http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1248369912/282 ※少し未来の話 捏造だらけ注意
今年も5月になり、おれは三橋さんの誕生日を覚えている自分にほっとする。
今となってはその日だけが確かに三橋さんがいた証拠のようにも思えるのに、いつかそれ
を忘れてしまいそうで悲しい。
家族で三橋さんの誕生日を祝ったのは多分2回だ。
3年目はいろいろあって結局どうなったのか記憶が曖昧になっている。
寿司とケーキとピザとフライドチキンと西瓜の入ったフルーツポンチは、三橋さんがいな
くなった後も5月17日になると親父が用意していた。
おれは儀式のように毎年それを続けている親父を女々しいと思うが、一方でまだ三橋さん
を想い切れてないあいつにそのままでいてほしいとも思っている。
さて、そろそろ今まで語ってきた三橋さんと親父とおれの話ががすべて過去の思い出であ
る理由を話そうか。
あれほど仲のよかった三橋さんと親父だが、おれの覗き見事件から半年ほど経ったあたり
から雲行きが怪しくなってきた。
どちらかが相手を好きじゃなくなったというよりも、なにかもっと深刻な理由があるみた
いで、2人はいつも夜遅くまで話し合いをするようになった。
親父は時々怒鳴って、三橋さんはしょっちゅう泣いていた。
おれの前では2人ともなんでもないような顔で普通に振舞っていたが、家の中の雰囲気は
段々暗いものになっていった。
なにかがおかしい。