天使禁猟区のエロキボン……(´Д`)ハァハァ...
同性愛は禁止の方向で。
神 щ(゚д゚щ)カモーン
職人щ(゚д゚щ)カモーン
エロщ(゚д゚щ)カモーン
降臨せよ降臨せよ 山(゜□゜)山ハァァァァ
2 :
名無しさん@ピンキー:03/04/14 21:09 ID:M4tgZLDd
にげとー
3 :
名無しさん@ピンキー:03/04/14 21:13 ID:RTm4LBou
てわけでよろしくお願いします。
個人的に黒赤の双子のどっちかのが見たい。
4 :
名無しさん@ピンキー:03/04/14 23:28 ID:qbcv3G1n
需要があるので供給を要求する、なんちって。
誰にも賛同が得られなかったんだけども、
ミカエルと九雷のカップルに夢を見ている。
身長差も中々ちょうどいい。
5 :
名無しさん@ピンキー:03/04/14 23:30 ID:qbcv3G1n
肝心なことをいうの忘れた……。
誰か書いて欲しいんです。
ミカ×九。
ベリアルさまとか帽子屋とかマッドハッター様とか……。
職人さん居るのかね。
マイナーな漫画じゃないと思うが。
ネット検索してみてもほとんど無い......。
どっちかっつーと、伯爵カイソの方がいい・・・
マリーウェザータソ、ハァハァ・・・・
今日はカインが旅から帰ってくる日だ。
「お兄様ー!お帰りなさい!!」
そう言ってマリーはカインにしがみついた。
だが、いつもは抱きしめ返してくるカインの腕は力なくダラリとたれ、顔色も悪い。
マリーがしがみついた反動でカインは今にも倒れそうにフラリとかたむき、それをリフが支えた。
「ん・・・ん・・・・・」
カインは苦しそうに唸る。
「お、お兄様??」
マリーは、何があったの?と問うようにリフの目を下から覗きこんだ。
「・・・・・・カイン様は特定の地域でできる天然の毒を採取しに行ったのですが、肌に浸透し効力を出すその毒に誤って触れてしまったのです。
私にはどんな毒かはわからないんですが・・・カイン様はさきほどから気分を悪そうにし、しゃべる事もままならない状態で・・・・・・・疲れがたまったのか今お倒れに・・・」
「そんな・・・お兄様死んじゃうのぅ・・?」
マリーははんば泣きかけで言う。
「カイン様は毒を採取する前、毒性自体はさほど強くないっておっしゃっていたのでそれは大丈夫だと思います・・・・・」
「毒性は強くない?こんなに苦しそうなのに・・・・」
「質問は後にしましょう。カイン様をこのままにしておくのは・・・部屋に運びましょう。医師も呼ばなければ。」
そう言い、リフはカインを抱きかかえながら部屋へ向かった。
マリーも後ろから小走りについていった。
長くてゴメン。ってかageちゃった(恥
「何の毒かわからないなんて・・・・!」
医師は「死ぬ心配は無い。しばらく安静に。」とだけ言った。
そして、カインの肌についた毒をふき取ったハンカチを調べたが、何の毒かわからない。
「安静にするだけで大丈夫なのかしら?こんなに苦しそうなのに。」
マリーは歯噛みした。
「きっと、大丈夫です。以前にも何度かこういう事はあったので・・・」
リフはマリーはなだめる様に優しく言った。
「前にもあったっていうの!?もー!お兄様が起きたら毒なんて全部捨てるわよっ!!」
「それ・・は・・・・・・」
リフの視界が揺れた。
「ちょ、ちょっと大丈夫?リフっ!」
「大丈夫です。」
リフは微笑んだが、その顔には「疲れ」という影があった。
「リフ、休んでて。お兄様は私が看てるから!」
「いえ・・そんな・・・・」
「いいから!」
そう言い、マリーは強引にリフを部屋から追い出した。
「まったくリフったら・・・マリーだって看病くらいできるわよっ。」
マリーはそんな事をつぶやきながら熱を帯び始めたカインの額のタオルをせっせと替えた。
やがて夜も更け、外は真っ暗になり、現代のように電気設備も大してないため部屋も暗くなった。
マリーは何度もあくびをし、眠さをこらえたがやはり耐え切れなくなりカインの布団につっぷして眠った。
マリーが目を閉じてからどれくらい時間がたっただろう。
荒い息遣いでマリーは目を覚ました。
「・・・・・ん」
薄暗闇の中でカインが汗を大量にたらしハアハアと息せき切っているのが見えた。
「お兄様!?」
マリーはカインの尋常ならぬ様子に驚愕した。
「お兄様!?大丈夫?苦しいの??」
マリーがそう叫ぶと、カインがマリーの方を振り向いた。
カインの金色の目がキラリと輝いた。
けれど・・・輝いているはずなのに何故かその瞳はどこまでも暗い。
「・・・・!」
マリーはその瞳に恐怖を覚えたが、それどころではない。
容態がおかしいのだ。リフと医師を呼んでこなければ。
「お兄様待っててね・・・!今リフを呼んでくるから!」
そう言い、その場から去ろうとするマリーの腕をカインを引っ張り、ベッドの上に無理やり引きずり込んだ。
カインは、突然の出来事に何がなんだかいまいちわかっていないマリーの、小さい華奢な体に覆い隠すように自らの体を重ね、マリーの両腕の自由を奪った。
「?・・お兄様・・・・?」
疑問符を浮かべるマリーの唇にカインの唇が重なった。
「・・・・・・・!?」
わけがわからず一瞬硬直したが、すぐにわかり、マリーはカインから無理矢理顔をはなした。
が、すぐにカインはまるで食いつくかのようにマリーの唇に吸い付いた。
「あ・・・・・・」
カインの舌がマリーの唇をわって、口の中に侵入する。
さきほどのよりさらに濃厚なキスに幼いながらマリーは酔いしれた。
抵抗しなくなったマリーの両腕からカインは手を離し、右手はそのまだ未成熟でこぶりな乳房を、左手はまだ毛の生えていない恥部に伸ばした。
「ああぁ・・・ん・・んぅ・・・・・・・・め・・・・・・・てぇ・・・おにぃ・・・・・・・・・さ・・・まぁ・・・・・!」
マリーは喘ぎ声を出すが、カインには届かない。
カインは今、毒に侵されているのだ。
人の脳に極端に性的な感情を起こさせる毒が・・・・・
マリーの服をすべて剥ぎ取ったカインは、その細く長い指を小さなマリーのつぼみに入れた。
「ひっ・・・・?・・・う・・・あ・・・?・・・ん・・・・・ん・・・・・・うぅ・・・・・・」
痛みとも悦びとも知れぬ複雑で艶めいた感情がマリーに走る。
「は・・・・ふん・・・・・あ・・・・・や・・・・・・・・ん・・・・・」
マリーはピクピクと小刻みに震えながら白人特有の真っ白ですべらかな体を赤くほてらせた。
カインはマリーのつぼみを花開かせると、そこから指を抜いた。
指を抜いた衝撃でまたマリーはヒクヒクと震えた。
以下お任せしますっ
カインの鬼畜プレイでもリフとかパパンとの3Pでも、カインは次の日やったこと忘れてようが何でもいいです。
ってか、かなり汚い文章だから呆れられてるかな?
なにはともあれ書いてくれる人はよろしくです
>12
早くも神降臨と思ったのに・・・書き逃げイヤン。
続きキボンヌ(*´д`*)ハァハァ
14 :
名無しさん@ピンキー:03/04/15 19:40 ID:+0HYqc2p
うわあ。めっちゃ見てみたい気が>ミカ×九
小説は書けるんだけど、経験無いのでエロは書けねぇ(ニガ
私もミカ九きぼん。だれぞ書いて見せておくれ。
>それがしはヘタレなり ◆1oKmZSIAF.
乙。
15 :
名無しさん@ピンキー:03/04/15 20:33 ID:6G56y+Wc
16 :
名無しさん@ピンキー:03/04/16 17:21 ID:z0c7NVZg
期待。あげ
17 :
名無しさん@ピンキー:03/04/16 17:26 ID:mx6ijEHJ
パンパン パンパン パンパン パンパン パンパン パンパン
/ ̄ ̄\/ ̄ ̄\/ ̄ ̄\/ ̄ ̄\/ ̄ ̄\/ ̄ ̄\/ ̄ ̄\
| ・ U | ・ U | ・ U | ・ U | ・ U | ・ U | ・ U |
| |ι | |ι | |ι | |ι | |ι | |ι |
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18 :
名無しさん@ピンキー:03/04/16 22:06 ID:T17M0oav
(゜д゜)神コナイカナー
19 :
山崎渉:03/04/17 12:16 ID:Ac1CXwMS
(^^)
うわっ、なつかし。
しかしこの板に天禁とは、けどいい。
私も6様と同じで帽子屋さんが見たいかな。
けどよく考えてみるとこの作品、女性陣の死亡率が高いのよね、くすん。
エロで考えてみると、カタン×ティアラがいい。コード触手プレイハァハァ・・・・。
エロに至るまでのシチュエーション作りに挑戦してみようと思います。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
20××年。救世使の一連の事件から何十年も過ぎ、天界も地球も地獄も
平和な日々が続いていた。
そして今日も、地獄では退屈な御前会議が行われていた。
ルシファーはあくびをこらえながら、聞くともなしに七君主達の報告を
聞いていた。
「・・・・人間界では・・・・・・新種のウィルスが猛威を・・・・・・・」
ルシファーは、やる気のない声で次の者を指名する。
「次、アスモデウス。」
アスモデウスは、一歩前に進み出て、報告書を読み上げる。
「天界では、ジブリールが復活した模様。」
ルシファーは、ちょっとだけ興味を示したように、首を傾げた。
「次、ベリアル。」
ベリアルは、報告書をめくると、少し顔を曇らせた。
「一昨日、救世使が老衰で亡くなったそうです。」
ルシファーは、驚いて玉座から立ち上がりかけた。
「何?」
ベリアルは、そんなルシファーをさらっと無視し、抑揚のない声で告げた。
「今日の報告は、以上です。」
ルシファーは、椅子に座り直し、冷静さを装いつつ、
「そうか。皆の者、ご苦労であった。下がってよいぞ。」
と会議をしめた。
自室に戻ったルシファーは、ぐるぐると同じことを繰り返し考えていた。
「・・・・・死んだ・・・?刹那が?・・・・・そしておそらく沙羅も・・・・」
「沙羅はジブリールとして復活した。とすればおそらくアレクシエルも・・・!」
ルシファーは、いてもたってもいられなくなり、ぐるぐると部屋の中を
歩き回った。
「逢いたい・・・・・!しかし・・・・・・地獄を捨てるわけにはいかない・・・・・!」
「しかし・・・・・・しかし・・・・・・・・」
そんな自問自答を、どのくらい繰り返していたのだろうか。
ふと気づくと、窓から大きな青白い月の光が差し込んでいた。
時計を見ると、夜中の一時を回っていた。
「とりあえず一目だけでも・・・・・・・アレクシエル・・・・・・・・!」
ルシファーは、アレクシエルに会いに行く決心をした。
ルシファーは窓を開けると、4枚の漆黒の翼を広げ、
地獄の夜空に向かって飛び立った。
・・・・・・・はずだった、のだが。
足に何かが引っ掛かり、ルシファーは頭から地面に激突した。
「痛ってェ・・・・・・・・」
起きあがって、ぶつかった額を撫でながら、ふと足元を見ると、
白くてふわふわしたものがうずくまっていた。
「・・・・・・・なんだ・・・・・?」
ルシファーは、その白くてふわふわしたものを拾い上げてみた。
人のようだった。その人物がルシファーの足を引っ張ったのだ。
その人物が振り返ってルシファーを見た。地獄の海のように澄んだ深い青の瞳が
月の光に反射して煌めいた。
(・・・・・・・誰だったっけか?)
一分ぐらいルシファーは考え込んでいたが、思いつかなかった。
よく知っている人物のような気がするのだが・・・・・・・・?
「ルシファーさま・・・・・・」
その人物が口を開いた。
「・・・・・・・ベリアル!」
ルシファーは驚いて小さく叫んだ。
・・・・・・・そういえばベリアルの素顔を見るのは何十年ぶりだった。
わからないはずだ。
夜着だろうか。ノースリーブの細かいレースで装飾された
白くて柔らかいロングスカートが夜風にたなびき、
細かい巻き毛が月の光を集めてきらきらと輝く様は、
天界で最も美しい天使といわれていた頃を彷彿とさせた。
「ルシファーさま。どちらへ行かれるのです?」
声だけは、いつもどおりの冷静で抑揚の少ない声で、ルシファーに訪ねる。
「・・・・・いや・・・・・・・それは・・・・・・・・」
ルシファーは言葉に詰まった。
「・・・・・・アレクシエルに逢いに行くおつもりだったのでしょう?」
ベリアルの言葉が、少しだけ詰問口調になった。
「・・・・・・・・;;;」
ルシファーは、もはや狼狽を隠せなかった。
「貴方様が戻って地獄にも漸く平和が訪れたというのに・・・・・!」
寒さのせいなのか、彼女の唇は震えていた。
「おまえこそ、どうして此処へ居るんだ。」
ちょっと逆ギレしてルシファーが尋ねる。
「・・・・・昼間の貴方様の様子が少しおかしかったので、悪い予感がして
来てみたのですよ。」
少し後ろめたそうに、小さな声で彼女は答えた。
ルシファーは、困ったように目を伏せて言った。
「・・・・・・一目会ったらすぐ帰ってくるから・・・・・・だから行かせてくれ」
ベリアルは、目を見開いて体をこわばらせた。
そして次の瞬間、ルシファーの胸ぐらを掴むと、取り乱した様子で叫んだ。
「そう言って(ほんとは言ってないんだけどby筆者)以前も何千年も
帰ってこなかったではありませんかっ!」
「バカっ・・・・・!声が大きい!」
ルシファーは慌ててベリアルの口を塞ぐと、部屋の中に連れ込んで窓を閉ざした。
ベリアルは興奮してルシファーの腕の中で暴れていた。
「ベリアル・・・・・・・落ち着けベリアル」
ルシファーはベリアルの肩を揺すぶってなだめた。
ベリアルは軽く嗚咽をあげていたが、少し落ち着きを取り戻したようだった。
瞳が濡れていた。透明な滴が、幾筋も頬を伝って流れ落ちた。
彼女は少女のように泣きじゃくった。
いつも冷静なベリアルの意外な姿に、ルシファーは驚いたが、
それがなんだか愛おしく感じられて、震える肩をそっと抱きしめた。
その体は、普段見て思っていたよりも、ずっと華奢で、痛々しいぐらいだった。
「もう泣くな」
ルシファーは、長い指でそっと涙をぬぐった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
時間切れです。ごめんなさい。
27 :
名無しさん@ピンキー:03/04/19 00:13 ID:yNPfcDoj
キタ――――――!
……でもエロじゃないのかーショボン。
エロなー。ネタあるから自分で書いてもいいんだけど、問題点がありまくり。
1 女性キャラがオリキャラ(一番の問題)
2 前振りが長い。すごく。
3 エロよりストーリー重視(セクースの比重低い)
の三点です……。
この点が我慢できて、なおかつマターリ付き合って貰えるなら、かけます。
でもたぶん1の段階で無理ぽ。
リクエスト――ラファエル×バービエルお願い。
そのうち続きにチャレンジしてみます。
誰もいない(多分;;;)ようなのでズバッといってみます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ベリアルは、潤んだ熱を帯びた瞳で、ルシファーを見上げた。
ルシファーは、彼女の頬をそっと掌で包んだ。
そして唇を重ねた。
ルシファーは、ベリアルの柔らかい唇を舌で押し開くと、
先端を中に挿入した。
ベリアルは、初めて男に触れられる娘のように、体をこわばらせた。
ルシファーは、それを無視して舌を絡ませる。
拒むようにベリアルは体を引こうとしたが、ルシファーが強く抱きしめたので、
逃れることはできなかった。
ルシファーは、ベリアルを軽々と抱き上げると、ベッドの上に押し倒した。
以外な展開に、彼女の頭は混乱していた。そのせいなのか、体が震えていた。
「ルシファーさま・・・・・?」
怯えた声で、彼女が尋ねた。
ルシファーは、細い首筋に唇をあてた。舌で上へなぞっていく。そして耳たぶまで
到達すると、包み込むように優しくなぶり、軽く噛んだ。
32 :
名無しさん@ピンキー:03/04/19 22:50 ID:+XAwXt6x
うわーーーーーいーーーーーー
書き逃げスンナァァァァ!! .,(;д;).,
33 :
名無しさん@ピンキー:03/04/19 22:52 ID:K6iBsZ9V
34 :
山崎 渉:03/04/20 04:09 ID:sTzjkZgc
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
書き逃げっていうか・・・・・・・家族帰宅。
今日も行ってみます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「あ・・・・・・・・・ん」
ベリアルは、小さく喘ぐと、ほんのりと目元を染めた。
ルシファーは、我慢できなくなり、彼女の肩紐に手をかけると、
一気に足元まで引きずり下ろした。
「・・・・・・・!」
ルシファーは息をのんだ。
女になるのを途中でやめた体だということは知っていたが、
まざまざと目の当たりにするのは初めてだった。
細い体のラインには、あどけなさが残っていた。
服の上からは分からなかったが、乳輪の周りのごく僅かな地帯だけが、
開く直前の蕾のように、微かにほころんでいた。
細い腰。そして・・・・・・・・
柔らかいうぶ毛におおわれた秘部はあまりにも幼かった。
・・・・・・・・これで本当に、あまたの男を受け入れてきたのだろうか。
「ルシファーさま・・・・・・?」
異変に気づいて、ベリアルが起きあがった。
「どうなさったのです?」
ルシファーは、暫く黙っていたが、漸く声を絞り出した。
「あ・・・・・その・・・・・・大丈夫なのか?」
ベリアルは、一瞬その質問の意味を理解しかねたが、やがて納得すると、答えた。
「平気ですよ。時々流血したりしますけどね。」
(それって平気っていわないんじゃ・・・・・・・)
ルシファーは心の中でつっこんでみる。
ベリアルは、目を伏せると、言葉を続けた。
「神に逆らったこの身ですから。」
捨て身の反逆。感心していいのか、呆れていいのか、ルシファーは呆然とした。
「こんなわたくしではお嫌?」
ベリアルは、少し哀しそうに、目を逸らしたまま尋ねる。
「いや・・・・・・・・・・・・・」
ルシファーの思考は、まだ彷徨っていた。
抱いてみたいという思いはあった。
サディスティックな感情と憐れみに似た保護欲という、
相反する思いが彼の中を渦巻いていた。
欲望には勝てなかった。
ルシファーは、ベリアルの細い体を抱くと、乱暴にシーツの上に押し倒した。
顔を胸に埋めると、乳房(?)を口に含んだ。
そして、その小さな膨らみを舌で執拗に舐め回した。
舌先で先端を刺激する。柔らかだったそこが張りを帯び、
舌に逆らってルシファーの歯にあたった。
ルシファーは舌を徐々に下腹部に這わせていく。
ベリアルは、苦しげに身をよじった。
舌は、遂にそこに到達した。
少女のような割れ目を、舌でこじ開け、奥へ差し込んだ。
そのまま少しずつ下へとずらしていく。
「ああっ・・・・・・!ルシファーさまっ・・・・・・!」
ベリアルは耐えきれずに叫んだ。
ルシファーはそれを無視して、さらに舌を奥へ差し込んだ。
舌先が、入り口を見つけた。
ルシファーは、そこを存分に弄ぶ。
「あ・・・・・・・あ・・・・・・・・・・」
ベリアルは、体上気させて喘いだ。
ルシファーは、先端を内部に挿入する。
「ルシファーさま・・・・・!ダメっ!」
ベリアルは、死にそうな声で叫ぶ。
ルシファーの欲望も、もう限界だった。
ルシファーは舌を抜くと、ベリアルの体にのしかかった。
ルシファーは、彼女の両膝を掴むと、乱暴に左右に押し広げた。
ベリアルは、小さな悲鳴をあげた。
すらっと伸びた太股の奥に、花のような秘部が初々しく開きかけていた。
ルシファーは、男性自身の先を、秘部の入り口にあてた。
そして侵入を試みる。しかし、そこは狭くて、すんなりとは入らなかった。
ルシファーは、割るように強引に奥まで体を差し込んだ。
「や・・・・・・・・っ!」
ベリアルは、激しい痛みに耐えかねて、体をのけぞらせた。
体の内部に強烈なまでにルシファーの存在を感じていた。
もう何も考えられない。痛みと眩暈で気を失いそうだった。
ルシファーが腰を動かす。未発達な彼女の内部は、
分泌物が充分には出ない。その為摩擦が普通よりもはるかに激しかった。
何故だか涙が溢れた。彼女は肩を震わせ、嗚咽をあげた。
「ベリアル・・・・・・・ベリアル?」
驚いたルシファーが、動きを止める。
涙で濡れた頬に手をあて、顔を覗き込む。
「どうした?ベリアル。」
「わかりません・・・・・・・」
ベリアルにも、何故涙がでるのかわからなかった。
でも、次から次から溢れ出て、どうにもならなかった。
小刻みに体が震えていた。
ルシファーは、優しく彼女の髪を撫でると、そっとその体を抱き締めた。
そして、いたわるように、彼女の幼い内部を刺激する。
「ん・・・・・・・ん・・・・・・・・」
ベリアルは、徐々に快感が高まってくるのを感じた。
「ルシファーさま・・・・・・・・」
甘い声で呟く。
ルシファーの厚い胸板が熱を帯び、逞しい腕に力が込もった。
「ベリアル・・・・・・・・」
ルシファーの熱い息が、ほてったベリアルの首筋にかかった。
ルシファーは、先端で、最奥のもうひとつの花弁、
子宮の入り口をを激しく責め立てた。
「あ・・・・・・・・っ!そこは・・・・ダメ」
ベリアルは、制止なのか誘惑なのかわからない、艶めかしい声をあげる。
「おまえに選択権はない・・・・・」
ルシファーは、さらに深く差し込む。
「あ・・・・あ・・・・・あ・・・・・・」
ベリアルの径がぎゅっと収縮し、ルシファーを締め付けた。
脈打つ内部に、ルシファーは酔いしれた。
「う・・・・・・・・う・・・・・・・・・・」
ベリアルは、身をよじらせ、華奢な手で下腹部を押さえた。
「どうした・・・・・・?ベリアル」
尋常でない様子に、ルシファーは少し不安になった。
「・・・・・子宮・・・・・・が・・・・・・・・」
ベリアルは、目元を紅色に染め、喘いだ。
ルシファーは、手をベリアル
46 :
名無しさん@ピンキー:03/04/21 01:17 ID:Lvx5CfBs
期待アゲ。
昨日、いっぱい書いてスゲー疲れたので今日は休みます。
でも最後まで書くつもりなので。続く。
48 :
名無しさん@ピンキー:03/04/22 01:09 ID:X4fCDGA2
このスレには人がいない予感。
あぼーん
50 :
名無しさん@ピンキー:03/04/22 06:08 ID:Aq+TVepX
10巻がエロかったなあ
あぼーん
続き。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ルシファーは、ベリアルの下腹部に掌をあてた。
肌の上からでもはっきりわかるくらい、
内部が激しく収縮を繰り返しているのを感じた。
ちょうど子宮のあるあたりだ。
子宮だけではない。そこへ至る、ルシファーを包みこんでいる部分も
どくんどくんと収縮を繰り返していた。
「苦しいのか・・・・・・?」
ルシファーは、優しく下腹部をさする。
ルシファーの熱い掌を感じて、ベリアルの子宮はさらに悶えた。
ルシファーは、さらにそこを愛撫する。
桜色にほてった少女のような体を捩らせ、ヒクヒクと彼女は震えた。
ルシファーの熱い胸に抱かれた彼女の上半身が汗で艶めかしく濡れていた。
彼女は苦しげに、長いまつげを伏せて肩で荒い呼吸を繰り返していたが、
やがてゆっくりと目を開けると、熱で潤んだ瞳でルシファーを見つめた。
しなやかな腕をルシファーの逞しい首に絡める。
「ルシファーさま・・・・・・」
彼女はためらいがちに口をひらいた。少しだけ声が震えていた。
「愛しています・・・・・ルシファーさま・・・・・ずっと・・ずっと・・・・」
最後の方はやや涙声で途切れがちになった。
ルシファーは、彼女の縮れた柔らかい髪を大きな掌で優しく撫でると、
少し微笑んだ。
「おまえのことを愛しく思っていないわけではないよ、ベリアル。」
(愛しているとは言ってくれないのですね・・・・・・・・)
分かり切っていたことではあったが、悲しかった。
でも、それがルシファーの彼女に対する精一杯の優しさであることを、
ベリアルは知っていた。
ルシファーは、彼女にそっとキスをする。
ベリアルも、それに応える。
二人は腕を絡めあい、長いことお互いの唇を求め合っていた。
やがて二人は唇を離すと、荒い息をついた。
ルシファーは、彼女の両方の太股に手を伸ばすと、
極限まで力まかせに押し開いた。
シーツに強く押しつけられた彼女の足がびくんと引きつった。
全く無防備になったそこに、ルシファーは再び侵入した。
ルシファーは、逞しい腕で彼女の太股を押さえつけたまま、
幾度も幾度も侵入を繰り返した。
その度に、ベリアルは激しく声をあげた。
彼女自身の体内の収縮と、容赦なく犯してくるルシファーの
不揃いな二つのリズムが、波のように彼女の内部を責め苛んだ。
「や・・・・・・・っ!」
生まれて初めて、彼女は逃れたいと思った。
「ルシファーさまぁ・・・・・・!もう・・・・・もう・・・・・・」
彼女は悲痛な声をあげる。
ルシファーは、そんな彼女を無視して、さらにそこを蹂躙する。
「ルシファーさま・・・わたくし・・・・・・妊娠してしまいそう・・・っ!」
彼女は、乱れた呼吸の合間に、とぎれとぎれにやっと声を絞り出した。
「できるもんならしてみろ。俺は構わないぞ。」
ルシファーは、彼女の体を存分に味わいながら、言い放った。
「酷いお方・・・・・・・愛してもいないくせに・・・・・・・・・」
ベリアルは喘ぎながら呟く。
「愛?愛のない欲望を数限りなく貪ってきたお前が・・・・・!」
ルシファーは嘲笑った。
天罰かもしれない。ベリアルはそう思った。
激しい快感が、頂点に達しようとしていた。
「あぁぁああぁぁぁああああっっ!!!!!」
一段と激しいルシファーの陵辱に、ベリアルは耐えきれず叫んだ。
奥深くまで差し込まれたルシファーを、ベリアルが激しく締め上げた。
ピクピクとわずかに振動するベリアルの内部の最奥で、
ルシファーは熱い液体を吐き出した。
「ああ・・・・あ・・あ・・・あ・・・・あ・・・・・・・・」
彼女は、少女のように細い体をビクンと引きつらせると、
小刻みに震えた。まるでいたいけな子供のようだった。
ルシファーは、体を引き抜いた。
ベリアルは、犯された姿のまま、ぐったりと体を投げ出していた。
傷ついたのだろうか。秘部から血が流れていた。
まぶたがヒクヒクと痙攣していた。
強姦してしまったかのような罪悪感が、ルシファーの心の中をひたひたと浸した。
ベリアルの体の中には、まだルシファーの感触が残っていた。
ルシファーの精液が、胎内に染み渡っていくのを感じていた。
本当に妊娠してしまうかもしれないと、ベリアルは思った。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上はすべてフィクションというか妄想です。信用しないように。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
・・・・・・・やっと終わった・・・・・長かった・・・・・・;;;
でもこのスレには人がいないのかショボーン。
>28タン!
>1 女性キャラがオリキャラ(一番の問題)
>2 前振りが長い。すごく。
>3 エロよりストーリー重視(セクースの比重低い)
1さえなんとかすれば、2・3は漏れだってクリアーしてないYO!
・・・・・・ってか、漏れ自身シチュエーション萌えというか、
ストーリーなしでエロシーンだけ描かれても萌えないタチだから。
女性オリキャラを28タンの頭の中でだけオリキャラにしといて、
書くとき名前だけ天禁キャラに当てはめればヨイのでは!?
とりあえずいちおー、
ラファエル×バービエルで逝ってみたらどうかと言ってみるテスト。
同志カモーン!
あぼーん
あぼーん
62 :
名無しさん@ピンキー:03/04/22 18:00 ID:qqEoaq04
>>59 お疲りさん♪
28だが返事どうもッス。
>女性オリキャラを28タンの頭の中でだけオリキャラにしといて、
>書くとき名前だけ天禁キャラに当てはめればヨイのでは!?
それができたら苦労しネんだよー ...=・゚・(ノД`)・゚・。ワーン
てかミカちゃんが書きたいのね。
ミカ×九のの要望も出てるけど、ミカエルと九雷のエッチ? 書けネエよ!
イメージ浮っかばね――――!
……という過程からどしてもオリキャラに……。
(本音:どうせなら天使同士で 羽 根 プ レ イ がしたいとかなんとか)
誰かミカ×九でイメージ提供しておくんなまし。
ウリエルのトコ遊びに行ったミカちゃんと
アレクシエル見に来た九雷の運命の再会ってとこかそら。
まさか天禁スレがあったとは……!
すっげ見たいもの→ルシフェル×アレクシエル
自分も文字書きさんだけど、ネタが浮かばぬ……。
*ミカ九*
地獄のほうでもそれぞれの国力充実のため、天界と休戦状態。
何度か会議を各トップたちによって開くうちに……とか。
……駄目だ、そこからどぉあの二人を繋げれば良いのか思いつかぬ。
64 :
名無しさん@ピンキー:03/04/22 22:11 ID:glz0a+vV
>>63 話す相手のいない九雷がたまたまめっけたミカエルに話しかけ。
その時ちょうど、バルとの因縁を乗り越えた
(心理学的にトラウマと対峙して無意識下のトラウマの原因がわかると
トラウマ治るとかいうのと一緒で、女嫌いが治った)
ミカエルの遅すぎる思春期が始まってたとかどうでしょう。
65 :
名無しさん@ピンキー:03/04/22 22:16 ID:glz0a+vV
それよりそもそもミカエルって童貞なのだろうか。
……童貞、だよなぁ。
ミカエルはああだし、天界はああだったし。
…………初体験同士に夢を馳せました。
66 :
名無しさん@ピンキー:03/04/23 20:56 ID:gVno+Lj5
見つけやすいようにあげておくの。
67 :
age:03/04/23 21:52 ID:zK7q7mTf
リフを陵辱するミケイラきぼん。
68 :
名無子:03/04/24 00:35 ID:SMPxNykO
ゴッチャでも良かったら書いてみたいかも。しかもリフ×マリーでも良ければw
69 :
依知 ◆YUhRncnBr. :03/04/24 01:08 ID:XUTkj5DX
出来れば天禁がいいな……。
何故ならゴッチャのエロはなんか個人的に萌えないからである。
萌えるとしたらあれだな。カイン×エメライン。。。
が、私は止めない。ご自由にどーぞ。
70 :
名無子:03/04/24 03:21 ID:+D+MBWv+
じゃあ止めとくw
>名無子
やめないでええぇぇ・・・(д`)
72 :
依知 ◆YUhRncnBr. :03/04/24 18:10 ID:YBrl+Wrq
別にいいのにー。
わたくしは天禁を書いてほしいのであって、
ゴッチャを書いてはいけないとは言ってないッスよ……。うう。
73 :
名無しさん@ピンキー:03/04/25 10:13 ID:gzEoYOx2
名無子降臨待ちage
74 :
名無しさん@ピンキー:03/04/25 18:28 ID:Abw8QKGY
天禁こないかにゃー。
神待ち。
紗羅レイープキボンヌ
76 :
63:03/04/26 00:39 ID:4ocGgfWE
>>64 どないしょ……。お陰である程度、ネタは出来た。
だが本格エロというよりは、微エロになると思う。
問題は気力との勝負。別スレで長編書き上げたばっかりだからなぁ……うう。
うーん、単行本が手元に無いから名前があやふやなキャラもおるし……。
弱音ばかりスマソ。しかし天禁は好きなんで、
あんまり気合入った作品でなくても、トロくても、マッタリと見守ってアゲルよー!
と言うならチャレンジしてみなくともない。(条件多いな自分)
スパッツ九雷タン…
79 :
名無しさん@ピンキー:03/04/26 13:49 ID:aMZSigds
>>76 どーんこーい! どーんとこーい!
ダイジョーブ! ダイジョーブ!
>あんまり気合入った作品でなくても、トロくても、マッタリと見守ってアゲルよー!
も ち ろ ん だ ー ! !
私の横には文庫含めてこないだ全巻揃えたとこだから
名前なんか聞いてくれればこたえまっさ!
よろしくおねがいします。ガンバ!
80 :
名無しさん@ピンキー:03/04/26 21:48 ID:2CqQ0I9x
>76
微エロ萌えw
初めて同士だからなーvvお手手つないだだけでも頬に指が触れただけでも
萌えるでしょww
81 :
名無しさん@ピンキー:03/04/26 23:51 ID:CswO1fb4
>80
確かに萌える……v
楽しみだなー。
ゴッチャでエロはだめでつか?
パパとマリーで
83 :
76:03/04/27 05:00 ID:pUcvx4Vy
>>77〜81
んじゃやってみるっす。
少し書いては貼るタイプなんで、チト待たれよ。
>>82 自分、天禁しか知らぬものなのでコメントし難い……。スマソ。
84 :
ミカ九 1:03/04/27 07:47 ID:pUcvx4Vy
天界から自分を迎えに来た「船」。
そこから姿を表した人物に、九雷はやや、目を見開いた。
金の髪に、空色の目。一昔前に見たときのような、緊張で張り詰めた顔ではなく、落ち着いた、柔和な笑み。
荒廃した形成界の現最下部にて、もう、少年から青年と言ってもかも知れない天使が、
「船」からゆっくりと降り、出迎えた。
「ラジエル。自分、どないしたん?迎えが来るとは聞いとったが、
自分が来るとは思わんかったわ。」
近寄ってからの第一声に、ラジエルは苦笑を浮かべながら、
他に適当なものが居なかったんですよ。と、答えた。
「せやけど自分、忙しいんとちゃうんか?自分やのうても、
俺を迎えることが出来るやつなんぞ、おるやろに。」
その質問に対しては、曖昧な笑みで言葉を濁され、
それがなかなか、居ないんですよ。と、答えられたのは、「船」が飛び立ってからのことだった。
85 :
ミカ九 2:03/04/27 07:48 ID:pUcvx4Vy
「信をおける者たちはいるのですが、
貴女をお迎えするほどの階級の者はなかなか……。
逆に、階級が高くても、
どうにも不適当だと思えたものを迎えさせるわけには行きませんから……。」
ふぅん。と、九雷は返事を返す。
「大変なんやな、自分らも。」
「それは、貴女もそうでしょう。目が回るほど忙しいのは、お互い様です。
ましてや、天界のために時間と、お力を割いてもらっているわけですから、
気にしてもらっては、こちらが申し訳ないですよ。」
そう言いながら、やんわりとラジエルは笑う。
その横顔を見つめながら、こいつ、生意気にも、随分と背が伸びよったなぁ。
などと不届きなことを考えながら、頬づえをついて「船」から見える景色をみつめた。
復興され始めている下級天使たちの住まう街並みは、大小さまざなな屋根が所狭しとひしめきあっている。
食事のための、煙だろうか。
ゆらゆらと揺れるそれは、どこであろうと変わらないな、と。
漠然とした気持ちでそれを見ていた。
86 :
83:03/04/27 07:53 ID:pUcvx4Vy
>>79 一応サイトで参考になりそうなものを探したので、名前はどうにかなりそうっす。
問題は天界と地獄の設定……。
所々可笑しいところがあっても、まぁ見逃してやってくだされ。
87 :
名無しさん@ピンキー:03/04/27 14:55 ID:qqukEo7O
カミキタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(。 A 。)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!
88 :
名無すぃ:03/04/27 16:56 ID:CFrUICFV
ゴッチャ房と転勤房の共存は難しい罠。ゴッチャスレが欲しいですな
89 :
名無しさん@ピンキー:03/04/27 22:41 ID:dmwb3GFy
でも一作家一スレでしょ?この板。
>88
89が言うように1作家1スレ。スレ乱立(・A・)イクナイ!
この書き込みペースだと、分けると書き込み分散して
レス数少なくなるからdat落ちの危険もあるよ。
91 :
名無すぃ:03/04/28 00:37 ID:eULZF7Jw
そんなことは判ってますよ(´∀`)ただのゴッチャ房の希望だよ
基本を転勤ゴッチャ交代制にしたらどうかな?
転勤神降臨中に、次にゴッチャ書きたい人ネタ練っといて
「次書きますよ〜」と宣言しといて、
ゴッチャ進行中に、次転勤書きたい人がネタ練っとく。
転勤ゴッチャどっちも好きな、漏れみたいなヤシには2倍オイシイ罠。
93 :
依知 ◆YUhRncnBr. :03/04/28 19:28 ID:Zp+puzcd
天禁のことしか考えてなかったなー。
ゴッチャは幼女しか生きてる女居ないし(w ルナシーがいるか。
まあ、そううまいこといくわけでもなし。
書きたい人が書きたいとき好きに書き込めばいいんじゃないの。
*個人的には*天禁がいいけど、別にゴッチャあってもかまわないよさ。
(さすがにゴッチャばっかりになると泣くけど)
>92意見だと連載終わらないと次が書き込めないことになっちゃうしさ。
あー、眠くて文章が不快かもしれんが許せ。
ここは由貴香織里スレってことにしてくれるとすごい嬉しい
ラファ×バービエル萌え
カイン×エメ萌え
リドル×ルカ萌え
>>84-85 ミカ九萌えです。続き楽しみに待ってます
95 :
名無すぃ:03/04/28 22:14 ID:wh282ejH
幼女にしか萌えませんが何か?w
ゴッチャ房はむやみに書き込まない方が良さそうですな。そうすればいちいち依知の冷めたレス貰わずに済むしwゴッチャ房の為にも、ここは転勤のみにした方がいいと思われ
96 :
ミカ九 3:03/04/28 22:34 ID:tSIMgW3s
第四天「マコノム」かつての裁きの場としての場は、主と共に失われ、
現在では主として天界と、ゲヘナ皇家との会議の場として使用されるようになっていた。
ラジエルに導かれ、長く、硬質な廻廊を通り過ぎると、やがて大きな扉のある部屋に辿り着く。
「漸く着いたんか……。この前と場所、変わっとらんやないか。
こんなんで、お前等会議するのに行き来しおったら、日ぃ暮れてまうで?」
そう言って、大仰に溜息を吐いてみせると、仕方ありません。
此処くらいしか大勢集まれる部屋はありませんし、前の主の影響で、
部屋はそれぞれ遠く離れているんですよ。と苦笑しながらラジエルは答える。
「なんや。前の奴は煩いのが嫌いだったんかな。」
そう問うと。ああ、そうだったのかも知れませんねぇ。と、また曖昧に笑って流された。
「……まぁ、ええわ。準備はええ、行くで。」
言うと、ラジエルは一つ頷き、扉を開ける。扉は重い音を立てながら――――
椅子が、目の前に飛び込んで来た。
97 :
ミカ九 4:03/04/28 22:39 ID:tSIMgW3s
自分めがけて飛んできた椅子を間一髪で避けたのは、我ながら驚きかも知れない。
と、九雷はがしゃん!と背中の壁に当たって壊れた椅子をちらりと見て思った。
残念ながら、無様にも尻餅はついてしまったが。
見ると、扉を開けたラジエルはそのままの格好で固まっている。
身をぴったりと扉に寄せていたため、幸いにも椅子にぶつからずに済んだのだろう。
そうして開け放たれた隙間から、目に飛び込んで来た、景色。
ここは言わば地獄かと、思わず九雷は眩暈を感じた。
円卓に並んだ豪奢な椅子は幾つか壊れ、辺りに散らばっている。
椅子がぶつかったのか、花瓶は割れ、花弁が散らばり、絨毯を濡らしていた。
インク壷は倒れ、卓上を汚している。ああ、酷い。酷すぎる。
一体誰がこんなことを……と思ったところで飛び込んで来た声に、
一発で、それが誰だか直ぐ知れた。
「子供(ガキ)扱いすんなっつてんだろーが!!!」
「――――ミカちゃん。そういうところが――――。」
異様なまでに疲れきった声が同情をそそる。
物凄く入りたくなかったが、側にいるラジエルは未だ固まったままで、
隣に控えるノイズは立ちすくみ、現状を把握し切っていない。
比較的こういう展開に耐性がついている自分が、どうにかするしかなかった。
耐性がつくに至る原因をつくった、かつての救世主と死者の国から舞い戻り、今はいない戦友を。
そして、自分の性質を少し、恨んだ。
98 :
A:03/04/28 22:52 ID:tSIMgW3s
83とか86とか表記するのでは不便そうなので、便宜上Aでいかせて下さい。
(いい加減)
>>88〜95
個人的には由貴香織里スレでもエエと思います。
自分、転勤以外書けへんけど、
他作品で好きだという人もおるならそれでエエし、
書き込まれても嫌やと思えば読まなければエエだけやし。
とにかく希望としてはマッタリムードで。
転勤のみでも雰囲気悪いと書き込み辛いなァ……と思う。
そして誰か……私の為にルシファー×アレクを書いてくだせェ(願)
99 :
92:03/04/28 23:16 ID:fHhoiepC
>93
ルナシーと聞いて河村隆一を連想した漏れはイッテヨシですか?
ルナシーのイダとパパンのエチーはちょっと興味あるカモ。
(ぜってーヤってるよあのカンジは)
なんかしょーもない提案してしまったみたいでスマソ。
まー転勤圧倒的にキャラ数多いからねーやりやすいってのはあるよね。
平和的解決キボン。
悪いね、って書くとまた冷めた感じかしら。
ごめんね。わたくし眠いと機嫌の悪い文になるのだ。
いやー、別に、いいよ? うん。由貴香織里スレで。
建てたときに自分の中で天禁のエロ求めていただけのことだし……。
>93の*括りの個人的には、ってのはあくまで私一人の意見であって
他の人は関係ないよ、という意味ですはい。捉え方によっては感じ悪かったかも。
スレは求める人の求めるよーにあるべきだす。
好きに使ってください。スレって、そんなもんです(藁 (ネタわかる人居るのかしらん)
んで、再び用が出来るまで私は名無しに戻ったり。
>Aさま。
ミカ九萌えです。
楽しみーに待ってますので頑張ってください。
約束は出来ないけれども、できたら頑張ってみます>ルシアレ
なんか……読み返してみてもちょっと感じ悪いような……
ごめんよ。何が悪いのかな。睡眠不足だろうな......。
もうちょっとまともになるために逝ってきます。
>101
アレク妊娠中なので、流産させない程度にネ(藁
・・・っつっても、設定が「その後」じゃなくて「過去」のバアイもありえるのだね。
ワシ59だすが、あの後ルシファーがベリアル捨てて
アレクに逢いに逝っちゃってもかまわないっす。
鬼畜だなルシファー・・・・・・・ちょっと萌えてみる(コソーリ
104 :
名無すぃ:03/04/29 03:28 ID:+Psq/HEw
眠気のせいにして逃げるの(゚Α゚)イクナイ!自覚しててのレスなんだから、そこはちゃんと責任持っとこうよ。ついでに助言。良スレへの道は私物化しない。これ最強。
>104
そう突っかかりなさんな。
好きに使ってくれといってるじゃない。
106 :
名無すぃ:03/04/29 16:30 ID:T3n/qU9x
>>105 わかりました(´∀`)ここは殺伐としているようなのでもう来ないよ
ボソ(一番殺伐とした原因って名無すぃのカキコのような気が……)
ま、ミナサンマターリしましょ。
次の方はりきってどーぞー
109 :
名無しさん@ピンキー:03/04/30 02:25 ID:/1XQQPS1
神が降りて来づらいだろーが!
またーりだ! 基本はまたーりだ! みんな落ち着くんだ!
でもって皆平伏して神を待つんだ!
(_ _)
あぼーん
あぼーん
>107
ハゲド(コソーリ
ベリアル萌えな自分は
ルシファーに捨てられた後の
×アスタロト(SM)とか×アスモデウス(寸止め)とか
×ミカエル(顔が似てりゃいいのかベリアル・・・・・・・・;;)とか
いろいろ脳内妄想してしまいましたが(自分氏ね←ズドン)
スレをオソロシク私物化してしまいそうなので
永遠にお蔵入りなのさ。
少なくともここで書くべきではないと判断。
とりあえずミカ九の続きとルシ×アレクが早く読みたいですw
113 :
名無しさん@ピンキー:03/04/30 18:14 ID:ovj/Zgla
>>117 書いてー!私物化って多分そういう意味じゃないと思うしさ。あたしもゴッチャ好きだから、ここ建てた方の言葉に寂しさ感じてたから多分、そのことじゃないかな?(汗)ゴッチャ好きな人も天禁好きな人も馴れ合えたらいいなぁ・・・
114 :
名無しさん@ピンキー:03/04/30 18:18 ID:jB5lDEuX
間違えた!上の112でした・・・(泣
蝿親爺×帽子屋なんてもし成立したらどうなるんだろうと
ふと思ったりした。
しかし、想像全く不可能。アボーン
116 :
112:03/04/30 23:05 ID:KLqbi52N
>115
漏れもそれは想像不可能(ナキ
何しろ蝿親爺は由貴先生が性格設定してないんで
イモヅルのひっぱりようがないノダ。
×アスタロトは、アスタロト邸にてアスSベリM縄鞭プレイ。これはヤラシイです。
×アスモデウスは、地獄の花嫁編最後のやりとりみたいなかんじ。
やらしくないです。
×ミカエルは、コギャル仕様のベリアルと
少し成長してだんだんルシファーに似てきたミカエルが原宿にて遭遇。
一緒にミカちゃんと地上に来てたラファエルが
トラウマの元凶ベリアルと再会しベリアルに惹かれるミカちゃんを
なんとか止めようとしつつなんだか協力してしまうみたいな。
ベリアルにバルの面影を見るミカエルと
ミカエルにルシファーの面影を見るベリアルの
なんだかややこしいかんじだが実はドタバタコメディタッチという
ワケワカランお話です。
ミカちゃんメインなんで
エロはあんまり期待できない?さーてどうかなーフフフ・・・♪みたいな。
・・・・・・さてどれがいい?113タン&その他の皆様。
117 :
名無しさん@ピンキー:03/04/30 23:39 ID:/V/zH0iG
>>116 一番ウケたので3番目をリク。
原宿ってとこがまたヨイ(w
読んでみてぇ。
「自分等一体、何しとんねんーーー!!」
ざすり、と仁王立ちになって騒音の元凶である、赤髪の少年の方を見つめる。
少年は今しも、振りかぶった椅子を軽薄そうな金髪の男に投げつけようとしていたところだった。
手にした椅子を盾にしていたその金髪の男は、天の助けとばかりに、
まるでどこぞの虫の如くそそくさと九雷の方へ歩み寄る。
九雷ちゃん、ミカちゃんがイジめるー。などと言いながら、
さり気無く九雷の肩へと伸ばして来た手を、軽く抓ってやった。
ついでにちらりと睨みつける。
「何やねん自分等、偉い天使様ともあろうものが何騒いどんねん!
何や、自分等は人を待つとき喧嘩して待つのが礼儀かいな!」
「うっせーな!そもそもお前がおせーのが悪ィんだろーが!
どれだけ待たせりゃ気が済むんだよ!」
「しゃーないやろが!こっちは地界から来とるんやで!?
ぎょーさん手続きして、エライ長ごぉ廊下歩かされて来てるんや!我慢しーな!」
「だったらそれも踏まえて時間決めろよ!」
「決めとるわ!自分が思うとる以上に俺が此処に来るのは大変なんやで!?
それでも一時間か、二時間そこらやろが!待合室で茶でもしばいとき!」
息つく暇もない応酬。漸く場が把握出来て来たらしい。
もしかして、長らくお待たせしてしまったのでしょうか……?
と、ノイズがおそるおそるラファエルに問い掛ける。
「あー。うん。まぁ、そんなとこ。」
「……今度会合を行うときは、
もう少し遅めに時間を取り決めた方が宜しいでしょうか……?」
これでも、迅速に行動したのですが……。
と、真剣に考えるノイズに、苦笑をしながらだいじょーぶ、だいじょうぶ。
と、ラファエルは軽く手を振りながら答える。
「アイツ(ミカエル)の気が短いだけだから。っつとにアイツは……。」
苦笑して、ぽりぽりとラファエルは頭を掻く。
全く、もう少しオトナになってくれんもんかねー。と呟く。
そこで漸くノイズにもこれまでの流れが読めた。
恐らく、退屈だと騒ぐミカエルに対し、子供だと言ったラファエルの言葉が癪に障り、
こうなったのだろう。しかし、それにしても……。
これが、天界の四大元素を司る天使たちの姿だとは、思えなかった。
隣でまだ、唖然としているラジエルに、妙に同情してしまう。
先の大戦で重鎮を失い。天界、地界互いに下層部を、上層部を失った。
互いに大きな損害となり、戦はとりあえず停戦へ。互いに復興活動に尽力することとなった。
そんななか、最も被害を被ったのは九雷たちのような上層部に、天界で言えば下層部に住まう天使たちだった。
何と言っても、自分たちが住まう場所が消滅してしまったのだから。
天界では運良く生き残った天使たちを上層部へ引き入れ、急遽専用施設を設置したようだ。
下のものが居なくては困るのは、どこの世界も同じらしかった。
九雷たちゲヘナ皇家はというと、かつて「魔王の花嫁」となったせいか、
また、四大元素を司る神龍を召喚出来る皇家の血故か……。
――あるいは、その両方か。死んだものは数知れなかったが、
九雷たち「鬼」の子たちは地獄にて異例の「保護」を受けていた。
そう、それはまさしく、「保護」という扱いだった。
地獄と言えど最上層部に位置し、光を見、比較的澄んだ空気の基で生活する彼等が、
下部に位置し、光を忌み、澱んだ空気を常とする場で生きられるか否か――。
答えは、明白だった。人間たちが北極地に棲まう生き物を生かすために、
わざわざ環境を整えた小さな檻を準備するように、浄室を与え、九雷たちを生かした。
勿論、代価を九雷たちは――否、主に「九雷は」払うこととなった。
神龍の召喚によってエレメントを補い、不安定な地を整える。
過酷な地に生きるのが主となっている彼等とはいえ、
下等の悪魔たちがあまりにも死んでしまっては、話にならないのだ。
九雷の力が増したとはいえ、神龍召喚は、長らく続けて出来るようなものではない。
御することは難しく、召喚者に大きな疲弊をもたらす。
――このままでは、駄目になる――。
そう、九雷も思ったのだろう。九雷は即、天界にある交渉を申し入れた。
即ち、天使たちに対する輩がいないか、地獄の警備を買って出るということ。
同様に、そちらも同族の警備をして欲しいということ――。
停戦、といったところで、略奪は互いにあった。
天使は悪魔を、悪魔は天使を――。
それを完全に取り止め、境界線を再びはっきりつけようと言ったのだ。
果たして交渉は上手くいった。境界線が曖昧では、復興をしようにも復興に手が回らず、
暴動は、そのまま自己の潤いとならず、混乱を招くだけだったのだ。
九雷たちは警備をしつつ、地獄にて自分たちの領土を得ようとした。
地獄の上層部が何を考えているかは明らかではないが、それは許された。
彼等自身も、狭い鳥篭で飼うよりは外に放して、
必要なときだけ捕まえた方が得策だとでも、考えたのかも知れない。
そして、今日は、その警備報告の日――――。互いの不正を正し、交渉をする。
張り詰めたものとなる筈のものだった。
――――それが、これである。
「二時間も待てるわけねーだろ!十分でも遅刻したら鉄拳だぜ、鉄拳!!」
「お前は子供(ガキ)かいっつ!!」
「おめーに言われたかねぇよっ!チビっつ!!」
あーぁあ。と、溜息を吐きながら、ラファエルは無事な椅子を二つ、
ひょいと引き寄せ、座る。もう一つの椅子に、座るようにとノイズに促した。
いえ、私は……と遠慮しようとすると、勧められたら座るもんだよ、お嬢さん。
等と言われたので、断るのも悪いと思い腰掛ける。
楽しそうだなぁ、ミカちゃん。
と、椅子を逆にして座り、背もたれに頬づえをかきながらラファエルは呟いた。
「楽しいん……ですか?」
思わず問い返す。どうみても、喧嘩しているようにしか見えない。
「楽しいんだと思うよー。ガキとか言われても怒らないし。」
自分以外の相手にチビって言えるのが、きっと嬉しくて仕方ないんだろうなぁ。
と欠伸まじりにラファエルは言う。
話題が変わって来ているな。時間について話しているのではなかったのか?
低い、場にそぐわないほど落ち着いた声に見上げると、色黒黒髪、
ノイズからしたら、それはもう物凄く背の高い男がラファエルの隣にいた。
あーうん。始めはそうだったんだけどねー。
と、あくまでラファエルは気だるそうに答える。
「……止めないのか?」
「俺が?何で?あんなにミカちゃんも九雷ちゃんも、楽しそうなのに。」
「……楽しそう。……か?」
「楽しそうだよ。っつーか、そう思うなら止めたらイイじゃん。」
……楽しそうだと言うのなら、もう少し、様子を見よう。
そう言って、男は黙ってラファエルの隣に立つ。
ノイズは再び、九雷の方へ視線を向ける。
右へ左と、ここのところ忙しそうな九雷の顔が浮かんだ。
疲弊し、息を荒く、眉根を寄せる九雷。
大丈夫ですかと心配すると、平気やって、すまんな。えろぉ気ィ遣わせて。
――と、儚げに微笑む主の顔が浮かんだ。
――――ああ、確かに、主も、楽しいのかも、しれないな。――――
そう、漠然と、思った。
妙に嬉しいような、哀しいような。そんな複雑な、気分になった。
喧騒は、まだ、続いていた。
「誰がチビやんねん!誰が!」
「オメーだよ、オメー。チビでなけりゃ男女。」
「なんやてっつ!!どこがオトコやねん!どこをどーみてもオンナやろ!!」
言って、そこでむん、と九雷は胸を張る。
幼体から少女へ、少女から女へと移り変わろうとしている、仄かなふくらみが見て取れた。
確かに小さいが、見間違えるようなものではないだろう。
じっとそれを見るミカエル。そして多分次の瞬間。そこに居るもの全てが固まった。
ふに、と。音にするならそんな音だったことだろう。そして、一言。
「板じゃねーか。」
次の瞬間。それはもう様々な悲鳴が、怒号が、響き渡った。
124 :
A:03/05/01 01:20 ID:Z/kwDqj2
なかなかエロ突入しなくて済みません。
もぉ前置き文の長いこと長いこと……。
んでも一応プロットは脳内で出来てますので。マターリ、マタリとお待ちくだされ〜。
>>101 出来たら是非ともお願いします〜!ルシアレ!!(切実)
>>116 個人的には×アスモデウスで。
すみません王道ラブです。花嫁編、ラスト萌えたひとです。
しかしミカ九は王道なのかと自分でツッコミ入れてみる。
都合よく辻褄あわせて萌えを思い浮かべる脳に祝福を送ってみる。
125 :
116:03/05/01 10:28 ID:tAEq3pGS
ミカ九編、面白くなってきましたね〜ww
続きが楽しみっす。
漏れ的に、ちょっと原宿が書きたくなってきたので、とりあえず原宿編で
いいでつか?
Aタンとダブル連載+キャラ被りまくりになっちまいますが;;
ダーッとまとめて暇がある今のうちに一気に書いちゃいたいもので。
126 :
116:03/05/01 10:30 ID:tAEq3pGS
しかもAタンほど文章力ないのでつがね・・・・・(つД`;)
とある日曜日の昼下がり。ベリアルは原宿の街を歩いていた。
日本国内で、素のまま歩いていても唯一目立たないところだからだ。
中性的なルックスもここではごく当たり前だし、青い瞳もカラコンだと信じて 誰も疑わない。髪もしかり。
しかしさすがにフルメイク(注:フルフルのことではありません)していると 「え〜誰のコスプレ〜〜〜www?」と勘ぐられてしまうので、
ノーマルなゴスメイクにしていた。ややこしい場所だ。
・・・・・それに、秘かな目的もあった。別に遊びに来ているわけではない。
ひそひそとした話し声が、彼女の耳に届いていた。
(ねーあの人めちゃめちゃカッコイイよ〜〜〜〜www?)
(どこのバンドの人かなー?)
(声かけてみよーよーー!)
二人の少女が、彼女に近づいてきた。
一人はH.NAOTOの服に身を包み、一人は白くボリュームのあるワンピースを着ていた。
「あのう・・・・・・一緒に写真撮ってもらってもいいですかぁ?」
二人ともなかなか可愛いな、と思いつつ、ベリアルはいいですよ、と笑って答える。
きゃーwと喜び、いそいそと使い捨てカメラを取り出す二人。 通りすがりの人にカメラを渡し頼んでいる。
「はい、チーズ♪」
2・3枚づつ写真を撮ってもらい、撮影は終了した。
「あのう・・・・・・・名刺交換してもらってもいいですかぁ?」
二人はベリアルに尋ねる。
「名刺は持っていないのですが・・・・・・・メアドでもいいですか?」
二人の名刺を受け取りながら、ベリアルは微笑む。
「は・・・っ、はい!」
天使のように美しい微笑みに、二人は頬を染めながら答える。
・・・・・可愛い子には本当のメアドを教え、そうでない子には嘘のメアドを教える。 そんな悪徳バンドマンのようなことを、彼女は一日中繰り返していたのだった。
・・・ある目的のために。
だってわたくし、悪魔ですから。と、去っていく二人の少女の後ろ姿を見ながら、 ベリアルは思った。
余談だが、名前を訊かれて、ベリアルと答えても、 キリスト教圏でない日本ではほとんどポカーンという感じなのだが、 ここでは、
「悪魔の名前ですねー♪素敵なライブネームですねwピッタリww」
というノリで、知名度は高かった(笑)
あと、帽子を被っている為、ネット上某大型掲示板の影響か、
ハ●疑惑をかけられることも多かった。
そういうときは、
「ハ●ではありませんよ。カツラでもありません。」
と、帽子を取ってその柔らかく縮れた髪に触らせた。
やはりハ●と思われるのは嫌らしかった(笑)
天禁のスレが立つとは…いいねえ。アスタロト様のSMも密かに希望(W
いーね、いーね。
Aサマミカ九素敵です。面白いです。萌えます。
そのころ、ミカエルとラファエルは同じ原宿の竹下通りの洋服屋にいた。
ミカエルは洋服を物色中だった。
「おっ♪この紐でつながったズボンカッコイイな〜〜〜〜〜ww
・・・でもメチャクチャ動きにくそうだ。却下だ却下!」
「ミカちゃん・・・・・・それはボンテージパンツっていうんだよ;;
いいかげん物の名前覚えろよ・・・・・・・」
ラファエルはやや脱力気味に答えた。
ミカちゃんは原宿が大好きだった。天界ではあまり手に入らないような
ハードなデザインの服がたくさんあるからだった。
「ミカちゃん・・・・そろそろ店出ない?」
そういいながらラファエルはミカちゃんの頭をポンポンと叩く。
ゴキィ!ミカちゃんはラファエルの顔にパンチをくらわせた。
「うっせぇ!!!!!ガキ扱いすんじゃねぇ!!!」
上から頭を触られたのがカンに触ったらしい。
仁王立ちになって握りしめた拳をふるふると震わせた。
「いつかぜってぇ貴様の身長超えてやる!!!」
ミカちゃんムリムリw・・・・・とからかわおうとして、ラファエルはやめた。
かつてはラファエルの胸あたりまでしかなかったミカちゃんの頭は、
今は鼻のあたりまであった。
ルシファーへのコンプレックスが解消したせいか、
ミカエルは再び成長期に入っていた。
まだ小柄といえば小柄だったが、165ぐらいはあった。
もともと敏捷なミカエルだ。無駄なく引き締まった体は、
野性的な少年といったイメージで、なかなかカッコよかった。
背が伸びるにつれ、ミカエルは徐々に女性にもてるようになっていた。
子供から大人の男という印象を与えるようになったせいもあるが、
実はそれだけではなかった。
・・・成長するごとに、兄のルシファーに似てきていた。
大きさが違うだけで、顔立ち自体は同じだったのだ。
しかしルシファーが闇の妖しさを持っていたのに対し、
ミカエルはどこまでも突き抜けるほどに明るく、輝いていた。
そのまっすぐな瞳に見つめられて、よろめかない女はいない。
いまやミカちゃんはモテモテだった。
・・・・・もちろんミカちゃんにそんな自覚はなかったが(笑)
・・・ふたたび場所を原宿に戻そう。
洋服屋店内では、ミカエルとラファエルを遠巻きに女の子達が見つめていた。
ミカちゃんのカッコよさも注目の的だったが、
どちらかというと関心はラファエルに注がれていた。
(ねーあれ本物の金髪だよー・・・)
(肌白ーい・・・)
(まつげも金髪だよー。目も青いしぃー。キレーw)
(観光客かなー。)
日本人の金髪碧眼コンプレックス炸裂中。
天使の中でも見るからに典型的な西洋人の容姿を持つラファエルは、
ここでは目立って仕方がなかった。
(落ちつかない・・・・・・・(つД`;)ナキ)
「ミカちゃん・・・・・・俺公園いってるから・・・・・・・・」
「ああん?好きにしろよ。終わったら俺も公園行くから。」
ミカエルは真剣に服選びをしながら、いいかげんに答えた。
よろよろとラファエルは店を出ていく。
とりあえず人のいないところに行こう。
そう思いながら竹下通りを代々木公園に向かって歩いていった。
ベリアルは、公園内を歩いていた。
少し疲れた。
わたくしはなんでこんなバカバカしいことをしているのだろう。
ルシファーさまのためとはいえ。いや、ルシファーのためだからこそか。
ときどき、つくづく自分の性格が嫌になる。
彼女はためいきをつくと、足元の小石を蹴飛ばした。
「ラファエルー♪どこだー?」
買い物を終えゴキゲンなミカちゃんが、公園内に足を踏み入れた。
そこに小石が飛んできた。
ミカちゃんのオデコを直撃。痛さにミカエルはオデコを押さえうずくまった。
「だ〜れ〜だぁ〜〜〜〜〜〜〜♯」
ずもももももももも・・・・・・・・と怒りのオーラを発しながら
ミカエルは起きあがった。
「おまえかぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
ミカエルは視界にベリアルをとらえた。
手の中にアストラル力を集めると、それを巨大な火の玉に変え、
高速度でベリアルに向かって放った。
普通によけていてはよけきれない。ベリアルは黒い翼を出すと、
羽ばたいて間一髪のところでそれをよけた。
「・・・・・・おまえ・・・・・・・悪魔か?」
ベリアルの黒い羽根を見て、ミカエルはつぶやいた。
「しかも俺の攻撃をよけるなんて・・・・・・・・・・」
ミカエルはそれが癪にさわったらしく、鋭い眼でベリアルを睨みつけた。
「ここで会ったのが百年目だ!!!!!」
そう言うと、ミカエルは白い翼を広げ宙に飛び上がった!
