまったかのような紅を刷いた。

「うっ、ううッ」
 地面に額を擦りたて、地に突いている、乙女の菩薩顔から鬼のようにゆがませ
紅潮させた伏姫の貌を、八房は窺えはしたものの、地面に潰すことを恐れ、
観ることはしなかった。

 それは物理的な意味においてで、原初の本能には従い、しぶいたあとでも、
火消壺への追撃の蹂躙は止むことはなく、伏姫の臀に肉情を穿っていた。
688名無しさん@ピンキー:2006/05/08(月) 00:09:13 ID:kFXKVPM3
 今は糸の切れたあやつり人形のように、伏姫を空ろがつつむ。
伏姫は衝き上げに地面に顔を擦って、砂利を口に含んだ。

 よりどころはなにもなかった。

 玉梓が精神に語りかける。

 伏姫や。仔を授かり、どこから出すのじゃ。
 産道より、八つの仔を出すのか。

 それで、もつかのう……憐れじゃ、憐れじゃ。
 そうじゃ、そうじゃ。
 妾が、そちの肚をこの爪で裂いて、取り出してしんぜようか。
 それがよい。さすれば、里見は安泰じゃ、ハッハハハハハッ。

 嗤いが掻き消えて、伏姫は海に裸身を浮かべている。赫の糊にあっても
髪は藻のようにたゆたい、伏姫は月を見て狂う。鮮麗なれども心寂しい
伏魔殿に朽ちて、伏姫はその身をずぶずぶと沈める。

 母五十子は命を賭してでも、父義実に直訴し止めようとしたのに、
伏姫が忠義を言ってしまったことで、獣を誘って内に招き入れてしまった。

 今また、玉梓の怨が肉体に憑こうとするならば、その毒を食らえばいいと肚を括り、
八房の血を受け入れることになってしまった。
689名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 00:26:32 ID:/3tf1N9o
「うっ、ううっ」
 風が吹いたように、汗に貼り付く前髪が巻き上がる。
八房に組み敷かれた伏姫の頬に、妖女(あやかし)の手がぞろりと
触れていった。

 玉梓が伏姫の痴態を嗤った。

「うんっ、んっ、うむっ……」

 獣の一儀に艶めかしく蠢いていた、乙女の両の肩甲骨は鎮まった。
掴むものが無くなった掌は細い指の花弁をひらき、まだ終わらぬ肉交の
荒波に揉まれて流れる二輪の白椿となる。

 伏姫は号泣からあと、啜り泣きを渦に巻き込みながら、絶息するような
生臭い呻きをあげて堕ちていった。

 八房に乙女の華を踏み躙られるように褥をともにし、天井から降り注ぐ
光りがあっても漆黒の闇と化す。
 躰の奥深くにまで男根という塊になって届いて、抱かれてはいても、
針の一穴からの洩れ来る光りをつい探して見てしまう。

 それが、伏姫の首に掛けられた八宝珠。淡い青白に調和を
もたらそうとして耀くが、女の表情を讃えつつある背は、果てた獣の重みの
情愛すら受けず、淋しく凍えていった。
690名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 00:52:19 ID:/3tf1N9o
 八房は額を地に突いて臀を捧げる体位を保ったままの、伏姫の頭に
触れるか触れないかの距離ぎりぎりに、あくまでも愛した女性(にょしょう)の
肉襞のこだわり、成就させようとした。
 
 父、義実が望み選んだ許婚、金碗大輔孝徳とは契れていれば、
初夜の一儀に難儀し苦悶したとしても、倖せに満ち足りて、至る歓びに
伸びきることのできた、その躰を伏姫は――葬った。

 獣のしるしを押し付けられたあとも、火縄の銃で何弾も躰を
射られたように、屍のような躰を八房に揺すられつづけた。
伏姫は里見の娘としての哀しい道を担い、女となって歩み出した。

 男子と女子の恋情。観ているものも、生き方も……それはちがった。
まして女人と犬畜生。半身は魔性のもの。もう半身は人ではあるけれども。

 稀におなじものを見るとすれば、閨事でことなのかもしれない。
足りないものを互いが求め与え、そして奪い合う。堕ちた先に、
忘我の境にあって、白閃光で灼かれ歓喜に咽ぶ。

