少し形変えた。wikiの人すいません、迷惑かけました。
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1221198473/551 三橋は速い、速すぎる。どんだけ走っても後姿が見えない。あいつだって疲れてるはずなのに。
ひょっとしてどっか寄ってて家の方向には行ってないんじゃないか、三橋の家から10分ぐらいの公園が見えたところでそう思った。
「わっ」
だいぶ前の方でガサガサと公園の茂みが揺れて、オレはびびった。多分猫かなんかだと思う、情けない。
公園の向こうに横切る道に黒い車が走ってきて、停まった。
さっき揺れた茂みから誰か出てくる。
「あれ…?」
それはバッグを肩に掛けた三橋だった。自転車がない、茂みの中に置いてきたんだろうか。なんで?
三橋はハザードを出している車に素早く近づく。運転席から男の人が降りてきた。
三橋の父ちゃんが迎えに来たのかとも思ったけど、公園に自転車を置いたとしたら意味がわからない。
すごく嫌な予感がして、声をかけようとした。
自転車を引いて一歩、二歩進んだところで、オレは立ちすくんだ。
公園の入り口にある街灯しか明かりがなくても、すぽっと男の腕の中に収まる三橋が見えた。
キョドってはいたけど暴れたりせず、三橋が助手席に自分で乗って、あっという間に車が発進した。
オレが我に返って追いかけた時には、ナンバープレートも見えないほど車が遠くにいた。
なに今の。何やってんだよ三橋。明後日は試合だよ、しっかり食って寝ろって花井が言ってたじゃん。
小さく声に出してみた。自分で自分に向かって、体調管理を怠るエースに怒ってるフリをした。
ガラじゃないけど叱ってやろうと思って、携帯を出した。でも涙がじわっと出て鼻が詰まる。誰もいなくて本当によかった。
鼻をかんで、三橋の番号にかける。何コール鳴っても出ない。
三回目にかけた時、電波が届かないか電源が切れているという音声が流れた。
「なんで…」
泣いてる場合じゃない、もしかして怒ってるフリしてる場合でもないかもしれない。
三橋の自宅の番号は、運良く登録されていた。探りを入れるにはこれしかない。
「あ、あの、遅くにすみません。三橋君、帰ってますか」
「いーのよ時間なんて、廉、今日はお友達の家に泊まるって昨日から言ってて…あら、誰のお家か聞くの忘れちゃった。ごめんなさいね」
明るい声に、オレは寒くなった。あいつ、おばさんに嘘ついてる。
三橋…あの男、誰。