次の瞬間、ミカエルはベリアルに馬乗りになり、その首を押さえつけていた。
ベリアルは目を見開いた。その顔はルシファーにそっくりだった。
しかし、そんなことをゆっくり考えている暇はなかった。
ミカエルの両手が首を絞めあげる。ベリアルは必死で抵抗するが、
ルシファーと同等のアストラル力を持ったミカエルだ。
七君主のベリアルが敵うはずもない。
・・・そんな格闘が5分も続いただろうか。
「・・・・・おまえ・・・・・・しぶといな」
ミカエルは疲れて息切れがしてきた。ベリアルだって並の悪魔ではない。
そう簡単には殺せなかった。
「普通ならとっくに首が飛んでるころだぞ」
スキありか?とふんだベリアルは、全魔力をかけてミカエルを払いのけた。
それはうまくいった。バランスを崩したミカエルはよろめいた。
ミカエルはとっさに手をついた。
「◎×△%$#*☆¥@→?!?!?!?!」
ミカエルは固まって思考停止していた。
誤ってベリアルの股間に手をついてしまったのだ。
性知識の乏しいミカちゃんでも、
女には股間にブツがついていないということぐらいは知っていた。
「おっ・・・・・・・・・おおおおおおおおおまえ女だったのかっ!」
ミカエルはずざざざざざざと飛びずさりながら動揺した声で言った。
「だったらどうだというんです?」
ベリアルは立ち上がり、背中についた砂を払いのけながら言った。
「すっ・・・・・・すまねぇ(/////)」
殺すのはすまなくないが触ってしまうのはすまないというのは
いったいどういう基準なんだろうなどと思いながら、
ベリアルはミカエルの背中を見つめていた。
ミカエルは耳まで真っ赤になり、頭を抱えていた。
(ウブなのね・・・・・・・・・・)
ベリアルは、口元でふふっと笑った。
「カワイイw」
ベリアルは後ろから優しくミカちゃんを抱きしめると、
耳の後ろにふーっと息をふきかけた。
それはミカちゃんの限界を超えていた。
ミカエルはカーッと頭に血がのぼりのぼせて
大量に鼻血を流すと目をぐるぐる回しながらぐったりと倒れた。
「ミ・・・・・・・ッ、ミカひゃん;;;」
強いアストラル力の放出に尋常でない事態を感じ駆けつけてきたラファエルは、
思わずムンクの叫びをあげた。
ベリアルの腕の中でぐったりとしたミカちゃんを見つけたからだ。
ラファエルはすかさずミカエルを奪い返すと、
「おっ・・・・・・・おまえミカちゃんになにをしたんだ!」
とかすれた声で叫んだ。
「別に何もしていませんよ。」
とベリアルは平然と答える。
実際、ベリアルにとってあれぐらいは何かをしたうちには入らないのだった。
「嘘をつけ!それならなんでミカちゃんがこんなことになってるんだよっ!」
ラファエルはミカちゃんの頭を抱きかかえながら問いつめる。
ラファエルも少々錯乱気味だった。
それがミカエルの異常の所為だけではないことを、ベリアルは知っていた。
「そうそう、そういえば・・・・・・・・・・・・・」
ベリアルは余裕の笑みを浮かべながら、横目でラファエルを見た。
ぎくり。なにがあるわけではないが、ラファエルは思わず身構えた。
「正式にバービエルとおつきあいしているそうですね・・・・・・ラファエル様」
【さま】に微妙なアクセントを置きつつ、ベリアルは一見丁寧に尋ねる。
「・・・・・・・・・だっ・・・・・・・・・・・だからどうした;;
大体なんでそんなこと知ってるんだよっ・・・」
悪戯を見つかってしまった子供のように後ろめたそうに、ラファエルは答える。
「地獄の情報網を甘く見ないでいただきたいですね・・・それより・・・・・
けっこう可愛かったな・・・・・バービエル・・・・・・・・」
ベリアルは懐かしそうに目を伏せる。彼女がバーチューズの副官だったころ、
バービエルはベリアルの直属の部下だった。
「・・・・・まっ・・・・・ましゃか・・・・・・・・・(;Д;)」
ラファエルは青ざめる。
まさかバービエルも手をだされていたのではないかという疑惑が、
ラファエルの中でムクムクと頭をもたげた。
「さぁてどうでしょうね・・・・・ふふ・・・・?」
ベリアルは邪に笑った。
ガーーーーーーーーーーーーン(つ◎Д◎)
やっぱりキライだこいつ・・・・・・・・・#
ラファエルは心の中で毒を吐いた。
沙羅とバービエルのおかげでトラウマが治ったとはいえ、本人を目の前にすると
癒えたはずのキズがちくちくと痛んだ。
「そっ・・・・・・・それより」
ラファエルは気をとりなおす。
「おまえはなんでここにいるんだ。」
ベリアルの顔に一瞬動揺がはしるのを、ラファエルは見のがさなかった。
ニヤリ。形勢逆転。
「七君主のおまえがじきじきにこんなところにくるなんて。
遊びに来てるわけじゃないよなぁ?」
ラファエルは少し意地悪そうに言った。
「・・・・・・・・・・花嫁探しですよ。」
ベリアルは観念したように地面に座り直して頬杖をつき、ぽつりという。
「おまえのか?」
「古典的なツッコミをいれないでください。」
ベリアルはちょっとムッとしたように、ラファエルを睨みつける。
「魔王様のですよ。きまっているでしょう?」
「ああーーーーーーー・・・・・・。でもなんでここなんだ?」
人間界の、しかも原宿。それになんの意味があるのだろう。
「5年前、魔王様が地獄にお戻りになられてから−−−−−−−−。」
ベリアルは、遠くを見つめるように語りはじめた。
「魔王様がお戻りになられて、七君主たちの権力争いが続く地獄は、
ようやく安定を取り戻しました。
しかし、地獄が下克上ありの不安定な土地であることにはかわりがない。
魔王様の立場をより強固なものにするためには、跡継ぎをはじめとする
お子たちの存在が不可欠です。
お子たちといえば、バルベロが産んだ子供は表向きは魔王様のお子ということに
なっていますが、実際はそこらへんの悪魔の子です。
それにさきの天地大戦でバルベロとともにほとんど死んでしまいました。
そこでわたくしは、地獄から選りすぐりの美女を100人ほど集めて、
魔王様の妻にしました。
しかし・・・・・・・・・・
魔王様は奥方たちにちっとも手をだしてくれないのです。」
ベリアルは溜め息をついた。
「・・・・・・・・・・集めすぎなんじゃねーの?」
ラファエルはちょっと呆れた。
ベリアルはそれをさらりとシカトした。
「それに・・・・・・・魔王様は近頃あまり元気がおありにならないのです。」
「元気がない?あのルシファーが?」
ちょっと・・・いやかなり以外といったように、ラファエルは目を見開いた。
「ルシファーさまはそれを表面にお出しにはなりません。
でもわたくしにはわかるんです。」
ベリアルの目は、切なげに宙を見つめていた。
ラファエルの知っているベリアルは、いつも不敵な笑みを浮かべていた。
でも、今のベリアルは、どこか儚かった。
「わたくしは、信頼のおける医師にルシファーさまを診ていただきました。
その医師が言うには、ルシファーさまはホームシックではないかと。」
「ホームシックゥ?だってルシファーの家は地獄だろう?」
ラファエルは仰天した。そんなことってあるのか。
「ルシファーさまはここ数百年人間界にいたのですよ。
特に・・・・・・最後に生活していたこの日本には、
忘れられない人もいるのです。」
救世使とその妹・・・・・・・・そして・・・・・・。
ベリアルは、一度だけ見た、あの中年男性のことを思い出していた。
父親という、ベリアルには縁のない存在。
しかし人間にとってはかけがえのない存在なのだと。
「・・・・・それで?あれとそれとこれとどうつながるんだ?」
ひとつひとつの話の内容はわかっても、それと原宿がどう結びつくのか。
ラファエルは首をかしげた。
「日本の少女なら、お気に召すかもしれないではありませんか。」
ああ、なるほど、といいつつ、いまいちピンとこない。
「人間だったとき、ルシファーさまは高校生−−−−。
そのぐらいの年頃の、そしてアレクシエル似の・・・・・・・・・」
「アレクシエル?なんか関係あるのか?」
ラファエルにはさっぱりわからなかった。
「以前地獄からルシファーさまの魂が盗まれた事件は、
アレクシエルに逢いに行くための自作自演だったのですからね。」
「えええええええええええええええええぇぇぇ!?マジ!!?」
驚きのあまり、ラファエルはミカちゃんを取り落としそうになった。
はっ;;マズいことを口走った。と、ベリアルは眉をしかめた。
「・・・・・・このことは地獄でもわたくししか知りません・・・・・・・
どうかご内密に・・・・・・・」
なにしろ、ベリアルが一ヶ月がかりでルシファーを問いつめて
判明した事実なのだから。
なるほどね、とラファエルはため息をつく。
「つまりおまえはアレクシエル似のコギャルをゲットすべく、
日本でも有数のコギャル発生地原宿に来たわけだな。
・・・・・倒産しかけてる会社の副社長みたいだな、おまえって。」
そういえばヴァーチューズ時代も仕事だけはきっちりこなす奴だったよな、
とラファエルは思い返す。その律儀さと仕切り屋な性質が、
副官に選ばれた理由だったっけか。
「それではわたくしはこれで・・・・・・・・」
とベリアルは立ち上がる。ちらりとミカエルを振り返る。
ああ・・・・やっぱりルシファーさまによく似ている・・・・・・と
頭の片隅で思う。
ふわっ。一陣の風とともにベリアルの輪郭が蝶の群れに姿を変えると、
それらは晴れた空に舞い上がり、消えていった。
その空をラファエルはしばらく見上げていたが、
なにか大事なことを忘れているような気がして、また首をかしげた。
「はっ!ミカひゃん;;」
ミカエルは、まだ鼻血をどくどくと流していた。
ラファエルは頭をかかえる。
「ミカちゃんが出血多量で死ぬーーーーーーーーーーーっっ!!!!」
145 :
名無しさん@ピンキー:03/05/03 01:17 ID:ScIxHtK+
スゴ。ハイペースー……。
ガンバレ〜 嬉アゲ。
ん?
これで終り?
エロなしなの??
147 :
名無しさん@ピンキー:03/05/05 00:17 ID:uV5JFk8i
神まち〜
ちょっとイロイロやることがあるんで書くのがいつになるのかわからない挙句
ネタを練りまくる性質でしかも遅筆なのだけれど
アンケートに答えていただけたらうれしかり。
◆ルシファー×アレクシエル
◎シチュエーション
→屋内
→屋外
→川のほとり
→花畑
◎時
→刹那が死んだあとすぐ
→刹那が死に、アレクシエルが天界で社会復帰したあと
→何年
→何十年
→何百年
というネタが浮かんでおります。
148 :
名無しさん@ピンキー:03/05/05 20:20 ID:xqNMhJG7
皆ゴールデンウィークかしらん。
149 :
原宿編:03/05/05 22:04 ID:J/MYuU7h
イヤ、今までのはなが〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い前置きで
やっとここから本題なのでつよ(ナキ
でも心理描写メインで
でも耳にふ〜的なのは頻繁に登場しまつ。
ミカちゃんにとっては死にそうなくらいにエロエロな展開でつ。
次回バービエル登場。
まぁ・・・・・・・そこから先は・・・・・・・ふふふ?
乞うご期待wwwww
花畑にイピョーウ
151 :
A:03/05/06 09:12 ID:1wzpOj6M
・アンケート・
場所→川のほとり。
時→いつでも……。
でも何百年の方が新たな天界図になっていそうで面白そうかも?
・原宿編・
ファイト!期待してます。
152 :
原宿編:03/05/06 17:06 ID:DiqL10Wg
Aタン!はやく続きを・・・・・・続きを・・・・・・・・・・!
>でも何百年の方が新たな天界図になっていそうで面白そうかも?
漏れもエロメインでなくても構わない・・・・・・・
スレ住人の方々はどうなんでつか?
原宿編、ミカちゃん相手なんでエロ進行は気が遠くなるほど遅いでつが
ネタとして考えてないわけではないんでつよ。
・・・ただしどこまでやらせるか、ためらいがあるんでつ。
童貞喪失まで行ってほしいという方、
あくまで心理的な恋愛感情メインでいいという方、
ここは是非意見をお願いしたい。
わたしはそれに従いまつ。
どちらにしろミカちゃんの純粋性を汚すことだけは絶対したくないと思ってまつ。
それをやってしまったらベリ×ミカの組み合わせを選んだ意味がオジャンでつ。
・・・・・ある意味エロパロというより半ば同人小説スレと化していまつねココ。
壮大な天界図は面白そうでつw
153 :
原宿編:03/05/06 17:13 ID:DiqL10Wg
しかしあれでつね・・・・・・・・死ぬのを待たれている刹那って・・・・(笑
>>原宿編さま
最後までやっちゃって欲しいです。
一応ここはエロパロ板なのですし。
それに寸止め状態は嫌ぽ(w
なんてストイックなスレだ(w
エロパロはどうして同人に含まれないのか私は不思議だぞ。
156 :
原宿編:03/05/06 20:28 ID:DiqL10Wg
>155
多分女性がメインだからでしょうねw
男性向けエロ漫画みたいに1ページ目の1コマ目から
レイープシーンとか
そーいうノリにはならんのでしょう。
このスレ立つまでエロパロ板来たことなかったのでつが、
ふと他のスレ覗いたら
いきなりヤってる・・・・・・・というかむしろ
挿入後から始まっててビビリまつた;;
それ以来怖くて他のスレ覗けないでつ(ナキ
>原宿さま
個人的にはおずおずと童貞喪失あたりまで書いていただけるとウレスィ。
やっぱり女性が多いのかね。
モトは少女漫画だから当然かw
>Aさま
ミカちゃんが、ミカちゃんが胸を触ってそれからどうしたんデスカ……!
「ちっくしょー!あのアマっつ!!今に見てろよ!!!!」
九雷と別れ、「船」に乗って。ミカエルの発した第一声は、そんな言葉だった。
ウリエルは呆れて会議が終わると一人でさっさと飛んで行き、自分たちを迎えに来たバービエルは、
目をまんまるとさせてどうしたのかとラファエルに聞いて来た。
ああ、後で説明するよと疲れた声で応えながら、ガーゼと包帯持ってきて。と、バービエルに令を下す。
力で治すことは無論出来たが、自分の力をそんなことに使うのは、幾らなんでも嫌だった。
「ミカちゃんさあ……。自分が何したか分かってないでしょ?」
いきりたつミカエルをひとまず座席に座らせ、間にあるテーブルに治療道具を置き、
隣に腰掛け、消毒薬をミカエルの頬に塗る。
染みるのか、眉を顰めた。俺が何したって言うんだよ。と不機嫌な声でミカエルは答える。
その答えに、今日何度目なのか分からない溜息を、ラファエルは再び吐いた。
ミカエルの頬に張り付いた、綺麗な赤い、紅葉の印。
皆の張り上げた声のあと、硬直し、怒りに震えた九雷が発した、ぱぁんと実に小気味の良い音。
思わずあの、百戦錬磨と謳われるミカエルがよろめくほどのものだった。
思わぬ反撃に驚いたミカエルが、我に返って反撃を試みる前に皆が間に挟まって、
どうにか会議は執り行ったが、終始ミカエルは不機嫌だった。
ひっぱたいた当の本人はと言うと、ひっぱたいて少しは気が晴れたのか、
或いはミカエルよりは大人だったのか。何事もなかったかのように会議を進めた。
鋏でガーゼを適度な大きさに切り、専用のテープで貼り付ける。
ミカエルが怪我をしてきても、力を使って治してやらず、
こうして人間的な治療をすることが多かったせいか、力を使用しないことに対し、彼は何も言わなかった。
「ミカちゃんさぁ……。」
ぺたり、とテープを張り終え、箱に道具を片付ける。
なんだよ。と不貞腐れた声が舟に響く。
「女抱いたこと、ないでしょ?」
返事はなく。ラファエルはただ無言のうちに道具を仕舞った。
見ると、髪の色と同じ位に頬を染めて、ぱくぱくと口を動かして呆気にとられるミカエルがいた。
そんなミカエルの様子に、ああ、やっぱり。とラファエルは応える。
「良いよ。女の子は。何人か紹介しようか?タイプがあるなら聞いておくけど?」
お、お、お前なぁ……。身体をぷるぷる震わせて、ミカエルはますます顔を赤らめる。
ラファエルを指す指は、どこを指しているのか分からないものだった。
「何言ってやがるんだよ!俺があのガキにひっぱたかれたのと、
女抱くのと何の関係があるんだよ!」
「だってミカちゃん。子供なんだもん。」
「何ィ!?」
ぐいっつ。と、襟首を掴まれる。禁句とも言えるその一言に過敏に反応し、殴ろうと、右の腕を振り上げる。
けれどもその様に怯えの色は全く見せず、ただ淡々と変わらぬ様でラファエルは言葉を紡いだ。
「ミカちゃんさぁ……。折角お兄さんとの確執もなくなったのに、全然変わってないんだもん。
だからさぁ……。背も全然伸びないんだよ?」
瞬間。目の前に火花が散った。微かに開いた目蓋からは、船の扉を強引に開け、
翼を広げて飛び降りようとするミカエルの姿が見えた。
「――――お前だって変わってねーじゃねーかよッツ!このエロ天使!!ほっとけよっ!!」
風でばたばたとラファエルの服は、窓にあるカーテンは靡き、
テーブルに乗せられたコップはがしゃりと倒れて中身は零れ、
船に乗務員は投げ出されまいと近くの椅子にしがみ付く。
倒れた瞬間に抱きとめた、バービエルの手がしっかりとラファエルの肩を掴んだ。
ひらり、とミカエルは飛び降り――――閉じられた船には、嵐が通り過ぎたかのような跡と、沈黙が、残った。
バービエル。と呼びかけられた小さな声に、はっと気付き、バービエルはずっと掴んでいた手の力を緩める。
「変わってねぇって、俺……。」
そうですわね。と、否定もせずにバービエルは答えた。
背を向けたまま、ラファエルは再び尋ねる。
「俺もガキ?」
子供ですわね。と、再びバービエルは言葉を認める。じゃあ。と、
身体をすこし捻らせて、ラファエルは背後にいるバービエルの方を向く。
そして、耳にそうっと囁いた。
――――抱かしてくれる?バービエル――――
ほんの少し、笑いながら。子供というなら、仕方ありません。
そう言いながら、柔らかく肩に置いた手を伸ばし、抱きとめながら今宵にでも。
と同じく耳へと囁いて。再び優しく呟いた。
――――そんな子供の、あなたが好きです。――――
+ To be continued +
Aさんキタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(。A。)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!
なんでエッチにも入ってないのにこんなに萌えるんだろう……××
163 :
A:03/05/06 22:16 ID:1wzpOj6M
>>原宿編さま
喪失までオッケーかと。やっちゃえ!ヤッチャエ!
あと、これは提案なのですが、連載もので書き込み終了し、
一旦そこで筆をおくときは"To be continued"だとか「続く」とか
最後に入れるようにしませんか?
果たして書き込んで良いものかとドキドキしちゃうんで。
そして個人的趣味よりラファエル×バービエル要素もプラス。
しかしスマヌ、メインのために敢えてここのベッドシーンはカットなり(笑)
164 :
原宿編:03/05/07 12:15 ID:94BAEB1d
>Aさま
To be continuedですね。了解。
・・・しかし・・・今回キャラ被りまくりでつ・・・・・・・
Aタンと比べられると辛いでつ(ナキ
喪失希望の方が多いようなのでそうしまつ。
しかし寸止めイヤーという方がいらっしゃいましたが、
原宿編は寸止め続出予定でつ。申し訳ないでつ。
・・・・・それでは連載再開。しかし最後まで辿り着くには
気が遠くなるほどの忍耐力が必要でつ。かさねがさね申し訳ないでつ。
「大変だバービエル!ミカちゃんが犯された!!!!」
天界のラファエルの病院の、院長室(ラファエルの部屋)の両開きの扉を乱暴に開け、血まみれのミカエルを抱きかかえて
ラファエルが慌ただしく飛び込んできた。
「えっ?ラファエルさま!?」
カルテを取りに来ていたバービエルは一瞬驚いてふり返ったが、すぐに冷静になり、
「・・・なんだ。鼻血がでているだけじゃないですか。」
と答える。
「それだけじゃないんだ・・・・・・それに・・・・・・・・・
鼻血もぜんぜん止まらないし・・・・・・・・」
ラファエルは、かなり動揺していた。
「鼻血がなんだというのですか。貴方は癒しの天使でしょう?鼻血ぐらい簡単に止められるじゃないですか。」
あっそうか、とラファエルは我に返る。
ミカエルをソファーに寝かせ、ラファエルは掌をミカエルの顔にあてた。
癒しの力を掌に集める。明るい光が放たれ、傷は癒されていった。
その間にバービエルはタオルを水で濡らし、ミカエルの体(おもに顔)についた血を拭き取る。
そしてミカエルが落ち着くのを待った。
「・・・え?ミカちゃん。たったそれだけ?」
「ガッカリしてどうするんですかラファエルさま。」
現在、鼻血の止まったミカエルを、ラファエルとバービエルにて尋問中。
「だから・・・・・・抱きしめられて、耳をふ〜っと・・・・・」
ミカちゃんは赤らみながら言った。
体に絡みつくしなやかな腕・・・・熱い吐息・・・・・・・・・
くらり。話しているとそのときの感触がよみがえった。
ダラダラダラダラ・・・・・・・・・・
ミカちゃんの鼻から再び鼻血が流れる。
「あーあ・・・・・・・・;;」
ラファエルは髪を掻き上げ、半ばあきれたように溜め息をつく。
「まーあの人の場合存在自体が媚薬ですからね・・・・・・・」
バービエルはそんなことを呟いた。
これはこのまま放っとくわけにはいかないな、とラファエルは思った。
どーせ癒しても無駄なので、直接タオルを渡され、
再び落ち着くまで放っておかれているミカエルは、
ぼんやりと何かを思うように宙を見つめていた。
「ちょっといいか?ミカちゃん。」
ラファエルはミカエルの隣に座り、話しかける。
「ミカちゃん。あの女はダメだ。」
ラファエルは、彼女のヴァーチューズ時代のことを語って聞かせた。
いったい何人の天使と関係を持っていたかは知らないが、
ラファエルの病院内の職員の1/4が彼女を追って堕天したこと、
彼女に弄ばれた挙げ句に捨てられて自殺したり発狂した者も
10人や20人ではないということ。その他いろいろ。
「・・・だったらなんだっていうんだよ。」
ミカエルはぼそりと呟く。
「目を覚ませ!ミカちゃん!!!!」
ラファエルはミカエルの肩を掴み、激しく揺さぶる。
それを振り払い、ミカエルは立ち上がる。
「帰る。」
ミカエルは無機的にそういうと、部屋の窓から出ていこうとする。
これだけは言いたくなかったが・・・・・・・・・と思いつつ、
ラファエルはその言葉を口にした。
「あいつはルシファーの女だ!」
ミカエルの後ろ姿が、硬直するのがわかった。
「・・・・・・あーーー・・・・。その言い方は正確じゃないな。
あいつはルシファーに惚れているが、
ルシファーにとってはアウトオブ眼中だ(死語)。」
ばさりとミカエルは羽を広げると、空に飛び上がり、消えていった。
どんな表情をしていたのか、ラファエルからは見えなかった。
「・・・まー危険な人なのは確かですけどね。もうちょっとオブラートにくるんだ
言い方はなかったんですか。」
バービエルは諭すように言う。
「私もあの人に押し倒されかけたことありますからねー。」
さらりと言ったバービエルの言葉に、ラファエルは持っていたお茶のカップを
ガシャンと取り落とした。
「どっ・・・・・・どどどどどどどどどどどどこまでやられたんだバービエル。」
ラファエルは狼狽し、問いつめた。
「別に・・・・・・キスされただけですよ。」
ガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
「俺がファーストキスじゃなかったのか・・・・・・・・(TT)」
しくしくしくしく・・・・・・・
タレ線をしょってショックにたそがれるラファエル。
「人のこと言えるんですか、ラファエルさま。」
にっこりと微笑みながらラファエルの足を蹴り上げるバービエル。
壊れたカップを片づけるために、掃除用具を取りにいくため、部屋を出ていった。
今やラファエルはすっかりバービエルの尻にしかれていた。
・・・・イヤ、元からだったのかもしれないが。
でも、そんな毎日が幸せで幸せでたまらないのだった。
・・・無念だが次回へ続く(ナキ
168 :
名無しさん@ピンキー:03/05/07 17:43 ID:KalTt9os
ああ……更新が多くて嬉しい……
169 :
名無しさん@ピンキー:03/05/08 01:29 ID:jHA2J6Ep
今日は人がいないのね。
続きを待つ。
ラファエルのところから戻ってきた後、
ミカエルは自室でずっと考え事をしていた。
自分の両の掌を、じっと見つめる。
ラファエルには、【何をされたか】しか訊かれなかったので答えなかったが、
【してしまった】こともあるのだ。
幼児並みの知識しかないミカちゃんには、
【お股にタッチ】の意味など理解しようもなかったが、
首を絞めてしまった。
ミカちゃんが首を絞めれば、普通は一瞬で首が飛ぶ。
その潰れる感触しか経験したことはなかった。
でも・・・・・・・・
細い首の、すべらかな感触を思い出す。
乱れる髪、微かな息づかい、苦しげな表情・・・・・・・・・
・・・・なんだろう。体が熱い。
ミカエルは思わず自分を抱きしめる。
脳内がピンク色の妄想にそまり、ミカエルはベッドの上で
ぐるぐると転げ回った。
そんなことをしばらく繰り返していたが、ふいにがば!と起き上がり、
サイドテーブルにあったスタンドを力いっぱい壁に投げつけた。
「違う!!!そんなことじゃないんだ!!!!!!」
あの眼がいけない。
ミカエルは、両手で頭を抱え、混乱した頭の中で思った。
立ち上がり、室内にある大きな姿見の前に立つ。
あの女が、兄貴に惚れていることぐらい、ラファエルの野郎に言われなくても
うすうすわかっていた。
意識がもうろうとしていたとはいえ、二人の話もちゃんと聞いていたし、
様子も見ていた。
バルがいつも、あんな眼で兄貴を見つめていた。
それなのに、あの女は兄貴の花嫁探しをしているのか。
訳がわからない。
兄貴のやつ、アレクシエルみたいな訳わからない女のいったいどこがいいんだよ。
愛してやるつもりがないのなら、
どうしてバルを助けたりしたんだよ。
堕天したあとのバルは、
兄貴の気をひくために不義の子をたくさん産んだと聞いた。
それでも兄貴はバルを全くかえりみなかった。
・・・・それなら、あのまま死なしてやればよかったのに。
兄貴が何を考えているのか、さっぱりわからねぇ。
ミカエルは、鏡に映った自分の姿をながめた。
だいぶルシファーにおもざしの似てきたその姿を。
ごつんと、鏡に頭をぶつける。
「バル・・・・・・・・・・今なら俺を選んでくれる?」
−To be continued−
172 :
A:03/05/08 22:18 ID:phkgxapY
萌へ。ミカちゃんの可愛らしさにのたうちまわりそぉです!
悶エーーーーーーーー!!
その頃、ベリアルは自分の屋敷の地下室でプレイ中だった。
相手は、部下の女の子。
「あっ・・・・・・・・はぁ・・・・は・・・・あん」
現在、ベリアルが攻め。
「あ・・・・・あ・・・あ・・・・・・・・あぁ・・・ベリアルさまぁ・・・・」
彼女は、悶え苦しんでいた。
「ああっ・・・あ・・あ・・・あああっ!」
快感のあまり、彼女は気を失う。
ベリアルは、彼女から離れ身を起こすと、ベッドに腰掛け、乱れた髪をなでつけた。
ベリアルの重要な部下は、ほとんど皆彼女の愛人だった。
彼らは絶対にベリアルを裏切らないし、お互いに競い合うので皆優秀だった。
彼女の気まぐれで残酷な心とは裏腹に、ベリアルは
ヤるからには半ば義務のように相手をイかしてしまうのだった。
金はとらないが、全世界の中で彼女以上の娼婦はいないだろう。
ランプのみに照らされた薄闇の中で、彼女は物思いにふける。
昼間逢った少年のことを思い出す。
ルシファーさまによく似ていた。
おそらくルシファーさまの双子の弟のミカエルだろう。
顔が似ているということは、きっと体も似ているに違いない・・・・・・・・
彼女は指を噛んだ。
何も知らなそうだったから、彼女が誘惑すればすぐ落ちるだろう。
赤子の手をひねるより簡単なことだ。
本来彼女は、プラトニックな愛だけでは我慢できない。
地獄のために一生懸命尽くしているのに、愛してもらえない自分。
ルシファーが居ない間も辛かったが、ルシファーが戻った今は
ある意味さらに残酷だった。
なんて惨めで哀れなのだろう。
これが神に逆らった罰だというのか。
(・・・話の展開上必要でしたが、同性愛は禁止ということでしたので、
必要以上の描写はなるべく避けました。ご容赦を。)
そうそう、ミカエルといえば・・・・・・・・・
今は亡き政敵(恋敵?)のバルベロは、確か天界にいた頃、ルシフェルとミカエルの双子に仕えていたのではなかったか。
・・・堕天して間もない頃、ルシファーが一度だけ彼女を抱いたことは知っていた。
王宮内に何人も間者を放っていたし、なにより、第一子のアバドンだけが他の子たちとは違い桁外れの魔力を持っていたことからもそれは明らかだ。
バルベロの堕天した経緯ならベリアルも知っている。
・・・・・それは罪ほろぼしだったのかもしれない。
何を考えているのか得体が知れないといわれているルシファーだが、なぜかベリアルには結構手に取るように考えていることが解るのだった。
その所為で知らずにすむことまで知ってしまい、余計彼女を苦しめる。
つくづく苦労性な性質なのだった。
しかし、バルベロが彼女ほど賢ければ、もう一度愛を乞おうとはしなかっただろう。
愚かな女だ。
でも・・・・・・・・・・
その愚かさが羨ましくもあった。
なりふりかまわずあさましいまでにあからさまにルシファーの愛を得ようとできるその性格が。
以前ベリアルは、九雷に
「愛して欲しいと泣いてすがるのがそんなにこわいのか」
と言われたが、その通りだった。
そんなことは彼女のプライドが許さない。
自分の方から愛を乞うなど死んでも嫌だった。
たとえそれがみんなにバレバレでも。
相手の方から跪かせなければ彼女にとっては意味がない。
実際、ルシファー以外の者ならそれで上手くいっていた。
数限りない者と関係を持ったが、愛の言葉を口にしたことなど一度もない。
メガトン級の意地っ張りなのだった。
愛されたい。
情事を重ねれば重ねるほどに増す飢餓感。
それも当然だ。彼らは彼女のうわべの美しさに惹かれ、欲情しているだけなのだ。
そんなものはまやかしの愛でしかない。
・・・それを見抜いたのは、ルシファーだけだった。
だからこそ彼女は、ルシファーに惹かれたのだ。
ある意味ベリアルとルシファーはお互いをよくわかり合っているのだった。
心も体も、本当に愛されたい。
・・・・・しかし、彼女自体がまやかしの存在である以上、
それは叶うことのない望みなのだろう。
・・・・とりあえず、ルシファーによく似たあの少年で遊んでおくか。
そこまで考えて、彼女は自嘲的にふふっと笑う。
やめておこう。ルシファーだけは、本物でなければ意味がない。
それだけが、まやかしで彩られた彼女の持っている唯一の真実なのだから。
・・・それならルシファーにとってもそうじゃないのか、
アレクシエルに似たコギャルなど探しても無駄なのではないかと
彼女を小一時間(ry
−To be continued−
>たとえそれがみんなにバレバレでも。
す、スマソ、ここだけ妙にツボだ…(w
逝ってきまつ。y=ー( ゚д゚)・∵. ターン
うおっ!
天使禁猟区のスレがあるなんて…
職人さん方、乙です。
ベリアル好きなんで萌え〜です。
ミカエル×九雷も原作の雰囲気でてる感じで(・∀・)イイ!!
ガンガッテください!
178 :
原宿編:03/05/11 10:49 ID:VHgFrDR1
暇のあるうちにサクサクいかしてください。
これから徐々にエロくなっていく予定でつ。
構想練ってたらラストかなりエグイ展開になりそうでチョト鬱・・・
それでは逝ってみまつ。
さて、次の日曜日の午前10時。
そろそろ店も開く頃なので、ミカエルとラファエルは原宿の街に舞い降りた。
今日もミカちゃんの買い物に一日つきあわされるのだろう・・・・・・・
そう思うとちょっと憂鬱なラファエルだった。
ラフォーレ原宿に向かって歩いていくと、コギャルがわさわさと歩いていた。
確かに日本有数のコギャル発生地だ・・・・・・
そんなことを思って眺めていたラファエルは、ん?とふと一人のコギャルに目を止める。
赤い髪。そんなコギャルはどこにでもいるかもしれない。
でも・・・・・・!ラファエルにはなんか確信のようなものがあった。
「君!ちょっと!」
彼女を追いかけ、腕を掴む。
彼女は振り向いた。
「やっぱり!」
再びムンクの叫びをあげるラファエル。
「なんだそのナイスバディは!なんだその短い制服のスカートは!
なんだそのルーズソックスは!前髪ピンで止めるなんて流行の髪型しやがって!サギだ!この大嘘つきめ!」
「この方が都合がいいからですよ・・・・・・・・」
ベリアルは伏し目がちに笑う。
身長160cm。中肉中背で胸も腰も大きすぎることもなく小さすぎることもなく。手足は普通より綺麗な方かもしれなかった。
そして彼女の最大の特徴である悩殺フェロモンはかなり抑え気味。
「・・・・・な・・・・・・ななななななななんでそんな格好してるんだ・・・・」
うろたえるラファエル。
「言ったでしょう?この方が都合がいいからですよ。木の葉は森に隠せってね。
この方が女の子達と仲良くなりやすい・・・・・・・」
そう言って、彼女は邪に笑う。
ラファエルはしばらくあっけにとられていたが、ビシィと人差し指で彼女を指さすと、
「そんならもっと完全にコギャルに化けろ!中途半端な化けかたするな!」
指した指がふるふると震えている。
「全部化けるのはめんどくさいんですよ・・・・・・・化け術は以外と魔力を消耗します。省エネ対策です。」
彼女は平然と答える。
「急にどうしたんだよラファエルー♪」
ミカちゃんがラファエルを追いかけてくる。
ベリアルの姿が目に入る。
(うわっ。可愛い・・・・・・・)
ミカちゃんは思わず赤らむ。
あれ?でもなんか見覚えがあるな。
「おまえ・・・・・・・先週の悪魔か?」
「そうですよミカエル・・・・・・・・」
彼女はそう言って笑う。
そんな二人の様子を眺めていたラファエルは、ふと思った。
ベリアルが完全に女になっていたらこんな感じだったかもしれない。
・・・そこではっと、ラファエルは重大な事実を思い出す。
「きっ・・・・・・貴様よくもバービエルのファーストキスを奪いやがって!」
「あれ・・・・・・・?そうでしたっけ・・・・・・・・・?」
彼女は目を瞑って考え込み、真剣に記憶の糸を辿っているようだったが、
あまりにも数が多すぎて、どこで誰と何をしたのかがゴッチャになって
まったくわからないのだった。
(あ〜あ・・・・・・・・コリャ駄目だ・・・・・・・・・)
ラファエルは半ば呆れて溜め息をつく。
三人はそのままラフォーレ原宿の方へ向かって歩いていった。
ミカエルと並んで歩いていたベリアルは、ふと彼を見上げる。
身長165cmのミカエルと160cmのベリアル。
丁度普段のルシファーとベリアルの目線の差はこんな感じだ。
(ルシファー様と腕を組んで歩いたらこんな感じだろうか・・・・・・・・)
ふとそんなことを思い、彼女はミカエルの日に焼けた腕に
自分の白くて細い腕を絡める。
「なっ・・・・・!ななななななななななななな・・・・・・・・・」
ミカエルは驚いて暴れたが、彼女はその手を離さなかった。
全身が赤くなり熱くなるのを感じたが、フェロモン減量中なので
鼻血失神には至らなかった。
どきどきする鼓動を抑えつつ、伏し目がちに彼女を見る。
彼女は幸せそうに、目を瞑ってミカエルに寄りかかっていた。
天使の中でも、こんなに幸福で美しい者はいないだろう・・・・・・・
彼女がどんなに兄貴を想っているのかがよくわかった。
その想いの清らかさ。純粋さ。
それを思うと、ミカエルの胸は苦しくなった。
兄貴の奴かまってやってないんだな・・・・・・・・
こんなに綺麗なのに。
兄貴の目は節穴なんだろうか。
ルシファー様と普通に出会ってこんな風に普通に恋ができたらよかった・・・・
ミカエルの熱い腕に寄りかかりながら、ベリアルはふとそんなことを思った。
情事を目撃されるという衝撃的な出会いも、ある意味悪かったかもしれない。
・・・それ以前に、まだ何も知らなかった、汚れていなかった頃に出会っていれば。
今の彼女はこんな風になっていなかったかもしれない。
愛する人一人の腕だけに抱かれて、幸せな日々が過ごせたかもしれないのに。
・・・・・今更だ。
彼女は我に帰ると、ミカエルの腕を離した。
ふっ、と自嘲的に笑う。
もう堕ちるところまで堕ちてしまった。
心も体も。
今更少女のような夢を描いたところでどうなるというのか。
・・・・・どうにもならない。自分の所為だ。
自分で犯した罪のつけがまわってきているだけではないか。
こんな汚れた醜いわたくしが、愛してもらえるはずもないのに。
「それではわたくしはここで・・・・・・・・」
ラフォーレ原宿の店の前で、彼女は二人と別れた。
ミカエルとラファエルは洋服屋めぐりに、ベリアルはコギャル探しに。
−To be continued−
183 :
名無しさん@ピンキー:03/05/12 19:45 ID:NJVfPCvQ
下がりすぎあげー
職人さん頑張ってー
いつも更新楽しみにしてるのよー
184 :
原宿編:03/05/12 23:28 ID:Gt5J/Yo/
>183
もっと言って・・・・・・・貴方の声はわたくしを酔わす・・・・・・・w
185 :
原宿編:03/05/13 10:46 ID:yHJ9LeaG
反応がないとこのスレに人がいるのかいないのか・・・・・・・
楽しんでもらえているのかそうでないのか・・・・・・・
限りなく不安になるのでつが(ナキ
まーあんまし暇じゃなくなるメドがついてしまったので、
ダーーーーーーーーっとスパートをかけてみる。
・・・・・しかしラストまでは到底辿り着かない罠(半ばヤケ
とっぷりと日が暮れ、原宿の街が闇に沈む。
心地良い夜風が、街の灯りの隙間を流れていく。
若者達がそろそろ帰り支度を始める頃。
「それそろ帰ろーぜミカちゃん。
バービエルが晩御飯の支度をして待ってるし・・・・・・」
ラファエルがそわそわしはじめる。
「やだ!腹減った!」
地面にどかっと座り込み、ミカエルは駄々をこねる。
「なんか食ってから帰ろーぜ。パワーズは男ばっかだからどうせ帰っても
カップラーメンだし・・・・・」
「そんなら家来て食べていいからさー・・・・・・
ほら帰ろ?ミカちゃん。」
ラファエルに腕を引っ張られ、ミカエルはしぶしぶ立ち上がる。
「お二人さん!」
そんな二人の間に割って入り、二人の腕を掴む人物。
ベリアルだった。彼女はかなり上機嫌なようだった。
「なんだよコギャル。」
ラファエルはあからさまに嫌そうな顔をする。
「お腹が空いているなら、フランス料理のフルコースでも食べに行きませんか?」
「行く行く!」
ミカエルが嬉しそうに、生き生きと目を輝かせる。
「俺はやだなー・・・・・大体いったいどこにそんな金・・・・・・」
そういったラファエルの目に飛び込んで来たもの。
ベリアルが万札をトランプのように扇形に広げ、満面の笑みで言う。
「ね?」
100万ぐらいはあるだろうか。
「ど・・・・・どーしたんだよその金は・・・・・」
ラファエルは驚く。まー汚い金であることは間違いないだろう。
「男を誘ってホテルに行っては、
相手がシャワーを浴びている間に財布とめぼしい物だけ持ってトンズラする・・・
至って古典的な手法ですよ。それの繰り返しです。」
ベリアルは無邪気にそう言う。
「そしてブランド物の財布や時計などはリサイクルショップに売り払い・・・・・」
ああ?とミカエルは怪訝な顔をする。
「そんなら銀行ぶっ潰しゃーてっとり早いのによ。なんでそんな
まわりくどいことするんだよ。」
ふ・・・・・・と彼女は目を伏せる。
「相手の邪な心に付け入り弄ばなければわたくしにとっては意味がない・・・・・」
とまるでゴッチャの某医師のようなことをいう。
「アレクシエル似のコギャルを探すんじゃなかったのか・・・・・・・
完全に本来の目的を見失ってるぞベリアル・・・・・・・・;;」
ラファエルは呆れて声も出ない。
「とりあえずっ♪これで晩御飯は御馳走だぜっ♪」
ミカエルは大乗り気だ。こうなってしまったらラファエルには止めようがない。
ゴメンよバービエル・・・・・・・(TT)
ラファエルは観念した。
「とりあえずこのままの格好では店に入れませんね。
どこかで適当な服を買いましょう。」
そういってベリアルはラファエルとミカエルに10万づつ渡す。
ラファエルはともかく、コギャルのベリアルとストリートの少年のような
ミカエルでは確かに店に入れない。
「それでは30分後に○×△の店の前に集合です。」
ミカエルは一人でフランス料理店の店の前で立っていた。
ラファエルの野郎は、髪型が気に入らねぇとかいって鏡の前で格闘中だ。
まだ当分来ないだろう。
さらり。と衣擦れの音がする。
ベリアルが現れた。コギャルバージョンを解除して元の姿に戻っていた。
赤いドレス。アップにした髪の隙間から、ほっそりとしたうなじがのぞいていた。
以前に触れてしまったときのの感触を思い出して、ミカエルは少しドキドキする。
薄くほどこされた化粧が、匂い立つような妖しい美しさを際立たせていた。
「綺麗だ・・・・・・・」
隠すということを知らないミカエルは、素直にそう言った。
ベリアルはそんなミカエルを見て笑う。
「貴方もよく似合っていますよミカエル・・・・・・・」
正装したミカエルは、粗野な感じよりもエレガントさが勝っていた。
しかし一方で、その格好は却ってミカエルの子供っぽさを際立たせる。
なんて可愛らしいんでしょう・・・・・・・
ベリアルはそう思って目を細める。
彼女はミカエルに向かって両手を伸ばす。ミカエルがびっくりしないように、
それとわかるようにゆっくりと。
彼女の細い指先が、ミカエルの顔に触れる。
ピクン。とその瞬間ミカエルは一瞬身をこわばらせる。
触れられたところが、燃えるように熱い。
恥じらっているのがまたなんともかわいらしい。
・・・・・そう思ってふと、ベリアルはルシファーを思い出す。
情事を見られても動じない彼女も彼女だが、
情事を目撃しても顔色一つ変えないルシファーもルシファーだ。
かわいくない。
そんなことを思って、彼女は少しむっとふくれる。
それなのになんで好きになってしまったんだろう・・・・・・・
限りなく空しい気持ちになる。
そんな彼女を上目遣いに躊躇いがちに見ていたミカエルは、
彼女の表情の小さな変化を見逃さなかった。
(彼女は今兄貴のことを考えている・・・・・・・)
ベリアルの目はミカエルを見ているようでいて、
それを通りこしたその先を漂っている。
ミカエルはぎゅっと目をつぶった。
自分にルシファーの面影を重ねられることが苦しかった。
それでも、触れられたままでいたかった。
甘く、そして残酷なひととき。それは一瞬だったのか、それとも長い間だったのか。
「悪い。遅くなって。」
満足のいく髪型になったらしいラファエルが来たことで、
それは中断された。
彼女の指がミカエルから離れる。
ベリアルを目にしたラファエルが一言。
「まるでゲイバーのオカ(ry」
最後まで言い終わらないうちに、ラファエルの足はダンッとベリアルの尖った
ヒールの先で思いっきり踏みつけられる。
「ぃだーーーーーーーーーっ!何しやがるこのアマ!」
そんなラファエルを無視し、ベリアルはミカエルの腕を引く。
「・・・・・行きましょう。」
三人はフランス料理店へ入っていった。
三人は、世間話などをしながら料理を食べていた。
今、目の前の皿の上に乗っているのは、あさりなどの入ったシーフード。
ミカエルは料理と格闘中だった。
ベリアルは、ときどきその手を休めては、愛おしげにミカエルを見つめる。
もともと細かい作業が得意ではないミカエルは、見つめられているのを感じて
さらに動きがぎこちなくなる。あさりが貝殻から外せない。
「仕方がない人ですね。」
ベリアルはそういうと、自分のナイフとフォークをミカエルの皿に伸ばし、
器用に中身を貝殻から外すと、フォークをミカエルの口の中に入れる。
ごくり。あさりを丸飲みしたミカエルは、思いっきりむせこんだ。
「な・・・・・・っ#」
一瞬びびり怒りかけるラファエル。そんなラファエルには目もくれず、
ベリアルはくすくすと楽しそうに笑う。笑われて少し赤らむミカエル。
後ろめたそうにちょっと上目遣いになる。
料理を食べ続けているミカエルを眺めていたベリアルは、
ふとあることに気付いた。
「ミカエル・・・・・・口の端にソースが・・・・・・」
彼女はそういうと、ミカエルの顔を引き寄せ、
半ば目を閉じ、自分の舌でソースを舐め取る。
そしてそのまま、ミカエルの唇を奪う。
柔らかい感触。あまりにもものを知らないミカエルは、拒むことを知らなかった。
なされるがまま、1分ぐらいはそうしていただろうか。
彼女はさらに強くミカエルの頭を引き寄せると、淫らな舌を彼の口の中に入れる。
「・・・・・・・・・っ!」
ミカエルにも、ようやくその意味がわかったらしく、その体がこわばる。
そんなミカエルの舌に自分の舌を絡め、丹念になぶり、もてあそぶ。
これは、愛の行為だ。
ベリアル以外の者にそうされて、ミカエルにそれがわかったかどうかは疑問だ。
ファーストキスの味はシーフード。
めくるめく愛撫は、甘美な眩暈にも似て。
原宿編の職人様、乙です!
うわぁ〜、やっぱベリアル素敵。
それにしても…
>なされるがまま、1分ぐらいはそうしていただろうか。
とめてやれよ、ラファエル(w
シーフードでめくるめく...
ミカエルの五感が徐々に遠のき、ベリアルの柔らかい舌の感触しか
感じられなくなっているのが、ベリアルには手に取るように解っていた。
相手が今どこで何をどのぐらい感じているのかぐらい把握できなくては、
フェロモンマスターとは言えない。
この状態までくれば、完全に彼女の術中に嵌っている。
通常なら、このまま最後まで一気に奪ってしまう。
ちっ。ここがフランス料理店でなければ。
止めないラフィー君もアレだが、
何も知らない店の人達も可哀想かも知れない(w
いきなりのべリアルの行動に、固まってしまっていると言ってみるテスト(w<ラファエル
そんな身の危険の渕に立たされているとまったく解っていない
ミカエルの無邪気さが、
また一段と彼女をそそるのだった。
彼女はきらきらと純粋で汚れないものが大好きだ。
それが欲しくて、捕まえようとするのだが、
彼女の手に堕ちたとたんにそれは闇に染まってしまう。
欲しいものが永遠に手に入らない、彼女の悲しい性なのだった。
ミカエルも捕まえればきっと汚れてしまうだろう。
惜しいと思いつつ、それでも彼女は捕まえるつもりでいた。
続きは、後で別の場所でやればいい。
そのとき・・・・・・・・
プツン。
ミカエルの意識が途絶えた。
ミカエルは椅子ごと転倒し、また大量に鼻血を流していた。
やられた・・・・・・・・・。
そう思って彼女は額を抱えた。
ミカエルの鋭い野生の勘。究極の自己防衛本能。
彼女がイキている者(=意識のある者)にしか興味がないことを
知っているかのような、見事な拒みっぷりだった。
「ふ・・・・・・・・・」
思わず彼女は笑う。
これでは今日は続きができないではないか。
「くすくす・・・・」
彼女は陥落に失敗したショックと、ある種の安堵感で自嘲的に笑った。
ミカエルが欲しいと、ますます思った。
手に入れにくいほうが、捕まえたときの喜びも大きいのだ。
事態のあまりの展開の早さについていけず、
フリーズしてしまっていたラファエルは、はっと我に帰った。
「きっ貴様よくもミカちゃんを・・・・・・#」
ラファエルは怒ってベリアルの首を絞める。
首を絞められながら、ベリアルはさらに笑い転げた。
・・・・3人はフランス料理店を追い出された。
ラファエルは天界に帰るため、ミカエルを抱きかかえて夜空を飛んでいた。
幸福そうなミカエルの寝顔を見ながら、さてどうしたものかと思う。
ベリアルはミカエルを落とすつもりでいる。
もう会わせない方がいいだろうか。
簡単なことだ。しばらく原宿に来るのを控えればいいだけだ。
しかし・・・・・・・・
あのときのベリアルの間抜けっ面ったらなかったな。
ラファエルは思い出し笑いをする。
ベリアルが、相手の醜い欲望をかき立てる魔性を持っているのと同じように、
ミカエルは、相手の中の清らかな心を引き出す聖なる力を持っている。
そのどちらが勝るかといえば、答えは悩むまでもない。
おそらく、ベリアルがミカエルを汚すことはできないだろう。
心配はいらない。だからミカエルが彼女に会いたがるのなら、
ラファエルが止める必要はない。
そう結論づけると、ラファエルは家路を急いだ。
さて次の日曜日。
洋服選びに夢中になっているミカエルにつき合うのに疲れたラファエルは、
公園内で一休みしていた。
遠くに、ベリアルの姿を見つける。
おや、コギャルだ。
そう思って眺めていたら、彼女に一人の男が近づいていった。
「おい!まてよっ!!」
ベリアルは、ぐいと腕を掴まれる。
「誰でしたっけ・・・・・・」
見知らぬ男だ。彼女は怪訝そうな顔をする。
「きっ貴様先週はよくも・・・・・・・#」
怒っているその男は、彼女の両肩を掴み揺すぶる。
(ああ・・・・・・先週のアレですか・・・・・・・)
ベリアルにも漸く合点がいく。
「金を払ったんだからヤラせろ!」
男は乱暴に彼女を地面に押し倒した。
胸元に手を伸ばし、力まかせに服を引きちぎる。
(おや・・・・・・・・・・?)
ラファエルは、異変に気付いた。
止めるべきだろうか。
・・・・だが、相手は所詮人間だ。七君主の彼女なら、一瞬で殺せる。
ヤラせているということは、別に構わないということなのだろう。
ラファエルが止める筋合いではない。
「はぁっ・・・・・・・はぁっ・・・・はぁっ・・・・・・・・・・」
男は彼女の体を貪り、恍惚としていた。
ベリアルは無表情のまま、好きなようにさせておいた。
強姦は気持ちよくないのであまり好きではなかったが、別にどうってことはない。
弄んだ挙げ句に捨てた男に逆ギレされてレイプされるなどよくあることだった。
考え事でもしていれば、すぐに終わる。
男は、美しい彼女の外見よりもさらに強い魔性を放つその体に、
すっかり虜になっていた。
むきだしの欲望で、彼女を堪能した。
やがて行為は終わり、男は満足して彼女から離れた。
ニヤリ。ベリアルは初めて表情を変える。
その笑みは地獄の闇よりもさらに深く残忍だった。
彼女はユラリと身を起こすと、男を見た。
見られて男は一瞬戸惑う。
彼女は思いきり見下し蔑んだ目で男を見つめると、せせら笑った。
それは両者の立場が逆転する瞬間だった。
彼女に夢中になった分だけ、彼女のその残酷な仕打ちは男を打ちのめす。
男は泣きながら走り去っていった。
それを眺めていたラファエルは、全身から血の気がひくのを感じた。
そうだ。あれが彼女のやり方だ。
気の毒に。あの男は一生トラウマに悩まされるだろう。
ちょっと気分の悪くなったラファエルは、気晴らしに軽くコーヒーでも一杯
飲もうと思って、その場を立ち去った。
彼女は、走り去る男の後ろ姿を見つめるともなく見つめていた。
かなり遠くへ行ったところで、男は明るい炎に包まれ、一瞬で燃え尽きた。
バサリ。
彼女の目の前に天使が舞い降りる。
ミカエルだった。
おや。これはまた凄いところを見られてしまった。
また鼻血失神するのだろうか。
彼女はそう思った。
ミカエルは彼女を見た。
引きちぎられたブラウスは、彼女の腕を覆っているだけで、
上半身はほとんど剥き出しになっていた。
胸元に、男が服を引き裂いたときにできた引っかき傷が、
深く残っていた。
まだ開いたままの足。髪は乱れ、小さな木の葉が絡みついていた。
ミカエルは彼女に近づく。
おや、気絶しなかったんですね。と彼女は淡々と思う。
ミカエルは、一瞬躊躇ったあと、強く彼女を抱きしめた。
「な・・・・・・・・・・っ」
予想外の展開だった。彼女は動揺した。
ビクンと、ベリアルの体が引きつる。
ミカエルの腕は予想以上に逞しかった。
その腕に強く抱きしめられて、彼女の呼吸は思わず乱れた。苦しい。
それよりも、何が起こっているのかがわからず、彼女の頭を混乱させた。
ミカエルの体は、怒りで震えていた。
彼は、はらはらと透明な涙を零した。
ミカエルのすすり泣く声を、ベリアルは呆然と暫く聴いていた。
「・・・・・・・なぜ泣くんです?ミカエル」
「おまえはなぜ泣かないんだ・・・・・・・辛くないのか・・・・・・・」
ミカエルはまたはらはらと涙を流すと、ぎゅっと彼女を抱き締めた。
「別に・・・・・・・・・」
そういって彼女は少し笑う。相手の心を弄ぶために必要なら、
彼女はいとも簡単に自分の体を蔑ろにする。そのほうが彼女には重要なのだった。
「こんなに酷いことをされて・・・・・・・」
わざとそうしたと言ったら、この純粋な少年はどう思うのだろう。
そう思って、彼女はまた少し笑った。
205 :
原宿編:03/05/15 17:16 ID:kCRw2zfi
とぅーびーこんてぃにゅーど。
ベリアルは、ミカエルの胸にもたれ掛かり、その目を瞑った。
優しいその腕の中で死ねたら幸せだろうと、ぼんやりと思った。
そんな頼りなげな彼女の髪をかき寄せ、ミカエルは彼女をずっと抱いていた。
そうして身も心もミカエルに委ねきっていた彼女の身に、異変が起こる。
ミカエルが、不意に彼女の胸に顔を埋めたのだ。
「・・・・・・・・あ」
ミカエルが彼女の胸元に唇を付ける。思わず彼女は身を捩った。
「すぐに終わるから、じっとしてて」
ミカエルは無邪気にそう言う。そうか、彼は傷を治そうとしてくれているのか。
ミカエルは、アストラル力を彼女の傷に集めると、そこを癒していった。
傷は長いので一度には癒しきれない。
唇を少しずつ傷に這わせ、順に癒していく。
彼女の体に、ミカエルの聖なる力が注ぎ込まれる。
そのあまりに強い輝きは、
闇に身を置く彼女にとってまるで猛毒のようなものだった。
その光は傷を癒すという域を遥かに超えて、
烙印のようにくっきりと彼女の身に焼き付いた。
「あ・・・あっ・・・・・・あ・あ・・ぁ・・・・・・・」
光に犯される苦痛と、わき上がる歓喜に耐えかねて、
彼女は思わず逃れようとする。これ以上続けたら、死んでしまう。
「もうちょっとで終わるから、じっとしてて」
ミカエルは傷を癒すことに集中しているので、そんな彼女の変化には気付かない。
ミカエルの制止に、彼女は仕方なく逃れるのを諦め、じっと耐えた。
「はぁっ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・・」
体中の血が沸騰して駆けめぐり、彼女の体は痺れた。
それは性的な快感に限りなく近いものだった。
長い睫が、苦しげにピクピクと震えた。
早く終わればいいという思いと、
ずっとこのままで居たいという相反する感情が入り乱れ、
彼女の頭は酷く混乱した。
完全に傷を癒し終わると、ふぅ、とミカエルは小さく息をついた。
よかった、と胸をなでおろす。
彼女の胸には、きらきらとした光の刻印が刻まれていた。
少し体を離したとき、ようやく、ミカエルは彼女の変化に気付いた。
彼女の体は熱く、早い鼓動と荒い吐息で乱れていた。
ミカエルは彼女を見上げる。
ミカエルに見られて、彼女は熱で潤んだ目を恥ずかしそうに逸らせた。
その表情は、艶を帯びていた。
彼女は苦しげにぎゅっと目を瞑り、耳まで赤くなった。
そうか。彼女はミカエルの行為に感じていたのだ。
そう気付いてミカエルは、はっと我に帰った。
よく考えたら、自分は凄いことをしてしまったんじゃないだろうか。
−To be continued−
209 :
原宿編:03/05/16 13:44 ID:ozFDC28Q
Aタンが・・・・・・Aタンがいないよう・・・・・・ウワァァァン!
210 :
名無しさん@ピンキー:03/05/16 19:07 ID:/uhsShPf
おおおー
なんか涙腺がキュッとなりましたぞ(緩んだとかじゃなくまさしくそんな感じ)。
最近確かにAさんみませんなー。
じゃあ呼んでみようか…… Aーさーん。
211 :
A:03/05/16 23:16 ID:4sc0kWpL
>>210 はーい。
居ます。居ますよー!!
でもゴメンね……今、
洒 落 に な ら な い ほ ど い そ が し い 。
ゴメン!!ゴメンよ!!(涙)落ち着いたらきちんと書きます!
寧ろ書かせて下さい!!!
原宿編サマ、応援しとる!ガンガレ!!
も・・・萌〜〜〜〜
>211
Aさんナイスノリw
そうかーお忙しかったのですね。
片付きたる時にておまちしておりますからー!
214 :
ミカ九15:03/05/19 23:29 ID:OMVzzJxo
それから、数日後のことだった。執務の殆どをカマエルに任せ、自分は好き気侭な時間を過ごす。
それは、いつものミカエルの行動パターンだったが、どうにもそれがしっくり来ない。妙な苛立ちが心を占める。そういった場合は大抵ラファエルのところに暇つぶしに行くのだが、
喧嘩をした手前、それがどうにも行き難い。
今までであれば、魔族の虐殺でもして、とりあえず心にあったストレスを解消し、
気まずさなど忘れ去ってラファエルのところに行くのだが、
魔族を狩ることは九雷との契約で禁止されている。
することも無い時間が、そして、今まで気にも留めずに必要としていた話し相手を失うということが、
こんなにも辛いことのなのかと言うことを、ほんの少しだけ、感じた。
だから、暇を持て余して宮殿を彷徨う最中に、
天使たちを纏めて船に乗り込もうとしたカマエルを見つけたときは、これ幸いと声を掛けた。
話を聞くとこれからパトロールに行くと言う。それを聞いて、一にも二もなく飛びついた。
「でもお前、俺の副官だろ?お前自ら警備の指導にまわんのか?」
頬杖をつきながらの質問に、カマエルはいつものぶっきらぼうな口調で、
私自ら出ませんと、兵の規律が乱れますので。と、短く答えた。
そうなのかと生返事をしながら、近づく第四天「マコノム」の景色を船から眺めた。
下級天使たちの住まうマコノムは、酷く雑然としていた。
地獄との衝撃で、壊れた建物。集められた天使たちのために、小さく並べられた簡易住居。
建物から建物へと繋がれた紐に、ゆらゆらと揺れる、擦り切れ傷んだ洗濯物。
かつて白かったであろう壁は薄汚れ、落書きの跡や、騒動でもあったのか、
うっすらと血痕やら、吐瀉物の跡が見て取れた。
天使たちも、乱れてしまうとヒトの生活と変わらない。
そう言ったのは、果たしてラファエルだったか、それとも、ウリエルだったか――――。
かつて訪れた、時が止まった下界とを頭の中で比べながら、ミカエルはそんなことを思い返していた。
天使たちの統率をするというカマエルと別れ、特に気の乗らないミカエルはぶらぶらとマコノムを彷徨った。
やがて彷徨ううちに、小高い丘から見えた見慣れた人影に、思わずミカエルは驚き、駆け寄った。
「――――九雷!!――――」
呼びかけに、人影は直ぐに振り返った。肩より少し伸びた髪が、
振り返った瞬間にさらさらと靡き、光を弾いた。こちらを認め、驚きで目を見開く。
「なんや自分。自分も警備かいな?」
あ?と思わず漏れた声に、なんや、違うんか。と言葉を紡ぐ。
そのまま、気にも留めずに九雷は歩を進め、てきぱきと配下の者に指示を下した。
不審の目でミカエルを見ていた者たちも、変わりない九雷の様に警戒心を解いたのか、
言われた指示をこなす為に、散って行く。一通り指示をし終わると、
今度は手に持った羊皮紙に目を走らせ、休まず九雷は歩み出す。配下は、誰も居ない。
「おい。何で……。」
ここに居るんだよ。という言葉はすぐさま答えられた「警備のやもの。」
という九雷の言葉に封じられた。一瞬、口をぽかりと間抜けに開き、立ち止まり、
また直ぐに我に返って九雷に追いつき、違う質問を投げかける。
「どうして、お前自ら出てんだよ。」
「俺が出んと、どうしても規律が下がる。普段は俺直属の部下に任せとるのやけど、
ずっとそうやと怠けが出る。守る相手が天使たちで、
取り締まるのが自分等と同じ仲間っちゅーことやから、余計にな。」
別に、毎回俺が出るわけや無い。俺も色々忙しいし、せいぜい月に一度くらいやがな。
と、九雷は歩きながら路地を抜けて行く。塀の壊れた家々。廃墟。道端に転がる瓦礫。
人気の無い、道。このようなところを通るのに、危険を感じることは無いのだろうか。
「おい、あの眼帯した娘はどうしたんだよ。」
「ノイズには地獄で別の作業をして貰っとる。あいつは今の俺の片腕やさかい。
俺の側だけでなく、色々なことをやって貰わなあかん。仕事が、間に合わん。」
「護衛つけなくていいのかよ。」
ぱたり、と歩を止める。くるり、と振り返る。上目づかいにちらり、と見つめる。
「自分、舐めとるん?俺はこれでも神竜を召喚するゲヘナ皇家やで。
下っ端の天使どもにびびってどないするん?」
ああ、そう言えばそうだったな。と思ったところで、ふわり、
と妙に良い香りがした。嗅ぎなれない、不思議な、甘い香りだった。
思わずひくひくと鼻を動かし、香りのする方向へと顔を近づける。
香りは、九雷からだった。
「お前、何だか妙な匂いがしねぇか?」
「え?ああ……。」
その言葉に衣服の匂いを嗅ぎ、直ぐに合点がいったのか、上げた腕を、直ぐに下ろす。
「神竜を召喚した時に焚いた、香やな。服は替えたんやけど……。」
髪か何かに、染みついとるのかも知れんな。そう呟きながら、言葉を続ける。
「そんなにも、匂うか?」
小首を傾げた九雷に近づき、髪の毛の香りを嗅ぐ。
髪からは、確かに嗅ぎなれない、何処かしら甘い、柔らかな花の香りがした。
風が、ふわりと吹いた。九雷の銀髪が、さらさら、と風に靡いて、ミカエルの鼻孔を擽る。
少し、視線をずらすと自分と違って浅黒い、肌が目に入った。
細い、首筋だった。
「自分、なんや。犬みたいやないか。」
そう言いながら、苦笑する九雷の声が妙に心地良くて。
まるで何やら、小鳥の囀りを聞いているようで。
香りは、あまりにも甘くて。
――――ミカちゃんさぁ……。女抱いたこと、ないでしょ?――――
脳裏に甦った言葉を、押し潰すように、九雷の身体を押し倒した。
218 :
A:03/05/19 23:39 ID:OMVzzJxo
+To be continued+
↑言い出したくせに忘れやした。
なかなか書き込めなくてごめんヨー。雑談でもしてマッタリまってヨー。
次回、漸くエロらしきモノに突入れす。うーふーふー。
Aタンおかえりなさーい!
来ましたねー来ましたねーひひひひひ。
試験近くて足りない睡眠の中でささやかに幸せを感じる今日この頃。
原宿編さんも最近どうしたのかなー
220 :
原宿編:03/05/20 16:14 ID:jhcjMaf+
すいませぬ;;ちょっとペース飛ばしすぎて疲れたのでつ(死
後は・・・・・・・・ちょっと構想(妄想?)練り直して
今後の方向性を決めかねていたというか・・・・・・・・
あの人の影をどのぐらい入れるべきなのかとか・・・・・・・
どう入れるべきなのかとか・・・・・・・
エロネタに関しても何バージョンも考えた挙げ句
そのどれを採用したらいいのか却ってわからなくなったりとか・・・・・・・
(これが最大の原因ですね〜そんなエロエロな自分に鬱)
とりあえずラストをどう落とすかほぼ方針が固まったので、
それに沿った展開にしていくつもりでつ。
一応、明日連載再開予定でいまつ。お待たせしまつた。
221 :
山崎 渉:03/05/22 02:23 ID:xrMBzNXC
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
「あ・・・・・・・あ・・あ・・・・・あ・・・」
何かを言おうとしたが、頭と舌がもつれてそれは言葉にならなかった。
全身がユデダコのように赤くなったミカエルは、
ぎこちなく彼女を離すと、ふらふらと危なっかしい足取りで
立ち去ろうとした。
しかし、5・6歩歩いたところで、ミカエルの足はもつれ、転倒した。
そのままミカエルは立ち上がらなかった。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ベリアルは暫く様子を見ていたが、一向に変化がないので、
自ら立ち上がると、化術を解いた。
ふわり、と流れた風とともに、美少女コギャルは
中性的な美しさを持った悪魔へと変わる。
不安定な危うさが、その美しさを一層引き立てる。
およそ不健全な彼女の本体。
姿が戻ると、先程の甘い出来事も他人事のように薄らいだ気がした。
・・・・・いや、気がしただけだろうか。
ルシファー以外の者に心を動かすなど、およそ彼女らしくない。
ベリアルは、ゆっくりとミカエルに近づいた。
彼女はかがんで白い手を伸ばし、ミカエルの額に懸かった前髪をそっと掻き上げる。
ミカエルは完全に気を失っていた。
起きているとき、くるくると変わるその表情は光に満ち溢れていて、
およそルシファーとは似ても似つかない。
しかし、こうやって気を失っていると、大人びた横顔は
ルシファーに生き写しといってもいいほど良く似ていた。
「ルシファーさま・・・・・・・・・」
彼女は思わずミカエルを抱き締める。
精悍な胴体に彼女は細い腕を廻し、ミカエルの背中に顔を埋める。
ミカエルは、気を失ったままだ。
彼女を見ない瞳。彼女を抱き締めない腕。彼女を愛さない体。
ルシファーは、今のミカエルと大差あるだろうか。
彼女は切なげにぎゅっと目を瞑ると、腕に力を込めた。
永遠に報われることのない恋は、永遠に終わることのない責め苦だった。
・・・・・・・でも実は、それだからこそルシファーを選んだのだ。
以外だろうか。
彼女に心を動かされないその高貴な魂は、彼女に触れて汚れてしまうことがない。
だから彼女を幻滅させることなく、安心して想い続けることができるのだ。
彼女が実はとても臆病だということを、知るものはおそらく居ないだろう。
(彼女という存在は、そもそも矛盾で成り立っている。)
ルシファーに愛されるのをとても怖がっている一方で、
喉から手が出るほど愛されたいと強く切望している。
自分の中の矛盾を彼女自身時々抱えきれなくなる。
そんな矛盾の捌け口−−−−−−こんな絶好の機会は二度とないだろう。
「ごめんなさいねミカエル・・・・・・・」
そもそも彼女の前で気を失うなど無防備な姿を晒す方が悪い。
そんな勝手なこじつけをしつつ、彼女はそれを実行する。
彼女はミカエルの胸に廻していた手を、おそるおそる徐々に下へずらしていく。
やがてその手はズボンとの境目まで到達した。
彼女は一瞬躊躇い、手がこわばったが、決心したようにその中に手を差し入れる。
彼女の手に柔らかい感触が伝わる。
彼女は鋭敏な指先で、細部まで形態を確認する。
ピクン。
彼女の指先が一瞬引きつった。
「あ・・・っ・・・・・・・・・・」
彼女の体に変化が生ずる。甘くけだるい感覚が、彼女を優しく苛む。
胸が締め付けられるように苦しくなり、思わず彼女は涙ぐんだ。
しばらく彼女の手は止まったままだったが、
やがておそるおそる愛撫を再開する。
そっと優しく、ミカエルの体を刺激する。
「ん・・・・・・・・・・」
ミカエルは漸く目を覚ました。
しかしその時には既に、取り返しがつかないほど事態は進行していた。
−続く−
うわっやられた……
イイっス原宿さん……
☆ チン マチクタビレタ〜
マチクタビレタ〜
☆ チン 〃 ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ___\(\・∀・) < つづきまだ〜?
