三橋「さっき、そ こで 変態に おそ われた!」

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280思い出 ◆hf2h1o.4Ko
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1247667192/195
※少し未来の話 捏造多数注意


頭の中にモヤがかかったようなすっきりしない気分で下に降りてきたおれを、味噌汁のい
い匂いが迎える。
おれは台所で一生懸命何かを切っている三橋さんに声をかけず、後ろ姿をじっと見ていた。
昨夜の、三橋さんが裸で親父に跨っていた姿がチラつく。
一緒に風呂に入ったこともあるけど、なんだかその時とは全然違って見えた。
「おい、熱下がったのか?」
突然後ろから背中を叩かれて心臓が口から飛び出そうになる。
ぱっとおれたちの方を振り向いた三橋さんと目が合って、朝の挨拶もしないで突っ立って
いたおれは気まずさに顔を逸らした。
「なんだよもう、ビックリさせんなよ!」
言い様のないイラつきをぶつけるように親父に食ってかかると、何も言わずに眉間にしわ
を寄せていきなりこめかみをグリグリされた。
「いってぇぇぇーーっ!」
頭を押さえて呻くおれには目もくれず、親父は台所に行って困った顔をこっちに向けてい
る三橋さんの腰を抱き寄せた。
三橋さんの顔がみるみる赤くなる。
「……お、はよ」
「うっす、今日メシなに?」
「ハ、ハムエッグと、にんじんと里芋のお味噌汁と、ほうれん草のおひたし…」
「なんかビミョーに昔の合宿メニューっぽいな、いいけどさ」

いつもと変わらないうちの朝の光景。
ただ三橋さんがおれを見る目は、いつもの優しい目じゃなくて、なんだかこわがっている
みたいなオドオドした目だった。
281思い出 ◆hf2h1o.4Ko :2009/07/24(金) 05:53:58
>>280

微かに緊張感をはらんだ食事が終わると、その原因の大部分ではないかと思われる親父は
悠々と出勤していった。
あとに残された三橋さんとおれの間にはなにか目に見えない川でもあるみたいで、お互い
に相手との距離を詰められずにいるような感じになった。
三橋さんは何度もおれに話しかけようとして、口を「あ」の形に開いては閉じることを繰
り返した。
いたたまれなくなったおれは、いつも見ているテレビ番組の途中で立ち上がった。
玄関で靴に足を突っ込み紐を結び直していると、背後に人が立った気配がした。
「……あっ、あのね…きのう……」
ギクッとして振り向くと三橋さんは両手で口を押さえていた。
待ってもそれ以上の言葉は出てこない。
「…行ってきます」
「あ…、い、いってらっしゃい 車、気をつけて…」

この日以来、おれは三橋さんに対して以前のようには無心な気持ちで接することができな
くなった。



──それから数日後。

「…うひゃっ!」
珍しく早めに帰ってきた親父と風呂に入っていると、手のひらで水鉄砲をつくって顔にピ
シャッと湯をかけられた。大人げのない奴だ。
「お前さ、あいつになんか言いたいことあるわけ?」
「……あいつって?」
「三橋だよ三橋。つーか、この家に他に誰かいるのか?」
「……別になにも」
「だったらあいつとちゃんと喋ってやれ。すげー気にしてるから」
282思い出 ◆hf2h1o.4Ko :2009/07/24(金) 05:57:23
>>280>>281

そんなに態度に出てしまっていたのかとおれはバツが悪くなった。
決して三橋さんが嫌とかそんな感情ではなくてもっと複雑なものだったが、自分でもよく
わからなかった。
「お前、見たんだよな?もうゼッタイすんなよ」

ガキが見るモンじゃねえからな、と親父はひとり言みたいに続けた。
浴槽の縁にアゴを乗せていたおれは、肩越しに親父の股間をチラッと見た。
大人になったらあんな風におっきくなって色も黒くなるんだろうか。
あんなものが三橋さんの尻に……。
思い出すとちんこがムズムズするような熱いような変な感じがしてきた。
この頃おれはまだ精通していなかったので、そんな風になるのは病気かもしれないと恐ろ
しくなったが、すぐに治まってほっとした。

風呂から出るとすぐに台所に行って冷蔵庫を開け、冷たい牛乳をゴクゴク飲んだ。
やっぱり三橋さんには悪いことをしたかなと思ったので、なにか手伝いでもしようかと居
間を覗くと、先に上がっていた親父と三橋さんが抱き合っていた。
いつものふざけてるみたいな雰囲気じゃなくて、おれはその場から動けなくなった。
棒立ちになったおれに気づいたのか、三橋さんは親父を突き飛ばすようにして離れると走
って表に出ていってしまった。
すぐに後を追った親父についておれも外に出た。
親父は三橋さんの肩に手を置き、もう片方の手で小さい子にするみたいに頭を撫でていた。
おれなんかの入り込めない世界がそこにはあった。

ずいぶん経ってから、親父が三橋さんにしていた過剰とも思えるスキンシップの理由を知
った。
だが、当時のおれがそれを知っていてもできることは何もなかっただろう。


ここまで