 だが、伏姫は十六とはいえ稚かった。まして獣などとの和合など知りもしない。
 
 伏姫の反応が消えていたことに、八房は急に戸惑いだし、前肢で地面を
慌しく掻いて、乙女の仔壺から逸物を抜きにかかる。
691名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 03:16:50 ID:/3tf1N9o
 伏姫の躰からはようやく、小夜嵐は去ってゆく。仔種を授かろうとした、
女性の本能は絞りにいって、肉襞は逸物に縋りついた。
    
 抜かれる逸物瘤の所為で襞が捲れてしまうのか、伏姫は疼きにまた、
小さな呻きをあげて下肢を顫動(せんどう)させていた。臀を八房に捧げた
浅ましいかたちのままで。

 伏魔殿の黄水晶の鮮麗な明かりに照らされる、一儀の終わり。

 みだれ髪は去ろうとする男子を引き止めるかのように、意思とは裏腹に
八房の前脚に、――妖しく纏わりいた。

 地面に散り咲く、濃やかな、湖水と八房の肉情で芯までも凍えさせた
濡れ黒髪は、煌く砂にも飾られ、まばゆいばかりに白い柔肌とみごとに融和した。
更なる構築を遂げようとする。

 無残絵図から窮極へと導く、伏姫の萎れ華の蠱惑。

 伏姫の下腹は波打って生きている証しをしめす。いのちの営みに悲劇を体現した、
引き攣りを時折に交えながら、悩ましく迫り出させる。
692名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 12:50:15 ID:+ZnUNzqU
(;´Д`)抜いた
693名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 23:35:53 ID:Ab48tAzt
時々読めない漢字がある\(^o^)/
694名無しさん@ピンキー:2006/05/10(水) 01:06:13 ID:1Eb8wMp3
 八房は伏姫のもたげられた臀(しり)を凝視し、総身から醸される美醜に
酔いながら、その所業いかなるものかを見極めようとする。
 主君である女性(にょしょう)を犯したこと。心に悔恨と寂寥(せきばく)の訪れを
悄然(しょうぜん)と待った。

 八房は童女ころから伏姫に眼を注いできた。女性のからだつきの成長は
花そのもの。眺めるに歓びが八房のなかでふつふつと湧く。

 華奢な躰にあって、せわしない四肢の動き。時には、四肢を太くも
見せたりもする童女の頃の愛らしさ。
 玉梓の化身の狸に育てられた季節の記憶が蘇る。仔の兄弟が、
八房がそうであったように、魔性であっても愛らしく無邪気でいた。

 それでも伏姫は違っていた。

 時に花のように美しく、温かく、あえかな女性。八房は慕った。
玉梓の気とはあきらかに異質な存在。憧憬に、闇が光りに触れ恋焦がれた。

 ゆるやかな時にあって、童女の名残をもののみごとに羽化させ、気がつけば
伏姫は清美な蝶となる。八房は伏姫への恋情を人知れず育んでいった。
 そして、いまから伏姫の命は、八房の庇護という囲いの中にあって、
伏魔殿に起居(ききょ)をともにする。
695名無しさん@ピンキー:2006/05/10(水) 01:27:26 ID:1Eb8wMp3
 一夜限りに咲く花も八房は知っていた。玉梓の記憶だったのか。
月下に花は玉体(ぎょくたい)をさらし、その朝に萎えてしまっても、
夜の鮮烈を刻みはするけれど――。
 冬の厳しさを越せぬならば、蝶の命もまたみじかい。

 獣の交会(こうかい)に及んだ時にあらわれた、臀の側面から太腿の
外に掛けての仄かな陰影は霧消した。八房は伏姫の姿勢を崩そうと、
弛緩した臀肉を鼻で押す。

 伏姫の細い腰がわずかに沈む。

 それを待たずに、すでに下の口からは血生臭い乙女の証しに愛液が。
八房が放った津液(しんえき)とが混じる和合水が、とろりと、
伏姫の子壺からあふれ、御殿の砂地を穢していた。