\_/⊂ ⊂_ ) \_____________
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| 愛媛みかん |/
228 :
A:03/05/24 18:34 ID:6jxU+e14
ひぃっつ!さ、下がりまくってるっつ!!
つーわけで一旦あげやす。
次の方、sageてくれれば幸い。
>>227 ご め ん な さ い。
>>原宿さん
うへへへへへ(下品)続きが楽しみで砂!
ル・・ルシアレ投下はないのか…
230 :
原宿編:03/05/25 10:05 ID:cVPkHnN3
そういやルシアレさん来ないね
「な・・・・・・・・に・・・?」
朦朧とした意識の中で、ミカエルは波に揺られているような
心地良さを感じていた。
優しく包み込まれ、弄ばれ、嬲られる。
(気持ちいい・・・・・・・・・)
なんだか懐かしいような気もした。
ミカエルは幼子のように何気なく身じろぎした。
「・・・気が付いたんですか?ミカエル」
優しい声。・・・・ん?
完全にミカエルは覚醒したが、それでも自分の置かれている状況を
理解するのは無理だった。それはミカエルの知っている事柄からは
あまりにもかけ離れていた。
ミカエルは反射的に逃れようとしたが、彼女は手を離そうとはしなかった。
それでも、無理矢理握られているわけでもない。
彼女のしなやかな指は、軽く絡みついているだけだった。
それなのに何故逃れられないのか。
体をこわばらせたミカエルの緊張をほぐすように、
彼女は空いているもう片方の手を彼の額に載せる。
「怖がらなくてもいいんですよ・・・・」
あはー。。ごめん。
リアルが忙しくて忙しくて。のんびりひとさまに見せられる小説を書いている
暇が無いのです。。。
祖母がボケちゃったのでお見舞い行ったり。
アレルギー持ちなんで病院にもいかなくちゃ行けなくて……(言い訳)
ごめんなさい。もう少しお待たせします。
彼女の言葉は、まるで呪文のようにミカエルに降り注いだ。
一見優しげなその言葉は、さりげなくミカエルを縛った。
ミカエルの心の中では、棘のように警鐘がチリチリと瞬いていたが、
それは体に与えられる刺激で掻き消された。
不安を感じながらもミカエルは彼女になされるがままになっていた。
彼女は彼の額にあてていた手を彼の胸板に伸ばし、
少し力を入れながらゆっくりとさすった。
ミカエルの呼吸がだんだん荒くなる。
「あ・・・・・・っ!」
ミカエルの口から、思わず切なげな声が漏れる。
彼女は満足して少し笑った・・・ように見えた。
愛撫は相変わらず優しく、しかしミカエルが昂ぶるにつれて
だんだん執拗で、少しずつ強くなっていた。
それでも、女に触れたことのないミカエルの体には、
なかなか決定的な変化は現れなかった。
彼女は辛抱強く、ミカエルを愛撫しつづける。
「あ・・・・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・・は・・・ぁ」
ミカエルは、苦しげに喘ぎ声をあげた。
それは徐々に艶を増し、彼女の心を掻き立てる。
ほんのりと染まったミカエルの目元に顔を近づけ、
彼女はそっとキスをする。
もう手に入れたも同然だ。
あとはどうやってその白い羽根をむしっていくか、お楽しみはこれからだ。
彼女は楽しげに頭の中でプランを練った。
そう・・・少し油断していたかもしれない。
彼女は、少し汗ばんでいるミカエルの体を愛撫する
華奢な手に力を込めた。
彼女に玩ばれながら、ミカエルにはうすうす彼女の真意が見えはじめていた。
その優しげな微笑みの奥に、ミカエルを傷つけようとする意思が潜んでいることを。
しかし、今更気付いても遅い。
既にミカエルの心は、彼女に縛られがんじがらめにされているのだから。
それも作戦だったのだと、唇を噛む。
彼がそうと気付かない間に、いつの間にか身動きできなくなっていた。
悔しいけれど、自分は彼女に夢中なのだ。
その憂鬱な心とは裏腹に、彼女に愛されて彼の体はとても悦んでいた。
こんな屈辱は味わったことがなかった。
しかし、圧倒的な快感に、考えることすらできなくなりかけていた。
そしてついに、その時が訪れる。
ビクン。
ミカエルの体が大きく引き攣る。
それは初めての経験だった。
彼女が邪に笑ったような気がした。
彼女はこの時を待っていたのだ。
感情の麻痺する状況の中で、ミカエルの目から一筋の涙が零れる。
それは悔し涙だったのだろうか。
しかし、それは悪夢のほんの入り口に過ぎなかった。
それまで一見優しげだった彼女の態度は、その瞬間から豹変した。
彼女はついにその本性をさらけだす。
さっきまでとは比べ物にならないほど感覚が研ぎ澄まされている
ミカエルの体を、彼女は容赦なくしごき上げる。
残忍に握り締められる、そのすべらかな手からミカエルに伝わってくる。
男を虜にし、壊してしまう強烈な魔性。
彼女が悪魔なのだということを、今更ながらに思い出す。
もう、声をあげることも、身動きすることもできなかった。
ミカエルは屍のように彼女の腕の中にいた。
好きだったのに!
頭のなかでそう叫んだ。虚ろなミカエルの半開きの目から、涙が静かに流れ落ちる。
先ほどまでのことは、ほんのお遊びに過ぎなかったのだと思い知らされる。
犯される恐怖。それも胸をときめかせていた彼女から受ける、酷い仕打ち。
彼女は男の悦ばせ方を良く知っていた。
心が虚ろになっていく一方で、その体は麻薬に冒されたように
極上の快楽を味わっていた。
彼女は、こんなことをして楽しいのだろうか。
どちらかというと、それは憎しみのような感じがした。
彼女に憎まれる憶えなどない。
・・・彼女はミカエルを憎んでいる訳ではないのかもしれない。
その対象は、ミカエルの体を通り越して、どこか遠くへ注がれているような気がした。
・・・ど こ へ ? ・・・
それはルシファーではないようだった。
それ以上、ミカエルには想像できなかった。
どのくらいの時間が経過しただろうか。
ふと、彼女の手が止まった。
彼女はミカエルを地面へ寝かせた。
彼の髪をそっと撫ぜると、親指でその涙を拭う。
そしてボロボロになったかわいそうなミカエルのズボンを、太腿までさげる。
彼女は膝をついたままミカエルをまたぐと、馬乗りになった。
そしてほどよく引き締まった彼の腰に軽く手をあてる。
彼女の熱く潤んだ体が、ミカエルの先端に触れた。
しかし、どこに触れているのか、スカートに隠されていてわからなかった。
躊躇いがあるのか、一度彼女はすぐに体を離したが、
今度は迷わずミカエルの体を奪う。
(・・・・・柔らかい・・・・・)
ミカエルに酷い仕打ちをした者と同一人物とは思えないほど、
甘く儚い彼女の体----------。
それを感じたとき、ミカエルの体の中で消えかけていた力が沸きあがった。
「ドガァ!」
ミカエルは渾身の力を込めてベリアルを突き飛ばすと、立ち上がった。
そして急いでズボンを元に戻す。
握り締めた拳がふるふると震え、ぎゅっと引き結んだ目から大粒の涙が零れた。
「・・・・・・・っ!」
溢れ出した感情を抑える術はもうなかった。
ミカエルは全身を震わせて泣いた。
ベリアルは、拒まれたショックのせいか、地面に蹲ったまま青ざめていた。
彼女に対する不信感と、それでも消しきれない望み。
どう思っていいのかわからなかった。
ミカエルは耐え切れなくなり、全速力でどこかへと走り去った。
「は・・・・・・っ・・・」
ミカエルに去られたベリアルは、地面についた手をもう一方の手で抱えた。
このわたくしが、陥落に失敗するなんて。
その事実は少なからず彼女のプライドを傷つけた。しかも、彼女の内部に一瞬でも触れた後にもかかわらず。
彼女の魅力は、美しい容姿と丹念に磨き上げられたテクニックは勿論だったが、やはりその体が最大の魅力であるはずだった。
忌まわしいまでに男を虜にし狂わす彼女の肉体。
たとえ相手が途中まで躊躇っていても、その体を一度抱いてしまえば二度と彼女に逆らえなくなるはずなのに。こんなイレギュラーなことは初めてだった。
・・・それに、土壇場で拒まれると彼女だって困るのだ。相手をその気にさせながら、自分の感情だって高めているのだから。彼女の体は結構繊細なのだった。
すっかりミカエルに抱かれるつもりになっていた彼女の体は、その仕打ちに不平をあげていた。
彼女はじっとそれが鎮まるのを待ちながら、困惑気味に視線を宙に漂わせた。
過信していた。
その腕で自分自身を抱きしめながら、彼女は省みる。
瞳がなんとなく潤むのを感じながら、彼女は切なげに人差し指を噛み、思う。
抱かれたかった。
ミカエルに。
彼を陥落しようとしていたはずが、実は自分の方が陥落寸前なのだった。
いたずらに触れ合ったことで、あてられているのは実は彼女の方だった。
・・・・・でも、きっともう会う事もないだろう。
ミカエルは二度と彼女に近付かないはずだ。
時が経てば忘れられる。
そう思った。
-----------そのときは。
−To be continued−
寸止めですか(´Д`)ハァハァ...
241 :
A:03/05/26 22:58 ID:YHK0+L9w
良いですね……。凄くしっとり。どきどきです。
私も負けじと頑張るか!
242 :
ミカ九 19:03/05/27 00:11 ID:l3wxKN7+
「……っ!?アホ自分、何すっつ!!」
言葉を文章とさせずに、九雷の喉に押し込める。
細い、赤銅色の腕を掴み、頭の上に片手で固定する。
ぐぐもった声が僅かに漏れ、それがミカエルのなかの何かに、火をつけた。
じたばたと暴れる足を、自分の膝で封じ込め、空いた左手で乱暴に服を、引きちぎった。
無常にも豪快な音を立てて、引き裂かれる布地の音が、裏路地に響く。
唇を離し、細い首筋に唇を這わせる。漸く呼吸が出来たのか、はぁはぁ。と、
九雷は荒い息を吐いた。その度に、小ぶりの胸が上下して、
酔ったかのようなミカエルを誘う。つ、と。
離された唇からは引き延ばされた互いの糸が伸びて、九雷の顎にぽたりと落ちた。
舌を這わせる。左の手で、胸をまさぐる。
あの時の感触よりもずっと柔らかい九雷のそれは、ぴったりと、
まるであつらえたかのように、ミカエルの手に収まった。
焼けた肌の中で、そこだけが、仄かに赤い。頂きを口に含み、舌で嬲る。
びくり、と強く身体を震わせた。あ、あ!と上ずった声が九雷の口から吐いて出る。
それがさらにミカエルのこころを、駆り立てた。
くちづけをする。舌を絡める。絡めながら、九雷の胸を弄ぶ。
その度に九雷の身体は、びくりと震える。抑えている足からも、
段々抵抗の力が弱まって行く様が、感じ取れた。
女の抱き方を、知っているわけではない。
どうすれば好いと感じるか。どうすれば良いのか。
そんなことなぞ、ミカエルは知らない。
ただ、抱きたい。体の中についた己の焔を、抑えて消すことなど出来なかった。
夢にみるような感覚とはきっと、こんなことをいうのだろう。
夢を見ているその間、その場の不条理に気がついて、
理を見極めて行動できるというものが、果たして存在するだろうか?
きっと、それが出来るのは、夢から覚めたときのことだろう。
夢から覚めるきっかけは、何であろうか。
それは朝の光であったり、鳥の鳴き声であったり。
――――誰かの、声であったり――――。
それは微かな。本当に、微かな声だった。
強く抑えていたミカエルの腕も、その声に気付かなければ、
抑えていた九雷の腕の様子に、気付かなかったことだろう。
この、少女は。何でやの。と、
小さな、蚊の鳴くような、声で泣いて。震えて、いた。
「何でやの?なして自分――?なんで、やの――――?」
馬乗りになったまま。ミカエルは九雷の顔を見つめる。
アイスブルーの瞳からは、音も立てずに大粒の涙が、
静かに頬を濡らしていた。それで夢から――――覚めた。
それでも動くに動けずに、どれだけの時間、
互いにそうしていたことだろうか。言葉もかけずに、
ただ自分を見つめる九雷と、動けないままでいる自分。
やがてゆるゆると、九雷を抑えていた力を緩めて、
妙に乾いた唇で、悪い。と侘びて、ミカエルは退いた。
そのまま九雷は逃げ出さずに、まるで壊れた機械人形の如く、
暫くその場に身を伏せ。ひどく、のろのろとした動作で起き出して、
破れた服を、かき抱いた。
互いに何も、言わなかった。言葉など、見つからなかった。
重苦しい沈黙だけが、場の空気を支配していた。
そして、再び小さな声が、蚊の泣くような声が、呟かれた。
なんでやの、と。なんで、自分。こないなこと、したん?と。
「――――抱きた、かった――――。」
その問いかけに、ただ、思ったままミカエルは答えた。
嘘をつくことなどという器用なことは出来なかったし、する気も、なかった。
それを聞いて、九雷の肩が震えた。どうやら、笑っているらしかった。
くす、くす。と、小刻みに肩を震わせて、九雷は笑っていた。
「――――じぶん、サイテイ、やな――――。」
そうしてミカエルを見つめ、ふわり、と笑った。
今にも泣き出しそうな目で。そして、酷く悲しげに、九雷は笑った。
ゆっくりと、身を起こす。帰るわ。と短く呟き、身を翻す。
「――――待てよ!!」
呼びかけに、九雷は立ち止まり、ゆっくりと振り向く。
上着を脱ぎ、九雷の方へとそれを突き出した。
「着ろ。それじゃ、あんまりだ。あと、船まで送らせろ。」
侘びの言葉はなかった。非難の言葉も、全くなかった。
ただ、九雷はミカエルの上着を手にとると、それに袖を通して、
再びのろのろと歩き出した。ミカエルも九雷の歩調にあわせて、
ほんの少し後ろに、並んで歩いた。
船に着いて。配下たちは九雷の様子を見て驚いたようだった。
当然だろう。そんなにも深く考えていなかったミカエルは、
この場になって漸く、もしかしたら再び戦争か何かにでもなるかも知れないと思ったが、
それもほんの頭の片隅のことで、殆どどうでもよいことのように思えた。
ただ、九雷がいつもと変わらぬ笑みを浮かべて。
ああ、建物にひっかけて破いてしもったんやー。
と、軽い調子で会話して、部下をあしらったのには、驚いた。
驚きのまま、見つめていると、ふわり、と。
再び九雷は掻き消えるかのような儚げなさまでミカエルに対して微笑むと、
踵を返して船へと向かっていった。配下の者たちは、
今ひとつ釈然としない様であったが、間もなくかかる九雷の号令に背を押され、
皆、慌てて船へと乗り込んだ。
轟音を立てながら、いくつもの船は浮き上がって。
――――その、空は、嫌になるくらい、青かった。――――
+To be continued +
246 :
A:03/05/27 00:27 ID:l3wxKN7+
私のほうも寸止めです〜。すみませぬ。そして漸くこれで半分ほど……。
忙しさがちょっとだけ減ったので、
なるべく早めに続きをUP出来るように頑張ります。
>>232 いやいや。まずは現実あってこそ、ですよー。
気長にお待ちしておりまつ。(キラキラ)
あぼーん
248 :
原宿編:03/05/27 11:39 ID:JgTx+A1x
くうっ・・・ミカ九、イイ!
キスシーンだけでなんであんなにエロく書けるんやw
Aタンの表現力の豊かさにはいつも嫉妬を憶えます(T▽T)
自分も漫画ばっか読んでないでちったぁ本読まねばという気にさせられますね。
「読みが甘かったな・・・・・・・・・・・」
天界。ラファエルの病院の個室。ミカエルは白い無機質なベッドに寝かされていた。
泣きながら走るミカエルを捕獲して、ラファエルが連れ帰ったところだった。
ベリアルがミカちゃんに悪さをすることはできないと踏んでいたのに。
ラファエルは自分を責めた。
ミカエルの体は完全に興奮していた。
一体何をされたのか訊きたいところだが、ミカエルは口もきけない状態なので
それは無理だった。
「ミカちゃん・・・・・・・」
ラファエルは痛々しげにミカエルを見つめると、オデコにそっと手を遣る。
「適当な女を見繕って最後までイカせてあげようか?
ミカちゃんなら希望者がいっぱい・・・・・・」
ドガ!バービエルに膝の後ろを蹴られ、ラファエルの言葉が途切れた。
「それなら抜き方教え・・・・・・・・・」
ダン!バービエルの低いヒールがラファエルの足に突き刺さる。
「難しい数学の問題でも考えてればじきに納まりますよ」
バービエルは微笑んでそういうと、ラファエルの耳を引っ張りながら
部屋を出て行った。
なにすんだよバービエル、ほっときゃいいんですよ、そんな会話が
廊下を遠ざかっていった。
一人きりになったミカエルは、薄闇に冒されはじめた天井を見るともなく見つめた。
怖かった。
蒼ざめた体をぎゅっと抱き寄せる。
幼い頃から誰よりも強かったミカエルは、他人に傷つけられたことがない。
それ故ミカエルは誰よりものびのびと真っ直ぐに育った。
唯一---------その心を曇らせたのは、
優秀な兄に対する劣等感だけだった。
そんなミカエルを--------彼女はまったく別の方法で傷つけたのだ。
腕力も、アストラル力も使わずに。
ミカエルの好意を逆手にとって、踏み躙った。
裏口から忍び込むようなその狡猾な手口は、真っ直ぐなミカエルにとっては
思いもよらないことだった。
その傷口は、まるで毒でも塗られたようにどくどくと痛んだ。
怖かった。
彼女の心の中に在る、深い闇を覗いてしまった。
そしてその穢れた手によって、自分もそこに引きずり込まれそうになったのだ。
自分の内側にも闇が存在しているなんて、考えたこともなかった。
あの瞬間-------彼女の甘い肉体に触れた刹那、
自分は彼女が欲しいと思ったのではなかったか。
彼女をめちゃめちゃに奪いたいという、
狂気にも似た凶暴な欲望が目覚めたのではなかったか。
怖いのは、彼女ではなく自分自身の心。
彼女はその触媒に過ぎなかったのかもしれない。
・・・・そう思って、ミカエルは寝返りをうつ。
闇に沈んだ室内で、自分の目だけがきらきらと異様に輝いているような気がした。
−To be continued−
うわあ、うわあ、連続だ! 生きてて良かった!
スバラスィスレだ。
ミカちゃん好きにはたまりません。
チラッと序章だけかけたんで、
うpしておきます。
次……次はいつ書けるかな……。
254 :
依知:03/05/27 20:22 ID:0pvpCiYH
ブルーとグレイのとても退廃的な色が液体となり、集まって、流れを生み、
河となる。岸辺の土壌は豊かに葉を育ませ、葉は日の光に恵まれて花を咲か
す。
陳腐な歌詞でもって囁くようにうたっていらっしゃるのはだれ?
それは川。それは水。それはセセラギ。
風に応えて謡うように囁いていらっしゃるのはだれ?
それは花。それは木々。それは緑……。
貴くも愛しき方よ。天にまします聖なる華よ。
どれほどの長く遠い日々、貴女を待ったことでしょう。清かに浅くつかれ
る息を、どれほど望んだことでしょう。
語りかけるように、憾むように、また声をあげてむせぶように。花々は咲
き誇り、川は流れすぎていく。
空は高く、青く、清浄。
ここは神性界。アッイルト。かつて神のありし地。今既に神は去りし地。
神のいた世界は美しかった。ただその美しさは神が失せても変わらない。
ここは神性界。
神よりいでし天使もこの場、容易にたどり着けぬ。
選ばれし尊い方だけがその羽を広げられる庭。
川は滔々と流れ行く。
岸辺の草々花々の絵の具を散らしたような鮮やかな色の中、鴉の羽と同じ
色、あの堕天使の翼と同じ色が緩やかに、横たわる。
255 :
A:03/05/28 00:03 ID:nr+l8KW7
To be continued.
で、良いのかな?(オドオド)
ふふ、良いじゃないですか!楽しみにまっちょりますv
天界の警備から帰ってからの、少女の不調には気がついていた。
元より多少辛くても、無理して笑う主であったが、ここ数日の九雷のさまには、
それにも限度というものがある。不安そうな表情で心配をすると、おどけて見せ。
叱ろうとすると笑って誤魔化し、その場を逃れる。
そしてまた、己の執務室へ戻るのだ。
それはまるで、今にもぷつりと切れそうな、一本の糸によって釣り下がっている――――。
そんな感覚を、ノイズに覚えさせた。
何があったのか、どうしたのかはその時にいた配下に聞いた。
明確な答えというものは得られなかったが、
その時の様子からひとつの答えを推測することは、想像に難くなかった。
けれどもはじめにその報告を部下の一人から聞いたとき、正直、信じられなかった。
目蓋に甦るのは、あの赤い髪の天使と主の戯れる姿。
そう、冷静になった今にして思えば、あれば喧嘩というよりも、
じゃれあいとようなものに近かった。少女から、女になろうとしている一人の娘に対しての、
無神経なあの振る舞いに対しても、九雷は表向き憤慨してはいたが、
その実、どこか許しているように見えた。
だからといってあの二人の間に、恋愛感情のようなものを感じたかというと、
それは異なるが。あくまで二人に感じたのは、
仲の良い友人間でのじゃれあいのようなものであって、
男女のそれとは随分とかけ離れているように思えた。
だからどうとは言えないが、信頼していたことには変わりない。
心のどこかで自分はあの天使を信じていたのだという思いに漸く、気がついた。
だから、ひとつの浮かんだ推測を認めることは哀しく辛かったであったが、
それよりも主の思いを慮ると、胸が張り裂けそうな気持ちになった。
果たして主はどれほどの痛手を、その胸に受けたことだろうか。
おもうだけで、涙がこぼれた。
無闇に傷に触れて、九雷を傷つけるわけにはいかない。
けれどもこのまま、無理をする九雷を見ているわけにも、いかない。
一体、どうすれば良いのかと頭を悩ませながら廻廊を往く中、
月の影に潜むようにして、その女は、居た。
「今晩は。お嬢さん。今夜もまた、お仕事で?」
「……何の用だ、帽子屋。今宵、お前と九雷様が会う約束はしていない筈だ。」
道化のような化粧をした女は、襟元に鳥の羽をあしらった黒ずくめの服を身につけて、
帽子をひょいと片手で上げて、ノイズに対して礼をした。
目を細めて身構えるノイズに対し、ええ、そうですよ。
と帽子屋と呼ばれた女はこともなげに答えてみせる。
「だって、今日は姫君でなく、あなたに用があったのですから。」
言葉を聞き、さっと背中を壁へ寄せる。
腰を低くし、腰に帯びた短刀を、いつでも抜けるように手を添える。
無駄なことだと分かっていたが、ぼうっとしたままやられるのも、
怯えて何も出来ないでいるのも、嫌だった。
「命ある限り諦めない」ということが、
一度、地獄の最下層まで訪れたノイズの持つ、信条だった。
そんなノイズの様に、気分を害したのか。それとも、快くしたのか。
それを読み解くことは出来ないが、酷いですねぇ。
と実に暢気な口調で女は呟き、ノイズの方へと歩を寄せる。
「……私に、何のようだ。」
「聞きたいことがあるのですよ。
ああ、その前に、どうぞ警戒を解いてください。
大丈夫。殺しはしませんよ。」
じっと、女を見据える。どこまで本気なのか、
九雷とともに会議の場で幾度と会っても、それでも知れない。
やがてゆるゆると、腰を上げ、手を短刀から外した。
完全に警戒を解いたわけではないが、ひとまずそれで満足したようだ。
微かに頷いて、目を細める。
「……聞きたいこととは何だ。
政(まつりごと)に関してならば、九雷様の他、我等が話すことは出来ない。
知っているはずだ。」
ええ、知ってますよ。と、女は応える。でも。
「わたくしが知りたいのは、その、姫君についてなのです。」
一呼吸。まるで、掻き消えたかのように闇に身を隠すと。
次の瞬間、ノイズの肩に片手が触れた。耳元で、声が、奏でられた。
「!!!」
ひゅん。と、空を斬る音が鳴る。短刀を、構える。おやおや、怖い怖い。
と、女は再び身を掻き消してノイズのひと振りをかわすと、相向かって並び、笑った。
「今のは一寸した冗談ですよ。
ああ、そんなに毛を逆立てた猫のような表情は止めて下さい。
もっと、からかいたくなってくるじゃあないですか。」
「…………九雷様が、どうした。」
短刀は、構えたまま。警戒を緩めず問うノイズに、口の端を少し上げて、
ほんの少し女は笑った。
「ええ、九雷ですが……。最近、調子が悪くありませんか?」
「…………さあな。」
困るの、ですよねぇ。と女は全く困らぬ口調で言葉を紡ぐ。
「神龍は変わらず召喚出来ているようですが、どうやら疲労は溜まる一方の御様子。
浄室を用意せど、この地獄ではどうも、効き目は薄い。
このまま彼女に折れられては、わたくしとしても困るのです。」
なんせ、四大天使と同じ程のエレメントを同時に二つも召喚出来る、
稀有な存在の方なのですからねぇ。
「では、どうするというんだ。まさか、人間界にでも行って休養しろとでも?
人間界に行くことは、不可侵条約で禁じられている筈だ。
九雷様程のものが、黙って人間界に行くことが、許されるとでも思っているのか。」
ええ、そう。下級の悪魔なら兎も角、さすがにそれは許されませんよね。
けれどもそれは、違うのですよ、お嬢さん。
そう言って、また静かに、女はノイズに歩み寄る。
背にした窓辺から、月の光が差し込み、黒い女を照らし出す。
堅い、石造りの廻廊に、薄い、ひかりが伸びた。
「天界に、行けばよいのですよ。」
+To be continued+
女は、そう言って。また少し、笑った。
261 :
A:03/05/28 00:28 ID:nr+l8KW7
>>原宿編様
お褒めの言葉恐縮です〜!(ドキドキ)
頭の中こんなことばっかりなので……(えー)
そしてすみませぬ。出さないようにしようと思っていたのですが、
ストーリー展開上、ベ リ ア ル 登 場 。
申し訳ございませぬ……。
ミカエルと絡むことはないので、その辺は大丈夫かと!
……アスモデウスとは、絡む、か・も?デス……。
キターーーーー!
263 :
山崎 渉:03/05/28 13:08 ID:3MGJJ1xD
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
264 :
原宿編:03/05/28 17:55 ID:D8QW8D0J
いえいえAタン、最初にキャラ被りをやっちまったのはワタクシですよ?
キャラ被りオッケー!その方が切磋琢磨できてヨイですw
(エロパロで切磋琢磨してもなぁ・・・・とは思う;;(自爆))
なんとゆーか、そのキャラを違う視点で見れますからね。
自分のキャラ理解度の浅さを感じてウトゥになったりしますがね・・・・(遠い目)
アスモのおじさまとの絡みも見てみたいナァ・・・・・・・ドキドキ(////)
ミカちゃん好きのお客さん、
あんなミカちゃんで満足していただけてるのでしょうか・・・・・・?
心配です・・・・・・くぅ(>o<)
エロばっかじゃなくて下地をちゃんと作って書いてる良スレだなぁ…
266 :
ミカ九28:03/05/29 00:10 ID:7RczG5HK
白を基調とした部屋に、これまた白い、薄いレースのカーテンが、
ゆらゆらと風にあおられ揺れていた。広く開け放たれた窓辺からは、
透き通るような青空が広がり、窓辺に腰掛けた少年の赤毛が軽くなびく。
広げられた白い羽根が、空の雲と重なって見えた。
「……ミカちゃん……。」
部屋の主の声に、ミカエルは空から目を放し、後ろを振り返った。
部屋の扉には、ラファエルがやや目を見張らして自分を見つめていた。
「……よう。」
羽根を折りたたみ、両腕のみで体重を支え、くるりとラファエルの方を向く。
もう、来ないかと思った。と、ネクタイを解き、後ろに控えたバービエルに、
上着とともにそれを渡しながら、ミカエルに対し語りかけた。
それから何事もなかったかのように机に並んだ分厚い本を手に取ると、
ミカエルの側に並ぶ大きなソファに腰掛けて、読み始める。
ぶらぶら、と、しばしミカエルはそんなラファエルの様子に何も言わず、
足を揺らしていたが、やがて飽きたのか、ひょいと床に飛び降りると、
テーブルを挟んだ反対側のソファに腰掛けた。沈黙が、おりていた。
互いに何も発せずにいると、ノックと共にかちゃりと扉が開き、
バービエルがお茶を持って入ってきた。コーヒーをラファエルの前に、
オレンジジュースを注いだグラスを、ミカエルの前に置いて、
再び部屋を出て行った。グラスには、水滴がいくつかついており、
手にすると、からん。と、氷が鳴った。
白磁のカップに、ソーサーが触れる音が響く。
……で。どうしたの?と、
結果として話を切り出したのはラファエルの方からで、
からからと、ミカエルが空になったグラスの氷をストローで、
かき回している時のことだった。
溜息を吐きながらの問いかけに、
ミカエルははっとラファエルの顔を見つめると、また、目を伏せた。
あのよ……。と、歯切れの悪い、ばつの悪い声がこぼれる。
何やらもう、父親か、兄か、面倒見の良い保健の教師か。
そんな気分で、ラファエルは彼の言葉を待った。
「…………どうして、お前はよ。女を抱くんだ?…………」
だから、そんな問いかけをされたとき、本気でどうしようか、
ラファエルは迷った。迷って、そして、親や保健の先生なら、
悩める性少年を無碍にしちゃあ、駄目だよな。
と、そんな、ある意味馬鹿げた答えを出した。
そうだね。と応えながら、慎重に言葉を選ぶ。
「ひとつには、気持ち好いから。というのがある。欲望だね。」
答えを出したときに、びくり、とミカエルの肩が震えるのを、
ラファエルは見逃さなかった。けれども敢えて指摘をせずに、言葉を続ける。
「そうして次に、占有感。これもまあ、欲望。
さっきのよりは精神面のが大きいけど。
ヒトであれば、子供を成すことが主たるところだろうけど、
天使にこれは当て嵌まらない。元より、禁じられていることだしね。」
あとは、まぁ……。と頭を掻いて立ち上がり、書棚へ近づいた。
古びた一冊の本をとり、ぺらぺらと頁を捲る。好きでもない女を。
という呟きが耳に入った。言葉を吐いた、ミカエルの方へと頭を向ける。
「好きでもない女を、抱くことってあるか?」
そりゃ、あるよ。と、事も無げにラファエルは答える。
「ひとにもよるけどね。……ああ、これだ。」
言って、ばさりとその本をテーブルの上に置いた。
黄色身かかった古びた本には、立った一組の男女がぴったりとくっつきあい、
丸く、ひとつになった姿があった。それは性的なというよりも、
嫌悪感を掻きたてるような、そんな、グロテスクな絵だった。
「『そのむかし人間の本来の姿は、今日見られるものとは同じからぬ、
それとは異なったものであった。男性のみの性質を持つ、太陽の子孫。
女性のみの性質を持つ、大地の子孫。そして、男女の性質を持つ月の子孫がいた。
ゼウスは、人への罰として、彼等ひとりひとりを切り離すことを決定した。
かくして人の子は互いの半身を求め、恋焦がれることとなったのである。』
……プラトンによる『饗宴』のなかにあるアリストパネスの恋愛論だね。
ギリシャの大昔の人間の話だけれど。まぁ、面白いことを考えるよね。
男を求める趣味は無いけど。」
言って、再びコーヒーをラファエルは啜る。
つまり、さ。と、ラファエルは目にかかった前髪をかきあげた。
「彼の説は『饗宴』のメインではなく、
ちょっとした息抜きとして扱われているけれど、考えとしてはアリってことだね。
俺たちは禁じられながらもなくした片割れを探している。
だから、求め合うんだ。」
ばさり、と何かが広がる音がした。見ると、
ソファには最早彼の姿は無く、真っ白い羽根が数本、落ちていた。
落ちたそれを一本拾い上げ、くるくると弄ぶ。
「……だからって、強姦しちゃ、駄目だけどね。」
そう呟いたところで、再びノックの音がし、
バービエルが部屋へと入ってきた。主一人佇む部屋に、目を見張る。
「あら。折角ケーキをお持ちしたのに、無駄となってしまいましたわね……。」
盆の上には、可愛らしい苺のケーキと、チーズケーキが二つ、
ちょこんとのっていた。気にすること無いよ。と言って、
弄んでいた白い羽根を本に挟み、ぱたりと閉じる。
「それよりも、もういちどコーヒーを淹れてよバービエル。一緒に飲もう。」
その言葉に、バービエルは一瞬眼を見開くと、直ぐに了承したかのように笑みを浮かべた。
ケーキを二つ、ラファエルと、先ほどまでミカエルが居た席とに並べると、
彼女はゆったりとした動作で、今度は二人分のコーヒーを淹れに、出て行った。
+To be continued+
271 :
A:03/05/29 00:30 ID:7RczG5HK
>>原宿編サマ
ああ、そう言われるとほっとします〜。
キャラの見解はひとそれぞれ。理解も違って宜しいかと〜(ドキドキ)
アスモおじさまとの絡み、ストーリー上メインぢゃないですが、
そこはかとないのは予定してまつ。
>>265サマ
寧ろ
下 地 ば か り 。
れす自分の作品……。エロお待ちの方、ラストまで気長〜〜〜にお待ちくださひ……。
272 :
A:03/05/29 00:35 ID:7RczG5HK
そうして書きながらふと思った。
ミカちゃんは飲み物ならコーラなイメージ。
(バービエルの性格上、出すのはオレンジだと思ってオレンジジュースにしましたが)
ラフィー君はコーヒー。アレクは葡萄酒とか、紅茶。ベリアルも紅茶。
九雷は紅茶は紅茶でもチャイとか、香辛料を使ったお茶のイメージ。
アスモのオジサマはウィスキーとか良さげとか、とりとめもなく思ったり。
……エロ、っつーか萌えスレな話題でスマソ。
うっしゃあタイミングいい自分。
ステキテキッ
差し出がましいマネをしてみる。
>84 >85 >96 >97 >118 >119 >120 >121 >122 >123 >158 >159 >160 >161
>214 >215 >216 >217 >242 >243 >244 >245 >257 >258 >259 >260 >266
>267 >268 >269 >270
原宿様のはちょっと量が多いのでマタ今度……(汗
275 :
原宿編:03/05/29 11:52 ID:kYsN5Yz3
何故か・・・・・・・・今回のミカ九で笑い転げてしまった(爆)
ラファエル先生素敵wわたしも保健の授業受けたいわ(はぁと)
それはそれとして-------------彼女のことをどう思っていいのかは、正直、解らなかった。
それは難しい数学の問題よりもさらに難解な謎だった。
自分は彼女をよく知っている訳ではない。
それでも--------人は大抵その第一印象と大して違わないものだ。
それなのに---------彼女は第一印象どころか、逢う度に違う顔を見せる。
特に昨日一日で、いくつ彼女を見ただろうか。
ミカエルは、あまり長くない髪の毛先を人差し指でくるくると弄びながら、物思いにふける。
抱き締めたとき、自分の腕の中で消えてしまいそうに頼りなげだった彼女。
ミカエルに触れられて、少女のようにはじらう彼女。
残忍な彼女。彼女の持つ深い闇。
・・・それぞれがちぐはぐで、噛み合わない。
間違ったピースの紛れ込んだパズルのように、完成しないイメェジに、ミカエルは苛々する。
それでも----------ミカエルは思わず頬を染める。
あの瞬間、何かが解ったような気が---------した。
彼女によって掻き立てられた欲望を、そのまま彼女にぶつけたら、彼女はガラス細工のように儚く壊れてしまう。
それは男の思い込みかもしれない--------実際女などというものは、以外と頑丈でふてぶてしいものだ。しかし、ミカエルはそんなことを知る由もない。
解ったような気がした---------しかしそれは、新たな謎を生み出す。
その身に受け止めきれないような欲望を相手が抱いたら困るのではないか。
それが彼女自身を傷つける結果を招くことは、容易に想像できるのに。
なんのためにそんなことをするのか、皆目理解できない。
-------そしてまたミカエルの思考は振り出しに戻る。
甘くて苦い昨日の出来事を、また頭からなぞってゆく。
もしあのまま・・・・彼女を抱いていたら----------?
幾度めかの繰り返しのあと、ふと思考がその先に進む。
彼女の柔らかい体を抱く自分を想像する。
よく考えてみると、キスを交わし、はだけた体を抱きしめ、そして----------
妄想を組み立てるには充分だった。
-------ミカエルの腕の中で、彼女は上気した胸を上下させて、その愛を受けていた。
強く抱きしめると、彼女はその身をこわばらせ、身を捩る。恍惚とした表情は、艶めかしく、美しかった。
溢れる感情のままに彼女の体を貪ると、彼女は苦痛の表情を浮かべる。その姿にさらにそそられる。ミカエルの愛は激しさを増す。
喜びと罪悪感。双方が入り混じって、ミカエルの心と体はどうしようもなく昂ぶった。
--------それは彼女の仕組んだ巧妙な策略なのかもしれない。
全てが彼女の意図どおりだとしたら。
・・・なんだか、そんな気がしてきた。
「うわあぁぁぁぁぁん!」
静まり返った夜の病院に、ミカエルの悲痛で滑稽な悲鳴が響き渡る。
日がすっかり昇り、爽やかな風と暖かな日差しが開け放たれた窓から降り注ぐ。ラファエルとバービエルは、ミカエルの様子を見に病室を訪れていた。
ミカエルは疲れ切った表情で眠っていた。
その顔が昨夜よりも大人びて見えるのは気のせいだろうか?
そう思いながら、ラファエルはミカエルの額に手をあてる。
「ん・・・・・・・・・・」
その刺激に、ミカエルが目を覚ます。
「あ・・・・ラファエル・・・・・・」
「具合はどうだ?ミカちゃん」
ラファエルは優しげに微笑む。
「ん・・・・・・・いいかも・・・・・・」
低い声でそういうと、ミカエルは伸びをする。そしてゆっくりとベッドから起き上がった。
「ミカちゃん・・・・・・・・もうあの女に関わるのはよせ」
「なんでだよ・・・・・・俺の勝手だろ」
ミカエルは何かがふっ切れたようにボソリという。
「ミカちゃん・・・・・・・・・」
ラファエルは少しうろたえたように青ざめる。
「あいつは悪い女だ。おまえは遊ばれているだけなんだよ。実際昨日だってミカちゃんに会う前に男とヤってたし」
ラファエルが何気なく言ったその言葉に、ミカエルの表情がこわばる。
ミカエルに鋭い眼で睨みつけられて、ラファエルは一瞬たじろいだ。
「何だって・・・・・・・・?」
ぎろり、と目玉が動く・・・ラファエルは恐怖を感じた。
「貴様・・・・知ってたのか」
「だ・・・・だからどうした」
怖い。ラファエルは怯えながら答える。
次の瞬間。
「ダン!」
ラファエルはミカエルに組み敷かれ、首を締められていた。怒りにまかせたその指先が、ラファエルの首に食い込む。
ラファエルは強い身の危険を感じた。
「何故止めなかったんだよ!」
ミカエルは堪えきれずにぎゅっと目を引き結び、ラファエルを乱暴に揺さぶった。
その声は、悲鳴にも似ていた。
「あんなに傷ついていたのに!」
ミカエルの目から涙が零れる。
怒りに我を忘れたミカエルは、ラファエルの首をギリギリと締め上げた。
(殺される・・・・・・・・)
ラファエルが酸素の回らない頭でそう思った、その時。
「パァン!」
乾いた大きな音が、無機質な部屋にこだました。
バービエルに力いっぱいひっぱたかれ、ミカエルは正気に戻った。
そんなミカエルを押しのけ、バービエルはラファエルを奪い返した。
いつも笑顔のバービエルの、そんな恐い顔は初めて見た------------。
ミカエルは呆然とぶたれた頬を押えた。
解放された首を押え、肩で荒い息をついているラファエルの頭を、
バービエルは母親のようにぎゅっと抱きしめる。
そしてまだミカエルの方を警戒するように睨みつけていた。
「冷静に考えてみろよ、ミカちゃん」
ラファエルは乱れた呼吸を整えながら、ミカエルを諭すように言う。
「あいつは魔王の次に強い魔力を持つ七君主だぞ。
嫌なら人間ごとき簡単に拒めるだろ。嫌じゃなかったんだよ」
ミカエルは、泣きだしそうな顔でラファエルを見つめた。
-------そんな-----傷つけられて・・・嫌じゃないなんて---------そんなことあるのか?
体を傷つけられたら心だって痛い。まっとうな感覚で、ミカエルはそう思っていた。
実際、あのときの彼女は傷ついているように----------見えた。
-------そんな風に嘘がつけるものなのか------?
ミカエルの頭は混乱した。もう、何も信じられなかった。
ミカエルはふらふらと幽霊のように部屋を出て行った。
パタンと扉の閉まる音がした。部屋は静けさを取り戻した。
バービエルは心配そうにラファエルの締められた首の痣に手をやった。
ラファエルは暫くばんやりとしていたが、やがてぼそりと呟く。
「俺が------------間違ってたのか?バービエル」
そうですわね・・・・とバービエルは答える。
「客観的に云々は抜きにして、止めて欲しかったですね。------女の身としては」
そうか・・・・・とラファエルは曖昧に頷く。
「そもそも--------あの人の存在に矛盾を感じたことはありませんか?貴方は」
バービエルの問いかけは、なぞなぞのような不思議な響きを持っていた。
「矛盾?」
ラファエルはおうむ返しに答える。
バービエルの言わんとするところがわからなかった。
「あの人はいつからフェロモンマスターだったんでしょう?」
バービエルの素朴な疑問に、ラファエルは怪訝な顔をする。
「そんなの生まれたときからだろう?」
あんなワルは生まれたときからワルに決まってる。ラファエルはそう思った。
「それだと辻褄があわなくありませんか?フェロモンマスターを目指すなら、
完全に女の体になってナイスバディを手に入れた方が、
ずっと男を誘惑しやすいじゃありませんか。
何故あの人はあんな中途半端な体をしているのでしょう?」
「神に逆らう為じゃないのか・・・・?」
「そんな抽象的な理由で納得してるんですか」
「何を考えてるんだバービエル・・・・」
どうして女はこう詮索好きなんだろう。ラファエルは少しうんざりする。
しかし--------言われてみると、ラファエルにも疑問に思えてきた。
「知るか。あいつの考えていることなんて」
−To be continued−
282 :
A:03/05/30 02:19 ID:FJNgmTju
バービエルに萌へました。
漢よのォ……(違)
キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!
続きщ(゚д゚щ)カモーン
そんなこともあった手前だから、
ラジエルが自分の元に頼みごとをしに来たときには、少なからずも感じる何かがあった。
「他に、頼めそうな方がいないのです。」
ゆったりとした紅茶の煙がくゆるなか、
少年から青年へと変化を確実に遂げつつあるこの天使は、
真摯な瞳でラファエルに向かってこう言った。
「……あのね、ラジエル君。
俺は確かにカワイイ子たちは大歓迎だけど、駆け込み寺じゃあ、無いんだぜ?」
「知ってます。」
指をゆったりと重ね合わせ、テーブルの上に置いたまま、
ラジエルは瞳を外さずそのまま応える。
「けれども、他に無いのです。
ウリエル様のところは、天界と言えども死者達の集うところ。
来客を招くには不適当ですし、ジブリール様は眠れるまま。
ミカエル様とは先刻のご様子を見て、不適当かどうかは知れたるところです。」
だから、あなたのところしか無いのです。
それは、お願いするというよりも、最早命令とも言っても良い口調だった。
気押されるということは無いが、それでもラジエルの言葉には、
言葉巧みに丸め込み、はぐらかすことを拒ませる、強い力の何かがあった。
大した成長ぶりだと、内心ながら舌を巻く。
「そーいう、自分のところはどーなのよ。」
「……恥ずかしながら、我々のところにても統制が取れているのは一部のみ。
互いに、忙しいのは同意とは思われますが、現在の状態で、
ゲヘナ皇家の姫君を迎えることは不可能です。」
眉を、寄せ。目を、辛そうに歪めて。
その言葉は、恐らく真実なのだろう。そんなこと、ラファエルだって承知していた。
ただ、素直に認めるのが嫌だけだ。
「大体さぁ……。噂なんて、放っておきゃいいんだって。
良く言うじゃん。ヒトの噂は七十五日、ってさ。」
「放ってなんておけません!これは大いに関係することです!
今、地獄と一時ながら手を結ぶことが天使たちを守る上でどれだけ重要なことか、
解っておられるのですか!?」
解っているのだ。そんなことだって。
ことの始まりは、ミカエルが訪ねて来る数日前のことだった。
天界に、妙な噂が流れたのだ。内容は、「天界の重鎮とも言える天使のひとりが、
ゲヘナ皇家の正統なる血筋である少女を汚した。」というものだった。
噂の出所は不明。ただ、下級天使から上級天使に至るまで、
殆どの天使がこの噂を知っていた。
はじめ、この噂をばらまいたのは反四大天使の派閥か、何かかと思われた。
だが、どうやらそれとは異なるらしい。この噂を支えているのが、
反四大天使であることは間違いないが、彼等を一掃する余裕は、今の彼等にはない。
かといって、このままこの噂を放置しておくわけにもいかなかった。
下級天使たちが大きな打撃を抱えつつも、漸く立ち直りかけている今、
上への不信はそのまま向上力の低下へと繋がってしまう。
これが一昔前であれば、「地獄の姫君とはいえ、所詮女」などといった、
下世話な話題となるのみだったであろう。だが、今とは状況が違っていた。
下級天使の多くが、自分たちを守ろうと、同種族を取り締まる、九雷の姿を実際として見ている。
かつての敵だ、異種族だと、天使たちを敵視するものは耐えなかったが、
懸命に働く九雷たち一族の姿を、真摯な瞳で受け止めている天使たちもまた、
確かに存在するのだ。そして、そういういわば、「天使らしい天使」たる彼等が、
復興のための大きな力となっている点は否めず、噂の放置によっては最悪、
住民反乱という可能性さえも、見出せる状態であった。
この噂を最も気にしたラジエルが出した答え――――それが、
「九雷の天界における短期滞在」そこで白羽の矢を立てられたのが、
ラファエルだったのだ。
「でもねぇ……。噂、知ってるんでしょ?
俺のトコなんて、もっと危なくないかい?」
「大丈夫ですよ。ノイズさんが一緒ですし。
それに、昔のあなたが節操なかったことを知るのは天界の一部だけですし。
その天界の一部は、崩壊し、残っている一部の人間は、
あなたが今ではバービエルさんのことを最も大切に思っていると、重々承知しています。」
顔色変えずに言われた言葉に、寧ろこっちが恥ずかしくなってくる。
気恥ずかしさを隠すためにコーヒーを啜る。後ろに控えたバービエルの反応が気になった。
ヒトの噂は。と、そんなラファエルの心を知って知らずか。
変わらずラジエルはラファエルに向かって語りかけて来た。
「七十五日と言いましたが、僕等は天使です。
噂が一瞬で終わることもあれば、永久にそれが続くことも。
或いは、それが僕等の最後を決める鍵となることさえも、あります。
少しでも対応出来ることには、対応したいのです。」
あくまで善意でそう語りかけるラジエルに対し、最早断ろうべくもなく。
――――最終的に、ラファエルは九雷が自分の元に滞在することを、
了承することとなった。
そして、凡そそれから一月強――――
風の天使のもとに、皇家の姫君は舞い降りた。
+To be continued+
288 :
A:03/05/31 00:34 ID:3Qf+Bnrk
大体今後の展開は固まりつつあるのですが、なんてゆーか……。
伏 線 の 嵐 。
になりそうなヨカーン。
……最早エロ小説じゃねェ……。
いや、無論最終的には二人のエロ入れますが。道のり長すぎれす……。
皆さん、ごめんにゃざい…………(大泣)
いえ、そういう読み応えある話って、個人的には大好きです。
まだまだAさんのミカ九が読めるんだー、と浮かれている人間もここに1人おりますので。
なので、伏線大歓迎です。何回も読み返すの好きなのでー。
夢を、見た。女を抱(いだ)く夢だった。
自分よりもずっと華奢な褐色の女の身体を下にして、貪るように身体を抱(いだ)く。
女は、嬌声をあげて自分によがり、細い腕を背に伸ばし、
足を淫らに巻きつけて声をあげて自分を求める。自分はそれに煽られるかのように、
獣のように女に楔を打ちつける。何度も、何度も。
離れぬように、失せぬようにと、幾度も女に打ちつけ、刻印を、刻み込んだ。
女の肌は柔らかで、女の焚き染めている特殊な香の香りが、
ますます自分のこころを誘った。香りに溺れるように、女の身体を絡めとり、
吸い付ける。女は、一際高い嬌声を上げると、自分の背に回していた腕を解き、
ばさり、と寝台に横になった。褐色の肌には、自分が残した痕が散る。
息を荒げながら、女はゆっくりと眼を開いて、自分を見つめ、呟いた。
――――好き――――。
その声と、ブルーサファイアの瞳を見て、夢から覚めた。
ベッドから身を起こし、ミカエルは未だ治まらぬ動悸に、胸をあてていた。
どくん、どくんと、胸の鼓動は似合いもしない早鐘を打っている。
潤んだ目、恍惚とした表情。
――――好き――――。
頭の中でリフレインした言葉を打ち消すように、頭を振る。
有り得ないのだ。そんなこと。あんな、乱暴を行った上で。
かいた汗を拭おうと、乱雑に服を脱ぎ捨てる。そこで下半身の不快感に、
気がついた。気がついて正直――戸惑った。未だ猛るそれに触れると、
妙に不可思議な快感が走った。どうすれば良いのか、は知っていた。
かつてラファエルに下世話な話題として振られ、訳が解らずに質問したところから、
知識としては持っていた。だが、実際行うのは初めてだった。
行う必要性というものが、今まで無かったからだ。けれど、今は。
手を添える。ゆっくりと、動かす。
「……っ!」
身を震わせる快楽を証明するように、それはゆっくりと大きさを増し、
液体を少しずつ、滲ませ始めた。
――――好きな女だとか、抱きたい女を思い浮かべてさ――――
好きな女、と言われたときに、一瞬だがバルベロの姿を思い浮かべた。
けれども彼女を想って、こういったことをしたことはない。
する気さえも、起きなかった。本当に、
それは母親への思慕などといった仄かな憧れようなものなのであり、
こういった男女の契りの対象として、想像することは出来なかった。なのに。
熱い、呼吸が洩れる。欲望は手の中で膨らみ、思いはのぼりつめ、解放を待つ。
想像など、幾らでも出来た。思い出すことなど、幾らでも出来た。
柔らかな九雷の胸の感触、喘いだような呼吸、唇。快感に震える睫毛さえも……。
頭の中で、幾度も彼女を弄び、応じるように、手を動かして
――――夢の中で九雷が果てた様に応じて、掌(てのひら)の中の、自分も果てた。
それから間もなくして、疲労と、虚脱感が押し寄せて来た。
罪悪感が、胸を打った。ラファエルは快楽だと言ったが、それは一瞬のことだ。
今、この押し寄せてくる後味の悪さを、一体何と表現すれば良いだろうか。
九雷を汚すことに焦がれながら、汚すことに苦しみを感じる自分は、
一体何なのだろうか。どうしてこんなにも、九雷の姿を求めるのか。
ミカエルには、分からなかった。妙な敗北感で、涙が少し、滲みそうになった。
汚れた服を脱ぎ捨て、破り捨て、ゴミ箱に投げ入れる。明日、は。
明日には、ラファエルのところに行こう。そう、思った。
顔面を殴りつけ、船から勝手に飛び降りてから、気まずさにずっと会っていない。
けれども、彼に、会う必要がある。気まずくても、何でも、あいつの力が必要だと、そう思った。
新たな衣を身に着けて、ミカエルはひたすら、朝日が昇るのを、待った。
+To be continued+
293 :
A:03/05/31 16:06 ID:3Qf+Bnrk
>>289様
感謝ナリ(涙)
まとめておこうと、このあとの話の流れを表にしてみたら、
13シーン近くありますぃた……。
しかも一つでも抜いたら伏線じゃなくなる罠。
気合入れないと終わりそうにないれす。
次の土曜から二週間近くネット繋げなくなるんで、書けるだけ書いてみやす。
今晩辺りも書けたらUPりやす。ちまちまUPしていてゴメンヨー(泣)
(´Д`)ハァハァ
(´Д`)ハァハァ
(´Д`)ハァハァ
身悶え……ッ
……最高。
モーこれ以上何も言えへん……
次の土曜から二週間も見られなくなっちゃうのか……次の土曜(゚Д゚)クルナ!
ちまちまUPでいいのよー 萌える回数が多くなるからいいのよー
あ、おこがましげながら、ミカちゃんは「バルベロ」でなく「バル」と呼びます。>Aさま
本誌では「ベル」と誤植されてたらしいですが。
297 :
A:03/05/31 20:00 ID:3Qf+Bnrk
感想感謝ですー。感涙です。
書こうかどうしようか迷ったのですがやっちゃいましたワ。
ミカちゃんごめん……。
>「バルベロ」でなく「バル」と呼ぶ
ラファエル主軸のときとかも、地の文ではミカエルを「ミカエル」と記しているので、
こうしたのですが、うーん確かに……。
>好きな女、と言われたときに、一瞬だがバルの姿を思い浮かべた。
の方が良かったかも知れませんね。日々精進っすね。ご意見感謝です。(謝)
そして、投下。
「何を考えている?」
ランプの黄色味かかった寝台に、男は静かに横たわり、葉巻の煙をくゆらせた。
「何を、とは?」
問い掛けられた女は、寝台に背を向け、鏡台を前に、
腰に帯びたガーターベルトにストッキングを通していた。
振り返らず、大して興味も無い様子で鸚鵡返しに問い返す。
男は、そんな女の様子もたいして気には触らぬ様子で、質問を続けた。
「知れたこと。あの小鬼を天界に招かせるために画策をしたことだ。
面(おもて)上は天界との交流によって、
互いの復興をするために技術交換となっているが、お前の目的はそこではあるまい。」
細く、白いその両足にストッキングを通すと、そのまま下着は身にまとわず、
化粧道具を手にとって、塗る必要も無いであろう白磁の肌に、白粉を少し、塗りだした。
そんな女の様子に、目を細めてアスモデウスは楽しげにそれを見つめる。
「前に言いませんでしたか?私は、あの少女が大好きなのですよ。
あのまま倒れられては困ります。そのための、慰安ですよ。」
「それも違うな。
お前があの小娘に恋している事は知っている。
お前は昔から、自分に無いものに対して焦がれる女だ。手に入らぬからこそ、
貪欲なまでにそれを求める。そんな女だ。」
「酷い言いようですこと。」
「だが、恋と言ってもそれは恋ではない。
お前のその情熱は、あくまで手折る、その一瞬に傾けられる。
あの小娘は、お前にとってはこれとない逸材だろう。
かつて、一度でも自分の手許に転がり込んで来たそのものを、
逃したことがないお前にとって、まんまと逃げられたあの小娘は、
お前にとって追い求める蝶の他にあるまい。その美しい羽根をもぎとり、
自分のものにしたと思った蝶は、翼を新たに空に羽ばたいた。
……いや、あれは蝶ではなく小鳥だな。それも幾度と成長し、その度に、
美しさを増す。かつて、お前があの娘に行ったことは、
あの娘の輝きを増させたことにしか、過ぎなかった。
お前のことだ、悔しさとともに、
さらにその輝きをみたいという子供のような想いも、頭をかすめたのだろう。
だからこそあの鳥を、敢えて空に解き放った。」
紅を引いているのか、どうしているのか。
ベリアルの表情は、背を向けられているこちらからは見えない。ただ、言葉を続ける。
「そして、再びあの娘をお前は捕らえようとしている。一瞬の占有感に焦がれ、
また、さらに成長するのではと言う、矛盾した期待を胸に抱いてな。
だが、お前のこころは結局のところ、そこではない。」
女はゆっくりと立ち上がり、振り返る。化粧を施したその面は、
乱れる事無くただ、淡々と言葉を紡ぐアスモデウスを見つめる。
寝台に歩み寄り、裸体と言っても差し支えのない格好で、
横たわるアスモデウスの上に、跨る。
「ただ、愛しの地獄の王……。
その権威を地獄の中に広めることを、
他の魔族どもにこの地をのさばらせないことを一心に、行動している。
今回の、あの娘もそれからだろう。確実に力を蓄える、
ベルゼビュートに懸念したか?」
くちり、と唇をついばまれ、放された。女は蠱惑的な光をその目に浮かべ、
酷いひと……と言葉を紡ぐ。
「そのように思うのならば、その手を貸したら如何です?伯爵。
さもなくば、その手は蝶を捕らえる事無く、ただ、泳ぐさまを追うのみですよ。」
「どちらにせよ、俺が追う限り、お前は逃げるのだろう。」
葉巻を離し、女の顎をついと抓む。互いの唇を寄せ、舌を、絡め、跨っていたベリアルを逆に、押し倒す。
「帰るのでは、無かったのか?」
ランプの光が、今の姿とアンバランスなまでに化粧を施した女の姿態と、
男性的な、引き締まった男の身体を照らしあげる。
「酷いひと……。このようなさまで、それを言うのですか?」
「それを予測して舞い込んで来た蝶が何を言う。
今宵俺のもとに来た理由も、その肉体を代価に、
俺の兵まで借りに来たのだろう……?次は一体、どうするつもりだ。」
くすりと口の端だけで笑みを浮かべ、ベリアルは耳を寄せて、呟いた。
ほんの少し、言葉を聞いてアスモデウスは眉を寄せ、大した女だ。と、呟いた。
「だって、わたくし、悪魔なんですよ。」
女は満足そうに笑うと、頬に手を寄せ自らその唇に、くちづけた。
+To be continued+
_ (⌒Y´ ̄ヽ ∧_/( ̄)) ∧_∧
γ´ `ヽ_`と.__ )( ・ ∩( 《 ( ・∀・) ゴロン
)) ,、 , ) <、_,.ノ ヽ、.__,ノ l つ つ
((_/し∪V .ヽ.__ノ!__)) ゴロン
∧__∧ ∧_∧ ∧_∧
( ) ( ;´Д`) (・∀・ ) <続きマダ-?
( つ (U_U )つ (つ と)
.ヽ___ノj 神様 (⌒Y⌒)
∧__∧ . / ̄ヽ ̄
(・ ) __ ( __ ) ( ゴロン
と ヽ ( ̄))∧_∧ /´ `Y⌒) VUVJ_)
(__ト、__丿 〉 》∩ _) ( .__つ´
ヽ、.__,ノ ヽ、__,.>
いや、このAA貼ってみたくて……
職人さんガンバです。楽しみにしてまし。
302 :
原宿編:03/06/01 14:08 ID:kefPKDE9
よっ・・・・・・読むの恥ずかしいじゃないですかw
Aタンのバカッ(ほとんど意味不明)
期 待 し て る よ w
そしてまた日曜日の朝が巡って来る。
カラリと晴れた空と、暖かい陽気。外出日和だ。
そう思ってミカエルの病室に足を踏み入れたラファエルは、脱力気味に溜め息を吐く。
なんだこのどんよりとした空気は。
結局ミカエルはあれから退院することなく、ベッドから起き上がることすらほとんどなかった。
(しくしくしくしく・・・・・・・・・・)
微かにすすり泣く声は、消え入りそうなほど弱々しかった。
「ミカちゃん・・・・・・・・」
ラファエルは呆れたように髪を掻き上げる。
「だからカウンセリング受けろっていってるのに」
返事はなかった。ミカエルは完全に女性不信に陥っていた。
わからなくは、なかった。
かつて彼女に何をされたわけでもなく、ちょっとその毒気にアテられただけでラファエルも深い女性不信に陥ったのだから。
直接その毒牙にかかったミカエルはそれよりはるかに強いショックを受けているだろう。
あいつはちっとも変わらない、そう思ってラファエルはまた脱力気味に溜め息を吐く。
「原宿いかないの?ミカちゃん」
「いかない・・・・・・・・」
そういってミカエルはまたしくしくとすすり泣く。
ミカエルが行かないのにラファエルが一人で原宿に行く理由などなかったが---------。ラファエルは顎に手をあてて少しだけ考え込んだ。
「----------じゃー俺ひとりで行ってくるから」
気になることがあった。ラファエルのトラウマは治ったとはいえ、それを確かめることで完全に自由になれる気がした。
ラファエルは部屋を出て行こうとしてミカエルに背を向けた。そのときつん、と上着の端をひっぱられた。
「なに?ミカちゃん」
ラファエルは振り向き、問い掛ける。
ミカエルは何かを呟いた。
よく聞き取れなかったので、ラファエルは屈んで、その口許に耳を寄せる。
「・・・・・・・・・・」
ようやく聞き取れたらしく、ラファエルは頷いた。
「・・・・・・わかった」
そういって、ラファエルは病室を出ていった。
-------------消えない---------------。
ベリアルは原宿の街を見下ろせる小高い建物の上に居た。
まだいつも通りの黒ずくめの服に身を包んでいた。
コギャルの格好で原宿を歩くのは危険だ。
何か適当な別の姿に化けるか。
----------それとも河岸を変えて渋谷か新宿あたりで。
そう思って何気なく胸元に手を遣る。
ミカエルの刻み付けた光の刻印。
開襟の白いシャツの中に直接手を差し入れ、その指先で確かめる。
指先に魔力を込め、闇でその光を塗り潰そうとする。
--------でも、消えない。
それはある意味わかりきっていたことだった。
自分の魔力よりもミカエルのアストラル力の方が強い。
そう思うと少し苛々して、再び消そうと試みる。
---------それは自分の力の及ばないことに対する焦りだった。
ミカエルとは対照的に、ベリアルはこの一週間、いつも通り仕事をこなし、
いつも通りの情事を重ねて、ごくいつも通りに過ごしてきた。
・・・・・そして時々ふと思い出したように、その刻印を消そうと試みた。
むやみやたらに光をふりまくその刻印に、少々うんざりしていた。
・・・・・とはいっても、それはよく注意していなければ
それとはわからないほどの、ごく僅かな光の欠片であったが。
無邪気なその輝きに触れていると、闇の中に埋もれてもうほとんど思い出せない、
遠い過去を呼び覚まされた。
それは彼女が闇に染まる前の、光の記憶。
彼女の光の記憶は、ごく僅かで途切れている。
それは、大人になるまでの、彼らの長い人生からすれば、
ほんの瞬きにしか過ぎないほど短い間だった。
彼女は生まれつきアストラル力が強い訳ではなかった。
それでいて幼い頃からいたずらに男心をそそるきらきらした容姿を持っていた。
花の蜜に群がるように惹きつけられてくる彼らに適当に弄ばれる、そんな日々だった。
神は何故自分にそんな容姿を与えたのだろう。子供心にそんなことをときどき思った。
女性化を止めてみたけれど、大して効果はなかった。
--------彼らより強いアストラル力を手にするまで。
彼女の今の魔力の源は、必要に応じて高められたものだったのだ。
・・・・・しかし皮肉なことに---------彼女はあるときそれよりももっと
手っ取り早く簡単な方法を見つけてしまった。
それまで忌まわしいと思っていた自分の魅力を逆手にとり、相手を跪かせて
自分が優位に立つ。
拒めばそれでおしまいだった彼らを、虜にすることでいいように利用できた。
正面から立ち向かって勝つだけが勝利ではない-----------
からめ手でも、卑怯な手段でも、勝てばこっちのものだという、
後々地獄で大いに役に立つ教訓を得たのだ。
元々勤勉で賢かった彼女は、試験や実績などの正規の努力を惜しまないとともに、
裏であれこれ画策しその助けにした。気が付けば光から遠く離れていた。
-----------別に後悔などしていない。
生まれつき強ければ、それでもいい。
・・・・・でも、生まれつき弱いからといって、それに甘んじているのはまっぴらだ。
生まれつき弱くても、強くなればいい。それも、真っ当な手段で強くなるだけが
全てでもない。
それでも-------------生まれつき強くありたかったと思う。
ミカエルの強さ。強さ上の純粋さ。真っ直ぐさ。その眩しいまでの輝き。
なんて妬ましく、愛しいのだろう。
そう思って、彼女は笑った。
自分をこんな悲しい魔性にしてしまったのは、
ないものねだりで身の程知らずな自分。
自嘲的で乾いた笑い声が、晴れた爽やかな空に吸い込まれていく。
地獄の闇に紛れていればわからないが、こんな明るい日の光に曝されると
自分が愚かで滑稽だということを自覚させられる。
彼女は再び刻印に触れ、日の光にも似たその心地良い輝きにうっとりと酔いしれた。
その光の媚薬は、とろけるように、甘い。心さえも犯されてしまうくらいに。
ふと、風が流れるのを感じた。
細いけれども節々のしっかりした男の手が彼女の胸元に差し込まれる。
ひゃっ、と思わず彼女は声を上げた。
「どーしたのベリアル、そんなところにキスマークつけて。」
そういって彼女の横に腰掛けたのはラファエルだった。
「・・・・消えないんですよ。わたくしの魔力では消せないんです」
彼女は軽い火傷を負ったときそうするみたいに、痺れた指先を軽く振った。
「・・・でもそれはただのキスマークじゃないな」
ラファエルは探りを入れてくる。
別に隠す必要はない。彼女は正直に答えた。
「ミカエルが傷を治してくれたんですよ。別にたいした傷じゃなかったんですけどね。少なくとも-------こんなに無駄にアストラル力を使うほどのものじゃなかったんですけど。あの人は力の加減ってものを知らないんですか?」
ベリアルは立てた膝に肘をつき、頬杖をつきながら、呆れたように言った。
・・・・・・・・傷・・・・・・・・・
ラファエルはスカーフの巻かれた首を押さえた。
「そういえば・・・・・・先週のアレ、俺見てたんだ。おまえがわざとヤラせてるのかと思って止めなかったんだけど・・・・・・・
なんで止めなかったんだってミカちゃんに首を締められたよ。
しかも自然に消えるまでは勝手に癒すなって。」
そういって、ラファエルはスカーフを少しずらし、痣を見せた。
彼女は軽く目を見開いたが、その心までは読み取れなかった。
そのまま横を向くと、彼女は目を閉じ、口を開く。
「---------そうですよラファエル。貴方の読みが正しいです。あれはわざとですよ。」
そうか・・・・・と答えると、ラファエルはもうひとつの疑問を口にした。
「それから・・・・・・・バービエルが、フェロモンマスターのおまえが何故そんな中途半端な体をしてるんだって。」
彼女は頬杖をついたまま、首を傾げ、少し節目がちに視線を泳がせた。
「・・・・・・・そうですね・・・・・・バービエルの読みもいいとこ突いてますよ。」
「そうか・・・・・・・・」
ラファエルはそういって、体の後ろ気味に手をつきながら目を伏せた。
質問に対する答えはそれで充分だった。
「その跡は----------時間が経てば自然に消えるよ」
そういいながらラファエルは、ミカちゃん何かされただけじゃなかったんだな、
と思考を廻らせる。
無意識に彼女を誘ってしまったのは、ミカエルの方だったかもしれない。
傷跡を押さえる彼女は無表情だったが----------それでもどこか幸福そうに見えた。
少なくとも・・・・・・・・いつもの毒々しさは影を潜め、
すっきりとした清楚さを感じさせた。
「ベリアル・・・・・・・ミカちゃん傷ついてるぞ。」
「そうでしょうね・・・・・・・・」
彼女はそっけなく答える。
「・・・・・・でも、わたくしの色仕掛けに簡単に引っ掛かるほうが悪いんですよ。」
その口調は、ミカエルを責めているわけではなかった。むしろ-----------
かわいらしい子供を思わずからかうような、そんないたずらっぽさを感じさせた。
ラファエルは暫く沈黙していたが、軽く息をつくと言葉を紡いだ。
「ベリアルに、ミカちゃんから伝言。」
ベリアルは、意外そうに口をぽかんとあけた。
「へ?」
ラファエルも、実にくだらない伝言だとは思ったが。
「-----------コギャルの格好は今後一切禁止!だそうだ」
彼女は一瞬ハトが豆鉄砲を食らったようにあっけにとられていたが、
やがてくすくすと笑い出すと-------言った。
「なんてくだらない伝言なんですか」
そういいながら楽しそうに笑い転げた。まんざらでもないようだった。
「ふ・・・・・・・・・・」
ひとしきり笑い転げたあと、彼女はふと真顔に戻る。
彼女は微笑みながら、寂しげに目を伏せた。
「-----------この後どうするんだ?ベリアル」
ラファエルは、立ち上がって皺のついた上着の裾を直した。
「へ?」
「今日の予定だよ」
ベリアルは、質問の意味をはかりかねた。
「別に・・・・・・いつもどおりですよ」
「それなら・・・・・・ちょっとつきあえよ。俺とおまえじゃ絵にならないけどな。」
そういって、ラファエルは地上に降りる準備をする。
「別に・・・・・・いいですけど」
ベリアルは腑に落ちない様子で、首を傾げながらいぶかしんだ。
天界が、しっとりとした夜の闇で覆われる頃。
カタン・・・・・・・
開いた窓から、夕暮れの風とともに白い翼を持った天使が部屋の中に舞い降りる。空気の流れる気配に、ミカエルは目を覚ました。
「あ・・・・・おかえりラファエル・・・・・・・」
ミカエルは幼な子のようにぎゅっと握ったこぶしで目をこすりながら、ラファエルを見つめた。ラファエルはどこからか漏れてくる幽かな明かりの中でにっこりと微笑みながら、ミカエルに何かを差し出す。
「ミカちゃんにおみやげ」
そういってラファエルが差し出したのは、オレンジ色のガーベラだった。
「?」
わけがわからないままミカエルはそれを受け取る。ミカエルの疑問符には答えず、ラファエルは扉から廊下に出ていった。
バタン。扉の閉まった室内で、ミカエルはくるくるとそのガーベラを回し、それが残像を描いて網膜に焼きつく様を眺めながら、物思いに耽った。
そして、その意味を推測する。
そうか・・・・・・・・
これは彼女がミカエルにくれた花なのだ。
ミカエルはその花をぎゅっと握り締め、目を瞑る。
(-------------信じても・・・・・いいの?)
