三橋「ミルクセーキおいしい、ねっ」

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865影法師
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1223486189/37
※鬱注意

数日後、練習が終わって家で遅い夕飯を食っていた俺に、父親が「学校でなにかあったの
か?」と探りを入れてきた。
最近俺が浮かない顔をしているのを気にしていたと見える。
適当な理由でごまかしておいたものの、まだ疑わしそうな目で俺を見る父親に別の話を振
ろうとしたところでタイミングよくリビングの電話が鳴った。
そちらに気が逸れた隙に逃げようとしたら、電話をとった母親が俺を呼んだ。
「タカ、電話よー。三橋さんから」
三橋さん、という言い方に引っかかりを覚えたが、出てみると電話の相手は三橋のお母さ
んだった。
『阿部くん、ごめんなさいね、こんな時間に。あの、聞きたいことがあって…』
「いえ…、構いませんけど」
『うちの廉がまだ帰ってないの。最後まで一緒にいたのは田島くんらしいんだけど、家の
 前で別れたそうなの。阿部くん何か心当たりはないかしら?』
「携帯、通じないんですか?」
『何回もかけたんだけど、電源切ってるみたいで…』
心の中でざわざわと嫌な予感が蠢き出す。
「俺、今日は一緒じゃなかったんで、ちょっとわからないです…」
『……そう』
おばさんの失望を隠せない声に、俺は申し訳ない気持ちで一杯になった。
田島に任せていれば安心だと責任放棄していた自分を殴りつけてやりたい。
『他のみんなにも電話していいかしら?それともすぐ警察に知らせた方が……』
「あっ、一ヶ所探してみたいところがあります。近くだし、これからすぐ行ってみるんで
 そこに着いたら折り返し電話します!」
あわてていた俺はおばさんの質問に答えず電話を切ってしまったが、どのみち俺が口出し
できることではなかった。
俺はすぐに支度して「ちょっと急用ができたから行ってくる!」と叫んで家を飛び出した。