 八房は、まだ垂れてくる液汁の刺す臭いを避けるように、伏姫の横に廻った。
交会の怯えの痕を追うように。
 伏姫の躰を硬くして、窪みを描いていた臀の側面を八房は小突いた。
696名無しさん@ピンキー:2006/05/10(水) 03:50:43 ID:dYfpdG8x
両手は土を掻き毟って童女に帰る。八房にしぶかれて、ついに伏姫は
意識を跳ばし屈服させられた。

八房が射精したのってここらへんでいいの?
697名無しさん@ピンキー:2006/05/10(水) 22:03:35 ID:8cNmmb0X
>>696
飛沫いたと書いてあるので、お前さんと同じ解釈をしているよ
698名無しさん@ピンキー:2006/05/11(木) 00:54:18 ID:aKWAIsbW
そうです。
683から684がしぶき。

687以降が、
八房に抜かれることなく腰を使われて、
もみくちゃに玩弄される伏姫と
逸物を抜去したあとの八房の心の揺り戻しです。


わかりにくくて、すみませんでした。
699名無しさん@ピンキー:2006/05/11(木) 01:15:08 ID:aKWAIsbW
 躰が横倒しになりかかり、臀に戻って、両太腿の淡いに八房は鼻を突っ込んで拡げる。
かといって、伏姫を腹這いにはさせるほどに落としはしなかった。

 八房はふたたび伏姫の横に戻って、すばやく土を掻き、鼻筋を伏姫の
腹の下にもぐらせた。

 顔と胸を支えに臀をもたげる、伏姫のもうひとつの支点のほうを攻める。
膝すこし上をかるく叩いて、伏姫の肉体を伸ばしていき、降りてきたところを、
八房は鼻筋に乙女の腹を受けて、くいっ、と繊麗な肢体を仰向けに返す。

「うんっ……」
 華奢な四肢がもつれあい、吊るされたようになって転がり、裸身に
黒髪も巻きながら、伏姫の顔を伏魔殿の天上にさらした。
 伏魔殿の砂を濡れた肌に、まばらに貼りつかせはしているが、
伏姫の美しさは損なわれてはいなかった。

 仰臥した伏姫の裸身に、八房は激しく昂ぶった。眠るような相にも
ぞくっとした。収まったはずの逸物が疼く。
700名無しさん@ピンキー:2006/05/11(木) 01:35:45 ID:aKWAIsbW
 転がった伏姫は弾けたように四肢を拡げ、あられもない姿にさせられる。
鴇色(ときいろ)の管が、破瓜の血糊を附着させたままの靫(うつお)をひらいて、
二度三度、にゅるっ、にゅるっとせわしなく出し入れを見せていた。

 伏姫の屍の蠱惑に八房は酔い、戯れを続けたいという澱みが湧いて、
労わろうとしたやさしさとせめぐ。もどかしい。触れたいのに、獣では
抱きしめることも叶わない。

「んっ、ん」
 八房は地面に鼻先を擦り、仰向けになった伏姫の腰の括れを鼻で押して
揺すっていた。

 盆の窪を僅かに上げて、八房に貫かれて顔を仰け反らせるかのように、
細る頤(おとがい)を突き出して、白い喉を伸ばした。
 湖水に溺れた濡れ肌は、快美感に惑溺する女性に伏姫を変えた。
眉は受け月から、徐々に眉間にうっすらと縦皺をこしらえ、
せつなそうな顔にする。水から引揚げられたように、地に頭頂を突いて、
ぐらぐらと揺れていた。

 白足袋は濡れた砂に穢れていた。首に掛けた数珠にも及んでいて、
そこに伏姫のほつれ髪が妖しく絡みついた。
701名無しさん@ピンキー:2006/05/12(金) 03:26:10 ID:pCodcJEF
 腰括れから入った鼻は背に移り、翼の名残を撫でて、伏姫の首近くにも滑って、
八房の鼻息がうなじに吹いた。