ミカエルは声にならないほど幽かな声で、そう呟いた。
優しい闇が、静かな室内に満ちたりていた。
−To be continued−
(´Д`)ハァハァ
続きщ(゚д゚щ)カモーン
山(゜□゜)山ハヤクコーイ ツヅキコーイ
立ってたのは知ってたが、正直期待してなかった。
久々に様子見にきたら…神が!!
ミカ×九すげ〜好みでつ〜っ
こんなハイレベル神が〜!!このスレ住人幸せだ…
私も住まわせてもらうよ。ありがたや〜ありがたや〜
ルシ×アレも期待してるぞ〜がんがれ〜がんがれー!
今日はうp無しでつか….゚・(つД`゜)・゜.
315 :
ミカ九45:03/06/03 02:41 ID:Fott6Pma
船から下りた少女は、どことなく緊張した面持ちで、自分と目を合わせた。
少女のマントを、風がそよぎ、はためかす。
ラファエルはゆっくりと九雷に歩み寄ると、すっと右手を差し出した。
「ようこそ、姫君。此度はごゆるとこの天界に滞在し、
多くのことを得られんことを、心からお祈り申し上げます。」
流暢に流れ出た自分の言葉に、幾分九雷はとまどったようだ。
あ、ああ。と生返事をして、慌てて手を差し出し、握手する。
「此度はお招き頂けたことを感謝する。
このことにより互いの繁栄とならんことを、心より願う。」
必死に、訛が出ないようにと小さな唇を動かして、
結んだ手から伝わる微妙な震えに思わず、吹き出しそうになってしまった。
自分をとりまく、多くの人々。姿を映す、多くの機械。
この場で笑いなどしたら、その映像が各地に伝わってしまうことだろう。
そうしたら、一体この少女は、そして生真面目なこの金髪の少年天使は、
一体どんな反応を示すことだろう。ほんのすこしそれを見たいものだと思ったが、
流石に実行するわけにも行かず、レディをエスコートするように、
自ら船へと九雷を導き、ゆっくりと、ノイズやバービエルといった部下を乗せて、
ラファエルの住まいへと飛び立った。そして、経って暫くして――――大笑いした。
「な!じ、自分何笑ぅとんねん!!」
船内の椅子に抱きついて、自分に背を向けて大笑いするラファエルに、
九雷は随分と憤慨したようだ。細い眉を怒らせて、肩を張らせて声を上げる。
だ、だってさ……。と、瞳に滲んだ涙を拭いながら、
止まぬ笑で呼吸を切らしつつ、必死で言葉を紡ぐ。
「スゲー、緊張してんだもん。九雷ちゃん。かーわいいの。」
「し、しゃーないやん!俺と同じ種族でもない奴等の前で、
しかも俺を映すものがあんなにあって、フツーに挨拶したことなんざ、
無いんやから!」
可憐な唇をすぼめて、自分にそう語る九雷が、またまた可笑しくて、
可愛くて。さらにラファエルは大笑いをし、外に響くかと思えるほどの一喝を受けるまで、
それは続いた。けれどもラファエルの笑いが止んだそのかわりに、
バービエルやノイズといった配下のものたちの口元に、やわらかな微笑の花を、綻ばせた。
九雷が来て、その影響を素早く受けたのは使いの、
メイドとも言える下級天使たちだった。
特に少女の部屋を掃除している天使は毎日毎日うきうきと、
花瓶に新しい花を活けては、
ドライフラワーにと人通りの少ない軒下に古い花を吊るす姿を頻繁に見せていた。
どうしたのかと尋ねると、掃除の途中に偶然あった折に、
有難うと礼を言われたのだと言う。そして、捨てる花を目にして、
可哀想だと言ったらしい。まだ、こんなにも綺麗なのに、
捨ててしまうのは可哀想だと。それなら良い案があると、
こうしてドライフラワーにしているのだと娘は言った。
この後、これを匂い袋にして九雷にやるのだと。
「九雷ちゃんが、本当に好きなんだね。」
そう、ほんの少しからかうような口調で娘に言うと、娘は一瞬、
驚いた表情を浮かべたが、直ぐに「はい」とはにかんだ笑みをラファエルに浮かべた。
そうしてどうやら鬼たちの人気は、九雷のみでは無いようだった。
「こちらが、伝書用途も兼ね備えた『鳥』です。」
そう言ってラジエルが九雷に見せたのは、一匹の白い小鳥。
少年の手の平に鎮座するそれは、どうみてもただの銀製の置物にしか見えない。
「なしてこれが、伝書用なんか?これが勝手に動くんか?
どーみても置物やないか。」
「そう、思いますでしょう?」
九雷の質問にラジエルは微笑を浮かべると、鳥の背を軽く、撫ぜた。
すると小鳥は目を開き、氷がとけたかのように羽根を伸ばし、
ち、ちち。と軽く鳴いた。わぁ、という驚きの声が九雷とノイズから上がる。
「他にも、色々なタイプのものがあるんです。鷲だとか、大型のものも。
これは、こちらのもう一匹のものと対になっていて、話せるんですよ。」
そう言って、全くそっくりな白い小鳥を同じように撫ぜて、
ラジエルはあ、あ。と肩に乗せた鳥に向かって言った。
「『あ、あ。』」
手の平に乗った鳥は、ラジエルの言葉をそっくり真似て声を出す。
凄いなぁ。と、九雷が賞賛の声を送った。
「この研究所はこうした、伝達用のものを開発する場所なんです。
やっぱり主な形状は鳥で、機動力と機能に優れたものの研究の開発が、進められています。」
ラジエルの説明に、へぇ。と九雷はまわりを見渡した。
白を基調とした部屋の棚には、多くの鳥たちが鎮座している。
ガラス張りの向こうには、作業着に身を包んだ人々が『鳥』の羽根を一本一本、取り付けていた。
どうやら中は通信機になっており、それに羽といった機動装置を取り付けているようだ。
一見、完全な鳥にしか見えないのは、それがカムフラージュ用のものであるからだろう。
「わたしたちの方にも、ありますよ。」
静かにラジエルの説明を聞いていたノイズが、不意に声を上げ、
ゆっくりと耳元のピアスを取り外した。梟を模したそれを手の平に乗せ、
耳慣れぬ言葉を呟くと、それは茶色の小さな一匹の、梟となった。
まぁ、とバービエルが小さな呟きを上げる。
「他にも蛇の腕輪だとか……。通信機のように、
話す事は出来ないのですが、自分の思念を短いものだけ、
吹き込んで伝えることが出来ます。形状は……」
「凄い!こんな小さいものが可能だなんて!」
ずぃ!と身を乗り出してラジエルがノイズの前へと進み出る。
梟は驚いて、ぱたぱたと逃れてノイズの肩の上に乗った。
「自己防衛機能もきちんと働いているんですね!凄いな!」
「あ……。でないと、直ぐ、破壊されてしまうので……。」
「良ければ、制作方法についても聞いてよいですか?」
「ええ。けれどもこちらは、制作というよりも、
呪術でこうするといったものですから……。」
「あ、じゃあ。僕等じゃあ無理かもしれませんね……。」
「あ、けれども応用は出来るかもしれませんよ。
使用する力の性質が違うだけで、原力は同じかと。」
「成る程。それじゃあ……。」
お気に入りを見つけた、子供のような笑顔だった。
誰よりも生真面目な少年は、主を懸命に支えようとする少女とはどうやら気が合ったようで、
その後も度々、話をしている場面を見かけた。
「どう、思うよ?」
「どう、とは?」
九雷たちが自分の元を訪ねて来てから一週間――。
今日もラジエルが九雷とノイズを引き連れて、技術研究所の見学に行っている筈だ。
本当はラファエルも誘われ、参加するべきなのだが、適当なことを言って断った。
断ったところでたいした支障が出ることではなかったし、
何よりもお子様三人と毎日行動するというのは、幾ら何でも体力的に限界があるというものだ。
「九雷たちだよ。まさか、あれで悪魔とはなー。
いまどき天使でもいないよ。あの純粋さは。」
そうですわねぇ。と、応えながら、バービエルは花瓶の水をかえる。
「まるで、風のような方ですわね。」
「風?」
ええ。と、バービエルは入れ替えた花瓶を置くと、手を洗い、
お茶の仕度をはじめる。
「ラファエル様もそうなのですけれど、
それよりもずっととらえどころが無いと言うか……。
九雷様は純粋ですが、けれどもやはり悪魔ですから、
恐らく本気で怒られたときの残虐性は果てしないものだと思います。
なんと言いますか、こう、二面性を持っていて、まるで……。」
「『自然』みたい?」
はっと、手を止めて、ラファエルの方へと振り返る。
……そうです。と、再び背を向けて、砕いた豆をフィルタに通し、
ゆっくりと円を描くように湯を注ぐ。
「鬼の一族に関しては良く存じませんが、
恐らく彼等はずっと原始的な一族ですよね。時に優しく、時に残酷に。
捕えようとしても捕えられず。支配出来たと思えば、腕から飛び出る。
誰の器にも入りはしない、そのように思われます。」
あぁ、だからかな……。と、ラファエルは呟いた。
だから、気に入ったのかなぁ。と。
「え?」
「いや、こっちのこと。ねぇ、バービエル。風に煽られた炎はどうなると思う?」
さぁ……。それは……。と、困ったように呟いて、
かちゃりとコーヒーを一つずつ、ラファエルと自分の前に置く。
推測でしかありませんが、と言葉をおいて。
「風を捕え、止ませることは出来ないわけですから、この場合、
炎は全てを燃やし尽くすまで放置し、消去するか。
或いはうまく土などに埋めて利用するか。二つに一つです。
周りの行動に、かかってますね。」
そうだよねぇ……。と、溜息と共にラファエルは答えつつ。
ゆっくりと、バービエルの淹れたコーヒーを少し、飲んだ。
+To be continued+
321 :
A:03/06/03 02:58 ID:Fott6Pma
ね……眠……。いつもより上手く書けてないかも。
脳が……。頑張って書いてみました。はぅ。
>>301様
このあとギコ猫はバターになるに一票。
応援してくれる皆様。感謝ナリよー。
ひとまず……おやすみなしゃい。
そしてまた日曜日の朝が巡って来る。
「ラファエル様・・・・・・折角の休みなんだからたまには家に居てくださいよ」
たおやかで色気を感じさせるその指で、優しくラファエルのネクタイを結びながら、
バービエルは少し拗ねたようにいう。
「そうゆうなよバービエル・・・・・天界は週休二日なんだからさ・・・・・・・
昨日ゆっくり休んだじゃないか--------あれじゃ足りないの?」
耳元に口を寄せて囁くラファエルに、彼女は思わず頬を染める。
「それでもミカエル様の方が大事なんでしょう?」
かわいらしい嫉妬で、彼女は少し駄々をこねる。
「もう・・・・・どうしたら機嫌直してくれるの?」
ラファエルは彼女を抱き寄せ、その頬に軽くキスをする。
むくれている彼女の顎をついと引き寄せ、唇を重ねた、その時。
「ドガァ!」
右側の壁が無残に崩れ落ち、巻き起こる風と共に、
コンクリートの細かい粒子が埃のように舞い上がる。
うっかりそれを吸い込んでしまったラファエルは、ごほごほと咳込みながら、
その元凶に目をやった。
「ミカちゃん・・・・・・部屋に入るときはノックしてくれっていってるだろう?」
「ちゃんとノックしたぜ・・・・・三回も!」
三回・・・・・ミカちゃんにしては気の長い方だ。ちっとも気付かなかった。
「なにグズグズしてんだよ。もう9時45分だぞ。店が開いちまう。」
別に・・・・・・店が開くのが気になっているわけじゃないくせに。
そう突っ込んでやりたい気がしたが、敢えて言葉にはせずに、
ミカエルの後についていこうとする。
とりあえず・・・・・・・ミカちゃんが元気になってよかった。
それが半分カラ元気であることは判っていたが、
そう振舞えるだけの余裕があるということだ。
「ダメですよ・・・・・・ラファエルさま。」
そんなラファエルの腕を、バービエルはぐいと引っ張った。
三人の間に微かな緊張が走った。明るい室内を、沈黙がしばし支配する。
意外ななりゆきに少し戸惑い、あっけにとられているミカエルに、バービエルは淡々と言い放つ。
「今日はラファエルさまはおでかけになりません。おひとりで行ってください。」
「どっ・・・・・どうしたのバービエル・・・・・・・」
彼女はうろたえるラファエルの腕をしっかりと掴んで離さない。
その様子を見たミカエルは、諦めたように窓に手を懸け、言った。
「・・・・・・わかった。」
そういうとミカエルは、翼を開き、そのままバサリと空の中へ飛び降りた。
「どういうつもりなのバービエル・・・・・・あんな不安定な状態のミカちゃんをひとりで彼女に会わせるなんて・・・・・・」
ラファエルは呆れたようにバービエルを諭す。
「あれでいいんですよ。貴方はおじゃま虫なんですから。」
ラファエルは少し驚いたように目を見開いた。
「でも・・・・・・先週の件が完全に解決した訳じゃないんだぞ。また何かあったらどうするんだ。」
ラファエルは困惑したように髪を掻き揚げ、バービエルを見つめる。
「もちろんですよ。だから貴方とわたしで後をつけるんです。」
そういってバービエルはにっこりと笑った。そういえば、いつも大人びた服を身に纏っている彼女にしては、今日の格好はかなりカジュアルだった。
「バービエルも原宿に行くつもりなのね・・・・・・」
なんだかどっと疲れが押し寄せてきた。
そんなラファエルにバービエルは寄り添い、甘えるように言う。
「それに・・・・・わたしたちいつも病院と家ぐらいしかいないでしょう?たまには外でデートとかしてみたいんです。」
ラファエルはどきりとして、思わず赤らんだ。なんてかわいいことをいうんだ。
「わかった・・・・・・・・」
そういってラファエルは、彼女の頭を抱き寄せ、キスをする。
二人は額を合わせて、軽く微笑みあった。
「だからといってすこしばかり放っといたからどうってことはないさ・・・」
そういってラファエルは彼女を床に押し倒した。
天界の無機質なまでに清浄で澄んだ空。
その中を急激な勢いで降下すると、大気の厚みを全身で感じる。
冷たい空気が肌に痛い。ミカエルは少しスピードを緩めると、
それでも先を急いで地上を目指す。
いつもはその道程が長いと思ったことはなかったが、
今日は果てしなく続くように思われた。
一刻も早く逢いたいという気持ちと、
彼女に傷つけられたらという畏れ。
・・・・結局、彼女という謎が一切解けたわけではなく、
それでも会わなければそれがわかりはしないのだ。
謎が解けたとき、その答えは自分をがっかりさせるものかもしれない。
--------それでも----------
知らないで悶々としているよりは、いい。
今日は、必ず答えを確かめる。
−To be continued−
その頃、ベリアルはラファエルに指定された待ち合わせ場所にいた。・・・なんてことはない、ただのファーストフード店だった。
彼女は居心地悪そうに、細かい氷の入ったドリンクを、ストローで啜る。そのカップをテーブルに置くとき、視線の先に自分の手が入った。
彼女は何気なさそうに、その掌を表にしたり裏にしたり、ぼんやりと眺めながら、物思いにふける。
マニキュアの塗られていない爪の先をコツンと合わせると、空しさが襲ってきた。
マニキュアを塗らないで外出することなど、記憶に残っている限り有り得ない事だった。
--------ミカエルの保護者たるラファエルが、
前科のある彼女をただで彼に会わせる訳がなかった----------。
てっとり早くいえば、服装規制をかけられたのだ。
先週はあの後、洋服屋を何軒もハシゴし、ラファエルがこれぞと思う服が見つかるまで何度も試着をさせられた。
その結果選ばれたのは。
ごくごくシンプルな、いかにもラファエルらしい、すっきりとしたセンスのいい服だった。
センスが悪いと却って男心をそそそるというなんだかよくわからない理由で、これになった。
当然化粧も香水も禁止。
それならいっそ男装の方がよいのではないかと彼女は思ったが、足の線が見えると間違ってミカエルが欲情するかもしれないからと、くるぶしまである長いロングスカートが選ばれた。
試しに髪を結んでみるように言われたが、顎の線が露わになってしまって却って善くないということで、髪型はいつも通りでいいことになった。
・・・・・まったく。
なんでそんな条件を呑んでしまったのだろう。
校則の厳しいミッションスクールか、はたまたイスラム教徒か。
何故か網ガーターも禁止だった。
丈の長いロングスカートに隠れて全くといっていいほど見えやしないのに。
・・・・・万が一スカートをめくるような事態になることも、
考慮されているのかもしれなかった。
・・・それは確かに効果はあった。
この格好では悪さができない。
やろうと思えばできなくはないが、大いに気分が殺がれる。
今の彼女は、丸腰にされた兵士も同然だった。
彼女は、ふう、と溜め息をつくと、吸うともなくストローを咥えた。
シュッ、と自動ドアの開く音がする。
入ってきたのは、ミカエルだった。
彼女は優雅な仕草で立ち上がると、ミカエルを迎えた。
「おや?ラファエルは一緒じゃないんですか?」
彼女は軽く腕を組み、ミカエルに笑いかける。
ミカエルは驚いたような目で、彼女を見つめた。
--------無色透明。
そんな印象を、うけた。
それが彼女の、正体。
それは性別すら変更可能な----------そんな可塑性を持っていた。
それ故に、彼女はどんな風にでもその姿を変えられるのだ。
彼女はまるで真っ白なスクリーンのように、鮮明にその姿を映し出す。
ミカエルが見た様々な彼女は、ミカエルが彼女に投影した姿だったのだ。
すべて相手の、望むままに。
がくり、とミカエルは床に跪く。
はらはらと、涙が零れる。
その心さえも------------
水面に映る景色のように、彼女自身の姿を映してはいないのだ。
それでも少しは想われていると---------期待していた。
彼女にバルが重なって見えたのも、
自分の心を反映しているに過ぎなかったのかもしれない。
彼女は屈み込み、ミカエルを心配そうに覗き込んだ。
「がっかりしたんですか」
いたわるように、優しく問いかける。
ミカエルは子供のように、激しく首を左右に振った。
そんなわけない。
シンプルなものが、ときに完成され固定された美よりも美しいのだと、ミカエルも知っていた。
計算し尽くされたかのように絶妙なバランスで無駄の削ぎ落とされた彼女の姿は、
自分の知っているなにものよりも美しかった----------。
「困った人ですね。なんでそんなに貴方は泣き虫なんですか」
そういって彼女は、軽くミカエルを抱き寄せる。
ふわりと軽いその腕は、液体-----むしろ気体といったほうがいいだろうか-------捉えどころがなかった。
わからない。その優しさが真実なのかどうか--------。
でも、それすらどうでもいいように思えた。
彼女に手を握られ、ミカエルは立ち上がった。
彼女の掌は、温かかった。
---------気晴らしに、街でも歩きましょう。---------
そう言って微笑む彼女に、小さく首を縦に振った。
−To be continued−
329 :
原宿編:03/06/04 13:32 ID:lLqHlh6d
ベリアル・・・・・
書く度にこの人がどんどん得体が知れなくなっていくんですけど(汗
翻弄されるミカちゃんが気の毒に思えてきました。
職人さんモツカレ!
ベリアル様は得体のしれない人でいいんスよ。
わざわざカテゴリわけする必要ないし。
331 :
原宿編:03/06/04 15:18 ID:qW7ky3fE
アリガトン!
そういって貰えるとほっとするよ(--)
をを!原宿編進んでまつね。
Aたんも続き待ってまつ。
若者でごった返す街並みは、混沌とした熱気に溢れていた。
それなりに整った天界の街並みとは、大分趣が異なっていた。
異物が紛れ込んだらすぐにそれとわかる汚れなき世界は、
ミカエルには少々窮屈だった。
全てを飲み込み、許容するこの街は、
天使や悪魔さえもさりげなく受け入れてくれる。
人込みを縫い、はぐれないように繋いだ手をしっかり握りしめる。
二人はろくに言葉も交わさず、店先にある商品についてどうこうと、
大して意味を持たない会話がとぎれとぎれに繰り出された。
こうして共に時間を過ごしていても、
それぞれの世界の内部事情を知り得る立場の二人は、
迂闊に世間話もできない。
--------それに気付いたミカエルの心に、
傍から見たら自分たちはどう映るんだろう、と
褪めた思いがふとよぎる。
・・・・・いや、きっと誰も気にも留めていないだろう。
人の心すら、雑踏に掻き消されて見えない。そんな場所だ。
掌の温もりだけが、現実。
--------それすらも、あてにはならないが。
ミカエルは、ふっと目を閉じ、笑った。
まがい物のような安っぽい輝きで、太陽が地上をくまなく照らすお昼時。
竹下通りをでると、二人はコンビニでサンドイッチとお茶を買い、公園に向かった。
210円のハムサンドを、
高級料理のようにエレガントに口元に運ぶベリアルの横顔を眺めていたミカエルは、
堪え切れなくなり、思わず吹き出した。
「・・・・何が可笑しいんですか」
ちょっとむっとしたように目を伏せるベリアルは、
この空間内から完全に浮いていた。
炎の四大天使と地獄の七君主が、
街中の陳腐な公園でコンビニの昼御飯を食う。
そんな滑稽なシチュエーションに、ミカエルは堪らず笑い転げた。
「なんてゆーかその格好が、似合っているというか、
果てしなく似合っていないというか。」
くすくすと笑い声をあげるミカエルに、ばつが悪そうに彼女は反論する。
「貴方の保護者がこれを着るように指定してきたんですよ。」
「保護者-----------ラファエルのことか?」
ミカエルはベンチの上にお行儀悪く立膝をつくと、
トマトの入った野菜サンドをがぶりと喰らう。
ミカエルはもぐもぐと口を動かしながら、半ば諦めたような口調で、言った。
「-------------一応俺の方が年上なんだけど。」
ベリアルは、あっけにとられて、目を見開いた。
「そっか・・・・・わたくしが天界のラファエルの病院に居た頃、
彼はまだ子供でしたもんね。
貴方の双子の兄のルシフェルさまに初めてお会いしたとき、既に大人でしたから。」
ベリアルは、遠い過去を懐かしむように、感慨深げに言う。
年をとらない彼らにとって、実質年齢はあまり関係がない。
外見年齢と精神年齢の方が重要だ。
・・・・いや、それすらもあまり重要とはいえなかった。
年齢など、有って無いに等しい。
・・・・・とはいうものの、やはり関係がないというほどには、
関係がなくはないのだ。
長く生きているということは、やはりそれなりに経験を積んできている。
堕天前から生を享けている彼らは、天使や悪魔の世界では年上な方だ。
子供に見えても、さまざまな想いを乗り越えて生きてきたミカエルは
それなりに大人なのだった。
頬杖をつき、考え事でもするかのように目を伏せ軽く首を傾げるミカエルの横顔を、
ベリアルは今までとは少し違った面持ちで眺めた。
−To be continued−
336 :
原宿編:03/06/05 15:28 ID:Iydv3RAL
原宿編は、1つ大嘘を吐いてます。
・・・・・実はわたしは、代々木公園の中に入ったことが有りません(爆死
だから本当に中にベンチがあるのかどうかわかりません。
かといって、原宿の近場に他に適当な公園があるとも思えません。
・・・・・だからどうだってことはないんですけど。
・・・・・・・・・・ルシフェル・・・・・・・・・・・・。
彼女の口から出たかつての兄の名に、ミカエルはどきりとする。
-----------彼女のことで唯一確かなことは兄貴に惚れているということだけか。
ミカエルもそう感じていたし、ラファエルがそうだと言ったのだから自分の勘違いということはないだろう。
長いこと遠く離れ、関わることも無く、ずっとミカエルを苦しめてきた、兄に対する劣等感からも今や解放され、自由になった筈だった。
それなのに、忘れた頃に、亡霊のように付き纏う。
ミカエルが兄と離れたときから、彼女は兄と過ごしてきたのだ。
気が遠くなるくらいに長い長い時を。
-------------でも。それがなんだというんだ。
死んでしまったかつての想い人はもう兄貴から奪うことはできないけれど、
彼女は生きて、自分の目の前に居る。
ミカエルは右手を伸ばし、その髪に触れる。
絹糸のように細い髪が、自分の骨ばった指に絡み付く。
そのまま頭を引き寄せ、唇を重ねる。
しかし、それがミカエルの目的ではなかった。
ミカエルは、そのまま唇を這わせて、彼女の喉元に触れる。
きめ細やかな肌のすぐ下には、気管や食道といった生きる為に大切な器官がある。
それが薄皮一枚で覆われている、急所の一つだ。
その無防備な場所を、かぷっとあま噛みする。
動揺した彼女は、手に持っていたペットボトルを取り落とした。
転がるペットボトルの口から溢れた液体が、地面を濡らす。
・・・・・・・そう。真実を引き出す方法など、幾らでもある。
いきなり難しいことを解き明かそうとするから混乱するだけだ。
喉元を裂かれたら死ぬ。
その可能性に晒されて怖れを抱かないのは死を恐れぬ者だけだ。
・・・・・そんな簡単な事柄が、秘密を解き明かす第一歩になる。
ミカエルは彼女の喉をかぷかぷと噛みながら、
肉食の獣のようにざらついた舌で感触を確かめる。
そして、柔らかい皮膚に我慢しきれずに、やや強めに歯を立てる。
彼女の心がさらに揺れ、動揺するのを確認して、ミカエルは少し満足した。
ミカエルはそのまま彼女の体を抱き寄せる。
華奢な骨格と薄い肉付きは、男のそれとは大分違っていた。
女でありながら完全な女ではない彼女の、不安定な脆さは、
保護欲よりもむしろ加虐心をそそられる。
背中に爪を立て、背筋に添ってゆっくりと曳き下ろす。
ビクンと、身を引き攣らせた彼女の体を絡め捕り、
微かに震える膝の間に、自分の足を割り込ませる。
捕えられたことに怯える彼女の、痩せた未成熟な腰に触れ、
そのまま指を尻に這わせる。
そして、その柔らかな丸みを掌で弄びながら、
呼吸もできないぐらいに彼女を抱き締めた。
---------自分に蹂躙され傷つけられた彼女の姿を見たいと思った--------。
「----------抱いても、いい?」
ミカエルは無邪気に問い掛ける。
「・・・・・・・・この状態で、どう断れというんですか」
怒っているというよりもむしろうろたえている彼女に気付かれないように、
ミカエルは口元だけで軽く笑った。
断ったら殺されかねないこの状況で、
敢えて質問する自分はどうかしていると思った。
−To be continued−
340 :
原宿編:03/06/06 13:26 ID:w3yH+FX6
ミカちゃんが遂にプッツン切れました。
・・・・・・つーか自分、前置き、長すぎ。
(陳謝&平謝り;;)
(´Д`)ハァハァ
ついに・・・
342 :
A:03/06/07 00:41 ID:Yi5PmWm+
うわーん!二週間程姿消す前に書き込みを……とか思ったのに、
忙しくて書けるか謎だヨ!!
明日の午後には発つので、書き込めたら書き込みましゅ……。
>>原宿編サマ
ついですか!ついですか!(ドキドキ)
自分に無いものを求める。それは果たして、どういうことなのだろうか。
両の翼をはためかせ、風に乗りながら、ミカエルはそんなことを考えていた。
白亜造りの建物は、広い階段を下に、すっと高く聳え立っている。
正門の、噴水のある入り口にふわりと降り立つと、翼を仕舞って衛兵に取次ぎを頼む。
普段、こんなところに舞い降りずに、直接主の部屋へと向かっているせいか、
随分と衛兵は面食らったようだ。どうしたのかと目をまるく見開いている。
「ミカエル様?ラファエル様ならば自室で御座いますが……。」
「ああ。悪ィは今日はそうじゃねェ……。面会を、頼みたい。」
どなたとですか?そう、衛兵が尋ね返したところで、一呼吸おいて、
――――皇家の姫を――――と、言葉を紡いだ。
応接間に通され、茶を、出されて。
それに手をつける気も起こらず暫く待っていると、ぱたぱたという慌ただしげな音と共に、
正面の扉が重い音を立てて開いた。そこには、一人の女の姿。
「先ずは四大天使、炎のミカエルよ。
我が主の館にいらっしゃったことを心より歓迎いたします。」
言って、バービエルは軽くお辞儀をする。
「して、本日は我が主の館に何用で御座いましょうか。
衛兵たちの話では、九雷様に御用とのことで御座いましたが、これはまた突然のこと。
取り立てて場を用意することが出来ませんでしたことをお許し願いたいですわ。」
「あァ。良いよ別に、ンなこたァ。」
「……かと言って、ここでお帰りさせるわけにも行きませぬゆえ、
この場に置かれましては、大したお持て成しは出来ないこととなりますが、
九雷様ともお会いして頂こうかと思っておりますが。如何で御座いましょう。」
「……ああ。それで好い。」
では、こちらへ……。そう言ってバービエルは立ち上がり、ミカエルを導いた。
白塗りの廊下を通り抜け、ガラス張りの天井がある部屋に入ると、日の光と、
それにきらきらと輝きを受ける緑が見えた。
「九雷様は、この庭園内にいらっしゃいます。」
言って、ゆっくりとバービエルが扉を開くと、ありがとよ。と短く呟き、
ミカエルは一歩、外へと踏み出す。葉をささやかに奏でさせている風が、
さらりと軽く、ミカエルの頬を撫ぜた。
+To be continued+
345 :
A:03/06/07 13:32 ID:Yi5PmWm+
……も。今回全然上手くまとまらなくて……(大泣)
こんなところで話を切ることを、お許しください。
それでは皆様、また二週間後。
>>原宿編様
帰って来てから、お話を読めることを楽しみにしておりまつv
>Aたま。
早く帰ってきてね――!!
てか二週間もどこ行くの――!?
原宿さ続きまだ――ん!?
テンション高くてすみません。
щ
щ(
щ(゚
щ(゚д
щ(゚д゚
щ(゚д゚щ
щ(゚д゚щ)
щ(゚д゚щ)カ
щ(゚д゚щ)カモ
щ(゚д゚щ)カモー
щ(゚д゚щ)カモーン
Aさまが二週間居なくなられてしまったので、
ミカ九で自家発電でもしようかとエチーシーン書いてたら
こっぱずかしくなってきちゃった。
はあ。こんな遊んでないで本来やる方をやらねばと思うのだが。
あぼーん
あぼーん
あぼーん
水音。
灰色の湿った闇に包まれた室内に、微かに聞こえてくる。
浴室から僅かに洩れてくる甘い響きが、耳をくすぐる。
熱いシャワーが彼女の体を這い、瑞々しい肌が雫を弾き返す様を想像する。
ミカエルはベッドに座り込み、部屋の中を眺めた。
そこはあまり装飾のない簡素なビジネスホテルの一室で、
これから本当にミカエルに抱かれるつもりとも思えない彼女が、
淡々とチェックインを済ますのを、妙に醒めた気分で見つめていた。
反射鏡のような心の内側で、彼女が何を思っているのかは
相変わらず分からない。彼女が一瞬口許に浮かべた曖昧な笑みを
思い出しながら、野生の獣のように常にエネルギーの溢れている
自分の体の奥から、得体の知れない熱が、留めようも無く
湧き上がってくるのを感じていた。
戦場で鍛え上げられた、それ自体が破壊力を内包する体を、
自らの腕で抱き締めると、その勢いで、先程シャワーを浴びて
濡れている髪から、水滴が散らばった。
その水が薄く白いシーツに染み込み、模様を生み出した。
カタン・・・・・・・・・。
小さく扉の開く音がして、彼女が浴室から戻ってくる。
熱い湯でずぶ濡れになった体を拭うこともせず、
一糸纏わぬ姿の彼女が、ミカエルの目の前に立った。
細く華奢な腕で、骨の浮き出た肩を抱いた彼女は、
熱い湯気と、妖艶な翳りを全身に纏わりつかせていた。
重力に引き摺られて下に落ちようとする無数の雫が、
彼女の滑らかな肌を舐めるように伝う。
濡れた髪の被さった彼女の顔を昏い目で見つめると、
彼女は艶やかな果実のように色づいた唇の端を歪めて、笑った。
雫の滴る前髪の隙間から覗いた瞳が、ミカエルを見つめる。
夜の海のように青いその目は、澄んだ闇が深く堆積して、行き着く先が見えない。
哀しみを帯びたその水晶体の中から微かに一筋の光が射し、煌めいた。
ミカエルの体を突き抜けるかのようなその光に、
吸い寄せられるように指先が自然に伸びて、彼女の頬に触れた。
触れ合ったところに電流が走り、隠微に絡み付く。
彼女が小さく目を閉じた。
それを合図に、彼女の頭を引き寄せ、熟れた果物のように
柔らかく芳しいその唇を、奪う。
−To be continued−
>>349 真っ白な汚れの無いシーツの上に仰向けに倒されており、男はその自分の
上に、太ももの横に膝を、頭の横に肘を付いて覆いかぶさるようにして唇を
深く深く求める。
やわらかな彼の唇と舌を感じて、言葉にして言いがたいピリピリとした感
覚が背筋、下腹部――秘所をすべりぬける。
キスを、誰かに習ったわけでもあるまいに。こんなにも自分を感じさせる
のは詰まるところ、自分自身受け入れて、欲して、自ら貪っているから……。
暗い部屋は何一つ彼らを邪魔することなく、唇の合わさったところから時
折発する濡れた音をただ反響する。
唇以外の肌を触れ合わせていない体は、官能的な、営みの始まりを告げる
キスで、誰かに、愛する人に触れて欲しいと主張し始めた。
「ん……」
服を着ている体がわずらわしい。
唇を離させようと口をちょい、と突き出すと、彼は名残惜しそうに一つ舌
を吸って唇を離した。
「やわらかい」
ほとんどキスをしているのと同じ距離で、彼は言った。顔が朱を帯びてい
るのが暗くてもはっきりわかる。
「……だからゆーて延々、キス、ばっかしてても、しゃーないやろ」
長いキスで荒んだ息を――また荒れることになることと知ってはいたが――
整えながら、九雷。
「……よくわかんねーし」
ため息をつく。
「あんなぁ、これから、や、ヤろうって時に女、服着せたままにしとく男が
どこにおんねや」
本当に、彼は何万年も生きている御前天使なのか? 天上で最も輝ける天
使の一人。炎のミカエル。自分の何十倍も永い時を生きてきているはずの、
見かけからはどこからでも十代前半に見える、愛し人。
「脱がしていいいのか?」
ためらいを含ませながら、ミカエル。
「アホか」
赤い髪を抱いて彼の体を引き寄せる。
「脱がしぃ」
で、ここまで書いて恥ずかしくなってきたわけだ。
はははははさらば。
>>原宿さま
オツッス。
そろそろクライマックスでせうか?
嗚呼、早くぅ……
すげえ・・・
今まで自分はエロならルシアレだなーと思っていたけど、
ミカ九でこれだけ萌えるとは・・・原宿さんのミカちゃんも愛しい・・・
私も皆様に乗じて催促させていただきます。
щ(゚д゚щ)カ
щ(゚д゚щ)カ
щ(゚д゚щ)カ
щ(゚д゚щ)カ
щ(゚д゚щ)カ
щ(゚д゚щ)カ
щ(゚д゚щ)カモーン
359 :
名無しさん@ピンキー:03/06/12 01:03 ID:UWIqOhr+
唐突ですが、何だか読み手さんのレスとかが結構低い感じで誰が居るのかわからない……
私もあまり書きコしませんが、どれくらい他に読み手さんがいるのか知りたいので
ためしに一人2,3カップルほど好きなカップリングをあげてみませんか?
もちろん職人さんがいらっしゃったときは控えて。
私はミカ九(w はまりまくり) と、ラジエル×シャトです。
自分もここきてミカ九にはまりまくり…w
本命ルシアレ
それと別シリで悪いがカイエメ大好き!!
あと、泣くほど好きなカプがもう一組天禁であるけど
エロキボンではないので黙っとく
(二人とも亡くなったし…)
現連載と関係なくて心苦しいのですが。
ルシアレ、吉良→アレ 大 本 命
カタンとティアラ。そしてライラたんラヴァー…です・・・
吉良アレってあの前世話?
363 :
361:03/06/12 03:39 ID:eAstSG41
>362
や、そこに限らず。ナナツサヤ〜キラサクヤ時代の二人全般。
先輩はアレク愛してるんだけど、アレクが待ってるのは
ルシファなので、吉良じゃあ「何の意味もない」関係がタマラン。
アレクにとっても二人の過去を忘れ去ってるナナツサヤ相手してた時代は
辛かったんだろうな。とか。
…ゴメンナサイ語っちまいました。
364 :
362:03/06/12 04:09 ID:Q2z9w0ft
ああ起きてたのか>361
いやたぶん自分もナカ-マだ。
あの追っかけっこがたまらんのよねあの二人は。
主人公サイドそっちのけで萌えていたよ連載当時。
そしていまも萌えているよ
365 :
361:03/06/12 04:31 ID:eAstSG41
ああ完徹してしまったよ>362
たまらんよね本当。わーいナカマナカマ。
地獄編の最終回が天禁史上最萌え話だ。
そのまま熱く濡れた体をベッドの上に押し倒し、
夢中で唇を味わう。
絡めあった舌が互いを激しく求め合い、
快感で痺れた頭がくらくらする。
彼女の頭を両手で押さえ、撫で付けると、
水気を含んだ髪が摩擦できしきしと軋んだ。
ミカエルは再び獣のように彼女の口を貪り、
欲望に突き動かされて彼女の体に手を伸ばす。
そして半ばしごくように、まさぐる。
肌に食い込んだ指が、強い弾力で押し返される。
それを抑え込むかのように、さらに強く、しごく。
押し倒されたとき、彼女はさりげなく足を開き、
既に下腹部が触れ合う体勢になっていた。
男に抱かれ慣れているのを感じさせる、
そんな彼女の仕草が憎らしいと思いながら、
それでもこみあげてくる愛しさに、
どうしようもなくミカエルは苛まれた。
ミカエルを促すように、彼女は柔らかな太腿を
ミカエルの足に擦り付ける。
その刺激を受けて、ミカエルの突起は
熱くたぎり、体中の神経を集めたかのように
鋭敏になった。
「ん・・・・・・・・」
それでもその瞬間は特別なのだろうか。
ミカエルの体がその花びらを割って花の中に侵入するとき、
彼女は身を縮め、なんとも切なげに顔を歪めた。
その表情をもう一度見たくて、
ミカエルは体を抜くと、二度、三度と
それを繰り返す。
しかしそれだけでは我慢できなくなり、
花の中に深く身を埋める。
滑り込む体に、花はたおやかに揺れ、優しくミカエルを包み込んだ。
もっと欲しい。
そう思ってミカエルは、淫らな自分の突起を動かし、
花の中を探る。
その刺激に痺れたのか、彼女の体が、蜜を滲ませた。
彼女の細く儚い指が、ミカエルの動きを制止しようと、腰に触れる。
その白くて折れそうな彼女の手首を掴み、シーツに押さえ付ける。
蜜を吸うように腰を動かすと、
その度に彼女の瞼が苦しげに震え、僅かに開いた口から
小さな吐息が洩れる。
それでも、ミカエルの動きに呼吸を合わせるかのように
彼女の花は蜜を潤ませて、やがて溢れた蜜は
二人の体をしっとりと濡らした。
蜜にまみれた二人の下半身は、狂おしいまでに求め合い、
さらに欲しがるように彼女はしなやかな自分の足を、
ミカエルの足に巻き付ける。
「あ・・・・・・・・・・・・・!」
彼女はふいに、閉じていた目を見開き、体をのけぞらせる。
そして再びぎゅっと目を瞑ると、唇を噛み、強い快感に耐えた。
思わず体がしなった勢いで、振りほどかれそうになった手首を、
ミカエルは逃さず、さらに強く握り締める。
強すぎる縛めに、痛みを覚えながら、
その加減のわかっていない愛がたまらなく、愛しい。
−To be continued−
369 :
原宿編:03/06/12 14:10 ID:fQhVnZa8
自分で書いておいて何なんですが・・・・・・・・
ベリアルのかわいらしい態度は、絶対ヤラセに、一票。
エロい行為のとこなのに、綺麗な文章・・・うらやますぃ
371 :
sage:03/06/13 12:44 ID:/q64y16U
>>359 私もROM専門ですが、参加します。
ルシファー×アレクシエルが本命で、この二人のために最後まで読んだ様な
ものですね。いまだに短編を希望してたりして・・・。
アウモデウス×ベリアルの微妙な関係も好きですね。
ここでミカ×九のファンになりつつあります。
神の皆様、いつもありがとうございます。応援してます。
今日初めてここに来ましたが、一気に熟読っす。
つ…続きを早くッw
щ(゚д゚щ)カ
щ(゚д゚щ)カ
щ(゚д゚щ)カ
щ(゚д゚щ)カモ
щ(゚д゚щ)カモ
щ(゚д゚щ)カモ
щ(゚д゚щ)カモーン
あと一週間! あと一週間!
っなげ――――――――っ!
ここ読んでたら自分また天禁読み返したくなっちゃったよ〜。
リアルタイムで追いかけててその後全然読まなくなっちゃったからなあ…
続きが…続きが読みたいでつ.゚・(つД`゜)・゜.
376 :
名無しさん@ピンキー:03/06/18 20:13 ID:xKrI4CEC
あとどれくらい 切なくなれば
あなたにたどり つけるのかしら〜?
ああん。
あぼーん
ぱったり止まっちゃったな。
神 щ(゚д゚щ)カモーン
職人щ(゚д゚щ)カモーン
エロщ(゚д゚щ)カモーン
降臨せよ降臨せよ 山(゜□゜)山ハァァァァ
379 :
名無しさん@ピンキー:03/06/22 02:46 ID:K4oNjHti
ほんっとにやんじゃったな。
職人さんどうしちゃったんだろう……
多分、Aさまは今日帰ってきてるはずだよね? 正しくは昨日?
二週間たったもんね。
原宿様はどこへ行かれてしまたのでせう。しかもいいところで……!
スランプにでも陥ってしまっていなければいいのですが……
あぼーん
あぼーん
382 :
A:03/06/22 20:29 ID:Crq53R9h
ただいまー。荒行から帰ってきました。
でも今帰ってきたばかりなので、小説はもうすこしお待ちくだせえ。
カップリングトォク。自分も加わりたいれす。うずうず。
一先ずは復帰のご報告まで。
あぼーん
A様、おかえりなさいませ〜(^^)
待ってました!w
原宿様…お待ちしてます!
身体を壊されてるとかじゃないといいのですが。。。
そして、他の勇者たちの降臨も!щ(゚д゚щ)カモーン
私は文章力皆無なので;
あぼーん
386 :
名無しさん@ピンキー:03/06/23 20:13 ID:xIK9j8to
387 :
名無しさん@ピンキー:03/06/23 22:15 ID:6x4jqDIx
388 :
名無しさん@ピンキー:03/06/23 23:15 ID:bxW6jmQa
漏れの好きなカップリング
ルシファー×アレクです。
ココ見てたら結構仲間多くてびっくり。
ベリアル本当大好きだから
原宿様、ガンガッテください!
A様、お待ちしております。
一息ついたらお願いしますw
あぼーん
あぼーん
あのさー、広告ウザイからちゃんと下げようよ
392 :
名無しさん@ピンキー:03/06/24 06:34 ID:sR6ZHE/h
393 :
名無しさん@ピンキー:03/06/24 19:48 ID:sR6ZHE/h
394 :
原宿編:03/06/25 11:43 ID:iqSBxpXA
うわーごめんなさい!(T▽T)
ちょっと体調悪くて・・・・・・・・・シクシク
できれば明日・・・・・書きますんで許してくだせぇ(平謝り)
行為中にぶった切ってしまって申し訳ないですーこんなワタシを許して!
Aタンのミカ九もいよいよですねwうおー楽しみ(*@▽@*)キラーン+
わーい!
原宿様だ〜!!!
ファンっす!バリ楽しみにしてます!!!
生粋のベリ子ファンだった私ですが、原宿様のおかげ(?)で
すっかりベリ子×ミカちゃん萌えになってしまいました〜w
お身体もう大丈夫ですか?
楽しみですけど、ご無理はなさらないでくださいね。
396 :
原宿編:03/06/26 12:07 ID:sZX1SY0P
ごめんなさい・・・・・・・今日はちょっとムリっぽいです(泣
起きて鏡見たとたん顔色悪くて自分でもびっくり。
週末入ると親がいるからなぁ・・・・・・・・
運良くいなければいいが親の前では書けないよ(当たり前
週明け頃までにはなんとか続きをば・・・・・・・・シクシク
395タンの優しい言葉にホロリとしつつ・・・・・・
ベリ×ミカは最初軽い気持ちでカップリングしてみたんだけど、
ミカちゃんってわりと九雷っぽくてベリちゃんの好みなんじゃないかという気が
なんとなくしてきていたり・・・・・・・
ルシファーはアレク命だし
(よく考えると地獄捨ててアレク助けにいったんだよね。
クールな顔して情熱的。(*@o@*)
天禁で一番イッちゃってるのはこの人なんじゃぁ・・・・・・)
アスモのおじさまは素敵だけど
ベリちゃんのミーハー(おっかけ?)心を満足させてくれない気が
ちょっとしるし・・・・・・
(友達以上恋人未満ってか?)
ミカ×九雷が成り立つのも二人に共通点があるからなんじゃないのかな?
だれかニールおじさん&カティーナ叔母様書いて(マジ
ゴッチャの6巻見てたらカティーナ叔母様って
実は眼鏡取ったら綺麗だったり
ベッドの中では激しかったりしそうだなとふと重いまつた(撲殺
397 :
ナジ:03/06/26 15:22 ID:pkYqjb1q
文才無いしベストラブキャラはベリコだし…。
でもこっそり小説書かせて頂きマス。
しかものろいです。カップリングはアスタロト×ベリ。
ああ、殴らないで下さいごめんなさいごめんなさい。
どきどきしながらいってみま〜す。
398 :
風花:03/06/26 15:28 ID:pkYqjb1q
断末魔の悲鳴。
流れ出る官能の赤。
弛緩し、硬直し、腐乱する肉体。
悪魔界子宮−−その地下深く、成長し続ける牢獄の美しき主アスタロトは、今日も血
と許しを請う叫びの声を堪能している。実際には彼は何の楽しみもそこに見出だせ無
かったのだが、彼の盲目的に忠実な部下達は拷問器具の手入れと、最近頓に増えた屍
体の処理に急かされて気がつけなかったのである。
そう、アスタロトは飽いていた。
どんなに沢山の悲鳴にも、血潮にも満足が出来無かった。
戦争が一先ず短い休戦状態に入った所為か、大魔王が帰還した所為か。
はたまた彼の分身が消えた所為か。
彼が感じるのは餓えと渇きだけだった。
あぼーん
あぼーん
風花様
新・勇者降臨ですね〜!
今後の展開楽しみにしてます!
原宿様、お大事になさってくださいね。
A様、ご降臨お待ちしてますv
・・・自分の中のベストカップリングについて考えたんですが、
すぐには思いつけないです〜。
というか、原宿様の影響でベリ×ミカになっちゃいましたのでw
>ミカちゃんってわりと九雷っぽくてベリちゃんの好みなんじゃないかという気が
なんとなくしてきていたり・・・・・・・
>ミカ×九雷が成り立つのも二人に共通点があるからなんじゃないのかな?
納得〜。なるほど!
アスタロト×ベリも萌えますねv
・・・って、私はやっぱりベリ子ラヴ・・・w
あぼーん
403 :
風花:03/06/26 21:11 ID:pkYqjb1q
す、と音も無く近づく者が三つ四つ。
「屍体の引取に参りました」漂う臭気に眉根を寄せ、訪問者を睨みつける。
「…臭いぞ。」
「申し訳御座居ませんアスタロト侯爵様」
「しかし死臭は我らネクロマンサーにに付き物なれば」
「どうかご容赦下さいませ」
「…その腐った肉の匂いを何とかしてから来い。それともお前の所の道化は手下に
色事しか教えないのか」
不機嫌を隠そうともせずアスタロトは血で満たした杯を放り投げる。
ネクロマンサーは彼の呼ぶ道化、ベリアルの部下であった。
404 :
原宿編:03/06/27 15:01 ID:iB3SigGy
アスタロト×ベリ・・・・・
最強にエロい組み合わせですね/////ドキドキ
この二人の間にはなんでもアリでしょうw
今日はすごい気分がいいんですが生憎親が・・・・・・ぐはぁ(吐血
ごめんねー
405 :
ナジ:03/06/27 18:39 ID:+BSuWKBy
>>401様
有難う御座います。よりエロくをモットーに頑張りたいと思います。
……はっ。風花はタイトルです。紛らわしくしてごめんなさい。
>>原宿様
理想的にエロエロなんですけどね。書いている人間がエロ度足りないんでこれから
どうなるのかビクビクしています。(上のモットーは如何した!?)
アスモのおじ様とも気になりますな〜。
原宿編もどうなるのか気になってます、頑張って下さい。
406 :
原宿編:03/06/27 21:49 ID:+evM5+Wo
エロなんて妄想でしょう(多分;;)
どれだけ妄想逞しくなれるかが・・・・・・・・(笑
アスタロト様に拷問器具でも使ってもらって
派手に妄想ぶちまければいいんじゃないですかね?
二人とも悪魔だから死ぬこともないし(?)不可能なことってなさそうだ。
「一体どれだけ、そうして机に座って、書類と睨めっこしたら気が済むのかな、このお姫様は。」
九雷のためにと用意された寝室、書斎。
しっかりとした木製の、年代物のテーブルに腰掛け、
天界の下層における報告書を読み耽る九雷に対して、その声はふいにかけられた。
声の方へと頭(こうべ)を向けると、扉の前で腕を組み、寄りかかり、
じっとこちらを見つめるラファエルの姿があった。
「何や、自分いつの間に……。娘の部屋に入るんなら、ノックくらい、せえや。」
とんとん、と書類を揃え、卓上へ置き、席を立つ九雷に、したよ。
とその声は応えた。したけれど、気付かなかったみたいだね、と。
「お勉強も大切だけれど……。折角珍しいところに来たんだから、もうすこし、
羽根を伸ばしたら?知ってるよ、ずーっと九雷ちゃん。緊張してるでしょ。
俺たちにも気を遣ってる。」
「そんな……。」
「そんなこと無い。って否定するけど、お兄さんは知ってる。
最近、肩の凝り激しいでしょ?肩の力を張っているからだって、
お兄さんはお見通しだよ。」
言って、つい、とラファエルは動き、九雷の肩に手を伸ばす。
そうしてぽん、と軽く肩を叩いた。
「……だって俺、遊びに来たとちゃうんやで?一族の皆を……。」
「分かるよ。でも、これは勉学だけじゃあない。
互いの交流も目的としているんだ。交流って分かるかい?
互いをね、分かり合おうと触れ合うことだ。
そんな中、ずっと肩を張らせていてどうすのさ。
緊張した状態で、相手を理解出来るかい?違うだろう?
触れ合いって、もっと、自然なものだ。」
「…………。」
「気持ちは、ね。分かるよ。ここは天使で、かつての、いや、もしかしたら今の。
君の宿敵でいっぱいだ。でも、ね。中には、
君を受け入れようとしている人たちもいる。そんな中、
ずっと警戒をしているのは相手にとって失礼じゃないかな?
気を許せ、とは言わないよ。でもね、もう少し、楽にはしなさい。」
言いながら、軽く九雷の背を押し、外へと促す。
「え……。あ?」
「君のことを気に掛ける子が、会いたいって。庭に居るから、行っておいで。」
「あ、ああ。……でも、誰……」
「会えば、分かるよ。」
ついでにゆっくり、散歩をして、美味しい空気を吸っておいで。
そう、笑顔で後押しされて。九雷は緑揺れる庭園へと、足を向けた。
409 :
A:03/06/27 22:10 ID:zDNlzuUJ
はいー。小説投下、久々なのに少しですみません。
この時期、体調を壊しやすくて大変ですね。少し体調を崩しておりました。
原宿様も崩していたとのことで驚き。皆様、御注意を〜!
>>ナジ様
新連載〜!×アスタロト!期待しておりますv
410 :
A:03/06/27 22:26 ID:zDNlzuUJ
そして自分も萌えカポー語りに参戦させて下せえ。
>>361、362様
思うに私も仲魔かと。カタンティアラ(メンタルで)ラブですし。
ラスト萌え。そして何巻かは忘れてしまいましたが、
刹那が忘却の川に落ちて一時アレクに戻り、吉良と出会い、押し倒され、
隙をついて吉良(ルシフェル)殺そうとしたシーンは自分的名シーンのうち一つだったり。
他、薄薄(つーかモロ?)感じている人もいるでしょうが、
アスモ×ベリアル。かなり萌えで。ウリエル×ドールもラブ。
アト、ロシアレ トカ ベリ九 トカ アラ九 トカモ スキダト イッテ ミル
……さらに、この小説書いていて、萌えかもと思えるカプ(?)があるのですが、
それはまぁ、お楽しみで。
戯言、失礼しましたー(汗)
ウリエル×ドール!!
ラブ!ラブ!ラブ!
412 :
A:03/06/28 00:51 ID:dVxmEoRh
>>411様
同志ですね。フフフフ……(←どこぞの帽子屋っぽく)
そして続き、書けたのでごそっと投下。
改めてゆっくりと呼吸をすると、緑なす庭園の空気は確かに、美味しかった。
風によって奏でられるさわさわという静かな囁きに、鳥の声。
陽の光が、緑葉に揺れては輝く。遠くから聴こえる水の音は、噴水か、
何かだろうか。仄かに香る薔薇の垣根を通り、敷き詰められた砂利道を渡って、
何の気無しに、音のする方へと身を動かした。
そうしてとりとめもなく庭園を彷徨ううちに、噴水と、庭園のテラスが、見えた。
テラスに見えた、見覚えのある人影に、思わず九雷は声をあげていた。
「――――ミカエル――――。」
その声が、耳に届いたらしい。人影は直ぐにこちらを振り返った。
赤い、自身の司るエレメントを表したかのようなその髪が、
振り返った瞬間に風に少し靡き、空に映えた。ミカエルもこちらを認め、
驚いたかのように目を見開いている。
「――――九雷――――。」
…………お前、だったんやな。と、呟いた言葉に、何がだ?
と問いかけの言葉が紡がれる。ラファエルの言った、俺に会いたいという人物や。
という声に、……ああ。と、いう、短い声が続いた。
そのまま、互いに立ち尽くしていると、ミカエルはゆっくりとテラスから降り、
中央にある噴水の縁に腰掛けた。来いよ、と短い言葉で九雷を促す。
その言葉に、おそるおそる、九雷は近づき、握り拳三つ分ほどの距離をおいて、
同じように腰掛けた。
「なして、今日は……。」
ここに居るのだ。という問いかけの言葉は、すぐさま答えられた「会いに来た。」
というミカエルの言葉によって封じられた。一瞬、口をぽかりと間抜けに開き、
ぶんぶんと頭(かぶり)を振り、我に返ってミカエル向かい違う質問を投げかける。
「どうして、俺に会いに来たんや?」
「言いてえ事が、あったんだ。」
ざあざあと、噴水の水は音を立てて水面へと流れ落ちる。
九雷よりも頭一つ分高い少年の顔がゆっくりと、自分の方へ向けられた。
胸が、妙に、騒いだ。
「――――ラファエルに、相談した。」
その言葉が、何を意味しているのか知れて、びくり、と九雷は身体を震わした。
直後に慌ててつけたされた、何があったかは、言ってねえ!と言う言葉で、また少し、身体の緊張を、解く。
そんな九雷の様にほんの少し、ミカエルは複雑な表情をして、言葉を続けた。
「俺、今まで女を抱きたいなんて、思ったこと無かった。
それどころか、女なんて嫌いだった。ぎゃーぎゃー、細かいことでうるせえし、
弱ぇくせに、手がかかるし。
……嫌いじゃない、女もいたけど。やっぱり、抱きたいなんて思わなかった。
……初めてだった。」
じっと、話すミカエルの瞳を見つめる。少年は金の目をどこか遠くに向けて、
けれども懸命に、九雷に対して、語りかけていた。
「恋とか、愛とか。考えたけれど、俺には良く、わからねえ。
でも、これだけはしっかりと分かる。」
琥珀の目を、こちらに向けて。その瞳の中には、不安そうに見上げる、
自分の姿が映り、瞬時に消え――――強い、感触が九雷を覆った。
「好きだ。理屈なんて、分からねえけど――――側に、居たい。
俺はずっと……こうして、居たい――――。」
自分とは違う、力強い、両の腕。抱き締められる、感触――。
――こえ、が、きこえた。
叩きつけられる水音がどこか遠くに響く中、その声は、耳元で。
近くで、けれども、遠くで。こえ、が――――
――――姫様、俺は――――
黒髪。同じ鬼の少年。同朋。仲間。信頼。戦友。
強い力。逆らえない。男の子。友だち。仲間。死。ノイズ。双子の片割れ。
――――姫様のことが――――
ボイス。友だち。戦友。仲間。好き。ともだち。戦友。仲間。
違う。違う。違う。好き?違う。違う。違う。
好き?違う。
茶色い、金の髪。笑顔。不安、吹き飛ばす。声。心地良い。元気。強さ。憧れ。
アレクシエル。違う。救世主。違う。笑顔。強さ。希望。好き。好き。好き。
――――刹那――!!――――
「あかん!!」
どん!と、自分を抱きしめた少年をただ、無我夢中で突き放した。
放された少年は、よろめき、噴水に落ちそうになりながら、
すんでのところで縁に手を着き、踏みとどまる。驚いたような目で、
ミカエルは、自分の方を、見つめていた。
「あかんねん、俺……。もぉ、無理やっちゅーのに、忘れられへんねん。俺……。」
ぽろ、ぽろと。涙がこぼれた。何とも、諦めが悪いと。自分で自分が嫌になる。
もう、自分にはどう足掻いても勝算など無いのに。元よりそんなものなぞ無かったのに、
吹っ切った筈なのに。それでもなお、忘れることが出来ない自分が何とも情けなく、恨めしく、腹立たしい。
涙を流しながら、胸のうちで己を罵る九雷に、聞いても、いいかと遠慮がちに声がかかった。
こくりとひとつ頷いて、その名前を、告げた。そして、沈黙が、その場に降りた。
問いかけの言葉はなかった。ただ、九雷は涙を流し、
ミカエルは涙を流す九雷をどうしようもなく、ただ、見つめるしかなかった――――。
どれだけ経ってからだろうか――――。いつから。と、
ミカエルから言葉がかけられた。いつから、好きだったのか、と。
「…………多分、初めて会った時から、や。それ、から、ずっと――。
沙羅のこと、あって。俺、忘れようと思った。強さに憧れて、そんなこと、
構っておれんと思った。先ず自分が、刹那くらい、ずっと、強ぅなろぉと、思った。
……あかんねん、俺。思い出す。刹那んこと。どう、しても……。
俺、大好きな、アレクシエル様みたいになりたいと思った。刹那みたいに、
なりたいと思った。強くなりたいと、思った。でも、俺……。分からへんねん。
俺の、出来る精一杯って、分からへんねん。
俺……。自分が、どうしたらええのか。どうするのが、一族のためにええのか。
分からへんねん……。これで、正しいのかも。……分からん。」
ざあざあと、噴水の水は変わらず流れている。時は流れる。周りは変わる。
濁音が水面に、打ち付ける。
「……すまん。俺は、お前の気持ちに、応えられん。……」
ひとつ。と、声が響いた。ひとつだけ、と。
「ひとつだけ応えてくれ、俺のことは、嫌いか……?」
「……少し、怖い。でも、嫌いやない、と思う。」
そうか。と、声が響き、言葉を続ける。
「俺は、好きだ。おめぇのこと。救世主のことはびびったけど、でも、好きだ。」
言って、ミカエルは手を差し出し、行こうぜ。と言葉を紡ぐ。
「……あのさ。」
おそるおそる、繋いだ手を、しっかりと握り締めながら、
ミカエルは先に進み、振り返らずに九雷に対して語りかけた。
「どういう奴を好きなるのかは、おめぇの勝手だけどよ。
『そいつになろう』っていうのは、止めた方がいいぜ。……無駄、だから。
お前はさ、お前の良さってもんがあんだよ。てめぇが分かってねぇだけで、あるからよ。
……それをよ、大切にしろよ。」
それが果たして何所なのかと、聞きたい気持ちはあったが、
懸命に自分を励まそうとする気持ちが見て取れたため、有難とな。
と、だけ九雷は応えた。いいってことよ。
というぶっきらぼうな、どこかしら照れた応えが背中越しに返ってきたので、ほんの少し、九雷は笑った。
噴水は遠く。さわさわと、風が葉を撫ぜる音が、聞こえた。
+To be continued+
418 :
A:03/06/28 01:20 ID:dVxmEoRh
これで漸く二十段落中、十二段落まで消化です。
あと(多分)八段落……。
執筆当初、まさかここまで長くなるとは思いもよりませんでしたワ……。
モモモモモ、萌えー!!
