ホラー注意
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1216374039/907 【9】
翌朝、日曜日。
田島は自宅所有の畑を突っ切ってグラウンドへ向かった。祖父が体調を崩したので、作物の具合を行きしなに見るためだった。
祖父愛用の超簡単操作携帯に異常なしの報を告げ、土を踏んで歩く。
先の地面に違和感があり、田島は足を止めた。間引いた葉や雑草の積んである辺りが、動いているような気がする。
子猫か何かだろうかと思って近寄った。
それは、人の指だった。
近づくと同時に生きた色彩のないその灰色が蠢いて、田島の足首を捕らえる。
恐怖より憎悪が大きかった。
やっぱり化け物か、おとなしく死んでろ、大迷惑だ!
肘まで出てきた異形をもう片方の足で蹴り、踏みつけるも、足をつかみ締め上げてくる指は離れなかった。
音もなく土中から伸び上がる男の生首には乱れた長めの髪が生え、目はどこを見ているのかわからない。
口の位置に暗く開いた空洞が、歪んだ笑みの形を作っていく。
「こいつ…!」
田島は先ほど尻ポケットに突っ込んだ携帯を出し、電話帳の上方からスクロールした。
たくさんの家族達の次にキャプテンの名を見つけ、繋ごうとして不可能であることに気づく
やりきれない気持ちで栄口の番号へ発信した時には、指先が冷たくなって力が抜けてきていた。
「おはよ、どーし…」
「栄口、こいつ違う、あのストーカーじゃない!」
「えっ、こいつって?今どこ?」
「オレんち、の、畑!」
グラウンドに入ったところだった栄口は、フェンス越しに広い畑地を振り返った。
くぐったばかりの入り口を飛び出し、走る。後ろから阿部が呼ぶ声がし、三橋がおずおずと顔を覗かせた。
「田島から!何かあったみたいだ!」