http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1247839013/82 エロなし 死体注意
+ - + - + - +
かすかに電話の鳴る音が聞こえ、三橋は荷物を探った。
携帯を見つける前に呼び出し音が止まる。
掴み出して開いた画面には、不在着信3件の文字があった。
車の多い国道にそって歩道を走っていたせいか、今まで気づかなかったらしい。
着信は、すべて泉からだった。
「い、いずみ 君、ごめ、オ オレ、また出れなく て」
「いい、今どこ」
「えっ、あ え、と」
折り返した電話でいきなり場所を聞かれ、三橋はきょろきょろと辺りを見回した。
「車走ってるな、大通り?どこ行くんだ」
「え えっ、え」
泉はしゃべらない。三橋の言葉を待っている。
「え えき、デス…」
「わかった」
通話はプツリと切れた。
駅前の噴水のてっぺんを見上げ、三橋はぼんやりと口を開けていた。
自転車で夜の道を走っているときには目立たなかったずぶ濡れの全身が、ここでは目を引く。
まばらに傘をさし始めた歩行者が次々と、この雨量にしては濡れすぎの男子学生に視線を向けた。
「むい、むい」
小さく小さく呟く。
「と、と」
三橋は一歩ずつ、ゆっくりと噴水に近づいた。
>>704 控えめなライトで照らされた細い水が弧を描き、膝よりも低い水面に落ちていく。
石材でできたへりに片足を乗せ、続く一歩で自分もその水溜りへ向かおうとした。
「とんで け」
「三橋」
後ろから腕を引かれ、三橋はバランスを崩した。
「はわ わ…!」
何とか転ばずにすんだが、勢いで片手をぶつけた何かがグエッと叫ぶ。
振り返ると、泉が顎を押さえて足元にうずくまっていた。
「うー…舌噛んだっつの!なんで噴水入るんだよ、とんでけじゃねーよお前はよォ!」
「ふぐ、う、っごめ、ご」
噴水の前で学生のケンカが始まり、泣いている方は濡れ鼠。注目されているのは分かっているが、二人とも気にかける余裕はない。
「…とんでけってアレか、虫殺した時の」
「オ オレ今日、噴水 に、入っちゃった カラ、濡れ」
まだ入ってねーだろ、このどうしようもないビショビショの友人にそうツッコみたいのを堪え、泉は待った。
「ここ、入っ、入った ら、なっなかった こと」
「なかった、こと…」
三橋の言葉をそのまま復唱する。
「三橋は、入りたいのか」
「う、う…」
しばらく考え、泉は三橋が握りしめていたボールを奪った。
「よし、じゃあ、とってこーい」
泉の手を離れたそれが、噴水へ向かってきれいな放物線を描く。
三橋はあわあわと何か言うと、白い軌跡を追って水の中をバシャバシャ駆けていった。
泉も靴とソックスを放り投げ、後を追う。
「うお…あっ」
「あ?うわ」
急にライトがまぶしくなった。同時に、噴水が高く上がった。
10時ジャストだ。
降ってきた水によって、泉も一瞬で三橋と似たような有様になった。