三橋「原くん、野球 やろ!」

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579影法師
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2人の姿が完全に見えなくなっても俺たちは突っ立ったままでいた。
「こら!早く授業に戻れ!」
玄関から教師がこっちに向かって叱声を浴びせる。
のろのろと校舎に戻りながら俺はみんなからの無言の非難を感じていた。

「…阿部、逃げんなよ」
最後の授業が終わっても呆けていた俺に花井が耳元でぼそっと囁く。
「今日はミーティングにしてもらう。ただし監督も志賀も抜きでやる」
花井の口調からは押し殺していても怒りが滲み出ていた。
「…ああ」
まるで弾劾裁判だが、俺はどのみちみんなが納得するような説明なんかできない。

部室に集まった仲間は一様に暗い表情をしていた。
野球部始まって以来の険悪な雰囲気に、こんな有様を見たら三橋が悲しむだろうなと俺は
他人事みたいに考えた。
「前からなんか変だと思ってたんだ。阿部、お前三橋に何したんだ!?」
腹を立てているところなんか見たことのない水谷が本気で怒っている。
そこに栄口が間に割って入った。
「まあ落ちつけよ水谷。おれたちは阿部が知ってることを話してもらいたいだけなんだ。
 なあ、一体何があったんだ?」
だが俺の答えは1つしかない。
「…何も」
「何もって、ンなワケねーだろ!」