>>269 おはよう三橋
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1224952224/160 ※鬱注意
学校を出てから絶えずビクビクと俺を窺う三橋に閉口しながらも努めて無表情を装う。
そんなに怖がってくれるんだったら、本当にいじめてやろうかという考えがチラリと頭を
掠めるが、そんなことをしては何もかも台無しだ。
「ただいまー、ほら、来いよ」
「オジャマ、します…」
「お帰りなさい、あら、三橋くん、こんにちは」
「…こ、こんにちは」
今日の三橋は俺の母親にすらビクついていた。
あんまり挙動不審だと何かあったのかと疑われてしまう。
「三橋、俺の部屋に行っててくれる?」
「あ、うん」
三橋が2階に上がるのを見送ってから、母親に「大事な話をするから部屋に来ないでほし
い」と頼み込む。
まったく、2人きりになるのも楽じゃない。
とりあえずの予防線を張って部屋に行くと、三橋は予想通り正座でかしこまっていた。
「待たせたな」
「ううん」
俺は三橋の正面に腰を下ろし胡坐をかいた。
>>277 「じゃあ、お前は俺の犬ってことでいいんだな?」
「…うん」
強ばった顔で返事をする三橋に向かい、俺は腕組みをしてゆっくりと含めるように言った。
「取り消すなら今のうちだぞ。犬になったらお前は喋らないようにな。俺の言うことには
従え。あと、俺のすることに逆らうな」
三橋はこくんと頷き膝立ちから四つん這いになった。
額を俺の膝にすり寄せそのままの姿勢でじっと飼い主の命令を待っている。
「三橋、起きて」
三橋はすぐに起き上がりハチ公みたいなポーズをとった。
俺は三橋の髪を柔らかく撫でながら顔を近づけて瞳の奥を覗き込んだ。
首を竦めて目を逸らした三橋の機嫌をとるように顎の下を二度三度くすぐる。
「三橋、横になって」
俺の意図するところがわからないらしく三橋は不安そうな表情を見せたが、それでもラグ
の上に体を横たえ手足を縮めて丸くなった。
あのな、三橋、犬は虐待するために飼うんじゃないんだぞ。
毛並みを整えるように三橋の背中を繰り返しさする。
俺に言われた通り、三橋は言葉を発することなくされるがままになっていた。
もし三橋が本当に犬だとしたら、人に慣れるまですごく時間がかかる臆病な犬だろうな。
最初は緊張してカチカチになっていた三橋の体から余計な力が抜けてゆく。
いつの間にか眠ってしまった三橋の上にコートをかけて俺はため息をついた。
ここまで