あぼーん
だめ、鼻血でそう……
あぼーん
あぼーん
あぼーん
続きを書くために自分の書いた過去レスを読み返そうと思ったんだけど・・・・・・・・
はっ・・・・・・・・恥ずかしくて読めない(T▽T)
426 :
原宿編:03/06/30 09:22 ID:8ABkym2E
うぁ;;425は原宿編でつた(汗
彼女のあげた声が、ミカエルの男心をくすぐる。
ふと我に返った、という言い方は少し不適切かもしれないが。
今まで---------初めて抱く女の体から得られる、
狂気にも似た快感に、全てを忘れかけていた、
---------とでも言ったらいいのだろうか?
そのとき、その声に、甘やかな肉の塊としてではなく、
一つの存在としての彼女を再確認する。
「もっと・・・・・・もっと聴かせて」
ミカエルは、彼女の声が一段と激しくなる箇所を夢中で探った。
そんなミカエルの思いに彼女が困惑し、その心が揺れるのを感じる。
それでも構わずに、いや、それだからこそむしろ、
ミカエルは自分の存在を深く深く彼女に刷り込むように、
繰り返し体を擦り付ける。
その行為に彼女が声をあげるのを確認すると、再び体を擦り付けた。
二つの体が擦れ合う度に、彼女の花は苦しげに悶え、
躊躇いがちにミカエルの突起を締め上げた。
触れ合っている二人の体は過敏ともいえるほどにお互いの存在を確かめていた。
そんな彼女の体に彼女自身が戸惑いを憶えている。
---------そのなんともいえない甘い感触から
生み出される喜びは、なんなのだろう?
彼女がミカエルの体に感じ、悶えていること、
そして彼女の体に自分がどうしようもなく感じていることが
こんなにも嬉しいなんて。
それは、交わる快楽に、もう一つの意味が付加されるときかもしれない-----------。
あぼーん
彼女は悶えながら、ミカエルの陽に焼けた足に絡めている悩ましげな白い足を、
ゆっくりと擦り付けて、さらなる愛をせがむ。
しかし、淫らな彼女の足は、それ自体が感覚器としてそこから快楽を得ているようだった。
ミカエルは握っていた彼女の手首を離すと、両手で上気した頬を挟む。
見つめ合った彼女の目は、熱っぽく潤んでいて、異様な輝きを帯びていた。
そんな彼女の目に映る自分も、おそらく同じようなものなのだろうと思った。
ミカエルは彼女の目から視線を外すと、彼女の胸元に手を遣る。
柔らかくすべらかな彼女の胸元には、かつて自分が刻み付けた
光の刻印が、罪の証のようにきらきらと輝いていた。
その掌の下では、肺が荒く乱れた呼吸を生み出している。
ミカエルは、汗ばんだ淫らな彼女の肌に、自分の引き締まった肌を合わせる。
花の香りにも似た微かな汗の匂いが、酩酊感を誘う。
細い首筋に唇と舌を這わせると、堪えきれずに歯を立てて、そっと咬んだ。
ミカエルの中にある獣の本能が、ゆっくりと呼び覚まされる。
ミカエルは彼女の背中に腕を廻して、強く抱き寄せた。
汗と蜜で濡れた体を、捕らえた獲物のように愛おしげに、抱く。
彼女は食べられるのを待つ草食動物のように、うっとりとおとなしげに
その愛を受けた。
二人が交わる度に、水気を吸い込んだシーツに新たな皺が生み出され、
淫らな行為を記憶するように、どうしようもなく乱れていく。
恍惚とした妙なひとときだった。
熱く濡れた花を執拗に責め立てると、彼女は苦しがり、
ミカエルの頭と背中に廻した、ばねのようにしなやかな腕がぎゅっと引き結ばれる。
彼女の長い爪が背中の筋肉に食い込み、やがて皮膚を破って血を滲ませる痛みに
甘い喜びを感じながら、
完全に自分のものにしたいという支配欲のようなものが生まれるのを自覚した。
430 :
原宿編:03/06/30 14:11 ID:gPT9YPWg
−To be continued−
一体この二人は何時間ヤるつもりなんだ・・・・・・・・・(汗
わたしって計画性が無いというか・・・なんというか・・・・・・
間が空くと文体とかノリとか全然違うしね(殺
うぁーごめんなさい(のたうち
431 :
原宿編:03/06/30 14:59 ID:8ABkym2E
ウリエル×ドールもいいねw
しっかし・・・・・ウリエル様が
どーやって女を抱くのかは、
想像すると禿しくこそばゆい//////うを(照
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あああ、せっかく久しぶりに原宿様の続きなのに、
業者、ウザーイ!
最近貼り付け、ヒドイ。
フンガー!(鼻息)
待ってました、原宿様!
嬉しくて泣けます〜w
こうまでベリ子×ミカちゃんに萌えてる自分にビクーリ
>一体この二人は何時間ヤるつもりなんだ・・・・・・・・・(汗
是非何時間でもヤっちゃって下さいw
うおおおー!!
どっちのミカちゃんもいいぞおーーー!!
あぼーん
あぼーん
快楽に身を沈めながらも、
ミカエルは僅かに残った冷静な思考の片隅で、
醒めた目でふと、自分の体の下にいる彼女を見つめる。
今まさに男に犯されている彼女。
彼女の乱れた髪の流れを眺めていたら、痛々しい姿だと、ふと思った。
ミカエルは、その乱れた髪を、荒くれた自分の手でぎゅっと握りしめた。
そして、一段と強く彼女の股間を突き上げる。
彼女は強いよがり声をあげ、荒い息を吐く。
端正な面差しが、悩ましげに崩れるその瞬間が、限りなくエロティックな喜びを掻き立てる。
あぼーん
彼女の持つ高い知性や、気高さ、エレガントな麗しさといったものは、
全て相手を騙すためのまやかしなのだと、
ラファエルが言っていたような気がする。
でも、事の真偽などどうでもよかった。
その高貴な美しさが、自分の手によって地に引きずり降ろされ、
バランスを失って卑しい存在に堕としめられる、
残酷な課程がどうしようもなくたまらないのだ。
数限りない男と関係を持ち、誰よりも汚れているはずの彼女は、
それでもどこか清らかな処女性を感じさせた。
彼女の体は、女が本来持っている
安易に触れてはいけない聖なる存在としての尊厳を保っている。
・・・・・・・それでなければ、抱く気などしない。
男なんて、そんなものかもしれない。
清らかでなければ、汚す喜びなどないのだから。
無防備に晒された、聖女のようなその肉体を、
猛り狂った自分の突起で犯し、彼女の胎内の温かさを確かめる。
それに耐えながら、強く引き結ばれ、微かに震えていた彼女の目が
ふと開かれたとき、そこから知性的な香りが零れた。
彼女が正気に揺り戻され、理知的な気品を帯びると、
またどうしようもなく汚したくなり、彼女の花を淫らに刺激する。
彼女は再びめくるめく快楽の沼に落とされ、低俗な娼婦となる。
彼女を汚し尽くすまで、この衝動は止みそうもなかった。
「もっと・・・・・・・お願い・・・・・・・・・全てを憶えさせて」
ミカエルは荒い呼吸混じりに、彼女の耳にそう囁く。
そして、彼女を責め立て、激しく悶えさせながら、
その様子を記憶に留めようとそれを開始する。
ミカエルは、手を伸ばし、そっと彼女の顔に触れた。
艶めかしい声をあげるその唇を、ゆっくりと指でなぞる。
花に与えられる快楽と、直接指で触れられた感触から、
苦しげに震えるその唇を確かめると、指を口の中へ入れた。
唾液で濡れた、滑らかなのかざらざらしているのかよくわからない、
ビロードのような触り心地の舌をなぞりながら、指に触れる吐息を感じる。
腰を捻って、花を掻き乱す刺激を変化させると、
身を捩った彼女は思わずミカエルの指を咬んだ。
真珠のようにすべすべした歯が関節にあたり、程良い痛みが心地良かった。
ミカエルは彼女の口の中から指を抜くと、
そのまま指を顎へ這わせ、そのまま喉元、首筋、そして鎖骨へと下げていった。
鎖骨の、その細くて綺麗なラインにそって指を這わせていく。
445 :
原宿編:03/07/03 15:47 ID:DpWRODpT
−To be continued−
暴走してるのはわたしなのかミカちゃんなのか・・・・・・・・
共に暴走しつづけちゃってくださいw
あぼーん
448 :
風花:3:03/07/03 21:12 ID:WQqqTKnr
杯をかわし、ネクロマンサー達はひょひょと気味の悪い笑い声を上げる。
「おお、恐い恐い」「我らの主は少なくともこの様な真似はなさりませぬよ」「雅な
方で在らせられますもの」「あのお美しい方の傍に居られるだけで」「恐悦至極」
「正に正に」
取り留めなく喋り続けられる会話をただ聞いていたアスタロトは全員その場で八つ裂
きにしようかとも考えたが、奴ら全員が反魂の秘薬ですぐに生き返ることを思い出し
た。それよりも。
「おい。あの白塗りが美しいというのは狂言では無かったのか?」
ベリアルが天上で起こした最大の罪は姦淫と、間接的ではあるが大量の殺人だと聞い
ている。その美しさに頭を垂れた天使が悪魔界まで堕って来たのだという話をアスタロ
トは下らぬ冗談だと思っていたが、どうもそうでは無いらしい。
実際よく考えてみれば、軍に於ける堕天使の数は圧倒的にベリアルが抜きん出ている。
「事実で御座居ますよ」「身も心も溶けてしまいそうなあの美しさ」「まあ」「元よ
り我らに心などありませぬがね」
そう言いながら屍体を手に入れて満足気に出て行こうとするネクロマンサーらを床に
叩き付ける。手の中でくしゃりと不愉快な音がした。
「・・俺の命令を聞いてくれるだろう?」
この退屈を潤す為ならなんだってやるさ。
餓えと渇きは益々強くなっていた。
449 :
風花:3:03/07/03 21:17 ID:WQqqTKnr
…頭が重い。
体が動かない。
眼前に広がるは、ただ闇。
そこに呼び掛けようと口を開けば、喉が灼ける様に熱い。声が出ないのだ。
………此処は何処だろう?
立ち上がろうとして、それも叶わぬと知らされる。
座らされていた豪奢な椅子には、それに不釣り合いな武骨な黒鉄の鎖が取り憑
いてベリアルを封じている。
私を捕らえた周到さ。
悲鳴さえも封じる冷酷さ。
…首謀者は判った。
解らないのは理由だ。
目的は何だろう?
個人的な怨みか、まさか愛しい貎下の失脚を狙ってか。
虚空の闇を、ベリアルは独り見詰め続けた。
450 :
風花:03/07/03 21:18 ID:WQqqTKnr
−To be continued−
なるべく週に一度は更新したいです。
あぼーん
452 :
ナジ:03/07/03 21:24 ID:WQqqTKnr
>A様
わーいミカ九だ!(*´д`)ドキドキ
>原宿様
エロシーンの綺麗描写がうらやましいです。
二人とも長生きしそうですから、あと三十年はいけるんじゃないかと…
アスタロト様の拷問趣味について何にも知識が無い事に気が付きました;;
今から調べようと思いますが、皆様どんなものがよかですか???
453 :
原宿編:03/07/03 21:56 ID:sSZCol2N
ベタに鞭とか縄とか・・・・・・・・・・
わたしもよく知らないんでそれぐらいしか思いつかない;;
三十年ですか・・・・・・・・ううむ・・・・・・・・・・・・・(考
454 :
原宿編:03/07/03 22:07 ID:sSZCol2N
ベリアル様ってマゾだよね・・・・・・・・
明かに、激しくMですねw
全然関係ないのだけれど、最近自分がM属性あることに気がついたので
マゾという言葉にちょっと落ち込む……。
Sだと思ってたんだけど……w
拷問はやはり水責め! 爪の間に針! 不定期に滴り落ちる水の音!
身内の悲鳴を聞かせ続ける! 頭に輪っかつけてギリギリ締め付ける!
つめを剥ぐ! ノコギリで皮を剥ぐ! 髪の毛を一本一本抜く!
麻酔無しで歯を抜く! 耳に長い細長い棒を突っ込む!
下剤を飲ませて縛り付ける! 逆さ吊り! 熱した鉄板の上に裸足で立たせる!
瞬きを出来ないようにする!
………………あとは強い媚薬を投与してほったらかしとか
逆に攻めまくりヤりまくり意識飛ぶまで、てか飛んでも
思いつく限りの拷問(既に嫌がらせに近い)を書き出してみました。
鉄の処女は殺しちゃうので削除。
何でこんなこと知ってるんだろう、自分。
457 :
原宿編:03/07/04 10:10 ID:bgYy593V
>逆に攻めまくりヤりまくり意識飛ぶまで、てか飛んでも
・・・に一票入れときます(ヲイ
では、
>………………あとは強い媚薬を投与してほったらかしとか
に一票でw
あぼーん
あぼーん
(´・ω・`)ショボーン
最近寂しいですね。。。
あぼーん
寂しいですよね〜。。。
寂しさに耐えるため、遡って読みなおしてしまいました・・・。
あぼーん
465 :
A:03/07/07 22:49 ID:08kJS1mA
私の場合は何か雑談をしていてくれると、個人的に嬉しいナー。とか思う。
そして作品はまだ少し待って下され。次回書いたらだーっと山場が続くので……。
今、忙しくてとてもじゃないけれど書けないのデス(涙)。
やっぱり二時間、三時間は軽くかかってしまうので。
とりあえず雑談のネタを振ってみる。
皆、キャラクターはどんな体位が好きそうだと思うよ?
す・・・すみません、催促しちゃったみたいで;;;
嬉しいのは勿論ですけど、無理させたら申し訳ないです〜;
という訳で、個人的には
ベリ子=気丈胃 これ最強w。
でもなんか、本命のときは違いそう。
なんせMですもの〜w
ミカちゃんは正上位だと思う(きっぱし)。
なんとなく征服欲強そうだし。
ラファエルは気上位じゃないかなー女の子にやってもらうほうが好きそう。
ゆー君は路地裏で立ち鼎とか好きそう。
……スイマセンすべて私の妄想です(;´Д`)
469 :
原宿編:03/07/08 13:52 ID:9vdD841H
Aタンってば・・・・・・・・;;
だんだんエロパロらしくなってきましたね、このスレ。
ルシファーとアレクはどうなのよ?
どっちも下にならなさそうなんだすけど。
あぼーん
うお、よだれが。
ルシファーとアレクも正常位かな。
アレクが一歩譲るかんじで。対面でもおk。
ちょっと視点を変えて……
69しそうなカップルって誰と誰でしょうね。バックとか、テーブル(?)とかでも。
……エロパロじゃなきゃできない質問だなぁ。
あぼーん
あぼーん
>468
わたくしもまさにジャストミートに想像してしまいました。
ナイスっす!
そして、吉良(ルシでなく)、テーブルとか似合いますよね〜・・・
って思うのは漏れだけでしょうか。。。
あぼーん
476 :
原宿編:03/07/09 14:40 ID:mCeZoThD
アスタロトは大理石の冷たい床とかでやってそう
あぼーん
478 :
名無しさん@ピンキー:03/07/10 11:45 ID:8Ya4snv/
ウリエル×ドールSSキボン……(´Д`)ハァハァ..
479 :
A:03/07/10 19:02 ID:5VEFxXzS
69はアスモとベリしか浮かびませんでしタわ。
ってゆーかアスモのおっさん。お口の恋人がスゲェ好きそうな気が……。
女性キャラはやっぱり皆正常位ですかねー。ベリ子除いて(笑)
ザフィー(前)とかはバックが好きそうですな。
さて、漸く書けたので続き投下ですー。
旅の合間というものは、あっという間に過ぎ去るものだ。
気が付けばもう旅の終わりなど目前まで来ていて、心どこかにある淋しさを噛締める間もなく、
九雷は「船着き場」に立っていた。来た時と変わらぬ多くの機械と、人々。
昨晩、皆と交わした挨拶とは異なる、形式的な挨拶を交わし、九雷は笑顔を浮かべながら船に乗り込んだ。
船は、轟音を立てながら、空へと飛び立つ。また次の会合がある日まで、
此処に来ることは無いだろう。……彼等と、会うことも……。
しばしのお別れですね。というノイズの言葉に、うん。と物憂げな返し、
渡されたプレゼントのうちの一つを、手にとった。ポプリの詰められた小さな、
愛らしいティディ・ベアは、円らな瞳で九雷を見つめ返す。
九雷はそっと、それを服のポケットに忍ばせた。
久々に顔を会わす同胞たちの歓迎は、想像した通り盛大なものだった。
老若男女問わずして出迎える人々に、九雷は柔らかく手を振って、先ほどと同じ通り――ただし、
今度は天使でなく悪魔と、無事に帰ったという挨拶を交わす。
代表は最早お決まりと言っても良い、「帽子屋」ことベリアルだった。
牧師か何かのような服装に、白塗りのメイク。首から下げた、逆十字の十字架が、
薄曇の光のなか、きらきらと光り、揺れている。
「如何でしたか姫君、天界は。」
「ああ、変わりなく。奴等、着実に復興を遂げとるわ。
俺等もうかうかしておれんな。」
長い、煉瓦造りの廻廊。日の光は弱く、薄い、陰を煉瓦に残す。
そこを、幾人かの青年将校たちと、ノイズ。そして九雷とベリアルは歩いていた。
向かうは会議室。これより地獄と、天国との今後の対応に関し、話し合うのだ。
「……随分と、ここには人通りが少ないのですね。」
「ああ、さっき俺の出迎えに皆、来たからな。皆、ええっちゅーのに……。」
「ああ成る程。祝いの仕度をしているのですね。こちらから見えますよ。」
前を歩く九雷に、ベリアルの声がかかる。きっと、
廻廊から中庭で仕度をする人々の姿が見えたのだろう。愛されているのですね。
というベリアルの言葉に、幾分照れて。皆、お祭り好きなだけや。と言葉を返す。
天界でも歓迎されたのでは?という言葉に対しては、ミカエルや、ラファエルの顔がちらりと浮かび、
客だからそうしたのだろう。と、やや慌てた感じで言葉を紡いだ。
「――――そうして、姫様は騙されたのですね――――。」
声は、ベリアルとは違う、別のものだった。振り返る間もなく背中からした、
強い衝撃に息つく間もなく九雷は廊下の壁にと跳ね飛ばされる。
呼吸がままならない状態で猿轡を噛まされ、手の動きを封じられる。
「九雷様!」
「動くな!節穴が!!」
その声は先ほどとは違う――ベリアルとも異なる――青年将校のものだった。
一人は九雷に刃物を突きつけ、もう一人は、ノイズに銃を突きつけている。
いや、一人ではない。十人かそこらはいる青年将校たちが、
二人に向かって一斉に銃口を向けていた。
信じがたい、光景だった。
「……お前等ッ!どういうつもりだ!!」
同胞たちの振る舞いに、ノイズは九雷と同じ思いを吐き出す。
「節穴」と罵られた思いもあるのだろう、ぶるぶると、身体は怒りで震えていた。
「九雷様は、騙されておられる。天使どもに、利用されているんだ。」
そう、静かに語ったのは青年将校のうちの一人。
九雷も良く目にしたことがある、機敏な動きが印象的な、少年だった。
「利用だと……?」
「ノイズ様……。いや、この場ではノイズと呼ばして貰う。
あんたも噂は聞いたはずだ。今回の滞在は、天界側は自分たちの過ちを隠し、
九雷様を丸め込むためのものだと。」
「……な!!ち、違う。今回の滞在は九雷様の慰安を思って……!」
「嘘を付くな!これを見ろ!」
少年の言葉に、もう一人の青年将校がばさり。と袋から布を投げ出した。
それはあの日、第四天で、ミカエルによって破られた九雷の服と…………。
……ミカエルの、上着だった……。
「メイドの一人が処分しようとしたところを、偶然仲間のうちの一人が見つけた。
この上着は地獄の物ではないし、調べたところ、微弱なアストラル波が検出された。
勿論、悪魔のものじゃない。第四天に九雷様が行かれたときのことを目にしている者も、
幾人かいる。九雷様は、天使に汚されたんだ!それを、天使の奴等は今回歓迎することで、揉消そうとして……。
九雷様は、お優しいし、俺等のことを思ってのことなのかも知れないけれど……。
俺は、許せない!こんなことを九雷様にした天使の奴等を!!」
ぐ、と。少年は引き金を強く握り締め、そもそも、反対だったんだ!
と天使たちを保護することに対して声を荒げる。
「天使と、俺たち悪魔は、どうあっても相容れないんだ!
手を組むなら、地獄とのみ、組むべきだ!今度こそ正式なる、偉大なる猊下に与する者の一員として!」
冷水を、頭から浴びせかけられたような、感覚がした。
これが、一体誰の差し金なのか。それで、知れた。じっと、その人物を睨みつける。
視線に気付いているであろうに、当の本人は何食わぬ顔で微笑をその白塗りの顔に張り付かせ、
場の成り行きを、傍観している。
「…………ベリアル…………。貴様、彼等に何をした…………。」
震えるノイズの問い掛けに、別に、何も。とひょいと肩をすくめてみせる。
ただ、情報を皆さんに、与えただけにしかありませんよ。と。
「……噂を、広めたのは……。」
日の、影。言葉とともに軽く吊り上げれた唇を見て、
瞬時にノイズは腰に帯びた短刀をを抜き、ベリアルに向かって駆け出した。
「!止めろ!皆!!」
「煩いッ!退けお前等ッツ!!」
今は九雷の片腕となり、本気となったノイズの腕が、青年将校達に、
適おう筈も無い。掴みかかってくる腕をすり抜け、打たれた弾丸をかわして、
彼等に当身を食らわし、ベリアルへと突き進む。ひゅんと振るったその白刃は、
飛沫をあげる事無く――闇に、飲み込まれた。
「……懲りない、ひとですね。貴女も――。」
「!!くあぁッ!」
一瞬にして闇に身を変えた道化は、ノイズの手を掴み、ぎりぎりと捻りあげ、
そっとその細い首に指を伸ばす。
「あ、あ、あ……!」
「殺しはしません。姫君の右腕である貴女が突然姿を消されては、
幾らなんでも怪しまれますからね。でも――」
稲妻。発光。激音。びくん、とノイズはひとつ身を震わせて、どさりと倒れこんだ。
「……少し、静かにしていて下さいね。……さて、姫君。参りましょうか……?」
小さな明かり窓の向こうには、空が。そして、その下には、自分の帰りを喜び賑わう人々が。
けれどもそれはどちらも遠く、九雷は黒い道化に抱きかかえられながら、一昔前の、
動きが出来ぬまま従兄弟に抱きかかえられた無力な自分を重ねて、羽ばたく鳥の羽音と、
廻廊に響く足音とを、どこか遠く、耳にした。
+ To be continued +
485 :
A:03/07/10 19:23 ID:5VEFxXzS
これで十三段落目消化。漸くこれから核心に迫れます。長−。
えーっと最近業者さんがウザいので、sage推奨で行きませぬか皆様。
あぼーん
A様キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
なんかあまり上のほうじゃなくても貼られてるような。。。
なんででしょう?
A様待ってました!
波乱の予感〜。うずうず。
あぼーん
あぼーん
あぼーん
492 :
A:03/07/11 23:04 ID:UFL8sEN9
本当にひどいなー、広告。何故。
それはともかく、続き投下です。
「ひっつ!?」
来賓の間にて九雷たちを待っていたメイドは、その姿を目にして悲鳴を上げ、
逃れる間もなく銃口から打ち込まれた針に、音も無く、倒れ伏す。
人払いを。という短いベリアルの指令に彼等は頷き、
九雷とベリアルの二人を残して彼等は部屋から出ると、部屋には水を打ったかのような静寂が落ちた。
「さぁ姫君。そのままでもわたくしとしては結構ですが、少々お話をしたいので、
その縛めを解きましょう。ただし、お静かに。」
そう言い、ぱちりとベリアルが指を鳴らすと、
はらりと九雷の口に覆い被さっていた猿轡は膝上へと落ちた。
きっと、自分の前に立ち、笑みを絶やさぬ高位魔族をソファに腰を落ろしたまま睨みつける。
「……お前、何を企んどる!アイツらに、何をした。」
「おやおや、彼等の話を聞いていましたか?
目的は貴女を猊下の配下として迎え入れること。そして、言いませんでしたか?
私は彼等に情報を与えただけ――、と。」
「…………。あれは、事故や。ほんに偶然の――。」
「過程はどうでも宜しい。重要なのは結果なのです。」
ぴしゃり、と。九雷の言葉をさえぎり、
ベリアルはなおも言い募ろうとする九雷を目で制する。
「第四天における、悪魔たちの警備。そこでのアクシデント――。
これはまぁ、確かに、偶然でした。まだ、私が手を下す前でしたからね――。」
どこからともなく出したステッキで、とんとん。
と手の平を叩きながらのその言葉に、九雷は目を見張らした。
彼女は、今、確かに。
まだ。と。
「まだ」「私が」「手を下す」「前」と言ったのだ。それは、つまり――。
唇が震える。目が、ぱちぱちする。肌が、総毛だっているのを感じる。
頭が、くらくらする。これは、何だろう。怒りだろうか。
それとも、哀しみなのだろうか。恐怖、なのだろうか。
そんな九雷の様子を見て取ったのか、ベリアルはゆっくりと九雷の方を振り向き、
何時もと変わらぬ笑みをその白塗りの面に張り付かせたまま、
まるで子どもにお伽話でも聞かすような口調で、語りだした。
「仮にとは言え、地獄の元に生きる者が、荒れたる天界に足を踏み入れ、
暴行をその身に受ける――。これは、そんなにも無茶のある、筋書きですかね?」
「ジブン、もし、俺が――。」
「天界の衣など、手に入れようとさえ思えば幾らでも手に入る。
折角、兵を厳選したのが無駄になってしまいました。
結構、綺麗どころで、技術も卓越したものを揃えたのですけどねぇ。」
何が。とは聞かない。底知れない女だが、性の知識も薄い自分だが、
何を言わんとしているかという事は知れた。知れて――怯えた。
まぁ、彼等には噂を広めて貰う役割を、担ってもらいましたけれどね。
道化は赤い唇を動かす。動かす度に、毒が、溢れ出る。
身体ではなく、心を病む、毒が。
「大変でしたよ。地界だけでなく、天界にまで噂を広めるのは。
それで、伯爵に借りを作ってしまった。短期間でこの広大な地に噂を広めるということは、
なかなか苦労のかかるものですね。まぁ、そのお陰で思惑通りに、
天界に貴女を招くことが出来たわけですが――。」
目を見開く。そんな噂、自分が地界に居た間は、耳にしていない。
それを震えながらも伝えると、やはり微笑みながら、
この女は事もげも無くと「ノイズが耳に入れないように気を配っていたのでしょうね。」と、告げた。
「ああ、彼女はあくまで貴女を思ってですよ、九雷。
優しい娘ですねぇ。本当に。その優しさが、命取りとなってしまったけれど……。
――あの、青年将校たちも――。
何か幻術か何かを使ったかとお思いですか?とんでもない。
それとも、皆、スパイだとでも?まぁ、外れてはいませんが。
彼等の中で誰がスパイだと思います?一名だけ。それも、元はきちんとした、
貴女の部下ですよ。九雷。彼が、私の言葉に従ったとき、何と言ったか、御存知ですか?
『それが、九雷様の為なら――。』です。愛されてますね。姫君。
――さて、本題に入りましょう。」
ぱちん。と指を鳴らす。途端に、ソファの目前にあるテーブルの花瓶に活けられた花が、
軽い爆発音を立てながら、ごぅ。と勢い良く燃え始めた。
ぱち、ぱちと火花を散らすそれは、その舌をテーブルに伸ばそうとしたところで、
再び弾いたベリアルの指音と共に、掻き消える。
「これよりも少しばかり爆発の大きい花束を、プレゼントさせて頂きました。
……今ごろは、パーティ会場に運ばれていることでしょうね。
もし、これが爆発すれば。――どうなるでしょう。
皆さん、会場に集まるのでしょう――?
そう。あと、それだけでは皆様に私の届かないと思い、
貴女が到着するその前に、一人ずつ、小さいながらも花束を贈らせて頂きました。
私の合図と共に、それらも同じく綺麗な花を咲かせる予定です。
――さぁ、姫君――。我が猊下の配下に下るか、否かの、お返事を――。」
ぽたり。と、雫が。服を握り締めた甲へと落ちた。腕が震え、肩が震えた。
零れ出しそうな嗚咽は、悔しさから必死に、押し留めた。
掠れながらも出した返事に、さすが姫君。お優しい――。と、
道化は満足そうに応えて、――また、笑った。
+ To be continued +
497 :
A:03/07/11 23:23 ID:UFL8sEN9
アカン。読み返したら最近、おかしい日本語が多すぎやがな自分……。
謙虚さと、推敲という努力を無くしたらあきまへんなぁ……。
次回はもう少し頑張りますので、皆様、大目に見たって下さい(謝)
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
503 :
山崎 渉:03/07/15 11:08 ID:vhmwz+RP
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
あぼーん
あぼーん
カキコが広告と山崎渉だけなんて寒すぎでつ。
業者さん、どうせならここの住人が好みそうな広告貼ってよ〜w(などと言ってみる)
原宿様、A様、風花様、それぞれに面白くて魅力的なんですけれど、
個々人によってキャラの解釈にもやっぱり個性があるんだな、というのが
より興味深いです。
で、久しぶりに天禁読みなおしたんだけど、すでに見る目が
以前とは全然違う自分w
つい「・・・ミカちゃんったら・・・」とか思ってしまうのは
かなり重症でつね。。。
Lets 雑談
>507
重症ッすね! むしろ重傷ッスネ!
あんひんしてくらはい。貴方だけではありません。
特に九雷なんか「んなこといっててもおまえ〜v」とか言いたくなります。
最近ホント広告ヒドイねー イらねッ角。
業者ムダにがんばりすぎ。
>508
・・・やっ・・・やっぱり重症、更に重傷でつか・・・;;
同士!ともに地獄(読:ジャハンナw)へ旅立ちましょう!
再々(エンドレス)読にして、アスモにプチ萌えしましたw
ベリ子命なんですが、「バカみたい」シーンで・・・。
しかし、既にベリ子×ミカちゃんが定着しつつあるので、
色々と複雑な気分に・・・。
九雷とミカちゃんを見ていても「ふふふ・・・」とつい
しのび笑いたくなります〜。
く・・・薬をッ!w
「九雷様、一体どうなされたのかしら……」
まわりは、先刻の王の言葉が信じられず、
ざわざわと声は波のように寄せては返す。王の帰還を祝福しての夜の宴。
それは盛大なものとなるはずだった。けれども王はまず、民に感謝の言葉を述べた後、
天界での話は全くと言って良いほど行わず、これより自分たちは地獄に与するつもりだということを述べると、
用意された食事もそこそこに、執務室へと戻ってしまった。
これは、どう考えてもおかしい。普段の王であれば、
目をきらきらとさせて天界の様子を語ることだろう。そうして、
自分たちは殆ど齢変わらぬこの王の様に幾分苦笑を交えながらも、
柔らかな笑みを口元に落とすのだ。それが、これである。勿論、
なぜかと答えを求める声も上がった。だが、王はそれに関して答えを述べずに、
軍部の者たちを皆引き連れて会議へと行ってしまったのだ。
「……これは、あれかねぇ。」
そう、呟く中太りの女の方を見ると、同じように困ったような表情で頷く人々がいた。
「……九雷様が、乱暴されたって話、本当だったってぇことかねぇ……。」
「そんな!九雷様は確かにお若いけれど、私情で走ったりする方では無いわ!
現にここ数年、ずっと頑張っていらしたじゃない!」
「それは今の話だ。昔はもっとこう、突っ走りやすい方だったからなぁ……。」
「それにしたって変だよ!……確かに、
九雷さまは向こう見ずなところがおありだけれど、優しいお方だもん。
私怨のために動くような方ではないよ!動くとしても犠牲を贖うためだよ!!」
娘の言葉に、ああ。確かにそうだなぁ。と周りの者が頷く。
……でも、若しかしたら。とその中の一人である、老人が言った。
「若しかしたら、そういった事情でなく、天界を改めて敵視したのかも知れんぞ。
そのためには、地獄と手を結ぶべきだと……。」
ああ。確かにそうするならば、結ぶしかねぇ……。
頬に手を当てる、中年の女。大体!と声を張り上げる青年。
「大体、天使と手を組むこと自体が反対だったんだ!
あいつら、俺の友達を殺したのに!この上、九雷様を汚したって言うなら……!!」
「止めてよ!!」
声を荒げ、喚き出しそうな青年を、少女は制止する。青年は、
どうして止めるのだ、主が大切でないのかと、少女に対して憤った。
「私だって、九雷様が無理やり汚されていたら、許せないよ。
でも……まだ、そう決まっていないじゃない。それに、
私たちだって天使を殺したよ。私だって、天使は許せないよ。
私の母さんを奪ったのは、天使だし……。でも、
あの戦の合間に私たちを蹂躙した悪魔たちだって、私には許せない……。」
きゅ。と、少女は道化師より配られた青い花束を握り締める。
捨ててやろうかと思ったが、薄い光の元で、決められた土壌で今を生きる少女にとっては、
それは貴少であり、美しいものだった。捨てることの出来ない自分に苦々しいものを感じながら、
俯く。ざんばらな黒い髪の毛が、目にかかった。そんな少女の様子に軽く目を背けながら、
どちらにせよ。と青年は呟く。
「どちらにせよ……王がそうするって言うなら、俺たちは従うしかないな……。」
青年の呟きに、応えるものは誰もおらず――。
だが、その沈黙が、皆の答えを示していた。
+ To be continued +
512 :
A:03/07/17 19:28 ID:F8Cw8H5X
うわーん、最近なんだかしっくり書けないよぅ。
……っていう、泣き言は置いといて。
やっぱり雑談しておいて下さると個人的には幸いですー。
感想いただけると嬉しいですが、流れもというものありますし、
言い難い場合もあるでしょうしから。
時間がようやく出来たようなので、チト頑張って制作しますー。
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
A様おつかれさまっす!嬉しいっす〜v
続きも楽しみにしてます!
青い花束・・・ベリ子バリ萌えのわたしは、
欲しいと一瞬思ってしまいました。
・・・爆発するって!w
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
業者、保守産休!w
・・・誰か居ませんか〜・゜・(ノД`)・゜・
あぼーん
(゚Д゚≡゚Д゚)誰もいない・・・
526 :
A:03/07/24 11:48 ID:WtuIr5TM
居ないですね〜。最近寂しい……。でも頑張って仕上げまつ。
自室に戻ると、九雷は大きく溜息をついた。
先刻の民への言葉と、重鎮たちを連れての会議。どの場もざわめき、
人々は異を唱えはすれど、全霊でもって逆らおうとはしなかった。
恐らく特に問題もなく、このまま話を進めることが出来ることだろう。
身につけた装飾品やら、布やらを側に居るメイドに手渡すと、
誰も入って来るなと申し付けて寝室に入る。深々と寝台に身体を沈め、
目を閉じるとすっと冷たい手が自分の頬に触れる感覚がした。
開かずとも誰だか知れたが、放っておくと何をするのか気が知れない為、
九雷は大儀そうにのろのろと眼(まなこ)を開いた。
女は、自分の頭の方に足を組んで座し、すっと自分を見下ろしていた。
冷たい手は九雷の頬から髪へと動き、するりと銀糸の髪を梳く。
よくやりましたね、と声は言った。
「こちらの方も段取りを直ぐに整えます。一週間後には儀式を行い。
貴女を正式に猊下の傘下にと加えましょう。」
「――ノイズは――?」
「無事ですよ。儀式の場には彼女も顔を出すことでしょう。
大丈夫。配下の者に申し付け、あれ以後は丁重に扱っていますから。」
その言葉は、九雷を安堵させるとともに、同時に取引はまだ続いているだということを示していた。
最後まで儀式を終えない限り、ノイズの安全は確保出来ないのだろう。
王たるもの、たかが一人の情に流されて国の方針を決めることなどあってはならない。
そのようなこと、九雷とて分かっていた。先ほどまでのように、
民が人質として捕らえられているのならば事情は分かる。ひとまず相手の言うとおりに従っておいて、
期を見て花を回収するなり、始末をすれば良い。それまで儀式の期日は引き延ばし、
解決したところで白を切る。ノイズ一人を犠牲としても、民の安全だけは、確保しなくてはならない。
そのようなことが分からなかった訳ではない。ただ、それを行うには相手の腕を知りすぎていた。
――花は一体どれだけ配られた?民全てとは言わずとも、
恐らくその数はかなりの数にのぼることだろう。そうして、まさか普通の花のように枯れるとは思えない。
腹心のものに回収の旨を機密として出したとする。だが、彼女がむざむざそれを許すとはとてもではないが思えなかった。
自分の行う手、全てが相手に読まれている――。そんな気がしてならなかった。
自分が駒を動かすその前に、対極した時点で勝負は決まってしまっているのだ。
下手な打ち手は早々に投了し、被害を最小限に抑えるのが賢明だろう。
もし、これが。
そう、もしこれが刹那であれば、彼はきっと思いもよらぬ奇策を用いて勝負に勝利を収めるに違いない。
勝利とともに、盤をも割ってしまうかもしれないが、それでもきっと勝ちを収める。
考えなしに駒を進めるくせに、なんだかんだで勝ってしまう。
大盤狂わせが大得意という、そういう男だ。かつて自分がこの女と向かい合ったときに勝ち得たのも、
それは打ち手が自分から刹那に代わったからのことだろう。そして、今は。
「私が戻るまで、どうぞそちらも仕度をしておいて下さいね。」
女の言葉に、微かな声で相槌をうち、目蓋を閉じた。
額に、音とともに軽いくちづけが下りたのを感じ取る。そう、そして、今は。
――残念なことに、大盤狂わせを行えそうな人物は、現れそうに無かった。
+ To be continued +
立ち込む香。修復され、吊るされた豪奢なシャンデリアは揺れてきらきらと灯心の光を散りばめ、
煉瓦色の絨毯は人々の影を受け止める。賓客として招かれた者たちはざわめきを隠そうとせず、
これより現れるであろう新たな傘下者の噂話で場は持ちきりとなった。
そんな中、黒い外套を身に着けた中年の男は己の席に着席すると、懐から葉巻を取り出し、白い煙をくゆらせた。
隣に腰掛けた悪魔の一人が、その鳥の嘴のような口を開くとこれまた鸚鵡かと思えるギャアギャア声で男に対して声を掛けた。
「おおアスモデウス伯爵。こうして会うのは実にいつぞやぶりですな。」
ぎらぎらとした男の衣には注意一つ寄越さず、ああとアスモデウスは男に対し生返事をしながら、
それ以後こうしたことが無かったのだから当然だろう。と、言葉をかえした。
それは暗にこうした場以外会いたくないということを表わしているのだが、男はそれに気付いた様子はなく、
どう思われます?とアスモデウスに疑問の声を持ち掛ける。
「何がだ?」
「だからあの九雷とかいう小娘、小鬼たちの統率じャあないですか。
かつて猊下の花嫁として選ばれたにしろ、猊下の元に加わるのに、相応しいと言えますかねェ。」
「小娘であることは違いないが、自然竜を召喚出来る稀有な血の持ち主だ。
今後、何かと重宝するであろうよ。」
「それはそうかも知れませんが、それでも小鬼ですよ。
何でも小鬼たちは皆貧しく、下級の天使たちの如く簡素なベッドで眠るだとか……。
ああ、嫌だ嫌だ。天蓋つきのもの以外では眠れませんよ、私は。
これでは私たちへの誠意もどんなものだかたかが知れそうなものです。」
煙を吐き出す。要するにこの男は九雷が傘下として加わる上での引き出物を心配しているのだ。
それを言いたいがために、天蓋つきのベットやら鬼たちの暮らしまでをも引き合いに出した。
天蓋つきのベッドでなければ眠れぬなどと言うのは、恐らくこの男と、この男の配下何名かのものであろう。
アスモデウスの配下の者とて天蓋つきの寝台で眠るものなど皆無に等しいし、多くの下級悪魔は寝台で眠ることすら困難だ。
物欲に捕らわれた悪魔と、その配下。だからこそ身の回りのものだけにはやたらと固執し、
充実させようとする。上を求めればきりが無い、その上対象は次から次へと移るものだから、留まるところが無い。
――もっとも、留まろうものならば、この場所に彼は居なかったことであろう。
自分たちは多かれ少なかれ何らかの業に捕らわれ、それが捨てきれぬが故に堕天した。
業に捕らわれるからこその自分たちなのであり、捕らわれることの無い自分は、自分とはいえない。
神は、天使たちは深い欲を捨てよと申し付ける。その要求は身を滅ぼす。故に捨てよと。出来るわけが無い、
とアスモデウス及び多くの悪魔がそれに対して答えることだろう。
多少の欲は俺の力を引き延ばす。だが他のものを投げ打つ欲は、ただ堕ちるのみ。
待っているのは退廃の道。だが、それでも良いとアスモデウスは思う。
固執することが、自分の全てなのだ。罵られ、他の者を犠牲にしようと、
その道を歩く。それが例え救いよいのない道であろうと、歩くことがその時の自分の全てなのだ。
視線を、猊下の元にて控える此度の仲介役である堕天使へと転じる。
燕尾服に身を包んだ白塗りの女は、儀式が始まることを静かに待っている。
全ての膳立ては彼女が行ったのだろう。見れば場を警備する者たちも、全て彼女の配下の者たちだった。
あれも、隣に座るこの男も、そして自分も。
全て救いようのない欲に捕らわれて生きているのだ。そうしてそれを捨てようとなど、思っていない。
それが、業を背負い、業に酔って生きてゆく――――それが彼等、「悪魔」といわれる存在なのだ。
「心配はあるまい。品にはそれなりのモノが用意されているであろうよ。」
恐らくベリアルがそちらも用意をしたであろうから。とは言わずに、
アスモデウスは隣に座す金に捕らわれた愚かな悪魔に、そう答えた。
+ To be continued +
532 :
A:03/07/24 22:13 ID:WtuIr5TM
纏め書きじゃなくてすみません。とにかく書いたら投稿して行こうかな、と。
他作家様方もじつは密かにお待ちしておりまつ……。
あぼーん
A様キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
おつかれさまです!嬉しいっす!
・・・寂しかったの〜゜(゜´Д`゜)゜
あぼーん
>>532 職人さんキタ━━━(゚∀゚)━━━ !! ありがd
72の、九雷の心理描写が素晴らしいです。
今後、ミカちゃんがどうやって九雷に会うのか楽しみです。
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
誰か来てー
寂しいよー
原宿サンの体調は大丈夫なんだろうか。
∧_∧ ∧_∧
ピュ.ー ( ・3・) ( ^^ ) <これからも僕たちを応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄ ̄∪ ̄ ̄〕
= ◎――――――◎ 山崎渉&ぼるじょあ
あぼーん
あぼーん
>>542 ここにいますよー。
毎日のように覗いてまつw
原宿様本当に大丈夫でしょうか。。。心配(´・ω・`)
あぼーん
にしても業者は邪魔ですな〜
せっかく人が神待ちしてるのに
がっかりさせんな > < ノ
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
すんすん。
神様は忙しいのかしら。
神よ私を苛むなー
あぼーん
あぼーん
あぼーん
私もずっとみてます〜
業者貼りすぎだよ。広告で埋もれそうだ…
そして神様達がいないよぅ!
あぼーん
あぼーん
激しく続きが読みたいんですけど…降臨待ち
565 :
A:03/08/08 12:49 ID:GJsFRGy1
ごめんよ皆……。自宅を留守にするネットに繋げない状況が続いて、
とてもじゃないが書けないよぅ。そうして今日からまた留守に〜(涙)
原宿タンの体調を祈りつつさげ。
あぼーん
A様キター!!!
お忙しいところ急かしてすみません。
気長にお待ちしておりますわん。
あぼーん
あぼーん
あぼーん
わーい、A様だ〜。
ご無事が確認できただけで、まずは嬉しいです。
他の皆様、お元気でつか〜?
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
587 :
名無しさん@ピンキー:03/08/12 18:34 ID:CMJ5GT0V
業者酷いですね。
A様、原作の様な雰囲気になってきて、大変喜んでおります。
いつも有難うございます。
他の皆様も、続き楽しみにしています。
589 :
名無しさん@ピンキー:03/08/14 12:59 ID:plFf/GGM
590 :
名無しさん@ピンキー:03/08/15 14:22 ID:+OSMOstk
エロ小説書きてぇーーーーー
でも時間ねぇーーーー
すんすん。
592 :
山崎 渉:03/08/15 16:02 ID:4fmQeeOf
(⌒V⌒)
│ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
⊂| |つ
(_)(_) 山崎パン
593 :
名無しさん@ピンキー:03/08/15 19:30 ID:+OSMOstk
あぼーん
595 :
名無しさん@ピンキー:03/08/18 20:52 ID:Q4XXklDy
えーと、話題がないようなので保守ついでに釣りをしようと思います。
大漁だといいなぁ などと。
前に本スレで出た話題。
天禁キャラで抱かれたい男(男性なら抱きたい女)No1は誰?
597 :
A:03/08/20 01:46 ID:mHq/ci+d
吉良……かな。うわべだけでも優しくしてくれそうな気がスル。
違う意味で抱きたいのがリル。それはもぉ、ぎゅーっと抱いてなでなでしたい。
そうして話題を振ってくれたところですみませぬ、
拙いながらも続きを書いたのでUPります。
扉を開くと、そこは数多くのものが居るに関らず、冷ややかな静けさで満ちていた。
多くの者たちの値ぶみをするかのような視線にも屈さぬようにと、九雷は正面をきっと見つめ、
敷き詰められた絨毯を踏締める。微かな悪魔たちの呟きも、嘲りの声も。
その身に纏った銀の外套が闇を寄せ付けぬかのように九雷は揺るがず歩を進め、やがてふわりと膝をついた。
止めた足先には、見知った顔が二つ――。魔界の王と、仲介役者のベリアルがいた。
此度の仲介人は王の座す階段には登らずに、傍らに立ち、
九雷が傘下として加わりたいとの旨を王に伝えている。その言葉は淀みなくつらつらと流れ、
彼女は何時もと代わらぬ笑みを、浮かべていた。
「――その割には、随分と光を纏っておいでだが――。果たして真に、
我が傘下となることを望んでおられるのかな――。」
声は、九雷の壇上より聞こえた。見知った、けれども久しく聞いていない、低い声。
いつも、光とともにあった、自分と同じひとを見つめ、守りつづけたひとの声だった。
思わず甘えてしまいそうになる自分を叱責し、これは違う、別人なのだと言い聞かせ、九雷は凛、と言葉を発した。
「恐れながら、今現在では我々は地界に住まえども、傘下には加わらず、
自然竜を拝する身――。故に、礼式の場といえば銀糸の衣と定められております。
されども、此度の儀により受けられましたその時は、この衣も改め、闇をこの身に纏いましょう。」
ざわざわ、とその言葉に周りの悪魔たちがどよめいた。本当に傘下たる心を持っているのか、とあちらこちらから声が上がる。
「――成る程。今は心のみで加わって居らぬが事実。
先に纏うが無礼と見たか――。まぁ、いいだろう。では、その衣を私の方へ渡してもらおうか?」
言い、王はすっと手を差し出す。再び座は緊張を孕んだものとなり、
九雷もこくりと生唾を飲んだ。自分は今、自分たちの礼式故に銀の衣に身を包んでいる。
それを、相手に渡すと言うことは自分たちの文化を、考えを放棄するということだ。
自分で言ったこととはいえ、受け渡した時にもう、言い逃れは出来なくなる。
かと言って、この場を切り抜けることなど、とうてい不可能だ。
――――何言うてんねん。もう、心は決めたはずやろ。――――
心の中で自分を罵る。諦めたと思った。覚悟も決めたと思った。
――けれども、「思った」のみで、本当は、諦めきることなど出来ないでいる自分が、
心の奥底に、けれども確かに、存在していた。
もしかしたら、誰かが助けてくれるのではないだろうか。
もしかしたら、あの時絶望から希望へと一気に転じたように、刹那が、誰かが助けてくれるのでないか――。
そんな、淡い期待を、胸のどこかで抱いていた。
「――どうした?渡せないのか――?」
一秒一秒が実に重く、否。お渡し致します――。と、九雷は返事をし、
震えた指先で、しゅるり、と外套を留める紐を緩めた。
膝をついたままそれを外し、宙で畳んで。高く頭の上へと捧げ持つ。
「――この通り。――」
「持って来い。」
間をおかずに響き渡る、硬い声。ああ、もう。本当に。
――このひとは、吉良ではないのだ――。
そう感じて、胸がぎりぎりと締め付けられた。
重い膝を上げ、ゆっくりと立ち上がり、歩を進める。胸が、痛かった。足が、重かった。
「どうした?――何か含むところでもあるのか?」
強くなる。誰よりも強くと。そう願ったのに関らず、自分のこの様は何だ。
――民を犠牲にしても良いのか?だが、このまま膝を屈したならば、
かつて密偵としての立場であったにも関らず自分を擁した従兄弟はどうなる。
その思いは。今までの王の思いは。戦って来た、皆の思いは――。
何よりも自分は、これで良いのか。本当に?
「――九雷。」
ベリアルの声が九雷を促す。渡すが最後、後戻りなど、出来はしない。
これで良いのか。本当に。
「――私は――。」
唇が、震える。躊躇する自分の姿に、ざわめきが少しずつ、うまれる。
このまま躊躇ってはいけない。民を思うなら己を犠牲にしなければいけない。
心に寄せるのは己の愚かさと、先の王に、英雄たち。
父王のようになりたいと思った。アレクシエルのようになりたいと思った。
刹那のように、生きたいと思った。強くなりたいと、思った。努力だってして来た。
眠る間を惜しみ、武と文を学んで来たつもりだった。それで生まれた結果が、これだ。
果たしてこれは本当に、良い結果なのだろうか。新しい民のためには良い方向に進むのかもしれない。
けれども分かっていた、以前よりも安寧を得られるかも知れぬ代わりに、
自分たちの大切なものを投げ出すことを、分かっていた。
かといって、ここで刃向かえばどうなるか。魔王に刃向かう一派として、
自分たちは為すすべなく、多くの血を流すことは確かだろう。
諦めてしまえ。諦めたはずだ。投げ捨ててしまえば、楽になる。
この、銀の外套を、闇の腕へと。重責も、自分の思いも、全て、投げ捨てて。
――――ちりん、と。窓から投げ捨てた、ちいさな指輪――――。
――――捨ててしまってから、後悔し、涙をこぼして手を伸ばした――――。
――――あきらめて、本当に、いいのだろうか。
本当に、諦めきることが出来るのだろうか。「俺」なのに。
「俺」であることを放棄するなんて本当に、出来るのだろうか?
――――『九雷。私たちの信じる、竜とはね。』――――
耳元に、先王の声が甦る。優しい、穏やかな父親だった。
――――『自然を司る、言わば、自然そのものの存在なんだ。
私たちはそれを崇め、信じる。つまり、それはね、九雷――――』
〈――――どういう奴を好きなるのかは、おめぇの勝手だけどよ。
『そいつになろう』っていうのは、止めた方がいいぜ。〉
――――『自分をね、信じるってことなんだよ――。』――――
頭を上げる。唇を、一度きゅっと引き締めて、玉座を見つめる。
魔界の王は依然変わらぬ冷笑を、かつて親しんだあの顔に貼り付けたまま浮かべていた。
「――俺は――」
引き締めた唇から、言葉を紡ごうとしたその瞬間。背後で、大きな爆音と、爆風が、沸き起こった。
+ To be continued! +
わあい、Aさまだ!
お忙しい中をいつも私たちのためにアリガトウございます。。。
A様キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!
荒れ果てたこのスレに一服の清涼剤。。。
待っててよかったです。
A様の九雷たん、いや九雷様が大好きです。
がんばるお姫様っていいなあ。
A様待ってましたぁ!
これからどうなるのか楽しみです。
>596
抱かれるならやっぱりルシファー!
ウリエル様は×××もビッグサイズなんだろうけど
テクなさそうだとか思ってしまった私。。逝ってよしだ。
おおおお!A様!うれしいでつ〜゜(゜´Д`゜)゜
本当、待ってて良かった!
因みに、抱かれるならばおいらも吉良ですかね〜。
理由は単純に、イイオトコなので…w
皆さん吉良好きですねー。
でも私はやはし弟君のがいいですw
体バランスよくて綺麗そう……
・・・・・・・なによりあふたーが楽しそう。
>>608タソ
・・・最初、やはし弟君を、「はやし弟君」と読んでしまい、
林君というキャラはいただろうかと一瞬考え込みました・・・。
ミカちゃん(・∀・)イイ!!
一度惚れたら、妙にw誠実そうだし
抱かれるならラフィーくん
抱くならミカちゃん
プラス質問をしてみよう。
上にのりたいキャラは誰ですか?
612 :
A:03/08/25 22:25 ID:b8h+jVJ8
>>611 それは男相手にのる、という意味かにゃー。それとも男性向けの質問?
私の場合は自分が乗るよりは乗られる方が良いでつ。
しかし見事にこのスレには男性がいませんなー。(何を今更)
そうして皆さん励ましの言葉本当に有難うよ!
がんがる、がんがるよー!・゜・(ノД`)・゜・
上に乗りたいのは・・・ミカチャンでつ(*´∀`)
乗るんだったらウリエルでw
>612
男相手に乗る、ですね。男が乗るのはある意味デフォですしw
男性いるんでしょうかねえ?
言葉すくなげがらも応援してますがんがってくだちいー!
私はミカちゃんに乗りたいな……
あとで復讐してくれてかまわないから優勢とっていぢめたい。
616 :
A:03/08/27 14:20 ID:JlHuArYV
>>615 がんがりまつ! と、いうわけでざくっと投下。
今日中に書けそうでしたらまた投下を。一気に仕上げたいと思いつつ。
爆風に吹き飛ばされ、九雷は打ち付けられた痛みでうめいた。
微かに開いた目蓋には、壇下にて騒ぐ悪魔たちの姿が映る。
――壇下――?
高くから見下ろす景色に不信を覚え、痛みを堪えながら辺りを見回すと、
赤い玉座が目に入った。どうやら、爆風に煽られ、壇上に上がってしまっていたらしい。
なのだとすると、先ほどの爆発は、かなりの大きさだったのだろう。
しかし一体、誰が。
「どうやら俺が上に立っているのを、快く思わない者たちがいるようだな。
――まぁ、昔からのことだが。」
背後からかけられた、低い声。慌てて振り向くとそこには魔界の王が居た。
彼は全く気にも留めぬようにそう言うと、壇下に起こっている騒ぎをただ静かに見つめている。
賓客たちの座は、実に酷い有様だった。爆発が起こったのはどうやら階下の辺りらしい。
もしかせずとも、自分を狙ったのだろう。ほんの少し前まで自分が居たその場所にぽっかりと
穴が開いているのを見て取り、少し震えた。
あのままあの場所に居れば、確実に自分は命を落としていたことだろう。
だが、何故自分は助かったのか――。偶然だったのか――。不信に思い、
辺りを見回すと、大きく反対方向に吹き飛ばされたベリアルの姿が見えた。
始めに座していた場から吹き飛ばされたならば、
あのような位置に飛ばされることは幾らなんでも有り得まい。
それで、疑問も直ぐに氷解した。
「ベリアル!!」
「放っておけ、あれが勝手にした行動だ。」
言葉に、きっと、振り向いた。
「何でやねん!お前の部下やろ!あんなにも、あんなにも一途にお前のことを
思うて動いた奴に、なしてそないなこと言えんねん!
なして、守ってやろうと思わん!――民を、守ってやろうと思わん!」
「奇異なことを言う娘だ。
ならば問う。この騒ぎを起こしたのも、俺の部下だ。
あれは俺が上に立つことに内心異を唱え、この俺の力を殺ぐことを画策している。
お前ならば如何する。」
「――俺の力が及ばなかったことを、顧み、相手の意を汲む――。」
「それが己の意とする所と異なる場合は?」
ぐっと、言葉に詰まった。ルシファーの言っている事は、
そのまま九雷の行う統治を示していた。
「たとえ相手を理解しようとしたところで、己の意とするところを殺したのでは、
結局意を成す事はない。俺を良しとする者、異を唱える者、そして俺自身の考え――。
今回はあれの意見を取り入れ、好きなようにさせて来たが、
その結果招いたのがこれだ。他者を刺激する結果となった。かといって、
あれの言葉を取り入れなかったのだとすれば、刺激はせずともあれの不満というものは溜まる一方。
対して少しずつこちらの力というものも殺がれていっただろうな。
己の思いを明らかにせずして、どうして歩む道を見ることが出来る。」
悪魔たちは我先へと出口に向かい、青年将校たちだろうか。
衛兵の衣を身を纏った者たちが、わらわらと入って道を示す。
再び視線をベリアルのもとへと戻すと、何時の間に駆け寄ったのか。
黒い外套を身に纏った、見慣れぬ中年ほどの男が彼女を助け起こしているのが目に入った。
「だから早々に衣を渡せと言ったんだがな。」
「え?」
と、その言葉に再び振り返ったところで再び爆音が響き、地揺れと同時に重い、
高い音を立てながら天井のシャンデリアは床下に崩れ落ち、
炎は轟々と音をあげながら赤い絨毯に舌を伸ばす。
椅子は倒され、壁は罅入り、熱気が辺りを覆う。
ここが完全に炎に沈むのも、時間の問題だった。
それでもなお、先刻の言葉について言い募ろうとしたところでぴしり、
という罅入る音が耳に響き、階下に崩れ落ちるかと思ったところでぱしり、
と何者かの手が九雷を掴んだ。
+ To be continued! +
「おい、大丈夫か?」
聞き慣れた、声だった。見上げて、目を疑って。涙が、込み上げて来た。
手ェ、離すなよ。と言う言葉に、こくりと頷き、ぎゅっと腕を、握り締める。
――ああ、自分は、こうして助けられる星の元に、居るのかも知れないな、と。
漠然としながら、そう思った。
引き上げる男の腕は温かく、引き上げられるその度に、赤い髪がゆらりと揺れた。
引き上げられ、男とルシファーは対峙する。
驚くべき侵入者にルシファーは聊かの惑いも見せずじっと男を見据えた。
「――どうやって――。という言葉はその姿を見る限り、愚問か。
その衣に、悪魔の霊気を篭もらせてあるのか。誰の手引きと聞くのも愚問だろうな。
この娘の仲間と、俺の配下とでも手引きしたか。
最後の疑問は『何故お前が』ということだが……。」
言い、唇の端を軽くあげると、詮無きことか――。と呟いた。
そうしてそのまま、踵を返す。
「オイっつ!いーのかよ!それで!」
怒声に、男は振り返る事もなく一瞥のみを寄越す。構わんさ。
と再び男は玉座の向こうを見つめ、背を向けた。
「生憎、俺の欲しいものはそれではないのでな。」
争ったところで得がたいものには労を費やさぬ主義だ。そう言うと、
深き暗黒を統べるその王は、漆黒の外套をはためかせながら、
暗がりの中へと消えていった。
どれだけ、その姿を見ていただろうか。恐らく、
時間にしては一瞬のことだっただろう。二人はしばし消えていったその後姿を
虚に憑かれたように見入り、先に我に返った男の「逃げるぞ」という言葉とともに、
ぽん、と叩かれた肩によって漸く、我に返った。すると疑問と、不安が、
どっと押し寄せてくる。
「待ってくれ!ノイズが――――。」
「ああ、あの姉ちゃんなら無事だ。」
だから、逃げるぞ。そう言い、自分の手を掴み、駆け出そうとしたところで、
ふと、足を止めた。
「忘れてた。ほれ、落としもんだ。」
言いながら、男はポケットから出したそれを、九雷の方へと渡す。
それは、花の香りがする、小さなティディ・ベアだった。
一体どこで思ったところで、ああ、青年将校たちと争った折に、
落としてしまったのだという事に気が付いた。その時のことでいっぱいで、
落としたことにさえ、気付かなかった。
もう、落とすなよ。という言葉に強く頷きながら、
九雷はミカエルの手を取り、炎の中を二人は共に駆け出した。
爆音が、響いた。思うに、計画通りに事が進んでいるということなのだろう。
騒ぎを聞きつけた衛兵達に、広間の方を指し示し、護衛を!道の確保を!と叫ぶと、
気取られぬように、怪しまれぬように、主の無事を願いながら、目的の場所へとノイズは進んだ。
仲間たちの手引きで、「出口」が作られている筈だった。
「――――お前を、信用しろと?」
薄汚れた居室。部屋には窓もなく、簡素なベッドと、食事を取るためのテーブルが
備え付けられている。部屋には扉が二つ。一つが浴室と、手洗い。
もう一つが出入口。だが、これは堅牢な錠によって塞がれており、
手足を縛めるものがないだけ、また、ここが牢獄でないというだけで、
自分が囚われであることに違いはなかった。そうして、今は死を待つ身でさえもあることも。
目の前の男――否、男かどうかさえもそれは知れない。それは、
どこからともなく入り込んだ一匹の蝿。けれどもノイズとてその名は耳にしたことのある、
魔界にその名を轟かす人物に違いはなかった。
蝿はぶぅーん、と不快な羽音を鳴らしながら、やがてぴたり、と盆の上にと羽根を休めた。
《信用しろ、と言っているのではない。手を組まないか、と言っているのだ。》
思念とでも言えば良いのか、その言葉は、空気を震わすことなく直接ノイズの頭に響いて来た。
「私と?お前と組むことによって、お前が益することでも?」
声は、微かに。視線は、盆の上にある食事を。
変わらぬペースでゆっくりと食事を取る。目を蝿の方に動かしはしない。
四隅に仕掛けられたカメラが、自分を見ている筈だった。
《ふん。気付いておる癖にそ知らぬふりを。お前等の王を助けてやる。
手筈はこちらが整える。ただ、兵を貸せと言っているのだ。》
「――我等の兵を、足にする気か。」
《どうせ、従えば奴隷として扱われるだけだ。御主等に道はない。》
「手を組む、というよりもそれでは脅しだな。」
《好きに捉えるが良い。今夜、手引きをして牢を開こう。
適当な者を身代わりとして定めるが良い。》
ぶうぅーん、と蝿は羽を動かす。空気が、不快な音で僅かに揺れる。
《食事は少し、残しておいてくれ。来た通りにして戻るのでな。》
「言われずとも、そうするさ。――お前が入って来たスープなど、
口をつけたくはないからな。」
ノイズは盆を門番に返した後に、溜息を吐きながら、故意に零したスープを布で拭き、
片耳にのみにつけたピアスを一つ、手にとった。
辿り着いたその場所に、思った通りに人物は――いや、「蟲」はいた。
「何処へお行きで?ベルゼビュート様……。」
呼び声に蝿は空中で停止し、くるりとこちらを振り向いた。
「随分と早い段階で姿を消されるものですから、どうしたものかと心配しておりましたよ……。
先の爆発が沸き起こるその時に、席をお立ちになるのですから……。」
《貴様、主を見捨てて……。》
「九雷様は無事だ。生憎、銀糸にて編んだ衣は害を防ぐもの。
完全に防ぎきることは不可能だが、致命傷は防げる。まぁ、一番は其処から逃れることだがな。
あれは代々王が重要な儀にて纏って来たもの。その衣がただの衣と思うか?
我等のうちとて、反逆者が今まで居なかったと?その対策を今まで取って来なかったと?
――そして、私があなたの言葉をすんなり信じたと、思うか――?」
ざしり、と一歩、ノイズは前へと踏締めた。蝿は僅かにたじろぎ、再び空中で停止する。
「――あなたには、やって貰いたいことがある。」
言うと、ノイズは片手で器用にピアスを外すと、微かに呪を唱え、
ゆっくりと掌に乗せた、「それ」を開いた。「それ」はホゥ、と一声鳴きながら
ノイズの肩へと羽ばたき、座す。そうして言葉を、紡ぎ始めた。
"――――お前を、信用しろと?"
"信用しろ、と言っているのではない。手を組まないか、と言っているのだ。"
"私と?お前と組むことによって、お前が益することでも?"
"ふん。気付いておる癖にそ知らぬふりを。お前等の王を助けてやる。
手筈はこちらが整える。ただ、兵を貸せと言っているのだ。"
"――我等の兵を、足にする気か。"
"どうせ、従えば奴隷として扱われるだけだ。御主等に道はない。"
"手を組む、というよりもそれでは脅しだな。"
"好きに捉えるが良い。今夜、手引きをして牢を開こう。
適当な者を身代わりとして定めるが良い。"
"食事は少し、残しておいてくれ。来た通りにして戻るのでな。"
"言われずとも、そうするさ。――お前が入って来たスープなど、
口をつけたくはないからな。"
ホゥ、と、梟は再び鳴いて、嘴を閉じた。
「――御存知の通り、これはひとの思念を記録し、他者に伝える――。
今回のように、他者から直接、思念が伝わって来た時は、
それをそのまま記録にとることも可能だ。――雑念に捕らわれぬよう、苦労するがな。
――あなたには、我等が住まう分の土地を、提供してもらおう。
あなたほどの力の持ち主ならば、その程度、痛くも痒くも無いだろう。」
《――小娘、私を脅すつもりか。――だが、お前が居ない事に気付いたベリアルが
それを知ったところで、果たして我を追い詰めるような行動をするかな?――》
「誰がベリアルにこれを知らせると言った。――私が知らせるのは、
魔王、ルシファーだ。この場合、ベリアルが私をどうしていようと、詮無きこと。」
《――――こむすめッッツ!!!!!!!!!
