http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1240657286/296 ※女装注意
「建物の中だけじゃなくて外も探してみようぜ」
校舎の中を一通り巡ってみたが一向に見つけられない。
慣れない服を着て動きが制限される所為か汗だくの上クタクタだったが
段々三橋が半べそになってくるしで半分自棄になって田島はそう繰り出した。
それを聞いて三橋の顔が幾分明るくなった。
「そ、外にも人いますか?」
「あー、出店が幾つか出ているからな 面倒臭いから非常口から出ちゃおうぜ」
三橋が頷くのを確認して田島は非常口の重たいドアを開けた。
外からは真昼の眩しい陽の光と香ばしいソースの焼ける臭いが飛び込んできた。
「うっはー めっちゃうまそおお 坊主頭にゃ運動部が多いからな 食い物の傍にいるかもしんねえぞ」
田島はしばし呆然としている三橋の手を引いた。
「ほら、行くぜ 土足なんて気にしなーいっ」
2人は共にスカートを翻して人ごみの中に飛び込んでいった。
>>838 出店の並んでいる通路を2人で2往復程した。
けれど探している人間には当たらなかった様で三橋は半べそをかきはじめている。
「も もう、時間が、ど どうしよう」
「チョッと待ってろ」
田島はそう言うと一番混雑している出店の裏へともぐりこんだ。
程無くしてビニール袋を掴みひょっこりと頭を出した。
「なあ、こっち」
田島は三橋の手を引いて人気のまばらな中庭へと誘った。
職員室の前には大きな黒い石碑とそれを囲むように幾つかの石が配置されている。
その高さと大きさが調度いいのでここで良くお昼ご飯を広げる生徒もいる位だ。
田島は三橋を石碑近くの石に座らせるとビニール袋から焼きとうもろこしを出してその一本を三橋に渡した。
「これ、食って落ち着けよ、さっきバスケ部から貰ってきたんだ」
「え、も、貰えません お お金ないし」
「いーからいーから 折角の文化祭楽しまにゃ損損」
田島は自分のとうもろこしを齧って見せた。程無く三橋もとうもろこしにおずおずと齧りついた。
「あ、甘い!!お、おいし い」
「だろ、醤油たらすなよ、服借りもんだし、染み付いたら落ちねえし」
三橋は頷きながらもりもり食べだした、ひたすらニコニコしながら。
とうもろこしを齧りながらも田島は三橋をまじまじ見つめた。
この食いっぷりは三橋に間違いないんだけどなー、声かすれてっし、言葉遣い変だしおかしいよな。
女装したからって言葉遣い変えられる程、アイツは器用じゃないしな。じゃあ、誰だ?こいつ。
三橋の親戚か?まあ、今日は文化祭だからいてもおかしかねーよな、部活の時にでも三橋に聞いておくか。
>>838-839 「食い終わったか?」
「は はい」
田島はビニール袋の口を拡げてとうもろこしの芯を入れさせた。
「なあ、もし今見つからなくともさ、俺背の高い坊主頭には何人か心当たりがあるよー
見つけ出して伝えておくよ、ボチボチ7組に戻ろうぜ」
「あ 有難う トウキビ美味しかった それから・・・お花のお洋服・・・本当に有難う・・・もう時間が・・・帰り マス」
「気にすんなよ・・・・えっ??帰る?」
瞬きした後そのの姿は消えていた。そこには黒い石碑だけが佇んでいた。
「・・・・・・・・あちゃー 借りた衣装どうすっかな」
田島は頭を掻いた。
「田島ぁー田島ぁー起きなよ」
鼻から抜けた声で目が覚めた。
ここは7組の教室。目の前にはケバイ女・・・の変装をした水谷が居た。
どこから寝ちまったんだろう?身体に手をやると通学服だった。
というと着替えては居なかったのか、着替えて居眠りしたのか。
「あー、すまねえ、水谷 俺どれ位寝てた?」
「んー、正味10分位かなー なんかねー花井が具合悪いみたいなんだよねー 9組のオバケ屋敷で倒れたって本当?」
「え?しんねー 本当かよ 俺、花井と話してから直ぐに他んの所に見学に出ちまったから」
