※めでたい日なのに鬱ですまない
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1240069108/314 「…あのさ、もし学校辞めるって言ったらどうする?」
夕食のあと父親と2人きりになるのを待ってそう切り出すとジロリと睨まれた。
「お前なんかやらかしたのか?」
「………」
「学校から連絡は来てないようだが」
「そういうことじゃなくて…自分の問題っていうか…」
「辞めてどうするんだ?まず辞めなきゃならん理由を言ってみろ」
「それは……」
「言えないのか?もし、ただ逃げたいだけなら辞めたって何も解決しないぞ」
俺の心を読んだかのような説教をした父親は、ぐいと酒をあおって「話があるなら聞いて
やる」と言ったきりそれ以上のことは言わなかった。
三橋の欠席は依然続いている。
俺以外の野球部員はほとんど三橋の家に行っているが、最初に行った田島以外は誰ひとり
会っていないそうだ。
「おっかしーなー、おれが会った時は『明日は行くよ』って言ってたけどな」
しきりに不思議がっている田島は、すべての原因が俺にあると知ったら口を聞いてくれな
くなるかもしれない。俺以上に三橋をわかっているヤツがいるとしたらそれは田島だ。
「携帯もずっと通じないしな…」
「阿部はなんで三橋んちに行かないんだ?阿部のこと気にしてたぞ」
「…明日行ってみる」
「そうか、三橋に会えるといいな」
「ああ…」
明日学校は休みだが、俺はやってしまったことのケリをつけるために三橋の家に行こうと
決めた。
三橋の親が望むなら高校も辞める気でいる。
それで許されると考えている訳ではないが、謝りたいと思っている気持ちだけはわかって
もらいたかった。