……だが、だがお前は牢から出、此処に居る。これは取引に応じたという、
何よりもの証拠。私一人、罰されるというようにはいかぬぞ!》
「生憎、私は思念のみで話すという芸当は持っていない。ついでに言えば、私は魔王、
などという大層な身分の悪魔には会った事など、無い。上の人間と話すのは、
あの帽子屋と、あなたが初めてだ。」
天使ならば居るがな。という言葉は自分の心の中に、仕舞って置く。
「私は牢に囚われた人物から、これを受け取ったことにすれば良い。
名前を変えるのもいいだろうな。ボイスという名はどうだ?悪くない。」
くすり、とノイズはひとり、笑む。目の前の悪魔は、この名の意味するところなど、
知らないだろう。ただ、すらすらとノイズから名が吐いて出たことに慄き、
最早たじろぐ事すら出来ずに羽根を宙にて震わせている。
《――――良いだろう小娘、だがな、お前は忘れている。今、
この場で話しているのは――。
魔界の王の座さえ、統べようとする者なのだと言う事をな!!》
ごぅ、と風が唸った。瞬間、呪を唱え再び梟をピアスに戻すと、
無くさぬようにぎゅっとその手に握り締める。宙で受身をとるものの、
したたかに、背は壁へと打ちつけられた。あちらこちらに、血が、滲む。
「その姿では、一撃で命を奪うことは、不可能なようだな。」
《――それがどうした!一撃でならずとも、お前の命を奪うことなど容易い!
寧ろ!じわじわと切り刻んで、蛆どもの餌にしてくれるわ!》
「――それは、御免被る。生憎まだ、死ぬわけには行かないんだ。」
ふっと、笑いながら語るノイズに、何。と蝿はたじろいだ。そこにまた一つ、
爆音が響き渡る。同時沸き起こる、騒ぎ声。こっちだ!こっちに逃げ道があるぞ!
と、一際大きな声が、間近で聞こえた。
「――時間切れだ。去るがいい、蝿の王よ――。」
《――――小娘!約束は、守ってもらうぞ!》
ぶぅん、と、蝿は音を立てながら、その姿を消す。それと入れ代わりに、
御無事ですか!という声とともに、一人の青年将校が姿を現した。
「――怪我が!」
「ああ、大したことはない。――――来てくれたんだな。」
はい。と、ノイズの笑みに少年は答える。
「九雷様の元での爆発を見て、直ぐに。――そうして、お二人の話を、聞きました。」
「――そうして、私の言葉を、信じてくれたんだな。――――有難う。」
そんな、と。ノイズの言葉に少年は頭を振った。礼を言うのは、自分の方です、と。
「――御陰で、目が覚めました。魔族の傘下となるということは、必ずしも、
我等の力となるだけのことではないということを。――そうして、
魔王の御許でも衣を渡さずにいた、九雷様の本当のお気持ちを――。
自分が、恥ずかしいです。――申し訳、ありません。」
「いや、結果として、こうして信じて来てくれたんだ。良い、タイミングだったよ。
遅れていたら、危なかったし、早くても、脅しとならなかっただろうな。」
――声は、「こっちに逃げ道があるぞ!」と言ったのだ。
あの蝿の王は、果たして不信と思わなかったのだろうか。どうして、見もせずに、
それを述べることが出来るのか。この道は、自分たちと同じく、
騒ぎを起こしたものたちしか知らない。そうして、騒ぎを起こした者たちならば、
どうしてわざわざ、抜け道を相手に知らしめるようなことをするだろうか。
示す答え、それは、元より仕組まれたことということだった。
「――記録、どうするのですか?あの蝿の王を、信じるのですか?」
まさか。と、少年の言葉にノイズは笑いながら応じる。
「私は『約束を守る』だなんて、一言も言っていないよ。
本当、お前が来てくれて助かった。……この梟は、お前に預ける。私はこれから、
ベリアルの私邸に向かう。身代わりの子と代わらなくてはならないのでね。」
え!?と、ノイズのその言葉に少年は目をむく。
今更になって何故そんな危険を冒すのか、気が知れなかった。
「大丈夫、手筈は整えてある。外からの手筈があったとはいえ、一度抜け出したのだし、
もう一度入ることに、問題はないよ。
良いか。私は捕まっている。確かに、先ほど私が言ったことをそのまましても、
魔王は特に気にも留めないだろう。だが、ベリアルは別だ。私たちに対する対応が、
少しながらも変わるだろうな。だが、今の私たちからしてみれば、
その『少し』が生死を分ける。ほんの少しの不興も、買うことは賢からぬことだ。
私は捕まっている。つまり、この騒ぎに我々は関らなかったことを意味する。
裏で何が起こったのかは感づくだろう。もしかしたら、お見通しかもしれない。
でも、少なくとも表向きの体裁は整えられる。
捕まった私は、お前のその記録によって、ベリアルから釈放される。
魔王の不信を買うから、せざるを得無い。まぁ、不信云々の前にあの女の性格からすれば、
釈放すると思うが。まぁ、どちらにせよ、結局痛い目を見るのはあの蝿一匹、ということだ。」
「……彼から不興を買うことは、宜しいのですか?」
「恨まれはするだろう。だが、元より信用していない相手のことだ。
それよりも我々は屈せずして、魔王と言う強い後ろ盾を得ることとなる。
あれは王の力を殺ぐことに力を注いでいた。今回のもそうだ。王からしてみても、
それは不快であっただろうな。今回のことが、丁度あれの力を殺ぐ良い機会になったのかもしれない。
もしかして、これを狙ってさえも、いたかもしれないな。ベリアルとて、
本意とは少々異なるが、結果として敵対者の力を殺ぐ結果となった点は良しとするだろう。問題は、ないさ。
……どうした?」
深々と、少年が頭を下げる様に、ノイズは目を向ける。
「――先の折、節穴と罵ったことを深く、お詫び申し上げる。この命、
どうぞ御自由にお使い下さい。」
少年のそうした様に、良いよ。その命、私ではなく、
九雷様のためにとっておけ。そう、あの時自分を罵り、
内通者として乱を起こした少年に向かい、笑いかけた。
+―― To be continued ――+
629 :
A:03/08/27 20:22 ID:JlHuArYV
この後、一気に終幕まで行きます。
今日中に終えるのは無理でしょうから、やはり何度かに分けて。
漸く濡れ場までの舞台が整って来た……。(遠すぎだ)
ごぅ、と。炎は鳴きながら赤い舌を伸ばしていた。
酔ったような眩暈を覚えながらも、懸命に身を起こそうとする。と、其処で、
無理はするな。という声が降りかかった。重い目蓋を開き、見るとアスモデウスが自分を抱き抱えていた。
一体如何したのかと思い、直ぐに、ああ自分は九雷を庇い、
爆発に巻き込まれたのだということに、気がついた。
「――姫君は――?」
「無事だ。――無茶をする。」
別に、無茶じゃありませんよ――。そう言いながら、ゆっくりと頭を振る。
霞みかかった意識が少しずつ確かになって来た。
「ベルゼビュートが此度の儀に不満を覚えていたことは知っていましたから。
何かしら、仕掛けてくるだろうとは思っていました。まさか、直接この場で、
姫君を狙おうとは正直、思っていませんでしたが――。」
猊下が、ああもしつこく衣を求めなければ、不信には気付かなかったことだろう。
そう、ベリアルはアスモデウスに述べた。
「――猊下は――?」
「お戻りになった。他の者たちも逃れた。――何故、あれを助けた。
お前が身を呈してまで、助けるほどのものではあるまい。所詮、
あれも手駒の一つに過ぎなかった筈だ。違うか?」
「――ええ。そうです。――何ででしょう?
私、助けるつもりなんて、本当、無かったのですが……。」
抱き抱え、そのまま、二人は炎の中を、進む。
辺りには二人に構うものなど居らず、炎だけが、囲っていた。――前に。
ぽつり、とベリアルが呟く。
「――前に、私が、彼女の輝く様を求めている、と言いましたでしょう。
多分、そうなのだと思います。私は、見たいと思ってしまった。彼女の輝く様を。
今回のことで、私は彼女を傷つけた。呆然とする彼女は、かつて目にしたときよりもさらに美しく、
私は甘美さに酔いしれました。自分の手にある小鳥の首を、
両の手でゆっくりと締めて行くような甘い感覚、そんな思いに憑かれ、
ああ、これであの娘も終わりなのだと、私はそう、満足しました。
けれども、彼女は折れたわけではなかった。」
炎は鳴いている。ごぅ、と。火の粉は舞う。赤い鱗粉を撒き散らしながら。
「猊下の元に膝を屈し、震えながら。それでもあの娘の心は完全に屈してなど、
いなかった。最後には強く、その瞳で猊下を見つめた――。
――伯爵。私は空飛ぶ小鳥に、恋をしてしまったようです――。」
唇の片端を上げながら、見上げていった言葉に、今ごろ気付いたのか。
とアスモデウスは返した。お前は手の届かないものに恋をする。そういう奴だ、と。
「――ときに伯爵。何時まで私を抱いているおつもりで?私は急ぎ、
私邸に戻らねばならないのですが……。」
「何だ。所用でもあるのか?」
小鳥の同朋を捕らえているのですよ。とベリアルは答える。
恐らく蝿が鳥を手引きしたのだろう、と。
「戻り、確かめて如何する。捕えた鳥を殺めるか?」
「逃れた鳥でなければ、そうしますよ。けれども逃れた鳥、
そのものであるというならば、放ちましょう。」
ほぅ。と、声を上げる。珍しいな、と呟く。
「どうした。その娘にも惚れたか?」
「――いいえ。ただ、どうやら私は、強気な娘が好きなようです。」
くつくつ。と笑いながら答えるベリアルに、では。とアスモデウスは抱きながら言葉を紡ぐ。
「私邸まで送ろう。――俺が求めるのは鳥でなく、ひらひらと手から逃れる憎い蝶だからな。
今、手にある蝶を愛でたところで罪はあるまい。」
その言葉に、呆れたような、許すような、柔らかな眼差しを送りながら、馬鹿ね。
とベリアルが呟くその一言に、悪魔とは、そういうものだ。
とアスモデウスは一つ、言葉を返した。
光届かぬ赤茶けた大地に、乾いた風が、吹いていた。
九雷はミカエルに手を引かれ、ただ、走った。ざわめきに満たされた廻廊を駆け抜け、
仲間たちに会い、つくられた出口を潜り抜け、小高い丘に隠された場所に、
辿り着いた。そこで漸く、一同は再会を喜び、九雷もほっと、頬を緩ました。
一刻も早く、居城へと戻った方が良いという仲間の言葉に従い、その場を後にする。
ノイズの事が最後まで気になったが、無事だと言うその言葉を、ただひたすらに、信じた。
己の住処に戻るまでの間、九雷は誰とも話さず、じっと、己の無力さと、
これからの統治のことを、考えていた。考えるその度に、あの、
魔王の玉座におけるルシファーとの会話が頭に甦って来ていた。
そんな九雷の様子を見て取ったのか、或いは、疲労からか。他の部下も、
ミカエルも、敢えて九雷に話し掛けようとすることは無かった。
住まいに戻り、先ず行ったことは、ミカエルの居室を用意することだった。
皆を労い、とにかく兵を休ませた。民の皆には、ノイズが帰り次第、触れを出す。
また、帰って来ずとも、翌日の夕には執り行う。そう言ってひとまずその場は散会した。
皆の顔を見ていると、一刻でも早く、話し合いたいと言う気持ちが、
九雷の方針を知りたいと言う気持ちが、見て取れた。それでも九雷はただ、
自分を信じて待って欲しいと、はっきりと告げると、皆、それ以上は問わなかった。
天使であるミカエルは当然、事情を知らぬ者たちからは不信に思われたが、
かつて救世主をその場に置き、堕天したとはいえ有機天使アレクシエルを敬い、
捕虜とは言えラジエルを居させた場所である。九雷たちとはいえ、天使を喰らうことはある。
だが、力の弱い者たちに対してで、少なくとも、ありありとその力が目に付くミカエルを襲おう
などという不届き者が居ようはずも無かった。ただ、信が置けるから、世話をするように、
と使いの者たちには告げた。使いは、かつて刹那の身の回りを見ていたものを側にあてた。
ミカエルの方からは、特に異論なく、借りてきた猫のように、大人しかった。
晩。九雷はミカエルの居室を訪ねた。何があったのか、何故、こちらに来たのか、直接、聞きたかったからだ。
ノックの音に、扉は静かに開かれ、話は茶化すこともなく、進んだ。
淀みなく語れる言葉に、また少し、涙が出そうになった。
話を聞き終わると、九雷は席を立ち、互いに休みの挨拶をして別れた。
それ以上の事は、ミカエルは話そうとしなかったし、恐らく話されたところで、
九雷は受け止める余力がなかったように、思った。
己の部屋に戻っても、九雷は床には就かず、窓辺の月を見上げながら、ずっと、考えていた。
――そうして、翌日の朝、ノイズは戻った。
その日もやはり、日の光は弱く、空は深い雲にどんよりと覆われていた。
民は皆広場に集められ、九雷は高くから、民の顔を見渡した。後ろには、
ノイズをはじめ、多くの将が座している。幾多の視線を感じながら、すっと、
九雷は息を吸い言葉を、紡いだ。
「先ずはじめに、皆には不安を感じさせたことを、混乱を、招いたことを、詫びる。
民の者も、幾人か、昨日俺が予定よりも早く、帰って来たことを知る者は、居るだろう。
そうして感じたものも、いるだろう。――――俺は、魔王の傘下に、与しなかった。」
ざわざわ、と、人々は言葉に騒ぎ出す。どういうことだ、という疑問の声も上がった。
「俺は、今までずっと、皆のことを考えていた。どうすれば良いのか、どう動くのが、
一番良いのか。俺は無力なりに、それでも懸命に、動いて来たつもりだった。
けれども、その度に、何が一番正しいのか、分からなくなっていった。
そうして、その度に救世主や、先王の事が、頭を霞めた。その度に、己の不甲斐無さを、悔やんだ。」
声は、急速に静まり返った。誰もが、次の言葉を待っている。そうした、状態だった。
「――だが、他者の真似事を徒にしたところで、何となろう!
俺は、救世主でも、今は亡き父王でもない!他の誰かになることも、
誰かが俺になることも、出来ないと言うのに!そんな、今となっては当たり前のことにさえも、
俺は気付かないでいた!」
そうして、救世主であるアレクシエルや刹那は、そうして父王は、
果たして真に優秀だと、言えるであろうか。
思えばアレクシエルは他者を救うが故に痛いほどに己の身を犠牲にしたし、
不器用なまでの優しさ故に、多くのものを狂わせた。刹那は強烈なまでの光を放ち、
多くのものを惹き付けながらも様々なことに彼は苦しんだし、多くの犠牲をも、払った。
その度に彼とて煩悶し、涙してはいなかったか?九雷の知る、偉大なる父も。
従兄弟を身代わりとし、多くの闇を、笑顔を向けながらも、その背に背負って来てはいなかったか?
――英雄の、英雄たる光ばかりを自分は追い求め、その影を、今まで見ずに、いなかったか?
「こんな言葉は、傲慢かもしれない。だが、俺は皆に告ぐ!俺は、他でもない、
誰でもない。俺という名の王になると!そうして皆も、知って欲しい。我々鬼と呼ばれる一族が、
元々何であるか、ということを。
我々が崇めるもの、それは、皆も知っての通り、竜だ。そもそも我等は人間たちからは時に神と崇められ、
時に悪魔とされ、時に、零落した小さな存在として捉えられる、存在だった。
それは何故か。人々にとって、我々は時に益神となり、時に、災神となったからだ。
では、王たちの信条が変わっていたか。違う!我々は常に一つの元によって動いていた。
それは、自然の理であり、他者から押し付けられたものではない、長い年月、俺たちが受け継ぎ、
子々孫々にと伝えて来た、身体の其処から培われてきたモノだ。我々の本質は自由であり、
決して何者にも、屈さない!もし、ここで!
もし、魔王に、天使に仕えたいというものが居るのであれば、止めはしない。
仕える、仕えないも個人の自由だ。だが、俺は手を組みはすれ、
支配はされないと言う事を皆に告げよう!俺を支配するのものは誰でもない、
俺自身だからだ。そうして、それは皆にとってもそうであって欲しい。
皆、己のみを支配者として欲しい。俺は、支配するのではない。
行くべき道の建策をするだけのことだ。そうして皆、俺を、己がために助けて欲しい――。
俺は、俺の思うが為に努力をしよう。俺の思う道とは、ひとにより、
異なるかもしれない。だが、これだけは信じて欲しい。
俺は、皆の笑顔を、平安を、心から望んでいるのだと!」
歓声が、湧き上がった。九雷様!と呼ぶ声に、王と賛美する言葉、
場は、一斉に興奮に包まれた。九雷は観衆を眩しいような目で見つめると、そっと、笑んだ。
会議室に戻り、九雷は配下の者たちにも、語りかけた。
「皆、ほんまに今回は苦労掛けた。だが、今のが俺の気持ちや。
何者にも、屈しはせえへん。きっと、これからも色々あることだろう。
皆、良ければ、思うがように俺を助けて欲しい。」
きゅ、と。ポケット越しにある、縫いぐるみに九雷は触れた。
ずっと、自分は助けられてばかりだ。色々なひとに、思いに。
今までの自分であれば、その思いを懸命に返そうとしただろう。
貸し借りをゼロに、するように。だが、今は違った。それに甘えよう。
だが、自分も出来範囲で、それに答えようと。
そもそも、人の好意を、どうして無に帰すことが出来ようか。返礼の値なぞ、
ひとによって様々だというのに。恩を返し切る事など、初めから不可能だというのに。
感謝の気持ちを、忘れるわけではない。受けるのであれば、自分も同じように、
出来る範囲で与えれば良い。――今、この場で自分を支えてくれている皆が、
助けてくれている皆が、もしかすると、かつてミカエルの言った「お前の良さ」
というものなのかもしれないな、と、そう思った。
「――本当に皆、有難な――。」
ぼうっと、ソファに横たわり天井を見つめていると、軽くノックをする音が響いた。
何かと思い返事をすると、失礼します。という言葉と共に、ノイズと呼ばれる、
あの眼帯をした女が入って来た。
「退屈をしていないかな、と思って。」
的を指したノイズの言葉に、軽く身を起こし、ミカエルは口篭もりながら、
別に、いいよ。と答えた。ノイズは持っていた茶器をテーブルに置き、
軽い湯煙をあげながら駱駝色の茶が、カップに注がれる。蜂蜜の香りを含んだ、
甘い香りが室内に広がった。
「俺が望んで来たわけだしよ。……別に、いいさ。
あの様子なら、九雷も平気そうだしな。」
言いながら、ノイズが手渡したそれを受け取る。口に含んだそのお茶は、
初めて飲む味ではあったが、妙に舌に馴染むものがあった。両の手で、それを包み、
もう直ぐ、帰るしな。と呟く。言葉を聞き、――有難う御座います。と、掛かったノイズの言葉に、あ?と問い返す。
「主からだけでなく、私からもお礼申し上げます。本当に、有難う御座いました――。」
「良いって、別によ。」
こくん、と茶を少しずつ、飲み下す。未だ熱いそれを一息で飲むことなど出来ず、
ノイズの言葉が、妙に照れ臭く、妙に場が、居心地悪く感じた。
「もう、お帰りになるのですか?」
「ああ、ここにずっと居んのも悪りぃだろ。下手に騒ぎを起こすのもマジィし。」
その言葉に、何やら少し、ノイズは躊躇しているようだった。
言おうか、言うまいか、少し、考えた後に、やがてゆっくりと、口を開いた。
「――今宵、宜しければ、九雷様がこちらをお訪ねしたい、とのことです。
不都合がないようでしたら、何か飲み物や軽食などを、
夕に運び入れようと思うのですが、宜しいでしょうか?
――晩に、人を呼ぶことは出来ません故――。」
それは、普通に捉えたら妙な申し出だった。ミカエルの居室は、
寝室、浴室、リビングとかなり大きな部屋のつくりになっているが、
それでも居室にはそれぞれベルがつけられ、何時でも用があるときは呼んでも良いと、
そう初めに九雷から言われていた。それに何より、飲み物など必要ならば、
九雷が来たときに他の者に持って来させれば良いではないか。あの娘ならば間違いなくそうするであろうし、
わざわざこのようなまどろっこしい手段をとりはしないだろう。
その意味するところは何か。――駆け引きに疎いミカエルながらも、
それが何であるか、予想がついた。――恐らく、そういうことなのだろう。
分かった。と返事をすると、ノイズはどこかしらほっとしたような笑みを浮かべ、
遅くなると思いますので、どうぞ先に湯浴みを済まして下さるよう、
お願い致します。と告げて、部屋から出て行った。残されたミカエルは、
こくん、とまた一口、手にした茶を乾いた喉に潤わせた。茶の熱さだけでなく、
体までも、火照って来ているようだった。
+―― To be continued ――+
640 :
A:03/08/28 14:37 ID:VFYhMy1R
100突破おめでとう自分。お付き合いして下さる皆様、本当に有難う御座います。
何だか最近、スレ独占状態で誠、申し訳ない……。
でもここまで来たらきっちり完結させるのが役目だと思うので、
もう暫くお付き合い下さいませ。あと、三場面制作したら、終了です。
その三場面というのも、長いので今日中にはまぁ無理そうですが……。(汗)
読んでいて、辻褄が合わない点もあったと思います。どこが辻褄合わないのか、
自己申告しようかなとも思ったのですが、ここで水をさすのもどうかと思ったので、
一先ずはお気になさらず、お読み下さる様お願い致します。
自分、推理小説は書けないなぁ……。と苦笑しつつ、今回はこれにて。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
連載百回突破オメデd!
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
キー━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ ター!!!!!
頑張ってください、頑張ってください。ぎゃーす!
うわ(やられた) 続きがぜひとも早くみたいです。
それにしても原宿編サンはほんとにだいじょぶなのかしらん?
最近めっきりお見かけしませんですね・・。
あん、なかなか書き込めない……
642 :
A:03/08/29 15:29 ID:y97OcCis
>621
有難う御座います(ノД`)ホロリ
「あともう少しだー!頑張れ自分!」と己を叱咤しつつ書いております。
本当、原宿タンは大丈夫なのですかね?
ただ単に、筆が乗らないというだけなら良いのですが……。
そうして本日も続きをUP。これで残り、二場面です。
ミカエルの部屋を出、己の居室へと戻ったノイズはトントン、
と打ち付けられる音に、気付いた。見ると一匹の白い鳥が窓辺に留まり、
嘴で硝子を叩いていた。見覚えあるその鳥の姿に、ノイズはふわりと笑みを浮かべると、
歩み寄り、窓を開いた。
鳥は、ぱたぱたと羽を動かし、やがてぴたり、とテーブルの上に、止まった。
『お久しぶりです。そのようだと、上手く行ったようですね。
ミカエル様より聞いていましたが、先ずは御無事で、何よりです。』
鳥の声は、ラジエルのものだった。ノイズは鳥に向かい、椅子に腰掛けながら、
皆様の御陰です。そう、告げた。
「皆様が助けを出してくださらなければ、きっと、
我々はこうしてこの場にいることも、叶わなかったことでしょう。」
感謝の念は言葉尽きない。そう語るノイズに、いえいえ。と、鳥は答える。
『貴女からの知らせが無ければ、我等とて出来ることはありませんでした。
貴女が、あの時見せてくれた梟が、九雷様のベアを持ち、語って下さらなければ、
我々は動くことなど出来ず、結果、互いに民への負担は増すものとなっていたことでしょう。
これは、貴女の機転がもたらした事です。我等だけのものではありませんよ。』
――そう。あの時、ベリアルから電撃を喰らいながらも、
ノイズは必死に意識を保ちながら己の思念を梟に込め、落とした九雷のベアを咥えさせ、
天上まで助けを呼びに行ったのだ。梟がそれまで持つか、果たして、無事に届くか。
届いたとしても、自分の言葉を信じ、救援を呼べるのか――。奇跡があるのだと言うならば、
それに賭けるしかなかった。ノイズはただ、祈った。崇めるべき竜でもなく、
魔王でも、ましてや神などではなく。ラジエルたちが応えてくれることを信じて祈り、そして、助けは来た。
知らせが届いたのはベリアルに捕えられ、数日が経過してのことだった。
外からだと、自分の居室に小さな鳥の置物が、手渡された。
どこから見ても何の変哲もないそれを、兵たちは疑わなかったようだ。
いや、不審には思ったことだろう。だが、それが何であるかは分からなかった。
片手の掌にすっぽりと収まりそうなそれを自分に渡すのに、大した額は必要なかったことだろう。
それをそっとベッドのシーツに隠し、夜、眠る折に密かに話した。現在の状況。
自分の考え。出来るならばもう一匹鳥を仲間のところに送り、連絡が取れるようにして欲しいということ。
兵に関しては必要なかった。とにかく必要なのは仲間の心を引き戻すことであり、
連絡が取れない現在の状態を打破さえ出来れば、どうにか希望というものは見えて来た。
ベリアルは九雷を傘下に加えるための儀式で忙しいのか、特にノイズに構う気配はなかった。
――もしかすると、この時点からベルゼビュートからの妨害工作を暴くので、
懸命だったのかもしれない。
どちらにせよ、ラジエルから直接兵を出されることは期待していなかった。
勿論、優秀な者となれば、是非とも助けの手は欲しかったが、先の大戦によって
自分たちと本当に割り切って、上手く事を進めそうな人物となると、
ごくごく一部に限られており、その一部とは天界の上層部のものであり、
彼らが動けよう筈も無かった。だから、ミカエルがこちらに来たいという言葉を聞いて、心底、驚いた。
『手筈はこちらが整えます。本人たっての希望なんです。』
『頼むよ。このままじゃあ、ミカちゃんがこっちで暴れちまう。』
頼み込む二つの声に、どうして否と答えることが出来るだろうか。
ノイズはその言葉に承諾し、ミカエルとの連絡をとった。
会議室にて起こった九雷との喧嘩や、先の諍いが頭を霞め、不安を覚えることもあったが、
彼は実に大人しく、こちらの言葉をただ、素直に聞いた。
そうこうして、ノイズは無事、九雷を助けることに成功した。
自分も無事釈放され、ベルゼビュートも近々間を置かずして何らかの裁きが下ることだろう。
「――今回は、色々な人々に、助けられたように思います。
私の機転と仰いましたが、それだけではない。本当に、様々なひとの力によって、
ここまで来れたのでしょう。」
もしも、あの時偶然ラジエルが『鳥』の機能を説明していなければ、
こうして上手く連絡をとること等、出来なかったことだろう。そうしてもし、
連絡を取れたとしても、果たして信じて貰えただろうか?梟など、何処にでもいる。
ノイズの見せた梟がそれと気付いたにせよ、そうも危険を冒すことが出来ただろうか。
九雷が落としたベアの縫いぐるみ。小さな、とりもとめない存在。だがそれがあったからこそ、
その確証を確かなものとすることが出来た。九雷が大事に、身につけていなければ、
拾うことは出来なかった。九雷がラファエルの居城にてそれを受け取っていなければ、
そもそも、それは存在しなかった。――不思議な縁のつながりとは、こういうことを言うのだろう――。
「我等の口から、『優しさ』というのも妙な話かもしれませんが、
それによって、助けられた思いです。」
鳥は、静かにノイズの話を聴いている。ややあって、ゆっくりとその嘴を開いた。
『――昔、まだ、僕が候補生であったころ、僕は浅はかな親切によって、仲間の命を奪いました。』
言葉はひどく静かで、けれどもゆったりと、染み渡る。そんな抑揚だった。
『その頃、僕は一途に、ただ人を信じることは、優しいことは良いことだと、
そう、思っていました。皆、本質はそういうものなのだと、思っていました。
けれども、哀しい事実というものは確かにあって、本来優しかった人々が、
傷つき、他者まで傷つけるようになってしまう、どうしようもない悪意というものも、存在しました。
僕はそんなことに気付かずに、ただ、一辺倒の見方しか出来ないでいた。
――それから、沢山のひとも、傷つけてしまいました。大切なひとも、失って、
今の座についたものの、煩雑とした仕事に追われて、本当は少し、
ノイズさんの話に素直に従うのに、躊躇いを覚えました。
――今回のことで、一番初めに判断を下したのは、ラファエル様と、ミカエル様なのですよ――。
――僕は少し、失うことが怖くて、信じることに躊躇いを覚えていたようです。』
ひとは――。と、ノイズはその言葉に応えた。今は失われた片目に、そうして、
片翼のことに思いを馳せながら。
「ひとは、信じて、裏切られて。失って――そうして少しずつ、
見えるようになってくるのでしょう。自分が眼を閉じない限り、
本当に信じるべきもの、大切なものが。今回は皆の手によって、
それが示されたような、気がします。」
――有難う。と、鳥から語られた言葉に少し、ノイズは微笑みながら、
こちらこそ。と、言葉を返した。
+―― To be continued ――+
あと二場面かーとうとうおわっちゃうのかー。
うれしいやらさみしいやら。
がんがれAたま。
648 :
A:03/08/30 00:34 ID:04DzYJSW
>647
嬉しいことを……。
えーと、二場面とのことですが投下は幕引きの余情を持たせるために、
一度で終了させるつもりです。つまり、次回でお仕舞いです。
現在、二場面目の後半を制作しているところです。
今日中……(つーか、もう明日ですが・汗)はやはり無理ですが、
多分、上手く進めば明日で最後になると思います。
皆様あと少し、お付き合い下さい(ぺこり)
649 :
A:03/08/30 03:07 ID:04DzYJSW
無理かなー。
と思ったのですが……書 き 上 が っ ち ゃ い ま し た v
と、言うわけで投下します。量が多い上に、最近広告の被害がないので一旦あげ。
ゆっくりと、二回、扉を叩く。胸が、凄い勢いで早鐘を打つのが嫌でも感じた。
扉が開かれるまでの間、所在なげな手で、己の銀髪を梳いていると、やがてゆっくり、扉は開かれた。
「……入れよ。」
扉の向こうに見えた人物に、安堵しつつもまたさらに、緊張する。
少年も浴用を済ませたのだろうか。赤い髪は幾分か水気を含んでおり、体からは、妙に爽やかな、香りを感じた。
部屋に入り、座を勧められ、言われるがままにソファに腰を掛ける。
何か飲むかという言葉に軽く頷き、氷が入った二つのグラスに、アルコールを含まぬ果実汁が注がれた。
それを渡され、ミカエルは対面したソファに、座る。銀の器に氷がからん、と鳴った。
「あの、な。」
言いたいことは沢山あった。感謝の思いも、沢山あった。だが、
それ以上に相手に告げたい言葉が、確かにあった。
「まずは、有難な。助けてくれて。ほんま、嬉しかった――。」
だが、それを告げるのには躊躇いがあった。いい加減な女だと、
そう思われはしないかと、そんな不安が、拒否されるという思いの前に、あった。
ここに来るその前から、何と告げれば良いのか、身を清めながらずっと、考えていた。
浴槽に浮かんだ色とりどりの花弁が、少し、胸に染みた。考えて、結局、自分の言いたい言葉で、言うことに、九雷はした。
「――俺、今までずっと、色々なひとに守られてきた。
親父だとか、仲間だとか、アレクシエル様だとか――刹那とか。
はじめて、アレクシエル様に出会ったとき、俺は、『この人を守るために、強くなろう』って、
そう思った。多分、それが俺の初めての、憧れやったと思う。
刹那に会って、俺、『女は素直に守られとけ』って言われたわ。
なんちゅー失礼なやつやと思いながらも、俺は嬉しかった。でも俺はやっぱり、
刹那のために何かしたい。そう思って、また勝手に行動を起こした。
ずっと守られとんのも、癪だったしな。――そんで、また、――守られた。
それからより一層、俺は強くなろうと決意したけど。」
そこで、九雷はくすりと笑った。ミカエルは、静かに自分の話を聞いてくれている。
どう思っているのかは知れない。でも、自分の話を真剣に聞いてくれているのは、容易に知れた。
だから、九雷も伝えた。
「――こんな事言うのも、妙なことかも知れん。なんせ、天使と悪魔やし。
でも、な、あの時、地獄でお前の手で引き上げられて、俺、思うたん。
――――俺、お前に守られたい――――。」
じっと、ミカエルの目を、見つめた。ミカエルはその琥珀の瞳をいっぱいに広げ、
驚くようにこちらを見ている。その様子に、慌てて九雷は言葉を付け足す。
「勿論、俺を守れっちゅーことやないねん!お前やて四大天使の一人やし、
俺とて一族のことあるし!ただ、なんちゅーかな!その、お前の腕に……。」
言い掛けて、恥ずかしさで言葉に詰まった。体の熱が、急速に高まって行くのを感じる。
俯き、自分の膝を見つめていると、ふいに、体が傾き、抱き締められるのを感じた。
見ると、何時の間に移動したのか、ミカエルが隣に座り、自分を両の腕で抱き締めていた。
「……こうしていて、いいのか?……」
耳元で囁かれた、緊張を含んだ声に、こくり、と頷く。おずおずと、
自分も腕を伸ばし、ミカエルの背を、包み込んだ。
どれだけの間、互いに無言でそうしていただろうか。
やがて九雷を抱き締めていた手はそっと頤へと動き、軽く上を、向かされた。
何も言わず、承知したかのように目蓋を閉じると、静かにそれは、九雷の唇に、落とされた。
軽く触れるようなくちづけは、音も無く、ぎこちなく、けれども優しく、柔らかく。
数度目に触れたときに、傾いだ体は、ソファの上に倒れた。また、少し二人は離れ、見詰め合う。
九雷は腕を伸ばし、ミカエルの頭を引き寄せると、耳元で囁くように呟いた。
いいのか?と問い返したミカエルに九雷は微笑み、彼は九雷を抱き上げると、
己の寝室へと、向かって行った。
――――俺をな、もろうてくれへん――――?
とさり、と柔らかな寝台に横たえられると、言葉を確認するように再び二人はくちづけを交わした。
ただ、それは先ほどのように触れ合うだけのものでなく、くちり、という音と、ふ、んっ。という九雷の声が、寝室に響いた。
その、声さえも吸い取るように、舌は動き、ゆっくりと唇は項へ、手は、
九雷の服へと動き、解いていった。さらさらという柔らかい手触りのする衣の下には、
白を基調とした清楚な刺繍を施した衣が覗く。浅黒い肌と対照的なその様に、
ほんの少し、酔うかのような興奮を覚えつつ、胸元にある留める紐を、解いた。
その様を、何と言えば良いのか――。
以前見たその時は、抱くことのみで、こうして見つめるようなことはしなかったが、
それでも胸に強くその光景が焼きついたのをミカエルは覚えている。確かに綺麗と思ったその様は、
それ以上のものとして、今、目の前にあった。ちょっとした感動をもって見つめていたところ、
九雷から、明かりを消せと、非難の声があがった。
「ンだよ。いーじゃねェか。」
「……良ぅないわ!恥ずかしいやないか!せめて寝台の上ののみにしぃな!」
噛み付かんばかりの勢いに、渋々体は動かさず、指先だけで寝台に灯る仄かなランプの火の他に、
ふっと光は掻き消えた。綺麗なのに。というミカエルの言葉は、……阿呆ぅ。
というどこかしら照れを含んだ九雷の言葉に、掻き消された。
頂きを含む。ちぅ、と音をたてて吸うと、ぴくん、と九雷の身体が動いた。
じっとりと舌を動かし、手は休まず下の方へと動き、衣を剥がす。新たに肌が晒されるその度に、
唇は肌をなぞり、腹部の方へと降りてゆく。思うが上に衣は比較的安易にするすると解け、
九雷を覆うのは、最後の薄布一枚、となった。それも両腰にある紐をするり、と解き、
銀の茂りが露わとなる。そうっと、そこに手を伸ばす。その瞬間に、
ぴくりと九雷が強張らせるのが見て取れ、大丈夫か?と声を掛けると、
少し、怖かっただけや。……大丈夫。と、震えた声で応じたので、再び優しくくちづけをし、
そっと、そこに指を、挿し入れた。
挿し入れた指先からだけでも、そこはずっと熱をもっていることに気がついた。
温かく、なぞり、ゆっくりと動かす度に九雷は震え、そこはじんわりと水で滲んだ。
九雷の呼吸が幾許か乱れ、顔を背けているのを見て取って、膝を曲げ、そこに舌を、挿し入れた。
んぁ!と、声が上がった。構わずそのまま、指で広げ、舌を動かす。
ほの暗い明かりの下で見るものの、そこはまるで花か、何かのようで、驚くほど、
やわらかな桃(とう)の色をしていた。
「やァ!……おまえ、なに……しとるん!?」
喘ぎながらの九雷の言葉に、黙ってろよ。とミカエルは答える。
汚いやないかァ!という言葉には、風呂、入ったんだろ?と平然として返した。
またしても呟かれた、あほぉ。と言う言葉は、泣き声が幾許か混じっており、
図星でもあろうその様に、ほんの少し、ミカエルは笑った。
九雷の身体からは、柔らかな花の香りが、していた。
室内に響く水音が、ひどく淫靡なものに聴こえた。下半身から、腹部から、
押し寄せてくるような熱い感覚。九雷は、自分全てが外に溢れて出すような感覚に、
思わず足元を見つめたくなったが、どうしても、それを正視することなど、出来なかった。
自分の膝元に見える、赤い髪。ちらりと見たその瞬間に、恥ずかしくて、
その後は固く目蓋を瞑り、同じように、シーツをきゅ、と握り締めた。
――そうして、押し寄せてくるような感覚に、一瞬、頭が真っ白になって――膝の力が、
否、全身の力が抜けて行った。
くらくらと、眩暈を起こしながら、荒く息を吐いていると、ゆっくりと、
ミカエルが身を起こすのが見えた。膝立ちになり、視線は九雷を見つめるそのままで、
乱暴に己の服を脱ぎ捨てる。服から下には、龍の刺青で彩られた、引き締まった筋肉が、見えた。
それは、ちらちらと揺らめく橙(とう)の炎に彩られ、まるで、空を翔けているかのようだった。
――ああ、自分はこの龍に、これから喰われてしまうのだな、と、そんな錯覚さえ覚えたが、
不思議と恐怖というものは、なかった。荒れた息も、少しずつ落ち着き、
寧ろ、何か神聖な儀式をするかのような、静かな心が、広がっていった。
ゆっくりと、覆い被され、なるたけ、優しくする。という言葉にひとつ、頷き。
そうしてそれは、入って来た。
その、痛みを。果たして何と言えば良いだろうか。数々の戦で、
痛みには慣れている方だと思う九雷だが、今までに受けたどんな痛みとも、
それは全く異なる痛みだった。唇を噛締め、堪えようと思ったものの、堪えきれずに涙が溢れる。
けれども突き飛ばす事など出来ず、腕は、離れぬようにとミカエルの背を、強く、掴んだ。
その様子を見て取ったのか、九雷。と己を慮る声に、顔を向けると、彼とて辛いのだろう。
眉を顰め、多くの汗を流しながら、それでも九雷を気遣っていた。何時もと違い、
余裕なさげなその様に、ほんの少し笑って。――そこで、押し入られた身体に、九雷はうめいた。
身体が重なり、一つとなって。「すまねえな。」とミカエルは詫びた。
先ほどのことを、言っているのだろう。掠れた声で、ええよ。と笑い。もう少しだけ、
こうしていてくれるようにミカエルに告げると、彼も動かず、二人はそうしてそのまま、
抱き合っていた。――しばらくして、ミカエルの頬に手をあて、うごいてええよ、と告げると。
逆に彼の方が目を丸くして驚いた。良いのか?と問い返された言葉に、
痛いけど……動いて欲しい。と告げる。また、悪ィ。
とミカエルは九雷に詫びるとゆっくりと――動き、出した。
それは、快感とは程遠いものだった。動くたびに痛みが押し寄せ、涙が、
とめどめもなくこぼれ落ちた。息は絶え絶えとなり、苦しさだけが、喉を覆う。
それでも逃れず、受けたのは――そうしたいと、ただ、そう思ったからだった。
守られたい、腕の中にいたい。――――与えたい。それは、辛いことかも知れなかったが、
嫌なことではなかった。ミカエルの背に腕をまわし、必死に彼にすがりつきながら、
押し迫った九雷!という彼の言葉に、ええよ。と告げて――より大きな波が、九雷を襲った。
体重をかけぬように、肘を着き、残る力で己のものを引き抜いた。
瞬間、九雷はうめき、どろり、と白濁とした液体と共に、薄赤いものが伸びて、散った。
それは真っ白なシーツにじんわりとした染みをつくり、今宵の証を、知らしめた。
「九雷……。」
相当、辛かったであろう。女に声を掛けると、息を荒げながら、
女はゆっくりと眼を開いて、自分を見つめ、少し、辛そうながらも、
それでも、笑って、言った。
――――ええんよ、すき、なんやから――――。
その声と、ブルーサファイアの目を見て――――今、そこにいる女を、ミカエルは強く、抱いた。
何や、自分。泣いとるん?――――変な、奴やなぁ――――。
そう、小さく笑いながら自分の髪を撫ぜる九雷を、失せぬようにと、強く、抱いた。
白を基調とした部屋に、薄いレースのカーテンが風にゆらゆら揺れていた。
部屋に入ったその時に、飛び込んできた白い翼と、赤い髪、それで一目で、誰だが知れた。
「よ、遊びに来たぜ。」
「遊びに来た……ってミカちゃん……。」
先の問題が解決したことは、ラジエルの報告から聞いてはおり、
ミカエルが天界に戻ったことも、人づてに知ってはいた。
だが、あれ以来彼と会うのはこれが初めてであり、
何の知らせも寄越さずに押しかけて来た、何時もと変わりない彼の姿に、
聊かラファエルは驚いた。唐突だなぁ。と声を洩らすと、文句あんのか?
どーせ暇だろ。と返され、ひょこんと彼は窓辺から室内へと、飛び降りる。
そのまま歩いてソファに腰掛けると、「茶は?」と横柄な態度で彼に催促した。
何時もと変わらぬ、昔ながらの彼が居た。ああ、はいはい。待っていなよ、
と上着を側に掛けながら、外室にいるバービエルにお茶を頼む。
ネクタイを解き、テーブルの上の書類をまとめ、置かれた本を本棚に仕舞おうと本棚に足を動かす。
すると、ミカエルが珍しく書棚の前に立ち、本の列を眺めているのが見て取れた。
「何か読みたい本があるなら、取ってあげよーか?」
口端に笑みを浮かべながらのその言葉に、んや、いい。とミカエルは応え、ひょい。
と本を一冊、手に取った。ぺらぺら、と本を捲り、本を返す。そうしてまた、本を取った。
どうやら中身がどんなものか、見ているようだった。隣に並び、自分の手のした本を、
書棚に戻す。と、そこで、気がついた。
「――――ミカちゃんもしかして――背が伸びた?――――」
「やぁっと気付いたのかよ、バァカ。」
ミカエルは顔を向け、晴れやかにそう笑うと、再び目を書物の方へと戻した。
ぺらぺらと頁を捲る。文というよりも、絵を見ているようではあったが、
バービエルが入って来たその時、本は戻さず、そのまま手にしてソファに戻った。
しばし、呆然とし、バービエルの言葉で漸く我に返ったラファエルは、
同じように対面してソファに腰掛け、差し出されたコーヒーを啜る。
ミカエルはいつもと変わらぬ様子で、バービエルと下らぬ談笑を交わしている。
それは今までと変わらぬ、光景だった。
だが、ラファエルの心には、何時ものようにそれを見守る余裕はなく、
彼の心には、ある一点の問題で大きく荒れていた。
『困ったな、もしかしたらミカちゃんを「チビ」って言えない日が来るんだろうか――?
ああ、困った。部屋とか船は荒れなくなるけど、何だかとても困ったな。
違う手段を見つけなくちゃなぁ……。』
ラファエルの心中をよそに、目の前の二人は相も変わらずわけの解らぬ、
不可思議な話で花を咲かせている。ラファエルは再び軽く、コーヒーを啜った。
変わらぬ銘柄である筈のそのコーヒーは、何時もと違う、味がした。
+ Fin +
こ ん な 時 間 ま で 起 き て て よ か っ た ー
Aさま。愛してます。ホントです。嘘じゃないです。
えー、一言叫ばせていただきます。
キャー−―−−ー−-−−−−−-−−−−−−−−−
(ろくでもねえ感想だな・・)
659 :
A:03/08/30 03:42 ID:04DzYJSW
……終わりました。これでお仕舞いです。応援して下さった皆様、
ほんとーに長々としたお話にお付き合い下さり、有難う御座いました!
今、制作ファイルを見たら123KBもありましたYO!
普段12〜25KBのモノを書いている自分からしたら長すぎです。異様なブツです。
何だか自分でも感慨深いモノがあるので、諸感想を。
先ず、
>>64女史
>ミカエルの遅すぎる思春期が始まってたとかどうでしょう。
この一言で書く気が沸き起こり、止せばいいのに、
この話を「少年と少女の成長物語」とする事を決定。
この一言が無ければ書きませんでした。ってゆーか、書けませんでした。
64女史に大きな感謝を。
660 :
A:03/08/30 03:53 ID:04DzYJSW
SSを書く上で一番気を使うのが、「そのキャラらしさ」というもので、
今回特に基盤に置いたのが「地獄の花嫁」編です。あの流れを想定しつつ、
由紀香織里先生らしく〜!と思っていたら、伏線をそれはもうあちらこちらに張る羽目に。
書きながら自分で間違えたり。慣れないことはするものじゃない、と反省しました。
ほんのすこーしでも由紀先生の絵で動いてくだされば光栄の至りです……。
キャラクターの方は、ノイズとかちょっと賢く、強く書きすぎたかなぁ。
とも思ったり……。コミックスが手許にないもので、読み返していればまた、
捉え方が違っていたかも知れません。
とにかく、精も根も尽き果てた感じですw
しばし、SS制作はお休みをとりつつ……応援してくれた方に、
そうして何より由紀香織里先生に大きな感謝を。
>>658 こ ん な 時 間 ま で 起 き て る 人 が 居 た ー !
驚きました。即レス感謝。愛されちゃったvキャv(……ゴメンナサイ)
うふふふふ。何回読んでるんだ自分。
いやあ、……いいっス。昨晩はちょっと興奮しててろくでもなかったですが、改めて
言わせていただきます。
萌 え
超ッ 萌えました。ありがとうございますAさま。感謝したいのはこっちですよ。
ミカ九でずーっと夢見てたんだけどまー、こんなにレヴェルの高いSSを読めるとは思いもよらで。
こんなに萌えを提供していただいてAさまには低頭平伏の至りでございます。(意味不明)
そして四ヶ月にもわたる連載お疲れ様でした。
AさまのSS読めなくなるのさみしーです。
お疲れがとれて、お仕事が暇で、気が向かれたらまた何か書いて読ませてください。
最後にもーいちど。ごくじょーの萌えをありがとーぉAさま!
662 :
名無しさん@ピンキー:03/08/31 23:09 ID:WZW50dAz
何でこんなに人がいないんだろう……。
age。
A様ありがとうございました。
九雷の成長ぶりがなんだか嬉しかったです。
他のキャラも色々成長してる感じで、
シリーズが完結しても、キャラのその後はちゃんとあるんだな〜って感じで、
…自分でも、何言ってるんだか意味不明ですが;
とにかく、とても楽しく読ませて頂きました。
よかったらまた書いて下さいね。
うしゃ。しゅーりょー。
やっと終わった、編集作業ー。
ミカ九小説を一気にまとめましたv
やっぱりスレだと読み直しづらいんで。
これで楽になんども読み直せるぞー
ラァァッキィ!
さっき見つけたおかげで最後まで一気に読了です!
エロパロ板にはめずらしい、きちっと作りこまれた感じで
面白かったです。
ありがとうございましたー!
下がり気味age。
あらたな神の光臨はいつかなー。
原宿編さまは真面目に大丈夫なのだろうか……
なにごともなければいいのだけれど。
>>666 いや、ぜんぜん上がってないんですけど。
神々のご加護が無ければ滅びるのみ。。。
668 :
名無しさん@ピンキー:03/09/05 01:46 ID:DkH3hLrc
>667
あ、ホントだw
しかも投稿された記事読み直したのに気づきもしなかったw
d。
改めてage。
だぁれかかーみさーまこぉないーかなぁー♪
場つなぎにネタふっとこ。チェックしてレスないと寂しいし。
1 【結婚したい天禁キャラは誰ですか?】
2 【夢に出てきたキャラはいます? 誰がでてきました?】
669 :
名無しさん@ピンキー:03/09/05 01:48 ID:JjFw8IGs
結婚したいのは・・・実は刹那だったりw
前向きに生活しそうな男だな、と。
鍛えられて客観性も身についてそうだし。
夢に出てきたのは・・・ミカちゃんでつ。
寝る前にここ読んで寝たとき、続きが気になったのか、
A様と原宿様の設定ごっちゃwになったミカちゃんが・・・。
神の不在が続くのか…
神 щ(゚д゚щ)カモーン
結婚するならアスモデウスで。
あ、結婚じゃなくて愛人希望でちたw
夢は…帽子屋さんが二回ほど。
あろうことかレズってしまいました…漏れはストレートでつ。
>>670 そんな訳で夢の中で君がミカちゃんと何したか…
非常に気になりまつ!!!(w
>670ではありませんが……
私はミカちゃんとじゃれてる夢見ました。
……じゃれてるだけでした。以上。
長く神さまが降臨しないなら、スレのいとまつぶしに投下してもいいんだけど。。
しかし私は>28。すいません。あれから書きたくなったので少し書いたんですw
まあ、需要があればということで。
なきゃないでマターリ神の降臨を待ちましょー。
673 :
670:03/09/06 19:31 ID:bOYvdjCs
>>671 ・・・いや、その、残念ながら漏れがどうこうしたのではなくて、
ミカちゃんがベリ子と、九雷と、あーんなことやこーんな(ry
それはそれで楽しかったのだが、
むしろ、じゃれてる夢を見た672が裏山・・・
そして、是非投下してください〜!!
すんげー嬉しいです!
自分、文才ないから自己投下はできないので(´・ω・`)
>672でっす。
ありがとうございます。
えー、じゃあちょっと、新たに神様が現れるまでの暇つぶし程度にお読みくださいな。
オリキャラがだめな人は アイゥオーラ とNGワードにいれてください。
NG登録猶予のため、明日かあさってくらいに投下させていただきますー。
こんにちは。こんばんは。
えーと、じゃあ、次のレスからはじめさせていただきます。
オリキャラとかだめなひとでNGワードまだ登録してない人は登録してから
スクロールしてくださいな。
第三次天地大戦が終わり悪魔軍が撤退しようとも天界と地獄の関係は変わらない。
が、大戦のせいで痛手を受け多大な犠牲を払ったのはどちらもかわらず、事実上今は
休戦状態である。
そして、現在地獄が激突し、潰され、あいまいになった境界線をどちらも修復しようとして
いる。
もしか修復中悪魔が襲ってきたの時のため、境界近くのパトロールは彼の率いる能天使
の役目だったのだが、彼――能天使長、熾天使ミカエルはとても退屈していた。
何しろ、彼の友、ラファエルはあれから一向に目を覚まさない。特に彼の手を煩わせる
ような悪魔はいないし、毎日暇なパトロールを繰り返しているばかり。たまには救世使が
どうしていやがるかな、などと思って見たりもするが、そんなことはいくら考えようようとも
わかるはずもなく。
はっきりと天界は混乱している。セヴォフタルタはすでに失墜、後死亡。次する宰相
ロシエルも死亡。指導者がいなければ下っ端の者はまとまりにくい。そういった意味で、
“世界の魂”統主ラジエルなどは、天界をまとめていくために忙殺されていることだろうが、
彼は政治にはまったく興味がない。ほとんど話は回ってこないし、回ってきたとしても
無視している。趣味は戦うことだから、結局戦う相手もいなくて暇である。
退屈すぎる。パトロールなど自分がいなくても部下共だけでだってできるだろう。カマエルに
全部押し付けて形成界の自宅にでも戻ってしまおうかとも考え始めてきた。今目の前に
ある何もかもが面倒くさい。退屈だ。
回線が鳴った。
出たくもない。
しばらく鳴りっぱなしの回線を放っておいたが、うるさい。自分がここにいることは向こうもわかっているから出るまではきらないだろう。
それにしても、何かおかしなことがない限り絶対に呼ぶなといってあるというのに。
自分の機嫌を損ねたらどうなるのか重々承知しているはずである。
そのようなことを考えながら、二分後うるささの方が気に障り、仕方なく、出た。
「なんだ」
「ヘ、頭――――――っ!!」
いい終わらないうちに耳をつんざくような声で叫ぶ。
「殺すぞ」
「いや! 違うんです! 頭! とにかく来てください!!」
何があったのか、ブツっと回線が切れる。
納得いかない不愉快さを感じながら、腕も立ち、血の気の多いやつらが狼狽している
ということは、それなりにおかしなことがあったのだと解釈しておく。前にこんなことが
あったのは、救世使の偽者が現れたときか。
あれ くらい退屈をまぎらわせられるものであればいいのだが。
「どうした」
部下のあわてようにどんなおかしなことが起きたのかと思いすぐに出てきたのだが、
それでも部下たちは出てくる早さにややおどろいていたようだ。
「頭、アレです――」
彼の指示す先には、おかしなものが『あった』。
「なんだありゃ」
「頭!」
「説明しろよ」
外で盛大に繰り広げられていた戦い。しかも能天使が十数人対相手は一人。
それでもかなり苦戦を強いられている。
「それが……、パトの途中にアレがふらふら歩いてたんで捕まえようとしたらいきなり
攻撃してきやがりまして……!」
ミカエルはその部下を苦戦させている敵をみた。
地表に足をつけ、八方上空から攻める部下をギリギリのところでなぎはらっている。
天使にしては羽根を出さずに戦っているらしい。背は低い。身長よりも長い髪を振り乱して
いるせいで顔が見えず、男か女かはわからないが……。
「被害は」
「今んところ負傷者が何人か出てるだけっスけど……」
「バカか、てめぇらは」
“敵”の奇妙さに気づいて毒づく。なぜあんなあからさまなモノがわからないのか。
「は?」
唐突に罵られて、彼はぴんとこない表情をする。
「頭?」
「てめぇらはバカかっつってんだよ! 全員退け! ありゃ単にビビって火の粉振り払ってる
だけだろが」
こんな馬鹿なことに自分が出て行くのにも腹が立ったが――相手はたぶん、位としては
上級に位置する天使(もしくは悪魔)だ。殺さないように、自分も傷つかない程度に部下たち
に攻撃している。これは大幅に力の差がなければ難しいことだ。
だが御前天使と呼ばれた彼である。自分のほうが強い自信は存分にあった。部下が
十数人がかりといってもカマエルレベルの天使が出て行ってるわけではない。
今まで攻撃していた天使が全員周りから消え一人の赤毛の天使が前に現れ、困惑の
表情をうかべる相手に、彼はためらうことなく一瞬で間合いに入り腹部を強打した。
かくして一人の死亡者もでず奇妙な戦いは終わった。
「おい、気絶ゃしてねーだろ? 起きろ」
うつぶせに横たわった相手を蹴飛ばす。能天使の連中に見つかる前にもこのあたりを
さまよっていたのか、全身砂にまみれて髪などは元の色がわからないほどくすんでいる。
ここの風は砂をはらむ。
ぴくりとも相手は動かない。
「おい、水もってこい」
相手が倒れたのを見て、彼らを取り囲むようにしてたっていた部下の一人に命令する。
言いつけられた者は歯切れのいい返事には遠い、口の中でこもった言葉を発しながら
行った。
思い切り水を上からぶちまけると砂は泥になり、さらに色が悪くなった。
うめき声を聞いて彼は相手の豊かな汚れた髪をつかみ上げた。ぐったりとして抵抗は
なかったが、痛みは感じるのかのどの奥から小さく悲鳴を漏らす。
「おい」
顔で照合をとろうとおもったのだが、泥と、腹を殴ったときに吐いたのかべったりと血が
ついていてとても判別できそうにない。顔を洗ってやるのなら本人に聞いたほうが
早いだろう。
「お前、何者だ? どうしてここにいる」
短く訊くが相手は答えず、泥を含んだまつげの奥からくもったひとみで彼の眼を見つめる。
そして呟いた。
「…………ミカエル……」
声は、女だ。
「俺を知ってんなら、訊かれたことに答えねぇと俺がお前に何すっか、わかるだろ?」
さらに上に髪を引っ張る。
「聖なるかな……」
女は囁いた。たどたどしく、かすれた声で。
682 :
大馬鹿者:03/09/08 21:11 ID:JMerTzoP
× to be continued ×
あああ、すみません。SS投下慣れてなくて……あんなにNGわーどNGわーどいってたのに
一レス目入れるの忘れてしまいました……!
しかもはじめ番号書いてないし!
何からなにまですみません……
いっぺんに大量に投下するのもなんですので続きはまた。
待ってました!お疲れ様です〜!
ミカちゃん萌えなので、またしてもミカちゃん登場で嬉しいでつ。
しかし、なんとお呼びすれば・・・
まさか「大馬鹿者様」とはお呼び致しかねますw
>683
どーもですー。
私のことはミンロウドとかミンちゃんとかノンタンとか呼んでくださいw
あ、ご面倒でしょうが私のレスも見たくなければNGワードお願いします。
一応ミカちゃんと私のオリジナルキャラクターとのカップリング話としての作品です。
遅筆なんでのんびりお付き合い頂けると嬉しいです。
SS投稿してくださる神様いらっしゃったら私、隠れてますので
遠慮なくどどんと神様いらっしゃってくださいな〜
『聖なるかな……聖、なるかな、聖なるかな。
“神の如し者”の名を持ちし強く猛き魂。天軍を率いる光の……王。――誰よりも神聖。
誰よりも、誇り高く穢れぬ炎。天使の王、無垢なる天使。ミカエルさま』
ひどく聞き取りづらくあったが、大体このような意味だった。
最後に一息、ハレルヤ、と口にして女は意識を失った。
ミカエルは頭部に血をのぼらせ、その顔面を朱に染めていた。彼の後ろに位置して顔を
見ることのかなわぬものに、我慢ならずにふきだした者がいた。笑いは周りに伝染したが、
ミカエルの前にいるものたちは青ざめた。
ミカエルが女をつかんだ手を離した瞬間、青ざめたものたちは逃げ出した。
逃げ出したものたちの予想は、たがわなかった。
天使か悪魔かわからないものを殺すわけにはいかなかったのでとりあえず女は収容して
怪我にかこつけてラファエルの副官に書状つきで送りつけておいた。あとは彼女がなんと
でもするだろう。自分の預かり知らぬところで。
と、ミカエルは思っていた。
その後やはりカマエルに任を押し付けて形成界の自宅にもどり女のことはすっかり記憶
の彼方に忘れ去ってしばらく経ったころ、ラファエルの副官――バービエルに呼び出された。
女のことなど思い出しもしなかったのでラファエルがついに目覚めたかと、言われた
場所ではなく直接ラファエルの眠る部屋に行った。しかし彼は眠ったまままだ起きる気配は
ない。
「あらミカエル様! やはりこちらにいらっしゃってましたか!
今日の用件はラファエル様のことではありませんのよ。一緒に来てくださいます?」
いつの間にやら入り口の前にいたバービエルに、ミカエルは訝しげに、
「何だ?」
訊いたが、バービエルは『まあ、まあ』とニコニコするばかりで答えない。
「ここで少々お待ちくださいませ」
案内された部屋で通されて、バービエルはまた部屋の外に出て行く。
向かい合わせにおいてあるソファにはさまれたテーブルの上に、湯気立つ茶が用意
されていた。
「なんだってーんだ? ったく」
乱暴にソファに腰かけお茶を飲みながらの時間が少し流れて、部屋の扉がノックされた。
「おう」
返事をするとドアは勢い良くあけられた。
「お待たせいたしましたわ、ミカエルさま!」
「――? なんだ? ソレ」
心楽しげに厚い封筒を抱えて飛び込んできたバービエルのその後ろに、もう一人背の
低い(男としては背の低い彼自身よりだいぶ低いようにみえた)女が後ろに控えていた。
頭の上方で結んで全体の三分の一ほど三つ編みしていても床に届きそうなほど長い金髪
に紺青眼、白い服に身を包んだ幼げな女をミカエルが「ソレ」と言い表したのは、両手首を
つなぐ拘束具をつけられ、額に徽を見とめたからである。
ステイカーだった。
「俺はシスターなんかに用はねえぞ」
「いいえ、あるのですのよ。さあはいって! ミカエルさまよ」
ステイカーの少女を導いてミカエルの前のソファに座らせ自らも座った。
「そのステイカーが俺に何のようだ?」
「ミカエルさま、覚えておられませんか? 前にパトロール中にミカエルさまが拾って私に
送ってこられた女の子ですよ」
言われてみれば、そんなのもいたような気もする。しかし、あの時は顔なんか
見えなかったし、風貌もだいぶ違う。同一のものかどうか判断はできなかったが、
バービエルがそういっている以上あの女がコレなんだろう。けれど不信なところがある。
「……あの女はステイカーの徽なんてなかったぜ」
今はちゃんと目上で切られて二つに分けられた前髪の間からのぞく徽を、自身の額を
指して示す。
確かになかったはずだ。そんなものがあったのなら容易に身分を特定できる。
バービエルに丁寧に言う。
「コレは検査をする際の安全弁です。彼女が敵かどうかわからない以上、拘束具を
つけられない検査のために一応つけておいたのです。
きちんと打ってるわけではないので、今すぐにでもとろうと思えばとれますが」
「んで、結果はどうだったんだよ」
言うと、彼女は口元を指で押さえてホホ、と笑った。頬に汗が一筋流れていた。となりの
女は静かに、伏し目がちに、折り目正しく座していた。
「あ?」
「……その、検査をしても、あの、はっきりいたしませんでした。」
「どういうこった」
「この子自身がまったく記憶がないようでして」
女の肩に手を置いて微笑む。
「自白剤や催眠術など色々試してみたのですけれど、結局記憶は戻らなくて」
「記憶喪失か。顔は?」
「名簿にはありませんでした。顔画像のない登録は、特徴に符合したものを手作業で探す
にことになるので、調べさせてはいますが、この特徴の――金髪碧眼の天使は多いですし、
まだ時間が必要ですわね」
「ふ……ん」
特にミカエルは興味はなかった。鼻の奥を鳴らして、どうして自分が呼ばれたのかという
疑問を再び思い出していた時に、バービエルが持っていた封筒をミカエルに差し出した。
「これが正式な書類になりますね」
「?」
よくわからない表情を浮かべるミカエルが手を伸ばさないので、バービエルはテーブルの
上に書類を置き、さもおかしそうに微笑んだ。
「当面の間、ミカエルさまにこの子を保護していただきます」
「……何?」
耳から入った言葉がうまく頭に伝わらない感じとでも言うのか。確かに聞こえていて
意味は取れているはずなのによくわからない。
一瞬あとに理解して 、叫ぶ。
「俺が保護する? この女を? んでだよ!?」
その声は悲鳴に近かった。それは無理もないことであった。彼はそも――女性が嫌い
だからだ。あの、“バル”の件に気持ちの片はつけたがやはり何万年も“そう”であったのが
簡単に翻るわけもない。
が、バービエルは涼しげな表情であっさりと言う。
「はい。保護し、庇護していただきます。あ、手は出さないでくださいね?」
ご心配はありませんでしょうが、と付け足した。
× to be continued ×
何故二度顔を会わせたことがあるだけの(一度目はカウントに入れてよいかどうかすら
疑問でもある)少女をそのまま引き取るハメになったのかは、ミカエル自身良くわからない。
バービエルが言うには、記憶が戻らない以上捕虜の扱いはあんまりだし、かといってもし
前身が敵だった場合、急に記憶を取り戻して暴れられても困ることになる。天軍の中心
ともいえるミカエル率いる能天使たちが圧倒されたほどの力を持つのなら、預けるには
それ相応の力を持った天使のもとでなくてはならない。しかし先の大戦で疲弊し立て直しに
慌しい天使たちの中、記憶のない少女を預かれるほど体の空いている者は少ない。
それに、どの程度の強さを持ったものなら暴れたときに取り押さえられるのかもわからない
し、測ることもできない。
ならば、取り押さえたミカエルと同等の力を持ったものなら――だが、四大元素天使の
うち、ラファエルは力を使い果たして冷凍睡眠中、ジブリールは魂が現在物質界で人間
として生きており、抜け殻。ウリエルは星幽界に。遠すぎる。
力があり、天界におり、そしてある程度暇で拾い主でもあるミカエルが預かるのが一番
適当であろう、という結論になったと。そんなわけだ。
なしくずしにミカエルがバービエル同伴で少女を自分の邸宅に連れて帰ってしまったのは、
例によって次々に理由を話されて活字パニックを起こしている最中にうまく丸め込まれた
せいだ。
「預かっていただけますね?」
との最終的な問いかけ――確認だ――に、「あ……ああ」と、ミカエルは頷いてしまった。
これが、ミカエルの新たな苦悩と発見、今までにない別の概念を知る幕あけとなったことに
気づけた者はまだいない。
あ、 × to be continued × と。
いったん書き溜めはここではきだしましたのでちょーっと次からは投下遅くなります。
皆さんのいい暇つぶしになってますよーに。
. 。 . * ・゚ .。 . *・ 。 . *・゚
* 。 * ;* ,* ゚
*゚. *
*
(´ー`)ノポポポポポ・・・・ 散布。
……神様来ないかなー。
というわけで宣伝&下がりage
ミンロウド様、お疲れさまでつ!
