ttp://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1270968586/169 長い部活が終わった。
田島は着替えを抱え練習着のままで花井の静止を振り切ってグラウンドの向こうに消えていった。
「なんだぁ?何かあったんか、誰か知ってるか」花井の言葉に首を振る泉。
「わかんね、落ち着きねーのはいつもの事だけどな」
「用があるとか言ってたよ、だけど何か隠しているっぽかったな」バッグから通学着を出しながら西広が呟いた。
「ここ片付けたら行ってみねえ?」
「迷惑じゃん、仮にも用事あるって言ってたし」
「でもねー、三橋の件もあるし」水谷の何気ない一言で皆が固まった。
「そういや、田島、シガポと喋っていたよな」
「しのーかが三橋の事聞いてたみたいって言ってた」
「三橋が頼るって言ったら、先ずは田島だよな」
「だな」
「うん、そうだな」
皆の視線が花井に集まる。
「あのなぁ、俺たちが疑ってどうすんだよ」花井が頭を掻く。
「今日はそんなに遅い時間じゃないし」
「忘れ物届けにきたって言えば」
「・・・ったくしょうがねえ、ここ片付けて着替えてからな」
>>258 田島は玄関から自分の部屋に真っ直ぐ走って行った。
「悠!廊下を走らないっ」美輪子の怒鳴る声も田島には届かなかった。
荷物をドアの所に投げ捨てると猫の姿を探した。
ベッドの脇に置いた猫用ダンボールが無い。
ベッドの上には?布団を剥いでもベッドの下にも机の下にも猫の姿は無かった。
どうした、何が起きた?田島は背中に変な汗が滲むのを感じた。
「お、おかあさん!ね ねこは?!」
「あ、ああ、猫ね、ごめんなさいねえ、言ってなかったわねえ」
「ねこ、猫はどどこに」
珍しく狼狽している息子に美輪子は困惑した。
「猫ね、町会長さんが欲しいって言ってね、お孫さんにってね」
「ええーっ あげちゃったの」
「うん、でね、持っていったんだけど、途中で逃げちゃって・・・見つからなくて・・・断り無くてごめんね」
あげたならそこに迎えに行きゃいいけど、行方不明!どうする?!どーすんの!!
今ここにいないという事は自宅に戻ったか?それならいいが、もしそうじゃないとしたら・・・。
「お、おかあさん!!逃げたのどの辺?」
「お孫さん岩槻だっていうから車でね・・・122号に差し掛かる辺りだったかしら、窓からぴょんって」
やばいやばい、三橋はあの辺は知らねえぞ。ともかく行ってみっか。ソレしかねえ。
田島は美輪子が止めるのも聞かず練習着のまま外に飛び出した。