スライディング三橋「す、すす滑り込み セーフ?」

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http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1223793476/923
時計を何度も見上げてそわそわとしていたレンが堪りかねたように立ち上がった。
「オレ、ちょっと表、みてくるっ」
寒くないように準備しろと言う間も無く、レンはドアを力強く開け放って外に出て行った。
冷たい風が室内に入り込んで俺は肩を竦める。
仕方ないとは言え、冬はやっぱり好きくない。
出て行ってから三分も立たず、レンが足踏みをしながら戻ってきた。
「寒いぃいい」
青ざめた顔で鳥肌を立てている。
そりゃそうだろう。薄手のトレーナーにハーフパンツなんて格好じゃ。
「ほらほら、こっち」
チヨに暖房口の前へ連れて行かれた。
「ほら」
レンはルリから膝掛けを肩に掛けられた。
「ほらほら」
マリアからホットレモネードを貰い、啜る。
「ふぁ〜」
ようやくレンは一息ついたように緩む。

奥の廊下から足音がして、扉が開く。親方がつまらなさそうな顔をして入ってきた。
「そろそろだなあ」
チヨがプッと噴出す。
「さっき鈴木もおんなじコト言ってましたよぉ」
端が転がっても可笑しい年頃の愛玩人達はケラケラ笑う。
それを見て親方は憮然とする。愛玩人に笑われた事よりも、俺と同じってのが不満なんだろう。
それに、親方って接客よりも実務大好きな職人らしい職人だもんな。
ま、培養房出しの日ぐらい、親方もしゃーないでしょ。
つーか俺だってそうなんだけど、接客やらされてばっかりだよコンチキチン。
ブツブツ言いながらも、親方はマリアやルリにちょっかいを掛けている。
女の子達を侍らせているうちに、親方は機嫌を直す。
一人、歯牙にも掛けられていないレンがこちらにさり気無く近寄ってくる。
素知らぬ顔で帳簿を眺めている俺の服の裾をキュッと掴んだ。