久しぶりに来たらば、また投下されていて嬉しいです〜(´∀`*)
バービエルと話している間、終始だんまりのままだった少女は、ミカエルが了承したときも、
そして彼の邸宅に向かうメルカバに乗った時も、目的地に到着してその戸をくぐり応接間に
通され座についた時も、やはり黙ったまま表情ひとつ変えなかった。伏目がち、定まらない
焦点、開かない口、動かない頬。
うるさい女は言うまでもないことであるが、こんな陰気な女と日夜ともに行動しなくては
ならないのは苦痛以外の何でもない。みてくれはそこそこに綺麗な女ではあるのだが、
そんなことに興味がないミカエルにとって連れ歩くのに共にいて邪魔になるかならないか、
不愉快かそうでないかは重要なことだった。
少女は名前すら自らなのろうとしない。
そんなミカエルの様子に気がついたのか、バービエルは彼女の手をとって、
かんで含めるように耳の近くで言う。
「あなたからもミカエルさまにきちんとご挨拶なさって。これからはこの方の言うことを
ちゃんと聞いて、決してご迷惑にならないようにね」
言われて首を少しだけ動かし、視線をずらしてバービエルを見、ゆっくり一回まばたきした
あと、よく言えば丁寧、悪く言えば鈍い動作で深く頭を下げる。
バービエルが彼女はスタッフのなかで『ルナス』と『ルシア』という二つの名前で呼ばれて
いたと慌てて補足した。その名は記憶が戻るまでの仮名で、『ルナス』はバービエルが
髪と目の色から月をさすルナ、地球をさすアースとの混合からつけたのだが、反対する
ものがルシアと呼び、また少数が『迷子』の意味でアリスと呼んでいる者もいたと。
「ミカエルさまもお好きお呼びになられればよろしいと思いますわ。新たに名づけても、
この子はちゃんと返事をしますから」
「なあ……その女どうにかなんねーのかよ」
「どうにかと言われますと……どのように?」
「黙ったまんまでうんともすんともいいやしねえし、大体ヒトの世話になるのにテメェの口で
何もなしはねえだろ」
「ああそれは――」
ルナスとミカエルを見比べてから、ルナスの前髪をあげて見せた。
「コレで、感情の制御をしているせいでしょう。本来もそれほど口数の多い子ではないようで
す。ミカエルさまさえ良ければ、お取りしますよ」
了承すると、バービエルはルナスの額に発光した指先をあてて何事かつぶやいた。
杭はひとりでに抜け出てバービエルの手の中に収まった。
「……変わらねーじゃねぇか」
「しばらくつけっぱなしでしたから……明日の朝には元に戻っているでしょう」
いつまで預かればいいのか、という質問にはラファエルの意識が戻って力が使えるように
なるまで、という答えが返ってきた。
「ラファエルさまのお力でしたら、記憶の回復も見込めますしもし回復しなくてもそのときに
手を打ちますわ」
つまり、いつまでかはまだ不明だと言うことだ。
ミカエルが嘆息したのをみたバービエルは、ルナスの金髪をそっと撫で、彼女に
微笑みかけた。
バービエルが帰った後、ルナスに家の間取りを一通り説明して、鍵のかかっていない
部屋の出入りを許可した。どれでも好きな部屋を自室として使っていい。ただし――
「ここが俺の部屋だ。鍵はかけてねぇけど絶対入んなよ」
反応に乏しいのでわかっているのかいないのかよくわかりにくいのであるが、おそらく
わかっているのであろう、うつむき気味の顔を少し上げて、口を開いた。が、何も言わずに
閉じた。
自分の口で何一つ語らない得体の知れぬ者(しかも女だ!)をこともあろうに自宅で、
無期限に預からなくてはならない状況にイライラと寝室の扉を乱暴に開ける。
「俺は寝る。後は勝手にしろ」
閉める瞬間、彼女が目を閉じて浅く会釈したのが見えた。もしかすると、『浅く』会釈をした
のではなく、深く礼をする途中だったのかもしれない。
翌朝、ミカエルはパンの焼ける香ばしい匂いにつつまれて目を覚ました。
半分寝ぼけたまま、その匂いの元に向かってみると、ミカエルが使うには広すぎる厨房の
一角で髪の長い女が小さく歌を口ずさんでせわしなく動き回っている。一瞬、新しい聖巫女が
来たのかと思ったが、すぐに前日、女を預かったことを思い出した。
長すぎる髪をまとめた三角巾が揺れ、彼女がこちらに気がついた。
そして驚くべきことが起こった。
「おはようございます、ミカエルさま」
と、目を細めて、笑った――
「お前……」
「はい」
想像をしもしなかったゆっくりとした語調と柔らかい声。何をどう言ったらいいのかわからない
で沈黙しているミカエルに、ルナスは微笑んだまま続けた。
「僭越かとは思いましたが……ご朝食を作らせていただきました。……お時間をよろしい
でしょうか」
どっちともつかない返事をすると、肯定の意味にとったらしく微笑をパッとかがやかせ、
「パンがもう少しで焼きあがりますの。すぐに支度いたしますので少々ダイニングのほうで
お待ちいただけますか?」
言われたとおりテーブルに座っていると、昨日の動作ののろさが嘘だったかのように
素早く配膳をした。様々な料理に、かごに積まれた果物、焼きたてのパンが次々に
ミカエルの前に並べられ、ナイフとフォークが綺麗にフキンの上、最後はグラスに
『どちらがお好きですか?』とミルクとオレンジジュースの選んだほうが注がれた。
「……お前の分は?」
用意された食事はどう見ても一人分で。
「いいえ。わたくしは」
何かありましたらお申しつけください、とつけたして、テーブルの横に彼女はたたずんだ。
横に人が立たれている居心地の悪さに、座るよう席を勧めたが、やんわりと断った。
しばし食を進めてからやはり座るように命令すると、今度はあっさり失礼しますと向かいの
椅子に腰かける。
腰かけたからといってなにかするでもなく、ミカエルが食べているのをただ眺めているだけ
だったが、半分ほど彼が朝食を平らげたときに自ら口を開いた。
「そのままで、お聞きください」
言われて視線をルナスに移すが、微笑まれて再び食事に戻る。
「昨日は申し訳ございませんでした。何度もミカエルさまに伝えようとしたのですが、
どうしてもからだのほうが言うことを聞いてくれなくて。
……彷徨っていたところを保護してくださったこと、このたびにゆくあてのないわたくしを
引き取ってくださったことを、本当に感謝しています。わたしは、ミカエルさまのためなら
身をけずってでも力を尽くしお仕えいたします」
ペースが落ちたのを感じたのか、ルナスがゆっくりとした言葉を切った。しかし彼女は特に
何も言わず、かごの果物を一つとり、どこかしらに用意してあったナイフで剥きながらまた
言った。
「わたくしの記憶がないのは、実は初めてミカエルさまにお会いしたときもなんです。
でも、意識がはっきりとする前に見たとても美しい光だけは覚えています。あまりに美しく
て――わたしは心の底から賛美いたしました。思えば、あの光は……」
「お前」
ルナスの剥いた果物を口にしながら、ミカエル。
「お前、何が出来るんだ?」
言葉を中断して、彼女は剥いた果物の種を一粒手に取った。
手のひらに、ミカエルにもよく見えるようにのせて嬉しそうに、
「わたしは、四大元素の力と相性が良いようなんです」
言う間に種が芽吹き、茎を伸ばし――数秒で、先ほど剥いた果物と寸分変わらぬものが
手の上にのっていた。
「たくさん勉強しましたのでお料理はできます。お洗濯やお掃除も。そのほかにも、
ミカエルさまが望まれるなら何でも出来るよう努力します。
……あと――」
「なんだ?」
照れたようにはにかんで、頬を染めたルナスに続きを促す。
「唄がうたえます。記憶は全然ないんですけど、唄だけはたくさん覚えているんです」
何がそんなに恥ずかしいのか顔を赤くしてうつむいたルナスを、最後のひとかけを口に
いれて眺めながら、ミカエルは少しの間だったら置いてやってもいいかな、と思い始めていた。
自分のために用意されたあたたかい食事は、とてもおいしかったので。
× to be continued ×
書いてる最中に気がつきました。
Σミカちゃん、餌付けされてる……!!
……。
えー、ようやくここでひと段落です。
書いてみると思ったより長くなるんですねー…。誤算でした。
本格的になるまでかなり時間がかかりそうだ(汗
……。
はは。
>694
ありがとうございます〜
あまり人に小説見せたりしないのでそうやって言っていただけると嬉しいです。
またそういっていただけるように頑張ります。
個人的には長いのは別に構わないと思います。面白いし。
続きは首を長ーくして待ってますので。
>餌付け
ワロタ(w
私も面白く読ませていただいてますんで、ありがたいです。
長いとか気にせず投下してくれると嬉しい。
ミカエルとルシアの生活はおおむね平穏に過ぎていった。
というのも、ミカエルは特に誰がいようと自分のペースを崩したりはしないし、ルシアは
ルシアで極力、目障りにならぬよう、あまり姿をミカエルの目に留まらないようにしている
節があった。
ミカエルがメルカバや機械の改造をしたり、能天使たちと交信をとったりと日々を過ごす中、
ルシアはひとりで唄を口ずさみながら日がな一日、掃除をしたり庭をいじったりと、
許可された中で何かをしながら時間を使っていた。彼女のいじった庭は整ってはいないものの、
木が果物を成らせ、花が咲いた。掃除に至っては、決して彼女が膝をついているところを
見たことがないのにもかかわらず、汚れが細部まで拭い去られていた。言いつけを犯したり
することもなく、ミカエルの寝室や鍵のかかった部屋は決して立ち入っていない様で、
扉の表面だけが磨かれていた。たまたま気がむいて様子を見に行くと、だいたい厨房で
食事を作っていた。
庭で種を植えているところや、掃除用具を持って歩いているところはかろうじて目撃できるが、
そのほか――作業の途中はいつの間にこなしているのかと思うほどだ。
数日経つと、自分からすることが少なくなったらしく、バービエルから与えられていた本を読んで
小さく復唱しているところがよく見かけられた。その頃に、ミカエルに食事をするなら一緒にとれと
命令されて、ルシアが従ったのをきっかけとして会話することが増える。文字通り全ての記憶を
失っているため、一般知識に乏しいルシアは見聞きすることがみな新鮮で面白みがあるものらしく、
よろこんでミカエルの話を聞いた。
時折バービエルからの使者がきて、いつか身分が証明されたときのため、『勉強』をしに
彼女の元へ行く。
そうやって、ミカエルがルシアのいる生活に慣れてきたころ、朝早くにミカエルの寝室の
通信機とスクリーンが急にONになった。
『あら? まだお休み中かしら。ミカエル様? ミカエル様! ミっカっエっルっさっま!
起きてくださーい』
「…………あ゙ぁ?」
耳に障るだんだん上がってきたボリュームに、わけもわからないまま寝台から裸の
上体を起こす。
スクリーンはバービエルのバストアップを映していた。
「………………。
うるせぇよ」
一言呟いて再び寝台に身を倒し、通信のOFFスイッチに手を伸ばした。
『あ、ミカエル様! 待ってください』
「……何だよ」
朝のだるい時間に起こされて気分がいいはずもなく、ミカエルは機嫌が悪い。
『早くに申し訳ございません。ルナスに用があるので、今から訪ねたいんです』
「……ルシアに用……? んだってこんな朝から来るんだよ」
『すみません。今日はこの時間しか空いている時間がなかったものですから』
「じゃあ今度にしろよ。多分あいつだってまだ起きちゃいないだろ」
『そこをどうにか……しばらく時間を空けられるめどが立ちませんの』
そこに。
ビ――ッ!
……玄関のベルが鳴った。
『こういうことなものですから』
「………………」
前にラファエルに対して彼自身も同じことをしたが――。
気分が如実に表情を彩っているのが、バービエルの様子から見て取れた。
この怒りをどこにぶつけようか。
いつも忘れる。 × to be continued × と。
レスありがとうございますーっ
ちょこちょこと頑張って書かせていただきまっさ!
とりあえず、おわりまでフローチャート式に要所を書き出してみたらちょうどルーズリーフ
一枚分くらいでした。大きく節目十五コですね。多分(増えるかもしれないからw)。
昨日そのルーズリーフ落としました。今日ちゃんと回収したんですけどw ダレニモミラレテマセンヨウニ
小説を書くのは楽しいです。面白いと言ってもらえて本当に嬉しいです。
ちょぴっとルビの実験させてください。
<RUBY>聖巫女<RT style='font-size:6pt'>シスター</RT></RUBY>
失敗してたら以降原作中ででてきた特別読みは漢字で書きますので
頭の中で振り仮名ふって読んでくださいw
「申しわけございません、ミカエル様〜〜」
渋々でては言ったが、彼の機嫌の悪さは最高潮。ラファエルの副官でなければ殴ってる
ところだ。
彼の後ろを歩く、ひとかかえのケースを両手でもったバービエルが汗をかいているのは、
ミカエルの機嫌が悪いからばかりでなく、そのせいで周囲の気温が上がっているからでも
ある。もちろん、ある程度意識的にミカエルがやっているのだが。
苦く笑いながら、バービエルは
「用が済みましたらすぐに帰りますので。
ルナスの部屋は、どちらになりますか?」
訊かれて、考える。ルシアの部屋?
彼女はミカエルが朝起きるとたいてい厨房にいる。他は……広間で腰掛けて本を読んで
いるかうたっているか編んでいるか。庭にいることもある。わざわざ探したことはない。
自室を訪ねたことはない。足を止める。
「そういやァ、どこだろうな」
「……はい?」
「たぶん厨房の近くにいっとは思うけど」
バービエルは少し間を取った。
「ミカエル様……ええともしかしなくても――ご存知、ない……?」
「俺、別にあいつに用ねェもん。探さなくても俺が起きてるあいだはどっかにいるし」
小さく、んもう、と呟いて、バービエルは笑った。奥下に言い知れぬ深みを持たせて。
「ミカエル様? 保護観察中の身であるあのこの居場所を、一応身元引受人である
ミカエル様、貴方が知らないとは一体どういうことですの――!?」
静かに怒るバービエルを背に、ミカエルは平然と受け流した。
「しゃーねぇだろォ? ラファエルじゃあるめーし、いちいち女の居場所がどこだか把握して
るほどヒマじゃねーんだよ」
「それにしても、部屋の場所さえ知らないのはあんまりじゃありませんか。見当くらいは
つきますの?」
「あー……だから厨房の近くだよ。朝起きてすぐ行く場所からわざわざ遠いところに寝てる
理由は俺には思いつかん。
んじゃ、俺は朝メシ出来るまで寝るから後は自分で探せ。あの辺は部屋もたいしてない
からすぐ見つかんだろ」
ヒラヒラと手を振ってその場を去ろうとするミカエルの肩を無言でつかむバービエル。
うるさげに振り返ったミカエルに早口で、
「探せと言われましても、わたくしには厨房の位置はわかりませんし、ミカエル様もルナス
の使用しているお部屋がどこなのか、きちんと把握しておいたほうがよろしいと思いません?
思いますわよね? それにもしルナスがミカエル様知らぬ自室で悪に目覚め屋敷を破壊
して逃亡した後ラキアなどの人の集まる地域に攻撃でも仕掛けたら被害も大きくなりましょうし、
それによって責任問題にもなってミカエル様のご名誉がお傷つきになられても面白くない
ことではありませんか? それはミカエル様の睡眠時間も大切なことではありますけれども
わたくしが帰ったあとでもルナスに朝食の時間を遅らせるように言ってまた眠られることも
出来ますし、わたくしとしてもこの後予定が立て込んでいますのでミカエル様が案内して
いただければ時間の節約にもなってとてもありがたいことなのですが断るとおっしゃられる
なら自分で探しますけれどミカエル様は四大元素炎の守護天使であらせられ先の第三次
天地大戦でも救世使とともに戦った英雄でもある偉大な方ですものそんなにお心の狭い人
であるはずもございませんよね? さ、行きましょうミカエル様。お心当たりの部屋ほうまで
案内してください」
……特に案内してやろうと思ったわけでもないのに、何故か気がついたらバービエルと
一緒にルシアを探して各部屋を開けたり閉めたりしていた。
ルシアがいた部屋は予想に反して、それほど厨房の近くではなく、長年放置されていた
部屋の一つ。どのようなレイアウトをしてあったのか、ルシアがそれをいじったのかさえ
ミカエルにはわからなかった。小さなテーブルのうえに花を生けたのは彼女であった
だろうが。彼の部屋に比べればだいぶ簡素で狭かった。他に広い部屋はいくらでもあるの
だが、彼女が気に入っているとすれば広さはどうでもいいことだ。ただ、ルシアが自室と
して使っているとしたら寝台がないことだけは解せないところである。
ルシアは部屋のはじにいた。床に、長く、長すぎる金髪を方々に散らせてうつぶせに
横たわっていた。普段着ている上級の聖巫女のような白いロングドレスではなく、青い胸の
開いた長袖に、揃い色で惜しげなく足を見せた、裾が付け根までしかないショートパンツで
裸足だった。
タイルの床は冷たいであろうに、ルシアがそこに横たわっていなければならない理由は
見れ知れた。
こめかみに近い額から、出血している。
「ルナス!」
荷物を置いて駆け寄ったバービエルより遅れて、ルシアのそばにミカエルが到った時
にはバービエルが治療を終えようとしていた。それほど深い傷ではなかったらしい。
タイルを汚していた血はもう乾いている。
呟いた。
「どしたんだこいつ?」
「わかりません……ルナス、ルナス? 起きられる?」
額と前髪の一部にパリパリの血をこびりつかせたルシアを、バービエルは揺すらずに
呼びかける。
幾度か呼びかけられて、ルシアは身じろぎもせず唐突に紺青の瞳を開けた。
何を考えているのかよくわからないが、目に映っただろう二人に微笑んで、
「おはようございます。ミカエルさま、バービエルさま」
バービエルがいることには何の疑問もないらしい。
「おはようございますじゃないわ、ルナス。あなた、額から血をだして倒れていたのよ。
一体なにがあったの?」
「……? ……あ、昨夜、蹴躓いてそこの本棚の角に頭をぶつけてしまったんです。
驚いて体が動かなくなったので、夜でしたからこの際と思い、そのまま眠ってしまったのです
が……ご心配をおかけしてしまったようで、すみません」
「そう……よかったわ。頭は痛くない? 大丈夫?」
「はい。平気です」
傷のついていた額に触れて、いつもどおり柔和な返事にバービエルも安心のため息を
つく。
「ルナス、その服はどうしたの?」
「これは、少し前にバービエルさまのところへ伺ったとき、スタッフの方からいただいた服の
中にありました。ミカエルさまがいつも着ていらっしゃるお洋服と、似ていたので真似て
みたんです」
変でしょうか? というルシアの問いに、バービエルではなくしばし黙考していたミカエル
が、そのほうがいいんじゃねえの、といった。
「あの長ぇスカートやら何やらは聖巫女みたいで気分ワリィんだよな。ベールかぶってない
だけマシだったけど。いつもそーゆう格好してろよ。ついでに髪も長すぎだろ、切れよ」
衣装を褒められてルシアは笑顔をより深くし、胸の前で手を組み合わせる。
「はい。そうします。でも……この髪は、幾度か試みたのですけれど、気を抜くとすぐに
伸びてしまうんです」
想像していたより親しげな会話にバービエルは、うまくやっているのだと思うのと同時、
先ほどミカエルが抱いた疑問と同じものが頭をもたげた。
少し二人が会話をして、途切れた合間に尋ねる。
「ルナス、 あなたこの部屋を使わせていただいているの?」
ミカエルから視線をバービエルに移して、
「いえ?」
「じゃああなた、この部屋で何をしていたの」
「この部屋には読んだことのない本があったので、読ませていただいておりました」
やや嫌な予感がしつつ――バービエルは言う。
「あなたの部屋に案内してくれる? あげたいものがあるの。今日はそのために来たのよ」
「え……と、私、特定の部屋は使わせていただいていません」
「んじゃ、お前いつもどこで寝てんだよ?」
割って入ったミカエルの言葉にルシアは、
「夜は――何かしながら寝入ってしまうので。あまり決まっていないです」
厨房だったり、広間のソファだったり、と続ける。
バービエルはあきれたように、
「それじゃ、ここに来てから一度もベッドで寝ていないってこと? ……ルナス、いくら多くの
ことをしようとしても、ちゃんと休養の時間くらいはとらなくちゃ駄目じゃないの。
ミカエル様、ベッドのある部屋を一ついただけます?
もう、常にうたた寝をしていたなんて。
……ミカエル様?」
「……ちょっと待て」
ベッドのある部屋、と言われてミカエルに思い当たることが何もなかった。
屋敷は広かったがさすがに自分の家である。細かく覚えていなくとも、大体はわかって
いるはずだ。
「俺の部屋以外に、ベッドなんてあったっけか」
× to be continued ×
フフフ・・・これはこれは美味しそうなSSがあるではありませぬか・・・
『あ! ミカエルさまのご朝食を作らなくちゃ!』
唐突にひとつ手を打って、ウキウキと厨房に向かおうとするルシアの頭の心配を改めて
バービエルがした後、彼女は持ってきたケースをルシアに渡し、
『数日中には寝台の手配をして届けさせますので、それまでは何か対処しておいていただけますか』
と、ミカエルに頼み、帰宅した。
『バービエルさまはああ仰いましたけど、気になさらないでくださいね。私は、あまり不便を
感じていませんし……』
検査を受けていたころから、寝台で眠ることはほとんどなかったらしい。
『ミカエルさまのおそばにいれば、元素が補給されて元気になりますもの』
その日一日、ミカエルは自室にこもって、ガタ、だとか、ガラガラガラ、といった音をさせて
いたのだが、夜になってふてくされた顔をして出て来、広間のソファで作りかけのタペストリーを
編みながらうつらうつらしているルシアを、
「あら……ミカエルさま。どうなさいました? お夜食でもお作りしま……きゃっ」
有無を言わさずかつぎあげて歩いていき、寝室の扉を蹴りあけて、奥の寝台にルシアの
小さな体を放り投げた。
投げられるままにベッドの上で一回転して、やおら起き上がる。
「ミカエルさま? ここは、えと、よろしいのですか、私……」
「黙れ」
目の前に指を突きつけられてきょとん、とするルシア。
ミカエルは靴を脱いで、ルシアの横にあがって座る。面倒と困惑の中間くらいの顔で
彼女の頭を軽くたたいた。
「いいから黙って寝てろ。あばれたら追いだすぜ」
ミカエルのベッドは大きく、標準より小身体な二人が並んでも十分な広さがある。
掛け布を一枚渡し、彼はさっさと明かりを消して彼女とは逆をむいて眠りに入った。
慣れない弾力の上、ルシアは少々所在なさげに座ったまま、あたりを見回した。探し物
でもしてたのか、泥棒でも入ったかのように床に物が散乱している。机の引き出しは全て
閉まりきっていないあげく物がはみ出して、スクリーンやコンピュータをつなぐ種々の
コードが複雑に絡み合っていた。腰を浮かしかけたルシアは片付けでもしようとしたの
だろうか。しかし、隣のミカエルを見て、うつむき、体を動かしてベッドに落ち着かせた。
ミカエルの部屋。
ボーっとしばらくそのままいたが、ミカエルの寝息を聞きつけて、彼の背中と赤い髪、
目を細めて見つめいる。
夕食過ぎての夜半にはあまり顔を会わせぬため、滅多に言わない言葉を囁く。
「おやすみなさい、ミカエルさま。よい夢を……」
彼や向き直った膝を照らすは月明かり――。
夜に映える月色の髪をまとめて肩にかけ、結ぶ。ミカエルの眠りを妨げぬよう端によって
横になり、掛け布をかぶった。
翌朝、ミカエルは昨日の作業の続き――引き出しを開けては中のものを残らずつかみ
出し、クロゼットの中をあさっては『どこやったんだ、クソ』と毒づく――をしていた。
「失せ物ですか? お手伝い……」
「てめぇは黙って座ってろ!」
ルシアはベッドのふちに腰かけて、言われるままにちまっとしていた。
絶対にこの部屋にあるはずなのだ。移動した記憶はない。されど肝心、どこにしまった
ものかがさっぱりわからない。絨毯すらもひっくりかえした。
部屋中すでに物だらけ。歩くたびなにかを踏まずにいられぬほどに、収納されていた
ものはすべて床に散っている。探してないところなどほかにない。
頭をかきむしって記憶の糸をたどる。どこにやったのか……。
なんとなくルシアを見ると、髪を指に巻きつけてはひっぱってほどく、という動作をひまそう
にくり返しあそんでいる。ミカエルの視線に気づくと目を少し見ひらいて、頬をそめ両手を膝に
寄せて身をかたくした。
アレをどこかにおいてから、何度か癇癪を起こして周辺を溶かしたことがある。その時に
溶かしてしまった可能性も高い。……だが、その際のことを考えて保管場所を決めた気も
する。この部屋にないのなら、どこに置いたのかは見当も付かない。生来忘れっぽい性分
であることは自覚していたが、こんなに探しても見つからないのは腹が立つ。
ようするに、俺以外のなんかが俺の行動を逐一覚えてりゃいいんだよな、と無茶なことを
思いながら、雑多に散らばる物の上を歩き回った。
「あのー、ミカエルさま?」
と、ルシア。
「休憩しませんか。朝からずっと探し続けてお疲れでしょう? お茶を淹れて参ります」
「……ああ、そーだなー。頼む」
ベッドから立ち上がろうとして、ルシアは困惑していた。……歩くスペースがない。
「いーよ、踏んで歩け」
そうするよりほか仕方あるまい。
それでもなるべく物の少ないところを跳ねながら進む。と、目測を誤ったのか単に鈍くさ
かっただけなのか、着地にすべってルシアは後ろに倒れこむ。
「なァにやってやがんだよ、バーカ」
「ごめんなさーい」
すんでのところでミカエルが彼女の腕をつかまえ、転倒を避けさせた。
「大丈夫か?」
「はい」
幾度か口にしたあとに初めて気がついたのだが、ルシアは料理のみならず、お茶も非常
に美味しく淹れる。しかも、評したわけでもないのに好みがわかるのか、胸中うまいと思って
いた茶っ葉をよく使う。
頃合いを見計らって出て行くと、思ったとおりティートレイにカップを二つ、ポットを一つ、
レモンのスライスやミルク、蜂蜜をのせて歩いてくるところ。ダイニングで飲まれますか、
との問いにYesを答える。
テーブルにつくと、ルシアは陶器のカップに熱いダージリンをそそぎ、甘い蜂蜜をたらす。
ミルクの量は彼女に任せている。
差し出す紅茶を受け取り、すすりつつもアレの在り処を考える。
「お前、物探したりする能力ってないのか?」
スライスをカップに浮かべる彼女に一応訊いてみる。
彼女は視線を上にやり、考えた。
「……元素で出来た元素に近いものなら、感応するかもしれませんけれど。でもそれ
でしたら、ミカエルさまにも同じことができるでしょうし……何をお探しですか?」
「いや、いいんだ。なんでもねェ」
「そうですか……。
そうだ、きのう、クッキーを焼いたんです。召し上がってくださいな」
席を立ってどこからか皿に並べたクッキーを持ってくる。器用なもので、ココアとバニラの
チェックやら星やらトランプの模様といった形色々のクッキーに、あるものには砂糖が
ぬってあったりする。
勧められるままに食べる。と、
「ミカエルさま、このかたち、ミカエルさまのお部屋のシャンデリアに似ていません?」
ルシアが持って示すクッキーは周りがギザギザで確かに似ていると言えば似ていた。
「シャンデリア、ねぇ」
シャンデリア、シャンデリア……と反復する主人に、ルシアは不思議そうに小首をかしげた。カップを傾けて残っていた紅茶をすすろうとした時、
「あ」
ミカエルは思い出したように呟いて、ガタッと乱暴に席を立ち走り去る。
それを見届けたルシアは、しばらく動かず戻ってくるのを待った。少しして、空になった
カップを洗おうと厨房の方にひっこみ、水に浸す。
「おう、ルシア! ちょっと来いや」
「え?」
飛び込んできたミカエルは鍵の束を手にし、空いているほうの手で引きずるようにして
ルシアの手をつかんでひいていく。
ミカエルよりさらに10センチ以上背が低いので、歩幅の違いにより彼に大またで早歩きを
されると必然的にルシアは小走りにならざるを得ない。何とか ペースをつかめたようで、
足元ややこころもとないがロングドレスをやめたおかげか転ぶことなくついていく。
広い屋敷の中心ほどに、ルシアの立ち入りが許可されなかった――鍵のかかった部屋
がある。
物々しい雰囲気をかもしだす二枚の扉の真ん中には十字架をかたどった紋章が彫り
まれ、開くと二つに割れる設計で、片方ずつに付けられたノブの周りにも、古いエノクが
刻まれて。ミカエルの部屋の扉に似ているが、傷がない点が異なるか。
ミカエルは束になった鍵の中から色々と試し、三本目で錠はようやく開封の音をあげる。
そうして何万年かぶりに扉は外界との空気をさえぎるのを、やめた。
「入れ」
ミカエルに促され、ルシアは部屋の中へと押される。
彼女が息飲む後姿をミカエルは満足げに眺めた。
長らくの沈黙に埃っぽいが、立派に設えられた空間は、天蓋のついたベッド、部屋の角に
そって並んだ天井に届くまでの本棚は三つ、隙間もなく本が詰まり、カーテンを開けば
いっぱいに日の差し込む大きな窓はそこから庭に出られ、古い木で作られた机やチェスト、
クロゼットも完備されている。
「ここ使えよ。なっげぇ間放置しといたからちっと掃除しなきゃなんねーけどな」
得意分野だろ、と言いかけた瞬間、視界からルシアが消え、全身にどん、と衝撃が
はしる。倒れないように足を一歩後ろに下げてから、首と頬をくすぐる金髪に、彼女が
抱きついてきたのだと気づいた。
「ミカエルさま……!」
ぎゅっと首に手をまわされて、ミカエルは頬を掻く。
「とにかく」
ルシアを引き離して、仕切りなおす。
「ここなら文句ないだろ。寝られるし、てめぇの好きな本もあるし……あぁ、こんなかのどれ
かが隣の書斎のカギだ。読みたきゃ入って読め」
差し出すと、彼女は震えた手で鍵の束を受け取った。目じりに涙をにじませているのを
見て、苦労して鍵を探してやったのにも、悪い気はしない。
鍵を強く握りしめ、目元を指でぬぐうルシア。
「本当に、ありがとうございます……私なんかのために!
過ぎるくらいです、こんな、立派なお部、屋……」
止まる。うつむいていた顔をあげ、夢から覚めたような瞳で彼を見上げた。
気づいたらしい。
「あー……。気にすんじゃねぇよ」
「でも……このお部屋、ルシフェルさまの……」
誰があの兄のことをコレに説明したんだろうか。つくづくいらないことをする。
「私、使えません。いえ、ミカエルさまのお気持ちは、痛みいります。とても、言葉になど
ならない。嬉しいと、思います」
「そう思うんなら素直に使えばいいだろ。このカギ探すの苦労したんだぜ」
「でも、待っていらしたのでしょ? ルシフェルさまのお帰りを。だから、そのままにして
おかれたのでしょう?」
違う、と言い切れなった。もうずっとずっと昔のことで、あの時何を考えてこの扉を閉ざ
したのか、もうよくは覚えていない。
泣いていた気がする。
「わたくしは莫迦ですが、それくらいのことは、わかります」
兄が裏切ったのは創世神の筋書きで、あんなに誰をも映さぬ瞳はそのせいに違いなくて、
きっと、自分の裏切りで傷つけさせぬために、人の心を遠ざけていて。
真実を知ったいまなら、それがわかる。
けれど、あの時はひたすら憎んでいた。
何を考えていただろうか。あの時鍵をかけた感触は、まだ手に覚えているのに。
「いーんだよ。あいつは、どうせ帰って来やしないしねぇんだから」
もしかしたら、案外彼女の言う通りなのかもしれない。
まだなにか言いたげに、ルシアは上目に覗き込んでくる。
「わァーかったよ、じゃあこうだ。お前変にその辺のものいじったりしないでこの部屋使って、
兄貴が帰ってきたらいつでも別の部屋に移れるようにしとけ。それでいいだろ」
嫌だっつっても聞かねーぞ、とそっぽを向く。
納得したかどうかはわからないが、ルシアは引き下がり、尋ねるようにして、あたりをまわりはじめる。
帰ってこない主人を待っていた部屋は、新たな住人を歓迎するだろうか。
全てを知ったあとにも、すっかり忘れていたこの部屋を開く気にさせたのは、あの女
なのだから、まあ、いいだろう。
ルシアはしゃがんだり立ったりと、意味のわからない行動をしている。
掃除を始めるようだ。出て行こうとして、自分の部屋の荒れようが脳裏に浮かぶ――
「……ルシア、後で俺の部屋も片付けとけや」
絨毯に指を突っ込んでいたルシアはこっちを向いて、
「私がかたしてしまってよろしいんですか? 大事なものとか、あるのでは――」
「お前が何をどこやったか全部覚えてりゃいいだけの話だろ」
得心したらしい。うなずく。
「そうですね」
窓を開ける音がする。相当汚れがたまっていたのかうめく声を背にしつつ、ミカエルは
ダイニングへ戻った。たぶん、クッキーがまだ残っていたはずだ。
× to be continued ×
またここでひとくぎれ。
私はミカちゃんが兄貴のことを好きなのと同じくらい、兄貴もミカちゃんのことを
好きだったに違いないと勝手に思っています。
ミンロウド様
ミカちゃんの他人に興味がないというところがそれらしくてイイ!
こんな風に生活していそうだな、と情景が浮かびますね。
続き楽しみにしてます。
725 :
名無しさん@ピンキー:03/09/27 03:08 ID:/99CRkHt
さがりすぎsage。
726 :
名無しさん@ピンキー:03/09/27 13:15 ID:31uUfUDa
>725
下がりすぎsage……?
あと100kb切ったし、次スレの話でもしましょうか。
何kbで移動しますか?あとスレタイと由貴作品総合にするかどうか。
私がいま書けてる分が約13kbほどあります。
次スレ立てるときの参考にしてくださいー。
他にも投下者様がいらっしゃるかもしれませんし!
ああ。神様いるなら返事をして。
んで、萌えください。
何のために生きてるの?
ああ 意味があるのなら
そうよ 呼ばれたの だから私はいらえたのだわ
大きな 大きな マルの中から 呼ばれたから出てきたんです
静寂のなかに 流れるこえをきいていたの
はるかなひろがりなか
求めているのをきいたから
まよいの唄をきいたから
走れるあしに かいなとゆび みんなみんな 生まれてきたの
何のために生きてるの?
ああ 意味があるのなら
この胸にあふれる たくさんの唄を
唄ってきかせて かいなでつつんで ささやいてあげること
すりつぶして ぜんぶぜんぶあげる
かみくだいて あたまから余すことなく
すすって たべて のみこんで
そうしたらすべてが完全なモノになれるから
私を生んだありうることのない必然
私をかたちづくる 私をおくりだした 世界の
だから ここにいる
ならば私は神のまごむすめ
*
その日、能天使の船の中は大騒ぎだった。
理由など一つしかない。ゴシップ。
飛び込んできた二人の男は、どちらも肩を上下させ、意気込みながら、自分でも信じ
がたいがゆえにどもりながら。
「へ、へ、へ、へ頭に女が出来た――――ッ!」
「ハア!? うぅわ、ウソだろォーッ!?」
「ぃいやマジマジマジ! 俺ら見たんだって! 集会所で一緒に並んで歩ってたりあの
頭がタラップんとこで手ぇ貸してやってたんだよ!」
「オレ、ヘッドが女のアタマこづいてるの見たぜ!」
「フカシこいてんじゃねえだろな!?」
「なんだそりゃ!? 見ーてぇ〜〜〜」
「んでんで、その頭の女、どんなんだった?」
「遠目にしか見てないけど結構上モノだぜ、アレ」
「金髪でなァ、線のほそーい美女って感じだ」
彼ら目撃者の周りの天使たちは最も聞きたいことを口にする。
「身長は!?」
揃えて。
『だいぶ低かった!』
『うっしゃぁ!』
「見に行こーぜ見に行こうぜ」
「バカ、殺されるぞ」
「ダイジョブだよなんかテキトーに理由でもつけておきゃあさッ」
「お前見たくないのかよ、“あの”の頭のオンナだぜ!?」
「しかも女の前でのいつもと違う頭が見られるかもしれないしなァ!?」
「……あ〜〜!! 見たいに決まってんだろ畜生、行くぞ」
「おうっ!」
久しぶりに、ミカエルは国境の警備に参加する気になった。たまには動かさなければ
体がなまる。メルカバの改造も思った通りにいって調子がよい。
そこで問題になるのが"預かり物"、だ。観察下にあるルシアを建前上は連れなければ
ならない。当局にさえバレなければ置いていっても支障はない。色々と鬱陶しいこと に
なるだろうとわかりきっていることである。本人に、彼が行くかどうか訊ねたところ、ルシアは
喚声をあげるように行きたいと答えた。バービエルのところとミカエルの私邸との往復した
ことの記憶しかない彼女 にとって、他の場所に行けることはどこであれ、嬉しかったの
だろう。
国境の警備は大体が悪魔との戦い。参加させるつもりではないのだが、念のため、戦闘
服を着るように言いつけた。初めて戦闘服に袖を通したルシアにそれは少し大きく、要所、
らしくベルトで留めている。 その黒い衣装、あげた髪――全体を二つに分けて蝶々結び、
それから余った分を中に結いこむという器用なことを目の前でしてみせた――は、それなりに
いっぱしの士官のように見えるが、 彼女の醸す雰囲気が如何ともしがたくふつりあいでも
ある。
能天使の集会所にいって本隊と合流し、境界にむかった時に二人でいるところを諸天使
に見られた。ミカエルの『預かりモノ』についての情報は副官カマエルに行っていた。その
ほかはまったく知らない。ゆえにゴシップが蔓延することになった。それだけといえば、
それだけのことであるのだが。
彼らには少し、誤解がある。ミカエルがタラップにてルシアに手を貸していたのは、先に
集会所にてメルカバ降りるとき一度、タラップと船の間が広いせいで足をとられて 落ちそう
になった挙句、転んでいたからだ。その転び方が豪快で、ひどく痛みそうな音をさせて
頭をぶつけていたので。はじめから手を貸しておいたほうが面倒がなくていい 。
頭をこづいていたのは、ルシアが不用意に『今日はミカエルさまいつもより背丈がお高い
ですね』などと言ったため。
間違っても、彼らが邪推したような理由ではなかった。
「境界って、どこにあるんですか?」
メルカバに乗ってしばらくは、窓からの天界の見慣れぬ大地、雲、青に嬉々として張り
付いていた。飽きてからは室内をうろうろしては時折端的に話しかけてくる。歩き回って
いる分には、目障りといえるほどでもないが目障りでないとも言い切れない。答えたくない
質問には答えなくても追求はない。あまり目障りではない、と言ったところか。
操縦席にて足を投げ出して座るミカエルにお茶を運ぶ。どうも、この女は茶を淹れるのが
趣味らしい。手持ち無沙汰にしていると、必ずと言っていいほど何かの茶を持ってくる。
美味いので、かまわないが。
「どこっつってもなァ。お前地獄と天界の位置関係はわかってんのか?」
間があって、答えが発せられる。
「七層で構成されていて、でも今はその下と上が潰れてつながっている、というところまで
学びました」
その説明は不十分である。が、間違いはない。
「だからその潰れてるとこに行くんだよ。一応、境目はつけてあっけどたまに低級悪魔が
近くまで来やがるからな」
「……ミカエルさま、もしかしてあんまり、行きたくないんじゃありません?」
銀の丸いトレイを持ったまま顔を覗き込むルシアのアップに顔をしかめた。 紺青の双眸の
一つ一つに自分の顔が映っている。瞳の奥は、その映り込みが邪魔で、見えない。
「……なんでだよ」
「いいえ、そんな気がしたので。
こちらに置いても? ミカエルさまシナモン平気ですか?」
「言っとっけどな、別に俺は悪魔に対しての考えまでは変わってねぇぞ」
「何か変わりそうなことでもあったんですか?」
空のトレイを胸にあてて、不思議そうにする表情に思い出す。ルシアは第三次天地大戦の
ことは何も知らない。どこまで教えられたか知らないが、神性界であったことはこの天界に
ある者では彼しかいない。ウリエルが星幽界から出てこない限り。だから彼女が何を知って
いるはずもない。本当にそう見えたというだけのことで。
彼女に悪気や含みといったものがあるわけがなく。
あの、目が悪いのだ。胸中でひとりごちる。
頭のほうは実際からっぽのくせに、目だけがなんでも知っているような色をして彼を見る。
微笑みで彩りきれないあの目が。
「……けっ。余計なこと言うんじゃねーよ」
「ごめんなさい」
肩を縮め、トレイで鼻まで隠して下がる。残された目とまゆは曇らせて。
シートごしにちらっと彼女の後姿を見る。もともと白紙の中に、最近モノを覚えて自意識が
しっかりしてきたせいか、口数が多くなってき た。つけて、目だ。調子が狂う。
視線を前方に戻す。国境まであと2時間くらいか。メーターは正常、自動運転問題なし。
カップを手に取る。シナモンの香りのするお茶は熱く、吹いてから一口飲む。
「お茶菓子なにか召し上がりますか。
シオセンベイという食べ物が、ニホンチャによくあうって聞いたんですけど、シオセンベイ
もニホンチャも、どんなものだかよくわかりません。おいしいものなら是非ミカエルさまに
食べていただき……」
ドアが開く電子音がして、声が止まる。数人の人の気配。
「何スかこのチビ?」
肘掛に身をもたせて上半を後ろに向けた。数人の部下が入り口に立っていた。その中の
一人にくびねっこをつかまれて床から十数センチ浮いているルシアは、がっくりうなだれて
身動きもとらない。
彼らがミカエルの操縦室に入って初めに見たものは小さな子供の背中。一番前にいた
背の高いものが、彼らに気づいて振り返ったところを、何とはなしに首を捕まえて持ち上げ
る。ソレは体をひとつ震わせ、全身の力を抜いた。
「何スかこのチビ?」
上官はうるさげに彼らを向く。
「そりゃヒトからの預かりもんだ。あんまいじんな」
言って、興味なさげにシートに身を戻す。
子供はぶらん、と男の手の中で脱力している。他に、性別を問わず人といえる姿はない。
ミカエルと、手の中のモノだけ。あげた髪から続くうなじや短いズボンから伸びた足の線は
女性のものだが、男物の戦闘服を着たそれは ロリータが男装しているようにしか見えない。
その手の趣味の男なら、なかなかそそるものがある容貌かもしれないが。
しかし、彼らが見たかったのは『こういうもの』ではないのだ。
『おい、話が違うじゃないか!』
言葉にはださず、目だけで目撃した二人に問い詰める。彼らも慌てて意思表示する。
『し、知らねーよ!』
彼らが見たのはやはりこのロリータに違いないのだが、遠目に少し見ただけ、しかも髪を
上げる前で顔については隠れて見えず、足して近くで見るとだいぶ印象が違う。ずいぶん
背が低いとは思ったが――。
「なんか用かよ。つったってねーで言え」
「は、はい」
と、彼らが用意してきた言い訳を言おうとする。手を離された少女の体が床に崩れた。
ミカエルが舌打ちをし、席を立つ。
「何しやがったんだよ。そいつに何かあると俺の責任になるんだぜ」
「な、何もしてないッスよ、なあ!?」
うろたえて後ろの同志に同意を求める。
「ええ、オレらはなんも……」
再度ミカエルは舌打ちをして、倒れた少女の腹部を軽く蹴る。
「おい、ルシア」
それが、少女の名前なのだろう。
反応はない。ミカエルがひっくり返すと、両目はきちんと開かれていた。まばたきをしない。
眉間近くの額に、何かの徽が示されていた。
一人が呟く。
「杭打ち……?」
「あー、うぜぇ」
ミカエルは操縦席のほうに戻って、音声通信機の端末を出して耳に当てる。
彼らはそれぞれ顔を見合わせるしか出来ない。
「……おう、力天使長代行のバービエルって女出せ。……俺? 俺ァ炎の天使ミカエル様だよ。
……あん? 会議中? 知るか。預かりもんが動かなくなったんだっつぇあ出るだろ。早くしろ」
しばらく無言でいる。 待った時間はそうはかかっていないだろう――秒単位の区切りでは
なかったが、直して考えたとして何分だかがわからなくなるほどではなかったはずだ。
しかしミカエルは待たされることが嫌いだと自認しているように。相手がでたと思しき途端、
二言三言毒づいた。
「んで、あの女ゼンマイ式なのか? ……そうだよネジ切れたみてーに止まっちまった…
…ああ、デコに変な徽が出てる」
『対処法はお預けしたときに渡した書類に書いてあるはずですよ』
「んなもん見てるわきゃねーだろ」
育成ゲームじゃああるまいし、あんな字だけで数十ページにも渡る説明書など読むわけ
がない。受け取った次の日には紛失している。
受信機から嘆息が漏れてくる。音声だけでの会話なのがさぞ残念であることだろう。
『記憶って、衝撃が加わると戻ったりする、とよくおっしゃいますでしょう? 私は、必要ない
と思ったのですが、懸念する声 がありまして。安全面としての予防策で、ルナスには精神
的、肉体的にショックが与えられると身体機能が一時停止するように投薬されているんです』
「つかみあげられただけだぜ?」
苦笑したようだ。
『それは……おそらく、その方が強面でびっくりしたのでは……ルナスは人見知りもする
ようですから』
そのルシアを持ち上げていた男に目をやる。背が高く無骨な外見に、本来眼球が埋まって
いるべき左の眼窩にはアイセンサーが赤く光っている。 その後ろには目立つほどに傷跡が
隆々の筋肉の上そこかしこに残っている者や先天的にそうだろうと思われるひどく釣った目、
腕が途中から鉄に変わっている者、という面々が続いている。確かに ルシアなら驚きそうだ。
カマエルに先に会わせておけばよかったと内心思う。あれで慣れておけば他の者など
とるにたるまい。 慣れる前に止まる可能性もあったが、きちんと紹介された形で引き合わ
されたものに対して怯えたりはしなかろう。
用件の要点を聞く。
「どうやって動かすんだよ」
『額の徽にアストラル力を送り込んでください。それで解除されるはずですわ』
「わかった」
通信を切って、ルシアの横にしゃがむ。言われたとおりに額に手をあて、アストラル力を
送る。
始めて二、三秒でまばたきをし、いつもそうしたらいいと思うほどの速さで音もなく起き上
がり四つんばいで這ってミカエルの後ろに隠れた。
息を吐き、吸う。叫ぶ。
「キャ アアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ――
――――――――――――――――――――――――――――――――ッ!!
っはぁ……」
腹のそこから上げる悲鳴。耳をつんざく声にその場の全員が耳を押さえ。途切れ。ため息。
「……何やってんだお前」
間近にいたおかげで、一番の被害にあった耳がキンキン言うのもわずらわしく、背中に
しがみつかれているため首だけで彼女を向いて、ミカエル。
「はい、悲鳴を上げる間もなく体が止まりましたので、改めて」
彼の背に隠れながら――きゅっとおびえた目つきを揺らす。
視線の先――隊の部下たち。……何の用だかいまだに言わない。ルシアがまだ背を
離そうとしないので、しゃがんだまま見上げる。
「で、お前らは何しに来たんだ」
数秒どよめく。睨むとようやっと、一人が恐る恐る口を開いた。
「隊に見慣れない――そのヒト――天使がいたんで、一体どこの配属になるのかなと、
訊きに来たんです、けど」
「コレかぁ? おい、いい加減離れろ。
さっき言ったろ、預かりもん。配属はねーよ。暇つぶしについてきただけだ。
お前戦うのか? ……離せっつってんだよ」
後ろのルシアは渋々ミカエルの背をつかんでいた両手を離す。彼が立ち上がるのを
追いかけるようにして彼女もまた立ち、せせこましく背に隠れようとする。
腕をつかんで彼らの目の前に出してやると、引きつった顔で彼らを見て、情けなくミカエル
の手を握った。 間接が白くなるほど力を込めているようなのに、大して痛くはないので
放って置く。
これと暮らすようになってから幾日も経つ中、気が付いたことがある。彼女の顔は、いつも
笑んでいるように出来ているらしい。その笑みが消えているときは、感情が著しく負の方へ
向いたときだ。ボリュームたっぷりのケーキを、運んでくる際につまづいて転んだ瞬間は、
もういくらかひどい顔をしていた。
「戦い、方は、一応、習い、ました、はい」
「ああ、お前こいつら一度ぶちのめしてたもんなァ。てめえら覚えてるだろ? こいつ」
「え……」
「あっ、やだミカエルさま、これやるの大変だったんですよォ」
ルシアの髪を留めていた金具をはずし、まさぐっておろさせる。非難の声があがるが、
無視。数秒と立たないうちに彼女の長い金髪は先を床にすべらせて。
「あー、この女!」
「きゃぁ」
声をあげる男の一人。ルシアは肩をすくめて、ザンバラの髪をてぐしでまとめながらミカ
エルの背にまわる。
「この女、前に境界んトコで頭にのされてた!?」
「その前にテメーらがのされてたけどな。その女だよ」
だんだん理解の色が広がっていく。不可思議な視線は好奇を含み始め、口元には笑み
が浮かぶ。
「あーあーあー、アレか! へぇぇ。
ほんで、なんで頭がそのノした女連れてんスか?」
説明するのは面倒くさい。そんなことはわざわざ自分のところまで来なくても、カマエルに
でも聞けばいいのだ。
コンマゼロ一秒迷って、やはりやめた。
「あーもーいいからでてけ。用は済んだろ。
てめぇも一回バトって勝ってる相手にビビッてんじゃねぇっつーの」
平手で頭をはたくと、形容しがたい声でうめいた。
「あ、じゃあ」
いいことを思いついた、と言わんばかりの高いトーンで。
「本人に聞くんで、そのコ貸してもらっていいですかね?」
外的な反応はなかったが、目元の影が濃くなった気がする。ミカエルを見る目が訴えて
いる。
「……いいぜ。連れてけよ」
訴えは却下した。特に深い意図があったわけではないが。
「あ、じゃ、どーもです。境界に着くまでには返しますんで」
アゴで行くように命じると、観念したようでおとなしく従って行った。背の高い彼らに囲まれ
ていく様はなんだか送検される犯罪者と監視人めいていて。
シャットされ、操縦室に一人。
席に戻る。前方は永い間に見飽きた青と白のパノラマ。
茶はすっかり冷めていた。
× to be continued ×
……長くてすいません。なのに大して話進んでなくてすみません。
>724
お褒めの言葉ありがとうございます〜
でも『様』はやめてくださいなー(苦笑 せめてサンで。
読んでいただいてる立場ですからw 身に余り、です。
741 :
名無しさん@ピンキー:03/10/05 00:15 ID:ODwYBaRE
age
ROMってる人いますよね?閑散としてますね。。。
いますよ〜
|ω・`) チラッ 神様おねがい…
上に同じ。
神様…。
原宿様大丈夫かな・・・
原宿様のベリ子が見たい。
ところでラファ×ベリに萌えるのって漏れだけ?
>746
正直、前半のほうでベリに「他の奴なんか関係にない、俺が求めてるのはお前だけだ」
っていってたのはラファエルだと思ってた。
……違った。
それは気がつかなかった!あの時点でならそうともとれるね。
アス×ベリも大好きなんだが・・・実は愛してるくせに憎んでいる(と思い込んでる)ってのがすき。
ミカちゃんとかぶっちゃうけど。
でも皿に惚れた後のラファエルだけはカンベン。
なんであいつにほれた男はどいつもこいつも寒いセリフを吐くのやら。
(17巻のラファエル&刹那が好きな人ごめんなさい)
瑠璃×皿の触手プレイはありですか?
>748
紗羅って14か15なんだよね。
刹那とは兄妹ってことを差し引いてもなんだかな、って感じ。
ラファエルは実のところ別に紗羅に恋をしたわけではない気がする。
ラフィ君、本気で女好きになったことないだろうし。勘違いの恋、みたいな。
だからこそバービエルの愛に気が付いてスイッチできたんだろう。
と私は思っている。
ジブリールはすごい好きなのになー
い、忙しい……。
すいません、神様降臨までの間もたせに書いてたのに
私の方の暇が今なくてしばらく投下できなそうです。
嗚呼。
仕事じゃなくて個人的なことなのでアレなんですけど。
原宿様はホントにどうなさったのでしょうね。ひそかに案じております。
>749
>1では同性愛禁止の方向で、ってなってますけど、どうなんでしょ?
私は、需要があればいいと思いますが。
>751
気を落とさず。
長編を書いていればそういうコトもままありまつ。
>750
801は板があるから違うだろうけれども、レズはこちらの板だろうから、
私も需要があれば宜しいかと。
写ティ×羅字書きたいんですが、どうでしょう。
これはプラトニック派のほうが多いかな?
>753
お願いします。
755 :
名無しさん@ピンキー:03/10/15 15:55 ID:GVEgQIfI
保守
萌え神が自分の中に降臨せぬかなぁー。
と忙しくて仕方が無いくせにふと思う。
皆、他の方が書かれているカップリングの他に見てみたいカップリングものはありますか?
自分も忙しいので書くかどうかは知れませんが、参考までに。
>756
はーい、ウリエル×ドールが見たいでーす。
昔話的にザフィケル×アナエルも。
758 :
保守懺悔:03/10/20 02:42 ID:PAmSLBwC
一瞬ミカちゃん(九雷然り)の口の中に舌入れたら
八重歯がささって痛そうだと思った私を許してください保守。
八重歯で舌の裏を切って大出血したという話を聞いたことあるけど。。。
どんな絡め方したんですかw
>760
多分舌の裏で歯列をなぞったのではないかと…
んで、運悪くその相手の犬歯が歯並びの関係で出っ張っていたと。
女の子が自分の歯で舌切って血ぃ出してるの見て慌てている
ミカちゃんを想像したら笑えたw
終わったね…
だれかかいてくれないかな→帽子屋×九雷
作者いわく帽子屋さんは中性だから同性愛じゃないってことで…
よくこの時間に書き込む私は夜型。
忙しいのが終わったので、続きをちょこちょこと書き始めてます。
明日(今日か?)にはすこし投下できそうですが、
他に投下を考えてらっしゃる神さまいらっしゃいません?
>769 >753 >756
様方。
投下予定が入っていましたら自粛しますのでご一報くださいな。
ルナス・ルシア。
名を問われればそう答えるようにしている。実際、どちらの名で呼ばれても同じように
返事をする。ルナスと呼ぶものも、ルシアと呼ぶものも数は半々。どちらかが圧倒的に
多いのであれば片方だけを名乗ったかも知れない。 しかしながらミカエルと大恩ある
バービエルとが別の呼び方をするため、やはり両方名乗ることにしただろう。順番に深い
意味はない。 発音がしやすいといったささいな理由だ。
能天使の男たちは、実に気のいい者たちばかりであった。おびえることはない、と愛想
よく笑って見せたルシアを連れていくことを頼んだ男を筆頭に、次々と親しく話しかけ名を
教えた。彼らに持っていた恐怖心など、驚愕が尾をひいていただけのもの。平静を取り
戻せば、一体何が恐ろしいだろう? 即座にたたずまいを正し、怯えるなどという非礼を
正直に詫びた。名を問われて、答える。ルナス・ルシア。どのように呼べばいいのか
たずねられたが、返しはいつもと同じく。とりあえず、彼らの頭に従ってルシアと呼ばれる
ことになった。
ミカエルの船から転送機で彼らのメルカバに跳び、一室で事情の詳しい説明を求め
られて、彼女の把握している範囲で途中にはさまれる質問にも順繰りに細かく話した。
おおむね納得して貰い、記憶がない間に攻撃を仕掛けたことを最後に謝する。彼らは
あっさりと水に流した。特に大怪我をしたものがいるわけでもないからと。
彼女の説明が尽きたところで、誰かがカードを持ち出してきた。
「あんた、カードゲームわかるかい?」
「ええ。『クラミング』なら少し自信があるわ」
肌を吹きつける強い風。炎の次に慣れ親しんだ、親友ラファエルの司る要素。煽られて、
目を閉じる。といっても、目に痛かったからではなく。
目的地も近く、降りる準備は出来て、少しの待ち時間にデッキで風を浴びている。縁の外
側に向かって腰かけて、できるだけ全身の力を抜く。何度もやっていることである。この強風
の中でも落ちるようなことはない。落ちたとしても羽がある。何の問題もない。
デッキに上がってくる気配がする。操縦室にいないので悟って探しに来たルシアだろう。
来いといった覚えはないが、来るなとも言っていない限り彼女はやってくるモノだ。
「こちらにいらっしゃいましたのね、ミカエルさま」
予想通りの声。軽やかに小走りで寄ってくる足音。振り向いて確認するまでもない。
が、ひとつ予想外だったことが起こった。
……後ろから思い切り抱きつかれた。
「きゃはっ♥」
「うわっ!?」
バランスを崩して縁から滑りそうになる。反射的に体重を後ろに倒す。結果、デッキの床
に落ちた。
落ちてもまったく痛くないのはあたりまえである。後ろに倒れたのだから、ルシアが下に
いる。
「いきなり何すんだお前は!?」
彼女の上から退いて怒鳴る。ひょこりと起き上がった彼女の返事は頬への口付け。
「なっ!?」
「えへへへ♥」
首を傾げて、笑う。
おかしい。明らかにおかしい。
全体的に『緩い』。
よくみれば、顔がやや赤い。
「お前、酔ってんのか?」
「気持ち悪くないですよールシアは船酔いしませんから」
額に手を当てて、言い方を変える。
「飲まされただろ」
「はいィ♥ お酒飲ませてもらいましたーおいしかったです♥」
平常にもまして頬のゆるい表情で機嫌よさそうに答えた。
機体の揺れに、平衡感覚が正常に働いていないらしく体が大きく傾いだ。なぜかひどく
それが不思議なようで、自らバランスをとって転倒を避けようという意識が見えない。
「楽しかったですよォ? あの人たちを怖がったなんて私は愚かでしたね」
転ぶ寸前で伸ばし受け止めてやった腕の中で、今度は酔っ払い独特の意味不明な笑い
をあげる。
ろくでもないことしやがる、とミカエルは嘆息した。これに飲ませたということは自分たちも
飲んだということに違いなく。
ここまで歩いてきたのだから自力で立てないはずもないのに(もしかしたら何度か転んだ
かもしれないが)、体重を彼にかけて支えさせる彼女は、普段の柔らかい笑みとはまた
別種のいたずらっぽい表情で見上げる。
「うふふ。すばらしいですね、ミカエルさま。愛されていますわね。みなさん、ミカエルさまの
こと、大好きですよ。とてもとても。私、嬉しい」
肩に頭を寄せてくる。
返答に困る。部下が自分のことを好きだと三者から言われて……何を言えと言うのか。
流そうかとも思ったのだが、引っかかるところがあった。
「なんでお前が嬉しいんだよ」
「何故これが嬉しくありませんか?」
ニンジンは根野菜だ、というのと同じくらい確信を持った言いぶりで、ルシア。
そう言われても、部下から好かれることが嬉しいとかそうでないとかいう感情は起こらない。
むず痒いだけだ。それが、ルシアになると疑うところなく嬉しがるべきものになるらしい。
たまに彼女はこういった確信のある言い方をする。大体ミカエルには不可解なものだ。
コレに限ったことなのか、それとも女というものは全てこうなのか。
どっちにしろよくわからない生き物である。
流した。どうせ酔っ払いのたわごとだ。あとで覚えているかどうかも怪しい。
力なく腕に寄り添う彼女を突き放す。
うふふふ、とルシアは笑み、おぼつかない足で身を返し。
Amazing grace! how sweet the sound
That saved a wretch like me!
I once was lost, but now am found,
Was blind, but now I see.
柔らかな悪くない耳当たりの声で、短いフレーズを口にする。続きはかたちのいい鼻腔に
響かせて。縁に手をかけて風を正面から受け、留めていた髪をほどく。目を細め、流されて
いく頭髪を指で促す。
「いい気持ち」
と、機体が降下し始めた。目的地に着いたのだ。
真っ直ぐ下に向かう転換に、ミカエルはよろめきもしなかったが、対応しなかった女は低い
縁に体重を預けていた。
前のめりに落ちた。
「おいッ!?」
悲鳴も上げない彼女の足をとっさにつかむ。ミカエルもそれほど体重のあるほうではない。
ルシアがもうすこし重ければ捕まえたところで一緒に投げだされたかもしれないが――
重力とルシアの体重を支えて、引き上げる。
「……ッ……」
どこかぶつけでもしたか、引き上げられた彼女は転ぶように床にうずくまる。
「大丈夫か? どこぶつけたんだ、見せてみろ」
「……………………!」
「ルシア?」
細かく震えている。ひどく痛むらしい。彼の呼びかけに返事が出来ないほど。鼻か肋骨
でも折ったかのだろうかと心配したのだが――
違った。
笑っていた。
「あははははははははははははははっ!! ミカエルさま、ひっかかった!」
……とりあえず、殴った。
本気でやったら頭蓋が変形してしまうので、気が済むぎりぎりまでにしてやったが。
今度は本当に痛いはずなのだが酒が入っているせいか、殴られたところを手で押さえて
笑い続けた。
「てめぇ……まだ笑ってられんだったらもっかいぶっとばすぞ」
半眼でにらむとそれでもルシアは笑って、床に尻餅をつく格好で空を仰ぐ。大粒の涙が
ぼろぼろと瞳から溢れ出したのは次の瞬間だった。
「っ!?」
「あ……」
ルシアは流れ出してから涙の存在に気がついたようで、間抜けた自覚の声を上げて両手
で目を覆う。口元は笑みの形はそのままだったが。
女性が涙を流すところを見たのは初めてではないが、いつもへらへら笑っている女が
泣くかもしれないと思ったことはなかったという意味で、この涙は衝撃的なものであった。
意味もなく泣くなんてことは彼の経験からもないことで、その泣く理由としては今自分が
殴ったからだというのが一番順当で。
戦いの場では切捨てる者が女であろうと一切気にかけることはないが、こうやって血の
匂いも剣の打ち鳴らす音もしない日が当たる風の吹く場所で、目の前、自分のせいで
泣かれるのはどうにも、落ち着かない。
「あは……」
「あはじゃねぇよこのバカ。あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜何なんだお前は!」
なんだか絶望的な気分で彼女の顔を袖で乱暴にぬぐう。うぐ、とうめくがかまわない。
何度かぬぐったあと、指が肩に触れて静止してきた。泣き止んだのかと手を離すとデッキ
に上がってきてからずっと変わらない調子の笑顔で、やはりたらっと両目から頬へ新たに
すじを作る。
ミカエルが顔をしかめるのを見て、慌ててうつむき自分でぬぐう。
「ちがうんです、だいじょうぶです。痛くないです。あ、痛かったですけど。ただちょっと、
あんまりうれしかったものだから」
怪訝に、額を押して顔をあげさせると、すまなそうに涙のにじんだ目じりを下げる。
「ああ、いやだ、泣くつもりなんか、なかったのに。ごめんなさい。お酒が入ってハイに
なってるみたいです。ミカエルさまは、なにもないですから。ちょっと試してみろって言わ
れて、本当にミカエルさまが」
自覚しているように、相当あがっているらしい。
「何なんだよ何か言いたいならちゃんとまとめてからにしろよ。
んで、何が試しで俺が何だって?」
ようやく止まってきた目を手首で拭いてあー、の後にうーと口を動かす。
「ええっと、ですね、能天使の皆さんと、カードで遊びながら、お話してたんですね。あんた
は頭のことをどう思うかって聞かれて答えたら、じゃあ頭はあんたをどう思ってるか知り
たくはないかって言われたのでそうですね、って言ったらこうしたらきっとわかるって言うか
ら試してみたんですけどさっき落ちたのは別にわざとじゃなくて」
「もーいい」
話しているうちにまたごちゃごちゃしていたのを黙らせる。大体把握できた。あいつらも
しょうもないことをしやがる。痒くはなかったが首筋を掻き、呆れて言った。
「そこでお前、やったら俺に殴られるって誰かに言われなかったのか?」
「言われましたよ」
さらりと、ルシア。
「でも、わたしが、知りたかったんです」
今度は口元を引き締めて、しっかりと、いつものように微笑む。
「満足かよ」
「ええ。いまここで死んでもいいくらいに」
なんでこんなことで死んでもいいのか理解に苦しむが。
「そいつァ良かったな」
「あ♥ ミカエルさま、あれが境界の地ですか? どこあたりからが地獄になります
の?」
機敏に立ち上がって再び縁によりかかり下方を示す。降下がいつの間にか止まっている。
ということはすでに到着していたのだろう。それにしては隊のほうからの催促が来ないのは
不審であるが、それほど重要なことではない。おそらく誰かしら連絡を行っていると誰もが
思っているだけのことだ。一応通信機を確認するが、気が付かなかったのではない。
「おい、あんま寄っかかってっとまた落ちっぞ――」
通信機をしまいながら注意を喚起しようと、声をかけた。
目を向けた先にはもちろんルシアがいるのだが。
ふと見た瞬間、それが別人のような気がして、見入る。
黒服に際立つ白い肌。かすかに赤みさす頬。日に照らされた紺青。紅い唇。風にたな
びいてやがて溶けていく月の髪。
ルシア。
胸がひきつった。
経験のない妙な感触。訝って引きつった胸、心臓の辺りに手で触れる。特におかしな
ところはない。
「?」
「ミカエルさま? どうかなさいました?」
「いや……なんでもない。それよか俺行くぞ。来るか?」
おろして置いておいた炎の剣を背負い、翼を広げる。
「いいえ。戦い方のわからない私では足手まといにしかならないでしょうから」
「そっか。
派手に暴れれてくっから夕飯の献立でも考えてまってろや」
「はい」
ぐしゃぐしゃと頭を撫でてやる。ベヒーモスの肝を捕って来たらこいつ料理できんのかな。
縁に足をかけて蹴り、空に飛び出す。その後ろから声がかかった。
「いってらっしゃいませ!」
振り返りはしなかったが、片手をあげた。
少し時間が並行する。
紫煙や酒の匂いのする一室でのこと。
「飲んだなぁ……。俺たちより飲んだろ」
「いくつ空けた?」
「オールトレ三、とフィークが五」
「勧められるまんま飲んでたからナァ。見かけによらねーよ」
「しかもちゃんと歩いて帰っただろ」
「スゲ」
「にしてもおもしれーな。いいじゃん、俺は賛成だね。あれなら頭がアツゾコ脱いでも
身長や外見のトシつりあってるし」
「馬鹿、頭のアツゾコの話は禁句だろうが」
「落とすと思うか?」
「おー、ありゃ落とすんじゃねーかぁ?」
「俺は思わねー。女嫌いの頭だぜ? だったらもっとさばさばした女のほうが」
「わかってねーな。女が嫌いだからこそああいう女らしいのにころっとイッちまったり
するんだよ」
「そう……か?」
「賭けるか」
「じゃ、オレ落ちるほうにこないだ手に入れたばっかのブラックプール」
「マジかよ?」
「俺は落ちないほうにウッドマーク」
「期限どうする期限」
「なんかあの子が頭のところにいるのに期限あったろ、それと同じで」
「曖昧じゃねーの?」
「いいいい」
「おーい、お前らそろそろ降りる準備しろよ」
「うぃーす」
× to be continued ×
神様のご予定がないようでしたので投下させていただきましたー。
確認してたら投稿ミス発見。一行たーらねーぇ。 でも まあ いいや 。
笑えなかった余談。
サイトをもっているのですが、落書きにこの小説のイメージイラストを書いたのが
えらく上手に書けたので嬉しくなって詳細なしにうpしたのです。したらオフの友人が
「可愛いじゃんあれ。あれでなんか話かいてよ」
……さすがに2chでエロ小説(になる)で既に使ってますとは言えませんでした。はは。
キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(。 A 。)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!