揺すられながら、伏姫は閉じていた瞼をひらく。唇も薄くひらかれ、
腫れぼったくて、じんじんとしていた。たぶん瞼もそうなってしまい、
髪ももみくちゃな醜女になっているのだと、伏姫は思った。

 口元から唾液の雫が垂れる。疼きのなかで、だらりは快美感に
身をゆだねようとする感じを伏姫に芽吹かせる。ゆめうつつの、
黄水晶の明かりが伏姫に及ぶ。

 ふと、女性として、閨(ねや)のたしなみを伏姫は思い出したが、
ここに御事紙(おじがみ)などあるはずがない。

 顔をわずかにしかめさせていた。血に塗れた、獣の逸物を
頬張らなければならないのかと、ぼんやりと考えていた。

 痛いところは他にあるのに、どうしてか、食い縛っていた
下唇のほうが気になる。伏姫は惚けたような顔で、舌を出し
先でなぞり始める。涙の頬に唾液が流れていた。
702名無しさん@ピンキー:2006/05/12(金) 03:45:10 ID:pCodcJEF
 下唇は切れてはいなかったが、口には血の味が広がる。
揺さぶりに舌を噛んでしまい、伏姫の黒い瞳は痙攣し白目を剥いた。
切れていた上唇にも犬歯がまた傷をつけ、いくらか舌を口腔に
戻そうとはしたが、あきらめてされるがままになった。
 わずらわしい、と思いながら波に揺られた。
 
 淡いからの痛みに躰を跳ねさせ、乳房を揺らした。気がつけば、
八房の頭が天上に向かって拡げられた股間にあって、一儀の残滓を
舐め取ってくれていた。和合水に血のまじったもの。

 ひととおりの始末を終えて八房が上がってくる。対面で契る格好に躰を
舐めまわす。下腹から肉を圧しあげられ、息が上がり喘ぎかける乳房にも渡った。
乳暈に載る尖りを倒し、乳房を掴むように附着する砂を舐め取られる。

 八房は人肌の温かさの肌と、鴨に似るやわらかな毛で伏姫に圧して
伏姫の裸身を撫でつけていた。
 あらわになっていた伏姫の秘園は露を取り戻し、うつつに引き戻されては
闇に沈んだ。
 伏姫の瞳は濁って、何を見ているのか、いまだわからない状態のままにあった。

 秘所の円らな孔はひくつき、広がってしまう。伏姫は湯放(ゆばり)を放出した。
水流は徐々に勢いを見せ、溜まっていたものを放つ弧は、八房の腹に当たって砕け散る。
まばらに落ちた先で、伏姫は御殿の土に、にわか雨のあとをこさえた。
703名無しさん@ピンキー:2006/05/13(土) 00:38:00 ID:48TnI4D6
八房が下を向いて伏姫の犬畜生にも劣る羞恥に傷つくうつろな瞳を見る。
伏姫には八房の貌は見えてはいなかった。眼をひらいていても、
尾から読むほど容易くはなく、心をみることはできない。

 伏姫にしるしを入れた。八房も伏姫からのしるしを欲していた。
だから不浄のものという意識はない。
 八房の育ての母、玉面(たまつら・狸の別称)が子にしたように、
愛しい女性のものであれば、食して下の世話もできた。

 が、伏姫は躰を赦したからといって、そればかりは頑なに拒むだろう、
とゆばりを下腹に受けながら八房は思っていた。




 伏姫が眠りから醒めると、大の字になって寝ていた。慌てて、両足を
引き寄せて閉じて折りたたみ、斜め横から上体は倦怠を引いて、
ゆるりと起きあがる。

 獣の嵐を思い出し、両足を大きくひらいて寝ていたことが伏姫を激しく
傷つける。粗相をした記憶も。

 無礼討ちにはされなかったのだな、と突いていた右手を胸元に持ってきて、
八宝珠を過ぎて、親指と人差し指の股で喉に触れていた。
704名無しさん@ピンキー:2006/05/13(土) 01:08:30 ID:48TnI4D6
 喉笛は裂けていない。裂かれていれば、玉梓の見せた幻視の
赫い海に横たわって居たことだろう。伏姫は下腹に頭を落として見た。
 玉梓の糸を手繰り、八つ子に留まる。そのまま滑っていって、
伏姫は腹に触れてみた。獣の子。人と獣の血の交わり。