「そっかぁ 大丈夫かなぁ?後で俺も行こーっと そんなに怖いの?お化け屋敷」
「いやぁ、んーな事はねーと思うよ 所詮高校生の作ったもんだしな・・・・ところでさ」
「何?」
「今、三橋来てた?」
「いや、来てないよー」
「そっか ここって客にコスチューム着せてくれんのって有り?」
「いや、無いよー 何で?」
「チョッと安心した・・・ん・・・いや、何んでもねえ
いやさ、来年ウチのクラスで貸し出しコスプレ提案してみっかと思ってさ」
,ィ^i^fiト、
フ` `⌒ヽ 《y'´ソ`シ
〈 ハ、レAゝ ilノノソ从l〉
ハ,ゝ´∀`ノ /, リ冫、ノリ <いらっしゃいませー♪
⊂|幵)つ く⊂)i;+;fつ
(__i_! /`-ヘ
し'ノ <,__〉
>>838-841 放課後、第2グラウンドには野球部員達がパラパラと集まり始めていた。
今日は文化祭という事もあって基礎練習を終えたら各自自主練となっていた。
研究発表のクラスの部員はもう大方片付けが終っていたそうだが
大掛かりな出し物をしたクラスの部員は基礎練習が終った後も教室に戻る話を各々行っていた。
「今日はおつかれー」
「花井大丈夫かー?こっちに出てきて平気なのかよ」
「倒れたんだって?」
「何で皆知っているんだよ、誰だよ広めたの」
「皆心配したんだぞー、花井」
「そりゃーなー」
「ねー」
「慣れない服着て暑さにのぼせただけだっ チョッと休めば問題ねーよ」
皆、グラウンドに着いた順に2人1組になって軽く身体をほぐしている。
ある程度ほぐし終ったらランニング、体が温まったら柔軟だ。
「花井のメイドさん見られなかったなー」田島が腿上げをしながら呟いた。
「おー、また、どっかでやってくれよ、評判よかったんだって?」沖が花井に向かって問う。
「勘弁してくれや あれ苦しいんだぜ もうゴメンだ」
花井は足首をもってクリクリと回しながら言った。
「そういや、この学校、昔は女子高だったんだって?」
花井の言葉に沖が笑いながら言った。
「正確には“高女”だよー、戦後直ぐに共学になったんだってさ」
巣山が西広の背を押しながら呟いた。屈んだ西広が言う。
「あー、1組の展示であったねー」
「そん時の名残は中庭の石碑しかないらしいけど」
巣山の言葉に栄口が返す。
「戦後暫くして、引越しした時に持ってきたんだって、戦没者の慰霊碑なんだってさ、アレ」
>>838-842 文化祭の後だけに話は弾む。
グロスの落ち切れていない水谷が三橋に問いかける。
「学校の歴史ねぇ・・・三橋んちってお母さんがここの出身だって言っていたよねー」
「う うん・・・お母さんとお母さんのお母さんのお姉さんもここの出身だって言ってた」
「お母さんのおかあ??」
見かねた泉がフォローを入れた。
「お祖母ちゃんのお姉さんって事だろ、お前ちゃんと口拭って来いよ、落ちてねえぞ」「あー」
「く 空襲に巻き込まれて亡くなったっておばあちゃんが言っていた」「へー」
「お おばあちゃんがオレの事“アタシのお姉ちゃんに似てる”って お オレあんまりうれしくない
お おばあちゃんのお姉ちゃんも気の毒 だ」
「ぶはっ 自分で言っちゃ駄目だろそれー」
ふと、顔を上げた田島がぽろりと漏らした。
「俺さー文化祭ん時、お前のお祖母ちゃんのお姉さんに会ったかも」
「へええ、本当?田島君」
三橋は顔を上げて目を丸くした。
「おう、花柄のスカート履かせたら喜んでたぜ
背の高い坊主頭に礼を言いたくて出てきたらしい 優しくして貰ったからだってさ 絆創膏がどーのって言っていたぜ」
「夢と現実ごっちゃにしてねえ?田島」
泉の突っ込みに田島はニへラと笑って返した。
背中でそのやり取りを聞きながら屈伸をしていた花井の動きがピタリと止った。
「花井?あれ?どーした 花井 まだ、具合悪いの?顔が青いよ」
近くに居た沖が花井の肩を軽く叩く。花井は涙目で消え入りそうな声で言った。
「俺・・・家に帰ってもいいかな・・・・・」
《おわり》
お迎えAAが羨ましくて自作した 後悔はしていない