いい感じになってきましたねぇ(´Д`)ハァハァ
保守。
天禁キャラ×カインキャラってアリなのかと言ってみるテスト。
>777getおめ。
……どうやって。あー、天使&悪魔かー。
シチュエーションが変でなければアリだと思う。
由貴たん的にはあの世界は繋がっているんだろうか。
繋がっているとしたらカインのときはジブリールがセヴィーと
真っ向から対立している頃だよね。アレクは遊女あたり?
ベリアル様は花嫁探し真っ最中☆かな。
人間に化けてロンドンに来た可能性もある。
デライラの人とか、悪魔と契約してそうだし…
そしたらパパン×帽子屋とか黒リフ(本スレで巨根疑惑)×帽子屋とか…
ゴメンなさい逝ってきます。
デライラの皆さんとか、地獄の方々と契約したりしたのかなぁ
780 :
779:03/11/02 01:51 ID:tJYiwo6Z
↑間違えました…一番下はなかったことにして下さい。_| ̄|○
眠いからってあんまりだ…
今度こそ屍人形になりに逝ってきます
781 :
名無しさん@ピンキー:03/11/03 01:28 ID:iEh7m4jm
微妙にいつも人いないなあ。
何人くらい覗いてるんだろうか。
点呼とっていい?
1
2〜
3。 基本ロムだが。
4。同じくROM。
_| ̄|○ <四人か・・・・・・w
おまけに半分はROM…_| ̄|○
>786
どうやらこのスレは基本的に僕らでまわしているようだぜアミーゴw
んなわけあるかい。
ノシ 5人目。ほとんどROMだけど。
はーい6人目。現在はほぼROMでつが。
おくればせながら7人目でつ。
雑談参加オンリーですが、かなり前から参加者
雑談しよう。うん。なんかネタないかい?
せっかくエロパロなんだから本スレじゃできないちょっときわどい話をしよう!
マリーとオスカーは一体いつ(ry
カシアンの望みは叶っ(ry
刹那とサラはやっぱり天禁終了後もヤっ(ry
ラフィー君は目覚めた後バービエルを手篭(ryry
ルシファーは童貞か否(暗殺終了。
うーん……。
8人目!
ルシ×アレ話が読みたいなー。
うーん、雑談、繰り広げようと思えば結構ありそうなんだけど・・・
漏れに文才があれば(´・ω・`)
個人的に、原宿様の続きが読みたいよー
>>792 ルシファーは童貞か否(暗殺終了。
妙にそそられますたw
>>794 アレクシエルに向かって「この手で神の娘を犯し、殺し……」とか言ってる
ルシファーが童貞だと想像するとなんだか微笑ましい気分になりません?
9人目?ROM専でスマソ
前にも出てたような気がするけど、ウリー×ドール読みたいな。
ミンロウドさんのお話楽しみにしてまーす。
>>795 犯したのはナナツサヤ、俺のボディーじゃないー!みたいなw
じゃあ、もしもシリーズでも。
もしも もしも♪
吉良先輩と加藤の『外見』が逆だったら〜?
ミカエルの双子話に刹那は納得しただろう。
(´-`) oO(どうでもいいけど吉良とミカちゃんは全然似てないとおもうのに
ルシファーだとすごく似てる気がするのなんでだろう…?)
*
最近、すっかりミカエルのことについて詳しくなってしまっている。
お茶の好みやスープを飲むときのくせ、歩く速度、用のないときは何時に起床するのか、
つめを切りそろえるのがあまり得意でないとか、頬杖を突くときにはどちらの腕をよくつかう
のか、考え事をするとき視線がまずどちらに動くのか、ため息の長さによる気分の判定法や
イライラしているときに踏み鳴らす足音のリズムに到るまで。他にも彼女が自分の主人に
ついて考えたこともないようなことまで今では彼女の知識に収められている。
つまりは、始終ミカエルの近くで傍仕えのようなことをしているルナスが彼女に会うたび
嬉しそうに、それは夢見るように話すからなのだが。
今日は、そのルナスの勉強を見てやる日ではなかった。それよりもいくら片付けてもたまる
一方である書類たちの整理に追われる予定であった。
このごろは大戦直後ほどではないにしろ忙しいことに変わりないことで、廊下などには
いつも人が激しく行き来してせわしなく動き回っている。そのなかにぽつんと独り、利用する
ものはそれほど居ないのに、外観の問題なのかそれとも本当にひんぱんに利用されるのを
考えて設置してあるのか、小休憩をとれるように壁に沿ってたまに廊下にあるベンチに腰
かけて、ルナスがいた。ほとんどのスタッフが職場上白衣や白っぽい服装を着ている中の
黒服は目立ったし、ルナスの顔を知っているものも中にはいたろうに、それぞれの仕事を
抱えて彼女にかまう暇はなかったらしく、ひとりぼっちで折り目正しく座っていた。
ルナスがひとりでそこにいるわけは、彼女の立場上ない、というよりも建前上はあっては
ならないことだ。自分のところに来るときは、大抵人に付き添われる。でなければミカエル
が一緒でなければ出歩けないことになっている。
立場的にも心情的にも放っておくわけにもいかなく、とる予定のなかった長休憩をとること
にして彼女を部屋に連れた。
一切合切の記憶を無くしていて、新たに言葉を覚え始めたころのような妙な受け答えを
することはミカエルに預ける前にすでになくなっていたから、何故ひとりでいたのかの質問
には、薄々そうではないかと思ってはいたわかりやすい答えが返ってきた。
気になったのは妙に元気がないことである。本人はいつもどおりに振舞おうとして近況
――数日前からコンピュータの扱い方やメルカバの動かし方を教わっているのだとか 、
ミカエルさまはこんなことで笑っていらっしゃったとか――を話しはするけれど、根が単純
なので非常にわかりやすい。原因は頬に貼ってある大きな絆創膏や長袖から覗いた指に
巻かれた包帯のせいかと思ってそれとなく尋ねてみたがそれは違うらしい。ミカエルや
能天使たちに戦闘訓練をしてもらっているのだそうだ。治療術は教えてあるが、ルナスは
自分に対して使うときだけはある一定以上まで治ると効かなくなるので、保護観察対象の
この子に戦闘訓練など施していいものかしらとは思いつつ疑問には気づかなかったことに
して(楽しいようだし)、治癒してやる。
そのとき手首に誰かの羽根とふわふわした和毛で出来た手作りのブレスレットが見えた。
「お守りです」
はにかんだ顔はそれが演技でないのと誰の羽根なのかの両方を謳っていた。
「そう」
かつて天界で禁じられていた恋愛を犯して心を寄せ合う恋人たちが、長く離れる折、
たとえば戦地に赴くときに、互いの羽根を交換しあい傍にいられない痛みをまぎらわせる
習慣があったという。おそらくいまでもそう、人間が指輪を交換し合うように、羽根を愛する
人に贈っているものは多いだろう。
断言してもかまわないが、ルナスは絶対にそんなことは知らないけれど。
バービエルもよく知ったほうではない。位が高い彼女に天使たちの知られざるべきあれ
それがそうそう耳に入ってくるわけもない。かといって、まったく入らないかといえばそういう
わけでもない。入ってきたとしてそんなことはいちいちルナスに教えたりはしないし、無知な
彼女に世間の一般常識を叩き込んだ某は浮わついた話にまったくもって興味のない女性。もしかしたら、能天使の者達の誰かに聞いたかもしれない。しかしその可能性は低い。
自分で考えて、作ってみたのに違いない。そのうち自分の意思で羽根を出せるようになっ
たら教えてあげよう。ルナスが彼に羽根を贈れるようになるのはいつになるだろうか。きっと
彼も知らないだろうから、ルナスに受け取って欲しいとせがまれれば多少嫌がるかもしれ
ないが、受け取る。
想像して、クスリと口元が緩む。
「よかったわね。他に痛いところはない? ミカエルさまが戻るまではここにいたらいいけ
れど――テキストはないでしょう? 歴史書でも読む?」
ルナスが返事をしかけて口を開く一刹那前に乱暴にドアが開いた。
「バービエル様ー? ルシアがいるって聞いたんスけどー……ハァイルシア!」
「シャル!」
歓喜というよりは楽しげに、ルナス。
軍で作りこまれ、火急の時には真っ先に志願して戦うための準備を怠らない長身は両手
に薬物用の薄ケースや大量の布をもって、そのままルナスに駆け寄り座ったままの顔中
ところかまわずキスをして、額に自分の額を軽くぶつける。
「あぁ、るっちゃんこのチビ、元気だった? 最近全然会えないくて寂しいよ。ま、顔見ない
ってコトはあんたに薬打たなくていいわけだからそりゃいいことだけど」
「シャル」
咎めだてる響きを含ませて、名を呼ぶ。
「入るときはちゃんとノックなさい」
「ははは。すいませんね、両手がいっぱい夢いっぱいなもんで」
見ての通り、と肩をすくめる。
「じゃあドアはどうやって開けたのかしら?」
「足で」
これだ。
「お行儀悪いわよ、シャル」
指摘したのはルナス。
シャルは意地悪そうにニヤッと歯を見せ、持っていた布をルナスの顔に押し付ける。
「あんたに行儀を説かれちゃお仕舞いだね、あたしはルシアがミカエル様の前でどんなに
してるかいつも不安でしかたないってのに。 いつヘマしてつっかえされてくるかヒヤヒヤし
てるよ。あんたが変なことしたら、あたしのせいにもなるんだから」
「シャルったら」
ルナスは押しやられた布を両手で受け取り、眉をひそめた。
先ほどの『ルナスに一般常識を叩き込んだ某』とはそう彼女のこと。知識や学、言葉を
バービエルが教えているかたわらで、あーだのこーだのと天使として振舞うべきを懇々と
ルナスに弁じていた。普通当たり前として誰も意識しないことを真剣に言い聞かせている
のを、真面目くさってルナスが聞いているさまには思わずスタッフの間で苦笑が漏れた
もの。よくそんなことまで教えようと思いつくのかと。しかしさしものシャルも、夜にはベッドで
横になり、かけ布をかぶって眠るのだとは教えなかったようで。
監視ビデオをチェックしていたのに、誰一人きちんとベッドで寝ていないことに気が付か
なかったのだもの。ミカエルの宅で知ったときを思い出すと、笑ってもいられない。
二人は気が合うようで、シャルはルナスの検査している期間から、『あたしの友達』と
いってはばからない。
「シャル、あなた勤務中でしょう」
ルナスの隣に腰掛けて勝手にルナスにだしたお茶を飲む、くつろぎ始めた様子のシャル
は不満げに顔をゆがめた。口の中を飲み込んですぐさま反論が返される。
「あたしまだ長憩とってないんですよ。昨日やおとついもラジエル君ら新勢力との会議の
ためにてんてこで残業だったし、いいじゃないスか。いつも一所懸命仕事してんですから
たまにしか会えない友達とちょっとくらい喋ったってバチあたりゃしませんて」
戦場に赴く際にはむしろ潔い有能な部下の一人なのに。
そういえば、ルナスの名前を色々と考えてみた中で決めたとき、『なーんかしっくりこない
くないですか? んー、るし、るし……ルシ、ア。“ルシア”にしましょーよ』と言い出したのが
彼女だ。良くも悪くもわが道を行っている。
こんなことはどうでもいいし、別に全てに従えとはいわないけれど……軍人の顔をして
いるときとのギャップは、どうにかならないものかしらね。
戦闘服に袖を通した彼女は、命令違反はおろか、一切の口答えもしないのだ。
「あーじゃ、仕事しながら話すんでルシア借りてきますよ。それでいいでしょう、バービエル
様?」
嘆息する。
「休憩くらいとったらいいわ。私が話しておくから、ルナスと喋ってらっしゃいな」
そうこなくちゃ、と指をはじくシャル。そっと、目配せする。それだけで観察力に秀でたこと
が高い評価を受けるシャルには十分伝わる。
シャルはルナスを見やり、視線だけバービエルにやってゆっくり一回まばたきをした。
× to be continued ×
お…落ちるっ…
無茶苦茶亀だが10人目。
結構いらっしゃるんですねー。二桁突破!
〜注意〜
今回の投下は都合上オリキャラ二人の会話になっております。
あしからずご了承くださいませ。
ホントすいません。
「よし。出来たよ、まわってごらん」
実は、頬や指ばかりではなく背や腹や胸、膝にもくっきりと赤や青の痣の線が引かれて
いたのだった。痛い、という感覚がどうもピンと来ないのだしバービエルの手をわずわせる
のもなんだなと考えたのと、読んだ本に『痛みを知らなくては強くなれない』と言われたので
そういうものなのかとおもってだまっていた。けれど着替えをすすめられて服を ぬげば、
いうまでもないことだけれども発見された。発見者シャルは悲鳴をあげ、遠慮したのを問答
無用で無視。肌はもとどおりになって、動きづらいへんな感覚(これが“痛み”だ)はなく
なった。シャルの気づかいは嬉しいけれど、まだまだ強くはなれないんだなとおもうと残念
でもある。
言われたとおり、二回まわって両腕を開く。たっぷりした手製の黒いスカートは空気を
含んでふわりと広がり、回転の停止に遅れてひだをつくる。ワインレッドの袖は柔らかく
からだの線にしたがって、腕をひろげてもけして邪魔にならない。長い髪は編まれ結われ
に消費され、流されるところやっと肩まで。いうとすればひとつ、首にさげられたつけなれ
ないネックレスがすこし落ち着かない。
「うんうんかわいいかわいい。見込んだ通り、肌白いもの、濃い系が似合うこと。このユキ
ハダにキズつけようたぁ、能天使の奴らも何考えてんだか」
「ううん、すごく手を抜いてもらってるのよ。でも私よけたり受けたりがなかなか出来ないから」
「シャラップ」
シャルの立てた人差し指が、鼻をつぶす。
「そーよ、そもそもなんで戦闘訓練? あんた戦う必要どこにあるの? “ホゴ”観察されて
んだからイザっつー時は守ってもらえるもんなのよ。特にあーたは女の子なんだから。女
の子は守ってもらえばこそでしょうに」
「でもシャルは戦うでしょう?」
「あたしは軍人だからね。……なに、あんた軍人になりたいの? やめとけってマジで」
「そういうわけじゃないけれど……」
シャルが使っている仕事部屋は専用ではないのにあちこち彼女の私物が置かれている。
鏡台もその一つ。わざわざ作ってくれた服と邪魔にならない髪型を伝授してもらったその前
から移動し、デスクつきの椅子を一つ勧められ、インスタントのコーヒーを渡される。
強くなりたい。
熱いコーヒーが喉もとをすぎて胃落ちじんわり染み込んでゆく。
ううん、本当は、強いはずだ。だって、あんなに強いひとたちを、知らない間にも、たたかっ
て圧倒していた(らしい)んだもの。戦い方がよくわからないだけ。でもそれは、弱いのとおなじ。
それに、強くなれたら――
「で、あんたはなんでさっきからそんなに拗ねてんの?」
「拗ねてません」
想を中断し、きっぱりと否定する。
「いや、拗ねてるだろお前は。バービエル様が心配してた」
「拗ねてません」
「拗ねてる」
「拗ねてないったら!」
「……知ってた? あたし、通常勤務は心療内科配属なんだけど」
唇をつぼめ、合わせた太もものうえで指をくむ。
シャルは面倒くさげな造作の顔(気にしているらしい)の、ほんのすこしだけつり気味の目を
上方に向けてハネた赤い髪をいじっている。うすい唇は今にも口笛を吹き出しそう。
あきらめる。かくしても無駄。
「……拗ねてるんじゃないわ」
「拗ねてるんじゃなかったのか。じゃ、どした? まさかミカエル様と一緒に居られなくて
さみしかったとか?」
首をふる。
「だよね。なんなの?」
興味深げなシャルの視線から顔をそむける。
「……いわない」
「オイこらァ」
シャルはずん、と顔をよせて鼻白む。
「るっちゃん? どゆこと?」
そんなシャルをあごを引いて上目にのぞく。
「だって」
「あ、やっぱミカエル様系のハナシかい。いーよ言え言え。誰にも言わないから。約束する。
友達でしょうよ、なにかあたしに手助けが出来るかもしれない」
と、キャスターつきの椅子に腰を落とすシャル。なんなら指切りしようか? と右の小指を
立ててみせる。
どうしてシャルにはわかるんだろう。何をかくそうと、核心まではいかずとも近いところを
言いあてられる。これも、持ち前の観察眼とそれに照らし合わせる心理学知識のなせる
わざなのだろうか。
……客観的に見れば誰にでもわかることだと気づくのは、ずいぶんあとになる。
「だれにも、いわない?」
「言わない言わない」
そうっとコーヒーカップを手で包んで、首をかしげる。種々の思索をめぐらして、いい始めを
えらぶ。
「心配なの」
そう、いうならば、心配なのだ。
「ラファエルさまとの関係が?」
うなずく。と、シャルは慌てたように手を開き、弁解するがごとくいい焦る。
「いや、さすがに大丈夫よ。確かにお二人は仲がよろしいけど」
「え?」
「ラファエル様は女にしか興味ないし、ああ、でもミカエル様も女性がお嫌いだからって
まさかそんなことは」
ちょっと、話がかみ合ってない気がする。
「まってシャル、なんのこと?」
「え? あんた、ミカエル様がラファエル様と……あ、違うのね、違うならいいの。忘れて」
羞恥にか? 顔を真っ赤に染めるシャル。
早合点していたらしい。びっくりした。いったいどんな勘違いをしたのだろう。
「?」
「続けて続けて」
片手で顔をおさえてもういっぽうをぱたぱた振り、続きをうながす。しかし――
「それだけだけど……」
「おーい」
「なあに?」
「あのさ、はぁ……。あたしはね、原因を聞いてんのよ。ミカエル様の、ラファエル様との
関係をあんたは『どう心配してるのか』説明なさいって言ってるの!」
そんなことをいわれても。胸中で反論する。説明なんて。
気持ちを他人に伝えるのは、とても難しい。気持ちは気持ちとして胸のなかに浮かんで
いるもの。言葉に変換するのは、とても難しい。
ただ心配。ミカエルさまが心配。ぼぅ、っとあのうしろすがたを眺めながら、胸をついた気持ち。
ぎゅっとしめつけられて底の方が冷たくて、叩いたら抜けてしまいそうで、表面ばかりは
チリチリしている。こんなことをいっても、『わかんねー!』と叫ばれるだけだろう。確かに
これだけでは自分が言われてもわからない。
そんな様子に気がついたか、シャルはやや申しわけなさそうに言いなおす。
「ごめん。ちょっとずつあんたのわかる範囲でいってごらん。あとは勝手にこっちで解釈
するから」
考える。どういえば伝わるんだろう。言葉をおぼえるために、たくさんたくさん本を読んだ。
ようやく、読んだり、聞いたりするぶんにはだいたいの意味がわかるようになってきた。けれど、
自分から言ったり、書いたりするのにはふさわしいとおもえる言葉が簡単にでてこない。考える。
「ミカエルさまが、こう、沈んで、らっしゃるの」
「沈む? あの人が?」
シャルの意外そうな顔をむっとした目で見つめると、苦笑いする。「ごめんごめん」
「…………」
「わかってるよ。で?」
「……長く、ラファエルさまがお目覚めに、ならない、から」
「あー、はいはい。ラファエル様が起きないのにミカエル様がつまんながってるのがあんたは
心配なわけ」
ちょっと、違う。
「つまんながってるんじゃなくて……迷ってらっしゃる? ちがうな……えぇーと、願う、じゃ
なくて……あ、そうよ、嫌がってらっしゃる!」
やっとはまる言葉がみつかった。嫌がっている。……なにか他にもいいようがある気が
しないでもないが、一応これで意味はつうじるはず。
「ラファエルさま、お目覚めにならないでしょう? それをとてもミカエルさまは嫌がっていら
っしゃる。何かしてさしあげたいけれど……面会に行かれるときはおひとりだから私は
ラファエルさまにお目通ったことはないし、ミカエルさまも別にそういっていらっしゃるわけで
はないわ。でもミカエルさまのお気持ちを感じれば、心配」
シャルは真顔で腕を組んでいた。ふとたちあがり近くの窓をあけ、両手でメガホンをつくり叫ぶ。
「下らね――――――――――――――――――――っ!」
「ひどーい!」
「ていうかその程度のこと言うのに悩んでんじゃねぇーよ、チビぃこの! んなんバービエル様
だってウジエル様だってペリエル様やバリエル様やタルシシュ様やアリエルとかフィリジエル
も 、あたしだって! ラファエル様がいつまでも寝てんのは嫌だっちゅーの!」
すさまじい剣幕に押し黙る。そうかもしれないけど、やはりちがう。バービエルは、近い
かもしれない。でもシャルが思っているのとミカエルの気持ちはちがう。
「うう」
うめく。何がちがうのかといわれたら、説明する自信はゼロなので。
「かー、バービエル様も呆れなさるわ、きっと。せっかく心配なさっていたのに」
「ち、ちがうもん」
本人こそあきれかえってこうべを振るシャルに、小さく抵抗してみる。 そういえば、その前
にだれにもいわないといっていたはずなのに、やはりバービエルには報告する気まんまん
だったのか。
「なぁにが?」
「シャルたちと、ミカエルさまのお気持ちはちがうわ」
「さーよけー」
「もうシャルったら」
「いやいや、ルシア。わかってるよ、あんたが言いたいのはアレだ、ミカエル様は心を痛めて
らっしゃると。そういいたいんだろ」
独りで我得たりとばかり晴れやかにうなずくシャル。
内心おどろき、よろこぶ。つうじてる。私の言語力も、ちゃんとあがってるんだわ。それは、シ
ャルの理解力が高いっていうのも、あるかもしれないけど。
「そう、それ。すっごく心を痛めていらっしゃるの」
「ヴァカーこの」
「え」
「あの方がんなことで心を痛めるタマかっ! 天変地異の前触れでもありえないわよ!
安心なさい、あんたの心配は取り越し苦労、無駄な杞憂。あーもー心配して損した。お腹
空いてきちゃったよ」
勝手に完結してしまった。
意味はつうじてたのに、シャルの認識がちがう。こまった。しかもシャルは一度こうだと
思ったら、人の話をきかない。
「ちがうのに……」
「うるせ。今日果物持ってないの? お昼まだなんだわ」
最後の反抗も無下にされ。しゅんと落ちこむが、もと着ていた服のポケットから種を出し
握りこみ、アストラル力を与える。はじける音と同時に投げる。
ぽんぽんぽんぽんと、一つがこぶしふたつ分もありそうな薄緑色の果実がいっきに実り、
デスクを埋めつくす。
「うわぉっ」
果実が二つ、転げて落下しそうになるのをシャルが両手ずつ受け止める。
量がおおかったので、腕のつけねあたりに疲労感をおぼえて息をはく。とてもかんたんな
わざのはずなのに、これだけで疲れてしまうのはアストラル力をつかう効率が悪いから。
注意して力をつかってはいてもねがいどおりうまくはいかないもので。
「品種改良してみたの。たぶん、シャルの気に入るわよ」
「そりゃどーも……機嫌直せよ。ミカエル様のこと、痛痒に鈍感な朴念仁みたいに言った
ことは謝るから。そーだあんたのために買っておいたものがあるんだった」
シャルはデスクの足元の奥に頭をつっこむ。別に、怒っていたつもりはなかったのに。
「ほら、お詫び。欲しがってたろ?」
どこにぶつけたのか、赤くした鼻をさすりつつ紙袋をだしてさしだす。
「これは?」
「各種せんべと緑茶。こないだアリエルたちと物質界の東京に買い物いったんだわ。バービ
エル様にはナイショだかんね。もし言ったら次からは絶対買ってこない」
「……ありがとう!」
うれしさに抱きつくと、シャルはくすぐったがって身をよじる。
「やっとわらった。感情起伏の激しい友人を持つと苦労しますよ」
額にキス、ひじで腹をつつかれる。おかえしに足をかけようとしてかわされる。お互いに
わらいあいながら、改めてひととき談話を。
二人の会話は、自分からはなすよりシャルから聞くことのほうがおおい。今回は物質界の
世俗のことをきいた。
バービエルには教養や知識を、シャルはいきていくのに知らなければこまること、社会に
なじむために必要なことを教えてくれた。その教えに、なぜなのか理由がわからないことも
しばしばあって、しつこくたずねたこともあった。二人ともほとんどはちゃんと得心するまで
わかるように、丁寧に言葉をつくして説いてくれた。それでも理解できないときはシャルに
ついては『なんででもそういうもんなの!』とその場はいいくるめられたが、後々になって
納得し、いいつけを守ってよかったこともひとつふたつではない。特に体のことがそうだ。
他人の前で裸の胸部や腰部を見せてはいけない、直接肌にきている下着の一枚上はいく
ら暑くてもぬいではいけない、決して男性や人が大勢いるところ、知らない人が居るところ
で着替えをしてはならない。いわれたときは不思議で仕方なかった。
加え、友達だといってくれる。
「……ってわけでサ、飲みに言ってもすーぐへばっちゃってつまんないこと。ルシアは、
酒平気だったよね。早く一緒に飲みにいったり遊んだりしーたーい」
複雑な気分で曖昧な顔をしていると、上目にジトっとにらまれてしまった。
「あんた、ちゃんと記憶戻って欲しいとか思ってる? 自由になりたいとか思ってる?」
「……あんまり」
「ほらね、やっぱりね、けっ。そーよね、そーよね、あんたってそういうヤツよね。友達甲斐
ないヤツ。ほーんと薄情。やんなっちゃう」
ふてくされて鼻を鳴らす。
「そんなことないわ」
「どーよ? はん」
「好きよ、シャル」
シャルは言葉を詰まらせた。口の中でごちょごちょともてあましてから、
「そんなら、いーのよ。うん」
と、わざとらしく大きな咳払いをし、時計を見上げる。
「あー、もう結構な時間がたっちゃったねぇ! あたしの長憩もこれ以上長引くとタルシシュ
様にまたイヤミ言われちゃう。それに今日は夜から会議だし、準備しなくちゃ。ルシアも、
ミカエル様、もうご自分のメルカバに戻られてるから早く行ったほうがいいんじゃない?」
「え?」
さらっとシャルは言った。『もう戻られている』。
「え? え――――!? ミカエルさま、戻ってらっしゃるの? え? シャルが知ってるって
ことは……やだ!」
「だぁーって、あんた、教えたらいくら久しぶりだって『ごめんね』とか言っていそいそ
行っちゃうでしょう!?」
ごめんなさい。
「急がなくちゃ!」
「あーほら、転ぶなって! 土産と服忘れるな! アリエルが渡したいもんあるって、1058号
室寄って行けな」
シャル手ずからの手さげ――物質界の日本で行われた“オリンピック”とか言う大会の
マスコット四匹のアップリケがついている。かわいい――をさしだした手を両手でつつむ。
あの優しいバービエル教えてもらった残酷な天使のなりたち。
「シャル、私は幸せよ。こんなうまれだからこそ、本来天使にはない家族がいるんだもの。
あなたは私のお姉さま。とても大事なひとだから。嘘じゃないわ」
シャルは目を丸くして、それから悪戯っぽく笑む。
「バービエル様はお母さまだっけ。じゃあさしずめ、あんたの王子サマは旦那さまってトコ?」
「ううん、ミカエルさまは、お父さま! じゃあ、またね! これ、ありがとう!」
「は? う、あ、そのスカート、あんまり走ると下着見えるからなー! 聞いてないか」
その場に残されたシャルは、静かになった部屋の中。
「……お父さま?」
お父さま。父。男親。精子提供者。創世神。
「……あいつの考えてることは、あたしにはよくわからん」
時計を見る。
「あーやっばい、そういや今日ゲヘナの女皇くるんだ。歓待用の菓子作れって言われて
たんだ。やば。やば。シュークリームじゃだめだよなーラジエル君好きなんだけど。ケーキ
つくんの? 今から? ぐえ……何人分だっけ? アリエル手伝ってくれっかなー」
赤い髪をかき乱し、受話器をとって、ダイヤルをまわす。
× to be continued ×
816 :
名無しさん@ピンキー:03/11/24 23:55 ID:f23l1o/G
超遅レスですが11人目。時々覗いてます。
ルシ×アレは私も好きですが、書くのは難しいんだろうな、と思いますね。
感情があまりないからかな。
ミンロウドさん、続き楽しみにしています。
神降臨待ちage
818 :
名無しさん@ピンキー:03/11/27 21:37 ID:fX8/L3UQ
やば、上がってないや。
未だに、どう整理したらいいのかわからない。
深く根ざした裏切り。その奥にあった真実。
感情。
思慕。
裏切り。
憎しみ。
無理解。
理解。
決別。
なるべく考えないようにしているのだが、退屈をもてあますと頭の中に割り込んでくる。
考えるのは苦手だ。どうせこれといった解がでてくることはない。さりとてふと浮かびくる
モノを止めることなどできるわけもなく。
だから、暇じゃないほうがいい。
……暇だ。
ラファエルへ面会に行ったのに、気が向いたから以外の理由をあえてあげるなら、顔が
見たかったとか話しがしたいとかいったこともあったのかもしれない。が、だ。見れども見れ
ども目を開けない者を相手にひたすら一方的に喋りかけるのも馬鹿らしく、もしそんな折に
偶然起きたとしたらそれはそれで腹が立つ。早々に切り上げたら連れてきたルシアがいない。
毒づいていると、赤毛のデカ女がラファエルの副官のところだと言ったので、迎えに行くのも
面倒で先に戻っているのだが。
来ねェ。
あのヤロォ戻ってきたら絶対一言怒鳴ってやると、固く心に決めてイライラしながら待って
いるのに。そのうち段々眠くなってきて、壁から直接出っ張っている座部 に身を持たせかけ
まどろみ、夢と現の狭間でゆらゆらとたゆたう。
浅い夢はかつての記憶。遠くない戦いの記憶。こうやって目を閉じていれば、あの帰還の
あと身を横たえた今そのすぐ後だと錯覚してしまいそうになる程に。
名前。顔。それぞれみな通り過ぎて行った。
救世使。
アレクシエル。
ロシエル。
創世神。
アダム・カダモン。
ラファエル。
バル。
――兄。
あれから、彼の生きてきた歳月に比べればまだ瞬き一つに等しい時間しかたっていない
のだ。しかじかものをこなしていれば勝手に時間はたっている。 そうやって創世記からずっと
過ごしてきた。 いずれ気が付けば化石になるほどの時が去って、きっと遠い昔になるの
だろう。あのことも。それが永劫を生きるものの業とさだめ。最近は
たたたたたたたたたっ ごんッ! ガー
それぞれ、駆ける足音。自動扉が開く前につっこんだ音。扉が開く音。
……それなりに、新しい刺激があって所々楽しめることは否定しない。
が、それとこれとは別だ。覚醒しながら怒鳴りつける。
「おッせーんだよてめぇッ!」
「ごめんなさぁい」
したたかにぶつけたのと全速で走ってきたのとがあいまってか、くぐもった声で謝すルシア。
妙な髪形に紙の冠を頂いて、紙吹雪でもくらったかのように三角形の色紙が散っている。
走ってきたままに 赤い顔で息を切らしながら、
「戻られ、ますわよね? 動かしてまいります!」
ぶつけた額をおさえて走り去る。急なターンにひるがえった膝の露出した黒いスカートから、
白い太腿がつけねまで覗かせた。
数分して、機体の動く振動が伝わってくる。不慣れに手間取ったに違いない。おかしなところに
着かなきゃいいが。
すぐに戻って来るものだと思ったのだが。他の部屋でまた自製のスライムでも投げて
遊んでいるのかもしれない。楽しいのだろうか。勧められてもやる気はしなかった。
再びうつらうつらとし始めた頃、扉が開く音がして、その後に進入の足音がして、数歩歩いて
止まる。話しかけようか迷っている。ミカエルが目を閉じているので。
「何だよ」
不機嫌に目を開ければ、ルシアが立っている。湯を沸かすガラスポットの取っ手と底を
持って、ひとときまえの赤みが嘘のような顔色をして。
「圧熱機の調子が悪いみたいで」困ったように笑う。「お水、温めていただけません?」
「自分でやれよそんぐれェ」
炎元素を操る心得があるなら簡単なことだ。出来ないとは言わせない。しかし。
「ポットの替えがないので」
「あん?」
「できないんです。あの、コントロールが下手くそなんですね、私。いっぺんあのー、ポット
が、ドロドロになってしまって、以来絶対自分じゃやるなって言われてて」
「お前よく、くだもんとか増やしてんじゃねーか」
「あれは、失敗しても部屋中くだものだらけになるだけですみますから」
と、すまなそうに首を傾げる。
四大天使ともあろうものが、ヤカンの代わりかよ。
実際、ルシアとって四大天使の肩書きは、湯を沸かせるヤカンの便利さと比べたら同等の
価値しかなかろう。ミカエルはミカエルで、沸かせるだろうから頼もう、と所詮その程度で
ある。嘆息したくなるのは胸中で我慢して、ポットを受け取る。
「手ェ出せ」
「?」
不思議そうに、だが素直に出してきた手を握る。その手はひどく冷たく、あまり他人の手
など握って比べないが、ここまで冷たい手は貴重なのではないかとミカエルは思う。
口に出す前に頼まれごとをこなす。簡単なことだ。十数秒もしないうちにポットのそこから
小さな泡が生じ、水全体が沸き立つまで三十秒はかからない。
「わかったか?」
ルシアから手を離しポットを返す。が、ルシアは火傷をせぬように気をつけつつ、
「はい?」
「はい? じゃねーだろ、わかったかっつってんだよ、アストラル力の調節!」
「あ! はい、えっと、あ、ごめんなさ」
「てめぇ俺が何のために手ぇ掴んでたと思ってんだ?」
「ごめんなさい、ミカエルさまの手、温かいなぁと思ってたら終わっちゃったんで……」
鼻を鳴らす。
「お前の手が冷たすぎんだよ。血ィ流れてんのか?」
「のはずですよね」
確たる自信はなさそうに、頭を下げて、ミカエルに背を向ける。
「そうだ」思い出したように振り返り、言う。「ミカエルさま、今日はですね、珍しいお茶とお菓子
頂いたんです。物質界の小さな島国の名品で、お茶なのに緑色で、お菓子はクッキーに
似てるのにかたくてしょっぱいんだそうですよ」
知ってる。なんだったか。記憶のすみからほじくりだす。
「あー……、緑茶ってのと、煎餅とかいう食いもんだろ」
ルシアはミカエルを見る。きょとん、と。
「あのなぁ」ため息交じりに半眼をやる。「お前俺が何万年生きてっと思ってんだよ」
考える風で小首を傾げ、しばらくしてやや突き出した唇から感慨深げに吐息を漏らした。
「私は、まだ五年も、生きてないですねぇ」
「一緒にすんなバーカ」
「はい……」
ルシアは、肩を落として出て行く。肩口で不自然に髪が揺れた。
ンだありゃ?
どうも、残念がっているように見える。何を期待していたのか知らないが。
緑茶と煎餅っちゃ、ザフィケルのおっさん(セヴィーに羽落とし喰らったんだっけか。けっ)
がよくわからん用事で俺んトコ来るときに手土産ついでに持ってきてた(『これつまんない
もんですけどね、おいしいですよ』)。
相変わらずワケわかんねぇ女。俺が知ってちゃ悪ィか。
あれを見てると、セヴォフタルタや頭のおかしい研究員どもが他人を脳みそだけにして
情報を引き出したがるのもわかる気がする。
三度現れたルシアは腕が自由になるように切れ込みの入ったショールを肩にかけ、トレイの
上に素焼きを二つとティーポットに小瓶、皿の上に何枚かの煎餅を。
黙ってミカエルの横にそれらを置いて、挟んだ向こう側に座り、正式な淹れ方で緑の液体を
湯呑みに注ぐ。小瓶から匙で粉のミルクと砂糖を混ぜた白を掬い、椀の上で傾け
「ちょっと待て」
「どうしました?」
待てと言っているにも拘らず白粉は緑色の液体に溶けて、ついでに匙がダイブする。
中はかき乱されて完全に分離しがたい緑がかった白濁液に成り下がった。
「なんでそんなもん入れてんだ?」
指差す。ルシアは口を口笛を吹くくらいの隙間を開けて考え込み、一旦閉じてから、
「要りませんでした?」
「そーじゃなくて……緑茶ってのは普通なんも入れないで飲むもんだろ」
サッとルシアの顔色が変わる。心理がどう変化したのか読み取りにくい顔だ。
「そうなんですか?」
「だろ」
「飲めません?」
「知るか」
ルシアは湯呑みを持ち上げ、中身と向き合う。納得がいかないのだろうたぶん。でもまあ、
そういうものなのだ。
聞こえないように呟いたつもりだったろうが、ミカエルの耳にはしっかり届いた。「まあ、
いいや」 いいらしい。
「こちらのほう、どうぞ。まだ入れてませんので」
と、トレイから降ろしてミカエルの傍に置く。自分はミルク入りの湯呑みを口元に添えて
一吹き、口にする。表情は変わらない。それほど不味くもないらしい。
自分の湯呑みを傾けていると、隣から声がかかる。
「ミカエルさま、これなんだかわかります?」
指先は煎餅の一つにへばりついている黒い四角を。短く答える。確か。「海苔」
「じゃあこっちのは」別の煎餅の黒い粒々。「胡麻」
「表面に塗ってある茶色いものは?」全体的に示して。「醤油」
「……この不思議な形のカップはなんていうでしょう?」手の中のもの。「湯呑み」
「…………」
完勝だ。いや、嬉しくないが。というより――
「馬鹿にされてんのか俺」
「いいえ。そんなことは決して」
珍しく強い調子できっぱりと。違うのなら目的がやはりよくわからない。遠くを見るような
眼は考え事をしているようにも見えるし、逆にぼーっとしているだけにも見える。ほっとこう。
ほっとくことにしたのだが。隣でそわそわしている気配は嫌でも伝わってくる。一見煎餅を
二つに割って片方ずつ齧って咀嚼、茶を飲む動作を繰り返している。けれど落ち着かない
様子で首を動かしたり、足踏みをする。 眠気を伴っていい加減ミカエルがうんざりしてきた頃。
「あの、ミカエルさま」ルシアは、ミカエルに横顔を向けて俯いて言った。細く一呼吸。
「やっぱり、これは言っておこうと思うんですけど」
重くなり始めの目蓋を半ば上げ。
「あんだよ」
「私、いつまでミカエルさまのお傍にいられるんでしょう?」
「あ?」
ンなもんてめぇが身元判明したり記憶戻ったら――と言いかけてルシアが慌てて否定する。
「そうではなくて、あの、お返事は今していただかなくてけっこうなんですけど、私の身分が
証明されてから……。えと、ここからが私の言っておきたい意思で」
やたらとたどたどしく、ただしその分一から百まで本気なのが明らかな口調で。ルシアは
顔を上げ、据えて真直ぐミカエルを眼差す。思わずとっさにミカエルは視線を背けるが、
ルシアはかまわず続けた。偽りも、虚飾もなく。
「私、ミカエルさまさえいいのなら、ずっとあなたの傍にいたい。いさせてください。私は
あなたのために出来ることがなんでもしたいから」
ある種。
物凄い自惚れ屋だったり、極度の照れ屋だったり、矯正し難い自意識過剰なナルシスト
であったりする者にとっては、これは、この上ない愛の告白だと認識したに違いない。ちょっと
段階が低いものでも類似する感想を抱いただろう。 ごく普通の感覚を培ってきた者ですら、
決定的な一言ではないのは了解しつつ、まさかと思いつつ、水面下にこめられたと思しき
意味は大体理解しただろう。
しかしだ。
「んじゃ、膝貸せ」
「……。……? いいですけど、何に使うんですか」
「昼寝」
物凄い卑屈屋だったり、極度の鈍ちんだったり、矯正し難い唐変木であったりする者、
しかもそいつが眠気に襲われていた場合などは、これは、決定的な一言がない限り、そう
あるべきとして、額面どおりにしか受け取れない。彼らの場合、理由としては二つめだ。
ミカエルは極度とまでとはいかずとも、鈍ちんで、睡魔の強襲を受けている。
なんとも誰も困らないことに、愚直なルシアが言の葉奥に秘めたる意味を持たせるわけも
なく。むしろ余計なことにならなくて丁度良かったのだとさえ言えないことも、ない。
ルシアはトレイを片づけ、軽く膝を払う。
ふとミカエルは揺れた髪の毛を留めるピンに目をやる。結果を求めての動作ではなかった
けれど、大体セットのしやすいように長い一本のピンで留めてある彼女の髪は、全体を支える
それが抜かれてしまえばするりと流れておちる。編まれた部分が数箇所残ったが、よく
梳いておけば絡まりにくい質の髪は少し指を入れればたやすくほどけ。
髪が解かれてもルシアは特に意にも介さない様子で、首を振って流れるのを助けた。
ミカエルの頭が膝に据えられて、訊く。
「レクイエムと子守唄、どちらが好きですか?」
「殺すな」
ミカエルは選択にバラードがないことを気にかけつつ、ルシアの顔を見上げながら長い
金髪を指でもてあそぶ。アダム・カダモンに少し似てるな、と思った。初めは鬱陶しかったが、
こうやって間近で見るとあの髪に似てる。こうやって触ることは、一度もなかったあの髪に。
彼女の鼻腔に響くなだらかな旋律は心地よく彼の耳に届き。
ああ、そういえば。眠りを近くに感じながらぼんやり思う。ルシアは、彼が激しく嫌悪した
あの『女』の匂いがしない。 代わりに遠い遠い昔を思い出す時のような、懐かしい既視の
感覚がする。こうやって頭を預けて眠る気になれるのは、そのせいなのかもしれない。
唄が止まる。腹部辺りにショールがかけられて。
「ミカエルさま、あとで私の練習に付き合って頂けませんか?」
「……考えとく」
再開。額に体温の低い指がふれられて、ミカエルは目を閉じた。
彼が眠っている間、一度通信機に連絡が入った。ルシアは柔らかく微笑んで人差し指を
一本、唇にあてて引き取らせ。
少女の膝に抱かれて眠る天軍の長を目撃した男は、誰彼に話したい欲求と噂になって
当人の耳に入ったとき、発生源たる身に起こるべきことの危惧とが相反し、その後少し、
胃を病んだ。
目が覚めたら辺りが暗かった。迷う夢のきれっぱしを振り払い、寝台から身を起こす。
靴は脱いでいるのに、カフスは外れているものの外出着を着込んでいる。 妙に気分が
すっきりしているのだが、状況がよくつかめない。真夜中ではない。日が落ちて幾分か、
でなければ夜明け前。
いつ寝たっけか、俺。曖昧な記憶の糸をたぐり寄せる。 ベッドに身を投げた記憶がない。
急に感じたひどい空腹に、自分の記憶を訝りながらも寝台を這い出で、脇にきちんと
揃えられたブーツに足を突っ込み歩けるだけのベルトを止めて部屋を出る。
「?」
少々、違和感を感じるが、その正体はまどろみの霧先にぼやけて見えない。
居間でソファの上ルシアが座って本を読んでいた。煌々と照らされる光を、闇の自室と
仄暗い廊下を歩いてきた瞳が拒絶して目蓋を細める。
ルシアはミカエルに気が付くと、茜色の表紙、エノクに銘をうたれた本を閉じ。
「よく眠ってらっしゃいましたね」
「……ああ」
会話はそれだけ交わしてルシアは足早に部屋を出て行き、ミカエルは彼女が座っていた
卓を挟んで反対のソファに腰を落とす。卓上には並んで二つに分けられた幾冊かの本。
向かって右に茜色が置かれている。重ねられた数も、そちらが多い。
ルシアはトレイに温め薄めた葡萄酒と、均等になるよう丁寧に切り分けられたチーズを
載せて来、それらをミカエルの前に音を立てずに置いた。
「何時間寝てた?」
「四時間か、五時間か。お腹空かれてるでしょう? すぐ支度しますわ」
ゴブレットを掴み、空きっ腹に葡萄酒を流し込む。いっとき間をおいて胃が燃える。
「俺、帰ってきた記憶がねぇんだけど」チーズをひとかけつまみ。
「よくおやすみでしたから」
「……お前が連れてきたのか?」
「そうですけど?」
「どうやってだよ」
「えーと、背負って」
改めて問いたい。どうやって。普通差す背負うとは、やはり、あの、背負う……つまり、
おんぶ。この小さな体が、標準からはやや小サイズながらも十分に体重があり、自らの
背丈を大いに上回る男を、どうやって背負って歩いたのか。
ルシアのこと、意味があろうとなかろうと嘘などつくまい。だとしたら、本当なのだ。
少女に背負われて自身を想像する。片手で顔を覆う。
「どうしました?」ルシアは屈託もない。
「……いや、スゲーなお前」
「? ありがとうございます」
どうして起きなかったのだろう。背負われたのだから、身を起こされたはずだ。歩いたの
だから、ある程度衝撃はあったはずだ。
深く深く眠っていた。他には考えられまい。
首を傾いで、ミカエルの様子を見ていたルシアだったが食事の支度のために厨房に
下がっていった。
甘い葡萄酒をゆすぐように飲む。なんつーザマだァ、おい? あの女の膝で、固い座部に
寝そべりながらも自室の寝台と同じくらい安心しきって眠ってしまった。いくらあの髪に、
母体アダム・カダモン――セラフィタを 、感じたとはいえ。
と、ひっかかる。
他にもあった。深く眠れる理由が。
「………………………?」
ルシア、に、関係あることだ。多分。いいことだったと思う。よく眠れたんだから。眠る前、
なんでもするとルシアがいったから膝を借りて。もう少し前だ。
『私、ずっとあなたの傍にいたい』
傍にいたい。
そっか。
膝を組んで腕も組む。宙に視線を彷徨わせ、舌で唇を湿す。普段あまり目をくれられる
こともない誰某という天使のミカエルに描いてよこした画が、壁でそんな主人を覘いていた。
「ミカエルさまー? よろしいですよ、お食事」
ドアを開けたまま彼を待つルシアに、ミカエルは笑って見せた。
「ルシア」
「はーい」
「どっか行きたいトコあっか?」
「はい?」
「お前の行きてェトコ」
ルシアは小首を傾げる。急には思いつかないのも仕方ない。彼女の既知にはごく限られた
場所しかないのだから。しばし黙考して。
「――海。海に行ってみたいですね」
「連れてってやるよ」ミカエルは彼女の頭を乱暴にこねる。
「物質界好きか?」
× to be continued ×
余談だが、例の男はその後胃の重みに耐えかねて全てを暴露するという本人にとって
最悪の結末を導く行動に走った。噂は口好き共の格好の肴となり、巡り廻って然るべき者
たちの耳に入り、彼がどのような運命を辿ったのか。推するところで察していただきたい。
しかしこれは、随分後の話。
毎度読んでいただいてありがとうございます。ミンロウドです。
やっとここまでかけました。自分的にここがちょっとした区切りのつもりだったり。
本当に皆様ありがとうございます。
本当にもう、読んでくださっている方にはありがたいの一言に尽きます。
ちょっと注釈。
作中『葡萄酒』という言葉が出てきますが、脳内でいいんで『ワイン』と
ルビを振って読んで下さると嬉しい。
おもろいかも
膝枕萌え。
なんだか煎餅食べたくなったけど…買い置きが無いや(´・ω・`)
ほっしゅ。
誰か来ないかな。
★引越し注意★
このスレは引越ししてください。
現在のスレ容量は481KBです。
500KBになると書けなくなります。
次スレのテンプレどうしようか?
今の過疎状態だと即死条件クリアするの厳しいかもね。
テンプレは、とりあえず同性愛禁止ってことで。
総合スレにする手もあるけどあまり変わらないかな?
即死防止って何kbでしたっけ?
今7KB弱書けてるんですけど、それで即死なんとかなります?
でしたら新スレで即死防止投下いたしますけれども。
それだけあれば大丈夫かと
>839
「職人さんは文章を書き終わったら「続く」など一筆入れると親切かも?」
という一文も入れると良いかも。
文章の結びが「終わり」じゃなくて「続く」なあたりスレ色でてるね(w
で、どのへんで引っ越しましょうかね。
もし新たな職人さんの作品投下予定とかあるなら
早めに新スレ移行したほうがいいんでは?(ないっぽいが)
原宿タン帰ってきて〜
原宿さんが帰ってきたときのためには
スレタイは変えないほうがいいだろうか。
うーん。いや、これで分かるのではないかな?
天禁だけではネタが詰まるのではないかという気が……。
たしかに詰まりそうだ…
ガイシュツだが転勤以外は女キャラが少なくてあんまりネタが無いから
総合になったところで(ry
ルーイにも期待できなさそうだし。
茨姫で出てきたSMの魔女さんくらい?
天禁は「天使禁猟区」のほうが見つけやすそう。
あと、テンプレで原宿様その他の方々について触れておくのはだめだろうか…
…戻ってきやすいように。
保守。
480KB超えてるので7日間書き込みがないとDAT落ちするよ。
847 :
名無しさん@ピンキー:03/12/25 05:15 ID:t8BYCmT6
今まででたのをまとめると、テンプレはタイトルを天禁から天使禁猟区にして、
>839に>840を足して、原宿さんに触れる、と。
スレタイ(仮) 【天使禁猟区】由貴香織里総合 No,2【ゴッドチャイルド】
★由貴香織里の漫画、「天使禁猟区」や「ゴッドチャイルド」他短編集
総合エロパロスレッドです。
★職人さん随時募集中。降臨お待ちしております。
★同性愛は基本的に禁止の方向でお願いします。
(ただし需要があった場合はその限りではありません。)
★人がいないときはみんなで雑談でもしましょう。
★職人さんは一回の投下の後、「続く」や「終わり」の
言葉を文末にいれてくださると助かります。
★前スレ半ばにて投下の途絶えられた原宿さま、スレ住民は総意で
お帰りをおまちしていますので不都合なければ是非お戻りください。
前スレ 「天使禁猟区でイこう」
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1050321911/ こんなもん? 下がりすぎなんでage。
アク禁受けた・・・
原宿さんだけでなく、他の書き途中の皆様に関しても触れておくのが宜しいかと。
少しでも各作者様方がお帰りなりやすいように……。
★職人さんは一回の投下の後、「続く」や「終わり」の
言葉を文末にいれてくださると助かります。
☆以下の投下途中の作者皆様、お帰りをお待ちしておりますので、
不都合なければ是非お戻りください
・原宿様……ミカエル×ベリアル
・依知様……ルシファー×アレクシエル
・風花様……アスタロト×ベリアル
現在投下してくだされているアイゥオーラ女史は住んでくださっていることが
明らかだから除いて良いよね?
保守をかねて。
年明けくらいに新スレに移行したほうがいいかな?この残容量じゃ
投下できないだろうし。
漏れ思ったんだが、ゴッドチャイルドより伯爵カインの方が親切じゃない?
851 :
名無しさん@ピンキー:04/01/03 04:10 ID:pmSwk04J
(猟・з・)猟友会を考えよう!愛誤ハァ?(愛・ω・)14
http://science2.2ch.net/test/read.cgi/wild/1073062234/ ‖ /⌒⌒ヽ←毎回優勢13連勝 ロンパシテミロッテ イッテンダヨ!!
‖ (ハヽヽ) (⌒\ / ̄\
‖ (`.∀´) <妄想やめたら? \ヽ( ´∀`)
(ミl彡~~∞~ミミ (m ⌒\
αΙ((猟)∪ミ ノ 猟 //
||(( )) ( ∧ ∧
?B(_)(_) ヘ丿 ∩Д` )アイタタタッ
(ヽ_ノゝ _ノ哀誤 ←毎回負け13連敗
___ AA  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
*〜/▼ ■⊂・・P
| ● ●(_∀) <愛誤ハァ(派)タン 駄目ジャン イイカゲン ビョウイン逝けヨ~モ〜
U U ̄ ̄U U
852 :
テンプレ:04/01/03 20:49 ID:UUEHmaUx
スレタイ(仮) 【天使禁猟区】由貴香織里総合 No,2【伯爵カイン】
★由貴香織里の漫画、「天使禁猟区」や「ゴッドチャイルド」他短編集
総合エロパロスレッドです。
★職人さん随時募集中。降臨お待ちしております。
★同性愛は基本的に禁止の方向でお願いします。
(ただし需要があった場合はその限りではありません。)
★人がいないときはみんなで雑談でもしましょう。
★職人さんは一回の投下の後、「続く」や「終わり」の
言葉を文末にいれてくださると助かります。
☆以下の投下途中の作者皆様、お帰りをお待ちしておりますので、
不都合なければ是非お戻りください
・原宿様……ミカエル×ベリアル
・依知様……ルシファー×アレクシエル
・風花様……アスタロト×ベリアル
前スレ 「天使禁猟区でイこう」
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1050321911/ これでOKかな?
待って!
×風花様……アスタロト×ベリアル
○ナジ様……アスタロト×ベリアル
でつ。重箱の隅をつつくようでスマソ。
他に直すところはない?
なかったら誰か立てられる人ヨロスコ。
新スレ落ちた模様・・・
あらら、落ちてますよね? ごめんなさい(汗
量と区切りの折り合いががよろしくなかったので区切って
投下しようとしたのですが、足りなかったですね。
再びスレがたったら、も一回やり直しします。
即死ラインはどこなんでしょう;
それによって8レスか12レスなるかが決められるのですが。
どっちのほうがいいですかね?
レスが25個未満のスレは最新の書き込みから24時間書き込みが
なかった場合にdat落ちします。
容量はあまり関係ないようです。
,. -''" / ,.-‐ \ / _,.. -
_,.-''´ / / / / `く ̄ _
/ / / / / i ヽ-‐''"´
/,イ / / / / ノハ i
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/ // ,' ,イ '"フ`メ、、// _,∠=、,,//|l! j|
,.ィ´ l/ ! / i / / ぐ' / ∠ / `ソv' / ∧/
/ ! | /i l /| / / //,,ィ=,≡、、 メ ∧ ヽ
/ | |i ノ,ハ / ! ヽ、_,、 ′lー' 》 / / ヽ ヽ
/ |! L__|! | ` ̄ ー--゚'' / / i ', ヽ
| / l ,人 / /、 ィ∧∧ ヽ
! _,イ V \ ' / /´ ∨、′′', ヽ
_,.-‐"/ /| ` 、 `` _,/ / ヽ ',
_,.-‐'"´ // / ! _,...lヽ、 -‐ツ / ヽ ',
〈/ / 「 ̄`ー┤`ー/ /ーヽニ┐ `、 ',
/ ,< __j | / / 7 > ',
/ /<ー''´ー-`ヽ、 Y / _/、 /| '、
イ / ヽ ヽ\ ヽ/ / 厂 ̄ ̄ /`>‐' ! ヽ
/ / / 〉 〉 〉 / / /--−'' ´,..-''´ _ト、
'´ / / / // / / ,イ _,..-‐''´ _,.-''"ノ `ヽ、
!/ / / / / /// ヽ ,..-''",..-‐'´ ヽ
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i i;:': : :!/ \ !::i ヽ::. i \::..::!::. :. ト、 : 、
!i i::: : l ○ ヾ ___::i::: : ト、i:. :゙ 、
i::i /i:: : l ○ \::.. !>!|::.`、` 、
!丶 /__ノ!::. l\ i::ヽ;:// i:::..、`、`_ー、
\`ー-‐‐';:;:;:;:,ノ丶l i \ j:: :;/´: :: ::iヽ: ゙、  ̄`
`゙ー-‐'"____/ ! i \_ヽ _ , - /:: / >‐ー-- 、ヾi
 ̄i`i / > `、  ̄ ̄ ̄;:;; ;:- '/:/_, - ' ̄~`゙-、`\
!:l\i ヾ |/__ -‐"´ i'i ヽ;:;:;:\
{ ⊂⊃ i i !;:;:;: }
丶 ! i !;:;:;: /
Y\ ヽ \ /:;:;: /
/~ i \⊂⊃ //`ー---―'"_/
, - '´ ! \_
\ `>
`x ⊂⊃ /
入\ ∧ / >
月宮 あゆ(Kanon)
伺か さくら
__
/r'⌒`
く⌒ '´ ̄ ̄ \
/ \
/ |/ ,イ | |
/ ノ| |_ノ_,! / l /||
!イ| |o= |/__ |/ レ'
|∧ |"" _ ""ソ| /
〉`|\| ー┬<_,l_/
rく___| |__/ / く,| 〉
ヽr‐ァO_|/ノ/ ̄/|_,!
l_,| /´ >-rー-、|
〈, ヽ! ´ | l ト、__/
ヽ、__,>、_/´_/、
,r'´ /´ ̄/ \
,r--‐''"´| / l ノ ,、へ、
| O」/ | ___ \
| 「O| | / \ |
| /| | / |/
/ / ! |/⌒l / /⌒\|
|/ヽ /| |l ニ,ノ ,/ /| /
,.、 ,. '"´ ̄ ` ゝ‐-、
,rくヽ.)Y゙i , ' .: .: ,:.、 :. .:. 丶
ヽ丶'´ :.. ! /.:: ::l .:::! .: ,'´"ヽ .:. .::..!
`丶、,.-'ヽl:.::l :.l-、l :: ! ,.l :.i ::.|
,. '´ ゝ:.! :ハj ヽ.:j '´ ノノl ..::.!
/oヽ__,r'´:. ヽr'⌒ヽ . r'⌒ヽ..:/
´ ̄ ̄ ヽ :. :. 丶 r‐-、 "l ::/
ヽ :. :. ヽ、ヽ ノ ノ.::j
`i ,.シ'"r‐-ッ:くrレ'´
レ'-‐ヽ ! l ヾiヽ r、,、
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j:::::.. .: o>::...:::/ lr' _ノ ´ゝ'
ゝ' ̄`'´└、:::l rヽ、_/
ノ ' __ン!、:. /i
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r'! / ,l !
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ヽノ ヽ::.ノ
r-ーr、_,. -‐‐‐-- 、 _,.r;‐'ヘ
_,r;、rl^ー-'ー-、,r‐┬=ニ二r;、-‐r'l┐
ぐ_r、;‐l -‐-! ト-‐‐' ^´`'゙'シ´
ヽ l_,.r、rシイ^ ̄`トr;、ヽ,_, /、
∧ ,.L ,.r'´l:.:l:.:.:.:.:.l:.:.l:`ゝ,_,ヽ ∧!':,
/ゝく/二ニlニlニ二,l二,,二._ヽ/ヽ、i`、
,' ./^7:;;ィ‐''"「`!:.:.:.:.:l:.::l::;;;;::.:.:l::!:.:;::iヽ! に
i:.:l:.:.::l:.:.l:::;:=K┴‐‐┴zィ_j:::ト、7:.::l::l:.i:| こ
!:.l::.:.::';:.l/イ-';:'! '!゚;;;::jレ!:::::l::l:.|:| に
_ l:.:i::';:.:::';', ゞ;::シ _' _ ゞ-'゙´,フ:l::l:::l:l こ
\ヽ、 r‐; └┴「: ̄ヽ ̄´ 丶ノ .ィi::|:::|:.l:.l::| り
ゝ、ヽ、{ i _ /\!:.:.::::i::`>ュ、 . ィ'i::::::l:l::l::/ヽ!___ ん
r'{ ヽ ヾ' ',l `ヽ、 \:::l::::;- 「` ̄ ̄´Ll::::::l/ _,.-´ ! ♪
r^ヽヽ_j j !_r‐-`ヽ、ヽ「l!__l⌒にi⌒l_ ̄l! l''´_ __ノ
ヾ´`´ j 入`フー‐-、ヽl {[三三三三三ミリ / '´ニ二_ハ
>-‐ ニ二ンヘヽ、_,,,... l l::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::!| ´ ̄ ̄7 }
ヾ-''"´ 〉 ⌒)_r'ニ二ヽ::::::::::::::::ll::::!| 丶ヽー' {
ヽヽO /ヽ i' ヽ::::::::::::ll::::!|⌒〜'` ヽ
ココロ図書館 こころ
,. - 、
/,. - 、ヽ_
´ ,. -'"`ゝニ==::‐ 、
/ /,. --‐'ヽヽヽヽ
/ .: .::. l/ l !ヽ 丶ヽiヽi
!.: l .: l .: !l .:l :! l.::l :. l_,.l !i ! _,....、
i :: l :: i :: l ! ,l-l-!、j、,ノトj_!jノィ‐、 i __
l :: l :: l :. | rシ'ニ、`'´ ,イiシr'O `ヽ(-ゝ、
l :. l :: l.::. l/ィ.::. i ` l::!lj,ゝ‐-、.ノ,. =-、r─、
l !i 、:. l :. lヘゞ;;ソ ,.´''〉__,.'‐' ヽ ,..、 l゙`i l
l ! r!│:. l l"フ ,. 'ヽ._j i、_'‐',ノ‐'ノ
ヽハハj、 ヽ` ‐--<ン>‐っ`ヾ'''"r-‐'´ ̄
r' ヽ ゝ-r‐r'i ´ ´シi ! !
l、ヽ、lj ! レ,.' ,.イ _,ノ,ヘ l
ヽシ-fヾ./ , ' /´! /..、`
iゞ-'´ /i_/‐ ヽノ-、 丶、_
ヽ _/ヽ丶`"''‐-- 、''ツr‐'7
// ハ 丶`''‐--,.r='.::::::;.'
! l ! ! ヽ、 丶rシ´!:::::::_r'
/ ,' l j _,.ゝン=l l-‐'
ヽ、irゝ-‐'ゝ<´ l !
^'`´`´,.-' ! !
/ ,ノ ,'
、:-r'´ ,.イ´ !
,.ヘィヽ、r'´ ! !
i::::.ヽi,.、j _ノ j
l::::. / くrゝー',.ゝ
ヽ:_ノ l`ヽ'`'i
l::..─.:j
ヽ三シ
-―- _ _
'´ ,.べヾ1`ヽ
〃 /´ ̄` '<ゞ 、
' 〃 ///ヒi´!|「|l`iヽ ゙!i i
i l !i| i|イ Y゚,リ` ノリトリjハj l|i
l !l |!|l └' /゚iハ.,ヘ! リ
、 i l |ト、 />'└゙ .ィl リノ
ヾヽヾヽ`ァ―ァ'´l !l// '、
,ゞ、ヽゞニス, 'ノノリノ ′ ;
i ヾ! ヾY´ ´ ,:'
! レリ }j}`"ソ..,、 '´
! l'´ ィ'/ /
! ト !li / 「L「i∧ _ _
/ ,′ l !lく L「Llヘ_〉o) o)V7
/ /ヘ._!iLノ L「L「 く/
' /イ i、ヽ\`ーァ 「o ) o __ n_.「L_ _「!∧
, .′ /!| i ヽ_\ >'´ |_0_)[jl_「l_[ l.∩i(0_j'∧!V7
,:'´ ``ヾj レ'´ ` <! く/
;' ゙,ヘ. ヽ
;':,. ;'^\ ヽ
';、` ,:' | ヽ ヽ
"'‐ - ‐' U ヽ ;
,! / /
花穂(シスタープリンセス)
次スレ
【天使禁猟区】由貴香織里総合 No.2【伯爵カイン】
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1073572247/l50 □□□□□▼□□□□□□□□▼▼▼□□□□□□□□□
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