 祈り結願することなく、子壺は崩漏(ほうろう)となり、流れてしまうだろうか。

 なにが望み……。

 伏姫の腹は血を流す傷口に触れた怯えに痙攣した。炎に手を差し出して、
撫で擦った。ひくつきはなかなか治まらなかった。

 伏姫はあたりを見廻した。八房は御殿には居ない。伏魔殿にひとりぼっち。
淡いにぴりりっとしたものを感じ、両肩を竦めそうになって、伏姫は無性に
腹立たしい思いに駆られる。

 立とうとして、ふと眼を足袋のほうにやると、土を掛けたあとがあった。
こんもりと盛り上がる、滑稽でつまらない眺めにも、伏姫のなかには
熱いものが込み上げる。
 砂に手を添え、撫でるように触れていた。

 足袋の金具留めを解き、素足になって起き上がり、地下湖水へ
しっかりとした足取りで歩いてゆく。
 右手を下腹に、左手はだらりとしたまま、水面をじっと見て、
「恥を恥ともせずに、妾は生きていこう」と伏姫は発話する。
705名無しさん@ピンキー:2006/05/13(土) 01:50:33 ID:48TnI4D6
これでおわりです。

メインである獣姦が少なくて
すみません。

読んでくれて、ありがとうございました。
706名無しさん@ピンキー:2006/05/13(土) 20:46:19 ID:7mzP1Ky0
>>705
楽しく読ませてもらったよ、保守し続けてよかった
これで終わりで少し寂しいけど、乙カレ
707名無しさん@ピンキー:2006/05/14(日) 00:26:20 ID:Yu96SJ9u
怒涛のような連載に感動した。乙でした。
普段使わないような語彙が多いのですが、普段から文を読み書きしてるのでしょうか?
708名無しさん@ピンキー:2006/05/14(日) 03:36:01 ID:WfJvFtsR
基本に夏から秋、厳しい冬、そして春に死す
のイメージはあったにはあったんですが、
伏姫と八房だけに絞り込むと、日常の淡々とした心裡描写と
ただやりまくってるだけ、になりそうでしめました。

それにいままでのように
玉梓の過去を八房に語らせてみたり、他の犬士たちの閨とかを
入れていると、流れを把握できなくなりそうで。


繋がりで調べてみました。
なかでも赫い唇、鴇色はかなり気に入ってます。
雰囲気とかに合うと思って使っていましたが、
ひらがなの柔らかな表現をもっとうまくできればとも思いました。


ほんとうにありがとうございます。


709名無しさん@ピンキー:2006/05/16(火) 23:06:13 ID:JITG5naA
保守
710名無しさん@ピンキー:2006/05/21(日) 21:51:38 ID:ntha4I5y
たまたま通りがかったものだが、良い物を読んだよ!
心の底からGJ!
711名無しさん@ピンキー:2006/05/22(月) 12:32:47 ID:hDJ34FyB
このスレが終わりなんて俺は認めない
712名無しさん@ピンキー:2006/05/23(火) 01:44:55 ID:js9rhL87
ヒント:スレタイ
713名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 09:13:27 ID:iTkrGms5
保守
714名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 04:05:29 ID:6Rdo/sBF
新作、まだ〜?
715名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 04:43:36 ID:CJy/UNhn
保守
716名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 18:33:56 ID:dRFGF8X7
保守
717名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 00:09:33 ID:Rg4PAXzm
まとめサイトとかないのだろうか?
正直、八犬士に興味はないし、八房×伏姫だけを読みたいんだが
718名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 18:45:41 ID:dxld7g3n
保守
719名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 14:27:45 ID:nZnAoNRZ
保守
720名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 10:36:57 ID:QwnEU5yA
保守
721名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 23:49:22 ID:uoNJiwv0
保守
722名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 19:12:59 ID:vaufpqQk
保守
723名無しさん@ピンキー
保守